衆議院

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第2号 平成30年11月20日(火曜日)

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平成三十年十一月二十日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 伊藤信太郎君 理事 金子万寿夫君

   理事 武村 展英君 理事 とかしきなおみ君

   理事 堀内 詔子君 理事 生方 幸夫君

   理事 小宮山泰子君 理事 古屋 範子君

      勝俣 孝明君    菅家 一郎君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      北川 知克君    笹川 博義君

      高橋ひなこ君    武部  新君

      津島  淳君    百武 公親君

      福山  守君    古田 圭一君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      岡本あき子君    長尾 秀樹君

      堀越 啓仁君    横光 克彦君

      西岡 秀子君    富田 茂之君

      田村 貴昭君    細野 豪志君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    原田 義昭君

   環境副大臣        城内  実君

   環境副大臣        あきもと司君

   環境大臣政務官      勝俣 孝明君

   環境大臣政務官      菅家 一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 赤松  武君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           安藤 晴彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       林  俊行君

   政府参考人

   (気象庁地球環境・海洋部長)           田中 省吾君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  森下  哲君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            田中 聡志君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  正田  寛君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         山本 昌宏君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     津島  淳君

  百武 公親君     木村 哲也君

  山本和嘉子君     岡本あき子君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     百武 公親君

  津島  淳君     武部  新君

  岡本あき子君     山本和嘉子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官赤松武君、経済産業省大臣官房審議官安藤晴彦君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小澤典明君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩君、国土交通省水管理・国土保全局次長林俊行君、気象庁地球環境・海洋部長田中省吾君、環境省大臣官房長鎌形浩史君、環境省地球環境局長森下哲君、環境省水・大気環境局長田中聡志君、環境省自然環境局長正田寛君、環境省環境再生・資源循環局長山本昌宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 おはようございます。

 原田義昭環境大臣、大臣御就任まことにおめでとうございます。環境委員会で新大臣への最初の質問をさせていただくことを光栄に思います。

 先週の原田環境大臣の簡潔な所信表明挨拶を伺い、感じたことは、横文字が大変多くなっているなということ。

 ちょっとピックアップしますと、グリーンファイナンス、イノベーション、SDGs、COP24、ESG、クールチョイス、カーボンプライシング、ワイズコンサンプション、プラスチック・スマート、リスクコミュニケーション、SATOYAMAイニシアチブ、ライフサイクル、エコチル等の言葉です。SATOYAMAイニシアチブに至っては、里山という日本語も横文字にしてしまおうということで、国際化させようということで、大変目新しく感じたんですが、これを、要すれば、環境行政そのものが世界の動きと直結し、国際連携の中でやらざるを得ない、そういう状況にあるのだということを改めて強く認識しました。その立場がおのずから言葉にあらわれていると思います。

 ただ一方で、ちょっと横文字が多過ぎるかなという、これは一般の国民が聞いてもわからないというふうに思いますので、ここら辺は工夫の余地があるとして、国際関係の中の環境行政の位置づけ、それを再認識させていただきました。

 一方で、環境行政が国際的動きと連携しているということは、日本政府がその動きを主導するのか、あるいは追随するのか、その選択が迫られることにつながるというふうに思います。

 私は、日本政府には、日本民族の有する道徳観、倫理意識、そして技術力、こういうものを十二分に生かし、地球温暖化を防ぎ、世界の環境行政をリードするという地位を確立してほしい、そのように考えております。その意味で、環境大臣の果たす役割、リーダーシップは重要だと考えております。

 来年、G20が我が国で開催され、私の地元の長野県軽井沢でも、持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会議が開催されます。リーダーシップ発揮のまたとないチャンスだと考えておりまして、大臣は議長としてこの会合に臨まれることになると思います。

 そこで、このG20関係閣僚会議に臨む大臣の決意を伺いたいと思います。

原田国務大臣 まずもって、私ども、環境行政をしっかりやってまいりますので、委員各位の御指導、御協力を心からお願いを申し上げます。よろしくお願いします。(拍手)

 その上で、来年、御指摘のとおり、我が国が初めて議長国を務めますG20においては、六月十五日から十六日に、いわゆる環境閣僚会議が長野県で行われるということでございます。持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合というのが正式な名前でございますが、その意のとおり、しっかり総合的な対策をとっていかなきゃいけない、こういうふうに考えております。

 環境省としては、この閣僚会合において、さまざまな地球規模の環境問題について各国との連携を強化するとともに、環境と経済成長の好循環の加速化に向けてしっかり議論をしていきます。その中で、私ども、御指摘のとおり、しっかりと主導をしていかなければいけないな、こう思っているところであります。

 また、冒頭に務台委員が、横文字のことがちょっと御指摘ありましたので、ちょっとまたそれについてもコメントさせていただきたいと思いますが、おっしゃるとおり、私も、後で振り返って、少し多いなという個人的な印象を持っております。

 実は、この横文字をどう使うかについては、特に官公庁の文書の中ではそのことがよく指摘されているところであります。恐らく理由も、委員お話しになりましたように、確かに、物事が複雑化しておる、それから国際的な動きがどんどん進んでいるために従来の日本語だけでは説明できないような部分もあるいは出てくる、なるがゆえに、新しい言葉として横文字をついつい使いたくなるような場面が多いんですけれども、おっしゃるように、私どもばかりじゃなくて国民の皆さんがしっかり理解できるようなことにならなきゃいけないと思いますから、やはり使い方には十分注意しながらしなきゃいけないな、こういうふうに思っていますので、御指摘ありがとうございました。

務台委員 ありがとうございます。

 主導していきたいという大臣の言葉、大変重く受けとめさせていただきました。

 ところで、私は超党派の囲碁文化振興議員連盟というのに属しておりまして、囲碁の世界では、着眼大局、着手小局という言葉があります。私はこの言葉の意味するところがとても好きなんですが、原田大臣が就任早々に表明されましたレジ袋の有料化、これはまさにそれを地でいくものだというふうに受けとめました。

 まず、大臣に、レジ袋有料化の着眼点を伺いたいと思います。

原田国務大臣 委員が今お話しされた着眼大局、着手小局というのは非常に大事な言葉だと思っております。何事も、まずはしっかりとした理念を持ちながら、同時に、やはり着手するときはしっかりと足元からやるということでございまして、心がけたいなと思っております。

 海洋プラスチック問題の解決については、消費者のライフスタイルの変革を促すことが重要であって、中でも、ワンウエー、使い捨てのプラスチックについては、不必要に使用、廃棄することのないような取組を進めなければならない、こういうふうに考えております。このため、消費者が毎日のように利用しているレジ袋が有料化されることによって、消費者の意識や行動に変化を促すことができるのではないかというふうに考えた次第でございます。

 国民一人一人が賢い消費行動、ワイズコンサンプションを選択するようになれば、レジ袋以外の消費行動だけでなく、小売店側も意識が変わり、全体としてワンウエーのプラスチックのリデュース、減らすことができるのではないか、こういうふうに考えております。

務台委員 レジ袋有料化で消費者意識の転換を図るんだ、そういう大きな着眼点があるということは私もすばらしいことだというふうに思います。ぜひこれを進めていただきたい、そのように思います。

 ところで、さきの通常国会では、漂着ごみの問題、マイクロプラスチック対策を盛り込んだ海岸漂着物処理推進法の改正が行われましたが、その改正法が求めている、海域におけるマイクロプラスチック抑制のための施策のあり方の検討が今環境省でなされていると承知しております。

 その検討状況について、そして、何がその施策の中心になるのか、御披瀝いただきたいと思います。

田中(聡)政府参考人 御説明申し上げます。

 先般の通常国会での海洋漂着物処理推進法の改正を踏まえまして、現在、同法に基づく政府の基本方針の改定に向けた検討を進めております。十一月七日に開催をされました専門家会議におきまして改定案をお示しをし、御議論をいただいたところでございます。

 この改定案では、今後の海洋ごみ対策の中心的な取組として、漂流ごみ等を含めた海洋ごみの円滑な処理、マイクロプラスチックの排出の抑制や実態把握、国際連携の確保や国際協力の推進、こういった取組を強化する内容を盛り込んでいるところでございます。

 引き続き専門家会議において御議論をいただきつつ、年内に改定案を取りまとめまして、パブリックコメントも含めて、閣議決定に向けて必要な手続を進めてまいります。

務台委員 ありがとうございました。

 ただいま国際協力の推進ということもございました。私、この海洋漂着ごみの問題を考えるときに、漂着を受けた側がこれを全て自分たちの負担で処理しているということを、常日ごろ、それでいいのかなというふうに思っていました。海流の上流の方で出していることが明らかなのに、受けた方で全てこれを処理している。やはり国際協力、一定の負担ルールをそろそろつくるべきじゃないかというふうに感じております。

 その中で、過日、トランプ大統領が、アメリカに漂着する海洋ごみの一部は日本由来であり、応分の責任があるという趣旨の発言をされたと報道されております。それに関する我が国の受けとめ方はどうなのか。そして、この海洋漂着ごみの問題について国際法上の扱いは今どうなっているのか、この具体的な対応、現状を御披瀝いただきたいと思います。

田中(聡)政府参考人 先生御指摘のとおり、トランプ大統領が、中国、日本も含めまして世界の多くの国々からごみが海洋に流出させられていて、米国は漂着したごみを撤去する不公平な状況にある、それから、今般なされた立法措置を通じまして、関係部局を奨励して、流出させた責任のある国々に働きかけをしていく、こういった御発言があったということを承知をしております。

 海洋ごみは多くの国々から排出されているものであります。我が国は、来年G20議長国であります。海洋プラスチックの問題については、世界全体の問題として、米国ともよく連携をしながら全力で取り組んでまいります。

赤松政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘の国際約束の状況でございますけれども、現在我が国が締結しております国際約束の中には、漂着ごみの費用負担を義務づけることを目的としたものはございません。

 以上でございます。

務台委員 これは大変な問題だと思うんですよね。日本も地方自治体の負担が大きくて、補助金を出したり特別交付税を出したりしておりますが、なぜ排出者責任を漂着ごみは問えないのか、私もかねてから疑問に思っておりました。トランプ大統領が言ったということではないんですが、このマイクロプラスチック抑制のための基本計画の改定、その中に国際協力の推進ということも位置づけているということであれば、来年のG20に向けて、この問題の国際的な取決め、誰がどういう形で応分の負担をするのか、そういうことについても前広に議論していただきたい、そんなふうに思います。

 この十二月には、ポーランド・カトヴィツェでCOP24が開かれます。パリ協定の実施指針の採択が期待されており、現在、合意に向けた作業が進められていると承知しております。各国の見解や立場に隔たりが見られる論点があるというふうに伺っておりますが、どのような点で意見が分かれ、それに対して我が国はどのような立場で臨んでいるのか、御説明いただきたいと思います。

勝俣大臣政務官 パリ協定は、歴史上初めて全ての国が参加し、そして温室効果ガス削減のための行動をとることを約束した公平かつ実効的な国際枠組みでございます。COP24は、パリ協定の実施指針が策定される大変重要なCOPでございます。

 御質問の、各国の立場に隔たりが見られる点ということでございますが、例えば、パリ協定の合意内容を超えて、先進国と途上国の責任に差を設けるべきという途上国の主張がございます。こうした主張に対し、我が国としましては、可能な限り共通のルールが適用される仕組みとなるよう実施指針の交渉に臨んでまいります。

 世界全体で、非政府主体も含む気候変動対策の機運を更に高めるため、COP24における実施指針の合意に向け、引き続き積極的に貢献していくとともに、パリ協定の円滑な実施のために必要な途上国支援を着実に実施してまいりたいと思います。

務台委員 ありがとうございます。

 できるだけ差を設けることなく、世界が共通の指針でこれを行える、そんな中身にしていっていただきたいと思います。

 ところで、パリ協定において各国に提出が要請されている長期戦略、詳しく言うと長期低排出発展戦略というものだそうですが、二年前の五月のG7伊勢志摩サミットでは、二〇二〇年の期限に十分に先立って策定することが合意されております。

 私が聞いているところでは、G7のうちで未提出なのはイタリアと日本のみというふうに聞いております。なぜ未提出になっているのか、おくれている理由、その点についてお伺いしたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 パリ協定に基づく長期戦略でございますけれども、こちらにつきましては、昨年の三月に中央環境審議会におきまして長期低炭素ビジョンというものを取りまとめるとともに、本年三月には環境省から長期大幅削減に向けた基本的な考え方を公表するなど、政府部内で検討を進めてきているという状況でございます。

 こうした検討ですとか、あるいは安倍総理からの御指示を踏まえまして、本年の八月に有識者による懇談会を立ち上げまして、議論を今進めているところでございます。

 G7伊勢志摩サミットでコミットをいたしました二〇二〇年の期限に十分先立って策定、提出をするとの期限におくれることのないよう、関係省庁と連携をしながら検討作業を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

務台委員 懇談会を設けて議論を始めているというお話がございました。その懇談会は、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会のことだというふうに思います。その中で、カーボンプライシングの導入の是非とか、石炭火力発電に対する取組姿勢、政策の方向性に関して関係者間で意見の隔たりが大きいというふうに承知しておりますが、議論の現状、そして同戦略の取りまとめに当たっての考え方、スタンス、これも教えていただきたいと思います。

森下政府参考人 パリ協定長期成長戦略懇談会でございますけれども、こちらはことしの八月から議論を開始してございます。ちょうど昨日、十一月の十九日には第三回目の会合を開催をしたところでございます。

 これまでに、大きな柱といたしまして、イノベーションやグリーンファイナンス、グリーンビジネス・海外展開、そして地域をテーマに外部有識者からのヒアリングや意見交換などを行ってきております。今後は、これまでの御議論を踏まえた論点整理や提言案の取りまとめを行ってまいるという予定にいたしてございます。

 来年我が国がG20の議長国を務めることも踏まえまして、世界の脱炭素化を牽引するとの決意のもと、骨太な長期戦略をしっかりとつくり上げてまいりたいというふうに考えてございます。

務台委員 今局長から来年のG20という話もありましたが、できれば、この戦略の取りまとめ、これは来年のG20までにしっかり出して、日本政府として脱炭素化、温暖化に対してはっきりとこういう方針でやるんだ、そういう立場を受けて原田環境大臣が議長として臨む、そんなタイムスケジュールを考えていただきたい、このように思っております。

 使用済み太陽光パネルの問題について伺いたいと思います。

 太陽光発電が進んでいることは歓迎すべきことです。一方で、今後大量の廃棄物が出てくるということも見込まれています。

 総務省は、昨年九月に、環境省、経済産業省に対しまして、使用済み太陽光パネルの回収、適正処理、リサイクルシステムの構築について、法制度の整備も含め検討するようとの勧告を行っております。

 勧告を受けて一年が経過しておりますが、現時点での検討状況、今後いかなる制度を構築していくつもりなのか、御披瀝いただきたいと思います。

菅家大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の太陽光パネルの回収、適正処理、リサイクルシステムの構築につきましては、省内で検討を行いまして、本年七月に取りまとめを公表したところであります。

 この中では、将来にわたって太陽光パネルのリサイクル、適正処分を推進していくために、まず、排出量の大幅増加、これを見通した安定処理体制の整備、製造業者等からの有害物質含有情報の提供による適正かつ円滑な処理状態の確保、資源の有効利用や最終処分場の逼迫回避の観点に立った、市場に左右されない安定的なリサイクル状況の整備、これが必要とされたところであります。

 それを踏まえまして、円滑かつ効率的なリサイクル、適正処分がなされる制度、これをできるだけ早期に導入すべく、関係者と調整を行い、そして法整備も含めた検討を進めてまいりたいと存じます。

務台委員 この問題は、二〇三〇年を超えると大変な問題となって出てきます。今の時点から準備しておかないと、直前になって慌てても仕方がないと思いますので、ぜひ環境省としても省を挙げて、政府を挙げて頑張っていただきたいというふうに思います。

 動物愛護管理法の見直しについて伺いたいと思います。

 この法律は議員立法でございますが、直近の平成二十四年改正で積み残しの事項として、幼齢の犬、猫の販売等の制限に係る、親等から引き離す理想的な時期、販売される犬、猫等へのマイクロチップの装着の義務化、こうした課題が積み残された課題として検討事項とされています。

 最近、議員間ではこれらについての議論が行われており、私も参加させていただいておりますが、現時点での環境省の検討の受けとめ方を伺いたいと思います。

 この問題については、動物愛護に係る対策について、より規制を強化すべきとの立場も多々あるかと思います。さまざまな議論、提言の現状について認識をお伺いしたいと思います。

城内副大臣 お答えいたします。

 動物の愛護及び管理に関する法律、すなわち動物愛護法につきましては、本年八月に前回改正法の施行から五年を迎えたところであります。そうした中、各議員連盟におきまして、犬、猫の幼齢個体を親兄弟から引き離す理想的な時期や、販売される犬、猫へのマイクロチップの装着の義務化等の論点につきまして議論が行われていると承知しております。

 御案内のとおり、本動物愛護管理法は、昭和四十八年の制定から過去三回にわたり、全て議員立法で行われております。したがいまして、環境省といたしましては、必要に応じて検討に値する情報を適時適切に提供していくことによりまして、各議員連盟における御議論が深まるよう、しっかり協力してまいりたいと考えております。

 その上で、動物愛護管理施策につきまして申し上げますと、各方面からさまざまな御意見があることは環境省としても承知しているところであります。

 その中で、例えば、犬、猫の幼齢個体の親兄弟から引き離しを理想的な時期まで規制する、いわゆる幼齢規制の期間につきましては、前回改正法の附則に基づきまして、犬猫販売業者の業務の実態、調査研究の実施等による科学的知見等を踏まえまして、施行後五年以内に検討することとされており、これを踏まえ、環境省では、専門家による検討会を設置し、調査検討を実施してまいったところであります。

 また、マイクロチップの装着の義務化等につきましても、附則で求められた検討の一環として、モデル事業の実施や海外の法規制状況の情報収集などを行ってまいりました。

 環境省といたしましては、引き続き、附則で求められた検討事項を含めまして、動物愛護管理施策の推進に必要な知見の集積等に努めていく考えであります。

務台委員 改正法施行後もう五年たっておりますので、ぜひ早期の新しい制度の導入をお願いしたいというふうに思います。

 私の地元であります中部山岳国立公園について触れさせていただきたいと思います。

 過日、地元町会の強い要請を受け、環境省、国土交通省、林野庁、長野県、松本市の関係者とともに上高地を訪問しまして、上高地を流れる梓川の河床上昇の現状を見てきました。地元の山小屋関係者の話では、この数年で上高地を流れる梓川の河床上昇が激しく、ちょっとした豪雨でも登山道は浸水し、場合によっては山小屋が流される危険性も出てきているとの話でした。以前は、梓川というと、みなもにイワナが見られ、水鳥が本当にたくさんいたんですが、今それがいなくなってしまったというお話もあります。

 特別保護地区における土砂の搬出が必要だとされていますが、この問題については前任の中川環境大臣にも伺った経緯があります。各省が連携して上高地の河床上昇の課題について対応してほしいと強く願っております。

 上高地の環境保全については、上高地ビジョンというビジョンがありまして、政策目標がそこに並べられております。環境とマッチした国土強靱化、事前防災の観点から、ぜひそのプランの早期の実現に向けて御協力をいただきたいと思いますが、上高地の河床上昇に対する国土交通省、環境省のそれぞれのお立場での取組姿勢を伺いたいと思います。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の梓川につきましては、山地部から通常大量の土砂供給がございまして、非常に土砂が堆積しやすい河川となっております。このため、今後の土砂堆積を抑制するための効果的な対策を実施するために、土砂移動量の把握等の調査による土砂移動メカニズムの解明等を関係機関と連携しながら実施をしているところでございます。

 また、現状において堆積をしております土砂につきましては、先ほども御指摘をいただきました上高地ビジョン等に基づきまして、河川管理者である長野県が継続的に、河川上昇の対策といたしまして河道掘削を実施しているところでございます。

 一方で、今夏発生をいたしました平成三十年七月豪雨等を受けまして、現在、河川でいいますと、一級河川一万四千、二級河川七千全ての河川について、重要インフラの緊急点検を行っております。この一環といたしまして、樹木繁茂あるいは土砂堆積等の危険性に関する緊急点検も実施をしておりまして、今月末を目途に対応方策を取りまとめさせていただきたいと思っております。

 国土交通省といたしましては、この緊急点検の結果を踏まえまして、長野県が講じる対策について必要な支援を講じてまいりたいと思っております。

原田国務大臣 議員の御地元の上高地は、北アルプスの山岳景観や梓川の清流などが見事に調和した、日本を代表する山岳国立公園でございます。この中で、梓川の河床の上昇は当該地域の自然景観に大きな影響を与えており、環境省においても懸念をしているところでございます。

 これに対応するため、環境省においては、平成十二年に自然公園法の許可基準の特例区域を設定し、特別保護地域においても土砂採取ができるよう措置をしたところであります。さらに、平成二十八年にはその区域を拡張したところでございます。

 環境省としては、関係機関及び地元の皆様としっかりと連携を図りつつ、このような措置により、関係機関等が行う堆積土砂の除去等の取組に引き続き最大限努力をしてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

務台委員 上高地の梓川の事業主体が本当に多岐にわたっています。国交省の次長さんがおっしゃったように、河川管理者は長野県、ただ、長野県だけではやれない。環境省の規制もある。この地域は、国立公園の中でも特に保護が必要な地域として位置づけられております。そこにおける防災上の課題を環境とマッチしてどのようにするか。まさにリーディングケースになり得ると思いますので、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 特に、国交省が今緊急点検をやっているというふうにおっしゃいましたが、この緊急点検の結果、ぜひ、三カ年の国土強靱化の中で、河床上昇の問題、しっかりやっていただきたい、そんなふうに思っております。

 最後になりますが、国立公園のレンジャー、アクティブ・レンジャーの皆様は地元での評判も高く、この場をかりて感謝申し上げたいと思います。

 地元の国立公園を訪れる際にレンジャーの皆様と同行する中で、ちょっと耳にしたことがあります。それは、レンジャー服がなかなか数が少なくて、着がえがないという声を耳にしたんですが、ぜひ、これは日常の活動に不可欠なものであるので善処していただきたい。お答えいただければと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 レンジャーが現場管理の業務の際に着用する制服であるレンジャー服につきましては、現場管理の事務所への着任時に、長袖と半袖のシャツを三着ずつ、ズボンを二着、帽子及びベルトを一つずつなどを各自に貸与しているところでございます。さらに、レンジャー服は勤務時間中常に着用している消耗品でございますので、その状況に応じて追加で貸与しているところでございます。

 今後とも、各レンジャーが業務を適切に遂行できるよう配慮してまいります。

務台委員 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 立憲民主党の横光克彦でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 原田大臣、環境大臣御就任おめでとうございます。

 大臣は福岡県、私は大分県、隣同士でございまして、就任を大変うれしく思っております。

 原田大臣は、旧通産省、現在の経産省出身だということで、環境問題には余りかかわりのない御経歴なのかと思っておりましたが、さにあらず。大臣が通産省に入られた昭和四十五年、当時大変な社会問題となっておりました公害国会を経験された、そしてまた、公害問題にしっかりと取り組んでおられたということをホームページで拝見して非常に驚いたわけですが、大臣御自身もおっしゃっておりますが、環境大臣就任は運命的なものがあったのではないか、そういうふうに感じております。

 また、大臣のところの太宰府天満宮、ここの梅、これも見事な花を咲かせますが、私の生まれ育った里の宇佐神宮、ここの梅もすばらしいんですよ。

 梅の花言葉に、不屈の精神という意味があるそうです。不屈の精神。寒風吹きすさぶ中、凜として咲く梅の花。何となく、不屈の精神というイメージが確かにありますよね。

 どうか、大臣におかれましては、この不屈の精神のもと、強いリーダーシップでこれから頑張っていただきたい、このことをまず申し上げておきます。

 それでは、所信について質問をさせていただきます。

 環境行政には多くの課題があるわけですが、そういった中で、私は、今最も重要な政策の一つが気候変動対策である、このように考えております。パリ協定のもと、世界は今、脱炭素社会に大きく動き出しているわけですが、まず、その脱炭素社会への取組強化についてお尋ねいたしたいと思います。

 石炭火力発電、これは最もCO2を排出する発電方法ですね。世界の温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指す、二〇一五年に合意されたパリ協定の目標達成には、まずはこのエネルギー部門、これをいち早く脱炭素化させる必要があると私は思っているんです。そのためには、その対極にあると言ってもよい石炭火力発電から脱却しなければならない、このように思っております。

 LNGやほかの発電方式を含む設備容量や再生可能エネルギーの電力の普及、さらに省エネの進展などを考えれば、原発に依存しなくても電力供給は十分可能な状況になってきております。

 東日本大震災、福島原発事故後の二〇一二年以降に、五十基もあった石炭火力発電所の新規建設計画のうち、七基の計画は中止となりました。しかし、既に八基は稼働しております。残りの三十五基は、今なお計画、建設段階にあるんです。

 石炭火力発電は、最新鋭の技術をもってしても、CO2排出係数が天然ガス火力発電のおよそ二倍にもなる。これらの計画が全て認可され、実行されてしまえば、どうなりますか。我が国の削減目標の達成は到底不可能となります。

 この状況を打開するためには、まずは、私は、三十五基の新規計画を認めるべきではない、このように思っているわけでございます。

 イギリスやカナダなどの先進国は、遅くとも二〇三〇年までに、あと十年ちょっとですよね、二〇三〇年までに石炭火力発電をゼロにしよう、そういう動きがあるんです。我が国もこれに追従すべきだと思っておりますし、遅くとも二〇三〇年までに石炭火力発電をゼロにすべきであると考えております。

 でなければ、このまま石炭火力発電を推進していけば、CO2が増加するばかりであり、二六%削減の目標は絵に描いた餅となってしまいます。これはもう、悲劇を通り越して喜劇としか言いようがありません。

 温暖化対策を担当する原田大臣の、現在のこの状況をいかにお考えなのか、お聞かせください。

原田国務大臣 冒頭に、横光委員から励ましの言葉をいただきました。その言葉に沿えるようにしっかり頑張りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 その上で、今、石炭火力の話を中心にお話があったところであります。

 我が国では、多数の石炭火力発電の新増設計画がございます。これらの計画が全て実行されれば、ベースロードとして運用されると、仮に既存の老朽石炭火力発電が順次廃止されたとしても、我が国の二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の達成は到底困難でございます。

 こうした点を踏まえますと、経済的な観点のみからの新増設は進めるべきではないというふうに考えております。

 さらに、パリ協定が発効し、諸外国では石炭火力発電に対する抑制の動きがある中、ビジネスも投資家も脱石炭に向けてかじを切っておるところであります。

 こうした状況を踏まえて、経済産業大臣との合意に基づく電気事業分野における地球温暖化対策の進捗レビューや環境アセスにおける大臣意見の機会を通じて、石炭火力発電の問題に対して厳しい姿勢で臨んでいきたいと考えております。

横光委員 昨年十一月、ドイツで行われましたCOP23、ここでも、多くの国、またNGOの皆様方から日本の石炭火力推進に厳しい声が上がったことは、大臣も御存じのことと思います。

 大臣は今、石炭火力発電に厳しく対応していくということを述べられました。しかし、今の御答弁だけでは、やはり今のままとめられないと思うんです。更に厳しい規制をかけない限りこの流れをとめられないと思いますが、現在の計画段階のものに対してどう対応するのか、どう規制をかけるのか、いま一度お聞かせください。

原田国務大臣 先ほどもお話をいたしましたけれども、こうした状況を踏まえまして、経産大臣との合意に基づく電気事業分野における地球温暖化対策の進捗レビューや環境アセスではしっかり意見を言うことになっておりますので、まだ非常に具体的なところまで行っておりませんけれども、いずれにいたしましても、石炭火力はしっかり抑制していかないといけないということで、先ほど厳しい姿勢と申し上げましたけれども、しっかりそういうところをやっていきたいな、こう思っております。

横光委員 事は待ったなしだと私は思っているんですよ。確かに、エネルギーの所管あるいは石炭火力発電の認可は経産省です。しかし、大臣、これは他人事じゃないんですよ、本当に。我が国の現状なんですよ、これが今のまま。このまま野放しにしても本当にいいんでしょうか。

 温暖化対策に逆行するのであれば、私は、先ほど言った不屈の精神を持って経産大臣と真っ向からけんかするぐらいの覚悟がなければこの問題は前に進みませんよ、このことを強くまず申し上げて、本当に待ったなしの問題ですので、認可、認可でいけば、この日本の列島は本当にCO2だらけになってしまうんですから、世界からも批判を浴びているんですから、ここは、規制を厳しくする、経産省とけんかするぐらいのことを考えて取り組んでいただきたいことを申し上げます。

 次に、先ほどからお話ございました海プラの問題、この問題を質問させていただきますが、これまた国際的にも大変大きな問題になっている。

 大臣はこの問題の取組を所信でも非常に強く主張をされておられました。中央環境審議会のプラスチックごみ削減に対する小委員会、ここでは、小売店などへのレジ袋有料化の義務づけ、ペットボトルや食品容器などの使い捨てプラスチックを廃止するなど、二〇三〇年までの二五%削減、こういったことを盛り込んだプラスチック資源循環戦略、これを了承したとの報道がございました。

 その意気込みやよしとしても、大臣が先ほどの質問に御答弁されましたように、大量に消費して、そして気軽に廃棄してしまう、こういったライフスタイルがもうしみついているんですね、国民の中に。これをやはり意識的に変えていってもらわなければならない。どんなに回収やあるいはリサイクル、リユースを熱心に取り組んだとしても、海洋環境中に流れ出てしまうペットボトルを始めとするプラスチック製品を制御していくことは私は困難だと思っているんです。

 使い捨てのプラスチック製品の規制の動きがヨーロッパを中心に進んでおります。この動きを見据えて、飲食業やホテルチェーンなどのグローバル企業を中心に、プラスチックストローの使用の廃止など、使い捨てプラスチックの削減に取り組む動きも加速しているんです。

 我が国においても、海洋プラスチック問題への世界的な関心が非常に高まりつつある中ですから、我が国のプラスチックの資源循環に向けた取組の現状をどう認識されているのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

原田国務大臣 御指摘のとおり、プラスチックの使い道等につきましては、今、国際的にも非常に大事なテーマになっております。来るG20においても、そのことが中心の一つになって、私ども取り扱わなきゃいけない、こういうふうに思っております。

 中央環境審議会において、プラスチック資源循環戦略、こういうものを取り扱ったところでございますけれども、その削減に対して、まず、容器包装等の使い捨てのプラスチックの排出抑制に関する一応の目標を我が国独自に設定しているところであります。

 また、レジ袋の有料化義務化を始め、ワンウエー、使い捨てともいいますけれども、のプラスチックの不必要な使用、廃棄の回避に向けて、消費者のライフスタイル変革、紙などの代替素材の利用促進などを盛り込んでいるところでございます。

 今後、戦略を策定し次第、戦略に基づき、速やかに施策を進めてまいりたいと思います。

 その際に、国民各界各層の意見を十分踏まえるとともに、積極的な普及啓発や広報により、消費者のライフスタイル変革に向けた国民的な理解の醸成を促してまいりたい、こういうふうに思っております。

横光委員 確かにそのとおりでございますけれども、私からすれば、余りにも緩い、そういう気がしてなりません。

 このプラスチック製品を生産している、大事なところは、産業界との取組ですよ。産業界の皆様方の協力なくしては、この問題は私は前進しないと思うんです。

 そういった意味で、削減手法の具体化を図って、どのように産業界と協力して具体化を図っていくのか。また、自主的な取組を促すだけじゃもうだめだと思うんですよ。ここは、ある場合によっては、やはり法的な措置も必要だと考えておりますが、この産業界に対する協力、あるいは、必要な場合はもう法的措置もやらざるを得ないな、こういった思いをお持ちであるかどうか、大臣のお答え、お気持ちをお聞かせください。

原田国務大臣 このプラスチックの問題は、複層、非常に影響の大きい問題であります。国民各界各層なんとか言いましたけれども、当然のことながら、産業界の皆様、流通界の皆さん、また、何といっても消費者の皆さんにしっかりと、理解をし、説明するということが大事ではないか、こう思っております。

横光委員 アメリカに次いで、我が国は世界第二位の一人当たりのプラごみの排出国なんですよ。ですから、このことをしっかりと自覚した上で、来年六月のG20、積極的に議長としての職務を果たしていただきたい、このことを強くお願い申し上げます。

 次に、原子力防災担当大臣として大臣にお尋ねいたしたいと思います。

 二週間前、原子力規制委員会は、間もなく四十年の運転期限を迎える東海第二原発の二十年の運転延長の申請を認可しました。東海第二原発は首都圏にある唯一の原発で、三十キロ圏内に九十六万人が住んでいる。しかも、一千万人が住む都心から約百十キロと大変近いところにあるんですよ。

 我が国の原発発祥の地であるこの東海原発、この地に立つ東海第二原発が延長の認可がおりたわけでございますが、福島原発事故が発生したのは確かに民主党政権のときでした。人間の力では到底制御できない原発事故を身をもって体験した当時の政権、野田総理や細野原発担当大臣は、それまでなかった原発の運転年数を、原則として四十年以上の原子炉の運転はしない、四十年を超えての運転継続は極めて限定的、例外的なケースに限られるとしていたわけです。

 ところが、どうですか。現在の政権になってから、延長申請のあった四基のうち、この四基が全て運転延長が認可されているんです。極めて例外的なケースといいながら、まるで例外がないような状況が続いているんです。

 とりわけ、この東海第二原発は東日本大震災の被災地なんです。水を浴びているんです。四十年になるんです。都心から百十キロという近さにあるんです。それでも延長しようとするのでしょうか。原子力防災担当大臣のお考えをお聞かせください。

原田国務大臣 この運転期間延長の認可につきましては、専門的な知見を有する原子力規制委員会が、関係法令に基づいて、独立した立場で判断するというものと考えておりまして、お答えは差し控えさせていただきたい、こういうふうに思っております。

横光委員 確かに、原子力規制委員会が安全性を科学的に確認したとはいっても、また、安全対策にかかるコスト、これをクリアしたとしても、肝心なのは私は民意だと思っているんです。

 今回の東海第二原発周辺六市村の中で、那珂市長は、住民のアンケートに基づき、再稼働反対を表明しています。また、周辺で最大の都市であります人口二十七万人の水戸市、この水戸市の市議会は、再稼働反対の決議を上げているんです。

 このように、周辺住民は反対なんですよ。これは大きな民意なんです。どんなに安全と言われても、国民は不安なんです。事前同意権を持つ自治体の一つでも反対すれば、再稼働なんかできるわけがないじゃありませんか。

 さらに、避難計画の策定が義務づけられている半径三十キロ圏十四市町村のうち、策定を終えているのは、現在三市のみとなっているんです。このような状況で全ての自治体において実効性のある計画が策定できる見通しは全く不透明です。

 大臣、このように地元合意や実効性のある避難計画策定の見通しが不透明な中で、今後、再稼働に向けて進んでいくことに対してはどう思われますか。これは、避難計画策定となりますと、大臣、防災担当大臣も関与するわけですから、大臣の所感をお聞きしたいと思います。

原田国務大臣 私は、環境省の外局として独立性の高い三条委員会である原子力規制委員会を所管し、また、原子力防災担当大臣を兼務している立場にございます。

 原子力発電所の再稼働についてのコメントは、先ほど申し上げましたように、コメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

 その上で、原発については、いかなる事情よりも安全性を優先し、原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めたものについて、その判断を尊重するというのが一貫した政府の方針でございます。

 なお、原発が稼働するか否かにかかわらず、原子力防災対策の充実は住民の皆様の安全、安心の観点から不可欠でございます。原子力防災担当大臣として、万が一の事故の場合には住民の生命身体等が守られるよう、原子力防災体制の充実強化に取り組んでまいっております。

横光委員 原子力防災体制に取り組む姿勢はそのとおりでございまして、よくわかります。そしてまた、再稼働については所管外であるということでコメントはできないと。

 確かに、所管ではありませんよね、再稼働については。しかし、幾ら経営が大事あるいは経済が大事だといっても、こんなに周辺住民が反対や不安を示している中、なぜ四十年も経過した原発を延長する必要があるのでしょうか。

 先ほど申し上げましたように、原子力安全委員会は、安全性を確保したということで認可した。そして、その安全性の対策として、物すごい金がかかる。この金も原電にはないわけですけれども、いろいろなところから支援を受けようとしている。そこまでして再稼働を進めようとしている。

 しかし、肝心の周辺の市村の皆さん方は、非常に心配されている、不安になっている。ですから、反対という意思表示をしている市もある。賛成と言っているところはほとんどないですよね、ほとんどが保留、こういった状況ですよ。

 ですから、しつこいようですが、私は、大事なのは民意である、このように思っております。沖縄県と同じですよ。民意なんですよ。民意を侮ってはならぬと思うのですよ。必ずしっぺ返しが来ますよ、民意を侮ると。

 日本原電は、何よりもこの民意を尊重して事を進めていただきたい、いろいろなものはクリアしたかもしれないけれども、肝心のお膝元の人たちの声をやはり大事にしていただきたい、原電に。とりわけお願いを申し上げたいと思っています。

 このような大きな、いろいろな課題が環境省にはいっぱいありますよね。大臣もこれから多岐にわたってその力を発揮していただかなければならないんですが。

 私は、こういった環境問題、とりわけエネルギーを中心とした問題は非常に不信感を持っているんです。エネルギー計画にしても、今の石炭火力発電に対する対策にしても、この東海第二原発の進め方にしても、非常に国民の思いと乖離しているな、こんな気がしてなりません。

 そういった中で、一筋の光明と言っていいのか、そういったものを感じさせる新聞記事を拝見いたしました。先日の東京新聞朝刊の記事です。再エネ議連、自民百人に迫る。この記事、大臣、読まれましたか。読まれていませんか。東京新聞に出ている。再エネ議連が自民党では百人近くに迫るという記事だったんです。発足時は二十人程度だった自民党の再生可能エネルギー普及拡大議員連盟のメンバーが二年半で百人近くにまでふえたと。自民党所属の国会議員の実に四人に一人が参加していることになりますよね、こうなりますと。

 こうした動きは、与党自民党が原発推進一色ではなく、再エネをしっかりやっていこうという方々がふえているということであり、非常に良識のある、よい動きだと私は思っておるんです。ですから、これも問題は、今までは原発の問題に対しては、与党と野党、非常に対立していましたが、与党の中でも個々の議員はそれぞれお考えがあるということですよ。再エネをしっかりと、環境省が最も力を入れている再生可能エネルギーにもっともっと力を入れようじゃないかという議連が百人近くなったということは非常にすばらしいことであると私は思っております。

 大臣は所信で、原子力災害に対する備えに終わりや完璧はないと述べられました。そうでしょうか。私はちょっと違う考えです。私は、備えには完璧はないと思いますけれども、終わりはあると思っているんです。

 これまで述べたような、また、環境省が挙げて取り組んでいます再エネ推進の動きがどんどん拡大し、そして、いずれ、再生可能エネルギーが日本のエネルギーの基幹電源にでもなれば、いや、いずれ来ると思いますが、そうなれば、私は原発依存から脱却するときが来ると思うんです。ですから、環境省も一生懸命再エネ問題に取り組んでいる。ある情報では、五〇年ごろにはもう再エネ中心の日本のエネルギー計画だというような案があるということも聞いたわけです。

 つまり、いずれ、この日本国土から原発をなくして、そして全ての原発が廃炉になったとき、そのときが私は終わりだと思っているんです。大臣の言う原子力災害に対する備え、これが必要なくなるわけですからね。ですから、これは終わりだと。完璧はないけれども終わりはある、私はこのように思っております。

 そのためにも、さきの通常国会では一顧だにしてくれませんでしたけれども、この臨時国会、短いんですが、経産省の中で、何とかして、我々が出した、立憲民主党が提案している原発ゼロ基本法案、これを何とか審議していただきたい。そして、国民を含めて、この原発ゼロに向けての議論を深めていただきたい。そのためには、与党の皆様方のこういった意識が少しずつ変わりつつあるわけですから、再エネの問題も含めて、この原発ゼロ法案をぜひ国会で審議していただきますよう与党の皆さん方にも切にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 まず最初に、地球温暖化対策について質問をいたします。

 大雨、大雪、そして非常に強い勢力を持った台風、さらには酷暑、猛暑、異常気象が続き、それによって災害がもたらされています。人為的な要因による地球温暖化が災害の多発に影響しているのではないかと思うわけであります。

 この気候変動と災害の多発との関連について、きょうは気象庁に来ていただいていますので、まず、その関係について説明をしていただけるでしょうか。

田中(省)政府参考人 お答えいたします。

 我が国においては、近年、災害をもたらすような猛暑、豪雨などの極端な気象現象は増加傾向にあります。例えば、一時間当たり五十ミリ以上の短時間強雨や一日当たり二百ミリ以上の大雨、日最高気温が三十五度以上の猛暑日の発生回数には明瞭な増加傾向があらわれております。このような増加傾向には地球温暖化が影響している可能性があると考えております。

 気候変動に関する政府間パネル、IPCCによれば、二十世紀半ば以降の地球温暖化の主な原因は人為的な影響である可能性が極めて高いと報告されているところでございます。

田村(貴)委員 よくわかりました。人為的作用、人間活動がCO2を引き上げ、それが一因となって異常気象と災害をもたらしているということであります。

 北陸を中心とした豪雪被害、私も福井県に行ってまいりました。西日本豪雨、激甚災害で未曽有の被害がもたらされました。台風二十一号、二十四号と相次ぎ、多くの被災家屋と被災農地、インフラも破壊されました。こうした人間活動の地球温暖化に対する影響があるとするならば、これをしっかりと制御していく地球温暖化対策は待ったなしというふうに考えます。

 原田大臣、原田大臣は、去年の北部九州豪雨被害の朝倉市、東峰村の地元の選出でございます。そこで、大臣にお伺いしたいのが、温暖化の実効ある緩和を、災害を防止するためにもなし遂げていかなければならないと思います。未曽有の災害を地元で目の当たりにされて、そして対応に走り回ってこられた原田大臣のこの地球温暖化対策に対するまず決意をお伺いしたいと思います。

原田国務大臣 御指摘のとおり、昨年の九州北部豪雨で、これについては、私も地元でございましたけれども、田村委員も同じくともに苦労した、そういうことを思い出しております。また、これは今にもずっと続いております。その上にまた、ことしになって、あの七月豪雨含めて大変な災害が発生しておるところでございます。

 九州北部豪雨では、土砂災害による被害を始め、朝倉市、東峰村などで死者・行方不明者は四十一名に上る、多くのとうとい人命が失われた、本当に大災害でございました。

 また、ことしの夏も、我が国の記録的な豪雨や酷暑、世界じゅうで高温などの異常気象が頻発しました。今後、地球温暖化が進展した場合、こうした豪雨や酷暑に見舞われるリスクが更に高まるということは間違いございません。また、ただいま気象庁からも、その関連性についてお話があったところであります。

 こうした状況を踏まえまして、私としても、環境大臣として、二〇三〇年度までに二六%、二〇五〇年度までに八〇%の温室効果ガス削減に向けた緩和策、そして、気候変動の影響を回避、軽減する適応策に全力で取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

田村(貴)委員 それで、温暖化対策の中身の質問に入っていきたいと思うんですけれども、気候変動に関する政府間パネル、IPCCの総会が十月に開かれました。報告では、地球温暖化がこのまま進めば、早ければ二〇三〇年にも世界の平均気温が産業革命前より一・五度上昇し、災害などのリスクは高まるとしているわけであります。

 一・五度特別報告が、十二月から始まるCOP24で議論されます。このCOPでは、パリ協定の実質的なルールづくりの議論がされる。そして、一・五度特別報告もタラノア対話に議題となってまいります。

 率直にお伺いしますけれども、原田大臣、日本政府としても、各国と協調して、一・五度を目指す努力を今から行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。

原田国務大臣 パリ協定では、二度目標を定めつつ、一・五度まで抑えることを努力する、努力目標としてというふうに規定されており、このパリ協定の目標自体は不変でございます。

 我が国としては、まず二度目標を確実に達成することを目指して、その上で、一・五度まで抑える努力を継続することが重要であるというふうに考えております。

 十月にまとめられたIPCC一・五度特別報告書においては、一・五度の気温上昇に抑制するために、国、地方、市民社会、民間部門等、あらゆるレベルにおける努力が必要であり、また国際協力が重要であることが述べられております。

 我が国としては、諸外国とも協調しつつ、世界の脱炭素化を牽引していく決意でございます。

田村(貴)委員 急がなければならない。横光議員の質問にもありました。もう努力とか言っている状況ではないというふうに思います。

 資料をお配りしています。温室効果ガスの削減目標について、政府の目標とIPCC一・五度特別目標をグラフ化したものでございます。

 一・五度特別報告書は、世界全体の人為的なCO2の正味排出量を二〇三〇年には二〇一〇年対比で四五%削減する、二〇五〇年には実質ゼロにしなければいけないと言っています。しかし、日本の長期目標では二〇五〇年に八〇%削減となっています。このオレンジの棒グラフの部分であります。また、日本政府の二〇三〇年の二六%削減目標は、今、原田大臣おっしゃったんですけれども、二〇一三年との対比なんですけれども、二〇一三年というのは、この棒グラフにあるように、排出量が多いわけですね。これだと、二〇三〇年の排出量は十億四千三百四十万トンということになるわけです。一方で、一・五度特別報告の水準の基準年は二〇一〇年であります。二〇一〇年対比で四五%削減するならば、二〇三〇年の排出量は七億一千六百五十五万トン。この緑色の棒グラフのところになるわけであります。そうならなければいけないということであります。

 政府側が目標値としているところと、そして世界が、IPCCが目指せと言ったところとでは、大きな乖離があるわけであります。

 そこでお伺いしますけれども、一・五度特別報告に沿ったCO2削減を行おうとすれば、これはどうなっていくんでしょうか。今の政府目標では、できないのではありませんか。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、パリ協定では、二度目標を定めつつ、一・五度まで抑える努力を継続することについても規定がされてございます。このパリ協定の目標自体は不変でございます。

 したがいまして、まずは二度目標を確実に達成することを目指し、その上で、一・五度まで抑える努力を継続することが重要と考えているところでございます。

 この観点から、我が国におきましては、地球温暖化対策計画に基づく取組を着実に実施をし、まずは、二〇三〇年度二六%削減目標の達成を目指します。また、計画につきましては、少なくとも三年ごとに検討を行って、必要に応じて見直すということとしてございます。

 加えて、現在、世界の脱炭素化を牽引し、環境と成長の好循環を実現する長期戦略の策定に向けた検討を行っているところでございます。

 パリ協定の目指す脱炭素社会の実現に向けまして、従来の延長線上にないイノベーションを創出し、温室効果ガスの国内での大幅な排出削減を目指すとともに、世界全体での排出削減に最大限貢献をしてまいりたいというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 今御説明がありました。大臣の記者会見にもあったんですけれども、環境と成長の好循環を実現すると。そんな悠長なことを言っている場合ではない。COPで議論されるんですよ。

 そして、変動パネルが、こうしたリアルでシビアな状況を伝えて警告を発出しているわけです。パリ協定で各国が宣言している排出目標を足し合わせて、全て達成したとしても、三度以上の気温上昇があるというふうに言われていますよね。IPCCは、最も気温上昇が高くなるシナリオ、RCP八・五シナリオでは、四度前後の上昇が予測されるとしているわけであります。

 この、私が先ほどお配りしたグラフですけれども、こうしたIPCCの水準と目標でいうならば、この緑の棒グラフ、せめてこういったところに目標基準を変える必要がある。三年ごとの見直しと言われるんですけれども、これは見直ししなければいけないんじゃないですか。どうですか。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明させていただきました地球温暖化対策計画でございますけれども、これは、地球温暖化対策推進法に基づきまして、閣議決定という形で、政府全体で地球温暖化対策を進める骨格となっている、フレームワークとなっている計画でございます。

 この法律の中には、この地球温暖化対策計画の見直し規定が置かれておりまして、その中で、少なくとも三年ごとに検討を行い、必要に応じて見直すということが規定されております。

 さらに、それに加えまして、この地球温暖化対策計画につきましては、毎年PDCAサイクルを回すということもいたしております。

 こういった不断の努力を積み重ねながら、しっかりと着実に、まずは二六%削減目標の達成を目指してまいりたいというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 それは繰り返して説明していただかなくてもいいんですけれども、私は、目標を変えなければ間に合わないよ、そして、世界の要求する水準に日本は追いつかないよということを申し上げているわけであります。

 努力ではだめですよね。IPCCの水準で目標設定をしっかりとつくっていく。その前に、一回シミュレーションしたらどうですか。この一・五度目標の水準設定に対して、今の状況だったら達成できない、私はそう思うんです。達成できるというんだったら、そうなるというシミュレーションを示していかなければならないんですけれども、シミュレーションぐらい、こうした提起があっているんだったら、日本政府も環境省もやられたらどうかと思うんですけれども、そういう考えはありますか。

森下政府参考人 科学に立脚した取組を進めていくことは非常に重要だと思ってございます。

 その上で申し上げますと、国内で大幅な削減を進めるとともに、それから、国際的にも、グローバルにも大幅な削減を進めていく、この二つが重要であろうというふうに考えてございます。

 このIPCCの一・五度報告書も含めまして、COPの場でもさまざまな議論が行われると思っております。そういった動きもしっかり見きわめながら対策を講じていくことが重要だろうというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 対策を講じる上で、しっかりとした、科学的見地に基づいたシミュレーションを行うことを強く要求します。そして、目標値の設定、見直すことを強く要求したいと思います。

 その目標値の変更に当たって一番大事なのは、石炭火力発電所、ここともうお別れする、卒業する、このことについて質問したいと思います。

 日本でCO2を一番多く排出しているのはエネルギー転換部門で、四二%です。そのエネルギー転換部門で脱石炭にかじを切れば、一・五度特別報告に沿った削減が可能となってまいります。

 一・五度を含めて、パリ協定の実現には、石炭火力発電所の新増設など、これはもう論外であります。海外からも日本に対する批判が高まっております。石炭火力に対する経済産業大臣合意以降の環境省の対応は即刻改めるべきではありませんか。

 高効率の石炭火力であっても新増設は一切認めない、今、日本政府はこの立場に立たないと、世界から置いてきぼりを食ってしまう、世界から大変な非難を受けることになってしまうと思うんですけれども、COP24、十二月開催、日本政府も参加しますよね、この前にして決断が要ると思いますが、原田大臣、いかがでしょうか。

原田国務大臣 我が国では、多数の石炭火力発電の新増設計画がございます。これらの計画が全て実行され、ベースロードとして運用されると、仮に既存の老朽石炭火力をやめたとしても、我が国の二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の達成は困難だというふうに理解しています。

 こうした点を踏まえますと、経済的な観点のみからの新増設を進めるということは許されません。

 このため、経産大臣との合意に基づく電気事業分野における地球温暖化対策の進捗レビューや、環境アセスメントにおける大臣意見の機会を通じ、石炭火力発電の問題に対して厳しい姿勢で臨んでいきたいと考えております。

田村(貴)委員 厳しい姿勢で臨んでまいりますと、一番最後の部分をぜひ、石炭火力発電のせめてもの、新増設はせめてもう認めない、この立場で臨んでいただきたい。強く要求したいと思います。

 次に、石炭火力発電所それから原発に頼らなくても電気は供給できるという再生可能エネルギーの質問に移らせていただきたいと思います。

 まず最初に、安倍首相が国会で答弁されているんですけれども、「再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組む」と。安倍首相が言われる最大限の再生可能エネルギーというのはどういうことなんでしょうか。「一貫した方針」と言われているんですけれども、最大限というのは具体的にはどういうことを指しているんでしょうか、教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー政策につきましては、単一の完璧なエネルギー源がない中で、スリーEと一つS、すなわち、安全性、セーフティーという大原則のもとで、三つのE、すなわち、経済性、エコノミックエフィシェンシー、気候変動、エンバイロンメントの問題に配慮しつつ、エネルギー供給の安定性、エネルギーセキュリティーをバランスよく同時達成していくことが重要だと認識してございます。

 政府といたしましては、再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組んでいくこととしているところでございます。その意味は、このスリーEとSのバランスのもとで、可能な限り大量に再生可能エネルギーを導入拡大を図っていくということを指しているところでございます。

 エネルギーミックスで掲げました二〇三〇年度の再エネ比率二二から二四%という数字につきましても、こういった観点から検討されたものでございます。

 なお、ミックスの水準というのは、上限、キャップではございません。この水準を超える導入を追求していくつもりでございますけれども、同時に、ミックスで示した国民負担の水準、二・九から三・一兆円という国民負担の抑制ということも同時に達成することが重要でございます。

 まずは、ミックスの実現に向けまして、コスト低減の取組を強化して、あわせて、系統制約の克服や調整力の確保などさまざまな施策を進めてまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 目標値を超える普及と導入についても頑張っていただきたいという話であります。

 資料をお配りしています。先ほどの資料の裏面で申しわけないんですけれども、この裏面に、九州電力のホームページから資料をとってまいりました。九州の再生エネルギーの状況についてであります。これは九州本土で、離島ではありません。

 福島原発の事故以降、九州では太陽光発電が八倍にふえた。再生可能エネルギー全体では一千百六十五万キロワットが九州電力に既にもう接続済みであります。きょうは秋晴れのいい天気。九州では大体一千万キロワット、一千百万キロワットぐらいの電力需要量だというふうに思います。この再生可能エネルギーだけでも、きょうぐらいの日の電力量は単一で賄える、数字上はそういう状況になっているわけであります。

 さらに、この九州電力の資料にありますように、接続検討を申し込んでいる、接続契約を申込み中、そして承諾済み、これらを合わせると二千七百二万キロワット、接続済みと全部合わせますと、一番最後に三千八百六十七万キロワットと、大きく大きく成長してきたわけであります。

 私も、改めて、いや、すごいなと。そして、九州で再エネ事業者さんがこれだけ頑張ってきた。個々のいろいろな問題はあるかもわかりませんけれども、新しいCO2を生まない太陽光発電、風力発電を含めて、これだけの再生エネルギーが広がってきたというふうに思います。

 率直に申し上げて、歓迎されることではないかな、喜ばしいことではないかなと思うわけでありますけれども、経済産業省の評価はいかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の御指摘ございましたように、九州の中では、太陽光発電の接続量が二〇一二年度に比較しまして約八倍の八百十二万キロワットに増大してございます。また、その他の電源も含めまして、再エネの接続済みのものが千百六十五万キロまで増大してございます。

 日本全国で申し上げますと、大体四千五百万キロワット分ぐらいの導入が既にされているところでございまして、ドイツを抜きまして世界第二位の太陽光の導入容量に達しているところでございます。

 先ほど御指摘の数字にございました、全体では三千八百六十七万キロワットとございますが、この数字自体は、その接続されている申込みの状況によって、今後本当に接続できるかどうか、今検討申込みの段階のものも大体千六百六十一万キロワット分ございますので、これが全て導入につながるかどうかはわかりませんが、いずれにいたしましても、それを除きましても二千万キロワットを超える案件が九州で太陽光の発電につながっていく可能性が大きいということについて申し上げますと、再生可能エネルギーの最大の導入を図る政府の方針の中では大変歓迎すべきものではないかと考えてございます。

田村(貴)委員 原田大臣にもお伺いしたいと思います。

 私も、朝倉、東峰、日田それから添田、去年の九州北部豪雨水害、何度も訪ねてあの惨状を目の当たりにいたしました。

 気候変動がもたらす、そして人為的作用がもたらす地球温暖化、これによって気象が変動している、災害がもたらされているといった状況の中で、やはり人に優しいエネルギー、これを大きく生み出して広げていく。CO2排出より、CO2を一切出さないこうした再生可能エネルギーが、大臣も私も暮らす九州でこれだけ飛躍してきたことを、今、経産省の方は歓迎すべきことだというふうにおっしゃいました。大臣の所感は、御所見はいかがでしょうか。

原田国務大臣 エネルギー政策上も、また環境政策上も、この再生エネルギーをしっかりまた導入しなきゃいけないというのはそのとおりだろう、こう思っております。

 今の出力制御につきましては、経産省が御説明されたように、透明性や公平性の確保に関する取組が行われているものと私は認識しているところであります。

 環境省としては、脱炭素社会の構築に向けて、さまざまな課題に適切に対応しつつ、再生可能エネルギーを余すことなく活用できるよう、系統負荷の低い自家消費型の再生可能エネルギーや蓄エネルギー技術の導入促進、自立分散型のエネルギーシステムの構築等に向けた取組、また、それに対する支援等に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

田村(貴)委員 そこでお伺いしたいんですけれども、九州ではこれだけ再エネが普及拡大してまいりました。再生可能エネルギーとほかの電力を組み合わせれば、原子力発電に頼らずとも電力は供給できるのではないか。これは数字の上ではできると考えますが、いかがでしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘は、単純に設備容量と需要量を比較した場合どうかという御指摘と思いますけれども、こうした比較を行う場合には、持続的、安定的な電力供給、あるいは発電効率やコストなども考えて行っていく必要が重要というふうに考えてございます。

 例えば、太陽光発電は、先ほど委員からも御指摘ございましたが、晴天時の昼間であれば相当量の供給が可能でございますけれども……(田村(貴)委員「それはわかっています」と呼ぶ)ええ。夕方になると発電量が低下をして、夜は発電できなくなります。

 また、火力につきましても、定検中であったり補修中であったりするなど、全部が使える状態とは限りません。むしろ、一年を通じて需要に応じた所要の火力を維持できるよう、定期検査や補修の期間をずらして必要な供給量を維持しているという状況でございます。

 このように、時々刻々と変化する需要に応じまして供給量を確保するためには、その時々に活用できるさまざまな電源、これを用いて確実に供給すること、これが重要でございますし、さらに、一年といった長い期間を通じて停電等のない持続的、安定的な電力供給を行うことを考えますと、水力や原子力、地熱といったベースロードとなる電源が重要な役割を担うというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 私が質問したのは、数字の上では可能かと。そして、歴史的にこれは可能だったから聞いているわけですよ。

 福島の事故以降、原発を動かしていない期間はあったじゃないですか。そのときにいろいろな電力を用いて動かしてきたから。歴史の事実からいっても、これだけ再生エネルギーが膨らんだ、そうしたら、原発にかわるほかのエネルギーと一緒に使っていけば電力は供給できるということを聞いているんですよ。何度も担当者の方はできると言っているんですから、これはできるわけなんですよね。

 それに水を差したのが九州電力の出力制御であります。十月、十一月、八回、二万三千事業所、個々の総出力四百四十一万キロワットをとめたんです。せっかく日照時間が長い太陽光で電力をつくったのに捨てたわけなんですよ。これは、私はけしからぬやり方だというふうに思います。とめるべきはもう原発ですよ。大系統に頼ったら、北海道のブラックアウトを引き起こす、大きな教訓が出たじゃないですか。電気の地産地消をやっていかないといけない時代に入ってきているんですよ。

 いろいろ言われましたけれども、やはり国が挙げて、再生エネルギーをつくってください、広げてくださいと頑張って事業者をふやしてきたことをもっと正当に評価しなければいけないと思います。

 こうした出力制御を認めていくんだったら、これからの再エネの普及促進に水を差すことになるんじゃないですか。いかがですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電は、電力供給、発電の一つでございます。電力供給として国民の皆様方に安定した電力をお届けすることが一つ大切な責任であるものでございます。

 その大前提として考えますと、太陽光、風力といった、自然変動、天気、日照条件によって変動するという特性のある電気につきましては、これを補う火力などとのバランスをとることが非常に重要になってくるわけでございます。

 今回の九州における出力制御について申し上げましても、地域内での発電量が需要を上回る場合に、電力の安定供給を維持するためには、電力の発電量を制御する必要がございます。その際には、あらかじめ決められているルールに基づきまして、まず短時間での調整が可能な火力発電を抑制し、同時に揚水を最大限活用し、その上で、地域間連系線を最大限活用した上でなお供給力が過剰となる場合、再エネの出力制御を実施することとしてございます。

 仮に、出力制御を行わないということにした場合について申し上げますと、年間を通じまして一番需要の小さい時期を上限としまして、その量まで再エネを接続することしかできなくなってしまう、結果として再エネの導入が少なくなってしまう。むしろ、適切な制御を前提とすることで送電線の接続をふやしていく方が、再エネの主力電源化、導入の拡大につながる、かように考えてございます。

田村(貴)委員 海外では、再生可能エネルギー一〇〇%を可能とする研究がもう複数発表されています。世界で百五十以上の地域が再生可能エネルギー一〇〇%宣言をしている。企業もこれに続いている。そういう状況の中で、先ほど、大歓迎すべきという認識にあるんだったら、ここをやはり電力の主力としていく。

 そして、優先給電ルールだって、海外では原発をそのルールの中の上位に持ってくるところもあるんだから、そういったこともやはり勉強して、この原発ありきの優先給電ルール、これも見直していかなければいけないというふうに思います。

 異常気象と気候変動、その中で大災害が引き起こされているといった中で、CO2をとにかく一番生み出す石炭火力、こことは決別する。そして、原発だって、定期点検でとめているときは石炭火力を大きく動かすわけだから、これもやはり逆行していますよね、ここもやめていく。そのことを強く申し上げて、きょうの質問を終わりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 まず、原田大臣、また副大臣、政務官、このたびは御就任大変におめでとうございます。

 本日は大臣所信に対する質疑ということですので、私からは海洋プラスチックごみとマイクロプラスチック問題について質問をしてまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 先日、東南アジア諸国連合の首脳会議において安倍総理は、深刻な海洋プラスチックごみ問題について、域内の協力を強化するということを表明されました。

 また、ことしの二月末なんですけれども、スペイン南部に流れ着いたマッコウクジラの体内から、何と約三十キロのプラスチックごみが検出をされました。さらに、五月末には、タイ南部の海岸にコビレゴンドウという鯨の仲間が打ち上げられたんですが、五日後に衰弱死をしました。このおなかの中からは袋など約八キロのプラスチックごみが見つかったわけでございます。

 こうした衝撃的な事実は、世界の各地で海岸とか河川が流れ着いたプラスチックごみで覆い尽くされて、世界の海もプラスチックごみで満ちているということを私たちに警告している、事態の深刻さを教えてくれているように感じます。

 国連環境計画が六月に公表した報告書によりますと、世界のプラスチックの廃棄量は年々ふえ続けて、二〇一五年には、三億トンに対し、約半分をレジ袋とかまたペットボトルといった使い捨ての製品が占めていることがわかりました。廃棄量がふえ続けるプラスチックが適切に処理されず、最終的に海洋に流出する量も年々ふえ続けているということでございます。

 初めに、この海洋プラスチックごみの現状についてお伺いをいたします。

 続けて、海に漂うプラごみは、紫外線や波の力で分解をされて微小な粒子に変わっていく。直径五ミリ以下のものをマイクロプラスチックと呼び、洗顔料や歯磨き粉などに含まれているものもございます。

 近年、世界各地の海域でこうしたマイクロプラスチックが大量に浮遊をしている、日本周辺の海域でもマイクロプラスチックによる汚染が確認をされていると聞いております。このマイクロプラスチックによる海洋汚染の現状についてもお伺いしたいと思います。

 また、これらはポリ塩化ビフェニルのような有害物質を吸着する性質がありまして、のみ込んだ魚の体内で化学物質が濃縮をされて、最終的に生態系や人体に対して悪影響を及ぼす、その可能性が懸念をされております。

 このマイクロプラスチックによる環境、また人体への影響についてお伺いをいたします。

田中(聡)政府参考人 まず、海洋プラスチックごみの現状でございますが、船舶航行の障害、観光や漁業への影響、生態系への悪影響も懸念されているところでございます。世界各国が連携して取り組むべき地球規模の課題となっております。

 それから、マイクロプラスチックによる海洋汚染の状況、影響でございますけれども、環境省におきましては、マイクロプラスチックの実態を把握するため、日本の沖合海域や沿岸海域における分布状況を調査するとともに、マイクロプラスチックに含有、吸着されている有害物質の分析等も行っているところでございます。

 その結果、マイクロプラスチックは、日本周辺の沖合及び沿岸海域において全体的に確認されております。これに含有、吸着する有害物質の濃度については、他の先進国で観測されるものと同程度ということで、世界的な傾向と一致していることなどがわかっております。

 また、マイクロプラスチックによる環境への影響についてでございますけれども、未解明の部分が多いことから、今年度から、海洋中の動態、それから海洋生態系への影響等に関する研究の支援を開始したところでございます。引き続き調査研究に取り組んでまいります。

古屋(範)委員 調査研究を今行っている最中ということでございます。海洋に流出するプラスチック、これは二〇一〇年の推計でございますが、一位が中国、二位インドネシア、三位フィリピン、四位ベトナムということで、やはり東アジア、東南アジアに集中をしております。

 この海洋プラスチックについては、やはり国際社会と連携してその発生抑制及び削減に努めていかなければならないと思います。また、マイクロプラスチックを含む海洋ごみの量、また分布等の実態を把握するための調査を更に推進していただきまして、国民生活への影響を回避するための研究も進めていただきたいと思っております。

 次に、プラスチック資源循環戦略の策定についてお伺いをしてまいります。

 私たちの生活は利便性の高いプラスチックに依存をしているために、現状から転換をしていくことがなかなか容易ではないと考えます。プラスチックごみをどう減らしていくのか。その鍵を握るのが、現在検討が進められておりますプラスチック資源循環戦略であります。社会がどこに向かうべきか、一刻も早く日本の方向性を国として示すことが重要でありまして、本戦略がこの役割を担うことが期待をされております。

 来年の六月、大阪でG20が開催をされます。その議長国として国際社会でリーダーシップを発揮するためにも、プラスチックによる環境汚染の低減、抑制を目指す社会ビジョンを示す戦略を策定する意義は大変に大きいものと考えております。

 先日、戦略案が示されました。数値目標を政府が掲げるのは初めてということでございまして、世界各国から注目をされて、今後の取組が大いに期待をされるところでございます。また、六月にG7首脳会議がまとめた海洋プラスチック憲章、これよりも踏み込んだ目標が設定をされていると認識をいたしております。

 そこで、この戦略策定の意義、また、ここで掲げられた目標の特筆すべき内容、最終取りまとめに向けた今後の日程についてお伺いをいたします。

あきもと副大臣 お答えします。

 海洋プラスチック問題等のプラスチックをめぐるさまざまな課題に対応するとともに、来年、G20において世界のプラスチック対策をリードするためには、プラスチックの資源の循環を総合的に推進することが不可欠であると考えております。

 御指摘いただいた、先週の中央環境審議会の小委員会で中間整理いただいたプラスチック資源循環戦略は、ワンウエープラスチックの排出抑制やバイオプラスチックの導入について、海洋プラスチック憲章を上回る野心的な目標を掲げております。また、レジ袋有料化義務化を始め、消費者のライフスタイルの変革に向けた具体的な対策も示しております。

 本案につきまして、今週より開始いたしましたパブリックコメントを通じて国民の皆様から幅広い意見を聞いた上で、年度内に答申をいただき、来年六月のG20までに政府として戦略を策定する予定であります。

古屋(範)委員 あきもと副大臣から今御答弁をいただきましたけれども、この戦略の内容につきましては、海洋プラスチック憲章よりも更に踏み込んで、ある意味、この目標を前倒しをする形での、野心的また意欲的な目標を掲げているというふうに思っております。パブコメにかけ、年度内に答申を得て、発表していくということでございましたので、しっかりとした戦略をつくり、また、これを大いに世界にアピールをしていただきたいと思っております。

 次に、この戦略で示された目標ですけれども、大変意欲的な内容になっておりますが、決して絵に描いた餅になってはいけないと思っております。

 そこで、この目標を確実に実現をしていくためには、これまでにない施策も含めた広範囲な施策とともに、主要な製品を排出源ごとに具体的なロードマップ、施策パッケージを示して実施をしていくことが必要であろうと考えております。これを戦略に明記するなど、実効性のある戦略にすべきと考えますが、この点はいかがでございましょうか。

菅家大臣政務官 御答弁申し上げます。

 世界のプラスチック対策をリードすべく、プラスチック資源循環戦略、これを策定をし、これに基づく施策を速やかに検討、推進してまいります。

 具体的には、同戦略において、ロードマップ、これを策定することとされておりますバイオプラスチックの導入等の重点戦略、これを始めといたしまして、国として、戦略に基づく施策をしっかりと進めてまいる所存でございます。

古屋(範)委員 政務官、ありがとうございました。

 ロードマップを策定していくということでございます。

 中でも、バイオプラスチックの導入など、非常に重要な施策の戦略がこのロードマップの中にも盛り込まれるということでございますので、ぜひ、この戦略を実現していくために、ロードマップ、しっかり策定をして、推進をしていただきたいと考えております。

 この戦略案の中に、海洋プラスチック対策として、海洋プラスチックゼロエミッションを目指すということが掲げられております。これは、目指すべき目標として具体的に盛り込んではいかがかと思います。

 また、海洋へのプラスチック排出の原因が、不適切な処理のために、陸上からの流出であるということを考えますと、プラスチックゼロエミッションを海洋だけに限定をしない、海洋に行くために、やはり川上があり、そして川下があって、そして海洋につながっていくわけでありますので、環境中へのゼロエミッションと認識をしておりますけれども、この点はいかがでございましょうか。

山本政府参考人 御指摘いただきましたように、海洋プラスチックゼロエミッションにつきましては、プラスチック資源循環戦略案において基本原則として書かせていただいております。これを目指してしっかりと、犯罪行為であるポイ捨て、不法投棄撲滅を徹底するとともに、清掃活動を推進し、プラスチックの海洋流出を防止することなど、具体的な内容について戦略に盛り込んでおるところでございます。

古屋(範)委員 やはり海洋の問題は陸の問題であります。そこのつながりの中でしっかりと、海洋プラスチックゼロエミッション、これを目指していただきたいというふうに思っております。

 このプラスチックごみ削減を進めるために、レジ袋の有料化、この義務づけというのは欠かせないと思っております。有料化による消費者の負担増あるいは客離れがあるのではないかという懸念の声もございますけれども、有料化によるレジ袋削減の効果というのは大きいことが実証されております。

 近年、自治体とスーパー各社が協定を結んでレジ袋を有料化する事例が相次いでおります。例えば富山県では、平成二十年四月から、レジ袋無料配布廃止の取組を、全国に先駆けて、県内全域でスタートをいたしました。先日も富山県の知事とお会いをしたんですが、大変効果が上がっておりまして、取組から九年が経過をして、マイバッグ持参率が九五%と大変に高い水準を維持しているということでございます。こうした取組の定着、拡大が見られている現状でございます。

 既に、世界六十カ国以上で、有料化とか、あるいは使用禁止などの規制が導入をされてきております。こうした取組というのは、ごみや二酸化炭素排出量の削減につながり、開始から九年でレジ袋十三億三千万枚が削減をされ、ごみや二酸化炭素排出量の削減につながっているとの効果が出ているわけでございます。

 そこで、このレジ袋有料化の義務づけについて、ぜひ大臣のお考えを伺いたいと思っております。

原田国務大臣 今委員がお話しいただいたように、この問題、総合的な、また全国民的な運動にしていかなければいけない、こう思っております。

 レジ袋を始めとする、ワンウエー、使い捨てのプラスチックが不必要な形で使用されたり、また廃棄されることのないよう、ワイズコンサンプションと私ども最近呼び始めておりますけれども、消費者のライフスタイルにも大きな変革が必要ではないか、こう思っております。

 このレジ袋の有料化がやはり非常に効果的だということについて、プラスチック資源循環戦略案において、今、この問題についてしっかり議論をしているところでございます。最終的にその変革を促すということを目的に議論をしているところでございます。その戦略を受けて、私どもは速やかに施策を進めてまいりたい、こう思っております。

 いずれにいたしましても、これは非常に国民各界各層とのやはり意見の調整が必要であります。やるべきだという立場も本当に大事ですけれども、だから、その辺の意見をしっかりまた踏まえながら、最終的には、国民的な活動に、また、法的な規制の導入も含めて努力したい、こう思っております。

古屋(範)委員 今、大臣の方から、総合的また国民的な運動に広げていきたいというような御決意がございました。

 このレジ袋というのは、プラスチック使用量のわずか一%程度なんですけれども、各家庭においては毎日使う非常に身近なプラスチック製品でございます。ですので、大臣もライフスタイルを変革していくということに言及されましたけれども、やはりプラスチックごみ対策のいわば象徴的な存在ではないかというふうに思っております。

 私も、身近にいる女性にレジ袋の有料化をどう思うかということを尋ねたところ、あっ、もう自治体ではやっているところがありますよねというような形で、いや、絶対反対とか、困るというような声は余り聞いていないところではございます。

 実施に当たりましては、これまでの自治体等の取組を検証していただき、業界、販売の現場での御意見も伺ったり、何より、やはり消費者、国民の声を聞きながら検討をして進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、プラスチック・スマートのキャンペーンについてお伺いをしてまいります。

 この廃プラ問題、温暖化に次ぐ国際環境問題でありまして、国連環境計画によりますと、海のプラスチックごみは、五〇年には魚の量よりも多くなるというような試算もございます。危機感を抱いた欧米またアフリカなどでは、既に使い捨てプラスチックの規制強化を強めております。EUでは、ファストフード店で使われるスプーンとか皿、ストローなど、使い捨てプラスチックの食器を禁止するということを加盟国に提案をしています。また、米国ではマイクロビーズの配合の禁止を決めまして、フランスでは二年後には使い捨てプラスチック容器を禁止するという国際的な取組も進められているところでございます。

 一方、国内で、産学官民が連携してプラスチックの無駄な使用を抑制するキャンペーン、プラスチック・スマートを展開されるとのことですけれども、この取組はまだ国民に知られていないのではないかと思っております。ぜひこの内容について国民にわかりやすく御説明をいただきたいと思っております。

 また、プラスチックに過度に依存するライフスタイルを見直さない限り、なかなか問題の根本的な解決にはつながっていかないというふうにも思います。消費者の理解と協力を促すために、政府がプラスチックごみ問題の深刻さを消費者に周知をしていくことが求められております。限られた資源を守る観点からも、リデュース、ごみの発生抑制、リユース、再使用、リサイクル、再生利用、この三R、スリーRの意識向上が欠かせないものとなっております。

 国民の意識向上、また消費者の理解と協力への取組について、副大臣にお願いします。

あきもと副大臣 お答えさせていただきます。

 今先生からさまざまな御指摘をいただきました海洋プラスチックごみ問題等の解決に向けて、国民の各界各層が一つの旗印のもとに連携、協働して取組を進めることが重要であるというその思いの中で、プラスチックとの賢いつき合い方を進めるプラスチック・スマートキャンペーンを先月立ち上げさせていただいたところでございます。

 この中で、個人又はNGO、行政、企業などの取組を今募集をさせていただいております。大分、幾つか集まってきているようでございますけれども、こういったものを、SNSやウエブサイトを始め、世界の経済フォーラムや、また、来年のG20の機会などにその取組を国内外に発信していくことで、国民の意識向上や理解、協力を促していきたいという思いでございまして、必要あらばプロモーションビデオなんかもつくりながら、また、映画なんかもできるといいななんて勝手に予想しているわけでございますけれども、いろいろ国民の理解を深める努力をしてまいりたいという思いであります。

 ただ、御指摘のように、ほとんど知られていません、まだ。ですから、古屋先生始め各委員の皆様にも、ぜひ、国民的な機運の醸成を図るべく、率先的な取組の実施や本キャンペーンの周知など、御協力を賜るよう、よろしくお願いしたいと思いますし、このマークも今我々発信しておりますので、ぜひ先生方の名刺にこのマークもつけていただければありがたいと思います。

 以上です。

古屋(範)委員 副大臣、ありがとうございました。

 しっかり、このプラスチック・スマート、国民の浸透を図っていただき、また、私たちも国会議員の立場としてしっかりとPRをしていきたいというふうに思っております。

 自然界で分解をされていくプラスチック、いわゆるバイオプラスチックの開発にも期待がかかっておるところでございます。大学とか企業でこの研究が進められているんですが、これが実用化されれば、プラスチックごみの解決の切り札にもなるというふうに考えております。

 政府の方も、地球温暖化対策計画の中で、植物を原料としたバイオプラスチック製品を三〇年度までに約二百万トン導入するという方針を示されております。

 環境省は、プラスチックごみの削減を来年度の重点政策に位置づけておりまして、代替素材となるバイオプラスチックの実用化、低コスト化に向けた実証実験を始めることとして、来年度予算概算要求に五十億円盛り込んでいらっしゃいます。この予算を確実に確保して、技術開発の後押しをして、新産業の育成につなげて、バイオプラスチックの実用化を加速すべきと考えます。

 この実証実験の内容、また、期待される効果についてお伺いをいたします。

菅家大臣政務官 お答えいたします。

 海洋プラスチック問題、資源、廃棄物制約、地球温暖化等の世界的課題、これに対応し、持続可能な社会、これを実現するためには、枯渇性資源である石油由来のプラスチックから、紙、植物由来のバイオマスプラスチックなどの再生可能資源に切りかえていくということが重要であると考えているところであります。

 本事業は、こうしたプラスチック代替素材の普及、そしてそのリサイクル、これを促進するため、設備補助や技術実証を通じた社会実装化を進めるものでございます。

 この事業を通じ、空気を通さないなどの新機能を有する紙や、植物由来の生分解性プラスチック、あるいは、木材からセルロースを取り出してナノにして、それを素材にしているセルロースナノファイバーなどの革新的な代替素材、これの開発や利用といったイノベーションが進み、持続可能な社会の実現と我が国経済の成長につながることを期待しているところでございます。

古屋(範)委員 政務官、ありがとうございました。

 ぜひ、このバイオプラスチック製品の開発、しっかり取り組んでいただきたいと思います。余りコストが高いとどうしても使えないということもありますので、その面もよろしくお願いいたします。

 最後の質問に移ります。

 この海洋プラスチックのごみ問題、持続可能な開発目標、SDGs、十四の重要なターゲットの一つとして、二〇二五年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減をするということが掲げられております。

 日本は、経済、貿易はもとより、さらには地球温暖化、海洋ごみ対策等々、さまざまな分野で国際的な秩序をつくって、それを主体的また主導的な役割を担うべき立場にあるというふうに思っております。今こそ、このプラスチックごみによる海洋汚染の問題に日本も更に本腰を入れて取り組むべきだと思います。

 国土四方を海に囲まれた、また、海洋汚染の影響を直接受ける日本にとって、海洋ごみは今後ますます深刻な問題になっていくと考えます。関係省庁が連携しつつ、国が一丸となって、自治体、NGOやNPO、企業等、多様な主体と連携をし、国際社会とも共同して効果的な対策を打ち出していくことが必要です。

 まずは、主要排出国の国や国際社会と連携をして実態把握を急ぐとともに、プラスチックなど海洋ごみの回収や発生抑制対策を講ずるべきでありまして、その議論を日本がリードすべきと考えます。来年、日本が議長国になりますG20首脳国会議で環境問題の積極姿勢を示していくことを期待しております。

 最後に大臣の御決意をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

原田国務大臣 古屋委員には、特にプラスチック問題についても、さまざまな観点から、また豊富な情報をもとにしっかりと政策提言していただいたところであります。

 私ども政府また環境省としても、この問題、本当に本格的に取り組まないかぬなという段階に来ておりますし、あわせて、今御指摘いただきましたように、来年ちょうどG20という大事な会議が日本で、また、この環境閣僚会議は史上初めてという形で行われるということでありまして、特にこの会議ではプラスチック問題もむしろメーンテーマとして取り上げなきゃいけないなと思っております。

 もちろん、環境会議ですから、太陽光等々、全ての気候問題は取り上げる予定でありますけれども、いずれにいたしましても、ここでしっかりした結論を出さなきゃいけない、あわせて、その過程で、私ども日本が主導的な立場で発言し、また結論に持っていけるように努力をしたい、こう思っておりますので、どうぞまた委員各位の御指導、御協力をお願いしたいと思っております。

 ありがとうございます。

古屋(範)委員 ただいまG20に向けた大臣の強い御決意を伺いました。

 大事なときに大臣を務められていらっしゃいますので、ぜひとも、この海洋プラスチックごみ問題、積極的にリードをしていただきますようお願いを申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。久しぶりに環境委員会で質問をさせていただけることに感謝いたします。

 そして、大臣、今回は就任まことにおめでとうございます。本日の質疑を聞いておりまして、ある意味、環境大臣というのは、大臣にとって大変、国民にとって、もしかすると大変いいポジションであって、また、御理解が深くなるだろうなという思いもしております。

 また、各政務の方々にも、環境問題というのはさまざまな経済環境、さまざまなところにつながってまいります。特に、昨今は、自然環境が大変厳しい災害をもたらすことも多々あります。その中において、今までのような感覚ではなく、自然環境が循環をきちんとすることによって地域が守られ、そして人々の生活が守られ、そしてそれが結果として経済も守っていく、そういう意味では、新しい時代に入っている、そういった大切な時期に今この環境問題というのはあり、また、私どもも、環境委員会に所属したからには、その点をしっかりと心にとめ、そしてこれからの新しい時代に向けての環境政策をともに考えさせていただける、そんな提案ができる質疑をさせていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、まず最初ですけれども、本日は大臣所信に対する質疑でございますけれども、大変、今回、大臣の所信的挨拶というんでしょうか、伺いながら感じたのは、さまざまなこれからの行政に対して、横文字が多いという御指摘もありましたけれども、それよりも、グリーンファイナンスだったりとか、これからとられるべきものが随分あったのかなと思っております。

 どちらかというと、環境行政という中において、提案型が多かったかもしれませんけれども、実効あるものにしなければ実際にはうまく回っていかないのではないか、過去から、高度成長期からの政治というものがやたらと続いておりますが、それではできなくなった、その転換を図る意味では、リーディングを、リードしていく立場に環境行政というのがなければならないのではないかというふうに思いながら、大臣の所信的挨拶を聞かせていただきました。

 そこで、まず最初、私もずっとかかわってまいりましたが、水循環基本法などかかわらせていただきました。高度成長期、我が国では、地下水が、摂取量が増大して深刻な地盤沈下や塩水化が発生した地域がありますけれども、法律や条例等で保護された地域は採取規制や河川からの取水への水源転換がされました。

 先般、国土交通省が全国の自治体の地下水関連条例について調査を実施いたしました。地下水の状況把握、特に地下水位の把握には、観測用の井戸である観測井、環境省はもしかすると観測井戸と言っているかもしれませんけれども、も活用されております。地下水位のモニタリング等を行うための地下水位観測井ではありますが、最近では、地域によって地下水採取の抑制や地盤沈下リスク低減に伴い、観測井の維持管理が一部で放棄されているとの報告を拝見いたしました。

 これらの観測井は国家の重要な資産でもあり、今後、公共性の高い国民共有の財産として地下水を持続的に涵養、保全、利用するためには、既存の観測井の有効活用が不可欠と考えております。

 環境省においては、環境保全の中で健全な水環境の確保という観点があり、水質汚濁防止法に基づいて、地下水の水質の常時監視、有害物質の地下水浸透制限、事故等の措置、汚染された地下水の浄化、地下水汚染の未然防止等の措置がとられております。

 ここで、地下水に関しましてまずお伺いしたいのは、地下水位観測に用いられる観測井は日本全国で何カ所あるのか、また、国として、観測井の定義、規定を確認させてください。

田中(聡)政府参考人 環境省では、毎年、都道府県及び政令指定都市を対象といたしまして、地盤沈下の状況に関する調査を行っております。地盤沈下の観測データなどを取りまとめているところでございます。

 その結果によりますと、地盤沈下の監視用として都道府県等が把握している観測井の数、観測井数ですけれども、平成二十八年度末時点で、全体で千二百十四本となっております。

 また、観測井については、環境省の調査においては、地盤沈下量や帯水層の地下水位を観測するためなどに設けられた井戸のことを指しているところでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 観測井は近年、増加傾向にあるのでしょうか、それとも減少傾向にあるのか。また、地域によって増加、減少という傾向があるのか。

 引き続いてまた、その増加や減少傾向が、地域による偏在という、傾向の偏在などがあるのか、また、その背景や原因をどのようにお考えなのかも伺わせていただきたいと思います。

 あわせて、観測井は、設置後、耐用年数として、何年ほど使用できるものなのか。また、石が積まれてつくられているもの、金属製のもの、プラスチック製のものなど、使っている素材や構造により耐用年数の違いがあるかと推測されます。

 この点に関しまして、以上三点、お聞かせください。

田中(聡)政府参考人 御説明申し上げます。

 環境省の調査におきまして、この十年の傾向を見ますと、全体での観測井数は、平成十八年度末現在で千二百四十本、これに対して、平成二十八年度末時点では千二百十四本となっております。年度によってばらつきがございますけれども、この二つ、十年間を見ますと、観測井数は約二%減少したということになります。また、この間の観測井数の増加と減少については、都道府県ごとに増減の変動が見られているところでございます。

 それから、それぞれの地方公共団体の実情、事情があるということで、一概に言うことは難しいわけでございますけれども、全体で見た場合に観測井数が若干減少している要因の一つといたしましては、各地方公共団体において、地盤沈下の状況ですとか各地域の実情、こういったことがあると考えております。増加と減少と、それぞれ両方あるんですけれども、減少要因として考えられますのは、先生御指摘のような、地下水揚水量が減少しているとか、あるいは地盤沈下が落ちついてきているというようなこともあると思いますし、特殊要因としては、例えば東日本大震災で機器が損失したということも伺っているところでございます。

 それから、観測井につきましては、素材について、主に金属製の管が用いられております。ただ、酸性が強いとかあるいは塩素濃度が高いといった腐食性の高い地下水の場合には、樹脂のもの、樹脂製が用いられることもあるというふうに聞いております。どちらの材質であっても、あるいは構造もいろいろあるようでございますけれども、通常、三十年以上観測に用いることが可能というふうに承知しております。

小宮山委員 減価償却上だと耐用年数は大体十五年かと思いますけれども、実際には三十年以上使用されているもの、また、素材によっては腐食しているもの等も考えられるかと思います。

 そういう意味においては、どれだけ実数が本当にとれているのかというのは、いまだに確実なものではないのかなという感じはいたします。

 そこで、例えばそれを交換するにしても、誰が所有者なのかというところが肝になってまいります。この点に関しまして、国なのか都道府県なのか市町村なのか、場合によっては民間企業であったり個人であるのか、さまざまなことが考えられますが、どのような属性が主に挙げられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

田中(聡)政府参考人 環境省において実施しております地盤沈下に関する調査では、実施主体の方を主に聞いておるわけでございますけれども、所有者の内訳を明示していただいている地方公共団体においては、地盤沈下に関する観測井は全て地方公共団体あるいは国の所有というふうになっております。

 この調査におきましては、民間企業、団体及び個人が所有する観測井の状況までは把握しておりませんけれども、一部で得られている情報から類推をいたしますと、地盤沈下に係る観測井は、ほとんどは地方公共団体又は国の所有に係るものであるというふうに考えております。

小宮山委員 水循環基本法をつくっているさなかというか、さまざまな議論をその後も続けていて、現在もフォローアップ委員会等では、地下水保全のための法律ができないのかというような話がよくあります。そして、そのための議論も進んでいるところでもあります。

 そもそも、それを私自身が特に認識したのは、福井県のおおい町ですか、地下水が農業用水等、工業用水等でさまざま使われたがために枯渇したために、陥没や地域の環境悪化につながり、今は、それをきちんと管理することで、美しい水の環境が湧水地も含めて取り戻すことができたという事例を見に行ったことがきっかけでもございます。

 国や都道府県、市町村などの地方自治体により所有され観測されている観測井のデータであれば、データの集約や公表など、連携した研究、利用も比較的容易に可能なのではないかと考えます。

 そこで、観測井での観測データを取りまとめている組織や機関はあるのか、現状についてお伺いいたします。また、取りまとめに当たっては、公的機関所有の観測井のみならず、民間所有の観測井から得られるデータも網羅する仕組みであることが望ましいと考えますが、政府の見解をお聞かせください。

城内副大臣 小宮山泰子委員の御質問にお答えしたいと思います。

 冒頭、委員御指摘のとおり、観測井は国家の重要な財産でありますし、また、公共性の高い国民共有の財産であり、既存の観測井を有効に活用することが不可欠だ、まさに御指摘のとおりであると思います。

 そうした中、環境省におきましては、地盤沈下の状況を把握するため、毎年、都道府県及び政令指定都市を対象に調査を行っておりまして、地盤沈下の観測データとして、代表的な観測井における地下水位の経年変化、水位低下等による被害の状況などを取りまとめております。その結果は、環境省ウエブサイト、環境省のホームページでございますけれども、そこの全国地盤環境情報ディレクトリに細かく掲載されておるところであります。

 地盤沈下に関する観測井のほとんどは、先ほど水・大気局長が述べたとおり、地方公共団体又は国の所有物でありますが、小宮山委員御指摘のとおり、民間の井戸活用による効率的かつ経済的な観測も検討に値する、よい御指摘だというふうに考えております。

 したがいまして、環境省といたしましても、必要がありましたら、そういった手段も使いながら状況把握にしっかり努めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

小宮山委員 城内副大臣、ありがとうございます。

 また、国の重要な資産であるということも言っていただき、ありがとうございます。私もそう思いますし、また、これを活用するというのは大変重要なことではないかと思っておりますが、なかなか、この分野、注目を浴びることも少ないかと思います。

 そういう中において、観測井の設置数が他地区と比べて少ない地域や、都市部のように人が多く活動しており土地利用の活発なところなど、設置推進もやはり行うべきではないかと思います。また、それが望ましいと私は考えておりますが、この点に関しまして、やはり大臣、ぜひ政府の見解をお聞かせいただければと思います。

原田国務大臣 確かに、委員おっしゃるように、少し地味な分野だということはわかりました。しかし、本当に大事なことだなということを改めて感じたところでございます。

 観測井を用いた地下水位の観測というのは、地盤沈下の原因解明や未然防止を図る有効な方法の一つでございまして、地盤沈下の監視の観点から、ガイドラインを策定し、地下水位の観測手法を示しているところでございます。

 また、地球観測衛星等を活用して観測マニュアルを作成し、より効果的、効率的な監視の促進も図っているところでございます。

 環境省として、地方自治体による地盤沈下の監視が実施されるよう、引き続き、これらのガイドラインやマニュアルの活用を促進しつつ、観測井の設置を含む、地域特性を踏まえた適切な方法の技術的支援を行ってまいりたい、こう思っております。

小宮山委員 地下水の現状についてはまだまだ把握できないことが多く、研究者だけでなく、将来にわたって、市民、国民の生活を考え、また安全を考え、利便性を考えていく上でも、観測井が一層ふえていくこと、また、きちんと活用されるということは重要かと思っております。

 また、この整備に関しては、インセンティブとして考えられるのは、例えば容積率の一部緩和とか、また、地方税でありますが、固定資産税の減免など、さまざまな工夫が考えられるのではないかと思っております。

 公共工事と限らず、建設工事とあわせて設置工事を行うとか、そうやれば、比較的低コストで整備の促進、また更新もできるのではないかと考えております。

 ぜひ、原田大臣のもとで、この観測井の更新、また設置推進等、また活用も含めまして、官民連携も含めて整備を進めていただくことを改めて依頼したいと思っておりますし、この活動に関しましては注視をし続けてまいりたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、障害者雇用に対して、環境省の認識及び今後の対応についてお伺いしたいと思います。

 本年、各省庁において、障害者雇用数の水増し問題が発覚いたしました。

 十月二十三日に、環境省における障害者採用計画等についての資料が公表されております。

 この点に関しまして、御説明と今後の対応をお聞かせいただければと思います。

原田国務大臣 障害者雇用につきましては、本当に大きな問題としてディスクローズされたところであります。これは全政府に対して起こった話でありまして、私ども、安倍総理からも、閣議においても、このことについては本当に真剣に反省し、そして、真剣に取り組むようにという厳しいお達しもいただいたところであります。

 環境省におきましても、障害者雇用率制度の対象となる障害者の不適切な計上があったとの、検証委員会から厳しいお達しをいただきまして、私どもも重く受けとめている段階です。

 今後は、検証委員会の報告書を真摯に受けとめ、深く反省し、再発防止に取り組むことはもとより、組織全体として障害者雇用を推進するという意識を徹底し、取組を強化してまいるつもりであります。

 具体的には、障害のある方を六十人採用し、二〇一九年、来年の十二月末までに法定雇用率を達成するとともに、職員の障害者に対する理解促進に向けた研修の実施、障害のある職員への個別的なサポートによる職場定着のための取組等を、しかもスピード感を持って推進していく予定でございます。

小宮山委員 来年一気に、省庁の方では、各省庁、対応されるということでありますけれども、ぜひ、この点に関しましては、さまざま注意点があるかと思います。

 障害者権利条約の批准もしておりますし、また、法定雇用率をもちろん達成することも重要ですけれども、それによって本来入るべきだった一般の方が不利益をこうむらないようにしなければならない点、また、合理的配慮というものが障害者の方々にできるように双方きちんとやはりコミュニケーションをとる、また、さまざまな工夫で、職場での工夫、場合によっては、治療等必要な方においては、働き方、それは短時間労働であったりとか、さまざまな観点で、多くの方、さまざまな視点を持った方が環境省に入ることを望んでおります。

 ぜひ、この点に関しましても陣頭指揮をとっていただくことをお願いいたします。

 さて、久しぶりなので、いろいろなことが質問したくて、あちらこちらに観点は行きますけれども、前国会まで、私、災害対策特別委員会の方も随分やらせていただいておりまして、その中で、いつも、人とペットの災害対策、避難の関係というのを気にしておりました。

 ペット、動物に関しては、来年にも動物愛護管理法の方の改正もあり、環境省が主体となって、また、さまざま被災地や各自治体に対しての働きかけというものは認識はしておりますけれども、大規模な災害時には多くの被災者が長期にわたり避難生活をしますが、犬や猫などのペットを飼育する避難者も、しない避難者も、ともに災害を乗り越えられることが重要と考えております。

 緊急避難を余儀なくされたために、自宅に取り残されたり、飼い主とはぐれたペットの放浪も生じかねません。また、避難所では、動物が苦手な、また、生理的にあるいは精神的にもこれら動物へのアレルギーを持つ方などを含めて、多くの被災者が共同生活を送るため、一緒に避難したペットの取扱いに苦慮する例も報告を受けております。

 災害時に行うペットへの対策として、飼い主の責任、自治体が行う対策、ペットとの同行避難など、環境省としての考え方、簡潔に、取組をお聞かせください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 災害時の飼い主の行動の基本は、自身とペットの身を守る自助であることから、平時の災害への備えに加え、発災時にペットとともに安全な場所まで避難する同行避難が非常に重要であると考えております。

 また、自治体におきましては、被災者救護の観点から、飼い主が避難先において適切にペットを飼養管理できるよう、ペットを受け入れる指定避難所をあらかじめ公表する等の対応をしておくことが必要だと考えております。

 環境省におきましては、こうした取組が進みますように、本年三月に、自治体に向けました、人とペットの災害対策ガイドラインを改定し、さらに、九月には、飼い主に向けて、平常時の対策と災害時の行動について啓発するパンフレットを作成し、その周知、浸透を図っているところでございます。

 引き続き、自治体等と協力して、人とペットの災害対策を推進してまいります。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ、ペット、同行避難は大分認識は上がってきているかと思いますけれども、パンフレットをつくるだけではなく、さまざまな機会を通じ、広報もしていただき、理解を、促進のための活動をしていただきたいと思っております。

 先ほども触れましたけれども、動物愛護管理法の改正、来年度を見込んでおりますけれども、私自身も、殺処分ゼロの実現のためにも、また、譲渡会、譲渡の取組なども普及されるべきだと考えております。

 大臣は、ところで、動物を飼われているとちょっと小耳に挟んだんですけれども、譲渡会など、そういった、来場をされたことはあるのでしょうか。ぜひ、その点、動物に対しての思いなど、大臣からお聞かせいただければと思います。

原田国務大臣 実は私は誰よりも犬が好きでございまして、欠かしたことなく犬を飼っているところであります。

 動物愛護管理法は、本年八月に前回改正法施行から五年を迎えたところであり、各議員連盟において新たな議論が行われているというふうに承知をしております。

 一方、全国の犬、猫の殺処分については、年々減少はしておりますが、環境省としても、普及啓発パンフレットの作成や適正譲渡講習会の開催等により、さらなる減少に向け、自治体の取組を支援しているところでございます。

 私自身、譲渡会には参加したことはございませんが、本当に、飼い主が愛情と責任を持って動物と接することが重要だと考えているところであります。

 今後とも、飼い主等の意識の向上を図ることで、引き取られる犬、猫を減らしていくとともに、引き取られた犬、猫の譲渡を含め、人と動物の共生する社会の実現に向けて取り組んでいきたい、こう思っております。

小宮山委員 大の犬好きということで、また動物もお好きだと思いますので、ぜひ愛情を持って、この問題、対応していただきたいと思いますし、つらいですけれども、殺処分の現場であったり、また、譲渡会の方にも、ぜひ大臣に行っていただければと思います。

 特に、譲渡会などに大臣が行くことでの、多くの方々が、犬、猫、動物をそういった形で飼うことのきっかけができるというのは、非常に大きな波及効果があると私は思っております。今までの大臣にも随分とお願いをしていたんですけれども、なかなかかなわなかったところもございますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 さて、時間の関係上、グリーンインフラに関しましてはまた後日質問させていただきますが、水の関係で、引き続き、環境省として対応しています合併浄化槽の政策、施策についての御説明をお願いしたいと思います。

 大臣の挨拶の中にも、この点に関しまして大分意気込みというのを感じております。この点に関しまして、まず御説明をいただけないでしょうか。環境省の取組について、御説明をまずお願いいたします。

原田国務大臣 合併処理浄化槽につきましては、下水道と遜色のないすぐれた汚水処理能力を有し、これからの社会情勢に、災害に強い町づくりや国土強靱化、地方創生の観点からも大きく期待されているところであります。

 このため、環境省では、交付金や補助金による浄化槽整備の支援を進めているところでございます。

 さらに、本年六月には廃棄物処理施設整備計画を閣議決定いたしまして、今後五年間の整備目標として、合併処理浄化槽の普及、合併処理浄化槽への転換、省エネ浄化槽整備推進による二酸化炭素排出削減等を新たな目標として掲げているところでございます。

 今後も、引き続き合併処理浄化槽の普及拡大を進めていくことで、生活排水が適正処理できる環境の確保に向けて努力をしていきたい、こう思っております。

小宮山委員 今回質問するに当たり、環境省の課レクを受けまして、いまだにまだ単独浄化槽が残っているということ、この転換が進んでいないということにもちょっとまだ残念な思いがありますが、今、大臣の言葉によって、まだまだこれからも国内におきましての対応を、また推進のための施策を組んでいただければと思います。

 そして、合併浄化槽の海外展開の現状と将来の市場規模についてお伺いしたいと思います。

 大臣所信の資源循環政策の展開の中で、浄化槽等の環境インフラの海外展開を図るとの言及がなされておりました。私自身、地元の浄化槽の協会に行くときには、また、国土交通委員会も多かったので、下水道の海外への輸出というのは随分と言われていることではありますけれども、どちらかというと、合併浄化槽のシステムごと、処理を含めての方が日本のインフラ輸出としては大変適しているし、地域にも安全で、また、かつ水環境をよくするという意味においては適しているんだろうということで、やはりこの海外輸出、環境インフラの海外展開というのは大変重要だと思っております。

 そこで、この点に関しまして、海外展開の現状、規模であったり、また、今後どのような目標を置いていかれるのか、ぜひお聞かせいただければと思います。

原田国務大臣 国際社会の共通目標でございますSDGsでは、二〇三〇年までに未処理排水の割合を半減する、こういう目標が掲げられております。

 実際に、浄化槽の海外市場は近年急速に拡大しており、昨年度の我が国企業の海外での浄化槽設置基数は対前年度比で約二倍の六千基と伸びており、累計設置基数は約一万三千基というようなところまで進んでおります。

 環境省としては、浄化槽のニーズの高い国を対象に、国際会議等を活用したトップセールス、浄化槽セミナーによる技術のPR、ワークショップや国内研修による人材育成、浄化槽の性能評価制度等のソフトインフラ支援に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、関係機関や民間企業と連携しながら、浄化槽のニーズの高い国を中心に浄化槽の海外展開を戦略的に推進し、SDGsの国際目標に貢献できるように取り組んでいきたいな、こう思っているところでございます。

 それで、一言、個人的なあれでつけ加えますと、私ども、外国に出かけますと、確かに立派な施設はたくさんあるんですけれども、国によっては、はっきり言って、便所、そういうところがやっぱりどうかなと思うところがあります。一方で、日本に来られる、そういう外国人の方の中には、もう本当に、日本の特にトイレとかそういうものの施設については感激して帰られる方がたくさんおられるんですね。

 そういう意味では、やはりこういう分野も私たちは積極的に国際協力できる大事な分野かな、こう思っておりますので、御指摘のとおり、私どもしっかりまたやっていきたいな、こう思っております。

小宮山委員 大変、個人的にと言いながらも、熱意あるお話をありがとうございます。

 さきの通常国会で、国土交通委員会で付託されました海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案が成立しております。同法は国土交通省が主にかかわっているものでありますけれども、所管のものだけではなく、環境省所管の浄化槽も、やはり海外の水環境整備、生活排水適正処理化推進の観点からももっとかかわっていくべきではないかとも考えております。

 ぜひ、その点に関しましても、省庁の壁はございますけれども、乗り越えていただき、環境省が自然環境を生かす、そういったインフラ整備に力を尽くしていただくことをお願いいたします。

 グリーンインフラに関しましては、また一般質疑があるかと思いますので、そのときに質疑をさせていただきます。

 そのことを伝えさせていただきまして、終了いたします。ありがとうございました。

秋葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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