衆議院

メインへスキップ



第7号 令和4年4月15日(金曜日)

会議録本文へ
令和四年四月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 関  芳弘君

   理事 勝俣 孝明君 理事 菅家 一郎君

   理事 小泉進次郎君 理事 笹川 博義君

   理事 源馬謙太郎君 理事 田嶋  要君

   理事 漆間 譲司君 理事 角田 秀穂君

      畦元 将吾君    井野 俊郎君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      石原 正敬君    小倉 將信君

      武村 展英君    辻  清人君

      中西 健治君    穂坂  泰君

      宮澤 博行君    八木 哲也君

      近藤 昭一君    重徳 和彦君

      篠原  孝君    馬場 雄基君

      松木けんこう君    遠藤 良太君

      奥下 剛光君    中川 康洋君

      斎藤アレックス君

    …………………………………

   環境大臣         山口  壯君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   環境大臣政務官      中川 康洋君

   環境大臣政務官      穂坂  泰君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            井上 俊剛君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            川崎  暁君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          寺門 成真君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           苗村 公嗣君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       高橋 謙司君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    植松 龍二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官)      上田 康治君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小野  洋君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   環境委員会専門員     飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  中島 克仁君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  重徳 和彦君     中島 克仁君

    ―――――――――――――

四月十四日

 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)

 環境の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

関委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局審議官井上俊剛君、金融庁総合政策局参事官川崎暁君、文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官寺門成真君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、経済産業省大臣官房審議官苗村公嗣君、経済産業省産業技術環境局長奈須野太君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、国土交通省水管理・国土保全局次長高橋謙司君、国土交通省水管理・国土保全局下水道部長植松龍二君、環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官上田康治君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長小野洋君、環境省水・大気環境局長松澤裕君、環境省自然環境局長奥田直久君、環境省環境再生・資源循環局長室石泰弘君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

関委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井上貴博君。

井上(貴)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の井上でございます。

 今日は、久しぶりに環境委員会での質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 私は選挙区が福岡でございますけれども、福岡といえば商業都市であったり、北九州は工業都市で有名でございますけれども、実は福岡県は農林水産県でありまして、あまおうや、有明海のノリや、種なし柿や、それからラーメンの麦なんかもラー麦といって作っておりまして、農林水産が非常に盛んな地域でもあります。また、鳥獣被害対策に関しては、被害額に関しては北海道に次いでワーストツー、これは余り知られていないところでありますけれども、それだけ農林水産に関わる諸課題も多い地域でもございます。

 そういう中で、今日は、カーボンニュートラルとイノベーションについて、改質リグニンのことについて質問させていただきたいというふうに思っております。

 地球温暖化の影響も一つの要因と思われますけれども、地元九州では、このところ、台風、線状降水帯による大水害が発生し、甚大な被害を被っております。また、黄砂やPM二・五などの有害物質の影響も大きくて、環境問題を本当に肌で感じる生活を送っているのが九州、福岡でもございます。

 そういう中、二〇二〇年十月、政府は、二〇五〇年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言されました。温室効果ガス吸収の側面において森林の果たす役割は非常に重要であり、我が国の国土面積の七〇%は森林であります。

 この森林を活用していくことは我が国のカーボンニュートラルにとってポイントとなるのではないかというふうに思っておりますし、不可欠だというふうに思っています。しかしながら、昨今、この森林が放置されて荒廃が進んでいるのも現状であります。少子高齢化、都市への一極集中が進む中で、林業従事者が減少しているというふうにもお聞きしております。こういう中で我が国の森林を本当に守れるのかという、ぎりぎりのところだろうというふうに思っております。

 そこで、我が国における林業従事者の推移を教えていただきたいと思います。減少しているとすれば、後継者育成のためにどのような取組を行っているのか。そして、放置され荒廃してしまった森林の育成、再生のためにどのような取組を行っているのかをお聞きしたいというふうに思います。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 林業従事者は、国勢調査によりますと、平成十七年の五・二万人、それから平成二十七年には四・五万人と、長期的に減少傾向でございます。一方で、三十五歳未満の若年者の割合は、平成十七年の一四%から平成二十七年には一七%と、上昇傾向で推移しております。

 こうした従事者を育成、確保するため、農林水産省といたしましては、緑の雇用事業、緑の青年就業準備給付金、こういった制度によりまして新規就業者の確保、育成を図る、さらには、販売力の強化、施業の集約化、路網の整備、高性能林業機械の導入等、そういったことで生産性を向上して、林業の事業体の収益性を向上する、処遇面をよくする、こういった取組を進めています。

 さらには、安全の確保というのが非常に重要と考えておりまして、林業における労働災害の多くを占める伐倒作業を安全に行うための研修や、労働災害を防止するための装備、装置の導入の支援、最近の労働災害の発生状況の分析を踏まえた周知活動の実施、こういった労働安全対策の強化に取り組んでいるところでございます。こういった取組によって従事者の育成を図っている。

 さらには、放置されて荒廃した森林があるというお話でございます。

 林業を活性化し、森林の適切な育成を図っていくためには、戦後造成した人工林が本格的に利用期を迎えています、伐って使って植える、こういった循環を確立することが重要だと考えております。

 しかしながら、価格が長期低迷して採算性が悪化し、世代交代も進み、なかなか経営意欲を持てない従事者がおられます。こういったことに対して、森林整備事業により、間伐、再造林等に対する支援、さらには地域住民が行う里山の保全の支援、そういうことを進めています。また、森林所有者がなかなか自ら手入れができないということに対しては、令和元年度から導入された森林環境譲与税を活用しながら、森林経営管理制度により、市町村が間伐などの森林整備を実施できる、そういう措置も講じているところでございます。

 こういった取組を通じて、地球温暖化防止を始め、森林の多面的な機能の発揮を図っていきたいと考えているところでございます。

井上(貴)委員 農林水産省、林野庁が本当に努力をしていただいて、三十五歳未満の方々に関しては平成十七年よりはアップしてきていると。本当にありがたいことだというふうに思いますけれども、現状、安全性とか装備とか処遇とか、何とかそういうもので対応しているというのが実情でありまして、抜本的に、ああ、林業をやりたい、林業でもうけるんだというような意識にはなかなかなっていっていないんだろう、そこを突いていくことというのが大事なんだろうというふうに思っています。

 そういう中で、一つ提案をさせていただきたいというふうに思います。

 森林を再生するとともに、再生した森林を資源として活用できるイノベーションも並行して進めることができれば、温室効果ガスの吸収と資源活用という循環が生まれ、カーボンニュートラルに資すると考えます。また、林業でしっかりと収入を得られるようにするならば、林業従事者の数も増加し、そして地方創生にも資するでしょう。これはひいては森林の荒廃を止め、今現在災害の二次被害はほとんどが流木です、ですからそういう面では災害の防止にもつながると考えます。

 昨今、イノベーションとして、新しい木質資源として改質リグニンというものが注目を集めているとお聞きしております。まず、この改質リグニンというのはどういうものなのかを教えていただければというふうに思います。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 リグニンは、樹木を構成する主要成分の一つで、木材中に二割から三割程度存在します。リグニンは、樹木により性質のばらつきが大きく、変質もしやすいため、安定した品質での加工等が難しく、言ってみれば燃やすといったエネルギー利用、そういうことが一般でした。一方、改質リグニンは、杉のリグニンをポリエチレングリコールにより改質した素材であり、加工しやすい、熱に強い、そういった特性を持ち、様々な製品に利用可能な新素材だと考えております。

 令和三年六月に策定しました森林・林業基本計画においては、改質リグニンは、木材の需要拡大策として、また化石資源由来の製品の代替に資する素材として研究、技術開発を推進していくということとしているところでございます。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 今のように、改質リグニンは、素材も硬くでき上がることができるようになってきたということで、いろいろなものに使うことができるようになってきました。そういう面では、改質リグニンというものがカーボンニュートラルやプラスチックの廃棄問題解決にも資する素材であり、新しい素材として大きな期待が持てるものと考えます。非常に硬い素材にすることも可能で、自動車や飛行機にも使えるのではないかというふうにも言われていますし、具体的にはどのような活用方法があるのか、その改質リグニンの現在の研究状況を教えていただければと思います。

山口国務大臣 井上議員、先ほど間伐の話もありました。私の地元にも、今は神河町というんですけれどもね、神崎町と大河内町が合併して。その神崎町の森林組合を私が昔ずっと回っていましたら、きっと来る追い風、待つだけでは来ない、間伐・枝打ちに汗を流そうと。要するに、林業に携わっている方々は価格が低迷して、でも、きっと来る追い風、待つだけでは来ない、間伐・枝打ちに汗を流そうと。

 だけれども、先ほど林野庁の部長の方からもいろいろと、どういうふうに間伐に対する手当てがあるかという話もありました。なかなかそれでも十分ではないところはみんなが承知していると思うんです。でも、どうやってそれを、ビジネスとしても成り立つような、あるいは仕事として成り立つような林業に持っていくか、そのうちの一つを今、改質リグニンということでおっしゃっていただいたんだと思います。我が国で豊富な資源量を誇る杉を原料にしている、熱にも強い、加工もしやすいといった特性を持って、様々な製品の素材として利用できる新素材であるというふうに認識しています。

 改質リグニンの具体的な用途としては、繊維強化プラスチックや高機能プラスチックなどの研究開発が進められているところです。農林水産省の農林水産研究推進事業委託プロジェクト研究にて支援をされています。

 国内の研究機関や民間会社の共同により、自動車のボンネットやドアの内装部品に改質リグニンを活用した評価試験も実施されています。

 政府としては、昨年六月に閣議決定した成長戦略フォローアップにおいて、改質リグニンの製品化に向けた研究開発、実証、社会実装を進め、二〇二六年度以降の市場創出を目指すこととなっています。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 最後に、現在のウクライナの情勢、侵略が続いておりますけれども、その影響で木材の調達も非常に困難になってきております。価格も高騰している。ウッドショックと言われておりますけれども、そういう状況がこれからは日増しに大きくなってくるんだろう、また、目の前に見えてくるんだろうというふうに思っております。

 そういう面では、国内産の杉であるとか、今大臣がお話しになられましたとおり、日本産の木材を有効活用したり、廃棄する木材を、こういう改質リグニンなんかを利用して、車のボンネットや飛行機の機材にも使うことができたり、様々な用途に使うことができるように、これから技術革新がされていくんだろうというふうに思います。

 日本は七〇%が森林で覆われている国でもあります。是非そういうものを活用して日本の経済発展につなげていただいて、林業を再生するためには人が必要です、人が多く働いてもらえるような環境整備もひっくるめてお願いしたいというふうに思います。

 今日は、こういう質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。これからも、農林水産省、環境省、協力していただいて、新しいイノベーションを進めていただければというふうに思います。ありがとうございました。

関委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 本日は、先輩、同僚の議員の皆様方に質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私、今日は、環境行政において放置すべからざる問題であります産業廃棄物の処分場の件について質問させていただきます。

 私の地元の西尾市にちょっと問題が発生しているんですが、まず現状を少し申し上げます。

 西尾市の旧一色町生田地区という三河湾に面した場所なんですが、管理型の産業廃棄物最終処分場の跡地があるんですね。過去に使われて稼働していた跡地があります。その面積は十五ヘクタール、容量は六十七万四千立方メートルということなんですが、平成十八年の三月に施設許可が取り消されて、それ以降は放置されてしまっている。

 県と市が実施した最近の環境調査結果によると、現時点では周辺の生活環境保全上の影響はないものと判断されていますが、処分場は現に誰も管理していないという状況ですので、周辺に暮らす住民の不安は絶えないという状況であります。

 この問題は、後ほどなんですが、今日お配りしました資料で地図上御覧いただけますように、実は放置された最終処分場跡地のすぐ隣に新たに産廃最終処分場の計画地がある、こういう場所になっております。ところが、問題は、計画地周辺というのは、愛知県が公表しました南海トラフ地震による被害想定で、最大震度六強、液状化リスクは極めて高い地域とされ、また、令和元年には津波災害警戒区域にも指定された、こういう状況です。

 地元西尾市が設置しました有識者研究会では、この処分場の新たな建設が進められた場合には、周辺住民への、騒音、粉じん、悪臭などによる身近な生活環境への影響、約百五十メートル離れたところにある中学校の教育環境への影響、それから、この地域は一色産のウナギとかアサリといった地場産業があります、風評被害への懸念もあると。様々な悪影響を指摘しております。

 このように、産廃処分場の立地場所として地元の皆さんからすると適さないんじゃないかと考えられる条件がたくさんあって、不安も広がっている、こんな状況であります。

 今日は、制度上、産廃処分場の立地に関する規制がどうなっているかということについて議論させていただきたいと思います。

 まず、全国の現状についてお聞きしたいんですが、全国に処分場の立地というのはどのぐらいあって、二問目としての、沿岸部に立地されているのはどのぐらいあるかということも併せてお答えいただければと思います。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の産業廃棄物最終処分場の件数は、令和三年三月三十一日現在で千五百七十六件ございます。

 また、沿岸部に立地する件数は把握してございませんけれども、水面あるいは海面に設置されている産業廃棄物最終処分場は、同じく令和三年三月三十一日現在で四十九件あると承知しております。

重徳委員 まず、現状は分かりました。

 それでは、沿岸部、とりわけ津波災害警戒区域に一色町の産廃処分場の計画地は指定されているんですけれども、その津波災害警戒区域の根拠法があるんですね。津波防災地域づくりに関する法律があります。所管しているのは国交省であります。ですので、国交省にお聞きしますけれども、こういう津波災害警戒区域、地域で背負うリスクがあると思うんですが、これを回避しなきゃいけない、そのために何らか、この産廃処分場のようなものについては立地規制があってしかるべきなんだろうなと思うんですけれども、法律上はどうなっていますでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 津波防災地域づくりに関する法律では、津波による人的災害を防止するため、津波が発生した場合に住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれがある区域を津波災害警戒区域として指定することができると規定しております。

 津波災害警戒区域においては、いざというときに津波から住民等が円滑かつ迅速に逃げることができるよう、予警報の伝達、避難場所や避難経路、津波避難訓練の実施等の警戒避難体制を構築することとしておりますけれども、委員御指摘のような立地に関する規制は、この制度上、ないというような状況でございます。

重徳委員 立地に関する規制、産廃処分場というものに対する規制はないと思うんですが、何か建設するものがあるときの何らかのルール、規制はあるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 この津波防災地域づくりに関する法律では、先ほど御質問いただいた津波災害警戒区域のほかに、津波災害特別警戒区域、そういう区域がございます。

 こちらの方は、津波が発生した場合に建築物が損壊するなど、住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域を指定する、そういう制度になってございまして、学校とか社会福祉施設などの要配慮者施設の居室の高さとか構造、こうしたものを津波に対して安全なものとする、そういうふうなことを求めております。

 これは、津波による住民等の生命や身体に危害が生ずるのを避けるための規定でございまして、立地そのものを制限するものではない、そういう制度になってございます。

重徳委員 じゃ、重ねてお聞きしますが、特別警戒区域に指定された場合でも構いません、産業廃棄物処分場に対して何らか規制を加えるみたいなことというのは考えられませんか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 津波防災地域づくりに関する法律の津波災害警戒区域また特別警戒区域、いずれも、住民の方の生命身体への危害が生ずるおそれというところに着目して、津波が来ても安全に逃げるとか安全に過ごしていただける、そういうことを念頭に規定しておりますので、特別警戒区域についても、先ほど申しましたように、津波が来ても壊れないような構造にするとか、居室が津波の想定の水深より高いということであれば立地ができるような、逆に言えば安全な構造のものを建てていただく、そんなような規定になっておるということでございます。

重徳委員 津波災害警戒区域に係る規制としてはそのような内容になっているということは分かりましたけれども、じゃ、そうするとですよ、今度は環境省にお聞きしたいんですけれども、産廃処分場というものが地域にとってどうあるべきかというような観点からお聞きします。

 廃掃法がありますね、廃掃法の下に技術上の基準を定める省令というのがありますね。第一条一項四号には、廃棄物の流出防止のための擁壁、堰堤その他の設備であって次の要件を備えたものが設けられていることという基準がありまして、その中のイロハニホヘトのイですね、イ、自重、土圧、ここからですが、波力、地震力等に対して構造耐力上安全であることという基準を満たす必要があるとされております。

 この地域は、重ねて言いますけれども、災害リスクが非常に高い地域でありますけれども、構造耐力上安全との基準をクリアできるんですかね。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県等によります最終処分場の設置の審査におきましては、設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合していることを確認する必要があるというのは、おっしゃるとおりでございます。

 基準の運用に関しまして、平成十年に発出しました技術上の留意事項に関する通知の中で、構造耐力について、擁壁等の安定計算で採用すべき荷重、外力や、安定計算の対象等について示しているところでございまして、もう少し具体的に言いますと、安定計算の対象としては、基礎地盤の支持力、擁壁等構造物の転倒及び滑動等があり十分な安全率を見込んで行うことといったような規定を設けております。

 都道府県等では、当該通知も参照しながら、周辺環境などの個別の状況を踏まえて、専門家の意見を参考にして、総合的に安全性を判断した上で許可を下しているものと考えております。

重徳委員 ちょっと確認ですが、今の様々な、構造上の計算というんですかね、これは、その地域が災害のリスクがどのぐらいあるか、すなわち、想定される地震の震動が、当然、小さいところと大きいところがありますよね、それから、地盤が緩いところと固いところ、津波が来るところと来ないところ、これによって、構造計算という言葉でいいか知りませんが、満たすべき条件というのは様々なわけですよね。御答弁をお願いします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、地域の実情に応じて、その地域で一番適した条件を採用して判断するものというふうに考えております。

重徳委員 じゃ、ここで大臣にお伺いしたいと思います。

 一般的に、どういうリスクを抱えた地域であればいいか悪いかというよりは、そのリスクに応じて、今の御答弁だと、地域によってそれなりの強度がある、備えていなきゃいけない、こういう判断が、実際には県が行うということでありますが、こういう判断が行われなきゃいけない、こういうことであります。

 したがって、先ほどの御答弁によりますと、地域がどういう地域だからいい悪いというようなルールではないようでありますが、しかし、災害のリスクが高ければ高いほど求められる設計とか構造のハードルは上がる、すなわちコストだってかかるだろう、こういうことだと理解するんですが、繰り返しになりますが、最大震度六強、液状化リスクが極めて高い、津波災害警戒区域にも指定されている、そういう地域が、西尾市一色町における産廃処分場計画地があるんですが、こんなところにわざわざ立地を認めるということはあり得るんですか。大臣のお考えをお願いします。

山口国務大臣 仕組みとして、産業廃棄物の最終処分場は、都道府県知事が許可を判断する際に、環境省令で定める技術上の基準に適合していることを確認、先ほどおっしゃられた、埋め立てる廃棄物の流出を防止するため、擁壁あるいは堰堤が自重、土圧、水圧、波力、地震力等に対して構造耐力上安全であるかどうか等を確認している、そういうふうに承知しています。

 だから、そういう意味では、今おっしゃられたように、津波についてとか、あるいはこういう場所だから駄目だというふうにはなっていないけれども、土圧、水圧等に対する耐久性を含めて、地震による津波のリスクへの対処についても基準の適合性というものを勘案した上で施設許可の判断を行っているというふうに承知しています。

重徳委員 ですから、そういうルールなんだけれども、こういう地域ですね、これだけ、まあ正直、地域住民の方々はすぐ近くに住んでいるわけですから、地図を御覧いただきますように、中学校があります、漁港もあります、一色さかな広場といって、割と広域的にお客さんがたくさん集まるような、静岡でいうと焼津みたいな感じですよね。年末年始になると、ここには人がたくさん、お正月の準備のために物すごく人が集まる、こういう場所なんですよ。地元にとってはとても大事な場所、こういう場所であると同時にリスクがある。こういうところに産廃処分場の建設が認められる可能性はどのぐらいあると思いますか。あるんですかということをお聞きしたいです。

山口国務大臣 今、仕組みの話もさせていただいたわけですけれども、結果的に県知事さんが判断されるかどうかという中で、地元、いわゆる本当の、そこの地元の方々との合意形成というものも特に最近は重要になってきているというふうに思います。その辺を知事さんがどういうふうに判断されるのか、そういうこともあろうかと思います。

 技術的な話は先ほど私自身も答えさせていただいたような観点から判断されているんでしょうけれども、あとは、これまでの新たな進展、例えば二〇一一年の三・一一ということも踏まえながら、いろいろな意味で地元の方々の認識というものも新たになっているかもしれない、その辺の合意形成がどういうふうにされるかということも大事かなというふうに思います。

重徳委員 大臣の認識は取りあえず分かりましたけれども、このほかに、さっきちょっと触れましたが、最終処分場や焼却施設も予定、計画されているようでありますので、騒音とか粉じんとか悪臭、こういった多くの公害問題が発生するだろうというふうに、地元の、市が設置した有識者研究会が指摘をしております。

 特に、学校から百五十メートルしか離れていないというような形になるんですね。この距離基準というものを厳格に運用すべきじゃないかなと思うんですが、そもそも距離基準というものがどんなふうになっているか。こんな、非常に近いところの立地というのがあっていいのかということについてお答えください。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 廃棄物処理法におきましては、学校等の施設の周辺に廃棄物処理施設を設置する場合には、その施設の利用者の特性を踏まえた適正な配慮がなされる必要があるというふうにされております。

 また、最終処分場については、周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査を行い、専門的知識を有する方の意見を聞かなければならないというふうにもされております。さらに、都道府県知事等が設置を許可する際には生活環境の保全上必要な条件を付することができるというふうにもなっております。

 一律の距離基準ではなく、これらの規定に沿いまして、個別の状況に応じて都道府県知事等が適切に判断することで対応がなされるということになっております。

重徳委員 海辺の産廃処理場、埋立地で広く知られている場所としては、東京湾の夢の島とか、それから大阪湾フェニックスセンターというのもあります。このように、割と規模も大きくて、まさに広域的にたくさんの廃棄物を処分する場所として設置されたところというのは、さすがに、一色町の周りでみんなが暮らしているとか業を営んでいるとか、こういう場所ではないわけです。

 夢の島とか大阪湾フェニックスセンター、そういった海辺の処分場と比べてこの一色町というのはかなり生活上も様々な影響があるんじゃないかと思われるんですけれども、比較してどう見られますか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど例に出されました、例えば夢の島でございますけれども、当初ですね、夢の島が造られる当初については、例えば江東区でごみ戦争というふうにありましたように、必ずしもすぐ間近になくても、海をちょっと隔てたところにあるところにもハエの大群が襲来するなどの、そういう事例もあったというふうに聞き及んでおります。あるいは、フェニックスセンターについては、完全に、瀬戸内海でございますけれども、海上の中でやっておりますので、これは陸地からかなり離れておるというふうに認識しております。

 そういう意味では、一色町の状況は、海に面しているという、そういう立地でございますけれども、ある意味一番最初に先生がおっしゃったように沿岸部と呼ばれるような位置でございますし、いろいろな施設が付近にあるという点では先ほどの二つとは完全に異なっているものというふうに思います。

重徳委員 認識をお述べいただきました。

 時間があと十分ぐらいなので、今度は、新しい方じゃなくて、放置された方の最終処分場跡地について幾つか確認をしていきます。

 そもそも、今の規制だとか地域住民の理解の仕方だとなかなかこういう場所に処分場を建設できなかったんじゃないかなと思うんですが、過去のことなのでちょっと分かりませんが。そもそも、この処分場、なぜ沿岸部に設置できたかという認識をされていますか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の最終処分場につきましては、昭和五十九年当時だというふうに聞いておりますが、届出により最終処分場の設置を行ったというふうに承知しております。当時の廃棄物処理法の制度では届出制ということになっておりました。ただし、そのときに、技術上の基準等に適合しないと認められるときは都道府県知事等は計画の変更又は廃止を命ずることができるという制度でもございましたので、具体的には、自重、水圧、土圧、波力、地震力等の、構造耐力上安全であるという当時の基準を満たしていたというふうに思えるわけでございますが、御指摘の最終処分場はそういった意味で届出が受理されたというふうに考えます。

重徳委員 当時は届出制だったこと、それから、当時の基準には適合していたので認められたんだろうということでありますが、その後、業者が許可を取り消されて、今や放置されているという状況になります。さらに、繰り返しになりますが、近年、災害リスクが顕在化している、実際に様々な想定が出され、そして津波警戒区域に指定されたという状況にあるわけです。

 廃掃法ではこういう規定があります。産業廃棄物に起因する生活環境の保全上支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事は、必要な限度において、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる、こんな規定があるんです。

 まず確認ですが、生活環境の保全上支障を生ずるおそれがあると認められるときというのはどのような状態のことですか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 廃棄物処理法第十九条の五であります生活環境の保全上支障が生じ又は生じるおそれがあるというのは、人の生活に密接な関係がある環境に何らかの支障が現実に生じ、又は通常人、つまり普通の人ですね、をしてそのおそれがあると思わせるに相当な状態を生ずることというふうにされております。

 例えば、最終処分場におきまして浸出液により公共の水域を汚染するおそれが生じていると都道府県知事等が認めた場合などが該当するというふうに考えております。

重徳委員 それでは、おそれがあると認められるときという要件に対して、今申し上げております、三河湾という海に面していて様々なリスクに直面している地域、そして、放置されていますので、施設の劣化により周辺環境への影響が大変懸念される、こういう跡地については、おそれがある場所だというふうに、実際には県が認定しますが、認定をしておくことによって実際に地震が発生する前に支障の除去等を講ずる、こういったことが必要なんじゃないかというふうに考えますが、これが適用される可能性というのはあるんでしょうか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 支障の除去等を講ずる措置命令の発出に当たりまして、生活環境の保全上支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるか否かは、おっしゃいましたように、現状を踏まえて都道府県知事等において判断されるものでございます。あくまでそういうことでございますが、対象となり得るかということにつきまして申し上げるならば、過去に設置された最終処分場、今は放置されているわけですけれども、こういった場所もその対象となり得ます。

重徳委員 具体的な当てはめをしなきゃいけないと思うけれども、なり得るということであります。

 そして、その場合ですよ、仮定の話でありますが、その場合、業者は既に平成十八年に許可が取り消されちゃっているんですけれども、措置命令を出すとすれば誰に対して、この業者そのものはもう、その後なくなっちゃったんですけれども、解散しちゃったんですが、誰に対して措置命令を出せるのか、出し得るのか。この点について解説いただけますか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 過去、産業廃棄物の不法投棄が非常に盛んだった頃におきましては原因者不明という場合の例も数多くございましたので、そうした場合も措置命令が出せるという事例がございますので、幾つか、その土地の固有の状況において若干違っておりますので一概には言えませんけれども、過去にそういう事例がございますので、そういう場合も、つまり不明者であってもそういった措置命令が出せるということは、できるということでございます。

重徳委員 原因者不明だけれども、何でしょう、もう少し法令に即した解説をお願いしたいんですけれども、手持ちに資料があればお願いします。

室石政府参考人 一つの例でございますけれども、土地の所有者に対してかけるということはできます。(重徳委員「所有者」と呼ぶ)はい。本人がいなくても、まあ、全く無主物の土地というのは世の中に存在しないはずでございますので、そういう意味で、そういった例もございます。

重徳委員 個別の話になるのでこれ以上は踏み込みませんけれども、しかし、やりようはあるということは確認できました。

 それから、ここからが実際には重要なところなんですけれども、こうした問題というのは、まず法律上問題なのかどうかということ、そして措置命令を出し得るものなのか、誰に対して出せるのかということも問題なんですけれども、実際に、これは地元自治体が主役でありますが、環境調査をして、調査をして何もなきゃいいんですが、リスクが高い、環境への影響があるということが仮に判明し、そして何らかの対処が必要だということになったときに、どなたかがコストを含めて全部負担できるならいいんですが、誰もそんな、幾らかかるか分からない、何十億円、何百億円かかるか分からない、こんなお金を誰が負担できるんだということの財政的な問題にすぐ直面してしまうわけですね。

 だからなかなか責任を持った対応として手出しがしにくいという、その心理は少なくとも分かりますよね。対処すべきなんだけれども、なかなかこれは大きな問題になりそうだと二の足を踏む、こういうこともあり得ます。

 そこで、やはり最終的には廃掃法を所管する環境大臣が、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、環境大臣が財政面を含めて責任を果たさざるを得ない重要な地域の問題に発展するケースというのは大いにあるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょう、大臣。

山口国務大臣 先ほどの、生活環境の保全上支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるか否かの判断、これはまず自治体が行うわけですね。

 環境省としては、そういう意味では先ほどの、御指摘がありましたけれども、自治体から相談があった場合に判断の参考になる情報を提供する等、法制度を適切に運用するために必要な技術的な助言を行うことによって生活環境の保全が確保されるように取り組んでいく、今はこういう仕組みになっています。

重徳委員 必要な技術的助言はいつでもお願いしたいんですが、今申し上げたいのは財政面ですよね。この点について、地元の状況に応じて、どうしても困ったというようなことになったときに、国に対して財政的な要望をさせていただいたときに、それにお応えするという気構え、心構えはお持ちですか、大臣。

山口国務大臣 気持ちは受け止めさせていただくにしても、仕組み的には、財政的な援助の仕組みというのはまだないと思います。

重徳委員 それでは、状況に応じて、これは地元を代表する議員として状況に応じてしかるべきときに要望させていただくかもしれませんが、要望させていただくかもしれないということを受け止めていただきたいというふうに思います。

 最後に、産廃の処分場というのは常にこうして、地元では受け入れ難いとか、新しく造るのは反対だとか、様々な声が上がります。産廃処分場、数に限りがありますが、これを、今あるものについてはできるだけ有効に使って、どんどん新しい産廃処分場を造らなきゃいけないというようなことを避けなければならないと思うんですね。愛知県だって産業県ですから、処分場は必要なんです。だけれども、どんどん処分場が必要だという状況に陥ってしまうといけない。この点に対応する環境省としての方針をお答えいただきたいと思います。

山口国務大臣 昔から比べてみると、廃棄物の最終処分量というのが一九九〇年代前半には一億トン以上あった、それが、循環型社会形成推進基本法あるいは各種リサイクル法の整備等によってリデュース、リユース、リサイクルの取組を推進することで、最終処分量は年々減少して、現状、約一千三百万トンというふうになっています。九〇年代の一億トンに比べると大分少なくなっている。

 今後とも、最終処分量の更なる低減を図ることが必要です。今月施行されたプラスチック資源循環法を含め、各種制度の適切な運用により廃棄物の発生抑制と資源循環を促進し、できる限り最終処分場に頼らない社会を目指していく。

 まずこういう認識ですけれども、どうしても最後は残るものがあるとは思います。できるだけ技術の進歩も含めてそういうものを抑えていきたいわけですけれども、それでも発生する廃棄物については適正に処分することが必要です。そのための最終処分場というのは国民の生活、事業活動に欠かせない生活環境インフラであることを国民の皆様に理解いただけるように、それに努めていきたいと思います。

重徳委員 御答弁ありがとうございました。

 時間が来ました。ありがとうございました。

関委員長 次に、松木けんこう君。

松木委員 皆さん、御苦労さまでございます。

 まずは、前回の、決まった法案のやつなんですけれども、確認の意味でお聞きしたいと思います。

 まず、財投を用いた新たな仕組みでは、脱炭素化支援機構がつくられることになりますけれども、仏作って魂入れずということにならないようにするために、機構を支える人たちが重要なわけです。そのために脱炭素に必要な出資や融資の事業に対応することのできる人材を確保していくことが必要なわけですけれども、機構を運営していくに当たって有益となる人材の確保に向けてどのような方策を講じようとしているのか、改めて教えていただきたいというふうに思います。また、こうした分野の専門知識を有する人材を育てていくことも必要かと思います。機構がこうした分野に精通した有能な人材の育成の役割を担うこともできると思いますけれども、そのためにどういうことを考えておられるか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

 あわせて、今回、自治体への財政支援の規定も盛り込まれましたけれども、環境大臣も、全国行脚をなさりながら地域の声に耳を傾ける中で、自治体ごとに人材面やノウハウなどで温暖化に対する力がかなり異なるというふうに感じられたと思います。環境省では四月から地方環境事務所に新たなポストを設けてサポート体制を充実させるようなことも聞いていますし、地域の脱炭素化に向けた支援体制が強化されることも私は歓迎したいと思いますけれども、こうした取組も含めて、自治体への人材支援、育成をどういうふうに考えていくか、お伺いをさせていただきます。幾つかの答えで、一遍で結構です。

山口国務大臣 去年のグラスゴーにおけるCOP26でもって、一・五度に産業革命前と比較して抑えると。その中で、我々はどういうふうに実行していくか。国内において、地域脱炭素創生室というものを七つの地方環境事務所に設置する、そういうことによって地域の、金融機関も含め、いろいろな情報交換をやっていくということをまず目指しています。

 脱炭素を制するものは次の時代を制する、間違いないと思います。そういう認識がまず根底にあります。その意味で、この一環として脱炭素化支援機構というものを地球温暖化対策推進法の改正で盛り込ませてもらっているわけですけれども、まずは、グリーンファイナンス推進機構の知見、経験の豊富な役職員の多くの方にはそういう意向があれば引き続き活躍いただく。加えて、脱炭素分野の事業や投資等の知見のある方を幅広く採用できるように準備したいと思います。

 それで、今までの経験の中でうまくいっている、いっていないという話もあります。大体、うまくいっていないところを見てみると、限られているんですね、プロジェクトが。だから、ある一面に限られているから、やはり幅広くそれを持っていくということが大事だろうと思いますから、その人材についても非常に幅広い知見の方も併せて必要だろうと思います。

 また、政府と連携してスケールの大きな仕事ができるというこの機構の強みを生かして、案件組成等を通じて、民間でも後に活躍できる、そういう人材が育つようにということも心がけなければいけないなと思います。

 それから、自治体への人材支援あるいは育成については、環境省として、実践的なセミナーを通じて、地域で脱炭素事業の中核を担う人材を育成しています。また、内閣府等が進める、企業の専門人材を地域に派遣する事業にも連携して取り組んでいます。こうした支援によって、自治体職員の知識、経験の獲得を後押ししていきたいと思います。

 確かに、回っていますと、県の方々あるいは市の方々、町の方々、それぞれによって、人材というものを、どうしてもまだまだ必要だということで、これから更に環境省本省あるいは地方環境事務所の方からのサポートというものも心がけなければいけないなというふうに思っています。

松木委員 よく分かりました。

 大臣、天下り先にならないように気をつけなきゃいけないよねという話もあると思うんだけれども、逆に言うと、そういうことを触ってきた人たちというのは、そういうことに精通もしているのでね。そういう意味では、そういうことも頭に入れながらも、本当にいい人材がこういうところに行くように、あるいは採用されるようにということを考えてくれたらいいんじゃないかな、僕はこう思うんだけれども。

山口国務大臣 天下り先にならないようにという趣旨はもちろんそのとおりで、プラス、環境省との連携というものも大事にしてほしいしということで、環境省から一名は連携という意味で派遣したいなというふうには思います。他方、それは天下り先ということではなくてです。

 そしてまた、それぞれの人材においても、経験豊かであると同時に新しい取組にも積極的に頑張っていただける人材ということで、きちっと整えたいと思います。

松木委員 いい御答弁でございます。そんなことで、是非頑張っていただきたいなというふうに思います。やはり、携わっていた人ってよく知っていますからね。そういう人たちの知見をうまく使うというのは大切だというふうに思います。ありがとうございました。いいことになっていったらいいですね、これからこういうことがね。

 それで、今度は全く話が変わっちゃうんですけれども、大臣も知っていますかね、北海道ではこの頃ヒグマちゃんたちが大暴れしていまして、去年なんかは亡くなった方も三人いましてね。あれを見ていると、くまのプーさんというのが、キャラクターがいますけれども、クマを見てああいうふうに物を考えていたというのはなかなかの人物だなと。誰が考えたのか分からないけれども、なかなか発想力豊かな人がくまのプーさんを考えたんだなとつくづく思うわけでございます。

 北海道というのは開拓の歴史ですよね。ですから、いろいろな事件があるんですけれども、大臣、三毛別ヒグマ事件というのを聞いたことはありますか。どうぞ。

山口国務大臣 私の地元にもクマさんはよく出没して、やはり、今、山の中で食べ物が少なくなっているからいろいろなところに出没するんですけれども、済みません、先ほどおっしゃっていただいた記事の方でもって、今、読ませていただいているところです。

松木委員 委員の皆さんにも是非見てもらいたいんですけれども、資料を配りましたけれども、OSO18というんですけれども、これは別に、あれですからね、AKB48だとか、そんな話と違いますから。これはクマのコードネームなんですよ。すごいですよね、コードネームのあるクマなんというのは。このクマのことは後で話をしますけれども、かなり強力なクマなんですね。

 前に言った三毛別ヒグマ事件というのは、これは一九一五年、ですから百数年前、まだまだ北海道が開拓途上だった時期に起きた事件なんですけれども。北海道のちょうど左の上ぐらいに苫前町というのがあるんですね。選挙区でいえば、何区になるんだったかな、留萌とか、そういうところの近くなんですけれども。選挙区でいえば、公明党の稲津先生の選挙区になるんですね。ここで何と大変な事件が起きまして、当時、七人殺されたんですよ、クマに。三人が重傷を負ったということで、本当に歴史的なことなんですけれども。

 クマというのはなかなかすごいんです、皆さん。大きいから動きが鈍いように思うでしょう。ところが、走ったら速いんですよ。時速五十キロぐらいで走りますから。時速五十キロってどういうことかというと、ウサイン・ボルトがトップスピードで四十五キロ、ということはヒグマの方が速いんですよ。ウサイン・ボルトも逃げても食べられちゃうということですからね、本当におっかないというのが現状ですね。

 北海道を見ますと、現状、平成二十五年にヒグマを捕獲したのが六百三十二頭、そして令和三年度には九百七十頭。一・五倍に増加しているんですね。農業被害、これも、平成二十五年度に九千三百万、令和二年度には二億五千万。二・七倍ぐらいになっているんですね。そして、人身の事故は十二名の方がいて、札幌でも起きたんですね。札幌でも起きた、それで亡くなった方が三名おられたというのが去年ですよね。テレビでも見ましたよね、札幌の中を大騒ぎしてクマが走っているの。

 簡単に言えば、そうですね、東京でいえば江東区とか、あそこら辺をクマが走り回って、下町の辺りを走っていったような、そんな感じになりますかね。私の選挙区でもあるんですけれどもね。まあ、ちょっと考えられないですよね。近くに森林があるわけでも何でもないんですけれども、そういうようなことが起きたりしているんですね。

 ヒグマというのは、怖いのは、学習能力がすごく高いんですよね。本当に物覚えが、私よりずっといいんじゃないかというぐらい、いいわけですよ。

 話が元に戻りますけれども、三毛別ヒグマ事件というのは、クマの大きさが三・五メートルの高さだったというんですよ。全長となると、クマというのは足が四本ありますよね、それでこう歩くじゃないですか、そのときの幅が二・七メートルあったというふうに言われています。

 一番初めのところで二人の人を襲って、一人が引きずられてどこかにいなくなっちゃうわけですね、それを途中で見つけて。木の株かなんかのところで埋めているんですよ、それを掘り返して葬式をやったんですよ、その日に。そうしたら、ヒグマがその葬式場に。何人もいたわけじゃないです、皆さんおっかながって。その葬式も本当に身内だけで十人ぐらいでやっていたみたいなんですけれども、そこに襲いかかってきたんです。ひつぎをひっくり返して、また持っていっちゃった。これはヒグマの習性なんですよね。要するに、自分のものなんですよ、自分の保存食なんですよ。何で持っていくんだ、こういうことなんですね。

 先ほど、福岡県選出の議員さんがおられましたね。先生、福岡大学のワンゲル部の人たちもそれで殺されたんですよ、ヒグマに。そういうこともありました。そのぐらい怖い。

 三毛別の事件のときには、二人の葬式に行った後、次の日かな、今度は違うところが襲われて、五人が亡くなった。そして、最後には、どうなったかというと、討伐隊がつくられて、六百人で捜して、やっと殺したんですよ。そのときに、たった二発で仕留めた男がいる。またぎなんですけれども、山本兵吉さんという方なんです。心臓が一番弱いらしいんですね、クマは。あと、眉間に一発。そういうふうになって事は収まったんですけれども。

 時々、開拓の時代というのはこういうことがあったんですよ。あと、札幌の丘珠というところでも、大体百四十三年前かな、ここで殺されているという事件もあるんですね。

 昔は、ヒグマに対して、あるいはオオカミに対して懸賞金もつけられていたんですね。ですから、ちょっと無理して殺すこともあったのかなと思いますね。クマの胆って知っていますか。クマの胆というのは今でも一グラム一万円以上しますからね、高いんですよ。そういうこともあったんでしょう、事件にはやはり。これが北海道の一つの開拓史でもあるということなんですけれども。

 どうですか、大臣、今の話を聞いて。ちょっと気持ちを。

山口国務大臣 我々は、クマさんは親しみやすいという、童話とかでいろいろ親しんでいますよね。だから、どういうふうに我々がクマさんとつき合っていくかというのは、いろいろ難しいかもしらぬですね。でも、人に危害を与えるというのは何とかしたいし。これを読んでいると、箱わなにはなかなか警戒心が強くて入らないと。それぐらいやはり学習能力も高いのかもしらぬですね。

 そういう意味では、どうなんですかね、クマさんにしたら、昔からいじめられたからちょっとそういうような意識が高まってしまっているのか。我々が動物とどうやって共存していくかというのは、非常に高度な知恵が必要なのかもしらぬですね。

 ただ、人間が被害を被るようなことであれば、それはちょっと何とか向こうにも分かってもらわないかぬから、どういうふうにやるのか。むやみやたらに攻撃しても、それまた、そのことが結局向こうにも攻撃的な本能をまた強化してしまうのであればそれはいかぬですしなというところで、やはりこれはもうちょっとみんなで、知恵が必要かなというふうに思いました。

松木委員 そういうことでございますね。

 このほかに、石狩沼田幌新事件で五人の方が亡くなったとか、結構いろいろなことがあって、どっちかといえばヒグマの事件が多かったんですけれども、近年ではツキノワグマが三人ぐらい殺しちゃったんですね、山菜取りをしている人たちを。そういうものもありました。

 要するに、しばらく余り、昔は大きな事件というのがあったんですね、ところが、ここのところはそうでもなかったんです。それはなぜかというと、すみ分けができるようになったんですね。昔は、開拓で人間が入った頃というのは、それこそヒグマの領域に人間が入ったんですよね、ですから殺されるということがあったんだと思うんですけれども、それが、大体こう、すみ分けがだんだんだんだん現代になって出てきた。ちょっとは事故はありました。全く事故がないということはありませんから。それが事故というものですからね。

 ところが、去年がすごかった。とにかく、人身事故というのが十二人いて、三名の方が亡くなって、しかも、札幌の東区という本当に都市部。どういうふうに表現したらいいかな、北海道というのは十二の選挙区があるんですけれども、いつも北海道の地図を出しますと、一区、二区、三区、四区、五区と色分けするじゃないですか、線で、ここが二区ですよと。そうすると、二区というのはすごく狭いんですよ。それだけ人口密集地。私の選挙区なんですけれどもね、そこでクマが大暴れしたんです。一番の人口密集地でクマが大暴れした。クマと人間の境がまたちょっと怪しくなってきたということなのかなというふうに思いますけれども。それが現代になってきたということだと思います。

 先ほど見た資料をちょっと見ていただきたいんです。OSO18というんですけれども、これがこの三年間ぐらい大暴れしているんですよ。普通だったら、三毛別ヒグマ事件もそうだし、丘珠の事件もそうだし、どの事件もクマはそこで駆除されているんです。ところが、彼というか、彼ですね、多分、雄なんだと思うんですけれども、なかなか色が、ヒグマというのは黒いものですから、色を出すのが大変だったんですけれども、とにかく捕まらないんですよね。

 さっき言ったとおり、箱みたいなのに誘い込むような、そういうものもやっているんですけれども、全然。箱わなというんですね、これも全然駄目なんですね。大変なことになって、五十何頭の牛が襲われて、二十六頭ぐらいは殺されているんですね。一番ひどいのは、体を真っ二つにされたというんですよ。すごいんですよ、そのぐらい力がある。

 それで、一番怖いのは、人間界に来ているということなんですよ。今のところは、このOSO18というのは、人間を食ったとか、人間を襲ったとか、そういうことはないんです。今のところはいわゆる家畜さんを襲っているんですけれども、しかし、何かの拍子でこれが人間の食べるものの味を覚えるだとかいろいろなことをすると、今度は人間に襲いかかってくる可能性も十分にあるんですね。

 この大きさが、推定なんですけれども、四百キロ近くあるんじゃないかと言われているんです。ということは、先ほどお話しした三毛別ヒグマ事件のクマと大体大きさが同じだと。かなり大きいんですね、本当に。三毛別ヒグマ事件のヒグマは、立ったら三・五メートルというんですからね。事件の跡地に行ったら一応クマが用意されていますので、そのうちお時間があったら行ってみたらいいと思いますけれども、本当にびっくりするぐらい大きいです。こういうことも、今現在大変なことになっているというのが現状なんですね。

 そこで、その対策として、下草刈りといって、要するにゾーニングですよね、クマと人との。クマというのは意外と臆病ですからね。ところが、隠れるところがあると活動できるんですね。隠れるところがなければ人のところには基本的には来ないということになっているんですけれども。なかなか、お金もあるのかないのかということもあるんですけれども。

 とにかく、ここのところは、農業被害と市街地に出没する被害、こういうふうに二つの被害が出ているわけでございます。このまま今年はどうなるのかなと。この間、おとといぐらい、またクマが出たというのをテレビでやっていたような気がしますけれども、環境省さんとしてはここら辺はどういうふうにお考えになりますかね。

中川大臣政務官 お答え申し上げます。

 松木議員からは、ヒグマ対策について、大変に重要な御指摘をいただきました。

 委員御指摘のとおり、北海道では、近年、ヒグマによる農林業被害額が大変に大きく増加をしております。また、人身被害も令和三年度に急増、今までおおむね三名程度だったものが令和三年度は十二名ということで、人とヒグマのあつれき軽減は大きな課題というふうに環境省としても認識をいたしております。

 人とクマ類のあつれきを軽減するために、環境省では、人とクマ類のすみ分けの強化、今委員御指摘のとおりでございます、また個体数を適切な規模に維持すること、さらには人に危害を及ぼす可能性のある問題個体の管理、これが重要と考えております。

 このため、本年三月でございますが、都道府県向けの特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドラインのクマ類編というものを改定いたしまして、クマ類が人の活動エリアに出没したときの対応に関する事項等を盛り込んだところでございます。また、市町村向けにつきましては、クマ類の出没対応マニュアル、これを昨年の三月に改定し、これらを今、北海道を始め全国に周知しております。

 環境省といたしましては、松木議員の御指摘も踏まえながら、引き続き北海道や関係機関と連携してヒグマの対策を具体的に促進してまいりたいと思いますので、今後とも御支援のほどをよろしくお願いします。

松木委員 ありがとうございます。それが何よりも大切なことだと私も思っています。

 環境省主導で、ヒグマの実態調査、こういうことも必要じゃないかなと思っているんですけれども、どうでしょうか、環境省の方は。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、自然環境の全国の調査、自然環境の状況はどうだという調査を行っておりまして、そういった中でも、一つには、クマの状況把握というのをこれまでもしてきたと思います。

 一方で、具体的な、今問題になっているような個体群の管理、クマをどうコントロールするかということにつきましては、鳥獣保護管理法の下で、都道府県が権限を持って、それに対して具体的に調査をしながらやっていくということで、いろいろ両方で手分けをしながらやっているところですので、我々としてもそこは連携をしながら、とにかく対策が進むということが大事だと思っておりますので、その点、頑張ってやっていきたいと思っております。

松木委員 是非、環境省の皆さんも積極的にここに参加していただきたいなというふうに思います。

 北海道で、令和四年の北海道のヒグマ対策費というのは当然ついているんですけれども、どのぐらいついていると思いますか、皆さん。三千八百万なんですよ。ちょっと少ないんだと思うんですね。国の方でうまくやっていただかないと。お金がないんだと思うんですよね、北海道なんかもね。是非、そこら辺、いい答弁はないですかね。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 確かに、今回のような問題クマの発生について、様々な対策が必要で、それを総合的に行うということで、一つには、具体的な対策を担う人材の育成と実施体制の整備というのが重要だというふうに考えております。

 このため、環境省では、クマ類が例えば市街地等に今回の例のように出没した際に対応するための、専門的な人材の育成、それから連絡体制の整備、そして、クマ類が出没しない、地域全体をそういう体制につくっていく、そういった取組について、地方自治体を支援するためのモデル事業を今年度から実施することとしております。

 こういった成果の普及を通じて、地方自治体においてクマ類の出没を抑制するための対策が進むように進めてまいりたいと思っております。

松木委員 是非頑張ってもらいたいですね。

 問題クマというのが、要するに、クマの個体は多分増えている、エゾシカがすごく増えている、だからクマも増えている。余り冬眠もしなくなってきた雰囲気もあるんですね。そうすると、手頃なのは人間という話にもなりますからね。なかなか、けんかしても勝てませんからね、クマには。ですから、人間の被害がどんどんどんどん増えないようにしていかなきゃならない。それには、クマと人間がそれぞれのエリアを守るということだと思うんですね。それで、下草刈りだとかいろいろなこともあるんですけれども。

 軽井沢の方ではベアドッグということを導入してやっているんですね。このベアドッグも、一朝一夕でできるわけじゃなくて、やはり育てたりしなきゃいけないので、これにも結局は金がかかる、こういうことだと思うんですね。北海道でも丸瀬布というところで、ベアドッグというのを導入しているところもあって、今育てているみたいですね、まだまだ。

 こういうことにもお金がかかるので、予算が三千八百万ではどうしようもないということですよ。ですから、是非、国の方でお金を余計つけてもらう。まさに現金な話なんだけれども、これはやはり大切なんですよね。クマは悪くないですから、しようがないです。だから、年に何回かあるのは、交通事故だって起こしたい人はいませんから、事故というのはあるんですよ。あるんだけれども、去年の数がどんと増えて、今年もこんなことになったら、大変なことになりますよね。ですから、そこにはお金が必要、お金をしっかりかけてやっていかなきゃならないということだと思うので、是非、そこら辺、政務官がうんうんと言っているので、いい答えが出てくると思うので、じゃ、政務官に。

中川大臣政務官 松木議員からは、非常に、北海道の具体的な対策、また被害の状況を伺いました。しっかりと北海道と連携をしながら環境省としても取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

松木委員 もう時間ですね、これでやめますけれども、大臣も、とにかくお金をつけて。本当に、お金がないと何もできませんのでね。

 ほかにもまだ聞きたいことがあったんですけれども、時間になりましたのでこれで終わりますけれども、是非、ユーチューブとか、ああいうのを見ると、昔の三毛別事件だとか、そういうのをやっていますから、是非見てみてください。結構、これがこれからまた、どんどんどんどんクマとの接触が増えるなんということになったらいかに大変かというのが分かりますので、そうならないようにしっかり環境省の皆さんに頑張っていただいて、そしてお国に予算をいっぱいつけてもらう。これが大切なことですからね。よろしくお願いします。

 以上です。

関委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 こんにちは。どうぞよろしくお願いいたします。立憲民主党、福島出身の、私、馬場雄基です。

 本日は、地元を回りながら住民の方と対話をさせていただく中で、現場に還元したい、そして将来に向けて何としてでも見通しをつけていきたいというふうな覚悟を持って、質問させていただきたいというふうに思っております。

 本日、様々今まで伺ってきたことを思い返すに当たって、多く関心が寄せられていたことは、三月の二十二日、電力需給逼迫の問題でございました。数々の方々から、協力したよ、寒かったけれども、みんな大変だったから何とかそこに応えたいというような、そういうお声が、子供からシニアの皆さん方まですべからく私の元に声が届いてまいりました。改めて、今回協力してくださった国民の皆様お一人お一人に感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 しかし、このまま終わらせるわけにはまいらないと思っております。停電にならなくてよかったというふうな問題ではないはずです。なぜ今回の混乱が起きたのか。一部では、ある種強引に結論づけて、ある電力をより増さなければならないというようなお話もありますが、それも大切な議論かもしれませんが、これとそれは全く別の話です。なぜならば、十一年前、三月十一日、あの教訓から私たちは学び、どれだけの電力の需要が見込まれるのかあらかじめ想定して供給量を考える、そういう仕組みがあったというふうに思います。

 本日、経済産業省さんにも伺いたいと思います。今回の混乱において、なぜ起きたのか、的確に、そして簡潔にお答えをお願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先月二十二日に発生いたしました東京電力、東北電力管区におきます電力需給逼迫におきましては、大変地元の方々に御心配をおかけしたところでございますが、本当に、皆様方の御協力によりまして大規模な停電を回避することができました。改めまして、皆様方の節電への御協力に対して心より御礼申し上げたいと思います。

 その上で、委員から御質問がございました逼迫につきましての経緯と警報に関する遅れということについてのお尋ねでございますけれども、まず、契機となりましたのは三月十六日に起きました福島県沖の地震の直後における供給力の大幅な低下でございます。

 もちろん、委員御指摘のように、需給の検証というのは東日本震災を受けて毎年しっかりやっているところではあるわけでございます。その中で、非常に需給も逼迫している状況でもございました。しかしながら、地震の影響で地震直後に十四基の発電所が停止いたしまして、逼迫時においても六基が引き続き停止したままでございました。また、これに加えて連休中に三基の追加的な停止が発生したということも大きかったと思います。その上で、更に大きく混乱を呼びましたのは天気の予想の変化でございまして、当初はそれほど悪い天気ではなかった予報がだんだん短くなってきたということによる影響が大きかったと思っております。

 私ども、予報をいかに早く考えて出していくかということと、精度をどれぐらい担保して混乱を生まないか、このバランスが非常に重要かと思います。いただいております様々な御指摘をしっかり踏まえて検証し、今後、皆様に安心していただけるような対応を取っていけるように進めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 ここは少しさらりといきたかったところではあるんですけれども、様々な検証はされているということを信じたいと思いますが、そういうお答えですと、なぜ十八時に警報が出なかったのかというところは強く求めたいというふうに思います。今のお答えでは、ならないと思います。

 そもそも、なぜこういうふうなことが起きるのか。元々、三・一一のときの反省を我々は生かして、教訓を持ってこのシステムを考えていたというふうに思います。それが適切に稼働していなかったということをより真摯に受け止めなくてはならないのではないですか。そういうことをもって、今回、私はこういう質問をさせていただきました。国民の皆様方一人一人に感謝をしなければならない一方で、私たちはそれに応える体制をつくっていかなくてはならないというふうに思っています。だからこそ丁寧な説明、再発防止、そして徹底した訓練というものが必要であるということを改めて強く申し上げたいというふうに思います。

 経済産業省さん、ここまでで大丈夫です。ありがとうございます。

 さて、今回、国民にお願いをするだけではなく、私たち一人一人が襟元を正していかなくてはならないというふうに思います。

 おとといですね、報道がありましたけれども、国土交通省さんの建築物省エネ改正法案というものの動きが入ったというふうな、報道ベースで私も知りました。この件に関して、やはり、省庁の垣根を越えて、国民にばかりお願いするだけではなくて国の形として求めていく、そういう体制をつくっていくことが我々の責任であるというふうに思っています。山口大臣からのもう一押しのメッセージを国民に対してお願いできませんでしょうか。よろしくお願いします。

山口国務大臣 地球温暖化対策は国家戦略の一つというふうにみんなで位置づけていると思います。政府の方でも、一月十八日からのクリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会、そこでも、萩生田経産大臣とともに私の方でいろいろとグランドデザインを描いてくれということで、今作業中です。

 その中で私も感じるのは、もちろん、建築物省エネ法という改正案、そこにも位置づけられるわけですけれども、省庁間のいわゆるコラボ、物すごく、私の現役でいたときに比べると更に進んでいますね。今回も、実は事務方同士で相当、調整をずっと進めて、最終的には政治決断という面もありましたから、そういう意味では、こういうタイミングですけれども、今国会への提出ということで、今、法案の提出に向けた調整が行われているということは非常によかったなというふうに思います。

 その意味では、今、馬場議員がおっしゃられたのは、縦割りじゃないかという問題意識もあったと思います。それはまだ、もちろんそういう点が皆無とは言えませんけれども、やはり全体でグランドデザインとか国家戦略とかいう意識は物すごく高まっていると思いますから、これは更にそういう意識を大事にしていかなければいけないなと。

 環境省に関しては、やはりそういうことで、経済産業省のみならずいろいろな省庁と心合わせしながらやっていきたいなと。既に相当やっていますけれども、更にやっていかなければいけないなと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 まさに省庁の垣根を越えた動きが必要だというふうに思っています。国際会議でも山口大臣が、脱炭素に向けた動きを日本は加速させていくというお言葉もしっかりとその場で発信されておりますので。確かに今までと比べて省庁間の垣根というものは連携しつつあるように変わってきたというふうに思われると思うんですけれども、私からすると、まだまだ。ここに来てまだ五か月目の人間ではありますけれども、私は、もっともっと環境省が前に出ていく、そういう体制が必要である、この時代に求められているというふうに思っていますので、是非、建築物省エネ法改正案についてももう一押しの大臣のお力添えをよろしくお願い申し上げます。

 さて、今回の需給逼迫において、太陽光パネルにおけるこんな声も伺いました。太陽が照らなかったせいでと。それも先ほど経済産業省の方がおっしゃっていた言葉でもありましたけれども、本来、電気の供給予測、太陽光発電に関しては、そもそも曇り空を想定していて、出力が少ないときを見ているのではないでしょうか。今回の混乱の主な原因を天気のせいにするというのは私は誤っていると思っています。

 一方、IPCCは、四月四日、新たな報告書を出しております。二酸化炭素の排出について、素早く深く、即時の削減が必要だと。そして、そのために効果が大きいとして認められているのが風力及び太陽光であるということも言われています。

 山口大臣に確認させていただきたいと思います。太陽光発電の位置づけについて日本政府は今どのように感じていらっしゃるのか、お答えをお願いいたします。

山口国務大臣 去年の四月あたりから、我々が四六%と。小泉前大臣の下でもその数字が明らかにされていた、それを受けて十月に正式に政府の方針としてなった。再生可能エネルギーを一八%から三六ないし三八まで持っていくと。今、大体二〇%ぐらいですけれどもね。その中に太陽、風、水、地熱、そういう再生可能エネルギーが位置づけられているわけですね、主力電源として最大限導入していくと。

 今回のウクライナの情勢等も頭に入れると、自前の国産のエネルギーということの意味、要するにエネルギーの自立、そういう観点からしても、目の前にある太陽、風、水、地熱、その電力を大事にするということが一層我々の意識の中で強くなっていると思うんです。

 他方、今日の新聞でも少し出ていましたけれども、出力制御、これはちょっと調子悪いなと。多分それはさっきの、蓄電システムがしっかりともっともっと整えば、いい天気のときに蓄えて、雪が降っても安定的に供給できる。そういう仕組みが今はまだ整っていないんですよね。だから、そういう意味では、太陽光、更に私は進めるべきだと思いますけれども、ただ、むやみやたらに進めていいと言うつもりは全くありません。それが環境アセスメントにおいての私の意見でもありましたけれども。

 これから狭い国土、七割が森のところでどうやってやっていくかということは更に考えていくわけですけれども、ペロブスカイトというフィルム状の新たな太陽光の仕組みもできつつあります。それであれば、屋根に簡単に、あるいは壁にもとか、いろいろな工夫が更に成り立ち得ると思いますから、そういう意味で、この太陽光、更にきちっとした形での導入を進め、出力制御ということが余りないように、それは蓄電の仕組みも更に整えていけばもっともっと可能性があるものだと思います。

馬場(雄)委員 大臣、力強い答弁をありがとうございます。まさに日本も、日本政府としても、日本国としても太陽光の発電に関してより積極的にかつ適正に行っていくというお答えであったというふうに認識しました。

 二〇二一年十月二十五日ですけれども、国連、UNDPとオックスフォード大学がG20諸国の気候変動に関する大規模な世論調査を行っていました。十八歳未満の若者に最も支持された気候政策、それは森林と土地の保全。これは五九%の支持だったそうです。そして、それに次ぐのが太陽光、風力、再生可能エネルギー源による発電の拡大ということです。つまり、将来を背負う若者としても大注目なのは太陽光であるというふうにも思っています。

 しかし、一方で、社会的には問題も起きています。大臣もおっしゃっていましたけれども、さらに、それとは別に、大量生産、大量消費に次ぐ大量廃棄の問題でもございます。廃棄の問題をクリアにしなくては自信を持って普及促進の政策に臨める環境ではないというふうにも思いますので、私は、何としてでも将来に対して見通しの持てる政策を今まさにつくらなくてはならないと思っています。

 環境省さんに伺います。太陽光パネルの廃棄は、現在、どのような法律に基づき、どのように廃棄されているのか、簡潔に御説明をお願いします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済み太陽光パネルについては、循環型社会形成推進基本法に定めます廃棄物処理の優先順位に基づきまして、まずはリユース、リサイクルを進めていくことが重要でございます。

 そのために、パネルの撤去から処分に至るまでの法的責任や留意事項を整理したガイドラインなどを策定しております。

 その上で、リサイクルできないものについては廃棄物処理法に基づき適正に処理をするという仕組みとなっております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。まさにリユース、リサイクル、そういったものも必要であると。しかし、ただ一方で、今、その法律上はないわけですよね。産業廃棄物として処理されているのが今の太陽光パネルの現状であるというふうに思います。

 太陽光パネルの循環が適切に行われていくために、私は必要なことが三つあると思っています。一つは廃棄処理の責任の明確化、一つは不法投棄を起こさせない制度管理、そして最後はパネルの現状把握というふうに思っております。まず一つ目、太陽光パネルの廃棄処理に関する責任は現在どなたにありますか。環境省さん、現状を教えてください。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光パネルを廃棄するに当たりまして、発電事業者は適切な解体事業者に解体、撤去を委託する必要がございます。また、その際に、リサイクル処分の意向や、埋立処分をする場合の処分場等の条件についても伝える必要がございます。

 解体、撤去を受託した解体業者が廃棄物処理法上の排出事業者として適正処理の責任を行う者となります。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。ここが他の部分とちょっと違うところなんだろうなというふうに私は認識しております。

 例えば、自動車リサイクル法あるいは家電等もそうですけれども、製造物責任というものが結構拡大して問うことができている状態である一方、太陽光発電に関するパネルはいわゆる廃棄した人たちが事業責任を負わなくてはならないというところに、明確な違いがここにあるというふうに思っています。この点、少し厄介になっているんだろうなというふうに思うわけですけれども。当初こそ太陽光パネルは日本製が多かったわけですが、今現在は残念ながら海外製の方が多い現状であるというふうにも思います。今後、メーカー責任というものが問うていける時代になるのか、これはやや課題が残っているのではないかなというふうに思います。

 一方、ヨーロッパですけれども、PVサイクルというものがあって、メーカー責任を問う、あるいは適正に処理するためのサイクル、マネジメント体制というものを適切に確保されているというふうに思います。コストを重視していくか、あるいは適正に処理することを望むのか、今まさに日本は岐路に立っているんじゃないかなというふうに思っております。

 そこで、山口大臣にお伺いさせていただきたいと思います。大量廃棄の時代が来る前に個別のリサイクル法の制定が急がれているのではないかなというふうに思うわけですけれども、その方向性について、是非お答えをお願いします。

山口国務大臣 法律を作るときには、まず、立法事実があるかどうか、要するにその法律を作る必要性があるかどうかということがまずある。そのことを念頭に置いて、太陽光発電の使用済みパネルの大量排出が見込まれるのは確かに二〇三〇年代後半であり、その意味で、まずは太陽光パネルの排出状況についての実態把握が重要と認識しています。

 このため、環境省では、現在の使用済み太陽光パネルのリユース、リサイクルに関する取扱状況の把握のため、リユース業者、中間処理事業者あるいは埋立処分事業者に対する排出実態調査を実施しています。また、今年度からは、調査対象を解体・撤去事業者にまで拡大して、パネルの排出や中間処理業者における受入れ状況等のより細やかな実態把握を行っていきます。

 こうした実態把握を行いながら、使用済みパネルに係る課題を見極め、御指摘の制度化の要否についても考えてまいりたいというふうに思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。前向きに御検討いただいているというふうな認識を持ちました。

 まず、大量廃棄が来ることがもう明白である以上、市場にしっかりとその情報を発信していく必要性が間違いなく必要だというふうに思います。ビジネスチャンスと思ってもらえるような環境をつくることも大切だと思いますし、不法投棄が起きないように、適切に管理できる、そういう事業者にお願いできるスキームをしくことも大事だというふうに思っています。

 実は、この間、中間処理業者さんに私は実際訪問させていただいて、お声を集めておりました。実際コストの部分でいくと厳しい世界でもある、適正にリサイクルをするという方針であればまた別途そういうことも準備できるが、そういったところがまだ明確でない以上なかなか投資もしづらいというようなお声も上がっていました。我々がしっかりとこの先を導いていくための道筋を今つくらなくてはならないというふうに改めて思っております。

 太陽光パネルには様々な種類があります。化合物系あるいはシリコン系、様々あります。これは私が言うまでもないと思いますけれども。

 化合物系に関しては、恐らくですが、できた当初、二〇一〇年とか一一年とかに多く市場に出ていったものではないかなというふうに思います。今、全体の市場で見れば化合物系、シリコン系は大体の比率にして五パーと九五パーぐらいだというふうな資料を私はもらいましたけれども、大体がシリコン系です。ですが、当初出てきた太陽光パネルは化合物系がやや比重が多いはずではないでしょうか。

 つまり、人口ピラミッドのように太陽光パネルにおいても製造年別に種類をしっかりと分けた状態を市場に発信しておかなければ、大量廃棄の時代にそれに合った処理能力を持った事業者がどれだけ存在するのか、極めてここが明確にならないといけないというふうに私は思っています。最後なので、三つ目のところは情報発信というふうに言ったのはそういった意味です。環境省が先頭に立って大量廃棄が来る前にこの市場をしっかりとつくることができるように、何とぞ強く、その点、お願いを申し上げたいというふうに思います。

 最後、別の質問をさせていただきたいのでパネルはここまでにしますけれども、中間貯蔵施設の問題です。またかというふうに思う方も多いかもしれませんが。何としてでも、何としてでも私はお答えをもらいたいんです。なので、三回目になりますけれども、済みませんが、させてください。三度目の正直、ありがとうございます。

 これまで、山口大臣とも何度も議論させていただきました。しかし、私はまだ、得たいお答えをいただいているとは思えません。ありがたいことに、同じ方向性を見ているというようなお言葉はいただきました。ただ、まだ実践に至るまでのお答えをいただいていないというふうに思います。

 私が願いたいのはただ一つなんです。これから難しい決断が迫られる、そういう時代が二〇四五年には必ず来るわけです。そのときに、今の情報というもの、今のデータというもの、それを適切に持つか持たないか、ここが極めて大事なんだというふうに思うわけです。今、私は、国際的知見に基づいた分析、検証というものがいまだ十分ではないと思っています。

 今年三月、私は終わったとは言いたくないですよ、中間貯蔵施設に全ての土壌が送られた。私、これは認めたくないですよ、まだ仮置場でそのままになっているところもありますから認めたくないですけれども、ある程度そういうふうになった。ということは、フェーズが変わったわけです。フェーズが変わったのであれば、本来は今年からそういうふうな外部的な、国際的な知見に基づいた検証というものは何が何でもやって、それを積み重ねて積み重ねて積み重ねていく先に、将来にちゃんとバトンが渡せる環境があるのではないでしょうか。

 山口大臣、その国際的知見に基づいた分析そして検証を行うというお答え、この場でいただくことはできないでしょうか。よろしくお願いします。

山口国務大臣 除去土壌の再生利用の推進というところがあります。その必要性、安全性等に関する国民の理解醸成を図るということは不可欠だということが大前提ですね。

 そのために御指摘の国際的な理解、評価を得ていくことも重要だという点では共有されています、もちろん。

 これまで、現地調査も含めて、国際原子力機関、IAEAとの会合を重ね、現在、統合報告書の公表に向けてIAEAにおける作業が進行しているところです。

 国際的な理解、評価を得るためにも国際機関との連携協力が重要だ、一つ一つ着実にステップを踏んでいくことも肝要だと思います。

 今後、さらに、国際機関の専門家などに飯舘村長泥地区における再生利用実証事業も視察いただきたいなというふうに思っています。再生利用の説明を行う機会を設けるという意味で、是非ともそれを検討していきたいと思います。

 国際機関と引き続き連携するわけですけれども、これを早期に行えるように努めてまいりたい。

 私が思うに、日本の科学のレベルというのはそんなに低くないです。どちらかというとIAEAにいる専門家よりも詳しい人たちもたくさんいます。ただ、我々は、客観性ということをみんなに理解していただくためにもこのIAEAとのコラボというものをやっていく。IAEAがいなければきちっとした調査がされないということではないです。きちっとした調査をしているけれども、それを国際的にも共有して、やはり大丈夫なんだなと。

 私は、そういう意味で、いろいろな対話フォーラムでもって中間貯蔵施設そしてさらには最終処分のことについて理解を求めるわけですけれども、一番やはり強調しているのは、我々は正直だ、我々は真実一路で来ている、何も隠していないと。ただ、これが安全だというところまで理解いただくために、相当テクニカルなものあるいは専門的なことも踏まえて説明しなければいけない。

 他方、八千ベクレル以下、八千ベクレルを超えるものについてやはりまだ処理のことが残っていますので、そういうことも正直に伝えながら、なおかつ理解醸成を含む中で、その過程の中で、さらにこのIAEAも含んだプロセスというものを飯舘村の長泥地区を実際に見てもらうということも含めて評価していきたいなと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。ただ、私、やはりそれでは足りないと思うんです。

 土壌に関する調査そのもの、再生利用に関する是非、リスク、そして再生利用の方法、この三つの観点だというふうに思っています。今現在やっているのは三つ目だけなのではないかというふうに思います。長泥地区は三つ目のことですよね。

 この三つに関して、日本政府だけがやることでは、国際的な、日本をよく思わない国もあるわけですから、その風評被害には私は勝てないというふうに思います。二〇四五年の時のリーダーに、私はこのときのデータはしっかり残したいんです。それが今私たちに課せられている責任だというふうに思っています。

 仮に私が、仮にですよ、おこがましいですが、そのとき、二〇四五年のリーダーだとして、今挙げられている情報だけでとても判断できるとは思えません。韓国にも、中国にも、ロシアにも、あるいはアメリカにも、様々な国に対して、この土はしっかりと国際的知見に基づいた上の安全な土であると、私は今の状況では決して言える状況ではないと思っています。

 日本政府だけがするのではなくて、国際的知見に基づいた、様々な方々、様々な意見がありますから、様々な意見を踏まえたそういうデータ、そういう分析というものをつくる枠組みを、環境省が先頭に立って、本来は私は本年度から始めてほしかったです、本年度から始めてほしかったですが、本年度に間に合わないならば、せめて来年度、始めていくということをお願いできないでしょうか。

山口国務大臣 IAEAの調査団の中に、私も確かめました、中国と韓国も入っています。

 是非、我々国会議員という立場ということであれば、立法、行政、司法の中の立法。行政とは必ずしも違う、今私は行政の方にいさせていただいていますけれども。そこはやはり、我々が発信するときに安全ではないというふうに断定されると、やはりそこは我々の感覚とはかなり違うんです。ですから、そこは、日本の国会議員がそういうふうに言われていたというふうに言われると、私的には非常につらいです。

 だから、そこは更にいろいろと我々と情報交換もさせていただいて、安全かどうかということに関しては、必ずしも決めつけることなく、もう少し一緒に見詰めさせていただければありがたいと思います。

馬場(雄)委員 時間が参りました。ありがとうございます。

 今の決断が未来をつくる、このことだけ最後に申し上げて、終わりたいと思います。本当にありがとうございました。

関委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 通告になくて申し訳ないんですが、昨日報道で、ウクライナから避難された方が連れてこられたペットのワンちゃんが殺処分されるかもしれないという報道があったところなんですけれども、殺処分されないようにやっていただけないでしょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 現在の、そのウクライナの連れてきたという報道があるということをたった今私どもは承知したところですので、その状況については確認をさせていただいてですね。

 当然、我々、動物愛護管理行政に携わる人間としても、環境省としては殺処分というのは避けるべきというふうに考えておりますので、その状況に応じた形で、どういう状況になっているか確認した上で、それが避けられる方向で考えていきたいと思いますので。

 私、ちょっと、状況を把握していないので具体的なところでのお約束は難しいんですけれども、それについては最大限前向きに検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

漆間委員 是非しっかり、よろしくお願いいたします。

 続きまして、質問に入らせていただきます。

 大阪国際空港におけるアルゼンチンアリの確認事案についてお伺いいたします。

 近年、特定外来生物に指定されているヒアリが国内に侵入する事案が多発しているということで、対応する法改正がこれから、来週審議されるところであります。そして、先週なんですけれども、ヒアリ同様、特定外来生物のアルゼンチンアリが私の地元大阪国際空港の敷地内で大量繁殖しているのが発見されたとの報道がございました。発見に至るまで既に数年にわたって繁殖していると推定されています。

 そこで、今回のアルゼンチンアリ大量繁殖事案について、大臣の御見解をお願いいたします。

山口国務大臣 昨年十二月に大阪国際空港近隣の施設においてアルゼンチンアリが発見されて、そして、その後の環境省を含む関係機関による調査によって空港敷地内で大規模な生息が確認されたと。

 アルゼンチンアリには毒針はなく、人の生命身体に直接的に被害を及ぼすおそれはないものの、在来アリを駆逐するなど生態系に被害を及ぼすというふうに思います。

 アルゼンチンアリは既に国内の一部地域では定着しているが、本事案は特定外来生物の大規模な生息の確認であり、拡散防止のため、速やかな防除が必要であるというふうに思います。

 既に国土交通省、関係地方公共団体、空港管理者等の関係機関や有識者による情報共有体制を構築して、適切な役割分担の下、調査や防除を進めているところです。引き続き関係機関と連携して取り組んでいきます。

漆間委員 よろしくお願いいたします。続きはまた来週の法案質疑でさせていただきたいと思います。

 続きまして、国際金融都市に関して質問させていただきます。

 菅政権のときに国際金融都市につきまして号令があり、規制緩和もなされまして、日本各地で今その取組が進んでいるところです。私の地元大阪でも、国際金融都市に向け、先月、三月二十五日に官民共同の推進委員会第二回目が開催されたところでございます。

 そこで、金融庁にお伺いいたします。現在の国際金融都市の状況や、サステーナブルファイナンスなど環境に関わる部分などがあったりするかと思うんですけれども、コメントをよろしくお願いいたします。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、海外金融機関や高度金融人材を日本に呼び込んで、アジア、世界における世界に開かれた国際金融センターとしての地位を確立することを目指していくということでございまして、金融庁では、関係省庁とも連携いたしまして、要望の強かった税制の抜本的な見直しや、それからビジネス環境、生活面の課題の改善といったところに取り組んできているところでございます。

 それから、先生御指摘のありましたように、海外企業、人材受入れに当たって、やはり地方自治体との取組が不可欠になっております。先生御指摘のように東京、大阪、福岡で取組が進められているということで承知しておりますが、こうした地域とは国としても引き続き積極的に連携をしてまいりたいと思っております。

 さらに、その中で、環境分野に係る取組、これは重要だと思っております。すなわち、脱炭素の実現に向けまして世界全体で設備投資それから技術開発に巨額の資金が必要とされております中で、国内外の投資資金が円滑に供給されるような環境を整備する、そして国際金融センターとして魅力ある市場を構築していくということが必要なんだろうと考えてございます。

 このため、金融庁といたしましては、例えば、サステーナビリティーに関する企業開示の充実ですとか、ESG投資情報を集約する情報プラットフォームの整備、それから金融機関に企業の気候変動対応への支援を促進するといった環境整備に総合的に取り組んでおるところでございまして、金融庁としても今後とも、地方自治体それから関係機関、関係省庁と連携しながらこうした取組を進めてまいりたいと思います。

漆間委員 金融庁の御答弁のとおり、日本各地が国際金融都市を目指す上で環境の視点は欠かせないということでありますが、地方の目指す国際金融都市の取組に環境省としてどう関わっていくのか、お伺いいたします。

山口国務大臣 我々、地球温暖化対策をする際にということで、世界に四千兆円とも言われるようなESGマネーというものを我が国の脱炭素投資に取り込んでいきたいなという気持ちもあります。その意味では、国際的に開かれた魅力ある金融市場が確立されることが重要です。

 同時に、ESGを考慮することが世界の金融界で主流化する中で、国際金融センターの実現を目指すに当たっては、開示等のESGに関する市場のルールの国際的な整合や、金融機関を始めとする市場関係者への取組の浸透が不可欠であろうと思います。今、特に環境と金融というのは非常に密接になっていると思います。

 こういうことで、環境省では、金融庁を始めとする関係省庁と緊密に連携しつつ、国際的な原則と整合を取った形でのグリーンボンドガイドラインの策定等の国内市場のルール整備や、気候変動に関する戦略策定、開示の国際的なスタンダードであるTCFD開示に関する知見の整理や、事業会社や金融機関への支援等を行っているところです。

 また、地域の金融市場がESGの面でも存在感を高めていく上では、それぞれの地域の中小企業や中核企業に取組が広がっていくことが重要だと思っています。

 環境省では、今年度、脱炭素先行地域の創出などを支援する二百億円の新たな交付金、これもお認めいただいたところです。そしてまた、財政投融資を活用した新たな出資制度の創設などにより、地域において脱炭素ドミノを起こす、そういう起爆剤としていきたいと思います。加えて、地域の金融機関を核とした地域のESG推進に向けた支援等を通じて、地域企業の行動変容も促していきたいと思います。

 環境省としても、関係省庁と連携しつつ、世界の市場につながる我が国ESG金融の更なる発展に取り組んでいきたいと思います。

漆間委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 続きまして、今後の気候変動適応策についてお伺いいたします。

 先日の参考人質疑で、斎藤アレックス委員の小西雅子参考人への質疑の中で、仮に二〇三〇年にCO2半減、カーボンニュートラルを五〇年に達成したとしても、気温は一・五度上昇し、十年に一度や五十年に一度の極端な気候の発生確率はほぼ倍増し、海面上昇も継続するとありました。小西参考人は、気候変動への適応策として、気象災害はもう逃げるしかない、あとは途上国に日本の防災技術を普及させるといったことをおっしゃっておりました。

 この後半の部分で、適応策としての途上国への日本の防災技術の普及についてお伺いしたいと思いますが、これは国際貢献としてはもちろんのこと、産業化やESG投資を呼び込むことにもつながると考えますが、その詳細や認識について環境省にお伺いいたします。

小野政府参考人 お答えいたします。

 脆弱な開発途上国への防災技術の普及は非常に重要だと思っております。

 環境省といたしましては、我が国はたくさん災害経験がございます。また、防災、気候変動影響の予測技術もございます。こういった日本が有する知見を活用いたしまして、適応ビジネスの推進という民間企業との連携の観点も含めて、途上国の適応力の向上に向けて貢献をしてまいりたいと思っております。

 具体的な一つの例でございますが、二〇一九年に我が国でアジア太平洋適応情報プラットフォームというのを立ち上げておりますが、これを活用いたしまして、民間企業が保有する防災技術などの適応技術の発信、世界の各地域における気候変動影響予測ツールの公開、開発途上国の行政官への予測ツールの使用方法や外部資金獲得のための研修といった取組を実施しておりまして、こういった取組を更に進めてまいりたいと思っております。

漆間委員 ありがとうございます。

 そういった適応策の取組を、先日の質疑で中川政務官が積極的に御答弁くださった万博に向けたカーボンニュートラルの取組と併せてやっていくべきかと思いますけれども、いかがでしょうか。

中川大臣政務官 御答弁申し上げます。

 気候変動の対策技術及び防災技術は、地域の再生可能エネルギーによる分散電源など、両方にメリットがあるものとしております。海外展開また国際協力におきましてこれらを一体的に推進すること、これは極めて重要であるというふうに思っております。

 そして、先日御答弁申し上げましたとおり、二〇二〇年に設立した環境インフラ海外展開プラットフォームにおいて、我が国の脱炭素技術だけではなくて、今御指摘いただきました防災技術、これにつきましても、情報発信及び相手国での導入支援、これを行ってまいっております。

 引き続き、このプラットフォームを活用しつつ、我が国の脱炭素技術や防災を始めとする気候変動の適応技術を途上国に輸出、展開し、気候変動の緩和と適応の取組を一体的に推進してまいりたいと思っております。

 万博での活用というお話もいただきました。万博での活用につきましても必要に応じて関係機関としっかりと協議をして検討してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

漆間委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 これで終わります。

関委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 今日は、電気自動車の普及や環境会計についてお尋ねしていきたいと思います。

 日本はガソリンカーやハイブリッド車の性能がよいということで電気自動車の普及が遅れているのかなというふうに感じるんですけれども、二〇二一年、世界の電気自動車の新車販売台数が四百六十万台と、二〇二〇年の二・二倍に増え、ハイブリッド車を上回ったという報道を聞いています。

 私の地元の丹波篠山市では、独自の電動車への上乗せ補助を行っておりまして、時速二十キロメートル未満で、篠山の城下町をゆっくりと観光できるよう、小型の電気バスを巡回させることで普及を進めよう、こういう取組をしているんです。先月二十五日、経済産業省の方で、電気自動車への補助金を四十万円から八十五万円にするということで、それと併せて急速電池を設置する費用についても個人宅以外の全てのエリアを補助の対象にするようにとしているということなんですけれども、電気自動車と急速電池についてどのように普及拡大を目標とされているのか、お尋ねしたいと思います。

福永政府参考人 お答えいたします。

 国内の電気自動車の新車販売台数は、二〇二〇年の約一・五万台から二〇二一年では約二・二万台と増加しているものの、新車販売全体に占めるシェアは約一%になっております。

 政府としては、電気自動車の普及に関して、二〇三〇年における国内の乗用車新車販売のうち、電気自動車とプラグインハイブリッド車を合わせて二〇から三〇%とする政府目標を掲げておりますので、政策の強化が必要となっております。

 また、御指摘のとおり、電気自動車の普及に重要となる充電インフラについては、昨年六月に策定したグリーン成長戦略において、二〇三〇年までに急速充電器三万基、普通充電器十二万基の計十五万基の整備目標を掲げております。

 これらの目標の実現に向けては、まさに表裏一体の関係にある車両の普及とこうした充電インフラの整備を同時に推進し好循環を生み出していく必要があると認識しておりまして、今般の令和三年度補正予算、令和四年度当初予算において、購入支援と充電インフラ整備の関連予算事業として総額四百五十五億円を盛り込んでおります。ここで、御指摘の電気自動車の補助額を最大四十万円から八十五万円にしております。

 あわせて、充電インフラの整備については、昨年度の六倍強となる六十五億円の整備支援事業で設置しておりまして、委員御指摘の急速充電器に対しても設備費、工事費の補助を拡充して、サービスエリア、パーキングエリアへの普及等を推進してまいりたいと思っております。

 引き続き、関係省庁とも連携して、電気自動車の導入促進及び充電インフラの整備に向けてしっかりと取り組んでまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。具体的に目標を掲げられて進められているということなんですけれども。

 私の地元の豊岡市では、昨年七月に兵庫県で初めて公用車に超小型電気自動車シーポッドを導入しました。五年間のリースということなんですけれども。環境省では昨年十一月に、公用車や社用車として電気自動車を導入するときに最大百万円を補助する制度をつくっているということなんですけれども、その制度の反響はいかがでしょうか。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、移動の脱炭素化、地域住民の足の確保、災害に対するレジリエンス強化を図ることを目的といたしまして、先生御指摘いただきました事業、令和三年度補正予算から、再エネ発電設備と、カーシェアを行う公用車それから社用車も含めまして電気自動車、プラグインハイブリッド自動車の導入を促す補助事業を創設いたしました。この補助事業は、EV、電気自動車一台の導入について最大百万円の補助を行うという中身になっております。

 補正予算の成立をいただきまして、先月下旬から申請の受付を開始したところでございます。現時点で正式な申請というところまでは至っておりませんけれども、自治体それから民間企業から様々なお問合せをいただいておりまして、今後地方公共団体あるいは社用車を有しています民間企業で導入を前向きに検討いただけるというふうに考えております。

 引き続き、地方公共団体、民間企業からのお問合せに丁寧に対応して、公用車及び社用車におけるEVの普及に貢献していきたいと思っております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。是非、普及に努めていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 環境省では、平成三十年、環境報告ガイドライン二〇一八年版を策定しています。環境報告では、化石燃料など直接的な排出量であるスコープ1や、電力など間接的な排出量であるスコープ2、サプライチェーンの排出量であるスコープ3までを含めています。

 先日、インドネシアで二酸化炭素の排出量が実質ゼロであると言われている液化天然ガスのプロジェクトのクレジットを認証して取引しているということがありましたけれども、この中で、新規開発規制で区域が三分の一に縮小しているにもかかわらず、全域が伐採されることを前提でCO2削減量効果をはじき出したクレジットを出し続けるということがあったという事例がありました。つまり、クレジットを認証して、事態の変化が生じても反映しないというケースが多くあるということです。

 環境報告の前提には排出量の正確な算出が必要だと考えていますけれども、サプライチェーンまでも含めた二酸化炭素などの排出量、スコープ3に対する信頼性をどのように確保していくのか、この辺りをお尋ねしたいと思います。

小野政府参考人 お答えいたします。

 まず、スコープ3の前に、個々の工場、事業所からの排出量でございますけれども、地球温暖化対策推進法におきまして温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度というのがございます。これで一定量以上排出する事業者に定期報告を義務づけてございます。企業からの報告情報を国がチェックするとともに、虚偽の報告に対しては罰則規定を設けるということでまず信頼性の確保を図っております。

 その上で、スコープ3排出量を含むサプライチェーン排出量についてはこの義務の対象とはなっておりませんけれども、積極的に開示される企業を支援するために、環境省として、算定ガイドラインや算定に必要なデータを公表し、ヘルプデスクを通じて企業からの問合せに対応するといったことで支援させていただいております。

 引き続き、企業の適切な排出量算定、情報開示を支援してまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。正確にこの辺りをしっかりとしないと、水増し請求であったりということが起こっているということなので、検証していただきたいと思います。

 環境報告について、ESG投資は、先ほどから出ていますけれども、上場企業にとってはメリットがあるということですけれども、非上場にとっては余りメリットがないのかなというふうに感じています。四月一日から、東京証券取引所のプライム市場で上場する企業についてはスコープ3までの開示が求められるということになっています。環境報告について非上場まで対象に行う、今後そういった予定はございますでしょうか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 上場企業がそのサプライヤーである非上場企業に対しまして排出量情報の提供を求めるという動きは大変広がってきております。

 非上場企業につきましては、まずは自らの工場、事業所等からの排出量、すなわちそれぞれのスコープ1、スコープ2排出量をしっかり把握して、削減していくことが重要だと思っております。

 環境省では、非上場企業を含む中小企業の排出量算定や削減を支援すべく、セミナーを実施したり、CO2削減量に応じた設備導入への補助を行うなど、ソフト、ハードの両面から後押しをさせていただきたいと思っております。

遠藤(良)委員 国際会計基準の算定に関わるIFRS財団では、国際的に統一された気候変動に関する開示基準を来年にも導入しようという動きがあります。新たな開示基準が定められると企業に影響を及ぼすということになると思いますけれども、金融庁としてこの辺りをどのようにお考えでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、IFRS財団の下に設置されました国際サステーナビリティー基準審議会、ISSBでは、本年中に気候変動を含むサステーナビリティーに関する国際的な開示基準を策定する予定と承知しております。こうした取組に対し日本として積極的に参加、貢献していくことが重要であると認識しております。

 我が国ではこれまで国内の民間関係者、関係省庁が連携しながら対応しておりまして、IFRS財団への資金拠出の意向を官民共同で表明しているほか、ISSBの基準策定に対する意見発信及びそれを踏まえた国内の基準開発を行うために、財務会計基準機構の下に新たにサステーナビリティー基準委員会を設置することが決定しております。

 さらに、IFRS財団の拠点については、官民一体で積極的に働きかけた結果、東京の拠点の継続が決定されております。

 ISSBの基準策定に対しては、サステーナビリティー基準委員会が中心となって国内の開示実務や投資家の期待を集約しつつ、日本として意見発信を行っていくこととなると承知しております。

 金融庁としましても、国際的な開示基準の策定に日本として積極的に参加、貢献できるよう、引き続き関係省庁及び民間の関係者と連携して対応してまいります。

遠藤(良)委員 国際会計基準については、EUであったり中国、アメリカ・カリフォルニア州の規制によって、海外では電気自動車のテスラが本業でクレジットで販売収益を得ている。経済産業省としましても、日本のメーカーの国際協力を高めていただきますよう要望します。

 最後に、メタバースの脱炭素化について質問していきたいと思うんです。

 ゲームのポケットモンスター、ポケモンと言われるゲームがあるんですけれども、発電する道路が整備された再生可能エネルギーの町というものがこのゲームの中に出現したようです。あと、あつまれどうぶつの森、あつ森というゲームがあるんですけれども、これでは中国電力がえねるぎあ島という脱炭素の島を公開している、こういう動きがちょっとあるんです。これは仮想空間の一部だと捉えているんですけれども、今後このメタバースが普及していく中で、脱炭素に向けて、山口大臣、この辺りをどのように思われるでしょうか。

山口国務大臣 GX、グリーントランスフォーメーションを進めるに当たっては、DX、デジタルトランスフォーメーションを同時に推進するということが脱炭素社会の実現に向けては大事だろうというふうに思います。

 御指摘のメタバースを通じた国民への普及啓発については、東京ゲームショウあるいは東京ガールズコレクションのメタバース空間に環境省ブースを出展し、脱炭素行動の呼びかけをしているところです。

 今後とも、デジタル空間を活用した国民の脱炭素型ライフスタイルへの転換の呼びかけなど、デジタル技術も活用した脱炭素化を強力に進めてまいらなければいけないと思っています。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。積極的にメタバースについても環境省には取り組んでいただきたいと思います。

 以上になります。ありがとうございました。

関委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。本日もよろしくお願いします。

 まず、先ほど同僚の漆間議員が質疑をしておりましたが、ウクライナからの避難民の愛犬の方ですけれども、これを大臣にお伺いしたいんです。

 日本では、狂犬病予防法に基づき、最長百八十日間、動物検疫所で検査を受けることが義務づけられている。ということで、百八十日の隔離、これは仕方ないにしても、検疫所から御家族にメールが来まして、一泊三千円掛ける百八十一日分と交通費三千円で五十四万六千円、これを支払わなければ犬の世話をすることはできませんというようなメッセージが届いたそうです。

 本当にお役所仕事だなというところが否めないんですけれども、大臣、きちんとこれは殺処分しないということを確認したいんですけれども、御答弁をよろしくお願いいたします。

山口国務大臣 農水省からは、動物検疫所が飼育費用を請求している事実はなく、また、すぐに殺処分することはないというふうに聞いています。

 環境省としても、避難民とともに連れてこられたペットが殺処分されることがないよう、農水省と連携して取り組む所存です。

奥下委員 そうですね、だったらそのメールは何だったのかというところと、避難されてきて、まだ十七歳の女の子ですから、ただでさえ傷ついているのに、こういった日本のお役所仕事で余計傷つけてしまったという事実だけは御認識いただいて、今後はこのようなことがないようによろしくお願いいたします。

 では、質疑に入らせていただきます。脱炭素化に向けた水素の活用についてお尋ねしたいんですけれども。

 利用の際に温室効果ガスを排出しないということから、脱炭素化社会の実現に向けた次世代エネルギーとして国内外で近年注目されていますが、水素の製造、輸送などの過程においては温室効果ガスの排出は避けられないと考えますが、今後脱炭素化に向けて水素を利用する際にサプライチェーンの構築が必要と考えますが、環境省のお考えをお聞かせください。

小野政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルに向け、水素の活用は非常に重要だと考えております。再エネの大量導入と併せての水素の導入ということが非常に重要だと思っております。

 委員から御指摘がございましたけれども、水素は利用の際にはCO2を出さないということなんですけれども、製造、輸送の過程においてもCO2を出さないようにしないとカーボンニュートラルということにはならないということでございます。具体には、環境省としては、例えば製造の過程で再エネとか廃プラスチック類などの地域資源の活用を行うとか、輸送の過程では例えばバッテリー交換式の電気自動車や水素内燃機関のトラックを活用するとかといった開発も進めて、全体としてカーボンニュートラルになるようにということで取組を行っております。

 また、環境省では、福島県の浪江町の福島水素エネルギー研究フィールドから供給される、製造段階でCO2を排出しない再エネ由来の水素を利活用するモデル事業も実施してございます。こういった地域資源を活用して水素の製造、輸送を行う、こういう脱炭素な水素サプライチェーンを構築する実証事業を行っております。

 こういったことで、サプライチェーンを含めまして脱炭素化が図られるように、しっかりと社会実装を進めてまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。是非、脱炭素化に向けた全体像の中できちんとしたサプライチェーンを構築していただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次に、水素をエネルギーとして利用する場合、水素エネルギーに特化した法律体系が整理されておらず、ガス事業や高圧ガスの取扱い等に係る法規がばらばらに存在しています。現在、水素の製造、貯蓄等に適用されるのは高圧ガス保安法が中心的になるとのことですが、そのほかにも、消防法、建築基準法、都市計画法などなど、多くの関連した法規があります。水素に関わる国内法制の一元化をするお考えや準備をされていたりすることはあるのでしょうか。

苗村政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を見据え、水素は幅広い用途での活用が期待され、発電や産業、輸送など、様々な部門において実用化、商用化に向けた取組を強化していくことが必要となっております。そのため、水素の産業保安規制につきましては、これまでも、安全を前提としつつ、各分野の規制整備を精力的に進めてまいりました。

 例えば、水素ステーションについて遠隔監視による無人運転を行う場合の規制の緩和を行ったほか、燃料電池自動車について高圧ガス保安法と道路運送車両法の二つの法令が適用されているところ、これらの規制の一元化を図る改正法案を国会に提出いたしました。

 これら以外の分野も含めまして、事業者による実用化に向けた取組の状況を踏まえつつ、各分野の規制整備を順次図ってまいります。

 例えば、発電分野では、水素発電の実用化に向け、高圧ガス保安法の技術基準を参考にしつつ、今年度上期を目途に必要な技術基準の整備を行うこととしております。加えまして、水素利用に関する様々な既存の産業保安規制の見直しを含め、サプライチェーン全体を見渡した今後の規制の在り方を示す水素保安戦略を今年度中に策定することとしております。

 引き続き、経済産業省といたしましては、水素の社会実装に向けて、どういった形で対応するのが適切か、産業保安規制の在り方をしっかり検討してまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間が押しているので、次へ行きます。

 水素導入量拡大と低コスト化を図るため、海外の再エネや未利用の化石資源等を用いて製造した安価な水素をオーストラリアや中東から輸入することを模索されているとのことですが、世界的に、水素利用拡大に伴い、他国との水素資源の獲得競争が激化するおそれや、また中東においては安全保障上の懸念から海上ルートを確保する必要性が出てくると思いますが、この辺りの対策は考えられているのでしょうか。

茂木政府参考人 御指摘のとおり、水素導入を拡大していくためには安定した水素の製造と供給基盤を構築する必要がありまして、そのポイントは、やはり供給ソースの多角化、多様化ということになります。

 水素はいろいろなエネルギーから、資源から製造できるものでありまして、例えば、再エネ電気から水素を製造する水電解装置の開発ですとか、あるいは褐炭のような未利用資源から水素を製造する技術ですとか、こういった技術の多様化をまず進めています。

 それから、供給ソースとしても、今、豪州や中東もございますが、例えばブルネイやマレーシアといった東南アジア諸国とも密に連携しながら世界に先駆けた水素の海上輸送技術などを磨いておりまして、複数の関係国との関係維持強化を今後も進めてまいります。

 それから、今は資源国ではありませんが、再エネ資源が豊富に存在する地域も将来の水素供給源となり得ます。そういう意味では、国際的なサプライチェーンが発達していくに伴いまして、こうした地域からの供給を模索していく必要もあると思っています。

 こうした取組に加えまして、地政学リスクがない国内の再エネを活用した水素の供給体制、これも確保して、併せて水素の安定供給を確立してまいりたいと考えています。

奥下委員 ありがとうございます。

 諸外国が急速に技術開発を進めていますが、諸外国との共同研究を進めるなど、国際連携を強化する意義も増えてくると思います。人材育成の観点から日本の若手研究者を海外の研究機関に留学させて育成を図るなど、日本がリードしているところも多いものですから、日本人の研究者の海外派遣や、海外の若手研究者を日本に招聘するなど、日本の海外における影響力を強めるいい機会だとは思うのですが、文科省さんのお考えをお聞かせください。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の科学技術振興に当たりましては、御指摘のとおり、諸外国との交流、協力を推進いたしまして、国際的な研究ネットワークを構築していくことが極めて重要でございます。特に近年、世界的に科学技術イノベーションの戦略的価値が高まる中で、我が国がそのネットワークの中核に位置づけられることが必要になると考えてございます。

 このため、文部科学省といたしましては、若手研究者を海外に派遣する海外特別研究員事業や、優秀な若手研究者を国内に受け入れる外国人研究者招聘事業などを通じた研究者交流を進めますとともに、各国との連携協力を通じた国際共同研究を推進するなど、取組を進めてございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、国際的な研究ネットワーク構築に向けた取組強化を通じまして、我が国の科学技術振興に努めてまいりたいと存じます。

奥下委員 今ちょっと聞いていて思い出したんですけれども、僕が秘書をしているときですから約二十年前ですかね、政府主導で沖縄科学技術大学院大学、通称OISTと呼ばれるものができたと思うんですけれども、ああいったところにせっかくお金をかけて今までやってこられてきたわけですから、現状は分からないですけれども、たしか五十人に毎年満たない入学者で、うち八割以上が外国人だったと記憶していますが、せっかく政府がお金を出してやっているわけですから、きちんと日本に、その研究結果がコミットできるような、そういったことも見直しながら新たなサプライチェーンに取り組んでいただけたらと思います。

 済みません、お時間が来てしまいましたので、これで私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

関委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。

 通告した順番と前後しますけれども、初めに、子どもの健康と環境に関する全国調査、エコチル調査について質問をさせていただければと思います。

 化学物質などが子供の健康、成長に与える影響を解明する目的で二〇一〇年度から全国で調査が進められておりますが、この調査によって、子供の化学物質等の暴露とアレルギー疾患など健康影響との関連が明らかになるなど、有益な知見が数多く得られていると伺っております。十万組という多くの親子を対象とした大規模な追跡調査は世界的にも珍しく、子供の健康を守るために必要な科学的根拠を得るためにも大変重要な調査と考えます。

 当初、十三歳になるまでとしていた調査期間を、今回、四十歳程度まで調査を継続することになりましたが、調査期間を延長する理由、それと期待される成果についてお伺いしたいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 二〇一〇年度のエコチル調査開始時に作成しました基本計画では調査対象が十二歳までとなっていることから、昨年七月に健康と環境に関する疫学調査検討会を立ち上げ、十三歳以降の展開等について検討を行ってきたところでございます。

 本年三月二十九日に公表された検討会報告書では、胎児期の化学物質への暴露と不妊症、生活習慣病などの思春期以降に発症する疾病等との関連や、参加者の子供の次の世代の子供への健康影響等を明らかにすることが期待されることから、十三歳以降四十歳程度まで調査を展開することが適当とされております。

 今年度中に十三歳以降の調査実施に向けた基本計画等を作成することとしておりまして、これらの取組を着実に進めてまいりたいと存じます。

角田委員 これから更に三十年程度と長期に及ぶ調査を継続する上で、膨大なデータの収集とその整理や、調査によって得られた成果の活用など、体制の充実も図っていく必要があると考えますけれども、この調査継続に当たっての課題と、それに対する今後の対応についてお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 エコチル調査は、今国土交通大臣をされている斉藤鉄夫さんが環境大臣のときに始められて、非常によかったと思います。

 したがって、これを延長してということ、そのデータも活用が更に進むようにということで、今回、エコチル調査により収集している生体試料の分析結果等の膨大なデータは今後の調査継続により更に集積が進むことが見込まれていますので、これらのデータがより幅広い分野の研究者等と共有されることにより、様々な研究に活用していただき、その研究成果を積極的に社会還元していくことが重要と考えています。

 このために、今月一日、国立環境研究所エコチル調査コアセンターにデータ共有部門を新設し、そこに専任の職員を置くことにしました。体制の充実強化を図らせていただいたところです。

 その意味で、この調査の成果を、健康リスクを低減するための啓発、あるいは国民の行動変容の促進、社会のリスク低減対策の促進、さらには国際貢献等につなげてまいりたいと思います。

角田委員 ありがとうございます。

 これからの世代、子供の健やかな成長のためにも非常に重要な事業であると思います。また一方で息の長い事業でもあるわけですので、必要な体制をしっかり整えてこれから進めていっていただきたいということを要望させていただきたいと思います。

 次の質問に移りますけれども、合併浄化槽の整備について質問したいと思います。

 し尿と併せて雑排水も処理する合併処理浄化槽は、生活環境の改善、公共用水域の水質改善を図る上で重要な役割を担っており、特に、住宅等が散在して下水道などによる集中的な処理が効率的でない地域での整備の推進と適切な維持管理の確保が求められていると思います。

 分散処理方式である合併処理浄化槽は、その機能を十分に発揮するために継続的な維持管理が不可欠となります。この点、法定検査の受検率を見てみますと、設置時に行う七条検査の受検率こそ令和元年現在全国で九四%に達しておりますが、毎年実施することになっている十一条検査の受検率は、単独浄化槽を除いた合併浄化槽のみに限って見ても六二%、六割程度にとどまっています。さらに、都道府県ごとにこの受検率を見てまいりますと、地域によってかなりばらつきが大きくなっております。

 整備の効果が継続して十分に発揮されるためには受検率向上が大きな課題となっているようですが、まず、この受検率、地域によって大きな差が生じている理由についてお伺いしたいと思います。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、浄化槽がその機能を十分に発揮するためには法定検査が大変重要でございます。

 法定検査の受検率は徐々に上昇してきておるものの、令和二年度においては浄化槽全体の受検率は単独処理浄化槽を含む場合で全国平均四五・七%ということで、先生がおっしゃったとおり、合併処理浄化槽に限っても六割台ということでございます。

 一部の県では法定検査の受検率が九割を超えているような水準となっているところもございまして、これらの県では、浄化槽台帳システムを整備する、それから保守点検、清掃、法定検査の一括契約を行う、未受検者に対しての受検勧奨などに関係者が連携して取り組んでいる、そういった理由がございます。

 環境省としては、未受検の浄化槽を的確に把握するためにも、引き続き、浄化槽台帳システムの整備を促進するとともに、行政、指定検査機関や関係業界等の連携促進による受検手続の円滑化等に取り組む都道府県等に対する支援を進めていきたいと思います。

角田委員 浄化槽について適切な管理を確保する目的で、令和元年の法改正で都道府県に浄化槽台帳の作成が義務づけられましたが、いまだ未整備の県も八県あり、まずは台帳の早急な整備が求められます。

 ただ、整備されているところでも正確かつ最新の情報が反映されたものとなっているかどうかが最も大事なところだと思いますが、特にこの点について、浄化槽を廃止した際に提出しなければならない使用廃止届が未提出のために、台帳上は残り続け、実際の設置基数と大きな隔たりが生じているとの指摘もあります。

 そもそも、使用廃止届の提出は平成十七年の法改正によって規定された内容であることから、法改正以前に廃止された浄化槽については廃止の有無が不明確であるという現状があります。その多くは現在三百六十四万基存在しているとされる単独浄化槽と考えられ、受検率が極端に低くなっている地域ではその分母が実際よりもかなり大きくなっているからではないかとの意見もあります。実際に設置されている単独浄化槽については、合併浄化槽への早期の転換を働きかけていく必要があります。

 いずれにしても、本当にあるのかないのかよく分からない台帳では意味がありません。合併浄化槽の整備促進と適切な維持管理を確保するために、指定検査機関や保守点検業者、清掃業者の協力を得て、さらには臨時の検査員も動員して全国的に悉皆調査を行う、そのために国も支援を行うべきではないかと考えますが、見解を伺いたいと思います。

 あわせて、台帳管理は、下水道事業を実施し、浄化槽設置、維持管理等の取次窓口ともなっている市町村が担うことが最新かつ正確な情報を台帳に反映する上でも理にかなっていると考えますが、この点についても併せて見解を伺いたいと思います。

室石政府参考人 御回答申し上げます。

 委員御指摘のとおり、浄化槽台帳は大変大事でございます。

 台帳整備に当たりましては、各都道府県等において、市町村や浄化槽関係業者とも連携しながら、御指摘のような、浄化槽の設置・維持管理情報がなくなってしまっているとか、そういったことについての精査、データ化等の取組が行われておりまして、これらの取組については環境省では循環交付金により支援を行っておるところでございます。

 また、後半の方でございますが、浄化槽台帳の整備を含む浄化槽の維持管理に関する事務は浄化槽法上は都道府県と保健所設置市の事務というふうにされておりますけれども、御指摘のとおり、浄化槽台帳の整備に当たっては市町村が果たす役割が大変大きいというふうに認識しておりまして、市町村を始めとした関係者との連携が大変重要でございます。環境省としては、引き続き、適正な台帳整備の推進のために、浄化槽法に基づく法定の協議会の活用等を通じて関係者間の連携強化を促してまいりたいというふうに思います。

角田委員 こうした面について、国としてもしっかりと十分な支援を行っていただきたい、また、そのために交付金等についても必要な額をしっかりと確保して進めていただきたいということを要望させていただければと思います。

 合併浄化槽は、近年では、災害時にも機能を維持しやすいことから、災害対策としての取組も進みつつあります。

 私の地元でも、二〇一九年の台風災害で防災拠点や広域避難所のトイレが停電によって長期にわたり使用できなくなった教訓から、浄化槽維持管理団体と、災害時に市が所有する発電機を使ってポンプを復旧させトイレを使用できるようにするほか、汚物の緊急処理などを内容とする災害時の協力協定を締結する自治体も現れてきております。

 災害時の停電や断水の場合でも、電源は自家発電によって賄える、流す水についても、別に水道水質基準を満たしている必要はありませんので、生活用水確保のための防災井戸や学校プールの水でも機能を維持することが可能です。災害対策としての避難所等への合併処理浄化槽の整備は積極的に検討されるべきと考えますが、このことは、合併処理浄化槽で整備すべき区域はもちろんのこと、とりわけ人口が密集している地域、下水道整備地域でも積極的に検討すべきであるというふうに考えます。

 パイプラインで一か所に汚水を集めて集中処理する下水道のシステムは、人口が密集している地域では平時は最も効率がよいシステムですが、地震等で被災した場合、その影響が広範囲に及ぶという面があります。それが端的に示されたのが一つには阪神・淡路大震災であったと思います。震源のすぐ近くにあった下水処理場が破壊をされた、本来は壊れるはずがないと思われていた施設が破壊をされ、それによって数万あるいは数十万の影響が出たということもございました。

 災害拠点におけるトイレの重要性というのは非常に高いと思っておりまして、どんな場合でも自立的に機能する、そのために合併処理の浄化槽についても整備を前向きに検討すべきというふうに考えております。下水道整備区域で災害対策として合併処理浄化槽を整備することについて、この点についてはどのように整理をされているのか、公共下水道を所管する国土交通省に見解を伺いたいと思います。

植松政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道が地震により被災した場合、公衆衛生や公共用水域等の水質保全等に重大な影響を及ぼすことから、下水道施設の耐震化等の地震対策を進めているところでございます。

 実際に耐震化を実施した下水道施設においてはこれまで大規模地震で機能障害がほぼ生じていないことから、耐震化対策は極めて有効だと思っております。このため、下水道の整備済み区域においても、災害時において重要な役割を果たす避難所や防災拠点に接続する管渠あるいは処理場の耐震化を優先的に推進することとしており、いわゆる防災・減災、国土強靱化のための五か年加速対策も活用し、重点的に支援をしているところでございます。

 また、耐震化が未了な区域で被災した場合については、仮設ポンプ等の応急資機材の確保等を定めたいわゆるBCP、業務継続計画に基づき、下水道施設の早期復旧に努め、下水道が果たすべき機能を維持してまいります。

 その上で、下水道の整備済み区域において避難所に合併浄化槽を設置することについては、通常時に下水道を使用することなどを前提に認められており、これを設置するかどうかは各市町村において適切に判断されるものと認識しております。

角田委員 ということでありますので、環境省としても災害対策としての合併浄化槽の活用についてもしっかりとまた広報啓発を行っていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

関委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日は、エネルギー安全保障について御質問させていただきたいと思います。資源エネルギー庁の方にもお越しいただいています。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 現下、大変、燃料価格、資源価格が高騰しています。第一次世界大戦後、化石燃料をめぐって世界情勢が動いてきましたし、日本の第二次世界大戦突入の決断の一つの背景にもなっていますけれども、化石燃料を中心とした地政学の動きというものが改めて現代のこの二十一世紀においても強い影響力を及ぼしているということが、ロシアのウクライナ侵略に伴う様々な案件で明らかになっているというふうに思います。

 脱炭素に向けた機運が高まって取組が始まったところでありますけれども、当然、依然として世界の経済は化石燃料に依存する部分が大きく、化石燃料の安定調達なしでは経済が成り立たないということは間違いありません。まず、資源エネルギー庁の方にお伺いしたいんですけれども、今回、ロシアからの禁輸を決断する国もあれば、日本においては安定調達の懸念からまだ調達を続けているところでございますけれども、様々な価格高騰などの中でどういった安定調達の取組を行っていらっしゃるか、簡単に教えていただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 化石燃料は、現時点で我が国のエネルギー供給の約八割を担っておりまして、今後、脱炭素化を強力に進めていく中でも、二〇三〇年時点では一次エネルギー供給の約七割を占める、今後とも引き続き重要なエネルギー源でございます。

 現下では、石油につきましては、ウクライナ情勢によるロシア産原油等の供給不足を受けまして、IEA加盟国全体で総量一・二億バレルの協調備蓄放出を決定して、日本は、アメリカに次ぐ一千五百万バレルの放出を決定し、市場の安定化を図っているところでございます。

 天然ガスにつきましては、ロシア以外のLNG生産国やスポットマーケットからの代替調達、これが世界中で取り合いになっておりまして厳しい状況にございますけれども、日本では、事業者間の融通に加えまして、電力システム全体での機動的な広域融通などにも取り組んでいくこととしております。

 石炭につきましては、御指摘のとおり、対ロ制裁の一環としてロシアからの輸入を段階的に低減していくということになっておりますが、その際も、この夏や冬の電力需給や産業界への影響をしっかり見極めながら、調達先の多角化、必要な火力発電の確保など、安定供給確保の取組を進めることとしてございます。

 中長期的には、脱炭素への移行期にも必要となります化石燃料の安定供給確保を図るため、積極的な資源外交あるいはJOGMECなどを通じたリスクマネー供給により上流開発を積極的に支援し、調達先の多角化を進めていきたいというふうに考えてございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。今お答えいただいたとおり、脱炭素化を進める中でも、一次エネルギー源として七割を二〇三〇年時点で化石燃料に頼るということになりますので、これを安定的に調達していくことが重要なのは当然のことだと思います。

 そして、私は、この環境委員会でこの話を取り上げている理由なんですけれども、資源価格の高騰などが続いて化石燃料による発電コストなどが高まってしまうことは脱炭素化の動きにも悪影響を及ぼしてしまうというふうに考えていまして、そういった意味でこの環境委員会で取り上げさせていただいております。

 現状、発電コストが高い再生可能エネルギーを化石燃料による既存の伝統的な発電方式と組み合わせてコストをならしている、抑えているという現状があると思いますけれども、化石燃料の方まで価格がどんどん上がってしまいますと、再生可能エネルギーの方に割り振るコストの余力がなくなってしまって、国内全体での脱炭素化に関する機運であったりとか国民感情、消費者感情が全世界で悪化をしてしまうことにつながりかねないと考えております。

 少し通告の順番が前後してしまうんですけれども、現状、一世帯当たり、再エネ促進賦課金を幾ら払っていることになるのか、お答えいただけますでしょうか。

茂木政府参考人 令和四年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金でございますが、一キロワット当たり三・四五円ということになります。一か月の電気料金に換算しますと、標準的な一家庭で月額八百九十七円ぐらいということですので、電気料金に占める比率でいいますと大体一二%ぐらいということになります。

斎藤(ア)委員 この金額なんですけれども、固定買取りの部分が増えたりとか金額が上がることに伴って今後とも上がる可能性があると。計算方式は買取り部分だけで決まるわけではございませんので、ここがまだ上がる可能性があるということですので、そういった意味でも化石燃料での調達というのを安定的に行っていくことが重要だと思います。

 こういったところ、脱炭素化という極めて全世界で重要な、この国の国民の生命を守る上でも極めて重要な政策課題に対して化石燃料の安定調達であったり価格の抑制というものが重要だという認識は、資源エネルギー庁の方でも持っていただいているでしょうか。御答弁をいただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、資源をめぐる国際情勢、ロシアもそうですし、今後、様々な、いろいろな要因で変動することが想定されます。

 一方で、カーボンニュートラル二〇五〇年の実現に向けて、それに向けて強力な再エネそれからクリーンなエネルギーの利用ということを進めていく必要がございますけれども、その中でもやはり化石燃料に頼っていかざるを得ない部分もあります。したがいまして、いろいろなエネルギー源をしっかり安定的に確保する、その安定供給に向けた取組というのは極めて重要な課題であるというふうに認識してございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 近年は、ESG投資であったりとか脱炭素化の取組を加速しようということで、金融機関においては、石炭を中心にですけれども、こういった部分への融資とか投資をなくしていこうという動きが強まっています。

 それでも、石炭は別に置いておくとして、化石燃料全体ではやはりこれからも世界が、そして日本が頼っていかなければならない部分があるので、決してこういった火力部分への投資に関してもシャイになってはいけないというふうに私は思います。それが脱炭素化を円滑に進めていく上で極めて重要ですし、現下の政治状況下ではやはりできるだけロシアから化石燃料を買うというのは減らしていくことが日本としても重要だと考えていますので、そういった意味でも化石燃料部門への投資はしっかりと続けていただきたいというふうに思います。

 また、先ほどの質問でもありましたけれども、電力供給が不安定になって停電のおそれが出てきたことがありましたけれども、電力自由化になって、やはり電力供給の責任は一義的には政府にあるというところですから、電力会社に責任を取ってもらうことができない今の自由化の状況ですので、しっかりとそういった部分でも安定調達、供給に努めていただきたいというふうに考えております。

 こういった意味で、化石燃料による地政学リスクが今極めて顕在化しているところなんですけれども、私は、この委員会の場で改めて、再生可能エネルギー発電に関しても決して地政学リスクからは解放されないということを資源エネルギー庁であったり環境省の皆様にも御認識いただきたいということで、質問させていただきたいと思います。

 先ほど、質問の中で、資源エネルギー庁か経産省の方から地政学リスクのない再生可能エネルギーという御発言があったんですけれども、決してそうではないということをこの質疑の中でお話をさせていただきたいと思っております。

 まず、例えば、これは繰り返し言われていますけれども、風力発電所の設備を海外に頼っている、特に中国はどんどんそのシェアを伸ばして、日本国内では、ブレードなど、こういった風力発電の設備を一括して造れる業者がなくなってしまっている、こういったことが続いていくとメンテナンスや更新に関しても海外に頼るということになってしまいますけれども、これは非常に分かりやすい地政学リスクだというふうに思います。

 こういった国からの輸入が滞ってしまえば、あるいは供給ができなくなってしまえば国内で発電設備が持てなくなってしまう、そういったことが起こりかねませんので、こういった意味でも、現在環境省さんでも取り組んでいただいている再生可能エネルギー関連の取組というのは日本のエネルギー安全保障に関しても極めて重要な影響を与えると考えています。この再生可能エネルギーの部分をしっかりと国内で強くしていくことは日本の安全保障にとって重要だと考えているんですけれども、その点の御認識、環境大臣からも御意見とか御認識を伺えればと思います。

山口国務大臣 再生可能エネルギーは、脱炭素化のために必要であるだけでなくて、エネルギー自給率の向上に寄与するという意味で重要な国産エネルギー源であると認識しています。

 他方、先ほどからおっしゃっていただいているように、例えば、太陽光パネルについても中国のやつが安いからどんどん入ってきている、そして太陽光パネルをたくさん設置したら中国にお金が流れるのか、そんな意見もありますよね。その辺を考えると、やはり、国産の設備というものを整えていきたい、いってほしいなということを強く思います。

 長期的には、関連設備のサプライチェーンにおける日本企業の競争力の確保等もそういう意味では非常に重要であると認識しています。例えば、経済産業省において、今後の市場拡大が見込まれる次世代型太陽電池やあるいは浮体式の洋上風力に関する技術開発を支援されているというふうに承知しています。

 環境省としては、こうした視点も踏まえながら、将来的な日本の技術競争力の確保も含め、脱炭素社会の実現に向けて、関係省庁と連携し、再生可能エネルギーの導入拡大を進めていきたいと思います。

 先ほどロシアのこともおっしゃっていただいたですけれども、例えば、石油が四%とか、天然ガスが九、あるいは石炭が一一、こういうものが残っていると制裁の効果というのがどうしても限られてくる、その辺をヨーロッパも気づいて、我々も石炭からまず始めるということですね。だから、そういう意味では、今回、非常に大きな転機になる可能性が非常に強いですね。

 そういう意味では、この再生可能エネルギーを自前の、国産のという意味でもやっていくということになると思うんです。他方、おっしゃっているとおり、そのことが、かえってよその国の企業にお金が流れるというのは、若干そこは私は不本意だから、すぐにはできなくても、即、千里の道も一歩から、今からそういう動きを、各省が連携して、その機運を進めていきたいなというふうに思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 大臣のおっしゃるとおりで、ヨーロッパは今、電気代とかガス代がとんでもないことになっていて、そういったことになってしまうと産業がもう成り立たないということになってしまうと思いますので、ロシアから、あるいは地政学リスクから解放されるためにも、再生可能エネルギーに転換するだけでは地政学リスクからは解放されない、国内でしっかりとサプライチェーンを構築するだとか、あと、風力関連とか再生可能エネルギー関連のものを造る上でも必要な資源を確保していくとか、そういった取組をしていかなければならないと思っています。

 せっかく、脱炭素化、再生可能エネルギーを主力電源化するということは、ずっと資源輸入国であるこの日本が資源を輸入するレベルを減らせる、自分たちの国内にある自然エネルギーで発電できるようになるという大きなチャンスだと思いますので、必ずこのチャンスを捉えて、サプライチェーンも含めて国内で成り立つようにしていただきたいと考えています。

 こういった観点で、我々国民民主党は、先週の金曜日にウクライナ情勢・資源価格高騰を受けた緊急経済対策を取りまとめさせていただいて、その中でグリーンイノベーション基金の一兆円の増額といったものも御提案をさせていただいています。今投資をしていくことが将来の競争力の強化につながると思いますので、是非とも、こういった提案なども検討いただき、更なる投資の拡大というものを御検討いただきたいというふうに考えております。

 こういった中で、ちょっと細かい話になってしまうんですけれども、再生可能エネルギーが主電源となった世界でも、繰り返しているように地政学リスクからは解放されることはないと考えておりまして、そういった地政学リスクをできるだけ低減していくために、日本が再生可能エネルギー分野でもしっかりと主体性を持ってエネルギー安全保障を確保していくためにどういった分野での取組が重要だと考えていらっしゃるか、資源エネルギー庁からお伺いしたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今、エネルギー安全保障であるとか、あるいは環境であるとか、いろいろな問題意識から、国際的なルールをいかに自国に有利につくっていくかというような、ルール形成競争というのが非常に活発化しております。こうしたことを踏まえますと、産業競争力の強化とか、あるいは新しいグリーン市場をつくっていく、こういった課題に取り組むためには、グローバルスタンダードというのを日本が握っていくというのがやはり必要だろうと思います。エネルギー安全保障という面でも、特にこういったカーボンニュートラルについての市場獲得ということに取り組んでいきたいというふうに思っております。

 具体的に、二つの取組を御紹介させていただきたいと思います。

 例えば、燃料アンモニアや水素、こういったものについては、新しい市場をつくっていくというものでございますので、まずはルール形成によって市場を整備していく必要がございます。具体的には、東南アジアなどに燃料アンモニアそれから水素を普及していくためにはバーナーやタンク、ローディングアーム、タービンといった機器が必要になってくるわけですけれども、これらの機器の国際標準化について、例えばアンモニアの場合はNOxが出るわけですが、バーナーを含むボイラーシステムの低NOx化技術、こういったものを排出性能基準として整えていくということが必要なんじゃないかと思っております。

 また、再生可能エネルギーを使っていくと、どうしても出力が変動するといった問題がございます。このためには、国際標準を獲得する前提となるような分析や評価の基準、こういったものを整えていくことが必要になります。そのためには、これまでは民間がやっていたこういった検査設備について政府自ら整備していこうということで取り組んでおります。

 例えば、太陽光発電の出力変動に対応して直流を交流に変換するパワーコンディショナー、こういったものが安全性、性能が客観的に評価、認証できるようにするために、産総研の福島のFREAという研究所があるんですけれども、そちらで評価設備を設けて、その基盤を整備しております。

 また、蓄電池、こういったものも再生可能エネルギーが普及すると利用が増加していきます。この蓄電池は、高電圧でも火災事故を起こさないということが必要になります。こちらについては、製品評価技術基盤機構において、蓄電池の発火・爆発試験ができるような安全性評価設備を設けて、こういった課題に対応できるような基盤を整備しているというところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 具体例もお示しいただきましたけれども、おっしゃっていただいたように、国際標準規格になるようなグローバルスタンダードを日本が主体性を持って策定に関与していくということが最も重要だとおっしゃる専門家、研究者の方がたくさんいらっしゃいます。

 これまで、これは再生可能エネルギーの話じゃないですけれども、こういった国際標準規格づくりで日本が影響力を及ぼせないという問題意識は、具体的な話はないですけれども、すごく共有されていると思いますので、改めてこの再生可能エネルギーではそこにチャレンジしていただくことが必要だと思います。

 繰り返しサプライチェーンを国内で構築することが必要だと申し上げていますけれども、やはり、海外に自国で使っている設備とか規格をそのまま輸出できるということが国内のサプライチェーンを強化する上で極めて重要というか有利になると思いますので、この点、おっしゃっていただいていますけれども、特別に、これは省庁横断で取り組む必要があると思いますけれども、こういった国際規格の取組に主体的に是非取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 繰り返しになりますけれども、再生可能エネルギーが普及しても主電源になっても、それだけでは地政学リスクはなくならない、むしろ新しい競争が生まれる、資源国となっていなかった国ともまた競争していかなければならないというふうになりますし、極めて苛烈な競争がこれから脱炭素化に向けて進んでいくというふうに思います。

 そういった中で、やはり、自国内でしっかりと勝っていくとか、勝者と敗者が必ず生まれる結果になると思いますので、日本がしっかりと勝者の側になる。これは、自由主義国である、民主主義国である日本が勝者側に行って供給ができるということは世界の安定供給、平和にも極めて重要だと考えていますので、そういった思いで是非とも。

 今のままの取組では、風力発電所も自分たちで造れない、太陽光発電所、パネルもどんどん海外に取られていく。こういった流れが続いてしまえば、せっかくまだ先行しているアンモニアや水素でもそれを奪われてしまうことになってしまうと思いますので、是非ともより一段の取組を求めていきたいというふうに考えております。

 そういった中で、少し特定の発電に関してお伺いをしたいと思うんですけれども、政府の方でも脱炭素化に向けて、エネルギー転換部門、発電部門を脱炭素化することが重要だという御認識を持たれているかと思います。その中でも洋上風力を脱炭素化、再生可能エネルギーを主電源とする上での切り札であるとおっしゃられていますけれども、例えば二〇三〇年時点で洋上風力が全電源構成の中で何割ぐらいになるのかという見込みで今計画を立てているのか、動いているのかということをお答えいただくことは可能でしょうか。

山口国務大臣 洋上風力というのはこれから大事なことになるというのは、みんなの認識はある程度共有されていると思うんです。

 他方、イギリス等では割と浅瀬が続いているようですから、そういう意味では着床式のものもできるけれども、日本の場合はすっと深くなる海域が、周りがほとんどのようですから、その意味では、着床式は難しい分、浮体式というところで技術も非常に高くなる。いろいろな建設会社も今頑張ってやっているわけですけれども。

 洋上風力発電の二〇三〇年度の導入目標については、野心的な水準として、五・七ギガワット、百七十億キロワットアワーを見込んでいます。これは電源構成の一・八%程度に相当します。

 政府としては、洋上風力発電の導入拡大に必要な取組として、再エネ海域利用法に基づく案件形成あるいは系統増強に向けた取組を進めているところです。そういう意味で、海を利用する際にどこを使うか、こういうことも、いろいろなまた、ほかの業種とも絡まってくると思います。それから、発電したものをどういうふうに陸の方に伝えていくのか、これもかなり難しいところですよね。その辺もこれからやっていかなきゃいけない。それから、御指摘のとおり、私は、国産であるということも非常に大事だと思っています。

 環境省としても、例えば中長期的に普及が見込まれる浮体式洋上風力発電について、我が国初となる二メガワット級の実証事業を実施し、実用化に結びつけた実績があります。こうした実績、成果を発信するとともに、浮体式の洋上風力を活用したエネルギーの地産地消の取組に関する検討支援等を行っていきます。

 この取組を通じて、関係省庁と連携しつつ、洋上風力発電の一層の導入拡大を図っていきたいと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。二〇三〇年というのはすぐそこなので、なかなか計画値を伸ばすということは難しいのかもしれないですけれども、イメージで申し上げて悪いですけれども、一・八%だとやはり心もとないというか。

 国内の市場をまず立ち上げることが国内のサプライチェーンを確立していく上で極めて有効だと思うので、洋上風力が切り札である、洋上風力を再生可能エネルギーの中でも主力にしていくんだということであるならば、ここに集中的に投資を行って市場を拡大していく、比率を高めていくという取組が必要だと考えています。資源エネルギー庁なり経産省からお答えいただければと思うんですけれども、更にこれを伸ばしていくことというのは現状では難しいという御認識でしょうか。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 洋上風力発電、昨年の末に第一回の大きな入札を行いまして、三つの海域で案件が成立しました。合わせて百七十万キロワット、出力ベースで百七十万キロワットです。一・七ギガということなので、これを二〇三〇年までに、稼働するものをこの三倍ぐらいの五・七ギガまで増やしていこうということであります。

 ただ、それがゴールというわけではなくて、私どもとしては大きな目標も掲げています。二〇三〇年までに十ギガワットの案件形成をし、さらに、二〇四〇年には三十ギガから四十五ギガぐらいまで市場を広げていこうということです。もちろん、この目標も可能な限り前倒しをしていけるものはいきたいというふうに思っています。

 ただ、そのためには、やはり、送電網の整備ですとか基地港湾の整備などのインフラ整備、それから入札制度の見直しなども含めたより適切な導入措置というのを取っていく必要がございます。それから、併せて国内のサプライチェーンをしっかりつくるということを両立させていかなければなりません。市場拡大の見通しがないためになかなか国内投資がしづらかったというのがこれまでの状況でありますので、こうした大きな市場見通しを出すことによって、これが呼び水となって様々な企業が国内投資をしてまいります。

 例えば、サプライチェーン補助金というのを手配いたしまして、この補助金を出しておるんですが、今回の入札で落札したグループが東芝とGE製の風車を採択いたします。国内で連携して風車の部品の組立てを行いますが、合計で百三十四基、これを秋田と千葉の海域に納入してくるということでございますので、こうした具体的な取組も進んでまいります。

 入札制度と支援制度を併せまして、しっかりと国内のサプライチェーンの構築を進めてまいりたいというふうに考えています。

斎藤(ア)委員 おっしゃっていただいているように、大量の資本が必要になると思いますし、それはしっかりと準備していかないといけないし、最後のまとめにしますけれども、再生可能エネルギーの地政学リスクを排除して国内のカーボンニュートラルの実現と安定供給を並行していくためには、サプライチェーンの確立であったり、冒頭に言った火力発電関連のアセットにもしっかりと投資をしていくであったりとか、また、価格変動に対しては補助金や税制を含めて国内のマーケットの安定に取り組んでいく、そういった観点で国民民主党はずっとトリガー条項、トリガー条項と申し上げているんですけれども、こういった形であらゆるツールを使って取り組んでいただく必要があると思います。

 今の取組のままでは、やはり、これまでの過去の実績を見ていると不安だという部分がどうしてもあると思いますので、改めてこういったところへの更なる投資、取組を求めて、私からの質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

     ――――◇―――――

関委員長 次に、内閣提出、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。山口環境大臣。

    ―――――――――――――

 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山口国務大臣 ただいま議題となりました特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 特定外来生物であるヒアリは、その毒性により人の生命又は身体等への被害が生じ得る生物です。近年、国内において輸入品に意図せず付着したヒアリが発見される事例が顕著に増加し、有識者からもヒアリが国内に定着する可能性が高まっていると指摘されています。このため、ヒアリ等の国内への定着防止のため、現在のヒアリ対策を一層強化する必要があります。また、広く一般に飼養されているアメリカザリガニ及びアカミミガメによる生態系への被害の拡大を防止する必要があるとともに、特定外来生物全般の防除の促進のために地方公共団体を含めた各主体との連携を強化する必要があります。

 本法律案は、これらを踏まえ、安心、安全な国民生活の実現と生態系保全等を推進するため、外来生物対策を強化するものであります。

 次に、本法律案の内容の概要について、主に三点御説明申し上げます。

 第一に、ヒアリ対策を念頭に、特定外来生物のうち、国内に広く蔓延した場合には著しく重大な生態系等への被害が生じ、国民生活の安定に著しい支障を及ぼすおそれがあるため、緊急に検査、防除等を行う必要があるものを要緊急対処特定外来生物として指定する制度を創設します。また、要緊急対処特定外来生物に係る検査や検査対象の移動禁止や消毒の命令等を規定することとします。さらに、他人の土地における特定外来生物の生息調査を可能とするとともに、物品の輸入時の検査対象を土地や施設にも拡充します。

 第二に、アメリカザリガニ等の既に各家庭等でも広く飼養され、野外の個体数も多い外来生物に対して、飼養、輸入、譲渡し、放出等の特定外来生物に係る規制を一律に適用した場合には、飼養規制の厳格な運用は難しく、かえって制度全体の実効性を損なうおそれがあります。このため、当分の間、その種の状況に応じ、今後新たに指定される特定外来生物の一部について、政令でこれらの規制の一部を適用除外できる特例を設けます。

 第三に、現行法で国の確認手続を必要としている地方公共団体による防除について、迅速な防除を可能とするため、都道府県が行う防除等について、国の確認手続を不要とする等の措置を講じます。

 以上のほか、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務規定の創設等の措置を講じます。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

関委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.