衆議院

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第2号 令和4年10月28日(金曜日)

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令和四年十月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古賀  篤君

   理事 菅家 一郎君 理事 堀内 詔子君

   理事 務台 俊介君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 篠原  孝君 理事 森田 俊和君

   理事 漆間 譲司君 理事 輿水 恵一君

      石川 昭政君    石原 宏高君

      石原 正敬君    今枝宗一郎君

      国定 勇人君    武村 展英君

      中川 郁子君    中西 健治君

      穂坂  泰君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    柳本  顕君

      近藤 昭一君    坂本祐之輔君

      堤 かなめ君    馬場 雄基君

      松木けんこう君    奥下 剛光君

      空本 誠喜君    日下 正喜君

    …………………………………

   環境大臣         西村 明宏君

   環境副大臣        山田 美樹君

   環境副大臣        小林 茂樹君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   環境大臣政務官      柳本  顕君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岩間  浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            秦  康之君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           上田 康治君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   環境委員会専門員     飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  山口  壯君     中川 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     山口  壯君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房生産振興審議官安岡澄人君、農林水産省大臣官房審議官岩間浩君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、環境省地球環境局長松澤裕君、環境省水・大気環境局長秦康之君、環境省自然環境局長奥田直久君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君、環境省総合環境政策統括官上田康治君、原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 務台俊介です。

 本日は、質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 環境委員会での質問は一年半ぶりになります。この間、私は、山口前環境大臣の下で、副大臣として、環境省、内閣府原子力防災の関係者の皆様と一緒に仕事ができたことは得難い経験となりました。特に、環境政策の地方行脚、各地の原子力発電施設訪問など、現場に出向いて環境行政や原子力防災に関する現場の思いを感じ留める仕事をさせていただいたことは、担当する分野に対する理解を深めることができたと、この場をかりて感謝を申し上げたいと思います。

 私は、環境省という役所の特徴は、特定の産業界の利益を代弁するのではなく、地球環境、人々あるいは動植物が居住する環境をよりよいものとして保全、発展させるという高次元の正義を体現しているところにあると思っています。だからこそ、局面によっては環境省以外に物言わぬ価値を代弁する機能はない、だからこそ、それこそ地球の弁護士、あるいは物言わぬ価値の代弁者として振る舞わなければならない、このように考えています。

 そういう機能については、必ずしも政治的なバックアップは少ないかもしれない。しかし、政治家の中にもそうした必要性を強く意識して動こうとする人たちが少なからず存在することを意識して、しっかり頑張らなければいけないというふうに思っています。この環境委員会に所属する国会議員の皆様は、党派を超えてそういう意識を持つ人ばかりであるというふうに信じております。

 さて、そういう意識に立って、気候変動への施策の実現を図る正念場が近づいているというふうに思います。

 西村環境大臣は、過日の大臣挨拶の中で、脱炭素、循環経済、自然再興の同時達成に向けた取組の必要性、そして、それが質の高い持続可能な新たな成長につながるという取組の基本的姿勢を表明されました。全くそのとおりだと私も思います。

 問題は、そのための実効性ある手法です。

 現在、GX実行会議で議論されている経済成長型カーボンプライシング構想の具体化については、国民が注視しています。GX経済移行債と呼ばれる政府資金の将来の財源については、産業界は、どちらかというと地球温暖化対策税の増税とか炭素税の導入には否定的で、自主的な排出量取引、これはGXリーグを通じてのものですが、これによる制度設計を薦める見解を表明しております。

 確かに、化石燃料の高騰という現状の下で、短期的には政府の施策は燃油価格の上昇を抑えるような内容とならざるを得ないと思いますが、短期的な政策に目を奪われ、長期的な視点を見失ってはなりません。長期的展望に立つ対応を政府の中で主張することこそ環境省の役割だと考えております。

 GX実行会議では成長志向型カーボンプライシング構想という言い方で構想の具体化をうたっておりますが、それは、世界に誇れる中身がなくてはならないと思います。断固として炭素中立型経済社会を実現する、そのために、世界が日本はやる気があると瞠目するようなカーボンプライシング構想を実現することが求められていると思います。

 この点について、西村大臣の意思を伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 委員御指摘の成長志向型カーボンプライシング構想に関しましては、安定的に逓増するカーボンプライシング制度をつくることによって、企業などの予見可能性、これを高めて、その行動変容を促すことが重要であると考えております。

 また、G7におきましてもカーボンプライシングの有効性について認識を共有しているところでございまして、来年のG7議長国として戦略的な対応を行うことが重要だと考えております。

 二十六日に開催されましたGX実行会議の場におきまして、総理から、成長志向型カーボンプライシング構想の具体的な制度案を提示するように指示があったところでございます。

 こうしたことも踏まえまして、我が国の脱炭素と経済成長を同時に進めるという観点から、関係省庁ともよく連携をしながら、しっかりと貢献をしてまいりたいというふうに考えております。

務台委員 是非GX実行会議の中でそうした動きを強く牽引していただきたい、そのように思います。

 私は、環境省に在籍する中で、最先端の環境技術の研究開発の現状に触れさせていただく機会をいただきました。福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールドを始めとした水素社会実現に向けての各種の取組、脱炭素型資源循環の実現に向けたリサイクルシステム、金属資源のリサイクル、バイオプラスチック、生物由来燃料の開発、セルロースナノファイバーの取組など、目をみはる技術が我が国には盛りだくさんです。

 こうした要素技術の豊富さが我が国の強みだと思いますが、その社会実装のスピードと規模がどうも十分ではないように、もどかしく思えてなりません。

 先日も医療系ベンチャーキャピタルの関係者の話を伺いましたが、日本の要素技術の質とその豊富さは世界水準にあるけれども、そこへ投入される投資が米国、中国の百分の一の規模、韓国と比べても二分の一の規模にすぎないと指摘されていました。日本ベンチャーキャピタル協会の関係者からは、日本は機関投資家がベンチャーキャピタルに参入してこないことも規模が拡大しない理由の一つだと指摘されていました。

 最先端の環境、脱炭素技術の早期かつ大規模な拡大に向けた取組は環境省だけで実現できる課題ではありませんが、政府全体、内外を問わず幅広く投資家に呼びかける役割は、環境省の重要な役割だと思っております。

 この点についての司令塔機能を果たすことについての環境大臣の認識をお聞かせください。

西村(明)国務大臣 環境、脱炭素技術の研究開発及び社会実装というものは非常に重要でございます。地球温暖化対策計画等に基づいて、スピーディーかつ大規模に進めていく必要があると考えております。

 そのためにも、幅広い主体からの投資を呼び込む。環境省では、金融、投資分野の業界のトップと議論を行う場所として、ESG金融ハイレベル・パネルを設置いたします。そして、金融機関と国の連携を深めてきたところでございます。引き続き、環境、脱炭素分野における投資促進に向けた機運を醸成してまいりたいというふうに考えております。

 また、これまで設立準備を進めてきました株式会社脱炭素化支援機構、この創立総会がこの委員会終了後開催されます。機構とも連携しながら、まさにオール・ジャパンの体制で、脱炭素社会への投資、こういったものを一層盛り上げてまいりたいというふうに考えております。

務台委員 脱炭素投資は、成長の制約ではなくて、成長を生み出す大きなプロモーターだという認識を広く共有して、頑張っていただきたいと思います。

 ところで、私は、最近、資料にもありますが、WOTAという、分散型循環水処理システムを開発するベンチャー企業の三十歳の若い社長とお話をしました。生活排水を浄化することで水を九八%循環利用するという、驚くべきレベルの節水により環境負荷を最小限にとどめる画期的技術の社会実装を目指している企業です。昨年、COP26が開催された英国で王室から表彰された企業でもあり、世界が注目されている営みでもあります。

 こうした事例、中身がすばらしければ、こうした取組を政府として強力にバックアップし横展開するスピード感が求められているというふうに思います。例えば、環境省にはそうした優れた環境技術の実装加速をどのような手法で推進できる用意があるのでしょうか。奇遇ですが、先ほど大臣がおっしゃったように、脱炭素支援機構が本日の午後新たに発足することになりますが、こうした機能の活用を通じた支援も当然あろうかと思いますが、こうした具体的事例に即して支援方策をお示しいただければありがたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 ベンチャー企業等も含め、優れた環境技術の社会実装の加速化のためには、環境分野におけるスタートアップ企業や起業家候補人材に対する研究、技術開発の支援に加え、その成果を事業化し、社会実装していく段階で必要となる事業機会の創出への支援も重要であると考えております。

 環境省では、研究、技術開発の支援として、スタートアップ企業が行う研究開発に対する資金面での支援を行うほか、事業機会の創出への支援として、優れた技術を持つ企業を表彰する環境スタートアップ大賞や、環境技術の効果を第三者機関が実証し、性能に対する信用を付与する環境技術実証事業を行っていることに加え、脱炭素や資源循環など個別分野ごとに行う事業実証の一部においてスタートアップ企業にも支援を行うなど、研究、技術開発の段階から事業化までの各段階で支援を実施しているところでございます。

 また、株式会社脱炭素化支援機構においても、その資金供給が我が国の優れた脱炭素技術や事業者に対する投資の呼び水として機能するよう、環境省としてもしっかり監督、支援していきたいと思います。

 今後とも、こうした様々なツールを活用して、優れた環境技術を持つ事業者の取組を支援し、社会実装を推進してまいりたいと考えております。

務台委員 環境政策にとってルール作りが死活的に大切なことは言うまでもありません。山口前大臣が出席されたCOP26では、パリ協定六条の市場メカニズムに関するルールブックが完成し、温暖化ガスの排出について、海外の削減分を自国の削減としてカウントし、目的達成に計上する仕組みが確立しました。このルールにより地球の温暖化ガス排出削減が効率的に進められるようになったことは画期的なことです。

 その上で、この九月にパリ協定六条実施パートナーシップ準備会合が神奈川県鎌倉市で開催され、西村環境大臣が出席されるエジプトで開催のCOP27では、六条実施パートナーシップの立ち上げが行われると認識しています。

 開発途上国への二国間クレジット、JCMなどで日本は大きな実績があります。こうした実績を踏まえて、六条実施パートナーシップは具体的にどのような役割を果たしていくものなのか、お答えいただきたいと思います。

山田(美)副大臣 お答え申し上げます。

 世界全体の温室効果ガスの排出削減を進めるには、脱炭素技術の展開や民間投資の活発化につながる質の高い炭素市場の構築、そして、二国間クレジット制度、JCMを含む市場メカニズム、いわゆるパリ協定六条の仕組みの活用促進が重要であります。

 このため、パリ協定六条の実施に関する各国の能力構築が必要不可欠であり、六条交渉を主導してきた日本が中心となって、パリ協定六条実施パートナーシップをCOP27で立ち上げることとしております。

 このパートナーシップでは、国際的な連携の下、六条ルールの理解促進や研修の実施、優良事例等の情報共有等を行う予定でございます。

 今後も、日本が主導して、国際機関等とも協力しつつ、各国の能力構築を促進し、JCMを含むパリ協定六条に沿った市場メカニズムを世界的に拡大することで世界の脱炭素化に貢献してまいります。

務台委員 是非リーダーシップを取って促進していただきたい、そのように思います。

 温暖化ガスの排出削減に加えて見逃してはならない点は、二酸化炭素の吸収という側面です。日本は世界有数の森林国のはずですが、驚くべきことに、政府は、森林が老齢化し、二酸化炭素の吸収量が減っていくという見込みを立てています。資料にあるとおりでございます。これは何といってももったいない。森林資源の若返りを図り、森林吸収源を拡充する取組を何としても進めていかなくてはなりません。

 その意味で、生物由来の航空燃料、SAFの原料として森林資源を活用するグリーン・リファイニングの構想があり、大いに期待できます。

 他方で、環境省では、サーティー・バイ・サーティーの目標の達成、そのために保護地域以外で生物多様性保全に関する地域としてOECMの設定を進めています。これは主として生物多様性の観点から行われるものですが、実は、これは温暖化ガスの吸収源との位置づけもあり得るものだと考えています。これは陸と海の両方に広範にまたがる取組であります。

 是非温暖化ガスの吸収源としてカウントできるルール作りも精力的に行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、OECM、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域、これを設定することによりまして生態系の適正な管理を行い、生物多様性の保全が図られますことに加えて、温室効果ガスの吸収源の確保が期待できると考えております。

 私ども環境省では、関係省庁と連携いたしまして、OECMに認定される区域の吸収源として効果が期待できるもの、例えば、民間による都市緑化、マングローブ林あるいは藻場、こういったものが考えられますけれども、インベントリーに適切に算定されるように検討を進めております。

 既に、陸域については、民間による都市緑化活動の結果として造成される緑地などをカウントするためのデータ収集に着手しております。海域については、関係省庁において、マングローブや藻場などの海洋生態系による二酸化炭素の吸収、固定、これはブルーカーボンというふうにも言われますけれども、この検討が精力的に進められておりまして、必要な知見が集まってきているところでございます。

 引き続き、科学的な根拠に基づく研究成果などを踏まえまして、関係省庁と連携して検討を深めてまいりたいと思います。

務台委員 今局長から民間が造成する緑の話も出ていましたが、森林の緑だけではなくて、平地に緑を増やす努力が進められるべきだと思います。

 全国に空き家が増えておりまして、八百万戸が空き家になっていると言われています。空き家が撤去されない理由の一つに、空き家を撤去すると居住用住宅土地に係る固定資産税の六分の一の住宅特例が適用されなくなる、税金が六倍に増えるという制度の課題があると言われています。そうであれば、空き家を撤去してもその土地に植林をし、これを二酸化炭素吸収源として評価されるような管理された土地については、緑の土地税制として特例を維持拡大することもあり得るように思います。

 環境省では税制改正でそうした頭出しをされていますが、取組についての考え方を伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 御質問の令和五年度税制改正要望では、OECMの設定の推進に向けて、税制措置の在り方についても検討する旨を盛り込ませていただきました。

 OECMの設定に関しましては、今年度、民間の取組等によって生物多様性が保全されている区域を自然共生サイトとして認定する仕組み、これを試行しておりまして、来年度から正式認定を開始する予定でございます。

 自然共生サイトの運用の実績若しくは課題等を踏まえまして、専門家からの意見を聞きながら、民間の取組を支援するための措置について、税制措置の在り方も含めて検討してまいりたいと考えております。

務台委員 OECMについての税制は、これは本当に重要だと思いますが、それの趣旨を体したものについて外延を広げる、そんな努力もしていただきたいと思います。

 さて、来月エジプトで開催される気候変動枠組み条約COP27、年末にカナダで開催される生物多様性条約COP15、プラスチック汚染対策の国際枠組み交渉などを経て、いよいよ来年はG7が日本で開催されます。

 西村環境大臣が議長をお務めになられるG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合が来年の四月十五日、十六日に開催されることが決まりました。西村環境大臣におかれましては、これら一連の国際会議のステップを踏まえ、来年のG7において、日本として何を提案し、どのような論点で国際的議論をリードされていくのか、現時点での意気込みを伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 委員御指摘のように、年末にかけまして重要な国際会議が続いてまいります。これらの結果も踏まえて、来年のG7では、議長国として、世界の環境問題の解決に向けた具体的な取組を加速化させるものを取りまとめたいというふうに考えております。

 論点としましては、例えば、気候変動につきましては、世界の平均気温の上昇を一・五度に抑える一・五度目標達成に向けた具体的な行動が求められております。また、生物多様性につきましては、COP15で採択予定のポスト二〇二〇年枠組みの実施に向けた具体的な行動について議論を深めることが重要だというふうに考えております。また、プラスチック汚染の問題を含めて、循環経済への移行も国際的な課題となっております。

 こうした取組をG7が中心となって進めるべく、議論をリードしてまいりたいというふうに考えております。

務台委員 最後になりますが、国立公園の中の山小屋が新型コロナで大変な苦境状態にあります。以前、登山道を山小屋の皆様が営々と構築してこられました。私も、十日ほど前に北アルプスの爺ケ岳に登ってきました。爺ケ岳にある種池山荘の先代が営々と構築した柏原新道というよく整備された登山道を歩き、往復八時間かけて日帰りで登ってきました。日帰りできたのはこの登山道のおかげです。登山道の整備状況いかんにより山岳遭難の発生に大きな影響もあるという地元の登山家の話もあります。

 本来は、国立公園内の登山道は環境省が所管する役割があるはずです。これまでは山小屋の熱意で維持してきた登山道、ここに環境省の関与と財政支援を本格的に投入する時期が来ているのではないか、そのように考えますが、いかがでしょうか。

古賀委員長 柳本大臣政務官、簡潔にお願いします。

柳本大臣政務官 山岳地の管理に当たっては、国だけではなく、自治体、地域の関係者との共同が不可欠であります。特に、山小屋は、登山者の安全確保やトイレの提供、登山道の維持管理等の公益的役割を担っていただいていると認識しております。

 このような状況を踏まえ、環境省では、山小屋関係者が実施する登山道の修繕、環境配慮型のトイレの整備、また、登山道を活用した自然体験プログラムの実施等、支援を行っているところでございます。

 また、昨年度の改正自然公園法等によりまして、民間企業である山小屋を、国立公園等において公的な役割を担う公園管理団体として明確に位置づけることが可能となりました。

 引き続き、山小屋事業者の御意見も伺いながら、連携を更に強化し、国立公園等の保護と利用の好循環に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。

務台委員 以上で終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 今日は、質問の時間をいただきましたこと、感謝申し上げたいと思います。

 また、改めて、西村環境大臣、就任おめでとうございます。

 また、今日、私、質問に立たせていただくわけでありますが、私ども立憲民主党も九月の十三日に次の内閣を、我々はこうした社会を目指していくんだ、こうしたことを明確に訴えていく、こういうことで次の内閣というものをつくりまして、私も環境を担当させていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、先般、西村大臣の所信に関しての御挨拶をいただいたところであります。時間が限られておりますので、少し具体的に質問させていただきながら、そうした中で私の、また私どもの考え方というのもお話をさせていただきたいと思います。

 まず、福島の復興の問題であります。

 大臣も御挨拶の冒頭で、東日本大震災そしてまた原発事故からの復興再生の推進についてということで冒頭に挙げておられる、そして、大臣も復興担当副大臣も歴任をされて、この問題に非常に熱心に取り組んでおられるんだと思います。

 私も、民主党政権でありましたときに、東日本大震災が発災いたしましたときに環境の副大臣を務めさせていただいておりました。大きな震災があり、そしてまたそれが多くの被害をもたらし、そしてそれが今なお大きな影響を与えている。そして、その大きな影響を与えている中には自然災害の中で起こった原発の事故の問題があるんだと思うんです。それが大きな影響を与えている一つの大きな要素としてあるんだというふうに思っています。

 具体的なことをと言いましたが、ちょっとその前に申し上げますと、私もこの環境委員会で何回も質問もさせていただいている中で、福島からの避難者の皆さんのことを申し上げています。福島からの避難者、県が発表している数でしょうかね、直近でいうと三万人を切ったということであります。確かに、数としては減ったということであります。

 ただ、私が委員会で指摘させていただいたのは、確かに避難場所からは戻った、しかし残念ながら、生まれ育った、元々住んでいたそこに戻れたわけではない、こういう方が多い、こういうことであります。確かに避難者としては数えてはいないかもしれない、でも、御本人からすると、なぜ元々生まれ育ったところに、長く暮らしてきたところに戻れないのかと。そして、残念ながらそれは放射線の影響があるわけであります。

 また、こうした数、関連死、関連の事由で亡くなられた方が、三月の七日の時点で二千三百三十一人、関連で亡くなられたということであります。そして、自殺をされた方が、大変悲しいことでありますが、今年の一月末現在で百十九人ということであります。そして、残念ながらこれは福島に多いわけであります、他県に比べて。

 それは、一部の分析では、やはり放射線の問題があって、大臣も御承知のとおり、家族が分断をされてしまう。高齢の方は、こういう言い方をするとあれですが、やはり高齢の方は早く戻りたいということがある、しかし、若い方は、若い夫婦、子供がいるというような家庭は放射線が低くなってもやはり戻りたくない、こういうことがある、家族が分断をされてしまう。こういうような精神的に大きな負担があるところがあって、残念ながら福島では自死をされる方が多いという分析もされているわけであります。

 ということで、私は本当に、自然災害でありましたが、その中で起きた福島原発の事故というものが本当に大きな要素、そして、そういう中ですから、私は、やはり原発というのは一刻も早くゼロにしていかなくてはいけない、こういう考えでおるわけであります。

 そして、今そうした、全ての災害において精神的な苦痛というか精神的な負担があるわけでありますが、今申し上げたように、特に原発事故の放射線に係るときには非常にそうした関係が多い。先ほど申し上げたこと等々の理由があるわけでありますが、そういう中で、大臣も地元の皆さんの声を多く聞かれておる、御挨拶の中にもこういう話があったわけでありますが、私も現地の皆さんからいろいろなお声を聞かせていただいているところであります。そういうことであります。

 そういうことで、今年の四月以降、帰還困難区域の一部、特定復興再生拠点区域が解除されております。自宅帰還の要望は憲法で保障される居住の自由に関わることであり、同区域外の原発事故避難者についても早期に実現されるべきであるということ。もちろん、放射線の問題がありますから安易に申し上げるわけではありませんが、御本人の気持ちはやはり大切にしなくてはならない、そしてそれは憲法にも関わっているということであります。

 二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民が帰還できるよう避難指示解除の取組を進めていくとする政府の方針であります。これに従えば、この先、つまり二〇二〇年代ということでありますから、七年、八年避難生活を余儀なくされることになるわけであります。被災、避難者の多くが高齢化していることを重く考えて、行政の都合だけで解除の手順、方法を決めるのではなく、より早期の解除に向けてより確実な除染をしていくということでありますが、解除に向け万全の手を尽くすべきだと考えるわけであります。

 それで、上記解除に当たって解除の根拠とした放射能汚染線量の測定はどのように行われたのか、また、解除されないまま取り残されることになった特定復興再生拠点区域外の地域、特に解除区域に隣接する地域はどのような線量測定計画に基づき解除しないことになったのか、お聞きをしたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 特定復興再生拠点区域につきましては、平成二十八年八月三十一日に原子力災害対策本部復興推進会議が決定いたしました帰還困難区域の取扱いに関する考え方に基づきまして、帰還困難区域のうち、五年を目途に、線量の低下状況も踏まえまして避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す復興拠点として各市町村の実情に応じて適切な範囲で設定するとされたものでございます。

 具体的には、政府による航空機モニタリングの線量調査の結果を踏まえまして、放射線量が除染等によりおおむね五年以内に避難指示解除の要件であります年間二十ミリシーベルト以下に低減する見込みが確実であることという要件に加えまして、生活インフラの整備等が効率的に実施されることなど、福島復興再生特別措置法に定められました複数の要件を踏まえて、各市町村が計画を作成し、国が認定しているものでございます。

 本年、葛尾村、大熊町、双葉町の特定復興再生拠点区域の避難指示を解除したところでありまして、今後、残る浪江町、富岡町、飯舘村の特定復興再生拠点区域についても、来年春の解除を目指して取組を進めてまいります。

近藤(昭)委員 そうした手続の中で解除を進めていただいているというわけでありますけれども、きちっとした除染、そして線量の測定の下、早急に施策を進めていただきたいわけであります。

 さて、原発事故から十年余りを経て大きく変化しているわけであると思います。それぞれの避難指示地域、帰還困難区域があるわけでありますが、それぞれの実情がやはり違うと思います。もちろん、手続的なこと、仕事のこともあるわけでありますが、それはやはり地元の住民の皆さんの声をしっかりと受け止めながらやっていただきたい、それぞれの状況に応じて対策を立てていただきたいと思うんです。

 大熊町や富岡町の帰還困難区域に住居を残す被災、避難者の中には、残念ながら、先ほど申し上げましたように、長い期間がたっている中でそれぞれのお考え方、それぞれの事情があって、住民の方によってはもう帰還を諦める、こういう方もいらっしゃるわけであります。そういう中で周辺住民が帰還を諦め住居を解体した、そうした結果、孤立状態となっているようなおうちがあるわけであります。

 避難指示も避難指示解除も区域を対象にしておるわけであります。そうすると、そういう中で孤立状態となっている被災、避難者に対しては個々の住宅を対象に考えていただかないと、区域で考えていると、もちろん、その方が戻っても区域の中に住まれるわけではありますけれども、個々の住宅を対象に解除を考えるべきではないかと私は思うわけであります。

 帰還を希望する被災、避難者の中には、自宅の線量が既に避難を必要としないまでに減衰していることを自ら線量測定で確認した上で、除染をしないで、まあ除染をする必要がないということでありますけれども、避難指示が解除されることを主張する、訴える方もいらっしゃるわけであります。私は、線量が十分に下がっていれば、もちろんこれは確認が必要でありますけれども、そうした除染の必要はないと思っています。

 実は、これはそれぞれの事情があるわけでありますが、私がお聞きをした方のお話では、解除に先立つ除染で庭、畑の土を剥ぎ取られたり立ち木が切り倒されたりすることによって住環境の破壊を強く懸念するということがあるわけであります。本人が希望するならば、また、除染といいましょうか線量の確認をして、それが下がっているということであれば、そうした作業をなくして避難解除というものも考慮されるべきではないかと私は思うわけであります。

 居住者を退去させている帰還困難区域の現状や退去させられた被災、避難者の生活実態など、冒頭も申し上げました居住の自由が奪われている現地の実情を政府は十分に把握していただきたいと思います。そして、少なくとも、個々の帰還希望者の要望に応じて当該住宅の線量測定を早急に行うべきではないか。地域ではなくて、その当該住宅ということでありますが、いかがでありましょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故から十一年以上が経過する中で、特定復興再生拠点区域外につきましては、早く自宅に帰りたいという住民の皆様の切実な思いに応えるべく、二〇二〇年代をかけまして、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるよう、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除の取組を進める方針を昨年夏に決定したところでございます。

 これまで、地元の議会あるいは住民の方々に対しましてこの方針の説明を重ねてまいりました。並行して、この夏から、一部の自治体でありますけれども、帰還意向の確認も開始しているところでございます。

 今後、この方針を踏まえまして対応してまいりますけれども、帰還の御意向をお持ちの住民の方々の御自宅を含みます必要な箇所について安全、安心に万全を期するよう、地元の自治体と十分に協議しながら除染を実施することにより、早期の避難指示解除に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

近藤(昭)委員 ありがとうございますというか、そうしたことに取り組むというのは既定のことだと私は思っておりまして、そういう中で、今私が申し上げたのは、それぞれの個別の状況に応じた配慮をいただきたい、こういうことなんです。

 そして、どうでしょうかね、そうした地元の自治体との相談の中でそうした個々の状況に応じて御対応していただく、こういうようなことは可能なんでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 避難指示解除を進めるに当たりましては、帰還される住民の生活環境における放射線量、これを着実に軽減させまして、安全、安心に万全を期すること、これが大事だというふうに思っております。

 このため、御指摘がありましたように、個々の皆様の御事情、これもしっかりと丁寧にお伺いするということも大事ですし、あわせて、地元の自治体との協議も通じまして帰還意向を踏まえた避難指示解除の取組を進めていきたいと思っています。

近藤(昭)委員 それぞれの個々の事情を是非受け止めていただきたいと思いますし、もう一つちょっとお聞きしたいんですが、そういう過程の中で、先ほど申し上げました、あれから時間がたつ中でそれぞれの皆さんが高齢化をしていくわけであります。そして、長いこと地元に戻れない、生まれ育ったところに戻れない、こういうことがある中で、本格的な今までの形の中での解除ということではなくて、いわゆる帰還ということではなくて、例えば、そうしたそれぞれの個別の事情に応じてなるべく制限なく、特に高齢の方からはそういう要望が多いと思いますけれども、制限のない立入りとか、少しその前段階のある種の配慮といいましょうか、そういうものはどうでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありました一時立入りに関しましては、これまでも様々な御要望を住民の方からもいただいているところでございまして、そういった声を踏まえまして、一時立入り、どうしても安全確保の観点から必要な部分はあるんですけれども、部分的に可能な範囲で条件の緩和、例えば、一時立入りの回数制限といったものもございましたけれども、こういったものも個々の事情に応じて緩和する形で今運用を進めているところでございますので、引き続きこういった運用の柔軟化といったことにも声に傾けながら進めていきたいと思っております。

近藤(昭)委員 是非お願いしたいと思います。

 それで、西村大臣、西村大臣も福島など被災地に足を運ばれておられると思うんですが、今私が申し上げたような個別の声というのは随分聞かれておられるのではないでしょうか。いかがでありましょうか。

西村(明)国務大臣 私の選挙区もまさに福島に隣接したところでございますし、あの東日本大震災発災の日、私も津波が襲った仙台空港のところでまさに九死に一生を得た状況の中で、本当に被災された皆様の気持ちそしてまた状況というのは様々聞いております。ただ、そうした中で、生活の再建そしてまた将来への歩み、これをしっかりと支えていくというのが国としての責務だろうというふうに考えております。

 特に、帰還の話もございましたけれども、そうした中で、戻られた皆様の安全、そうしたものを踏まえながらしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 そうした体験をされて、かつ副大臣として、また政治家として取り組んでおられる大臣でありますから、是非それぞれの皆さんの個別の声に寄り添っていただきたいと思います。

 さて、持続可能な社会という観点でちょっと質問させていただきたいと思います。

 私が申し上げるまでもなく、大変に気候変動危機という言葉が使われているわけであります。

 今年も異常な気象だったと思います。台風十四号、沖縄地方以外では初の、初だと言ってあります、この異常な気象の中で初というのが多いわけでありますが、初の暴風、波浪、高潮特別警報が出されたということであります。そして、台風十五号では、静岡県で十二時間で四百ミリ以上の降雨、残念ながら三名の方が犠牲になられました。そして、その復旧は進んでいますが、まだ完全には復旧していないということであります。

 実は、この日私も、東京から名古屋、私、地元は名古屋でありますが、新幹線に乗っておりましたときにこの大雨に遭遇しました。急に大雨が降ってきて新幹線が止まって、私が乗った列車はまだ一時間半ほど遅れただけでありましたが、御承知のとおり、その後の新幹線はもっと遅れた、こういうような状況があって大変な雨だった。私も、列車の中からかいま見たといいましょうか、経験をしたわけであります。

 そして、六月下旬は記録的な高温であり、最高気温を更新したということであります。同時期一週間の熱中症による救急搬送は前年の十倍だったと聞いております。

 こうした大変な気候変動危機の状況にあるわけでありますが、こうした中できちっとした持続可能な社会をつくっていくために、我が国はしっかりとした気候変動対策を行っていかなくてはならないわけであります。

 そういう中で、環境省が行っている電力レビューのことであります。

 環境省は、電気事業分野は我が国全体のCO2排出量の約四割を占める最大の排出源であり、他部門の排出削減努力にも大きく影響を及ぼすことから、電気事業分野の地球温暖化対策は温室効果ガス排出の大幅削減のための最も重要な対策の一つとして、二〇一六年から二〇一九年まで、電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価、いわゆる電力レビューを行っておりますが、二〇二〇年からこれは実施されていないわけであります。

 今年三月の電力広域的運営推進機関、OCCTOの二〇三一年までの供給計画取りまとめによれば、とりわけ排出係数が最も高い石炭火力分野において二〇三一年までの廃止計画が僅かに二基にとどまっている。電力事業者がどのように温暖化対策の目標を達成できるのかチェックすることが、これまで以上に必要だと思うんですね。

 なぜ環境省は電力レビューをやめてしまっているのか、お伺いしたいと思います。

西村(明)国務大臣 環境省としましては、気候変動対策、これを所管する立場でございます。そうした立場からも、電力部門の取組状況を厳しく注視する、この姿勢に変わりはございません。また、委員御指摘のように、チェックをしっかりやっていくということも当然必要でございます。

 そうした中で、現在、電力部門の脱炭素化の取組の評価、検証といったものが、地球温暖化対策計画のフォローアップの一環といたしまして、経済産業省に設置された産業構造審議会において行われております。環境省も当然、その議論の場に参加しておりまして、政府全体としての取組の中で電力部門の脱炭素化にしっかりと貢献してまいりたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 大臣、私が是非お聞きしたいといいましょうか、私も環境副大臣として仕事をさせていただいたことがあります。私も、政治の世界へ入って環境分野に関心を持ち、そして、短い時間でありましたが、かつて民主党政権を、政権に就くことができた、そしてそういう中で環境副大臣という仕事もさせていただいた、本当に環境行政というものをしっかりやりたい、やらなければならない、こういう思いなんです。そういう意味では今も、今もといいましょうか、環境省応援団といいましょうかね、環境省に頑張ってほしいということでありまして。

 そういう中で、この電力レビューというのは二〇一六年二月に、当時の丸川環境大臣と林経産大臣との合意の中で、これを協力というか連携してやっていこうと。そして、今大臣もおっしゃったように、これは気候変動危機の中でやはり環境省が、まあ合意して一緒にやっていくわけでありますが、私は、やはり環境省が大きなリードをしていくべきだ、こういうふうに思っております。非常に厳しい状況だと思うんですね。決して、経産省がやっているからいい、そこに関わっているからいいということではなくて、やはり環境省がもっと前に出て、しっかりと環境省のレビューで、環境省としての電力レビューをしっかりやるべきだと思います。

 特になぜそのことを申し上げるかというと、非常に厳しい状況の中で政府は、菅元総理も、菅政権の時代にも二〇五〇年カーボンニュートラルということを訴えられたわけであります。そして、私も環境委員会でも何回も質問をしている中で触れさせていただいているところのエネルギー基本計画があるわけであります。

 最新のエネルギー計画でいうと、二〇三〇年、石炭が一九%、LNG二〇%、再エネ等々の目標が書かれているわけであります。しかし、その目標で立てていってもパリ協定の目標を達成するのは難しいと言われている。それは大臣もよく御存じのことだと思います。

 そして、昨日でしたか、一昨日でしょうか、UNEPが発表した予測でも、このままいくとパリ協定の目標はとても達成をされない、もっと厳しい規制をしていくべきだ、こういう指摘もされたところじゃないですか。

 そうすると、今申し上げたエネルギー基本計画で石炭一九%ということを指摘させていただきましたが、OCCTO、いわゆる電力広域的運営推進機関が行っている二〇三一年までの供給計画取りまとめを見ていると、石炭が三二%ということになっています。LNGが三〇%、石油二%、原子力六%、再エネ二九%、こういうふうになっているわけでありますね。

 明らかに、とても目標が達成させられるところじゃない。政府が考えているエネルギー基本計画と比べてみても、今の状況は大変に厳しい状況だということであります。そういう中で、なぜきちっと環境省が電力レビューを行わないのかと思うわけであります。

 そして、こういう中で、私は、やはりきちっと環境省が先頭に立って、今申し上げたようにOCCTOで示されている供給計画は非常に残念な計画であるわけであります、そういう中で、石炭火力とかのパーセンテージでありますけれども、そういう中で排出量がどれくらい増える可能性があるのかとか、そういうことをきっちりと環境省がやるべきだと思うんですが、いかがでありましょうか。

西村(明)国務大臣 環境省がやってきた電力レビューの件でございますけれども、最後に電力レビューを公表したのは二〇二〇年七月、それ以降に、地球温暖化対策計画におきまして、非効率石炭火力のフェードアウトを進めるとともにアンモニアやCCUSといったものを活用した脱炭素型の火力に置き換えることがこの地球温暖化対策計画において明記されるということで、大きく政策自体が前進したというふうに承知しております。

 こうした状況の変化を踏まえた上で、電力レビューというような形で環境省が独自に評価を行うということではなくて政府全体として、経産省に任せているという意味ではなくて、政府全体として地球温暖化対策計画のフォローアップを行っていく中で電力部門の取組を評価していくというふうにしていきたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 政府全体でやるということでありますが、経産省が経済産業振興ということで、決して疑うというか否定するわけではないんですけれども、経済産業政策という中で経済産業省が活動している、そこに対してやはり環境省が環境を優先してということでしっかりとチェックをしていく必要があると思うんですね。やはりちょっとそれぞれの省の成り立ちが違うんだと思うんです。

 そして、今大臣もおっしゃいましたけれども、水素、アンモニアの問題、あるいはCCSの問題。

 CCSの実用化は二〇二〇年と言ってきました。しかし、いまだに実用化されていない。そして、実験というんですかね、トライアルされている中での、CCSの実現、単価というのはいまだに高いわけであります。

 なぜそうした高いところに予算を傾注していくのか、再生可能エネルギーをこの間ももっとやってくるべきだった、この間、私も環境委員会でも指摘をさせていただいてきたところです。そうしたことをやらずして、やらずしてというのは、そういうところをきちっと進めていくということをやはり環境省が率先してやっていくことだと思うんです。そこは是非、もちろん様々な技術開発をしてそういう中で環境対策をしていくということを否定はしませんけれども、どうもこの間を見ていると、そこへの投資は大きいけれども決してその成果が上がっていない、効果が出ていない、こういうふうに指摘をさせていただきたいと思います。

 さて、時間も限られてまいりますので、あと二つほど質問させていただきたいのですが、一点、簡単に質問させていただきたいと思います。

 先ほど、災害が多くなってきた、こういう指摘をさせていただきました。残念ながら温暖化の影響です。そして、高齢化社会というものもあります。廃棄物行政ですから環境省の所管でありますが、実は自治体の現業職員数は一九九四年をピークに減少しているところであります。特に、清掃職員というものは非常に大きく減少しています。

 しかしながら、高齢化社会の中で、ごみを家庭に取りに行く、高齢者が出てこられない、家庭に一部入るようなところがある、そうするとプライバシーの問題がある、そうすると、民間委託ではなくてやはり公共事業として公共の職員の人がやるべきだ、こういう声があります。

 あるいは、自然災害で災害廃棄物が大量に出る、これを処理するに当たって、やはり残念ながら、特に自治体のそうした職員の人たちが減らされている中で、まあ行き過ぎたと思うんですが、行き過ぎた人員削減によってこうした現場が非常に即応できないということになっているということであります。

 そういう意味で、自治体現場において環境、廃棄物行政の業務執行に当たり、今申し上げた自然災害あるいは高齢化社会、こうした課題に確実に対応できるような体制の確保が必要だと思いますが、環境省としてどのようにお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。

西村(明)国務大臣 委員御指摘のように、非常にごみの問題というのは重要な問題だというふうに考えております。

 私も学生の時代に、今から四十年以上前になりますが、その頃に、これからはごみが非常に大きな社会問題となっていくというような講義を受けたことがございました。また、あわせて、今御指摘のように災害時のごみの問題がございますので、そうした災害廃棄物処理への備えというものも重要だというふうに考えております。

 廃棄物処理法では、市町村は家庭などから排出される一般廃棄物の処理を統括する責任を有しておりまして、こうした適正処理のために、体制の確保を含めて市町村が適切に役割を果たすことが求められております。

 ただ、今御指摘のようにごみの問題というのは非常に重要でございますので、国としても、そうした一般廃棄物の適正処理も含めて災害廃棄物対策等々に市町村が適切に対処できるように、必要な技術的、財政的支援メニューをつくっておりますので、こうしたものを活用しながらサポートしてまいりたいというふうに考えています。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。廃棄物の行政、地方自治でもあります。ただ、環境省が所管をしておられるので、今おっしゃったように、是非、しっかりとしたバックアップまた連携をお願いしたいと思います。

 さて、時間が限られてきましたので、予定した質問を少し短くしたいと思いますが、原子力規制委員長、お越しいただいていると思います。

 山中委員長は、九月二十八日の規制委員会の場で、経産省が検討を進める運転期間の見直しについて考えを聞くと異例の表明をされたと思います。翌週十月五日の規制委員会で経産省から説明を受け、運転期間の規定が抜け落ちることをその場で了承し、規制庁事務方に法改正に向けた対応の検討を指示した。

 記者会見では経産省から求められて意見を聞いたわけではないと弁解されておりますが、余りにも拙速な展開だと私は思っています。GX実行会議での総理の指示を受け、通常国会への法案提出に向け規制庁とエネ庁の事務方でシナリオがつくられていたのではないか、こう思わざるを得ないわけであります。

 そして、ちょっと限られておりますので、もう一つ聞かせていただきます。

 ただ、そういう中で、今後の規制庁とエネ庁との相談について山中委員長は記者会見で、必ず公開の場でやると発言もされています。規制庁の総務課長が、委員長がおっしゃったのは委員とエネ庁の意見交換を必ず公開するとおっしゃったのであって、事務方同士のやり取りを全て公開されるとおっしゃったのではないと口を入れられました。山中委員長は、公開が原則と強調されました。

 規制庁とエネ庁が相談を始めてから今日に至るまでの経緯と今後のやり取りを全て公開すると、是非約束をしていただきたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会としては、令和二年七月二十九日、約二年前でございますが、運転期間の定めについては、原子力利用の在り方に関する政策判断であり、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないと見解を決定しております。

 一方、資源エネルギー庁の審議会で利用政策の観点から運転期間の在り方についての審議が開始されたこと、これについては報道等で私も承知しておりました。

 運転期間の延長に関しましては、原子炉等規制法において、運転期間の定めと高経年化した原子炉に対する安全性の確認の規制の定め、これがセットで規定されております。

 原子力規制委員会が担っている高経年化した原子炉に対する安全性を確認するための規制について、資源エネルギー庁の検討結果によっては原子炉等規制法の条文に影響が出てくると考え、原子力規制委員会の公開の場で資源エネルギー庁から審議会での検討状況を聴取するものとしたものでございます。

 したがいまして、委員御指摘の、原子力規制庁と資源エネルギー庁との間でシナリオがつくられたというものではございません。

 スケジュールの確認あるいは事実確認のために事務方同士が打合せを行うこともあると考えております。事務方同士の打合せについては、議事概要、使用した資料を原子力規制委員会のホームページで全て公開するように指示しております。

 なお、規制制度の変更に伴う判断が必要になった場合には、公開の原子力規制委員会の場において五人の委員でしっかりと議論、検討していくことには変わりはございません。

近藤(昭)委員 質疑時間が終わっておりますので、最後、簡単に要望だけ。

 冒頭申し上げましたように、東日本大震災、やはり原発事故の影響が非常に大きい、今もなお続いているということであります。そういう中できちっとした規制をしていかなくちゃいけない、原子力規制委員会は今きちっと公開の場でやっていただかなくてはならない。

 また、四十年規制の問題は、私は是非、パブリックコメントをするとか、もう時間がありませんけれども、科学的な一定の根拠を持った、あるいは予防原則というのもある、あるいは政治の意思というのもある、そういう中で立法、四十年原則というのが入った、このことを是非また指摘させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田でございます。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、これはほかの委員会でも確認をさせていただいているところでございますが、大臣、副大臣、政務官、それぞれの皆様に御確認をさせていただきたいと思っております。

 旧統一教会及び関連団体の方との関係ですけれども、推薦確認書、政策協定の文書ですけれども、これが、まず、教会側から、団体側から提示をされ署名を求められたかということ、そして次に、実際に署名をしたかどうかということ、この大きく二つについてお答えをいただければありがたいと思っております。よろしくお願いします。

西村(明)国務大臣 事務所に確認いたしましたが、そのような事実はございません。

山田(美)副大臣 お答え申し上げます。

 私の記憶の限りでは、提示され署名を求められたことも、実際に署名をしたこともありません。

 補足として、私の事務所において、昨年の衆議院議員総選挙の際の各種団体、企業からの推薦状と、それに加えて、推薦依頼状、政策協定書、誓約書、公約書などを現在全て保管しているところ、関係団体を含むものがないことを申し添えます。

小林副大臣 推薦確認書、提示を受けたことも、また署名をいたしたこともございません。

国定大臣政務官 推薦確認書を提示されたことも、署名したこともございません。

柳本大臣政務官 自らの記憶をたどり、事務所にも確認をいたしました。御質問のございました推薦確認書といったものについて、署名を求められたことも、署名したこともございません。

森田委員 御答弁いただいて、ありがとうございました。ということは、どなたも該当なしという理解をさせていただきました。

 この後また、実はこうだったということがないように、是非、大臣も閣僚のお一人として責任ある御対応をお願いできればというふうに考えております。どうもありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきますけれども、希少生物の関係でございます。

 私の地元の熊谷市でございますけれども、ここに、トゲウオ科の魚で、ムサシトミヨという魚がおります。大きさでいうと数センチの小さい魚なんですけれども、ここにしかもう既に生息をしていない、熊谷にしか生息をしていないという魚でございます。これは、希少だということで県の魚に指定され、あるいは熊谷市の魚としても指定されているところでございます。

 非常に珍しいのが、魚なんですが、鳥の巣のような巣を作ってそこで子育てをするというような非常に特徴的な魚でございまして、元々は埼玉県内にも広く生息をしていたり、あるいは東京の西部の方にも生息をしていたということも聞いておりますが、今はいろいろな環境の変化によって生息地を奪われ、そこにしか今生息をしていないということになっております。こういうふうに、環境の変化ですめなくなってしまった生物というのはいろいろなところにいると思いますが。

 私の地元のムサシトミヨという魚に特徴的なのは、元々は、埼玉県のやっていた水産研究所、水産試験場の大きなポンプがあって、そこで研究用の魚を飼育するためにポンプで水を大量に吸い上げる、大きなポンプがある、それが元荒川という川に流れていく関係で、かなりいい水質が保たれている、元々の湧き水のような環境がいわば人工的に保たれているというような状況でありまして、一たびこのポンプが止まってしまえば、即座に環境がまた損なわれて、ムサシトミヨという魚も消滅してしまう、そういう状況になっております。いわば、人間でいえば、例えば人工呼吸器をつけたり経管栄養をしたりしながら、人為的にといいますか、かなり人の手が強く入った状況で生き長らえているというのがこのムサシトミヨという魚の現状でございます。

 地元の人間としては、やはりこうやって昔からなれ親しんできた、元々はいろいろなところに湧き水があって、いろいろなところに生息していた魚で、親しんでいた魚がだんだんといなくなってしまって、今そこだけだということで、非常に親しみを持って、愛着を持って育てて守っているということなんですけれども。

 非常に難しいのは、じゃ、どこまで人の手を加えていけばいいのか。先ほど申し上げたようなポンプだっていつまでも動くわけじゃないし、更新も県の手によってしておりますけれども、この辺の、人間の手をどこまで入れるかというバランスは、気持ちの上の問題と、あと予算だとか、いろいろな兼ね合いだとかで非常に難しいところがあると思うんですが、こういった希少生物に対する大臣のお考えを、是非、最初の機会でございますので、お聞かせいただきたいなというふうに考えております。

西村(明)国務大臣 今委員御指摘のムサシトミヨ、こういったものを始めとした絶滅危惧種、こうしたものを自然環境の中でしっかりと保全していくということは非常に重要でございます。地域社会や自然環境の状況を踏まえまして、効果的な手法というものをやはり検討しながら持続的に取り組む、このことが重要だというふうに思っております。そして、多くの関係者の皆様の連携協力、こういったものが必要不可欠だというふうに考えております。

 ムサシトミヨにつきましては、今お話があったように、地域の住民の方々や地元の小学校などが連携して、生息環境の保全、整備、飼育繁殖に継続的に取り組んでこられたというふうに承知しておりまして、敬意を表したいというふうに思っております。

 私自身、先日、佐渡市の方に行って、トキの野生復帰の取組というのを視察してまいりました。そのときに、中で飼育している間はしっかりと飼育できるんですが、野生になったら、自力でトキは生きていかなければなりません。そのためには、佐渡全体で農薬を使わない、そして、ドジョウとかそういったものが自然環境にいるという状況をつくらなきゃいけないということで、佐渡市長は、当初はやはり皆さんにその意識を持ってもらうのに非常に苦労したというお話をされていましたけれども、佐渡市全体としてそういった自然農法に回帰していくとか、トキが自力で、自分の力で生きていけるような、そういった状況づくりというのに非常に苦労したということでございましたので、そういった取組を各地域で、ムサシトミヨを始めとして、やっていくものに対しまして、環境省としても、しっかりと技術的な助言等々を含めて支援してまいりたいというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございます。地元の状況も調べていただいて、本当にありがたいなと思っております。

 先ほどトキの例を出していただきましたけれども、トキだとかコウノトリだとか、やはり周りの環境そのものの保全というものが非常に大事だというようなお話だったと思います。

 このムサシトミヨという魚の生存している背景を考えますと、うちの方は、秩父の山地から関東平野の広がる、関東平野の出口というか入口というか、山地から平地に移り変わる境目のところでして、要するに、地下水の水位が高いときには自然にいろいろなところから湧き水が流れ出ていたということで、これは、大きく言えば、地下水のくみ上げの制限ですとか、あるいは、近くの環境でいけば、例えば生活排水を流さないような下水道とか合併浄化槽のことでありますとか、あるいは先ほど出た農薬を減らすとか化学肥料を減らすとか、地域全体、あるいは地域だけではなくて東京とか、そういう広いエリアを含めた環境の保全というものがどうしても必要不可欠であるということで。

 是非大臣にはそういった、横串を通すということで、省庁を超えた取組の、私たちが生存している空間、環境、これを生物を通して見ているんだということで、やはり大事にすべきものというものをきちんと守っていこうということで、閣僚のお一人としての責務を果たしていただけるとありがたいなというふうに思っております。

 先ほど、保護団体のお話を出していただきました。ムサシトミヨを守る会ということで、江守さんという方が会長でされているんですが、環境大臣表彰も受けられていて、非常に一生懸命されているんですが、これはほかの団体とかほかのいろいろなところでもそうなんですが、やはりどうしても高齢化の問題がありまして、いかに若い方に取組の中に加わっていただくかというのは非常に大きな問題でして、先ほど学校の御紹介もしていただきましたけれども、そういったこともしていながらも、学校でやっていたからといって、急に、大人になっても草刈りに一緒に出てもらえるよみたいなことにはどうもなっていないということでありまして、これはほかのいろいろなところの悩みでもあると思うんですが。

 いかにして若い世代の方を中心にそういった保全の活動、保護活動に加わっていただけるような工夫ができるかなということで、この辺りについても大臣のお考えを聞かせていただければと思います。

西村(明)国務大臣 生物多様性、こういったものに対する理解を促進するためにも、今御指摘のあったような、若い世代に生物の保護活動等に参加してもらうということは大変重要だというふうに考えております。環境省では、親子で参加できる自然体験の機会といったものを設けるほか、地域の中高生と共同して絵本を制作して子供たちに自然の恵み等を伝える、こういった取組を今やっているところでございます。

 また、産官学民の連携プラットフォームを設置して、こういった業界団体だけではなくて、青少年から成るユース団体にも参画していただくということで、世代を超えた提携の機会というものをつくっております。

 こうした交流の機会を活用しながら、引き続き、若い世代に対して、生物や身の回りの自然環境への関心、こういったものを高めてもらいたいというふうに考えております。

森田委員 先ほどのこともそうなんですけれども、やはり政府の中で横のつながりを是非つくっていただいてということで。

 先ほど、学校の問題であれば文科省とのいろいろなやり取りがあると思いますので、余り直接的になってはいけないと思いながらも、私は介護施設をやっているんですけれども、例えば夏のボランティアで介護に来てもらって、そこで接点をつくってもらうなんということもあって、それは直接は内申書にそれがプラスになるから来るなんという子供さんたちも多いんですけれども、ただ、やはりそうやって、例えばレッドデータブックに載っているようなところは特に力を入れてそういった学校との連携をしていくとか、あるいは、事業所との関連でいえば、環境に対する取組をしているところに、公的な契約をするときなんかは加点でかなり重く見ていくとか、あるいは事業所のいろいろな、例えば補助金、助成金を出すようなときの加点に加えていくとか、いろいろな、省庁を超えた、インセンティブと言っては、そこのためにやるわけではないんですけれども、そういう取組を是非政府全体としてやっていただけるとありがたいなというふうに考えております。

 次に、太陽光パネルの処理についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先日、たまたま地元のメーカーさんが栃木の宇都宮の工業団地の中にガラスの処理、破砕をする機械を設置したということがありましたので、おととい、現場、機械を見せていただいたんですけれども、ガラスを割ると、普通、角があって危ないわけですけれども、とげみたいに刺さって危ないんですけれども、角が取れた状態で、砂のような形で使えるというような、そんな機械を見せていただきました。

 自然エネルギーを高めていこうということで、どうしても、太陽光パネルがいろいろなところにできたのは、それはそれで一つの成果だと思いますが、今後、寿命が来る。設置してから大体二十年とか三十年とかというふうに聞いておりますが、そういった範囲の中で考えると、これから十年、十五年ぐらいするとかなりの量が出てきてしまう。試算をしていただいていて、年間五十万から八十万トンぐらいの廃棄のパネルが出てくるということで、かなりこれは大きな仕組みをつくっていかないと、なかなか処理処分が追いつかないのではないかなというふうに考えております。適切な処理をどういうふうにやっていくお考えか、大臣、お聞かせいただきたいと思います。

西村(明)国務大臣 太陽光パネル、これは二〇三〇年代後半に排出量のピークを迎える、今御指摘があったように、五十万トンから八十万トンということが想定されております。計画的な対応を検討するということが重要であると考えております。

 将来の大量排出を見据えて、使用済みの太陽光パネルの安全な引渡しやリサイクルを促進、円滑化するための支援策の必要性につきましては、今年の十月に関係省庁と開催いたしました有識者検討会の場においても提言があったところでございます。

 環境省として、これまでも太陽光パネルの高効率なリサイクル設備の導入に関する補助事業等を実施してまいりましたけれども、こういった提言を踏まえまして、今後も関係省庁と連携しながら、円滑なリサイクル、適正処理に向けた検討というものをしっかりと進めてまいります。

森田委員 これだけ大規模な廃棄が見込まれるということになると、一つの業として成り立つ、これは太陽光パネルのガラスだけではないですけれども、ガラスの再生とかリサイクル、こういったものがやはり業として成り立つという形をつくっていくということが大事なことかなと思っています。

 見せていただいた機械では、粒の大きさからいって、〇・五ミリから五ミリぐらいの大きさで粒の大きさを調節しながら、例えば建材の一部として、建材というのは、例えばコンクリートのときの砂の代わりにそれを使うとか、あるいはインターロックキングのブロックの中に原料として入れるとか、あとは、宮城県の塩竈で今実験をしていただいているみたいなんですけれども、砂浜の砂の、浜辺の再生というんでしょうかね、砂浜の再生に処理をしたガラスの砂を使っている、こういうことも実証実験として、していただいているということで、環境省の方でも、環境技術実証事業、ETVの事業で、これはお墨つきを与えるということだと思いますけれども、こういった再生をした、建材としてちゃんと適切に使えますよということをやはりお墨つきを早く与えていただけると、よりその活用の機会というものが増えてくるのではないかなというふうに考えております。

 ここからは今後のことなので、要望として発言をさせていただきますけれども、自動車であったりとか家電であったりだとか容器包装のことであったりとか、大量に発生する注意が必要なものについては、やはり法律できちんと処理の方法、再生の方法について定めているということがあります。

 これから、先ほど出たような何十万トンという数字のものが出てくるということは、適切にきちんとこれが再利用、なるべく再利用をする方向で、今は埋め立ててというところも半分以上はあるというふうに聞いておりますが、やはり適切な循環ができるような形での法制度の整備というのも進めていく必要があるかなというふうに思っております。

 あとは、今は廃棄物の処理という形で施設の認可を受けているという段階で、これは、そこの土地の地目だとか周辺の環境にもよるんでしょうけれども、やはりどうしても廃棄物処理ということになりますと許認可が大分時間がかかってくる。埼玉県の例でいくと、新規でいえば三年ぐらいはどうしても認可に、それはもちろん環境アセスだとかを含めて、これは注意が必要なので、当然そのぐらいの時間はかかってくるんだと思いますが。製品化を行うということについては、やはり単に廃棄物処理ということではなくて、いわば工場なわけですから、製造業の中の一環としてこういったものを見ていただくように。是非そういったことについても早くリサイクルに取り組めるような体制を環境省としても御用意いただきたいなということを御要望して、質問とさせていただきます。

 どうも今日はありがとうございました。

古賀委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 皆様、おはようございます。立憲民主党の堤かなめでございます。

 我が党の近藤昭一議員からも質問がございましたが、私も、地球温暖化、気候変動対策について質問させていただきます。

 今年の夏の暑さは尋常じゃなかった、こんな暑さはもう耐え難い、そう感じた方も多いかと思います。日本の最近三十年の猛暑日の平均日数は、一九一〇年から三十年間の平均の約三・三倍に増加している、つまり、およそ八十年で三・三倍にも増加しているということです。また、近年、豪雨災害が激甚化、頻発化し、世界各地で甚大な被害が発生しており、地球温暖化、気候変動対策はまさに待ったなし、一刻の猶予も許さない状況でございます。

 そのような中、地球温暖化及び気候変動の原因と考えられている温室効果ガスの削減のための切り札として注目されているのが4パーミルイニシアチブでございます。

 この取組がスタートしたきっかけは、二〇一五年にパリで開催されました気候変動枠組み条約第二十一回締結国会議、COP21でございます。フランス政府が提案し、本年十月時点で日本を含む七百三十九の国や国際機関が参画しております。

 ところが、日本ではこの4パーミルイニシアチブという言葉すらほとんど浸透しておりませんので、少し説明させていただきます。

 4パーミルとは、千分の四、〇・四%のことで、全世界の土壌に含まれる炭素の量を毎年千分の四ずつ増やしていけば、大気中の炭素、CO2を相殺することになり、結果的に炭素の増加量をゼロに抑え、脱炭素を実現できるという考えに基づいております。

 現在、人間が経済活動によって大気中に排出している炭素は年間約百億トンずつ増えていると言われております。ここから草や木や竹などの植物によって吸収される量を差し引きますと、毎年四十三億トン排出が増えているという計算になります。一方で、土の中には一兆五千億から二兆トンの炭素があるとされており、そのうちの表層三十センチから四十センチ部分には約九千億トンの炭素があるとされています。そこで、この土の表層にある約九千億トンの炭素を年間約四パーミル増やすことができれば、四十三億トン分の排出量の大半を帳消しにできるということになります。

 では、どうやって土壌に含まれる炭素の量を増やすのでしょうか。

 草や木や竹などに含まれる炭素は、そのままにしておきますと、微生物の活動等により分解され、二酸化炭素として大気中に放出されてしまいます。しかし、堆肥や緑肥を使ったり、雑草を除草せず、草の根を利用して農地の土壌を管理する草生栽培ですとか、木材や竹などを炭にしてバイオ炭として土壌に入れることで、炭素を土壌に閉じ込め、大気中への放出を減らすことが可能となります。さらには、土壌に閉じ込められた炭素が透水性や保水性を改善し、根粒菌や硝化菌などの微生物の増殖を促進するため、土を豊かにし、作物の収量を増やすことができます。すなわち、地球環境に負荷をかけないで、与えないで、なおかつ生産性も上げられ、温暖化抑制と食料安全保障を両方とも同時に達成できるということになります。

 そこで、一点目に、この4パーミルイニシアチブの評価についてです。

 本年三月二十九日に農研機構が発表した調査によりますと、農地の炭素量増加による三つの相乗効果、作物の増収、温暖化の緩和、窒素投入量の節減、この三つを検証をしたものになっておりますが、この農研機構の調査結果も踏まえまして、政府は4パーミルイニシアチブをどのように評価しているのか、お聞きいたします。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございました4パーミルイニシアチブでございますが、農地土壌への炭素貯留を通じまして地球温暖化の緩和と農業生産性の向上の両立を図る国際イニシアチブでございます。みどりの食料システム戦略を始めとする我が国の政策的方向性と整合的なものというふうに考えてございます。

 また、農地土壌への炭素貯留につきましては、委員御指摘ございました農研機構の研究成果がございまして、その効果が裏づけられているというふうに受け止めてございます。

 このイニシアチブは、炭素貯留の取組を国際的に広げていく上で重要な役割を果たしているというふうに認識しております。

 我が国としても、二〇一五年の立ち上げの当初から参加するとともに、科学技術委員会というのがございまして、そこでは農研機構から専門家を派遣しているということでございます。

堤委員 ありがとうございます。

 では、二点目に、我が国でも整合的である、効果が裏づけられているということでございますけれども、世界ではこの取組がどのように展開されているのか、およそ十年の取組で得られた知見、成果や課題についてお聞かせください。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 この4パーミルイニシアチブでございますが、現在、我が国を含む四十か国を始めとして七百を超えるパートナーが参加しているということでございます。

 このイニシアチブでは、二〇二〇年に戦略計画を定め、各国の炭素貯留の実施能力の向上ですとか意識の向上、それからステークホルダー間の協力の促進、あるいは炭素貯留量の測定に関する協力等の取組が展開されているということでございます。

 一方で、この農地土壌への炭素貯留の取組、これを世界的に展開していくに当たりましては、幾つか充実させていくもの、例えば、各国が気候や土壌条件、作物生産の実態等に応じた取組を進めていく、あるいは、農業者の行動変容を促していくための土壌炭素貯留に対する意識を向上していく、それから、特に途上国でございますが、土壌炭素貯留を気候変動施策として十分取り上げていく、こういった取組を充実させていく必要があると承知してございます。

堤委員 岩間審議官、ありがとうございます。

 それでは、先日、私は、日本で初めて、そして現時点では都道府県の中で唯一4パーミルイニシアチブに取り組んでいる山梨県を視察させていただきました。山梨県は、ブドウ、桃、スモモの生産量が日本一の果樹王国でございます。

 そこで、その取組を示した資料一を御覧になっていただければと思います。

 一ページ目ですが、果樹園で炭素貯留効果を更に大きくする方法として、剪定枝バイオ炭を作っておられました。果樹の剪定枝には、光合成によって多くの炭素が蓄積しております。そこの図にありますように、チップ化や堆肥化して土壌に施用、土壌に入れても炭素を貯留できますけれども、それではいずれ分解して放出してしまう、ほとんどがですね。そこで、バイオ炭にする、炭化することでより多くの炭素をより長期間土壌中に貯留することが可能となるということでございます。

 そして、裏の二ページ目を御覧ください。

 炭化の方法なんですけれども、持ち運び可能な、そこの図にありますように、簡単な無煙炭化器を使用されておられます。これはステンレス製で、例えば直径一メートルのものですと、五、六万円するということでございます。そして、このようなものを使って、剪定したその場所ですぐにバイオ炭を簡単に作ることができる。したがって、原料や炭の運搬で発生する二酸化炭素もほぼゼロである、そういった取組でございます。

 ほかにも、4パーミルによって価値を高めて、より高くブドウなどを販売するなどの取組もなさっておられます。

 このような一連の山梨県における4パーミルイニシアチブの取組、ここでは仮に山梨方式と呼びたいと思いますけれども、そこで、山梨方式は、農水省が進めておられるみどりの食料システム戦略、先ほど審議官の方からもお話がありましたが、有機農業の農地を二〇五〇年までに全体の約二五%にするなどの意欲的な目標を掲げたものですけれども、この戦略とも整合性、親和性があると思います。

 政府はこの山梨方式をどのように評価していらっしゃるのか、お聞きいたします。

安岡政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員から御紹介のありましたバイオ炭については、農業の面から見ると、土壌改良資材の一つとして土壌の透水性など物理性を改善する効果があるとともに、今委員から御説明があったとおり、農地土壌への炭素を貯留する効果もあるというようなものでございます。

 このため、バイオ炭を進める山梨県の4パーミルイニシアチブの取組については、具体的には、果樹産地で発生する剪定枝を活用するなど、まさに地域の農業生産の特性に合わせた取組、これをまさに県で、全体として、県を挙げて取り組まれているということに加えて、農業の生産性の向上、さらには、こうしたものを図りながら地球温暖化にもつながる取組となってございます。

 我々にとっては、みどりの食料システム戦略を推進する上でも有効な取組であると考えているところでございます。

堤委員 それでは、次に、山梨県では、先ほどの無煙炭化器を半額で補助しています。山梨県が単独で半額補助しています。これを政府補助とするなどして、全国にこの先進的な山梨方式を広めていただきたい、横展開していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。御所見をお聞かせください。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、みどりの食料システム戦略推進交付金というものを措置しておりまして、各産地に適した、環境負荷低減に資する栽培体系への転換のための取組を支援しているところでございます。

 バイオ炭の取組は、まさに環境負荷低減に資する取組の一つでございますので、本交付金において、バイオ炭を生産するための御指摘のあった炭化器の導入を含めて、バイオ炭の施用の実証について支援しているところでございます。

 現在の実績なんですが、今年度は、既に本事業で、十県でバイオ炭を使った検証に取り組む計画がございます。そのうち、山梨県を含めた五県で実際に支援を活用して炭化器を導入する計画となっているところでございます。

 今後もこうした支援策を使って取組の横展開を進めていきたい、このように考えております。

堤委員 私の地元であります朝倉市、筑前町、東峰村では果樹栽培も大変盛んですので、是非九州にも広まっていただきたいと思っております。

 さて、政府は、G7日本開催を契機とした世界、アジアのSDGs達成への貢献を掲げておられます。途上国を含む世界各国、とりわけ近隣のアジア諸国における脱炭素を支援することは、私も大変重要な日本の役割だと考えます。

 山梨方式は、途上国支援に最適ではないかと思っております。

 なぜなら、まず、必要な器具は炭化器のみで、高価な機械も電気などの動力も必要としません。頑丈で、安価で、誰にでも使いこなせる、メンテナンスも必要ない、ローテクノロジーであるだけに、途上国の方々が導入しやすい技術だと思います。

 さらに、今まで政府からもお答えがありましたように、土が豊かになることで作物の収量が増加したり、吸水力や保水力が高まることで干ばつや洪水の発生を防ぐという効果もあり、途上国の貧困問題の解決にも資するのではないでしょうか。

 そこで、次に、今後、農業分野における海外協力としてこの山梨方式を広めていってはどうかと考えますが、農水省の御見解をお聞かせください。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省におきましては、みどりの食料システム戦略に基づき、環境負荷軽減に資する技術、生産体系の開発、それから社会実装に取り組んでおります。ここで得られました我が国の経験、科学的知見を活用して、途上国の持続可能な食料システムへの移行に貢献するということでございます。

 今御指摘がございました気候変動対策につきましては、山梨で行われているような土壌炭素貯留の取組に加えまして、温室効果ガスの排出削減の取組も含めて、途上国の能力向上、これに資するように、アジア・モンスーン諸国を対象としたワークショップ、こういうものを農林水産省として開催しておるということでございます。

 農業分野の途上国支援として、今後とも、我が国の知見、技術を活用した取組を進め、気候変動対策を含め、途上国のニーズに応じて、最適な方法での支援を実施してまいりたいと考えております。

堤委員 太平洋の島嶼国やアジア、アフリカなどの途上国よりも、私ども先進国の方がはるかに温暖化の原因となる炭素を排出しているにもかかわらず、途上国の方が水害や干ばつなど、気候変動による甚大な被害を受けています。先進国の責務として、日本だけでなく途上国のカーボンニュートラルにも貢献していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、この山梨方式を国内で、また世界で推進していくためには、環境省と農水省が協力して取り組むことが肝要かと思いますが、今後どのように進めていくのか、意気込み、決意をお聞かせください。

国定大臣政務官 堤委員御指摘のバイオ炭でございますけれども、先ほど来農林水産省の方からも答弁申し上げておりますとおり、大気中の二酸化炭素を吸収、固定する効果があるとされているところでございまして、環境省といたしましても、温室効果ガスの吸収源対策として評価をしており、国際的なルールに基づき、吸収量として計上しているところでございます。そのため、バイオ炭の活用は、我が国の温室効果ガスの排出削減量にも貢献をしているというふうに捉えているところでございます。

 引き続き、農林水産省を始めといたしまして関係省庁と連携をさせていただき、バイオ炭等の吸収源対策にも取り組みながら、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現を目指してまいりたいというふうに考えております。

堤委員 今後の展開に期待しております。

 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 皆様、改めまして、こんにちは。立憲民主党、福島県出身の馬場雄基でございます。西村大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回、質疑に立たせていただく上において、一つ決意を先に述べさせていただきたいと思っています。最後まで責任を持つということです。これは、今もう本当に言葉が少し軽んじられているような気もしますが、説明責任というような言葉に表せるようなものだけではなくて、一つ一つの政策に宿らなくてはならない魂であるというふうに感じておりますし、今、日本政治そのものが問われています。国民一人一人、あるいは世界から信頼を得ていくために、私たち国会議員が、全員が求められていかなくてはならない姿であるというふうに思っております。

 まず初めに西村大臣にお伺いさせていただきたいのは、中間貯蔵施設及び最終処分についての問題でございます。世界中で誰もが経験したことのない課題に挑まなくてはならないこの問題です。西村大臣が今感じられているその課題における思い、現状の課題、そして、今まではこうだったかもしれないけれども、ここに力を入れていかなくちゃならないんじゃないかという、そういう点について端的にお答えいただけたら幸いです。どうぞよろしくお願いします。

西村(明)国務大臣 今、馬場委員から非常に力強い決意を伺いました。平成生まれ最初の国会議員として、我が国政治も非常に明るい未来があるなと思ったところでございます。是非これからも頑張っていただきたいと思います。

 今の福島原子力発電所の問題に関しましては、先ほどから御質問もあったように、帰還困難な状況の中でまだ苦しまれている皆さんもいらっしゃいます。そうした皆さんをしっかりフォローアップすると同時に、中間貯蔵を始めとした問題は国としての約束でございますので、まさに責務としてしっかりとその約束を果たしてまいりたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。責務として、本当に最後まで全うしていかなくてはならないと思っています。

 委員の皆様方はもうお気づきのとおり、私は、実は二百八回国会のときには既にこれは五回質問させていただいておりまして、それらは全て、実は一点にかけた思いで質問させていただいておりました。全ては二〇四五年、まさにその責務が問われるそのときに責任ある社会、責任ある状態であってほしいというふうに思い、中間貯蔵施設内にある土及びその処理方法について、国際的に理解を得られている土台をつくらなくてはならないのではないかという一点においてずっと質問させていただきました。本来はもっと別な質問をしたいんですけれども、恐らくこの一点は、将来にかけて命運が懸かる岐路だというふうにも思っています。

 この場で解決できればいいんですが、どうしてもそうはなりません。次の世代、そして次の次の世代に残していかなくてはならない問題が、この復興という難しい課題なのではないかと思うわけです。それを時代のツケとして残していくのか、あるいは、次の世代の者が、それだけやってくれたんだから今度は僕たちがやるよ、そういうふうに受け継いでくれる意思のある者が現れてくるかは、今のこのまさに国会で、あるいは環境省に、その姿に私は全て懸かっているんだというふうに思います。

 一一年に事故が起きました。四五年にその真価が問われます。三十四年間のこの全ての歴代の大臣が、あるいは副大臣、政務官が、あるいはその方々を問い直すことのできるチャンスのある我々が、全ての責任がその三十四年間に込められているのだと私は感じています。

 この最終処分そして中間貯蔵施設の問題において、私はプロセスがすごく大事だと思っています。それは三つのプロセスです。

 一つは、ワールドスタンダードな議論をしっかり尽くせるということ、そのまさに土台があって、国内の分断がないようにどうやって説明をしていくかということ、そして、実際に損害が出たときにきっちりとそれを賠償していくということ、この三つの流れが大事なのにもかかわらず、この一番上の土台が崩れている状態では、とてもじゃないですが、その社会は実現できないと思うんです。

 五回質問させていただきました。都度、環境省さんからこのような言葉を言われました。馬場君、そこまで心配する必要はないんだぞ、IAEAの調査団があるよ、福島にも来ているよ、そこには中国も韓国も来ているよ、だから大丈夫だ、五回、何度も言われてきました。

 でも、皆さん、どうでしょう。九月二十七日に行われたIAEAの総会において、これは土じゃないです、水、処理水の問題でありますが、中国と韓国は否定的な見解を述べられました。難しい課題なんです。水と土を同じく語るつもりは毛頭ございませんが、水よりも土の方が難しいと思います。なぜなら、その場にあるからです。

 大臣、今の環境省の姿において、どこかおごりや、どこか緩みがあったのではないか。環境省じゃないですね、ここの問題は。経済産業省の問題ではありますが、私は、そのところから、この土において、しっかりと向き合っていかなければならない課題だと思っています。今ならまだ変えられると思うんです。

 そこで、少し乱暴な言い方になってしまうんですが、この状態の延長線上のままで、国際的理解からしっかりと評価が得られ、そして国内の分断がなく、最終処分まで真っすぐに堂々と突き進むことができると、今大臣は自信を持ってお答えすることができるでしょうか。大変恐縮ながら、イエスかノーか、二択でお答えいただければ幸いです。

西村(明)国務大臣 委員御指摘のような方向性に向かっていけるように最大限の努力を今我々もしているところでありますし、そういった答えを導き出したいというふうに思っております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 その最大限の努力というものが今の延長線上の中に私はないというふうに思っています。

 御提案はずっと過去五回させていただいてきたとおりではありますが、オープンなソースでオープンに議論をしていかなくてはならないんだと思うんです。

 日本をよく思わない、心配に思う国々があるならば、その国々に来ていただき、その土に実際に触れていただき、あるいは、今までの過程ですね、そもそも集めたことに対して、八千ベクレルという基準を設けて分けていることに対して、そして、それを再生利用しようとしていることに関して、再生利用をすることの方法について、これら全てのプロセスにおいてしっかりと研究、分析していただくということが私は必要だというふうに思っています。

 これはIAEAがやればいいですが、それだけでは、結局、処理水はそれ以上のことでもまだ懸念が示されていたわけですから、各国から来ていただくというようなことも含めて考えてはいただけないでしょうかというふうに申し上げていますが、大臣の御見解、どうぞお聞かせください。

西村(明)国務大臣 委員御指摘の、除去土壌、これの再生利用の推進に当たっては、土壌の安全性、そうしたものに対するまず国内における国民の理解醸成というものが不可欠であります。加えて、今御指摘のありましたように、国際的な理解、評価、これを得られるように取り組んでいくということが重要だというふうに考えております。

 国際的な理解というのは、非常に難しい部分もございます。実際、農水産物がなかなか海外において輸入が解禁されないという状況が続いておりました。私も内閣官房副長官の折に、各国の首脳ともお会いしながら、日本の農水産物の安全性、しっかり説明してきましたし、当時の安倍総理も一生懸命そのために汗をかいてきました。

 ただ、そうした中においても、やはり様々な状況がそれぞれの国にございますので、なかなか厳しいものがございましたし、同じように、除去土壌に関しましても国際理解を得るというのは非常に困難を伴うと思いますけれども、ただ、それをやらなければならないというのが我々の仕事でございます。

 だから、こういった意味で、様々な国際的な基準を作成しているIAEA、こういったものの専門家の知見を得ながら、除去土壌の放射線の安全性等について国際的な理解をしっかりと深めていかなければならない、そういうふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 難しい課題だというその認識までは分かるんですけれども、そこからなかなか先に進まないのが今の現状じゃないのかなと思っています。難しいのであれば、それをしっかりと因数分解して、その一つ一つに最大限の努力をしていくということが私は必要だと思います。

 IAEAに関しては、調査があるよと。じゃ、それが具体的にどこで行われているのか、私は今年の二月に聞いていますが、いまだその答えは返ってきていません。全然ないと等しいんじゃないんでしょうか。

 国際的な理解を得られるための努力は、今やろうと思えばできると思いますよ。それが、難しい課題だと言われ続けて、ずっとこのままの状態なんです。私は、このままの延長線上の先には分断しかないと思います。でも、今ここでしっかりとそれに対してやる、国際的理解を得られるように。国内の理解も、国際の理解があって初めてなんじゃないんですか。

 もちろん、国内の研究でJAEAさんが一生懸命頑張っているのは私たちは知っています。各大学の研究者さんが一生懸命やっているのも分かっています。それらを含めて、国際的な知見にレベルをぐっと上げてやっていく必要性が私はあるんだと思うんです。それが分断のない社会をつくるための要素だと私は思うんです。大臣の下で是非そこを加速していくというお答えをここでいただくことはできないでしょうか。

西村(明)国務大臣 委員御指摘のように、しっかりと早く解決策を、答えを求めたいということは、重々、我々もみんな同じ気持ちでいるところであります。

 ただ、政治というものは、性急に答えだけが導き出されるというものでもございません。特に、外交が絡むものでもございますので。そうした状況の中においても、委員が今御指摘のあったような強い解決への思い、これは我々と共通するところでございます。

馬場(雄)委員 いわゆるノー回答なんだろうなというふうにちょっと今思うわけなんですけれども、具体的な行動というものを求め続けていきたいというふうに思っています。

 次にもしこういう機会があったときには、何かしらのアクションが、私は一年これをやり続けて、多分、何の変化もないんですよね。何か、国会ってこういう場所なのかなと、少しちょっと挫折感を覚えている部分はあります。何かしらアクションがあってくださるなら別なんですが、そこを是非、西村大臣、そして皆さん、副大臣、政務官、そして環境省の一人一人の職員の皆様に私はお願いさせていただきたいと思います。(西村(明)国務大臣「委員長」と呼ぶ)続きます、済みません。

 太陽光パネルの廃棄の問題について伺いたいというふうに思っています。

 大量廃棄の問題が来るというふうに言われていますけれども、二〇三〇年の頃にはそれがやってくる。それが物すごい勢いで来るんですが、いまだ、やはり議論を聞いていると、そもそも需要がそこまでないので、なかなかそこまで進みませんという言葉が返ってくるんですが、それでは私は遅いと思っています。

 市場が確立しなければリサイクルは回りません、きれいごとでリサイクルはできませんから。リサイクルをしようという意気込みはいいんです。ただ、出口戦略が全然見えない。この出口戦略にみんなが困っているわけです。

 パネルの重さは大体一つ十五キロ。そのうちの六から七割を占めているのはガラスです。つまり、廃ガラスの処理が一番難しいわけです。この廃ガラスはどこで処理されるか。管理型処分場です。安定型処分場じゃないんです。管理型処分場です。これそのものが全部そちらに行ってしまったら、もう管理型処分場はすぐ満杯になるのではないでしょうか。

 そこで、いろいろなリサイクルの方法が考えられるわけなんですけれども、私も、中間処理業者の方々、研究所に数多く足を運ばせていただきました。リサイクルの必要性を理解し、何としてでもやろうというふうに立ち上がっている方々の、数多く聞いてきましたが、リサイクルの出口、廃ガラスの利用方法になると、いきなりトーンダウンしてしまいます。

 これは、ガラスというものが本当に難しい存在で、欧州とかはそもそも再生利用、再利用することにすごく許容度があるわけなんですけれども、日本においては、成分、有害物質のアンチモンと言われるものが関わっているため、例えば、廃ガラス協会さんの皆さん方はやっていこう、皆さん、そこまでは分かるんです。でも、実際のメーカーさんが、それが回ってくるときには、ちょっと待ってくれというふうに働いてしまうのが今の現状。

 つまり、環境省がどれだけリサイクルをやろうと言ったとしても、市場においての廃ガラスの価値がそこに至っているということは、まだまだ課題が難しいということではないでしょうか。ここで環境省から大きな方向性を示していく、アンチモンに対する許容度を深める政策を打っていくのか、あるいは、アンチモンが入っているなら原材料に使うことは厳しいよねと言うのか。

 お手元の資料を配らせていただきました。様々こういうふうに研究は出ているんです。ただ、これを、市場価値を高めていくための何をやっていくのかということを問われなければいけない時代がやってきたんだというふうに思います。

 西村大臣、この出口戦略を考えたときに、廃ガラスの利用方法について御見解をお願いいたします。

西村(明)国務大臣 廃ガラスのお話でございますが、その前に、先ほど環境省としていつも同じような回答だというお話がありましたけれども、委員からも様々な御指摘をいただくと同時に、環境省としてもしっかりと国際的な理解を深めるために、例えば今年の六月には、海外のプレスを対象といたしまして環境再生ツアー等々を実施したりして、除去土壌の安全性等について情報発信は続けております。しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 また、今、アンチモンの話もございましたけれども、確かに、アンチモンを含有している、また溶出防止について配慮している事例というものはございますけれども、リサイクルの推進に当たってこのアンチモンが、どのような支障が生じるのか、今、現状を把握しているところでございます。

 太陽光パネル自体は、委員御指摘のように、二〇三〇年代後半に排出量のピークを迎えます。そして、重量の約六割、このガラスの処理というのが非常に重要でありますので、こういった使用済みのパネル由来の廃ガラスには、ガラス製品の品質向上、これが課題となってきます。将来の使用済パネルの大量排出に備えて、使用済パネルから純度の高いガラスを回収する技術、リサイクルしたガラス製品の用途先、これを広げていくことが重要だというふうに考えておりまして、今、環境省としても様々な実証事業を行っておりまして、こうした課題に取り組む事業者支援、これをやっているところでございます。

 引き続き、リサイクルの促進のために力を尽くしてまいりたいと思っております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 品質向上というキーワードをいただいたというふうに思っています。つまり、そのままのものでやるよりも、やはり純度の高いガラスでやっていくというのが今の国の方針であるというのは、今この場で伺えたことだというふうに思いました。

 本当に今、新たにチャレンジしている方々が多いんです。その方々は本当に身を削って、投資をしてやっているわけですので、その方々の思いにしっかりと応えていく形を私は目指し続けていきたいというふうにお願いを申し上げたいと思っています。

 この太陽光パネルの廃棄の問題は、法制度の改革もまた必要なのかと思っています。新法なのか廃掃法の改正なのか、私は廃掃法の改正の方なのかなというふうには思うわけですけれども、その点は仮置場の、仮置場と言ってはあれですね、中間で置くところの期間の延長、あるいは、例えば広域処理の可能性を見出すための法改正の在り方、あるいはリユースですね、リユースをどれだけ使っていくかという市場をつくっていくということ、そして、海外から輸入してくる場合、成分規制、これをしっかりと求めていくということ。リサイクルはリサイクルでも、自動車と家電と全然違うところは、やはりここが中国製や、日本産ではないというところが非常にネックになっていると数多く伺っていますので、こういったところの部分を是非とも早急にやっていただきたいというふうに思っています。

 スピード感を持ってというお答えをいただいているので、プラス回答だとは思っていますけれども、試されるのは、二〇三〇年までにその状態をつくり上げるということだと思っています。実証をするならば、もうあと二、三年で終わらなければいけないと思っています。二〇三〇年までに市場をつくるということをゴールに向けて、スケジュール感を引き直していただきたいということを最後に申し上げ、質問を終わらせていただきたいと思います。

 本当にありがとうございました。

古賀委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。今日はよろしくお願いいたします。

 今日は、カーボンニュートラルに関連してCOP27がカイロで行われますけれども、それに対しての我が国のエネルギーの在り方、そしてまた今国内で開発されています石炭ガス化燃料電池発電、すごく効率がいいんですが、そういったものに対する環境省さん等の御意見、さらに原子力規制の今の在り方についていろいろ議論をさせていただければと思っております。よろしくお願い申し上げます。

 早速、まずカーボンニュートラルに関連しまして、近い将来、電動車、電気自動車、こういった社会がやってくると言われておりますけれども、その中で、やはり再生可能エネルギーの技術的な限界があり、また、国内の火力発電所、これも老朽化しています。そして、原子力発電所の再稼働問題などたくさん山積みされておりまして、この冬の電力の逼迫、こういったものもすごく気になるところでございます。

 そういった意味で、火力発電、日本の場合、すごく技術は高い、こういった中で、今度行われますエジプト・カイロでのCOP27における我が国の火力発電に対する考え方、また、特に石炭火力に対しての御見解を大臣にお願いいたします。

西村(明)国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けては、何より再生可能エネルギーの主力電源化を徹底してまいります。その中で、石炭火力につきましては、その比率をできる限り引き下げていくことが従来からの基本方針であります。

 一方で、エネルギー事情や脱炭素技術の開発の動向を踏まえまして、委員御指摘の電力供給の問題と併せて脱炭素化を考えるということが必要だというふうに考えております。

 具体的には、電力の安定供給、これを大前提といたしまして、二〇三〇年に向けて非効率石炭のフェードアウトを着実に進めるとともに、二〇五〇年に向けましては水素やアンモニアやCCUS等の活用によって脱炭素型の火力に置き換えていく取組を促進してまいります。

空本委員 再生可能エネルギー、こういったものをどんどん増やしていく、そして、アンモニア、水素、こういったものも増やしていく。分かるんですけれども、その中で再生可能エネルギーと考えるならば、やはり蓄電池技術のブレークスルーがなければかなり難しいであろうと思います。

 この百年、百数十年、いろいろな電池技術の開発はされてきましたが、蓄電の技術は開発されてきましたけれども、リチウムイオン電池はある程度飛躍的に伸びたかもしれませんが、やはり、大容量の電池、蓄電というのはなかなか厳しいと思います。やはり、相対性理論とか量子力学、量子論といったような、世界を一変させるような大理論、物理学の理論がないと蓄電技術のブレークスルーはあり得ないと思います。

 そういった中で、再生可能がやはり限界があるだろう、そういう意味で、このCOP27に向けて、カーボンニュートラルを実現するために、先ほどお話しいただきましたけれども、どういうエネルギー構成を、経産省さんの方はいろいろ考えていらっしゃいますが、環境省としてどうお考えか、御説明をお願いします。

西村(明)国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けましては、再エネの最大限の導入を始めとした電力の脱炭素化、これが不可欠でございます。

 再エネの最大限の導入に向けましては、委員御指摘の蓄電池の普及が必要であります。蓄電技術の技術開発のみならず、早期の社会実装も重要となってまいります。環境省では、特に社会実装を進めていくという観点から、蓄電池のリユース、リサイクル技術の実証の取組を進めているところでございます。

 こういった蓄電池の開発は基本的に経産省、そして、社会実装、これを環境省としてしっかり担っていくと同時に、蓄電技術のイノベーションの加速化に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

空本委員 ありがとうございます。といえども、やはり少し、具体性はありませんし、また、カーボンニュートラルを実現するためのエネルギー構成、そういったものがちょっと見えてこない、環境省さんとしてはちょっと見えてこないということがちょっと残念でございます。

 その中で、今日、配付資料を五枚、三枚ですか、表裏もございますので、お配りさせていただいております。その中で、まず最初の三枚が、石炭火力、石炭ガス化複合発電、こういったものの資料でございます。

 まず、一つ目の資料、こちらにありますけれども、ちょっとカラーの方も御提示させていただきます、石炭ガス化燃料電池複合発電というものの資料でございます。

 これは今、実際には、経済産業省、そしてNEDO、さらには電源開発、中国電力といった電力会社、ほかにカーボンリサイクルを含めて様々な研究機関が協力しながら研究開発を進めております。この石炭ガス化燃料電池複合発電というもの、元々、石炭をガス化します、それで高効率化を行います。できるだけCO2を石炭でも抑えようとするものではございます。その中では、石炭の使用量を約二〇%削減する、また、発電効率も五〇%近くまで参ります。日本の固有の独特の技術でありますけれども、世界に誇れる技術でございます。

 続いて、配付資料2をちょっと見ていただけたらと思うんですけれども、これは中国電力さんのコマーシャル、今、中国地方で展開されております。

 これは、見ていただければと思うんですが、中国電力の元営業マンだった青山学院大学の競走部、そして今の陸上部の監督の原晋監督が出ていらっしゃいまして、すごく面白いといいますか、すごくわくわくするようなCMになっています。ここでは、石炭ガス化燃料複合発電によって将来的にはCO2を九〇%削減する、また、CO2をリサイクルして燃料とか光合成、コンクリートにする。画期的な、今、NEDOさんとともにやっていらっしゃいます。

 こういった新しい取組をやっているこの石炭を使った技術、こういったものはすごく未来に対して有望であるというふうに考えます。そして、発電効率も五五%、もっといける可能性もある。そういった意味では、環境省さんとしてもこういったものを更に推し進めるといいますかバックアップしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 先ほどからの繰り返しにはなりますけれども、カーボンニュートラルの実現には、CCUS等の活用によって石炭火力を脱炭素型の火力に置き換えていく、このことが必要不可欠であります。

 そして、今議員御指摘の石炭ガス化複合発電、IGCCや石炭ガス化燃料電池複合発電、IGFCにつきまして、発電効率の向上に加えてCO2排出量の削減といったものが期待されるというふうに考えております。また、CCUSと組み合わせれば石炭火力発電の脱炭素化も可能となることから、引き続き、経産省でやっている実証事業、この進展というものをしっかり注視してまいりたいというふうに考えています。

 環境省としては、CCUSを社会実装するための実証事業にも取り組んでおりまして、脱炭素化に寄与する様々な技術が早期に社会実装されていくようにしっかりと後押しをしてまいりたいというふうに考えています。

空本委員 ありがとうございます。

 是非とも、CCU、CCUS、こういったものを組み合わせた仕組みもありますけれども、できることならCOP27で今度、この石炭ガス化燃料発電というのは、資料3を見ていただきたいんですけれども、配付資料3は、上段に、LNGの火力発電また石炭火力の発電の技術動向の、横軸が年代で、発電効率を縦軸に取って描いております。その中で、今、燃料複合発電といったのが大体五五%、CO2三割削減、また、LNG火力においては二割削減で、六〇%ぐらいいっていますけれども、普通の石油火力なんかに比べても石炭の複合発電はすごくすばらしい。複合発電にすれば何でもすばらしくなるんですけれども、かなり有望である。

 ウクライナ情勢とか、昨今のLNGが入ってこない情勢、オーストラリアから買い付けしておりますけれども、今後、どの国もLNGを買い求めて、またこれも値上がりする可能性がある。もちろん石炭も値上がりする可能性はありますけれども、やはりこういう、資源がない国においては石炭というものの有効活用。

 そして、下の段を見ていただきたいんですけれども、これは各国の石炭火力発電、CO2の排出量の比較でございます。左からインド、中国、アメリカで、世界平均が真ん中にございまして、だんだんだんだん。右の方はLNG火力、それはすばらしい、CO2は石炭よりは出さない。けれども、例えばインドと比べますと半分以下に抑えられる技術なんですね。

 実は、クアッド、五月の会議等におきましても日米豪印気候変動適応・緩和パッケージを立ち上げて気候変動に対する対策を打とうというふうに四か国で合意されておりますし、そういった中で、是非とも、インド、こういったまだ効率が悪い石炭火力を使っているところ、こういったところに売り込んでいただきたいんですよ。我が国、メーカーさんはすばらしい技術を持っているわけですよ。持っているんだったら、これを売り込むのはやはり大臣の役目じゃないかなと。COP27に行って、うちにはこういう技術があるんだから、インドさん、こういう技術を導入しませんかと。

 今月というか先月ぐらいまで、バルマ駐日インド大使、私も個人的におつき合いをさせていただいていまして、今度はカナダの大使になっていかれますが、彼も技術者といいますか物理学者、物理学を習った方というふうにお話をさせていただいていてすごく意気投合しているんですけれども、そういったインドの大使さんなんかと話すときも、やはり、日本の技術の導入といいますか、日本との協力関係は大事だとおっしゃっています。ならば、COP27、世界の場でインドと、また他の新興国、これから発展しようとする国々の発電システムにこの我が国の石炭ガス化燃料電池も入れたらすばらしいもので、インドのCO2を半減できる。

 インドは、来年になると十四億人を超えてきて、中国の人口を抜く、世界的に一番になってしまう。そういった中で、これからエネルギー、電力が本当に必要になってきます。ならば、インドにまずこの我が国の技術を売り込む、これは大臣の使命じゃないかと思うんですが。

 これはちょっと質問通告していないんですが、大臣、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 先般行われたG20におきましては、インドの環境を担当する大臣と会談させていただきました。非常に環境問題に熱心に取り組んでいる感じも私も受けましたので、委員の御指摘で、売り込む仕事が果たして大臣の仕事かどうかよく検討させていただきますが、ともかく、日本にとりましてもインドにとりましても、少しでもCO2削減のために共同できることは共同していきたいというふうに考えております。

空本委員 大臣、ありがとうございます。是非とも御検討いただきまして、前向きな対応をいただきたいと思います。

 十四億人の人口と、日本の場合は一億二千万人。やはり、十倍以上違う人口で、排出量だって十倍、まあ分かりませんけれども、そこは私もデータを持っておりませんので。だったら、インドのCO2を下げることが国際貢献になって、排出量取引じゃないけれども、そういうやり方もあるんじゃないかなと。国際貢献しながら、我が国のCO2削減のみならず、世界のCO2削減を我が国は率先してやるんだと。原子力発電所の展開もありますが、そういった、今、既存技術で。再生可能エネルギー、限界がございます、はっきり言って限界です。

 これから申し上げますが、太陽光パネルの、東京都さんでこれから住宅とかの新設に当たって義務化しようという問題がございます。その中で、これから、先ほど来大量廃棄の問題があるというふうにおっしゃっています、大量廃棄だけじゃなくて、その中で一番危ないのは火災の問題、漏電の問題です。光が当たればずっと電気が通るんですよ。ちょっとそこら辺に紙とか可燃物があれば燃える可能性がある。そういう廃棄物としてためたところに光が当たるとこれは火災になります。

 そういった意味で、新しい基準作り、廃棄物処理に対する考え方が必要になってくるんですが、その点について環境省としてどのようなお考えか、お答えください。

土居政府参考人 御質問いただきました、パネルがまだ発電を続けるという問題につきましては、実態も把握しておりますので、リサイクル、廃棄の際のガイドラインを作った際には、それを確実に止める、遮断するということが重要だということを明記させていただいておりまして、このガイドラインの徹底によりまして、そういった事故がないように努めていきたいというふうに考えております。

空本委員 是非よろしくお願いします。

 もう一問あったんですが、ちょっと飛ばさせていただきまして、原子力の方に入らせていただきたいと思います。また時間がありましたら戻らせていただきます。

 次に、原子力の新しい規制基準に関連して、配付資料を二枚お配りしております。

 実は、委員の皆さん、今日、ほかに委員会があると思うんですけれども、多くいらっしゃらない。すごく与党の方が少ないと思うので、是非とも今後よろしくお願いいたします。

 是非とも、実はこれを聞いていただきたかったんです。

 私、原子力の専門でございまして、大学も、今日は山中委員長にいらっしゃっていただいていますが、大阪大学のオクタビアンとか、核融合も私もやっていましたし、核融合検討会も行かせていただき、レーザー研も、また東大の原子炉、高速炉「弥生」で、また田中知先生は、いつも東大の研究施設ですごくお世話になりまして。

 そういった意味で原子力村の人間なのかもしれませんけれども、原子力についての規制がすごく分かりづらい。はっきり言って私も分からなかったです。全く新しい新基準に変わって、私、東芝を辞めましてはや二十数年になりますので、昔の告示五〇一号という技術基準をもって設計をやっていました。それがいろいろ省令、政令に入ってがらっと変わってきたり、また、この新しい規制庁になって、毎年毎年いろいろな文書が出てきて訳が分からない。はっきり言って分かりませんでした。

 それをちょっと一週間の間でまとめ切りまして、資料4、5にまとめております。これは是非とも本当に、環境委員会、これから炉規法の改正があるのかないのかということもございますので、しっかり皆さんと一緒に勉強させていただきたいなと思いまして。今後は、私が発言するときは、原子力の問題をやるときは是非とも、自民党、また与党の皆さん、是非聞いていただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それで、資料4でございます。私なりにまとめまして、もしここに間違いがあれば規制庁の方から御指導いただけたらありがたいと思います。

 まず、この基準というのがどうなっているか。新しい基準というのは、皆さん御存じかと思いますが、原子炉等規制法というものがある。私らはすぐ炉規法とか簡単に言うんですが、実際の名前はすごく長くて、核原料物質からとんとんとんとんと、関する法律というような名前でございます。原子炉というのは後ろの方にあります。その下に、政令、省令、そして規則、告示、解釈、ガイド、ガイドライン、そういったものが様々あって、それを電力会社、事業者は守っていかなきゃいけない、それに不適合であればもしかすると発電所を止めなきゃいけない。大変厳しい仕組みであります。

 その中で、いつも私たちは、設計、開発のところにいますと、電力会社が計画し、そして私たちが設計をいろいろしていきます、そういった中で許認可とかを受けていきます。そして、建設段階で検査を受けたり、運転段階でも検査を受けて、また、浜岡の二号機、三号機、廃止措置で今、中の構造物を全部取っていっていますけれども、そういった廃止措置、廃止段階。

 こういった中で、設置許可申請、そして許可を取って、また、設工認と言われる工事計画の審査とかを受けて、さらに、保安規定も大丈夫かという審査を受ける。これは許可、認可でございます。二年前までは、使用前検査、保安検査、施設定期検査というものがありました。私らは定期検査とかとよく言っていましたけれども、また名前がころころ変わっているのかどうか分かりませんが、変わっています。そして、事業者による自主的な検査が、供用前事業者検査、定期事業者検査というふうに言われている。従来は審査なんかについては安全審査と言っておりましたが、今は安全審査ではなく適合性審査、安全を確認するのではなくて技術基準に合っているかどうかを確認するというのが規制庁、規制委員会の役目というふうに認識しております。

 そういった中で、規制庁は、元々科技庁にあって、総理府の中にあって内閣府に移った。さらには、原子力安全・保安院がありましたけれども、科技庁の安全局と、燃規課とか炉規課とか安全課がありましたよね、外務省の建屋の横にありました、そういった中にあってエネ庁との分離そして統合を行ってできてきた、それが今回規制庁に一本化された。これは私はよかったと思います。一部は文科省にもありますけれども、放射線とかそういった部分はあります、研究についてもありますけれども、ある程度一元化されて規制委員会にまとまったということはすごくよかったと思います。

 だけれども、ここで一番難しいところは四番でございまして、新しい基準の変更点、新しくできたもの、(一)、(二)、こういったものの、今、四十年問題の問題は、電事法、電気事業法、ここに入れるのかどうか、そういった問題もありますが、電事法と炉規法の関係、こういったものをどう考えるか。さらに、(三)番にありますが、バックフィット制度、四十三条三の十四項、四十年運転の期間制限の制度の問題、あと三、四、五、こういった型式認証、こういったものがたくさんございます。

 そして、今電力会社が一番頑張っていらっしゃるのは、シビアアクシデントとテロリズム、テロに対する対策の許可基準、これが大きく、特重という施設、特定重大事故対処施設設置、これを置かなければいけない、猶予期間が五年あるよといった話、そこでなかなか、全てがうまく回らない場合もあります。それで、審査もなかなか遅れている場合もございまして、そういった中で事業者さんも困ることもあるし、規制庁も厳しくやらなきゃいけないところもございます。

 そういったところを理解しながら、今のバックフィット制度、これは一番権限が大きい問題で、この制度に合わなければ使用停止命令が行えるという問題、ここが根本、本質でございます。こういった流れ、私ははっきり言って分からなかったです。ようやく何となく分かっていますが、まだまだ規制庁さんから聞かなきゃいけないかと思っておりますけれども。そういった中で、この法の遡及性、バックフィット、四十年運転問題、さらにまた特重、特定重大事故対処施設を五年以内に置くとか、こういった問題がこれまで、五月雨式といいますか、つまみ食い的にいろいろ議論されてきた。でも、この全体体系を見てから話さないといけない。

 また、ミサイルが飛んできたらどうなるの、私も質問させていただいた、更田前委員長にさせていただいて、これは規制の中にはないんだということ、規制委員会としては規制の中にないものについては判断しない、これは当たり前だと思います。

 けれども、そういった中で今後、炉規法と電事法をどういうふうに変えていくかという改正の問題がすごく厳しい。規制庁の方は縛りをかける方、また、エネ庁の方はどんどん推進する方。このバランス関係を見ながらしっかりこの環境委員会において、炉規法はこちらでの所管でございますので、しっかり審査しなきゃいけない。それを審査するに当たって、この全体構造を理解しないとできません。私もようやくできたから、規制庁の皆さんにまた教えていただきたいので、間違いとかがあれば是非ともお願いいたします。

 その中で、まず今回は、適合性審査とバックフィットについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 配付資料の5番でございます。これは規制庁から出された資料でございまして、バックフィットに関する文書策定に向けた検討の進め方についてという文書でございます。これは今年の二月九日に出されたものでございますけれども、バックフィット、これは、ここを読んでみますと、原子力規制委員会においてバックフィットの要否を判断する際には、新知見のもとに個々の事案の安全上の重要性等を勘案し、基本的にはケース・バイ・ケースで対応してきた、今後とも、多種多様な知見を取り入れるに際しては、個々の事案ごとに判断するという側面を排除し難いもののと書いておりまして、また、下の方には、ケース・バイ・ケースの判断とはいえ、全くの場当たり的なものではないというふうに書かれております。

 そこで、お聞きしたいんですが、ここにケース・バイ・ケースであって場当たり的ではないとわざわざ書かなくていいんですよね。逆に、場当たり的というふうに、全くのと書いていますから、ちょっとは場当たりがあったんでしょうね。そういうふうに見えちゃうんです、読めちゃうんですよ。そうじゃなくて、やはり客観的かつ合理的な判断基準がなくてはこのバックフィットはできない、難しいです。

 安全上の重要性などに基づいて客観的、合理的に判断を行っていただかなきゃいけない、その判断基準というのは何なんだろう。書かれてはいません。規制委員会はこういうふうにやっていますよと書いていますが、これを明確にすることが大事なんですよ。事業者としても困る、これが何なのか分からない。

 規制庁さんとして、この安全上の重要性等の客観的かつ合理的な判断基準というのは何なんでしょうか。お答えください。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 バックフィットに関する御質問でございますけれども、このバックフィットにつきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省の中でも最も重要なものの一つとして、継続的な改善が欠けていたということでございました。このため、平成二十四年の原子炉等規制法の改正で、最新の知見を規制に取り入れて継続的な安全性向上を図るバックフィット制度、これが導入されたものでございます。

 この運用に関しましては、バックフィットの基本的な考え方ということで、平成二十七年の十一月の段階で原子力規制委員会において決定をされておりまして、これに基づきまして、新知見のもとに個々の事案の安全上の重要性等を勘案して対応したところでございます。

 具体的には、既存の規制における取扱い、施設の安全性への想定される影響、その影響が生じる蓋然性及び切迫度、また対策の内容等を踏まえまして、これらの新知見の安全上の重要性を考慮するとともに、原子力事業者等の対応状況等も考慮して、個別の性質等を総合的に勘案して、委員会におきまして科学的、技術的な観点から判断が行われてきたものでございます。

 先生御質問がございましたこの文書でございますけれども、これまでバックフィットの事案がかなり多く積み重なってきてございます。これをしっかりと整理して、今後のバックフィットにおける考え方でありますとかプロセスを分かりやすく文書で整理したいということで今規制庁において作業しておりまして、規制委員会にお諮りをして、しかるべき決定等を行っていただきたいということでございます。

 以上でございます。

空本委員 規制委員会の方でしっかりそれをまとめていただく、文書化していただく。

 今発言された内容というのは何か文書に残っていらっしゃいますか、どうですか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 考え方にも一部書いてございますけれども、先ほど来御説明させていただいたとおり、一つ一つの事案においてそれぞれどういう形で結論がなされているのかというのから成っております。その整理も含めまして今現在規制庁の方で事務的に作業しておりまして、なるべく早い段階で委員会にお諮りをして、また、その個別の事案、どういうことだったのかということも含めて整理をしたものを公開したいというふうに思ってございます。

空本委員 ありがとうございます。

 規制庁の中で、本当に大変な作業だと思います、それらを一件一件見直して、どこを基準にするかといいますか、重要性とか危険度、こういったものを判断する。これは本当に難しい話で、逆にこれをある程度ガラス張りにする必要性がある。規制庁の中で議論する内容もできるだけ出していただいて、また、オープンな形での意見聴取もしていただきながらしっかりそこは決める。まだこの基準がはっきり言ってなかったと私は考えます。

 今の話、ケース・バイ・ケースでやったということはない、だから今規制庁としては頑張って作ろうとされている。ならば、これはしっかりと、この環境委員会また原子力の特別委員会においてもしっかり見ていただく必要がある。それが本当に合理性があるのか、さらには客観性があるのか、それが原子力発電所を動かす一番の安全ですので、そこにつながっていくものでございますので、そこはこの委員会また原子力特別委員会でしっかり委員の皆さんに質問していただき、また議論していただけたらと思っております。

 続いて、四十年運転の制限に関して質問させていただきます。

 私も、高経年化、六十年の維持基準、こういったものを、東芝にいるときに、発電技検さんの方の、例えば溶接部位とかですね。実際にどこがやられるかというと、やはり溶接箇所、配管、そして減肉があったり、また電気ケーブル。コンクリート構造物、私、ちょっと不得意なんですけれども、余り携わっていないのでコンクリート構造物は余り知らないんですけれども、様々なところ。回転体においては、回転体の振動での問題があったりします。

 そういった高経年化の問題というのは、昔からずっと、確率論的なリスク評価や確率論的な安全性評価をずっとやってきて、昔々、MITの、事故が起きたときに、ラスムッセン報告が出てきて、そういったものをフィードバックして日本ではしっかり研究してきた。東大の都甲先生なんかはその大家ですごく、その次が近藤駿介先生とかが一生懸命やっていただいた。本当にそういったところを私も、学生時代からつまみ食いしながらちょっと勉強させていただいたというところがございます。

 そういう流れ、高経年化に対する研究のこれまでのすごいベースはありまして、それをもって規制委員会の方では取組をされていらっしゃると私は考えております。そして、莫大なデータをためています。例えば、溶接検査部、部位、HAZ部とか、こういったところの溶接がどの程度までの欠陥ならば許容できるかとか、そういった細かい点まで全て技術基準に入れて、機械学会の方の基準に入れたりしてそれを踏襲する、そういったことをやってきています。本当に複雑なこと、また煩雑なことをずっと蓄積している。

 それをもって規制委員会の方で新しい、この四十年、一回延長するなら基準が大丈夫なのか、安全性を保てるのかというところを見ていただいているんだというふうに私は判断しているんですけれども。

 そういった中で、更田前原子力規制委員長の方からこの四十年問題について、この年限については立法府の判断に沿うものである、規制委員会が意見を述べる立場にはないと発言されておられます。すなわち、原子力規制委員会並びに原子力規制庁としては、安全性に係る技術的な言及を除いて意見を述べる立場にはないというふうな見解でよろしいんでしょうか。規制庁の方はいかがでしょうか。どうぞ、お願いします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘のように、運転期間の延長認可制度につきましては、先生お配りいただきました資料の中の原子炉等規制法の四十三条に規定されております。その規定の中で、運転期間に関する定めと高経年化した原子炉に対する安全性の確認の規制についての定め、これがセットになって規定されております。

 令和二年七月の規制委員会において、運転期間については利用政策側でお考えいただくことで、原子力規制委員会が意見を申し上げる事項ではないということを改めて確認させていただきました。

 したがいまして、この条項の中の運転期間については私どもの所掌ではございませんけれども、高経年化した原子炉に対する安全性の確認の規制については私どもの所掌でございますので、今後きっちりと規制については継続していきたいというふうに考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 私としては、これまでずっと原子力に携わってきた人間ですので、四十年という技術的な根拠がないこの数字については見直しをかけて、しっかりと本当の技術基準を完全に確立した上で法改正をしていくべきかなというふうに考えているんですが、資源エネルギー庁さんとしてこの四十年運転制限についてGX実行会議の議論も含めてどのような方針か、一言お願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員からも御指摘がございましたように、ウクライナ情勢による燃料の確保の問題、また、この春、夏と電力の需給逼迫の問題も生じました。内外の情勢を考えますと、エネルギーの安定供給の確保ということは、カーボンニュートラルの実現ということと併せて、その大前提として進めていかなければならない重要な課題だと考えてございます。

 八月にございました第二回のGX実行会議においても、早急に取り組んでいくべき課題として原子力につきまして示された項目の一つといたしまして、既設原発の最大限の活用、その中には安全確保を大前提とした運転期間の延長ということが含まれており、これについての検討を、総理の御指示を踏まえて、年末に具体的に結論を出せるよう進めていきたいと考えているところでございます。

 既に、これを受けまして、当省の審議会の中におきましても期間の、長期の運転、すなわち、これは、当然のことながら原子力規制委員会による安全性の確認がされていなければ発電所の運転ということはできないわけでございます。そういう仕組みであることを大前提とした上で、利用政策の観点からいかにあるべきか、運転期間に係る制度についての検討を開始しているところであり、年末に具体的に結論を出せるよう検討を深めていきたいと考えてございます。

空本委員 一応、四十年、やはり原発は一〇〇パー安全ではない、そういった中でどう高経年化したものを、例えば、福島原発事故のときに、一Fの四号機、あの中には燃料が装荷されておりませんでした。それはなぜかというと、中の内部構造物、シュラウドから、格子がたくさんありますが、ステンレス製の内部構造物、これを取っ払って、中の構造物、特にシュラウドなんかは、SCCという応力腐食割れ、先生の一番お得意な材料でありますので、お得意なところだと思うんですが、そういうシュラウドが昔、七〇年代の問題がありまして、そこが、シュラウドで欠陥が、溶接とかに欠陥が起きてきて、そういった問題、それを全部取っ替えしなきゃいけない。

 中にある構造物を全取っ替えするんですね、水中レーザー切断をしながら、そして新しいものを持ってきて、きれいに中をした上で、中に新しいシュラウド、内部構造物、炉内構造物を持ってきて新しく水中溶接をするとか、新しくそういう、狭くはないんですが、狭隘な部分もたくさんございまして、そういったものを持ち込んで新品にして高経年化させようという取組をやってきました。

 これが、古いからというんじゃなくて、新しい技術を用いて新しいシュラウド、新しい内部構造物を入れて、溶接の欠陥も、溶接金属の部分も、ここに何を入れたらいいか、ここの部分が熱管理がうまくいっているのかどうか、そういったことを全部、入熱管理も全部やった上で取替えをしていく。そういった中で、極力溶接線のところで欠陥ができないように、起きた場合でも溶接検査をしっかりやっていく、又は炉内検査をやっていく、水中点検ロボットを入れてみてやっていったりしています。

 そういうふうな取組をやっているということもやはり事業者若しくはメーカーの方からどんどん言っていただき、また、規制庁の方もそういう発信はあっていいかと思っています。特に、エネ庁さんの方としてはそういうことをちゃんと言っていただかないと、国民の理解はできない。

 そういう中で、中の構造物が新品になっている、ただし、コンクリート構造物とかその辺は取っ替えはできないので、RPVはいくけどPCVがいけないよ、そこはできないんだけれども、そこは中性子脆化とかそういうことを考えながら全て対応している、また、中性子脆化によってのそういう検査もずっとやっているんだ、そういうことはなかなか普通の方は分からないと思うんですよ。だけれども、こういったことを一つ一つ丁寧に説明していかないと国民の理解は得られないというふうに考えています。

 そういった意味で、規制庁の方としても規制委員会の方としても、発信の仕方。今、情報を、文書を私は読んでも、いろいろな文書があって、今現状どうなっているか。検査についても規制庁の方からいろいろ御指摘いただきまして、ああ二年前に変わったんだということもありました。

 それも踏まえてもう少し文書を、五月雨式にどんどん出てくるのではなくて、ある程度まとまった形での国民への提示というのを、原子力の安全性を、安全性といいますか適合性をどういうふうに担保しているかということも含めて提示していただくような姿勢が絶対にないと、この四十年の運転制限を、一回を延長するか、そういった問題、このプラントが安全だよと言ったときに国民の理解は得られないと思います。ですから、事業者の方もしっかりと情報発信するけれども、エネ庁さんとしても規制庁の方としても、規制の面からしっかりと、情報発信の仕方というのがすごく大事かなと。

 4の配付資料でまとめたもので、私も、これは完璧ではないですけれども、自分でまとめてようやく理解ができつつあるかなというところでございます。事実、専門をやってきた人間でさえそういう状況なんですから、国民の方は絶対に分かりません。そういう中で、やはりいろいろ考えていただけたらと思っております。

 そして、最後、一つ質問が抜けておりましたといいますか、飛ばさせていただいたんですが、ソーラーパネルに関連したところでございますけれども、再生可能エネルギーのところで、今、風力発電といったああいうものがプロペラの問題があったり音の問題があったり、様々な問題がある。太陽光発電、土地の利用に関しては、なかなか広い土地がなければ使えないとか、また、風力発電はもっともっと土地を必要とする。再エネが進展しない課題、これについて、先ほどちょっと飛ばさせていただいたんですが、環境省として、再エネが進まない課題、今後環境省として再エネを技術的にどう進めていこうとするのか。もし環境省さんで見解があればお願いしたいと思います。

西村(明)国務大臣 委員御指摘のように、一部の地域では再生可能エネルギー設備が自然や生活環境に与える影響そしてまた設備の不適切な廃棄等が懸念されて、再エネの最大限の導入における課題というふうに考えております。

 このため、再エネ設備を設置、拡充する際には、適正に環境に配慮され、地域の合意形成が図られること、これが不可欠だというふうに考えます。

 このため、環境省といたしましては、今年の十月に関係省庁とともに取りまとめた有識者検討会の提言も踏まえながら、環境アセスメント制度、そして本年四月に施行された地球温暖化対策推進法に基づく促進区域の仕組み、こうしたものを適切に運用しながら地域共生型の再エネというものを促進してまいります。

空本委員 再エネの限界がありまして、ある程度は、再エネだけじゃなくて、先ほども申し上げましたが、日本が誇れる石炭ガス化燃料電池複合発電とかLNGの発電もありますけれども、独自の技術があります。また、先ほど来原子力の話をさせていただきますが、原子力の内部構造物、そういったものは新品になったものは安全性が高いと思います。しかしながら、まだ規制適合しているかどうか、そこだけのチェックをしっかりしていただく。いろいろなエネルギーバランスを考えて、火力発電だから駄目だよというのではなくて、石炭ガス化燃料複合発電、こういった新しい技術を日本は開発しているんだ、そういったものをどんどんやっていくと再エネの分もカバーできるよ、国際貢献もできるよと。

 また、原発再稼働の問題がございますけれども、私も最近、島根原発そして浜岡原発を見させていただきました。私自身、設計屋でございます、また開発屋でございますので。島根の三号機なんかはぴかぴかです、しかし動いていない。完璧なんですよ、まだ。ぴかぴかなんですよ。そういったものを実際に議員の皆さんにもしっかり見ていただいて、どう考えていくか、それを一緒に検討いただけたらありがたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことに、まず心より感謝を申し上げます。

 それでは、早速でございますが、質問に入らせていただきたいと思います。

 初めに、COP27からG7への日本発の環境政策の推進について伺います。

 地球温暖化対策について議論する第二十七回の国連気候変動枠組み条約締約国会議、いわゆるCOP27が十月六日からエジプトで開催をされます。気候変動の影響が深刻化する中で、課題解決に向けて世界がどう連携できるのか、大変注目をされているところであると思います。

 CO2の排出量を削減、いわゆる緩和策の推進において、一九九七年のCOP3で採択された京都議定書で二〇二〇年までの温室効果ガス削減の目標が定められました。そして、二〇一五年のCOP21で、全ての国が参加する新たな枠組み、パリ協定を採択し、産業革命前からの気温上昇を二度未満に抑える、そして一・五度に抑える努力目標を設定されたところでございます。

 以降、目標達成に向けた取組の進捗確認や必要に応じた対策の見直しなどが行われ、昨年英国で開かれたCOP26で採決をしたグラスゴー気候合意では、気温の上昇を一・五度以内に抑えることを目指すという目標を定め、行動を加速化させることで合意されました。そして、今回のCOP27でこの議論の深掘りができるかどうか、そういった点が大変注目をされていることと思います。

 地球温暖化対策の推進は国際社会において大変重要な課題であり、明年は日本でG7の首脳会議が予定をされています。そこで、COP27からG7という機会を捉えて、日本が主導して世界の温室効果ガスの排出削減に大いに貢献するべきと考えますが、西村大臣の御所見を伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 世界の平均気温、この上昇を一・五度以内に抑えるという一・五度目標、この達成のためには、二国間クレジット制度、いわゆるJCMを含む市場メカニズム、いわゆるパリ協定六条の仕組みも活用して、世界全体での脱炭素化を促進することが重要でございます。

 専門家の試算では、パリ協定六条の適切な実施によって、二〇三〇年までに世界全体で年間約九十億トンCO2の削減につながるほか、各国の経済成長にも貢献して、二〇三〇年時点で炭素市場は約五十兆円規模になるというふうに見込まれております。

 来月のCOP27におきましては、我が国が主導して、パリ協定六条の実施パートナーシップ、これを立ち上げる予定でございます。六条実施に関する各国の理解や体制構築を促進して、JCMを含む炭素市場の拡大を図ってまいります。

 引き続き、JCMプロジェクト形成を推進することで、世界の脱炭素化に貢献をするとともに、我が国の優れた脱炭素技術の海外展開を進めてまいります。

輿水委員 どうもありがとうございました。COP26で日本がルール策定の仲介役を果たした、ただいまございました温室効果ガスの排出削減などの取引をするいわゆる炭素クレジット市場、二国間クレジット制度の早期実現に向けて、まずはCOP27で積極的な発言を期待させていただきます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、気候変動への適応策の推進について伺います。

 近年、世界各地で猛暑や豪雨被害が頻発しており、CO2の排出削減、いわゆる緩和策に加えて、気候の変化に対応して生活や活動への影響や被害を最小限に抑える適応策も重要である、このように考えます。そこで、環境省ではこの適応策をどのように進めているのか、お伺いしたいと思います。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 気候変動によりまして、今後、猛暑や大雨、強い台風へのリスクが更に高まることが予測されております。最新の科学的知見に基づき気候変動への適応を推進していくということは、国の内外で喫緊の課題でございます。

 政府は、昨年十月に気候変動適応法に基づく我が国の気候変動適応計画を改定いたしました。これによって、防災、健康などの各分野で適応策を拡充いたしました。さらに、進捗状況を的確に把握するために合計六十六の重要業績指標というのを設定して、政府を挙げて関係省庁連携で対応しております。

 環境省といたしましては、熱中症対策の推進のほか、この気候変動適応法に基づき、気候変動の影響に関する科学的知見の提供、地方自治体や民間企業の取組支援、さらに国際的には途上国の適応能力の向上支援、こういったことを通じまして国の内外での気候変動適応の取組を着実に推進してまいります。

輿水委員 どうもありがとうございました。着実に推進をしていただけたらと思います。よろしくお願いをいたします。

 それでは、続きまして、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動につきまして質問させていただきます。

 二〇五〇年のカーボンニュートラル及び二〇三〇年の削減目標の実現に向けて、衣食住やライフスタイルの分野での大幅なCO2削減が求められていると思います。そこで、十月二十五日、先日立ち上げられた脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動及び新しい国民運動官民連携協議会、これが脱炭素に向けて国民の意識改革や行動変容をどのように実現しようとしているのか、西村大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

西村(明)国務大臣 委員御指摘いただきましたように、カーボンニュートラル実現に向けた国民のライフスタイル変革を強力に後押しするために、十月二十五日に新しい国民運動と官民連携協議会の発足式を開催いたしました。

 発足式では将来の絵姿というものを出させていただきまして、脱炭素は決して我慢ではない、そして、環境によい製品、サービスを選ぶことで家計が浮いて、自由に使える時間が生まれて、さらにCO2の削減にもつながる新しい豊かな暮らしを私の方から提案させていただきました。

 また、個別具体的なアクションの第一弾として、ファッション、住まい、デジタルワーク、こういったものを出させていただきました。ファッションはオフィスの服装改革やサステーナブルファッション、住まいに関しては住宅の断熱リフォーム促進キャンペーン、デジタルワークに関しては国立公園におけるワーケーション、インバウンドに対応したデジタル化といったものでございます。こうした三つのテーマを行ったところであります。

 こうした取組を強力に推進するとともに、COP27及び来年のG7におきましても、脱炭素の製品、サービスを組み合わせたライフスタイルの提案といったものを行ってまいりたいと考えています。

輿水委員 どうもありがとうございました。日本は、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出量を二〇一三年比で四六%削減することを表明しているところでございます。期限まで残りあと八年と迫っている中で、日本の温室効果ガス排出源の六割以上がまさにございました衣食住の分野であります。これは、国や企業の努力に加えて国民一人一人に意識してもらうことが大変重要であると思います。

 そんな中で、環境に配慮した行動をポイント化することで、一人一人が環境問題を自分事として環境に配慮したライフスタイルへの転換を加速させようとするグリーンライフポイント制度、これは本当に大事な制度である、私はこのように思うわけでございますが、日本全国で幅広くこのグリーンライフポイント制度の事業を進めていく、このために、現在の実施状況と今後の展開について西村大臣にお伺いをいたします。

西村(明)国務大臣 この事業に関しましては、公明党の皆様からの声を受けまして、消費者による環境配慮製品の購入や消費行動にインセンティブを付与する取組を支援するものでございます。まさに十月二十五日に立ち上げた新しい国民運動でも大きな柱に位置づけておりまして、環境省の重要施策の一つでございます。

 趣旨に賛同いただいた事業者や自治体等の取組の中から、これまで三十五事業を採択いたしました。更なる取組の拡充に向けて、引き続き、企業、自治体等への周知、働きかけを精力的に行ってまいります。また、国民運動と同時に立ち上げた官民連携協議会を通じて本事業の採択事業者の成果や優良事例といったものを共有して、横展開を促してまいります。

 脱炭素につながる豊かな暮らしといったものをつくるために、国民の行動変容、これは本当に必要不可欠でございます。こうした事業を通じて引き続き理解と協力を求めてまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。まさに、環境問題、関心はあったんだけれども、意識はするんだけれどもなかなか行動につなげられない、こういった方々も多かったかなと。こんな中で、ポイント還元など目に見える形で特典が受けられることによって環境に配慮した行動を取れるようになる、こんなことも期待されるということで、是非、グリーンライフポイントの積極的な推進、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、続きまして、国立・国定公園満喫プロジェクトの成果と今後の展望について伺います。

 国立公園等において自然環境の保全や自然生態系の再生を図りつつ、全国の国立公園等において多くの人々が日本のすばらしい自然に触れる機会を生み出すために、様々な環境の整備を進めることは大変有意義なことであると思います。そこで、この国立・国定公園満喫プロジェクトにつきまして、三点まとめて伺わせていただきたいと思います。

 まず一点目、国立公園等をこのプロジェクトでは世界水準のナショナルパークとしてブランド化していこう、このように取り組まれるということで伺っておりますが、この現状と今後の展望についてまず確認をさせてください。

 二つ目といたしまして、地方公共団体、地元事業者、保護団体等としっかり連携をしながらの上で、国立公園等における利用者負担の仕組みづくり、これも進めようということで伺っておりますが、この現状と今後について。

 そして、最後、三つ目なんですけれども、廃屋の撤去とか無電柱化あるいは建物の外観の修景等、いわゆる引き算の景観改善を進める、こういったことも打ち出されておるわけでございますが、この現状と今後の展望について。

 以上三点についてお聞かせ願えますでしょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 まず一点目の、国立公園満喫プロジェクトの現状と成果についてお答えをしたいと思います。

 まず、こちらの方は、このプロジェクトそのものは、国立公園のブランド力を高めて上質なツーリズムの実現を目指すということで、様々な取組を実施してまいりました。

 特に、先行して取組を実施したのが八国立公園でございます。その中で、プロモーション、例えば施設の改修、それからWiFiの整備、多言語化等、様々な取組を行って、これはかなり進展をしたというふうに考えております。具体的には、例えば訪日外国人の数、インバウンドは、国立公園の利用者数がプロジェクト開始前が二〇一五年で四百九十万人、これが二〇一九年には六百六十七万人まで増加をしております。

 また、昨年度からは、この八公園に限らず、この取組を全三十四の国立公園に水平展開して、また、国定公園でも活用していただくような方向に進めているところでございます。ポストコロナのインバウンド再開を見据えて、こういった活動、自然体験活動ですとか魅力的な滞在環境の整備、地域活性化につなげていただくことを期待しつつ、更に取組を進めていきたいと考えております。

 また、二つ目の御質問ですけれども、国立公園における利用者負担の仕組みについての御質問でございました。

 この利用者負担の仕組みづくりについても鋭意進めているところでございまして、今申し上げた八公園を中心に、地方公共団体若しくは地元の事業者、自然保護団体等と連携して、例えば入域料や協力金、それから施設利用料の収受、ツアー料金への上乗せの一部還元等、様々な手段で取組を実施してきているところでございます。

 こうした取組は、新たな利用者負担の様々な仕組みづくりというのは、全国で合計、もう既に二十七件行われているところでございます。

 引き続き、この取組も、利用者負担によって保全の仕組みづくりに取り組んでまいりたいと考えております。

 そして、最後の三点目でございますけれども、廃屋撤去等の景観改善の取組でございます。

 これに関しましては、利用拠点で民間事業者等と連携をさせていただいて、地域一体となった上質な滞在環境の創出のための事業というふうに考えております。

 令和元年度から、民間事業者等が国立公園内で実施する廃屋の撤去ですとか無電柱化若しくは通景伐採、景色を見るための伐採ですね、それから建物外観の修景等の費用を補助する事業を実施してきております。この活用で、令和三年度までに、廃屋撤去が二十一か所、これを含めて約百か所以上で取組が進められているというのが現状でございます。

 引き続き、官民が連携して、国立公園の利用拠点における面的な景観の改善、魅力向上に取り組んでまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。まさに、国立・国定公園等の保全と活用の好循環をしっかりと生み出していただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 最後に、アスベスト対策について伺います。

 アスベストは吸い込むと健康被害があるということで、二〇〇六年九月にアスベストが含まれる製品の使用などが禁止されましたが、それ以前の建物にはアスベストが含まれる建材が使用されているおそれがある、そのため、解体などに伴うアスベストの飛散防止が大きな課題であると思います。アスベストが使われている建物はまだ数多く残されており、二〇二八年頃にはそうした建物の解体がピークを迎えると言われているところでございます。

 そこで、アスベスト対策について三点伺います。

 まず一点目が、二〇二一年の改正大気汚染防止法により建物の解体などにおける飛散防止対策が強化されたと伺っておりますが、何がどのように変わったのか。

 二点目、二〇二二年四月から、一定規模以上の建物の解体やリフォームなどを行う際、アスベストが含まれる建材の有無を事前に調査した結果を地方公共団体などに報告することが義務づけられたところでございますが、適切な実施に向けての取組状況について伺います。

 そして、最後、三点目でございますけれども、災害発生時などには建物等の倒壊に伴い多くの建物が解体をされます。この解体及び解体物の運搬、処理において、アスベストの飛散を防ぐためにどのような対策が取られるのか。

 以上三点についてお聞かせください。

秦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大気汚染防止法の改正のポイントでございます。主に四点ございます。

 まず一点目に、石綿が使われました建築物の解体工事につきまして、規制対象を従来から広げまして、石綿の飛散が少ない石綿含有の成形板など、石綿を含む全ての建材を規制対象といたしました。

 二点目、解体工事等の前に石綿の有無を調査する方法を明確化いたしまして、併せてその結果を都道府県知事等に報告することを義務づけいたしました。

 三点目、石綿を隔離しないなどの不適切な石綿の除去作業については直接罰を設けました。

 四点目、石綿の除去作業につきまして記録保存を求めるとともに、発注者への結果報告を義務づけいたしました。

 これらの改正によりまして不適切な調査あるいは除去を防止しまして、飛散防止の徹底を図ってまいります。

 続きまして、二点目、地方公共団体等への報告の実施状況でございます。

 今御説明申し上げたとおり、解体工事等の前の石綿の有無の調査につきましては、その調査結果を都道府県等に報告することが本年四月より義務づけられたところでございます。

 環境省におきましては、この報告事務の効率化を目的といたしまして、厚生労働省と連携いたしまして、電子情報による報告が可能な石綿事前調査結果報告システム、これを整備いたしまして、運用を開始したところでございます。

 具体的な施行状況は来年の集計となりますけれども、このシステムによりまして着実に報告が行われることを期待いたしております。

小林副大臣 お答えいたします。

 災害時には、建築物等の倒壊などに伴う石綿の露出や飛散が懸念をされます。被災後の応急措置や建築物等の解体及び解体物の運搬、処理において、ビニールシートで囲うなどの養生や散水等の飛散防止措置を実施する必要があります。

 環境省では、災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルを作成し、地方公共団体等における飛散防止対策の徹底を図っております。

 また、今般の大気汚染防止法の改正によりまして、建築物等への石綿の使用状況の把握に関する規定、これが設けられたことを踏まえまして、本マニュアルの改定を行う予定といたしております。

 近年、地震や豪雨などの災害が頻発しておりますことから、改正法の適切な運用、本マニュアルの活用によりまして、引き続き、地方公共団体とも連携をしながら、災害時の石綿飛散防止対策に万全を期してまいります。

輿水委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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