衆議院

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第4号 令和4年12月22日(木曜日)

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令和四年十二月二十二日(木曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 古賀  篤君

   理事 菅家 一郎君 理事 堀内 詔子君

   理事 務台 俊介君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 篠原  孝君 理事 森田 俊和君

   理事 漆間 譲司君 理事 輿水 恵一君

      石川 昭政君    石原 宏高君

      石原 正敬君    今枝宗一郎君

      国定 勇人君    武村 展英君

      中西 健治君    穂坂  泰君

      宮澤 博行君    八木 哲也君

      柳本  顕君    山口  壯君

      近藤 昭一君    坂本祐之輔君

      堤 かなめ君    馬場 雄基君

      松木けんこう君    奥下 剛光君

      空本 誠喜君    日下 正喜君

    …………………………………

   環境大臣         西村 明宏君

   環境副大臣        山田 美樹君

   環境副大臣        小林 茂樹君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   環境大臣政務官      柳本  顕君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            堀本 善雄君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    前田 剛志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            秦  康之君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           上田 康治君

   政府参考人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 北尾 昌也君

   環境委員会専門員     飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

十二月十日

 一、環境の基本施策に関する件

 二、地球温暖化の防止及び脱炭素社会の構築に関する件

 三、循環型社会の形成に関する件

 四、自然環境の保護及び生物多様性の確保に関する件

 五、公害の防止及び健康被害の救済に関する件

 六、原子力の規制に関する件

 七、公害紛争の処理に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局審議官堀本善雄君、林野庁林政部長前田剛志君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、経済産業省大臣官房審議官木原晋一君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官白石隆夫君、環境省地球環境局長松澤裕君、環境省水・大気環境局長秦康之君、環境省自然環境局長奥田直久君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君、環境省総合環境政策統括官上田康治君、原子力規制委員会委員長山中伸介君、原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君、防衛省大臣官房審議官北尾昌也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石原正敬君。

石原(正)委員 おはようございます。自由民主党の石原正敬でございます。

 今日は、朝早くから西村大臣を始め政府側の皆さん方にもこのような形でお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 また、今回は、委員長を始め理事各位の御配慮によりまして、このような形で質問の機会を与えていただきましたことに重ねて御礼申し上げます。ありがとうございます。

 さて、早速でありますけれども、質疑に入りたいと思います。

 まず、大臣にお伺いしたいんですけれども、国連気候変動枠組み条約第二十七回締約国会議が、いわゆるCOP27でありますけれども、十一月六日から二十日までエジプトで開催されました。また、先般、生物多様性条約第十五回締約国会議が、いわゆるCOP15でありますけれども、カナダで開催されたところであります。日本からは西村大臣が閣僚級会議に出席され、各国閣僚との交渉や会議での演説によりまして日本の立場を世界に示されたということでございます。お疲れさまでございました。

 また、さきの第二百十回国会における本委員会の西村大臣も、来年のG7日本開催と関連させつつ、エジプトで開催される国連気候変動枠組み条約第二十七回締約国会議や年末にカナダで開催されるCOP15での交渉に積極的に貢献するとともに、プラスチック汚染対策の国際枠組み構築に向け力を尽くしますと述べられています。中でも、特に、アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現を牽引するため、COP27での立ち上げを予定している六条実施パートナーシップなどを通じた途上国への支援も表明されたところでもございます。

 これらを踏まえ、COP27及びCOP15の二つの環境関係国際会議の成果はどのようなものであったのか、また、大臣自身の手応えといいますか、会議の印象といいますか、そういったことをお聞かせいただければ幸いでございます。

西村(明)国務大臣 気候変動COP27におきましては、私自身、温室効果ガスの排出削減対策であります緩和に関する第一回閣僚級会合に参加いたしました。私からは、緩和の重要性をCOPの全体決定に盛り込むということ、また、緩和の作業計画を野心の高い形で採択すべきであることを主張いたしまして、まさにそのとおりの成果が得られたというふうに考えております。

 加えて、二十一人の閣僚級とバイ会談を行いました。また、ウクライナなど五つの国、機関と今後の協力に関する覚書を締結したところでございます。ウクライナの大臣との会談では、戦災の瓦れき処理の協力の求めがございまして、私からは、我が国の知見と経験を生かして支援していく旨をお伝えいたしました。

 さらに、ジャパン・パビリオンにおきまして展示や四十三のセミナーを開催いたしました。世界の脱炭素化に向けた日本の取組を発信できたというふうに考えております。中でも、今回立ち上げました、パリ協定六条を実施する能力構築を支援するパリ協定六条実施パートナーシップは、六十九の国、機関の参加表明を得ることができました。

 生物多様性COP15につきましても、私自身が参加して、閣僚級会合において日本国代表としてナショナルステートメントを実施いたしました。さらに、会期中に、十五の閣僚や国際機関、NGOと会談をするとともに、日本が主催する三つのサイドイベントに参加したところでございます。

 こうした会談や会合において、私からは、サーティー・バイ・サーティー目標などを新たな枠組みに位置づけることの重要性を始めとして、我が国の取組や立場について積極的に発信をいたしたところでございます。

 最終的に、二〇三〇年までの新たな世界目標となる昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択されましたことは、大いに歓迎するべきことだというふうに考えております。

 この度の両会議の成果を踏まえて、世界全体の気候変動対策、また生物多様性保全、これがしっかりと進むように力を尽くしてまいります。

石原(正)委員 ありがとうございます。特に、ウクライナからの瓦れき処理の申出に対して、大臣が積極的に関わっていこうというような意思を表明されたということは大変ありがたいことですし、まさに日本のプレゼンスを世界に示す絶好の機会にもなろうかと思いますし、また、それが来年のG7日本開催の際につなげていけるといいますか、そういう会談であったんだろうというふうにして感じたところでもございます。是非、引き続きそういった形で、COP27、COP15に対しての取組を更に加速化させていただければなというふうにして思っております。

 その中でも、特に生物多様性条約COP15の関連につきまして質問をさせていただきます。

 平成五年、一九九三年に我が国が生物多様性条約を締結して以来、生物多様性国家戦略を策定いたしてきました。そして、累次にその段階において改正などをして、時々に合ったアップデートをしてきたということでございます。現在の生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇は、二〇一〇年に愛知県名古屋市で開催されました生物多様性COP10の愛知目標の達成に向けまして策定されたわけでありますけれども、一定の期間も経過したことでありますので、次期生物多様性国家戦略を策定する時期に来ていると思います。

 そこで、生物多様性条約COP15を踏まえ、次期生物多様性国家戦略をどのように取りまとめていく方針かをお伺いします。また、同戦略を実効性のあるものとするために、戦略の実施に際して様々な主体と連携をする必要があると思いますが、特に基礎自治体などとどう連携していく方針なのかを、御自身が基礎自治体の首長の経験もある国定大臣政務官にお伺いいたします。

国定大臣政務官 先ほど西村大臣の方からの答弁にもございましたとおり、COP15では、各締約国が昆明・モントリオール生物多様性枠組を踏まえた国家戦略をCOP16までに策定することが決定されたところでございます。そんな中で、我が国は、年度内を目途といたしまして次期生物多様性国家戦略を策定すべく、現在取り組んでいるところでございます。

 この中で、二〇三〇年までに生物多様性の損失を止め回復軌道に乗せるいわゆるネイチャーポジティブの実現に向けまして、国内施策の指針を示す方針でございます。

 国家戦略を実効性あるものにしていくためには、今ほど御指摘いただきましたとおり、各地域の自然的、社会的条件に応じましたきめ細やかな取組が不可欠であるというふうに考えているところでございまして、その鍵となりますのが、まさに地域の特性を踏まえて都道府県や市区町村が策定する生物多様性地域戦略でございます。

 環境省といたしましては、まず、生物多様性地域戦略策定の手引き、これを策定させていただき、都道府県、市町村が次期国家戦略と整合的な目標を含む地域戦略を策定する技術的な支援を行っていきたいというふうに考えているところでございます。地域と連携しながら世界的な目標の達成に向けた取組を着実に推進してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

石原(正)委員 生物多様性の地域戦略をキーワードにしながらといいますか、それを礎としながら国家の目標を達成していくということでございまして、基礎自治体の現場は、まだぴんときていない部分もありますし、積極的にやるところはかなり前に進んでいる、この落差といいますか、温度差といいますか、そういった辺りにまた御配慮いただきながら、できるだけ全基礎自治体が深くコミットできるような、そういった手だてを是非具現化していただきたいというふうにして思っているところであります。

 また、COP27でも、特に、先ほど申し上げました自治体等の、国以外の皆さん方の取組を加速化していくというのが世界の潮流になっていくだろうというふうにして言われております。気候変動の対策も、それぞれ地域や民間レベルにおいて積極的な取組が期待されるということだと思います。これに関しては、環境省も地域脱炭素という形で、地域に焦点を当てた形で取組を進めてきていると伺っております。

 そこで、現状での脱炭素先行地域や重点対策地域の選定状況などを含めて、現状どのようになっているのかをお伺いします。また、今後は脱炭素先行地域や重点対策地域の選考をどのように進めていく予定なのか。その際、先行地域や重点対策の取組を他の自治体に横展開していくことが重要であると考えますが、その横展開をどのように図っていくのか、お伺いいたします。

国定大臣政務官 今ほどの御指摘についてお答えをさせていただきたいと思います。

 二〇五〇年を待つことなく前倒しでカーボンニュートラル達成を目指す脱炭素先行地域を二〇二五年度までに少なくとも百か所選定し、二〇三〇年度までにこれを実現することとしているところでございます。

 これまでの状況でございますけれども、二回の募集を行わせていただき、四十六地域を選定したところでございます。その中でも、私自身も実際九月に、第一回の脱炭素先行地域に選定されました鳥取県の米子市それから境港市を訪問させていただき、それぞれの市長さんとも意見交換をさせていただいたところでございます。

 脱炭素先行地域につきましては、来年以降も基本的に年二回程度募集をさせていただき、百地域にとどまることなく、できるだけ多くの地域を選定してまいりたいというふうに考えてございます。

 また、もう一点御指摘いただきました地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の重点対策加速化事業、こちらの方につきましては、これまでに二十九の地方公共団体が事業計画を策定し、地域共生再エネの推進であったり省エネ住宅などといった、脱炭素の基盤となる重点対策を複合実施しているところでございます。この交付金につきましては、令和四年度第二次補正予算におきましても盛り込まれたところでございまして、新たに重点対策加速化事業を実施する地方公共団体を速やかに募集してまいりたいというふうに考えてございます。

 これらのモデル的な取組につきましては、環境省から広く情報発信に努めますとともに、地方環境事務所に本年度から創設してございます地域脱炭素創生室によりますきめ細やかな伴走支援を行っていくことで、環境省が進める地域、暮らしの脱炭素の横展開を図ってまいりたいと考えておりますし、市町村あるいは都道府県のこうした取組を私どもとしても精いっぱいお支えしてまいりたいというふうに考えております。

石原(正)委員 ありがとうございます。脱炭素先行地域が四十六、そして重点対策地域が二十九ということで伺いました。特に、重点対策地域につきましては、いろいろな施策を組み合わせて地域全体を脱炭素にしていくということが大きな目標だと思います。是非、今、伴走型支援と力強い言葉をいただきましたので、それぞれの地域に即した形での事業が実施できるようお支えいただければなと思いますし、それがひいては地域、暮らしの脱炭素という環境省の大命題とリンクすると思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、次なんですけれども、まさしく地域脱炭素を地に着いた形で横展開していく点では、先ほど触れられた交付金だけではなくて、本年十月に設立された脱炭素化支援機構による出資などを組み合わせ、民間資金を脱炭素分野に段階的に呼び込んでいくということが重要になると思いますが、これらをどのように効果的に組合せをして支援していくのか、お考えをお伺いします。

白石政府参考人 お答えいたします。

 御質問がございました脱炭素化支援機構でございますが、本年の十月、さきの通常国会で成立いたしました地球温暖化対策推進法の改正法に基づきまして、脱炭素に資する多様な事業へリスクマネーの供給を行い、民間投資の一層の誘発を図る機関といたしまして設立されてございます。

 環境省といたしましては、先ほど国定政務官から御説明、御答弁のございました交付金、こういったものを通じて地方公共団体主導の先行的なモデルを創出するという事業がございますし、この脱炭素化支援機構を通じて資金供給を行いまして、民間主導の脱炭素プロジェクト、こういったものも並行して全国各地域で創出させるというような取組を行ってまいります。どちらをどちらでやるのかというのも、事業の段階、それから事業の性格、例えば公共性とか収益性の有無、こういったものなども見定めながら、両方のスキームを効果的に組み合わせて支援を実施していくということによりまして、結論としては、民間資金を地域脱炭素分野に幅広く呼び込みたいというふうに考えてございます。

石原(正)委員 今御説明があったとおりであるんですけれども、これから未知の世界に踏み込んでいくことだと思いますので、是非、絵に描いた餅と言うと、やや安直な言い方、表現になるんですけれども、チャレンジングな取組にどう支援していくかということがこの脱炭素化支援機構をつくった大きな意味だと思いますので、民間資金だけでできるものであれば民間でやればいいところを、どういうふうにして公のためにこれからモデル的なものを展開するかというところに私は主眼があると思いますので、そこを、恐れることなく踏み込みながら、積極的に活用していただければというふうにして思っております。

 時間が来ましたので、二問ぐらい飛ばさせていただいて、もう一つ、地域に関わるといいますか、官民連携という観点からいいますと、本年十月に西村環境大臣をヘッドに、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動や官民連携協議会を立ち上げたと伺っております。本年十月ですので、余り時間もたっておりませんので、どういった状況かと聞いても具体的なことがあるのか分かりませんけれども、是非、これの現状とか、今後どういうふうにして自治体や住民を巻き込んで運動を進めていくのか。これは極めて環境省の位置づけといいますか主体性が問われる、そういった問題だと思いますので、現状と今後の方向性をお答えいただきたいと思います。

国定大臣政務官 今ほど御指摘いただきました脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動、まさに、今ほどの御指摘の点について申し上げますと、民間企業からの提案を受け止め、自治体とマッチングさせてプロジェクトを組成する、こうしたことがこの新国民運動あるいは官民連携協議会が果たしていかなければいけないプラットフォーム機能の一つであるというふうに捉えているところでございます。既に十一月末に開催をいたしました第一回協議会以降、企業あるいは各種団体等から脱炭素に向けた具体的な取組の提案自体は既にいただいているところでございまして、これは大変心強く感じているところでございます。

 そうした意味におきましても、現時点では民間企業からの提案は先行している一方で、ある意味それは実装する地域が必要になるわけでございまして、その地域こそ都道府県であり市町村でありといった現場になるわけですが、残念ながら自治体の参画につきましては百八十四にとどまっているところでございまして、都道府県の数、市町村の数からいってみますと、まだまだほど遠い参画状況であるということでございます。そういう意味では、まだまだ周知、理解が届いていないのかなというふうに考えているところでございます。

 脱炭素に向けた取組を実施していくためには、議員御指摘のとおり市町村、都道府県、住民を始めとした地域の協力が不可欠であることから、今後とも積極的に協議会への参画につきまして各市町村さんの方に私どもの方からアプローチをさせていただき、企業とそして自治体との間の取組のつなぎ役となりながら国民運動を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

石原(正)委員 ありがとうございます。今、都道府県と市町村が百八十四ということで、およそ一〇%ぐらいの数字だと思います。ここをもう少し肝として、サーティー・バイ・サーティーみたいな感じで何か目標をつくっていただいて、是非働きかけて、もちろん予算も使えると思いますので、国民の運動として全体的に広がるような、そういった環境省の今後の活動に期待しながら、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。立憲民主党、略称民主党の篠原でございます。

 今日は、四十五分間、時間をいただきまして、三つの課題、神宮外苑の再開発問題、それから、非常に大事な問題です、水俣病、そして、時間があったらCOP27の関係の質問をさせていただきたいと思います。内容については、皆さんきっと質問されると思います。私は、ロジスティックな面についてだけ、大臣にちょっと提言をさせていただきたいと思っております。

 最初に、神宮外苑の再開発問題ですけれども、誠に済みません、そこに私の、周りからはしつこいブログと言われていますけれども、二ページにわたるブログ、ずっと書いたりしているんですが、十一月九日に書いたのをお配りしてあります。事前にお配りすればよかったんですが、こんなのは余り見てもらうのも悪いかなと思っていたんですが、やはり質問を聞きながら見ていただければということで。答弁者の皆さんはそれはできないでしょうけれども、委員の皆さんは御覧いただけたらと思います。

 神宮外苑の樹木の伐採について、結構マスメディアにも登場しております。私は、これはよくないなと思っているんです。どうしてかといいますと、気候変動問題と連動しているんですね。ちょっとだけかもしれませんけれども。

 世界中は、緑を守っている、木を守ってきれいにしていこう、少しでも地球の気温が上がるのを避けようとしているときに、僅かな面積で僅かな行為かもしれませんけれども、大東京の緑を、ラグビー場と野球場をチェンジする、ぜいたくなテニスコートをいっぱい造るとか、そういうので、国立競技場を造ったときにも相当実はイチョウの木とかを伐採しているんですけれども、それに加えてばたばたなぎ倒すなんて、そんなことは世界中の都市はしていないんです。

 私のこのブログを見ていただければ分かると思いますけれども、イダルゴという大統領候補にもなんなんとしている女性市長ですよ、うちの小池東京都知事と似たようなものですよ。彼女は、パリを緑の都市にすると。

 パリは、私はそこに三年間住んでいたんですが、いい町ですけれども、元々岩大陸で、その辺の石をちょっと切り出せば、石が出てくるんです。だから、地元で簡単に調達できるので、一九七〇年代だったと思いますけれども、ロンドンに大火があって木造の家がみんな焼かれたので、パリの町は石にしようということで一斉に石になったんです。

 それで、緑は、これは皆さん御存じだと思います、パリの肺と言われていますけれども、右と左にブーローニュの森とバンセンヌの森があって、そこで緑を味わってくださいということで、パリのペリフェリックと呼ばれる環状道路の中は一戸建てのうちがないんです。大統領でも誰でもみんな、マンション。日本でいうとマンション、アパートなんです。緑は両側の森で接する。それから、庭つきの、庭に緑がある家を欲しかったら郊外とか地方に住めというので、パリの人たちは二地域居住が一番進んでいるんです。週末は自分の、どっちを本拠地と考えているか分からないんですが、私は、田舎の自分の家の方が本拠地というか本籍地みたいに、日本でいうと本籍地と思っていると思うんです、本籍地、現住所ですね。パリには出稼ぎに来ているという感じで。

 それで放っておいたんですが、やはりよくないということで、シャンゼリゼ通り、四車線なんですけれども二車線にする、有名なコンコルド広場、石だらけなんです、それも緑に変える。オリンピックに間に合わせたかったんでしょうけれども、それは無理にしても、オリンピックを契機としてそうやっていく。つまりは、エッフェル塔のところ、シャイヨー宮というところがあるんです、そこも石だらけなんですけれども、そこのところも緑で覆うというふうにしている中で、我が日本国の首都東京で都知事が、気候変動問題も真剣に取り組むというので、悪いことじゃないです、新築の家は屋根にはソーラーパネルを義務づける。それはそれでいいんですけれども、それでエジプトにも出かけていく、そういうことをしておきながら、一方で神宮外苑の緑をばさばさ切り倒すのを平然と認めている、これは絶対に私はおかしいと思うんです。

 閉会中の審査ですし、遠慮して国土交通省の関係者をお呼びするのはやめましたけれども、都市計画法で何とかならないのかと言ったら、ほとんど地方自治事務というか都道府県に任せているというか、都道府県の権限でやれるようになっていて、国は何にも言えないというんですね。ですから、一生懸命やっている皆さんはどうしているかというと、国が関与できるといったら、名勝指定をしようと。イチョウの並木とかね、神宮外苑を名勝指定をする。それでもって、乱開発してはいけないからそういうふうにしようとか言っているんです。これは非常に迂遠なことなんだと思います。駄目なものは駄目と、ばっさりやるべきだと思います。

 大臣、環境大臣に就任されていろいろお忙しいとは思います。

 前大臣の功績というか、ちょっとあったと思います。何かというと、埼玉県の太陽光発電の計画、やっていたんですけれども、それを駄目だと。非常に変な、でたらめなことをしているのでね。それで、萩生田経済産業大臣に、アセスを見直せといって注文をつけているんですよ。

 私は、環境大臣は、日本の環境がいろいろ損なわれていることについてそういうふうに注文をつけて、これは問題じゃないかというのをどんどん言っていただいていいんじゃないかと思うんです。法律は後からしかついてきませんから、駄目なので、間に合わないので。私は、これは典型的な事例だと思うんです。

 どうしてそういうことを言うかというと、やっと気がついてきまして、東京都民に、近所の人たちに世論調査をしたら、七割がとんでもないと。イチョウ並木を伐採して、そして何か知らないけれども、野球場は大事ですし、ラグビー場も大事です、スポーツも大事ですけれども、何で今頃そんなことをするんだと。そしてなおかつ、八十五メートルだか百何メートルか知りませんけれども、三つのビルを建てるなんて、これはほかの首都では絶対にしていないですね。

 パリでいえば、皆さん行っていると思います、エッフェル塔の下からパリを見渡せるわけです。ちょっと高い建物はアンバリッドだけです。パリのペリフェリックの中は八階建て以上を造っちゃいけないことになっているんです。物すごい規制ですよ。環境や景観は規制でしか守れないんです。そういうことまでしているんですよ。

 じゃ、でかい建物は何にもないかというと、凱旋門に十二本道路があるんですが、そのところで、ブーローニュの森の方に行く道路の先に、デファンス地区というところで、そこは二十階建て、三十階建てのビルもあるんです。ちゃんと、ゾーニングをきちんとして、ここはいいよ、ここは駄目だよと。

 日本は一応、風致地区だ、何とか地区、何とか地区と、でたらめなんですね、いかようにもなって。高さ規制があったのに、オリンピックだからといって急に取っ払ったりする。オリンピックの延長でどんどんどんどんやろうとしている。オリンピックをきっかけにこういうことをしようと思っていたのかもしれないと、邪推ですけれども、思ってしまうんです。

 大臣、この点は、私は国が関与していくべきだと思います。環境大臣としての立場からですね。これは時代に逆行している、SDGsの時代にということで、注文をつけていただきたいんですが、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 委員今御指摘の神宮外苑地区における町づくりに関しましては、まず、東京都が都市計画法に基づいて地区計画を変更して進めているものと承知しております。委員も今御指摘があったように、法的には、そういった状況でございますので、環境省として見解を申し上げる立場には現状ございませんけれども。

 その上で、あえて一般論として申し上げますと、都市の脱炭素化の観点から、地表面のアスファルト舗装等による地表面の高温化の防止策等として、都市における緑地の確保を図ることは重要だというふうに考えております。また、都市における緑地は、都市に生きる生物の生息、生育の場であるとともに、都市住民にとって身近な自然との触れ合いの場としても重要だというふうに考えております。

 なお、東京都の資料によりますと、この度の計画によって樹木の本数や緑の割合は増加するものとされておりまして、緑化の観点から一定の配慮がなされているものだとは承知しております。

 気候変動や生態系、人間社会は相互に依存する関係にございますので、環境省としては、カーボンニュートラルの取組とネイチャーポジティブの取組が相乗効果を発揮するように、統合的に推進してまいりたいというふうに考えております。

 委員御指摘のような問題意識というものは、我々としてもしっかり考えていかなければならないと思っております。

篠原(孝)委員 問題意識を持っていただくのは当然だと思いますけれども、実行に移していただきたい。

 どういうことかというと、ビルを建てると本当にヒートアイランドになってしまうんです。どういうことかというと、ビルで日が当たる面がばっと増えるわけです。昼間はそれで吸収しているわけです。夜になると、ばっと放出するんですよ。つまり、屋上を緑化したって、とてもじゃないが間に合わないんです。

 それから、ビルを建てると、温度でもって、学者が研究しているわけですけれども、東京の気温がどのぐらいかというのを。海風が吹くんです、朝、夕方。だから、そっちの海岸端は涼しくなるんです。ところが、ビルが建つと、ビルが風を遮るから、都心は二度から四度高いままなんです。もちろん、排熱もありますし、車のもありますし、そういうときに吸収してくれたりして、和らいだような感じにしてくれる。それはメンタルにもいいんですが、それは木であり草地なわけです。それは絶対に死守しなければいけない。

 今大臣は、新しいものを、新しく植え替えたりするから緑の量は増えるとおっしゃいましたけれども、これもちょっと考え直していただかなくちゃいけないんです。

 イチョウの木、明治神宮外苑を全国の皆さんが労働奉仕もして、そして植えたりしてきた、やった。イチョウは、皆さん御存じのように、雄株と雌株があって、非常に太古からある木だ。六百年か七百年もつんです。あの木が、百年ちょっと前に植えてほとんど一本も枯れていないんだそうです、しぶとい木なんです。しぶとい木だから、この辺りにも植えてあるんです。それを、植え替えたり何かすればいいというんじゃなくて、大木は残さなくちゃならない。

 例えば、都はそういうことで、もういいとか言っていますけれども、それぞれの区でいろいろな行政をしていて、皆さん気づかれませんかね、近くで。でかい木のところに鎖を巻いて、私は杉並区に住んでいるんですが、マンションのところにあるんです。でかい木に鎖が張ってあって、杉並区の木と書いてあるんです、これを切らないでくれというのでね。とてもじゃないが、管理はそれっぽっちのお金ではできないんでしょうけれども、年間何千円だか補助が杉並区から来るんです。大木を残そうとしているんです。

 それから、もっと古い話ですが、私は、ウルグアイ・ラウンドという、農産物、ガットの農業交渉です、それでオランダの人が農業交渉グループの議長だったんですね、よく審議官のかばん持ちで行っていたんです。オランダ大使館に行ったときに、大使夫人が私に文句を言ったんです。三年ぐらいの任期期間中に新しい大使館に入れるかと思ったら、オランダ政府じゃなくて多分ハーグ市だと思いますけれどもね、三本だか四本ある大木を残すように建物を建てなくちゃいけない、そう言って干渉してきた、治外法権なのに何だと言われるので、僕はちょっと疲れていたので頭にきて、そんな治外法権なんというのは、刑事訴追なんかができないだけで、環境のルールだとか交通のルールだとかは外交官だって守らなくちゃいけないんだ、当時そういうことを言って突っかかったことを覚えているんです。それだけ木を大事にする。

 皆さん知っていると思いますけれども、オランダは環境問題に物すごく熱心ですね。なぜかというと、下流の方で、上流で汚されたらそういう水質になってしまっているし、地球温暖化で海面が五メートルや十メートル上がったら水没してしまうわけです。だから、物すごく環境問題に熱心なんです。北緯五十何度のところですから、木がそう簡単にでかくならない。だから、必死で守ろうとしたんです。特に大木は守ろうとした。降雨量も、ヨーロッパは六百ミリぐらいです、日本は千八百ミリで三倍も降ります。北緯三十五度か三十六度、でかくなるんだ、だから無関心なんです、放っておけばでかくなる。そうじゃないんですよね。ちゃんと古いものは守って、きちんと維持していかなくちゃいけない、そういう精神に私は欠けていると思うんです。

 ですから、国定政務官、用意しておられると思いますけれども、私は、新しいルールを環境省は作ってほしい。

 どういうことかというと、いろいろなことを、ソーラーパネルの義務化ですけれども、資材を使って何かするところの方には熱心なんです、企業のところにいろいろ指示する。それはそれで悪いことじゃないと思います、新しい技術があるので。ところが、守る方は余り熱心じゃないんですよね。

 だから、いろいろな法律を作ったりするときに必ず、今大臣がちょっとおっしゃったように、前よりも緑が多くするようにしている、必ずそれを義務づける。それだけじゃなくて、古い、古いというか、大木はきちんと残す、そういうルールをいろいろな法律の中に必ず埋め込むようにと、そういう要請をして、これは役人の世界の話なんですが、法案を作るときに各省折衝をやりますよね、環境省の法案、担当課には必ずいろいろな法律にはそのことを書き込めといってやらせる、そういう方針でもって臨んでいただきたいんですが、いかがですか。

国定大臣政務官 今ほどの御指摘についてお答えをさせていただきたいと思います。

 都市の緑地の持つ意義そのものにつきましては、今ほど議員御指摘のとおり、日常生活に最も身近なCO2の吸収源でもございますし、また、先ほど大臣の方からも答弁されましたけれども、国民にとって身近な自然との触れ合いの場でもあり、環境保全に対する理解の醸成にも効果を発揮するものでございます。

 そんな中で、少なくとも現行法の状態におきましては、都市における緑地の保全、緑化の推進につきましては、これは都市緑地法等に基づきまして必要な行為規制等が行われているものというふうに承知をしているところでございます。

 ただ、今ほど議員御指摘いただきましたとおり、環境省としてどうなんだということでございますが、現在でも、地球温暖化対策推進法に基づきまして、都市における緑地の保全等に係る施策を含みます地方公共団体実行計画の策定を地方自治体の方に促しているところでもございますし、また、健全な生態系、生物多様性の保全に貢献する場所の確保のための取組につきましても併せて進めているところでございます。

 引き続き、先ほど西村大臣の方からも答弁を申し上げましたが、都市計画法あるいは都市緑地法という、他省庁が所管をしているところがございますので、やはりこうした現行法制上の状況を鑑みますと、環境省といたしましては、こうした関係省庁と連携をして取り組んでいかなければいけない、このように考えているところでございます。

篠原(孝)委員 そういう気持ちがあってやっていただくのはいいんですが、やはり実行に移していかなくちゃならない。

 イダルゴ・パリ市長ですが、二〇一四年から張り切ってやっているわけです、信じられないんですけれども。緑のトンネルをシャンゼリゼ通りに造る、さっきちょっと言いましたが、四車線を二車線にし、みんな緑にする。ディーゼル車は二〇二四年に禁止、二〇三〇年にはガソリン車も禁止。それで、フィフティーンミニッツ、十五分、英語で言うとフィフティーンミニッツシティーズ、十五分で歩いて行ける、パリの中は車を走らせない、そういう、我々からすると非現実のようなことを言っておられたんです。

 ところが、コロナで外へ出られなくなった。パリに住んでいる人たちの一割、さっき二地域居住と言いましたけれども、一割の二十万人がもう郊外に住み着いているんです。イダルゴさんのところはコロナが追い風になったんです。そういうことまでしようとしているんです、緑にあふれるようなものにしたいと。

 それから、グレタ・トゥンベリさん、御存じだと思います、今度は、エジプトのCOP27には行かなかったようですけれどもね。なぜかというと、やっている、やっているというふりをしているだけで余り進まないからと。彼女は大体行って、でかい声を出していたんですが、行かなかった。

 彼女がどういうことを言っているか。フライトシェームというのを、飛びっ恥とか日本語でも訳されていますが、飛行機に乗るのはやめようと、なるべくね。絶対にやめるとは言っていません。だから、覚えておられると思いますけれども、国連総会に招待されたときに、飛行機に乗らずに、ソーラーパネルつきのヨットで十六日間かけてニューヨークに行っているんですが、そういうことまでしている。だから、そういう思い切ったことをしていかなくちゃいけない。

 そういうことだったら、例えばですけれども、できるかどうか分かりませんけれども、それをもじって言えば、東京都の建物の開発は緑をなくすような形では絶対にしちゃいけないというふうにして、建て替えだってなるべくしない方がいい。建て替えなんかすると、よく知りませんが、学者さんは計算していますよ、一平方メートルの、例えばそれで計算すると、それを造るのに、簡単にすると一トンのCO2を出すことになる、だから、年間これだけ建物を造ったらこれだけCO2が出るから、新しい建築を抑えると。

 地球温暖化防止のためには、二十年か三十年の間、もう新しいコンクリートの建物は造らないとか、例えばそういうことだっていろいろ議論していったっていいと思うんです。そういう思い切ったCO2排出の削減の方策、日本独自のものを考えて世界に訴えていったらいいんじゃないかと思います。

 今エジプトでは、気象災害防止のために早期警報システムの導入というのを、日本が技術があるのでということでやっておられた。それは悪いことじゃないんです。だけれども、日本が本気で取り組んでいるという、あっと言われるような姿勢を示していただきたいんですけれども、その点についてどうお考えでしょうか。

西村(明)国務大臣 我が国として、気候変動、またそういったカーボンニュートラルの取組をしっかり進めていく上において、今委員御指摘のような問題意識というのは非常に重要だというふうには考えます。

 ただ、そうした中においても、それぞれの財産権、また法的な問題というのもございますので、そういったところも他省庁ともよく連携しながら考えていきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 これは、イダルゴ市長がそうですけれども、地方自治体に任されているものが多いんです。東京都知事なんかは緑の服がやたら好きで、私も緑をやっていますけれどもね、だから、自分の服だけ緑じゃなくて東京を緑にするように、いろいろなところでそういうふうにくぎを刺していただきたいと思います。

 二つ目の質問で、水俣病です。

 水俣病をなぜ取り上げるかというと、私は、水俣病の考える会、野党側の議員連盟の代表を二年間やっていたんです。誰もやる人がいないし、私はずっと環境問題をやっているので、やっていたんですが、今は西村智奈美さんに引き継いでいますけれどもね、阿賀野川水銀の問題があるので。

 水俣病、皆さん、何がどうあったかというのを、みんな頭の中に整理がつかないと思います。まだ続いているんですよ。

 私は、同じような被害者の救済という点では、旧統一教会の被害者の救済、最初から、我が党がどれだけ絡んでいるかというようなことも、みんな最初からやってきていたので、新法ができて救済できます。同じように、こっちを偶然やっていたから比べるんですけれども、あっちは二世の問題がある。一億円、二億円とかいって献金してしまって、もう生活面で困り果てている。何でそんなことが起こるのか。だけれども、これからそういうふうに入る人が、信者になる人が少なくなるし、救済されていくんですが、過去のは簡単には救済できないでしょうけれどもね。

 だけれども、まあ、いいんですよ、ところが、水俣病は、仮に裁判で補償はあったとしても、自分の体の中に入った水銀はあって、ウィズコロナじゃないけれども、ウィズ水銀なんですよ。そして、手がしびれて、歩行が困難になったりしている。明らかにそういう患者でそういうのが出ているのにもかかわらず、補償が行われていない。今まで何回もいいことをしてきているんです、法律を作って。だけれども、余計なこともしているんですね。途中で打ち切っているんです。

 小林副大臣にお伺いしたいんですが、二〇〇四年に、健康調査をやってほしいといって、当時の熊本県知事が言っているんですよ。ところが、全然応じていないんです。何でなんでしょうか。

小林副大臣 お答えいたします。

 二〇〇四年に、当時の潮谷熊本県知事から環境大臣に対して、健康調査の実施に関する提案があったことは承知しております。

 この提案について、現在の蒲島熊本県知事は熊本県議会において、平成十六年の国への提案は、水俣病特措法に基づく幅広い救済の実施や、現在国が実施している手法の開発につながったものと考えている旨を答弁しておられます。

 こうしたことも踏まえて、環境省としては、水俣病特措法第三十七条に基づいて、まずは客観的評価法の開発に取り組んできたところでございます。

 水俣病特措法第三十七条の健康調査については、今後も関係県市とよく連携していきたい、このように考えております。

篠原(孝)委員 やるんだということを言っているのは分かるんですけれどもね、今、水俣病の特措法は二〇〇九年にできたと。そこのところに引き継がれているのは事実です、健康調査をするんだと。十三年たっているんですよ。

 水俣病は、若い人たちもそうだけれども、僕なんかだって、教科書に四大公害病とか何かが出ていたりしてきていたところですよ、世界中に水俣は知られている。皆さんは、広島、長崎というのは原爆の云々で知られているというふうに思っておられると思いますが、意外と水俣も知られているんですよ。

 私の経験でいいますと、一九七六年、人事院で留学させていただいたんですけれども、一か月、語学スクールに行ってからじゃないと大学に行っちゃいけないというので語学スクールに行っていたら、最後の段階になったら先生から、英語でジョークを言えと言われたんです。私はいつも冗談を言っていますけれども、その頃は余り言っていませんから困ったものだと思っていたら、先生が見本を示してくれたんです。びっくり仰天しましたよ。

 どういうことを言ったかというと、日本に旅行に行った、カメラを川に落としてしまった、しまった、今まで撮ったものが全部パアになると思っていたら現像が終わっていた、ただで済んだと。要するに、それだけ化学物質で汚染されている、そんな大げさなことを言って。みんな納得して聞いていましたよ。僕がどういう冗談を言ったかは忘れちゃいました。先生の冗談です。それだけ日本は、生産生産でいって自然環境を壊して、その辺の川もみんな汚染水で汚してしまっているというふうに思われている。実際はそうなんです。

 これはおかしいというので、ユージン・スミスさんという写真家が来て、ジョニー・デップの映画もできた。世界はまだ忘れていないんです。日本が忘れているのがおかしいぐらいなんです。

 もちろん、何万人も救ってきたんです。ですけれども、一番肝腎の、抜けた人たちを、抜けた人はどうなるかというと、ちゃちなことをしているんですよ、地域を指定して、そこの人たちだけで、ほかの人たちは関係ないという。こんなのはおかしいのは、すぐお分かりになりますよね。

 田舎じゃ食べていけないから、そこで生まれて育っても、東京だ、大阪だ、出ていくんですよ、働いているんですよ。何か俺、おかしいと。しかし、熊本に住んでいたら、鹿児島ぐらい近かったら、それはおかしい、水俣病じゃないかというふうになるけれども、一人ぽつんと離れて住んでいるから分からない。救いの手があるのに期限に間に合わないんです、知らないでくるから。まず地域を限定される、次に、一九六五年までしか、前の法律ですけれども、そこまでしか申請を認めないと年代でも区切っているんです。そういうことをしてきて、その忘れていた人が、ああ、これは水俣病だったんだ、こんなひどいの、自分の何か変な病気だと思い悩んでいる、それが救われないんです。

 水俣病特措法もよくできた法律なんですが、二〇一二年、もう申請を打ち切っちゃったんですよ。これはおかしいといって、ノーモア・ミナマタ第二次訴訟というのが四地裁でも出ているんです。当然、熊本、そして東京にいっぱい来ているから東京、それから大阪、分かりますよね、みんなそこで生まれて育った人たちが都会へ来て働いているわけですよ。そして新潟、四か所でやっているんです。それが、合計千七百八十四人の原告がいて、そのうち、今残っているのがそれだけですけれども、その前に二百人ほど亡くなっているんです。だんだんだんだん亡くなるんです。早く救済してやらなくちゃいけない。

 それが、昨日、第一陣で大阪地裁の結審で、来年の六月ぐらいに判決が出ることになったんです。この一、二年で、ばたばたばたと結審、判決というのが出てくるんですがね、これはやはり政治的な解決をしなくちゃ僕はいけないと思うんです。役所に任せていたら、ぐだぐだぐだぐだして、何だかんだ言って、法律上決まっているから、もう締め切ったから駄目だとかね。これは、さっき言った神宮外苑の再開発にストップをかけるのと違って、挙げて環境省の権限のうちですから、大臣がやろうと思ったら何でもできるんです。例えば、特措法で一時金、五万五千人に救済金を払ったりしているんです。見事な政治的解決ですよ。それと同じようなことを西村大臣ができる。

 僕は、その第一歩は、ぐだぐだ言わせないで、後でちょっと触れますけれども、ずっと、どういう調査をするかという研究をしてきた、研究成果がこうだと十二月十六日に突然説明しているわけですね。完璧な調査方法なんてないですよ。だけれども、ちゃんと調査する、一斉に調査しろというぐらい、命令を下してもいいと思うんですがね。

 十三年たっても、健康調査を一斉にしていないんです。これは福島の原発の後の子供たちの甲状腺のがんの調査も同じですけれども、日本国政府はきちんとした調査をやりたがらない。一方で、日本国民ほど人間ドックにかかる、よく行く国民はいないわけです。だけれども、それは理にかなっているんですね。調査がなくて、チェックがなかったら、対応できないわけですから。まずは調査だと思うんです。それを是非きちっとやるようにしていただきたいんですけれども、いかがですか、大臣。

西村(明)国務大臣 まず、委員御指摘がありましたように、水俣病特措法が成立してから十三年が経過しているという、この事実については率直に受け止めているところでございます。

 水俣病特措法が、第三十七条第一項で政府が健康調査を行うということ、そして、同条の第三項でそのための手法開発を図るということが規定されていることを踏まえまして、環境省としては、まず第三項の手法の開発を進めてきたところでございます。

 今後、この検討をできるだけ速やかに進めて、次のステップへ進めるように努めてまいりたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 小林副大臣にお伺いします。

 さっきちょっと触れましたけれども、十二月十六日に、現地で研究所から、今、研究成果がこうだというのを、何回も何回も、うだうだやってきているわけですけれども、何もしないわけにはいかないから、今、調査の仕方がこうだと、MRIとか何かが出てきます。僕は見ましたけれどもね。医学的な知識がないので、何がどう変わってきて、どうなるとか分かりませんよ、それは。じかに説明を聞いた人たちはよく分からないと思いますよ。何でもいいから早く調査しろ、そういうふうな感じだと思うんですが。

 一方で、何をやっているんだか分からないから、その健康調査が、切り捨てのための健康調査、あんたたちはおかしいけれども、チッソの水銀や昭和電工の水銀が原因じゃないよというあかしを立てるための健康調査の開発だといって、疑い始めているんです。そういう疑念を持たれている。対応がそうなんです、何か遅らすためにやっているようなもの。救済の範囲を狭めるためにやっているような気がするから、やめたらどうだと。

 二つの質問、ダブっているので、時間がないので、お答えいただきたいと思います。

小林副大臣 お答えいたします。

 水俣病の客観的評価法の開発については、一昨年及び昨年も報告会を開催をしてきたところであり、今年も、研究者の作業状況を踏まえて、その成果の整理を行うことを目指して準備を進めてまいりました。

 準備が整ったことから、十二月九日に大臣の閣議後会見等で、十二月十六日に国立水俣病総合研究センターにおいて報告会を開催する、このことをお知らせをし、報告会を実施したところでございます。

篠原(孝)委員 今お聞きになったと思いますけれども、二年前にやっている、そういうのをぐだぐだぐだぐだ繰り返してきているんですよ。いつまでやっているのと、いらいらしているんですよ。だから、いつまでにやるということをやっていただきたいと思います。だから、原告側、原告というか、皆さんの要望は、大臣、聞いていただきたいんですけれどもね。研究者だけがうだうだいろいろ研究している、それはいいんですけれども、やはり生の声を聞いていただきたいと思うんです。

 COP27でも、毎年二回対話をするというのが書き込まれたようですけれどもね、対話をしていく、関係者が。それと同じで、対話が必要なんだと思いますよ、対話が。我々のところへ来ますよ、いろいろ、何とかしてほしいと。我々は野党で数は少ないですけれども、一生懸命悩みも聞いて、こうやって質問したりしていますけれどもね。やはり政府が悩みを聞いてとか直接対話をする、そういう機会を設けていただくのが一番いいんじゃないかと思います。

 その悩みを聞いて、そして、不備でもいいから調査をする。その結果、いやいや、よく分からないけれども、水俣病か水俣病じゃないかよく分からない人がこれだけ、分かった人がこれだけだ、それでもいいですよ。何にもやらないで、ぐだぐだぐだぐだ延ばしてというのは、やはり問題だと思いますよ。調査する。

 だって、やる気になったら、今、ワクチン接種だってこれだけ徹底してやっているわけですよ、日本国民全体に。ほかの国は、こんなに簡単にワクチン接種はできないんですよ。みんな従順な、真面目な国民ですから言うことを聞くわけです。そうやっておいて、水俣病の方は検査もしない。どこかおかしいと思うんです。

 健康調査をさっさとやるようにしていただきたいんですが、住民との対話をきちんと進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 これまでも、水俣病の関係団体の皆様からは、毎年五月の水俣病被害者慰霊式、また六月の総行動デーなどといった様々な機会に御意見を伺ってきているところでございまして、今後、こうした取組を継続してまいりたいというふうに考えております。

 また、今後のことでございますけれども、脳磁計とMRIによる評価法をどのように評価して、それをどのように活用するかは専門的な知見による検討を要する事項でございますので、健康調査の在り方については、今後、有識者の協力を得ながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 今後のスケジュールについて現時点では予断を持ってお答えはできませんけれども、できる限り早く検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 先ほども申し上げましたけれども、神宮外苑開発がどうこうというのは東京都知事の権限にほとんど委ねられています。だけれども、この件は、大臣が、環境省がやろうと思えばできるんですから、きちっとやっていただきたいと思います。

 次に、三つ目の、COP27について質問させていただきたいと思います。

 先ほど大臣がちょっと答えられていましたけれども、日本もいろいろ、主体的なあれで、セミナーとかをやったりして、四十三回やったとか言っておられますけれども、姿が見えてこないんですよね。

 どうしてそれを言うかというと、国際会議というと、政府の代表団だけじゃなくて、関係者がいっぱい行くんですよ。そして、そちらの方のいろいろな会合があったりする。私の経験でいえば、最近でいえば、議員になってからですけれども、TPPがありました。私は野党の、一週間ぐらいになると、みんな行かないんです。ブルネイ、クアラルンプール、デンパサールとかの会合等はしょっちゅう行きました。我が党は私一人、自民党は二人か三人必ず来ていました。アメリカからは製薬メーカーがいっぱい来ていました、それから医療機器メーカーも。製薬メーカーというのは特許の関係で。農業ので僕は行きましたけれども。それで、レセプションを開いて、来てくださいといって、アメリカの要望とかをいろいろ説明するんです。同じことをやっていると思うんです。

 新聞記事に、ちらっとしか見ていませんが、六百人くらい、最近は、アンチの地球温暖化防止、そんなことをやっていられないとは言えないんでしょうけれども、石油関連企業がどたどた押しかけている、そして自分たちに都合のいいようなことを主張している。

 一体、日本の企業なり環境NPOなりはどうしているのか。断片的に、高校生が行ってこういう主張をしている、第二、第三のグレタちゃんのようなのがいるというのはあるんですけれども、日本国全体としての、周辺の、周りの活動とか、役所として把握されているんでしょうか。

 山田副大臣、いかがでしょうか。ちゃんと把握して、一体として交渉しなくちゃいけないと思っているんですがね。だから聞いているんですけれどもね。

山田(美)副大臣 お答え申し上げます。

 COP27には、網羅的には把握はしておりませんが、我が国から、気候変動分野において活動している多くのNGOやユース、個別企業及び業界団体が参加していたと承知をしております。

 COP27に向けた準備段階それから現地の会合では、環境省を始めとする関係省庁において、NGOや企業と意見交換を行い、臨みました。

 そして、COP27に参加した西村大臣におかれても、我が国のNGOや企業の方々と現地で面会し、直接意見交換を行ったと伺っております。

 カーボンニュートラルの実現に向けては、我が国のNGOや企業を含め、あらゆる関係者が行動を起こすことが必要でございます。先生御指摘のとおりでございます。今後とも、環境省としましては、様々な関係者と意見交換を行い、気候変動対策を進めてまいりたいです。

 以上です。

篠原(孝)委員 資料をちょっと見ていただきたいんですが、COPの各国代表出席者という。済みませんね、英語で。

 環境省には、過去十年間の首脳の出席状況の、G7を中心とした十か国ぐらいやったんですが、全然資料を、そんなものは自分でやってくださいとかいって、出席者の名簿をどっとよこしたんだ。だから、物すごく時間がかかったんです。三か年だけ引っ張り出したんです。日本語の方が見やすかったと思いますけれどもね。

 今回、大臣は大変だったですね。左、二〇二二年、G7の中で首脳級会合に来ていないのは日本とカナダだけです。バイデン大統領は、たった三時間のためにわざわざ行って演説して、そして万雷の拍手で迎えられているんですよね。岸田総理は行っていない。去年のグラスゴーのときには、これだけ、G7の首脳は全部行っていたんですね。韓国も豪州も行っている。日本はこういうところでもたるんでいると思われているんです、世界に。だから、毎年、化石賞だのをもらっているわけです。

 両方一緒にお答えいただきたいので、次のページを見ていただきたいんです。

 大臣はお忙しいと思いますよ。私は環境問題は大事だから、大臣は御存じないと思いますが、僕はずっと環境委員会に大体いるんですよ。某大臣が、余りメリットのない何とかかんとかと失言していますけれどもね。僕も選挙や何かのときには変わりないですよ。だけれども、僕は、これは大事だからと、議員生活の半分以上、ここでやっているんです。務台さんも途中で環境族入りをして、なかなか気が合うようになりつつあるんです。

 環境問題は山ほどあるんですよ。体の、こんなのは厚生労働省の問題だっていいんですよ、水俣病は。環境省の所管になっている。食べ物の安全性なんというのは、消費者庁も農林水産省もある。ありとあらゆる問題が環境問題に絡んでいる。世界で一番大事な地球温暖化防止、気候変動です。それで、二ページ目。

 だから、各国は、例えばアメリカです、忙しい大統領が、いやいや、バイデン大統領が岸田総理より忙しいとか、そういう比較はしませんけれども、アメリカの大統領は超忙しい人だと思いますが、それにもかかわらず行っているのに、行かないんです。

 それで、大臣も、後でちょっと触れますけれども、大臣がそうしたわけじゃないですけれども、最終合意のときに延びちゃったりして、予定外だから最終のときまでいられなかったんですね。そういうのがある。それだったら、思い切って、気候変動の担当の特使というのを設けたらいいじゃないですか。ほかの国はやっているんですよ。ジョン・ケリーは、お分かりだと思いますけれども、大統領候補にも目されたし、国務長官をやっているんですよ。中国にもこういう人がいる。次のUAEが28の主催国です。そこも特使を置いてやっている。

 もう一つ、これもないから僕が全部作ったんですけれども、気候変動のみの大臣、これは名前からやったので正確かどうか分かりませんけれども、分かりますね、一番左。タイトル、ヨーロピアンコミッショナー・フォー・クライメートアクション、これ専属の大臣がいるんですよ、気候変動問題専属の。

 日本にそういうものの適任者がいるかどうか。私が与党にいたら私が適任だと思うんですけれどもね、残念ながら野党。だから、国会にも煩わせない、そして、ちゃんとこれに専属で、会議にはすっ飛んでいく、あちこちで交渉する、そういうことをやったっていいと思うんです。自民党の中にも人材はおられるんじゃないのか。こういうことを提言していただきたい。

 西村大臣も大変だと思いました、あちこちみんなやって、国際会議もやって。気候変動担当の大臣、閣僚は、交渉というのは顔でもってやったりするから、引き続きやらなくちゃいけないんだから、毎年毎年くるくるくるくる替わった人が行ったって交渉にならないわけです。

 だから、そういうふうにしていってもいい。体制を整えていただきたいと思うんですが、この点は閣内で進言していただけたらと思います。私のこういう進言を結構聞いてくれる人がいて、今までも改善されているんですよ。これをやってください、是非総理に言って。よろしくお願いします。

 これで質問を終わりますから、どうぞ。

西村(明)国務大臣 気候変動を取りまとめる立場はまさに環境大臣でございますので、大臣として継続的に任命されるかどうかというのは、これはまさに総理の御判断でございますので。ただ、環境省としても、継続的に同一の職員が国際交渉に対応できるように人事面でも工夫しつつ、環境大臣を支えていただいているという状況でございます。

 確かに、今回会議に出てみますと、長年それを担当している方が多くいらっしゃって、非常に人間関係ができ上がっているというのも感じたところはございますけれども、ただ、我が国とすれば、そういった人事面、私が今ここで申し上げるというよりも、そういった問題意識というのは感じているということは申し上げたいというふうに思っております。

篠原(孝)委員 済みません、三十秒だけ。

 大臣、もう一つ、我々議員も議員外交をやるんです。資料で作ってありますけれども、議員が会合に行っているんですね。その資料をつけてあります。

 委員長、お願いですけれども、総理が行かれないというのだったら、我々委員会から派遣するということを考えていただけたらと思います。

 以上、終わります。

古賀委員長 御指摘は、しっかり受け止めさせていただきたいと思います。

 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 今日は、閉会中ではありますが、こうして委員会が開かれ、質問の時間をいただきましたことを関係の皆さんに感謝申し上げたいと思います。

 早速、時間も限られておりますので、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、化学物質PFOS及びPFOAを環境省が指定物質に追加した件であります。

 発がん性等の健康被害が指摘される化学物質PFOS及びPFOAについて環境省は水質汚濁防止法の指定物質に追加することを決めたと、二十一日の新聞では報道されております。今回の改正により、米軍に通報を求める根拠が明確になったと思います。

 これまでも、在日米軍基地から出ているのではないかと、PFOS、PFOA、このことについての、周辺の住民の方から、あるいは近くにいらっしゃる方から非常に不安の声が出ておりました。こうしたことに対して、この改正によって、指定物質に追加されたことによって米軍に通報を求める根拠は明確になったんだと私は思うんです。これまで以上に在日米軍に対してきちんと対応するよう求めるべきだと思いますけれども、いかがでありましょうか。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、PFOS等を含む泡消火薬剤や水の漏出事故はあってはならないことでございます。この点については、引き続き米側に対し施設の安全管理の徹底を求めてまいります。

 その上で、万が一PFOS等の漏出事案が発生した際には、米側からはこれまでも速やかに情報提供がなされてきております。例えば、本年九月に発生いたしました厚木海軍飛行場における事案に際しましては、米側から日本側に対し事案の発生後速やかに情報提供があったところでございます。

 防衛省といたしましては、万が一漏出事案が発生した場合には速やかな情報提供等がなされるよう引き続き米側に求めるとともに、関係省庁と連携し、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

近藤(昭)委員 審議官、ありがとうございます。

 この問題、米国連邦議会で審議されている国防権限法というのがあります。この国防権限法にもPFASの規制条項が盛り込まれる、こういうことであります。そういう意味で、米国内及び在外にある米国の施設、これについても今まで以上に厳しい規制が加えられるということであります。

 先ほど申し上げましたように、日本でも、この問題、日米地位協定があったりして、日米地位協定の中で、私は一つの課題として、なかなか米軍の基地内の調査等々が十分に行われていない、こういう課題もあると思うんですね。そういう意味では、日米合同委員会もあるわけでありまして、そして、今申し上げましたように、米国でも国防権限法に、より厳しい規制条項が、いわゆる米国の施設としての規制条項が盛り込まれるわけであります。そういう意味では、今防衛省の北尾審議官にもお答えいただきましたけれども、私は環境省としても日米合同委員会の環境の関係のところでしっかりと主張していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでありましょうか。

西村(明)国務大臣 今詳細については防衛省の方からお話があったと思いますけれども、在日米軍に関しましては、これまでも、漏出事故があった場合には米側から応急措置及び日本側への通報が行われておりまして、その都度、政府から関係自治体へ情報共有を行っております。委員御指摘のように、日米地位協定の環境補足協定において適切にこの枠組みを運用してまいりたいというふうに考えております。

 また、加えて申し上げますと、今回、水質汚濁防止法の中にPFOS、PFOAを指定物質に追加したということは、国内の事業者に対しまして、PFOS等の漏出事故時において、水質汚濁防止法に基づいて適切に対応するように求めることができるものとなっております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。是非、非常に大きな問題でありますので、御対応をしっかりといただきたいと思います。

 北尾審議官、これで質問は終わりでありますので、退室いただいても結構でございます。ありがとうございました。

 それでは、COP27に関して質問させていただきたいと思います。日本政府が現在進めようとしている石炭火力へのアンモニア混焼についてであります。私は多くの課題があると考えておりますので、質問させていただきます。

 アンモニア混焼は、アンモニアの製造段階で多量のCO2が排出されること、コストが高く採算ベースにならないこと、既存の石油火力の延命につながりCO2削減に貢献しないことなどの課題があるわけであります。現状では海外からの輸入のインフラ構築を進めているため、エネルギー安全保障上、つまり海外から輸入するということの、エネルギーの安全保障上も、エネルギー自立の観点からも解決策になっていないと私は思うわけであります。COP27においてもこうした批判があったと受け止めておられるでしょうか。質問したいと思います。

西村(明)国務大臣 COP27の開催前に、NPO等から日本政府に対しまして、石炭火力のアンモニア混焼を直ちにやめるべきこと等を要請する文書が提出されたということは承知しております。

 我が国としては、化石燃料への依存を低減することと併せて、エネルギーの安定供給の観点から、多様なエネルギー源をバランスよく活用するということが重要だというふうに考えております。二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けましては、あくまでその移行期に、アンモニア混焼等の技術を活用してCO2排出を削減してまいります。

 加えて、アンモニアにつきましては、早期にライフサイクル全体を通じたCO2排出を削減するために、製造段階でのCO2排出を抑制したアンモニアの利用推進が求められます。政府として、こうしたイノベーションを必要とする新たな選択肢というものを追求してまいります。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。今大臣にもお答えいただいたところでありますが、まだ様々、混焼についても、どれだけCO2が削減できるのか、混焼の割合にもよりますが、ただ、一〇〇%アンモニアを燃やしても、私はCO2の削減は十分ではないと思っております。またこの議論は改めてさせていただきたいと思いますので、次に行きたいと思います。

 岸田首相は、今年一月の施政方針演説でアジア・ゼロエミッション共同体についてこのように述べられました。我が国が、水素やアンモニアなど日本の技術、制度、ノウハウを生かし、世界、特にアジアの脱炭素化に貢献し、技術標準や国際的なインフラ整備をアジア各国とともに主導していくことです、いわばアジア・ゼロエミッション共同体と呼び得るものをアジア有志国と力を合わせてつくることを目指します、こうおっしゃいました。

 COP27では西村大臣もステートメントでアジア・ゼロエミッション共同体について触れておられますが、日本はアジアの有志国から成るプラットフォームを構築し、省エネ、再エネ、水エネ、CCUSなどの有効活用によりアジア・ゼロエミッション共同体構想の実現を目指しますと述べられて、実はアンモニアについては触れておられません。私は、かなりアンモニアは国際的な批判があるわけでありまして、そういう中でそうした批判をかわすためにあえてアンモニアを入れなかったのではないか、こう思うわけでありますが、いかがでありましょうか。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘いただきましたCOP27におけます閣僚級セッションにおける我が国のステートメント、これは、パリ協定の目標達成に向けて、アジア・ゼロエミッション共同体構想も含めまして、世界全体の気候変動対策に我が国として貢献し牽引していこうとする、そういった取組の概要を説明したものでございます。

 ステートメントでは御指摘のとおり直接アンモニアには言及しておりませんけれども、アジア・ゼロエミッション共同体構想の中では、水素ベースのエネルギーキャリア・燃料としてのアンモニアに関する技術も含めましてアジアの脱炭素化に貢献するというふうにされております。

近藤(昭)委員 先ほど同僚の篠原議員からも指摘がありましたが、日本の石炭火力、あるいはそれに関連してのアンモニア混焼、かなり世界的に大きな批判が出ている、そういう中で、NGO団体からのあれですが、化石大賞を日本政府は受けている、こういうところはあると私は思いますね。そういう意味で、このアンモニアの問題については本当に、私は、先ほども申し上げましたが、課題があると思っておりまして、またこれも改めて議論をさせていただきたいと思います。

 さて、関連して、再生可能エネルギーの導入促進において様々課題があるのではないかと問題が出ている、木質バイオマスの認証偽装のことであります。

 FIT制度の意義は、日本のエネルギー自給率を高め、温室効果ガスを排出削減し、気候変動対策としても大変に重要だと思うんですね。しかし、先日、ベトナムから輸入された木材チップがFSC認証を偽装したものであったとの東洋経済の報道がありました。認証された木材チップは、FIT制度においては、認証木材であることに付加価値をつけ、未利用を除く国産材と同じ価格で買取りがされているわけであります。東洋経済の報道によれば、二〇二〇年にベトナムの再大手の木材チップ販売会社が販売した木材チップはFSCの認証システムから排除されたわけであります。

 さて、経済産業省はこの認証偽装についてどのように受け止めているのか。国民負担があることを考えれば徹底した実態の把握を行うべきではないか、こう思うわけでありますが、いかがでありましょう。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、森林認証制度を運営する第三者認証スキームが、木質ペレットについて虚偽表示を行ったとしてベトナムの木質ペレット事業者の認証を停止したことは、経済産業省としても認識いたしております。

 バイオマス発電の安定的な運営には、使用する燃料を長期にわたって安定的に調達することが重要であり、再エネ特措法の下で行うバイオマス発電事業につきましては使用する燃料の持続可能性を第三者認証などによって確認することとしている点は、御指摘のとおりでございます。

 今回の事案を踏まえまして、複数の関係企業に経済産業省といたしまして既にヒアリングを行っております。まず、認証の停止以降につきましては、持続可能性が確認できない燃料がFIT、FIPに基づく発電に使用されている事実はないというところを現時点では認識しております。

 他方で、議員御指摘のとおり、バイオマス燃料に係る持続可能性の確認は非常に重要な事項だと考えてございます。経産省といたしましては、関係省庁とも連携しながら、認証停止以前についても含めまして実態を適切に把握してまいりたい、かように考えてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。FIT制度、国民の税金が投入されているところであります。厳しく対応していただきたいと思うわけであります。

 さて、木材の違法伐採対策ということで、林野庁にお伺いをしたいと思います。

 木材の違法伐採対策強化のため、超党派の議員立法で、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律、通称クリーンウッド法と言われておりますが、これが二〇一七年に施行されております。

 近年徐々に増加しているわけでありますが、木材の自給率は三〇%前半と大変に低いわけであります。そして、木材価格も停滞しているという状況であります。その原因として、違法伐採木材の日本市場への流入が指摘されているわけであります。

 違法伐採木材は、現地の法令に違反し伐採、販売されたものを指しているわけでありますが、木材そのものの品質では、違法伐採木材かどうかはなかなか分からないわけであります。例えば、欧米の違法伐採対策では、伐採国や地域の汚職腐敗度数に応じてリスク評価、緩和措置を行うデューデリジェンス、合法性の確認というのが行われていますが、日本も同様の措置を行い、日本市場への違法伐採木材の流入を阻止するための法律が作られたはずであります。しかしながら、デューデリジェンスは努力義務にとどまり、違法伐採木材の流入が止まっていないということであります。

 林野庁の合法伐採木材等の流通及び利用に関する検討会の中間取りまとめにおいても、デューデリジェンスの実効性の強化を図る必要があり、デューデリジェンスの義務化も考えるべきと報告をされています。

 また、合法木材利用促進法に関わった環境NGOは、二〇二二年四月に大手商社等に対してアンケート調査を行いました。調達している木材のリスクにかかわらず合法性証明書類等を入手すれば合法性確認は十分と認識している事業者が多く、つまり書類を入手すればいいと。日本の木材関連事業者の合法性確認のレベルは低いと、つまり現地調査とかそういうことをしていないという意味ですね、指摘されているわけであります。

 このことから、デューデリジェンスの実効性の強化のため、事業者のデューデリジェンスの質の向上と義務化は必須であると考えます。また、クリーンウッド法の施行から五年後見直しのタイミングでもありますが、林野庁、いかが考えられますでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 違法伐採対策につきましては、平成二十九年に施行されました合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律、通称クリーンウッド法、これに基づきまして、木材関連事業者に対して合法性の確認等に取り組むよう促すとともに、事業者による合法伐採木材等の利用などを推進しているところでございます。

 委員からもお話がありましたけれども、クリーンウッド法につきましては、法律の附則におきまして、施行後五年を目途として法律の施行状況について検討し必要な措置を講ずるというふうにされておりますことから、林野庁におきましては、昨年九月に有識者による検討会を設置し、本年四月に中間取りまとめを整理いただいたところであります。

 この中間取りまとめにおきましては、クリーンウッド法の意義、評価といたしまして、木材関連事業者が合法性確認に取り組む意義が向上したことや、合法性が確認された木材の取扱量が増加したことなど、一定の成果があったとした上で、木材流通の最初の段階における事業者に対する合法性確認の義務化も選択肢であることや、合法性確認を行う際の内容やルール、手法について政府が指針を示すべき等の御指摘もいただいたところでございます。

 これらを踏まえまして、現在、関係団体等の意見も聞きつつ、関係省庁と対応方向について調整を進めているところではございまして、合法伐採木材等の流通及び利用をより一層促進するための方策について検討してまいります。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。そうした検討をされているということでありますが、各方面からその問題点が指摘されているところであります。しっかりと義務化を、検討ではなくしっかりと対応いただきたい、実行していただきたい、こう思うわけであります。

 さて、関連して、FIT制度と輸入木材のペレットということで、大臣にも質問させていただきたいと思います。

 FIT制度の意義から考えれば、そもそも輸入木質ペレットをFITの対象にすることはおかしいと私は思っているんです。国産材であれば違法木材が混入するリスクは低い、デューデリジェンスの負担も最小限で済ませることができる、つまり国内でありますから。

 もちろん、先ほど林野庁に質疑、提案をさせていただいたとおり、質の高い合法木材の確認ができるようになれば、違法な木材によって市場が乱されて認証偽装といった問題は起きにくくなるのかもしれません。しかし、本来のFIT制度の意義に立ち返れば、認証された木材であるからといって輸入によって輸送に多大な温室効果ガスを排出することを許容する、こういうことではなく、本質的なエネルギー自給と持続可能な森林経営、その両立による気候変動対策の強化こそ目指すべきではないかと思うわけでありますが、いかがでありましょう。

西村(明)国務大臣 気候変動対策、こういった観点からは、バイオマス燃料につきましては、輸送を含むライフサイクル全体の温室効果ガス排出量ができるだけ少ないものが活用されるということが望ましいというふうに考えております。

 御指摘のFIT制度につきましては、バイオマス発電の認定に当たりまして、今後はライフサイクル全体の温室効果ガス排出量を確認することが検討されているというふうに認識しております。環境省におきましては、昨年七月に、輸入バイオマスのライフサイクル全体の温室効果ガス排出量の算定等につきましてガイドラインを整理して、経済産業省に情報提供をしているところでございます。

 あわせて、環境省として、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金などの支援措置も活用しつつ、エネルギー自給や持続可能な森林経営に資する地産地消型の木質バイオマスの活用を更に推進してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。様々、偽装等々の課題がある、輸入ペレットではなく、より身近なところできちっとチェックできる、また本質的なCO2の削減につながる、こうした政策を実施する先頭に環境省また大臣に是非立っていただきたい、そう思うわけであります。ありがとうございます。

 それでは、林野庁さん、エネ庁さん関係の質問は終わりましたので、御退席いただいても結構でございます。ありがとうございます。

 それでは、COP15に関連して質問させていただきたいと思います。

 COP10がありました、二〇一〇年であります。当時は民主党政権でありまして、私も当時環境副大臣として、ちょうど、私の地元は愛知名古屋でありますが、愛知名古屋で開催をされたというのがCOP10でありました。愛知目標等が設定されて、厳しいと言われた会議が何とか合意に達した。しかし、残念ながら、あれから十二年たって、そうしたターゲット、目標が十分には達成されていないというところが今の現状であるわけであります。残念なところであります。

 しかし、だからこそ、また改めて、COP15、この中で世界が連携をしてしっかりと対応していかなくてはいけない、こういうふうに思っているわけでありますが、幾つか質問させていただきたいと思います。

 一つには、政府は、カーボンニュートラルと循環型社会、またネイチャーポジティブを三本柱として今後取り組んでいくということを次期生物多様性国家戦略の説明の中で示しておられます。カーボンニュートラルと循環型社会については、政府の中でも活発に議論されており、方針を示され、施策が実施されています。ネイチャーポジティブについてはまだまだ明確な定義がされていないと理解しておりますけれども、現状、ネイチャーポジティブについて政府はどのような理解であるのか。そのネイチャーポジティブ達成に向けた方針や実施策は、現在構築中の生物多様性国家戦略に反映されていると理解していいか。どうでしょう。

西村(明)国務大臣 ネイチャーポジティブという表現につきましては、委員御指摘のように国際的に明確に定まった定義はございませんが、生物多様性の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せるという意味だというふうに理解しております。

 私が参加いたしました生物多様性条約COP15において採択されました昆明・モントリオール生物多様性枠組の中でも、二〇三〇年に向けて生物多様性の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せるため緊急の行動を取るというふうに明記されているところでございます。

 また、現在政府で検討を進めております次期生物多様性国家戦略におきましては、二〇三〇年のネイチャーポジティブ達成に向けて必要な指針や施策を示す予定でございます。改定作業を早急に進めて、年度内をめどに策定してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。しっかりとした策定をお願いしたいと思うんですが。

 今も策定についてのお話があったわけでありますが、こうしたネイチャーポジティブを確保するには、現在、三つの要素が必要とされているところであります。一つは環境保全の強化、二つ目は消費活動の見直し、三つ目は生産活動の見直しであると思います。

 環境保全の強化の一つとして、GBFにおいては、現在、二〇三〇年までに陸域、内陸水域、海域の三〇%を保護区とすることが、現在のGBFの議論において、二〇二二年十二月十九日午前の時点でありますけれども示されています。

 日本国内の環境保全において、限られた国土面積を持つ日本では、民間が保有する土地を保護区、自然共生サイトとすることで三〇%を目指しているわけであります。保護区拡大や民間の生態系保全への関与は非常に望ましいところであるとは思いますが、面積ありきの保全ではないかと懸念する声が複数聞こえてまいります。

 保全においては、面積だけではなく、生態系保全を本質的に追求することが必要である。この三〇%を達成するに当たり、保全を重視した保護区の目標値はどれくらいになるか教えていただきたいと思います。例えば、海洋においてはストロング・プロテクテッド・エリアの検討が必要とされており、陸域、内陸水域、海域において、日本のストロング・プロテクテッド・エリアはどのくらいになると想定しておられるのか。

 また、国際的な議論においては、陸域三〇%、内陸水域三〇%、海域三〇%とすることも議論されています。これは淡水に生息する生物が著しく損なわれていることが背景にあるわけでありますが、内陸水域三〇%保全について、政府としての見解はどのようなものなのか。いかがでありましょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のサーティー・バイ・サーティーの目標の達成に関しましては、我が国では今年四月にサーティー・バイ・サーティーロードマップというものを発表させていただいております。この中で、一つには、法的根拠に基づく保護地域の拡張と管理の質の向上、そして二つ目に、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域、いわゆるOECMの設定、管理を進める、こういったことによってサーティー・バイ・サーティー目標を達成することとしているところでございます。

 法的な保護地域につきましては、現在、陸域が二〇・五%、海域が一三・三%を占めております。これをどこまで上げるかという具体的な数値についてはなかなか示すことは難しいですけれども、今後、国立公園等の拡張で現状からの上乗せを目指すということが一つ、それからもう一つ、保護地域内の外来種対策等の保護管理施策や体制の充実を図っていくということで、この目標の一助としていきたい、達成に向けて努力をしていきたいと思っています。

 また、二つ目のOECMに関しましても、単純に面積を確保するということだけではなくて、生態系がつながり合うこと、健全に機能するための質を維持向上させる取組を進めていくということが重要だというふうに考えているというところでございます。OECMの取組の一つとして、民間等による保全区域を自然共生サイトとして認定し、国際的な議論及び専門家の意見を踏まえた認定基準を年度内に作成したいというふうに考えているところでございます。

 また、御指摘のありました内陸水域に関しまして、昆明・モントリオール生物多様性枠組、いわゆるGBF、新しいGBFにおいては陸域に含めるというようなこととなっております。陸域と内陸水域はまとめて三〇%を保全するということとされたわけでございます。

 いずれにせよ、最近の知見では、我が国の陸水生態系を含む様々な生態系において規模や質の低下が長期的に継続している、こういったことが指摘されているところでございます。関係省庁とも連携しましてサーティー・バイ・サーティー目標を達成いたしまして、内陸水域を含めた健全な生態系の保全に取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。しっかりと質の高い対策をお願いしたいと思います。

 さて、ネイチャーポジティブの確保のために消費と生活活動の改善が求められています。ちょっと簡単に質問させていただきたいと思うんですが、英国や欧州連合においては、そうしたことにおいて、様々専門家からの報告も受け止めて、実践するということを目標として計画も立てている。日本においても、次期生物多様性の戦略の素案においてそうしたことが計画をされているわけであります。

 ただ、素案の第二部に記載されている行動計画を見ると、ネイチャーポジティブをどのように確保するのか、なかなか不明瞭な施策が並んでいる気がいたします。

 例えば、施策の達成目標の指標が、国内検討会等の開催件数の累積や、TNFDやSBTs・フォー・ネイチャー等への賛同企業数となっていて、会議の回数と賛同企業数で、つまりそういう数、もちろん数も大事なわけでありますが、数さえあればいいというものではありませんので、こういう中でネイチャーポジティブをどのように確保できるのか、御説明いただけますでしょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 委員御承知のとおり、次の生物多様性国家戦略では、二〇三〇年目標であるネイチャーポジティブの実現に向けて、一つは、五つの基本戦略をきちっと示すということ、それから二つ目に、基本戦略ごとの行動目標を示すこと、そして三番目として、各行動目標に関する施策を一気通貫で示していきたいというふうに考えております。

 ただいま御指摘いただいた次期生物多様性国家戦略素案の第二部において各施策にひもづく指標を示すということも重要だと考えておりますし、特に行動目標ごとの指標を設定して、国家戦略の進捗や効果を適切に評価、点検していきたいというふうに考えております。

 来月には、今回COP15で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組、GBFも踏まえて、今の国家戦略の案を修正してまいりたいというふうに考えております。この案そのものは中央環境審議会生物多様性国家戦略小委員会で審議をいただくということで、それの検討に付するという予定でございます。御指摘の面も含めて、今回の決定を踏まえた修正というのを急ぎたいというふうに考えて、その中で実効性のある戦略というものにしていきたいというふうに考えております。

 また、御指摘の経済分野に関しましてでございますけれども、経済活動においては生物多様性の保全や自然資本の持続的利用が必要である、こうした考えの下に、一つの、それがどのぐらい意味があるかという御指摘もありましたけれども、やはり、例えば会議の回数ですとかTNFDへの賛同企業数といった指標、これが分かりやすく示せる一つのものとなりますので、政府や企業、金融機関における取組状況を示す指標の案としてお示しさせていただいたものでございます。

 また、ネイチャーポジティブの実現には、やはり経済活動そのものの変革が不可欠であるというふうに考えております。このため、生物多様性国家戦略の策定だけでなくて、それに加えて経済分野に特化した戦略の策定にも着手をしているところでございます。

 その検討の中では、ネイチャーポジティブの実現に伴って生まれるビジネス機会の分析等も実施しておりまして、そうした得られた知見を経済界に還元すること等によって、ネイチャーポジティブ経済への移行を促進してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。これも、改めて、しっかりとした質の高い計画、実のある計画を作っていただきたいということです。ありがとうございます。

 さて、原発の運転期間延長問題等について改めて質問させていただきたいと思います。

 十月二十八日の環境委員会で、原子力発電所の運転期間に関する規定の見直しに向けた拙速な動きは原子力規制庁と資源エネルギー庁のシナリオによるものとの懸念及び両庁によるこれまでの議論の経緯と今後のやり取りを公開する必要性を指摘させていただいたところであります。

 山中委員長は、十月五日の原子力規制委員会でエネ庁から運転期間延長の検討状況について説明を受けた後、運転期間の規定が抜け落ちることをその場で了承し、規制庁事務方に法改正に向けた対応の検討を指示した。その後のメディアの取材に対して、それ以前に検討を開始していたことは全くないと述べています。

 一方で、それに先立つ九月一日付で、原子力規制庁内で制度改正を進めるため、規制庁職員三名に原子力規制部規制企画課への併任発令の人事異動が発令されたわけであります。昨日の記者会見で山中委員長は、このことは知らなかったと述べておられます。民放のテレビ番組で規制庁に勤務したことのある現役官僚が、規制庁とエネ庁が車の両輪、一心同体となって動いてしまっている、こう指摘しています。

 規制委員会の指示を受けずに規制庁がエネ庁と連携して法改正の検討を開始していたとすれば、規制委員会の独立性を揺るがす大問題であると思います。長官の専決事項だとしても、事務方が委員長に無断でこのような人事異動を行っていたとすれば、規制委員会のガバナンスが問われると思います。重大な問題であると思いますが、いかがでありましょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制制度を所掌する原子力規制部原子力規制企画課の体制強化を目的といたしまして、九月一日付で規制庁職員三名に同課への併任発令がされたところでございます。

 これらの人事異動は、課長補佐以下の人事異動であったことから、原子力規制庁長官までの専決決裁となっております。

 いずれにいたしましても、規制制度の変更を伴う判断が必要な場合は、これまでと同様に、公開の原子力規制委員会の場において五人の委員でしっかりと議論されることになっているところでございます。

近藤(昭)委員 お三人、お二人は課長補佐で、お一人は企画官であったということは間違いないでしょうか。

大島政府参考人 委員御指摘の三名につきまして、いずれにいたしましても原子力規制庁長官の専決決裁となってございます。

近藤(昭)委員 専決事項であるということであります。事例は、規制庁の長官は知っていたということであります。

 ただ、仕組みとしては、原子力規制委員会というのは三条委員会で、非常に独立性の高いところであります。原子力規制庁というのは、その事務方、事務局としてつくられたところであります。

 山中委員長は記者会見でも、最後は原子力規制委員会で決めることだからそれは問題がないんだというような発言を繰り返されていたと思うんですけれども、三人の方を併任ということでやられておる、そして実は人事だけではなくて様々な打合せが行われている、こういうことも指摘をするNPOの内部文書、いわゆる、そうしたことが行われていたということの内部文書があるという、このことの指摘がされて、そのことも記者会見で随分と関係者は指摘をされているわけであります。

 さて、このことは、内部文書の存在、記者会見では確認してお答えするというようなことをされておられたような気がしますけれども、それはどうなりましたでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、原子力資料情報室の会見につきまして、詳細は承知をしてございませんけれども、原子力規制庁の内部文書であるとする資料が公表されたということについては聞いてございます。

 このため、委員長より、当庁が作成する文書であるかどうか、また、当庁が作成した文書である場合、どのようにして、どのような目的で作成したものであるか、事実関係を確認するよう指示を受けており、現在調査を行っておるところでございます。

 また、この調査結果につきましては、まとまり次第公表したいと考えてございます。

近藤(昭)委員 調査をしているところで、きちっと発表するということでありますが。

 さて、報道によりますと、つまりそうした人事が行われた、そういう中で事務方が十月五日以前にも非公式に接触をしていた、このことはお認めになっているわけであります。

 そういう中で、この内部文書も指摘をするところなんですが、通常国会に提出する法案については、秋頃から内閣法制局の審査を開始し、年末年始には形が整っている、こういうのが通常です、通常国会に出されるもの。炉規法の改正について法制局での審査はいつ頃から始まっているのか、来年提出するとすると。いかがでありましょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 電事法の改正につきましては我々の所掌でございませんので、お答えは差し控えさせていただきますけれども、原子炉等規制法につきましては、十月中旬頃から、高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の見直しが法制的に成立し得るかどうかにつきまして内閣法制局に相談を始めてございました。

 高経年化した発電用原子炉に関する安全規制についての規制委員会における議論と並行いたしまして、その議論の内容が法制的に成立し得るかどうかについて内閣法制局に相談をすることは、事務方としては当然のことだと考えてございます。

近藤(昭)委員 さて、時間が限られてきましたので、そもそも論ということで、山中委員長にお聞きをしたいと思うんです。

 私も、原子力規制委員会設置法の制定のときには環境委員会の委員でありました、これに携わりました。当時は、平たく言うと、規制のとりこになっていた、十分な規制が行われていなかった、だから推進する経済産業省エネ庁と規制するところを分けるということだったんですね。

 ただ、そういう中で、山中委員長の最近の発言を聞いていると、運転期間については運用者が決めることだ、それを自分たちはチェックする、そのチェックの仕組みをつくればいいんだというようなことをおっしゃっていますけれども、当時の立法趣旨というのは、規制のとりこになっていて、そうした中で十分な規制ができなかった、だから独立委員会、三条委員会ですよ。三条委員会の委員長は天皇陛下の認証じゃないですか。天皇陛下の認証の委員会はどれだけあるんですか。

 しかし、委員長の発言は、運用期間は決めることだ、それについてチェックする仕組みだけをつくるとかですね。そういう中で、十分に規制ができるのかと思わざるを得ないようなことがある。ましてや、事務方が打合せをしていたということは委員長も認めておられるわけです。そして、打合せは問題がないとおっしゃっているわけです。私は、原子力規制委員会というのは独立をしていて、規制庁というのは事務方ですよ。しかし、その事務方が想定をして、そうしたブレーンストーミングみたいなことをすることは何も問題はないとおっしゃっています。問題があると思いますよ。

 規制委員長の下でそうした事務方が動くんじゃないですか。頭の訓練、では何をやってもいいんですか。そのことを受け止めて委員長はやるんですか。私は、委員長のお考えを改めて聞きたいと思います。

山中政府参考人 お答えいたします。

 先ほど部長から答えましたように、一般論として、事務方として、あらゆる事態を想定して頭の体操あるいは準備していくこと、これは通常よくあることであると認識しております。

 また、人事異動につきましても、あらゆる職員について規制委員長が判断するのではなく、現実的に規制庁内で適材適所で配置することも適当であると考えております。

 その上で、現行の運転期間延長認可制度は原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法に規定されておりますので、事務方として準備、検討していたのだと承知しております。

 いずれにいたしましても、規制制度の変更を伴う判断が必要な場合には、これまでと同様に、公開の原子力規制委員会の場において五人の委員で議論して決定してまいりますので、ガバナンス上問題があったというふうには考えておりません。

近藤(昭)委員 委員長も今指摘されましたように、運転期間の変更をするためのブレーンストーミングだ、準備だみたいなことをおっしゃるわけですが。しかし、内部文書でも指摘されているところでありますけれども、何のための併任か、今も委員長がおっしゃったみたいに、運転延長、変更をするための、ブレーンストーミングかもしれませんけれども、そういうことをやっていた、こう御自身も認めていらっしゃるわけです。

 でも、そのほかに、今度、いわゆる四十年規制等を書いてきた炉規法、これを電気事業法へ移管する、そして束ね法案で通常国会で提出する、こんなことも言われているわけであります。大問題だと思いますよ。三条委員会、独立性が高い、そこの下で管理してきた炉規法、規制庁で。それを今度は、電気事業法、つまり経済産業省の所管のところですよね、そこに移す、こう考えておられるんですか。それは内部文書で指摘されているところですが、委員長、いかがでありましょう。

山中政府参考人 お答えいたします。

 令和二年七月二十九日の原子力規制委員会において、関連いたします運転延長認可制度、これに関する規定、原子炉等規制法におけます第四十三条に関係する条文の中には、運転期間に関する定めと高経年化した原子力発電所の安全規制に関する定め、この二つがセットになっております。

 先ほどお話しいたしました、令和二年七月二十九日に、二年前の委員会において既に、運転期間については、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないというふうな結論を委員会で決定しております。

 したがいまして、運転期間については利用政策側が検討していただくもの、私どもとしては、高経年化した原子力発電所の安全規制が継続的に行われるための検討をこれまで行ってきた次第でございます。

近藤(昭)委員 質問時間が終了しておりますけれども、二年前にそうやって決まった、だからそのことは、今度炉規法を改正して電気事業法に移しても構わないんだよみたいなことをおっしゃるということは、私は、規制委員長として、とても容認できませんね。あの法律を作ったときの立法趣旨は何だったのか。

 そして、三条委員会ですよ。改めて指摘しますけれども、三条委員会で天皇陛下の認証の委員長は大臣以外にほとんどいないんですよ。そうやって決まったんだと。事前に打合せもしていた、エネ庁と。併任も、いろいろな想定をすることだから構わないよなと。一体、原子力規制委員会、委員長の独立性って何なのか。

 私は、大いに問題だと指摘して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 こんにちは。立憲民主党、福島県出身の馬場雄基です。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、言行一致、この一点に貫いて伺いたいというふうに思っております。

 ボーイズ・ビー・アンビシャス、これはクラーク博士が日本を去る前に教え子たちに残した言葉です。日本語では、少年よ大志を抱けと訳されております。実は、この言葉には続きがございます。お金だけではなく、そして私欲のためだけでもなく、名声というくだらないものでもなく、人はいかにあるべきか、その道を全うするために大志を抱け。アンビシャスというこの言葉には、極めて重い意味が込められていると私は思っています。

 一方、この意義深い言葉を別に訳し、政府が繰り返し使っている言葉がございます。野心です。二〇五〇年カーボンニュートラル実現という野心的な目標、あるいは野心的なイノベーション。目標を掲げるまではいいにしても、掲げた後もなお野心と繰り返されるこの違和感は、私だけが持つものではないと思っています。野心には大きな望みという意味もございますが、一方では、たくらみ、身分不相応のよくない望み、とかく害をしようとする心、こういう意味まで含まれております。

 カーボンニュートラル実現と、野心的な目標を繰り返し使いながら、いまだ国会は大量の紙ばかりです。LEDでもなく、蛍光灯が使われているところも多くございます。この政府の姿勢は、直面する大きな世界的課題、気候危機に対して、取りあえず形だけ整えておこうと、よくない望みを抱いていると思われても仕方のないことではないでしょうか。

 言行一致、できることからすぐに取りかかっていただく、その覚悟を問いながら、以下の質問に移らせていただきたいと思います。

 COP27において西村大臣が行われた演説、三点、大きく取り上げられてございました。一つ目は、今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資の実現。二つ目は、脱炭素につながる新しい国民運動の開始。そして最後、三つ目が、アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現です。これらにかける大臣の思いを端的に是非教えてください。

西村(明)国務大臣 COP27の閣僚級会合におけるステートメントにつきましては、パリ協定の目標達成に向けて世界全体の気候変動対策を牽引するために、日本政府の代表として、我が国が重視している取組として、今委員御指摘のようなものを表明させていただいたものでございます。

 我が国には多くの優れた省エネ技術等がございます。アジア地域を始めとした国際社会の温室効果ガスの排出削減に貢献できるものというふうに考えておりますし、また、そのような内容について、ナショナルステートメントとして、またそれぞれのバイ会談においても説明をさせていただいたところでございます。

 今後も、来年のG7等の機会を生かして、我が国の取組を国際的にしっかりと発信してまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。大臣の御決意、しっかりと実践されていくことを願っております。

 しかし、言行一致ということが大切でございます。これら取組についてそれぞれの所管を伺いたいわけですけれども、GX投資あるいはアジア・ゼロエミッション共同体は、主に経済産業省さんが管轄されているのではないでしょうか。また、取り上げられた国民運動、これは環境省の所管ではございますが、COP開催直前の十月二十五日に立ち上げたばかりの事業ではないでしょうか。世界に向けて責任ある立場として話される内容として、環境大臣がお話しされるものとして本当に適切であったのか、そういうメッセージであるのか、私は大きく疑問が残ります。

 今後、環境省さんが取るべき行動は二つだと思っています。言行一致。一つは、環境省さんとしてもその役割を、経済産業省さんだけではなくて、連携とかそういう次元のレベルではなく、主体性を持って、責任を持って取り組んでいくということにするか、あるいは、その役割の大半を担っている経済産業省さんがCOP27に参加していく、COPの場に行く。あるいは、今日、篠原議員からもございましたが、特使というものをしっかりと設けてやっていく。

 私は前者であってほしいというふうに思ってはいますけれども、大切なのは言行一致。外交の場は真剣勝負そのものだと私は思っています。問われるのは国力です。世界に対し発信するとき、自分の所管ではない、あるいは取り組み始めたことばかりを述べて、国力、あるいは国としての威厳も示せないのではないかと私は思います。

 適材適所、真剣勝負、どうか環境省さんにもそういった思いで取り組んでいただきたいというふうに思っております。大臣、この点についていかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 様々な案件について、今委員も省庁間の連携という話がございましたけれども、今既にこういったカーボンニュートラルの取組においては、環境省はもちろんとして、経済産業省、国土交通省等々と連携しながら、様々な施策、またそういった予算面においても実現を図るべく進めておりますし、また、グリーントランスフォーメーション、GXに関しても、経済産業省としっかりと連携しながら施策の練り上げというものを行ってきております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 ただし、私は、中途半端なことだけは避けていただきたいというふうに思っています。もう全てが待ったなしの状況です。連携という生易しい話だけで済む問題ではないと思っています。特に、海外に対して発信をする際に、日本としての立場、それを明確に示し、来年にはここまでちゃんと実現するという的確なメッセージが私は必要だと思いますので、その点を踏まえて是非検討いただければと思っております。

 続いて、都市間連携について伺います。

 COPの中でもまた一つ大切な取組だと思っていますが、環境省さんは、日本の自治体が持つノウハウを活用し、途上国における脱炭素化の推進を図るため、あるいは自治体と海外の都市の交流を深めるために都市間連携事業を行っておられます。これらの目的は、当然ながら脱炭素ドミノを起こしていくということだと思っておりますが、より多くの自治体がこの事業に関心を持ち、いい意味で競争し合うことが本来は望ましいはずです。

 しかし、本年、本事業における公募、これは全体で二十件採択がございますが、そもそもの応募総数は二十三件です。二十三分の二十という、ほとんど倍率もなく、申請すればほぼ採択されている状況なんです。自治体側のニーズに合った事業になっているのか疑問に思いますし、さらに、二〇一三年以降この事業は開始されているわけでございますが、九年たって、取り組んだ自治体は、千七百十八自治体がある中で、僅か二十自治体です。規模にして一%ほどのものにしかなっていません。

 環境省さんに伺います。

 脱炭素ドミノの旗を振る環境省さんとしてこの現状をいかに評価されているのか、伺います。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 脱炭素を実現していくには、様々な都市、地域におきまして、それぞれの地域資源を生かした取組を進めていくことが重要でございます。我が国の自治体は、地球温暖化対策推進法に基づき、長年にわたって脱炭素を推進してきた実績があり、培われてきた経験やノウハウを途上国の自治体と共有し、世界の脱炭素化に貢献していくことが可能だというふうに考えております。

 環境省は、これまで、アジアを中心に十三か国四十五都市、地域におきまして、脱炭素に向けた都市間連携事業を支援してまいりました。我が国の二十の自治体の参画を得て、それぞれの経験やノウハウを共有いただいているところでございます。

 この都市間連携事業により、四つの都市、クアラルンプール、バンコク、ベトナムのダナン、それからチリのレンカ、ここで脱炭素宣言の実現も後押しをしております。こうした途上国での脱炭素宣言が都市で行われたということでございます。加えまして、二国間クレジット制度も活用して、二十一件の脱炭素プロジェクトの創出につなげるなど、世界の脱炭素化に貢献してきております。

 今年度の都市間連携事業では、新たに我が国の三つの自治体、滋賀県、それから大阪府の堺市、沖縄県の浦添市に参画もいただいております。更なる自治体の参画も含めまして、引き続き我が国の自治体と途上国の都市、地域とのマッチングを支援して、世界の脱炭素化に貢献してまいりたいと思います。

馬場(雄)委員 合わせて全てで二十自治体であるという現実をまず受け止めていただきたいというふうに思っております。

 強いところが強くなるだけ、本日、石原議員からのお話もございましたけれども、強いところが強くなるだけで、そして体力のある自治体だけがやるということであるならば、行政がわざわざ事業を起こす必要性はないのではないでしょうか。財力があるかないかにかかわらず、自治体の皆さん方がどんどん海外と交流し合い、脱炭素ドミノを広がらせていくということこそが、環境省さんが事業を行う意義だというふうに思っています。民間と行政は違うわけでして、行政が行う事業という役割を認識していただきながら、この数字を客観的に捉えていただきたいというふうに思っています。

 さて、COPは首脳級も集まる場で、各国のまさに国力が試されている場でございます。ましてや、来年、G7の開催国は日本でございます。抜かりなく戦略的に、各国が日本に来られて、日本と議論すれば間違いない、あるいは一緒に事業をやると面白い、そう思っていただけるように、国を挙げてステータスを高めていかなくてはなりません。この観点から御提案させていただきます。

 気候危機だけではなくて、安全保障、人口問題、食料危機など、世界全体が大きな岐路に立っている今だからこそ、G7の枠だけにとらわれず、G20との関係性を重視しながら、世界中で大きな一つのストーリーを来年構築するという、まさにアンビシャスを抱いてもいいのではないかと思うわけです。

 来年、G20の議長国はインドです。このまたとない機会に日本とインドのきずなをより確かなものにし、世界にメッセージを強く共同で発信をしていく。COP27では、インドは、LiFE、ライフスタイル・フォー・エンバイロンメントを軸に展開されておりました。環境省が取り組む国民運動という思いと通ずるところがあるのではないかと私は思います。

 それらを踏まえて、西村大臣、来年のG7に向けた決意、日本の役割について是非お答えください。

西村(明)国務大臣 今委員御指摘のように、G7とG20が連携、共同歩調を取るということは非常に重要だ、私自身がそういう認識でおります。

 特に、モディ首相の話が今出ましたけれども、安倍内閣の内閣官房副長官の折に、安倍総理とインドのモディ首相の様々な会談にも同席させていただいて、日印の協力というのは非常に重要だということを認識しております。

 また、あわせて、来年の四月十五、十六日にG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されるわけでございまして、議題には、気候変動や生物多様性保全、循環経済、プラスチック汚染、こういった社会経済システムの変革が必要となる課題を取り上げるつもりでございます。議長国として、世界の環境問題の解決に向けて、具体的な取組を加速化させて、成果を上げなければならないと考えております。

 来年G20の議長国を務めるインドのモディ首相は、委員御指摘のように、二〇二一年の秋に、地球環境を守るため個人のライフスタイルの変革を推進するLiFE、今おっしゃいましたライフスタイル・フォー・エンバイロンメント、これを提唱されたわけでございます。我が国も、今年の十月から、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動を開始いたしました。G7では、消費者の行動を変える需要側の対策といったものを議論させていただきたいというふうに考えております。

 特に、インドのヤーダブ環境大臣とは、八月にインドネシアで開かれたG20で、また先月のCOP27でバイ会談をしっかりと行わせていただきました。来年のG7とG20の連携に関して、まさにヤーダブ大臣と意思疎通を図っているところでございます。今後も、G7開幕前にヤーダブ大臣と会談等々で意思疎通を図れるように努めてまいりたいというふうに思っております。今後、国民のライフスタイル変革が脱炭素の鍵を握るという問題意識を共有しているインドと連携して、G7とG20でまさに国際社会の議論をリードしてまいりたい、そういうふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。そのお言葉を信じたいので、言行一致で、抜かりなく進めていただければというふうに思います。

 国際会議の場でなぜモディ首相があれだけ称賛されたかというと、恐らくですが、一貫した言葉を述べて、そこに対して真っすぐ進んでいるからだというふうに思います。

 日本としても、今回言ったことが今回だけで終わることなく、しっかりと流れをつくれるようにお願いしたいと思いますし、あえて言うならば、恐らく、自分の襟元をしっかり正すということも大切だと思います。むしろ、私がもしあの場にいるならば、国会を世界一エコにするというような宣言をしてもよかったんじゃないのかなと。自分のやれる範囲の中でしっかりと結果を出す、その積み重ねが世界からの信頼を得られるということになると思いますので、是非大臣もよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、福島の復興、中間貯蔵施設について伺います。

 都度お伝えしてまいりましたが、私は、福島の復興を実現するために覚悟を持って挑んでいきたいというふうに思っております。

 前回、十月二十八日にも伺わせていただきましたが、今の実践が未来をつくっていくわけでして、野党という立場にあったとしても、責任を持って前に進めていく覚悟が私は必要だと思っています。

 復興をなし得ていくために絶対に欠かすことができないのが理解醸成です。環境省さんに伺わせていただきます。私が質問して以来、含めてですけれども、国際的な理解醸成に向けて具体的に行った取組について端的に教えてください。

土居政府参考人 除去土壌の再生利用の推進に当たりましては、取組の必要性であるとか土壌の安全性、こういったものに対する国民の理解を醸成するということは不可欠でございまして、その観点からも、国際的な理解を得られるような取組が重要だというふうに考えております。

 例えばですが、環境省から、国際原子力機関、IAEAに除去土壌の再生利用に関する専門家会合を実施をいただきまして、再生利用や最終処分、そして理解醸成、これの在り方につきまして取組全般で議論をいただくということを求めておりまして、今般、その協議が調いつつあるというところでございまして、来年春から会合を開催いたしまして、取組を進めていくということで、今、IAEAと中身の調整をしているというところでございます。

馬場(雄)委員 前回申し上げたことは、これは環境省さんだけの責任ではなくて、行政そのもの、そして私たち委員も含めて責任があるというふうに思っています。

 結局、大臣、そして副大臣、政務官が、私は、是非とも大使館に行って今の福島の現状についてしっかりと説明をしていただきたい、そして懸念があると思われる国は想定できるわけでして、抜かりなく、緻密に計算しながら我々も攻めていかなければいけないのが、福島の復興はそんな簡単な問題ではありません、だからこそ、覚悟を持ってやっていただきたいし、言行一致でやっていただきたいと申し上げているわけです。

 住民の理解醸成を進めていくならば、間違いなく国内の研究者の理解は必要ですし、ひいては、国際的な理解も、海外からの研究者の理解が必要。そして、それを世界で認められるものにするには、IAEAだけでは絶対に足りません。だからこそ、いろいろな研究者の方々が集った知恵が必要なのではないですかと昨年以来ずっと申し上げてきたわけです。

 そして、今回、残念ながら、唐突に表れてきた問題がございました。十二月九日です。突如明らかになったのが、除染土の実証事業について住民説明会を、十六日に所沢、そして二十一日に新宿御苑にて行うということが決まっておりました。

 とても福島の復興を責任を持って成し遂げる覚悟を持った人たちが行うやり方ではないと私は思います。福島のものを扱うなら、プライドを持って挑んでいただきたいです。告知も、僅か数か所の地域掲示板にて行うのみ、方法も、クローズドな場所で、余計に不信感を募らせるようなものではなかったでしょうか。説明して納得させられないような覚悟しかないならば、私はそれをやらない方がましだと思っています。

 環境省さんに伺います。

 国家プロジェクトであるはずの再生利用の実証事業において、全体計画をまず示していただきたいと思います。具体的に、何を目的に、国内何か所で、どこで、どのような取組をいつまでに行うのか。既に動き始めたということであれば、全体の計画があって当然だと思いますが、いかがでしょうか。

土居政府参考人 現在行っておる取組につきましては、二〇一六年に策定いたしました中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略及び工程表に基づきまして、再生利用の実証事業、減容化に関する技術開発、そして全国での理解醸成活動を進めているところでございます。

 再生利用の実証事業につきましては、再生利用の工事中や維持管理におきます安全性を確認するとともに、理解醸成の場としても活用するために実施するというものでございます。

 これまで、福島県内で、まず、飯舘村長泥地区での農地造成であるとか、あと、南相馬での盛土造成に取り組みまして、それに加えまして、現在、中間貯蔵施設内での道路盛土造成を行っているというところでございます。

 空間線量率など現場の状況が異なる福島県外におきましても、お話しいただきました環境調査研修所、新宿御苑など三か所で行う予定でございまして、これにつきましては、地元の自治体と調整がついたものから今住民説明を行っているというものでございます。

馬場(雄)委員 結局、全体像が全く明らかになりません。

 これは目的は何なのか。国内の理解醸成だというふうに思うわけですけれども、国内の理解醸成をするならば、はっきり言って、どこでどれだけのことをやるのか、なぜ関東近郊だけなのか、よくはっきりと分かりません。

 しっかりと住民理解もそもそも得られるということをするならば、具体的に住民に理解が得られるということをどのように考えていらっしゃるのか私は伺いたいと思うんですが、その点はどうでしょうか。

土居政府参考人 県外におきます実証事業につきましては、可能な限り早期の再生利用の本格化に向けまして、技術的、また理解醸成のための必要な知見を蓄積するために行うものでございます。

 まず、環境省が自ら管理する施設の中で、一定の施工スペースが確保できるなど、条件を満たしたものにつきまして候補地といたしまして、環境省から関係自治体とも相談をして、今スタートしたというところでございます。

馬場(雄)委員 これは国家的事業ですよね。なぜ環境省さんだけの所管している土地で考えているのか、私は不自然でなりません。国内理解醸成を進めていくための最適地というものをしっかり定めてやっていく必要性があるのではないでしょうか。そこは、復興庁や国交省さん、その他省庁さんも含めて一体的にやらなければいけないのではないでしょうか。

 私は、こういう話をしたくなかったから、住民理解を進めていくために、まずは国際的な理解をしっかり固めて、そしてそのステータスを上げておいてほしいということを一年間ずっと言ってきたんです。未来の話は今の決断がつくっていくわけです。皆さん方はいないかもしれないですけれども、今の子供たちはその未来にいるわけです。笑っていただきたくないです。本当に、だから、一歩一歩やってほしいと言っているわけです。与党の議員さんから、計画は無理だよという言葉がありましたが、計画なしにどうやって進めていくのか、私は分かりません。

 時間が参りました。

 是非、理事会にてこの全体的な計画について確認していただきたいということを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。どうか環境省さん、よろしくお願いいたします。

古賀委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 まずは、COPやG7など、国際会議における環境大臣による二〇二五年万博の取組発信についてお伺いいたします。

 二〇二五年開催の大阪・関西万博において、例えば気候変動対策の一環であるカーボンニュートラルが、政府が発表する万博アクションプランの全八十三項目中十八項目を占めるなど、気候変動対策に重きが置かれております。また、万博開催期間中には、脱炭素先行地域に関わるテーマ会議も開かれるとお聞きしております。さらに、資源循環や生物多様性、二〇一九年のG20で策定されました大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現など、様々な環境施策の取組が万国博覧会に向けてなされているところでございます。

 そこで、先日大臣が出席されましたCOPのような国際会議において、是非ともこのような環境施策が多数取り組まれております万国博覧会の発信を大臣に積極的にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。特に来年のG7では是非よろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 二〇二五年の大阪・関西万博は、非常に重要なものであるというふうに考えております。

 特に、私が子供の頃、大阪で、吹田で開かれた万博は、非常に日本のこれからの明るい未来を象徴する万博として、子供心に非常に楽しみに、そしてすばらしい思いで見ていたことを思い出します。

 二〇二五年の大阪・関西万博に関しましては、未来社会の実験場、これをコンセプトとして掲げている万博でございますので、将来のカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現を見据えて、先進的な取組のショーケースとなるように、環境省としても今準備を進めているところでございます。

 こうした未来社会の姿を万博において世界各国に示すことは、世界における日本のプレゼンスの向上にもつながるものだというふうに考えます。

 今御指摘がありましたように、G7などの機会を活用して、各国に大阪・関西万博の魅力をしっかりとPRしてまいりたいと考えております。

漆間委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 先月、大臣のインタビューの新聞記事で、世界に誇る日本の防災技術を世界へ拡大したいと。恐らくCOP27のロス・アンド・ダメージに関連してだと思うんですけれども、その記事を拝見させていただきました。是非、世界に誇る日本の防災技術を世界へ拡大、このテーマについても、万国博覧会に関連して、二〇二五万博に関連して取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。以上、要望でございます。

 続きまして、気候変動対策の取組のうち、カーボンニュートラルにつながる技術の一つである水素細菌について質問していきたいと思います。

 水素細菌は、二酸化炭素を原料としてプラスチックや燃料を生み出すことができる細菌であり、国内外で研究や開発が進んでおります。我が党、日本維新の会のマニフェストにおいても、水素細菌を始めとするバイオ物づくり分野など温暖化対策に資する研究開発を積極的に推進しますと掲げており、この分野についての取組を積極的に進めることとしております。

 ただ、実は、水素細菌の研究自体は決して新しいものではなく、一九六〇年代にはNASAが宇宙におけるたんぱく質生成手法として研究しているなど、昔からその可能性については知られておりましたが、その後、研究が大きく進んでいなかったと承知しております。

 しかし、最近になって政府がこのプロジェクトに乗り出すなど、近年、国内外で水素細菌を活用する動きが広がっており、再び注目を浴びている分野だと思います。

 そこで、経済産業省にお伺いいたしますが、近年、水素細菌が再び注目を浴びている理由や、このタイミングでこの分野の支援に乗り出した理由について教えていただきたいと思います。

茂木政府参考人 近年、水素細菌の技術が進んできた大きな背景は、一つは、デジタル技術やゲノム編集技術が高度化したことに伴いまして、水素細菌の生産効率、これが大幅に高まってきたということが一つ背景にありまして、実用化に向けた研究も大きく進んできたということであります。それから、もう一つは、世界の脱炭素化の潮流がございまして、水素細菌によってプラスチックなどの有用物質を生産するという新たな挑戦に取り組む事業者が増えてきている、こうしたことが背景にございます。

 他方で、この分野は、将来の大きな市場を見据えまして、アメリカですとか中国が兆円単位の投資を行うという計画を打ち出しているというところであります。こうした国際競争が激化していく中で、歴史的に発酵生産技術に強みを持っている我が国がこの分野を世界でリードしていくということが必要であるというふうに考えまして、グリーンイノベーション基金を始めとした各種予算を活用しながら、バイオ物づくりの実用化に取り組み始めたということでございます。

漆間委員 続きまして、水素細菌が本格的に普及すれば二酸化炭素排出量削減にもつながると思うんですけれども、どのぐらい、実際、二酸化炭素排出量の削減効果があるのかという点についてお伺いしたいと思います。

 例えば、石油由来のプラスチックの代替として、トウモロコシやサトウキビといった植物由来の原料を用いたプラスチックが既にあり、この原料となる植物は二酸化炭素を吸収して育つため、カーボンニュートラルにつながると思うのですが、この植物由来の原料を用いたプラスチックと比較して、水素細菌から作られるプラスチックはどのような優位性があるんでしょうか。また、今、日本で使われているプラスチックを全て水素細菌由来のプラスチックに置き換えた場合、どのくらいの二酸化炭素排出量が削減できるのか。以上、二点についてお伺いいたします。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 まず、プラスチック生産において、いわゆるバイオマス由来のプラスチックを製造する場合でございますが、植物の生育時に二酸化炭素を吸収するんですけれども、バイオマス原料を輸送したり、あるいは培養したりするという工程で一定量の二酸化炭素の排出がどうしても出てしまう、これがバイオ由来のプラスチックでございます。

 一方で、水素細菌を活用しますと、原料は水素と例えばCO2ということになりますので、先ほど申し上げたような原料の輸送による排出というのは少なくなります。それから、培養工程で二酸化炭素をエネルギーにしていろいろなものを、たんぱく質やプラスチックを作っていくということになりますので、二酸化炭素を培養工程で吸収をしていくということになります。したがって、二酸化炭素の削減効果というのは、先ほどのバイオマス由来のものよりもかなり大きな削減効果が得られるのではないかというふうに考えています。

 それで、具体的にどれぐらいの排出削減効果があるかということですが、これはなかなか一概に数字を申し上げるのは難しいんですが、例えば、二〇二〇年の国内のプラスチックの排出量というのは約八百二十万トンございます。仮に、この全量を水素酸化細菌由来のプラスチックに置き換えるということにした場合には、一定の仮定を置いて試算をしますと、製造時に、先ほど申し上げたように水素細菌が二酸化炭素を吸収するということがありますので、一つ、今の試算では二千五百万トンぐらい。全量置き換えられた場合ということですね。

 国内で使用するプラスチックのうち、具体的にどれだけ水素細菌で置き換えられるのか、あるいは、これによって二酸化炭素の削減効果がどれぐらいあるのか、こうした点については、今後、グリーンイノベーション基金などのプロジェクトの中で具体的にお示しできるように、研究を進めてまいりたいというふうに考えています。

漆間委員 今、具体的な数字、二千五百万トンという数字も、大まかではありますが出していただきました。こういう具体的な排出量が今後出てくれば、国民の皆様にも気候変動対策の一つとして大きくアピールできるのかなと考えております。

 改めて、以上を踏まえまして、水素細菌を始めとするバイオ物づくり分野など気候変動に資する研究開発に関する大臣の所感を最後にお伺いしたいと思います。

西村(明)国務大臣 御指摘のありました水素細菌等のCO2を吸収する微生物の活用、これは、閣議決定いたしました統合イノベーション戦略二〇二二におきましても地球温暖化対策の切り札というふうに位置づけられておりまして、バイオ物づくり分野における研究開発は、気候変動対策においても重要だと考えております。

 環境省におきましても、バイオマスプラスチックの社会実装に向けた実証事業や製造設備の支援を行っているほか、民間の自主的な取組だけでは十分に進まない分野に対しましては、研究開発段階での支援や、技術開発、実証段階での支援を行っているところでございます。

 引き続き、脱炭素社会の実現に向けまして、先進的な分野の研究開発支援に取り組んでまいります。

漆間委員 私からは以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。よろしくお願いいたします。

 限られた時間でございますので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 今回のCOP27でも化石賞を受賞したとのことですが、これは三年連続なんですけれども、そもそもこの化石賞とは何を基準に判断されているのでしょうか。この受賞について、環境省はどのように受け止めておられるのでしょうか。また、大臣が、初日に発表されたわけですけれども、こういった国際会議の場においてこういったことがなされるのはマスコミ等は不名誉なことと、確かに不名誉ではあるんですけれども、大臣として発言にいろいろやりにくい部分があったのかどうかというところも併せてお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 化石賞は、民間団体の活動の一つでございます。政府としてこの評価というのをコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにせよ、我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた国内の取組及び国際協力を強力に推進して、パリ協定の目標である脱炭素社会の実現に向けて国際社会を主導してまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 笑われましたけれども、確かに聞かなきゃ分からないとは思うんですよ、相手に。これをやっている気候行動ネットワークさん、結構強い言葉で総理のことを皮肉ったり、日本のことを言われております。世界中で結構発信されております。

 僕なりに、OECDのデータベースで、日本が化石燃料関連事業にどの程度の公的資金を拠出されているか調べてみました。二〇二一年に化石燃料関連事業に拠出したのが三十二・五億ドル、一方、ドイツとかは七十八・六億ドルと二倍以上で、内訳を比較したら、ドイツは石炭事業に対する公的支援が多く、日本はほとんどなかったんですね。GDPの対比でも、ドイツの方が規模ははるかに大きかったんです。

 こういった受賞国を見ていたら、CO2排出世界一の中国とかが一回も受賞していない。こういったことを見ると、COP27で中国は火力発電の大幅増強を表明したりとか、結構強気な発言をしているにもかかわらず一回も受賞していないということを見ると、僕は、ちょっと何か、げすの勘ぐりじゃないですけれども、何かあるんじゃないのかなというふうにちょっと感じてしまいました。なので、環境省の受け止め等々、そんなに大きくは捉えられていないということですが、是非、COP28でも多分受賞することになるんだと思うので、そのときは、大臣、そんなものだじゃなくて、きちんと、何を根拠に言っているんだということは、大臣が言わないでも、ちょっとここは一言言っていただきたいなというふうに思っております。

 次に、インドネシアの脱石炭に日米などで二百億ドルの金融支援を発表されましたが、こういった状況の中で日本が参画する必要性は本当にあるのでしょうか。教えてください。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 本年十一月十五日、日本、米国などのパートナー国とインドネシア政府との間で、同国におけます石炭から再生可能エネルギーへの移行を支援する公正なエネルギー移行パートナーシップ、インドネシアJETPと呼ばれていますけれども、これに関する共同声明が合意されました。

 このパートナーシップでは、今後三―五年間で官民合わせて二百億ドルの資金を動員する、こういうことになっております。

 今回のインドネシアのJETPにつきましては、三点ありまして、石炭火力発電の早期退役、それから再生可能エネルギーの導入、そして、石炭産業など影響を受ける人、コミュニティーに配慮した公正な移行、こういう三つの要素が含まれております。

 我が国が米国とともにこのインドネシアのパートナーシップというのを主導しておりまして、日本とアメリカがリード国という位置づけになっております。これは、インドネシアでG20が開催されておりましたので、そのときにこれが立ち上がったということは、世界、とりわけアジアの脱炭素化に向けた我が国の貢献を示せた点で有意義というふうに考えております。御指摘いただいております化石賞受賞の影響というのは、この取組に関してはなかったというふうに考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 次に、今回のCOP27の最大の成果は、気象災害での損失と被害を受けた途上国を支援する基金の創設であるかなと思うんですけれども、先進国のみならず途上国の中にも温室効果ガスを多く排出する国は存在するわけで、こうした国々が本当に、被害を受けた国に対する、損失と被害に配慮して応分の負担をするかというのはちょっと疑問だと思っております。

 また、支援する側はできるだけ費用を抑えようとする反面、支援を受ける側は巨額の支援を得ようとするはずなんですが、これがCOP28には課題となっていくと思うんですが、紛糾が予想されると思うんですけれども、この資金をどのように調達する予定なのでしょうか。教えてください。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、COP27で、気候変動の悪影響に伴う損失と損害、これに関して、特に脆弱な途上国を支援するための新たな資金面での措置を講じること、その一環として基金を設置することが決定されております。

 この基金も含めた新たな資金面での措置の具体的な内容については、今後設置される移行委員会、この移行委員会で議論していくということが併せて合意されておりますので、移行委員会の結論、勧告というものが今後出されるということになっております、この勧告を踏まえて来年のCOP28において検討される、こういう形で交渉、議論がプロセスとして進んでまいります。我が国が資金をどういうふうに調達していくのか、拠出していくのか、こういうことにつきましては、今後の議論の状況を見ながら関係省庁とよく相談していきたいというふうに考えております。

奥下委員 ありがとうございます。COPの今までの議論を見ていると、具体的な果実をすぐに求める傾向があるので、実効力のある制度構築のためにも、また持続性を高めるためにも慎重な議論が必要だと思いますので、是非、かじ取りといいますか、性急に求めるようなEUとかのブレーキ役となるようにリードしていっていただけたらなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、化石燃料の段階的な利用の削減に関しては具体的な合意は今回なされなかったわけですが、COP26では、ヨーロッパ諸国が発展途上国に対して石炭火力発電の早急な利用停止を求めておりました。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で石炭火力発電を再開しているとのことですが、今回、そのことに関して、ヨーロッパ諸国から説明とか、議題に上がったりしたことはあったんでしょうか。教えてください。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 COP27の首脳・閣僚級会合において、ヨーロッパ諸国から、その国内の石炭火力の利用状況、先生御指摘されたような最近の状況に関しての説明はなかったものというふうに承知しております。

 なお、COP27で最終的に合意、採択されましたシャルムエルシェイク実施計画、全体合意でございますけれども、その中で、現在のエネルギー情勢下におきましても、昨年のグラスゴー気候合意、COP26の全体合意でございます、ここから後退することなく、一・五度目標達成に向け排出削減を進める締約国の決意は揺るぎがない、こういうことが示されているところでございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 比較的クリーンな化石燃料とされる天然ガスに関して、ヨーロッパ諸国は今現在ロシアからの調達をやめてアフリカでの調達を増やそうとしているみたいですが、それ自体がアフリカの環境破壊につながりかねないといったことはやはり日本が指摘していって、こういったルール作り、先ほど申し上げたように、EUはこういったルール作りにたけておりますので、こういったことを駆け引きに使いながら、こういった議論をリードしていただけるようにお願いしたいと思います。

 次に、今回の合意文書で、来年末までに目標を再検討して強化するように要請するという文言が織り込まれたと報道で目にしましたが、ロシアによるウクライナ侵攻で化石燃料の価格が高騰し、これまでに話し合われてきた気候変動対策の前提条件が大きく変わってきている中で、強化できる可能性というのは本当にあるんでしょうか。見解をお聞かせください。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 各国政府の気候変動政策に科学的な知見を提供しているIPCCの報告では、一・五度目標の達成には二〇五〇年カーボンニュートラルの実現が重要と指摘されております。

 これを踏まえまして、COP27の全体決定では、三つ、確認、合意がされています。

 まず、新たな又は更新された各国の目標、ナショナリー・ディターミンド・コントリビューションというふうに言われているものでございますけれども、新しいものあるいは更新されたものを出す、これを出していない国については、COP28に先立って可能な限り早く提出するように強く求めております。

 あわせて、パリ協定に基づく長期戦略、二〇五〇年とか、それ以降のカーボンニュートラルに向けた各国の取組ということでございますが、この長期戦略を提出していない締約国に対して、同様に、可能な限りこれを提出するように強く求めているものでございます。

 三点目が、パリ協定と整合していない目標を掲げている締約国、こういう国に対して、来年末までに目標を再検討し強化することを要請しているというところでございます。

 我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言をして、これと整合的な形で、二〇三〇年度までに温室効果ガスの四六%削減、さらに五〇%の高みに向けて挑戦する、こういうパリ協定と整合している目標を掲げておりますので、そうでない国に対して働きかけていく、こういうことでございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 今日の質疑で通して言いたかったのは、化石賞もそうですけれども、私、まだ一期生ですけれども、秘書時代はいろいろな国際会議の場に随行で行っておりました。そうやって横で見ている中で、各国は、巧みにあの手この手で交渉される中、やはり違うものは違うということをはっきりおっしゃっております。日本の文化なのかもしれないですけれども、言わなくても分かってもらえるとか、そういった姿勢で臨んでいるのは日本だけじゃないのかなというふうに思っております。家庭でも妻に、言わぬでも分かるやろうと思っていて言わないことで怒られることが多々あるものですから、家庭でもそんなレベルですのでね。

 国際会議ということはやはり国益が懸かっておりますので、是非、違うものは違うと言っていただいて、日本がリードしてルール作りに参加していっていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

 これにて私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会、空本誠喜でございます。今日もよろしくお願いいたします。

 では、一言、大臣の方から。今のコメント、もしあれば。

西村(明)国務大臣 先ほど、もう既にお話があったように、化石賞に関しては、民間団体の活動の一つというふうに承知しておりますのでコメントは差し控えますけれども、ともかく、COP27におきましては、緩和の重要性をCOPの全体決定に盛り込むということ、そして緩和作業計画を野心の高い形で採択すべきであるということを主張しまして、まさにそのとおりの結果が得られたというふうに考えております。

 ちなみに、先ほどの委員から御指摘がありましたように、今回、化石賞は、米国が三回、エジプトが三回、ロシアが二回。九日間で延べ十三か国が受賞して、米国が大賞を受賞。また、委員から御指摘があったように、中国、インドは受賞したことはございません。

空本委員 ありがとうございます。

 それでは、私の方から、エネルギー安全保障の観点から、石炭火力発電についての位置づけ等についてお聞きしたいと思います。

 まずは、今日、資料を、表裏がございまして二枚なんですが、三ページになりますが、お配りしております。

 一つ目は、COP26のグラスゴー合意、石炭に関わる部分の抜粋でございます。英文で提示させていただいています。

 もう一つは、石炭火力、石炭ガス火力等のCO2排出削減の我が国の現状、こういったものを表にしたものをお配りしています。

 もう一つ、最後に、これからCCSまたアンモニア発電が議論になりますけれども、CCSのエネルギー収支における実現可能性とか、アンモニア発電の技術課題、こういったものをまとめたものでございます。

 それを見ながら説明させていただきたいと思います。

 私自身、これから大容量の電力を必要とする電気自動車社会、電動社会がやってまいります。それに向けては、ベースロード電源としては原子力発電、そして不安定な再エネがそこに乗っかってくる、さらに夏とか冬の変動する需給バランス、そして、その変動分を吸収するために負荷追従として、USCとかIGCCとかIGFCとかという火力、こういったものを負荷追従させる、そうやってベストミックスさせた形でエネルギーを供給するしかないと思っております。

 そこで、まず、COP27の会合におきまして、石炭火力をめぐる対応について、配付資料一、英文で書いておりますけれども、COP26のグラスゴー気候合意文、これを踏襲したということでよいのか。

 すなわち、締約国に対して、トランジション トゥウォーズ ローエミッション エナジー システムズ、まずは、温室効果ガスの低排出のエネルギーシステムへの移行を求める、また、ラピッドリー スケーリング アップ ザ ディプロイメント オブ クリーン パワー ジェネレーション アンド エナジー エフィシェンシー メジャーズ、クリーン電力の展開とエネルギー効率に対する措置の迅速なスケールアップ、拡大展開、それと、フェーズダウン オブ アナベーテッド コール パワー、変わらない石炭火力発電のフェーズダウン、逓減、そして、フェーズアウト オブ インエフィシェント フォッシル フュエル サブシディーズ、非効率な化石燃料補助金のフェーズアウト、これらの要求を求めるということになっていますが、今回もそういうもので、それを踏襲したということでよろしいでしょうか。大臣よりお答えください。

西村(明)国務大臣 COP27の全体決定に盛り込まれた石炭火力発電に関する事項は、昨年のCOP26における決定の内容を踏襲してございます。

 具体的には、排出削減対策の講じられていない石炭火力発電のフェーズダウン、そして非効率な化石燃料補助金のフェーズアウトに向けた努力を加速することというふうにされております。

 また、石炭火力発電に直接関連するものではございませんが、クリーン電力の実装と省エネルギー措置の急速な拡大等により低排出なエネルギーシステムへの移行を加速することというふうにもされております。これは、COP26の決定の内容を踏襲したものでございます。

空本委員 今私が説明させていただいたことを踏襲していただいているというふうに判断いたします。

 そこで、グラスゴー合意の政府和訳として、温室効果ガスの排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の段階的削減と非効率な化石燃料補助金の段階的廃止に向けた措置の加速というふうに報じられておりますけれども、原文を読みますと、排出削減対策が講じられていないというセンテンス、ここを、アナベーテッド・コール・パワー、すなわち、変わらない、弱まらない石炭火力、発電。これについて、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電とまでは言い切れるのか、ちょっと疑問だと思うんですね。

 日本政府も、COP26の記者会見で、アンモニア、水素の利用でCO2排出削減と併せて、アナベーテッドには明確な定義はないとも表明されています。すなわち、このアナベーテッドという言葉自身に明確な定義がないというわけでございまして、グラスゴー合意で、変わらない、弱まらない石炭火力を段階的に削減するというだけであって、石炭火力自身を全て廃止する、全廃するとは言い切っていないというふうに考えるんですが。

 政府として、石炭火力は全廃するわけではない、アナベーテッド・コール・パワーをフェーズダウン、段階的に削減するというだけの話であって、そういうグラスゴー合意だというふうに考えてよろしいか、それを踏襲してよろしいか。環境省、そして経産省から各々、コメントをお願いいたします。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 COP26のグラスゴー気候合意、それからCOP27のエジプトでの合意、この全体決定に盛り込まれた石炭火力発電に関する事項は同様のものでございまして、いずれも石炭火力の全廃について記載されてはおりません。

 COP26及びCOP27の決定に沿って、締約国においては、排出削減対策の講じられていない石炭火力発電の逓減、英語ではフェーズダウンに向けた努力を加速させる必要があると私どもは認識しております。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど環境省の方から御答弁がございましたような認識の下で、環境配慮をしつつ石炭火力は考えていかなきゃいけないと考えてございます。

 我が国としては、石炭火力は二酸化炭素の排出量が多いわけでございます、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて取組を進めていくわけでございますが、一方で、委員御指摘がございましたように、安定供給の確保という、これは非常に重要な問題でございますので、石炭火力の発電比率をできる限り引き下げていくということを基本としつつ、必要な供給力が必ずしも十分に確保されていない中での、直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じることになれば、電力供給には支障を及ぼしかねないと考えてございます。

 こうした状況を踏まえまして、二〇三〇年に向けて、当面は高効率な石炭火力発電を活用しつつ、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めていく。さらに、二〇五〇年に向けまして、水素、アンモニアやCCUS等を活用することで脱炭素型の火力に置き換える、こういった取組を引き続き推進していきたいと考えてございます。

空本委員 ありがとうございました。環境省、そして経産省から明確なお答えをいただきました。本当にありがとうございます。

 次に、温室効果ガスの排出の少ない石炭火力とは何ぞやというところの議論をさせていただきたいと思います。

 配付資料二、裏面になりますかね、資源エネルギー庁さんの資料でございますけれども、上には石炭火力の技術開発の加速化に向けてのポンチ図がございます。

 そして、下の方を見ていただきたいんですけれども、石炭火力におけるCO2排出量の比較でございます。ちょうど真ん中に八百六十三・八というのがございます。これは、単位キロワットアワー当たりの二酸化炭素の排出量。日本の平均が八百六十三・八グラムで、超超臨界圧、USCといいますが、これで八百六グラム。さらに、石炭ガス化複合発電、IGCC、これが約七百、石炭ガス化燃料電池複合発電、IGFCにしますと約六百グラム。

 温室効果ガスをかなり排出削減を講じているというものでございまして、先ほどのグラスゴー合意のエネルギー効率への措置を施したもの、またクリーン化したもの、さらには非効率なものじゃない、効率的なものでありまして、これはフェーズダウンするようなものじゃないというふうに考えておりますが、それは明らかだと思います。

 そこで、IGCC及びIGFCは従来の石炭火力に比べて温室効果ガスの排出削減が講じられているかどうか、配付資料の二に基づいて環境省からお答えいただきたい。あわせて、IGCC、IGFCを、環境省さんとして、これから国の電力の構成としてどういうふうに考えているか。経産省が考えることでありますが、環境省さんとしての見解をいただきたいと思います。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のIGCCそれからIGFC、これらについては、石炭のガス化や燃料電池の活用、こういった排出削減技術を導入することによって、発電効率の向上に加えて、CO2排出量の削減に寄与する技術というふうに私どもも評価しております。

 二〇五〇年のカーボンニュートラル、この実現に向けては、こういった排出削減技術に加えまして、CCUSと組み合わせることで脱炭素化を進めることが必要だというふうに一方で認識しております。CCUSは技術開発を進めている段階にございますので、例えばNEDOの実証事業なども進めながら、CCUSの早期の社会実装に向けて取り組んでいる段階でございます。

 将来的に、IGCCやIGFCをCCUSなどの技術と組み合わせて実装していって、脱炭素社会が実現できるように、経済産業省とも連携しながら後押ししていきたいと思います。

空本委員 同じ質問でございますが、経済産業省さんとしてどうお考えか。お願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど環境省の方からも御答弁がございましたけれども、私どもも、このIGCCやIGFCというものは、次世代の環境配慮型の石炭火力として非常に重要な技術だというふうに考えてございます。先ほど委員の方からも御紹介がございましたけれども、環境負荷、排出を二割、更に三割と削減するという技術でございます。現在、まだ実証段階でございます。実証機を建て、具体的な商用化を目指して取組を進めているところでございます。

 安定供給ということと環境配慮ということを両立させていかないといけない、二〇五〇年に向けてカーボンニュートラルを目指していかなければならない、そのための技術開発をしっかりと進めていき、安定供給とバランスの取れた形での導入ということにこれからしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。

空本委員 ありがとうございます。明確な回答をいただきました。

 次に、アンモニア発電について、先ほど近藤委員から質問がございまして、ここでは質問を割愛しますが、コメントだけさせていただきたいと思います。

 アンモニア発電については、実現可能なら私もやってもいいと思うんですが、先ほどありました、アンモニア生成の過程で大量のCO2、二酸化炭素を排出すること、実際には、一トンのアンモニア生成に関して二酸化炭素を二・三五トンぐらい排出する。また、資料の三の一番下の方に今のことをお示しはしているんですが、アンモニア燃焼で有害で大気汚染となる窒素酸化物の排出、これがあります。特に、一酸化二窒素、N2O、この排出がありまして、温室効果係数が二酸化炭素の約三百倍、猛烈な温室効果ガスでございます。こういったものの問題がある。

 これを解決しなければ、CO2、窒素酸化物を開放系で運用すれば環境負荷が極めて高いものになってしまいますので、これらのNOxと言われるものをクロージングシステムに組み込まなきゃいけない、大変厳しい技術じゃないかなと思うんですけれども。排出させないように努力しながら、先ほど、イノベーションを進めていかなきゃいけないと大臣からいただきましたので、そういった技術開発は行っていただきたいと思いますが、主力の電源としてはなかなか厳しいかなと思っております。そういった意味で、研究開発の一つとして、イノベーションとしてはいいけれども、実現可能性、これについてはしっかりと見極めていただきたいと思います。これについての質問は割愛させていただきます。

 次に、政府が過剰に期待しているんじゃないかというCCSでございます。

 油田のあった例えば秋田の沖合若しくは新潟沖、こういったところでは実現できるのかなと考えますが、地震大国で活断層を多く抱える我が国においては、地理的条件から見てCCS利用に適していないんじゃないかという論評もたくさんございます。私としては、経済合理性の観点から有効であるならばCCSもCCUSも進めるべきと考えますけれども。

 ただし、油田のEOR、エンハンスト・オイル・リカバリーという技術、ここで経済的、コスト的には見合うんですが、ほかの、今、何もない、油田じゃないところでやると経済性としては合わない、エネルギーの収支としては合わないんじゃないか。塩水層などの貯留層にCO2を高圧注入する形ではコストは高くなりますし、また、注入したCO2も漏えいするんじゃないか、海洋へ漏れるんじゃないかという心配もある。また、二酸化炭素も、その中で挙動をどういうふうに示すかまだ分からない。長期にわたる環境影響評価等を経た後、地元の同意を得ていかなきゃいけない。相当な労力がかかるものというふうに考えまして、経済的には見合うのかな、また、秋田沖とか新潟沖とかという油田が元々あったところ、そこには油を取るということでやれればいいんでしょうけれども、なかなか、CCSつきの火力発電というか、厳しいのかなというふうに考えます。

 そこで、これら開発途上の段階にあるCCSについて、環境省、経産省は、先ほど、進めるべきという話がございましたが、現状、技術段階をどういうふうに捉えていらっしゃるか。もう一度御説明をお願いいたします。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、IEAの二〇五〇年ネットゼロ報告書、この中で、CCSの役割というのは発電の中では三%、アンモニアとか水素で燃やすという、そのやり方については二・五%。これらはいずれも、既存の火力発電をレトロフィットするという、最後にどうしてもゼロに、カーボンニュートラルに持っていくための最後のところで必要になってくる技術、こういう位置づけだろうと思います。

 したがって、いろいろなハードルがあるのは事実ではございますけれども、これが二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に当たって重要な技術だということはしっかり受け止める必要があると思います。その事業化を目指していかなければいけないわけですけれども、先生御指摘のような越えなきゃいけないハードルというのはたくさんあると思いますけれども、二〇三〇年までの事業開始を目指して、政府において環境整備を進めていこう、こういう段階でございます。

 私ども環境省としましても、環境と調和しつつCCS事業が適切に推進されるように、海の場合においては海洋汚染防止法で今対応しておりますので、苫小牧での実証も私どもはサポートさせていただいております。そういう制度的な課題について検討を行わせていただいているところでございます。

 CO2の分離回収から輸送、貯留までの一貫した技術の確立、あるいは海底下貯留した場合の適正なモニタリング、こういうことについて環境省自ら技術開発、実証にも取り組んでいるところでございます。

 こういう取組を通じまして、環境に適切に配慮されたCCS付火力発電の導入、これは最後に、恐らくどうしても、ゼロにするには必要になってくる部分はあると思いますので、それが可能になるように、経済産業省と連携して取組を進めてまいりたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど環境省からも話がありましたとおり、カーボンニュートラルを達成するためには、CCSはどうしても欠くことができない技術だというふうに考えてございます。

 御指摘のとおり、コスト面、それから適地があるか否か、これは国内のみならず海外との連携ということも選択肢に入れていく必要があると考えてございますけれども、そういう課題、あるいは事業化のための環境整備といった課題がまだ多々あるということは認識してございます。

 経産省といたしましては、これまで、有識者によるCCSの長期ロードマップ検討会を開催しまして、今年の五月には、二〇三〇年までの事業開始に向けた事業環境整備を目標として明確にした上で、国内法整備や政府支援の在り方などを含む中間取りまとめを公表したところでございます。

 実際に、政府が環境整備を進めてくれるのであれば、二〇三〇年前後にCCS事業に参入したいという日本企業も現れてきているところでございます。

 したがいまして、政府としましては、欧米のいろいろなCCSが先行している地域での取組の事例も参考にしながら、具体的には、分離回収、輸送、貯留のバリューチェーン全体を支援する補助制度などを今後検討していく必要もあるというふうに考えてございます。

 そういうことを具体的に検討を進めた上で、長期ロードマップの最終取りまとめに盛り込んだ上で、CCSの事業化を可能な限り進めるべく、必要な法整備も行っていきたいというふうに考えてございます。

空本委員 資料三を見ていただきたいんですが、ここに、温室効果ガスの排出問題とか地球温暖化の問題、これは実は、物理学における熱力学第二法則、エントロピー増大の法則、つまり乱雑さ増大の法則に従うものでございます。これは理系の人は大体理解できると思うんですが。このエントロピー増大の法則、例えて言えば、例えば、部屋の片づけを例に取ってみますと、ここに書いておりますが、何もしなければどんどん散らかっていくよと。そういうのがエントロピー増大の方向に進むということで、エントロピー増大の法則、これは宇宙の大原則でございます。

 今、温室効果ガスを閉じ込めようとするのは逆の方向でありまして、本来は開放系、どんどんどんどん外に出ていく。ならば、それを集めて閉じ込めなきゃいけない。そうするとエネルギーを使って閉じ込めなきゃいけない、エネルギー収支としては合わない。

 今、油田でやって、世界でやっていらっしゃるところはEORで成功している。例えば、ここに書いているとおり、CO2を入れるけれども、大量のエネルギー源となる原油を取り出すことができて、そうすると原油自身がエネルギー。例えば、ここで、一のCO2のエネルギーを入れて、十の原油のエネルギーを取るとプラス九、黒字なんですよ。だけれども、今回やろうとしているのは、地中、海中の下の層に入れて、何も得るエネルギー源がない。マイナス、赤字のエネルギー収支になります。ということは、エネルギー収支としては合わない。

 ただし、温暖化対策のためにCO2排出削減をしなきゃいけない、そういうために、エネルギーを使ってでも、お金を使ってでもやらなきゃいけないのかな。そうだったらやらなきゃいけない。だけれども、こういうふうなものを極力エネルギー、費用をかけずに、そして環境負荷をかけずにやるためにはどうするか。すごく難しいものだと思っていまして、私自身はCCSについては、油田以外は、若しくは、ほかにはあるかもしれませんが、実現可能性としては極めて低いんじゃないかなと思います。そこだけコメントさせていただいておきます。

 続いて、ファイナンスの話とカーボンプライシングの話について、あと十分程度で質問させていただきたいと思います。

 温室効果ガス排出の少ない効率的な石炭火力発電に対するファイナンスでございますが、今、メガバンクを始めとする金融機関の新設の石炭火力への投融資、原則停止の見解をされていらっしゃいます。関連企業、石炭火力に関わるメーカーとか電力とかのファイナンスをどのようにこれから対応していくか悩まれていると思うんですが、経産省としてどう考えるか。

 また、もう一点。石炭火力が主力であるインド、非効率な石炭火力が多いです。十四億人、人口が来年は世界一。まだまだこれからCO2を排出する可能性が高い。そういったところの、インドなんかのCO2、先ほどの資料の二を見ていただければ、日本のIGFCの倍以上ぐらいのCO2排出。だったら、今のIGFCとかをインドに技術提携、技術協力しながらインフラ輸出する、こういったこともいいんじゃないかと思うんですが。

 経済産業省さんとして、インフラ輸出、技術連携も含めて御説明、コメントをお願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私の方から石炭火力に対するファイナンスについてお答え申し上げます。

 足下の温室効果ガスの排出量を着実に削減していくということは非常に重要なことでございます。一方で、エネルギーの安定供給の確保ということも大きな課題としてあるわけでございますので、脱炭素化への現実的なステップを踏みながら移行していくことが非常に重要なことだというふうに考えておりまして、企業の方々が行っていらっしゃる排出量の着実な削減に向けた現実的な取組として、削減の円滑化、更なる取組としての新しい形での石炭火力を含めた投資というものは非常に重要なものではないのかというふうに考えてございます。

 政府といたしましては、企業がこうした形でパリ協定と整合的な目標設定を行って、長期的な形での取組を進めていくということに対しましてのファイナンスをトランジションファイナンスという形で後押ししてございます。

 先ほど御指摘いただいておりましたIGCC、IGFCといったものも含めた火力発電の高効率化につきましても、足下における排出量を着実に削減するための重要な選択肢の一つだと考えています。

 今年の二月に電力分野のトランジションロードマップというものを策定いたしました。この中で、IGCC、IGFCといった火力発電の高効率化についても二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けた取組の中に位置づけているところでございまして、最終的に二〇五〇年にゼロエミッション火力を実現するという下でのトランジショナルなファイナンスを対象としているところでございます。

 こうした形でのファイナンスの支援、私どもも必要なものだと考えてございます。

定光政府参考人 申し訳ございません、関連して、御質問がありましたインフラ輸出の観点でのお答えをさせていただきます。

 御案内のとおり、日本は、これまでのIGCC、IGFC等の実証を通じまして、いわゆるクリーンコールの技術については他国よりも非常に豊かな蓄積を持っておりまして、こうした日本が有するノウハウ、技術をインドを含むアジアの諸国に展開していくということは大変重要な課題だと認識してございます。

 ただし、火力発電所そのものの新設を海外で後押ししていくことができるかということにつきましては、G7のコミュニケがございまして、まさに、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援は昨年末でやめようということで合意ができてございますけれども、技術、ノウハウに関してはしっかりアジアに展開していくことが重要だと思っております。

 例えば、インドとの間では、日印クリーンエネルギーパートナーシップ、両首脳間で合意してございます、この中でクリーンコールを位置づけておりまして、様々な技術交流会を含むインド企業との、いろいろな技術の紹介を行っておりますし、インド以外のタイ、マレーシア、ベトナム、インドネシアなどの東南アジア諸国とも技術交流会やワークショップなどを開催しておりまして、技術面での展開、連携を進めていっているところでございます。

空本委員 それでは、金融庁さんに来ていただいていますので、金融庁さんとして、こういう石炭火力発電に対する金融のファイナンス、そしてまた、先ほどのインフラ輸出も含めて、海外への金融機関のファイナンスの考え方、そして、未来エネルギーの位置づけとされているアンモニア発電についても主体が石炭火力であるということからダイベストの対象にさえなっていないと聞きますが、いきなりのダイベストメントは経済的に与える影響も甚大でありますので問題と感じておりますけれども、金融庁さんとしてどう考えるか。三点まとめてお願いいたします。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御質問の中で、個々の金融機関の投融資については基本的に金融機関の経営判断事項でございますので、我々の方からはお答えを差し控えさせていただきます。

 その上で、一般論としてでありますけれども、まず高効率の石炭火力へのファイナンスについてですけれども、やはり、金融機関の持続可能な経営というふうな観点からも、一足飛びに脱炭素化が難しい企業あるいはセクター、これについて、トランジションということでこういう分野についても各企業への支援を行っていく、これが重要であるというふうに考えております。

 このため、先ほどもありましたトランジションファイナンスについてなんですが、経産省、環境省とともにGXファイナンス研究会というものを開催して議論を進めておりますとともに、別途、金融庁自身にも設置しました脱炭素化に向けた金融機関の取組に関する検討会というものにおいても議論を進めていきたいというふうに考えております。

 続いて、インドその他のアジア国へのインフラ輸出に関するファイナンスですが、これも一般論で恐縮でございますけれども、やはりアジアを含む世界の脱炭素化ということは非常に重要だというふうに考えておりまして、こういうアジアにおけるトランジションについては、民間金融機関において、アジア・トランジション・ファイナンススタディーグループ、こういう取組が実施されております。金融庁としては、こうした取組の後押しをする、そういったものも含めてサステーナブルファイナンスを更に推進していきたいというふうに考えております。

 それから、ダイベストメントの御質問がございました。

 金融庁としては、脱炭素化の実現ということであれば、まずは、ダイベストメントというよりは金融機関と企業との対話、いわゆるエンゲージメントでございますけれども、これが重要だというふうに考えております。

 本年七月に金融庁より公表させていただきました気候変動対応のガイダンス、これにおいても、金融機関による、先ほど申しました企業への支援あるいは対話、これの重要性を示したところでございますので、今後、こういう点も促してまいりたいと思います。

空本委員 ありがとうございます。今、金融庁の方で脱炭素化等に向けた金融機関等の取組に関する検討会が始められていらっしゃいますので、そういった面も含めて議論をお願いいたします。

 最後に、カーボンプライシング。二〇二六年の排出量取引、カーボンプライシングの本格導入、そして、化石燃料使用を減らすために電力会社等に対して二〇三三年から段階的な有償での排出枠の割当て、負担を求めるということでございます。一方で、電気料金の中に再エネ賦課金がございます。こういったものを含めてお聞きしたいんですけれども。

 単にカーボンプライシングを導入するだけでは、電気料金が高騰するだけなのかなと思います。電気料金の国民負担を下げるためにも、カーボンプライシング導入に当たって再エネ賦課金等の適切な対応が必要かと思いますが、その点、経産省にお答えいただきたい。

 もう一点。先ほどのIGFCとかIGCCでございますが、こういったものを新規に立ち上げようという企業があった場合、そういった排出枠というのが新規事業を立ち上げるのに際して何らかの足かせとなるのではないかなと。そういったものがないかどうか、そういったものを含めて経産省から御回答をお願いします。

木原政府参考人 二点についてお答え申し上げます。

 まず、カーボンプライシングに関する国民負担のお話でございますけれども、二〇五〇年カーボンニュートラルといった国際公約、それから経済成長を共に実現するというGXを促進するためには、今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資が必要だと考えております。これを実現するために、成長志向型カーボンプライシング構想ということで、大胆な先行投資、それから将来のカーボンプライシング導入により、GX投資を前倒しで実施するインセンティブを付与する制度を検討してございます。

 この中で、新たな制度については、例えば再エネ賦課金や石油石炭税といったエネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく中で導入していくことが基本だという方向で検討してございます。

 本日開催されるGX実行会議においても、有識者に議論いただいて、制度案を取りまとめていきたいというふうに考えております。

 それから、二点目の事業参入に関するお問合せでございます。

 成長志向型カーボンプライシング構想、この中で、施策の一つとして排出量取引制度の導入を検討してございます。

 この中では、家庭や業務、産業等の多くの部門のカーボンニュートラル実現に向けた鍵を握る発電部門、これについては、一層の脱炭素化を推進すべく、二〇三三年頃から有償オークションを段階的に導入する案を示したところでございます。

 制度の詳細については今後の検討ということでございますので、発電事業への新規参入、あるいは個別の技術に関する影響の評価は現時点では困難でございます。様々な影響を考慮しながら、引き続き議論を深めてまいりたいと考えております。

空本委員 カーボンプライシング導入に当たっては国民の電気料金に影響がないように、しっかりお願いいたします。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。

 それでは、早速でございますが、質問に入らせていただきます。

 今、世界中で極端な気象現象が頻発する中で、地球の温暖化対策は待ったなしであると思います。

 このような中で、COP27、気候変動枠組み条約の締約国会議では、近年、気候変動に起因する豪雨や干ばつなどにより世界中で甚大な被害が頻発している中で、最大の焦点となったのが、損失と損害、ロス・アンド・ダメージと呼ばれる気候変動による深刻な影響への対応でした。

 一方で、COP15、生物多様性条約の締約国会議で注目されたのが、二〇三〇年までに陸上と海域の三〇%を保全するサーティー・バイ・サーティーと呼ばれる目標で、少なくとも地球上の三割は健全な状態で保全することを目指すものでありました。

 そして、COP27でもCOP15でも熱い議論が展開されたのが、損失と損害またサーティー・バイ・サーティーに対処するための発展途上国等への資金の供給であったと伺っております。

 ここで、気候変動対策や生物多様性の保全のためには、資金を含めた個別の課題に対する数値目標の設定と同時に、目指すべき将来像を共有しながら、その実現に向かって力を合わせていくことが大切だと思っております。

 そこで、本日は、環境省の描く、将来を見据えた理想像について確認をさせていただきたいと思います。

 初めに、環境基本計画について伺います。

 環境省では、持続可能な社会の実現に向けて、環境、経済、社会の全体を俯瞰する計画として環境基本計画を一九九四年に策定し、その後、約六年置きに改定しており、現在では、第五次環境基本計画に基づき環境政策を進めていると伺っております。私は、環境政策の羅針盤として、目指すべき社会像を示す環境基本計画の役割は極めて重要であると考えます。

 そこで、まず、これまでの環境基本計画においてどのように目指すべき社会像を提示してきたのか、また、第五次環境基本計画では具体的に何を進めてきたのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 環境基本法制定後、最初の基本計画である一九九四年の第一次環境基本計画では、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動や生活様式は問い直されるべきであるとした上で、循環、共生、参加及び国際的取組を長期的目標と位置づけたところでございます。

 次いで、ミレニアム開発目標などが国連等で議論されていた二〇〇〇年の第二次環境基本計画では、環境の側面はもとより、経済、社会的な側面においても可能な限り高い質の生活を保障する世界を提示し、さらに、次の二〇〇六年、第三次環境基本計画では、環境、経済、社会の統合的向上を提唱するとともに、国民一人一人が幸せを実感できる生活を享受でき、将来世代にも継承することができる社会、これを提示したところでございます。

 国連持続可能な開発会議、いわゆるリオ・プラス20が開催された二〇一二年の第四次環境基本計画では、低炭素、循環、自然共生の各分野が統合的に達成され、健全で恵み豊かな環境が地球環境から身近な地域にわたって保全される社会を提示したところでございます。

 そして、二〇一八年に策定した現在の第五次環境基本計画では、持続可能な循環共生型の社会、いわゆる環境、生命文明社会を提唱し、環境、経済、社会の統合的向上を具現化した地域循環共生圏を打ち出すとともに、環境政策を契機とした経済、社会的課題の同時解決という方向性を示したところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 国際共同研究団体、グローバルカーボンプロジェクトの報告によりますと、産業革命前からの気温上昇を一・五度に抑えるためには残り三千八百億トンしかCO2を排出できないとされており、世界の排出量が今のまま続けば、あと九年で、五〇%の確率で一・五度を超えると言われております。残された時間は限られています。

 私は、COP27のテーマである脱炭素、そしてCOP15のテーマである生物多様性保全を限られた時間で実現し、その後も継続していくためには、循環経済、いわゆるサーキュラーエコノミーを確立していくことが必要であると考えます。

 そこで、循環経済への移行に向けて、いつまでに何をしていくのかなど、ロードマップを策定し、施策を着実に実行していくことが重要であると考えますが、循環経済、サーキュラーエコノミーの実現に向けた我が国の取組について、小林副大臣に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

小林副大臣 お答えいたします。

 循環経済の取組は、製造業など動脈産業と、廃棄物処理、リサイクル業など静脈産業、これらが一体となった資源循環を実施することに加え、製品等のライフサイクル全体における温室効果ガスの低減に貢献をするほか、資源採取等による生物多様性の損失を低減するという観点からも重要であります。

 このため、環境省としては、循環経済への移行を加速するために、二〇五〇年カーボンニュートラルを見据えて目指すべき循環経済の方向性や、素材や製品など分野ごとの二〇三〇年に向けた施策の方向性を、循環経済工程表として本年九月に公表いたしました。

 この循環経済工程表を踏まえ、官民一体となって引き続き循環経済への移行に取り組んでいく、このように考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 現在、国際的に大きな問題となっている海洋プラスチックごみ問題、これも循環経済が実現していないために顕在化している問題であるとも思います。海洋プラスチックごみ問題をこのまま放置してしまうと、二〇五〇年には、海の中で、約十億トンと言われておりますけれども、魚よりもごみの量の方が多くなると言われております。

 ここで、海洋プラスチックごみの七、八割が町から水路や河川を通って海へ流出するものであり、国や企業だけではなく、一人一人の意識改革や行動変容が必要になります。そして、この問題は、我が国だけではなく、国際的に協力、協調しながら取組を進めていくことが重要であり、今後の国際条約化が期待をされるところでございます。

 そこで、海洋プラスチックごみ問題について、国際条約化に向けた交渉の状況と、我が国が条約に求める内容についてお聞かせください。

小林副大臣 お答えいたします。

 海洋プラスチック問題については、先月、ウルグアイで条約策定に向けた政府間交渉委員会の第一回会合が開催をされ、交渉が正式に開始をいたしました。

 環境省からは、小野地球環境審議官が、アジア太平洋地域から選ばれた理事候補として地域会合を主催をし、域内各国の巻き込みと議論の促進に貢献いたしております。

 次に、条約に求める内容でありますが、まず、我が国は、プラスチックの大量消費国、排出国を含む多くの国が参画をする実効的な枠組みを目指しております。そして、第一回会合においては、世界共通目標の設定や、プラスチックの製造から廃棄、リサイクルに至るライフサイクル全体での取組の重要性等を強調し、議論を主導いたしております。

 来年は、二〇二三年五月にフランスで開催ということでありますが、二〇二四年末までの交渉完了を目指して、引き続き積極的に議論に貢献してまいりたい、このように考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。ただいまのとおり、積極的に議論を進めていただければと思います。

 続いて、二〇二一年末の時点での我が国の太陽光発電の累積導入量は約七千八百万キロワットに達しており、中国、アメリカに次ぐ世界第三位の太陽光発電の累積導入量になっていると聞いているわけでございますが、まさに、脱炭素の実現に向けて、メガソーラーも含めた太陽光発電の拡大は重要であると考えます。

 ここで、太陽光発電について、自然と共生し、将来にわたって持続的に活用していくためには、太陽光パネルについても循環経済の仕組みを整備していく必要があると考えます。

 そこで、太陽光パネルの再生利用に当たっての課題と今後の取組方針についてお聞かせ願えますでしょうか。

土居政府参考人 太陽光パネルは、二〇三〇年代後半に排出量のピークを迎えると想定しておりまして、計画的な対応のための体制整備、これが非常に重要だと考えております。その際、資源循環の観点からリユース、リサイクルを促進するということが重要だと認識しております。

 将来の大量廃棄に向けまして、使用済太陽光パネルの安全な引渡しやリサイクルを促進、円滑化するための支援、これが必要だということが、本年十月の、関係省庁で開催いたしました有識者検討会の場でも提言がなされております。

 環境省といたしましては、これまでも太陽光パネルの高効率なリサイクル設備への補助などを行ってまいりましたが、この提言も踏まえまして、関係省庁と連携をし、事業の廃止から安全な取り外し、廃棄パネルの物の流れをまず実態把握をきちんとした上で、さらに、再生資源の用途の拡大も含めまして、円滑なリサイクル、適正処理に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。まさに太陽光パネルにおきましても、リユース、リサイクルのそういった仕組みをしっかりと築き上げていただければと思います。

 最後になりますが、環境省が第五次環境基本計画で掲げました循環共生型社会、いわゆる環境、生命文明社会の実現に向けて、西村大臣に伺いたいと思います。

 日本は、二〇三〇年度に二〇一三年度と比較して温室効果ガスを四六%削減することと、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指して取組を進めているところだと思います。

 このような中で、先日、ローマ・クラブというところの九月に発表したリポートの中に、万人のための地球、そういったリポートなんですけれども、ここには、今後予測されるシナリオとして、象徴的な二つのそういったシナリオが示されました。

 一つ目は、国際社会が気候変動対策や持続可能性について議論はするものの抜本的な対策を講じなかった場合のシナリオで、いわゆる小出し、手遅れ、トゥーリトル・トゥーレート、そういう一つのシナリオ。もう一つは、社会が危機を認識し、劇的な方向転換を即座に進めることにより地球を犠牲にしない経済を実現できるという、大きな飛躍、ジャイアントリープ、その二つでございます。

 そういった状況の中で、明年のG7サミットに向けて第六次環境計画の検討も今進めているわけですが、これらの検討も踏まえて、また、第五次環境基本計画で示したまさに環境、生命文明社会の実現、そういった理想をより具体的に提示し、先進諸国が一致団結をして環境保全への様々な対策を意欲的に進める流れをつくることも大切ではないか、まさにジャイアントリープを生み出していくことが必要ではないか、このように思いますが、西村大臣の意気込みをお聞かせ願えますでしょうか。

西村(明)国務大臣 今委員の御指摘のとおりだというふうに思っております。

 第六次の環境基本計画は、第一次の環境基本計画から三十年の節目で策定され、かつ、岸田総理が昨年のCOP26で述べられた勝負の十年、この方向性を示す重要な計画となります。

 現行の第五次環境基本計画で示された持続可能な循環共生型の社会、いわゆる委員御指摘の環境、生命文明社会、この考え方も踏まえて、来年日本で開催されますG7などの議論も考慮しつつ、国民お一人お一人が希望を持てる持続可能な経済社会の実現に向けて、まさに大きなビジョンを発信してまいりたいというふうに考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 西村環境大臣のリーダーシップの下で、地球を犠牲にしない循環経済、いわゆるサーキュラーエコノミーの実現へ大きな飛躍を期待をし、質問を終わらせていただきます。

 本日は、大変にありがとうございました。

古賀委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十九分散会


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