衆議院

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第2号 令和5年3月10日(金曜日)

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令和五年三月十日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 古賀  篤君

   理事 菅家 一郎君 理事 堀内 詔子君

   理事 務台 俊介君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 篠原  孝君 理事 森田 俊和君

   理事 漆間 譲司君 理事 輿水 恵一君

      石川 昭政君    石原 宏高君

      石原 正敬君    今枝宗一郎君

      国定 勇人君    武村 展英君

      中西 健治君    穂坂  泰君

      宮澤 博行君    八木 哲也君

      柳本  顕君    山口  壯君

      近藤 昭一君    坂本祐之輔君

      堤 かなめ君    馬場 雄基君

      松木けんこう君    奥下 剛光君

      空本 誠喜君    日下 正喜君

    …………………………………

   環境大臣         西村 明宏君

   農林水産副大臣      野中  厚君

   経済産業副大臣      太田 房江君

   環境副大臣        山田 美樹君

   環境副大臣        小林 茂樹君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   環境大臣政務官      柳本  顕君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           岡田 輝彦君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         鋤柄 卓夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岩間  浩君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    前田 剛志君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            秦  康之君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           上田 康治君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   金子 修一君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          森下  泰君

   環境委員会専門員     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

三月十日

 気候危機・地球環境対策と持続可能な地域づくりの推進に関する請願(志位和夫君紹介)(第二五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房GX実行推進室次長龍崎孝嗣君、内閣府地方創生推進室次長岡田輝彦君、内閣府食品安全委員会事務局長鋤柄卓夫君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、農林水産省大臣官房審議官岩間浩君、林野庁林政部長前田剛志君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、経済産業省大臣官房審議官恒藤晃君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官白石隆夫君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長松澤裕君、環境省水・大気環境局長秦康之君、環境省自然環境局長奥田直久君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君、環境省総合環境政策統括官上田康治君、原子力規制庁次長金子修一君、原子力規制庁長官官房審議官森下泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。穂坂泰君。

穂坂委員 自由民主党衆議院議員の穂坂泰です。

 本日は、こういった質問の機会をいただきましたこと、理事の皆様、委員の皆様に心から感謝を申し上げます。

 カーボンニュートラルが宣言をされて大きく社会が変わっていった、その中で環境省の役割は非常に重要だと思っております。私も応援団の一人として本日質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 脱炭素、自然資本、そしてまた資源循環、もはや全ての省庁で考えていかなければいけない課題だというふうに思っています。また、環境が悪化をするだけではなく、企業にしても、お金が集まらなくなる、元請から仕事が来なくなる、社会、消費者から評価がされなくなる。まさに企業も死活問題として捉えていかなければいけないというふうに思います。また、世界から見ても、インバウンド、日本の物やサービス、これも変わらなければ評価がされない、観光にしてもサステーナブルでなければ選ばれなくなる、このような状況になってくるというふうに思います。

 今までは、自然を大切にするであったり、リサイクル、環境に優しい、何かCSRのような、ボランティアのような、そんなイメージもありましたけれども、今は死活問題として、経営課題として捉えていくことが必要だというふうに思っております。

 その上で、地域脱炭素を環境省として進めておりますが、昨年、私も、山口前大臣の下、地域を回らせていただきました。そのときに感じたのは、中小企業の危機感の少なさ、こういったことも感じさせていただきました。先ほども申し上げたとおり、カーボンニュートラルの中で国内でも海外でも仕事が見られてくるというふうに思います。脱炭素、自然を大切にする資源循環、こういった取組をしていかない企業は生き残れない、そのように思っております。

 そこで、質問なのですけれども、やはり、中小企業、ここが本当に意識が低いというふうに思っております。その中小企業に対して環境省としてどのように取り組まれているのか、御質問をさせていただきます。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の脱炭素化につきましては、自社の事業活動から生じますCO2排出量について、取組の動機づけ、それから排出量の算定、排出削減対策を計画して実行するといった、知る、測る、減らすの三つのステップに対する支援が重要でございます。

 先生御指摘のとおり、多くの中小企業は、取組の動機づけとなる知るの段階からサポート、支援を必要としておりますので、環境省では、ハンドブックですとか動画を作成して、脱炭素経営の必要性ですとかメリットを発信しています。また、中小企業と関係が深い地域金融機関、商工会議所、こういったところと連携しまして、地域ぐるみで中小企業の支援体制を構築するための経費を新たに来年度予算案にも盛り込んでおります。

 こうしたツールを活用いたしまして、全国各地において、地方環境事務所が中心になって、中小企業の脱炭素化に向けた取組を促進してまいります。

穂坂委員 ありがとうございます。今、地域ぐるみという話が出ましたけれども、地方環境事務所の役割は非常に重要だというふうに思っております。

 私も、地域を回って思ったのは、地方環境事務所は非常に地域から信頼されているなということも感じさせていただきました。これからそういった中小企業を後押ししていく、その中でもやはり人数の充実も必要だというふうに思いますし、また、今本省から人を送っている状況だというふうに思いますが、他の部局のように、現地での採用を含め、地方環境事務所の強化を図っていただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 そして、ここから大企業にも関わってくる問題になってくると思いますが、所信の中で、ネイチャーポジティブに取り組むということもありました。御存じのとおり、自然資本や生物多様性に関するリスクなどを開示する枠組み、自然関連財務情報開示タスクフォース、TNFD、これも立ち上がりました。先駆けて、気候関連財務情報開示タスクフォース、TCFD、これも今動いているところでありますが、まさに企業に資金を呼び込むために開示していかなければいけないものだというふうに思っております。

 自然資本を大切に扱うだけではなく、資金を集める、これも大きな経営課題だというふうに思いますし、また、サーティー・バイ・サーティー、OECM、これも環境省が進めるという中では、やはりTNFDの開示をもっともっと強化していかなければいけないというふうに思います。

 そこで、質問なのですけれども、環境省として、国際基準にのっとった企業情報開示の方法、これをもっと早く分かりやすく示していかなければいけない、そんな必要性があると思いますが、現状をお聞かせいただければと思います。

西村(明)国務大臣 穂坂委員には、環境大臣政務官として、地域、暮らしの脱炭素化に向けて非常に精力的に活動していただいたことに感謝申し上げたいというふうに思っております。

 今お話がありましたように、自然資本は社会経済活動の基盤でございまして、企業が生物多様性の保全や自然資本の持続的利用に経営資源を振り向けて取り組んでいくということは、持続可能な企業経営のために非常に重要であるというふうに認識しております。

 自然関連の財務情報開示タスクフォース、今委員の御指摘のあったTNFDでございますが、これにおいては、本年九月の最終版の公表に向けて、民間主導で情報開示の枠組みが議論されているところでございます。環境省は、そのフォーラムのメンバーとしてルール作りに参加しているところでございます。

 また、環境省においては、国内企業が生物多様性に配慮した経営に取り組むことを支援するために生物多様性民間参画ガイドラインを策定しております。このガイドラインを今年度中に改訂しまして、その中でTNFDの基本的な考え方の最新の情報を紹介する予定でございます。

 こうした取組を通じて、引き続き企業による自然関連情報の開示の促進を図ってまいりたいと考えています。

穂坂委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。自然の保護というものも大きな経営課題につながっていくんだということもしっかり発信できるように、是非ともお願いできればというふうに思います。

 続いての質問に入りますが、エコチル調査について御質問させていただきます。

 このエコチル調査のデータ、私は本当にすごいなというふうに思っております。もっと活用すべきだというふうに思いますし、活用できる体制もつくっていってほしいというふうに思っております。

 御存じのとおり、十万組の子供たちとその両親をずっと調べてデータを取っておりますが、今が十三歳になっており、今後も続ける方針というふうに聞いております。

 ホームページ等を見させていただきますと、その知見を集めた論文なども今たくさん発信されているというふうに見受けております。

 このデータというのが、個人情報はしっかり守った上で、やはりもっともっと活用すべきだなというふうに思います。大学の研究であったり、また企業の製品開発にもこういったデータは有用であるというふうに思いますし、社会の安全性を高める、こういったことにもつながってくるというふうに思います。

 そこで、質問なのですけれども、私もこのエコチルを非常に進めていきたいなというふうに思う中で、現状の発信について、そしてまた今後の活用を広げていく御見解があるかどうか、そういったところを御質問できればと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 環境省といたしましても、エコチル調査で得られた成果の情報発信は大変重要であると認識をしておりまして、様々な取組を実施してきたところでございます。具体的には、一般の方々を対象としたシンポジウムや地域の子育て世代との対話の開催、子育て世代を対象としたパンフレットの公表、出産、子育てに関する情報メディアやツイッター等での情報発信、これらの取組を積極的に行っております。

 今後も、エコチル調査戦略広報委員会や地域の子育て世代との対話検討会において、専門家等の助言をいただきながら、より効果的な情報発信を進めてまいりたいと考えております。

 また、エコチル調査で得られたデータをより多くの研究者に活用していただくということは、御指摘のとおり重要であると認識しております。

 現在、エコチル調査のデータの活用は、原則、エコチル調査の関係者のみに限定されておりますが、今後これを外部の研究者にも広く活用していただけるよう、共同研究のルールの策定に向けた検討を行っているところでございます。

 このような取組によりまして、様々な分野の研究成果の創出が加速化されることを期待しているところでございます。

穂坂委員 ありがとうございます。是非とも、共同研究のルール作り、大変かと思いますが、進めていただきたいというふうに思いますし、地元でエコチルの話をしていると非常に評判がいいですし、また、国民の皆様も環境省がこういうことをやっているんだということを是非とも広く知ってほしい、私はそのように思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 続いての質問に入ります。中間貯蔵施設について御質問させていただきます。

 非常に環境省も努力をされていて、再生利用に向けて実証実験も進めているというふうに思います。法律では、三十年以内に県外に移設する、こういったことも書いてあります。また、福島の方に行きますと本当にこの土地に対する思いが非常に私も感じられて、何とか環境省としても努力をしていただきたいし、政府全体としてもやっていかなければいけない大きな課題だというふうに思っています。

 例えば、今実証実験を進めておりますが、ほかの地域で再生利用の実験を進めるに当たって、例えば地方の道路を造るときに、再生利用に協力してくれたら補助率を上げたり、また、国が全部やります、若しくは優先順位を上げたり、インセンティブをつけて再生利用の協力をもっともっと広く要請すべきではないか、そのように考えておりますが、中間貯蔵施設の除去土壌の再生利用について、現在、他省庁への働きかけ、協力要請、このようなインセンティブづけを行っているかどうか、御質問させていただきます。

土居政府参考人 お尋ねのありました関係省庁との連携につきましては、現段階で申し上げますと、本格的な再生利用に向けまして、放射線による影響の低減に加えまして、構造物の安定性、維持管理を含めました技術的な検討が必要な段階でございまして、福島県内で実施しております実証事業を対象といたしまして、飯舘村長泥地区での農地造成におきましては農水省、復興庁と、中間貯蔵施設内で道路盛土造成を行っておりますが、こちらにつきましては国交省とそれぞれ連携をしまして、技術的なアドバイスをいただいて進捗しているところでございます。

 今後、関係省庁と連携を更に強化しまして、実証事業の成果の取りまとめを行うとともに、再生利用先の創出などにつきましては、政府一丸となって、地元の理解も得ながら具体的に進めていきたいというふうに考えております。

穂坂委員 ありがとうございます。数値を見ても、安全な数値が出ているというふうに私は理解をしています。是非とも、たくさん道路を造りたい、いろいろなものを造りたいという要望が国に来ておりますので、その中から、御協力できる、もちろん地域の自治体の承諾が必要だというふうに思いますが、是非ともしっかりと進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、最後の質問に入ります。

 一番最初の質問で少し触れましたけれども、観光地のカーボンニュートラルも進めていかなければいけないというふうに思います。

 今、サステーナブルな宿泊施設、旅行会社を認証する国際的認証制度、トラベライフ、こういったものも出てまいりました。海外の旅行会社から見ると、こういった認証を取っていなければそこにお客様を連れていけない、そんなことも今出ておりますので、私たち地元にある観光施設、観光資源、こういったところには積極的に、カーボンニュートラル、脱炭素、環境についての配慮、こういったものを進めていかなければいけないというふうに思います。

 先日も、ある地域を視察させていただきました。そこで感じたのは、観光をする部署と環境を配慮する部署、地方によっては、かみ合っていないなというところがたくさんあるというふうに思います。観光は観光で勝手にやってよ、環境は環境で違うでしょう、このような考え方があるかというふうに思います。

 是非とも考えを一致させて進めていかなければいけないというふうに思いますが、今私からちょっと考え方を申し上げましたが、環境省から、観光地、観光資源、これらがサステーナブルなものになるように積極的に後押しをしていくべき、そう思いますが、御見解をお願いいたします。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま議員から御指摘がございましたように、コロナ禍を経まして、世界的にサステーナブルツーリズムに対する配慮、意識が強まってございますし、国際観光の分野におきましては、御指摘のございました認証とかも含めて、脱炭素や循環経済に配慮することが観光地としての生き残りにも関わるという見方が一方ではございます。

 我々が進めております脱炭素先行地域の取組におきましても、例えば姫路におきましては、姫路城に郊外遊休地から再エネを供給して、ゼロカーボンキャッスルを実現して観光施策との相乗効果を生み出す取組等が進められてございます。また、松本市でも、サステーナブルツーリズムモデルを構築する、脱炭素と一緒にやるという取組が進められておりまして、こういう事例におきましては、観光部局と脱炭素の部局の連携が首長のリーダーシップの下で進められているというふうにも見られているところでございます。

 こうした脱炭素先行地域に対しまして、地域の脱炭素の推進のための交付金、こういったものを始めとしまして、各府省の支援策も活用しながら重点的に支援を行ってまいります。

 また、地方環境事務所に今年度創設いたしました地域脱炭素創生室によるきめ細やかな伴走支援を行いまして、脱炭素先行地域の実現、それからその横展開を図っていく所存でございます。

穂坂委員 是非、生き残りだというふうに思います、先行地域の横展開をお願いしたいと思いますし、また地方環境事務所の強化も是非お願いできればと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、今枝宗一郎君。

今枝委員 おはようございます。自民党の今枝宗一郎です。

 所信質疑を任せていただきまして、関係者の皆様に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 それでは、早速質問に入ります。

 まず、西村大臣におかれましては、年初から海外にも積極的に御訪問されまして、我が国で環境性が非常に高い企業でもある加山興業さんがラオスで設置したプラントも視察していただくなど、我が国の環境産業のグローバル化に対しても御支援いただいていること、心からの敬意を申し上げたいと思います。

 さて、先日の所信表明では、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、またネイチャーポジティブなどへの強い思いを御表明いただきましたので、これらの重要性については私も大きく賛同するところであります。本日は、これらのことについて詳しく聞いてまいりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、カーボンニュートラルであります。二〇三〇年四六%のCO2削減、そして二〇五〇年カーボンニュートラルを我が国としては目指しているわけでございますけれども、二〇三〇年から五〇年にかけての具体的な目標がまだであります。

 水素細菌は、日本が最も効率性の高いものを持っているということで、大変有望です。二〇五〇年までに水素細菌を活用したバイオ物づくりなどで二千五百万トンものカーボンネガティブができるのではないかと政府も国会で答弁いただいたりもしております。このように吸収源、カーボンネガティブを増やしていくことで、排出量削減の難易度が高い分野での取組を助けていくということもあろうかと思います。

 そこで、お聞きいたしますけれども、カーボンネガティブ、吸収源対策の中に水素細菌は入っているのでしょうか。入っていなければ今後是非入れていただきたいと考えますけれども、いかがでございましょうか。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の水素細菌を始めとするいわゆるバイオ物づくりでございますけれども、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けては、こうした先進的な脱炭素技術を開発、普及させていくことが必要でございます。

 水素細菌を始めとしますCO2を吸収する微生物の活用については、昨年四月に閣議決定いたしました統合イノベーション戦略二〇二二におきまして地球温暖化対策の切り札と位置づけられており、研究開発が進められているところでございます。

 また、先月GXの基本方針も閣議決定されましたけれども、この中でも、この関連でもバイオ物づくりは重要な位置づけがされておりまして、三〇年代、四〇年代の商用化ですとか実用化、こういったところの道行きが示されているところでございます。

 その上で、二〇三〇年までの温室効果ガスの削減を内容とします地球温暖化対策計画、これについては、二〇三〇年四六%削減、こういうものを目標に取り組むということになっております。水素細菌は、現在、商用化に向けた研究開発段階にあるということなので、二〇三〇年の目標の達成に必要なCO2吸収量、削減量としてはまだ見込まれておりませんけれども、今後の地球温暖化対策計画におけます水素細菌の取扱いについても、申し上げました研究開発の動向を踏まえてしっかり検討してまいりたいと思います。

今枝委員 ありがとうございます。是非、水素細菌など、新技術でカーボンネガティブの量を更に増やす努力を政府にはしていただきたいと思います。

 続いて、運輸部門につきまして。まず、二〇三五年新車販売目標を全て我が国は電動車としていますが、我が国はハイブリッドやPHVなどを、環境性能が高いものですから入れても問題ないと考えますけれども、環境省としていかが考えますでしょうか。また、その場合に、二〇三五年新車販売電動車化の脱CO2の効果について試算、調査をした方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 まず、ハイブリッド自動車等について申し上げたいと思います。

 カーボンニュートラルの実現にとりましては、あらゆる技術の選択肢を追求していくということが必要でございます。政府といたしましては、二〇三五年の乗用車の新車販売目標について、ハイブリッド自動車、HV、プラグインハイブリッド自動車、PHVを含めて電動車一〇〇%との目標を掲げているところでございます。

 先般閣議決定いたしましたGX実現に向けた基本方針におきましても、運輸部門のGXとして、電動車の開発、性能向上を促しながら車両の導入を支援していくことというふうにされております。

 環境省といたしましては、関係省庁とも連携をしながら、電動車の導入を加速化して国内投資を促進していくことで、経済成長とカーボンニュートラルの同時達成に貢献してまいりたいというふうに考えております。

 また、二〇三五年の脱CO2効果の試算、調査についてでございますが、電動車のイノベーションは急速に進んでおります。技術開発の進捗やCO2の削減効果を適切に把握しながら政策を立案、実施していくことが重要だというふうに考えております。

 環境省といたしましては、関係省庁と連携をしながら、電動車の技術開発の動向やCO2削減効果の把握を進めながら、効率的に電動車の導入を支援し、加速化してまいりたいというふうに考えています。

今枝委員 どうもありがとうございます。

 ちょっと時間がないものですから一問飛ばして、失礼をいたします。

 そういった日本の、今大臣もすばらしい識見を述べていただいたわけでありますけれども、是非調査も含めて頑張っていただきたいわけでありますが、ここで世界に目を移していきますと、EUは特に電気自動車一辺倒であったんですけれども、その流れがちょっと変わってきました。

 ドイツが二月二十八日に、合成燃料で走行する内燃機関の新車登録が許可されない限りハイブリッド、PHVすら販売できなくなる、EUの二〇三五年新車販売・全ゼロエミッション車法案に反対する意向を示しました。さらに、イタリアとポーランドとブルガリアも同様であります。この四か国が反対するとこの法案は否決されるということで、この結果、三月七日に予定されていた採決は延期をされました。

 内燃機関はありながら合成燃料を活用することで、カーボンニュートラルに十分有効であることを国際的に認めさせる千載一遇のチャンスであります。このような状況変化に対して、日本政府は、最重要なドイツやほかの三か国のみならず、ほかにも反対してくれそうな東欧諸国に合成燃料の価値を訴えていくべき最高のタイミングかと思います。政府としてどのように、足下、近々、働きかけをしていくべきだと考えているのか、教えてください。

太田副大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、欧州において、乗用車に関するCO2排出規制につき、合成燃料の位置づけを含め様々な議論が行われているということは承知しております。

 合成燃料は、ハイブリッド車などの内燃機関を搭載する車でもそのまま利用することができるというメリットを有しており、その実現は自動車分野における着実な排出削減に貢献するものと承知をしております。経済産業省といたしましても、カーボンニュートラルに向けて追求すべき技術の選択肢の一つとして合成燃料を捉えており、可能な限り早期に商用化に向けた取組を進めているところでございます。

 また、合成燃料を含む多様な選択肢の追求を通じて世界全体の排出削減に貢献していく考えであります。これまでもこうした考えを諸外国に対して継続的に主張してまいりましたけれども、引き続いて、カーボンニュートラルの実現に向けた合成燃料の有用性、これについて積極的に発信をしていきたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。これまで以上に、今、千載一遇のチャンスであるということを強く認識いただいて、今やっていただく必要があると思いますので、これは心から要望いたします。

 続きまして、ネイチャーポジティブについてお聞きをします。時間がかなり来ているので、もう一問飛ばさせていただきますが。

 人類と自然との共存という点で、農地の環境を守る生物多様性の観点は非常に重要でありますから、農業の環境負荷をいかに減らしていくかについても大事であります。そのために、有機農業や無農薬農業、オーガニック農業というのが、例えば水質をよくしたり、いわゆる生物多様性を担保したりということで、非常に大事であります。

 世界では、この二十年で有機農業の耕地面積が六・八倍に増えています。欧州は、耕地面積の約一〇%で有機農業をやっている。我が国とアメリカは〇・六%であります。農薬使用量も、高温多湿で病害虫が多いために先進国では非常に多い方であります。このような認識の下で、政府はみどりの食料システム戦略で推進いただいておりまして、二〇五〇年に有機農業の面積を百万ヘクタール、全体の二五%にして、化学農薬は五〇%削減、そして化学肥料を三〇%削減というところまでを目標にしております。

 その中で、モデル先進地区の創出として、オーガニックビレッジの政策を進めております。その中心は、オーガニック農業の推進、そしてオーガニック給食の推進であります。このオーガニック給食について、大量生産された海外食材に比べてやはりコストは高くなるんですけれども、その財政支援もみどりの食料システム戦略の総合対策の予算の中でやっています。オーガニック給食への支援をより強化していくべきではないでしょうか。農水省の知見をお聞かせいただきたいと思います。

野中副大臣 学校給食に有機農産物を使っていただくということは、子供たちへの食育にもつながりますし、また、結果、地域に有機農産物の理解を深めていただくという、非常によい取組というふうに私どもも認識しております。

 その中で、生産者から消費者まで地域ぐるみで有機農産物に関わっていただくということで、私どももオーガニックビレッジという取組を今年度から創設して、そこに現在五十五の市町村がその取組を進めていただいております。その中で、有機農産物の学校給食への活用についても助成しているところであります。二〇二五年まで百市町村、二〇三〇年まで二百市町村の実現を目指して、その中で学校給食の有機農産物の拡大について取り組んでまいります。

今枝委員 どうもありがとうございます。是非是非お願いをしたいと思います。オーガニック農業、今、大分、いろいろな技術の更新、進化で手間がかからなくなってきていますので、いいかと思いますので、是非よろしくお願いします。

 そして、最後に給食費についてお聞きをいたします。

 物価高騰で、給食費の無償化、これはオーガニック給食だけじゃないですけれども、こういったものに取り組んでいる市町村は数多くあります。二月二十二日の農業新聞によりますと、自治体の約三割が行っているということです。地方創生臨時交付金を活用して行っていますけれども、長引く物価高を受けて継続が求められます。しかし、その財源が課題です。

 また、子供たちの新年度の準備として制服とか体操服とか副教材といった学用品も必要になってきまして、こういったものも物価高騰で負担が増しております。

 総理は我が党に物価高に対する追加経済対策の検討を指示しておりまして、地方創生臨時交付金の交付は十分な金額を確保して、自治体が給食費や学用品の無償化の支援を行えるような環境を整えるべく、今後の追加経済対策でも十分な対応を行うべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

 また、異次元の子供、子育て支援としてこのような給食費や学用品の負担軽減を加えてはどうかと考えますけれども、併せてお答えいただければと思います。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 各自治体におきましては、コロナ禍における食料品価格等の物価高騰への支援として、地方創生臨時交付金も活用し、学校給食等の保護者負担の軽減を始めとした子育て世帯への支援も含めまして、地域の実情に応じたきめ細やかな支援が行われていることと承知をしてございます。

 今後の物価高騰対策につきましては、与党においても検討がされていると承知をしておりまして、政府としても、引き続き、自治体における本交付金の着実な執行に努めるとともに、物価の動向や国民生活、事業者への影響等を注視しつつ、政府全体で適切に対応してまいりたいと考えてございます。

 なお、子供、子育て政策として充実する内容については、現時点では予断を持って個別の政策の是非を述べる段階にはないと考えてございますが、こども政策担当大臣の下、様々な意見に耳を傾けながら、三月末を目途として具体化してまいりたいと存じます。

今枝委員 ありがとうございました。耳を傾けていただいたということで、お引き取りさせていただきます。

 終わります。

古賀委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 まずは、ESG投資と国際基準動向についてお伺いいたします。

 大臣所信にありましたGX実現に向けた基本方針は、GX関連の民間投資を十年間で百五十兆円を目指すとしておりますが、関連して、GX投資も包含するサステナビリ関連の投資、ESG投資についてお伺いいたします。

 世界におけるESG投資の規模とESG国際基準の動向、先ほど穂坂委員の質問にもございましたTCFDだったりTNFDだったり、そういったことに関する動向や日本政府の関わりについて、また、ESG国際基準の実効性に関する環境省の認識についてお伺いいたします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 世界のESG投資資金は、二〇二〇年において約三十五・三兆米ドルとの推計があるなど、国際的に巨額の投資がESGを考慮して行われています。

 御指摘の国際サステーナビリティー基準審議会、ISSBにおける基準策定の議論は、サステーナビリティーに関する開示基準が多数存在する中で統一的な基準の策定に取り組むものであり、市場における企業のESG評価の基礎となり得るものと考えております。

 今後十年間で官民百五十兆円超のGX投資を実現するためには、国内外の投資資金を呼び込むことが必要です。サステーナビリティー開示に関する国際的な市場ルールの形成に対し、我が国としても積極的に参画することが重要と考えております。我が国としても、国内の民間関係者及び関係省庁が連携しながら対応してまいりたいと考えております。

漆間委員 三十五・三兆米ドルということで、約三千九百兆円と金額の規模は本当に大きくて、これをいかに取り込んでいくかが重要だと考えます。そして、国際基準も今統一されつつあって、実効性があるとの認識だと受け取りましたので、国際基準に乗せたサステーナビリティーの推進が必要だと思います。

 ISSB、今統一されようとしている国際基準についての最新の動向、特に、昨年末に、指標開示に関して何か先送りされたとの報道もちょっと見たところなんですけれども、その詳細と、関連する日本の動き、それに対応する日本の動きはどんなものだったのかをお伺いいたします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 国際サステーナビリティー基準審議会における国際基準策定の議論については、民間主導で議論が進められており、我が国のサステナビリティ基準委員会、SSBJが昨年七月に取りまとめて提出した意見を含め、様々な意見を踏まえて議論が進められていると承知しております。

 その中で、御指摘のサプライチェーン全体での排出量の算定や産業別指標の適用などについて、開示を行う企業側での実現可能性を含めた議論がなされていると承知をしております。その結果として、一定期間の適用免除や継続的な議論という形で整理をするということになったと承知しております。

 いずれにせよ、これらの点につきましては国際的な議論の中で検討されていくものであり、環境省としても、そうした議論を引き続き注視してまいりたい、このように考えております。

漆間委員 再質問なんですけれども、これは先送りされたということなんですけれども、そもそもその先送りされたもの、いわゆるISSBプロトタイプというものだと思うんですけれども、そのプロトタイプというものは、そもそもヨーロッパだとかアメリカだとかではもう既にいろいろな企業が開示基準としてやっているようなものであって、それを国際基準としようとしているところに、日本がちょっと待ってくれといった形で、日本だったりその他様々な、それ以外の国が待ってくれということで先送りされたという認識でよろしいんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 昨年、日本のサステナビリティ基準委員会が出した意見の中には、御指摘の、そのような、ISSBの公開草案に対して日本の企業の事情を考慮して意見が出されたものというのは承知しております、そうしたものがあると。ただ、日本の意見があったから、それだけで変わったというわけではなくて、最終的には、様々な国の企業が意見を述べ合って最終的に固まったものというふうな形で承知しております。

漆間委員 済みません、もう一点。

 そもそもISSBプロトタイプというのは、欧州だったり米国ではもう既にスタンダードになっているのかどうかについてもお答え願えますでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 私の方で、冒頭、ISSBの動きというのが、世界的なこうしたサステーナビリティーの基準を統一するような形に位置づけられているとお話しいたしましたけれども、様々な動き、例えば、米国であればSASBと言われるような基準があったりとか、また、世界的に言えばTCFDと言われる開示の基準というものがあったりというのは承知しております。

 その中で、例えば、統一するISSBの方に採用されたものもあれば、議論が粗過ぎるので、企業としてもどうしたらいいかばらつきがあるから、少し段階的に入れていこう、全体的な方針として反対するわけではないですけれども、段階的にしっかり議論していこうというふうな形で集約が図られている。その中では、地域によって、例えばSASBでは粗いけれどもやっていますよとか、そうしたものがあるということは承知しております。

漆間委員 様々な国でいろいろな意見があるということなんですけれども、そもそも、今三千九百兆円というESGに関する投資マネーが様々にうごめいている中で、今般日本が掲げましたGXに向けた基本方針は、十年で百五十兆円取り込もうとしているということなんですけれども、これはしっかり呼び込めるものだと思いますかという単純な質問なんですけれども、よろしくお願いいたします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 例えば、先ほどの統一的な基準という形で、動きの一つとしてはTCFDというものを御紹介させていただきましたけれども、このTCFD、国際的な動きに対する様々な関係国の企業の参加数を見ると、日本の企業が圧倒的に多い形になっていまして、また、投資とか融資をする側だけでなくて、融資をしてもらう方の、情報を開示する方の企業の参加が日本は多いというものが特徴でありまして、各企業、日本においては積極的にこうした動きに参加をしている。

 ただ、ルール作りということであれば、先々不公平なことにならないように、また適切に、トラブルがなく対応できるようにということで、ルールに関する議論はしっかりしていこうというふうな立場であるというふうに認識しています。

漆間委員 そもそもの問いとして、ルールメイキングにはしっかり日本も関与していて、日本もそういう国際基準にそもそも企業がたくさん入っているから、だから、今後十年間で百五十兆も大丈夫だろうという話でよろしいんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 例えば、基準作りというISSBの動きだけ見ても、もちろん、日本の関係団体が意見をまとめてその意見を述べるということだけではなくて、ISSBを取りまとめている財団、IFRSの方に日本からも評議員として、委員が参加をして、全体の中でバランスの取れた議論が進めるようにという形で、基準作りの中でも十重二十重に関与しているところでありますし、また、実際、そうした、呼び込んでいこうということであれば、ある意味、リスクマネーというものも必要であろうということで、GXという大きな枠組みの中で資金を用意したり、また環境省独自でいえば、例えば新しい官民ファンドを昨年国会で法案を御審議いただいてつくるなど、国としても、何をするべきかということで、施策を一つずつ積み重ねさせていただいているところでございます。

漆間委員 我が党は、昨日、提言書をちょっと提出させていただいたんですけれども、そこでは、今般のGX実現に向けた基本方針につきましては、二〇二八年度からの化石燃料賦課金、二〇二六年度頃からの自主参加型の排出権取引市場の本格稼働、二〇三三年度頃に発電部門のみに段階的な有償オークション導入と、遅く、中途半端で、世界標準からかけ離れた内容となっており、このままでは我が国の経済成長を牽引し得るGX分野が世界から大きく後れを取り、海外投資も呼び込むことができず、ひいては国内産業の競争力が大きく損なわれる事態となることを強く危惧しているところであります。

 そもそも、国際基準策定が様々な国の議論の中で先送りされたといいましても、基準を先取りした転換をG7だったり海外の大国や企業が進めていけば、そこに投資資金が集まって、一方で、先取りしていない国には資金が集まらないようなことが起こり得るんじゃないかと考えております。

 そういったところにつきまして、環境省の認識はいかがなんでしょうか。お伺いいたします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度四六%を掲げております。成長志向型カーボンプライシングの導入のみならず、あらゆる政策手段を活用することで、脱炭素、エネルギー安定供給、そして経済成長、この三つを同時に実現するという形の施策を講じることで、国際約束、これを実現していきたいというふうに考えております。

 二月に閣議決定したGX実現に向けた基本方針に基づく成長志向型カーボンプライシングの導入については、企業がGXに先行して取り組む期間を設けた上で、カーボンプライシングの導入スケジュールをあらかじめ明確に示し、当初低い負担から徐々に引き上げていく設計とし、足下からGX経済移行債を活用した二十兆円規模の大胆な先行投資を行っていく、こういった考え方を明確に示すことで企業の行動を促していくという形であります。

 実際に、また金融面であっても、先ほどのように、企業はTCFDに先にちゃんとしっかりと参加をして、そういった、実の面では動きながらも、ルール作りといった観点についてはしっかりと合理的また公平なものになるように意見を言っていくということで、そのルール作りに意見を言いながらも実の面はしっかり動くというふうな形の両面で取り組んでいるところでございます。

漆間委員 TCFDに参加している日本企業も多いので、しっかり実を取っているということなんですけれども、実際のところ、その三千九百兆円のお金がしっかりと日本に流れ込んでいるという認識であればそれでいいんですけれども、大切なのは、やはり国際基準のルールメイキング、作っていくこと、それも重要なんですけれども、実際に大きな投資のお金がどのように動いているかというのを把握して、そのお金が動いているところが本当にスタンダードなんだというところを認識して、それを日本のGXにしっかりと反映していただくことが大切だと思っております。

 これができるのは、やはり既存のCO2排出産業に過度に忖度するような経産省じゃなく、環境省の役割であるのかと思っておるんですけれども、これはちょっと通告にないですけれども、環境大臣、いかがでしょうか。環境大臣じゃなくて大丈夫です。済みません、よろしくお願いします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 ルール作りとともに、しっかりと国際的な資金が日本に流れ込むようにというふうな御指摘かと思います。

 これに対しましては、先ほどお話ししましたけれども、GXの基本方針、これを明らかにすることで、内外の投資家に対してその魅力といったものをしっかりと我が国としても宣伝をしていかないといけない。

 多くの先進国の中でも、我が国は、やはり物づくりという形で大きな工場、施設などを持っておりまして、そうした面で、こういった新しいGXの基本方針の考え方を打ち出してお金を呼び込んでいこうという姿勢、これを発信してきたというのは大きなマイルストーンではなかったのかなと思います。

 政府一丸となって、こうした投融資を海外から招いていけるように頑張っていきたいと考えております。

漆間委員 続きまして、次の項目、二つ目の大きな項目に移らせていただきます。

 万博アクションプラン、万博への気候変動適応に関する項目を追加すべきだということにつきまして質問させていただきます。

 気候変動問題への対応には、脱炭素などの緩和策と、もう一つ、緩和策をしても結局気温は上がってしまうので、気候変動が起こっていろいろな災害だとかが起こってしまう、そういったことに対応していくという気候変動適応策、この緩和策と適応策、二つの両輪で進めていこうということになっております。

 先ほどの質問でちょっと言わせていただきましたけれども、ESG国際基準にどれぐらいこの気候変動適応に関する項目が入っているのかということと、あと、IPCC、気候変動に関する政府間パネルの、これまでたくさん報告があってきたと思うんですけれども、近年の報告では、気候変動適応に関する事柄が結構増えてきていると思うんですけれども、そういった最新のトレンド、昔に比べると、だんだんだんだん、適応に関する報告であったり、国際基準へのそういう適応に関する事項がどんどん入っているよというようなことに関して、詳細をもしよろしければ教えてください。

松澤政府参考人 先生から二点お尋ねがございました。

 まず、気候変動への適応が、これまで御質問されてきました、いわゆる国際的な企業情報の開示基準の中でどうなっているかということでございますけれども、国際的なサステーナビリティー開示基準の議論、TCFDに代表されるものでございますけれども、この中で、気候変動に伴う物理リスクを把握すること、そして対応していくことというのが開示対象の中に盛り込まれています。したがって、適応も、減らすという緩和と同様に、開示の中で扱われているというふうに認識しております。

 環境省では、情報開示を行う企業のニーズに沿ったリスク情報の充実あるいは活用の促進を目的に、文部科学省、国土交通省、金融庁、国立環境研究所と連携しまして、気候変動リスク産官学連携ネットワークというのを運営しています。そして、企業との連携を通じて、企業情報の開示にも対応できるように環境整備を今進めているところです。

 それから、二点目、IPCCの科学的知見の最新の動向でございます。

 現在、IPCCは、第六次サイクルという報告書取りまとめの段階にございます。

 これまで第一作業部会で、人為起源の気候変動は、世界中の全ての地域で多くの極端な気象と気候に既に影響を及ぼしている、極端な高温や大雨などが起こる頻度とそれらの強度が地球温暖化の進行に伴い増加するという結論を報告書の中で出しています。

 それから、適応に関しましては、第二作業部会というのがございまして、この第二作業部会の報告書の中で、既に、人為起源の気候変動が、極端現象の頻度と強度の増加を伴って、自然と人間に対して、広範囲にわたる悪影響、それに関連した損失と損害を自然の気候変動の範囲を超えて引き起こしているというようなことを結論として示しているところでございます。

漆間委員 御答弁にもありましたように、どんどんどんどん象災が増えているというところで、昔はやはり気象災害というのはなかなか予測もしづらくて、見えないものであるから、そういう見えないものに、脱炭素自体もそうなんですけれども、見えないものになかなか投資をするのは難しいだろうとか、そういった意見もあったんですけれども、最新のIPCCの報告を見ますと、極端な気候に関して今後どれぐらい起こるのかということが結構数値でしっかり出てきているところでありまして、こういったことに関してもこれからESGの投資がどんどん入ってくるのかなと考えられます。

 そういったこともある上に、最近の国際会議、西村大臣も参加された国際会議でも、ロス・アンド・ダメージが、いわゆる気候変動適応に関しての様々なロスとダメージに関してどうしていくかということが主な議題となったり、今国会でも、熱中症に関する適応策の法案が提案されているところであります。

 昨年の十二月の委員会でも御紹介させていただきましたとおり、適応策である気象災害対応、防災に関して日本の技術は優位性があり、世界へ拡大すべきなんだというところを西村大臣が報道でばっと言っていただいたりとかされているところであります。

 こういった適応策を、今、万博のアクションプランに適応策という文字がほとんどなかったかと思うんですけれども、万博はSDGsとサステーナビリティーが大きな議題でありますので、アクションプラン、各省庁の万博までの取組の中に適応策という文言を是非入れていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 委員御指摘のように、万博というのは、その国の様々なものを国内外に発信するという意味で非常に大きなものがあると思います。一九七〇年の大阪万博、人類の進歩と調和でしたでしょうか、非常に我々の心には残っているし、世界的にも様々な我が国の情報発信ができたのではないかと思います。

 そういった意味において、今委員御指摘の、熱中症対策や防災対策などといった気候変動適応策について、大阪・関西万博アクションプラン・バージョン3、これにおいて、例えば国土交通省による万博会場における熱中症や高潮の独自シミュレーションによる早期の情報提供など、関係省庁の施策が様々に位置づけられているというふうに承知しております。

 環境省としては、国立環境研究所が運営いたします気候変動適応情報プラットフォーム、ここと連携いたしまして、気候変動影響に関する科学的知見の提供や適応の情報発信を行っておりまして、大阪・関西万博においても、気候変動適応に関連する取組、こうしたものに貢献し得るものだというふうに考えております。

 引き続き、関係府省庁や関係地方公共団体とも連携しつつ、気候変動適応の強化や情報発信に取り組んでまいりたいと思っております。

 今の漆間委員の御指摘も踏まえながら、万博における適応策の強化や情報発信等の具体的内容についてもしっかりと検討してまいりたいというふうに考えています。

漆間委員 ありがとうございます。

 今、アクションプランでは、大臣がおっしゃったとおり、項目としてはたくさんあるんですけれども、緩和策も項目としてたくさんあるんですが、緩和策はカーボンニュートラルという文言で全て統一されて、しっかりとそれが表示されているんですけれども、適応策に関しては、先ほどおっしゃったものは、実際に防災のことだったり様々載ってはいるんですけれども、それが緩和策であるということがなかなか分からずに、一つの文脈の中で、ぱっとこれが緩和策なんだよというのが分からない状況でありますので、是非そういったところ。

 緩和策もしっかり万博では取り組んでいて、これを日本のレガシーとしてやっていくことで、今、適応策についてもESG投資、ESGの様々な投資資金もいっぱいうごめいているわけですから、そういったことをアピールすることで適応策にもたくさんお金が流れ込んでくる、そのためにも、是非万博アクションプランに適応策というのを文言として入れていただけたらなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、再生可能エネルギーについてお伺いいたします。

 これは、昨日の本会議で我が党の小野泰輔議員からも質問したこととほぼ同じ内容なのでありますけれども、太陽光発電、太陽光パネルに関してお伺いさせていただきます。

 エネルギー分野のサプライチェーンということに関して、これをしっかり確保していくことが経済及びエネルギー安全保障にとっても極めて重要であります。特に、中国依存度が過度に高まっている太陽光パネルについては、新たなサプライチェーンの構築を迅速に推進するべきだと考えますが、いかがでしょうか。お願いいたします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー安全保障の観点から、まさに、特定国からの供給状況に左右されることなく、より強靱なエネルギー供給構造を実現していくことが重要だと考えてございます。例えば、軽量で柔軟性を有するペロブスカイトは日本発の技術でございまして、主な原料であるヨウ素は日本が世界二位の産出量となっているところでございます。早ければ二〇二三年度から建物等でのペロブスカイトの設置実証が予定されるなど、着実に進展が見られているところでございます。

 引き続き、グリーンイノベーション基金を活用しながら、研究開発から社会実装まで一気通貫で支援し、国産のサプライチェーン構築も見据え、ペロブスカイトなどの次世代太陽電池の早期実用化に取り組んでまいりたいと考えております。

漆間委員 よろしくお願いいたします。

 一つ飛ばしまして、地熱発電についてお伺いいたします。

 地熱発電においては、温泉法、自然公園法の規制を、単に保護するというやり方から、熱資源、自然公園の管理をより科学的にやるという法体系に改める見直しが必要と考えますが、環境省の取組をお伺いいたします。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 地熱発電は、天候に左右されない安定的な再生可能エネルギーとして非常に重要というふうに認識しております。このため、環境省としても、地域での合意形成を図りつつ、守るべき自然は守りながら地熱利活用を促進することが必要というふうに考えておるところでございます。

 こうした観点から、これまでも数次にわたり、自然公園法の規制緩和等を行ってまいりました。直近では、令和三年九月にも、有識者による検討を経て、自然公園法と温泉法の運用の見直しを行ってきました。

 具体的には、従来、国立・国定公園の第二種、第三種特別地域内における開発は原則認めなかったという方針だったものを、小規模な地産地消型の地熱開発や、自然環境との調和が図られた優良事例については積極的に進める方針に転換をいたしております。

 また、温泉法の運用においても、開発事業者が持続可能な形で地熱資源を利用する計画を策定した場合には、蒸気を取り出す井戸の掘削許可において離隔距離規制等を設けないということにいたしました。

 これらの運用見直しも踏まえまして、関係省庁とも連携しながら、引き続き、自然環境の保全と地熱開発の調和が図られた地域共生型の地熱利活用を促進してまいりたいと考えております。

漆間委員 引き続きよろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。今国会もよろしくお願いいたします。

 まず、質疑に入る前に、私のような一期生から申し上げるのは誠に恐縮ではございますけれども、昨年の通常国会でも臨時国会でも御指摘されておりました、この環境委員会、与党さんの出席率が非常に悪いということで、皆さん、カーボンニュートラルやSDGsが大事だとおっしゃるんでしたら、きちんと、担当する委員会ですから出席いただいて、委員長からも御指導いただきますようお願い申し上げて、質疑に入らせていただきたいと思います。

 一昨日、私の地元の摂津市民の方が環境省に陳情に上京されました。要望された内容は、有機フッ素化合物、いわゆるPFOAについての要望書を上げさせていただきました。署名が、一昨日は二万三千を超える署名だったんですが、この二日間で、今朝の一時間前の時点で二万四千百四十九人の方が署名されております。PFOAが問題視されてから、地元の摂津市議会や大阪府議会で度々質疑をされておりますし、一昨年も私が環境委員会で質疑させていただきました。

 ずっと検討されている中で、結論はもう分かっています。国内における明確なPFOAに対する基準値がないことが皆さんの不安をよりあおっている、大きくしているのが原因だというのは分かっております。それは、要望に来られた市民の皆様もよく分かっておられます。そういったことを踏まえての要望ですので、是非、今日の質疑に対しては、不安に思われている市民の方々に寄り添った御答弁をいただきますようお願いいたしまして、私の質疑をしたいと思います。

 昨年委員会で質疑もしたところ、先ほど申し上げた明確な基準がないことから、早速動いていくということで、今年の一月に、大臣所信にも書いてありましたけれども、二つの専門会議が設けられたとのことですけれども、この二つの専門会議はどのような内容で、そして会議の結論はいつ頃出される予定なんでしょうか。

西村(明)国務大臣 今、奥下委員からお話がありましたように、関係自治体、地元住民の皆様からPFOA等に対する不安や更なる対策を求める声が上がっていることは承知しております。現在、こうした状況を踏まえながら、今年の一月に二つの専門家会議を設置して検討を始めた、委員御指摘のとおりでございます。

 専門家会議のうちの一つは、PFOA等の水環境の暫定目標値につきまして、その数値や位置づけを検討する会議であります。厚生労働省の検討会と連携しながら検討を進めているところでございまして、WHOや米国といった国際動向、これを踏まえる必要があるために、現時点においては、取りまとめ時期というのはここで申し上げられる状況まで来ておりません。

 もう一つが、国民への情報発信の在り方など、PFOA等に関する対応の方向性を検討する会議です。夏頃を目途に検討結果を取りまとめていただきたいというふうに考えております。

 引き続き、この専門家会議において議論を深めていただいて、その結果を基に、地域の皆様、国民の皆様の安全、安心、こうしたもののための取組を進めてまいります。

奥下委員 ありがとうございます。二〇一九年のストックホルム条約で最も危険な化学物質と指定されて、二〇二一年に製造や輸出を禁止されたということで、この一月からそういった会議を開いていただいているということで、役所のスピード感としては、過去にない、中でも早い対応だとは思っておりますけれども、やはり、地域住民の方からしたら、まだまだ、ちょっと、もっと早くしてほしいというようなお声が出ておりますので、この夏、是非、一定の答えをいただいて、どんどんどんどん前に進めていっていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に移ります。

 そうした高濃度の地下水汚染が生じている地域における農産物があるわけですが、この地域ですと名産で鳥飼ナスとかそういったものがあったり、地域の小学校で畑で野菜を作って給食に取り入れたりとかしているわけですけれども、こういったPFOA、PFOSなどが及ぼす健康影響については食品安全委員会さんはどういうふうにお考えでしょうか。

鋤柄政府参考人 お答え申し上げます。

 PFOAなどの有機フッ素化合物につきましては、環境残留性、生物蓄積性を有し、肝臓や免疫系等への影響が指摘されています。

 食品安全委員会では、有機フッ素化合物の摂取による人の健康への影響につきまして、今年度、諸外国の毒性評価を含む多くの文献情報を収集し、知見の整理を行うとともに、本年二月二十七日からワーキンググループにおいて、有機フッ素化合物の摂取による健康への影響について専門家による科学的な考察を進めているところです。

 結論が得られ次第、環境省等リスク管理を行う関係省庁に対し科学的な助言を行いたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。先ほど申し上げましたように、野菜を作っている小学生とか、今一旦ちょっと止めている地域もあるようですけれども、野菜だけじゃなくて、野菜を食べていない方からも高濃度のPFOAの数値が出ているということで、不安をあおるわけではないんですけれども、結果、何もなかったねというのが一番いいとは思っておりますが、今までの状況からすると何もなかったねでは多分済まないと思うので、是非、早期解決に向けて御検討していただきますようお願いいたします。

 そして、問題とされるダイキン工業が、年間六万トンの地下水をくみ上げ、除去処理をして公共下水に排出しているとのことですが、除去処理した後のPFOAの濃度の情報公開が全くなされていないということなんですね。なぜ情報公開がされないのか、こういったこともいろいろ聞いてはいるんですけれども、企業秘密だということで。摂津市、ダイキン工業、大阪府が公開しないということを前提に会議をしているようですけれども、環境省が立入検査をするとか、こういったことが僕は必要かなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 奥下委員の、地元住民の皆様の不安のお声を受けた御質問、真摯に受け止めていかなければならないと思っております。

 まず、御指摘の工場における排水の管理につきましては、大阪府において当該工場等との協議の場において状況を把握し、必要に応じて対策を行っているものというふうに認識いたしております。

 工場排水につきましては、水質汚濁防止法に基づく基準は設定されてはおりませんけれども、排出されるPFOA等の濃度はできるだけ低いことが望ましいというふうに考えております。

 環境省とすれば、まず、大阪府等の対応状況を注視しながら、PFOA等に関する水環境における目標値等の検討を急ぎ進めて、各自治体が地域の実情に応じた対応を行えるように後押しするとともに、大阪府においては必要な助言等は行ってまいりたいというふうに考えております。

奥下委員 ありがとうございます。大臣の御答弁を今いただきました。

 ダイキン、大阪府、摂津市の三者会談の議事録を、塗り潰されているところが多くあるのであれなんですけれども、見てみると、今、暫定数値が、一リットル当たり五十ナノグラムという数値設定がされておりますが、これの十倍以下を目安としてダイキンには処理するようにという指導が議事録で度々見られます。しかし、この数字をどうやらクリアされていないというような状況の議事録でして。

 そんな中、これをじゃぶじゃぶ公共下水に流されている状況なんだろうと思うんですけれども、水質汚濁防止法とかにもひっかかってくるんじゃないかなと思うんですが、聞いたら、PFOA、PFOSに対して排出の規制がされていないというので、これは現状、そのまま、見逃しているという言い方が適切かどうか分からないです、そういった状況になっているんですけれども、水質汚濁防止法を含めて、この辺りを見直していただくというお考えはないんでしょうか。

秦政府参考人 水質汚濁防止法につきまして、現在のところ、環境基準というものはまだ設定されていない状況でございまして、そういった基準といったようなもの、目標値ですね、こういったものを含めて、現在、先ほど大臣より御答弁申し上げました二つの専門家会議の中で、海外の状況等も踏まえながら議論を進めているところでございます。引き続き、科学的な議論をしっかり進めて、目標値等を考えてまいりたいと思います。

奥下委員 ありがとうございます。冒頭に言ったように、明確な基準値がないことからこういったことが起こっていると思いますので、暫定の目標値五十ナノグラムが、これ自体が本当に正しいかどうかすら分からない状態なので、是非早期に解決に向けて取り組んでいただきますようお願いします。

 そして、昨年質問させていただいた中で、令和二年度から水道事業者等においてPFOAなどの水質検査が行われているというふうに御答弁いただいたんですが、その後の経過はいかがなんでしょうか。摂津市だけに限らず、目標値の超過があったような地域、今、五つほどPFOAの数値が大きく出ている地域があるんですけれども、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 有機フッ素化合物の一種であるPFOA、ペルフルオロオクタン酸等につきましては、令和二年四月から、水道水の水質基準体系において水質管理目標設定項目に位置づけております。それ以降、水道事業者等に対して水質検査の実施を要請しているところでございます。

 PFOA及びPFOSに関する水質検査の結果でございますが、令和二年度の結果が現在確認、取りまとめできております。昨年十月から、公益社団法人日本水道協会のホームページ上で公表されております。

 その結果でございますが、水質管理目標設定項目として、PFOS及びPFOAの合算値で五十ナノグラム・パー・リッター以下という目標値を設定しておりますが、それに対して、令和二年度の水質検査の結果においては五地点で目標値を超過しておりました。なお、測定地点数は合計で五百八十九地点、五百八十九のうちの五地点ということになります。

 これらに対するリスク管理の状況でございます。目標値を超過した五地点の水道事業者に対して、その後、対応状況について確認を行いました。その結果、PFOA及びPFOSの濃度低減を図り、目標値の範囲内に収まっている、現在は水道水においてはこのような状況になっているものと承知しております。

奥下委員 ありがとうございます。

 この地域に私の友人、子育て世代の友人家族も住んでいるんですけれども、聞くと、やはり行政は、摂津市なので摂津市の指導としては、汚染水は飲まないでください、水道水は安全ですしか言わないらしいんですね。だけれども、汚染水は飲まないでください、それは誰だって飲みたくないですから、そんな、目に見えないことを。こういった本当に形式張った告知しかされていないようなので、是非、先ほども申し上げましたように、御丁寧な対応を国としてやっていただきますようお願いいたします。

 次に、現在汚染源が確認されている大阪府摂津市、沖縄県の米軍基地周辺、横田基地周辺、多摩地域、愛知県豊山町の地域住民全体に対する健康影響調査や土壌調査を厚労省主導でもっとやっていただきたいんですけれども、大臣、そういったお考えはないでしょうか。

西村(明)国務大臣 今委員は厚労省ということでございましたけれども、環境大臣としてお答えできるものをしたいというふうに思います。

 先ほどから御説明している専門家会議において、まず、健康影響調査、土壌調査に関する科学的知見というものも含めて、専門的見地からしっかりと御議論をいただくことが重要だというふうに考えております。

 そうした専門家会議の検討の結果を基にして、国民の皆様の安全、安心のための取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、土壌中のPFOA等について、十分な精度を持った統一的な測定方法というのが確立されていないということのために、環境省においては、来年度、令和五年度の早い時期に自治体に対してもそうした具体的な測定方法をお示しできるような、そういった作業も進めているところでございます。

奥下委員 ありがとうございます。専門会議で一定の数値が出てからというようなことみたいですけれども。

 地元の摂津市が、全国で一番汚染された数値が出ております。こういった地域の調査を、科学的知見を集めるためにも同時進行でやっていくべきだと思うんですね。会議の結果が出てからやってからでは、ひょっとしたら手遅れな可能性もあるわけですから。先ほど申し上げたように、検査して何もなかったねが一番いいので、同時進行で、是非、健康調査等もやっていただきますようお願いしたいと思います。

 次に、摂津市が昨年環境省に要望を出しております。基礎自治体が事業者に対する指導等の環境法令上の権限がないことで苦労しているそうなんですけれども、基礎自治体に権限を持たせていただくことは検討していただけないでしょうか。

秦政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、摂津市さんと面会をさせていただきまして、その中でも、先生御指摘のように、対応に苦慮しているという旨は伺ってございます。

 法令上の話を申し上げますと、水質汚濁防止法上の規制権限については、基本的に都道府県知事が担うということになっております。一部、政令指定都市ですとかあるいは中核市といった政令で定める市に権限を委任するということはできるんですけれども、摂津市さんはこの政令市には該当しておらないというのが現状でございます。

 とはいえ、環境省としては、こうした摂津市さんなど地元の皆様の声、あるいは御地元の不安に感じておられる皆様方の声を受けまして専門家会議を立ち上げております。科学的見地からしっかり議論をいただいておるところでございます。

 引き続き、この専門家会議で議論を深めていただきまして、その結果を、できてからということじゃなくて、随時摂津市さんなど地元の自治体にも御提供しながらPFOAの対策を進めてまいる所存でございます。

奥下委員 ありがとうございます。おっしゃっていただいたように、地域住民の方からしたら政令市だどうだとかというのは全く関係のない話で、本当に政治は何も動いてくれないんだなというのが皆さんのおっしゃっている声でございますので、是非、何度も申し上げますが、基準値がないことが最大の原因だと思いますので、早急に、専門者会議が二か月に一回のスピードで行う予定だというふうに聞いていますけれども、今の時代はリモートも可能なので、二週間に一回とか、忙しい先生方ばかりだと思いますけれども、なるべく早く取りまとめていただきたいと思います。

 そして、近いうちに多分これは訴訟問題になってくると思うので、公害等調整委員会の皆様にも、そうなったときは早期に解決に努めていただきますようお願い申し上げます。

 次の質疑に移りたいと思います。救済法に基づく石綿健康被害の救済制度についてお尋ねしたいんですけれども。

 実家が建築資材の会社をやっているということで、昔からの職人さん等々からいろいろ言われるんですけれども、救済給付には労災保険と違い休業補償等がなく、健康被害による収入減を補償する内容は全く含まれていない、また、死亡後の遺族に対しても当該労働者の平均賃金に応じた遺族補償などがない、こうしたことから救済給付の内容は不十分だというふうな声が多いんですけれども、こういったところを見直していただくお考えはないでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのありました石綿健康被害救済制度は、原因者と被害者の因果関係を明確にすることが困難であるという石綿による健康被害の特殊性を踏まえまして、民事上の責任とは切り離して、社会全体で被害者の迅速な救済を図る、そのような制度になっております。

 したがいまして、労災保険のような損害を補償する制度ではないということで、補償的色彩の強い休業補償や遺族年金を採用することは困難であるというふうに認識しております。

奥下委員 ありがとうございます。そういった声があるということをちょっとまた心にお留め置きいただいて、引き続きよりよい制度に変えていっていただけたらなというふうに思います。

 次に、国立公園満喫プロジェクトについてお尋ねします。

 国立公園利用者を当初一千万人にするという計画でしたが、コロナ禍で目標設定も六百七十七万人に変更され、そんな中、既に八つの国立公園を選定して動かれていますが、大臣の所信にもあるように、魅力向上に取り組んでインバウンド拡大や地域活性化につながるよう私も願っております。

 一方で、国立公園は、単に景観のよさだけではなく、希少な動物や植物が生息、繁殖しているところもあって、これまで規制によってこれらを保護するのが環境省さんの役割だったと思うんですけれども、所信にもあったように、民間のいろいろな案を取り入れてということだったんですけれども、こういったことで建物が建ったりインバウンドが急激に増えることによって生物多様性に影響を与えることも懸念されると思うんですが、この辺りはいかがでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、希少な動植物の生息、生育地を含めた優れた自然の風景地を保護する、また生物多様性の確保に寄与するということは国立公園の重要な役割の一つというふうに考えているところでございます。

 このため、国立公園満喫プロジェクトの推進に当たっても、インバウンドを中心とした訪問客を増やすということだけじゃなくて、やはり最大の魅力は自然そのものであるということを基本としているわけでございます。ですから、自然環境を保全し、美しい自然の中での感動体験を提供する、若しくは利用者の満足度を向上させていくことも目指しているわけでございます。

 ちなみに、訪問客が急激に増えてその影響が懸念される場合には、利用のコントロールですとか、適切に利用のコントロールをするための施設を整備するということ等で、計画的に自然環境への影響をできるだけ回避する若しくは緩和していくことも重要だというふうに考えております。

 このように、国立公園の優れた自然を守ることに加えて、適正な利用を推進することによって地域を活性化して更なる保全につなげていく、これは保護と利用の好循環と私どもは申しておりますけれども、この実現が重要というふうに考えているところでございます。

奥下委員 僕が懸念しているのは、地元の、国立公園ではないんですけれども、お隣の箕面市にトンネルが通ったことで、箕面の滝という有名なのがあるんですけれども、トンネルを通したことで滝が止まって、あれは実は水道水が流れているんだとか、そういったことを言う人たちがやはり少なからずいて、それで、猿も結構いた地域なんですけれども、猿がどこか逃げていったとか、そういったことを言って、いい取組を邪魔する人たちが少なからずともいますので、そういったことに対する対応策も考えておられるということなので安心しました。是非、インバウンド呼び込みで頑張っていただきたいと思います。

 最後に、ALPS処理水の海洋放出が本年開始を見込んでいるというふうに所信にもありましたけれども、今後のタイムスケジュール等があれば教えていただきたいんです。お願いいたします。

森下政府参考人 お答えします。

 規制委員会のALPS処理水の海洋放出に関する取組の状況でございますけれども、まず、審査につきましては、原子力規制委員会としては、令和三年十二月二十一日に東京電力から申請のありましたALPS処理水の海洋放出設備の設置に関する実施計画について、厳正な審査を行った結果、昨年の七月二十二日に認可をいたしました。

 また、昨年十一月十四日に東京電力からALPS処理水の海洋放出時の運用等に関する実施計画の変更認可申請がなされまして、先月二十二日、審査書案を取りまとめ、現在、科学的、技術的意見の募集、パブリックコメントを行っているところでございます。

 今後、寄せられた意見を踏まえまして、審査書について原子力規制委員会で議論していただき、認可処分の可否について判断いただく予定となっております。

 また、検査についてでございますけれども、東京電力において、現在、設備の設置工事が、海洋放出設備の工事が進められております。これと並行してこの設備の使用前検査に係る申請がなされておりまして、現在順次検査を進めているところでございます。

 原子力規制委員会としては、引き続き、審査、検査において厳正な確認を実施してまいります。

 以上です。

奥下委員 ありがとうございます。

 何で聞いたかと申し上げますと、東日本大震災のときの瓦れきも大阪市は受入れに協力させていただきました。そのとき、やはり猛反対を食らったんですけれども。ALPSも、基準をきちんとクリアした安全なものであるということであれば、大阪府、市はきちんと前向きに検討して受け入れたいなというふうに吉村知事とかもおっしゃっておりましたので、是非協力できたらなというふうに思っております。

 最後、ちょっと時間があるので、先ほどのPFOAについてもうちょっとお話しさせていただくと、先ほどから名前が出ておりますダイキン工業さんですけれども、ダイキンアメリカが、二〇〇五年にはアラバマ州のテネシー川でPFOAが検出され、二〇一三年に米国当局がテネシー川からの水道水を飲んでいた住民の血液を分析した結果、飲料水が汚染されていたことが判明して、水道局としてはダイキンを訴えて、二〇一八年に原告とダイキンの和解が成立したということで、当時、四千万ドルの賠償をダイキンがしたという、世界ではこういった事例が出ております。ダイキンさんは世界にいろいろあるので、多分こういったことがほかの世界の地域でも起こっているんだと思うんですね。

 先ほど申し上げましたが、何もなかったら一番いいというのはそうなんですけれども、何もないでは多分済まないと思うので、何らかの影響はあると思うので、不安をあおるわけではないですけれども、早期に解決に向けて環境省さんの方も取り組んでいただけますようお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 次期生物多様性国家戦略についてお伺いをさせていただきます。

 政府は、二〇三〇年までの生物多様性国家戦略案として、基本戦略一から五を掲げ、それぞれの状態目標、行動目標、そして目標に基づく行動計画を示しておりますけれども、国家戦略案に対する全体的な印象として、数値的な目標が大変少ないことを懸念しております。

 二〇三〇年までにネイチャーポジティブを実現することを目指す上で、数値目標の少ない現状の国家戦略案で達成できると確信を持って言えるのでしょうか。大臣にお伺いをいたします。

西村(明)国務大臣 ネイチャーポジティブの実現というのは、生物多様性だけではなくて、我が国の持続可能な社会また経済活動を支えていくために極めて重要だというふうに考えております。二〇三〇年に向けたまさに喫緊の課題と認識しているところでございます。

 我が国においては、ネイチャーポジティブの実現に向けた国内施策の指針を示す次期生物多様性国家戦略を年度内に策定すべく、今、世界に先駆けて取り組んでいるところでございます。

 本戦略案は、昆明・モントリオール生物多様性枠組を踏まえて、現行の生物多様性国家戦略と比較して、数値目標も増やしているところでございます。

 ネイチャーポジティブの実現に向けて、定期的に進捗の管理を行いながら、委員の御懸念のないようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

坂本(祐)委員 日本は、様々な資源を海外資源に依存しております。サプライチェーン上流に当たる生産国での生態系の健全性を確保することについて責任を負っていると考えます。しかしながら、現状では、一部の企業による自主的な取組等が限定的に行われているにすぎず、取引規制以前のルール、規制作りにもいまだ問題があり、早急な整備が必要であると考えています。

 このような現状を踏まえた上で、生物多様性国家戦略案においては、サプライチェーン対応、指標・見える化、データ整備が重要な政策になっていますが、こちらにつきましても現状値や目標値は示されていません。

 現在の検討状況についてお伺いをさせていただきます。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の施策の現状値や目標値を示す指標となるサプライチェーンの問題について、これについては、サプライチェーン対応、指標・見える化、データ整備を実施している企業の数ということで指標そのものは示しているんですけれども、御指摘のとおり、今回の国家戦略案の中で現状値や目標値というのは示してございません。

 ただ、これは、実は現在その把握方法も含めて検討している途上でございまして、ほかの指標との整合も取りながら、今後の進捗の管理の中で具体的な目標年度ですとか目標値というものは設定をしていきたい、このように考えている次第でございます。

 このほかにも、実は、企業による生物多様性に関する取組状況を把握する指標というものは、例えば、生物多様性の配慮を経営に取り込んでいる企業の数ですとか、情報開示を行っている企業の数等の指標を設定して、それぞれ目標値、そちらの方は目標値を設定しているところでございます。今後、これらの指標も含めて、企業による取組の進捗というのをきちっと管理をしていきたい、このように考えております。

坂本(祐)委員 検討して、今後、設定に向けて努力を重ねていきたいということであります。

 昆明・モントリオール生物多様性枠組、ターゲット十八においては、有害補助金を二〇二五年までに特定し、最終的に廃止すること、また、ターゲット十九においては、国内、国際、公共及び民間の資金を含む資金水準を引き上げ、生態系保全を正に向かわせることを目指しています。

 この行動計画につきましても、現状、数値目標が示されていません。現在の検討状況はどうなっているのか、お伺いをいたします。

 また、この目標は、基本戦略五の生物多様性に係る取組を支える基盤整備と国際連携の推進に含まれており、国際的資金については検討を進めているようでありますが、国内に関してはいかがでしょうか。自然資本の価値を明確にして、企業への理解を求め、そして国内でまず負の影響のある資金を洗い出す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 ネイチャーポジティブの実現のためには、委員御指摘のとおり、生物多様性に有害な奨励措置の特定、見直しというものは重要である、このように認識をしているところでございます。国内補助金を含む各種奨励措置について、生物多様性に有害なものを特定して、また、該当する奨励措置の在り方を見直すということは、今回の国家戦略案の中にも書き込ませていただいているところでございます。

 あわせて、生物多様性に有益な奨励措置の増加に取り組んで、優良事例について横展開をすべく情報発信等を行う、こういったこともネイチャーポジティブの実現に向けた取組としては促進をしていきたいというふうに考えております。

 実際、生物多様性への影響をきちっと見極めるというためには、やはり関係省庁間でのこうした中身についての検討や協議等、十分な調整が必要であるというふうに考えております。このため、現時点では有害若しくは有益な奨励措置に関する数値目標は設けておりませんけれども、この議論というのは加速化していきたい、このように考えているところでございます。

坂本(祐)委員 議論を進めていただけるということでございますので、是非しっかりと行っていただきたいと存じます。

 ここまで数値目標を示すように申し上げましたけれども、やはり政策を推し進める上で具体的な数値目標を示すことは重要であると考えております。数値目標や指標がなければ、戦略の進捗を測ることも、将来、戦略を評価、検証することも、課題の見直しをすることもできません。現在のまま数値目標が少なく、又は指標が示されない場合、どのように進捗を測ったり、評価、検証するのでしょうか。御答弁をお願いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 次の生物多様性国家戦略の案では、二〇三〇ネイチャーポジティブの実現につながるような十五の状態目標と二十五の行動目標を掲げておるところでございます。昆明・モントリオール生物多様性枠組を踏まえて、日本の実情ですとかほかの計画との整合性、これを考慮しまして、できる限り数値目標を、先ほど大臣からもお答え申し上げましたけれども、前の戦略に比べたら、かなり多く設定したつもりではございます。

 ただ、実際には数値目標を設定していないものもあるのも事実でございますので、こういったものも含めて、各目標については、その達成状況を測る指標を、今後も含めて設定をしていきたいというふうに考えております。こうした指標については、次期生物多様性国家戦略の閣議決定と併せて関係省庁連絡会議で決定して示していくという予定にしておるところでございます。

 また、昆明・モントリオール生物多様性枠組では、各国の進捗状況を生物多様性条約の下で把握する仕組みというものが設けられております。この仕組みに対応し、我が国でも、これらの指標の定期的な点検等を通じて国家戦略の進捗状況を実施していく、このように考えている次第でございます。

 進捗評価を実施する中で、必要に応じて指標を更新するですとか追加していく、こういった見直しを実施して、国家戦略に掲げる各目標の達成を着実に進めていきたい、このように考えている次第でございます。

坂本(祐)委員 どちらが先かということではなく、やはり指標そして目標値、こういったものをしっかりと設定をすることによってこそ、点検、そして前進して取り組む必要があるのではないかというふうに考えております。

 次の質問ですけれども、野生動物を含むエキゾチックペットの世界市場が成長しており、生物多様性の保全と侵略的外来種の出現の両方に影響を与えていることが報告をされています。

 日本は、ペット利用される野生動物を年間推定四十万頭も輸入し、その数は増加傾向にあるため、厳しい飼養管理の推進が求められています。また、アカミミガメやアライグマなど、ペット目的で輸入された動物の遺棄や逸走による生態系損失につながる事例も国内で散見されていることを踏まえ、次期国家戦略については、家畜化されていない動物については、動物の本能、習性及び生理、生態に即した適正な飼養の確保が困難であることから限定的であるべき旨を明記するべきであると考えますが、いかがでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、家畜化されていない動物の飼養の在り方をこの戦略に位置づけるということにつきましては、先月実施したパブリックコメントの中でも同様の御意見をいただいております。ですから、非常に重要なことであるというふうに認識をしているところでございます。

 このため、次期生物多様性国家戦略案の作成作業の中で、本件については前向きに検討をしていきたいと考えております。

坂本(祐)委員 前向きに検討していきたいという御答弁をいただきましたけれども、二〇三〇年までにネイチャーポジティブを達成するために、やはり数値目標を掲げて実効性のある取組を進めていただくことを改めて要望させていただきたいと存じます。

 続きまして、太陽光発電の普及と問題についてお伺いをさせていただきます。

 原発に依存しない社会の実現や二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向け、太陽光発電を始めとする再生可能エネルギーの普及、利用促進は我が国における最重要課題の一つであります。

 しかしながら、太陽光発電の発電施設の設置をめぐっては、土砂崩れ発生のリスクや景観破壊、自然破壊など、様々な懸念から反対する地域住民も多く、全国各地で発電事業者と地域住民との間で対立が起こっています。私の地元の埼玉県小川町でも、旧ゴルフ場建設予定地におけるメガソーラーの建設計画が進んでおり、まさに現在進行形で事業者と地域住民との間で対立が起きています。

 このような状況の中で、地方自治体では、問題のある事業者や設置計画に対して、地域や住民を守るため御尽力をいただいておりますが、国が定めている規制だけでは問題の解決に不十分なケースも多く、各地方自治体が条例で対応する状況が続いています。

 一般財団法人地方自治研究機構の調査では、再生可能エネルギー発電設備の規制に関する条例は、令和四年十二月二十八日時点で二百二十四条例に上り、そのうち太陽光発電設備を含む再生可能エネルギー発電設備を規制対象とするものは百二条例であり、太陽光発電設備のみを規制対象とするものは百二十二条例とのことであります。この条例の数を見るに、地方自治体に対応を任せられる状況ではなくなっているのではないかと私は考えます。

 また、埼玉県日高市では、条例を定めた市が事業者側に訴訟を起こされるといった事例も起こっております。自治体の大きな負担になっているのではないでしょうか。

 このような状況から、太陽光発電施設の設置については、地方自治体に任せるのではなく、国として統一的な規制が必要と考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

西村(明)国務大臣 再エネの導入に当たりましては、環境に適正に配慮して、地域における合意形成をしっかりと図っていくことが重要だというふうに考えます。

 このため、大規模な太陽光発電につきましては、環境影響評価法により環境アセスメントを義務づけているところでございます。今、坂本委員から御指摘になりました埼玉県小川町のメガソーラー事業のように、環境への適正な配慮がなされずに、また、地域の皆様への説明が不十分な事業に対しましては、厳しく対応しているところでございます。

 また、法対象とならない事業は、地方自治体の判断によりまして、環境影響評価条例の対象とされております。法や条例の対象とならない小規模な事業につきましても、環境省は、太陽光発電の環境配慮ガイドライン、これを作成いたしまして、地方自治体や事業者団体に周知を図り、適切な自然環境や生活環境への配慮と地域とのコミュニケーション、これを促しているところでございます。

 こうした取組の推進によりまして、地域と共生する再エネ事業、これを推進してまいります。

坂本(祐)委員 地域と共生する取組をこれからも続けていただけるということでありますが、私が申し上げましたこの小川町のケースにおきましては、事業者による土砂の大量搬入計画に関わる住民の皆様方の懸念に対して、環境省、そして経済産業省共に御対応いただきました。当時の山口大臣もお見えでございますけれども、心からこの件に関しては感謝を申し上げる次第でございます。

 太陽光発電の普及には多くの課題もありますけれども、重要なエネルギー源であることには変わりがありません。しっかりと普及をさせて利用を拡大していくためにも、国が、環境への負荷が少ない場所など、太陽光発電施設を設置できるエリアを指定して、そして国の責任で推進していくべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 環境省におきましては、地域における合意形成を図りつつ、環境に適正に配慮して、地域に貢献する再エネ事業、これを推進する仕組みといたしまして、昨年の四月に施行されました地球温暖化対策推進法に基づく地域脱炭素化促進事業制度、これを推進しているところでございます。

 この制度におきましては、市町村が協議会などを活用して地域関係者との合意形成を図って、太陽光を含む再エネの導入、これを促進する区域を定めるということにしております。

 市町村が促進区域を定めるに当たりましては、環境の保全に支障を及ぼすおそれがないものとして国が定めた基準、これに従って設定する仕組みとなっております。

 環境省といたしましては、促進区域の設定を市町村に促して、地域と共生する再エネを増やしていけるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 それでは、次の質問でございますけれども、絶滅のおそれがある野鳥や魚について、大臣所信でも、希少種保全に取り組むとおっしゃっておられましたけれども、環境省としては、絶滅のおそれのある動植物について、生息エリアが経済活動や開発行為をするエリアと重なった場合、絶滅危惧種の保全と事業の継続、これはどちらを優先すべきと考えているのか、お答えください。

西村(明)国務大臣 絶滅危惧種の保全を始めとして地域の自然環境の保全を図ること、これは自然と共生する社会の実現に向けて重要であると考えております。

 あわせて、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた再生可能エネルギーの導入や、地域の社会経済の活性化も非常に重要な課題であるというふうに思います。

 絶滅危惧種の生息、生育状況を含む自然環境の状況や社会経済の状況は、地域ごとに様々でございます。どちらを優先すべきかということは、一概にはお答えはできないかと考えております。

 各地域の状況と、そしてまた予定される経済活動、開発事業の内容に応じて、適正に環境への配慮がなされ、丁寧に地域の合意形成が図られるなど、十分な調整の下に取組が進められること、これが重要だと考えております。

坂本(祐)委員 適正あるいは丁寧というお言葉をいただきましたけれども、経済活動や開発のためならば絶滅しても仕方ないということが起こらないようにしていただきたいと私は願っております。

 次に、指摘した小川町の太陽光発電施設の設置予定エリアには、環境省のレッドリスト二〇二〇で絶滅危惧2類に指定されているサシバやミゾゴイという野鳥や、絶滅危惧1B類に指定されているホトケドジョウという淡水魚が生息しています。このような絶滅危惧種が三種類も生息する地域は、メガソーラーの設置地域として適していると言えるのでしょうか。お答えください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 埼玉県小川町のメガソーラー事業については、環境影響評価法に基づき、事業者が提出した準備書の審査を行い、環境大臣意見を昨年一月に経済産業省へ提出したところでございます。

 本事業は、発電事業としての必要性が確認できない外部からの残土搬入による大規模な盛土が計画され、地域では安全性への懸念等が生じていたことから、これらを踏まえ、大臣意見においては、大規模な盛土を前提とした計画の抜本的な見直し、これを強く求めたところでございます。

 また、絶滅危惧種であるサシバやミゾゴイ等の生息地が確認されるなど、多様で豊かな環境の里山生態系が形成されることから、動植物の生息、生育環境の改変を最小限とすることなどを求めたところでございます。

 環境省としましては、環境への適正な配慮がなされず、地域への説明が不十分な、環境影響評価法の趣旨に反するような事業については、今後も厳しい態度で臨み、地域と共生する再生可能エネルギーの導入を推進してまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 盛土の見直し、外から運び入れる残土を中に入れる、このことについては先ほど、環境省、経済産業省に御尽力をいただいてストップをしたわけでございますけれども、山を削って今度は平らにするという、こういったことが地元において説明をされているようでございます。

 環境省は、サシバやミゾゴイについて、サシバ保護の進め方やミゾゴイ保護の進め方といったガイドラインを公表しております。事業者はこのガイドラインに従って対策を講じることになると思いますが、それに従ったからといって、実際に工事が始まれば、何らかの影響を受けて営巣を放棄してしまう可能性もあると思います。営巣を放棄してしまってからでは取り返しがつきません。

 絶滅危惧の動植物が生息する地域での開発は原則としてできないように、環境省は厳しく臨むべきと考えますが、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 絶滅危惧種の生息、生育環境、これを保全するために、必要に応じまして、鳥獣保護管理法に基づく鳥獣保護区特別保護地域や、種の保存法に基づく生息地等保護区の指定、こういったことなどによりまして開発行為を規制しているところでございます。

 このような規制に加えて、開発行為における適切な環境配慮が確保されるように、今委員御指摘がありましたように、ガイドラインを示すことによって事業者への周知を図っているところであります。

 今後とも、こうした手法を活用しながら、地域の自然環境等の特性に応じて合意形成を丁寧に行い、絶滅危惧種の保全が図られるように、事業者の対応といったものを促してまいりたいと思っております。

坂本(祐)委員 ガイドラインが示されるわけでありますけれども、このガイドラインを守っても、そのエリアだけ守ったとしても、その周りで環境破壊が行われると、そこに生息をしている動植物は存続をすることができなくなるということも現実的にあるのではないかと思います。合意形成を得るというのは、そういう点では大変なことだと私は考えます。

 太陽光発電施設の設置に当たっては、地域と事業者との間で関係が悪化してトラブルに発展することは地域社会にとってよいことではありません。それが地域の活性化にも悪影響を与えていると思います。地方自治体でもそれぞれの実情に応じて対応していただいているところでありますけれども、政府としても、事業者に地域住民との関係構築を義務づけるなど、地域住民と事業者との間で関係が悪化しないような仕組みをつくるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、太陽光発電を中心とした再エネの急速な導入拡大に伴いまして、様々な事業者の参入が拡大した結果、先生御指摘のとおり、景観や環境への影響、あるいは安全面、防災面などに対する地域の懸念が高まっているものというふうに認識しております。こうした懸念に応えるためには、地域の理解の促進や適正な事業規律の確保、安全面の不安の払拭に努めることが必要でございます。

 環境省といたしましては、昨年四月に関係省庁と一緒に有識者検討会を設置しまして、地域と共生した再エネの導入に向けた課題の解消について検討を進めてまいりました。昨年の十月には、FIT申請時において土地開発に係る法令の許認可を取得すること、事前の地元説明会の開催などを義務づけるなど、地域とのコミュニケーションを図ること、こういったことを内容とする提言を取りまとめていただいております。これを踏まえて、本国会におきまして、この提言を反映した再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法の改正案が提出されているところでございます。

 環境省といたしましても、引き続き経済産業省など関係省庁とも連携を図るとともに、環境アセスメント制度や、地球温暖化対策推進法に基づく地域脱炭素化促進事業制度などを適切に運用しながら、地域共生型の再エネの導入を促進してまいります。

坂本(祐)委員 様々な検討会、また法の改正等、これからもしっかりと行っていただきたいと存じますけれども、根本的には、やはりこれらの事業者の事業の推進に当たっては地元の皆様方の理解を得る、このことが最も大切だというふうに考えております。

 現在、太陽光発電施設が設置されようとしているところの多くは、こういった自然豊かな場所であって、小川町のように、希少な動植物が生息しているところもあります。一方では、これまでに既に太陽光パネルが設置されたところで、動植物が生きる場所を追われてしまっている地域もたくさんあるのではないでしょうか。この多くの動植物が生息する自然豊かな場所を人間のためだけに開発をして、動植物が生息することができない場所にしてはならないと私は考えております。

 しかし、残念ながら、地球に優しいエネルギーを生み出すために自然を破壊するというのが現在の太陽光発電、特にこのメガソーラー、こういった実態になっているのではないでしょうか。失われた自然は、取り戻せないものが多くあります。自然を守りつつ、自然への負荷が少ない太陽光発電の在り方を検討し直すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、気候変動、そして生態系、人間社会、こういったものは非常に相互に関係しているというふうに承知しております。カーボンニュートラルの取組、そしてネイチャーポジティブの取組、これは統合的に推進していかなければならないというふうに考えております。

 再エネの最大限の導入に当たりましても、適正に地域の環境や生態系に配慮されて、地域の合意形成が図られることが、先ほどから申し上げているように、不可欠であるというふうに考えております。環境省としても、先ほど申し上げました鳥獣保護管理法や種の保存法に基づく対応はもとより、環境アセスメント制度、そして地域脱炭素化促進事業制度、こうしたものを適切に運用しながら、生物多様性を含めた地域と共生する再エネ、こういったものを促進してまいりたいというふうに考えております。

坂本(祐)委員 様々な取組はされていらっしゃるわけでありますけれども、環境アセスメントも見直すところが私はあるのではないかと考えておりますし、これから運用についても更に検討を行う必要があると思います。

 日本は美しく豊かな自然に恵まれて、そこに暮らす私たち、そしてそこに暮らす人々は、命を育み、安らぎを与えていただいております。自然を破壊して、動植物も生息をすることができなくなるようなメガソーラー開発はしっかりと規制を行うべきと、私は改めて指摘をさせていただきます。

 次に、太陽光発電、東京都の制度についてお伺いいたします。

 太陽光発電につきまして、昨年十二月に、東京都が新築住宅等への太陽光発電設置を義務づける制度を新設いたしました。住宅への設置は、木を伐採し、山を切り開いて設置する太陽光発電より環境の負荷が少なくて済み、太陽光発電をより一層普及させる上では重要な取組だと考えます。

 この東京都の取組について環境省はどのように受け止めているのでしょうか、また、政府としても東京都と同様の取組を実施する考えはあるのでしょうか、お伺いいたします。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国のCO2排出量のうち、約三割が住宅、建築物から発生しております。脱炭素社会の実現のためには、住宅、建築物の脱炭素化が必要不可欠でございます。

 住宅は、各地域の気候風土と密接に関係しているため、地域特性を熟知した各自治体が工夫して独自の取組を進めることは重要と考えております。東京都のこういった取組というのは非常に先進的というふうに認識しております。

 国におきましても、地球温暖化対策計画に基づいて、二〇三〇年までに新築戸建て住宅の六割に太陽光発電設備の導入を目指しております。

 このため、まずは、現在実施しております太陽光発電設備導入の補助、こういった支援策を着実に進めてまいりたいと考えております。その上で、先生御指摘いただいた東京都の取組状況も踏まえながら、住宅、建築物の脱炭素化に必要な施策を検討してまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 導入の補助を行うということで、しかしながら、各自治体がそれぞれの特色ある、特性ある町づくりを行うためにこういった取組を、全国でも行っている地方自治体もあります。

 私は、太陽パネルの住宅や各種の建物への設置については、しっかりと推進を国が進めるべきだと思います。義務化は難しいにしても、希望する家庭や事業所あるいは企業には積極的に設置支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギー最大限導入に当たって、太陽光発電の導入促進は不可欠であり、環境省では、特に自家消費型の太陽光発電の普及に力を入れております。

 自家消費型の太陽光発電は、CO2の排出削減に加えて、停電時でも電力使用が可能であることから防災性の向上にもつながり、電力系統への負荷も低減できます。また、蓄電池も活用することで、こういった効果を更に高めることができます。

 先生御指摘の、家庭、事業所、企業、こういったところの屋根に太陽光発電を設置する、これに関しましては、PPA、電力販売契約とか、それからリース、こういった初期費用ゼロで太陽光発電設備と蓄電池を導入できる、こういう仕組みについて支援に取り組んでおりますので、引き続きこのような支援を行ってまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 温室効果ガスを排出せずに、温暖化防止に効果がある太陽光発電は、資源の乏しい日本のエネルギー自給率の向上につながり、地球温暖化防止に貢献できます。今後も積極的な取組をお願いをいたします。

 次に、政府のソーラーシェアリングに関わる取組についてお伺いいたします。

 太陽光発電の普及拡大には、ソーラーシェアリングの普及も重要であると考えています。ソーラーシェアリングの普及について、政府の取組状況をお伺いいたします。

松澤政府参考人 まず、環境省からお答えさせていただきます。

 営農型太陽光発電、先生おっしゃりましたソーラーシェアリングでございますけれども、この推進は、再生可能エネルギーの最大限導入に貢献するだけでなく、営農と発電の両立を通じた地域活性化の効果もある有意義な取組というふうに思っております。

 環境省では、地域の再エネポテンシャルを有効活用するため、地域との共生を前提に、屋根置き以外の太陽光発電の導入ということで、営農型太陽光発電の支援を行っているところでございます。

 具体的には、農林水産業の生産活動に係る適切な事業継続が確保されていることを要件とした上で、営農地を活用した太陽光発電設備に対して補助率二分の一で支援をさせていただいております。

 今後とも、農林水産省など関係省庁と連携しながら、営農型太陽光発電を始めとする地域と共生する再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組んでまいります。

坂本(祐)委員 ソーラーシェアリングを使った農業システムは、太陽光から得られる売電収入もあって、得られる電力を利用した最新農業システムの導入によって、今までの農業の持つイメージを大きく変えることができるのではないか、若い世代が始められる農業を確立をして、荒廃する農地を減らしていく糸口にもなると考えております。政府には、農水省、環境省とともに、この推進に向けてしっかりと御尽力をいただきたいと考えます。

 次に、環境に配慮した取組の推進と障害者等への配慮についてお伺いをいたします。

 昨年、プラスチック資源循環法が施行されました。この法律の成立時には、コンビニエンスストアなどで弁当を購入するときに無料で提供されているプラスチックスプーンなどを有料化するということが検討されていましたが、そのときに、手に障害があり、箸をうまく使えない方から、割り箸は無料でもらえるのに、スプーンは有料になったら困るという話を伺いました。小さなお子さんがいるお母さんからも、子供がまだ箸を使えないから、スプーンが無料である方がありがたいという声もありました。

 結局、昨年の法律の施行時には、プラスチックを削減する取組が行われていれば有料化はしなくてもよいということになりましたけれども、環境問題に取り組む場合、便利なことから不便になることがあります。健常者であれば多少不便になっても問題ないことも、障害のある方にとっては日常生活において負担になってしまうことがあると思います。

 プラスチックごみやマイクロプラスチックの問題は大きな問題でありますけれども、制度を変える際には、障害のある方や子供のことにも配慮するということを忘れないでいただきたいと存じますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

西村(明)国務大臣 プラスチック資源循環法、これにおきましては、坂本委員御指摘のスプーンを含めたいわゆる使い捨てプラスチックの排出抑制のために、特定プラスチック使用製品の提供事業者に対して、使用の合理化に関する取組の基準を省令で定めております。

 その省令におきましては、特定プラスチック使用製品の使用の合理化を図る際には、提供する特定プラスチック使用製品に関して、安全性、機能性その他の必要な事情に配慮するもの、こういうふうにされておりまして、障害のある方々や子供さん等に対する配慮も当然これに含まれるというふうに認識しております。

 具体的な事業者の取組として、店頭でのプラスチック製フォークの提供を取りやめた事例もございますけれども、その場合でも、障害のある方や子供さんからの希望に応じて、引き続き無料で提供を行っているというふうに承知しております。

 環境省といたしましては、プラスチック資源循環を始めとする政策の実施に当たりましては、関係省庁とも連携しながら、障害のある皆様方や子供さんに対して適切に配慮した取組、これをしっかりと進めたいと考えております。

坂本(祐)委員 ただいまは、そういった方々にもしっかりと配慮する環境行政を行っていただけるということでございますので、その実現に向けて対応をしっかり取っていただきますようにお願いを申し上げます。

 最後になりますけれども、小川町の例を私は取り上げさせていただきましたが、メガソーラー、ソーラーシステムの役割は十分承知しております。しかし、やはり環境は破壊され、そこに生息をしている希少生物がそこに生息をすることができなくなってしまう。私もこういった荒らされているところを何回となく視察をさせていただきましたが、その状態の中では、地域の人たちが散策を楽しんでいる姿も見受けられました。

 まさに自然と共生をしているからこそ人々の暮らしは自然に守られているわけでありまして、こういったことの開発については、今後とも、環境省として、あるいは環境省を始めとする各省庁も連携を取りながら厳しい対応を取っていただく、住民の命と暮らしを守る環境省の行政であっていただきたいということをお願いを申し上げ、質問に代えさせていただきます。

 終わります。

古賀委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 皆様、どうぞよろしくお願いいたします。福島二区、立憲民主党の馬場雄基でございます。

 まず初めに、先ほども御指摘がございましたけれども、是非とも委員会の運営に皆様の御協力をいただければ幸いでございます。本日に関しましては、大臣所信の質疑ということでもありまして、数多くの委員会が同日同刻に開かれておりまして、私もちょっと今、言うならば影分身したいぐらいの気持ちでございますけれども、次はいよいよ法案審議にもなります。是非とも充実した審議を、私もしっかりと努力していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、東日本大震災からあしたで十二年がたつというときでございます。被災地だけではなくて、被災地を思う国内外の方たちの思いを受け止めて私たちは歩みを続けなくてはならないのだというふうに、覚悟を新たにしたいと思います。

 本音を言えない空気感、私はこれを感じてなりません。最近、処理水の放出についても、あるいは被災地にとって簡単には扱えないような繊細な課題についても、アンケートで、簡単に言えば、賛成か、反対かだけ聞かれてしまいます。その結果も、何かと最近は反対がだんだんと下がっていき、実際、賛成が増えているかというとそうでもなく、分からないというのが多くなっているというのが実態だというふうに思います。

 この数字、この結果を、私たちはどのように受け止めなくてはならないのでしょうか。私は、安易に言葉どおりに受け止めてはならないのだと思っています。気持ちでは反対したい、ですが、現場においては、やはり廃炉を完遂させなければならない、復興を推し進めなくてはならない、この本音と現実のはざまに立たされている、この自己矛盾というものが今の私たちの十二年なんだというふうに私は感じています。

 西村大臣、私は、当選以降、中間貯蔵施設の土あるいは処理水の観点から、国際的な理解の醸成を政府にお願いし続けてまいりました。しかし、残念ながら、今回の大臣所信の中に国際的な理解の醸成というお言葉は残念ながらありませんでした。

 安易な政府の決断は分断しか生まないと改めて思います。この自己矛盾の中にいる私たちのその気持ちをどうか理解していただいた中で、一つ一つ丁寧に信頼回復に努めていただきたいと心から思っています。

 実は、先ほどまさに議題に上がりましたけれども、PFOS、PFOAの案件、やや、ここから得られる教訓もあるのではないかと私は思っています。

 在日米軍基地周辺から基準値を超えて検出されたPFOS、PFOAでございますけれども、このとき、私たちはアメリカに情報を適切に求めていたというふうに思います。これは当然だと思います。日本として、それが不安だからです。

 ですが、私たちがこのPFOS、PFOAで信頼できる情報をアメリカに求めているのと同義で、海外から見れば、処理水及び中間貯蔵施設の土について信頼足る情報が欲しいのではないか。本来ならば、その信頼足るデータは自ら取りに行きたいというのが本音なんだというふうに思います。少なくとも国際的な基準に沿った複数の信頼あるデータを蓄積していくこと、これが国際関係の信頼構築の上で最も大切な土台になるというふうに思います。

 そんな中で、先月、韓国で日本側の処理水放出に関してタスクフォースが立ち上がりました。これは報道ベースでしか私は分からないんですけれども、実はその二週間前には、別のところですけれども、韓国の中の政府系機関では、いわゆる海洋放出した場合に大きな影響はないというような、そういうふうなシミュレーション結果の報道もございました。韓国内で根強い不安と混乱があるのではないかというふうに思います。

 このタスクフォース、報道によれば、海水の放射性物質無人監視網や食品の放射性物質分析装置の設置費として約五千八百六十万円を確保し、検査情報をホームページやSNSで公開する計画だと伺います。

 そこで、まず環境省さんにお伺いさせていただきます。まず、この件についてどのように環境省さんが認識なされているのか教えてください。

秦政府参考人 ALPS処理水に関しましては、環境省の方でモニタリングを担当させていただいております。これに関しては、単に我が国の中での分析のみならず、IAEAによる国際的なレビュー、これも受けながら進めてまいるという計画でございます。

 具体的には、IAEAに加えまして、韓国を含む第三国と共同で海水等を採取した上で、同じサンプルを分析機関の方でそれぞれ分析を行って、IAEAが分析結果を比較して評価を行うということで進めてまいりたいと思ってございます。

 国際的な理解醸成のためにも、引き続き客観性、透明性、信頼性の高いモニタリングを実施してまいる所存でございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。私の質問がちょっと分かりにくかったのかとちょっと今反省したんですけれども、韓国におけるタスクフォースについて環境省さんがどのように受け止めているのか、是非教えてください。

秦政府参考人 なかなか、外交上の話もありますので、ちょっと私どもからなかなか明確に申し上げるのは難しいとは思っておるんですけれども、長らく韓国国内においても放流に対する批判が絶えずあったという中で、政府においてこういった結果が出てきたというのは一つの大きな変化、転機なのではないかなというふうに認識をしております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。是非、福島のことを扱うときには、私は、堂々と、そして毅然と対応していかなくてはならないんだというふうに思いますし、加えて、相手の不安に思う気持ちにもしっかりと寄り添いながら適切に信頼回復に努めていくというのが当然ながら大事だというふうに思っています。

 不安に思った団体さんにおいて少しこれから懸念しなくてはならないのが、私たちとは違う、まさに、IAEAでは同じというような表現もなされていましたけれども、違うやり方で違うデータが出てきてしまったときには、よりその状態は悪化してしまいかねないというふうに懸念を持たざるを得ないというふうに思っています。だからこそ、オープンに、そして透明にというのが極めて大事なんだと思うわけです。

 ここで大臣にお伺いさせていただきたいんですが、政府は特に透明にというお言葉をたくさん使っていらっしゃると思うんですけれども、処理水研究、そして中間貯蔵施設の土もそうかもしれないですが、国際的にオープンな環境の場で、例えば韓国さんでそういうふうなタスクフォースが立ち上がるようなときに、しっかりと、この私たちの枠組みの中で一緒にやりましょうよというような力強いメッセージを私は出すべきではないかなというふうに思うんですが、是非大臣の御見識をお伺いさせていただきたいと思います。

西村(明)国務大臣 今、馬場委員からお話がありましたように、環境省等が実施しますALPS処理水に係る環境モニタリングにつきましては、先ほど局長の方から一部触れましたけれども、分析能力の確認そして分析結果の裏づけのために、IAEA、国際原子力機関による国際的なレビューを受けているところでございます。

 具体的には、IAEAに加えて、韓国を含む第三国と共同で海水等を採取した上で、同じサンプルを我が国及びIAEA等の分析機関でそれぞれ分析して、そしてIAEAが分析結果を比較した上で評価を行う、こういうことになっております。

 国際的な理解醸成のためにも、引き続き、今委員がおっしゃられた透明性、客観性そして信頼性、こうしたものの高いモニタリングにしていかなければならないと思います。

 先ほど中間貯蔵の県外処分の実証事業についても一部お触れになりましたけれども、国としてお約束した事業をしっかりと進めるためには、今まで県内において、例えば除去土壌等の実証事業を福島県内においてやっていただきましたけれども、県外においてやるということは、福島県内においてその安全性を確認しつつ県外でという形なんですけれども、そうしたことをなぜやるかというと、やはり県外の皆様に理解醸成をしっかり進めていきたいという思いがございます。

 同じように、多分委員と同じような問題意識だと思いますので、しっかりとした国内外への理解醸成を進めてまいりたいというふうに考えています。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。しっかりとやり切ることが大切だというふうに思っております。

 IAEAさんのことを私は信頼できるとか信頼できないとか言っているわけではなくて、ただ、IAEAさんとずっと共同で日本がこれまで構築してきたものがあったと思うんですけれども、昨年IAEAの総会で韓国と中国が日本に対して異議を申し立ててきたというところは、やはり私は反省すべきところがあるんじゃないかなというふうに思います。

 常に教訓から学びながら、信頼回復をどうやってつくっていかなくてはならないかというところを私たちがしっかりと、透明性、そして国際的なオープンな研究機関の場でしっかりと私たちの枠組みの方にちゃんと引っ張り出して、ちゃんとこれで一緒にやろうよというふうに言い続けていくことが私は何よりも大切なんだというふうに思っております。

 また、先ほど大臣からも触れていただきましたけれども、中間貯蔵施設の土、その実証事業について、今、やや少し住民説明会等で課題が浮き彫りになってきているかなというふうに思います。本日はこの話はするつもりは全くありませんけれども、不安に思う気持ち、自己矛盾の中にいる現場の方々の気持ちや、現場の方々、住民の方々に対してしっかりと情報が届き、一緒になって前進していくことのできる枠組みを、環境省さんが積極的に主導的に責任を持って推し進めていただきたいということを心から願っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、震災の教訓ということから、こちらも大臣所信の中で触れられておりましたけれども、災害廃棄物処理についてお伺いさせていただきたいと思います。

 資料を事前にお配りさせていただきました。こちらの資料になります。是非数字を確認していただきたいんですけれども、大臣所信の中でも災害廃棄物の円滑、迅速な処理について言及がありました。この資料にもございますが、そもそも、災害廃棄物処理計画ですけれども、策定を完了させた自治体数がどれほどであるか、環境省さん、教えてください。

土居政府参考人 災害廃棄物処理計画の策定につきましては、令和四年三月末におきまして、都道府県につきましては一〇〇%、市町村におきましては千二百五十二の市町村で、全体でいきますと七二%の策定が完了しております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 災害廃棄物処理計画というのは当然ながら目標値としては一〇〇%を目指すというのが、これは当然だというふうに思います。その中で、七二%という数字をどのように見るかということです。この数字を見る限り、年数がたってくれば必然的に策定数も上がってきているということは評価できると思うのですが、災害はいつ起きるか分かりません。その中において、やはり一〇〇%を一日でも早く達成していくこと、備えをしっかりと取っていくということが極めて大事だというふうに思います。

 ただ一方、これは作っていないからけしからぬではないと思うんですね。作れない何かの要因がある、ここをしっかりと環境省さんとしても把握しながらフォローアップ体制をしいていかなくてはならないんだと思います。

 これは事前のレクでもしっかり伺わせていただきましたけれども、例えばですが、マンパワーの問題。そもそも、作りたいんだけれども人がいない、一人しかいない、あるいは代理で置くぐらいしかできないというような小さな自治体ほど策定率は悪いというところの現状があるんだと思います。あるいは、そもそものノウハウがない。これらは、環境省さんがしっかりとフォローアップ体制をしいていけばクリアできていく課題ではないかと思います。若しくは、ほかに要因があるかもしれないわけですけれども。

 是非ともこの部分について西村大臣にお伺いさせていただきたいんですが、やはり災害はいつ起きるか分からないです。だからこそ一日でも早く一〇〇%を目指して備えを確実につくっていかなければいけないんだと思うんですけれども、未策定の基礎自治体それぞれ、個別具体的に相談に応じた中で、環境省さんとしてのフォローアップ体制を是非とも力強くしいていただきたいと思いますが、大臣の御見解をお伺いさせてください。

西村(明)国務大臣 馬場委員御指摘のとおりだと思います。

 自治体の災害対策の強化に当たりましては、災害廃棄物処理計画の策定は大変重要でございます。環境省といたしまして、これまでも、災害廃棄物発生量の推計方法などの技術的な情報を整理、周知するとともに、計画策定のモデル事業といったものを実施してまいりました。

 計画未策定の自治体からは、計画の策定に必要となる情報や知見が不足している、また馬場委員御指摘の担当者の人員不足、こういったことが課題として挙げられると思います。こうしたことを踏まえて、今後、モデル事業等で得られた優良事例の横展開、また計画の策定に資する手引、こういったものを作成、周知してまいりたいというふうに考えております。

 また、令和五年度予算案におきまして、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の防災対策推進地域の小規模自治体を対象といたしまして、計画策定の補助事業について新たに予算計上をしております。この予算を活用していただいて、計画未策定の自治体といったものを支援してまいりたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 実は、各委員の皆様にも是非よかったらインターネットで調べていただきたいんですけれども、災害廃棄物処理計画と検索すれば、どこの自治体が策定完了していて完了していないかというのはすぐ分かります。正直、レクをいただいてから私の地元も確認してみたところ、残念ながら策定できていないところもあったのが事実でございます。是非とも皆様の中でももう一度確認していただいた中で、何がネックになっているのか、作っていないからけしからぬではなくて、何がネックになっているのかというところをしっかりと確認した上で、一人一人の防災意識を高めていけるような体制構築を是非とも私たちの力でつくっていきたいというふうに思っております。

 続きまして、ここも大臣所信の中で述べられていたところでございますけれども、サーキュラーエコノミー関連ビジネスについてお伺いをさせていただきたいと思います。この市場規模、二〇三〇年までに八十兆円以上を目指すということが目標とされています。

 まず、環境省さんにお伺いさせていただきたいのですが、サーキュラーエコノミーというその事業、実態ですね、それが日本ではいつから取り組み始めたことであるのか、そして、現在のサーキュラーエコノミーという言葉の認知度について、その現状を政府がどのように認識なされているのか教えてください。

土居政府参考人 まず、サーキュラーエコノミー、循環経済に関しまして、認知度でございますが、環境政策を実施するに当たりまして、国民の理解度、認知度、これをアンケート調査をやっておりまして、直近でいきますと二〇二一年度調査で調べておりますが、循環経済という言葉の意味を知っていたという方、また、意味は知らないけれども聞いたことがあるという回答をいただいておりますのが一八・八%の方でございます。

 また、循環経済にいつから取り組んだということですが、国におきましては、循環型社会ということを構築するということで、二〇〇〇年に基本法を作り、そこから力を入れておりますが、循環経済は包含される一取組だと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 二〇〇〇年から始めたときには恐らく、サーキュラーエコノミーという言葉ではなく、御指摘のとおり、循環型経済とかそういうお言葉であったと思いますが、サーキュラーエコノミーという言葉の認知度が一八・八%、これはやはりかなり課題が残る数字ではないか。

 実際、サーキュラーエコノミーという言葉が出始めているのは恐らく二、三年前だったというふうに認識をしていますが、実際にこれを八十兆円まで市場規模を目指すという割に、足下のそもそもの認知度がこの状態というのはかなり不安定だというふうに言わざるを得ないんだと思います。

 私自身も、電通総研さんが作られた調査においても、十二か国中、圧倒的な最下位、認知度が最下位なんですよね。初めて議論した話題であるならばまだ理解できるんですけれども、既にこの言葉を使い始めてきて複数年たってきている状況でのこの数字というのは、かなり教訓が残るものだというふうに思います。

 サーキュラーエコノミーというのは、最終的には、いわゆる捨てない、あるいはごみの出ない、そういうふうな経済や社会をつくり出すということが、簡単に言えばそういうことなんだというふうに思うわけですけれども、正直、この言葉自体も外国由来の言葉、いわゆる横文字言葉になるわけですが、元々日本にあった言葉、概念ではないかなというふうに思うわけです。もったいないです。

 このもったいないというお言葉は、当然、今から私が説明申し上げるまでもないですけれども、二〇〇五年に、ノーベル平和賞を環境分野で初めて受賞されたマータイさん、ケニア人の女性ですね、それを世界共通語として広める価値があるのではないか、リデュース、リユース、リサイクル、スリーRの観点プラス、リスペクトの観点がしっかりあるから、この言葉は世界に広めていくべきだというようなことも言われておりました。

 わざわざ横文字言葉を使う必要もないわけでして、例えばですけれども、もったいないゼロ宣言、もったいないをゼロにする宣言とか、そういうふうにした方が国民の理解度は増すのではないかなとも思うわけです。

 海外でサーキュラーエコノミーという言葉がはやっているから日本も同じにやっていこうということも確かに一理あるかもしれないんですけれども、安易にそういうふうに捉えるのではなくて、海外の事例を参考にしながら日本独自で事業開発していく、そういうふうなデザイン力ということも我々は磨かなくてはならないんだというふうに思いますし、それをある意味間違えてしまえば、世界の中でも日本が埋没してしまうということが懸念されるんだというふうに思います。

 是非とも環境省さんに御一考いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。是非日本語で、認知度を広めるということの観点で、よろしくお願いいたします。

 そして、市場規模の話に移りたいんですけれども、サーキュラーエコノミーの市場規模は八十兆円という大きな数字なわけです。今、現段階で五十三・七兆円。これは最新の数字、二〇一九年ですけれども、五十三・七兆円。上積み三十兆円、残り七年、かなり苦しい展開になっている、あるいは大胆な政策が必要ではないかというふうに思うわけです。

 そこで、環境省さんに改めて伺います。二〇三〇年までに市場規模八十兆円、この目標を達成するために、まずもって、八十兆円の内訳、これをどのようにイメージなされているのか、特に伸ばしたい分野はここだというところ、その点について、政府の意思があるのか、是非伺わせてください。

土居政府参考人 委員御指摘のとおり、成長戦略のフォローアップ工程表におきまして、サーキュラーエコノミー関連ビジネスの市場規模を八十兆円以上にするということを掲げております。

 環境省におきましては、この目標も踏まえまして、昨年、循環経済工程表というものを作り公表しておりますが、その中で、素材、製品ごとの分野ごとに方向性を示しております。具体的に申し上げますと、二〇三〇年度までにプラスチック資源の回収量を倍増する、また金属リサイクルの原料も倍増するということ、さらに、持続可能な航空燃料、SAFと呼ばれておりますが、これに移行していくということを具体的に掲げております。

 こういった方向性に基づきまして、民間事業者、関係する省庁とも連携をし、サーキュラーエコノミー関連ビジネスの拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 現時点においてで構わないんですけれども、環境省さんとして、この八十兆円の規模、今お示しされたターゲット、そのターゲットについて、順調に伸びてきているというふうな認識に立つのか、あるいは、かなり課題が残り、私が先ほど申し上げたような大胆な何かの社会的変化が必要であるというふうに認識なされているのか、どちらなのかお伺いさせてください。

土居政府参考人 関連ビジネスを大きく育てていくためには、今日本が持っております技術力、企業の力を大きく伸ばすということも重要ですし、さらに、技術的なブレークスルーも多くの分野でまだ残っておるということ、さらに、これらの循環してできてきた素材を商品であるとかの原材料に優先的に使っていただくなど、消費者も含めた理解が広がっていく必要がありますので、多くの分野でまだ課題は多く残っているというふうに考えておりますが、日本におきましては多くのそういった技術力、企画力があると思いますので、これを伸ばしていくことが重要だと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。元々金融にいた私なので、少しちょっとひっかかってしまうというのがあるのかもしれないんですが、やや抽象度が高い分析ではないかなというふうに思います。

 今の、例えば企業の力を伸ばすであったりとか技術のいわゆる進化を期待するというのは確かに必要ですし、そこは力強くやっていかなくてはならないわけですけれども、目指すと決めているのは政府なわけですから、そこに向けて、今どういう状況であるのか都度都度やはり研究、分析をして常にブラッシュアップしていく、ブレークスルーをしていくためにはトライ・アンド・エラーが必要なんだというふうに思うわけなので、是非ともその点について、今年度までの取組の分析をしっかりと行って、来年度はどういうところに力を入れなければいけないのか、具体的なプロジェクトにまで是非とも落とし込んでいただきたいというふうに思っております。

 是非その点を、恐らく来年度以降ですね、レクの中では取りまとめをもう一回開始しますというようなお言葉もいただきましたので、その点について、例えばですけれども、いつまでにそれをお示しできるのか、今までの分析をいつまでにお示しし、またその次も、三〇年に向けた計画をいつまでに作るのかというところだけ、是非お伺いさせてください。

土居政府参考人 国全体で循環経済も含めます循環型社会を形成していくベースとなりますのが法律に基づきます循環型社会形成基本計画というものでございまして、今現在は四次でございますが、この進捗と五次の策定に向けまして点検作業を開始しようと考えておりまして、その中で進捗状況につきましても分析をして、新たな方向性を出していきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 是非期限を区切って、早い段階での検証を開始しなければ、絵に描いた餅になってしまいかねない。はるかに高い数字を掲げているという私は認識です。普通に達成できるというお言葉がいただけるのであれば、こんなことは申し上げるつもりはないんですけれども、今のお言葉はやや抽象的な課題分析ではないかなと思っていて、掲げている数字が余りにも大きいところを目標設定しているので、しっかりとプロジェクトベースで目指していかなければ達成できないというのが今の私の認識です。

 もう一点だけ環境省さんにお伺いしたいんですけれども、大きな市場規模を目指している中で、官的な、いわゆる公的な投資を行っていく今後の計画があるのか、先ほど申し上げていたように、基本的には民間ビジネスでの延長、発展、それを促していくものであるのか、この二点のどちらであるのかお答えいただければ幸いです。

土居政府参考人 具体的な施設整備であるとかビジネスをつくり上げていくという観点からいきますと、官民両方が力を合わせてやっていく必要があるというふうに考えているわけであります。

馬場(雄)委員 やはり少しちょっと心もとないお言葉でして、ないならば、ないと多分はっきり言った方がいいのかなとは思うんですけれども。

 官的あるいは公的投資以上に、民間のビジネスの発展、延長、これが恐らくサーキュラーエコノミー関連ビジネスの市場規模の実態だというふうに思います。ここで例えば大きく公的投資をどんと政府で用意するというようなことではなく、恐らく、民間ビジネスの今の発展をどういうふうにつくって、自由参加の中で市場規模を拡大していくというのが多分基本軸なんだと思うわけです。

 つまり、ここで一番大事になると思うのが、目標倒れにならないために、民間ビジネスの発展を促す社会基盤の構築、これを政府のメッセージとして発信し続けていくということだというふうに思います。そのために環境省さんが具体的に何をしていくのか、ここが肝なんだと思うわけです。

 是非とも環境省さんが前面に立って、各省庁、これは環境省さんだけのプロジェクトではない、国交省さんの建設リフォームとか経産省さんの取組とか、いろいろまたがっているところだと思いますので、環境省さんが前面に立って各省庁の分野を取りまとめて、民間ビジネスに波及させていく力強い市場をつくるためにスキームを、その流れをつくっていかなくてはならないと思いますので、是非、西村大臣のお言葉を、あるいは環境省への指示をお願いできればと思います。

西村(明)国務大臣 サーキュラーエコノミービジネス、循環経済関連ビジネス、先ほどの委員のお言葉をかりると、もったいない商いとでもいうんでしょうか、このことは、民間企業の取組を促す環境整備が循環経済関連ビジネスにおいて非常にこれの発展に向けて重要だというふうに考えております。環境省としては、民間事業者の皆様に対して、プラスチックや金属のリサイクルの技術の実証また設備導入支援を実施いたしております。また、循環経済に係るサステーナブルファイナンスを促すための開示・対話ガイダンス、こういったことの策定などの取組も行っているところでございます。

 また、循環経済への取組には、国民の皆様の前向きで主体的な行動変容を促していくということが大事だというふうに考えておりまして、具体的には、環境省を含め経済産業省、経済団体連合会が立ち上げました循環経済パートナーシップ、J4CEと言われるものでございますが、これを通じて企業の循環経済への取組を国内外へ発信しているところでございます。また、スリーRや資源の大切さを認識、共感して、環境配慮商品の選択を促すキャンペーンも実施しているところでございます。

 引き続き、こうした循環経済の取組の成果、これをしっかりと分かりやすくお伝えして、国民の皆様の行動変容を促していく上で循環経済への移行を加速してまいりたいというふうに考えています。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。まさに、国民一人一人の行動変容を起こしていくということが政府においての一番大事な考え方なんだというふうに思います。

 この行動変容を起こす上で、レクでもお伺いさせていただきましたけれども、いわゆるサーキュラーエコノミー関連ビジネスの政策効果、これによってどれだけのものが削減できたのかというところのいわゆる検証、試算を作るということを伺っておりました。今日はこの点は伺いませんけれども、是非具体的に、国民一人一人が自分の取組によってこれだけ下がったんだということが実感できる体制を環境省さんに築いていただくことが一番行動変容につながるというふうに思いますので、難しいとは思うんですけれども、是非ともチャレンジしていただければというふうに思っております。

 続きまして、ごみ袋有料化の問題について取り上げさせていただきます。

 現在、各自治体で異なりますが、ごみ出しに対して規定の袋を有料あるいは無償で提供している場合がございます。これは、自治体間で差が生じているのが実態だと思いますけれども。

 ごみ袋有料化の政策目的は、そもそものごみの排出抑制、そこに付随してCO2の排出抑制というものであったと認識しています。家計の負担、決して軽いものではないと思います。これも先ほどの話ですけれども、政策効果が測れているか、これが確認できなければ国民の理解もなかなかどんどん厳しくなっていくのではないか、なぜならば今進むのが物価高であるからというふうに思います。

 そこで、環境省さんに伺います。ごみ袋有料化の政策を実施したことによって、どれだけごみの排出抑制につながったのか、あるいはCO2の排出抑制につながっていったのか、その点、どのように把握されているのか教えてください。

土居政府参考人 冒頭、申し訳ありません、先ほど、私、災害廃棄物の答弁をする際に市町村数を言い間違えまして、正確には市町村数につきましては千二百五十二でございました。申し訳ありませんでした。

 今お尋ねがございましたごみの有料化につきましては、環境省におきましては、市町村が有料化の導入を検討する際の参考とするために、一般廃棄物処理有料化の手引きというものを策定しております。

 この手引きの中におきましては、ごみ有料化による効果の事例といたしまして、家庭系のごみの有料化を行った五十四の自治体から情報をいただきまして、そのうち四十七の自治体におきましては収集量の減少が確認されており、一人当たりの収集量が年間平均〇・二〇トンから導入後は平均〇・一六トンに減っている、約二割減少しているということが示されております。

 また、有料化の価格の水準が高いほど排出抑制の効果が高いというデータも見られております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 是非とも、政策効果についてしっかりと、環境省主体で主導的に動いて発信していただければというふうに思っています。

 そして、加えて問題であるのが地域間格差だと思います。

 ある自治体、これは昨年のデータでありますけれども、四十五リットルのごみ袋一枚二百円というところもありまして、一方、ある自治体は無償で配っているというようなところで、差がかなりあるというのが問題ではないかと思うわけです。

 この問題、私は三つの観点があると思うんですけれども、一つは、指定ごみ袋の値段が高い自治体ほど地域であるということ。つまり、人口が少ない自治体でこの傾向がよく見られるということにおいて、問題なのは、都市との賃金格差もありますよね、都市の方が極めて賃金は高い、ですけれどもごみ袋の値段は都市の方が安くて地域の方が高いという、この矛盾というのが一つ問題だと思っています。

 もう一つは、二つ目、家族が多いところほど負担が多いという点です。つまり、子育て世代、経済的にかなり苦しい状況である世帯の方々の暮らしをより圧迫してしまいかねない傾向があるのではないかということです。

 そして、三つ目の観点は、なかなか改善することが見込まれないという点です。なぜならば、少子高齢、過疎化、これはかなりなスピードで進んでいます。つまり、この地域間格差は、縮まる傾向かといえば、広がる傾向にあるのではないかという懸念があると思います。

 つまり、この中から考えられるのは、自治体の裁量だけに任せるのではなくて、政策の限界を少しちょっと環境省さんとしても受け止めつつ、地域間格差がこれ以上広がらないように、一定程度の国の影響を、ベースを整えていくというところが私は求められているんだと思います。

 そこで、西村大臣にお伺いさせていただきます。各自治体でごみ袋の値段の差が今これだけ広がっております。その中で、単に安くすればいいというのもまた違うと思うんです、しっかりと経済を回していかなければいけないので、適正価格が必要だと思います。国として秩序をつくっていくためにも、一定程度のベースラインをこのごみ袋有料化の問題に対して整えていくときに来たのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 今局長の方でも答弁させていただきましたけれども、環境省といたしましては、経済的なインセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再生利用の推進、また排出量に応じた負担の公平化及び住民の意識改革、こういったものを進めることを目的として一般廃棄物処理の有料化を推進しているところでございます。

 ごみの処理手数料について御指摘がございましたけれども、一般廃棄物の処理に統括的な責任を有する市町村において条例により定める必要がございます。手数料についての丁寧な住民の皆様への説明も含めて、市町村において適切に地方自治のプロセスに従って設定しているものというふうに認識しているところでございます。

 御指摘のあった支援が必要な世帯等への配慮といたしましては、指定ごみ袋の無料配付や手数料の減免、こういったことを行うことも考えられますので、市町村における福祉部局と連携した検討というものを進めていただくことが重要だというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 是非とも、今のお言葉では多分このままの延長線上になってしまうのかなというふうに少しちょっと残念ではあるんですけれども、常にやはり見直しをしていかなくてはならないんだと思います。地域間格差はある程度は必要だと思いますけれども、行き過ぎた格差はやはり問題が起きてくるというふうに思います。個別の事象において全てを自治体任せにするのではなくて、やはり一定程度しっかりと国としてそのベースラインを整えていくという観点も必要になった時期ではないかというふうに思いますので、是非ともその点を考慮していただいた上で政策をつくっていただければというふうに思います。

 時間が参りました。持続可能な循環がある、そして、もったいないをゼロにしていくというようなところを含めて、しっかりと私自身も取り組んでいきたいということを決意申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 本日も質問の時間をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

 また、まだまだ警戒が必要でありますが、コロナが一定の収束をしてきたということで、ルールに乗って、私もこの場ではマスクを外させていただきますが、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、バイオマス燃料の持続可能性及びライフサイクル温室効果ガス排出量についてということであります。

 昨年の十二月の環境委員会において、FITバイオマス発電に関連して、ベトナムからの木質ペレットにおいて、森林認証、FSCの偽装があった件について政府見解をお尋ねをしたところであります。それに関して政府からもお答えがあったんですが、その後、ある雑誌がこれについて後追いの、後追いといいましょうか、取材をしているところであります。

 そこで、お尋ねをしたいわけでありますが、指摘をさせていただいた、偽装していたAVP社と相当量の取引をしている商社があるわけであります。そういうところはほかにも幾つかあるわけであります。さて、そうした認証はあるけれども、その認証に偽装があったということであります。そういうことに対して、実態はどのようにすれば把握ができるのか。認証があれば、それでちゃんと、きちっと持続可能な取組をしているんだということが、残念ながら分からないということであります。

 実態はどのようにすると把握できるのか、また、認証偽装に係る調査の進展はどうなったのか、お聞きをしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のベトナムの木質ペレットの認証案件につきましてでございますけれども、経済産業省といたしましては、私がこの場で昨年御答弁させていただきましたとおり、この認証偽装の事案を踏まえまして、輸入バイオマス燃料の調達に係る実態を把握するため、輸入バイオマス燃料の使用を計画に含む認定事業者約二百者に対しまして、再エネ特措法に基づく報告徴収を実施しているところでございます。

 報告徴収におきましては、バイオマス燃料の調達先や調達経路を含めて報告を求めておりまして、例えば、商社から供給を受けている場合は、当該商社が行っている燃料調達の実態についても報告を受けることとなります。

 再エネ特措法上の報告徴収は、任意のヒアリングとは異なりまして、虚偽の報告があった場合には罰金や立入検査を行うものでございます。

 報告徴収の結果を精査した上で、必要な措置についてしっかりと検討してまいりたい、かように考えてございます。

近藤(昭)委員 その報告徴収のことであります。これは書面のやり取りではないかと思うわけでありますけれども、ちょっと確認をさせていただきたいわけでありますが、先ほど私が紹介をさせていただいた雑誌では具体的に名前も出ているんですが、三井物産は情報公開を適宜行っていると答えている、伊藤忠商事はヒアリングは受けていないと回答しているわけであります。

 これはどういうことなんでしょうか。ちゃんとやっているのかどうかということであります。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の商社さんからも、我々は任意のヒアリングは行わせていただいております。ですが、私も雑誌を拝読しておりますが、なぜああいう回答になったかは私は存じ上げませんので、同社にお問い合わせいただければと思います。

近藤(昭)委員 今、きちっと認証、実質を確認をしなくてはいけないので、単なる聞き取りではなくて、罰則ですかね、厳しい聞き取りであるということをおっしゃったわけであります、最初の答えで。しかし、その後は任意の聞き取りとおっしゃった。任意と、前段の厳しいと言ったことは私の中では矛盾するんですけれども、いかがでありましょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 任意のヒアリングは、まずもって、報道等、あるいは当該認証団体が対外的に認証偽装について公表を行った直後から我々はヒアリングを行っています。これはあくまでも任意でございますが、一方で、再エネ特措法に基づいて、法律に基づく厳しい報告徴収をできる対象は法律で規定されておりまして、それはFIT認定を受けた人たちです。

 したがいまして、商社の方々は、大抵、認定事業者でありませんので、厳しい報告徴収の対象にはなりません。ただ、我々は、厳しい報告徴収に加えて、任意のヒアリングも行っているということでございます。

近藤(昭)委員 認定の事業者に対しては厳しいヒアリングを行っているということであります。

 ただ、非常に危惧をしますのが、その雑誌の中での言及でも、その後、認定する業者は採用されない、そこの認定は偽装があるということで使わない、しかし、一方で、取引をする商社は、違う認証を使ったりして、非常にたくさんの、きちっとした認証がされているかどうかというものが国内の事業者で輸入されて燃やされているのではないか、こういう指摘もあるんですね。

 そこで、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 大切なことは、認証があっても、その認証が偽装がある。だから、今、認証業者はヒアリングをするけれども、輸入、取り扱っているところには任意だというようなお答えだったわけですが、そうすると、結果的にきちっとしたチェックができないのではないかというように思うわけであります。つまり、認証しているところが問題があるんだから、受け入れているところは、まあ、問題ないとは言っていらっしゃらないかもしれないけれども。

 それで、ちょっとお聞きしたいんですが、パーム油やPKS等においては第三者認証による持続可能性の確認を求めているわけであります。しかしながら、木質のバイオマス燃料についてはどのような持続可能性の確認を行っているのか。木質の合法性確認についても、平成十八年の合法性ガイドラインというのがありますが、ガイドラインではなくて、少なくとも、クリーンウッド法というのが作られてあったわけでありまして、クリーンウッド法、いわゆる法の下によってきちっと合法性を確認をするというべきではないかと思いますが、いかがでありましょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、持続可能性の確認に関するお尋ねがございました。

 FIT制度の事業計画策定ガイドラインにおきまして、輸入木質バイオマスに係ります認定申請に当たっては、持続可能性が証明された木材等を用いていることを証明することが必要とされておりまして、具体的には、林野庁が策定いたしました木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドラインに定める三つの方法、すなわち、森林認証制度及びCoC認証制度を活用した証明方法、森林、林業、木材産業関係団体の認定を得て事業者が行う証明方法、個別企業等の独自の取組による証明方法のいずれかにより確認をするということを求めているところでございます。

 次に、合法性確認に関する御質問がございました。

 現行の合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律、通称クリーンウッド法と呼んでおりますけれども、これにおきましては、木質ペレットやチップを含みます木材等の輸入事業者に対しまして合法性の確認に取り組むよう促しているというところでございますけれども、昨年十二月の委員会の場でもこのクリーンウッド法について検討しているというふうに申し上げましたが、その後、検討を進めまして、今国会に提出しておりますクリーンウッド法の改正案、これにおきまして、違法伐採対策の取組を強化するため、木材等の輸入事業者に対しこの確認というのを義務づけるということとしておりますことから、輸入に係ります木質バイオマスにつきましては、クリーンウッド法に基づき合法性の確認が行われることになるというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 是非、ガイドラインではなく、法律というものの下でしっかりとチェックをしていただきたいというふうに思います。

 また、ちょっと同時にお伺いをしたいんですけれども、FITで支援をしているということでありますから、木質バイオマスを。木質のバイオマスの燃料を買い取るときにも、やはりそうした持続可能性にきちっと資するものとそうでないものの買取り価格が違うわけでありまして、その買取り価格が違うということは、元がやはり国民の皆さんの税金で賄われているわけであります。

 そうした意味ではきちっとした、本来、持続可能性をおろそかにしているにもかかわらず、認証が偽装されているにもかかわらず、それを高く買い取っているようなことがあってはならないわけでありまして、そういう意味では厳しくチェックしていかなくてはいけないと思うんですが、パーム油やPKSを燃料とする場合、第三者認証が得られるまでの経過措置としてトレーサビリティーの確認と公開も求められているわけであります。そういう意味で、木質燃料についても、そうしたパーム油等と比べるとバランスを欠いているのではないかと思うわけであります。

 木質燃料の持続可能性についてのチェックについて改めてお伺いをしたいと思います。

井上政府参考人 委員御指摘のとおり、国民の皆様からいただいているFITを使って支援をしておりますので、しっかりとしたFITのお金の使われ方が確保されることが大変重要だと我々も肝に銘じて取り組んでおります。

 御指摘の燃料のトレーサビリティーにつきましては、パーム油につきましては、持続可能性の議論とは別に、申請に際して確認を求めてきております。一方で、輸入木質バイオマス燃料につきましては、持続可能性の確認における各確認方法の中でトレーサビリティーについても確認することができておりまして、この点について、パーム油と輸入木質バイオマス燃料に違いはございません。

 他方、先生御指摘の情報公開の観点でございますけれども、パーム油につきましては、持続可能性を担保する第三者認証スキームの名称や、発電所で使用した燃料の量などにつきまして、自分の会社のホームページで情報公開することを求めております。

 この点、輸入木質バイオマス燃料の持続可能性についての情報公開につきましては、今回の事案も踏まえますと、より厳しい措置が必要な可能性もあるのではないかと我々は考えておりまして、林野庁さんともよく連携をし、必要な対応の在り方を検討してまいりたい、かように考えてございます。

近藤(昭)委員 しっかりとそれはチェックをして、厳しい体制、確認をする体制をつくっていっていただきたいと思います。

 それでは、質問の時間も限られていますので、このバイオマス燃料の関係について大臣に。気候変動対策をしっかりとしていかなくちゃいけない、そういうものの、木質バイオマスの認証の問題等々、抜け道になってはいけない。また、木質バイオマスの燃料についてもいろいろと意見が、見方もあったりするわけです。ちょっと大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。

西村(明)国務大臣 気候変動対策の観点からは、バイオマス燃料につきましては、輸送を含むライフサイクル全体の温室効果ガス排出量ができるだけ少ないものになるようにすることが望ましいというふうに考えておりまして、今御議論いただいておりましたFIT制度につきましても、バイオマス発電の認定に当たりまして、今後、ライフサイクル全体の温室効果ガス排出量を確認することが検討されているというふうに認識しております。

 環境省におきましては、二〇二一年の七月に、輸入バイオマスのライフサイクル全体の温室効果ガス排出量の算定等についてガイドラインを整理いたしました。そして、それを経済産業省の方に情報提供しているところでございます。こうした形で、更なる温室効果ガスの排出削減に貢献してまいりたいというふうに思っております。

 また、あわせて、環境省といたしましては、地域脱炭素の推進のための交付金などの支援措置も活用しつつ、エネルギー自給や持続可能な森林経営に資する地産地消型の木質バイオマスの活用を含めた地域脱炭素の取組、これを強力に推進したいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 大臣、しっかりと御奮闘いただきたいと思います。

 木質バイオマス、森林については、成長する過程でCO2を吸収をしているということであるわけでありますが、伐採された森林を再植林をして、それが成長していく、改めてCO2を吸っていくには時間もかかるわけであります。ですから、木質バイオマスを全否定するわけではありませんが、非常に、時間的なことを考えると、そこには一つの時間的な課題ということがあると思うんです。気候変動危機というのは待ったなしでありますから、しっかりと環境省は御奮闘いただきたいと思います。

 さて、次に、原子力規制庁のガバナンス問題について、前回も御質問させていただきましたが、質問させていただきたいと思います。

 NPOの原子力資料情報室から原子力規制庁に対して、原子炉の運転期間延長に関する検討資料一切、二〇二二年四月から十一月末まで、原子力規制委員会及び原子力規制庁内での検討、関連省庁や被規制対象などの外部とのやり取りなどを開示請求がされたところであります。しかしながら、それには、事前に検討した経緯がないと口頭で連絡があったそうであります。

 そういう中で、実は、昨年十二月の二十一日、NPO側が、内部告発に基づき資料を公表したということでありました。

 そうすると、十二月の二十七日、年末、規制庁は経緯を説明、規制委が昨年十月五日にエネ庁から話を聞く以前である七月二十七日以降、早い段階であります、エネ庁と規制庁の職員が七回の面談を行っていたことを明らかにしたわけであります。そして、その際の議事メモは残していないが、資料は何が開示できるかを整理するとされたわけであります。

 そして、年が明けて二月三日、規制庁は、庁内の打合せ資料を公表し、説明をしました。資料のほとんどが黒塗りであったわけであります。黒塗りであった理由について、意思形成過程であり、無用な混乱を招くことを理由に挙げられました。

 また、エネ庁から提供された資料については、作成者に開示判断を委ねるとした。エネ庁から来た資料であるから、規制庁に開示請求をされたけれども、開示判断はエネ庁に任せるとした。しかし、これは、急な、土壇場でそういうことを公表しています。つまり、エネ庁に聞いてくれということであります。

 さて、法案が閣議決定をされたわけであります、関連する法案が。そうすると、意思形成過程であるとの非開示理由は解消されたはずではないでしょうか。私は、そういう意味では、今すぐ黒塗り部分を公表すべきだと思いますが、いかがでありましょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 情報公開法第五条五項では、国の機関の内部又は相互間における検討に関する情報で、公にすることにより、率直な意見の交換が不当に損なわれたり、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合には不開示情報に該当するとされております。

 今回事務方が作成した文書は、職員が幹部の了承を得る目的ではなく、議題を提供して幅広くアイデアを出し合う、いわゆるブレーンストーミングのために作成したものであると聞いております。

 このような資料まで開示いたしますと、職員間の忌憚のない意見交換を萎縮させる効果が生じさせてしまうことにも留意する必要があると判断をいたしました。

 また、事務方が作成した文書のうち不開示情報に該当する部分については、相当未成熟な内容であり、それがあたかも規制委員会の考えであるかのように誤解をされますと、国民の間に混乱を生じさせてしまうおそれがあるとも判断をいたしました。

 したがいまして、こうした不開示の理由が解消されるとは思っていません。

近藤(昭)委員 委員長、そういうお話は随分と記者会見でもお話しになっているわけでありますよね。しかしながら、取材をされて記者会見に参加した記者さんの間ではそれは何回も取り上げられていて、かなりそれに時間を要していると思います。

 今、形成過程で誤解を生じるとおっしゃいますけれども、黒塗りの方が、私は、誤解というか、見えないわけでありますから、いろいろな想像をするのではないかなと思いますし、今申し上げましたように、意思形成過程であったものが、最終的に法案を閣議決定して、決定が出ているわけであります。

 そして、委員長御自身もブレーンストーミングだと言っていて、ブレーンストーミングというのは、いろいろな意見を出し合って、その中でどうするかを決定するわけであります。まさしくいろいろな意見が出てきていて当然であって、それがなぜ意思形成過程で誤解を生むのかが私にはよく分からない。きちっと御説明いただけないでしょうか。

山中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、今回の不開示情報につきましては、法案が閣議決定されたからといって、先ほどもお話をさせていただきましたけれども、職員間の忌憚のない意見交換、これを萎縮させるおそれや、未成熟な内容の部分、それがあたかも規制委員会の考えであるかのように誤解される、そのことにより国民の間に混乱をさせてしまうおそれがあるということで、不開示の理由が解消されたとは考えておりません。

近藤(昭)委員 ですから、なぜそれが誤解を生むかが分からないんです。そして、開示すると、そこで議論されたこと、それが規制委員会の意見として取られると困る、こういうふうにおっしゃいますが、そんな、発言をしたことが、発言者も多分分かる、分かるか分からないか分かりませんが、結論は出ているわけでありますから。そして、その過程が大事だと思うんですよ。

 そして、今回、物すごく大きな政策変更をされているわけでしょう。それを黒塗りという方がやはりよく分からないし、出た結論とそこの話合いで持たれたことがかなり違うというなら、また、逆に言うと、違うということの方が私はおかしく感じるんですね。そうすると、そういうことを説明するためにも、きちっと開示をすべきだと思うんです。

 それで、ちょっと違う聞き方をしますが、エネルギー規制庁の方もやり取りしているわけでありますが、その資料を公表すべきだと思いますが、エネ庁の方はどうですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問いただいておりますやり取りというのは、恐らく、昨年の七月二十七日に総理の下で行われますGX実行会議があったわけでございますが、その後に、そのときに総理からGXを進めていくということに際しまして原子力についても課題をしっかりと整理して検討していけという御指示を頂戴したわけでございまして、当時、エネ庁といたしましても、エネルギー政策というのは非常に多くの省庁の方々と交わるわけでございます、対応していくためにはこれをどう進めていくか、行政職員といたしましては関係省庁とやり取りをしていかなければならない、ですので、その後、速やかに、原子力規制庁を含みます関係省庁への情報提供、その後の進め方というやり取りを進めてきているのは事実でございます。その中で、規制庁との間のやり取りが恐らく原子力規制庁の方から公表されているところかと認識してございます。

 その際の提出した資料につきまして、情報公開への対応を含めて、公表につきましては、情報公開法の考え方を参照しつつ、適切な形で対応していきたいと考えてございます。

近藤(昭)委員 それでは、エネルギー庁からも御返答がありましたけれども、法案審議に先立ちまして、政府内における検討内容はやはり明らかにされないといけないと思うんですよ。どういう過程でああした大きな変更がされたのか分からない中で法案審議に入っていくというのは、やはり私は課題があると思います。

 そういう意味で、今も各省庁とのやり取りがあったというようなことをおっしゃっていましたけれども、やはり法案の各省庁間の協議のやり取りは公表すべきだと思いますが、内閣官房、いかがでありましょうか。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 各省協議に関する行政文書につきましては、情報公開法第五条各号に掲げる不開示情報に該当しないかを精査をいたしまして、対応を検討してまいりたいと思います。

近藤(昭)委員 済みません、もう一度お願いします。

龍崎政府参考人 各省協議に関する行政文書につきましては、情報公開法第五条各号に掲げる不開示情報に該当しないかを精査をいたしまして、対応を検討してまいりたいと思います。

近藤(昭)委員 これから対応を協議するということでありますかね。

 私は、申し上げたように、これから法案審議に入っていく、そして、大きな政策変更だと。そして、残念ながら、この後また質問させていただきますけれども、非常に分からない部分が多いということであり、先ほど申し上げましたように、記者会見でも何度もこれは質問されているんですね、記者さんから。

 ただ、そういう中で、記者会見でも、二月三日の記者会見です、黒川総務課長はおっしゃっているわけですよね。先ほど言った意思形成過程であるから非開示だということに関連してくるんですけれども、タイミングによっては当然判断は変わる、こうおっしゃっているんですね、総務課長は。私は、タイミングというのは意思形成過程のことだというふうに思っているわけであります。

 そういう意味で、私は、委員長、是非理事会で、この黒塗りの部分は非常に問題だと思うんです、これから環境委員会も関わってこの法案の審議を、GXの関係の法案は審議していくわけです。ですから、これを是非公開するように、諮っていただきたい。どうでしょうか。

古賀委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議させていただきます。

近藤(昭)委員 お願いします。

 それで、前回も、十二月の委員会でも質問させていただきました、独立委員会、原子力規制委員会の独立性の問題であります。委員長は非常に重責を担っているということであります。

 そういう中で質問させていただきたいと思いますが、過去の原発再稼働の設置許可なども、規制庁とエネ庁が後ろ側で、水面下といいましょうか、歩調を合わせたと疑われてもやむを得ないのではないかというようなことも出てきている。そうしたことはない、つまり、記録にないとか、そういうお答えがいつもあったり、あるいは黒塗りで出てくるのであります。そうしたことをきちっと、私は、逆に言うと、非常に重い課題についてこれから論議していくわけでありますから、そうしたことはないということをどのように証明されるのか、お伺いをしたいと思います。

金子政府参考人 御指摘のありました新規制基準適合性に係る設置変更許可の審査などにつきましては、委員の出席する公開の審査会合の場で行うのが原則でありまして、その上で、公開の原子力規制委員会における議論あるいは審査結果案についてのパブリックコメントなどを経て、原子力規制委員会において設置変更許可処分を判断してございます。

 その過程に、御指摘にありましたような、例えば原子力規制庁と資源エネルギー庁とが裏で歩調を合わせるといったような余地はございませんので、そうした事実もございません。

 これからも、原子力規制委員会は、エネルギー政策の動向などの影響を受けることなく、独立した立場で、科学的、技術的見地から厳格に審査を行ってまいる所存でございます。

近藤(昭)委員 そういう余地はないとおっしゃるわけだけれども、非常に疑われる、申し訳ないけれども、そういう状況があるわけですよ。そのことも一部、ある意味では認められているようなところもあるわけです。それは、ブレーンストーミングだったとか、そういう言い方をされるわけだけれども。

 それで、規制庁とエネ庁との接触については、昨年の七月どころか、一昨年の夏時点、一昨年ですよ、当時の片山規制庁次長がエネ庁や与党の議員と束ね法の国会提出について相談をしていたとの情報もあるわけであります。

 これは確認をしたいんです。いつから相談は始まっているんですか。

金子政府参考人 具体的な今回の法案についてのやり取りにつきましては、公表させていただいているように、昨年の夏時点でございますけれども、二年半前に出しました原子力規制委員会の見解、運転期間に関するものは、利用の観点から政策側で御議論いただくべき事柄であって、私どもが意見を述べるべき事柄ではないという点についての理解を共有するためのようなやり取りというのは、今、多分御指摘になった片山長官なりの話の中で出てきたものと思います。

近藤(昭)委員 それは、ですから、一昨年の夏時点で、片山規制庁次長とのやり取りの中でそうした相談が始まっているということでよろしいんですね。

金子政府参考人 具体的な法案の相談ではございませんが、規制委員会が二年半前に決めた見解についての理解の共有という意味では、やり取りが行われたと承知しております。

近藤(昭)委員 やり取りがあったということでありますけれども、そこの中でどういうやり取りがあったのかというふうに懸念をするわけでありますが、時間もありませんので、次の質問に移らせていただきますけれども。

 そういう中で、一昨年からも、情報共有という今言い方をされましたが、行われたと。さて、そういう中で、法案の閣議決定が行われるわけです。三月一日の記者会見で山中委員長は、閣議決定を急いだことは問題ではないかと指摘をされて、規制委員会としてはコメントする立場にないと説明をされました。

 しかしながら、閣議決定というのは官邸が決めることではなくて、関係省庁が共同で閣議請議の決裁を行っているはずであります。規制庁内で決裁が起案されて、長官を経て、委員長が決裁を行ったのではないでしょうか。

 決裁の起案日と決裁完了日はいつか、そして、その書類には閣議決定日としてどの日付が記載されていたのか、教えていただきたいと思います。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の閣議請議の決裁の過程におきまして、原子力規制委員会内での決裁につきましては、長官、あるいは委員長の順に決裁が行われております。

 決裁文書を実際に確認をいたしましたが、決裁を起案したのは今年の二月十日でございます。委員長の決裁を受けた日が二月十三日の夕刻ということで、この日は、原子炉等規制法の改正条文案と閣議決定に向けて必要な手続を進めることについて原子力規制委員会で了承をされた日でございます。

近藤(昭)委員 そうすると、閣議予定日としてはどの日付が書いてあったんですか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました原子力規制委員会委員長の決裁日の時点、二月十三日の時点では、閣議予定日は二月二十一日というふうに起案上は記載されておりました。

近藤(昭)委員 そうすると、二月二十一日に完了している。ところが、岸田総理の指示で、二月二十一日の閣議決定予定は二月二十八日に延期されたと言われているわけですが、決裁は取り直しているんですか。そうであれば、取り直しているならば、二回目の決裁についても決裁の起案日、決裁完了日、閣議予定日を教えていただきたいと思います。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明させていただいた原子力規制委員会内での決裁以降は、環境本省での決裁プロセスが継続して行われております。

 その環境本省の決裁の途中で、閣議決定予定日が変更されるという連絡が情報としてございました。規制委員会におきましては、閣議予定日がいつであるかにかかわらず、閣議決定に向けた手続を進めることについては既に了承をいただいておりましたので、再度の意思決定や決裁を行うという必要はなく、二回目の決裁については行ってございません。

 また、その後、その後といいますのは、先ほどの閣議予定日が変更になった旨については、決裁をいただいた委員長には報告をさせていただいております。

近藤(昭)委員 分かりました。変更になっているけれども、決裁をしているからそれでいいということでありますが。

 ただ、そうすると、山中規制委員長は決裁をしているわけですよ、委員長は。しかし、なぜ記者会見で、規制委員会としてはコメントする立場にない、こういうふうに説明されるんでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会として、今回の原子炉等規制法の改正法案について、二月十三日に開催いたしました公開の原子力規制委員会で、その条文案及び閣議決定に向けた必要な手続を進めることについて既に了承しておりました。そのため、閣議請議を行うための稟議に対して決裁を行いました。

 ただ、この改正法案は、内閣官房が取りまとめた脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案の一部であり、原子力規制委員会が主体的に閣議決定日の調整を行う立場にはございません。

 記者会見では、そうした趣旨から申し上げたものであり、問題があると考えてはおりません。

近藤(昭)委員 問題ないと規制委員長はおっしゃるわけでありますが、先ほど来から、別の言い方をすると、だから関わることではないとおっしゃるのかもしれないけれども。

 繰り返しますけれども、重要な政策、原子力に対する政策変更がされているわけですよ。規制委員長は非常に独立性が高いわけでありますよ。そういう中で、記者会見で求められたコメントも、この重要な変更に対してどういうふうに思うのかということだったと思うんですね。なぜそのことをお答えにならないのか、私は本当に違和感を覚えます。

 そして、少し、もう時間もなくなってまいりましたので、最後にお聞きしたいと思います。

 最近、内部告発のことがいろいろと政策決定のことでも出てきていますよ。そういう中で、先ほど、原子力規制庁とエネ庁がいろいろとやったのではないか、これは、実は記者会見の中でも問われています。情報公開の対象が、電話とかメールとか、それはどういうものなのかというようなことの質問と、もう一つは、そうした情報公開を避けるために、最近は駅で資料を渡し合っている、つまり、資料が残らないように、情報公開で対象にならないようにそういうことをしているのではないかということを指摘されていますが、これに対してはいかがでありましょうか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような事例が取り沙汰されていることについて承知しておりますので、私どもは関係の職員に聞き取り調査を行いました。

 まず、駅でやり取りを、いわゆる話合いをするようなやり取りをしたという事実はないということを確認しております。

 一方で、恐らく御指摘の点は、駅で資料が受渡しがあったのではないかという点ではないかと思います。よく聞いてみますと、前に出てまいりました七回の面談のうちのエネ庁から受け取った資料について、電話を受けた際にメモ書きをしてしまった職員がおりまして、きれいなコピーをもう一度もらいたいということで取りに行くということで、それを、わざわざオフィスに来るのも大変だろうからということで駅で渡していただいたということが一回あるということは確認をしております。

 そのような内容ですので、それ自身が面談のような形で行われたものではないというふうに承知しております。

近藤(昭)委員 質問時間が終わりましたのであれですけれども、ちょっとにわかには信じ難いというか、申し訳ないけれども。大事なものをやり取りしたかどうかというのは分からないわけですよ。ただ、御説明は、そういう資料を受け取ったことは認めているわけですよね。だけれども、そこにメモ書きがあったから新しいものに替えたというわけでありますが、これは非常に私は懸念をする問題であります。引き続き追及をさせていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、日下正喜君。

日下委員 公明党の日下正喜でございます。

 環境委員会では初めての質問となります。地元は中国ブロック、広島でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、次期生物多様性国家戦略について質問させていただきます。

 現在、経済界でも生物多様性を気候変動に次ぐ深刻な危機と認識し始めており、今後、生物多様性分野でのESG市場の拡大も予想されます。

 現在百か国以上で活動している環境保全団体WWFの昨年のレポートでは、世界の生物種や個体群の絶滅速度は過去百年間で急上昇しており、この五十年間で六九%、約七割が減少していると報告しています。

 私たち人間もこの生態系の一部であり、当たり前のように自然からの恩恵を受け、生活し、経済もその上に成り立っています。ほんの一例ですが、異常気象や農薬等によって蜜蜂がいなくなり、野菜や果樹などの受粉が行われにくくなって実がつかない、収穫量が減少するということは世界各地で見られております。これまで当然のように享受できていたものが失われ、初めてその価値に気づく、これでは遅いのであります。

 そうした危機から、今日、国際レベルで生物多様性回復への意識が形成され、昨年COP15において昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択され、同枠組では、生物多様性の観点から二〇三〇年までに陸と海の三〇%以上を保全するサーティー・バイ・サーティー目標が主要な目標の一つとして定められたほか、ビジネスにおける生物多様性の主流化等の目標が採択されております。

 この枠組に対応するために、環境省としても、一つには、生物多様性損失と気候危機の二つの危機への統合的対応と社会の根本的変革、二つには、サーティー・バイ・サーティー目標の達成等の取組により健全な生態系を確保すること、三つには、自然資本を守り生かす社会経済活動の推進などを次期生物多様性国家戦略案の骨格としております。

 五月にG7広島サミットが行われ、来月には札幌市で気候・エネルギー・環境大臣会合も行われます。COP15で示されたネイチャーポジティブへの軌道転換を日本が強いリーダーシップを持って推し進めていただきたいと要望いたしますが、まず、ネイチャーポジティブへの評価及び西村大臣の御決意を伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 ネイチャーポジティブの実現は、生物多様性だけではなくて、我が国の持続可能な社会そして経済活動を支えるために極めて重要だというふうに認識しております。二〇三〇年に向けた喫緊の課題であるというふうに思います。

 我が国では、ネイチャーポジティブの実現に向けた国内施策の指針を示す次期生物多様性国家戦略、これを年度内に策定すべく、世界に先駆けて取り組んでいるところでございます。

 この次期戦略に基づいて、今御指摘のあったサーティー・バイ・サーティー目標の達成、そして気候変動や地域振興など多様な社会課題の解決につながる自然を活用した解決策の展開、またビジネス機会の創出や企業による情報開示促進等による生物多様性への資金の振り向けなどを通じたネイチャーポジティブ経済の実現、こういった取組を着実に推進してまいります。

 来月札幌で開催されますG7気候・エネルギー・環境大臣会合、ここにおきましても、次期生物多様性国家戦略について積極的に発信をするとともに、ネイチャーポジティブの実現に向けて国際的な議論をリードしたいというふうに考えております。

日下委員 私たち公明党としても、二月二十八日に環境大臣に対し、生物多様性の保全、ネイチャーポジティブの実現に向けた提言を届けさせていただきました。

 十四項目にわたるものでしたが、私から質問させていただきたいのは、まず、サーティー・バイ・サーティーの実現は環境省単体で行えるものではなく、他の府省庁との連携を始め、都道府県や各自治体、県民、市民との意識の共有や協力が不可欠だと思います。また、各自治体においても独自のサーティー・バイ・サーティーの目標設定を行ってもらうことが、この取組を加速させていく大切なポイントだと思います。さらに、森林や河川、海域など、隣接する自治体が協力して広域的に取り組むケースも少なくないと思います。こうした取組をリードし、後押しする仕組みづくりが大変重要であると考えますが、西村大臣のお考えをお聞かせください。

西村(明)国務大臣 サーティー・バイ・サーティー目標の達成に向けましては、このサーティー・バイ・サーティーの考え方を広く普及啓発することによりまして、日下委員御指摘のとおり、関係省庁や地方公共団体、住民との協働を促して、生物多様性保全の取組を加速させたいというふうに考えております。

 その上で、各地域の自然的、社会的条件に応じたきめ細やかな取組の方針を定めた生物多様性地域戦略の策定や改定を積極的に促してまいります。

 具体的には、委員御指摘の地域独自の目標設定や隣接自治体との連携についての観点を現在改定作業を進めている生物多様性地域戦略策定の手引きにおいて解説して、地方公共団体等が効果的かつ効率的に取り組むための指針の提供をしていく考えでございます。

 さらに、地方公共団体が次期生物多様性国家戦略と整合的な目標を含む地域戦略を策定できるように、専門家の派遣などの伴走的な支援をしてまいります。

日下委員 次に、サーティー・バイ・サーティーの質の確保についてお尋ねします。

 陸と海のそれぞれ三〇%以上を面的に生物多様性の観点から保全するというものですが、質ということについては、どのように生物多様性の保全、回復を担保し、どう評価していこうとされるのか、農水省との連携も含め、西村大臣の御所見を伺います。

西村(明)国務大臣 我が国におけるサーティー・バイ・サーティー目標は、国立公園等の保護地域の拡張と管理の質の向上及び保護地域以外で生物多様性保全に資する地域、いわゆるOECMの設定による達成を目指しております。

 このうち、後者のOECMにつきましては、自然共生サイトとして質に関する基準等に基づき認定するとともに、認定後も質が維持向上されているかを定期的に確認してまいります。その際、民間事業者による管理が持続可能なものとなりますように、インセンティブの方策等について検討を進めてまいります。

 OECMには里地里山なども含まれ得ると考えておりまして、生物多様性に配慮した農業生産方法の推進などを通じまして、農林水産省との連携を強化しながらサーティー・バイ・サーティーの実現に取り組んでまいりたいと考えています。

日下委員 ありがとうございます。質につきましては、絶滅危惧種のカバー率等も考慮に入れていただきますように、よろしくお願いいたします。

 今、農水省でもみどりの食料システム戦略が実施され、農政の憲法とも言える食料・農業・農村基本法の来年度改正に向けた検討が進められております。

 基本法では、自然生態系を含む多面的機能はうたわれているものの、生物多様性保全など、環境保全の位置づけが不十分との指摘もございます。環境保全型農業の推進に向け、日本農業の持続性向上及び生物多様性の保全等の取組を強化していただきたいと思いますが、農水省の御所見を伺います。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 農業は、自然資本に立脚する産業でございまして、生産力の向上と生物多様性の保全等の環境負荷低減の両立が重要であると考えてございます。

 このため、農林水産省では、令和三年五月にみどりの食料システム戦略を策定しまして、持続可能な食料システムの構築に向けて、化学農薬、化学肥料の低減や有機農業の推進など、環境負荷低減に向けた目標を定めるとともに、翌令和四年にみどりの食料システム法を制定するなど、施策の具体化に取り組んでいるということでございます。

 さらに、みどり戦略や、昨年十二月のCOP15で採択されました昆明・モントリオール生物多様性枠組を踏まえ、今月末に農林水産省としての生物多様性戦略を改定する予定ということでございます。

 委員の御指摘がございましたように、引き続き、農林水産省としましても、環境省といった関係府省と連携しながら、農業の持続性の向上と生物多様性の保全の取組の充実に努めてまいりたいということでございます。

日下委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 次に、生物多様性のこれ以上の損失を止め、反転させるためには、環境影響評価制度の見直しも必要になると思います。今、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、先ほどもメガソーラーの話がございましたけれども、陸上、洋上など風力発電の増設計画も急ピッチで進められているところでございますが、開発をめぐり、地域住民からの反対運動が起きるケースもございます。生物多様性保全の観点から環境影響評価の充実強化を是非お願いしたいと思いますが、西村大臣の御所見を伺います。

西村(明)国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラルや二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の達成に向けまして、再エネの最大限の導入は不可欠でございます。

 他方、近年、山間部におきまして大規模な森林開発を伴う風力発電の計画が増加するなど、生態系損失の懸念と、地域とのコミュニケーション不足に起因した懸念が高まっているというふうに認識しております。

 このため、地域の合意形成を丁寧に図り、生物多様性を含む環境への適正な配慮がなされ、かつ地域に貢献する再エネ事業を推進することが重要でございます。環境影響評価制度の果たす意義は大変大きいと考えています。

 陸上、洋上風力それぞれの特性に応じて環境配慮を効果的、効率的に確保できるように、陸上につきましてはより適正な立地を図る観点での制度設計、洋上につきましては環境省がアセスの一部を実施するセントラル方式の導入、こうしたものを含め、風力発電に係る環境影響評価制度の見直しを進めてまいります。

日下委員 次に、海洋プラスチックごみ対策についてお尋ねします。

 このまま海洋へのプラスチックの流出が続くと、二〇五〇年には海洋へのプラスチックの流出の累積量が海洋中の魚の量より多くなるとの試算も示され、大変深刻な問題であることを認識いたしました。

 二〇一九年のG20において海洋プラスチックごみ問題に関して合意された大阪ブルー・オーシャン・ビジョン、これは日本が提唱したもので、主導的立場にございます。

 海洋プラスチックごみに関しては、発生抑制、リサイクルの取組を通じた、陸域からの流出防止と海域に流出したごみ処理の両輪によって対策を進めていくということですが、日本近海における漂流・漂着ごみ、そして海底ごみの分量や素材の種類などをまず把握していくことが求められ、国際合意のある統計手法の確立も急務となっています。

 これまでの環境省の取組、今後の方向性などをお聞かせいただきたいと思います。

小林副大臣 海洋プラスチックごみ対策では実態把握が重要でありますが、現時点で国際的に合意されたモニタリング手法や統計というものは確立しておりません。

 そのため、環境省では、平成二十二年度以降、全国各地の漂着ごみの多い海岸等において漂着ごみの組成や流出元と見られる国を確認する実態把握を実施しておりまして、瀬戸内海を含む日本周辺の海域における状況の把握に努めてまいりました。令和三年度からは、日本における海洋プラスチックごみの発生量を推計する手法の開発を行っております。

 また、令和元年には、海洋プラスチックごみのモニタリング手法について、国際的なガイドラインの策定と、モニタリングデータを国際的に集約するデータベースの構築を主導するとともに、知見の共有を促進するための地域ナレッジセンターを設立するなど、科学的な知見の集積と共有に取り組んでまいりました。

 今後も引き続き、科学的知見の蓄積、共有に積極的に貢献をし、プラスチックを始めとした海洋ごみの実態把握に尽力してまいります。

 以上です。

日下委員 全ては実態把握から始まりますので、どうぞよろしくお願いします。

 一方で、世界の海洋プラスチックの流出量を見ると、日本は非常に低いわけでございますけれども、中国や東南アジアなど、アジア地域が約五割を占めていることが推計されています。日本のリーダーシップによってこうしたアジアの国々を巻き込んでいく取組が極めて重要であると思いますが、環境大臣の所見をお伺いします。

西村(明)国務大臣 海洋プラスチックごみ対策では、委員御指摘のように、世界全体での取組が不可欠でございまして、環境、海洋中に流出する海洋プラスチックごみの約半分がアジア地域に起因するという報告もございます。アジア地域での取組は特に重要だというふうに考えております。

 我が国は、地域ナレッジセンターの設立や、東南アジアを中心とした途上国での技術研修、国別行動計画の策定を支援するなど、各国の対策を後押ししているところでございます。

 また、昨年の十一月から始まりました条約交渉におきましては、環境省の地球環境審議官がアジア太平洋地域の代表候補に選出されておりまして、地域会合を主催するなど、域内の議論促進にも貢献したところでございます。

 大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの提唱国として、途上国の支援、そしてプラスチック汚染に関する条約作り、これを今後もしっかりと主導してまいります。

日下委員 ありがとうございます。

 次に、こうした取組を地域レベルに落とし込むローカル・ブルー・オーシャン・ビジョンについてお尋ねいたします。

 私の地元瀬戸内海は多島美で知られ、観光地としても、漁場としても、また各種船舶の重要な航路でもございます。この瀬戸内海は内海ですので、海外からのごみの流入、漂着は余り見られないことが分かっております。すなわち、周辺県のプラスチックごみの調査、発生抑制、回収、効果の検証など、PDCAサイクルを効果的に回していける、ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョンのモデル地域になる適地だと考えますが、西村大臣の御所見を是非お聞かせいただければと存じます。

西村(明)国務大臣 ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン推進事業は、自治体や企業などが連携して海洋ごみ対策を行うモデル事業を推進するものでございます。例えば、トラックの運転席にごみ箱を設置してポイ捨てを防ぐ、また、観光しながらゲーム感覚でごみ拾いをしていただく、こうした取組などが行われております。こうした案件の大半は瀬戸内地域でありまして、まさに海洋ごみ対策の先進地域と言ってもいいと思います。

 また、御指摘のように、瀬戸内海の海洋ごみはほとんどが国内由来でありますので、地域での対策の効果が表れやすく、対策効果の検証に適しているというふうに認識しております。

 二月には、広島市で海洋プラスチックごみ対策のシンポジウムを開催して、瀬戸内地域を始めとする地域の取組を全国に向けて発信いたしました。引き続き、瀬戸内地域の御協力をいただきながら海洋ごみ対策を進めてまいりたいというふうに考えております。

日下委員 ありがとうございます。

 次に、国産の次世代型太陽電池、ペロブスカイトについてお聞きします。

 フィルム化され、軽量なため、屋根や壁面などに有効活用され、従来のものと遜色のない発電量が確保できると聞いております。また、先月、広島大学と京都大学の共同研究チームは、塗って作れる次世代の太陽電池であるOPVについて、半導体ポリマーの結晶化促進により、有機太陽電池の高効率化、従来の約二倍に成功しております。

 私は、国内の工場などに多く見られるスレート屋根にも活用できるのではないかと思います。スレート屋根は、セメントに繊維素材を混入して強化した薄い板状の素材で、耐久性や耐候性に優れ、軽量で施工しやすいのが特徴でございますが、耐重性、重さには弱く、既存の太陽光パネルを設置している屋根は余り見かけません。炎天下など直射日光を受けるスレート屋根の下で働く工員の方たちは、クーラーも利かないところで作業を行っている場合も多く、労働環境としても苦労されていると思います。

 環境省としても、企業等による自家消費型太陽光発電、自家消費PPAを促進しておられますが、初期投資ゼロ円で自家消費し、系統電力より経済的になるこの仕組みを、スレート屋根などの工場、かなり大きな面積になると思いますし、最も電力を消費する分野でもございます、また、環境への影響も少ないものと思われます、スレート屋根の上に薄型太陽電池を設置するだけでも直射日光は防げますから、まさに一石三鳥の効果があると思います。是非推進していただきたく思いますが、西村大臣の御所見をお聞かせいただければと思います。

西村(明)国務大臣 環境省におきましては、初期費用ゼロで設備導入が可能な仕組みの支援等を通じまして、太陽光発電設備の導入を促進しているところでございます。

 今、日下委員御指摘のペロブスカイト太陽電池は、既存の太陽電池では技術的に設置が困難な、今お話のあったところでございますが、そうした住宅や建築物の屋根や壁面、窓等への搭載が可能でございまして、更なる太陽光発電の導入や温室効果ガスの排出削減に貢献するものと認識しております。

 二〇三〇年までの社会実装に向けまして、経済産業省において、グリーンイノベーション基金を活用しながら、研究開発から社会実装までを一気通貫で支援しております。

 この次世代型太陽電池が実用化された際には、環境省といたしましてもその普及促進に取り組んでまいります。

日下委員 次に、土壌汚染対策法についてお尋ねいたします。

 土壌汚染対策法は、平成十四年に成立し、翌十五年に施行されております。そもそもは、有害化学物質を取り扱う工場などが取り壊される場合に、その立地していた土壌にしみ出した有害物質を適正に処理することを趣旨としていたと思われますが、そういう人が作り出した有害物質とは別に、三千平米以上の土地の形質の変更がある場合には届出を行い、調査をしなければならないとされております。

 それは、道路やトンネル工事を行うために山を切り出したりトンネルを掘ったりする際に出る土にも自然由来のヒ素や重金属などが含まれることがあるからです。その場合には、土壌汚染の除去、すなわち熱処理や洗浄処理、化学処理などを行わなければなりません。

 先日、新聞記事で見ましたが、北海道新幹線の建設費、当初予算から、資材高騰や地質不良などへの対応として六千四百五十億円の増額が計上され、そのうち自然由来の重金属を含むトンネル発生土の処理として約一千億円が計上されており、余りにも高額な処理費用に驚いた次第でございます。

 重金属等の土壌溶出量の基準としては、例えば地下水など井戸水として飲んだ場合、七十年間毎日二リットルを飲用しても健康に有害な影響がない濃度と、非常に厳しい基準に設定されています。井戸水を日常的に飲む地域ではあり得ると思うのですが、今、ほとんどの地域では水道水を使っているという状況でもございます。

 これまでも随時同法の改正が進められてきたことは承知しておりますが、自然由来の土壌については、その後の使われ方、盛土にする場合などにはその土地、地域の特性などを踏まえ、環境基準をもう少し柔軟に考えたとしても、環境影響調査、モニタリング調査などをより充実させることで透明性や安全性を担保し得るのではないか、処理費用もぐっと抑えられるのではないかと思うのですが、環境省の御所見を伺いたいと思います。

小林副大臣 環境省が所管いたします水、大気、土壌などの環境を守る環境法令は、環境保全が十分に図られることを前提としつつも、法の施行状況を踏まえ、各関係者の御意見を伺いつつ、必要に応じて規制の在り方について検討していくことが重要であります。

 委員御指摘の土壌汚染対策法における自然由来で汚染された土壌の取扱いについては、これまでにも規制合理化の御意見を各方面からいただいている課題であります。

 環境省では、直近の平成二十九年の法改正において、同等の自然由来で汚染された他の区域への移動を可能とするなど、リスクに応じた規制の合理化を実施したところであります。

 今後も、法の施行状況を踏まえ、環境保全が十分に図られることを前提に、必要に応じ、より柔軟な制度の在り方を検討してまいりたいと考えております。

日下委員 ありがとうございます。

 最後に、JESCOの活用についてお伺いいたします。

 JESCOは、PCB廃棄物処理事業を行う政府全額出資の特殊会社です。同社は、平成十六年に操業を開始した北九州事業所を始め、東京、大阪、愛知、北海道の全国五か所においてPCB廃棄物の処理を行ってまいりました。各地の高濃度PCB廃棄物の処理が順次終了し、間もなく全ての事業所がその使命を終えると聞いております。

 一方、このJESCOでございますが、廃棄物処理などに関係する専門家に伺うと、PCB廃棄物の処理にとどまらず、過去の有害農薬による土壌汚染やアスベスト、今問題視されているPFASなどの処理についても安全かつ適正に行える、世界にも類を見ない高レベルなプラントであると聞いております。

 まず、この点について、JESCOの特性や能力評価、またプラントが立地する周辺地域への環境負荷、雇用状況等について御説明いただければと存じます。

土居政府参考人 JESCOが行っております高濃度PCB廃棄物の処理につきましては、廃棄物の性状や立地周辺の特性などを踏まえまして有識者を交えた技術的検討を行った上で、約千五百度の高温でのプラズマ溶融分解という処理を実施しておるところでございます。

 この温度につきましては、一般論といたしまして、農薬、アスベスト、PFOSなどを処理可能な温度域であります。PCB以外の廃棄物につきましては現状、民間の廃棄物処理業者で処理が行われておりますので、JESCOにおきましては高濃度PCB以外の廃棄物について技術的検証を行ってはいないというのが現状でございます。

 また、環境負荷についての御質問につきましては、これまで周辺環境に影響を与えるような重大なトラブルは発生しておりません。さらに、運転会社も含めますと、全国で約千名を超える雇用を創出しているというのが現状でございます。

日下委員 今後、ますます、老朽化したビル等の解体も進み、アスベスト処理の需要も高まると思われます。また、新たな高濃度PCB廃棄物も出てくる可能性もございます。PFASの問題についても適正な処理が必要になるのではないかと思います。途上国への貢献も考えられます。

 こうした状況を考えますと、JESCOを全て解体してしまうのは国益にかなうものかと疑問を抱くわけでございます。当然、存廃については地域住民、自治体の理解が大前提になることは論をまたないのでございますが、技術の継承という観点からも一か所でも残せないものかと考えるところです。環境大臣の御所見をお聞かせいただければと存じます。

西村(明)国務大臣 日下委員御指摘のとおり、高濃度PCB廃棄物を始め、有害廃棄物の無害化処理の実施については大変重要な問題だと思っております。

 高濃度PCB廃棄物については、JESCOがその立地自治体及び地元関係者との約束に基づいて処理を進めているものでございまして、まずは約束した期限内の確実な処理完了に向けて取り組んでまいります。

 そのほかの有害な廃棄物につきましても、民間の廃棄物処理業者が適正に処理を行えるように、処理基準やガイドラインの策定、無害化処理施設の認定等を通じまして処理体制を構築してきたところでございます。

 今後も、高濃度PCB廃棄物及びその他有害な廃棄物の処理が安全かつ円滑に行われるように、既存の利用可能な処理施設の有効活用も含めて、今後とも必要な検討を行ってまいります。

日下委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十三分散会


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