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第3号 令和5年4月4日(火曜日)

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令和五年四月四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古賀  篤君

   理事 菅家 一郎君 理事 堀内 詔子君

   理事 務台 俊介君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 篠原  孝君 理事 森田 俊和君

   理事 漆間 譲司君 理事 輿水 恵一君

      石川 昭政君    石原 宏高君

      石原 正敬君    今枝宗一郎君

      国定 勇人君    武村 展英君

      中西 健治君    穂坂  泰君

      宮澤 博行君    八木 哲也君

      柳本  顕君    山口  壯君

      近藤 昭一君    坂本祐之輔君

      堤 かなめ君    馬場 雄基君

      松木けんこう君    奥下 剛光君

      空本 誠喜君    日下 正喜君

    …………………………………

   環境大臣         西村 明宏君

   文部科学副大臣      井出 庸生君

   経済産業副大臣      太田 房江君

   環境副大臣        山田 美樹君

   環境副大臣        小林 茂樹君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   環境大臣政務官      柳本  顕君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            覺道 崇文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           森  政之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       美濃 芳郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           笹路  健君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            秦  康之君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           上田 康治君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   参考人

   (原子力委員会委員長)  上坂  充君

   環境委員会専門員     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

四月三日

 気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力委員会委員長上坂充君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房GX実行推進室次長龍崎孝嗣君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官覺道崇文君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官森政之君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長美濃芳郎君、経済産業省大臣官房審議官笹路健君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官白石隆夫君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長松澤裕君、環境省水・大気環境局長秦康之君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君、環境省総合環境政策統括官上田康治君、原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自民党の菅家一郎でございます。ひとつよろしくお願いをいたします。

 まず、ALPS処理水の海域環境モニタリングについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 政府は、令和三年四月のALPS処理水の処分に関する基本方針において、二年を目途に処理水の海洋放出を開始する方針を決定しました。今年夏頃までに海洋放出を開始する方針と承知しております。基本方針では、海洋放出に先立って、ALPS処理水を大幅に希釈した上で実施することとされています。

 しかしながら、依然として地元の漁業関係者が懸念を示し、中国は処理水の放出に反対する立場を改めて表明しているほか、韓国大統領府も継続している水産物の輸入規制を緩和する方針はないことが先月報じられています。

 このため、放出される処理水の科学的な安全性を国際社会に発信していく、また、科学的根拠のあるデータを示すことで風評影響を抑制する観点からもその海域環境モニタリングがより重要であると考えており、環境省では、昨年から、海洋放出に備え、モニタリングを実施していると承知しております。

 そこで、お伺いしますが、放出される処理水の科学的根拠に基づいた安全性を訴えるため、関係各省とも連携しながら、より分かりやすく、速やかにモニタリングの情報提供をしていくことが不可欠であると考えますが、西村環境大臣から、海域環境モニタリングの今後の取組方針を伺いたいと存じます。

西村(明)国務大臣 ALPS処理水につきましては、菅家委員の御指摘のとおり、速やかに、そして、より分かりやすく海域モニタリングの状況を公表するということが重要だと考えております。

 環境省といたしましては、これまで、海域の状況の正確な把握のため、精度を優先して時間をかけて分析してまいりましたけれども、放出の開始後は、これに加えて速報性を優先した分析も実施して、速やかに結果を公表する予定でございます。

 また、原子力規制委員会や水産庁、福島県といった他の機関のモニタリングも含めて分析結果を一元的に掲載したウェブサイトを二月に開設いたしたところでございます。他地域との比較を示すなど、分かりやすい発信に努めておりまして、今後もより一層の改善を図ってまいりたいと考えています。

 引き続き、客観性、透明性、そして信頼性の高いモニタリングを徹底して、関係省庁とも連携しながら情報提供を進めていくことで、風評影響の抑制につなげてまいりたいというふうに考えています。

菅家委員 是非、ここは重要な対策だと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。

 また、海洋放出に伴う風評影響が懸念されておりますが、風評は、科学的知見に沿った説明を尽くしたとしても発生し得る難しい問題であると考えております。それゆえ、是非、各事業者に寄り添って、政府全体でその影響を乗り越える徹底した取組をしていただく必要があると考えております。

 そこで、お伺いしますが、海洋放出に伴って風評影響が発生した場合でも、事業者に寄り添い、実態を把握して、その実態に応じてきめ細かな対応をお願いしたいと思いますが、決意、お考えを伺いたいと存じます。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放出に当たりましては、風評影響の発生抑止や抑制の観点から、その安全性につきまして説明責任を今一生懸命果たしているところですけれども、一千回以上にわたる説明、意見交換、テレビのCM、ウェブ広告、新聞広告、SNS等を通じまして、科学的根拠に基づく分かりやすい情報発信、これを行いますとともに、三陸、常磐物という形で、水産物の魅力発信や消費拡大に取り組んでいるところです。

 その上で、風評影響が発生した場合、発生した可能性のある事案を確認をした場合には、事業者へのヒアリング等により速やかに実態把握を行うとともに、実態に応じた適切な対応を取ることにいたしております。

 具体的には、水産物の需要減少等の風評影響が生じた場合、三百億円の基金、これを活用しまして、水産物の販路拡大や一時的買取り、保管への支援等を実施いたしますとともに、風評による損害が発生したという場合には、東京電力が適切に賠償を行うことにいたしております。

 引き続いて安全性確保と風評対策の徹底に取り組んでまいりますとともに、万一風評影響が発生した場合にも、以上のように、実態をしっかり把握しながら丁寧に対応してまいります。

菅家委員 やはりこの辺が不安だと考えておりますから、是非徹底した、連携して対応をしていただきたいと思います。

 次に、除去土壌等の再生利用について質問いたします。

 福島県内で生じた除去土壌等の中間貯蔵開始後三十年以内の県外最終処分という方針は、国としての約束であり、また、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法、いわゆるJESCO法にも規定された国の責務でもあります。

 平成二十八年に環境省が策定した中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略に基づき、再生資源化した除去土壌の安全利用に関する基本的な考え方が示されています。

 この基本的考え方の中では、利用先を管理主体や責任体制が明確となっている公共事業等で、再生利用可能濃度は八千ベクレル・パー・キログラム以下を原則とし、覆土等の遮蔽、飛散、流出の防止、記録の作成、保管等の適切な管理の下で、再生資源を限定的に利用することとされています。また、技術的な問題もありますが、再生利用には国民的な理解をどのように醸成していくかということも課題となっていると思います。

 そこで、伺いますが、安全性が確保された除去土壌等の具体的な再生利用の進捗状況について、国民的な理解の醸成の取組を含めてお伺いをしたいと思います。

西村(明)国務大臣 除去土壌の再生利用につきましては、これまで福島県内での実証事業において安全性を確認してきておりまして、今後、これらの結果を踏まえて制度的な検討を行った上で、再生利用の実施につなげてまいりたいと考えています。

 再生利用を実施するに当たりましては、今、菅家委員から御指摘がありましたように、国民の皆様の御理解が大変重要だというふうに認識しております。今年度開催した対話フォーラム、三回開催したわけでございますが、その全てに私も参加いたしまして、皆様から貴重な御意見、そしてまた御質問をいただいて、有意義な、気づきのある会合であったというふうに考えております。

 また、全国各地での対話フォーラムに加えまして、除去土壌を用いた鉢植えの設置、これは環境大臣室はもとより、総理官邸、また復興大臣のお部屋等々に置いてありますけれども、こういった鉢植えの設置、実証事業の現地見学会、高校生、大学生などへの講義、こういった取組を進めているところであります。

 これまでの実証事業を通じて得た科学的知見を活用いたしまして、引き続き、除去土壌の県外最終処分や再生利用についての国民の皆様の御理解が深まるように努力を積み重ねてまいりたいと思います。

菅家委員 やはり国民の理解というのは極めて重要でございますので、今大臣が答弁された中身を十分に踏まえて取り組んでいただきたいと思います。

 福島県の除去土壌等の問題は、当然、環境省だけが責任を負うものではなくて、政府全体として、その解決のために、関係省庁が連携して進めていく必要があると私は考えております。例えば、再生利用のため、国土交通省などの公共事業においても、除去土壌等を再生利用する場合の様々な支援について検討を進めていく必要があると考えます。

 そこで、お伺いしますが、安全性が確保された除去土壌等の再生利用について、国土交通省など関係省庁の取組の現状、今後の取組方針についてお伺いをしたいと思います。

土居政府参考人 除去土壌の再生利用に関します関係省庁との連携につきましては、福島県内で実施しております実証事業を対象に、飯舘村長泥地区での農地造成につきましては農林水産省及び復興庁と、また、中間貯蔵施設内で行っております道路盛土の造成につきましては国土交通省とそれぞれ連携をしておりまして、技術的なアドバイスをいただいている最中でございます。

 今後、関係省庁と連携しまして、実証事業の成果の技術的な取りまとめを行い、制度的な検討も進めるとともに、再生利用先の創出につきましても、関係省庁などの連携強化を図りまして、政府一体となって、地元の理解を得ながら具体的に進めてまいりたいと考えております。

菅家委員 是非よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 次に、脱炭素をめぐる施策の現状についてお伺いをさせていただきます。

 日本は、二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として、二〇三〇年度までに二〇一三年度比で温室効果ガス四六%削減、さらに五〇%の高みに向けて挑戦と掲げております。炭素中立型経済社会の実現に向けては、特に私たちの暮らしの場である地域において、特色ある地域資源を最大限に生かした地方自治体等関係者の主体的な取組が重要とされています。

 現在、地域脱炭素のロードマップに基づき、脱炭素先行地域の取組が行われています。脱炭素先行地域については、現在までに四十六か所の地域が選定されております。さらに、地域脱炭素ロードマップでは、二〇三〇年までに百か所以上の脱炭素先行地域を実現し、脱炭素を通じて様々な地域の課題を解決し、全国に脱炭素ドミノを起こしていくことが掲げられております。

 そこで、お伺いいたしますが、こうした目標達成に向けて、二〇五〇年カーボンニュートラルへの課題と実現可能性及び目標達成に向けた実効性ある道筋を政府としてどのように示していく方向か、お伺いをしたいと思います。

西村(明)国務大臣 まず、今のお答えの前に、先ほど、今年度三回、対話フォーラムのお話をいたしましたが、私が就任して以降、三回全てに参加したということでございますので、補足させていただきます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、既存の技術を最大限活用するとともに、イノベーション、これを創出して、新たな脱炭素技術を社会実装していくことが何より必要であろうというふうに考えています。

 政府全体といたしましては、こうした大きな方向性をパリ協定に基づく長期戦略で示して、本年二月には、これを踏まえて、今後十年のロードマップとしてGX基本方針を閣議決定いたしました。この基本方針に基づいて、今後十年で百五十兆円超のGX投資を実現してまいります。

 環境省といたしましても、地域、暮らしの脱炭素に向けた取組などを通じて、再エネなどの既存技術の導入を進めるとともに、例えば蓄電池や水素などのイノベーションを創出して、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えています。

菅家委員 是非前向きに取り組んでいただきたい、このように思います。

 次に、今国会では、熱中症対策の一層の強化を図るため、気候変動適応法の改正案が提出されています。近年、死亡者数が増加傾向にある熱中症対策は急務であると言えます。熱中症は誰もがかかる可能性のある疾病ですが、とりわけリスクが高いとされる子供についての熱中症対策をお伺いしたいと思います。

 私は、子育て、乳幼児が、エアコンがあって快適な環境であることによっての汗腺数が減ってしまうんじゃないかという危惧をしているわけですが、こういった子供の熱中症対策の考え方で、子供のいる家庭における熱中症対策について特にどのような注意点や配慮が必要か、そして、あわせて、エアコン利用と子供の汗腺の発達の関係性について調査し、その結果を踏まえ対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 思春期前の子供につきましては、汗腺を始めとした体温調節能力が十分に発達していないということで、熱中症のリスクが高くなります。

 このため、熱中症弱者である子供につきましては、熱中症警戒アラートの発表時などには、エアコンの適切な使用など予防行動を取っていただくということが重要であり、関係府省庁と連携をして周知に努めているところでございます。

 また、御指摘の体温調節能力を発達させるという観点からは、日頃から適度に外で遊ばせて、暑さに慣れさせることも重要であるということで、こうした点につきましてもしっかりと周知してまいりたいと存じます。

菅家委員 時間となったので、終わります。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。立憲民主党の近藤昭一でございます。

 今日も環境委員会で質問の時間をいただいたこと、感謝申し上げたいと思います。

 実は、この委員会でも東日本大震災、東電福島第一原発事故に関連しての質問を何回かさせていただいているところであります。その中でのテーマ、子供たちの甲状腺がんの問題についても質問させていただいているところであります。今日もその問題に関連して質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 環境省はホームページに、国連科学委員会、UNSCEARの二〇二〇年報告書概要というのを掲載して、その結論を環境省は支持しているということであります。改めて申し上げますと、報告書の名前は、二〇一一年東日本大震災後の福島第一原子力発電所における事故による放射線被曝のレベルと影響ということであります。この概要は、被曝した子供たちの間で甲状腺がんの検出数が大きく増加しているとしています。

 さて、そういうことでありますので、その報告書に書かれているわけであります。つまり、甲状腺がんの多発はUNSCEARも環境省も認めているということでいいかどうかを確認したいと思います。イエスかノーかでお答えいただけるとありがたいです。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 UNSCEAR、国連科学委員会の報告書のプレスリリースにおきましては、被曝した子供たちの間で甲状腺がんの検出数が予測と比較して大きく増加していると記載されておりますが、この点につきましては、検出数が大きく増加している原因は放射線被曝ではない、むしろ非常に感度が高い若しくは精度がいいスクリーニング技法がもたらした結果であり、以前は検出されなかった集団における甲状腺異常の罹患率を明らかとしたにすぎないと記載されております。

 検出数が大きく増加しているとは記載されておりますが、甲状腺がんの多発については記載はされておりません。

近藤(昭)委員 今部長からお答えがあったわけでありますけれども、スクリーニングをした結果である、感度のいい、被曝の影響ではないと断定的におっしゃった気がいたします。そのことを一つ確認したいということと、被曝した子供たちの間で甲状腺がんの検出数が増えていることは確認しないというか認めていない、こういう理解でいいんでしょうか。ちょっと確認したいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの答弁では、報告書に書かれていることを忠実に引用させていただきました。

 繰り返しになりますけれども、このスクリーニング技法によって以前は検出されていなかった集団における甲状腺異常の罹患率を明らかにしたにすぎないと。つまり、通常は症状に気づいて受診をして甲状腺がんが見つかるということですが、現在福島県ではスクリーニングをやっておりますので、その結果、無症状の方も含めて検出されているということでございます。

近藤(昭)委員 そうすると、被曝したことによる甲状腺がんではないけれども、かもというか、そういう報告書のあれかもしれませんが、スクリーニングの結果、甲状腺がんの検出数は増えている、こういうことの確認はよろしいでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 検出数が増えているということは報告書にも記載されております。

近藤(昭)委員 今、報告書の中でおっしゃったわけでありますが、検出数は多い、しかしながら甲状腺がんが多発しているということは報告はされていないということをおっしゃったんでしょうかね。それの確認と、そうすると、検出数が多いのにがんは多発はないという、その根拠はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 福島県以外でも、三県調査というのを実施しております。青森県、山梨県、長崎県で同様のスクリーニング検査をやった結果、同じような形で発見されておりまして、福島県に特別に検出される、検出数が増えるということではないという確認は取れてございます。

近藤(昭)委員 そうした報告があるというのは、私もどこかで読んだ記憶はあるわけでありますけれども。検出数が多いということをお認めになったわけでありますけれども、ほかのところと、今幾つか検査のことをおっしゃられましたが、そうしたところに比べて多いという認識ではないということでしょうかね。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの繰り返しになりますけれども、以前は検出されなかった集団における甲状腺異常の罹患率を明らかとしたにすぎないということがUNSCEARの報告書に書かれておりますので、数自体が増えたということではないと認識してございます。

近藤(昭)委員 なかなかちょっと分かりにくいところもあるわけでありますが、時間もありますので、次の質問に行きたいと思います。

 報告書では、放射線被曝の推定値から推測される甲状腺がんの発生を評価し、子供たちや胎内被曝した子供を含む、対象としたいずれの年齢層においても甲状腺がんの発生は見られそうにないと結論づけたとあるわけでありますが、これは被曝の推定値から推測すると甲状腺がんは発生しないはずだという意味であるかどうか、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 放射線被曝による甲状腺がんの発生につきましては、委員御指摘のとおりと承知してございます。

近藤(昭)委員 いや、私の指摘というか、ですから、この報告書で甲状腺がんの発生は見られそうにないと結論づけたわけでありますが、被曝の推定値から推定すると甲状腺がんは発生しないだろう、これを私の認識とおっしゃっているのかもしれませんが、こういうことでよろしいんでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 丁寧に読みますと、放射線被曝の推定値から推測される甲状腺がんの発生を評価し、子供たちや胎内被曝した子供を含む、対象としたいずれの年齢層においても甲状腺がんの発生は見られそうにないと結論づけたということですので、放射線被曝の推定値からの結論ということで理解してございます。

近藤(昭)委員 そうすると、ちょっと認識をお聞きしたいんですが、被曝の推定値の値というのは、ある種被曝の量は低いと受け止めていらっしゃるということでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 UNSCEARの報告書ではそのような認識で記載されていると認識してございます。

近藤(昭)委員 UNSCEARの認識としてはそう書いている、つまり被曝の値は必ずしも高くないということ。そして、それを冒頭申し上げましたように環境省ホームページで掲載し、その結論を環境省は支持しているわけでありますから、そういうふうに報告されているということとともに、それを了としているというか、承認しているということでよろしいでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 国連科学委員会で幅広い研究結果を包括的に評価して、国際的な科学コンセンサスを政治的に中立の立場からまとめたものだということでございますので、それを重く受け止め、周知に努めているということでございます。

近藤(昭)委員 周知に努めているということは、間違ったことを周知するということはないでありましょうから、そうしたいろいろな知見を基にされていることだ、だから一定の了解をしてこれを広めている、こういう理解でよろしいでしょうか。改めて、済みません。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 今、福島県の子供たちは非常に被曝の影響ということで不安をお持ちでございます。また、風評ですとか将来の差別、偏見というようなことも心配してございます。

 国連の科学委員会で、健康影響は出そうにないというような子供たちにとって非常にいい報告がまとめられたということでございますので、そういった不安を払拭する、あるいは風評を払拭するという観点から環境省としてもその周知啓発に努めているということでございます。

近藤(昭)委員 分かりました。子供たちが大変に不安を抱いているというところの認識は一緒であります。やはり大きな不安を抱いている。

 ただ、その後のことは、だからこの報告書が安心につながっているかどうかというのは、違った意見もあるのではないかと私は思っています。以前の環境委員会で小泉大臣のときにも質問させていただいたときに、そうした報告なども受け止めながら、被曝と甲状腺がんは関係はないという意見もあるが、政府もそういう方向性が強いが、違う、その不安を受け止めてほしいという要請をさせていただいたこともあってですね。前提は私もよく理解するところでありますが、その後のお話は、私はちょっと違うと思うんですね。私とは違うと思うんです。

 それで、一つ質問したいのは、被曝の推定値がどのように推定されたか、被曝の推定値が正しいかということなんです。環境省は、UNSCEARの報告書の推定の仕方及び基のデータと、実際に存在しているモニタリングポストのデータ、その二つをきちんと確認していないのではないかと疑われているということもあるそうでありますが、そのことを御存じでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、UNSCEAR報告書に対する個別具体的な指摘の全てを把握してはおりません。UNSCEAR報告書は政治的に中立の立場で取りまとめられたものであり、その評価につきましては、学会等の場における国内外の専門家の幅広い議論に委ねたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 つまり認識していないということなんでしょうかね、それは。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 UNSCEAR報告書についていろいろな議論があるということは承知しておりますが、個々の具体的な指摘の全てを把握しているわけではないということでございます。

近藤(昭)委員 全てを把握しているかどうかを聞いているわけではなくて、そのような指摘があるということを認識しているかということでありまして、きちっとお答えいただいていないと思います。

 さて、時間もありますので、ここで指摘をしたいと思うんですが、UNSCEARの推定は、寺田論文で示されたモデル、ATDMを用いて、福島のヨウ素131とセシウム137の土壌沈着量から大気中濃度を逆算して行われています。一方で、実際に存在しているデータ、先ほど二つのデータがあるという話をしましたが、実際に存在しているデータとは福島県のモニタリングポストのデータでありまして、三月十五日から十六日にかけて紅葉山を襲った最大のプルームが、放射能の雲でありますが、通り過ぎたときの大気中の濃度であります。

 二つを比べると、UNSCEARの報告書の推計した大気中の濃度と地表への沈着量は実際の紅葉山の大気中の濃度データの百分の一にすぎないと指摘されているのであります。つまり、百分の一にすぎない大気中濃度から推計した被曝の推計値は過小評価だという指摘なんですね。

 先ほど御答弁の中にあったように、認識をしないというようなことでありましたが、そういう指摘があるということを個別には認識しておられないようでありまして、そういうことの中でUNSCEAR報告を、大変失礼な言い方でありますが、うのみにしているのではないか、そのまま受け入れているのではないかという疑念があるわけであります、懸念があるわけであります。西村大臣はそのような疑いというか、不安というか、懸念が持たれているということを御存じかどうか、教えていただきたいと思います。

西村(明)国務大臣 今、近藤委員御指摘の、環境省がUNSCEARの報告書をうのみにしているのではないかという疑いを持たれていることではないかということでございますが、これに関しては承知しておりませんけれども、原子放射線の影響に関する国連科学委員会、UNSCEAR、これは、先ほど環境保健部長からもお話があったように、幅広い研究結果を包括的に評価して、国際的な科学コンセンサスを政治的に中立の立場からまとめて、定期的に報告書の形で見解を発表している、そういうものだというふうに承知しております。

 なお、環境省とすれば、委員御指摘のように、福島の子供たちの不安、こういったものがあるのは承知しておりますので、福島県の甲状腺がんの子供に対しましてはピアサポートなどの支援を行うほか、放射線の健康影響に係る差別の被害を福島の子供たちが受けないように、風評払拭といった取組に関しましても進めているところでございます。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。しっかりと子供たちの不安な状況に寄り添ってもらいたいと思います。

 私は、先ほど来から部長からもお答えがありますけれども、幅広く様々な知見でやっていて、様々な角度から見ているんだから、ある種正しいんだというような認識で広めていらっしゃるのではないかと思います。

 ただ、そういう中で、甲状腺がんの多発の原因はスクリーニング効果だとおっしゃっているわけでありますし、UNSCEARの被曝の推計の基となる大気中の実データが使われていない、つまり百倍も違うわけでありますが、このことをやはり懸念する必要があるんだと思うんです。実データが使われていない、このことに対する問題点を政府としてはしっかりと、環境省としては確認する必要があるかと思いますが、いかがでありましょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、UNSCEARの報告書では包括的な評価がなされておりまして、今御指摘されたような大気中の放射性核種濃度のみならず、実際の食生活と行動についてのより包括的な知見に基づいて被曝線量を推定しているということです。

 また、甲状腺がんの発生状況、チョルノービリでは数年後に急激に増えております。そういった発生の動向等も踏まえて総合的な評価をした結果の報告書だというふうに受け止めてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

 今日のところは、これで質問を終了したいと思います。ありがとうございます。

古賀委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。立憲民主党、略称民主党の篠原でございます。

 今日は、二度目になりますけれども、神宮外苑の再開発問題について質問させていただきたいと思います。環境委員会ですけれども、環境委員会に深く関わるんですが、国交省、文科省とも深く関わりますので、どちらかというとそちらの方、二つの省庁を中心に質問させていただきますので、大臣は一番最後の出番までゆっくり議論を聞いていただきたいと思います。

 最近、私の感じですけれども、都内の繁華街を出歩く用事はないですし、ああいうところは余り趣味じゃないのでほとんど行かないんですけれども、銀座ぐらいは行きますよ、ビルがやたらに建っているような気がするんです、いっぱい。高層ビル建築ラッシュじゃないかと思います。

 もろもろ調べましたら、国交省に聞いたらそういうのは分からないとかと言うんですけれども、ちょっとネットなんかで調べると分かるわけですが、過去六十年間、一九六〇年から二〇二〇年までに、百メートル以上の高層ビルが四百八十棟できたそうです。そのうちの七五%は二〇〇〇年以降で、今も建築中だそうです。

 僕は余り六本木とかあっちの方に行かないんですけれども、麻布台ヒルズが三百三十メートルで一番高いというので。それから、二〇二七年にはトーチタワーというのが、どれぐらいか分からないんですが、東京駅前に三百九十メートルの建物ができるそうです。こういうところに建つのは全然構わないんですけれども。

 私が問題にしているのは、東京にある数少ない緑、みんなが親しんでいる公園、そこのところに、伊藤忠が百九十メートル、三井不動産が百八十五メートル、もう一つ、八十メートルのビルが建つのが。そんなところにビルを建てなくたっていいんじゃないのというのが私の基本的な疑問ですし、東京都民も国民もそう思っているんじゃないかと思う。幾らでもでかいビルを建てるところがあるのに、なぜそんなところに建てるのかと。

 古川政務官にお伺いしたいんですけれども、日本はどうもゾーニングが下手くそで、住宅地、商業地、公園とかの区分けができていない。都市計画制度というのはヨーロッパで都市が発達したので先にできているんですけれども、きちんと区分けする、ゾーニングをして、ここは商業地区だよ、ここは高い建物を建てていいんだよということをやって、ここは緑のところ、都市公園だからずっとそのままでいくんだというふうにしているところが多いんですよ。日本は何でそういうことができないんでしょうかね。やるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 明確なゾーニングを行うべきではないかとのお尋ねでございます。

 歴史的な背景、文化的な背景、こうしたものが国によって異なっているわけでございますが、我が国におきましても、このゾーニングの手法、とりわけ建築物の高さを規制するということについては、都市計画法について高度地区などの制度というものが定められているところでございます。これを具体的にどのように活用していくのかということについては、町づくりに責任を一義的に有する地方公共団体において、地域の実情に沿った形で運用されているものと理解をしております。

篠原(孝)委員 地方に任せていると。神宮外苑再開発問題だと東京都ということになりますけれども、私は国が前面に出てもいいんじゃないかと思います。余りにも区分けがなくて、でたらめにやっている。今、古川政務官がおっしゃったのはよく分かるんですが。

 私は、フランス、パリに三年いたんですけれども、あっちは城壁都市でできているから、農村部と都市部がくっきり分かれるわけですね。ですから、バルビゾン村とか、そこのところは三百年前に描いた絵の姿がそのまま残っている、一切開発させないんです。パリのペリフェリックという環状道路ですけれども、そこを一歩出ると緑の田園なんです。日本のように、簡単に言うと、でたらめ、乱開発、何だかんだと例外をつくっては次々に家を造っていく、道路を造っていく、そういうことをさせていないんですね。見事だと思います。

 日本は、神宮外苑の緑すら守れない、こういう情けない国じゃないかと思います。どうしてそうなったかというと、分からないでもないんですけれども、亡くなられましたけれども、中曽根民活、民活、民活と。

 知事をやっておられたからお分かりだろうと思いますけれども、地方自治体はみんな財政難だから公園の維持とかそういうのはできない、だから民間の活力を導入して、そして公園造りにも。民間でビルを建てたりするとお金がもうかるし、商業ビルになる。そちらの方から金を出してもらって、あるいは稼ぐ公園みたいな、そんな感じになっているんです。公園で稼ぐなんて、そんなことを考えなくたっていいと思うんですが、公然と行われて、何でもかんでも稼ぐ、民活、民活というのをやってきて、Park―PFI制度、公園ですね、公園の民活。経済的利益ばかりが優先されて、都市公園の本来の機能というのは失われちゃったんじゃないかと思いますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。

古川大臣政務官 委員からは様々な御経験を踏まえての都市の在り方についての御指摘をいただいたわけでございますが、確かに、パリなどを見れば、そのように、都市の部分、そして田園の部分、そういったものが明確に分かれているという御指摘はそのとおりかというふうに思います。

 一方で、パリの市内におきましても、旧市街のように歴史的な地域においては新しい開発が規制されていながらも、一方で、例えば、モンパルナスの駅の周辺には高層ビルがある、あるいは、エッフェル塔というものは当時のパリの都市景観からすると非常に違和感があるように思われた、ですけれども、今、これだけたってみれば、それがパリの一つの都市景観になっているというようなところもあろうかと思います。大切なことは、そうした町の在り方について市民が決めていく、市民の代表である自治体が責任を持って決めていくということが大事なのではないかと思っているところでございます。

 議員からはPark―PFIの制度というものについて民間の経済的な利益が優先されてしまっているのではないかというような御指摘をいただいたところでございますが、何でもかんでもこの制度を使うということを私どもも予定しているわけではございません。民間の活力を生かすのにふさわしいような場合についてはPark―PFIの制度を使っていただくということでございまして、あくまでも、これをあらゆる公園に適用していくという考えを持っているものではございません。

 都市公園に具体的に求められる機能というものは、私は立地環境や利用状況に応じて様々であると考えております。そのためにどうすればいいのかということを設置管理者が主体的に考えていただくということが大切かと思っております。

篠原(孝)委員 古川政務官のお答えになったとおりなんですね。ですけれども、日本の自治体は、住民、市民、都民、区民の話を本当に聞いているでしょうか。大体のプロジェクトを、多分、先進国で、これだけ非民主的に決められて、遂行されている国はないと思います。ほとんど行政と事業体が一致して、それでぱっぱぱっぱ進めていく。

 環境アセスメントというのがあります。環境アセスメントの評価審議会でやって、環境上よくない、風景を乱す、自然環境を壊すと。神宮外苑の再開発の場合は樹木をみんなばさばさ切る、こんなのはあり得ないことなんですけれども、これはおかしいといって、いっぱい注文が出ているわけです。だけれども、ばっと進めちゃっていて止められないんですよ。アセスでもって、ここは問題だからと止まったのは一つもないと聞いています。

 ほかの国は計画を立てて実行する前に市民の意見を聞いているんです、住民の声を聞いているんです。我が国はその辺のところで行政と事業体が一緒になって、そっちへ進めて、市民の声などほとんど反映されていないんじゃないか。

 市民の声を反映させるんだったら、東京新聞が世論調査を去年の六月にしています、神宮外苑の再開発、賛成か反対かと。七割が反対です。緑をなくす、そんなところに何でビルを三つも建てるんだと。これは、まだみんなに知らされていない。どうやって調査をしたかは知りませんけれども、多分、こんな計画があるんですけれども、これについて賛成ですか反対ですかと聞いていると思います。知ったら、ほとんどの都民は、そんなばかな、新宿でも渋谷でも池袋でも銀座でも幾らでもビルを建てるところがあるのに、何でこんな緑の空間のところにビルを建てるんだと言うと思います。聞いていないと思いますよ。

 日本はそんなのばかりですね。木々があっちこっちで切られているんですよ。把握しておられないと思いますけれども、調べたりしたんですけれども、ほかにも、東京都でいったら、都立葛西臨海公園のところで千四百本以上の木が切られているそうです。ほかにも、京都府立植物園、僕なんかは大学時代によく行ったところですけれども、そことか。行ったことはないんですが、神戸の王子公園とか、そういうのがあるそうです。横浜の三ツ沢公園。

 みんなで同じようなことをしているんです、発想が同じなんです。公園だといじくれる、地方自治体が管理している、だから自由にできる、用地を買収する必要がない、そういう発想でやっているんですよね。だから、住民の声なんて聞いていない。我々日本は、ウクライナの侵攻はけしからぬと民主主義国家が団結して共通の価値観といっていますけれども、都市の緑を守るとかいうもののプロセスにおいて日本は極めて非民主主義国家だと思います。

 古川政務官は、次々と日本の都市公園で緑がなくなっているという実態は御存じでしょうか。多分、耳に入っていないんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。今僕がばっと言ったようなことを聞いておられますかね。神宮外苑の問題はもう御存じだと思います。ほかにもいっぱいあるんです。神宮外苑がこうだからというので、みんな広まっていっちゃうんです。僕は、だから、これを止めて、こういうことは駄目なんだよということを世間に知らしめたいと思って必死でやっているんです。いかがでしょうか、御存じでしたでしょうか。

古川大臣政務官 先ほど来御答弁申し上げておりますように、町づくり、とりわけ都市公園に関わる事柄につきましては、設置管理者である主として市町村、時には都道府県という例もございますが、こうしたところが主体的に公園のありようについて決定をしてきていると思っております。

 その際には、先ほど議員からは形式的に過ぎるのではないかというお話がございましたが、公園管理者によります公募設置等指針の公示、あるいは事業実施者の選定に際する学識経験者への意見聴取、こうしたものが求められているところでございまして、こうした様々なプロセスを踏まえた上で都市計画審議会などの決定を経て、事業が行われるか、あるいはそうでないのか、こうしたことが決まっているというふうに考えているところでございます。

 そうした中で、私どもは全てを承知しているわけではございませんが、あちこちにおいて樹木の伐採が公園事業の中で行われ、ただ、都市公園事業の場合は、行われたことに対しましては、補償すべき事柄として、植えられたものに対するいわば補償的な行為として伐採に見合っただけの樹木を植えるということも行われていると理解しているところでございまして、トータルとして見たときに、地域にとってその公園がどういう存在であるのかということによって判断されているものと理解をしております。

篠原(孝)委員 資料をちょっと見ていただきたいと思います。年表の方は見ていただけたら、年表がありますので、ちょっとだけ目を通していただけますかね。

 一九五一年、日本も昔の人の方がちゃんとしていたんです。もっと前の話をすると、明治天皇の没後に造ったわけですが、そのときは、このまま残す、建物は一切建てちゃいけないよというのをちゃんと書いてあるんです。そのとおり守ってきました。一九五一年、風致地区に指定されているんです。ビルは建てない。昔の人の方が立派だったんです。このときに宗教法人法ができて、国有地だったのが明治神宮の手になるんです。明治神宮は同じように活用していくというのを、今、維持できないからといって、簡単に言うと、お金に目がくらんで、維持できないからビルに、容積を渡して、どのくらいか知りませんけれども、そういうことをやっている。

 二〇〇四年に電通が、東京オリンピックの関係で談合だとか不正入札とかですね、電通がみんな中心にいて、今いろいろ問題になっています、この頃から絡んでいるんですね。

 二〇〇九年、オリンピックです。オリンピックとも非常に関わっているんです。オリンピックに立候補して駄目だったんです。ラグビー杯というのが二〇〇九年です。

 二〇一三年にオリンピックの東京開催が決定している。このときに、もう再開発の動きが本格化しているんです。

 下の方は、御存じだと思います。我々は、下の方にありますように、下の方から六番目のところの、船田さんを発起人として神宮外苑の自然と歴史と文化を守る議員連盟を発足させました。ささやかですけれども、やっております。ここでは務台さんなんかにも参加していただいております。志の高い方だけが参加していただいていると思いますけれどもね。

 次のページを見てください。本当はカラーで見ていただくといいんですが、カラーで見なくてもいいと思いますが、左側が現在です。右側がどうなるかと。右側のところですね、私はきれいなカラーのがあるんですが、カラーで皆さんにお見せすればよかったんですが、カラーじゃなくても分かるんです。黒ポツですね、真ん中の辺の、ラグビー場の右側のところからありますけれども、この黒いポツが全部切られてしまう樹木なんです。

 左側を見ていただきますと、国立競技場、この間できて、オリンピックで使われました。その右下のところに、球場が二つあって、ラグビー場があってというふうになっているんですね。これを、何だか知らないけれども、いじくり回して、右側の方にするということなんです。

 これは単純なんです。ここを、そのまま、ラグビー場を改築し、そこで建てて、建て直し、神宮球場をそこで建て直せば、こんな木は切る必要がないんです。ほかの国はみんなそうします。それを、わざと交代して、違えるというんです。理由は、スポーツの開催がきちんとできるようにと。何を考えているんだと。ラグビーの試合はほかのラグビー場でやればいいんです。野球もほかの球場でやればいいんです。木は、ほかのところで育って、百年に育つことができるんですか。どっちを優先するかというと、明らかですよね、木を切らないようにする。

 古川政務官は、都道府県に任せてあると。それは地方分権というので、機関委任事務とかいったのを、法定受託事務とか、何かごちゃごちゃ言っていたのをなるべく地方に任すというのは、これはいい傾向だと思います。しかし、環境とかこういうのは規制以外にないんです。

 皆さん御存じでないと思いますけれども、あの自由なアメリカですら木は勝手に切っちゃいけないんですよ。みんなのものだと。お分かりになりますよね、SDGsの考えというのは、この環境はみんなのものなんです。そこに住んでいる人が所有しているものは一時的に預かっているだけで、その地域全体のもの、その国全体のもの、地球全体のものという考えになっているんです。だから、大きな木は保存しなくちゃいけないという義務があるんです。オランダもそうです。

 日本でも、地方自治体で、佐賀県や長野県は違いますけれども、東京都の二十三区の中では、昨日聞いた区は、プライベートなうちの木も、でかい木は、この木は切らないでください、その代わり固定資産税をまけます、あるいは植木職人に剪定の費用を出しますと。圧倒的に所有者の損になっているそうですけれども、そうやって木を切らないようにしている。なぜかというと、地域の住民がこの木を残してほしいというからなんです。そういうことが行われているんですよ。

 ところが、国が関与できる神宮外苑の森をこんな野方図にしていいのかということ、僕はこれは問題だと思っているんです。だから、これをしつこく言っているんです。

 この間、三月二十九日に、十人ほどの国会議員と記者団も入れて、日本記者クラブで記者会見をして、黒いポツのところをざっと歩きました。石川幹子中央大学教授が物すごく急ぎ足で歩かれるので、ついていくのに困っている人がいましたけれども、私はついていきました。建国記念文庫の森というのが真ん中のところの小さいところにあるんですが、そこの森をみんな切るというので行ったら、焦って許可が下りたんです、白い三メートルから四メートルの壁で、見れないように区切っているわけです。政府は黒塗りの資料で隠すのが得意ですけれども、建築業者とか東京都は、白い壁で、中の木を伐採するのを見えないようにしているんです。

 何でそんなことまでするかと。隠しているんですよね。そこの中にはナンジャモンジャという天然記念物の木があるそうですが、僕は外でそれを見ました。きれいに咲いていました。

 世界の常識です。大木を避けて建てればいいんだ。建て直したっていいと僕は思います。いいと思いますけれども、わざわざ、あっちだこっちだといってへ理屈をつけていますけれども、いっぱいごちゃごちゃいじくって、お金もうけをしたいという人たちがいるんでしょう。直しちゃいけないなんて言いませんよ。容積移転というまた変な手法、こっちの部分の空中権を譲るから、こっちは建てていいというのでね。ほかにもある。こんなことをやっていたら時間がなくなるのでやめますが、公園まちづくり制度というのもあって、五十年以上開発しなかったところは民間のものを入れてと。

 ラグビー場も言いがかりをつけられたんだ。ふだんラグビーはそんなに頻繁にないから門を閉ざされている、未利用地区だから開発しなくちゃいけないんだ、そういうふうになっているんです、報告で。そんなばかな、毎度毎度ラグビーをやっているわけじゃないですからね、演奏会にでも使えばいいんです。それを、そんな言いがかりをつけて変なふうにしてしまう。

 だから、世界中の公園とかいうので、ハイドパークというのがロンドンにあります。セントラルパークというのがニューヨークにあります。僕がいたパリのところではブーローニュの森とバンセンヌの森があります。ワシントンDCにはリンカーン公園、大統領公園というのがあります。そこの木を切って緑をなくして、そこにビルを建てるなんという計画は、まず、どこの国も、どこの都市もすることはないですよ。それを日本はしているんです。

 ついでにですけれども、資料、私の派手派手しい国政報告ですよ。何をするかというと、カラーで、きれいになって、B4で十四万三千枚用意してあるんです。どうしているかというと、我が地元紙の信濃毎日新聞の中にチラシで入れるんです。百万かかるんですよね。何のためにするかというと、後ろにあるロッシェル・カップさんという方が中心になって、反対の署名活動をしているんです。

 僕は絶対にこれを阻止しようと思っているんです。長野県民に、私の選挙区だけですけれども、訴えたいと思っています。ただ、長野県民は、井出さんはお分かりだろうと思いますが、左を見ても右を見ても山ばかりだから余り緑の保全に関心がないんですね。東京なんかは緑が全然見えないのに、よくこういうのに黙っているなと感心するんですよね。こんなの、ほかの国の首都の市民だったら絶対に許さないですね。許さないんだよ、事実、許していないんですよ。知られていないからさっささっさと進めようとする。ずるいと思いますよ。

 もうできているんですけれどもね、早くチラシを配ろうと思ったら、これは私がやっているのではありません、私がこういうことをやっていると言ったら私の熱血秘書が、代議士、ここでもやりましょうと言って、金がかかってもいいとかと言い出して。金を出すのは僕なんですがね。今、統一地方選挙中ですからそれはやめた方がいい、統一地方選挙はそっちのけで東京のことだけをやっているといって批判されるからというので、四月十二日に入れる予定ですけれども、残念ながら上田には行きませんから、我が選挙区だけですから。

 これだけ私が何で真剣になっているかというと、務台さんと一緒にやっておりますが、憲法審査会では緊急事態といっているんです、緊急事態条項、そればかりを急いでいる。緊急事態は大事なんだけれども、国会議員の任期を延長するとか、この話をしたってしようがないんですけれども。緊急事態は、この百年の大木こそ緊急事態だと私は思います。だから、切ったら終わりなんですよ。建物なら幾らでも建て替えできるんです、すぐ。

 さっき、植え替えてとおっしゃいました、古川さんの、植え替えて新しくしたらと。できません、百年たたないと今の巨木はできないんですね。だから、どこの国も、大木は残す、原則そういうふうにしているんです。小池都知事もいいかげんなことを言っていて、緑は、これから植え替えるから増えると。何十年後、百年後には増えるかもしれませんけれども、がたっと減るんですよ。

 これはやはり私はよくないと思います。容積移転とかさっきのPFIもそうですけれども、そんな変な方向に行くようなループホールばかりつくっているんですけれども、逆にしていただきたいんです。絶対にできないように。プライベートなところも、所有者の自由に木も切らせないようにしているので、だから、私は、もう世の中が変わったので、緑の保全をするという方向に規制していく、そっちの方に誘導するような仕組みに国交省のルールも是非変えていっていただきたいんですが、いかがでしょうか。是非やってください。

古川大臣政務官 議員の緑というものと町、公園の在り方に対する深い御示唆にいろいろなことを感じながら、お話を伺っていたところでございました。

 まさに、それぞれの地域において緑をどのように保全していくのか、あるいは増やしていくのか、こうしたことについては、地方自治体こそが固有の事務として、その在り方について権限と責任において決定していくべき事柄であると改めて思うところでございます。

 もちろん、国の方で包括的なルールを作るというところもあろうかと思いますが、今既に我が国の法制度の中におきましても、仮に、今回のケースは都市公園ということではなく都市計画公園というような位置づけになっていると理解をしておりますが、都市計画法上の様々な手続や制度を使うことによって、例えば風致地区なら風致地区としての規制をかけるということも可能でございます。こうした自治体の持つ権限と責任というのを、住民の皆様方の意見を聞きながら最終的に責任を持って判断していくことこそが、私はこれからも求められるということだと思っています。

 こうしたことの考え方によりまして、様々な形の制度というものを考えていかなければいけない部分もあるかもしれませんが、一義的には地方自治体においてこのことについてもお取り組みいただくことを期待するものでございます。

篠原(孝)委員 その地方自治体がなまくらなんですね、緑、緑といって。この嫌みは余り使いたくないんですけれども。小池都知事が判断を下せばすぐ中止できるんです。知事は大権限を持っているんです。知事をやっておられたからお分かりだと思いますけれどもね。それをやらないんですよね。だから、市民云々じゃなくて。

 坂本龍一さんが亡くなりました。皆さん気がつかれたと思いますけれども、最後の仕事、力を振り絞って神宮外苑の森を守れという手紙を書かれて、東京新聞等に載っていました。毎日新聞もやっていましたかね。感性が豊かな人は気がつくんですよ。

 そして、これのおかしさに気がついて運動を始めたのはロッシェル・カップさんという女性。日本の美術が好きで、それで日本語を勉強して、ビジネスコンサルタントとして、今、日本で仕事をされている。キーナートさんという楽天のマネジャーですか。それから、一番はロバート・ホワイティングです。僕は、この人の「菊とバット」という本を昔読んだことがある。今回、再読しました。彼が神宮球場に足しげく通っていたわけです、日本のプロ野球とアメリカのプロ野球を比較しながら。非常にいい文化論になっていると思いました。彼が、その神宮球場をずたずたにするのを許せなかったんです。

 何で外国人が気がつくんでしょうか。日本人は、人がよくてというか、ぼうっとしているからなんだと思います。気がついてもらわなくちゃいけない。感性の豊かな人、明治、大正の頃に造った人たちの方が立派な日本人だったと思います。我々は今、がさつになり過ぎているんじゃないのかと思います。是非考え方を変えて、緑を守るという方にしていただきたいと思います。

 次に、文部科学省です。井出副大臣に来ていただいています。

 JSC、ジャパン・スポーツセンターというのがあって、これが四つの事業体の一つになっておる。余り出てこないんですが。独立行政法人が絡んでいながら、スポーツ施設を守ったりして、スポーツ施設だけじゃなくて、宗教法人の明治神宮の監督官庁でもある。そうしたら、これもまた、明治神宮は東京都だけなので東京都に任せていると。全国展開している宗教団体だったら、統一教会が典型ですけれども、国の所管だけれども、そうなっているんだそうです。だから、また逃げられて、東京都庁の問題だというんですから。

 両方とも監督できるんです。スポーツゾーンの維持なのに、全然そうじゃなくて、余りこれに時間を費やしたくないのでやめますけれども、高級テニスクラブができたりするんですよ。草野球ができる場所がなくなるんです。どうもここのところ、監督官庁としてぴりっとしていなくて任せっ放しだからこうなっているんじゃないかと思います。どうなんでしょうかね。

井出副大臣 御質問いただきましたので、今朝、改めて状況を、通勤の途上に先生御指摘のところを今日見てまいりました。

 スポーツ庁としましては、秩父宮ラグビー場をJSCが所管しておりますので、東京都の方で示された計画でラグビー場を建て替えるという方針が示されていますので、その観点からJSCがこの計画に協力をしているというところでございます。

 先ほど来、古川政務官との御議論もありますが、先生の御指摘もありますし、いろいろな意見もあろうと思います。特に、緑を守ることに関してはいろいろな御意見があって、東京都や事業者の方も改善に努めているというふうに伺っておりますが、この国会の御議論も踏まえて、まず都市計画法に基づいて東京都の方にきちっとやっていただきたいと考えております。

篠原(孝)委員 井出さんにお伺いします。二〇〇〇年十月二十二日というのは覚えておられますでしょうか。何のことか、皆さんに教えてあげてください。

井出副大臣 私、当時、東京大学の三年生でありまして、硬式野球部でプレーをしておりました。その日は、我がチームが立教大学に完全試合を成し遂げられまして、最後のバッターに私が代打で出た、その日であります。

 先生の恐らくお求めは、私も、かつて神宮に通い慣れた、あの地域に非常になじみを持っている人間であるということでございます。

篠原(孝)委員 硬式野球部の主将として、思い出が神宮球場におありだと思います。ロバート・ホワイティングさんと同じです。それがこっぱみじんに砕かれて、なくなっちゃうんです。違うところに移されていくんです。それは、普通の人だったら切なく思うんじゃないですかね。

 甲子園球場は建て替えの話があったんです。当然、反対します。どうやったかというと、四シーズンオフ、耐震補強し、機能も変えていった。さっき言ったインチキの、スポーツの試合ができなくなるといけないから替えるんだとか、このインチキ理由ですが、けしからぬと思います。あれは甲子園球場といっていますが、阪神電鉄の所有なんです。一私企業であるにもかかわらず、志の高い経営者がいたらそうなるんですよ。甲子園球場を潰していない。

 ロバート・ホワイティングさんと話したりしましたけれども、別にベーブ・ルースのことだけでちゃんとしなくたっていいんです。ベーブ・ルースがプレーした球場は四つしか残っていないんだそうです。そのうちの二つが日本にあって、甲子園球場と神宮球場だそうです。もう一つはアメリカのボストン・レッドソックスのフェンウェイパーク、それからシカゴ・カブスのリグレースタジアムですか。そこの四つだそうです。それはどっちでもいいんですけれども、そうなっているんですね。

 フェンウェイパーク、ボストン・レッドソックスのホーム球場は同じような動きがあったんです。しかし、市民が、いやいや、思い出を残してくれ、改築にしてくれというので、改築でしているんです。どうしてかというと、あの球場で、あの場面で、あのバッターボックスに立ったという思い出がみんなあるし、観客もみんなあるんです。同じです。それを見るも無残に変えてしまうというのは、日本人はそういうところがさっぱりし過ぎているんじゃないかと私は思いますよ。式年遷宮という二十年に一回伊勢神宮を建て替えるとか、そういうあっさりした感覚があるからそういうのを許すのかもしれませんけれども、僕はこれはよくないことだと思いますよ。

 ラグビー場にも行って、老朽化しているというのを御覧になった。老朽化したら直したっていいんです。直したっていいんですけれども、私は面影を残しながら残すのが一番いいと思います。金もかからないですし。だけれども、最低限、その場所で変えればいいのであって、場所を移してチェンジするなんというのは、これはイカサマです、完璧な。こういうことが正々堂々と許されるというのは、僕は信じられないです。

 片一方でそぐ。空本さんなんかは違う観点からやるようですけれども。原発は、四十年を何かぐだぐだ言って六十年にする、六十年よりもっと長く使うといっておきながら、球場は、さっぱり、ばさっと削って新しいのを建てるんですか。物を大事にした方がいいですよ、年寄りを大事にするのと同じで。全然大事にしていないんだから。だから、ちょっと考えてください。

 文科省、ユネスコもそこなんです。世界遺産、文化遺産、自然遺産、みんなすごい、日本は一番熱心にこれに取り組んでいると思います。近代化産業遺産、エコパーク、ジオパーク、FAOが農業遺産というのもあります。これを大事にしていこうと。だけれども、スポーツ施設の遺産、あってもいいと思うんですが、考えられたらいかがですか。是非、井出副大臣、元硬式野球部の主将です、やってください。功績になると思います。

井出副大臣 ボストンのようにスポーツ施設に歴史的に意義を見出していくということは、一般論では、先生のおっしゃるとおり、非常に重要な価値観だと思います。秩父宮も私は視察に行きましたし、神宮についてはいろいろな思いがございます。先生の御指摘のとおりの思いがございます。

 ただ、一方で、この計画は東京都を中心に様々な方が関わってきて進めておられますし、例えば神宮の話でいえば、将来の選手が使い勝手のよいものになるのであればという断腸の思いもございますが、そこは東京都の方で、先ほど来御指摘のあった緑の保全も含めてこれだけいろいろな御議論があるので、そうしたことを踏まえてやっていただきたいと思いますし、スポーツ施設の歴史的な意義というものは、文科省の方で今進めておりますスタジアム、アリーナを交流拠点として使っていくというような事業の中に、きちっと先生のおっしゃったような歴史的価値観というものも取り入れられるように努力をしてまいりたいと考えております。

篠原(孝)委員 スポーツ施設だけでつくらなくたっていいですけれどもね。アメリカは、ナショナルヒストリックランドというので、歴史が浅い国ですから、物すごく歴史を大事にするんです、九万か所も指定されているんです。そこに、今言いましたボストン・レッドソックスのホーム球場、フェンウェイパークが入っていますし、リグレースタジアムも入っている。それから、フットボールの、皆さん御存じの、フットボールが好きな人は分かるローズボウルという、一月、元旦に行われるローズボウルもそれに入っているんです。そうやって守る、維持していくということを意思表示しているんです。

 日本もそうしたらいいと思います。そういうのに入れればいい。わざわざ一つつくるというのはなんですけれども、歴史的遺産とする。そうすれば、ほかの人たちも言っているから僕はやめますけれども、名勝指定というのがあります。イチョウ並木ですね、そういうのはそういうふうにして守る。後から法律で何かやらなくたって、自主的に守らなくちゃいけないんですよ。

 世界はどうしているかというと、日本はぼけているんです、環境大臣に申し上げたいと思います。ちょっと時間が来ちゃったんですけれどもね。ニューヨーク州は百万本の植樹をしようという目的を立てて、二〇〇七年です、一年早く二〇一五年に達成しているんです。中国にいろいろ問題があったりしているのは、中国は二〇三〇年までに七百億本の植樹をしようと。どうしてかと言われる。信じられないことを考えていると思います。やり遂げると思いますが。西暦ゼロ年のは歴史で分かるんです、いろいろなところに書いてあるんだ、そのとき緑がどこにあったか。その姿を回復しようというので、必死になって植林運動をやっているんです。

 日本は、北緯三十五、六度で雨は千八百ミリも降る、木々なんか、ほっておいたってでかくなるから何にもそういう関心はないんですよ。東京都も百年たって、百年前にいろいろ植えてくれた人たちの気持ちを踏みにじって平気で伐採する、こういう不粋なことをしているんです。これはやはりおかしいので、環境大臣の立場から、文科省も国交省も、東京都庁を一喝してと言うと上から目線でよくないので、優しく問いかけて、緑を保全するように是非していただきたいんですが、これについてお答えいただきたいと思います。

西村(明)国務大臣 今、篠原委員のお話をるる聞いておりまして、神宮外苑自体は、今お話があったように、スポーツに親しむ拠点である、そしてまた自然との触れ合いの場であり、百年に及ぶ歴史があるすばらしい場所だというふうに認識しております。

 東京都から相談等々があった場合には、環境省としても必要な情報や助言を提供してまいりたいと思っておりますし、環境へ最大限の配慮をした事業の実施を期待したいというふうに思っております。

 都市におけるこういった自然環境の保全につきましては、様々な条件や課題といったものがある中で、環境省としても引き続き、文科省、国土交通省を始めとした関係省庁と連携しながら取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 ありがとうございました。最後に大臣の誠意ある答弁をいただきました。ここにおられる環境委員の皆さん、それから事務方の皆さんも、是非、神宮外苑の森を守るのに御協力いただきたいと思います。

 以上、質問を終わります。

古賀委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 立憲民主党の堤かなめです。

 健康被害を未然に防止するための、アスベストの飛散防止対策について質問いたします。持ち時間は十六分ですので、簡潔明瞭な御答弁をお願いいたします。

 石綿は、アスベストとも呼ばれる天然の鉱物繊維で、耐熱性、耐久性などに優れていることから、各種建材など、幅広い製品として幅広く使用されてきました。しかし、繊維が細い上、発がん性物質が含まれていることから、飛散したアスベストの吸引を要因とする疾病の発症が社会問題となり、現在では、新たな製品の製造、輸入、利用は法律で禁止されています。そのため、アスベスト問題は既に解決済みと思っていらっしゃる方が多いわけですけれども、実は違います。現在でも、建材を中心として数千万トンものアスベスト製品が存在しています。

 国土交通省の推計では、石綿を含む建材が使用されたと考えられる建築物、つまり、一九五六年から二〇〇六年までに建てられた建物のうち、戸建て住宅や木造を除いた建物はおよそ二百八十万棟あり、これらの解体のピークは五年後の二〇二八年頃とされています。そして、これらの解体、改修をする際に、アスベスト粉じんを吸うことにより、従事者や周辺の住民に健康被害が発生することが懸念されております。

 このような社会状況を背景に、一昨年四月、大気汚染防止法の一部を改正する法律が施行されました。この改正法により、規制の対象がアスベストを含む建材全てに拡大されるなど、一定、評価いたします。しかし、アスベスト飛散による国民の健康被害を未然に防ぐにはいまだ不十分な点もあることから、以下、質問いたします。

 一点目に、事前調査についてです。

 改正法により、一定規模以上の建築物の解体等の工事では、アスベストの有無にかかわらず、事前調査の実施が義務づけられました。調査方法も法定化され、書面、目視、専門機関による分析調査などに整理され、さらに、後に述べますように、本年十月からは専門の有識者による調査が義務づけられるなど、事前調査の強化によって建物の所有者負担は大きく増えることになります。

 そこで、事前調査の費用は、例えば、木造二階建て、床面積三十坪の一般家屋でおおむねどの程度になるのか、教えてください。

 事前調査の結果の報告義務違反、状況等をしなかった場合の罰則規定が設けられたことは評価します。しかし、そもそも事前調査をしなかった場合にはどうなるのでしょうか。事前調査を行わない所有者に対する罰則規定も必要かと思いますが、いかがでしょうか。

 事前調査の費用は、危険度の高いレベル一の建材についてはこの費用を補助する制度がありますが、一部の地方自治体では、補助制度がないところもあると聞いています。

 そこで、補助制度がない地方自治体はどのくらいあるのか、お聞きします。その上で、全ての地方自治体で補助制度を使えるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、危険度がレベル一より低いレベル二、三の事前調査費用には全く補助がありません。全ての解体、改修工事等で事前調査が行われなければ、アスベストの飛散を完全に防止することは不可能です。建築従事者や住民の命と健康を守るためには、全てのレベルで事前調査への補助制度が必須と考えます。御見解をお聞かせください。

秦政府参考人 まず、事前調査についてでございます。

 事前調査にかかる費用でございますけれども、議員御指摘の三十坪、およそ百平米でございますが、直接ちょっとこれに相当するデータがないのでございますが、それより少し小さい八十平米についてお答えいたしますと、書面調査と目視調査を行う場合のみでございますと、業界団体の調べによりますと、六万円程度から十七万円程度だったというのが、これは二〇二一年度の調査結果でございます。

 続きまして、事前調査を行わない所有者に対しての対応でございますけれども、まず、事前調査の実施それから調査結果の報告につきましては、解体等工事を引き受けます元請業者の義務として規定をされております。そして、調査結果の報告義務違反につきましては罰則が科せられておりますことから、事前調査の実施というのが担保されているんじゃないかと考えてございます。

 なお、所有者につきましては、元請業者から事前調査の結果や作業方法につきまして工事の開始前に説明を受けまして、それを踏まえて作業基準が遵守されるよう工期とか費用などの面で配慮する、こういう義務を負っておるところでございます。

 続きまして、全ての地方自治体で石綿含有建材の種類によらない調査の補助制度を設けるべきではないかという御指摘についてでございます。

 吹きつけ石綿が施工されている住宅や建築物の事前調査については、私どもではないんですが、国土交通省さんにおきまして補助制度の対象となってございます。

 一方、吹きつけ石綿以外の建材を対象とする補助制度というのはないのでございますけれども、環境省と厚生労働省さんとで連携をいたしまして、昨年度から、知事への報告につきまして新たな電子システムの運用を開始するということをいたしております。これは、現場で端末において入力することで、電子情報で報告が済むということで、事業者さんの負担軽減に取り組んでおるところでございます。

 一方、こちらは中小企業向けでございますけれども、石綿含有建材の種類によらない低利融資制度を設けてございまして、これにより、資力に乏しい中小企業者さんにおいては一定の負担軽減が図られているものと考えてございます。

 こうした負担軽減策が適切に今後も活用されるよう、引き続き周知に努めてまいりたいと考えてございます。

堤委員 今、事前調査についての実施は担保されているのではないかというようなお答えでございました。ある業者の方にお聞きしますと、元請業者、良心的な方は、そういった知事への報告も電子申請なのできちんとされると思うんですけれども、やはり事前調査に費用がかかるということで、所有者の方がそんなのはやりたくないというふうなことになった場合に、いわゆる闇業者といいますか、そういった方というのが現れてくるのではないかということを懸念される声もございますので、きちんと事前調査がされるように、是非しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 それでは、二点目に、事前調査を行う調査者の確保についてお聞きします。

 半年後の本年十月一日から、解体工事などに伴うアスベスト調査を有資格者が行うことが義務づけられます。有資格者が足りなければ事前調査を行えず、解体工事などに影響が出る可能性もあります。

 そこで、三年前の環境委員会で、政府は、今後三十から四十万人程度の養成が必要になると答弁されていますが、現時点で何人の有資格者を養成できたのか、お聞きします。

美濃政府参考人 お尋ねがありました建築物の石綿の有無についての事前調査についてでございます。

 有資格者の必要数の推計につきましては、当初、三十万から四十万人としておりましたが、令和三年に実施した建設業許可事業者等に対する自主点検の結果等に基づき詳細な推計を行った結果、約十一万から十二万人と推計されたところでございます。

 これまでに養成された事前調査の有資格者につきましては、本年一月末現在で約九万人となってございます。

 今後とも、事前調査者の養成を確保し、適切な事前調査が行われるよう、関係機関とも連携してまいりたい、このように考えております。

堤委員 よろしくお願いします。

 三点目に、アスベストの除去等への補助についてです。

 アスベストの適切な除去、そして除去作業後から処分まで、徹底した管理が必須です。アスベストが含まれた廃材は他の廃材と区別して特別な処分をする必要もありますので、この点からも所有者の負担は大きくなります。

 そこで、例えば木造二階建て、床面積三十坪の一般家屋で、レベル一、二、三のそれぞれのケースで、除去から処分を行った場合、おおむねどの程度になるのか、教えてください。

 建築物を建てるときにはそんな有害なものとは知らされず、いざ除去や処分をするときに特別な出費を強いられるというのは、所有者の皆さんの理解を超えています。危険度の高いレベル一の建材については費用を補助する制度がありますが、これについても、補助制度がない地方自治体も一部あります。こちらについても、補助制度がない地方自治体はどのくらいあるのか、お聞きします。その上で、全ての地方自治体で補助制度を使えるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、危険度がレベル一より低いレベル二、三の事前調査費用には全く補助がありません。建築従事者や住民の命と健康を守るためには、全てのレベルで補助制度が必須だと考えます。御見解をお聞かせください。

秦政府参考人 お答えいたします。

 まず一点目、処分費用についてでございますけれども、解体等工事における除去から処分までの費用なんですが、これは様々なケースがございまして、ちょっと一概にお答えするのは難しいという状況でございます。

 ただ、一般論で申し上げますと、吹きつけ石綿あるいは石綿含有断熱材、いわゆるレベル一、二のものにつきましては、作業現場でシートで養生する、囲いを作ったりですとか、あるいは作業員の防護衣、衣服ですね、こういったものを準備して着用してもらう、こうしたことが必要でございますことから、例えばスレート板のようなレベル三の建材に比べますと、やはりどうしても除去費用は高額になるということが想定されます。

 また、処分費用につきましても、レベル一、二建材は特別管理産業廃棄物ということになりますので、処分費用は高額になるということで、やはりレベル一のものについては費用がかかるというふうに認識をいたしています。

 こういった除去作業に対するコスト面での支援の話なんですけれども、吹きつけ石綿が施工されております住宅や建築物につきましては、先ほど申し上げた国土交通省さんの補助制度の対象にはなってございます。

 一方で、それ以外のものについては直接的な補助制度はないのでございますけれども、私どもはマニュアルを作っておりまして、その中で、簡便であり、かつ効果の高い除去方法ですとか、あるいは事業者向けの講習会を実施するなどして、こういった技術支援によりまして事業者の負担軽減に取り組んでおるところでございます。

 また、先ほども言及させていただきましたが、中小事業者さんに向けましては、低利融資制度で、これは調査のみならず、石綿の除去を、これもレベル一、二、三を問わずなんですけれども、対象としておりまして、こうした負担軽減策が今後も引き続き活用されますように、しっかり周知に努めてまいる所存でございます。

堤委員 事前調査についても、まず、レベル一についてはあるけれども、結局、自治体によって、ないところとあるところがあって、こういった解体の補助費用もそうなんですけれども、建物の所有者ですとか事業者さんとかがどこに住んでいるかによって補助制度を使えたり使えなかったりするというのはちょっとおかしいのではないか、公共サービスの公平性という点でもおかしいですし。

 町、地域や地方自治体の主体性、自主性を尊重するということは大事なんですけれども、それは、三割自治と言われていますように、地方に財源が足りない状況があるわけで、それをしっかりもっと、やはり財源も含めて国としてきちんと規制していただきたい。環境規制ですとか、先ほど篠原委員からもお話がありました神宮外苑の緑を守るとか、そういったことについてはやはり国の責任できちんと行っていただきたい、何のための環境省なのかと思いますので。どの地域においても平等に補助制度が受けられるように、環境規制については、住民の命と健康を守るという視点から是非お考えいただきたいと思っております。

 まだ二点ほどあったんですけれども、ちょっと時間が来てしまいましたので、また次の機会に質問させていただきたいと思いますので、いい御答弁を御用意していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。終わります。

古賀委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 どうぞよろしくお願いいたします。福島二区、立憲民主党の馬場雄基でございます。

 本日は、一般質疑ということで、幅広く質問させていただければというふうに思っております。

 まずは、この間、取り上げさせていただいております使用済太陽光パネルについて取り上げます。

 大量生産、大量消費に次ぐ大量廃棄に向けて、今、リユースとリサイクル、この市場の確立が至上命題であるというふうに思っております。私たちは、市場の確立をするということ、二〇三〇年以降、多く廃棄が見込まれていますので、その市場の確立を今実現していくために準備を重ねていかなくてはならないというふうに思っております。

 その点、今回、二点取り上げさせていただきたいと思いますが、リサイクルする上での有害物質への捉え方、そして、廃棄からリサイクルにおける中間処理業者など当事者たちが動きやすい制度の構築、この点について、今までも質疑をさせていただいておりますが、関係性としてはその延長線ということで取り上げさせていただきます。

 まず、有害物質アンチモンに関することです。

 改めてではありますが、太陽光パネルの重量の六から七割を占めているガラスの中には、環境省としても要監視項目に位置づけられているアンチモンなど有害物質が含まれており、その評価次第ではリサイクルの方法が大きく変わってくるというふうに認識をしております。実際、アンチモンを無害化する技術も開発をされておりますし、逆を言えば、適切に扱えばそれは問題ないと言う方もいらっしゃいます。我々の議論の停滞が業界全体に影響を与えることは、これは必至だと思います。

 前回、十月二十八日、政府は、アンチモンがどのような支障を生じるのか、国として現状を把握しているところという回答でございました。あれから約半年がたちます。使用済太陽光パネルのリサイクルにおいて、アンチモンは有害と捉えるのか、無害と捉えるのか、人体に及ぼす影響をどのように評価するのか、環境省さん、簡潔にお答えをお願いします。

土居政府参考人 まず、アンチモンそのものでございますが、これは、環境基準など法令に基づく管理がなされている物質ではございません。公共用水域におけます検出状況などから見て引き続き知見を集積するべきものという、要監視項目というものに位置づけられております。

 太陽光パネルのガラスに含まれますアンチモンのリサイクル上の課題につきまして、昨年度、使用済太陽光パネルのリサイクル事業者やガラス製品メーカーなどにヒアリングを実施しました。その結果、リサイクル過程におきましてアンチモンの影響が懸念されるという声は聞かれなかったものの、廃ガラスを用いたガラス再生品の製造におきましては、着色、色がつくなど、アンチモンによる影響を生じることがあるというお声をいただきました。

 今後、太陽光パネルのガラスのリサイクルを進めていく際におきましては、環境上の支障に関する懸念や課題などにつきまして更にヒアリング、整理をいたしまして、具体的な対処につきまして検討を進めてまいりたいというふうに考えます。

馬場(雄)委員 お話を進めていただきまして、ありがとうございます。まさにお話をいろいろヒアリングされたということでございました。

 ここで大切なのは、やはり市場を確立していくということ、これは繰り返し申し上げておりますが。廃ガラス協会さんとか、いわゆる廃ガラスを提供する側の方々は一定程度の理解がある。しかし、例えば、それを市場に使っていく、例えばグラスウールとか断熱素材に使っていくとか、そういうふうに市場に出していく、市場化するということにおいて考えている方々にとっては、それを好意的に使えるかと言われるとやはりちょっと懸念が残るという、その声は多分聞いているんじゃないかなというふうに思います。

 つまり、政府の方針として、このアンチモンをどのように捉えているのか。しっかりと適宜適切に情報発信を強力に行っていくことは必要だと思うんですけれども、情報発信のこと、例えば通達であったりとか、具体的に取組をさせていただくことはかないませんでしょうか。

土居政府参考人 今御指摘がございましたように、リサイクル業者、また再生品を作っている業者さんからは、含有されている物質によりまして商品のイメージが変わってくるというお声もいただきましたので、更にヒアリングを進めまして、相手先とどういうお話をしているのかというところまで踏み込んでお話を伺った上で、その対処方針につきまして具体的に検討を進めてまいりたいというふうに考えます。

馬場(雄)委員 是非もう一段踏み込んでいただきたくて、やはり業界というものは、例えば会社をつくったり研究開発をするときに、会社の命運そのものを懸けて設備投資をしたりしています、あるいはその家族も背負っているということにおいて、このアンチモンが、例えば、今のお答えであれば、政府としてはリサイクルにおいては有害とは考えにくいというような御答弁ではなかったのかなというふうに思うわけですが、その旨をしっかりと発信して市場の方々に伝えていくということは私は絶対に必要だと思うんですけれども、もう一段踏み越えてお答えいただけないでしょうか。

土居政府参考人 リサイクル先の製品、またそれを使われる業界の方々の御懸念がどこにあるのかということを明確に把握した上で、製品の安全性につきましては、環境省を始め様々な省庁と連携してこれまでも取り組んでおりますので、そちらとも具体的な中身につきまして御相談しつつ検討を進めてまいりたいと思います。

馬場(雄)委員 そうしたら、ちょっと聞き方を変えるんですが、それを取りまとめた後に是非市場に向けて発信をお願いしたい。様々なというところを言われましたけれども、それが終わった後にはしっかり環境省として発信するということは、ここでお答えいただけないでしょうか。

土居政府参考人 太陽光パネルのガラスのリサイクルを進めるということは非常に重要なことでございますので、効果的な発信の方法につきましては、環境省も始めとして、どのような効果的な方法があるのかということも具体的に詰めていきたいというふうに考えます。

馬場(雄)委員 恐らくそれではかなり厳しくて、業界に与える、私が目指しているのは市場をつくるということです、市場をつくるというときにどういうものが必要なのか、政府方針として有害物質を有害と捉えるのか否かというところは物すごくでかいものだと思いますし、それが市場、いわゆる消費者に与える影響も計り知れないものがあるというふうに思います。

 だからこそ、リサイクルをしたいならば、販路の確立までしっかり責任を持って構築しなければいけないんだというのが私の今の問題意識です。そこは共有できていると思いますので、是非強力に、ここは大臣も含めて、是非お願いしたいと思います。

 ちょっと時間が押しておりますので、次に移りたいと思います。

 二点目においては、制度設計の部分になります。こちらは、実は一年前の四月の十五日、前大臣の山口大臣のときにお伺いをさせていただきまして、きっとバトンを受け継いでくださっていると思いますが、そのときには、個別のリサイクル法を作るのか、あるいは現状の廃掃法をもって対処するのかというところを取り上げさせていただきました。

 こちらは、前者であれば理想的ではあるんですけれども、もはやパネルのほとんどが海外から輸入されてきている今の現状を見ると、既存の例えば家電リサイクル法、自動車リサイクル法と同様にメーカー責任を問うということは、かなり厳しいというふうに思っています。

 私も現場に足を運んで教えていただいてきた声としては、機械を効率的に稼働させたい、そのために、現行の廃掃法にある保管期間、これを柔軟にしていただきたい、あるいは、広域処理、こちらを可能にしてほしいということをお声としていただいておりました。各自治体では、既に条例を設けて行っている自治体もありますけれども、もちろん、パネルだけ特別ということにはいかないかもしれませんが、やはりリサイクルの市場を確立していくという意味においてこの声は極めて大事だというふうに思います。

 実際、四月十五日の段階では、実態を把握し、課題を見極め、制度化についても考えてまいりたい、そういうお答えをいただいておりましたが、その後の方向性を、環境省さん、簡潔にお願いいたします。

土居政府参考人 環境省におきましては、これまで、太陽光パネルのリユース、リサイクルの促進に向けまして、ガイドラインの作成、関係者への周知、また高効率なリサイクル設備への導入補助などを実施してきております。

 さらに、将来の大量廃棄に向けまして、昨年の十月になりますが、関係省庁と開催いたしました有識者検討会の場におきまして、使用済みパネルの安全な引渡しやリサイクルの促進、円滑化に向けて検討すべき必要性を提言をしたところでございます。

 この提言を受けまして、環境省におきましても、リサイクル業者へのヒアリングを、今お話がありましたような円滑に回すための仕組み、課題などにつきまして更にヒアリング調査も行いまして、関係省庁と廃棄、リサイクルに係る課題の整理、また解決方法の検討を進めているところでございます。

馬場(雄)委員 是非、二点、加えてお伺いしたいんですけれども、つまり、個別のリサイクル法を作るというよりかは、廃掃法でうまくどう対処するのかというふうにして検討しているというふうに今受け止めるんですけれども、そういう考え方で合っているか合っていないかをまず一点確認と、そして、先ほど私が伺わせていただいてきたお声、保管期間に関すること、そして広域処理に関すること、この点についてどのように検討しているか、お答えをお願いします。

土居政府参考人 どのような制度を活用できるのかということにつきましては、幅広く、例外なく考えていきたいというふうに考えております。

 また、お声につきましては、我々も、まず、アンチモンにつきましての御懸念を伺ったという契機ができましたので、そのほか、ガラスという資源を有効に回していく、迅速に回していくという観点からも、更に踏み込んだお話を伺わせていただきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 幅広くお伺いしてというふうなお言葉をいただいたので、そうすると、この期間は、どのくらい待てばいいのかなというところもあると思うんです。

 その制度に向けた動きは、やはり私の問題意識は、繰り返しますが、市場の確立を三〇年までに何としてでも行う、これが絶対至上命題だと思っています。でなければガラスは最終処分的な扱いになってしまう、管理型の処分場に行ってしまいますので、管理型処分場はこのままいっちゃうとパンクしてしまいますから、できる限りのリユース、リサイクルの市場は確立しなければいけない。そのリサイクルのことについて今伺わせていただいておりますが、様々、幅広く検討していくということであったんですけれども、それをいつまでに行うのかというところをお答えいただけないでしょうか。

土居政府参考人 足下の廃棄状況また処理の状況を把握いたしますと、まだ、例えば災害とか、あと不具合などで発生するものがほとんどでございまして、大量廃棄は二〇三〇年後半からということが予想されております。

 足下の処理でいきますと、相当の部分がリユース、もう一度使うというものに回っているということを把握しておりますので、リサイクルの利用先につきましては、ガラスを始めとした物品ごとに支障がどこにあるのかということを、早急に、リサイクル事業者、また活用可能なマテリアル事業者、こういった方からお話を伺って中身を詰めたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 大臣、是非御一緒に考えさせていただきたいんですけれども、恐らく今の動き方だと私は間に合わないと思っています。市場の確立というのは商業の確立でございますので、検討段階、実証段階、商業段階、様々なフェーズがあると思うんですけれども、全てにおいてトライ・アンド・エラーの繰り返しだと思うんですね。そうすると、二〇三〇年まで、足下はまだそんなにパネルの廃棄が多くないというのは私はそれは分かっていますけれども、それだから、じゃ、先延ばしをしていいのかというと、そうではないと思うんですよね。

 今、実証段階にすらまだ来ていないと思っています。なぜかといえば、制度の形がまだ整っていないからだと思うんです。今来ていないから制度の形は今のままでいいは私は通用しないと思っていまして、将来を見据えてシミュレーションができているわけですから、それを踏まえた上でどういう制度設計をしなきゃいけないのか、まさに今が正念場だと私は思っています。

 是非、今年度中、まさに今、新年度になりましたので、今年度中にその制度設計、ある程度のガイドライン、しっかりと方向性を導き出していただきたいと思いますが、大臣、御決意をいただけないでしょうか。

西村(明)国務大臣 環境省においては、これまでも、太陽光パネルのリユース、リサイクル、これに関するガイドラインを作成して、関係者に周知してまいりました。また、高効率なリサイクル設備の導入に対する補助や、リサイクル技術の実証事業等を実施してきたところでございます。

 また、今委員御指摘の、将来の太陽光パネルの大量排出に備えるために、再エネ発電設備の廃棄、リサイクルについて制度的な対応を含む検討を進めてまいります。本日の朝、この環境委員会が開催される前に、再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議がございました。この場におきまして、私の方から、経済産業省と共同で有識者検討会を立ち上げるということを発言させていただいたところでございます。

 今後、関係省庁と連携しながら、委員御懸念のリサイクル、適正処理の推進に向けた取組を進めてまいりたいというふうに考えておりまして、まずはこの立ち上げ、そして論点の整理を行いまして、その上で、年内を目途に今後の方向性といったものを示してまいりたいというふうに考えています。

馬場(雄)委員 西村大臣、ありがとうございます。年内にまとめていくというお言葉、本当にありがたく思っております。

 一度まとめても、そこからまた見直していけばいいと思うんですよね。市場の確立というのはそんなに簡単なことではないと思っていますので、政府の、まずは後押しを、方針を決めていただいて、そこからもう一回見詰め直していくという、まさにそういう段階に今来ていると思いますので、私もこの立場から一生懸命応援させていただきたいと思いますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、省エネの問題に移ってまいります。

 電力の安定供給というメッセージから、供給する電力を増やすことが注目されがちですが、私は、総電力そのものを減らしていく努力も必要だ、同じぐらい大切だというふうに感じております。省エネ国家を徹底して実現することこそ、私は日本の取るべき道だというふうに考えておりますが、これは、何も電化製品や建築物を性能の優れたものに替えていくのみならず、日本は消費エネルギーの半分以上を暖房などの熱需要が占めております、つまり、電気だけではなくて熱を利用していくということに注目すべきなのではないかと思っております。

 その点、地中熱です。私も、地元で地中熱を導入している施設や、東京ではスカイツリーなどに伺ってまいりましたけれども、従来と比べてエネルギー消費量を約半減する力を地中熱は持っています。

 政府参考人の方にお伺いいたしますが、世界の地中熱利用の設備を比較した上で、日本が今どのくらいの位置にいるのか、世界がどれくらい進んでいるのか、簡潔に教えてください。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 地中熱ヒートポンプシステムに関して申し上げますと、環境省が行いました調査の結果、日本では、二〇二一年度に設備容量ベースで約二百二十六メガワットサーマルという、これは熱利用の場合の単位でございますけれども、この設備が導入されております。

 地中熱利用促進協会が公表しているデータによりますと、特に導入が進んでいる中国とかアメリカ、これは国土が非常に広いということもあると思います、設備容量ベースで二万メガワットサーマルを超えております。日本と同程度の面積のドイツにおきましても、日本の十倍以上の設備容量とされております。

 地中熱の利用は、個人、家族の生活スタイルですとか、その場所の地質構造の違いなどがありまして、設備容量の数値のみで諸外国と一概には比較することはできないわけでございますけれども、日本においても更なる普及の余地があるというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 更なる普及の余地がある、そして、世界の中では日本はまだまだ進んでいないというところだと思っております。すごいですよね、二十五年間で世界全体では四十二倍に増えてきているということで。今、米国と中国を比較した場合、中国が抜いたというような状態になっています。もちろん、今御指摘があったように、地質的な構造によって適地と適地じゃないところというのが分かれてきますので、すべからく日本の全国どこでも、津々浦々でできるものではないというふうに思います。

 ただし、この熱需要をしっかりと酌み取りながら、熱をしっかりと利用していくということを、私はやはり国家の基本戦略の一つに挙げていくべきじゃないかなというふうに思っております。

 その点、例えばエネルギー基本計画であったり温対法のものであったり、そういうふうなものを見たときに、熱利用というと、結構、様々利用していきますみたいな、様々検討していきますというようなところの一部分でしか書かれていないんですよね。それがすごく私は気になっております。

 なぜかというと、地中熱を研究していくと、やはり掘削していくときの大きなリスクを伴うわけです。つまり、こっちも同じように、市場をつくっていくというときに物すごく大きなリスクを伴っていくわけなので、最初、国家の基本方針を定め、そして研究開発を一緒に後押ししてやり、市場を開拓していかなくてはならないんだというふうに思っています。

 ここで是非西村大臣にお願いをさせていただきたいのが、国家の基本戦略、エネルギー基本計画や温対計画の中で地中熱をしっかりと戦略の骨格に位置づけてやっていくべきではないかな、今のフェーズを更に一段上げていくべきではないか。そして、それと同時に、地中熱はリスクを伴います、そのリスクを軽減していくために、新しい技術開発、地質構造、どこら辺に地下水があるのかなというところをしっかりと研究していくような、そういう技術開発を後押ししていく、そういうふうな対策を今まで以上に加速していただきたいと思うんですが、お願いできませんでしょうか。

西村(明)国務大臣 先ほど馬場委員がお話をされていたように、電力の安定供給のためには、電力のみならず、熱といったものの利用というのは非常に重要だと思います。

 あわせて、二〇五〇年のカーボンニュートラルや、また二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現のためには、同じように、電力だけではなく、熱の脱炭素化というものが必要だというふうに考えています。

 このため、今御指摘のあった地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画など、国の計画において、地中熱を含む再エネ熱の導入拡大を目指すこととしております。

 今委員から、更にというお話がございました。この中で書き込んでおりますし、また、導入の拡大に当たっては、地域資源である様々な熱源、お話のあったように、地域の実情に応じて、様々ございますので、これを有効利用することが重要です。特に、個別なところに関しては、環境省としては、地域脱炭素の推進のための交付金等を活用した、地中熱ヒートポンプなど、再エネ熱利用設備の導入支援を行っております。

 また、非常に大きな、面的なものというのは、馬場委員も御理解されていると思いますけれども、現在、まだまだ社会実装には非常に検討が必要だというふうに考えておりますので、こういったことも含めて、熱を含めた地域の脱炭素化を進められるように、環境省としても取り組んでまいりたいと思っております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。是非、国家の基本戦略の一つに、たくさんあるうちの一つというよりかは、しっかりと一つに熱利用というものを挙げていただければというふうに思っております。

 最後、ちょっと短めになりますが、PFASへの対応について伺わせていただきます。

 PFAS、先日、アメリカの環境保護局、EPAでも飲み水の規制値の案が策定されていたと思います。一リットル当たり約四ナノグラムですね。

 今の日本は五十ナノグラムで、環境省も既に専門家会議を二つ用意していて、一つが水質目標値を定めていくための専門家会議だったと認識しております。是非こちらでも、EPAの報告を受けて、早期の開催をしていただき、検討していただきたいということを一点申し上げたいのと、もう一つは、今環境省さんが作られている自治体向けの手引ですが、暫定指針値を超えた場合、こういうふうにやってくださいというふうに言われるんですけれども、恐らく自治体さんは、そういうノウハウはなかなか持っていない自治体さんも多いと思うんですよね。

 更に言うならば、アメリカでは本当に国家戦略の一つに位置づけていて、いろいろな情報が入ってくるようにしているわけですけれども、日本の場合は、環境省の一部局として取り組んでいるのが若干気になっております。実際、アメリカと対等に渡り合っていくための外交的な努力も必要ですし、国交省さんや農水省さん、あるいは食品安全委員会さんなどとチームを組んでやはり取り組んでいかなくては解決にならないというふうに思っております。

 発生源の特定というのもまだまだ至っていないところが大多数ですから、環境省の会議だけにとどめるのではなくて、一段こちらもギアを上げて、政府全体で取り組む案件に是非ともしていただきたいと思いますし、自治体任せにするのではなくて、政府がしっかりと責任を持ってやっていく、そのことを是非、西村大臣にお答えいただけないかなと思います。どうぞよろしくお願いします。

西村(明)国務大臣 PFOS等に関しましては、水質の目標値等の専門家会議において、科学的知見に基づいて検討を進めるということが大前提でございます。

 先月、御指摘になりましたように、米国の環境保護庁が飲料水規制案を公表したほか、欧州においてもPFAS全体について議論が始まっているところでございます。さらに、世界保健機構、WHOが飲料水水質ガイドラインの策定に向けた検討を進めているなど、国際的に様々な議論が今行われています。

 こうした国際的な動向を踏まえまして、厚生労働省とも連携しながら迅速に検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 PFOS及びPFOAに関する対応の手引き、今委員が御指摘いただいたものでございますが、これに加えて、PFOS等を含有する泡消火薬剤の適正な保管や環境汚染の防止などに関する技術上の基準の策定、また、科学的知見に基づく水質の目標値等の検討、こういったことなどを、これまでも関係省庁と連携しながら取り組んでおりますけれども、引き続き、まさに政府一丸となって、国民の安全、安心のために取り組んでまいりたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。是非具体的に推し進めていただければというふうに願っております。私も、この立場からしっかり見守らせていただきたいと思っております。

 本日は、ありがとうございました。質問を終わります。

古賀委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 質問に先立って、先ほど近藤委員から福島の子供たちの甲状腺の被曝影響についての様々な議論がありましたけれども、私も原子力、放射線被曝を得意としておりますので、また、私自身、被爆地広島の人間でございます。家族にも被爆者、さらには親戚には直接被爆で亡くなった人間もおります。そういった意味で、被曝という問題はすごく大きくて。

 私自身、三・一一のときにちょうど政権与党におりまして、三月十五日から緊急事態対応に入らせていただきました。その中で、原子力委員長の近藤駿介先生と内閣官房参与をやっていただきました小佐古敏荘先生に一緒に来ていただきまして、様々な問題、子供たちの被曝影響の問題というのもしっかりと考えてまいりました。UNSCEARの先ほどの議論もありましたが、福島の子供たち、ヨウ素131、134は確かに吸った、ある程度の機能障害は出た、そのときに生命にまで影響を及ぼすかなというところまでは至っていないというのが、私自身の感じるところ、結論であろうと思います。

 実は、「二〇ミリシーベルト」という本を私は書かせていただきました。三・一一の事故のときに私たちが行った行動、こういったものをまとめておりまして、百五十四ページに福島県の健康調査の結果をまとめています。二〇一三年十二月三十一日現在のデータなんですけれども。

 このときに、先ほどは精度を高く甲状腺の障害の検査をしたから感度がよ過ぎたというような話もあったんですが、ここで一点、しっかり見ていただきたいのは、福島県全体ではなくて、福島県の浜通り、中通り、若しくは会津、これを分けながら、どこの地域に被害があったかということを見ていただきたい。会津の地域においては、若しくは浜通りであっても、すぐに避難した方々が多い地域は機能障害若しくは悪性と認定された方は少なかった。けれども、意外に中通り、郡山とか福島とか、また浜通りではいわき、こういったところは比較的、機能障害ではありませんが、福島県の健康調査の結果、悪性ないし悪性の疑いというのが人数が多いです。

 ですから、国の方は、若しくは福島県の方は、福島県全体として捉えて感度がよ過ぎたので、ほかの甲状腺の問題とは違ったよという話なんですが、実は綿密に考えていただきたいと思います。ただし、子供たちの健康影響はあったかもしれないけれども、生命に至るようなことはなく、これからは健康に生活できる、そういったことをしっかり訴えた上で考えていかなきゃいけない問題かなと思います。まず、そこを先にお話をさせていただきました。

 これから太陽光を、先ほど馬場委員の方から市場をつくるべきではないかとか本当にいい話が、また、経済安全保障上、大変大事な問題であろうと思っております。そういった中で、まずは大量廃棄、二〇三〇年後半において大量に出てくるというソーラーパネルの処分量の見込みについてお聞きしたい。さらには、処分方法の現状と、今後どのように処分を行っていくか、研究開発を進めていくか。そういった問題について、まず大臣から全体像の御教示をお願いいたします。

西村(明)国務大臣 まず、今後の排出量でございますけれども、太陽光発電設備につきましては、非常に短期間で大量に導入が進んでおりまして、使用済太陽光パネルの排出量は二〇三〇年代後半にピークを迎えるというふうに予想されておりまして、年間五十から八十万トンの排出が見込まれているところでございます。

 また、処理方法や現状について、取組状況ということでございますけれども、現状は、太陽光パネルの処理は、関係事業者が、ガラスや金属等を分離回収できる高効率なリサイクル設備を使って素材ごとにリサイクルを行ったり、また、破砕した上で管理型処分場における埋立処分等を行っているというふうに承知しています。

 環境省としては、太陽光パネルのリユース、リサイクルに関するガイドラインを作成して関係者に周知してきたところでございますが、高効率なリサイクル設備の導入に対する補助や、リサイクル技術の実証事業等も実施してきたところであります。

 また、将来の太陽光パネルの大量排出に備えるために、再エネ発電設備の廃棄、リサイクル、これにつきまして制度的対応を含む検討を進めてまいります。先ほど申し上げましたけれども、本日の朝、再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議におきまして、私の方から経済産業省と共同で有識者検討会を立ち上げるということを発言いたしました。先ほどもお答えしたように、まずは論点を整理して、年内を目途に今後の方向性を示してまいりたいというふうに考えております。

 今後も、関係省庁としっかりと連携しながら、リサイクル、適正処理の推進に向けた取組を進めてまいります。

空本委員 ありがとうございます。

 環境省でやるべきこと、また経済産業省としてやるべきこと、そこは、後ほど申し上げますが、経済安全保障の観点から我が国の得意分野とするべきであろうと思っておりますので、しっかり、その辺のガイドラインから全てを事細かく決めていただきたいと思っております。決め過ぎると、やはりそこはメーカーとか産業界を縛ることになりますが、流動的になってもいいですが、ある程度方向性は国がしっかりと定めるということが大変重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、経済安全保障に関してでございます。

 我が国のソーラーパネルというのは、二〇〇〇年代、我が国のメーカーがたくさん造っておりました。けれども、現在は中国を中心とした国々が造っている。これは、再エネ賦課金とか、今の再生可能エネルギーを拡大していこうという政策の中で、やはり少し何か食い違っているような気もするところでございます。国内設置のソーラーパネルはやはり日本製のものを置くべきであったんだろう。ただし、値段の勝負で日本産は厳しい、中国産の方が安い、そういった意味で中国産が増えてきたんだろうと思いますが。

 まずは、経済産業省、資源エネルギー庁として、ソーラーパネル製造の、二〇〇〇年代から現在までの国内に設置をされているもののシェア、こういったものはどういう変化があったか。まずは御説明をお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 業界団体が実施している調査によりますと、調査を開始した二〇〇二年時点では国内で出荷される太陽光パネルのほぼ全てが国内製造されたものでございましたが、FIT制度が開始された二〇一二年時点では国産シェアは約七割となり、二〇二二年では約一割まで低下してきている状況にございます。

 また、貿易統計によりますと、日本が輸入している太陽電池セル及び太陽光パネルにつきましては、同じく二〇一二年では約五割が中国からで最も多く、次いでフィリピン、台湾となっておりました。直近の二〇二一年では約八割が中国からで最も多く、台湾、マレーシアがこれに続くという状況になってございます。

空本委員 委員の皆さんもお聞きになったと思いますが、二〇一二年頃は七割ぐらいまだあった、しかし、この十年で一気に我が国の国内生産シェアが落ち込んでしまった、というよりも、なくなってしまった、消えてしまったんですね。これは実は半導体も同じでございます。

 二〇一二年頃、経済産業省の方にお願いしたんですが、エルピーダメモリという会社がございました、破綻しました。その際に、DRAMを作っているこの会社は我が国でしっかり支えていかなければならないという話を経済産業省の担当課長さんにさせていただきました。また、各メーカーさんにもさせていただきました。私自身の東芝の方にも、担当役員の方にもお話ししました。そして、台湾のファブレス、ファウンドリーというような構造を日本で構築すべきであると二〇一二年に伝えました。

 リチウムイオン電池もそうです。韓国シェアは今多いですが、これについても、我が国が今から消えるであろう産業になる可能性がある。

 ならば、半導体、リチウムイオン電池、そういったものが我が国のシェアとすべきであろうというふうに考えて働きかけましたが、経済産業省は動かなかった。全くもって、これは、国益を失ったのは経済産業省の政策の間違いであります。ここは今から正していただき、太陽光の技術、また蓄電池技術、こういったものは我が国でしっかり押さえなければならない。

 また、先ほど馬場委員からありましたが、市場をつくるというのは本当に大事でありまして、我が国が率先してつくっていって、我が国がそのモデルをつくっていかなきゃいけない。

 是非ともここは、激励という意味ですよ、しっかり経済産業省の皆さんにやっていただきたいんですよ。半導体だって、これからまた我が国が、量子半導体、光、こういったものを強みとしてやっていただきたい。今日、資源エネルギー庁の皆さん若しくは経済産業省の皆さんに来ていただいているのは、我が国の強み、エネルギーと半導体、電気、電子、こういったところをしっかりと支えていただきたい、そのバックアップをお願いしたいという意味で来ていただきました。よろしくお願いいたします。

 次の質問としましては、ソーラーパネル設置給付の補助金の現状、そして、再生可能エネルギー発電促進賦課金、再エネ賦課金の補助金参入、中国にそれが逆にソーラーパネルとして、国民の皆さんから再エネ賦課金としていただいたものがパネルとして中国にお金が流れていく、こういった仕組みになっている。では今後こういったものをどう止めるか、我が国の研究開発を進めて我が国だけでしっかりと完結させる、どうこれから取り組むかを含めて是非お答えください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、エネルギー安全保障の観点から、特定国からの供給状況に左右されることなく、より強靱なエネルギー供給構造を実現していくことは極めて重要だというふうに考えてございます。

 こうした中、例えば次世代型の太陽電池のペロブスカイト太陽電池、これは日本発の技術でございますし、軽量で柔軟性を有していることから、建築物の壁面など、これまで設置が困難であった場所にも設置可能である、さらに、主な原材料であるのが中国製のシリコンではなくて日本が世界第二位の産出量を誇っておりますヨウ素であるといったような利点もございます。

 経済産業省といたしましては、御指摘の過去の経緯も踏まえながら、ペロブスカイト太陽電池の国産のサプライチェーン構築も見据えまして、現在、グリーンイノベーション基金を活用し、研究開発から社会実装までを一気通貫で支援しているところでございます。これまでの支援による成果も生かして、我が国の事業者がこの四月から建物の壁面等での設置実証を予定しているなど、取組の進展も見られております。

 早期社会実装の実現に向けまして、更にしっかりと支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

空本委員 是非お願いしたいのと、廃棄の問題も含めて、サプライチェーンから廃棄のチェーンまで含めてしっかりつくっていただきたい、そうすると日本がシェアをずっと維持できるかもしれない。時代が変わればまた技術も変わってきますので、その点を含めて是非よろしくお願いいたします。

 本当に、半導体のことで、私、二〇一二年、与党におりまして大変悔しい思いをしています。ちょうど私の家の近くに、車を走らせて五分、十分のところにマイクロンの、先ほど言いました破綻した会社の大工場があります。この工場が日本にずっとあって、逆にこれが基点となって産業をこれから進めていただく、こういったものを是非よろしくお願いいたします。

 もう一点心配なことは、太陽光、これから南海トラフ大地震がやってきて大津波がやってくる、また、大雨若しくは豪雨災害等によって太陽光パネルが破損して浸水する、そういった可能性もあろうかと思います。そのときに、私は電気の専門家でもありますので、水害時、大変危険であります、近くに寄っちゃいけないとかいろいろございますが、どうこれから取り組むのか、それをどう国民に周知徹底するのか、まずお答えください。

笹路政府参考人 今委員御指摘のありました太陽電池発電設備をめぐる自然災害への備えという点でございますけれども、非常に重要な視点であると思っております。

 具体的に申しますと、電気事業法におきましては、太陽電池発電設備の設置者に対しまして、設備の施設に際しましては、感電のおそれがないことですとか、風圧などの荷重に対して安定していることですとか、あるいはまた土砂の流出などについてちゃんと防止措置を取ること、こういったことを講ずることをしっかり求めてございます。

 また、日頃からこういった太陽電池発電設備の適切な保守管理をするというところも大事でございまして、五十キロワット以上の太陽電池発電設備につきましては、設備の点検計画をきちんと記載しました保安規程の届出を行うということを行うとともに、設備の点検を外部に委託するような場合におきましては半年ごとの点検実施も求めております。

 また、五十キロワット未満の設備につきましても、例えば地上設置型のものでございます、こういったものはより一般の人のアクセスがあり得るというところでございますので、太陽電池業界が作成したガイドラインがございまして、月次の点検に加えまして、悪天候後の点検の実施などを行うことが示されておる、こういったことの内容につきまして講習などを通じまして普及が図られていますなど、業界による自主的な保安の取組も推進されているところでございます。

 その上で、議員の御指摘にもありましたように、経済産業省としましては、やはり、大雨ですとか台風シーズンの前に、まずは関係業界を通じてきちんと入念な点検実施をお願いするとともに、ホームページなども通じまして広く一般の方に対して、例えば破損したパネルに触れないようにですとか、そういった注意喚起などもしっかり行っていくことが大事だというふうに思っております。

 こうした事業者、一般の方、双方への様々な普及啓発あるいは注意喚起を含めまして、電気保安の確保にきちんと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

空本委員 使用の観点から、やはりそういった周知徹底は大事でございます。

 一点、廃棄物を処理する立場から、廃棄物処理業者に対する周知徹底もしっかりお願いしたい。

 私自身、ISO14000の審査員をしたこともございまして、産業廃棄物等を取り扱う業者さんのISO14000のマニュアル作りもやったことがございます。そういった中でしっかり、危険なもので、感電する可能性があるというもの、災害ではないけれども、これから大量に廃棄物が出る際に、そういった取扱いについても労働災害にならないような安全対策というのが必要になってきます。

 そういった意味で、これは環境省のマターになるかと思いますが、経済産業省、環境省が一緒になって廃棄物の取扱いのマニュアル作りを、マニュアルだけあればいいというわけではなくて、実際どう取り扱うか。やはり、電気工事に関わることなので。しかしながら、作業される方は一般の労働者の方でございますので全然分かりません。そこの注意点といいますか、そういったものを周知徹底する仕組み。作業を実際にどうするか、作業を事細かく説明してあげる必要性もございますので、是非、環境省と経済産業省が一緒になってその仕組みづくりをお願いしたいと思います。

 大臣、経済産業省と一緒につくっていただきたいんですが、最後、いかがでしょうか。

土居政府参考人 極めて重要な観点でございます。ガイドラインには肝になるものは入れておりますが、詳細につきまして拡充していきたいというふうに考えております。

西村(明)国務大臣 今局長からも答弁がありましたけれども、しっかり委員の気持ちを受け止めてまいりたいというふうに考えております。

空本委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。災害につながらないように、是非お願いしたいと思います。

 続きまして、原子力に入らせていただきたいと思います。

 先日の特別委員会で質問をちょっとできなかったものですから、まずは原子力プラントについての新増設、リプレース、また小型炉、革新炉、高速炉についてお聞きしたいんですが。

 私自身の立場としては、原子力をこれまで設計、開発し、原子力プラントの保守点検もやってきた人間としましては、安全に気をつけながらも原子力は維持していかなければならないであろう、そして新しい技術を持って安全性を高めていかなければならない、一方で核兵器廃絶につながってはいけないというようなことを考えながら進んでおりました。

 また、今回のGX脱炭素電源法案、これに関しましても、実は私自身は東芝にいたときに、高経年化の評価の方を担当させていただいたこともございます。その意味で、当時は寿命延長という言葉を使っていたんですが、私自身、中の構造は実は新しいものにかなり取り替えているので、寿命というよりも新規のプラントに生まれ変わったものはまだまだ使っていいだろうと。今、六十年延長ということをうたっておりますが、六十年じゃなくて八十年だって、中の構造がきれいであれば、新しくなれば、新しい機器、設備が入ってくれば、まだまだ使える。使えないのはコンクリート構造物かなと思ったんですけれども、そうではなくて、RPV、圧力容器の中性子脆化かな、埋め込まれたケーブルの絶縁低下、こういったものかなということは思うんです。

 今の現状からすると、そういったものを置き換えることができるならば六十年延長に限ることはないだろうと私自身は思っています。安全性が確かめられたものについては、六十年、七十年、八十年使っていいんじゃないか。しかし、一方で、古いものについては、安全性がちょっと危惧されるものについてはリプレース、新規のものに置き換える。例えば、浜岡原発一号機、二号機、ほかにも廃止措置をやっているものはございますが、そういったプラントの施設、早くきれいに整地化し、その上にまた新しく、地元の方々の賛同をいただきながら新規に設置するべきではないかなというふうに考えております。

 まずは原子力行政を担う原子力委員長、また原子力の規制を担う立場から規制委員長、お二方に新増設とリプレースについての御見解をお願いいたします。

上坂参考人 原子力委員会委員長、上坂でございます。

 まず、最初の御質問に関しまして、国民生活や経済活動を支えるエネルギー安定供給の確保やカーボンニュートラル実現のためには、安全性確保を大前提としまして、立地地域と国民の理解を得つつ、既設の原発の再稼働に加えて、利用率の向上や長期にわたる安定的な利用に取り組むことが重要であると考えております。原子力委員会で決定いたしました原子力利用に関する基本的考え方において、その旨を示しております。

 今お尋ねの原発の新設、リプレースにつきましては、新たな安全メカニズムを組み込んだ革新軽水炉が他の革新炉よりも技術的に成熟し、既存の軽水炉の経験が生かしやすいため、比較的早い段階での市場展開が見込めると考えております。

 基本的考え方では、今申し上げた革新軽水炉など、革新炉の導入を検討していく際には、新たに組み込まれる安全性の実証を含め、開発からバックエンドまでを含めた革新炉特有の課題への対応など、国際的な動きも踏まえた検討が必要であると考えております。

 以上でございます。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の新増設やリプレースにつきましては、規制委員会としては意見を申し述べる立場にはございません。

 規制委員会としては、事業者からの具体的な炉型の提案を踏まえまして、その熟度に応じて、安全確保を図るために必要な規制基準の考え方を含め、規制の在り方を検討していく所存です。

空本委員 ありがとうございます。

 続いて、高速炉、小型炉に対する、若干小型炉、革新炉には触れていただいたんですが、高速炉とか小型炉についての考え方について原子力委員会としてどうお考えか、また規制委員会としてどうお考えか、お願いいたします。

上坂参考人 お答えいたします。

 革新炉には、多くの国で稼働している大型の軽水炉をベースに新たな安全メカニズムを組み込んだ革新軽水炉や、水素製造や熱利用、電気系統の柔軟性向上への貢献など原子力の多目的利用が可能な高温ガス炉、放射性廃棄物の減容や有害度低減、資源の有効利用に加え、医療用ラジオアイソトープ製造で注目される高速炉など、様々なものが存在しております。これらの革新炉は安全性が既存の軽水炉よりも向上しているとされている一方で、経済性や立地の課題、革新炉特有の使用済燃料対応の課題などが存在しております。

 今後、我が国では、革新炉の導入を検討していく際には、革新炉それぞれの特徴、目的、実現までの時間軸の違い等を踏まえつつ、安全技術の実証、事業環境整備、規制整備、国際的な規制調和、開発からバックエンドまでを含めた革新炉特有の課題への対応など、国際的な動きも踏まえた検討が必要であると考えております。

 以上でございます。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の革新炉、新型小型炉並びに高速炉の推進につきましては、規制委員会として意見を申し述べる立場にはございません。

 いわゆる大型革新炉と呼ばれるものについては、公開されている情報の範囲で申し上げれば、基本的には既存の軽水炉の延長上にあるものが多いと理解しております。

 また、いわゆるSMRと呼ばれる新型小型炉については、軽水炉や高温ガス炉、高速炉など様々なタイプが開発されており、既存炉とはかなり異なる炉型になるのではないかと考えております。

 規制委員会としましては、事業者からの具体的な炉型の提案を踏まえて、その熟度に応じて、安全確保を図るために必要な規制基準の考え方を含めて、規制の在り方について検討してまいりたいと考えております。

空本委員 ありがとうございます。革新炉、小型炉、高速炉、様々な炉型がございます、そういった中で実現可能性も含めてしっかりと検討いただきたいと思うんですが。

 一点だけ、小型炉、SMRといっているんですが、核セキュリティーの観点からどうなんだろうか。運転マネジメントにおいて、中操といいますか制御室が分散するとか、また、炉ごとにマネジメントしていかなきゃいけない。逆に、百十万、百三十万キロワット、このぐらいの既存炉の方が核セキュリティーとか運転マネジメントの観点から合理的であるんじゃないかなと私は思っているんですね。

 今回、例えば浜岡原発一号機、二号機をもし整地化してリプレースするのであるならば、やはり百十万ぐらい、若しくは、ちっちゃくするとしても五、六十万、八十万ぐらいを二つにするとか、そういった方がやりやすいのかなというふうに思ったりするんですね。そういった意味で、核セキュリティーと実際の運転の立場から、管理のしやすさから考えて、どういう炉型がいいのかということも考えていただきたいなと思っております。

 プラス、先ほど高温ガス炉がございましたが、高温ガス炉の再処理をどうするんですか。燃料の問題は、あれは複雑ですので、ちょっと普通の炉よりも違う扱いをしなきゃいけなくて、逆に取扱いできない可能性がある。そういった意味で高温ガス炉の、私自身、高温ガス炉も動燃の方で見たことはありますし、分かりますけれども、実際のところの実現可能性、HTR、実際にその実現性というのは私は結構厳しいのかなと思っております。そういった意味で、実現可能性を含めて。

 ただし、「もんじゅ」で一回駄目になりましたが、高速炉、まあ実際は高速増殖炉ですよ、造るんだったら。「もんじゅ」で、あれはナトリウムの事故であって放射線の事故ではございません、そういったことも含めて国民にもう一度理解をいただきながら、高速炉をどう進めていくかということも原子力委員会としてしっかり検討いただきたいと思っております。是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、GX脱炭素電源法について。五つの法律、原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再エネ特措法、こういったものを束ねて今回審議しようとしている。合同審査をされるということはお聞きしました。経済産業委員会若しくは原子力の特別委員会と一緒に合同審査をするということはお聞きしましたが、これを束ねることというのは少し私は違和感がある。先日の特別委員会の方でも、これはちょっと違うのではないかな、まずは原子力基本法をしっかり吟味した上で、その後、炉規法と電事法をしっかり審議すべきではないかなというふうに考えておりますけれども、なぜこれを束ねたのか。

 もう一点、運転延長に関して、経済産業大臣の認可にしています。なぜ規制委員会の認可にしなかったのか。いろいろ事務方の方からお聞きしているんですが、後ほどそれに対する答弁をと思うんですけれども、ちょっと違和感を感じる。この法案、原子力を維持していきたい人間としてすごく違和感を感じる法案なんですよ。どこが違和感を感じるか、ようやく分かってきました。この認可の問題が一番のポイントなんです、実は。

 皆さんは運転延長をやる、その段取りの資源エネルギー庁と原子力規制庁のやり取りのやり方がまずかったという話もあるんですが、それはおいておいて、今回の法案の中身自身の問題は、この認可の在り方というのが、すごく問題点が多いのかな、大きいのかなと思っております。

 まず、これをまとめた内閣官房GX推進室の方から、これをなぜ束ねたのか、そして運転延長についてなぜ経済産業大臣の認可にしたのか、お答えください。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の五法案を束ねた理由でございます。

 今回の原子力基本法の改正につきましては、二月二十日に内閣府原子力委員会において決定されました原子力利用に関する基本的考え方、これの改定案におきまして、原子力利用に当たっての基本原則は法令等で明確化することが望ましい、そういう旨が記載されまして、二月二十八日に政府としてこれを尊重する旨の閣議決定がなされたことも踏まえまして、まずは、何よりも安全神話に陥り東電福島第一原発事故を防止することができなかったことを真摯に反省した上で安全を最優先とすること、それから、原子力は電力の安定供給やカーボンニュートラルの実現それからエネルギー供給の自律性向上を目的として活用されるものであり、運転期間に関する規制もこうした利用政策の観点から規定すべきものであることといった、原子力のエネルギー利用に関する基本的考え方を整理いたしまして、原子力基本法に明記することとしたものでございます。

 その上で、今般提出している法案につきましては、二月十日に閣議決定いたしましたGX実現に向けた基本方針を踏まえまして、安定供給それからカーボンニュートラルの実現を両立する観点から脱炭素電源の利用を促進するための措置を講ずるものでございます。

 その中におきまして、原子力基本法において規定することとしております原子力利用に係るこうした基本的な原則も脱炭素電源の利用の促進に密接に関係することに加えまして、原子力基本法と電気事業法等のほかの法律の改正案とは条文上も相互に関連しておりますことから、束ね法案といたしまして一括して御審議いただくことが適当であると考えてございます。

松山政府参考人 引き続きまして、運転期間に関する今回御提案申し上げております制度案について、私の方から御答弁申し上げたいと思います。

 今回提出しています法案は、令和二年七月の原子力規制委員会の見解も踏まえまして、現行の原子炉等規制法における運転期間に関する規定というものを利用と規制の観点から改めて峻別いたしまして、電気事業法と原子炉等規制法の二つに再整理することとしたものでございます。

 この運転期間に関する規定でございますけれども、あくまでも、原子力規制委員会が行う安全性の審査というもの、これの認可を得たもの、ここを通ったものについてという大前提の下で、その上で、どこまでその発電所を利用していくか、してよいかという利用の観点からの、これに加えた観点からの措置を講ずるものが、利用政策の観点から取っている制度案でございます。これは安全規制の観点から措置を講ずるものではございませんので、原子力委員会が行うわけではなく、電気事業という利用政策の観点から電気事業法の中で措置するべく御提案申し上げているところでございます。

 なお、今回の法案の中には、運転期間ということで様々御議論、御指摘を頂戴するわけでございますが、炉自体に関する安全規制につきましては、高経年化炉に係る安全規制について、原子力規制委員会が運転開始後三十年を超えて運転しようとするときは十年を超えない期間ごとにより厳格な審査を行うという炉規法の改正案ということも併せて講じているところでございますので、原子力規制委員会が厳格な安全規制を行い、その認可が得られなければ運転は一切認められない、その上での運転期間に関する規制案であるということを御理解いただければと思います。

空本委員 利用と規制の立場から分けて経済産業大臣の認可にした、運転延長にしたということなんですが。

 質問をちょっと飛ばしまして、事前に通告した括弧六番の質問、四十年、六十年の運転延長を認める科学的根拠は利用政策の立場から何かなということを踏まえまして確認したいんですが。

 私は、あるべき姿というのは、経済産業省に対して、発電事業者の立場としての届出というのは、原発でも何でも発電所を造るときには届出をします。今回の運転延長に関しても、まずは経済産業省に運転延長したい旨を届出をし、認可を受けるべきは、原子力規制委員会で認可を受けるべきだと思います。

 こうならないと、実際、発電プラント、例えば炉規法の第四十三条の三の五に書いてありますが、発電用の原子炉を設置しようとする者は政令で定めるところにより原子力規制委員会の許可を受けなければならないと書いてあるんですね。だから、事業をやろうとする人間は、届出は経済産業省にするけれども、認可は規制委員会にするんですよ。この仕組みになっているんだけれども、そこだけ、運転だけ、ねじ曲げちゃっているんですね。

 六十年まで運転延長した、その科学的根拠はどうだったのかということと、もう一点お聞きしたいんですが、私自身、高経年化のいろいろなこれまでの、DOE若しくはEPRIとか、そんな中でNRCと一緒にやってきた規制の研究開発のプログラムを私も担当してきました。ニューレグレポートとかその辺をしっかり読み込んで、ASMEのセクション11の委員会に行って発言することもありました。そっちでも規制基準を一緒に作ったこともありますし、そういった中で思うところは、規制と利用の立場という言葉を適当に使っているんじゃないかなという気がすごくするんですよ。

 私は、原子力は安全に進めていただきたいんです。その中で、利用だけを経済産業省、規制だけを規制庁はいいんですけれども、DOEとNRCがやったようなやり方で、しっかり合理性を持ってこの仕組みをつくっていただきたい。だったら、運転延長する届出は経済産業大臣に、そしてそれをチェックするのは規制庁でやる。でも、何かそこが違う。

 そして、過去の、一九九六年四月の高経年化に関する考え方、資源エネルギー庁、また、発電技検でやった、私も参画しましたが、軽水炉寿命延長化技術開発の委託事業、これは資源エネルギー庁からの事業でございます。だけれども、資源エネルギー庁にお聞きしましたら、この資料は持っていないと。

 一番大事な運転延長に関わる今回の決定に際して、資源エネルギー庁が過去は持っていた、規制委員会、規制庁に移ったかもしれないけれども、これを持っていない。また、若手の職員の皆さん、事務方は知らない。多分、上の方は知っていらっしゃると思う。けれども、若い方がしっかり知らないと原子力行政が曲がってしまいます。また、国民に対してねじ曲がって伝わってしまう、安全神話ということがまた起きてしまう、この心配を私はしているんですよ。だから、原子力は進めたいんですよ、進めるんだけれども、規制委員会とエネ庁の方でねじ曲げてくれると、将来禍根を残します。

 合同審査会でも述べたいんですが、なぜ利用の立場から四十年と定めたのか、六十年延長までオーケーにしたのか、その科学的根拠というのはどういうふうに判断されているか。エネ庁からお願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から非常に重要な御指摘を頂戴いたしました。

 これは、規制と利用というものをどう扱っていくかということについて、私どもは、以前は資源エネルギー庁の下で規制というものと利用というものを同じ部局の中でやっていたというものがございます。そのことがある意味では安全神話と指摘されるようなことに陥ったのではないか、規制と利用、振興というものは分離して、高い独立性を持った規制委員会の下で一元的に規制は行っていくべきだということが、私どもは福島第一の事故を踏まえて、決して繰り返してはならないということで、今に至る規制と利用の分離の形でございます。

 その上で、委員から御指摘がございましたように、規制を行っていく上では様々な、委員の方からの、プラントの実際の技術的な、若しくは耐久性、長寿命化、様々な実態を踏まえた対応を検討していかなければならないというのは非常に重要な御指摘だと思います。

 一方で、私ども利用をつかさどる立場からしますと、安全規制に係る規律の取り方、その際の調査の実施の仕方ということについてコメントいたしますのは、先ほど、冒頭申し上げましたような規制と利用の分離ということの中で、コメントは控えさせていただきたいと考えております。

 その上で、私どもからしますと、事業者の方々の自主的な保安や安全の管理をしていくためには、様々、事業者の皆様方、これは、委員の御指摘がございました過去の高経年化に対するエネ庁の調査を含めて、これに基づいた形で現行でも運用されておると承知しておりますし、安全規制のみならず、これに加えた形で様々な努力がされてきている、この重要性というのは第六次エネルギー基本計画の中にも規定しているところでございます。

 そうしたことを前提とした上で、今回については、あくまでも、原子力規制委員会が安全審査を行って通っていくまでは運転できない、これは変わるものではございません。これをやった上で、どこまで運転の期間というものを利用する上でやっていくかという議論でございます。

 その際には、私どもの審議会の中で、安全規制、安全審査があるのだから、それに加えた規制、規律というものを利用政策の観点で置く必要は英米、欧米のようにないのではないかという御意見もございました。一方で、立地の方々から御不安のような声もたくさん頂戴したところでございます。

 そうした中で、実質的に四十年プラス二十年という運転の状況ということを運転の期間を考える際に考えていくのが適当ではないか、すなわち、震災後の運転が止まっていた期間、一定の他律的な要因のものについてはこのカウントから除外していくという案がよいのではないかという、様々な議論の結果、結論がまとまり、今回、案として御提示しているという状況でございます。

空本委員 時間、いいですか。

古賀委員長 いや、もう持ち時間を経過しておりますので。

空本委員 質問したいんですけれども、もう時間がないので。

 実際のところ、これは六十年にしたっていいんですよ。いいんだけれども、耐用年数という考え方はありませんから。耐用年数としては大丈夫なんですよ、八十年だって大丈夫なんですよ。だけれども六十に決めた、そのときの決め方がおかしいという話。

 それと、実際のところ、届出、認可の在り方がおかしくなっている、ねじ曲がっている、ここは直さなきゃいけない。合同審査会で時間をいただければ、私、また質問させていただきますので。

 それと、若手の役所の方々はもっと勉強していただきたい。といいますが、これは難しい話なんですよ。だから、上の方々がしっかりと私が提示しましたあれを読み込んでいただきたい、取り寄せていただきたい。是非お願いいたします。

 以上で終わります。

古賀委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたこと、心より感謝を申し上げます。

 それでは、早速でございます、質問に入らせていただきます。

 初めに、グリーンライフポイントによる暮らしの脱炭素について伺います。

 グリーンライフポイントは、環境に配慮した日常の行動をポイント化することで、一人一人が環境問題を自分事とし、脱炭素に向けたライフスタイルへの意識を醸成しようとするものであります。

 日本の温室効果ガス排出源の六割以上が衣食住の分野と言われておりますけれども、私たちの生活の現場では、環境問題に関心はあるけれども、意識だけで、なかなか行動につなげられない人も多いのではないでしょうか。

 今後、衣食住の脱炭素を推進するためには、このグリーンライフポイント制度を自治体における永続的な取組として定着させることも必要かと思います。

 環境省では、グリーンライフポイントを付与する事業者や自治体の取組に対して企画、開発、調整等の費用を助成するなど、その導入に積極的に取り組んでまいりました。そこで、まず、現段階でのグリーンライフポイント制度の導入状況について、脱炭素への一人一人の機運の醸成の効果も含めてお聞かせ願えますでしょうか。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のグリーンライフポイントの取組に対して企画、開発、調整の費用を助成する事業、これはグリーンライフポイント推進事業でございます。公明党の御支援をまさに受けて、やらせていただいたものでございます。消費者による環境配慮製品の購入ですとか消費行動にインセンティブをポイントによって付与しよう、こういう企業や自治体などの準備経費の支援を行ってまいりました。

 ポイントという分かりやすい形で行動の結果を見える化をしてインセンティブを付与することが消費者の環境配慮行動を促進する上で有効であることが、私ども環境省のナッジ事業により実証されております。

 これまで四十八事業で消費者へのポイント発行を実際に開始しておりまして、そのうち、お尋ねの、自治体が主体となっているもの、あるいは自治体との連携で地域に根差した取組をしているものが二十九事業ございます。

 これらの事業を通じて、例えば、地産商品の購入ですとか、プラスチック製カトラリーの受取辞退、未利用の食品の寄附、こういったところにインセンティブが付与されておりまして、全国各地で市民の多様な環境行動を後押しする基盤が整備されたというふうに私どもは考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 このグリーンライフポイントへの助成の制度なんですけれども、三年間の継続が条件となっていると聞いておりますが、その後の継続を促すと同時に、まさにより多くの自治体への更なる拡大も大事であると私は考えております。このグリーンライフポイントを活用し、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動につなげていくことも有意義かと思います。

 そこで、先進的に取り組んでいる自治体の事例を他の自治体に紹介をしたり、企業等が既に展開している脱炭素につながるポイントサービスとの連携を支援するなど、脱炭素への国民運動を巻き起こすために、環境省として積極的にグリーンライフポイントなどの制度の拡大に取り組むべきと考えますけれども、西村大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

西村(明)国務大臣 今、輿水委員から御指摘がございましたけれども、幅広い地域で持続的にグリーンライフポイントを活用するためには、既存のサービスなど、企業との連携を深めていくことも不可欠でございます。

 グリーンライフポイント推進事業においては、民間企業の既存のポイントシステムを活用する北九州市、また、飛騨地方限定の地域通貨、さるぼぼコインを提供する飛騨信用組合、こういったところなどを支援して、自治体と企業との連携を促してきたところでございます。

 また、御指摘にございました新しい国民運動につきましても、官民連携協議会などを通じて自治体と企業の連携を促しておりまして、グリーンライフポイント推進事業でサービス基盤を整備した民間企業が自治体との連携を進めているという動きも出てきております。

 今後も、地域の様々な主体間の連携を深めながら、より多くの自治体で、国民の環境に配慮した行動変容を促す、こういった取組を広めてまいりたいと考えています。

輿水委員 是非よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、食品ロスの削減による脱炭素について伺います。

 食品ロスは、廃棄の段階で生じる環境への影響だけではなく、その生産過程で投入される資源の浪費にも着目する必要があります。具体的には、地域で消費される食品は、製造、加工、輸送、小売と各工程で資源が使われるため、廃棄する際の資源の浪費を考えた場合、環境への影響は少なくありません。

 日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる食品ロスは約六百万トンと言われております。大切な資源の有効活用や環境負荷への配慮の面から、地域における食品ロスを減らす取組は大変に重要であると考えております。

 食品ロスに取り組む東京都江戸川区では、インターネット上で区内の飲食店や小売店が賞味期限の近い食品を出品し、区民らが手軽に購入できるサービス、「タベくるん」を昨年十二月から実施しております。お弁当屋さんやお菓子屋さんなど十八店舗が出品し、約二万三千人の利用者を集め、好評を得ていると伺っております。

 実際に、地域のパン屋さんでは、出品するとすぐに予約が入り、売り切れるほどの人気ぶりとのことです。店長さんは、これまでは捨てるしかなく、もったいないと思っていたが、発信する方法がなかったので、とても助かっている、そんなコメントも出しているところでございます。

 そこで、環境省の事業として、飲食店や小売店での、閉店の間際に残ってしまった料理や総菜等を消費者とマッチングさせるサービス、いわゆるフードシェアリングの展開を支援し、食品ロスの削減を推進することも大変に有意義かと考えますけれども、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

土居政府参考人 フードシェアリングは、飲食店や小売店における事業系食品ロスの削減のみならず、この仕組みを利用することを通じまして、消費者が食ロス削減に向けて行動を見直す契機になり得るというふうに認識しております。

 フードシェアリングの展開に当たりましては、ライフスタイルへの定着に向け、事業者による多様な取組事例、これを消費者に知っていただくということが極めて重要だというふうに考えております。

 環境省が実施します表彰制度におきまして、フードシェアリングに取り組む事業者が受賞した事例がございまして、食品ロス削減に向けた普及啓発の観点から、先導的な取組事例を発信してきたというところでございます。

 関係省庁、自治体とも連携をしまして、フードロス削減のモデル事業の先導的な取組を創出するとともに、ノウハウの蓄積、共有などを図って、フードシェアリングを含めました対策を強力に進めていきたいというふうに考えております。

輿水委員 是非よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、続きまして、カーボンフットプリントの普及による脱炭素について伺います。

 食品を始め全ての商品、サービスは、つくられてから捨てられるまでの過程を通じて多くのエネルギーを必要としています。そのエネルギーは、主に化石燃料から得られ、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを大気中に排出をするものであります。

 ここで、カーボンフットプリントとは、これらの商品、サービスのライフサイクルの各過程で排出された温室効果ガスの総量をCO2量に換算して表示するものであり、このカーボンフットプリントにより、消費者は、購入や使用する際、CO2排出量等を確認することができます。

 環境省では、先ほどの大臣の御答弁にもございましたけれども、脱炭素に向けたライフスタイルの転換のうねり、ムーブメントを起こすことを目指して、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動を進めております。

 そこで、環境省として、カーボンフットプリントの普及拡大に積極的に取り組み、脱炭素につながる新たな暮らしを支える商品やサービスを見える化し、国民一人一人の主体的な、脱炭素を意識した消費行動を促すことも必要かと思いますが、御見解をお聞かせください。

山田(美)副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のカーボンフットプリントは、消費者が脱炭素、低炭素な製品やサービスを選択する上で必要な情報を提供する有効な手法と認識しております。

 環境省は、製品のライフサイクルを通じたCO2排出量の算定に取り組む企業を支援するモデル事業を実施いたしまして、その成果も踏まえて、カーボンフットプリントガイドラインを経済産業省と共同で作成し、先週公表いたしました。今後、モデル事業の成果を踏まえた実践的なガイドを公表予定としておりまして、これらの周知を通じて、カーボンフットプリントの普及を促進し、製品やサービスのCO2排出量の見える化を進めてまいります。

 さらに、こうした製品やサービスを積極的に選んでいただけるように、新しい国民運動において、消費者へのインセンティブ付与ですとか情報発信などの取組を官民連携で進めることで、消費者の行動変容を強力に促してまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。積極的な御答弁、本当にありがとうございます。

 それでは、続きまして、株式会社脱炭素化支援機構の出資による脱炭素について伺います。

 株式会社脱炭素化支援機構は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、脱炭素に資する多様な事業への呼び水となる投資支援で、経済の活性化や地方創生など、新たな価値の創造に貢献しようとする機関でございます。

 ここで、株式会社脱炭素化支援機構の支援の在り方について、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現という目的の達成を重視し、出口戦略を明確に持っている計画や事業者を重視するべきであると私は考えております。今までにないすばらしい技術の開発に取り組むという開発者目線だけではなく、将来の地域はこのように変えるという明確なビジョンを描ける計画や事業を支援することが重要であると思います。

 そこで、株式会社脱炭素化支援機構は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた投融資先を決定する上で、その出口戦略や社会実装ビジョンの重要性についてどのように考えているのか、また、どのように進めようとしているのかについてお聞かせください。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、株式会社脱炭素化支援機構、通称JICNによります投融資先の決定におきまして、各事業の出口戦略それから社会実装のビジョンは非常に重要な要素の一つであると認識してございます。

 そのため、JICNにおきましては、支援決定を行うに当たって、環境大臣が定めた支援基準に基づきまして、温室効果ガスの削減効果あるいは社会経済の発展への貢献などの政策的な意義、それから、事業スキーム、体制や資金回収の方法などの収益性に加えまして、議員御指摘のとおり、各事業が持ちます出口戦略あるいは社会実装に当たりますまさにビジネスモデルの確立それから普及拡大などへの貢献、こういった観点から多面的な視点で審査を行うということにしてございます。

 一例で、先日JICNが公表いたしました支援先の一つとして、WOTA株式会社というところがございますが、小規模分散型水循環システムの開発と販売を手がけてございまして、水インフラの脱炭素化に加えて、過疎地域、離島等における水資源問題の解決への貢献、さらに自治体とも連携した社会実装に向けた具体的な計画が立てられているということを踏まえて支援決定に至ったものだと認識してございます。

 今後とも各事業の出口戦略、社会実装のビジョンなどの精査を含めて審査を進めることによりまして、脱炭素化に向けた産業構造や経済社会の変革、強靱で活力ある地域社会の実現に貢献する事業に対して積極的に支援することを期待しているところでございます。

輿水委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

古賀委員長 次に、内閣提出、気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。西村環境大臣。

    ―――――――――――――

 気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西村(明)国務大臣 ただいま議題となりました気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 気候変動の影響により、国内の熱中症死亡者数は増加傾向が続いており、近年では年間千人を超える年が頻発するなど、自然災害による死亡者数をはるかに上回っています。また、今後、地球温暖化が進行すれば、極端な高温の発生リスクも増加すると見込まれ、我が国において熱中症による被害が更に拡大するおそれがあります。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、今後起こり得る極端な高温も見据え、熱中症の発生の予防を強化するための仕組みを創設する等の措置を講ずることで、熱中症対策を一層推進するものであります。

 次に、本法律案の内容の概要について、主に四点御説明申し上げます。

 第一に、関係府省庁の連携を強化し、集中的かつ計画的に政府一体となった熱中症対策の推進を図るため、政府は、熱中症対策実行計画を定めなければならないこととします。

 第二に、現行の熱中症警戒アラートを熱中症警戒情報として法に位置づけるとともに、重大な健康被害が発生するおそれのある場合には、熱中症特別警戒情報を新たに発表することといたします。

 第三に、市町村長は、市町村内の冷房設備を有する施設を指定暑熱避難施設として指定できることとし、指定暑熱避難施設の管理者は、熱中症特別警戒情報の発表期間中、暑さをしのげる場所として当該指定暑熱避難施設を一般に開放しなければならないこととします。

 第四に、市町村長は、熱中症対策の普及啓発等に取り組む民間団体等を熱中症対策普及団体として指定できることとします。これにより、地域の実情に合わせた普及啓発や個別の相談支援等の活動を通じて、高齢者等の熱中症弱者の熱中症予防行動をより徹底していきます。

 これらのほか、独立行政法人環境再生保全機構の業務として、熱中症警戒情報等の発表の前提となる情報の整理、分析等の業務や、地域における熱中症対策の推進に関する情報の収集、提供等の業務を追加することとします。これにより、熱中症対策をより安定的かつ着実に実施する体制を確立します。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

古賀委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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