衆議院

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第5号 令和5年6月9日(金曜日)

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令和五年六月九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古賀  篤君

   理事 菅家 一郎君 理事 堀内 詔子君

   理事 務台 俊介君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 篠原  孝君 理事 森田 俊和君

   理事 漆間 譲司君 理事 輿水 恵一君

      石川 昭政君    石原 宏高君

      今枝宗一郎君    国定 勇人君

      武村 展英君    中西 健治君

      穂坂  泰君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    柳本  顕君

      山口  晋君    山口  壯君

      阿部 知子君    新垣 邦男君

      大河原まさこ君    近藤 昭一君

      坂本祐之輔君    堤 かなめ君

      馬場 雄基君   松木けんこう君

      奥下 剛光君    空本 誠喜君

      林  佑美君    日下 正喜君

    …………………………………

   環境大臣         西村 明宏君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   環境副大臣        小林 茂樹君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   環境大臣政務官      柳本  顕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤本 武士君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            秦  康之君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           上田 康治君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   金子 修一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 北尾 昌也君

   環境委員会専門員     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     五十嵐 清君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     石原 正敬君

同月二十五日

            補欠選任

             林  佑美君

六月九日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     山口  晋君

  坂本祐之輔君     阿部 知子君

  堤 かなめ君     大河原まさこ君

  馬場 雄基君     新垣 邦男君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     石原 正敬君

  阿部 知子君     坂本祐之輔君

  新垣 邦男君     馬場 雄基君

  大河原まさこ君    堤 かなめ君

    ―――――――――――――

五月十六日

 石綿による健康被害の救済に関する法律の抜本的改正等に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一〇六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官宮本新吾君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、経済産業省大臣官房審議官藤本武士君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官白石隆夫君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長松澤裕君、環境省水・大気環境局長秦康之君、環境省自然環境局長奥田直久君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君、環境省総合環境政策統括官上田康治君、原子力規制庁次長金子修一君、防衛省大臣官房審議官北尾昌也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武村展英君。

武村委員 おはようございます。自由民主党の武村展英でございます。

 本日は、御質問の機会を頂戴しましたこと、心から感謝を申し上げます。

 早速質問に入ります。まず、LNGトラックの普及についてお伺いをしたいと思います。

 我が国は、二〇五〇年温室効果ガスゼロ、そして二〇三〇年マイナス四六%という国際公約を掲げております。そうした中で、我が国を挙げて脱炭素化に取り組んでいかなければなりません。そういう中で特に排出量の多い運輸部門、その中でも大型のトラックの将来像というものがまだまだ明らかになっておりません。そういった中で私自身はLNGトラックを普及していくことが重要だと思いますが、この点について質問をしていきたいと思います。

 まず、我が国のCO2排出量のうち運輸部門の排出量、また、そのうちトラック運送業界の排出量はどの程度であるか、お聞きをいたします。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども環境省で、毎年度、CO2も含めまして、温室効果ガスの排出・吸収量を取りまとめております。それに基づきますと、我が国の二〇二一年度の二酸化炭素排出量は十億六千四百万トンでございます。このうち先生お尋ねの運輸部門の排出量は一億八千五百万トンということで、二酸化炭素排出量全体の約一七%を占めております。

 この運輸部門の排出量のうち、トラック運送業は、主に営業用貨物からの排出量ということかと思います、数字としては四千二百四十七万トンでございまして、運輸部門に占める割合が二三%、全体のCO2排出量に占める割合が四%というふうになっております。

武村委員 ありがとうございます。運輸部門が我が国の総排出量の一七%、お配りしている資料では、そのうち主に営業用貨物車ということで二三%、大変大きな割合を占めています。

 こうした状況の中で、電動車への移行というのがまず選択肢として考えることができるかと思います。電動車への移行、充電インフラを整備していくことが重要であるというふうに思います。この点につきまして、我が国の乗用車、トラックの新車販売目標、そしてインフラの整備の目標はどうなっているのか、また、八トン以上の大型車について政策目標をどのように考えているのか、経産省にお伺いをいたします。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の政府としての電動化目標は、令和三年六月に関係省庁が連携して策定したグリーン成長戦略におきまして設定したものであります。乗用車につきましては二〇三五年までに新車販売で電動車一〇〇%、八トン以下の小型商用車につきましては二〇三〇年までに新車販売で電動車二〇から三〇%、二〇四〇年までに電動車と合成燃料などの脱炭素燃料の利用に適した車両を合わせまして一〇〇%とすることを目標としております。

 八トン超の大型商用車につきましては、電動化技術の開発の途上であり、引き続き状況を注視していく観点から、電動車の開発、利用促進に向けた技術実証を進めつつ、二〇二〇年代に五千台の先行導入を目指すということとしております。また、水素や合成燃料などの価格低減に向けた技術開発、普及の取組の進捗も踏まえまして、二〇三〇年までに二〇四〇年の電動車の普及目標を設定することとしております。

 また、充電、充填インフラの整備も電動車の普及と並行して進めていく必要があります。充電インフラにつきましては、二〇三〇年までに公共用の急速充電器三万基を含みます十五万基、水素ステーションにつきましては、二〇三〇年までに一千基程度という目標を掲げております。

武村委員 ありがとうございます。

 配付資料の裏面を、二ページ目を御覧いただきたいと存じます。今お答えをいただきましたグリーン成長戦略における電動化の目標を記載しています。真ん中より少し上ですね、電動化の目標ということで、それぞれ目標値が掲げられています。その中で、八トン超の大型車については、二〇二〇年代に五千台の先行導入を目指すとともに、二〇三〇年までに二〇四〇年の電動車普及目標を設定するということで、この部分が、今、将来像がまだ描けていない状況であるというふうに思います。

 そういう中で、八トン以上の大型車を全て電動車に切り替えていくというのは現実的にはなかなか難しい状況にあると言われております。八トン超の大型車については、あらゆる施策を総動員して脱炭素化を進めていかなければなりません。

 こうした電動化困難領域と言われている八トン以上の大型トラックの脱炭素を進めていくためには、私自身は、特にLNGトラックは、これにバイオメタンや合成メタンを混合して使用することで、低炭素化の現実的な解になり得るものであるというふうに考えています。この点、現在、北海道の苫小牧、それから石狩市において実証実験が行われているというふうに聞いております。その進捗と課題についてお伺いをいたします。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘いただきました北海道の苫小牧市、石狩市で実施しておりますLNGトラック走行の実証試験、実験でございますけれども、これは、三菱商事株式会社、エア・ウォーター株式会社、それからいすゞ自動車とか、こういったところがプロジェクトを実施しています。これは令和三年度から開始しまして、令和六年度までの実施を予定しているところでございます。

 御指摘のとおり、大型のLNGトラックによる脱炭素社会の実現をこの事業者の人たちは目指すということで取り組んでいただいておりまして、令和四年から実証走行を始めました。LNG充填設備を苫小牧、石狩にそれぞれ一基ずつ、それからLNGトラック計十四台が現在稼働しております。最終的には、カーボンニュートラルな燃料であります液化バイオメタンですとか、先生御指摘いただきました合成メタン、いわゆるEメタンと呼ばれるものでございますけれども、それによって脱炭素化を目指していこう、こういうことになってございます。

 そして、課題のところでございますけれども、実施事業者によりますと、液化バイオメタンの供給源をどうするかとか、それから航続距離がどれぐらいか、燃料価格がどうなっていくのか、そして燃料供給インフラをどうしていくのか、様々な課題がありますと。こういう中で、電動車はEVとかFCVトラックと比べてどういう優位性があるのか、競争力はどうなのかといったところをしっかり把握していくというところが課題になってございます。

 環境省といたしましては、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、トラックについても、EV、FCV、そしてこのLNGトラックなど、用途に応じて様々な選択肢というのを検討していく必要があると考えております。

武村委員 ありがとうございます。こうした実証実験について、まだまだ実用化に向けて多くの課題が残されているというふうに思います。技術的な支援を含めて、是非とも選択肢の一つとして後押しをしていただきたいと存じます。

 今、Eメタンというお話もありました。LNGトラックを合成メタンなどを使って進めていく上で、合成メタンのCO2排出のカウントをどうするか。例えば、合成メタンを輸入する際、それを製造している外国においてはCO2を削減している、一方でこれを使っている日本でカウントされるということでは、なかなか合成メタンの普及というのが我が国で広がっていかないというふうに思います。

 LNGトラックが長期輸送の現実的な解になり得るためには、こうした合成メタンのCO2カウントに係る二国間ルール、これがどうなっていくかにも大きく影響されるというふうに考えます。この点、現在、役所ではどのように取り組んでおられるのか、お伺いをいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきました合成メタン、Eメタンと最近呼んでおりますけれども、これは、ガスの燃焼時にはCO2は当然のことながら排出するわけでございますが、その製造のプロセスにおきまして、大気中に放出されたCO2を原料とし、これを水素と合成することによって製造していくわけでございますので、全体として脱炭素に資するものであるというふうに考えております。

 既存インフラをそのまま活用しながら都市ガス供給のカーボンニュートラル化を進める上で重要な手段だと思いますとともに、委員御指摘のように、輸送燃料のカーボンニュートラル化を進める上でも大きく寄与し得るものだと考えてございます。

 御指摘のとおり、燃料の製造、消費というものが国をまたぐ場合には、CO2の排出のカウントの仕方によって適切なルールの整備が必要だと考えております。例えば、海外で燃料を製造した際のCO2削減効果を国内の利用に計上することができるようになれば、これは政府、産業界双方にとって重要な意義を持ち得るというふうに考えてございます。

 現在、大手ガス事業者の方々がアメリカで合成メタン製造のプロジェクトへの投資を検討中だというふうに承知しているわけでございますが、こうしたプロジェクトの具体化の中で、また様々な外交機会の場を通じまして、国際的なCO2排出の取扱いルール整備につきまして環境省を始め関係省庁と連携して一体として取り組む必要があるわけでございますけれども、官民一体となりまして取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

武村委員 ありがとうございます。是非、官民一体となって戦略的な取組を進めていただきたいと存じます。

 LNGトラックですが、私は、現実的な解になるというふうに申し上げましたけれども、様々な、これから活用していく上での長所があるというふうに思っています。天然ガスのインフラはもう既に日本各地にその基盤が存在しているということ、トラックへの充填設備があれば即時利用可能であるということであります。それから、ディーゼル車両と同じような使い方ができるということで利便性が高い、開発済車両が既に市場に存在し、即活用できる状態である、こうしたメリットが多くあるというふうに思っています。そういうわけで、これを伸ばしていただきたいというふうに思っておりますが、大型LNGトラックに対する燃料支援、インフラ整備の支援について今後どのように取り組んでいかれるのか、環境省にお伺いをいたします。

秦政府参考人 環境省におきまして、LNGトラックを含みます環境配慮型トラックの導入につきまして補助事業により支援を行ってございます。

 あと、先ほど委員からも御紹介のあったとおり、グリーン成長戦略におきまして、大型の車につきまして、二〇三〇年までに二〇四〇年の電動車の普及目標を設定するということになってございますけれども、政府全体で、商用用途に適する電動車の開発の技術実証のほか、水素や合成燃料等の価格低減に向けた技術開発、普及の取組も進めることとされてございます。

 また、環境配慮型のトラックの更なる普及に向けましては、燃料の調達ですとかあるいはインフラ整備、これも先生御指摘のとおり大変重要だと思っておりますので、関連する技術ですとかあるいは制度、こういったものの進捗も踏まえつつ、関係省庁と連携しながらその在り方を検討してまいりたいと考えてございます。

武村委員 ありがとうございました。LNGトラックというものを使って脱炭素が可能となる、こうした選択肢をまず多くの皆様に知っていただきたいというふうに思います。そして、電動化困難領域と言われる大型、長期輸送のトラックについては、まさに施策を総動員していかなければなりません。是非、省庁を横断してのこうした取組について強力な御支援をいただきますようお願い申し上げます。

 続きまして、テーマを変えまして、一般廃棄物の処理施設についてお伺いをしたいと存じます。

 今後、全国で多くの一般廃棄物処理施設の耐用年数が経過し、多くの施設が更新されることが予想されます。私の地元でも、焼却処理を行わない好気性発酵乾燥方式、いわゆるトンネルコンポスト方式での焼却炉の建設を検討している自治体が複数ございます。こうした脱炭素の動きを強力に支援する制度が今はないため、従来型の処理施設にせざるを得ないな、そういうふうな温度感、自治体の感覚ではないかというふうに思います。

 トンネルコンポスト方式は、生ごみを燃やさないという意味におきまして、脱炭素化に対する貢献が私は大きいというふうに考えております。こうした廃棄物処理施設の整備を強力に推進する必要があるというふうに考えておりますけれども、環境省の今後の考え方についてお伺いをいたします。

土居政府参考人 環境省では、循環型社会形成推進交付金によりまして、高効率発電ごみ焼却施設のようなエネルギー回収型の廃棄物処理施設であるとか、あと有機性廃棄物リサイクル推進施設などの整備を支援しております。

 今御指摘がございました好気性発酵乾燥方式につきましても、廃棄物を資源化する場合につきましては、有機性廃棄物リサイクル推進施設として同交付金の支援の対象になるというふうに考えてございます。

 一般廃棄物の処理方式の選択につきましては、安定的な処理の確保、また分別の区分、必要な施設面積、温室効果ガスの削減効果、処理に関しますトータルコストなどを総合的に勘案して自治体により検討が進められていると思いますが、必要に応じまして環境省からも技術的な助言等をしていきたいというふうに考えております。

 また、現在、廃棄物処理法に基づきまして二〇二七年度までの五年間を計画期間とします次期廃棄物処理施設整備計画の策定に向けた検討を行っておりますが、この中でも、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた廃棄物分野での脱炭素化の推進を記載していきたいというふうに考えております。

 環境省としましては、この計画の内容も踏まえながら、自治体への財政的、技術的支援を通じまして、地域の創意工夫を生かした廃棄物処理施設の整備を後押ししていきたいというふうに考えております。

武村委員 ありがとうございました。是非、やる気になっている自治体を強力に応援していただきたいというふうに思います。

 続きまして、カワウの対策について二問、事前に通告をしておりましたが、二問を一括してお伺いしたいというふうに思います。

 滋賀県では、漁業被害や農産物への被害が多く報告をされています。当初は琵琶湖の周辺に多く生息していたんですが、春季の生息数が当初は三万七千羽、これが捕獲などにより七千羽まで一旦減少したんですけれども、再び一万七千羽まで増えてきています。また、生息域が内陸域に分散化しています。こうした傾向は滋賀県だけではなく全国的な傾向であることから、私は、指定管理鳥獣に指定し、指定管理鳥獣捕獲事業による取組が必要だというふうに考えています。この点、環境省のお考えをお伺いしたいというふうに思います。

 また、近年、住宅に隣接する地域でねぐらやコロニーが形成されているという報告があります。こうした場合、銃器をなかなか使うことができません。そういう意味で、こうした地域での銃器使用に必要な安全確保等に関する条件の整理が必要だというふうに考えています。さらに、新たな捕獲技術の開発も急務であるというふうに考えますが、環境省のお答えをお願いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の指定管理鳥獣につきましては、全国的に生息数が著しく増加、若しくは生息地の範囲が拡大している鳥獣であって、集中的、広域的に管理を図る必要があるものを環境大臣が指定するものでございます。

 カワウにつきましては、まさに御指摘のとおり、全国的に生息分布が拡大傾向にあって、近年、特に滋賀県を含む中部地方、近畿地方において個体数が増加しているというふうに認識しております。

 このため、こうした地域で捕獲を強化しなければならないとは考えておりまして、まさに指定管理鳥獣への指定につきましては、具体的なデータを引き続き、カワウがどのように分布が広がっているか、その問題について具体的な情報を収集しつつ検討していきたいと考えております。

 また、カワウに関しましては、捕獲の方法が非常に重要でございます。ねぐらや群れの分散による被害の拡大を招くおそれもあると言われていますので、そういった管理も含めた総合的な対策を進めているところでございます。

 また、御指摘の生活環境被害の防止のため、住宅とカワウのコロニーが隣接している場所での捕獲の必要性も我々は認識しております。

 その中で特に銃器の使用をするというのは、まさに安全確保が重要でございます。このため、関係省庁や専門家とともに、滋賀県で現在進められている銃器によるカワウの捕獲実績も参考にしながら、安全確保の方策を検討しております。

 こうしたものを踏まえて、住宅の近隣で銃器を用いたカワウの捕獲を実施するための条件ですとか判断基準を整理して、都道府県にお示ししたいと考えておるところでございます。

 環境省では、具体的な技術として、カワウの巣に例えばドライアイスを投入して卵のふ化を抑制する方法を始め、カワウ被害対策に関する最新の知見や事例を掲載したレポートを作成しているところでございます。これを活用しまして都道府県、市町村職員への研修会を開催することなどによって、被害対策に関する技術的な支援を進めたいと考えております。

 また、今後、関係省庁とも連携しながら、効果的なカワウの捕獲を実証するモデル事業、こうしたものを実施することも検討してまいりたいと考えております。

武村委員 引き続きの御支援をお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、環境委員会の貴重な質疑のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私が本日取り上げさせていただきますのは、明治神宮外苑の再開発の見直しを是非皆さんで考えていただきたいと思いますので、これから少し、幾つか環境大臣にも御質疑をさせていただきます。

 実は、この明治神宮外苑の再開発は、昨年の十一月でしたか、超党派の議員連盟もつくられまして、やはり今の時代、この大事な神宮外苑の森をどう保存していくのかということは国民的課題であり、党派を超えた課題であろうということで、様々な先生方も知恵と御意見を寄せてくださっているところであります。

 私自身も、本年二月には予算委員会、また、四月には文科委員会の分科会でも取り上げさせていただきましたが、いよいよこの六月ないし七月からは文庫の森と言われるところの樹木の伐採も始まろうとしているところで、緊急を要するということで今日の質問を、御無理を申し上げて、ここに入れていただきました。

 まず、質問の第一ですが、日本においては、一九九三年に環境基本法ができて、九七年に環境影響評価法というものも作られて、その見直しが平成二十三年に行われております。環境保全のための重要な環境評価法の見直しの主なものは何であるのか、これを参考人の方からお願いいたします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 環境影響評価法は、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業を実施するに当たりどのような影響を及ぼすか、あらかじめ事業者が調査、予測及び評価を行い、その結果を公表して地方公共団体、住民等から意見を幅広く聞き、これらを踏まえて環境保全の観点からよりよい事業計画を作り上げようという制度でございます。

 本法は、平成九年に公布され、十一年に施行されております。その後、施行から十年を経過して把握した課題等を踏まえ行った平成二十三年の改正では、対象事業に関する位置等の計画の立案段階から配慮すべき環境配慮事項を検討する配慮書の手続、また、環境保全措置等の結果を報告、公表する報告書手続等の創設を行ったところ、この辺りが重要な点であると認識をしているところでございます。

阿部(知)委員 冒頭御答弁にありましたそうした評価を前倒ししていく、それから報告も行う等も重要ですが、そもそも、最初から住民等から広く意見を聞く、環境というのはみんなで守るものでありますので、一方的な開発ということがないようにという精神も、今更に、時代的にも重要かと思います。

 そして、そうした環境影響評価法は国が主に関わるところですが、各地方自治体においてもその精神は同じくするものと思いますが、各地方自治体とはどのような国との意見交換の場がおありなのか。

 これを伺いますのは、今回の明治神宮外苑は東京都の条例にのっとっての開発でありますので、各地方自治体にもこの環境影響評価法にある精神を共にしていただきたいと思っての質問です。自治体との意見交換等は、情報交換もですね、どうなっておりましょう。

上田政府参考人 お答えいたします。

 環境影響評価法の趣旨に関する地方自治体との、説明等についての実態のお問合せでございます。

 今回のお問合せに関して、環境影響評価法、こちらにつきましては、法の趣旨でありますとか施行の技術的中身、これらを正しく理解し、実際にその業務に当たっている実務者の能力を向上させること等を目的として、地方公共団体向けの研修を毎年行っているところでございます。また、地域別に、ブロック別等の会議等を行って、双方向の意見交換なども行っているところでございます。

 また、当然ではございますが、法律の制定時、また改正をした際には、各種通知等をもって、その法律の中身の趣旨、改正の趣旨、こうしたものを周知しているところでございます。

阿部(知)委員 果たして十分にそういう意味で地方自治体との情報共有や理解の促進が進んでいるのかどうかということで、私は懸念を持つものです。

 皆様のお手元の一枚目には、先ほど参考人がお述べくださいました改正法制度の概要が述べてございます。これは大事な改正と思いますし、広く住民や知事の意見を聞くということもございますし、説明会の開催などもここには述べられております。

 一方で、開いて二枚目、これは現在行われております明治神宮の外苑の再開発でございまして、このポンチ絵のようなものを見ていただきましてお分かりのように、大変高層ビル、百八十五とか百九十メートルの、のっぽの高層ビルが相並んで建てられて、景観も変わってまいりますし、その他もろもろ、自然系にも影響を及ぼすということでございます。この再開発ということは既に東京オリンピックの国立競技場の建築のときから始まっておりますが、ここに来て、いよいよそれが拡大をしておるさなかというところでございます。

 では、さて、明治神宮外苑の歴史を遡ってみますと、ここは、今でいうクラウドファンディングというような形で全国約七百万人の方から寄附が寄せられて、筆頭には渋沢栄一さん、そして、お一人お一人からは、本当に個々人から、明治天皇あるいは昭憲皇太后の遺徳をしのんでということもございますし、多くの寄附が寄せられました。

 続いて、三枚目を御覧をいただきたいと思いますが、これは、最近、山梨県の韮崎市の江戸から明治にかかる頃の蔵の中からいわゆる募金の名簿が見つかったという記事であります。山梨の民家に献金者名簿ということで、五月三十日の東京新聞の記事でございますが、これを読みますに、本当に、大正時代に、貧富を問わず、お金のある人も、それから、例えば十銭からの寄附というのがあって、それは、当時、おそばは、かけそば一杯が四銭だったということで、かけそば二杯分のお金も寄附されたというようなことが記録に残っております。

 西村大臣は、明治神宮外苑がこうした経過ででき上がったということを、これまでも私もお尋ねしましたので御存じとは思いますが、改めて、こういう記事を御覧になってどのようにお思いでしょう。お願いいたします。

西村(明)国務大臣 今、阿部委員から御指摘がありました歴史的な経緯というのは承知しております。特に、何もないところから明治神宮を造って、それに多くの方々の善意の寄附で賄われたということは承知しております。大変歴史を感じさせる地域だというふうに認識しております。

阿部(知)委員 今どきは、こうしたことはコモンズとかクラウドファンディングと横文字で呼ばれますが、当時から、日本の広く国民の中にある思いを凝集したのが私はこの明治神宮外苑だと思います。内苑の方は、国から明治神宮に払い下ろされて、そこで国費の何がしかも用いて整備されましたが、外苑の方は、こうやってみんなのお金を集めて百年前に造られたということは、歴史の中でも非常に私は日本の誇るべき財産だと思っています。

 さて、こうしたものを再開発するに当たって、そうした歴史の経緯や思い、あるいは、そこにある今の百年の森というかけがえのない財産がどのように評価され、守られていくんだろうかということで、またまた大きな問題があると思います。

 東京都が行っております条例に基づきます環境評価あるいは事業の進め方については、主に環境評価についての専門家からの様々な不十分性の指摘、あるいは住民側からは、説明会が広く行われていない、限られたところで限られた人にしか行われていない、冒頭御答弁いただきました、環境アセスをよりよくしていく努力や住民の声を聞くというところが全くスルーされているように思います。

 それのみならず、開けていただいて、資料の四を見ていただきますと、これは、実は、事業者の一つである三井不動産、事業者は四者ございます、三井不動産、明治神宮、そしてJSC、日本スポーツセンターですね、国の独法です、そしてもう一つございますが、伊藤忠ですね、この四者がございますが、これがこぞって出した新聞意見広告、これはすごくお金がかかっています。だって、新聞の一面でした、日経新聞、朝日新聞、その他。こんなにどうしてお金をかけて出すんだろうと思うほどでしたが、その出された意見広告を見ましても、これは、専門家のみならず、私どもが見ても、ちょっとどうかなと思うような内容なのであります。

 一に、緑を増やしますというのが下の方に書いてございますが、実は、この増やすというのは、木を切って、代わりに、切ったよりたくさんの木を植えるという方法で、これは、自然保護の生物多様性の中でやるべき最後の手段であります。そういう伐採を回避するのが一番、二番目はそれをなるべく軽減する、最後は伐採となるわけですが、ここには堂々と、切って植えるからというふうなことが伝えられております。

 各々、全部私はちょっとどうかなと思いますが、開けていただきまして、次のページであります。そもそもが、ここに出された写真もいかがなものかと言われております。というのは、ここは皆さんよく御承知のイチョウ並木があるところですが、ここの横にこの度野球場が移ってくるという計画なのですが、そうすると、この並木から八メートルほどしか離れていないので、野球場の高い建物の陰に並木がなってしまう。そのことを懸念したのが専門家らの指摘にある下の図、資料五の下で、三井不動産らが示した写真とは似て非なるものになってしまいます。揚々と日は当たらない、日陰になる、プラス、木のすぐ横に球場が来るので、根腐れが心配されるなどであります。

 その右横には、この周辺のお子さんをお持ちのお母さんたちが心配して、何とかこれは説明してくださいなということで説明会を求められまして、事業者の一つの日本スポーツ振興センターを訪れて、これは国の独法ですので、他に、三井不動産等々にも申し入れられてもナシのつぶてだというので、JSCに申し入れられたということになっております。

 環境大臣にお伺いしたいと思いますが、私はあくまで都の条例に基づくものだというのは知った上での質問ですが、そもそも、ここの成り立ちは、単に都民とか都だけの問題ではない、国家事業と言ってもいいようなものであった、それから、環境アセスについて、専門家からもどうかという指摘があり、そして、虚偽とも思われる新聞意見広告になっていて、住民説明会もない、恥ずべき事態だと思われます。大臣の受け止めを伺います。

西村(明)国務大臣 阿部委員御指摘のいわゆる神宮外苑地区の市街地再開発事業、これにつきましては、委員も御指摘になったように、都の条例に基づいて環境影響評価手続が実施されたものでございまして、事業者において適切に対応が進められているものだというふうに認識をしております。

 その上で、一般論として申し上げますと、事業者が地域の方々と積極的にコミュニケーションを取り、環境保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていくことが重要だというふうに認識しております。

 また、都道府県等から相談がありました場合には、環境配慮に関する事例の紹介や調査方法等に関する技術的な助言等、必要な情報を提供してまいります。

 今後、東京都において具体的な御相談があれば、それに対応する必要な助言等を適切に行ってまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 適切であれば、私もこんなに何度も取り上げる必要もないし、環境も守られるんだと思いますが。

 大臣、東京都に介入せよと言っているのではなくて、大臣はどこまでこの情報を共有できていらっしゃるでしょう。一体、木は何本切られるんでしょう、この地域で。それ一つ十分な情報が出されておらないと思います。

 私が先ほどお示しした新聞意見広告に述べられている木の伐採数と現実に切られる木の数は違うという指摘が、まず簡単に分かることからいえば、専門家から出されております。今どき、都会の木を切るなんて、ヒートアイランド現象にもなるし、これは篠原委員が何度もお取上げですので繰り返しませんが、時代に逆行していると思うんです。プラス、一体何本切るのか、十分な情報公開がないから実は伝わっておらない。

 イコモスという環境についての研究者の皆さんが自分たちが計算してみると、何と文庫の森近隣だけで三千本と言われております。これは、よくこういうところに表示される木の伐採数は、三メートル以上のもののみを書いてある場合が多いです。でも、木というのは、高い、低い、針葉樹、広葉樹、いろいろなものが交じって一つの森をつくっております。これを評価するときに、単に何メートル以上のもの、これは一応環境評価の中で指標となっているからだと思いますが、森が破壊されるというのは、単にそれのみに着目していいものではないんだと思います。

 一例ですが、大臣は、木は何本切られるとお聞き及びでしょう。

上田政府参考人 まず、事実関係だけ、環境省の事務当局で承知している数だけ御紹介させていただきますと、東京都が発表した広報資料等でありますけれども、昨年の東京都における審査会手続の中で検討された資料では、九百七十一本から五百五十六本に削減したという報告があり、その後、最新の情報では、七百四十三本の伐採を予定しているというふうな発表があったというふうに事実関係としては聞いております。

阿部(知)委員 今、私もその前にたくさん申し上げましたが、一応それは三メートル以上の木で計算をされているんだと思うんです。

 大臣、文庫の森というのは行ったことはおありでしょうか。この前、私たちも超党派の議連で、もう既に矢板に囲まれているこの森のところに行きましたけれども、本当に多様な森ができております。そこから、さっき申しましたが、三メートル以上のものをこれだけ切る、あるいは移植すると言いますが、それで森は守られるわけではありません。

 私は、この評価法自身が問題があると。それを専門家たちが指摘しているのに、答えが出されません。先ほど参考人からお話があって、それは東京都の挙げておられるデータ、しかし、その考え方自身が現在の環境評価の中において不十分であるということなんだと思います。

 都会に森が残されるというのは本当に少ないことかと。東京都は特に緑が少なくなっています。ここの文庫の森という辺りは、こっちののっぽビルができるところと違って、正直言って、十分な環境評価がなされないまま伐採に入ろうとしております。これも懸念の点でございます。

 私は、是非ここで大臣にお願いがありますが、今日、委員会で阿部知子がこう言っていたんだ、どうだろうと、東京都と意見交換でもしていただきたいです。

 というのは、環境を守るというのは日々私たちが努力していかないと、切ってしまえば終わりなのです。ですから、この事業が開始される前に、今参考人の御答弁がありました、そんな理解なんです、だから違うんじゃないかなと専門家も言っているんです、例えば、専門家を交えて東京都の審議会とちゃんと話をしてもらうとか、これは国民益のためです、国民が献木したんですから、国民が造ったんですから。いかがでしょう、意見交換をしていただけますか、東京都と。これは大臣にお願いしておりますので、申し訳ないです、お願いします。

西村(明)国務大臣 今、阿部委員から御指摘のあった文庫の森、どの地域が文庫の森というか、詳細は分かりませんけれども、私も若い頃から神宮の森は様々なところ、明治神宮を含めて散策しておりますので、多くのところは承知しているところでございます。

 その上で、今御指摘のあった件でございますけれども、こういった環境影響評価、環境アセスメントをしっかりやっていくということは、事業者が調査また予測、評価を行って、その結果を公表して地方公共団体や住民の皆様から意見を幅広く聞いて、そして、これらを踏まえて環境保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていっていただきたいというものでございます。

 東京都とのお話がございましたけれども、先ほど申し上げましたように、東京都の方からそういった御相談がございましたならば、環境に配慮する事例の紹介、また調査方法に関する技術的な助言、そうしたものに関して適切に助言を行ってまいりたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 前回、文科委員会で、このイチョウ並木を名勝指定してはどうかということを永岡大臣に伺ったんですね。これも同じように、地方自治体から申請が上がってこないとできないという枠組みがあるわけです。永岡大臣は知恵を働かせまして、こういう質問が国会であったんですけれどもということを再度自治体にアナウンスしてくださいました。私は、残念なことに、まだ東京都からは名勝の申請はありませんけれども、環境というのは、やはりこれは国が本当に時代に合わせて、自治体と丁寧に議論をしながら守っていくという時代に入っていると思います。

 同時に、大臣にはお知らせしておきたいですが、日本イコモス学会という学会、有識者の学会で、国際的な学会のメンバーでもありますが、そこがユネスコに申請を出しまして、ユネスコの世界遺産委員会ですね、そこに、ここを破壊することはやはり遺構の保存とか公開に反するのではないか、これを、ヘリテージアラートといって、止めるアラートを出してくれないかという申請をしているところです。日本の国で起こっていることで、世界の重要な遺構の一つであるという認識で専門家は出しておられるわけです。国が立ち遅れてはならないと思います。是非、今日私はるる申し上げましたけれども、大臣の真摯なお取組を心から期待申し上げます。

 続いて、ここの問題は、今何本切るのかという問題だけじゃなくて、さっきのイチョウ並木が枯れてしまうかもしれない問題も、きっちり、これは専門家から違う評価が出ております。八メートルしかないと水の還流が、要するに、壁と木の間がこれでは枯れるだろうという予測であります。これも解決してございません。この点も申し添えます。

 また、今日特に取り上げたいのは、私は森という言い方でいたしましたが、まさに森は生きているで、森は生物多様性の宝庫であります、海もまたそうでありますが、さっきの伐採して植え替える、移植するでは保たれない生物多様性の問題があります。去年の暮れに昆明・モントリオール多様性枠組みというものが、日本も共にそこに参加をしておりまして、生物多様性についてどう守っていくかということは、世界の課題であり日本の課題であるという認識がある中と思います。

 続いて、六枚目の資料ですが、これは、実は、今頃はこうやって生物多様性とかモントリオール枠組みとかいいますが、そもそも、日本の文化の中で、森の持っている生物多様性が守られてきた事実があるということを少しお示ししたいと思います。

 明治神宮の内苑の造成の折には、見ていただきますと分かるように、これは土壌と、土ですね、林床、林の床、クッションといいますが、これを大切に保存して内苑の造成が行われます。そうであればこそ、あの美しい森ができるわけです。そして、下には、外苑を、これは昭和十二年ですけれども、造っていくときにもこういう調査をして、土壌の調査、その地域にどんな植生があるか、今どきは、さっき申し上げましたいろいろな条約とかいう言葉で言いますが、それ以前にそういう営みをしてきた日本の誇りがこの明治神宮の内苑にも外苑にもあるわけです。

 その横には、イコモスの石川幹子先生がお作りになった、生物多様性の宝庫、林床とは、林の床、クッションとはということで御説明がありますが、例えば、木が枯れて新しいものに入れ替わるときにも、そこにある林床というものに見合ったものに次が選ばれていくこと、これは自然の物すごい知恵なんだと思います。そして、その結果、いろいろな美しい樹林帯ができていくというところの写真が示されております。

 さて、環境省の参考人にお伺いいたしますが、我が国における目下の生物多様性条約に向けた取組、特に、先ほどのモントリオールの枠組みは二〇三〇年までというところを、枠を決めてございますので、どのような取組になっておりましょう。お願いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の昆明・モントリオール生物多様性の枠組みは、二〇三〇年までに生物多様性の損失を止めて回復傾向に持っていく、いわゆるネイチャーポジティブということをポイントとして挙げておりまして、そのために必要な取組というのを進めていくということと理解しているところでございます。

 我が国でも、それに基づいて、先般、生物多様性国家戦略を改定いたしまして、それに基づいた施策を推進していくというふうに考えているところでございます。

阿部(知)委員 ここで外苑の森の木を切って植え替えても、ネイチャーポジティブにならないのですね。これは、もし選ぶとしても最後の手段。一番最初は回避、切らないこと、そして軽減ということ、三番目に切って植え替えるなんですね。まさに国際条約の中で日本が約束したことが十分に自治体、事業者に伝わっていないからこそ、こういうことが起こるのではないかと思います。

 ちなみに、昭和天皇は、皇居の東御苑を国民に開放するために整備されたときには武蔵野の雑木林を造られたのですが、そのとき、土壌が何より大事ということで、土壌の表層ごとそれを持っていって造っておられます。それくらい、何度も申しますが、日本は環境コンシャスな国だったんです。

 今、今だけ、自分だけ、金だけ、のっぽビルになっちゃっていますが、本当に情けなく、悲しいとすら思いますので、二〇三〇年までの取組をもう一度東京都にも三井不動産にもよくお話しいただきたいと本当に心底思います。恥ずかしいです。

 そして、もう一枚、皆様のお手元に写真が置いてあります。これは、東京オリンピックに伴う国立競技場、そもそもそこから始まったんですね、あの建て替えです。そのときに一体何が起きたかであります。

 国立競技場のときには千五百本の木が切られました、あそこから。そして、このときも言いました、移植するんだ、新しく植えるんだ、いいんじゃないかと。そうやって造った結果、今でも行けば御覧になれますが、果たしてこのような植生は美しいでしょうか。国立競技場建設時に移植樹によって造られた常落混交林という説明がありますが、これは普通の武蔵野の常落混交林とは似て非なるもので、ただ単に寄せ集めて植えただけという、本当に生態系、これは針葉樹と広葉樹、林床、様々な生物多様性があって初めて美しい森はできるのに、これはちょっと、今でも見られますから、行って、西村大臣、見てみてください。

 そして、下です。これは、移植された木が枯れちゃった例であります。

 出陣学徒壮行の地の横に移植された木は左側のようでしたが、あっという間に枯れて、切らざるを得なくなりました。移植移植と簡単に言うけれども、土壌も違い、水系も違い、そこに植えられた木が生きていけるかどうかも分からないわけです。これはつい昨今起こったことです、この一連の開発の中で。私は、これをより大きな規模で再生することを望みません。そして、今なら止められるんです、知恵で。ほかの代替方法もあると思います。いろいろな方法が提案されています。

 改めて、大臣、この写真を見てどう思われますか、御所見を伺います。

西村(明)国務大臣 今、その写真を見まして、樹木というのは、確かに、その土地の特性、そしてまた気候の特性、そうしたものを踏まえながらその地域で根づいていくものだというふうに感じております。

 日本列島の北から南まで、それぞれ違った植生がございます。また、同じ地域においても、その土の質によってうまく植生が息づいていくかどうかというのもあると思います。そうしたものをしっかりと配慮しながら、様々な事業を進めていっていただくことを期待したいと思っております。

阿部(知)委員 大臣の期待どおりになっていなくて、さっき篠原さんが言いましたが、植えただけ。植えただけでは森でも木でもないのです、枯れるものもある。そして、日本の多くの国民の献木、みんな、木も献木したんです、クラウドファンディングもしたんです。造りたかった思いがあるんです。

 是非、大臣が環境を守る、そしてこれからに向けて取り組んでいく重要なテーマと私は思いますので、御尽力いただけますことを期待して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

古賀委員長 次に、大河原まさこ君。

大河原委員 立憲民主党・無所属の大河原まさこです。

 本日は、環境委員会に質問の機会をいただきまして、感謝しております。車椅子で着座での質疑、また秘書の陪席、補佐についても委員長を始め委員各位の御了解、御配慮に感謝して、質問に入らせていただきます。

 本日は、五月二十九日の決算行政監視委員会での質疑に続き、有機フッ素化合物の地下水汚染問題について質問します。

 私の地元東京多摩地域では、PFASによる地下水汚染が大きな問題になっています。PFASに対する総合戦略検討専門家会議が環境省によって設置され、対策が議論されるだろうと期待をしていたのですが、これまで、一月三十日、三月二十八日の二回しか開催されていません。専門家会議の開催について、その内容と進捗状況、今後の開催についてまずお答えください。

秦政府参考人 PFOS等につきましては、本年一月に二つの専門家会議を設置したところでございます。

 そのうち、PFASに対する総合戦略検討専門家会議でございますけれども、こちらについては、PFASに関する対応の方向性を御検討いただいております。夏頃を目途に検討結果を取りまとめていただきたいと考えておりますが、第三回目につきましては来週十五日に開催する予定でございます。

 もう一つは、PFOS、PFOAに関する水質の目標値の専門家会議でございます。こちらにつきましては、PFOS等の水環境における暫定目標値について、その数値や位置づけ等を御検討いただいております。これは厚生労働省さんと連携して開催をしておるものでございます。こちらにつきましても、来週十六日に次回の会合を予定いたしております。

 引き続きこれら専門家会議で御議論を深めていただきまして、その結果を基に、国民の安心、安全に向けた取組を進めてまいる所存でございます。

大河原委員 五月二十九日の決算行政監視委員会では、有機フッ素化合物について無害化することができるかを伺いました。ストックホルム条約において、その成分が特性を示さなくなるように破壊する処分をすることが定められており、焼却処分で、PFOS、PFOAを九九・九九九%以上分解できる方法があるとの答弁をいただきました。

 そんな方法があるなら、現存するPFOS、PFOAの処理を積極的に迅速に行えばよいと考えますが、無害化の方法の詳細と、無害化処理、焼却の際に有害物質は排出しないのか、その点について伺いたいと思います。

土居政府参考人 環境省におきましては、実証試験を行いまして、PFOSにつきましては八百五十度以上、PFOAにつきましては千度以上で焼却することによりまして、分解可能であることをこの実証試験におきまして確認いたしました。

 この実証試験の結果を受けまして策定いたしましたガイドラインにおきましては、廃棄物の処理業者は、PFOS及びPFOAの投入する量と焼却後の排ガスや水処理前の廃水、残渣の中の量を測定、比較しまして、九九・九九九%以上の分解ができることを確認するための試験を行うことを位置づけております。

 また、これらの廃棄物の焼却施設におきましては、燃焼の管理であるとか、排ガス、排水の処理設備によります管理が行われておりますので、生活環境保全上の支障がないよう、必要な措置が講じられている施設であるというふうに考えております。

大河原委員 次の質問です。

 決算行政委員会での私の質問への答弁で、PFOSは二〇一〇年、PFOAは二〇二一年にそれぞれ化学物質審査規制法によって第一種特定化学物質に指定され、製造、輸入とともに工業的な使用は全面的に禁止されている一方、指定以前に市中に出回っていた製品の使用は可能になっているとの答弁もありました。

 具体的にはどのような製品があるのか、伺いたいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 PFASは四千七百物質以上あるとされておりまして、その用途の全容は明らかではありませんが、水や油をはじく、熱に強い、薬品に強い、光を吸収しないといったような特性を持っておりまして、撥水、撥油剤、界面活性剤、半導体用反射防止剤等の用途で使用されているものもあると承知をしております。

 PFASのうちPFOS及びPFOAにつきましては、先ほど御指摘のとおり、化学物質審査規制法に基づき、国内での製造、輸入等は既に禁止されております。

 製造、輸入等が禁止される前につきましては、PFOAはカーペット等の繊維製品等に用いられておりましたが、これらの製品の使用による健康影響については、懸念すべきレベルにはないと承知をしております。

 また、PFOS、PFOAは泡消火薬剤に含まれることがありますが、住宅用消火器にはこれらを含有するものはないということでございます。

 なお、PFOAはフライパン等のフッ素樹脂コート剤の製造過程で使用されておりましたが、フッ素樹脂自体はPFOAとは別の物質であるということでございます。

大河原委員 今お答えいただいた製品にはPFOA、PFOSが使用されていて、健康影響がある、そうした心配のない状況だということもつけ加えられておりましたけれども、有害であることの周知というものについてはされているのでしょうか。多くの市民は有害なものが使用されているとは知らずに使い続けており、購入したり使用したりしていることになるわけなんです。

 また、繊維製品なども、カーペットという話も出てきましたが、不適切な処分をせざるを得ないような状況もあると思いますので、こうしたことの周知については環境省としてどのように対応されているのか、伺いたいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 消費者に向けましては、現在、PFAS総合戦略検討専門家会議におきまして、リスクコミュニケーションの在り方について御議論いただいております。その議論を踏まえまして、分かりやすく情報発信をし、PFASに関する不安の解消に努めたいと考えております。

大河原委員 リスクコミュニケーションを議論していただいているということなんですが、総合戦略の専門家会議ですから、私も、詳しい議論で国民により分かりやすい情報を出していただけるものと期待しております。しかし、なかなか、例えばQアンドAなども出されると聞いておりましたが、いまだに出てきておりませんし、専門家の方たちの会議というものを迅速に進めるというのは、事務方にとっても大変難しいことかもしれません。

 直ちに影響がないというふうに言われても、東京多摩地域では地下水汚染が明らかになりましたし、それによって水道水も影響が出たということもあります。

 東京多摩地域では、有機フッ素化合物による地下水、水道水汚染による健康への影響を調査する血液検査が、これまで二回、市民有志の協力を得て実施されました。

 一つは、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議が事務局となり、国分寺市、府中市に居住する二十二名の方の調査です。二つ目は、昨日最終報告が発表されました市民団体、多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会が実施した、多摩地域、二十七市に居住する六百五十名の血漿中のPFAS濃度調査です。この調査によれば、血中濃度は、多摩地域内でも場所によってばらつきがありますが、国分寺市や、私が住んでおります立川市で特に平均濃度が高いという結果が出ています。

 分析を中心となって行った京都大学の原田浩二准教授は、毎日利用している水道水を主な原因として挙げておられますが、食品から一定程度を摂取している可能性も指摘し、食品や土壌を対象にした更に詳しい原因調査が必要であると指摘しておられます。こうした調査結果を環境省として受け止め、データとして生かすことが必要だと思います。

 そこで、西村大臣に伺います。血中濃度の高い人がいるということをどう受け止めておられますでしょうか。血中濃度の高い人が多数いる地域での追加調査を行うべきと思いますが、追加調査を行うべきではありませんか。併せてお答えください。

西村(明)国務大臣 地元住民の皆様からPFOS等に対する不安の声があるということは承知しておりまして、そのような声に対しましては真摯に受け止めていく必要があるというふうに認識しております。

 厚生労働省によりますと、現時点においては、PFOS等については血中濃度と健康影響との関係を評価するための科学的知見は十分でないというふうに承知しております。

 環境省におきましては、PFASに対する総合戦略検討専門家会議において様々な科学的な知見を踏まえて今御検討いただいているところでございます。引き続き、専門家の皆様による御議論を踏まえて、国民の皆様の安全、安心のための取組をしっかり進めてまいりたいと考えております。

大河原委員 環境省で行っているPFOS、PFOAに関する人への暴露量及び疫学調査、エコチル調査、化学物質の人への暴露量モニタリング調査があることは承知しています。

 決算行政委員会でも質問いたしましたが、再度提案いたします。

 環境中の有害化学物質による健康リスクは、水や大気中の有害化学物質については環境モニタリングとして定期的に濃度が計測されています。しかし、それらがどのくらい体内に取り込まれているかは不明です。私も、この血液検査に参加をいたしましたので、やはり自分の体からPFASが検出されたとなれば心穏やかにはいられない部分がございます。人への暴露量調査を継続的に、広域で、大規模に行うことが大変重要だと思います。専門家会議でも検討されるべきではないでしょうか。大臣のお考えはいかがでしょう。

西村(明)国務大臣 大河原委員の御不安の声、そしてまた地域住民の皆さんのそういった不安の声、これをしっかり受け止めながら、化学物質の人への暴露量モニタリング調査の今後の調査規模また期間等につきましては、これまで環境省としても行ってまいりましたパイロット調査の結果も踏まえて、暴露量モニタリングに関する検討会において、有識者の皆様の御助言をいただきながら検討を進めてまいりたいと考えております。

大河原委員 是非、該当地域の不安を持つ方々にしっかりと不安解消のためにお答えができるよう、専門家会議での議論をしっかりと進め、その結果を分かりやすく地域住民にお知らせいただきたいと思います。

 次に、自治体からの要望についての対応を伺います。

 五月二十三日、小池百合子東京都知事から、環境大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣宛てに有機フッ素化合物対策の推進に関する緊急要望が提出されました。

 緊急要望として、四点挙げられております。

 まず第一に、PFASに関する最新の科学的知見等を踏まえ、健康影響及び環境に関する評価を明確にし、国民に分かりやすく示すこと。また、健康影響等が懸念される場合は、対策等も併せて検討し、自治体への情報提供と必要な支援を行うこと。

 第二は、PFOS、PFOAに関する対応の手引について、PFOS、PFOAが局地的に検出される状況だけでなく、広域的に検出される状況においても、対応可能な実効性のある内容に見直すこと。

 第三は、土壌中のPFASについて、令和五年度の早い時期に具体的な測定方法を自治体に示せるよう検討しているとされていますが、早期に測定方法を確立するとともに、評価指標の設定や地下水の濃度低減に向けた措置も示すこと。

 第四は、PFASの農畜産物などへの影響を明らかにするとともに、必要な対策を速やかに検討すること。

 この要望に対して、環境大臣はどう御対応になったのでしょうか。今後の対応も含めて伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 先月の二十三日に、東京都の方から、有機フッ素化合物対策の推進に関する緊急要望といたしまして、PFASに関する国民そして自治体への情報提供等につきまして、今、大河原委員が御指摘になりました御要望をいただいたところでございます。早速、今月の五日に担当者間での意見交換を実施しております。

 PFAS対策につきましては、これまでも多くの自治体から要望を受けているところでございまして、環境省では、本年の一月から専門家会議を設置して、東京都の御要望にもあるような、国民の皆様への情報提供の在り方や、PFASに関する対応の方向性について今検討を進めているところでございます。

 引き続き専門家会議で議論を深めていただき、安全、安心への取組を進めてまいります。

大河原委員 本日は東京多摩地域の地下水汚染問題を取り上げておりますが、この問題は全国各地に広がっています。もはや国として対応せざるを得ないのが現状です。国としての対応が迫られているからこそ、総合戦略専門家会議が設置されたのだと思います。

 専門家会議の設置以外に、これまでに環境省としてPFOS、PFOA汚染に関わる予算執行はあったのでしょうか。あるのなら、その予算額もお答えください。

秦政府参考人 PFASに関しましては、これまでも、全国規模の河川水、地下水のモニタリングですとか、あるいは先ほど来出ております対応の手引といったようなものを発出する等によりまして対応を取ってきたわけでございます。さらに、関係自治体や地元住民からの御不安の声等を受けながら、専門家会議を設置して議論しておるというような状況です。

 予算につきましては、今年度で申し上げますと、専門家会議の設置、運営、あるいは分析法の開発等といたしまして、約八千三百万の予算を執行中でございます。それと、これとは別に、事業自体はPFASに特化したものではないのですけれども、土壌汚染対策に資する技術開発実証事業というのがございまして、今年度は、技術公募をした結果、PFASによる地下水汚染の拡大防止技術、こちらの方が採択をされまして、この実証事業に約二千六百万円の予算執行を予定しております。合わせて一億円余りということでございます。

大河原委員 アメリカのバイデン政権はPFASの規制に関して積極的であることが報じられています。明確なゴールと期間を示したアメリカのロードマップは政府の姿勢を示すものとして大変重要だと考えますが、西村大臣の御所見はいかがでしょうか。アメリカのロードマップのように、環境省がイニシアチブを取って、全省庁を巻き込み、PFASの規制をする方針も具体的に描くべきだと私は期待を込めて申し上げるわけですが、日本版ロードマップはいつでき上がるんでしょうか。是非、具体性を持ってお答えください。

西村(明)国務大臣 今、大河原委員が御指摘になられましたものは、米国の環境保護庁が二〇二一年の十月に、二〇二一年から二〇二四年のPFAS戦略ロードマップとして提示したものだというふうに承知しております。

 国内におきましては、PFASのうち、特にその影響が懸念されているPFOS及びPFOAについて、製造、輸入等の原則禁止、公共用水域等での水質測定、対応の手引の作成などの対応を行ってまいりました。

 さらに、PFASに関する総合戦略検討専門家会議において、米国も含めた海外の動向や様々な科学的知見を踏まえまして、我が国における当面のPFASの対応の方向性というものを検討しております。

 引き続き専門家会議で検討を深めていただき、そうした結果を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。

大河原委員 国内でのPFAS関連物質の規制は、ストックホルム条約に基づき規制が行われていると理解しています。改めてお伺いいたしますが、ストックホルム条約におけるPFAS関連の物質に関する規制は現在どこまで進んでいて、締約国である日本が履行しなければならないことは何であるのか、また、その進捗状況をお教えください。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 ストックホルム条約は、残留性有機汚染物質から人の健康と環境を保護することを目的といたしておりまして、附属書Aに掲載された物質については製造、使用、輸出入の禁止、附属書Bに掲載された物質につきましては製造、使用、輸出入の制限等を定めております。締約国にはこれらを実施することが求められているということでございます。

 条約の締約国会議において、PFOSは二〇〇九年に附属書Bに、PFOAは二〇一九年に附属書Aに、PFHxSは二〇二二年に附属書Aにそれぞれ掲載されることが決定されております。

 これを受けまして、我が国では、PFOS、PFOAを化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質に指定いたしまして、既に製造、輸入及び使用を禁止しております。また、PFHxSにつきましても、第一種特定化学物質の指定に向けまして現在手続を進めているところでございます。

大河原委員 国際的な取組状況から見て、どうしても私は、日本は後れを取っているのではないかと感じざるを得ません。

 四千五百種類以上あると言われるPFASは、日本中、世界中で大量に使われてきました。モグラたたきのように、環境や人体に悪影響があると判明してから対策を立てるのは間違っているとも私は思います。PFOS、PFOAだけでなく、PFAS全体の規制を考える必要があります。PFAS全体の規制についての方針の有無、その方針があるならば、その内容をお答えください。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 PFASは、今御指摘のとおり、四千七百物質以上あるとされておりまして、物性や用途、有害性等が様々であるということでありまして、PFAS全体を一律に規制するということは困難であると認識しております。

 欧州におきましては、PFAS全体の製造、使用等を禁止する規制案が提案されておりまして、現在様々な議論がなされているものと承知をしております。

 このような諸外国におけるPFASの規制動向やその背景にある考え方なども注視しつつ、適切に対応してまいりたいと存じます。

大河原委員 専門家会議の中でも、こうしたヨーロッパなどの最新の動きもしっかりと考慮して、日本の総合的な戦略をしっかりと立てていただきたいと期待しております。

 化学物質は、食品添加物から生活用品に至るまで、私たちの生活空間のあらゆる場所に存在しております。生活を豊かにするために便利に使い続けてきている化学物質によって命を脅かされ、健康を損なうようなことは本末転倒だと考えます。だからこそ、特に微量でも慢性毒性や世代を超えて影響の出る生殖毒性には、とりわけ未然防止の観点から厳しい規制と監視が必要であると考えております。

 私は、引き続き、今後も増え続ける化学物質と有害化学物質の規制について取組を進め、提案を続けていくことを申し上げまして、本日の質問を終わります。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、新垣邦男君。

新垣委員 立憲会派、社民党の新垣邦男です。

 環境委員会での質疑は初めてですが、よろしくお願いしたいと思います。

 先ほど大河原委員からもあったんですが、PFOSの問題を含めて、本日は、地元沖縄で問題になっている環境行政に関する諸課題について取り上げていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 初めに、有害性が指摘されている有機フッ素化合物、PFOSですが、環境省は、今年一月、PFOSに係る二つの専門家会議を立ち上げております。先ほど来ありました、一つは水質の指針値等を検討する専門家会議、もう一つはPFASに対する総合戦略検討専門家会議ですが、西村大臣は、二月の予算委員会で、総合戦略について今年の夏までに取りまとめる方針を明らかになさっておりました。同時に、PFASのうち、PFOS、PFOAの水質基準に関し、暫定一リットル当たり五十ナノグラムとしている指針値の設定についてはできるだけ早く確定をすると答弁をいたしておりますが、二つの専門家会議の、先ほどもあったんですが、進捗状況、さらには総合戦略の策定時期、そして河川、地下水等の水質基準の指針設定のめどについてお伺いしたいと思います。

秦政府参考人 御指摘の専門家会議のうち、一つは水質についての会議でございますが、こちらについては厚生労働省の検討会と連携して検討を進めておりますけれども、科学的知見ですとか、あるいはWHOや米国など国際動向も踏まえる必要があるということで、現時点で取りまとめの時期を申し上げるのは難しいんですけれども、なるだけ急いで検討はしてまいりたいと考えてございます。

 もう一つは、国民への情報発信の在り方、あるいはPFAS全体への対策を進める総合戦略の会議でございますけれども、こちらについては、まず、夏頃をめどに検討結果の取りまとめを行ってまいりたいと考えております。

 二つの専門家会議は、目的、取りまとめ時期、あるいは関係者も異なるものですから、引き続きそれぞれの専門家で御議論を進めていただきまして、なるだけ早く成案を得たいと思っております。

 以上でございます。

新垣委員 そもそもなんですが、私は個人的に思っているんですが、なぜ二つの専門家会議が必要なのかなと。できれば一つに統一をして、水質の問題、そして、それを踏まえて総合戦略をするといった方がスピード感があっていいのではないかと思うんですが、この二つをあえてつくったというのはどういうことなのかを少し説明いただきたいと思います。

秦政府参考人 この二つの専門家会議でございますけれども、例えば水質の方ですと、総合戦略の方とは物質の範囲等もちょっと異なっておりますし、また、それぞれの専門家の人たちも異なっていたりします。こういったことから、それぞれの専門分野で御議論をいただいた方がよいだろうということと、あと、もう一つは、水質に関しましては、水道が現在まだ厚生労働省にございますことから、厚生労働省の専門家会議とも連携しなきゃいけないということで、これらについては、それぞれの会議を立ち上げたということではございますけれども、当然のことながら、内容的にはよく連携をして進めさせていただきたいと思っております。

新垣委員 当然、連携は必要だと思いますし、専門家の先生方の御意見も大事です。

 ただ、この問題は、私は、スピード感を持ってやらないと、発がん性物質なんですよね、ですから、すぐには出なくても、十年先、二十年先、確実にそれが害としてたまっていくわけですから。夏頃、あるいは、それがまた延びたりなんかして明確な回答がないという話になると、延び延びになるというのが一番心配なんですね。

 ですから、やはり二つ必要だということであれば、それはそれで構いませんが、是非ともに早めに結論を出していく、そのことは極めて重要だろうと思って質問をしております。

 水道水の水質基準については、厚労省の水質基準逐次改正検討会で議論をされていると承知をしております。水道水についても、暫定目標値はPFOS、PFOAの合算として五十ナノグラムとなっておりますが、指針設定のめどはついたんでしょうか。検討会での議論の進捗状況を併せてお願いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員御指摘のとおり、現在、PFOS、PFOA合算での五十ナノ、これは、令和二年四月からの水質管理目標設定項目としての位置づけです。

 検討状況ですけれども、今年の一月に、先ほど局長からも話があったとおり、環境省とまずは合同で水質基準逐次改正検討会をいわばキックオフいたしました。その後、政府全体といたしましては、今年の二月に内閣府の食品安全委員会がワーキンググループを設置して、PFASのいわばリスク評価を始めたところでございます。

 今後の見通しですけれども、今申し上げたとおり、国内では、今年の二月から政府としては食品安全委員会がリスク評価を進め、そして、諸外国では、米国EPAでの数値、またWHOのガイドライン値等も出そろいつつあるところでございますので、これらの結果が得られ次第、速やかに水質基準逐次改正検討会での検討に反映していきたいと考えております。

新垣委員 是非、早めの結論をお願いしたいと思います。

 先ほど大河原委員からもあったんですが、環境省は、総合戦略検討専門家会議の第一回会議において、国民への情報発信のためのQアンドA集の案を三月に示して、四月以降に公表するとしておりますが、まだ公表のめどが立っていないということなのか、この公表のめどについて答弁をいただきたいと思います。

 また、会議で示されたQアンドA集構成案には、健康への影響などについて、PFOS、PFOAを含む水道水を飲用しても大丈夫ですか、あるいは、健康影響を把握するために、PFOS、PFOAの血液検査を受けるべきですかといったような質問案が挙げられておりますが、これに対する回答はどうなんだろう、どのような回答を作るのか、教えていただけたらなと思います。特に、血中濃度調査の必要性について、これは大変重要だと思うんですが、このことについて、環境省の認識を西村大臣にお伺いしたいと思います。

西村(明)国務大臣 今、新垣委員御指摘の国民への情報発信のためのQアンドA集、これにつきましては、環境省が今年一月に設置したPFASに対する総合戦略検討専門家会議において、継続して検討いただいております。

 この専門家会議は、先ほども答弁がございましたけれども、来週十五日に第三回の会合を開催する予定でございまして、そこでの議論も踏まえて、夏頃を目途として最終的に取りまとめて、QアンドA集を公表したいというふうに考えております。

 今御指摘のありました血液検査の扱いにつきましても、このQアンドA集の内容に含める予定でございます。

新垣委員 QアンドA集の回答なんかはもうできているんですか。どうですか。

秦政府参考人 QアンドA集につきましては、現在、原案を作成中でございまして、来週十五日の専門家会議におきまして御議論いただく予定でございます。

新垣委員 これも早めにできるようにお願いをしたいと思います。

 去る三月十四日に、アメリカの環境保護庁、EPAが、安全飲料水法に基づくPFOSに関する飲料水中の規制値案を発表しております。このうち、PFOS、PFOAについては、これまでの勧告値から厳格化し、それぞれ一リットル当たり四ナノグラムと非常に低い濃度基準になっているんですね。

 厚労省は、今回、このアメリカのEPAが示した四ナノグラムというPFOS、PFOAの規制値案をどのように受け止めているんでしょうか。そして、日本の現行の暫定指針値、五十ナノグラムは、米国の規制値案を参考にして設定された経緯がございます。そうであれば、現在、専門家会議で検討されているPFOS、PFOAに係る水質の指針値も、アメリカのEPAの規制値案、四ナノグラムか、それ以下に設定してしかるべきだと考えるんですが、厚労省の見解をお聞きしたいと思います。

伊佐副大臣 今御指摘いただきましたとおり、本年三月に米国環境保護庁、EPAから示されました飲料水中のPFOS、PFOAにつきましては、それぞれ一リットル当たり四ナノグラム以下とする規制値案が公表されました。

 イギリスでは、それぞれ一リットル当たり百ナノグラム以下という目標値が設定をされております。また、WHO、世界保健機構においても、それぞれ一リットル当たり百ナノグラム以下とするガイドライン値案が今提案をされております。現時点においては、PFOSまたPFOAに対する評価は国際的にばらつきがあるものというふうに承知をしております。

 国内においては、内閣府食品安全委員会におきまして、本年二月にワーキンググループを設置しまして、まずは、PFASを摂取することによる健康への影響というものについて科学的な評価が進められておりまして、この評価の結果が得られ次第、速やかに、水質の関係については水質基準逐次改正検討会での検討に反映していくという方向で今議論させていただいております。

 今後も、引き続き、専門家の御意見を伺いながら、科学的知見に基づいた検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

新垣委員 アメリカが四ナノグラムということを、かなり厳格化して示しているんですが、それが出ているのであれば、合わせて日本側もこれを評価できて、決定できるものじゃないかと私は単純に思うんですが、是非それは早くしてもらわないと、なかなか厳しい現実がございます。

 実は、今日は普天間基地の周辺のPFOS汚染ということで、これは民間の皆さんが調査をしてやっています。真ん中が普天間基地です。右側、上流から下流に流れていって、この黄色いのが五十ナノグラム以上なんですね、数倍です、二倍、三倍出ているんですね。上は約五十ナノグラム前後という基準になっています。普天間基地の周辺は、小学校、中学校、高校、そして行政機関が多い、幼稚園、保育所もあります。ですから、今、小さいお子さんを持っているお母さん方が非常に心配をしています、子供たちにこの水を飲ませられない。沖縄の場合は、ほとんど米軍基地からの泡消火剤によるPFOS、PFOAの汚染で今大変な状況に陥っているんですね。

 当然、外務省、防衛省にもそういう要請をしているんですが、是非環境省としても一緒になって取り組んでいただきたいという思いでこの写真を見てもらっています。ですから、いかに大変かというような状況を深刻に受け止めていただきたいなという思いで提示をしておりますので、よろしくお願いします。

 PFOS汚染の問題について、検査値の低減と同時に取り組むべきは、発生源の特定であります。原因究明なくして真の問題解決はあり得ません、これは当然の話だろうと思うんですが。

 二〇二一年度の自治体調査で、国の暫定指針値、一リットル当たり五十ナノグラムを上回る十三都道府県の八十一地点のうち、汚染源が特定されたのは大分県の二か所だけだったことが環境省のまとめで明らかになっております。汚染源特定の難しさが浮き彫りになった格好ですが、環境省はこの原因がどこにあると考えていらっしゃるのか。沖縄を始め全国の米軍基地周辺の井戸水や河川などから暫定指針値を大幅に超えるPFOS、PFOAが検出される中、どうやって汚染源を特定していくのか、方針等があればお示しいただきたいと思います。

秦政府参考人 PFASのうち、特にその影響が懸念されておりますPFOS及びPFOA、これにつきましては、暴露防止を確実に実施するために、環境省が令和二年に策定いたしました対応の手引というのがございまして、これを参考に、自治体におきまして、必要に応じて汚染源の特定のための調査を実施していただくということにしております。

 これらの物質は、既に製造、使用は禁止されておるのでございますが、過去に様々な用途でかなり広く使用されたということで、環境中に残留しているケースも多いと想定されます。このため汚染源の特定が困難なケースも多いものと承知をしております。

 現在開催しておりますPFASに関する総合戦略検討専門家会議におきましても、汚染源の特定の必要性やその方法につきまして御議論いただいているところでございます。更なる対応につきまして、この議論を踏まえて検討してまいりたいと思います。

新垣委員 先ほど大河原委員からもあったんですが、東京都の皆さんの声もお聞きをしております。大変不安に思っている皆さん、そして、自ら、自分たちで調査をする、そういういても立ってもいられないというような状況が東京都でもある。恐らくこれから全国にそれが広がるんじゃないかという懸念もしております。

 ですから、せっかくのこの戦略会議、やはり早めに結論を出して、検討もいいんですが、具体的にいついつまでにというような検討課題を急いでいただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 次に、防衛省にお聞きしたいんですが、米軍基地への立入調査に関し、昨年六月の安全保障委員会における私の質問に対して、米側からの通報がなくても、日本側として、米軍施設・区域に源を発する環境汚染が発生し、地域社会の福祉に影響を与えると信ずる合理的理由がある場合には、一九七三年の日米合同委員会の合意、環境に関する協力についてに従って、米側に調査要請や立入り許可申請等を行うことができると答弁をしております。

 そこで、お聞きするんですが、政府として、米軍基地周辺のPFOS汚染源特定のために、米側からの通報がなくても、一九七三年の日米合同委員会合意に基づいて調査要請や立入り許可申請を行った事例はあるのかどうなのか、お答えをいただきたいと思います。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 一九七三年の日米合同委員会合意がございますけれども、沖縄県から、嘉手納飛行場の周辺の河川等からPFOS等が検出されていることを受けまして、汚染源の特定のため同飛行場への立入りについてこれまで四件の要請が行われており、申請が行われた事例でございますけれども、この要請につきまして、防衛省からも様々な機会を捉えて米側に伝達してございます。

新垣委員 米側に伝達はしたんですが、その許可は下りている事例はあるんですか。

北尾政府参考人 四件の立入り申請が行われた事例がございますけれども、立入りは認められておりません。

新垣委員 そうなんですね。なかなか立入りを許さない、これは地位協定の大きな壁があると思っています。何度お願いしてもなかなか調査を入れてもらえない、だから、つかめない、こういう状況があります。

 日米地位協定の環境補足協定に基づいて、今おっしゃったように、基地の立入りが実現したのは、確かに、沖縄で、二〇二〇年の普天間飛行場における泡消火剤の流出事故、二〇二一年の陸軍貯油施設における水の流出事故、そして神奈川県の二例、昨年の厚木基地における泡消火剤の流出事案と横須賀基地におけるPFOS混入、流出事案の僅か四件なんです。

 これは、環境補足協定に基づく立入り申請の条件が、米側からの通報が前提となっていること、環境に影響を及ぼす事故、すなわち漏出が現に発生した場合に限定されているためで、PFOS汚染源の蓋然性が高い嘉手納基地や普天間飛行場、横田基地などに自治体が入れない状況があります。

 このような状況に照らし、環境補足協定が米軍基地周辺の汚染源特定の障害になっているとの認識は環境省もお持ちなんでしょうか。当然、これは外務省、防衛省にはずっと聞いてきたんですが、環境省としてこれはどうなのかなというふうにちょっとお聞きをしたい。環境省も、環境補足協定はしっかり機能していて、運用に際しては何ら問題はないんだというようなお考えなのかどうなのか、その辺を少し見解をお聞きしたいなと思います。

秦政府参考人 日米地位協定の環境補足協定におきましては、環境に影響を及ぼす事故が現に発生した場合の立入り手続について規定したものでございます。

 これまでも、普天間飛行場等におきましてPFASの漏出事故が発生した場合には、米側からの通報を受けまして、地元自治体からの申請を米側に伝達し、先ほど議員からも御指摘がございましたが、立入りが実施されておるところでございます。

 引き続き、環境補足協定に基づきまして、我々としては適切に対応していきたいと思っております。

新垣委員 嘉手納基地や普天間飛行場、横田基地の周辺地域から高濃度のPFOSの検出が、先ほど来お話ししているんですが、相次いでいます。これらの地域におけるPFOS汚染源が米軍基地内にある蓋然性は極めて高いと思っております。

 これらの事実をもって、私は、一九七三年の日米合同委員会合意に基づき基地内立入りを求める十分な理由になるのではないか、すなわち、外務省の言う、米軍施設・区域に源を発する環境汚染が発生し、地域社会の福祉に影響を与えると信ずる合理的理由に該当すると私は考えるんですが、環境省の御認識はどうなんだろうと思います。当然それはそのとおりだ、だから立入りは基本的にやるべきだろうという認識なのか、いやいや、なかなかそれは厳しいよという認識なのか、御見解をお聞きしたいと思います。

西村(明)国務大臣 今委員御指摘の一九七三年の日米合同委員会の合意におきまして、在日米軍による環境汚染が地域社会の福祉に影響を与えていると信ずる合理的な理由がある場合、地元自治体は、米側に調査要請や立入り許可申請等を行うことが可能とされております。これは委員の御指摘のとおりでございます。

 これまでも、沖縄県からこの合意に基づく立入りの要望があれば、米側に伝達をしておりまして、それは先ほど防衛省からもお話があったとおりでございます、今後も自治体の御要望に応じて、この合意の枠組みが運用されていくように、関係省庁と連携しながら対応してまいりたいと思っております。

新垣委員 これは、沖縄では、県民としては、影響を与えると信ずる合理的理由に確実になっているという認識なんですね。これだけ広がっていると、高濃度のPFOS、PFOAが発見されているわけですから、これは、当然、外務省、防衛省、そして環境省も一緒になって対応しないとなかなかこのハードルは越えられないなと思っているものですから、是非その辺もまた併せてお願いをしたいと思います。

 沖縄県の本島中部地域の四市三町三村で構成する中部市町村会が、去る五月三十一日、環境省をお訪ねをし、米軍基地が集中する本島中部地域のPFOS対策などを求める要請書を提出をしております。会長である松川宜野湾市長を含めた十市町村の首長、幹部がPFOS関連で合同の要請行動を起こしたのは初めてなんですね。私も首長をやっていた時代に、中部の十市町村の皆さんと一緒に要請行動をするんですが、こういう形でPFOSをやったのは初めてです、私もそこには参加しておりませんが。だから、これだけ中部の地域の十市町村の首長、関係者がこの問題を環境省に要請を求めるというのは極めて重要なことだと私は認識をしております。

 要請書では、PFOSに関する対策のほか、嘉手納基地への立入調査の実施を記書きで求めております。対応した小林副大臣は、中部市町村会の要請をどのように受け止められていらっしゃるのか。環境省には、嘉手納基地への立入調査が実現するよう、是非ともリーダーシップを取っていただきたいと思いますが、環境省の決意を聞かせていただきたいと思います。

小林副大臣 沖縄県中部市町村会の十市町村の首長、幹部の方々とお会いをいたしました。その際に、住民の皆様のPFOS等への不安払拭に向けた政府の一層の取組と、嘉手納基地への立入調査についての御要望を直接お聞きいたしました。私としても、地元の声を重く受け止めております。

 環境省としては、不安払拭のため、一月に専門家会議を設置をし、国民の安全と安心の確保に向けた取組の検討を進めるとともに、嘉手納基地への立入調査については、これまでも関係省庁と連携をし、米側と協議を行ってきたところであります。

 地元自治体からの声を真摯に受け止め、引き続き、関係省庁と連携をしながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

 以上です。

新垣委員 なぜ今回、中部の十市町村の首長が来たかというと、特に嘉手納基地なんですね。嘉手納基地にこれから防錆格納庫が建設をされます。大きいもので、三十メートルの、幅が百七十五ですかね、これが二棟できる。町はそこはやめてくれと言っているんですが、いや、それはできないということで、米側はやるという話ですから、ここからまたPFOSが出てくるんじゃないかという心配をとてもしているんですね。今でも嘉手納では、PFOS問題で町民が非常に御苦労をなさっています。ですから、そういう思いをしっかり受け止めていただきたい。当然、環境省のみならず、外務省、防衛省もそうなんですが、是非お願いしたいと思っております。

 そして、去る四月二十五日、沖縄県の玉城デニー知事が上京して、政府の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる二〇二三年の骨太の方針に沖縄振興を反映するよう、岡田大臣に要請をしております。県の要請では、最後に、県民の不安が大きいPFOS等による水道水源等汚染について、原因究明調査と対策の実施及び沖縄県等が実施するPFOS等対策に係る費用の負担と記されています。

 沖縄県は、二〇二三年度、PFOSに関する水質、土壌の全県調査を実施するための予算を計上しておりますが、汚染源が米軍基地である蓋然性が高い以上、これらの調査費用や汚染除去等のための様々な対策については国の責任で費用負担をすべきではないかと私は思っているんですが、問題は基地所在市町村や周辺自治体にとどまることなく全県に及び、環境省、厚労省、防衛省や外務省など、省庁横断的に取り組まなければ解決できない問題だと考えております。

 玉城知事が求めている要請内容に応えるべく、これは内閣府にお尋ねをしたいんですが、是非内閣府がリーダーシップを取っていただいて、各省庁をまとめていただいて、そういう要請にも応えていただけるのかどうなのか、よろしくお願いしたいと思います。

自見大臣政務官 PFASをめぐる問題につきましては、関係省庁におきまして、国内外の最新の科学的知見等を収集し、PFASに係る水質の目標値等を検討していると承知してございます。

 委員御指摘の四月二十五日の沖縄県からの要請におきましては、我々も玉城知事から、今後、防衛省や環境省など関係省庁へ原因究明と対策の実施をお願いするとともに、沖縄県等が実施する対策費用に対し御支援いただく必要があると考えておりますので、岡田大臣からも御協力をお願いしたいと、各省庁への働きかけの要請があったところであります。

 沖縄振興を担う立場から一般論として申し上げれば、沖縄振興を進めるに当たっての大前提として、住民の方々が安心、安全に生活できるということが大変重要であると当然ながら認識をしているところでもございます。

 こうした考えの下、内閣府といたしましても、先ほどの御要請を踏まえ、関係省庁に情報共有を行っておりまして、引き続き、関係省庁の取組を注視しつつ、県の御意見をよく伺いながら、後支えをしっかりとしてまいりたいと考えております。

新垣委員 是非よろしくお願いをしたいと思います。

 最後に、時間がないので二点一緒にやりたいんですが、沖縄県の企業局が管理する北谷浄水場なんですが、今、PFOS、化合物を吸着する効果がある粒状活性炭の取替えを行っています。これは防衛省の補助でやっているんですが、実は、この切替えを早めにしてほしいと。今、PFOSの基準値がまだ下がっているのでいいんですが、切替えが遅くなるとまた上がってくるんだろうと地元は心配していますので、是非その件を防衛省の方で少し、どうなっているのか、そして、それが可能なのかどうなのかをお願いしたいと。

 あと、最後に、漂着物の問題です。今、県内、離島に漂着物がかなり多くやってきて、沖縄県や市町村、そして回収ボランティア、地域の皆さんが協力をして対策を行っているんですが、なかなか厳しいということで、遠方の処理施設へ海上運搬する費用も必要になるということなんですが、全国知事会などを通して、国に対し、地方自治体が大量の漂着物を処理した場合を含めて、国の全額負担による恒久的な財政支援制度に改善するよう要望が出ていると思いますが、こういう地方の声に環境省はどのように対応していくのか、是非その辺は所見を伺いたいと思います。

北尾政府参考人 北谷浄水場の件でございます。

 防衛省としては、日頃から地元自治体と様々なやり取りを行ってございますが、自治体の実施する事業についての予断を与えかねないことからの、補助事業の公式の御要望をいただいていない段階で個別事業についてお答えすることはできないことを御理解いただければと思います。

 その上で申し上げれば、御指摘の北谷浄水場の整備改良事業につきましては、令和六年度以降における補助事業の公式の御要望は現時点でいただいていないところでございますが、いずれにしましても、防衛省といたしまして、地方公共団体、地元から御要望があれば、お話を丁寧に伺いながら、防衛施設の設置又は運用に係る障害の実態等を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

秦政府参考人 海岸漂着物についてのお尋ねでございます。

 環境省では、海岸管理者である自治体が行います漂着物の回収、処理につきまして財政支援をしております。

 補助率は通常十分の七なのでございますけれども、離島地域、過疎地域においては十分の八から十分の九にかさ上げをして拡充を行っております。さらに、その残りの一、二割の部分につきましても、八割を特別交付税により措置をしております。

 沖縄の場合には、離島ということもありまして、非常に高い率での補助とさせていただいております。引き続き、しっかりと支援をさせていただきたいと思います。

新垣委員 是非PFOS、PFOAの問題は各省庁が連携をして取り組んでいただいて、早期の対策をお願いをし、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。

 限られた時間でございますので、早速質問に入りたいんですけれども、その前に一つ、通告しておりませんが、大臣にお尋ねしたいんです。

 先月、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数は四%を超え、十一か月連続の上昇となっております。第二次オイルショックの一九八一年以来、約四十二年ぶりになる高水準となったわけですけれども、調理食品や菓子類は一割以上値上がりするなど、物価高による家計負担は歯止めがかからない状態となっております。

 そこに来て、全国の大手電力七社による一般家庭向けの電気料金の大幅値上げがされようとしております。標準的な家庭で、月に二千円程度電気代が上がる地域もあると言われております。

 加えて、今年の国民の所得に占める税金や社会保障の割合、すなわち国民負担率は約四七%にもなると言われており、そこに防衛費財源確保のための増税が上乗せをされる、さらに、政府は子供、子育て支援のために社会保障の増額を行うと言っておられます。

 その一方で、痛みを伴う歳出削減や既得権益に切り込むなど、規制改革により経済成長を促し、財源を確保する努力は全く足りていないように感じております。

 地元に帰ったらよく言われます、政治家は本当に自分の身分を守ることに必死なんだなというふうなお声を多くいただいております。旧文通費改革法は、昨年の国会で我が党が提案した使途公開と残金返金等を軸にして各党で協議が進んでいましたが、昨年の国会中に結論を得るというお約束を自民党さんにしていただいておりましたが、これがかなわず、今、たなざらしになっている状態です。

 そこで、大臣にお尋ねしたいんですけれども、自民党に所属する一人の政治家として、国民の苦しみを無視し、政治家が自分の身を守ることに必死だ、国民にこういうふうに思われている状態が本当にいいとお思いでしょうか。今国会中に結論を出すのが当然であると考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。国会で御議論いただくことというような逃げ口上は要りませんので、一政治家としてで結構ですので、よかったらお答えいただけませんでしょうか。

西村(明)国務大臣 奥下委員御指摘の、調査研究広報滞在費の使途公開等につきましては、国会議員としてのまさに活動の在り方に関する重要な課題だというふうに認識しております。

 本件については、今委員からお話がございましたけれども、各党各会派で御議論いただくべき事項だというふうに考えております。自民党を含めて、それぞれの党、会派、ここにおける協議において、議論の進展を待ちたいと思います。

奥下委員 通告していないにもかかわらずお答えをいただき、ありがとうございました。是非大臣の方からも、各党で議論を前向きに進めていただくようお願いしていただきたいと思います。

 では、本来の質問に入りたいと思います。今世界中で注目されているEフュエルの国内市場における今後の可能性について教えてください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 Eフュエルは、二酸化炭素と水素を原料として人工的に製造される燃料でございまして、カーボンニュートラル社会の実現への貢献に加えて、内燃機関や既存のインフラが活用できるなどのメリットを有しておりまして、その早期の商用化が期待されております。

 今年五月に開催しましたEフュエルの導入促進に向けた官民協議会におきまして、Eフュエルの商用化目標につきまして議論し、これまで二〇四〇年までの商用化と申し上げていましたが、これを二〇三〇年代前半までの商用化という形に前倒しする方向性を示しておりまして、これを新しい目標として掲げていくことにしてございます。

 これを達成するため、今後、グリーンイノベーション基金プロジェクトの加速化のための支援の拡充、さらには既存技術を用いて早期の供給を目指した国内外のプロジェクトの組成や参画の促進、導入初期に供給量が少量でかつ高価な燃料となりますため、それをどのように流通させていくかといったビジネスモデルの構築に向けた検討、そしてアメリカ、ドイツを始めとする各国との連携によるEフュエルの利用に関する国際的な合意形成などに積極的に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

 以上です。

奥下委員 ありがとうございます。

 目標を前倒ししていただけるということですけれども、世界に目を向けると、F1なんかは二〇二六年にはEフュエルを投入するということで、MotoGPは二〇二七年ということで、今、レースでもどんどん使って、実験を重ねながらやられております。是非、どうしても日本は遅れておりますので、世界と連携して、民間がやられている結果とかを見ながら、もっともっと前倒ししていただけたらなというふうに思うんです。

 各国と連携されるということですけれども、Eフュエルの国際ルール作りについてはいかがでしょうか。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 本年二月に閣議決定されましたGX実現に向けた基本方針、ここにおきまして、Eフュエルなどの合成燃料の利用を促進すべく、我が国としてCO2排出の扱いに関する国際ルールの整備に向けて取り組む、このようにしております。

 これも受けまして、本年四月にG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されました。ここでコミュニケが採択されておるんですけれども、そのコミュニケの中に、Eフュエル、Eメタンといったカーボンリサイクル燃料の活用に向けて、今後は産学官の共同ワークショップなどをG7の各国と行っていこうということにしております。

 これらも踏まえまして、今後の合成燃料の活用によるCO2の削減効果に関する国際的なルールの整備については、まず具体的なプロジェクトにおいて実績をつくっていくことが重要であるというふうに考えております。日本と相手国がウィン・ウィンとなるよう、得られるCO2排出削減量を算定しまして、適正に配分して、それらを国際的に検証可能な形で進めることで国際社会の理解を得ていく必要があるというふうに考えております。

 環境省といたしましても、これまでの様々な知見も生かしまして、経済産業省を始め関係省庁、民間の事業者とも連携いたしまして、官民一体となって国際ルールの整備に向けて取り組んでまいりたいと思います。

奥下委員 ありがとうございます。是非、こういったルール作りは特にユーロなんかが強いものですから、そういったところに負けずに日本もルール作りに参加していただけたらなというふうに思っております。

 最後に、Eフュエルを取り扱っている海外企業の誘致の可能性についてなんですけれども、現在、日本ではENEOSさんだけというふうに聞いております。先ほど答弁にもありましたように、コストの問題といったことを考えるともっと市場に出回ることも大切なんですが、ほかの企業も誘致して、市場原理として競わせることが必要だと思うんですけれども、誘致についての可能性はいかがでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、Eフュエルに関するプロジェクトは世界各地で立ち上がってきておりまして、その中には、我が国が、今ENEOSさんのプロジェクトとありましたけれども、グリーンイノベーション基金でENEOSの研究開発を支援しておりますが、それらを中心とする、商用化開始時期である先ほどの二〇三〇年代前半よりもより早くEフュエルの供給開始を見込んでいるようなプロジェクトも存在しているという状況でございます。

 我が国企業としても、こういう世界の先行プロジェクトに対して積極的に出資などの形で参加し、我が国に少量でもEフュエルを供給することができれば、先端技術や操業ノウハウの獲得に加えて、まさにEフュエルの現物を国内で利用することを通じたビジネスモデルの構築などの効果が期待できるというふうに考えております。よってもって、我が国としての量産技術はやはり是非とも獲得していきたいところですけれども、それを早めるために、様々な海外のプロジェクトとの連携、ノウハウの取り込みということは国としても支援させていただきたいというふうに考えております。

 具体的には、一定の政策的意義を有する海外プロジェクトに日本の企業が参画する場合には、例えばですが、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、JOGMECによる事前のFS調査や出資、債務保証などの支援策の適用についても今後検討していきたいというふうに考えてございまして、Eフュエルの早期の社会実装に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 今の車のまま、ガソリンスタンドもそのまま使っても問題ないという、これが一番現実的なカーボンニュートラルへの近道かなというふうに思いますので、是非早めていただくよう、よろしくお願いいたします。

 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、林佑美君。

林(佑)委員 身を切る改革を公約に、和歌山県一区補欠選挙で当選させていただきました、日本維新の会の林佑美と申します。

 今日は、国会で初めて質疑させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素化の流れの中で、和歌山県の主要産業である石油精製業や鉄鋼業の企業は事業転換を求められています。例えば、有田市では、持続可能な飛行機燃料、SAFの製造に関する事業化調査が進められている動きもあり、地元から期待も寄せられているところです。

 そこで、こうした石油精製業や鉄鋼業などの重化学工業がカーボンニュートラルを実現するために行う大規模で抜本的な事業転換を図るに当たっては、政府のグリーントランスフォーメーション投資による支援を積極的に適用するなど、事業転換を後押しすべきではないかと考えますが、環境大臣としての御認識を伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 GXの実現に向けた基本方針におきましては、政府としては、省エネ法に基づく非化石エネルギーへの転換促進や、水素還元製鉄等の革新的技術の開発、導入等への集中的な支援、このほかにトランジションファイナンスに対する国際的な理解醸成等を行うことといたしております。

 環境省といたしましては、こうした取組への協力に加えて、社会全体のGX推進といった観点から、地方公共団体の創意工夫を生かした産業、社会の構造転換を含む地域脱炭素の加速化、カーボンフットプリントなど脱炭素型の製品等が適正に評価される環境の整備による需要の創出に取り組むことといたしております。

 引き続き、関係省庁とも連携をしながら、地方公共団体の脱炭素化の取組を後押ししながら、カーボンニュートラルの実現に必要となるGXの取組を進めてまいります。

林(佑)委員 ありがとうございました。カーボンニュートラルの実現には、国と地方自治体のみならず、企業や国民の一人一人が連携協力して取り組むことが非常に重要となります。地域の雇用を守り、発展を支えてきた産業の事業転換がスムーズに進むよう、積極的な支援をよろしくお願いいたします。

 次に、和歌山県は全国有数の林業地域で、県の面積の七七%を林業が占めています。カーボンニュートラルの実現に貢献するためにも、こうした森林をより活用し、伐採して、使って、植えて、育てるという森林資源の循環的な利用を通じて森林の吸収源対策に取り組むことが重要であると考えますが、まず環境省の御認識を伺います。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の国土の約七割を森林が占めております。二〇五〇年カーボンニュートラルの達成に向けて、森林を活用した吸収源対策は大変重要だというふうに考えております。

 先生御指摘の、切って、使って、植える循環利用も吸収源対策に資するものと考えておりまして、地球温暖化対策計画の中で、こうした循環利用の確立や木材利用の拡大などに関係省庁が連携して取り組む、このようになっております。

 これに沿いまして、環境省といたしましても、ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEH、ゼロ・エネルギー・ビルディング、ZEBの補助事業の中で、CLTという材、あるいは、都市の木造化推進法、この法律に基づく建築物木材利用促進協定に基づき木材を利用した場合、こういった場合について優先採択枠を設けております。さらに、環境省が担当しております国立公園、ここの施設における率先した木材の活用に取り組んでいるところでございます。これに加えまして、林野庁とともに、Jクレジット制度において、主伐、再造林を含む適切な森林経営によるCO2吸収量の拡大を促しているところでございます。

 これらの森林吸収源対策でございますけれども、生物多様性に配慮した森林管理を行えばネイチャーポジティブ実現にもつながると考えておりまして、森林資源の循環利用による脱炭素と生物多様性保全の統合的な実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございます。切って、使って、植える循環利用の確立や木材の利用拡大など、関係省庁が連携して取り組むこととしているというお答えがありました。

 カーボンニュートラルを見据えた持続可能な林業及び木材産業の推進のため、森林整備事業や林道整備事業等への財政支援の拡充が必要ではないかと考えますが、林野庁の御認識を伺いたいと思います。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 利用期を迎えました我が国の人工林、先生御指摘のとおり、切って、使って、植えて、育てる循環利用を確立していくためには、木材を安定的に供給するとともに、主伐後に再造林が行われる持続的な林業、木材産業の実現に向けた取組を進めていく必要があるというふうに考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、主伐後の再造林、その推進に向けて、まずは再造林の支援を進めています。

 さらには、やはりコストを下げて、林業を採算が合うような形にしなければいけないということで、造林コストの低減に資する伐採、造林の一貫作業の導入や、エリートツリーと言われる成長に優れた苗木の活用、この成長に優れた苗木を使いますと下刈り等の保育経費が下がる、こういう効果も出てきます。

 また、路網の開設、改良、高性能林業機械の導入により生産性の向上を図るとともに、林業労働力の確保、育成による原木の丸太の供給力強化、さらには木材加工流通施設の整備等による柱等の製品の供給力の強化、こういった取組を総合的に支援しているところでございます。

 今後とも、森林整備事業等の予算の確保に努めつつ、持続的な林業、木材産業の推進に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

林(佑)委員 ありがとうございました。二〇五〇年カーボンニュートラルの実現という目標を考えたとき、森林・林業、木材産業の役割は大変大きなものとなると考えます。林業、木材産業が経営レベルで切って、使って、植えるを行えるよう、需要の創出とともに供給力の強化ができるように、財政支援を拡充し、産業の推進をよろしくお願いいたします。

 次に、熱中症対策実行計画が、先月、閣議決定されました。実行計画における二〇三〇年の中期的な目標をどのように達成していくのか、政府の今後の取組方針を伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 今、林委員から御指摘がありましたように、近年、熱中症による死亡者数が年間千人を超える年が頻発しておりまして、熱中症対策はまさに急務であるというふうに考えております。このため、熱中症対策の実行計画では、中期的な目標として、二〇三〇年までに死亡者数を現状から半減することを目指すという非常に高い目標を設定いたしました。

 目標を達成するためには、熱中症のリスクが高い日に予防行動を徹底していただくということが重要だと考えております。このため、実行計画におきましては、一つは、熱中症警戒情報及びその一段上の熱中症特別警戒情報の発表、一つは、暑さをしのぐための指定暑熱避難施設、いわゆるクーリングシェルターの指定、もう一つが、熱中症弱者への見守りや声がけ等を行っていただく熱中症対策普及団体の指定、また、政府一体となった普及啓発等の取組を定めて推進するということにしております。

 実行計画の目標達成に向けまして、関係府省庁や地方自治体、また産業界とも連携をしながら、環境省といたしまして、この計画に掲げた施策を着実に実行してまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 環境省は、これまでも、熱中症警戒アラートの発表や熱中症予防強化キャンペーンを実施し、熱中症対策に取り組んでこられたと承知しております。しかし、厳しい状況が続くと予想される今夏においては、熱中症予防行動の周知徹底など、熱中症対策をより一層強化する必要があると思われます。そこで、今夏に向けた環境省の熱中症対策について伺いたいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正気候変動適応法につきましては、五月十二日に公布されたばかりでありますけれども、この夏の熱中症対策に間に合わせるために、五月三十日に熱中症対策実行計画を閣議決定するとともに、政府一体となって実施する今夏の熱中症予防強化キャンペーンを取りまとめたところであります。

 熱中症は適切な予防行動により防ぐことができるものでありまして、キャンペーンでは、熱中症警戒アラートを運用する中で、エアコンの適切な使用や、小まめな水分、塩分の補給、お年寄りなどの熱中症弱者に対する見守り、声かけ等の予防行動の徹底を、関係府省庁や地方自治体、産業界とも連携し、積極的に働きかけてまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 エアコンの適切な使用ということですが、ウクライナ危機により燃料費の高騰が続いております。お年寄りは室内で熱中症にかかる方が多く、光熱費を気にしてエアコンを控えるというようなことがあれば非常に危険です。エアコンの適切な使用を呼びかけるだけではなく、燃料費の高騰に対する対策なども必要かと思います。

 また、私も小学生と中学生の子供がいますが、体育館等への冷房設置など、まだまだ進んでいないのが現状です。

 熱中症対策を強力に進めるための財政支援について、大臣のお考えをお聞かせください。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 実行計画では、各府省庁、どの省庁が何をやるかというところも含めて、責任関係を明確にするような形で取りまとめております。

 熱中症対策の関連でいえば、省エネを考慮したようなエアコンの使用ということで、例えば、カーテンをしっかりと、日が差さないような形にした上で使うとか、みんなで同じリビングに集まって涼むとか、そういった形で工夫をしながら、電力料金が上がっている中でもしっかりとエアコンは使ってもらうということに努めてまいりたいと考えております。

 電力料金全体の話については、熱中症だけではなくてもっと大きな話でございまして、それについてはまた別途、責任を持って所管する省庁において検討されているところでありますので、そういった動きも見据えながら、熱中症対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、質問を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。

古賀委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会、空本誠喜でございます。今日もよろしくお願いいたします。

 今お配りする資料でございますけれども、昨日、原子力の特別委員会の方でも質問させていただきまして、原子力及び再エネに係る論点整理という資料を今お配りさせていただきます。

 昨日から、原発事故の話、原子力規制庁の在り方、また原発再稼働についての取組、原発の廃止措置、そしてこの夏の電力の需給や電力料金の今後の高騰対策、そういったものを質問させていただきました。

 今日は、二十分の時間の中なのでございますが、二、三、八、九という番号の、原子力規制庁の確実かつ迅速な審査のための適正化、そして原子力規制庁の規制担当者の人材、こういったことからまず質問させていただき、また、再エネ賦課金、電力の自由化について時間があれば質問させていただきます。

 まとめて質問させていただきたいと思っております。原子力規制庁の今の審査体制、検査体制、研究体制、放射線防護の体制、また、地方に常駐されていますが、限られた予算の中で、原発の再稼働、今後はリプレースと新増設を含んだ審査強化、人員強化をしなければなりませんが、規制庁としてどうお考えか。もう一点、規制庁の業務の迅速そして適正化に関する具体的な取組。さらに、今、原発を審査、検査しています、この手数料はどのように決めているのか、そしてそれをどのように、エネルギー対策特会に入れているんですが、組み込み、どういうふうに使われているのか。

 まとめて御説明をお願いいたします。

金子政府参考人 三点御質問がございましたので、それぞれ続けて御答弁させていただきます。

 まず、審査や検査体制、人員の充実についてでございます。

 原子力施設に対する規制を着実に実施するのに、原子力規制庁の職員を質、量の面で充実することは大変重要だというふうに考えております。

 このため、一般的な国家公務員採用試験合格者から採用することに加えまして、原子力規制庁では独自に、原子力工学系職員の採用試験を行う、あるいは研究を担う職員の公募を実施して、新卒の採用者の確保を行っております。

 また、電力会社やメーカー等で原子力発電所の運転あるいは保守といった現場での経験を有する者、あるいは研究機関での研究に携わっていた者などの実務経験者も積極的に採用して、人員の充実を図っているところでございます。

 二つ目、審査の取組についてでございます。

 まず、原子力の安全の追求に妥協が許されませんので、規制基準への適合性を確認する審査におきましては、規制側と事業者側の双方が納得のいくまで議論することが大前提にはなります。

 その上で、地震や津波の規模の想定、敷地内の断層の選定などの審査過程において、事業者の調査あるいは検討が追加で必要となった場合に、それらに時間を要している状況を踏まえ、審査プロセスの改善に努めております。

 具体的には、事業者の地質等の調査方針や実施内容をあらかじめ確認して早い段階から指摘を行うこと、審査会合の最後に指摘事項を双方で確認して共通理解を得るようにすること、審査項目ごとに事業者の資料の準備状況や想定スケジュールの提示を求めて確認することなどでございます。

 今後とも、審査を着実に進めていくために、事業者と規制当局の双方が努力を継続することが重要であるというふうに考えております。

 三点目、原子力発電所に係る審査や検査の手数料についてのお尋ねでございます。

 これにつきましては、原子炉等規制法において実費を勘案して定める額という形で、政令や規則において標準的に必要となる審査の作業量や検査の工数に応じた手数料の額を定めてございます。

 定められた手数料によりまして納付された手数料は、エネルギー対策特別会計の中で区分整理をされております原子力安全規制対策、これは規制庁が規制を運営するための経費の対象でございますけれども、こちらの歳入となりまして、ほかの財源と合わせまして、原子力規制を含む原子力施設等の安全確保のための措置に使われているところでございます。

空本委員 予算が限られていますが、やはり限られた予算、増やす必要もあるし、人員も強化しなきゃいけません。そういった意味で、私たちも頑張りますが、規制庁としても国民の皆さんにそういった体制をしっかりアピールしていただきたいと思います。

 その中で、配付資料、裏面を見ていただきたいと思います。教育訓練課程のイメージ、これは規制庁さんからいただいた資料でございます。実際に規制庁は、専門性の高い、高度なレベルの審査員の方がたくさんおられます。そういった方の専門性について、そのスキルアップをどういうふうにしているのか、さらに、この人材不足をどう対策するのか、まとめてお答えをお願いいたします。

金子政府参考人 御指摘いただきましたとおり、原子炉等規制法に基づく審査あるいは検査などの業務を実施するに当たって、高度な技術レベルと専門性を備えた職員が必要になります。

 資料でお示しいただいたように、原子力規制庁では、平成二十九年度から規制庁独自の任用資格制度を導入しまして、職員の技術レベルの向上そして専門性の確保を行っております。

 見ていただいておりますように、五つの区分が設けられております。原子力の検査、原子力の安全審査、保障措置査察、危機管理対策、放射線規制でございますが、これらの分野においては、教育訓練課程を修了する又は口頭試問に合格するということで資格が付与されます。

 こういった取組の中で、さらに、基本資格と中級資格、上級資格という段階を設けておりまして、基本資格の取得に当たっては特に集中的な訓練が必要となりますので、技術系の若手職員は一年ほど業務から離れて集中的に訓練する、その中で、原子力全般の基礎知識、確率論的リスク評価あるいは検査のための現場のウォークダウン、こういったものを学んで、最終的にはベテランの職員とともにOJTを行った上で業務に従事するというような形になってございます。

 さらに、基本資格取得後、職員は、規制業務を行う中で経験と知見を積み重ね、必要となる研修の受講、口頭試問などを経て中級資格、上級資格を取得した上で、更に上位の職責を担うことができるようになってございます。

 こうした資格は一回取ったら終わりということではなくて、三年ごとに更新をする形にしてございますので、その際に、スキルの維持をするための継続教育も実際に行っております。

空本委員 原子力は、様々な工学分野が複雑に絡み合っている分野でございまして、すごく難しい分野であります。しっかりそういった方々を養成する、また、教育の資格制度、しっかりこれもアピールをいただきたいと思っております。

 続きまして、再エネ賦課金について。私自身は、やめるべきじゃないかな、若しくは、今の電気料金高騰においては一時的に凍結してもいいんじゃないかな、そういうふうに考えるんですが、この再エネ賦課金、国民の負担もございます。例えば、二〇一二年、まず導入当初は一キロワットアワー当たり〇・二二円、二〇二二年は三・四五円、やはりちょっと重いというところもございます。そういった意味で、電気料金が上がっている中、この再エネ賦課金をいつ頃までやるのか、また、単価の見通しというものはこれからどうなっていくのか。電気料金に直結する問題なので、どうお考えか、資源エネルギー庁からお答えください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 二点御質問いただきましたが、FIT制度の導入後、再生可能エネルギーの比率は震災前の約一〇%から二〇二一年度には約二〇%まで倍増しておりますが、エネルギー基本計画に基づく二〇三〇年度の再エネ目標、三六から三八%の実現に向けて、引き続きこれを最大限導入していくことが政府の基本方針となっております。こうした中で、政府といたしましては、引き続き再エネ特措法に基づく現行の制度を着実に運用していく必要があると考えてございます。

 同時に、先生御指摘のような問題意識も踏まえまして、再エネのFIT制度からの自立化に向けましては、一つには、二〇二二年四月から市場連動型のFIP制度を導入しております。また、もう一つは、再エネのコスト低減に向けまして、調達価格等算定委員会における議論の下、中長期的な価格目標を設定して、調達価格の引下げあるいは入札制度の活用等に取り組んでいるところでございます。引き続き、再エネのFIT制度からの自立化に向けましてこうした取組を進めていきたいと考えております。

 また、二点目の再エネ賦課金でございますけれども、再エネ特措法に基づきまして定められた算定方法にのっとり経産大臣が設定することになってございまして、具体的には、再エネ電気の買取り費用から再エネ電気を卸電力市場に売電した場合に得られる収入を除いて、それをまたキロワットアワーで除するという形で毎年設定しております。

 二〇二三年度の賦課金単価につきましては、ウクライナ情勢に起因する年間を通じた市場価格の上昇等を反映した結果、先ほど先生がおっしゃっていただいた前年度のものに比べまして、一キロワットアワー当たり一・四〇円という形で、二・〇五円の低下という形になっております。

 今後の再エネ賦課金につきましては、再エネの導入状況であるとか今申し上げた市場価格の動向等によりまして正確に見通すことは困難ではございますけれども、国民負担の抑制に向けましてしっかりとした取組を引き続き進めていきたい、かように考えてございます。

空本委員 今年度は再エネ賦課金の単価が下がるということでございますが、電気料金自身、相当国民負担が大きくなっていますし、今後も、ウクライナ情勢を踏まえると、やはり電気料金の高騰は間違いなくやってくるのであろう、更なる高騰がやってくるのではないかと思っておりますので、こういった意味で、電気料金に、国民の負担、国民の皆さん、消費者の皆さんが支払うものに対して何としても下げるような対策が必要かなと思っております。取組を是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、電力自由化。今お配りした資料の中で、一番最後の電力自由化のあるべき姿、一番下に書いてあるんですが、マネーゲームとなっている自由化というふうに書かせていただいてあります。今回、電力自由化を皆さんはするべきだと、国民の意見としても電力自由化をするべきということもありますけれども、発電と送電の設備を有しない電力の小売事業者が新電力と呼ばれながら一時的なもうけに走っている、マネーゲームをやっているという状況もございました。

 電力供給のインフラは公的なものでありますし、安価な、安定した電力を国民に提供するというのは大変重要であります。そういった意味で、本来の電力自由化のあるべき姿は一定限度以上の発電設備を持つような事業者じゃなきゃいけないのかなというふうに考えますが、政府として、今現状の電力自由化のよしあし、それと、今後どうすべきかを踏まえて、この弊害をどのように捉えているか、まとめてお答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問を頂戴しました電力自由化でございますけれども、広く捉えまして、電力システム改革として捉えますと、従前は、十の供給エリアに分かれて、そこに独占的な事業者がおり、エリアとしての安定供給には非常に資するわけでございますが、一方で、コスト効率性の面で考えた場合、なかなか競争が起きず、高い料金になりがちであるという問題がございました。同時に、まさに福島の事故のとき、震災のときに経験したように、広域の安定供給に対する難があるという問題がある中で、発電と送配電を分離して、その上で競争を呼び込み、安定的かつ効率的な、そして消費者の方々に様々なサービスが提供できるようなことを目指してシステム改革を進めてきているところでございます。

 今までの状況について申し上げますと、まず一つには、広域の融通という面でいいますと、非常に大きな進歩があったのではないか、様々な地震が起こったりトラブルが起こったりすることはございますけれども、需給の逼迫に対しても日本全体で融通を行い、一定の安定供給を確保するような仕組みは向上しているのではないかなと考えておりますし、また、小売の自由化という面について言いましても、様々な事業者が参入し、一定程度については規制料金より安い自由料金が提供される、これは非常によかったことだと思っております。

 他方で、委員御指摘いただいたようなことも含めまして、課題も出てきています。

 一つには、安定供給の面でいいますと、供給力の確保という問題です。再エネの導入拡大とともに脱炭素の流れも相まって、火力の稼働率が低下し、結果的に供給力が弱まっているという課題がございます。この面について言いますと、来年度から始まります容量市場というのを着実に運用すること、さらには新規投資、既設の維持も含めましてサポートするメカニズムをしっかりつくっていくこと、全体として供給力管理をしていくこと、こういったことを軸に対策を進めているところでございます。

 そしてもう一点、今まさに御指摘いただきましたような小売事業者の方々は、これまででいいますと、卸売市場から調達した電気をベースに販売されますので、どうしても市場に連動した形で収益が変わってまいります。そうしますと、昨今の逼迫の中の市場価格の高騰を受けますと、小売の方々の急な撤退ということで、消費者の方に御迷惑がかかるようなことも出てきてまいっております。課題は、発電者と小売の事業者の間で健全な形で、安定的な形での取引契約ができること、必ずしも所有ということに限る必要もないと思いますけれども、短期から長期までを含めたポートフォリオが構成されて、燃料の調達も火力発電の経営も安定的にできるような環境をつくっていくということが必要かと思っております。

 そういう意味で、西村大臣から指示を受けまして、現在、健全な小売競争の在り方ということについての検討を進めておりまして、自由化の課題となる部分については修正していくような対策を講じていきたいと考えてございます。

空本委員 電力自由化によって、中小企業なんかで、今、新電力さんに乗り換えてしまった、そういう方がまた、事業を縮小されたことによって、新しい電力からまた元の十電力とかに戻らなきゃいけない。そうなると、様々な問題、困っている工場とかがたくさんございます、そういったところに対する対策も踏まえてフォローしていただきたい。

 プラス、電気料金の話でございますが、今、特別高圧についてよく話が出ますけれども、資源エネルギー庁の方から、三月二十八日、各都道府県に対して、特別高圧について、交付金をうまく使ってくれというような通達を出しております。中小企業の、工場を持っていらっしゃる、又はスーパーマーケットを経営されている方々は本当に電気料金で困っているんですね。そういった意味で、中小企業の方々を支えるという点で、電気料金の、特別高圧なんかは特にですが、この対策がまだまだ十分ではないと思っておりますので、その点、しっかりお願いしたいと思います。

 電力自由化はいいんですけれども、福島原発を見たときに、外部電源喪失が起きました。その中で一番困ったのは、電気を外からどう取ってくるか。そのときに発送電を分離していたら、九キロのケーブルをはわせるとかを二Fといいますか福島第二原発でやっておりますけれども、そういった調達が難しいというのがあります。発送電分離じゃなかったからその辺をちゃんとできたということでございます。発送電を分離することによる問題点もあるかなと思っておりますので、そういったところを政府としてしっかり指導いただきたいと思います。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、日下正喜君。

日下委員 公明党の日下正喜でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 先日も台風二号によって日本各地に線状降水帯が発生し、大雨災害をもたらしました。気候変動問題は、私たちが身近に感じることができる深刻な問題として国民の意識にも定着し、脱炭素社会の実現に向けた世界的な取組につながっています。

 一方、生物多様性の損失を止め、反転させるネイチャーポジティブの考え方については、気候変動問題と同様に人類の生存、社会経済活動の基盤をなすもので非常に重要だと考えますが、なかなか気候変動のように身近には感じられない、見えづらいところに難しさがあるように思います。

 既に農業や漁業など、我々の命をつなぐ産業にも深刻な影響が出ており、回復させるのも容易ではありません。こうした現状を踏まえて、このネイチャーポジティブの考え方、意義を国民に、社会に広く周知していくことがまず第一に重要であると考えますが、見える化や学校における環境教育の充実も含め、環境大臣の御所見を伺います。

西村(明)国務大臣 あらゆる社会経済活動の基盤となっている自然資本を持続可能なものにしていくために、まさに委員御指摘のネイチャーポジティブの実現というものは不可欠であるというふうに考えております。

 自然資本の劣化に伴う社会や国民生活への影響は、海面漁業の漁獲量がピーク時の五〇%程度に低下したり、また、森林の手入れ不足によって大雨発生時の土砂災害防止機能が減少するなど、非常に多岐にわたっております。

 環境省といたしましては、こうした背景を踏まえまして、三月末に生物多様性国家戦略を策定して、国民に生物多様性の価値の認識と行動を促す施策を盛り込んだところでございます。この戦略を踏まえて、例えば、自然の恵みの源泉である森里川海とそのつながりに関する普及啓発や、子供を対象とした環境教育などを行っております。

 引き続き、ネイチャーポジティブの理解の促進に向けて、必要な取組を進めてまいります。

日下委員 次に、この生物多様性の損失は気候危機とも密接につながっており、これは、産業革命以来の大量生産、大量消費、大量廃棄など、これまでの経済活動や私たちの生活様式がもたらしたものです。

 本年四月のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合でも確認されたとおり、気候変動と生物多様性の損失及び汚染という三つの危機の克服、そして循環経済を統合的に進めるという喫緊の地球的課題を国際社会が共有し、乗り越えていかなければなりません。

 今後、世界的なコンセンサスがどのように図られ、どのように実効性を担保していくのか、また、その中で日本はどのように貢献していこうとされるのか、大きなテーマですが、大臣の御決意をお聞きします。

西村(明)国務大臣 四月に札幌で開催されました気候・エネルギー・環境大臣会合、ここでは、気候変動と生物多様性の損失また汚染といった三つの世界的危機に直面しているという中で、温室効果ガスのネットゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブ経済の統合的な実現が重要であるという認識で一致いたしました。これは、五月のG7広島サミットにおいても首脳レベルで確認されたものでございます。

 G7が主導的な役割を果たすという決意を示したことは重要でございますけれども、日下委員が今御指摘されたように、こうした世界的な危機は、G7各国だけでは克服できないものでございます。G20や、その他の新興国、途上国を含めて国際社会全体で、全てのレベルにおける具体的なアクション、これを実施していく必要があると考えています。

 今後、G20、また日・ASEAN環境大臣会合、COP28、国連環境総会と、新興国や途上国も参加する重要な国際会議が続きます。本年のG7議長国である我が国は、これまでの会合の成果に盛り込んだ内容を引き続きしっかりとそうした会議で打ち込んでいくとともに、新興国や途上国における具体的なアクションの促進に向けて、JCM等を通じて我が国の技術や経験といったものを共有しながら、協力を進めてまいりたいと考えております。

日下委員 今年だけでも重要な国際会議がこれから続いてまいりますので、着実な前進をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、三つの危機への対応と循環経済を統合的に進める地域や自治体での取組についてお尋ねします。

 自然環境を含め、地域社会とじかに接する自治体の役割は極めて重要であると思います。環境省による地域脱炭素へのロードマップも示され、二〇三〇年までに少なくとも百か所の脱炭素先行地域をつくるとされています。現在、六十二地域に広がっており、循環経済も加味されたこうした脱炭素先行地域をつなぎ、地域循環共生圏へと発展させていく取組を加速させる必要があります。

 さらに、ネイチャーポジティブに向けてのサーティー・バイ・サーティーの取組、廃棄物リサイクル、みどりの食料システム戦略も含め、各自治体や地場企業など、地域を軸にした環境施策に関しても様々なメニューがあり、また多岐にわたります。各自治体としては、限られた予算、人員の中で、どの部署が、どこから手をつければいいのか迷うところもあろうかと思います。

 こうした取組に実効性を持たせるためには、環境省として、各自治体の現状を把握し、自治体目線、企業目線で施策を整理し、新たなパンフレットを作るなどして提示、発信する必要があると考えますが、環境省の御所見をお伺いします。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、地域におきまして、脱炭素、資源循環、ネイチャーポジティブ、こういったものを統合的に推進するいわゆる地域循環共生圏の実現に向けて、地方公共団体の役割は極めて重要であるということでございまして、それぞれの団体の状況に応じた支援というものを講じていく必要があるということでございます。

 全てを統合しているということでもございませんけれども、例えば、地域脱炭素について申し上げますと、まず、施策の把握という意味では、地球温暖化対策推進法施行状況調査あるいは各地方環境事務所等を通じまして、地方公共団体の規模等を踏まえた地域脱炭素の取組の状況、課題について把握をしてございます。

 それから、関係する施策、これが施策、政策レベルになりますと非常に膨大な面があって、確かに、委員御指摘のとおり、非常に膨大で、どこから手をつけていいのか迷うところもございますが、まず手始めといたしまして、地域脱炭素に関しましては、関係省庁と連携いたしまして、計画策定等の支援、再エネ、省エネ設備の導入支援、人的支援など、地方公共団体の課題ごとに、地域脱炭素の取組に対する百五十四の支援ツール、枠組みを政府全体で取りまとめてございまして、これを地方公共団体に情報提供をしているところでございます。更にこういった取組を推進してまいります。

 さらに、地方の具体的な課題、悩み、こういったものに、相談する体制といたしまして、地方環境事務所に創設いたしました地域脱炭素創生室を中心に、地方公共団体のみならず、企業も含めて、きめ細やかに伴走支援を行っているところでございますが、御指摘も踏まえて、地域脱炭素のみならず、循環経済、それからネイチャーポジティブ、こういった環境施策全般につきましても、地方公共団体の首長とも直接意見交換をしながら、さらに、分かりやすい環境施策の発信、支援に努めてまいる所存でございます。

日下委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 次に、循環経済では、いわゆる三Rプラスリニューアブルの取組強化で、資源価値の最大化、資源消費量の抑制、廃棄物発生の最小化を目指すわけでございますが、プラスチックや廃油、バイオマス、金属、建設資材、化学繊維など、素材ごと、また製品ごとにも資源循環の方向性が示され、二〇三〇年までに循環経済関連ビジネスとして八十兆円を見込んでおります。

 この素材ごとの分別回収について、例えば、海洋汚染でも問題となるプラスチックに関してでございますが、二〇二二年四月よりプラスチック資源循環法が施行され、これまでは主にプラスチックを燃やしてエネルギー回収していたものを、プラスチックを再利用していく方向に軸足が移っております。この場合、分別収集されたプラスチックを更にその種類ごとに分別しなければならず、自治体には過度な負担がかかってまいります。

 ヨーロッパの人口十万人程度の都市では、市民が回収拠点に持ち込むことによって、資源として適切に処理されると聞いております。

 日本では、アルミ缶や新聞、古紙、包装容器や単一素材のペットボトルなどは比較的容易にリサイクルでき、利用価値のあるものは資源ごみとして自治体が回収したり、民間が回収する場合もございます。しかし、プラスチックに関しては、次の製品になるには再度分別された上でペレット状にしなければならず、手間やコストがかかります。

 できる限り焼却処分しない、埋立廃棄物を出さないなど、本格的な循環型社会にするためには、こうしたプラスチックや複合素材でできたものを市民が自由に持ち込み、適切に処理されるシステム、まずは集積拠点を設けることが必要だと思います。

 私も何度か利用した経験がございますが、岡山にある民間事業者で、金属類や古紙、小型家電、パソコン、携帯電話など、家庭で不用になったものをドライブスルーのようになった回収ステーションに運び込めば、スタッフがおり、正しく回収してくれ、重量に応じポイントまでもらえるという全国初の有人型資源集積システムがございます。利用者も多く、帰りはすがすがしい気持ちになります。

 こうしたサービスも参考にし、回収拠点づくりを検討していただければと思いますが、環境省のお考えを伺います。

土居政府参考人 御指摘がありましたとおり、プラスチック使用製品廃棄物の収集量の拡大や市民の積極的な分別排出を促進するためには、回収拠点やルートを多様化していくということは極めて重要だと認識しております。

 昨年四月に施行されましたプラスチック資源循環法では、プラスチック製品の自主回収、再資源化に関します新たな大臣認定制度を創設いたしまして、製造販売事業者などによります取組を促進しておりまして、これによりまして、事業者による回収、リサイクルの取組が拡大しているというところでございます。

 また、市区町村におきましても、公民館など、住民が行きやすい自治体所有の施設において、食品トレーや製品プラスチック等を回収している事例もございます。

 こうした事業者や自治体の取組、工夫を促進いたしまして、住民が協力しやすいリサイクル、集積体制の整備を後押ししていきたいというふうに考えております。

日下委員 次に、集めたプラスチック類をどう利用していくかということでございますが、ペレット状になったプラスチックの活用方法、需要の見込みですが、今のところ、品質の問題で、運搬用コンテナやパレット、バケツ、くいなど、商品価値が高くないものに使われる傾向があり、需要にも限界があります。そこで、汎用性のあるものにしようと考えると、ケミカルリサイクルなど、原材料に近い形に戻すことも考えられますが、収集、分別、加工に至る技術開発やコスト面の問題など、乗り越えるべき課題もございます。

 二〇三〇年までにプラスチック回収量の倍増を環境省は掲げておりますが、この収集、分別、加工、再生材の活用など、循環経済におけるビジネスとして成り立つものにしていただきたいと思いますが、見通し感について大臣の御所見、御決意も含め伺います。

西村(明)国務大臣 欧米を始めとして世界各国におきましては、委員も御承知のように、大量生産、大量消費型の経済社会からサーキュラーエコノミー、循環経済への移行というものが進んできております。その中で、我が国が強みを有しますスリーR、廃棄物、環境対策技術、こうしたものがビジネスとしてより拡大していくためには、いち早く循環型の経済社会へ移行を進めて、資源循環分野における環境と経済の好循環、これを創出していく必要があると考えております。

 政府では、二〇三〇年までに循環経済関連ビジネスの市場規模を八十兆円以上に拡大すること、またプラスチック資源の回収量を倍増させることを目標として掲げております。

 これらの目標達成に向けましては、製品の廃棄、リサイクル段階だけではなくて、設計、製造段階を含むライフサイクル全体における資源循環にそれぞれの主体が連携して取り組む必要がございます。昨年四月に施行されましたプラスチック資源循環法も、この方向性を踏まえたものでございます。

 こうした製造業等の動脈産業と廃棄物処理業等の静脈産業がまさに一体となって資源を循環させる動静脈連携を一層進めて、循環経済への移行、これを加速化してまいりたいと思います。

日下委員 ありがとうございます。

 一つ質問を飛ばしまして、ちょっと順番を入れ替えまして、次に、ペットボトルの質問をさせていただきたいと思います。

 日常的に多くの人が利用するペットボトルに関してでございます。利便性も高く、単一のPET樹脂素材でできていることからリサイクルしやすいとされています。日本は、回収率、リサイクル率共に世界トップレベルとなっており、九割以上回収され、再利用されております。これは誇るべきことだと思います。

 私たちは、一般に、リサイクルしづらいプラスチックごみとペットボトルをごっちゃに考えてしまいがちなのですが、清涼飲料メーカーなど事業者も更なるリサイクル率向上に向けて技術開発に努めております。

 脱炭素社会に向けた取組が加速されていく中で、このペットボトルの今後について、環境省としてどのような認識をお持ちか、新興国等への貢献など、将来の可能性、また課題などがございましたら、御所見をお聞きしたいと思います。

小林副大臣 清涼飲料業界においては、二〇三〇年までにペットボトルのボトル・トゥー・ボトルの比率を五〇%にすると宣言をし、新たなリサイクル技術を開発をした事例もあります。こうした取組が広がることで、今後、ペットボトルの高度なリサイクルが加速すると考えております。

 一方、途上国におけるペットボトルのリサイクルにおいては、例えば東南アジアにおいて日本の飲料メーカーが進出している事例が出ておりますが、回収、選別、リサイクルの体制や技術が不十分であるといった課題がございます。

 こうした途上国における課題を解決をするため、環境省では、我が国の優れた廃棄物管理の制度、技術の国際展開を進めており、東南アジア諸国等に対して、廃棄物処理、リサイクルに関する制度構築等の支援を行っております。

 本年二月、カンボジアで行われましたアジア太平洋3R・循環経済推進フォーラム、私も参加をしてまいりましたが、このような取組を通じて、国内外での資源循環の取組を進めてまいりたいと思います。

 以上です。

日下委員 ありがとうございます。

 自販機横に設置され、よく異物混入が目につく回収ボックスについて、環境省が行った実証事業の結果等も踏まえ、投入口が下向きについた新機能リサイクルボックスの設置促進や消費者への意識啓発なども今後しっかり進めていただきたいと思いますが、環境省の御見解を伺います。

土居政府参考人 自販機横リサイクルボックスの異物混入問題を踏まえまして、環境省では、昨年十月から十二月にかけまして、自治体の協力も得まして、リサイクルボックスの異物混入防止に関する実証事業を行いました。

 実証事業の結果といたしましては、今委員御紹介の新機能リサイクルボックスの設置、また啓発メッセージを掲示することによりまして異物混入率が低減するという結果が得られておりまして、この結果を取りまとめまして、各自治体に横展開して容器包装リサイクルの更なる質の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。

日下委員 最後に、先ほど飛ばしましたファッション分野での衣料品、特に化学繊維でございますけれども、これも原料は石油であり、プラスチック資源循環法が適用されているのではないかと思いますが、莫大な量の割にはほとんど一方通行の使い捨てが現状だと思います。環境省では、衣類回収システム、リサイクル技術の高度化に向けた実態把握を進めるとされておりますが、現状及び見通しについて環境省の御所見を伺います。

土居政府参考人 昨年度、生活者が手軽に衣類を出せる回収の仕組みをつくるために、自治体や企業等の衣類回収や再利用の実態把握を行いまして、海外への再販売などの需要の低下であるとか、衣類は、様々な素材が使われている、いわゆる混紡品が多く、リサイクル可能なものは限定的であるといった課題があるということを整理したところでございます。これらの課題認識から、今持っている服を長く大切に着ることがまずもって重要だということで考えております。

 また、本年一月から経済産業省と共同事務局で行っております繊維製品における資源循環システム検討会におきまして、製造、販売、回収、分別・再生における課題の整理及びそれの解決、議論を行っておりまして、課題解決の方向性を夏頃までにはまとめたいというふうに考えております。

 これらを踏まえまして、引き続き、ファッションロス削減によるサステーナブルファッションを促進していきたいと考えております。

日下委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございます。

古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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