衆議院

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第2号 令和5年11月10日(金曜日)

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令和五年十一月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 務台 俊介君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君

   理事 菅家 一郎君 理事 堀内 詔子君

   理事 篠原  孝君 理事 森田 俊和君

   理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君

      畦元 将吾君    井上 貴博君

      石原 正敬君    小倉 將信君

      金子 容三君    国定 勇人君

      熊田 裕通君    古賀  篤君

      笹川 博義君    柳本  顕君

      山本 左近君    鷲尾英一郎君

      近藤 昭一君    坂本祐之輔君

      堤 かなめ君    野間  健君

      馬場 雄基君   松木けんこう君

      杉本 和巳君    空本 誠喜君

      林  佑美君    中川 康洋君

    …………………………………

   環境大臣         伊藤信太郎君

   環境副大臣        八木 哲也君

   環境副大臣        滝沢  求君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   北川 克郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           森  政之君

   政府参考人

   (林野庁次長)      小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            中村 広樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  秦  康之君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         前佛 和秀君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           鑓水  洋君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山野  徹君

   環境委員会専門員     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     山本 左近君

  坂本祐之輔君     野間  健君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     井上 信治君

  野間  健君     坂本祐之輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

務台委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として消費者庁審議官依田学君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長北川克郎君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官森政之君、林野庁次長小坂善太郎君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、観光庁観光地域振興部長中村広樹君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長秦康之君、環境省水・大気環境局長土居健太郎君、環境省自然環境局長白石隆夫君、環境省環境再生・資源循環局長前佛和秀君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君、環境省総合環境政策統括官鑓水洋君、防衛省地方協力局次長山野徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

務台委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀内詔子君。

堀内委員 自由民主党・無所属の会の堀内詔子でございます。

 本日は、環境委員会にて質問の機会をいただきまして、また、委員長始め理事の皆様方、委員の皆様方に厚く御礼申し上げます。

 先日、多岐にわたる意欲的な伊藤大臣の所信表明を伺ったところではございますが、本日は、その所信表明に対する質問をさせていただきたいと思っております。

 環境問題は一つの国や地域だけでは解決し切れない問題が多くございますが、グローバルな御経験も豊富で、外務副大臣も歴任された伊藤大臣の御活躍を期待申し上げるところでもございます。

 冒頭に、東日本大震災と原発事故から十二年目を迎えます。私も令和二年から令和三年にかけて環境副大臣、内閣府副大臣として現地の様子を拝見し、御地元の皆様方の御意見を伺いました。故郷に戻りたいという純粋な住民の皆様方の御意向を実現させるためのお取組をこれからも着実に実施していただきたいということを冒頭申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 ネイチャーポジティブ、自然再興への関心が国内外で高まっているところでもございます。二〇二一年六月、G7サミットでは、二〇三〇年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させるという世界的な使命を確認しております。ネイチャーポジティブは、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに続く世界の潮流となっております。環境省がリーダーシップを発揮して国内外の取組を牽引していく必要があると思いますが、ネイチャーポジティブやサーティー・バイ・サーティーといった生物多様性保全の目的達成にどのように取り組んでいくのか、伊藤大臣の御意見を伺いたいと思っております。

伊藤国務大臣 委員御指摘のように、国の内外においてネイチャーポジティブへの関心は大変高まっております。まさにネイチャーポジティブ元年というべき状況というふうに認識しているところでございます。

 このネイチャーポジティブの実現に向けた重要施策の一つとして、二〇三〇年までに陸と海の三〇%以上を保全するサーティー・バイ・サーティー目標の達成を目指すことで国際的にも合意されているところでございます。

 先ほど申し上げたように、サーティー・バイ・サーティー目標の達成には、国立・国定公園の新規指定などの推進に加えて、自然共生サイト認定を始め、民間等の取組を後押しすることも重要だと考えております。

 我が国の持続可能な社会や経済活動を支えるためにも、このような生物多様性や自然資本の保全に向けた取組が重要であり、環境省としても一層推進してまいりたい、そのように考えております。

堀内委員 生物多様性を基礎として成り立つ自然資本は、水や食料を始めとする資源の供給源であり、一度失われたら、反転させるのは大変強力な取組が必要となってまいります。今、伊藤大臣から力強い御答弁をいただきました。美しい日本の自然、環境を自信を持って後世につなぐことは私たちに課せられた重要な使命である、そのように思っております。

 また、ネイチャーポジティブとも関連してくるとは思うんですけれども、長年にわたり多くの生き物が互いに影響し合いながら共生してきた自然体系が今崩壊しつつあり、猿、熊、イノシシなどの分布が拡大しているところでもあります。昨今、熊による人身被害が相次いでいることもその一端だと思います。

 我々は、野生動物との共生の道を丁寧に保っていく必要があると思いますが、鳥獣被害に対して今後どのように対応していくのか、八木副大臣に伺いたいと思います。

八木副大臣 ただいま御質問ありました熊、鹿、イノシシ等による被害、八木の方から答えさせていただきます。

 鳥獣による人身や生活環境、そして国立公園の自然生態系への被害が深刻な状況であることは言うまでもありません。これらの解消を喫緊の課題として認識しておるわけであります。

 熊類への対策といたしましては、大量出没を受け、関係省庁連絡会議を開催して、都道府県への対策の徹底と注意喚起に関する通知を発出したところであります。また、十月二十四日には、伊藤環境大臣から、熊による人身被害の防止に向けた談話を発出いたしました。国民への注意喚起を行った次第であります。

 これに加えまして、新たに熊対策の専門家を熊類の出没地域に派遣する事業を今月、十一月一日でございますけれども、から開始いたしまして、さらに、人の生活圏に出没する熊類の生息状況調査や捕獲手法の検討など、地域のニーズに応じた緊急な支援を検討しております。

 ニホンジカとイノシシにつきましては、環境省と農林水産省が連携して個体数を平成二十三年度に比べまして半減させる目標を設定して、環境省では、この目標達成に向けて、都道府県が実施するニホンジカとイノシシの捕獲等への交付金による支援を進めているところであります。

 引き続き、関係省庁や関係機関等と連携しながら鳥獣被害対策を進めてまいります。生物多様性の確保、国民の安全、安心、そして地域社会の健全な発展に貢献してまいります。よろしくお願いします。

堀内委員 ただいま八木副大臣から具体的で意欲的な御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 我が国において、自然の生態系を適切に保ちながら鳥獣との共生を図っていくためには、山の守り手である猟友会の持つ役割も大きいと思いますが、現在、高齢化や担い手不足に悩んでいるというふうに聞いております。この問題についての対策を伺いたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省におきましては、新たな捕獲の担い手の育成、確保を図るため、狩猟の魅力を伝え、狩猟免許取得を促すための狩猟フォーラムの開催、それから、都道府県による捕獲事業者やジビエ活用も含めた狩猟者の育成への交付金による支援、捕獲事業者や被害防止目的の捕獲等に関わる狩猟者の狩猟税の減免措置、わな猟、網猟免許の取得年齢の引下げ等に取り組んでまいりました。

 その結果、狩猟免許所持者は平成二十四年度以降増加傾向にあり、四十歳代以下の若い免許所持者も増加傾向にございます。他方で、熟練した銃猟免許所持者の減少、高齢化が進んでいることから、若手狩猟者の捕獲技術の向上を図る必要性を認識しておりまして、引き続き、猟友会等の捕獲事業者や関係行政機関と連携して、捕獲の担い手の育成、確保を図るための取組を進めてまいります。

堀内委員 ありがとうございます。何とぞよろしくお願いいたします。

 次の課題に移らせていただきます。

 今年の夏も大変厳しい暑さに見舞われました。地球沸騰と言われる事態となりまして、十一月に入っても大変夏日が観測されている、そういったところでもございます。

 私が事務局長を務める熱中症対策推進議員連盟では、令和二年から毎年政府に対して提言を行い続け、本年四月には、熱中症対策を強化する気候変動法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律が成立し、施行日は令和六年四月一日となりました。

 国からは、熱中症対策の支援メニューが様々に用意はされております。私の地元山梨も、日本一暑い日が時々ございますほど暑くなる地域でございまして、地元の方々から相談を受けることもあります。例えば、学校施設や公民館など自治体施設における空調施設導入について、各省庁から要件が様々に設定されているところでありますが、学校や自治体の担当者も御存じなかったり、制度を利用するにも、要件が様々で理解がしづらく相当悩んでいる、そういった姿に会います。

 空調設備導入やクーリングシェルターの普及など熱中症対策を検討する自治体などへは、財政支援のみならず、ワンストップ相談の窓口の設置など現場に寄り添った支援の充実を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 堀内委員御指摘のとおり、熱中症対策では、地域における取組が非常に重要であります。

 自民党の熱中症対策推進議員連盟の御指導を受けて成立いたしました改正気候変動適応法では、地域における熱中症対策の推進を独立行政法人環境再生保全機構の業務として正式に位置づけました。

 環境省としても、環境再生保全機構とともに、地域の皆様の声を伺いながら、それぞれの地域の実情も踏まえ、現場に寄り添った熱中症対策の強化を図ることができるよう、関係府省庁とも連携してきめ細かに対応してまいります。

 引き続き、熱中症対策実行計画に掲げる熱中症による死亡者数の半減という高い目標を達成すべく、改正法の全面施行に向けてしっかりと準備を進めてまいります。

堀内委員 神ノ田部長、ありがとうございました。

 国において用意をした事業は、国民の皆さんの手元に届いて初めて生きるものであるというふうに思っております。国民に寄り添った支援をこれからもよろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会構造から転換し、サーキュラーエコノミー、いわゆる資源を循環させる社会の仕組みが重要であるというふうに思っております。

 自民党では、環境・温暖化対策調査会の下に食ロス削減PTが立ち上がり、私は座長として、「食品の寄附や外食時の持ち帰りが当たり前の社会に向けて」、食ロス削減推進法の見直しといったものを取りまとめ、本年四月二十一日に岸田総理に申し入れました。

 提言では、外食時の持ち帰りを含む未利用食品等の提供と消費者の行動変容の促進、食品廃棄物の排出削減などを提案しています。また、現行の食品ロス半減目標を着実に達成した上で、食品ロス量四百万トンへの更なる高みに向けて果敢に取り組むことを訴えております。

 二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロ、ネットゼロ、とりわけ暮らしの脱炭素化に向けては、国民一人一人の行動変容を実現し、ライフスタイルの転換を図る必要があります。新たに立ち上げたデコ活はその一環であると認識しています。食ロス削減は個人による行動の変化を通じて十分に貢献できる課題と考えますが、環境省としてどのように食ロス削減に向けた取組を推し進めていくのか、伺います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 食品ロスの削減は、食品の生産、加工から消費、廃棄に伴う資源とエネルギーの無駄の削減につながるため、循環型社会の構築、そして循環経済への移行、こうしたものだけでなく、さらには、カーボンニュートラルの実現に向けても大変重要な政策課題であると考えております。

 食品ロスを二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で半減し、四百八十九万トンにするという政府目標の着実な達成に向けては、予断を許さず、消費者庁等の関係省庁と連携をし、食品ロス削減の取組を定着させていく必要があると考えております。

 こうした考えの下、環境省におきましては、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動である、いわゆるデコ活の主要アクションの一つとして食品ロスを掲げております。また、このデコ活を通して、食品ロス削減等も含めた国民、消費者の行動変容、ライフスタイル転換を強力に後押しするための取組を今般の経済対策にも盛り込ませていただいたところでございます。

 具体的には、外食の食べ残しを持ち帰るmottECOや、家庭で余っている食品を寄附するフードドライブ等の行動が地域に拡大、定着するよう、モデル事業等による地域主体の取組の支援を強化してまいりたい、このように考えております。

 環境省といたしましては、引き続き、政府目標の達成に向けまして、デコ活の取組とも連携をしながら、さらに関係省庁ともしっかりと連携協力を進めながら、食品ロス削減の取組を着実にしっかりと前に進めてまいりたいと考えております。

堀内委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 食品の寄附を促進するための法的措置などについて、食品ロス削減推進会議などの場で検討が進められているものと承知しております。また、衆議院消費者問題に関する特別委員会においても、自見大臣より、食品ロスを二〇三〇年度までに半減させる目標の達成に向けた食品の寄附等を促進するための措置を含む政策パッケージを年末までに策定し、多様な取組を更に促進するとの御発言がありました。食品の寄附を促進する際に要となるのは、フードバンクや子供宅食の取組であるというふうに思っております。稲田筆頭も熱心に取り組んでくださっております。

 食品ロス削減の観点からも、これまで善意に頼っていたフードバンク等の活動に対し、法的措置を含めた支援、サポートがより必要になってくると思います。法的措置の取組は様々な課題を乗り越えなければならないものと承知しておりますが、その御決意を伺いたいと思っております。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の政策提言や食品ロス削減推進法成立時の決議などを踏まえまして、政府といたしましては、二〇三〇年度までに二〇二〇年度比で食品ロスの量を半減させる政府目標、これを確実に達成するために、関連施策パッケージを年末までに策定することにしております。御指摘の食品の寄附を促進するための法的措置につきましても、この中で政府全体で検討しているということでございます。

 検討状況についての御報告でございますが、政府における検討の場としまして、委員御指摘のとおり、食品ロス削減推進法により設置された食品ロス削減推進会議を活用することとしてございます。同会議は、消費者及び食品安全担当大臣を会長としまして、閣僚委員として環境大臣、農林水産大臣、厚生労働大臣などに加えまして、本年七月に、民事法制を所管する法務大臣や子供施策を所管するこども政策担当大臣を総理から御指名いただきました。また、食品関連事業者、フードバンク、子供食堂の各方面の有識者の御意見を聞きながら検討を進めているところでございます。

 先月開催しました同会議におきまして、事務局から法的措置についての検討上の論点をお示ししたところでございまして、食品の寄附あるいは食べ残しの持ち帰りに係る法的責任の在り方についての検討を進めていく上での論点が確認されたところでございます。

 その一つ御紹介いたしますと、例えば米国のように、善意の食品提供について一律に民事上、刑事上の法的責任を問わないという制度は、寄附促進策として有効とも考えられる一方で、これをいきなり日本に導入いたしますと、関係事業者による食品管理等に係るモラルハザードが起こされ、結果として寄附が進まない可能性があるといった御指摘が確認されたところでございます。

 いずれにいたしましても、フードバンクなどの活動を後押しできるように、今回確認された論点等を踏まえまして、どのような法的措置が考えられるか、年末までに結論を取りまとめるべく、関係省庁全体で検討を進めてまいる所存でございます。

堀内委員 ありがとうございます。

 食ロス削減は、脱炭素に資するのみならず、孤独・孤立対策、困窮者対策、さらには食品アクセス問題にも効果が期待できます。この観点からも、食品ロス削減対策については、環境省を始め政府全体でしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 もう一つ質問がございましたが、時間が来ましたので、これで終わりにさせていただきたいと思っております。是非よろしくお願いいたします。

務台委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 皆様、おはようございます。立憲民主党の堤かなめです。

 在日米軍基地のPCB廃棄物について質問いたします。

 ポリ塩化ビフェニル、PCBには強い毒性があります。PCBの強い毒性は、一九六八年に起きたカネミ油症事件で広く知られることになりました。この猛毒のPCB廃棄物が、全国の米軍基地に数トン、あるいはもっと大量に残されたまま、放置されたままになっている可能性があります。もしそうであれば、米軍基地で働いたり生活されている方々に健康被害が起こってしまう可能性も否定できません。

 また、最近では、有機フッ素化合物、PFASによる汚染が、沖縄や東京で基地の外にまで及んでいるということが報道されています。基地の周辺の方々、特に、発達の途上にある子供たちへの影響も看過できません。人の命に関わる問題です。

 米軍基地内のPCB廃棄物の保有量や保管の状況などを把握した上で適切に処分すべきとの立場から質問いたします。

 資料一を御覧ください。

 これは、二〇〇三年四月十七日、参議院外交防衛委員会での日本政府の答弁です。下線部一のところを御覧いただきたいと思います。米国の国防省が、二〇〇二年八月二十八日に、在日米軍の施設・区域にある米国製及び日本製の全てのPCB含有物資を米国に搬出して処理、廃棄するという方針を決定したと記されています。二〇〇二年米国方針と呼びたいと思いますが、およそ二十年前のこの方針は、米軍基地の猛毒のPCBは全てアメリカに持ち帰るということを決定したということで、大変重要で意義あるものです。

 ところが、この二〇〇二年米国方針が実は守られていなかった、履行されていなかったのではないかという疑いが出てきました。

 資料二、在沖縄米軍基地におけるPCB廃棄物の保管及び処分を御覧ください。

 十月二十七日に、西日本新聞の記事、米軍PCB、政府が処理、根拠なく肩代わりという記事を読みまして、いろいろ調べました。この表は、防衛省からの資料を基に作成したものです。太枠で囲んだところを見てください。二〇二二年三月三十一日、昨年度末の時点で、沖縄の米軍基地には五千二百六十三キログラム、つまり、およそ五・三トンのPCB廃棄物が保管されていたということが分かります。すなわち、PCB含有物資をアメリカに持ち帰って処理、廃棄するというアメリカの約束、二〇〇二年米国方針は守られなかったのではないか、ほごにされたのではないかという強い懸念を持たざるを得ません。

 下線部三を御覧ください。資料一の下線部三でございます。在日米軍が管理するPCB含有物資の総重量は約三千百十八トンと政府は答弁しています。二十年前にはおよそ三千トン、三千トンものPCB廃棄物があったわけです。

 では、防衛省にお聞きします。

 この二十年間で、どれだけのPCB含有物資が米国に搬出して処理、廃棄されたのか、そして、現在、在日米軍基地にどれだけのPCB含有物資が残されたままになっているのか、お聞きします。簡潔明瞭な御答弁をお願いいたします。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 米国国防省は、二〇〇二年に、在日米軍が管理するPCB含有物資の重量は約三千百十八トンである旨発表し、二〇〇三年以降、適宜適切にPCB廃棄物を米国へ搬出して処分してきたと承知をしております。

 その上で、現在に至るまでの間に米国に搬出、処理されたPCB廃棄物の総量や、現在の在日米軍施設・区域内のPCB含有物の保有量については承知をしておりません。

 いずれにいたしましても、在日米軍施設・区域内で使用又は保管されているPCB含有物の状況につきましては、環境省などの関係省庁と連携して米側と協議を行い、その把握に努めているところでございます。

堤委員 総量は把握していない、把握に努めているということは、把握していないということだと思います。

 もう一度、資料一の下線部二を御覧ください。

 我が国からの搬出の第一回目ということで、今年、つまり二〇〇三年ということになりますが、の一月十七日に約二十二・四トンが米国に向けて搬出されたということです。二〇〇二年米国方針に基づいて第一回の搬出が行われたということはここで確認できます。三千トンもあるもののうち僅か二十二トンでしかありませんが、ともあれ、第一回の搬出は実施されました。

 じゃ、第二回、第三回はどうなったのか。行われたのか行われなかったのか、その進捗状況、猛毒のPCBの搬出がどうなったのか把握していないということはあり得ない、あってはならない事態です。もしかしたら、今も三千トンを超えるPCB廃棄物が、先ほど適宜適切にとおっしゃっていましたけれども、日本に残ったまま、放置されたままになっているかもしれないということです。そうであれば、ゆゆしき事態です。

 二十年間で全ての搬出が完了したのか。そうでなければ、現在、在日米軍基地にどれだけのPCBが残されたままになっているのか、正確にお調べいただき、この委員会に御報告いただきたいと思います。

 委員長、お取り計らいくださいますよう、よろしくお願いいたします。

務台委員長 理事会で協議します。

堤委員 委員長にお取り計らいいただけるということですので、理事会で協議されるということで、よろしくお願いいたします。

 では、環境大臣にお聞きします。

 環境省のPCBに関するサイトには、PCB廃棄物を保管している事業者は、毎年度、その保管及び処分の状況に関して届け出なければならない、届出を行わなかった者、又は虚偽の届出をした者は六か月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられると明記されています。にもかかわらず、在日米軍基地については、保管も処分の状況も国として把握していないというのはおかしい、理屈に合わないと思います。

 在日米軍基地における猛毒のPCBなどについて、日本政府が米軍基地に立入調査をするなど、まずは正確に把握、環境調査した上で、二〇〇二年米国方針に従い、アメリカ本国に持ち帰って処分していただくべきと考えますが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 委員御指摘のように、日本において、PCB廃棄物は、保管事業者は自らの責任において確実かつ適正に処理するものとしているところでございます。

 在日米軍施設・区域におけるPCB廃棄物の保管、処分については、米側にて適切に処理されるべきものであると認識しております。

 この日本のPCB処理行政の趣旨を踏まえ、関係省庁と連携して、米側に適切な対応を促してまいりたいと存じます。

堤委員 米側に適切な対応をお願いしていただくということですので、よろしくお願いいたします。

 要望しておきます。在日米軍基地で働き、生活している方々の多くは米国籍の方々です。米国にとっても、アメリカにとっても、PCBの保管状況について把握することは、アメリカ人の健康と命を守るため大事であり、異論はないはずだと思います。是非正確な調査を実施し、公表をお願いします。

 次に、米軍が出したPCB廃棄物の処理費を、二〇一八年度以降の四年間で、沖縄県分として計二千二百万円肩代わりしたと報道されています。この報道に間違いがないのか、お聞きします。

 その上で、全国で、この二十年間、総計どのくらいのPCB廃棄物を処理し、どのくらいの費用がかかったのか、そのうち日本政府はどの程度負担したのか、お聞きします。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道にあるとおり、二〇一八年度から二〇二二年度までの間に、返還地を含む在沖米軍施設・区域から発生したPCB廃棄物の処理に要した費用は約二千二百万円であり、総量は約四十トンでございます。

 また、二〇一八年度から二〇二二年度までの間に、返還地を含む全国の在日米軍施設・区域から発生をしたPCB廃棄物の処理に要した費用は約四千九百万円であり、総量は約八十九トンでございます。

 費用につきましては、日本側で負担をしてございます。

堤委員 今、二〇一八年から二二年の四年間についてのみお答えいただきました。全国で四千九百万ということだったかと思います。

 私が聞きたいのは、この二十年間の、二〇〇二年米国方針以降の二十年間全てでお聞きしたいと思っておりますので、これもまた、申し訳ございませんが、委員長、是非資料を提出いただきますようにお取り計らいをお願いいたします。

務台委員長 理事会で協議します。

堤委員 ありがとうございます。

 つまり、もし二〇〇二年米国方針に基づいて全てのPCBをアメリカに持ち帰っていたとすれば、日本政府が処理費を出す必要はなかった、肩代わりする必要はなかったはずです。有識者によれば、処理を肩代わりする法的根拠はなく、本来なら国に持ち帰るべきものだったとのことです。

 二〇〇二年米国方針から二十年以上たっても、米国が持ち帰るべきPCBが残っていること自体問題ですが、米軍が出した猛毒のPCBの処分を日本が肩代わりしていたとは、これもまたゆゆしき事態だと思います。今後は処理を肩代わりすることがないよう、強く要望しておきます。

 最後に、国内での高濃度PCB廃棄物の処分についてです。

 日本のPCB処理施設が間もなく閉鎖されます。国内に五か所あるPCB廃棄物処理施設のうち、北九州、大阪、豊田の三か所では、年内、つまり、あと二か月弱で受付を終了、東京と北海道の二か所は、再来年、二〇二五年度末で終了いたします。

 北九州の施設は、国からの要請で、既に二回、やむなく事業を延長した経緯があります。北九州市のホームページに、二度目の要請を受けた際の対応についての記述がありますので、以下、引用させていただきます。

 北九州市は、国に対し、二度目の要請を安易に受け入れることはできない、今回の要請について、市民によく理解いただくことが先決であり、まずは国において、地元説明に全力を尽くしていただきたい旨を申し入れました。その後、国において、三十八回の市民説明会を行い、延べ九百人を超える市民が参加し、期限を守れなかったことへの不信感や再々延長に対する懸念、事故の不安といった意見、また、地域振興を求める意見がありました。北九州市は、この要請に関する市民や議会から寄せられた様々な意見を真摯に受け止め、処理の安全性の確保、期間内での確実な処理、地域の理解等の全三十項目を条件として改めて取りまとめ、二〇二二年四月、昨年四月、国へ提示しました。国からは、条件を全て承諾し、責任を持って確実に対応するとの回答があったため、要請の受入れを決定し、北九州PCB廃棄物処理事業を継続しているところですとあります。

 では、環境大臣にお聞きします。

 北九州を含む国内のPCB廃棄物処理事業は予定どおり終了する、延長はないということを確約していただきたいのですが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、高濃度のPCB廃棄物は、JESCOにおいて、立地自治体及び地元関係者の御理解と御協力の下、環境保全に配慮しながら、全国五つのエリアに分けて、今日まで適切に処理を進めてきたところでございます。

 今御指摘の北九州事業所については、北九州市及び地元関係者の御理解と御協力の下、平成十六年事業開始後、約十九年にわたり、安全を第一に処理を行ってきたところでございます。

 北九州市との約束である令和五年度末までに事業を終了いたします。

堤委員 確約していただきました。杞憂だと思いますが、在日米軍の関係などで事業が延長に追い込まれることはないということかと思います。もしそのようなことになれば、環境大臣に責任を取っていただきますので、よろしくお願いいたします。

 次に、PCBを含む有害廃棄物の排出者責任についてです。

 環境汚染を未然に防いだり汚染を除去したりするのは、有害物質を出す側、排出者の責任です。もしその責任が問われない、免責されるとすれば、排出者はどういう行動を取るでしょう。有害物質を出し続ける、垂れ流しにするという行動を取る、モラルハザードが生じてしまうと考えるのが自然ではないかと思いますけれども、環境大臣の御見解をお聞かせください。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 一般論として、廃棄物については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律において、事業者の責任において、「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と法律に明記されているわけでございます。

 これを踏まえて、各主体が責任ある行動を取ることが重要であるというふうに環境省では考えてございます。

堤委員 現行の日米地位協定によりますと、返還がされた後には、汚染物質の除去や処理について米軍に義務はなく、日本が行うのが通例となっているということですが、これは余りにも不平等ではないかと思います。モラルハザードが生じてしまうと思います。

 日米地位協定が締結された一九六〇年、六十年以上前になりますけれども、今とは環境や人権に対する意識が全く違ってきています。環境汚染に対する意識、健康被害への意識は、アメリカでも日本でも当時では考えられないくらい強くなりました。時代の変化、意識の変化に合わせて日米地位協定を改定すべきであると申し上げておきたいと思います。

 さて、日米地位協定によりますと、返還されていない運用中の基地につきましては、日本政府が肩代わりする明確な根拠はありません。運用中の基地における有害廃棄物の除去や処理及びその費用などについて、米軍の排出者責任をより明確にすべきではないかと思います。

 そこで、PCBに関する二〇〇二年米国方針よりも更に包括的で、履行義務を明確にした日米合意が必要かと思いますが、環境大臣の御見解をお聞きいたします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 ストックホルム条約、これを日本は批准しているわけでありますけれども、この条約においては、PCBの廃棄物を適切に処理するために、PCB廃棄物処理特別措置法に基づき、先ほど言及がありましたJESCO等において、処理施設の立地自治体及び地元関係者の御理解と御協力の下、環境保全に配慮しながら処理を進めているところでございます。

 そして、今御質問の在日米軍施設・区域内のPCB廃棄物についても、日本のPCB処理行政の趣旨等を尊重し、適切に対応いただくように、防衛省、外務省と綿密に連携して進めてまいりたいと思います。

 さらに、PCB廃棄物の対応については、日米間でその重要性を共有してきたところでございます。

 これまでの日米間の協議も踏まえながら、適切な処理の完了に向けて、関係省庁と連携して対応してまいりたい、そのように考えます。

堤委員 日米間で重要性を共有してきたということでございます。よろしくお願いいたします。

 日本政府は、国の主権を懸けてでも、排出者責任の原則にのっとり、米軍の責任でアメリカ本国へ撤去していただくこと、あわせて、基地の内外の方々の健康被害を未然に防ぐため、環境大臣の責任において一日も早く汚染を除去していただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 おはようございます。福島県出身、立憲民主党の馬場雄基です。

 伊藤大臣とは初めての論戦になります。是非ともよろしくお願いいたします。

 所信で述べられていた福島復興への思い、地元を代表する一人として、非常にありがたく、すごく強く思っております。本日は、ただ、大臣所信では実は述べられていなかった中間貯蔵施設について御質問させていただきたいと思っています。

 今の中学生や高校生は、もう東日本大震災を知らない世代になってきています。私がそもそも政治家になった思いは、何としてでも震災を知らない世代に厳しい決断を後送りしてはならない、押しつけてはならない、そのために今できる最大限のことをしっかりとやっていく、それが私自身の志の一つでもあります。

 その意味において、処理水の放出が先般ありましたけれども、各国から多くの不安な声が上がっていたことは、私たちは決して忘れてはならないことだと思っています。復興政策の要は、技術の確立と、そして外交戦略が相なる、この二つが基軸だというふうに私は思っています。外交戦略においてはより多角的に検証すべきだと、この委員会でも、前大臣そして前々大臣のときに私も取り上げさせていただきましたが、政府はこれまで一貫して、IAEAとの連携を重視する、ある意味でいえば、IAEA以外は余り考えていないというところの趣旨の発言が繰り返されてきました。だとするならば、復興の外交戦略の要はIAEAの調査によるものだと思います。

 このIAEAの第一回目の調査の報告が先般私たちに行われました。まず簡潔に確認をさせていただきたいと思っていますが、政府として、IAEAに具体的にこういう点に留意してほしい、こういうところはしっかり調べてほしい、そういう中身はどんなふうな依頼をされたのか。これは、環境省さん、お答えいただければうれしいです。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 御質問のIAEA専門家会合についてでございます。除去土壌の再生利用、最終処分等に関する環境省の取組に対して、科学的な見地から国際的な評価や助言等をいただくということを目的として環境省からIAEAに対して要請をし、今実施をお願いしているというところでございます。

馬場(雄)委員 全く分からないですね。具体的にどういう点を留意してほしい、是非そこをより具体的にお願いいたします。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 今現在、福島の方で取り組んでおります、例えばですけれども、除去土壌について言えば、再生利用ということについての実証事業等を行わせていただいております。それにつきまして、その安全性であったりとか、安全性に関すること又はそれに対する基準等についての御議論、また、最終的に最終処分ということになりますので、それに伴って必要となっている減容等々についての技術についての科学的な見地からの評価、助言等をいただくということでお願いしております。

馬場(雄)委員 皆様、今お聞きのとおりです。科学的な見地に基づきというところで話がスタートしたというところだと思います。

 繰り返しますけれども、政府を追及したいわけではありません。福島の復興を何としてでもやっていかなければならない。そして、私は、より多角的な見地でお願いしたいと言ったけれども、政府はこれまで一貫してIAEAしかやっていないというところ、つまり、これが本当に基軸になる、大事な大事な政府の原石になるものだと思います。

 お配りさせていただいた資料を御覧ください。サマリーレポートのポイントになります。その言葉をしっかりと私たちは紡ぎ合わせていかなくてはならない中で、緑色の四角、二番目のポツ四ですね。「除去土壌は価値を有しており、」という言葉があります。この言葉、すごく私は気になりました。るる議論があるのは承知しております。少なくとも、今の政府方針であったとしても、八千ベクレル・パー・キログラム以下は再生利用に使い、八千ベクレル・パー・キログラム以上は最終処分に持っていく、これが今の政府の方針である。これはるる議論あると思いますよ。でも、今の現状はそうだと思います。

 「除去土壌は価値を有しており、」非常に気になりませんか。一部は再生利用に使われる除去土壌もある。けれども、一部は最終処分場に行く土壌もあるわけですよね。価値を有す、一体どういうことなのかが分からなかったです。

 そこで、調査室にも依頼をさせていただきました。実際、この問題、和訳に問題はないけれども、価値というものが何を指しているのか不明である、サマリーレポート、英文を全部見ていただきましたけれども、読み取れないというのが調査室からいただいた資料の中で分かりました。

 価値、これは実際英文で言うと、ごめんなさい、英語苦手なのであれなんですけれども、ザ・リムーブド・ソイル・ハズ・バリューと書いてあります。このバリューの意味、政府はどういうふうに受け止めているのか、環境省さん、お願いします。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 このサマリーレポートのポイントということでまとめさせていただいたものでございますが、それは環境省の方で作成をさせていただいたものでございます。

 議員、質問がございました、除去土壌は価値を有している、和訳になりますが、ということでございます記載につきましては、放射性濃度の低い除去土壌の再生利用に関する文脈の中での記載というふうに私たちは考えておりました。そのため、IAEAの専門家の見解としましては、放射能濃度の低い除去土壌は土木資材として再生利用する価値を有するという見解を示したものではないかというふうに理解をしております。

馬場(雄)委員 それは確かに言っているんでしょうか。だとするならばですよ、だとするならば、八千ベクレル・パー・キログラム以下の除去土壌においては価値を有していると表現するのが本当は適切じゃないですか。これは本当に微妙なニュアンスで大きく変わってくる。

 繰り返しますけれども、多角的な見地があるならばいいと思うんですけれども、この一本しかないわけです。この一本に福島の復興の全てが懸かっているんです。だとするならば、もっと緊張感を持ってかかっていかなければならない環境省の事業だと私は思いますけれども、このそもそもの公式な和訳、第一回会合サマリーレポートがありますけれども、その公式、政府としてはこうやって受け取っているんだということ、その和訳は今存在しているんでしょうか。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 まず、サマリーレポートにつきましては、今、英文という形で、IAEAの正本ということでまとめられているものになっております。現在、和訳というものはございません。

 サマリーレポートにつきましては技術的な内容が多く含まれており、全体の和訳には、IAEAへの確認も含め一定の時間を要することから、レポートの取りまとめを受け、直ちにその要旨というものとポイントということとして和訳を公表させていただいたというところでございます。

 全体の和訳につきましては、今後、IAEAと調整をしていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 本日、外務省さんにもお越しいただきました。ありがとうございます。

 一般論としてですけれども、海外の機関が作成した文章に、これはかなり外交上の問題も出てくると思いますから、日本が国益を損なう可能性もあるわけですよね、その意訳によって。政府において、公式な訳というものは常々考えられ、作成をしているのではないかなというふうに思いますけれども、外務省さん、一般論で構いません、よろしくお願いします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国外の機関にて作成された報告書、これは多種多様ございます。それらにつきまして和訳を作成するか否かにつきまして、一般的に定められた形式というのはございません。

 ただ、そういったもの、和訳を作成をするか、和訳の作成を含めた対外発信の在り方といいますものは、中身の分かりやすさ、関心の程度、速報性などなどの様々な要素を勘案いたしまして、当該案件の主管官庁にてその都度検討していると承知しております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 今回、この政府の和訳と言われるものは極めて大事だと思いますし、繰り返しますけれども、「除去土壌は」という日本語でくくられる日本語は、明らかに八千ベクレル以上のものも含まれている言葉ですよね、パー・キログラムですけれども。八千ベクレル・パー・キログラム以下も除去土壌ですし、八千ベクレル・パー・キログラム以上も除去土壌です。今のこの環境省のサマリーレポートの中では、「除去土壌は」という言葉が主語になっています。

 復興をなめないでください。脇が甘い状態でいけば、海外からいろいろな言い分がついてくる可能性がある、それをどれだけ私たちが食い止めていけるかというところが今かなり求められていることなのではないかなというふうに思います。

 政府としての受け止め、和訳の作成、これをしっかりとやっていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 大事な御指摘をいただいたと思います。

 福島の復興に向けては、県外最終処分や再生利用に向けた国民の皆様の理解醸成というものが非常に重要だというふうに考えております。

 今御指摘いただいたサマリーレポートについても、これからになると思いますけれども、全体の和訳を作成するなど、国民の皆様に分かりやすく、丁寧に情報を発信していきたい、そういうふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 是非急ぎやっていただきますよう、心からお願い申し上げます。

 専門家会合の委員ですけれども、IAEA職員は四人、専門家として六人が登録されており、アメリカ、イギリス、ベルギーなどの方々が中心となっています。しかし、外交戦略上最も大切なのは、海洋放出のときを見てもお分かりのとおり、過去の例を見ても、中国、韓国、ロシア等々が恐らく極めて重要になってくると思います。

 そもそも、この委員の各一人一人がどんな意見をその場で言われているのか、その一人一人がどういうふうな趣旨を持ってこの会合に臨んでいるのか、環境省さんはその点把握されているのか。環境省さん、簡潔に御答弁をお願いします。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 IAEA専門家会合の国際専門家等々についてでございますが、IAEAからは、専門家会合における議論の内容等も踏まえ、各専門家の専門性、経験等のバランスなどを考慮して選定しているというふうに伺っております。

馬場(雄)委員 どういうふうな意見を持ってやっているのか、除去土壌に対して、いわゆる推進派の方であるのか、ある意味慎重派であるのか、その点の温度具合をどういうふうに認識されているのかという趣旨の質問でした。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 IAEAからは、IAEAに対して私どもは中立的な立場から科学的な見地でという言い方をさせていただいておりますので、今のどちらが推進とか、そういうようなことはないというふうに考えております。

馬場(雄)委員 繰り返しますけれども、このIAEAしかないわけです。このIAEAしかない中で、それで外交戦略を考えていかなくてはならないという中において、それを答えられない。どういうふうな意見をそれぞれの専門家が持っているのか、どういう議論がそこで行われているのか、中立的な立場であるからそれをお願いしているだけだというふうに政府が言い切るのは、私は、これは外交戦略上かなり極めて問題なんじゃないのかなというふうに思います。

 例えばですけれども、日程を見ていただきたいです。資料も見ていただければ幸いですが、今回、IAEA第一回会合で行かれた場所はほとんどが表敬訪問です。技術的見地の議論がどこでどういうふうに行われていて、各委員がどういうふうな立場で、どういう趣旨で、どういうふうな向き合い方でこの中間貯蔵施設の復興戦略に向き合っているのか全く読み取れません。サマリーレポートを見ても、その議論の過程が見えません。環境省さん、見えていますか。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 この議論に当たりましては、環境省の職員も中に当然入りまして、一緒になって今の現状等も説明しながら、各委員と意見交換等々もさせていただいておりますので、個々の方の意見がどうこうという形にはしておりませんが、お互いそれぞれ意見を交換をさせていただいているというふうに思っております。

馬場(雄)委員 是非その過程を提出していただけないでしょうか。どうしても分からないんです。大臣、お願いします。今のこの議論の過程、どういうふうに議論がされているのか。

 私、個人的には、今ずっとこの委員会でもさんざん議論させていただいたんですけれども、再生利用の有無の議論をすることも確かに大切だと思うんですけれども、土そのものの議論をすることも大切だと思っています。そもそも、八千ベクレル・パー・キログラムで除去土壌を議論することが正しいのか、あるいは再生利用することが正しいのか、再生利用するときにはどんな注意点が必要なのか、この議論があった上で再生利用の有無を検討するのは私はいいと思うんですけれども、その専門家会合でどんな議論をされているのか分からない。

 私、環境省さんにお願いしたいのは、せめて、もうあなたたちしかいないんだ、あなたたちしかいないんだから、そこにおいてしっかりとした議論をしていただきたい。それを、環境省からIAEAに対して強くそれを依頼し続けていく。そして、環境省はそれを常にチェックし、こういう議論が行われてきた、それを国民の皆さんに理解していただきたい、こういうふうな議論をしてきた、見てください、それぐらいの覚悟を持って示すことが私は環境省の姿だと思いますけれども、大臣、そこをお願いできないでしょうか。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 IAEAとの関係につきましては、次は第三回というものもございます。その中でしっかりと、私たちの方としてもしっかり意見を交わしていきたいというふうに思います。その結果を踏まえてIAEAの方で最終的な報告書という形にまとめていただくということになりますが、その点につきましても、私たちの意見といいますか、考えというものもしっかりとお伝えしていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 しっかりが見えないから困っているんです。大臣、分かりますよね。この議論の中でしっかり、しっかり、しっかりとずっと言われ続けるんですけれども、しっかりを示してください、出てこないんです。不安になりませんか。これ一本しかないんです。

 そして、この中間貯蔵施設の問題というのは、今尽くしてきたことが未来の時のリーダーが決断するときの材料になるわけです。覚悟を持って挑まないといけないといったときに、今、この第一回、第二回、第三回が最後ですよね。第三回で最終報告を出すわけですよね。つまり、第一回、第二回でこういう議論をしてきた、だから第三回ではこういう議論をしてほしいんだ、そのぐらいの気迫を持って日本政府はかからないといけないと思うんです。

 なのにもかかわらず、第一回、第二回でどんなことを議論してきたんですか。見せてください。各委員が、各専門家がどんな議論をしてきたんですか。知りたいです。にもかかわらず、しっかりやってきました、環境省が言ってきています。じゃ、その環境省さん、言ってきた方、答えてください。でも、答えていただけない。そこをしっかり議論を見せていただいた上で、最後、第三回目の会合に、こういう点に留意していただき、せめて皆さん方のその力をおかりして、国際的英知を結集して、福島の復興を一緒に成し遂げていきましょう、そういうふうな進め方を、大臣、お願いできないでしょうか。

伊藤国務大臣 委員の復興に懸ける熱意、本当にしっかり受け止めたいと思います。

 そして、今御指摘のことですけれども、議題としては、今御指摘があった除去土壌の再生利用と最終処分に関する安全性の考え方、住民等とのコミュニケーションの在り方、国際的な情報発信の在り方等について議論をされたというふうに報告を受けております。

 ちょっと外務副大臣としての経験も交えてお話ししますと、国際会議における各委員の発言というものは、公表する場合と公表しない場合があるんです。これは国内のルールとちょっと違うものがありまして、そこも勘案しながら、日本の国民の皆さんに、特に福島の復興に関わる皆さんに心配がないように、できる限りの情報発信というのに努めてまいりたい、そのように考えます。

馬場(雄)委員 是非、復興の現場というのはオープンな議論をお願いしたいです。包み隠さず、汚いことかもしれないけれども、汚いことも含めて受け止めて前に進めていくことが、復興においてすごく大切なことだと思います。きれいなことだけを議論したいと私は到底思っていません。だからこそ、今までの通例にのっとることではなくて、福島の復興を未来に託していくわけですから、今決断できる問題じゃないわけですから、そのことも含めたオープンな議論を何とぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、エアコンについて少し伺いたいというふうに思っています。

 前回の質問においてエアコンの普及を質問させていただきましたが、熱中症警戒アラート、これが本当に発出される状況になりました。その点も踏まえて政策を動かさなくてはなりません。

 その際に、学校現場からかなり多くのお声をいただきまして、質問してくれてありがとうみたいなお話をたくさんいただいたわけですが、予算がないんだというところでお話が尽きていくわけでございます。

 その際、法案を通した責任は環境省にあるわけでございますから、そのときの質問において、文科省としっかり協議をしていくと、そのときは西村大臣でございましたけれども、御答弁をいただいておりました。

 具体的にその後どんな進み方があったのか、是非確認をさせてください。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 熱中症対策につきましては、関係府省庁と協議の上、本年五月三十日に改正気候変動適応法に基づく熱中症対策実行計画を閣議決定をしております。この実行計画におきましては、委員御指摘の教室や体育館等、学校現場におけるエアコン設置の支援を盛り込んでおります。

 引き続き、文部科学省を始め関係府省庁と連携しながら、政府一丸となって熱中症から国民の命を守る対策を一層強化してまいります。

馬場(雄)委員 どうしても、やはり予算措置までの話が伺えないというのがちょっと苦しいところだなというふうに思っています。やはり、自治体も体育館へのエアコンの設置はしたいけれども、予算がなくて苦しいんだというところで押し問答になってしまいますし、熱中症警戒アラートを出した上で、夏、外で遊ぶのが危険だというふうに言って体育館に入れたくても、体育館で厳しい状況になっていては、これは本末転倒だなというふうに思いますし、また、防災の観点から見ても、例えば電気一辺倒のエアコンではなくて、プロパンガス、あるいは、これからの未来を考えれば、水素エネルギーなどをうまく使った政策パッケージを是非とも用意していくべきではないかというふうに思いますけれども、環境省さんを含めて御検討いただけないか、御答弁をお願いいたします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 停電時等におけるエネルギーの継続的な確保が重要であるという馬場委員の御指摘については、政府としても重要性を認識しておりまして、熱中症対策実行計画におきましては、災害時の避難所に指定されている体育館等の公共施設における非常用電源の整備等の支援を行うこととしております。

 また、同実行計画では、指定暑熱避難施設等の確保に際しましては、太陽光等の再生可能エネルギーや地中熱等の未利用エネルギー、蓄電池等を活用し、脱炭素化とレジリエンス、つまり災害に対する強靱性の向上といった観点も踏まえた取組を推進することとしております。

 関係府省庁とも連携しながら、取組をしっかりと進めてまいりたいと存じます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 是非とも、大臣、ここは強く強く推し進めていただければと思います。

 最後、デコ活です。デコ活、進めましょう。新たな国民運動、デコ活、皆さん、御存じでしょうか。私、何のことだというふうに思いましたけれども、これは環境省が新たな国民運動として進めてきた一つの事業戦略でありますけれども、新たな国民運動という割には、なかなか参加が、国が余り進んでいない。各省庁も、デコ活宣言、参加できると思いますけれども、残念ながら、まだ各省庁、宣言できている状況ではありませんでした。

 さらに、環境省さんといつもレクさせていただくと、いただく名刺の中に、デコ活を入れている方もいれば、そうじゃない、もしかしたら、今ここに並んでいらっしゃる方々の中にもデコ活をまだ入れていない方もいらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。

 是非、上げるときはいいと思うんですけれども、上げたなら、やはりやり切るということが必要だと思います。最後、大臣から決意をお願いします。

伊藤国務大臣 委員のデコ活に対する熱意も本当に深く感銘を受けるところでございます。

 脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動、デコ活ですね、このデコ活宣言を、呼びかけを八月末から開始したところでございますけれども、残念ながら、環境省以外でデコ活宣言をしている政府機関は現在ないわけですけれども、自治体、企業、団体における宣言数は、本年十一月八日の時点で千四件となっております。

 そしてまた、デコ活の開始と同時に発足した官民連携協議会、いわゆるデコ活応援団は、昨年十月では三百十三者でありましたけれども、本年十一月八日では九百三十九者を数え、認知が広まっておると思います。

 私は、やはり環境問題というのを考えるときに、同心円の考え方というのは非常に重要だと思うんですね。私たち一人一人がどういうデコ活的な価値観で具体的な行動をしていくか、そのことが地域社会の在り方になり、そしてまた産業における在り方になり、そして、国全体が、その集積が地球環境全体を守るということになると私は考えているわけであります。

 そういう意味で、デコ活ということは非常に大事なわけでありますから、個人のライフスタイルの変容にとどまらず、そのことがこれからの地球社会の在り方全体につながっていくようなデコ活を広げるべきだと私は考えておりまして、環境省としては、デコ活宣言やロゴマーク、デコ活アクション、そういう普及活動をしていくとともに、関連する予算、いわゆるデコ活予算として、デコ活をすると国民の皆様がよりよい暮らしができる、そういうことを強くアピールして進めてまいりたいと思います。

 私自身も、個人でできることはもう最大限にして、意外と小さいことから始めて大きなことにつながるんですね。例えば、なるたけペットボトルを使わないとか、買物に行くときは必ずエコバッグを使うとか、一、二階であればなるたけ歩くとか、そういう、本当に、あした、この次からできること、それから、住宅においても、あるいは暮らしにおいても、仕事においても、なるたけCO2を出さない形のライフスタイル、あるいは居住環境、あるいは働き方、それを推進していく。

 そしてまた、そういうことが広がると、そういう製品を作ろうという産業も育ってくると思いますし、産業が、何と言うんですかね、経済安全保障、あるいは日本の競争力、それにもやはり環境を考えることによって高まっていくと私は信じておりますので、委員とも協力して、デコ活が地球全体に広がって、二十一世紀の地球社会がより環境が守られることを一緒につくってまいりたいと思います。ありがとうございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 是非、足下から各省庁へ宣言を出していただくように、最後、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

務台委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 今日も委員会で質問の機会をいただいたこと、まず感謝申し上げたいと思います。

 また、伊藤大臣始め副大臣、政務官、御就任おめでとうございます。また、務台委員長におかれましては、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 さて、今、ALPS処理水についての海洋放出の質問も私どもの同僚議員からもありましたけれども、このALPS処理水についてまず質問させていただきたいと思います。

 東京電力福島第一原子力発電所の建屋内にある放射性物質を含む水について、トリチウム以外の放射性物質を浄化処理したいわゆるALPS処理水の海洋放出について、現時点での計画では、今後どれくらいの時間をかけて総量としてどれだけのALPS処理水を海洋放出するつもりなのか、お尋ねをしたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございましたALPS処理水の放出期間についてでございますけれども、二〇二一年四月に政府の基本方針で定められましたALPS処理水に含まれるトリチウムの年間放出量、二十二兆ベクレル未満となっておりますが、これが前提となります。

 東京電力では、福島第一原発構内に存在し得るトリチウムの総量を、二〇二三年三月末時点でタンクに貯蔵されている約七百兆ベクレルを含めまして、最大でも約千七百二十兆ベクレルというふうに推定してございます。

 これらを前提としまして、東京電力では、一定量の汚染水が今後も発生し続けたとしても、二〇五一年までの廃止措置終了までには海洋放出が完了できるという見通しを示してございます。

 この間に放出されるALPS処理水の総量でございますけれども、現在タンクに貯蔵されております約百三十三万立方メートルの処理水、既に放出をいたしました約一万六千立米の処理水に加えまして、放出期間中に新たに発生する処理水、これらを合計したものとなります。

近藤(昭)委員 御説明ありがとうございます。

 そうすると、ちょっとまとめて一つだけお伺いしたいんですけれども、トリチウムの放出の総量の予測をもう一度お聞かせをいただきたいということであります。そしてまた、トリチウム以外の放射性物質についても、これは計算をして公表すべきだと思いますが、いかがでありましょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、現在、福島第一原発内に存在し得るというトリチウムの総量、これから、年間二十二兆ベクレルという総量制限の中で管理をして、放出をしてまいります。

 この放出期間を通じまして、残っておりますトリチウムについても、これは年間、減衰をしてまいりますので、この減衰効果と合わせて、今、二〇五一年が廃止措置終了の年限として目標にしておりますので、これまでの間に年間二十二兆の上限値の中でコントロールしながら放出をしていくという計画となってございます。

 それから、トリチウム以外の放射性物質の量についてのお尋ねでございますけれども、放出される処理水に含まれるトリチウム以外の放射性物質、今、管理しておりますのは二十九核種となっておりますけれども、これについては、規制基準を下回るまで浄化処理をした上で、希釈をし、放出をすることにしております。放出前に必ず測定、評価をしまして、これら核種の濃度を確定をして、その結果を公表してございます。

 これらについて、各放出が終了した段階で、放出した水の量の方も確定いたしますので、この段階で、放射性物質ごとに放出した総量も算出をいたしまして公表してございます。

 例えば、第二回の放出でございますけれども、二十九核種の中で測定、検出されましたのは四核種でございますが、例えば、セシウム137につきましては三百五十万ベクレル、ヨウ素につきましては一千四百万ベクレルなどとなってございます。

 いずれにしましても、国が定める規制基準を満足した上で、先ほど申し上げましたように、年間のトリチウム総量二十二兆ベクレルを下回るように管理して放出がなされますので、放射性物質の総量、こちらについては、IAEAの報告書が結論づけているとおり、人や環境に対して無視できるほどの放射線影響しか生じないものという水準となってございます。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございます。

 この問題についてはまた改めて質問させていただく機会もあるかと思いますが、今日のところは以上で結構でございます。

 さて、二〇三五年の温暖化ガス排出削減目標についてであります。

 今年四月に札幌で開催されたG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合がまとめた共同声明には、二〇三五年の温暖化ガス排出削減幅を二〇一九年比六〇%減と盛り込まれているわけでありますけれども、議長国の日本として、二〇三五年削減目標はいつ検討して公表するのか、教えていただきたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合のコミュニケでは、IPCCの最新の見解を踏まえて、世界の温室効果ガス排出量を二〇三五年までに六〇%削減することの緊急性が高まっていることが強調されました。

 我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、それと整合的で野心的な二〇三〇年度四六%の削減目標と五〇%の高みに向けた挑戦の継続を表明しているところでございます。

 まずは、この達成、実現に向けて、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画、またGX推進戦略に基づいて、対策、施策を着実に実施してまいります。

 その上で、三年ごとの地球温暖化対策計画の見直しの検討や、二〇二五年までの提出が奨励されている次期NDCなどの機会に向けて、経済産業省を始めとする関係省庁と連携しながら検討を行ってまいりたい、そのように存じます。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 そうすると、まだ検討しているというような、検討していくということでありますが、いつ頃公表するとかというのはどうでありましょうか。

伊藤国務大臣 現時点でそれを明言することはちょっと困難だと思います。

近藤(昭)委員 大臣、二〇五〇年カーボンニュートラルの目標に、それに向けて着実に進めていく、そのために検討していく。そういう意味でも、やはり途中経過を検証しながら、二〇五〇年に向けて、二〇三〇年あるいは二〇三五年という年度での目標をしっかり立てて、その時点の検証というのは非常に重要だと思うんです。

 そういう意味では、私は、しっかりと公表をしていただいて、いつ公表するかも、できるだけ早い方がいいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、ビジネスと人権についてということで質問させていただきたいと思います。

 現在、企業活動における人権の尊重、これが注目されております。様々な場で議論が進められるようになっているわけであります。

 ESG、環境、社会、ガバナンス、投資の中で、ビジネスと人権は重要な取組として位置づけられております。持続可能な開発目標、SDGsの達成への貢献の観点からも、ビジネスと人権の取組は重要であります。

 ビジネスと人権における国際動向では、気候変動対策や環境対策をしないことが、まさしくそれが人権侵害だと言われておるわけでありますが、日本の取組には環境的視点が欠けているのではないかと思います。大臣、いかがでありましょうか。

伊藤国務大臣 委員御指摘のように、ビジネスと人権の取組において、人権と不可分なものとして環境的視点は重要だというふうに認識しております。環境問題のリスク、ひいては人権侵害のリスクを低減する観点から、環境問題に対するリスクマネジメントである環境デューデリジェンスの取組が重要だというふうに考えます。

 そこで、環境省としては、これまで幅広い事業者が環境デューデリジェンスに取り組んでいただけるように、バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門と題した手引書を公表いたしまして、また、その好事例を集めた取組事例集も公表し、環境デューデリジェンスの普及というものを図ってきたところでございます。

 さらに、本年五月には、環境マネジメントシステムを活用した実践のためのハンドブック、これも公表したところであり、引き続き、環境デューデリジェンスの周知により、ビジネスと人権の取組に環境省として貢献してまいりたい、そのように考えます。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 これまでも、ずっと成長か環境かみたいな言い方をされてきたわけであります。成長も環境もと。私は、やはり環境が大事だというふうに思っていますし、その中で本当に人権侵害が起きているということは非常に大きな問題だと思っています。

 私の勝手な考え方かもしれませんが、岸田首相も新しい資本主義と、こういったときに、資本主義、経済成長だと、資本論の中での経済成長だと。しかし、それでは様々な課題が出てきているんだ、そういう中で新しいものを考えていこうという中に、やはりこうした人権あるいは環境があるんだと思います。ということで、環境省に期待するところは大きいわけでありますから、どうぞその先頭で頑張っていただきたいと思います。

 また、そういう中で、少し具体的にお聞きしたいこともあります。ビジネスと人権の今の観点から、これまでにもこの環境委員会で質問をさせていただいているところなんです。バイオマス発電の燃料の持続可能性及びライフサイクル温室効果ガス排出量について幾つか、今の、関連して具体的に質問させていただきたいと思います。

 昨年の三月、この環境委員会において、FITバイオマス発電に関連して、ベトナムからの木質ペレットにおいて、森林認証、FSC、フォレスト・スチュワードシップ・カウンシル、森林管理協議会の偽装があった件について政府見解をお尋ねしました。

 認証偽装に係る調査の進展と結果の公開について、資源エネルギー庁の井上参考人から、輸入バイオマス燃料の使用を計画に含む認定事業者約二百者に対し、再エネ特措法に基づく報告徴収を実施し、商社の燃料調達実態についても報告を受ける、こういう御答弁があったのであります。

 そこで質問であります。

 報告徴収の結果を精査した上で必要な措置を検討するということでありましたが、報告徴収の結果はいつ頃得られるのでしょうか。また、報告徴収の結果は公開される予定でありましょうか。よろしくお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今年の三月に先生にお答えしたとおりでございますけれども、経済産業省といたしまして、ベトナムの木質ペレットの認証偽装の事案を踏まえまして、輸入バイオマス燃料の調達に係る実態を適切に把握するために、輸入バイオマス燃料の使用を計画に含むFITの認定事業者に対しまして、再エネ特措法に基づく報告徴収を今年一月から実施しております。

 大体、二百十数件を対象に、出していただいたものをしっかり精査をしてきておりまして、追加的に更なる報告徴収が必要であるという複数件につきまして、本年七月に追加報告徴収を行っているところでございます。

 現在、報告徴収の詳細を審査する観点から、経産省と林野庁、事業者、海外認証制度団体双方に対して、ヒアリングであるとか追加の確認も実施しております。あわせて、林野庁さんから、合法性ガイドラインに適合する持続可能性の確認方法であったかどうか、この点についても精査を行っていただいているところでございます。

 報告徴収の精査を踏まえまして、仮に燃料の持続可能性が確認できない場合は、再エネ特措法に基づきまして、必要に応じて指導、改善命令、あるいは認定取消しも含めて厳格に対応していきたいというふうに考えております。認定を取り消した場合は、その旨、当然公表もさせていただきます。

 現状、今のようなプロセスを進めているところでございまして、返ってきていない回答もまだあるものですから、具体的に何月に終わりますというところが申し上げにくいんですけれども、我々としても、大変大きな問題意識を持って取り組んでおりますので、速やかに取組を進めていきたいというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 これは、そうすると、公開はされるんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 報告徴収をやった上で、これはいかぬといったような事案が出てきた場合につきましては、改善、指導等をやりながら、これまでも、例えば認定取消しの場合は公表してきております。事案の状況に応じて公表の在り方もしっかり考えて対応したいと思っております。

近藤(昭)委員 当然、認定取消しになるような場合は公表というか、それは公表しなくてはならないわけであります。

 ただ、私が申し上げたいのは、もっとやはり調査した結果全体を公表してほしい、こういうことであります。FITは、言うまでもありません、消費者の賦課金で支えられているわけであります。消費者への説明責任として、報告徴収の結果は公開する必要があると改めて申し上げたいと思います。

 また、報告徴収の対象はバイオマス発電事業者に限られております。商社は任意でのヒアリングだと伺っておりますけれども、大規模な輸入木質バイオマス発電所の中には、大手商社や大手電力・ガス事業者が子会社をつくって運営しているところが多くあるわけであります。

 例えば、北海道の紋別バイオマスは住友林業が五一%、山形の酒田バイオマスと愛知のサミット半田パワーは一〇〇%住友商事、静岡の鈴川エネルギーセンターは三菱商事が七〇%、兵庫の相生バイオマスは関電が六〇%、三菱商事が四〇%という具合であるわけであります。これらの場合、商社が運んできたペレットを自社の子会社である発電所で燃料に使っているというわけであります。

 報告徴収は事業者のみであって商社は任意のヒアリングということだと思うんですが、FITは補助金を得て運営している事業でありながら、残念ながらでありますが、様々な課題や懸念が出てきているというところであります。発電所を直接運営している事業者だけでなく、今申し上げたようなことがあるわけでありますから、商社や電力、ガス含め、親会社にもきちんと責任を問うことが必要なのではないかと考えているわけであります。

 そこで質問でありますけれども、商社への任意の聞き取りについてはどの程度進捗しているのか、どのような結果が得られているのか、お答えをいただきたいと思います。また、こちらも情報公開を是非していただきたいと考えますが、いかがでありましょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省では、昨年九月の認証偽装の事案判明直後から、お答え申し上げましたとおり、バイオマスの燃料調達を行っている複数の商社へのヒアリングも実施してきております。これまで、どこの企業という点は現時点では公表を差し控えますが、恐らく先生が様々報道等で御覧になっておられるような商社の方々については、すべからくヒアリングを複数回行っております。こうしたことを通じて、燃料調達の実態等についてしっかりと把握ということを行ってきております。

 こうしたヒアリング結果につきましては原則公表するものではないというのが、前回この場でもお答えしたところでございますけれども、このヒアリングの結果を踏まえながら法律に基づく報告徴収を行ってきております。

 こうした形で、ヒアリングの結果で補いながら法律に基づく報告徴収をしっかり実施して、先ほど申し上げましたとおり、再エネ特措法に基づいて厳格に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 様々報道されているところであり、私もそういう中で懸念を持ち、この環境委員会でも質問させていただいたところであります。

 そういう中で、聞き取り等々もやっていただいていることは、感謝といいましょうか、評価というと失礼かもしれませんが、ある意味で、逆に言うと当然のことだと思いますが、進んでいるということだなというふうにお聞きをしているところであります。ただ、やはりそれをしっかりと公開をしていただかなくてはならないと思いますし、この問題は、もう繰り返しますけれども、FITは賦課金、消費者の人たちのお金が入っているわけであります。

 そして、先ほどちょっとビジネスと人権という問題で大臣にも質問させていただきましたけれども、この間、私もこの問題に取り組む中で、本当に、本来ならば間伐材とかそうしたものを利用するというような中で来ているものが、偽装もしながら大変に大量に伐採をして、その伐採の過程において、その地域の住民の人たち、特にそういうところは先住民族の人たちがいるような場所もあったりするわけでありますが、そういうところで大量に伐採をして、そして偽装して輸出をしてきて、燃やされている。そしてさらに、そこに日本の国民のお金まで投入されているということであります。

 そういう意味では、私は、これは経産省が所管ということでありますが、大臣、どうでありましょう、環境という観点、そしてその中で人権が脅かされているという観点から、所管は経済産業省であっても、環境的な観点、そして、あるいはその中での人権を守っていくという観点から、やはり大臣にも環境という観点からしっかりと取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでありましょう。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほどもお答えしたことと少しダブりますけれども、我が国は、ビジネスと人権に関する行動計画における人権とは、環境破壊による被害も考慮するものとしているわけでございます。また、我が国の行動計画は国連の指導原則等を踏まえて作成したものであり、行動計画の中でも、環境問題への対応を人権とは不可分なものとして取り扱うことが重要だというふうに考えております。

 加えて、本年八月に公表された、国連ビジネスと人権作業部会による訪日ミッションの終了後のステートメントにおいて、環境デューデリジェンスに係る環境省の取組を歓迎する旨のコメントもいただいて、公表されているところでございます。

 委員御指摘のように、環境省としては、やはり、ビジネスと人権に関する行動計画を踏まえ、引き続き環境問題への対応を進めてまいる所存でございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 しっかりと環境大臣としてのお立場で、また、残念ながらかつてのようではないところもありますが、環境立国日本と言われたわけであります、しっかりと先導役として頑張っていただきたいと思います。

 さて、今も、引き続きますけれども、FITでは合法性、持続可能性の確認が求められているわけでありますが、それは決して木材伐採時だけに関わるものではない、森林の伐採権の取得、木材の加工、流通過程、あるいは伐採後の森林再生に関わる規制などにおいても、違法行為が行われているものは対象外とすべきと考えます。つまり、認証、FITの対象外とすべきと考えます。具体的には、米国南東部において、木質ペレット工場における大気汚染の基準違反が繰り返して起きており、多額の罰金を科されているケースもあると聞いております。そういう報道があります。

 FITで使われている木質ペレットの生産、加工、流通過程において違法行為が指摘された場合にどのように対応するのか、教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の報道も我々もしっかり拝見させていただいております。事実関係は確認をしていくということだと思いますが。

 再エネ特措法の下で行うバイオマス発電事業につきましては、使用する燃料の持続可能性を、燃料に係る法令遵守の観点も含め、第三者認証などによって確認することといたしております。具体的には、輸入木質バイオマスにつきまして、持続可能性の確認方法は林野庁の合法性ガイドラインを参照することとしておりまして、森林の伐採に関する法令遵守を確認することといたしております。

 仮に、輸入木質バイオマスの生産、加工、流通過程における法令の違反行為が確認された、あるいは指摘された場合には、林野庁の合法性ガイドラインに基づく認証制度等も踏まえまして、持続可能性の確認について検証するため、林野庁とも連携の上、認定事業者や第三者認証機関に対して事実関係の確認を行うなど、必要な対応をしっかりと行ってまいるというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 ガイドラインということで規制をすることの弱さといいましょうか、そういうところを指摘をさせていただいたところでありますが、今お答えをいただいたところでいうと、しかるべき対処と。具体的にどういうふうに対処するのか。厳しく、いわゆるしっかりと対処ということでありますが、そうではなくて、具体的に、そうした事案が発覚をした、そうした場合にどういうふうに具体的に、今後そういうことがないように、あるいは、そうした、先ほど来から繰り返しますけれども、国民の、消費者の税金が、賦課金が使われているわけでありますから、しっかりとした対応が、やり逃げといいましょうか、そういうふうにならないように、またそれを予防するように、どのように対処をするのか改めてお聞かせいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 申し上げたとおり、例えばですけれども、仮に、海外での法律の違反行為などの事実も含めて、これが確認された場合にどういうふうにしっかりと対応を行っていくのかということだと思いますけれども、輸入木質バイオマスの生産、加工、流通過程におきまして違反行為が指摘された場合には、例えば、当該国政府に確認を取る、あるいは必要に応じて現地に赴くといったようなことも行いながら、法令違反が起こっているかどうか事実関係をしっかり確認をする。その上で、仮にFIT制度におきまして求めている燃料の安定調達に関する確認ができない事案につきましては、指導、改善命令、認定取消しも含めてしっかりと対応していくというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 これまでもちょっと指摘をさせていただいたところでありますけれども、ガイドラインでは持続可能性の基準を有していないわけなんですね、ガイドラインは。そして、森林認証制度以外の団体認定制度と独自証明は第三者機関ではないということなんですね。また、団体認定や独自認証ではトレーサビリティーの確認はできない。

 今お答えの中では、そうしたことに対しては、搬出国ですか、相手国に対して確認をするというようなお答えはあったわけでありますが、改めてお聞きしますが、そうした違法行為が生産地で指摘されても、トレーサビリティーがなかなか確認がないため、日本のFITでそれが使われているかどうか確認する方法がないことが私は懸念するわけであります。そのことについてどうでしょうかということと、もう一つ、時間がないので併せてお聞きしたいと思いますが、前回、輸入木質バイオマス燃料の持続可能性についての情報公開については、より厳しい措置が必要な可能性もあるというお答えであったわけであります。

 そこで、木質バイオマスについては、その使用量、持続可能の確認方法、生産地、ペレット工場、搾油工場などの情報公開を行う、サプライチェーン上の違法行為が確認された場合はFITの買取り対象外とすることが必要と思います。先ほども申し上げたことです。なかなか、今のガイドラインの中ではきちっとトレースしていってチェックをすることが必ずしもしっかりできないのではないか、しかし、そういう中で、確認された場合にはきちっと買取り対象外とすることなどによって厳しい対応が必要であるというふうに思っているということを指摘をさせていただいたわけでありますが、どうでしょうか、そういうふうにきちっと対応していくんでしょうか。

務台委員長 申合せの時間を経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 トレーサビリティーの確保の点につきましては、林野庁の合法性ガイドラインでも一定の形で確認ができているというふうに考えております。また、その上で、この場でお答えしましたとおり、情報公開の在り方につきましては、引き続き、林野庁さんとも検討を前向きに行っております。加えて、違法案件につきましては、FIT認定の対象外にするという方向で取組を進めてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 前向きに検討ということでありますので、できるだけ早くお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 今日は、質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 環境省の設置の原点と言われる水俣病の問題について質問させていただきたいと思います。

 今日は、ちょっと新聞の記事を資料で提出させていただいております。これは、大臣の御地元の宮城県の河北新報の九月二十四日の記事なんですが、九月の十六、十七に、青森県の八戸市の駅弁を作っている会社が全国三十三都道府県に二万二千食の駅弁を売ったら食中毒が発生したということで、これは青森県のみならず宮城県や静岡県まで波及していたということなんですが、もし、これは青森県の会社です、青森県で食中毒になった人は認めるけれども、静岡で出た人は私は関係ないです、こういうことは許されないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

伊藤国務大臣 食中毒にかかわらず、日本の法令に基づいて、原因者が責任を持つということが基本だろうと思います。

野間委員 当然ですよね。

 そして、例えばですけれども、このお弁当を大臣と秘書官が新幹線の中で食べておられた、どうも調子が悪い、秘書官の方も、お二人とも調子が悪い、下痢や嘔吐をしたということであれば、当然、これは食中毒だ、この弁当のせいだと思うんですが、例えば、秘書官は、あなたは確かに食中毒ですと言われました、ところが、大臣が行ったら、本当ですか、あなたは本当にこのお弁当を食べたんですか、その領収書はありますか、別の病気じゃないですか、こう言われたら頭にきますよね。いかがですか、大臣。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますけれども、食中毒事案では喫食調査をしっかりやります。疑われる食材を食べたということが確認できれば、食中毒の患者だろうというようなことで調査をしていくということになるかと思います。

野間委員 当然ですよね。食べたか食べないか、隣の人が、確かに大臣は食べていました、一緒に食べましたと。それでやはりこれは食中毒、自分もそうだということが証明されると思うんです。

 もう一つ、例えば、ここはある海の中だとしましょうか。大臣のところ、ここは非常にいい漁場だ、クロダイやら、いろいろいい魚が捕れる。昨日行ったら、いっぱい捕れた。今日行ったら、漁船に乗って漁師さんが行ったら、今日はいない。少し、三十分ぐらい行ったところに行ったら、今日はあっちで魚が捕れた。そういうことはよくある話です。別の漁師さんも、あっちに行ったら今日は捕れなかったけれども、あしたはこっちに行ってみよう。

 このように魚もぐるぐるぐるぐる泳いでいるわけですよね、海の中を。ですから、この魚はここの漁場しかいないとか、この漁港から揚がる魚はこの種類しかない、こういうことはあり得ないと思うんですが、大臣、どう思われますか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病の発生を受けまして、水俣湾における魚介類の総水銀値の調査等をしっかり行っておりまして、例えば、昭和三十四年におきましては一二ppm近くの高い数値となっておりますけれども、昭和四十四年時点では急速に低下しておりまして、〇・四ppmという暫定的規制値レベルまで低下をしているということがデータとして確認されております。

 また、汚染されている魚介類はかなり限局してございまして、水俣湾周辺の魚介類を調査すると今申し上げたとおりなんですが、もうちょっと広い、不知火海の水俣湾から遠く離れたところで捕れた魚につきましては、昭和三十五年から三十六年時点の調査の結果として、もう既に暫定的規制値レベル、〇・三から〇・五ppmというようなデータが得られているということでございます。

野間委員 この前、九月二十七日に大阪地裁の、水俣病被害者の判決が出たわけですけれども、ここで言われていることは、今大臣にお聞きしたような、ごく普通の人たちが常識的に判断して、そういえば、うちでは毎日、目の前で捕れていた魚を食べていた。ところが、自分の親は、あるいはお兄さんは水俣病と認定されたけれども、自分は大阪とか名古屋に出稼ぎに行って何年も帰ってこなかったけれども、どうも体調が悪い。帰ってみたら、実は、これは余り人に言いたくないことなんだけれども、親もお兄さんも水俣病の認定になっていた。おまえには言わなくて悪かったな、なかなかこれは言えないんだよ、いろいろな差別、偏見があるからということで、苦しんでいる人たちが何年もたって訴訟を起こして、自分もそうだったということを訴えているわけです。

 大臣、普通に、常識的に考えれば、そういうことはある話だと思うんですけれども、これが水俣病のいわゆる特措法ということで、この地域に住んでいた人までは救済されます、お隣のところは、今のお話でいうと、魚が好んで、隣の町の漁場には行きませんよ、こんなことをするはずがないんですが、どうもそういう結論に持っていってしまって、ここで居住をして、そこの魚を食べた人は水俣病だけれども、お隣の稲田先生のところの漁場で捕れた人は何ともないという非常に不自然な結論になって、苦しんでいる方が多くおられるんですよね。

 ですから、この指定地域を特措法で決めてやったということ、それがいまだに千七百人を超える被害者の皆さんが訴訟をしている原因になっているわけですけれども、大臣、この不自然なこと、地域を区切ってやるということが起きているということについてどう思われますか。これは大臣の自然な感想をお聞きしたいんですけれども。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 超党派の議員立法で平成二十一年に成立した水俣病被害者特措法でございますが、これは、既に存在していた公害健康被害補償法の判断基準を満たさないが救済を必要としている方々を、当時の政治判断として水俣病被害者と受け止め、救済を図ることによって、水俣病患者の最終解決が目指されたものと承知しております。

 そして、この法律に基づく救済の対象地域や対象年については、ノーモア・ミナマタ訴訟で裁判所から示された和解所見を基本として、訴訟原告だけでなく、訴訟をしなかった患者団体との協議も踏まえて決められたものでございます。また、対象地域外の方や対象年以降に生まれた方についても、一人一人、水銀暴露の有無を判定し、相当数の数が救済対象となっております。

 また、申請期間については、法律の中に、三年以内を目途に救済対象を確定させる旨の規定が設けられていた、これを受けて設定されたものであり、当時は期限内の申請について周知広報の徹底が図られたものと承知しております。

 このように水俣病被害者特措法の制定に係る多くの関係者の努力の結果、約三万八千人の方々が救済されたものと承知してございます。

野間委員 今、特措法のことをおっしゃったわけですけれども、この特措法の三十七条では、先ほど申し上げたような指定外の周辺地域の方もやはりそういうことがあるんじゃないかということで、国に対して、いわゆるこの不知火海沿岸地域に居住歴のある人の健康調査をやるべきだということを十一年前に言っているんですね。

 しかし、これからもう十三年たってしまって、いまだに健康調査が行われていない。手法を開発している云々、昨年、何か手法が、試験的な手法ができたけれども、これまたこれから三年かかって手法を確立しますと。

 こう言ったら本当に申し訳ないんですが、環境省は、こういう被害者の皆さん、この訴訟をやっている皆さんも三百人以上亡くなっているんですね、平均年齢が七十三歳であります。自分たちが死ぬのを待っているんじゃないか、こういって大変な憤りを持って、この手法の開発の遅れ、健康調査をしない態度に憤りを持っておりますけれども、なぜこんなに時間がかかってできないのか、この法律で書いてあることが実行できないんでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 この手法の開発に大変時間がかかってしまったということについては、真摯に受け止めてございます。

 ただ、研究開発ということでございますので、これは、研究者、本当に研究費もつけましたし、真摯に研究に取り組んでいただいたということでありますけれども、実用に堪えるレベルまで精度を上げるのに、今御指摘のあったように、十三年かかってしまったということでございます。

 今年の六月に研究班を立ち上げて、今回開発した手法を用いて健康調査をどのようにやっていくかということを、三年計画の研究計画を立ててこのスタディーデザインを考えていくことになっておりますけれども、大臣の方からも御指示をいただきまして、できるだけ早く検討を進めるようにということでお願いしているところでございます。

野間委員 三年もかかる、しかも、この研究班に入っている人は、訴訟において国側の証人で出ている人なんですよね。こういう人が開発して、きちっとした中立的なものができるかどうか、これは非常に疑問です。いずれにしても、これはちゃんとやっていただかないといけない。

 そして、私も原告団の皆さんとも話すんですが、別に補償が欲しいとかお金が欲しい、そういうことじゃないんですよね。やはり水俣病にかかったということが、何かその過程自体を偏見や差別に、おとしめることになっていることもお分かりだと思います。そうではないんだ、これはチッソを始め国の政策の誤りによって起こされた現象であって、そのことをきちっと認めてもらって謝罪をしてほしい、これが一番望んでいるところであります。

 先日も、ある方は、大阪の九月二十七日の判決を聞いて涙が止まらなかったと。いろいろな方から、おまえたちは金が欲しいんだろう、普通に元気に町を歩いているから何ともない、仮病なんだろう、こういうことを言われて、本当に肩身の狭い思いで今なお生活されているんですよね。ようやく、この十年間裁判を闘ってきて、光が見えてきた、こんなうれしいことはない、しかし、また国が控訴をして、自分たちの苦しみをまだまだ長く引き延ばそうとしているということを、本当に涙ながらに訴えておられました。

 そして、これは大臣も御承知のとおりですけれども、この判決の後、全国紙、地方紙、もう九九%、一〇〇%と言っていいと思いますけれども、社説等で、国はこれ以上長引かせるな、全面的な救済に早く動けと。これは、こう言ったらなんですけれども、読売新聞、産経新聞、政府寄りと言われるようなところですら、本当に真摯に訴えをしております。これはもう全国民の世論になっていると思うんですよね。

 大臣も胸が痛むという御発言もされておりますけれども、ここは、本当に原告団の皆さんももっと年齢が上になって、生きている間にこの判決が見られるんだろうかということで、これは、前回の裁判もまだ、大阪地裁です、まだ熊本や新潟での裁判もあります、どれだけの年数をかけてやっていくのか。

 かつて、二〇〇一年、ハンセン病の問題で小泉総理が、悪かった、国は控訴しない、謝罪をして全面的な解決に応じたこともあります。これは、最終的には大臣を始めとした政治判断になると思うんです。何らかの救済を、話し合う場をつくって、もうこれ以上苦しみを長引かせないようにしていただきたい。

 その意味で、是非大臣には、原告の皆さんなどとやはり直接会っていただいて、その話を、生の声を聞いていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 まず、控訴についてお話ししたいと思いますけれども、九月二十七日、ノーモア・ミナマタ近畿訴訟の大阪地裁判決については、関係省庁と協議を重ね、判決内容を精査いたしました。

 その結果、今回の判決は、国際的な科学的知見や、最高裁で確定した近時の判決の内容と大きく相違することなどから、上訴審の判断を仰ぐ必要があると判断したところでございます。

 今回の判決については様々な御意見があるということは承知しております。環境省としては、平成二十一年に超党派の議員立法として成立した水俣病被害者特措法の制定に当たって多くの関係者が努力されたことや、二度の政治解決によってこれまで五万人の方々が救済されてきたことなど、また、水俣病問題の歴史と経緯を十分に踏まえつつ、引き続き、現行の公害健康被害補償法の丁寧な運用、医療、福祉の充実や地域の再生、融和、振興などにしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 それから、原告の皆様と会うべきじゃないかということでございますけれども、現時点では原告にお会いする予定はございません。

 ただし、環境大臣としては、これまでも、水俣病犠牲者慰霊式や全国公害被害者総行動デーなどの機会を捉えて患者団体などの御意見を伺ってきたと聞いておりますし、そうした機会を捉えて私も様々な御意見を伺ってまいりたいと思います。

野間委員 時間だから終わりますけれども、水俣病問題の解決なくして環境省の原点もあり得ないわけですから、是非直接会って話を聞いていただきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

務台委員長 次に、林佑美君。

林(佑)委員 こんにちは。日本維新の会、林佑美です。

 本日は、質問の機会を与えてくださりまして、誠にありがとうございます。伊藤大臣を始め関係者の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、今年の通常国会が閉会しまして、夏の間、私は地元和歌山で活動しておりました。そして、多くの有権者の皆様とお話をさせていただく機会がありまして、その中で、ある高齢の御夫婦のお宅にお邪魔させていただきました。その御夫婦は環境問題に非常に関心があり、いろいろとお話をさせていただきましたときに、大変衝撃的なお言葉をお聞きしました。奥様からのお言葉だったのですが、この温暖化が進む地球に暮らすのも大変だから、子供をつくるのは待った方がいいよと息子夫婦に伝えたんですよということをおっしゃっておりました。私は、この言葉を聞いたときに、大変驚きとショックを受けました。

 先般、グテーレス事務総長が、地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来したと警告したことが大きなニュースとなりました。私も三人の子供を育てる母親でもありますが、将来住めなくなるような地球の環境を引き継ぎたくはないですし、地球の環境の悪化を危惧して、かわいいお孫さんにつらい思いをさせたくないということは、大変憂うべき状況だと思います。

 そこで、伊藤大臣に伺います。

 このお話を聞いての率直な御感想と、今月末から始まるCOP28への決意をよろしくお願いいたします。

伊藤国務大臣 委員御指摘のとおり、地球温暖化、これを食い止めることはまさに地球的課題であり、また、環境省としても最も大事な課題の一つだと思います。

 そのためには、やはり地球温暖化の主要な原因である温室効果ガス、その中でも主要な原因であるCO2、二酸化炭素の削減をするということが喫緊の課題だと思います。国会のお許しがあれば、私は、今月末からUAEで開催されるCOP28には出席して、世界の脱炭素化に貢献する我が国の取組を積極的に発信する、そういうことで国際社会の議論をリードしてまいりたい、そのように考えております。

 委員御指摘のように、世界の気温上昇を一・五度C以内に抑えるためには、二〇三〇年までに、急速かつ大幅で即時の温室効果ガスの排出削減が不可欠でございます。この観点から、二〇二五年までに提出が奨励されている次期の排出削減目標、いわゆるNDCを見据え、特に、二〇二五年までの世界全体の排出量のピークアウト、そして、一・五度C目標に整合し、全ての部門、全ての温室効果ガスを対象とする総量削減目標の設定が重要であって、これを各国に呼びかけてまいりたい、そのように思います。

 また、市場メカニズムを利用した排出削減を促進するため、我が国が主導しているパリ協定六条実施パートナーシップや二国間クレジット、いわゆるJCM、これについてCOPの場を通じて更に推進し、世界の脱炭素化に貢献し、また議論を主導してまいりたい、そのように考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 地球温暖化の問題はもう待ったなしの状況だと思いますし、次世代、更にその先の世代の子供たちにちゃんと引き継いでいける地球環境の改善に、各国との連携の下、取り組んでいただきたいとお願い申し上げます。

 さて、私の環境委員会での質問は今回が二回目ですが、今年六月に西村前大臣に質問させていただいた際の、持続可能な航空燃料、SAFの話や森林整備などについての質問に対して、関係府省庁や地方自治体、産業界との連携をしながら、環境省としても施策を実行してまいりたいという御答弁をいただいております。

 例えば、環境負荷を減らそうと電気自動車の普及といったときに、経済省や国交省との連携も出てきます。当然のお話なんですけれども、環境省だけが幾ら頑張ってもこの危機的な地球環境を改善することは難しいことでして、いわばコンソーシアムを組んで取り組むぐらいの覚悟が必要だと思っております。是非、伊藤大臣がリーダーシップを発揮していただいて、関係府省庁、地方自治体、産業界はもちろんのことですが、国民一人一人の意識と行動にまで波及させていくということが大変大事なポイントになってくると思っております。

 そこで、是非、伊藤大臣の旗振り役という意味での決意を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度四六%削減目標の実現、達成に向けては、あらゆる分野の取組が必要であり、政府一丸となって政策を総動員することが重要です。環境省だけがやってもこれは実現できないわけであります。

 環境省は、気候変動対策全体を取りまとめる立場から、目標実現に向けた地球温暖化対策計画の策定を主導しております。そして、その計画に基づく各省庁の取組の進捗管理、これもしっかり行って、政府全体の対策を継続的に前に進めてまいります。

 また、環境省自身の取組として、地域、暮らしなど需要側の側面からの脱炭素化を中心としつつ、経済産業省等の関係省庁とも連携しながら、例えば、断熱窓への改修支援であるとか商用車のEV化とか、そしてまた地域共生型再エネの導入などの推進に取り組んでまいります。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 是非、御答弁にありましたように、リーダーシップを発揮していただいて、行政、経済界、国民まで落とし込んだ施策をそれぞれがしっかり取り組んでいける状況をつくっていただきたいと思います。

 続きまして、プラスチック削減について伺います。

 日本全国の海岸で、多くのごみが漂着して問題となっております。私も、私の地元である和歌山県においても、海岸に多くのごみが漂着しているのを目にします。その中には多くのプラスチックごみが含まれており、いわゆる海洋プラスチックとして、海洋環境への影響のみならず、観光、漁業への影響が指摘されております。また、プラスチックが劣化して細かい粒子となったマイクロプラスチックによる海洋生態系への影響が懸念されていることも御存じのとおりです。

 こうした中、国内では、昨年四月、プラスチック資源循環促進法が施行されました。この法律は、製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までに関わるあらゆる主体におけるプラスチック資源循環等の取組を促進する措置を講じるという点で、これまでの政策に比べれば一歩前進とも言えます。しかし、具体的には自治体や事業者の自主的な取組に委ねられている部分が多く、法案審査でも、その実効性についての疑問の声が上がりました。

 そこで、施行から一年余りが経過したことを踏まえ、プラスチック資源循環促進法によるプラスチック削減に関する具体的な効果、そして現状の課題について、伊藤環境大臣の御見解を伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 プラスチック汚染対策、これは環境省の重要政策の大きなものでございます。委員御指摘のように、プラスチック資源循環法が昨年四月に施行されまして、そのことを受けて、様々な主体においてプラスチック資源循環の取組が進展しつつあると思います。

 具体的には、地方公共団体において、プラスチック資源の一括回収、これが広がっております。これまでに既に三十四の地方公共団体がプラスチック資源の分別収集、リサイクルを開始されており、今後も着実に増えていくと思います。

 また、民間事業者でも、再生材一〇〇%のペットボトルといった環境配慮設計の製品の導入や、コンビニ等における紙やバイオマスプラスチックを利用したスプーン、フォーク等への切替えなど、具体的な取組が広がっていると思います。

 サーキュラーエコノミーの実現に向けては、あらゆる主体においてプラスチック資源循環の取組を更に進める必要があるということから、モデル事業の実施やリサイクル設備等の導入支援等を通じて、地方公共団体や事業者の取組を後押ししてまいりたい、そのように考えます。

林(佑)委員 御答弁にもありましたように、プラスチック製の容器包装の回収、リサイクルは全国の自治体の八割で実施されていますが、プラスチック製品自体の分別回収、リサイクルに取り組む市町村と広域行政組合は三十七団体と非常に少なく、燃えるごみと一緒に焼却している自治体が多く存在しています。プラスチック製品自体のリサイクルもしっかりとした対策を取っていただきたいとお願い申し上げ、次の質問に移ります。

 デコ活について伺います。

 気象庁の発表では、今年の夏、六月から八月にかけて、我が国の平均気温は、一八九八年の統計開始以降、夏として最も暑くなりました。本年五月から九月の全国における熱中症による搬送、運搬人員の累計は九万一千四百六十七人で、昨年度の同じ時期と比べると二万四百三十八人増えており、このような点からも、気候変動の問題は喫緊の課題です。

 我が国は、温室効果ガスの排出量について、令和二年に、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を行い、翌年には、二〇三〇年度に二〇一三年度比四六%削減を目指すとして、様々な取組を行っておりますが、脱炭素の実現は非常に難しい課題です。脱炭素の実現に向けては、産業分野ではなく、暮らし、ライフスタイルの分野を含め、全ての分野において温室効果ガスの大幅な削減が求められます。

 このような取組の一環として、環境省では、国民、消費者の行動変容、ライフスタイル転換を後押しする脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動を昨年十月から推進しています。今年の七月には、デコ活という愛称も決定しました。

 このデコ活として提案されているものを見てみますと、住宅の断熱化や省エネ家電、高効率給湯器、次世代自動車など、買換えのスパンが長くて、なかなかすぐに取り入れられないものが多く、また、エコ家電など高性能でエコに配慮した商品などは、価格帯が高かったりで、地球環境によいからといってもなかなか手が出ないのが実情だと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 消費者の行動変容、ライフスタイルの転換を強力に促し、需要を喚起するために、環境省としては、脱炭素製品、サービスの選択が豊かな暮らしにつながると知っていただくとともに、こうした選択を現実に可能にする環境づくりも一体的に進めていきたいという考え方でございます。

 そのために、デコ活では、脱炭素製品、サービスの選択によって、家計負担が減り、余暇時間が生まれるなどの健康面や生活面のメリットを消費者にお伝えするとともに、暮らしを後押しするデコ活予算を確保し、脱炭素製品の購入補助、これを行うことで、消費者の皆様に選択していただける環境を整えているところでございます。

 デコ活予算、今、これからでございますけれども、二千億を超える規模で要求し、豊かな暮らしづくりを総合的に後押ししたいと思いますし、また、今、九百以上の企業、自治体、団体等が参画する官民連携協議会というのがございまして、組織されまして、脱炭素に資する製品、サービスや取組等を国民の皆様、消費者に提供、提案することとしております。

 これに加えて、少し中期になりますけれども、いわゆる暮らしの十年ロードマップ、こういったものを官民連携して現在策定中であって、これらの取組により、二〇三〇年度の削減目標の達成に相当寄与できるものというふうに考えております。

 今後も、あらゆる機会、また企業、自治体とも連携しながら、デコ活、脱炭素化、環境を大事にする、環境を守れる政策というものを環境省としては推進してまいりたい、そのように考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 デコ活において、脱炭素の実現に向けて、二〇三〇年に、家庭六六%、運輸三五%、非エネ一四%、業務五一%削減など、暮らし、ライフスタイルの分野でも大幅な削減が求められていますが、家庭のウェートが六六%とかなりの割合を占めております。しかしながら、自治体で行われていますエコ家電の購入補助やエコすまい支援事業などを見てみますと、人気ですぐに限度額に達しており、支援が十分でないと思われます。

 先ほど答弁に、二千億円ほどの予算を確保しているとおっしゃっておりましたが、十分な支援になるかどうか、国民としては不安を持っていると思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 十分な支援になるように、また、その使い道がより国民の皆様にとって御理解いただけるよう努力したいと思いますし、それから、今年度の予算あるいは補正で終わりではありませんので、デコ活ということが経済的にもメリットであり、そして暮らしの質を向上するという実態性を持つように、環境省としては総合的に政策を進めてまいりたい、そのように考えます。

林(佑)委員 ありがとうございます。デコ活のための十分な支援をよろしくお願いいたします。

 そして、デコ活ですが、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量四六%削減にどの程度寄与するものなのか、環境省の御認識をお願いいたします。

秦政府参考人 先ほど来大臣からも御答弁させていただいておりますけれども、議員御指摘のとおり、例えば家庭部門でいうと、二〇三〇年には現状の三分の一まで下げなきゃいけない、こういった大変厳しい目標となってございます。

 例えば、家庭の窓の断熱ですけれども、御家庭の熱の六割から七割が窓から出ていっている、そこをしっかり塞ぐ、こういった対策を、大変地道かもしれませんが、講じていくことで、少しでも省エネな住宅、そして、まさに太陽光などを組み合わせ、ZEB、ZEHといったような、こういった施策を積み上げてまいりたいと考えております。

 現在、GXの予算の方でこういった暮らし部門、地域部門について施策を講じ始めたところでございますけれども、今後も、時々の時世を踏まえまして、必要に応じメニューを見直しつつ、しっかり継続をしていくことで、二〇三〇年に向けた目標達成、これに向けて頑張ってまいりたいと考えてございます。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 脱炭素の実現に向けては、産業分野だけではなく、国民一人一人の協力が非常に重要だと考えます。いいキャッチコピーやかけ声があったとしても、国民のライフスタイルや行動変容がなかなか進まないのが現実だと思いますので、エコな生活やエコな消費行動に国民を巻き込んでいくような仕組みや仕掛けが必要だと思います。是非大臣が先頭に立って、個人の意識と行動に大きな変化をもたらすことを御期待申し上げます。

 時間になりましたので、質問を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

務台委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳と申します。

 実は、この環境委員会、質問に立たせていただくのは二〇一二年の石原伸晃環境大臣のとき以来でございまして、十年以上の経過をしてしまいました。

 そんな機会を頂戴し、伊藤大臣の御就任、八木副大臣を始め政務官の御就任、誠におめでとうございます。大活躍を期待しております。

 また、務台委員長の公平公正な、お裁きじゃなくて、取り仕切りをお願いしたいと申し上げます。

 それで、ちょっと幾つか質問したいのは、まずは処理水の問題、地球温暖化、動物愛護、そして世界自然遺産の活用などについて、時間が許していただける範囲で質問をしていきたいと思います。

 先ほどうちの林委員が質問させていただいて、大臣の決意といったところを私も聞きたいなと思ったんですが、もう伺ってしまったので、逆に、エールというかをしておきたいんですけれども、所信の中で、最後の結びで、伊藤大臣は、「環境問題は、個人、地域、国、地球が同心円の問題であり、個人の行動変容の集積が地球全体の未来につながるものだと考えています。国民一人一人のよりよい暮らしの実現、地域の活性化、そして地球全体の未来を守ること、これらの同時達成に全力を挙げて取り組んでまいります。」と言われました。

 この最後のフレーズのところの、地球全体の未来を守るというところが非常に肝かなというふうに感じておりまして、それで、大臣のお言葉とかをいろいろ聞いている中で、非常に冷静に、温厚に答弁されておられるので、私の期待としては、内なる闘争心というか、ファイティングスピリッツはお持ちだと思うので、是非世界の環境問題のフロントランナーとしてリーダーシップというか、日本がこれから食べていける本当にネタというのは、水俣病の質疑もありましたけれども、環境対応、環境問題への対応だというふうに、私は、これからの時代、そこしか、逆に、日本が、車も大変厳しくなっていますので、そういった意味で、環境対応のビジネス、むしろ、ビジネスというくくりよりは、本当に地球と共存していく地球人というようなくくりで御活躍をいただきたいなというお願いを冒頭させていただきます。

 それで、まず最初の処理水について、近藤委員等からもございました。私は外務委員会が長かったもので、ちょっと外交的な視点から質問したいんですけれども、外務副大臣の経験もあられるということで、先ほども御答弁を伺いました。去る十一月四日に行われた、私の地元名古屋で行っていただいた日中韓環境大臣会合がございましたけれども、中国側の意見の主な内容と、それから、私は何となく中国もちょっと柔軟化しつつあるんじゃないかなという感触を、直接の立場じゃなくて、本当に一国民としてうかがわせていただいているんですけれども、その中国側の対応についての大臣の率直な感覚というか、言える範囲でお答えいただけないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 今委員御指摘の日中韓環境大臣会合において、中国側からは、核汚染水という表現を用いて、従来の中国の見解が述べられました。

 これに対して、私は、ALPS処理水と表現するべき旨、また科学的根拠に基づき対応すべきだということを指摘させていただきました。

杉本委員 大臣がどういうことを言われたというのは、当然想定できる科学的根拠に基づきということなんですが、お立場上、言いにくいのかもしれないですが、引き続き中国はかたくなに同じことを言い続けているイメージなのか、それとも、もう少し、これから日中首脳会談も今模索されているということで、昨日、北京で秋葉国家安全保障局長と王毅共産党政治局長兼外相との会談があり、十二月十五から十七日のサンフランシスコにおけるAPEC首脳会議の際に日中首脳会談の可能性が今模索されているということの中で、もう少し感触的なところを踏み込んで言っていただけないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 中国側からの発言は、今までの、従来の見解どおりでございました。それを取れば、柔軟化の感触は得られなかったと言えると思います。

 ただ、感覚的に言えば、いろいろな変化を中国側も感じられているんだなということは感じました。

杉本委員 何となく、最大限御答弁いただいたかなというふうに観測させていただきます。

 それで、さっきも出ていましたけれども、COP28が今月末から十二月十二日まで、これはドバイですか、で予定されているというふうに聞いておりますけれども、この処理水の、今おっしゃっていただいた科学的根拠による説明というのを、大分されているかなということは感じているんですけれども、耳にたこができたというぐらい、諸外国、殊にアジア各国にどんどん言っていっていただく必要があるというふうに私は感じます。

 その努力を積み重ねていただくことが、やはり日本人というのは以心伝心で伝わっているやと思いますけれども、外交というものはそうではなくて、きちっと言うべきは言う。これは中国に対してもだと思いますけれども、友好的なアジアの国々、あるいは中立的な国々、若干中国寄りの国々がございますけれども、世界は、地球をぐるっと回ると広くいろいろな国がありますけれども、アジアを中心にCOP28を生かしてバイの会談を積極的に設営いただいて、これはむしろ環境大臣からどんどんセットしろという御指示をいただいて、いや、大臣、もう日程は入りませんよとか言われても、入れるんだというぐらいの気概で、バイ会談でこの処理水の問題の理解というもの、耳にたこができている、だけれども、また聞いたよというような各国の環境大臣とのやり取りみたいなものを是非お願いしたいと思っているんですけれども、その設営の可能性、あるいは、もうやっているぞ、十分設営しているんだということであれば、済みません、私の情報取り不足だと思いますけれども、そんなことで、COP28の御活用をお願いできないかと思っているんですが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放出の安全性については、今までも国の内外に向けて透明性の高い情報発信を頻度高く行っております。その結果もありまして、国際的にも、科学的知見に基づく冷静な受け止めや対応が広がっていると認識しております。引き続き、政府一体となって、科学的根拠に基づき丁寧に説明を行ってまいりたいと思います。

 そして、環境省としても、引き続き、科学的根拠に基づき、高い透明性を持って、様々な機会を捉えて粘り強く説明してまいります。

 そして、今御下問のCOP28でございますけれども、まだ、相手方もあり、国会のお許しが出るかどうか、一〇〇%ではありませんけれども、なるたけ多くの国とバイ会談をセットするように既に指示しております。相手側が受けるか受けないかもありますけれども、せっかくの機会ですから、そして、しつこいほど、耳にたこができるかどうか分かりませんけれども、しっかりと日本の立場、そして、科学的根拠についてはもう少ししっかりと実際の数値とか、それから、この水域をモニタリングをしているのは別に環境省だけじゃなくて、IAEAを入れて六団体でやっているんですよね。それで、最近はその中に中国と韓国の専門家も入っていただいているわけです。

 そういうことも含めて、しっかり我々の対応が科学的根拠に基づいているものであり、人や環境への影響は無視できるものだということを、説得力を持ってバイ会談あるいはほかの場においてもしっかり主張してまいりたい、そのように思います。

杉本委員 ありがとうございます。バイ会談は結構設営されているようでございますし、おっしゃっていただいたとおり、その他、立ち話でも一言、ああ、杉本が言っていたので、あいつもしつこいやつだったなということを思い出していただきつつ、一言やはり他国の、各国の環境大臣に言っていただくことをお願いしておきたいと思います。

 これは質問通告していないんですけれども、同じ問題で、今申し上げた日中首脳会談における岸田総理の習近平主席との会談が設営された場合の、恐らく岸田総理は言うべきは言う方だというふうに私は期待していますし、認識しておるんですけれども、やはり総理には、必ずこの処理水の問題を、外交上で言うべきは言うという我が国の林外務大臣のときからの姿勢があったかと思いますので、そういった意味で、環境大臣から、閣議の場なのか閣僚懇なのかよく分かりませんけれども、そういった機会を捉えて、是非、岸田総理には、念押し、確認のレベルかもしれないですけれども、習主席に対して、処理水の科学的根拠による理解を是非いただきたいんだということを、やはり以心伝心ではなくて、言うべきは言うということが極めて大事だと思いますので、環境大臣から岸田総理に対して、必ず言ってくださいよということを触れていただきたいんです。

 済みません、通告していなくて申し訳ないんですが、お立場上、極めて重要なポイントであるかと思いますので、この点について岸田総理に一言言っておくということをこの場で確認させていただけないでしょうか。まだ会談がセットされていないので、仮定の話には答えられないと言われても困るんですけれども、いつかは面談があると思いますので、岸田総理在職中に。ですから、是非ともその機会を捉えて、言ってくださいという言い方でも結構だと思うんですけれども、お願いできないでしょうか。

伊藤国務大臣 委員がおっしゃるとおり、仮定の話にはお答えできませんけれども、様々な機会を捉えて適切に対処してまいりたい、そのように思います。

杉本委員 言質は取れなかったんですが、適切な対応の中には、必ず言うぞという期待を込めて、この質問は終わりたいと思います。

 次に、地球温暖化について質問したいと思いますけれども、シベリアの永久凍土なんという言い方をして、永久凍土が解けちゃっているということは、よくいろいろな番組で、私はテレビっ子なので、拝見します。

 ロシアについては、御案内のとおりのウクライナ侵略中という状況下で、なかなか環境問題でも接点を見出しづらいというふうには感じておる中で、この永久凍土というのを調べると、何だ、スウェーデンも入っているじゃないかということの中で、スウェーデン北部のストールダーレン沼というのがあるそうで、ここにおいて、スウェーデン国は永久凍土融解の研究をされているというようでございます。

 永久凍土融解によって、メタンの大量放出、地球温暖化というものの大きな原因というか、要因というよりは原因ですよね、ということのようでございますので、この問題について、将来的にロシアとまた良好な関係ができる可能性は、月日を経ればあるかもしれないので、将来のシベリアの永久凍土融解対策も含めて、環境先進国たりたい日本国として、スウェーデンの永久凍土融解に対する研究について、日本国としてこの研究に参加されておられるかどうか、あるいは今後参加する予定があるのかどうか、こんな点について、大臣、教えてください。お願いします。

伊藤国務大臣 御指摘のスウェーデンでの研究事例については、現在、環境省は直接は関与しておりませんで、詳細な情報は持ち合わせておりませんが、気候変動による永久凍土への影響やメタン等の温室ガスの放出については、これまでも国内の研究機関も参画して研究が進められていると承知しております。

 それから、環境省では、温室効果ガス観測技術衛星、GOSATシリーズにより、関係機関と連携して、温室効果ガスの大規模排出源となる永久凍土などのモニタリングを行っていく予定でございます。引き続き、気候変動に関する科学的知見の向上には、環境省として主体的に取り組んでまいりたい、そのように考えます。

杉本委員 主体的に取り組みたいというお言葉がございましたけれども、直接関係はしていないんだという最初のお言葉もございました。

 環境省の守備範囲というのは、相当、私が前に質問した十年以上前から広くなって、お役所の方々も本当に大変だと思います。とはいいつつも、やはりフロントランナーになってほしい日本国として、このスウェーデンの研究等にも、予算の制約というのは、私は財政健全化論者なもので、なかなか予算制約は感じつつも、やはり出すべきところには出すということの中で、守備範囲も広いんですけれども、是非、永久凍土融解問題についても、積極的に環境省として直接関与をお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、廃坑井という問題について、何だ、それはということなんですが、廃坑井という問題が、昨日も八十代のシニアの方と、廃坑井という番組が、実はBSの世界のドキュメンタリーというのがあって、私はそれでかなり問題意識を持ったんだけれどもと言ったら、私もその番組を見たよというようなお言葉をいただいて、是非環境大臣に前向きに取り組んでいただくようにしろというような、八十三歳の先輩の言葉を実はいただいたんです。

 そんな中で、ちょっと苦言を呈するわけじゃないんですが、ファクスで環境省から来た、かなり質問通告を、大分、火曜日ぐらいにしたんですけれども、廃坑井の鉱害防止、危害防止については経済産業省が事業として行っています、つきましては、環境省としては経済産業省が担当であると承知している旨、主にお答えすることになってしまうかと考えております、もし可能でしたら、御通告を経済産業省に変更していただけないでしょうかというようなものが、どこの課とか、そういうことは言うのを差し控えたいと思いますけれども。

 そのBSの番組では、廃坑井という石油の採掘坑とかあるいは天然ガスの取り出し口、これをもう使わなくなったところを閉めてという状況にある中で、有毒ガスが排出され、環境汚染、健康被害、こういう問題を惹起してしまっているということをその番組の中で言っていまして、テキサスだったかと思いますけれども、カリフォルニアとか、アメリカのその地域が、林なのか森なのかがもうペンペン草も生えないような土壌になってしまっているというようなことです。

 直接日本に、石油が自ら取れない、ほとんど取れないと言った方がいいんですか、そういう国柄の日本と違いますけれども、日本は石油の恩恵を受けてここまで経済成長をしてきているわけでありますので、他人の問題だというような意識だとか、よその役所の問題だとかという意識で環境省がいていただいては困ると思っていまして、そんな意味で、絶対大臣から答弁をもらうからというふうにうちの秘書から答えさせていただいたんですけれども。

 この廃坑井の問題について、環境省として、環境汚染、健康被害の元凶となっているという私の認識の下に、大臣はどのような認識をお持ちなのか、あるいは役所としてどういう認識をお持ちなのか、あるいは、これから経産省なんかに任せないで我々がしっかり主体的にやっていくんだという御答弁なのか分からないですけれども、内なるファイティングスピリッツの大臣にちょっと御答弁をお願いできればと思います。

伊藤国務大臣 御答弁申し上げます。

 廃坑井の中には、適切な廃止措置が行われなかったことが原因で、生産終了後から長期間経過した後、石油や天然ガスが漏えいし始めるものがあるということは承知しております。この後は役所からの答弁と同じなのでちょっと恐縮ですけれども、経済産業省において、漏えいの被害の解消及び将来的な漏えい事故の防止のための取組を行っていると承知しております。環境省としても、経済産業省から事情をお聞きして、環境省として必要な措置を取ってまいりたいと思います。

 それから、廃坑井の問題だけじゃなくて、環境汚染については、同時に地方公共団体等の関係機関と連携するということも重要だと思います。汚染による影響の防止や国民の安全、安心のために、環境省も皆さんと連携してしっかり前に進めてまいりたい、そのように考えています。

杉本委員 大臣の先ほど答弁があって、政府一丸で頑張っていくんだというお言葉もありました。そういった意味では、環境省も、経産省に任せずに、一丸となって、御答弁いただいたとおり、是非問題意識を持って、地球環境、あるいは環境被害等についても、環境汚染、被害についても前向きに、主体的に取り組んでいただければとお願い申し上げます。

 さて、もう時間もなくなってきて、次に、動物愛護について伺いたいんですけれども、動物愛護についてこの環境白書にどのぐらい書いてあるのかなと思ったら、びっくらこいたんですけれども、第二章の中の第五節の第五項というところがあって、その中に、第五項が何行書いてあるかなと思ったら、五行しか書いていないんですね。

 動物愛護、うちで参議院議員で串田という元衆議院議員、一緒にやっていましたけれども、彼が本当に積極的に取り組むことによって、維新は今一番動物愛護をやってくれているよということを芸能界の方々とかからも御評価いただけるように、串田さんの頑張り等もあって御評価いただけるようになったんですけれども、片や環境省は、あれ、五行しかないぞと。これは、一章とか、少なくとも節ぐらい、特集していただくぐらいのレベルがこの動物愛護にあっていいと思うんです。

 私が地元愛知県で拝見した犬猫に限っての話になって、熊、鹿、イノシシの話も大事なんですけれども、まず、犬猫について多頭飼育崩壊の実情というのがあって、個人が飼っているというよりは、ボランティア的に一生懸命、命を大事にしようという方々が十匹預かったというのが、ちょっと近所で捨て猫があって面倒を見てくれないかみたいになって、どんどんどんどん持ってこられて、家中、猫屋敷みたいになっちゃっているお宅が二軒ほどあって、私は行ってびっくりしたんですよ。

 これは、やはり行政として、都道府県の仕事ですと言われちゃうとそれまでなんですけれども、やはりリーダーシップを環境省がしっかり取って、犬猫の命であったり、あるいは高齢化によって飼えなくなった犬猫をどう扱っていってあげるのか、アニマルウェルフェアの観点というのはすごく大事だと思っています。

 TNR、トラップ・ニューター・リターンという言葉があって、捕まえて去勢なり避妊なりをして戻すという、リターンという表現があるんですけれども、これは、熊、鹿とかイノシシについては言えるかもしれないし、殺処分せざるを得ないという状況も分かっています。予算も、石原さんに前に聞いたときに、十年以上前に、鹿の去勢とかを何とかできないんですかねといって、いや、予算がないからできないんだと言われて、その後、この鹿の状態です。

 そういった意味で、この実情が大変厳しいということを御認識されていると思うんですけれども、一方で、西村さんがでかい顔写真で出ていまして、今度、伊藤大臣は載っていないじゃないか、残念だなと思って、次の白書に向けては是非とも動物愛護にもっと力を入れていただきたくて、このことは、いわゆる動物たちとの共生とかという意味でもとても大切だと思うんですけれども、この多頭飼育崩壊の実情などについての御認識を伺いたいと思います。お願いします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 多頭飼育問題、これは、飼い主や動物、また周辺環境に大きな影響を与える社会的な問題であると思います。動物愛護管理行政において重要な課題であるというふうに認識しております。

 動物愛護管理法においては、多数の動物を飼育する際に、地方自治体に届出をさせることができるようになってございます。多頭飼育問題は、飼い主の生活の質の低下、近隣地域への迷惑をもたらすなど、人と地域の問題にまで広がりを持つ問題となって、地方自治体にとっても重要な事項となっていると思います。

 環境省としては、現場の対応を後押しするため、多頭飼育対策ガイドライン、これを令和三年に策定し、地方自治体の福祉部局や地域住民等との連携など、予防から再発防止の各段階の多頭飼育対策のノウハウを地方自治体に対して周知し、地域における取組の促進を後押ししているということでございます。

杉本委員 もう時間がなくなっちゃったので、先進的な自治体というのはちょっと今度また報告をいただくとして、最後に、世界自然遺産の知床についてですね。

 上高地なんかに行くと、車が進入禁止になっています。知床も入れない状況にあるのかなと思うんですが、これも石原さんに質問してから十何年たっちゃっているんですけれども、一九八八年から、スイスのツェルマットというマッターホルンの麓の町では、電気自動車を走らせ、ガソリン車がないというような町の運営をして、観光地としても、オーバーツーリズムになっているとも聞いていないですけれども。

 世界自然遺産を守っていくという意味とか、あるいは観光の本当に名所として、羅臼岳に登られたことはないかと思うんですけれども、眼下に国後島が見えまして、何であれがうちの国じゃないんだ、うちの国なのに何で入れないんだというようなことを知床の羅臼に登ると感じていただけると思うんです。

 その知床を、是非ガソリン車の乗り入れ禁止あるいは電気自動車化等、地域の事情もあると思うんですけれども、十何年前のことと同じことを言いますけれども、日本が環境先進国であるなら、この世界自然遺産もそうするべきだと思うんですけれども、最後に大臣の御答弁をいただいて終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 環境省では、電気自動車の活用を含めた国立公園における脱炭素化の取組を推進して、サステーナブルな観光地づくりの実現を目指しております。

 今御指摘の知床国立公園では、二十年以上前から、混雑時期に一定のエリアにおいてマイカー規制を実施しております。毎年、環境省及び地元の関係者で構成される協議会において、規制時期やエリアをどうするかということを定めております。

 一方で、コロナ禍や昨年の観光船事故以来、利用者の回復に時間を要しているほか、マイカーの代替手段となるシャトルバス等を電動化するためのコスト、こういった問題もありますので、地元では、マイカー規制を一律で行うことへの懸念も示されてございます。地元と丁寧に議論して、マイカー規制の在り方を今検討している最中でもございます。

 私もこの前お伺いしたんですけれども、知床の美しい自然環境を守り、次世代に引き継ぐためには、地元の関係者の理解を得ながら、地域とともに取り組むということが環境省としても重要だと考えておりますので、地元の関係者と協議しながら、自然環境の保全とCO2、二酸化炭素の排出削減に取り組んでまいります。

杉本委員 ありがとうございます。

 目先の経済的な問題よりは、長い目で本当に自然を大事にしていただいて、逆に、観光資源を大事にしていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。よろしくお願いいたします。

 私は五年ぶりに環境委員会に配属になりました。よろしくお願い申し上げたいと思います。

 この五年間、環境行政を取り巻く環境が大きく変化をしておりまして、正直驚いているところもございます。そういった中で、何からどう取り組もうかと自分なりに考えたんですが、その中で、先日の伊藤大臣の御挨拶の中にその答えがあったかのように思っております。

 大臣は、この挨拶の中で次のようにおっしゃっておられます。「環境問題は、個人、地域、国、地球が同心円の問題であり、個人の行動変容の集積が地球全体の未来につながるものだと考えています。国民一人一人のよりよい暮らしの実現、地域の活性化、そして地球全体の未来を守ること、これらの同時達成に全力を挙げて取り組んでまいります。」と、このようにございました。私も伊藤大臣と同じ思いで、しっかりと頑張っていきたいと思っております。どうかよろしくお願い申し上げます。

 また、大臣が、環境問題は、個人の行動変容の集積が地球全体の未来につながるとおっしゃられたとおり、私たち一人一人が環境問題に我が事として向き合いまして行動を起こしていく、これが環境問題の解決につながる全ての始まりであると思っております。

 しかし、今、国内外、様々な課題が山積をしておりまして、ここ最近もコロナの感染拡大もございました。また、そのほか、世界でも紛争が続いております。また、今、物価高騰も続いている中で、自分たちの日々の、日頃の生活の中で、多くの課題、また問題が山積をしております。

 そういった日常生活の中で、国民の皆様に強く何か響くもの、また伝わるものがなければ、この地球規模の課題、環境問題を我が事として受け止めて、また、行動に起こしていくということは大変に難しいことではないかと思っております。

 また、私自身、今回環境委員会の所属が決まりまして、改めて環境行政につきまして様々施策を見させていただきました。その中で、例えば、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ、ネットゼロ、こういった横文字も多くて、子供から高齢者の方、全ての方に対しまして広く御理解をいただけているのかなという、率直なそういった思いも持ちました。広く国民の皆様にも関心を持っていただきまして、我が事として捉えていただく、そういった意味では、分かりやすさとか見せ方も大事になっていくのではないかと思っております。

 分かりやすさという点で御紹介したいのが、少し前の話になりますが、二〇〇五年、京都議定書発効記念行事に参加をされました、ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさん。このマータイさんが、日本のもったいないの精神に感動されまして、このもったいないという言葉をそのまま世界に発信をしてくださいました。この一言に環境問題に取り組む意義や思いが込められているということで、また分かりやすいということもありまして、もったいない、この精神を広めたいということで、この運動をまさに日本から世界に発信をしていただいた、そういったことがございました。

 現在、環境省におきましても、デコ活、これも先ほどから様々議論がされておりましたが、デコ活だったり、また、グリーンライフポイント制度、こういったものを通しまして、国民の意識変革、また、社会の仕組みやライフスタイルの変革を目指していらっしゃいます。

 私たち公明党といたしましても、その推進をしっかりとやっていきたいということで共に取り組ませていただいておりますが、しかし、まだまだこれからではないか、更なる充実強化をしていかなければいけないと思っております。

 そこで、改めて大臣にお伺いをいたしますが、国民の皆様とともに、また国民の皆様を巻き込みながら、どのように環境行政に取り組んでいかれるのか、改めて大臣の強い御決意をお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 委員の環境に対する御賢察、本当にすばらしいと思います。

 私も所信で申し上げたとおり、環境問題というのは、ここに、数十億の人間が地球の上に住んでいるわけですけれども、結局、一人一人の行動変容というのが地域の変容になり、また国全体の変容になり、ひいては地球環境全体を守れるか守れないかということに直接影響すると思います。

 例えば、一人一人が仮に五〇%炭素を減らすような行動をすれば、地球全体の炭素排出量が五〇%減るわけですね。ただ、それをどういうレベルで具体的にやっていくかということについて、やはり環境省としては戦略的に組んでいかなければならないと思います。

 環境省としては、需要面あるいは地域、暮らしというところに割合軸足を置いてデコ活ということを進めているわけでありますけれども、おっしゃられたように、国民の皆様が自分事として環境問題を考えるには、私一人ちょっと、たくさん炭素を出しても関係ないよということじゃなくて、そのことが、来年自分がもっと暑い夏で苦しむこととか、あるいは、来年あるいはちょっと先かもしれないけれども、地球環境の汚染によって自分の健康がむしばまれるという、そこをやはりよく御理解いただくということが必要だろうと思います。

 そして、デコ活というのは本当に小さなことから始められますけれども、中ぐらいのこと、例えば、費用がかかるという御批判もありましたけれども、家の建て方とか、それから車を使うか使わないかとか、そういうこともありますし、それから、物を買うときに単に値段が安ければいいのか。やはり環境負荷を考えて、そこも総合判断の中で商品を選ぶ、あるいはサービスを選ぶというようなデコ活をすることによって、結局、企業や産業界もそういう商品やサービスをつくるようになってくると思うんですね。そうすれば、そういう企業や産業が排出するCO2は当然減るということで、そういうことも含めて、やはり個人の行動変容、もっと言えば価値観のシフト、大量消費、大量に所有するということが豊かさであるという考え方が、そうじゃなくて、みんなでシェアしていこうよと。そして、単にたくさんのものを持つのは意味ないんじゃないのと。

 やはり日本は、江戸時代を振り返れば、それこそエコロジーな、地産地消の世界だったわけですね。それが、明治維新以降、イギリスで始まった産業革命の影響も受けて今日の近代社会があるわけですけれども、そういった歴史的な流れも少しマクロで見ながら、二十一世紀に向けての新しいパラダイムが、また片仮名言葉を使うと、の在り方というものはどう考えていくか、そういう哲学的な命題も環境省として考えていく必要があると思います。

 それで、ちょっと大きなことを申し上げたので、具体的なことを申し上げますと、例えば住宅の断熱窓の改修とか、あるいは、フードロスの問題は非常に大きいんですけれども、食べる分だけ買う、残したものはmottECOといって、持っていく。それからまた、それを子供食堂や、あるいは必要な方にお渡しする、そういうことも必要でありますし、片仮名言葉でいろいろおっしゃったことというのは、結局一つのことのそれぞれの側面だと思います。サーキュラーエコノミーにしても、サーティー・バイ・サーティーにしても、デコ活。

 ですから、とにかく、これから、地球という環境は人類全体のもので、もっと言えば、人類だけじゃなくて生物界全体のものでありますから、それがサステーナブルになるようにするということは私たちの責務だと思うので、その意識を持って環境行政というものを進めてまいりたい、そのように思います。

鰐淵委員 大臣、ありがとうございました。

 是非、大臣のリーダーシップの下、また、環境行政におきましても、また新たな転換期にもあると思いますので、私も心を合わせて頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、観光地におけるごみのポイ捨ての問題について質問させていただきたいと思います。

 コロナ禍を乗り越えまして、観光需要の急速な回復に伴うオーバーツーリズムの対応が各地域で求められておりますが、その中で、具体的な課題といたしまして、ごみのポイ捨て問題について限定して質問させていただきたいと思います。

 観光地におけますごみのポイ捨て問題につきましては、観光地を中心に地元住民の皆様が大変に困っていらっしゃいまして、路上や自分の家の前にごみが捨てられており、地域住民の方が自分たちで拾って掃除をする、こういった状況が少なくないようでございます。

 他方で、観光庁の訪日外国人調査によりますと、訪日旅行中に全体を通して困ったことの調査の中で、ごみ箱の少なさが旅行中に困ったことの第一位になっておりました。ごみのポイ捨て問題、そして、この問題に直結する、ごみ箱が少ないという訪日外国人旅行者のお困り事に対しましても、しっかりと対応していかなければならないと思っております。

 ここで、観光庁にお伺いいたしますが、観光地におけるごみのポイ捨て問題について、観光庁の認識と、この問題の解決にどのように取り組むのか、お伺いをしたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 現在、国内外の観光需要の急速な回復に伴いまして多くの観光地がにぎわいを取り戻す一方で、観光客が集中する一部の地域ですとか時間帯等によっては、委員御指摘のとおり、ごみのポイ捨てなどマナー違反行為が課題となっていると承知しております。

 こうした課題に対処すべく、先月、十月十八日に開催されました観光立国推進閣僚会議において決定されましたオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージにおきまして、まず一つ目といたしまして、観光客が集中する地域におけるICTを活用したスマートごみ箱の導入支援ですとか、二つ目といたしまして、旅行者に対するマナー周知のための看板やデジタルサイネージ等の設置支援といった対策メニューを盛り込んでいるところでございます。

 これらの支援を通じまして、観光地におけるごみの問題につきまして地域の実情に応じながら具体的な取組が進みますよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 この問題につきましては、各観光地中心に様々なお取組、現場でもやられていると思いますので、是非、そういった好事例というかお取組の周知というか横展開ができるように、そういった情報発信もお願いしたいと思いますし、また、改めまして旅行者の方に対する情報発信ということで、今御答弁にはなかったんですが、駅前と駅中、旅に出る前と旅行中ということで、それぞれのごみの問題だったり、情報提供もされていると伺っておりますので、是非こういったことも海外の方も含めて国内外の方にしっかりと周知徹底していただいて、まずごみを減らしていくということの意識を持って旅行に出ていただく、そういったことも是非、観光庁の方でもそういったお取組を力を入れていただきたいと思っております。

 二〇三〇年までに六千万人を目指しているということでございますので、訪日外国人の旅行者にきれいな美しい日本に来ていただきたいと思いますし、また地域住民の方の日常生活を両立していく、これが本当に大事になってくるかと思いますが、是非そういった点で観光庁にも頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、環境省の方に質問したいと思いますが、観光地におきますポイ捨ての問題につきましては、取組、対応を推進している地域もございまして、例えば大阪の道頓堀の商店街では、メインストリートに新たにごみ箱を置く、そういった計画を進めていらっしゃいます。また、そのほか、群馬県の伊香保温泉では、石段の道二か所に燃えるごみとペットボトルなどを入れる二種類のごみ箱を用意しまして、英語や中国語のほかにピクトグラムで分別方法を表記しているそうであります。そのほか、ごみ捨ての有料化を検討する、そういった動きもあるようでございます。

 このオーバーツーリズムがもたらしますごみのポイ捨て問題につきまして、今御紹介したように各地域で様々な取組が進められておりますけれども、環境省におきまして、是非こういった現場の取組を推進をしていただきたいと思っております。御見解とお取組についてお伺いしたいと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ポイ捨てにつきましては廃棄物の不法投棄に該当するものでございまして、廃棄物処理法において禁止対象となっていることに加えまして、多くの自治体においてもポイ捨てを規制する条例が制定されているところでございます。

 さらに、多くの自治体では様々な取組がなされているところでございまして、環境省におきましては、全国各地の市町村におけるごみのポイ捨てに関する取組状況、これにつきまして令和三年度に調査をしたところでございまして、各自治体の取組事例、対策事例を収集し、その周知などを通じてポイ捨ての取組の横展開を図り、ポイ捨て対策として進めてまいりたいと考えております。

 こうした取組を進めているところでございますけれども、御指摘のとおり、オーバーツーリズムがもたらすポイ捨て等も大変深刻な問題になっておると受け止めております。このため、観光庁の方からも御紹介ありましたが、十月に取りまとめました観光立国推進閣僚会議で決定されたオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ、これは、今月閣議決定されました総合経済対策でもポイ捨て対策を盛り込んだところでございます。具体的には、観光アプリとの連携により特典を付与するといった、観光客のごみ削減につながる行動変容の促進などを行うモデル事業の実施、これも新しく盛り込んだところでございます。

 環境省といたしましては、地方公共団体や民間事業者とも連携をしながら、さらには観光庁ともしっかりと連携をしながら、ごみのポイ捨て対策、観光地におけるポイ捨て対策についてしっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今、観光庁とも連携を取ってというお話もございました。今、観光地に限らず、訪日外国人の方も、あっ、こんなところにいらっしゃっているんだというような、結構、路地裏だったり、いろいろなところにいらっしゃっていますので、是非、観光地と申し上げましたが、広くポイ捨て問題ということで認識を持っていただいてお取組を更に進めていただきたいと思いますので、重ねて要請させていただきたいと思います。

 このポイ捨て防止の取組につきまして関連して質問したいと思いますが、自動販売機等に併設されておりますリサイクルボックスについて質問させていただきたいと思います。

 先ほどの話題にも関連いたしますが、観光地に限らず、公共のごみ箱の設置が減少しておりまして、それによって、自動販売機に併設されたペットボトルのリサイクルボックスにペットボトル以外のごみが捨てられている異物混入が大きな問題になっているかと思います。

 具体的には、異物の増加によりましてリサイクル、再資源化の阻害要因になっていること、また、リサイクルボックスに捨てられたペットボトル以外のごみにつきましては、自販機事業者が回収して処理しておりますので、自販機事業者のコスト、業務の大きな負担になっております。

 この問題の解決の取組ということで、我が公明党からも様々環境委員会で質問させていただいておりますが、その一つの取組といたしまして、投入口を下向きにするなどの新機能のリサイクルボックスの改良が進んでおります。こういったものを設置することによって、適切な回収、リサイクルの推進が期待をされているところでございますが、この点につきまして、環境省におきまして、環境省、自治体、業界団体の三者による実証実験、この新機能のリサイクルボックスを設置することに対しての検証実験を行っていただきました。

 この結果を受けて、環境省としてどのように取り組んでいくのかということでお伺いしたいと思いますが、例えば、行政と業界が連携しながらペットボトルを適切に回収、処理する、そういった体制整備に取り組んでいる自治体へしっかりと具体的な支援に取り組んでいただきたいと思いますが、環境省の御見解をお伺いしたいと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の実証実験につきましては、昨年十月から十二月にかけて、日本自動販売協会と連携して実施させていただいたものでございます。その結果、リサイクルボックスの投入口、ペットボトル等の投入口を、通常は上からなんですが、これを下向き、投入口を下向きにするなどの新機能を持つリサイクルボックスの設置、さらに、それに併せて啓発メッセージを目立つところにしっかり掲示をする、こうしたような取組をすることによって異物の混入率が着実に低減をする、こうした結果が得られたところでございます。

 これを受けまして、今年八月から十月にかけて、全国の地方公共団体を対象に地方ブロックごとに計七回、プラスチックの資源循環に関する事例説明会を開いたところでございまして、この事例説明会におきまして、この実証実験の結果について御説明を行い、取組の横展開に向けて周知、お願いをさせていただいたところでございます。その結果、この取組に興味を示していただける地方公共団体もあり、取組を広げていくためには、こうした実証実験の結果を具体的に示しながら周知を図っていくということが非常に有効、効果的であると考えております。

 さらに、公共施設への導入につきましても率先導入を図りたいと考えておりまして、環境省が入居しております中央合同庁舎五号館でも新機能を持つリサイクルボックスを設置をする、こういう予定にしております。

 今後も、全国の地方公共団体への説明会等の機会を捉えて、導入事例の紹介や効果の具体的な説明、こうしたものを行うとともに、地方公共団体の皆様方の声も伺いながら、公共施設への設置に向けて積極的に働きかけてまいりたいと思っております。こうした取組を通じまして、環境省といたしましては、この取組の横展開をしっかりと図っていきたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 時間となりましたので、終わります。大変にありがとうございました。

務台委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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