衆議院

メインへスキップ



第3号 令和5年12月5日(火曜日)

会議録本文へ
令和五年十二月五日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 務台 俊介君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君

   理事 菅家 一郎君 理事 堀内 詔子君

   理事 篠原  孝君 理事 森田 俊和君

   理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君

      畦元 将吾君    井上 信治君

      井上 貴博君    石原 正敬君

      小倉 將信君    金子 容三君

      国定 勇人君    熊田 裕通君

      古賀  篤君    笹川 博義君

      仁木 博文君    柳本  顕君

      山本 左近君    鷲尾英一郎君

      おおつき紅葉君    近藤 昭一君

      坂本祐之輔君    階   猛君

      堤 かなめ君    馬場 雄基君

      山崎  誠君    杉本 和巳君

      空本 誠喜君    林  佑美君

      中川 康洋君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    伊藤信太郎君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   松下  整君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田  薫君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           森  政之君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       佐藤 一絵君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木俊一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  秦  康之君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           鑓水  洋君

   環境委員会専門員     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     山本 左近君

  堤 かなめ君     山崎  誠君

  馬場 雄基君     階   猛君

  松木けんこう君    おおつき紅葉君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     仁木 博文君

  おおつき紅葉君    松木けんこう君

  階   猛君     馬場 雄基君

  山崎  誠君     堤 かなめ君

同日

 辞任         補欠選任

  仁木 博文君     小倉 將信君

    ―――――――――――――

十一月十四日

 石綿による健康被害の救済に関する法律の抜本的改正等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七四号)

 同(笠井亮君紹介)(第七五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七六号)

 同(志位和夫君紹介)(第七七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八一号)

 同(宮本徹君紹介)(第八二号)

 同(本村伸子君紹介)(第八三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

務台委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官松下整君、警察庁長官官房審議官和田薫君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官森政之君、農林水産省農村振興局農村政策部長佐藤一絵君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、国土交通省大臣官房審議官佐々木俊一君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長秦康之君、環境省水・大気環境局長土居健太郎君、環境省自然環境局長白石隆夫君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君、環境省総合環境政策統括官鑓水洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

務台委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲田朋美君。

稲田委員 おはようございます。自由民主党の稲田朋美です。

 先週からCOP28が開催されております。異常気象、大規模災害が世界中で多発をして、気候変動問題にいかに対応するかというのは世界最大の関心事の一つであって、今や環境対策は、外交上も、そして安全保障上も大きな課題です。

 COP28に出席した岸田総理は、日本の温室効果ガス削減目標に向けた取組を進めており、徹底した省エネ、再エネの主力電源化、そして、原子力の活用を通じてクリーンエネルギーを最大限導入していく旨をスピーチされました。

 原子力については、二〇五〇年までに二〇二〇年比で世界全体の原子力発電容量を三倍にするという野心的目標に我が国を含む二十二か国が協働していくことにコミットするなど、グローバルに原子力を活用していく機運が高まっております。

 このような中、全国で再稼働している十二基のうち、何と七基の原子力発電所が福井県に立地をしております。まさに福井県が、日本の脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給を支えているんです。こうした福井県のような立地自治体における安全優先かつ持続的な原子力活用は、福井県だけでなく、日本全体の課題だという認識を持っていただきたいと思います。

 福井県では、発電所の使用済燃料について、発電所内に滞留させることなく県外への搬出を進めること、これは四十年超の原発の稼働継続についての関西電力との約束でもありました。十月十日に、同社が使用済燃料対策に関するロードマップを策定しました。十三日には、西村経産大臣が杉本知事、西本県議会議長と面談し、その場で大臣から、国が前面に立ち、総力を挙げて事業者を指導すると強い決意が表明されました。

 福井県内の関電の発電所には、約三千七百トンの使用済燃料が保管されております。政府として、責任と覚悟を持って、使用済燃料対策を含む核燃料サイクルを確立することが重要です。

 関西電力が示したロードマップの実効性をどのように担保していくのか、改めて国の決意と具体的方策を伺います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました関西電力が示したロードマップにつきましては、経済産業大臣が出席する使用済燃料対策推進協議会を開催をして報告をまとめまして、その内容が確実に履行されるよう、進捗を確認して指導していくこととしております。

 具体的には、六ケ所再処理工場の竣工目標実現に向けて、産業大での更なる人材確保などを強くしていくこと、また、使用済みMOX燃料の再処理実証研究について、計画どおりの搬出に向けて必要な政府間調整などを進めること、中間貯蔵施設の地点確保について、事業者とともに前面に立ち、それらの地点の御理解を得られるよう主体的に取り組んでいくことなど、政府として必要な取組をきめ細かく行っていく所存でございます。

 また、原発立地県である福井県とは、経産省として常日頃から意見交換を行っておりますが、先般、県内に、御指摘もございました複数の原子力発電所が集積しているなどの特徴を踏まえまして、エネルギー政策を検討する上で、知事と密接に話し合う場を新たにつくっていくことを提案したところでございます。

 こうした場も通じまして、福井県との連携をより深めつつ、核燃料サイクルの実現を含め、エネルギー政策をしっかりと進めていきたい、このように考えております。

稲田委員 国が主体的に責任と覚悟を持って取り組んでいただきたいと思います。

 次に、避難道路等のインフラ整備ですが、私が会長を務めます脱炭素社会実現と国力維持・向上のための最新型原子力リプレース推進議連の決議でも、自民党の原子力安全規制・原子力防災の充実・強化等に関する提言でも、避難道などを政府の責任で優先的に進めることや経産省の交付金の利用を求めております。ところが、決議から一年がたとうとしていますが、いまだ内閣府と経産省と国交省の縦割りが解消されず、方針も定まっていない、検討が遅いし、これでは立地県の理解は進みません。

 原子力防災を担当する内閣府が先頭に立って縦割りを排し、早急に整備を進めるべきだと思いますが、内閣府原子力防災大臣である伊藤大臣の御決意を伺います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 原子力災害時の避難経路となる道路整備を始めとする避難の円滑化、これは地域住民の皆様の安心、安全の観点から大変重要だと考えております。

 内閣府では、緊急時避難円滑化事業等により、福井県内の避難道路の拡幅、のり面の整備等を支援してございます。

 引き続き、この事業を活用した支援に加え、関係自治体や関係省庁も参加する地域原子力防災協議会の枠組みの下、地域の声をしっかりお聞きしてまいります。住民の皆様の安心、安全を第一として避難道路の整備が促進されるよう、関係省庁と連携し、継続的に取り組んでまいります。

稲田委員 やはり大臣が先頭に立ってリーダーシップを取って、道路の整備、これはもうBバイCとか経済効率性とか全く関係ないんです。やはり安全性ですから。是非取り組んでいただきたいと思います。

 次に、食品ロス削減に向けた政府の取組についてお伺いをいたします。

 環境、貧困対策など、社会課題の解決の上で食品寄附が世界で大きな注目を集めております。私が消費者特別委員会委員長としてこの夏に欧州の現場を視察いたしましたが、欧州や米国では、食品寄附に起因して、重過失、故意以外、法的責任を負わないこととする、よきサマリア人の法や税制優遇措置などを通じ、戦略的に食品寄附を後押ししていることが分かりました。しかし、日本では、食品寄附の文化がいまだ十分根づかず、欧米に比べると、その量は二桁少ないという状況ですし、フードバンクなどの取組への支援もまだまだだと思います。

 食品ロス削減の推進に関する法律が成立してから今年で五年。また、政府としても、今年中に、食品寄附を含む、食品ロス削減のための施策パッケージをまとめることとなっています。我が国においても、より俯瞰的な視点から、フードバンク、子供食堂や子供宅食、神社、お寺などを含む幅広い担い手を支援し、必要な食品が行き届くよう、食品寄附の取組を戦略的に推進していくべきと思いますが、政府の見解を工藤副大臣にお伺いします。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 食品寄附の促進の取組については、年末までに作成します施策パッケージに関係施策を盛り込むべく、環境大臣のほか、農林水産大臣やこども政策担当大臣も閣僚委員として加わる食品ロス削減推進会議の枠組みを活用し、寄附する側となる食品関連事業者、フードバンク、子供食堂など、各方面の有識者からの意見をお聞きして検討しておりますが、できるだけ早くこの施策パッケージを推進してまいりたいという考えでございます。

 また、委員御指摘の、ちょっと今お話が出ておりませんけれども、寺社仏閣等を活用した子供食堂など、食品寄附の地域活動を促進させる観点からも、一定の管理責任を果たすことができるフードバンク団体や子供食堂等の体制強化のための施策が重要であると考えており、施策パッケージの取りまとめに向け、政府内の調整を加速してまいります。

稲田委員 ありがとうございます。

 しっかり、法的な責任、法的な措置も含めて、年末のパッケージまでに検討を進めていただきたいと思います。また、約二十万トンと言われる外食における食べ残しの持ち帰りを促進するための法的措置についての意見も様々ある中で、その対応が必要だと思います。年末の施策パッケージの中で方向性を出していただきたいと存じます。

 次に、サーキュラーエコノミーについてお伺いをいたします。

 岸田政権は、地方創生と社会課題解決の両立に向けて、循環経済、いわゆるサーキュラーエコノミーの実現を重要な政策として位置づけております。環境省を中心に来年の夏に取りまとめる予定の循環型社会形成推進基本計画においても、サーキュラーエコノミー政策を中長期的に重要な柱として位置づけると、総理自らが明言をされております。

 そんな中、RPFは、マテリアルリサイクルが困難な古紙や廃プラスチックの受皿として注目を集めています。昨年四月に施行したプラスチック資源循環促進法では、RPFの活用が熱回収の効率の高い手法と位置づけるなど、環境配慮型の燃料として、エネルギー効率の向上と、化石燃料削減によるエネルギーコストの抑制やCO2削減などへの貢献が大いに期待をされているところでございます。

 RPFの今後の可能性について、伊藤大臣に意気込みをお伺いしたいと存じます。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まずは、循環経済、いわゆるサーキュラーエコノミーへの移行、これは、資源の採掘から加工、廃棄に至るライフスタイル全体の脱炭素化につながるものであり、ネットゼロの実現にとって非常に必要なことであると思います。また、産業競争力の強化や経済安全保障にも資する重要な政策課題であると認識してございます。

 御指摘のRPF、マテリアルリサイクルは、古紙や廃プラスチック、こういうリサイクルが困難なものを主原料とした固体燃料でございまして、化石燃料の代替を通じて脱炭素化に貢献する重要な技術だというふうに考えてございます。

 環境省としては、RPF製造設備等を設置する事業に対して、これまでも財政支援を実施してきました。引き続き、RPFの製造業者の皆様ともよく連携して、マテリアルリサイクルが困難な古紙や廃プラスチック類の燃料としての活用を促進してまいりたいと考えてございます。

稲田委員 大臣、ありがとうございます。

 RPFに取り組む皆様方からは、よりきめ細やかな補助金の制度ですとか、また、その簡素化、さらには、日本の一般家庭の分別の制度、これは世界に誇れるものでありますので、一般廃棄物の中の廃プラも、民間のノウハウを活用し、有効活用できないかといった提案もいただいているところでございます。

 循環型社会形成に向けてしっかりと取り組んでいただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。おはようございます。

 早速、御質問に入りたいと思います。

 まず、COP28についてでございますが、岸田総理も出席をされまして、伊藤大臣も八日には参加をされるということでございまして、その中で、この気候変動対策を中心で議論しなければいけない環境委員会がなかなか開かれなかった。先週の段階では、一般質疑をしないというようなことにもなっていたと聞きました。そして、週末それから昨日にかけて何とか開会にこぎ着けて、ぎりぎり滑り込みで今日開催ということでございます。

 そうした御努力には感謝をするのでありますけれども、是非、気候変動対策の集中審議は絶対必要ですので、この開催を強く求めたいと思います。

 そんな中で、私も質問させていただきますが、まず、この気候変動の対策、COP28の対応でございますけれども、日本は早々、温暖化対策に後ろ向きな国として、化石賞に選ばれてしまいました。四期連続ということでございまして、コメントでは、化石燃料への執着が透けて見えて、見せかけの環境配慮のグリーンウォッシュだ、そう認定されてしまっています。

 政府は、CO2の排出量が比較的低いとはいえ、高効率の石炭火力、これの新設を進めようとしている。アンモニアや水素の混焼によりまして、化石燃料の利用を続けようとしています。こうした方針が問題視されている。混焼を実現したとしても、CO2の排出はゼロになりません。気候変動対策としてはやはり不十分、これが世界の一致した見解ではないでしょうか。これが再生可能エネルギーの導入を遅らせる、そうも指摘されています。

 大臣、決め手は再生可能エネルギーの導入です。世界の再生可能エネルギーの設備容量を二〇三〇年までに三倍にする、そういう議長の呼びかけについて日本も賛同しているということでございます。これは大変歓迎できるのでありますけれども、大臣が、日本では必ずしも三倍にできる容量があるとは考えていないというコメントを、NHKの番組でしょうか、なされています。

 私は、環境省こそ再生可能エネルギー導入の旗振り役で、環境大臣こそ再生可能エネルギー導入に野心的な目標を掲げてチャレンジすべきだと思っておるんですけれども、残念ながら、三倍にできる容量があるとは考えていない、こういう後ろ向きなコメントをしたこと、これはどういう意図か、お聞かせください。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御案内のように、COP28において、岸田総理から、世界で再エネ容量を三倍にする議長国UAEの目標に賛同することを表明しました。また、日本、米国、英国、フランス、UAE等の原子力利用国は、各国の国内事情の相違を認識しつつ、二〇五〇年までに二〇二〇年比で世界全体の原子力発電容量を三倍とすることを宣言しました。

 日本としては、二〇三〇年度の四六%削減目標の達成、さらには、その先、できれば五〇%の高みを目指しているわけですけれども、二〇五〇年のネットゼロの実現には電力の脱炭素化が必要不可欠だと考えております。そのためには、再エネの最大限導入拡大に加えて、あらゆる選択肢を追求していくということが必要でございます。

 我が国は、二〇三〇年度の再エネ比率を三六%から三八%にする目標を掲げてございます。この確実な達成に向けて、関係省庁間で緊密に連携して、国民負担の抑制と地域との共生、これを図りながら、主力電源として最優先で再エネの最大限導入拡大に取り組んでまいります。

 以上でございます。

山崎(誠)委員 環境大臣、当然御存じだと思いますけれども、環境省は、再エネの導入ポテンシャル調査というのを、実施を数次にわたってしていただいています。私もこのレポートはよくよく見せていただいて、大変勇気づけられているレポートです。

 そこには、保守的に見積もっても、日本の年間の電力の消費量、約一兆キロワットアワーでありますけれども、これを再生可能エネルギーで供給できるという結果が出ています。これは保守的に見積もってもです。特に風力発電のポテンシャルなどは大きいわけであります。ですが、まだまだ日本は進んでいない、そういう実態があります。

 私は、化石賞を一刻も早く返上していただきたい。そのためには、伊藤大臣、頑張って再生可能エネルギーの導入、これを高らかに宣言をして、取組を加速していただかなければいけないと思いますので、ここはくれぐれもそのようにお伝えをし、COP28ではそれを宣言していっていただきたいとお願いを申し上げます。

 それでは、次の質問に移ります。

 浄化槽の清掃実施率の全国調査というのが行われました。この夏、環境省によって行われましたが、私たち、この浄化槽の問題、管理、清掃について問題を指摘して、実態調査をすべきだと訴えてきたところ、環境省として今回この全国調査を実施いただいた。一歩前進ということで高く評価させていただいております。この調査で明らかになった問題点について、以下、質問したいと思います。

 まず、この浄化槽清掃実施率全国調査が、この実施がなぜ必要であったのか。そして、この調査、大変苦労されておりました。様々データがなかなか集まらないとか、集まったデータにいろいろな不備がある、こうした実態が明らかになったこと、市町村や県の清掃事業の管理実態についても様々明らかになった点があると思います。

 この実施がなぜ必要だったか、そしてこの管理実態についてどのように考えているか、お聞きをいたします。政府参考人でも構いません。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の全国調査でございますけれども、浄化槽の清掃の徹底に向けて、浄化槽の清掃実施状況の全国的な実態を明らかにし、今後の対策を検討するために実施させていただいたものでございます。

 調査方法につきましては、都道府県を通じ、全ての市町村に対して清掃、保守点検の実施件数及び実施率に関する調査票を送付し、その後、調査票を回収して、結果は速報値として取りまとめさせていただいたものです。

 この調査結果におきましては、一部の市町村の浄化槽清掃の実施率が一〇〇%を超えているなど、数値の精査が必要な状況であると認識しております。

 このため、現在、各市町村において、数値の精査を行っていただいているところでございます。あわせて、数値の信頼性を確保するため、地方公共団体から回答のあった数値の算出方法や清掃業者への数値の照会の有無等についても、現在確認を行っているところでございます。

山崎(誠)委員 この調査の意義、大臣にお聞きしたかったんですけれども、時間がありませんのでちょっと飛ばしますけれども。

 非常に大事な調査を行った、その間に、今お話があったように、データが、大変問題があるデータが多いのであります。要するに、実施率が一〇〇%ということはどういうことか、百何十%ということは元々のデータの把握がちゃんとできていないんじゃないかと疑われるケースがたくさんありました。また、現場の声を聞くと、明らかに自分たちの自治体はこういう状況じゃないよというような指摘もあります。

 私は、まずは、こうしたデータを集めようとしたときに、いろいろな障害があった、データがそろっていない、そして管理ができていない、この実態についてどう受け止めるか、これをどういうふうに改善していくのかというのがまず第一点、非常に大事だというふうに思うので、指摘をさせていただきます。

 そして、次に、実施率が明らかになりました。資料をお配りをしました。資料一でありますけれども、全国平均で六三%の実施率です。ばらつきがあるものの、例えば、二〇%台という低い県が三県、三〇%台にとどまっているのが六県などということであります。

 お尋ねしますが、年一回の清掃実施は法律で定められた義務であり、実施しない場合は罰金の対象にもなる法令違反ということでありますけれども、こうした清掃が行われていないという実態が、こういう問題が全国で多数発生しているということでよろしいでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の清掃実施率の全国調査、これは引き続き精査が必要なものと考えておりますけれども、清掃の実施率が法律に基づくようにしっかりとされていない実態にあるということにつきましては、私どもとしてもしっかりと受け止めた上で、今回の調査結果を更に精査させていただいた上で、今後の対応についてはしっかり考えていきたいと考えております。

山崎(誠)委員 端的にお答えくださいよ。違法状態が起きているという認識でいいですね。端的に。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 引き続き精査が必要なデータでございますが、このデータからうかがえますところによりますと、必ずしも法律に基づく清掃がしっかりと実施されていない状況にある、このように認識しております。

山崎(誠)委員 明らかに、六三%しか清掃の実施率がないということでありますから、四割近いところは清掃できていないのであります。これはプラスマイナスあるかもしれませんけれども、実際にはこうした事態が今発生している、こういう現状です。

 清掃の義務というのは、一般的には設置者でありますけれども、地方自治体あるいは国にどんな責任がありますか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 地方自治体におきましては、こうした清掃がしっかりと実施されるように、浄化槽の管理者等に対して適切に指導等を行うということが必要だと考えております。

山崎(誠)委員 国の責任は。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 国といたしましては、地方自治体がそうした対応をしっかり取るように、各地方自治体に対してしっかりと指導助言等をしてまいることが必要だと考えております。

山崎(誠)委員 清掃を怠れば、排水のBOD、生物化学的酸素要求量が上がって、水環境に大きな負担、負荷を与えることになります。今、現状で、知らぬ間に環境を汚染することになっているのであります。

 違法状態が明らかになっている以上、国として至急対応を取らなければならないと思います。大臣、お考えをお聞かせください。違法の是正又は改善のための必要な措置を講じるように県や市町村に指示いただけますね。

伊藤国務大臣 環境省として、しっかり指示、助言を行ってまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 これは違法状態でありますから、時間を置かずに県や市町村に是正を指示をする必要が私はあるというふうに思いますので、大臣、ここは大臣のリーダーシップで対応を取っていただきたいと思います。

 清掃実施率がこれだけ低い理由をどのように考えているか、この低実施率の原因についてお尋ねします。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 清掃実施率が低くなっている原因につきましては、地方公共団体においてまず浄化槽の清掃の実施状況を正確に把握できておらず、浄化槽管理者への指導が徹底されていないことや、高齢世帯では維持管理費の負担が大きく、清掃の義務を果たすことが難しい状況であることなどが考えられます。

 まずは、今回の調査結果について精査し、原因の把握を進めてまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 環境省、逃げちゃ駄目ですよ。私は、低実施率の原因の一つとして大事なのは、計画がちゃんと立てられていない、処理実施計画の不備があると考えています。適切な計画なしに清掃作業を実施することはできません。清掃の漏れだとか非効率な作業につながります。

 資料二を見ていただきたいのでありますけれども、これは全国環境整備事業協同組合連合会の皆さんの調査です。処理実施計画を作っていないとする自治体が全国で二百以上あるという結果になっています。

 環境省として、この処理実施計画の策定状況についてどのように把握されていますか。こうした不備が何年前から発生しているのか、その原因はどこにあるか、お答えください。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 一般廃棄物の処理実施計画の策定状況についてでございますけれども、これについては、現在、環境省において正確な実態についてはまだ把握をし切れておりませんので、今後、しっかりと調査をして調べてまいりたいと思っております。

 一般廃棄物処理計画の基本計画の部分につきましては、これは毎年度、調査をさせていただいているところでございますけれども、毎年度の調査の中に、処理の実施計画の方については、これは含まれておりませんでしたので、今後、しっかり調査をした上で実態を把握し、今後の対応についてしっかり考えてまいりたいと考えておりますが、いずれにしても、法律でしっかり作らなければいけないもの、こういうふうにされているものでございますので、私どもとしてもしっかりと働きかけをしてまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 これは、いろいろな議論の中で、二百という数字を出していただいているんですけれども、全部はまだ調査できていないけれども、環境省の担当者の皆さんは、実際にこの処理実施計画を持っていない自治体があるということは把握しています。違法状態が起きているということを認識した。

 これは、何年前からこういう状況になっているのか。今のお答えでは多分明らかになっていないと思いますが、長らくこういう状態が続いているんじゃないですか。

 原因については触れていただかなかったんですけれども、どういう原因があるんですか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、一般廃棄物処理実施計画を策定していない市町村に対して、その理由を個別に聴取をさせていただいております。聴取をさせていただいたところ、人手が不足し、策定できていないとか、あとは、計画を策定しなければならないとの認識は必ずしも十分ではなかったといった回答をいただいているところでございます。

山崎(誠)委員 大臣、今の話はもう論外じゃないですか。計画を作らなくていいと思っているんですよ。

 計画は法律で定められた義務でありますから、本当に遵法精神も、そうしたことのないまま過ごしてきたというのが実態なんじゃないんですかね。人手不足を理由にして違法行為を起こしていいんでしょうか。法令違反を起こしていいわけがありませんよね。

 こうした、長らく法令違反が見過ごされてきたということは本当に重大であります。これも大臣には、速やかに違法の是正又は改善のための措置を講じるように県や市町村に指示をいただきたいんですが、どうでしょう。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 この一般廃棄物処理については市町村が統括的な責任を有しており、廃棄物処理法に基づき、一般廃棄物処理計画を策定することが求められております。このため、環境省では、都道府県に対して、一般廃棄物処理計画の策定について管内市町村に指導を行うように周知を行ってきたところでございますが、今の御指摘もございます。

 今後、さらに、環境省において、市町村における一般廃棄物処理計画の策定状況や、未策定の場合の理由等について実態把握を行います。そして、その結果を踏まえて、都道府県とも連携しながら、未策定の市町村において早期に一般廃棄物処理計画が策定されるように、強く指導助言を行ってまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 これは、もう明らかに作成していないというのが分かっている自治体もあるんですから、全体的な調査も当然していただかなきゃいけませんけれども、至急、速やかに是正の措置を取っていただかなければいけないと思いますので、これは違法状態でありますから、是非お願いをいたします。

 的確に計画を策定をして、そして清掃実施率を上げる、それが今求められていることであります。浄化槽の台帳の整備だとか区域の指定だとか、必要な措置というのが様々考えられます。

 今回の調査で明らかになった課題について、更に現場の実態を調査をし、声を聞き、検討をし、対応を取るように強く求めますが、大臣の決意を最後にお聞かせください。

伊藤国務大臣 しっかり、環境省として、その役割を権限に基づき果たしてまいりたい、そして、指導助言を早期にしっかり行ってまいりたいと申し上げます。

山崎(誠)委員 時間になりましたので、終わります。

 是非、これは引き続き、調査の様子なども精査をしてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。終わります。

務台委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 今日もまた質問の機会をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 今、山崎誠議員からもありましたが、岸田首相も参加をされて、間もなく伊藤大臣もCOP28に行かれるわけでありますけれども、これまでも見ていて、見ていてといいましょうか、それぞれのCOPの会議、今、山崎議員からも指摘がありましたように、私も二回ほど、三回でしょうかね、COPには陪席というか、行きました。残念ながら、私は、政府として、国際NGOもこの会議に参加しているわけですが、もっと議会として、衆議院あるいは参議院として代表団といいましょうか、しっかりとした、議会として参加をしていく、こういうことも重要ではないかと思っているんですが、なかなかそうした仕組みがまだないということでありまして、一人の政治家、議員として、自費で会議の傍聴に行ったことがありました。そして、残念ながら、そういうときに日本は化石大賞を何遍も受賞しているということであります。

 今年、GX束ね法案、GX関連法案が通過をしましたが、私どもの党はこれに反対をしたわけであります。それはなぜかというと、カーボンプライシングについても先送りである、様々な基金があるが、残念ながら、経済的な、経済成長の観点がまだまだ強い中で、基金といいましょうか、投資が進められていくような仕組みであると思わざるを得ない仕組みであったわけであります。

 ということで、かつて、日本も環境立国と言われた時代があったと思いますが、残念ながら、現在は決してそうではないと思っています。そういう意味では、伊藤大臣には環境をしっかりと守っていくという立場で頑張っていただきたい、このエールだけまず送らせていただきたいと思います。

 それでは、限られた時間でありますので、質問に入りたいと思います。

 私の方からは、建築物、工作物のアスベスト調査と子供のアスベスト吸入についてということであります。

 二〇二〇年のアスベスト関連規則改正で、今年十月一日からでありますが、規制強化が施行されました。建築物の改築や解体に際して、規制強化であります。事前の建築物石綿含有建材調査者等による調査がここで義務づけられたわけであります。つまり、資格を持った人による調査ということであります。

 建築物のアスベスト調査が労働安全衛生法で石綿障害予防規則において義務づけられたのは二〇〇五年七月であります。これまでアスベストの調査に資格要件はなかったということ。そうすると、これは誰が調査してもよかったということなのかということであります。そして、誰も、つまり、講習も受けていない素人といいましょうか、そういう人が調査をしても構わないということであったのか、こういう状況であったのかということをまず確認したいと思います。

土居政府参考人 石綿を含有する建材の有無に関します事前調査につきましては、今お話がありましたように、二〇〇五年に労働安全衛生法の石綿障害予防規則におきまして、建築物の解体又は改修を行う事業者にその実施が義務づけられたところでございます。

 また、大気汚染防止法においても、二〇一三年の改正によりまして、解体や改修の工事を受注する者、また自ら施工する者に対しまして、石綿を含有する建材の使用の有無につきまして工事前に分析等の調査をすることが義務づけられたところでございます。

 このように、法令に基づきました事業者等の調査が義務づけられておりまして、調査を行う者につきましては、環境省では、石綿に関する一定の知見を有し、的確な判断ができる者の事前調査が行われるよう、その段階では周知をしてきたというところでございます。

近藤(昭)委員 ただ、今回規制が強化されたわけでありますが、この間は、私も新聞の報道で事例を見たことがあるんですが、堺市の事例なんかもあると思うんですが、そういう中で、かなり見落としがあったのではないか。専門的な資格を持っていないということでそうした見落としがあり、それが結果的に被曝を生んできたのではないか、こういう認識をしているんですが、どうでしょうか。こういう見落としはどれぐらいあったのかというか、そういうような調査はあるんでしょうか。

土居政府参考人 見落としに関しましては正確な調査はないと認識しておりますが、答申等で、そのような実態があるということから今回の規制強化につながってきたものというふうに考えております。

近藤(昭)委員 私は、規制強化が進んだことは一定の前進だと思いますけれども、今おっしゃったように、そうした調査がないという中でかなりの見落としがあったのではないかと想像することと、そういう中で被曝をした人もいるんだろうと想像というか、推測するわけであります。

 そういう状況など、実は、二〇一七年十月段階、ちょっと資料が古いんですけれども、十月段階で、学校施設では計千九百二十二施設、二〇一八年十月段階で、児童関係施設、障害児関係施設の計一万三千二百十九施設、合わせて一万五千施設余りで、危険性が高い吹きつけアスベストやアスベストを含有する保温材、断熱材の調査が完了していないわけであります。

 そういう意味では、先ほど申しましたように、確かに規制は強化されてきたけれども、子供たちの安全性はまだこれからということである。規制は強化されているわけでありますが、こういう状況であるわけでありますから、子供たちの安全は担保されてはいないのではないかということであります。

 そして、規制は強化されたけれども、解体とかそういうときであって、今、使用中の施設に対して、こうしたところは調査がされていないわけでありまして、こうした中で、今後、アスベストの調査は誰が実質的に調査をしていくのか、有資格者による実施が義務づけられていくのか、ここをお伺いしたいと思います。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 従前の調査におきましては、厚労省において、社会福祉施設等に対する調査として実施をしてきたものでございますが、有資格者による実施が義務づけられてはおらなかったというものと承知をいたしております。

 なお、今後、実態把握のための調査を行うに当たりましては、調査全体の取りまとめをしている厚労省とも調整をしつつ、また、アスベストに関する制度を所管する厚労省、環境省とも連携をしながら、その調査において有資格者の活用についても助言を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 適切にということでありますけれども、本当に、先ほども実態の調査がない、しかし、現場のところで幾つかで発見をされて、それが報道されて、その箇所では調査が進んでいるというようなことがあるわけであります。そういう意味では、私は、しっかりとした仕組みを早急につくっていく必要があると思っています。

 それで、ちょっとお伺いをしたいんですが、国交省は、二〇一三年に建築物石綿含有建材調査者制度をつくって、七年間かかって、この間、特定調査者を千四百人育成した。そして、その後、三省、厚労省、環境省ですか、三省共管になって、いわゆる特定だけではなくて、一般、戸建て調査者ができた。そして、三年間で十六万人に増加をしたということであります。これを見ると、法的義務をかけていく、このことによって、やはり皆さんが講習を受けて、専門的な知識をより深めていくということであります。

 そういう意味で、私は、国交省は、きちんと建築基準法の中で有資格者によるアスベスト調査を義務づけるべきだったのではないかと思うわけであります。今更という感はあるわけでありますが、今後、義務づけることが必要だと考えるかどうか、改めてお聞きをしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで私どもが調査をさせていただいた中で、一千平米以上の大規模な建築物で吹きつけアスベストが使用されているものについては、実態を調べてみますと、かなり限られたものになります。

 その一方で、戸建て住宅のような小規模建築物につきましては、更に一層、アスベストが使用されている率は低いものと思料されます。

 そうした中で一律にアスベスト調査を義務づけるということは、一般の御家庭も含めて過重な御負担を課すことになりかねないと考えております。

 今現在、建築基準法におきましては、定期調査報告制度を設けております。さらに、その上で、その調査に重ねて、それ以外の建築物も含めまして、所有者の自主的な調査、これを進めていただくために、十分の十の補助制度、国費での補助制度を用意して、この調査におきましては、先ほどの調査者制度の講習を受けた調査者を補助要件とさせていただいて、その実施に努めております。

 引き続き、こうした取組を通して、吹きつけアスベストの適切な調査及び対策を促進してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 様々な制度を、この環境委員会でも、私もアスベストに関連して、いわゆる建物の解体ですか、そうしたところの現場での大気の調査も義務づけるべきだ、しっかりとやるべきだというような質問もさせていただくときに、そのことについては現実的に難しいとか、今お答えにあったのは、過重な負担をかける、決して多くはないという言い方をされたわけでありますが、ただ、残念ながら、先ほど申し上げたように、堺市なんかでも、そうした中で被曝を、暴露したというような事例もあるわけであります。私は、そういう意味でしっかりと対応すべきだと。

 特に私が懸念しておりますのは子供、学校のことで、もちろん、全てでありますが。ただ、アスベストの発症というのは時間に何乗かで比例していきますから、子供の頃に暴露していると、残念ながら、その時間の中で、将来発症することが確率としては高くなっていくわけであります。

 そういう意味では、まずは、子供が長時間滞在する施設について、有資格者のうち最も能力が高い、資格のハードルが高いとされる、基準が高いとされる特定建築物石綿含有建材調査者による網羅的なアスベスト調査が実施され、適切に管理されるべきではないかと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 現在実施しております学校施設におけるアスベストを含有する保温材、断熱材の実態調査に当たり、調査の見落としを防ぐ観点から、保温材の調査につきましては、既にアスベストが含有していないことが判明しているものを除き、室内に露出しているもの全てを調査対象としております。

 また、煙突用断熱材の調査につきましては、目視での確認が難しいなど、専門性が必要なことから、特定建築物石綿含有建材調査者も含めた専門知識を有する者による調査を実施するように、各学校設置者に要請しているところでございます。

 今後につきましては、関係省庁とも連携いたしまして、有資格者の活用についても助言を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 進めていくということでありますが、私は、これはしっかりと義務づけていくとかをやるべきだと思います。

 最後であります。

 厚労省は、病院のアスベスト調査で、きちんと調査していない病院名を公表、指導もしているわけであります。子供が長時間いる学校施設や社会福祉施設の児童関係施設、障害者関係施設でも同様の措置を取るべきではないか、これによって徹底をしていくべきではないかと考えますが、いかがでありましょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 アスベストの使用実態につきまして調査を行っているところでございますが、個別の施設名については公表を今は行っていないところでございます。

 こども家庭庁では、分析調査ですとかその後の措置が未実施となっている施設に指導監査を実施する自治体に対して個別にヒアリング等を行うなどによりまして、速やかな対応について指導をしてまいりたいと考えておりますが、施設名の公表につきましては、どういった対応が可能かにつきまして、その指導監督を行っている自治体とも相談をしながら検討を進めてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 質問時間が終わりましたので、最後に要請だけ。

 きちっと公表することによって、またそういうものが進んでいく。また、公表することによって、関係者といいましょうかね、学校に関わっている人たちがきちっとした意識を持つんだと思います。そういう意味では、私は、しっかりとやっていただくべきだ、このことを要請しまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 まず、温室効果ガス排出削減目標の強化、新設について伺います。

 世界の平均気温の上昇を、今世紀末までに、産業革命前と比べて一・五度に抑えることをパリ協定は目標に掲げています。その下で、日本は、二〇三〇年度において温室効果ガス排出量を二〇一三年度比四六%削減、さらに五〇%の高みを目指すという削減目標を国際的に公約をいたしました。

 一方で、国連に設置されている気候変動に関する政府間パネル、IPCCの最新の報告書では、一・五度目標の実現のためには、世界全体での温室効果ガス排出量を二〇三〇年までに二〇一九年比四三%削減し、二〇三五年までに六〇%削減することが必要と示されました。現状の各国の削減目標では一・五度に抑えるのに必要な削減量に足りず、例えば、十一月に公表された国連環境計画の排出ギャップ報告書二〇二三では、今の各国の二〇三〇年目標が達成されたとしても、今世紀末には二・五度から二・九度ほど世界の気温が上昇するとされています。

 各国目標の一層の引上げが求められており、排出削減の能力と責任を持つ先進国として、日本も、当然、これまでの延長線上ではなく、排出削減目標の引上げや年限の前倒しが必要ではないかと考えます。

 二〇三〇年までに二〇一三年比五〇%以上、二〇三五年までに二〇一九年比六〇%以上の温室効果ガス排出量削減など、二〇三〇年削減目標を強化し、かつ、二〇三五年目標を新たに設定することを政府として予定しているのでしょうか。

 仮に予定していない場合、こうした科学的知見の更新と国際社会の動向の中にあってなお、現状の日本の削減目標が一・五度目標に整合的であるとする理由を具体的に説明いただきたいと存じます。大臣、お願いします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国は、一・五度C目標と整合的な形で、二〇三〇年度四六%削減、さらに五〇%の高みに向けて挑戦を続けるという目標を掲げてございます。そして、二〇二一年度には、二〇一七年度に比べ約二〇%の削減を達成するなど、着実に実績を重ねており、引き続き、対策、施策をしっかり進めてまいりたいと思います。

 そして、世界全体で温室効果ガスが、どのような国がどういうパーセントで出してくるということでございますけれども、日本は三%でございます。一方、中国は三〇%台、アメリカは一〇%台の後半、そして、インドはますます上げていくわけですね。

 ですから、世界全体で、日本はオントラックで削減しておりますけれども、日本ももっともっと削減したいと思いますけれども、同時に、世界の百九十六の国がしっかり削減目標を達成しなければ、委員御指摘のように、なかなか一・五度Cという目標は達成できないというのが現状だと思います。

 したがいまして、COP28において、日本がしっかりオントラックでやっているということを申し上げた上で、やはり百九十六の国が、それぞれの事情はあると思います、そこも含めて、どうやって一・五度の目標に達するように、できるように、日本としても先導的な役割を果たしたいと思いますし、そのために必要な財政支援、技術移転ということもしてまいりたいと思います。それから、各国の意見は必ずしも一つではありません。その意見を少なくとも近づけるという意味での先導的な役割というものをしてまいりたいと思います。

 そして、御質問の、二〇二五年までのNDCをもう少し見直すべきじゃないかとか、意見もありますけれども、IPCCによる科学的知見や排出削減の実績等も踏まえつつ、その目標と実現するための対策、施策について、関係省庁とも連携しながら検討を行ってまいりたいと思います。

 また、NDCの策定に関しては、脱炭素に取り組む先進的企業の団体、あるいは先進的企業や団体、気候変動に関する有識者など、そういう意見もしっかりお聞きして、透明性のある形で策定を進めてまいりたい、こういうふうに考えます。

坂本(祐)委員 排出削減目標の引上げや新たな設定を行う際には、透明性のある形で様々な意見を聞いて反映していくことが重要であります。一部の産業界、企業の意見にとどまらず、国民から広く意見を募り、そして腰を据えた議論を行うべきであると考えます。

 国際水準での脱炭素の取組を行う先進的企業や、国内外での議論、政策動向と気候変動に関する科学的知見に詳しい市民団体などの意見を広く募るために、従来のパブリックコメント以外の方法で伺う機会を設ける予定はあるのでしょうか。大臣にお伺いいたします。

伊藤国務大臣 お答えします。

 その前に、先ほど二〇一七年と申し上げましたが、これは二〇一三年の間違いでございます。訂正させていただきます。

 先ほどの答えの中で少し触れておったんですけれども、この計画を立てる段階においては、脱炭素に取り組む先進的企業の団体や気候変動に関する有識者などに審議会の構成員として参画いただくとともに、今御指摘がありましたように、気候変動に関心を有する若者の団体等からもヒアリングを行う予定でございます。透明性のある形でしっかりと計画を立ててまいりたいと思います。

坂本(祐)委員 ありがとうございます。

 次に、カーボンプライシングと化石燃料賦課金等の制度詳細の検討における環境省の関与について質問をいたします。

 排出削減目標の達成には実効性ある政策も不可欠であり、その最たる例がカーボンプライシングです。岸田政権は、GX推進法とGX推進戦略によって、成長志向型カーボンプライシングを導入するとしました。しかし、導入時期の遅さや企業の自主性への依存といった点で、依然、不十分なものにとどまっております。これら不十分な点を今後の制度設計の中で改善し、国際的な水準と時間軸に整合した炭素価格にできるようにすること、それを予見可能な形で示すことが重要であると考えます。

 そのためには、専門的知見を広く社会から集め、活用することが不可欠です。環境省の審議会であるカーボンプライシングの活用に関する小委員会に、現行のGX推進法で予想される二〇三〇年時点の炭素価格や国際的な水準との整合性などを諮り、その知見を政府内の議論に反映できるようにする予定はあるのでしょうか。

 また、議論が進む中で、国際的な水準に比べて低い炭素価格しか望めないと判明した場合、GX推進法附則十一条二項で定める法制上の措置を取る際には、同法十二条の化石燃料賦課金単価の上限や同法十六条三項の特定事業者負担金の総額の上限を改正、廃止することも排除されないか、お伺いをいたします。

鑓水政府参考人 お答えいたします。

 我が国での成長志向型カーボンプライシング導入に当たりましては、企業がGXに先行して取り組む期間を設けた上で、カーボンプライシングの導入スケジュールをあらかじめ明確に示し、当初低い負担から徐々に引き上げていくという設計にし、また、足下からGX経済移行債を活用した二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行っていくということになってございます。

 現在は、環境大臣も参画いたしますGX実行会議を中心といたしまして、GXの取組を進めているところでございます。制度の詳細設計に当たりましては、経済産業省との緊密な連携の下で、御指摘のCP小委で得られた知見も参考にしつつ、環境省としても積極的に貢献してまいりたいと思います。

 また、GX推進法におきまして、今後の成長志向型カーボンプライシングの導入に当たっては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現と経済成長、産業競争力強化を同時に実現していくため、エネルギーに係る負担の総額が中長期的に減少していく範囲内で導入するという基本的な考え方に沿って規定されているところでございます。

 この制度の詳細設計につきましては、GX推進法附則第十一条第二項におきまして、同法の施行後二年以内に必要な法制上の措置を講ずるとされてございます。この規定に基づきまして、しっかりと検討してまいりたいと思います。

坂本(祐)委員 それでは、次に、生物多様性国家戦略に対する取組に係る野生動物のペット飼育について伺います。

 先頃、トカゲや蛇の逸走と捕獲というニュースが流れました。野生動物の飼育の難しさを裏づけるニュースでした。

 日本では、ペット利用される野生動物を年間推定四十万頭も輸入し、その数は増加傾向にあります。生物多様性国家戦略の基本戦略を達成するため、野生生物に影響を与える可能性がある飼養動物の適正な管理に係る取組において、家畜化されていない野生由来動物の飼養については、動物の本能、習性及び生理、生態に即した適正な飼養の確保が一般的に困難なことから、限定的であるべきと明記されています。

 この取組において、動物の飼養をどのように限定するのか具体的に示すべきと考えますが、いかがでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のように、生物多様性国家戦略におきまして、野生生物由来の飼養につきまして限定的であるべきだというような旨を記載してございます。

 具体的な措置でございますが、我が国におきましては、まず、外来生物による生態系に係る被害防止の観点から外来生物法、希少種保護の観点から種の保存法、それから、人の生命、身体又は財産への危害の防止の観点から動物愛護管理法、それぞれによりまして、生物種を指定いたしまして、その輸入や飼養等を規制してございます。

 引き続き、最新の科学的知見等に基づきまして、必要な生物種の指定を進めまして、生物多様性国家戦略に掲げた取組を推進してまいりたいというふうに存じております。

坂本(祐)委員 しっかりと取り組んでいただきたいと存じます。

 そして、近年、韓国では、野生動物の利用について、動物由来感染症予防、生態系の保護の観点から、野生動物の管理について抜本的な見直しが行われ、法規制が強化されています。

 具体的な例を挙げると、保全、研究、環境教育の目的で運営する動物園、水族館と、娯楽目的で野生生物との触れ合いを提供するアニマルカフェ等の施設を明確に区別し、後者では、今後、野生動物の展示が禁止されることになりました。また、ペット目的で輸入、流通可能な種を限定するポジティブリストの導入も決定し、現在、対象種の選定が行われているとのことです。

 日本では、娯楽目的の商業施設で野生動物の飼育、展示が広く行われ、一般の飼育者も多様な野生動物を飼育することが可能になっており、こうした現状に伴う希少種の利用や外来種化、動物福祉などの問題が研究者から指摘をされています。

 海外原産の野生動物をアニマルカフェ等で展示、触れ合いに利用することや、ペットとして飼育することに伴う課題は韓国と日本で大きな違いはないかと思いますが、韓国における規制の大幅な強化についてどのように考えるか、政府の見解をお伺いいたします。

務台委員長 白石環境省自然環境局長。

 なお、申合せの時間を経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

白石政府参考人 はい。

 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、いわゆるアニマルカフェにおきます野生生物由来の展示につきまして、韓国におきまして規制強化が図られているということは承知をしてございます。

 我が国の動物愛護管理法におきましては、動物の適正な飼養の観点から、御指摘のいわゆるアニマルカフェ、それから動物園を含めました動物取扱業者が守るべき飼養基準を定めて遵守を求めておりますが、これまでの基準に加えまして、犬や猫につきましては、より具体的な基準を定めた省令が令和三年六月から施行されまして、また、犬や猫以外の哺乳類、鳥類、爬虫類につきましても順次具体化する予定でございますので、韓国を含めた他国の動向も注視しながら進めてまいります。

坂本(祐)委員 質疑を終わります。ありがとうございました。

務台委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、同僚議員始め委員各位に心より感謝を申し上げます。

 さて、私の地元岩手県を含む北東北三県あるいは北海道では、熊の人身被害が相次いでいます。環境省の過去十八年間の全国統計を見ますと、これまで被害件数の最悪は二〇一〇年の百四十五件、被害人数の最悪は二〇二〇年の百五十八人でした。今年度は、まだ途中ですけれども、これらを大幅に上回っており、百九十三件、二百十人に上っています。

 私の実家は岩手県の雫石町というところの駅の近くで、住宅街なんですが、そこから百メートルあるかないかのところにある公民館の前でも、この間、熊が出まして、騒動になりました。

 事ほどさように、熊が人間に危害を及ぼす危険が非常に高まっています。従来とは異なる、いわば異次元の熊対策が必要になっていると私は考えます。その観点から質問させていただきます。

 まず、熊を鳥獣保護法上の指定管理鳥獣とすることについて伺いたいと思います。

 指定されますと、駆除計画を立てた都道府県には交付金が支給されます。現在指定済みのニホンジカ、イノシシに加えて熊を指定することについて、環境省が検討を始めたと聞いておりますが、いつ頃までにその結果が出るのか、大臣からお答え願えますか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 熊類の指定管理鳥獣の指定については、先月十三日に達増岩手県知事を始めとする北海道東北地方知事会から御要望をいただき、これをしっかり重く受け止め、事務方に即具体的な検討を進めるように指示したところでございます。

 他方で、熊類の指定管理鳥獣への指定は、熊類の保護管理上の大きな転換となります。過去には、過度な捕獲や生息地の改変を行った結果、熊類が絶滅又は絶滅の危機に陥った地域もございます。このようなことを繰り返さないためにも、人身被害対策を最優先にしつつ、専門家の意見を聞きながら、必要な対策を科学的に検証し、速やかに実行に移すことが重要でございます。

 現在、各都道府県における最新の熊の生息状況、被害状況等の収集、整理を進めてございます。今後、早急に熊類の専門家による検討会を設置し、指定管理鳥獣への指定の必要性を含め、対策を取りまとめてまいりたいと存じます。

階委員 ようやく熊が冬眠の時期になってきて、検討するのは今しかないと思っていますね。

 そして、先週成立した補正予算でも、環境省所管分では、指定管理鳥獣の捕獲等の事業費で二十三億円が計上されています。他方で、熊対策は七千三百万円にすぎません。二桁違いがあるわけです。早急に熊を指定管理鳥獣に指定して、こうした予算を使えるようにすべきと考えます。

 もう一度、急ぐとおっしゃっていますけれども、冬の間に結論を出すというぐらいのことは言っていただけませんでしょうか。

伊藤国務大臣 私から事務方に対して、熊類が冬眠から明け、活動を開始する頃までをめどに、指定管理鳥獣への指定を含めて必要な対策の方向性をまとめるように強く指示を行っているところでございます。

階委員 冬の間に答えを出しますか。

伊藤国務大臣 前段申し上げたように、これは、生息状況の調査あるいは被害状況の調査、そして専門家の意見、そして自治体の意見も総合的に勘案しなければなりません。私の一存で今即答はできませんけれども、私は、そのようにするように強く指示しているところでございます。

階委員 そのようにするようにというのは、冬の間にするようにということでよろしいですか。

伊藤国務大臣 冬の間という概念が何月までを示すのか、ちょっと微妙でございますけれども、私としては新年度が始まるまでには結論を出してほしいということは強く指示しております。

階委員 答弁ありがとうございました。

 そして、今、環境省では熊対策専門家の緊急派遣事業ということを行っていると伺っております。熊対策の専門家として、鳥獣プロデータバンクなるものに登録した方を都道府県や市町村の要請に応じて派遣する事業だそうです。

 私も昨日教えていただいて、このデータバンクを見ました。熊の専門家は七十六人ぐらいいらっしゃって、その一人一人の情報の中に活動実績のレポートというのが付されている場合があるんですが、熊の専門家については二人しか活動実績のレポートはありませんでした。この情報だけで要請するのはなかなか難しいような気もしますし、また、緊急対策として果たして効果があるのか、ここも疑問です。

 緊急対策として効果があるのか、被害防止につながるのか、この点、大臣、お答えください。

伊藤国務大臣 御指摘のように、鳥獣の保護及び管理については、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に基づき、まずは、都道府県がその対策に係る業務を行うこととされています。

 その中で、環境省としては、熊類の出没対策のマニュアルの取りまとめ、出没時の体制構築や人材育成を支援するモデル事業の実施、関係省庁連絡会議の開催と都道府県への注意喚起の発出などにより、都道府県等の取組を支援してきたところでございます。

 これに加えて、今年の熊の大量出没を受けて、大臣談話の発出による注意喚起を行ったほか、関係道県の取組を緊急的に支援するために、熊対策の専門家を出没地域に派遣する事業の実施、人の生活圏に出没する熊の生息状況調査や捕獲手法の検討、人の生活圏への出没防止対策、市街地等への出没に対する連絡体制の構築などの予算を設置して、都道府県の取組を支援しております。

 私は、熊の専門家の派遣は効果があると思っておりますし、そのことも含めて、熊類の指定管理鳥獣への指定の必要について検討していくことになりますし、必要に応じて熊の専門家を更に増強していく、そのことについてもこれから進めてまいりたいと思います。

階委員 やや緊急ということとは離れるのかなという気がしますが、これも長い目で見れば重要だと思いますので、しっかり進めてください。

 話題を変えまして、熊の駆除に関するクレームの問題をお尋ねしたいと思います。

 先週、今年の流行語大賞が発表されました。そのトップテンの中には、アーバンベアという言葉が入っていました。市街地に出没する熊を指しているんだと思いますけれども、熊の危険というよりも、熊の愛らしさとか格好よさを強調しているようなネーミングに私は感じてなりません。しかし、私どものように実際に熊の危険にさらされている地域では、朝、夜にかかわらず、いつ熊に襲われるか分からない、アーバンベアというよりは朝晩ベアの状況です。

 こういう状況を知らないほかの地域の住民から、熊の駆除について行政機関にクレームの電話やメールが殺到するらしい、こんな話を聞いていますけれども、こうした行為をなくしていくためにも、最初に申し上げました指定管理鳥獣に指定し、捕獲対象にするということを全国に知らしめた方がいいのではないかと思っております。大臣の見解をお願いします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 環境省にも多くの電話が寄せられております。正確なパーセンテージではありませんけれども、ざっと七割が、今おっしゃられたように、熊を殺すなという電話です。熊をちゃんと捕殺しろというのは一割しかありません。事ほどさように、それぞれの都道府県にも、それから私の事務所にも、そのような電話なり連絡があります。もちろん、SNS上もそういうことだと思います。

 それで、私は、環境省として、熊類の対策に関して、まず、そういう電話に関してはできるだけ丁寧に対応しています。はい、はいと聞くだけでなくて、いかに今の人身被害の拡大の中で熊の捕殺が必要であるかということを、そういうクレームの電話にも対応しております。

 その中で、同時に、やはり私自身も発言しておりますけれども、そういう方は、おっしゃられたように、多分、熊が余り出没しない地域の方が多いのではないかなと思いますので、そういう方にも御理解いただけるように、こういう状況の中でしっかりと捕殺あるいは管理が必要だということを申し上げると同時に、先ほどから御指摘がありますように、指定管理鳥獣の指定に関してもなるたけ早く結論を出すようにしたいと思いますし、それから、それと同時に専門家の意見というのをしっかりお聞きして、そこも含めて、科学的見地から必要な情報発信というのを環境省としても進めてまいりたいと思います。

 そしてまた、この機会に申し上げたいんですけれども、自治体やハンターの皆様におかれましては、人身被害を防止し、人と熊類のすみ分けを図るために真摯に捕獲作業等に取り組んでいただいていることに深く感謝を申し上げたい、敬意を表したいと思います。そして、そのことも含めて、クレームの方に御理解をいただくように努めてまいりたいと思います。

階委員 次は、一つ項目を飛ばしまして、鳥獣被害防止のための柵の設置の支援について伺いたいと思います。

 今回の補正予算で、鳥獣被害防止総合対策交付金四十九億円が手当てされた、これは農水省のお話、農水省、いらしていますかね、手当てされた。その中で、広域柵の整備に対する支援というのも含まれています。

 ところで、熊の侵入を防ぐには、ただの柵ではなく電気柵が必要なわけですね。電気柵を造るには、設置にかかる費用だけではなくて電気代もかかります。こうしたことを勘案した場合に、今回の補正予算で熊対策として十分な金額が確保されているのかどうか、この点を伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきましたとおり、鳥獣被害防止総合対策交付金によりまして、鳥獣対策の基本の一つであります侵入防止柵の整備、これに支援できるような措置をしたところでございます。今回の補正予算四十九億円でございますが、それに加えまして、当初予算の方にも同様なメニューを講じているところでございます。

 熊対策につきましては、侵入防止柵もいろいろな種類がございまして、ネット柵、金網柵、ワイヤメッシュ柵、こうしたものもある中で、やはり電気柵が一番効果的であるというふうに指摘をされているところでございます。

 当初予算、この補正予算を合わせまして、熊対策に必要な広域的な侵入防止柵、特に未整備地域に活用いただけるように、我々としてもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

階委員 是非、積極的な整備をお願いします。

 そして、本会議で我が党の鎌田議員も取り上げたことなんですが、熊被害を防ぐためにはハンターの養成を積極的に進める必要があるということで、今取り上げました鳥獣被害防止の交付金とか環境省の指定管理鳥獣捕獲等交付金とか、こうした予算でもってハンターの養成にも使えるというふうに伺っています。是非これは活用していただいて、ハンター養成に努めてほしいということを申し上げた上で、ハンターを養成しても、いざというときに必要な発砲行為をして住民の安全や安心を守ってもらわないと、これは意味がないわけです。

 その観点から、私が、少しネックとなっているのが鳥獣保護法三十八条だと思っています。鳥獣保護法三十八条は、発砲による狩猟行為を禁止する場面として、一項では日の出前、日没後、二項では住居集合地域等、三項では人や建物等に向かって行うというのをそれぞれ禁止しているわけです。違反すると、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金という刑事罰になるわけです。

 しかしながら、これは予算委員会で我が党の徳永議員が参議院の方で取り上げていました。刑法三十七条一項に緊急避難という定めがあります。ここに当たる場合には犯罪は成立しないということになります。

 三十七条一項、要件を見てみますと、三つポイントがあるわけです。現在の危難があるということ。それから、やむを得ずにした行為である、補充性の要件といったりします。それから、生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合であること、これは法益権衡の要件といいます。この主に三つの要件を満たした場合は犯罪が成立しないということなんです。

 警察庁に来ていただいていますけれども、鳥獣保護法三十八条二項の構成要件に該当したとしても、私は、今申し上げました緊急避難の要件も一方で満たすと思っています。だとすると、結論としては三十八条二項の罪は成立しないと思うんですが、逆にお尋ねしますが、今まで三十八条二項の罪がこうしたケースで成立したことがあるのかどうかを教えていただけますか。

和田政府参考人 熊の駆除に関して鳥獣保護管理法第三十八条第二項違反で送致した事例は、過去三年間遡って調査した限りでは把握しておりません。

階委員 ありがとうございます。

 そこで、刑法を所管する法務省にも来ていただいております。昨日もレクで、やはり、相手は熊ですから、まかり間違えば、ちょっとでも発砲をためらえば、自分が襲われる、あるいは周りの住民が襲われるということで、命に関わる問題です。先ほど言いましたとおり、現在の危難であるとか法益の権衡とか補充性とか、緊急避難の要件は当然に満たすと私は考えます。

 これは緊急避難の要件を満たすので、事実上、三十八条二項の罪は成立しないと言っていいんだと思うんですけれども、この点について見解をお尋ねします。

門山副大臣 刑法上の緊急避難の成否につきましては、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断される事柄でございますので、この場ではお答えは差し控えさせていただきます。

階委員 先ほども言いました、今や異次元の熊対策が必要だという中で、やはり、これまではそういう答弁でよかったと思うんですけれども、ハンターも命懸けですよ。そして、命懸けでせっかく住民のために頑張ってくれようとしているときに、いざというときに、この法律の規定が障害となって発砲をためらった結果、重大な被害が生じるということはあってはならないと思うんですね。

 だから、何が何でも不可罰にするというところまで言う必要はないかもしれませんが、原則不可罰であるといったようなことぐらいは言ってもらってもいいんじゃないでしょうか。

 もう一度お願いします。

門山副大臣 委員御指摘のように、刑法上の緊急避難に当たるかというのは、現在の危難であるとか、避難の意思があって、あるいは行為の相当性、いわゆる補充性とか法益権衡といった要件を満たせば緊急避難に当たるということは、これは一般論として申し上げられるんですけれども、それぞれの要件の検討ということは、これは、やはり本当に、収集された証拠によって個別具体的に判断される事柄であるというふうなことでございます。

 したがいまして、緊急避難に当たるケースが、それはこの要件に当てはまるのであれば、これは緊急避難に当たるということは申し上げられるんですが、個別具体的な判断になるということを御理解いただければと思います。

階委員 私も弁護士ですけれども、緊急避難の要件に当たるかどうかを、まさに今、現在の危難に直面しているハンターにその判断を求めるというのは余りに酷ではないですか。そういうところで迷わずに行動できるようにしないと危ないんですよ。これは、現場の状況をよく考えていただいて、ちゃんと答弁していただきたいんですね。

 私は、法務省の官僚にはもうそれ以上の答弁は求めないんですが、今日わざわざ副大臣に来ていただいたのは、まさに国民の代表として、政治家としての答弁を求めたかったからなんですよ。

 どうですか、副大臣、原則不可罰だということを言っていただけませんか。

門山副大臣 大変、繰り返しで申し訳ないんですが、緊急避難に当たるかどうかというのは最終的には裁判所が判断するわけで、特に法務省を所管する立場としては、捜査機関が収集された証拠に基づいて個別的に判断することでございますので、そこは本当に御理解いただければというふうに思います。

階委員 非常に物足りない答弁が続いておりますので、もう最後に、通告はしていませんけれども、これに関して一点、環境大臣にお尋ねします。

 三十八条二項の住宅集合地で発砲してはいけないとか、あるいは、一項は日の出前とか日没後に発砲してはいけない、この条文ができた頃とは状況が大きく変わっていると思うんですね。当時は、熊が市街地に出没するようなことは余り想定されていなかったと思うんですよ。

 ということは、立法事実が変わってきた。ということは、そもそも鳥獣保護法の該当条文を見直していく必要があるのではないか。見直せなくても、法務副大臣が原則不可罰だと言ってくれれば、私もこのことは言うつもりはなかった。

 ところが、さっきのような煮え切らない話なので、どうですか、環境大臣、これは時代に即した検討を行っていくということを表明していただけないでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 今御指摘の鳥獣保護管理法三十八条第二項ですけれども、市街地のような住居集合地域等において銃による狩猟を行うことは禁止している。ただ、これは狩猟なんですね。人身保護、自分の正当防衛を含めてというのは狩猟という概念に当たるかどうかということもよく考える必要もあるかと思います。

 いずれにいたしましても、これは今ある法律でございますので、関係省庁、あるいは、時には、国会は立法機能もありますので、今後、実態に合わせて法改正が行われるかどうか、そこを含めて検討してみたいと思います。

階委員 最後の方でいいことをおっしゃったような気がするので確認したいんですが、法改正を検討したいと思いますとおっしゃったということでいいですか。

伊藤国務大臣 法改正をするかどうかも含めて検討したいと申し上げました。

務台委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

階委員 はい。

 時間が参りました。今日は、東北と北海道が抱える重要な問題について議論させていただきまして、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

務台委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会、空本誠喜でございます。

 今日も発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、やはり地球温暖化対策における我が国の電力の在り方、これについて、大臣そして資源エネルギー庁さんにお聞きをしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 そして、大臣も、COP28にお出かけになる前でございますので、今日の議論もしっかりとさせていただいた上で、正しき御判断をいただきながら、発言をしっかりお願いしたいと思っております。

 私たち日本維新の会は、維新八策二〇二二、維新のマニフェストでございますが、こちらにおきまして、リアリズムなエネルギー安全保障、こういったものを掲げておりまして、やはりエネルギーにおいては安全保障が大変重要であって、例えば、安全性が確認された原子力発電所、それについては再稼働させる、小型炉、高速炉などの次世代の原子力発電所、原子炉については、その実用化に向けての研究開発はしっかり行っていこうではないか、さらに、CCUS、またIGFC、石炭ガス化火力発電、こういった環境負荷が低い、有効的なものについては技術開発を進めながら、その中で最適なものを選んでいこうじゃないか、そういったことを今考えております。

 その中で、COP28、先日、岸田総理が赴かれて、そして御発言をされております。その言葉の中で、排出削減対策の講じられていない石炭火力発電所の新規建設は行わないという発言をされました。排出削減対策の講じられていない石炭火力発電所です。ということは、排出削減対策が講じられている火力発電は、石炭火力はまだまだ新規建設をしてもいいのであろうというふうに読み取れるところでございます。

 まずは、資源エネルギー庁さんとして、この排出削減対策を講じている石炭火力について、どのように今後展開するのか、容認するのか、御見解をお願いします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、先般のCOP28における岸田総理のスピーチにて、排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設を終了していく旨を表明したところでございます。

 排出削減対策の講じられた石炭火力発電所につきましては、建設について特段制約するものではないと考えております。

空本委員 排出削減対策が講じられているものについては、やはり高効率で、CCS、後ほど議論させていただきたいんですが、CCSが現実可能かどうかも含めて考えなきゃいけないんですが、我が国の石炭火力は、やはりすごく優れた高効率なもの、そして、CO2削減もかなり取り組んできたものでございます。

 実際に、石炭火力を見ますと、超超臨界というものについて言えば、二〇二〇年前には大体効率的には四〇%、四五%ぐらいだったものが、今、IGFCという、大崎上島で行っている大崎クールジェン、石炭ガス化燃料電池複合発電、こういったものであれば五五%まで、高効率に持っていっている。

 さらに、CO2削減も、一般的には、日本の場合は、キロワットアワー当たりCO2を何グラム排出するかということなんですが、平均的に、石炭は八百六十三・八ぐらい、しかしながら、IGFCの場合は六百グラムを切ってくる、五百九十台というふうに言われておりまして、やはり高効率な技術がある。

 こういった技術が、最後にまた話をさせていただきたいんですが、やはり我が国だけではなくて全世界的に有効であろうというふうに考えておりますが、そういった点から、大臣、総理が発言されたこのコメントに対してどのようにお考えか、お願いいたします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今年のG7サミットで、排出削減対策が講じられていない新規の石炭発電所の建設終了に向けて取り組んでいくことを合意しております。そして、今回のCOP28での総理の発言は、その合意を踏まえ、我が国の姿勢を示したものでございます。

 これを踏まえれば、文言どおり、排出削減対策の講じられていない新規の石炭火力発電所の建設を今後国として認めることはないということで、今後、国内で新たな排出削減が取られていない石炭火力の建設計画はないと承知しております。

空本委員 ありがとうございます。

 もちろん、排出削減対策の講じられていないもの、古いタイプの火力発電は、石炭火力はやはり誰が見てもこれはやめるべきであって、しかしながら、日本の高効率で、またCO2削減を図っているものについては、しっかりと、国際的に貢献できるという観点からこれは推し進める。

 多分、皆さん御存じと思いますが、一番CO2を出しているのは中国であります。中国が世界の三割弱ですかね、出しておりまして、次にアメリカ、そしてインドとかも出しております。日本も五番目ぐらいでございますけれども、そういった中で、日本ももちろんCO2削減には取り組んでいくべきでありますが、やはり新興国、これから発展するに当たって経済活動をどんどん行っていくとするならば、やはりCO2排出は免れないと思います。

 一番エネルギーとして発電しやすいもの、エネルギーを取りやすいものとしては石炭でございますので、そういった中で、やはり日本のエンジニアリング、技術、こういったものをしっかりと世界にアピールすることが大変重要だと思いますので、大臣には、その点を踏まえて、しっかり御発言をCOP28でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、CCS、二酸化炭素などをキャプチャーしてストレージするというものでございますが、この実現可能性というものについて検討していきたいと思います。

 アメリカなどでは、EORといって、油田の場合は、エネルギーを注入して、CO2を吹き込んで、そしてオイルを取り出す。例えば、数字的には違いますが、一のエネルギーを注入して、CO2を入れる、そしてオイルとして十のエネルギーを取ってくる。十引く一はプラス九でありますが、今回のCCSというものに関しては、得るものがなくて、注入するエネルギー、すなわち、マイナス、赤字の、エネルギー収支としては考え方になると思います。

 そういった意味で、実際、熱力学的に考えて、乱雑さ増大の法則というのがこの世界、宇宙の基礎的なものだと考えますけれども、そのときに、CO2は普通は拡散していきたい、そういったものを、エネルギーを注入、注力して封じ込める、これは自然の摂理にすら反するものなんですね。けれども、やらなきゃいけないというんだったら、やりましょう、しかしながら、自然の摂理には反するような技術であることは間違いないんですが。

 先ほど言いましたEOR、油田等においては、エネルギーを取り出すという観点から進めているものであるけれども、日本の場合は、今、苫小牧、今度視察に行かせていただきます、その中でしっかりCCSのよさとか、また技術、そういったものは優れたものがある、私自身、そういう技術開発については否定するものではない、逆に、推進すべきであろうと思いますが、現実、可能性としてどうなのかということを考えなきゃいけないと思っております。

 そこで、資源エネルギー庁さんの方としましては、このCCSを実現するに当たって、そのエネルギー収支をどのように定量的に今評価されているのか。なかなか難しい、まだまだ研究開発段階であって、これからその見積りも行っていくのかもしれませんが、どのような取組をされていらっしゃるかも含めて教えていただければと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けては、電化や水素化等による脱炭素化を最大限進めても排出されるCO2につきまして、これを回収して地下に貯留するCCSが不可欠だと考えております。

 IEAによる二〇五〇年ネットゼロシナリオに向けた試算でもCCSの必要性が記載されておりまして、また、先般開催されたG7サミットでは、CCSは、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた脱炭素化解決策の幅広いポートフォリオの重要な要素になり得ると位置づけられたところでございます。

 CCSに必要なエネルギーや、またそれに付随するコストにつきましては、CO2の回収、輸送、貯留の方法や実施規模によるところが大きゅうございまして、一概に比較することは困難でございますが、例えば、IEA等の現状の試算によれば、CCSつきの火力発電のコストは、他の脱炭素電源と比較しても突出して高額というわけではないという結果になっております。

 委員から御指摘がございました技術開発の話につきましても、引き続き、コスト削減のために、分離回収技術でありますとか液化CO2の輸送船などの研究開発に取り組んでまいりたいと考えております。

空本委員 御説明ありがとうございます。

 IEA、国際エネルギー機関においても、一応CCSを進めるということは書かれているんですけれども、やはり二〇五〇年のカーボンニュートラルにおいての見込みとして、CCSつき火力発電所は三%ぐらいしか見込んでいないんですね。ということは、やはり余り期待はされていないのかなというところがございます。

 しかしながら、日本は技術は持っているし、今、開発していますので、それを私は否定することはしませんが、実際にある程度の試算を、コスト的なところを含めて、エネルギー収支も含めて、これからエネ庁でしっかりその辺の計算も定量的に行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、もう一点は、我が国はやはり地震大国でありまして、海層中の活断層もたくさんございます。そういった意味では、海底の地層にCO2を注入するということについて言うと、やはり環境影響とか、また、万が一、地震が起きて活断層が割れたりして、そこから噴き出してくる、海洋生物への影響とか、そういったことも考えておかなければいけないのかなと思っております。そういった海洋に対する影響、海であるならば直接的に人的影響は少ないのかもしれませんが、海洋影響、また、近くで漁業をなさる方もたくさんいらっしゃいますし、その地元、そういったところに対する地元同意、こういったものを得ていく必要は今後あるのであろうと思いますが、その点、エネ庁さんはどうお考えでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSでは、地下に貯留されたCO2は砂岩などの貯留層に貯留され、泥岩などによる遮蔽層に浮上を止められる形で長期間にわたり地下に閉じ込められ、最終的にCO2は鉱物化して、安定化していくものでございます。いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、CO2が空気中や海中に漏えいしないようにすることが不可欠でございます。貯留したCO2の安定性を確認するためのモニタリングが重要でございます。

 苫小牧による実証におきましても、井戸の温度でありますとか圧力の変化を監視して、漏えいがないことを確認するとともに、弾性波探査によって、地下におけるCO2の広がりの状況を監視しております。

 現在、CCSの制度的枠組みにつきまして、総合資源エネルギー調査会のカーボンマネジメント小委員会でも議論を行っておりまして、断層の影響につきましても、貯留サイトごとにリスクを適切に評価、管理して、安全性を確保できるよう、世界の先進的な事例も参照しつつ対応を検討してまいりたいと考えております。

 また、地元の御理解といった話もございました。

 CCSを進めるに当たりましては、地域の様々な関係者にCCSの仕組みや安全性につきまして継続的な情報提供を行って、地元の理解を得つつ進めることが重要だと考えております。

 苫小牧の実証につきましても、これは大都市の近傍で行われましたが、地域の理解を得られたプロジェクトとして世界的にも注目を集めております。苫小牧市とも密接に、緊密に連携をして、様々な場面で継続的に情報提供をしているという状況でございます。

 我々は、本年三月にCCS長期ロードマップを取りまとめておりますが、この中でも、地域の理解が必要不可欠というふうにしておりまして、今後も、関係する地方公共団体としっかり連携しながら、丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。

空本委員 万が一があってはいけないので、そういった意味で、環境対策といいますか、環境影響評価並びにそういうモニタリング、やはりちょっとそういった面でコストがかかってくるのかなと思っておりますので、そういったものも含めて、経済合理性、こういったものを考えていただきたいと思っております。

 続きましては、政府が進めようとしていますアンモニア、水素でございます。

 まずは、アンモニアの方から。

 アンモニアとしては、やはりアンモニアを生成する場合と、またアンモニア発電をする場合、そういった両方の側面から窒素酸化物を、また二酸化炭素を生成する、排出するということはございます。そういった意味で、窒素酸化物の場合は、やはり環境への、光化学スモッグ、こういった影響でございますし、CO2、これ自身も地球温暖化、温室係数としてはかなり考えなきゃいけない。中に、やはり一酸化二窒素の排出もあり得る。これは、二酸化炭素よりもはるかに、三百倍ぐらい温室効果係数が高いといいますか、そういったガスも含まれてくる。

 こういった発生する二酸化炭素、二酸化窒素、窒素酸化物、一酸化二窒素、こういったものについての量的なものをどのように把握されていらっしゃるのか、その有害性をどのように認識されているのか、また、その有害性についてどのように把握されているのかということを、まずは、エネ庁さんから御説明をお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、有害物質の中でも、窒素酸化物の一つである一酸化二窒素は、二酸化炭素の二百九十八倍の地球温暖化係数がございます。その排出を防いでいくことが非常に重要だと思っております。

 アンモニア混焼の中で、一体どの程度その窒素酸化物あるいは一酸化二窒素が出てくるのかというのは燃やし方によって変わってまいりますので、現状、政府としても、企業の方々と一緒に、どういう形で燃やすとどれだけのppmで出てくるのかといったような検証をしているところでございます。そういった意味では、アンモニアの混焼はいまだ商用化には至っておりません。

 現状、技術開発途上でございますが、その技術開発につきましては、窒素酸化物の排出を低減させる、既に、アンモニア二〇%混焼時には排気中の窒素酸化物の値を石炭専焼時と同等に保つ技術は確立されております。さらに、弊省といたしましては、グリーンイノベーション基金を通じまして、五〇%超の混焼あるいは専焼時に窒素酸化物の発生を、先生御指摘のとおり、抑制しつつ発電を行うといったような技術開発を支援しているところでございます。

 こうした取組をしっかり進めていきたい、かように考えてございます。

空本委員 環境省さんの方から御説明いただこうと思ったんですが、大臣の方からまとめて、今のアンモニア、水素発電についてどのように今後環境省としてお考えか、簡単で結構でございますので。

伊藤国務大臣 アンモニア混焼については、今委員御指摘のように、NOxやN2Oなどの増大など、環境保全の観点から非常に大きな課題があるというふうに考えております。

 このため、今説明がありましたかもしれませんけれども、経済産業省においては、グリーンイノベーション基金などを活用して、一酸化二窒素を含む窒素酸化物の削減に対応した高混焼、専焼バーナーの開発等の技術開発を進めていると承知しております。

 環境省としても、アンモニア混焼時における窒素酸化物の濃度を従来型の石炭火力発電からのばい煙と同程度まで抑制して、大気汚染防止法の排出基準を満たす技術について、現在、実測によって確認を行っているところでございます。

 二〇五〇年のネットゼロに向けて、環境に適切に配慮された脱炭素型のアンモニア発電が導入できるように、経済産業省と連携しながら、引き続き進めてまいりたいと思います。

 水素についてもお答えした方がいいかどうかでございますけれども、お答えすることにしました。

 水素についても、いろいろな側面がありますけれども、短くということでございますので、まずは、鉄鋼分野を含めて、需給両面から取組を促進していくことが必要だと思います。

 それから、色分けでグリーン、ブルーということではなくて、CO2の排出量を基準とする炭素集約度、そういう目標を国際的に遜色のない水準に定めて、それに適合した水素の導入を推進していくという必要があると思います。

 両方併せて申し上げれば、環境省として、総合的に考えて、関係省庁と連携の下、地域水素サプライチェーンのモデル構築を推進してまいりたいと思います。

空本委員 ありがとうございます。水素もしっかりとと思いまして。

 じゃ、エネ庁さんの方から。水素の生成において、グリーン水素が一番望まれるところでございますけれども、国内で太陽光、こういった再生可能エネルギーから作ってくるというのは、国土の面積、そういったものからすれば、やはりある程度限界があるのかなと。やはり最終的には、オーストラリアでメガの、すごく大規模プロジェクトが行われていまして、そこから液化グリーン水素という形で輸入してくるのが最も効率的なのかなと思いますが、その辺をどのようにお考えか。また、グレー水素の件についても併せて御回答をお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 グリーン水素でございますけれども、まず、国内で作っていく上では、やはり、残念ながら、まだ再エネ価格が高うございますので、その点の課題に直面しております。また、国内で作れるところというのは小規模であるといったような課題もございます。

 一方で、エネルギー安全保障の観点からいえば、純粋な国内エネルギーにもなるということで、これをどうやって進めていくかというのを我々としても考えているところでございます。

 コストは、やはり海外に比べると、委員御指摘のとおり、高くて、輸送費を含めても、場合によっては海外から持ってくる方が安いかもしれないという見立てになっております。

 海外からのものにつきましては、今、日本国内では大体ノルマル立米当たり百円の水素コスト、供給コストと言われておりますが、現状、海外から持ってくる場合でも、二〇三〇年には三十円・ノルマル立米を目指しておりまして、二〇五〇年には更にそれを下回るという形で、できる限り安価で大量な水素を獲得していくという点も併せて行っております。

 ちなみに、国内も、先ほど申し上げたとおり、コストは現状高うございますけれども、IEAが今年四月に公表したレポートでは、日本でも、二〇二一年の水素製造コスト、これが二〇三〇年には三分の一程度になるという見通しはございます。

 我々としては、こういうものは机上の空論ではいけないので、しっかり技術開発をして実現できるように考えていきたいと考えてございます。

空本委員 今、製鉄業などで、普通の製鉄をするというのでは、やはりCO2の問題があるんです。したがって、水素を使っていこうという流れもございます。そういった中では、できればグリーン水素を使うというのが望ましいところでありますが、グレー水素がやはりそこで一番必要かなと。先ほどもう大臣の方からお答えいただきましたので、ありがとうございます。グレー水素もある程度容認せざるを得ないのかなと。ただし、そのときには、後ほど申し上げますが、IGFCといったような高効率な石炭とか火力とか、そういったものと合わせながら、ミックスして新しい技術として提供する、こういったものが一番望まれるのかなと思っております。

 ですから、私としましても、現実的に製造業を維持する、製鉄業を日本で維持していくためには、やはりグレー水素の生成、これを効率的かつしっかりCO2の排出を抑えながら、削減しながらという環境づくり、こういったものが大切なのかなと思っております。

 そして、最後になりますけれども、やはり、先ほど一番最初に申し上げましたが、国際的に見てCO2を出している国は、中国、アメリカ、ロシア、インド、そして我が国でございます。

 そういった中で、我が国の場合は、原子力、再エネをもう少し上げることによって、今、日本の排出は年間十億万トンぐらいですかね、二酸化炭素としては。やはり二〇一〇年代は十二ないし十三億万トンぐらいありましたけれども、若干下げている。それを原子力に置き換えていくと更に下げることができる。そういう努力をすることも大事でありますし、また、石炭からの火力、日本は結構頑張っているとは思うんですけれども、やはり海外のCO2削減、こういったものを進めていくことが大事かなと思っております。

 今、超超臨界、USC、そして日本の石炭ガス化、コンバインドでの複合発電、若しくは石炭ガス化燃料電池複合発電、こういったものはすごくすばらしいものであります。そういったものを含めてしっかり行っていく。そして、グレー水素も、IGFC、IGCCでは、石炭を蒸すことによって水素が発生します。水素は、やはりグレー若しくはブルー水素として活用できるというものでありますので、そういったものもしっかり効率的に活用するというのも大事じゃないかなと思うんですが、まず、エネ庁の方から、この取組についてどう認識、どのようにお考えか、御説明をお願いします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 新興国などの話もございました。石炭火力発電の輸出につきましては、二〇二一年六月のG7コーンウォール・サミットにおける首脳コミュニケにおきまして、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を二〇二一年末で終了しておるところでございます。

 その上で、IGCCやIGFCは、高い発電効率と環境性能を誇る次世代型の火力発電システムでございます。

 我が国としては、新興国の事情やニーズを踏まえつつ、カーボンニュートラル実現に向けて、あらゆるエネルギー源、技術を活用した現実的な二酸化炭素排出削減に向けた対応をしていきたいと考えておりまして、こうしたエネルギートランジションを資金面、技術面、人材育成面から積極的に支援してまいりたいと考えております。

 また、グレー水素の話もございました。IGCCやIGFCなどに活用される石炭ガス化技術は、水素と一酸化炭素を主とするガスを生成する技術でございまして、このプロセスで発生した水素を利用することは、水素利用の選択肢の一つであると認識をしております。

 他方、カーボンニュートラル社会の実現に向けては、永続的にCO2を処理していない水素を使い続けることは適切ではないと考えておりまして、インフラ整備や技術開発などの進展状況を見つつ、製造方法の効率化等を通じたコスト削減にも取り組み、水素全体のクリーン化を進めてまいりたいと考えております。

空本委員 ありがとうございます。しっかりとお願いします。

 そして、最後、大臣に、こういった技術、これはやはりCOP28でしっかりと大臣から世界に訴えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 しっかり訴えてまいりたいと思いますが、今の御質問にもっと端的にお答えすれば、資源エネルギー庁の御認識のとおりでございますし、その上で、電力部門の脱炭素化を実現するためには、火力発電の脱炭素化のみならず、再エネの導入拡大を進めることが必要でございます。これは、もちろん、先進国のみならず、途上国、新興国を含め、できるだけ早く、できるだけ大きな排出削減を実現することが極めて重要でございます。我が国は優れた脱炭素技術を持っておりますので、世界の温暖化阻止に対して貢献してまいりたいと思います。

 環境省としては、これまでも二国間クレジット制度、JCM、これを通じて、太陽光などの再エネ導入拡大を促進してきております。これは、相当、関係する国、プロジェクトは増えてきております。脱炭素へ向けた多様な技術協力の普及拡大に引き続き貢献し、そして、世界の、地球の環境が、皆さんが協力して壊れないように、そういうことがもたらせるCOP28をつくるために先導的な役割を果たしてまいりたい、そのように考えております。

空本委員 しっかりお願いいたします。

 そして、もう一点、最後に一言だけなんですが、再生可能エネルギー導入は賛成でございます。ただし、ソーラーパネル、太陽光のパネル、この廃棄物問題がこれから大きな問題となってきまして、今、やはり業者さんはございますが、そこで持て余す状況でございます。そういった意味で、造られ過ぎた太陽光パネルでございますので、その廃棄物対策、これをしっかりお願いします。

 今日は、ありがとうございました。

務台委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.