衆議院

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第2号 令和6年3月12日(火曜日)

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令和六年三月十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 務台 俊介君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 小倉 將信君

   理事 堀内 詔子君 理事 馬場 雄基君

   理事 森田 俊和君 理事 奥下 剛光君

   理事 鰐淵 洋子君

      井上 信治君    井上 貴博君

      石原 正敬君    稲田 朋美君

      加藤 竜祥君    金子 容三君

      菅家 一郎君    国定 勇人君

      熊田 裕通君    笹川 博義君

      宮澤 博行君    柳本  顕君

      鷲尾英一郎君   大河原まさこ君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      松木けんこう君    屋良 朝博君

      杉本 和巳君    空本 誠喜君

      林  佑美君    中川 康洋君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    伊藤信太郎君

   環境副大臣        八木 哲也君

   環境副大臣        滝沢  求君

   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   松下  整君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         中  裕伸君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           須田 俊孝君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       小林 洋子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           大島 英彦君

   政府参考人

   (林野庁次長)      小坂善太郎君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  長崎屋圭太君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  秦  康之君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           鑓水  洋君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山野  徹君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     加藤 竜祥君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     石原 正敬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

務台委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官松下整君、内閣府食品安全委員会事務局長中裕伸君、警察庁長官官房審議官親家和仁君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、厚生労働省大臣官房審議官須田俊孝君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長小林洋子君、農林水産省大臣官房参事官大島英彦君、林野庁次長小坂善太郎君、林野庁森林整備部長長崎屋圭太君、環境省大臣官房審議官飯田博文君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長秦康之君、環境省水・大気環境局長土居健太郎君、環境省自然環境局長白石隆夫君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君、環境省総合環境政策統括官鑓水洋君、防衛省地方協力局次長山野徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

務台委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊藤忠彦君。

伊藤(忠)委員 おはようございます。一番バッターで大臣所信の質疑をさせていただきます、自由民主党の伊藤忠彦でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 最初に、ちょっと所信の中に入っていたかどうかは別といたしまして、とても大切なことだったと思いますので、そのことについて大臣の御経験をお話しをいただければありがたいと思います。

 それは何かと申しますと、昨年の十二月、アラブ首長国連邦・ドバイで開催をされました、伊藤大臣とされましては初めて大臣として御参加をいただいた温暖化COPだったと思います。この委員会もCOP28の開催後初めての委員会になりますので、是非、行かれましたことにつきましても委員のみんなに聞かせてさしあげていただきたいということで、質問をさせていただきます。

 今回、まず最も私が驚きましたことは、議長を務められました方が、何とUAEの産業・先端技術大臣でもあり、しかも再生可能エネルギー企業の大手であるマスダール社の創始者であり会長を務められているということですが、そしてまた、アブダビ国営石油会社のCEOを務められているというジャーベルさんであったと思います。

 まず、そこで、COP28の議長がこうした幾つかの、これを併せて考えなきゃいけないような大変複雑な顔を持つアラブ首長国連邦の大臣であることにつきまして、伊藤環境大臣はお会いをなされた感想も含めて、COP28の交渉全体に対し大臣はどんな感想を持たれたのか、そしてまた、あわせて、COP28の場で我が国として何を提案をされ、そして世界にどのようなメッセージを御発信をいただいたのか、そのことについて、まずお聞きをしたいと思います。よろしくお願いします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 ジャーベル議長とは事前にというか、日本にいらしたときに既にお会いして、一時間くらい会談して彼の考え方あるいは人となりをある程度知った上で、COP28の場でも二者会談も行ったところでございます。

 今御案内のように、ジャーベル議長は、複数のキャップといいますか、立場を持っておられますけれども、議長として非常にバランスの取れたリーダーシップを発揮されたと思います。

 COP28、百九十六の国、団体等が参加しておりまして、それぞれ多くの違う意見が出る、ややもすると、バイファケーションといいますか、二項対立が起きがちな会議でありますけれども、最終的に、ジャーベル議長のリーダーシップもあり、全会一致でデシジョンを発出できたということは大変よかったろうと思っております。

 そういうことで、意見や立場の違いを乗り越えて、一・五度目標達成に向けた緊急的な行動の必要性について合意ができて、全会一致でデシジョンを出したわけであり、それは非常に有意義だったと思います。それから、今の話とちょっと重なりますけれども、複数の確かに立場がありますけれども、議長としてバランスの取れた合意を主導されたというふうに私は印象を持っております。

 私も、四十を超える二国間会談あるいは閣僚級の公式、非公式の会談に出て、積極的な発言をしたところでありますけれども、私の主張は、基本的には、地球環境が壊れれば、国を問わず、地域を問わず、あるいは立場を問わず、全員がどの地域も国も困るわけですから、この一・五度の目標を達成するために全世界が協力すべきだ、確かに、国によって経済状況、資源の状況、あるいはエネルギーの在り方が違うわけでありますけれども、それを乗り越えてできる限り協力するということを強く申し上げました。

 その中において、日本は、JCMとかいろいろな、パリ協定の六条とかありますけれども、できる限りの経済的あるいは技術的な協力もしていくし、先導的な立場を私が取れたかどうか分かりませんけれども、そういうふうに積極的な立場で今回の合意にこぎ着ける一つの役割を果たせたのではないかなと思っています。

 それで、今申し上げたように更に具体的に言えば、一・五度目標に向けた着実な排出削減を行っていくことに加えて、一・五度目標に向けた世界の連帯の重要性、二〇二五年までの世界全体の排出量のピークアウト、全ての温室効果ガスを対象とした総量削減目標の設定等を一貫して主張したわけでございます。

 さらに、投資促進パッケージの発表や日本パビリオンにおける約四十件のセミナーや十五件の展示、これを通じて日本の技術が途上国の排出削減や適応策の促進に貢献していく、このことも強くお示しいたしました。これらの発信に対して、多くの国から賛同いただけるものというふうに認識しております。

伊藤(忠)委員 今大臣から、二〇二五年のピークアウトに向けてというお話もいただきました。

 そもそも、このCOPの中でどうしても我々が忘れられないことは、大木大臣が京都議定書を取りまとめて、大変苦労されながら、そこから我々はスタートをしていき、毎回毎回の会議で示すことを示させていただきながら、大混乱もありましたけれども、よくぞここまで来たものだということで、是非強い力で、また、伊藤先生を始め大臣がしっかりと世界に向けてタッグマッチでやっていただきたいものだというふうに思います。

 今回の会合の成果を踏まえて見えてきた先々の課題、そしてまた、ピークアウトに向けますが、二四年の今年の十一月にもアゼルバイジャンで開催されるCOP29に向けまして、我が国がなすべきことは何かということについて、もしございましたら、大臣の方から御説明をいただければ幸いです。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回のCOP28では、一・五度目標と現状のギャップを踏まえ、世界全体で再エネ発電容量を三倍、エネルギー効率改善率を二倍とすることなど、各国が具体的に取るべき行動が示されるとともに、一・五度目標に整合した次期NDCを策定することについて合意がされたところでございます。

 これらを踏まえて、COP29に向けては、一・五度目標に向けた実施を促進することや、パリ協定における各国の取組に関しての進捗状況の報告が行われることが重要でございます。

 我が国は、排出削減目標の達成に向けて、着実に実績を積み重ねてきております。引き続き、対策、施策をしっかり進めること、そしてまた、途上国に対して、ネットゼロの目標の策定やNDCの進捗状況の報告に係る支援を充実させるなど、全ての国と一致団結して気候変動対策を着実に進めていくということが重要だというふうに考えております。

伊藤(忠)委員 ありがとうございました。

 それでは、環境省の今国会におけることについても伺わせていただきたいと思います。御提出いただく三本の法案のことについてでございます。

 今国会で、ネイチャーポジティブ、気候変動対策、サーキュラーエコノミーの三本の法案を提出する予定だと伺っております。本日は、今後の各法案の審議に入る前に、これらの法案を提出する背景、そして目的、さらにはその意義についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、ネイチャーポジティブについてでございます。

 我が国は、二〇三〇年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる、すなわち、ネイチャーポジティブという目標を上げております。この目標は、二〇二二年にカナダで開催をされました生物多様性COP15で採択をされた昆明・モントリオール生物多様性枠組の考え方を踏まえたものであると承知をいたしております。

 まず、この枠組みを理解するためにも、その前身でございましたのは、日本が議長国を務めたCOP10でございます。これは私のおります愛知県で開催をされたものでもございまして、当時は愛知目標と言われましたが、愛知目標に比べまして、今回の昆明・モントリオールでの目標、枠組みは何がどのように変わったのか、御説明をいただきたいと存じます。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな枠組みでございます昆明・モントリオール生物多様性枠組におきましては、愛知目標が位置づけられている生物多様性戦略計画二〇一一―二〇二〇における二〇五〇年のビジョン、自然と共生する社会を引き継ぎながら、新たに二〇三〇年のミッションとして、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させるという、いわゆるネイチャーポジティブの考え方が掲げられてございます。

 この目標を実現するための方策といたしまして、二〇三〇年までに陸と海の三〇%以上を保全するサーティー・バイ・サーティー目標や、劣化した自然地域の三〇%の再生、ビジネスにおける影響評価、情報公開の促進に関する目標など、愛知目標をより強化した目標が掲げられてございます。

 また、新たな枠組みでは、より多くの数値目標や目標ごとの進捗を評価する指標が設定されるなど、枠組みの着実な実施に向けた仕組みも強化されてございます。

 この枠組みを踏まえて、我が国におきましても、昨年三月、生物多様性国家戦略を改定いたしまして、ネイチャーポジティブの実現やサーティー・バイ・サーティー目標に加え、企業や地方公共団体等のあらゆる主体の参画の重要性などを盛り込み、取組を進めているところでございます。

伊藤(忠)委員 今回の法案について、ネイチャーポジティブの実現に向けて、民間事業者、そしてまた地方の行政体が巻き込まれて、その取組を促進していくことを柱としているということについては承知をしました。

 今回の法案で民間事業者の取組を促すことを対策の柱に位置づけたのはなぜなのか、そしてまた、この法案の制定によって企業行動にどのような変化をもたらすことを期待をされているのか、是非お聞かせをいただきたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 昆明・モントリオール生物多様性枠組におきますビジネス関係の目標や情報開示の国際的な枠組みを始めといたしまして、企業経営におきます生物多様性に関する取組への期待、要請は、日に日に大きくなっているところでございます。

 実際に、環境省において進めております自然共生サイトにおきましても、企業関連の認定が全体の六割程度を占めてございます。

 ネイチャーポジティブの実現に向けては、こうした大きな潮流を捉え、更に加速化していくために、企業によります生物多様性増進の活動を促進していくことが必要不可欠でございます。

 今回の生物多様性増進活動促進法案の制定によりまして、国がネイチャーポジティブという国際的な考え方とも整合した形で企業等の活動を認定し、企業は、その活動の価値や意義を客観性を持って対外的に発信できるようになるということでございます。

 関係法令の手続のワンストップ化、簡素化の特例とも相まって、企業による生物多様性増進の活動がますます活発に実施されますよう、積極的に施策を講じてまいります。

伊藤(忠)委員 私たちの国の企業が、世界にあっても、このことを評価の基準として見られるということがいかに大切なことかということを改めて共有をされて進んでいっていただけるように、よろしくお願いを申し上げます。

 続いて、サーキュラーエコノミーについてお話を伺ってまいりたいと思います。

 日本語で循環経済は、廃棄されたものは資源である、経済活動の中で資源を最大限循環させていくという発想であります。

 環境省が実施に向けて全力で取り組んでいただきました、東京オリンピック・パラリンピックでのアスリートに授与をされたメダルは、全てリサイクル金属で作製をされたものだったということを記憶しております。

 私も、それに関わらせていただきました。全国津々浦々、自治体やいろいろな方々にお話をさせていただきに参りました。日本の全国にそうしたことで回収のボックスを置かせていただき、全国津々浦々の国民の皆様方から使用済小型家電を集めさせていただき、それに含まれる金属を抽出し、メダル作製をするというもので、国民の皆様方が、まさにこのオリンピックに自ら参加をしていただいたということを明かした。最終的には六百二十一万個の小型家電が供出されて、約五千個分のメダルに必要な金属を抽出することができたと思います。これは、オリンピック競技大会の史上初めての取組でもございまして、海外からも多くの賛同の声をいただいたと承知をしております。

 まさに、サーキュラーエコノミーを官民連携で取り組んだ好事例であるメダルプロジェクトのような取組を出発点にしていただいて、前に前にと進めていくべき大切な取組であります。もうごみはなくなったんだ、ごみではない、資源物であるということをみんなで共有していくことが大切なところだと思います。

 そこで、我が国の資源循環の取組を進めてまいりますために、環境省としてどのように取り組んでいくのか。特に、廃棄物は今やごみではなく、今申し上げましたが、廃棄物という言葉を使わないで、循環資源という言い方で、価値があるものとして政策の中に位置づけていくべきであると考えますが、環境省の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

伊藤国務大臣 委員御指摘のとおり、循環型社会は大事であります。この循環型社会の形成に向けては、持続可能な形で資源を効率的、循環的に有効利用する循環経済への移行を推進する、このことが極めて重要であるというふうに考えております。この考え方を踏まえれば、委員が御指摘のとおり、廃棄物は単なる廃棄物ではなく重要な資源である、このように考えております。

 本年夏頃の策定に向けて検討を進めております第五次循環型社会形成推進基本計画においても、循環経済への移行を前面に打ち出す、すなわち、廃棄物等を可能な限り循環経済として活用し、付加価値を生み出していくことを目指す方針で検討を行っているところでございます。

 この計画に基づき、関係する様々な主体との連携を進めることで、循環資源の利用を促進して、循環資源の付加価値の源泉にできるように、しっかり環境省としても取り組んでまいりたい、そのように考えております。

伊藤(忠)委員 さらに、この循環経済を産業の競争力にしていく、確保していく視点から、国際的な資源の需給の逼迫などに対応しながら産業が持続的に発展していく観点からも、重要となってきていると理解をしております。実際、様々な企業様が、既に、鉄鋼、銅、アルミ等々、大変大きな量を循環させることをやろうとしておりますし、やっております。行政の側といたしましても、そのような視点、観点を踏まえながら、民間企業等の資源循環の取組の後押しをもっともっとしていただく必要があるのではないかと思います。

 こうした中、現在、資源循環分野における新たな法律案の提出が検討されております。今国会の提出予定と聞いております。

 ついては、新たな法律の具体的な内容と、その法律によりどのようなことが可能となるのか、また、将来に向けて、新しい経済社会の実現に向けましてどのような変化をもたらすことができるのか、そのことについてお答えをいただければありがたいと思います。

伊藤国務大臣 先ほどの私の発言の中で、廃棄物等を可能な限り循環資源として活用するというところを、循環経済と言い間違えましたので、訂正させていただきます。

 今の御質問に対しては担当から答弁させます。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 検討中の資源循環に関する新たな法律案は、再資源化の取組の高度化、資源循環産業の発展を目指すものでございます。

 法律案の具体的な内容につきましては、現在、政府部内で検討中ではありますが、環境大臣が再資源化の高度化を促進するために道筋を示すことによって、廃棄物処分業者の全体的な底上げを図ることを検討しております。

 また、先進的で高度な再資源化の取組を対象に環境大臣の認定制度を創設し、国が認定を行うことで、廃棄物処理法に基づく自治体ごとの許可を不要とし、手続を迅速化することを検討しております。これにより、資源循環に取り組む意欲的な事業者の全国的な事業展開の後押しを進めてまいりたいと考えております。

 さらに、将来的には、この検討中の法律案によりまして、資源循環を通じた脱炭素化といった環境保全のみならず、資源の安定供給の確保による経済安全保障、再生材の質と量の確保を通じた産業競争力の強化、地域の廃棄物処理業者の活性化による地方創生等の社会課題の解決にも貢献できるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

伊藤(忠)委員 まさに、環境省が、経済産業省とともに新しい経済をしっかりと支えていく新たな役割をこれからしていかなければならない、そういうときを迎えた、そのように感じさせていただきました。是非、みんなで努力をしていただきたいと思います。

 最後に、気候変動についてお伺いをさせていただきます。

 持続可能な社会の構築のためには、行政からの働きかけや個人の取組だけではなく、企業による取組やビジネス活動を経済と環境を両立されたものに変えていく、そして、環境をビジネスチャンスとして企業が取組、活動を進めるということを通じてよりよい経済社会をつくり上げていく、まさに今私が申し上げたところでございます。

 また、物づくり大国である日本は、技術の強みを生かして、アジアの地域で気候変動対策を進めていくという視点も重要でございます。

 昨年八月には、日・ASEAN友好協力五十周年を契機といたしまして、日本でもASEAN諸国と様々な政策対話が進められたと承知をしております。

 十年前、日本国政府が、なかんずく経済産業省の先導の下に、当時の大臣と総理が一緒になって、ERIAという組織をインドネシアのジャカルタに本部を置いてスタートさせました。これが大変、各国の様々なレベルの人たちが集まって、ASEAN各国に対し、政策の提言をさせていただいている組織になりました。

 今、環境省は、予算と人を出しておられると伺っております。ASEANへの環境政策、特に海ごみ、プラスチックの対応等の協力に大変役割を果たしていると伺っております。

 昨年は、環境省でも、閣僚級の対話やASEAN諸国での環境分野に関する官民一体の関係の中で、新たに環境に優しいASEANの創出を促す関連のイベントも開催されたと承知をいたしております。

 そこでなんですけれども、環境省が気候変動対策における企業の役割をどのように捉え、また、今回の法改正の中で、この内容の中で、そうした企業の役割、取組をどのように促進することができると考えておられるか、そこを是非お伺いをしたいと存じます。お願いします。

秦政府参考人 ネットゼロの実現に向けまして、企業が国内外の気候変動対策において果たすべき役割の重要性、これは一層増していると考えております。特に、二国間クレジット制度、JCM、こちらについては、脱炭素市場の創出を通じました我が国企業の海外展開に貢献するものとして、政府としても企業の積極的な参画を強く期待をいたしてございます。

 今回の地球温暖化対策推進法の改正案は、パリ協定に基づく温暖化対策、温暖化ガス削減目標の確実な達成に向けまして、特にJCMについて、政府に代わりクレジットの発行や管理等を行うことができる指定法人制度を創設し、これらの実施体制を強化する措置を講じようとするものでございます。

 これによりまして、企業がJCMプロジェクトを円滑にかつ安定的に実施できるようにする。そしてまた、政府は、パートナー国の増加や、あるいは新規プロジェクトの形成に対して注力をしていく。こうした役割分担を踏まえてJCM関連の市場を拡大させていくとともに、今後、民間資金を中心とするJCMプロジェクトの組成のガイダンスの活用を促すこと、こういったことを通じて、企業による更なる取組を促してまいりたいと考えております。

伊藤(忠)委員 この十数年の間に、地球温暖化対策を始めとする環境分野における企業の意識、取組は随分変わったと思います。本当に環境省がよく導いてきたというふうに思います。それに併せまして、今回の三つの法案、こうした変化を端的に象徴している法案が三本出てきたと受け止めております。

 引き続き、環境省におかれましては、企業を含め、あらゆる自治体、主体を巻き込みながら、環境保全だけではない、産業の振興、地域の活性化、新時代の経済を引っ張っていくという役割をしっかりと担っていただきたいと思います。目指す施策を次々に展開をしていただきまして、持続可能な社会の構築に向けて更なる努力を積み重ねていただきますことをお願いを申し上げて、私からの質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 今日は、伊藤大臣の所信の表明に当たって質問させていただくということでございます。

 私も立憲民主党に所属をしておりますが、私どもの党の中でも、政権に就かせていただきましたらこうした施策を進めていきたい、こういうふうにしたいということで、次の内閣というのをつくっております。その中で、私が環境部門を担当させていただいているわけであります。そういう中で、幾つか考えることを質問させていただきたいと思います。

 まず、災害時における廃棄物行政ということであります。

 今年一月一日に能登半島地震が起きました。本当に、改めて、亡くなられた方に哀悼の意を表し、避難されている方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、こういう中で、残念ながら、廃棄物といいましょうか、生活用品として使ってきたものが、これが災害によって使えなくなるということであります。これを廃棄物と呼ぶのは本当になかなか難しいといいましょうか、心にひっかかるところもあるわけでありますが、災害廃棄物ということで言わせていただきたいと思います。

 かつて民主党政権のときに東日本大震災がありました。当時、私も環境副大臣を担当させていただいておりまして、震災の結果出た廃棄せざるを得なくなったものの処理ということに当たらせていただいたわけであります。そういう中で、本当にこうした行政が大変重要だ、そして難しい側面があるということを今回の震災で改めて認識をしているところなんですね。

 それで、今回、被災地に入った方からの報告で、通常使っている施設などが使用できない、ストックヤードの確保が困難だ、こういう報告を聞かせていただいているところであります。改めて、平時からのリスクの分散が求められている、こういうことだと思うんです。

 東日本大震災以降、大規模災害が起きたときが、残念ながら増えているわけですね、日本は。今後も首都直下型地震や南海トラフ地震などの発生が予想されるわけであります。こうした中、こうした廃棄物を安定的に処理するためには、できれば各県に一か所、少なくとも、例えば衆議院の選挙区がありますが、そうしたところのブロック単位といいましょうか、一定の大きさの単位の中で何か所かで、自治体として、廃棄物行政、かなり民間委託をされているところが増えてきているわけでありますが、こうした民間委託をしないで自治体でしっかりと一定程度ベースというものを確保するべきではないかと思いますが、いかがでありましょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 廃棄物処理法では、市町村は、災害廃棄物を含め、一般廃棄物の処理を統括する責任を有してございます。このため、市町村では、平時から都道府県と連携しつつ、民間事業者とも協力して、関係者間での連絡体制の確立など、災害時も含め、一般廃棄物処理を安定的に継続するための必要な体制を確保する必要がございます。

 今回の能登半島地震においても、災害廃棄物処理支援ネットワーク、Dウェーストネットを活用し、自治体からの職員派遣だけでなく、民間事業者にも協力いただきながら、災害廃棄物の迅速な処理に向けて取り組んでいるところだと承知しております。

 環境省としては、災害廃棄物の適正かつ円滑、迅速な処理のためには、市町村と民間事業者を始めとする関係主体との連携を緊密にすることが重要であるというふうに考えておりまして、環境省が策定しております災害廃棄物の処理に係る通知等においてもその点を記載しているところでございます。今後も市町村が適切に役割を果たすことができるよう、必要な技術的支援を行ってまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 廃棄物行政は地方自治が担うということになっているわけでありますけれども、やはり国の、今大臣もお答えいただいたわけですが、国全体として、そしてまた、今申し上げたように、災害というのは一つの地域だけで起こる、自治体で起こるわけではなくて、広域で起こって、自治体をまたぐことも多いわけでありますし、またぐことがほとんどだと思うんですね。そういう意味で、ある自治体で起きた災害廃棄物を隣に運んでいくとか、そういうこともあると思います。

 そういう意味では、きちっと国が方向性を出してやっていただきたいと思いますし、今大臣は、廃棄物が民間委託されているところもあるけれども、国として自治体と連携してしっかりとやっていくということであると理解をしております。

 今回、能登半島地震が起きて、災害廃棄物のことで環境省も大変に御尽力をいただいているところであります。今もお答えの中にありましたが、自治体も被災していますから、環境省から職員の人を派遣していただいて現地で対応に当たっていただいている。たまさか私の秘書官であった職員さんも石川の出身だということで、たまたま地元に帰っていたところでそのまま支援に入ったということを聞いておるところであります。

 さて、全国の清掃工場の多くは、二十年前、ダイオキシン対策に伴って一斉に建て替えられたということであると思います。建て替えの更新時期が重なったわけですね、ダイオキシン対策ということで。そういう中で、焼却炉の建設コストが高騰している、昔の二倍近くになっていると聞いております。

 災害対応時のリスク分散や収集、運搬の時間などを踏まえた施設の在り方と、安定的に処理できる施設整備に向けた予算確保と体制が重要と考えますが、いかがでありましょうか。

伊藤国務大臣 昨年六月に閣議決定した廃棄物処理施設整備計画においては、一般廃棄物処理の広域化や施設の集約化を記載しております。そのほか、災害時も含めた持続可能な適正処理の確保を基本的な理念の一つとして示しているところでございます。

 これを踏まえ、災害対応時のリスク分散の観点から、大規模な災害が発生しても一定期間で災害廃棄物の処理が完了するよう、一定程度の余裕を持った廃棄物焼却施設の能力を維持する等、代替性及び多重性を確保していくことが重要であるというふうに考えております。

 このため、環境省では、地方自治体が実施する一般廃棄物処理施設の整備に対しては、循環型社会形成推進交付金等による財政支援を行っているところでございます。

 引き続き、地方自治体において、災害時も含め、必要な一般廃棄物の処理体制が確保されるよう、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。

近藤(昭)委員 大臣、是非必要な予算、まさしく大変に高騰していて、従来にも予算をいただいている、しかし、それが、いろいろなものが、材料費等が高騰しているだけではなくて、先ほど申し上げましたように、二十年前にダイオキシン対策で一斉にやっていて、これは造ることができる企業というのは限られているんだそうですね。ですから、限られている中で余計にというか、それがまたそうした工事料金というか代金というものを上げているんだそうです。

 そういう意味で、まさしく大臣は必要だと言っていただいたわけですから、これが必要になっていて、是非、先ほど申し上げましたように、倍とか、そういうふうになっているようでありますので、しっかりと確保をいただきたいというふうに思います。

 さて、先ほども伊藤委員からも質問がありましたが、ネイチャーポジティブの問題であります。

 二〇二二年十二月、COP15で、自然を回復させていくよう、生物多様性の損失を止め、反転させるネイチャーポジティブの考え方が掲げられた。そういう中で、やはり生物多様性を保全することは最も重要な環境省の仕事だということであります。先ほど伊藤委員からもCOP10の御紹介がありました。私も、当時、民主党政権でもありましたので、COP10を担当させていただいたところであります。

 こうした観点から、環境アセスメントは非常に重要だと思うんです。二〇一三年から完全施行されている現在の環境影響評価法に基づいて環境アセスメントが今行われているわけでありますが、例えば、沖縄県辺野古や鹿児島県の馬毛島における基地建設等において現地の生物多様性が守られるように、私は、もっと環境省は純粋に環境の視点から厳しくチェックをすべきだと常々考えてきております。

 そのような観点から、生物多様性の保全が十分でない場合には事業そのものをやめさせること、これは、環境アセス法が、影響評価法が作られたときからずっと課題になっているところでありますけれども、やめさせることも含め、厳しい制度の運用、あるいは法改正も求められると思いますが、いかがでありましょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 この環境アセスメント制度の趣旨は、事業者が事業の環境影響について調査や評価、これを行うことで、環境保全の観点からよりよい事業の計画を策定することでございます。議員御指摘のとおり、二〇三〇年ネイチャーポジティブの実現に当たっては、環境アセスメント制度の果たす役割は非常に大きいものだ、そのように考えております。

 実際に、事業が政府の目標や計画と合致しない場合や、環境保全の観点から著しく合理性を欠く場合については、環境影響評価法の環境大臣意見において、事業計画の見直しも含めた厳しい意見を述べており、事業の廃止や大幅な見直しに至った事例もございます。

 引き続き、適切な環境保全の確保の観点から、環境影響評価法に基づく適正な審査を行ってまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 厳しい意見も言ってきたというところであると思うんです。環境省も奮闘していただいているところだと思うんです。

 ただ、やはりまだまだです。まだまだというか、よく言われるように、我々が環境を守っているのではなくて、我々が環境によって守られているわけであります。ですから、環境を破壊しては、我々人類というか、人類だけではありませんけれども、人類を取り巻く環境が壊されることによって、我々も生きづらく、生きられなくなっていくと思うんです。そういう意味では、厳しくこの運用をまずしていただきたいということと、そしてまた、さらに、やはりこれは改正、見直しも近づいていると思うんです、時期も近づいていると思いますので、しっかりとゼロオプションも含めたそうしたことを進めていただければと思います。

 さて、東日本大震災からの復興、昨日は三月十一日だったわけでありますけれども、十三年、東日本大震災が発災してたちました。原発事故と避難計画について質問したいと思います。

 今回の能登半島地震では、改めて原発の危険性が明らかになったと私は思います。志賀原発がもし稼働していたら、また、住民の反対で建設されなかったが、建設が計画されていた珠洲原発ができて稼働していたらどうなっていたんだろうか。

 実は、私も二月の十一から十三日まで被災地に参りました。珠洲市にも参りました。本当にひどい状況であります。あらゆるところにというか、多くのところに亀裂が走って、海も隆起をしたということであります。地元の皆さんは、関係の皆さんは、本当にあそこに造らなくてよかった、市民運動が、住民運動がありました、造らせなくてよかったとおっしゃっているわけであります。

 さて、今回の、今申し上げたように、こういう中で、まさしく海に逃げよう、あるいは海から支援をしようとしてもなかなか難しい状況があの海岸ではあったと私も目の当たりにしたわけでありますけれども、非常に現地は厳しい状況になっていたわけです。そういう中で、屋内退避や避難が困難だったわけであります。

 原子力規制委員会では、それらの課題を想定せず、自然災害への対応は我々の範疇外だと山中委員長は述べておられます。しかし、現実的には、自然災害が起きて、そして、関連するわけでありますけれども、原子力事故が起きる、つまり、複合災害が起きているわけですね。そういう中で、いきなり多くの、非常に避難が難しいわけであります。

 そういう意味では、避難計画も自治体行政になっていますけれども、自治体に任せるだけではなく、自然災害と原発事故が同時に起きる可能性が、今申し上げたように、普通というか、高いわけでありますから、現実を踏まえた避難の在り方を議論し、やはり、自治体の役割ではありますが、しっかりとした指針にすべきだと思うんですが、いかがでありましょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 原子力防災においては、自然災害との複合災害を想定し、様々な対策に努めているところでございます。

 内閣府では、原子力発電所の立地地域ごとに設置している地域原子力防災協議会の枠組みの下、地域の実情を踏まえ、既に大規模な自然災害と原子力災害との複合災害を想定し、道路が寸断した場合の避難経路や家屋が倒壊した場合の防護措置を含め、緊急時対応を取りまとめ、あるいは取りまとめに向けた検討を進めてございます。

 複合災害を想定した対応としては、具体的には、避難道を複数経路設定するとともに、適宜必要な代替経路を設け、陸路が制限される場合には、道路啓開に着手しつつ海路避難や空路避難を行い、また、避難の準備が整うまでは屋内退避をする、必要な場合には、警察、消防、自衛隊などの実動組織が住民避難の支援を実施することとしてございます。

 また、家屋倒壊により自宅での屋内退避が困難な場合には、近隣の避難所にて屋内退避をしていただくこととしており、さらに、近隣の避難所での屋内退避が困難な場合であれば、三十キロ圏外の広域にあらかじめ定めている避難先へ速やかに避難していただくこととしてございます。

 その上で、昨年の国の原子力総合防災訓練を始め各種訓練においても、道路の損壊や集落の孤立といった状況を想定して訓練を行っております。

 今回の地震を通じて得られた教訓、これもしっかり踏まえながら、自治体の声をしっかりお聞きし、原子力災害への対応の更なる実効性の向上、これに取り組んでまいりたいと思います。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 ただ、今大臣が答弁していただいたことではとても避難できないのではないかというのが私の認識なんです。

 繰り返して申し訳ありませんが、今、道路が非常に寸断された場合、海路もあるのではないか、空路もあるのではないかと。

 しかし、今回、能登半島で分かったことは、やはり半島として出ていて、幹線道路は一本しかない。そこから道路が枝状に出ていて、この幹線道路は、現地に行きまして、大分政府が頑張って修復していただいているところもありますが、至る所にひび割れが入っていて、そして一本しかないものですから、やはり支援に入るのも大変。ですから、ボランティアの人に今の状況では来てもらっても困るみたいなことも出たわけであります。まさしく道路が大渋滞になってしまう。

 そういう中で、大変に状況が厳しいわけですね。道路が厳しい。じゃ、海路かというと、海路は、海がせり上がってしまってとても近づけない。じゃ、空路はというと、天候もありますし、ヘリコプターが着陸できるところがあるのかということも、今回はなかなか簡単ではなかったということであるんですね。

 そういう意味で、私は、もう一度大臣にお聞きしたいと思うんです。

 自治体とも協力してということでありますが、自治体からは、なかなか現実的な、実際に避難できる計画は難しいということが言われている。だからこそ、国の協力、国の協力というのは、今、自衛隊が飛んでくるとか入っていくとか、そういうことだと思うんですが。

 一方で、やはりそうしたことのためにも、私は原子力指針を、もちろん、これは原子力規制庁、規制委員会の担当ではあるんですが……

務台委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力ください。

近藤(昭)委員 はい。

 是非もう一度この指針を見直すべきだと思うんですが、大臣、いかがでありましょうか。

伊藤国務大臣 今回の教訓、また議員の指摘なども踏まえ、原子力防災体制の実効性の向上に取り組んでまいりたいと思います。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。

務台委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 改めまして、おはようございます。馬場雄基です。

 伊藤大臣、そして環境省の皆様、そして本日は警察庁の皆様方にもお越しいただいておりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回、大臣所信演説で伊藤大臣は、自然循環についても表明していただきました。

 サーキュラーエコノミー、以前、環境委員会でも取り上げさせていただきましたが、片仮名語で言うよりかは日本語のもったいないということを使った方が分かりやすいのではないのかなというふうに改めて思いますけれども、しかし、今、この現状を見てみますと、もったいない以上にとんでもないことが全国各地で起きているということについて、まず一点目、取り上げさせていただきたいと思います。

 不適正ヤードです。鉄など再生資源を屋外保管する、スクラップヤードをめぐるトラブルが後を絶たない状況でございます。鉄スクラップを不適切な状態で保管するケースがあったり、あるいは、騒音や火災も発生しながら、近隣住民から苦情が上がっているケースも残念ながらございます。

 まず、環境省さんにお伺いさせていただきたいんですけれども、不適正ヤードの実態、そして全国にて問題となっているヤードの件数について、簡潔にお伺いさせてください。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 廃棄物には該当しない鉛等の有害物質を含む電気電子機器についても、その保管や処理により生活環境保全上の支障が発生する事案に対応するため、平成二十九年の廃棄物処理法改正により、有害使用済機器の保管又は処分を業として行う場合の届出制度が創設され、自治体による立入検査等が可能となるなどの規制が強化されてきたところです。

 こうした中で、環境省では、合計百二十九の自治体を対象に、有害使用済機器等の取扱いに関する実態調査を実施しております。

 令和四年度の調査結果によれば、令和四年九月時点において、有害使用済機器に関する届出制度に基づく届出件数は、届出を受理した九十七の自治体で計五百十一件となっており、届出を受理した九十七の自治体のうち約三分の二に当たる六十七の自治体で届出事業者への立入検査が行われ、その件数は計四百八十件となっております。

 立入検査の際に発見された不適正事例といたしましては、届出上の保管場所以外の場所で保管している事例や、囲いや看板の設置がない事例などがあり、生活環境の保全上の支障の事案件数は六件報告されておりまして、うち四件が火災の事案、このようになっております。

 また、機器から取り外された部品類等といった有害使用済機器以外の機器等の保管や処分についても調査を行っており、令和四年度の調査結果によれば、有害使用済機器の届出を受理している九十七の自治体のうち五十七都道府県においては、有害使用済機器以外の機器等を取り扱う事業場についても把握しております。

 有害使用済機器以外の機器等の保管や処分における生活環境保全上の支障が生じた事案の総数は百七十四件であり、そのうち、騒音、振動が七十四件と最多となっているところでございます。

 以上でございます。

馬場(雄)委員 様々事例を紹介していただき、ありがとうございます。できれば、もうちょっと簡潔にお願いしたいんですけれども。簡潔に伺いましょう。不適正ヤードということの言葉の定義、環境省の中であるでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省として、不適正ヤードという形で特に何か定まった定義を置いているものではございません。ただ、法律上は有害使用済機器、そういったもので定義をされているところでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 ヤードの問題は、最近、メディアや報道でもたくさん日々報道されることになりましたけれども、不適正ヤードというものの存在自体は、各自治体の定義によってし直されていたり、国として一貫した定義そのものがないというところが、やや取組不足ではないのかなということを指摘せざるを得ない状況だというふうに思います。

 逆に、これを何とかすればうまく進んでいくことができるんじゃないかなということで、一つ、今日は資料を用意させていただきました。お手元の資料、表になっている方でございますけれども、こちらは、自治体における条例、制定された条例について記載させていただきました。

 いわゆる各自治体では、何とかしなくちゃいけないということで、特に関東近辺で、ここ最近、常に、二〇二一年からはかなり立て続けに様々な各自治体で条例が制定されている状況になっています。

 まず、ここも事実確認をしたいんですけれども、この資料のとおり、条例制定が近年、各自治体で急増している、この状況に変わりはないでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 一部の自治体におきましては、廃棄物や有害使用済機器に該当しない、いわゆる再生資源物の保管に関する規制を設ける条例を制定していることを承知しております。

 こうした再生資源物の保管に関する規制を設ける条例を制定している自治体として現在把握しているものは、千葉市、さいたま市、千葉県など合計九件であり、再生資源物の屋外保管事業場の新規設置に知事や市町の長の許可を必要とするなどの規制が行われていると認識しております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 確認をしたかったのは、近年急増しているかというところが一番のポイントだと思っています。今、現時点の中で、もう御表情の中で確認できますので、近年急増しているということで間違いはないということで、ここで確認させていただきたいと思いますけれども、まさにこういう状況なんです。

 そして、恐らく伊藤環境大臣も、埼玉県の大野知事から直接、要望あるいは要請をいただいているんではないかなというふうに思いますけれども、国としての対応が必要ではないかというところが近年やはり急増して、その要請の動きが見られているんではないかと思います。

 そしてもう一つ、皆様の中に入れていただきたい情報があるんです。金属盗難です。

 今、資料でお示ししている自治体のところをイメージしながら聞いていただきたいんですけれども、金属盗難が多い県ですが、茨城、群馬、栃木、千葉、福島あたりなどなどでございます。

 この状態は、金属盗難が多いときに、自治体条例で何とかしなきゃいけないというふうに制定したところがあれば、そこをかいくぐって、また郊外にそういったものが増えてきているんではないかということが、残念ながら仮説として成り立ってしまうというのが今の状況ではないかなというふうに思います。イタチごっこにならないように、しっかりと環境省がリードして話を進めていかなくてはならないというのが私の問題認識です。

 ここで警察庁さんにお伺いさせていただきたいと思うんですけれども、特に、今回は特にですが、太陽光のパネル、銅線がありますけれども、それらを含む金属盗難について、近年、目立った被害のある都道府県の被害額等についてお伺いさせてください。

親家政府参考人 お答えいたします。

 警察におきまして令和五年中に検挙した太陽光発電施設における銅線盗事件について申し上げますと、例えば、茨城県警察が検挙した事案では、窃盗事件が七十六件で被害総額が約二億七千万円、群馬県警察が検挙した事案では、窃盗事件が七十六件で被害総額が約二億五千四百万円となっているところでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 委員の皆様方も是非、そして環境省の皆様方もこの数字を覚えていただきたいですが、これはあくまで一例ですよね。全体の件数でいうと、一千件をはるかに超えている状況ですよね。そうですよね。私、数字が違いましたか。そうですよね。一応、お答えください。

親家政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の太陽光発電施設における被害だけではないところでありますけれども、銅線盗を含む金属窃盗全体の認知件数というものは、令和四年に一万三百六十八件であったものが、令和五年には一万六千二百七十六件というふうに大きく増加しているところでございます。

馬場(雄)委員 これは確認してよかったです。ありがとうございます。レクでいただいている数字、桁を間違えました。一万件を超えているという状況でございますけれども、こういう状況なんです。恐らくこれは、被害額ということで数字を表してしまうと、とてつもない金額が出てくると思います。

 ここでさらに問題なのは、結局、これは税金が納められているんでしょうかという問題になります。

 例えば消費税の問題であったり、様々そこにかかっている、適切にやっている、しっかり汗をかいて働いてやっている会社さんは、その税金はお支払いされていますが、網をくぐって抜け穴でやっているところに関しては、そういった税金は納められない状況になってきているということは、これは看過できない状況だというふうに思います。

 ここで、伊藤大臣にお伺いというよりもお願いがありまして、これらのヤードの問題、国としての取組をより具体的に示さなくてはならないというふうに思っています。

 具体的に申し上げれば、不適正ヤードの定義の問題であったり、実態把握をしていくために、今おっしゃってくださった警察庁の皆様方、あるいは経産省の皆様方、そして、当然、各自治体、伊藤大臣がおられる環境省の皆様方、それらを複合的に巻き込んだプロジェクトというものを起こすべきではないかと思いますが、伊藤大臣にお願いをさせていただきたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えいたします。

 廃棄物を取り扱っているヤード、これまでも、廃棄物処理法に基づき規制を行ってきております。

 さらに、平成二十九年の廃棄物処理法の改正によって、廃棄物でない場合であっても、有害使用済機器については、その保管又は処分を業として行う場合には届出を行わなければならないということとされております。また、廃棄物の場合と同様に、報告徴収や措置命令等を行うことができるということになっております。

 今後、地域差等も含めたヤードを取り巻く状況、また各自治体における条例等による対応状況などについて調査を行い、その結果も踏まえながら適切に対応してまいりたいと思いますし、ヤードを取り巻く状況について、また関係省庁とも連携しながら、実態把握を更に努めたい、そういうように考えております。

馬場(雄)委員 伊藤大臣、ありがとうございます。

 最後のお言葉が一番欲しいところでございまして、今、各自治体は本当に困っていると思います。そこが網がかかれば、またその網のかかっていない場所に、これはもうずっと続いていってしまう可能性もなきにしもあらずですし、やはり国益そのものを考えたときには、ここは伊藤大臣のリーダーシップが絶対に必要な場所でございますので、再度改めて、しっかりとしたお言葉でお伝えいただけないでしょうか。

伊藤国務大臣 最後の部分の繰り返しになりますけれども、このヤードを取り巻く状況、今御指摘の件もありますので、各自治体における対応状況について、関係省庁とも連携しながら、実態把握をしっかり努めてまいりたい、そういうように考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 今日はここまでにさせていただきたいと思いますが、次の機会があったときには、これがどれぐらい進展しているのか、これは急ピッチで進めていかなくてはならない問題だとも思いますので、是非とも引き続き議論させてください。

 続きまして、デコ活について伺いたいと思います。

 大臣所信でも、取り組んでいく決意を伊藤大臣からいただきましたが、デコ活、この言葉、是非皆様、知っていただきたい部分があるんですけれども、認知度が広がっているとはなかなか思えない状況だというふうに思います。

 大谷翔平選手が飼った犬はデコピンですけれども、このデコピンのデコとは全然関係なく、デはDEですよね。英語で言うと減らすとか否定とかという意味ですけれども、コがCO2のCOのコを取っていまして、いわゆるCO2を減らす活動がデコ活ということでございますけれども、前回の質疑でも認知度についてはお伺いさせていただきました。

 その際のポイントは、デコ活宣言というものがあるわけですけれども、国を挙げて取り組んでいくならば、環境省がデコ活宣言されているのは当然分かっていますが、ほかの省庁にもしっかりとしていただくということが何にも増して重要ではないかという点を御指摘させていただきましたが、その点の進捗について、伊藤大臣からお伺いさせてください。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 昨年七月にデコ活という名称が決定して以降、その普及に努めてきたところでございますが、委員御指摘のとおり、デコ活という言葉の認知状況は、まだ国民の中においては四人に一人という水準にとどまっております。

 一方で、デコ活の官民連携協議会への企業、自治体、団体等の参画は千百五十以上、デコ活宣言は千八百以上に増加し、取組の輪は着実に広がってございます。

 また、現在、環境省以外でのデコ活宣言をしている府省はないものの、温室効果ガスの排出削減に向けた政府実行計画において、太陽光発電の導入や公用車の電動化等の目標を定め、政府全体で取り組んでいるところでございます。さらに、それぞれの府省において、宣言の検討や周知への協力を進めていただいているものと承知しております。

 今後また、住宅の断熱化を始めとして、国民のライフスタイルの転換に向けた後押しを関係省庁と連携して進め、その結果としてデコ活の認知が高まるように、引き続き実効性の高い取組を進めてまいりたい、そのように考えております。

馬場(雄)委員 伊藤大臣、ここが是非ポイントだと思っておりまして、環境省の皆様方に対して是非ともリーダーシップを発揮していただきたく、各省庁に何ならば今日にでも一度働きかけていこうというふうに、いろいろな交渉が必要になってくる部分もあるのかもしれませんが、是非とも各省庁でデコ活宣言を出していただけるように、伊藤大臣から、環境省を巻き込んだ、そして、やっていくぞというお言葉をいただけないでしょうか。

伊藤国務大臣 今日すぐできるかどうか分かりませんけれども、努力させていただきたいと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。この点についても、是非引き続き見ていきたいポイントでございますので、国を引っ張る環境省であっていただきたいということを願い、質問させていただきました。

 このデコ活宣言について気になるポイントが大きく一つあるとするならば、費用対効果の算出方法についてでございます。

 資料の裏面、先ほどの表の裏を見ていただくと、今回、デコ活宣言の費用対効果、プロジェクトが行われるわけですが、その数式はこのように表現されております。ポイントは、行動変容する人数です。行動変容する人数、これをどのように示すのか、どのように表すのか、これは物すごく難しい状況ではないのかなというふうに思います。

 例えばメッセを開きましょう。メッセを開いて売上げがどれだけ上がったかとかというふうにするならば分かるんです。ですが、今回デコ活で行いたいのは、あくまで、例えばですけれども、電気自動車を売るんじゃなくて、電気自動車を買いたいと思わしめるサービスに対して補助金を出すわけでございます。ですよね。だから、余計に、数値化するのは非常に難しい状況ではあると思うんですけれども、この行動変容する人数というものをどのように計算し、客観的なデータをどのように推計するのか、お伺いします。

秦政府参考人 こちらは、委員御指摘のとおり、我々も大変難しい作業だろうというふうに思っています。

 これは、公募自体は三月末から行うつもりなんですが、現在、いろいろな企業の皆さん等から相談を受けているような状況にございます。そういった中で、我々も、正直申し上げて、試行錯誤的にやっているようなところがございます。ただ、一方で、国の事業として進めるためにはやはり何らかの指標も必要ということで、当面、こういった格好でやらせていただこうと思っていますけれども、ここは我々もやや手探りではございますが、やっていく中で、何らか、行動変容する人数の出し方も併せてしっかり検討していきたいというふうに思っています。ちょっと、現状、まだそこまでの状況でございます。

馬場(雄)委員 どうしましょう。本当はここでしっかりと御説明をいただいて、私は、どっちかというと、しっかりやりましょうというふうにうねりを起こしていきたい側だったんですけれども、今のお言葉を伺うと、大丈夫かというふうに不安に思ってしまうことの方が正直多くあります。

 これも、今から事業をつくっていくというならば分かるんですが、これはもう既に出ちゃっているわけですよね。募集要項にも書かれているわけですよね。三月末までには何とかしてやらなければいけないと言っているものの、そして、企業側からも相談が来ているというような状況で、私は、この国のリーダーシップは適切であるのかというところには甚だ疑問であるというふうに言わざるを得ない状況だというふうに思います。

 これは、このままでいいでしょうか。何とかしなくちゃいけないんじゃないのかなと思うんですけれども、これから何とかしますという言葉が環境省から来る状況の事業を私はここで認めるわけにはいかないと思いますが、どうしますか。

秦政府参考人 もちろん、我々、この事業、三月末に公募をかけるということで進めておりますので、一定のことはちゃんと考えてはいるわけですが、その行動変容をする人数というのは、過去のこれまでの様々な取組、事業の中でも、一定程度は推定できる、購買データなどから仮定の数字を出すということは可能でございますし、そういったものを勘案しながらやっていくということだと考えてございます。

馬場(雄)委員 三月末までに時間がありません。いつまでに出しますか。

秦政府参考人 三月末に公募をかけますので、それまでの間には何らか示していくのは当然だと思っています。

馬場(雄)委員 あと二週間しかありません。いつまでに出しますか。

秦政府参考人 三月末までですので、それまでの間には精査をしていきたいと思っております。

馬場(雄)委員 残念ながら、全く説得力がないです。これは私だけでしょうか。ほかの委員の方々も同じ気持ちになるんじゃないのかなと思います。極めて残念です。

 デコ活というのは、私は小さな事業をやるものではないと思っています。デコ活といったら、国民一人一人が、こうだよね、こういうことを指し示したら、国が、もっともっとCO2を削減したいというふうに思わしめる活動そのものがデコ活なんだと私は願いたいんです。環境省に余り事業省庁に成り下がっていただきたくないんです。もっともっと包括的に、もっともっと大きくいっていただきたいんです。

 例えば、私だったらこうやりたいということの願いですけれども、今、例えばですが、私、花粉症なんですけれども、花粉症予報というのがありますよね。すごいううという顔であったり、にこにこというマークであったり。こういうように、昨日のCO2の排出量、例えば昨年度比でもいいです。あるいは、昨日比でもいいです。そのCO2が大きく出たときには苦しいマーク、うまくみんなで乗り越えたときにはにっこりマーク、それを全てのメディアであったり、あるいは満員電車の中にある電車の広告であったり、あらゆるところにやって、その右下にデコ活のマークが絶対にある。

 こういう世界観をつくり上げていくことで、小学校からもシニアの皆様方も一緒になって、みんなで取り組んでいく機運をつくっていくことに環境省の価値は私はあると思いますし、そういうところに研究投資をして、どうやったらできるんだろうというのが環境省が示す国の在り方だと私は願うわけです。

 伊藤大臣、今ならまだやり方があるんじゃないのかなと。このままいくのは私はかなり不安なんですけれども、伊藤大臣、お言葉をいただけないでしょうか。

伊藤国務大臣 貴重でまた本質的な御指摘をいただいたと思います。

 私も常々、環境問題というのは、最終的には価値観なり哲学の問題に行き着くんだろうと思います。人間が行動するときにどういう価値観を持って行動するのか。その時点において、単に、消費物質をたくさん使えることとか、金銭収入が多いことに重点を置くのか、それとも、やはり地球環境全体を考えて、環境を守るということに重点を置くか、そのことが大事で、デコ活の本質も、私はそこに本質があると思います。

 環境問題というのは同心円の課題であって、八十億の地球上に住む人間がそれぞれどういう価値観で生きるかということの集積として、この地球環境が持続可能になるかそうでないかということが分かれてくると思うんです。

 しかしながら、国の政策として、これだけが政策ではありませんけれども、デコ活をやる場合は、ある程度、数値目標なり予算がありますから、その上でやらなきゃならないということもあると思います。

 今回のデコ活では、長年やってきた普及啓発事業から得られたことも踏まえ、約三千億のデコ活関連予算を最大限活用しながら、脱炭素と豊かさを両立するデコ活の暮らしを国民の皆さんに実感いただきつつ、個々の取組を底上げするための全国的なプロモーションやキャンペーンも重層的に展開していきたいというふうに考えております。

 ちょっと時間がありませんので、短く終わります。

馬場(雄)委員 環境省が一事業にとどまることなく、社会のダイナミズムを動かす省庁であっていただきたいと願います。

 委員長、最後に、先ほどの資料について、行動変容する人数をどのようにやるのか、理事会にて提出していただくようお願い申し上げます。

務台委員長 ただいまの件については、理事会で協議いたします。

馬場(雄)委員 ありがとうございました。

務台委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。立憲民主党、略称民主党の衆議院の篠原孝でございます。

 ヤンゲスト・フレッシュパーソンからオールデスト・ジェントルパーソンに替わりまして、質問させていただきたいと思います。

 私は、前に筆頭理事をやっていまして、質問は遠慮しまして皆さんにやっていただいて、これが初めてだと思うので、まず、大臣、御就任おめでとうございます。

 ちょっと個人的なことを、皆さんは知らないので話をさせていただきますと、いつぐらいですかね、勉強会で御一緒した年は、一番最初は。(伊藤国務大臣「四十二年前」と呼ぶ)四十二年前、四十二年前から存じ上げているんです。某自民党の有力議員の、育成するという、どなたかが考えられたんですが、勉強会をやっていまして、結構しつこくやっておりました。役所の若き精鋭が集められておりまして、私も、我が役所から、何だかよく分からないけれども行っていて、結構勉強になったんですが、その方は、外務大臣、自民党副総裁になられました。それから、お仲間の人が来ておられましたけれども、その方は衆議院議長になられました。勉強会のメンバーで、ちょっと変わったマスコミの人についてこられていた女性が東京都知事にまでなっておりまして、なかなか皆さん御出世をなされたんじゃないかと思います。

 大臣は、予定どおり衆議院になられて、この度はめでたく大臣に就任されて、本当におめでとうございます。私は、国会議員になるなんて、そんなことは考えたこともなかったんですけれども、偶然こんな機会に恵まれまして、こうやって質問させていただく光栄を非常に喜んでいます。

 それで、私の資料の一番後ろを見ていただきたいんです。これは、四年前に、ヤンゲスト・キャビネットメンバーの小泉進次郎さんが環境大臣になって有頂天になっていたはずなので、ちょっとくぎを刺したんです。

 どういうくぎを刺したか。大臣は違いますね、逆ですから。環境大臣、副大臣、みんな環境委員会には一度も所属したことがないんです。いかに環境行政を軽視しているか。ばかにしていると思いますよ、国会の審議なんか。僕は知りません、自民党の環境部会にはさんざんおられたかもしれませんけれども。こういうことだから、ちゃんと私のように、下の方にあるんですけれども、私は当選六回、環境委員会に五回、今、それから何年か続けまして、十回近くになっている、九回です。それに引き換え、ちょっと太いところを見てください、伊藤大臣は当選六回で環境委員会に五回、まさに環境大臣になるのにふさわしい経験を積んでこられたんじゃないかと思います。

 僕は、試しにですけれども、環境委員長をやって環境大臣になられた方は何人いるかなんというのを調べてもらったんです。林大幹さんと松本龍さん、二人おられました。だから、務台さんも間もなく環境大臣になられる可能性が非常に高くなっているんじゃないかと思います。頑張ってくださいね。

 だから、久しぶりにちゃんとしたプロの大臣を迎えました。それから、八木副大臣も下に、この頃は初めての環境委員会ですけれども、環境委員会のプロになりつつありまして、めでたく副大臣になっておられて、非常に充実したトップを抱えているので、環境省の皆さんは幸せだと思います。

 質問をいろいろ用意してきたんですが、伊藤さんが気候変動問題についてはお聞きになったので、それはちょっと時間があったらということにしまして、私は、最初に水俣病についてお伺いしたいと思います。

 資料を見ていただきたいんです。一ページ目に、二十八紙、全国紙も、二番目、三番目、七番目、十七番目、二十三番目、みんなありますけれども、これは水俣病の関係者がみんな調べて作ってくれた資料なんですが、見事でした、全紙ですよ。このことを社説で扱った新聞、全国紙は当然ですけれども、地方紙も全て、この判決は妥当だ、ちゃんと救済しろと。六番目の南日本新聞は、合理性に欠く線引き、お分かりになりますか、年数がたったから、地域が違うからといって削っちゃって、全然救済していないんです、そんなばかなことがあるかと。これだけ見事に国が負けた判決というのはないと思いますよ。それにもかかわらず、控訴している。

 次のページを見ていただきたいんです、資料の次のページ。こういう国が訴えられている訴訟はあるんですよね。私は農林水産省というところに三十年いましたけれども、余り被告でやった、余りというか、そういうものにばかり当たるのもいるんですが、一度もそういうものはありませんでしたが、国が訴えられるというのもよくあります。

 よく医薬品の副作用、皆さん、みんな覚えておられると思います。サリドマイド、スモン等、今はハンセン病とかがあります。ハンセン病はもう二十年以上前ですけれども。公害訴訟も右側にあります。これで和解にというのは、途中で国が、もう分かりました、済みませんでしたと言って、やるんです。

 これはどうやって解決するかというと、やはり裁判所は、当てになるようでいて、当てにならないところがあるんですよね。なぜかというと、地裁の立派な裁判官たちがいい判決をしても、高裁、特に東京高裁とかになってくると忖度をしたりする、そんなことを言うと悪いですけれども、覆っちゃうんですね。それをどこで止めるかというと、私は政治しかないと思うんです。

 これをよく見ていただきたいんです。よく見ると、総理が誰だったか、大臣が誰だったのか。何となく、気の利いた優しい大臣のときに和解に至っているんじゃないかと思います。要するに、伊藤大臣の胸先三寸で決まることが多いんじゃないか、もちろん、伊藤大臣だけではできませんけれども。私は、後々ここに、私のようにこういう資料を作る質問者がいたときに、一番下に伊藤大臣の名前が出ているということを望みたいんです。

 これは常識的に見て、皆さん知っておられると思います、まだ水俣病を解決していないのかと。ほかの国は、みんな国がきちんとわびるんです。一番有名なものでいえば、第二次世界大戦中に日本人をキャンプに閉じ込めたというのをカリフォルニア州が謝罪し、国も謝罪していますよ。それから、最近の例では、小さなカリブ海の国、そこに移民が行って、そこが土地もごちゃごちゃになっていた、全然うそだった、水道もない変なところだった、日本国政府は何もおわびをしないですけれども、あの小さな国がちゃんと補償をし、わびている。

 日本人というか、日本国政府はどうも頑固でわびをしない、そういう癖があるんじゃないかと思います。私は、こういうものはさっさと間違いを認める。かわいそうなんですよ、お金が欲しくて言っているんじゃないんです。

 私は、数か月前ですが、阿賀野川水銀で困っている人たちのところに現地視察に行きました。悲惨ですよ。どこが悲惨かというと、裁判で訴えているんだけれども、言われました、こんなものよりもずっといっぱい困っている人がいるんだと。

 ここからが泣ける話ですけれども、自分も水俣病なんだと言うと子供や孫に悪影響が出る、分かりますよね、変なものを引き継いでいるかもしれないと。だから、結婚や何かに差し障りがあるから、苦労して手を挙げないんだ。表に出ている人の数の何倍あるか分からない。自分だって、この裁判を起こすのにどれだけ悩んだか知れない、白い目で見られる。訴えたら、あの集落の者はみんな汚染されているんだと言われるから、隣近所からも白い目で見られたと。

 だけれども、悪いものは悪いと言って、やらなくちゃいけない。お金の問題じゃないんです。ちゃんと済みませんでしたと。

 自分たちが、知らないんです、川が汚れていて、その魚を食べていたわけです。行ったらすぐ分かりましたが、僕は千曲川のそばですけれども、離れていますよ。だけれども、本当に川が流れているんだ、阿賀野川が。本当に毎日のように川魚を食べていた。それは川の水が汚れていたら、汚染しますよね。だから、そういう人たちをほったらかしにしておくというのは、私は国家としてあり得ないことだと思います。

 是非、こうやって環境行政をきちんとやってこられた伊藤大臣の下で、もうすぐ、熊本判決が三月二十二日に出るんです、その後、東京と新潟でも、ばっと一年間に四つの判決が全部出るんです、是非途中で和解に持っていっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 昨年九月二十七日のノーモア・ミナマタ近畿訴訟の大阪地裁判決については、国際的な科学的知見や、最高裁で確定した近時の判決と内容等が大きく相違することから、上訴審の判断を仰ぐ必要があるとしたところでございます。

 水俣病の被害の救済については、水俣病被害者特措法制定時に多くの関係者の皆様が水俣病問題の最終解決を目指して尽力されたこと、努力されたことや、二度の政治的解決によりこれまで約五万人の方々が救済されてきたことなど、水俣病問題の歴史と経緯を十分に踏まえ、引き続き、現行の公害健康被害補償法の丁寧な運用、医療、福祉の充実や地域の再生、融和、振興など、しっかり取り組んでいくことが重要であると考えております。

篠原(孝)委員 是非お願いします。これは、裁判はラストリゾート、最後のよりどころかもしれませんけれども、やはり政治が関与しなかったら、僕は絶対に解決しないと思います。

 次に、能登半島地震の関係で質問させていただきたいと思います。

 あの地震が起きたときに、私はびっくり仰天しました。長野は揺れたと思うんですが、私は、元旦から三日だけ、東京の安いマンションの自宅で過ごすことにしておりました。だから、ゆっくり寝ていたので、全然気がつかなかったんです。長野は結構揺れたようですけれども。びっくりしました。

 そのときに、これは誠に被災地の皆さんには失礼かもしれませんけれども、一番最初に頭の中をよぎったのは原発です、大丈夫なのかと。珠洲にはなかったというのは分かっているんですが、志賀原発が動いていないので、それだったらよかったと。だけれども、いろいろがたが来ているので、がたがたしたのがあったそうです。

 ですけれども、これで何が分かったかというと、原発を持つか持たないかというのはおきまして、避難計画では避難は全然できないということが分かったんじゃないかと思います。元気のいい町長さんは、選挙が終わったばかりだそうですけれども、すぐ再稼働するんだ、志賀原発をですね、威勢のいいことを言って町長になったんですけれども、分かりません、直接聞いていませんけれども、新聞報道によりますと、あの地震の後、考え方が変わって、これはそう簡単にはいかないと。なぜかというと、避難計画なんて何の足しにもなっていない。五キロメートル以内はすぐ退避しろといったって、道路はみんな寸断されている。八集落が孤立して動けない。車は動いても、タイヤがパンクして駄目だ。それから、それ以上の三十キロ圏内は屋内避難というけれども、家がみんな潰れてしまって、あるいは、潰れなくてもゆらゆら揺れていて、いつ潰れるかもしれない、恐ろしくて屋内避難なんてできない。

 三・一一のときは、僕は農林水産副大臣で、私がいたので、結構きちんといろいろやれたことはあるんですけれども、どこにも、うまくいっていることについては全然書かれていませんけれども。宮城県や福島県ですけれども、宮城のちょっとしたところの半島とかに漁船で水とか食料を配ったんです、みんなが協力して。

 しかし、四メートルも港が隆起している、船が近づけない。だから、陸も駄目、海も駄目。じゃ、ヘリコプターがあるじゃないかと。それはどんなにヘリコプターが行ったって、ヘリコプターは何人避難させることができるんでしょうか。放射能がその辺に、もし事故に遭っていたとしたら、雲の中というか、空気中にいっぱいありますから、被曝しますよね。とてもじゃないが、こんなのはできない。だから、原子力防災の担当の大臣としても震撼されたんじゃないかと思います。避難計画を全部見直さなくちゃいけないと私は思います。

 そのときに参考になるので、いかに日本のやっていることがおかしいかというのを、四ページを見ていただきたいんです、関東大震災以降の甚大な人災があった地震と原発立地という表。役所に作ってと言ったけれども、みんなずぼらな役所で、作ってくれないので、いろいろな資料を、そして私のところで作りました。これは、みんな、結構資料は手間がかかるんですよね。さっきの政務三役の環境委員会の在籍実績とかいうのも結構手間がかかるんです。この地震のもそうです。

 これは私が意図的に選んだわけじゃなくて、マグニチュードが七を超えた、震度も七前後、大地震だけを見ました。それで、原発に影響があるものというのを右側に書きました。稲田委員のところの福井なんて、原発銀座ですけれども、地震の銀座でもあって、一九二七年の北丹後地震と四八年の福井地震、二度大きな地震があるんですよね。がたがたになると思います。それで能登半島地震です。

 次のページ、アメリカの西部の地図を見ていただきたいんです。これは、僕は、環境委員会にも、近藤昭一議員に並ぶ主になりつつあるんですけれども、経済産業委員会も、なぜか望まないのに行かされていることも多いんです。そこで結構質問しているときに使って、とっちめているんですけれども、これを見てください。アメリカに大体百基あるんですね、原発。だけれども、ロッキー山脈の西側に何基あるか。これはちょっと何か最近おかしい、私はずっと二か所だけだと思っていたら、三か所になっているんですね。黒の四角いのと丸まったのと、これは加圧型と沸騰型のを分けているんです。ところが、百基あるうち、百基というか、百か所にあるうち三か所にしかないんです。

 なぜでしょうか。地震が起きるからなんです。環太平洋火山帯、リング・オブ・ファイアと言われている。火山があって地震がある。そんな地震があるところに原発を建てないというんです。アメリカの地質学者の常識は、日本に原発があるのがそもそもおかしい、今まで原発の大事故が起きなかったのが不思議なぐらいだというんです。そう言われているんですよ。

 日本は、とぼけているんじゃないかと思います。だから、あれは確実に起きるということ、起きているんです。新潟なんかは、中越地震、中越沖地震、それから、ちょっと名前を忘れましたけれども、何とか断層沖地震、みんな同じなんです、あの辺りは地震の巣窟です。

 だから、日本に原発があってはならないので、この問題は大臣に幾ら申し上げても駄目なんですが、少なくとも、避難計画の見直しとかいうのは環境大臣が責任があるはずなんです。今、活断層、これへの備えとか、あるいはテロに対する備えとか、それがでたらめなので、再稼働が延びたりしているところもありますけれども、私は、避難計画を全面的に見直さなくちゃいけないんじゃないかと思います。

 半島は、すぐ孤島になると思います。身動きが取れなくなると思う、寸断される。伊方原発なんかは典型的なところです。女川原発はそうじゃない、陸とつながっているからいいかもしれませんけれども、それだってあるかもしれません。

 私は、避難計画をきちんと見直すというのを、今度の、多分、すぐ下の活断層じゃなくて海底活断層、つながっている活断層があって、ちょこちょこ、びっとつながっていないけれども、ちょこっといって、また横にあって、横にあってと、これが連動する。だから、こういうところはやはり原発を置いてはいけないと、多分、見直されるだろうと思います、能登半島地震を機に。そっちがあるんですけれども、私は、避難計画も全面的に見直して、きちんと作り直させるべきだと思います。それを環境大臣に是非やっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 原子力防災においては、自然災害との複合災害を想定して様々な対策を進めてきております。

 内閣府では、原子力発電所の立地地域ごとに設置している地域原子力防災協議会の枠組みの下、地域の実情を踏まえて、既に大規模な自然災害と原子力災害との複合災害を想定し、道路が寸断された場合の避難経路や家屋が倒壊した場合の防護措置を含め、緊急時対応を取りまとめ、あるいは取りまとめに向けた検討を進めております。

 複合災害を想定した対応としては、具体的には、避難道を複数経路設定するとともに、適宜必要な代替経路を設け、陸路が制限される場合には、道路啓開に着手しつつ海路避難や空路避難を行い、また、避難の準備が整うまでの屋内退避をする、必要な場合には、警察、消防、自衛隊などの実動組織が住民避難の支援をするということとしております。

 一方で、今委員も御指摘なされたように、今回の能登半島地震の教訓も踏まえて、原子力防災の備えに終わりや完璧はございません。この災害対応で得られた教訓や訓練の成果に基づき、緊急時対応の不断の見直しを図っていくことは必要であり、当然のことだろうと思います。

 今回の地震を通じて得られた教訓を踏まえて、自治体の声もしっかりお聞きしながら、原子力災害対応の更なる実効性向上に取り組んでまいりたい、そのように思います。

篠原(孝)委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 アメリカでは、原発が新規に造られることはないですね。それは条件があるからで、高レベル放射性廃棄物の処理の計画をきちんと立てなきゃならない。ユッカマウンテンの、ロッキー山脈の穴ぼこに、穴を空けてその中に突っ込もうと思っていたら、反対されてできなくなって、チャラになっている。厳しい条件があるわけです。

 だから、同じようにきちんとした避難計画を、代替の道路と大臣はおっしゃいましたけれども、みんな駄目になっているわけです、崖崩れで。長野の山の中なんかを想定すればすぐ分かるわけです。一本道を塞がれたら、全然動きようがないわけです。日本はそういうところだらけなんです。

 だから、アメリカのカリフォルニア大学、バークレーのローレンス・バークレー研究所というところに、私は高レベル放射性廃棄物の処理の研究に関する超党派議員連盟の事務局長というのをやっているんです、三年に一回ぐらい、金がかかるんですけれども、百五十万ぐらいかかるんですけれども、海外の視察に行っているんです。オンカロとかも当然行っています。アメリカの研究者のところへも一緒に行って、意見交換をしてきております。今も続いているんですけれどもね。

 だから、どうやってみたって、行って見れば見るほど、日本は原発は無理だ。例えば、オンカロなんというのは岩盤が動かない。だから、何か五百メートル地下で、十万年、びくとも動かない。日本列島なんかはしょっちゅう揺れているわけです。こんなところに、恐ろしくて原発はおろか廃棄物だって入れられるはずがないんです。

 だから、我が党の政策に、国民全員に居場所と出番をつくるんだ、そういう社会にするんだというのがあるんです。原発には居場所もないし、出番も日本にはないと思います。これを心得て、やっていただきたいと思います。

 次に、環境問題は幅広いんですよね、大変だと思いますよ、熊問題です。

 去年は二百十九人が負傷し、六人が亡くなった。その一人は私の選挙区の飯山市というところです。めったに人的被害はなかったんですけれども。だから、環境省も中央環境審議会の下に、プロですね、山崎晃司さんですか、東京農業大学の先生を座長に検討会を三回開いて、そして、指定管理鳥獣にしていくべきだという方針があって、それで、大臣は、それを受けて検討して、四月中には指定管理鳥獣にするというふうに表明されておられます。表明されるのはいいんですが、一体その後どのように扱っていかれるつもりか。

 あらかじめ申し上げておきますと、ニホンジカとイノシシが先行している、これと全然違いますからね。我々に、イノシシは突進してきて、何か牙でつつかれてけがをするかもしれませんけれども、それは命を奪われるほどのけがはない。熊は頭をかむそうですね、危険なわけですよ。

 だから、けがをする人は山ほどおって、亡くなっていませんけれども、我が方では、根曲がり竹、あれはおいしいんです、これぐらいのタケノコですね、サバ缶、有名なんですけれども、サバとタケノコのみそ汁、それをみんな取りに行くわけです。竹やぶの中で分からなくて、熊もびっくり、人間もびっくりで、そこでけがをする人が多いんです。

 今までなかなか亡くなる人はいなかったんですが、今度はとうとう亡くなってしまった。やはり大問題ですから、これも解決していかなくちゃいけない。どのような方針で臨まれるんでしょうか。

伊藤国務大臣 環境省では、昨年の熊類による深刻な被害状況、これを受けて、今御指摘のあったように、専門家による検討会を設置し、科学的な観点から検討を経て、本年二月八日に、被害防止に向けた総合的な対策の方針を取りまとめていただいたところでございます。

 この方針の中では、ゾーニング管理、広域的な管理、順応的な管理の三つの管理を推進しながら、熊類の地域個体群の維持を前提としつつ、人の生活圏への出没防止によって、人と熊類の空間的なすみ分けを図ることとしました。また、絶滅のおそれのある四国の個体群を除いた上で熊類を指定管理鳥獣に指定するとの方向性を整理いただいたところでございます。

 環境省では、この方針を受けて、必要な関係省令の改正を行うために、そのパブリックコメントを二月十三日から開始してございます。国民の皆様の御意見を伺った上で、四月中に指定の手続を完了したいというふうに考えております。

 熊類を指定管理鳥獣にすることで、熊類の生態等の調査やモニタリング、人の生活圏への出没防止のための環境管理や必要な捕獲、人材育成等、都道府県の状況に応じた効果的な対策を講じることが可能となります。

 他方で、熊類は、今御指摘がありましたが、既に指定管理鳥獣に指定されているニホンジカ、イノシシとは繁殖力、個体数の水準、被害の状況が異なることから、捕獲に偏らない総合的な対策が必要とも指摘されているところでございます。

 環境省としては、関係省庁や都道府県等と連携して、科学的知見に基づく熊類による被害防止策を推進し、国民の皆様の安全、安心の確保に必要となる施策を総合的に進めてまいりたい、そのように考えております。

篠原(孝)委員 今大臣がおっしゃいましたけれども、本当に繁殖力が全然違いますよね、二歳になってから一頭ぐらいしか産まない。イノシシなんて、僕は見ますけれども、本当にちょろちょろちょろちょろ、何匹後にくっついているか分からないですよ、物すごいですよね。三百万頭のニホンジカ、七十万頭のイノシシ、それと比べて四万三千頭ぐらいのツキノワグマ、一万数千頭のヒグマ、全然違いますよね。

 だから、指定管理鳥獣にしたら、いろいろな対策にお金を出す、今、個体数を調べて、ゾーニングをしてとかいろいろある。全然お金のかかり方が違うと思うんですよね。今まで交付金というのはどういうふうに算定して、どのように出しておられるんですか。僕は、そんなには出していないんじゃないかと思いますが、こういうところにはきちんと出していくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

朝日大臣政務官 お答え申し上げます。

 熊類の専門家による検討会から御報告いただいたとおり、先ほど委員もおっしゃったとおり、三つの管理を推進していかなければなりません。

 そのためには、都道府県が、熊類の個体数モニタリング、人の生活圏への出没を防止するための環境管理や必要な捕獲、人材育成などを地域の実情に応じて実施していく必要がございます。

 必要な予算措置については、熊類の指定管理鳥獣への指定に必要な手続を進めるとともに、検討会の報告を参考にしつつ、実施主体となる都道府県の要望を丁寧にお聞きし、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

篠原(孝)委員 熊は、皆さん御存じかどうか、生態系上も非常に大事な動物なんですね。

 ちょっとだけ、レクチャーみたいになりますけれども、お話をさせていただきますと、地球環境をどうやって維持していくかというときに、私は、長野県の山は、山の日まで制定して、大事にしていますけれども、だんだんだんだん栄養分がなくなってきているんです。日本中の、北海道は別ですけれども。

 なぜ北海道は別かというと、遡河性魚種というのが、アナドロマス・フィッシュ、これが栄養分を陸に持ってきてくれるんですよ。何で三陸沖、宮城県や岩手県の沖が好漁場かというと、湧昇流で、下から栄養分に富んだ塩類が来て、それで植物プランクトン、動物プランクトンと。万有引力の法則で、栄養分はみんな下に下っていっちゃうんです。だから、上の陸地はみんな痩せていくんです。

 シベリアの森林が何であんなに豊かかというと、アムール川にダムが一つもないんです。魚、サケやマスや、百種類ぐらいあるんですけれども、上っていくのは。そして、それをまず熊が食べるんです。北海道の人は知っていると思いますけれども、ほっちゃれ、産卵をして、子孫を残して死んでいくわけです。サケの死体だらけなんですけれども、あっという間になくなるんです。サケをみんな食べる、鳥がみんな食べる、みんなあちこちに栄養分を運んでくれるわけです。

 この循環がなくなっているんですよ。だけれども、このままなくなっていっちゃって、人間がこんなにのさばれるのは、一万年ものさばれないと思いますから、だから、変わっていくでしょうけれども、少なくとも、ダムができていろいろなことをして以来、日本で、千曲川でいうと、宮中ダムと西大滝ダムで、サケが上がってきていたのが上がらなくなって、熊はいるんですよ、だから、栄養分が海から陸に上がらなくなっているんです。

 日本人は、これは知っていたから、江戸時代に、イワシや何かを干して、それを田んぼに入れていたんです。まるで有機農業です。この話をすると長くなりますけれども。

 だから、熊はやたらに殺しちゃいけないんですよ。生態系の循環を担っているんですよ。ちゃんといてもらわなくちゃいけない。このところの兼ね合いが難しいんです。ちょっとやそっとのお金ではうまくはいかないと思いますよ。

 何が大事かというと、私は人材が圧倒的に不足していると思うんです。

 次のページをちょっと見ていただきたいんです、六ページ。獣医学部、岡山理科大学というのが一番下にありますけれども、これが、何か動物というか、家畜と人間の人畜共通何とかだといって、さんざんすったもんだして、いかがわしいあれができ上がっています。獣医学部は増えているんですよ。

 一番下の方を見ていただきたいんですけれども、二〇一九年と今回とで、獣医学部の学生が五百人ぐらい増えている。女性の割合が五三%から五七・九%になっている。もう一つ、ちょうどここにはないんですが、一七年、今から七年前は五〇・六%。女性がどんどん増えているんです。表を見ると、いろいろなことが分かるんですよ。

 女性割合が一番高いのはどこかなというと、上の方からいくと、東京農工大学というのがありますよね、上から四番目、国立大学で。それとか、日本獣医生命科学大学、それから麻布大学。東京の女性で、動物がかわいいからとかいうので行ってくれているんじゃないかと思います。思い切り田舎というのもありますけれども。

 私は何を申し上げたいかというと、これは一度やっているんです、環境省は真面目にちゃんと意見を聞いていないと思いますけれども、こういうふうに女性がいっぱい行っているんだし、犬猫の病院ははやると思いますよ、はやっていますよ、絶対に。お金はまあまあもうかると思いますよ。家畜、牛とか豚とかいうのをやってくれる人がいないんですよね。だけれども、その中間で、野生動物の管理なんかをやってもらうとちょうどいいんじゃないかと思いますよ、女性に。

 これは、田舎の市町村はお金がないですから、県が、県庁にきちんとした熊の専門家を置くべきです。お金を出すべきだと思います。それを交付金の中に僕は入れたっていいんじゃないかと思います。

 それで、次のページを見てください。去年の十二月、熊の問題がぎゃあぎゃあ言われたときに、朝日新聞にこういう記事があったんです。近藤麻実さん、女性で、秋田県自然保護課主任、熊の専門家。前のページを見てください。岐阜大学は、女性の割合が六四・七%です。その方が北海道に行ってヒグマの研究をして、熊の対策をやっておられる。

 こういうプロがいなかったら、飯山市なんかは何にも分かりませんよ、熊の生態とかそんなものは。県境、境界は分かりませんからね、あちこちに行きますから。どうやって選ぶのか。

 これは、大臣もフランスにちょっとだけおられたそうですけれども、僕は三年間いました、フランスは簡単なんです、何とかの森、何とかの森というように、森が畑に囲まれているんです。閉鎖空間なんです。だから、そこにイノシシが何頭、鹿が何頭、ウサギが何羽いて、完璧に個体管理ができるんです。それで狩猟権が与えられる。だけれども、それは実行しなかったらアウトなんです、ほかの人に。ちゃんと鹿を全部、年二頭だったら二頭、必ず撃ち殺さなくちゃいけない。それは、増え過ぎるから。

 日本はみんなつながっていまして、人間が閉鎖、一五%の平地にちょこちょこ。平地が一五%、山の中に住んでいるからですけれども、森の方がずっと多いわけですよ。七〇%以上、森ですよ。それを全部管理するのは大変ですけれども、今は技術が発達して、GPSもありますしね。軽井沢なんかは、GPSをつけて、そしてなるべく追い払っていく、来るな来るなといって。だけれども、泣けますよね、そうやって払っていて、だけれども、一旦人間のものを食べると、もう殺処分することにしているんです、百回追い払っていても。みんな名前がついているんです、熊に。かわいいですからね。だけれども、とうとうルールどおり殺さなくちゃいけない、そうなっているんです。

 僕は、熊を特別扱い、環境団体、協会があるんです、来られまして、話を聞きますと、みんな分かります。これをちゃんとしていただきたいと思うんです、きちんと。

 それを環境省でも、僕は聞きたいんですけれども、聞いてみてください、こういうことの専門家がいるのか。例えば、この秋田県に出向して、帰ってきてと。農林水産省の中は、技術者をそうやってやります、私なんかは事務官で、残念ながら。でも、ちょっとおかしいんです、一度も地方勤務をしたことがないんですよ。本省だけでこき使われていまして、外国にはちょっと留学と大使館勤務がありましたけれども、行きませんでした。

 環境省も、熊の専門家を養成してください。都道府県に出向してというようにやって、そして、そこばかりじゃないんですけれども、いろいろなところに行って。こういうプロを育成しなかったらやっていけないと思いますけれども、そういうことについて、これはどちらでも、どなたがお答えすることになっているんですかね。

伊藤国務大臣 委員御指摘のとおり、鳥獣保護管理を効果的に進めるためには、専門的な知見を有する人材の確保、育成が不可欠でございます。

 このため、環境省では、鹿対策等の鳥獣に関する専門的知見を有する職員の採用、環境省及び都道府県の職員等が参加する研修会の開催、専門的知見を有する人材バンク事業の実施、ニホンジカ、イノシシを捕獲する指定管理鳥獣捕獲等事業において、専門的知識を持つ人材の積極的な活用等に取り組んでおります。

 委員の御指摘もありますので、引き続き、鳥獣保護管理事業の現場で専門的知見を有する人材が活躍できるよう、環境省の職員の専門性の向上を図るとともに、都道府県等への支援も進めてまいりたい、そのように考えます。

篠原(孝)委員 これは、環境省だけでは僕は無理だと思います。この次に花粉症対策でも同じことを申し上げますけれども、熊対策も全省庁を挙げてやらなくちゃいけないですね。警察も必要ですし、僕は、観光客なんかにも害が及ぶと思いますので、国土交通省も。

 それで、農林水産省です。農林水産省、林野庁を挙げて取り組まなくちゃいけないと思いますけれども、この体制はどういうふうになっておりますでしょうか。どうやっていくつもりでしょうか。

朝日大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員がおっしゃるとおり、省庁を超えての対策が必要だというふうに考えております。まさに農林水産省を始めとする関係省庁が緊密に連携をして、対策を進めていく必要がございます。

 このため、令和二年十月にクマ被害対策等に関する関係省庁連絡会議を設置しておりまして、この会議を構成する農林水産省、林野庁、警察庁及び環境省が連携して、今後も必要な対策を推進してまいりたいと考えております。

篠原(孝)委員 環境省、僕はずっと、いつもそうですけれども、環境委員会の皆さんは、環境をきちんとしてほしいという応援団ですよ。委員会によっては、政府を専ら攻撃するのを趣味にしている委員もおられると思いますけれども、環境委員会は全く違って、全部応援団ですよ。頑張ってください。

 だけれども、正直言って、私が三十年間いた農林水産省と環境省を比べたら、予算の取り方に雲泥の差があるんです。下手くそだと思います。それを僕がレクチャーしているわけにいきません。僕は、農林水産省に頑張ってもらわなくちゃいけない。

 農林水産省には、中山間地域の直接支払いというのが、交付金ですよ、あるんです。それから、環境支払いというのもあるんですよ。それで何だかんだ言って、財務省がけちって予算を削ろうとする。いっぱい、もっと増やす理屈があるんです。私は、これが典型的だと思いますよ。きちんと下草刈りをして、例えば、リンゴとか桃、ブドウ、まあ、桃はなくなっちゃう、リンゴなんかはほったらかしになっている、それを食べに来るわけですね、柿なんかもそうですよ、そういうのがある。

 その環境支払い、中山間地域支払いの中の算定額のところにこの熊対策、熊が出てこないようにする、この分を農林水産省のお金でやっても全然罰は当たらないと思うんですけれども、どうでしょうか。

舞立大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘の中山間地域等直接支払交付金についてでございますが、先生よく御存じのとおり、平場と中山間地域等との生産条件の不利を補正する目的で交付しておりますので、なかなか、人と熊とのすみ分けのための活動に要する費用を正面から積算に加えることは難しいものと考えております。

 一方で、本交付金につきましては、地域の話合いにより交付金の使途を決めることができるものですから、本交付金を活用し、鳥獣の防護柵やネットの設置ですとか緩衝帯の設置等の鳥獣害防止対策に取り組まれている事例もあるところでございます。

 先生御指摘の人と熊のすみ分けのための活動につきまして、中山間地域で農業を継続していく上で農水省としても重要と考えておりますので、今後とも、こうした活動が継続できるように、周知を図ってまいりたいと考えております。

篠原(孝)委員 中山間地域のばかりお答えになりましたけれども、環境支払いというのは、ビオトープとか何かを造るとか、そんなことが中心ですけれども、それは、僕は熊の問題を挙げて、この委員会でこれだけやらなくちゃいけないというのはお分かりだと思いますけれども、環境問題ですよ。環境支払いでもいいんじゃないかと思います。そういう固定観念にとらわれることなく、ちゃんと予算要求をしていけば、皆さんは、国民は、少なくとも、こんなところに金を使ってなんて絶対言わないと思いますよ。いかがでしょうか。

 質問取りのときにちょっと申し上げておいたんですけれども、環境支払いというのを、生産費、生産コストがかかるからバックアップするというのは、そういうものででき上がっていますけれども、それだけじゃなくて、こういうものも入れてもいいので、新しく今後加えたらいかがですか、環境だ、熊対策だと。だから、平地よりも、そういうこともやってもらわなくちゃいけない。

 農林水産省は、生産ばかりになるからいけないのであって、環境保全というのを、環境調和というのを、今度、食料・農業・農村基本法の中にも入れ込んでいこうとしているわけです。みどりの食料システム戦略とか、ややこしいんですけれども、緑というものを盛んに入れているんだから、熊も緑を守っている、大事な役割を担っているんですよ、今、一過的じゃなくて、何百年、何万年の単位で。だから、どんどん入れていってもいいと思うんですよ。やってください。

 もう一回御答弁いただきたいと思います。

舞立大臣政務官 環境保全支払いの関係につきましても、有機農業の推進等、かかり増し経費に着目した交付金というところでございますので、今後とも農業を続けていく上で重要となる活動については、農水省としても応援、周知させていただきたいなと思っております。

篠原(孝)委員 次は、最後の大問題です。

 これはそんなに頻繁にやっていませんけれども、務台委員長が環境委員会になってからはやっていなかったと思いますけれども、鳥獣保護法ですよ。

 まず、資料を見てください。何でこんなに頭が固いのか。環境行政なんて国民の理解の上に成り立つので、国民に寄り添っていかなくちゃいけない。さっき聞いていましたけれども、ネイチャーポジティブとか、何か余り片仮名の名前をいっぱい使って環境行政をやるのは僕は反対だと思いますけれども、聞く人は分からないですよ、何のことか。そっちはこの次においておきますけれども。

 資料の八ページ。名前を、とっととっとと改めているんですよ、差別用語を中心に。見てください、これだけ柔軟に変えています。環境省は新しい役所のくせに頑迷固陋かと思ったら、九ページの上から三つ目、動物保護及び管理に関する法律、これを動物の愛護及び管理に関する法律に改めているんです。悪いことではないと思います、愛護、こっちの方が愛がこもっていますよね。愛情を込めて保護するというのはいいことだと思います。上では、豚コレラ、イメージが悪いですね。豚肉の消費が減る。人間の都合ばかり考えて変えているような気がしますけれどもね。豚や動物のことを考えていないんですよね。豚熱というふうに変えています。女子、婦人、これなんかは余り変える必要はないと思いますけれども、女性に変えていますよ。

 それに引き換え、ずっと鳥獣保護法なんですよ。僕は、これはおかしいと思いますよ。だから、熊森協会の人から批判されるわけですよ、熊を敵対視している、けだものだと。テディーベアがあるし、熊は愛きょうがあるので、世界中で愛されているわけですよ。それを、けだものだ、駆除すべきものだ、駆除といっている。

 さっきの朝日新聞のを見てください。女性を中心にして、まず、左側の方に、これは、「耕論」のところで三人の人が意見を書いているけれども、石名坂豪さんというのは、野生動物被害対策と書いてあるんです。熊対策じゃないんですよ。分かりますか。

 そして、いかに国が遅れているか。これはちょっと資料で出せばよかったんですけれども、各県の担当者、担当課、担当班、係はどうなっているかというのを調べました。県の方がずっと先に進んでいますよ。

 さっきの獣医学部のを見られたと思いますけれども、獣医学部の表もちょっと見ていただくと、農学部を変えて生物資源学部とかなんとかと、いっぱい変えていますね。イメージを大事にしている。ところが、これまた農林水産委員会でやりますけれども、獣医師法があるから、学科は獣医学科で全く変えていないんですね。獣医学科の卒業生じゃないと試験資格がないとか、そういうくだらないことが書いてあるからです。獣医師は、取っ払って、変えてもらいたいと思いますけれども、少なくとも、鳥獣保護、保護するんだったら愛護しなくちゃ、愛護する、ペットのことを言っているんですけれども、熊だって愛護しなくちゃいけませんよ。

 それで、北海道は野生動物対策課ですよ。我が長野県は、恥ずかしながら、役所の、中央官庁の言うことに忠実なんでしょうね、林務部森林づくり推進課鳥獣対策室、係も鳥獣保護管理、みんな鳥獣を使っているんです。だけれども、合計しますと、野生生物と使っているのが十五県、鳥獣が十九県、その他が七県、野生鳥獣とかを使ってややこしいのは五県。つまり、野生動物を使っているんです。

 環境省だけが何でこんなに頑迷固陋なのか。僕は、保護を愛護に変えるよりも先に、この鳥獣保護法をちゃんと野生動物保護法に変えていただきたいと思います。これも勝手に変えることができないので、議員立法で、内閣府にちょっとやっているんです。

 だから、是非、有識者の伊藤環境大臣の間にやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 議員の御指摘は、保護の対象とされる野生動物に獣の文字が使われることは適切でないという御指摘と受け止めました。獣という文字は、哺乳類を示すものとして一般的に使われております。別に蔑視ではありません。

 また、鳥獣保護管理法では、第二条第一項において、鳥獣を、鳥類又は哺乳類に属する野生動物と定義してございます。このように、法制上、鳥獣と野生動物は、その範囲が異なっております。したがって、野生動物という用語については、野生に生息する動物一般を示すものとなっているところでございます。

 そういうことで、鳥獣に代わる適切な用語が見当たらないことから、鳥獣保護管理法を改名することは現在では考えていないということでございます。

篠原(孝)委員 また頭を柔らかくしてきちんと考えていただくことをお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田でございます。

 私からは、森をテーマにして質問をさせていただきたいなと思っております。

 大臣所信に対する質疑ということですので、もう本当に大枠のところから、それこそ、五十年後、百年後の日本、将来の世代に私たちのこの国土をどうやって残していくか、引き継いでいくかということを是非大臣からもお考えを聞かせていただきたいなというふうに思っております。

 よく日本は、少資源国家だ、資源の少ない国だという言い方をしますけれども、それは確かに一面そうかもしれませんが、鉱物資源とか地下にある資源、石油だとかそういうものを考えればそうかもしれませんが、世界の砂漠化の状況を考えますと、私たちの国が持っている、水があり、そして緑があるという、このすばらしい恵まれた環境というのは、なかなかこれは当たり前に得られるものではないんだろうなというふうに思っております。

 そういった意味では、この水と緑をどのように国家的なものとして国家戦略の中に位置づけてやっていくかということも大事なことだと思います。

 そもそも、国土の利用の在り方を振り返ってみますと、江戸時代には人口が三千万人ぐらいかな、こういう予想がされているわけですけれども、そこでいろいろな集落が成り立って、そして、田畑、新田開発なんかをやっていってだんだんと都市というものが成り立っていく中で、戦後の復興のときに今度は工業用地を大規模に開発したり、今は商業的な大規模開発あるいは倉庫も大きいのができたりなんということで、こういう商工業の開発にまで至ってきているということです。

 ただ、三千万人だった人口が今は一億二千万人ぐらいになり、今度は、五十年後にはこれが八千万人ぐらいになっていくということを考えますと、食料のこともさることながら、いろいろなことの土地の需要というものがやはり減っていくだろうということは、これはもうそこの数だけ見てもはっきりしているんだろうなというふうに思っております。

 そうしますと、今まで、いろいろな土地を、森を切り開いてほかの用途に使ってきた、こういう歴史を今度はその逆をやっていく、そういう時期にも来ているのかなというふうに思っております。

 特に、この辺の課題が顕著なのがいわゆる中山間地と言われている地域だと思いますけれども、山を切り開いて田畑を造ったりするのもなかなか難しいですし、あるいは、今のいろいろな都市のインフラが整っている中で山の中に集落をつくって住もうというのも、維持のコストもかかるし、あるいは移動のコストもかかるということもありますので、なかなか中山間地のいろいろなものを維持していくというのは、これはいい悪いではなくて、難しいか易しいかといえば、これは難しいということも確かなことだろうと思います。ですから、自然と都市の方に人口が集中していくというのは、これはもうやむを得ない部分もあるとは思います。

 そこで、今のところは、何かほっておいて、いろいろな社会情勢の中で、気づいたら中山間地の田畑が荒れていたとか、気づいたら空き家が全体の、集落の例えば半分以上になっていたとか、気づいたらとか、分かっていても何か余り対策をきちんとやってこなかったというのも一方では事実だと思っておりますので、こういったところを、これは別に、もちろん環境省だけが何かやれるということではなくて、大きな国土の利用というか国の土地の使い方とかも含めて、自然からお借りしていたものを返すというような発想も必要なところかなというふうに思っております。

 こういった土地の利用とかも含めて、どうやって今まで開発してきたものを自然というところに返していくかというところについて、大臣のお考えを聞かせていただきたいなと思っておりますが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 中山間地域、いわゆる里地里山、ここでは、人が自然を適度に利用することによって、各地域特有の豊かな生態系が営まれてきたということであると思います。社会経済構造の変化に伴って人の利用が縮小する、そのことは生物多様性の損失の大きな要因となってございまして、例えば、かつては身近な存在であったメダカ等の生物が急激に減少しております。

 このような状況を踏まえて、昨年、閣議決定された生物多様性国家戦略では、里地里山を維持するための様々な手法を提案しております。例えば、地域の自然や資源等を活用し、観光振興や産業の創出等に取り組むことで、豊かで活力ある地域づくりを推進すること、少子高齢化によって地域のコミュニティーを維持することが困難となるような地域の自然林や湿地等を再生していくことなど、多様な選択肢の必要性について言及しております。

 環境省では、里地里山等、生物多様性の保全上重要な地域において、その保全、活用に資する先進的な活動への財政支援を行っています。また、先般国会に提出した、地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案においても、劣化した生態系を回復させる民間等の活動を国が認定することで、その取組を後押しすることとしております。このような新たな施策も含めて、引き続き、様々な関係者と連携協力して取り組んでまいりたいと思います。

森田委員 ありがとうございます。

 山深い場所と都市部との間に位置する里地里山ということだと思いますけれども、確かに、私も維持をしていくというのは大賛成です。その上で、維持ができなくなってきたときの撤退の方法をどうやって準備しておくかということも、これは今すぐそれを全部やれという意味ではなくて、制度的なものですとか考え方を整理しておくということが、例えば環境省が持っているところですと、国立公園のことがあったりとか、あるいは今日農水の方にもおいでいただいておりますけれども、例えば林野庁が管理している国有林に一部を編入していくような形とか、細かいことを言えば、税法のことだったり登記のことだったりいろいろなことがあると思いますけれども、いずれにしても、私たちが人間のために活用してきた土地をどうやってそうじゃない形に戻していくかというのは、非常に長期的な課題としては大きなものがあるかなと思いますので、是非、大臣のリーダーシップを発揮していただきたいなというふうに御期待申し上げます。

 それから、次に、熊の、先ほど篠原委員からも質問があったところですけれども、私、冒頭申し上げたとおり、森の視点から質問させていただくということで申し上げました。

 それで、山に生息してきた動物たちが、先ほどのお話のように里地里山に下りてきたり、あるいは、もうちょっと住宅が密集しているようなところにまで下りてきてしまって、ひどい場合には人身事故につながるようなことになっているというのは非常に不幸なことでして、私は、どちらかというと、対症療法的なところよりも、少し根本的なところをお尋ねをしてみたいなというふうに思いますけれども、その根本原因の一つとして言われているのが、山が、森が痩せてしまっているというような指摘があるというふうに思っております。

 そもそも、日本の国土の三分の二が森林であり、そのうちの四割以上が杉、ヒノキの人工林だというふうに言われております。例えば、熊が何を食べるのかなというふうに考えてみます。人間が森に入って食べるものもそんなに変わらないと思うんですが、これから春になれば、フキが出てきたりとか、若い芽、葉っぱが出てきて食べたり、あるいは、夏になれば、いろいろな虫を食べたりとか、秋になれば、これがドングリだとかいろいろな木の実だとか、こういうところになってくるんだろうと思いますけれども、いずれにしても、杉、ヒノキの、植生的には偏った森になってしまうと、熊だとかほかの動物たちが食べるものがどうしてもないという状況になっている、こういうことがあろうかなと思います。

 私、埼玉で県会議員をやらせていただいたときから、自分の名前が森田というのもありますので、森田の森づくりというふうに勝手にこれは私がタイトルをつけまして、シリーズ的に議会の一般質問とかでもやっていたんですけれども、そのときに、宮脇昭先生、もうお亡くなりになったんですが、横浜国立大学の名誉教授をされていた先生が宮脇方式という植樹の方式を紹介されて、そこでその先生が何をやっていたかというと、その村、その地域に行くと、いわゆる鎮守の森に行くんだと。鎮守の森には比較的その地域の、どんなに都市化された地域であっても、比較的そこの植生に近いものが植わっているということをおっしゃっていました。

 大体、日本の国土全体を見通してみると、主となる木の種類というのが、シイ、タブ、カシ、こういった常緑の高木というのが大体メインの樹種になってくる、木の種類になってくる。そこにいろいろと、低木であったり、中木であったり、あるいは実をつけたりする木があったりとか、いろいろそういうものが交ざって一つの全体の植生をつくっているんだよ、こういうお話です。

 確かに、私も自宅の周りに、建てるときに、二千本から三千本ぐらいの苗木を、そんなに大きな土地じゃないんですよ、ただ、苗木というのは、こんな小さい苗木をたくさん植えたので、いろいろな、しかも年数が経るごとに枯れていく木もたくさんありますから、今ではもう十メートルとか、高木ですと一年に一メートルぐらい伸びますので、そういう森になっているんです。

 確かに、見ていると、シイとかカシなんかも随分ドングリをつけて、いろいろな樹種、木の種類を交ぜてあるんですけれども、一年中、葉が落ちるんですよね。葉が落ちるというと、秋に落葉する木を想像しますけれども、常緑樹なんかは結構夏に葉を落とす木なんかもあったりして、そうすると、そこに落ちた葉っぱがやはり土地を豊かにするということもあり、そこにまた虫がやってきたり、鳥がやってきたりとか、こういうふうになってくるということで、人工的に造る森なんだけれども、比較的自然に近い環境を実現していく、こういうことを宮脇方式ということで勉強させてもらったんです。

 いずれにしても、そういう自然に近い形の植生ができると、いきなり熊が村にやってきて人を襲うなんということがない森が増えてくれば、そういう中で暮らせるという状況もあるんじゃないかなと思いまして、バッファーゾーンじゃないですけれども、山深いところと人が住んでいる場所の間に、そういったきちんとした自然の植生に近い森を用意するということも必要なんじゃないかなと思いますけれども、是非、この辺りについても御意見を伺えればなと思っております。

伊藤国務大臣 委員御指摘のように、奥山というのは大事ですね。

 環境省としては、奥山等において熊類の保護を図るための保護優先地域、あるいは、人身被害等の防止を図るための人の生活圏、それらの間の緩衝地域を設定し、それぞれの地域に応じて適切に管理を行うゾーニング管理、これを引き続き進めていくという方針でございます。

 環境省では、奥山地域を含め、国立公園や国指定の鳥獣保護区等の保護区域の指定などにより、生息環境の保全を図ってございます。引き続き、農林水産省を始めとする関係省庁と連携して、熊類の生息環境の保全を図ってまいりたいと思います。

舞立大臣政務官 お答えいたします。

 令和三年の六月に閣議決定しました森林・林業基本計画におきまして、多様で健全な森づくりを推進することとしておりまして、その際、地域の自然条件等に応じて、針葉樹だけでなく、針葉樹と広葉樹が交ざり合った針広混交の森づくりも進めることとしているところでございます。

 このため、森林整備事業において針広混交林や広葉樹林の造成への支援を行うとともに、例えば、森林環境譲与税を活用して、住民の要請に応じた多様な森づくりを可能とすることもできるようになっておりまして、これらによりまして、針広混交林や広葉樹林の育成も図っているところでございます。

 農水省といたしましては、森林の有する多面的機能が適切に発揮されるよう、花粉症対策にも資する多様な森づくりを進めてまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 先ほど、花粉症のことも触れていただきました。別の質問に立てようかなと思っておりましたけれども、もうお答えいただきましたので、この質問については触れるだけにいたします。

 これも埼玉県で私が県議をやっていたときですけれども、彩の国みどりの基金というのを、自動車税の一・五%相当を基金として設置をして、そこから、水源地の森林の涵養だとか、あるいは身近な森を増やしていく、身近な緑を増やしていく、こういうことにお金を使ってきたんですが、先ほどの、針葉樹と広葉樹の交ざった森、これをつくっていくというようなお話がございましたけれども、埼玉県では、その基金を使って一万ヘクタール以上の、樹種が、木の種類が交ざった森をやっている、平成二十年に設置してから。

 という実績もありますので、是非そういった、広く全国的に、いわゆる人工林であっても、先ほど既にもう花粉症のお話も触れていただきましたけれども、杉、ヒノキの、元々は、よかれと思って、御先祖の皆さんがそこで材木に使えるようにといって植えたはずなんですけれども、それがちょっと思わぬ弊害を生んでいるということもありますので、活用できる森は活用する、これはもう当然のことでして、それ以外のところをどうやって調節をしていくかということは非常に大事な視点かなと思っておりますので、是非、引き続きの対策をお願いできればなと思っております。

 それから、森から離れまして、外来種のことについてお尋ねをしていきたいなと思っております。

 まず、クビアカツヤカミキリ、これはよく桜を駄目にしてしまうということで、うちの近くも、県の方に調べてみましたら、埼玉県内二十二市町村で五百九十八か所の被害が確認されている、こういうことがございます。

 うちの方は、大体利根川の南の地域なんですけれども、同じような被害が群馬県側、利根川の北側にも、やはり果樹なんかを中心に被害が確認されているということがございまして、熱心に駆除に取り組まれている行田のさくらロータリークラブさんというのが駆除例会なんというのをやって、薬剤をやったりとか、あるいは啓発に努めていただいたりなんということもやっていただいているところなんです。

 いずれにしても、これからちょうど桜が見頃な時期なんですけれども、ずっと並木が続いていると、軒並みおがくずみたいなものが幹の下の方にばっと散らかってしまって、非常に残念な状況になって、ひどいものだと伐採せざるを得ない、こういうことになっております。

 是非、国の方からも広域的な取組も含めて支援をしていただきたいなと思いますけれども、これは朝日政務官ですかね、お願いいたします。

朝日大臣政務官 クビアカツヤカミキリによる梅や桜などのバラ科の樹木に対する被害については、埼玉県を含みます十三都府県において確認をされております。

 環境省では、平成三十年に本種を外来生物法に基づく特定外来生物に指定をいたしまして、本種の早期発見に必要な同定マニュアルやチラシの作成、配布、地方公共団体が実施する生態系等に係る被害防止対策への交付金による支援を進めております。

 また、農林水産省や林野庁と共催をしております、外来カミキリムシ類に関する関係省庁連絡会議において、各省の取組状況を共有するとともに、都道府県の関係部局へ情報を提供し、対策を促しております。

 引き続き、クビアカツヤカミキリによる被害防止のため、関係省庁と連携をいたしまして、自治体の対策への支援を進めてまいりたいと考えております。

森田委員 普通の殺虫剤では本当に効かない。かなり奥深いところに幼虫が入っていくというのもあると思いますけれども、一本一万円とかするような非常に高い薬剤を使わないとこれが駆除できないということもありますので、確かに、駆除されている方に聞くと、最近は支援をしていただいているので資金的には非常に助かるというお話は聞こえてきておりますけれども、引き続き、丁寧に対応していただければありがたいなと思います。

 あとは、いわゆるジャンボタニシ、これは特定外来種には指定をしていないということらしいですけれども、スクミリンゴガイ。

 聞くところによりますと、淡水で育つ貝ということで元々食用に持ち込まれて、私も、初めて見たときには本当に、何だろうな、これはと思ったんですけれども、田んぼの用水のコンクリの壁とかに赤い粒々のものがばっとあって、あるいは稲の根元に近い方にブドウを小さくしたような、海ブドウを赤くしたような粒々のがいっぱいあって、これは何だろうなと思ったら、ジャンボタニシの卵だよ、そういうお話があります。

 やはり聞いておりますと、用水沿いに上流から下流に向かって、どうしても卵が、あるいは貝が流れていって被害が広がってしまう。うちの方でも利根川に近い北側にある程度そういった被害が見られるかな、いろいろ田んぼをやっている方に聞きますと、そんなことが聞こえてくるわけですけれども、若い稲を食べてしまって、当然、そこが稲が生えないような状況になってしまうということです。

 今、農家の方たちは、何年か前に非常に米価が低かったし、しかも、ここのところでまた暑かったり白く濁ってしまう被害が出たりして、非常につらい思いをされていらっしゃるので、うちの田んぼにもいつ入ってくるのかなと戦々恐々としていらっしゃる方もたくさんおいででいらっしゃいますので、是非こちらについても、なるべく被害を出さないように、あるいは拡大をさせないような支援をしていただきたいなと思いますけれども、舞立政務官、農水の方のお考えを聞かせていただきたいと思います。

舞立大臣政務官 お答えいたします。

 ジャンボタニシによります農業被害の件だと思いますけれども、先生御指摘のとおり、ジャンボタニシ、昭和五十六年頃から食用として海外から導入されたものが野生化して、関東以西の地域の水田を中心に確認されておりまして、移植直後の水稲等で被害が発生しているところでございます。

 近年、暖冬等の影響によりましてジャンボタニシの発生が拡大しており、特に近畿や関東など、新たに侵入した地域で大きな被害が認められているところでございます。

 このため、農水省といたしましては、水稲の防除マニュアルを作成、普及し、冬期の耕うんですとか田植後の浅水管理等の防除対策の実施を進め、また、地域の実情に応じた適切な防除体系の実証を支援するとともに、農研機構を中心といたしまして、電気による誘引技術、トラップによる大量捕獲技術等の新たな防除技術についても開発を行っているところでございます。

 引き続き、都道府県等と連携いたしまして、地域の実情に応じた防除対策についても指導を徹底してまいりたいと考えております。

森田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

務台委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の奥下剛光です。よろしくお願いいたします。

 限られた時間ではございますので、早速質疑に入りたいとは思うんですけれども、質疑に入る前に、今日は僕は花粉症のことについてお尋ねしたいと思っていまして、まず、大臣に花粉症かどうかをちょっとお尋ねしたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 花粉症ではございません。

奥下委員 ありがとうございます。

 花粉症かどうかで、つらい気持ちが分かっていただけるかどうかはちょっと大事かなと思ってお尋ねした次第なんですけれども、当然、私は花粉症です。今日、この委員会の理事会の皆さんは集まるのが早いので、ちょっと時間が、あっ、やばいと思って急いで出てきたので、今日は薬を飲んでいないので喉がいがいがしていて、途中で聞きづらいところがあったらお許しいただきたいと思うんですけれども、御容赦いただいて、質疑に入りたいと思います。

 昔は、こんなに花粉症の方はいらっしゃらなかったと思うんですけれども、ちょっと調べたら、その原因となる人工杉が四百五十万ヘクタールで、日本の国土の一〇%強にも当たるわけですけれども、そもそも、なぜこのように人工杉を植えられたのか、林野庁にお尋ねいたします。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、我が国の杉の人工林面積は、正確には、令和四年三月時点で四百四十一万ヘクタールとなっておりまして、国土面積が三千七百八十万ヘクタールでございますので、約一二%となっております。

 このように杉人工林面積が大きくなっているのは、一つは、戦後、やはり戦中に大分過度な伐採が行われまして、森林が荒廃しておりました、国土保全を図るため、早急な国土緑化が必要であったということ、さらには戦後の復興に向けた旺盛な木材需要、これに応える必要があった、そういった状況があったと思います。

 こういった中、育苗といいまして苗木を作る技術、造林といいまして植えて育てる技術、そういうものが確立しており、成長が早く、さらには建築用材としても古くから有用な樹種である、そういった杉の人工林が選ばれ、積極的に植林された、そういった結果だというふうに考えているところでございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 確かに、戦時中に大量の木材が必要になり、結果として過度に植え過ぎたんじゃないかなというふうに思っておりますが、はげ山が広がり、洪水や土砂災害も発生して、そのように多くの杉を植えられたということですけれども、これは杉じゃなくてもよかったんじゃないかなというふうには考えるわけですけれども。

 当時、こうやって家を建てることも必要だったと思います、もうかることもあったと思うんですけれども、お金をかけてここまで植えたにもかかわらず、本来、伐採してきちんと使用すればよかったと思うんですけれども、結果としてここまで放置した状態になっている原因は何だとお考えでしょうか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 杉材を始めとした国産材につきましては、先ほど申したように、主にやはり戦後造成されましたので、まだまだ、今まで育成期ということで、伐期を迎えていなかったということ、もう一つは、やはり外材でなく国産材を選んでいただくためには価格、品質、安定供給、そういったものの競争力を高める必要があったということ、そういう中、例えば、質に関連する乾燥施設、そういったものの整備がなかなか遅れていた面がございます。そういったことで利用は進んでいなかったんですけれども、近年は資源が充実してきました。五十年生を超える人工林が増えてきましたし、施設整備等も進んできました。

 その結果、杉を始めとした木材自給率は、平成十四年の過去最低であった一八・八%から、現在、令和四年には四〇・七%まで向上するに至っております。

 今後とも杉材が利用されるように、国産材の競争力の強化を図ったり、需要拡大、そういったことを進めていきたいというふうに考えているところでございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 おっしゃることはよく分かります。戦後の資本主義の理念も入ってきて、安ければいいという考え方になって、海外からの輸入もあり、国内の高い木を使うよりもということもあったんだと思いますけれども、その結果、こうやって大量に花粉を放出し続ける杉が増えてしまった。当時はそういったエビデンスもなく分からなかったとはいえ、やはり当時の政府主導でやってしまったことには変わりはないと思うので、今おっしゃっていたように、ウッドショックというのも言われている中で、木をもっともっと使っていただいたら、林業も育つし、国土対策もできますし、花粉症もなくなるんじゃないかなというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。

 そんな中、今申し上げたように、国がお金をかけてこうやって植えたわけですから、政府が花粉症対策をするのは当たり前のことだと思っているんですけれども、現在、政府が取っている花粉症対策というのはどんなものがあるんでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 政府では、昨年四月から花粉症に関する関係閣僚会議を開催し、政府一丸となって花粉症対策に取り組んでおります。

 この関係閣僚会議では、昨年五月に、今後十年を視野に入れた長期的な施策を含む花粉症対策の全体像を取りまとめ、昨年十月には、この全体像のうち初期の段階から集中的に実施すべき対応を初期集中対応パッケージとして取りまとめました。

 政府の花粉症対策は、杉人工林の伐採、植え替え等を加速する発生源対策、杉花粉飛散量の予測精度の向上や飛散防止を図る飛散対策、花粉症の治療や予防に関する発症、暴露対策の三本柱で構成をされております。

 環境省としては、雄花花芽調査や花粉実測調査の強化を通じた花粉飛散量の予測精度の向上や、国民に花粉飛散量を分かりやすく情報提供するための標準的な表示ランクの設定、周知、花粉症予防行動を国民に広く周知するためのリーフレットの作成などに取り組んでいるところでございます。

 引き続き、関係省庁とも連携しながら、政府全体の花粉症対策の推進に取り組んでまいります。

奥下委員 ありがとうございます。

 花粉症対策のリーフレットを見ましたけれども、多分、あれを見て取り組もうとしている方はなかなか少ないんじゃないかなと。薬局の待合室に置いてあったら見る程度で、なかなか周知されていないというのはあると思うので、是非そういったことも力を入れていただきたいと思います。

 十年後には発生源の人工杉を二割減ということで、将来的、三十年後ということですが、半減を目指すということですけれども、これは杉の寿命を待つということもあるんだと思うんですけれども、やはり花粉症を持っている人間からするとそんなに待っていられないので、もっと早く進めてほしいなという思いはあります。

 先ほどおっしゃっていただいたように、花粉予報がされているわけですから、部分的に、どこにいっぱいあるというのも分かっているはずだと思うんですね。ですから、都市部が多いわけですから、京阪神、中京地域、首都圏、こういったところの飛んでくる予想ができているわけですから、こういったところにまず集中的にやっていっていただけたらなというふうに思いますので、御検討いただけたらなというふうに思います。

 次に移ります。

 現在、五千万人ぐらいの方が花粉症と言われておりますけれども、現在、花粉症でどれぐらいの医療費がかかっているのか、教えていただけますか。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 花粉症治療という分類での医療費データは持ち合わせておりませんが、花粉症を含むアレルギー性鼻炎の保険診療の医療費は、新型コロナウイルスの影響を受けていない直近の数値、令和元年度で申し上げますと、約三千六百億円と推計しております。

奥下委員 保険診療で三千六百億で、レクでは市販薬が四百億というふうに聞いております。これは、花粉を専門に研究されている先生がいらっしゃいまして、そういった先生によると、花粉症による仕事の悪化で、経済損失が一日に二千二百十五億という推計が出ているというふうにおっしゃっておられます。

 この数字はともかくとして、健康診療とか市販薬で四千億ぐらいの経費がかかっているということですけれども、これは、やはり税金をかけて伐採とか無害の木へ植え替える方が費用は絶対的に安いんじゃないかなというふうに考えています。

 先ほど対策として伐採とかに取り組んでいるということでしたけれども、その伐採、植え替えをもっとスピードアップしていただくためにも、現在、林業の人材不足も言われていると思うんですけれども、この林業の人材不足、そして、切った後、これは絶対に産業育成も一緒に考えていかないといけないと思うんですけれども、この辺りの取組について教えてください。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、杉の伐採、植え替えを進めていくためには、担い手問題、それをやはり解決しなきゃいけないですし、伐採した後にやはりちゃんと植えていただく、さらに、伐採した木を使っていただく、利用拡大、先ほど申しましたけれども、杉材の利用拡大、そういったことを総合的にやっていかなきゃいけないというふうに考えております。

 そういった考え方を今回の杉花粉対策、花粉発生源対策の中にも位置づけているところでございます。

 具体的には、担い手につきましては、従来から進めている高性能林業機械の導入。機械を入れると、人手が少なくても作業がはかどりますので、高性能林業機械を導入して生産性を高めること、さらには、緑の雇用事業等による新規就業者の確保、育成、こういうことを進めています。

 こういったことに加えて、昨年十月、関係閣僚会議で決定された花粉症対策初期集中対応パッケージにおきましては、素材生産を増大させる意欲のある木材加工業者、木を切るのは素材生産業者がやるんですけれども、木材加工業者の方々にも切る事業にどんどん進出していただきたいということで、そういう方々に高性能林業機械の導入支援を強化することとか、さらには、農業、建設業等の他産業、施業適期の異なる他地域、例えば、北の方に行くと、雪で冬の間は仕事ができませんので、そういうところと太平洋側の間、そういったところの連携を推進して労働力を確保すること、そういったことを位置づけいただきました。

 関連予算を令和五年度補正予算で措置いただいておりますので、こういった予算措置も活用して、引き続き、林業の生産性の向上と林業労働力の確保にしっかり努めていきたいというふうに考えているところでございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 総理も関係閣僚会議で、取り組むというふうにおっしゃっていただきました。皆さんよく御存じだと思いますけれども、関係閣僚会議は、大臣が初めに出られて、次からは出られていない会だと思います。

 飛散源は林野庁、情報は環境省、気象庁、農水省、防護に関しては環境省、国交省、経産省、医療は厚労省、文科省、農水省というふうに関わってくると思います。縦割りが問題というよりは、関係閣僚会議というところよりももう一つ、ワンステップアップしていただかないと、責任の所在者がいないのが僕は一番の原因じゃないかなというふうに思っているんです。

 伊藤大臣におかれましては、所信で、人の命と環境を守ることこそが環境省の使命であるということを肝に銘じ、花粉症対策にも真摯に取り組むというふうにおっしゃっていただきました。

 伊藤大臣の花粉症に対する本気度を問いたいと思います。よろしくお願いいたします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 花粉症は、本当に多くの国民の皆様を悩ませ、苦しめている大きな社会問題だと思います。

 今お話があった関係閣僚会議においてでございますけれども、昨年十月、初期の段階から集中的に実施すべき対応として、花粉症対策初期集中対応パッケージを取りまとめました。それとともに、総理からは、当該パッケージを経済対策に盛り込み、必要な予算を確保し、着実に実行に移すように指示があり、これに基づき、環境省を含め、関係省庁において取組が進められております。

 私は、この関係閣僚会議の副議長を拝命しております。その立場で、関係省庁と緊密な連携の下、しっかり政府一丸となった花粉症対策を更に推進してまいりたいと思います。

 環境省としては、民間事業者による杉花粉飛散量の予測精度の向上や、また、自治体、関係学会等と連携した花粉症予防行動の周知などを通じて、花粉症という社会問題の解決に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。

奥下委員 僕が二十五年前に秘書としてこの世界に入ったときに、当時は自民党でしたけれども、そのときに、党内にハクション議連というものがありましたね、その後、解散されましたけれども。小泉内閣のときに、内閣府に花粉症対策研究検討会、こちらも二回ほどやられて、解散されました。

 僕の問題意識としては、先ほどから申し上げたように、環境省主導でやっていただきたい。それは、僕は、花粉症は、公害とまでは言いませんけれども、大気汚染の一つだというふうに捉えています。五千万人の方が苦しまれているわけですから、是非そういった、先ほどの篠原先生がおっしゃったような、公害で、大気汚染だから訴訟がどうとかいうわけじゃなくて、取り組む問題意識として、そういった意識で是非取り組んでいっていただきたいと思うんです。

 秘書当時、入ったときはまだ環境庁でしたけれども、そのとき、環境庁さんは、公害、大気汚染問題で、経産省さんとか企業さんとも、やめるところはやめろというふうに戦っていたイメージが強いんですけれども、今、そこまでの旗振りでやっておられる温度感はないなというふうに思っております。

 だからこそ、花粉症の僕が言うから余り説得力はないかもしれませんけれども、もうちょっと大気汚染という認識を持っていただいて、使命感を持って各省庁、各企業と渡り合って、あのときのように取り組んでいただけたらなというふうに思っております。

 苦しんでおられる方がいらっしゃるので、是非前向きに取り組んでいただきますようお願いいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

務台委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二十分開議

務台委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、空本誠喜でございます。

 今日はよろしくお願いいたします。四十分ございますので、しっかり質問させていただければと思います。

 また、この質問に際して、各省庁の事務方の皆様には大変丁寧な対応をいただきまして、また様々な御説明をいただきまして、ありがとうございます。感謝を申し上げます。

 まず、大臣にお聞きしていきたいと思います。

 まずは、環境行政の在り方について、お聞きしたいと思います。

 やはり環境行政といえば、昔に遡ってみますと、有機水銀による水俣病、また亜硫酸ガスによる四日市ぜんそく、こういった過去の環境被害に対して、私自身、環境省の対応は遅いんじゃないか、昔は環境庁、環境行政の対応がまずかったんじゃないかなというふうに感じています。今、新たなPFAS、新しい化学物質の問題も出てきました。こういった問題にいち早く、迅速に対応していかなきゃいけない。

 これまで環境省の皆さん、頑張っていらっしゃると思うんですが、環境省、国立環境研究所、こういった方々は様々な調査もやられていらっしゃるし、研究もやられていらっしゃる。さらには様々な基準作りとか、さらには指針を出されている。これは丁寧に行われている。そして、有識者の先生方を招いてのそういう有識者会議を開きながら、そういう知恵をいただきながらやっていらっしゃる。

 けれども、過去の水俣病、こういったものを見てみると、やはり環境行政がいち早く、例えば魚を食べるのを待ってくれとか、そういったものを自重してくれとか、行政がいち早く先回りしてやるべきだったのかな。しかし、それができていなかった。今まさにPFASの問題が出ていまして、そういった中で、環境行政、まだまだ対応が遅いんじゃないかなと感じています。

 そういった意味で、過去のそういう環境被害に対する対応の遅れ、そういったものに対しての反省から、これからどのように環境行政を変えていこうと、質的にも、やはり人的にもしっかり取り組んでいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 環境省では、予防的な取組方法、つまり、科学的に不確実であることをもって対策を遅らせる理由とはせず、科学的知見の充実に努めながら、予防的な対策を講じるという考え方に基づいて化学物質対策を講じているところでございます。

 環境省では、対策を一層効果的に推進するため、この四月から環境保健部を改組し、化学物質対策を取り扱っていた部署を一元化する予定でございます。

 国立環境研究所においても、令和五年度補正予算により、エコチル調査やPFAS対応など媒体横断的な環境管理の課題への対応力を強化するための体制整備を進めているほか、令和六年度は研究者の増員等を含めた体制整備を計画しております。

 御指摘もあります。今後とも、必要な体制を整備しながら、化学物質対策を始め環境政策の推進に前向きに、そして、なるたけ早く取り組んでまいりたいと思います。

空本委員 大臣から前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 しかしながら、やはりスピード感が遅いといいますか、後手後手に回っている感が否めません。先ほど人的な補強もされるということ、国環研もしっかり補強されるとおっしゃっておりましたが、やはり、後ほど議題とさせてもらいますPFASに対する対策について、そういった問題に対してどのように人的に、またそれにどのぐらいの人数を入れるかとか、どういうレベルの方を入れるか、そういったことを具体的に本当はいただきたいと思っておりますが、まずは最初の出だしでございますので、ここからスタートということで。

 次に、原子力の規制行政の在り方についてお聞きしたいと思います。

 まずは、やはり、今様々な審査が行われています。原発再稼働に向けての審査、核燃料施設、六ケ所村での審査、こういったもの。私、原子力の専門家でございますので、審査の根本的な遅れの原因とは何ぞやと。いろいろな原子力の専門家若しくは技術者の皆さんと話すときにやはり出てくるのは、基本的な原子力規制の在り方、仕組み、ここが問題じゃないかな、ここにメスを入れなければならないと。こういう議論というのはなかなか難しいと思います。実際、裏方の方々が何をやっていらっしゃるか、これが見えないというのが一番だと思います。

 私自身、原子力でいろいろな規制またいろいろな基準作りとかをやらせていただいた経験もありますので、それを踏まえながら少しお話をさせていただければと思います。

 以前は原安審とか燃安審とか、今現在もそういう審議会はございます。しかしながら、数多くの技術者の方、また、プラント設計、プラント建設、そして施工、さらにはメンテナンス、さらにはトラブルシューティング、事故のときの対応とか故障のときの対応、こういったいろいろな技術を持っている方々がその審議会の下に集まり、部会をたくさんつくってその部会の中で審査してもらうといいますか、審議していく。そういう原安審、燃安審の下にある部会、これは専門家同士でのなれ合いじゃまずいです。

 今、福島原発、昨日、三・一一。実は、私の誕生日も三月十一日。十三年前、まさに、私も三・一一のときには与党におりまして、その中で震災対策、原発対策をやらせていただきました。そういった意味で、やはりこの体制はなれ合いじゃいけない、これは分かっていますが、今の規制の在り方、やり方、審査の仕方、こういったものはもう少し変えていかなければならない、いや、大きくメスを入れていかなきゃいけないのかなというふうに感じています。

 私自身も東芝側から専門の技術者として様々な、プラントの長寿命化、プラントの寿命延長の維持基準とかそういったときに、SCC、応力腐食割れという、溶接部に欠陥が起きやすい、それが年がたってくるとだんだんひずんでくる、そして割れてくる。そのサイズがどのぐらいの深さ、どのぐらいの厚みだったらいいか、それは許容できるのというのをまずは試験をやるんですよ。破壊試験とかそういう試験もやりながら、そしてその許容欠陥の基準作りをやっていく。こういうノウハウがこれまでの原子力行政の中にたくさん蓄積されています。しかしながら、それが見えてこない。

 やはり、そういうものをもう一度つまびらかに皆さんの前に広げて、そういう基準を作ってきた、そういう経験を基に審査の在り方というものを考えていくべきではないかなというふうに思っております。

 そして、やはり、原子力に携わる方々は、今、四十代の方々はプラント経験がほとんどない。建設も設計もされていません。ただし、今、メンテナンス、電力会社の方と話をして、例えば、私、広島ですので、島根原発を見に中国電力さんに伺って見させていただくときには、若い方々は運転プラントの対応といいますか訓練とかをされていらっしゃいます。運転訓練、また緊急時の訓練をされていますが、実際の運転経験はありませんし、しかしながら、いろいろなところに行かせてもらって運転経験を積むということもされているというのはお聞きしていますけれども、そういう経験者がいなくなった。

 プラス、技術者に至っては、三菱、日立、東芝そしてIHIとか傘下の企業はたくさんありますが、そこの設計部隊の方々は五十代以上が主力でした。五十代以上の方々をもう一度活用しないとやっていけない。特に六十代、まだ元気だから、六十代ぐらいの方々をしっかり雇用してしっかり経験を入れていただきながら、そして、四十代、三十代の若い技術者の方々を育てるという仕組みづくりをしなきゃいけない。これは原子力の特別委員会でお話しすべき問題かもしれませんけれども、人材不足じゃなくて人材が抜けている今状況にあります。

 また、配管とかはまだ何とか造れたりします。しかしながら、いろいろなパーツ、パーツを造る下請企業、関連企業、この企業がなくなっている。難しい技術になると、やはり下請さんに任せました。けれども、そういう方々が、今、みんな廃業したり、辞めていったりしています。ということは、技術の継承もできない状況にある。

 そういった意味で、まずは原子力規制庁さんの方にお聞きしたいんですが、審査を迅速にするための対策、そして、その中で、規制庁が行うべき審査というのも、私は、規制庁の体質的な合理化も必要であろうと思います。例えば、審査を規制庁側としていついつまでにやり切ってしまう、その回答をいついつまでにやるという審査、仕組み自体の合理化、こういったものの迅速化。やはり電力に投げていて、電力の回答がまずいからということでやり取りをやっている、それは知っています。けれども、アメリカなんかの場合は、やはりお金をもらって審査して、ある期間で審査をやり切るというのが筋であります。

 そういった意味で、審査の在り方自身も変えていく。それが安全面で危ないなというんだったらまずいかもしれませんけれども、やはり審査の在り方も見直しをかけなきゃいけないと思うんですが、規制委員長、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力の安全の追求に妥協は許されないのが審査の大前提でございます。このため、審査では、規制側と事業者側の双方が納得いくまで十分に議論をし、共通理解を得ることが重要であるというふうに考えております。

 その上で、審査プロセスの改善のための取組について御説明させていただきます。

 審査チームからの指摘が事業者に正確に理解されていることを確認する場を設けて、必要に応じて文書化を行っております。また、地質等に関する事業者の調査方針や実施内容をあらかじめ確認をいたしまして、早い段階から指摘も行っております。加えまして、審査項目ごとに事業者の資料の準備状況や想定スケジュールの提示を求め、確認をしております。以上のような取組を行っておりまして、更なる継続的な改善にも努めているところでございます。

 次に、規制庁におけます審査の体制の強化について説明をさせていただきたいと思います。

 高経年化を担当する管理職の新設を行いました。職員の能力向上のための任用資格制度の導入と教育訓練の実施をしております。審査の即戦力となる経験者の積極的な採用も進めており、科学的、技術的知見の高い職員の定年延長を可能にするような特例定年制度の導入も進めております。以上のような取組によって、審査体制の充実確保にも努めているところでございます。

 なお、委員の方から、外部有識者の活用について御指摘がございました。旧原子力安全・保安院では、外部有識者から成る意見聴取会において実質的な審査が行われ、重要な判断の責任の所在が曖昧になってしまったという反省がございます。これを踏まえ、原子力規制委員会発足後は、原子力発電所の設置許可等の処分に関する判断は原子力規制委員会自らが責任を持って行うべきとの考えで審査を進めているところでございます。

空本委員 ありがとうございます。

 この問題については、原子力の特別委員会でまた審議をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、有機フッ素化合物、総称PFASの国内での検出問題について質問させていただければと思います。

 私の自宅から車で十分ぐらいのところに、米軍の川上弾薬庫というところがございます。その周辺で、今回、昨年から、高濃度の有害なPFASが検出されたということがございます。

 そこで、これまでの有害なPFASに関しての環境省の取組についてまずお聞きして、そして後ほど、地域的な問題ではございますが、広島県で起きましたこの高濃度検出の問題についてお聞きしていきたいと思います。

 そこで、まず端的に、沖縄、東京、大阪、各地で見つかっているこの有害なPFASに対する環境省としての問題意識、どうお考えでしょうか。大臣、お願いします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 PFASのうち、特にPFOS、PFOAについては、局所的に比較的高濃度で検出された地域の関係自治体や地元住民の皆様から、不安の声や対策を求める声が上がっていることを承知しております。

 環境省では、これまでもPFOS等に対して、製造、輸入等の原則禁止、安全側に立った水環境の暫定目標値の設定、自治体と連携した環境モニタリング、暫定目標値を超えた場合の暴露防止に関する助言などの対応を進め、安全、安心の確保に努めてきたところでございます。

 また、昨年七月には、環境省が設置した専門家会議において、PFASに関する今後の対応の方向性及びPFOS、PFOAに関するQアンドA集が取りまとめられました。

 環境省としては、今後の対応の方向性を踏まえ、自治体とも連携しながら、科学的知見の充実や丁寧なリスクコミュニケーションなど、国民の安全、安心のための取組を進めてまいります。

空本委員 ありがとうございます。

 そして、今、米軍基地の周辺でこの有害なPFASが高濃度検出されている、そのときに、原因究明とか米軍側へ対する要請、これはどうだったか。例えば、基地内で事故が起きて漏出しちゃった、それに対する対策、申入れはどうされているのか。

 また、よく分からないけれども基地の中で起きたんじゃないかな、だけれどもその原因が不明な場合、そういった場合、米軍側に聞くのはなかなか難しいかもしれませんが、その際の防衛省としての申入れはいかがでしょうか。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍が環境事故を起こさないよう安全管理の徹底を求めることは当然でございます。そのような中、在日米軍施設からのPFOS等の流出事故について米側から通報がなされ、地元自治体から当該施設内への立入りの要望があった場合は、関係省庁や関係自治体と連携をして、環境補足協定に基づき、地元自治体とともに在日米軍施設に立ち入り、サンプリング調査を実施するほか、可能な範囲で流出した泡消火薬剤等の回収を行っているところでございます。

 加えまして、米側に対し、流出事故の原因や米側が講じた措置などを確認をし、情報が得られ次第、関係自治体に情報提供をしてきているところでございます。

 また、在日米軍施設からのPFOS等の流出事故が発生していない場合におきましても、防衛省は、関係自治体からの求めに応じて、在日米軍施設での泡消火薬剤の使用、保有履歴等につきまして米側に照会をし、情報が得られ次第、関係自治体に提供をしてきているところでございます。

空本委員 丁寧な説明、ありがとうございます。

 そして、今、環境省さんにお聞きしたいんですが、東京都とか大阪府、去年は我が党の奥下議員がこの有害なPFASについてお聞きさせていただいていますが、各地でも出ている。そのときに、自治体さんからいろいろな要請、要望があると思います。その緊急性又はその重要度の観点から、環境省としてどのように自治体に対してそのレスポンスをお返ししてきたのか、環境省からお答えください。

土居政府参考人 PFOS等につきましては、委員御指摘のとおり、東京都や大阪府など様々な自治体から御要望いただいているという重要な案件でございます。そうした声を丁寧に環境省として受け止めまして、お応えしていく必要があるというふうに考えております。

 具体的には、これらの自治体との間で、環境省におきまして、PFOSなどの対応の手引、またQアンドA集などを使いながら、担当者間で緊密な意見交換をしたり、あと専門家の御紹介をしたりということで、様々な技術的な助言などを行わせていただいておるところでございます。

 引き続き、専門家会議におきまして取りまとめられました対応の方向性も踏まえまして、有害性の研究、対策技術の知見の収集、丁寧なリスクコミュニケーションの促進など、丁寧に対応していきたいというふうに考えております。

空本委員 今、緊密な自治体との取組といいますか、いろいろ、聞かれたらすぐ返す、そういったことがあろうかと思いますが、まだそれがやはり遅いといいますか、回答し切れない。

 確かに、この問題は二〇二〇年ぐらいから露見してきた問題であって、難しいと思います。そのときに、やはり問合せ等については、自治体からあれば丁寧にすぐ対応いただきたい、その窓口をより広く開いていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 このPFASに関しては、自治体や住民の方々の不安の声を真摯に受け止める、その必要があると考えております。先ほどもお答えしましたけれども、これまでも、安全、安心の確保のために様々な取組を進めてきたところでございます。

 さらに、昨年七月に取りまとめられた今後の対応の方向性を踏まえた更なる取組を進めるべく、令和五年度の補正予算として一億五千万円を計上したほか、PFASに関する総合研究の公募により研究を推進することとしてございます。

 引き続き、自治体から要望いただいている内容も踏まえつつ、関係省庁や自治体とも連携しながら、国民の皆様の不安払拭や科学的知見の充実のための取組を全力で進めてまいりたいと思います。

空本委員 取組をやっていただけるという前向きなお答えなんですが、例えば、アメリカなんかの場合は、米国の環境保護庁によって戦略ロードマップを作って、三、四年の間にある程度、様々な問題点、例えば農業の問題とか、また飲食の問題、またそういった暴露の問題、また土壌の問題、様々な問題があって、それに対しての研究開発、流入規制、さらには汚染浄化、汚染を浄化する、こういった目的として、具体的な施策、政策を決める、それを数年間でやり切る。

 例えば、年限を決めて、この二年間である程度、それは完璧じゃなくていいですよ、できません。多分、人体への影響などというのは、なかなかそれは計り知れないものかもしれませんが、やはり、年度を決めて対策チームをつくる、そのぐらいの気合がなければこの問題は解決しない。それで人体への影響がなければいいじゃないですか。

 大臣、いかがですか。年度を決めてこの対策チームをつくる。いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 御指摘を踏まえて、努力させていただきたいと思います。

空本委員 是非、よろしくお願いいたします。

 そして、食物と飲用水、飲み水、こういったものに対して一日当たりの耐容摂取量というのが決められています。

 実は私、スキーが得意で、委員長のところの白馬村にかなり行かせていただきまして、学生時代から、八方尾根、栂池、岩岳、岩岳の大会も出ておりました。そういったスキーをやっています。

 実は、スキーをやると、毎晩毎晩ワックスをかけるんですね。スクレーパーでワックスを全部削っていって、ワックスを全部取り外して、翌日また滑走が滑らかに、そしてちょっとでも速く走れるようにというか滑れるようにということで、ワックスを、アイロンをかけて塗るんですね。実は、このワックスにも、PFAS、有害なものが入っていました。

 私たちの環境の中にもたくさんある。化粧品とか、またファストフード店の包装用紙。これはなぜPFASかというと、皆さん御存じのとおり、水をはじくし油をはじく、すごく便利なもの。それは、原子間力がといいますか、原子間が密で、原子間力が強いということで水と油を両方はじく、だからすごく便利だけれども、その有害性が指摘されているというものでございます。

 そういったときに、食品の安全面から、今、体重一キロ当たり一日二十ナノグラムという指標がございます。それはどういうふうに決めてきたのか、食品安全委員会の方からお答えください。

中政府参考人 お答えいたします。

 食品安全委員会におきましては、本年二月、有機フッ素化合物、いわゆるPFASについて食品健康影響評価案を取りまとめ、パブリックコメント手続を開始いたしております。

 この中では、委員御指摘のとおり、PFOS及びPFOAについての耐容一日摂取量、いわゆるTDIも示されております。TDIとは、特定の物質を人が一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量でございます。

 今回、その設定に当たっては、まず、食品安全委員会において、現時点で入手可能な国内外の科学的知見を徹底的に収集いたしました。この中には、海外の評価機関が示しているTDI等の根拠となった科学論文も含まれます。さらに、二十人を超えるワーキンググループの専門家が各々の専門分野ごとにそれら科学的知見を緻密に検討し、その結果に基づき、精力的な議論を重ねていただきました。今回示されたTDIは、こういったプロセスを経て算出されたものであります。

 以上でございます。

空本委員 環境の中にはたくさんあるし、そういったときに、摂取の仕方、在り方ということは大変厳しくやっていかなきゃいけないという、食品安全委員会の方で決められていらっしゃいます。

 食品安全委員会は厚生労働省とか環境省と連携を取りながらやっていらっしゃる、それはもう確かでありますので、しっかりその辺の取組をいろいろな角度からお願いしたいと思いますし、そして、私の手元には、今、PFOS、PFASの環境省がまとめられたQアンドA集と対応の方向性というペーパーをしっかり読ませていただきまして、これを見ると、少し、ちょっと残念。

 昨年一月三十日、三月二十八日、六月十五日、七月二十五日、PFASに対する総合戦略検討専門家会議が行われて、五回でもう終わっているんですね。七月時点の最新のこういう方向性とかQアンドA集を作られた、これで今終わっちゃっているんですよ。その後どうだったかというと、この対応、対策が取られていないんですね。やはり、これは継続してやるべき話かなと思います。後ほど、大臣からまた御見解をいただけたらと思います。

 そのQアンドA集の中にこう書いてある。環境省は厚労省と連携するとか、また、書いていることは、この中に、健康指標に関する既存統計を使って健康影響を見てください、自治体の皆様と書いているんですよ。

 じゃ、この健康指標に関する既存統計とは何ぞや、環境省から的確に御説明をください。自治体に分かりやすくお願いします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 PFOS及びPFOAは、コレステロール値の上昇、発がん、子供の体重減少等との関連が報告されております。そういったことから、これらを健康指標として健康影響を把握することが考えられます。

 健康指標に関する既存統計といたしましては、コレステロール値につきましては、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく特定健康診査の情報、発がんにつきましては、がん登録等の推進に関する法律に基づくがんの罹患情報、子供の体重減少については、母子保健法に基づく低出生体重児の届出情報等を活用することが想定されます。

空本委員 今のことを的確に自治体にお伝えいただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 御指摘の健康指標に関する既存統計、この活用については、暫定目標値等を超えるPFOS等が検出され、住民の皆様の間に健康不安を生じている地域において、当該地域の健康状態を把握するものでございます。

 環境省においては、厚生労働省とも協議の上で、既存統計の活用方法等に関する事務連絡を昨年八月と十月に発出し、各自治体に対する技術的な助言を行ったところでございます。

 今回、問合せのあった自治体に対しても、引き続き、PFOS等に関する情報提供をしてまいりたいと考えております。

空本委員 是非、問合せがあれば迅速に対応いただきたいし、また、その内容についてはなかなか難しい話だと思います。ですから、それは自治体の皆さんとしっかりと議論をいただく、協議いただく、また、相談に乗っていただくということは大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、健康影響調査として血中濃度の測定が必要か必要じゃないか。これは昨年の委員会でいろいろ議論をされておりますが、環境省としてはまずどうかという問題、これが必要なのか必要じゃないのかという問題と、そして、健康影響調査として血中濃度測定を海外とかはどうやっているのかな。

 日本の、今環境省さんで調べられていらっしゃるのは、いろいろな文献調査、海外の調査とかされていらっしゃると思うんですが、ただ単にそういう文献サーベイで終わっているのか、若しくは、そういったことも余りやられていないのか。

 一応、有識者の会議の議事録は全て見させていただきました。そして、読ませていただきまして、いろいろな議論をされているのも見ているんですが、その中に参考資料等をつけられていらっしゃいます。そこに、アメリカとかカナダとかヨーロッパのデータも全部、データといいますか、いろいろな考え方をまとめられていらっしゃる、参考情報としてまとめられている。そういった意味で、ちゃんと調べられてはいると思うんですが、やはり環境省としてもっともっと体制を強化すべきかな。

 その前に、先ほどありましたけれども、まずは血中濃度の必要性についてどうお考えか、お願いいたします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 PFOSは、半導体用反射防止剤、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などとして、また、PFOAは、フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤などとして、いずれも幅広い用途で長年にわたり使用されてきたところであります。

 また、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、現時点では北極圏なども含め世界中の広い地域に残留し、血中濃度を測定すれば、ほぼ全ての方から検出されると考えられております。

 お尋ねの健康影響調査としての血中濃度測定の必要性につきましては、現時点では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるかということについては明らかになっておらず、また、将来の個人の健康影響を予測するには、過去も含めた経年的な暴露情報が必要となります。

 このため、検査時点の血液検査の結果のみをもって個人の健康影響を把握したり予測したりということは困難であると承知しております。

空本委員 血中濃度もなかなか難しい、判定基準がないということでございますので、それについては、これから研究をしっかりお願いしたいと思います。

 それで、私の地元の東広島市、川上弾薬庫の周辺に起きた、今回、高濃度検出についてお聞きしたいんですが、まず、米軍からどのような情報を得られているか、防衛省からお願いします。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 本年二月、東広島市及び広島県から受けておりました、在日米陸軍川上弾薬庫におけるPFOS等含有泡消火薬剤の保有や使用履歴等についての御要請につきまして、同月二十七日、米側から得られた情報を、広島県東広島市、ほかの関係自治体に御提供させていただきました。

 米側からは、これまで、二〇二二年六月に、本州における陸軍の全ての施設において泡消火薬剤の交換作業を完了した旨説明を受けていたところでございますが、これに加え、広島県に所在する在日米陸軍基地の施設では、これまで、泡消火薬剤をいかなる消火活動及び訓練においても使用したことがない、基地内外においてPFOS等の漏出を確認したことがない、泡消火薬剤については、二〇二〇年に、約二千二百ガロン、約八千三百リットルを処分した、泡消火薬剤は一切保有していない旨の説明を受けたところでございます。

 防衛省といたしましては、地元住民の皆様がPFOS等の検出に対し不安を抱いておられることを強く受け止めており、引き続き、関係自治体及び米側と緊密に連携をしてまいりたいと考えております。

空本委員 ちょっとここで話したいことはたくさんあるんですが、先に進ませていただきます。

 それで、昨年の六月二十三日の国会の質疑の中で、神ノ田部長さんがお答えになっていらっしゃる健康影響について。健康影響について、エンドポイントである健康影響部分、がんがどれだけ出ているか、低出生体重児がどれくらい出ているか、それが異常に増えているか、統計データで確認して、それをもって判断する。

 先ほども聞きましたけれども、これが先ほどの健康指標既存データ、既存統計になるかと思いますが、これをしっかり見ることによって、健康をまずは一時的にでも確認できると判断してよろしいでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 PFASとの関連が報告されております発がんやコレステロール値の上昇等につきましては、PFAS以外の原因でも生じるものであり、個人単位でPFASによるものかどうかを判断することはできないと承知しております。

 また、健康診断を行えばどの地域でも一定程度これらの疾患等が確認されることから、必ずしも不安の解消にはつながらないと考えております。

 したがって、環境省としては、厚生労働省との協議も踏まえて、個人単位の健康評価ではなく、引き続き、既存統計の活用による地域診断の実施を自治体に促してまいりたいと存じます。

空本委員 その際に、自治体側から問合せがあった場合、具体的な手順とか、そういったものをある程度示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか、環境省。

神ノ田政府参考人 基本的には、各自治体の判断ということになります。保健所にも専門家はおりますので。

 基本的な考え方としては、先ほど……(空本委員「時間がないので」と呼ぶ)済みません、失礼いたしました。

空本委員 部長はすごく丁寧に去年も答弁されていらっしゃるので、私は丁寧に対応いただけると確信しておりますので、よろしくお願いします。

 それと、農産物に関してなんですけれども、やはり一番気になるのは水稲、稲作。そして、沢水とか湧き水、これがある程度レベルが高かった場合には使っちゃいけないんじゃないかな。でも、レベルが低かった場合は使っていいんじゃないかな。また、井戸水を使ったときも、その露地栽培も気になるんですが、それも高濃度だったら使っちゃいけない。そういった基準作りというのは、農水省さん、いかがでしょうか。

大島政府参考人 お答えいたします。

 PFASの各方面への影響につきまして、このうち人への影響評価につきましては、先ほども御答弁ございましたとおり、食品安全委員会が食品健康影響評価の案をパブリックコメントに付しているところと承知をしているところでございます。

 他方で、農産物への影響につきましては、そもそも農産物にどの程度PFASが含有されているのか、そういった実態ですとか、あるいは、農業用水、水や土壌からどの程度稲等の作物にこれが蓄積、移行するのかというようなことの知見が内外共に必ずしも十分には得られていないところでございます。

 農産物において管理措置がそもそも必要なのか、そして、必要だとして、それがどのようなものであれば適切なのかということを考える上では科学的な知見が必要でございますので、まずは、その知見の集積に努めてまいりたいと存じます。

 農林水産省としては、食品安全委員会が取りまとめる評価の内容、まず、これをよく分析をさせていただきまして、農業用水や土壌から農産物にどの程度移行するかなどの研究を更に進め、その結果を基に必要に応じ関係府省と連携をして対応させていただきたいと考えております。

空本委員 では、最後に大臣にお願いしたいんですが、であるならば、農産物の問題、土壌が出てきたときに、土壌をどうやって汚染をきれいにしていくのか、また活性炭を入れたらきれいになるのか、また、今、農研機構とかが、稲作について若しくは農産物についての研究をしています。そういったものも踏まえて、これはプロジェクトをつくって、大臣が率先して農水省、厚労省、また食品安全委員会、また各種関係団体と連携して取り組んでいただきたいんですが、それを二、三年で仕上げる、そして、それを緊急にやる、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 御指摘を踏まえて、御指摘どおりできるかどうか分かりませんけれども、最大限の努力をさせていただきたいと思います。

空本委員 ありがとうございました。これで終わります。

務台委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 まず冒頭、能登半島地震でお亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 本日は、大臣所信に対する質疑でございますが、環境省における目下の重要課題ということで、能登半島地震の復旧復興支援を中心に質問させていただきます。どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、大臣に御質問させていただきたいと思います。

 私たち公明党は、震災直後、対策本部を設置をいたしまして、以来、被災地を訪問し、また、我が党の石川県所属の地方議員とも、連日、連携を取りながら、日々刻々と変わってくる現地のニーズを把握しながら、被災者支援、復旧復興支援に取り組んでおります。そしてさらに、きめ細かく、それぞれの地域のニーズに合った支援を進めるために、石川県内全ての市町に公明党内で担当国会議員をつけまして、私自身も、能登半島中央にあります宝達志水町、ここを担当させていただいておりまして、直接今やり取りもさせていただいております。私自身も、この宝達志水町は公明党の町会議員がおりませんでしたので、二月に訪問させていただきまして、町長や議長、職員の皆さん、また地域の皆様から直接御要望等を伺ってまいりました。

 この地域は、訪問する前は、数字上、被害が少ない、また小さいように見えておりましたけれども、実際に私は訪問させていただきましたが、川沿いの柳瀬地域というところは、液状化現象によりまして、外から見ると、建物はそこまで大きな被害はないんですけれども、中を見ますと、床がすごく隆起をしておりまして全く住めるような状況じゃない、そういった地域がございました。そのため、この地域は、罹災証明の二次申請を行われている方がたくさんいらっしゃいまして、発災以来、そのままの状況が続いている、まだまだこれからの新しい生活の見通しが全く立っていないという状況でした。

 また、今回、自分自身も視察をさせていただきまして、数字だけでは被災地の状況は分からない、被災地に伺って直接現地を見させていただいて、また被災者の方から声を伺うことによって、必要な支援、これをやっていかなければいけないということを改めて決意も強くさせていただいたところでございます。

 また、いただいた御意見の中に、被害が大きかった能登半島、奥能登ですね、ここを中心に報道もされておりますので、それ以外の地域の方からすると、私たちのことも忘れないでもらいたい、ほかにも被災地があるんだということも意見も伺ってまいりました。どうしても奥能登中心になりますけれども、それ以外の地域、富山県もそうですし、新潟県も含めて、そういった被災地に対する支援、これも最後まで寄り添ったきめ細かい支援が必要だと思っております。

 伊藤大臣御自身も被災地の方に訪問されておりまして、実際に現地も御覧になっていただき、また直接声も聞かれているかと思います。所信の冒頭にも、今回の復旧復興に向けた決意も述べられております。

 環境省におきましては、人の命と環境を守る、こういった大きな使命があるということで、今回の震災におきまして、復旧復興を担う、実質的に今後更に役割が大きくなってくる環境省でございますので、改めて、復旧復興に向けた大臣の強い御決意をまずお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 鰐淵議員を始めとして御党が能登半島地震の支援に全力を挙げていることに、まず感謝を申し上げたいと思います。

 そしてまた、この機会に、令和六年能登半島地震によりお亡くなりになられた皆様に心から御冥福をお祈り申し上げます。そしてまた、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 環境省では、この災害に対応するために、地震発生当日に環境省に非常災害対策本部を設置し、現地に職員を派遣するなどの対応を行ってきました。一月には、今御指摘がありましたけれども、私自身も被災地を訪問し、災害廃棄物の対応やペット連れの被災者支援の現場を確認するとともに、馳知事や自治体の首長の皆さんから直接御意見、御要望もお伺いしたところでございます。

 災害廃棄物の処理については、先月二十九日に公表された石川県の災害廃棄物処理実行計画に沿って、令和七年度末までに処理を完了するとの目標に向けて、計画的かつ円滑、迅速に対応を進める必要がございます。

 特に、倒壊家屋の数が多い奥能登地域において、復旧復興が動き始めたと被災者の方々に実感いただけるように、緊急解体工事の加速化等を行うとともに、帰還や住宅、生活の再建等の中長期的なスケジュールが見通せるように、解体工事を計画的、効率的に実施することが重要であると考えております。

 このため、特例的な財政支援に加え、環境省職員や自治体職員の現地派遣による技術的支援や人的支援等も行い、被災自治体の支援を行ってまいります。

 また、ペットを飼育する被災者の対応については、仮設住宅でのペットの同居に関して、被災市町への助言等を行ってきましたが、全ての市町で仮設住宅にペットを受け入れる方針であることを確認してございます。引き続き、ペットを飼っている被災者の支援に取り組んでまいりたいと思います。

 私自身、宮城県の出身でありまして、東日本大震災発災のときに海辺におりまして、何とか命は取り留めたのでございますけれども、昨日は石巻の追悼式にも出ておりましたけれども、宮城県を始めとして被災自治体の皆さんからも、そしてまた被災自治体にお住まいの皆さんからも、多くの支援が全国から寄せられているところでございます。

 今回の地震で被災された皆様にしっかりとみんなで寄り添って、被災者の皆様が前を向いて再建に取り組んで、一日も早く安心して暮らせる生活を取り戻すことができるように、環境省としても、私としても全力を挙げて尽くしてまいりたい、そのように考えております。

鰐淵委員 環境省の具体的な取組を含めまして、大臣の力強い御決意をいただきまして、ありがとうございました。

 大臣御自身も東日本大震災御経験者ということで、大変に心強く思っております。今御答弁いただきましたように、最後まで寄り添った支援ということで、環境省を挙げて、全軍を挙げて取り組んでいただきたいということで、重ねて要望させていただきたいと思います。

 それでは、ここからは具体的な質問につきまして、石川県の地方議員や被災者の皆様からいただいた声を基に、また自分自身が感じたことを中心に、具体的に質問させていただきたいと思います。

 済みません、ちょっと順番を変えまして、大臣に、まず浄化槽について質問させていただきたいと思います。

 浄化槽の復旧支援につきましては、特に、奥能登の六市町は浄化槽の設置が多い地域でもございまして、また、大きな被害が出ておりました。そういったことからも、我が党からは、浄化槽の早期復旧に向けまして、支援を強く求めてまいりました。

 その後、個人設置型浄化槽などにつきまして、財政措置、またコールセンターの設置等、復旧までの流れをつくっていただいていると承知をしております。

 改めまして、被災地、被災者の皆様に寄り添った支援と復旧までの迅速な対応を求めますが、大臣から御見解をお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 私自身も現地にお伺いしたときに、地震の影響で浮き上がってしまって使えない浄化槽も視察したところでございます。人間の生活の中で、下水そして浄化槽は本当に必須のものでございます。被災地域のライフラインでございますので、この復旧を速やかに進めていく必要がございます。

 浄化槽の復旧に向けた財政面の支援としては、被害の著しい六市町の個人設置型の浄化槽については、国の補助率を従来の三分の一から二分の一に引き上げる特例措置を講じたところであります。あわせて、残りの二分の一の地方負担分についても、最大八〇%を地方交付税で措置しております。

 これに加えて、個人設置型の浄化槽から公共浄化槽に転換して復旧する場合については、全ての被災自治体において国の補助率を十分の八に引き上げるとともに、地方負担分についても五〇%以上の特別交付税で措置しているところでございます。

 また、各家庭からの相談を受け付けるコールセンターを二月に設置して相談窓口の一元化を図っており、補助の申請手続についてもコールセンターがサポートを行っております。

 現在、各自治体と連携して、補助事業の実施に向けた調整を進めておりまして、年度明けから本格的に復旧事業が実施できるように、引き続きしっかり準備を進めてまいりたいと思います。

 被災地域の浄化槽の速やかな復旧に向けて、引き続き、被災地に寄り添い、きめ細かな支援を行ってまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございます。財政面での支援もしっかりとやっていただくということで、ありがとうございます。

 また、今、スケジュールもお示ししていただいたかと思います。現在、自治体と連携を取っていただいて、補助事業の実施に向けて調整をしていただいている、また、年度明けから本格的に復旧事業が実施できる、そういったスケジュールもお示ししていただきました。この点も是非被災地の皆様、自治体の皆さんは御存じだと思いますが、改めてこのスケジュール感もしっかりとお伝えしていただきまして、引き続き迅速な対応を重ねてお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、災害廃棄物の処理について伺ってまいりたいと思います。

 被災地の復旧復興を具体的に進めるに当たりまして、やはり目の前の災害廃棄物、これを処理をしていく、目の前からなくなって、そこからようやく生活だったり、なりわいの再出発ができるわけなんですが、実際にはこの処理が進んでいないという現状があるかと思います。

 最近も、奥能登を訪問した同僚議員、また十日、日曜日にテレビ出演をされていました馳知事御自身も、発災の日から変わっていない、そういった発言もされておりました。

 災害廃棄物処理が進むことが復旧復興に向けた第一歩になると思いますけれども、今後、どのように災害廃棄物処理が進んでいくのか、被災者の皆様に少しでも安心して、希望を持っていただけるように、処理完了までの青写真をしっかりと示していただきたいと思います。

 御見解とお取組を国定政務官にお伺いしたいと思います。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の方からも答弁を申し上げましたとおり、先月の二十九日になりますが、石川県におきまして、令和七年度末までの災害廃棄物の処理完了を目標とする災害廃棄物処理実行計画が公表されたところでございます。

 そこで、具体的な青写真ということでございますけれども、この計画の中におきまして、災害廃棄物の発生量の推計値に加えまして、種類別の具体的な処理方法、再生利用や県内処理の見込み量、そして、県外広域処理に関する陸上輸送、海上輸送の見込み量やその広域の処理先、あるいは、損壊家屋等の公費解体の想定数であったり具体的な解体期間あるいは解体のチーム数、班数ですね、こうしたものなどが具体的に盛り込まれているところでございます。

 被災者の方々が帰還や住宅、生活の再建などの中長期的なスケジュールを見通すことができますよう、こうした計画につきまして丁寧な周知が図られることが重要だというふうに思っております。環境省といたしましても、被災地に寄り添い、全力でこうした場面からも支援をしてまいりたい、このように考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 ちょっと繰り返しになりますが、災害廃棄物が進まないことによって先が見えなくて、これまで住んでいた地域を離れる、そういった決断をせざるを得ないという方もいらっしゃるとも聞いておりますし、是非とも住み慣れた地域で再出発をしたいという方につきましても、こういった先を見て計画を立てて再出発ができるということで、是非とも分かりやすく丁寧にこちらの方の青写真を示していただきたいと思います。石川県とも連携を取っていただいて、迅速な対応をお願い申し上げたいと思います。

 廃棄物処理につきましては、それを進める上で、いろいろ声をいただいておりまして、その中で、分別、この対応が大変であるということで声をいただいております。分別することは大変に重要である、そういったことは私自身もしっかりと認識しておりますけれども、ただ、現場も様々な課題、状況も抱えておりますので、この分別の対応につきましてはもっと柔軟に、現場の状況を踏まえた上で柔軟にしてもいいのではないかと思いますが、その点について御見解をお伺いしたいと思います。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘の御懸念についても、私自身も被災経験の市長経験者として、この分別のありようについては心を痛めた人間の一人でございますので、お気持ちはよく理解をしているところでございます。

 ただ、他方で、やはり分別が不十分な状態で仮置場に搬入された場合には、仮置場での搬入、搬出の遅滞、遅れてしまうこと、あるいは危険物などによる火災の発生、生活環境の悪化など、適正かつ迅速な処理に支障が生ずるおそれがこれまた一方であるところでございます。また、適切な分別は、再生利用の促進や処理コストの低減にもつながるところでございます。このため、引き続き分別をお願いをしたいというふうに考えているところでございます。

 また、他方で、昨日、十三年目を迎えました東日本大震災の、いわば節目の年になりましたけれども、この東日本大震災の発災のときにおいても、やはり分別処理を最初からきちんと進めていた市町村とそうでない市町村との間で災害廃棄物の処理について最終的なスケジュールの差が生じている、こういうような経験則もございますので、是非ともここは、ある意味、こらえるべきところはこらえ、分別処理の徹底について意を尽くしていくべきなのではなかろうかなというふうに思っているところでございます。

 ただ、他方で、今ほど御指摘いただきましたとおり、分別が負担になっているとの声があることも十分承知をしているところでございます。やむを得ない事情によりまして、仮置場への搬入前に分別が十分に行えない場合もあるというふうに考えております。

 そのため、各現場の状況等に応じ、例えば、仮置場内の空きスペースにおきまして分別していただいた上での受入れ、あるいは仮置場の管理運営を行う人員の効果的な配置等による被災者の荷降ろしや分別に関する支援、こうしたことをさせていただくことによりまして、被災者の視点に立って、柔軟できめ細やかな支援を行ってまいりたい、このように考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 改めて分別の意義というか意味も政務官から答弁いただきましたけれども、その上で、やはりそれぞれの現場での課題があるということで、柔軟な対応は必要かと思いますので、その点は重ねてお願いしておきたいと思います。

 例えば、対応策として、ボランティアの方、そこを手厚くするとか、そういうやり方もあるんだと思いますけれども、そういったことも含めて、ボランティアの方の活用を含めて、いろいろやり方もあると思いますので、引き続きこの点も注視をしていただきたいと思います。

 その上で、今、ボランティアの話もちょっとさせていただきましたが、実際にボランティアの方からもいただいた御意見で、実は、この分別の点もボランティアの方からもいただきました。何かお役に立ちたいということで現地に入って、分別をして、本当に余りにも大変で、何とかならないだろうか、そういった声もいただいております。

 ただ、今政務官がおっしゃったように、分別する意義、本当に大事なことだと思います。再生利用もそうですし、また、いろいろ交じることによって火災が実際に起きたとか、そういった問題があったとも承知しておりますので、改めて、こういったボランティアの方だったり被災者の方に、分別する意義、何のためにするのかという、その点はしっかりと御理解いただいて、その上で取り組んでいただく、そういったことが重要ではないかと思っております。

 慣れていらっしゃるボランティアの方もいらっしゃるとは思いますが、何かお役に立ちたいということでこれから行かれる方もいらっしゃると思いますので、改めて、分別する意義、何のためにするのか、そのことを是非周知徹底をしていただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 まさにこの分別の意義を知っていただくことの重要性については、委員御指摘のとおりでございます。

 そこで、具体的にどうすればいいのかということになるわけでございますけれども、例えば、現地に派遣をさせていただいております弊省の職員などが、被災自治体やボランティアセンターと連携をさせていただきながら、具体的にボランティアに携わっていただく皆様方にしっかりと御理解をいただく、こうした周知を継続的に進めていくことが重要だというふうに思っておりますので、これまでもこうした取組を進めてきたつもりではございますけれども、今後、引き続きこうした姿勢を貫いてまいりたい、このように考えております。

鰐淵委員 ありがとうございます。

 多分、これは県の対応になるかと思いますが、分別の、片づけの分野にボランティアの方を手厚くするとか、そういったことも含めてしっかりとやっていただく中で、この分別の取組がまたスムーズに、スピード感を持って進められるようにということで、この点も是非石川県と連携も取っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、災害廃棄物処理を進めるに当たりまして、アスベスト対策について懸念する報道が一部ございました。

 このアスベスト対策につきまして、調査、飛散防止の徹底、住民、ボランティア、また作業員への周知等に徹底して取り組むべきだと思います。環境省また厚生労働省に御見解と御対応をお伺いしたいと思います。

土居政府参考人 環境省では、災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルを作成し、東日本大震災や熊本地震の経験も踏まえて改定したところでございます。今般の能登半島地震におきましても、被災建物を解体する際のアスベストの飛散防止や防じんマスクの着用など、本マニュアルを用いて被災自治体に改めて周知を行ったところでございます。

 石川県におきましては、注意喚起のためのチラシを作成しましてホームページに掲載するほか、市町やボランティアセンターを通じて、住民やボランティアの方々に対して、アスベスト暴露防止対策について周知を実施されているところでございます。

 さらに、環境省では、現在、被災地域におきまして、大気中のアスベスト濃度を調査をし、問題がないかどうかを確認しているところでございます。

 引き続き、石川県などと連携をしまして、解体工事や災害廃棄物処理におきますアスベストの飛散防止対策に取り組んでまいりたいと考えております。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 労働者に対する石綿暴露防止対策といたしましては、石綿障害予防規則により、建築物等の解体作業等において、石綿の使用の有無に関する事前調査を行うこと、石綿が使用されている場合ですけれども、その場合には、湿潤化等による発生源の対策、呼吸用保護具等による暴露防止対策、作業場所の隔離や関係者以外の立入禁止などの実施を事業者に義務づけているところでございます。

 これらの措置を徹底させるため、本年一月二十三日に環境省と連名で、建設関係団体などの十一団体に対しまして石綿暴露防止対策の徹底を要請をいたしておりますとともに、石川労働局等に対しまして事業者への指導の徹底を指示したところでございます。

 さらに、使い捨ての防じんマスク約一万枚を石川労働局等に配付いたしまして、復旧工事現場の巡回パトロールなどにおきまして石綿暴露防止措置を指導する際に、適宜それら防じんマスクを配付をいたしておりますとともに、暴露防止対策等を分かりやすくまとめましたリーフレットを配付いたしまして、注意喚起を行っているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、労働者の石綿の暴露防止対策が徹底されますよう、関係事業者を指導してまいりたいというふうに考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 済みません、ちょっと環境省に再度確認させていただきたいんですが、空気中のアスベスト大気濃度調査、レクで八か所行ったと伺いました。今後、これをまた新たにやっていくのか、私はしっかりやった方がいいと思っているんですが、今後の方向性が分かれば教えていただきたいと思います。

土居政府参考人 現在行っております調査につきましては、解体工事などが本格化する前、いわゆるバックグラウンドの値がどれぐらいなのかということを確認するための調査でございまして、それをベースにいたしまして、今後、引き続き測定をすることによりまして、課題がないかどうかがチェックできるというふうに考えております。

鰐淵委員 引き続き対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、公費解体撤去について質問させていただきたいと思います。

 公費解体撤去の受付がスタートしておりますが、申請がなかなか進まないという声をいただいております。今朝も我が党の災害対策本部で進捗状況を伺いましたけれども、なかなか進んでいないという印象を受けました。また、被災者の方からは、申請が煩わしい、煩雑であるという声も伺っておりまして、是非とも、スピードを上げるためにも、申請の簡素化ができないかと思っております。御見解をお伺いしたいと思います。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、この損壊家屋等の解体ですけれども、私有財産の処分に当たるということがまず前提でございます。そのため、公費解体の申請受付時には、所有者の本人確認であったり、建物の情報の把握を確実に行っていく必要があるということでございます。

 そうした中で、環境省では、公費解体・撤去マニュアルにおきまして提出書類の考え方を示しているところでございますが、この具体的な申請手続につきましては、各被災市町が定めます要綱等に沿って行われる、こうしたたてつけになっているところでございます。

 そのような中にありまして、例えば能登町では、申請書類が標準化され、標準化というか、一般的に提出が求められていると言われている登記事項証明書につきまして、申請者からの提出は不要として、町そのものが法務局から登記情報の提供を受けて確認することとしているなど、市町の判断で簡素化している例もございますので、引き続き、環境省としても、こうした被災市町の動き、こうしたところについてはしっかりと連携を取りながら把握に努めていきたいとまずは考えているところでございます。

 他方、公費解体の事務手続に時間を要する要因の一つといたしまして、被災市町の職員さんに公費解体の経験がなく、不慣れであるということも考えられるところでございます。このため、環境省では、災害廃棄物に関する知見、経験を有する自治体職員さんの現地派遣によりまして、被災市町の職員に助言を行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、公費解体の事務手続が円滑、迅速に行われますよう、引き続き被災自治体を支援してまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今の御説明は、公費解体・撤去マニュアルを基にそれぞれの各市町で実施をされている、簡素化している例として能登町を挙げていただきました。

 ほかの被災自治体がどうなっているかということも是非ともしっかりと見ていただきたいと思うんですが、それぞれちゃんと努力というか、対応していただいていると思います。それでも大変だという声が上がっておりますので、是非とも、どうすれば少しでも負担を軽くして、スピード感を持ってできるのかというところは、これも最後まで環境省としても追求というか、注視していただきたいと思いますし、取り組んでいただきたいと思います。

 その上で、これも今政務官からも御答弁いただきました、やはり職員の方の力量というか、専門的に分かっているかどうかということも一つのポイントになるかと思います。

 被災者の方がしっかりと理解をしてスムーズにやっていく上で、そういった専門性も求められますし、そもそも派遣人数もこれで足りるのか、現場からの要望を受けて対応していただいているとは聞いておりますが、私は、抜本的な拡充、人数もそうですし、質の面も専門性も含めてもっと支援体制をしっかりと強化すべきであると思っております。

 改めて、この点はどうなのか、お伺いしたいと思います。

国定大臣政務官 幾つかの点があろうかと思いますので、まとめて御答弁をさせていただければと思います。

 まず、一つ目でございます。今ほども御答弁を申し上げましたが、公費解体の申請などによりますこの事務手続に当たる職員の強化というところにつきましては、現時点で、被災市町からの要望をおおむね充足する五十名程度の職員を派遣をしているところでございますが、今ほど委員さんからも御指摘をいただきましたとおり、今後、事務量の増加が見込まれるところでございます。

 これにつきましても、応援派遣の増員も必要だというふうに考えておりますので、引き続き、被災自治体のニーズを丁寧に聞き取り、必要な支援、これを行ってまいりたいと思っております。

 そもそも、他方で、技術的な知見を有する災害廃棄物処理支援員制度につきましても、現時点で百五人の支援員等が派遣をされている状況でございますが、こうしたところにつきましても、引き続き、ニーズを捉えながら、しっかりと継続的に切れ目なく御支援をできる、こうした体制を続けてまいりたいというふうに思っております。

鰐淵委員 よろしくお願いしたいと思います。

 また、解体作業を実施するに当たりましては、約五百から六百の班体制を組んでいただきまして、これから解体を進めていくと聞いております。

 時間の関係で要望で終わらせていただきますが、是非ともこの解体もスムーズにいくように、この体制で本当に足りるのかどうか、これも石川県とも連携を取っていただいて、多分、混み合ってくると足りなくなるんじゃないかと思います、是非とも全国団体また国交省とも連携を取っていただいて、しっかりと体制を整えていただいて、速やかにこの処理、解体が進むようにということで最後に要望させていただいて、質問を終わりたいと思います。

 大変にありがとうございました。

務台委員長 次回は、来る十五日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十分散会


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