衆議院

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第3号 平成28年10月3日(月曜日)

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平成二十八年十月三日(月曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 石田 真敏君 理事 菅原 一秀君

   理事 西村 康稔君 理事 葉梨 康弘君

   理事 宮下 一郎君 理事 武藤 容治君

   理事 大西 健介君 理事 長妻  昭君

   理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 達也君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    石破  茂君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      大串 正樹君    奥野 信亮君

      黄川田仁志君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    鈴木 俊一君

      鈴木 憲和君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    武部  新君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      根本  匠君    野田  毅君

      野中  厚君    原田 義昭君

      平口  洋君    星野 剛士君

      八木 哲也君    保岡 興治君

      山下 貴司君    渡辺 博道君

      井坂 信彦君    井出 庸生君

      小川 淳也君    緒方林太郎君

      神山 洋介君    木内 孝胤君

      後藤 祐一君    玉木雄一郎君

      辻元 清美君    初鹿 明博君

      福島 伸享君    前原 誠司君

      宮崎 岳志君    本村賢太郎君

      伊藤  渉君    真山 祐一君

      吉田 宣弘君    赤嶺 政賢君

      笠井  亮君    島津 幸広君

      高橋千鶴子君    宮本  徹君

      足立 康史君    井上 英孝君

      伊東 信久君    下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (マイナンバー制度担当) 高市 早苗君

   法務大臣         金田 勝年君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       松野 博一君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       山本 有二君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山本 公一君

   防衛大臣         稲田 朋美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       今村 雅弘君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)

   (防災担当)       松本  純君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     鶴保 庸介君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   石原 伸晃君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   加藤 勝信君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (行政改革担当)     山本 幸三君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   財務副大臣        木原  稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   北崎 秀一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          森田 宗男君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      佐々木清隆君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小川 秀樹君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  井上  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    能化 正樹君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           山口  博君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     八木 哲也君

  岩屋  毅君     中村 裕之君

  衛藤征士郎君     池田 佳隆君

  門  博文君     武部  新君

  根本  匠君     鈴木 憲和君

  緒方林太郎君     本村賢太郎君

  後藤 祐一君     神山 洋介君

  初鹿 明博君     井出 庸生君

  福島 伸享君     木内 孝胤君

  國重  徹君     吉田 宣弘君

  赤嶺 政賢君     島津 幸広君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

  伊東 信久君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     衛藤征士郎君

  鈴木 憲和君     根本  匠君

  武部  新君     田畑 裕明君

  中村 裕之君     岩屋  毅君

  八木 哲也君     石破  茂君

  井出 庸生君     初鹿 明博君

  神山 洋介君     後藤 祐一君

  木内 孝胤君     福島 伸享君

  本村賢太郎君     宮崎 岳志君

  吉田 宣弘君     國重  徹君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  島津 幸広君     宮本  徹君

  下地 幹郎君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     高木 宏壽君

  宮崎 岳志君     緒方林太郎君

  宮本  徹君     赤嶺 政賢君

  足立 康史君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  高木 宏壽君     門  博文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十八年度一般会計補正予算(第2号)

 平成二十八年度特別会計補正予算(特第2号)

 平成二十八年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 平成二十八年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十八年度特別会計補正予算(特第2号)、平成二十八年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長山口博君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣府政策統括官北崎秀一君、金融庁総務企画局総括審議官森田宗男君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長佐々木清隆君、総務省情報流通行政局長南俊行君、法務省民事局長小川秀樹君、法務省刑事局長林眞琴君、法務省入国管理局長井上宏君、外務省大臣官房参事官宇山智哉君、外務省領事局長能化正樹君、農林水産省食料産業局長井上宏司君、防衛省整備計画局長高橋憲一君、防衛省地方協力局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 去る九月三十日の細野豪志君の質疑に関連し、前原誠司君から質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

前原委員 おはようございます。民進党の前原でございます。

 まず、安倍総理に、安倍政権の外交防衛政策に対する基本的な考え方を伺いたいと思います。

 まず、日ロの関係から伺いたいと思います。

 私は、戦後七十一年間平和条約が結ばれていないということ、これをしっかりと解決していくという総理の決意、そしてまた首脳間での信頼関係をつくって問題解決の政治的なリーダーシップを発揮するというアプローチ、これについて同意をいたします。その上で幾つか、今後の日ロ交渉の中で確認をさせていただきたい点について質問させていただきたいと思います。

 まず、ウクライナの問題についてでございます。

 外務大臣談話が出ていることについて少し紹介をさせていただきますけれども、平成二十六年三月十八日に外務大臣談話として、ウクライナ・クリミア自治共和国で行われた住民投票は、ウクライナ憲法に違反をし、法的拘束力はなく、我が国はその結果を承認しません、そしてまた、我が国として、ロシアが国際法を完全に遵守し、ウクライナの統一性、主権及び領土の一体性を尊重して、クリミアの独立承認を撤回すること、クリミア併合に踏み出さないことを強く求めますといった考え方に変更はないか、領土交渉にこれを絡めることはないか。総理にお伺いします。

浜田委員長 岸田外務大臣。

前原委員 交渉されているのは総理ですから。時間がもったいないので、外務大臣はもうおっしゃっているので。総理。

浜田委員長 岸田外務大臣、手短にお願いします。

岸田国務大臣 今御紹介いただきました我が国の立場、これは変更はございません。

安倍内閣総理大臣 ただいま外務大臣が答弁したとおりでございます。変更はございません。

前原委員 現時点で変更がないということを私は伺っているのではなくて、領土交渉に絡めることはないかということを、だから総理に伺いたかったんです。お答えください。

安倍内閣総理大臣 領土交渉においては、まさに北方四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するという基本方針で交渉に臨んでいくということであります。

前原委員 いや、私の質問は、後で四島の帰属の話は伺います、領土交渉の中にこのクリミアの問題を絡めるということはあり得るのかということを聞いているわけです。

安倍内閣総理大臣 日ロ交渉の間においては、これはもう既にプーチン大統領に私からはっきりと申し上げていることであります。

 クリミアにおいては、国土と主権の一体性の観点からも、武力によっていわば現状変更を行ったわけでありますから、ことしは日本はG7の議長国でありますが、G7としては、国際社会とともにそれをリードしながら制裁をしているわけであります。日本も制裁を行っている。しかし、制裁を行っておりますが、これについては、しっかりとミンスク合意を完全に履行するようにということをプーチン大統領にもロシア側にも申し上げております。

 それと、日ロの平和条約については、これはしっかりと交渉を行っていこうと。こちらでやっていくことを、いわば我々が制裁をしているからといって平和条約交渉が滞るということがあってはなりませんよということは申し上げているところでございますし、その考え方については共有されているというふうに考えております。

前原委員 私の質問にまだお答えいただいていないんです。

 制裁については、おっしゃることについては理解をしています。領土交渉について、領土問題、クリミアの問題を絡めることはありませんかと聞いているんです。それについて、イエスかノーかでお答えをいただきたいんです。

安倍内閣総理大臣 クリミアの問題も、プラス、今、東部地区での、残念ながら、まだミンスク合意が東部地区においても履行されていないわけでございまして、これを絡めるというのはどういう意味でおっしゃっているかということを十分に私も理解できませんが、つまり、領土交渉の中でクリミア問題について話をするということはございません。これは明確にしておきたいと思います。

 首脳会談でありますから、いろいろな多岐にわたった話をします。その多岐にわたった話の中において、私の方から、ノルマンディー・フォーマットに従ってこのミンスク合意をしっかりと双方が行う、ロシア側だけではなくてウクライナ側もしっかりとこのミンスク合意を行うようにということを言っているわけでありますが、その話はその話でいたします。

 他方、北方領土の問題についてお話をし、そして平和条約の問題についてお話をしているわけでございまして、その中においてクリミアの話をしたということはもちろんないわけであります。

前原委員 多くの国民の皆さん方が理解されていると思うんですが、今、世界の中で、我々に対する挑戦というのは、力で世界の秩序を変更しようとしているゲームチェンジャー、ルールチェンジャーが出始めている。

 一つはISですよね。自分たちのイスラム国をつくると言っている。それから南シナ海での中国。これはこの間、国際仲裁裁判所が中国の考え方を非としたわけですね、ノーとしたわけですけれども、しかし、南シナ海での海洋進出はとまっていないということで、力で現状変更を加えようとしている。クリミアについても、これはロシアが力によって現状変更したということを確認されているわけですよね。

 つまり、私が申し上げているのは、それは領土交渉は領土交渉でしょう。しかし、そのロシア側の立場をおもんぱかるような、つまりは、この四島の問題を解決するに当たって、法の支配というものが大事である、これは所信表明演説でもおっしゃっているんですよ。こういうものを、原則を曲げるということはないですねということをお伺いしているわけです。

安倍内閣総理大臣 それはもちろん、原則を曲げるということは全く考えてもいないわけであります。何といっても日本はことしはG7の議長国でございまして、伊勢志摩サミットにおいてはまさに私は議長としてしっかりと、この問題、ミンスク合意をロシアにもしっかりと履行させなければならないということを強く申し上げているわけであります。

 そしてまた、おととしのサミット、昨年のサミットにおきましても私が強調したのは、ウクライナで起こっていること、あるいは南シナ海で起こっていること、これは両方ともまさに今前原委員がおっしゃったように現状変更の試みであって、それは認めるわけにはいかないというのが日本の一貫した不変の立場であるということを日本が既にもう、私自身が主張しているわけでありますから、私が率先してそれを変えていくということはないわけでありますし、また当然、他のG7の国々も日本また私に対しての信頼は揺らいでいない、このように確信をしております。

前原委員 確認をいただいたと思っております。

 次に、アメリカとの関係について、この領土問題についてお話をしたいと思います。

 これは総理も恐らく肌でお感じになっていると思いますけれども、知日家あるいは親日家の中でも、ロシアの問題に対しては非常に厳しいですよね。シリアでのアサド政権に対する考え方が全く違うということと、停戦合意が破綻をしてしまっているということがありますし、また、先ほど申し上げたウクライナの問題についても極めて厳しい目つきがなされているということがあります。

 アメリカとはどういう議論をされているのかということをお伺いしたいわけでありますが、その前提として私の歴史認識を申し上げると、一九五六年、日ソ共同宣言が行われたときに、このときにアメリカは、二島でまとめようというような考え方が日本の中にもあった、あるいは旧ソ連にもそういった考え方が主流であった、しかしながらアメリカがこれに対しては異議を申し立ててきているということを私は認識しております。

 ちょっと一枚目のパネルをごらんいただきたいと思います。

 総理、一枚目の図表をごらんいただきたいと思いますけれども、これはサンフランシスコ講和条約と言われるものでありまして、二十六条、「日本国が、いずれかの国との間で、この条約で定めるところよりも大きな利益をその国に与える平和処理又は戦争請求権処理を行つたときは、これと同一の利益は、この条約の当事国にも及ぼさなければならない。」これは外務省のホームページから引用させていただいたものであります。

 サンフランシスコ講和条約では、アメリカは、四島が日本のものである、つまりは放棄した千島列島には四島は入っていないということについては、それは理解していますよ、コミットメントしていますよという立場をとってくれたわけですね。にもかかわらず二島でまとめるということになれば、それはこの条約に反することになるのではないかということの中で、その当時はまだ沖縄は返還されていませんでしたから、そういったこともちらつかせながらこの二十六条というものを持ち出したという経緯があるということであります。

 まず、外務大臣、事実関係だけ伺いますが、このサンフランシスコ講和条約二十六条というのは今も生きていますか。

岸田国務大臣 御指摘のサンフランシスコ講和条約二十六条ですが、これは、同条約に署名しなかった国と我が国との間に後日締結される二国間の平和条約の締結について規定したものです。

 そして、具体的な要件、幾つか書いてありますが、結論から申し上げますと、まず、対象となる国、これは昭和二十六年の政府答弁で明らかにしていますが、七カ国に限定されていますし、加えて、もう一つのポイントとしまして、この条約の最初の効力発生の後三年間で満了するという規定がありますので、結論としまして、今はこの条約の条項は効力を持っていない、このように考えます。

前原委員 これは法的なことですので、後でまた細かく詰めたいと思いますけれども、それは前段の部分をおっしゃっているんでしょう。二十六条というのは前段と後段があって、これは後段のところを指しているわけですね。

 しかも、一九五一年のサンフランシスコ講和条約を結んだ後に、これが一九五六年ですよ。しかも、今大臣がおっしゃったように、ソ連はサインしていないんですよ、サンフランシスコ講和条約に。結局、サインしなかった。参加していたけれどもサインしなかった、にもかかわらずアメリカはこれを持ち出して、結果的には。そのときは冷戦ですよ、時代背景が違うというのはありますけれども。私が申し上げたいことは、アメリカとしっかり話をしてこなければ、こういうようなことも過去にあった。一九五六年に二島でまとまらなかった最大の原因は、私はアメリカの存在だと思っておるわけです。

 今回の四島の問題について、安倍総理、アメリカとどういう話をされていて、そして、ロシアも大事だし、アメリカも大事な国ですけれども、同盟国であるアメリカというのは最も重要な国ですよね、こういう国とどういう話をしながら四島の問題を解決されようとしているのか、そのことについてお答えください。

安倍内閣総理大臣 日ロの平和条約については、これは当然日本が主体的に判断するものでありまして、基本的に、米国がこれをやりなさい、あるいはこれはだめだということではありません。日本が交渉し、主体的に判断するわけでございます。その姿勢は、安倍政権の基本的な姿勢であります。

 同時に、米国は同盟国でありますから、当然米国とは日本の外交姿勢、外交方針については緊密に連携をしているわけでありますし、政策対話を行いつつ、日米が協力してさまざまな物事に対応していくのは当然のことであろうと思います。日ロの交渉の一々全てについて米国と協議するということはございませんが、基本的な考え方について米国と話をするということについては当然同盟国として行わなければならない、このように考えております。

 今までも、日ロの交渉について、例えば十二月のプーチン大統領の来日についてもオバマ大統領とも話もしておりますし、先般ニューヨークでバイデン副大統領と話をしたときも私の方からも説明を、どういう考え方でプーチン大統領の訪日を実現していこうとしているのか、どういう平和条約交渉を進めていこうという私の考え方について説明をしているところでございます。

 基本的に、その説明は当然了解をされているというふうに考えております。

前原委員 首脳同士あるいは副大統領との会話の中で承認されていると今明言されたわけでありますけれども、私が感じている雰囲気では、なかなかそんな簡単な、ぜひ進めてくださいという雰囲気ではないということは、わかっておられると思いますけれども、伝えておきたいと思います。

 その上で、大統領選挙が行われていて、そして山口にプーチン大統領が来られる十二月というのはまさに大統領選挙が終わっていまして、一月から新たな政権が始まりますね。総理には釈迦に説法ですけれども、一月から政権が始まって、ごろっと政権のポリティカルアポインティーの方々がかわるわけですね。そして、任命にも議会承認ということで時間がかかるということで、大体動き出すのに半年ぐらいかかるというふうに思いますけれども、私はやはりこういう政権移行期に、十二月にまとまるかどうかわかりません、それはまさに総理がプーチン大統領とどういう話をされるかということでありますが、私は一国会議員として、また外交、安全保障にコミットメントしてきた、また強い関心を持つ議員として、こういうときに余り物事を進めるべきではないのではないかという思いを持っているんですね。

 つまり、アメリカと連携が大事だということをおっしゃった、そして今もオバマ政権とは連携をとられているということをおっしゃった、であれば、新たな政権ができて動き始めてからいろいろな相談をしていく。もちろん、安倍総理がおっしゃったように、一義的にはこれは日本の国が自分で決めることでありますけれども、やはり外交ですからさまざまな派生が出てきますよね。そういうときに物事を決めていくということについては、アメリカの政権が安定期に入るというところが私は大事だと思いますけれども、総理はどう思われますか。

安倍内閣総理大臣 国際政治というのは、一国の政治状況とは別に動いていくものであります。

 日本とロシアとの関係において、七十年間動かなかったものを動かしていくということはそう簡単なことではないわけでございまして、私もプーチン大統領と今まで十四回会談を重ねてくる中において信頼関係を構築しつつ、この七十年間の平和条約がないという状況は異常だということについては認識を一致し、そしてこの問題を解決していくことが両国の未来にとって正しい判断であり、まさに両国の可能性を顕在化していくために必要である、そういう認識をやっと双方が構築してきたところでございます。

 他方、米国は米国の国内の政治状況というのがあるわけでありますが、米国の国内の状況に合わせてしか日本が交渉できないんだということになれば、これはもういわば、相手の立場になれば、そういう国とは話すよりも、だったら、日ロ交渉をするんだったらアメリカと話をしようかということになってしまうわけでありますから。それは、恐らくもう前原委員はよくわかっておっしゃっているんだと思いますが。

 しかしそこは、他方、新しい政権ができて、その半年の間に外交方針等をどんどん決めていくんだと思いますよ。そこでは我々は、新しい政権移行チームに我々が進めていること等をしっかりと説明していきたい、このように考えております。

前原委員 主体性を保つことと同盟国との連携をしっかりとるということの中でさまざまな外交をやっていかなくてはいけないということは、総理が一番よくわかっておられると思います。私も、二十三年間国会議員をやらせていただき、アメリカとの関係を中心にやってきましたけれども、そんなに簡単な国ではないですね。

 先ほど総理がおっしゃったことについては、もちろん総理の御判断でありますけれども、私の皮膚感覚として、先ほどの、政権移行期に余りばたばたと決めるということについては、私は余りいいとは思わない。もちろん、ロシアとの間合いというのもあるというのはありますけれども、そこについては、私は、アメリカとの関係というのはそれほど軽視されていないとは思いますけれども、そのことはしっかりと伝えておきたいというふうに思います。

 その上で、四島の帰属、ちょっと二枚目をごらんいただきたいんですが、外務省からいただいたペーパーなんですけれども。北方領土問題解決の基本方針は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、こういうことでありますが、帰属の問題というのは、これは外務大臣でも官房長官でも結構なんですが、日本への帰属ということでよろしいですよね。

岸田国務大臣 四島の帰属の問題を明らかにして平和条約を締結する、今申し上げたのが基本方針の全てであります。四島の帰属ということであり、それ以上のことは何も触れていないと考えています。

前原委員 ホームページにも書かれていますけれども、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、これは東京宣言、一九九三年を踏襲されているわけですけれども、その後に、北方四島に対する我が国の主権が確認されることを条件としてということも書いてある。

 つまりは、再度伺いますよ、四島の帰属というのは日本への帰属ということですね。簡潔にお答えください。

岸田国務大臣 御指摘の点については、四島の帰属の問題を明らかにする、それ以上のことは申し上げていないと考えます。

前原委員 ちょっと私の認識と違いますし、今までの国会答弁とも違いますよ。つまりは、今までの国会答弁、累次行われていますけれども、日本への帰属じゃないですか。日本への帰属じゃないんですか。

 四島の帰属というのは、ロシアへの帰属も含めて考えられるということですか。答弁ください。

岸田国務大臣 日本への帰属を含め、四島の帰属、これを明らかにする、こういったことを申し上げていると思います。

前原委員 もう一遍聞きますよ。簡単な質問です。

 この帰属というのは、例えば、四島ありますから、ゼロ対四、四対ゼロ、一対三、三対一、そういうことも含めて帰属ということを定義するのか、あるいは四島の帰属、日本への帰属ということで四対ゼロを意味するのか、どちらですかと聞いているわけです。

岸田国務大臣 言葉遣いの問題かと思いますが、四島の帰属、日本への帰属、これらを明らかにする、その上で平和条約を締結する、そうしたことだと思っております。

前原委員 二段階にしているということはどういうことなんですか。今のは、ということは、外務大臣、日本への帰属ということでいいんですね、四島は。

 先ほど来、四島の帰属、日本への帰属と二つおっしゃいましたよね、答弁で。ということは、四島は日本への帰属を明らかにするということでよろしいですね。

岸田国務大臣 四島の帰属先、日本への帰属を明らかにする、そういったことを申し上げていると考えています。

前原委員 余りこれで時間を使いたくないですけれども、大事なことなので。

 日本への帰属ですね。

安倍内閣総理大臣 外務大臣が答弁しているように、日本の立場はずっと一貫しておりまして、それはまず、北方領土は日本の固有の領土であるという日本の不変の立場があります。そして、平和条約の締結は、どういうときに平和条約を締結するのかということについては、四島の帰属問題を解決して平和条約を締結する、これが全てでありますので、これ以上我々としては、一言一句つけ加える考え方はございません。

前原委員 これは平成二十一年に予算委員会で行われていることでありますけれども、中曽根外務大臣のころなんですね。我が方からすれば四島が日本の領土である、そういう基本的な考えに立っての宣言だということ、つまりは四島が日本の領土であるという前提に立っての宣言という答弁をされているんですけれども、それでいいですか。聞き方を変えましょう。

岸田国務大臣 そのとおりでございます。

 四島は日本固有の領土である、これは日本の従来から明らかにしてきた立場であります。そして、平和条約締結交渉においては、四島の帰属を明らかにし平和条約を締結する、この方針も従来から変わっておりません。

前原委員 ですから、今答弁をされたように、まだ曖昧なんですよ。四島が固有の領土であるということをおっしゃいましたけれども、平和条約締結のときは、四島の日本への帰属ということについては明確におっしゃっていないわけですね。

 それで時間を使ってはあれなので、総理、その上で、歯舞、色丹というのは四島全体の面積の中で何%ぐらいか御存じですか。

安倍内閣総理大臣 約七%だと思います。

前原委員 そうなんですよ。四のうち二なんですけれども、面積でいうと七%なんです。択捉が六四%、国後が二九%。ですから、この歯舞、色丹というのは、領土のパーセンテージでいうとたった七%なんですね。

 そこで、この二島の先行返還論、ある新聞に載りましたけれども、二島の先行返還というのはあり得るんですか。

安倍内閣総理大臣 報道にありますような事実、御指摘のような事実はございません。

前原委員 報道は横に置いておいて、御自身の考え方として二島先行返還論というのはあり得るんですかと聞いています。

安倍内閣総理大臣 交渉においては、先ほど申し上げましたように、一貫した交渉姿勢、つまり、四島の帰属問題を解決して平和条約を締結していく、この考え方に変わりがないわけでございます。

前原委員 現段階においてはそれが精いっぱいでしょう。

 先ほど申し上げたように、ここにも書いてあるんですよ。二島の引き渡しで決着できたのであれば、五六年当時平和条約が締結されていたはずだというのが日本の立場なんです。つまりは、二島を返還して後でもう二島ですよなんということはこれはあり得ない、永久に返ってこないということだと私は思います。

 そして、先ほど申し上げたように、たった七%です。そういう意味においては私はこれからしっかりと交渉していただけるというふうに思っておりますが、タイミング、貫くべき基本的な前提、同盟国であるアメリカとの連携、そして今までの日本の歴史的な立場、こういうものを踏まえて、大きな事業について、ここはエールを送りたいと思います、頑張っていただきたいと。やはり、大きな前提を崩すようなものであってはいけないということを申し上げておきたいと思います。

 さて、次に、稲田大臣に幾つかお伺いをしたいと思います。

 稲田さんは、二〇一二年の七月二十五日、衆議院の外務委員会で、尖閣について、政府が借り上げて誰も上陸できないようにするという方針は間違っていて、きちんと誰の目にもわかるように、上陸もし、そして自衛隊を配備するなど実効支配を強めるべきと発言されていますね。

 御自身、図らずもかどうかわかりませんが、できるお立場の防衛大臣になられたわけでありますが、尖閣に自衛隊を配備することは考えられますか。

稲田国務大臣 その後、民主党政権で国有化したわけであります。

 現時点で、尖閣に自衛隊を配備するということは検討しておりません。

前原委員 考え方が変わったということでよろしいんでしょうか。変わったなら変わったということを御答弁いただきたいわけですが。

 こうもおっしゃっているんですね。「正論」という月刊誌の中で、二〇一二年の十一月号ですけれども、「中国は尖閣が核心的利益であると宣言し、本気で盗ろうとしている。それに対して、刺激してはいけない、摩擦を起こしてはいけないと言うのはどうかしていますよ。」ということまでおっしゃっているわけですね。

 考え方が変わられたなら考え方が変わったと。しかも、そのときと、公船の数、そして接続水域また領海への侵入の度合いというのははるかに多くなっていますよ。そういう意味においては、稲田さんの問題視からすれば、より実効支配を強めるという考え方に立つんじゃないですか。変わったなら変わったとおっしゃってください。

稲田国務大臣 今の尖閣をめぐる状況は、日々緊張していると思います。

 おっしゃったように、六月には初めて中国の戦艦が尖閣に入ってきたわけであります。そういった状況を考えますと、いたずらにエスカレートさせるということではなくて、しっかりと日本が東シナ海においても力ではなくて法による支配を貫徹させていく、その姿勢をしっかりと見せていくことだというふうに思っております。

前原委員 変わったんですね。一言だけで結構です。

稲田国務大臣 刻々と変わっていく我が国を取り巻く安全保障上の環境です。尖閣を取り巻く状況も非常に厳しいものになっている中で、何が最善かということを考えて我が国の防衛に万全を尽くすということであって、私の考えが変わっているとか変わっていないとか、そういう問題ではないというふうに思います。

前原委員 中国の尖閣に対する実効支配の考え方というのは、自民党のいわゆる政策ブックにも書かれているわけです。

 つまりは、野党のときはそういった勇ましいことを言っていて、そして実際に政権をとったら、相手国との関係で、今おっしゃったように、いたずらに刺激をしないという使い分けをされているわけですね。この考え方というものについて、もしそれであれば……(発言する者あり)いや、政権がどの政権かではなくて、環境がどう変わっているかということに対応することが政治じゃないですか。それについて、もし自分の言っていることが変わられたら、私は、堂々と変わったということを言われるべきだと思いますよ。

 幾つもあるんですよ、こういう事例が。もう一つ申し上げましょうか。(発言する者あり)

 いや、これは別に稲田さんをいじめるために私は言っているわけじゃないんです。防衛大臣という外交、安全保障をつかさどる、後で総理に任命責任についてお伺いしますけれども、こういう大事なポジションにいる方が、こういう過去の発言をしている人を何で大臣につけたかということを私は聞いているわけです。

 二〇一二年一月号の「WiLL」という月刊誌ですか、ここで、対談の中で、「そこまでアメリカ様の言うことを聞かなきゃいけないんですか、と。アメリカに守ってもらっているからって、「何が何でもご機嫌を損ねちゃいけない」と過度に思い込んでいるんじゃないでしょうか。しかも、アメリカ軍が日本に駐留している一番の理由はアメリカの利益であって、日本を守るためではありません。どこまで日本はおめでたいのでしょうか。」これは御自身の対談でのお考えですね。

 私はこれは同意するところがあるんです。アメリカの利益というのは当たり前なんです、ボランティアで同盟関係を結んでいる国なんかありません。したがって、アメリカが自分の利益のために日本に駐留している、同盟関係を結んでいるというのは、これは当たり前のことだと思います。

 問題なのは、日本を守るためではありませんということなんですね。これは日本を守るためじゃないんですか、日米同盟そしてアメリカが駐留しているというのは。このお考え方は、今でもこのお考え方ですか。

稲田国務大臣 まず、今御指摘になった対談ですね、どれかということを事前に質問通告いただいておりませんので、その前後、どういったことだということかは承知をいたしておりません。そして、過去の私の個人的な見解についてこの場で申し上げることは差し控えたいと思います。

 その上で、先ほどの尖閣についてもそうですけれども、刻々と変わっていく日本を取り巻く安全保障状況の中で、私は、万全を尽くすということだというふうに思っております。そして、まずは我が国自身の防衛力をつけていく、そして日米同盟を強化していく、さらには関係各国との協力関係を構築していく、この三つの方法によって我が国の防衛に万全を尽くすということだというふうに思っております。

前原委員 事前には通告していますよ。今までの国会での質問、そして発表された雑誌、新聞等々の中から外交、防衛、歴史観に対する……(発言する者あり)申し上げますけれども……

浜田委員長 静粛に願います。

前原委員 一つ申し上げますが、我々の政権のときは質問項目だけだったんです。それについて、我々は一つも文句を言わずに全部お答えしましたよ。あなたの質問に対してもそうだった。そのことについて私はより丁寧に、今回の質問通告については、日米同盟の重要性についてということを項目を立てて、加えて、自分の今までの発言、国会での発言、雑誌等の対談等の中から外交、防衛そして歴史観について問うと聞いているわけですから、そういうことを準備されるのは当たり前じゃないですか。

 その上で、では、政策について伺いましょう。

 アメリカは日本を守るためではありませんということをおっしゃっていた中で、学習されたと思うんですよ、防衛大臣になられて。では、防衛大臣になられて、どの点がアメリカとの同盟関係がなければ日本の防衛の隘路になりますか。その点についてお答えください。

稲田国務大臣 今の北朝鮮のミサイル対応、そして東シナ海における力ではなくて法の支配を貫徹させる、こういった点は、日米同盟が強力であるということは不可欠だというふうに思っております。

前原委員 極めて漠としていますね。

 防衛政策においてと申し上げたように、今のはいわゆる外部環境の話でしょう、防衛政策というのは具体的に、防衛省・自衛隊を預かっておられるわけでしょう、どの点が、同盟関係がなければ、日本の防衛に穴があくんですか、隘路になるんですか、そのことを聞いているんです。(安倍内閣総理大臣「打撃力だよ」と呼ぶ)

稲田国務大臣 安倍政権になってから、平和安全法制が成立をいたしました。そして、新ガイドラインも成立をしたところであります。平時において、グレーゾーン、そして有事において、その事前から作戦を練り、共同のいろいろな対処について計画を立てているわけであります。そういったことは、日米の同盟があって初めてできることだというふうに思っております。

 さらには、九条のもとで、例えば打撃力ですね、そういった点についても、アメリカとの同盟ということは重要であるというふうに考えております。

前原委員 金曜日の質問でも、安倍総理が稲田さんが答弁されるときに手助けをされておりますけれども、今もバックアップをされておりました。(発言する者あり)いやいや、今お答えをされていたんですよ。

 防衛の隘路というのは、幾つか申し上げましょう。一つは抑止力ですよ、つまりは核も含めた。北朝鮮は核も持っている、ミサイルも持っている、運搬手段も持っている。あるいはほかの国でも、近隣でも核保有国がある。そういう意味では、アメリカとの同盟関係を結んでいるということの大きな一つは抑止力でしょう。

 そして、二つ目。二つ目は、日本はやられたらやり返す能力はありますか。ないでしょう。今、それを打撃力と総理がフォローされていた。つまり、やられたらやり返す能力はないんですよ。それについては、日米同盟に基づいて、アメリカにその打撃力、パワー・プロジェクション・ケーパビリティーというものをお願いするんですよ。それしかないんですよ。

 それから、北朝鮮がミサイルを撃ってくるかどうか、こういうことについての事前察知というのはどうしますか。ヒューミント、それから衛星情報、こういったものについてはほとんどアメリカに頼っていますよね。あるいは、発射をする、発射してから約七分で飛んでくる、これに即時対応しようと思ったら、その兆候をしっかりと事前に察知すると同時に、熱感知の高高度の静止衛星というのはアメリカしか持っていないんです。アメリカがいわゆる発射の熱感知で、高高度静止衛星でしっかりと対応することになるわけです。

 それと同時に、PAC3、スタンダードミサイル、SM3、これも、今どういう状況に北朝鮮があるかということがわからないと、日本海に派遣できますか。PAC3は、来るところにしっかりと、キャッチするというように配備をするわけでしょう。事前情報がなかったら、そういうものについてしっかりとそれが配備できませんよね、前広に展開できませんよね。あるいは、ミサイル防衛、主要装備にしたってアメリカから買っている。

 こういうことも含めて、一言でも、みずからが防衛大臣になられる前だからといって、日本を守るためではありませんということを言い切れることの不勉強さ、あるいは防衛に対する認識の足りなさというものに私は実は唖然とするわけですよ。

 そして、今、隘路は何か。純粋な防衛政策の面から私は聞いているんです。それで今のお答えでしょう。これは、私が大学の教官だったら、六十点差し上げられませんよ、単位を上げることができない。

 安倍総理、もう時間が迫ってきていますので。

 ほかに、韓国の問題、入国拒否されましたよね。あのときは、しかしながら、我々は韓国に対して批判をしました。何で上げないのか、入国を拒否するのかということを我々は批判しました。しかし、同等のことを、あなたは、もし韓国の国会議員が竹島に上陸すれば入国拒否をすべきだというふうなこともおっしゃっていますよね。

 つまりは、先ほどの中国の尖閣の、自衛隊を配備すべきだ、そしてしっかりとそれについては実効支配を強化すべきだ、アメリカは日本を守ってくれない、そして特に北朝鮮の問題が起きたときに日米韓の連携というのは極めて大事であることはずっとわかっているにもかかわらず。竹島は日本の領土ですから、それをしっかりとアピールするというのは大事なことですけれども、トータルを考えながら物事を言って行動するというのが外交・安全保障政策をやっていく上で大事なことなんじゃないですかね。

 私は、そういう意味で、安倍総理が何で稲田さんを枢要なポストである防衛大臣に指名されたのかよくわからない。こういう過去の発言というものについてしっかりと認識をされた上で、本当にこの人は防衛政策に当たるのに適切な人なのかということを判断しておっしゃったんですか。そのことについて御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 日米同盟については、例えば、稲田さんと随分時間をかけて話をしたことも以前あります。それにおいては、今まさに稲田大臣も答弁をしておりましたが、日米同盟は、日本を守るため、いわば日本だけが利益を享受しているのではなくて、まさに日本に基地を置いていることによって米国は前方展開戦略を行い、アジアにおけるプレゼンスを確保し、それはアメリカの利益になっているという話を稲田さんもしておられました。

 そして、かつ、旧安保条約は日本に対する防衛義務がなかった時代の話もしていて、それはまさに、米国が占領して、それがそのままいて、それを条約にしたものだという話もしておられました。それは事実でありまして、それが新しい安保条約になって、米軍に日本に対する防衛義務ができて対処するようになったという認識を示しておられましたから、私は、これは間違いなく認識を持っておられるんだろう、このように思うわけでございます。

 また、稲田大臣は常日ごろ、前原委員のいろいろな御発言についても結構評価をしておられたこともあるわけでございます。そしてまた同時に、尖閣についてはまさにしっかりと、尖閣については日本が主体的に守っていかなければいけないという強い意思を示しておられた。

 特に野党議員のときには、ある程度野党議員のときに強く言うということについては、これはまさに政府の交渉力を高めていくことにもつながっていくという考え方もあるわけでございます。つまり、野党が政府よりも甘いことを言っていれば、相手側から、野党がこんなことを言っているんだったらあなたたちは譲歩しろ、こう言われるわけでございまして、これはその立場立場でいろいろ意見がある。

 ただ、基本的には稲田大臣は考え方は全く変えておられず、尖閣についてもしっかりと守っていかなければいけないということと、日米同盟は重要である、こういうことではないか、このように思います。

前原委員 今、くしくも、稲田大臣の考え方は変わっておられると明言をされました。つまり……(発言する者あり)いや、変わっておられるということ、後で議事録を見ていただいたら結構でありますが。

 つまりは、甘いんですよ、稲田さんに対して。甘いし、外交、安全保障について、あるいは歴史観について、例えば靖国の問題でも、トータルの外交を考えたときに、靖国に行かれたこと、総理も行かれましたね。今回、八月十五日に行かなかった、わざわざジブチに行かせた。それは稲田さんを行かせないためじゃないですか、結局は。こういう問題が、野党とか与党とかは関係ないんですよ、トータルでどういう影響を及ぼすかということをわかった上でしっかりやっていかないとマネジメントできないということ。

 しかし、そのことについては、野党のときであろうが、この勇ましい発言をやっておられて、全部撤回をされている。こんな能力のない、あるいは全体のバランス感覚のない、私の評価をされたというのは私はうれしくもあり寂しいところでもあるんですけれども、こういうことについて、こういう人を防衛大臣に据えたということについては大いに問題ありということを申し上げて、私の質問を終わります。

 日銀総裁、済みません。来ていただいたのに、申しわけありませんでした。

浜田委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。

 きょうは、ぜひ端的に御答弁いただきたいと思います。

 今の大臣の答弁も、先週金曜日の答弁も、大変あきれる答弁が続発をしていると思います。

 オリンピックあるいはパラリンピックの総額の予算、見込み予算も答えられない大臣。あるいは、この補正予算にオリンピック・パラリンピックの予算が一体幾ら入っているのか、これも答えられない大臣。あるいは、先ほども稲田防衛大臣、御答弁がありましたけれども、核武装を検討するという趣旨の御発言をかつて雑誌でされていた、これを撤回せよというふうに我々は要請しましたけれども、それにもお答えにならない。そして、米価格の偽装の疑いがある問題が出てきたにもかかわらず、その調査結果を先延ばしする。こういう非常にあきれる答弁が続発をしているということであります。

 そして、総理、憲法九十七条をめぐる質問についても、なかなか誠実に、自民党の憲法草案についてお答えにならない。

 今、国民の皆様は、自民党の憲法草案にある基本的人権についての考え方、これが実行されるとより人権が制約されるんじゃないのか、そういうふうに心配を持っておられる方もたくさんいらっしゃるんです。これは事実です、今の世の中。ですから、それについて総理に質問をしているわけです。

 金曜日、この憲法九十七条、最高法規、基本的人権の尊重を規定する条文を自民党の憲法草案は丸ごと削除していること、その理由を問われて、総理は、九十七条の削除は条文の整理にすぎないというふうにお答えになった。とんでもない発想だと私は思います。

 条文の整理というのは、恐らく、憲法十一条に基本的人権についての条文があるから、これとダブっているから九十七条を削除しようというような趣旨だと思うんですが、しかし、憲法九十七条は、やはり、基本的人権が侵すことのできない永久の権利、その理由、由来、これもきちっと書き込まれている大変重要な条文だと思っております。

 しかも、憲法十一条自体も自民党の憲法草案では変えておられて、本来の現行の憲法十一条は、「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と、「現在及び将来の国民」という文言があるんですが、自民党の憲法草案では、この「現在及び将来の国民」、こういう言葉が削除されているんですね。そして、「公共の福祉」という言葉が全て「公益及び公の秩序」。人権を制約する、その一つの要件としての「公共の福祉」という言葉が「公益及び公の秩序」という言葉に変わっている。

 こういうことからすると、より人権が制約されるのではないのかというふうに懸念が広がるのも、私は無理のないことだというふうに思うわけであります。

 総理、自民党の責任者として、なぜこういう改正草案を出されたのか、基本的人権にかかわる条文をこういうふうに変更されたのか、それを御説明いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、事実誤認がありました。事実誤認がありましたので、それをまず訂正したいと思います。

 その事実誤認というのは、私が自民党憲法草案を出された。どこに出したんですか。(発言する者あり)世に出したのは私ではありません。

浜田委員長 静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 谷垣総裁のときに出されたわけでありまして、私が世に出した……(発言する者あり)これはへ理屈ではなくて、まず、今あなたが言われたような言い方をしますと、国民から誤解されるんですね。この憲法草案を我々が丸ごと憲法審査会に出しているかのごとくに誤解されるわけで……(発言する者あり)ええっとかおっしゃったけれども、ええっというのは、誤解されると。

 今そこから大きな声でやじを言って審議の妨害をされましたが……(発言する者あり)

浜田委員長 静かに。

安倍内閣総理大臣 名前が違いますね、そこ。

 これは重大なことなんですよ。つまり、我々はこの草案を今、憲法を改正するということで我々の考え方をお示ししていますが、審査会にこれを出して、そこで、いわば、まさに採決をとるというところまではいっていないわけでありまして、つまり、安倍さんが出されましたねというのはそこで大きな事実の違いがあって、かつ、では、世に出されたという、ここで座ったままそれは訂正されましたが、世に出したのは、だから、まさにそれは谷垣総裁のときに出されたわけであります。それは谷垣総裁が出されたわけでありまして、私……(発言する者あり)済みません、静かにしていただけないと、なかなか審議がしにくいんですが。よろしいでしょうか。

 つまり、ここで大切なことは、そのときに決まり、自民党の考え方として我々は持ち、そしてお示しをしているということでございます。

 そして、国民が心配をしているというふうにおっしゃいますが、我々は、まさにこれをお示しして、いわば四回の選挙に皆さんよりは圧倒的に勝利をおさめているわけでございます。

 そして、基本的人権、平和主義そして国民主権ということについては変えないということは再三申し上げているわけでございます。

 かつ、逐条的にここで私が解説するという場所ではありませんし、再三申し上げておりますように、私は今、総理大臣としてここに出席をしております。まさに私は総理大臣として、内閣として提出をする法案あるいは予算については、責任を持ってお答えをしなければならない立場でございます。やはりその場所場所でしっかりと議論していくことが求められているわけでありまして、予算委員会で専ら議論をするのであれば、何のために憲法審査会をつくったんでしょうか。憲法審査会において逐条的に……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。不規則発言はやめてください。

 総理も不規則発言にお答えになるのはやめていただきたいと思います。

 静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 これは、しゃべられますと、一々やじられますと、前に言ったことがちょっと、何を言ったかなという気持ちになってきます。ですから……(発言する者あり)よろしいでしょうか。

 それでは続けさせていただきますが、つまり、そこで大切なことは、憲法審査会において、しっかりと国民の代表として責任を持って議論を深めていくことであります。

 議論を深めていく上においては、まさに、では長妻さんは、自分はこういうふうにしたいという考え方を党としてお示しになられるか、その場において、この九十七条においては、これは新しい条文を加えるということではなくて、いわば削除でありますから、削除すべきじゃないという議論をされればいいんだろうと思いますし。

 そもそも、まだ自民党はそれを出していないわけでありますから。我々は全体としてお示しをしていて、そして、基本的に、国民投票に付すのは、逐条的に付していくことになっているわけでありますから。全体像を私たちはわかりやすくお示ししながら、しかし、国民的な理解が得られるもの、その前提として、まず三分の二を形成できるものを、このいわば三分の二を得られるかどうかということについて議論に付していきたい、こう考えているわけでありまして、その大前提として、まず、私たちの考え方をお示しする中において各党が出していただければ、そこで議論を闘わせながら、国民の反応、また、これはおかしいのではないか、これはいいのではないかという議論も深まってくるんだろうと思います。まだそこまで残念ながらいっておりませんから、それから始めましょうと。

 しかし、それをやるのは、まさに主たる舞台は憲法審査会であって、この予算委員会は、まず喫緊の課題である補正予算等について御議論をしていただきたいなと。これは私の希望でございますが、決めるのは委員会でございますから。ということではないかと思います。

長妻委員 何か、いつもの歯切れのいい総理答弁らしくない、何だかよくわからない答弁でございました。

 これは、総理、谷垣総裁のときにつくったものを世に出したものだから僕ちゃん知らないよというようなふうに、ちょっと私は聞こえたんですよ。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います、与党。

長妻委員 だって、我々だって、代表がかわっても過去の政策は継続するわけでありまして、そういう言い方というのは私は看過できないし。

 ただ、総理自身が参議院選挙が終わった後に、自民党の憲法草案をベースに議論するというふうにもおっしゃっておられる。今、最後の結論として、総理が、基本的人権、これは変えないというふうにおっしゃいましたけれども、その途中の理由を何にもおっしゃらずに変えないと言われても、なかなか国民の皆さんも私もわからないんですよ、なぜその条文を削ったのか、条文を変えたのか。基本的人権、これがより制約されるんじゃないか。

 総理はこの予算委員会でこの自民党憲法草案について説明をされて、そのときに私がこういうふうに申し上げたんです。憲法というのは、国家権力を縛る、国家を縛る立憲主義、こういう役割がある、しかし、自民党の憲法草案を読んでいると、むしろ、国民を縛る、そういう憲法、こういうような感じがして仕方がないというような趣旨の話をしましたら、総理は、それはデマゴーグだとおっしゃったわけですね。扇動政治家だとおっしゃったわけです。

 そういうふうにおっしゃるのであれば、説得力ある説明を拒否して、デマゴーグ、デマゴーグとだけおっしゃっているというのは非常にフェアじゃないし、もし説明できないんだったら、このデマゴーグという発言を撤回してください。

安倍内閣総理大臣 長妻さんも変わらないなと思ったのは、谷垣さんのときに決めたんだから僕ちゃん知らないなんて、私、一言でも言いましたか。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 全く言っていないことを言ったかのごとく言うというのがデマゴーグなんですよ。これは典型例ですね。これは典型例じゃないですか。言っていませんよ。我が党が出している以上、私は総裁ですから、当然私が責任を持っているということは何回もこの委員会でも申し上げています。何回も申し上げていますが、かつ、提出している、安倍さんが出されたということだから、それは正確な意味で使ってくださいということを私は申し上げたわけでありまして、これは大事なことなんですよ。大事なことを私が言うと、こうやってやじがどんどん出てくるんですね。言われたくないんでしょう、きっと、大事なことを。

 そこで、今申し上げましたように、自民党は、前から、先ほど申し上げておりますように、現行憲法の基本的な考え方である、三本の柱と言ってもいいと思いますが、その中の一つの基本的人権については、これは全く立場は変わらないということは申し上げているとおりでございます。

 あとは、逐条的にどうなのかということについては、これはまさに憲法審査会で御議論をいただきたい、このように思いますし、既に我が党としては逐条の解説をお示ししているわけでございまして、ここで質問をされたら、私はその解説、こういう解説をしていますねという紹介をするだけになってしまいますから、それは、深い議論については憲法審査会で御議論をいただきたい、このように申し上げているところでございます。

長妻委員 いや、ですから総理、全然お答えにならないんですね。

 憲法十一条、基本的人権の尊重の条文ですら、「現在及び将来の国民に与へられる。」という、この「現在及び将来の国民」、これを削除しているわけで、これは、では何で削除しているんですか。

安倍内閣総理大臣 これは先ほど来申し上げておりますように、逐条的な解釈については憲法審査会で御議論をいただきたい、このように思います。

 そうしないと、今後この予算委員会で逐条的な質問に一々、私、全部答えていかなければならなくなっていくわけでありますから、それは生産的ではないだろうというふうに申し上げておりまして、この予算委員会というのは、まさに喫緊の課題である補正予算について議論せよというのが国民的な要請だと私は思いますよ。そうじゃないんですか。災害に対する予算も入っていますよ。それに対する質問なんかないじゃないですか。

 ですから、そういうことについて、長妻さんの質問の中には、それはやはりそういうことをこの場で議論していただいて、憲法審査会があるんだから、そこで我が党の議員としっかりと議論をすればいいんじゃないですか。(発言する者あり)済みません、ちょっと、さっきからずっと、のべつ。ルールを守るというのが基本だと思いますが。

 つまり、大切なことは、繰り返しになりますが、憲法審査会において議員同士が見識を闘わせたらいいじゃないですか。

 法案を提出する立場にもない、いわば行政府側に対してそういうことを一々聞くというのは、これは余り生産的ではなくて、我々は、全大臣がここにそろっているわけですよ。全大臣がここにそろっているのは、まさに我々が出しているこの補正予算案についてお答えをするために全大臣がここに来ているわけでありますから、議員同士で議論できることは、これはまさに憲法審査会でやっていただくべきだろう、私は本当にそのように思うわけでございます。

長妻委員 総理、予算を執行する責任者は総理大臣なんですよね。ここは予算委員会で、予算の質疑もしますが、やはり総理が基本的にどういう立場で、予算執行するときだって人権が侵害されたらこれは困るわけでありまして、人権に対してどういう理解をされているのか、この基本的な姿勢を問うのも私はこの委員会の重要な使命だと思いますよ。

 そのときに総理は、人権は守られる、しかし憲法を変えるこの自民党草案の、人権を制約すると私は思うんですが、そういう条文の変更の理由については言えない、しかしあなたはデマゴーグだと。これは論理の飛躍じゃないんですか。何で説明できないのに、デマゴーグ、デマゴーグと批判するだけで、国民の皆さんの不安が広がるばかりだと思いますよ。説明できないのであれば、デマゴーグなんという、そういう誹謗中傷を取り消しなさいよ、取り消してくださいと私は思うわけでありまして、ぜひ……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

長妻委員 谷垣総裁のときにつくった憲法草案だからというような言いわけじみたことをおっしゃるから、私は申し上げたわけですよ。

 総理、堂々と自民党の総裁として、これまでの予算委員会でお答えになっておられるわけですから、お答えになったらいいんですよ。何か、憲法改正が近づいてくるとお答えにならないような趣旨の答弁を金曜日にされておられましたけれども、それは逆じゃないんですか。何か後ろめたいような、そういう憲法改正だったら、一旦自民党の憲法草案を引っ込めたらどうですか。そういうふうに私は思うわけでありまして、ですから、総理、説明できないんだったら、デマゴーグという批判、誹謗中傷を撤回してください。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 また単なる誹謗中傷をしましたよ、今。どういう誹謗中傷かというと、我々が予算を執行するに当たって、人権を無視して予算を執行するかもしれないということを言われましたね。

 我々全員、憲法を遵守するという義務を負っています。憲法違反をして予算を執行するということはあり得ないじゃないですか。あり得ないことをあり得るかのごとく言うというのをデマゴーグというんですよ。重ねて言わせていただきますよ、それは。そういうことばかり言っているからなかなか、難しい問題に当たっていくんですよ。

 ここで大切なことは、やはり、長妻さんも重視をしておられるのであれば、憲法審査会でしっかり御議論されたらどうですかということを申し上げているのであって、では、なぜ私がここでどんどん憲法についてお話をしないのかということでございますが、先ほど、基本的には、これは行政府として出す立場にはないということでございます。

 そもそも民主党は、安倍総理の間は憲法を議論しないとか、安倍総理が言っているんだったらやらない、そういう姿勢であるのであれば、まさにそれは議員同士がやっていただいた方がいいんだろうということを言う人もいますよ。安倍さん、余り言わないで、議員同士が言ったらどうですかという議論も結構あります。

 しかし、その中において、もちろん私も、当然、自民党の総裁としてこの草案に対しては責任を持っているということは再々申し上げております。しかし、その中で、やはり議員同士が見識を争う場であろうと思います。

 撤回しろとおっしゃっていますが、憲法改正、この条文でやってくださいといって出しているのであれば、これは撤回ということもあるかもしれませんが、我々は自民党としての考え方をお示ししているわけであって、それをそもそも撤回しなきゃ議論をしないというのは、例えば、自民党の綱領は気に食わないから撤回しろよと言っているのとやや近いところがあるわけでありまして、我々は、出したものにおいて、その場にあるんだったらそこで議論すればいいんですよ。それでなくて、何となく自民党の考え方が気に食わないからそもそも憲法審査会で議論をしないという考え方はおかしいですよ。

 そういうことではなくて、では、どういう条文が出てきているのか、その条文について自分たちはこう考えますよ、これはおかしいからこの修正をしろとか、いや、自分たちのこちらの方がいいでしょうという議論が建設的な議論というのではないですか。

 ですから、そもそも、門前払い的な議論というのは、そういう議論がしたくないのかな、そういう指摘もあります。ですから、そこのところもお互いに謙虚に耳を傾けながら、しっかりと憲法審査会で御議論を進めていただきたいな、このように思うところでございます。

長妻委員 総理、相当ずれた御答弁だと思いますよ。

 綱領と自民党憲法草案と似たようなものだと。綱領と自民党憲法草案、似たようなものではないですよ。だって、総理御自身が自民党憲法草案をベースに議論するというふうにおっしゃっておりますし、さっき憲法を守るとおっしゃいましたけれども、我々は、総理がこの前の安保法制で集団的自衛権について憲法に反して閣議決定したと思っているんですよ。そういう疑義があるわけで、ですから、総理の基本的な人権に対する姿勢を聞かないとこの予算も心配だ、こういう趣旨で聞いているわけです。ぜひ、総理、本当に重大に受けとめていただいて、ちゃんとその説明をできるようにしてください。(発言する者あり)いや、綱領はありますよ。

 私からは、自民党の憲法草案を、撤回でも棚上げでもいいですが、一旦端に置いて、そして議論を始めるように要請をいたします。

 そして、もう一つは、所信表明演説なんですけれども、年金について、総理の御発言が所信表明演説の中で一点だけ、二十五年の年金の受給資格を十年で取れるようにする、その法律、その施行だけについてはあるんですが、年金全般についてはほとんど触れられておりません。そして、もう一つは、社会保障、将来像についても触れておられない。

 今、国内の最大の問題の一つは、やはり将来、社会保障が持続可能なのかということがあると思うんですね。

 日本の社会保障費のピークはいつかと考えると、二〇二五年、昭和に換算するとちょうど昭和百年なんですけれども、そのときに団塊の世代の方々が全員七十五歳以上になる。まず第一弾のピークが来る。そして、二〇四二年に六十五歳以上の高齢者の人口数が最大になる。ここでピークがまた来る。このときにいかにして社会保障をきちっと持続可能にできるのか、そして、財政の危機を迎えないで日本が運営できるのか。つまり、消費税を一〇%に上げる予定にしておりますけれども、その先の話について、やはり最大の問題、最大の課題だと思うわけでありますが、これについて総理の言及がない。一体、社会保障費がピークになる二〇二五年あるいは二〇四二年、日本の財政をどうやって担保するのか。

 我々は、お金に余裕のある方にはもう少し御負担をいただく、これも今回の参議院のマニフェストで提言をいたしました。経済成長、これも重要です。しかし、経済成長が全てを解決するということではありません。

 総理、ぜひ財政について、将来、社会保障が持続可能になる、社会保障費がピークになるときにどうやって乗り切るのか、そのビジョンをお示しいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 今回の所信表明演説は、ことし通常国会で行いました施政方針演説とあわせて考えていただきたいと思います。所信表明演説については、今般の補正予算を中心にコンパクトにまとめさせていただいたわけでございまして、その中において、二十五年を十年に短縮するということについて触れさせていただいたところでございます。

 団塊の世代がそれぞれの年齢に達するときに、それぞれにインパクトがあるわけでございます。六十五歳になっていった段階においては介護保険制度に大きなインパクトが来たわけでございまして、その次のインパクトに備えなければいけないということで、年金制度について我々は今までさまざまな改正を累次行ってきたところでございまして、しっかりとそういう将来を見据えながら、年金でありますから当然将来を見据えながら対応を行っていかなければいけないという中において、かつてマクロ経済スライドというものを導入しまして、生産年齢人口あるいは出生率等々を勘案した調整を行っているところであろう、このように思います。

長妻委員 いやいや、根本的な話にお答えになっていないんですね。本当に、社会保障費がピークのときに一体どうやってお金を工面していくのか。財源の問題です。

 我々は、先ほど申し上げたような一つの財源の考え方を申し上げておりますが、何にもないじゃないですか、政府は。本当に日本の社会保障がピーク時もつのかどうか、やはり、そこら辺について、我々野党と協議するかどうかは別にして、新三党協議のような新しい、ポスト社会保障と税の一体改革のような議論をもう始めないと、もう待ったなしで日本の社会保障費の急増、そして財源不足というのはやってくるわけでありまして、ぜひそこら辺もお考えをいただきたいと思います。

 そして今、高齢者を取り巻く年金の話をいたしましたが、課題といたしまして幾つかあります。

 ことしの三月には、生活保護受給者の中で高齢者世帯が初めて過半数を超えました。ある意味では、生活保護が老後の年金のかわりになっている状況が起こりつつある。そして、今や六十五歳以上の方の六人に一人がひとり暮らしでありまして、急増しております。そして、六十五歳以上の単身女性は貧困率が四五%、半分のひとり暮らしの高齢女性は生活保護世帯収入並み以下で暮らしておられる。そして、介護、医療の負担がふえている。持ち家の比率が低下をして、家賃が発生している。

 そして、この中で年金を取り巻く課題も今大きくなっておりまして、総理がおっしゃったような論点ではなかなか解決できない問題がある。

 一つは、マクロ経済スライドが基礎年金にきき過ぎて、三十年かけて所得代替率で基礎年金部分が三割減る低年金問題。物価が上がっても賃金が下がれば受給額が減少する。これが初めて今回の法律で政府から出てまいりまして、これも非常に厳しい状況だ。積立金の株運用リスクもある。そして、漏れた年金。本来は、ルール上、厚生年金に入ることができるのに、法律で入れなきゃいけないのに二百万人の方がそこに入っていない、違法状態にある。そして、消えた年金問題。これは、まだまだ難易度の高い記録が残っておりますけれども、もう総理は、あるいはこの安倍内閣はやる気があるとは見えません。もうやる気がない。こういう大きな問題があります。

 そして、日本の年金は、世界的に見ると、私的年金を除くと、OECDの中で所得代替率で見ると非常に下の方になっておりまして、三十三カ国中二十三番目なんですね、水準が、所得代替率で。非常に苦しい状態になっていて、この年金問題、年金の脆弱性を回復しなければ生活保護がどんどんふえて、かえって高くつく、こういうことになりかねないわけです。

 この中で一点、塩崎大臣にお伺いしますけれども、ルール上、厚生年金に入る、入れなきゃいけないのに入ることができない方が二百万人いる。これは私の要請で、厚労省のサンプル調査で明らかになったわけでありますが、その二百万人の方の中で最も多い業種、ワーストスリー、これを教えていただけますか。

塩崎国務大臣 今、業種につきまして御質問をいただきました。

 これにつきましては、まず第一にサンプルが非常に限られているということもございますので、非常に数が限られているわけでありますが、業種を申し上げますと、上から順番に行きますと、卸売業や小売業、これがまず第一。それから、製造業というのが二番目で、その他サービス業というのが三番目になっておりますけれども、今申し上げたように、かなりサンプル数が十分ではないので精度では限界がありますから、今、六十二万事業所に調査票を出していますから、これが返ってきたところで、業種をちゃんと書いていただくようになっていますので、それで改めて集計をし直すということにしています。

長妻委員 それをパネルにいたしましたけれども、二百万人違法状態にある、そういう方々のワーストスリーの業種、誤差率五%以内におさまる業種ということで三つ出していただきましたけれども、これは初めて出たわけであります。ワーストワンが卸売、小売業、コンビニエンスストア、ドラッグストア、スーパーなど、二番目が製造業、三番目がその他サービス業、労働者派遣業、ビルメンテナンス業、警備業などなんです。

 ぜひ総理、経済界といろいろ対話もされておられると思うんですけれども、経済界とやはり本当にタッグを組んで取り組まないと、違法状態に置かれていて、老後、国民年金で、非常に厚生年金よりも水準が低い形。しかも、保険料が、国民年金は一カ月一万六千円ぐらいでありますが、なかなか払えない、低賃金で。しかし、本来厚生年金に入るべき方が入ることができれば、半額、事業主負担が発生し、本人負担も賃金によっては国民年金よりも安くおさまる、こういうことでありますので、この問題は非常に重要な問題であります。

 そしてもう一つは、国保の滞納者に占める厚生年金の可能性のある方。つまり、いろいろ役所に聞くと、国保を滞納されている方の財産差し押さえの際に、給与支払いの実績の有無について調べていないという自治体も結構あるわけであります。ぜひ、この国保の滞納者に占める厚生年金、何人ぐらいいるのか。

 国保でなくて企業の社保に移れば、これは家族が何人いても保険料は同じなわけであります。国保は家族がふえればふえるほど保険料負担が上がるわけで、国保の差し押さえの方が本来は厚生年金あるいは社保に入れる可能性があったというのは、これは本当に泣くに泣けない話でありますので、これについても、調査をしていただいたら、回答がたった三十人だった、そのうち五人ぐらいがグレーだったということで、もしそれが事実であれば、サンプル数は相当少ないわけですが、三十分の五が可能性があるわけでありまして、もっと多くのサンプルで調査をしていただきたいということも強くお願いをいたします。

 そして、日雇いの方々も日本にはたくさんおられますけれども、日雇い契約しているけれども反復継続して一カ月以上仕事をされておられれば厚生年金に入れなきゃいけない、こういうルールもあります。これは全く今、調査も手つかずでありますので、これらについて、ぜひ早急な調査をしていただきたい、そして、総理には経済界に呼びかけていただきたいというふうに思います。

 なぜならば、この国民年金一号の方の滞納者三百六十八万人を調べてみますと、むしろ自営業の方よりも、滞納されているのは会社で働いている人、それが四五%ぐらい、半分近くが会社で働いている人なんですね、常用雇用とパート、アルバイト、臨時ということでありまして。つまり、こういう方々が基本的に厚生年金に入ることができれば、未納問題はこの部分はすぐ解決します、給料天引きですから。そして、将来の低年金、無年金問題、かなり前進します。

 ぜひ、まず総理から、そのワーストスリーの業種もございますので、経済界に呼びかけて、違法状態に置かれている方は早急に適法に戻してほしい、そういう要請をしていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、OECDの報告書によれば日本の所得代替率は三五・一%であるという御指摘があって、それは非常に低いんじゃないかという御指摘がございましたが、ただ、政府が掲げている所得代替率は夫婦世帯のものであって、一方、OECDの試算による所得代替率は単身世帯のものである、なお、OECDが試算した主要先進国の所得代替率を比較してみると、日本と同様の三〇%後半に多く集まっているということでありまして、遜色はないということはつけ加えさせていただきたいと思います。

 そして、厚生年金の未加入事業所に対しては、加入指導に取り組んでまいりました。経済界にも働きかけを行ってまいりました。平成二十七年度から、国税庁の法人情報を加入指導に活用することとしたところでございまして、その結果、平成二十七年度は、新たに九万三千事業所を適用することができたわけでございまして、効果は上がっていると思います。

 少ないんじゃないかという御指摘もあるかもしれませんが、これは事実でありまして、これは批判しているわけではないんですが、民主党政権時代の平成二十二年度は四千八百件でございましたから、これを九万三千件にふやしたというのは、しっかりと経済界に働きかけた結果であります。

 また、今年度は、八月までの五カ月間で既に五万以上の事業所を適用しており、取り組みが加速化しているということは申し上げておきたいと思います。

 さらに……(長妻委員「経済界」と呼ぶ)だから、経済界に働きかけをした結果、こういう成果も出てきておりますので……(長妻委員「ワーストスリーの業種」と呼ぶ)当然それはワーストスリーも含めて働きかけをしていきたい。

 さらに、厚生労働省において、厚生年金の適用の可能性のある事業所に対する実態調査を進めていると承知をしております。厚生労働省を中心に、関係省庁や関係業界と連携し、呼びかけを含め、さらに取り組みを加速していきたいと考えております。

長妻委員 しかし、総理、この二百万人についてもやっているという話なんですが、適用拡大を。ただ、今のペースで単純に計算すると、十年以上かかるんですね、今のペースだと。そして、かつ、その調査対象者が、国税から情報が来るだけでいうと、毎年七万、八万ふえるわけですよ、七万、八万事業所。これはイタチごっこでありますので、これは年金にとって大変大きな問題ですから、人、物、金をもっと集中してこれをやっていただきたいということもお願いを申し上げます。

 最後に、長時間労働について質問いたします。

 我々は、残業手当を払わない残業代ゼロ法案だと申し上げておりますけれども、政府は今後、裁量労働制を拡大する、つまり、一日八時間と決めたらば、それ以上は働いても残業代は出ない、こういう働き方を今度は営業にも広げる、こういうことがありまして私はびっくりしております。

 ただ単なる営業じゃなくて、提案型営業だけ広げるというんですが、今や営業は、ただ物を売るというよりは、それはいろいろ提案をして、お客様にそれが売れるように販売促進も含めて、マーケティングアドバイスも含めて売るわけですから、営業マンが全部適用になりかねない、裁量労働制。やはり残業代ゼロ法案だというふうに我々は言わざるを得ないんですけれども、この営業を除外していただけないですか、ぜひ。どうですか。

塩崎国務大臣 残業代ゼロ法案というばくっとした表現をされていますけれども、まず第一に、私たちが今御審議を願おうと思っているところについては、今の裁量労働制については、時間法制は全て適用になるということを国民の皆様方にもよくわかっていただかなければいけないというふうに思います。

 今、営業というお話でありますけれども、皆さん方はルートセールスの営業のようなことを想定して言っておられるわけでありますけれども、今回追加されるのは裁量的にPDCAを回す業務と課題解決型の提案営業ということで、営業といっても、相手の企業全体の経営が変わるような全体のシステムとかこういうことについての提案をしていく、こういうことでありますので、皆さん方が御懸念になっているいわゆる営業をやっていらっしゃる一般の方々、三百万人とも四百万人とも言われていますけれども、そういう方々に広がるわけでは全くないということをよく御理解いただきたいし、また、そのことについては法案審議の中でより明確にさせていただきたいというふうに思っておりますので、一日も早く審議入りをお願い申し上げたいというふうに思います。

長妻委員 これで終わりますが、今の御答弁では到底納得できないし、国民の皆さんの不安も払拭できないと思います。

 以上です。ありがとうございました。

浜田委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 民進党の大西健介でございます。

 蓮舫新代表が提案型というのを言われていますので、私も提案から入っていきたいと思うんですけれども、私が提案したいのは、あっせん利得処罰法の改正なんです。

 甘利大臣とその秘書がURに働きかけを行い、その見返りとして金銭を受け取った問題について、甘利さんの秘書が検察審査会で不起訴不当という議決が出たんですけれども、東京地検は再び不起訴処分にしました。

 秘書らは、URに十回以上働きかけをして、そして多額の金銭を受け取り、またフィリピンパブでの接待を受けたりとか、高級車のおねだりまでしている。そして、今回の事案では録音テープというのが全部残っているんです。そういう意味では証拠がある。これだけのことをして何の罪にも問われないというのは、多くの国民の皆さんが、腑に落ちない、釈然としない思いを私は抱いているというふうに思います。

 そこで、まず確認をしたいんですけれども、過去、国会議員や国会議員の秘書にこのあっせん利得処罰法が適用された事例があるかどうか、事務方からお答えいただきたいと思います。

林政府参考人 過去におきまして、国会議員や国会議員の秘書があっせん利得処罰法で起訴されて有罪となった例はございません。

大西(健)委員 今のお答えのとおりなんです。

 これは、平成十二年に、当時の中尾元建設相が受託収賄罪に問われたことを機に、議員立法で、特に公明党さんが非常に熱心に取り組まれて成立をさせましたけれども、それ以降、一回も国会議員秘書そして国会議員には適用されていないということであります。

 そして、今回、元東京地検特捜部の検事である郷原弁護士は、いろいろな自由な政治活動を過度に制限しちゃいけないのでストライクゾーンを非常に狭く設定している、そのど真ん中の事案がこれであるけれども、それが結果として不起訴になったということは、私は、これは法に不備があるんじゃないかと。つまり、このあっせん利得処罰法というのは残念ながら、ざる法になってしまっているのではないかというふうに思っております。

 実は、このことは議員立法の制定時にも指摘をされておりまして、権限に基づく影響力の行使というその要件を非常に狭く解することによって、議員が働きかけをして金銭を受け取ってもこれは罪に問われない、そういう抜け道ができてしまうのではないかということは、もう当時から指摘をされておりました。

 きょう皆さんのお手元に資料をお配りしていますが、三ページをごらんいただきたいんです。

 これは当時の与党案と野党案の対比表でありますけれども、ここを見ていただきますと、野党案では、請託の有無、権限の有無というところの要件を外しているんです。そのかわりに、目的のところで、特定の者に利益を得させる目的ということで絞り込みをかけることによって、余りにも広範囲な政治活動の自由が制限されないようにしている。

 私は、今回、甘利大臣の秘書が不起訴になったことを受けて、ぜひ、この平成十二年の野党案をベースにしてあっせん利得処罰法を改正して、より実効性を高めるべきではないかということを提案したいというふうに思いますが、総理、この提案に御賛同いただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この法律は、公職にある者等の政治活動の廉潔性を保持するとともに、政治に対する国民の信頼を確保することを目的とし、国会議員や秘書等が行う政治活動に関するルールを定めています。

 あっせん利得処罰法は、政治倫理の確立や政治活動のあり方にかかわるものであり、さらなる改正が必要か否かについては各党各会派においてしっかり議論を深めていくべきものと考えます。

 いずれにせよ、政治活動については、内閣、与党、野党にかかわらず、一人一人の政治家が、国民の信頼が得られるよう、みずから襟を正し、説明責任を果たしていかなければならないと考えております。

大西(健)委員 今、答弁書を棒読みされたんですけれども、本当に廉潔性というのがこれで確保されていると言えるのか。そして、今言ったように、せっかくつくった法律であるにもかかわらず、議員にも議員秘書にも一回も適用されない。今回の事案が、秘書二人も、一旦検察審査会も不起訴不当としながら、結局は不起訴処分になってしまう。やはり私は、これは法律が不備なんだと思うんです。今の総理の答弁では、全く政治と金の問題に本気で襟を正そうという意気込みというのが私は感じられないというふうに思います。

 安倍総理はこれまで何度も、みずからの任命責任を認めた上で、甘利さんにちゃんと説明責任を果たしてもらうんだということを言ってこられました。

 ところが、甘利氏は、一月の下旬に睡眠障害ということで国会をお休みになって、閉会まで一度も出てこられませんでした。ところが、先月になって急に自民党本部で会見を開いたということであります。

 資料の二ページ目というのをごらんいただきたいんですけれども、これは朝日新聞の社説であります。

 タイトルは「甘利氏の説明 不誠実な態度に驚く」ということですけれども、中を見ていただくと、「かねて力説していた「政治家としての美学」「政治家としての矜持」とは、しょせんこの程度のものだったのか。 あまりに不誠実かつ非常識な態度に、ただ驚く。」「会見は自民党本部で突然行われ、この問題を長く取材してきた記者の多くが出席できないまま、十分ほどで終わった。 ここまで国民を愚弄したふるまいも珍しい。」と、非常に厳しく糾弾をしています。

 そして、この会見では、調査報告書も配られないし、そして、甘利さんが今まで元特捜部の検事であった弁護士に頼んで調査をしてもらっていると言っていましたけれども、その弁護士の名前さえも明らかにされない。本当に調査をやったのかなと疑わざるを得ないような説明だというふうに私は思います。

 甘利前大臣はもう今すっかりお元気になられたようでありますので、今ならば、裁判とか捜査に影響を与える、そういう心配もありませんので、もう一度、安倍総理から甘利前大臣に、以前から総理が言われていたように、説明責任をしっかり果たすようにと御指示をいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 URをめぐる問題について、甘利前大臣及び元秘書二人は、捜査当局による捜査の結果、不起訴処分とされたと承知をしております。

 また、甘利前大臣は、九月十四日に会見を行い、弁護士による調査の結果、元秘書二人について、捜査機関の結論と異なるような結論を導く事実は見当たらなかったと説明されたと承知をしております。

大西(健)委員 今、その会見の内容を答弁いただきましたけれども、捜査機関の捜査結果と異なるような事実は見当たらなかったということを言われただけで、その理由は何にも明らかにされていない。調査結果報告書もなければ、先ほども言いましたように、調査をした弁護士の名前も明らかにしない。これで皆さん納得するのか。

 そして、もう一つは、確かに刑事責任は問われませんでした。しかし、それは私は法の不備だと思っています。刑事責任は問われなかったけれども、道義的、政治的な責任というのはそれはまた別物だというふうに思います。

 そういう意味では、以前から、我が党の幹事長からも求めておりますけれども、再度、甘利前大臣、そして秘書の国会への証人喚問を要求したいと思います。委員長、お取り計らいをお願いします。

浜田委員長 理事会で協議させていただきます。

大西(健)委員 安倍総理のお友達、親しい方には、ほかにも政治とお金の問題が指摘をされている方がいらっしゃいます。

 そこで、きょうは、アベノミクスの生みの親と言われている山本幸三大臣が、今回初入閣をされましたけれども、二〇一二年の三月に予算委員会の第一分科会で質問をされたその質問について取り上げたいというふうに思っています。

 先ほど、あっせん利得処罰法について、私はざる法だから法改正が必要だということを申し上げましたけれども、そこでネックになっているのが、権限に基づく影響力の行使、この要件がネックになっているということなんですね。

 では、逆に、権限に基づく影響力の行使をしたというふうにとられる典型例というのは何かといえば、国会議員として国会で質問することなんです。

 過去には、例えば、請託を受けて職人大学の設置構想を推進するための質問を本会議で行って、そして家賃名目で現金を受け取った村上正邦元労相がKSD事件で受託収賄罪に問われた、こういう事例もあります。

 皆さんのお手元に、今問題になっている予算委員会第一分科会での山本議員の会議録というのをお配りしております。ぜひごらんいただきたいと思うんですけれども。

 線を引いているところを中心にごらんいただきたいと思います。少し読み上げさせていただきます。

  実は、インサイダー取引の嫌疑がかけられた事件がありまして、嫌疑者は民間の金融関係の会社の社長さんだということでありますが、その情報伝達者として、ある証券会社の部長さんが、Aさんといいますが、その会社の社長さんと同時に強制調査を受けて、今も参考人という立場だと思いますけれども、調査の対象になっているわけであります。

  たまたま、この部長さんは私の知人でありまして、

と言われています。

 さらに、次の部分ですけれども、いつまでたっても結論が出ない、これが私は大問題だと思っております。またさらには、私は、こういうやり方しかできない監視委員会というのはある意味で本当に必要なのかなというようにも思っていましてと。

 以上のように、知人であるAさんへ証券取引等監視委員会の調査が行われていることを問題視して、あたかもそれに圧力をかけるかのような発言をし、また、監視委員会の存在意義にさえ疑問を投げかける強い調子で批判をしています。

 そこで、山本大臣にお尋ねをしたいんですけれども、大臣自身が質問の中で知人と言われているAさんですけれども、このAさんとどのような関係であられたのか。また、Aさんから、証券取引等監視委員会の調査がひどいので何とかしてくれ、こういうお願いがあったのかどうなのか。このことについてお答えいただきたいと思います。

山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。

 その調査の対象になった証券会社の部長さんでありますが、私の知人のSさんという方から紹介を受けたんですが、たった一度だけあります。それは、かなりの大人数で食事会をやったときに、証券会社の部長さんだということで紹介を受けました。

 ただ、質問するときには、知人の知人ということの意味だけなんですけれども、知人という言葉で申し上げました。そして、その方々から何らかの質問をしてほしいというようなことは一切ありませんでした。

 私は、証券等監視委員会の犯則調査のあり方、制度そのものについて少し疑問を持ち、関心を持っておりましたので、その趣旨から質問したということであります。

大西(健)委員 皆さん、会議録をちょっとよく見ていただきたいんですけれども、Aさんへの証券取引等監視委員会の細かい調査の内容にまで踏み込んで質問されているんですね。

 ですから、大人数の中で一回だけ会った人から頼まれて、何でこんな本人しか知り得ないような情報に基づいて質問をしているのか、私は極めて疑問に思います。

 そして、今、そのAさんは、その間にもう一人Sさんという方がいらっしゃるという話をされましたけれども、では、Sさんから、俺のよく知っているAさんがこんなひどい調査を受けているので、山本さん、どうにかしてくれよ、こういうことを頼まれたんですか。いかがですか。

山本(幸)国務大臣 そういうことを頼まれたことも一切ありません。

 私はもともと、証券等監視委員会ができるときから、この犯則調査については、例えばアメリカのSECのように強い起訴権限まで持つなど、きちんと迅速な調査ができるような制度にすべきではないかと主張しておりまして、部会等でもそういう発言をしておりました。

 そして、この証券等監視委員会の犯則調査については、例えば、AIJ投資顧問事件、オリンパス、あるいは超高速取引の問題等で、そういう大型の案件でこの監視委員会が何もしなかったということについて大変大きな問題ではないかと思っておりましたし、いろいろ話を聞いていると、犯則調査が国内法人と外資系法人で差があるというような話を聞きまして、その実態に関心を持っておりました。そのときにこの具体の例を知ったわけであります。

 私はそういう関心を持っておりましたので、私の知人のS氏から、実際の犯則調査の実態についてわかるような資料はないかというお願いを申し上げましたら、彼から、いろいろな新聞記事を含めて、そして、恐らく弁護士さんに宛てて実態の調査がどういうものだったかということを書いたもの、聞くところによりますとテープにとっていたということでありましたので、そのやりとりなんかを詳細に記したような資料をいただきまして、それを私は参考に、自分なりにいろいろ分析をして、そして従来からのこの監視委員会の犯則調査のあり方というのを問題として取り上げたわけであります。

 その中で、例えば、やはりSECのような起訴権限を持つようにした方がいいんじゃないか、あるいは、検察組織の中に証券専門の部門をつくるというような形で迅速な犯則調査が行われるようにした方がいいんじゃないか、そういう趣旨で申し上げたわけでありまして、一切圧力をかけるということもございません。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

大西(健)委員 私は、今の大臣の説明は残念ながら、うそがあると思うんですよ。

 というのは、もともと証券取引等監視委員会のあり方に関心を持っていて、その話をするために、実際の犯則調査の事例としてたまたまSさんからそういう話を聞いたということであります。だから圧力をかけようという意図はなかったということですけれども、実は大臣は、質問だけじゃなくて、ほかにもこのインサイダー調査に関して動いているんですよ。

 きょうは金融庁証券取引等監視委員会にも出席いただいていますが、この件に対して山本議員あるいは山本事務所から照会等を受けたことはありますか、お答えいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年九月、当時の山本議員から、証券取引等監視委員会が調査を行っておりましたインサイダー取引事案、これは今御質問の事案でございますが、この調査につきまして、当該事案における証券会社執行役員の位置づけについて説明を求める照会がございました。

大西(健)委員 ですから、もともとあり方について議論をする、その実例だけだったら、Sさんから聞き取っただけで十分じゃないですか。何で金融庁に照会をかけて圧力をかけるような必要があるんですか。大臣、違うんじゃないんですか、先ほどの答弁。

山本(幸)国務大臣 当時の私の疑問は、インサイダー取引といえば、その取引をやった本人が嫌疑者だということになると思っておりましたけれども、そうではない人物が嫌疑者になるということはどういうことだろうかと。つまり、インサイダー自体をやっただけではなくて、後に情報伝達者というように言われるようになりましたけれども、そこまで対象になるのかどうかということは、これはちょっと疑問がありましたので、その点について監視委員会に教えてもらおうと思ってお聞きいたしました。

 ただ、監視委員会の方は、個別の案件については答えることはできないということで答弁されたと思っております。

大西(健)委員 山本大臣はなぜここまでのことをやられるのか。

 それから、ちなみに、今は何かそういうグレーな案件のような話をされましたけれども、証券会社のAさんも、それから金融会社の社長も、二人ともこの質問の三カ月後には逮捕、起訴されているんですよ。

 そして、インサイダー取引で逮捕された二人は、実は、山本大臣が当時社長を務めていた投資会社ブルーエコノミー・ホールディングスと利害関係があったということがわかっています。

 報道をもとにして、また裁判の資料も参考にしながら、関係を時系列に従ってパネルにしてみました。

 まず、二〇一〇年の三月四日ですけれども、一のところですね、A氏の依頼で、横浜市の金融会社のK社長がS氏に対して二億円の融資を行っています。これが三月四日です。そして、その直後、三月十一日ですけれども、このうち五千万円を資本金にしてブルーエコノミー・ホールディングスという会社が立ち上がっています。そして、S氏と親しかった山本大臣は、S氏の依頼を受けてだと思いますけれども、代表取締役に就任をされているんですね。

 ところが、この融資が実は焦げついた。融資が焦げついた結果、K氏は、もともとS氏を紹介したA氏に対して責任追及を、どうなっているんだということを言ったので、A氏はその焦げつきの穴埋めのためにK氏にインサイダー情報を流したというのが、これがこの事件のてんまつなんです。

 そして、証券取引等監視委員会が二〇一一年の九月末に調査を開始して、その半年後に山本大臣が国会質問をやっているということなんですね。

 山本大臣が、国会議員として職務権限を行使して監視委員会の調査に圧力をかけるような質問をして、そして自分が代表取締役をしていた会社に利益を誘導していたとしたら、これは私は大問題だというふうに思いますよ。

 一部報道によりますと、ブルーエコノミー・ホールディングスの取締役を務めているSさん、さっきも大臣の答弁では、Aさんをもともと紹介してくれたのはSさんだというような話でしたけれども、このSさんは後で山本大臣の後任としてこのブルーエコノミー・ホールディングスの社長にもなっている人物ですけれども、大臣は、報道によると、落選中も何かとSさんに面倒を見てもらっていたというようなことが言われているんです。

 大臣、改めてこのSさんとの関係について御説明いただきたいのと、そして、なぜこのブルーエコノミー・ホールディングスの代表取締役に就任したのか、その経緯についてわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

山本(幸)国務大臣 まず、こういう図式が新聞や雑誌に出されておりますけれども、そういうことに本当になるのかということについて、私は一切存じ上げません。

 私が知っているのは、私が一時的に、その前に社長に就任した経緯を申し上げますと、そのS氏、この方とは、十四、五年前にある知人から紹介されました。そのときに、彼は、国連大学が提唱しておりましたゼロエミッション活動というのをやっておりまして、それを推進するZERI財団というのがスイスにあるんですけれども、その財団の日本支部をつくろうということで努力しておられて、当時の国連大学の副学長だった方と一緒に活動しておられまして、私はその趣旨に大いに賛同して、これはぜひやろうということで協力をしていた、そういう仲であります。

 そうした関係があった中で、このときに彼から、予定していた社長が就任できなくなって、突然穴があいてしまったので何とかお願いできないかという話がありました。そこで、私は、無報酬で非常勤かつ一時的という条件であればやむを得ない、お助けしましょうということで社長に就任したわけであります。

 そのときのその会社の定款によれば、発起人であるS氏が全ての株式を購入しているということでありまして、そのことは存じておりますけれども、それ以上のことについて、原資がどうとか、こういったことは全く承知しておりません。

大西(健)委員 大臣の今の説明というのは、非常勤、無報酬かつ一時的なものだったので、自分は名ばかり社長で何にもわからないんだ、こういうことで逃げ切ろうとされているんだというふうに思いますが、私は、その説明というのは通用しないんじゃないかと思います。というのは、その後も実は、一時的といいながら、二年以上も代表権を持つ社長をされているんですね。

 それから、大臣、ブルーエコノミー・ホールディングスの社長として、例えば日本政策投資銀行に行って支援を要請したりとか、あるいは、ブルーエコノミー・ホールディングスの社長として、二〇一〇年の四月に韓国、そして七月は台湾と訪問をして、現地の投資家と面談したんじゃないですか。社長として行かれているんじゃないですか、海外出張も。では、その海外出張の費用はどこが出しているんですか。

 政投銀に行ったのか、それから海外出張を社長としてしたことがあるんじゃないか、そのお金はブルーエコノミー・ホールディングスから出ているんじゃないか、この質問についてお答えいただきたいと思います。

山本(幸)国務大臣 政策投資銀行には、一応、融資等の相談窓口を紹介してほしいということがありましたので、そのとき私の知り合いが政策投資銀行にいましたので、彼のところに行って、窓口を紹介してもらいたいという、窓口紹介の労をとりました。それ以降の話は、当事者同士でやったので具体的な中身については全く知りません。

 それから、韓国と台湾に行ったということは事実でありますが、これは会社の話として行ったわけではありません。先ほど申し上げましたように、ZERI財団の活動として行ったわけでありまして、ZERI財団の方から費用を出していただいたということになります。

大西(健)委員 先ほど大臣自身の御答弁の中で、S氏というのは、ZERI財団をずっとやっておられる、それからこのブルーエコノミー・ホールディングスの株式も全額持っておられるということでありますので、私は一体のようなものではないかというふうに思いますし、まさに今大臣自身認められたように政投銀にも行かれているわけです。そして、融資のお願いをしているわけですから、私は、全く大臣が、非常勤、無報酬かつ一時的、名ばかり社長だから私は知らないんだという、そういう説明は通らないというふうに思います。

 先ほども言いましたけれども、これは、KSD事件と同様に、私は、収賄罪に問われるおそれがある事案だというふうに思っているんです。

 山本大臣は、特定のインサイダー事件について国会質問を行っています。これは会議録にばしっと残っていますから、否定し得ないと思います。

 あとは、請託があったのか。つまり、頼まれたのかどうなのか。この部分は大臣だけの話を聞いていてもわからないです。相手方の話も聞かなきゃいけない。

 それから、金銭的利益の収受があったかどうか。ここでは、山本大臣が代表取締役を務めているブルーエコノミー・ホールディングスの出資を、場合によっては、これはインサイダー情報の穴埋めによって提供しているからいいんですけれども、これがだめだということになると、これは五千万返してくれと言われる可能性がありますから、それを返さないで済むということが、私は、まさにこれは金銭的利益、経済的利益に当たるんじゃないか、そういうおそれがあるんじゃないかというふうに思われます。

 これを明らかにするためには、山本大臣のお話だけを聞いていたのでは足りないんです。

 ですから、私は、この問題の関係者であるブルーエコノミー・ホールディングスの取締役だった榊原康寛氏、それから日興コーディアル証券投資銀行副本部長だった吉岡宏芳氏、そして横浜の金融会社の社長だった加藤次成氏、このお三方を参考人としてお招きして話を聞く必要があると思います。

 以上三名の参考人招致を、委員長、お願いいたします。

葉梨委員長代理 理事会で協議いたします。

大西(健)委員 これはぜひこれからもしっかり調査をしていきたいと思いますけれども、残された時間、東京オリンピック・パラリンピックの開催費用について議論をしたいというふうに思います。

 資料にもつけましたけれども、先日、二十九日の日ですけれども、都政改革本部のオリパラ調査会が報告書を提出しました。その中で、「今のままでは、開催総費用は三兆円を超える可能性がある。」と指摘をしています。

 一方で、前回の初鹿委員の質疑でも明らかになったのは、組織委員会も、そして東京都も、そして国も、誰もこの開催総費用を把握していないという驚くべき無責任体質、これが明らかになったというふうに思います。

 もう一つ、私が腰を抜かしたのは、丸川大臣が、きょう皆さんのもとにも会議録の速報版が委員部から配られていると思いますので後で確認いただきたいんですけれども、自分の職務、大臣の職務は何ですかと聞かれて、サイバーを含むセキュリティー、それから、特に運送面、それから機運の醸成、これが主たる私の任務と認識しておりますと答弁したんですね。大臣、そんなことだけのためにわざわざ担当大臣を置いたんじゃないんですよ。

 オリパラ特措法の六条には何と書いてあるか。オリパラ大臣は、「内閣総理大臣の命を受けて、大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的かつ集中的な推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする」と書いてあるんです。

 丸川大臣、あなたは自分の職務の重大さを認識しておられないんじゃないんですか。いかがですか。

丸川国務大臣 認識しております。

大西(健)委員 さっきの答弁をもう一度御自身で確認していただきたいんですよ。まさに、セキュリティー、運送面、機運の醸成、そんな矮小化した話じゃないんです。総合的、集中的に推進するために大臣を置いているんですよ。

 ですから、私は、その認識が欠けているから、例えば総費用を把握していないことについても他人事のような答弁を繰り返すことにつながっているんじゃないかと思うんです。

 それから、もう一個。では、オリパラ特措法の八条には何と書いてあるか。八条にはこう書いてあります。政府のオリパラ推進本部は、組織委員会の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができるとあります。さらに、二項には、組織委員会だけじゃなくて、必要があれば、それ以外の者に対しても必要な協力を依頼することができる、こういう権限が付与されているんです。

 ですから、この権限を活用して、必要な情報の提出を大臣は求めなきゃいけないんじゃないですか。それをやらないのは、私は、まさに自分の職務に関する、その重要性に関する認識が欠けているからそんな他人事のような答弁を繰り返しているんだと思うんです。ぜひこの権限を活用して、しっかり情報提供を求めていただきたいと思います。

丸川国務大臣 これまでも随時求めておりまして、済みません、セキュリティーと輸送に矮小化しているとおっしゃいましたけれども、大変大きな課題となっている点でございまして、施設整備にばかり注目が集まっておりますが、実は、施設整備以上に、このセキュリティーと輸送の面というのは、円滑な大会運営の上で非常に重要でございます。

 例えば、オリンピックパーク、これをロンドンのときにやりました。施設が集合しているので、その敷地に入るときに一度セキュリティーをやればその中では自由に動いていただける。ところが、施設を分散させますと、その会場ごとにセキュリティーの費用がかかるわけでありまして、ある意味、コストの削減のために施設を分散するということは、一方で別の費用がふえるということにもなります。

 そうしたことについても我々は非常に注目をしておりまして、どのような課題意識を持って東京都が取り組んでおられるのかということについては、私どもの方からもきちんと、特にこの改革本部のお考えについて聞くようにということは事務方に指示をしております。

大西(健)委員 さっきも言いましたけれども、総合的、集中的に推進するために大臣が置かれているわけですから、総開催費用もわからないなんというのは、私はおかしいと思うんですね。

 では、何でこれをちゃんと把握しなきゃいけないかというと、それは、最終的に国からの税金が投じられる可能性がある、国民負担が生じる可能性があるからなんです。

 これは、立候補ファイルの〇六、財政の章にはこう書いてあります。万が一大会組織委員会が資金不足に陥った場合は東京都が補填することを保証すると。また、東京都が補填し切れなかった場合には、最終的に日本国政府が国内関係法令に従い補填すると書いてあるんですね。また、東京都は非常に大規模な予算規模を有しているので、十分に補填することができるということも書いてあります。

 私、基本的によくわからないんですけれども、では、ここで書いてある、東京都が補填し切れなかった場合、つまり国に保証が求められる場合というのは具体的にどんなときなんでしょうか。例えば、東京都の負担の上限額みたいなものがあって、それを超えたら国に負担が来るということなのか。その辺の、どういう場合に日本政府が負担を求められるのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。

丸川国務大臣 この日本国政府が国内の関係法令に従い補填するというふうに立候補ファイルに書いてある意味は、組織委員会の赤字の補填を東京都が行った結果、東京都の財政状況が悪化していわゆる財政再建団体に陥るなどした場合には、地方財政制度に基づいて東京都への財政支援を行うことになるため、その結果、組織委員会の赤字を間接的に国が補填することになるという趣旨であります。

 実は、国がどのように財政負担をするかということについては、野田内閣総理大臣の名前でまずIOCの委員長に対して財政保証の政治的意思が示されておりまして、その後、今、立候補ファイルの基本的な考え方になった国の財政負担の考え方を野田内閣として閣議了解しておられます。

 当然、立候補ファイルも野田内閣当時のものでございますので、私どもはその考え方を継承しております。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

大西(健)委員 本当に、東京都が財政破綻するようなことじゃなければ国の負担が生じないんですかね。本当にそうだったら、ある意味それは、安心と言っちゃいけないですけれども、そんな限定された場合なのかなと。

 いずれにしろ、立候補ファイルには、保証については保証ファイル参照のことと書いてあるんですけれども、この保証ファイルを開示していただけませんでしょうか。

 どういう場合に国の負担が生じるのかわからないのに、今のようにとめどなく費用が膨らんでいって、はい、これが国の負担です、払ってくださいと言われて、払うんでしょうか。

 私は、この保証ファイルをちゃんと開示していただきたい、そういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 まず、組織委員会がIOCとどのような契約を結んでというか、東京都がどのような契約を結んでいるかを確認した上で、その開示について、このような要請があったことについて、もし理事会で御協議いただいた結果、そのように進めるのであれば、そのように対応させていただきたいと思います。

大西(健)委員 今、理事会で決めたら保証ファイルの開示ができるような話がありましたので、ぜひ、委員長、保証ファイルの開示をお願いしたいというふうに思います。

 あわせて、ちょっと時間がありませんので、これはこの間も少し初鹿委員からも提案がありましたけれども、五輪経費の公表をめぐる日英の比較です。ちょっと記事が古いのであれですけれども、両方ともどんどんどんどん費用が膨らんでいっているんですけれども、イギリスと日本の違いを見ると、イギリス、これを見てください。二〇〇八年三月のところで、下院の委員会が云々と書いてありますけれども、これは議会のチェックがちゃんと入っているんですよ、下院の委員会ということで。

 私が最後に提案したいのは、今、保証ファイル、理事会の協議が調えば出していただけると言われましたので、ぜひ出していただきたい。

 そして、それをもとに、ぜひ、では一体どのような場合に国の負担が生じるのか、また開催総費用がどれぐらいかかるのか、コストの抑制ができないのか、我々もイギリスのようにちゃんと与野党が枠を超えて国会のこの場で議論しようじゃありませんか。

 ですから、委員長、保証ファイルの開示と、ぜひ、このオリンピック・パラリンピックの開催総費用の問題について集中審議を求めたいと思いますので、御検討いただきたいと思います。

浜田委員長 理事会で協議いたします。

大西(健)委員 もう時間になりますので終わりますけれども、今私が申し上げたように、このオリパラの開催総費用も明らかにならない。そして、SBSの調整金の話も全然明らかにならない。

 これは補正予算の主要な柱ですよ。オリパラ関連予算も、この補正予算の中に二百六億円含まれています。こういった主要な柱について全然問題が明らかにならない限り採決なんてあり得ないし、これはどんどんどんどん、もっと時間をかけて慎重審議をする必要があるということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

浜田委員長 この際、小川淳也君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小川淳也君。

小川委員 民進党の小川淳也でございます。

 通告に従って質疑をさせていただきたいと思います。もちろん、オリンピックについても後ほどお聞きをいたします。

 その前に、ちょっと、先立つ審議、質疑を受けて、二、三、総理に確認させていただきたいことがございます。

 まず、改憲についてであります。

 総理は、ことし三月の参議院予算委員会で、私の在任中に憲法改正をなし遂げたいということをおっしゃいました。ただし、そのときは、衆参それぞれ三分の二の多数がなければ発議もできない、したがって状況として楽観はしていないという趣旨の発言を加えておられます。

 今国会以降、与党は衆参両院において三分の二を持った状態、これは憲政史上初めてと言われておりますが、私の在任中に憲法改正をなし遂げたい、この総理の決意は、衆参両院がこういう状況になった上で変化がないこと、変わりがないことを確認したいと思います。

安倍内閣総理大臣 さきの参議院選挙の前に、御党も含めて、またマスコミも、与党が三分の二をとるかどうかということを大変焦点にされたわけでございます。我々は殊さら焦点にしなかったんですが、皆さんやマスコミの皆さんはそうでありました。そこにどういう意図があったかどうかというのはよくわからないんですが、皆さんの、御党のポスターそのものも三分の二と書いておられたところでございますが、結果、三分の二を我々は国民の皆様から与えていただいた。感謝したい、こう思う次第でございます。

 しかし、そこで、憲法改正というのはどこを改正するかということが問題であって、まだ三分の二でどの項目を変えていくかということについてのコンセンサスはないわけでございまして、それはまさにスタートしたばかりであろう、こう思っております。

 それはまた、与党だけではなくて野党、例えば維新の会も改憲については考え方をお示しされているわけでございまして、そこでどのように三分の二を形成していくかというのは、憲法審査会における議論が深まっていく中において、各党あるいは各個人の議員が良識によって判断をしていかれることではないか。

 しかし、その上において、国民投票によって決まるということは言をまたないわけでございます。

小川委員 先立つ細野委員との審議、また長妻委員との審議を見ても非常に、よく言えば、総理の憲法に関する発言は慎重になってきていると思います。一方で、再三野党の側から指摘しているように、内容も、また手続も、そして在任中にやられるのかどうかも含めて、非常に覚悟を感じなくなってきています。そのことは指摘したいと思います。

 関連して、総理の在任中ということなんですが、現在、自民党内で総裁任期の延長の議論があるとお聞きしております。これについて総理御自身はどうお考えなのか、お聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 党首の任期については、御党は御党の党首の任期のことについて議論されたらいいんだろうと思います。我が党は我が党の考え方を今議論していることではないかと思います。

小川委員 残念ながら、日本国の総理大臣の任期は、政党の党規、それから衆議院の任期、両方の制約があります。これはいいことかどうか、これについてはいろいろ議論があり得ると思います。それから、衆議院の解散についても総理の胸先三寸、総理の一存で行われるという非常に先進国の中では珍しい国であります。

 そういうことも含めて、この総理の在任期間、憲法改正論議、三月に在任中にやり遂げたいとおっしゃったわけですから、非常に私どもとしても注意深く興味深く拝見しているということであります。

 もう一点、外交関係について。日ロの議論がございました。もう一点、日韓についてもちょっとお聞かせください。

 先ごろ、慰安婦問題に関する日韓合意に基づいて、ことし八月、元慰安婦を支援する財団に十億円の拠出をされています。それに加えて、韓国政府からさらに安倍総理からのおわびの手紙を求めるということがあるようでありますが、総理、この件について現時点でどうお考えですか。

浜田委員長 岸田外務大臣。(小川委員「総理にお聞きしています。岸田大臣は会見でよく知っていますから」と呼ぶ)その後に総理でお願いします。

岸田国務大臣 日韓合意につきましては、昨年十二月、日韓の両外相によって行われました共同発表の内容に尽きております。その後、追加の合意がなされているとは承知をしておりません。

安倍内閣総理大臣 合意した内容を両国が誠実に実行していくことが今求められているわけでございまして、今外務大臣から答弁をさせていただいたように、小川委員が指摘されたことはこの内容の外でございまして、我々は毛頭考えていないところでございます。

小川委員 ひとまず受けとめさせていただきたいと思います。

 それでは、通告に従って、まずアベノミクスに関連してお尋ねをいたします。

 日本銀行総裁にお越しをいただいております。

 三十日に少し日銀の買い入れオペレーションを縮小したという報道に接しております。しかし、大変皮肉ですが、その三十日、同日総務省が発表した消費者物価指数は六カ月連続で下落している。

 そろそろこの金融緩和に依存し過ぎた物価対策は限界に来ているということをお認めいただいた方がいいと思いますが、総裁、いかがですか。

黒田参考人 金融政策につきましては、御案内のとおり、二〇一三年の一月に政府と日本銀行で共同声明を発表しておりまして、日本銀行は、大胆な金融緩和によってできるだけ早期に二%の物価安定の目標を実現するというふうにコミットしております。それに沿いまして、量的・質的金融緩和あるいはその拡大、そしてことしの一月のマイナス金利の導入ということを行ってまいりました。

 その上で、御指摘のように、現時点で二%の物価安定の目標が達成されておりません。したがいまして、先日の金融政策決定会合におきまして、さらに金融政策の枠組みを強化して長短金利操作つき量的・質的金融緩和というものを導入したわけでございますが、これは、過去三年半の経験を十分踏まえて強化を行ったということでございます。

 なお、その上で、さらにこの金融政策について追加緩和の余地があるかないかということはいろいろ議論されておりますけれども、私どもは緩和の余地は十分あると思っております。

小川委員 そろそろ限界に来ていることに加えて、効果が出ていないというふうに思うわけであります。

 そもそも、このオーバーシュートコミットメントですか、物価が二%に上がるまで緩和を続けるということ。操作目標を金利に置きました。量的緩和から金利に置いた。しかし、やることは変わらないんですよね。国債の大量買い入れしか事実上できることはないわけですよ。

 したがって、二%に上がるまで継続すると表明はされましたが、この政策そのものに持続可能性はない。もう三年ちょっとで、日銀の国債買い入れは四百兆ですからね、残りの金額を考えてください。二%に上がるまでやり続けると言ったところでこの政策に持続可能性はないことを、総裁、お認めいただきたいと思います。

黒田参考人 先ほど申し上げました長短金利操作つき量的・質的金融緩和というものは、あくまでも二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するためにこれまでの政策枠組みを強化するものであります。その中には、御指摘のオーバーシュート型コミットメントという要素と、イールドカーブコントロールといいますが、長短金利操作ということ、二つ含まれております。

 前者につきましては、過去の教訓から、やはり物価上昇期待というものが足元の物価上昇の動向に引きずられる傾向が強いものですから、インフレあるいは物価上昇期待というものをしっかり引き上げていくために強いコミットメントをしたということでございます。

 もう一方の、長短金利操作つきのいわゆるイールドカーブコントロールにつきましては、これまでの経験から、マイナス金利と量的緩和ということによって、その組み合わせによって長期金利まで含めて相当程度コントロールできるということがわかったものですから、それを踏まえて行うことにしたものでありまして、これによって、より柔軟で、かつ持続性のある政策枠組みになったというふうに理解をしております。

小川委員 総裁は御就任以来、できるだけ早期、できるだけ早期と言い続けてこられました。三年半たった今、物価下落率は総裁が大胆な金融緩和を始める以前の一三年三月に戻っているんですよね。長期金利をコントロールできるとおっしゃいましたけれども、果たしてそれはすべきなのかどうかという議論もある。そういう状況の中で、本当に手詰まりだと思います。

 私は、この日銀の総括的な検証を拝見して非常に残念だったのは、円安だとか原油安だとか新興国の経済だとか、人のせいにばかりしているんですよ、物価が上がらなかったことについて。

 日銀は伝統的にインフレファイターでした、ずっと、二〇〇〇年が来るまで。しかし、ここへ来て、必死でデフレファイターにならなきゃいけない構造要因は何なのか。それは人口減であり、あるいは高齢化であり、そこにアプローチしない限り、健全な金融経済環境をハンドリングしていくことなんてできるはずがない。

 私はそのことを改めて、賢明な、聡明な総裁ですから、三年半たってわかっているはずだと思うんですよね。それをあえて、言えるからか言えないからなのか、非常にごまかしにごまかしを重ねて、できるだけ早期、できるだけ早期と言い続けている。これは、日本国民の資産や、円に対する信認や、金利の市場のまともな調節機能や、あらゆることを犠牲にしてこんなことをやり続けているわけです。限界が見えた今、改めて見直すことを求めたい。

 そして、最後にお尋ねします。

 総裁の任期があと一年ちょっとになりました。いつまでもやり続けると明確にコミットされた総裁ですから、御自身の再任も含めて、この任期の問題、総裁はどう考えておられるか、お聞きして、終わりにしたいと思います。

黒田参考人 私の任期につきましては、よく認識しております。

 そのことと再任云々ということは全く別でありまして、これはあくまでも政府と国会がお決めになることであるというふうに理解をいたしております。

小川委員 金融政策においても非常に厳しい状態を迎えている、そのことを改めて指摘したいと思います。

 どうぞ、総裁、お帰りいただいて結構です。

 安倍総理、補正予算についてもお聞きしたかったんですが、既に江田代行が指摘したとおり、昨年度の補正には一兆九千億円の税収上振れがありました。二兆二千億円の前年度剰余金がありました。合わせて四兆一千億円の、総理の言葉をかりればいわゆるアベノミクスの果実と言えなくもない。前々年度二十六年、一兆七千億円の税収上振れがありました。一兆円の前年度剰余金があった。さらに二十五年度、二兆二千億円の税収上振れがありました。九千億円の前年度剰余金があった。毎年、借金せずに、数兆円単位で税収上振れを利用して補正を組んできた、これが第二次安倍政権以降の歴史です。

 しかし、今回の補正予算、全く果実というべきものが存在しません。したがって、建設国債二兆七千億、財投債三兆六千億、合わせて六兆三千億円の国債で公共投資をする。まるでこれは自民党の古い政治に先祖返りしたのではありませんか。

 時間もありませんから指摘にとどめたいと思いますが、極めて今回の補正予算は、アベノミクスの行き詰まりを、金融政策においても、あるいは財源の面からしても象徴している。このことをしっかり主張し、また追って、予算委員会は続くでしょうから、しっかり審議させていただきたいと思っております。

 では、二点、通告に従って、豊洲問題とオリンピックについてお聞きいたします。

 まず、豊洲の築地からの移転については、これは都民に限らず全国が大変多く注目している事業であります。一義的には都の事業ですが、この最終的な移転認可は農林水産大臣が行わなければなりません。

 その意味でお聞きをいたします。

 先週二十九日に、都による地下水の調査で、環境基準の一・四倍のベンゼン、一・九倍の砒素が検出されたということであります。この市場移転の許認可権限を持つ農林水産大臣はこのことをどう受けとめているか、お尋ねいたします。

山本(有)国務大臣 東京都が一昨年十一月から実施しております地下水のモニタリング結果第八回を九月二十九日に、豊洲市場の地下空間設置と盛り土がなされなかったことに関する自己検証報告を九月三十日にそれぞれ公表したことは承知しております。

 豊洲市場の食の安全性の確保については、まずもって市場開設者である東京都が責任を持って対応することが必要であると考えております。

 現在、東京都におきまして、専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおきまして今後議論がなされるものと承知しておりまして、農林水産省といたしましては、東京都の対応を誠実に見守ってまいりたいと思っております。

小川委員 お答えいただけなかったわけですが、基準を上回る有害物質が検出されたことについてどう受けとめているのかという質問であります。

山本(有)国務大臣 豊洲市場の食の安全性の確保につきましては、まずもって市場開設者であります東京都が責任を持って対応することが必要でございます。

 本件におきましては、市場の開設者である東京都がみずから専門家会議及び市場問題プロジェクトチームを設置し、対応されておられるものと承知しておりまして、その動向を見守っておるところでございます。

 これから対応が適切になされた後、東京都から申請書の提出がなされれば、農林水産省としては、卸売市場法に基づきまして厳正な審査を行い、適切に判断をすることとしておるところでございます。

小川委員 大臣、甚だ当事者意識に欠けた御答弁だと思いますよ。この重大な事態をどう所管大臣として受けとめているのかというのは国民的な関心事です。

 では、ちょっと聞き方を変えます。

 これから、いずれにしても認可申請は上がってくるでしょう。そのときに、いわゆる、今世の中で問題になっている、当初、盛り土をやるという計画でした。ところが、あけてみると巨大な地下空間が広がっている。その責任の所在や意思決定の時期については必ずしも明確じゃないというのが都の調査報告であります。

 農林水産大臣としては、この間、市場建設に多額の交付金を交付してきています。これは、盛り土の存在が前提の事業計画だという認識なんですか。それとも、盛り土のあるなしは関係ないんですか。その点をちょっとお聞きしたいと思います。

山本(有)国務大臣 農林水産省は、卸売市場法の規定に基づきまして、食品流通の合理化の観点から、豊洲市場の施設整備に対し、強い農業づくり交付金等によりまして、平成二十三年度から二十六年度にかけて交付金の交付を行っております。

 まず、土壌汚染対策は、東京都の責任であり、交付金の支出対象とはなっておりません。

 また、交付金は、個性を生かし自立した地方をつくることを目指した地方分権改革の一環として措置されたものでございまして、事前審査を簡素化するなど、地方の自主性、裁量性を最大限に尊重する観点から運用されております。

 このため、交付金申請の事前審査につきまして、従来の補助金のように個々の施設ごとに規模、構造等を細かく審査するのではなく、達成しようとする成果目標が事業の目指すべき方向に合致しているかどうかなどを審査することとし、実際の交付金の交付は、交付金実施要領などで対象として定められた対象施設などに、交付率、上限建築単価などのルールに従い交付されております。

 したがって、具体的な設計や工法は地方自治体の裁量に委ねることとしておりますことから、豊洲市場の具体的な設計や工法等につきましては、市場開設者である東京都が責任を持って行うべきものと認識しております。

小川委員 いや、最終的に認可されるのは大臣御自身ですからね。だからお聞きしているんですよ。

 この資料もちょっとごらんいただきたいと思いますが、これは農林水産省のホームページからとりました。着工前の二十六年三月二十八日、農政審議会の食料産業部会で、東京都豊洲市場からこのような報告がありましたということをみずから公開しているんですよ、農水省のホームページで。そこには明確に書かれている、きれいな土を盛りますと。

 これは前提なんでしょう、交付金交付の。違いますか、大臣。

山本(有)国務大臣 農林水産省は、平成二十六年三月二十八日に開催しました食料・農業・農村政策審議会食料産業部会におきまして、豊洲市場に関連する諮問事項はなかったものの、他の卸売市場に関連する事項について審議会に諮問するのにあわせ、豊洲市場の移転状況について東京都の取り組み状況の現状報告を行ったところでございます。

 本資料は、東京都が作成し、かつ、東京都から農林水産省が提供を受けた第十七回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議のうちの抜粋の資料でございます。

 諮問事項ではなかったため、本資料に基づき審議会として何らかの決定が行われたわけではありませんが、委員からは、今のこの場でそうした問題の議論をする、ここはそうした場ではないということを理解しておりますけれども、今後注意深く見ていく必要があると思っておりますなどの意見が表明されたと承知しております。

浜田委員長 大臣、簡潔にお願いいたします。

山本(有)国務大臣 その意味で、この資料は盛り土がなされているとする資料でございますが、昨今の報道により、実際には盛り土はなく、この資料のとおりではなかったというように理解しております。

小川委員 大臣、ちょっと、簡潔に、聞かれたことに答えてください。

 では、確認しますが、大臣、盛り土のあるなしは市場認可に際しては関係ないということですね。盛り土のあるなしは前提になっていないということですね。

山本(有)国務大臣 盛り土があるなしというよりも、適切に、市場法に基づきまして、土壌汚染対策、施設等に関する事項、こういったことが決定され、そして申請が適切に行われるということが要件でございます。

小川委員 今これは大変、都民、国民の関心が高まり、また不安が高まっています。そもそも盛り土がないことに関して心配が高まったわけで、今、盛り土のあるなしは関係ないという御答弁は極めて重要な御答弁だというふうに承りました。

 では、重ねて、仮にそうだとすればですが、市場の移転に対して何をもって認可するんですか。市場の運営が適切になされるということをどう判断するんですか。

山本(有)国務大臣 まず、卸売市場法の第十条におきまして、第一号で、この開設に当たりまして中央卸売市場整備計画に適合するかどうかを検討しろ、こういう規定がございます。第二号で、生鮮食料品等の卸売の中核的拠点として適切な場所に開設され、かつ、相当の規模の施設を有するものであるかどうかについて検討しろ、こう規定があります。三号におきましては、業務規程の内容が各種法令に違反するかどうかも検討しろ、こう書いてあるわけでございます。

 その点におきまして、これに基づきまして、今現在、市場プロジェクトチームというものが、委託事項として、築地市場から豊洲市場への移転及び市場のあり方に関すること、並びに、専門家会議というものが設置されておられまして、いわゆる盛り土等に関する地下ピットがある状態の確認と評価というものが諮問され、東京都が鋭意努力されているというように認識しております。

小川委員 大臣、この点はまさに、過去、農政審議会で審議されているんですよね。

 ちなみに御紹介しますと、どのように農水省として安全性を確認していくのかという農政審での委員の問いに対して、事務局の回答ですが、農林水産省が土壌等に係る専門知識や権限を有していない中で認可の是非を判断しなければならないと。

 つまり、土壌汚染に関する知見も何もないわけです。そういう前提の中で、盛り土のあるなしも関係ないということになりますと、何をもって、農林大臣はどのような権限と専門知識でもってこの市場の認可の是非を判断するんですか。これは極めて重要な問題だと思いますよ。

山本(有)国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議、これは設置目的が、生鮮食料品を扱う豊洲市場において、食の安全、安心を確保する観点から、改めて土壌汚染対策について専門家による検証を行うということでございまして、この検証にすぐれた委員さんが担当されておられます。こういうようなことのしっかりした検証結果を見て、それでこちらも適切に判断したいと思っております。

小川委員 適切に判断する資格と権能はありますかとお聞きしているんです。全く無責任な答弁だと思いますよ、大臣。これはオリンピックとも似ていますよね、閣僚の、政府の当事者意識の低さ、責任感覚の低さ。極めて、東京都任せという発言が相次いでいますが、全くもって私は不十分だと思いますよ。

 これは改めてまた質疑したいと思いますが、ちょっと、残りの時間でオリンピックについて聞かせてください。

 総予算の話、また各個別の議論がございます。ちょっと大きなところでお尋ねしたいんですが、昨年六月にオリンピック・パラリンピック特措法というのができました。対策本部がここで設置されたわけでありますが、この対策本部の構成員である閣僚はどなたですか。ちょっと、自覚のある方、挙手していただけますか。

浜田委員長 丸川担当大臣。答弁させます。小川君、答弁させます。

小川委員 いや、これは各閣僚の当事者意識を聞いているんだ。

 では、お聞きしましょう。本部長は総理大臣ですよ、本部長は総理大臣。副本部長の自覚がある方はいらっしゃいますか。(発言する者あり)いや、丸川大臣は正しい。菅官房長官もそうですよ。本部員は全閣僚だ。

 それで、八月に内閣改造をしましたよね。この本部会議の招集はありましたか、丸川大臣。

丸川国務大臣 予定はございますけれども、まだ開催はしておりません。

小川委員 総理もよく御自覚いただきたいと思うんですが、最終の会議は五月、その前は二月なんです。ところが、これは持ち回りです。会議の招集すらしていない。最終の会議招集は昨年の十一月なんですよ。ほぼ一年間開催していない。ここに、この間の不十分な答弁、責任意識の欠如、全くもってハンドリングしていると思えない、この安心感の漂わない姿勢、全て象徴されているのではありませんか。

 改めて、既に質疑の中でも言われておりますけれども、先週、都の調査報告が出ました。これをどう政府として受けとめていくのか。まずはもちろん都でしょう。しかし、政府としても準備が必要です。

 総理、この都の調査報告書の中にこういう一枚の絵があるんですね。二枚目の資料をごらんいただきたいと思いますが、そこには、総理大臣の「役割?」、総理大臣の「責任?」と都の調査報告に書かれているんですよ。これは素直な都の調査チームの受けとめだと思いますよ、総理。こういう書かれ方をすることは非常に総理も不本意だと思いますが、実情をあらわしている。総理、これをどう受けとめられますか。

安倍内閣総理大臣 再々答弁させていただいておりますように、オリンピックの開催については、まず東京都とJOCが責任を持つということなんですよ。そこが責任を持つということですから、そこに責任を持ってやっていただかなければならないんですよ。国も責任があるとなった瞬間に、ではどこに責任があるかということになってしまうんですよ。

 だから、再々答弁させていただいておりますように、東京都が責任を持ってやっていくんですよ。その中において、しかし、東京都だけではできないこともありますよ。だから、先ほど丸川大臣が答弁したように、セキュリティーですね。これはとても大切なことですよ。ロンドンの経験を我々が伺ったときに一番最初に私たちに彼らが伝えてきたのは、このセキュリティーの大切さなんですよ。それと運送等について。これは国がやらなければいけませんから、それはしっかりと国がやっていく。ただ、これにとどまりませんから、総合的に集中的にやっていくということで、私を本部長とするオリンピック等の本部ができたわけであります。前年のラグビーのワールドカップについてもこの閣僚会議で対応していくことになっていくわけでございますが。

 一義的には当然、今申し上げましたように東京都がやっていくということでございまして、つまり、まずは都がしっかりとやっていくということで、まるで、国が責任を持っているということになった瞬間に、これはもうどこの責任かということがわからなくなってしまうわけでありますから、当然我々も……(小川委員「いや、そんなことはない。違う」と呼ぶ)そういうことになるんじゃないんですか。いや、無責任状態というのは、あなたにも、あなたにも、あなたにも責任がありますよといったら、これはもう責任の所在が明らかではなくなるわけでありまして、まさに、あなたに責任がありますよということでしっかりとやっていただかなければいけないわけでありまして、当然、国としては、国の権限でやるべきことはしっかりとやっていきます。

 それと、これは国家的なプロジェクトでありますから、国もバックアップをしっかりとしていくということは当然のことであろう。

 そこで、私のところにクエスチョンマークがつけられているのはどういうことかといえば、それは、責任の所在は明らかであって、今申し上げたとおりでありまして、我々はまさにバックアップをしっかりとやっていくということに尽きるわけでありますし、しかし、あと、国の責任として、やるべきことはしっかりとやっていくということになるのではないかと思います。

 また、国立競技場につきましては、あの判断をしたのは、まさにあれは国立競技場であるからでありまして、これは国の出費としてやらなければいけないことでありますから、私がこれを判断したということになるわけでございます。

小川委員 東京都が主体となってやることはそのとおりですよ。しかし、それじゃ済まないから聞いているんです。

 例えば、北京オリンピックで、中国政府がこれは北京市の責任だと言うはずないでしょう。ブラジルで、リオ・オリンピックで、これはリオ市の責任だと言うはずないじゃないですか。シドニー・オリンピックだってそうですよ。そういう心証すら与えちゃいけないんですよ、諸外国に対しても、国内に対しても。だから厳しく聞いているんです。どういう質問をしても、当事者意識のある、責任感覚のある答弁が返ってこない。

 これは去年の十一月の閣議決定ですけれども、これにみずから書いているじゃないですか。政府一体となった取り組みと関係機関との密接な連携の推進、オール・ジャパンでの取り組みを推進するため必要な措置を講ずる、明確なガバナンスの確立と施策の効率的、効果的な実行を行う、オープンなプロセスにより意思決定を行う。格好いいことを書いているじゃないですか。このとおりやってくれたらいいんですよ。

 本当は個別に聞きたかったですよ。三兆円の事業費に本当に膨らむ潜在的な可能性はあるのかどうか。それについては政府として今明確に物を言えなきゃいけない。三施設は、東京都の調査チームは、改修で済ませなさい、あるいは都外に移転しなさいということまで具体的に言っています。これについて現時点でどう考えるのか。政府には政府なりの考えが必要です。予算の一元管理もすべきだ、これもそうでしょう。都の出方を待つ、都の出方を待つでは甚だ不十分だと思いますよ。

 丸川大臣、最後にお尋ねします。

 今回の補正予算二百六億、これはもう四年を切っていますからね。一体政府として、どういう全体計画のもとにいかなる予算を想定し、今回そこに位置づけられたものとしてこの二百六億を提出しているんですか。

丸川国務大臣 まず、当事者意識ということについて申し上げますけれども、そもそもオリンピックというイベントは、東京都とJOCがIOCとの民事上の契約に基づいて開催するイベントです。民事上の契約の当事者でないものがしゃしゃり出ていって、ああせい、こうせいと言ったらば、先方は、では当事者は何と言っているのか、当事者を連れてきて言え、こういう話になるのは当然のことでございまして、私どもがまず東京都がと申し上げているのは、これは民事上の契約に基づいて行われるものだからであります。

 加えて、地方自治上も、東京都が負担する経費について国会で議論するのは大変おかしな話でありまして、私どもは、国が負担するものが何かということが明確になったときに国の議会で議論するのが筋だと思っております。

 そして、今、東京都知事がまさにこの改革本部のまとめを受けてどのような判断をするかということを、私は息をのんで、私どもはまさに……(小川委員「委員長、指導してください。二百六億の位置づけを聞いています」と呼ぶ)二百六億は間違っています。二百六億ではありません。間違っています。

 東京都が、都知事がどういう判断をするかということを、私どももこの中間まとめを見て、息をのんで待っているわけでございます。

 東京都知事は仮にも、私は選挙のときには立場は違いましたけれども、彼女は命がけで都政改革をやると言っている。オリンピックのために命がけで都政改革をやっているというその覚悟を、頭ごなしにガバナンスができていないから国がやれというのは、この覚悟を頭ごなしに否定することでありまして、私はとてもそんなことはできません。立場は違いますけれども、先輩としての小池都知事を尊敬しております。

 この都知事の覚悟を決めた命がけの取り組みをしっかり見守った上で、しっかりと調整をこれからさせていただきたいと思います。

 それから、予算については間違いでございまして、申しわけないんですが、平成二十八年度補正予算は、オリパラ関係予算をまとめますと、四事業、およそ百六十三億円でございます。

 以上です。

小川委員 手元にいただいているのは二百六億ですよ。その差額は何なんですか。

 重ねて伺いますが、今回の補正は、全体計画、全体予算にどう位置づけられたものか。その説明が審議なり採決の最低条件だ。その資料の提出を委員会に対して行うことを要求して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

浜田委員長 理事会で協議します。

 この際、玉木雄一郎君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。玉木雄一郎君。

玉木委員 民進党の玉木雄一郎です。

 この間、審議をやってまいりましたけれども、例えば、SBSの価格偽装の問題についての調査結果も出ていません。きょう私は質問しますけれども、そんな中であすにも採決という話が出ておりますけれども、きちんと出す資料は出していただいて、慎重審議をやるべきだと思いますので、冒頭、このことを申し上げたいと思います。

 きょうは、まず年金について伺います。

 まず、資料一をごらんください。

 この間、私は全国をいろいろ回っていますと、国民の皆さんは心配しています。年金はどうなるんだ、巨額の運用損が出ていて、いろいろ報道されているけれども、どうなんだと。この週末も聞かれました。

 少し整理をしました。一昨年の十月三十一日に、安倍政権においてこの運用の見直しを行いました。国民の年金の積立金の投資先、これまで国内外の株を合わせて二四%が最大だったものを、合わせて五〇%まで投資を拡大しました。その結果、当初は運用成績もよかったんですが、昨年度、二〇一五年度一年間で五・三兆円の運用損を出しています。加えて、今年度に入って、ことしの四月から六月のたった三カ月で五・二兆円の運用損です。つまり、ここ十五カ月だけで十兆円以上の運用損を出しているということになります。

 先週の金曜日に公明党の石田先生から質問があって、累積すると四十兆ぐらい運用益が出ているから問題ないという塩崎大臣からの答弁もありました。それはそのとおりだと思います。

 しかし、私は、あえて少し議論を集中させて伺いたいのは、安倍政権によって行われた一昨年の十月三十一日の運用見直しが、その後の運用成績あるいはこれからの運用にどういう影響を与えるのかということであります。

 ちなみに、一昨年十月三十一日の見直し以降もう七四半期の成果が出ていますが、最初はよかったんですけれども、運用が悪化して、見直し後の運用益は全て消し飛んでいます。トータルでも赤字になっています。

 もう一つ問題だと思うのは、こうした運用の結果が、例えばこの一年間で五・三兆円の運用損というものは、例年に比べて発表がおくれて、参議院選挙の後にならないとこの成果が発表されませんでした。

 もう一つ指摘申し上げたいのは、こういうことが起こっても、誰も責任をとる仕組みになっていないということであります。多分、政府の反論は、長期で見れば、二十年、二十五年で見れば、そのときに判断すればいいということだと思うんですが、では、今の理事長、今の厚生労働大臣、今の総理大臣は二十五年後にならないと評価をされないということなのか、本当にそれでいいのかということです。

 一つ指摘をしたいのは、昨年の一月にGPIFの理事長さんの報酬が二千百四十八万円から三千百三十万円に約一千万円引き上げられ、九十九ある独立行政法人の中では最高水準になっています。引き上げたその年にまさに五兆円、また十五カ月で十兆円という運用損を出しています。にもかかわらず、主務大臣の塩崎大臣は、コメントとして、これは妥当な報酬水準であるとしています。

 安倍総理に伺います。

 こういう状態の中で、一千万円、理事長の報酬を上げることが、主務大臣たる塩崎大臣同様、安倍総理も、国民の納得が得られるとお考えですか。

塩崎国務大臣 今、理事長の報酬についての御指摘をいただきました。

 まず、高過ぎるではないかということでございますが、例えば、同様のお立場でもありますけれども、日本銀行の総裁は三千四百八十万円ということで、GPIFの理事長よりはかなり高いわけでありまして、私どもとしては、これは第三者的な観点から、こういった年金資産を公的に運用する組織として世界で見てもどうなのかということを第三者に評価もいただきながら給与体系を見直したわけでございますし、当然、厚生労働省の中の独法評価委員会、これは外部委員で成り立っているわけでありますが、ここにも御審議をいただいて、意見は特になかったというふうに理解をしているところでございまして、他の、世界の同様の組織での報酬と比べてみて特異な存在では全くないというふうに思っております。

安倍内閣総理大臣 ただいま玉木委員は、運用損が出ているじゃないか、そこで理事長や塩崎大臣や私に責任をとれとおっしゃっている。やめろということかどうかわかりませんけれども、責任をとれということですね。

 ということでありますが、しかし、では、私の在任中、私はこの一年ちょっとの間だけ在任していたわけではなくて、私は約四年間在籍をしているわけでありますが、この四年の間の運用益が二十七・七兆円です。二十七・七兆円。では、民主党政権、これは余り言いたくないんですが、民主党政権時代の三年三カ月、これは、今、責任をとれと言っているんですから、この間は四・一兆円じゃないですか。四・一兆円しかない。我々のときは二十七・七兆円の運用益があります。

 長く見なければいけません。そして、制度を変えたことを言っておられますが、制度を変えた後で、長い、例えば十数年のスパンで見ても運用はプラスになっているということは既にお答えをさせていただいているわけであります。まさに、これは今私がなぜ言ったかといえば、それは、玉木さんが、私の結果は、マイナス十兆ではなくて二十五年、それも後で見るんですかということだったから、それはたった一年ちょっとのことで見てはいけませんという例としてですね。四年として見るのもこれは間違っているんですよ。ある程度長く見なければいけないわけでありまして、まずそれを今私は説明させていただいているわけであります。

 それと、理事長の報酬というのは、いわば国際標準的に見なければ有能な人材は今集まらない時代でありますから、その観点から、塩崎大臣からお答えをさせていただいているとおりでございます。

玉木委員 よくわかりました。全く問題ないということですね。

 平成二十五年十二月二十四日、安倍政権において閣議決定された独法改革等に関する基本的な方針というものがあります。皆さん守っておられる内容だと思いますが、この中には、独法の長の報酬についてこういうふうに書いています。毎年度の長の報酬額を法人が決定する際には、法人の業績評価を十分勘案するものとするとなっています。加えて、主務大臣は、国民の納得が得られないと認められる場合には、報酬額の見直しなどを適切に対応するよう、法人に要請するとなっていますね。

 今、安倍総理、るるありましたけれども、私は、感覚がちょっとずれていると思います。十兆円ですよ。二年間の防衛費を足し合わせた以上の運用損が出て、まあ問題ないですねと。それはもちろん、長期で見ることは大事です。ただ、短期にも少し目を配った方がいいんじゃないですか、これだけ運用損が出ているわけですから。

 ちなみに、民主党政権と比べてどうだこうだと。午後またやりますが、長期の運用を評価するに当たっては、これも金曜日、塩崎大臣が答えましたが、賃金上昇を差し引いた実質的なもので見るべきだということを言っていましたね。それでいうと、これはGPIFも公開していますが、二〇〇九年以降、実質的な評価で見れば、二〇〇九年、二〇一〇年、二〇一一、二〇一二、二〇一三、ずっと実は想定よりもパフォーマンスがよくて、この二年だけ悪いんですよ。

 まさに塩崎大臣がおっしゃる、賃金上昇を控除した実質的な運用。金曜日おっしゃいましたね。まさにそれでいえば、この二年間だけ、安倍政権になって、想定を下回っているんですよ。長期の話をしています。(安倍内閣総理大臣「長期の話じゃないじゃないですか。短期です」と呼ぶ)では、長期の話を聞きましょう。それを累積していって長期の話になるんですよ。

 では、総理に伺いますよ。

 運用は長いスパンで見るから、運用は長期で見るべきと。これは、私、二月十五日、総理にお伺いしたときにお答えいただきましたね。GPIFが前提の利益を出せないなら、当然支払いに影響する、給付にたえる状況にない場合は給付で調整するしかないと総理はお答えになりました。あわせて、運用は長いスパンで見るから、運用は長期で見るべきだとおっしゃいましたね。

 改めて伺います。では、GPIFの運用というのは、長期に見て本当に順調だと思われますか。

塩崎国務大臣 これは、先ほど総理からも答弁申し上げたとおり、長期で見ても、先ほど来お話しのように、例えばリーマン・ショックのような大きなショックがあったとき、この前後五年を含めて見ても、今のポートフォリオの方が前のポートフォリオよりも利回りはいいということが言えているわけであります。

 それから、もともとこの基本ポートフォリオを組む際に、当然、二十五年先まで見通すわけですね。これは、もう前に玉木委員からお話がありました。それで見て、古いポートフォリオで見た場合と新しいポートフォリオで見た場合の、もちろん幅があります。幅がありますから、いわゆるスタンダードデビエーション、標準偏差というのは大きくなりますが、ぶれは大きくなるけれども、平均的に得られる長期的な年金財政上必要な利回りというものは、間違いなく今のポートフォリオの方が、新しい、デフレではない状況の中においてはいい組み合わせだということであるわけであります。

 ちなみに、先ほど、実質でとおっしゃいましたが、そんなことは私は全く言っていませんで、私が申し上げたのは、名目賃金上昇率プラス一・七%で回すということが私どもからGPIFに対して指示をしている利回りでありまして、それを確保するためのポートフォリオとして基本ポートフォリオを運用委員会を中心に決めてきたということで、私どもが承認をした、こういう格好であります。

玉木委員 済みません。一つだけちょっと訂正します。

 実質で見たときのパフォーマンスが下回ったのはこの一年だけです、二〇一五年度、まさに問題になった。ここが、でも実質で見ても下回っているんです。それまでは、民主党政権も含めて下回っていないんですね、二〇〇九年。ですから、ここはぜひ総理にも御認識いただきたいと思います。

 もう午後に回しますけれども、今、塩崎大臣がおっしゃったのは、一つごまかしがあるというか、正確じゃないんですね。

 つまり、年金の給付が、完全に賃金上昇にスライドさせていて、完全に連動させていれば今の議論は成り立ちます。しかし、賃金が下落したときにその分下げる仕組みになっていないので、実は、皆さんがおっしゃる実質で見たときにパフォーマンスがいいというのは、過度にパフォーマンスをよく見せている可能性があります。ですから、名目でもきちんと比べていくことが必要だということを指摘して、午前の質疑を終わりたいと思います。

浜田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉木雄一郎君。

玉木委員 午前に引き続きまして、年金の話をしたいと思います。

 少しおさらいです。

 GPIF、年金の積立金の運用、十五カ月で十兆円もの運用損を出していると指摘をしましたが、年金は短期で見るんじゃなくて、長期で運用を見なければいけないという話でありました。

 二枚目を見てください。

 長期で、年金の積立金の市場運用を始めてからもう十五年たちますけれども、その十五年で見たときに、名目と実質、それぞれ下側に書いているのが、財政検証上前提にしていた、こういうふうになるだろうなという想定を下に書いていますが、それに対して実績を上に書いています。ややこしい話なので簡単に言いますと、賃金の上昇率を勘案した実質で見ると、実績が前提を大きく上回っているという話が塩崎大臣から金曜日にありました。ただ、単純な名目値を十五年間比べてみると、財政検証上の前提は二・一%でした、十五年平均が。それに対して実績は二・三なので、実は、名目で見るとぎりぎり上回っているぐらいという形で、そんなに大きく上回っているという感じではないという話。

 先ほど総理から実質の話が少しあったんですが、ちょっと正確に申し上げますと、逆に賃金上昇を勘案した実質で見ると、先ほど申し上げたように、これは単年度の話です、二〇〇九年以降初めて想定を実績が下回ったのが平成二十七年度、二〇一五年度なんです。旧民主党政権も含めて、実質で見れば単年度において常に想定を実績が上回っていたのに、およそ七年ぶりに実質の利回りが、二〇一五年初めてマイナスになったということであります。

 次の質問に移りたいと思いますが、午前中も、総理や塩崎大臣からも、いや、長期で見たらうまくいっているんだという話はたくさんいただきました。であれば、年金財政上、想定よりうまくいっているのであれば、年金をふやしてくださいよ。あるいは、保険料を減らしてくださいよ。

 総理、ちょっとやじはやめてくださいね。お願いします。静かに。これからですから、これから質問しますから。ちょっとお待ちください。ちょっとお待ちください。

 それで、うまくいっているのであれば、なかなかふやせないとは思いますけれども減らす必要はないかなと思うんですが、今の国会、もっと正確に言うと、さきの通常国会に提出をされ、継続審議になって、この国会にも出ている法案で、年金を引き下げる法案が出ているんです。これまでさまざま財政検証も五年ごとにやってきた中でも、こういうことはしなかったんです。

 どういうことかというと、幾つかのパターンがありますが、一つ具体的な例を申し上げます。

 今から新しく年金をもらう人というのは、働いている世代の賃金の上昇率によってその額が決まります。今既にもらっている人、難しい言葉で言うと既裁定といいますが、そういう方々は、物価上昇を勘案して年金が決まる。簡単に言うと、こういう制度になっています。

 これを見てください。現行ルールというところに書いていますが、物価が上がって賃金が下がる場合、これはそのまま適用すると、物価が上がっていますから、既に今現在年金をもらっている人はそれに応じて上がる、あるいは、これから新しく年金をもらう人は、賃金が下がるのでマイナス改定になるというルールなんですが、今、そういう場合には、上げも下げもせずに、今もらっている人もこれからもらう人も改定率はゼロにしています。

 今回出てくる法案は、私の理解が正しければ、こうなっているんです。ちょっと驚くべき中身なので申し上げますけれども、見直し後は、簡単に言うと、物価が上がった場合であっても賃金が下がれば、今、年金を受け取っている方の年金も引き下げるということを可能にする法案になっていると私は理解しているんですが、その理解でいいのかどうか。

 皆さん、テレビをごらんの皆さんも、物価が上がるのに賃金が下がるようなことなんてないだろうと思うかもしれませんが、実は、まさに二〇一六年度、今年度の改定率は、物価がプラス〇・八、賃金がマイナス〇・二の改定率になっています。まさに今年度起こっていること、起きているんですね。だから、あり得ることなんです。

 お伺いします。今回の法案が通れば、物価が上がった場合でも賃金が下がった場合には、今、年金を受け取っている方の年金は下がりますか、総理。

塩崎国務大臣 今御指摘をいただきました法案の前提になるお話を、まず国民の皆さん方に御理解いただかないといけないと思います。

 これは、自公民で社会保障と税の一体改革を行いましたね。その際に、物価スライドがデフレの経済下ではきかない、これを何とかしないといけないということが明確にこの大綱の中に書いてあります。つまり、デフレのときであります。そのときに、「世代間公平の確保及び年金財政の安定化の観点から、デフレ経済下におけるマクロ経済スライドの在り方について見直しを検討する。」こういうふうになっていました。

 これは何かというと、今、年金をもらっていらっしゃる方々と、将来年金をもらわれる今の現役の皆さん方との間で、お互いに少しずつ我慢をしましょうというのがマクロ経済スライドであるわけでありまして、その際に、この一体改革をやったときに、一つは特例水準というのが残っていた、これは民主党政権はきちっと法律を通してやってくださった。

 したがって、デフレの際のケースとして今御指摘をいただいた二つのケースがあり得るわけで、物価も賃金も下がりますという場合、それから、物価は若干上がるけれども賃金が下がります、この二つのケースの場合にマクロ経済スライドを行うという仕組みには今まではなっていなかった。これは、自公民で手当てをしようということまで決まっていました。それを今回、抜けていたのに、これをきちっとやりましょう、デフレのときに備えてということで……(発言する者あり)ごめんなさい。その際に、マクロじゃなくて、年金の物価・賃金変動の話ですね、スライドの話、それをやろうといって決めたわけであります。

 ですから、もしデフレ下にこういう形でもって、確かに、現役の皆さん方の賃金を、言ってみれば反映して年金というのは決まるわけであります、受取額が。したがって、玉木先生、これにあわせて、現役の人たちに過度なしわ寄せ、つまり、将来自分たちがもらう年金の額が余りにも少なくならないようにするための仕組みをデフレの際の仕組みとしてつくるというのが今度やろうとしていることであって、まさに皆さん方、民進党の綱領で、未来を生きる次世代への責任を果たす社会、まさにそのことでありますから。そういうことで……

浜田委員長 大臣、簡潔に願います。

塩崎国務大臣 だから、提案型の政党だというならば、皆さん方は、デフレの際に、ではどういうスライド制を導入するのか、具体的に出してもらいたいというふうに思います。

 だから、それはそのとおり、今おっしゃるとおりで、そういう場合に、賃金の引き下げに合わせて、一つは、賃金を下げ物価も下がるときには、年金について、その物価の下げに加えて賃金まで下げる、それから、賃金が下がって物価が上がるときは、賃金の下げに合わせて下げるということであります。

玉木委員 委員長、ちょっと塩崎大臣の答弁をもう少し簡潔にしていただくようにお願いします。

 最後で答えがわかりました。このとおりだということです。

 デフレ下における調整をどうするのかは極めて大事です。我々もこれは悩んだ覚えがありますが、ただ、物価が上がると、まさにアベノミクスで、物価安定目標二%を達成しようと思って今、一生懸命頑張っておられる。そのことに賃金がついていかなくて、むしろ賃金が下がるときに、既裁定の、今現在年金をもらっている高齢者の皆さんもその年金を引き下げるというのは、年金の持つ最低保障機能を弱めてしまうので、そこまで踏み込むのはどうかという、またこれも非常に慎重な議論を長年にわたって積み重ねてきたんです。しかし、今回、ちゅうちょなく、下に書いていますが、物価が上がっても年金をカットするという法案を出しているのは、私はこれは問題だと思うんです。

 それで、総理に伺います。

 実は、混乱するのはなぜかというと、ちょっと次の資料を見てください。アベノミクスの経済前提ということ、二〇一四年の財政検証の数字です。

 総理がよく我々の質問に対して言うのは、これから物価が上がっていきます、GDP六百兆円だ、物価も賃金も上がっていきますという話をよくされるんですが、今出されている法案は、賃金が下がっていくことを前提とした将来世代を考えた法案だということなんです。

 これを見てください。今のアベノミクスを前提にした経済前提の、これは財政検証の政府が出している資料ですよ。名目の賃金上昇率、今年度から二・五、三・六、三・七、三・八、三・九、三・九、四・二、四・一なら賃金が下落することを前提とした法案を通す必要はないじゃないですか。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 前提としているというよりも、先ほど塩崎大臣が答弁をさせていただいたように、そうなったときにはどう対応するかというものでありまして、基本的にはこのような形で賃金が物価を上回る形で伸びていくことが望ましいわけでありますし、我々はそういう政策的なインセンティブを行っているわけであります。まさに不安をあおってはならないわけであります。

 そこで、これは大切なことなんですが、これはマクロ経済スライド調整期間の長期化を防ぐために我々は考えたわけでございます、まさにそのために。

 我々だって、物価が上がって賃金が下がっているときに、それは当然、物価に合わせてスライドさせたいですよ。そうすれば、既裁定の皆さんは喜んでいただけますからね。しかし、それでは、今申し上げましたようなマクロ経済スライドの調整期間の長期化につながっていくわけでありますし、現役世代と既裁定世代との不公平の問題というのもあるわけでありまして、そこを先ほど塩崎大臣から説明をさせていただきました。これが説明が長くなるのは当然なんですよ。これは非常に複雑な制度でもありますし。

 賃金・物価スライドについて、年金は現役世代の負担により支えられている制度であります。まずこれが基本ですよね。その支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から、賃金変動が物価変動を下回る場合には、賃金変動に合わせて改定する考え方を徹底し、結果として、行うことによって……(発言する者あり)今、ええっと言われたけれども、これはもう論理的にそうなんですから。それによって……(玉木委員「私は言っていませんから」と呼ぶ)いや、後ろの方が盛んにええっと言うから一体化しているのかと思ったんですが、それは違うんですね。玉木委員とは違うということなんですね。

 マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぐためにこれはやらざるを得なかったということでありまして、これは必ずそうなるということでは、もちろん全くないわけでありまして、我々としては、しっかりと賃金が上回っていく経済をつくっていきたい。今まではずっとそうなっていたわけでありますから、それはしっかりとそうしていきたい、こう考えているわけでございます。

玉木委員 いや、もう一回、ちょっと国民の皆さんも。

 これは結構大事な変更なんですよ。つまり、では物価スライドという言葉をなくすのかということだと思うんですが、これは逆物価スライドですよね、物価が上がっているのに、世の中の物の値段が上がっているのに、新しい人じゃないんですよ、今現在受け取っている皆さんの年金が減るんですよ。そのことを可能にする法案が今用意されているということです。

 今おっしゃったような総理の説明は、例えば、インフレだ六百兆だと言わない政権ならいいんですよ。でも、名目GDPが六百兆を超えるとか、物価の安定目標が二%とか、賃金も上がっていきますと一方でもう何度も何度もおっしゃっているから、なぜ、賃金が下落することを前提とした法案を通して、しかも、物価が上がっても年金がカットされるような法案を安倍政権は出すのかなと思うんです。

 実は、余りこういうことはないということで、これは私の後で井坂議員も質問しますが、詳しくやりますけれども、私、過去の改定率、物価と賃金を見てみたら、ではこういうルールが入ったら、こういうことは用意しているだけで、私も余りないのかなと思って見たら、過去十二年間のうち、これを入れたら下がるケースが、十二年のうち七年あります。十年のうち六年あります。結構な頻度で出てきているんですね。

 ちなみに、六万六千円が国民年金だとしたら、具体的に言うと、大体五・二%減る感じになるので、国民年金でいうと、年間最大四万円下がります、これをやると。反論があったら厚生労働省からいただきたいと思いますが。

 私は、もちろん、今総理がおっしゃったようなこともわかります。スライド期間がだんだんだんだん延びていますよね、財政再計算のたびに延びる。これもよくない。

 この法案を通常国会に出しているんだったら、ではなぜこの大事な法案を、国民生活にめちゃくちゃ影響のある法案を、参議院選挙のときに説明しなかったんですか。あるいは、先ほど長妻委員からもありましたけれども、所信表明の中で一言も触れなかったんですか。

 私は、きちんと国民に理解を求めるのであれば、増税であろうが給付削減であろうが、これは堂々と語るべきだと思いますよ。それをせずに、何か気がついたら、物価が上がるのに年金が下がる法が通っていたというのでは、国民の皆さんも納得できないと思います。

 総理、今、与党の幹部の皆さんから解散・総選挙だという話がいっぱい出ているんですが、減税することを選挙で問うんじゃなくて、次の衆議院選挙ではまさにこういう、国民の皆さん、申しわけないけれども年金は少し下がりますということをきちんと選挙の争点に掲げて、国民の皆さんに信を問うことを堂々とされてはいかがですか。

安倍内閣総理大臣 これは、先ほど申し上げましたように、例えば物価が下がったときのデフレのスライドというのは、実質、我々の安倍政権で初めてマイナス二・五、マイナス一、マイナス一、マイナス〇・五と三回に分けてこれを実施しています。その際には、実際に年金を下げるんですから、このお願いもしながら我々も選挙をやってきているわけであります。それはまず御理解いただきたい。

 それはなぜかといえば、それは今までやっていなかったことをやっているわけです。このようにやって、そして、年金の持続性、この持続性というのは、給付と負担と、あと受け手がいるわけでありますから、受け手の年金額をしっかりと確保していくためには、いわば年金の保険料を確保しなければならないわけでありまして、どのように確保していくか、それは、年金の保険料と、あと給付の額とのバランスを常に考えていく中において年金というのは成り立っていくわけでありまして、年金の保険料が低くて、もらう方が多ければいいということはあり得ないわけであります。

 そこで、先ほど申し上げましたように、デフレ下においては、大臣が説明したように、マクロ経済スライドが、調整が発動されていかないわけでありますから、そこで、スライド調整期間の長期化につながっていく中において、いわば賃金と物価との中において、これは背比べになっていくわけでありますが、インフレ下とデフレ下、両方のさまざまなケースで全部に当てはめが可能にした今度の法案であります。

 そこで、塩崎大臣が説明したように、今まで抜けていた、インフレ下において賃金が下がっているという状況においてはどうするかということについても当てはめなければいけません。しかし、我々は、こういう状況にならないように全力を尽くしていくのは当然のことであって。しかし、何かがあったときにも、年金も、いろいろなケースに対応してスライド調整期間を短くするという努力をするのは当然のことではないか。

 これを前提としたからといってそれが起こるということではなくて、前提ということではなくて、そういうことが起こらないようにこれからも努力をしていくけれども、そういうことが起こったとしてもスライド期間が短くなるような、我々は、真摯に、真面目に考えた結果、こういう法案を提出させていただいているということでございます。

玉木委員 いや、まさに今年度起こっているじゃないですか。物価が〇・八上がって、賃金がマイナス〇・二というのは、まさにアベノミクスで今年度起こっているじゃないですか。だから、私は、やはり物価が上がっているときに年金を下げるということをきちんと説明して議論をやるべきだと思います。

 先ほど言ったようなお話は、理解できないではないです。単に年金を引き下げることをしてしまえば、年金財政の持続性は高まるかもしれません。ただ、高齢者の生活が持続できなくなってしまいます。

 資料の五を見てください。

 私、心配しているのは、生活保護受給世帯がどんどんふえているんです。これは安倍政権になってからのを書いています。株価の数字かと思ったら、株価の指数じゃなくて生活保護受給者がどんどんふえているんです。この中で、実は、最近少し減りぎみなところはあるんですが、六十五歳以上の高齢者に絞っていくと、ふえ続けています。もっと注目しているのは、全生活保護世帯の中で六十五歳以上の高齢者世帯の割合が、ことしの三月、初めて五〇%を超えてふえ続けています。そのうちの九割は一人世帯です、ひとり暮らしです。

 年金財政の均衡を図っていくことは大事です。その際に、繰り返しになりますが、年金の持つ最低保障機能の強化もやはりあわせて考えないと、庭先だけきれいにしても、結局、生活保護のところにどんどんどんどん流れ込んでくれば、年金制度の信頼性さえ揺るがしかねないということになります。

 総理に質問、提案したいと思います。

 この年金カット法案をやるんだったら、消費税一〇%の引き上げの際に予定されていた低所得者に対する年金の加算、月額最大五千円、年間最大六万円、これを予定どおりやるべきではないですか。

 消費税増税先送りを決めた後の自民党の参議院公約にもこう書いています。低年金対策として、福祉的給付などの対策を実施しますと明言しています。何とか財源を見つけてきて、こういう年金を減らす、物価が上がっているときでも年金カットする法案を通すのであれば、低所得者に対するしっかりとした税財源を充てた、安定財源を充てた年金加算、福祉的給付、これは予定どおり四月からやるべきではないですか。総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今御質問の中で触れられた点、一点について指摘もさせていただきたいんです。

 安倍政権になって生活保護世帯がふえたと言われたんですが、実数としてはそうなんですが、しかし、注目すべきは、基本的には働き盛りの世帯については減少しているわけでございまして、つまり、それは高齢者がふえた……(玉木委員「年金の話をしていますけれども」と呼ぶ)座って反応しないでください。

 そこで、高齢者については、まさにこの年金制度というのは、いわば働く世代から高齢者となったときの生活を保障するための年金でございます。そこで、月額五千円の六万円、これはまさに消費税が一〇%になったときに我々はこれをお支払いするということを約束しているわけでございまして、これについては、一回目の見送りを行ったときにも、選挙の前でありましたが、そのときにも私は、残念ながらこれは対応することができませんと、しかしながら、我々の経済政策によって果実を得たらその果実において行っていくということで、先般三万円の給付を行ったところでございます。

 それはまさに、果実ができたらということを選挙の前にお約束していて、それは果実ができたらですから恒久的なものにはなりませんが、恒久的なものにするためにはやはり恒久財源を得なければいけませんから、基本的には恒久的な財源を得て行いたいと考えております。

玉木委員 やらないということですね。

 ですから、我々も三党合意の中でいろいろ議論しました。こういうきちんとしたスライドを強化していくことも考えました。あわせて、低所得者対策とセットだからこれをやろうとしたんですよ。低所得年金者への対策を欠いたまま、単に機械的に年金を下げ、下げ、下げしていけば、生活が成り立たない高齢者はふえていきますよ。結果として国家財政を圧迫することになるんじゃないのかということを心配しているんです。

 例えば、これは江田代表代行も言いましたけれども、平成二十五、二十六、二十七の公共事業、毎年度の未消化額が二兆円ありましたね。あのうちの三分の一をきっちり査定してやれば、毎年五千億、六千億ぐらいの、何とかそういった財源を捻出してこういった問題に対応することも私は可能ではないかと思います。これは政治の意思だと思いますね。

 とにかく、アベノミクスは、国民の期待を高めましたけれども、結局、株価を無理やり上げるために年金の大切な積立金を株式市場に突っ込んで失敗し、もう一つ、マイナス金利で、年金や生命保険が国債で資産運用することを極めて困難にしました。あわせて、賃金が非常に高い想定でやっていましたけれども、賃金が上がるどころか下がって、困ったあげく年金カット法案を出してくる。

 その意味では、アベノミクスというのは年金と年金生活者の敵だというふうに言わざるを得ない、このことを指摘申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

浜田委員長 この際、井坂信彦君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井坂信彦君。

井坂委員 神戸から参りました井坂信彦です。

 国会議員になりましてもうすぐ四年ですけれども、この間、毎週必ず地元神戸に戻りまして、支援者であるなしにかかわらず、一軒一軒地域のお宅を訪問させていただいております。冷たくされることも、どなられることもありますけれども、しかし、さまざまな御意見もいただきます。その中で、圧倒的に多くいただく御意見が年金についてであります。

 そんな中、この秋、臨時国会には、国民に余りまだ知られていない、知らされていない、そして我々議員にも十分に説明をされていない、年金を減らす法案が政府から出されています。この法案は、高齢者の年金を減らすだけでなく、現役世代の年金を減らす効果もあり、そういう意味では、テレビをごらんの全ての皆様に関係する法案であります。

 私は、ふだんから厚生労働委員会で塩崎大臣とは幾らでもこの年金の議論をさせていただいておりますので、本日は、年金のこの新しいルールの基本的な部分について、安倍総理に質問をさせていただきます。

 もともと、日本の高齢者が受け取る年金額は、物価に合わせてふえたり減ったりする物価スライド、物価が上がって百円だったパンが百十円になっても、年金も一割ふえて前と同じパンが買える、こういう高齢者の日常生活を考えた仕組みでありました。

 しかし、先ほど玉木委員と安倍総理との間で交わされた今回の新ルールは違います。

 パネルの一番をごらんください。この一から三は、これは物価に合わせて年金がふえたり減ったり通常どおりいたします。ところが、四のように物価が下がって賃金がもっと下がった場合、年金は物価と関係なく賃金に合わせて大きく減らすようにルールが変わります。図五のように物価が上がって賃金が下がった場合、年金は物価が上がったのに賃金に合わせて減らすようにルールが変わります。図六でも、賃金が物価ほど伸びない、こういうときも、年金は物価が上がったのに賃金に合わせて少ししかふえない。

 そこで、制度の話とかける思いはほんの十分ほど前に塩崎大臣にとうとうといただきましたので、総理、今、この六つのケース、これで全てのケースです、ごらんいただいて、これはもう物価スライドでも何でもなくて、単に全てのケースで物価と賃金のただ低い方に合わせて年金を下げる、こういう制度になってしまっていませんか。お伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 それは、下げるというのは間違いで、一は上がっているじゃないですか。(発言する者あり)上がっているというのは正確に言わないとだめですよ。正確に言わないと。必ず全部下がるみたいにおっしゃっているから。これは大切だ。だって、今、下げるとおっしゃったですよね。今、下げるとおっしゃったでしょう。ちょっと、皆さん……

浜田委員長 静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 年金の仕組みの話をしているんですから、一々やじるのはもうやめてくださいよ。よろしいですか。(発言する者あり)

浜田委員長 総理、続行願います。

安倍内閣総理大臣 はい。

 よろしいですか。もう静かにしてくださいよ、たまには。

 それで、今おっしゃったのは、年金を必ず下げるようにおっしゃったけれども、そうではないわけですから。

 つまり、物価と賃金のどちらに合わせていくかということで今度新しく整理をしたわけでありますが、それは、先ほど申し上げましたように、スライド期間を短縮するために今回導入したわけでございまして、これは、保険料を徴収する、税金を一部入れる、そしてそれで保険料を払っていく、これしか道がないわけでありますから。

 つまり、私たちだって保険料は下げたいし年金はふやしたい、これはそういう思いなんですよ。しかし、持続可能なものにしなければならない中において、どうすればいいかという中において議論した結果、こうした法案を提出しているわけでございまして、そしてこれは必ず下がるとは限らないわけでありますから、私たちとしては……(発言する者あり)ちょっと、一々ここでやじるのはやめていただけますか。ここが大切なところなんですから。

 つまり、私たちとしては、しっかりと賃金が上がっていく、そしてデフレから脱却をしていく、経済が成長していく中において、しっかりと年金も確保していくということを我々も確保していきたい、このように考えているところでございます。

井坂委員 これまでは、物価スライドということで、原則そのようにやってきたわけでありますが、今回の政府が出している法案が通ると、まさに全ての局面で、常に物価と賃金の低い方に合わせて年金をスライドさせていく、こういうことになろうかと思います。

 確かに、現役世代が保険料を払っているんだから、現役世代の負担能力に応じて、こういう話も事前に厚生労働省から聞きました。実際、全部賃金に合わせてスライドしているような国もあるわけです。

 今回、やはり本当にえげつない制度になっているなと思うのは、賃金に合わせるんだったら、例えば三のようなケース、物価は下がったけれども賃金は上がりましたよと。これは現役世代の負担能力が大いにふえたケースでありますから、こういうときは賃金スライドで上げたらいいと思う。ところが、こういうときは物価スライドですよと言って、下がったときは物価スライドですよと。五番のような、物価が上がって賃金が下がったときは、いやいや、現役世代が保険料を払い切れなくなるから、このときは賃金スライドですよと。

 これは私は、物価スライドとか、そういう制度設計の根本思想が完全に外れてしまって、ただ単に物価と賃金の低い方に合わせてスライドさせるだけ、こういう制度になっていると思うんですが、これは何で、賃金が上がったときはそれに合わせて年金を上げようという話にはならなかったんですか。

塩崎国務大臣 その前に、そもそも、先ほどのデフレ下のスライドの仕組みを新たに導入するといっても、これは実際の施行は平成三十三年四月からだということを、まず、一度も出てきていないので申し添えておきたいと思いますし、それからマクロ経済スライドの方が三十年の四月ということで、つまり、先ほど玉木委員の方から高齢者への配慮ということでお話がありましたが、まさにこの三十三年四月というのは、一八・五%までの調整が終わって、そして消費税の二年半の延期の後、それから導入するということがまず前提だということを申し上げておきたいと思います。

 賃金に合わせて上げればよいのではないかという御指摘だというふうに思いますが、実質賃金が上昇する経済の局面で、既に年金を受給している方も賃金に合わせて改定をするといったようなことを行った場合には、保険料の水準の上限を固定している現在の仕組みのもとでは、将来世代の給付水準が低下をしてしまう。

 全て、今回の二つのケース、お配りをいただいた四と五ですか、これは、先ほど総理からも申し上げたように、デフレによってマクロ経済スライドによる調整期間が延びてしまった、それでこれが二十年が三十年になってしまう、将来世代の受給する基礎年金の水準が低下をしてしまったということを踏まえて、将来世代の給付水準の確保のために提案をしているのであって、今おっしゃっているのは、今もらっていらっしゃる方々の年金額が下がるじゃないかということで御指摘をいただいています。

 それはそのとおりなんですが、しかし、それは、さっき申し上げたとおり、今の年金をいただいていらっしゃる世代の皆さんと、将来年金をもらうであろう、今働いていらっしゃる方々の負担の問題も双方合わせて、両側が少しずつやはり今まで以上に我慢をするということをやるという制度として、今回いわゆる民主党政権時代にも残っていた宿題をここで解決しようということでありますから、仮に皆さん方も提案型の政党であるならば、これがおかしいということであれば、どういうふうにしたらいいかということをぜひ御提案いただきたいというふうに思います。

井坂委員 どういうふうにしたらいいかというのは私また最後に申し上げようと思いますが、今回、これだけ、仮に物価が上がっても賃金が下がったら年金が下がる、こういう制度を政府は入れようとしておられる。私はやはり当然気になりました。この制度が入ったら、ではどれだけ年金は下がってしまうんだろうか。

 お配りしている資料の二番をごらんいただきたいと思います。

 今国会に政府が出している年金を減らす新ルール、このルールを過去十年の実際の物価と賃金の現実の数字に当てはめてみました。青い線は、これは現在のルールでもらえる年金、黄色の線の物価とほぼ同じ動きをしております。ところが、赤い線の新ルールでもらえる年金はどんどんどんどん物価とかけ離れて下がってしまい、十年間で今の年金と比べて五・二%も少なくなりますよ、こういう計算になるわけであります。

 これも端的にお伺いいたします。

 このグラフをごらんになって、新ルールでは思った以上に年金が減る可能性があるなと思われませんでしたか。

安倍内閣総理大臣 詳しくは大臣から答弁をさせますが、先ほど、質問の最後に玉木委員が御意見を言われて、質問されなかったので塩崎厚労大臣から話をしましたが、つまり、六万円を手当てすればこれはやむを得ないということでおっしゃったわけでありますから、先ほどそうおっしゃったわけですから、まさにそれは施行は五年後でありますから、二年半後に一〇%に上がった際には、これは間違いなく、我々はなるべく早くその前に六万円の給付の恒久財源を得られれば行いたいとは思っておりますが、それがまさに行われた後の話であるということは申し上げておきたいと思います。つまり、その後にこれを行うということでございます。

 さらには、繰り返しになりますが、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防いで、将来世代の給付水準を確保するために今回この法案を提出させていただいているわけでございますが、そこで、さらに加えますと、一六年のものはそこに反映されるわけではもちろんないわけでありまして、平成三十三年でありますから、その足元の賃金と物価が反映されるということは申し上げておきたいと思います。

 つまり、平成二十八年ではなくて平成三十三年でありますから、これを見ておられるお年寄りの皆さんもすぐ心配されるわけでありますから、そうではないということは、繰り返しもう一度申し上げておきますと、平成三十三年からであるということでございます。

 そこで、今申し上げましたように、将来世代もしっかりと給付水準を確保するために我々は対応しているということと、これはどういう数値を用いておられるか、これは急に出されたわけでありますから私はコメントのしようがないわけでありますが、いずれにせよ、私たちの経済政策によってしっかりと賃金水準を確保していくように努力をしていきたいと思っておりますし、我々は政権をとって以降、二十三年ぶり、二十四年ぶりという大幅な賃上げをなし遂げているわけでございます。

 大切なことは、この賃上げの流れをしっかりと維持していくことではないかと思います。

井坂委員 この数字、急に出されてよくわからないというふうに答弁されました。

 実は、このグラフはもともと、厚労省からいただいた数字をもとに、先週の水曜日から厚労省と五往復ぐらい、実際の数字を入れて、当てはめのルールは間違っていないか確認もしていただき、やりとりをして、そして出てきたグラフ。逆に言えば、どなたがされても、これは本当に三十分ぐらいでエクセルで出てくる、誰がやっても違わないグラフであります。とはいえ、これは私の試算ということでありますけれども。

 では、厚労省は、政府はでもいいです、今回のこの年金が下がる新しいルールの導入に当たって、逆にどれぐらい下がるのかなという試算はされたんでしょうか。

塩崎国務大臣 そもそも、今お出しをいただいたものについては、今実際はどうなっているのかというのが書き込まれていませんよね、これは。それと……(発言する者あり)いやいや、これは現行のルールでもらえる年金と書いてあるので、これが一体何を指すのかというのがよくわからないので。

 問題は、例えば特例水準をどうカウントしているのかとか、そういうこともわからないのであって、現実の年金制度に基づいて前提をどう置いているのかについては、私どもは何も聞いていません。何か一緒にやりとりしたと言っているけれども、そんなことはございませんので、そこのところは理解をいただきたいというふうに思います。

 それと、やはり、先ほど来お話が出ているように、今もらっていらっしゃる方がどうなるかということを言っておられるけれども、これを出すならば、将来の世代の皆さん方の、よく言っていらっしゃる未来への責任ということで、将来の世代がどのくらいこれをやらないことによって受け取りが減ってしまうか、このことも同時にお見せいただかないと、国民の皆様方にはフェアな判断ができないんだろうと思うので。

 こういう片一方側だけ出して、こちらの今年金をもらっていらっしゃる方の負担、それはそのとおりです。そもそもマクロ経済スライド自体も、みんなで、両方の世代で我慢をしようということででき上がったもので、これは岡田副総理も当時民主党政権下でこのことはちゃんと認めるべきだということを大声で言っておられたわけでありますので、そういうときには、やはり国民の皆さん方に御一緒にお考えをいただくためにも、そういう両方の世代、つまり、今年金をもらっていらっしゃる方と、今働いて賃金で年金の掛金を払っていく、そういう人たちの将来の年金の受け取り、これについてもしっかり両方示した上で、どうお考えいただくかを考えていただいた方がいいというふうに思います。(井坂委員「政府試算は」と呼ぶ)

 私どもは試算はしておりません。

井坂委員 いやいや、さんざん、こうすべきだ、両方の試算を出すべきだ、一議員にそういう御指導をいただきましたけれども、政府はそもそも試算をしていないと。試算もしていない、高齢世帯の試算もしていないということであります。

 総理、端的にお伺いいたしますが、私の試算の是非はもう問いませんよ、これは単純な当てはめ計算ですから。確かに、今後どうなるか、これは誰がやってもこういう数字、過去にただ現行ルールと新ルールを当てはめればこういうグラフになりますねというグラフです。

 一方で、では、将来というか今後、新ルールを入れたらどれだけ年金が減るのかという試算はしていないということでありましたが、私は、これはやはり、どれぐらい減るのか、本当に影響の大きな法案でありますから試算をするべきだ。

 総理、御決断いただきたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど来総理から申し上げているように、いろいろなケースで、今度、四、五ということで全部で六ですかね、ケースを分けてやっております。我々は、年金にしても社会保障にしても、それだけでやっているわけじゃないんですね。トータルとして国民生活にどういう責任を負うかということなので。

 したがって、やはり大事なのは、デフレから脱却をして今のようなケースにならないようにしていくということがまず大事であり、そして、賃金を上げていくということを我々はずっとやってきていますけれども、そのこともやるということであり、そういうことを全てやった上で、こういうことも今まで宿題として民主党政権時代から残っていた、これについて答えを出すということで、将来世代にも今の世代にも責任を持とうということであります。

 したがって、今申し上げたように、いろいろな前提を置く必要もあろうかと思いますが、何ができるかは考えてみたいと思います。

井坂委員 何ができるか。確かに、前提を置かないと試算できませんから、何らかの前提を置いて、やはりこれは本当に大きく年金が減る可能性のある法案ですから、どれだけ減るのか。

 一方で、将来もおっしゃったので、将来世代の方も試算をやはりしていただきたい、そして公表していただきたいというふうに思います。

 ちょっと次の資料を見ていただきたいんですけれども、将来世代のためと再三おっしゃるんですが、実は、今回のルール変更は現役世代も直撃をいたします。

 グラフも持ってきたらよかったなと思ったんですが、さっきと同じように、今回の政府が出しているルール変更をまた過去十年の賃金、物価に当てはめると、現役世代が将来もらう年金も実は過去十年間で同じく五%以上減ってしまう、こういう計算になっているんです。(発言する者あり)いえいえ、これは年間ですよ。だから、十年で五%減ってしまう、こういう計算になるんです。

 既に、年金が強制的に毎年減るマクロ経済スライドという仕組みが始まっております。そして、今回の新ルールで高齢者の年金はさらに減ることになります。

 一方、若い世代、この図の右側をごらんいただきたいんですけれども、これは、現役時代にマクロ経済スライドと今回の新ルールの両方が適用されて、六十五歳でもらえる年金額が最初から大きく減らされ、老後も毎年のようにマクロ経済スライドや新ルールで年金が減り続ける、いわばダブルパンチのような状態になりかねない。

 お伺いをしたいんですけれども、平成二十六年、二年前に、年金制度を百年先まで見通した年金財政検証を行われました。そのときは、今回のように年金を減らす新ルールを別に追加しなくても、若い世代の年金額は下げどまって確保できるはずでした。あれから二年しかたっていないんですが、今回、政府が年金を減らす新たなルールを国会に出してきているということは、やはり二年前の将来見通しは計算違いだった、今のままでは将来の年金制度がもたない、こういうことなんですか。

 二年前の財政検証との矛盾をお伺いいたします。

塩崎国務大臣 そもそも、ここまでついにやらなきゃいけないということになったのは、先ほど申し上げたように、特例水準を長い間やってしまいました。これは国会の総意でやって、そして民主党政権のときに解消するということで、これで去年マクロ経済スライドが初めて発動されましたが、その間に何が起きたかということも今回のことに極めて重要な意味があるので申し上げておけば、マクロ経済スライドのスタート時期がすごくおくれて、それから、かかる期間も二十年と思っていたら三十年に延びてしまった。そもそも、代替率がぐっと上がってしまった。それによって、今度、基礎年金の受け取りも代替率でいけば下がってしまったということをどう解決するかということで、今回、トータルな姿をお見せすることになったわけであります。

 きょうお配りをいただいた井坂議員のこの今の紙でありますけれども、やはり幾つか間違いが私はあると思います。(発言する者あり)いや、むしろこれを出して国民に不安をあおる方が私は失礼だと思いますね。

 例えば、あたかも、この「現役時代に適用されるマクロ経済スライド」は現役にすぐに適用されるかのように書いてありますし、この絵、ずっとデフレでいくという前提で書かれているわけですね。今回の政府の新ルールというのは、さっき申し上げたように、デフレのときのものであります。これがいつもあるかのように二つはまっていますけれども、そういうことはあり得ないということですし、それはよほど経済政策に失敗している場合であります。

 それから、「現役時代に適用されるマクロ経済スライド」と上にありますけれども、これについても、年金受給していないので、マクロ経済スライドはまず現役には適用されません。それから、賃金が下がるときにマクロ経済スライドは発動しない。名目下限措置は生きているわけでありますから、これが下がるということもないということであります。

 右下に「老後に適用される政府提案の新ルール」と書いてありますけれども、これについても、現役世代の負担能力の範囲内の給付とすることが、次の世代のことを考えれば、これは民進党であろうと恐らく考えなければいけないことだということであって、これで何か、四段重ねで全部が適用されるかのようなことで国民の皆様方に御不安を与えるようなことになっていますけれども、そういうことでは決してないということを国民の皆様方には御理解賜れればありがたいというふうに思います。

井坂委員 赤と青の矢印がそれぞれどれぐらいの影響があるかということは、今回、数字を外しました。ただ、現役世代にはこの四種類が適用される。適用されるというのは、これは間違いではありません。

 この新ルールももちろん、一年たりともそういう年がないということが今後三十年、四十年続くんだったら適用されませんけれども、実際、たった一年そういう年があるだけでも新ルールは適用されて、その後ずっとそれが下がったまま死ぬまでいくんですよ。まして、この三十年間、バブルまで含めた三十年間で、賃金が物価より低い年というのは半分あるわけです。これは全然レアケースではなくて、むしろ適用されないということがもうあり得ない。今後将来にわたっても、経済状態がいろいろある中で、この新ルールが適用を三十年されないということは、私はもう全く考えられないということだと思います。

 ちょっとお伺いしたいんですけれども、今回、わずか二年前の財政検証では必要とされていなかった、年金を減らす法案が出されています。私はやはり、この法案は、内容も、それから制度設計の思想、考え方も非常に問題が多く、賛成ができません。ところが、この年金カット法案と、それから全く別の、年金の最低加入期間を二十五年から十年に短縮して無年金者を減らそう、こういう法案を何かセットで審議しようという動きがあるように聞いております。

 これは自民党総裁として安倍総理にお伺いいたしますが、多くの政党の恐らく賛成が得られるであろう二十五年を十年にする法案と、今再三議論いたしました年金カット法案のような非常に問題、論点の多い法案は、抱き合わせ販売ではなくて、当然別々に審議をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど玉木委員も、今先生が御指摘をいただいた、今回の審議をしていただこうと思っている法案とGPIFの問題と、いずれも御一緒に御議論をされておられました。

 事ほどさように、やはり年金というのは一体のものでありますから、私どもとしてはパーツ、パーツで議論ができる話では決してないというふうに思いますので、もちろんこれは最終的には国会でお決めになることでございますけれども、御一緒にセットで御議論いただく方がありがたいなというふうに我々は思っておりますので、できるだけ早期に一括審議をしていただくことが我々としては大変ありがたいというふうに思います。

井坂委員 最後のパネル、ちょっと時間が来てしまうようでありますが、これは、さんざん議論されましたけれども、株で運用をする、倍増した途端に十・五兆円損失ということであります。

 私、三年前から積立型年金ということで提案をしてまいりましたが、しっかり現実の数字から将来を見通し、そして、後から追加の下げルールを入れるということではなく、根本的な改革を先送りせずにやっていただきたい、このことを強く申し上げて、終わります。

 ありがとうございます。

浜田委員長 これにて細野君、江田君、辻元君、後藤君、初鹿君、福島君、緒方君、前原君、長妻君、大西君、小川君、玉木君、井坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、東京都中央卸売市場、築地市場の豊洲移転問題、この問題について質問いたします。

 この問題は、連日マスコミでも取り上げられて、都民、国民の大きな怒りと批判を呼んでおります。この問題を、国の権限とのかかわりで質問いたします。

 まず、安倍総理、東京都は二〇〇一年に築地市場の豊洲移転を決定いたしました。移転先の土壌汚染問題は都議会、国会でも取り上げられて、日本共産党は、現地調査も重ねて、土壌汚染地に移転すべきでないということを当初から強く求めてまいりました。

 そこで、二〇〇七年十一月に私が出した質問主意書に対して、ここにありますが、当時の福田内閣は答弁書を出しました。この中で、冒頭に、農林水産省より「東京都に対し、食の安全性や信頼が確保されるよう科学的見地に基づき万全の対策を講じるとともに、消費者等に対して対策の内容等について十分な説明を行い、その理解を得るよう求めているところ」ということで、福田内閣が閣議決定した答弁書が出ております。

 総理、今も安倍内閣として、この答弁書の立場は変わりませんね。

安倍内閣総理大臣 食品流通の重要な基盤である卸売市場において、食の安全性や消費者の信頼が確保されなければならないことは当然のことであります。

 このため、豊洲市場においても、まずもって市場開設者である東京都が責任を持って食の安全性等を確保する必要があると考えています。

 委員が平成十九年十一月に提出した質問主意書への答弁も、同様の認識に立って東京都に必要な対応を求めたものであると考えております。

笠井委員 ですから、安倍内閣としても同じ立場だということでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 そういうことでございます。

笠井委員 二〇〇七年の答弁書の立場は安倍内閣も引き継いでいるということであります。

 山本農林水産大臣に伺います。

 国の卸売市場法によれば、東京都が中央卸売市場の位置を築地から豊洲に変更する、この際には農水大臣の認可が必要になる、東京都からの申請があれば、農水大臣の策定する中央卸売市場整備計画に適合しているかどうかが認可の大きな基準になっている、これは間違いありませんね。

山本(有)国務大臣 間違いございません。

笠井委員 今問題となっている新設市場、豊洲地区でありますけれども、これは、農水大臣が策定した二〇〇五年の第八次、二〇一一年の第九次、そしてことし、二〇一六年の第十次の中央卸売市場整備計画の中に明記をされて位置づけられております。

 これらの計画策定に当たって、食料・農業・農村政策審議会、農水省の審議会に意見を求めて了承を得ている、そういうことでいいですね。

山本(有)国務大臣 そのとおりでございます。

笠井委員 農水省は、新設市場、豊洲地区を審議会に諮る際に、「豊洲市場用地の土壌汚染対策について」という東京都が作成、提供した資料を提出して、報告しております。

 パネルをごらんいただきたいと思います。皆さんのところには資料がありますが、一ページです。

 これが、第十次、ことしの整備計画を策定するに当たって、ことし三月二十五日に開かれた審議会食料産業部会に提出をされた東京都の土壌汚染対策にある概略図であります。そこでは、この図が示されて、資料が配付されて、そして、「ガス工場操業地盤面から下二メートルまでの土壌を汚染の有無に関わらず、全てきれいな土と入れ替え、その上にきれいな土で二・五メートル盛土」というふうに明記をされております。

 ところが、今回、この東京都からの資料説明は偽りで、建物地下は盛り土されておらず空洞だったということが明らかになったわけであります。

 山本農水大臣、農水省は、盛り土でなくて空洞になっていたということ、この事実をいつ知られたんでしょうか。

山本(有)国務大臣 平成二十八年三月二十五日に開催しました食料・農業・農村政策審議会食料産業部会におきまして、委員御指摘のとおり、第十次中央卸売市場整備計画案を諮問いたしましたが、その際、審議のための参考資料として、東京都が作成し、提供を受けていた「豊洲市場用地の土壌汚染対策について」という資料を配付いただきました。

 東京都からこの資料の提供を受けた際に、実際は資料とは異なり、盛り土がなされていないということについて説明を受けた農林水産省の職員はおらず、また、農林水産省としましても、昨今の報道により、当該資料に不備があったとの情報を得たものでございます。

笠井委員 今説明がありましたけれども、農水省として既に知っていたか、そうでなければ、いわば国はだまされて、東京都の虚偽の報告をうのみにして、審議会に間違った報告をし続けて了承を得てきたことになるではないかということだと思います。

 全て盛り土にするというふうに説明をしていたのは、今回の審議会のときだけではありません。五年前の第九次の整備計画策定の際にも、二〇一一年三月二十五日の審議会食品産業部会にも同様に、二メートルはきれいな土に入れかえて、二・五メートルはきれいな土を盛ると東京都の対策が出されていたのであります。

 そこで、東京都の対策が虚偽だったわけですから、審議会の答申の前提が崩れるということになると、農水大臣として直ちに審議会の開催を求めて、経過を報告して、審議し直してもらうのが筋じゃないかと思うんです。その上で、新設市場、豊洲地区というのを国の整備計画の対象からまずは外すべきだ、これが筋だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 東京都におきまして、土壌汚染対策工事を適切に行い、豊洲市場への移転の認可申請の段階までに、卸売市場法に定める認可基準に合致するための対策をとることが必要であることは申し上げるまでもありません。

 現在、土壌汚染対策も含めて、東京都におきまして、築地市場から豊洲市場への移転及び市場のあり方に関することを調査研究する市場問題プロジェクトチームが設けられ、豊洲市場の土壌汚染や施設に関する事項などが検討されている状況にあります。まずは、この検討の動向を見守りたいと思っております。

 また、第十次の中央卸売市場整備計画策定に際しまして、東京都から提出のあった資料に不備がございました。(笠井委員「不備じゃないですよ、間違いですよ」と呼ぶ)間違いがございました。その意味で、我々としましては、遺憾に思っているところでございます。

笠井委員 だから、遺憾に思っていたらどうするのか。農水省は、そういう間違った資料を審議会に説明して、そしてそれで了承を得ていたわけですから、重大じゃないですか。もとに戻すのは当たり前。

 午前中の質疑の中でも、民進党の小川淳也議員が質問したのに対して、要するに、東京都が対応した上で、申請が来たときに厳正に審査するのは当たり前と言われましたけれども、当たり前です、そんなのは。問題は、ポイントは、既に農水省が審議会に報告した内容、そしてみずから策定した整備計画について、今の時点で国自身がどうするかが問われているということだと思うんです。

 では、伺いますけれども、農水大臣、第九次整備計画、盛り土ということで東京都から出ていた。それを前提にして、それを審議した。二〇一一年三月二十五日の審議会において、当時の審議会の部会長を務められていた味の素株式会社の山口範雄会長からは、審議会の審議の中でどういう意見が出されていたか、意見の中身を紹介してください。

山本(有)国務大臣 二〇一一年三月二十五日に開催を予定していました食料・農業・農村政策審議会食料産業部会におきまして、三月十一日に発災しました東日本大震災を踏まえ、一堂に会する方式ではなく、急遽持ち回りにて開催されたところでございます。

 その際、当時の山口部会長から、「築地市場の移転については、東京都が土壌汚染対策工事を行い、認可申請の段階では卸売市場法に定める認可基準に合致するための対策をとることを前提に整備計画に記載することを認めるものであり、それが認可基準に合致することにならないのであれば、整備計画の対象から外れることを明確にすべき。」との意見が提出されております。

笠井委員 だから、合わなかったら外すべきだと部会長が言って、了承しているわけですよ。合っていないんです、今。今紹介された、対策が合致しなければ整備計画の対象から外れるというこの審議会の部会長の意見は非常に重いと思います。それにどう対応するか、こういう事態があったわけですから。間違った報告、うそをついていたということですから、国の姿勢が問われてまいります。

 審議会を再度開いて諮り直してもらう、新設市場、豊洲地区を中央卸売市場整備計画の対象から外す、まずは再度審議会をやってくださいと言うのが農水大臣の仕事じゃないですか。

山本(有)国務大臣 豊洲市場におきます食の安全性の確保につきましては、まずもって市場開設者である東京都が責任を持って対応しなければなりません。その上で、中央卸売市場の位置を変更する際には、卸売市場法に基づいて、農林水産大臣の認可が必要となるわけでございます。

 具体的に申し上げれば、生鮮食料品の卸売の中核的な拠点として適切な場所かどうか、食の安全を含めた各種法令に適合しているかどうか等の基準に照らし、認可の判断をすることになっております。

 豊洲市場への移転につきまして、東京都から認可申請が行われた場合、農林水産大臣が認可の是非を判断することとなるわけでございまして、法令に基づき厳正な審査を行い、適切に認可の判断を行う考え方でございます。先ほどの、審議会の対象から外すかどうかも含めて、これから厳正に検討を行いたいと思っております。

笠井委員 だから、外すことも含めて検討するということですが、審議会に対してどういう態度をとるかというのが農水大臣として問われていると思うんですよ。

 まずは、この間の経過を説明して、この間、審議会に諮って資料を出したものが間違いでした、うそでした、だからそういう経過も御説明します、それを前提にして了承いただいた豊洲地区というのは、これは一旦取り下げるということを含めて、きちっと諮るというのは最低限必要じゃないですか。審議会をもう一回やってくださいと言わないんですか、それでも。これは本当に責任が問われますよ、これだけ国民がみんな怒っているんだから。

 東京都の問題、これは重大です。だけれども、国が既に整備計画に盛り込む際に関与しているんだから、それを後ろ盾にして東京都は進めてきたんですよ。こんな事態になっても、東京都の推移を見ていますと。これで国の責任を果たせるんですか、農水大臣。審議会をもう一回やります、外すことを含めてちゃんと検討してもらいます、それぐらいちゃんと言ったらどうですか。

山本(有)国務大臣 既に報道で公表されておりますとおり、市場問題プロジェクトチーム、これが築地市場から豊洲市場への移転及び市場のあり方について検討しておられます。

 また、豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議の設置、これにおいて、生鮮食料品を扱う豊洲市場において食の安全、安心を確保する観点から、改めて土壌汚染対策について専門家による検証を行っております。

 このような大事な検証の推移、結果を注視しながら検討してまいりたいと思っております。

笠井委員 外すことを含めて検討するというのは当然ですけれども、審議会をもう一回開くと。だって、東京は検討を進めていいよ。それをやらなきゃいけないですよ。だけれども、国としてやってきたことについては、まずは間違ったことを正すというのが当たり前じゃないですか。

 総理に伺います。

 こういう国の態度を続けていていいのかという問題が問われると思うんですよ。これだけ国民の怒りを呼んでいますよ。だって、日本の台所築地というのは、新鮮でおいしい食料品の代名詞。北海道から沖縄まで、全国から水産物、野菜、果物などの生鮮食料品と加工品が集まって、東京、首都圏を初め全国各地に供給をされる、海外からも多数の観光客が訪れる、こういうところです。日本の築地、世界の築地であって、東京都だけの問題ではありません。

 冒頭に総理が言われたように、食の安全、安心への日本の姿勢そして信頼が、まさに安倍政権への信頼も問われていますよ、この問題でも。国として責任を持った対応をするという問題だ。

 農水大臣に審議会をもう一回開くようにきちっと言うべきじゃないですか、総理。

安倍内閣総理大臣 当然、我々も法令に基づいてきちっと対応していきたいと考えておりますが、豊洲市場における食の安全性の確保については、まずもって市場開設者である東京都が責任を持って対応することが必要であります。その上で、中央卸売市場の位置を変更する際には、卸売市場法に基づき、農林水産大臣の認可が必要となります。

 具体的には、生鮮食料品の卸売の中核的な拠点として適切な場所か、食の安全を含めた各種法令に適合しているか等の基準に照らして認可の判断をすることになるわけでありまして、豊洲市場の移転についても、東京都から認可申請が行われた場合、農林水産大臣が認可の是非を判断することとなります。法令に基づいて厳正な審査を行い、適切に認可を行う判断を行う方針であります。

笠井委員 だから、今質問したみたいに、申請が出たときに適正に厳正にやるのは当たり前なんですよ。

 だから、既に整備計画を国がつくるに当たって間違ったうその話が前提になっているわけですから、国の整備計画に盛り込んできた、関与してきたわけですから、国は他人事では済まされない。国として、中央卸売市場の食の安全それから信頼確保に万全を期さなきゃいけない、抜本的にこれは対策をとらなきゃだめだということで、強く求めておきたいと思います。

 次に、アフリカ、南スーダンにおける安保法制、この発動について質問いたします。

 昨年九月、安保法制の成立が強行されてから一年になります。安倍総理は、九月十二日に自衛隊幹部への訓示で、仕組みはできた、制度は整った、あとはこれらを血の通ったものにする、今こそ実行のときだと述べられました。

 いよいよ安保法制の全面的な運用段階に踏み出して、南スーダンの自衛隊部隊に対して、そういう意味では、新たな任務を与えるということでしょうか。

安倍内閣総理大臣 スーダンにおいて新たな任務を与える……(笠井委員「南スーダン」と呼ぶ)南スーダンにおいてですね。それは適切に、この南スーダンPKOに派遣する部隊にいかなる任務を付与するかについては、現地の情勢や訓練の進捗状況等を慎重に見きわめながら、総合的に検討していきます。

 その上で、南スーダンPKOに派遣される要員については、従来より、派遣の前に必要な準備訓練を行った上で派遣をしておりますが、次に派遣される予定の第十一次要員についても同様に、現地での活動に必要なさまざまな訓練を八月末から実施しているわけでありまして、具体的には、関係法令、現地情勢、衛生や交通ルールに関する事項等、現地で活動する上で必要な基礎的知識の習得のほか、道路補修等の実践的な訓練まで、幅広く実施をしております。

 また、実動を伴う訓練の中には、駆けつけ警護や宿営地の共同防衛に係る訓練を九月中旬以降実施しており、要員の連携要領の確立のほか、武器の使用を含む一連の状況下における訓練等を行っております。

 いずれにせよ、先ほど申し上げましたように、総合的に判断をしていきたい、このように思っております。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

笠井委員 この法制の成立時に、総理は、今後も国民に粘り強く説明していくというふうに述べられましたけれども、最近の世論調査を見ましても、安保法制の内容に理解が進んだと思わないという方が七六・〇%、思うという方が九%という状況です。

 毎月十九日に、草の根で廃止を求める行動、九月十九日には国会正門前と全国各地で数万人が、安保法制の発動を許さずに廃止を求めて行動いたしました。

 そこで、さらに伺いますが、稲田防衛大臣、今総理からありました、既に、ことし十一月に南スーダンPKO、UNMISSに派遣する予定の自衛隊部隊に対して、離れた場所で襲撃された他国軍などを救助する駆けつけ警護や、宿営地共同防護、他国軍と一緒にやるということに関する実動を伴う訓練を開始していると承知をしております。いつから、どの県から成るどの部隊に対してどんな訓練を行っているんですか、端的にお答えください。

稲田国務大臣 南スーダンに派遣される部隊にいかなる業務を行わせるかについては、先ほど総理がお答えになったように、現地の情勢や訓練の進捗状況等を慎重に見きわめながら、総合的に政府全体で判断をしてまいります。その上で、事前に必要な準備訓練というものは行う必要があります。

 第十一次要員についても、東北方面隊隷下の第九師団を基幹として、現地での活動に必要な訓練を八月末から実施いたしております。また、実動を伴う訓練の中では、駆けつけ警護や宿営地の共同防護に係る訓練を九月中旬以降実施しているところでございます。

笠井委員 今、方面隊と言われましたね。青森の自衛隊駐屯地は、金網が張りめぐらされて、有刺鉄線と侵入防止のセンサーに囲まれた中から、これまでに増して銃声が頻発をしている。自衛隊員の親たちからは、我が子を戦場に送り出したい親がどこにいるか、自衛隊さ、息子をやらねばよかったと、悲痛な声、怒りの声が上がっております。

 自衛隊のトップ、河野統合幕僚長が記者会見で、訓練では武器使用基準等を徹底的に教育するというふうに強調しておりましたけれども、新たな武器使用基準というのはいつ策定されたんでしょうか。

稲田国務大臣 新任務に伴う訓練を十分に行うことは、私は必要なことであるというふうに考えます。

 その上で、武器使用基準等についての中身、またいつ策定したかなどについては、手のうちをお知らせすることにもなり、お答えすることはできません。

笠井委員 安保法制に基づいて新しい武器使用基準をつくった。いつか、それからどういう基準で、従来とどう違うか、それも言えないんですか。

稲田国務大臣 今御指摘の行動基準については、法令等の範囲内で部隊等がとり得る具体的な対処行動の限界を示すものであり、その事柄の性質上、これまでもその内容についてはお答えすることを差し控えさせていただいているところでございますが、その内容の充実を図るとともに、不断の検証を行っているところです。

笠井委員 これだけ重大な問題で、どんな訓練をしているかということについて伺っても、国会に報告しようともしない。総理は、衆議院本会議での我が党の志位委員長の代表質問に対しても、「自衛隊において所要の訓練を開始したところ」としか答弁されません。あくまで全て国会と国民に隠して事を進めようとしていることは、私は極めて重大だと思います。

 現在行われている訓練の一端、明らかにされないわけですが、うかがわせるような資料があります。

 南スーダンでは、二〇一一年の独立後、政権内が分裂して、二〇一三年から大統領派と副大統領派の武力対立が繰り返されております。

 資料の二ページをごらんいただきたいと思うんですが、そこから抜粋しましたが、防衛省から提出された内部文書があります。ここに持ってきましたけれども、提出されたものです。

 二〇一三年末から翌年明けにかけて、自衛隊宿営地のある南スーダンの首都ジュバで発生した武力衝突について、そしてそれへの対応について書かれたものであります。陸上自衛隊研究本部が二〇一四年に作成した南スーダン派遣部隊に係る教訓要報ということで、二冊ありますが、合わせて百八十ページの報告書であります。

 稲田大臣、これらの内部文書、報告書の性格というのはどういう性格のものか、お答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 今御指摘の南スーダン派遣施設隊第五次要員に係る教訓要報は、陸上自衛隊研究本部が、陸上自衛隊の運用、防衛力整備、研究開発、教育訓練等の進展に寄与することを目的として、専ら実務者レベルでの共有を目的に作成された文書でございます。

 南スーダンPKOに関する教訓要報は、現地で何が起きているかを把握する上で重要な資料でございます。防衛大臣として、南スーダンの情勢を絶えず注視していく中で、引き続き、教訓要報を初めとした現場からの報告についても重視していきたいと思っております。

笠井委員 今、現場からの報告として重視するという話がありました。

 確認なんですが、ここに、表書きが報告書についておりますが、PKO活動の業務内容や教育事項について共有することを目的と今大臣は言われました。この文書は、ここにありますが、どこからどこへ出したかというと、陸上自衛隊研究本部長から陸上自衛隊のトップである陸上幕僚長に宛てて報告するという形で出された位置づけの文書であるということでよろしいですね。

稲田国務大臣 今御指摘のように、現地の報告でございます。

笠井委員 現地の報告として、研究本部長から陸幕長に出された、そうですね。

稲田国務大臣 陸上自衛隊本部長から陸上幕僚長宛てに出された報告でございます。

笠井委員 パネルを、資料は三ページをごらんください。

 報告書には、派遣準備訓練について、当時の教訓を踏まえてより効果的な訓練を行うことが重要であるということが書かれておりまして、当時の現地の井川隊長から中央即応集団司令官に報告された、射撃訓練に関する課目が書かれている部分があります。

 現地においては、宿営地周辺情勢悪化のため、全隊員に武器弾薬を搬出、携行させた例があり、派遣元部隊によっては、至近距離射撃未経験者が存在するから、全隊員による個人携行火器の実弾射撃、至近距離射撃実施というふうにあります。

 また、情勢悪化に伴い、宿営地警備及び不測事態対処等において当該射撃が必要となる事態発生の可能性は否定できないことから、拳銃、小銃射撃訓練実施に加え、車上、夜間、遮蔽射撃、さらには彼我の識別射撃、つまり、こちらと相手側とを見分けるという形、その中での識別射撃ということだと思うんですが、これを行うというふうにあります。

 稲田大臣、全隊員に実施させるとあるこの至近距離射撃というのはどういうものでしょうか。

稲田国務大臣 委員が御指摘のその部分は、当時の隊長が、情勢がさらに悪化した場合に備えた宿営地警備や不測事態対処等に関する準備訓練に関する意見でございます。

 今お尋ねの至近距離射撃とは、主として市街地、建物などにおける近接戦闘に対処するために行う射撃をいいます。

笠井委員 この文書の中に、防衛省の「至近距離射撃訓練基準について」という通達がある。七十五ページということで、防衛省からいただきました。これによれば、今大臣が言われた至近距離射撃の定義について、錯雑地ということで、非常に読みにくいですが、市街地などで至近距離で敵と遭遇した場合における射撃であり、迅速かつ正確な目標の識別と射撃が要求される射撃をいうというふうに書いてありますが、そういうことでよろしいですね。

稲田国務大臣 至近距離射撃訓練の基準としては、さまざまな状況を順次付与して、段階的に練度を向上させるように定められた基準でございます。

笠井委員 今、通達にそう書いてあるんですけれども、そうですねと聞いたので、そうなのかどうか言ってください。

稲田国務大臣 そういうことでございます。

笠井委員 至近距離射撃訓練について、アフリカのジブチに派遣されていた中央即応連隊の二等陸曹はこういうふうに証言しています。相手が敵対者なのか、市民なのか、瞬時に識別し、さらに、撃つべきかどうかの判断をしなければいけない、判断を間違えれば命にかかわる、ありとあらゆる状況を想定して訓練をやっている、正直、一番難しいものでもあるということで、リアルに言っております。

 つまり、今実施中の訓練では、新たな任務ということにかかわって、もっと過酷な射撃訓練が行われているのではないかということであります。

 では、なぜこんな訓練まで必要だとされたのか。当時、それほどまで、二〇一三年末から明けにかけて緊迫した状況だったことがお手元の資料五の中にございます。

 これによりますと、二〇一四年一月五日十八時三十五分ごろ、今度は国連トンピン地区の日本隊宿営地のすぐそばで、南スーダン政府軍を脱走した反政府勢力兵士との間で発砲事件が発生した。そこで、国連南スーダンPKO司令部から国連トンピン地区の警備強化命令が出された。そのもとで、日本隊では、発砲事件発生直後から全隊員が防弾チョッキ及び鉄帽、鉄の帽子ですね、これを着用するとともに、国連司令部の警備強化命令に応じ、隊長が警備強化命令を下したというふうに書いてあります。

 稲田大臣、全隊員が防弾チョッキと鉄帽を身につけろと警備強化命令が出されるほど現場の事態は緊迫していた、そういう事態に対処するために、今後そういうことがあれば、今言ったような射撃訓練をもっと強化してやることが必要なんだ、こういうことが教訓として明らかにされてやられているということなんでしょうか。

稲田国務大臣 平成二十五年当時は、日本隊宿営地近傍にて銃撃音を確認、そして、不測の事態に備えるため、隊員は防弾チョッキ等を着用するように安全確保に努めたところでございます。

 そして、自衛隊を派遣する以上、全く安全という状況はあり得ないものでありますし、しっかりと訓練をするのは当然のことだと思っております。

笠井委員 資料の六をごらんいただきたいんですが、これはパネルになっていませんが、これです。これが、そのとき下したという「宿営地警備強化に関する南スーダン派遣施設隊行動命令(抜粋)」というものでありますが、防衛省から提出されたものでありますけれども、項目の数字と記号が書いてあるだけで、この間、国会では随分こういうのが多いですけれども、全て黒塗りになっている。具体的にどのような命令が出されたんでしょうか。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

稲田国務大臣 宿営地警備強化に関する南スーダン派遣施設隊行動命令でございます。

笠井委員 それはタイトルですね。真っ黒なので、どういうことが書いてあるんですかと伺ったんですが。

稲田国務大臣 この中には、その命令の抜粋が記載をされております。

 しかし、これを明らかにした場合、緊急時における自衛隊部隊の要員配置や対処要領を含む警備体制の詳細が明らかになることになり、自衛隊の部隊要員の安全確保に直接かかわることから、お答えを差し控えさせていただきます。

笠井委員 では、ちょっと角度を変えて聞きます。

 当時、現地派遣隊長だった井川賢一氏はマスコミのインタビューにいろいろな形で答えていますが、こう言っています。一月五日の夕刻のこと、このとき、宿営地の南の方から断続的な射撃音があり、全隊員に防弾チョッキの着用、武器弾薬の携行を命令し、各自あるいは部隊の判断で命を守るために撃てと命じたというふうに証言しておりますが、撃てと命令したというのは本当ですか。

稲田国務大臣 詳細についてはお答えできませんけれども、自衛隊員が自分の身を守るために武器を使用することは当然だと思います。

笠井委員 隊長が撃てと命令したというふうに答えているんですが、命令したというのは本当ですか。

稲田国務大臣 詳細については承知いたしておりません。

笠井委員 知らないと。しかし、当事者が撃てというふうに命令した。そういうことを命令したほど現地の事態が緊迫していたということであります。

 この報告書によりますと、井川隊長は緊急撤収計画まで決裁したというふうにあります。パネルにいたしました。資料七ページをごらんください。

 南スーダン情勢が混沌とした状態となり、従来の施設活動への復帰の見通しが全く立たない中、派遣施設隊長は、同月、十二月二十四日のCRF、中央即応集団司令官とのテレビ会議において、緊急撤収計画の具体化を進めるよう示唆された。このため、派遣施設隊長は、隊本部幕僚に対して第四次要員が作成した緊急撤収計画の見直しを指示し、平成二十六年、二〇一四年一月八日、緊急撤収計画を決裁したというふうに書いてあります。

 稲田大臣、間違いないですね。

稲田国務大臣 この報告書の中に今委員御指摘のことが記載されていることは間違いありません。

笠井委員 そういう撤収計画の決裁をしたという事実も間違いないですね。

稲田国務大臣 間違いありません。

笠井委員 派遣施設隊は、経路偵察の実施、それから梯隊区分の明示、兵たん物資の貯蓄等によって宿営地からの離脱に必要な最低限の準備を実施したということもこの報告書の中に書かれています。また、緊急退避する際に武器及び弾薬の携行が命じられたが、隊員が不安に感じる状況が起こった、生起したということまで書かれております。現場ではそこまでやったということであります。それだけ緊迫していた。

 次に、それでは、現在の南スーダン情勢は当時と比べてどうか。より深刻なのが現実だと思います。

 この七月、自衛隊の宿営地がある首都ジュバで、大統領派と副大統領派によるより大規模な戦闘が発生をして、少なくとも二百七十二人という数字が出ました。実際には数百人が死亡した。JICA、国際協力機構関係者ら在留邦人四十七名が国外退避をして、現地日本大使まで自衛隊宿営地に避難。大使館員四人が隣国ジブチに移動を強いられた。さらには、自衛隊宿営地の隣百メートルのビルで二日間にわたって銃撃戦が断続的に続いて、政府軍兵士二人が死亡している。

 岡部陸上幕僚長、陸自のトップですけれども、記者会見でこう言っています。七月七日の事態発生以来、近傍、近くでの発砲に伴う流れ弾が日本隊宿営地の上空を通過していたとの報告を受けている、その後、宿営地内において複数の弾頭が見つかっていると説明をしております。そして、このとき、基本的に隊員は低い姿勢を保持していたと。つまり、上を飛んでいるということで、低い姿勢を保持するほどの事態があったというふうに答えているわけであります。

 岸田外務大臣、昨年八月に和平合意が結ばれたということが、この間、国会でも言われてまいりました。その当事者同士の武力衝突が再燃をして、二〇一三年から起こった事態を上回る、極めて深刻な予断を許さない情勢に南スーダン情勢がなったんじゃないかというふうに思うんですけれども、情勢認識、どういうふうに捉えていらっしゃいますか。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、ことし七月七日夜ですが、首都ジュバにおきましてキール大統領派とマシャール第一副大統領派の衝突が発生をしました。治安情勢は急激に悪化をいたしました。

 そして、その後、八日、十日そして十一日と衝突が発生をしたわけですが、十一日の夜、南スーダン政府は、敵対行為の停止を命じる大統領令を発出しました。これに対しまして、マシャール第一副大統領、これは当時の副大統領ですが、こちら側も同派の兵士に敵対行為の停止を命令した、こうしたことがありました。そして、その後、現地の情勢は比較的落ちついている様子ですが、引き続き注視をしている、こうした状況にあります。

 そして、国内情勢そして認識でありますが、その後、七月二十五日に、キール大統領は、タバン・デン鉱業大臣を第一副大統領に任命いたしました。

 この意味ですが、今まさに委員が御指摘になられました二〇一五年八月の合意文書、関係者が合意した文書ですが、この文書の中身としまして、第一副大統領は反主流派から出す、こういった内容が合意文書の中に含まれています。この合意文書に従って、この第一副大統領が任命をされています。

 そして、八月十五日に暫定国民立法議会が開会し、そして九月二十三日ですが、まさに反主流派のこの第一副大統領が国連総会に出席をしまして、南スーダンの平和と安定を維持するために取り組んでいる、みずからこの演説を行っています。

 こうした状況を考えますときに、政府としましては、南スーダンの国民統一暫定政府、これは機能を維持していると認識をしております。

笠井委員 では、七月以降、武力衝突という事態は起こっていないんですか。

岸田国務大臣 南スーダン全体を見ますときに、地方におきまして散発的、偶発的な衝突が発生しているという報告は受けておりますが、首都ジュバを中心に、比較的情勢は安定していると承知をしております。

笠井委員 衝突は起きていると。

 今、七月の大規模な武力衝突後も南スーダン政府と反政府勢力の間でということで話があって、南スーダン政府の側は敵対行為の停止を命令したというふうに言われましたが、今、七月に起こったような事態を受けて、では、停戦するという新たな合意とか、つまり、敵対行為の停止は双方が命令したというのがあるかもしれないけれども、停戦合意ということできちっと確認をすることになったのかどうか。それはありますか。

岸田国務大臣 停戦の合意については、まさに二〇一五年八月の南スーダンの衝突の解決に関する合意文書、この文書が交わされているわけですが、この合意文書に従って、暫定政府の第一副大統領が反主流派から出されているという現実があります。そして、その副大統領がみずから国連総会で、平和と安定のために努力をしている、こうしたスピーチを行っている、そして国会の方も開会をされている。

 こういったことから考えますときに、主流派、反主流派ともに協力をしながら安定のために努力をしている、少なくとも政府は機能している、このように認識をしております。

笠井委員 反主流派の中から出たという話がありましたが、AP通信で最近出ていますが、南スーダンの反政府勢力のトップ、マシャール前副大統領ですね、前ということになっていますが、九月二十五日までに声明を発表して、キール大統領の独裁政権に対して武力で抵抗すると宣言しているということがあります。そして、今大臣も認められたように、七月以降もそういう衝突の事態はあるということですよね。

 去年八月の和平合意、これが事実上ちゃんと続いているというふうに言えるのか。そうじゃなくて、事実上は崩壊している、そして七月みたいなことがあったと。形としては、大統領が、副大統領ということで反政府勢力の中から人を選んだということになったかもしれないけれども、反政府勢力がまとまって、わかりました、停戦合意をきちっとやって、もうやりませんという話になっているわけじゃない、マシャール氏はあくまで武力で抵抗すると宣言している、これが実態じゃないんですか。

岸田国務大臣 御指摘のように、マシャール第一副大統領は国外にいるということであります。私も、スーダンにおられるという情報に接した記憶があります。

 それは事実でありますが、しかし、それにかわりまして、反主流派としてタバン・デン鉱業大臣が任命をされています。ディンカ族を中心とする主流派に対しまして、ヌエル族を中心とする反主流派、この反主流派から合意文書に基づいて人材が出されている、そして政府が維持をされている。こうしたことは、政府が機能している、あるいは国会が機能している、こうしたことを判断する上において大変重要なポイントではないかと認識をいたしております。

笠井委員 ことし二月に当委員会で私が質問したときにも、去年八月の和平合意があるんです、そして、それに基づいて今進んでいます、ジュバは平穏ですという話を大臣も言われました。そして、政府がそういう立場をとっていた。三月にはマシャール氏が首都ジュバへ戻るんじゃないか、春にはできる、もうすぐですみたいな話があって、一旦戻ったけれども、また七月の事態が起こる。そして、マシャール氏は武力で抵抗し続けるということを言い続けている。

 うまくいっていますみたいな話をずっと大臣はされるんだけれども、実際にはそういうことが繰り返されて、そして、安定しているどころか、非常に不安定な状況にある、危険な状況が続いているというのが事実じゃないですか。いつまた何があるか。

 河野統合幕僚長も記者会見で、大分戦闘は静まってきているという認識だが、今後どうなるか、再燃する可能性も否定できないということを強調しております。

 稲田大臣、自衛隊のトップがそういう認識を示していますが、大臣の認識はそれと違いますか。

稲田国務大臣 ジュバ市内は比較的落ちついてきているものと認識をいたしております。

 現地の派遣施設隊からも、隊員の安全は確保されており、日本隊宿営地においても異常はないとの報告を受けておりますけれども、緊張感を持って情勢は見きわめていかなければならないと思っております。

笠井委員 緊張感を持ってと言われました。大臣も今度行かれるという話でありますが、現地等から報告、情報を得て総合的に判断という形でこの間繰り返し言われておりますけれども、要するに、またいつ武力衝突が再燃するかわからない、大臣が行かれるときだってそういうことがあるかもわからないということを含めて、自衛隊自身のリアルな認識なんじゃないんですか。

 二〇一六年、平成二十八年版の防衛白書でも、ここにありますけれども、これまでも繰り返し停戦合意が破られて、政府と反政府勢力の対立が激化したと。繰り返し破られて激化したというのが経過だというふうに書いてあるわけです。

 総理がいらっしゃらないですね。そういう認識を持っていますね、白書にあるんだから、稲田大臣。

稲田国務大臣 私も、事情が許せば早く南スーダンを視察してまいりたいと思っております。その上で、しっかりと情勢をさまざまな角度から分析していきたいと思っております。

浜田委員長 笠井さん、もう一回。済みません。

笠井委員 つまり、今、南スーダンの情勢について議論してまいりましたけれども、自衛隊のトップ自体も、大分戦闘は静まってきているという認識だけれども、今後どうなるか、再燃する可能性も否定できないと言って報告している。稲田大臣も、緊張感を持ってやらなきゃいけないということで認められました。

 まさにそういう状況にあるというのが現状だと思うんですが、総理はさきの本会議でも、武力紛争は起こっていない、現地の情勢は比較的落ちついているということを再三答弁されましたけれども、今、南スーダンで起こっているのは紛れもない内戦ではないか、そういうことじゃないかと思うんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 南スーダンというのは、独立したばかりで世界で最も新しい国家でありまして、国内の治安状況はいわば、例えば我が国と比べればもう比較にならないほど厳しいのは事実であります。

 だからこそ、国連はPKOを設立して、我が国からは訓練を積んだ自衛隊が派遣をされているわけでありまして、世界が協力して南スーダンが安定した国家として発展していくように今汗を流しているわけであります。

 当然、厳しい環境で活動している自衛隊がその任務を安全かつ適切に遂行するためには、これまで起きたことのない事態への備えこそ重要であり、私も常々、あらゆる事態に備えるよう指示をしているわけであります。現地の情勢を踏まえて、安全確保のために必要と判断する訓練を行い、警備を強化するのは当然のことであろうと思います。

 いずれにせよ、今後とも、現地情勢について緊張感を持って注視しながら、国際社会の平和と安定に貢献をしていく考えであります。

笠井委員 総理自身も緊張感を持って現地情勢を見なきゃいけないと言われるほどの事態だということでありますが、紛れもない内戦ではないかということに対しては総理はお答えにならなかった。

 南スーダン政府軍が、国連南スーダンPKO、UNMISSを攻撃している。そして、国連安保理は、八月十二日にPKO部隊への四千人の増派を決めて、事実上の先制攻撃の権限まで与えた。それまでやらなきゃいけないような事態になっているというのが現実じゃないんですか。

 先ほども紹介しましたけれども、AP通信、そして世界の中でも、南スーダンの反政府勢力トップ、マシャール副大統領がキール大統領の独裁政権に対して武力で抵抗すると宣言している。外務大臣が新しい副大統領が出たんですと言われたけれども、まさにその後にもそういう話になっている。

 既に昨年八月の和平合意はもう、できたといっても事実上崩壊している、そして内戦が泥沼化するおそれが出てきたということではないか。もはや、南スーダンの反政府勢力は紛争当事者ではないとか南スーダンが内戦状態ではないなどと言っている政府というのは、私は、世界の中をずっと見ても日本政府しかないんじゃないかと思うんですが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 南スーダンにおいては、先ほど来説明をさせていただいておりますように、七月、首都ジュバ市内においてキール大統領派と当時のマシャール第一副大統領派との間で衝突が発生し、治安が悪化したことから、政府としては引き続き緊張感を持って現地情勢を注視しているところでありますが、他方、衝突発生後、双方が敵対行為の停止を表明して以降、現地の情勢は比較的落ちついていると承知をしております。

 当該衝突については、現地に派遣されている要員からの報告や、我が方大使館、国連からの情報等を総合的に勘案すると、PKO法上の武力紛争が新たに発生したとは考えていないわけでありまして、また、当時の第一副大統領派等が紛争当事者に該当するとは考えていないところでございます。

笠井委員 双方が停戦命令を下した、停戦を表明したといっても、双方がやめますということで合意までできていないんですよ。

 そもそも、PKOが、武力行使をいとわないような住民保護に変わっている。日本のPKO参加五原則は国際的には通用しないし、実態としても総崩れということだと思います。

 自衛隊が南スーダンで活動を継続することは許されない、直ちに撤退させるべきだと強く言いたいと思います。

 最後に総理に質問いたしますが、このような南スーダンにこれから派遣しようという陸上自衛隊部隊に対して、離れた場所で襲撃された他国軍などを救助する駆けつけ警護や、自衛隊部隊のいる宿営地を他国軍と共同防衛するという新しい任務を与えて、そのための武器使用が認められたらどうなるか。政府軍や反政府勢力との戦闘も予想される。自衛隊員が誤って避難民など民間人を撃って、報復攻撃を受けて隊員自身の生命に危害が及ぶ、こんなことも現実に起こり得る。

 まさにそういう点では、南スーダンにおける安保法制の発動は中止すべきじゃないか、総理の決断が要るんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 南スーダンPKOに派遣する部隊にいかなる任務を付与するかについては、現地の情勢や訓練の進捗状況等を慎重に見きわめながら総合的に検討していくわけでありますが、一般論で申し上げれば、いわゆる駆けつけ警護については、PKO参加五原則が満たされることなどを大前提とした上で、施設活動などを行う部隊が、その人員、装備に応じて、あくまでも安全を確保しつつ、対応できる範囲内で行うものであります。

 そしてまた、いわゆる宿営地の共同防護については、ともに宿営地に所在する者の防護を目的として武器の使用を可能とするものであり、これにより、国連PKOにおいて自衛隊が円滑かつ安全に活動を実施することができるようになると考えております。

 いわば、宿営地には日本の部隊だけではなくてほかの部隊もいるわけでありまして、通常、PKOにおいて幾つかの国の部隊が混在する場合は、実は、その宿営地全体を守るために共同訓練をするんですが、残念ながら自衛隊だけはその共同訓練には参加できないんですね。今の法制上参加できずに、一緒にみんなでこの宿営地を守るということは、今のままではできないのは事実であります。

 しかし、この任務が付与されれば、あらかじめ共同防護するための共同訓練にも参加する。今までは、例えば、今もルワンダ等と同じ宿営地にいますが、日本は共同訓練をしないという、やや、国際社会においては非常に特殊な立場に立っている。ほかはみんな共同訓練をしているんですから。しかし、しっかりと共同訓練をして、何かあれば共同して対処するということができるようになれば、より安全に効率的に宿営地を守れるというのは自明であろう、このように思います。

 いずれにせよ、派遣に当たっては、十分な教育訓練を行った上で、現地の実情に応じた正確なリスク分析のもと、きめ細やかな準備と安全確保対策を講じ、あらゆる面でリスクを低減する取り組みを行っていく考えであります。

笠井委員 いろいろ言われましたけれども、PKOの五原則と言われましたが、もう総崩れという状況の中で、しかも、憲法でできないといったことをできるようにしたのが安保法制でありまして、武力衝突による事態の緊迫化の中で、三年前には緊急撤収計画まで決裁した。今度は、撤収せずに、新しい任務で対処するということでそういうことをやっていくわけであります。それが安保法制。

 南スーダンでは、政府軍に多くの少年兵まで駆り出されている。一度少年兵や民間人を撃ってしまったら、取り返しがつかないことになります。戦後七十一年、自衛隊は、一人の戦死者も出さずに、一人の外国人も殺さなかった。そういう戦後史に重大な汚点を残してはならないと思います。

 日本の貢献は、憲法九条に立った非軍事の人道支援、民生支援を抜本的に強化する方向に転換すべきだ、憲法違反の安保法制、戦争法の廃止、立憲主義の回復のために野党と市民の共闘をさらに広げていく、そういう決意を表明して、質問を終わります。

浜田委員長 この際、赤嶺政賢君から関連質疑の申し出があります。笠井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、沖縄県の出身で、沖縄一区からこの国会に送り出していただきました。

 きょうは、今政府が沖縄本島北部の東村高江区周辺で米軍のオスプレイやヘリが離着陸する着陸帯の建設を進めている問題について質問していきます。

 少し経緯を振り返りたいと思いますが、この問題の直接のきっかけは、一九九五年の少女暴行事件でした。十二歳の少女が三人の米兵に拉致され、集団暴行され、痛ましい事件が発生をいたしました。事件に抗議し、八万五千人が結集して沖縄県民総決起大会が開かれました。県民の怒りの広がりを受けて、日米両政府は、翌九六年、SACO最終報告に合意をいたしました。普天間基地の返還などと並んでそこに盛り込まれたのが米軍北部訓練場の部分返還であります。

 パネルを見ていただきたいと思いますが、北部訓練場は、沖縄県の本島の北部の国頭村、東村にまたがる県内最大規模の米軍演習場です。米海兵隊の管理のもとに、米本国の部隊を含めて、海兵隊、陸軍、海軍、そして空軍の各部隊がジャングル戦闘訓練などを行っております。約七千五百ヘクタールある訓練場のうち、北側を中心に約四千ヘクタールを返還するというのが政府の計画です。

 ただし、そこには二つの条件がつけられております。

 一つは、宇嘉川河口周辺の土地と水域を新たに米軍に提供することです。ちょうど海に突き出した斜線の部分であります。これによって、米軍は、海からの上陸訓練が可能になります。これについては、既に一九九八年に提供されています。

 もう一つの条件が、返還区域にある着陸帯を残る南側に移設することです。

 ごらんいただければわかるように、南側には既に十五カ所の着陸帯があります。白い丸印です。これは、防衛局が提出する地図等にはなかなかつけられておりませんが、この十五カ所の着陸帯があるところに、今度は、これに加えて、N4地区に二つ、N1地区にも二つ眼鏡形に配置して新たな着陸帯をつくり、そしてG地区、H地区という場所に一個ずつつくる計画です。赤丸で描かれているものです。東村高江区の集落は、これら六つの着陸帯に取り囲まれることになります。

 N4地区の二つは既に完成し、訓練場の返還に先行して二〇一五年二月に米軍に提供されました。高江区の住民は、九九年、二〇〇六年の二度にわたって区民総会を開き、着陸帯の建設に反対する決議を上げました。しかし、政府は、住民の声を聞き入れず、着陸帯の建設を推し進めてきました。

 さきの参議院選挙では、新たな米軍基地建設に反対する伊波洋一候補が、安倍政権の現職大臣に十万票以上の大差で圧勝しました。ところが、安倍政権は、投票日の翌日早朝から、残る四つの着陸帯の建設に着手をいたしました。全国から機動隊五百人を動員し、反対する住民を力ずくで排除し、工事を強行しています。

 まず、総理に伺いますが、総理は所信表明演説で、〇・九六ヘクタールのヘリパッドを移設することで北部訓練場四千ヘクタールの返還が可能になると述べました。この〇・九六ヘクタールの積算根拠を明らかにしていただけますか。

深山政府参考人 数字の計算の問題でございますので、私の方からお答えさせていただきます。

 ヘリパッドの面積としては、現在建設を進めておりますのは直径四十五メートルでございまして、この一個の面積は、計算しますと〇・一六ヘクタール。六つでございますので、〇・九六ヘクタールという計算でございます。

赤嶺委員 直径四十五メートルの着陸帯六カ所部分の面積が〇・九六ヘクタール。

 工事が行われるのは着陸帯だけではないはずです。これまで政府は、着陸帯の周りには十五メートルの幅で無障害物帯をつくる、そこでは、樹木を伐採して、米軍機の離着陸の障害にならないようにすると言ってまいりました。

 ここに、二〇〇六年二月の、当時の那覇防衛施設局が作成した「環境影響評価図書案のあらまし」というパンフレットがありますが、ここでも着陸帯の周りにぐるりとドーナツ形で無障害物帯が描かれています。

 なぜ着陸帯だけを切り出して説明するのですか。

深山政府参考人 御指摘のとおり、着陸帯の周りには無障害物帯を設置いたしております。これは、全部を合わせますと一・七〇ヘクタールという計算になりますが、中心をなすのはヘリパッド自体でございますので、御指摘のような数字になったものでございます。

赤嶺委員 中心をなすのは着陸帯でありますのでって、無障害物帯がなければ着陸帯が機能しないと言ってきたのはあなた方でしょう。あなた方じゃないですか。着陸帯だけでつくるんじゃない、直径七十五メートルある。だから、あなた方のパンフレットには、総理、このパンフレットには、着陸帯と無障害物帯などを合わせ、合計約三ヘクタールですと書かれているんですよ。何でこれまでと違う説明をするんですか。

 事業に伴って整備が必要になるのはそれだけではありません。着陸帯につながる進入路も整備をいたします。工事用道路もあれば、先ほど申し上げた宇嘉川河口周辺の新規提供もあります。

 防衛大臣、事業に伴って整備が必要になる面積はどれだけか、明らかにしていただきたいと思います。

深山政府参考人 お答えいたします。

 先生からあらかじめ御質問のありました着陸帯自身、そして無障害物帯、あとG地区ともう一つの地区がございますが、そこへの進入路、その他工事用道路、そしてまた追加提供された河口部分等も含めますと、全部で百六十二・九三ヘクタールという数字になります。

 ただし、そのうちの追加提供された土地及び水域の面積は百五十九・一九ヘクタールでございますが、その水域につきましては、追加提供の後に、安波訓練場四百八十ヘクタールと水域七千八百九十五ヘクタールが返ってきております。そうした事実もあわせて申し述べさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 返還するかわりに、残る地域に幾らの面積の施設がつくられるかという点では、水域も土地も入れなきゃいけないんですよ。数字を小さく小さく見せようとしてやっている。

 今、防衛省が答弁した面積を合計すると百六十五ヘクタールです。そこに、着陸帯以外にも、大量の樹林を伐採して自然環境に影響を及ぼす、そういう地域が含まれています。総理は〇・九六ヘクタールの移設だと繰り返していますが、それにとどまらない事業であることをまず指摘させていただきます。

 大事なことは、その着陸帯の建設が周辺住民にどのような影響を与えるかという点です。

 総理に伺いますが、四年前の二〇一二年十月、普天間基地にオスプレイが配備されました。それ以降、沖縄本島全域で飛行訓練が行われています。オスプレイが配備された二〇一二年以降、東村高江区ではどのような騒音被害が発生しているか、総理はどのように認識していますか。

浜田委員長 稲田防衛大臣。(赤嶺委員「何で、総理に聞いているのに」と呼ぶ)その後に総理から答弁願います。

稲田国務大臣 私も先月沖縄に参りまして、東村、国頭村の村長にお会いして、北部訓練場四千ヘクタールの返還についてお話をさせていただきました。それについては、御理解いただいていることに感謝申し上げたところでございます。

 その際、今委員御指摘の騒音の問題、それから安全性に関する不安の問題等さまざま要望をいただいたことも事実でございます。それらに対しては一つ一つ誠実に対処していくということを申し上げたところでございます。

 また、北部訓練場周辺の騒音については、政府として継続的な把握に努めております。平成二十七年度の騒音発生回数……(赤嶺委員「まだ聞いていない、そこは。いいんですよ、次の質問で答えてもらいますから。防衛大臣、いいです」と呼ぶ)はい。ただ、今騒音のことをおっしゃいましたので、お答えをしたところでございます。

 今後とも継続的に調査を行うとともに、さらなる影響の軽減に努めてまいります。

安倍内閣総理大臣 ただいま、どういう影響が出るかということだったものでありますから、今大臣から、例えば騒音についてお答えをさせて……(赤嶺委員「総理の認識を聞いているんですよ、影響について」と呼ぶ)だから、影響についてまさに大臣がお答えをしようとしたところでありますが、影響について、一つその大きな影響としては騒音があるわけでありますから、騒音についてお答えをさせていただきます。

 北部訓練場の周辺における騒音については、政府として継続的な把握に努めておりまして、環境基準を満足している、環境基準を満足しているところでありますが、今後とも継続的に調査を行うとともに、さらなる影響の軽減に努めていく考えであります。また、住宅密集地や学校上空の飛行を回避するため、米軍と協力して必要な措置を講じていく考えであります。

 また、自然環境について申し上げますと、この移設工事は法的に環境影響評価を義務づけられているものではありませんが、自然環境の保全にできる限り配慮するとの観点から、自主的に環境影響評価を行っております。

 これを踏まえまして、移設に当たっては自然環境に配慮し、現在七つのヘリパッド全てを移設するのではなく、最低限の六つにとどめること、そしてまた、その大きさも、米側の要望を踏まえると、直径七十五メートルの大きさで土を掘り返して整地する必要があったところ、必要最小限度の四十五メートルに、七十五メートルを四十五メートルに縮小することを日本側から米側に働きかけることにより合意に至ったものであります。

 また、移設工事に当たっても、例えば集落をできる限り避けた経路で資機材を搬入すること、そしてノグチゲラ等の貴重な動物種の繁殖時期に配慮することなどの措置を講じているところでありまして、今後とも十分な配慮を行いながら基地の返還を行っていきたい、このように考えているところでございます。

 それと、先ほど委員から、百二十一ヘクタールの水域、三十八ヘクタールの土地が米側に追加提供されているじゃないかということ、これも足すべきだというお話がございましたが、それを言うのであれば、既に四百八十ヘクタールの土地と七千八百九十五ヘクタールの水域が返還をされておりまして、こちらの方を我々は言っていないものでありますから、今言われたところは言わなかったということでございます。

赤嶺委員 安波地域の訓練水域を移動することによって残りのところに上陸訓練ができるようになった、これはアメリカの運用上必要だからそうしただけなんですよ。そして、着陸帯が〇・九六ヘクタールといいますけれども、これは、無障害物帯を加えたら、あなた方の出したパンフレットでも三ヘクタールなんですよ。〇・九六ヘクタールではないということを申し上げておきたいと思います。

 それで、今、総理は、自然環境にまで答弁をいたしました。私が聞いたのは騒音だったんです。騒音はほぼ防衛大臣と同じような答弁でいただきましたけれども、パネルを見ていただきたいと思います。

 これは、沖縄防衛局の騒音測定調査に基づいて、高江での騒音発生状況をまとめたものです。騒音基準でうるさいとされる六十デシベル以上の騒音発生回数を書いています。

 オスプレイが配備された二〇一二年度の騒音発生回数は、昼間は四百六十五回でした。ところが、二〇一三年度は七百四十六回、二〇一四年度は千二百八十回、N4地区が米軍に提供された後の二〇一五年度は二千九百八十八回に急増しています。夜間も、二〇一二年度の百二回から、一三年度は百七十二回、一四年度は百九十四回、一五年度は五百五十二回と増加しています。

 とりわけ、ことしの六月には、オスプレイが三機編隊でやってきて、激しい飛行訓練を繰り返しました。六月の一カ月だけで、昼間は六百回、夜間は三百八十三回の騒音が発生しています。

 総理は、住宅密集地や学校上空の飛行を回避する、このように答弁されたわけですが、それはもともと、普天間基地へのオスプレイ配備に先立って、日米両政府が約束していたことです。

 二〇一二年九月の日米合意は、米軍施設・区域周辺における飛行経路について、周辺住民への影響を最小限とするため、進入及び出発経路を、可能な限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避けるように設定するとともに、可能な限り海上を飛行する、このように書かれております。

 全く約束が守られていないからこういう結果になっているのではありませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 繰り返しになりますが、四千ヘクタールの土地が返ってくるためには、アメリカとの約束において、六つのヘリパッドを既に、米軍の施設内につくるという約束の中で初めて返ってくるわけでありますから、これが返ってこなければ、そもそも既設のヘリパッドは別途あるわけでありますから、そこは全く動かないわけでありまして、これは、まさに二割、今までで最大の米軍の施設が返還されるということは前提として考えていただきたいと思います。

 そこで、この騒音対策については、北部訓練場の周辺における騒音については、政府として継続的に把握に努めております。環境基準を満足しているところでありますが、今後とも、継続的に調査を行うとともに、さらなる影響の軽減に努めていく考えであります。

 そしてまた、東村における騒音状況については、本年七月に地元の村長や教育長から改善要請があったことは報告を受けております。政府としては、要請を受けた後、直ちに、米側に対し、集落の上空を飛行しないよう強く申し入れを行ったところであります。

 米軍としても、住宅密集地や学校上空の飛行を回避すべきことは認識をしておりますが、必ずしも徹底されていない理由は、上空からパイロットが住宅や学校を十分認識できない場合があるという問題があります。だから私たちはわかったということではもちろんないわけでありまして、このため、パイロットが住宅密集地や学校の位置を上空から把握できるように、要請を受けた後、本年九月に東村に航空標識灯を二カ所設置したところであります。

 北部訓練場の周辺における騒音については、環境基準を満足しているところでありますが、今後とも、継続的に調査を行うとともに、さらなる影響の軽減に努めていきます。地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう、米軍と密接な連携を図りながら、万全を期していく考えでございます。

赤嶺委員 さっき防衛大臣も国頭村の村長や東村の村長にお会いしてきたとおっしゃっていましたが、オスプレイには反対なんですよ、着陸帯をオスプレイが使うことには反対です。日本政府は継続的に監視していると言いますが、監視して何でこんなにふえていくんですか。改善の跡が見えない監視。四千ヘクタール返ってくるためにはこういう騒音は我慢しろと言うんですか。四千ヘクタール返すのであれば、移設条件をつけないで返せ、これが当たり前じゃないですか。この問題は後でもやりますけれども。

 琉球大学の渡嘉敷准教授が、ことし四月に東村内の小中学生を対象にアンケートを実施しています。

 それによると、学校で遊んでいるときや授業を受けているときに飛行機やヘリコプターの音が気になったことがありますかという設問に、よくあるが三九%、あるが三八%、合わせて七七%が気になったことがあると答えています。自由記述欄には、うるさくて授業に集中できないことがある、学校周辺はやめてほしい、夜十時ごろよく空を飛んでいるのでうるさい、うるさくて寝られない、家の上は飛ばないでほしい、こういう言葉が並んでいます。

 子供の言葉からも、日米合意が全く守られていないということがよくわかります。

 高江は、山原の自然に抱かれた静かな集落です。そこにオスプレイが三機編隊でやってきて、二時間近く、パイロットの顔が見えるような低空で何度も旋回飛行を繰り返すんです。

 総理、学校がよく認識できないだろうから標識灯をつけるという話がありましたが、低空飛行なんですよ、向こうでの訓練は。パイロットの顔も見えるんですよ。こんな低いところから、飛んで、学校も見えないことなんてあり得ないですよ、住宅が見えないなんてあり得ないですよ。

 低空飛行を繰り返す、家のガラスが響き建物が揺れる、寝ていた赤ちゃんが飛び起きる、飛んだ後は頭痛、吐き気がする、こういう悲痛な声が上がっています。夜の十時台までそういう訓練を繰り返すこともあります。

 二つの着陸帯が完成しただけで、深刻な騒音被害が発生しています。残り四つの着陸帯をつくってしまったら、被害が一層拡大することが明らかではありませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、この四千ヘクタールというのは、今まで、陸上においては最大の返還の面積でありまして、米軍の沖縄における区域の約二割の返還がなされるわけでございます。その二割の返還をさせるためにはこの六つのヘリパッドというのが米側との約束でございまして、つまり、それを実行するためにはやらざるを得ないということは御理解をいただきたい、このように考えております。

 いずれにせよ、できる限り騒音等が軽減するよう、我々も最大限努力をしながら、米軍ともしっかりと緊密に連携をしていきたい、このように考えております。

赤嶺委員 この地域での低空飛行訓練というのはオスプレイだけじゃないんです。その前のヘリからなんです。問題は、四千ヘクタール返ってくるから、こういう騒音の被害が拡大する地域があっても仕方がないという政府の考え方なんですよ。条件をつけないで。これは十五カ所あるんですよ、今のところに。今のところに十五カ所あって、さらに六つつくる。これを認めなければ返さないというのは、返さないという国の方がおかしいんじゃないですか。こんな日米外交のあり方はおかしいと思いますよ。

 さっき総理は自然環境についてもお答えになりましたが、改めて問うていきたいと思います。

 山原の地域は、東洋のガラパゴスと呼ばれ、ここにしかいない固有種や絶滅危惧種が多く生息する生物多様性に富んだ地域です。

 まず、環境大臣に、山原地域の自然環境の特性や重要性についての認識、これを伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 沖縄北部の三村、国頭村、大宜味村、東村、ここに広がる山原地域は国内最大級の亜熱帯照葉樹林でございまして、ヤンバルクイナなど多様な固有種や希少種が生息、生育する、豊かな生態系を有する重要な地域であると認識いたしております。

赤嶺委員 山本環境大臣、一緒に沖縄問題を沖北委員会で取り組んできましたが、もうちょっと幅広く答弁なさるかと思いましたが、そういう豊かな自然を抱いた森です。ブロッコリーの森と呼ばれております。ちょうど上空から見たらブロッコリーのような、本当に豊かな自然が広がっております。稲田大臣、ヘリから見て見えたかどうかわかりませんが、そこは問いませんけれども、そうした山原の貴重な自然は、米軍基地の中でも米軍基地の外でも広がっております。

 ところが、政府は、基地の外では世界自然遺産の登録を目指すといいながら、基地の中では山を切り開いて米軍オスプレイのための着陸帯を建設しているのであります。極めて矛盾に満ちた対応と言わなければなりません。

 とりわけ問題なのは、七月以降の政府の対応です。

 もともと政府は、着陸帯の建設が環境に与える影響について、法律にも条例にも基づかないアセスメントを行いました。いわゆる自主アセスと言われているものです。ところが、その内容を変更するアセスの修正版を、七月と九月、二度にわたって出しました。当初は、工事の進め方について、動物への影響を少なくするために一つの地区ずつ行う、このように述べておりました。ところが、七月の修正版で、三つの地区同時に行う、このように変更をいたしました。それでも環境への影響については大きな変化はない、このように述べています。

 なぜ三つの地区同時に行っても問題ないという結論に変わったんですか。

深山政府参考人 事実関係に属することも多いので、私からまずお答えをさせていただきたいと思います。

 本年七月に、環境影響評価図書を新たに提出いたしました。これは、変更いたした点は、御指摘のとおり、着陸帯一地区ずつの施工から三地区同時に施工する、あるいは、資材の積みかえのために作業ヤードを新たに設置する、工事用モノレールあるいはヘリコプター等を使用する場合があるといった点で行わせていただいたものでございます。

 これは、一日も早く北部訓練場北部、約四千ヘクタールの返還を実現するために、環境も見据えながら、可及的速やかな工事方法をとりたいということで提出させていただいたものでございます。

赤嶺委員 事業者が事業をやる場合に、一日も早くと事業者が考える。しかし、環境アセスの観点からいってそういうぐあいにはうまくいかない。その場合には、アセスを尊重するというのが普通の事業の場合は当然であります。

 早くオスプレイの着陸帯をつくって米軍に提供したい。そのために、今までアセスという決まりはないんだが自主的にアセスをやってきた、それを、一カ所ずつやることによって環境が守られる、だけれども、今度は急いで提供したいから三つ一気にやる。これで環境が守られるわけないじゃないですか。

 沖縄県の環境影響評価審査会の宮城会長は、今度の政府のやり方についてこのように述べております。

 既に完成したN4地区の二基の着陸帯工事でも、雨水による土砂崩落事故が起きました。ここには既存の着陸帯があり、既に切り開いた場所を拡張する工事ですから、比較的容易なはずでした。それでも土砂崩落が起きました。これから工事する三地区四つの着陸帯は、全くの森林地帯を切り開いてつくります。でこぼこがあり、工事難航が予想されます。そこを、当初一年一カ月かけて工事する計画だったのに、急いで、半分以下の半年でやるというのです。同じ期間に何倍ものマンパワーが要るし、工事がずさんになる心配がある。一気に三地区工事すれば、想像できない環境負荷が出る可能性が高い、このように述べております。

 一体、防衛局は、防衛大臣、七月、九月のアセスの修正に際して専門家の意見は聞いたんですか。

稲田国務大臣 先ほど局長が答弁いたしましたように、本事業は沖縄県環境影響評価条例の適用外で、法的に義務づけられているものではありませんが、防衛省として、自然環境保全にできる限り配慮するという観点から、自主的に環境影響評価を実施したところでございます。

 なお、いずれの検討図書についても、本来であれば事後調査において調査検討するものと考えますけれども、あらかじめ自然環境の保全の観点から環境に対する予測、評価を行い、沖縄県に対してこれらの図書を提出して、その内容について説明をいたしているところでございます。

 防衛省としては、沖縄の負担軽減のために、四千ヘクタール返還に向けて、引き続き、環境の保全及び施工の安全に最大限配慮しつつ、移設工事を着実に進めてまいりたいと思います。

赤嶺委員 専門家の意見を聞いていない。自主アセスと言いますが、あなた方は、アセス法に劣らないアセスをやったんだと言って、自慢げにずっとやっていたじゃないですか。今ここに来て、アセスのレベルを落としたから、自主アセスでありますから、こういうことをやらないでいいですというのは通らない話ですよ。

 七月の修正版では、資材運搬のために工事用モノレールを使おうとしておりました。何で工事用モノレールを使うかと聞きましたら、伐採樹木が発生しない場所を選定していることから、環境に与える影響は回避されると述べていました。ところが、九月にまた新たな修正版を出して、モノレールはやめました、工事用道路を整備する計画に変更します、このように言って、あの山原の森、ブロッコリーの森と言われている自然豊かな森の三千七百本の、それ以上の樹木の伐採を進めて、工事用道路をつくったんですね。

 これは総理、総理に伺いますが、自主アセス、環境に影響ないようにと言いますが、工事に合わせて都合よく評価を変えている、こんなこと、これは許されないんじゃないですか。

深山政府参考人 九月にもう一度提出いたしましたアセスについて、事実関係だけ御報告させていただきます。

 御指摘のとおり、当初、工事用モノレールという計画を持っておりましたが、工事用車両の運行、通行を計画しておりました道路の一部につきまして、大変反対の方等もいらっしゃり、通行が困難な状態がさらに悪化しているということを踏まえまして、モノレールにかえまして工事用道路を整備することといたしたものでございます。

 いずれにいたしましても、できる限り環境に対する影響がないように考えまして、その上で評価を行いまして、アセスとして提出いたしたところでございます。

赤嶺委員 事実経過というのはもうちょっと真面目に答えてください。

 工事が難航しているのは、農道、村道は使っちゃいけないという村長の態度表明があったからですよ。モノレールであれば木は伐採しなくて済んだ。しかし、モノレールを使わなくなったから三千七百本の木を伐採した。それでも自然に配慮していますと言う。こんな言い分は絶対に通らないと思いますよ。

 大体、総理は四千ヘクタールの返還と言いますが、四千ヘクタールの返還地のオスプレイは七カ所ありました。しかし、それは、ふだんから住民が見ておりましたが、ほとんど使われていない着陸帯でした。使われていない着陸帯を、アメリカの海兵隊も最近の報告書の中で、返還される地域の着陸帯は使われていない、これを政府に返還したら日本政府が新しい着陸帯を六カ所つくってくれる、こんな効率的なものはないと言っているんですよ。

 地位協定の二条でも、使われていない基地は速やかに返還する、移設条件をつけてはいけないということになっているわけですよ。当然じゃないですか。

 移設条件をつけないで直ちに四千ヘクタール返還をすべきだと思いますが、これは地位協定上も当然の立場だと思いますが、いかがですか。

稲田国務大臣 冒頭、委員も御指摘になったように、北部訓練場の過半の返還は、平成八年十二月にいわゆるSACOとして日米合意をし、普天間飛行場の移設と同様、二十年来の懸案事項でございます。

 今回、ヘリコプター着陸帯を移設、七カ所から六カ所にすることにより、七千五百ヘクタールある訓練場のうち、その過半の返還をいただくということでございます。

赤嶺委員 意味不明な答弁でしたが、移設条件をつけているから二十年来事態が進まないわけでありまして、沖縄の基地の整理縮小は、移設条件をつけないで無条件で返還すべきであるということを強く申し上げて、質問を終わります。

浜田委員長 これにて笠井君、赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 日本維新の会の下地幹郎です。

 質問をさせていただく前に、総理、きょうの夕刻から夜にかけて、沖縄、奄美そして九州と、非常に大きな台風が接近しています。きょう、この地域に当たる皆さんは早目早目の避難をしていただくということと、自治体そして消防、警察、海上保安庁、自衛隊は、万難を排してその態勢をしていただきたいというふうに思っております。総理からも、ぜひそのことをしっかりと皆さんに指示していただきたいというふうに思っております。

 さて、私ども日本維新の会は、八月の二十三日に党名を変更しました。大阪の改革を全国へということは全く変わるものではありません。そういう意味でも、日本維新の会として、これから全国政党として大きな役割をしっかりと果たしていきたいというふうに思っております。

 私たちの党のスタンスを申し上げて、質問をさせていただきます。

 一つ目には、ずっと通常国会からも申し上げているように、政策提案型責任政党。野党とか与党とか、保守とか革新とか、そういう言葉に縛られないで、しっかりと提案をしていく、そして反対する場合には対案を出す、こういうことをしっかりやっていきたいというのが一点目なんですね。

 二点目には、国会審議。絶対に国会審議は私たちは拒否しない、どんな審議であっても出ていく。TPPがこれから論議されるようでありますけれども、日本維新の会が審議に応じない、こういうことはなくて、しっかりと政権と向き合って論破していくというような思いでこれからやっていきたいということです。

 また、党としての野望といいますか、私たちは、二〇二〇年、二一年、あと五年後をめどに政権をとりたい、ここに並びたいというふうに思っているんですね。安倍総理が三期九年終わった後、その次を狙っていきたいというふうに思っております。

 そのためには、まずは野党第一党にならなければならない。野党第一党にならないで政権をとるなんといっても誰も話を聞いてくれるわけはないので、そういう意味では、私たちは野党共闘という言葉は絶対にやらないんですね。

 とにかく、まずは民進党を抜いていく、これが私たちの一番の今の課題なんですよ。だから、野党共闘をしたら野党第一党になることを放棄したようなことになるから、それは絶対にやらない。これは選挙においてもそうですね。選挙においても、綱領とかイデオロギーが全然違うのに一緒になって選挙を戦う、これはあり得ない話ですね。そういうふうなこと、特に共産党の入っている政党と一緒にやるということはあり得ない。

 こういうことは明確にしながら、これから、スタンスを明確にしながら、質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今度、参議院選挙で改選二から七になりました。よって、改選に非改選を加えると十二になりましたので、私どもも参議院においては法律を出せる、こういうことができるようになったんです。

 マニフェストを示すということはやってまいりましたけれども、このマニフェストを法案にして出していくことが今回できるというようなことになりましたので、私たちは今回、この臨時国会で百本の法律の提案を目指して今頑張っています。

 そして、第一弾が、九月の二十七日に、出ておりますように、十一本の法律を出させていただきました。そして第二弾を十月の十一日、二十本出させていただこうというふうに思っています。第三弾が十月の三十一日、これは二十本出す。全部で六十本の法律をこの国会の中でまず十月までに出して、十一月に残りの四十本を出そうというようなことを目指して今頑張っているんですね。

 法制局の皆さんには非常に御苦労をかけますけれども、日本維新の会がマニフェストから法律をつくるところまで来たというようなこと、政権をとったらこういう法律をこの党はつくるんだなとわかるような姿をぜひ皆さんに見ていただこうというふうに思っています。

 総理、これをちょっと見ていただきたいんですけれども、十一本ありますけれども、一本は、選挙区支部の寄附を禁止する法案というのがあります。これは、民進党の政調会長の、寄附を支部から行っていたというようなことがありますので、こういうふうな誤解がないように、この法案をつくって、選挙区支部からも花代とかそういうのは出せないようにするというのがまず一本目です。

 二本目は、これは政治資金の使途の制限をやる法案ですけれども、東京都の前知事の舛添さんが、政治資金で個人的に絵を買ってこれを外交的に使ったとか、こういう言いわけをしておりましたけれども、政治資金ではこういうような個人的なものは買えないというようなことをやるということを二番目に書いてあります。

 あと、一の五ですけれども、文書通信費の公開をする。今、富山でも問題になっておりますけれども、こういうことをやりたい。しっかりと、税金で使うものは明確に使途を私たちは国民の皆さんに見ていただくようにしていきたいというようなこと。

 全部で十一本出してありますから、その中で、きょうは三本だけ、皆様にちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 一つ目は、十一番目の二重国籍の問題についてちょっと質問させていただきたいと思うんです。

 外務大臣、外務大臣のところの外交を行う外交官は二重国籍が禁止されていますけれども、何で外交官は二重国籍が禁止されているんでしょうか。

岸田国務大臣 おっしゃるように、国家公務員の中で外務公務員、外交官は二重国籍が認められておりません。やはり外交の現場において特に国益をかけて仕事をしなければいけない、こうした特殊性に鑑みてそういった措置が行われているものであると認識をいたします。

下地委員 経済産業大臣、経済産業大臣の省には外交交渉というのはないんですか。

世耕国務大臣 外交交渉ですか。経済産業省は、もちろん貿易交渉はあると思いますけれども、通商交渉はあると思いますが、いわゆる外交という交渉は経産省の所掌には入っていないと思います。

下地委員 ちょっと私の表現が悪かったですけれども、通商交渉ですね。権益を持って、外国との交渉をするというのがあるわけなんです。

 しかし、外務省だけなんですよね、今二重国籍が禁止されているのは。

 総理は、今回で、一次、二次とかいって、もう七回内閣を改造していますけれども、この七回の中で、大臣を選ぶときには二重国籍についてチェックすることはありますか。

安倍内閣総理大臣 殊さら我々はチェックをしておりませんが、基本的に、我が党の議員は二重国籍ではないという認識に立っているわけでございます。

下地委員 ちょっとこれを見ていただきたいんですけれども、二重国籍というのは、二重パスポートが持てるんですよね。

 これは一つの例なんですけれども、この二重国籍の論議が大きくなってきたのは、民進党の代表選挙でこれは大きくなってきたんですけれども、我が党に対しても非常に多くの問い合わせがあったもので、我が党の考え方としては、二重国籍を持っている方は国会議員になれない、こういう法案を今回、十一番目に出したということなんです。

 日本から自分のパスポートで台湾に行きます。台湾に行った後、台湾からは日本のパスポートじゃなくて、そのまま北朝鮮に行くとか、そしてその後インドネシアに行くとか、そしてもう一回台湾に戻ってきて、台湾に戻ってきたら、そのまま日本のパスポートで日本に入るというようなことができると言われていますけれども、外務省領事局長が来ていると思いますけれども、これはできますよね。

能化政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省といたしまして、日本旅券所持人の海外渡航履歴を逐一把握する立場にはございません。

 ただ、一般論として申し上げれば、重国籍の方が日本とほかの国の旅券の二つを携行して、日本の出入国の際に日本旅券を使い、第三国との出入国に際し他国の旅券を使うという状況は想定し得るところであります。

下地委員 きょうは法務省が来ていますけれども、法務省、二つのパスポートをつくって台湾から海外に行ったというようなことを、日本に帰ってくるとき、私が日本のパスポートだけだったらどこに行ってもわかってくるわけなんですけれども、二重パスポートを使った人は、日本に入るとき、どこを回ってきたか、別のパスポートを使ったか、全部わかりますか。

井上(宏)政府参考人 入管法上、日本国籍を有する二重国籍者は日本人として取り扱われますので、その出帰国に際して、入国管理局では日本旅券の有効性をチェックするなどして出国あるいは帰国の確認をしておりますが、その者が出国中にこれとは別の外国旅券を使って外国とその他の外国との間を移動したといたしましても、一般的にはそのような事実を把握することはできません。

下地委員 総理、この二重国籍というのは、二重パスポートが持てるということで、先ほどからお話があるように、なかなか行動がチェックできないというのが大きな問題点なんですよ。

 また、アメリカなんかではどうですか。アメリカの入管ではこういうことがチェックできるようになっていますか。

井上(宏)政府参考人 お答えいたします。

 突然のお尋ねですので、アメリカの実情、つまびらかでございませんが、アメリカのパスポートを見ている限りにおいては、そう簡単に把握できないだろうと推測できます。

下地委員 私は二重国籍でできることを今申し上げているんですけれども、二つ目にできることとなると、アメリカで二重国籍の日本の方がアメリカの選挙に出るときは、上院で九年間、下院で七年間、向こうで住まなければならないということになっているんです。カナダも市民権が必要でありますし、オーストラリアも市民権が必要なんです。

 ただ、日本だけは、そういうことが全くルールがなくて、そのままできるというような、戸籍はもちろんですよ、これは二重国籍だから。これはこれだけでできるということになっていますから、そういう意味でも、私は、先ほど外務大臣が話をしたように、外交上のさまざまな情報とか、こういうふうなことを持てる方については二重国籍ではだめだというようなことをまず明確にしておきたいというふうに思っています。

 もう一つ、次のパネルを見てもらいたいんです。

 今、私どものところに多くの問い合わせが来るんですよ。この問い合わせの一番は、蓮舫さんに関することなんです。

 選択宣言というのがありますけれども、私は日本人になりたいと選択宣言すると、戸籍にそれが、現に有する外国籍というところと、国籍の選択宣言をしましたかということがきちっと書かれるわけなんです。書かれて、では次の、自分が持っているA国があるとしたならば、A国の外国籍は、これは努力義務なんですけれども、国籍を離脱しなさいと書いているんです。

 この前の蓮舫さんの問題は、この選択宣言をしたけれども外国籍の離脱を、努力義務をやっていなかったというようなことでずっと、代表選挙の後に離脱をしたというようなことを今言っているんですよね。

 しかし、今いろいろなところの問い合わせが来ると、蓮舫さんは、この選択宣言をやっていなかったんじゃないか。選択宣言をせずに、今回初めて外国籍の離脱をする。だから、外国籍の離脱を初めて今回するということは、戸籍にちゃんと国籍の選択宣言をしたというようなことが入っていないんじゃないかという疑惑が相当出てきているんです。(発言する者あり)だから、これは反論できないんですけれども。

 ただ、私が申し上げたいのは、こういう問い合わせが数多く来ている以上は、このことをしっかりと証明する義務があるのではないかというふうに思っているんです。

 私たちはなぜこういうことを言うかというと、オバマ大統領も、二〇〇八年の大統領選挙のときにも、出生証明書がないと言われたとき、みずからが、ハワイの保健所からこの証明書を出してちゃんと、しっかりと、自分はアメリカ国籍があるということ、出生地がアメリカであるということを証明しているわけなんです。

 そういう意味でも、私どもはこの二重国籍の問題を非常に大きく考えておりまして、この法案を出すという選択肢は、やはり、二重国籍であって国会議員をやる、二重国籍であって、今回は出せませんでしたけれども、国家公務員をやるというようなものは、今回しっかりと法案を出して、できないというようなことを明確にしていくことが、この国の将来のためにも大事だというふうに思っている。

 今回、蓮舫さんの件については、私が申し上げた、本人しかわかりませんから、戸籍をしっかり出して、私は選択宣言をしてきたというようなことは明確にされることが大事じゃないかなというふうに思うんです。

 蓮舫さんの場合は、代表で、SPがついたり国の多くの人たちが彼女の周りで役割を果たしているわけですから、自分が言ってきたこと、選択宣言をしたけれども努力義務を怠っていたということであれば、それでよし。しかし、外国籍の離脱をしてこなかったというならば、これは大きな問題があると思っていますので、このことは党としても明確になされる方が、これから政権をとるという意味では大事なことではないかと思いますので、指摘をしておきたいというふうに思っております。

 それでは、総理、今度は憲法のことについてお話をさせていただきたいというふうに思っています。

 総理、憲法改正がきょう論議にも相当なりましたけれども、これを見ていただくと、二〇一六年、今度の臨時国会の憲法調査会でしっかりとこれがスタートして、それで秋に国会を行って、そして二〇一八年に国民投票を行って、二〇一八年に関連法案をやって、そして二〇一九年に教育、もしやれるのならば、教育の無償化というものを私たちは提案していますから、これを早くやろうというと、二〇一九年までにできるということなんです。

 きょうの論議でもそうですけれども、自民党の総裁として、憲法調査会での項目の絞り込みというところがあるんですけれども、そこに自民党の草案を全部出されるおつもりなのかどうなのかということを明確にした方が審査会が進むのではないかと思いますけれども、総理、いかがですか、そこは。

安倍内閣総理大臣 自民党としては、憲法改正については自民党草案として前文から全てお示しをしているところでございますが、基本的に、改正の国民投票に付す場合は逐条的に行っていくわけでございまして、憲法改正は、国会が発議して、最終的に国民投票において国民が決めるものであり、どの条文をどのように変えるかは国民的な議論の末に収れんしていくものと考えておりまして、建設的な議論が行われ、収れんされていくことを期待したいと考えております。憲法調査会においても、自民党の全てをどんと出すということは考えてはいないのではないか、このように思います。

下地委員 ここをもう一つ踏み込んで、総理の方としても、私どもは、今回の臨時国会でお互いの党がこの項目を出し合って、我が党は教育の無償化と憲法裁判所と地方分権の三つを出そう、こういう準備をしているわけですけれども、総理のところも項目を絞って出す、自民党としても出す、そういうお覚悟が、気持ちはあるというふうに考えていいわけですね。草案全体を出さないというのは今わかりました。今度の臨時国会の審査会においては、項目を絞って自民党として出していくというようなお考えだということですね。

安倍内閣総理大臣 どこをいつまでにどのように出していくかということは、これは党で議論して決めていくということになるんだろうと思いまして、私どもは党の方に任せたい、このように思っております。

 ちなみに、御党の方においては既に幾つかに絞って議論をされているということについては敬意を表したい、このように思います。

下地委員 三分の二に衆参がなったというのは初めてなんですよね。そういう意味でも、今回の臨時国会で憲法審査会が動かないとなると、私どもとしても、参議院の選挙でもこれだけ憲法の意味というのをずっと訴えてまいりました。また、特に、憲法と同じ時期にできた地方自治法とか刑事訴訟法とか教育基本法とかというのは相当に変わっているんですよね。

 そういう意味では、憲法だけはもう変えなくてもいい、法律についてはその時々の社会情勢によって変えていくんだけれども、憲法はずっと七十年間変わらないというのは、私たちは、正しい選択じゃないというのが日本維新の会の考え方なんですよ。そこを私どもはリードしたいというふうに思っておりますけれども、やはり最大与党である自民党がその方向でやるということを言わないと、これは私どもの十五名では引っ張れることではありません。

 そういう意味でも、もう一度聞きますけれども、この部分は大事なので、とにかく、今回の臨時国会の調査会、ここは項目を絞ってやるような努力をしていく、こういうことを明言していただいて調査会を動かしていただきたいと思うんですけれども、総理、改めていかがですか。

安倍内閣総理大臣 我が党のスタンスは、そもそも改憲ということは立党の党是と言ってもいいわけでありますから、この国会においてもそういう努力を我が党はしていくということは当然のことであろう、このように思っております。

下地委員 はいとはなかなか言いませんけれども、しかし、私どもは小沢鋭仁会長のもとに、自民党にも公明党さんにも民進党さんにも憲法審査会をぜひ動かしていただこうというふうに思っておりますから、ぜひ総理の方からも自民党にしっかりと申し上げていただきたいというふうに思っています。

 次に、先ほど日ロの問題についていろいろな御審議がありましたので、私の方からも日ロについてちょっとお聞かせをいただきたいというふうに思っています。

 一九七二年の五月の十五日、これは沖縄の復帰のときでした。私も、十歳で小学校五年生、学校に行ったら先生から紅白まんじゅうと記念品をもらった、日本に返還されたというような思い出があるわけです。

 そういう意味でも、あの喜びを北方四島の方々にもぜひ感じていただきたい、そういうふうな思いがあります。

 今回、総理はプーチン大統領と十一回ですか、会談をなされてきたと思うんですけれども、私はきょう朝の質問などを聞いていて思うんですけれども、一九五六年の十月の日ソ共同宣言とか、一九九一年、ソ連の崩壊後の交渉だとか、東京宣言が九三年、川奈提案、そして森・プーチン会談と、何回か歴史的な会談が行われていますけれども、この会談の中で日本の総理大臣が四島の帰属を明確にしないで交渉したという経緯はあるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 五六年については五六年宣言のとおりでございますが、その後の交渉の経緯については、これは交渉の中身でございますから今ここでつまびらかにすることはできないわけでございますが、日本の不動の方針について言えば、北方四島は我が国固有の領土であるということでございまして、四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するという基本的な考え方のもとに我々は交渉を行っているところでございます。

 しかし、一九五六年からもう既に六十年が経過をしているわけでございまして、島民の皆様も当然相当お年も召されたわけでございまして、その中で我々はしっかりとチャンスをつかんで実現に向けて進めていきたい、平和条約の締結に向けて進んでいきたい、こう考えているところでございます。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

下地委員 私たちの沖縄が一九七二年に返還されましたけれども、その前に小笠原が先に返還されて、その前に奄美大島が返還されて、そして沖縄が返還されて今につながっているわけなんです。

 だから、私の考え方というのは、帰属を明確にすることは、これはもう不変だと思うんですね。我が国で四島を、二島先行返還という言葉がよく出ますけれども、二島先行返還という言葉は、四島の帰属を明確にした後の二島先行返還であるというのは当たり前のことだと思うんですよね。

 そういう意味でも、私は、帰属さえ明確にしておけば二島先行返還というのは、この沖縄返還につながったやり方からすると、四島にこだわって二島が先に来ないというようなことではなかなか、先ほど総理が言った六十年間というのは解決ができないと思うんですね。

 そこで、総理は新しいアプローチという言葉を言っておられますけれども、この場所でどういうアプローチか言えるわけはないと思うんですけれども、新しいアプローチという考え方の哲学みたいなものと、プーチンさんが二〇一二年の三月に言っている引き分けという言葉の意味、この両方のベストミックスみたいなものは、内容じゃなくて、哲学論としてどういうようなものをお考えになっているのか。

 一つを言えば、国境線を設定しないであるとか、お互いが残りのものには主権を主張しないとか、この二島については経済政策をしっかり先にやっていくとか、いろいろなアプローチだとか引き分けの話があると思うんです。

 ただ、四つの島があるから二対二で引き分けというそんな単純な論理ではないことは確かだと思うし、そういう意味でも、総理が今考えている姿みたいなものが少しあれば教えていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 戦後七十年を経てもなお解決をしていない、五六年宣言からももう既に六十年たってしまっているわけであります。

 今委員は御地元である沖縄の例、小笠原の例を挙げられましたが、沖縄、小笠原と決定的に違う点は、いわば、日本の島民があそこには、残念ながら追い出されてしまって住んではいない。既にロシア人が住んでもう七十年が経過をして、そこにはいろいろな施設等が建っている中での交渉でございまして、非常に困難を伴うわけでございますし、さらに、これから例えば二十年、三十年たってしまったら百年になってしまう、歴史となってしまうわけでありますから、そうはならないように我々はしっかりと交渉していきたい、こう思っているわけであります。

 プーチン大統領との間では、五月のソチにおける首脳会談を行いまして、これまで停滞してきた交渉に突破口を開くため、未来志向の考えに立って、今までの発想にとらわれない新しいアプローチで交渉を精力的に進めていくことで一致をしたところであります。

 そして、先月、ウラジオストクにおいて、これは通算十四回目でありますが、十四回目の首脳会談を行って、二人で突っ込んだ議論を行いまして、交渉を具体的に進めていく道筋が見えてくるような手応えを強く感じることができたわけでございました。

 そこで、経済分野を含め、幅広い分野で日ロ関係を国益に資するような形で進めていく中で、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、引き続きロシア側との間で粘り強い交渉を行っていきたいと思います。

 これ以上中身に入りますことは、まさに今交渉中でございますので、控えさせていただきたいというふうに思います。

下地委員 朝の民進党の前原委員のお話を聞いておりましたら、歯舞、色丹は領土の中でも七%しかないというようなお話がありましたけれども、これは七%のものじゃなくて、この二つが返ってきた後のEEZの大きさというのは大きいんですよね。沖縄なんかでも一%に満ちませんよ。〇・七%しかないですけれども、沖縄があることでどれだけの海域が日本のものになっているのかということを考えると、あそこで領土の七%の話が論議になるのも私はおかしいと思いましたよ。

 それともう一つは、あの時期に、今アメリカが厳しいという話がありました。政権交代時期に領土問題の話をするのはどうかということでありますけれども、しかし、僕は、安倍総理はそう単純に日米外交をやってきたんじゃないと思うんです。

 今回も、国連においても、難民の支援をやると。さまざまなこと、アメリカが理解すること、そしてアメリカが嫌な、クリミアにも訪問したりしてロシアとの関係をやる。今度、世耕大臣をロシア担当の経済担当大臣にする。制裁をしているG7の国の閣僚にロシアの経済担当を置くということは、これは相反するようなことだけれども、それまでやってロシアとの問題を解決していく。

 どのみち内政を行ってもロシア、どのみち外交をやってもロシア。とにかく、十二月のロシアの問題を解決するのが安倍内閣の最大の懸案だと思いますけれども、これは安倍内閣の懸案じゃなくて、国民全体の懸案だと思うんですね。

 だから、私は、沖縄で生まれ育って沖縄の復帰のこういう状況を見ている者として、四十四年ぶりに領土が戻ってくるんですよ、四十四年ぶりに。施政権が戻ってくるということになると、総理、あらゆるものがある意味犠牲になる可能性もあるというぐらいの強い気持ち。あのときも、サンフランシスコ条約においても、吉田総理の決断というのは厳しい決断があった。沖縄においては屈辱の日だと言われるかもしれませんけれども、あの決断があってこれが前に進んで今があるというようなことがある。あのときちゅうちょしていたら前には来なかったと思うんですね。また、ダレスの恫喝事件とか、こういうこともよく言われていますけれども、とにかくこのチャンスを逃がしちゃいかぬ。十二月はどんなことがあってもやっていく。

 だから、TPPの論議が、これをちゅうちょすることで、TPPもまた、このロシア問題からすれば私は小さいことだと思うんですよ。それぐらいの、何かを犠牲にしてまでも十二月を決定づけていく、こういうことをぜひやっていただきたいというふうに思っていますから、そのことについての意気込みをぜひ聞かせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この四島の問題は、確かに先生がおっしゃったように、四島だけではなくて水域もあるわけでありまして、今まで、この水域もかつてはソ連側にとられていたわけでありまして、多くの漁民が拿捕され、あるいは銃撃をされて、多くの方々が命を落としたのも事実でございます。

 そういう意味におきましては、島だけではなくて、水域も含めて当然考えていかなければならない、こう考えています。いずれにせよ、大変難しい問題であります。

 また、米国との関係においては、同盟関係でありますから極めて我々は重視をしておりますが、ただ、今、下地委員がおっしゃったように、この四年間、日米同盟というのははるかに深化し、強化されたわけであります。平和安全法制によって、先般もオバマ大統領はスピーチにおいて、日米同盟ははるかに今までよりも機能するようになったという趣旨の話をしておられるわけであります。

 そういう信頼関係の中における日ロ交渉というふうにも考えていただいていいんだろうと思いますが、この七十年の異常な状況に終止符を打つために、少しでも進めていくために全力を尽くしていきたい、このように考えております。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

下地委員 この問題は、非常に私どもも注目していますし、しっかりと御支援をさせていただきたいと思っておりますから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 さて、先ほど赤嶺委員からも話がありました沖縄の問題をちょっとお話しさせていただきたいんです。

 これは今、裁判をやっているんですけれども、このまま上告していくと最高裁の判決が出てくるわけなんですけれども、最高裁の判決が出る前に、和解条項というのがあって、和解の九項というのがあって、国と沖縄県が結んだ中において、判決が出たらこの判決に従っていくというようなことを沖縄県も言っております。また、翁長知事が原告質問に、裁判所の結論が出たらそれに従うのは行政の長として当然だ、こういうことを裁判の中でも言っているんですね。

 今、この判決が出て、そして最高裁の判決が出ても従わなかったら、代執行という訴訟があるんですよ。代執行の訴訟をやると、沖縄県はまたそれに対して裁判をする。裁判をしたら、そこで結果が出たら、また上告をして最高裁の判決というような、今回の裁判の結果が出ても、もう一回、代執行を行うときに、それに反対する沖縄県との間で福岡高裁で裁判をして、そしてまた最高裁まで行って結論が出る、こういうふうな手順になってくるわけですけれども、きょう法務省も来ていると思うんです、この手順で間違いありませんか。来ていませんか。防衛省か。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生がおっしゃられましたように、翁長知事は法廷における本人尋問や主張書面などで、裁判所の確定判決には従うと繰り返し述べておられます。判決確定後に、判決の内容、趣旨に反する行動をとらないというふうに当方としても考えております。

 いずれにせよ、この普天間飛行場移設事業につきまして、最高裁判所に最終的な司法判断が示された場合には、翁長知事は行政庁の長として司法判断を十分に尊重し、これを前提としてその後の行政運営に当たるべきことは法の支配の見地からも当然であり、ひいては普天間飛行場の移設に関する約二十年来の懸案を解消することにつながるものと考えております。

 以上でございます。

下地委員 僕は翁長知事にも話をしたことがあるんですけれども、これはもう裁判しない方がいいと言ったときがあるんですよ。

 次のパネルを見ていただくとわかると思うんですけれども、私は、県知事に選ばれた後、県民投票をして、県知事は辺野古だけで選んだわけじゃないと言う方もいるので、県民投票で賛成か反対かをしてやった方がいいというようなことを申し上げた。それが一番民意としては正しいやり方だというふうに思っていたんですけれども、何を考えたか、裁判に打って出ちゃって、この埋め立てを、これは三権分立の中で結果が出ると、従わないというようなことになるとやはりおかしいと思うんですよね、誰が考えても。また、自分も裁判所でそういうことを言ってきたわけだから。

 しかし、この裁判、国が裁判に勝つかもしれませんけれども、これの背景というのを見ると、やはりそれは、裁判の結果は国が勝って、これは三権分立を絶対にやらなければいけないというけれども、仲井真さんが公約を変更して印鑑を押した。印鑑を押したことはもう取り返しがつかないぐらいに法的にはこれは当たり前になってきますけれども、政治的には、この印鑑を押したことをもって、この最高裁の判決をもってやはり押し切って沖縄に行くというのはなかなか簡単じゃないなと思うんですよね。

 だから、普通の、何もない裁判で最高裁が勝った、だから国はやらなければいけないという論理ではなくて、やはりここにこの沖縄の難しさがあると思うんですよ。

 総理、背景がこういう状況の中でも、裁判結果のみで普天間の状況を押し切っていくという考え方を総理の中にやはり強くお持ちですか。

安倍内閣総理大臣 確かに、下地委員のおっしゃるように、沖縄の状況は、辺野古への移設については、非常に難しい状況になっているのは事実でございます。

 しかし、一方、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間の危険性を一刻も早く除去するための唯一の解決策でありまして、この考え方には変わりはないわけであります。これは日米両政府の共通の認識であります。

 かつて、最低でも県外ということによって、鳩山内閣の時代に普天間の移設問題についてあらゆるオプションをゼロベースで幅広く検討したわけでありますが、検討した結果、結局、他のオプションはなく、再び辺野古を移設先として決定したわけでございます。

 この迷走が、沖縄県民にとって、政治に対するかなり決定的に近い不信感となったことはよく理解できるわけでございますが、我々としては、つまり、この普天間の固定化は断じてあってはならないわけでありますし、この危険性を一日も早く除去するためには辺野古への移設しかないということでございます。

 そして、裁判の対応につきましては、先ほど既に局長から答弁がなされたように、高裁判決では、翁長知事が行った埋立承認の取り消しは違法であるとの国の主張が全面的に認められたわけでありまして、今後、最高裁の判断も示されるものと考えておりますので、最高裁の判断に注目したいと考えているところでございますが、翁長知事も、裁判所の確定判決には従うと述べているというふうに承知をしております。

 また、和解の内容は、司法の判断が示された場合には、国と沖縄県の双方が直ちに判決に従うことは当然として、その後も判決の趣旨に従って誠実に対応するというものでございます。これがまさに国と沖縄県の和解の内容でございまして、法治国家として、翁長知事が確定判決の内容や判決の趣旨に反する行動をとることはあり得ないというふうに考えております。

 普天間の固定化を回避することが和解の目的でありまして、政府としては、引き続き、和解条項に従い、誠実に対応していく考えであります。

下地委員 先ほども申し上げましたが、総理がおっしゃるように、裁判結果には従わなければいけない。三権分立ですから、最高裁の判決が出たらそうなると思います。

 ただ、私が先ほど申し上げた、最高裁の判決の、裁判をやる根拠になっているものが、この過程の中で、大きく混乱をしながらこの裁判につながっているという、こういうふうな過程があるんだということを認識すると、なかなか難しい。裁判で勝ったからといって、すぐに行けるような状況ではないということは申し上げさせていただきたい。

 それと、もう一個パネルを見ていただきますと、今、裁判の結果が出て、翁長さんがそれに従わないというようになると、次、県の対抗策というのは何かというと、もうこの三つしかないんですね。

 サンゴ礁の移植を十分にやるというのは仲井真さんが決めたことなんですけれども、これをやる。しかし、防衛省が誠実にやったとしても反対するわけだから、七割やっても、三割しかやらないとか言って、これはもう、対抗措置としてやろうということが簡単にできる、最後は裁判になるというようなことがサンゴの移植の問題でも出てくる。

 そして、沖縄県が条例をつくりまして、この条例によると、当該の埋め立てに使う八割が県外からの砂、砂利になってくるんです、これについて県が条例によって中止の勧告ができるという制度をやってきますから、これで翁長さんはまた国に対して対抗措置をしてくる、こういうふうなことにもなってくる。

 そしてまた、三番目には、工事の設計変更。一回ごとに沖縄県の埋立承認が必要になってきますから、岩国でも八回ありましたから、これは十三回ぐらいあると言われていますけれども。これをまた一回ごとにやっていくというふうになると、これはなかなか、この最高裁の結果が出ましたということで、では、翁長さんがノーだと言ったら、対抗措置はこれがありますよとなると、辺野古はなかなか前に進まないという現実があるというのが私の見方なんです。

 私は、ここで総理に新しい提案をさせていただきたいんです。

 もう一度、私が今考えている提案なんですけれども、シュワブを陸上で、翁長さんは埋め立ては嫌だとおっしゃるから、しかし、シュワブの陸上をしっかりと確保して使う。それで、馬毛島を今、私はずっと、この前も鹿児島に行ってきましたけれども、馬毛島を日米共同の訓練地として使っていく。

 そして、今、今までの私たちの考え方をもう一回がらっと変えて、どこに普天間を移すのかということが争点だったけれども、あのころ、橋本・モンデール会談のころは八万回飛んでいましたよ。今はもう、総理がハリアーを移したり、空中給輸機を移したりと、岩国に移しましたので、二万四千回です。私の見方だと、いろいろな方々と相談すると、シュワブの陸上案とか馬毛島を活用すると五千回ぐらいにまでなるので、世界一危険な飛行場としての普天間の位置づけというのはもうなくなってくるんじゃないかと私は思うんです。

 だから、ここは沖縄の人に決めてもらったらいいんじゃないかと思うんですね。普天間をそのまましばらくの間残して使うことをやるのか、それとも埋め立てを拒否するのか。埋め立てを拒否するんだったら普天間を使わせてくれ、埋め立てをやるというなら普天間をなくそうじゃないかと。ここは、もう今のままでは、翁長さんにどっちかを選択してもらう。もう本当に、あなた、辺野古が嫌だというんだったら、安全保障上は普天間をこれ以上使う以外道がないよ、それは認めますねというようなことを言いながら、今回は安全保障上の落としどころをつくって、これをやっていく。

 この前、アメリカに行って話をしましても、海兵隊の方々に聞いていても、普天間の二千八百メートルの滑走路は魅力ですよ。これはもうなかなかつくれない、沖縄では。

 私は、もう一個パネルがありますけれども、これを見ていただきたいんです。私も一応、防災担当大臣をしたときがあるんですよ、過去に。那覇空港は海抜一メートル。嘉手納基地というのは海抜十五メートルから十六メートル。そして、シュワブができても海抜一メートル。普天間だけ六十五メートル以上あるんですよ。沖縄は、五メートル以上の津波が来たら全部孤立しますよ。だから、どんなにしても、私は、普天間はそのまま残した方がいいと思うんです。使わなくても普天間は、国連とか防災基地という観点からしても残した方がいい。

 総理、ちょっと頭を、ひっくり返って、物事を変えて、もう、辺野古を埋め立てなければ安全保障が守れないというんじゃなくて、普天間を使いながらどうやってこれから新しい対応をしていくかということも、ぜひ、私は、最高裁の判決やこれからの県の対応なんかを見ていたら、そろそろ国が考える時期に来ているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、総理のお考えを聞かせてください。

安倍内閣総理大臣 先ほどもお話をさせていただきましたように、我々、一日も早い普天間の危険性の除去を行わなければいけないという責任を有しているわけでございます。

 ここで、地元の議員として下地議員がいろいろな案を考えておられるということにつきましては敬意を表したいと思うわけでございますが、我々、ここでまた新たな案ということになれば、その検討だけで相当の月日を費やしていくわけでございます。そしてまた、もう下地委員が重々御承知のように、これは米国との協議の上で合意を積み上げながら進めていくしかないわけでございますので、普天間の移設先としては辺野古が唯一の解決策であるという立場に変わりはないところでございます。

下地委員 辺野古が唯一のというのに変わりはないというのは、これはもう十分わかります。ただ、今の現状が決して楽ではないということになっておりますから、そのことを認識することが大事だと。

 菅官房長官が帰ってきましたので、どうぞ。

浜田委員長 もう一回、ちょっと。

下地委員 辺野古以外の政策を提案させていただいたので、菅官房長官にちょっと。(発言する者あり)いや、聞いていなくてもわかるんですよ。

菅国務大臣 今総理が答弁されたように、まさに現在の案が唯一の解決策であるというふうに考えて、政府は全力を尽くしていきたいというふうに思います。

下地委員 唯一という言葉は時間も含めて決まることだと思いますけれども、どっちが時間を短くして安全保障を守れるかといったら、私が今提案したものが安全保障上も時間的にもいいというふうに思っていますから、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長 この際、足立康史君から関連質疑の申し出があります。下地君の持ち時間の範囲内でこれを許します。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 下地政調会長の方から、憲法の話、それから蓮舫代表を含む民進党に係る話がありました。デマケがありまして、足立さんはそういうのはいいからもうちょっと普通の話をやってくれということですが、ちょっと一つだけ。大きくて申しわけありません。

 やはり、総理、私たちは先般の参議院選挙で、我々はまさにマニフェストの三本の柱の一つに憲法改正を掲げて、私たちを含めて三分の二を確保させていただいたと思っています。自民党がどうであるかはともかくとして、少なくとも、おおさか維新の会、日本維新の会は三分の二を改憲勢力で確保した。逆に言うと、岡田民進党は三分の二を阻止するといってポスターを張りまくった、あのポスターが実現をできなかったわけですから、私はこれは民意だと思います。

 私は下地会長からもう憲法はいいからと言われたんですが、金曜日の質疑、それからきょうの質疑を見ていると、例えば辻元委員、自民党の改憲草案について、国民不在の押しつけ憲法草案と。こんな言葉を見過ごすわけに、私は関係ないですけれども、見過ごすわけにはいかないと思います。

 我々は真剣に三つの柱で憲法改正草案を選挙で問うて今この場におるわけでありますので、ぜひ、私は実は浅学ながら憲法審査会の委員を拝命させていただいていますので、何としても安倍総理がいらっしゃる間に憲法改正を実現していきたい、個人的には深くそう思っております。

 ここにお示しをしているのは、民主党、民進党ですね。今回、民進党さんの綱領には憲法を構想すると書いてあります。綱領に書いてあります。私は、やはりさすが、民進党になって、いよいよ提案型で憲法を構想されるのかな、こう思っていましたら、この間「朝まで生テレビ!」で辻元委員と御一緒しまして、これがありますよねと私が。これと上のですね。そもそも、かつての民主党は十年前から憲法を構想すると言っていたんですよ。これが唯一最大の民主党の憲法草案です。他党のことを申し上げるのは僣越ですが、十年たっているんですから、ぜひ一両日中ぐらいには構想していただいて。

 大事なことは憲法審査会です。総理が何度もおっしゃっているように、憲法審査会をしっかりと動かして……(発言する者あり)いや、二〇〇五年は分厚いんですよ。分厚いんですけれども、辻元委員に言わせると、当時ははやりだった、でも、そのつくった分厚い資料を一つ一つチェックするとどれも意味がなかったから、今は意味がないんですと。辻元委員がおっしゃっていました、テレビで。

 だから、いずれにせよ、そこは民進党さんの問題なのでお任せをしますが、ぜひ憲法審査会で実質的な憲法改正の発議に向けた取り組みをしていきたい、こう思っています。

 総理、ちょっと一言。

安倍内閣総理大臣 憲法の問題については、我々は憲法草案を既にお示ししておりますし、そもそも党是としてこれは結党以来掲げてきたところでございますが、その上で選挙を行い、民進党あるいは共産党の民共の皆さんは、三分の二を阻止するということを前面に掲げて、ポスターにも三分の二を阻止すると書かれていたんですね、大きく。二月三日と間違えた人もいるんですが。それで、これを我々は、まさにその中で三分の二を確保したわけであります。

 ただ、先ほど足立委員は安倍総理のうちにとおっしゃったんですが、私がいるときにはやらないという人たちもおりますので、私は謙虚に対応していきたい、こう思っておりまして、ぜひ憲法審査会の場において積極的な議論がなされることを期待しているところでございます。

足立委員 次に、これも国対からもうやるなと言われているんですが、下地政調会長がやられましたので、十秒だけ。

 下地政調会長が先ほど指摘した国籍の選択、これは三階建ての建物の二階なんです。日本国籍の取得というのは三階建ての建物なんです。

 一階は日本国籍の取得です。これは蓮舫代表は昭和六十年の一月二十一日にされているようであります。私、書類を拝見していませんが、今般、一番上の外国籍は離脱した、こうおっしゃっているんですね。まあ、ほんまかどうかわかりませんが。

 それで、先ほど下地政調会長が指摘申し上げた真ん中です。実は真ん中をやっていなかったんじゃないかということです。

 ポイントは、ここでお見せしたのは、黄色いところは努力義務です、赤いところは義務です。これは全然違います。蓮舫代表のいろいろな記者会見とかを聞いて、私は努力してきたのよ、努力してきたからいいのよという感じでいつもおっしゃっているんだけれども、真ん中は義務規定ですから。

 恐らく、十七歳から、二十二歳までの選択義務を果たしていないとすれば、三十年にわたって違法状態にあった。かつ、それは、先ほどもあったように、御自身の戸籍謄本を見ればわかります。あしたじゅうにわかります。ぜひ記者会見で、経緯の御説明、説明責任を果たしていただきますよう、改めてお願いをいたしておきたいと思います。

 もしこの真ん中をやっていなかったらうそつきですからね、うそつき、うそつき。民進党さんは本会議場でうそつきを十回ぐらい言っていますから、三回ぐらいにとどめておきたいと思いますが。うそつきだけは、うそだけはついたらいかぬ、こう私は思っている次第であります。

 それから、次に、今国会、憲法もあれば、あるいは先ほどの我々の議員立法もあります。しかし、やはり大事なのはTPPだと私は思っています。

 総理、私はこれはおかしいと思うんですね。何がおかしいかというと、もしアメリカの大統領候補、クリントンさんとトランプさん、両方がTPP賛成だという選挙戦をやっていたら、多分こちらの方は、アメリカの陰謀だ、TPPみたいなアメリカの陰謀に乗っちゃいけない、こういうことで反対されたと思うんです。これは馬場幹事長の方から本会議の代表質問でも同じことを申し上げましたが、両候補が反対だということは、やはり甘利TPP当時の担当大臣はアメリカが困るぐらい日本の国益を実現してきたんだなということを改めて思います。

 それから、ここに書いてあるように、今回のTPPの問題というのは、ひとり通商政策にとどまる、そういう、何というかな、通商も大事ですよ、しかし、オバマ大統領自身が、戦略的利益を有する、アジア太平洋地域へのリバランスの中核的な柱だ、安全保障上の同盟と地域のパートナーシップを強化することにつながるのがTPPなんだとおっしゃっている。私は全く同感なんです。

 総理、ぜひこれは、いろいろ審議入りについて議論はあると思いますし、まあ、戦略的ということが多分民進党の皆さんにはわからないと思いますから……(発言する者あり)ちょっと、総理、ぜひ実現していく御決意をお願いします。

安倍内閣総理大臣 TPPについては、単なる経済交渉だけである中においては、その戦略性が非常に重要だというのは御指摘のとおりだろうと思います。

 TPPは、自由で公正な世界の四割経済圏を新たに生み出すわけでありまして、そのルールづくりを日本もまさに主導権を持って行っていくことができるわけでございます。この新たにつくられるルールは、単にTPPにとどまらず、日・EU経済連携協定やRCEPなどにおけるモデルとなるわけであります。そのモデルとなるものを、日本がいわば主導してそのルールをつくっていく、日本の意見もしっかりと入れ込むことができるというところに大きな主点があるわけでありまして、単に関税を何%にするという話ではないということであります。

 韓国や台湾やインドネシアやあるいはタイ等がTPPに強い関心を表明したところでありまして、潜在的な参加国は多数あるわけでありまして、基本的な価値を共有する国々が経済のきずなを強め、深め、そしてさらにその輪を広げていくということでありますから、これは地域の安定にも資するわけでありまして、まさにこのアジア太平洋に大きな経済圏ができると同時に、我々のまさに同志がふえていくというふうに考えるべきではないか、このように思います。

足立委員 ありがとうございます。

 私は、TPPは、本当にこれは、理解がまだ及んでいない政党もあるかもしれませんが、とにかく、アメリカがもし、両大統領がもし腰がちょっと引けてしまった場合においても、日本が中国等が台頭してくる中で世界のルールメーカーの中心的立場として頑張っていかねばならない、この使命を与党の皆様とも共有していきたい、こう思っております。

 きょうは、この後、今から、私が今一番大事にしている経済、雇用の問題を扱います。きょうは、日銀総裁のおいでをいただいております。ありがとうございます。

 これはこの間の日銀の資料を張りつけたものでございますが、一言で言うと、失業率もとてもいい状態ですね。いわゆる摩擦的失業とか構造失業率、こう言われますが、こういうものはなかなか減り切りません、三%前半。それに対して、景気循環とかのこの赤い部分はできるだけ減っていくのが望ましい。

 そういう意味では、完全雇用とは言わないまでも、今の日本の労働市場は大変いい形になってきていると私は評価をしております。これも、自公政権、安倍政権のなせるわざであるというふうに……(発言する者あり)いや、これはもう虚心坦懐に、これは事実ですから、僣越ながらそれは評価を申し上げたいと思うし、また日銀総裁の手腕も大変それはあった、こう思うわけであります。

 黒田総裁に、ぜひちょっと教えていただきたい。

 私は、今回の新しい金融政策の枠組み、これは長短金利操作つき量的・質的金融緩和、勉強させていただきましたが、すばらしいと思います。世界最先端のイノベーション、制度的イノベーションだと思っています。ただ、今から幾つか御質問する点がクリアになれば本当の意味で評価を申し上げたい、こう思うわけであります。

 まず一つ目は失業率です。

 失業率は大変いいわけですが、すると、なぜこの失業率が賃金水準や消費者物価に波及をしていかないんだろうか、これが私はよくわからないんです。ちょっと、御見識、御開陳をいただければと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、雇用・所得環境は大幅に改善しておりまして、労働需給は引き締まりが続いていて、失業率は直近で三・一%となるということで、ほぼ完全雇用の状態にあるのではないかというふうに思います。そうしたもとで、三年連続ベースアップが実現するなど、賃金は緩やかに上昇していると思います。

 ただ一方で、御指摘のとおり、労働需給の引き締まりの割には、あるいは高水準の企業収益の割には、程度の問題として、これが賃金の上昇に波及していく力がやや弱いということも事実でございます。

 この背景には、我が国では長期にわたるデフレのもとでマインドの転換に時間がかかっている面があると思いますし、また、デフレ下では企業や雇用者双方とも雇用確保ということを重視してきた経緯がありまして、賃金上昇に向けた姿勢になかなか切りかえられないでいるということもあろうかと思います。

 また、御案内のとおり、我が国では春闘等における賃金決定に際して前年度の物価上昇率を勘案する慣行がございます。こうしたもとで、既往のエネルギー価格の下落の影響などから実際の消費者物価上昇率が低下したことから、賃金が上がりにくくなっているということも考えられます。

 もっとも、高水準の企業収益やタイトな労働需給など、賃金と物価がともに上昇する環境は十分に整っているのではないかと思っておりますので、先行き、経済が潜在成長率を上回る上昇を続けるもとで、物価の基調は高まっていき、原油価格下落の影響もだんだん剥落していくということで、賃金の上昇を伴いつつ物価上昇率は次第に高まっていくのではないかというふうに予想しております。

足立委員 本当に絶妙なハンドリングをしていかなあかん局面ですから、本当にぜひ頑張っていただきたいと思いますが、やはりマインドというか期待形成、これが本当に大事だと思います。

 国会でも、民進党さんのようなああいう質問がテレビでずっと何日も流れると、景気にも悪いと思います。(発言する者あり)いや、これは本当に。

 日銀総裁、もう一つ伺いたいことがあって。

 今回、二十一日に発表された。その後、三十日の午前中に五年から十年物の若干の圧縮があって、その午後に十月の運用方針を発表される。この中身をマーケットはつぶさに今見ているわけです。

 その中でやはりマーケットには二つの見方があって、釈迦に説法ですけれども、どうもテーパリングの何かちょっとさわりみたいなことをやっているんじゃないかというような人もいるし、全く逆に、ヘリコプター的な議論へ突入しているんじゃないかという、全く違う議論が併存しています。私は、ここの部分のメッセージを正しく日銀総裁がマーケットそして国民に発信していかれることが大変重要だと思っています。

 そうした意味で、例えば八十兆円めど、この八十兆円めどというのは、イールドカーブを管理する過程で八十兆円を割っていくこともあるかもしれない、しかし、もっと緩和を広げていく余地だって十分ある。これが今回の新しい枠組みだと思いますが、そういった意味で、テーパリングとかいうレッテルはレッテルだということで、これはあくまでも、まだまだ我々はデフレ脱却から遠いですから、緩和を続けるんだという御決意を改めてお願いしたいと思います。

浜田委員長 ちょっと待ってください。

 足立委員、発言には十二分に注意されてするように、よろしくお願いをいたします。

黒田参考人 今回の長短金利操作つき量的・質的金融緩和というのは、これまでの経験も踏まえましてこれまでの政策枠組みを強化したものでありまして、量、質、金利のいずれにつきましても引き続き追加緩和は可能であるというふうに考えております。

 具体的な追加緩和手段としては、金融政策決定会合後の公表文でも明示しておりますけれども、短期政策金利の引き下げ、あるいは長期金利目標の引き下げ、さらには資産買い入れの拡大が考えられるほか、状況に応じてマネタリーベースの拡大のペースの加速を行うことも考えられるということでありまして、こうしたいわゆるイールドカーブコントロールの中で、引き続き、量、質、金利の三つの次元を使って必要な措置をとっていくということであります。

 なお、御指摘のように、いわゆるテーパリングということにつきましては、今回の私どもの措置はテーパリングでは全くありません。

 米国のFRBが行ったテーパリングは、御案内のとおり、金融政策の正常化に向けて、出口政策の一環として、国債買い入れ額を段階的に縮小、減額したものであります。

 日本銀行は、今回導入したオーバーシュート型コミットメントのもとで、消費者物価上昇率の実績値が安定的に物価安定の目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するということも言っております。

 長期金利操作目標を実現するために仮に国債買い入れ額が減少することがあったとしても、これはあくまでも技術的な調整でありまして、テーパリングとは全く政策を異にするものである。引き続き、金融緩和を続け、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現したいと考えております。

足立委員 日銀総裁にあと一つだけ。

 長期金利を管理するという議論があります。

 日銀のホームページを見ると、長期金利は管理できないという示唆が今もまだ残っています。これは作成が二〇〇〇年、改訂が二〇〇六年。

 これは二〇一六年の改訂が要るんじゃないでしょうか。そこを短く。

黒田参考人 御指摘のものは、二〇〇六年ということであってかなり古いものでありまして、御承知のとおり、二〇〇八年のリーマン・ショック後、各国の中央銀行はゼロ金利制約のもとで長期国債などを大量に買い入れることによって直接的に長期金利に影響を与えるという政策をとってきておりますので、この部分はもはや古いということで、改訂したいと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 いずれにせよ、私は是々非々ですから、安倍政権であれ、あるいは日銀の金融政策であれ、いいものはいい、悪いものは悪い、こういう立場で日本維新の会はやってまいります。

 先ほど下地政調会長からもありましたように、我々はさまざまな法案をこれからも出していきますが、今あったように、日銀の取り組み、金融政策を支える観点から、五番のパネルになりますが、第二弾の法案の固まり、第三弾の法案の固まり、これを出していきます。

 ここにあるのは、基本的には、私たちが一番力を入れているのは、労働規制改革と中小企業政策です。

 労働規制改革については大変懸念しています。塩崎大臣も頑張っていただいていると思いますが。さきの九月二十七日の第一回働き方改革実現会議、これは期待していますが、ここにいわゆる労働基準法制あるいは解雇紛争の金銭解決は入っていません。

 これは入れた方がいいと思いますが、加藤大臣、よろしくお願いします。

加藤国務大臣 一億総活躍社会の実現に向けて、働き方改革はその最大の鍵ということで、重要課題として掲げているところでございます。

 今御指摘がありました高度プロフェッショナル制度については、高度な専門職として働く方が、健康保持を図りつつ、その能力、意欲、創造性を存分に発揮できる環境をつくっていくため、時間ではなく成果で評価する新たな労働制度を創設することが重要であるということから、御承知のように、既に国会に提出をしております労働基準法改正案に盛り込んでおりますので、政府としては、一日も早く成立するべく努力をしていきたいと思っております。

 それから、解雇の金銭解決については、働き方改革は、あくまでも働く人の立場に立った労働市場改革を行うということで、多分委員もそういう意味でおっしゃっているのではないと思いますが、金銭で自由に解雇できる解雇規制の緩和を行うというつもりはございません。

 他方で、例えば裁判などにおいて働く人が勝訴して解雇が無効になった際に、もうこれは職場に戻りたくないな、こういったときには働く人の利益になるということで金銭解決をするということ、その是非については今厚生労働省の検討会において検討いただいている、こういうふうに承知をしております。

足立委員 ぜひ、まさに今大臣がおっしゃっていただいたように、民進党さんがすぐ首切り法案とか残業代ゼロ法案とか、これはもう完全なるレッテルです。あれはあえて言えば、残業代ゼロじゃなくて残業代込み法案です。残業代を皆さんにお支払いする、ただ、それは、のらりくらり仕事をして遅くまで残っている人に渡すのではなくて、ちゃんと成果を上げる人材にちゃんと報酬が渡るような仕組み。やはり、工場で働いていた時代と違うんですから、そういうことをしっかりやっていく。

 それから、今御紹介があったように、解雇の金銭解決も、解雇紛争の金銭解決。決してこれから、民進党さん、もうこの国会ではレッテル張りはやめていただくように、改めてお願いをしておきたいと思います。

 最後に、豊洲です。

 これは、もう時間がないんですが、私は今とても困っています。何が困っているかというと、私は小池知事の改革に敬意も持ち期待も申し上げておりますが、この一の絵にあるように、子供たちが飲む水、子供たちが口に含んでしまうかもしれない砂、そういうものは一で、ちゃんと法律で規定があるんです。豊洲は二なんです。全く基準が違う。ところが、端的に言うと、小池知事あるいは東京都が求めてきたあの基準は一の基準なんです。

 あの地下で何かよく絵になっている水、あれは二リットルだったかな、ちょっと失念しましたが、毎日あの水を二リットル七十年間飲んでも、まあ大丈夫だと。だから、ああいう形で風評が広がるということは地域にとっても不幸だし、実は、東京ほど発信力のあるところがあれをやると、日本じゅうが同じゼロリスクを求めざるを得なくなるんです。

 私の地元でこの間、町長選挙がありまして、負けましたが、安倍総理の御前で恐縮ですけれども、大阪の自民党は、もともと既に無害化されているダイオキシン、これを完全無害化しますと言って選挙をしたんです。我々は、無害化されているからしっかりと適切に法に従って処理しますと。やはり完全無害化の五文字には負けます。でも、それを政治家がやり出したら、日本の環境政策はもうぐちゃぐちゃになりますから。

 私は、東京都もよく頑張っていらっしゃるんだけれども、安全とか環境ということについては、ぜひここは、政治家というものは完全無害化という五文字を使うことについては慎重というか抑制的であるべきである、こう思うわけであります。

 最後に、この図だけお示しをして終わりにしたいと思いますが、これは福島第一原発から出た指定廃棄物の状況です。

 きょう、環境大臣にお聞きしたらいいのかな、福島第一原発からどれだけのセシウムが出たか。それは東電ですね、東電にちょっとお願いします。もう時間が来ましたね。

山口参考人 お答えいたします。

 事故に伴い三月中に大気中へ放出されたセシウム137の放出量は、約十ペタベクレルと推定してございます。

足立委員 この十ペタというのは、十ペタは何ぼでしたか。一ペタというのは一千……(山口参考人「一千兆ベクレル」と呼ぶ)一千兆ベクレル。

 別に、ここで私は風評を振りまくつもりはありません。

 委員長、終わります。

 しかし、福島第一の事故で、その十ペタのセシウムのうち、今環境省が掌握しているのは一割から二割です。それ以外は日本じゅうに散らばって、ダムの底に沈んでいるんです。

 要は、何か非常に不摂生な生活をして、寝るときにチョコレートを一粒食べるかどうか悩んでいるみたいなもので、やはり環境政策については科学的に合理的に公正にやっていくことを皆さんにもお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

浜田委員長 これにて下地君、足立君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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