衆議院

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第10号 平成29年2月9日(木曜日)

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平成二十九年二月九日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 石田 真敏君 理事 菅原 一秀君

   理事 西村 康稔君 理事 葉梨 康弘君

   理事 宮下 一郎君 理事 武藤 容治君

   理事 大西 健介君 理事 長妻  昭君

   理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 達也君    石崎  徹君

      石破  茂君    岩屋  毅君

      江藤  拓君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    大串 正樹君

      奥野 信亮君    門  博文君

      黄川田仁志君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    鈴木 俊一君

      長坂 康正君    根本  匠君

      野田  毅君    野中  厚君

      原田 義昭君    平口  洋君

      星野 剛士君    牧島かれん君

      八木 哲也君    保岡 興治君

      山下 貴司君    山田 賢司君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      今井 雅人君    小川 淳也君

      緒方林太郎君    後藤 祐一君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      福島 伸享君    前原 誠司君

      山尾志桜里君    伊藤  渉君

      國重  徹君    真山 祐一君

      赤嶺 政賢君    高橋千鶴子君

      井上 英孝君    伊東 信久君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         金田 勝年君

   文部科学大臣       松野 博一君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   国務大臣         石井 啓一君

   防衛大臣         稲田 朋美君

   国務大臣

   (復興大臣)       今村 雅弘君

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  山本 幸三君

   財務副大臣        木原  稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (法務省大臣官房秘書課長)            松本  裕君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鈴木 康裕君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月九日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     牧島かれん君

  國場幸之助君     八木 哲也君

  佐田玄一郎君     山田 賢司君

  玉木雄一郎君     山尾志桜里君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     奥野 信亮君

  八木 哲也君     國場幸之助君

  山田 賢司君     佐田玄一郎君

  山尾志桜里君     玉木雄一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算、平成二十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長林眞琴君、厚生労働省保険局長鈴木康裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民進党の後藤祐一でございます。

 昨日、我が党の小山議員が指摘した南スーダンのPKOにかかわる日報その他、こういった情報に関する議論をさせていただきたいと思います。

 まず、きのう、我が党の小山議員に対して稲田大臣から、河野太郎議員から言われたので、再度日報が防衛省の中に残っていないのかということを探したんですかというやりとりがありました。

 これは議事録が配付資料の七ページというところにありますが、私から、本当に日報がないのかしっかり探索するよう指示していたところ、河野太郎議員からも再度探索すべきという御指摘を受けと言って、小山さんが、河野太郎議員から言われて出てきたということでは、私は、稲田大臣、大臣として情けないんじゃないでしょうか、なぜもっと早く見つからなかったのかと再度指摘したところ、稲田大臣は、まず、河野太郎議員から言われて探索を指示したのではなくて、私も、ないという報告を受けて、本当にないのかどうかをしっかり探索するように指示していたところでありますというやりとりがありました。

 それで、これは本当のところはどうなっているんだと事務方にきのう私は確認をしました。配付資料の一枚目が、きのうの二十三時二十一分時点で私に示された経緯であります。この経緯は、きのうの大臣の答弁に沿ったような経緯になっています。十二月十六日に大臣説明、探索するよう指示。河野太郎議員に対し説明実施が二十二日。

 ところが、何で突然大臣がこんなことを思いついたのかなと不思議だったんですね。河野太郎議員に言われたのはもっと前なんじゃないんですかと聞いたら、二枚目が真実の経緯であります。十二月十二日に河野太郎衆議院議員より不開示決定に係る事実確認の資料要求があって、十二月十六日に大臣説明、そして稲田大臣は探索するよう指示をされてというのが真実であると説明を受けました。もしこれが真実だとすると、きのうの答弁は虚偽答弁ということになります。

 この二枚目の経緯で正しいのか。そして、正しいんだとすると、きのうの答弁は虚偽答弁ですから、撤回していただくようお願いします。稲田大臣、お願いします。

稲田国務大臣 この資料にありますように、十二月十六日に事務方から、日報について破棄をした、そしてそれは法律に違反するものではない、そういう説明を受けましたので、私は、そんな第一次資料、日報を本当に破棄したのか、陸上自衛隊でそういうものは保管しているのではないか、そこはしっかり探すべきではないかという指示をしたということであります。

 その際、河野太郎議員が資料を請求したから私がそういう意見を持ったとか、河野太郎議員から請求されていますけれどもどうしましょうかというような、そういう説明でもなく、私自身、皆さんもそうだと思いますけれども、日報自体が、法律上は、上部の部隊に報告をして、用済みだから破棄したという説明のときに、本当に破棄したのかどうか、経験則に照らして、残っているんじゃないのか、やはり調べてはどうかという指示をしたということでございます。

 したがって、河野議員に言われたから探すように指示をするとか、そういうものではないということを昨日は答弁したということでございます。

後藤(祐)委員 そうしますと、この二枚目の経緯は間違っているということなんですか。

 きのうの稲田大臣の答弁では、まず、河野太郎議員から言われて探索を指示したのではなくてとあります。河野太郎議員から言われたのは、事実関係として十二日で、大臣のレクよりも前なわけですよね。

 では、大臣、十六日に大臣説明をされたときに、河野太郎議員から十二日の段階で既にこういうふうに言われている、不開示決定に係る事実確認の資料要求があって言われているという説明はあったんですか。あったんだとしたら、今の説明もおかしいということになりますよ。

稲田国務大臣 昨日、私の自分の気持ちというか、なぜ捜索を指示したかということでありますので、私自身、経験則に照らして、第一次資料である日報を本当に破棄して、ないのかどうか、もう一回探索するようにという指示をしたということであって、それは、河野太郎さんが何をやっているかということは関係がないということでございます。

後藤(祐)委員 質問に答えてください。十六日の大臣説明のときの段階で、河野太郎議員から探索すべきだという話が来ていることは知っていたんですか、あるいは説明があったんですか。

稲田国務大臣 河野太郎議員から探索要求があるということは、私は記憶にはありません。

後藤(祐)委員 そうしますと、十二日に河野太郎議員から資料要求があったにもかかわらず、大臣に対して十六日に説明するときに、河野太郎議員からそういう要求があったということは事務方は大臣に説明していないということですね。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

稲田国務大臣 十二月十六日の段階では聞いておりません。

後藤(祐)委員 何か事務方が寄ってきていますけれども、こういう大事な話を大臣に上げるときに、河野太郎議員からこういう話が来ていますけれどもということを何ら事務方から説明いただけていない。それ自体が、部下に対するコントロールができていないんじゃないですか。きのうの法務大臣と同じじゃないですか。

 それにしても、この七ページ目の議事録にあるように、まず、河野太郎議員から言われて探索を指示したのではなくてと。でも、河野太郎議員から防衛省として言われたのは確かじゃないですか。そういう意味でも、この議事録は違うんじゃないですか。

稲田国務大臣 河野太郎議員から日報のデータ等の再探索を要請されたのは十二月二十二日であると事務方からは聞いております。

後藤(祐)委員 では、十二日に事実確認の資料要求があったというのは、もう一回探せということではないということなんですか。

稲田国務大臣 そのときの河野太郎議員の意図が何であるかは私が申し上げる立場ではありませんが、私自身、昨日答弁いたしましたように、私が事務方から、廃棄をした、それは法律上何の問題もない、なので、廃棄をしたので開示要求には応えられなかったという説明を受けたときに、陸上自衛隊として本当にその日報というものを廃棄したのかどうか、経験則から照らしたら、法律上そうかもしれないけれども、あるのではないかという素朴な疑問を持ちました。多分、委員もそう思われると思います。なので、その点は指摘をして、もう一度探したらどうかということは申し上げたということでございます。

後藤(祐)委員 河野太郎議員にぜひ確認してみたいですね。あと、事務方にも別途確認してみたいですね、河野太郎議員が実はあるんじゃないかということを要求していたかどうか。でも、要求していたということは知らないわけですね、大臣は、今のお話ですと。要求していませんと事務方の方は今何かおっしゃっていますが、ぜひそこは事実関係をこれからまた調べていきたいなと思います。

 続きまして、これに関連して、二月七日の大臣の記者会見で稲田大臣は、一次資料については、私はしっかり保管をすべきだと思っています、そこは、ある法的な義務はさておき、ある一定期間は置いておくべきだというふうにおっしゃっておられます。

 そこは改善していただきたいところなんですが、行政文書というのは、一年未満という保存期間を設定すると、いつでも捨てちゃうんですよ。ですから、少なくとも一年以上、例えば五年とかいう保存期間を設定して行政文書ファイルにきちっとして、保存期間が来たら、総理の同意を得たものは、平時のものなんかは廃棄したっていいと思いますけれども、今回のような非常に重要なものは、廃棄をしないで、歴史公文書として国立公文書館に移管するという形にすべきだと思いますが、いかがですか。そういう形に直すべきだと大臣が指示すれば、これはすぐできます。いかがですか。

稲田国務大臣 今回の日報ですけれども、派遣施設隊のその日の施設の活動の状況、南スーダン情勢等といった日報の主要な内容は、中央即応集団司令官報告資料、モーニングレポートの中に反映をされています。

 このことも踏まえれば、中央即応集団司令官への報告が終了した時点で目的を達したと考えられることから日報を破棄するとのこれまでの措置について、規則上問題はなかったというふうに思います。

 一方、今委員も御指摘のように、どういう状況の中で自衛隊がみずからの安全を確保しつつ施設活動を実施していけるのかというのをできるだけ国民の皆様に御理解いただくとの観点から、施設部隊自身が作成した一次資料については可能な範囲で保管することが望ましいと認識をしております。

 そのため、新たな任務を付与した第十一次要員については、半年間の活動期間を終えて帰国した後に、その活動成果について評価が定まるまでの間は日報を破棄せず保存しておくよう私から指示したところでございます。

後藤(祐)委員 私の提案どおりには全くやらないんですね。一年以内だと、いつでも捨てられちゃうんですよ。これは、一年以上にすることに意味があるんですよ、大臣。

 そこまでやると言っていただけませんか。これだけのことが起きている、一次資料が大事だとおっしゃっているんだから。今までと変わらないですよ、そのやり方だと。一次資料が大事だとおっしゃっているんですから。もう一回答弁をお願いします。

稲田国務大臣 法律に基づいて適切に対応してまいりますけれども、現実問題として、委員の御指摘、また今回の状況についてはしっかりと検証した上で、何か改善すべき点、そういったことも検討してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 大臣がこういう答弁をぱんと言っちゃえば、これこそ政治主導なんですけれどもね。残念です。

 さて、では、これは何で廃棄されてしまったんでしょうか。

 これは、説明によりますと、日報は電子掲示板的なところにアップロードされて、それをつくった派遣施設隊あるいはそれを受け取る側の中央即応集団とも、最初受け取るわけですけれども、どこかの段階で電子掲示板からなくなっちゃって、それを偶然ダウンロードしていた統合幕僚監部が、ダウンロードしたものが別のところにあったので、それが見つかったというような経緯だというふうに伺っておりますが、これは電子データなんですから、何も削除することないじゃないですか。そのまま置いておけばいいじゃないですか。これを電子データから削除するというのは、意図的に隠蔽するために削除したんじゃないんですか、大臣。

 この日報以外の日報も全部、大体何日で削除するとかというのが決まっていて、これについても同じように削除したのか。もしそうであったとしても、これだけ大事な日報ですから、平時のものとは違ってしかるべきだと思うんですね。

 電子的な保存をされているわけですから、あえて意図的に削除しなきゃいけなかったのはなぜか。これは意図的な隠蔽なんじゃないんですか。

稲田国務大臣 まず、意図的に隠蔽するという意図は全くなかったということでございます。

 また、行政文書は、公文書管理法及び関連規則に基づき、保存期間が満了したものは国立公文書館等へ移管または廃棄することとされております。また、保存期間一年未満の文書については、国立公文書館等への移管の措置が定められていないことから、保存期間満了後は破棄することとされています。

 日報については、随時発生し、短期に目的を終える文書として保存期間を一年未満としており、その作成目的上、派遣施設隊長から中央即応集団司令官への報告が終了した時点で目的を達したことから、紙、電子媒体を問わず廃棄をしたものでございます。廃棄は関係法令、規則に基づいて行っており、電子データであれば無尽蔵に保存できるから保存すべきとの御指摘は当たりません。

 しかしながら、先ほどからも御答弁しておりますように、委員も御指摘のように第一次資料でもございますので、私は、しかるべき期間は保存するように指示したところでございます。

後藤(祐)委員 それは一巡前の質問に対する答弁ですよ。だから一年未満じゃだめなんだとさっき言ったじゃないですか。今聞いたのはそうじゃなくて、電子的に保存されているんですから、サーバーを食っちゃうという面はありますよ、別に、置いておけばいいじゃないですか。何か誰かが意図的にやらない限りは削除にならないんだから。何でそれを削除しちゃったんですかということを聞いているんです。

稲田国務大臣 法律に従って、慣例、規則に基づいて破棄をした、そして、それは紙であるか電子データであるかの区別はなかったということでございます。

後藤(祐)委員 後で大きな話も控えているので、この辺で次に行きますが、情報公開請求との関係を次に聞きたいと思います。

 この情報公開請求をされた方に対して、十二月二日に、文書不存在を理由に不開示決定をされています。今、文書不存在というのが虚偽であることが判明したわけですね。そうしますと、この十二月二日の、文書不存在を理由に不開示決定をしたという行政処分、これは間違いであり、情報公開法違反ですよね。まさにこれ自体が隠蔽工作ですよね。これは情報公開法違反じゃありませんか、大臣。

稲田国務大臣 開示請求に係る行政文書は、請求から起算して三十日以内に速やかに特定する必要があり、防衛省としては、限られた期間の中で、当然陸上自衛隊の日報を作成した部隊や報告先の部隊を中心に日報が保管されているかどうかを探索したところでありますが、当時防衛省として十分な対応ができておらず、文書を探索し切れなかったということでございます。

 その上で、日報についてはその後も複数の開示請求がなされたこと、そして、私からも、日報がないのか、本当にないのかもう一回探索するよう指示をしていたところ、再度日報にアクセス可能な部局に範囲を広げて探索したところ、統合幕僚監部において日報が、電子データと認めた、見つかったわけでございます。

 そういう意味において、当時作成した部隊と報告先の部隊で保管されているかどうかを探索して、ないというお答えをしたわけですけれども、十分な対応は探索という意味においてできていなかったということでございます。

後藤(祐)委員 質問に答えていないですよ。情報公開法違反ではありませんかと聞いております。

稲田国務大臣 防衛省として十分な対応をできておらず、文書を探索し切れなかったということはありますけれども、法令に違反したということではないということです。

後藤(祐)委員 そうしたら、情報公開請求した人は、不開示理由に当たったものが虚偽だったのに情報公開法違反じゃない、どうすればいいんですか。大臣、この開示請求した人に対してはこの日報を渡したんですか。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 今、現時点においてお渡しはしておりませんが、適切に対応してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 この情報公開請求した方に、もう世の中にこれだけ明らかになっている請求した文書を渡していないんですか、まだ。ええっ、驚きです。しかも、虚偽の理由で不開示決定された方に対してまだ資料を渡していない。驚きですよ。

 大臣、不開示決定が間違っていたわけだから、これは取り消しをすべきなんですよ。文書不存在を理由に不開示決定したこの決定を取り消して開示決定すべきなんです、今からでも。やるべきじゃありませんか。

稲田国務大臣 不開示決定を取り消して、適切に開示してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 それはつまり、情報公開法違反を認めたということなんじゃありませんか。違反状態を是正するということでしょう。

稲田国務大臣 速やかに取り消して、適切に対応してまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 取り消した後は適法な状態になりますよ。取り消す前は違法状態なんじゃないですか、大臣。

稲田国務大臣 冒頭申し上げましたように、限られた時間の中で十分な対応ができておらず、文書を探索できなかったことは事実でございます。したがって、決定を取り消して、適切に開示してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 困りますよね、こんなことでは。情報公開請求を何だと思っているんですか、大臣。国民の知る権利を何だと思っているんですか。不開示理由が虚偽だとわかったら、すぐにでも取り消して開示しなきゃだめじゃないですか。十二月二十六日に資料を発見されているんでしょう。今まで何をしていたんですか。

 そもそも十二月二十六日に資料が発見されたのに、大臣のところにこの話が上がったのは一月二十七日、一カ月間もほったらかし。大臣、やはり省内を掌握できていないんじゃないですか。

 だって、大臣が十二月十六日に探索するよう指示したことが、資料を発見されたのに、その発見されたことが一カ月も大臣に報告がなかった。このことについてどう思いますか、大臣。

稲田国務大臣 私からは十二月十六日に再度探索するよう指示を出しまして、今御指摘のとおり、発見されたのが十二月二十六日、私宛てが一月二十七日でございます。

 この期間が長過ぎるということについてでございますが、統合幕僚監部においては、派遣部隊等と不開示となった事実関係を確認し、また、これらの資料を最終的に開示するに当たり、不開示とすべき箇所の判断を行っており、これらに時間を要したものであって、隠蔽の意図があったとの一定の御指摘は当たりません。

 また、一度破棄したと説明した資料が発見されたことを明らかにする以上、防衛省としては、その資料の内容をしっかりと国民に向けて説明する必要があり、私に説明を上げるに当たっても一定の準備は必要であったというふうに思います。

 他方、私の指示、十二月十六日、委員が御指摘になったとおりですけれども、資料が見つかったということ、事務方から見つかったという事実自体について速やかに報告が上がるべきであったという御指摘はそのとおりだというふうに思いますので、その点は関係部署に対して指導したところでございます。

後藤(祐)委員 随分部下に優しい大臣だなとは思いますが、まず、見つかったという報告が大臣にあって、ただ、どこのところを黒塗りにしなきゃいけないとかいうのは後でやればいいじゃないですか。そういうふうに部下をきちっと統率していかないと。心配ですよ。

 大臣、この日報、それだけ関心があるんですから、いつ見たんですかというきのうの小山議員の質問に対して、結局答えていません。この七月十一、十二の日報はいつ見たんですか。

稲田国務大臣 これについては、私に日報の存在を事務方が報告してきたところの一月二十七日でございます。

後藤(祐)委員 それだけ遅くなってしまったわけですよね。

 さて、きのうの戦闘の話に行きたいと思います。

 きのう稲田大臣は、九条との関係でこういうふうに述べておられます。「国会答弁する場合には、その法的意味において、法律においても規定されていて、また憲法九条上の問題になる言葉を使うべきではないということから、私は一般的な意味において武力衝突という言葉は使っております。」こういう答弁をしておりますが、憲法九条の問題になるとまずいので、国会答弁する場合は戦闘という言葉を使わないんですか、大臣。

稲田国務大臣 その前後の私の議事録をぜひ読んでいただきたいと思います。

 私はなぜ戦闘という言葉を使わないかというと、戦闘行為というのは、委員も御承知のとおり、法律上その定義が決まっていて、非常に重い言葉ですよね。戦闘行為が行われていない場所でしか後方支援ができないとか、戦闘行為が行われているか否かというのは非常に重要な、そして物すごく大きな言葉なんです。

 なので私は、事実が一番重要です。それは事実が、国または国準との間、また国際紛争における戦闘行為があったかどうかの肝、国際的な武力紛争の一環かどうか、ここは非常に法的に重い意味があるので、国会でこういう法律論の議論をやっているわけです。PKO五原則が満たされているかどうかなど大きな議論を委員と行っている中で、そういった法律的な用語であるところの戦闘行為と混同されかねない戦闘という言葉は使うべきではないという趣旨を申し上げたところでございます。

後藤(祐)委員 大臣、戦闘行為かどうか、法的な意味において重要なのはそのとおりです。一方で、事実も重要だとおっしゃいました。どっちが大事なんですか。

 つまり、事実がどうであるかという認定が先にあって、これが戦闘行為に該当するかどうかという事実認定があって、戦闘行為に該当すれば、あるいは戦闘に該当すれば法的な効果が発生してくる。事実が先にあって、そしてその後価値判断するんじゃないんですか。

 今の大臣の話だと、価値判断が先にあって、つまり、これがもし戦闘行為だということになると、戦闘ということになると撤収しなきゃいけない。撤収しないという判断が先にあって、これを戦闘と言ってしまうと撤収しなきゃいけなくなるから、だからこれは戦闘という言葉は使えない、そういうふうに聞こえるんですよ。

 もう一度聞きます。戦闘行為というのは法的用語だからすごく大事なんだ、一方で事実も重要なんだ、どっちが大事なんですか。

稲田国務大臣 もちろん、事実を見るということは物すごく重要です。私と委員との間でも、戦闘行為があったかどうかということについて、事実を見て、当時の状況は戦闘行為ではなかった、法的意味における戦闘行為ではなかったということをるる議論していたわけです。

 そして、戦闘行為でなかったかもしれないけれども一般的意味の戦闘じゃないかということを非常にこだわられたわけですけれども、私は、戦闘行為という言葉は法的に大きな意味があるので、事実として、事実としてですよ、国際紛争、国際的な武力紛争の一環としてなされたものではないという大きな事実がある以上、戦闘行為という言葉は使うべきではない、そして、それと紛らわしい言葉であるところの戦闘は使うべきではないということをるる議論したということでございます。

後藤(祐)委員 日報に戦闘と書いてあるじゃないですか。一般的用語としての戦闘という言葉が使われていることはそこに書かれているとおりですけれども、それは法的な意味の戦闘行為ではないということでございますという答弁がきのうありました。

 一般的な用語としての戦闘はあったということでよろしいですか、大臣。

稲田国務大臣 私は、委員御指摘のとおり、事実がどうであったか、その当時の、今もそうですけれども、南スーダンの情勢がどうであったか、そして、そこでは国際的な武力紛争の一環として行われていたかどうかというのがすごく重要なんです。それは委員もおわかりだと思います。そして、武力紛争の一環として行われたものではない以上、人を殺傷しまたは物を破壊する行為が事実として行われたとしても、それを戦闘行為と表現するのは紛らわしいという意味を昨日もるる御説明していたところでございます。

浜田委員長 後藤君、再度確認してください。質問をもう一度確認していただけますか。

後藤(祐)委員 一般的用語としての戦闘はあったのかなかったのか、どちらですか。

稲田国務大臣 その日報の中では一般的な用語で使っているかもしれませんけれども、この戦闘行為というのは、国際的な武力紛争の一環として行われるかどうかというのが非常に重要なので、私は、戦闘という言葉は使うべきではないということを言いました。

 では、事実として何なのか、客観的事実として何なのかというと、国際的な武力の紛争の一環としては行われていませんでした。しかしながら、人を殺傷し物を破壊する行為はあったということでございます。これが事実です。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 では、再度答弁を、稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 南スーダンにおいて武力衝突や一般市民の殺傷行為がたびたび生じていることは事実でございます。しかしながら、国際的な武力紛争の一環として行われるというものではなかった、これが客観的事実でございます。

 ですので、法的意味において、法的定義がされているところの戦闘行為はなかった。なので、一般的な用語でどうなのかということは、その中身であるところの武力の衝突、一般市民の殺傷行為がたびたび生じている、これが客観的事実でございます。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 防衛大臣、再度答弁願います。

稲田国務大臣 日報に戦闘という言葉が書いてあることは、そのとおりでございます。

 そして、その中身は、南スーダンにおいて武力衝突や一般市民の殺傷行為がたびたび生じている、首都ジュバにおいても七月に大規模な武力衝突が発生していた、そのことをもってそういう表現をしているんですけれども、しかしながら、一方で、法的な用語としての戦闘行為というのは、何度も繰り返しになりますが、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し物を破壊する行為、すなわち国際的な武力紛争の一環として行われたかどうか、これが非常に重要で、そういう意味では戦闘行為ではないということを申し上げております。

浜田委員長 後藤君、質疑を続行してください。後藤委員、続行してください。(発言する者あり)何がだめなんだよ。外野うるさいよ。何そこで言ってるんだよ。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 防衛大臣、再度答弁願います。稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 事実関係として、南スーダンにおいては武力衝突や一般市民の殺傷行為がたびたび生じていて、首都ジュバについて七月に大規模な武力衝突が発生していた、これは事実でございます。

後藤(祐)委員 これ以上もう質問を続行できません。国民は知りたがっているんですよ。

 南スーダンで起きたことは戦闘であると日報に書いてある。この日報に書いてあることを、南スーダンで一般的意味における戦闘があったのかということに対して答弁しないのであれば、これ以上質問は続行できません。(発言する者あり)

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 日報に書かれているところの戦闘というその表現は、南スーダンにおいて武力衝突や一般市民の殺傷行為がたびたび生じていて、首都ジュバにおいて、七月ですけれども、大規模な武力衝突が発生したことを指していると思います。

 しかしながら、国際的な武力紛争の一環としては行われておりませんので、法的な意味での戦闘行為ではないということでございます。

浜田委員長 後藤君、質疑を続行してください。

後藤(祐)委員 先ほどの質問に答えておりません。一般的な意味における戦闘が南スーダンであったのかなかったのか、もう何度も同じ質問をしています。それに対して、質問にお答えください。もし答えられないのであれば、もうこれ以上質問を続行できません。

稲田国務大臣 法的意味における戦闘行為は、まさしくPKO五原則を満たしているかどうかという法的判断にかかわる非常に重い言葉でございます。

 したがいまして、その日報に書かれているところの戦闘は、法的意味における戦闘行為ということではなくて、南スーダンにおいて武力衝突や一般市民の殺傷行為がたびたび生じ、七月に首都ジュバで大規模な武力衝突が起きたことを指していると思います。しかしながら、法的意味における戦闘行為ではないと思います。

後藤(祐)委員 法的意味は聞いておりません。

 では、法的な意味における戦闘行為はなかったけれども、一般的用語としての戦闘はあったと答弁できませんか。

稲田国務大臣 何度も御答弁申し上げておりますが、その日誌に書かれている意味はそういう意味でしょうけれども、しかし、法的意味での戦闘行為ではない。

 そして、国会で、こういう法的な、PKO五原則が満たされているのかどうか、ずっと委員とも議論してきました。その中では、客観的な事実が何か、どういう事実が何か、そしてそれをどう法的に評価するかが私は重要であったと思います。委員との間でも、PKO五原則が満たされているだけではなくて、要員の安全を確保しつつ有意義な活動ができるというところまで、そこまで要件にしましょうということも国会の中で議論をして決めていったじゃないですか。

 私は、そういう意味のある議論をするためにも、その定義の点はしっかりとすべきだということを先ほどから申し上げているところでございます。

後藤(祐)委員 質問に答えていないから、これ以上続行できないです。

浜田委員長 時間が来ておりますので、質疑を続行してください、後藤君。後藤君、質疑を続行してください。後藤君、質疑を続行してください。

 追加で答弁はありますか、稲田防衛大臣。

 後藤君、質疑を続行してください。後藤君、時間が来ておりますので、締めの質疑をお願いいたします。(後藤(祐)委員「時計をとめていただけないですか」と呼ぶ)とまっておりません。

後藤(祐)委員 これは国民がみんな知りたがっているんです。

 きょうはこれで終わりますが、実際は戦闘なのに衝突と置きかえて隠蔽する、実際は共謀罪なのにテロ等準備罪と言いかえて隠蔽する、文科省もうその想定問答をつくって隠蔽する。一体この政権は何なんですか。隠蔽政権じゃないですか。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

後藤(祐)委員 正しい情報をきちんと……

浜田委員長 自民、静かに。

後藤(祐)委員 正しい情報を、隠蔽しないで、きちんと国民に提供してくださいよ。隠蔽して、間違った情報を国民に流して印象操作しているのが今の安倍政権じゃないですか。

 これは、特に防衛省の世界では大事なんです。なぜならば、太平洋戦争のとき、本当は退却なのに転進、沈められた船の数、これもごまかし、まさにこの事実を隠蔽して太平洋戦争はさらに被害を広げたんじゃありませんか。まさに現代における大本営発表じゃないですか。(発言する者あり)

浜田委員長 場外発言は控えてください。

後藤(祐)委員 大臣、稲田大臣。次の方の時間を少しいただきましたので、稲田大臣、稲田大臣に対する辞任を要求いたします。

 そして、この南スーダン問題における集中審議を、委員長、求めたいと思います。

浜田委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 そして、この日報には戦闘と書いてあるのに、大臣に説明する資料にはどう書いてあったか。これも実は、大臣に説明する資料には、その戦闘ということがなくなっちゃったりしているわけです。あるいは、この日報がどうやって削除されちゃったのか。このあたりはぜひ第三者を入れて調査をすべきなんですよ。そのことを申し入れて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

浜田委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、山尾志桜里君。

 山尾君の質疑の前に申し上げます。

 委員以外の方の不規則発言は控えてください。そうでない場合は退去願いますので、よろしくお願いいたします。

山尾委員 民進党の山尾志桜里です。

 国民の命、国民の自由、国民の権利に直結をする基本的、核心的な質問に答えない、こういう政権だと思われないように、金田大臣、しっかりと御答弁をいただきたいというふうに思います。

 今の稲田大臣の答弁姿勢は、私も大変問題だと思います。このことについては、恐らく後ほど、私の後の緒方委員も質問を続けるのではないかと思いますが、私の方からは金田大臣に御質問をしたいというふうに思います。

 もう一度、金田大臣がメディアに配った「予算委員会における「テロ等準備罪」に関する質疑について」、このペーパーについて幾つか御質問をします。

 この後の会見で、大臣は、このペーパーについて、口頭でもよかったと思う、それを申し上げなくてもよかったと思う、こういうふうにおっしゃいました。今もこの認識に変わりはありませんか。

金田国務大臣 昨日の委員会においても申し上げましたが、御指摘は、三日前の法務省から法曹記者クラブの記者の皆様に配付をいたしました「予算委員会における「テロ等準備罪」に関する質疑について」と題します文書にかかわる御質問であります。

 この文書につきましては、不適切なものとして撤回をさせていただいたわけでございますが、その思いは、国会に対してその審議のあり方を示唆するようなものと受けとめられかねないものであるということを反省いたしまして、撤回をさせていただいた次第であります。そして、改めておわびを申し上げる次第であります。

山尾委員 私、質問はできるだけ明快にしていますので、私の質問を一々解釈して冒頭につけてもらわなくて結構です。

 もう一度尋ねます。

 このペーパーについて会見で記者に問われて、大臣は、口頭でもよかったと思う、こういうふうに言っているんです。この認識に今も変わりはありませんか。

金田国務大臣 御質問にお答えしますが、私は、不適切なものは書面でも口頭でも許されない、そういう考え方を持っております。

山尾委員 ということは、この中身について問題があった、そういうことですか。どこの中身を訂正されるんですか。

金田国務大臣 先ほどの中で申し上げたつもりでございました。

 この文書につきまして、国会に対しましてその審議のあり方を示唆するものとして受けとめられかねないものであるという点を、不適切なものとして直ちに撤回させていただいた次第であります。

山尾委員 大臣、会見では、口頭でもよかったと思う、申し上げなくてもよかったと思うと、明快におっしゃっているんですね。

 今気づいたのかもしれません。口頭でもまずいんですよ。申し上げなくてもよかったと思うじゃなくて、申し上げちゃだめなんですよ。それを今、初めて気づかれたんですか。本当に絶句をするんですけれども。

 結局、この文書の問題は、文書であれ、口頭であれ、立法府の質問権を制限して、大臣としての説明責任を放棄する、この姿勢そのものが致命傷だった、こういうことなんですね。

 私、疑問だったことです。もう一回聞きましょう。自分自身に言い聞かせるものだったら、なぜ記者さんに配ったんですか。

金田国務大臣 山尾委員にお答えを申し上げます。

 昨日も申し上げましたが、私は、連日、先生方と一緒にこの予算委員会での議論を続けてくることができました。本当に、いい意味において一緒に連日頑張っている。その中で、私も答弁に時々立たせていただいています。そのときに、あの発言はどういう意味だったんですか、あるいは、あの答えはどういう意味ですかとか、なぜ法案が成案になるまでだめなんですかとか、いろいろなことを聞く記者さんがおります。(発言する者あり)いや、まずお聞きください。ということで、何人かいらっしゃるんだけれども、これからもしっかりと議論を重ねていく上で、だんだん細部にわたってくるかもしれません、法案が成案になってくればなおさらのことだと思います。ですから、そういうときのことを考えて、今までの自分が発言したことあるいは指摘を受けたことを一生懸命自分ではメモしております。

 しかし、お聞きになられた記者さん方がAさん、Bさん、Cさんといた場合に、その方々に違うことを申し上げてはいけないという思いが自分にはありました。したがって、あくまでもあの紙は自分のメモとして整理するために記述をしておったんですが、それを、ブリーフィングの補助資料というんでしょうか、ちょっとごらんいただくのもどうかなというふうに思って、ちょうど忙しいときだったのでその席にも同席できなかったんですけれども、とにかく私はそういう思いを持って、その資料をごらんいただいたら私が今まで説明してきたことの一部がしっかりと不公平にならずに御理解いただけるものだ、こういうふうに思ったのは事実でありまして、私も反省をしまして、そのことが国会に対してその審議のあり方を示唆するものと受けとめられかねないものだというふうに判断して直ちに撤回したつもりでございます。

山尾委員 直ちに撤回した後の会見で、口頭でもよかったというふうに言っちゃっているんですね。

 私、不思議だったんですよ、自分に言い聞かせるメモを何で記者さんに配ったんだろうと。今の答弁、そしてきのうの逢坂委員への答弁で合点がいきました。同じことをおっしゃっていました。

 つまり、きのうのは速記録がありますからこっちでいきましょうか、こういうふうにおっしゃっているんです。一緒に法務行政をよくしていきたいと思う方はたくさんおられます、その中に記者さんたちもおられるのでありますと。今もおっしゃっていましたね。一緒に連日頑張っている、その中に記者さんたちもおられると。

 大臣にとって記者さんたち、メディアというのは一緒に法務行政をよくしていく仲間なんですか。それだったら合点がいくんですよ、仲間に自分の思いを知ってもらいたいと。私は違うと思いますよ、もしそういう認識だったら間違っていると思いますよ。与党の席から、そんなこと間違っていないという、びっくりするような話が出ていますけれども、これは大事なところだと思います。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

山尾委員 大臣にとってメディアというのはどういう存在なんですか。

金田国務大臣 ただいまの御質問にお答えをします。

 私は、この国の公的な部分を担って頑張っておられるのは、この委員会の席におられる皆様も同じだと思います。そのときに目指すものは、公的な中で最善の結果を我々でつくり上げて、そして国民にそれを評価してもらうことだと思います。

 その中で、記者さんの果たす役割というのは、先生がおっしゃるように、いろいろな思いが私はあります、でも、それを一々挙げていればたくさんあり過ぎますから申し上げませんが、その役割を私たちもお互いに理解し合っていることが必要なんじゃないかなと。そのときに、私は何人かから聞かれておりますし、同じようなことを質問される方もいる、でも、私はそういう記者さん方が非常に頼もしく見えます。批判的なことをおっしゃる方もいる、でも、そういう記者さん方と一緒にこの国の公的な分野をしっかりよくしていくんだという思いを持っていますので、その点は御理解いただきたいと思います。

 したがって、また連日いろいろな話が来たときに自分のためにしたためておいたというふうに申し上げたとおりでありますが、それの一端を御理解いただいて、また質問でも何でも来るときに次のステージでおいでいただけるのならば、それはそれでお互いにプラスになるのではないかと勘違いしたんだと思います。

山尾委員 何を勘違いされたのか全くわからない答弁なんですけれども、メディアは権力者の仲間ではありません。メディアはあなたの考えを発信するツールではありません。メディアは官報ではありません。メディアは権力者の仲間じゃないんですよ。権力者の権力の行使、これが適正になされるかどうかをチェックする機関でしょう。

 今もなお、メディアと権力の関係を百八十度勘違いされて、自覚がないのではないですか。余りに無邪気に、余りに無自覚に……(発言する者あり)ちょっと静かにしてもらえますか。メディアに自分の考えを知ってもらいたい、伝えてもらいたい、一緒にこの国をよくしていきたい、そういう考えが前面に出てくるのは、大臣の資格が私はないと思いますよ。私、別に何も、こんなせりふをこの場で言うつもりはなかったですよ。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

山尾委員 あのペーパーを出したとき、自分のしていることがメディアに対する規制になってしまう、そう受けとめられてしまう、そういう意図すらなかったんでしょう。余りにも自覚がないじゃないですか。

 大臣、先日の続きに行きたいんですよ。あのペーパーを撤回し、謝罪をして、成案を得る前でも、この予算委員会でも、もし外務大臣がいなくても、刑事局長がいなくても、この法案の必要性を一生懸命説明します、こういうふうに、気持ちを入れかえたとおっしゃるから、その話、正面から答えてくださいね。

 法務省が出してきた現行法上的確に対処できないテロ事案の三事例、大臣、これは立法事実ですか、立法事実ではありませんか。イエスかノーかです。同じ答弁は要りませんよ。どうぞ御答弁ください。

金田国務大臣 申し上げます。

 私は、立法事実を理解してもらう上で非常に大事な事例だと思っております。

山尾委員 立法事実ですか、立法事実ではありませんか。イエスかノーかでお答えください。

金田国務大臣 私は、この三事例というものは、テロ等準備罪につきましてその成案を得られていない現段階で、条約を締結してテロを防ぐため、現行法のどこに不十分な点があるかについてわかりやすく御理解をいただくための事例をお示ししたものである、このように三事例については考えております。

 そして、立法事実というのは、御承知のように、立法の必要性を裏づける一般的事実のことであります。したがいまして、私は、現行法に不十分な点があることの説明にこの事例を使っておるという意味において、立法の必要性を裏づけるいわゆる立法事実の一つである、このように考えております。

山尾委員 この三事例は立法事実だということを、ようやく初めてこの場でお認めになりました。イメージだ、イメージだと逃げていましたからね。これは当たり前ですよ。私が一月二十日に立法事実を出してくれと法務省に言って、二十三日に私のもとに届けられたものですから。それを突然に、穴が埋まったからイメージだと言いかえられたのでは困るんです。

 立法事実だということでした。

 それでは、立法事実だとするならば、出してきた三事例、これは私がこの場で、包括的な共謀罪を必要だとする、そういう必要性には当たらないということを申し上げました。大臣、お尋ねします。今、現時点で立法事実その四はあるのですか、ないのですか。ほかのことを答えてもらう必要はありません。立法事実としての事例その四はあるんですか、ないんですか。

金田国務大臣 山尾委員の御指摘にお答えをいたします。

 法務省からお示しをしました三事例において合意の対象となっている罪以外にも、テロ等準備罪における合意の対象とすることが考えられる罪は多数存在すると思います。そのような罪の中には、未遂罪、予備罪といったような罪が設けられていない罪も多くあるわけであります。そしてまた、未遂罪や予備罪といった、設けられていてもそれでは不十分と考えられるものも含まれていると受けとめております。したがいまして、これら三事例のほかにも現行法上的確に対処できないと考えられる事例はあると考えております。

 もっとも、テロ等準備罪の対象犯罪のあり方については、以前から申し上げておりますように現在検討中であります。現時点で具体的な罪名等に即して現行法のどこに不十分な点があるのかをお示しすることは困難でありますが、法案については、テロ等準備罪の対象犯罪を含めて成案を得た段階でこれに即して十分に御説明をしてまいりたい、このように考えておるわけであります。

山尾委員 多数あるということでした、三事例以外に。一つでも出してください。

金田国務大臣 山尾委員にお答えをいたします。

 今、この部屋の中の発言で、立法事実というのはこの事例だけではないというお話が出ていました。それはおいておきまして、法務省がお示しした三事例以外の事例の提出については現在理事会で協議されており、その判断に従うということを昨日まで申し上げたとおりであります。

 もっとも、テロ等準備罪を設けることによりましてこれまで対処できなかったどのような事案に対処できるようになるのかということについては、成案を得た後にテロ等準備罪の具体的な対象犯罪に基づいて丁寧に御説明をしていきたい、このように考えておる次第であります。

 また、それまでの間、山尾先生のさまざまな御指摘を踏まえて、そういう成案をつくる中で、それができたときには丁寧に議論を重ねていきたい、このように思っております。

山尾委員 成案前に三事例は出せたのに、その穴が埋まってしまったら、四事例目以降は成案を出してからしか出せないというのはなぜですか。理由を述べてください。

金田国務大臣 なぜ成案を得るのを待たなければならないのかという御質問だと思います。

 テロ等準備罪の対象犯罪のあり方につきましては現在検討中であります。現時点で、具体的な罪名等に即して現行法のどこに不十分な点があるかをお示しすることは困難であります。

 法案につきまして……(発言する者あり)多数あると考えておりますが、法案について成案を得た後、テロ等準備罪の具体的な対象犯罪に基づいて丁寧に御説明をしていきたい、このように考えております。

山尾委員 大臣、伺いますけれども、一つでも把握を今しているんですか。把握していて言わないんですか。どっちですか。

金田国務大臣 山尾委員にお答えします。

 先ほどまで申し上げていた三事例が、私は、テロ等準備罪を説明する上で、既存の現行法上で対応できない例があるんだということをわかりやすく御理解いただくために必要な事例であった、このように考えております。

山尾委員 答えていません。もう事務方は前に出てこなくて結構です。

 三事例以外に多数あるとおっしゃいました。そのうちの一つでも、大臣、自分の頭の中に今あるんですか。

金田国務大臣 先ほども申し上げましたが、理事会で協議をしていただいている事項でございますので、それは理事会の協議をお待ちしたい、このように考えております。(発言する者あり)

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 金田法務大臣。

金田国務大臣 私が、理事会で協議をいただいて、その結果をお待ちしていると申し上げましたのは、かつて、その議論になりまして、理事会協議を質問者の方がおっしゃって、委員長がお引き取りになっております。そういう経緯は申し上げたとおりであります。(発言する者あり)

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 今、大臣は勘違いをされているようでありますが、今の質問に関しては理事会の協議にはなっておりませんので、別の件でありますので、よろしくお願いをいたします。

 金田法務大臣。(発言する者あり)

金田国務大臣 理事会をブロックに使うつもりは全くありません。

 その上で、山尾委員の御質問に答えますが、あると考えておりますと申し上げました。私の頭の中にもあることはあります。

 しかしながら、先ほども申し上げておりますように、現在検討中の状況の中で、どういう事例がどういうふうに扱われるのかということも含めて現在検討中なのであります。検討中で、成案を目指して今こういう議論をさせていただいています。ですから、そういう議論をしっかり受けとめて、私たちも成案をしっかりと皆様にお示しする日を待っておるわけであります。よろしく御理解ください。

山尾委員 あることはありますというか、大臣、今議論しているのは刑罰法規なんですよね。人を逮捕して、自由を奪って、刑務所に入れる法律が数百という単位で一括して新しくつくられてしまうかもしれない、そういう法律の議論をしているんですよね。だから、立法事実、必要性があって初めて法案を検討することが許されるんです。必要性を説明できなければ、検討そのものが人権侵害になるんですよ。そうでしょう。

 必要性なしに人権を制約する法律を検討しているんですか。必要性なしに人権を制約することを何というか知っていますか。人権侵害というんですよ、権力の濫用というんですよ。

 そう言われたくないなら、法務大臣に立証責任があるんですよ。なぜ、数百も一気に、しかも、今までの原則と例外をがらっと変えて。今までは悪いことをしたら処罰する、それを悪いことを計画したら処罰すると大きく転換するような法律をなぜ今検討しているのか、その必要性を最初に説明する責任があるんです。だから、検討中ということは理由になりません。

 あることはあると言うなら、事例その四、おっしゃってください。

金田国務大臣 ただいまの御質問、立法事実ということでお話がございました。その立法事実はあるわけであります。

 そして、私から申し上げられることは、罰則を含めて非常に重要な規定を検討するわけでございますから、しっかりと検討のプロセスというものを大事にしていかなければいけないというふうに私は感じております。そういう中で、ではテロ等準備罪の立法事実は何かというふうに、それを説明できる事例をもう一つふやせ、もう一つふやせというふうにおっしゃっていただくのは、お気持ちはわかります。でも、私たちは、委員がおっしゃるように、非常に重要な規定の検討をしております関係上、成案ができる前にこれが当たるとか当たらないとかいうことで議論をすることよりも、決して濫用にならないように、それで私たちは申し上げているわけであります。

 三年後に迫った東京オリパラ競技大会の開催を控えているとか、あるいは昨今のテロ組織による組織犯罪情勢といったものを考えた場合に、まさに委員がおっしゃることは私も非常に受けとめているつもりであります。ですから、そういう中で、テロ等準備罪等を整備してTOC条約を締結する、このTOC条約からくる国内立法をしっかり整備するというのも立法事実なのであります。ですから、我が国がテロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪の抜け穴になることを防ぐということができるようにしっかりと検討しているわけでありまして、成案ができるまでぜひお待ちいただきたいと思います。

山尾委員 大臣、私も混乱をしています、大臣の答弁に。

 いいですか。結局、重要なことは成案前にはしっかりと議論できないと言っているんだったら、このペーパーの内容を何にも反省していないじゃないですか。今大臣が言っているのは、ペーパーどおりのことを言っているじゃないですか。さすが言い聞かせているメモですよ。だから、私は、本当にこのペーパーの核心的な問題がわかっているんですかと最初に聞いたじゃないですか。

 今大臣がおっしゃったのは、立法事実、必要性はあるからあるんだとおっしゃいました。議論にならないですよ、そういう大臣とは。

 そしてもう一つ、突然、条約批准の必要性も立法事実だとおっしゃいました。総理は、条約批准の必要性、そしてテロ対策に穴があること、この二つが立法事実、必要なんだとおっしゃっていますけれども、今の話を聞くと、結局もう法務大臣もテロ対策としての立法事実の必要性を説明することを放棄したじゃないですか。テロ対策というのは結局この法律を通すための隠れみのですか。

 もしそうじゃないと言うなら、テロ対策としての三事例の穴が埋まっちゃった、でも実はもっと多数あるんだ、私の頭の中にはあると、一つでも出してくださいよ。なぜ出せないんだ。成案前だから出せないんですか。成案前だから出せないなら、このペーパーと同じですよ。どうぞ、答弁。

金田国務大臣 まず、ペーパーの話がございましたので、補足をさせていただきます。

 私は、国会における法案の審議においては、与党協議を終了しているかとか、成案を得ているかとか、あるいは国会提出後か否かにかかわらず、どのような質問も妨げられるものではないと理解をいたしております。

 その上で、御質問の内容によっては、法案の検討の具体的進捗状況等に鑑みて、御質問の時点で確定的な回答をすることが困難な場合も想定されるのであります。そのことは御理解いただきたいと思うわけであります。まずそれを申し上げました。それで……(山尾委員「質問に答えてください」と呼ぶ)失礼ですが、余りにいろいろな意見がありましたので、もう一度、確実な質問をしてください。(発言する者あり)

浜田委員長 金田法務大臣、答弁願います。

金田国務大臣 では、お答えします。(発言する者あり)静かにしていただかないと答弁しにくいのであります。

浜田委員長 静粛に願います。

金田国務大臣 三年後に迫った東京オリパラの競技大会の開催を控えた中、昨今の国内外のテロ組織による犯罪を含む組織犯罪情勢に鑑みますと、テロを含む組織犯罪対策について万全の体制を整える必要があり、国際社会と協調してテロを含む組織犯罪と闘うことは重要な課題であります。

 そして、TOC条約第五条は、締約国に対して、重大な犯罪を行うことの合意または組織的な犯罪集団への参加の少なくとも一方を犯罪化することを義務づけております。そして、テロ等準備罪はこの国内担保法として整備するものであります。

 そして、テロ等準備罪等を整備してTOC条約を締結することにより、国際的な逃亡犯罪人引き渡しや捜査共助、情報収集において国際社会と緊密に連携することが可能になるほか、我が国がテロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪の抜け穴になることを防ぐことができるのであります。さらに、テロ等準備罪を設けることにより、テロ組織を含む組織的な犯罪集団による犯罪について実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となり、こうした犯罪による重大な結果の発生を未然に防止することができる、このように考えております。

 そして、その上で、やじがたくさん出ていますが、お答えします。私は、先ほどは、聞いていないからではなくて、委員の御質問を申しわけありませんがもう一度確認させてくださいというふうに申し上げたわけであります。(発言する者あり)

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 大臣、質問がわからないときは、そのときに答弁をしないでください。同じ答弁を繰り返してもしようがないので、ぜひそこは御留意願います。

 それでは、再度答弁願います。金田法務大臣。(発言する者あり)

 静粛に願います。

金田国務大臣 私は、先ほど、山尾委員から二点質問をいただいたと受けとめました。

 一点目は、さきの方でございますが、お答えをしたつもりです。

 そして、もう一点の方は、四つ目の事例としての立法事実を示せとおっしゃっておられたんじゃないかなと私は思いました。でも、間違えてお答えしては失礼ですから、その点を、二点目だけ、もう一度おっしゃっていただけませんでしょうかと申し上げたのであります。

 そして、おっしゃっていただけないうちに、今、理事の皆さんの協議になりましたので、私は、私が受けとめているその内容、立法事実をお聞きになっているというふうに受けとめまして、立法事実についての、例えば先ほどお話がございましたように、まさに三事例にも立法事実があり、もう一つの国際組織犯罪防止条約、TOC条約にも、国内法におろす、その……(発言する者あり)それは事例の話です。

浜田委員長 静粛に願います。

金田国務大臣 事例の話と立法事実の話をしているんですよ、今。

浜田委員長 やじに答えないようにしてください。

金田国務大臣 だから、その立法事例のお話を先ほど申し上げたわけであります。

 以上で御理解ください。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願えませんか。

山尾委員 質問を忘れたまま、なぜ答弁を続けたんですか。それは時間稼ぎ以外の何物でもないじゃないですか。貴重な時間を時間稼ぎしないでくださいよ。

 大臣、この事例四があるかないかというのは、立法事実の有無そのものなんですよ。これが説明できないなら、何を検討しているんですかという話になるんですよ。だから、一つでも出してください。頭の中にあると言うから、頭の中にあるものを、出し惜しみしないで、そんなに国民に。たくさんある中の一つでも出してくださいよ。質問が抜けちゃうんだったら、その事例も抜けちゃうんですか。

 ちょっと申し上げますけれども、立法事実、これがないということを認めるなら、大臣として法案提出はやめてください。そして、立法事実、必要性を説明できないなら、必要となるその説明をする能力がないなら、大臣をやめてください。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

山尾委員 どっちかですよ、こんなの。

 今この答弁を聞いていても、何が聞かれているかもわからない、聞かれていることを忘れたと認めたまま答弁を続ける、つまり、質問者が聞いていることに自分は答えていないとわかりながら、三分も四分もこの予算委員会の時間を浪費する、そんな大臣とどうやってこれ以上議論したらいいんですか。大臣失格じゃないですか。

金田国務大臣 お答えをいたします。

 私は、誠心誠意、山尾委員の質問にお答えをしているつもりです。ただ、わからないというのではなくて、確認をしたいということを申し上げているわけであります。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

金田国務大臣 ただ、立法事実が……(発言する者あり)いや、あの、いいですか。

浜田委員長 静粛に願います。

金田国務大臣 いいですか。

 立法事実の説明は先ほどからるるしてきました。そして、事例として三つあるということを私から確認の意味で申し上げました。

 それ以外に四つ目はあるのかと言われて、私はあると思うと答えております。あると思うと。しかし、それは、非常に重要な局面で、成案を今準備しておりますから、検討しておりますから、その時点で御理解くださいと申し上げました。ただ、私は、それに対してそういうお答えにまたなるんだけれども、山尾委員の方はそれでよろしいですかということを確認したかったんです。

 ですから、何度も同じ答えをするなということもかつて指摘されたことがあります。でも、私は、同じことしか言えない場合もあることを御理解くださいということを先ほど申し上げたつもりなのであります。そのところを御理解賜らなければいけません。

山尾委員 時間を無駄遣いされたので、もう一点、お答えいただきたいと思います。

 組織的犯罪集団、これは今までの共謀罪とは違う、大きな二つの柱のうちの一つだと、繰り返し大臣はおっしゃっています。

 この組織的犯罪集団、大臣の言っていることと刑事局長の言っていることが百八十度違います。大臣は、普通の団体でも性質が一変すれば当たり得ると答弁しています。刑事局長は、そもそもこの団体の目的が犯罪を実行することにある団体に限られると答弁しています。今国会でです。

 どちらが正しいんですか。もちろん大臣が正しいんですよね。

金田国務大臣 組織的犯罪集団についてのお尋ねであります。

 ある団体が重要な犯罪を目的として成り立っている集団であるということが前提になります。そして、今御指摘をいただいた部分につきましては、たまたま一回どうこうという場合にそれが組織的犯罪集団となるんですかというお尋ねと同じだと私はお受けとめいたしました。だから申し上げているのであります。

 そういう点については、それは組織的犯罪集団の対象とならないように私たちは検討を進めているつもりであります。その点において私も刑事局長も違いは全くない、このように考えております。

山尾委員 違いすら理解できないんですか。

 そもそも要件があるかないかは根本的な問題なんですよ。刑事局長はそもそも要件があると言っている、普通の団体であれば後からワルに変わったってこれは対象外だと言っている。大臣は違うことを言っている、一変すれば当たり得るんだと言っている。刑事局長と大臣、どちらが正しいんですか。

浜田委員長 金田法務大臣、時間が来ておりますので、手短に願います。

金田国務大臣 組織的犯罪集団というのは、前も申し上げましたが、テロ組織、暴力団、薬物犯罪組織あるいは振り込め詐欺集団のようなものであります。

 その対象としてどういうものが組織的犯罪集団になるのかという点についてはしっかりと今検討しているところでありますが、いずれにしても、その定義がしっかりと、一般の皆様にも、国民の皆様にも、我々にも、皆にわかるようにその成案を今つくろうとしております。だから、それを踏まえて御検討をいただきたい、また御意見を賜りたい、このように思っているのであります。

山尾委員 大臣は、局長答弁と大臣答弁の違いの重要性が多分おわかりになっていないで今答弁されていると思います。

 どちらも、二月二日、この予算委員会での答弁です。議事録もございます。統一見解を求めたいと思いますので、理事会で協議してください。

浜田委員長 理事会で協議させていただきます。

山尾委員 以上です。

浜田委員長 これにて山尾君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民進党、緒方林太郎でございます。四十五分、よろしくお願いをいたします。

 先ほど後藤委員の質問を聞いておりまして、私、そんなに無理しなくてもいいのになと思ったことがありまして。

 大臣のロジック、よくわかります。戦闘行為というのは法律で決まっていることであり、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為を指すということで、よくよくわかっております。なので、戦闘はあったけれども法律で言うところの戦闘行為はありませんでした、こう言えばこれで足りる話でありまして、これは別に政府が持っているロジックを何ら覆すものでも何でもなくて、一般用語で言うところの戦闘はあったけれども法律用語としての戦闘行為はなかった、これだけ言えば多分足りたんだと思うんですよね。

 それでいいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。助け船を出してあげています。

稲田国務大臣 繰り返しになって大変恐縮なんですけれども、法的意味、戦闘行為というのは法律上も定義があります。そして、PKO五原則、今回南スーダンに行っておりますのは、三条の一項ロ号、武力紛争が終了した後ですから、戦闘行為があるかないかというのは本当に肝の判断なんです。

 そして、何度も申しましたように、七月の時点で、人を殺傷する行為、物を破壊する行為、そういう行為があったことは事実でございますけれども、国際的な武力紛争の一環として行われていない、だから法的意味での戦闘行為ではないということは非常に重要でありますので、そこで、戦闘という言葉は使用していないということをるる申し上げた次第でございます。

緒方委員 私のさっきの示唆は助け船を出したつもりだったんですけれども。

 別に、今の大臣の言ったロジックは、さっき言った、私の言っていることと全然何もかみ合わないわけでも何でもなくて、もうそのとおり、大臣の言っているとおりなんです。だから、一般的な報告書にあるような戦闘はあったけれども法律用語で言うところの戦闘行為はなかったという単純な答弁でおさまると思うんですよね。我々はそれを求めているだけでありまして、単純な話です。私は助け船を出しているつもりなんです。

 大臣、どうぞ。

稲田国務大臣 先ほどからるる申し上げて、委員も納得をいただいたように、戦闘行為という言葉は法律上非常に重要なものだということは御理解いただいて、なので、この国会でまさしくPKO五原則が維持されているかどうかということを議論しております。

 そして、客観的事実として、人を殺傷する行為、物を破壊する行為、これがあることは認めております。しかしながら、それは法的な意味での戦闘行為ではないので、それと紛らわしい戦闘という用語は国会では使っていないということでございます。

緒方委員 紛らわしいとかいろいろなことを言われましたが、質問をちょっと移していきたいと思います。

 戦闘行為というのは、国際的な武力紛争の一環として行われる殺傷し破壊する行為ということですが、最近、武力紛争という言葉を使われなくなりましたね。武力衝突という言葉を使うようになりました。

 武力紛争と武力衝突の違いを説明ください、大臣。

稲田国務大臣 最近というか、武力紛争という言葉を使ったことはありません。

 武力紛争という言葉は、先ほど言いましたように、武力紛争が終了してということで、今回の南スーダンPKOのまさしく法的根拠であります。そして、武力紛争というのは国家または国に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いでありますので、七月の衝突事案は武力紛争ではなくて武力衝突というふうに表現をしているところでございます。

緒方委員 私の方から少し答えを言うと、武力紛争というのはこれまで法令上の定義がないということで、ただ、国際的な武力紛争というのは、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争い、これが、私、調べました、主意書答弁の答弁であります。

 国際的な武力紛争というのは何かというと、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いということでありまして、武力衝突という言葉は法令用語ではないんですね。武力紛争も、定義はないけれども、国際的な武力紛争ということについてはそういうふうに解釈をしているということと、定義がないものを出してきて、それと違うというものを出してきて、今起こっていることは武力衝突だというふうに言っているんです。

 これは、基本的には両方とも定義がないもの、ただ、一つの方は、解釈はこういうふうに解釈をしているというものなんですが、武力衝突が何なのかということがわからないと比較ができないんですよね。

 だから、武力紛争と武力衝突を、それぞれ定義ということについて、大臣、国民の皆様が見ておられますので、わかりやすく、武力紛争と武力衝突の違い、定義も含めて御説明いただければと思います。

稲田国務大臣 何度も言いますけれども、法的に意味のある言葉を軽々に国会の議論の場で使うべきではないと思っております。武力紛争というのも、まさしくこのPKO、今回南スーダンに行っている、三条の中の、武力紛争が終了して紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在しなくなった場合ですから、武力紛争という言葉も非常に重要なんです。

 そして、ここで言う武力紛争というのは、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いですので、今回、七月の事案は、人を殺傷する行為そしてまた物を損傷する行為がありますので、武力紛争ではないという意味において衝突という言葉を使っているということでございます。

緒方委員 それだと定義をしていないんですね。今、私、違いがわからなかったです。実は武力紛争と武力衝突の違いがわかりませんでした。

 しかも、大臣、先ほどからちょっと答弁が間違っていると私思いました。説明させていただきます。

 大臣は、武力紛争の定義として、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いという表現をされましたが、多分そうじゃないと思うんですね。それは国際的な武力紛争です。定義をしっかりしてください。

 なので、大臣、もう一回聞きます。

 武力紛争と武力衝突の違い、先ほど大臣は、武力紛争について、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いと言われましたが、それは国際的な武力紛争です。武力紛争と武力衝突の違いについて御説明ください、大臣。

稲田国務大臣 違いは、何度も申しますように、国家または国家に準ずる組織の間において生ずるかどうかなんです。そういうことでございます。

緒方委員 違います。大臣、それは国際的な武力紛争であります。私が聞いているのは、武力紛争と武力衝突の違いを聞いています、大臣。

稲田国務大臣 国際的な武力紛争って、それが国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いじゃないですか。そうじゃない場合で、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いではないという意味において、衝突という言葉を使っているということでございます。

緒方委員 それであれば、戦闘行為の定義に国際的なという言葉を入れる必要はないはずであります。国内的な、国際的な要素を持たない武力紛争があるはずです。そういう武力紛争、国際的なものも国際的でないものも含めて武力紛争という言葉があり、そして、今使っておられるのは武力衝突という言葉だ、この違いを聞いているんです、大臣。

稲田国務大臣 重要なことは、国家または国家に準ずる組織の間に生じているかどうかということでございます。そして、南スーダンの七月の事案においては、国家または国家に準ずる組織の間における紛争というものが生じない、そういう意味において衝突という言葉を使っているということでございます。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 緒方委員が質問主意書で出された答弁書の中に、武力紛争を定義した規定はなく、平成二十八年十月二十五日付で内閣官房、内閣府、外務省及び防衛省が公表した派遣継続に関する基本的な考え方、六の記述も、同法上の武力紛争の定義を述べたものではないが、政府としては、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いが同法上の武力紛争に当たると解してきたところであり、そこは私、定義で先ほども述べたところでございます、当該武力紛争の一環として行われる戦闘行為は、国家または国家に準ずる組織の中で行われるものであるというふうに答弁しております。

 したがいまして、武力紛争と武力衝突の違いは、まさしく国家または国家に準ずる組織の間で行われるものであるか否か、そして、武力衝突という言葉は、まさしく国家または国家に準ずる組織の間で行われるものではない、そこに明確な違いがあるということを申し上げているわけでございます。

緒方委員 私も自分の主意書答弁をよく知っていて、武力紛争という言葉に国際性を入れて答弁が返ってきて、おかしいなと私は思ったんですよね。

 これまでの、少し前の答弁書を見てみると、今大臣が言われた答弁というのは、国際的な武力紛争の定義として今の答弁をこれまでずっと言ってきたんです。けれども、私が最近出した質問主意書で武力紛争の定義として国際性を入れてくるようになって、政府がぶれているんですね。答弁が、国際的な武力紛争と武力紛争の違いを分けることなく、単なる武力紛争の定義の中に国際性を入れるようになったんです、最近。

 これはおかしいですよねということも含めて、武力紛争の中には先ほども申し上げました国際性のない武力紛争があるはずであります。実際に、例えば国際条約の中にも、ジュネーブ条約の中には国際性を有しない武力紛争についての対応についても記述があります。

 そういったことも考えれば、武力紛争に国際性を入れることは、その考え方の中に国際性を入れることはそもそも間違っていて、やはり、武力紛争というのは、国際性があるかないかにかかわらず武力紛争というものがあり、そして、それとの関係で武力衝突という言葉を使っているわけですから、国際性があるかないかにかかわらず存在する武力紛争と武力衝突の違いについて説明をしてくださいと先ほどから何度も申し上げております、稲田大臣。

稲田国務大臣 何度も恐縮ですけれども、武力紛争かそれとも武力衝突かの違いは何かということでございましたから、それについては、明確に、国家または国家に準ずる組織の間で行われるものか否か、そして、国家または国家に準ずる組織の間で行われるものではないということを申し上げたということでございます。

緒方委員 武力紛争に国際性が入るのであれば、戦闘行為の定義に国際的な武力紛争とする必要はないんですよ。ないはずであります、トートロジーですから。同じことを二つ言うことになるわけですから。

 だから、戦闘行為の定義として国際的な武力紛争という言葉を使っている以上、それは、武力紛争という言葉に国際性、国または国に準じるものとの間でという言葉が入ること自体が間違っているわけですよ。私は、間違った答弁が返ってきたと思いました、そのときに。

 戦闘行為というのは法律で定義をされています、国際的な武力紛争の一環として行われると。である以上、武力紛争というものは、その国際性を外した何らかのものがあるはずです。先ほど言ったとおり、政府がどう解釈しているかというと、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争い、こういうふうに解釈をしている。政府は国際的な武力紛争についてそう言っている。ということは、国家または国家に準ずる組織の間においてというのは、これは国際的なと多分対比されるんだと思います。

 そうすると、武力紛争というのは何かと聞いたら、武力を用いた争いということになるんじゃないかと私は思うんですね。武力紛争という言葉の定義というのは、武力を用いた争いということに、引き算していくとそういうふうになるように私には見えるんですけれども、大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 大変失礼ですけれども、それは違うと思います。国家または国家に準ずる組織の間で行われているかというのがまさしく解釈の肝だというふうに思います。そして、国家または国家に準ずる組織の間で行われているものが戦闘行為であり武力紛争であって、それがPKO五原則とかまた三条の中のロの武力紛争が終了してということにかかわってくるものだと思います。

 先ほど来、緒方委員は、この政府の答弁書が間違っているという前提でお答えでございますけれども、私は、この政府の答弁書が正しいというふうに思っております。

緒方委員 では、聞きましょう。

 国際的な武力紛争というのは何ですか、大臣。

稲田国務大臣 国家または国家に準ずる組織の間で行われる武力を用いた争いでございます。

緒方委員 そうすると、国際的な武力紛争と武力紛争は定義が同じということになります。こんなばかな話はないはずです、大臣。

稲田国務大臣 武力紛争そして国際的な武力紛争、同じことを意味していると思います。(緒方委員「これはだめですよ。言葉が二つあるのに同じことを言っているというのは、これは間違っていると思いますよ」と呼ぶ)

浜田委員長 内閣法制局長官。(緒方委員「だめだめ、呼んでいない」と呼ぶ)常時だから。(緒方委員「求めていない」と呼ぶ)参考まで。

横畠政府特別補佐人 従前から、戦闘行為の定義といたしまして、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為をいうという、その文脈において国際的な武力紛争という語を用いておりますが、防衛大臣がお答えして、今、特にお答えしたいところは、PKO法におきましては単に武力紛争という言葉が用いられております。

 そのPKO法上の武力紛争が発生したか発生していないか、そこはまさにこの今回の部隊派遣の要件と密接にかかわることでございまして、そこのPKO法で用いられているところの武力紛争というのがどういう概念かということで、そこでは、先生の言われる国際性、別の言い方をすれば国家または国家に準ずる組織の間で行われるものであるかという、それがPKO法上の武力紛争の要件となっている。それを前提にして、そのまま一般的な言葉としての武力紛争という言葉を用いたときには、PKO法で限定されている国際性を持った武力紛争が発生したのではないかというまさに誤解を招くおそれがあるということで、そうではないということで、国、国準の間の武力紛争ではないということを明示するために、あえて武力紛争という言葉を使うのは適当でないということで武力衝突という言葉を使わせていただいているということであります。(発言する者あり)

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 今御指摘がいろいろございました。委員長の権限で、議事を進める場合には、これは使えることになっております。しかしながら……(発言する者あり)いや、事実です。しかしながら、質疑者の質問等にそんたくして、できるだけそこは自粛しながらやっていっていただきたいというふうに思いますので、答弁者、そこのところは気をつけるように、内閣法制局長官、その点はお気をつけ願いたいと思います。

 以上です。(発言する者あり)いや、ちょっとやじで聞こえなかったので、申しわけございません。(発言する者あり)いやいや、指名しました。

 緒方君、質疑続行願います。

緒方委員 稲田大臣の答弁というのは、リンゴと赤いリンゴは同じだと言っているのと同じでございまして、私は別に、書いてあることをそのまま聞いているだけでありまして、武力紛争の中には国際性は含まれないはずであります。

 それはなぜかといえば、戦闘行為、これはPKOとかそういうところにも出てくる概念でありますけれども、国際的な武力紛争の一環としてと言っているわけですから、だから、武力紛争というのは基本的に国際性を要求されていないもの。国際条約上も国際性のない武力紛争というのがある。けれども、それが何なのかということについて、よくわからない。しかし、大臣は武力衝突という言葉を使っている。

 その純然たる武力紛争という言葉と武力衝突という言葉、これの違いを説明してもらわないと、最近、南スーダンのことを説明するときに武力衝突だ、武力衝突だ、武力衝突だとよく言って、あげくの果てには、外国語を訳すときも、本来これは武力紛争と訳すべき外国語、英語で言うとアームドコンフリクトですけれども、これも武力衝突と訳すようになってきています。まさにこれは、九条に合わせるため、PKO五原則に反しないようにするために言葉遊びをしているんですね、言葉をいじっているんです。

 現実は、国際社会的にも、武力紛争と当てられる言葉を使っている国連の文書はたくさんあります。この間も一回安保委員会で議論したとおりです。けれども、それを国民に見せるときには、日本語では武力衝突と言うようになっている、ここはおかしいでしょうということを聞いていて、もう一度言います。

 武力紛争という言葉には国際性はないはずであります、純粋に国内的な武力紛争はあるはずですから。これと武力衝突の違いについて説明くださいというふうに言っています、大臣。

稲田国務大臣 武力紛争か武力衝突か、これは本当に肝が、国家または国家に準ずる組織の間において生ずるものであるかどうか、ここが肝なんです。戦闘行為のときもそうです。まさしく国際的な武力紛争の一環として人を殺傷し物を破壊する行為かどうか、具体的に言うと、国家または国家に準ずる組織の間において生ずるものであるかどうかが肝で、それがない場合のことを衝突という言葉を使って紛らわしくないように言っているわけでございます。

緒方委員 紛争か衝突かの違いを説明するのに国際性が入るかどうかということを述べるというのは、ちょっと理屈として合わないですね。ちょっと理屈として合わないと思いますよ。

 一生懸命、今大臣が武力紛争というのはそういう国または国準だという話をしますが、何度もしつこいですけれども、私、それならば、戦闘行為に国際的な武力紛争の一環としてという言葉を入れる、その国際的なという言葉は要らないはずであります。単に、武力紛争の一環として行われる人を殺傷し物を破壊する行為というのが戦闘行為でも全く構わないわけであります。(発言する者あり)いや、だめなんです。それはだめだと思うんですけれども、だからこそ、国際的なという言葉を入れているんです。

 そうである以上、大臣、では、ちょっと聞き方を変えます。国際性のない武力紛争というのはあるというふうに思いますか。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

稲田国務大臣 戦闘行為、先ほどから私が国際的な武力紛争の一環としてと申し上げていたのは、そのように法律上定義をされているからでございます。

 そして、委員に対する答弁書にあるように、当該武力紛争の一環として行われる戦闘行為は、国家または国家に準ずる組織の間で行われるものと、まさしく国家または国家に準じる組織の間で行われるものであるかどうかがここは肝でありまして、衝突という言葉を使っているのは、それには当たらないということを言っているということでございます。

菅原委員長代理 質問、いいですか。(緒方委員「答えていない。国際的な」と呼ぶ)

稲田国務大臣 国家または国家に準ずる組織の間で行われるものである以上、押しなべて国際的なものでございます。

緒方委員 ジュネーブ条約の中にも、締約国の一の領域内に生ずる国際的な性質を有しない武力紛争についての規定がございます。何度も言うとおり、国際的な武力紛争の一環として行われるということは、国際的でない武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為というのは戦闘行為に当たらないはずであります、要件が外れるので。なので私、聞いているんです。

 押しなべてと言われましたが、国際性を有しない武力紛争というのがあり得るということでよろしいですね、大臣。

稲田国務大臣 今、武力紛争というのは、PKO法上問題になっている武力紛争を私たちは議論しておりまして、それは国際性があるということでございます。

緒方委員 つまり、ちょっと私、それはよくわからなかったんですけれども、PKO法上で言う武力紛争というのとそれ以外のところで言う武力紛争、何かいろいろなところで使われるんだと思いますけれども、それは定義が異なるということを意味されたんですか、大臣。

稲田国務大臣 今委員がジュネーブ法上とおっしゃいましたので、私は、PKO法上の武力紛争をこの国会で問題にしておりますので、その意味においては国際的な武力紛争と同義であるということを申し上げております。

菅原委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

菅原委員長代理 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 条約の解釈については防衛省の所管ではありませんので申し上げませんけれども、PKO法上の武力紛争は国際的な武力紛争と同様の意味であるということを申し上げております。

緒方委員 もう一度。

 法律というのは、私も法律や条約を何度も何度もつくったことがありますので、一つ一つの言葉に意味があるわけでありまして、PKO法上出てくる武力紛争は国際的な武力紛争に当たることが多いというのはわかりますが、多分それはそうなんだろうと思いますけれども、それと、武力紛争そのものがどういうものであるかというその定義というのは別の話であります。別の話なんです。

 単体としての武力紛争、それをPKO法上に落としていけば国際性のあるものに当てはまるということは、私もきっとそうだろうなと思いますけれども、それは武力紛争の定義が何であるかということとは全然別でありまして、そう考えると、もう一度聞きます。

 武力紛争と武力衝突の違いについて述べてくださいとさっきから何度も聞いているんです、大臣。

稲田国務大臣 まさしく、武力紛争と武力衝突の違いが何であるかということが私と委員との間の議論の肝です。そして、その違いは何かというと、何度も言っていますように、国家または国家に準ずる組織の間において生じているかどうかでございますということでございます。

緒方委員 先ほど、ジュネーブ条約の話もされました。別に条約の解釈に入るつもりはありません。ただ、締約国の一の領域内で生ずる国際的な性質を有しない武力紛争の存在が想定されています。そして、これは南スーダンのPKOに行かれている方々にも適用のある条約であります。そうやって、国際性のない武力紛争が想定されている以上、それと違う概念を今どんどんと説明されている以上、国際性があるかないかにかかわらず存在している武力紛争と武力衝突の違いというものを説明いただきたいなと。

 これは別に、私が何か新しい考え方を発明しているわけでも何でもなくて、誰もが聞きたいことだと思うんです。武力衝突、武力衝突と言われる、けれども武力衝突じゃないと言っている、その違いは何ですかと。それは国際性の話じゃないです。それを説明してくださいとさっきから言っているんです、大臣。

稲田国務大臣 先ほどから何度も申し上げていますように、武力紛争と武力衝突の違いは何か、その肝は、国家または国家に準ずる組織の間に生じているかどうか、これが違いであるということでございます。(発言する者あり)

菅原委員長代理 では、稲田防衛大臣、もう一度答弁をお願いいたします。

稲田国務大臣 何度も申し上げますように、PKO法の南スーダンの話をしているわけです。この中で私が武力衝突という言葉を使っているけれども、それは武力紛争という言葉とどう違うのか、それはまさしく議論の肝ですよね。

 そして、その肝は何かというと、国家または国家に準ずる組織の間において生じているかどうか、これが肝なんです。ここに当たるとすれば、武力紛争に当たるとすれば、PKO五原則にかかわることでありますので、ここは非常に重要で、分けて考えなければならなくて、そして、七月の事案は、人を殺傷しまた物を破壊する行為ではありましたが、しかし、国家または国家に準ずる組織の間において生ずるものではなかった。それは客観的事実に照らしてそういうことを言っているということでございます。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

緒方委員 それでは、お伺いをいたします。

 大臣、国内的な武力紛争というのはあり得ると思いますか。

稲田国務大臣 国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いを武力紛争といいますので、PKO法上はないということでございます。

緒方委員 わかりました。というか、わかっていないんですけれども。すごい答弁が今返ってきたなという気がしましたが、質問時間もありますので。

 金田大臣、お待たせいたしました。質疑を金田大臣に移りたいと思います。

 法務大臣ペーパー、怪文書のようなあの紙ですけれども、あれは法務省の組織としての公文書ということで、公文書に近い文書だとかなんとか言っておられましたが、公文書だろうと思うんですね。次官、官房長が決裁している以上、役所のトップ、事務方のトップそして官房長が決裁している以上、かなり重みのある文書だと思います。

 これについて、次官、官房長が了承していることについて、きのうの質疑を聞いておりますと、当初、自分のためにしたためたものであり、それを整理して記者の皆様にお配りしたもの、決裁は、そういう手続をとっていなかったと最初に発言がありました。もう一度確認をされたときに、決裁をとっていたことは知らなかったと答えていました。最後のところで、後で聞いていたという話になっていたようであります。

 どこかに虚偽があるはずです。どれが虚偽ですか、金田大臣。

金田国務大臣 緒方委員にお答えいたします。

 今、御説明の中で、私は誠心誠意事実を申し上げているつもりでございますので、どこにも虚偽がないと思います。

緒方委員 私、今ちゃんと説明したはずです。決裁をとっていたことは、最初、きのうの国会答弁では知らなかったと言いました。そしてその後、後ろからブリーフが入った瞬間に後で聞いていたというふうに言い直しました。

 知らなかったと後で聞いていたの間には、重なり合うところはないはずであります。どちらかが虚偽です。大臣、どちらですか。

金田国務大臣 申し上げます。

 私は、事後的に知りました。ただ、決裁はとる話ではございません。私のメモであります。そして、私が自分自身のメモと記憶のためにしたためておいたものでございまして、これを例えば公務員が行ったとなれば、私は公務員であると思いますので、そういう意味においては公文書であろうかと思います。

 以上であります。

緒方委員 しかし、大臣、後で、決裁をとっていたことは後で聞いていたというふうに答弁されているんですよね。後で聞いていたということを言っているわけでありまして、どこかに違いがあるはずであります、大臣。

金田国務大臣 整理をして申し上げます。

 断片的には申し上げておるつもりなんですが、整理をしますと、まず、決裁をしたという事実は聞いておりません。それから、そもそもそういうものはないと認識をしておりました。ただ、昨日朝に、承知をしていたという話をお聞きしました。事後的に私が聞いたということであります。

緒方委員 日本語として主語がなかったのでわかりにくかったんですが、ただ、大臣、一回、決裁をとっていたことを知らなかったときのうの国会質疑の中で言われたんですね、知らなかったと。けれども、きのうの朝の段階で知っていたということを今答弁されたと思います。どこかが矛盾していると思います、大臣。

金田国務大臣 いつの時点のことをお尋ねかによっては、きのうの朝知ったわけでございますから、そういう意味において、審議中であれば、当日の議論をすれば、知りませんでした。そして、その翌日も知りませんでした。昨日の朝、知りました。

 ですから、いつの時点でお尋ねかをきっちりおっしゃっていただければ、おのずと一つに収れんすると思います。

緒方委員 だって、きのうの質疑の中で、決裁は、そういう手続はとっていなかったというふうに答弁したじゃないですか、最初に。きのうの朝の段階で知っていたのであれば、その答弁をしないはずですよ。大臣、うそですよ。(発言する者あり)

金田国務大臣 静かにしてください。

 申し上げます。

 要するに、おわかりくださいね。二人が承知していたということを聞いたのが昨日の朝であります。それから、決裁はとっていないというのは今も変わっておりません。

 以上であります。

緒方委員 法務大臣秘書課長は、官房長、次官の決裁をとったと我々の内部の聞き取りで明言いたしております。(発言する者あり)秘書課長です。

 矛盾がありますので、秘書課長を呼んで説明を求めたいと思いますので、休憩を求めたいと思います。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 緒方君の質疑に関しては、共産党、維新の会が終わった後に残り時間の質疑を確保しますので、よろしくお願いします。

 そして、秘書課長を呼ばせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

緒方委員 それでは、また後ほどということで、よろしくお願いします。

浜田委員長 それでは、質疑を続行させていただきます。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょう朝から、稲田大臣それから金田大臣の答弁について、非常に審議がとまるような事態が起こっております。私も本当に言いたいことはいっぱいあるんですが、きょうは、大事な質疑を控えていますので、取り上げません。

 ただ、これまで述べてきた答弁とそごがないのかどうか、そのことはしっかりと精査して、そのための時間はしっかりと審議で補充していくということを集中も含めて決断していただきたい、このことを委員長に一言申し述べておきたいと思います。

浜田委員長 理事会で協議します。

高橋(千)委員 東日本大震災から、間もなく五年十一カ月になろうとしています。政府は、復興集中期間は終わり、復興・創生期間だと言っております。マンションのような災害公営住宅が次々と建ち、新しい建物や道路も建ち並ぶ中で、被災者の現状が見えなくなっているのではないでしょうか。

 限られた時間なので、きょうは、国保を切り口に質問したいと思います。

 二〇一一年三月から一年間、政府は、全額国費で医療、介護の一部負担金並びに保険料の減免制度を行いました。二〇一二年十月以降は、自治体が減免制度に取り組んだときに、その八割まで補助を行うことになりました。

 これは別に、国保の仕組みそのものを利用したものであって、特別な手当てではないわけですが、岩手県は、その残り二割を県と市町村が分け合って、制度を続けております。福島県は、避難指示区域には継続されております。宮城県は、県が独自の補助をやめましたので、今、市町村だけで頑張っているのが九市町村残っておりまして、大きく格差ができている状態であります。

 資料の一枚目につけておりますが、みやぎ県民センターの調べでは、免除が打ち切られた方は七四・三%、四人に三人がもう減免措置がありません。その中で、持病ありが九四・八%、健康不安がある、九七%にも上ります。持病がある方の九割近くは受診しているものの、その理由は、服薬を中断できないから治療をやめるわけにはいかないと答えていること、また、ここにはないんですけれども、そのうち三割近くが、今後は回数を減らしたり、やめると答えていることも深刻であります。

 そこで、塩崎大臣に伺いますが、政府は、免除が打ち切られた後の被災者の現状を把握しているでしょうか。改めて、この免除制度を国として復活、継続すべきと考えますが、お答えください。

塩崎国務大臣 今、高橋委員から免除制度の継続問題につきましてお話をいただきましたが、今お話のあったとおり、東電の福島第一原発事故に伴う避難指示区域等については、国民健康保険等における一部負担金の免除額に対して、原則、国が全額を財政支援しております。その他の区域においても、被災状況に応じまして保険者の判断により減免を実施し、減免に要する費用の負担が著しい場合には、減免に要した費用の十分の八以内を国が財政支援する、こうなっているわけでありまして、これらの措置については来年度も引き続き実施をする予定でございます。

 把握をしているかどうか、この問題でございますが、東日本大震災の被災者に対する医療費の一部負担金の免除については、被災地全域において、平成二十三年三月から約一年半の間、一部負担金の免除額の全額について財政支援を行っていたわけであります。

 平成二十四年十月以降は、避難指示区域等を除く特定被災区域では、減免による財政負担が著しい場合に、今申し上げたとおり減免に要した十分の八以内を財政支援していますけれども、平成二十四年十月以降、例えば岩手県内の市町村では一部負担金の免除が引き続き実施をされておる一方で、宮城県内の一部の市町村では、お話のありましたように、平成二十八年度から免除措置を取りやめたところがあるというふうに承知をしております。

 こういった点について、震災から約六年が経過をする中で、他の災害における対応との均衡を考慮いたしますと、段階的に本来の医療保険制度の姿に戻していくこと、これはやむを得ないものと考えているわけでございますが、厚労省としては、被災者の方々の生活の状況に応じて市町村の判断によって一部負担金を減免できる仕組みを設けておりまして、引き続き、必要に応じてこの仕組みを活用し、被災者支援が行われるように取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございますので、しっかりと見てまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 現行の支援制度は続くということを改めて確認させていただきました。

 ただ、私、現状を把握していますかと聞いたのは、制度がいついつどうなってというのは、私がしゃべったことを繰り返さなくていいんです、結局、被災者の実態はつかんでいないのかな、だからやむを得ないという答弁になるのかなということを指摘したいと思うんですね。

 宮城県の調べで、災害公営住宅に入居している方は一万八百九十五人、そのうち約八割が、月収八万円以下という特別家賃低減対象世帯なんです。実は、受診を中断している人の中には、災害公営住宅の家賃がとても高くて負担だということを理由に挙げている方があるんです。

 軽減措置はもともとあります。初めの据え置き五年間はあるんですけれども、それは正規の家賃の三割程度、それでも高いと言っている。ですが、これは順々に戻っていくわけですよね。正規の家賃に近づいて、まさに今六年目ですから、四分の一、四分の一というふうに近づいていって、十年目では普通になってしまうんです。ですから、二倍、三倍と家賃が上がっていきます。どのくらい上がるのか心配だ、家賃が上がったら暮らしていけないという声があふれているんです。

 次は、今村復興大臣に伺います。

 まず、公営住宅に入居したら、もう自立だ、そう簡単には言えないはずです。それで終わりではないという認識を共有できますか。そして、改めて実態調査を行い、払えない人たちには家賃減免の継続など特別な対策が必要と考えますが、いかがでしょうか。

今村国務大臣 災害公営住宅にお入りになった後も、これで終わりということではなくて、心身のケアあるいはコミュニティーの形成、そしてまた生きがいづくり、そういったことについては大変重要だと思って支援しているところであります。また、それに関連して家賃の話が今出ましたが、これは、一般のルールに加えて、特に東日本の災害公営住宅云々については特別な対応をしてまいったところであります。

 これからも、できるだけ、個々の入居者の実情というものはそれぞれの自治体が個別に実態把握してありますので、そういったことも勘案しながら、ルールはルールとしながらも、そういった配慮もできるということで指導もしてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 昨年の本委員会でも、仮設や公営住宅での孤立死について私は取り上げました。

 今、党県議団の調査の中にも、例えば、公営住宅が百五十九世帯ある、集会所が開くのは月一回の茶会、それも集まるのは十二名から十三名くらい、住民同士のコミュニケーションは全くとれず、いざこざや病人が絶えない、救急搬送が多く、一年半で十二名も死亡者が出ている、こういう実態を訴えられています。

 せっかく助かった命を生活苦や孤独のうちに閉じる、こんなことがあってはなりません。丸六年になろうとする今こそ、被災者一人一人の実態をつかみ、対応していくべきだと強く求めたいと思います。福祉措置をあわせて取り組んでいただきたいと重ねて申し上げたいと思います。

 実は、先ほどの塩崎大臣の答弁にも関係するんですが、私は、今の社会保障制度がもっと安心できるちゃんとした制度であれば、あるいは改悪がこれほど進んでいなければ持ちこたえられたのではないかと考えているんです。

 今、全国で、国保が高過ぎる、払いたくても払えないという声は大きいです。現在、滞納世帯数は三百三十六万四千二十三世帯、一六・七%です。非常に多いと思うんですが、実は、世帯数はこれでも減っているんですね。しかも、収納率は上がっているというんです。これはどうでしょうか、またそれはなぜか、簡潔にお答えください。

塩崎国務大臣 社会保険方式をとっているこの国民健康保険は、年齢や就業形態にかかわらず、負担能力に応じて加入者の方々に保険料を適正に負担していただくという中で回っていく制度でございます。

 そのためには、収納率の向上に向けて各市町村において取り組みを進めていただくことが必要であることから、平成十七年に収納対策緊急プランというのを策定いたしました。口座振替あるいはコンビニ収納等の多様な保険料の納付方法の確保とか、あるいはコールセンターの設置、活用による納付勧奨の実施といった収納対策の具体的な実施方法を例示することで、それぞれ市町村で行っていただいているわけでございます。

 近年保険料の収納率が向上していることについてのお尋ねがございましたが、保険料の収納率の変化には、今申し上げたような市町村による収納努力がまずベースにあるということに加えて、各地域におけます加入者の所得の総体的な改善あるいは就労状況の改善、さらには高齢者からの年金天引きによる保険料の徴収がふえていること、あるいは低所得者への保険料軽減の拡充によって保険料水準が総体的に納めやすくなっているということなども影響するものと考えておるところでございますので、こういった要素が複合的に効果があって上がっているというふうに考えております。

高橋(千)委員 収納努力の中身が問題なんですね。

 資料の二枚目を見ていただきたいと思うんです。

 当時は最高で九六・四七%まであったものから、ずっと下がっていきまして、リーマン・ショック後に底を打って、今は五年連続で上がっております。間もなく速報値が出ますが、さらに収納率は上がるようだということを聞いております。

 その下を見てください。これは差し押さえ件数であります。これも同じように上がっているわけなんですね。順調に伸びて、今や二十七万七千三百八十一世帯、九百四十三億円も差し押さえられているということであります。

 資料の三を見てください。

 これは厚労省の資料をもとに大阪社保協がまとめた資料ですが、全国都道府県国保差し押さえ率ランキングであります。一位は群馬県、三三・四%。つまり、三世帯のうち一世帯は差し押さえがされている。一世帯、一件当たりの差し押さえ金額は二十五万五千五百二十六円だ、こういうことがわかっているわけなんです。一体どんなことが行われているのか。

 次の資料を見ていただきたいと思うんですが、これは昨年十二月十四日の朝日新聞であります。「「先進」前橋の市税収納率改善」ということで、差し押さえ件数が突出していると、大きな見出しがあります。

 二段目のアンダーラインのところ、督促状を送って云々やった後に、「動きがないようなら、財産調査をしたうえで差し押さえに至る。この間は四カ月と短い。」と、担当者の声を書いているわけです。

 そして、左側の真ん中のアンダーラインから見ていただきたいと思います。「前橋市内に住む六十三歳と七十五歳の夫婦は自動車修理業を営む。十数年前から経営が悪化し、国保税などを滞納している。その結果、「自宅と年金が差し押さえられ、一週間後どうなっているかわからない生活」。 自宅は既に差し押さえされ、先月下旬には地裁から競売にかけられる知らせが届いた。今は水道も引かれていない修理作業所内にプレハブ小屋を建て、約六畳の部屋に寝泊まりする。 夏はクーラーなしで過ごした。「熱中症で死んでしまえばよかったのかもしれない」」こういう声が紹介をされているんです。これは先進事例として、全国の視察も相次いでいるというんですね。

 厚労省は、このような差し押さえを奨励しているんですか。

塩崎国務大臣 今、群馬県前橋市の例あるいは群馬県のお話を頂戴いたしましたけれども、前橋市を見てみますと、市税、国保税あわせて収納率の強化が図られておるようで、自主納付の推進を図る観点から、催告、戸別訪問、コールセンターによる呼びかけなどを行って、負担能力がありながらこれらの呼びかけに応じていただけずに、自主納付の見込みがないと判断されました場合には滞納処分を行っていると聞いているところでございます。

 その際、滞納額が余りに高額になることで滞納者が経済的により苦しくなるということを防ぐために、早い段階から呼びかけを行って、早期の滞納解消に努めているというふうにも聞いておるわけでありますが、支払い能力があって、保険料を納付することができない特別の事情がないにもかかわらず納付交渉に応じていただけずに納付が期待できないと判断される方については、差し押さえ等の滞納処分を行うことはある意味やむを得ないと考えるわけでございます。

 一方で、国民健康保険の加入者にはいろいろな事情を抱えていらっしゃる方々がおられるわけでございますので、これまでも、市町村に対しまして、それぞれの事情をよく相談していただいてきめ細かな対応を行うように厚労省としては求めておるところでございまして、市町村においてはこれらを踏まえて適切に対応していただきたいというふうに私どもは考えております。

高橋(千)委員 今の答弁は矛盾していると思うんですね。

 滞納額がたまり過ぎて余りに高額になったら経済的に困窮してしまうから、早く差し押さえするんだと言いました。それで、家を差し押さえられて、今にも亡くなるかもしれない、そういう状況が起きているんですよ。それを、余りに高額になるから経済困窮するというのは、逆さまじゃないですか、言っていることが。もう早く死んでしまいたいとまで言わざるを得なくなっている、それは行き過ぎたやり方だ。

 今おっしゃったのは、国税徴収法にもちゃんと書いてあります。それは、最低限の生活が守れなければ滞納処分をやめるという意味なんですよね。行き過ぎたやり方でしてはいけない、それはきちっと言ってくださいよ。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたのは、早い時期から呼びかけを行って、早期の滞納解消に努めているということを申し上げているので、早い時期から滞納処分を行うということを申し上げているわけでは決してないわけであります。

高橋(千)委員 確認をしました。

 これは、きちっと厚労省の納付手順の流れがあって、何度も何度も相談をし、必要であれば生活保護につなぐとか書いています。実際書いているけれども、窓口で聞くと、そこに生活保護の窓口があるからと言っているだけで、何もつないでくれていないというのが現場の声でありますので、これはしっかりと、言っているとおりに丁寧な対応をしていただきたい。まして、それが命につながるようなことはあってはならないと指摘したいと思います。

 それで、資料の五枚目を見ていただきたいんですね。これはまさに早目の呼びかけなのかもしれないんですが、この呼びかけはどうか。

 「強制処分目前の状況です!!」かなりどぎついチラシですが、これは、住民税を滞納した業者の方に大田区が送ってきた督促の中に入っていたものであります。

 「文書催告」「差押」「強制捜索」とだんだん字が大きくなっていくんですけれども、「差押」の中を見ていきますと、「繰り返し、文書催告しても納付頂けない場合、やむを得ず差押処分を執行します。年間数千件の実績があります。なお、銀行や保険会社の他に勤務先や取引先にも調査が及ぶため、社会的な信用が著しく低下する場合もあります。」もうこれだけで震え上がるんじゃないかなと思うんです。

 しかし、その先に「強制捜索」というのがある。「最終手段として、自宅や事務所等の強制捜索を定期的に執行しております。警察官が同行して滞納者宅の捜索を行いますが、本人にとっては寝耳に水の出来事で、かなりの衝撃を伴うことになります。強制処分の為、留守の場合は、鍵を破壊して室内に進入します。多人数で実施する為、ご近所への影響も小さくありません。」

 大臣、このような督促の仕方を認めるんですか。

塩崎国務大臣 今お配りをいただいている資料につきましてまず申し上げなきゃいけないのは、御指摘の文書というのは、国民健康保険に関するものではないということがまず第一でございます。国民健康保険の保険料の徴収のためにこのようなことを言われる筋合いにはないと思っておりまして、これは地方税の強制処分についての文書であると思われます。

 実際にどのような状況下で、どのような意図で送付をされたものかということは我々が知る由もないわけでございますが、その是非について申し上げることは困難でございますけれども、一読したところ、確かになかなか厳しい表現というのが率直な私どもの感想でもございます。

 先ほど申し上げたとおり、国民健康保険の加入者にはさまざまな事情を抱えられている方々がおられますから、これまでも市町村に対して事情をしっかりと聞いてきめ細かく対応すべきだということを申し上げてきていることはさっき申し上げたとおりであって、国税徴収法においては、給与とかあるいは社会保障制度に基づく給付のうち、最低生活費相当額や税、保険料など一定の部分については差し押さえることができない旨規定をされておるところでもございます。国保税やあるいは国保保険料の滞納処分に当たっては、これに従って実施する必要があるというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 まず確認をしたいんですが、国保税の差し押さえや捜索に当たっても国税徴収法に準じてやっていると言っています。ですから、立会人がないもとで、まして留守ですから、本人が拒む余地もないわけです。それに対して、鍵をこじあけてまで、壊してまで入るということは違法ではないのか、これは違法な場合があるということを質問しています。

 それから、国保ではないとお答えになりました。たまたまこの事例は地方税ですけれども、当然あり得るんですね。なぜかというと、二〇一四年度の国保の財政状況によると、既に八百三十七の保険者、四八・八%の保険者が捜索を実施しております。

 改めて、行き過ぎた差し押さえ、捜索になっていないか、これを調べるべきではないでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘のございました国税徴収法第百四十二条第三項でございますけれども、強制処分としては、徴収職員は、捜索に当たり、滞納者に閉じてある扉、金庫等を開かせ、または滞納者が不在の場合等に限り、みずからこれを開くための施錠の除去等必要な処分をすることができるということになっております。私ども、国民健康保険の保険料、国保税等の徴収に当たりましては、この国税徴収法に従いまして手続を行うということになっております。

 また、大臣からも申し上げましたけれども、さまざまな御事情を被保険者の方等が抱えておられますので、市町村等を通じましてそういう事情はしっかりと把握していきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 この問題、何度も取り上げてきているんです。かつて厚労委員会で、柳沢伯夫厚労大臣から、苛斂誅求のそしりを受けないようにという答弁もありました。約束いただいたことが本当に、現場ではまるで違うということがないように、しっかりと対応をお願いしたいと思います。

 こうした中、二〇一八年度からは、国保は都道府県単位化されるわけです。改正された国保法三条は、都道府県は、当該都道府県内の市町村とともに国民健康保険を行うとあります。これは非常に曖昧な表現なんです。つまり、県が保険者になるわけではなくて、保険料の徴収や療養の給付は市町村のままであります。

 資料の六枚目には昨年十月十二日の東奥日報をつけておりますが、青森県の市町村格差を調べたものです。最大が平内町の十万九千八百二十円、最低が佐井村の六万五千二百八十八円、その差四万四千五百三十二円、一・六八倍です。佐井村は、無医村であり、医療費が少なく、だから保険料も高くないのはやむを得ない状況にあるわけですね。こういう地域の格差を考慮せずに保険料を統一しますともしなれば、大変な負担増になります。県内市町村長から、早く統一をという声と、いやいや、時間をかけてという声の両方があって、今決められないという記事になっております。

 伺います。都道府県単位化は、保険料を全県一本に統一するのですか。

塩崎国務大臣 国民健康保険というのは、さまざまな構造的な問題を抱えて厳しい財政状況にあるということで、平成三十年度から財政運営責任主体を市町村から都道府県に移行することによって、高額医療費の発生などの多様なリスクが都道府県全体に分散される仕組みということにいたしたところでございます。

 また、今回の改革におきまして、毎年約三千四百億円の追加的な財政支援を行うことによって国保の財政基盤の強化を図るということにしているわけでございます。

 お尋ねの、二〇一八年度、平成三十年度以降の市町村ごとの保険料の水準のあり方につきましては、今後、各都道府県が市町村と協議を行った上で順次決定していくということでございまして、その際、都道府県内の保険料水準を統一することも可能な仕組みとしておりますけれども、都道府県内の現行の保険料水準の差などを踏まえて、市町村ごとに異なる保険料水準とすることも可能な仕組みとなっているわけでございます。

 今後、各都道府県におきまして、市町村と十分な議論がそれぞれの都道府県で行われて、それぞれの地域の実情に応じて適切な保険料水準のあり方が決定をされていくものと私どもは考えているところでございます。

高橋(千)委員 統一が可能な仕組みとおっしゃいました。確かにガイドラインには、将来的には都道府県統一の保険料水準を目指すもののということで書いているわけなんです。だから言っています。異なる仕組みがあり得るんだということをぜひ確認させていただきたいと思うんですね。

 資料の七枚目、既にその試算を始めた埼玉県の資料がございます。

 一人当たりの保険税額がどうなるのかということで、所得に応じてとかあるいは均等割でとか幾つかのパターンをやってみたんですが、どうやっても、県平均で見ても一三一%の負担増。そして、いずれもトップは蕨市なんですが、一七七%前後の負担増になっているんです。ですから、市町村が繰り入れをして保険料の高騰を抑えているところもあります。

 しかし、そもそも、今さっき紹介した佐井村のように、医療資源がないために医療費も安くて、保険料もそれに伴って安いところもあるんです。そういう事情もあることをちゃんと踏まえて一律ではないのだ、そのことを市町村に、ちゃんと裁量がきくように認めていくということを一言確認させてください。

塩崎国務大臣 今お配りをいただいている資料は、一般会計繰り入れがないという前提での試算ということだと思います。

 御指摘のように、都道府県内の医療費水準に差があって、医療費水準に応じた負担を求めることが公平感の確保につながる場合などには医療費水準に応じた保険料水準とすることができる仕組みとなっておりまして、一律の保険料水準を求める仕組みとはしておりません。

 今後、各都道府県におきまして、さっき申し上げたとおり、市町村と十分な議論が行われて適切な保険料水準のあり方が決定されていくものというふうに考えております。

高橋(千)委員 確認をさせていただきました。

 最後の資料を見ていただきたいんですが、これは、東京都が今、都道府県の調整交付金を伴って差別化をしているものなんですね。三十二億三千三百五十万円を収納率向上に振り向けているんですけれども、差し押さえが例えば五百件以上あったら四千万円、三百件以上あったら二千万円というように、交付金で差をつけているんです。これはパイが決まっているんですから、パイが決まっている中で、差し押さえを頑張ったら交付金が出ますよ、逆に言うと、しなかったら交付金は出ない、予算が足りなくなる、こういう形になっては困るんです。

 国がみずから手を下さなくても、都道府県に差し押さえや滞納処分を競わせるようなことがあってはならないと思いますが、一言だけ、そうじゃないということをお答えください。

浜田委員長 塩崎厚労大臣、時間が来ておりますので、よろしくお願いいたします。

塩崎国務大臣 御指摘の、東京都において実施されている新規差し押さえ件数に応じた交付というようなことでございますが、差し押さえの対象となるべき被保険者に対して行った差し押さえの実施件数を評価する限りにおきまして、直ちに否定すべきものではないと考えております。まずはこの実態を調べてみたいと思いますが、これはやはり、医療費の適正化それから収納率の向上などについて市町村の取り組みを進めていくことが重要だということで調整交付金を構えているわけでございますので、これらの取り組みのさらなる推進を図ることは一般にはあり得るものと考えております。

 この都道府県調整交付金の具体的な交付方法につきましては、各都道府県がそれぞれの状況に応じて条例で定めるということになっていますから、各都道府県の判断によって実情に応じた交付方法が設定されているものというふうに認識をしております。

高橋(千)委員 調べていただきたいと思います。終わります。

浜田委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上英孝でございます。

 最終の質疑者かなと思っていたら、また僕の後にあるらしいので、もうちょっと延びます。

 麻生財務大臣、本当にずっとお座りになって大変だと思いますけれども、きょうは私の質疑には答弁はありませんので、ゆっくりしておいていただけたらというふうに思うんですけれども、山本大臣、金田大臣、松野大臣、本当にありがとうございます。

 私の方からは、通告をさせていただいているとおりにやらせていただきたいと思いますけれども、まずはテロ等準備罪についてやらせていただきたいと思います。

 今日まで、二月一日に平成二十九年度の予算審議が始まって、今、土日を抜いて七日間連続でやっているところですけれども、さまざまなテロ等準備罪についての懸念というのが示されているというのも理解をしております。もちろん、法曹専門家の方々の議論、人権を尊重して守るというのは当然のことではないかなというふうに思いますけれども、ただ一方で、かなり多くの日本国民は、テロに巻き込まれるようなことは絶対に嫌だと思っておられるというふうに思います。テロを徹底的に根絶して日本国そしてまた日本国民を守るというのは大義ではないかなというふうに思いますけれども、それについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まずは、命にかかわるという点と予防という点で、私が経験した一例を挙げさせていただきたいと思うんです。

 私は、ここに来る前、大阪市議会議員をやっていまして、その当時に児童相談所が、ある家庭にネグレクトの兆候というのを確認した。育児放棄の状況になっているんじゃないかということを児童相談所が確認して、学校に行っている間は子供にどういう状況やというようなことをヒアリングしたり、いろいろなことをするんですけれども、子供は必ずそういうときには親をかばうんですね。そういうことはないですよ、ありませんというふうな答えになって、結果的に、その児童相談所は当時、親子分離など非常に厳しい対応というのも含めて強制介入というのをためらったんですね。ためらったがために、結果、最悪の結末がその子供に訪れるということが、そういう事案があったというのを記憶しています。

 当時、児童相談所の担当者が、話を聞くと、悔やんでも悔やみ切れないと言って肩をがっくり落としていたことを、本当にきのうのことのように覚えています。私自身もその姿を見て、やはりやるべきときにはやらなければならないことがあるんだなということを痛感したことも覚えております。

 テロ等準備罪は、結果が生じていないということを処罰する、いわば予防的な取り締まりということになりますので、想像がしにくいということもあって批判が出てくるということは大変理解ができますが、国際社会でテロが頻発して大変な脅威となっている中で、我が国の健全な国民が安全で安心に暮らすことができるようにするということは、我々国会議員の当然の責務であるというふうに思います。

 テロは起こってしまった後に対応するのでは遅く、国がやはり遺漏なくテロ対策を行って未然防止に努めるということが私は非常に大事である、そして必要であると思います。今回のテロ等準備罪の創設がテロ対策上国民を守るという大義を持つものなのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

金田国務大臣 ただいま井上委員が御指摘になったとおりだと思っております。

 そもそものお話をさせていただきますが、近年、世界各地で大規模なテロが続発する一方で、我が国においても、暴力団による組織的な殺傷事犯あるいは違法薬物事犯といったような各種の組織犯罪が多発しているわけであります。これが国民の平穏な生活を脅かすという状況にあるものと考えております。

 こういう中で、昨今の国内外のテロ組織によります犯罪を含む組織犯罪情勢等に鑑みますと、これと闘うための協力を促進するのがTOC条約の締結でありまして、この締結は急務である、このように考えております。

 この点、国内担保法を整備して本条約を締結することによりまして、我が国がテロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪の抜け穴となることを防ぐとともに、国際的な逃亡犯罪人の引き渡しあるいは捜査共助といったものが可能ないしはさらに充実することになります。このほか、国際協力を積み重ねて国際社会の信頼を得て、関係各機関との情報交換を一層活発にすることも期待できるわけであります。

 一般に、テロを含む組織犯罪につきましては、委員御指摘のとおり、一たび実行された場合には取り返しがつかない結果が生じるということも多いわけでありまして、その計画が発覚した場合にはできるだけ早く検挙して未然に防止する必要がある。そこで、テロを含む組織犯罪について、犯罪の実行に至らない段階で、実行行為のより前の段階におきまして一層迅速に対応することを可能にするという観点からも、テロ等準備罪を設けることが必要であると考えております。

 二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会、三年後に控えております。昨今の国内外のテロ組織による犯罪を含む組織犯罪情勢等に鑑みますと、国際組織犯罪防止条約、TOC条約の締結をすることが非常に重要でありまして、国際社会の信頼を得て国際協調を深めるとともに、テロ等準備罪によるテロの未然防止を図ることによって国民の安全、安心を守るという必要性が極めて高い、このように考えておる次第であります。

井上(英)委員 日本の国民をしっかり守るということをまず大前提にしていかないといけないのかなというふうに思います。先ほども言いました、かなり多くの国民は、テロに巻き込まれず、安全で安心な生活が続けられることというのを多分希求しているというふうに思うんですね。ですから、ぜひその大前提に立って事を進めていただきたいなというふうに思います。

 このテロ等準備罪については、いろいろなところで平成の治安維持法であるというような声も聞きます。総理がおられたら、レッテルを張らないでくださいとおっしゃるかもわからないですけれども。

 でも、そういう声もありますけれども、治安維持法が本当にあった当時と現在では社会環境というのはかなり違うというふうに私は思っています。立法府や行政府も当時よりは成熟していると思いますし、またマスコミも非常に活発に活動されています。現在の我が国においてその当時のような取り締まりが現実として行われるというふうに私は思わないですけれども、このような懸念に対してはどうお考えか、お答えください。

金田国務大臣 委員の御指摘にお答えをいたします。

 戦前と異なりまして、現在の捜査機関による捜査というものにつきましては、日本国憲法のもと、裁判所が捜査段階においては厳格な令状審査を行う、また公判段階においては証拠を厳密に評価して事実認定を行って有罪か否かを判断するということによりまして、捜査機関の恣意的な運用を防ぐ制度が有効に機能していると思います。

 こうした中で、現在検討中のテロ等準備罪というものは、一点目は、犯罪の主体を一定の犯罪を犯すことを目的とする組織的犯罪集団に限定する、二つ目は、合意に加えて実行準備行為があって初めて処罰の対象とする、この二点を中心に検討をいたしております。その処罰範囲は極めて限定的である、このように考えております。

 このように、捜査機関の恣意的な運用は制度的にできない上にテロ等準備罪の処罰範囲が極めて限定的である、こうしたことを踏まえますと、これを戦前の治安維持法になぞらえる批判というものは全く当たらない、このように考えておる次第であります。

井上(英)委員 まだ成文化されていませんので、ぜひ、そのような観点も含めて、しっかり成文化していただけたらというふうに思います。

 時間が本当にないのでペースよくいきたいと思うんですけれども、テロの未然防止というのは、準備罪を創設せずに、現行法で不十分なところは個別法の改正で対応すべきだという見解もあるというふうに、ずっとこの委員会でも議論をされてきました。

 TOC条約上の重大な犯罪、死刑、無期、もろもろずっとあるんですけれども、我が国では現在該当する犯罪は、これは報道ベースですけれども、六百七十六あるというふうにも言われています。本当にそのような数多くの犯罪一個一個について検討していくというのは、テロの未然防止の観点、つまり早急に対処が必要と考える上において現実的なのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

林政府参考人 個別に法改正を検討していくという場合に重要な点は、それがテロ対策として十分なのかどうかという点と、それによってTOC条約を締結できるのかどうか、こういった点にあると思います。

 例えば、現在予備罪が設けられていない犯罪は多数あるわけでございますけれども、これらに予備罪を設けるということで対応するという考えを前提とした場合に、それでは未然防止という観点からのテロ対策としては不十分と考えるところであります。

 それは、裁判例に照らしますと、予備罪が成立するためには客観的に相当の危険性が認められる必要がございますので、予備罪ではテロの未然防止ということについての十分な対策ができないと考えられるからであります。

 加えて、TOC条約の第五条は、重大な犯罪を行うことの合意を犯罪化する、これを義務づけておりますので、個別の犯罪ごとに必要性を吟味して予備罪を設けただけではTOC条約を締結することは困難であると考えます。

 条約を締結できなくなりますと、条約が用意しております逃亡犯罪人引き渡しや捜査共助の法的な枠組みというものを利用できなくなりますので、国際社会と緊密に連携するという形でのテロ対策についての万全を期することができない結果となると考えております。

井上(英)委員 テロを未然防止するというのは非常に難しいということで、テロだけは絶対に防止しないとだめだと逆に思うぐらいなんですけれども、そのテロもなかなか厳しいという局長の答弁だったと思うんです。

 テロ等準備罪と呼ばれているんですけれども、等が何を指しているのか。等が何を指しているのかというのが、やはり疑念を持たれている一因ではないかなというふうに思います。

 テロ以外の犯罪であっても処罰するべきものというのはあると思います。いつも法務大臣も答弁されているように、高齢者をターゲットにしたオレオレ詐欺、これも老後の生活資金をだまし取る非常に悪質なものだというふうに思いますし、それを組織犯罪として未然に取り締まる必要というか、できるようになるとやはりいい。さらには、暴力団や薬物犯罪組織への対応というのも急務であります。

 そういった中で、その等の部分を説明いただけますでしょうか。

林政府参考人 現在呼称しておりますテロ等準備罪の等という部分でございますが、これは、テロ組織を含む組織的犯罪集団が行う組織犯罪のうちでテロ行為以外の部分を指すものとして考えて使っております。

 この内容につきましては、現在、条約を所管する外務省とも協議しながら詰めの作業を行っているところでございます。もちろん、振り込め詐欺でありますとか、いろいろその他、薬物犯罪とか、こういったものがこのテロ等準備罪の等という部分での対象となるかということについても現在検討しているところでございまして、いずれにいたしましても、一方で一般人が処罰の対象にならないことを明確にしつつも、組織的なテロを含む組織犯罪に的確に対処できるものになるように慎重に検討を行っているところでございます。

井上(英)委員 時間もないので、次に行かせていただきます。

 テロ等準備罪の対象犯罪については、過去の共謀罪法案のように法定刑のみで対象犯罪を規定するという方法もあると思うんですけれども、今回のテロ等準備罪については対象犯罪の絞り込みが行われるとの報道があります。絞り込みを行うのであればその理由をお伺いしたいですし、絞り込んだ結果、テロ対策上の穴が埋められないままになったり、TOC条約の批准に支障が生じたりすることはあるのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

林政府参考人 委員御指摘の対象犯罪の点も含めまして、TOC条約を締結するための法案の具体的なあり方につきましては、過去の国会審議において受けた御指摘、御懸念というものを踏まえまして、この条約との整合性を図りながら、現在、外務省と協議しながら検討しているところでございます。

 もとより、対象犯罪を絞り込んだ結果において、それがテロ対策として不十分なものとなってはいけませんし、また、その結果、条約を締結できなくなりまして、条約が用意している逃亡犯罪人引き渡しでありますとか捜査共助の法的枠組みを利用できなくなってしまっては全く本末転倒でございますので、その点は十分に留意しながら検討をしていきたいと思っております。

井上(英)委員 ぜひ、そうならないように、穴がしっかりと埋まるようにお願いをしたいと思います。

 次に、国際組織犯罪防止条約上の重大な犯罪の合意罪においては、一人で計画して実行するいわゆるローンウルフ型、一匹オオカミ型のテロは対象とならない場合も多いというふうに思われます。

 例えば、アメリカでも、昨年六月、一人の男性が銃を乱射して四十九人を死亡させる事件が起きたりだとか、また昨年七月には、フランスのニースで発生した、ニュースでもよく流れましたけれども、花火見物に来られている群衆にトラックが突っ込んで少なくとも八十四人が亡くなられたというような、単独犯によるテロというのも発生をしております。

 今回のテロ等準備罪においてはこのようなテロというのを未然に防ぐこともできるようになるのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

林政府参考人 現在検討中のテロ等準備罪、その検討の基本的な考え方を申し上げますと、これは、テロを含む組織犯罪を未然に防ぐという観点から、テロ組織等の組織的犯罪集団が組織犯罪を行う合意に加えまして実行準備行為を行った場合に処罰の対象とすることを検討としているわけでございます。したがいまして、組織的犯罪集団が関与しない犯行につきましては、このテロ等準備罪の処罰対象とすることを予定はしておりません。

 もとより、御指摘のような事案も含めまして、テロ対策につきましては、テロ等準備罪のような罰則の整備だけではなくて、広範な情報収集でありますとか的確な分析、国際協力の推進、水際対策の強化、こういった総合的な対策によって取り組んでいくべきものと考えております。

井上(英)委員 一人ですからなかなか発覚するのも難しいとは思うんですけれども、秋葉原で歩行者天国に突っ込んでくる車の事件もありまして、そういうさまざまな危険性を排除できるようなものにしっかりとしていただきたいなと思います。

 最後ですけれども、多くの国民の安心や安全が担保、保障されやすくなるとは思うんですね。ただ、日本国民の人権を守らなければならないというのは当然であるというふうに思います。

 アメリカやイギリスなんかでは共謀罪があり、対象犯罪には際限がありません。組織的犯罪の関与さえ必要ではない。一方で、アメリカ、イギリスの両国では取り調べの可視化というのは非常に徹底されております。それでバランスをとられているんじゃないかなというふうに思います。

 テロ準備について取り調べの可視化を強化する法案を我が党は議員立法で出させていただこうと考えているんですけれども、その可視化についての所見をお伺いいたします。

林政府参考人 現段階での私どもの検討状況を前提に申し上げますと、平成三十一年六月までに施行される予定の改正刑事訴訟法の取り調べの録音、録画制度の対象事件というのは、裁判員制度対象事件と検察官独自捜査事件となっております。このうちの裁判員裁判対象事件は死刑または無期の懲役、禁錮に当たる罪の事件などとなっておりますところ、現在検討しておりますテロ等準備罪についてはそのような法体系とはしない方向で検討中でございますので、制度の対象事件とはならないということになります。

 もっとも、制度の対象とならない事件につきましては、現在も検察等におきまして事案の内容等に照らして必要と認められる場合においては実務の運用として録音、録画が実施されておるわけでございますが、したがいまして、テロ等準備罪が新設された場合におきましてもそのような対応がなされるものと考えます。

井上(英)委員 もう本当に時間も来ましたんですけれども、テロから国民を守るというその大義を絶対に忘れることなく、大前提としてそういう法律ができることを、多くの国民もその法整備には期待していると私は思います。

 一方で、取り調べるときの可視化というのをどんどん進めていって、そこで整合性をとっていくというのが非常に大事だと思いますので、成文にぜひ反映していただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

浜田委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房秘書課長松本裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 緒方林太郎君の残余の質疑を行います。緒方林太郎君。

緒方委員 二度目のバッター立ちとなります。よろしくお願いを申し上げます。

 参考人として秘書課長に来ていただいておりまして、まず確認として御答弁いただければと思いますのは、先般出されました法務大臣のペーパーというのは、事務次官そして官房長が決裁をした法務省としての公文書であるということでよろしいでしょうか、秘書課長。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 その文書につきましては、大臣の指示を受けまして作成をした後に、大臣の指示による文書であること、さらにはその文書に基づきまして私が記者ブリーフィングをすることにつきまして、次官、官房長に報告をしました。さらに記者ブリーフィングで配ったものでございますので、そういう意味で、公文書かどうかという点におきましては、公文書というふうに認識をしております。

 決裁をしたのかどうかという点につきましては、そういう意味で、判こをいただく文書による決裁という形はとっておりませんが、次官、官房長に報告をしておりますので、その点におきましては、次官、官房長の了解を得た文書という、決裁を得た文書という形で認識をしております。

緒方委員 それにつきまして、大臣は先般の国会質疑の中で、そういう手続はとっていなかったという答弁をし、さらに決裁をとっていることは知らなかったと一度言われ、そして最終的に後で聞いていたと言われ、そしてきょうの質疑の中でも朝になって聞いたと。どこの時間を設定して言っているのかによって違うと言われましたが、きのうの国会質疑の段階でどうであったかということは明らかでありまして、大臣、今の秘書課長の答弁と大臣がこれまで言ってきたことの中が全て整合的であるということはあり得ないと思います。大臣、どれが虚偽ですか。

金田国務大臣 お答えをいたします。

 私の答弁は一貫しておりますので、そこのところを誤解しないでいただきたいことを申し上げたいと思います。

 先ほどの答弁につきまして、趣旨を明確にさせていただきたいと思います。

 私から申し上げることは、書面による決裁はとっていないという意味で先ほどはお話をしております。そして……(発言する者あり)静かにしてください。秘書課長から次官、官房長に報告をしていたということを、きのうの朝に秘書課長から聞いて知った次第であります。

 その二点を……(発言する者あり)決裁については、書面による判こを押した決裁なんということは、私はそういうことは聞いておりませんし、今秘書課長が説明をしたそのとおりだろうと思っております。

 以上であります。

緒方委員 書面による決裁をとるかどうかということは、それはいろいろな手法があるわけでありまして、今秘書課長が言われたとおりです。事務次官と官房長から決裁をとったということを今秘書課長は言われました。そして、きのうの質疑の中で、とっていなかったということを実際に言いましたし、知らなかったとも言いました。誰がどう聞いても、今これを聞いている国民の皆様方も、どこかで大臣の言っていることの中に真実がないということはわかるわけですよ。

 大臣、意地を張らずに、これはどれか間違っていたということを素直に言われた方がいいと思いますよ。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

金田国務大臣 私は、昨日の朝、次官、官房長に了解をとった、報告をしたという言い方を聞いておりますので、そういう形でお話をさせていただいております。

 以上であります。

緒方委員 秘書課長は決裁をとったと言って、大臣の説明では報告を受けたとかそういった話になっております。事務方との平仄が合っていないですね、大臣。

 本当に、その時々に言いくるめようとして適当なことを言うとこういうことになるんです。大臣、真実を語りましょう、法務大臣ですから。

 質疑時間が終わりましたので、これで終えさせていただきます。

 以上です。

浜田委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会


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