衆議院

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第11号 平成29年2月14日(火曜日)

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平成二十九年二月十四日(火曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 石田 真敏君 理事 菅原 一秀君

   理事 西村 康稔君 理事 葉梨 康弘君

   理事 宮下 一郎君 理事 武藤 容治君

   理事 大西 健介君 理事 長妻  昭君

   理事 赤羽 一嘉君

      青山 周平君    安藤  裕君

      伊藤 達也君    石崎  徹君

      石破  茂君    岩田 和親君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      大串 正樹君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    大野敬太郎君

      大見  正君    奥野 信亮君

      鬼木  誠君    勝沼 栄明君

      勝俣 孝明君    門  博文君

      金子万寿夫君    木内  均君

      黄川田仁志君    工藤 彰三君

      小島 敏文君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    鈴木 俊一君

      瀬戸 隆一君    長坂 康正君

      根本  匠君    野田  毅君

      野中  厚君    原田 義昭君

      平口  洋君    星野 剛士君

      宮川 典子君    保岡 興治君

      山下 貴司君    渡辺 博道君

      井坂 信彦君    今井 雅人君

      小川 淳也君    緒方林太郎君

      神山 洋介君    北神 圭朗君

      後藤 祐一君    玉木雄一郎君

      辻元 清美君    長島 昭久君

      福島 伸享君    前原 誠司君

      升田世喜男君    本村賢太郎君

      伊藤  渉君    岡本 三成君

      國重  徹君    真山 祐一君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      高橋千鶴子君    畠山 和也君

      井上 英孝君    伊東 信久君

      木下 智彦君    松浪 健太君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   法務大臣         金田 勝年君

   外務大臣         岸田 文雄君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   防衛大臣         稲田 朋美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   石原 伸晃君

   国務大臣         加藤 勝信君

   財務副大臣        木原  稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 大塚 幸寛君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小川 秀樹君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  和田 雅樹君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  山田 滝雄君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官官房審議官)           石川 正樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            中村 吉利君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            野間 俊人君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    岩田規久男君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十四日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     勝俣 孝明君

  岩屋  毅君     宮川 典子君

  門  博文君     木内  均君

  黄川田仁志君     鬼木  誠君

  國場幸之助君     大西 宏幸君

  長坂 康正君     金子万寿夫君

  野中  厚君     工藤 彰三君

  星野 剛士君     青山 周平君

  井坂 信彦君     北神 圭朗君

  玉木雄一郎君     神山 洋介君

  辻元 清美君     升田世喜男君

  福島 伸享君     長島 昭久君

  前原 誠司君     本村賢太郎君

  國重  徹君     岡本 三成君

  赤嶺 政賢君     畠山 和也君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

  井上 英孝君     木下 智彦君

  伊東 信久君     松浪 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     星野 剛士君

  大西 宏幸君     勝沼 栄明君

  鬼木  誠君     岩田 和親君

  勝俣 孝明君     石破  茂君

  金子万寿夫君     小島 敏文君

  木内  均君     門  博文君

  工藤 彰三君     大野敬太郎君

  宮川 典子君     瀬戸 隆一君

  神山 洋介君     玉木雄一郎君

  北神 圭朗君     井坂 信彦君

  長島 昭久君     福島 伸享君

  升田世喜男君     辻元 清美君

  本村賢太郎君     前原 誠司君

  岡本 三成君     國重  徹君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  畠山 和也君     赤嶺 政賢君

  木下 智彦君     井上 英孝君

  松浪 健太君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     大見  正君

  大野敬太郎君     野中  厚君

  勝沼 栄明君     安藤  裕君

  小島 敏文君     長坂 康正君

  瀬戸 隆一君     岩屋  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     國場幸之助君

  大見  正君     大隈 和英君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     黄川田仁志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算、平成二十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣府大臣官房審議官大塚幸寛君、法務省民事局長小川秀樹君、法務省入国管理局長和田雅樹君、外務省国際協力局長山田滝雄君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省防衛政策局次長岡真臣君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛装備庁長官官房審議官石川正樹君、防衛装備庁装備政策部長中村吉利君、防衛装備庁技術戦略部長野間俊人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 本日は、外交・通商政策等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤容治君。

武藤(容)委員 おはようございます。自由民主党・無所属の会の武藤容治でございます。

 きょうは、質問をいただきまして、ありがとうございます。

 総理、麻生大臣、岸田大臣、本当に大変お疲れさまでございました。総理はきのう帰られたばかりで、そしてテレビ出演もされたというふうに伺いましたけれども、時差を物ともせず集中審議に対応いただきまして、心から敬意を表します。

 冒頭に、この場をかりまして、先般、地元の岐阜県山県市で一月十四日に発生をいたしました鳥インフルエンザの早期収拾に、総理を初め、関係大臣を初め皆さんに大変御尽力を賜り、迅速な対応のおかげで、去る二月八日に解除命令が出されました。岐阜県としても、初めてのことなものですから、課題も再確認いたしましたけれども、まずもって感謝を申し上げるとともに、予算支援などを今後ともよろしくお願い申し上げます。

 さて、本日は、予算委員会の外交、通商に関する集中審議ということで、これから伺ってまいりますけれども、テレビ入りでもありますので、全国の国民の皆さんが、安倍総理とトランプ大統領との会談の成果をお聞きになりたいと注目されていると思います。持たされた質問時間も短いものですので、私の前置きも短くして、できるだけ御答弁をいただくようにしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 四年前に、冷え切った日米関係の中で安倍第二次政権がスタートしてから、昨年、伊勢志摩サミットの折にオバマ大統領が戦後初めて広島原爆記念館を訪れ、平和公園で献花をされ、年末には安倍総理が真珠湾を訪れ鎮魂の献花をされるという、戦った両国の首脳が強い信頼関係に基づく新たな時代の幕あけを感じ取ったものであります。

 そして、米国の大統領選挙のさなかから、私は、心中穏やかならぬトランプさんの御発言もあって、日本との信頼関係は今後も保たれるのか、日米同盟はどうなるのか、また通商においても、TPP離脱大統領令や、自動車などの通商取引を阻害するような懸念、物議を醸し、今回の会談の行方が大変注目されていたところでもあります。

 総理は、大統領選挙決定後、世界でもいち早くトランプ氏と会談を持たれ、今回、トランプ新政権誕生後、電話会談を挟み、お会いになるのが二度目になりますけれども、ここで、会談のまず目的を改めて確認させていただきたいと思います。

 私は、大きく言うと二つ、日米信頼関係の醸成と、日米同盟の揺るぎない結束を内外に示すものと承知しております。

 報道を週末拝見しておりましたけれども、今回の首脳会談は異例続きの大変な厚遇扱いをされたとお見受けしました。ゴルフ外交も総理のおじい様である岸首相以来六十年ぶりだそうですが、ワシントンからフロリダへ行くのにエアフォースワンを初めとして大統領の専用ヘリあるいは自動車、我々で言ういわゆる相乗りをしてゴルフへ行かれたそうでございますけれども、数回の会食もあわせて、非常に密度の濃い会談がされたことと思います。

 エアフォースワンにも同乗されたのは小泉総理以来だそうでございますが、日本の総理としては二人目だそうです。報道ではコックピットにも御一緒に入られたというふうにお聞きしておりますけれども、これもトランプ大統領のお気遣いでしょうか。

 私も民間のときには、ゴルフはパートナーの性格がよく見てとれるということで、よく利用させていただいておりましたけれども、私の父なんかも海外に出たときはしょっちゅうゴルフをして、時差対策と称してやっておりました。まさに六十年ぶりというのは意外な気がしていますけれども、あのハイタッチをされている画像がとても印象的でありました。お互いを認識し合う大変いい機会をつくられたと承知しております。

 どちらが勝ったということは永田町機密かもしれませんので触れませんけれども、禍根を残さない、勝負事とかけ離れたフレンドシップを築かれたのではないかと思っております。

 日米信頼関係の醸成の目的は、これ以上ない日米関係の蜜月を十二分に世界に示されたと思いますけれども、総理の御所見を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、日米首脳会談を行う上において、日本を取り巻く環境はどういう状況であるかということを念頭に置かなければなりません。

 まさに先般は北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。そして、この弾道ミサイルの能力を上げ、そして核開発を進め、いよいよ弾道ミサイルに搭載できるようになったのではないかという推測も出てくる状況になっている。そして、中国が東シナ海、南シナ海において現状を一方的に変更しようという試みを続けている中において、日本の平和と安定を守り、地域の平和と安定を守る上において、日米の同盟関係が揺るぎない、トランプ大統領が誕生しても全く揺るがないということを示していく必要がある。

 と同時に、両首脳は信頼関係がある、まさに日本の領土、領海が侵されたときには、断固として米国の大統領は直ちに日本のために重要な判断をするということを内外に示す必要があります。これが一番大切な目標であったと私は思います。その意味では、その目標にかなう首脳会談になったと思います。

 また、かなり長時間、これはゴルフ等も含めてでございますが、ワーキングランチを行い、ワーキングディナーは二回行うことができたわけでありますし、また、ゴルフの合間にも昼食をする。そして、御紹介をいただいたんですが、行きにはマリーンワンという海兵隊のヘリコプターの中ででも二人で話ができます。そして、エアフォースワンの中でも、結構これは突っ込んだ話もできました。そこには、クシュナーという顧問あるいは他の高官も乗っている中において、結構安全保障上の突っ込んだ話もできたのではないかと思います。

 また、ゴルフをしながらずっとゴルフの話をしているわけではなくて、カートには私と大統領が乗って大統領が運転をするんですが、二席なものですから、気の毒だったんですが、通訳は後ろでゴルフバッグをぐっと握り締めながら立って、しかし、しっかりと業務は二人とも果たしていただく中において、首脳会談をやった方は御承知だと思いますが、いわば普通の首脳会談においては、一時間前後においては、大体、決めたアジェンダにのっとって、応答要領をしっかりと頭に入れながらの割とかたいものにならざるを得ないわけでございますが、そうでない、今言ったようなオケージョンにおいては、自由に、私はこういう印象を持っている、こういう考え方を持っていますよ、この国についてはこう対応すべきではないか、この指導者はこんな感じ、こんな考え方を持っているのではないかということを第三国についても率直に言える、あるいはマルチの会議、G7、APEC、G20等々がありますが、その会議にはどう対応していくべきか、米国はどういう役割を果たしてまいりたいというようなことを率直に話をすることができました。

 その際、それでは、やはりそうしたマルチの会議においては日米の連携を強めていこう、そのためにも毎回必ず日米首脳会談を行おうということで一致することができたわけでございまして、事実上、マルチの会議で大統領と首脳会談を行うというのは、出席するほぼ全ての国が米国大統領と首脳会談を行おうとしますから、なかなか時間が実はとれないのが現実でありますが、実際、前もって必ず日本はファーストプライオリティーを持つということを確約できたことは一つの大きな成果ではなかったのかな、このように思います。

武藤(容)委員 本当に世界が注目する中で、トランプ大統領とこれ以上ないというほどすばらしい信頼関係を今のお話からもお伺いさせていただくことができました。まさに総理の御人徳と、そして支えられていた麻生大臣、岸田大臣を初め皆さんの、支えられた事務方とともに、本当に細かい配慮と御努力の結果だというふうに拝察しますけれども、心から敬意を表します。

 それでは、会談の成果について具体的にこれからお聞きします。

 まず、今総理もちょっとおっしゃられましたが、安全保障における日米同盟の深化だというふうに思います。後ほど同党の大野委員からも重ねて御質問があると思いますけれども、日米が共有してきた自由と民主主義、法の支配などの価値観が引き続いていけるのか、総理がこれまでも提唱してこられました希望の同盟というものがしっかりこれからも引き続いていかれるのか。

 今お話がございましたように、ワシントンの会談直後に北朝鮮の弾道ミサイルが撃たれました。我が国への明らかな挑発行為として、断じて容認はできません。トランプ大統領が一〇〇%同盟国の日本を支えると北朝鮮に抗議する、お二人並んでの共同声明が発せられたことは、日米同盟におけるアメリカのプレゼンスが示された極めて大きな意義のある声明だったというふうに思います。

 また、共同声明に沖縄県や尖閣諸島が安保条約五条適用と明記された。二〇一四年のオバマ前大統領との共同声明にも日米安保条約の対象に尖閣が含まれると記されましたけれども、今回は五条適用が直接盛り込まれました。

 また、駐留経費の負担の増額をほのめかされていた状況から一転して、米軍駐留を受け入れてくれてありがとうという感謝の御発言は百八十度方針転換と受け取れますけれども、先般日本に来られたマティス国防長官の成果も踏まえての大きな結果だというふうに思います。

 トランプ大統領と総理の意思疎通によって日本の安全保障上の抑止力として発揮するものとして、私は満額回答、大金星と評価をさせていただきますけれども、総理の御所見を改めてお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回のこの安全保障に関する共同声明についての部分でございますが、マティス国防長官が来られまして、私も一時間会談を行いました。そして、稲田大臣と入念な会談を行い、そこでさまざまな懸念は相当払拭されたと思っています。

 その上で、しかし、大統領が果たしてそれをさらに上書きしていくかということが今回のポイントであったわけでございますが、首脳会談におきましては、日本防衛のための抑止へのコミットメント、具体的なコミットメントについて共同声明で言及されました。いわば核抑止から通常兵器までということを具体的に書いたということは、近年では初めてではないかと思います。

 そして、御紹介をいただいた日米安保条約の第五条の尖閣諸島への適用は、オバマ大統領が来日した際、口頭でオバマ大統領はこのことについて言及をされましたが、共同宣言の中には五条という言葉は入らなかった。今回は、いわば共同声明の中で、日米間においては初めて五条の尖閣諸島への適用が入りました。

 これは条約ではございませんが、共同声明ですから条約に近いもの、つまり、今後は一々再確認する必要がないものになったというふうに理解していただいてもいいと思います。

 そして、普天間飛行場の辺野古移設が唯一の解決策であるということを確認することができたわけでありまして、これが全て入った。

 さらには、東シナ海。これは尖閣を想起していることでありますが、平和と安定のために日米の協力を深めていくということは初めて書かれたことでありまして、これも極めて有意義であり、かつ画期的ではなかったのかな、こう思うところでございます。

武藤(容)委員 ありがとうございます。

 共同声明の中では、トランプ大統領がおっしゃられていることに、極めて重要な同盟関係の一層の強化に努める、日米同盟は太平洋地域の平和と安定の礎だと表明をいただいたようであります。一方で、日米の防衛力を増強することが重要だとも、日本にも防衛協力を促し、安倍総理は、私と大統領の手でさらなる強化を進めていくと応じられたとの報道を受けました。

 今年度は、次期中期防の見直しの議論も始まります。防衛費のあり方、あるいは安保法制に基づく米艦防護などの新任務における対米支援のあり方、それぞれをしっかり我々もこれからも議論していきたいというふうに思っておりますので、よろしくまたお願いいたします。

 さて、経済問題だというふうに思います。

 アベノミクスは確実に脈動していると私自身も思いますけれども、継続性と発展性を持たせるためには、その原動力である企業マインドというものについては、やはり先見性が欠かせないものだというふうに思っております。設備投資を初めとする企業活動を活性化させるためにも、政府は、見通しを示すとともに、確実に結果を出せるように後押ししていかなければならないと思っております。

 日米相互に良好な経済関係を築いて、その恩恵を世界の他国へ波及させる役割を我々は担っているんだというふうに思います。

 会談前に、自動車関税を標的に貿易赤字の是正、あるいは雇用重視、また為替操作など、トランプ大統領の選挙公約として指摘され、数々の御懸念がありました。

 共同声明には、国内及び世界の経済需要を強化するため、相互補完的な財政、金融及び構造改革という三本の矢のアプローチを用いていくというコミットメントも再確認されるとともに、自由で公正な貿易ルールに基づき、日米両国間と地域での経済関係を強化することも明記されました。

 両国間の貿易・投資関係双方の深化と、アジア太平洋地域での貿易、経済成長及び高い基準の促進に向けた継続的努力の重要性も再確認されました。その協議の枠組みとして、麻生副総理とペンス副大統領が御指名を受けられたと承知しております。

 また、声明には、米国のTPP離脱に留意し、共有された目的の達成へ最善の方法を探求する、これには日米二国間の枠組みを含む、両首脳は課題を議論するための経済対話に従事するとの決定をしたとされております。

 私はTPP成立の可能性も残したとも読み取れますけれども、先見性から経済関係強化のための今後の道筋であるとかスケジュール感について、トランプ大統領からタフガイと見られている麻生副総理に、カウンターパートのペンス副大統領の人物像とともに御教示をいただければと思います。

麻生国務大臣 日米繊維交渉以来、数々、日米間でいろいろな交渉がなされたんだと記憶していますけれども、繊維のときも鉄鋼の話も自動車の話も、いずれも向こうからいろいろ問題提起がなされたのに対して、それをいかに日本が受けてしのいできたかというのがこれまでの歴史だったと記憶していますが、日本の方から経済対話、エコノミックダイアログという名前で向こうに振り込んだのは多分これが初めてなんだと思います。

 そういった意味で、この話をするので、両方とも非常に大きな見地からということで、財政、金融、経済、いろいろな話をという話を総理の方からトランプ大統領に振り込まれて、向こうから、それを受けての話で、ペンス副大統領とうちの副総理との間でという話が大統領と総理との首脳会談の場で決定をされておりますので、ペンス副大統領との間で今からその話をしていく段階です。

 少々時間はかかるんだと思いますが、枠をきちっと決めてやるというのはすごく大事なことだと思っていますので、いろいろな意味で小さな話もいっぱい出てくるとは思いますけれども、枠組みとしてきちんとしたものをやっていかないと、話があちこちあちこち小さな話に飛ばないように、枠組みは日米が両方で手を組んでやっていくということが最も、いわゆる地域の安定はもちろんのこと、世界の中にもという話になっていくようにしなくちゃいけません。

 あちらはたしかインディアナ州の知事をしておられますので、日本からの企業が何社来ていて何万人の雇用が起きているなんてことはもう全部よく御存じでしたので、そういったことはきちんとほかの、いわゆるあそこはラストベルトと言われた五大湖周辺の一つの州なんですけれども、そこらのところを含めまして、私どもとしては、日本が、かつてあそこら辺にありました鉄鋼業というのはほとんど壊滅的なものになってきておりますし、そういったものを含めてどういった形でいろいろなものをやるか。やることはいろいろ、向こうの考えていることと、時代が大分変わってきているところもあるでしょうから、いろいろな話を私どもとしては幅広くやっていかなきゃいかぬと思います。

 まだスタッフが、大統領府ができ上がって、三千人からの職員がいなくなっていますから、その職員を埋めてきちんとやっていくまでには少々時間がかかると思いますけれども、いずれにしても、日本としては、こういう話やら何やらを積極的に進めてまいる。

 結果として、どうしてもいろいろな意味で、選挙中に公約した、いわゆるミッドウエストと言われるあの地域が一番の疲弊したと言われているところでもありますので、そういったところの経済というものが、こちらの経済と両方、これはウイン・ウインの関係に今自動車なんかはなっていますけれども、さらにそれを進めていくということになる。そういった話につなげるように、ちょっといろいろ向こうの意見も聞きながら話を詰めてまいりたいと思っております。

武藤(容)委員 本当に注目をされている経済というものをしっかり道筋をつけられるように、ぜひこれからもしっかりと対応していただけるようにお願いを申し上げたいと思います。

 総理もいつもお話しいただいていますけれども、地球儀を俯瞰する外交に尽力をされてこられました。外務省に問い合わせをしましたら、この二月現在で六十六の国と地域を訪問され、飛行距離にすると百万キロを超えられたそうであります。地球を約二十五・五周回られたということになりますけれども、経済ミッションとしても延べ七百五十社を超えるところまで来られて、まさに強靱的な外交成果をおさめてこられました。

 総理は、この外交実績を通じて日本の進むべき平和と繁栄への道を訴え続けてこられました。これまでの総理の御努力は、まさに日本の財産であり、私は世界の財産でもあると思っております。自由主義と市場経済を世界の国々が広く共有するところに繁栄と安定があるという価値観を訴え続ける安倍総理に、強く期待を感じるところであります。

 それでは、次に、岸田大臣にお伺いをしますけれども、岸田大臣も、総理同様、ちょっと少ない二十四・九七周で俯瞰されておられます。私も、元部下として心から敬意を申し上げます。

 レックス・ティラーソン国務長官との会談をされたわけですけれども、後ほどその成果についてもお話を伺いたいと思いますが、私も外務副大臣として約十カ月、地球は四・五周しか回っておりませんけれども、それでも、五十カ国近くの大臣や議員の先生方とお会いをしてきました。

 日本の政治が安定し、政策の継続性が経済を力強く再生させ、G7でも完全失業率は最も低く、雇用が安定していることを高く評価されていることを強く肌で感じました。

 私は、英国のEU離脱の国民投票も今回の米大統領選挙も、雇用という問題について、国民の選択の大きなファクターであったというふうに思います。また、残念ながら、世界各地で起こる紛争の原因に雇用問題があるということも承知しております。

 イスラエル占領下にあるヨルダン川の西側で、パレスチナ経済発展のために、二〇〇六年、当時麻生先生が外務大臣でありましたけれども、日本の提案で、平和と繁栄の回廊構想に基づく中核プロジェクトとして、東京ドームの約二十四倍の広さを持つジェリコ農産加工団地が、十年を経て、一昨年から数社が稼働開始になったと承知しております。

 このような雇用創出型のいわゆる日本のODAの関係。日曜の日経新聞にも、チュニジアのチュニスの、JICAの支援するカイゼン手法を導入した記事が掲載されておりましたけれども、雇用創出がISに走らない社会の安定につながることを訴えて先進国の支援を求めている記事がありました。人材育成型が経済の自立を促す日本らしいODAのあり方だと思います。

 また、規模は小さいけれども、草の根・人間の安全保障無償資金協力のように、大使館が行っているものもあります。

 私もセルビアで、洪水災害で使えなくなった医療機材を支援したオブレノバッツの診療所を視察しました。大変な歓待ぶりを受けましたけれども、知日派、親日派の形成につながる最前線の重要性を痛感いたしました。このセルビアにも、EU非加盟国を狙った中国の攻勢が強いと伺っております。

 ODA予算は、昨年度が十七年ぶりに増額となりましたけれども、ピークの平成九年度に比べてまだ半分であります。厳しい財政事情の中で現場の最前線は大変苦労しながら、各国との折衝、調整に尽力しています。

 それでは、ここでちょっとパネルを見ていただきたいと思いますけれども、主要国外務省との職員数比較であります。

 日本は、米国の五分の一、ロシアの半分、中国、英国、フランス、ドイツ、主要国どこと比べても少ない現状であります。

 次に、大使館とか総領事館などの在外公館数の比較をこのパネルで示しておりますけれども、中国の二百七十一に対して、我が国は二百二十三であります。ただ、この数字は二十九年度予算が通った後の数字でありますので御理解をいただきたいと思いますが、国際情勢がますます不安定化する中で、外交実施体制の強化は急務であると承知しております。中でも在外公館は、歴史戦を戦ったり、あるいは海外で活躍する日本企業を支援するためにも、その役割は大変重要になってきております。

 私はメキシコの在レオンの総領事館の開所式にも行きましたけれども、日本企業の急増に伴い、企業支援を重要な任務とする総領事館ながら、館員はたったの三人でありました。在外公館をふやすためには既存の在外公館の規模を縮小するルールがあると聞いて大変びっくりしました。

 ぜひ、大臣のこの辺の御見解について、まず岸田大臣にお聞きしたいと思いますけれども、在外公館の質、量ともに拡大を図っていくべきだと考えますけれども、御所見を、先ほどのカウンターパートとのお話もあわせて、簡単でございますので、決意とお話をいただきたいと思います。

浜田委員長 岸田外務大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

岸田国務大臣 まず、我が国をめぐる安全保障環境が厳しさを増す中、そして外交の課題が多様化する中にあって、外交実施体制の一層の拡充が急務だということを強く感じております。そして、その際に、数ももちろん大事ですが、質においても充実をさせていく、質、量とも拡大が必要だという認識のもとに取り組みを進めています。今御審議いただいている予算においても拡充をお願いしております。

 ぜひ、御理解をいただきながら、外交実施体制の充実に取り組んでいきたい、このように考えます。

武藤(容)委員 総理にもコメントをいただきたいところでございましたけれども、安倍外交の進捗のためにもよろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長 この際、大野敬太郎君から関連質疑の申し出があります。武藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大野敬太郎君。

大野委員 自由民主党の大野敬太郎でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきましたことを心から感謝申し上げたいと思います。

 武藤先生の質問に引き続き、首脳会談について、私の方からは特に安全保障回りについてお伺いをさせていただきたいと思いますが、その前に、まず、総理そして麻生大臣、岸田大臣、御出張大変お疲れさまでございました。きょうはバレンタインデーということでございますので、恐らくたくさんチョコレートが届くのかな、そんなことも思ってみたりもしないでもないですけれども、正直、率直に言ってトランプ大統領というのは一体どういう方だったんでしょうか。ぜひ御質問をさせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ゴルフを一緒にすると、意外といろいろな性格、人格がわかるんですが、ルールはしっかりと守る。たまにルールを守らない人もいますが、ルールはしっかりと守るし、例えばバンカーに入れてしまった後、打った後どうするか。ちゃんとそれをきれいにするかどうかということも、そういうマナーもしっかりとしている。

 かつ、一緒にプレーしているキャディーの人たち、それはメキシコ系の人とあとキューバ系の人だったかな、そういう人たちに対しても本当にファーストネームで呼びかけて気軽に話をしているし、クラブハウスでウエーターやウエートレスの人たちにも本当にファーストネームで呼んで話をしている、そんな気さくなタイプの人だなというふうに感じました。大変オープンな人であって、率直に、すぐに話ができるタイプだと思いました。

 最初のときの印象がそうでありましたし、いわば当時のオバマ大統領が、大統領として存在している間はしっかりと大統領の権威は自分は尊重しなければいけないという姿勢だった、このように思いまして、そういう第一印象どおりだな、このように思いました。

大野委員 ありがとうございます。

 私、正直言って首脳会談の前にはちょっと心配をしておりましたけれども、結果としては、先ほど武藤先生もおっしゃいましたけれども、不要な負担の要求というのも全くなかった。そして、トランプ大統領からは、米軍を受け入れてくださって感謝という言葉もあった。また、共同声明の中でも、これは読み上げませんけれども、本当に強い、異例の強さだと思うんですけれども、一言で言えば絶対守るんだ、そういったコメントがあったわけでありますので、これはかなりしっかりとした関係が築けたんだと思うんですね。先ほどの武藤先生の御質問に対しても、信頼関係を構築できたんだとおっしゃっておられました。

 私、同盟というのは、もちろん、例えばトランプ大統領の言葉が日本の国民にどう刺さるのか、そして安倍総理の言葉がアメリカの国民にどう刺さるのか、こういった観点でも、民主主義国家同士の話ですので、非常に重要だと思うんですね。

 そういった意味で、改めてお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、この一連の会談を通じて、一体総理は、肌感覚としてどういった受けとめ方、どういった手応えを感じたのか、そしてアメリカの国民に対してはどういうメッセージを送りたいのか、そんなところをお伺いさせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 トランプ大統領が就任して、メイ英国首相に次いで私が会談することになりました。英国はまさに米国と常に肩を並べる同盟国、特別な関係と言われています。その次の段階で、大変忙しい中、私は首脳会談を行うことができた。

 先ほど大野委員から質問されたときにお答えをさせていただいたように、日本も米国と同盟関係であります。そして、アジア太平洋の安全保障環境が厳しい。先般はまさに北朝鮮が弾道ミサイルを発射させました。その中で、確実に、確実に米国は日本を守るんだ、あるいは米国のために時には報復もする、この抑止力をしっかりと維持していく、それは揺るぎないんだということを内外に示す必要があります。それが共同声明には書き込まれました。

 しかし、共同声明と同時に、トランプ大統領は日本のためにちゃんとその責任を行使するんだというメッセージを出す必要があります。そういう意味におきましては、しっかりとそのメッセージを出していただいたと思います。

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとき、私から大統領に、一緒に共同声明を出しましょうと、それは紙で出しましょうという意味だったんですが。それで事務方がつくってきたんですが、しかし、その段階で、私がその後ぶら下がりのインタビューを受けるということを彼はわかっていて、安倍さん、ぶら下がりのインタビューを受けるんでしょう、だったら私も横に立っていますよ、それで意思を示しましょうということを言われて、それならそれの方が紙を出すよりもいいメッセージになりますねということで、基本的には日本の記者会見の場に大統領が来たという建前でありました。ですから、私が先に多くしゃべって、トランプさんは言葉を添える程度であった。会場は日本側が仕切るという非常に異例な形、米国で行った中においては異例な形ではありましたが、日米同盟は揺るぎない、米国を必ず守る、一〇〇%という言葉を使いましたよね、という意味においては、非常に強いメッセージを発することができたと思います。

 そういう意味においては、まさにそういう関係であることを内外に示すことが今回の目的でありましたから、その目的は果たすことができた、こう思っております。

 経済においては、自動車の問題、為替の問題というものについては、為替の問題については財務大臣間でやらせるべきだということを、実は少人数、二人だけの場がありまして、そこで申し上げたんです、前半、ホワイトハウスにおいて。これは首脳間が口角泡を飛ばす問題ではなくて、むしろそれは悪い影響が出る場合の方が多いので、私とあなたではなくて、財務大臣と財務長官の専門家の間でやらせましょう、そういうラインで私は記者会見で申し上げるけれども、よろしいですかと言ったら、それでやってくれ、こういうことにもなりました。

 また、自動車の問題についても、経済のワーキングランチでも先方からは一切出ませんでした。こちらは説明をしたんですが、私たちの自動車は昔と違って雇用をつくっているという話をしたんですが、もしかしたら反論が出るかなと思ったら、全く反論が出なかったわけでありまして、いわば安定的な関係をこれからも維持できるのではないか、このように思っております。

大野委員 しっかりとした信頼関係の構築ができたんだ、そんなエピソードを御紹介賜りましたので、それをしっかりと私も感じさせていただきました。

 一方で、トランプ大統領の言動で、不安が世界にはまだあるんだというようなことを指摘される方もいらっしゃるんだと思います。であるとするならば、総理にはぜひ、世界の中の新しい日米同盟、そして新しい役割、新しい形で世界の先頭を切ってその不安払拭に努めていただきたいな、そういうことを思っております。

 というのは、世界の秩序をしっかりと守らなくちゃいけないでしょうし、もちろん協調すべきところは協調しなければいけないんだと思います。そういう関係を構築することによって、将来、日本が国連の安保理の常任理事国入り、こういったところにも一段進むんだと思うんですね。

 そういった意味では、例えば中国というのは戦略的な国でございますけれども、その実態、一言で言えばチャイナ・ファーストと言えなくもないというところがあるんだと思いますし、もちろん全然レベル感は違いますよ。違いますけれども、そういった同じ土俵にひょっとしたら将来乗らないとも限らないということは、やはりしっかりとそういった関係を構築して、そして関係を維持する、そして世界の秩序を維持するんだ、こういうことが大切なんだと思います。

 先ほど武藤先生もおっしゃっていましたけれども、キャリアでいえば、総理も、G7でいえばメルケル首相に次いで二番目ということでございます。世界を俯瞰してみても、そんな役割を担っていくべきポジションにもあるんだと思うんですね。

 一方で、近づき過ぎたら火の粉をかぶるんじゃないか、そういう御指摘、御批判もあるやに伺っていますけれども、私は、日本はしっかりとリアリズムを追求するべきだと思っています。リアリズムをしっかりと追求して、そして秩序というものを維持していくんだ、そういうことをしっかりと思っております。

 そこで、お伺いしたいのは、これから世界の秩序形成、維持という意味で、トランプ大統領とはどういうふうに向き合うべきだと総理はお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私は、トランプ大統領にはこう申し上げました。米国は、あるいはトランプ大統領は自由世界のリーダーとしてその役割を果たしていただかなければ世界はより混乱をしていく、不確実性は一層増していく、G7やG20、あるいはAPEC、EASもそうですが、そういうマルチの会議の場においては、アメリカがしっかりとリーダーシップをとれるかどうか、これはみんな見ていますよと。

 そこでまさにトランプさんがリーダーシップをとれるということを見せていただくことによっていわば自由世界は結束をしていく、そして、あるいは世界はより協力して、米国とともに私たちは価値を共有するわけでありますが、自由や民主主義や基本的価値や人権、そうしたものを尊重するという秩序を守っていく方向に収れんしていく、その役割を果たしていただくことを私は期待しています、そのために私は協力しますよと。

 私も今まで、そういう意味ではトランプさんの先輩です、何回も会議には出てきました、そういう経験も生かしたい、だから、そういうマルチの場においては、たとえ短い時間、例えば十五分ぐらいになったとしても日米首脳会談を毎回やりましょう、残念ながら前政権とはそういうことにはなかなかならなかったんですが、毎回首脳会談をちょっとずつやりましょうと。

 例えば、G20であれば、二十カ国が全部、米国と首脳会談をやろうとしますから、これはなかなか大変なんですけれども、その中において、必ずやりましょうと言ったら絶対やるとそれを確約してくれたわけでございまして、いわば秩序を維持していく上において、私もトランプ大統領とは既に二回、首脳会談を、一回は就任前ですが、しておりますし、電話会談も頻繁に行ったということを生かしながら、トランプ大統領あるいは新しい米政権にさまざまな不安を持っている国々に対しても大統領はどう考えているかということを伝えつつ、また彼らの不安も大統領に伝えていきたい、こう思っております。

 来月には、国会のお許しをいただければ、CeBITで、ドイツで行われる見本市に出席をして、メルケル首相と、メルケル首相から今招待をされておりますので、ここでまたじっくりとお話をさせていただきたい。米国とEU、米国とNATO、あるいは米国と日本とあるいはドイツという関係についてお話をしていきたいと思っておりますし、また周辺国からも、その際はぜひ来てくれ、こう言われております。いわばトランプ大統領とはどういうことになっているのかということを、どういう会話を行ったのか、どういう考え方を持っているのか、じかに会った人がまだ少ないものですから、ぜひそれを聞かせてもらいたいという要望は相当たくさん来ておりまして、ただ、こちらも時間の制限と国会の制限がありますので、できる限りのことを、電話会談等も利用しながら日本の役割を果たしていきたい、こう思っております。

大野委員 新しい日米同盟、世界の中のロールモデルのようになるんだと思っておりますので、そういった意味で、今後とも、世界の秩序維持に御貢献されることを心から期待しておるところでございます。

 それでは、次に、秩序の維持と申しましたけれども、日本の周辺ではどこがやはり注目なのかといったら、先ほど総理もおっしゃったように北朝鮮、南シナ海、東シナ海でございますが、これはちょっと時間もたっておりますので、率直に、この三点について、どのようなやりとりがあって、総理はどのように肌感覚として感じたのか。

 特に私が気にしているのは、一点目は、北朝鮮にどうやって今後対応していくのか。そして二点目は、特に南シナ海において航行の自由作戦というもの、いわゆるFONOPというオペレーションを米軍はずっと継続してまいりましたけれども、これを継続していただけるのか、あるいはこの会談でこれは具体的な議論があったのか。そして、今後、この海域において日本で独自の何かをすべきだと私は思っていますけれども、総理のお考えをお聞かせいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、今般ちょうど、日米で首脳会談を行い、フロリダに場を移して会談を行う中において、北朝鮮が弾道ミサイルを発射いたしました。

 今般の共同声明では、北朝鮮からの新たな段階の脅威に対して、米国が核及び通常戦力を含むあらゆる種類の軍事力により日本の防衛にコミットしていることをより明確な表現で述べたものであります。フロリダでは、この弾道ミサイル発射について、一〇〇%日本とともにいるということを明確に、私とともに記者会見を行い、トランプ大統領は述べたところでございます。

 今後、この安全保障の分野におきましても、変化している安全保障環境において、それぞれの役割、能力、分担等々についても、さらに2プラス2の場、あるいは防衛大臣同士、そしてまた安全保障担当補佐官とこちらのNSCとの対話を深めていきたい、戦略をしっかりと深めていきたい、こう思っています。

 また、南シナ海については、航行の自由を初め法の支配に基づく国際秩序が貫徹されなければならないわけでありまして、日本と米国は、力の行使や威嚇によるいかなる現状変更の試みにも反対するとの強い意思を改めて確認したことは、大変有意義だと思っております。

 また、東シナ海においても、東シナ海の平和と繁栄を確保するために両国は協力を深めていくということを初めて書いたわけでございまして、これも、米国がさらに、いわば尖閣を含め、東シナ海においてもコミットメントを強めていくことを初めて明確にしたということではないか、このように思います。

大野委員 ありがとうございました。

 今後もぜひ、日本の役割そして日米同盟、全体像をしっかりと政府の中で御議論いただければ、またアメリカとのしっかりとした交渉をしていただければと思います。

 質問をかえさせていただきたいと思いますが、次に、日本独自の抑止力についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 トランプ政権が発足して、何かアメリカが異質のアメリカになってしまったんじゃないか、こういうイメージが先行している部分もあるんだと思いますけれども、私は実は、安倍総理が過去四年間に紡いできた日米関係の、日米の心のきずなというのはしっかり生きているんだと思います。

 例えば、前オバマ大統領の広島訪問、あるいは安倍総理のパールハーバーの訪問。あるいは、私の中では、やはり二年前のあの安倍総理のアメリカ上下両院、議会での歴史的な演説、私も末席で同席をさせていただきましたけれども、大勢のアメリカの国会議員の心の震え、これを肌で感じたことをいまだに忘れることができないですね。

 あるいは、一方で平和安全法制。私は、アメリカ人のお父さんやお母さん、生身の人間としてのそういった方々にどう刺さったのかというのは非常に重要だと思うんですね。

 それまでは、守りに行っても守ってくれないんだってということから、守りに行ったら、いや、守りに行った人は守ってくれるよ、この価値の変化というのは、アメリカ人の心に相当大きな変化を及ぼしたんだと私は思っているんです。

 それは実は民主主義の国家では非常に重要で、その支えがあって大統領の決断も変わる、そういう部分もあるんだと思うんですね。だから、そういった意味で、アメリカ人の心の中には、いや、日本だったら守ってさしあげるよ、こういう気持ちが今あるんだと私は思うんです。

 ところが、残念ながら、今、アメリカの国民の中では、どんどん内向きになっている、外の紛争にはなるべく関与したくないよね、そういう意識もしっかりと高まっているわけであります。

 これは社会構造の変化というのもある、いろいろな要件があると思いますけれども、そう考えると、今、日本の周辺の安全保障環境は、先ほど総理もおっしゃったように劇的に戦略的脅威のレベルというのは上がってきているわけで、果たして今のままで日本の防衛はいいんだろうか、これは大きな疑問を私は抱いているところでございます。

 そういった観点で、やはり日本の抑止力、対処力というのは質と量の両面で変えていかなくちゃいけない、私はそう思っているんです。昔、古代のローマ、カエサルが、人間は見たいものしか見ないんだ、そういう言葉を残していらっしゃいます。見たくない現実をしっかりと見て、そして対処していく、これはまさに日本がやるべき課題だと私は思っているんです。

 そこで、お尋ねしたいのは、先般の首脳会談でも、日本側から、日本は防衛力を強化し、我が国の役割を拡大する、そういうコミットをされたそうでございますけれども、これはどういった意味なのか、ぜひお答えをいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま大野委員は、同盟の一番の重要なポイントを指摘されたと思っています。

 まず、みずからの国を守るために努力しない国を守ってくれる国は、世界じゅう探しても一つもないわけであります。ですから、当然、我々も日本独自の防衛努力を積み重ねていかなければいけない。

 と同時に、同盟において、今、大野さんがおっしゃったように、日本を守るために派遣された米軍も守るのか、守らないのか。それも守らないのであれば、では、その兵士の両親がどう思うか。自分の息子は日本を守るために命をかけている、その息子がもし襲撃されたときには、守ってあげている日本の能力のある自衛隊は守らないのか。となれば、これは信頼関係を維持し続けていくということは難しくなっていく、私はそう考えたからこそ、平和安全法制を制定したわけでございます。

 今回も、この平和安全法制を制定した意義、意味、新しいガイドラインについても、時間をかけて大統領にも話をしたところでございます。

 共同声明において、日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす旨表明しましたが、その趣旨は、我が国として、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、我が国の安全及び国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に関与する方針であり、日米同盟の中でも、みずからが果たし得る役割の拡大を図っていくことを述べたものであります。

 具体的には、防衛大綱に基づいて、南西地域の防衛体制の強化や弾道ミサイル防衛能力の強化など、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、必要な防衛力の強化を着実に進めていく考えでございます。

大野委員 ありがとうございます。

 心のきずな、これは非常に大切だと思いますので、そういう観点でも、政府の皆様にもぜひ今後とも御活動を賜れればと思っております。

 最後に、首脳会談で防衛に関する技術協力強化のコミットメントがあったやに伺っておりますので、それに関連してお伺いをさせていただきたいと思います。

 ちょうど一カ月前、安倍総理は、フィリピン、ベトナム、インドネシアを歴訪されておりますけれども、私は、これは南シナ海、東シナ海の秩序維持という観点では非常に戦略的に重要だと思っております。

 そして、特に私が注目しているのは、実はそれに先立った防衛装備品協力の協定の話なんですね。

 こうした国は実は戦略的には重要な国でありますけれども、装備品の技術レベルという意味では必ずしも高くない、満足いかない。そういった観点では、秩序の維持ということに必ずしも一〇〇%貢献いただいているということではないのかもしれないな、もやっと言っておりますけれども、そうだと思っているんですね。

 だとしたら、無償の中古品、こういったものまで含めてしっかりと供給をしてあげること、これによって南シナ海あるいは東シナ海の秩序の維持ができていくんだと思うんです。

 そして、さらに言えば、供給と申し上げましたけれども、物だけじゃなくて訓練とかMRO、MROというのはつまりメンテナンス、リペア、オーバーホールのことでありますけれども、そういったことも含めて、人の交流あるいは心の交流といったものまでしっかりと考えて、そして民間レベルの交流まで行き着くような、そういう協力のあり方ができないものなのかしらねと私は前々から思っているところなんです。

 私は、そういった意味で、先ほどの首脳会談での強化のコミットメント、これは先進国との共同開発や生産ということになるんだと思いますけれども、これも含めて途上国への移転というのは、もちろん新三原則の上ででありますけれども、バランスよく戦略的に進めていくべきであって、まずはそのためには戦略の策定、これもより具体的な戦略の策定というのが私は重要になってくるんだと思います。

 総理は、この観点について、戦略のあり方あるいは途上国への移転ということに関してはどのようにお考えでありましょうか。

安倍内閣総理大臣 我が国のシーレーンの要衝に位置するASEAN諸国との間では、地域の平和と安定及び繁栄の観点から、防衛装備、技術協力を重視しています。

 このような観点から、例えば各国の装備品調達に係る情報収集や官民の連携促進などに取り組むとともに、移転の実績を積み上げつつ、将来的には戦略的な文書の作成も含めて検討していきます。

 また、御指摘のとおり、防衛装備、技術協力は、装備品の移転のみならず、人材の育成やメンテナンスも含めたパッケージで進めていくことが重要であります。現在、フィリピンとの間で進めている海自練習機TC90に係る協力も、このようなトータルのパッケージで推進をしています。

 このような協力は我が国の国内防衛政策、技術基盤の維持強化にも資するものであり、今後さらに各国政府及び企業との協力関係の強化に取り組んでいく考えであります。

大野委員 時間が参りましたのでもう終わらせていただきたいと思いますけれども、最後に、人類は、十九世紀、二十世紀、この間に多大な犠牲を出して、そして国益を争ってまいりました。この間、本当に幾多の困難を乗り越えて、ある種その当時よりはるかに平和を享受できる、そんな時代になったんだと思います。そういった意味で、秩序をしっかりと守っていくというのは本当に重要な課題であると思っています。

 一方で、私は、アメリカには、オバマ政権よりは国際的に秩序構築の意味では関与していただきたい、そう思っているんですけれども、ブッシュ政権のように力だけによる秩序維持というのは望まないわけでありまして、力と外交によるバランスのいい秩序維持、そんなアメリカになっていただければと思っているところでございますので、改めて、バランスのいい世界秩序のためにこれからも御貢献を賜りたい、そう思っておりますので、よろしくお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 本日はありがとうございました。

浜田委員長 これにて武藤君、大野君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 おはようございます。公明党の岡本三成です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 総理、首脳会談、大変にお疲れさまでした。特に、総理とともに陰で御尽力をされた官邸の皆様、関係省庁の皆様、本当にお疲れさまでした。

 まず初めに、一昨日、二月十二日に、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射いたしました。絶対に許すことができない暴挙であります。

 総理御自身、今回の首脳会談で北朝鮮は主要なトピックの一つであったというふうにおっしゃっておりますし、このミサイルの発射に関しまして非難を表明する記者会見におきましても、トランプ大統領とさまざまに打ち合わせをされたんだと思います。

 具体的に何をお話しされて、北朝鮮に対してどういうふうに今後取り組むということを合意されたか、御答弁をいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 北朝鮮については、首脳会談においても議題となりました。北朝鮮に対しては、国連の決議を、安保理決議をしっかりと遵守させなければならない、そのために中国を初め国際社会としっかりと連携していく必要があるということであります。

 それと、米国がトランプ政権にかわり、オバマ政権時代の戦略的忍耐から、政策の変更について今議論をしている最中であるということであります。この問題については、私がトランプ大統領とも議論をしましたし、フロリダにおいても、NSCの谷内局長とフリン補佐官、あるいはバノン氏との間においても緊密な協議がなされたわけでございます。

 また、ミサイル発射に伴い、米国からの情報、また私どもが持っている情報もございますから、直ちに、今言ったチーム同士が情報の共有、分析を行い、そして、どういうメッセージを出すかということについての議論もしたわけでございます。

 そこで、私と大統領、ちょうどワーキングディナーの最中でありましたが、その中で、いわば紙のメッセージを出すよりも、私がもう既に決めている記者団とのぶら下がり、これは日本の記者団でありますが、そのぶら下がりにおいてメッセージを出そうということになりまして、大統領がではその場に行こうと。まあ、これも結構異例なことなんですが、私のぶら下がりでありますから。

 しかし、そこでメッセージを出したことはよかった。つまり、この暴挙は決して容認できない、安保理決議をちゃんと遵守しなさい、そして、アメリカは日本と一〇〇%ともにある、さらには、さらに日米同盟を緊密に強化させていくというメッセージを発出したところであります。大統領からも、米国は日本と一〇〇%ともにある、そういうメッセージが出されたところであります。

 また、北朝鮮の問題については、日本の拉致問題についても話をさせていただきました。拉致問題の解決の重要性については完全に一致をしたところであります。

 いずれにいたしましても、日米がよく協力をし、日米韓、あるいは日米韓中、そして国連の場を活用して北朝鮮の政策を変更させていく、外交によって変更させていく、この方針に取り組んでいくことになります。

岡本(三)委員 今後の取り組みが非常に重要だと思いますので、今総理に御答弁いただいたように、引き続き緊密な連携をとりながら御対応いただければと思います。

 さて、今回の首脳会談、私は、特筆すべきは、共同声明そして共同記者会見の内容が日本にとりまして現状考え得る最高の結果となったということなんだと思います。とりわけ、共同声明のその文章の中で、日米同盟の部分と日米経済関係のパートが分けられて、安全保障と経済活動を同じ土俵では議論しないということを明確にしたことが重要だったと思うんですね。特に、例えば、安全保障であれば2プラス2で議論しましょう、経済関係は麻生副総理、ペンス副大統領のもとで議論、為替についてもそれぞれ通貨当局の専門家でということで、総理が大統領と個別の分野に関して舌戦を繰り広げるようなことがないという形をつくれたことがすばらしかったと思います。

 その上で、それぞれの分野について何点か御質問させてください。

 まず、安全保障の分野ですけれども、共同声明の中に、尖閣に関しては日米安保の五条の適用、在日米軍の駐留費問題、北朝鮮対応、航行の自由、この四つの分野でそれぞれ、これまでの日米の協力の体制が維持できることを確認できたことは満額回答だったと思います。

 その上で、共同声明の中に、日本は日米同盟におけるより大きな役割を果たすと明記されました。総理、私、これは具体的に何なのかを知りたいんですね。

 一昨年の安保法制の制定によりまして、日米ガイドラインの改定等もあり、例えば、日本の近隣諸国における脅威を排除するために、抑止力の強化を目的としてさまざまな共同訓練もできるようになりました。また、トランプ大統領御自身がアメリカと中国が関係をよくすることは日本の国益にも資するのではないかとコメントされているように、このより大きな責任というのは日本と中国の関係を改善していくことではないかというようなことでも読み取れます。

 総理御自身、この共同声明にうたっていらっしゃる日米同盟における日本のより大きな役割と責任、具体的に何を想定していらっしゃるか、教えてください。

安倍内閣総理大臣 アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増していく中において地域の平和と繁栄を維持していく上において、米国だけがその役割を大きくしてくださいということでは同盟はもたないわけであります。と同時に、厳しさを増していく安全保障環境に対応できない、こう思います。

 そういう認識のもとに、日米同盟をまず一層強化していく。具体的には、南西地域の防衛体制の強化や弾道ミサイル防衛能力の強化、必要な防衛力の強化を着実に進めていきます。そして、新ガイドラインのもと、我が国としてもこれまで以上に役割を果たしていく必要があるということであります。

 そして、御指摘のとおり、平和安全法制の成立により日米の信頼関係は大きく向上しました。助け合うことのできる同盟は強くなる、これは当たり前のことだと思います。ガイドラインの改定と相まって、日米同盟は一層強固となり、抑止力は向上されたということであります。この法制ができた、あるいはガイドラインができた中において、さらに連携を緊密にしていくことを行っていくことによって抑止力が強くなっていくということだと思います。

 そして、中国との関係であります。

 中国との関係におきましては、ちょうど私が行く直前のタイミングで米中電話首脳会談が行われました。大変よかったと私は思っています。しかも、タイミングとしても、私が訪米する前に米中が話し合いをする、そして、その米中が話し合った結果を受けて、中国問題についてどう考えようかということをトランプ大統領と率直にその会話を受けて話し合うことができたということはよかったなと思っています。

 ことしは日中国交正常化四十五周年、そして、来年は日中平和友好条約締結四十周年でありまして、習近平主席とはこれらの節目の機会を捉えて関係を改善していくことで一致しているところでありますし、引き続き戦略的互恵関係の考え方のもとに安定的な友好関係の発展に努めていきたい、こう思っています。

 つまり、地域の平和と安定を図るためには、日中が話ができる関係、そして、いろいろな事態が起こってもコントロールできる、当然、それを米国ともよく連携しながらコントロールできるという関係も大変重要ではないか、このように私は思っております。

岡本(三)委員 このより大きな役割、責任を考えたときに、当然、ハードパワーも必要ですけれども、今、総理に御答弁いただいたように、日本における役割の大きなものにソフトパワーの充実ということはあると思いますので、この点、バランスよくお取り組みいただきたいと思います。

 続きまして、経済関係の共同声明について質問させてください。

 声明の中で、自由で公正な貿易のルールに基づいて、日米そして太平洋アジア地域の経済関係の強化の重要性を訴えています。自由で公正な貿易のルール、このことをうたったことが非常に重要だと思いますけれども、その一方で、米国がTPPから離脱した点に留意をして、両首脳はこれらの共有された目的を達成するために最善の方策を探求することを誓約した、これには、日米間で二国間の枠組みに関して議論を行うこと、また、日本が既存のイニシアチブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することを含むとあります。

 文章が理解しづらいんですけれども、この文章の根底に含まれている、どういう思いで、そして具体的に今後どういうことをなし遂げようと思われてこの共同声明を発表されたかということを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 トランプ大統領には、これまでさまざまな機会にTPPの戦略的意義について説明をしてまいりました。ニューヨークで会ったときにもお話もしましたし、また、今般の首脳会談また電話会談においても、もうしつこいのではないかというぐらい説明をさせていただきましたが、しかし、嫌な顔一つせず、私のこのTPPの意義、意味についてじっと耳を傾けてくれたのは事実でございます。

 そこではTPPについて激しい議論ということはありませんでしたが、私の説明は何回も何回もしたんですが、聞いていただいたと思います。自由で公正な、フェアな経済圏をつくっていく、このルールづくりを日米がともにしていくということの意義、そして、これから発展していくアジア太平洋地域にそういうルールをつくっていくんだよということの意義については、これは大体私は理解をしていただいている、この意味については理解をしていただいていると思います。

 その結果、先日の首脳会談では、日米が主導し、アジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくる必要性について一致することができたと思います。そして、日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていくという日米共通の目標のもと、最善の方策を探求するため、今後あらゆる選択肢について考えていこう、こういうことになったわけでありまして、このあらゆる選択肢については、今回の一連の会談においては二国間FTAについて具体的な要請はありませんでしたが、麻生副総理とペンス副大統領のもとで行われる新たな経済対話の中で、どのような枠組みが日本経済にとって最善であるかを含めて議論していくことになります。

 我々は、決して二国間のFTAを恐れているわけではありません。それが日本の国益になることであれば、これはいいわけでありますし、国益にならないものであれば、それは進めないということになる、これはもう明確でございます。

 共同声明の御質問の箇所の後には、日本が既存のイニシアチブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することを含む、こう書いてありまして、これは、日本がTPPを含む既存のイニシアチブを基礎としてアジア太平洋地域において自由で公正な経済圏を広げていくことを米国も了解しているということを意味するわけでございまして、この文章を入れるか入れないかが一つ大きなポイントでありましたが、今まで累次の私から直接トランプ大統領にも説明してきたことの結果、この一文が入ることができたと思います。

 米国の離脱表明後も日本がTPPにおいて持っている求心力を生かしながら今後どのようなことができるかを、米国以外のTPP参加国とも議論していきたい、このように考えております。

岡本(三)委員 つまり、TPPが持っている本来の意義ということに関してはトランプ大統領からも理解を得ることができて、その価値観をもとに、日米間であっても、このアジア地域であっても、さらに自由で公正な市場をつくっていくことを合意されたということだと思いますので、これまでの日本のスタンスを変えずに、新たな取り組みにもチャレンジをしていただければと思います。

 経済関係につきましては、もう一つどうしても、自動車産業のことについては、今回、大きな話題ですし、日本にとっても、多くの方々が注目をされた部分ですので、伺いたいというふうに思います。

 申し上げるまでもなく、自動車産業は日本にとって最も大切な産業の一つです。それは、自動車メーカーそれ自体だけではなくて、その後ろには何万、何十万という関連産業の中小企業や小規模企業の方々が努力をしていらっしゃる、多くの方々がかかわる産業だからだというふうに私は思っています。

 そして、この方々は、本当に絶え間ない研究開発、営業努力で、今日の日本の自動車メーカーの地位を築くことを支援していただきました。にもかかわらず、いわれなき、例えば日本の市場は閉鎖的というようなイメージを持たれてしまっていたというのは非常に残念だというふうに思っていました。実際、昨年、日本においては、日本における車販売のうち、外国車の割合は、史上最高、九・一%、欧州車は大変に売れているような状況で、ある意味米国の自動車市場よりも日本の自動車市場の方が自由でオープンだということが言えるかもしれません。

 この中小企業を中心とした自動車産業が日本の国内で大きな成果を上げ、アメリカの中でもアメリカの経済に貢献をして、日本では地域経済を支えて地域の雇用を支えている、アメリカでも百五十万人を超えるような大きな雇用の原動力になっているのは、総理も御存じのとおりであります。

 今回、自動車の件につきまして、アメリカで雇用を生んでいることを総理は御説明されたと言及されて、トランプ大統領からは特段の言葉はなかったというふうにおっしゃっていますけれども、このような自動車産業を支えている小さな企業の方々の思いも踏まえて、もう一度、具体的にどういうことをトランプ大統領に訴えて御理解をいただいて、そして、今後の交渉の中でどういう思いでここを守り、広げていくかという総理の御決意を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 実は、自動車について、日本には非関税障壁があるのではないか、何でこんなに米国の車は売れていないんだよというのは、トランプ政権が初めてではありません、オバマ政権時代にも何度も起こりました。

 私自体も、実は説明しています、同じ説明をしました。百五十万人の雇用をつくっていますよ、ちょっと店から外へ出てみましょうよ、アウディやビーエムやベンツ、たくさんありますよ、なぜアメリカの車がないのか、それは例えば東京モーターショーに出していないですよね、新聞やテレビで広告をやっていますか、やっていませんよね、左ハンドルじゃないですか、ちょっとは考えてもらわないと困りますよ、そういう努力を実はドイツメーカーはしていますよ、非関税障壁はないですよという話を、私は、前政権においても何回も、TPPの交渉においていろいろな人にしたんです。常に彼らはそういうチャレンジをしてくるんですね。

 ですから、これは同じことが起こったなということもございますので、トランプ大統領にも、八〇年代、九〇年代と違います、自動車産業、大きな努力をしています、それは、今まで輸出中心だったものをアメリカでつくるという方針に変えて、今走っている車の多くは、圧倒的多くは米国産ですよ、かつ、米国産であるどころか、批判されているトヨタのカムリは、ローカルコンテンツ比率は七五%で、これはビッグスリーよりも高いんですよ、ビッグスリーよりもたくさんの米国の部品でつくっているのは日本の車ですよという話もさせていただきました。やはり日本の車はいいなという返答もあったんですが。

 ですから、そういう説明をしっかりとした後、ワーキングランチでそんな説明をしました、そこで大統領からどういう反応があるかなと思っていたんですが、大統領からは車についての反応は一切なかったということでございます。

岡本(三)委員 総理、自動車産業について今後さまざまな議論が麻生副総理のもと行われると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、自動車産業を現場の最前線で支えていらっしゃる方々、中小・小規模事業者の方々の血のにじむようなこれまでの努力を忘れずに、今後の交渉、前向きに、そして完全にかち取っていただければと思います。

 次に、麻生副総理にぜひお伺いをしたいんですけれども、今回設立が決まりましたハイレベル経済対話ですけれども、これは、麻生副総理とペンス副大統領を両トップといたしまして、三つの分野、財政、金融などのマクロ経済の連携、そして二つ目には、インフラ、エネルギー、宇宙、サイバー等の共同プロジェクト、そして三つ目には、二国間貿易の枠組みの協議をするということを目的にセットアップされました。

 私は、ペンス副大統領がアメリカのトップにつかれたことは大変に意味があると思うんですね。私もアメリカに住んでおりましたので、インディアナ州が、そしてインディアナの方々が日本に対してどれほどいいイメージを抱いているか、よくわかっています。

 インディアナ州には外国の企業は約七百社ありますけれども、そのうち三分の一は日本の製造業です。日本の自動車会社も、スバルがアメリカで唯一持っている工場はインディアナ州、トヨタの二番目に大きい工場もインディアナ州、ホンダの最先端の工場、そしてこれらの日本の自動車産業の方々のもとで働いていらっしゃるインディアナ州の方々もたくさんいらっしゃいますので、ペンス副大統領御自身、日本の自動車産業とともにアメリカの中で大きな経済の拡大をすることがアメリカの雇用に、そしてアメリカの経済にどれほどの恩恵があるかということをわかっていらっしゃいます。

 その上で、このハイレベル経済対話、ただ、米国の要求に応えるためだけの対話であっては絶対いけないと思うんです。先ほどの共同声明で合意をしたように、公平で自由なマーケットをつくるようなことが目的で、ウイン・ウインでパイを大きくするわけですから、仮に米国が過度な保護主義を掲げて交渉に来たときには、毅然と立ち向かって、その方向性を修正していただきたいと思います。

 麻生副総理、とりわけ自動車産業で働く方々がばかを見ないようなフェアな貿易づくりに対して、今回のハイレベル経済対話、ペンス副大統領との三十分間の会話の印象も含めて、どういうふうな姿勢で取り組まれるか、その決意を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 ペンスという、元インディアナの州知事、その前が下院議員をしておられる方なんですが、私はこの方に会ったことがありませんので、初めてお目にかかった方だったんですが、ボーンアゲインクリスチャンという宗派に属しているんですって。とても考えられませんけれども、もう一回生まれてもクリスチャンと。キリスト教の宗派はいろいろありますけれども、その中で最もコンサーバティブというか非常に厳しいというか、そういったところに属しているというような情報を得ていたんですけれども、極めて真面目なというのが、今最初の御質問の印象で言えばそういう方だったというのが、私は、三十分、その後大統領との共同のとき、ずっと一緒だったんですけれども、それが正直な実感です。

 国際的な交渉をやった経験ゼロ、だけれども、今お話がありましたように、インディアナに今、たしか私が知っている範囲で百九十一社の日本企業がそこに出ておりますし、雇用も約四万七千とかいうような数を、それはすらすら全部自分で知っていましたのでそういった話をして、もともとおたくらで、繊維交渉にさかのぼって、あれは佐藤内閣ですかね、佐藤内閣、ニクソン会談、あのときにさかのぼってこの種の通商関係の交渉というのは始まったんですけれども、ずっと、向こうから言ってきたのに対していかにこっちがこうやって対応してきたかというのが歴史ですよ。それに対して、こちらから、そういうんじゃなくて大まかな枠組みをというので、いわゆるエコノミックダイアログという名前になっていますけれども、そういった形になっています。

 要は、向こうとの間の関係で、この間のTPPみたいな話をやろうなんていったって、最低でも三年かかりますよ、交渉をやったって。そんなもの、今、人がいませんから、全く三千人失職しちゃっているんですから、とてもじゃない、今から埋め合わせていくだけでも大分時間がかかりますから。それですぐ答えが出るなんというのは、それはもう、いわゆる条約とかそういった話は無理。結果として、いろいろな話を個別にきちんとやっていくという、結果が生みやすいものを前提にしていろいろ話を詰めていくというのが大事なことだと思っております。

 しかし、これは大事なことで、やはり、かつて、アメリカでできていた車は、いわゆるアメリカの国内で生産をしていた日本の車というのは、四十三万台から今三百八十五万台。いわゆるプラザ・アグリーメントをやりました一九八五、六年から比べたら、えらい数が向こうでつくられている。しかもそこからまた輸出されている。また、日本からの対米輸出も、三百四、五十万台あったものを百六十万台まで減らして、その分向こうでふえている。ふえている数が圧倒的に多いんですからね。そういった意味ではそれは全然文句ないでしょうがという話はもう全部しています。

 そういった上での話をしますので、いろいろな、自動車に限らずどういったところの話をするかというのは、これは今からきちんと詰めていかないかぬところだと思っております。

岡本(三)委員 麻生副総理におかれましては、財務大臣という立場で、今後、為替のことも議論をしていかれるというふうに認識しておりますけれども、今後のことは今後のこととして、ただ、このスタート時点では、共同声明の中に、アベノミクスの政策に関して再確認をした、つまり、一本目の金融緩和の矢というのも決して為替操作ではなくてデフレ脱却に向けた日本の国内事情の戦略だということを同意できて、再確認できたということが共同声明にうたわれておりますので、今後の為替の交渉につきましても、日本の主張をしっかりとぶつけていただきたいというふうに思います。

 最後に、誰も置き去りにしない社会の実現、SDGs、持続目標につきまして質問させてください。

 これは、二〇一五年に百九十三カ国の国連加盟国により採決をされまして、誰一人取り残さないことを掲げて、国際社会が二〇三〇年までに貧困を撲滅して持続可能な開発を実現するための重要な指針でありまして、日本自身もリードをして、今、国際社会と連携をして取り組んでいっている課題であります。

 今、米国を中心に話題になっております移民や難民の問題に関しましてもこのSDGsの中に含まれておりまして、その意味におきまして、日本のリーダーシップは非常に重要だと思うんですね。

 実は、ことしの四月から、難民政策というよりは人道的な支援から、シリア人難民の留学生を日本で学生として受け入れます。これは、私自身、同僚議員とともに一昨年、シリア人難民キャンプを訪問いたしまして、総理にも難民学生の受け入れを御提案申し上げましたので、実現は高く評価をしておりますし、感謝をしております。

 今、世界じゅうでこの難民のことがいま一度クローズアップされておりますので、これから始まるわけですけれども、そろそろ受け入れ人数の拡大ということも検討されるべきではないかと思うんですね。

 この難民の方々、五年で百五十人ですけれども、帯同される御家族も受け入れることになっています。卒業された後には日本で仕事をするという選択肢もあることになりますので、例えば、この帯同される方々に対して就労の機会を与えるような取り組み、とりわけ、この方々がもしSDGsに関するような就労の機会を受けるようになれば、いろいろなことが有機的に前に進んでいくのではないかと思っています。

 加えまして、今回はシリア人難民に限っておりますけれども、例えば、米国で入国が今話題になっています七カ国の方々もこの中に含むとか、パレスチナ難民の方も含むとかということも含めまして、シリア人難民学生を人道的、そして難民学生を人道的に日本で今後受け入れていくということに関して、総理の今後の御決意をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 我が国は、昨年の伊勢志摩サミットにおいて、SDGs達成に向けたG7のコミットメントを主導するなど、G7各国とも連携しつつ、SDGsの実施に率先して取り組んでいく考えであります。その取り組みにおいては、難民を含む脆弱な立場に置かれた人々にも焦点を当てることとしています。

 ホワイトハウスでの共同記者会見でも述べたとおり、移民、難民問題、テロ対策は世界的な課題であります。国際社会で力を合わせ、こうした課題に取り組むべきことは当然であります。我が国の立場は明確であり、揺るぎないものであります。我が国は、これからも難民、移民支援、開発支援など、我が国ならではの貢献を国際社会とともに協力して果たしていきたいと考えています。

 こうした観点から、昨年の伊勢志摩サミットや国連総会の場で、シリア危機により就学機会を奪われたシリア人の若者に教育の機会を提供し、将来のシリアの復興を担う人材を育成するため、シリア人留学生を五年間で御指摘があったように最大百五十人受け入れる旨表明しました。さらに、シリア人留学生たちが家族の同伴や呼び寄せを希望すれば、我が国の制度の枠組みで温かく迎えることとしています。

 まずは、このシリア人の留学生受け入れに関する取り組みを着実に実施していきたいと考えております。

岡本(三)委員 ありがとうございました。

 今後の日米関係をより強固にするためにも、議員外交も重要だと思いますので、公明党も全力で政府を支えて議員外交も行っていくことをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 民進党の前原です。

 まず、総理、そして財務大臣、外務大臣、訪米お疲れさまでございました。

 短い期間の中での往復の中で、国民全般からすると評価の方が私は多いのではないかと思います。よかったという安堵感、こういったものが私は基本的にあるのではないかと思います。あれだけ大統領選挙の間に言いたい放題、人種差別、女性蔑視、そして日本に対しても自動車、為替、さまざまなことを言ってきて、それについて日米首脳会談で安倍総理にぶつけるんじゃないかと戦々恐々としていたところで非常に厚遇を受けられて、そういった問題については今回は出てこなかった、そういう意味では国民も安心をし、ほっとしている面もあるのではないかと思います。

 しかし、全ては私はこれからだと思います。総理が人間関係を構築されて、そしていろいろお話をされる環境をつくられるという努力には、私は御努力を多としたいと思います。

 その上で、まず質問させていただきたいと思います。

 トランプ大統領という方は、社会の分断、さまざまな分断をつくる人ですね。つまりは、人種差別をし、それについて賛成という人と反対という人が分かれる。あるいは、入国禁止についても明確にいわば言ったことを実行して、そしてそれに対する反対者も出てくる。後でさまざまなことをお伺いしていきますけれども、つまりは、プロ・トランプとアンチ・トランプというのが極めてはっきりしている珍しいタイプの大統領だというふうに私は思います。

 特に安全保障面で日米関係の重要性ということは論をまちませんが、さはさりながら、こういうアンチも多い大統領と親密な関係になるということは、あわせて安倍総理にも厳しい目が向けられる、あるいは安倍総理は日本の総理大臣ですから日本国民にも厳しい目が向けられる、そういったリスクもお感じになりながら、このような言ってみれば親密な関係を構築するということの選択をされたのかどうなのか、その点についてまずお答えをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日本の選択肢は幾つあるのかということだと思います。

 日本は、安全保障環境が厳しくなっている中にあるアジア太平洋地域に位置しています。そして、北朝鮮は先般、弾道ミサイルを発射した。弾道ミサイルを発射された際、それを共同で守るのは、ミサイルディフェンスにおいてもそうですが、米国だけであります。そして、残念ながら撃ち漏らしてしまった、それに対して報復する、この能力を持っている、あるいは報復するのも米国だけであります。しかし、安全保障条約五条にもありますが、必ず報復するのかどうか、これは常に大きな課題です。そこには信頼関係がなければそれは無理ですね。そして、少なくとも首脳同士に信頼関係があると思われなければならない。トランプ大統領が必ずこれは報復するねという認識を持ってもらわないと、報復しないかもしれないと思うと、冒険主義に走る危険性が出てくると思います。

 もちろん、そう簡単には起こらないことではありますが、万が一のことについて我々はそういう危険性を排除させていかなければならないという日本の立場としては、日本の主張としては、トランプ大統領と親密な関係をしっかりとつくり、そしてそれを世界に示していく、それしか私は選択肢がないと思っています。それがとるべき選択肢だと思っています。

 同時に、これは意外と多くの人たちが理解をしているわけでありまして、行った日の朝七時四十五分から実は朝食会をやったんですが、ナンシー・ペロシ、民主党の下院のマイノリティーリーダーですね、彼女は非常にリベラルな方でありますが、わざわざ出張を取りやめてもらってこの会合に出てきていただいて、私はあのときトランプ大統領ともハグをすることになりましたが、がっちりペロシさんからハグされて、安倍さん頑張ってね、こう言われたわけでございますから、日本の立場は多くの人たちに理解されている、このように思っております。

前原委員 私が質問させていただいたのは、リスクというもの、そういうものを認識しながら、しかしその上で優先順位として今おっしゃったようなことの方がより重要だと考えておられるかどうか、その点を聞きたかったわけです。

 もう一度お答えください。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、我が国が置かれている環境を考えれば、私は、日本の国の責任者としてそれがとるべき道だと考えています。

 確かに、今マスコミ等々で、トランプ大統領と近くなると、あなたは近いんだからと非難されるんじゃないのと、不買運動をされているものもありますね。しかし、私はそんなことは起こらないと思います。

 今申し上げましたように、アメリカで最も有力なリベラルの女性リーダーも、まさに私にハグをしながら、頑張ってね安倍さんと。私は特別ハンサムというわけではありませんから、むしろ、日本のリーダーとしてこれをしっかりとアメリカとやっていくということ、日米の同盟を強化していくということは大切だということを彼女もよく理解している。

 我々の予想以上に、民主党の議員も含めて多くの議員たちが出席をしてくれました。そしてまた、トランプ大統領との会話についてぜひ教えてもらいたい、電話会談でいいからという多くの要望が殺到しているところであります。また、メルケル首相は御承知のように懸念を表明されたわけでありますが、私もメルケル首相から三月に招待を受けておりまして、その際にはこの会談等についても話を聞きたいということにもなっているわけでございまして、むしろ日本が、分断されないように役割を担っていくという大きな責任を今担っているのではないか、このように思います。

前原委員 選択肢ということをおっしゃいました。一つの、過去の日本の難しかった選択のお話をさせていただきたいと思います。イラク戦争のときです。

 ブッシュ政権、日本の総理大臣は小泉さんでした。あのときは、イラクに大量破壊兵器があるんだ、大量破壊兵器があるからイラクに攻撃するんだ、それについて日本も協力をすべきなんだ、こういうロジックの中で、最後はどういう観点で小泉さんが協力をされたのか。全く今と同じロジックだったんです。

 私は、当時民主党の防衛担当でワシントンに行きました。そのときの国務副長官がアーミテージさん。よく御存じだと思います、アーミテージさん。その方に、大量破壊兵器が見つかっていない、国連決議においてまずはそれを見つけることが義務とされている、イラクに対する攻撃については控えるべきだ、そういうお話をしたときにアーミテージ副長官がどうおっしゃったか。イラクの話をしているときですよ、北朝鮮の話をし出したんです。北朝鮮からミサイルを撃たれたら、あなたは政権与党になれば防衛庁長官だね、どうするんだ、こういう話がありました。

 つまり、今のロジックと全く同じなんです。日本はやられたらやり返すことができない、だからアメリカの言うことは聞け、それがまさにイラク戦争から今までも変わっていないロジックじゃないですか。

 日本というのは、今の状況で、安倍総理のおっしゃることについては一定の理解はしますよ、一定の理解はする。しかし、何十年、長い間ほとんどが自民党政権の中でそういう穴をあけてきたんですから、そういう穴を埋めるような努力をしていれば、まさに安倍総理がおっしゃった選択肢というのはもっと広がったんじゃないですか。そういうような選択肢をつくってこなくて、結局、アメリカにおんぶにだっこの状況というものをさらに強化してしまっている。これがまさに、今、我々自身が与野党を超えて考え直さなきゃいけない大きなポイントじゃないですか。

 私は、この安全保障の問題というものについては、特に安全保障法制、先ほどとうとうと与党の議員の中で、日米同盟関係をさらに強固にすることが日本の抑止力を高めることなんだとおっしゃったけれども、今の私の議論とあわせて考えたら本当にそうなんでしょうか。

 むしろ、みずからのさまざまな能力、それは防衛力だけではない、ソフトパワーも情報収集能力も含めてみずからの国はしっかりと、まずはみずから自分の足で立って、自分の国を守れるという体制をとることがさまざまな選択肢をむしろつくることであって、今の状況の中でこれしか選択肢がないんだ、リスクは覚悟でうまくやることしかないじゃないかということにおいていえば、現実はそうかもしれないけれども、総理を四年やっておられるんですよ、四年。であれば、そういうことも含めて日本の脆弱性の穴というものをできるだけ小さくして、なくしていくことについても努力をされるということが本来の姿勢ではありませんか。

安倍内閣総理大臣 基本的な考え方として、私は今の前原議員のお話は傾聴に値すると思っているんです。ただ、小泉総理がイラク戦争のときにおける武力行使を支持したのと、私がトランプ大統領と親しくなるというのは大分距離がございますから、これはちょっと同じではないと思いますが、しかし、いわば選択肢ということの議論の中では同じじゃないかということだと思います。

 ちなみに、申し添えれば、サンクトペテルブルクでオバマ大統領から、シリアを空爆するから支持してもらいたいと私は言われました。そのときには、化学兵器を使ったという証拠を見せてくださいということを申し上げた。米国側は非常に不愉快だったと思います。首脳会談では私は支持するということは言わなかったんです。向こう側は、それはなかなかナショナルセキュリティーにかかわることだから示さない。示せないのであればイラクでの経験がありますから国民に説明できませんよという話をしたら、最終的には、実はいわば初めてと言ってもいいと思うんですが、ハードエビデンスを我々に示したので、私は支持すると。結果として空爆はしませんでしたけれどもね。

 そこで、我々は努力を積み重ねなければいけないと思っています。ですから、この四年間、防衛費については八・五%プラスになりました。十年間ずっとマイナスであったものが、〇・八%ではありますが、プラスアルファして積み上がっています。それと平和安全法制という形で私たちの行えることをふやしてきた。

 しかし、今、打撃力については米側が行い、基本的には我々は盾の部分を行っているわけでございますが、専守防衛あるいは憲法の許す範囲内において何ができるかという努力と検討というのは常に行っていくべきではないのかな、このように思います。

前原委員 これから個別の話をしていきますが、安倍総理、ぜひ日本の総理大臣として、自分の国は基本的に自分が守るのが当たり前で、同盟関係にあるアメリカの大統領に極めて特異な方が出てきて、リスクがあるんですよ、これから。だけれども、そのリスクがある中で、これしか選択肢がないでしょうと堂々と話をされて、拍手が起こる自民党であっては困る、私はそう思いますよ。それを変えていく努力、そして選択肢を日本としてふやしていく努力、もちろんアメリカともうまくつき合っていく。

 これは何度もここで申し上げたかもしれませんが、安倍総理が酷評される民主党政権においても、例えば武器輸出三原則、共同開発、共同生産、みずからの足腰を強くしましょうということの取り組みの第一歩を進めました。そして、新たな防衛大綱というものも言ってみれば北方重視から動的防衛力整備に変えるということもやりました。それと同時に、準天頂衛星、アメリカのGPSだけに頼らない、こういうようなことも含めて、ここはまさに今申し上げたとおりのことを、現実においては総理のおっしゃる選択肢がないんだということはそれはそうかもしれないけれども、長い期間において日本をどうしていくのかという議論をしたいんですよ、あわせて。そのことをしっかりと踏まえて、ぜひ答弁をいただきたいというふうに私は思います。

 では、それを踏まえて、個別の話をさせていただきたいと思います。先ほどオバマ政権のときのシリアの話をされましたが、中東政策においてさせていただきたいと思います。

 トランプ大統領は、大統領選挙の最中から、大使館をテルアビブからエルサレムに移すと表明されていますね。一月二十三日にはスペンサー大統領報道官が、意思決定するための初期段階にあると。そして、一月二十六日にはトランプ氏本人も時期尚早と述べておりますが、撤回するとは言っていませんし、ネタニヤフさんと電話会談をして、二月には会う予定になっているということであります。

 アメリカ大使館をエルサレムに移すということについて、総理はどうお考えですか。

安倍内閣総理大臣 近日、ネタニヤフ首相が米国を訪問するということについて、トランプ大統領ともイスラエルとの関係についてお話をしました。結構突っ込んだ話もいたしました。イスラエルの中東和平における今後の見通しあるいはイランとの関係、サウジとの関係等々についてお話をしましたが、今言われた件はまさにアメリカが決めることでございますから、私が言及する立場にはもちろんございません。

 しかし、いずれにいたしましても、日本の立場というのは、従来から述べているように、二国家解決ということは明確にしております。そして、今中断している中東和平についても、日本も安倍政権において実は積極的な役割を果たしていきたいといろいろ考えているんです。そういうことも含めてさまざまな話をさせていただいたわけでありますが、今言われた点についてはコメントは控えさせていただきたいと思います。

前原委員 それは驚いた答弁ですね。

 私は猛獣遣いになってくださると期待をしておりましたけれども、そのままだったら、猛獣に従順に従うチキンのようなものだと思いますよ。つまり……(発言する者あり)いや、当然、私はそれについてはノーですよ、今どなたかがおっしゃったけれども。当たり前ですよ、江藤拓さん。当たり前じゃないですか。これは……(発言する者あり)いつもあなたが、菅原さん、うるさいんですよ、理事は黙っておいてください。黙っておいてください。安倍さんだってそこで一々指さして言っているじゃないですか、黙っておいてくださいよ。

浜田委員長 静粛に願います。

前原委員 私なら、絶対にやめておきなさいと言いますよ。だって、これは、第四次中東戦争においてこれが問題になって、一九九三年のオスロ合意の中で、イスラエルとパレスチナの間で平和的に解決する、そのときに問題を決めるということになっているわけですよ。それを一方的にアメリカが認めるということになれば、現状変更じゃないですか。

 そうすると、中東和平の構図はごろっと変わりますよ。第五次中東戦争が起きるかもしれない、起きた場合においては我々が中東に依存している石油の価格、天然ガスの価格は高騰しますよ。我々の生活にも直結する話じゃないですか、地球全体の安全にもかかわる話じゃないですか。それについて自分がコメントする立場にないというのは、私は猛獣遣いとして大したものだなというふうに思っていましたけれども、まさに猛獣に従順にとにかく従っていくチキンと言われても仕方がないと思いますよ。

 もう一度お答えください。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 ポチとかチキンとかいろいろおっしゃったんですが……(前原委員「僕はポチとは言っていない」と呼ぶ)ポチはこっちの方から。私が申し上げたのは、私はこの問題についてはコメントを差し控えたいと言ったわけでありまして、中東問題についてどういう話をしたかということも含めてコメントは差し控えさせていただきたい。今まさに前原さんがおっしゃったことは最も微妙な問題であります、中東和平を議論する中においても。それについて、私と大統領との一々のやりとりをここで紹介させていただくということは差し控えさせていただきたい。

 つまり、これからトランプ大統領がネタニヤフ首相とどういう話をするか、どういう考えで臨むかということも私は聞いています。ですから、今言ったことをここで私がコメントするというのは、そうしたものに対していわばマイナスの要素になるというか、まさにこれからトランプ大統領がネタニヤフ首相と話をするわけでありますから、この二人がまずはどういう話をするかということだと思います。また、当然、トランプ大統領もパレスチナ側とも話をしていくんだろうと思います。

 ですから、それぞれで、例えばパレスチナ側もこっちへ持ってこなきゃいけないし、ネタニヤフ側もこっちへ持ってこなきゃいけないんですね、それまでにいろいろな球を持っておく必要があるんだろうなと思いますよ。こう言ったけれどもこれはやめるし、やめるからこっちへ来いよとかという全体像の中で考えなければいけないわけでありますから、一々に我々が反応する、あるいは、私たちがやっている中東和平工作そのものであれば別でありますが、まさに米国がやろうとしていることについて私が今コメントするのは差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。

前原委員 質問の趣旨をちょっと取り違えておられるような気がします。アメリカの考え方をここで、トランプさんと話をされたことを開陳してくださいなんて言っていないんです。日本国の総理大臣として、この中東和平について。

 だって、今まで日本は大使館をテルアビブに置いてきたでしょう。今は一つもないですよ、エルサレムに置いている国は。しかし、それをアメリカが、トランプ大統領がそういうことをおっしゃったということについて、別に総理とトランプ大統領がどういう話をされたからかということを聞いているんじゃないです。話の内容が今後のさまざまなことに微妙な影響を及ぼすというのは、総理のおっしゃるとおりでしょう。

 日本国の総理大臣として中東和平そしてそのスタンスについてはどう考えているのかということを聞いているんですよ。何が問題になりますか、日本国の考え方を言って何の問題がありますか、中東和平に。それを教えてください。

安倍内閣総理大臣 日本は日本の立場として、エルサレムではなくてテルアビブに置いている。多くの国々もそうです。そして、米国は実際にそれを移し始めたわけでもないし、国として正式に決定したわけでもないんですよね。

 これは、そういう発言があっただけであります。それに一々我々が反応する必要というのはないんだと思っているんですね。しかも、その発言に対してネタニヤフ首相がどう考えているかということもわかりませんよね、今のままでは。

 世の中はそう単純じゃないんですよ。エルサレムに持っていく、どうぞとなったときのことをみんな考えているわけです。ですから、ネタニヤフ首相もそういう反応は今していない。今していないですよ、明確にしていないですよ、ネタニヤフ首相はしていないんですよ。それは、そのことによる影響を考えているわけであります。

 一方、入植を続けている。トランプ大統領が就任した後、入植活動についていわばある種肯定的とも思われるコメントを発したにもかかわらず、入植活動を行ったイスラエルを実は非難しました。そこで、結構みんなこれに驚いたんですね、驚いたわけです。ということのように、世の中は、国際政治というのは単純ではありませんから、その中で、まさにいろいろなことが動いている中において我々が殊さらそれにコメントする必要というのは、どういう意図でということは、これからさまざまなやりとりがありますから。

 それは恐らく、ある程度、一般の方々よりも私は知っていると思います、内実において。ですから、それについて今私がコメントするということの意味、何かメリットがあるか、あるいは、私がそう言ったからといって、それはまさにそうなっていくかということでもないわけでありますから、私は総理大臣として、一評論家であれば言われればいいんだろうと思いますよ、コメントしない。

 今、こちらから、後藤さんからもやじがありました、玉木さんからもやじがありました。これはタウンミーティングじゃないんですから、こういうやりとりじゃないんですよ。ですから、やはりこういうやりとりの方が私はいいんだろうと。これは前原さんも同じだろうと思いますね。

 という意味で、重ねて申し上げますが、米国がどこに大使館を置くかということは基本的に米国が決めることであります。そこで、もし我々がそれをやめろということであれば、こういう場で言うのではなくて、同盟国ですから、面と向かって、フェース・ツー・フェースで、それはやめた方がいいと当然申し上げるわけであります。

前原委員 私は答弁を逃げておられると思いますよ。

 つまり、世界の情勢が複雑なことは、申しわけありませんが、安倍総理に言われなくても、国会議員二十三年間、同じ年限やらせていただいて、いろいろな切磋琢磨もさせていただく中で、私も認識をしているつもりです。

 では、ここで、日本の総理大臣が、アメリカの大使館が移ることによってどういう問題が起きるか、世界にどういう影響が起きるかということについて懸念をする、そしてそのことについて、まさに親しい関係をつくった、あるいはつくろうとしているトランプさんに対しては自分はこういうふうに物を言うんだと姿勢をあらわすことが、日本国の総理大臣としてあるべき姿だと私は思いますよ。

 それを言わないことが何かいいことだということ、黙っていることはいいことだということは私は全く思いませんし、それは国民に対しての説明責任にもなっていないし、我々日本国の代表として世界に対して堂々と私は立場を言っていただきたい。非常に残念な気がいたします。

 次に……(安倍内閣総理大臣「やらないから、きっと」と呼ぶ)そうですか。今、大事なことを言われました。やらないからとおっしゃって。(発言する者あり)はい、わかりました、わかりました。

 時間が限られていますけれども、次に行かせていただきますが、一つは対ロ関係ですね。総理、談笑しないで聞いてもらえますか。

 まず、日ロ首脳会談もお疲れさまでした。新たな領土返還に向けたアプローチをされようとしているということについては、私はこれも一定の評価をさせていただきたいというふうに思います。島が返ってこなかったから失敗だ云々かんぬんということを、そんなに軽々に私は言うつもりはありません。それは大変でしょう、プーチン大統領も来年大統領選挙ですから。そして新たな六年間が始まる、その中で四島の経済協力活動というものを行われるということの中で、しっかりと、この間、辻元さんへの答弁の中で自分の手で必ず平和条約を結ぶとおっしゃったので、ぜひ頑張ってもらいたい、私はこのように思います。

 その上で、幾つかお伺いしたいことがあります。

 今回、尖閣が安保条約第五条の適用範囲ということを日米間でも確認されましたが、北方領土が返還された際にはこれは日本の領土、施政下に置かれるわけですから、日米安保条約の適用範囲になるということでよろしいですね。

岸田国務大臣 日米安全保障条約上、日本の施政下にある地域に対しましては安保条約五条が適用されるということは間違いございません。

前原委員 返還をされた島々について安保条約が適用されるということでよろしいんですね。

岸田国務大臣 条約上の解釈として、施政下にある地域に第五条が適用される、これは間違いございません。

前原委員 あわせて、ロシアの問題で、トランプ大統領はロシアとの関係改善に並々ならぬ意欲を持っておられますね。私はそれも一ついいことだというふうに思います。ISの掃討作戦をどうしていくのかということも含めて、さまざまな取り組みをやられるということは、私は一つのいい方向性ではないかというふうに思っておりますが、他方で気になることもあります。

 大統領選期間中、ロシアはウクライナに入ろうとはしない、あるいはクリミアの人々がロシアと一緒になることを望んでいると聞いたというふうに、ある意味でクリミアをロシアの領土として認める方向性で発言されているということがあります。これについて総理はどのような認識をお持ちですか。これについてもしっかりと、答える立場にないと言わずにお答えください。

安倍内閣総理大臣 今のはトランプ大統領の発言ですか。トランプ大統領のクリミア等に対する発言でありますが、先ほどのイスラエルのエルサレムにおける大使館の移転等々についてですが、しっかりとまだ外交チームが完全にできていない中での発言であります、それはそう簡単なことにはならないと私は思っているということは申し上げておきたいと思いますが、もう既にG7において、一方的な現状変更は許されないということでありまして、その上において制裁を行っており、我々も制裁を行っている、こういうことであります。

前原委員 その考えを日本国として守っていかれるという御答弁だったと思います。それについては確認させていただきたいと思います。

 さて、為替についても今回の日米首脳間でまとめられた共同声明に記述があります。こういった共同声明が書かれています。日本及び米国は、世界のGDPの三〇%を占め、力強い世界経済の維持、金融の安定性の確保及び雇用機会の増大という利益を共有する、これらの利益を促進するために、総理大臣及び大統領は、国内及び世界の経済需要を強化するために相互補完的な財政、金融及び構造政策という三本のアプローチを用いていくとのコミットメントを再確認したと記述があります。

 ということは、今まで日銀が行ってきた異次元の金融緩和については是認をされたという認識でよろしいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この中においては、相互補完的な財政、金融及び構造政策という三本の矢のアプローチを用いていくとのコミットメントを再確認したとあります。三本の矢、いわば我々が進めている三本の矢が認められているわけでございまして、その中には日本銀行が行っている金融緩和政策が入っているのは当然のことであろうと思います。

前原委員 この金融政策というのは、直接的な通貨安政策ではありません。結果として通貨安になると言われるものであって、アメリカに通貨安政策だと言われる筋合いのものではない。アメリカもリーマン・ショックの後に数次にわたって、三回ですか、QE、量的緩和を行ってきたということでありますから、そういう意味では、この共同声明では日本銀行の金融緩和は認められたというふうに認識しているということを安倍総理がおっしゃったわけであります。

 日銀総裁、お越しいただいていると思いますが、大統領就任の前後からこういう発言が行われています。

 例えば、ムニューチン次期財務長官は上院の公聴会で、強いドルを維持し、米国の雇用を創出する貿易政策を実行していくと表明した後に、そのときには強いドルなんだなということでドルが上がって円が下がったんですけれども、過度に強いドルは短期的にマイナスの影響を与える可能性があるということで、また円が高くなる。

 また、一月三十一日に薬品業界大手トップらとホワイトハウスでトランプ氏が会談した際に、他国の通貨供給量、通貨安誘導によって米国が損害をこうむっていると述べた上で、中国が行っているし、日本も何年も行ってきたという批判をして、これについてマーケットが反応していますね。

 つまりは、日銀の金融政策が変わっていないのに長期金利や為替が動くということで、いわゆる口先介入と言われるようなものについて、日銀は、長期金利が今上がっている、イールドカーブ全体も上がっていることについてどう考えておられるのか、あるいは何らかの対応をすべきだと考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

黒田参考人 委員御案内のとおり、昨年の九月に、それまでの日本銀行の量的・質的金融緩和政策あるいはマイナス金利政策について総括的な検証を行いまして、新たなフレームワークとして、いわゆる長短金利操作つきの量的・質的金融緩和という形で、イールドカーブコントロールというものを入れました。その考え方は、基本的に、短期の政策金利をマイナス〇・一に、そして十年物国債の操作目標をゼロ%程度というふうに置くことによって適切なイールドカーブを実現するということでございます。

 その意味は、あくまでも日本経済のデフレからの脱却そして二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するという観点から行いますので、国際的に金利が上がったとかいうことだけで何か我が国のイールドカーブコントロールを変えるということはございません。現に、十年物国債の金利はおおむねゼロ%程度で推移しております。

前原委員 日銀総裁、もう一点お答えをいただきたいわけです。

 もうすぐ、日銀総裁、岩田副総裁も、就任されて四年ですね。二年で二%の物価上昇をやるということをおっしゃってスタートして、岩田副総裁に嫌なことを思い出させますが、できなかったらやめるとおっしゃっていたわけでありますが、今、CPI、物価上昇がマイナスに落ち込んでいるわけですね。そこで、岩田副総裁に意地悪な質問をしようと思いましたけれども、いたしませんので、日銀総裁にお答えをいただきたいというふうに思います。

 安倍総理の指南役の一人と言われているエール大学の浜田教授が、デフレは貨幣現象であると言っていたけれどもそれは違っていた、これだけではだめで、財政出動をしなきゃいけないんだということを言い始めているんですね。クリストファー・シムズさんという教授の、ノーベル経済学賞をとった人なんですけれども、違う分野でとられたので、この考え方でとられたわけではないんですが、その方のことを引用して、物価上昇ができていないのは財政出動ができていないからだと。

 シムズ理論のところを、これはちょっと財務大臣にもごらんいただきたいんですけれども、つまりは、簡単に申し上げると、日本は借金がいっぱいあるけれども、借金があることは忘れてください、さらに借金をしますけれども、その借金をすぐ返さなくていいですよ、そのことについては言ってみれば頭から拭い去ってください、そうすれば、国民はそれを信用して物を買って物価が上昇する。

 簡単に言えばこういう話なんですが、このシムズ理論というものについて、日銀総裁、どう考えられますか。

黒田参考人 実は、私、昨年の夏のジャクソンホールのコンファレンスでシムズ教授がこの話をされた場所におりまして、その際は、ジャクソンホールのコンファレンスというのは各国の中央銀行総裁がたくさん出席されている場でございます、大変印象的なお話をされたというふうに思いました。

 ただ、御承知のように、物価水準の財政理論というのがたしか二十年ぐらい前だろうと思いますけれども出まして、その基本的な考え方というものは、政府債務というのは最終的には通貨発行益を含む財政黒字でファイナンスされなければならないという非常に長い予算制約式をベースにしまして、政府と中央銀行と民間主体の相互作用が物価水準を決定するという過程を理論的に示したものでありまして、ある意味で非常に興味深いわけですけれども、そこから財政政策が主導的に物価水準を決定するというのは、いろいろな前提を置かないと出てこない話でございます。

 したがいまして、ジャクソンホールでお話を伺ったときの各国の中央銀行総裁の認識も、理論的には興味深いけれども、それぞれの国の物価水準の決定に当たって金融政策が引き続き非常に重要なファクターであるということは変わりがなかったと思います。

前原委員 私も、これで金融が物価上昇についてきかなかったから、次はいろいろな前提を置いて、何か、期待に働きかけるというのは私はよくわからなかったんですけれども、それと同じあるいはそれ以上のレベルで意味がわからない理論だなというふうに思いまして、同じ認識でよかったというふうに思います。

 そして、財政について、私は、財務大臣あるいは石原担当大臣にもお越しをいただいておりますので、少し問題意識を共有させていただきたいと思うんですね。

 これは何のグラフかといいますと、中長期の経済試算と債務残高対GDP比と言われるものであります。上のグラフがそのものでありますけれども、いわゆるベースラインケースというのは、経済が余りうまくいかなかった、その場合に、この赤い折れ線グラフで書かれているように、借金がどんどんどんどん上がっていきますね、対GDP比が上がっていきますねということ。経済再生ケースと言われるものについては、経済がうまくいきました、名目三%、実質二%、こういうものが達成されてうまくいきました、そうすると、どんどんどんどんこの青い折れ線グラフのように対GDP比は下がっていきますよ、こういうようなグラフになっているんですが、私は、内閣府の担当大臣もさせていただいて、二〇二五年以降のグラフを何度出してくださいと言っても出してもらえないんです。出してもらえない。結論から言うと、出してくださいという話なんですが。

 ここに黄色で、債務残高対GDP比が減少する条件というものを書かせていただきました。これについては政府にも確認してこれを書かせていただいておりまして、この数式が当てはまるということが前提になるわけでありますが、ちょっと上のグラフで経済再生ケースというものを見ていただいた場合に、実は二〇二三年から名目GDP成長率と名目長期金利が逆転するんです。つまり、経済が再生してくると、成長率以上に名目長期金利が高い伸び率になってくるんですね。

 今、国だけで九百兆ぐらいの借金がありますから、この借金が、大体百兆ぐらい毎年借りかえをしておりますね。そうなってくると、どんどんどんどん、今は金利が低いけれども、経済成長を前提とすると金利が上がってくるわけです、借りかえていくと。そうなると、これだけの長期金利を全てこの金利に当てはめることはありませんけれども、若干低目なものが出ますが、だんだんだんだんこれに追いつく形で金利が上がっていきます。その場合に、PBの黒字化をしても、この二〇二五年以降は経済再生ケースでも対GDP比は上がっていくんじゃないですか、だから二〇二五年以降のグラフを出していないんじゃないですか。

 石原大臣、お答えください。

石原国務大臣 委員御承知のとおり、長くなればなるほど指数の変化率がどうなるかということの前提値を置かなければ、先のものは出ないと思います。

 委員が御指摘されたとおり、経済がよくなれば間違いなく金利は上がっていくということになる。名目の金利と名目の成長率が逆転すると債務がふえていくということも、そのとおりだと思います。

 しかし、逆を見ていただければわかりますように、経済を再生させる、すなわち経済再生をしない限り、実はグロスの借金というものは減らすことができない。これは十年間ということを経済再生計画の中でつくったから十年間であるわけでございまして、これが二〇二〇年になれば、またそこから十年間のものを同じ指数を使ってつくることは可能だと思います。

 これはあくまでも経済財政政策の中で二〇一五年に決めまして十年間というふうに見ている、そのとおりだと思います。

前原委員 私は、単純に、実務的に五年ごとにですから仕方がないですというお答えを聞きたかったのではないんです。問題意識を共有してもらいたかったわけです。

 繰り返し申し上げますが、二〇二三年から成長率と名目金利が逆転するんですね、経済再生ケースでは。だって、今は大体ベースラインケースと経済再生ケースの間でしょう。間でいくと、これはまた借金が拡散してきますよ。つまりは、二〇二〇年のPB黒字化もなかなか難しい。

 ですけれども、それ以上に、経済再生ケースでいったとしても、このグラフだったら減っていっているように見えて、これだったら安心だね、だったら経済再生をやらなきゃいけないねということになりますが、この先のグラフも、私は十年出せとは言っていないですよ、当てはめるということは簡単ですよ。つまりは、あと二、三年先まで見通した場合に、横ばいになる可能性もある、あるいは若干上がる基調になるかもしれない、その傾向ぐらい見えるでしょう。そのことにおいて、財政政策というもの、つまりは歳出改革、歳入改革を経済成長とあわせてもっとやっていかなきゃいけないという危機感を我々国会議員は共有しなきゃいけないんじゃないですか。

 その材料を出してほしいということを申し上げているわけです。いかがですか、出していただけませんか。

浜田委員長 石原担当大臣、時間が来ておりますので、簡潔に願います。

石原国務大臣 基礎的な認識として、名目の金利が成長率よりも大きくなれば委員の御指摘のとおりであるということは認めさせていただいておりますので、共通認識を持っております。

 先ほども申しましたけれども、指数を同じものを置けば同じものを出すことはできますので、要するに二年、三年先のことでございますね、それは検討させていただきたいと思います。でも、同じ指数じゃないと確実性が、どこまで確かであるかということは見きわめさせていただいた上で、検討させていただきたいと思っております。

前原委員 私が申し上げたかったのは、四年たって二年で二%の物価上昇もできない、そして今マイナスになっている、そうすると財政政策だということも言い出している人たちがいる、日銀総裁は明確にそれは否定をされましたけれども。つまりは、二〇二〇年でも、うまくいって八・三兆円、うまくいかなくて十一・三兆円、こんな経済成長は無理ですよ、財政の意味での歳入歳出改革をやらなきゃいけない。

 しっかりと、先ほど申し上げたように、再生ケースであったとしても二〇二五年以降はまたいわゆる対GDP比が上がっていく、財政が発散していくおそれがあるんだという危機感を持たないといけないということを私は申し上げて、質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長 この際、辻元清美君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。辻元清美君。

辻元委員 民進党の辻元清美です。

 総理が訪米され、首脳会談が行われ、日米共同声明が出されました。これはスタートで、私は、これから経済と安全保障の面でさまざまな荒波が押し寄せてくるのではないかと懸念しております。トランプ・リスクといいますか、一つは、経済の面では為替にまつわることであったり、安全保障の面では、特にトランプ大統領はISIL打倒ということを鮮明にしていますので、日本へのこのことも含めた協力、自衛隊への要請などがあるのではないかと、トランプ・リスクということで、私は懸念する面がございます。

 その中で、経済は麻生副総理にこれからかじ取りを、そして安全保障の面では、日米共同声明を見ますと、安全保障の最後のところに、外交・防衛担当閣僚に対し、日米両国おのおのの役割、任務及び能力の見直しを通じたものを含め、日米同盟をさらに強化するための方策を特定するため、日米安全保障協議委員会、2プラス2を開催することを指示したと入っております。これから、特に安全保障、防衛面は稲田大臣を中心に議論していくということになります。

 そんな中で、稲田大臣は先日、マティス国防長官とも会談をされております。そこでも、我が国は防衛協力を、質も量も強化し、みずから果たし得る役割の拡大を図るというようなことを話されたということです。

 さて、そこで、これから、日本は憲法九条がございますので、できることとできないことがあります、ここの線引きはしっかりアメリカにも理解してもらわなければなりません。それと同時に、シビリアンコントロール、これをしっかりきかせて、そしてこの協力を果たしていくということ、この二つが非常に重要だと思います。

 そこで、最初に、ちょっと先週問題になっておりました南スーダンの日報破棄問題、二、三確認をしたいと思うんです。

 先週の過程でも、どうも日報を隠蔽したのではないかとか、それから、現場では、南スーダン、七月に大きな戦闘があったということを衝突と書きかえているけれども、これは果たしてどうなのか。また、最近、統合幕僚長が現場に対して、あたかも、現場が戦闘と書くことを衝突と言うように、現場を自粛または萎縮させかねないような発言も出ておりまして、非常に懸念がございますので、幾つかこの点について、まず、稲田大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっとパネルも示しながらいきたいと思います。

 まず、稲田大臣は先週、こういう発言をされました。

 これは先ほど申し上げました、今後、日米の協力でも憲法九条でできることとできないことの線引きを大臣みずからがしっかり認識していてもらわないと困るんですけれども、先週、南スーダンの現場のいわゆる日報というものが見つかり、そこには、ちょっとパネルを見ていただきましたら、衝突ではなく戦闘と。これは七月の状況ですね。宿営地から二百メートルに着弾。二百メートル宿営地から離れたところに着弾したということは、一つ間違えれば宿営地を直撃ということになる事態。そして、激しい銃撃戦。さらには、戦車、砲撃砲で戦闘と書かれていた。これが現場の派遣部隊の記録でした。

 これは情報公開でジャーナリストが請求したわけですけれども、それが、破棄されて、ないということ、防衛省は最初はそういう態度でした。そして、その間に駆けつけ警護の閣議決定があり、そして自衛隊を派遣するということをした後に、いや、見つかりましたというように、見つかってきたわけです。そして、一カ月大臣は知りませんでしたというのが先週までなんです。

 その過程での質疑で、現場は戦闘があったと言っているじゃないか、大臣の報告は衝突になっていますね、ここが問題になりました。そこで、大臣は、国会で答弁をする場合、憲法九条上の問題になる言葉を使うべきではないということから、武力衝突という言葉を使っておりますという御答弁をされたんです。これは、憲法九条に違反をすることであっても、抵触しても、言葉を置きかえて合憲にしてしまうととられかねない発言なんですよ。わかりますか。

 それでは、この衝突それから戦闘、憲法九条の稲田大臣にとって線引きは、何はしちゃいけないのか。南スーダンがどういう状況になったら自衛隊は、PKO五原則はもとより憲法九条上に抵触するから、どういう状況になったら撤収しなきゃいけないとお考えですか。線引きを教えてください。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

稲田国務大臣 まず、委員の質問の中で事実が異なっているところは指摘させていただきます。

 前回の質問の中で、戦闘を衝突に書きかえたということが問題になったことはありません。また、日報の戦闘を衝突に書きかえたということもございません。さらには、隠蔽したということもありません。さらには、破棄をしたことは事実でありますけれども、破棄をしたことは、これは陸上自衛隊の文書管理規則に基づいて破棄をしたということなので、違法でもありません。

 その上で、今委員が御指摘の七月の段階の大臣報告資料、衝突事案というところを問題にされております。その時点で、私は大臣ではありませんでした。

 そして、前回の質問において、私が戦闘という言葉を国会で使うことは、戦闘行為という、まさしく委員が問題にされているところの、PKO五原則にとって戦闘行為があったかどうか、まさしく国際紛争の一環として国、国または国準との間で行われるところの人を殺傷し物を毀損する行為かどうかということが非常に問題になっている中で、一般的用語としての戦闘、すなわち国または国準の間での紛争ではない、国際的紛争の一環としての紛争ではないものについて、その戦闘行為と紛らわしい戦闘というものは使うべきではないということを申し上げたわけであります。

 どうなったら憲法に違反するかどうか。まず、PKO五原則、これは……(辻元委員「ですから、南スーダンがどういう状況になったらは」と呼ぶ)お答えいたします。国対国、国または国準の間の国際紛争の一環としての戦闘行為が行われるような場合、この場合はPKO五原則に抵触をしてくる、すなわち憲法上の問題が起きると思います。

 しかし、それがあればそれでいいのかということではないんです。まさしく七月の事案のような大規模な武力衝突があって、そして自衛隊がその宿営地から出られない、みずからの安全を確保しつつ有意義に活動できるかどうか、そこもしっかり見て考えるということでございます。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

辻元委員 私は、大臣失格だと思いました。

 前の大臣の説明資料だから私は知りませんとおっしゃいました。防衛省はそういう組織なんですか。事実、防衛省の中で使われた資料を私たちは細かく見ております。そういう大臣は見たことないです。

 それでは、稲田大臣にお聞きしましょう。今、国または国に準ずる組織がそれぞれ戦う、それは戦闘だ。それでは、今、ISILをめぐるシリアの内戦は戦闘ですか、衝突ですか。

稲田国務大臣 今、その点について、法的な評価をしておりません。

辻元委員 今までの防衛省の答弁、ISILについてはどういう評価でしたか。御存じないんですか。歴代の大臣が答えていますよ。御存じないんですか。稲田大臣です。

稲田国務大臣 国であるとか国準であるとかの法的な評価はしていないと承知しております。

辻元委員 それでは、稲田大臣のその物差しでいけば、ISILをめぐるシリアでの今の内戦状態は衝突ということですね。

安倍内閣総理大臣 それは、私は自衛隊の最高指揮官でありますから。これは、ISILに対して……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に。

安倍内閣総理大臣 従来から私は何回もこの予算委員会で既に答えておりますので、私が答えた方が適当だろうと思ったわけでありますが、ISILに対しての軍事作戦についての後方支援は私たちは政策的には考えていないということを申し上げておりますので、当然、それに対する検討は行っていないということでございます。

辻元委員 全く質問と違う答弁を総理が出てお答えになる。今私が質問したのは、稲田大臣の、先ほどISILについては要するに国に準ずる組織という判断はしていないという御答弁でしたよ。ですから、ISILをめぐる今シリアで内戦状態になっているのは、その判断基準でいけば、戦闘が行われているのではなく、あの状態は衝突ということになるんですねと聞いたんです。いかがですか。

稲田国務大臣 今ほど総理が答弁申し上げましたように、ISILについて、国、国または国準であるかどうかの法的評価を行っていないわけであります。

 したがいまして、戦闘行為かどうかの前提としては、国または国準の法的評価がない限りはやらないということでございます。

辻元委員 ということは、衝突ということでいいんですね、稲田大臣。

稲田国務大臣 戦闘行為という用語についての法的な評価は行っていないということでございます。

辻元委員 ISILをめぐる問題については、今後、日本は有志連合に入っていますよ、トランプ政権からいろいろな相談が来ると思いますよ。しかし、これが戦闘か衝突か評価していない。防衛大臣として、私は、しっかり、一体これは、そうしたら、どういう事象なの。ISILが今いろいろな、シリアの内戦のようになっていますね。あれは稲田大臣はどういう事象だと捉えているの。

安倍内閣総理大臣 これは、政府としての統一見解を先ほど申し上げたのであって、私がここで何回も答弁をしておりますように、ISILに対する軍事作戦の後方支援はしないということを政策的な判断として申し上げました。しないわけでありますから、それは憲法との関係で行えるかどうかということを検討する必要がないわけでありますから、検討していない。検討していないわけでありますから、防衛大臣が政府を代表して答えられる立場にはないということは明確にさせておきたいと思います。

辻元委員 委員長、もう二度とないようにしてください。

 というのは、総理、私は防衛大臣に質問しているわけです。そこに、防衛大臣が答えずに総理が出てくる。これは、世界じゅうに対して、この防衛大臣は情けないなと思われるんですよ。これから2プラス2を任せるんでしょう。総理みずからが、この防衛大臣では任せるのはちょっと心もとないなと思うから答弁に出てきているんじゃないですか。そうじゃないんだったら、出るのをおやめいただきたい。

 それでは、経過に行きます。経過に行きますね、稲田さん、しっかり答えてくださいよ。

 この日報の問題について、一月二十四日、本会議場でも、安倍総理の施政方針演説に対して、共産党の志位和夫議員が、この日報が破棄された問題を取り上げました。

 志位さんはこう言っています。国連PKOに参加する陸上自衛隊幹部が、首都ジュバで昨年七月に大規模な戦闘が発生した際の状況を記録した日報を破棄していたことが明らかになりました、日報を破棄した自衛隊幹部の行為を是とするのか非とするのか、日報が破棄されていたということを前提に、是とするのか非とするのかと質問しました。

 それに対して総理は、破棄した行為について、関係法令に基づいて取り扱っている旨の報告を受けていると、破棄は問題はないという答弁をしているわけです。

 稲田大臣にお聞きします。

 一月二十四日というのは、この一カ月前の十二月の二十六日に、既に防衛省では、日報はあった、この記録はありましたと確認をしているわけですね。そして、その確認された約一カ月後に、志位代表質問で、この戦闘と書かれた記録、日報があるかどうか問われ、ないことを前提にした答弁をしているわけですよ。

 これは問題じゃないですか。普通、代表質問への答弁は、関係部局、そしてこの場合は統合幕僚監部、そしてさらには官邸も含めて、総理への代表質問の答弁は調整をするはずです。一カ月前にこのいわゆる日報があるということは確認されているのに、一月二十四日、志位代表質問での答弁では、ないとしていた。これは組織ぐるみの隠蔽ではないですか。

稲田国務大臣 まず、先ほども御答弁いたしましたように、破棄したこと自体は陸上自衛隊の文書管理規則にのっとったもので、目的を達成した後に一年以内に破棄する文書として破棄をしておりました。

 しかしながら、私も、十二月十六日に破棄による不開示決定の報告を受けたときに、本当に破棄をしたのか疑問に思い、その捜索を指示したところでございます。

 そして、今委員が御指摘になったように、統合幕僚監部において日報のデータを昨年十二月二十六日に確認し、それ以降、日報の内容の確認、中央即応集団司令官報告資料の内容の確認、双方の文書の不開示箇所について精査、調査が行われていたところでございます。また、並行して、当初の不開示決定に係る経緯などについて把握することに努めておりました。

 そして、委員御指摘のように、私に報告があったのが一月二十七日であったことは事実でございます。

 一度破棄したと説明した資料が発見されたことを明らかにする以上、防衛省としては、その資料の内容をしっかりと国民に向けて説明する必要があり、私に説明を行うに当たり一定の準備が必要だったということですが、他方、今委員が御指摘になったように、私の指示で探索した結果、資料が見つかったという事実自体について、事務方から速やかに報告が上がるべきだったと私も思います。私としても、この点を関係部署に対し厳しく指導し、注意をしたところでございます。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

辻元委員 稲田大臣、昨年の十二月二十六日に見つかっていたわけですよ。今おっしゃった稲田大臣の答弁は、先週も何回もお聞きしました、黒塗りしていたとかいろいろ。でも、一月二十四日に代表質問で問われたときに、関係部局が集まって、日報はある、これは確認しているわけです、統合幕僚監部も。そして、内局も知っていたと私はきのう聞きました。

 ということは、日報はあるけれども、共産党の志位委員長の質問でした、この代表質問に対して、日報はありましたと言うか、いやいや、日報はないんだということにして答弁するか、防衛省の中で検討して答弁をしているんじゃないですか。

 事実は、このとき問題になっていたわけですよ、駆けつけ警護をめぐって。戦闘があったんじゃないか、焦点になっておりました。だから、代表質問で質問があったわけです。

 もう一回言いますよ。

 一月二十四日の代表質問の答弁を調整する際に、既に黒塗りしていました何だかんだと言っていましたよ。では、この日報は、この段階ではあるけれども、ないことにして答弁しようということを組織ぐるみで調整、相談して答弁したと。そうじゃないと答弁できないじゃないですか。どうですか。その相談はして、ないことを前提に今回は答弁しておこうと決めたということですね。違いますか。どうぞ。

稲田国務大臣 その時点の総理の答弁を私が見たときに、私は、破棄をしたという前提で見ておりましたので、全く違和感は感じませんでした。

 しかしながら、今委員が御指摘のように、その時点においてどうだったのか、そしてどういう認識であったかということも含めて、しっかりと検証、調査をしたいと思っております。

辻元委員 これは先週から、シビリアンコントロールの問題と直結しているから取り上げているんです。南スーダンの現場で一体何があったのか、それを現場の隊員がどう伝えているのか、そして自衛隊の中で、防衛省の中でどう取り扱っているのか。大臣は蚊帳の外だったということですか。私が南スーダンの問題について九月にもここで質問しましたね。どんな説明を受けていたんですか。

 そして、一番大事な現場の報告ですよ。これは一番大事だと私は思います。今後、ほかの活動にも自衛隊が行くかもしれない。そして、国会での答弁です。代表質問ですよ。総理の口からしゃべる答弁ですよ。

 では、大臣の今の話だと、私は知らなかったと。蚊帳の外なんですよ、実態は。私は知らなかった、でも、防衛省の中の内局と統合幕僚監部で相談して、既に見つかっている日報はあるけれども、確認をしているけれども、これは廃棄したと言っているから、隠して、うその答弁をつくった、しかし私は知りませんでしたと言っているということですね。いかがですか。

稲田国務大臣 まず、委員御指摘の、私が蚊帳の外で、南スーダンの情勢について何も知らされていないということをおっしゃいました。

 私は、大臣に就任してから、今もそうですけれども、毎日毎日、南スーダンの情勢について、日報のみならず、現地の情報、さまざまな情報、そして二十四時間以内の状況について報告を受けております。その上で、PKO五原則が守られているかどうか、そして要員の安全を確保して有意義な活動ができているかどうか、今も自衛隊は灼熱の地で毎日道路工事をしているわけです、そういった状況についてもしっかり確認をした上で派遣の延長、それから駆けつけ警護についても判断をしたところでございます。

 そして、今の日報の破棄の点。破棄が、破棄していなくて実は見つかったということについては私は一月二十七日まで知らなかった、その事実を申し上げたということでございます。

辻元委員 ですから、私が今お尋ねしているのは、私は知らなかった、しかし、内局や統合幕僚監部で、既に見つかっているものを隠蔽し、総理の答弁をつくったということでよろしいですか。

稲田国務大臣 そういった点も含め、大臣の指示を受け再探索し、文書が発見され開示に至った経緯、この点についての事実関係はしっかりと調査してまいりたいと考えております。

辻元委員 答えておりません。先週から何をしていたんですか、この問題で。

 もう一度言いますよ。

 大臣が私は知らなかったという答弁は、結局どういうことにつながるかといえば、先ほど大臣は、統合幕僚監部などで、十二月の二十六日、この代表質問の約一カ月ぐらい前に日報は見つかった、しかし、どこを黒塗りにするのか部局で検討していたと言っていましたね。そしてこれは、情報開示請求が来ているので、内局も一緒にやっていたわけです。

 この一月二十四日の代表質問への答弁をつくるに当たって、私は知らなかった、しかし、結果として防衛省の組織ぐるみで、ないことにして答弁しようと誰かが調整してそうしたということだから、組織ぐるみで隠蔽したということになるんじゃないかと聞いているんです。いかがですか。

稲田国務大臣 私が探索を命じて見つかって開示に至るまでの事実経過については、しっかりと検証してまいりたいと思います。

 その上で、今委員が御指摘になった総理の御答弁ですけれども、「御指摘の日報は、南スーダン派遣施設部隊が、毎日、上級部隊に報告を行うために作成している文書であり、公文書等の管理に関する関係法令及び規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けています。 なお、日報の内容は、報告を受けた上級部隊において、南スーダンにおける活動記録として整理、保存されていると承知しています。」この点については、事実の誤認はなかったというふうに思っております。

辻元委員 今の答弁は、代表質問に対して総理がお答えになった答弁を擁護しているんですよ。結局、虚偽に基づいて国会の質問に答えたことを、いや、これは虚偽じゃなかったと、大臣みずからが今擁護しているわけですよ。わかりますか。今そういう答弁をしたということは、あなたも一緒に調整したということをみずから露呈したということですよ。いかがですか。

稲田国務大臣 そういうことではございません。私は、一月二十七日に初めて知ったわけであります。その上で、総理がどう答弁されていたかということを今紹介したにすぎません。

 私は、今委員が私に尋ねたことと同じ疑問を持ちました。なので、今、その期間における事実関係についてはしっかりと調査をして検証してまいりたいと考えております。

辻元委員 もう一回ちょっと見ていただくと、十二月二十六日に見つかっているわけです。そして、一月二十四日に、この問題の一番焦点になっていた南スーダンの戦闘が書かれている記録、日報がどうなのかと代表質問で問われたわけです。そして、これは見ていただいたらわかるように、一月二十五日に統合幕僚長に日報の存在を報告、一月二十七日に稲田大臣に報告。二十四日に質問されているわけですよ。

 これは明らかに統合幕僚長に報告する直前ですよ。二十四日に、黒塗りをしていましたとかどうのこうの、そんな話、通用しないですよ。前日ですよ。前日でも、これを出さない、この日報の存在は伏せて答弁するということを防衛省の中で誰かが決めないと答弁をつくれないじゃないですか。わかりますか。誰か一人で、これを見せない、見せないと隠していたのと違うんですよ。この話は、黒塗りをどうするかとか、これが正しいのならばですよ、統合幕僚長に報告する直前ですよ、質問は。だから、防衛省の中で組織ぐるみで隠蔽していたと認定できるじゃないですか。違いますか。それを今、これから調査する。

 もう認めたらどうですか。組織として隠していましたと認めたらどうですか。いかがですか、大臣。

稲田国務大臣 まず、破棄したこと自体は法律違反ではありません。

 しかしながら、私も、あるんじゃないかと思って捜索を指示いたしました。そして、あったら必ず公開しろ、探して、あれば必ず公開しろということで指示をしたわけであります。そして、一カ月後の一月二十七日に報告を受けた。この経過については、しっかりと事実関係を調査したいと考えております。

辻元委員 私は、現場の自衛隊員の皆さんは今も南スーダンで、過酷な状況の中で頑張ってくださっていると思います。そして、私、内局や統合幕僚監部の人たちも頑張っていると思いますよ。しかし、結果がこうだったわけですよ。

 どっちかしかないんですね。統合幕僚監部や防衛省の内局で代表質問の答弁をめぐって調整して、あった、その問題になっている記録、日報がなかったことにしようと組織ぐるみで決めた。それを大臣が知っていたら、自分でみずから指図したということになります。知らなければ、蚊帳の外に置かれていたということなんですよ、実際に。

 総理大臣の答弁です。その自覚はありますか。自分にどんな責任があると思いますか。蚊帳の外に置かれていましたとみずから、今御自分でおっしゃっているに等しいわけですよ。それで、今から調査をしますと。これは人の命がかかっている問題なんですよ。

 例えば、南スーダンに行く自衛隊の家族の方々です。こんなことをおっしゃっていました。報道もされています。防衛大臣が戦闘を武力衝突と言葉を言いかえて現地を安全かのように表現するなんて、国民をばかにしている、派遣隊員に関する新聞記事を見かけると目を皿のようにして読んでいる、とにかく無事で帰ってくるのを待つしかないと。この人は隊員のお母さんなんですけれども、見送った息子にお守りを手渡した。そして、戦闘があったと認識しているなら家族に報告するのが筋だ、不安を抱えながら送り出した家族を何だと思っているのか。これは青森市の、自衛隊員の息子が南スーダンに行っているお父さんなんですよ。

 ですから、南スーダンがどうなっているのか、特に七月に大きな戦闘があった、それは一体現場ではどのように記録されていたのかということは、非常に重要な問題としてきたわけです。

 先週までは、ああ、大臣が一カ月も知らなかったのか、それだけで当事者能力がないじゃないか、大臣として務まるのか。先週は、辞任したらどうかという声までこの委員会で出たんですよ。それで、今週引き続き、一月二十四日に代表質問があった折は、その一カ月前に見つかっているわけですから、調整をして、少なくともこの日報はなかったことにして答弁しましょうということを防衛省の中で相談して決めたということですねと。事実が物語っているじゃないですか。そこまではお認めになった方がいいですよ。大臣、いかがですか。

 これは私が別に個人的に言っている話ではない。自衛隊員の家族や、今南スーダンに派遣されている自衛隊員のことにも思いをはせて、間違ったことは間違ったと言った方がいい。実際に調整しないと、あったものをなかったということを前提にした答弁はできないじゃないですか。どうですか。あったということを言っていないんだから。どうですか。そこまではきょうはお認めになった方がいい。

稲田国務大臣 まず、御家族の発言について紹介をされました。

 私は戦闘を武力衝突と言いかえているのではないんです。そうではなくて、戦闘行為というのは非常に重大な意味を持っていて、国または国準、国対国の国際紛争の一環として行われるという非常に重い言葉であるので、それと紛らわしい戦闘という言葉は使わない。そして、国または国準……(発言する者あり)それは国会の場です。国会の場では使わない。

 しかしながら、自衛隊が、みずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができるかどうか、その生の事実はしっかり見ましょうと。七月のあの重大な武力衝突、そういったものについて、生の事実はしっかりと見た上でそこは要件を判断していくということでございます。

 その上で、私が一月二十七日までその日誌が存在することを知らなかったということは事実でございます。そして、その間に総理の答弁があったことも事実でございますので、今御指摘の点も含め、しっかりと調査をしてまいりたいと考えております。

辻元委員 実際に答弁ができ上がり、本会議場で答弁されているわけです。調べるまでもないですよ。調整しないと、ないことを前提にした答弁はつくれませんよ。違いますか。

 ですから、この答弁は防衛省の中で調整してつくったわけですね。どうですか、稲田大臣。どこかから降って湧いたわけじゃないですよ。稲田大臣、防衛省の中で調整して、先ほど……(安倍内閣総理大臣「これは私の答弁だから」と呼ぶ)総理、控えてください。総理、先ほど申し上げたように、稲田大臣になったらむきになって私が私がというのは、もうおやめになった方がいいですよ。それをすればするほど、大臣の資質に欠けるということを総理みずからが証明されていることになるんです。これから2プラス2とか、国際的に見ても、大丈夫かしらと思われるんですよ。

 稲田大臣、お答えください。答弁は省内で調整して……(発言する者あり)菅原さん、さっきの注意は聞いていないの。これは与野党関係ないですよ。代表質問での答弁ですよ。自民党の皆さんも、これが私たちの政権のときだったら徹底追及されるんじゃないですか。立法府と行政府の問題でもある。シビリアンコントロールの問題でもある。

 大臣、もう一度申し上げますよ。防衛省の中で調整して答弁はつくったんですね。

稲田国務大臣 総理の答弁をつくる際には、もちろん防衛省も関係しますでしょうけれども、関係各省、そして官邸としっかり調整をした上でつくっているというふうに認識をしております。

辻元委員 今、関係省庁及び官邸も一緒になってこの答弁をつくったという御答弁でした。

 そうなると、もっと火が広がりますよ。組織ぐるみ、防衛省ぐるみだけじゃなくて、政権ぐるみで隠蔽していたということになるんじゃないですか、稲田大臣。どうですか。稲田大臣が言ったんだ、今、官邸もって。官邸も関与しているんですね。どうぞ。

稲田国務大臣 一般論として、総理の答弁をつくる際には、関係各省そして官邸、調整した上でつくるのは当然だと思いますよ。民主党政権でもそうだったというふうに思いますよ。

 その上で、その事実関係については調査するというふうに申し上げているわけでございます。

辻元委員 調査するまでもなく、既にこの問題の記録はあったということを防衛省の中で確認されているのに、それを誰かが伏せておこうというようにして答弁をつくらないとつくれないわけです。

 ですから、稲田大臣御自身のおっしゃっていること、わかりますか。稲田大臣みずからが、官邸も関与するのは当たり前じゃないかと。官邸も含めて、そうすると、組織ぐるみで、問題の、戦闘と書かれている記録がなかったことにして、では官邸も一緒になって答弁をつくりましょうということにした、今回もということですね。

 稲田大臣、もう一回答弁してください。違う違う。もういい。総理はいい。委員長、委員長……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

 稲田防衛大臣、その後に内閣総理大臣から答弁願います。

稲田国務大臣 まず、隠蔽する意図は全くありませんでした。そして、隠蔽する意図がないから今開示しているんじゃないでしょうか。ですから、隠蔽を組織ぐるみでやったということについて、私は否定します。

 しかしながら、なぜ、一カ月間、これだけ時間がかかったのか、そして、今、総理の答弁がどうだったのかということをおっしゃいましたので、しっかりと事実関係は調査いたしますということを申し上げております。

安倍内閣総理大臣 志位さんの私に対する質問は、日報があるのかないのかという質問ではありません。志位さんの質問というのは、破棄したことを前提として、日報を破棄した自衛隊幹部の行為を是とするのか非とするのかという質問でございました。ですから、私の答えは、日報は、南スーダン派遣施設部隊が、毎日上級部隊に報告を行うために作成している文書であり、公文書等の管理に関する関係法令及び規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けている。これは、まさにそういう報告を受けているわけであります。

 いわば、紙の文書については破棄をしましたが、しかし、それは法令上問題なかった。それが電子的に残っているということがこのときわかっていたということでありますが、でも、質問はそういうことではなくて、破棄……(発言する者あり)今、ええっという、私の言ったことは聞いていなかったんですか。破棄したということについてどうだったかということを聞かれているわけでありまして、それに対しては、まさに私が答えたのは、破棄したことを是とするのかどうなのかということについては、これは本会議ですから、聞かれたことにしか答えられませんから、御指摘の日報は、南スーダン派遣施設隊が、毎日上級部隊に報告を行うために作成している文書であり、公文書等の管理に関する関係法令及び規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けています、なお、日報の内容は、報告を受けた上級部隊において、南スーダンにおける活動記録として整理、保存されていると承知しております、このように答えているわけでございます。

 それと、殊さら我々は戦闘というものを隠蔽しようという意図はそもそもないわけでございまして、事実、平成二十四年に、隣国のスーダン軍の戦闘機が南スーダンを繰り返し空爆するなど、スーダンと南スーダンとの間で大規模な武力衝突が発生しました。そのときも、部隊の報告書には戦闘という言葉が使用されているんです。

 ちなみに、これは民主党政権時代ですよ。そのとき、自民党議員の質問の主意書に対しては、野田政権は、戦闘については全く言及せず、武力紛争は発生していないとの答弁書を閣議決定しているということは申し添えておきたい。そのときも戦闘という言葉は書かれているということは申し添えておきたいと思います。

辻元委員 まあ、総理、そうむきにならずに。

 先ほどから申し上げているように、稲田大臣になったら……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

辻元委員 後方支援なのか何だか知りませんが、今総理がおっしゃったことは全部承知して質問しているんです。承知していますよ、それは。それは、稲田大臣も記者会見で同じような、つくったお答えをされているからなんです。

 私が申し上げているのは、既に十二月二十六日に見つかっていたものを、一月二十四日に、あるけれども、これはあるということは、普通は、あったらありましたと。一月二十五日に統合幕僚長に報告しているわけですから、どうしますか、これはあるということは言わずに答弁しましょうねと、ないことを前提にして答弁していることが問題なんじゃないですかと言っているわけですよ。それはそうですよ。

 ですから、今総理は、さっき稲田さんが答えたことと同じことをおっしゃった。そういうことをおっしゃるだろうなと思ってここに立っております。

 しかし、一カ月以上も前に発見されていたものを、誰かが協議して、このときに、あります、志位さんはないのがおかしいじゃないかと言っているのに対して、破棄したことを前提に答弁をつくっている。それは、あるのに隠していたということなんですよ。

 ですから、稲田大臣は、南スーダンの現状は私はよく心得ておりますと言いましたけれども、私が九月に質問したとき、テレインホテルでの大きな戦闘について、あなたは報道で知りましたと言ったんですよ。覚えていますか。一番問題になっている大激戦のところ。

 そして、今これが、自衛隊の日報にもその表記がなされているかが焦点になっています。きのう、私は防衛省に聞きました。そうすると、戦闘が激しいときは自衛隊員は外に出ないから、その現場は実際に確認していない、後でいろいろなところで聞いてわかったというような答弁なんですよ。

浜田委員長 時間が来ておりますので、取りまとめてください。

辻元委員 ですから、実際に日本政府がどういう情報を把握しているかも不確かなんです。

 稲田大臣、同僚議員がまた午後この続きをやります。私は、今のような御答弁では自衛隊員の御家族の心配は増すばかりだと思います。シビリアンコントロールが果たして機能しているんですか。大臣にその能力があるのかどうか、安倍総理が一々答弁、助けてもらわないと答弁できないんですから。隠蔽大臣か、または蚊帳の外大臣かと言われかねないということを申し上げて、午後、続きを同僚議員がやります。

 終わります。

浜田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、長島昭久君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 民進党の長島昭久です。

 質疑の前に一言、委員長に申し上げたいというふうに思います。

 先ほどの予算委員会の理事会で、浜田委員長が職権で中央公聴会の開催を強硬に決められた、こういうことでありますが、この国会は、共謀罪をめぐる金田法務大臣の答弁、それから南スーダンのPKOをめぐる稲田大臣の答弁、あるいは文部省に端を発した天下りあっせん問題、こういう問題にこんなに早く幕引きをすることは許されないというふうに思っておりますので、浜田委員長の良識のある御判断をぜひいただきたい、このことを強く抗議を申し上げますとともに、お願い申し上げたいと思います。

 さて、今回の日米首脳会談、内外から猛烈な批判を浴びているトランプ大統領、このトランプ大統領とゴルフまでやっていかがなものかというような批判もあります。それから、ワシントン・ポストなど一部のアメリカのメディアは、こんなに大統領におべっかを使う一国の指導者は見たことがない、こんな批判にさらされておりますが、私は、もう少し様子を見ないと正しい評価、判断はできないのではないかと個人的には思っております。総理の心境を察すれば、虎穴に入らずんば虎子を得ずといったような心境だったのではないか、このように思っています。

 その中で、成果があるとすれば二つ、私から申し上げたいと思っています。

 一つは、共同声明。大分、日本側からのインプットが強くあったなという感じがするんですね。特に、同盟強化のために、日米間の任務、役割、能力分担のさらなる見直しを明記した、これは私は一定の評価をすべきだと思っていますし、アジア太平洋地域の平和と安定のための日米同盟が公共財であるとすれば、日米双方の努力が必要だし、特に日本の役割の拡大、これは私は必須であるというふうに思っています。

 それからもう一つは、麻生副総理、おられますが、ペンス副大統領との間に新経済対話の枠組みを創設したということであります。

 これは、ペンスさんを引っ張り出したということが大きいと思っているんですね。トランプさんに比べればはるかにリーズナブルな方のような気がいたしますし、中国も米中の戦略・経済対話というのがありますけれども、これは副大統領ではなくてたしか国務長官レベルだったというふうに思っておりますので、麻生副総理とペンス副大統領との間に新しい枠組みをつくったというのは意義があったというふうに思っています。

 特に、これは細かい具体的な問題を先送りしたというところに意味があると思っているんです。トランプ大統領の頭の中をある程度整理する時間が私は必要だと思っていますし、まだ四千人からの長官以下、副長官以下の人事が全然決まっていない。

 ですから、例えば、もう既に、マティス国防長官が来日されたときに、日本の駐留経費の負担は世界のモデルである、こういう発言をしました。明らかにトランプさんの本来考えていたこととは違う、そういう方向に国防長官が持っていっているという見方もできると思いますし、あと、中国との間の、一つの中国を最終的にはトランプ大統領は受け入れましたけれども、これもティラーソン国務長官の働きかけが随分功を奏しているというふうに聞いておりますので、新しい経済対話の枠組みをつくって、そして時間をかけて日米双方の主張を闘わせていく、そういう枠組みは私は有意義だったというふうに思っています。

 ただ一点、どうしても特に総理に申し上げなきゃならないのは、私がどうしても納得いかないのは、尖閣への安保条約第五条の適用、これを再三再四にわたってアメリカ側に確認を求めていく、こういう姿勢なんですね。私は、これは二つの面で強烈な違和感を持っております。

 一つは、アメリカのコミットメントがそんなに信頼できないのかということなんです。

 まず稲田大臣が、もっと言えば、マティス国防長官が来日されたときにまず総理がお会いになって、カメラが入っているところでわざわざマティスさんは尖閣へのコミットメントを発言されましたよね。これは異例のことですよ。そして、その後、稲田大臣が会われてまた確認、そして相前後して岸田外務大臣も電話で確認、そして今度ワシントンに行って、共同声明にも盛り込んで、総理も首脳会談の中で確認、そして別にまたティラーソンと会われた外務大臣もまた確認。

 私は、本当にそれは違和感を持つのと、本来、尖閣は自分の国で守るものですよね。したがって、もう一つの側面として私が違和感を持ったのは、自分たちで守ろう、そういう意思が希薄なんじゃないか。

 というのは、皆さん、きょうお手元に朝日新聞の第一面を持ってきましたけれども、一番最初に「尖閣に安保 共同声明」、こう書かれているんですね。読売新聞の社会面、「尖閣に安保 漁協「安心して船出せる」」。

 私、土曜日のテレビの報道番組を見ていて、キャスターの方が、ああ、これで尖閣で何かあったらアメリカが助けにやってきてくれるんだと、つらっとおっしゃったんですね。これがもし日本の国民の多くの理解だとすれば、私は、必ずしも正しくない、このように思っているんです。

 私、去年の十二月にワシントンに行きました。ワシントンに行って二つ感じました。

 一つは、トランプさんの関心事が二つに絞られているなと。一つは雇用、それからもう一つは国内の安全です。これはまあそのとおりでしょう、アメリカの今の最大関心事なんだと思います。非常にトランプ政権というのは、そういう意味でいうと、トランプ大統領の内向きな傾向があると思いました。

 したがって、もう一つ私が感じたのは、やはり日本は自立をしていかなきゃいかぬな、自分たちの頭で考えて、自分たちの足で立って、そして自分たちでアジア太平洋地域をどうやっていこうかという構想をして、そしてそこに中国もロシアもオーストラリアも東南アジアも巻き込んでいく、そういう自立的な、主体的な戦略をつくっていかなきゃいけないということを改めて感じたんです。

 そういう意味で、もう一回、この五条適用を何度も何度も確認する今の政府の姿勢を見ると、私は強烈な違和感があるんです。

 そこで、岸田外務大臣に伺います。

 安保条約の五条適用、これを呪文のように皆さん唱えているんですけれども、具体的に何を意味するのか、アメリカの条約上の義務は一体何なのか、御説明いただけますでしょうか。

岸田国務大臣 日米安保条約五条におきましては、双方の締約国が日本の施政下にある領域における共通の危険に対処することをそれぞれ宣言しております。これは、日本に対する武力攻撃の場合には、米国がこれを自国に対する共通の危険と認めて行動することを宣言しているものであり、米国による日本防衛の義務が明確に示されているものだと考えます。

長島(昭)委員 そのとおりなんですけれども、それはどういう場合でも発動されるとは限らないですね。

 例えばNATO、皆さんのお手元に他の安保条約をちょっと列記させていただきましたが、赤線を引いてあるところを見ていただきたいんですけれども、NATO条約の場合ははっきり書いてあるんですね。北大西洋地域の安全を回復し及び維持するためにその必要と認める行動(兵力の使用を含む。)を個別的及び他の締約国と共同して直ちにとることにより、その攻撃を受けた締約国を援助する、はっきり書かれているんです。直ちに反応する、しかも兵力の使用を含む。日本の場合は、上を見ていただいてわかるように、共通の危険に対処するように行動することを宣言する、この程度なんですね。

 NATOでさえ、NATOのこういう文言でさえ、例えば、あの特別な同盟関係と言われている米英同盟。レーガン、サッチャー、一番のピークのときですよ、フォークランド紛争が行われた、アメリカは最後まで介入しませんでした。

 それから、米韓同盟。米韓同盟もここに条文を出しておきましたけれども、これは日本に似ているんですが、米韓同盟の場合は、平時のときから既に合同軍をつくって訓練し、トリップワイヤという言い方もしますけれども、北朝鮮が攻めてきたら直ちに米韓両軍で反撃をするようになっていますね。しかし、二〇一〇年の延坪島の砲撃がありました、北朝鮮側から。アメリカは反応しませんでした。

 ですから、私はこれから稲田大臣と、どういうプロセスでアメリカが介入してくる可能性があるかということを少し考えていきたいと思うんですけれども、例えば、尖閣でアメリカ軍が、アメリカ合衆国軍が行動を起こすための要件、これは何でしょうか。第五条の規定は今、外務大臣から説明がありました。アメリカが最終的に動き出すそのための要件、条件は何でしょうか。

稲田国務大臣 先ほど岸田大臣お答えになったように、五条は、我が国の施政のもとにある領域への武力攻撃に対して、日米が共同で対処することを定めた規定です。同条の対象は武力攻撃であり、この場合、我が国と米国はともに武力の行使を含む措置をとることとなります。この共同対処行動については、ガイドラインにも明記されているとおり、日米間の安全保障、防衛協力の中核的要素でございます。

 そして、五条の武力攻撃とは、一国に対する組織的、計画的な武力の行使をいうというふうに考えております。

長島(昭)委員 つまり、今尖閣で起こっていることの延長線上ではなかなか考えられないんですよ。

 中国、まあ、名指しは避けましょう、ある国が尖閣に対して、国家として正規軍を使って武力攻撃に及ばない限り、我が国も武力攻撃事態を認定することもできないし、防衛出動を下令することもできないし、すなわち自衛隊が動くこともできない。自衛隊が動くことができない以上、アメリカ軍がいきなり、尖閣で何かがあったからといっておっ取り刀で駆けつけるなんということはあり得ないんですね。

 中国はそのことをよくわかっています。中国はよくわかっていますから、名前を言わないと言って、言ってしまっているんですけれども、今わざわざ、公船、法執行機関の船を繰り出して、あるいは二百隻、三百隻という漁船を繰り出して、そして、南シナ海の例に倣えば、そこから武装民兵と言われている武装した漁民が上がっていって、そして、例えば日本の法執行機関、日本の海上保安庁がその島に近づけないような状況をつくって、そして、それを既成事実にして居座り続けた場合。

 岸田外務大臣、こういう場合、武力を用いない、ドンパチもない、そういう中で、もし日本の離島が、無人島でもいいですけれども、離島が押さえられる、例えば竹島みたいな状況ですよ、今から七十年前の竹島のような状況の中で、日本の施政というものが及ばないような状況になった場合、これは安保条約第五条に言う日本の施政下にある状況と言えるんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜く方針、これは改めて強調しておきたいと思います。

 そして、政府の立場から、我が国の施政下の領域が他国に占拠され、それを甘受するがごとき前提に基づいて議論することは適当ではないと思いますが、御指摘の点等も踏まえて、米国との間において、この第五条が尖閣諸島に適用されることを確認するとあわせて、同諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する、この部分につきましても、あわせて再三確認をしているところであります。

 こうした米国との意思疎通そして確認、これは抑止力を高める上で大変重要な点であると考えます。

長島(昭)委員 反対するのは何でもできるんですよ。百の発言よりも一の行動ですよ。行動があるかないかというところが大事なんです。

 日本の施政が及ばなくなった状況、例えば竹島みたいな状況、これはいかに日本が領有権がある、施政権があると言っても、日本の施政が及ばないような状況になれば、これは安保条約第五条に言うところの施政のもとに置かれた状況とは言えない。したがって、そういう状況になった場合には、米側が助けようと思っても、介入しようと思っても、条約上の義務を負わない。これは正しいですか。イエスかノーかでお答えください。

岸田国務大臣 先ほども申しましたように、我が国の政府の立場として、施政下に置かれなくなる、要は我が国の施政が損なわれる、こういったことを前提として予断を持って申し上げることは、こうした公の場においては控えなければならないと思っています。

 我が国としましては、我が国の領海、領空、領土、これは断固として守り抜く、この決意をしっかり示すこと、これが何よりもまず基本であり、重要であると思います。その上において、米国との間においてさまざまな意思疎通を図り、そして連携を図っていく、これが重要であると考えます。

長島(昭)委員 ですから、今、外務大臣、きちっと答えていただいていないと思いますが、これは国民の皆さん、ごらんになっている皆さんにぜひ共通理解として考えておいていただきたいと思っているのは、安保条約の第五条が適用されるからといって、尖閣で何かあったらアメリカがどんな場合でも駆けつけてくれて、一緒に助けてくれるということではない。今まさに岸田外務大臣がおっしゃったように、日本がこの尖閣を守り抜くという意思を示して、あるいは、場合によっては仮に施政の及ばないような状況になったとしてもそれを奪い返す、奪還する、そういう意思を持たなければならない。このことだけはきちっと国民の皆さんと共有をしておきたい、このように思います。

 その上で、ここから先が稲田大臣にお伺いしたいところなんですけれども、万々が一、六千八百以上ある日本の離島、尖閣はたったその一つです、そこが奪われてしまった。ここから先は防衛省・自衛隊の出番だと思いますけれども、どのような部隊を投入するようになっているんでしょうか。

稲田国務大臣 先ほど来委員御指摘のように、まずは我が国自身の防衛の意思、そしてそれを行動するということが重要だと思っております。

 今御質問の尖閣諸島を含む南西諸島は、多数の島嶼により構成され、その全長は約千二百キロにも及ぶ広大な地域であり、島嶼防衛に際しては、自衛隊による平素からの常時継続的な情報収集、警戒監視などにより兆候を早期に察知することが重要です。

 尖閣諸島の防衛について個別具体的に申し上げることは、我が国の手のうちをさらすことになるため差し控えますが、島嶼防衛に際して運用される部隊について、一般論として申し上げれば、次のとおりでございます。

 島嶼防衛においては、事前に兆候を察知し、攻撃が予想される地域に陸海空自衛隊が一体となった統合運用により部隊を機動的に展開、集中して、先んじて相手国部隊の上陸を阻止することが重要です。

 また、万一島嶼が占拠された場合には、戦闘機部隊、E2Cなどの警戒管制部隊などを用いて航空優勢を確保するとともに、護衛艦部隊、潜水艦部隊などを用いて海上優勢を確保することが重要です。

 その上で、戦闘機部隊や護衛艦部隊による対地攻撃により相手国部隊を制圧するとともに、島嶼への上陸、奪還を主な任務とする水陸機動団などを陸自のヘリ部隊や海自の輸送艦部隊等により上陸させることを想定しております。

長島(昭)委員 今、水陸機動団の話が出ましたが、水陸機動団の主要な装備は何ですか。

稲田国務大臣 水陸機動団は平成二十九年度末に新編予定ですけれども、AAV8でございます。(長島(昭)委員「AAV7でしょう」と呼ぶ)7でございます。

長島(昭)委員 AAV7だけですか。ちょっと教えてあげてください。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 AAV7、さらには水陸機動団部隊、そして小銃等でございます。

長島(昭)委員 ヘリコプターとかは使わないんですか。航空部隊はないんですか。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 通告がなかったので、主要装備について確認させていただきました。

 水陸両用車AAV7、小銃、機関銃、重機関銃、個人携帯ロケット弾等でございます。ヘリ部隊は別途でございます。

長島(昭)委員 ヘリ部隊は何を使って投入しますか。水陸機動団の話を聞いているんですけれども。主要装備。

稲田国務大臣 オスプレイに関しては、水陸両用作戦以外にも活用し得ることから、水陸機動団の隷下として保持するものではなく、第一ヘリコプター団の隷下として保持することを予定しております。

長島(昭)委員 確認ですけれども、オスプレイは水陸両用作戦に使わないんですか。

稲田国務大臣 航空輸送の中核となる部隊としてV22オスプレイを活用することを想定しております。

長島(昭)委員 もうすぱっと答えていただきたかったんですけれども。

 そのオスプレイなんですが、米海兵隊のオスプレイも事故を起こして、国民の皆さんあるいは沖縄の皆さんも非常に心配されているんですが、これを日本が導入しますね。何機導入しますか。

稲田国務大臣 十七機を新たに導入することといたしております。

長島(昭)委員 これが膨大なコストがかかるんですよ。オスプレイの調達に総額幾らかかるんでしょうか。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 まだ足し合わせておりませんが、平成二十七年度予算では五機、約五百十六億でございます。

長島(昭)委員 今の中期防の間に何機調達ですか。

稲田国務大臣 平成二十七年度予算では五機、約五百十六億円、平成二十八年度予算では四機、約四百四十七億円、平成二十九年度予算案では四機、約三百九十一億円を取得いたします。そして、十七機でありますので、その後の金額については未定でございます。

長島(昭)委員 決まっていないんですか。これはアメリカのFMSで購入するんでしょう。アメリカの国防総省は何と言っていますか、日本に幾らで売却すると言っていますか、十七機分。

稲田国務大臣 平成二十七年、二十八年、二十九年についてはお答えしたとおりです。平成三十年度の分については調整中ですので、決まっておりません。

長島(昭)委員 ちょっと待ってください。FMSで購入することが決まっていて、アメリカの国防総省は、三十億ドル、今でいうと三千六百億円、こういう公表をしているんですけれども、日本側は最終的な額を把握していないんですか。だったら、それでライフサイクルコストはきちっと計算されているんでしょうか。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 三十年度に向けて調整中でございます。

長島(昭)委員 これは予算委員会の審議ですから、国の予算、納税者の皆さんの税金を使ってやっている議論なんですよ。最終的に幾らになるかわからないで、どうやって調達するんですか。最終的に幾らかわからなかったら、ライフサイクル全体に係る整備費も含めたそういう予算はわからないじゃないですか。そんなので予算案を認めろと言うんですか。そんなのはあり得ない。もう一回しっかり答えてください。

稲田国務大臣 三十年度予算については調整中でありますが、今御審議中の平成二十九年度予算案では四機、約三百九十一億円でございます。

長島(昭)委員 では、機体の単価だけでも教えてください。大体一機幾らぐらいになるんでしょうか。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 先ほど御答弁いたしましたように、二十九年度予算案では四機、約三百九十一億円でございますので、一機百億を切っているということでございます。三十年度については調整中でございます。

長島(昭)委員 これは大臣、本当ですか。政府参考人でもいいですよ、これは本当に百億を切っていますか。円安で百五十とか百六十億という数字が出ているんですよ。それで、陸自のヘリの調達の予算が年間で二百五十から三百億円なんですよ。今おっしゃったように、単年度当たりの機体単価、十七機で、単年度当たりに直すと六百億円近くになるわけですよ。

 そうすると、普通にヘリの予算を確保する倍以上の予算がこれから数年間のうちにかかってくるということになるんですよ。どこからこの予算を捻出するんでしょうか。

稲田国務大臣 防衛費の予算に関しては、中期防に基づいて実質〇・八%ずつ上乗せをしておりますが、その中において予算を捻出するということでございます。

長島(昭)委員 もう時間がなくなってしまったんですけれども、防衛大臣、オスプレイは非常に高価な買い物なんですよ。ほかにもチヌークとかコブラとかいろいろなヘリコプターを併用して、陸自の航空部隊のポートフォリオの中でオスプレイは大体このぐらい、そうやって決まっていく話なんですよ。

 それを、全体の計画も決まっていない、どういうふうに運用して、ほかのヘリとどうやって併用していくかということも大臣の頭の中に入っていなかったら、これからもう青天井になりますよ、予算は。

 このことだけ大臣に警告を申し上げて、この場で質問を終わりたいと思います。しっかり、南スーダンの問題も含めて、大臣、本当に陸上自衛隊の現場の皆さんの声をきちっと聞いてお仕事をやっていただきたいと思います。

 以上、終わります。

浜田委員長 この際、北神圭朗君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北神圭朗君。

北神委員 民進党の北神圭朗でございます。

 質疑の前に一言、浜田委員長に申し上げたいと思います。

 先ほどの昼の理事会で、委員長が職権で中央公聴会を一方的に、強行的に決めちゃったことは非常に問題だというふうに思っております。この委員会でも、今もありましたけれども、稲田防衛大臣、それから金田法務大臣、それから天下りの問題もまだまだ議論が尽くされておりませんので、しっかり、ここで幕引きをせずに審議を続けていただきたいというふうに思っております。厳重に抗議します。

 それで、私も久しぶりに予算委員会に立たせていただきますが、ひとまず、安倍総理、日米首脳会談、お疲れさまでございました。新聞の世論調査を見ても七割ぐらいの支持があって、ひとまずは一定の成果を得られた、これは率直に評価をしたいというふうに思います。

 特に、トランプ大統領が事前に、あらゆることを過激とも評されるような発言をしてきた、為替の問題、貿易の問題、防衛については日米の間の負担がちょっとおかしい、こういうことを言っていましたが、意外と、拍子抜けというか、今までどおりの内容の形が示されたということでございます。

 これは私も、総理も多分拍子抜けだったと思いますが、今までの発言は何だったのかというふうに思わざるを得ないところです。マティス国防長官、専門家の言うことをよく聞くのか、それとも外交には余り興味がないのか、あるいは、米国の国内政治のことで、これはやはり日本の総理と仲がいい姿を見せたい、こういう思いなのか、よくわかりませんが。

 トランプの自伝というものがありまして、総理、お読みになったことはありますか。これは、トランプの外交のあり方に、非常に示唆に富んでいるというふうに思いますので、ちょっと読ませていただきますが、冒頭から、トランプ大統領の自伝において、

  私は金のために取引をするわけではない。金ならもう十分持っている。一生かかっても使いきれないほどだ。私は取引そのものに魅力を感じる。キャンバスの上に美しい絵をかいたり、素晴らしい詩を作ったりする人がいるが、私にとっては取引が芸術だ。私は取引をするのが好きだ。それも大きければ大きいほどいい。私はこれにスリルと喜びを感じる。

  私の取引のやり方は単純明快だ。ねらいを高く定め、求めるものを手に入れるまで、押して押して押しまくる。時には最初にねらったものより小さな獲物で我慢することもあるが、大抵はそれでもやはりほしいものは手に入れる。

なかなか難しい方だなというふうに率直に思います。

 そういう意味では、今回、日米共同声明に基づいて私も質問したいというふうに思いますが、本当にこれで日本の防衛が、安全保障が大丈夫なのかということは、やはりこれは慎重に見きわめないといけないというふうに思っております。

 最初にわあわあ言っておいて相場観を高めて、そして現状維持でみんな胸をなでおろして、有頂天にまでなるということは、もはや既にトランプ大統領の取引の術数にはまっている可能性もあるというふうに思っております。そのぐらいやはり気をつけないといけないんですよ、これは。

 それで、私、この日米共同声明そのものに基づいてちょっと質問したいと思います。

 まず、テロ集団との闘いのための両国の協力を強化するという文章が共同声明にございます。これはどういう意味なのか。テロとの闘いを、さらに日本も協力を深めていくのかどうか、そこをちょっとお尋ねしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 トランプ大統領とは、移民、難民問題、テロ対策といった国際社会の共通の課題についても十分に時間をかけて協議を行いました。今回発出した共同声明にある記述はこれを反映したものでありまして、日本はこれからも国際社会とともに協力をし、難民、移民支援、開発支援など非軍事分野で日本ならではの貢献を行っていく考えであります。

 既に、イラク、シリア周辺、ヨルダン等も含めて、難民支援を随分行ってきております。もう既に十六・六億ドルかな、累積で支援をしておりますし、またさらに二・二億ドルの支援もしていく、これはかなり大きな支援だろう、こういうようなことをトランプ大統領とも話をしながら、それぞれができることをやっていくという意味でございます。

北神委員 当然、テロというのは卑劣な行動で、断じて許してはいけないし、非難すべきだというふうに思います。

 しかし、日本は日本の立場があって、基本的にテロとの闘いというのは欧米が中心にあるべきだというふうに思いますし、安倍総理の外交・安全保障政策で若干不安を覚えるのは、安保法制のときの議論のホルムズ海峡の話もございましたが、余り欧米というか米国を喜ばすために対テロ闘いにのめり込まない方が賢明だというふうに思っております。

 戦略というのは優先順位ですから、日本の一番の安保の課題というのは中国の忍び足侵略主義でありますし北朝鮮の暴発でございますので、限られた資源の中、弱まっている国力の中で、対テロの闘いというのは、今総理がおっしゃったように、人道支援とかこういった分野にとどめるべきだと思いますので、今後もそういう方針を堅持していただきたいと思います。

 特に、トランプ大統領は多分、彼が最大に、今安全保障の課題としては、やはりISILのテロとの闘い、ロシアと急に仲よくしているのもその関係があると思いますので、そこをぜひお約束いただきたいと思います。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今委員がおっしゃったように、日本においては、アジア太平洋地域の安全保障環境が大変厳しくなっていますから、これが日本にとっての優先度ナンバーワンであることは間違いないわけであります。しかし、ナンバーワンの優先度に対応するためにも、日米同盟がなければいけませんし、国際社会の日本の立場に対する支援もなければいけない。ですから、日本のためだけにやってくれよ、こっちは知らないよというわけにはいきません。これはよくわかっている上での質問でしょうけれども。

 その中で、しかし日本ができることは限界があるということで我々は説明をして、そしてかつそれはもう既に理解されている、そういう中にあって、日本はよくこのテロとの闘いにおいて、いわば中東に対する支援についても十分にやっていただいている、そういう理解あるいは了解は得ている、このように思っておりますが、基本的には、委員がおっしゃったように、そういう優先順位をしっかりと見据えながら我々も政策を進めていきたい、こう思っております。

北神委員 ありがとうございます。

 要は、おっしゃるとおり、日本の防衛が第一で、そしてそのために日米同盟があって、ある程度はいろいろな要求に対しても応えていかないといけないけれども、そこの微妙な間のとり方というのが一番大事だというふうに思っております。

 今回、ですから心配なのは、トランプ大統領がああいうことを言いながら、まことに、ハグも二回するぐらい非常に仲よくされていることは決して悪いとは言いませんけれども、相手の取引のペースに巻き込まれないことが肝要だというふうに思っております。

 その流れでもう一つ、日米共同声明にありますけれども、日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たすとありますが、これは何を想定されているのか、教えていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 それはつまり、このアジア太平洋地域の安全保障環境がどんどん厳しくなってきているわけであります。中国の南シナ海、東シナ海に対する行動も、だんだんいわばサラミを切っていくようにエスカレートさせているのが事実であります。そして、北朝鮮は御承知のとおり。

 その中においては、これに対抗するためには日米で協力を高めていく必要があります。高めていく上において、これはより密接に、より緊密に、連携を密にしていくという高め方もありますが、それぞれの役割と能力を高めていく必要もあるんだろうと思います。米国だけに求めるのではなくて、日本もそれなりの役割をしっかりともう一度見直ししていく。そのための日米の対話、2プラス2等の場を活用しながら進めていきたい、このように思っております。

北神委員 今、日米の役割の考え方はおっしゃりましたけれども、その具体論として、では日本はどういう役割を拡大していくのかということについて、防衛大臣、教えていただければと思います。どういうことを考えておられるか。

稲田国務大臣 厳しさを増していく我が国を取り巻く環境の中で、我が国自身の防衛力を質も量も強化していく、さらには日米同盟も強化していく、さらには、日本ができる例えば関係諸国への能力構築支援等をしっかりとやっていくことなども役割の拡大につながっていくものと考えております。

北神委員 そういう一般論じゃなくて、例えば南西諸島の防衛力の強化とかサイバーとか、非常に具体的な話があるというふうに思っております。そういうことをお聞きしていますので、ぜひ一般論じゃなくてそういうことをおっしゃっていただきたいと思います。

 次にちょっと申し上げたいのは、特に、今までの日米同盟のあり方でいいのであれば今回の共同声明でも結構だと思うんですが、相当北朝鮮、中国も変化があるということであります。

 それで、国会の中でも総理もいろいろ議論されております、いわゆる敵基地攻撃能力という話がございます。これは難しい言葉ですが、憲法上もこれは許されているということで、例えば北朝鮮がミサイルを発射する、今の段階では日本というのはミサイルの迎撃体制でこれを撃ち落とすということになっておりますが、北朝鮮が去年から連射を、一度に三発も飛ばすような能力を身につけ始めている。三発だったらまだ大丈夫かもしれませんが、これがふえればふえるほど、とてもミサイル迎撃だけでは対応できない。

 本来は、防衛の基本というのは、いわゆるミサイルが発射される基地そのものを発射される段階でたたくというのが一番安全ですが、今までの日本と米国の役割分担の中では、これは日本はやらない、米国がこれをやるということなんですね。

 もう一つの情勢変化は、この前も、ちょうどアメリカに総理がおられたときに北朝鮮がミサイルを撃ってきた。これは大陸弾道ミサイルということで、まだまだ時間はかかるかもしれませんけれども、急速に米国本土を直撃する能力を備えつつあるわけですね。これに核弾頭もつけることができつつある。

 こういう中で、ぜひお考えいただきたいのは、アメリカの大統領としては、今までだったら、日本が北朝鮮に攻撃をされたときには、日本との同盟関係の中で、米国がそこで例えば敵基地をたたくということもあり得たというふうに思いますが、日本を守るために自国に核ミサイルが飛んでくる可能性がある、撃ち落とすといってもなかなかそれは確率の問題だ、そういうことに非常に厳しい決断を迫られるわけであります。

 北朝鮮側からいえば、今まで下手するとアメリカが出てくるということで抑止力がかかってきたわけでありますけれども、直接アメリカをたたく能力を備えたらこれはアメリカもちゅうちょするんじゃないかということで抑止力が外れるおそれもある。

 これは、日本にとっては大変危機的な状況で、喫緊の課題として考えていかなければいけないと思うんですが、こういった話を、これは日本の非常に切実なる防衛の問題ですが、これをトランプ大統領と話したのかどうか、伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今委員が指摘された点は、日本の安全保障において非常に重要な点だと私は思っております。つまり、打撃力は専ら米国に我々は頼っているわけであります、専守防衛の中においてですね。ですから、その中において、我々は、ミサイルで攻撃をされた際には、ミサイル防衛によってそのミサイルを撃ち落とす、そして、そのミサイルを撃ってくる基地に対して、そこに対しては、その基地に対しては米国が攻撃をするということでありますが、今の御指摘は、ところが、米国本土に達する、あるいはハワイに達する核ミサイルを保有したときに、その反撃を甘んじて受ける危険性があるのに日本のために報復するかどうかという問題ですね。

 つまり、そこで最大の問題点としては、それであれば、報復しないのではないかと北朝鮮に思わせないようにしなければいけないという意味もあって、今回はトランプ大統領も一〇〇%日本とともにあるという強いメッセージを発していただいた。あるいはまた、この共同声明の中に、核兵器から通常兵器に至るまでと具体的に、拡大抑止という表現ではなくて、拡大抑止という表現を、具体的に核兵器という言葉も事実上初めて書いたわけでございます。

 そこで、トランプ大統領との会話において、戦術、戦略的な会話、どういう会話をしたということについては申し上げることはできませんが、敵基地攻撃能力を我が国は有しておりませんし、それを有するという計画はございません。また、それを有するかどうかということについての議論は行っておりませんが、しかし、変化していく情勢について、どのようにしっかりと我が国の国民を守っていくかということについては常に検討していく責任が我々にはある、このように思っております。

北神委員 総理からは今、トランプ大統領との話がありましたけれども、日本の防衛大臣としてこの辺の検討をしているのかどうか、稲田大臣に聞きたいと思います。

稲田国務大臣 先ほど委員が御指摘になったように、昨年は北朝鮮は核実験を二回、そしてミサイルは二十発以上、そして、三発同時に撃って三発同時に日本の排他的経済水域に着水できる能力がある、そして、一昨日も、新型なのか今分析中ですけれども、ミサイルを発射したところでございます。

 そんな中において、現在日本は、専守防衛ということで、敵基地攻撃、もちろん憲法上、法理論上は認められますけれども、現在において、敵基地攻撃能力については米国に依存し、自衛隊は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、現在保有する計画もないわけでありますが、先ほど来委員が御指摘になったように、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中で、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力を強化し、国民の生命と財産を守るためには我が国として何をなすべきか、これは常にさまざまな検討を行っていくべきだと考えております。

北神委員 本当に抽象的であれなんですけれども、計画はない、装備を保有する計画はないということですが、それを検討することはされているんですか。

稲田国務大臣 いかなる方策をもって我が国を守っていくか、そして、この厳しさを増す安全保障環境の中でどうすればよいか、我が国の防衛力の質と量の強化について不断の検討をしていくということでございます。

北神委員 これは、総理、私の考えでは、先ほど会談の内容は言えないという話だったんですが、こういうことをやはり日米首脳会談で話していくべきだというふうに思っております。

 そうじゃないと、トランプ大統領は、今のところ表には出てきていません、裏ではどういう話があったのかわかりませんし、これから実務レベルでいろいろな話が出てくると思いますが、ただただ、米国が軍事費をふやせとか、そういうある意味では表面的な話ですよね。軍事費をふやすというのは金額の話であって、それよりも、日本として、こういう問題がある、北朝鮮もこういう能力を備えつつある、ここを日本として役割を拡大する、中東に行くとかそういう話じゃなくて、こういったところに日本は力を入れていきたい、これを日米の連携の中でやるべきだということを伝えるべきだと思いますけれども、そこは総理、どういうふうにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 大統領は、まだ大統領に就任してわずかですし、政治的な経験もないという中において、また、さまざまなブリーフがどっと入り込んで既定概念ができていない状況ですから、むしろ、私は、こういうときこそ日本にとって日本の考え方をぐっとインプットするチャンスだと思っておりましたので、かなり時間を割いてこれは首脳会談のときも、首脳会談というのは比較的、決まったアジェンダ、応答要領を頭に入れてやりますが、しかし、食事のときとか、車の中とか、飛行機の中とか、あるいはカートの上で二人のときとか、そういうときを活用しながら、重大な安全保障の問題等々についても私の考え方については相当お話をいたしました。

 何を話したかということについては、まさにこれは日本の基本戦略に係ることでございますから申し上げることはできませんが、いずれにせよ、先ほど答弁をさせていただきましたように、専守防衛、そして憲法の許す範囲で何ができるか、何をすべきかということは、時代の変化の中において何をすべきかということは常に考えておく必要があるだろう。

 先ほど稲田大臣が答弁しましたように、北朝鮮は三発を同時に発射して三発とも着水させたということは、これはどう見てもいわば我々のBMDに対する挑戦なんですね、一度に撃つ。一度に撃つということについて、撃ち漏らしの危険性をいわば大きくさせようということだろう、こう思います。我々はしっかりとそれに応えていきますが、つまり、なぜ一緒に撃ったんだということは、いわゆる飽和攻撃をしようということだろう、こう思います。

 そこで、飛んでくるミサイルを撃ち落とすだけで果たして守れるか。ですから、直ちに米側に策源地を攻撃してもらわなければいけません。しかし、策源地といっても、ずっと動き回っている、テロで動き回っているのであれば、それをし切れるのかどうか。であるならば、むしろ、それを指示しているところを攻撃するのかどうかということについても米側にも十分に検討していただかなければならないわけでありますが、そこで、では日本は今までの考え方だけで、硬直した考え方だけでいいとは私も思っていません。ですから、そういう意味で不断の検討を行わなければならない、このように思っております。

北神委員 次に、日米共同声明で、今の話とちょっと関連すると思うんですけれども、北朝鮮の段落がありまして、日米両国は、北朝鮮に対し、核及び弾道ミサイル計画を放棄し、さらなる挑発行動を行わないよう強く求める、これはこれでいいと思います。

 その次の文章がちょっと不思議な文章で、いきなり、日米同盟は日本の安全を確保する完全な能力を有するとありますけれども、この文章はどういうふうに解釈すればよいのか、教えていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 北朝鮮の核・ミサイル開発は、相次ぐ弾道ミサイルの発射や核実験により新たな段階の脅威となっています。

 日米安保条約のもと、従来より、米国は日本の安全に対し、拡大抑止を含めてコミットしてきています。御指摘の共同声明の記載は、北朝鮮からの新たな段階の脅威に対し、米国は、核及び通常戦力を含むあらゆる種類の軍事力により日本の防衛にコミットしており、かつ、その裏づける十分な能力を有していることを明確な表現で述べたものであります。

 いわば、北朝鮮は相当能力を高めてきていますが、この能力において完全に彼らの攻撃に対してそれを抑止し、反撃し、あるいは場合によってはせん滅する能力を擁しているということを米国が明確にしたということでございます。

北神委員 この文章で私がちょっと問題だと思うのは、こういうふうに完全な能力を有するというふうになると、現状でいい、北朝鮮からどんな攻撃があってももう既に万全の体制ができている、こういう意味に捉えられて、これは先ほど話していたようなことで、いろいろな情勢変化がある中で本当にこのままでいいのかということがやはり一つの矛盾としてあると思います。

 日米共同声明の中に、先ほどもあったように、役割と責任を拡大する、こういったことにも若干矛盾して、この辺はどういうふうにお考えなのか、総理。

安倍内閣総理大臣 まさにこれは北朝鮮も見ているわけですから、我々が弱点がありますよとなれば、むしろ彼らは間違った認識のもとに攻撃をしかけてくるかもしれませんが、確かに、今の段階では、まさに完全にということを申し上げて間違いないと思います。これは見誤らないようにせよというメッセージでもあります。

 しかし、実際、今、かなりのスピードで彼らは核、ミサイルの能力を高めていますから、それに追いつく努力を日々しなければいけないのは当然のことでありまして、日々能力を上げていくと同時に、役割、能力、全てにおいて見直しをしていくということは当然のことであると思います。

 これは矛盾しているようでも私は矛盾していないということであって、殊さら無謬性を示すということではなくて、実際、日本だけではなくて米国とともにあれば、例えば北朝鮮に対しても我々の防衛力は完璧であります。しかし、常に問題はないかということについて目を凝らす必要はある、このように考えております。

北神委員 不断の見直しをしていかざるを得ないし、そういう抽象的な話じゃなくて、具体的に今、北朝鮮のミサイル能力の向上もありますし、それから、ちょっと中国に話を移したいと思いますが、先ほど長島議員からも尖閣諸島の話がございました。これは大きく言えば、尖閣諸島のみならず、中国というのは日本の周りの海を自分たちの戦略範囲内に置こうとしている、縄張りにしようとしている。

 日米安保第五条だけでなかなか対応できないというのは先ほどの議論にもありましたし、もっと言えば、第五条というのは武力行使を前提にしているものであります。中国の戦略、戦術というのは、私も先ほど申し上げたように、忍び足をしながら少しずつ武力行使をせずに縄張りを拡大していくというのが彼らのやり方で、これにどう対応するかというのが非常に難しい。

 これに対して、今漠然と五条とかそういうことを言っておりますし、ガイドラインで若干、切れ目のない対応をするという話がありますけれども、私はここで、やはり中国に対して、日米共同の戦略、戦術、もっと言えば作戦、こういったものが少なくとも表立っては全くないというのは非常に大きな問題だと。

 これは一番微妙な問題で、米国側からすれば、トランプ大統領も、総理が渡米しているときに、共同記者会見のときにも、中国とはこれからも仲よくやっていくという話もしていますし、時機を狙ったように総理が米国に着いたその前後に電話会談をして建設的な会話をしている、これはやはり取引外交なんですね。その前には書簡も習近平に送っている。

 こういう中で、米国は少しそこは曖昧な戦略をとろうとしておりますけれども、日本としては、北朝鮮以上に長期的には中国の忍び足侵略主義にしっかりと対峙をして、そのためには米国の力も非常に必要だということを強く伝えるべきだと思いますけれども、そういう話はされたのかどうか。

浜田委員長 安倍内閣総理大臣、時間が来ておりますので、よろしくお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 はい。中国とどう対応していくかということについては、これは今世紀最大のテーマであるということをトランプ大統領にも申し上げました、かなりの時間を割いて。初めてニューヨークで会ったときにもかなりの時間を割いてお話をさせていただきました。

 もちろん、中国と我々はしっかりと友好な関係を進めていきたいと思いますが、一方、安全保障上は、軍事力を拡大している中において、むしろ彼らが正しい方向に行くように日米同盟をさらに強化していくべきだろう、このように思っております。

北神委員 終わりますけれども、一点だけ。

 トランプ大統領に余り目をとらわれず、オバマ大統領だって、去年は、もはや米国は世界の警察官じゃないと。これは要するに、長期的な流れとして、米国は国力がどんどん落ちていくし、米国の国民も孤立主義的になっている。こういう中で、しっかりと日本の立場で、日本第一主義で頑張っていきたいというふうに思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 民進党の今井雅人でございます。

 私の方からも委員長に申し上げたいんですけれども、今から金田法務大臣と共謀罪についてお話ししますけれども、これだってちんぷんかんぷんな答弁ばかりで、その法案が必要かどうかすらも今わからない状態です。こんな状態のまま中央公聴会を職権でやるなんというのは言語道断ですよ。

 特に僕が問題だと思っているのは天下りの問題でして、あれだけ、この天下りの問題は二十九年度の予算に影響するかもしれない、そういう議論をしているわけじゃないですか。それで、今、慶応大学の方でもそういうのが出たらしいじゃないですか。だから、そういうものを全部解明して、この二十九年度の予算案に影響がないということを確認するまで採決なんかできないですよ。

 ですから、そんな、日程ありきでこういうふうに決めていくのは本当に運営として間違っていると思いますので、今後の運営のときは必ずそういうものをしっかり明らかにした上で採決するということをしっかりやってもらいたい、そのことを最初にお願い申し上げておきたいと思います。

 それで、きょうは、金田法務大臣、ありがとうございます。

 この予算委員会でずっと話を聞いておりまして、私も予算委員会は何度も委員になっていますが、こんなひどい答弁は見たことがないというもののオンパレードでありまして、おまけにこんなペーパーも出てきたので、どうしても私はこの問題をやらざるを得ないと思ってきょうは立っています。

 もともと、国民の皆さんは経緯がよくわからないかもしれませんが、二月の六日に大臣が、こういうペーパーを出したいから、出してくれということを事務方に申し上げたそうです。そうしたら、事務方はちょっとこれはまずいんじゃないですかとおっしゃったらしいですが、俺が出すんだから問題ないだろうということで、そのまま指示が行って、その日の三時九分、法曹の記者クラブに突然メールが来て、四時半からレクをやりますと。こんなことはめったにないそうです。初めてですか。それで、これは何事だろうと思ってみんな集まったんです。集まったら、秘書課長さんが紙を一枚持ってきて、大臣から渡されたのでこれをお願いしますと。

 これだけですよ、これだけのために集められて。記者さんに確認しましたけれども、ほかに何かあったのと言ったら、これしかないんです。こんなことで集めるなんというのは本当に、そのこと自体で大臣失格だと思いますね。

 おまけに、このペーパー、国民の皆さんはテレビ入りのところでごらんになったことがないかもしれませんのでもう一回確認しますけれども、こんなペーパーを出したことも問題なんですが、中身です、中身。まず、ここの部分ですね。

 全体的に問題なんですけれども、私は四カ所が問題だと思っているんですね。

 真ん中あたりに、テロ等準備罪の質疑については、それが基本的な政策判断にかかわるものであれ、専門知識を有し、法案作成の責任者である政府参考人も加わってもらわないと困ると言っているんです。

 実務的な話ならまだわかりますよ。しかし、基本的な政策判断は大臣がなさるんじゃないんですか。大臣は要らないですよ。実務的なことを刑事局長がやるのはわかりますけれども、基本的な政策判断まで刑事局長がいなきゃできないなんて、能力がないと言っているのと一緒じゃないですか。

 さらに、専門的知識を有し、法案作成の責任者である政府参考人と言っていますが、つまり、大臣は専門的知識がないし法案作成の責任者でもない。何のためにいるんですか、要らないじゃないですか。

 その次、極めて大まかな要旨のみでは不十分であり、答弁の準備が適切にできる程度のお尋ね。まるで質問している側が悪いと。私は悪くない、そういうふうにもおっしゃっている。

 そして最後、成案を得て国会に提出した後、所管の法務委員会において議論したいと。予算委員会ではやりたくないと言っているんです。

 大臣、私はちょっと、この間うちの井出委員が質問しましたけれども、もう一度お伺いしたいんですね。

 大臣はこれを撤回して謝罪されました、二月七日に。大臣、どちらかお答えくださいよ、今までの答弁の繰り返しは要りません。それだったら、私はもう質疑を続けませんので。

 このペーパーを出したことがまずかったな、公表しなきゃよかったなと思っておられるのか。大臣はこれは私の思いをしたためたものだというふうにおっしゃっていましたから、自分がこういうふうに考えていたことがまずかったなと思っておられるのか。どちらですか。

金田国務大臣 今井委員にお答えをいたします。

 ただいまの御質問で、私は、予算委員会が始まりましてから、さまざまな機会に答弁をさせていただく機会をいただきました。その中で、その中に書いてありますことをあわせて申し上げてきた経緯がございました。したがいまして、そのときに自分が申し上げたことをメモするという形で自分で書いておりましたことを一枚の紙にしたためたわけであります。

 ですから、それをまとめたのがその紙ということでございますが、これを撤回させていただきましたのは、私は、以前も申し上げましたが、自分自身に向けた思いを法曹記者クラブの記者の皆さんに理解してもらうためにしたためたものではありましたが、マスコミを通じて国会に対し審議テーマに注文をつけるなどの意図は全くなかったものでありますし、国会に対してその審議のあり方を示唆するものと受けとめられかねないものであろうというふうに判断いたしまして、不適切なものとして撤回をさせていただいたのであります。

今井委員 いや、答えていない。もう一回。

 では、今でもそう思っていらっしゃるんですか。どっちですか。

金田国務大臣 お答えをいたします。

 撤回をいたしまして、そしておわびを申し上げたつもりであります。

今井委員 では、もう一回だけお伺いします。

 紙を撤回したのはわかりました、謝罪したのは。心の中の思いを書いたものだとおっしゃっていましたね、今も心の中でそう思っていらっしゃるのか。私が考えていたことが間違いだったと思っているのか。どっちですか。

金田国務大臣 私は、誤解を招くようなことがあってはいけない、このように思って撤回をさせていただいた次第であります。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 金田法務大臣。

金田国務大臣 既にこの委員会でも答弁しておりますが、御指摘の文書につきましては、国会に対しましてその審議のあり方を示唆するものと受けとめられかねないものであったもので、そのように受けとめられかねない内容を含めて、不適切なものとして撤回をさせていただいたところであります。

今井委員 では、もう一回確認します。

 今はそう考えていないということですね。今はこんなふうには私は考えておりません、悔い改めております、そういうことですね。

金田国務大臣 撤回をいたしましたとおり、今はその点については考えているわけではありません。

今井委員 最初からそう言っていただければよかったんですけれども。

 しかし、それを撤回されたのは二月七日なんですが、その後の委員会もひどいんですよ。私、ずっとそこで聞いていましたけれども。

 まず、二月七日に謝罪されましたが、翌日の二月八日、うちの階委員ですけれども、階委員が、撤回しただけではこれは済まないんじゃないですかという質問をしたんです。そうしたら、大臣は何とおっしゃったか。ただいまの御意見に対しては、私はちょっと、私の頭脳というんでしょうか、ちょっと対応できなくて申しわけありませんと言っている。何ですか、この答弁は。

 そして、翌日の山尾委員の質問ですけれども、山尾委員が、三事例以外のほかにあるんでしょうか、それ以外にも政府の準備しているテロ等準備罪に当たるものは何かあるんでしょうかというふうに質問をしたところ、たくさんあります、しかし、現時点で具体的な罪名に対して現行法のどこに不十分なところがあるかをお示しすることは困難でありますと。どこが不十分であるかをお示しすることができないのに、何でたくさんあると言えるんですか。矛盾していますよ。矛盾しています、むちゃくちゃです。

 そして、そういう事例を出してくださいというふうに山尾さんが質問しているのに、全然関係ないことを答えて、しまいに何と言ったか。失礼ですが、余りにいろいろな意見がありましたので、もう一度、確実な質問をしてくださいと言っている。

 何ですか、確実な質問って。確実に言っていましたよ。ほかに事例がありませんかと聞いていたんですから、物すごく明快な質問をしていましたが、こんな答弁をされているわけです。二月七日の謝罪は一体何だったんですか。ちょっとこんな、こういう答弁、御自分でどう思われます、今これを改めて見て。

金田国務大臣 私のこれまでの発言について御指摘をいただきました。

 法務大臣として、テロ等準備罪がいまだ成案を得ていない状況の中で可能な限り丁寧かつ真摯に答弁をしてきたつもりですが、委員を含め、この間の私の答弁に対する批判につきましては謙虚に受けとめたい、このように考えている次第であります。

 これを踏まえて、今後同じような御批判を受けることがないように日々努力してまいりたい、このように考えております。

今井委員 大臣、こういうふうにおっしゃっています、二月八日です。基本的な方向というもの、考え方というもの、そういうものをしっかりと答弁しなければいけない、このように思っていますし、御指摘がありましたように、そういう議論を闘わす場として、予算委員会の中でもしっかり議論していくことが我々に課せられた使命である、そういうふうに考えておりますというふうにおっしゃっておられます。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんです。

 私は、どうも聞いていてよくわからないことがありまして、まず一点目なんですけれども、かつて共謀罪という法案を出されていました、そのときの、なぜその法案をつくらなきゃいけないかといったら、TOC条約に加盟するための担保法としてこれは必要なものなんですというふうにおっしゃっていましたね。それで、今回は、主体を組織的犯罪集団に絞り、今までは共謀だけだったけれども、共謀だけじゃだめで、準備行為というのをやった時点で初めて逮捕、検挙することができる、そういうことなんじゃないかと思うんです。

 そうすると、ちょっときょうはイメージ図を持ってきました、こういうことでいいのかというのを確認したいんです。この外の枠、これがかつての共謀罪です。しかし、要するに主体を限定し、さらに共謀だけじゃだめで、準備行為をしないとだめだというふうに限定していますから、これが縮んでいるんだと思うんですね。前の共謀罪よりも狭くなっていると思うんです。こういうことでよろしいんですか。これでいいんですか。

岸田国務大臣 済みません、TOC条約との関係で御質問いただきましたので、条約を担当する大臣としてお答えさせていただきたいと思います。

 今政府で行っておりますのは、過去三回、TOC条約の国内担保法としてどのようなものが求められるのか、こういった議論を行ってきました。その際に、一般の方々が対象になるのではないか、こういった指摘等を随分と受けました。そうした審議の経緯に鑑みて、一般の方々が対象にならないことを明確にするために、対象を限定する、あるいは準備行為を必要とする、こういった対応ができないか、今政府として検討しているわけです。

 そして、図をお示しいただきましたが、図の大きさ、条約の求めている範囲との大小の関係についてはこの紙に基づいてお答えすることは難しいですが、ただ、今行っている検討の結果、TOC条約が求めているものを満たさなければそもそも法律を提出する意味がないわけですから、結果として、TOC条約が求めているものに十分応えられるものを今言ったような検討を行った結果つくることができるか、これを今政府として検討しているわけであります。

今井委員 駆けつけ警護じゃないんですけれども。共謀罪というのを出した担当、所管の省はどこですか、法務省じゃないんですか。今回の……(発言する者あり)いや、私は担保法の考え方について話しているので大臣にお答えいただきたいんですけれども、これは縮んでいるということでいいんですか。今、条約の理解はいただきましたから、今度はそれに従って担保法をつくる側の方にお伺いしますので。いいじゃないですか、順番なんですから。

金田国務大臣 お答えをいたします。

 テロ等準備罪の具体的な内容につきましては現在検討中であります。法案として提出した際に詳細に御説明をするものでありますが、基本的な考え方を申し上げますと、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定し、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることという、一般の方々がその対象となることはあり得ないことがより明確になるように検討をしているところであります。

 したがいまして、このようなテロ等準備罪は例えば共謀したことのみで処罰されることとされていた従前の共謀罪とは別物でありまして、現在、対象犯罪を限定することも含めて検討中でありますので、対象犯罪を限定することになれば、対象犯罪の数はかつての共謀罪と比較いたしまして少なくなることになると思います。

今井委員 今、少なくなるというふうにおっしゃいましたから、範囲は狭まるということと同じだと思いますね。

 では、もう一点。二月二日のときにこういう発言をされています。

 緒方委員の方から、そうすると以前提出されていた共謀罪のこの法案はTOC条約を締結するために過大だったんですね、大き過ぎたんですねということを質問しました。

 大臣はこのときこう答えています。条約との関係で、いろいろなオプションがございます、しかし、それを、過去についてお聞きになっていると思いますが、その点については、私どもは当時の経緯を、突然の質問で、承知はしておりませんと。

 TOC条約に照らして、どういう担保法をつくるかを検討されているわけでしょう。そうしたら、過去の共謀罪の法案がどうだったか、まず最初にそこを検討するわけじゃないですか、違いますか。それを突然質問されたからわかりませんって、法務大臣として責任放棄ですよ。答えられませんと言っているのと一緒じゃないですか。

 今回、狭まるということをおっしゃっていただきましたから、では、改めてこの質問をしたいと思います。そうすると、かつて出していたこの共謀罪の法案は広過ぎた、過大だったということですね。

金田国務大臣 かつての法案もTOC条約の趣旨に沿うものであったと考えております。

 もっとも、組織的犯罪集団の関与、実行準備行為の付加というものは、いずれも条約が国内法の制定に当たりオプションとして許容しているものであります。今回の法案の立案に当たりましては、これらのオプションの選択についても再検討をしているものであります。

 いずれにしましても、成案を得て国会に提出をいただきました後に、かつての法案との相違、比較についても十分に説明をさせていただきたい、このように考えている次第であります。

今井委員 今、かつての法案も適合しているとおっしゃったけれども、それは当たり前なんですよ。TOCが求めているものよりも広くとっているわけですから、包括しているのは当たり前なんです。

 私が申し上げているのは、TOCが求めている過不足ない適切なものよりも、余計なものまで前の法案は入っていたんですねということです。そういうことじゃないですか。

金田国務大臣 先ほども申し上げましたが、かつての法案もTOC条約の趣旨に沿うものであったと考えております。

今井委員 かつてのが過大だったかどうか、イエスかノーでお答えください。

金田国務大臣 先ほども申し上げましたが、かつての法案もTOC条約の趣旨に沿うものであった、こういうように考えております。(発言する者あり)

浜田委員長 大丈夫ですか。金田法務大臣。

金田国務大臣 趣旨に沿うものであって過大ではない、このように申し上げます。

今井委員 前よりも少なくなっているんでしょう。減らしたんじゃないんですか、減らしたんでしょう。減らして、減らした上でTOCに合致するという検討を今しているのに、なぜ減らせる前のものが過大でないと言えるんですか。いやいや、僕はそれを今、法務大臣が答弁されたから、法務大臣に聞いているんです。そんなところで助け船を入れる必要はありませんよ。

岸田国務大臣 国内における担保法についての検討については、先ほど申し上げたとおりであります。

 そして、TOC条約との関係で申し上げるならば、かつては、TOC条約第五条が求めている内容に誠実に応えるためにはどうあるべきなのか、こういった議論を行ってきました。

 そして、TOC条約第五条をもう一度ごらんいただきたいと思いますが、後半部分にオプションをつけることを認めるという条項がついています。このオプションこそ、今回新たに検討しております対象を限定する、そして準備行為を求める、こうしたオプションが第五条の中に記載されております。この条約そのものに記載されているオプションに従って国内法のありようを再検討することによって一般の方々が対象にならないということを明らかにできるのではないか、こういった考え方に基づいて今検討を行っている、これが今の政府のありようであります。

 条約との関係で申し上げるならば、そういった検討が行われているということを御理解いただきたいと存じます。

金田国務大臣 お答えいたします。

 ただいま外務大臣の方から条約の趣旨から申し上げられた、そのことを踏まえて申し上げますが、前回はオプションを用いなかったけれども、かつての国会審議において、一般の方々に不安や懸念が生ずる、そういうことのないようにするために、その国会審議の批判を踏まえた対応ということで、テロ等準備罪という概念、それは、先ほどから申し上げておりますが、条約のオプションを今回は用いて対応する、そういう趣旨であります。

今井委員 ですから、最初検討したとき、最初からオプションを検討してぎゅっと狭めておけばよかったんじゃないですか。そうじゃなくて、広いところでとっていたから不安があおられたわけでしょう。

 それで、少なくなったと先ほど答弁されておられますからね、これは残っていますから。少なくなったということは、少ないところで満たせるということを今おっしゃっているわけでしょう。であれば、かつてのものは多過ぎたという、これは小学生でもわかりますよ。だから、それはそういう理屈じゃないですか。

 済みません、もう一度お伺いしたい。

金田国務大臣 条約上のオプションを、前回と今回と、使うという意味において前提が違ったんだ、このように考えております。

浜田委員長 今井君、時間が来ていますので、簡潔に願います。

今井委員 ちょっと答弁になっていないんですが、これはまた別の方がやると思いますが、最後、一点だけ。これはイエスかノーか教えてください。

 今回、TOC条約が求めているものの中にいわゆる暴力団とか薬物犯罪とかもあり、テロもあるわけですね。TOC条約が求めていない外のテロというのがあると思うんですけれども、ここは今回対象か対象じゃないか、それだけ最後、答えてください。これで終わります。

金田国務大臣 条約との整合性が確保される範囲内において、必要かつ適正な範囲内でやる、こういうことであります。

浜田委員長 今井君、時間が来ております。

今井委員 この赤い部分は対象になるかならないか、イエスかノーで、それだけで。それで終わります。

金田国務大臣 TOC条約の国内担保法については、条約との整合性を図りながら、必要かつ適正な範囲で整備をしていく方針であります。

浜田委員長 時間です。今井君、締めくくってください。締めくくってください。時間です。時間が来ておりますので、締めくくってください。(発言する者あり)

 金田法務大臣。

金田国務大臣 TOC条約の国内担保法につきましては、条約の締結に伴って必要となる法整備として設けるものでございます。条約の担保という目的と離れて立案することは考えておりません。

 したがって、これは入らないというふうになると思います。

今井委員 これは入らないという大事な答弁をいただきましたけれども、つまり、これはテロのための対策じゃないんですよ、TOCに入るためのものであって。要は、この外側のテロはカバーしないということは、テロ等準備罪なんて名前をつけること自体が粉飾ですよ。粉飾、印象操作。

浜田委員長 時間が来ております。

今井委員 そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 冒頭、まず、質疑者の時間は締めくくることができるかもしれませんが、今の金田大臣のこの答弁で予算案の審議を締めくくるわけにいかないですよ、委員長。

 しかも、天下りについても、文部科学省あるいは全省庁の調査をやると言っている。これを衆議院の予算委員会の予算審議の中できちっと出してほしいということを申し上げている。しかも、これは来年度予算案、予算そのものにかかわる話なんです。これに対しても資料が出てこない。

 そして、稲田防衛大臣は、戦闘があったのかなかったのか、戦闘隠しをしている。このような状況の中で、来年度予算案の採決につながりかねない中央公聴会の開催をきょうの昼、この委員会で強硬に決めたということに強く抗議を申し上げたいと思います。

 その上で、まず、稲田防衛大臣にお伺いしたいと思います。

 先週来、昨年七月の南スーダン・ジュバで戦闘があったのかなかったのかという議論を続けておりますけれども、実際、戦闘の中でけがをされた自衛官がいるんじゃないか。

 実際、公表された日報の中には、七月七日十一名、八日七名、九日二名、十日は資料がない、十一日ゼロ名、十二日七名、患者受診状況という欄があります。ただ、これは病気かけがかわかりません。これは何を理由とした、どんな受診だったんですか。こういった戦闘あるいは戦闘に近いような状況の中で、自衛隊員がけがをされたんじゃありませんか。

稲田国務大臣 私は、戦闘隠しはしておりません。

 この国会の場で、戦闘行為というその法的な用語が、国または国準との間で行われる国際的な紛争でありますから、戦闘行為という言葉をここでは使わないということです。

 そして、人を殺傷しさらには物を破壊する行為はあった、それをどう表現するかというときに、国会の場で戦闘という言葉は戦闘行為と混同するので使わないと言っているだけであって、戦闘隠しはしておりません。

 そして、今お尋ねの点でございますけれども、今お尋ねの期間の間に、武力衝突において負傷した隊員はおりません。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

後藤(祐)委員 けがをした方はおられるんですか。

稲田国務大臣 今申し上げましたように、負傷した隊員はいない、けがをした隊員はいない、武力衝突によってけがをした隊員はいないということでございます。

後藤(祐)委員 実際、この黒塗りの中を大臣はごらんになったんですか。三百五十人ぐらいしかいないんですよ、ジュバには。その中で、七月七日には十一名の方が、けがでないとすると、病気なんでしょうかね。

 前後の二カ月ぐらいを見てみて、ここが多かったりすることはありませんか。戦闘あるいは戦闘に近い状況が行われているときに途端に病気が多くなるというのも不可解な話でありまして、大臣は黒塗りの中を見たんですか。そして、前後二カ月ぐらい、ほかの、戦闘あるいは戦闘に近い状況だったときとそうでないときと、この人数の比較をしてみましたか、大臣。

稲田国務大臣 私は、自分が防衛大臣になりましてから、その当時の様子も含めて、事務方からしっかりと説明を受けているところでございます。

後藤(祐)委員 黒塗りの中を見たんですか、大臣。

西村(康)委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西村(康)委員長代理 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 中谷大臣の時代ですので、これそのものは見ておりません。

後藤(祐)委員 では、何でそれがけがでないとわかるんですか。

 それと、大臣、今、黒塗りのあいたものをそこで見ていませんか。そこはテレビから見えちゃうんですよ。それは見せちゃいけないものなんじゃないんですか、大臣。

西村(康)委員長代理 今のは質問ですか。質問内容をもう一度言ってください。

後藤(祐)委員 今そこで見ていたようですが、黒塗りのあいていたものを。そこはいろいろなところから見えちゃうんです。そこで今、黒塗りのあいたものを見ていたんですか。

稲田国務大臣 現在の、今の委員の質問に答えるために確認をしたということでございます。

後藤(祐)委員 やはり黒塗りのあいた資料をそこで見ていたわけですね。これは、いろいろなところから望遠で見たら、見えちゃいますよ。大変なことじゃないですか。

 もう一回繰り返します。大臣は最初の答弁をするときに、その前にこの黒塗りの中は見ていなかったということですね。

稲田国務大臣 当時は見ていないということでございます。

後藤(祐)委員 そうすると、日報の中を確認していない。私は、この黒塗りになっている患者受診状況という欄を見て、病気なんですか、けがなんですかと聞きました。そして、その黒塗りの中をごらんになって、病気だなということを確認した上で、全ての方は病気であって、けがではないという答弁をしたと思いましたが、大臣は、黒塗りの中を見ていなかった、見ないで答弁をされて、そしてその後、その場所で、黒塗りのあいたものをそこで見せていただいて、それはどこかから撮られちゃっているかもしれない。これは大臣として失格じゃないですか。

 次に行きたいと思います。

 この南スーダンの日報の開示についてですが、簡単に振り返りたいと思いますが、昨年十月三日、ある方からこの日報の開示請求がありました。そして、十二月二日に不開示の決定をしました。文書が存在しないという理由で不開示にしたわけでございます。そして、大臣から十二月十六日に、あるんじゃないかということで探索するよう指示があって、十二月二十六日に資料が発見された。しかし、一カ月たってからようやく大臣に日報が実は存在したということが報告されて、一カ月というのは遅過ぎるということで、大臣も部下を注意されたそうでございます。

 大臣、先週木曜日の私の質疑に対する答弁で、十二月二日、開示請求をされた方に対して不開示決定をしたのはおかしいわけですから、というのは、もう世の中に明らかになっているし、文書があったことは明らかになっているわけですから、この不開示決定を取り消して、実際、その開示請求された方に日報をお渡しするということをされたんですか、その後。

稲田国務大臣 御指摘の不開示決定については、決定の取り消しを求めて行政不服審査法に基づく審査請求が提起されており、この審査請求につきましては、これを認容することとし、二月九日木曜付で不開示決定を取り消す裁決を行ったところでございます。

後藤(祐)委員 ということは、開示請求者に対して既に開示したということですか。

稲田国務大臣 当該日報に係る開示決定につきましては、請求者当人の希望に沿って対応しているところでございます。

 一名につきましては、昨日、二月十三日月曜日付で、請求された全ての日報である七月七日から十二日分について開示決定を行ったところです。

 もう一名については、準備ができた日報から逐次開示決定を行うこととしており、二月九日木曜付で七月十一日及び十二日分の二日分について、昨日、十三日月曜日付で七月七日から十日までの四日分について行い、残りの部分については三月十三日月曜までに行うことといたしております。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、引き続き、今般の南スーダン日報に係る開示請求者に対しまして適切に対応していく所存でございます。

後藤(祐)委員 この文書が実際いつ廃棄されていたのか、これは大変大事で、十月三日に開示請求されたより後に廃棄されていたら、えらいことなわけですよ。

 日報はいつ廃棄されていたんですか、大臣。

稲田国務大臣 まず、廃棄は、陸上自衛隊の文書管理規則にのっとって、目的を達成した後に廃棄することとなっております。それに従って、これまでに陸上幕僚監部からは派遣施設隊及び中央即応集団司令部における業務実態について報告を受けており、日報は、中央即応集団司令部への報告後に用済みとなり破棄していたことを確認いたしているところであります。

 そして、紙媒体については四日以内ぐらいには破棄をしておりますが、電子データについて、今、いつ破棄したかということをしっかりと調査しているところでございます。正確に報告を受けた上で、適切な形で報告させていただきます。

後藤(祐)委員 十月三日の開示請求より後に廃棄していたら、それこそ隠蔽じゃないですか。意図的な悪質な隠蔽じゃないですか。前か後かぐらい答えられませんか、大臣。

稲田国務大臣 十月三日よりも前と承知をいたしております。

後藤(祐)委員 これは先週から通告している話ですよ。しかも、電子的なものですから、コンピューターのログ、記録に残っているはずですから、しっかりと、幾つか日報はあります、いつの段階のものがいつ削除されたのか、きちんと、皆さんを残念ながら信用できないので、外部の方を入れて調査した上で、この予算案の審議の間にこの委員会に御報告していただくよう、委員長にお取り計らいをいただきたいと思います。

西村(康)委員長代理 後刻、理事会で協議をいたします。

後藤(祐)委員 次に参りたいと思います。

 昨年七月の南スーダンでの状況を毎日のように、これはちょっと細かいですが、日報という形で現場の自衛隊の部隊が上げています。

 その中で、七月八日ですとか、ここから後、赤い字のところ、要は、毎日のように戦闘が起きたということが日報で上げられていますが、例えば七月八日に戦闘という文字が三つありますけれども、では、これを踏まえて、当時の大臣は稲田大臣ではありませんが、当時の大臣に対して報告する資料では激しい爆発音になっちゃっている。戦闘が爆発音になっちゃっている。

 いずれにせよ、どの日を見ても、日報では現場の自衛隊員は戦闘が、一般的意味の戦闘でいいですよ、戦闘があったとしているのに、大臣報告資料では全部消えちゃっているわけですよね。

 稲田大臣は、八月三日に大臣に就任しました。その次の日に、南スーダンの状況について大臣レク、大臣説明をいただいていますが、そのときの資料がこれです。これについても、銃撃戦等に発展とか大規模な衝突事案が発生とか、地図の方を見ると、日本隊の宿営地のすぐそばで銃撃戦等が起きているわけです。

 稲田大臣、これを見て、本当のところは何があったのと、当然知らなきゃいけないんじゃないんですか。先ほど、午前中の辻元議員に対する答弁で、生の事実はしっかり見ましょうと答弁されておられます。この八月四日の大臣レクのときに、稲田防衛大臣、日報を見せてくださいと何で言わなかったんですか。

稲田国務大臣 今も私は毎日報告を受けております。しかし、それは生の日報ではなくて、日報や、そして当地の報告や報道や、さまざまなものをしっかりとまとめたもので報告を受けております。そういった観点から、大部の日報を見せろということは言っていないということでございます。

後藤(祐)委員 毎日報告いただくことはいいことだと思いますが、大臣に毎日報告しているその資料は、これは先ほどの資料です、現場の日報には戦闘と書いてある。でも、大臣報告資料には、これは前の大臣のときのものですが、戦闘という言葉は全部とっているんです。大臣のところに日々来る報告というのは、戦闘という言葉が入っていない形で来ているんですか、それとも入っている形で来ているんですか。入っていない形で来ているんだとすると、本当の、生の事実はしっかり見ましょうと先ほど答弁された事実と反するんじゃないんですか、大臣。

稲田国務大臣 客観的な事実についてどう表現するかではなくて、生の、どこで何が起きたかという事実を重視して見ているということでございます。

後藤(祐)委員 大臣に説明するとき、戦闘という言葉は使われているんですか、使われていないんですか。

稲田国務大臣 毎日ですから、全ては膨大な資料になりますけれども、例えば報道の中で戦闘と使っているものは使っております。そして、評価のときには、武力衝突、そして法的な意味での戦闘行為ではないということを区別した形で評価をしているのではないかと推測します。全て見ろというのであれば、私は全て見ますけれども。

後藤(祐)委員 よくわかりません。

 稲田防衛大臣に対する日々の説明で、戦闘という言葉を使って説明しているんですか、使わないで説明しているんですか、どちらですか。よくわかりません。

稲田国務大臣 報道の中で使われている場合については使っております。そして、私は評価として、戦闘行為というものと紛らわしいという意味で戦闘は使っていないですけれども、大臣レクの中で、報道ないし資料が一般的にそれを表現する言葉として使っているときには使っております。

後藤(祐)委員 つまり、今、新聞を見ると、戦闘という言葉が出ていますから、そういったところは使うよということでしょうが、要するに、日報でこういう戦闘という言葉が使われていても、大臣レク資料にはそれは登場してこないということは変わっていないということですよね。

 大変問題なのは、稲田大臣は、昨年十一月十五日の駆けつけ警護の付与の決定は、まさに稲田大臣が中心になって御判断されたことだと思うんです。実際、七月にこれだけのことが起きている。でも、稲田大臣はこの日報をごらんになっていなかった。一月二十七日に初めてごらんになったと答弁されている。つまり、日報でこの現地の事実、まさに生の事実をごらんにならないで、昨年の十一月十五日の駆けつけ警護付与の決定をしたのではありませんか。

稲田国務大臣 そもそも、今もその日報は見ておりません。そういうことではなくて、生の事実が何であるかということをしっかり報告を受けたということであります。

 また、駆けつけ警護、それから派遣隊、施設部隊の派遣においては、生の事実、そしてそのとき何が起きているかという客観的事実をもって、まずは、PKO五原則が満たされているかどうか、その意味において、国または国準との間での国際的紛争がないということを確認しました。

 そして、その上で、委員とも何回も国会で討論いたしましたけれども、自衛隊員がみずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができるかどうかという点については、生の事実、そして私も視察に行きました、そういった点をしっかりと見て判断しているということでございます。

後藤(祐)委員 生の事実というのは、日報以外に何なんでしょうかね。

 このフリップは、先週の私の質疑の直後に統合幕僚長が会見でおっしゃったことなんですが、戦闘という言葉は日報では大規模衝突などに置きかえるという認識でよろしいでしょうかという質問に対して、そのような指導をいたしましたと。そうすると、今後は日報に書いてある戦闘というのは法的意味を含めた戦闘という言葉になるということですかと聞かれたのに対して、そういうことになると思いますと。

 つまり、日報には戦闘と書いてある、今までのものですよ、だから、一般的意味における戦闘があったのかどうかは、非常に素直にわかりやすい日報を書いていただいているんです。現場の自衛官は、弾が飛び交う中で命がけのレポートを本国にしてきているんですよ。これを、今の幕僚長の指示によれば、この戦闘というところを全部別の言葉で置きかえちゃうということでしょう。だって、稲田大臣は、法的意味における戦闘行為は起きていないと言うんですから、戦闘という言葉は使わないということになりますよね、今の幕僚長の指示によれば。

 そうすると、今までは日報で戦闘という言葉があったから、ちなみに、この八日のものを見ると、戦闘という言葉と衝突という言葉は使い分けているんですよ。だから、戦闘という言葉が全部、例えば衝突だとか大規模衝突とかと置きかわっちゃうと、真実がどんどんゆがめられて、生の事実がまさに隠蔽されちゃうわけですよ、大臣。

 この戦闘という言葉を法的意味における戦闘行為でない場合は使わないという幕僚長の指示は、大臣の指示ですか。少なくとも、幕僚長から大臣に対して、大臣の御了解をいただいた上でやっていることですか。総理、焦り過ぎです。これは、幕僚長と稲田大臣の間の関係を聞いているんですから、稲田大臣にお聞きします。

稲田国務大臣 幕僚長の記者会見を全て読んでください。何度もその質問があって、結局、幕僚長は、現地部隊が自分たちの目の前の範囲の中で状況を報告していて、それを彼らの表現として戦闘と使ったということでありますと。

 これを衝突と置きかえたとしても、我々の政府レベルの判断に立ち入ったときは、これも一つの情報源ですが、いろいろな情報を総合して、PKOに関して言えばPKO五原則に抵触するかどうかが最大の決断になりますので、このところを判断していくと、これは戦闘行為だということで、撤退か、いや武力衝突かという判断は最終的には政府レベルで決定をするということですので、現地部隊が衝突と戦闘をどう使おうが、それを我々が踏まえて判断することであって、現地に対して使うなとは指示していないということでございます。

安倍内閣総理大臣 日報についての位置づけというのは、それは日々上がってくるわけでありますが、それは朝霞にある陸上自衛隊の中央即応集団に上がってくるわけであって、そして、そこから統合幕僚監部を通じて大臣に報告があるわけであります。

 そこで、例えば本当の戦闘が、いわば戦闘行為が行われていれば、大臣どころか、これは総理大臣に上がる話です、上げなければいけない話でありますから。しかし、一般的に使う、日本語の普通の国語的に使う戦闘ということにおいてはそれはそのまま日報に書いてありますが、しかし、それをだんだん整理します。法的に戦闘行為ということになれば、これはもうPKO五原則上撤退しなければいけなくなるわけでありますから、大きな話です。

 しかし、それと混同しないように、そこは、大臣に上げる上において整理するのは当然のことであろうと思います。当然、大臣は、日々の日報は見る必要がないんですから。日々の日報をちゃんと整理した上において統幕がちゃんと整理して報告をし、そして私のところにも上がってきます。週三回ぐらい、それは情報とNSCの合同のブリーフィングがあります。どういう事案があったか、かなり細かく行われています。一般人が反政府勢力あるいは政府軍の一部に殺されたことについても、あるいは、UNMISSの人に対しての暴行行為についてもかなり細かく上がってくるわけであります。

 そこは、そもそも戦闘ということについては、先ほども申し上げましたが、スーダンが南スーダンを爆撃した、二十四年、これは民主党政権ですよ。あのときも戦闘と書かれていましたが、戦闘行為はなかったというのが野田総理の、野田政権の閣議決定した答えじゃないですか。当時も日報には戦闘と書いてあったんですよ。しかし、戦闘行為はなかったと野田政権が、民主党政権時代、答えているんですよ。今それと同じことが起こっているだけにすぎないということを私は申し上げておきたいと思います。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

後藤(祐)委員 総理に求めていないですし、駆けつけ警護をやめてください、総理。

 これは、国民の皆さんに聞きたいと思います。そして、稲田大臣にも聞きたいと思います。

 この日報に、実際に法的意味における戦闘行為はなかったかもしれないけれども、一般的意味における戦闘があったということで戦闘という言葉を使って、弾が飛び交う中、命がけの報告をしてきている、この日報を維持するのと、この戦闘という言葉が全部置きかわっちゃって、衝突なり大規模衝突なりに置きかわっちゃってというこれからの日報と、どっちが南スーダンの現場の状況が伝わると思いますか。

 そして、現場の自衛官の命を守る責任を持つ防衛大臣は、本来やはりこういう戦闘という言葉が入った日報、あるいはそれに基づいた報告でもいいですよ、本当に、それこそ生の事実じゃないですか。これはまさに、撤退を転進と言った、そして全滅を玉砕と言ったあの大本営発表そのものじゃないですか。大本営発表に戻しているということじゃないですか、これは。

浜田委員長 時間が来ておりますので、質疑をまとめてください。

後藤(祐)委員 大臣、この大本営発表に戻した責任を最後に問うて、稲田大臣の辞任を改めて申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

浜田委員長 この際、緒方林太郎君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。緒方林太郎君。

緒方委員 民進党、緒方林太郎でございます。

 質疑の前に一言申し上げます。

 先ほどの理事会で、浜田委員長が職権での中央公聴会の開催を強硬に決めました。金田法務大臣、稲田大臣や天下りあっせんなどの問題をこんなに早く幕引きすることは断じて許されないと厳重に抗議をしたいと思います。

 それを踏まえて、質疑に入っていきます。

 きょうは、稲田大臣、南スーダンPKOについて、今の戦闘、衝突、武力紛争、そういったことについてお伺いをさせていただければと思います。

 まず、この表ですが、法律上、戦闘行為というのは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為、そして、PKO法上の武力紛争というのは、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争い、これが戦闘行為のところの武力紛争の中に定義として当てられてくるということだ、そう思うんですね。

 これまで稲田大臣は、南スーダンでキール大統領派とそしてマシャール前副大統領派が戦っていることについては、マシャール副大統領派は、系統立った組織がなくて、支配地域がないので、そもそも国家に準ずる組織に当たらないということを言っておられます。

 まず、幾つか確認しながら質問をしていきたいと思います。

 現在、南スーダンにおいては、PKO五原則におけるところの紛争当事者はいないという理解でよろしいですか、稲田大臣。

稲田国務大臣 委員御指摘のとおり、現在、南スーダンにおいて紛争当事者はいないということでございます。なので、PKO五原則が維持をされているということでございます。

緒方委員 この時点で、南スーダンに今紛争当事者がいない、法令上そういうことになるのはわかりますが、報道等々を見ていて、それが本当に肌感覚に合っているのかというのは、これはまた別途の問題としてあるんだろうと思います。

 その上で、この武力紛争の中で、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いとあって、その前段の国家に準ずる組織でないということなわけですが、では、お伺いしたいのは、現在、南スーダンで行われていることの中に武力を用いた争いというのはあるというふうに思われますか、稲田大臣。

稲田国務大臣 七月のようなあの激しい武力による衝突はありませんけれども、武力を用いた衝突は散見されます。

緒方委員 私、法令上の用語に基づいてしっかりと質問をさせていただいています。武力を用いた争いがありますかということを聞いております。意図的に、武力を用いた衝突と言いかえられましたけれども、私、法令用語に基づいて質問をしているわけでありまして、それで答弁いただければと思います。

 武力を用いた争いはございますか、大臣。

稲田国務大臣 国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いはございません。(発言する者あり)

浜田委員長 稲田防衛大臣、再度答弁願えますか。

稲田国務大臣 法的なことをおっしゃっていますので、私も、PKO法上の武力紛争であるところの国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いはございません。(発言する者あり)

浜田委員長 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 法的に定義されているもの以外について答える立場にないんです。なので、武力紛争……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。静粛に願います。答弁を最後まで聞いてください。

稲田国務大臣 武力紛争に関して、PKO法上に武力紛争という言葉がある以上、その法的要件に当たるかどうかを答えるのが私は国会の議論だというふうに思います。

 したがって、一般的な用語として定義がないことについて私が答える立場にはないというのは、法的な、PKO法上の武力紛争というのは、PKO法上の武力紛争があるということは、まさしく紛争当事者がいるということなんですよ。PKO法上の五原則に反して、すぐさま撤収をするという意味での、この法的な言葉についての議論をしているということでございます。

緒方委員 いや、正直なところ、ここで頭をぶつけると全く想定していなかったんですが。PKO法上の武力紛争、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争い、これに当てはまらないことはわかっています。国家または国家に準ずる組織の間でないから当てはまらないということは、それはよくわかっています。ただ、今起こっていることは武力を用いた争いですかという、それを確認までに聞いているだけです、大臣。

稲田国務大臣 一般的な用語としてはあり得るでしょう。しかし、私は武力衝突という表現をしておりますということです。

緒方委員 ちょっと今、答弁の意味が全くわからなかったんですが、もう一度、簡単に質問をいたします。

 今南スーダンで起きていることは国家または国家に準ずる組織の間でないということは、それを是とするか非とするかはわかりませんが、その理屈についてはとりあえずわかりました、理屈だけは。ただ、武力を用いた争いですかということを聞いているだけです。そんなに難しい答弁ではないと思います、稲田大臣。

稲田国務大臣 一義的な、確立した定義はないので、そういうふうに表現されることについて、私は何らかの異論を挟むものではありません。

緒方委員 先ほど安倍総理大臣が何度か取り上げられた、平成二十四年の野田内閣での主意書答弁なんですけれども、あれはスーダンと南スーダンでの衝突だと思うんですが、それは国または国に準ずる組織の間で行われているわけです。

 それで、それが武力紛争に当たらないということは、武力を用いた争いに当たらないという判断をどこかでしているはずです。どこかでそれをしているはずです。そうでないとおかしいです、論理的に。

 同じような判断ができるじゃないですか。武力を用いた争いなのかどうかということを、平成二十四年に国会で答弁をしたときは、これは武力を用いた争いに至らないと判断したから、武力紛争がなかったと当時は論理的に判断されたんだと思います。そう考えれば、今起こっていることが武力を用いた争いなのかどうかということについての判断はできるはずですよ。だから私は聞いているんです。そんなに難しい答弁じゃないですよ。テレビを見ている人も、何を言っているんだろうと思うと思いますよ。

 今南スーダンで起こっていることは武力を用いた争いですか、どうですか。ずっと同じことを聞いています、稲田大臣。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になった平成二十四年の初めごろ、その当時、衝突で三千人が死亡し、またスーダンから空爆が飛んできて、そして、野党であった我が党は、それは空爆があって、だから、我が党がPKO五原則はどうなんですかと言ったときに、御党が三千人が死亡し空爆があってもそれは武力紛争ではないとおっしゃったということですから、御党にその判断についてお聞きになるべきだと思います、御党の政府に。

緒方委員 別に私はそこの、何が起こったかとか、それをどう解釈したかということについて、それはいろいろな判断があると思います。ただ、私が聞いているのは極めて単純なことでありまして、PKO法上の武力紛争における定義が、定義じゃないですね、これは解釈と言っていますね、定義は存在しないけれどもこういうふうに解しているというのが政府の見解です。その中にある国家に準ずる組織でないからこの武力紛争の定義に当てはまらないということについても、これもよくわかっています。ただ、ここにある、今起こっていること、目の前で起こっていることというのは武力を用いた争いですかという極めて単純なことを聞いているんです。

 稲田大臣、一発で、イエスかノーかでお答えください。

安倍内閣総理大臣 七月に起こったことについては、戦車も出てきているわけでありますから、これは武力を用いた争いと言ってもいいと思います。しかし、もちろん、国、国準ということでは当然ないわけであります。当時は、国でも国準でもないという判断を我々はいたしましたから、PKO五原則は維持されているという判断であります。

 現在起こっていることは、そのような戦車とか大きな砲を用いたものではなくて、小火器等々が中心ではないか、このように考えております。

緒方委員 十四時五十九分から、今、十五時十分でありますが、今総理から一発で明確に答弁が返ってきたわけでありますが、稲田大臣、何でこんなことでこんなに時間がかかるんですか。何でですか。私はたくさん質問を用意しているんですけれども、もう私の質問時間は三分の一ぐらい終わっちゃいました。とてもではないですけれども、これで審議を続けることは本当に難しいですよ。

 総理も、総理が出てくればくるほど、稲田大臣の答弁ができないということが何かクローズアップされるんですよ。

 それを踏まえて、質疑を前に進めていきたいと思います。

 では、これまで、もう何度も言いましたが、南スーダンPKOについての答弁は、マシャール派が国家に準ずる組織ではないという判断から武力紛争が存在しないという理解に立ってきていました。国家に準ずる組織でないという判断は誰がされるんでしょうか、稲田大臣。

稲田国務大臣 PKO五原則に関することですから、政府全体で判断するということでございます。

緒方委員 そうすると、最終的な判断をするのは東京なんですね。

 現地でどういうことが起こっていようが、東京がそれは国家に準ずる組織でないという判断をする限り、現地でどんなことが起こっていようとも、マシャール派が国家に準ずる組織でないという判断をする限りにおいて、武力紛争も戦闘行為も理屈上絶対に出てこないということになると思うんですけれども、それはそれでよろしいですか、稲田大臣。

稲田国務大臣 判断基準がございます。その判断基準にのっとって判断をして、紛争当事者ではない、国または国準ではないとなれば、戦闘行為ではない、PKO法上の五原則は守られている。

 しかしながら、大事なことは、何度も申しますが、自衛隊がみずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができるかどうか、施設隊が有意義な活動ができるかどうか、その点において、どういうことが起こっているか、客観的状況、どんなことが起こっていてもということは全く当たらないと思います。

緒方委員 最後、何が言いたかったのか私にはよくわかりませんでしたが。

 もう一度。私が聞いているのは、現場でどんなことが起こっていようとも、その主体が、主体として例えば系統立った組織が存在しないということ、そして支配地域がないということ、この二つをよく要件で挙げられます。これは外形的に見て大体わかるわけですよね。そういう主体の性質が国家に準ずる組織でないというふうに判断する、それは東京でやる。現場からの情報、そして国連からの情報、いろいろな情報を集めて、東京の方でそれは国家に準ずる組織でないと判断をしたら、現場で何が起こっていようとも、理論上武力紛争はあり得ないし、そして、武力紛争が存在しない以上、戦闘行為もないということになりますよね。法令上、読んだらそうなるに決まっているじゃないですか。だから、それを確認くださいと言っているんです、大臣。

稲田国務大臣 それは憲法上の問題でありますので、理論上判断をしていくということでございます。

 しかしながら、どんなことが起こっていてもということは、やはり自衛隊員が安全を確保して活動できるかどうか、それは非常に大きいんです。その問題と理論的な問題とを分けて言っているということでございます。

緒方委員 いや、私、実際に派遣をするしないの判断、それは今言われたとおりです、有意義な活動ができるかどうかとかそういった判断があるんですが、けれども、それの一歩手前のベースのところで五原則と憲法の話があるわけですよね、それを聞いているんです。

 五原則との関係で、満たされていれば常にPKOを出すというわけではない、それもよくわかります。なので、そのベースのところの話として、国家に準ずる組織でない、いわば外形的に支配地域がないとか組織立っていないとかそういうことを東京で判断すれば、現地で起こっている事象がどんなことであろうが、少なくともPKO五原則との関係では武力紛争が存在をしない、そしてその結果として戦闘行為もないということになりますよねと。有意義な活動ができるかどうかとか、そんなこと、一言も聞いていないです。あくまでも五原則における考え方、そして武力紛争の考え方について聞いております、大臣。

安倍内閣総理大臣 これは、PKOについては官房長官が基本的には主務大臣ということになっておりますから、今、官房長官はおりませんから私が答えますが、PKOを出すか出さないかについては、これは閣議決定をいたしますから、いわば政府として判断をします。いわばPKO五原則にこれはかなうかどうかということについては、政府として判断します。

 しかし、現地の部隊は、日々いろいろな状況が変わりますから、現地で活動ができなければ、現地の部隊の判断で直ちに休止をいたします。そしてその後の政府の判断を待つということになるわけでありますから、我々が決めたらずっと彼らは活動し続けなければいけないということにはならないということでありますが、委員が言われているように、この解釈については、国か国準かという解釈についてはいわば政府が行うということでございます。(緒方委員「全然答えていなかったです。稲田大臣、何か答弁があれば。何も答えていないですよ」と呼ぶ)

稲田国務大臣 憲法上の判断については、政府全体で決めるということであります。

 しかし、現地でどういうことが起こっているか、そして中断や中止、みずからの安全を確保するための部隊の活動、そういったものはしっかりと見ていかなければならないということでございます。

緒方委員 実際に有意義な活動ができるとか、危険が出てきたら撤退をするとか、それはよくわかっています。実際の運用もよくわかるわけですが、私、そうではなくて、PKO法上、法律に基づいた議論をさせていただいています。

 外形的に見て国家に準ずる組織でない、支配地域がない、ゲリラ的なんでしょう、系統立った組織も存在しないという、その要件を満たさない限り国家に準ずる組織に当たらないので、そういうことであれば、しかもそういうことを判断するのは東京です、東京でそういう判断をする限り、現場で起こっていることがどうであろうとも、武力紛争に当たらないし戦闘行為にも当たらない。ただし、それで、当たらないからといって、PKOを継続するとか継続しないとか、それはまた政策判断だと思います。ただ、法的判断として、どんなことが起ころうとも、武力紛争は存在しないし戦闘行為も存在しない、法令上そうなりますよねということを確認までに聞いているんです、稲田大臣。

安倍内閣総理大臣 それは、今お答えをいたしましたように、閣議決定をして出している以上、国、国準が登場したかどうか、いわばそれによって戦闘行為となったかどうかというのは、当然それは政府が判断します。そうでない限り、それは起こっていないということになるわけでありますが、しかし、日々これは変化をするわけでありますから、当然、部隊からまさにリアルタイムで報告は来ておりまして、大きなそごがそこで生じるということは基本的にはない。

 つまり、現地からの情報によって私たちは判断するわけでありまして、現地の情報なしに私たちは判断することはないわけであります。現地の情報が来て、もう既にこれはいわば国準状況ですよ、いろいろ現地で情報収集しますから、それが上がってきて私たちが判断する。勝手に国か国準じゃないかということをむしろ政府を飛ばして現地で判断するということ自体がそれは問題ですから、もちろん我々が判断する。その判断がなされなければ、それはそういう状況ではないというふうに私たちが判断している、こういうことになるわけであります。

緒方委員 そうとかああとか、何かそういう言葉が多かったですけれども、つまり、私の言っていることが多分基本的に理屈の上では正しいという答弁を、今、安倍総理はされたんだと思います、理論上は。実際に部隊が撤退するとかしないとか、そういう話はまたこれから先の話なので。

 そうすると、統幕長の会見等々を踏まえると、今政府が、国に準ずる組織でないとマシャール派のことをずっと言っている、それはもう現地にも伝わっているはずですね。そうすると、現地が今後どんなに戦闘という言葉を使って報告したいと仮に思ったとしても、しかし、東京の方で、それは国、国家に準ずる組織でないんだと認定している限りにおいては、この言葉は使えないわけですよね。使えないですね。

 つまり、東京にお伺いを立てない限り、東京の判断を仰がない限り、戦闘、まあ戦闘行為という言葉を使うことはないと思いますが、戦闘という言葉をこれから使うことはないんだと思うんですよ。そういうことになりませんかね、稲田大臣。

稲田国務大臣 国、国準であるかどうかということも、しっかり現地からの情報、日誌のみならずさまざまな情報を得て、そして憲法上の判断をするわけです。

 また、統幕長は現地に対して戦闘という言葉を使うなとは言っておられません。言っていないです。ですから、現地が自分たちを取り巻く状況についてどのような表現を使うかということは自由ということでありますし、国か国準かということも、未来永劫、国か国準ということが決まるわけではありません。そのときの情勢に応じて判断をしていくわけでありますから、今国準ではないと判断をしたとしても、それは現地の情勢は刻々で変わるわけですから、今判断したことによって現地の日報の表現を拘束するということはあり得ません。

緒方委員 統幕長が言っているのは、大規模な衝突等に置きかえるんですかという質問に対して、混乱を来す可能性があるので、そこはそのように指導いたしましたと言っています。今後は法的意味も含めた戦闘になるということですかと聞いたら、今後そういう言葉が出てきた場合、そういうことになると思いますということで、法的意味も含めた戦闘は混乱を来すということを統幕長は言っておられて、そして、今政府がどういう判断をしているかといえば、マシャール派は国に準ずる組織ではないというふうに言っているので、ここまで言われれば、現地の人は、ああ、これは戦闘というのは使っちゃだめなんだなと、それは当然判断しますよ。

 そういう御指導が入り、かつ、法的な意味も含めた戦闘になるということですかと聞いたら、そういうことになると思いますと統幕長が記者会見で答えていて、そしてそれはもう明らかなことなわけですから、これを全部相まって考えてみると、今後現地が戦闘という言葉を使って報告を上げてくることは、少なくとも現在の現地情勢を、国に準ずる、国家に準ずる組織でないとマシャール派に対して評価を加えている限りにおいては、戦闘という表現はもう上がってこないということですよねと確認しております、稲田大臣。

稲田国務大臣 統幕長の会見、全てしっかり読んでください、都合のいいところだけ取り出すのではなくて。

 そして、戦闘という言葉を使っちゃいけないとは言っていないんです。戦闘行為の意味を指導したというだけであって、戦闘行為を使わないでおけと言ったことは一度もありません。なので、これから戦闘と表現することについて、使っちゃいけないということは言っていないとしっかりこの中で統幕長はおっしゃっておられます。

 したがって、これから先も、現地が今置かれている彼らの立場を、一般的な表現として戦闘という言葉を使うことを禁ずるとか、そういったことでは全くない会見であるということでございます。

緒方委員 間違いなくこれはそんたくが入りますよ。

 そういったことで、質問を先に進めたいと思いますが、我々の聞き取りの中では、現地にも法令担当の方が派遣されていると聞いています。そういった方のいわばチェックを経て、こういった日報というのはつくられているということだと思うんですね。

 法令専門の方がおられるということは、戦闘という言葉がどれぐらい機微かということについてはわかっているんだろうと思います。にもかかわらず、戦闘という言葉を非常に多用してレポートを上げてきておられる、日報を上げてきておられるということは、私、これは想像なんですが、現在の状況は戦闘行為に近い、もしくは戦闘行為そのものだというサインを現地からこちらに送ってきているんじゃないかというふうに私は思うんですよね。相当危ないぞと。

 その現地のサインをもっとしっかりと受けとめるべきではないかと思いますが、稲田大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 現場の部隊は一般的な用語として戦闘を使用しており、法的な意味として、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為と定義される戦闘行為という意味で使用しているわけではないということを確認いたしております。

 その上で、やはり私は客観的事実を見るべきだと思うんです。それをどう表現するかではなくて、客観的事実が何であるかということを見るべきであって、また、国会の場では、法的意味における戦闘行為であるかということをしっかりと議論すべきだと思っております。

緒方委員 私の質問に全く答えていないんですね。

 まさに現場を見るべきだ、そして、現場から明らかに法令に触れそうなぎりぎりのところの表現を使って日報を上げてきているということは、これは相当危ないんだ、そして、戦闘行為に類するか、もしくは戦闘行為そのものが起きているということをわかってくれよということで東京にメッセージを投げかけてきているんじゃないかというふうに思うわけです。

 それについてどう思われますか、稲田大臣。

稲田国務大臣 当時、激しい武力の衝突があったことは事実でありますので、そういった点はしっかりと、PKO五原則とは別に、隊員がみずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができるかどうかというところをしっかり見る材料としなければならないと思います。

緒方委員 私は一つびっくりしたことがありまして、今の質問に対して与党側から、どういう意図かわかりませんが、何か結構やじが飛んできたんですね。結構私は真面目に聞いているつもりであります。現地のもしかしたらこれは魂の叫びかもしれない、それをどう思いますかと聞いたときにやじを飛ばすこの与党、私はこれは異常だと思いますよ。

 最後に一つ、質問をしたいと思います。ああ、けれども、もう質問を終わりますね。時間ですので、しっかりと今後ともやっていただきたいことを申し添えまして、私の質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長 これにて前原君、辻元君、長島君、北神君、今井君、後藤君、緒方君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 私も、陸上自衛隊の南スーダンPKO派遣部隊の日報問題について質問いたします。

 政府は、昨年七月に南スーダンの首都ジュバで発生した大規模な戦闘にかかわる陸上自衛隊の日報を廃棄したというふうに説明してきましたが、この間、防衛省は、昨年十二月二十六日に日報の電子データが統合幕僚監部で発見されたとしております。

 そこで、まず安倍総理に伺います。

 午前中、民進党の辻元委員も取り上げられましたけれども、今国会冒頭の施政方針演説に対する一月二十四日の代表質問で、我が党の志位委員長が、日報を廃棄した自衛隊幹部の行為を是とするのか非とするのか、こうただしました。それに対して総理は、日報自体はあるともないとも言われずに、関係法令及び規則に基づき取り扱い、内容は整理、保存されている、こう答弁されました。

 総理は、この日報の電子データは存在している前提でそういう答弁をされたということでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私の答弁はいわば、御質問が、自衛隊・防衛省が日報を廃棄した、この廃棄したという行為について是か非かという御質問でございましたので、日報は、南スーダン派遣施設隊が、毎日上級部隊に報告を行うために作成している文書であり、公文書等の管理に関する関係法令及び規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けています、なお、日報の内容は、報告を受けた上級部隊において南スーダンにおける活動記録として整理、保存されていると承知をしているというふうにお答えさせていただいております。

 いずれにせよ、行政機関の作成した文書については関連法令等に基づいて取り扱いを行うべきことは当然と考えている、このように答えたわけでありまして、いわば文書としての、紙としての、私の頭にあったのは、廃棄をしてしまった。廃棄をしてしまったということでございましたから、それが電子的に残っているかどうかということについて私は全く承知をしておりませんでした。

笠井委員 一月二十四日当時というのは、まさにこの日報の廃棄ということが大問題になっておりました。だから志位委員長は、廃棄がまかり通れば、組織にとって都合の悪い文書は全て闇に葬られて、国民は南スーダンで自衛隊が置かれている状況について知るすべがなくなる、こういうことでただしたわけであります。そして、それに対して、その日の総理の答弁では、日報についてはあるともないとも言われなかったというのは事実であります。

 ところが、稲田防衛大臣は、先ほど、総理のその当時の答弁を、廃棄が前提で違和感なく聞いた、こういうふうに言われました。

 それだけではありません。総理答弁の翌日ですが、一月二十五日においても、我が党の山下芳生副委員長、参議院議員が防衛省に説明を求めたのに対して防衛省は、ここにある南スーダン派遣施設隊の日報についてということで文書を二枚持ってまいりまして、その二枚目には、日報の廃棄についてということで書かれております。そして、そこでは何と言っているかといいますと、日報について、派遣施設隊から中央即応集団への報告がなされた時点で使用目的を達したと判断し、廃棄されているというふうに説明をしているわけであります。一月二十五日、総理が国会答弁された翌日のことであります。

 防衛省は、国会議員にも事実と違う虚偽の説明を押し通そうとしたのではないか、隠蔽しようとしてきたことは明らかだと思います。責任者である稲田大臣の責任は極めて重いんじゃないですか。大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 まず、日報に関しては、陸上自衛隊の文書管理規則によって、用済み後廃棄となっております。したがって、その規則に従って廃棄をしたということでございますが、私自身も、日報を本当に廃棄したのか、本当に全然残っていないのかということで、指示をして、そして、あった場合には必ず公開するようにということを申し上げました。

 また、この日報を隠蔽する意図も、また内容について隠蔽する必要のないものであったことも、そのとおりでございます。そういう意味において、日報が見つかってから一カ月間、私のところに報告が上がってこなかったことは非常に問題でありますし、また、開示請求が来たときに十分に捜索できなかったことも問題であります。

 また、委員を初め皆様方から指摘されているように、第一次資料の日報を用済み廃棄、そういう規則にしていることはどうなのかという指摘もあります。私としても、しっかりとその目的を達成するというか、ある程度の期間はしっかりと置いておくべきだというふうに考えているところでございます。

笠井委員 国会議員に対して防衛省が明らかに事実と違う虚偽の説明をした、これは隠蔽以外の何物でもありません。

 稲田大臣は、日報にアクセス可能な部局に範囲を広げて探索したところ、統合幕僚監部で見つかったとこの間も答弁、説明をされておりますが、そうやって範囲を広げて探索をしないと出てこないものなんですか。

稲田国務大臣 日報を作成した派遣部隊、さらにはその報告先であるところの部隊において破棄をされたということでありますので、それからさらに範囲を拡大して捜索したということでございます。

笠井委員 今回、当初は廃棄したと言っていた日報の電子データでありますが、実はそれが統合幕僚監部で発見されたというのが説明でありますけれども、その電子データは教訓センターデータベースというところにあったのではないですか。

稲田国務大臣 それは統幕の中にございました。

笠井委員 私の質問に答えていません。

 教訓センターデータベースというところにあったということじゃないんですか。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 統幕のコンピューターの中にあったということでございます。

笠井委員 私が聞いているのは、教訓センターデータベースというところにこの電子データがあったんじゃないかということを聞いているんですよ。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 確認をして、後日答弁させていただきます。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 確認ができておりませんので、確認をして答弁したいと思います。

笠井委員 では、さらに聞きますけれども、この教訓センターデータベースについては、説明した資料が防衛省から私のところに出されております。ここにありますけれども、「南スーダン派遣部隊(展開から地域拡大任務準備まで)に係る教訓要報」というものであります。

 これは、実は二〇一四年に陸上自衛隊研究本部が作成したもので、防衛省が私に提出をして、昨年十月三日のこの予算委員会で、稲田大臣とこの文書をめぐって議論したことがあり、大臣も、現地で何が起きているかを把握する上で重要な資料だと答弁で言われた文書。

 ここに書いてあるんですが、この教訓要報の六ページを見ますと、教訓センターデータベースというのはCGLLDBというふうに呼ばれるもので、過去の派遣や訓練などの教訓が蓄積されており、陸上自衛隊指揮システム等で閲覧可能というふうになっております。

 今回の日報も、そういう南スーダンの現地のことですから、この中にあったということじゃないんですか。だって、そういうシステムがあるんでしょう。そういうシステムが防衛省にあるんでしょう。

稲田国務大臣 通告を受けておりませんので、確認をした上でお答えさせていただきます。

笠井委員 私は日報について聞くということを通告しました。その中で、どういうシステム、システム的にどうなっているのかということについても聞くということを言っていたわけであります。

 そして、防衛省からは、個人的にダウンロードした資料ではなく、組織的にちゃんと持っている資料が明らかになった、こういうことを言ったので、防衛省のシステムに従って私は質問したんです。ここにあるんじゃないですかと聞いた。通告がないという話じゃないんですよ。

 では、さらに聞きますけれども、今回の日報は、現地の派遣施設隊が上級部隊である中央即応集団の司令部に上げたものだということであります。

 ここに、中央即応集団の司令部や各部隊長に発した陸上自衛隊の教訓業務実施要項と題する二〇一〇年三月二日付の通達があります。これまた防衛省が私に提出したものであります。

 これを見ますと、「教訓の作成に必要とする、部隊等からの聞き取りから得られた成果、」など、「作成した教訓は、維持・活用の容易性を考慮し体系的に保管するとともに、適切に管理する。保管に当たっては、不測事態で失われることがないよう複数の媒体の使用に努める。」ここまでちゃんと通達で防衛省が出している、発しているわけですね。そして、さらにこう言っています、「教訓は先人の行跡として真摯に取り扱う態度が肝要である。」とも記されております。

 中央即応集団司令部は、今回の日報も、現地の派遣部隊から上がってきた、これもこの通達に従ってデータベースに入れて、そして体系的に保管する、不測の事態で失われることがないように複数の媒体の使用に努めるということで、そういう手続をとってやった、廃棄していなかったということじゃないですか。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になっているのは、教訓についてだと思います。

 今問題になっている日報に関しては、中央即応集団司令部に報告をすれば用済み後廃棄という扱いになっていたということでございます。

笠井委員 大臣、ちっとも私の質問を聞いていらっしゃらない。

 この通達で言われているのは教訓だからと言われましたが、「教訓の作成に必要とする、部隊等からの聞き取りから得られた成果、」というのは、まさに現地の部隊が、現地で何が起こっているか、どういう情勢か、そして自衛隊がどういう対応をしたかということを含めて、今さんざん議論になっているこの日報、こういうことそのものについて、しっかりと得られた成果としてちゃんと蓄積をする、そういう話じゃないですか。

稲田国務大臣 委員が御指摘の成果報告は、今問題になっている用済み後廃棄の日報とはまた別のものだと思います。

笠井委員 では、どういうものがあるんですか。

安倍内閣総理大臣 これは志位さんにお答えしたように日報の内容ですが、内容は、報告を受けた上級部隊において南スーダンにおける活動記録として整理、保存されているわけでありまして、これはもう既に答弁しているとおりでございます。日報そのものではございませんが、内容については、報告を受けた上級部隊においてそれを記録している、こういうことでございます。

笠井委員 内容というのはこれですよ。モーニングレポートというものですよね。日報をまとめたということでやっているのがこれだという話になっているわけです。私が聞いているのは日報そのものであります。

 防衛省のシステムとして、こういうものが大事だということでずっと蓄積しているんじゃないですか。やっていないんですか。

稲田国務大臣 今問題になっているところの日報につきましては、陸上自衛隊文書管理規則によって、用済み後廃棄ということでございます。

笠井委員 それは現場で廃棄するという話でしょう。それを防衛省・自衛隊としてはちゃんと蓄積するシステムがあるんじゃないですか。

 教訓要報にはこのデータベースについて、「過去の教訓集のみならず、部隊から発信された部隊教訓(成果報告含む。)も多数掲載されている。現在改善している内容の一つに「容易に検索できる機能」があり、例えば、「撤収」で検索すれば、その関係する教訓が一覧で閲覧が可能である。」というふうにあります。

 日報を廃棄したと言いますけれども、そもそもごまかしじゃないんですか。現場の派遣施設隊から中央即応集団司令部に上げられて、閲覧可能なデータベースに蓄積される仕組みになっている。稲田大臣は、二つの部隊になかったから廃棄された廃棄されたと、事実を隠蔽する事務方の説明をまさにあなたはうのみにしているだけじゃないですか。

稲田国務大臣 規則があって、規則に従って廃棄をしているということでございます。

 また、隠蔽の意図もなければ、隠蔽しなければならない内容もないということでございます。

笠井委員 隠蔽しなければならない内容もなかったら、なぜ、今度出してきた日報のデータについて、先ほどから議論になっています黒塗り、墨塗りするんですか。

 ちなみに、この教訓要報自体も一年未満で廃棄扱いになっているものでありますけれども、二年たっているものが私に提出されたんですね。

 そうやって、過去の教訓が蓄積、閲覧可能だということであります。こういうデータベースがあるから、日報も要求したらどんどん出てくる。それで、例えば……(発言する者あり)いや、次々に今出ていますよ。この千六百四十号という日報が出てきました。これは昨年の七月十二日付。これは、二〇一二年の一月に第一次要員が派遣されてからずっと、日々の日報の通し番号。私も計算してみました。千六百四十日目なんですよ。そういう形で通し番号がついている。そういうものじゃないんですか。

 だから、こういうものが千六百四十、あるいは、もうそれから半年たっていますから、もっとあるということでしょう、今。防衛省にちゃんと蓄積されているんじゃないですか。

稲田国務大臣 十次隊のものは、用済み後破棄をしております。

笠井委員 破棄しないで出てきているじゃないですか。データ、ちゃんと日報が出てきているじゃないですか。いまだに廃棄されたものが発見されたなどと言い続けている。まさにシステム自体がおわかりになっていないんじゃないですか。大臣の管理能力自体が根本から問われると思います。厳しく指摘したいと思います。

 では、さらに伺いますけれども、統合幕僚監部が昨年十二月二十六日に発見したと言ってから実に四十四日後の二月七日に初めて公表を始めた日報というのは、毎日の現地の情勢や自衛隊活動などを報告したものです。ところが、部隊行動を隠しているだけではない。今も言いましたけれども、現地であったこと、見たことは、あっちこっちで、この日報の中でいいますと黒塗り、墨塗りになっているわけですよ、こうやって。さっき大臣の言っていたことと違うんですよ。隠す必要はないと言われるけれども、隠しているんですよ、ここだって。まさにそういうことになっている。あっちこっちで黒塗り、墨塗り、マスキングだらけであります。

 では、この日報で、なぜ現地の情勢そのものを黒塗りにするのかというのが私は理解できないんです。

 例えば、首都ジュバの南スーダン反政府勢力のiO関連施設ということについての位置であります。

 昨年の七月十日付、それから十二日付、十三日付ということで、この中には、それぞれ首都ジュバの事態発生位置というのがこういうふうに描かれています。地図になっています。その中で、日本及び国連関連施設というのが薄い青色になっていて、そして政府軍の関連施設が赤くなっていて、そしてiOの、つまり反政府勢力の関連施設が黒になっている、その他が白になっている。こういうふうに色分けされているんですが、この地図を見ても、どこにもこの反政府勢力のiOの関連施設というのが、黒塗りになって、わからないんですよ。見えなくなっている。

 この地図には、直射火器の弾着、あるいは断続的な射撃とか射撃音などとありますけれども、反政府勢力の関連施設というふうに、そういう色分けがあるのに、それは全て墨塗り、黒塗りになっている。なぜ隠すんですか。

稲田国務大臣 不開示としている部分は、開示すれば派遣施設隊の情報収集能力や警備を含む運用体制等が推察され、自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じるおそれがある部分、開示すれば他国もしくは国連との信頼関係が損なわれるおそれがある部分、また、開示すれば防衛省内及び政府部内の率直な意見の交換もしくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある部分であります。その基準にのっとって黒塗りにしたということでございます。

笠井委員 通用しないですよ。政府勢力と反政府勢力が、先ほども議論があったけれども、そのとき武力紛争になっているのかとか、あるいは衝突になっているかとか、基本的な話でしょう、現地の情勢、それが大事だとさんざん言ってきたんじゃないんですか。そういう事実について明らかにしないということばかり、いろいろ何か理由を並べ立てる。

 稲田大臣が報告を受けたと言ってからこの日報を公表されるまでに、さらに十一日間もかかっているわけですね。国民に向けた説明準備ということをしきりに言われてきたけれども、結局のところ、その期間に黒塗り、墨塗りだらけにして隠しておいて、何が国民への説明準備だというふうに言いたいと思うんです。隠すための準備じゃないですか。

 政府は、武力紛争が発生しているか否かは、国家または国家に準ずる組織の間で武力を用いた争いが生じているかだとして、南スーダンの反政府勢力は系統立った組織性を有しているとは言えない、同派によって支配が確立されるに至った地域があるとは言えないというふうに繰り返し言ってきました。

 ところが、この日報にある、現地からの資料にある事案発生位置の地図では、反政府勢力の関連施設、すなわち支配が確立されるに至った領域があって、武力紛争が発生しているのに、それを隠すために黒塗り、墨塗りにしているんじゃないですか。

稲田国務大臣 先ほど申し上げた基準にのっとって不開示部分を指定しているところであります。

 また、今御指摘のマシャール派、マシャール派は組織性を有しているとは言えない、支配が確立されるに至った領域があるとは言えない、また、南スーダン政府と反主流派双方とも事案の平和的解決を求める意思を有していることなどを総合的に勘案して、マシャール派が武力紛争の当事者、すなわち国または国準に当たらないと判断をしたところでございます。

笠井委員 これは、去年の七月、大変なことが起こったときの話です。しかも、これは防衛省の資料ですよ。事案発生位置と書いて、わざわざそこに、色分けして、iOという反政府勢力の関連施設がどこにあるかということが書いてある。凡例と書いてあるんだから。ところが、それを隠しちゃっているんですよ。あるのに隠している。組織立ったものでないとか支配地域でないとか言われるけれども、あるんじゃないですか。それを隠しているということでしょう。

 では、伺いますけれども、大臣、PKO法上の、PKO法で言う武力紛争の定義ということについて規定がありますか。

稲田国務大臣 法律の中に武力紛争という言葉はありますが、法律の中で定義があるわけではありません。

 しかしながら、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いをPKO法上の武力紛争ということでございます。

笠井委員 そういうふうに説明しながら、定義もないのに武力紛争ではないというふうに言い張る。

 現地からの日報ではとにかく戦闘と繰り返し出てきても、河野統合幕僚長はPKO参加五原則に抵触する状況までは至っていないと言い張るという状況でありますが、大臣も繰り返し言えば、政府も言います。事態の態様、当事者及びその意思等を総合的に勘案して個別具体的に判断するとさんざん言ってこられましたが、そういうふうに言われるんだったら、現地の実態を包み隠さず開示すべきじゃないですか。

 委員長、昨年七月のジュバで何が起こったか国民に知らせない合理的な理由は何一つないと思います。陸上自衛隊の南スーダンPKO派遣隊の日報の黒塗りを全て開示して、当委員会に提出するように求めたいと思います。理事会で協議をお願いします。

浜田委員長 理事会にて協議いたします。

笠井委員 この日報については、昨年の九月三十日に情報開示請求があり、防衛省はこれを十月三日に受理いたしました。その後、十二月二日に、防衛省が廃棄していたとして不開示を決定する間に何があったか。十一月十五日には、南スーダンPKO派遣部隊に駆けつけ警護の新任務を付与する閣議決定が行われ、二十日には先遣隊が日本を出発しております。ひたすら新任務付与ありきで南スーダンの危険な現実を国会と国民に隠し続けた、隠蔽した。

 しかも、私が指摘したデータ蓄積の防衛省のシステムも稲田大臣はきちんと把握されていない。こういう大臣に実力組織の指揮を任せていいのか。防衛大臣の資格が問われると思います。私は、辞任すべきが当然だと思いますが、総理、このまま大臣職を続けさせていいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 南スーダンの情勢についても、きっちりと我々は状況を把握しながら判断しているわけでございます。

 稲田大臣も、前任の中谷大臣、あるいは小野寺大臣もそうなんですが、ほぼ全ての大臣は、江渡大臣は短期間だったということもありますが、ほかの大臣は全て現地に行って、しっかりと自分の目で確かめ、現地の自衛隊員から話を聞いて判断しています。

 ちなみに、民主党政権時代、四人の防衛大臣がいましたが、誰も南スーダンには足を運んでいない中において派遣を続けてきたという事実は申し上げておきたいと思うわけでございます。

 その意味において、稲田大臣はしっかりと職責を果たしていただいている、今後とも我が国の防衛政策の責任者として職責を果たしていただきたい、このように考えております。

笠井委員 私は、安倍政権の問題について今ただしているんです。追及しているんです。

 総理は、情勢を把握しながら判断し、適切にやると言われますけれども、今の質問でも明らかになりましたけれども、総理は正面からの代表質問に対しても、日報があるともないとも、はっきりそのとき言わなかった。しかも、国会議員に対しては真実と違う虚偽の説明を防衛省がやっている。そして、隠し立てする、隠蔽をやっている、黒塗りする。

 稲田大臣は、事実の行為として殺傷行為はあったが、憲法九条上の問題になる言葉は使うべきでないということから、武力衝突という言葉を使っているというふうに平然と言われますけれども、憲法だけじゃないです。現場の自衛隊員の命も守れない。まさにそういう点で大臣は直ちに辞任すべきだということを強く求めて、私の質問を終わります。

浜田委員長 この際、赤嶺政賢君から関連質疑の申し出があります。笠井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 日米首脳会談について質問をいたします。

 総理はトランプ新大統領と会談し、日米同盟を一層強化する方針を確認しました。

 総理に伺いますが、今回の会談で、昨年十二月に沖縄で米軍のオスプレイが墜落し、県民の不安が高まっている問題については話し合われましたか。

安倍内閣総理大臣 オスプレイを含め米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であります。

 トランプ大統領とのやりとりを明らかにすることは控えますが、私からは、沖縄の負担の軽減の重要性について私の考えをじっくりと説明したところであり、また沖縄の人々の経てきた歴史等についても説明をいたしました。

 その中において、米軍再編を進めていく中において沖縄の基地負担の軽減を進めていくべきだ、全体面積の〇・六%の面積の中で七割以上の米軍基地が集中をしているという話もしたところでございまして、沖縄の負担の軽減のためにも日米でともに協力をしていきたい、こういうことについてははっきりと申し上げたところでございます。

赤嶺委員 総理は、沖縄について語られるときに負担の軽減、米軍再編、そういう言葉は繰り返しますが、起こったばかりの生々しいオスプレイの事故についてどう語ったのか、全く明らかでありません。

 私は、先月二十七日の予算委員会でこの問題を取り上げました。ところが、その後、今度は中東のイエメンで米軍のオスプレイが墜落をいたしました。関連の報道記事と米軍のプレスリリースを配付させていただいております。

 一月二十九日の未明に、トランプ政権発足後初めての対テロ奇襲作戦が行われました。アルカイダとの銃撃戦になり、一人の米軍兵士が死亡、三人が負傷し、子供たちを含む民間人が巻き添えになりました。今、このことは、アメリカの国内やイエメンで大きな問題になっております。

 このとき、地上の米軍兵士からの救助要請を受け現場に向かったオスプレイ二機のうち一機が、出力を喪失し、激しく地面にたたきつけられました。二人の搭乗員が負傷したとされています。オスプレイは飛行不能となり、米軍のミサイルで意図的に破壊をされました。米軍は、今回の墜落をハードランディング、このように言っておりますが、二〇一五年にハワイで墜落事故を起こしたときにも同じ言葉を使っておりました。

 総理に伺います。

 危険きわまりないオスプレイがこれ以上沖縄の空を飛び回ることは、絶対に許されません。ましてや、市街地のど真ん中にある普天間基地はオスプレイの拠点基地であるわけですが、直ちに閉鎖を求めるのは当然であります。

 政府はこれまで、普天間基地は五年以内に運用を停止する、このように言ってまいりました。今回の会談でそのことは取り上げたんですか。

    〔委員長退席、武藤(容)委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 トランプ大統領とのやりとりの詳細についてはお答えすることは差し控えさせていただきますが、沖縄の負担軽減に関する日本政府の立場については、先ほどもお話をさせていただいたとおりであります。

 そして、仲井真前知事から御要望のあった普天間の五年以内の運用停止については、政府としても、辺野古に移設されるまでの間の普天間の危険性除去が極めて重要な課題であるという認識を仲井真知事と共有したものであります。このため、仲井真前知事からいただいた埋立承認に基づき辺野古への移設を進める中、米国という相手があることではありますが、できることは全て行うとの姿勢で取り組んできたところであります。

 他方、翁長知事はこの埋立承認を取り消し、普天間の移設をめぐる状況は当時と変化しているところでありますが、政府としては、五年以内の運用停止の実現のためには、辺野古移設について地元の御協力が得られることが前提であると考えています。

 いずれにせよ、抑止力を維持し、負担軽減を進めるため、在日米軍の再編をこれまでどおり進めていく考えでありまして、普天間飛行場の危険性についてはトランプ大統領にも説明をいたしました。その中で、事故があってはならないという中において我々は普天間の移設を必ずやり遂げなければならないという中において、辺野古が唯一の解決策であるということにおいては日米で一致したところでございます。

 普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないという方針のもと、約二十年越しの懸案であるこの普天間飛行場の全面返還を実現するために、引き続き全力で取り組んでいく考えであります。

赤嶺委員 五年以内の運用停止というのは、前の仲井真知事と安倍首相とのいわば中間的な合意なんですね。その合意をするときに、辺野古の新基地建設に協力するとか、そんな条件は一切ついていないですよ。

 仲井真知事は、とにかく辺野古を承認いたしましたが、辺野古に新基地がつくられる以前でも、五年以内に運用を停止すべき危険な基地と。そして総理も、できることは全てやると言ったじゃないですか。全てやると言ったのに、ここに来て翁長知事を持ち出して、翁長知事の協力がないからと言うのは、これは理由が通りません。

 今度の訪米に当たって、宜野湾市長が総理官邸を訪ねております。新しいトランプ政権に五年以内の運用停止を要請してくれ、このように宜野湾市長は申し入れております。一切の条件はついていません。ちゃんと話し合ったんですか。

安倍内閣総理大臣 今、翁長現知事と仲井真知事の違いについて説明をさせていただきました。

 仲井真知事は、いわば普天間飛行場の辺野古への移設について基本的には協力をしていただく中においてさまざまな協力をし、それを進めていくために私たちと一緒になって考えるということで、彼の条件を私たちも進めていくということになったわけでありますが、残念ながら現知事は、根本のところで全く御協力をいただけないわけでございます。つまり、一緒に考えることができなくなっている中において、この五年ということは難しい状況になっております。

 しかし、その中においても、私たちは、オスプレイの整備については千葉県の木更津において行う、あるいは訓練については沖縄以外の地域で行うということ等についても、負担の軽減を進めていきたい、こう思っているわけでございますし、事実、空中給油機については、十五機、山口県の岩国に全機移転されたわけであります。これは長年できなかったわけでございますが、地元の理解を得てなし得たわけでございます。

 こういうふうに、私たちは、できることは今全てやるというつもりで全力を尽くしているところでございます。

赤嶺委員 約束したことをやらないで、しかも、運用停止は大事だ、辺野古新基地建設以前に大事だということを、仲井真知事にそのときも総理自身がおっしゃったんですよ。そのときに何の条件もつけていないですよ。やれることは全てやると言った。ところが、五年以内の運用停止ができなくなったから、今度は翁長知事の責任だと言い出す。余りにも無責任じゃないですか、それは。

 自分たちができなかったことを民意に従って勇気を持って県民の立場で主張している翁長知事を批判する立場には総理はないということを、強く申し上げたいと思います。

 それで、普天間基地の五年以内の運用停止ができなくなったら何をやっているか。今政府が実際にやっているのは、普天間基地を使い続けるための大規模改修であります。

 政府は、二〇一三年度から来年度までの五年間で、思いやり予算約五十六億円を投じてさまざまな改修工事を行っています。その一つに、雨水排水施設の整備があります。

 防衛大臣、具体的にどういう事業か説明していただけますか。

稲田国務大臣 現在実施しております普天間飛行場における補修事業については、平成二十四年四月二十七日の2プラス2共同発表を受け、普天間飛行場代替施設が完全に運用可能となるまでの安全な任務能力の保持、環境保全等の目的のために、日本側において、必要最小限かつ緊急性が高いものなど五つの補修事業を実施することとしたものです。

 このうち、御指摘の雨水排水施設の改修については、同飛行場内の既存の雨水排水路の許容量を超える雨水の流入により特に格納庫付近で冠水被害が発生している状況であることから、このような状況を防止または軽減するため、近年の降水量や同飛行場内の既存の排水溝の排水能力を踏まえ、平成二十五年度から調査を実施し、平成二十九年度にかけて、格納庫地区に約五万トンの容量の調整池を整備するものでございます。

赤嶺委員 政府が今、雨水排水施設を設置している場所の問題があります。ここは、戦前、神山という集落があったところです。防衛省の提出資料も配付しておりますが、資料の中で格納庫側と書かれているところです。

 沖縄戦の後、収容所から戻ってきた集落の人たちは、ふるさとを米軍基地にとられ、周辺の狭隘な土地に居を構えざるを得ませんでした。それでも、基地の中には当時の生活をしのばせるウタキ、信仰の場ですね、あるいは墓地、古井戸などが残っていました。屋敷跡もありました。ところが、政府は、今度の雨水排水施設の工事の中で、それらを全部敷きならして新たな施設整備を進めているわけです。

 戦後七十年余り、この地域で雨水排水施設の整備など全く行われてきませんでした。これから返還しようというときに、五年以内の運用停止が言われているときに、なぜ、ふるさとへの思いがこもった集落跡を壊して新たな事業をやるんですか。直ちに中止すべきではありませんか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 工事につきまして大臣から概要を申し上げましたが、先生の御指摘にありました予定地は、神山古集落跡地という文化財が残されている地区であると承知しております。

 このため、宜野湾市教育委員会と調整の上、平成二十七年三月から二十八年三月の間、文化財の試掘調査を実施いたしました。今後、発掘調査を行う予定としております。

 今後、発掘調査を実施した結果、重要な遺構等が発見された場合には、その保存等について、別途、関係自治体と協議してまいる所存でございます。

赤嶺委員 文化財の調査の問題じゃないんですよ。目の前に自分たちが住んでいた集落がある。集落の人たちは、お年寄りから聞き取りをしながら、いろいろ、ここにどんなサーターヤー、砂糖の製糖、小さなものがあったとか、馬小屋があったとか、あるいは村の人が集まる村屋があったとか、それぞれ、文化財以前に、自分のふるさとが目の前にある、もうすぐ返ってくるかもしれない、返ってきたら、自分たちがもといた場所に住める、そこを全部ひっくり返してやっているわけですね、目の前で自分たちのふるさとが壊されていく、こんなのを見て我慢できますか。

 しかも、報道によりますと、防衛省は、二、三年かけて新事業を実施する見通しを示しています。運用停止の期限が二〇一九年二月、この工事はそれを超えるんですよ。もともと、運用停止を五年以内にできなかったのは翁長知事の責任だといいながら、あなた方は、運用停止期限を超える、そういう改修、補修工事、大規模ですよ、やっているじゃないですか。全くやる気がなかったというようなことのあらわれじゃないですか。五年以内に運用停止の約束は放棄したということですね、総理。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 本工事も含めまして、追加的な補修事業については二年から三年程度で完成することを基本といたしまして、現有機能維持を目的とした補修とすることを念頭にいたしておるところでございまして、今御指摘のように普天間飛行場の固定化につながるものとは考えておりません。

 防衛省としても、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないと考えております。引き続き、同飛行場の移設に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

赤嶺委員 あきれた答弁ですよ。五年以内の運用停止の期限である二〇一九年二月を超える工事をやっておきながら、固定化につながるとは考えていませんと言う。こんなでたらめな答弁が許されるはずないんですよ。

 総理も、勢いよく翁長知事を批判するぐらいなら、答弁に立ったらどうですか。答弁に立ちもしないで、批判するようなことは許されないですよ。

 今回の共同声明には、辺野古が唯一の解決策ということが明記をされました。首脳レベルの共同声明に明記されたのは、今回が初めてであります。その目的は、長期的で持続可能な米軍のプレゼンスを確かなものとするため、このように書かれております。

 総理は、戦後の日米安保体制のもとで、米軍に関係する事件、事故が一体どれだけ発生しているか御存じですか。

安倍内閣総理大臣 突然の御質問でございますから、お答えできません。

稲田国務大臣 防衛省が日米地位協定第十八条に基づく損害賠償等業務を実施する上で知り得た米軍による事件、事故の発生件数は、旧安保条約が発効した昭和二十七年度以降平成二十八年十一月末までに全国で約二十一万件であり、うち公務上が約五万件、公務外が約十六万件でございます。

赤嶺委員 戦後、二十一万件以上の事件、事故が発生し、千人以上の人が犠牲になっているわけです。

 ところが、今防衛大臣の答弁で挙げられた数字には、沖縄が本土に復帰する前に発生した事件、事故は含まれておりません。本土から切り離され、米軍の統治下に置かれていたからです。

 私も、総理とトランプ大統領の深夜の記者会見をテレビで見ておりました。トランプ大統領が記者会見で、日本国民が米軍駐留を受け入れてくれていることに感謝する、このように述べたときに、私は本当に胸がどきりといたしました。どこかで聞いたせりふ。私はこの言葉を聞いて、占領下の、米軍将校が私たちの学校にやってきて、皆さんのとうとい犠牲があるから極東の平和と安全が守られる、感謝する、このように繰り返しておりました。

 長期的で持続可能な米軍のプレゼンスといいますが、政府は、一体いつまで沖縄に基地を置き続けるつもりですか。

    〔武藤(容)委員長代理退席、委員長着席〕

安倍内閣総理大臣 我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増しているのは事実でございます。かかる状況に鑑みまして、安保条約と日米地位協定に基づく在日米軍の存在が重要であり、日米同盟を不断に強化していく必要があります。今回の首脳会談で、トランプ大統領との間でこれらを確認しました。

 現在我が国を取り巻く厳しい安全保障環境が残念ながら改善される見通しはなく、長期的がいつまでかということについて、具体的な期間を申し上げられる状況にはありません。揺るぎない日米同盟のきずなをさらに強化していく必要があると考えております。

赤嶺委員 先日来日したマティス米国防長官は、日米同盟は恒久的なもの、このように述べました。戦後七十年以上を経て、耐用年数二百年の新たな基地を建設し、沖縄の基地を恒久化する計画は絶対に認めるわけにはいきません。

 日米同盟を一層強化すると言いますが、軍事対軍事の悪循環に陥ってはならないと思います。大事なことは、周辺諸国との間にある意見の違いやもめごとを一つ一つ話し合いで解決し、東アジアに平和的な環境をつくることであります。危険な普天間基地は直ちに閉鎖し、辺野古新基地はきっぱり断念することを強く求め、質問を終わります。

浜田委員長 これにて笠井君、赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭なんですけれども、本日、日本維新の会としまして、今般の文部科学省の天下り問題、これに関する要請文を松野文科大臣に提出させていただきました。我々は、中央公聴会の日程については否定はいたしませんが、充実した審議を今後も要望するとともに、天下りについては今後こうした事態が二度と起きないよう、先ごろ提案させていただきましたように、大阪府、大阪市の職員基本条例のように一定の外郭団体には一切の再就職をさせない、禁ずる、こういったような抜本的な改革を総理の強いリーダーシップでしっかり実行していただきたいと思いますので、まずこれについて御要望させていただきます。

 それでは、本題の方に入らせていただきます。

 きょうは、総理初め政府として訪米された、そういった観点で集中審議という話だったと思うんですけれども、きょうのお話を聞いていても、南スーダンがどうだとかテロ等準備罪がどうだとか、そういう形で、直接どのくらい関連するんだろうなというふうにちょっと思っていたんです。そういったところを余り、どうこうというような感じのことはちょっと言いたいとは思っていないんですけれども。

 では、トランプ大統領の話を中心にお話をさせていただきたい。その点では、きょうはほとんど経済政策について話がなかったと思っているんですね。トランプ大統領の貿易戦略、こういったものについて少しお話を聞かせていただきたいなと思います。

 まず最初に、この資料を出させていただいて、トランプさんの去年の大統領選のときの提示プラン。簡単に言うと、法人税を一五%に低減するんだというふうな感じのことを言われております。それ以外にも、これはトランプ大統領というところではないかもしれませんが、共和党なんかも貿易政策について税金のことをいろいろと言われております。

 私の分析をここでさせていただきたいんですけれども、この真ん中、中ほどのところに書いてありますところ、「法人税か?付加価値税か?」というふうに書かせていただいたんですけれども、これはどういうことかというと、トランプ大統領はいろいろと、過激と評されるような発言をされていると言われています。ただ、冷静に見てみると、必ずしも何の裏打ちもなくやられているんじゃないんだなということがよくわかると思っているんですね。

 そこで、ここなんですけれども、この「法人税か?」と書かれたところは何かというと、国境税というふうな話をすると、どうしても何か過激な印象を受ける、ただ、中身を見てみると、国境税といいながらこれは何を言っているかというと、輸出企業の法人税を軽減するんだ、そして輸入企業の法人税は引き上げるんだというような感じのことを言っているまでだ。ただ、これも、そうはいいながら、WTO、世界貿易機関から違反だというふうに言われている。

 もう一つ、共和党も言っている話ですけれども、付加価値税、いわゆる消費税ですね。消費税がアメリカの場合はないので、特に世界的にやられているところでいうと、消費税がかかっていたものは輸出する際には後で還付されて返ってくる、これははっきり言って関税と一緒じゃないかというような形で言っていて、これこそ貿易不均衡じゃないかというような形のことも主張されているのかなというふうに私は思うんですね。

 そういう意味で、法人税か、付加価値税かというふうな話をさせていただきました。

 ただ、税還付、これについてはWTOで特例的に違反じゃないというふうに今のところはされているというところなんですね。ただ、この税還付制度が違反ではないんだったら、明確にどうこうというふうに言っていないようですけれども、税還付が違反でないのであれば、さっき私が言いました国境税と言われる、法人税を輸出の方は軽減する、輸入の方は引き上げるというふうな形のことも違反じゃないんじゃないかというような、そういう両てんびんというのか、こっちがいいんだったらこっちもいいだろう、こっちが悪いんだったらこっちも悪いだろう、どっちなんだということをWTOにトランプ大統領は突きつけているんじゃないかなというふうに私は思っているんです。

 そういう意味では非常にクレバーに貿易政策についてトランプ大統領は打ち出されているのかなというふうに私は理解しているんですけれども、これで、麻生副総理にちょっと私の今の話をどう思われたかというところを聞きたいんです。

麻生国務大臣 今のトランプ大統領のいわゆるボーダータックス、国境税の話とか等々は、選挙期間中も言っておられましたし、その後もこの話に触れておられるのも知っていますし、共和党の議員の方々がこの種の話をやっておられるというのは私どもはよく承知をしております。

 ただ、きょうやっと財務長官が承認をされて、きょうの午前九時か九時半だったか何かに、向こうの時間できのうの夕方ですけれども発足したばかりでして、下に誰がついてくるのかがまだ全然、デピュティー、アンダーデピュティーが全く決まっていませんので、私どももちょっと接触のしようもないのでよくわからないんです。したがって、コメントすることはちょっと難しいんですが。

 いずれにしても、どんな経済政策をとられるのか。基本的には、輸出をふやしたい。輸入を減らして、早く言えば、トレードインバランス、輸出入の比較の差が非常に大きいものですから、それを何としても縮めたい。そのためにどうするかというので今は関税のところに目が行っておられますが、主に中国と日本がいろいろ言われましたけれども、中国と日本の貿易は四・五倍ぐらい向こうの方が多いですかね、赤字が。だから、そういった意味ではちょっと比較の対象にもなりませんし、日本とか言われても、日本よりドイツの方が大きかったりしますので、ちょっとそこのところの比較はなかなか難しいんですけれども。

 いずれにしても、まだ始まったばかりなので、今後、ペンス副大統領等とよくよくその種の話はムニューチン財務長官含めていろいろ検討させていただかなければならぬところだと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 なかなか、これからというところでわからない部分が多いんだと思いますけれども、そういうところもしっかり見きわめて。確かに、見ていると、トランプ大統領は非常に駆け引きがうまいと思っております。麻生大臣もビジネスセンスが非常にあられる方でしょうから、しっかりその辺を見きわめながら交渉をこれから先やっていただきたいなと思うんです。

 そこで、少し見ていただきたいんですけれども、二枚目の資料ですね。二枚目と三枚目なんですが、これはちょっと古い資料ですけれども、内閣府の方で出されていた資料をちょっと活用させていただいております。

 先ごろ、法人税をだんだんだんだん下げてきていただいているというふうにいいながら、二〇一二年の資料を見ていると、法人税の負担率、名目GDPと法人税額の比率、これで見ても日本は相当上の方。それから、法人税の依存率、これは税収と法人税額、こういうのを見てみても非常に右側の方にあります。これをだんだんだんだんちょっと真ん中の方へ寄せていかなければならない。

 同じようなものが三枚目。三枚目の方は法人税の負担率と税率水準、これを見ていても日本はまだ右の方、だんだんだんだん右に来ているというところなんです。

 さっきの話の方にこれを見ながら戻るとしたときに、これから先の、トランプ大統領が世界に突きつけている、そういった部分で見ても、法人税のさらなる減税というのは非常に有用なんじゃないかなと思うんですね。

 この一枚目の資料の下の方を見ていただいてもわかるんですけれども、赤いところに、貿易収支の黒字のもとでは、資源輸入それから加工貿易型の日本は、法人税率の引き下げによって、この流れは比較優位、効果大なんじゃないかなと。というのは、この今突きつけているところにしっかり、アメリカがこうやってWTOに突きつけている、これに、流れに乗っていくようなことをしてもいいんじゃないかなというふうに感じるんです。

 先ごろ、私どもの下地委員からも提案がありました。維新案としては、租税特別措置については廃止。研究開発その他について二兆五百億円ぐらいある、それを廃止することによって法人税をさらに引き下げることができるのではないかというふうに考えているんです。

 この辺の話について、総理、一度コメントをいただきたいと思うんです。

安倍内閣総理大臣 今委員が言われたように、租税特別措置をやめて、そして法人税率のさらなる引き下げを行うべきという御提案をいただきましたが、安倍政権については御承知のように成長志向の法人税改革を進めてきました。租税特別措置の縮減と廃止等によって、課税ベースの拡大によって財源をしっかりと確保しつつ、日本の法人実効税率を国際的に遜色のない水準に引き下げたものでございまして、委員の問題意識にも沿った改革を実施してきた、このように思います。

 この法人税改革は、企業が収益力を高めて積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から行ったものであり、まずはこうした成果を見きわめたい。というのも、企業は空前の収益を上げております。我々も、企業側の要望もあり、企業が活動しやすい日本にしていくという中において法人税を下げてきたんですが、確かに収益はすごくたまったんですが、それなりに賃上げもやっていただいております。しかし、まだまだこれはもっとやっていただきたいと思っているんですね。設備投資もそうです。

 そうしたものがどんどん回っていく中において、さらなる法人税の引き下げが必要という状況が来れば我々もさらなるものを考えていきますが、今の段階ではまだまだ、よく財務大臣が言うんですが、こんなに内部留保があるじゃないか、こんなにあるのに法人税を下げるという状況にないね、そういう強い意見も財務大臣を中心にありますので、経済界の皆さんも、そういう強い意見があるということを念頭に、しっかりとこの四月にはおっと驚くぐらいの賃上げをやっていただき、設備投資をどんどんやっていただきたい、このように思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 ということは、ちょっと麻生大臣に聞きたいんですけれども、内部留保の話。

 内部留保の話なんですけれども、一つは、さっきの二枚目、三枚目の資料にあるとおりに、世界の標準にまずしていこうということを言いたいんです。この赤いところが交差している、この真ん中の方にどんどんどんどん寄せていくようなことは、そこまではする必要があるんじゃないかなということなんですね。それはおいておいて、今の内部留保の話なんです。

 麻生大臣が常々言われていると思います、どうやってこの内部留保を何とかするのか。そうはいいながら、日本のROEはまだまだ世界に比べて低い水準かなと思っているんですね。ただ、そこの中で内部留保のことを考えたときに必要なのは何かというと、今検討されていると聞いているんですけれども、内部留保に対する課税ですね。これは二重課税だというふうに言われたりする部分もあるし、なかなか難しいところもあるかと思うんですけれども、そういったところはどういうふうに今検討されているのか、お話しください。

麻生国務大臣 今、御存じかと思いますが、約三百七十兆円を超えております、内部留保総額。もっとふえていると思いますが。この安倍内閣の間に毎年二十四、五兆ふえていっていましたので、この三年間で約七十五兆弱だと思います。それで、うち、どれだけが設備投資に使われたかといえば約八兆、給与、賃金にどれだけ回していったかといえば約三兆ぐらいですかね、そんなものなんだと思います。

 労働分配率で見ますと、特殊用語ですけれども、労働分配率が昔は七八、九あったものが、今は七〇を切って六七、六ぐらいにまで落ちてきている状況にあるという現実を、木下先生の場合は物産におられましたので、物産の内情を僕はそんなに詳しいわけじゃありませんけれども、物産はもっとひどいとかいうことになるのかもしれませんけれども、そこはよくわかりません、私の方は。そこはわからないんですが、そういう大きな企業でそうなっていますので、済みません、これをもうちょっと何とかしませんかと。

 大体、私のような元経営者が労働者側に立って給与を上げろなんと言うのは、ちょっと私の立場としてはいかがなものかと思いつつも、この三年間、ちょっとおかしいんじゃないんですかということを申し上げ続けて、特に総理の方からも激しくいろいろ経団連等々に言っていただいたこともありまして、今、三年で二十四、二十五と申し上げましたが、最初のときはほとんどマイナスだったんだ、それが三年目でやっと三兆になったという話ですから。

 そういった意味では、長い間のデフレマインドというのが極端にしみついちゃっているのがなかなか抜けないんだと思いますので、ちょっとこれを今からというので、ことしの各経済界の方々の正月の挨拶では皆この話に触れておられますので、少しは意識はしておられるということは確かだと思いますけれども、その金を使って設備をしようというところまでいっているか、その金をもっと賃金とかいうのに回そうという気に、そこまで度胸よくいっておられるかというと、労働組合の方も、賃上げはトヨタで三千円とかいうんでしょう。

 ことしの春闘、一発目は三千円というんだから、ちょっとおまえ、三万円ならともかく三千円はおかしいんじゃないのと偉い人に言ったら、そんな度胸よくありませんと言って、組合の方も何かしみついちゃっているような感じがしますから、ちょっと時代が違ってきているんだからという話をやはりよっぽどやらないとなかなか難しいかなと思っております。

 この内部留保の件に関しましても、これはこのままいっちゃうとさらにたまってくる、ことしももっとたまるなんということになるとちょっとゆるゆるですよという話は、上品にお願いしております。

木下委員 ちょっと琴線に触れたようで、長い話だったので、後ろの話が短くなってしまいます。

 もうちょっとなので、もう一つの話なんですけれども、最後のところを見ていただきたいんです。トランプ大統領がもう一つよく言われるのが、移民の排斥じゃないのと言われている。ただ、私が思っているのは、コントロール可能な移民制度、再構築を目指しているんだろうというふうに私は思っています。

 それに対して、先ごろちょっと、これも下地委員の方から話したときに、移民制度のない日本ではというふうに総理はおっしゃられていたんですね。ただ、移民制度のないというふうに言いながら、では、外国人技能実習制度は今どういうふうになっているのと。

 パネルのここの表を見ていただくと、日本再興戦略であるとか産業競争力強化に関する実行計画、これはずっと、人材不足に対して外国人技能実習制度という位置づけがあるかのような書き方をしてきたんですね。私の方から昨年も強く言わせていただきまして、この言葉はなくなってきたんですけれども。

 これを見ていると、法務大臣は、せっかく来ていただいたんですけれども、ここはもう私の方で話しますけれども、あくまでも国際貢献のための制度だと言われていて、国内の人材確保のためのものではないというふうに言われている。そうはいいながら、実態を見てみると、まだまだ人材確保のように見えるんですね。これをどうするべきなのか。

 これから先、外国人の労働力をどうやって確保していくのかというところを、最後、総理の方に聞いて、終わりたいと思います。せっかく大臣やほかの方々に来ていただいたんですけれども、時間がなくて申しわけないです。

安倍内閣総理大臣 労働力人口が減少傾向で推移している中において経済成長を実現していくためには、働き手の確保と生産性の向上が重要であります。

 我が国の活力を維持するためには、あらゆる場で誰もが活躍できる全員参加型の社会を構築することが必要と考えていますが、その上で、外国人労働者の受け入れについて申し上げれば、専門的、技術的分野の外国人は我が国の経済社会の活性化に資するという観点から積極的に受け入れてきております。

 今後の外国人材受け入れのあり方については、経済社会基盤の持続可能性を確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ、内容の具体化を検討していく考えであります。

木下委員 これからももう少し明確にこの辺を論議していきたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いします。

 ありがとうございます。

浜田委員長 この際、松浪健太君から関連質疑の申し出があります。木下君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松浪健太君。

松浪委員 日本維新の会の松浪健太であります。

 総理また麻生大臣におかれましては、今回、日米首脳会談の後にこうした長いお時間、まことにお疲れさまでございます。

 さて、きょうもTOC条約そして南スーダンの問題にかなりの時間を割かれましたので、私の方はハーグ条約、トランプ新大統領のもとでいかなるハーグ条約の適用があるのかということを議論させていただきたいと思います。

 ハーグ条約は、外務省の言葉で言うと、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約というふうに言われますけれども、これは家庭の問題ではなく、まさに国際的な問題になっているものであります。日本の中では子の連れ去りと言われますけれども、アメリカの中ではこれは誘拐罪、そして国際問題になったときには拉致問題と同じくアブダクションという大変強い言葉が使われます。ですから、一時は、子の連れ去りによって、FBIとかインターポールによって子供を連れ去った日本の母親が国際指名手配されるというようなことまで起きた、非常に大きな問題になり得るものであります。

 特に男性の場合が多いわけですけれども、DVはあってはならないんですが、DVをでっち上げられたとされる方も多いわけであります。これは、日本の国境をまたいだ瞬間に、外国人の場合もあれば、日本人の場合も、同じように悲劇が繰り返される。

 私、SNSを見ておりますと、この二月の頭にも、自分はDVはでっち上げなんだとおっしゃって、敗訴されて苦しんでいた方が自殺をされたというような痛ましい記事がSNSの上にも載っておりますし、この問題、我が国もハーグ条約を二〇一四年に結んでから随分たつわけですけれども、これは何とイタリアにも伝播をしておりまして、一月六日付のイタリアのスタンパ紙というナショナル新聞に、日本に連れ去られてこれがどうしようもない、ハーグ条約と日本で運用されているルールが余りに違うじゃないかと、このダブルスタンダードを問う声も出ているわけであります。

 こうした中で、私が今回注目をいたしましたのが、アメリカで二〇一四年の七月に成立をいたしましたショーン・デービッド・ゴールドマン、子の奪取の予防及び返還法というアメリカの法律であります。

 この法律を私も見て非常に驚きました。皆さんには資料でお配りをさせていただいておりますけれども、この中には、子が誘拐されたということであれば、安全保障関連支援の撤回、制限または停止というようなところまで踏み込んでいるわけであります。

 トランプ政権になって、オバマ政権だとここまでのことはないなと私は思いますけれども、外務大臣にまず伺いますけれども、理論的にこの安全保障関連支援は日本に適用されるものなんでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のショーン・デービッド・ゴールドマン、子の奪取の予防及び返還法ですが、ハーグ条約や米国との二国間の枠組み上の義務を履行しない国に対して、国務長官が一定の条件のもとでとり得る措置を定めています。資料のとおりであります。

 そして、開発援助や安全保障関連支援の停止、二国間の要人訪問の延期または中止、こういった措置もその中に規定されていますが、これまで米国が外国に対しこれらの措置を実施した例はないと承知しております。

 そして、我が国が適用される可能性についての御質問ですが、政府としては、我が国はハーグ条約上の義務を真摯に履行していると考えており、また米国による不履行のパターンを示す国にも含まれておらず、同法が二国間の要人訪問及び我が国の安全保障に影響を及ぼすことは考えにくいと理解しております。

松浪委員 ちょっと、大臣がおっしゃった答弁は楽観に過ぎるのではないかなと私は思います。

 この問題、今でも火を噴いておりますし、ただいま私が申し上げましたイタリアにも伝播をしているというようなこともありまして、私は、まだまださすがに安全保障にはいきませんけれども、確かに八段階あって、今までアメリカは二段階までやっているということは伺っております。しかし、四段階では実務、公式、国賓訪問の延期等もありますので、私は、やはりこうしたものは真摯に受けとめて、しっかりとこれを国際ルールにのっとって運用していくということが大事であろうかと思います。

 そして、先ほどのイタリアの例でありますけれども、彼はドイツでお子さんを二人もうけて、日本人の奥さんがいたそうであります。このお子さんを日本に一旦連れて帰って住み出して、住み出すことによって、ここのときに連れ去られたので子供と一切会えなくなってしまった。二〇一五年、ハーグ条約が我が国で発効してからの話でありますけれども、会えない。もしドイツで奥さんが連れ去っていたら、奥さんがドイツで連れ去っていた場合には、この場合にはすぐにドイツにもう一回戻されるということになる。これを継続性の原則というように言いますけれども、我が国はこれがダブルスタンダードだから、イタリアの場合も大変問題になっているわけであります。

 そこで、政府に伺いたいと思いますけれども、この継続性の原則、ハーグ条約においても、そしてまた国内においても同じようにこれは準用されなければならないと私は思いますけれども、御見解を伺います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 裁判所が親権者や監護者の指定をする際の基準として、親子の心理的な結びつきを重視し、それまでの監護状態を継続させることが子の利益にかなうという考え方があり、御指摘の継続性の原則はこのような考え方を指しているものと思われます。

 もっとも、実際の裁判実務においては、それまでの主としてその子を監護してきた者が誰かということのほか、父母側の事情といたしまして、それぞれの養育能力ですとか子に対する愛情あるいは熱意、居住環境、面会交流に対する姿勢、監督補助者の有無といった点、さらには子の側の事情としまして、その年齢、心情や意向などの諸事情を総合的に考慮して判断がされているものと承知しております。したがいまして、御指摘のような考え方のみによって親権者または監護者の指定がされているわけではないものと認識しております。

 また、ハーグ条約の実施法においても常居所地国に返還するということになっておりますが、この点は、ハーグ条約の考え方に基づいて、子の親権や監護権に関する事項は子のもとの居住国において決定されるべきであるとの考え方に基づいて判断しているものでございます。したがいまして、先ほど御説明しました国内の事案における取り扱いがハーグ条約やその実施法の趣旨に矛盾するものではないと理解しております。

松浪委員 済みません、この問題は私は総理にたしか通告を出していたはずでありまして、長い答弁はちょっと控えていただきたいんです。

 総理に改めて伺いますが、先ほどのイタリア人の例で私は申し上げましたけれども、日本に住み始めてから連れ去られる、そのときのパターンと海外から連れてこられた場合は、ハーグ条約の場合は六週間以内にもとのところに戻すということになっていますけれども、こうしたダブルスタンダード的な継続性の原則を運用するということは私はあってはならないと思いますけれども、端的にお答えください。

安倍内閣総理大臣 ただいま民事局長から答弁させていただきましたが、裁判所が親権者の指定等をする際には、これまで誰が監護してきたのかという事情だけではなく、個別の事案に即して、さまざまな事情を総合的に考慮して判断がなされているものと認識しています。

 いずれにしても、この問題については、両親が離婚する際にどちらの親を親権者とするのが子の利益に資するかということを最も優先して考慮し、判断がなされることが重要であると考えております。

松浪委員 今の答弁では、先ほどの自殺をされた方も全く報われないなと私は思いますよ。こうした皆さんは本当に、日本の裁判所は特に海外と比べてこの継続性の原則を余りに重視し過ぎるからこうした判決が起きてくるということを私は御認識いただきたいと思います。

 その関係で、次の質問に移りたいと思います。

 実は、子の連れ去りに関する裁判があります。こうした裁判がある中で、先般、私はDVはあってはならないと思いますよ、DVはあってはならないけれども、こうしたDVの女性をかくまうNPOがあるわけでありますけれども、これの講演には内閣府が委託事業で行っているものがあります。

 皆さんにお配りをいたしましたのは、ビジネス誌のリベラルタイムの三月号でありますけれども、後段、後ろから二段落目にありますけれども、昨年行われた相談員研修会でNPOの方が、DVのこうした判決が許せないということで署名活動を行ったと。内閣府主催の講演会で講師がこうした委託事業の直後に、これはある役所の中で行われたことであります。

 私は、こうしたことは委託事業である以上、一度内閣府の方に問い合わせたところ、内閣府の方は最初、木で鼻をくくったような答弁で、時間外だったらいいんだとか言いながらも、二月八日の日から、私が問い合わせた日から今調査をいただいているようでありますけれども、このパターンがどうであれ、これをやった方は内閣府にはやっていないとおっしゃっているらしいですけれども、この事例がどうであれ、一般論として加藤大臣に伺いたいんですけれども、内閣府が委託する事業の後にこうした政治的な活動がなされていいものかどうか。大臣に伺います。

加藤国務大臣 内閣府では、いわゆるDV被害者の支援に関する研修や性犯罪被害者の支援に関する研修などを企画、実施しております。

 委員の御指摘の研修は、内閣府が外部に委託して実施している東日本大震災による女性の悩み・暴力相談事業の一環として、岩手県における再委託先である岩手県の民間団体が実施した研修会の事例だというふうに承知をしております。

 詳しい事実関係は今確認中でありますけれども、いずれにしても、国費で実施する研修の会場において、しかも国が借りている時間帯において、たとえ研修終了後であったとしても署名を求める行為が行われるようなことは望ましくない、こういうふうに考えています。

松浪委員 加藤大臣、ありがとうございました。

 先般私が役所に問い合わせたときとは打って変わって、加藤大臣、さすがに御見識を示していただいたものと感謝を申し上げます。こうしたことが今後ないように善処いただきたいというふうに思うわけであります。

 それでは、時間も余りありませんけれども、TPPの問題、総理はトランプ大統領に随分と御説明をされたということであります。私も、さきの国会のTPP特別委員会ではこの場に立って怒号の中で賛成討論を読ませていただいた者として、TPPへのトランプ新政権の対応を大変残念に思っておりますけれども、そもそもトランプ大統領は今、バイラテラルな二国間の協定をやっていくんだと言っております。

 しかしながら、もともとこのTPPの話ができたのは、二国間協議が余りにぐちゃぐちゃになっていく、余りに多くの二国間があるといろいろなルールが乱立して結局経済性が担保されない、これをバグワティさんという学者さんの言葉でスパゲッティボウルというふうに言うわけでありますけれども、このスパゲッティボウル状態について、これが望ましい姿なのかどうか、まず基本的な認識をいただこうと思います。

安倍内閣総理大臣 委員が今御指摘になられたように、異なる協定が多数存在して複雑に絡み合うことでいわゆるスパゲッティボウル現象が生じ、企業の管理や手続コストが上昇し、最適ビジネス展開を阻害するといった指摘があることは承知をしています。

 これに対して、TPP協定を初めとする広域の経済連携協定には、ルールの統一を通じ、適用されるルールを明確にし、手続を簡素化することで、複数の国にまたがって形成されるサプライチェーンのコストを引き下げ、海外展開する企業の負担を減らし、そして消費者にも恩恵をもたらす等のメリットがある。こうした観点から、我が国としては、TPP協定に結実した成果を基礎として、日・EU・EPA、RCEPなどの広域の経済連携協定を積極的に推進していきたいと思います。

 特に、中小企業等にとっては、一つ一つの国が全部違うとなれば、そこで広域に仕事をしようとしても非常に手続が大変ですし、かかる事務的なコストもあるわけでございます。そうしたこと等も含めて、米国には粘り強く説明をしていきたいと考えております。

松浪委員 午前中に麻生大臣が答弁をされておりましたけれども、もう一回TPPを結ぶと三年かかる、三千人入れかわっているんだからと。まさに米国はリボルビングドアなので、なかなか前回に戻していくというのは大変な作業だと思いますけれども、それであれば、今回は初めてなので当然トランプ大統領の出方を見なければわからないというのもありますけれども、個人的にはやはり、TPPイレブンとか打って、十二カ国から米国抜きというふうに切りかえてやるべきじゃないかと私自身は思っております。

 それはやはり、私は、アメリカが今抜けた後で、この地域で日本がリーダーシップを発揮していくチャンスなのではないかと。少なくともこうしたときに、結局、我々が米国抜きのTPPをやっていると浮かび上がってくるのは、アメリカはやはり損をしてしまうねということであります。

 例えば、牛肉について我々がアメリカ抜きのTPPをやれば、オーストラリアやニュージーランドの関税は九%になって、アメリカは三八・五%のままであって、やはりアメリカは困る。そして、農家なんかも、正直言って、アメリカが抜けてくれればミニマムアクセスが、結局アメリカの輸入枠がなくなって農家の人は喜ぶんじゃないかなとさえ私は思うわけでありまして、こうした柔軟な思想が必要だと思います。

 この点においては、総理も今回はまだアメリカと初めての関係を築いていく中であってはなりませんが、我々議会の人間が、議員がやはりこうした新たな選択肢を今から示しておくことが大事だと思います。政府においてもTPPイレブンというか米国抜きという枠組みはやはりこれからも選択肢の一つとして置いておいていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

浜田委員長 安倍内閣総理大臣、時間が来ておりますので、よろしくお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 はい。いわば日本にとって最善の道は何であるかということを、米国は残念ながらTPP離脱ということを表明しているわけでありますが、TPPについては日米で主導して、フェアで公正なそして自由な経済圏をつくった、そういうルールをつくり上げたわけでありますから、それを広げていきたい。

 残念ながら米国はそういう状況にはなっておりますが、その中で我々は、何がベストか、最善かということをある意味では柔軟に考えていきたいと思っています。

松浪委員 前向きな御答弁をありがとうございました。

 終わります。

浜田委員長 これにて木下君、松浪君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。

 平成二十九年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じます。

 公聴会は来る二月二十一日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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