衆議院

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第13号 平成29年2月20日(月曜日)

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平成二十九年二月二十日(月曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 石田 真敏君 理事 菅原 一秀君

   理事 西村 康稔君 理事 葉梨 康弘君

   理事 宮下 一郎君 理事 武藤 容治君

   理事 大西 健介君 理事 長妻  昭君

   理事 赤羽 一嘉君

      赤枝 恒雄君    赤澤 亮正君

      伊藤 達也君    池田 道孝君

      石崎  徹君    石破  茂君

      今枝宗一郎君    岩田 和親君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      大串 正樹君    大西 英男君

      大野敬太郎君    奥野 信亮君

      門  博文君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    熊田 裕通君

      國場幸之助君    佐田玄一郎君

      鈴木 俊一君    中村 裕之君

      中山 展宏君    長尾  敬君

      長坂 康正君    根本  匠君

      野田  毅君    野中  厚君

      原田 義昭君    平口  洋君

      福山  守君    星野 剛士君

      牧島かれん君    宮川 典子君

      保岡 興治君    山下 貴司君

      山田 賢司君    若狭  勝君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      今井 雅人君    小川 淳也君

      緒方林太郎君    逢坂 誠二君

      落合 貴之君    後藤 祐一君

      玉木雄一郎君    中島 克仁君

      福島 伸享君    前原 誠司君

      升田世喜男君    本村賢太郎君

      伊藤  渉君    真山 祐一君

      吉田 宣弘君    高橋千鶴子君

      畠山 和也君    井上 英孝君

      伊東 信久君    浦野 靖人君

      椎木  保君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         金田 勝年君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       松野 博一君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       山本 有二君

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣         山本 公一君

   防衛大臣         稲田 朋美君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 鶴保 庸介君

   国務大臣         加藤 勝信君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   財務副大臣        木原  稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    佐川 宣寿君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     鍜治 克彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (特許庁長官)      小宮 義則君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田村明比古君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛装備庁調達管理部長)            井上 一徳君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     若狭  勝君

  石崎  徹君     宮川 典子君

  石破  茂君     今枝宗一郎君

  岩屋  毅君     山田 賢司君

  衛藤征士郎君     大西 英男君

  奥野 信亮君     熊田 裕通君

  門  博文君     福山  守君

  黄川田仁志君     赤枝 恒雄君

  根本  匠君     牧島かれん君

  原田 義昭君     中山 展宏君

  保岡 興治君     大野敬太郎君

  山下 貴司君     岩田 和親君

  井坂 信彦君     本村賢太郎君

  今井 雅人君     中島 克仁君

  小川 淳也君     落合 貴之君

  辻元 清美君     升田世喜男君

  福島 伸享君     逢坂 誠二君

  國重  徹君     吉田 宣弘君

  赤嶺 政賢君     畠山 和也君

  井上 英孝君     浦野 靖人君

  伊東 信久君     椎木  保君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     黄川田仁志君

  今枝宗一郎君     赤澤 亮正君

  岩田 和親君     山下 貴司君

  大西 英男君     衛藤征士郎君

  大野敬太郎君     保岡 興治君

  熊田 裕通君     奥野 信亮君

  中山 展宏君     長尾  敬君

  福山  守君     門  博文君

  牧島かれん君     根本  匠君

  宮川 典子君     石崎  徹君

  山田 賢司君     中村 裕之君

  若狭  勝君     池田 道孝君

  逢坂 誠二君     福島 伸享君

  落合 貴之君     小川 淳也君

  中島 克仁君     今井 雅人君

  升田世喜男君     辻元 清美君

  本村賢太郎君     井坂 信彦君

  吉田 宣弘君     國重  徹君

  畠山 和也君     赤嶺 政賢君

  浦野 靖人君     井上 英孝君

  椎木  保君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     石破  茂君

  池田 道孝君     神山 佐市君

  中村 裕之君     岩屋  毅君

  長尾  敬君     原田 義昭君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     伊藤 達也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における会計検査院当局者出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算、平成二十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官宇山智哉君、文部科学省初等中等教育局長藤原誠君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官鍜治克彦君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、特許庁長官小宮義則君、国土交通省自動車局長藤井直樹君、観光庁長官田村明比古君、防衛省大臣官房審議官西田安範君、防衛省大臣官房審議官鈴木敦夫君、防衛省整備計画局長高橋憲一君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛装備庁調達管理部長井上一徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。

江藤委員 おはようございます。自由民主党の江藤拓でございます。

 お時間をいただきまして、議員の皆さん方、先生方、大変ありがとうございます。

 まずは、安全保障問題について防衛大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 四カ月ぶりに北朝鮮がミサイルを発射いたしました。首脳会談ではトランプ大統領が、北朝鮮の核、ミサイルの脅威はベリー・ベリー・ハイ・プライオリティー、そういう発言をした次の日であります。

 高高度に打ち上げて迎撃を困難とするロフテッド軌道というものではなかったとはいえ、報道によりますと、北極星二号、これは大出力の固形燃料を使用して、大型キャタピラ車に搭載され、機動力は格段に向上している。日本にとっては極めて脅威。ぴゅっと出てきて、ぱっと撃って、ぱっと逃げていく、これは非常にやばいものが出てきたということであります。

 そして、それに対応して日本の体制がどうなのかということであります。北朝鮮から飽和攻撃とかミサイルを発射されて、この脅威から我が国を守るには相手の基地をたたくしかほかに方法がないというふうに判断された場合も、日本にはその力がない、米軍に頼るしか方法がないということであります。

 法理上は憲法が認める自衛権の範囲に含まれるとしながらも、自衛隊はそもそもその装備を保有しておらず、保有する計画もない。果たしてこれでいいのかということを少し議論させていただきたいということです。国は国民の生命と財産を何が何でも守らなければなりません。その最大の責務を果たすために今何をすべきか、これは党派を超えてぜひ議論させていただきたいというふうに思っています。

 このミサイル発射を受けて、日米首脳は間髪入れずに共同声明を発しました。安倍総理は、断じて容認できないと発言をされ、それに呼応してトランプ大統領も、米国は偉大な同盟国日本を一〇〇%支持すると述べました。これは両首脳間で良好な人間関係が形成された結果だというふうに私は評価いたしております。

 日米韓の外相会談でも、これまでで一番強いトーンで非難をされました。この問題に対処するためには、北朝鮮問題、三つの国の緊密な連携が欠かせないというふうに考えております。

 断定的なことを言うのは避けなければなりませんけれども、どうも報道によると、金正男氏は暗殺されたというふうに言われております。これがもし事実ということであれば、我々日本人にはとても理解のできない、理解の範疇を超えたことが今起こっているということであります。我々は、日本を取り巻く国際情勢がこれまでになく予見不可能であることを認識せねばなりません。

 中国の動き、これも目を離すわけにはいきません。

 昨年十二月には、中国海軍の空母遼寧が殲15戦闘機の空中戦及び空中給油訓練を実施いたしました。その後、フリゲート艦と駆逐艦の艦隊に守られて、二十六日には沖縄、台湾沖を通過、太平洋に進出、そして問題の南シナ海に入りました。

 そして、ことしに入って、この週末、アメリカは、カールビンソンを中心とする米艦隊が南シナ海で定期的なパトロールを開始する、これは我々にとってはいいニュースだと思いますが、これを発表いたしました。アジアにおいてアメリカ軍が関与を強める姿勢を明確に示したものであって、トランプ大統領になって、二〇一三年にオバマ大統領がもはやアメリカは世界の警察官ではないというふうに宣言をされましたけれども、目に見える行動を伴った変化がもう出てきているんじゃないかというふうに私は思っています。

 尖閣諸島に関して、日米安全保障、第五条の適用範囲であると共同声明に史上初めて明記されました。これはすごいことですよね、大臣。すごいことだと思っています。これが早速効果を発揮したんだなということもちょっと感じております。

 中国では、さらなる空母戦力の増強、次期世代のステルス戦闘機殲20、こういったものの開発が進み、軍事力は拡大の一途をたどっております。こういうことを考えれば、麻生大臣が今回編成されました防衛予算は増額でありますけれども、これは非常に理にかなったものだというふうに思っております。

 これらの諸般の情勢に関して大臣はどのような御認識をお持ちなのか、質問させていただきます。

稲田国務大臣 まず冒頭、委員から、北朝鮮のミサイルについてお話がありました。

 北朝鮮による昨年の二度の核実験及びこれまでに例のない頻度での弾道ミサイルの発射、まさしく新たな脅威の段階に入っていると思います。

 北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上に関しては、現行の防衛計画の大綱で、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図ることといたしております。具体的にいかなる体制をとるかについては、専守防衛、日米同盟の強化という大前提のもとで、国際情勢の変化に応じて国民の生命と財産を守るために何をすべきかという観点から常に考えてまいりたいと考えております。

江藤委員 大臣から、新たな段階に入ったという御答弁をいただきました。

 専守防衛、これは守らなければなりません。私も同感であります。そして、日米同盟、これがやはり基軸であるということもまさに同感でありますので、ぜひこのことをリーダーシップをとって頑張っていただきたいと思います。

 大臣は、私は頑張っていると思いますよ。二月の四日、あのタフガイ、マティスさんがやってこられました。四十四年の軍歴、将軍の中の将軍、あの方と対等に堂々と対峙をされて、長官からは、在日米軍駐留経費について、日本はコストや負担の共有に関してモデルとなってきたという言葉を引き出されました。これは高く評価されるべきだと思います、正当に。

 政府は、沖縄の負担軽減のためにさまざまな努力を重ねています。それでも七〇%の基地が沖縄にある、このことは日本国民は常に忘れることなく胸に刻まなければなりません。大変な負担をいただいているということであります。

 それに対応して、国内体制についてお話をさせていただきたいと思います。

 私の地元には、新富町に航空自衛隊新田原基地があります。新田原基地は、昭和三十二年に開設されて以来、基地は拡張され、部隊の改編、日米共同訓練などいろいろなことがありましたけれども、住民は、国の防衛を深く理解して、ジェット機の騒音にも耐えて、これまで騒音訴訟など一度もしたことがありません。基地との共存共栄に努めてまいりました。これには司令以下基地の隊員の努力があったことは言うまでもありません。

 しかし、その間、平穏無事だったかというと、そんなことはありません。昭和六十一年には、西都市の民家にジェット機が墜落しました。パイロットは死亡、住宅の住民二人も全身大やけどの重傷を負いました。その後も、燃料タンクの落下、大きな部品が落ちてくる、いろいろな事故が起こっています。

 この新田原基地は、全国で唯一、住宅街に囲まれている基地なんですよ。そういった事情もわかっていただきたいと思います。平成二十七年十月から平成二十八年九月までの一年間でも、確認されているものだけでも二十一個の部品の落下が確認されています。地域住民は、日々不安のもと、何となく、何か落ちてくるんじゃないかという状況の中で暮らしているということをわかっていただきたいと思います。

 このことを防衛大臣としてどのように受けとめられるのか、御見識を伺います。

稲田国務大臣 航空自衛隊新田原基地は、第五航空団が自衛隊機を運用するなど、我が国の防衛にとって欠かせない重要な基地です。また、平成十九年度より米軍機の訓練移転にも御協力をいただいておりますし、一方で、委員御指摘のような墜落事故また落下事故が起きております。

 防衛省としては、これまでの地元の皆様の多大なる御理解と御協力に対し深く感謝申し上げるとともに、今後とも新田原基地の円滑な運用を行っていくため、地元自治体等と緊密に連携し、安全対策、騒音対策等に誠意を持って対応してまいります。

江藤委員 ありがとうございます。

 しっかり御認識をいただいておりました。深く感謝をするというふうに言っていただきました。円滑な運営に努める、緊密に連携すると言っていただきました。そして安全にも配慮すると。そのような方針でぜひよろしくお願いします。

 そういうことでありますから、地域の人たちは、今は防音区域に入っていないけれども、次は自分たちの区域が採択されるということを信じて、国を信頼して、騒音区域の拡大と告示後住宅への助成策を繰り返し国に要望してまいりました。

 これに国はこれまでしっかり応えてくれました。昭和五十四年、五十六年、五十八年、平成五年、平成十五年、告示がなされてきましたが、いずれの場合も区域は拡大してきました。拡大してきたんです。

 ところが、昨年十二月、防衛省より、騒音区域を拡大するどころか、大幅に縮小いたしますという見直し案が示されました。びっくりしました、本当に私も。えっという感じでありますよ。

 内容を申し上げます。住宅防音工事の対象区域である第一種区域は、面積で一万二千ヘクタールが半分の約六千ヘクタールに、対象世帯は一万四千世帯が九千世帯に縮小されるという驚くべきものであります。第二種区域は多少広がりますが、全体として、とてもじゃないけれども、地元の方々がああそうですかと理解できるような内容ではありません。

 このことによって重大な事態が発生しかねないということを私は危惧しております。それは、基地の運営上最も大切なこと、その基本は、地元との共存共栄ですよ、相互理解、これにひびが入りかねないということです。

 新田原基地では、毎年十二月に航空祭が開催されます。ブルーインパルスもやってきて、アクロバット飛行なんかもします。私も毎年行きます。全国から十万人を超える航空ファンの方々が新富町にお越しになります。

 これが発表されて、地元の方がどうしたか。地元の方々は、せっかく全国の方が来るんだから、自衛隊の基地の玄関の前にバリケードでも張るか、ピケを張るか、むしろ旗を立てて抗議しよう、そういう声もあったんですよ。でも、自治体の長は、私も少しは働きましたけれども、そういうことはやめてくださいということで、何とかこらえてもらいました。これは政治の責任なので、基地の隊員が悪いわけではありませんから。

 しかし、そのときに行われた式典では、初めて、周辺市も町も、町長さん、議長さん全員欠席、国会議員も私も含めて誰も出席しないという非常に異例な式典となってしまいました。前代未聞であります。

 そして、年が明けて一月、その新富町で例年の賀詞交歓会が行われました。私も行ってきました。一番の来賓は基地司令ですよ、何といったって。新富町の盟主は基地司令です。その熊谷司令が毎年と違って何となく肩身が狭そうにぽつんと座っている姿を見て、本当に私は彼に申しわけないというふうに思いました。ですから、私も来賓の挨拶で、司令、君にそういう肩身の狭い思いをさせて申しわけない、地元の政治家である私がぼやっとしていたからこういうことになって、君に肩身の狭い思いをさせておるというふうに彼にもその場で謝ったことを今思い出しております。

 新田原基地では、国を守るんだという高い志を持って日々訓練に精を出している隊員諸君がいるわけですよ。この人たちが地域に暮らしているんです、千六百人も。この人たちが日常の暮らしの中で地域住民と人間関係がもしぎくしゃくするようなことになると、本当に申しわけないじゃないですか、かわいそうじゃないですか。こういうことは絶対起こしちゃいけないということを申し上げておきます。

 ちょっと長くなりましたが、さらに申し上げます。飛行回数について話をさせていただきます。

 新富町の計測では、平成二十七年は三万九千九百三十七回です。しかし、防衛省の発表では二万四千六百三十二回。大きな乖離があります。まあ、飛行回数と管制回数ですからね。何でこうなるのと聞くと、国防上の秘密だから詳しい内容は話せないと。このことについては理解しますよ。何もかもあからさまにしろとは言いません。

 ただ、タッチ・アンド・ゴーを一回と数えているんじゃないですか。タッチして上がるときはアフターバーナーをばあんと吹かしますから、物すごい音がするわけですよ。これを、一回飛んで完全に着陸するまでを一回と数えられては地元としてはたまらないというのが正直な気持ちであります。

 そして、そういうことでありますから、特定防衛施設周辺整備調整交付金、これは管制回数をもとに計算しますから、これも本来いただける額よりも低く抑えられてしまっているんじゃないかという不満がそもそも地元には感覚としてはあるわけであります。

 これは、防衛的な機密ということもあるかもしれませんが、やはり、ばらばらに数えるといって一万五千回も食い違うというのはよくないですよ。これも、この際、防衛省も地元と協議するなり話し合いなりをして何らかのすり合わせが必要ではないかと考えますが、大臣の御所見を伺います。

稲田国務大臣 今委員御指摘の飛行回数等の違いについては、地元の皆様方からも御指摘をいただいております。

 騒音度調査における飛行回数や管制回数においては、それぞれの算定方法がありますけれども、防衛省としては、飛行回数等の違いについて確認を行った上で、地元の皆様に説明できるようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

江藤委員 具体的なお話はいただけませんでしたが、ぜひ地元とよく話し合ってください。

 縮小案が開示されてから、首長さんたちはもとより、区長さんとかいろいろな方が、九州防衛局それから東京の防衛省に抗議に行かれました。私もできる限り同行させていただきました。

 そして、党内においては、衛藤征士郎先生、岩屋先生、それから石破先生、党内のいわゆる防衛族の重鎮と言われる方、今津先生とか江渡先生、たくさんの先生方に相談に乗っていただきました。実は二階幹事長にも相談に乗っていただきました。

 そのかいがあって、本来は一月に解除告示をやるという方針でしたけれども、これが三月に延期されました。それはまあいいことですよ。ただ、延期して内容が変わらなければどうということはないんですけれども。

 そして、私は、それを受けて、一月の十八日、西都市議会の基地対策特別委員会の皆さん方と、深山局長、あなたのところに行きました。そのときに、委員の皆さん方が、Ldenだか何だか知らぬけれども、機械的なものではかったってだめなんじゃ、そこに住んだら振動とかソニックとかいろいろなものを体で感じるんだよと。私も選挙のときは、飛行機が飛んできたらもう演説は中断ですからね。

 だから体感しなきゃだめだという申し入れをしたところ、局長はなかなか偉い、その場で、わかりました、その御要請を受けて体感調査をいたしますと彼は決断しました。褒めてやってください。なかなかいい局長であります。

 そして、今回の調査は関係自治体とかマスコミも同行して行われます。新田原基地周辺の二市三町の三十一カ所、二月十三日から二十四日までの十日間実施いたします。ですから、現状に即した結果が出るということになると思います。そして、この検証結果は当然生かして、さらなる検証を加えるのは当たり前だと思います。

 お配りしましたこの宮崎日日新聞の記事をごらんください。十三日から体感調査が始まったにもかかわらず、十四日付の宮日には、「現行区域の解除告示を三月に推し進める姿勢をあらためて示した。」と。何ですか、これは。何のための体感調査なんですか。私のような声のでかいうるさいやつがぎゃあぎゃあ言うから、まあ体感調査ぐらいしてやろうということなんでしょうか。

 私は、そういうことであればちょっと許しがたいなと思っているわけでありますが、本当にこの新聞記事のとおり、三月解除という方針に変わりがないんですか。大臣の明確な御答弁をお願いします。

稲田国務大臣 第一種区域等の見直しについては、地元の御理解を得ることが大切であり、関係自治体の皆様の御意見や委員の御指摘を踏まえ、地元の皆様の声によく耳を傾けつつ、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

 したがいまして、現状のままで三月に区域解除の告示を強行するということは考えておりません。

江藤委員 ありがとうございました。ちょっとほっとしました。

 解除はできませんよ、できません。共存共栄には地域の理解が必要、この基本を守ってこの先進めていただきたいと思います。

 では、局長、せっかく参考人で来てもらいましたから。

 あなたが決断した体感調査ですよ。体感したからいいというものじゃない。これから知恵を出さなきゃなりませんね、知恵を。今、この段階で、体感調査中ですから、具体的にこうします、ああしますとは言えないでしょう。そこまでは求めませんが、せっかく来てもらったから、あなたからも一言お願いします。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど稲田大臣からもお答えがございましたけれども、私といたしましても、第一種区域などの見直しにつきましては、実態を客観的に把握しつつ、地元の御理解を得ることが非常に大切であると考えておるところでございます。

 したがいまして、見直しについては、大臣もおっしゃいましたが、三月の告示解除を見送りまして、現在実施中の体感調査の結果なども踏まえまして、関係自治体及び住民の皆様方と意思疎通を図り、しっかり取り組んでまいりたいと考えておるところでございますので、よろしくお願いいたします。

江藤委員 ありがとうございます。しっかり踏まえてください。

 農林大臣、時間が足りないので、農水委員会でやらせていただきます。済みません。

 加藤大臣、時間がないので、また次の機会にやらせていただきます。あと数分になってしまいました。

 では、丸川大臣、お願いします。東京オリンピック・パラリンピックについて質問させていただきます。

 新たな競技が採用されました。その中にサーフィンが入っております。

 実は、この私も多少たしなんでおりまして、ナインフィートのロングに乗っておりますおやじサーファーでございます。格好いいでしょう。なかなかいいでしょう。

 それで、私の地元の日向にはお倉ケ浜海岸というのがあって、四キロメートル、白い広大な白浜があって、波に乗れるポイントがたくさんあるんですよ。

 そのときに、地元のサーファーの仲間が、拓さん、オリンピックを宮崎の日向でできぬもんじゃろかいと。しかし、私、最初に聞いたときに、おまえ、東京オリンピックだぞ、余りに遠いやろうと。しかし、彼らは純粋ですから、いやいや、チャレンジだ、頑張ろうということで、彼らが立ち上がってワッショイワッショイやった結果、市も、よしやろう、商工会も、よしやろう、市民も、いいんじゃないかということで、決起大会まで開きました。それで盛り上がって、結局千葉になっちゃったわけでありますけれども。それはしようがないですよ。我々も千葉の成功を全力で応援したいと思います。

 日向市では、地方創生交付金なんかを使って地域おこしをやっています。リラックス・サーフタウン日向プロモーション、こんなこともやっています。今度、こういう結果を受けて、こういう活動が実ったんだと思いますよ、世界サーフィン連盟主催の世界ジュニア選手権大会が九月に日向市のお倉ケ浜海岸で開催されることとなりました。ありがとうございます。世界三十九カ国、三百七十一人の選手が、金の卵ですよ、参加するわけであります。国際サーフィン連盟主催の大会が日本国内で行われるのは、実に二十七年ぶりという快挙であります。すごい大会になると思います。すごい注目度。

 そういうことで、大臣にお願いであります。

 いろいろと小池東京都知事とか森会長にお会いする機会が多いですよね。そのときに頼んでほしいんです。ぜひ、この世界ジュニアサーフィン選手権大会をオリンピック関連の大会と位置づけることはできないかということです。実は、日本のサーフィン連盟も、これ、いいんじゃないということで組織内で考えているらしいんですよ。権限がないことは承知はしておりますが、会議にも参加されるので、その場でぜひ丸川大臣から応援をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 すばらしい大会を誘致していただきまして、ありがとうございます。オリンピック・パラリンピックの機運醸成に向けても、ぜひ、オリパラの旗が翻るような知恵を出したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

江藤委員 今、旗が翻るという言葉をいただきました。やはり、ポスターとかをつくりますよね。そのときに、オリパラのマークが入っている入っていないで全然違うと思うんですね。ですから、それはオーケーということでよろしいんですか。(丸川国務大臣「知恵を出します」と呼ぶ)検討するんですか。

 それでは、前向きな御返答をいただいたということで、きょうはこれで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 終了かと思ったら五分前でした、済みません。五分前であれば、農林大臣に質問をさせていただきます。どうもきょうは何か調子が悪いです。余りなれない質問をしているものですから、調子がちょっといま一つ。

 それでは、農林水産大臣にお尋ねします。

 安全保障の話を大臣と随分濃密にさせていただきました。それで、安全保障といえば、もちろん、防衛力、打撃力、そういったことも議論になりますけれども、やはり食料安全保障、これを忘れちゃいけないと思うんですよ。

 世界の人口は、今七十三億人ですが、二〇五〇年には九十七億人になると言われております。FAOは、二〇五〇年までに食料の生産量をあと六〇%引き上げないと人口爆発にはたえられないというふうなことを発表いたしました。しかし、その一方、日本では毎日お茶わん一杯の御飯を捨てている、フードロス六百二十五万トン。大変な問題ですが、このことについてはまた農林水産委員会でも議論させていただきたいと思います。

 日本は、現在、カロリーベースで六〇%輸入に頼っています。食料自給率は四〇%。これは、消費者の方々が、食の多様性、いろいろなものを食べたいということもありますから、難しい部分はあります。しかし、これはやはり上げていかなきゃいけないというふうに思います。

 こういう人口爆発があるという予見可能な未来が目の前にあるということであれば、どうしても考えなきゃいけないのは、輸出国、今売ってくれている国が、もう売ってあげないよと、それで日本は買えないという事態になったときに、農地もない、担い手もいないというようなことになってしまったら、国が国民に果たすべき最低限飢えることがないという日本を実現することは難しくなってしまいます。

 ですから、大臣にお聞きしたいのは、農地を農地として維持することの大切さ、それから食料安全保障の重要性について、大臣の御所見をいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 江藤委員はこの分野の御専門でございます。ちょうちょう申し上げるわけではありませんが、食料・農業・農村基本法、ここに高らかにうたってありますように、食料の安定供給というのは国家の基本的な責務でございます。

 その意味におきまして、さまざまな制度が確立されているところでございますが、あえて申し上げれば、農業振興地域制度及び農地転用許可制度、こういう仕組みによりまして優良農地が確保されております。さらに、農地中間管理機構を通じた担い手への農地集積、集約化も現在進めさせていただいております。さらには、荒廃農地につきましても、再生利用が可能なものにつきましては再生への支援をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、委員御指摘の食料安全保障、この確保にしっかりと努めてまいりたいというように思っております。

江藤委員 ありがとうございました。

 しっかりとそういう御認識をいただいていることを確認いたしました。また農林水産委員会でさらに突っ込んだ議論を大臣とさせていただきたいと思います。

 それでは、加藤大臣、よろしくお願いいたします。

 今回、日米首脳会談では、拉致問題解決の重要性について大統領と完全に一致したということであります。横田御夫妻を初め御家族の皆様方も毎年毎年年齢を重ねていらっしゃいます。一刻も早くこれは解決せねばなりません。

 今、その状況として、環境は大きく変わっています。中国商務省は十八日、北朝鮮からの石油の輸入を年内禁止すると。これは核とミサイルに対応してのことだと思います。これはやはり、利用するというと悪いんですが、しかし、圧力には変わりありませんから、対話と圧力というその基本姿勢は守っていかなければなりませんけれども、この時間がない状況において、加藤大臣には何とか拉致問題解決に向けてさらなる御努力をお願いしたいと思っているわけであります。御見解、覚悟のほどをお聞かせください。

浜田委員長 加藤担当大臣、時間が迫っておりますので、簡潔に願います。

加藤国務大臣 二月十日に行われました安倍総理とトランプ大統領との首脳会談、御指摘のとおり、拉致問題の早期解決の重要性を日米首脳間の文書の形で初めて確認したところでございまして、トランプ政権の拉致問題に対する理解と支持を示すものであり、担当大臣としても大変心強く思っているところでございます。

 また、きのう、家族会、救う会が今後の運動方針を決定されました。その運動方針では、今年中に拉致被害者の救出を求めると新たな記載も盛り込まれております。拉致被害者御家族の、一刻も早い拉致被害者の方々の帰国の実現を強く求める思いが込められたものと、政府としても真摯に受けとめていきたいと思っております。

 安倍政権においては、この拉致問題、最重要課題、最優先課題として位置づけているところでございます。対話と圧力、行動対行動の原則のもと、今御指摘ありましたさまざまな圧力をてこにしながら、米国等関係国や国連といった国際社会と緊密に連携しつつ、一日も早い全ての拉致被害者の方々の帰国の実現に向けてあらゆる施策を講じていきたい。拉致被害者御家族が本当に高齢化されております、もう一刻も猶予がならない、その思いを共有しながら、そうした姿勢で取り組んでいきたいと考えております。

江藤委員 終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 これにて江藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 本日は、質問の機会を賜りましたこと、心から御礼を申し上げます。早速質問に入らせていただきます。

 下関北九州道路について質問いたします。

 下関北九州道路は、関門海峡を横断して下関市と北九州市をつなぐ、関門トンネルや関門橋とは別の新たなルートとして計画されている道路です。

 現在、関門海峡の幅は狭く、長さ十九キロもあるにもかかわらず、一日約七万台もの人流や物流を関門トンネルと関門橋のわずか二つの道路で、しかも同じ位置で集中して支えているという状況です。また、事故や補修工事により通行どめが二日に一回も発生するなど、地域経済に大きな支障を与えている状況にあります。こうした大きな課題があるにもかかわらず、平成二十年以降、下関北九州道路に関する調査は凍結されていたのです。

 このため、昨年十一月十六日の衆議院国土交通委員会において、私から石井国土交通大臣に、下関北九州道路を進めていくべきではないかとの質問をさせていただきました。そして、大臣からは、他の海峡横断プロジェクトとの違いを踏まえ、地域で検討し、一度ゼロベースで必要性を再整理することが必要であるとの答弁をいただきました。この大臣の英断により、平成二十年以降九年間も凍結していた下関北九州道路にようやく光が差し始めてきました。

 ここに至るまでの我が党桝屋敬悟衆議院議員また秋野公造参議院議員初め地元の地方議員の先輩方の御努力に、私は深く敬意を表したいと思っております。

 地元では、昨年十一月十六日の大臣答弁を受けて、福岡県、山口県、北九州市、下関市の二県二市の自治体、経済界など、多くの関係者において必要性や整備手法について熱心に議論を行いました。各地方議会においても、下関北九州道路の早期実現に向けて、超党派での議員連盟の設立や意見書の採択が行われました。

 そして、十二月十八日には、地元で下関北九州道路整備促進大会を開催し、改めて地域の考え方を取りまとめた地域提言を採択しました。この地域提言では多くの重要な点が示されておりますが、中でも既存道路ネットワークの課題が特に重要なポイントであると考えております。関門トンネルや関門橋といった点としての課題だけでなく、道路ネットワーク全体としての面としての課題を解消していくことが、下関北九州道路を議論する上で重要な視点であると考えております。

 また、地域提言の中では、有料道路事業を前提とした多様な事業収支のシミュレーションも提示されております。ただし、この試算については、今後、事業費や交通量の精度を高めるとともに、最適な事業手法や事業実施に当たってのリスクなど、より詳細な検討を進めていかなければなりません。

 こうした下関北九州道路の実現に向けた多くの課題について今後本格的な検討を進めるためには、これまでのように地域だけで検討することはなかなか困難でございます。このため、来年度から国としても調査への支援をお願いしたいと考えておりますけれども、国土交通大臣から見解を伺いたいと思います。

石井国務大臣 下関北九州道路につきましては、昨年十一月の衆議院国土交通委員会における吉田委員からの質問にお答えをいたしまして、他の海峡横断プロジェクトとの違いを踏まえ、地域で検討していただき、ゼロベースで必要性を再整理することといたしました。

 これを受けまして、地域において自治体や経済界の方々で精力的に議論していただきまして、昨年十二月に地域提言として取りまとめられまして、私のところに要望に来ていただきました。

 この地域提言の内容から、もう既につながっている道路のバイパス機能の確保にかかわる課題や、PFI、有料としての整備の可能性が示されておりまして、さらなる検討が必要と考えております。

 このため、今後地域で実施する調査に対しまして、国土交通省といたしましても、技術面や予算面からの必要な支援を検討してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございました。

 大臣からは今、前回の質問よりもさらに前向きな御答弁をいただいたと思っております。来年度からの調査については、地元の経済界の皆様とも連携を強固に進めてまいりたいと思います。

 本日は、質問の機会を賜りましたこと、改めて御礼を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。

 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 通告させていただきまして、大きく二点、二つのテーマについてお伺いをさせていただきたいと思いますが、東日本大震災、福島の復興についてが一つ目、二つ目は学業との両立が困難になるようなブラックバイト対策についてお聞きしたいと思います。

 通告の順番、また少し組みかえさせていただきまして、まず最初に世耕経済産業大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 今国会におきまして福島復興特別措置法の改正案が提出をされまして、この改正項目の一つとして福島復興の夢と希望の柱である福島イノベーション・コースト構想を法律に位置づける方向性となりまして、この点につきましては、たびたび私自身また公明党といたしましてもその実現に対して国が責任を持つように訴えてきたところでございまして、党としても大変高く評価をしている点でございます。

 通告ではイノベーション・コーストとロボットテストフィールドを別々にしておりましたが、ちょっとまとめてお聞きをさせていただきたいと思いますけれども、イノベーション・コースト構想の中核施設の一つが福島ロボットテストフィールドでございます。国内唯一のロボットのさまざまな実証実験が行える施設として、将来的には国際的な性能評価の認証機関となることが期待をされているわけでございます。

 先月、先行的にドローンを使いましたいわゆる長距離荷物配送実験が、南相馬市と浪江町、沿岸十二キロを飛行いたしまして成功をおさめたわけでございます。私は実証実験には立ち会うことができませんでしたけれども、実験を行った関係者の皆様から後日お話をお聞きすることができまして、今回のような長距離飛行実験ができる環境というのはなかなかないようでございまして、改めてロボットテストフィールドの重要性を認識したところでございます。

 一方で、飛行するためにはいわゆる許認可、例えば航空法における目視外飛行の許認可であるとか第三者上空の飛行に関する許認可、さらには、技術的な課題ではございますけれども、今回十二キロ飛ばしたわけでございますけれども、ドローンと要はつなぐ無線、電波ですね、電波の制約というのは大体五キロぐらいというふうに言われておりまして、やはり長距離を飛ばす場合には電波の制約というのもかかってくる。これは技術的な課題でございますけれども、そういった課題もあるところでございます。

 こうした課題は、安全性が最大限配慮されなければいけませんので、当然配慮することではございますけれども、一方で、こうしたさまざまな実験の実績を積んでいかなければ実用化もなかなか進んでいかないというのが現実でございます。そのような観点からも、この福島ロボットテストフィールド及びロボット実証区域については、いわゆる規制の砂場という議論も踏まえて、より実証実験の行いやすい環境を整備しなければならないと考えております。

 また、各省庁におきましても、ロボット関連のニーズ、国土交通省でいえば例えば地図における測量であるとか土木工事、インフラ点検、農水省は農薬散布であるとか、最近は鳥獣被害対策でイノシシを実際に追っかけるような、そんな仕組みも実証されていると聞いておりますけれども、さらには災害対応ロボットなど、各省庁にさまざまなニーズがありまして、そういったものを持ち寄ってこのフィールドを活用していく、そういったプラットホームが必要であるというふうにも考えているところでございます。

 イノベーション・コースト構想、この構想全体の実現への御決意と、福島ロボットテストフィールド、これを日本の成長戦略として成功させるために、経済産業大臣の御決意をお伺いさせていただきます。

世耕国務大臣 まず、福島イノベーション・コースト構想についてお答えをしたいと思います。

 これは、浜通り地域に新たな産業の柱を創出することを目指す非常に重要な取り組み、構想だというふうに思っています。

 具体的には、今既にサソリロボットなんというのが活動を始めていますけれども、廃炉研究ですとか、あるいはロボット開発、実証を中心とする重点分野の拠点整備や研究開発など、各種プロジェクトに取り組んできているわけです。

 今後は、やはりしっかりこのイノベーション・コーストを核として産業集積を実現していかなければなりません。そうなってきますと、地元の企業だけではなくて福島県外からもいろいろな、技術を持っている企業に参加してもらって、そして技術開発やビジネスの創出というのを進めていかなければなりません。

 そのためには、やはり官民あるいは省庁間の枠を超えた幅広い連携が非常に重要になってきます。ということで、今回、福島復興再生特措法の改正案の中で、このイノベーション・コースト構想を法律でしっかりと位置づけて、関係閣僚級による会議体を創設するなど、法律に基づく構想としてしっかりと進めていくということになったわけであります。こういう新しい枠組みのもと、関係省庁が緊密に連携してこのイノベーション・コースト構想をしっかりと推進して、浜通り地域における新たな産業基盤を構築していきたいと思います。

 そして、その中のロボットテストフィールドであります。

 いろいろなロボットがこれから活躍されますし、特に福島第一原発の廃炉のためにはロボットの利用というのは不可欠であります。そういったことに加えて、物流、インフラ点検、災害対応など、いろいろな分野で活躍するロボットやドローンの実証実験と性能評価を一気通貫でできる、これは世界にここしかないと思います。類を見ない施設だというふうに思っています。そして、しっかりと実証実験を行ってもらえるように、無線基地局ですとか気象観測施設なども設置して、実験をやってもらいやすい環境も整えております。

 そして、来年度からはいよいよ、見えない範囲でドローンを飛ばすとか、今御指摘があった第三者の上を飛ぶような飛行ですとかあるいは電波利用の幅の拡大とか、そういったことをいろいろと乗り越えていきたいというふうに思っています。具体的には、性能評価の手法ですとか、遠隔でも管理できる運航システムですとか、あるいは障害物の回避技術、これは電線とか鉄塔とかいろいろあると思うんですが、こういったこともここで研究開発を進めていきたいというふうに思っております。

 ただ、国交省ですとか、あるいは電波ということになりますと総務省とかいろいろな省庁が関係をしてくるわけでありますが、関係省庁と密接に連携しながら、相互に多様なニーズを共有しながら実証実験を積んでいくことによって横断的に取り組んでいきたいというふうに思っております。

真山委員 今大臣からも答弁いただきましたとおり、世界に類を見ないロボット実証施設になるのがまさにこの福島ロボットテストフィールドでございますし、それがまさに福島復興の夢と希望の柱として、地域産業を興していく意味では本当に大きな柱の計画でございますので、ぜひ、経済産業省を挙げて、そして政府を挙げてお取り組みいただきますようにお願いをさせていただきます。

 次に、松野文科大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 こうした明るい話題の一方で、避難児童に対するいじめの問題が大変大きな課題になっているところでございます。個別の事案にはこの場では触れませんけれども、何の非もない故郷を追われた避難児童が、その先でいわゆる避難者ということから起因していじめに遭い、そして心に大きな深い傷を負う、そういったことが決して許されてはいけない、私はこのように思いますし、ましてや教師の不用意な発言が、まさにさらに塩を塗るようなことがあってはならない、このように強く思うところでございます。

 今回、特措法の改正案の一項目の中に、昨年復興特別委員会で我が公明党の高木美智代衆議院議員が指摘をいたしまして、いじめ対策についても福島復興特措法の中に位置づけられる運びとなりましたけれども、いじめから子供を守るためにはやはり教育現場でセーフティーネットを張る以外にないと私は思っております。そのためには文部科学大臣には強力に推進し頑張っていただきたい、このように思うところでございますけれども、松野文部科学大臣の御決意をお伺いさせていただきます。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 横浜市や新潟市などで原子力発電所事故により避難している児童生徒がいじめに遭うという事案が発生したことを受け、昨年十二月、被災児童生徒を受け入れる学校に改めて対応を求める通知を発出したところであります。通知においては、各学校において、原発事故の避難者である児童生徒を含め被災児童生徒がいじめを受けていないかどうか確認を行い、把握した場合は直ちに対応を行うこと、いまだふるさとに帰れず不安の中過ごしている被災児童生徒に対して、心のケアなど日常的に格別の配慮を行うことなどの対応を求めているところであります。

 また、いじめを含むさまざまな困難を抱える児童生徒の心のケアのため、心理の専門家であるスクールカウンセラーの配置の拡充を行っております。さらに、現在、いじめ防止等のための基本的な方針において原子力発電所事故の避難者である児童生徒に対するいじめの未然防止、早期発見を明記すべく、今年度中の改定を目指しており、各学校における取り組みを一層促進してまいります。

 加えて、放射線についての科学的な知識を児童生徒に教えていくことも重要であり、放射線副読本等の活用を含め、放射線に関する教育の充実に努めることを教育委員会等に求めているところであります。

 文部科学省としては、引き続き、原子力発電所事故の避難者である児童生徒に対するいじめについて各教育委員会に対し必要な指導を行うとともに、放射線に関する教育の充実に努めてまいります。

真山委員 ありがとうございます。

 今大臣からも答弁いただきましたけれども、放射線に対する正しい認識というのもまだまだ広がっておりませんし、むしろ正しくはない認識がそのまま固定をしているというのが実感でございます。そういった意味では、教育現場においてもこの放射線教育をぜひ力強く進めていただいて、当然、このいじめ事案については、そこで一番身近で接している教員の皆さん、学校関係者の皆さん、親御さんの皆さん、保護者の皆さんともしっかり協力していただいて、子供たちの未来、将来を守っていただきたい、このように強くお願いをするところでございます。

 次に、厚生労働大臣にお伺いをさせていただきます。被災地の人手不足に関するテーマでございます。

 昨年は、南相馬市また葛尾村で帰還困難区域を除く地域の避難指示解除が行われ、本年は、三月三十一日また四月一日を中心に、ほかの市町村におきましてもかなり大きな避難指示解除が行われる方向でございます。そして、それにあわせて帰還環境整備が今現在進んでいるところでございますけれども、この帰還環境整備、整えなければいけないことがたくさんあります。その一つに、いざ戻ったときに、食料であるとか生活雑貨であるとか、そういった生活必需品を購入できる商店の再開が必要であるというのは言うまでもないことでございます。

 昨年十一月には、富岡町におきまして、複合商業施設さくらモールとみおかが、これは旧Tom―とむという施設でございますけれども、オープンをいたしました。また、つい先日、私、浪江町に行ってまいりまして、役場に隣接する、まち・なみ・まるしぇというところがございます。まだ解除になっていない地域ではございますけれども、ここでは月に一度イベントが開催されておりまして、まさに解除に向けて徐々に町に活気が戻りつつあるということを感じております。

 しかし、被災地においては、当然のことではございますけれども、人手不足が非常に深刻な課題になってございまして、再開したくても従業員が十分に確保できない、これは時給を上げてもなかなか確保できないという実態もありまして、再開事業者、再開を目指されている事業者の皆さんはその人手のやりくりに大変苦労されているわけでございます。

 そうした観点から、新年度にはハローワーク富岡が再開されるというふうに聞いておりますけれども、従来のハローワークの業務、役割だけでは正直申しまして不十分でございまして、再開事業者が十分な人手を確保できるよう、経済産業省が中心ですけれども、官民合同チームと連携し一体となりながらまさにこの雇用政策を進めていくということが必要ではないか、私はこのように思っております。

 被災地における人手不足解消に向けた厚生労働大臣の取り組み、御所見をお伺いさせていただきます。

塩崎国務大臣 真山議員の方から今、東日本大震災の被災地の事業再開に当たっての人手不足をどう解消するか、こういうことでございました。

 確かに、特に福島県を中心に人手不足はかなり深刻になっていまして、復興を着実に進めるためにもその解消が極めて大事だということで、生活をするための、今の商店とか、そういうようなものをしっかりとやっていかなきゃいけない。

 厚労省としては、避難解除区域への帰還を希望する方を対象とした就職面接会など、福島県の取り組みに支援をしっかりやってきておりますが、今お話がありました福島相双復興官民合同チーム、ここと福島労働局、ハローワークが連携いたしまして職業紹介などのマッチング支援を今やっておるわけで、この重要性は今御指摘のとおりだと思っておりまして、我々としてもさらに力を入れてまいりたいと思っております。

 また、近隣県とかあるいは東京、大阪等のハローワークに専門の窓口を設けて、県外に避難されている福島の方々に福島県内の求人を紹介して、お帰りいただけるようにチャンスをお示しするということもやっております。

 それから、被災三県の企業に対しましては被災求職者を雇い入れた場合に最長三年間の助成を行ってきておりますが、来年度予算では、被災地の要望を踏まえまして、企業が人材確保のために行う住宅支援の経費について、新たな助成を検討して創設する予定でございます。

 そういうことでございますので、引き続き、復興支援にしっかりと人手不足解消の面で対応をしてまいりたいというふうに思います。

真山委員 ありがとうございました。

 この人手不足解消はまさに大事です。冒頭おっしゃっていただきましたとおり、まさに復興を進める上で逆に足かせになってはいけないという課題でございますし、また、避難されている方にとってはまさに生活再建と一体のお話でもございます。そういった観点からも、ぜひ、後押しというか、むしろ先導していただいて、取り組みを進めていただきたいとお願いさせていただく次第でございます。

 時間も迫ってまいりましたので、廃炉・汚染水対策につきましては、ちょっとまた別の機会に譲らせていただきたいと思います。

 テーマをかえさせていただきまして、ブラックバイト対策についてお伺いをさせていただきます。

 ある意味学生であることを尊重しないアルバイトというふうに一つの定義としては言われるわけでございますけれども、つい先日も、具体名は申しませんけれども、某大手コンビニのフランチャイズの店舗において女子高生のアルバイトが病欠したところ、罰金を請求されるという事案が報じられました。この事案においては、このコンビニ本部、本体の方が労基法違反をある意味認めて謝罪し、店舗に返金を命じたというふうに報道でございました。

 報道によれば、この女子高生が風邪を引いて病欠を申し出たところ、その店舗の管理者からは代理のシフトを埋めろと指示されまして、しかし、かわりを探すことができずにそのまま休んだ、それに対してペナルティーとして罰金が請求されたという事例でございました。

 個別の事実関係がどうであったかは存じませんけれども、コンビニや居酒屋、塾など、学生アルバイトが主要な戦力としてシフトに組み込まれ、授業に出られない、試験も受けられない、就職活動にすら行けない、こうした事案がやはり現実的に聞かれるわけでございます。

 平成二十七年には、我が党の提言も踏まえていただきまして、厚生労働省としてブラックバイトに関する調査を行っていただきまして、今現在もさまざまな対策を講じていただいていることは承知しているところでございます。

 さらに、公明党学生局といたしましても、給付型奨学金制度の創設も重要なことでございますけれども、それと同じぐらいこのブラックバイト対策の必要性を考えておりまして、昨年より、サポートアクション運動としてブラックバイトQアンドAシートを独自に作成いたしまして、学生に対する配付を行っているところでございます。

 無理なシフトの要求や賃金未払い、損害賠償請求をちらつかせたおどしのようなケース、こういった不当な扱いに対して、労働に関する知識に乏しい学生自身が、法令違反のブラックバイトの状況に置かれているということすら認識できずに、当然パワハラもあるんでしょう、このパワハラによって半ば強制的に、退職できずに泣き寝入りをしているようなケースもあります。

 ちょっと時間もありませんので、厚労大臣、文科大臣、まとめて御質問させていただきたいと思います。

 こうした状況の中で、例えば、私は先日、松野文科大臣の母校でございます早稲田大学に行ってまいりまして、実は早稲田大学、今ちょっと文科大臣と早稲田をつなげるとイメージが悪いんですけれども、これはいい意味で、ブラックバイト対策の対処マニュアルをつくって、世耕大臣も、失礼いたしました。学生と教師そして大学側が一体となってブラックバイトの対策本、十七項目から成るマニュアルを独自につくって、対処法も書いてある、学生が絡んでいるので内容も非常にわかりやすい、これを入学生全部に配付している、そんなことも聞きました。そうやって取り組んでいる事例もあるということも紹介させていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、みずからの職場に疑問を感じたときに、おかしいということを認識できるようなツールの開発であるとか対処の情報提供とか、そういったものが必要であると思いますし、どうしても逃れられないケースもあります。そうした学生のよりどころとして、ブラックバイト対策専門の相談または通報の窓口をしっかり創設していただきたい、このように思います。現在近似のものがあるのは承知をしておりますけれども、ぜひ検討いただきたいと思うところでございます。

 そしてまた、職業紹介の事業者については、ブラックバイトの掲載はしない、またサイトのトップに例えばブラックバイトに関する注意喚起を促すようなバナーを張っていただくとか、対策もお願いしたいと思っております。

 厚生労働省の確かめよう労働条件というサイトがあるんです、大臣も多分御存じだと思いますけれども。このサイト、検索してもなかなか出てきません、アルバイトやめたいで検索しても出てきません。そういったことも踏まえて対策をお願いしたいと思います。

 あわせて、先ほど申したとおり、教育現場における対策、そして身近な教員や大学関係者、高校関係者に対する啓発も必要であると考えておりまして、ブラックバイト対策について厚生労働大臣、文部科学大臣に御質問させていただきます。

浜田委員長 塩崎厚労大臣、時間が近づいておりますので、簡潔に願います。

塩崎国務大臣 真山議員は、ブラックバイトについて特に中心的に党内でも担っていらっしゃると聞いております。

 文科省と私ども厚労省は連携して業界団体に対する要請を行ったりあるいはキャンペーンを行ったりしてまいりましたが、今御指摘をいただいたように、使い勝手が余りよくないウエブサイトだというようなこともありました。

 そういうことで、若者がスマートフォンなどで労働法令を手軽に学べるような新たなウエブサイトの開設を考えていきたいというふうに思いますし、また、ゲーム形式で学べるアプリケーション開発、それから、来年度予算では夜間、休日に無料で相談できる労働条件相談ほっとラインを拡充しようと考えてございます。さらに、引き続き労働局職員による大学等への出張相談にも取り組んでまいりたいと思いますので、引き続いて若者が安心して働けるように努力をしてまいります。

松野国務大臣 御指摘の点に関しましては、高等学校において、学習指導要領に基づき、公民科において労働問題について考えさせるなどの指導を行われるとともに、文部科学省としては、厚生労働省と連携しながら、働くときのルールなどを取り上げましたハンドブック、アルバイトトラブルQアンドAリーフレットの活用、生徒や教員に対し労働関係法規等の講義を行うための都道府県労働局による講師派遣といった取り組みを進めております。

 大学におきましては、各大学において、労働関係法制やアルバイトにおけるトラブル事例と対応などを学生に教えるセミナーの実施、日本学生支援機構が厚生労働省と連携し、学生支援担当教職員を対象とした学生アルバイト問題への対応に関するセミナーの開催といった取り組みを進めているところであります。

真山委員 時間となりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 これにて真山君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民進党の本村賢太郎です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、一月二日に東京メトロポリタンテレビ、MXテレビで、ニュース女子という番組の中でいわゆる高江のヘリパッド建設に向けた報道に関して今物議を醸しているのは御承知のとおりだと思いますが、BPOでも今審議入りをしたということでありますが、その点に関してまず質問させていただきたいと思います。

 まず、高市総務大臣に、この番組が放送法第四条に違反するのかどうか、お伺いしたいと思います。

高市国務大臣 現在、東京MXからは、総務省に対しまして、取材やまた放送での取り扱いに問題がなかったのか社内で検証中であるということで、自発的に御報告をいただきました。

 総務省としましては、個別の番組に係る問題については、まずは放送事業者における自主的、自律的な取り組みによって適切な対応が行われるということが重要だと考えております。

 なお、当該番組につきましては、二月十日にBPOの放送倫理検証委員会が審議入りを決定していると聞いておりましたので、こういった、まずは自主的な取り組みについても見守っていただき、改めてMXテレビから御報告をいただけるものと思っております。

本村(賢)委員 MXテレビからその取りまとめのお話があった後には、大臣としてさまざまな御判断をされるのでしょうか。

高市国務大臣 放送事業者のまず自主的、自律的な取り組み、そしてまた必要があれば改善をするといったことによって報告を受けるケースはございます。その取り組みによりまして、また必要があれば総務省の方からも助言をしたり、さらなる取り組みを求めるということは想定できるかと思います。現在はまだ、報告をお待ちしている状況です。

本村(賢)委員 大臣は、二〇一五年四月のNHK、クローズアップ現代の番組をめぐって大臣名で初めて行政指導を行っていることはBPOからも御指摘があったとおりでありますけれども、今回の番組も、事実に基づかない報道があったと新聞でも報じられております。

 きょうお配りの記事をごらんいただいてもおわかりのとおり、例えば反対派が救急車をとめて現場に急行できない事態が続いていたという報道があったんですが、地元消防本部に聞きますと、そのような事実はないと否定をされておりますし、例えば現地取材をされた方が、このトンネルをくぐると建設現場、反対派の暴力行為により地元の住民でさえ近寄れない状況という報道をされておったわけでありますが、建設現場までは約二十五キロの場所であったり、この間にはリゾートホテルなどが営業されており一般の方も自由に行き来ができるというお話があったり、反対派は日当をもらっているというお話がある中で、市民特派員として交通費五万円がカンパから支給されているなど、随分この報道が偽りも多いことなどが今社会問題となっているわけでありますけれども、何らかの対応を検討するつもりはあるんでしょうか。

高市国務大臣 まず、先ほどNHKのクローズアップ現代のお話がございましたけれども、自主的に放送事業者から報告も受け、そして放送事業者側が不適切な点があったことを認め、そしてまた再発防止策をつくりますということで、長い時間をかけて報告を受け協議もしてまいりました。その後に、随分時間がかかって再発防止策が手元に参りましたけれども、それを私自身が隅から隅まで読んで、誰がいつまでに何をするのかという具体的な改善策が十分でなかったということによって、さらに具体化するように行政指導をいたしました。

 ただ、行政指導というのは、法的な行政処分ではなく、あくまでも助言といった類いのものでございます。

 今回の場合は、事実に基づかなかったかどうかということも含めて現在検証中であると承知をいたしておりますので、その結果を待ちたいと思っております。

本村(賢)委員 大臣が、行政指導は、何か法的に処罰するようなものではなく、相手を拘束する権限もありません、あくまでこちらの要請でございますというお話も以前、今も御答弁いただきましたが、停波とか業務停止という命令を大臣が持っている以上、言うことを聞かざるを得ないという面があるわけであって、だからこそ行政指導なんかも慎重に行っていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。

 そうした中で、このクローズアップ現代初め、当時、テレ朝やTBSなどでの政権に厳しい放送に対しては厳しい姿勢で臨まれているにもかかわらず、今回のように、ヘリ建設を進める政府の方向に、同じ方向である政権寄りの番組には何か守るというようなイメージを与えかねないような感じがしておりまして、これは偏向した二重基準ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 去年までのさまざまな議論の中で御承知のことと思いますが、私が総務大臣に就任する以前のことではございますが、自民党が与党であった時期に、自民党の選挙に有利になる報道をした放送局に対しても行政指導がなされております。

 これは、あくまでも放送法の規定に基づき、そしてなおかつ、今の委員の御質問でしたら、では、MXテレビには行政指導しなさい、また、自民党に対して何か有利な放送をしたところに行政指導、自民党に対して有利な放送をしないところに対して行政指導しないのかというように聞こえてしまいますが、それはございません。法律に基づいて、しっかりと基準を決めてやらせていただいております。

 特に、第四条を含む放送法違反についてのさまざまな規定に関して、特に昨年は電波法第七十六条や放送法第百七十四条の問題がございましたが、これも何度も国会で答弁したとおり、法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであることに加え、その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり、かつ同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ事態発生の原因から再発防止までの措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは法律を遵守した放送が確保されないと認められるという場合に限って、限定的な状況のみに行うこととしております。

 現時点では、放送事業者が自主的な取り組みをされている、BPOも自主的に取り組みをされている、そういう状態であると思っております。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

本村(賢)委員 過去に三度行政処分があったと思うんですが、二度は局長名で行政処分が出て、このクローズアップ現代は大臣名で出ている点が大きな違いだと思うんですが、これに違いはないんでしょうか。

高市国務大臣 それは私の判断でございます。私自身も、クローズアップ現代が放送され問題化しまして、その後、NHKからも直接報告も受け、やりとりをし、きちっとこれは再発防止策をとってくださいということで、NHKも了解され、かなり時間があきました。まだ再発防止策はできないんでしょうかとこちらが心配になるぐらい、時間があきました。最後に出てきた再発防止策が不十分なものでありましたから、大臣名で行政指導を行いました。

 また、最近では、NHKの受信料着服事案に対しても行政指導を同様に行っております。

本村(賢)委員 次に、沖縄を振興する大臣である鶴保大臣に御質問してまいりたいと思います。

 かつて、土人問題でも、映像を見ていない、こういう答弁で逃げられたわけでありますが、沖縄バッシングは日本社会を分断する深刻な社会問題になっておりまして、担当相として、知らない、見ていないでは済まされないのではないかと思います。

 今回のこの番組に関してどう捉えられていらっしゃるか、お伺いいたします。

鶴保国務大臣 個別番組についてのコメントは先ほど総務大臣の方からお話があったとおりでございますが、一般論としての振興策についての影響という面で考えれば、常識で考えて、対立をしている現状で、振興策を皆さんがこぞって気持ちを一つにして考えていこうという雰囲気にないであろうということは容易に想像もできるわけでありますから、この構図が決して好ましいものであるとは考えていません。でき得る限り歩み寄っていただくことが重要であるというふうに考えています。

本村(賢)委員 地元紙は、これは沖縄ヘイトではないかという、後ほど法務大臣にも質問させてもらいますが、非常に深刻な問題でありまして、これは一般論というよりも、大臣、ポストトゥルースという言葉は御存じですよね、ポストトゥルース。まさしくこの沖縄をポストトゥルースにさらしてはならない事態でありまして、沖縄を担当する振興大臣として、例えば事実に基づかない沖縄への誹謗中傷が高まって沖縄は危険というイメージがあおられることは沖縄振興を妨げる一つの要因ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

鶴保国務大臣 繰り返しになるようでありますが、事実関係についても今BPO等々で議論があるというふうに聞いておりますので、そのことについてのコメントは差し控えたいと思います。

 その上での話であります。これが沖縄に対する全般論としてのヘイトではないか、そして思いを踏みにじっているのではないかということの御懸念、これこそが私たちも懸念をしておるところでありますので、できる限り歩み寄って進めていただきたいというふうに考えています。

本村(賢)委員 大臣も、この問題は、地元紙が御指摘しているし、全国紙でも指摘をしておりますが、沖縄ヘイトに値するような問題だというふうに感じていらっしゃいますか。

鶴保国務大臣 この問題は、土人の問題の質疑のときにも申し上げましたけれども、人権にかかわる話というのは非常にデリケートな問題であります。このことについての一義的な決定を、第三者である、特に担当大臣である私の方から一義的に提言することは差し控えたいと思います。

本村(賢)委員 それでは、土人問題に関しまして、当時は映像を見ていないとおっしゃっていますが、今回もこのテレビは見ていらっしゃらないのかということと、それから土人問題の映像もまだ見ていらっしゃいませんか。

鶴保国務大臣 MXテレビについては、生の放送は見ておりません。見る時間がなかったということであります。

 土人についての話は、その後、さまざまな形で出ておりますから、それは目にした機会があります。その程度でありますので、しっかり放送の全てをということではありません。

本村(賢)委員 何度も言いますが、沖縄を振興する担当大臣でありまして、非常にこれは社会問題となっておりまして、生放送で見てくださいとは言いませんが、これはいかにしてもネットなどで見られるわけでありますので、今後見るつもりはありますか。

鶴保国務大臣 御指摘とあらば見たいと思います。

本村(賢)委員 私が指摘しないまでも、大臣、これは、見て当たり前の話でありますし、ぜひ、沖縄振興を担当する大臣でありますので、ごらんいただいて、また引き続き別の委員会でも質問してまいりたいと思います。

 それでは次に、金田法務大臣に、ヘイト問題の認識についてお伺いいたします。

 この報道のような、事実に基づかない沖縄バッシングは、先ほども御指摘しましたが、日本社会を分断する深刻な問題となり得るわけでありまして、沖縄の地方紙や全国紙でも沖縄ヘイトという言葉が躍っておるわけでありますが、差別や人権侵害につながりかねないわけでありまして、事実、今回の番組内で虚偽の内容を報じられたとして、名指しされた団体の代表者は人権侵害だと訴えていらっしゃいます。

 人権擁護の担当大臣として、この問題をどのように捉えていらっしゃるでしょうか。

金田国務大臣 本村委員にお答えをいたします。

 放送法を所管します総務大臣が、個別の番組にかかわる問題について、まずは放送事業者による自主的、自律的な取り組みによって適切な対応を行っていただくことが重要であるというふうに述べておられますとおり、私としても、個別の番組の放送内容についてコメントすることは差し控えたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げますと、法務省の人権擁護機関におきましては、人権相談を通じまして人権侵害の疑いのある事案を認知した場合、その被害の救済そして予防を図ることを目的といたしまして、人権侵犯事件として調査を開始し、事案に応じた適切な措置を講ずることにいたしております。

本村(賢)委員 ちょっと残念でなりませんけれども、今、一般論ということでありますが、事実、これは放送されて、大変人権侵害と感じている方がいらっしゃるわけでありますので、法務大臣としてもこの問題をしっかりと捉えていただきたいと思います。

 次に、受動喫煙防止について質問、お伺いさせていただきます。

 受動喫煙を防止するという方向性は世界の流れでありますし、私も否定をするつもりはありませんが、やはり今、各業界団体を初め国民の皆さんからも大変関心の高いところでありますので、塩崎大臣、丸川担当大臣そして麻生財務大臣に質問をさせていただきます。

 まず、日本における受動喫煙防止対策の現状について、WHOは世界でも最低レベルという位置づけをされておるわけでありますけれども、大臣は、基本的におくれているという認識だと思いますが、この問題をいつまでに、どの程度の受動喫煙防止策を実施しようと考えているのか、お伺いいたします。

塩崎国務大臣 今御指摘のように、この受動喫煙の問題というのは、健康への影響というのが一番大事なことであって、昨年、国立がん研究センターの研究班が、受動喫煙によって非喫煙者の肺がんによる死亡のリスクというのは約三割上昇するという発表をされていまして、それから、このような受動喫煙によるリスクがなければ年間で約一万五千人余りが亡くならなくて済んだという指摘も国立がん研究センターから出ているわけであります。

 我が国は、当然、多数の方が利用する公共的な空間で受動喫煙を防止することの措置を講ずることは健康増進法で今から十四年ほど前に努力義務として定めているわけで、非喫煙者が過去一カ月間に飲食店で受動喫煙に遭遇したという割合について、平成二十七年の国民健康・栄養調査によると四一%、約四割が依然としてそういう遭遇をしているということで、今御指摘のあったWHOのたばこに関する各国の分類でいきますと最低レベルということで、今、屋内全面禁煙義務とする法律を施行している国は四十九カ国ということで、けさの主要紙の一つの社説でもこれが披露されておりました。

 日本は今、受動喫煙防止対策は努力義務にとどまっているわけでありまして、今後どうするのかということでありましたが、今、厚労省はたたき台というのを出しておりますけれども、健康増進法による努力義務では全く不十分だという認識に基づいて、特に近年、外国人が日本にたくさんインバウンドとして来られること、それから、そういう際にやはり受動喫煙の防止規制の厳しい国から来られた外国人、インバウンドの方々が多くいるわけでありますので、そういう方々の健康も守らなきゃいけないし、驚かれてもいけないということで、規制の強化が必要だと考えております。

 一方、IOCが、たばこのないオリンピックを共同で開催することについてWHOと合意をしている。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックやその前年の二〇一九年のラグビーワールドカップを契機に我が国でも受動喫煙の防止対策を徹底すべきだということは、施政方針演説でも総理から申し上げました。

 このため、可能な限り早期に実効性のある対応、対策を講じますが、今通常国会に健康増進法の改正案を提出すべく現在検討を行っているところでございます。

本村(賢)委員 受動喫煙の防止対策の我が国の取り組みはまだまだ低いという大臣の認識だと今の答弁からもとれますし、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを目標にということでありますけれども、そこを聞けた中で、次に、丸川大臣に質問させていただきます。

 IOCとWHOのたばこのないオリンピックという合意についてはニュースリリースをされているのは承知しておりますけれども、合意内容は公開されていないわけでありますが、この合意内容に関して大臣は御存じなんでしょうか。

丸川国務大臣 合意の内容を一言一句知っているかというと、そういうわけではありませんけれども、WHOのウエスタン・パシフィック・リージョンの出している、メガイベンツ、大きいスポーツイベント等でのア・ガイド・ツー・タバコフリーという、たばこフリーの方針を示した内容については承知しております。

本村(賢)委員 この合意内容はたしか公開されていないということだったので、恐らく今の答弁のとおりじゃないかなと思います。

 それでは、IOCとWHOがたばこのないオリンピックという合意を行っていることは承知しているわけでありますが、そもそも、たばこのないオリンピックとは何を意味されているのか、お伺いいたします。

丸川国務大臣 あくまでこのガイドラインによりますと、スモークフリー一〇〇%ということで、まさに受動喫煙を一〇〇%まず防止するという方針の徹底、そして広告あるいはスポンサーシップとしてのたばこ事業会社を除く、そういう趣旨でございます。

本村(賢)委員 次に、この政府案の受動喫煙防止対策が万が一実施されない場合、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを開催することはできないんでしょうか。いかがでしょうか。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

丸川国務大臣 最終的に二〇二〇年東京大会を開催するかどうかという決定は、契約の当事者でありますJOC、それからIOC、東京都が判断することになりますが、我々国は、大会の成功に向けて、できる限りIOCの考え方を踏まえて最善を尽くすべきものと考えております。

本村(賢)委員 それでは、担当大臣として、この受動喫煙防止対策が、できた方がいいというふうに思っていらっしゃると思うんですが、万が一できなかったら、これは開催するべきなのか、開催しないべきなのか、どちらでしょうか。

丸川国務大臣 開催できるように、あと三年と少し努力を続けるということだと思います。

本村(賢)委員 次に、各報道で、面積三十平米以下のカウンター席が中心の小規模店のうち、未成年者や妊娠中の女性の利用が想定されないようなバーやスナックについて例外とする案が検討されているという報道があります。

 厚労省は否定されているようでありますけれども、新聞各紙が報じている話であり、本当に検討していないものとは考えにくい気もするわけでありますが、改めて事実を伺います。

塩崎国務大臣 これはあくまでも報道ベースの話でありまして、受動喫煙防止対策強化のための法案の内容については、今、団体ヒアリングを政府でもやり、そして与党でもやっておりまして、まだ案を決めたという事実はございません。

 昨年の十月と十一月に政府のワーキンググループでヒアリングをやっておりますけれども、飲食業やサービス業の団体からも、物理的にも費用的にも喫煙室の設置はできないとか、あるいは小規模施設については延べ床面積などの適用の基準を変更してほしいとか、そういうようなさまざまな御意見があったと承知をしております。一方で、建物内は全面禁煙にすべきという医療関係団体からの御意見もいただいております、先ほど申し上げた、きょうも主要紙の一つが社説で書いておりますが。

 いずれにしても、具体的な内容についてはこれからさらに検討してまいりまして、丁寧に準備を進めてまいりたいというふうに思っております。

本村(賢)委員 それでは、面積が三十平米以上、以下というこの話もまだ未定ということでよろしいですか。

塩崎国務大臣 そのとおりです。まだ決まっておりません。

本村(賢)委員 それでは次に、麻生財務大臣にお伺いいたします。

 財務大臣といえばウイスキー片手に葉巻をくゆらせる姿が印象的でありまして、とても格好いいなという思いがしておりますけれども、財務大臣、例えばシガーバーにも今回の受動喫煙防止対策が進んでいくと影響が出ると思いますが、率直な御所見をお伺いいたします。

麻生国務大臣 たばこが吸えないシガーバーには行かないようにしたいと思います。

本村(賢)委員 麻生大臣は何歳ぐらいからたばこを吸われているんですか。

麻生国務大臣 余り記憶がありません。

本村(賢)委員 それでは次の質問に入らせていただきますが、サービス業を営む皆さんを中心に、商売が成り立たなくなるという懸念の声が上げられているようでありますが、サービス業への影響をどのように考えていらっしゃるでしょうか。

塩崎国務大臣 それは、先ほど申し上げたとおりヒアリングで、今御紹介申し上げたように、物理的にも費用面でも喫煙室をつくるのは非常にコストがかかることで、経営面で大変に大変だということも聞いておりますし、延べ床面積などで少し考えてくれないか、幾つか、兵庫県とか神奈川県とかいろいろありますから、そういうような御意見もあるわけであって、それはまさに経営にもかかわることとしてお話を賜って、今、さまざまな御意見を聞きながら、最終的にどうするかということを政府内で決めていきたいと考えているところでございます。

本村(賢)委員 私も神奈川県議会出身でありまして、ちょうど受動喫煙防止の条例をつくったときに県会議員としておったわけでありますが、神奈川県を調査した産業医科大学の大和教授によると、条例施行後に飲食店は売り上げが落ちたというデータはなく、むしろファミリー層がふえて売り上げが上がった店もあると報じられておりますし、海外でも、禁煙した飲食店は売り上げが上がったというデータもありまして、なかなか逆のエビデンスがありませんけれども、しかし、サービス業界の皆さんは今回、この問題に関して、自分が生きていく上でも非常に大きな問題だと捉えていらっしゃいますので、ぜひとも慎重な対応をお願いしてもらいたいと思います。

 最後になりますが、たばこ税収への影響について財務省はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

麻生国務大臣 今はまだ検討されているという段階で、今聞かれた程度の話でしかわかりませんので、その段階で税収にどれくらい影響が出るかというのは、計算できる段階ではありません。

 ちなみに、たばこはどれくらい税収があるか御存じでしょう。去年が一億七百万……(本村(賢)委員「一兆」と呼ぶ)一兆七百億か。そして、地方が同じようにありますので、合計で二兆一千四百億。これがゼロになるということになりますと多大な影響が出ることは正しい。もうはっきりしております。

本村(賢)委員 ゼロになることはないと思うんですが、財務大臣として、どのぐらいの減収があった場合、税収に影響があると思いますか。

麻生国務大臣 先ほどもお答えをいたしたとおりに、今の段階で、どれくらい減るだろうという予測は全然つきかねるような話で、ありませんので、今の話と言われても、極めて漠然として、どれくらいになるのか、ちょっと予想はいたしかねます。

本村(賢)委員 最後にしますけれども、どのぐらい減収があった場合、税収に影響があるとお思いでしょうか。

麻生国務大臣 それは、減収になった場合は、百億でも一千億でも、減収というのは極めて影響が出ることははっきりしています。

本村(賢)委員 これで私の質問は終わりにします。ありがとうございました。

浜田委員長 これにて本村君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島克仁君。

中島委員 民進党の中島克仁です。

 本日、予算委員会での時間をいただきまして、感謝申し上げます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。

 私からは、まず、高市総務大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今月の六日、二月の六日でございますが、NHK山形放送局に勤務するNHK記者が強姦致傷容疑で逮捕されました。容疑者は今現在も容疑を否認しておるということ、また現在捜査中ということで、全容はまだよくわかっていないわけでありますが、赴任をしていた山形、そして前赴任地が私の地元山梨ということで、少なくとも現段階で五件の事件に関与しておる、今後、捜査の行方によってはさらに事件が拡大していく可能性も否定できない。さらに、これは報道ベースでございますが、容疑者が複数の鍵を保持していたりとか、施錠されていない窓、ドア等から侵入した可能性もある、不可解な部分も多々あるということも報道されておるわけであります。

 犯行にNHK記者という立場を利用して被害者を特定した可能性も否定できないわけでありまして、もし本当にNHK記者の立場を利用して今回のような事件が起こったとしたら、公共放送への信頼をさらに一層失墜するゆゆしき事態だと言わざるを得ない事件だと私は思っております。

 大臣も、二月七日、報道翌日でありますが、閣議後の会見でコメントを出されておられますが、改めて、公的機関であるNHK記者による今回の事件の重大性の受けとめ、さらに、監督官庁でございます総務省、総務大臣としてNHKに対して具体的にどのような指示を出されたのか、お尋ねをしたいと思います。

高市国務大臣 本件につきましては、現在、被疑者が容疑を否認しているところではございますが、これが事実であれば、極めて悪質な事件であります。一刻も早く、まず事件の全貌が明らかにされることを期待しています。

 そして、NHKは国民・視聴者の皆様の負担による受信料で支えられている公共放送でありますので、NHKの職員におかれては、高い公共性と社会的責任を深く認識されて、常日ごろから十分自覚した行動をとっていただきたいと思います。まだ捜査段階ではありますけれども、NHKにおいては、そういった点も含めて、職員の意識の向上などコンプライアンスの徹底に取り組んでいただきたいと考えています。

 先般来NHKでさまざまな事案が発生しておりますので、私から、つい最近、受信料の着服問題については、直接、大臣室で読み上げた上で行政指導を行ったわけでございますが、本事案につきましても、事実関係が明らかになった段階では、しっかりと再発防止策について改めて直接お話をさせていただきたいと思っております。現下では、当然聞き取りをさせていただいております。

中島委員 確認ですが、今回の事案を含め過去の例でいろいろという話がございましたが、今回の事件に関して具体的に何かNHKに対して指示を出したことはないということでよろしいですか。

高市国務大臣 コンプライアンスの徹底に努めていただきたい旨はもう何度も私から直接お伝えをいたしておりますし、また文書でもお伝えをいたしておりますし、二十九年度のNHK予算はこれから国会承認に向けて御審議をいただくんですが、その中の大臣意見でも触れさせていただいております。この事案が発生してから、私自身が国会で総務委員会対応などで役所にいない時間が大変多かったものですから、現在、NHKの幹部と直接私がお会いをして、この件に限って何かを申し上げたということはございません。

 現下では、聞き取りをいたしております。さまざま、報道ベースですが、懸念されている点について、例えばNHKの職員という立場を利用して個人的な情報をとった可能性などについても聞き取りをして、対応についてはただしております。

中島委員 今回もコンプライアンスの重視、これは従来からということで、そしてお忙しい中で個別具体的に報告をゆっくりする時間もないという答弁だったと思います。

 事の重大性ですね、私が指摘したのは。過去にも、前会長のときも含め不適切なことが多々あった。ただ、今回、それとは性質が違う問題ではないかなと。

 そういう意味で、今回の事案、その重要性について、きょうも実はNHKを呼んで質問しようと思ったんですが、現在捜査中ということで、個別具体的なことは恐らくお答えにならない。そして、監督官庁である総務大臣の御認識を前提に次の機会にNHKに質問しようと思って、きょうは高市大臣にお聞きをさせていただいておるんですが、私は、今の答弁を聞いていると、今回の事件の重大性、大臣の認識は非常に甘いと感じます。

 端的に申し上げると、NHKの記者の立場を利用して今回犯行に及んだ可能性は否定できないという事実ですね。広い地域で、山形そして地元の山梨でさまざまなうわさがあります。そして、先週、週刊文春やフライデー等週刊誌にもさまざまなことが、信憑性は確かではございませんが。でも、確かに不可解な部分を考えますと、端的に申し上げると、先ほど大臣も、今現在まさに来年度予算、そしてNHK予算もこれから審議をされようとしているところでございますが、今回の事件に受信料徴収にかかわる個人情報、さらには受信契約にかかわる個人情報が被害者特定に利用された可能性は否定できないんじゃないかと私は思います。大臣はどうお考えですか。

高市国務大臣 あらゆる可能性を否定することはできません。ただ、捜査中の事案でありますから、本件の犯行とNHKの個人情報の管理が関連しているかどうかは現在不明でございます。断言することはできません。

 ですから、一般論として申し上げるしかないですけれども、やはり受信契約者の個人情報の管理の徹底というのは、これはNHKの非常に重要な責務でございます。現在もNHKでは、個人情報保護法を初めとする法令の遵守、これは当然のこととして、NHK個人情報保護規程などを定めて個人情報の適正な取り扱いに努めているということは承知をしておりますけれども、本件は警察で捜査中ですけれども、仮にこのNHKの個人情報の管理が犯行に関連していたということになりましたら、これは総務省として適切な対応を行わせていただきます。

中島委員 大臣の今の御答弁は、NHKの個人情報は保護法に沿って十分に管理されておるということだと思います。

 しかし、今現在の受信料の徴収体制と契約は、約六割が、NHK職員がやっているわけではなくて、一般法人または人材派遣会社の方々が委託を受けて、NHKの記章をして契約、さらには受信料の徴収に行っているわけです。

 先ほど申し上げたように、先週の週刊誌等々で、強引な徴収もしくは詐欺まがいの契約、そういったことが新聞ではなく週刊誌上でも言われている。私も実際、今現在委託されている二百五十以上を全部見たわけではございませんが、それぞれの形態で、それぞれの人材派遣会社等々でやられている。

 もちろん、NHKに入ってきた情報に関しては、個別の情報に関しては管理されておるというふうに私も信じようと思いますが、一般の企業が徴収に当たり、もしくは契約に当たっている、その部分においてまでも個人情報がしっかり管理されておると大臣は言い切れますか。

高市国務大臣 現捜査段階において、完全に管理されていたと言い切るつもりはございません。

 NHKの中の先ほど申し上げた規約でございますが、受信契約者の個人情報にアクセスできるのは、受信料関係業務に携わる職員や、今委員がおっしゃった受託法人に限定されている、そして情報の保管部屋の常時施錠管理、データベースのパスワード設定などの安全管理措置が講じられている、記者である被疑者は受信契約者の個人情報にアクセスできない立場であるというところまでは伺っておりますけれども、やはり今後、捜査の行方で、個人情報が犯行に仮に使われたということになるとこれは重大な問題でございますので、さらなるこの規約の徹底、そしてまた契約をしている、受信料を徴収している会社に対する研修の徹底、そのほか考え得る限りの対応をしていただく、こういうことになると思います。

 現段階で断言はできません。

中島委員 それが、先ほど言った今回の事案の重大性の認識というところだと思うんです。

 今回の事件には関係なく、例えば先ほど言った民間企業に委託している部分、この個人情報が一体どう管理されておるのか、これはしっかり徹底されておるのか、しっかりと現時点で調査すべきだ。

 そして、これはNHKの内部調査に任せちゃだめですよ。過去の事案を含めても自浄作用が全く機能していない、そういうNHKの体質。

 その中で、あえて私はきょうNHKを呼ばないで総務大臣にお尋ねしているのは、今回の事案はやはり性質が違います。もし万が一、公共放送の記章をして、徴収体制の中で真面目に公共料金を払っている方々が危険にさらされている可能性があるとすれば、今回の事件に関係なく、そういう可能性が否定できなければ、その管理体制、さっき言った、NHK内部だけではなく、二百五十を超える一般民間企業、そういった団体が個人情報をしっかり管理できているかは現時点から捜査、調査するべきだ、そして国民の皆さんにしっかりと問題なかったということを公表するべきだと私は思いますが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 既に、NHKに関しましては、今回の事件を受けまして、しっかりと内部でも調査をしておられると承知をしております。

 私の方に、今捜査という言葉をお使いになりましたが、捜査権はございません。ただ、一刻も早くこの事案を明らかにしていただく。

 捜査の過程ですから、NHKの側にも提供されていない情報もあるかと思います。本人も否認されているという状況でございますので、これはなかなか難しいことかもしれません。

 しかしながら、受信料を徴収するのにかかっているコストが高過ぎるという問題意識は、民進党を初め野党の先生方からも御指摘があり、また与党でも同じだと思うんですね。貴重な受信料収入の一割以上のコストをかけてしまっている。だからこそ、外部への委託も含めて、できるだけそのコストを減らしてほしいということはこれまでも申し上げてまいりました。

 その際に、外部の業者も含めてしっかりとコンプライアンスを徹底していただく、法律は守っていただく、これは当然のことでございます。NHKにはその対応を求めさせていただきたいと思っております。

中島委員 先日も、毎年ですが、NHK予算に関しては、NHKの方が御説明に来ていただきました。

 受信料支払い率は、三カ年計画で、昨年は、二十八年度で七八%、そして来年度、支払い率八〇%を目標にしておる。衛星放送は、今年度が四九%、そして来年度は五〇%。三カ年計画の最終年ということで、総務大臣も、来年度の予算に対する総務大臣意見において、この三カ年計画の支払い率八〇%を達成するようにということをおっしゃっております。

 私は、前提である受信料情報、さらには契約情報がしっかり管理できているかどうか、だからこそ、今回の事件とは関係なく、このことは、総務大臣、捜査ではなくて調査です、調査をしっかり指揮監督機関として徹底する必要があるんじゃないかということを申し上げておるというふうに理解していただきたいと思います。

 そして、今回、六日に逮捕報道があり、七日にはNHKがおわびの会見をされた。そして、その三日後には懲戒免職処分という処分を決定した。

 先ほど大臣も私も確認しましたが、現段階では、我々が知る限り、容疑者は容疑を否認している状況で、一見迅速に見えるわけですが、見方を変えますと、別にうがった見方をしているわけではないんですが、この短期間、恐らく二日余りの間に山形、山梨も含め捜査をした結果、処分を下されたと思うんですが、現段階で容疑者が容疑を否認しておる。もしかしてNHKは、この容疑者は以前から問題があったことを確認していた、そして、酒田支局は一人支局です、放置した結果、今回の事件に結びついた、そのようなことも考えられるのではないかというふうに思います。今回、早過ぎる幕引きというか、そういったことにも大変私は違和感を覚えるわけです。

 先ほど来申し上げているとおり、私は、まさに今、来年度の予算、NHK予算も審議されようとしているところで、今回の事件が受信料徴収、さらには受信契約に影響する可能性は高いというふうに思いますが、大臣はその影響についてどう考えられますか。

高市国務大臣 今回、山形放送局元職員の逮捕に先立ちまして、一月十日には横浜放送局職員による受信料の着服があり、十二日には福島局の職員によるタクシー券の不正利用が発覚しています。山形放送局の事案はまだ調査中でございますけれども、いずれにしても、どの案件も国民・視聴者の信頼を大きく損なうものでございます。

 それで、一月十二日には、NHKに対し私から直接厳重注意の行政指導を行い、再発防止策の実施を求めました。二月十日には、国会に提出した二十九年度NHK予算に対する総務大臣意見において、横浜放送局の事案、福島放送局の事案について再発防止の徹底を求めました。

 こうした指摘も踏まえながら、今、再発防止策にNHKでは取り組んでおられると思いますけれども、やはり受信料をお支払いいただくというのは多くの国民・視聴者の納得感があって初めてなし得ることで、NHKに対する信頼感があってお支払いいただけるものだと思いますので、NHKでは必死になってガバナンスの強化そして再発防止策の徹底、ひいては信頼の回復に努めていただきたいと強く希望いたします。

中島委員 時間が限られておりますのでこれで最後にいたしますが、今も言ったように、今、NHK、受信料収入六千八百億円、まさにそういう受信料で成り立っている組織です。何度も繰り返しませんが、私は、受信料の契約状況に影響がある、そういうことを鑑みると、今回、このまま、NHKの調査のみならず総務省もしっかり、管理体制が整っているのか、そして強引な徴収、さらには詐欺まがいの契約等々、疑念を持たれている部分を明確にしなければ、来年度の予算など通せるはずがないと私は思います。

 先ほど来の話で、NHK固有の個人情報がしっかり管理されておるのか、さらには徴収体制、契約体制が適正なものなのか、さらにはNHKの隠蔽体質が本当にないのかどうか、これにぜひとも、総務大臣、監督官庁、大臣としてしっかりと取り組んで、早急に対応していただきたいというふうに思います。

 時間も限られておりますので、次の質問に入りたいと思います。

 次は、介護分野の件に関しまして、塩崎厚生労働大臣に御質問させていただきたいと思います。

 介護の問題を私もたびたび厚生労働委員会等々でも塩崎大臣に御質問させていただいておりますが、介護問題、二〇二五年問題を踏まえまして、その整備は喫緊の課題だと思います。ただ、その前提となります介護人材の確保は、正直申し上げて全く道筋が立っていないのが現状ではないかと思います。

 政府も、処遇改善加算、この四月も異例の介護報酬改定、前倒しの形で行うということには一定の評価をいたしますが、残念ながら、例えば介護専門学校、定員数の割れている学校がほとんどであったり、離職者も非常に多いという現状、これはなかなかめどが立たない現状ではないかな、こういったこともたびたび質問させていただいております。

 そんな中、政府は、来年度の予算の中に、介護従事者の確保に関する事業として六十億円の予算をとっておられます。この中に、介護プロフェッショナルキャリア段位制度に対する予算、これを請け負うシルバーサービス振興会に一千六百万、全体の額からしますと非常に少ない額ではございますが、盛り込まれております。

 このキャリア段位制度、大臣は覚えていらっしゃるかわかりませんが、二年前にも私、たびたび指摘をさせていただきました。私、この制度そのものもなんですが、この成り立ちにも大変問題があるということは以前も指摘をさせていただきました。

 資料の一枚目にございます。これは、その成り立ちから平成二十六年までの経過でございます。

 時間もないのではしょって話をいたしますが、そもそもこのプロフェッショナルキャリア段位制度は、東日本大震災後の復興のための実証事業として始められたものであります。その後、平成二十四年です、当時は民主党政権でございましたが、事業継続については評価プロセスが行われ、二枚目の資料でありますが、その結果は、廃止というふうになっておりました。その理由については、下に書いてあるとおりでございます。

 この廃止となったものが、目標値を設定するということで復活をしたわけです。その目標値は、制度創設後三年間で段位取得者二万人、そして二〇一五年以降は毎年二万人の段位認定を目指す、そして二〇二〇年には十三万人の認定者を目指すということを前提に、平成二十四年十一月に制度が、一度廃止となったものが復活し、立ち上がりました。この時期、まさに政権交代、民主党政権から自公政権に移る、混乱の時期と言ったらなんなんですが、その時期だったということであります。

 そして、その後、平成二十七年から、当時は内閣府が所管をしていたわけですが、厚生労働省に移管をされました。当初の目標を創設後三年で二万人と設定したにもかかわらず、内閣府から厚生労働省に移管されるときには、その目標二万人を大きく下回る四百人余りであったわけです。それまでに使われた補助金の総額は約五億円。

 そして、内閣府から厚労省に移管されるに当たり、再度選定、公募が行われました。当初全く実績の残せなかったシルバーサービス振興会が、一者応募で、平成二十七年の四月からこの事業を継続することとなりました。そして、そのシルバーサービス振興会の理事長は元厚生労働事務次官の水田氏。そして、二年後、平成二十六年には、厚生労働省OBがやはり常務理事として就任をしています。

 全く実績のないこのシルバーサービス振興会がなぜこのキャリア段位制度を一者応募でとることができたのか、この件について二年前にも御指摘をさせていただいたんですが、改めて、実績のないシルバーサービス振興会がこのキャリア段位制度を受けられた、さらには、厚生労働事務次官水田氏が、平成二十四年六月、まさに評価レビューで廃止という議論がされているさなかにシルバーサービス振興会の理事長に就任した経緯、この件について再度御説明を願いたいと思います。

塩崎国務大臣 今お話がございましたように、最初、これは民主党政権時代にもともと考えられたものでありましたが、今お配りをいただいたように、みずからの行政事業レビューで廃止すべきという結論が出ていましたけれども、岡田当時の副総理が三分野に限って、介護分野それから省エネ分野、食の分野、それでなおかつ被災地限定でという、余り私もよく理解ができない仕切り方でありますが、平成二十四年の十月に民主党政権下でこの制度がスタートいたしたところでございます。

 確かに二十七年に内閣府から厚労省に移管をされましたが、これは当然、介護保険の制度の中での話でありますから、被災地だけでやるという整理もいかがなものかと誰でも容易に考えつくことでありますから、全国でやる。そしてまた、私ども厚生労働省が所管をするということに一応なっておりまして、今お話しのように、予算も、今だんだんに減りつつはございますが、一千六百四十一万円ということでやっております。

 一者の応札の御指摘でございますけれども、二十七年度の介護キャリア段位制度に関する事業の事業者選定は、介護職員資質向上促進事業公募要領に基づいて行われました。結果は、シルバーサービス振興会が一者の応札でございました。公募は厚生労働省のホームページなどにおいても当然全国公開をしておりましたし、それから、事業者認定のための評価委員会を設けて外部有識者による評価を行った上で事業者を選んで、公正中立に手続を進めてきたということでございます。

 それから、厚労省のOBがいるじゃないか、こういうお話でございました。

 この一般社団法人シルバーサービス振興会の理事については、同法人の定款に基づいて、介護事業者等から成る総会の決議によって選任されると承知をしております。理事のうちに元厚生労働省の職員が就任していることはもちろん承知をしておりますけれども、その就任の経緯については、私どもとは無関係で決められたことでありますから、把握をしておりません。また、厚生労働省がその再就職をあっせんしたという事実もございません。

中島委員 これは私も調べさせていただいて、そういう事実はないというふうに理解しますが、ただ、この経緯、非常にタイミングがよ過ぎる、さらには仕組み的に、目標数、要するに全く無理な設定を強引にして継続させたという背景だと思うんです。

 そして、この制度そのものも、アセッサーという評価者が自分の施設の職員を評価していく。その制度の信頼性も非常に担保しづらい制度で、私は従来から、この制度は全く無意味だということを指摘させていただきました。

 二年前、大臣は、この制度に関して、キャリアアップの仕組みとして国家的に運用し、処遇改善にもつながるのではないかということで、推進を図っていきたいとお答えになっております。今現在も、当初の目標であれば六万人いなきゃいけないはずが、ようやく四千人の認定者を出した段階。にもかかわらず、来年度の予算にも一千六百万円の予算づけがされておる。

 以前お答えになったように、これを国家的に運用し進めていくお気持ちがあるのか、さらには今現在の目標はどうなっているのか、お答えください。

塩崎国務大臣 数の目標を定めたのは民主党政権ですから、民主党政権に聞いていただいた方がいいと思います。

 私どもは、なぜか三県でやってみたりしておられたので、これは介護保険の中でやるべきことだろうということで、中身をどういうふうにやっているか一々申し上げませんけれども、確かに介護をやる方としての能力をはかる一つの指標ではあるというふうに思っておりますが、私どもは、もっと科学的に、きちっと自立支援介護などを進めていくベースを整えてこれを進めていこう、自立支援介護を進めていこうということを今考えておりまして、データヘルス改革推進本部というのを今立ち上げて、予防から医療そして介護を一気通貫で見られるように、また個人のデータも見られるようにしようと。

 そういう際に、介護保険のデータというのは、余り科学的じゃないというか、ほとんど科学的じゃない。デイサービスに行きましたというデータだけが残っているみたいなことでありますから、その中で何をやったかというときの一つの指標としてはこれはあり得ると思っていますが、私たちは、もっと科学的に分析すべきではないかという、民主党から受け継いだものとして今これを、予算は減りつつありますけれども、まだ持っておりますが、これをどうするかということは、これからしっかりとデータヘルスの大きな枠組みの中で考え直していきたいというふうに思っております。

中島委員 時間がございません。まだちょっと疑念があります。

 そして、例えば今の目標設定についても、これが本当に介護の処遇改善、介護従事者の確保につながっているかどうか、この検証もされておられるのかどうか、この件についてもまた厚生労働委員会で御質問させていただきたいと思いますが、この介護従事者の確保に対する事業とは到底言えないというふうに私は思いますので、そのことは……(塩崎国務大臣「民主党がつくった」と呼ぶ)私、民主党ではなかったので、そのことは御指摘をさせていただきたいと思います。

 以上です。

浜田委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、落合貴之君。

落合委員 民進党の落合貴之でございます。

 本日は、原子力発電関連予算や電気料金のあり方等、電力政策について質問をさせていただきます。

 まず、財務大臣にお伺いをできればと思います。

 原子力関連予算の全体像を見ようとしますと、経産省、環境省、文科省、内閣府、復興庁など複数の省庁にまたがっていて、全体で幾らくらい国費がかかっているのかわかりにくいのが現状でございます。商用及び実験用、研究用の原子炉や、核燃料サイクル、バックエンド、福島の原発事故に起因する廃炉作業、それから福島の復旧復興に関する予算等、これら原子力に関係する予算を合計すると、今回審議されている来年度予算では幾らになるんでしょうか。

麻生国務大臣 落合先生御指摘のとおり、政府として、いわゆる原子力関連予算というのは総額でまとめて整理しているわけではありません。

 その上で申し上げれば、電源立地交付金とか、いわゆる核燃料サイクルとか、安全性の向上とかいった原子力関連の研究開発などを含みますエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定の二十九年度の予算額というものは、その全額が必ずしも原発に関連しているわけでない部分もあるのかもしれませんが、合計で三千四百五十三億円となっております。

 また、今御質問があっておられた福島の第一原発事故関連というものにつきましては、これはいわゆる除染特措法というものに基づいて除染、中間貯蔵関連予算というのがあっておりまして、この復興特会におきましては六千五百三十三億円というものを二十九年度予算に計上いたしておりまして、この予算につきましては、御存じかと思いますが、基本的に事業の実施後に東京電力に求償できるということにいたすことになっております。

落合委員 足すと約一兆円ということで、事前に財務省の担当者の方ともいろいろ議論をしたんですが、足し算の仕方にもいろいろあるということで、正確に算定するのは難しいのが現状だと思います。私も手元でいろいろなやり方で足し算をしまして、大体一兆円くらいにはなっているなと。今大臣おっしゃったのも足し算するとちょうど一兆円ぐらいになりますので、それくらいは来年度も予算が通ればかかるものだと思います。

 それでは、それも踏まえまして、震災のあった二十三年度以降、この今の金額というのはどんな形で推移をしてきたんでしょうか。

麻生国務大臣 今申し上げましたエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定の歳出規模で申し上げさせていただければ、これは当初と補正とありますので、合わせまして、平成二十三年度四千億、平成二十四年度、二十五年度が約三千億、平成二十六年度、二十七年度が四千億、平成二十八年度は三千億という額になっております。

 また、いわゆる除染特措法に基づく除染、中間貯蔵施設関連の予算というのは、これまた当初と補正と合わせまして、二十三年、二十四年が約五千億、それから二十五年度は約七千億、二十六年度が五千億、二十七年度は七千億、二十八年度は一兆二千億円というのが両方足した額になっております。

落合委員 一兆円前後でやはりここ数年推移をしてきているわけでございます。

 今回、国費を使う範囲が広げられる可能性が出てきたということで、環境大臣に伺いたいんですが、今国会で法整備がされれば、帰還困難区域の除染も一部始めて、それでその費用は来年度予算から計上するということになっていますが、来年度予算での金額、今後、再来年以降の見通し、それから何年くらいにわたって国費をつけていく予定なのか、その見通しをお聞かせいただければと思います。

山本(公)国務大臣 まず、帰還困難区域の特定復興再生拠点区域の整備に係る除染、解体費用として、平成二十九年度政府予算案に三百九億円を計上しているところでございます。

 それから、先生の御質問でございました今後のことでございますけれども、現在、福島復興再生特措法の改正案が国会に提出されているところでございまして、環境省としては、改正後の法律に基づいて、復興拠点において必要な事業を進めてまいりたいと思っております。

 したがいまして、復興拠点の規模、事業内容等については、改正後の福島復興再生特措法に基づき、国と関係自治体との間で具体的な検討が進められていくものと承知をいたしております。現時点で事業期間や総額についてお答えをすることは非常に困難でございます。

落合委員 今まで、原子力関連でどれくらい国費を使っているのかもわかりにくかった。それにプラスして、今回、除染の範囲を広げて国費でやっていくわけですが、それもまだどれぐらいになるかわからない。

 去年話題になっていました核燃料サイクルそれから高速炉の費用、これはこれからどうしていくのか。なかなかうまくいかない中で、今後も費用が追加されていく可能性も高い。それから、原発の本体を見てみても、高レベル廃棄物の最終処分場の有望地、これは公表する予定だったのがまだ有望地も決まらないというような状況で、全体の費用というのは不確定な部分が大きい。そして、これからどんどん膨らんでいくことが大きいというものだと思います。

 きょうは、特に取り上げたいのが、資料でお配りしました、数字が出ている、福島の事故に関する、どれぐらい収束させるのにかかるのか、復旧させるのにかかるのか、それからどのように費用を分担させていくのか、この問題を取り上げていきたいと思います。

 この資料は資源エネルギー庁からいただいたものでございます。これまでは福島の関連する費用は十一兆円だというふうに見込まれていたわけですが、昨年末、委員会の答申が出されまして、二十一・五兆円に修正されました、見直されました。

 ここの合計金額のところ、二倍になっているわけですが、ここに注の七というのがついていまして、これをよく見てみると、帰還困難区域の復興拠点の整備、燃料デブリ等の取り出し以降に生じる廃棄物の処分、中間貯蔵後の除去土壌等の最終処分等に要する資金は含まれないというふうに脚注がついています。したがいまして、二倍になった二十一・五兆はまだ最終的に、第何段階以降にかかる費用は入っていないものでございます。

 今回出された二十一・五兆の内訳を見てみますと、廃炉・汚染水のところにも注がついていまして、この廃炉・汚染水対策費八兆円は経済産業省が評価したものではないというふうにわざわざ注がついているわけでございます。

 これは、廃炉・汚染水対策だけを考えてみましても、アメリカのスリーマイルの事故のときは核燃料が格納容器を突き破ることはありませんでした。チェルノブイリは突き破ってしまったわけですが、三十年以上たってもまだデブリの取り出しは行っていない。今回、五年かけてサソリと呼ばれる機械を開発したわけですけれども、それも途中でとまってしまいました。

 ここで経産大臣に伺いたいのですが、この八兆円は上回る可能性が高いのでまだ経産省は試算を出していない、上回る可能性が高いと考えているということでよろしいですね。

世耕国務大臣 この八兆円という見積もりは経産省が出した試算ではありませんが、これは、原賠機構が有識者にお願いをして、そして特にスリーマイル島の事故を参考にしてかなり保守的に見積もっていただいた結果、大体八兆円程度、スリーマイルの大体五十倍から六十倍はかかるだろう、そういった計算、試算に基づいて原賠機構がはじいた数字であります。

 かなり保守的に算定をされているということでありますから、ゼロとは言いませんが、上回る可能性は少ないというふうに経産省としては考えています。

落合委員 可能性は少ないということですが、今まで世界でデブリを取り出したことはないわけでございます。これはかなり、しっかり収束させるつもりであるのであれば試算をしなければ膨大なお金がかかる可能性があるわけでございます。

 これは経産省としては試算しないんでしょうか。

世耕国務大臣 これは何十年とかかる作業になってくるわけでありますから、今試算をするというよりは、これから毎年毎年、作業の工程が固まっていくに当たって、しっかり金額を確定させていくということが重要だというふうに思っています。

 経産省としては試算はしませんが、一つの数字のイメージとして、規模感として、この有識者がはじいた八兆円という数字は非常に参考になるものだというふうに思っています。

落合委員 二兆から八兆になるということは大変大きな上方修正であるわけですけれども、ほかの部分を見ても、いろいろと、計画がもう既にこの時点で無理なんじゃないかなというように感じられるところですとか、それから、国民への説明不足があるというふうに私が思う点が多々ございます。これを一つ一つ確認させていただければと思います。

 まず、隣の賠償費用の部分ですけれども、これは、今までは原賠法で電気の小売料金に上乗せされて、それで国民が電気料金で負担をしていたわけでございます。今まで五・四兆かかると言われていたのが、七・九兆円となりました。上振れ分の二・五兆円は、今後、送配電網の使用料である託送料金に乗せられる、それで費用を回収するということでよろしいですね。

世耕国務大臣 まず、先ほどの質問ですけれども、決して廃炉費用が、何か見積もり間違いがあったとか、見積もりが甘かったというわけじゃないんです。これは、民主党政権時代に、最初一兆円、確実に見込めるものとして解体費用だとかあるいはデブリ取り出しの前段階の準備費用だとか、そういうのを一兆円、そして、我々の政権になって、汚染水対策とかが出てまいりまして、それの費用が大体はっきりしてまた一兆円、これで二兆円で、残り、デブリ取り出しについては今まで見積もってこなかったわけでありますが、今回、これから東電改革を議論していくに当たってはやはり規模感というものが要るだろうということで、有識者にお願いをして、プラス六兆という数字が出てきたということであります。

 賠償に関しては、これは、完全に風評がまだ続いているというような実態のある中、明確に賠償費用が上方にふえるということがはっきりいたしました。そしてその中で、本来、過去、みんな電気事業者が賠償に備えておくべきだったものが備えられていなかったという点がありますので、この点については広く公平に集めるということで、託送料金に付加させていただくという判断をさせていただいているところでございます。

落合委員 託送料金に乗せるということは、再エネしか扱っていない小売業者もその分は負担をしていくということになると思います。

 次に、先ほどの八兆円の部分、どうやってファイナンスを充てていくのかということですが、東電のさらなる改革から捻出をするということでよろしいですね。

世耕国務大臣 廃炉費用については、これは国が研究開発等の面で前面に出るという面もありますけれども、大原則は東京電力が負担すべきである。その負担のやり方は、東京電力が改革を進めてコストダウンし、さらに収益性を高めて捻出する、年間五千億ぐらいの見込みだというふうに思っておりますけれども、それぐらいの改革を東京電力にやってもらうということになります。

落合委員 私もこれはいろいろ試算しましたが、五千億というのは大変高いハードルだと思います。

 そもそも、二〇二〇年から電力が完全に自由化が図られるということは、小売では完全に大きな競争が行われるわけで、利益は生みにくい。それから、発電は再稼働次第になると思います。そうなると、やはり送配電部門の利益に頼らざるを得ない。これも、今まで託送料金でとっていた部分を、経営改革してそこから浮かせたお金をとっていくということで、実質的には託送料金からとる部分が大きくなるということであると思います。

 その可能性は大きいですね。

世耕国務大臣 当然、廃炉の費用を、単純に考えると消費者からいただく電気料金を値上げして回収するということになるわけですが、そういうことは私は望ましくない、消費者への負担はできる限り抑制しなければいけないということで、これは、発電事業、小売事業、そして送配電事業も含めて、東電グループ全体の総力を挙げた合理化努力を引き出してその分の費用というものを捻出してもらわなきゃいけないというふうに思っている。だからこそ、我々、東京電力改革委員会でプロの経営者の方々にいろいろとお話を伺いました。

 例えば、プラザ合意後の急激な円高に対応するときの製造業、あるいは、私がかつて勤務していたNTTでも、年間数千億レベルの改革というのは過去何度もやってきた経験があるわけでありますから、私も、東京電力がそういった改革に努力することでしっかりと必要な費用を捻出していただいて、消費者の負担になることがないようにしてほしいというふうに思っています。

落合委員 公平で公正な競争をしていきます、それが安倍内閣の電力自由化の改革だったわけでございます。これは、送電部門と小売部門が競争をしていけば、自然、今までとっていた規制料金じゃなくなるわけですから、下がる圧力はかかってくるわけでございます。そうなると、結局、送配電部門に利益を頼らざるを得ない。

 それから、これをよく読んでみますと、ここには載っていませんが、福島第一以外の廃炉を当初の計画よりか前倒しで廃炉にする場合の費用も託送料金に乗せることができるようになるわけですね。

世耕国務大臣 今回、できるようになります。解体の積立金ですね。

 具体的に、建物を壊したりとかそういういわゆる建設作業的にかかる費用と、そして、早期に廃炉するということになった場合は簿価が残っている可能性がありますから、その簿価を一斉に償却しなければいけないということになった場合、これは電力事業者に非常に大きな負担になりますので、それも数年に振り分けて回収をしていく。そういう際に託送料金を活用するということは考えておりまして、これはアメリカでも、あるいはヨーロッパでも幾つも実例が見られている。やはり一番公平に回収できるのは託送料金ということになるんだと思います。

落合委員 今確認したように、多くの追加の費用をどんどん託送料金にこれから上乗せさせることが可能になるわけでございます。

 これは、電気料金が要は上がる、国民に請求書を回すわけですけれども、これをやるためには法改正は行うんでしょうか。

世耕国務大臣 法改正は行いません。

落合委員 これは、政省令それからいろいろな運用面での見直しを行っていくんだと思いますが、要は、先ほど前半に確認させていただいた、国費でやる部分もまだ不確定な部分が多い、金額もどんどんふえてしまうかもしれない、それにプラスして、税金ではない、それに準ずる公共料金である電気料金もどんどんどんどん上がっていく可能性があるわけです。そして、それは原発が原因となっているわけでございます。

 これだけ多くの人がかかわる電気料金の改正、そしてこれだけ大きな金額がかかわっているこの改正を国会の審議も経ずに行うというのは、大臣本人の感覚としてもこれはおかしくないですか。

世耕国務大臣 託送料金は、法律上、経済産業大臣が認可する形になっておりまして、その託送料金の中に何を盛り込むかというのは、いろいろな判断基準がきちっと示されておりまして、今回この賠償費用の一部を、過去分ですね、みんなで負担すべき費用を託送料金からいただくというのは、現行法上、対応可能だというふうに思っています。

 ただ、御指摘のとおり、透明性は非常に重要だというふうに思います。ですから、今御指摘の今回の新たな負担をお願いすることについては、まず、閣議決定をする福島復興指針において回収する金額の上限は総額で二・四兆円にする、まずキャップをかぶせるということ、そして、消費者庁の意見も聞いて、独立した電力・ガス取引監視等委員会による第三者のチェックを受け、さらに、毎月消費者の皆さんに届けられる料金明細表において負担額を明記するということで、透明性と適正性を確保したいと思います。

 その上で、結果として消費者の負担増にならないように電力会社の送配電部門の合理化などをしっかり行っていただいて、具体的に実際の料金値上げになることがないような形にしていきたいというふうに考えているのが経済産業省の方針であります。

落合委員 キャップをはめるというのも、法律ではなくて閣議決定でありますし、それから、第三者のチェックといっても、これはもともと電力システム改革のときに送配電網は公平公正であると言っていたにもかかわらず、特定の電源を優遇してしまっているわけでございます。第三者のチェックもちゃんと働くのか、これは疑問であると思います。

 今回の、法改正もない、国会でもほとんど審議がされていない、この決め方自体はどうなんですか、大臣。この決め方は正しいんでしょうか。

世耕国務大臣 いずれにしても、法律で、特に広く回収をしなければいけない、みんなで負担すべき費用については、託送料金を私どもが認可するときに盛り込むことは認められていると我々は考えております。その範囲の中でやらせていただいています。

 ただ、透明性も非常に重要ですし、こうやって国会審議の場でも御説明をさせていただくことは非常に重要だと思います。

 今回は、あくまでも、賠償費用の中で、過去に積み立てておくべきだったもの、これが残念ながら積み立てられていなかった、規制料金の中で、原価の中に、推定ができない、これぐらいかかるだろうということが合理的に算定できない賠償費用を盛り込んでこなかったということがあるわけであります。このことを、全体で平均して、最も公平に回収する。

 今、国の責任だとおっしゃる声もありますけれども、では税金で回収するとなったら、原発を使ったことのない沖縄県にも負担が行くわけであります。そういう中で、最も公平に回収できる方法が託送料金だという判断をさせていただいております。

落合委員 先ほどから、託送料金、託送料金とたくさん登場しているわけですけれども、託送料金というのは送配電網会社の収入なわけでございます。託送料金は、電力網の整備のために本来は使う、そのためにとるわけでございます。

 去年、東京で、老朽化した電線の火事があって、大規模な停電がありました。それから、電力小売自由化に伴ってスイッチを行うに当たって大きなシステムトラブルも起きている、新電力がそのシステムトラブルの被害をこうむっている事例があるという中で、どんどんどんどん託送料金から利益を捻出して、それを吸い上げていったら、電力システム改革はうまくいかないと思いますよ。

 今回のこの計画の矛盾点というのはまだたくさんあるんですが、もうあと三分なので一点申し上げます。

 これは、廃炉費用を出していくために東電改革を行っていきます。一方で、除染費用は、国が持っている株式売却益、東電の株の売却益を想定しているわけですが、株式会社の利益を強制的にどんどんとっていったら利益は残らない、株価は上がらないわけですよ。

 したがって、机上ではこういう金額が計算できますけれども、実際には株価は上がらないんじゃないですか。そういう問題はどうですか。

世耕国務大臣 電力会社の株価について私が発言するのはちょっと控えさせていただきたいと思いますが、当然、東電は、経営改革を行って廃炉の費用を捻出するだけではなくて、消費者への還元ということも行っていかなければいけない。あるいは、さらに、利益を上げられる体質になるための投資も行っていかなければいけない。その辺は、全て、東京電力が独立した企業としてしっかりとした経営を行っていくことが非常に重要である。そういう目で我々もしっかりと東京電力を監督していきたいというふうに思います。

落合委員 今、東電の価値は二兆ぐらいなわけで、そこから八兆もとっていったら、普通に、常識的に考えたら株価は上がりません。

 これは、今までもそういうことが多々ありましたが、国が無理な計画を立てて、見直すべき場で見直さないで、今までの線路を走ってしまって、その請求書が国民に回ってくる。あと、この計画の無理な部分は現場で働く人たちにかぶされてしまう。そういった不健全な原子力行政は改めるべきだと私は訴えまして、きょうの質問を終わらせていただきます。続きは経産委員会で行わせていただきます。

 ありがとうございます。

浜田委員長 これにて落合君の質疑は終了いたしました。

 次に、升田世喜男君。

升田委員 民進党の升田世喜男です。

 僕からは、東北経済に関すること、天下り問題、南スーダン、この三項目について三十分という限られた時間の中で質疑をしてまいりたいと思いますので、御答弁に際しては、わかりやすく、建前論ではなくて誠実に、勇気のある答弁を願いたいと思います。

 まず、東北経済についてでありますが、世耕大臣に端的にお伺いしたいと思います。東北経済の現況と課題をどう捉えていますか。

世耕国務大臣 東北地域の経済は、地域全体の生産活動ですとかあるいは雇用状況を見ますと、震災によって大きく落ち込んだ後、最近では震災前とほぼ同じ水準まで回復をしてきているというふうに思います。

 具体的には、鉱工業生産指数は、震災前の平成二十二年を一〇〇としますと、震災のあった平成二十三年三月には六五・二まで大きく落ち込みましたが、昨年十二月には九九・八まで回復しています。これは、震災前後に立地した宮城県の自動車メーカーや半導体製造装置メーカーなどの迅速な復旧に加えて、新事業展開が進むなど、製造業が着実に回復をしてきているためと考えています。

 雇用の方も、二十三年三月の有効求人倍率は〇・四八でありましたけれども、復興需要による公共投資の増加などによって昨年十二月には一・三八まで上昇しています。全国平均の一・四三とほぼ同じ水準まで回復をしてきています。

 一方、津波浸水地域や福島県の原子力災害被災地域といった、今なお困難な課題に直面している地域が存在していることも十分認識をしています。

 こうした状況を踏まえて、経産省としては、被災した設備、施設の復旧を支援する中小企業等グループ補助金ですとか企業立地補助金、あるいは原子力災害被災地域における官民合同チームを通じた事業、なりわいの再建支援といった取り組みで、東北地域の産業復興を強力に後押ししていきたいというふうに思っております。

升田委員 きょうは二月の二十日でしたか、来月の十一日で東日本大震災から六年を迎えてしまうわけでありますが、この東日本大震災というのは人類初ですよね。地震と津波、この災害はありますが、ここに原発事故が加わったという。三つのものが一つになった震災というのは人類初です。これが東北に起きました。

 振り返ってみて、我が国は昭和二十年に終戦を迎えました。先進国に追いつき追い越せ、その過程の歩みの中で、東北の労働力というのは金の卵と言われた記憶があります。我慢強い、寡黙である、無駄口を言わない、最後までやり遂げる。そういう歩みの東北に人類初の震災が起きて、今大臣の答弁がありましたように、ようやくもとに戻ったかなということなんですね。インバウンドのことは、大臣の所管じゃありませんけれども、後に聞きますが、インバウンドもようやくもとに戻った。国全体では二倍以上成長しているのに、しかし東北だけはようやく戻った、こういうことです。

 僕はここで何を言いたいかといいますと、過去に日本を支えた東北の労働力、そこで震災があった、ならば今度は国が、国全体が東北の発展に寄与する、そういう歴史の役割があるんじゃないかな、僕はこう思うんです。

 そこで、僕は、東北の経済を考えるときに、一つは観光であり、一つは食に関する産業であり、一つは未来エネルギーだと思うんですね。

 そのエネルギーの中で、水素というのを僕は県会議員の当時から注目しておりまして、今ようやくその時代が間近に迫ってきたな、こういうふうに思っています。総理も、水素ステーションが、ことしの四月で百ですか、全国にできると。こういうことでありますが、ただ、残念なことに、これまで経済産業省の職員の方と意見交換をさせていただきますと、どうもこの水素もやはり方向性が首都圏や近畿圏なんですね、僕が知る限りは。それは水素自動車とか、こういうことであるものですから、費用対効果でいくとそうなってしまう。

 これだと、東北の歴史への直視と、そして震災が起こってしまった東北に政治の心がない、僕はそう思います。そういうことで、この水素という未来エネルギーをぜひ東北に経済の新しい種として根づかせていただきたい、こう考えております。

 そこで、具体的に一つお伺いをいたしますが、燃料電池でございますけれども、燃料電池というのは発電に活用するときに非常に重宝されるものなんですね。六十度から七十度の排熱が出てしまう、いわゆる雪国にとっては非常に都合のいい発電装置なんですね。これをもっと普及させていくという方向性を経済産業省では持てないですか。

世耕国務大臣 大変過酷な震災そして原発被害を経験された福島を初めとする東北の復興には、やはり国も全力をかけていかなければいけないというふうに思っています。

 そういう意味で、水素の活用についても、福島のイノベーション・コースト構想の中で、福島でこれから水素をつくっていこう、そして、象徴的な形になりますけれども、東京オリンピック・パラリンピックで走る車についてはその福島の水素で走るというようなこともやっていこうということで、水素で福島、東北の復旧復興ということをしっかりとやっていきたいと思います。

 その上で、今議員からお話がありましたいわゆる水素を使った電池、エネファームでありますけれども、経済産業省では、水素・燃料電池戦略ロードマップに基づいて、家庭用の燃料電池、エネファームの普及などを進めています。御指摘のとおり、これは熱が出ますので、これの有効利用をする、そうしますと雪の多い寒冷地では大変活用ができるという面があると思っています。

 ただ、今、現時点では普及に向けてはまだコストがなかなか高いという問題があります。そこで、二〇二〇年ごろまでにエネファームの導入価格を八十万円ぐらいまで引き下げるということを目標として、導入支援を行ってきているところであります。その結果、発売当初、二〇〇九年は三百万円程度したものが現在百十万円程度まで落ちてきまして、十九万台が普及しています。

 特に、断熱材など追加設備が必要となる寒冷地仕様のエネファームについては、今年度から補助金を三万円さらに上乗せさせていただくなど、優遇措置も講じさせていただいております。

 平成二十九年度政府予算案にあってもこういう取り組みを継続するための予算を盛り込んでおりますので、ぜひ東北地方においてもエネファーム普及に向けて努力をしてまいりたいというふうに思います。

升田委員 エネファームは、七十万、八十万になっていただければ現実的に普及されていく条件が整うということになりますね。

 ただ、いま一つは、賞味期限というか、使える期間が今現在十年前後でしょう、十年に満たないと思うんですね。これはやはり十五年以上活用できるような期間になっていかないと導入してもペイしないということになりますから、もう大臣は知っていると思いますが、そこは押さえておいてください。

 東北に水素がまだ見えないというのは、福島の方での取り組みは私も勉強させていただいております。まず一つは、東北というところは再生可能エネルギーが非常に優位性があります。そして、水から水素がとれるということでパワー・ツー・ガスというシステムで、私は、東北全体、特に、風力発電と水を電気分解しての水素製造に加わって、自動車もどこかの部品を東北でもつくれるようなこと、大臣、これを気にかけていただきたいと思います。ただ水素の製造だけでは経済に根が張るとは僕は思いませんので、製造のものと相まって持続的な経済に結びついていくと思っておりますので、そのところをしっかり受けとめてほしいなと思います。

 時間の関係上、インバウンドの方に行きたいと思います。長官、来ておられますか。

 インバウンドも東北はようやく震災前に戻ってきたということで先ほど申し上げさせていただきましたが、ただ、残念なことに、国全体の成長率から比べれば五〇パーぐらいしかありません。

 もっと伸ばしていくためには、WiFiがホテルでは使える、しかし居酒屋では使えない、こういう声があるんですね。それと、外国の方からしたら、日本に入ったら一回の手続で、一回パスワードを入力すれば後はどこでも使えるようになる、これが一番理想だと思うんですね。ですので、少なくとも東北は一度の手続で済むようにしてもらえませんか。これはいかがですか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 今後、東北等の地方部へ訪日外国人の誘客を進める上で、ニーズの高い多言語対応あるいは無料WiFi等の快適な旅行環境整備を一層進めていくことが重要であります。特にWiFiは、スポット整備に加えまして、今御質問がございましたように、認証連携等による利便性向上も重要であるというふうに考えております。

 そういう意味では、東北のWiFiスポット数とか英語表示が全国に比べてどうかというのは、なかなか比較が難しいし、簡単な調査では必ずしも著しく低いというわけではありませんけれども、公共交通機関ですとか、ただいま御質問いただきました飲食店でありますとか、こういうところは全体にWiFi整備等が進んでいないというふうに考えられます。

 東北は、二〇二〇年、訪日外国人延べ宿泊者数百五十万人泊実現に向けまして、受け入れ環境整備が特に重要であると考えております。いろいろな予算を使いましてWiFi整備それから多言語対応等を強力に支援してまいりたいと思いますし、総務省と協力してWiFi認証連携普及にも取り組んでまいりたいと考えております。

升田委員 WiFiの必要性は、実はこれが完備されていくとビッグデータがとれるんですね。ビッグデータになって、いわゆる観光客、消費者の動向が詳細にわかるようになったら、今後のインバウンドの戦略に大きく寄与すると思うんですよ。ですから、この整備が必要だと御指摘をさせていただいております。

 あともう一つは、案内表示板なんですね。これは、英語、ローマ字、そのほかに、東北であったらやはり韓国語と中国語はセットでいかないと。お客様が迷うということがあったら、迷うところには普通行きませんから、迷わないようにしないといけない。この辺はいかがですか。

田村政府参考人 御指摘のとおりだというふうに思っております。

 そういう意味では、先ほどもお答え申し上げましたように、多言語表示の支援というのも強力に推し進めてまいりたいと考えております。

升田委員 きょうは大臣でなくてもいいと言ったので大臣が来られていないんですけれども、お伝えください。標識もやってもらいたいし、同時に、自動車の自動運転ですか、これは東北からスタートしてもらえませんか。こういう声もあったということを伝えておいてください。

 東北はこれまで苦しんできたんですから、そこで人類初の震災があったならば、日本の国の政治の心として東北から始めていくということでいいじゃないですか。安倍総理もよく言っているじゃありませんか、東北の復興なくして日本の再生なし。ならば、未来エネルギーの水素もそうですが、自動運転のそういう取り組みも東北から行うんだ、こういう認識を持っていただきたいなと思います。

 天下り問題についてお伺いをしたいと思います。

 大臣にお伺いをする前に、質問は至ってシンプルです、今の心境を聞きたいということなんですが。お伺いする前に、二つほど私の体験談をお話しさせていただきたいと思います。

 昨年の十二月、年末になれば国会議員の先生方は、選挙で生きている方々は、必ず忘年会を後援会がするわけでありますけれども、私も地域別で行っています。

 あるところに行きまして、五十三歳の農家の若者なんですけれども、男性が、いつものことなんですが、僕は会えば怒られるんです、何をしているんだ、農業で飯を食えないじゃないかと。会えば怒られるんですよ、いつもいつも。いつものことだなと思ってじっと聞いていましたら、途中から、五十三歳、ふだんお会いすると気丈な人ですよ、泣き出しました。

 朝から晩まで働いて、ある市場に持っていったら、こんな値段しかつかなかった、もう自分でつくったものをぶん投げてそこらじゅうに散らばして怒りをぶち上げたかったけれども、そんなことをしたら二度とここの市場に来られなくなるから我慢してきたよと。朝早くから夜暗くなるまで頑張って働きながらどうしてこれだけ苦しまないといけないんだという声を、最後は泣いたんです、五十三歳の男が。これが一つです。

 あと、五年ほど前でしょうか、落選中でありますが、挑戦中と言ってもいいんですが。三年間、これは直接その女性の方が私にお話しした話ですよ、パートで働いていた。三年間働いてようやく時給が上がることになったというので、ああ、それはよかったな、では時給は幾ら上がるのと。そうしたら、大臣、幾らだと思いますか、時給。三円ですよ、三円。三年間働いて三円ですから、一年で一円ですね。これで三円です。

 三円か、これは寂しいね、がっかりだな、僕はこう言いました。そうしましたら、ここをよく聞いてください、その女性は何と言ったか。升田さん、違うんですよ、私はうれしかった、時給を上げてくれるということは、ここでまだ働けるんですねという保証をもらえた、うれしいと。一日二十四円ですよ、八時間で。一週間で百二、三十円ですか、四、五十円。ジュース一本飲んだらもう終わりですよ、それでもうれしいと言っているんです。これが二つ目なんです。

 さて、今回の天下り問題、月に一度働くだけで年収が一千万円ある、こういうお話も聞いています。大臣、あなたは今この天下り問題に対してどんな思いでいますか。お答えください。

松野国務大臣 教育をつかさどり法を遵守すべき立場にある文部科学省の職員が国家公務員法における再就職等規制違反を行って、そのことがもう認定をされております。さらに、その隠蔽を図ったことは国民の文部科学行政に対する信頼を著しく損ねるものであり、心よりおわびを申し上げる次第であります。

 現在、私の責任において、法制度が変わりました平成二十年十二月三十一日の再就職等規制が始まった時点までさかのぼって、退職者を含めて違反の有無について調査を行っているところであり、調査結果に基づき厳正な処分を行うことで、省を挙げて信頼回復に取り組んでまいりたいと考えております。

升田委員 僕の心が納得するような答弁ではなかったですね。

 これが地方の現実なんですね。天下り問題がなぜ悪いか、それはいろいろな御指摘はありますよ。しかし、僕から言ったら、真面目に働くとばかを見るというふうな、この空気感が蔓延したら我が日本の未来はどうなるんですか。ここが一番の根本問題だと思いますよ。

 これまでの議論の中で、予算の採決がなされる前に大臣が調べていることで公表できることは一日も早く公表しますという答弁をしてまいりました。それはどうなりましたか、ここで発表することはできませんか。いかがですか、大臣。

松野国務大臣 二月六日におきまして、先行的に取りまとめをしたものを発表させていただきました。その後の中間報告に向けて、浜田委員長からもできるだけ早く結果を発表するようにという御指示をいただきまして、今ヒアリング調査また全職員に対する書面等の調査を進めているところでありまして、最終的に中間取りまとめに向かって内容を分析、精査しているところでございます。

 できるだけ早い時期に調査結果を公表、また予算委員会の方に御報告させていただきたいと考えております。

升田委員 めどさえ答弁がなかったのは極めて残念でありますが、時間の関係上、南スーダンに関連して稲田大臣にお伺いしたいと思います。

 今、南スーダンで活動している部隊というのは青森部隊なんですね。僕の選挙区の中でございまして、第九師団第五普通科連隊を中心とする三百五十人体制とお伺いしています。首都のジュバ市で宿営地などで活動しているわけでありますけれども、当然にして、見送った家族が無事に帰ってきてほしいなと思うのは当然ですね。

 そこで、日報についてちょっと確認したいことがあるんです。

 先週の十七日に辻元委員が御質問なされたと思うんですね。きょうは資料を持ってきてあります。ちょっとここを確認させてください。議事録をそのままちょっと朗読させていただきます。

 大臣にジュバの状況を説明したところ、その説明には、二十一カ所、南部も北部も含めて、七月から八月にかけて戦闘があると説明しているんです。そして、同じころに家族に説明している資料には、二カ所だけ北部で戦闘がある。全部抜け落ちているんですよ。衝突でもいいですよ。大臣に説明しているところには二十一カ所、そして御家族に説明しているところは北部、ジュバから遠く離れたところに二カ所の戦闘。

 これで、大臣は、これは今初めて聞いたから確認させてください云々で、ここで一つとまりました。これは、大臣、確認されましたか。いかがですか。

稲田国務大臣 まず、委員の御地元の青森の部隊が、今、第十一次隊として南スーダンにおります。私も昨年十一月に青森駐屯地で第十一次要員の壮行行事にも出席をして、御家族のところを全て回らせていただいて、今委員が御指摘になった、御家族がどんな気持ちで、安全をしっかりと確認して無事に帰ってきてもらいたいという思いで送り出されているかということは、私も胸にしみて感じ入っているところでございます。

 そこで、今委員がお尋ねの、先日の予算委員会における辻元委員が手に持たれていた資料、それがその際何であったか全く知らされておりませんでしたので、私は、それを確認してまいりますということを申し上げました。

 そして、確認をしました。二〇一六年八月一日時点で、反政府派の活動が活発な地域、衝突場所二カ所、そして活発な地域として赤で囲ってあったということでございます。

升田委員 何だかよくわかりませんが。

 ここが問題なのは、二十一カ所と二カ所、ここの違いがあったら信頼が揺らぐんですね。さらに不安が増すというところ、ここが一番問題なんですよ。

 何で二カ所かということをお伺いしたいんですけれども、時間の関係上、ここも、家族の皆さんあるいは国民の皆さんが全く不思議だなと思っていることがいわゆる日報なんです。日報はなかった、廃棄されたと、しかし、おかしいねと大臣が指示しましたら十日で見つかった、しかし、そこから今度は大臣に上がるまで一カ月かかったというんですね。

 僕はこれをお伺いさせていただいて、ある種、稲田大臣は気の毒だなと思いましたよ。一カ月間も防衛省から情報が上がっていかないということはおかしいなと思いました。しかし、いろいろやりとりを聞いて、角度を変えて考えていきますと、なぜ一カ月間も防衛省が大臣に上げないのか、これは、防衛省の大臣に対する信頼の距離感がこの一カ月間の時間にあらわれているんじゃないかなと思うんですね。

 防衛省というのは、国民の生命と財産を守る極めて重いところですよ。ですから、大臣というのはどしっと構えないといけない。僕は人のことを言える立場ではありませんが、ちょっといらいらする方なんですね、かりかりする方なんですよ。よもや稲田大臣はそうではないと思うんですが、仮にそうだとしたら職員は気を使いますから、その距離感が一カ月じゃないかなと思うんです。大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 まず、今回の南スーダンの派遣部隊がつくっていた日報ですけれども、これは用済み後破棄という規定になっていて、その規則に基づいて破棄をされておりました。

 しかしながら、私はその報告を聞いたときに、自分の経験則、それは弁護士としてもそうですし、一般国民としても、それはどこかにあるんじゃないのかと指示をして、どこかにあるんだったら、早く探して、そして公表しなさいよと。それが、委員がおっしゃる、怖かったから言えなかったということを指されたのかと思いますが、そういうことはないと思います。

 私はそう言って、そして言われた方も見つけて、十二月二十六日にあった。あったので、それはすぐ公表しなきゃいけない、大臣がすぐ公表しろということで、そこからさまざまな作業をして一月二十七日になって私に報告したということでございますけれども、でも、私も、委員がおっしゃるように、あったという事実自体をなぜ早く伝えなかったのか、まずあったという事実を早く伝えるべきであったということは、厳しく指導して注意をしたところであります。

 そして、委員が一番御心配になっている南スーダンの情勢ですけれども、これについては、私は大臣になりましてから毎日、日報のみならずいろいろな情報を、UNMISSから伝えられる情報であったり、南スーダンの北部や南部やジュバのみならず全体の情報であったり、また他国の情勢であったり、それを毎日私は報告を受けているところでございますので、その中においてしっかりと、自衛隊員が安全を確保して有意義な活動ができているかどうか見ていきたいと思っております。

升田委員 もう一つのなぜがあるんですけれども、大臣が知り得てから記者発表まで十一日間かかっているんですね。これもかかり過ぎだな、普通はそう思いますよ。

 さて、お時間の関係上、あと一問ぐらいしかできなくなってしまいましたが、あとまた家族が不安に思うのは、賞じゅつ金でしたか、六千万から九千万になった。辻元委員の質問に対しては、それはリスクが増大したからではない、そういう答弁でありましたが、これも普通の感覚でいったらそうじゃないですよね。リスクが同じならば、六千万は六千万でいいんです。家族にとったら、金額が上がるということは、これはやはりリスクが増したことだな、こう思うのが普通だと思いますよ。これは普通だと思います。

 さて、一連のこれまでのやりとりを聞いて、いわゆる日報に自衛隊員は戦闘と書いていました。しかし、稲田大臣はそれを衝突という表現に変えています。変えていませんか、変えていないんですか。そういう説明をしていませんか。大臣、お答えください。

浜田委員長 稲田防衛大臣、時間が来ていますので、簡潔に願います。

稲田国務大臣 まず、現地の日報が戦闘と書いているものを書きかえるというようなことは全くしておりません。

 そして、私がこの場で言っておりますのは、戦闘行為という、まさしくPKO五原則にかかわるような、そういう法的な要件をここで議論する場合に、法的な要件のPKO五原則の戦闘行為がないというのであれば、一般的な用語として国会の議論をする場合では、私はそこは区別して、紛らわしくないように表現をしております。

 しかしながら、現地の施設隊の隊員が戦闘と記載をした生の事実ですね、生の事実。今も、南スーダン全体で、北部や南部でいろいろな事象が起きております。そういう生の事実をしっかりと見て、PKO五原則が満たされていたらそれでいいというのではなくて、自衛隊員がみずからの安全、先生の御地元の隊員の皆さんが安全を確保して有意義な活動ができるかどうか、そこはしっかりと見ていきますし、そのことを議論しましょうということをるる申し上げてきたところでございます。

浜田委員長 升田君、時間が来ておりますので、よろしくお願いします。

升田委員 はい。時間が来ていますが、ちょっとお許しいただいて。紛らわしくないと言っていますが……(発言する者あり)次の時間をもらえばいいんじゃないんですか、それはだめなんですか。だめなんですか。国会のルールは守っていきますよ、守りますよ。

 しかし、大臣、紛らわしくないと言っていますけれども、紛らわしい連続なんですよ。家族はもう不安がいっぱいですから、どうか信頼を回復させてくださいよ。それができなかったら出処進退を明らかにしてくださいと申し上げて、終わります。

浜田委員長 これにて升田君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 平成二十九年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁、防衛省所管及び他の分科会の所管以外の事項

 第二分科会は、総務省所管

 第三分科会は、法務省、外務省、財務省所管

 第四分科会は、文部科学省所管

 第五分科会は、厚生労働省所管

 第六分科会は、農林水産省、環境省所管

 第七分科会は、経済産業省所管

 第八分科会は、国土交通省所管

以上のとおりとし、来る二月二十二日及び二十三日の両日分科会審査を行いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人及び会計検査院当局の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 今の職権立て、怒りが冷めやらぬ直後の質疑でございますが、中央公聴会も職権で立て、職権で立てた後に今後の集中審議の日程を提示する、こんなようなニュアンスで職権で立て、その後、全くゼロ回答で、分科会も職権で立てる、しかも出口についても言及する、こんな横暴な、私も理事を何回かやっておりますけれども、委員会は見たことがありません。ぜひ、委員長の指導力をちゃんと発揮していただきたい。職権、職権だったら委員長は要らなくなるわけですから、本当にお願いをしたいところであります。

 与党からもやじが飛びましたけれども、与党も、委員会でも集中審議の日程提示を委員長が促しているわけですから、かたくなに拒む、ぜひこういう姿勢はやめていただきたい。

 質問に入ります。

 稲田大臣に質問をさせていただきますが、稲田大臣、この調査委員会、南スーダンの日誌が破棄されて、また見つかった、あるいは大臣に一カ月おくれて報告があった等々、事実関係と再発防止を議論するような調査委員会の設置というのは、稲田大臣は、省内での調査委員会の設置を指示されたということはございますか。

稲田国務大臣 まず、本件の日誌は、破棄されたことは問題じゃないんです。破棄されたことは、規則にのっとって破棄をしておりますので、破棄したことは問題じゃないんです。そして、破棄して、不開示にして、見つかったから出したことも問題じゃないんです。

 今、調査会についてお尋ねがありました。多分それは朝日新聞で報道されたことを指されているのではないかというふうに思いますが、報道は承知いたしておりますけれども、防衛省として、そのような委員会を設置すると決めた事実はございません。

長妻委員 設置を決めた事実はない、これは私もそうだと思いますが、私が聞いているのは、そうではなくて、稲田大臣が、調査委員会の設置をするべきじゃないのか、こんなような指示をされたというようなことはありますかということなんです。

稲田国務大臣 さまざま、今回のことについて、やはり教訓として直さなきゃいけないこと、たくさんあります。そういったことをどのようにしてまとめ、また、そしてそれを改善していくかということは省内で議論しております。しかしながら、その委員会を設置することを決めたことはないということでございます。

長妻委員 微妙に言葉を、決めたというのは、だから、決めたことはないんですよ。まだ決まっていないというのは私も承知していますが、そういう御指示を省内でされたのかと、調査委員会の設置について、お伺いしております。三回目ですので。

稲田国務大臣 役所において大臣が指示をするということは決めたということですから、そういった事実はございません。

長妻委員 そうすると、ちょっと話がややこしくなってくるんですが、私がこの理事会でも聞きましたのは、防衛省のどなたかが、調査委員会を設置するというようなことについて、紙を理事会の前にやる与党の理事懇談会の直前に持ってこられた。そこは、南スーダンの情報開示についての調査委員会というような感じのネーミングだったというふうに与党の方はおっしゃっているわけでありまして、そうすると、そういうふうに提示をして、これについて与党の方にそれをお伺いしたという事実もないということですか。

鈴木政府参考人 防衛省といたしまして、国会議員の先生方とは所管行政につきまして日ごろからさまざまなやりとりをさせていただいておりますけれども、その内容を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

長妻委員 いやいや、内容はもう明らかになっているんですよ。

 理事会で私が委員長、石田筆頭理事にお伺いしたところ、石田筆頭は、そういう紙を示されたけれども、その調査委員会のタイトルが南スーダンの情報開示についてのようなものだったと。ただ、石田理事はこう発言された。問題は自分は二つあると思っている、情報管理の問題と、発見してから一カ月伝達がおくれた、だから、南スーダンというふうにタイトルに書いてあるけれども、それだけに限定するものではないのではないのか、こういうこともおっしゃっているわけであります。

 ですから、その調査委員会、私は調査委員会をつくるべきだと思う立場なんですよ、それを与党に提示したということでありますから、そうすると、稲田大臣が全く知らないところで勝手に鈴木審議官が与党に調査委員会を持っていっちゃった、こういうことでよろしいんですか。

鈴木政府参考人 私は、防衛省におきまして国会担当の審議官といたしまして、国会の先生方とは、日常的にさまざまな御説明等をさせていただいております。

 そうした中で、さまざまな案件について御説明を行っておりますけれども、その内容につきまして私どもの方からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思っております。

長妻委員 大臣は御存じなかったんですか。

稲田国務大臣 事務方と国会議員の先生方とは所管行政について日ごろからさまざまな意見のやりとりを行っておりますけれども、そのさまざまな意見のやりとりを明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 防衛省として、委員会の設置に関して何ら意思決定を行っておりません。したがいまして、防衛省内部の検討について、お答えは差し控えたいと思います。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 予算委員会中ですので、毎日のようになのか、日ごろからさまざまな意見のやりとりを行っているというふうに思いますけれども、その内容を明らかにすることは差し控えたいということでございます。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 うちの事務方が理事会に行ったり、また国会の先生方と一緒にやりとりをしていることは知っておりますけれども、その内容については差し控えたいと思いますし、また、いつ、どのような話を具体的にしたかということをつまびらかに知っているわけではありません。

長妻委員 それはびっくりしましたね。知らないということですか。つまびらかに知らない。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

長妻委員 そうしたら、大臣にお伺いしますけれども、バレンタインデー、今月の二月十四日の朝、閣議後会見が八時三十五分から八時四十二分、官邸エントランスであったわけでありますけれども、では、その直前に、与党に調査委員会の設置を言ったらばちょっといろいろ否定的な意見があったというような報告を大臣は受けておりませんか。

稲田国務大臣 まず、防衛省として設置は決めていないんです。したがいまして、それまでのさまざまなやりとりについて、お答えは差し控えさせていただきます。

長妻委員 重要な問題を私は申し上げているのでありまして、どういうことかといいますと、私は、防衛省の判断を多としているというか、いい判断をされているということで、何でそれをストップされたのかなということを前提にお伺いしているんです。

 どういうことかといいますと、これは浜田委員長、石田理事もお認めになっておられますけれども、私が官房長に防衛省から誰が説明に行ったんですかと聞きましたら、防衛省の官房長が鈴木審議官が説明に行きましたと私に金曜日おっしゃったので、きょう鈴木審議官をお呼びしたわけです。鈴木審議官が、先週火曜日のトランプ集中審議の前の与党理事懇の直前に、調査委員会を設置する、これはうちの後藤委員が要請したものであります、まあ第三者は入っていないようでありますけれども、省内の調査委員会を設置するというような一枚の紙を持ってそれを説明に来たわけです。

 そうしたときに、さっき石田理事はそういう御発言をされ、浜田委員長は、これは正確に浜田委員長に御発言を確認しましたけれども、先週火曜日の朝、そういう紙を持ってきたところ、稲田大臣は委員会で説明し切れていない、調査委員会の設置だけにこだわるのはどうか、こういうふうにおっしゃったわけでありまして、わかりますか。(稲田国務大臣「どなたがですか」と呼ぶ)何が。どなたというのは。

 ちょっと、ちゃんと聞いておいてくださいね。もう一回言いますと、浜田委員長は、その調査委員会設置の報告を防衛省から聞いたときに、稲田大臣は委員会で説明し切れていない、調査委員会の設置だけにこだわるのはどうか、こういうような発言をされて、非常に否定的な雰囲気だったと思うんですね。

 それで、結局、その調査委員会というのはもう見送られたというふうに私は承知しているんですが、今後とも、もう調査委員会はつくらないということになるんでしょうか。

 そういう調査委員会についてぜひ設置をしていただきたいと思うのでございますが、これについて、けさの理事会でもこの話題にもう一回なりまして、浜田委員長にも私はお尋ねしたわけでありますけれども、私は調査委員会をつくってほしいという立場なんですよ。防衛省も一旦つくろうというふうに根回しをして、途中でなぜか、なぜかというか、与党が非常に否定的な言動があったというのも大きく影響していると思いますけれども、それでなくなっちゃったということを非常に心配しているんです。

 そこで、けさ、浜田大臣に、失礼、浜田委員長に、浜田委員長の方が大臣らしいような気もしないでもないんですけれども、浜田委員長にお伺いしましたら、委員会の設置はやはり今はするべきだと思うというふうにおっしゃっておられるわけで、その心は、統幕、幕僚監部から過去の日誌が全て保管してあることがわかったという新たな事実も出たので、調査委員会の設置は当時は時期尚早だと思ったけれども、設置をするべきだというふうにもおっしゃっているので、稲田大臣、ぜひ調査委員会、設置寸前まで行ったわけでありまして、設置をしていただくということはおっしゃれないですか。

稲田国務大臣 まず、調査委員会の設置は決定していないということは納得をいただいたということでございます。

 そして、今回の、何度も言いますけれども、破棄したこと自体は全く問題ないんです。そして、なかったもの、ないということで不開示にしたものを、私の指示で捜索して見つけて公表したんです。なので、隠蔽の意図はないんです。

 もっと言うと、この南スーダンの派遣というのは民主党政権のときに決められましたよね。その当時から、破棄をする、そういう扱いにしていたんです。そして、私は……(長妻委員「調査委員会の話。せっかくサポートしているのに」と呼ぶ)サポートしている、では聞いてください。

 しかし、私はこの国会の中でさまざま聞かれて、私が指示して見つかってから一カ月間、見つからなかったことは非常に問題なので、その点については、私みずから事実関係を確認しているところでございます。

 そういう意味において、しっかりと事実関係の聴取、指導、再発防止に取り組んでいるところでありますし、今後、このような事態が再び生じないように一層緊張感を持って公文書の管理や情報公開の対応を行うよう、しっかりと指導してまいります。

長妻委員 私が聞いているのは、防衛省の判断はいい判断だということで聞いているんですよ。もう寸前まで、委員会を設置するということで準備をして、よく御存じだと思いますよ、一枚紙をつくって。ただ、それを、今、浜田委員長も意見がそういうふうに推進に変わったわけでありますから、ぜひ、調査委員会を設置すると。大臣はいろいろなところで調査する、調査すると何度も繰り返しおっしゃっておられるわけでありまして、ぜひ、その調査をきちっとする、そして調査委員会を立ち上げるということをおっしゃっていただきたいんです。

 私は、せっかく防衛省が与党の与理懇の場に持っていって、そして否定的な意見が出て、そしてその後、与理懇の直前ということを先ほども申し上げましたけれども、その場に持っていって否定的なことを言われた、先ほど紹介した発言でありますけれども。そして、その後にその調査委員会が消えてしまったんですよ、その設置が。先週の火曜日に設置していたら、一週間、いろいろできたと思いますよ。調査委員会をぜひ。

 では、今後、調査委員会はもう設置しないということなんですか。

稲田国務大臣 何度も申しますけれども、破棄したことは違法じゃない。そして、不開示にして、捜索して公表したことも違法じゃないですよね。適法です。情報公開の趣旨にのっとっているんです。

 しかし、私が指示をして見つかってから一カ月もかかってしまった。その点については、しっかり私は今調査しています。しっかりと事実確認しております。(長妻委員「だから、調査員会を設置しないのか」と呼ぶ)それは委員会をつくるとかじゃなくて、しっかり私がそれを事実確認しているんです。そして、ここでの議論などを踏まえて、再発防止の、そしてまた公文書管理、そもそも破棄するという対応でよかったのか、これも民主党政権で決められたことですけれども、そういうことも含めて、今、しっかりと指導してまいりたいと思っております。

長妻委員 時間がもう少しで参りますけれども、私は、稲田大臣と別に対決している話題を今言っていないんですよ。私、調査委員会をつくってほしいんですよ。

 私、稲田大臣の今の御発言とか言動というのは、ちょっと情けないと思うんですよね。調査委員会をつくるということを防衛省が意思決定するペーパーをつくって、与党にそれを根回しして、否定的な意見を言われたからといって引っ込めてしまって、今後、もうその調査委員会は検討もしないと官房長はおっしゃっておられる。情けないと思いますよ。せっかくそういう意思で、寸前まで行ったわけですから。

 確かに、最終的意思決定はしていないでしょう。でも、寸前まで、設置するということで根回しに入ったわけですから。それで、与党からそういうことを言われてそれを撤回したとすれば、私は、相当な情けない、ガバナンスもできていないんじゃないのか。せっかくそういうふうに稲田大臣が、私がリーダーシップをとって調査委員会を設置しろというふうに指示したと聞いておりますけれども、それが簡単に潰れてしまう、そしてこの委員会でもわけのわからない答弁をされるということについて、私は本当にがっかりしました。本当にしっかりしてください。

浜田委員長 これにて長妻君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民進党、緒方林太郎でございます。

 予算委員会、五回目の質疑立ちになります。よろしくお願いを申し上げます。

 前回の予算委員会での質疑の議事録を全部読ませていただきましたが、前回は集中だったということもありまして、安倍総理が何度か出てこられましたが、正直、議事録を見直していて、稲田大臣は私が聞いたことと答弁がほとんどかみ合わなかったということで、きょうは答弁がかみ合うようにお願いをして、質問に入っていきたいと思います。

 南スーダン情勢、最近、動きが激しいですね。多くの南スーダンの政府の要人がキール大統領に抗議をして辞任して、これは彼らの発言ですけれども、戦争犯罪であるとか民族浄化を行っているじゃないかというような抗議をした上で辞任しています、大臣であるとか軍の関係者であるとか。

 国連も、キール大統領に対して非常に厳しいコメントを出しています。これは、最近だけじゃなくて結構長い期間にわたって厳しいコメントを出していて、例えば、先般報じられた内部文書でも、さまざまな民兵がいろいろなところに新たに生まれつつあるとか、国家分断によって事態がコントロールできないようになっているとか、そういった指摘がなされています。

 キール大統領派は、反政府派、恐らくこれは大まかに言ってヌエル族という部族だと思いますけれども、の家屋や食料を破壊するような行為にも出ているということであります。安保理声明でも、現政権はUNMISSの活動の障害になってきているというような指摘もありました。

 まず、一番最初にお伺いをいたしたいと思います。

 今回の日本の南スーダンへのPKO派遣について、現政権、現キール大統領の政権は信頼に足る相手だと思いますか、大臣。

稲田国務大臣 少なくとも、今、南スーダン政府、キール大統領を中心にしっかり政府としての体をなしている。

 そして、もちろん、問題はたくさんありますよ。問題はたくさんありますし、例えばいろいろなところでいろいろな事件が起きています。それは、先ほど指摘されたように、部族間の争いであったり、さらには治安状況の悪化であったり。極めて治安状況が悪いところもたくさんあります。しかしながら、例えば紛争当事者になるような新たな勢力が出てきている、そういう状況ではないと考えております。

緒方委員 ということは、現在、南スーダン情勢において、日本の、我が国としてのカウンターパートというのはキール大統領派のみであるということでよろしいですか、大臣。

稲田国務大臣 キール大統領が我が国の交渉相手であり、キール大統領が政府として行政を行っている。もちろん、いろいろな問題はありますよ。でも、日本にとっての交渉相手は誰かということになれば、キール大統領ということで間違いないと思っております。

緒方委員 あした中央公聴会もありまして、現場の方のお声も聞くわけでありますが、例えば、UNMISSの活動を邪魔しているとか、はっきり言われているわけですよね。単に結果として邪魔になっているんじゃなくて、意思を持って邪魔をしているとかいうことを言っているんですね。それはいいでしょう。

 ただ、もう一つだけ、南スーダン政府軍というかキール大統領派だと思いますけれども、これは系統立った組織であるというふうに思いますか、大臣。

稲田国務大臣 当然、そのとおりだと思っております。

緒方委員 こういった答弁を一つ一つ現状と確認し合いながら、また後日、質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっとお伺いをしたいのは、今、紛争当事者がいない、そしてキール大統領派のみが我が国のカウンターパートであるということになると、現在、日本のPKOにおける立ち位置の問題なんですけれども、それは、キール大統領の正統性を一〇〇%前提として、それに基づいて派遣をしているということなのか、キール大統領派とマシャール前副大統領派の間での中立の立場で今臨んでおられるのか、いずれですか。

稲田国務大臣 まず、マシャール派、前回も答弁いたしましたように、分裂をして、マシャール派のタバン・デンさんがマシャールさんの後釜の第一副大統領になられ、マシャールさんはもう国外に逃亡されて、帰ってくることすらできないんです。

 したがいまして、キール大統領、すなわち南スーダン政府を前提としてPKO活動をしているということでございます。

緒方委員 明確なようで明確でなかったようなという感じなんですが。

 今回、先ほど冒頭言いましたとおり、多くの南スーダンの政府の要人が辞任してというのは、タバン・デン・ガイ現在の第一副大統領を結構非難しながら出ていっていて、実際の数字がどれぐらいかというのはありますが、かつての反政府勢力の中でタバン・デン・ガイ現副大統領が掌握をしている部分というのは全体の二〇%ぐらいだという報道も私は見ました。

 もう一度、私、お伺いをさせていただきます。

 紛争当事者がいない以上、目の前にいるカウンターパートはキール大統領派だけだと言いますが、実際問題として、いろいろな、軍閥であったりして、その一番大きいものが恐らくリエク・マシャールさんの、英語ではよくミリシアという言葉を使っていますけれども、そういう部隊だと思うんですけれども、今、PKOは、そういったキール大統領とかリエク・マシャール元副大統領とかいろいろな、それを紛争当事者と呼ぶかどうかは別として……(稲田国務大臣「呼ばないです」と呼ぶ)それは別としてと言っています。その中で、全ての関係者の中で中立的立場をとっているのか、それとも、今のキール大統領の国家を支えるという方向で動いているのか、いずれですかと聞いております、大臣。

稲田国務大臣 まず、紛争当事者はいないんです。マシャールさんは紛争当事者になり得ないんです。国外に行っているわけです。ですので、紛争当事者間の中立性と言うときに、マシャール派は出てこないということなんです。

緒方委員 いやいや、それはもう初めからわかっています、私もこれは何度も質問をいたしておりますので。

 ただ、実態問題としていろいろな人がいること、これは大臣、単に国に準じないからといって法令上視野から外すのと、実際問題としていろいろなゲリラ組織だ、民兵組織だ、そして軍閥がいるというのは、これは話は別ですよ。その中で、現地にいるPKOは、どちらかの側に立つということではなく中立であるのか、それとも、現大統領派を基本的に支えるということであるのか、いずれですかと。これは明確な質問をしております、大臣。

稲田国務大臣 実態、実態とおっしゃいますけれども、法律に基づいて派遣しているんですから、法律上中立性と言ったときには紛争当事者間の中立性です。

 そして、マシャールさんは、七月のときに比べても、マシャール派は分裂し、国外に出、もう紛争当事者ではあり得ないわけですよ。なので、そういったところで、PKOの中立性、紛争当事者の中立性ということをマシャール派を前提に考えるということはしないということです。

緒方委員 何かわけのわからないやじが飛びましたが。

 もともとこのPKOを派遣したとき、PKOを派遣したときというのは二〇一一年だったかな、派遣したときには、国連のマンデートというのは、当時の南スーダン政府を支える、サポートとかアシストとかいう言葉がたくさん出てきます。その後、マンデートは変更されておりまして、その後いろいろ変更されておりますが、一応確認までに、私、聞いております。

 現在のPKOの目的は、基本的に、現在の南スーダン政府をアシストし、サポートする、そういうことが目的になっていますかということを聞いています、大臣。

稲田国務大臣 マンデートが変更されて、文民保護、人権保護、そして合意の履行、そういったことが入っています。

緒方委員 それも知っています。二〇一四年に安保理決議が出て、そのマンデートの変更がありますが、もともと立ち上がったときがそういうものだったということなので、現在、そういう立ち位置ですかということを聞いています、大臣。

稲田国務大臣 そういう立ち位置でございます。

緒方委員 ちょっと私の想定した答弁と違いましたが、それでは、質問を移していきたいと思います。

 二〇一二年のスーダンと南スーダンの衝突について、何度も大臣は言及をしておられます。何度も言及しておられますね、あれは民主党政権のときだった、あれは武力紛争でないと民主党は答弁したと。

 えらくいろいろな意味で批判的な取り上げ方をしているわけですが、大臣にお伺いをいたします。その当時の政府の見解を現在も踏襲しておりますか、大臣。

稲田国務大臣 質問の趣旨が、PKO法上の武力紛争を国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いというふうにして、政府の見解自体は維持をしております。

 私がるる言っているのは、スーダンが南スーダンを空爆して三千人亡くなったり、また、キールさんがこれは戦争だとまで言っているのに、皆さん方の政府の外務大臣、防衛大臣は、大統領が戦争だと言っても南スーダンの憲法に照らして戦争かどうかわからないなどとおっしゃり、これはPKO法上の武力紛争ではないということをおっしゃっておられました。

緒方委員 別に、私、解説は求めておりませんで、その見解は稲田大臣も踏襲されますかということを聞いています、大臣。

稲田国務大臣 どうしてなのかなと思った点をこの間からも言いましたけれども、どうしてそれが、南スーダン憲法に照らして戦争かどうか判断するということが要件になるのかということは思いましたけれども、その判断は踏襲をいたしております。

緒方委員 そうすると、前回、二〇一六年七月に起こったことというのは、これは武力紛争ではないと言っている。ただ、それはなぜかというと、昨年の七月に起こったことというのは、リエク・マシャール派が国に準じないから武力紛争でないということでした。

 逆に、二〇一二年に起こっていることというのは、スーダンと南スーダンで起こったことですので、これは国ですね、国の間で行われたこと。つまり、これは武力を用いた争いではないというふうに判断したんだと思います。(稲田国務大臣「いや、違うでしょう」と呼ぶ)いや、それはそうでしょう。そうですよ。

 大臣、では、違うと言うのであれば、どうぞ。

稲田国務大臣 当時、先生のようにそんな細かく理論構成していませんね、見ましたけれども。(緒方委員「いやいや、結果としてそうなるじゃない」と呼ぶ)していません。

 そうじゃなくて、武力紛争、国家または国家に準ずる組織の間において生じる武力を用いた争い、南スーダンとスーダン、国家対国家じゃないかと私も思いました。国家対国家の組織の間において生じているんじゃないのかと思いました。

 しかし、そのとき、一般に、実力を用いた争いがPKO法上の武力紛争に該当するか否かについては、事案の態様、当事者及びその意思等を総合的に勘案して個別具体的に判断すべきものであるとして、当時、PKO法上の武力紛争ではないという判断をされたということでございます。

緒方委員 そうなんです。いずれも当時独立国家ですよ。だから、国家の間によって生じる武力を用いた争いにそれで当たらないというのであれば、当時起こったことは武力を用いた争いでないと言うしか、この定義からするとあり得ないじゃないですか。それは説明になっていないですよ、大臣。

 だって、国家または国家に準ずる組織の間において生じたことは、これは事実なわけですから。そうすると、何が当てはまらないからこの定義に当てはまらないかといえば、武力を用いた争いに至らなかったということですよ。そうなるに決まっているじゃないですか。

 では、そうでない理屈をこの定義との関係で明確に述べてください。

稲田国務大臣 まずは、御自分の政権の政府だったんですよ、その判断をしたのは。私は、そのときの判断を見ましたけれども……(発言する者あり)民進党ですか。民主党と違うんですね、なるほど。そして、武力紛争かどうか、その際に、国または国に準ずる組織の間において生ずるものであるけれども、武力を用いた争いではないからといって否定したんじゃないんです。

 そうじゃなくて、先ほども言いましたように、事案の態様、当事者及びその意思等を総合的に勘案して武力紛争ではないという結論をつけたと承知いたしております。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 では、速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 何度も申していますように、緒方さんが言いたいのは、要するに、国または国準だけれども、武力を用いた争いじゃないから否定したんでしょうと言いたいわけでしょう。(緒方委員「多分、そうです」と呼ぶ)そうじゃないんです。なぜなら、そのとき、当時野党であった私どもの佐藤正久参議院議員が質問しているんです。それに対してどう答えているか。

 政府としては、一般に、政府は民主党政府ですよ。政府としては、一般に、実力を用いた争いが武力紛争に該当するか否かについては、事案の態様、当事者及びその意思を総合的に勘案して個別具体的に判断すべきものと考えており、これまでに南スーダン共和国及びスーダン共和国において発生したお尋ねのような事案の態様、南スーダン共和国政府及びスーダン共和国政府の意思等を総合的に勘案すると、現状においては、UNMISSの活動地域において武力紛争が発生しているとは考えていない、こうおっしゃっているんですよ。

緒方委員 いや、今言った総合的な勘案というのは、全部、武力を用いた争いの判断ですよ。だから、それだけを勘案した結果、武力の紛争に当たらないということになったから、武力紛争に当たらないということになっているんでしょうということをさっきから聞いているんです、大臣。

稲田国務大臣 ですから、そういうことは明確には答えていないんですよ、あなたの政府は。(緒方委員「いや、けれども、論理的にそうなるでしょうと」と呼ぶ)じゃなくて、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いについて、事案の態様、当事者及びその意思等を総合的に勘案して個別具体的に判断していて、構成要件みたいに一プラス二みたいな、そういう判断はしていないんですよ。(緒方委員「いや、していますよ」と呼ぶ)していないんです。

緒方委員 国家または国家に準ずる組織の間に起こっていること自体は、これは誰が見たって明らかですよ。そこが要件から外れるんだから、今言ったような考慮材料は全部わかります、個別にいろいろ言われましたけれども。それは武力を用いた争いでないということの判断だったんでしょうということを、私、切り分けて明確に聞いているんです。

 大臣、そこは逃げちゃいけないですよ。これは武力を用いた争いでないということ、大臣、そういう理屈でない限り、ほかに何の理由も立たないじゃないですか。私は明確に申し上げています、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いだと。

 では、武力を用いた争いだったんですか。どうだったんですか、大臣。

稲田国務大臣 従来から、私は本当に緒方委員に、御自分の当時の外務大臣に聞かれたらいいと思いますけれども、個別の事象について武力を用いた争いに当てはめることはしてきていないんです。一環というか、国または国準の間において生ずる武力を用いた争い、これを分けて当てはめないんです。一括してその事案の態様、当事者及びその意思等を総合的に勘案して個別具体的に判断するとしかしていないんですよ。それを確認してください。

緒方委員 それであれば、前回の予算委員会で、私、昨年の七月、南スーダンで起こったことは武力を用いた争いですかと聞いたら、安倍総理はそうですと言われました。それは間違っていたということですね、大臣。

稲田国務大臣 私は、個別の事象について武力を用いた争いに当てはめることはしないんです。そして、総理は一般的な、緒方さんは、その当時、PKOの武力紛争の構成要件としてのとかそういうことをおっしゃったんじゃないんです、一般的な表現として総理はおっしゃっただけであって、PKO法上の武力紛争の当てはめとして武力を用いた争いとはおっしゃっておられません。確認してください。

緒方委員 いやいや、私、ちゃんとこの同じパネルを使って、昨年の七月に起きたことは武力を用いた争いですかということを何度か聞いたら、稲田大臣が何度も何度も答えられなくて、安倍総理が出てきて、それはそうですということを言ったんです。それが一般的な用語なんていうこと、そんなこと、私、聞いていないですよ。このパネルを同じように使っているんです。

 だから、大臣、それであれば、安倍総理の言っていることが間違っているか、稲田大臣の言っていることが理が通らないか、どちらかなんです。

 大臣、少なくとも、安倍総理が昨年の七月に起きたことは武力を用いた争いだと言ったことは事実です。それとの関係でどうなんですかということを再度聞いているんです、大臣。

稲田国務大臣 議事録を読んでいただきたいと思いますが、緒方さんが、何の前提もなく、武力を用いた争いかどうかということを執拗に聞かれました。しかし、私は、緒方委員の、今までずっと議論していますので、それはPKO法上の武力紛争の定義の中の一つの言葉に当てはまるかどうかという意味で聞かれているということがわかりましたので、そういう個別の具体的な当てはめはしません、なのでそういう表現は使わないんですということを申し上げました。

 しかしながら、総理は、一般的な意味において武力を用いた争いと言ってもいいのではないかなという、一般的な用語として、そのときの事象を一般的な表現としてそういうふうに使われたんです。

 しかし、私は、法律用語である、また緒方さんの質問の意図がわかりますから、法律用語である武力紛争の定義の一部である武力を用いた争いについて聞かれているということがわかりましたので、この部分のみを法律上の文脈で個別の事象について当てはめることは適当でないので、そこは言わなかったということでございます。

緒方委員 安倍総理大臣はそんなことは一言も言っていないですね。きちんと、国または国に準ずる組織ではないけれども武力を用いた争いと言ってもいいと思いますと言っているんです。

 そういうふうに言っているので、私、きょう何が言いたいかというと、だんだんこれは答弁がかみ合わなくなってくるんです。

 質問を移したいと思います。

 前回答えてもらえませんでしたが、現行の制度の中では、政府が国に準ずる組織でないと判断した結果、現場でどのようなことが起こっているかにかかわらず、その瞬間にまず武力紛争でなくなるんですね。それはいいですね、国に準じる組織でないということですから。武力紛争が存在しなければ戦闘行為も存在しないということになりますねということを聞いて、これも稲田大臣から真っ正面から返ってこなくて、安倍総理が何か、そうではないかというふうにとれるような答弁をしていましたが、今の私の理解で正しいでしょうか、大臣。

稲田国務大臣 質問の趣旨が明確ではありませんけれども、要するに、PKO五原則に当てはまらなければ、PKO五原則が維持されていればそれでいいというのではなくて、そうではなくて、自衛隊員がみずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができるかどうか。緒方委員は、この間、それは政策判断とおっしゃいましたけれども、閣議決定でしっかりと要件にしているじゃないですか。それは、後藤委員も国会で聞かれて議論した上でそれを閣議決定の中に入れたじゃないですか。

 なので、現場で何が起こっていても構わないなんて、そういう話じゃないんですということをるる申し上げております。

緒方委員 現場で何が起こっても構わないなんて、私、一言も言ったことないです。現場で何が起こっていようとも、武力紛争が存在しないことと、それに伴って戦闘行為が存在しないということは、これは法の定義上そうなりますよねということを確認してくださいと言っているんです、大臣。

稲田国務大臣 何度も申しますように、PKO五原則、そして、それと同じように、自衛隊員の安全を確保する、同じだけ大切じゃないですか。なので、現場で何が起こっていようともというのは私はおかしいと思いますよ。現場で何が起こっているか見ていかなきゃいけない。

 また、国または国準だってそうですよ。現場で何が起こっているかということを見ないと判断できないじゃないですか。そういうことですよ。だって、国または国準に紛争当事者があらわれ出るということだってあるわけですよ。そういうことを私は申し上げております。

緒方委員 私、別に、自衛隊の派遣がどうだとかそういう議論ではなくて、何度も同じことを聞いています。国に準ずる組織でなければ、まず武力紛争じゃないですね、そして戦闘行為もないですね、そういう極めて単純なことを聞いています。それはそれでよろしいですね、大臣。

稲田国務大臣 純粋法理論的にはそうだと思います。

緒方委員 そうすると、例えば、これも法律の話ですよ。実は、今のやりとりは一度安保委員会でさせていただいて、大臣は一回そうですと答えたので、えらい時間がかかったなと思いましたが、例えば、リエク・マシャールの、ゲリラ的に動いている組織が仮に自衛隊の宿営地を攻撃するというような事態が生じましたとか、場合によっては南スーダンで大虐殺が起きましたとかいっても、それでも国に準ずる組織がそこになければ、武力紛争もないし戦闘行為もないと。

 これは、実は事前に、少し前ですけれども、役所に、大虐殺が起こったとしても武力紛争はないですね、戦闘行為はないですねと言ったら、基本的にそうですという答弁が返ってきていましたが、そういう理解でよろしいですか、大臣。

稲田国務大臣 今おっしゃっている、日本の宿営地を攻撃しているところのマシャール派が紛争当事者であるかどうかの判断にかかってくると思います。

緒方委員 いや、だから、それが現時点では国に準ずる組織でないというふうに言っているので、現在の理解が続く限りにおいては、例えば宿営地に攻撃があるとか、そして大虐殺が起きるとか、そういうことがあったとしても武力紛争はないし、そして戦闘行為もその結果としてないということでよろしいですよねと、これは確認であります、大臣。

稲田国務大臣 純粋に法理論的とおっしゃいますけれども、刻々と現場は変わるんです。刻々と現場は変わりますので、今、マシャールさんが国外に出て、今の現状で紛争当事者でないといえば紛争当事者でないでしょう。しかし、それは刻々と変わっていくものなので、しっかりと見ていかなければならないと思っております。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 防衛大臣、再度願えますか。

稲田国務大臣 現時点でマシャール派が紛争当事者でないとしても、刻々と情勢は変わってきて、宿営地に攻撃をかけてきたとき、その状況が何であるかによって、その時点で判断をするということでございます。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 緒方君、もう一度質問願います。

緒方委員 国に準ずる組織でない、現時点がそうですね、そして、そういう組織が仮に、マシャール派に限らないと思います、そういった方々が自衛隊の宿営地に攻撃をしてくるとか、国に準ずる組織でないという組織が。そして、そういった組織が大虐殺を起こす。大虐殺なんか起こらないじゃないかと言っていますが、国連の事務総長の特別顧問は、常に大虐殺のリスクがあるということで、物すごく警告を鳴らしているんですね。そういったことが起こるリスクが常にあるんです。

 そういったことが起こったときでも、この法律上では武力紛争にも当たらないし戦闘行為にも当たらないということでよろしいですよねということを確認までに聞いているんです、大臣。

稲田国務大臣 純粋法理論的にはそうでしょうけれども、しかしながら、施設隊がみずからの安全を確保して有意義に活動できるかどうか、できなければ休止をする、中断する、そういうことはあるんですよ。しかも、紛争当事者の認定だって、状況によって国準にいきなりその勢力が拡大するということもあるわけでしょう。そういうことはありますよ、それは。

 なので、余りにも仮定的なことを置かれて議論することにどういう意味があるんでしょうかということでございます。

緒方委員 質問時間が終わりましたので、最後に一言申し上げますが、私、何が言いたかったかというと、PKO五原則というのはいろいろ、憲法との関係をクリアするとかそういったことでつくられていることは知っています。ただ、国に準ずる組織でないと認定した瞬間に、ほとんどPKO五原則というのは有名無実化するんです。だって、実際問題として紛争当事者がいないということになるわけですから。紛争当事者がいないということになると、PKO五原則の一、二、三のところはほとんど、考慮の対象からばんと落ちていくわけですよ。

 実際に、先ほどから、安全を確保し有意義な活動ができるようにと今回盛り込んだと言いました。私が言いたいのは、これは政策判断ではないというふうに言われましたけれども、今回限り盛り込んでいるものです。次から入ってくるかどうかもわからないです。

 こういったことを、結局、国に準じないと言った瞬間に法規範がほとんど意味をなさない中、今大臣が、今回入れられたあの安全を確保し有意義な活動ができるというものを法規範まで高めていくことについてどうお考えですかということであります、大臣。

浜田委員長 稲田防衛大臣、時間が来ておりますので、よろしくお願いします。

稲田国務大臣 建設的な意見としてお伺いしたいと思います。

緒方委員 終えさせていただきます。ありがとうございました。

浜田委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民進党の後藤祐一でございます。

 先週の金曜日、南スーダンの第一次隊から九次隊についても日報は残っているということが明らかになりましたが、南スーダン派遣以外についても、海外、国内問わず日報というものは保存されているのでしょうか、防衛大臣。

稲田国務大臣 自衛隊の部隊、機関が上級部隊に報告するために毎日まとめる記録を日報と呼ぶとすれば、自衛隊内にはさまざまな種類の日報が存在しております。

後藤(祐)委員 どのような日報が保存されているのか、網羅的に今言うのは多分すごく多いので難しいと思いますので、この委員会に提出していただけますでしょうか、大臣。

稲田国務大臣 網羅的にとおっしゃいましたけれども、例えば南スーダン派遣施設隊のような海外で活動する部隊がその上級部隊に活動状況や現地情勢について報告するための日々の報告や、下級部隊が人員状況を上部部隊に報告するための人事日報などがございます。

後藤(祐)委員 南スーダン以外にどういったものがあるのか。例えばイラクについて、あるんですか、イラクの派遣について。まずそれを一つお答えするのとともに、多分膨大にあるでしょうから、国内も含めると、その一覧を提出していただけますでしょうか。どういった種類の日報が保存されているのか。

稲田国務大臣 あと、国内で活動している自衛隊の部隊についても、警戒監視といった実動オペレーション中はリアルタイムで報告を上げることとなり、日報という形式を必ずしもとるとは限りません。

 細部については、部隊の運用の詳細にかかわるため、お答えは差し控えたいと思います。

後藤(祐)委員 では、せめてイラクについて、あるかどうか教えていただけますか。イラクの派遣のときの日報が残っているかどうか。

稲田国務大臣 お尋ねのイラク特措法に基づく活動の日報については、南スーダンPKOと同様の現地情勢や自衛隊の活動内容を記録した現地部隊の日報については、確認をいたしましたが、見つけることはできませんでした。

後藤(祐)委員 なかなかお答えいただけないので、どういった日報が残っているのかについて、この委員会に一覧を御提出いただくよう、理事会で御協議いただきたいと思います。

浜田委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 続きまして、先ほど来大臣は調査をしっかり自分がやっているというふうにおっしゃいましたので、相当調査をされたのではないかなと思いますので伺いたいと思いますが、この七月の日報もそうなんですが、情報公開請求があったものに対して十二月二日に不開示決定する前に、情報公開請求の窓口課である大臣官房文書課から、最終的にこの日報が見つかった統幕に対して照会がなされています。日報はありませんかと。文書が存在しないということで不開示に決定してよろしいですかという照会がなされていると伺っておりますが、これは事実ですか。

稲田国務大臣 統幕に照会があったことは事実と聞いております。

後藤(祐)委員 統幕が最終的には日報を持っていたわけです。大臣官房文書課から照会があったときに、どの程度の人間の数、ただ窓口の人が答えたのか、それとも、統幕の中、何人かの方に日報がないかどうか確認されたんですか。

稲田国務大臣 昨年七月の衝突事案の期間中に作成された日報については、作成元すなわち原本を作成している派遣施設隊及び報告先の中央即応集団司令部において管理されているものですから、当然のことながら陸上自衛隊の当該部隊において探索が行われていると認識をしたため、その段階で統幕において探索しなかったと報告を受けております。

 私は、その意味においても探索は不十分だったと思っております。

後藤(祐)委員 探索はしなかったと今おっしゃいましたけれども、照会はしたんでしょう。大臣官房文書課は統幕に対して照会をしたと先ほど答弁されました。でも、今、その後の答弁では探索はしなかったとおっしゃいました。

 答弁、矛盾していませんか。どちらかの答弁を修正いただけますか。

稲田国務大臣 私は、統幕でしっかり探索しなかった、派遣施設隊と中央即応集団だけ捜索して終わりとしているのは不十分だと思います。

 そして、照会は、派遣部隊及び中央即応集団を探して、存在しないので不開示、破棄により不開示。破棄自体は適法ですよ。破棄により不開示としたことについて統幕に意見照会が来たので、それで結構でございます、そういう回答をしたと聞いております。

後藤(祐)委員 質問にお答えください。

 照会をしたという御答弁がありました、大臣官房文書課から統幕に対してですね。でも、先ほど大臣は統幕に対しては捜索しなかったという御答弁をされました。

 捜索は不十分だったかもしれませんが、少なくとも統幕に対して捜索はしたんじゃありませんか。統幕に対して捜索はしたのか、しなかったのか。どっちなんですか。

稲田国務大臣 統幕に対して陸上自衛隊が廃棄により不存在、破棄としたことについて意見はあるかという照会が来て、意見なしという回答をしたというふうに報告を受けております。しかしながら、そこでしっかり探索をしなかった、不十分だと思っております。(後藤(祐)委員「不十分だけれども捜索したか、していなかったかを聞いているんです」と呼ぶ)

浜田委員長 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 先ほどから何回も後藤委員にお答えしていますよ。不十分だった、すなわち統幕で捜索をしなかったことが不十分だったということでございます。(発言する者あり)

浜田委員長 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 まさしく私は不十分だと思うのは、陸上自衛隊の当該部隊において探索が行われているものと認識していたため、その段階で統幕が探索をしなかった。これは不十分だと思っております。

後藤(祐)委員 では、捜索しなかったということですね。大臣官房文書課が統幕に対して照会をしたということは、これは捜索の一部なんじゃないんですか。

稲田国務大臣 何度も不十分だと思っているのは、まさしく統幕に対して、陸上自衛隊当該部隊で破棄により不開示としたことについて意見なしとした、要するに意見を聞かれて意見なしとしたということでございます。

後藤(祐)委員 では、質問をかえましょう。

 大臣官房文書課から統幕に対して意見照会がありました。意見なしという回答をする前に、統幕の中で何人かの方に確認をしたんじゃないんですか。何人ぐらいに確認したんですか。

稲田国務大臣 確認はしていないということです。

後藤(祐)委員 そうしますと、大臣官房文書課から統幕に意見照会があって、その意見照会を受けた人が単独で、その人だけの判断で、意見なしとお返ししたということですか、どなたにも相談しないで。

浜田委員長 時計をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 統幕として意見なしと答えたということでございます。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 統幕として意見なしとして答えたということでございます。それ以上に探索をしなかった、ここが不十分だと思います。(後藤(祐)委員「単独で答えたかどうかを聞いています。委員長、お答えになっていないです」と呼ぶ)

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 単独ではなくて、統幕の中で決裁してそういう回答をしているということでございます。

後藤(祐)委員 最初からそうお答えください。

 では、統幕として決裁する間に一体何人の方がかかわったんですか。大体の数で結構ですから。あるいは、どのレベルまで上がって決裁をしたんですか。お答えください。

稲田国務大臣 企画調整官まで上がったということでございます。

後藤(祐)委員 企画調整官まで上がる人の中で、日報の存在を知っていた方はいらっしゃらないんですか。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 通告もいただいておりませんので、その人数についてお答えは現時点でできません。(後藤(祐)委員「大まかでいいと言っているんですよ。いたのか、いなかったのかを聞いているんですよ」と呼ぶ)

浜田委員長 では、もう一回聞いて。

後藤(祐)委員 その企画調整官までの間で、そこに決裁に携わった人の中で日報の存在を知っていた方はいらっしゃるんですか、いらっしゃらないんですか。

稲田国務大臣 通告がなかったので、人数もわからないぐらいですから、今、一々その人たちに確認しているわけではないので、ここでお答えは差し控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 確認しているわけではないと。

 先ほど、長妻筆頭理事の御質問の中で稲田大臣は、しっかり調査しています、事実確認しているんですと言って、調査委員会の設置については了とせずに、自分がしっかり調査しているとおっしゃったじゃないですか。この話というのは、統幕にあったわけですから、統幕が組織的に隠蔽していたのではないかという話なわけですから、今のところを調べないとしようがないじゃないですか、大臣。

 では、確認していないんですね。意見なしということを統幕として決裁するに当たって携わった方々は日報が存在したかどうかについて確認していないんですね、大臣。

 だとすると、統幕の組織的隠蔽があったかどうかを確認しないまま組織的隠蔽はないとお答えになっていたんじゃないですか、大臣。

稲田国務大臣 大きな流れを見てくださいよ。まず、これは破棄することになっていた文書です。それは南スーダン派遣をさせた皆さんの政権で決めて、用済み後破棄。破棄したことは何にも問題ないんです。そして、破棄して、不開示にして、でも、あるんじゃないのと言って、捜索して見つけて、出したじゃないですか。自発的に出したじゃないですか、だから隠蔽じゃないんです。隠蔽じゃないからこそ出しているんです。隠蔽じゃないからこそ出したんです。

 私は、私に報告が遅かった、一カ月間もかかった、そこは問題だと思いますけれども、隠蔽の意図はないんです。

後藤(祐)委員 統幕が組織的に隠蔽していたかどうかについては、大臣官房文書課から統幕に対して、文書はありませんね、日報はありませんね、文書不存在で答えていいですねという照会が来たときに決裁をしています。その統幕の中の決裁で、企画調整官まで決裁する人の中で日報の存在を知っていた人はいるんですか、いないんですかということに関して稲田大臣はわからないという……(稲田国務大臣「人数がわからないから」と呼ぶ)では、それについてわかるんだったらお答えください。

稲田国務大臣 細かく人数とかを聞かれますから。ただ、隠蔽はしていませんから、その時点で知っているという認識をした人はいないと思います。

後藤(祐)委員 いないということを確認したんですか、大臣。

稲田国務大臣 それは、照会が来て、不開示ということで意見なしと。そして、その決裁をとった人間は、もしその存在を知っていたら、それはあると言いますよ。なので、知っていないということです。

 そして、出したんです、結局。出したんですよ、隠蔽はないんです。出したんですよ、だから隠蔽はないんです。しかも、破棄してもいい文書ということでございます。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 決裁の時点、統幕内の決裁の過程で存在を知っていた者は当然いないんです。その後、私の指示で探して、統幕から見つかったということでございます。

後藤(祐)委員 では、日報の存在を知っていた人はいないということを確認したんですか、大臣。もう一度同じことを聞きます。

稲田国務大臣 繰り返しになりますけれども、その意見照会の時点で、統幕で決裁している過程で存在を知っている者は当然おりません。その後、私の指示で捜索して、しかも公表しているんです。隠蔽はないんです、隠蔽していないんです。

後藤(祐)委員 でも、確認はしていないんですね、大臣自身は。そう思い込んでいるだけなんじゃないんですか、大臣。

稲田国務大臣 二月十六日時点でこの報告を受けています。その時点で、決裁の過程で存在を知っている者は当然いないということでございます。

後藤(祐)委員 確認したか、していないか、お答えになっていないんですが、何度聞いてもお答えにならないので、確認をしてください。では、これから確認をしていただけますか。

稲田国務大臣 二月十六日時点で統幕に文書があるということを知っていなかったわけですから、決裁の過程で存在を知っていた者はいないということであります、決裁した人間の中にということでございます。

後藤(祐)委員 確認をしないんですか、これだけ議論になっているのに。その大臣の思い込みで終わりにするんですか。だから、調査委員会の設置が必要なんじゃないんですか。

 組織的隠蔽を統幕がしていたかもしれないという中で、大臣官房文書課から日報は本当にないのかという照会があって、それに対して決裁した範囲の中に日報の存在を知っていた人がいるかいないか、これは大変重要な問題なんです。それについて、大臣は、今まで確認していない、でも、いないはずだと言っている。でも、これからも確認しようとしないんですか。これでは、だからやはり調査委員会の設置が必要なんですよ。

 委員長、委員長も、調査委員会の設置については、事情が変わって、前向きなことを御発言されたと伺いました。

 ぜひ、大臣、やはりきちっと調査委員会を設置して、統幕に本当に日報の存在を知っていた人がいなかったかどうか、調査委員会で確認した方がいいんじゃないですか。大臣の思い込みでは危険ですよ。客観的に調査委員会を設置すべきではないですか、大臣。

稲田国務大臣 二月十六日時点で報告を受けたときに、統幕内で決裁した中で知っている人はいないという報告です。ですから、確認したのかといえば、その時点で統幕の中に知っている人はいないということでございます。そして、その瞬間に探すことを指示して、そして見つかって公表したんです。(後藤(祐)委員「統幕の中にはいるでしょう。今、統幕の中にいないと言いましたよ」と呼ぶ)決裁をした人の中にですよ。

 だから、公表をしたということは隠蔽の意図はないんですよ、隠蔽の意図はないんです。そういうことを申し上げております。

後藤(祐)委員 大臣官房文書課から統幕に対して照会があったときに、その決裁の範囲にいた人が日報の存在を知っていたか知っていなかったかについて調査をし、確認をし、その上でこの委員会に提出していただけませんか、大臣。

稲田国務大臣 何度も申しておりますように、最終的に、私の指示で見つけて公表しているじゃないですか。隠蔽はないんです、隠蔽の意図はないんです。隠蔽でもないのに、私に対する報告をはなから疑う必要はなく、私はしっかりと聴取をしているということでございます。

後藤(祐)委員 大臣官房文書課から統幕に対して、この日報がないということでよろしいかという照会がありました。それに対して、企画調査官まで決裁を上げて、意見なしというお答えをしています。

 その決裁範囲内にいる統幕の方に関して本当に日報があったことを知った人がいないのかどうか、防衛省において調査をしていただいた上で、この委員会に予算案の採決より前に提出していただくよう、理事会で御議論ください。

浜田委員長 理事会で協議いたします。

後藤(祐)委員 もう一つ、大事な議論があります。

 情報公開請求をされて、情報公開請求の請求日である十月三日より前に日報が廃棄されていたと大臣はおっしゃっておられますが、陸自指揮システムというところ、ここは、電子データについて今いつ廃棄したかということをしっかり調査しているところでございますと、二月十四日、私に対して答弁しています。玉木委員に対しては、日報は同システムの上の掲示板に掲載されていますが、同掲示板はログのデータ量が膨大になることからログを記録する仕様にはなっておりませんというふうにお答えになられています。

 つまり、この陸自指揮システムの上にあった日報の電子データというのはいつ廃棄したかわからないという御答弁なのにもかかわらず、私が、十月三日すなわち情報公開請求の後に廃棄したら大変なことになるわけですから前ですねと聞いたら、十月三日より前でございますという御答弁をされている。何を根拠に十月三日より前にこの陸自指揮システムから日報の電子データが廃棄されたと断言されたんですか。

稲田国務大臣 日報は、文書管理規則上、廃棄した期日を記録することとはされていませんが、捜索をした派遣施設隊そしてその日報を上げた中央即応集団司令部において用済み後、すなわち日報を報告して用済みになった後に紙も電子データも廃棄しているというふうに報告を受けているところでございます。(後藤(祐)委員「質問に答えていないです」と呼ぶ)

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 前回、後藤委員の御質問は、開示請求があるのに、それを知って消したんだったら問題ですよと言われたんですよ。そういう質問なんです。後藤委員の質問は、開示請求があって、それを知って消したりするとそれは大問題ですよと。(後藤(祐)委員「いや、私は十月三日より前ですかと聞いたんですよ」と呼ぶ)では十月三日の意味って、十月三日に意味があるというのは、まさしく開示請求の日なんですよ。開示請求があることを知って消したとしたら大ごとですよと言われたので、私は、開示請求があって探したのは派遣施設隊とCRFですから、そこはその開示請求があるまでに用済み後廃棄しているということを確認しているということを申し上げたわけです。

後藤(祐)委員 十月三日より前、日付だけ聞いていますよ。そんないろいろなことは関係ないですよ。

 十月三日より前に廃棄されたという根拠があるのかないのか。根拠がないのであれば、なぜ断定できたんですか。

稲田国務大臣 いや、十月三日が問題になったのは、それは開示請求があった日付で……(発言する者あり)そうなんです。それで、それを知って消したら問題ですよと言われたので、探している派遣施設隊とCRF、そこで十月三日までに廃棄していることは間違いありませんということを私はお答えしたわけです。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 後藤委員の質問は、開示請求があるにもかかわらず、それを知って廃棄して、廃棄もしていないのに廃棄した、不開示だというのは問題です、そういう趣旨だったんです。私もそう思いました。

 ですから、施設部隊とCRFに捜索をかけたところ……(後藤(祐)委員「前か後かぐらい答えられませんかと聞いているんですよ」と呼ぶ)十月三日というのはその意味ですよ。十月三日がなぜ意味があるかといったら、後藤委員、十月三日が意味があるのは、開示請求があったことを知って消したかどうかなんですよ。なので、私は、そこはそれ以前に消していますということを確認したということを申し上げているんです。(後藤(祐)委員「何を根拠に言っているんですかと聞いているんです」と呼ぶ)報告を受けているということでございます。報告を受けているということです。(後藤(祐)委員「では、根拠はないんですね」と呼ぶ)根拠は報告です。

後藤(祐)委員 この陸自指揮システムはいつ廃棄されたかログが残らない仕組みなのに、何でわかるんですか、十月三日より前に廃棄したことが。何を根拠に十月三日よりも前に廃棄されていると断言できるんですか。

稲田国務大臣 何度も申し上げますように、その質問で私が委員から聞かれたのは、開示請求があるにもかかわらずそれを廃棄したとしたら問題ですよと。私もそう思いますよ。

 ですから、私は、派遣施設隊とCRFで廃棄をしておりますということを申し上げたところでございます。(後藤(祐)委員「指揮システムですよ」と呼ぶ)

浜田委員長 後藤君、時間が来ていますので。

稲田国務大臣 今、後藤委員が前回の私への質問でのやりとりを示しておっしゃったので、私はそのことについて今るるお答えしていたわけです。

 指揮システムのことについてお尋ねですので、新たな質問としてお答えをします。十月三日のその質問に関しては、施設隊とCRFの質問と思い、では、新しい質問としてお答えをいたします。

 日報のように、その性質上短期間で用済みとなって廃棄される文書については、文書管理規則上、廃棄した期日を記録することとはされておりません。その上で申し上げれば、基本的には日報を取得した翌日以降廃棄しているとの報告を受けているところです。

浜田委員長 後藤君、時間が来ております。

後藤(祐)委員 時間が来ましたので玉木さんに譲りますが、組織的隠蔽を糊塗するために答弁があっち行ったりこっち行ったりして、陸自指揮システムは結局いつ削除したかわからないのに、根拠もなく十月三日より前と承知しておりますという答弁をされた。

 しかも、大臣官房文書課から統幕に対して照会があったときに、実際に日報を持っていた人がいたのか、いなかったのかも調査していない。

 やはりこれはしっかりとした調査委員会を設置して、今言った二つについて調査した結果をこの理事会に御報告していただけるよう、委員長に御確認いただきたいと思います。

浜田委員長 理事会で協議させていただきます。

後藤(祐)委員 終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として財務省理財局長佐川宣寿君、文部科学省高等教育局私学部長村田善則君、文化庁次長中岡司君、国土交通省航空局長佐藤善信君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 後藤委員に引き続いて少し確認をさせていただきたい、一問、質問を稲田大臣にさせていただきたいと思います。

 ちょっと復習ですが、南スーダンの施設隊で日報をつくり、それを陸自指揮システムという掲示板のシステムに上げて、そこからダウンロードできる状態にして、それを陸上自衛隊の中央即応集団、CRF、また、後でわかったんですが、統合幕僚監部というところにダウンロードして、都合四カ所、最低でもデータが存在するという中で、どこをどのように削除して、大臣がおっしゃっているのは、十月三日よりも前と承知をいたしております、二月十四日の大臣答弁でこういうふうにお答えになっていますけれども、少なくとも、施設隊、指揮システムそして中央即応集団、CRFで、文書も電子データも全て開示請求の十月三日よりも前に削除されていたということだと思います。

 それはなぜかと私は前回聞いて、特に電子データについて私は聞いて、電子データなのでしっかりと削除ログが残っているから出してくださいと言ったら、そういうシステムになっていないのでわかりませんと。では、なぜ十月三日よりも前と承知をいたしておりますかと。大臣は、報告を受けたからそうだということなんですが、その報告がなぜ正しいものなのか、真正なものなのか。

 十月三日にこの三カ所で紙文書もデータも削除されていたと確信に至った根拠は、大臣、何ですか。

稲田国務大臣 この日報は、陸上自衛隊文書管理規則に言う、随時発生し、短期に目的を終えるものとして、保存期間が一年未満と整理をされています。なので、廃棄したことは違法じゃないというか、規則にのっとったものなんです。そして、日報の作成目的上、派遣施設隊長から中央即応集団司令部への報告が終了した時点で目的を達成したと判断し、関係法令及び規則に基づいて廃棄をしております。

 昨年七月の衝突事案の期間中の日報についても、開示請求を受けて探索した結果、日報の作成元である派遣施設隊及び報告先の中央即応集団司令部において廃棄済みであるとの報告を受けております。

 いずれにせよ、日報については、防衛省として、先ほど来るる議論があるように、統幕監部で発見し既に公表、開示しており、情報公開請求には適切に対応しているところでございます。

玉木委員 報告が真正のものだと大臣が確信に至った根拠は何ですか。もう一度伺います。

稲田国務大臣 廃棄が規則にのっとったものであり、そして目的、用済み後廃棄ということで、その報告を受けているからでございます。

玉木委員 では、報告を受けたということなんですが、誰が削除したのか確認していますか、三カ所において。

 ちょっととめてください。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 目的を達成した時点で、中央即応集団司令部及び派遣施設隊においては、中央即応集団司令官への報告が終了した後に、それぞれの組織の……(発言する者あり)今答弁しているんです。それぞれの組織の文書管理者の指示により廃棄したとの報告を受けております。

 文書管理者、中央即応集団司令部は中央即応集団司令部防衛部長、派遣施設隊は派遣施設隊長でございます。

玉木委員 陸自指揮システムにおける文書管理責任者はどなたですか。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 今の質問に関しては、通告がございませんでしたので、お答えをすることができません。

玉木委員 「とわだ」の航海日誌の保存期間前に、これは有名な事案ですけれども、「とわだ」の航海日誌を破棄した例がありました。

 二〇〇七年八月、補給艦「とわだ」のインド洋派遣期間中の航海日誌が情報公開請求を受けましたけれども、十月、保存すべき日誌の一部を七月に艦長の許可を得ずに破棄していたことが発覚しました。十一月にコピーが防衛省内で見つかるということがあり、破棄手続の厳格化など文書管理を改善し、そして航海日誌については、当時の石破防衛大臣が永久保存を検討し、現在これは三十年になっています。当時は四年でした。

 その意味では、これは改善をしてきているんですね。こういうことをきちんとやはりやることが、私は、過去のいろいろなことを踏まえて防衛省はやるべきだと思うんです。大臣の仕事だと思います。

 そこで、伺います。

 二十八年三月に防衛監察本部が出しているコンプライアンス・ガイダンス、管理者用、より信頼される防衛省・自衛隊を目指してというのがありますけれども、その中に破棄について心がけるポイントというのがありまして、こう書いてあります。文書管理責任者等の立ち会いのもとでの文書の破棄となっていますが、この派遣部隊、陸自指揮システムそして中央即応集団、それぞれ、このコンプライアンス・ガイダンスにある文書管理者等の立ち会いのもとで文書を破棄しているのかどうか、お答えください。これは通告しています。

稲田国務大臣 今、「とわだ」の事案と根本的に異なるのは、「とわだ」の事案は、破棄してはいけない文書を破棄したんです。今回は、目的後破棄する文書、破棄することが適法な文書を破棄したんです。根本的に事案が違うんですね。

 そして、今の御質問ですけれども、公文書管理法及び関連規則に基づき、行政文書ファイル等を破棄するときには、内閣総理大臣への協議や破棄の立ち会いが定められています。

 しかし、これらは保存期間が一年以上の行政文書を対象としておりますので、平成二十三年四月一日内閣総理大臣決定により、一年未満の文書について、今回の文書のように一年未満で用済み廃棄をするような文書については、これらの手続の対象とはなっていないということでございます。

玉木委員 それは本当ですか。

 公文書管理法に基づいて内閣総理大臣の同意の承認をとることは、確かに一年未満のものは外れています。しかし、この防衛省がつくっている、防衛監察本部の出しているこのガイダンスによる、文書管理者等の立ち会いのもとでの文書の破棄は全ての行政文書に適用されているはずですよ、大臣。

稲田国務大臣 ただいま答弁をいたしましたように、内閣総理大臣への協議や破棄の際の立ち会いについては保存期間が一年以上の行政文書を対象としており、平成二十三年四月一日内閣総理大臣決定により、一年未満の文書についてはこれらの手続の対象とはなっていないということでございます。保存期間一年未満の行政文書については膨大な数に上り、これらについて厳格な破棄手続をとれば行政コストが過大になることから、厳格な廃棄手続をとることとはしておりません。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 今答弁したとおりでございます。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 公文書管理法及び関連規則に基づき、行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは内閣総理大臣への協議や廃棄の際の立ち会いを定めていますが、これらは保存期間が一年以上の行政文書を対象としており、平成二十三年四月一日内閣総理大臣決定により、一年未満の文書についてはこれらの手続の対象とはなっていないということでございます。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 御指摘のコンプライアンス・ガイダンスは、今申し上げた文書の管理の取り扱いを一般隊員向けにわかりやすく記したものであって、保存期間一年以上の文書についての記述でございます。

玉木委員 そういう限定がどこにも書いていない。二つあるんです、一般隊員用と。これは、管理者用のところにそういうふうに明確に書いてあるんですね。

 ですから、やはり、過去、「とわだ」の事件もいろいろあったり、その意味では、一般の、私は政府全体にかかわるルールは知っています。公文書管理法もよく存じ上げております。しかし、その中で、防衛省が出しているコンプライアンスガイドの中には、ある意味一年未満とか区切らずに、そうしたしっかりとした、きちんとした文書管理者等の立ち会いのもとでの文書の破棄ということで、文書の破棄のより厳格化ということが実は「とわだ」の事案の後、一番言われたことなんです。

 だから、こういうルールが決まっているから守られているんですかと聞いているので、ここはちょっと一回、法律との関係、そして内部のコンプライアンスとの関係をきちんと整理して出してください。もうきょうはこれ以上やりませんけれども。

 それと、大臣に一つ提案しておきます。

 一年未満にすれば、その意味では公文書管理法のルールも全部逃れるんです。一年なら、未満じゃなくて三百六十五日だったら、これは全て、破棄するときには内閣総理大臣に事前に破棄の承認手続が始まります。防衛省でも、百万以上の文書についてこの手続をやっていますね。ただ、一年未満になった瞬間にそこから全部外れるんです。もしこれが仮に一年だったとしたら、破棄しますといっても、内閣総理大臣の承認の中で、協議中だということで生き残っていたかもしれないんですよ。

 だから、これは絶対見直してください。石破大臣が四年だったものを三十年に、航海日誌、変えたように、やはりここは歴史に残すべきものだと思います、現地の日報は。ですから、せめてこれは一年にするということを、大臣、決断できませんか。いかがですか。最後に聞きます。

稲田国務大臣 今の玉木さんの趣旨は、全く共有のものがあります。したがいまして、そういった点も踏まえて、しっかりと検討してまいります。

玉木委員 ぜひお願いします。先ほどのはしっかり整理をしていただくということで、大臣はこちらで結構です。ありがとうございました。

 続いて、前回、同僚議員の福島議員が質問した私立小学校に対する国有地の売却の案件について質問します。

 まず、幾つか資料をお手元に配っていますが、四ページの資料を見てください。

 改めて事実関係だけ確認します。国有地の売却なので、国の収入の観点からだけ聞きます。

 まず、昨年の四月六日に一億三千二百万円、これは土壌汚染とか埋設物の撤去費用として一億三千二百万円が国からM学園に払われています。そこから二カ月後の六月二十日に、いろいろ新しい埋設物が見つかったりして土地の値段が控除されてぐんと下がって、一億三千四百万円で売却が決まります。六月二十日です。ただし、これは正確に言うと、一億三千四百万円でM学園が国に支払い代金を払うのではなくて、頭金二千八百万円だけ払って、あとは十年間の分割払いですから、実はすぐには払わないんですね。ただ、契約上だけ見ると、この資料四を見てください、一億三千二百万円を四月六日に国からM学園に払って、そして一億三千四百万円の代金をM学園が国に払うということで、これは実は、差し引き、国からすると、この国有地の売却に伴う収入は約二百万円にすぎないんです。

 私が今申し上げた事実関係、これは端的に、航空局、この事実関係で間違いありませんか、イエスかノーでお願いします。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十八年四月六日に大阪航空局が学校法人に対し有益費として支払った金額は、一億三千百七十六万円でございます。それから、平成二十八年六月二十日に近畿財務局と学校法人との間で一億三千四百万円を売買代金とする売買契約を締結し、売却が行われております。

玉木委員 これはいずれも昨年の話なんですけれども、特別会計の収入からすると、一億三千二百万円が国から出ていて、一億三千四百万円が国に戻ってくる。しかも、それは分割払いにしているから全部は戻ってこないということからすると、隣の同じような面積の土地は十四億円で実は売却しているのに、これは二百万円ですよ。二百万円しか国に入ってこない国有地の売却。しかも、去年だけ言えば、分割払いなので、一億円足が出ているんですよ。私は、これはちょっと異常だと思うんです。

 財務省に聞きます。最初は賃貸借契約だったんですが、これが売買契約に変わって、しかも八億円除去しなきゃいけなくなったときに、国有財産近畿地方審議会をもう一回開いて、これはいいのということを確認すべきだったんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、委員のおっしゃったとおりでございまして、賃貸借契約から、同時にあのときに買い受けの特約をつけている契約でございます。したがいまして、契約そのものとしては国有審議会に両方一遍に諮ってございまして、処分方法としては貸付契約があって、その十年の期間内に先方が買い受けの意向を示せば自動的に買い受けの契約に入る、こういう契約でございます。

 その上で、今おっしゃいました話でございますけれども、そういう意味での地方審議会の話は附帯条件がついて了承しているということでございましたので、その私学審議会における以後の進捗状況についても大阪の方から確認しているところでございます。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

玉木委員 要は、大阪府の私学審議会がいろいろ条件をつけて、それで認可適当としているんですが、その認可がおりることを条件に売却してもいいということをやったので、いろいろ条件は変わったけれども私学審議会の条件が満たされる限りにおいては適法だ、適当だ、そういう整理だと思うんですね。

 そこで、伺います。

 平成二十七年一月二十七日に大阪府私立学校審議会で条件つき認可適当が出て、これを受けて、先ほど話があったような二月十日に、翌月ですか、国有財産近畿地方審議会で、その条件が満たされるという前提の中で審議会としては了という形でまとめているんですね。

 これは文科省に伺います。

 では、この大阪府の私立学校審議会においていろいろな条件がついて、条件つき認可適当だったと思うんですが、現時点において、これはこの四月から開校です、あと一カ月ちょっとでもう開校だということになっているんですが、さまざまなつけられた条件を満たして、今現在、認可申請はもう、当然おりていますよね。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪府に確認をいたしましたところ、先生から御指摘がございましたとおり、私学審議会が平成二十七年一月に設置認可適当の答申を行って以降、その条件につきましては、六回開催されました同審議会の定例会において継続的に進捗状況を確認しているとのことでございました。

 なお、大阪府に確認をいたしましたところ、認可につきましては、本年三月に開校に向けた準備状況について最終的な確認を行った後に、大阪府知事による認可が行われることになるというふうに伺っているところでございます。(玉木委員「今現在は」と呼ぶ)まだ今、認可はされておりません。認可適当の答申が出ているという状況でございます。

玉木委員 ちょっと今、皆さん、びっくりしませんでしたか。この四月から子供が小学校に入るという学校が、もう国からお金も払われて建設も進んでいる、前回福島議員からあったように、これとは別途、六千二百万円の木造化に関する補助金も出ている、工事も進んでいる。もう終わっているんですかね。終わっていない。なのに、あと一カ月でもう開校だというのに、パンフレットもいっぱいつくって生徒募集もやっていますよね、現時点において学校設立の認可がおりていないんですか。これは驚きですよ。

菅原委員長代理 答弁はいいですか。

玉木委員 質問します。よくある話ですか。

 では、ちょっと伺います。

 府のこと、都道府県のことはわからないと思うので、私立学校、私立大学などで例えば四月一日から開きますというときに、もうあと一カ月だというときに認可がとれていないようなケースは一般的にあるんでしょうか。大学のケースで教えてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの件でございますけれども、大阪府に確認をいたしましたところ、大阪府の認可基準の取り扱いにおきましては、四月に開校する私立学校の場合、同年三月に認可を行う例があるということを伺っております。

 それから、大学につきましては、これは文科大臣の認可でございますので高校の場合とはケースが違うわけでございますけれども、制度上は、大学の設置については開設前年度の三月三十一日までに認可を決定することとされておりまして、実際の運用といたしましては、調べたところ、これまでで最も遅い認可は前年度の一月ということでございます。

玉木委員 普通、大体一年前には認可をとっておかないと、安心して募集もできないし、ましてや国有財産の売却がこれにかかわっているんですよ。きちんとそういった認可が進むことを条件に、近畿財務局もそれでオーケーしてこの売買契約を結んだんじゃないんですか。

 もし三月三十一日までにできなかったら、これは解除して更地にして戻すんですよね。これは大丈夫なんですかね。

 では、財務省に聞きますけれども、これは、あともう一カ月ちょっとですけれども、十分に条件を満たさないでもし設置認可がとれなかった場合は、やはり条件でいうと更地にして戻すということが契約上なっていると思いますけれども、基本的にそれでよろしいですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、順調に竣工が行われると聞いておりますが、売買契約上の話を申し上げますと、その用途に供することができなかった場合は国において買い戻しをすることができるということでございます。

玉木委員 これはすごく異常だと私は思うんですね。まだ設置認可さえ、平成二十七年の一月二十七日に条件を付して認可適当ということが決められまして、それを受けて近畿財務局の国有財産近畿地方審議会で、いろいろ異論があるけれども、私学審議会できちんと条件を満たしてチェックしてやってくれるから売却を決めましょう、賃貸借契約を結びましょうということになっているんですが、その根っこのところがどうなっているのかわからないということ。

 例えば、寄附を集める、財務体質を強化するようなことも条件に入っていたと思いますけれども、これは文科省、財務省でもいいですけれども、きちんと寄附が集まってきているということは文科省なんかも確認をしているんですか。あともう残りわずかですけれども、三月三十一日までに。きちんとあの一月二十七日に付した条件を着実に一つ一つ確認しているということは、これは議事録を読んでいますか。答えてください。審議会の議事録は文科省もきちんと読んでいますか。

村田政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたとおり、認可に付した条件につきましては逐次審議会で状況を確認しているということを大阪府から伺っております。(玉木委員「いや、文科省が確認しているかどうか」と呼ぶ)これはあくまでも大阪府が認可することでございます。基本的に、大阪府がその権限と責任に基づき、審査基準に基づき認可することでございますので、文科省としては、大阪府からそのように伺っているというところでございます。

玉木委員 では、文科省としては議事録も読んでいないということでよろしいですか。

村田政府参考人 議事録については、今、大阪府の方で、これは情報公開請求の対象となっているということで伺っておりまして、現物自体を全部私どもが見ているわけではございません。

玉木委員 いや、そんなことでいいんですか。では、見せてもらおうと思ったら、情報公開請求を文科省がしなきゃ見せてくれないの。

 そんなことで、子供たちの教育、もちろん設置認可は府かもしれませんけれども、これはちゃんと最低限チェックしないといけないんじゃないですか。

 これは、財務省も議事録は読んでいないんですか。確認していないんですか。イエスかノーかでお答えください。

佐川政府参考人 議事録が公開されておりませんので読んでおりませんが、今文科省が公表したように、きちんと大阪府の方から適切な報告を受けているというふうに聞いてございます。

玉木委員 何かさっきの稲田大臣とちょっと似ているなと思ったんですけれども。大丈夫と聞いているから大丈夫みたいな、そういうことでは。

 これは実は、なぜ私がこれを取り上げたかというと、旧空整特会、今は空整勘定になっていますけれども、来年度の特会の歳入面に響いてくる話なんです。

 だから、一体どれだけの収入が見込まれるのかということをきちんと把握しないと、だめになったら、これは売買契約自体が飛びますよね、この年度末で。そうすると、来年度予算にもかかわってくるので、これは重大な問題だと思いますので、一つお願いしたいのは、大阪府の私立学校審議会での議事録、やりとり、ぜひこれを取り寄せてこの委員会にも提出いただくように中央政府においても努力いただきたいと思いますし、ぜひ出していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

菅原委員長代理 これは理事会に、それとも役所。(玉木委員「理事会に」と呼ぶ)理事会で後刻協議します。

玉木委員 これだけ、隣地が十四億円もする土地が、二百万円ですよ。ただ同然で売り払われる。しかも、設置認可が、あと一カ月で開校だというのに、認可を今の時点で受けていない。これはやはり問題だと思いますから、しっかりと予算委員会でも審議を深めるべきだ、このことを申し上げまして、終わりたいと思います。

菅原委員長代理 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 きょうは、日米経済対話を中心に質問したいと思っていますが、その前に、稲田防衛大臣に、日報問題にかかわって幾つか整理的に確認する質問を行いたいと思います。

 私、今、手元に、二月七日、統幕監部参事官補、田辺政策調整官の日報についてのブリーフ、記者会見についての記録を持っています。そのときの中身なんですけれども、この間、日報がどこにあって、どこにどう隠されていたのか、いないのかなどについて、その管理とアクセスについてやはり改めていま一度整理する必要があると思いますし、防衛省がどのような言い方をしているかということで、ちょっとこれを使わせていただきたいと思っています。

 田辺政策調整官はこのように言っています。結局、統幕監部のところに日報が第一次隊からあった、統幕監部でなぜ入手していたのかということで、改めて陸自の指揮システムのことをこう説明しているわけですね。

 陸自の中に陸自指揮システムというものがあり、指揮システムのある掲示可能な場所にこの資料を派遣施設隊がアップする、アップされたものをCRF司令部でダウンロードするという形で情報をやりとりしていた。日報は、CRF以外の人が陸自指揮システムにアクセスしてダウンロードすることができる。これはアクセス制限がもちろんかけられます。統幕監部ではアクセス権限を得ていたので、この日報がアップロードされていた場所から、統幕監部として業務に必要だと判断し、それをダウンロードする形で情報共有を受けていた。

 これが、この間の情報のやりとりの陸自システムの大きな流れだと思います。

 稲田大臣、これは事実として間違いありませんね。

稲田国務大臣 間違いがないと思います。

畠山委員 それは間違いないはずです。

 それで、結局、日報は第一次隊から全て統幕にありました。その会見のときに、記者から、なぜ統幕は探索対象にならなかったんですかとの問いに、ありそうな場所から探索をかけるとして、派遣施設隊そしてCRF司令部を調べたというふうに言っています。それはそうかもしれません。そして、それぞれの部隊の文書管理者の判断で不存在であり不開示ということが確定した後、陸幕長名で、陸自の中では不存在という回答がありましたとブリーフでは言っています。その結論として、その陸自の判断がそのまま防衛省全体の判断になったと答えております。

 あったのは統幕で、そのこと自体も問いたいんだけれども、まずは、陸上幕僚監部や陸上幕僚長も日報について把握できたし、誰がアクセスできたかはわかっているはずです。アクセス権限は限られているからです。

 そこで、陸自では、日報の中身もダウンロード先も知っているはずです。そうなりますよね、稲田大臣。

稲田国務大臣 捜索が不十分だったことは確かですが、その際、開示請求を受けて捜索したのは、原本をつくっている派遣施設隊と、そしてその報告先であるところの中央即応集団司令部であったということでございます。

畠山委員 もう一回、落ちついてお聞きください。

 陸自のシステムですから、陸上幕僚監部また陸上幕僚長も日報の中身はもちろん把握できたし、ダウンロード先も知っているはずですね。これはそうなるはずです。そうですよね、稲田大臣。

稲田国務大臣 陸自の指揮システムは、陸幕、方面隊及び師団等の司令部に装備され、指揮官の迅速的確な指揮統制を目的とした、各種事態対応において陸上自衛隊の運用の中心となる指揮統制システムです。

 同システムにアクセス可能な部隊や機関を明らかにすることは、システムの構成を明らかにすることとなり、部隊等の活動態様が推察され、自衛隊の活動や任務の効果的な遂行に支障が生じるおそれがあることから、差し控えさせていただきます。

畠山委員 質問に答えていないですね。

 ちょっと、こういう聞き方をしたらどう答えますか。削除したログは残らないということを述べていました。ダウンロード先は残りますか、残りませんか。

菅原委員長代理 そのシステムについてわかる方。

 とめてください。

    〔速記中止〕

菅原委員長代理 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 通告がございませんでしたので、確認をしてお答えさせていただきたいと思います。

畠山委員 技術的な問題ですので、稲田大臣がわからなくても、後ろの方でわからないんですか。

 だって、削除についてはログは残らないというふうに、これはずっと言っていましたね。ダウンロードについてのログというのは残るか残らないか。通告がなくても、ずっと今まできょう聞いている中で、議論が発展する中で、そういう必要性もあると思って質問しているわけです。

菅原委員長代理 政府参考人、誰かわかる人いる、今の質問に。

 では、時計をとめてください。

    〔速記中止〕

菅原委員長代理 速記を起こしてください。

 畠山和也君。

畠山委員 それでは、この点については報告を求めます。委員長、取り扱いをよろしくお願いいたします。

菅原委員長代理 しっかり後で答弁してください。

畠山委員 そもそも陸自システムは何のためかということは、今答弁が若干ありましたけれども、改めて記録で確認しておきたいと思いますね。

 二〇〇九年度、二十一年度の会計検査院報告に、このシステムについてこのように書かれています。「陸上自衛隊は、陸上幕僚長、方面総監等の各級指揮官の指揮・統制及び情報伝達・処理の正確性、迅速性等を向上させる目的で、平成五年度から陸自指揮システムを導入している。この陸自指揮システムは、サーバ、ネットワーク、端末等の各種機器及びソフトウェアで構成されており、指揮下にある部隊等の各種状況を報告したり、幕僚活動を支援したりなどする機能を有するものである。」既に二十年を超える実績を持っているわけです。

 ですから、稲田大臣は、さまざま不十分があったからさらに探索すべきだということをずっと言ってきました。陸上自衛隊についても、先ほど言ったように、派遣施設隊とCRF、そこにないということがあって、そして、陸自のそういうないという認識が防衛省全体の認識になったということは、先ほどの会見で言われていました。

 しかし、二十年来のこういう実績ということをやはり考えたときに、陸自に対してそういう認識でもう一回探せというふうに言ったのかどうか。先ほど、不十分だったと何回も何回も言うけれども、何に対して不十分だったのか、全く答弁がなかったと思います。こういう陸自に対してのことだったんでしょうか。

稲田国務大臣 日報が作成されて、そして用済み後破棄で、全て破棄をしておりますという報告を受けた途端に、それは紙も電子データもそうですけれども、報告を受けた十二月十六日ですが、その時点で、自分の経験則、弁護士としてもそうですし、一国民としてというか、感覚的に、いや、どこかにあるんじゃないの、どこかにあるんだったら探して全て公表すべきだという指示を出しました。それは、どこを探せとかそういうことではなくて、徹底的に探せという指示をしたわけでございます。

畠山委員 わかりました。

 この問題は引き続き、さまざまなことが出てくるかと思いますので、追及、確認していきたいと思います。

 ただ、いずれにしても、この問題というのは、日報という第一級の情報をどう扱っているのかということの問題にかかわると思うんです。現地の情勢分析にとどまらず、それを蓄積することで教訓を引き出し、教育や訓練につなげる意味があると思います。だから、防衛省も述べているように、複数の部署で保管し、一定のアクセスもできて、引き継がれもしてきたのではないのでしょうか。これがデータを残してきた意味だと思います。

 そこで、聞きたいことをもう一つだけ確認しておきます。

 先ほどの後藤議員の中で、今回、第一次隊まで南スーダンのものがあったと言いますけれども、それ以前、イラクあるいはゴラン高原など、自衛隊が海外に送られたことがあったと思います。先ほど、イラクの問題については、日報はもうないということを述べていました。ただ、今私が述べたように、データを残す意味というのは、自衛隊の中で本来共有されているものと思います。

 自衛隊が海外へ送られた日報というのは残っているのか残っていないのか。

稲田国務大臣 しっかりと確認をしている最中でございますが、先ほど後藤委員に御答弁申し上げましたように、イラクに関しては日報は残っていないことを確認いたしております。

 いずれにいたしましても、委員が御指摘になったように、日報の保存期間が一年未満、用済み廃棄でいいのかどうなのか、そういった点もしっかりと検討してまいりたいと考えております。

畠山委員 我が党はそもそも、南スーダンPKOに反対してきました。とりわけ今、駆けつけ警護という新たな任務が付与されたもとで、自衛隊が初めて海外で武力を行使するおそれがあります。だから、現地の情報が国会や国民に知らされず、現地を見えなくしてしまうことが問題です。

 現場の隊員から、銃撃が起きている中で報告が出されています。破棄が当然であるかのように、先ほどからの答弁でありました。今大臣は前向きな検討をするような答弁をしましたが、破棄が当然であれば、現場は泣くに泣けない。本来は撤退すべき状況にあるのに、自衛隊が置かれている可能性だってあるはずです。それが隠されたり事実がゆがめられたりしていれば、国会で派遣の是非を私たちも議論できません。大臣がその責務を負っている自覚を改めて申し述べておきたい。

 引き続きこの問題については追及していくことを述べて、きょうの本題について、質問に移ります。

 安倍首相とトランプ米大統領との会談にかかわり、今後の日米の経済関係について質問いたします。

 発表された共同声明では、米国のTPP離脱を踏まえて、日米間で二国間の枠組みに関して議論を行うとしています。

 資料に、これまでの日米の通商関係について端的にまとめています。

 古くは、一九七二年の繊維製品の輸出を自主規制したことから始まり、牛肉・オレンジの自由化、自動車の輸出自主規制と続きました。プラザ合意では、円高不況と輸出関連地場産業の倒産、あわせて輸出大企業は、賃金抑制や下請単価切り下げが行われました。

 その後、九〇年代、非関税障壁にも話は及びます。一九九三年には日米包括経済協議、二〇〇一年からは、成長のための日米経済パートナーシップと称して、毎年のように規制緩和が進められてきました。大幅な公共投資の拡大もありました。その間、大型店立地法により全国各地に大型店が進出し、労働法制改正では、派遣労働者が大きくふえました。郵政民営化も、出発点は米国からでした。

 挙げれば切りがないんですが、まさに米国から要求を聞き入れてきた屈辱と譲歩の歴史と思います。

 麻生財務大臣は二月十四日の本委員会で、向こう、米国ですね、向こうからいろいろ問題提起がなされたのに対して、それをいかに日本が受け、しのいできたかというのがこれまでの歴史だったと麻生大臣らしく述べておられます。

 今回の経済対話というのは、それでは、これまでと今度は何が違うのか、まず御答弁ください。

麻生国務大臣 日米構造協議などは、日本の経済構造に問題があると米国が言ってきたんですよ、ここに書いてあることは。あなたのおっしゃりたいことはそういうことが書いてあるんだと思いますが、我々としてか、もしくは我々の先輩は、なるほどそうやなというところはそれなりの対応をされたんだと思いますが、正しくないと言える部分に関しては、ちょっと待ったと言って、これはノーと言ったりなんかしてきたのであって、要求されっ放しであったかのごとき話で、こっちは屈辱的だったというような話は、あなたの歴史観から言えばそうなるかもしれませんが、屈辱的ばかりだったとは言えないと思いますね。いいところもありましたから、我々にとって。それで随分よくなったところもありますからね。

 一方で、今回の経済対話というのは、日米の間でウイン・ウインの関係というものを一層深めるためには、これは日本側から持ちかけたわけです。こういう経済協議、対話をやろうということを申し込んで、それで安倍総理は、各省にまたがるから、こっちは副総理を出すから、そっちは副大統領を出せと言って、相手側の交渉人を指名するわけです。

 そういったようなことというのは、今までとはちょっと違ったことになっていると思いますので、いずれにしても、日米共通のいわゆるウイン・ウインの関係をつくっていくために、アメリカ・ファースト、こっちはジャパン・ファースト、向こうがそうならこっちはジャパン・ファーストになりますから、当然、そういった意味で、両方ともで建設的な意見を深めていくということになるんだと思います。

畠山委員 これまでとの違いといえば、日本の側から持ちかけたことが一つの柱だろうと思います。

 そこで、二月三日付読売新聞には、合計四千五百億ドルの市場を創出し、七十万人の雇用を生み出す五本柱の政策パッケージを日本政府が準備している、当時の報道ですけれども、と報じられました。そこに具体的には、米国三大高速鉄道プロジェクトへの協力、民間航空機の共同開発、原子力発電の共同売り込みなどが並んでいます。

 報道が事実なら、重大だと思います。初めから貢献リストを作成して、米国のみならず、アジア太平洋地域に原発輸出までも約束をしようとしていたのかということは容認できません。

 麻生大臣とペンス副大統領の経済対話では柱が三つ掲げられています。一つに経済政策、二つにインフラ投資やエネルギー分野での協力、三つ目に貿易・投資ルールとなります。

 具体的に聞きます。エネルギー分野とは原発輸出のことですか。

麻生国務大臣 先ほどの新聞記事というのをよく言われるんですが、私は新聞を基本的に読まないように努めていますので読んだことが余りないので、今の話は何々新聞とかに一斉に出た話なものですが、GPIFの話なんかが載っかっていたので、はなから問題にならぬなと思って、そこを見ただけでもう大体あとは、中は全然、見るだけで読まないようにしていたので、読んでおりませんので内容がわかりませんけれども、基本的に我々としては今言われた三つの話をしていきますので、具体的な構造とか内容とかそういったものにつきましてはこれからペンスという人と話をしていくことになろうと思いますので、今の段階で決まっているというものは何一つありません。

畠山委員 具体的には決まらないと言いますが、三大鉄道ということがここに報じられ、実際、安倍首相は、記者会見ですか、鉄道の売り込みということを口にしていることは事実であります。

 ですから、こういう形で原発の共同売り込みなどに進むことは到底容認できないということを述べておきたいと思います。

 それで、今後の経済協議について、この間、衆参の委員会などで審議がされて、通じ、そこから浮かび上がってきている問題があります。米国の雇用創出のために米国から武器や戦闘機を購入するのかということです。

 これは、十五日の参議院本会議で自民党の西田議員がこのように質問をしていました。防衛力の増強は、米国の主要産業の一つである軍事産業の輸出増、ひいては対日貿易赤字の縮小につながる、こういう質問をしたんですね。

 それに対して安倍首相が、米国の装備品について、我が国の防衛に不可欠なものと述べた上で、安全保障と経済は当然分けて考えるべきですが、結果として米国の経済や雇用にも貢献するものと考えていますと答弁しています。

 今回の経済枠組みは日本側から持ち込んだものでもありました。それなら、この点を確認したい。日本側から、さらなる兵器や装備品の購入についてこの間表明したことがあるのですか。

麻生国務大臣 二つあったので最初の方ですが、鉄道の話。

 これは基本的に、もう去年、おととしぐらいから既にこの話が出ています。ニューヨーク―ワシントン、これは間違いなくリニアモーターを使ってやろうとしている話です。それから、ダラス―ヒューストンは、約名古屋ぐらいになりますけれども、これは新幹線。それから、カリフォルニアでしたな、ロサンゼルス―サンフランシスコとサクラメントの線というこの三つの話は、アメリカ側は既にスタートをさせていて、土地の購入をしております、間違いなく。技術は向こうにありませんから。新幹線のリニアのできる技術なんて、レールの重さを一メーターで八十キロにできる技術は日本にしかありませんから。細かく言っていては切りがありませんので。

 そういった話がありますから、こういった話がもし来た場合は、これとしては商売の話になりますので、私は、これは構造協議よりむしろ商売の話になるだろうと思っております。

 それから、今の御質問の点ですけれども、参院本会議において安倍総理からの話ですけれども、日本は最先端の技術を用いた米国の装備品を導入していますが、これらは我が国の防衛に不可欠なものであり、日米の相互運用性の向上を初め日米同盟の強化につながっていますと述べた上で、安全保障と経済は当然分けて考えるべきですが、これらは結果として米国の経済や雇用に貢献するものと考えていますと答弁されたということですね、今の引用された文章というのは。そうだったと思う。

 この答弁されておられる日本による米国の装備品の導入というのは、結果として米国の雇用や経済に貢献することになり得るということを述べたまでであって、米国からの武器の購入というものを通じて米国の雇用創出に貢献するという考えを示したというのは全く当たっておらぬと思います。

畠山委員 リニア、鉄道などについて麻生大臣はいろいろお話をされましたが、私は、原発の共同輸出が記事に出ていて、実際こういうことがあるならば許されない。なぜならば、そのパッケージの中に鉄道も入っていて、総理はそれを口にしているから原発もそうじゃないかということを指摘したのみです。

 そして、今、実際に安全保障と経済は別だからという総理の答弁を引き合いにしましたが、この間の日本の防衛費、私たちは軍事費と呼んできていますが、その中身を見れば、米国からの調達が劇的にふえていて、非常に懸念されることがあることをただしたいと思います。

 安倍政権となった二〇一三年からの装備品の調達実績の輸入分についてまず答弁をしてください。なお、今年度と来年度については予算額で結構ですから、お答えください。

井上政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度からの装備品等の輸入額の実績につきましては、平成二十五年度は約二千三百二十一億円、平成二十六年度は約四千百十九億円、平成二十七年度は六千百四億円となっております。

 また、平成二十八年度予算における装備品等の輸入の予定額につきましては約六千四百六十六億円、平成二十九年度予算案におきましては約四千八百七十八億円となっております。

 以上です。

畠山委員 資料の二枚目にまとめたとおりです。

 つまり、この間ふえてきているんですね。国内からの調達とグラフにして合わせてみると、輸入分の比率の高まりは明白です。二〇一三年で一一%、それまでも一割程度だったわけですが、二〇一四年では一七%、二〇一五年では二四%に輸入調達の割合が急速に高まってきています。

 なぜこれほど急速に、どこの国からの装備品の輸入がふえているのでしょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度以降の装備品等の輸入額の増加につきましては、主に米国からの輸入が増加しております。

 なお、これまでも米国からの装備品等の輸入が我が国の装備品等の輸入額の大部分を占めておりまして、その傾向に変化はございません。

畠山委員 傾向は変わりないと言いますが、中身をやはりきちんと見るべきですね。急速にふえたのはアメリカからだと言いました。特にFMSと呼ばれる調達にかかわってふえてきていることを指摘しておきます。

 FMSの調達というのは、防衛省は有償援助と呼んでいます。もともとは、戦後、米国が日本に装備品を無償供与していましたが、日本が支払い能力を持てたことによって有償で提供するという枠組みです。一般輸入と違う理由は、高性能、最新鋭、また機密性が高い装備品を扱うから政府調達になるというのがその理由です。

 一九五六年度から、FMSは既に六十年たっています。六十年の中にはその額について山、谷ありますけれども、六十年たってきた中で、この数年間は、今述べたように、異様なほど伸びを見せていると思います。

 先ほどの輸入分のうち、FMSの金額及び輸入に占める割合について答弁してください。

井上政府参考人 平成二十五年度からのFMS、先ほど先生からありましたけれども、有償援助調達であります。その調達額の実績及び輸入額全体に占める割合については、平成二十五年度は約千百十七億円、割合は約四八%、平成二十六年度は千八百七十四億円、割合は約四五%、平成二十七年度は四千四百七十三億円、割合は約七三%となっております。

 平成二十八年度予算におけるFMS調達の予定額につきましては四千八百五十八億円で、輸入の対象額全体に占める割合については約七五%となっております。平成二十九年度予算案におけるFMS調達の予定額につきましては三千五百九十六億円、輸入の対象額全体に占める割合につきましては約七四%となっております。

 以上です。

畠山委員 資料の三枚目にまとめております。

 この間なんですね、急速にこのFMSが大幅にふえて、しかも割合が、せいぜい半分だったものが今や七十数%台までに引き上がっているわけですから、アメリカからのこのような兵器、武器などの調達が大幅に伸びていることは紛れもない事実です。

 そして、問題なのはその契約方法です。米国政府に極めて有利なものとなっているではありませんか。その条件はどういうものか説明してください。

井上政府参考人 FMS調達は、米国政府が、米国の国内法に基づき、同盟諸国及び友好諸国等に対し装備品等を有償で提供する制度でございます。

 日本を初めとする購入国は、米国政府の定める条件を受諾して初めて必要な装備品等の提供を受けられることとなっております。

 具体的には、四つございます。一つ目は、米国企業との契約及び調達は、米国政府が責任を持って実施すること、二つ目、価格は見積もりであり、出荷時期は予定で、原則前払いであり、納入後に精算を行うこと、三つ目、米国政府は、自国の国益により契約解除する権利を留保すること、四つ目、所有権は原則として最初の出荷地点、米国内でございますけれども、で購入国へ移転することというふうになっております。

畠山委員 今読み上げた四点については資料の四枚目にまとめておりますので、委員の皆さんも改めて字で見ていただければと思います。

 つまり、契約価格、履行期限、契約解除など契約の重要な点が米国によって握られる仕組みです。米国優位の事実上の随意契約、価格も指し値ではないのですか。

 そして、このFMSで何をこの間調達してきたか。二〇一五年分の契約だけでも、次のようなものがあります。F35A戦闘機一千六十五億円、イージス装置等八百一億円、ティルトローター機、オスプレイのことですが、五百八十五億円などです。いずれも日本国民の血税であり、どんどんふえてきているのは先ほど答弁があったとおりです。

 それぞれの戦闘機などの役割というのは違いがあるでしょう。しかし、オスプレイのように、アメリカがどんどんどんどん世界に売りたくて仕方がない、売り先がなくて困っているみたいなものまで買ってきているものもあります。

 先日、トランプ大統領の一声でF35A戦闘機の価格が引き下げられました。何を言いたいか。大統領のさじかげん一つで価格を変えることができて、それがFMSでは反映されるおそれがあるのが米国の現実ではないのでしょうか。

 そこで、麻生財務大臣に伺います。日本は、憲法九条を持つ国であります。今後の経済対話で、日本側から進んで兵器や装備品の調達を拡大するような話はするのでしょうか。

麻生国務大臣 先ほどの日米経済対話の話が基本なので繰り返しになりますが、おっしゃられた経済政策とかインフラとか貿易とか、三つの内容について、これは今後、日米間で交渉していくということになるんですが、防衛力整備計画とかいうものについては、中期防衛力整備計画というのがありますのは御存じのところなので、これは米国のフォーリン・ミリタリー・サービス、FMSによる調達に限らないで、計画的かつ効率的に我々は中期防をやっていますので、それにのっとって行っていくという方針には今後とも変わりはありません。

畠山委員 FMSがふえてきたアメリカの背景をこの際ですから述べておきたいと思うんですね。

 米国は対テロ戦争のもとで国防予算が異常に膨らんだのは御承知のとおりだと思います。しかし、それが米国の財政も圧迫して、前オバマ政権は、財政赤字半減を目標に国防予算の削減を進めました。そこで、米国軍需産業は輸出戦略を進めてきました。

 二〇一一年、アシュトン・カーター元米国防長官は、国防長官になる前ですけれども、講演でこう言いました。国防予算がふえ続けることは今後はないというもとで、輸出は明らかに我々の防衛産業の競争力を高め、また我々の安全も向上させる。この後に彼は国防長官になったわけでした。

 二〇一五年、米国の軍需産業大手であるロッキード・マーチン社のマリリン・ヒューソンCEOも、中東とアジアは引き続き不安定であり、見通し得る将来にわたって成長分野になるだろうと、狙いをあけすけに語っています。

 日本のFMS調達の急増は、米国政府と米国軍需産業の動きと符合しているのではないのか。米側から、兵器や武器のさらなる調達を要求される可能性はないとは言えないと思います。

 麻生大臣、そうですね。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 日本の防衛力を我々は大いに伸ばさざるを得なくなった国際情勢というものを無視した話は、私どもとしてはのめる話ではありません。

 東シナ海、南シナ海、中国の拡張主義は明らかです。事実、いろいろなところで、我々としては、海上保安庁の船を大量につくって、大型化して、それで漁民を守るというのをいろいろやっておるというのは御存じのとおりでしょうから、我々としては、そういう状況下にあって、少なくとも尖閣とかそういった問題をきちんとやっていくためには、海空陸であれば、やはり海の力とか空の力をさらに伸ばしていくというのを中期防の中でもバランスを決めて、みんな一緒ではなくて、海空陸、そういった形でやる。そういったような形を進めておりますので、私どもとしては緊急を要している。今、拡張は非常に急テンポで進んでおりますから。日本の四倍ぐらいの倍率で伸びておりますからね。そういった意味では、もう防衛力も今四倍ぐらいになっていますから、支出額だけ見ますと。

 そういった意味で、その内容を見ますと、我々としては、日米安保条約をきっちり動かして、きちんとしたものになっていくようにするという状況をつくっておかなければならぬ、尖閣は自分で守るというのをきちんとしておかねばならぬ。

 そういったものを背景にして私どもとしてはやっておりますので、今申し上げたように、アメリカからどうのこうのというような、結果としてそうなった時期と、中国の拡張主義に対応して、我々の政権としては、民主党と違って、我々はその政権できっちり対応していこうという結果を出しておりますので、それによって膨れていると思っております。

畠山委員 私は、きょう、FMSを通じて、この間、米国からの軍需産業の要求も背景にして要求されてきた点について指摘をしてきました。中期防については、麻生財務大臣が今述べていることはもちろん承知していますが、不安定な政治情勢を米国軍需産業からは成長分野と呼んで喜ぶような、死の商人と一層蜜月になるような日本になってはならないというふうに思います。米国の経済と雇用のためと、さらなる兵器や武器の購入などは到底認められないことは指摘しておきたいと思います。

 もう一つ、日米の経済対話にかかわって危惧されることがあります。日米FTAへつながるかもしれないということです。

 そもそも、経済対話を始める前から、米国との協議、合意しているものがあります。TPP協議と並行して進めてきた二国間協議がそれです。その合意については、日米の交換書簡、サイドレターでまとめられました。米国からしたら、要求実現の約束手形ではないかと私は思います。

 二月十五日の衆議院農林水産委員会で、岸外務副大臣がサイドレターの効力について次のような答弁をしています。

 書簡に記載されました非関税障壁、非関税措置等は、そもそも我が国のこれまでとってきた取り組みやあるいは今後自主的に行う取り組みを確認したものである、今後とも適切に進めていくとの答弁です。一方的に米国の都合のいい形で取り決められたものではないとも述べてはいます。

 これは外務大臣に伺います。

 このサイドレターについては、先ほど述べたように、もともとは米国との合意をまとめてきたものであり、私は約束手形ではないかと思っています。違うというのであるならば、サイドレターの中身というのは一旦なしだ、チャラだということにしたらいいのではないかと思いますが、サイドレターの中身はそういうものなんですか。どういうものですか。

岸田国務大臣 御指摘のサイドレターの中身ですが、先ほど引用していただきました外務副大臣の答弁の中にありますように、そもそも我が国のこれまでの取り組みや今後自主的に行う取り組みを確認したものであると認識をしております。こうした内容を盛り込むことによって日米で書簡について合意することができた、こういったものであると思います。

 そして、この中身につきましては、今申し上げましたように我が国が自主的に行う取り組みを確認したものですので、そもそも我が国の企業や投資家にとっても有益なものであるという認識のもとに、我が国はこうした内容を判断しているわけであります。

 今後、この中身につきまして、内容においてTPPの発効までに行う等の記載があるわけですが、これとて、あくまでも措置の実施期限を示したものでありますので、そうした具体的な期限が確定しない場合であっても我が国の自主的な取り組みは我が国の判断で行う、こうした内容のものであると認識をしております。

畠山委員 つまり、我が国の自主的判断で行う生きている文書であるということでよろしいですね、岸田大臣。

岸田国務大臣 我が国の自主的な判断によって適切なタイミングを判断して、そして実施していく内容であると認識をしております。

畠山委員 生きている文書であることを確認いたします。

 そこで、では、日米のこの間行ってきた並行協議や懸案交渉、サイドレターの中身で、さまざまなものが、実際に自主的に米国の要求を実現してきたものがあるかないか。

 例えば、こういうものがありました。輸入自動車に対する特別取扱制度というのがあります。これは、試験データなどの書面だけで安全や環境基準への適合性審査を行うものです。つまり、審査の省略化であります。その上、販売上限台数を二千台から五千台にまで引き上げました。二・五倍です。安全性や環境基準の緩和がされた上に販売台数がふえた、これは紛れもなく実際に行われたものでありました。

 その理由について、国土交通省のホームページにきちんと記載されています。その該当部分を読み上げてください。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今おっしゃいましたPHPの上限台数の引き上げについてでございますけれども、ホームページには以下のとおり記載をしております。

 これは、環太平洋経済連携協定、TPP交渉に係る日米の事前協議の中で、PHPの一型式当たりの年間販売予定上限台数二千台の引き上げが取り上げられたことや、欧州車で年間販売台数が上限に近い約千八百台のものが存在することを踏まえて、自動車の輸入の際の負担軽減の観点から実施するものです。

 以上です。

畠山委員 今読み上げてもらいましたように、TPP交渉に係る日米での事前協議の中でこのように実施したものだというものであります。これが二〇一三年五月の十日でした。

 その一カ月前、四月十二日の内閣官房TPP対策本部が発表した日米協議の合意の概要という文書があります。そこには、米国が長期にわたり懸念を継続して表明してきた自動車分野で並行して協議すると書いてありました。つまり、この一カ月後に実際に自動車の分野で、安全性などが緩和されていた自動車の台数、輸入引き上げが早くもされてしまったということです。

 こういう協議の積み重ねがサイドレターであります。だから私は約束手形だというふうに言っているわけです。

 実際に、では、今サイドレターに何が書かれているか、中身で確認していきたいと思います。

 昨年のTPP特別委員会でも、私も何度もこの場で、保険等の非関税措置に関するサイドレターについて質問を行ってきました。この中の日本郵政にかかわっては、日本政府は、日本郵政の販売網を民間の保険サービス提供者も利用可能とするということがきちんと書かれています。米国企業の保険商品への開放です。しかも、これらの約束の行動の実施について検討することまで定められている。ちゃんとやっているかどうか日本が点検されるという中身です。

 外務大臣に伺います。このように、米国企業の保険商品を日本郵政で販売しているのかどうか点検するサイドレターの中身で、今後、日本側へ米国から交渉が持ち込まれてくることは否定できませんね。

岸田国務大臣 御指摘の点についても、日本郵政の取り組みは、我が国のこうした制度や取り組みのありようとしてどうあるべきなのか、我が国としてしっかり判断をし、そして我が国が行おうとする取り組みを記載したものであると思います。基本的な部分は、我が国の自主的な判断に基づいて行うものであります。その結果について、御指摘のような記載があるのかと思います。

 いずれにしましても、基本的な部分は我が国が判断した取り組みであるということ、これによって書簡をまとめたということ、これは強調しておきたいと思います。

畠山委員 自主的な判断のもとで、先ほど私が指摘したものを合意したということです。

 だから、アメリカ側はしっかり見ているわけです。USTRの二〇一六年外国貿易障壁報告書はリアルに書いています。これは大分有名になりましたが、「郵便局ネットワークへのアクセスに関し、アフラック社のがん保険商品を取り扱う郵便局数が二〇一五年七月までに、一千局から二万局以上に増えたこと等、大きな進展があった。」と書かれて、続けてこのようにも書いてあります。「対等な競争条件が確保されるまで日本郵政金融二社の業務範囲の拡大を認めないよう、日本に求め続ける。」しっかり要求されていることは指摘しておきたいと思います。

 もう一つ、サイドレターにかかわって確認しておきたいし、この場で紹介しておきたいことがあります。食の安全についてです。

 先ほどの保険等非関税に関する措置のサイドレターには、食の安全にかかわって、最後、防カビ剤等についての記載も書かれています。収穫後に行う防カビ剤の承認過程の見直しを求めているんですね。

 食品添加物でも、菓子パンなどに使うアルミ添加物などの四品目を認めよということが求められています。アルミ添加物というのは、今若いお母さんたちも非常に気にかけている一つでして、摂取し続けると健康への悪影響が懸念されるとして、厚生労働省も、パン業界、菓子業界に使用する量について低減するように求めているんですね。たくさん使い過ぎるなということですよ。でも、それをサイドレターの中では、実際に、四品目認めよということを主体的に日本側も合意するように書かれているわけです。

 確認します。現在、今言ったように、厚生労働省からはそのような、これ以上使い過ぎるなよということはありますが、実際に食の安全を脅かすようなこのサイドレターの中身、すなわち食品添加物の承認要求を米側からこれに基づいて持ちかけられることも否定できませんね。

岸田国務大臣 日米のやりとりの中で、米国側の関心事についてさまざまなところで公にされていると思います。しかし、あくまでも、御指摘のサイドレターの中身については、その内容、我が国が自主的に取り組んできた取り組み、あるいはこれから自主的に行うという取り組みの内容を盛り込むことで日米で合意できた、こういった書簡であります。ですから、内容においては、あくまでも我が国自身が、食の安全、国民の安全等も勘案した上で自主的に取り組む取り組みであるということ、これはしっかりと強調しておきたいと思います。

畠山委員 岸田大臣からは、基本点、原則論が繰り返されて答弁されるのみだったと思います。自主的に日本が決めることだという中身でありますが、合意している以上、私が繰り返すように、約束手形となっていることは間違いないのではありませんか。

 この食の安全の点でも、USTRの二〇一六年外国貿易報告書にはこう書いてあります。米国及び他の市場で広く使用されている数多くの添加物が日本では認可されていないとして、引き続き要求する姿勢を示しています。実は、この部分は外務省が概要としてまとめた和訳に入っていません。英文そのものの中にこれは入っているんです。こういうようなことが実際にアメリカから要求されていることを指摘しておきたいと思います。

 そこで、財務大臣に伺います。

 今、保険と食の安全について取り上げましたが、ほかにも書簡というのはありまして、医薬品に関する書簡というものについては、将来の保健医療制度についても協議することが確認されています。国民皆保険制度に手をつける気なのかと、医療関係者を中心に不安が広がりました。

 今後の経済対話では、今私が述べた約束手形に基づく内容で議論が進むおそれはありませんか。保険、食の安全そして医療制度は国民生活に直結する問題であり、これらについてはきっぱりと拒否する態度になりますか、なりませんか。

麻生国務大臣 サイドレターが要求というような訳をされると間違った印象を与えますので、正しい英語を使ってもらいたい、まずそう思って、あらかじめお断りしておきます。サイドレターはあくまでもサイドレター、要求ではありませんから。それが一点。

 それからもう一点は、保険の話が出ましたけれども、あの保険の話を、そのころ議員じゃなかったからといったって勉強はしておられるだろうから。少なくともあのころ、がん保険というのは日本は売っていなかったんですよ。忘れてもらっては困ります。オープンであったんですよ。あれを受けた。がん保険を受ける保険会社は日本にはなかった。その背景をお忘れですよ。だから、がん保険というのはえらく売れるようになってから日本の保険会社もお始めになった。だから、後手に回ったんですよ、あれは。はっきりしていますよ。外務省があほだったとかいろいろなことを言った人はいっぱいいますよ、あのころ。しかし、現実は違います。それが事実です。それが一点。

 それから、簡易保険というものは向こうにありませんから。郵便局の簡易保険なんというものはありませんから。そういった意味では、向こうとの間では、細かいのは全然向こうはわからないのに対して、こっちは事細かに説明しなきゃならなくて、えらく手間暇かかった、あのときはというのが背景です。

 ですから、そういった意味では、結構な話になりましたので、先ほど申し上げました点は、その他の御質問は先ほどお答えしたとおりであって、我々は今から開かれた状況の中で日米経済対話の中でいろいろ進めていきます。

畠山委員 サイドレターの中身というのは、ずっと一貫して米国が要求してきたものでありました。USTRの先ほどの文書の中でも繰り返し繰り返し要求されてきたことであり、今後の経済対話でも間違いなく突きつけられる可能性は否定できません。

 最後に、農業分野についても一言確認しておきます。

 TPPの原則の一つは関税の撤廃でした。政府はさまざまな措置をかち取ったと答弁してきましたが、安い農産物が多く輸入されることは間違いありませんでした。それは、政府みずからの試算でさえ、農産物では一千三百億から二千百億円の打撃を受けるとの発表をしてきたことにもあらわれていました。だから対策をとるなどと答弁をしてきました。

 日本政府は、特に安倍首相は、今後の通商政策において、このTPP水準をスタンダードにすると繰り返し述べてきました。そうであるならば、農業の分野において、今後の協議ではさらなる農産物の関税削減、撤廃や、日本側がかち取ったという措置などがなくなっていく、そういうことを意味しませんか。今後の対応にかかわって、財務大臣。

麻生国務大臣 終わりははっきり言ってもらわないと、また立っていくと二度手間になるので、よろしくお願いします。

 TPP協定に結実した新たなルールというのは、先ほど一番最初に申し上げましたように、二十一世紀の貿易とか、いわゆる投資ルールのスタンダードになっていくというものと答弁しておりまして、あの関税について述べたものではありませんから、最初に言っておきますけれども。

 それから、今の話で、農業の話やら何やらのことに関しては、TPPのときにもう、我々としてはできるのはこれまでです、これは十年かかりますよ、これは八年かかりますよ、薬は何年と、あれは全部言った話ですから。こちらの方は、急激に一、二年で答えを出したいという話に対応できるものはあの農業分野の中にはないと存じます。

畠山委員 アメリカ側から要求されることははっきりしていると思います。これは報道などでも御承知かと思いますが、米国では、牛肉や米で輸入をふやせと既に圧力がかかっております。

 米国の畜産二団体、NCBA及びNPPCがトランプ大統領宛てに先日書簡も出しました。今、米国産牛肉の日本でかかっている関税は三八・五%、先にEPAを日本と結んだ豪州は今関税が三〇・五%です。したがって、日本への牛肉輸出は、米国産がこの間一三%減ったのに対して、豪州産は三%ふえました。本当はTPPで関税を下げる合意をしていたから、米国側が今悔しがっているという状況にあると思います。

 米についても、TPPでかち取った輸入枠があったのに、米国が離脱してしまったために、USAライス連合会という米農家団体が、日本への輸出をふやすためにトランプ大統領はFTA交渉を進めよという表明もありました。このような圧力のもと、米国側からTPP水準以上の譲歩を日本に求めることは間違いないと思います。

 麻生財務大臣、こういう要求が出てきても新しい経済対話のもとで断るとこの場で言えますか。

麻生国務大臣 TPPのいわゆる離脱をトランプ大統領が表明された後に、畜産団体、中でも豚、牛肉等々の団体から、少なくとも日本を手始めに、アジアとか太平洋諸国との間でいわゆるFTA交渉というのを開始するように求める書簡が出されているのは承知しております。

 しかし、繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げた三つの条件というものについて議論していくことになりますので、具体的な構成とかその内容については、これはもう先ほどから申し上げているように、今後日米間で調整をしていくということであります。

 それから、FTAについて言えば、少なくとも今回の首脳会談の間にFTAの話が出されたことはありません。

 いずれにしても、日米経済対話の中で、貿易とか投資ルールとかいろいろなことにつきまして、どのような枠組みが両方にとって最善であるかということについて議論していって、しっかり国益を守っていくというのが一番肝心なことだと思っています。

畠山委員 時間なのでまとめますが、きょう私は、米国の軍需産業に貢献する道などとるべきでないことを述べました。また、医療、保険、食の安全、食と農業で米国に追随する協議をしてはならないことも改めて強調しました。日米同盟を絶対視し、米国の利益が日本の利益とするこういう姿勢が、根本的には間違うことになると思います。経済的にも対等、平等の日米関係へ切りかえることを強く訴えて、質問を終わります。

浜田委員長 これにて畠山君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いをいたします。

 本日は、著作権等のお話をさせていただきたいと思います。

 実は、著作権を管理しているのはJASRACというところですが、きょうは本当はJASRACの方に来ていただきたかったんですけれども、諸般の事情でちょっと来られないということになりましたので、所管庁の方から答弁をいただくことになっております。

 最近、音楽教室から著作権の料金を取るという報道が結構大きなニュースとして出ておりました。それに対していろいろと、JASRAC、けしからぬというようなトーンの報道もたくさん見えたように思います。中には、有名な歌手の方も、反対だということで、ツイッター等でおっしゃったような方もいらっしゃいました。

 私は、これはちょっと正直まずいなと思っているところがありますので、そのことを聞いていきたいと思うんです。

 まず、著作権がなぜつくられたのかということを答弁いただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 著作権法の目的はどこからというお尋ねでございますけれども、著作権法の第一条、その「目的」におきまして、「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」と定めております。

 すなわち、著作権法は、著作物等の創作等に権利を付与し、著作物等の公正な利用と著作者等の権利の保護を図るための法制度でございます。

 この制度によりまして、著作者に対しまして創作の対価を適切に還元するということで、新たな著作物の創造のサイクルを活性化し、文化の発展に寄与するということが期待されているものと理解をしております。

浦野委員 ありがとうございます。

 続きまして、JASRACの役割について御説明をいただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 日本音楽著作権協会、JASRACの業務内容でございますけれども、JASRACは著作権等管理事業法に基づきまして、作詞家、作曲家等の音楽の著作権につきまして、権利者から信託を受けて管理をしているものでございます。

 JASRACが権利を管理いたします楽曲を使用しようとする利用者は、JASRACの許諾を受けまして、その使用料規程に基づいて著作権使用料を支払うということで適法に著作物を利用することが可能となるわけでございます。

 徴収された使用料は、JASRACの使用料分配規程に基づきまして、権利を委託している権利者に分配される、こういう流れになってございます。

浦野委員 要は、その昔は、音楽というのは一握りの特権階級のものだったんですね。例えばモーツァルト、ベートーベン、有名な作曲家の方々がいらっしゃいましたが、あの人たちは書いた曲自体を売ってお金をもらっていたわけではありません。彼らは、貴族が私費で雇って、そのお金で生活をしていた、その見返りに曲を書いていたんですね。だから、中には、非常に生活に困窮して大変苦労される作曲家、今でこそ有名でありますけれども、その当時は全くの困窮した生活を送っていた作曲家がたくさんいらっしゃいました。

 そういうことにならないように著作権というものができて、楽曲を保護することによってその人たちが収入を確実に得ることができるようになって、そして音楽がさらに発展をしていったというのがもともとの著作権の意味合いだった、そのように私は思っています。

 こう見えても、私も幼少のみぎりにバイオリンというものを習わせていただいておりまして、まあ、今はほとんど弾けないですけれども。バイオリンというのは、やらへんかったらすぐに弾けなくなっちゃうんですね、実は。やはりずっとやらないと難しいんです。

 今、大手、どれだけの音楽教室の方々が言っているのかわからないんですけれども、今わかっているところは、最大手の音楽教室の方がおっしゃるには、音楽の裾野が広がらなくなる、子供たちに音楽を教えられなくなる、そういったような、まあ、もうちょっとちゃんとした主張はしているかもしれませんけれども、大筋でそういった主張をされています。

 私も、音楽を習っていた一人として、果たしてそうかなという思いを持っています。というのは、子供のときに習う音楽にJASRACが権利者から信託を受けている楽曲がどれぐらい含まれているのかなというのが率直な疑問です。

 子供たちが習うような、例えばピアノなんかであれば、基礎的な楽曲を習うときには、大体みんな教本というのがちゃんとしっかりあって、どの教室に行っても同じもの、ソルフェージュとかダンノーゼルとかそういうのがありますね、そういったものをやります。でも、あれは、そんな著作権がかかっているような曲かなというふうに私は今でも思っていますし、実際に、JASRACの信託を受けている曲じゃないと音楽を教えられないということにはなっていないと思うんですね。幾らでも教えることはできると思うんですね。

 だから、その大手の音楽教室がおっしゃっている意味が、私は、ちょっと的外れだな、あえてミスリードするためにそういうふうにおっしゃっているのかなという気もします。

 ただ、言っておきますけれども、私の保育園にも恐らくそのメーカーのピアノが、言ったらちょっとばれるかもしれないんですけれども、ピアノとかもありますし、別にその会社を非難するわけではありませんけれども、著作権というのはそもそも音楽を発展させるためにつくられたものであって、今、音楽教室からJASRACが使用料を取る、著作権料を払ってもらうというのは、私は全く真っ当な主張だと思っております。

 先ほど冒頭で、有名な歌手の方がツイッター等でおっしゃったというのは、これは宇多田ヒカルさんのことなんですけれども、宇多田ヒカルさんが、学校で自分の音楽は幾らでも無料で使ってくださいというふうにツイッターか何かでおっしゃいました。それもニュースになっていました。

 その件について、恐らく、教育現場での取り扱いということ、これもJASRACの方ではしっかりと決まっているはずですけれども、そのことをちょっと答弁いただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論としてでございますけれども、先ほど御指摘の学校の授業におきまして音楽の著作物を演奏する場合におきましては、著作権法第三十八条の第一項の規定が働きまして、著作権使用料を支払う必要はないと考えられます。

 この三十八条の第一項にございますのは、公表された著作物を、営利を目的とせず、聴衆または観衆から料金を受けない場合には演奏する者に対し報酬が支払われないということを条件に、著作権者への使用料の支払いを行わなくても演奏ができるということを規定しておりまして、いわゆる権利制限の規定でございます。

 学校の授業におきまして行われます演奏は、一般的にはこれらの条件を満たすものと考えられておりますので、そのため、通常は著作権使用料の支払いを行う必要はないと考えられております。

浦野委員 今御説明いただいたとおり、非営利、無報酬だというのが前提なんですね、やはり著作権法上取らないという場合は。

 ところが、この大手の音楽教室はちゃんと利益をとっています。定かにどれぐらいとは、はっきりとはわかりませんけれども、仄聞しますと、全体で恐らく一千億以上収益を上げているんじゃないかと言われているぐらい、実は、何たらメソッドという名前で非常に大きな、一大市場を築き上げているわけですね。

 これが非営利、無報酬でやられているのであれば、すばらしいことだと私も思います。さらに言うならば、その音楽教室が学校法人であれば、そういった適用も受けるんだろうなというふうに思います。しかし、そこはやはり、その活動によって利益を生んでいるのであれば、それはJASRACの主張する徴収を当然されるべきところだというふうに私は思っているんですね。

 音楽の担い手が育たないという話ではなくて、これは音楽を守るために著作権があるんだということを、音楽関係者であれば必ず、恐らくわかっているはずではあるんですけれども、今回のこの報道については非常に、報道の仕方も、JASRACひどいなみたいな話をされる報道もあります。

 ここで皆さんに資料をお渡しさせていただいていますけれども、実はもう既に、取れていないのが今言っている音楽教室だけになっちゃったんですね。例えば、カルチャーセンターももうちゃんと払っております。歌謡教室も払っていらっしゃいます。実はもう楽器教室だけなんですね、取れていないという言い方は悪いですけれども。だから、最後の一カ所なんですね、実は。ほとんどの教室の皆さんは、もう御理解をいただいて、ちゃんと払っていただいています。

 ですから、私はこれは当然払うべきだと思いますし、今このニュースもありましたけれども、もう一つ、最近二つほどこういう関係の話題があったんですね。先ほどTPPの質問がありましたけれども、PPAPのピコ太郎さん、商標権でちょっと今どうなるんだろうということでニュースになっていました。あと、ちょっと前に、「森のくまさん」の替え歌を歌った人、あれも何か訴えるということでもめました。

 代表して、ピコ太郎さんのPPAPについて、今、商標権とか著作権、どのようになるのかというのをちょっとお聞かせいただけたらと思います。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 PPAPなどの出願などにつきましては、引き続き、商標法及びその審査基準に従って適切に審査をしてまいります。

 なお、一般論で申し上げれば、出願された商標が出願人の行う事業と関係ない場合や、他人の著名な商標について第三者がその者に先んじて権利化しようとする場合には、その出願について拒絶査定をすることとなります。

浦野委員 著作権の方はどうですか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 著作権でございますけれども、先ほどお話がございましたような商標のように登録を受けるなどの特別な手続をとることを要さずに、著作物が創作された時点で自然発生的に権利が生じる、そういう仕組みになってございます。

浦野委員 著作権は非常に強い権利を持っているということを今答弁いただきましたけれども、発表した時点で要は著作権で保護されるという仕組みになっているんですね。

 私、何でこんなことを聞くかといいますと、これから日本が、クールジャパンといって、こういう音楽コンテンツだとかそういうものも海外にどんどん売り込んでいこうとしているときに、こういった商標権や著作権が侵害されるような話になってしまうと、やはりクリエーターの人たちの苦労に応えることができないんじゃないかというふうに思うんですね。

 私の友人にも有名なゲーム音楽の作曲家がいるんですけれども、本当に有名なゲームの曲をつくっているんですけれども、そういう人たちの権利が保護されないのであれば非常に心配だなと。ふだんですらそんないい生活を送っていそうに見えない友達なので、大丈夫かなというふうに思うんです。

 私は、ここはしっかりと所管官庁の文科省も、今、音楽教室さんがおっしゃっているようなことが本当に通ってしまうのであれば、著作権等の話、これまでやってきたことが覆されるようなことになると思うんですね。その点について、所管庁の大臣として、どこまでコミットできるかわからないですけれども、ちょっと御答弁をいただけたらと思います。

松野国務大臣 著作権の使用料の支払いに関します著作権法第三十八条第一項は、先ほど政府参考人の方から説明をさせていただいたとおりでありますが、今回、JASRACは、この著作権法第三十八条第一項が適用されない音楽教室を対象に著作権料の徴収を検討しているものと承知をしております。

 JASRAC、日本音楽著作権協会は、ピアノやエレクトーンなどの楽器教室から著作権使用料を徴収することについて、楽器教室の事業者から法令に基づく意見聴取を行っていると承知しております。文部科学省としては、その状況を注視してまいりたいと考えております。

浦野委員 この件、私もニュースになってからいろいろと調べていく中で、JASRACの外部理事という方、玉井さんという方がツイッターで孤軍奮闘、反論されているのを見つけたんですけれども、その方のツイッターを読むと、音楽教室の言っていることの方が大分おかしいんじゃないかというのはよくわかる。

 本当にいろいろなところからすごいリプライというか、かみつかれて、火だるまになっていたんですけれども、懇切丁寧に、その方、大学の教授なんですけれども、しっかりと逐一返答を返しておりまして、だんだん時間がたつとともに玉井さんの言っていることの方が正しいというふうに実は今ツイッターではなっているんですね。中には、大学の教授ってそんなに返せるぐらい暇なのかというふうに、また揚げ足をとる人もいらっしゃいましたけれども。それを読んでいたら、今回の騒動がいかにミスリードされて違う方向に行ってしまっているかというのが本当によくわかる内容でした。

 これは先ほども言いましたけれども、これから日本が世界じゅうにいろいろな文化を発信する中で、日本は著作権がいかにしっかりと守られているかということを示す一つの大きなきっかけになると思いますので、もちろん、監督官庁として、先ほどの大臣の答弁が中立の立場で、それ以上はなかなか申し上げられないんだろうなというふうには思いますけれども、これはぜひ、JASRACの皆さんが頑張るというわけじゃないんですけれども、しっかりと権利が担保できるようにやっていただきたいと思います。

 これまた、JASRAC、私も質問しようかなと思って調べているときは、ちょうど天下りの問題が非常にわあっとなっていたときで、もしかしてJASRACにも天下りがおったら嫌やなと思って調べました。そうしたら、しっかりと今、JASRACさんは断ってはるんですね、昔、いたみたいですけれども。大したところだな、しっかりとやっていらっしゃるんだと改めて感心いたしました。

 JASRACの健闘を祈って、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

浜田委員長 これにて浦野君の質疑は終了いたしました。

 次に、椎木保君。

椎木委員 日本維新の会の椎木保です。

 本日は、幼児教育無償化について質問させていただきます。

 私は、過去に、地方自治体の教育委員会に十三年間勤務しておりました。その際、保護者の負担軽減に伴う就園奨励費補助、さらには、全ての子供たちに質の高い幼児教育を保障するため、幼児教育に係る保護者負担を軽減するための政策立案等々に深くかかわってまいりました。本日は、それらの経験を踏まえて質問させていただきます。

 初めに、幼児教育無償化を進める意義について、松野文科大臣の御認識を伺います。

松野国務大臣 幼児教育は、教育基本法にも規定されているとおり、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであると考えております。

 幼児教育については、海外において、質の高い幼児教育を受けることがその後の基本的な学習到達率の向上や将来の所得向上、生活保護の受給率の低下につながるという教育的、社会経済的効果があるとの研究結果が得られています。

 幼児教育無償化を進めることは、家庭の経済状況にかかわらず全ての子供に質の高い幼児教育を受ける機会を保障するとともに、子育て世帯の経済的負担の軽減に資するものであり、極めて意義があるものだと考えております。

椎木委員 ただいまの松野大臣の御答弁にもありましたけれども、今の幼児教育無償化を進める意義はまさしく我が党が教育無償化を進める意義と全く合致している内容でありまして、我々も幼児教育の無償化というのは独自で大阪市でも取り組んでおりますけれども、引き続き、今の意義を踏まえて、我が党も切磋琢磨、文部科学省とともに進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、幼児教育無償化については平成二十六年度以降段階的に取り組んでいるものと承知しておりますが、改めて幼児教育無償化のこれまでの取り組みについて文部科学省にお伺いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 幼児教育の無償化につきましては、委員御指摘のとおり、これまでも段階的に進めてきているところでございますが、平成二十九年度予算案におきましても、市町村民税非課税世帯の第二子の無償化、年収約三百六十万円未満相当世帯の負担軽減のさらなる拡充などの取り組みを盛り込んでいるところでございます。

 二十九年度予算案の内容とこれまでの取り組みをあわせますと、まず、生活保護世帯それから一人親の市町村民税非課税世帯、これらについては全ての子供が無償化されております。また、市町村民税非課税世帯や一人親で年収約三百六十万円未満相当の低所得世帯、これらについては第二子以降が無償化となります。それから、全ての世帯の第三子以降が無償化されておりまして、そのほかに、所得に応じまして保護者負担の軽減を図るとともに、第二子については保護者負担が第一子の半額となっているところでございます。

椎木委員 これまでの取り組みで私立幼稚園の子供たちがどの程度無償になったのか、答弁を求めます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年度以降、幼児教育の無償化に向けた取り組みを段階的に進めてきておりまして、二十九年度の時点では、生活保護世帯それから一人親の市町村民税非課税世帯など、私立幼稚園に通う子供の一割程度の約十二万人が無償となる見込みでございます。

椎木委員 限られた財源の中ですから、急激に拡大していくというのは本当に難しい政策だと思います。私も実際こういう事務にかかわっていましたから、これは十分承知しているところです。

 ただ、やはり、段階的に取り組んでいただいていることは大変私も評価していますけれども、もう少しピッチを上げていただきたいというのは子を持つ親の切なる願いではあると思うんですよね。そういう意味では、先ほど申し上げましたけれども、限られた財源の中では評価できますけれども、さらに文科省として、政策というのはいずれにしましてもスクラップ・アンド・ビルドなんですよね、何かをスクラップしないとこういった無償化の事業、政策というのはやはりなかなか拡大できない、これについて答弁があればお願いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、幼児教育の無償化を段階的に進めていくことは大変重要なことと考えております。

 ただ、限られた財源の前提条件のもとでございますので、文部科学省としてもよく検討するとともに、財政当局とも十分御相談申し上げていきたいと考えております。

椎木委員 文科省がしっかり計画的に段階的に取り組んでいることについては、これは重ねてですけれども、私も評価しておりますので、しっかりと、さらなる拡大といいますか、そういう視点でお願いしたいと思います。

 次に、先ほどの松野大臣の答弁にもありましたが、単に無償化を進めるだけではなく、子供たちのために質の高い幼児教育を提供することが最も重要であろうと思います。これについて文部科学省としてはどのように取り組んでいるのか、答弁を求めます。

松野国務大臣 幼児教育の無償化を進めるに当たりましては、委員御指摘のとおり、あわせて質の向上を図るということは不可欠であります。

 今年度中に改訂を行う予定の幼稚園教育要領では、幼稚園教育において育みたい資質、能力を明らかにするなどの内容の充実を図っており、今後、新しい幼稚園教育要領に基づく教育活動をしっかりと充実していきたいと考えています。

 また、今年度より、地方公共団体における幼児教育の推進体制の構築に向けた取り組みを支援しており、各自治体において、教員研修や調査研究の拠点となる幼児教育センターの設置や、幼稚園のみならず保育所や認定こども園を含めた各園を巡回して助言等を行う幼児教育アドバイザーの配置などの取り組みが進められております。

 引き続き、幼児教育の質の向上に向けた取り組みをしっかりと推進してまいります。

椎木委員 今の大臣の答弁のとおりだと思います。やはり子供たちの幼児教育を取り巻く環境をまずしっかり整備していくということが一方で重要であって、さらにもう一方では保護者の負担をどう、いかにピッチよくその無償化に取り組むか、そういったスタンスで引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 次に、幼児教育の無償化なんですけれども、諸外国における幼児教育の無償化はどのような状況になっているのか、文部科学省にお尋ねいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国におきましても、さまざまな国におきまして幼児教育の無償化の取り組みが進められているものと承知をしております。

 具体的な取り組みといたしましては、例えば韓国におきましては、二〇一二年から三歳児から五歳児までにつきまして幼稚園や保育所の授業料などが無償化されております。

 また、例えばイギリスでございますが、二〇一〇年から三歳児と四歳児について就学前教育機関の教育費が無償化されております。なお、イギリスは五歳児からは義務教育ですので無償でございます。

 それから、フランスでございますが、伝統的に公教育が無償となっておりまして、三歳児から五歳児までほぼ全ての子供が通っております幼稚園について無償となっているところでございます。

椎木委員 今の文科省の答弁にもありましたけれども、イギリス、フランス、韓国、幼児教育の無償化が大変進んでいる諸外国なんですね。その他にも当然、私が調べた範囲だと、ドイツなんかも州によっては五歳児を無償化しているとか。そういった幼児教育の無償化の取り組みというのは、残念ながら日本より諸外国の方が推進されているのは紛れもない事実なんですね。ただ、文科省は文科省でしっかりやっていただいているというのは、これはこれで私も、繰り返しになりますけれども、評価もしている。

 ただ、そういう意味では、私も大変お聞きしづらいんですけれども、私の地元の大阪市は昨年の四月一日から五歳児の幼児教育の無償化に取り組んでおります。五歳児です。これは公立、私立、幼保を含めてですね。所得制限がありません。

 前市長である橋下徹、我が党の代表でしたけれども、二十七年十一月二十二日の選挙で当選して翌年の四月一日から、わずか半年足らずで五歳児の大阪市内の公立、私立全ての保護者を対象として幼児教育の無償化に取り組んでいる。その額二十五億円です。ことし、二十九年四月一日から、新年度ですね、今の吉村市長が既に市議会に提案はされていますけれども、さらに今度は年中の四歳児に対してこの無償化を拡大してまいります。これも五歳児同様所得制限は撤廃していますので、全ての四歳児、五歳児の子を持つ保護者が当然対象になってまいります。この額も五十四億円です。

 これは決して、別に自慢するつもりではないんですけれども、やはり大阪市も大変厳しい財政状況なんですね。どこの基礎自治体も一緒だと思います。ただ、その中でどうやって、どのように創意工夫しながら幼児教育の無償化をピッチよく進めるか。そういう意味では、今の吉村市長が幼児教育の無償化にしっかりと力を入れて市議会でも御理解いただいている、そういう状況だと思うんですね。

 その吉村市長いわくですけれども、やはりこれは本来は国が取り組むべき政策なんです。ただ、完全無償化を進めるという中で、国の場合は日本全体の幼児教育を担っているわけですから、非常にそういう意味ではパイが大きいということも重々理解はします。今後の幼児教育のさらなる推進について、松野大臣の決意を聞かせていただければと思います。

松野国務大臣 大阪市の取り組みにつきましては、国による無償化の取り組みに加え、地域の実情を反映しつつ、独自の支援により広範な無償化を進めていることには敬意を表させていただきたいと思います。

 文部科学省としても、家庭の経済状況にかかわらず全ての子供に質の高い幼児教育を受ける機会を保障することは必要であると考えており、今後とも、しっかりとした財源を確保しながら、幼児教育無償化の実現に向けて、関係省庁とも連携しつつ、しっかりと取り組んでまいります。

椎木委員 私もこういった幼児教育、学校での教師の経験が長かったものですから、教育問題にはかなり熱心に取り組んできたつもりなんですけれども、特に若い子育て世代、やはり家計に占める子供の教育費の割合というのが極めて大きいんですね。そういった中でも、子を持つ親は自分の欲しいものや食べたいものも我慢して、子供たちの教育費に家庭のお金を充てるわけですね。そういう思いを大阪市では踏まえて今取り組んでいるというお話もさせていただきました。

 さらに、この間、公明党の議員からもありましたけれども、門真市、守口市、こういった自治体も率先してそういった無償化政策を進めている。地方が厳しい財政状況の中でも頑張って取り組んでいる、それをさらに国の方もやはり私はピッチを上げてもらいたい、どうしても。

 ただ、一方で、私も自分の中で複雑な思いはあるんですけれども、国の守備範囲と地方の守備範囲はやはり全然違うと思います。思いますけれども、大阪市が今度さらに守口市、門真市とだんだんに徐々に、スクラップ・アンド・ビルドという観点で、保護者の負担軽減、そして若い世代の子を持つ親の御家庭での経済的負担を軽減するために取り組んでいる、こういった思いをいま一度、文部科学省としてもしっかり御認識いただいて。

 今の段階的な推進については私も評価しています。ただ、さらにこれを加速していただくためにも、先ほど松野大臣からも御答弁いただきましたけれども、大阪市の事例、そして守口市、門真市の今の取り組み等々も御参考いただきながら、いかに国としての幼児教育の無償化もさらに加速できるか、そういうことを念頭に置いて取り組んでいただければと思います。

 今の大阪市の取り組みについて、大臣の方からは御答弁いただきました。局長の方の、事務方のトップとしての何か所感があれば一言お願いしたいと思うんですけれども。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども初等中等教育局といたしましても、大阪市を初めとしてさまざまな自治体で幼児教育の無償化が進んでいるということについて、多大な関心を持って見詰めているところでございます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、省内においてもきちんと検討して、また財政当局とも相談しながら、この問題について対応していきたいと考えております。

椎木委員 何だかんだ言いましても、これは実際事務方なんですね、しっかりとした計画を立てて、どうやってその財政措置をしていくか。そういう意味では、私も長く行政をやっていましたので、文科省、局長初め皆さんの御苦労はわかっているつもりです。ただ、やはり本当に何を今優先しなきゃいけないかというところは大事な視点として、しっかりと今後の省内での調整、財源の確保に取り組んでいただければと思います。

 最後になりますけれども、幼児教育の果たす意義と役割というのを踏まえる観点からいきますと、教育の諸問題の解決ということを目指す、さらには、教育改革の最優先課題として捉えて、抜本的な機能強化というのが不可欠だということは、多分、大臣も文科省の皆さんも十分認識していただいていると思います。そういう意味では、幼児教育の無償化に積極的かつ効率よくピッチを上げて取り組んでいくということを本当に重ねて申し上げたいと思っております。

 最後に、若干時間があるので質問させていただきたいと思うんですけれども、今回の幼児教育の無償化で、非課税世帯、低所得者が対象なんですね、私はこれは優先順位からすれば当然だと思います、もっともだと思います。ただ、高校の授業料無償化もそうなんですけれども、一番ウエートが高いのはやはり中間所得世帯なんですね。ですから、この中間所得世帯の支援にいかに力を入れるかということも考えていかなきゃいけない。そういう意味では、全体を解決しなきゃいけないんですけれども。

 最後、時間が余っている範囲で結構なんですけれども、今後、低所得から中間所得世帯に向けての省内での検討といいますか、そういった計画的なものはあるんでしょうか。今の検討段階で結構ですので。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、省内におきまして、幼児教育の段階的無償化については、従来から進めてきた中身につきましては先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、財源に制約がある中で今後どのようにしていくかにつきまして、かなり非課税世帯までは無償化が進んできているという状況を踏まえまして、次につきましては、例えば第三階層あるいは第四階層について、さらなる充実ができないかについて省内では検討しているところでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、財源の絡む話でございますので、よく財政当局と御相談して対応していきたいと考えております。

椎木委員 時間が参りましたので、最後、一言だけ申し上げますけれども、本当にこれは財源が絡む話なんですよ。ですから、なかなか思うようにいかないというのは私も理解します。ただ、省内では事務方でしっかりとした政策立案を固めていただいて、そういった財源措置とさらに並行しながら、やはり計画だけはしっかりと前倒し前倒しで進めていただきたいと思います。

 少しでも早い段階で、国の方が主となって幼児教育の無償化が実現できることを切にお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

浜田委員長 これにて椎木君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます。

 まず冒頭に、委員長、そして与野党の理事の皆さん、それから今回質問時間を後ろの方へ繰り下げていただきましていろいろ御迷惑をかけました関係者の皆さんに、お気遣いいただきまして、心からお礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。北海道は大変激しい雪で、飛行機が飛ばなかったということで、大変御迷惑をおかけいたしました。御配慮いただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず最初に松野文科大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、きょうの読売新聞の夕刊を見ましたら、天下りの引き継ぎ書があったということが載っています。しかも、再就職の規制が強化された直後から天下りの引き継ぎというものを文科省の人事課がつくって代々引き継いでいたかのような記事が載っているわけでありますけれども、この点について少しお伺いをしたいんです。

 私は幾つかの点で問題があると思っていまして、組織的に天下りをやっていたというのはこれでもう明々白々になってしまったわけでありますけれども、それはがっちりと解明されなければならない。それともう一つは、調査の中間報告はあすにも発表する予定だったということなんですが、こんなものがなぜ先にこうやってマスコミに書かれるのか、情報管理は一体どうなっているのか。この点、まず、情報管理は一体どうなっているのか、お知らせいただきたいと思います。

松野国務大臣 文部科学省としては、情報管理について徹底をしてきたところでありますが、このような記事が出てしまうことは極めて遺憾であると考えております。

逢坂委員 極めて遺憾であるということでありますけれども、多分これは予算委員会の理事会でも随分、早く資料を出してくれ、早く資料を出してくれと言っていたはずなんですね。それで、本来国民の皆様の代表が議論する場にはなかなか出せずに、なぜマスコミに渡るのだ。今の説明では全く説明になっていないと思うので、もう一度お願いできますか。

松野国務大臣 このような記事が出た経緯については現時点では承知をしていないということでございますが、この委員会でも答弁をさせていただきましたとおり、平成二十年の十二月三十一日までしっかりとさかのぼって事実関係を調査しているところであります。

 中間報告に向けて今鋭意取りまとめをしているところでありますが、最終的な中間報告としての発表文書が現時点で確定をしているわけではございません。これは再就職等監視委員会にも御報告をさせていただき、また外部有識者の方に最終的にチェックをしていただくことも含めて今取り組んでいるところでありまして、できるだけ早く中間報告に向けてしっかりと結果を公表してまいりたいと考えております。

逢坂委員 松野大臣、今、中間報告をまだ最終決定はしていないんだということですけれども、中身の概要などについてはもうお聞きになっていますか。新聞にここまで出ているわけですから、当然聞いていると思うんですけれども、いかがですか。

松野国務大臣 今まで、ヒアリングですとか全職員に対する書面上の調査等を行ってきておりまして、私のもとには、この中間報告取りまとめに当たっての中間的なものの状況の中で、当然私も報告を受けております。

 しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、現時点において、この形において公表させていただく、予算委員会に御報告させていただくということで確定をしているものではございませんので、鋭意努力をして、できるだけ早い時期に公表させて、またこちらの予算委員会に提出させていただきたいと考えております。

逢坂委員 大臣、私は新聞記事をもとにして質問するというのは余り好まないんですけれども、ただ、事が事だけに、予算委員会でこれまで求めていて出てこなかったのが先に新聞に先走って出るということでありますから、やはり中身をお聞きせざるを得ないんですよ。ここに約三十件違法認定ということになっていますけれども、このあたりは説明を受けておられますか。

松野国務大臣 監視委員会から認定を受けたもの以外に調査班において新たに認定したものがあるというのは承知をしております、報告をしております。

 ただ、繰り返しになりますが、今回、まだ文科省内においても私の責任において中間報告の内容が確定をしているわけではございません。内容に関して確定すれば、いち早く予算委員会の場に御報告させていただいて、御審議をしていただきたいと考えております。

逢坂委員 監視委員会で違法だと言われたもの以外に別のものが新たにあるんだという、そのことはそれでよろしいですね。はい、うなずいていただいたので、そうだということで。

 それは三十件ということに記事ではなっておりますけれども、大体、おおよそそのぐらいの数ということでよろしいわけですか。

松野国務大臣 新たに調査班の調査によって明らかになり、調査班として認定をしたものがあるのは先ほども申し上げたとおりでありますが、今、最終的な件数等に関しても精査をしているところでありますので、具体的な件数に対しては、この場でお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。

逢坂委員 いずれにしても、監視委員会が違法と言ったもの以外のものがあるということは明らかになったわけですが、大臣、もうここまで報道されているわけですから、早目に中間報告をお出しになられた方が私は問題は少なくて済むというふうに思いますよ。ペーパーが出れば、それはそれなりにまた議論が深まっていきますし。

 ぜひこの後、予算委員会が終わった後に理事会はあるんでしょうかね。ないんですか、きょうは。理事懇か何かはあるんですか。わからないんですか。それでは、この後なるべく速やかにこれを出していただくということで、大臣、御検討いただけませんか。

 ここまで報道が出て、知らぬ存ぜぬではいかないですよ。しかも、私も必ずしも素人ではないので、この記事を読めば、これは推測に基づいて書いたとは思われない、ある一定程度の裏づけがあって書いているというふうにしか思えないんですよ。大臣、いかがですか。

松野国務大臣 浜田委員長からも、できるだけ早くこの予算委員会に御報告をするようにと御指示もいただいております。最終的に今しっかりと精査をして、中間報告を取りまとめ次第、こちらの予算委員会の方に提出させていただきたいと考えております。

逢坂委員 大臣、そのような答弁をしていると、時間稼ぎをしているんじゃないかなというふうに思われかねないんですよ。いつぐらいに出るんですか。明確にしてくださいよ。だって、大臣の腹でこれはやれるはずですよ。

 しかも、大臣、政治がリーダーシップを発揮しなければこの分野のことはなかなか解明されませんよ。大臣がここですぱっとやればなかなか大したものだという評価が下るかもしれませんし、いや、それは私もわかりませんけれども。でも、四の五の四の五のやっていれば何だ優柔不断だなというイメージを振りまいて、決して私は大臣の評価につながらないと思いますよ。

 天下りの問題はしっかりはっきりさせるべきだと思いますけれども、大臣、いつなら出せるんですか。

松野国務大臣 中間報告に関しましても、もちろん最終的な調査結果につきましても、私の責任においてしっかりと解明をし、こちらの予算委員会の方に提出させていただきたいと思います。

 決して先延ばしをしようとかという意図ではなく、しっかりと調査をし、この委員会でも御指摘をいただいたとおり、外部有識者に主体的に取り組んでいただく中で今調査をまとめているところでありまして、何よりもこれは、スピード感も重要だと思いますが、内容に関する正確性また精査するべき部分というのも重要だと考えております。

 できるだけ早い時期にしっかりと責任を持って提出させていただきます。

逢坂委員 大臣、非常に残念であります。もっと政治のリーダーシップで切れ味よくやらないと。こういう分野で政治家が力を発揮する。役所の皆さんも、もしかすると大臣の鶴の一声を待っているかもしれませんよ。御決断いただければと思うんですが、きょうの段階ではどうも優柔不断な姿勢しか私には見えないということで、非常に残念であります。早急にこれを出していただくように、委員長の方も理事会でお取り計らい願いたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 国有地を学校法人に極めて安い価格で払い下げたのではないかという問題、森友学園に払い下げたのではないかと。先ほどの玉木委員の指摘によりますと、二百万円ぐらいですか、十億を超えるような土地が二百万円で払い下げられていたのではないかという問題であります。

 まず、国土交通省にお伺いをしたいんですけれども、国土交通省、土地の払い下げをするに当たり、そこに廃棄物が埋まっているんだということで、廃棄物の値引き額といいましょうか、それを除去するための価格を積算している、それは八億一千九百万だというふうに承知をしておりますけれども、廃棄物の量はどれぐらいと見積もったんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりにつきましては、近畿財務局から依頼を受けまして、大阪航空局において行っております。

 大阪航空局が近畿財務局と協議、調整をし実施したこの見積もりによりますと、搬出、処理を想定した地下埋設物の容量は一万二千二百立方メートルでございます。この一万二千二百立方メートル、これは容量でございますので、これを重量に換算いたしますと一万九千五百二十トンということになります。

逢坂委員 約一万九千五百トンだと。十トントラックで千九百五十台分。

 十トントラックというのは、作業効率でいいますと、多分、三十分に一回積めるというのが、積算するときの作業効率なんかではよく使われていることだと思います。仮に一日七時間、朝から晩までフル稼働するというふうになると、一台のパワーショベルをつけて、トラックには十四回積めるということになろうかと思います。

 割り算しますと百四十日かかるんですよ、一万九千五百トンを搬出するだけで百四十日。まあ、作業が急ぐということになりますから、一台のパワーショベルではやらないだろう。今回の当該土地の面積が七千平米強と承知をしておりますけれども、仮に七千平米の土地に五台パワーショベルが入って、切れ間なくダンプが出入りしてやったとしても、百四十日割る五ですから、二十八日かかるんですね。

 しかも、今の一万九千五百トンというのは廃棄物の量だけでありますので、廃棄物が単体として地上に出ているわけではありませんので、土も掘らなきゃならないということに一般的にはなろうかと思います。そうなりますと、多分、工期という点で考えてみると、掘り出すだけで二十八日ということはないのだろうというふうに私は思います。仮にですよ。

 今回、廃棄物が埋まっている面積が五千百九十平米というふうに聞いておりますけれども、最大でそれを九・九メートル掘るということで、国交省、よろしいでしょうかね。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 撤去、処分、処理を必要とする廃棄物の想定に当たりましては、対象範囲、深さ、それから廃棄物が混入している割合というものから廃棄物の量を算定いたしております。

 まず、対象面積でございますけれども、これにつきましては、大阪航空局が平成二十二年に実施いたしました地下構造物調査結果等に基づきまして、地下埋設物が混入している対象面積を約五千百九十平米というふうに設定してございます。

 それから、深さでございますが、これにつきましては、くいが打たれる箇所とその他の箇所とで分けて深さを設定してございまして、くいが打たれる箇所につきましては九・九メートル、それ以外のところについては三・八メートルという深さを設定しているところでございます。

逢坂委員 局長が今言ったことをもとに、廃棄物だけでなくて全体の土量がどれぐらいになるかということを仮定を置いて計算すると、五千百九十を九・九まで全部掘らない、浅いところもあるということで仮に四メートル掘るとした場合に、このときの土量が二万七千六十立米なんですね。

 これを十トントラックで搬出するとなると、十トントラックには十立米積めませんから、十立米積んじゃうと積載オーバーになりますから、通常は五立米とか六立米しか積めないわけですね。それで、六立米積む。これを仮定で置いた場合に、これはよく積算でやることだというふうに思いますけれども、もし六立米積んだとしたら三千四百六十台のトラックが必要なんですよ。

 それで、先ほど言った一日に十四回運べるということをやるとどうなるかというと、二百八十九日かかるんです。もちろんパワーショベル一台ではやらないと思いますから、仮にパワーショベルを五台使ったとしても五十八日かかっちゃうんですね。

 今私が言ったのは、ただ掘るだけで五十八日ですよ。今度は埋め戻すわけですから、ということは、どう考えてみても百日はかかるんじゃないか。五十八日かかるものを単純に二倍すれば、百十六日かかるんですね。しかも、全く雨も降らない、いつも条件がよくて、ずっと工事ができるといったような条件でこれだけかかるわけであります。

 しかも、これは単なる土ではなくて廃棄物でありますから、どこか特定の場所へ行って適切に処理をしなければ廃掃法にひっかかるということになりますので、こういうことをしっかりやれているかどうか。八億円というのは実はそういう中身だということなんですね。

 これについて、まず、財務省の事務方は来ていますか、事務方にちょっとお伺いしますけれども、今言ったような八億円分の作業、工事量、こういうものが実際にやられているかどうか、財務省は確認しましたか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、時価で売却するということで、我々は、不動産鑑定士が評価した更地の価格から国土交通省が適正に見積もった撤去費用を差し引いて、まさに時価で売却したところでございます。

 それで、地下の埋設物につきましては、その土地を売却した後に相手方において適切に撤去したというふうに聞いてございますが、売却後でございますので、具体的な撤去の状況につきましては把握してございません。

逢坂委員 局長、八億分の具体的な工事、いや、それは、八億分を全部確認したかと私は聞いているんじゃないんですよ。どのような工事をやってその廃棄物を撤去したかということは、財務省としては直接確認はしておらないということでよろしいですね。

佐川政府参考人 学校を建設するに当たって必要な廃棄物の撤去については適切に行ったというのは、近畿財務局で確認してございます。

逢坂委員 要するに、相手方から、学校建設に必要な廃棄物の撤去についてはやらせていただきましたと。八億円分を積算したものについてきちっとやったかどうかについては、少なくとも財務省は直接確認しておらないという答弁でよろしいですね。

佐川政府参考人 近畿財務局として適切に聞いておるということでございまして、八億円分の中身についてまでは直接確認してございません。

逢坂委員 麻生大臣、お伺いするんですけれども、八億円分、土地の値段を廃棄物が埋まっているからということで値引きしたわけであります。実際にその工事をやっているかどうかもわからない。相手は、自分が建てる建物の用に供するために適切に自分でやったと。でも、その八億をやったかどうかはわからない。こういうことで、麻生大臣、これは適切なんですか、いかがですか。確認しておらないということでありますから。

麻生国務大臣 逢坂さん、質問通告が全然出ていませんので、この話に対しては今お答えのしようがないんですが。通常……(発言する者あり)いや、していません。財務局について俺には質問通告がなかったからね。だから、やりとりをしているのは向こうがしているのであって、いきなり俺に振られたんだから。第一、二人間だけでよかったという話として来たでしょう、最初。大臣には質問通告はありませんといって、事務局だけで来ていますから、私が聞いているわけではないという前提で聞いてもらわないと。いきなり振られているわけですから、私の方は。

 したがって、今の話でいきますと、基本的には我々としては、事務手続をきちんと踏んでおりさえすれば、私どもとして直接問題があるわけではございません。

逢坂委員 質問通告の話は、行き違いがあったのかなかったのか、それは私はあえて言いませんけれども、大臣、これぐらいの話は、この場の話を聞いて答えられない、通告がないから答えられないなんという性質のものだとは思われません。

 それで、通告があるなしはともかくとして、大臣、これで特段問題はない、手続がきちんと行われていれば特段問題はないという御認識でよろしいですか。

麻生国務大臣 私どもの立場としては、少なくとも基本的に今言われたような一連の手続は近畿財務局で済まされておって、きちんと全部できておるというのであれば、そこの文書が上がってきた段階においては、私どもとしては、近畿財務局の範疇で決められていると。財務省の理財局長が直接関与する話でもありませんので、その段階で、私どもとしては、それに対して財務省としてどうのというような立場ではございません。

逢坂委員 麻生大臣ならそういう答弁をするかもしれないなと思っていたんですけれども、案の定そういう答弁をされまして、本当にそれで国民の皆さんが納得するでしょうかね。

 八億円分を値引きした。値引きした算定の根拠が、廃棄物がこれこれの量埋まっている、それを撤去することが目的だったと。でも、それはやっていたかどうかわからない。それで、買い主の方は自分が建てようとする目的に沿った土地利用が可能であった。これで国民は納得するんでしょうかね。私はこれでは納得しないと思います。

 きょうのところは、これ以上麻生大臣に聞いてもお答えにならないというふうに思いますので、この質問はこれでやめさせていただきますけれども、委員長、私、この学校法人の問題、国民の皆さんは不思議に思っていると思うんですよ。十億を超える土地が二百万円だったのではないかと言われると、これはやはりもうどきどきする、えっ、こんなことってあるんですかということになってしまいますので、私は、直接このことをやられている学校法人の理事長さん、籠池理事長さんとおっしゃる方でしたでしょうか、ぜひ、国会へ来てここで御説明いただくというのが私はこの問題解決において一番ストレートではないかというふうに思いますので、来てお話しいただけるように、理事会でお取り計らい願えませんでしょうか。

浜田委員長 理事会で協議します。

逢坂委員 では、よろしくお願いいたします。

 それで、松野文科大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、一般論として、例えば小学校とか中学校に名誉校長という職はあるというふうに理解していいんでしょうかね。これは学校法人の勝手ということなんでしょうか。それと、この名誉校長なる職に報酬を払うということはあり得るんでしょうか。この点はいかがでしょうか。

松野国務大臣 名誉校長、名誉会長等々の称号に関しては、個々の学校法人の御判断ということでございますので、文部科学省として一般論として申し上げることがなかなか難しい事例であるかと思います。

逢坂委員 この点はきょうはこれ以上深入りしませんけれども、名誉校長という職が今回の案件ではいろいろと取り沙汰されているようでありますので、松野大臣の方も少しこれについてどんなものなのかなというところをお調べいただいておけば、どこかでまた質問できるかもしれません。よろしくお願いします。

 さて、次なんですけれども、岸田外務大臣にちょっとお伺いします。

 外務省が所管するような会議で、例えば国家公務員が知り得た秘密を外へ漏らしてはいけないような話し合いをするとか、外交上の秘密があるとかいったような会議について、これを特定のマスコミだけに取材させるということは一般論としてあり得るんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、取材につきまして、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないとする国家公務員法ですとか大臣規範に反するようなことがあってはならない、これはまず基本であります。

 そして、それに反しない形での取材ということである場合、基本的には各マスコミに公平に行うというのが一般ではありますが、過去のさまざまな例を振り返りますときに、特定のマスコミに対して取材等を許すということはあったというふうに認識をしています。

逢坂委員 岸田大臣、特定のマスコミに取材を許すということは、それに合理性があるということが背景にあるんでしょうかね。どういう理由で特定のマスコミにそれを認めるんでしょうか。

岸田国務大臣 過去の例、さまざまな例があると承知をしています。その理由については、ケース・バイ・ケース、それぞれの状況に応じての対応であると認識をしております。

逢坂委員 お手元にちょっと資料を用意させていただきました。

 お手元に、真ん中に総理が写っている写真があろうかと思いますが、これは昨年の十二月にNHKで放送された「スクープドキュメント 北方領土交渉」という番組の中での一シーンであります。それはテレビから写真を撮って資料にさせてもらったものです。このときに流れたナレーションが、これは政府幹部の打ち合わせを撮影した映像です、外交機密が含まれるため音声は使用できませんと。こういうNHKのナレーションが流れて、そのシーンが放送されたわけであります。

 これはどうも、前後の番組の状況から推測すると、ペルーのリマのホテルの一室で、総理、秘書官二人、谷内国家安全保障局長、それから秋葉外務審議官、この五人で打ち合わせをしていた内容のように思われます。それから、当初は総理は背広の上着を着ておりましたけれども、途中でワイシャツ姿に変わっているところを見ると、ある程度の時間にわたってこの映像が撮影された、しかも固定カメラではなくて、映像が幾つかの角度から撮られておりますので、カメラマンが周りを歩き回りながら撮影したものだというふうに推測されるわけであります。

 私、この映像を見て愕然といたしました。愕然としたというのは、外交機密が含まれる映像が一般のテレビニュースに流れるということそのものもびっくりするわけですが、これを誰が撮影したのかなということなんですね。

 仮にNHKの記者が撮影したというのであるならば、国家公務員が漏らしてはならない秘密が含まれるかのような放送が流れるということは、外務省として私はダメージだろうというふうに思います。

 仮に政府の誰かが撮影して、それを報道機関、今回の場合はNHKですけれども、NHKへ渡した、それもやはり報道の公平性という観点からいけば何か変だなというふうにも思います。

 それからもう一つ。NHKでもない、政府でもない、全くの第三者がこれを撮影して流したんだということであるならば、それはそれで、外務省の危機管理というか秘密を守るという観点からこれも問題だろうというふうに思うんです。

 NHKが撮影しても問題、政府が撮影しても問題、それ以外の誰かが撮影しても問題。こういう映像が流れるというのはやはり私は極めてよろしくないことではないかなと感ずるんですが、まず、岸田大臣、このことに対する感想はいかがですか。

岸田国務大臣 まず、番組のナレーションについて御指摘がありました。

 番組においてどのようなナレーションを流すのか、これはまさにNHKの報道内容そのものでありますので、それについて何かコメントするのは政府の立場からは控えなければならないと思います。

 そして、その後、取材の仕方、撮影等について御指摘がありました。

 その部分につきましては、まさに報道機関の報道の経過ですとか過程について何か具体的なことを申し上げることになりますので、これも政府の立場からは申し上げるのは控えなければならない、このように考えます。

逢坂委員 それは、岸田大臣、私は番組の中身を問うているのではないんですよ、こういった場面が撮影されて表に流れることの是非を問うているわけですよ。誰が撮影しても課題、問題はありますねという指摘をさせていただいて、その上で感想はいかがですかということなんです。報道内容がどうこうということを聞いているわけではないんですよ。難しい質問をしているわけではない。

 誰かが外交機密が含まれるであろう会議の中身を聞かなければこれは撮影できない、その場にいなければ。だから、こういうものが流れることは外務省として、いや、実は本当は私は外務省は責めたくないんだ。ただ、いろいろなところに聞いてみたら、どうもこの問題については外務省が窓口で、外務省へ聞いてくれと言うものですから、外務省へ聞いているんです。ほかのところが答えないものですから。

 私の質問主意書も外務省が担当になって出てきておりますので、その意味でも外務省に聞かざるを得ないんですけれども、こういう映像が流れることについて、大臣、どう思いますか。報道の内容じゃないですよ。

浜田委員長 岸田外務大臣、時間が来ておりますので、よろしくお願いします。

岸田国務大臣 委員の方から質問主意書のお話もありましたが、これは、政府としましては、全てをしっかり確認した上で、国家公務員法あるいは大臣規範に反するものはないというお答えをさせていただいているわけです。

 そして、先ほど申し上げました、さまざまな具体的な指摘について答えること自体が報道に対するコメントになりますし、外交機密が含まれているか含まれていないかも含めて政府の内部の打ち合わせについては明らかにしないというのが今までのありようであります。それについて何か申し上げるということ、これは控えなければならない。

 だからこそ、この質問主意書、これは政府として閣議決定して答弁書を出させていただいております。この辺を具体的に説明することは控えなければならないからこそ、政府として責任を持って確認し、こうした違反行為はないということを答弁書としてお答えさせていただいているわけです。

 そして、事実、秘密が漏れた等、具体的な指摘は今現在存在するとは承知をしておりません。

浜田委員長 逢坂君、時間が来ております。

逢坂委員 非常に残念です。

 私は、岸田大臣は将来のある方だと思っています。そんな、役所の人が考えたような答弁じゃなくて、もっとちゃんとしたことを私は言ったらいいと思いますよ、自分の言葉で。いや、自分の言葉でお話しになっているとは思いますけれども、役人の方が言うよりは踏み込んだお話をされていますけれども、この問題は私は非常に重要な問題だと思っていますので、外務省が窓口だということですからこれからもやらせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それから、金田大臣、申しわけございません、前段にいろいろなものがちょっとふくそうしてしまいまして。金田大臣とはこれからゆっくり、じっくりと閣議決定される前であってもやらせていただきたいと思っておりますので、お待ちいただきますように申し上げさせていただいて、終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

浜田委員長 これにて逢坂君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十一日午前九時から公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十五分散会


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