衆議院

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第3号 平成29年11月28日(火曜日)

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平成二十九年十一月二十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 菅原 一秀君

   理事 田中 和徳君 理事 橘 慶一郎君

   理事 福井  照君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 津村 啓介君

   理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    井野 俊郎君

      伊藤 達也君    石崎  徹君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      衛藤征士郎君    金田 勝年君

      木村 弥生君    古賀  篤君

      佐藤ゆかり君    竹本 直一君

      根本  匠君    野田  毅君

      原田 義昭君    平井 卓也君

      平沢 勝栄君    星野 剛士君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      村上誠一郎君    盛山 正仁君

      山口  壯君    山本 幸三君

      山本 有二君    和田 義明君

      渡辺 博道君    阿部 知子君

      青柳陽一郎君    石川 香織君

      岡本あき子君    落合 貴之君

      神谷  裕君    川内 博史君

      櫻井  周君    高木錬太郎君

      長谷川嘉一君    日吉 雄太君

      宮川  伸君    山内 康一君

      浅野  哲君    井出 庸生君

      稲富 修二君    今井 雅人君

      小熊 慎司君    大西 健介君

      後藤 祐一君    長島 昭久君

      緑川 貴士君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    篠原  孝君

      原口 一博君    藤野 保史君

      宮本 岳志君    遠藤  敬君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (男女共同参画担当)

   (マイナンバー制度担当) 野田 聖子君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         河野 太郎君

   文部科学大臣       林  芳正君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (拉致問題担当)     加藤 勝信君

   農林水産大臣       齋藤  健君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    中川 雅治君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       吉野 正芳君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       小此木八郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (海洋政策担当)     江崎 鐵磨君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     松山 政司君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)     梶山 弘志君

   国務大臣         鈴木 俊一君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   会計検査院長       河戸 光彦君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   会計検査院事務総局第五局長            寺沢  剛君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  和栗  博君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          森永 耕造君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日下 正周君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          河村 正人君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山下 史雄君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    桝田 好一君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  名執 雅子君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  和田 雅樹君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           吉田  学君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     木村 弥生君

  金田 勝年君     井野 俊郎君

  平井 卓也君     牧島かれん君

  岡本あき子君     川内 博史君

  山内 康一君     宮川  伸君

  井出 庸生君     緑川 貴士君

  稲富 修二君     今井 雅人君

  小熊 慎司君     浅野  哲君

  後藤 祐一君     長島 昭久君

  藤野 保史君     宮本 岳志君

  遠藤  敬君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     金田 勝年君

  木村 弥生君     あべ 俊子君

  牧島かれん君     和田 義明君

  川内 博史君     岡本あき子君

  宮川  伸君     石川 香織君

  浅野  哲君     小熊 慎司君

  今井 雅人君     稲富 修二君

  長島 昭久君     後藤 祐一君

  緑川 貴士君     井出 庸生君

  宮本 岳志君     藤野 保史君

  下地 幹郎君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  和田 義明君     堀内 詔子君

  石川 香織君     櫻井  周君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     平井 卓也君

  櫻井  周君     日吉 雄太君

同日

 辞任         補欠選任

  日吉 雄太君     長谷川嘉一君

同日

 辞任         補欠選任

  長谷川嘉一君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  裕君     高木錬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  高木錬太郎君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官和栗博君、人事院事務総局職員福祉局長森永耕造君、内閣府政策統括官日下正周君、内閣府地方創生推進事務局長河村正人君、警察庁生活安全局長山下史雄君、警察庁交通局長桝田好一君、法務省人権擁護局長名執雅子君、法務省入国管理局長和田雅樹君、財務省理財局長太田充君、文部科学省高等教育局長義本博司君、厚生労働省子ども家庭局長吉田学君、農林水産省生産局長枝元真徹君、国土交通省住宅局長伊藤明子君、国土交通省鉄道局長藤井直樹君、国土交通省航空局長蝦名邦晴君、防衛省防衛政策局長前田哲君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長戸田直行君、会計検査院事務総局第五局長寺沢剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 基本的質疑を行います。

 この際、昨日の長妻昭君の質疑に関連し、川内博史君から質疑の申し出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。

川内委員 おはようございます。立憲民主党の川内でございます。

 委員長、そして与野党の理事の先生方のお許しをいただいて、この特別国会後の予算委員会で、私も五年ぶりに復帰をさせていただきました、質疑の機会を与えていただいたことに感謝を申し上げ、そして総理がおっしゃるように充実した議論をさせていただきたいというふうに考えております。

 時間もございませんので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 昨日から、森友学園の国有地売却問題に関して、音声データの確認がなされたなどの新しい、政府として事実をお認めになっていらっしゃるわけでございますし、また、会計検査院の報告書も出ております。総理は、答弁は撤回しないよということを繰り返しおっしゃっていらっしゃるわけでございますが、国民の皆さんがなぜこの森友学園への国有地売却問題に関して疑念を持っているのかということについて、この会計検査院の報告書などをしっかりと読み込ませていただいた上で考えていかなければならないのではないかというふうに思うのです。

 この報告書本文の最終の部分に、「今回、会計検査院が検査したところ、検査の結果に示したように、国有地の売却等に関し、合規性、経済性等の面から、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられた。」とする記述がございます。

 この適切とは認められない事態とは一体どういう事態なのか、これはどういう意味なのかということを、この前、党のプロジェクトチームの会合で会計検査院の方にお聞きしたらば、法令等に違反するか、もしくは不当という意味ですというふうにお答えになられました。

 合規性、経済性に照らして適切とは認められない事態とはそういうことであるということでよろしいかというのをまず確認させてください。

河戸会計検査院長 お尋ねの件は、本件土地に係る廃棄物の撤去費用が適正であるかどうかということと理解しておりますが、大阪航空局が算定した本件土地における処分量一万九千五百二十トン及び地下埋設物撤去、処分概算額八億一千九百七十四万余円は、算定に用いている深度、混入率について十分な根拠が確認できないものとなっていたり、本件処分費の単価の詳細な内容等を確認することができなかったりなどしており、既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることができず、また、仮定の仕方によっては処分量の推計量は大きく変動する状況にあることなどを踏まえると、大阪航空局において、地下埋設物撤去、処分概算額を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと認められたと今回の報告書に記述しているところでございます。

川内委員 私が聞いているのは、適切とは認められない事態という言葉の意味を聞いているのであって、今、会計検査院長からこの検査結果の概要を御説明いただいたわけですけれども、そうじゃなくて、適切とは認められない事態とは、この前の党の会合では、法令等に違反するかもしくは不当という意味が適切とは認められない事態という言葉の意味です、会計検査院が、適切とは認められない事態という言葉を使うときはそういうことですというふうに教わったので、それでよろしいかということを確認しているんです。よろしいのか、よろしくないのかですね。

河戸会計検査院長 法令のほか内部規定に違反するものや、不経済、非効率となっているものなど、会計検査の観点から見て問題があるとする事態を表現したものでございます。

川内委員 済みません、国民の皆さんは言葉の意味というものを、私も含めてなんですが、よく理解できない場合があるのでお聞きしております。

 より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態とは、きのう私が質問レクで会計検査院の方に確認したらばこんなことをおっしゃっていらっしゃったんですけれども、それでよろしいかということなんですが、慎重な調査検討が必要であったということは、当然行われるべき手続が行われていなかった、当然行われるべき手続が行われていなかったという言葉の意味が、慎重な調査検討を欠いていた、必要であったという言葉の意味であるということで、院長、よろしいでしょうか。簡単にお願いします。ここはちょっと時間を使うところじゃないので。

河戸会計検査院長 そのとおりでございます。

川内委員 会計検査院としては、法令等に反しているか、もしくは不当なことや、あるいは本来行われるべき手続が行われていなかったということをこの検査報告書の中で指摘をしているということであります。

 さらに、文書管理のことが問題になっているわけです。

 この文書管理のことで申し上げれば、会計検査院が検査のために必要な書類を出してねと財務省、国交省に要求し、いや、資料がありませんというような事例がたくさんこの報告書の中にあるわけですけれども、会計検査院としては、本来検査に必要な書類がないという事態に関して、それを会計検査院法に照らして適正であるというふうにお考えになられるか、それとも、いや、それはちょっと、検査院法に照らせば適正なことではないよというふうにおっしゃるのか、教えていただきたいというふうに思います。

河戸会計検査院長 お答えいたします。

 本件土地に係る決裁文書等の行政文書において、売却に至る森友学園側との具体的なやりとりなどの内容や、地下埋設物の撤去、処分費用における処分費の単価の詳細な内容等が確認できず、会計経理の妥当性について検証を十分行えない状況となっておりました。

川内委員 十分に行えない状況になっていましたと。

 書類がないということに関しては、会計検査院としては、適正であった、書類がないと答えられたことについて、まあ別にしようがないんじゃないのというふうに言うのか、それとも、ちょっとそれは適正じゃないよというふうにお考えになられるのか、教えていただきたいと思います。

河戸会計検査院長 お答え申し上げます。

 会計検査院の検査のために必要な書類が残されていることが必要であると考えております。

川内委員 必要であると考えている。では、残されていない場合は、それは適正じゃない、会計検査院法に照らして、法に照らして適正ではないというふうに会計検査院としては考えるのかということを聞いているんですけれども。

河戸会計検査院長 お答え申し上げます。

 会計検査院が検査するにおきまして必要な文書におきましては、各省庁におきまして行政文書の管理、適切な行政文書の管理が行われていることが前提でございます。その保存されているものにつきまして我々は検査しているところでございます。その行政文書の管理に従って適切に管理していることが我々としては必要と考えております。

川内委員 ちょっと私は今の説明はよくわからないんですけれども、必要とする文書が残されていないということに関して、それはもう想定していないということなのではないかというふうに思いますが、この検査報告書には、必要な書類がないので検証できないという記述がたくさんあるわけですね。

 さらに、総理、森友学園の問題に関して何で国民の皆さんが疑問を持つんだろうというふうに思うと、この報告書の中にもさまざまな記述があるんですが、例えば三十四ページに、「二十四年度から二十八年度までの間に前記の三財務局及び六財務事務所等が公共随契により売払いを行った契約百十八件についてみたところ、売払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件以外に見受けられなかった。」。百十八件のうち森友学園一つだけである、三財務局、六財務事務所で。

 これを全ての財務局、全ての財務事務所等に、要するに財務省全体として二十四年度から二十八年度までの間に公共随契で契約した件数のうち、契約件数と売り払い前提の定期借地とする特例処理を行ったのは何件あるのかということを、理財局長に来ていただいていますから、事実関係ですからお答えいただきたいと思います。

太田政府参考人 お答えいたします。

 売り払い前提の定期借地、平成二十四年から二十八年度までの間において、財務省全体で一千百九十四件ございます。そのうち……(川内委員「もう一回。件数、はっきり」と呼ぶ)

 申しわけありません。公共随契全てが千百九十四件ございます。そのうち、売り払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件のみでございます。

川内委員 さらに、今回大変な値引きをして売っているわけですけれども、これは瑕疵担保責任免除特約というものを付したからであるというふうに財務省としては説明をされていらっしゃるわけですが、この瑕疵担保責任免除特約を付して売買契約した事例は財務省的には過去何件あるんでしょうか。

太田政府参考人 本件のような形で瑕疵担保責任を免除する特約をつけたものというのは本件のみでございます。

川内委員 さらに、平成二十四年度から平成二十八年度までの間に、全財務局及び全財務事務所において、一般会計及び空港整備勘定所属の普通財産、これを公共随契により売却を行った契約。空港整備勘定まで広げて、公共随契を行った契約の件数。

 それに、今回さらに、森友学園の場合は延納の特約というのが付されているわけですね。延べ払いですね。一回で払わなくてもいいよ、分割払いでいいよという特約を付しているわけですけれども、その特約を付して売却契約をした件数を教えていただきたいと思います。

太田政府参考人 平成二十四年度から二十八年度までの間に一般会計及び空港整備勘定所属の普通財産を公共随契により売却を行った契約の件数は千二百十四件でございます。このうち、委員御指摘の延納の特約を付して売却した事例、これは本件のみでございます。

川内委員 さらに、平成二十五年度から二十八年度までの間において、全ての財務局及び全ての財務事務所等で公共随契により売り払いを行った中で、契約金額を非公表にした事例の件数、これも契約件数と非公表にした事例の件数を教えていただきたいと思います。

太田政府参考人 平成二十五年から二十八年までの間、公共随契によって売却した件数は九百七十二件でございまして、そのうち非公表にしたものというのは本件のみでございます。

川内委員 それで、これに関連して、非公表にしたことについて、森友側から言われたんですわということが財務省の説明資料に書いてあるわけですが、では、それを客観的に証明する資料はありますか。森友側から言われたんだ、非公表にしてくれと言われたんだと客観的に証明する資料はございますでしょうか。

太田政府参考人 同意書というものがございます。

川内委員 同意書ですか、合意書ですか。レクの段階では、そういう客観的な資料はないというふうに私は説明を受けているんですけれども。

太田政府参考人 申しわけありません。

 非開示だったものを開示にするということについて、合意書というものがあるということでございます。

川内委員 いや、私が聞いたのは、非開示を開示にするということの同意書じゃなくて、そもそも、非開示にしてくれということを森友側から申し入れられたという客観的な資料はありますかということを聞いているんです。

太田政府参考人 御指摘のものについて、現時点で、紙というような形で残っておるものはございません。

川内委員 さまざまな形で、これは別に規則とかルール違反だということを言っているわけじゃなくて、千件を超える契約件数の中で森友学園だけですよという、非常に、わあ、すごい、特別なんだねということを国民の皆さんはお感じになられて、何で森友だけなのみたいな思いを持たれると私は思います。

 さらに不思議なことがたくさんあって、会計検査院にさらにこの報告書の中から具体的にお聞きをしていきたいんです。

 値引きをするに当たって、国土交通省航空局が見積もりを行うわけですが、その見積もりの前提となる数字、三・八メートルとか、九・九メートルとか、ごみの混合率が四七・一%とか、あるいは処分単価が二万二千五百円とか、いろいろな前提の数字を置いて合計八億円以上の値引きをするわけですが、それぞれ一つ一つの数字について、会計検査院としては、例えば三・八メートルという深度について、そのような前提を置くことが適切であったというふうにお考えになられるかどうかというのを教えていただきたいと思います。

河戸会計検査院長 地下埋設物の撤去、処分費用の算定に当たり、深度、混入率等について十分な根拠が確認できないものとなっているなどの事態が見受けられました。

 このため、「所見」においては、地下埋設物の撤去、処分費用を算定する場合には必要な調査検討を行うとともに、算定に必要な作業時間を確保するなどして、地下埋設物の撤去、処分費用を適切に算定することが必要であることを記述しております。

川内委員 大変丁寧に御答弁いただいているわけですが、私が聞いたのは、まず、三・八メートルの設定は適切であったかということですから、根拠は確認できないということですね。

 深度九・九メートルの根拠については確認できましたか。

河戸会計検査院長 確認できておりません。

川内委員 ごみの混入率四七・一%については、根拠は確認できておりますでしょうか。

河戸会計検査院長 確認できておりません。

川内委員 本件処分費の単価については、根拠は確認できておりますでしょうか。

河戸会計検査院長 確認できておりません。

川内委員 会計検査院というのは、国有財産の売り払いなどについて検査をすることが検査院法で定められた機関である。その会計検査院が、国交省、財務省がおやりになられた仕事について根拠が確認できないと言っているというのは、これは大変な事態。重く受けとめるとおっしゃっていらっしゃるわけですから、重く受けとめていただいているというふうに思うのですが、では、それを受けとめていただいた上で、どうしていくのかということが課題になる。

 今後こうしますという議論はきのうから、総理からもたくさん御答弁が出ているわけですが、本件に関してどうなのかということも、ちゃんとしなければならないというのは会計検査院の報告書の中にもちゃんと書いていらっしゃいまして、最後の部分で、「ついては、財務省及び国土交通省においては、今後の本件事案への対応に万全を期すとともに、」「今後の国有財産の管理及び処分を一層適切に行っていくことが必要である。」というふうにまとめのところで会計検査院の報告書には書いてございます。

 私は、重く受けとめるのであれば、本件事案への対応というのも非常に大事だよということにならなければならないというふうに思うんですけれども、総理、本件事案への対応も、ちゃんと重く受けとめて、やるよというふうに御発言をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 この森友学園の国有地の売却に関しましては、これまでも国会からの要請がありましたが、関係資料をお示しして、国会の中でもいろいろ丁寧に説明をさせていただいたところでもあります。

 今回の場合は、仮にも独立をした行政機関であります会計検査院から、第三者的な立場からの検査が行われてきたのは川内先生御指摘のとおりでありまして、我々財務省としては、検査の中で求められた資料というものを提出させていただくと同時に、丁寧に説明をするなど、我々としては可能な限りの対応は行ってきたと思っております。

 今般、会計検査院の検査報告が国会に提出されておりますので、国有地の管理、処分の手続につきまして、いろいろな指摘が、仮定もいろいろあるんですけれども、さまざまな指摘がなされておりますので、その指摘に関しましては、我々としては、仮にも第三者機関からの指摘でもあります、これを重く受けとめなければならないと考えております。

 その上で、指摘をされた事項につきましては、今後、その内容についてはしっかり検証させていただかねばなりませんから、国有財産の管理、処分の手続につきましては、今後とも、御指摘のあった点につきましては、当然のこととして必要な見直しというものを行っていかねばならぬものだと考えております。

川内委員 確認をさせていただきたいんですけれども、本件事案についての検証の上で、報告書をしっかり検証していただいた上で今後の対応につなげていくという理解でよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 提出をいただいたところでありますので、この内容について、かなり大きなしおりでありますので、その内容をよく精査させていただきました上で、我々としては、その内容に沿って我々としての検討をさせていただくと申し上げております。

川内委員 財務省の中で、財務大臣指揮のもとにおやりになられることを御信頼申し上げたいというふうに思うのですが、他方で、国会もございますので、この場で若干議論をさせていただきたいというふうに思うのです。

 まず、大幅な値引きの前に、まず貸付契約があって、この貸付契約をした後、地中にあるごみの処分をしたことに関して、有益費という形で一億三千万余りを森友学園側に支払うわけでございますね。

 それに関連して、昨日、音声データというものを、政府としてその存在を理財局長がお認めになられたというふうに思いますが、この音声データには、籠池さんが、ゼロ円に近い形で払い下げをしてもらいたいと。それに対して、財務省の係の方が、ゼロに近い金額まで私はできるだけ努力するという作業をやっています、だけれども、一億三千万を下回る金額というのはないですというやりとりがあったり、あるいは、二割以上を納めていただいて、分割払い、マックス十年であとの八割を返すみたいなやり方もありましてねと。十年で分割するということやね。それで財務省が、結構劇的に月額の負担料が安くなると、何かもう八百屋のやりとりじゃないかみたいなやりとりもあったりして。さらには、財務省側が、下にあるごみは国が知らなかった事実なので、そこはきっちりやる必要があるでしょうというストーリーはイメージしている。下から出てきたかどうかは伝えていない、これは業者ですね。それで財務省が、どういう整理をするのがいいのか御協議させていただけるなら、そういう方向でお話し合いさせてもらえたらありがたい、大体こんなやりとりの音声データなんですね。

 財務省としては、これらのやりとりについてお認めになられるということでよろしいかというのを確認させてください。

太田政府参考人 昨日午前中、本委員会でお答えを申し上げたとおり、四十五分間の音声データと称されるものについては、先方が一方的に録音されたものではありますが、昨年の五月半ばごろのものだというふうに承知をしてございます。

 ただ、先ほど川内委員からお話のあったものは、その中に入っているものもあれば、それ以外のものとして報道されているものもあるというふうに承知をしておりまして、今ほどの発言全てその四十五分の音声データのものではないのではないかというふうに思ってございます。

川内委員 済みません、それじゃ、どれが四十五分の音声データで、どれは違うというのをちょっと教えてもらっていいですか。

太田政府参考人 四十五分の音声データというものは頂戴をしておりますので、それは確認をしておりますが、今ほどおっしゃられた中で、ストーリーをイメージしているというようなことは、その四十五分の音声データには出てきておらないというふうに承知をしております。

川内委員 それでは、理財局長、係の方に御確認をいただいて、そのストーリーをイメージしているという音声データについても、音声データについてもというか、この部分のやりとりについても、そういうやりとりがあったのかということについて御確認をいただきたいというふうに思います。

太田政府参考人 突然のお尋ねでございますが、一定の日時をいただいて、確認ができればお答えを申し上げたいというふうに思います。

川内委員 御確認をいただくということも大事なことであると思いますが、委員長、こういう確認してくださいと。またその次、委員会がいつになるかわかりませんから、ここにその係の方がいていただければ、こういうやりとりしたのということが聞けるわけですから、ぜひ、委員会としてこの関係者を参考人として一堂に会していただいて質疑をするというお取り計らいを委員長としてお願いをしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

河村委員長 理事会で協議させていただきます。

川内委員 さらに、この有益費の算定については、一億三千万、国から森友学園に地中埋設物の処理費用、土壌汚染対策の費用として支払った。しかし、森友学園は、一億三千万を業者に払い、その業者から二千万、リベートとしてバックを受けているという事実も明らかになっているわけで、この有益費の算定は適切であったのか。

 有益費の算定の額は適切であったのかということについてもこの会計検査院の報告書の中に出ているわけですが、適切だったのでしょうか。

河戸会計検査院長 お尋ねの件につきましては、本件土地の貸付契約に係る有益費の確認及び支払いに当たり、本件土地の価値の増加額の算定に係る検討が十分でなかったなどしていて、国が森友学園へ返還する有益費の額が適切に算定されていない事態が認められました。

 このため、「所見」におきまして、資産の価値の増加額の妥当性について十分な検討を行うなどして、国として負担すべき有益費の額を適切に算定できるよう取り組むことが必要であることを記述しております。

川内委員 有益費の算定については適切ではなかったという御答弁ですが、これを受けて、財務省、国交省は有益費の算定について適切であったと今でも言い張るのかどうか、教えていただきたいと思います。

石井国務大臣 有益費につきましては、会計検査院の今般の報告の中におきましては、森友学園側が工事費を偽って国に報告していたこと、土地の価値増加額の算定方法について十分な根拠が確認できないこと、また、国が森友学園へ返還する有益費の額の算定に当たり、対策工事の内容が土地の価値を増加させるものになっているかなどの確認を十分に行うとともに、本件土地の価値の増加額の妥当性について十分な検討を行うなどとする必要があったと認められると記載をされております。

 まず、森友学園側が過大請求をしていた工事費、建設業者からいわゆるキックバックという形で戻した約二千百万円については、これは当時、国が知り得なかったものでありまして、過払いの事実を承知した後、買い戻しに伴いまして、国が森友学園に返還する必要があった本件土地の売買代金と相殺をしまして、既に国に返還をされているところでございます。このキックバック分については、既に国に返還をされているところでございます。

 一方、会計検査院が御指摘いただいた土地の価値増加額の算定に当たっては、実施されていない地盤改良工事が実施されたとして計算が行われており、この点についてはより慎重な検討が必要であったと考えております。

 ただ、本件有益費の支払いにつきましては、もともと、貸付契約時、本来国が行うべき工事を森友学園側が行った上で、その費用を立てかえる形でしていたことから、森友学園側が行った工事の内容が適切かどうかを検証した上で工事の実費を支払ったこと自体は不適切であったとまでは言えないと考えているところでございます。

 ただ、今般の会計検査院の御指摘を重く受けとめまして、今後、同様の事務を遂行する場合には、価値増加額の算定方法について改善を図るなど、より適切な事務に努めてまいりたいと考えております。

川内委員 何をおっしゃっていらっしゃるのか、私にはよくわからないんですけれども。

 会計検査院が有益費の額の算定は適切ではなかったというふうに言っていることに対して、それを認めますかということを聞いているんですけれども、認めないということでしょうか。

石井国務大臣 確かに、適切に算定されていない事態が認められたというふうにされているところでありますが、このこと自体は、先ほど申し上げましたように、本件の有益費払いについては、本来国が行うべきところを森友学園がやった、その工事の実費を内容を精査した上で支払ったということでございますので、その工事の実費を支払ったこと自体については不適切とまでは言えないと考えております。

川内委員 私が聞いているのは、支払ったことについて適切か不適切かと聞いているんじゃないんですよ。有益費の算定について、有益費の額の算定について適切であったと考えるのかと。会計検査院は、適切じゃないよ、適切とは思えないよと報告書に書いているわけですが、国土交通省はそれをお認めになられますかということを聞いているんです。

石井国務大臣 有益費の額というのは、支払い額ということですよね。有益費として支払った額が適切かどうか。(川内委員「額の算定です」と呼ぶ)算定ですか。

 算定は、一部やはり慎重な検討が必要であった部分はあると思います。ただし、有益費の額そのものについては、立てかえ払いですから、工事の実費を支払った額そのものについては私どもは不適切であったとまでは言えないと考えているところでございます。

川内委員 この大幅値引きの端緒として、有益費の支払いというものから始まるわけで、この件については、さらに本委員会あるいは財務金融委員会等で、国土交通委員会でもそうですけれども、しっかりと、総理、これはさまざま細かい論点があるものですから、ちょっと余りにも細かくなり過ぎるので、しっかりと今後また役所の皆さんと議論させていただきながら、話を進めていかなければならないと思います。

 もう一点、国土交通省に確認しなければならないのは、補助金交付規程に違反して補助金を交付していたというサステナブル補助金についてですね。

 補助金交付規程に違反して補助金を交付していたという会計検査院としての事実認定があるんですけれども、これはお認めになられますか。

石井国務大臣 会計検査院の今回の報告の中で、サステナブル建築物等先導事業について記述がございます。

 これは、建築物の先導的な木造化、木質化を図るプロジェクトを公募しまして、学識経験者等による評価委員会での審査を経て採択をし、通常の建築物と比較して割高となる金額の一部の補助を行うものであります。

 平成二十七年度に森友学園の案件がこの事業の採択を受けまして、二十七年度及び二十八年度に補助金が支払われましたが、その後、事業中止に伴い、支払われた補助金は既に全額返金をされているところでございます。

 今般、会計検査院からの報告には、本案件の補助事業に係る事務を担当いたしました一般社団法人において、補助金交付規程に概算払いを行うことができる旨の規定を定めていないにもかかわらず概算払いが行われたことについて、適切を欠くと認められるとの記述がございます。

 この一般社団法人による概算払いでありますが、まず、国が一般社団法人に補助金を交付します。国の定める補助金交付要綱においては、概算払いすることができる旨規定をされております。今度は一般社団法人が公募の相手に補助金を払うわけですが、この一般社団法人の定める補助金の交付規程においては、国の交付要綱に定めるところにより補助金の交付を行う旨規定されているということですから、国の交付要綱の方では概算払いができる旨が規定されておりますので、そういったことを踏まえて行われたものと認識をしております。

 しかしながら、一般社団法人の定める補助金交付規程において概算払いについてより明確に規定することが望ましいとする観点から、不適切とまでは言えないものの適切を欠いた面があると考えており、今後、一般社団法人等を活用する場合には、明確な規定を定める方針としているところであります。

川内委員 それでは、財務省に確認しますが、大幅値引きをして森友学園側に土地を売却するに当たっての事務手続は、国有財産評価基準についてとする通達に基づいて行われなければならない。その中で、最後、価格について審査をした上で評価調書を作成し、決裁をとった上で正式な価格にするという手続が定められているわけですが、この国有財産評価基準についてという通達に反して評価調書を作成していなかったということに関して、通達違反であるということが会計検査院報告書に出ているわけですが、それはお認めになられますか。

太田政府参考人 委員御指摘のとおり、本件について、評価調書の作成を怠っており、失念をしておりました。まことに申しわけありません。おわびを申し上げます。

川内委員 総理、今ずっと、この会計検査院の報告書を細かくいろいろお聞きすると、さまざまな問題点が浮かび上がってくるという状況ではないかというふうに思います。

 これは、全ての先生方、閣僚の先生方も、この報告書を全部読むのはなかなか大変ですが、時間がかかりますから、でも、だからこそ、私が皆様にかわって一つ一つ細かいことを、ぐじぐじ言うなというふうに思われるかもしれませんが、お聞きしているわけで、こういうことを通じて、でも、昨日、うちの長妻議員が、適切であったという答弁をまだ維持されるのですかと総理にお聞きしましたところ、いや、それはまあ、下の者がそう言っていたから、自分としてはそう思っていた、そう考えていたというふうな御答弁だったわけです。

 これだけのやりとりを踏まえて、先ほど財務大臣からは、この報告書を検証するよというお話があったわけですが、総理も、文書管理規則の大もとである行政文書管理ガイドラインは総理大臣決定文書でもありますし、そういうことを踏まえて、本件事案についてもきちんと検証、調査検討をし、過去の答弁等について、それこそ適切ではない答弁があるとするならば、それは真摯に対応するよというふうにお考えになられるかどうかというのを、済みません、改めて聞かせていただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 私は、かねてから、国有地の売却価格については会計検査院がきっちりと厳正に調査するものと思っているということを申し上げてきたところでございます。

 野党の皆さんも、政府内部ではだめじゃないかということもおっしゃっているので、そういう意味においては、その後、政府から独立した機関である会計検査院が検査を行い、今般、国会に報告が提出されました。その報告については真摯に受けとめる必要があると思っております。

 今般の会計検査院の報告、さらには、これまでの国会等での議論の中で厳しい御指摘があったことも踏まえ、私としても、国有財産の売却について業務のあり方を見直すことが必要と考えており、財務省及び国土交通省にしっかりと対応させることとしたいと考えております。

川内委員 過去の答弁で事実に反するような答弁がもしなされていた場合には、そういうことについても対応していくということでよろしいでしょうか、政府全体として。

安倍内閣総理大臣 私の答弁でですか。私は、価格が適正だということは申し上げたことはございません。

 私自身が申し上げたことは、理財局も、そして当然近財局も、法令にのっとって国民の財産である国有地を正しい適切な価格で売買をしているんだろう、このように私は信頼をしているところでございますということを申し上げたところでございます。

 部下を信頼するのは当然であり、そして、いわば財務省においてそのような答弁がされている、そしてそのような答弁がされているということを承知しているということは申し上げたところでございますが、私が調べて私が適切であるということを申し上げたことはないわけでございます。

 これは調べていただければ明らかだろう、このように思います。

川内委員 今の総理の御答弁はよくわかりました。

 いや、私が総理にお聞きしているのは、この検査院の報告書を重く受けとめる、さらに、財務省、国交省で対応していくであろう、部下を信頼しているからねと、その対応という言葉の中に、政府全体として、前の理財局長さんやあるいは航空局長さんや、国交省、財務省の、政府の官僚の皆さんの答弁が、事実に反するような答弁がもしあったとするならば、そういうことも含めてきちんと対応させるからねという御趣旨でよろしいかということをお聞きしているんです。

安倍内閣総理大臣 答弁との整合性については各省でしっかりと検証してもらいたい、このように考えております。

川内委員 総理としては、ちゃんとやれよというような指示もしないということでしょうか。そのぐらいは一般的な指示ですから、ちゃんと対応してねと、今も御答弁でおっしゃられたんですから、対応という言葉の中にそういうことも含まれるんですよねということを確認しているんですけれども。

安倍内閣総理大臣 当然、今私が、先ほどの最初の答弁の中でも申し上げましたように、この会計検査院の報告を受けて各省において対応されるもの、このように申し上げておりますから、それは当然そういうことでございます。

川内委員 時間が参りましたので、ここで逢坂議員に席を譲りたいというふうに思います。きょうは加計の問題についてもやりたかったんですけれども、残念ながらこの次の機会にまた回したいというふうに思います。

 きょうはありがとうございました。

河村委員長 この際、逢坂誠二君から関連質疑の申し出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 川内議員の質問を引き継いで、総理に改めて確認をさせていただきます。

 総理は、今回の森友学園との土地の取引について、適正だと総理御自身の口でこれまで言ったことはないということでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁を紹介させていただいたとおりでございまして、しかし、当然、その中において、独立した会計検査院が調査を行い、そして政府として全面的に協力をさせていただくということを申し上げたとおりでございまして、今回、会計検査院からの調査の結果が出たわけでございますが、それに対しましては真摯に受けとめさせていただくということでございます。

逢坂委員 私は会計検査院の報告後の話を聞いているのではなくて、これまでの答弁の中で、総理自身がこの森友学園との土地の取引について、御自身の考えとして適正だと言ったことはないということでよいかということを確認しているんです。

安倍内閣総理大臣 これは先ほど答弁させていただいたとおりでございますが、さきの通常国会においては、国有地売却の問題について、基本的に処分を担当している財務省や国土交通省から適切に処理していたとの答弁があったところであり、私もそのように報告を受けていたところであります。

 御指摘のあった答弁については、そのような理解の上で申し上げたものでございます。

逢坂委員 すなわち、各省から報告があった、各省からは適切に対応しているんだという報告があった、それを総理は信頼して、さきのような答弁をしたと。

 御自身の口から、みずから適正だと言ったことはないということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 二点、私は今まで答弁をしているところがございますが、一点は、先ほど御紹介をさせていただいたとおり、国土交通省そして財務省を信頼しているという趣旨の話をしたわけでございます。

 もう一点の答弁は、今回の国有地の売却については、財務省や国土交通省から、法令等に基づき適正に手続が行われ、また価格について適切な算定がなされた旨既に説明しているところであります。つまり、財務省と国交省からこういう説明がなされているという紹介をしているところでございます。

 そして、同時にそれは、今申し上げましたように、適切に処理をしていたとの答弁があったところであり、私もそのように報告を受けていたところでございまして、その報告を受けていたということも含めて答弁を行った、こういうことでございます。

逢坂委員 総理の口、みずからは適正だということは言っていないということに理解をいたしましたけれども。

 そこで、総理、今回、会計検査院から報告書が出ました。この報告書を受けて、その前に、総理、この会計検査院の報告書はお読みになられましたか。

安倍内閣総理大臣 詳細に読む時間はございませんから詳細には読んでおりませんが、概要については報告を受けております。

逢坂委員 ぜひ、個別にかかわるところも、非常に興味深い内容が書かれておりますので、事務方から十分なレクを受けていただきたいとは思うんですが。

 概要をお聞きになられたということですので、総理、この概要の報告を受けて、これまでの各省からの報告、これまでは信頼をしていたということでありますけれども、これについては、その信頼、適切さについてはどのように判断なされるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 それぞれ、本日既に財務大臣あるいは国交大臣から答弁があったとおりでございまして、それぞれ、財務省もそして国交省も重く受けとめ、今後の対応も含め内容をさらに検討していくことになるんだろう、このように思います。

逢坂委員 傍観者のように見えるんですがね。

 総理自身が、このことについて、各省から適切に対応していますと報告を受けていた、それを信頼している、そして国民に対しては、各省はこういう説明をしていますのでということも総理としては認識をしているということをこれまでも答弁している。

 そして、その中で、今度は会計検査院から適切ではないんだという報告が出た。適切ではないということは二つの意味があって、法に違反している可能性があるということと不当だということ、このことを、先ほど説明がありましたけれども、そういう報告を受けた段階で、総理としては、これまで各省から適切だと報告を受けていたことについてどのような御見解をお持ちになられますか。

安倍内閣総理大臣 この報告が出たわけでございますが、先ほど、これは昨日も答弁をさせていただいたところでございますが、今回の事案について、検査院の御指摘を受けた上において、当然、各省においてそれを精査し、そして分析し、また、今回の事案についてどこが問題であったかということをそれぞれの省において的確に把握し、そして同時に、また今後こうしたことが起こらないような対応をとっていくということが求められているんだろう、このように思います。

 それは、会計検査院は、この事案だけではなくて、多くの事案についてさまざまな指摘がなされるわけでございます。そうしたときにもそういう対応をとっていくことになるわけでございます。

逢坂委員 総理、森友学園の問題と加計学園の問題、この二つの問題というのは、なぜこれほどまでに国会で議論されなければならないのか、この点についてはどうお考えですか。

安倍内閣総理大臣 この問題については、森友学園につきましては、私の妻が名誉校長を務めていたということ、そして加計学園については、理事長が私の友人だったということについて議論が行われてきたということでございます。

 ただ、森友学園につきましては、妻も私も、今回の価格交渉、値引きには一切かかわってはいないということは申し上げてきたところでございまして、かかわっていたという事実は全く出てきてはいないということも申し添えておきたい、こう思う次第でございます。

 また、加計学園の問題につきましても、私からの指示等を受けた者は、文部大臣も、あるいは前川次官も、一人もいないということは既に委員会の審議で明らかになっていると思うわけでございまして、本来であればそれが問題の核心であろう、このように考えております。

逢坂委員 私は、この森友学園、加計学園、両方に共通することがあると思っているんです。

 一つは、今総理がお話しになられた、総理の奥様がかかわっていたのではないか、総理の非常に親しい友人が理事長を務めているから、そこが何か不都合なことがあるのではないかということで、いわゆる行政の私物化というふうに言ってよいかもしれませんが、その問題がある。それについては、総理は今、全くそれは問題がないんだという答弁をされましたけれども、私は、それは全く証明されていないというふうに一つ思っておりますが、一つは行政の私物化という問題があると思っています。

 もう一つは、意思決定の過程の不透明さ、これが非常に大きい。私は、どちらかといえば、こちらの意思決定過程の不透明さ、ここにこの問題の根深さを感ずるわけでありますけれども、これが二つ目の課題だと思います。

 さらに、三つ目は何か。その意思決定の過程におけるプロセスを跡づけできるような情報がほとんど出されないということ。文書が廃棄されたとか、あるいは記録があるとかないとか、あるいはわかっている方がいるのにそのことを言わないとかですね。

 私はこの三つの問題があると思っているんですが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 二つの問題ということを言われたわけでございますが、一番目の問題については、我々が、例えば私が指示をしたということであれば、私が指示したということを、こういう証拠があるといって議論をしていただかなければ私の反論のしようがないわけでありますね。反論のしようがないのでありまして、指示をしたはずだ、と思うということでずっと議論が行われてきたわけでございまして、であるならば、私は、それについては、全くそういうことはしていないということしか言えないわけでございます。

 また、加計学園につきましては、ワーキンググループ等々民間議員が多数かかわることでございますから、その方々全てが私から指示を受けていないと言っていて、前川次官も含めて、例えば、文科省の中で誰一人私から指示を受けた人はいないということは明らかになっておりますし、内閣府もそうでありますし、大臣もそうであります、政務官もそうです、また副大臣もそうでありますから、いわばそれ以上私は証明のしようがないということは申し上げておきたい、こう思う次第でございます。

 また、二つ目の事柄でございますが、例えば、値引き交渉についてはもちろん、値引き交渉というか近畿財務局と当事者とのやりとりについては、当然、その一方の当事者は値引きをしようとしていたんだろう、こう思うわけでございますが、今までのやりとりから聞いておりますと、当然、そう感じるのは当たり前なんだろうと思うわけでありますが、そこについても、これは、全く私の妻がかかわりようがないということは議論を聞いていただければすぐにわかることではないか、こう思う次第でございます。

 そして、その中で、では問題がどこかということについて、二点目の点でございます。つまり、このやりとりについて、交渉についての記録がないということについては、我々は、記録のあり方、公文書のあり方について、きのうも申し上げましたように、しっかりと取り組んでいかなければならない、このように考えております。

逢坂委員 総理自身も、一点目の行政の私物化についてはいろいろ言い分があるようですけれども、私は総理の言い分がなかなか理解できないんですけれども、いずれにしても、三点の問題があるということは御認識されているというふうに今の答弁で理解をいたしました。

 その中で、最後の公文書の管理についてですが、きのう以来、公文書管理のガイドラインを見直すということでありましたけれども、ガイドラインについてはもう既に原案がパブリックコメントにかかっておりまして、それは多分十二月中にも決まるんだろうと思っています。

 ただ、それだけで私は十分だとは思っておりませんので、公文書管理については、我が党として、公文書管理法の改正、あるいは情報公開法の改正、これは民進党時代にも国会に提出をさせていただきましたけれども、これについては近いうちに国会に出せるように努力をしてまいりたい、そう思っておりますので、総理に申し伝えておきます。

 さて、そこでなんですけれども、総理、森友の問題、加計学園の問題について、総理は、丁寧に説明をするということをいろいろな場面でおっしゃっておられますが、その方針に今も変わりございませんか。

安倍内閣総理大臣 今までもできる限り丁寧に説明を行ってまいりましたし、今後も求められれば丁寧な説明を行っていく考えでございます。

逢坂委員 丁寧に説明を行うというのは、総理、それは具体的にどういうことなんでしょうか。例えば、例えばですよ、価格決定のプロセスについて総理が説明をするとか、あるいは戦略特区の認可の過程について総理が説明する、そういうことではないですよね。

安倍内閣総理大臣 価格決定につきましては、これはまさに財務省理財局、近畿財務局で交渉したことでございますから、むしろ当事者あるいはその責任者が説明するのが当然のことであろう、こう思うわけであります。

 政府が取り扱っている森羅万象全てを私が説明できるわけでは当然ないわけでございますから、当然その部署あるいは担当の大臣が説明をするということになるんだろう、こう思いますし、また、加計学園のプロセス、特区におけるプロセスについては担当大臣、あるいはまた認可についてもやはり文科大臣ということになるんだろう。いわば政府として丁寧に説明をしていくということでございます。

逢坂委員 それでは、総理が直接丁寧に説明する事項というのは具体的に何かあるんでしょうか、具体的な事柄として。

安倍内閣総理大臣 事柄について、今までも、閉会中審査についても、もう何回も説明をさせていただきました。ないのであればもう説明する必要性はないわけでありますが、私に対する質問が幾つもあったわけでございまして、また、例えば通常国会においてもるる説明もさせていただいているわけでございます。私がどのようにかかわったかということを中心に説明をさせていただいてきたところでございます。

逢坂委員 そうなんですね。総理が説明できるのは、総理自身がどのようにかかわったかということについては、総理がまさにみずから説明しなければならないというふうに思います。

 しかしながら、私は、総理がこの問題について説明できる範囲というのは必ずしも多くないんだというふうに思うんですね。それは、価格交渉や、先ほど値引き交渉という言い方をされましたけれども、値引き交渉や、あるいは土地の評価をどうしたかとか、あるいは特区の認定手続をどのようにやったか、あるいは加計学園とどのような接触を持っていたかなんということは、総理自身が直接説明できるものではないと私は思っています。

 そこで、総理が丁寧に説明するということは、先ほどいみじくも御自身の口で言われましたけれども、政府全体としてどう説明するかにかかわることだというふうに思っておりますけれども、総理、それでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 これは当然、政府全体として説明をすることでございまして、例えば近畿財務局と籠池さんたち、森友学園側との交渉の中でいろいろな経緯があったことについては、私は報告でしか知り得る立場にはないわけでございますから当然限られてくるわけでございますが、しかし、当然、政府全体として説明をしていくということでございます。その意味におきましては、先生がおっしゃったとおりだろうと思います。

逢坂委員 そこで、ぜひ総理にお願いしたいことがあるんです。

 これは、政府全体としてきちんと説明するためには、やはり、かかわった皆さんやこの問題の経過がわかっている方々に、きちんとわかるように説明しろという指示を出していただきたいわけであります。その指示が、やはり総理が丁寧に説明するということの具体化、具現化につながっていくんだと思いますけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 当然、政府として、求められれば丁寧に説明する、それは我々は義務として負っているわけでありますから、当然、丁寧に説明をしていくことになると思います。

逢坂委員 総理、ありがとうございます。その言葉を聞いて安心いたしました。

 総理の丁寧な説明という言葉が、ともすれば国民の皆様には、一から十まで、先ほど森羅万象という言葉を使いましたけれども、全てを総理が説明するかのように受けとめられている方もいらっしゃるかもしれませんけれども、そんなことは行政組織上不可能な話でありまして、総理がやれるのは、やはり、つかさつかさに対して、きちんと説明しろ、物を隠すな、ちゃんとやるんだぞということを言うことが私は大事なことではないかというふうに思いますけれども、改めて、それでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 それはそのとおりでございまして、政府としては、できる範囲で、丁寧に、誠意を持って説明するのは当然のことであろうと思っております。

逢坂委員 そこでなんですけれども、これは総理に直接は関係のない話でありますけれども、今、国会のこの予算委員会を開催するに当たって、この森友問題、加計問題についていろいろと議論をしようというときに、やはり政府参考人を国会に呼ばねばならないということで、我々がいろいろお願いをしております。ところが、これがことごとく今与野党の協議の中では実現をしていないわけであります。

 例えば、きょうもこの後、希望の党の原口議員が質疑をされますけれども……(発言する者あり)ああ、失礼しました。大変失礼いたしました。申しわけございません。訂正いたします。原口議員が質疑されますけれども、その中で、きのう、八田さんという方、これはワーキングチームの座長というふうに承知をしておりますけれども、参考人としておいでいただけるという話だったんですが、私にはけさの時点になってから、直前で来られないといったようなこと。

 あるいは、この問題に直接かかわりのある、例えば、先ほど音声テープの話がございましたけれども、音声テープに登場している方、この方についても参考人としてお越しいただきたいとか。あるいは、今回の会計検査報告でさまざま、いろいろなこれは適切ではないという指摘がされている、でも、過去の答弁では法にのっとって適切に処理されているという答弁を繰り返している方、具体的に言いますと例えば佐川国税庁長官。

 こうした方々にも参考人としてお越しいただきたいというお願いをしているわけですが、少なくとも国会の段階では、与党の方からは全く色よい返事をもらっていないわけであります。

 しかしながら、国会での決めがあれば、総理、いろいろな事情がわかっている人が国会で参考人としてお話しいただくということについては異論はございませんね。

安倍内閣総理大臣 それは、当然、この委員会でお決めいただければ。政府はまさに答弁をする責任を負っているわけでございます。ただ、民間人の場合は別でございますが、政府は当然責任を負っておりますから、その責任を果たさなければならない、果たしていくことになると考えております。

逢坂委員 委員長、今お聞きになったとおり、総理自身は、国会でお決めになられればそれはきちんと説明をする、そういう姿勢を今話をされたんだと思います。

 ですから、これまでの慣例やルールにとらわれずに、この問題の解明、解決に必要な方についてはきちんと国会の場にお越しいただくということを理事会の場で御決定いただきたいということを改めて申し上げさせていただきます。

河村委員長 理事会において、改めて、継続審査しておりますが、続けて協議したいと思います。

逢坂委員 それでは、総理、総理に改めてまた、私が次に言おうとしていたことをちゃんとサジェスチョンいただきまして、私人についてはちょっと違いますけれどもという話が先ほどございました。私も、私人、いわゆる公務員でない方々をこの場へ呼ぶというのは、それはやはり十分に考えた上で慎重にやるべきだろうというふうに思っております。

 ただ、そこでなんですが、森友学園の問題を丁寧に説明できる方というのは誰なのかということなのであります。

 総理はきのうの答弁の中で、御夫人昭恵さんが国会に来ることについて、それは自分がかわって答弁をさせていただくということでありましたけれども、その考えに今も変わりございませんか。

安倍内閣総理大臣 つまり、行政へのかかわりということについては、当然私が、つまり、妻の役割等についても全て知り得る立場でございますから、私が今までも答弁をさせていただいているわけでございます。

逢坂委員 そこでなんですが、改めてお伺いしたいんですけれども、総理の御夫人というのは私人なんでしょうか。

 私は、閣議決定上は、私人だという閣議決定をされたことは承知はいたしておりますけれども、私人的な側面もありますけれども公人的な側面もあるというのが現実ではないかと思うんです。それは、やはり総理のさまざまな公式行事にも随行されることもありますでしょう。外国からお客様が来られたときに対応することもありますでしょう。それは、全くの私人ではそういうことは多分やらないはずであります。

 さらに加えて、今は状況は変わっているというふうに承知はしておりますけれども、かつては五名のいわゆる公費による秘書と言ってよいんでしょうか、何かお世話をする方と言ってよいんでしょうか、職名はわかりませんけれども、税によって五名の方がそばにおつきになっていたということもございます。

 したがって、これは完全に私人と言い切ることは私は相当無理があるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私人ではございますが、公務を補助する立場にある、そういう整理をさせていただいております。

逢坂委員 公務を補助する、すなわち、公人と言い切れるかどうかはわからないけれども、でも、公務にもやはり携わる場面がある、そういう理解でよろしいでしょうか、補助をするわけですから。

安倍内閣総理大臣 例えば、昨日行われた宮中晩さん会に総理大臣夫人として出席をする、あるいは、きょうもルクセンブルク大公の接受をともにするということがございます。海外に出張する場合には同行するということもございますし、そしてまた、さまざまな機会に安倍晋三総理大臣夫人昭恵として招待を受け、そこでスピーチ等の依頼がありスピーチをする、そういう機会もあるわけでございます。

逢坂委員 だから、そういう面からいたしますと、いわゆる閣議決定されたように総理夫人は私人であるというふうに純然に決めつけるというのは、私は現実に合っていないのかなというふうに思うわけです。

 そこで、しつこいようですけれども、国会へ参考人として来ていただくことについて、純然たる私人とは少し違った立場ではないかと思うんですけれども、この辺はいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、これは、いわば純然たる私人ではないという御指摘でございましたが、一応、私人という位置づけの上に今言ったような役割も果たしていく、それをどう捉えるかということなんだろう。私も一概にここで言うことができないわけでございますが、妻につきましても、これも国会で、まさに委員会でお決めをいただきたい、このように思います。

逢坂委員 それでは、委員会で、総理の奥様昭恵様がここへ来て、参考人なりなんなりの形で御説明願いたいということが国会で決まれば、総理はそれに応ずるということでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 再三申し上げておりますが、私が妻の事柄、行動についてはもう相当つまびらかに何回も何回も御議論をさせていただいているわけでございまして、その上で新しい議論というのは余りないんだろう、こう思うわけでございますが、しかし、その上において、もちろん、国会でお決めになられれば当然それに従うということでございます。

逢坂委員 きょうの時点では残念ながら参考人として総理の奥様にお越しをいただいておりませんので、総理にこれはかわってお聞きするしかないのでありますけれども、この森友学園との土地取引に関しまして、谷さんという、総理の奥様の身の回りのお世話をしていたというんでしょうか、秘書というんでしょうか、女性の方がいらっしゃいました。

 谷さんが、この森友との関係において、関係の役所といろいろ連絡をしていた、あるいはファクスのやりとりをしていた、そのことを森友学園の側に伝えていた、こういう事実が明らかになっておりますけれども、これはどういう経過でなされたものかということは総理の口から御説明いただけるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私がこれまでも申し上げてきたとおり、私や妻がこの国有地払い下げに、またもちろん事務所も含めて一切かかわっていないことは明確にさせていただいたところでございます。

 その上で、夫人付からのファクスの件については、念のために申し上げますが、国有地売却の議論がなされる前の貸し付けの段階の話でございまして、これはいわば価格交渉とは全く別の話でございまして、半年前の話であるということは申し上げておきたいと思います。

 そこで、その中身につきましてでございますが、これも何回も説明をさせていただいたところでございますが、事実関係を申し上げれば、私の妻は、籠池氏から何度か留守番電話に短いメッセージをいただいたが、土地の契約に関して、十年かどうかといった具体的な内容については全く聞いておらず、また、私の妻に対してではなく、夫人付に対して、十月二十六日消印の問い合わせの書面が送られてきたわけでございます。

 私の妻に対しては、いわば、繰り返しになりますが、土地の契約に関して、十年かどうかといった具体的な内容についてではないわけでありますが、留守番電話に何回かメッセージは入っていたということであります。

 この書面に対して、これは夫人付に届けられたファクスの書面でございますが、ファクスにて、籠池氏側の要望に沿うことはできないときっぱりとお断りをしたと承知している。これも何回か委員会でお話をさせていただいているとおりであります。まさにゼロ回答であったということでございまして、そんたくしていないことは明らかでございます。

 また、回答内容については、財務省に問い合わせを行った結果として夫人付が作成したものであり、法令や契約に基づく対応を説明したもの、どういうことなのかという説明を求められ説明をしたものでございまして、国有財産に関する問い合わせに対する一般的な内容であって、仮に籠池氏側から財務省に対して直接問い合わせがあったとしても同様に答える内容であると承知をしております。

 なお、妻は、あくまで夫人付から回答を送る旨の事前の報告を受けただけでありました。要望に沿うことはできないとお断りの回答をする内容だったと記憶していると言っています。また、内容について関与していないということもはっきりと言っているわけでございまして、したがって、今回の夫人付が財務省に問い合わせた行為やファクスで回答した行為が国有地の払い下げに私の妻が関与をしたということには全くなっていない、こういうことでございます。

逢坂委員 私、今の答弁、これまでも聞いておりますので、その答弁を聞いて、奥様がかかわっていなかったということの証明には何もなっていないなというふうに思っています。

 全くその問題にかかわりがない方に、それほどの深い内容のものを例えば留守番電話であれ何であれ説明をして、すぐ、これ何というふうに普通はなるはずなんですね、そんな話をされたら。こんな話、私はもともとかかわっていないんだから、こんな話をされても困りますよ、何なんですか、これは一体という話になるはずなんですが。ゼロ回答であったからかかわっていないというのは、私は意味のない説明だというふうに思います。

 まあ、この問題は、いずれ奥様に直接お聞きをする機会があればというふうに思います。

 そこでなんですけれども、総理、私、ちょっと驚いたことがありまして、十月十一日のテレビ朝日の報道ステーション、これで党首討論というのが行われております。

 この党首討論の中で、総理が森友学園の前理事長の籠池さんのことを詐欺を働く人物という言い方をしているんですが、この言葉はこの言葉で非常に問題があるんですが、きょうはこの言葉は題材にはしません。この言葉は題材にはしませんが、この文脈の中で、こういうふうに総理はおっしゃっておられるんですね。奥さんのことについて、籠池さんのことを、こういう人だからだまされてしまった、だまされたのは奥様で、籠池さんのことを、こういう人だからだまされてしまったという言い方をしているんですけれども、これは一体どういう意味の発言なんですか。

安倍内閣総理大臣 私のテレビでの発言は、今委員が御紹介された発言の前に、私、このように申し上げているんですが、籠池さん自体が詐欺で逮捕され起訴されました、これはまさにこれから司法の場に移っていくんだろうと思います、このように述べているわけであります。これは事実でございます。つまり、現段階においては、捜査当局は詐欺の疑いがあるということで逮捕しているということだろう、これを紹介したところでございます。

 同時にまた、籠池氏は、例えば朝日新聞のインタビューに答えて、小学校の申請において安倍晋三記念小学校と申請した、こう述べています。これを朝日新聞は大きく報道し、であるからこそ、当然、当局は私とのかかわりを認識したんだろうといって追及をし、それをもとに、民進党の方々もこれを事実としてずっと私を国会で追及してきたのは事実であります。

 私は残念ながら確認のしようがなかったんですが、本当かどうかは。その段階ではそれは黒塗りにされておりましたから、これはわからなかったわけでありますが、黒塗りにしたということはそうなんだろう、籠池さんもそう言っているんだから、籠池さんが言っていることは間違いない、さんざん私もそれで追及されたわけでありますが。

 私は、籠池さんには、私の名前を使うことはやめてくれということを正式に申し上げたわけでございますが、残念ながら、その後、籠池氏は実は、私の名前を使うのをやめてくれと言ったにもかかわらず、安倍晋三記念小学校というものが書かれたもので、寄附で使っていたわけでございまして、そういう行為をするのであれば、いわば警察が詐欺として逮捕するということは、それはそういうことなんだろうなということを私は思ったわけでございます。

 そういうことがたびたびあったということでありまして、つまり、今申し上げましたように、安倍晋三記念小学校という申請をしていないにもかかわらず、それを申請しているということを堂々と述べる、そして大きな影響を与える人物であった、こういうことではないか、このように思います。

逢坂委員 前後の話は、それは総理のおっしゃるとおりなんだと思いますけれども、だまされたというのは、これはどういうことなんですか。

安倍内閣総理大臣 つまり、いわば善意で、善意によって、例えば、安倍晋三記念小学校という名前を使うことはやめてくれということは妻から言っているにもかかわらず、それはそのとおりにしていないということでありますし、そういう寄附行為について、利用しないということを述べているにもかかわらず、そういうことを行っているということでございます。人物をはかる上においては、それは大変重要な要素ではないか、このように考えます。

逢坂委員 説明がよくわからないんですけれども。

 だまされたとまで言うわけですから、これは相当、私はそれこそ重たい発言だなと思って聞いていたんですけれども。しかも総理がおっしゃるわけですから、だまされると。総理自身ではないですけれども、奥さんがだまされるということでありますから、私はあの放送を見たときにちょっとびっくりしまして、一国の総理がここまで言うんだなということで。

 当初はそうではなかったような感じがするんですね。森友学園のことについて評価をされていたような印象を私は持っておりましたけれども、いずれにしましても、こうしたところも非常に私は不透明に感ずるわけであります。

 したがって、委員長、改めてでありますけれども、ぜひ安倍昭恵さんも国会に来て、今までのいろいろな経過も含めて、だまされたことも含めてお話しになられればこの問題は明らかになるんだというふうに思いますので、参考人としてお越しいただくことを改めて理事会でお諮りをしていただければというふうに思います。

 加えて、委員長にお願い申し上げたいんですけれども、今回、この森友学園の問題について会計検査報告が出されました。あるいはまた、新たなテープの存在ということ、テープというか音声データの存在ということも明らかになり、財務省は少なくとも四十五分のものについては事実であるということも認めました。

 こういう新たな事実が出てきておりますので、予算委員会でこの課題について集中して審議をする、そういう場を設けていただきたいということも、改めてこれを申し上げさせていただきます。よろしくお願いいたします。

河村委員長 理事会において協議をさせていただきます。

逢坂委員 それでは、お伺いをしますけれども、きょうは財務省から局長さんに来てもらっていますが、会計検査報告を受けて、これは先ほどの川内委員の質問にも通ずるんですけれども、森友学園との土地取引の一連のプロセス、これは適切だったというふうに今でも考えておられますか。

太田政府参考人 検査院からさまざまな御指摘をいただいております。最終的には、検査報告書の最後のところで八項目の指摘をいただいております。いろいろな意味で厳しい御指摘をいただいていると思っておりますので、それに沿って、今後、きちんと対応してまいりたいというふうに思っております。

逢坂委員 改めて、局長、では、適切ではない部分もあったということでよろしいですか。

太田政府参考人 全部で八項目の中には、延納の問題、あるいは評価調書の問題、あるいは見積もり合わせの問題、いろいろな御指摘があります。それぞれについて、今後、その指摘を踏まえて直していきたいというふうに思っております。

逢坂委員 聞き方を変えましょうか。

 それでは、前任の佐川局長が、法にのっとって適切に処理をしている、対応しているという発言をずっと繰り返しされておられましたけれども、この答弁は今も適切な答弁だったと思いますか。

太田政府参考人 前任の局長が答えましたのは、そのときの状況に応じ、そのときの法令ルールにものっとって処理をしておったということでございます。

 ただ、今回、会計検査院からいろいろな意味での指摘をいただいておりますので、それを踏まえて、改めるべきは改めていかなければならないというふうに思ってございます。

逢坂委員 局長、詭弁もいいかげんにしてもらいたいんですよ。あのときと今回と、法令は何も変わっていないんですよ。あのときの法令のもとで適切だった、会計検査院での報告が出てきて変わる、こんなもの、根拠は何もないじゃないですか。

 もう一回答弁してくださいよ。佐川局長の答弁は、今も通用する答弁ですか。

太田政府参考人 その時々の状況に応じて、そのときのもとで適切に対応したということを佐川は申し上げたかったということだと思っております。

 ただ、検査院からこれだけの御指摘をいただいていますから、それを踏まえて直すべきは直していかなければならないと後任の私が申し上げておるということで御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 局長、我々は、先ほども申し上げましたとおり、今回の問題は、行政手続の不透明さを問題にしているんです。だから、逆に言うならば、なぜ佐川局長がああいう答弁をしたのか、せざるを得なかったのか、そこを問題にしているんですよ。

 その時々で答弁をしたんだったら、それでは、その時々で方便、勝手のいい、都合のいいことを言っている、そういう意味なんですか、それは。

太田政府参考人 申しわけございません。言葉が足りなかったとすれば、おわびを申し上げます。

 その時々の状況に応じて、そのとき最善のことをやろうとして適切に対処したということを申し上げたかったことでございます。答弁そのものは、それを踏まえてしていたというふうに考えてございます。

逢坂委員 それでは、また聞き方を変えましょう。

 その時々の状況に応じて、会計検査報告が出たこの状況であります、この今の状況の中で、佐川局長と同じような質問をされた場合に、局長は、法にのっとって適正に対処した、対処していた事案であるというふうに言い切れますか。

太田政府参考人 検査院からこれだけの御指摘を頂戴しております。その御指摘を踏まえて直さなければいけないというふうに申し上げておりまして、それは、そのときに、その時点においてはこれが最善だと思ってやったことが、現時点、振り返ってみると、それは必ずしも適当でない、適切でないということがあるということだと思っておりますので、それを踏まえて直してまいりたいということを申し上げてございます。

逢坂委員 今の答弁、私はやはり驚くんですね。あのときの答弁が最善の答弁だったというふうには思われないんですよ。

 それは、会計検査院の指摘からも客観的に明らかなように、判断のもとになる情報がないんですよ。判断のもとになる情報がない中で、それは法にのっとっているとか適切だとか言うのは、そもそも根拠がなく法にのっとっているとか適切だと言っているに等しいんですよ。

 だから、あのときの最善の答弁だったと言うその姿勢そのものが問題なんですよ。だから、やはりあのときはおかしかったな、これはまずいぞという気持ちの中からでなかったら、これから先、新たな対応をするにしてもやれないじゃないですか。

 そこで、もう時間がありませんのでこれはやめますが、まず局長にお伺いしたいんですが、事務方として、今回の会計検査院の報告を受けて、将来の土地取引についていろいろとルールや仕組みを変えるということは、それは絶対やらなきゃならないことです。でも、今般の森友の問題について、これについては事務方としてどのような対応をする予定でおられますか。

太田政府参考人 現在、森友学園の土地に絡まることにつきましては、あるいは建物もございますが、民事再生の手続に入ってございます。その中で最善のことを尽くしていかなければいけないというのが、まず当面する課題だというふうに考えてございます。

逢坂委員 それは、現存する、現有する土地と建物についての対応だと思います。

 それから、これまでの手続であります。手続について、算定の根拠がはっきりしないとかあるいは延納といったようなことについても、なぜそうなっているんだというところも必ずしもはっきりしないといったようなことも報告書の中にはありますけれども、こういった手続については、何らか手直しをする、あるいは、それを検証してどこが問題点であったかということを明らかにする予定はありますか。

太田政府参考人 そこは、今委員の御指摘のあったような検証をして、それを踏まえた上で見直しをしたいというふうに考えてございまして、その見直しの大きい方向性については大臣からも御答弁をいただいているというふうに考えてございます。

逢坂委員 何で私がこれを局長に聞くかというと、先ほどの総理の答弁、きのうの総理の答弁からもそうなんでありますけれども、大臣や総理自身がそういった問題を直接やるわけではないんですよね。総理も、この問題の適切さはそれぞれ各省から報告を受けていたと。

 多分、大臣だって、直接やるわけではなくて、事務方の皆さんがいろいろと、こういう方向でやりましょうか、大臣いかがですかということを問うて、ああ、それではこれでいいな、これでやろうと。だから、まず、そもそも起案するのは皆さんでありますから、皆さんの出発点がぐらぐらぐらぐらしているとこの問題はうまくいかないんですよ。

 だから、今回の会計検査報告を受けてしっかり、森友学園の問題のどこが悪かったのか、これを検証するということを、改めて、よろしいですね。

太田政府参考人 今委員御指摘のとおり、おっしゃるとおり、こういうことは、総理、大臣ではなくて、私ども事務方の責任であるというふうに考えてございます。その上で、しっかり検査院の報告を踏まえて、何が原因であったかということも考えた上で、今後の見直しを進めてまいりたいというふうに考えてございます。

逢坂委員 そこで、麻生大臣にお伺いしたいんですけれども、事務方の方ではそういうことで、この森友学園の問題、さまざまな意思決定について検証をしていく、何が問題であったのかも明らかにしてまいりたいという話なわけでありますけれども、その中で二つお伺いしたいんです。

 この間、事務方は、いろいろ法にのっとって適切にやっているというふうに言っていたわけですが、どうもそうでない部分がありそうだということが今回明らかになりました。そういうことになりますと、結果として何らかの形で職員の処分といったようなことも場合によってはあり得るのかどうか。

 それからもう一つ、大臣自身も、この間、この問題については問題がないといったような発言をずっと繰り返して言われていた、私はそういう印象を持っておりますけれども、大臣自身の責任についてはどのようにお考えになられますか。

麻生国務大臣 今御指摘のありました点につきましては、先ほど、最初の御質問に対しての答弁、お答えを申し上げたのと同じことであると思いますけれども、これは、一定の仮定において試算が会計検査院からなされておりますのはもう御存じのとおりであります。

 したがって、いろいろな考え方があるんだとは思いますけれども、それにのっとっていろいろな御指摘がなされておりますので、我々としては、そういった指摘が起きないように今後対処していくということでありまして、その内容について今からよく検分を、きょういただいたばかりですから、それを検分した上でやらせていただきますので、その結果の処分等々の話、また私自身の等々については、今この段階でお答えできる段階にはございません。

逢坂委員 これからの事案に対してやるのは当然でありますけれども、この森友学園の問題についてしっかりやっていただきたいということ、しっかり検証していただきたいということを改めて申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

河村委員長 これにて長妻君、阿部君、川内君、逢坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島昭久君。

長島委員 希望の党の長島昭久です。

 希望の党は、まだ立ち上がったばかりの政党でありますけれども、寛容な改革保守政党ということを標榜しております。

 寛容な保守政党、まさに保守の真髄は私は寛容さにあるというふうに思っています。イデオロギーや、あるいは権力に対するルサンチマンみたいなもので、極論を振りかざしてとにかく相手をたたけばいいみたいな、そういう議論は私たちはいたしません。相手を尊重して、与党だろうが野党だろうが、立場は違いますけれども、しっかり相手を尊重しながら、お互いに、この国をどうやってよくしていくか、そういう建設的な議論をやっていく、そういう政党であるということをまず申し上げておきたいというふうに思います。

 加えて、改革保守政党、単なる保守政党なら自民党一党で十分であります、改革をする保守、それも私たちは未来先取りの政党、こういうふうに言っているんですね。二十年後、三十年後の日本や世界の将来をにらみながら、そこから、バックキャスティングというんですけれども、さかのぼって、今やらなきゃならない改革にしっかり本気で取り組む、そういう政党を目指しております。

 政府を改革で引っ張っていくぐらいのそういう気概で臨んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、外交、安全保障からいきたいというふうに思います。

 一連のアジア外交、総理、大変お疲れさまでした。私は、今回のアジア歴訪、最初にトランプ大統領を日本に迎えたわけですけれども、目をみはったのは、インド・太平洋戦略、自由で開かれたインド・太平洋。インド・パシフィックという言葉はちょっと耳なれない。我々、安全保障をずっと専門にやってきた者でも、なかなか日本ではお目にかからなかった。

 これは、実はオーストラリアではかなり普通に使われている。オーストラリアという国は地政学的に太平洋とインド洋を同時ににらむ、そういう国でありますから当然のことであります。

 このインド・太平洋という言葉を恐らく最初に日本のリーダーで使ったのは安倍総理だろうと思います。二〇〇七年の八月にインドでスピーチをされましたね。そこで、インド・パシフィックというコンセプトを初めて発表された。私は、野党でしたけれども、非常に感銘を受けました。

 これは麻生総理がまだ外務大臣のころに、自由と繁栄の弧、こういうコンセプトを出しました。これは、二〇〇一年から、テロとの闘いということでアメリカが、ユーラシアの南の縁、ここを不安定の弧と、アフガニスタンから中東にかけて呼んだ、それに対するカウンタープロポーザルだったというふうに私は当時認識しておりましたが、それをさらに、海洋の秩序、国際秩序というものを日本とアメリカで共同して立て直していこう、そういう私は方向性を示したという意味で非常に画期的だったというふうに思っているんです。

 ただ、幾つか懸念があるので、きょうこれから質問をさせていただきたいと思うんです。

 一つは、インド・パシフィックといったときに、いわゆるクワドレニアル、日本、アメリカ、オーストラリア、インド、この四カ国の連携というのは、二〇〇七年、安倍総理がインドから帰ってこられてすぐ退陣になってしまったので、この四カ国の連携というのは深まらないまま終わったわけですけれども、今回、そのうちインドは外れていましたけれども、オーストラリアと日本とアメリカで首脳会談をやりました。

 本来であれば、私は、個人的にですけれども、トランプ大統領がもう少しこのインド・太平洋という戦略的なコンセプトについて深い理解を持っておられたらよかったなということを実は思っているんです。それはどういうことかというと、このインド・太平洋戦略の最も重要なかなめは何かといったら、これはアメリカのコミットメントですよね、アメリカの安全保障のコミットメント。

 確かに、東京に来られたときは、安倍総理とぴったり一致した、一〇〇%一致した。これは別に北朝鮮政策だけじゃないと思います。

 その後、韓国に行って、中国に行って何か二千五百億ドルの商談の話なんかがあると途端にトーンダウンして、ベトナムでせっかくAPECのときに、アジア太平洋、インド・パシフィックの演説をする機会がありましたけれども、しかし、結局、その演説の大半は、公正な貿易、つまりは自国の雇用の話ばかりだった。

 そして、最後にフィリピンに行って、EAS、東アジア・サミットがあったんですけれども、結局、会議に出ないで帰っちゃった。そのときには、南シナ海の一番肝心な問題、アメリカのアジアの安全保障に対するコミットメントを示す最も大事な問題の一つが南シナ海にどう対応していくか、こういう問題ですね。トランプさんは、南シナ海の安全保障については当事者だとおっしゃっていたんですが、最後は何か、フィリピンを初めとするASEANと中国の仲介をしましょうかみたいな話に終わってしまった。

 総理、一つ伺いたいのは、このトランプ大統領、私は、トランプ大統領以外のティラーソン国務長官、マティス国防長官、マクマスター大統領補佐官初め、もう外交、安全保障のプロが並んでいますから、彼らが主導していくアメリカの外交であれば何の不安もないんですけれども、こんなことを一国の指導者に申し上げるのは僣越ですが、ちょっと、トランプ大統領の視点というのか、安全保障というよりは国内の雇用第一、こういうふうに流れる嫌いがある、そこを、総理としてどうやってアメリカの安全保障のコミットメントをきちっとこのアジアに位置づけようとされているのか、御所見を承りたいと思います。

    〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 私は、昨年の十一月に、トランプ大統領が大統領選挙に勝利をおさめた直後にトランプ・タワーを訪問したわけでございます。

 その際、報道等によると、トランプ大統領が、例えば、ホスト・ネーション・サポートについて強く日本に要求すべきだ、あるいは、アメリカが在日米軍等々によって多大な出費を出していて、日本だけが得をしているのではないか、そういう報道があったのは事実でございまして、他方、貿易においては大きな貿易赤字を抱えているという発言がございましたので、私も、訪問いたしまして、海兵隊を主体とした在日米軍の意義等についても相当時間をかけて御説明をさせていただいたところでございました。

 これはもちろん、日本の平和と安定において極めて重要であり、また抑止力としても極めて重要でありますから、当然、アメリカのアジア太平洋戦略においても非常に大きな意義があり、そしてそこから米国も大きな利益を得ているという趣旨のお話もさせていただいたところでございます。

 幸い、その後はホスト・ネーション・サポート等々について米側から提議されることはなくなったのでございますが、いわば米国のアジアに対するコミットメントが、アジアだけではなくて世界そしてアメリカにも大きな利益をもたらしているんだということを認識していただくために私も努力をしてきたところでありますから、基本的にはそういう認識をしていただいていると思います。

 また、安全保障については、これは大統領自身が述べておられることでありますが、自分のスタッフ、マクマスター補佐官、またマティス国防長官等を信頼しているということをはっきりと言っておられましたし、外交においてもティラソンの力を自分は信じているということもおっしゃっているわけでございます。

 ですから、私も、私とトランプ大統領との関係、そしてまたそれぞれで、マクマスターと谷内氏、あるいは小野寺大臣とマティス、そしてティラソンと河野さんと、それぞれで重層的に関係を強化しながら、いかにコミットメントが大切かということを述べ続ける中において、しっかりと米国が存在感、プレゼンスを発揮していただいて、このアジアのパワーバランスをしっかりとしたものにし、そしてよりよい状況をつくっていってもらいたい、このように考えております。

長島委員 今おっしゃったことはよくわかります。やはりアメリカの安全保障のコミットメントは、例えば南シナ海の問題に非常にあらわれていると思うんですね。

 アメリカのコミットメントあるいは関心が薄くなったところを突いて、中国はあれだけの人工島を国際法をまさに無視した形で造成していく。トランプさんになって、かなり中国に対して緊張感を持って当たるのかと思いきや、どうも、経済と安全保障をディールするような、そういう傾向が見られる。これはもう、私が言っているだけではなくて、アメリカの識者も指摘をしているところであります。

 ここはぜひ、総理、よもや中国との関係で同盟を犠牲にすることがないように、あるいは安全保障と経済をディールすることのないように、しっかりこれからトランプさんに働きかけていっていただきたい、このように思います。

 それから、もう一つの懸念、これは北朝鮮政策であります。

 私は、恐らく総理は意識的にされているんだろうと思いますが、日本から発信されるメッセージは、ほぼ総理の発言一色なんですね。それも、圧力一辺倒なんですね。

 今、私は、北朝鮮に対して融和政策をしろと言うつもりは全くありません。北朝鮮を真剣に対話のテーブルに引き込むためには、国連決議に基づく制裁、国際連携は絶対に欠かせないピースですね。

 しかし、私がやはり懸念するのは、圧力をかけてかけてかけまくっていったときに、北朝鮮はやがて暴発するんじゃないか。この暴発のリスクについて総理はどのようにお考えになりながら圧力をかけているのか、国民に向かって御説明をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この暴発リスクでございますが、現在、私たちは、北朝鮮の政策を変えさせるために、あらゆる手段、圧力を最大限まで高め、そして北朝鮮が対話を求めてくる状況をつくらなければならないと考えております。

 それはもう長島委員がよく御承知のように、かつての九四年の枠組み合意、あのときは、北朝鮮が核開発をやめるということで、日本も一千億円、無利子のお金を出すというコミットメントをし、韓国は三千億、そして、できるまでアメリカが五十万トンただで重油を提供する。北朝鮮にとっては割といいディールであったと思いますが、しかし、彼らはそれを破ってウランの濃縮を進めてきた。残念ながら、時間稼ぎに使われてしまったという我々の経験もある。二〇〇五年の六者会合の合意もそうでありました。

 そうした反省点の上に、話し合いのための話し合いをせずに彼らにコミットさせる、核の完全そして不可逆的な検証可能な廃棄をさせるということでございまして、今それを行っているところでございます。

 そこで、北朝鮮については、そんなに圧力を高めると暴発するのではないかという議論があります。

 ですから、もちろん我々は、果たして暴発するかどうかということについては詳細な情報収集と分析を常にしなければならない、こう思っておりますし、我々はそういう分析を行っているところでございますが、同時に、北朝鮮は、自分たちは暴発するかもしれないということを最大の外交的なてこに使ってきたのはもう長島委員のよく御承知のとおりでございまして、まさに瀬戸際戦略でありまして、これは、落ちるぞ落ちるぞ、こう見せかけるわけでありますが、しかし、実際に落ちたらおしまいということはやっている本人はよくわかっているだろう、こう思うわけでございます。

 そこで、我々としても、いわば、彼らが暴発をするかもしれないということにたじろげば、まさに彼らの思うつぼになるわけでございます。

 と同時に、常に詳細な分析を行いつつ、我々は、国民の生命、幸せな暮らしを守るという最大の責任がありますから、その責任をしっかりと果たすために今何を、どういう戦略をとっていけばいいかということは考えに考え抜いて行っていきたい、こう考えておりますが、しかし、彼らが暴発をするかもしれないということで振り回されれば、まさに我々は彼らの思うつぼで、今までの二十年と同じことが起こってくるのではないか、こう思っております。

    〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕

長島委員 総理がおっしゃるとおりで、これはバランスなんです。緩めればそれにつけ込まれる。しかし、暴発し、戦争になって最も被害を受けるのは韓国と日本ですよ。もう今やミサイルの話を長々とする時間はありませんけれども、ミサイルの脅威初め、そして、戦争になれば拉致被害者の皆さんのお命も危うくなる。だから、暴発させないように、しかし圧力はかけていかなければならない、これは本当に微妙な外交戦略なんです。

 そういう中で、私が一つ必要だと思っているのは、総理の圧力のメッセージだけが突出するんじゃなくて、圧力をかけた後、対話に向けて、ここに出口があるんだということも、つまり、朝鮮半島を非核化するにはこういう青写真があるんだということも同時に示していかなきゃならぬと思うんです。

 アメリカでさえ、トランプ大統領はツイッターなどでかなり過激な発言をしていますけれども、例えばティラーソン国務長官は、二つ三つのチャンネルでしっかり北朝鮮とコミュニケーションをとっていると言ってみたり、あるいは四つのノー、体制を崩壊させる意図はない、政権転覆の意図はない、性急な統一を促進することもない、それから米軍をむやみに北上させることはない、こういうメッセージを同時に発しているんですね、役者をうまく使い分けて。

 そこで、河野外務大臣に伺いたいんですけれども、ここは河野外務大臣の出番だと思うんですよ。総理は圧力をかける、そういう役回り。一方で、日本の圧力の意図、圧力の先には北朝鮮に対してこういうメッセージもあるんだ、対話のメッセージもあるんだ、平和的解決のために日本はこういう構想を持っているんだということをやはり外務大臣がもっともっと発信しなきゃいけないと思いますよ。いかがですか。

河野国務大臣 北朝鮮に対して、出口がここにあるということは何もオープンに言う必要はない、先方にそのメッセージがしっかり伝わればいいんだろうというふうに思っております。

 他方、まだまだ対話を求める、対話をしろと言っている国があるのも現実でございますから、我々は、対話のための対話ではなく、きちんと圧力をかけて、北朝鮮が核あるいはミサイルを放棄し、拉致問題を解決する、そのコミットメントを明確にし、具体的なアクションをとったときに国際社会は対話をすべきだということを、そうした国々に今伝えているところでございます。

 総理、外務大臣の役回りをきちんと分担しながら、オープンに公表しながら、発言すべきこと、先方にきちんと伝えること、そこはしっかり使い分けてまいりたいと思います。

長島委員 日本は、拉致問題を通じて恐らく幾つかチャンネルがあるはずですから、しっかり外務大臣がそこをグリップして、バックチャンネルを使ってそういう日本のバランスのとれたメッセージを相手国に送っていただきたいというふうに思います。

 それでは、総理、本題に入りたいと思います。

 幼児教育の無償化、なぜ長島がと思われるかもしれませんが、それぐらい深刻な現場の状況でありまして、幼児期の保育、教育というのは極めて重要であります。

 専門家によれば、ゼロ歳から五歳で脳の働きも、それから心の持ちようも、それから肉体、体力、健康も決まってくる、こういうふうに言われておりますので、どんな家庭に生まれ育ったとしても最高の保育、最高の教育が受けられる、そういう国にしていかなければならない。これは、私は、与党、野党を超えた政治家としての責務だというふうに思っております。

 しかも、日本の場合は、これもよく言われることでありますが、GDP比で、教育に対する公財政支出、OECDの中でも極めて低いレベルにとどまっている。したがって、そういうところから予算を捻出して子ども・子育てに対して、子供の教育に対して徹底的に国がサポートしていく、これは大賛成です。

 そういう中の一環で幼児教育の無償化というものも提案をされてきた。私たちも選挙でそのことは訴えてまいりましたし、総理も今回の選挙の公約のまさに一丁目一番地として提案をされていたことだと思います。

 ただ、ここへ来て、自民党の中の議論が報道されるにつれて、この総理の無償化の公約が案外評判が悪いんですよね。総理も恐らく面食らっておられるというふうに思います。

 私も、多くの子育てファミリーの皆さんから、これはハッシュタグがついているんですけれども、子育て政策おかしくないですか、あるいは、無償化の前に全入化、つまり待機児童をゼロにすることが先だ、こういうようなものがSNSで拡散していますよ。署名運動をすれば二週間ぐらいで三万人ぐらいの署名があっという間に集まる、きのう、自民党の方に天野さんたちが署名を持っていかれたようでありますけれども。ですから、私は選挙中から、実は、無償化の前に全入化をすべきだとずっと訴えてまいりました。

 推進しておられる総理に聞くのもなんですが、無償化を進めるデメリットについて、総理はどういう御認識をなさっておられるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 無償化を進めるよりも先に待機児童をゼロにすべきだという御議論があることはよく承知をしておりますし、そのように考えられることも私もよく理解できます。

 無償化されても入れられないではないか、入れられる人と、無償化になったにもかかわらず入れることができない、しかも同じ税金を払っているのに、これは不公平じゃないか。それはよくわかるわけでございますが、最初におっしゃった、子供に投資をしているいわば国家資源は日本の場合は少ないのではないかという御指摘、これも反論があるところなんですが、そういう指摘もあるわけでありまして、我々は今度、思い切ってそれを、二兆円という大きな額を投入していく、毎年毎年投入していく額であります。

 それを行うときには、私は、まず無償化というところから大きな突破口を開いていきたい、こう考えたわけであります。無償化ということであれば、これはまさに国が予算を確保すれば、直ちに無償化は進んでいきます。

 ただ、しかし、保育の受け皿を我々も、五十九万人分の保育の受け皿、今年度中に五十九万人分、さらに新たに、この五十九万人分、そして三十二万人分を前倒しして二〇二〇年までに達成することにしています。

 これは、国として国の予算、この受け皿づくりの国の予算を確保するということでありまして、しかし、実行するのは地方自治体が実行していくわけでありまして、実行していく上においては場所の確保あるいは住民の理解が必要ということになりまして、それはその年度に絶対できるということにはなかなかならないのも事実であります。

 しかし、その中で、私たちは先行してやるのも事実なんですね。この五十九万人分、そして前倒しの三十二万人分についても、来年度予算もやりますし、再来年度予算もやっていきます。

 無償化については一九年における消費税の引き上げに伴い実行していくわけでありますから、先にやるのは、まさにこの保育の受け皿づくりを大きくふやしていき、そして待機児童をなくしていく政策を進めていく方が先でありますが、同時に、やはり今回無償化ということを大きく掲げることによって多くの国民の皆さんがこの問題の重要性について認識をしていただいたと思いますし、これだけ大きな予算を投入する上においては、今までの延長線上ではなくて、まさに私たちが人づくり革命と言っているんですが、非連続的にやっていく、つまり予算を大胆に投入し一気に進めていくべきだ、こういう判断をしたところでございます。

 いずれにいたしましても、我々、保育の受け皿づくりを軽視しているわけではございませんし、待機児童をなくしていくという目標をなくしたわけではないということでございます。

長島委員 確かに、総理がおっしゃるように、安倍政権になってから相当受け皿をつくっていただいているんです。これはフェアに認めていかなきゃならぬと思っています。

 ただ、無償化をした場合、今懸念されているのは、無償化によって、さらに保活、保育園に入れなくなる確率が高くなるんじゃないか、みんなで保育園を利用しようということになるわけですからね。

 それから、総理、今説明にはありませんでしたけれども、三歳から五歳児をまず無償化する、こういう方針ですね。これは間違いないですね。三歳から五歳というのは、認可保育所と幼稚園ですね。

 先ほどまさに総理がみずからおっしゃったように、認可保育園に入れない方は、もうそれだけで大変なんですね。しかし、それは無償化の対象にならないという議論がある、まだ最終的に決まったかどうかわかりませんけれども。

 それから、待機児童で一番問題なのは、三歳から五歳ではありません。八割はゼロ歳から二歳なんです。総理、そこにどう器をつくっていくかということがまさに問われている。

 二兆円と総理はおっしゃいましたけれども、限られた財源をどう使うかという話なんです。プライオリティーの問題なんです。今ちまたは、総理、政策のプライオリティーが違うだろうと言われているわけですよ、世間から。私は、そこをぜひ認識していただきたい、このように思うんです。

 これから政府で取りまとめていくことになると思いますが、一点だけ確認させてください。

 総理が、まず無償化からいくんだ、こうおっしゃった。この無償化の施策によって子育てファミリーの間に分断を生むようなことはないですね。総理、そこはまずお約束をしていただきたい。この人は恩恵にあずかるけれども、この人は恩恵にあずからない、こういうことのないようにしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 御指摘のように対処していきたいと考えております。

 それで、先生おっしゃる子育ての支援、やはり、〇―二歳と三歳から五歳、課題が違っておりまして、三歳から五歳につきましては、我々は全ての子供たちの無償化を進める。もちろん、幼稚園等でかなり費用が高額になる一部のところがありますので、これはバランスの上からも一定の限度というのが必要になってまいりますが、三歳から五歳、これは九割以上が今保育園、幼稚園を利用しているということでありまして、しっかり無償化を進める。

 一方で、〇―二歳につきましては、まずはやはり受け皿なんですよ。それがなければ入れないという形でありますから、こういった待機児童を解消する、そのために、子育て安心プラン、思い切って前倒しをして、三十二万人分、これを二〇二〇年度までに整備していく。同時にやはり、そういう〇―二歳の中でも、なかなか家庭事情に恵まれない低所得の家庭についてはしっかり無償化、こういったものを進めていきたいということで、〇―二歳の課題と三歳から五歳の課題は違っておりますので、それに同時並行的に対応していきたいと思っています。

長島委員 この三十二万人前倒しでやる、これはぜひやっていただきたい、こういうように思います。

 総理に基本的な質問を一つさせていただきたいんですが、総理は本気で待機児童をゼロにすると決意されておられますね。つまり、この三十二万人を達成したら本当に待機児童がゼロになる、こう思っておられますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この三十二万人を前倒しでつくっていくことにおいて、この待機児童をなくしていくという推計については、詳しい推計についてはまた必要があれば大臣から説明をさせますが、しかし、これも、例えば女性の就業率、その中で預けたいと思う人が何%いるかということを前提を置いておりますが、この前提が絶対ではもちろんありませんし、これはまた、長島委員がおっしゃったように、供給をしていく、かつ、これは無償ということで供給をしていけば、その中で新たな需要が当然出てくるということはあるんだろう。

 ずっと今までこの待機児童ゼロという目標を掲げてなぜゼロにならないかということは、どんどんゼロ政策を進めていく中において新たな需要が実は出てきた。では、政府がしっかりとそういう待機児童、ここに力を入れていくということであればそういう要求も出てきたということでありますし、また、安倍政権が進めている女性が輝く社会において米国よりも女性の就業率が高くなってきたということ等もあって、なかなか目標に到達できない。

 ですから、今後、ではゼロになるのかということについては、断定的にゼロになるとは言えないわけでありますが、ゼロを目指して全力を、できることを全てやっていきたい、こう考えております。

長島委員 まさにその需要の見積もりの話をこれからしたいと思います。

 今まで、グラフを見ていただいてわかるように、逃げ水のように、イタチごっこと言う人もいますけれども、ふやしてもふやしてもさらに足りなくなる、こういう状況が続いているわけですから、オリンピックの年、二〇二〇年までにこの三十二万人、どういう根拠で出してきたかということをまたこれから検証していかなきゃいけないと思っているんです。

 そこで、厚労大臣、伺いたいと思うんですが、今のこの新しい子育て安心プラン、待機児童解消加速化プランから始まっていろいろなプランを出してきているわけですけれども、そういう中で、今、最新の子育て安心プラン、これのもとで、いつまでに何人分の保育の受け皿を整備して待機児童をゼロにしようとしているか、端的にお答えください。

加藤国務大臣 まず、子育て安心プランの考え方でありますけれども、一つは、二十五歳から四十四歳の女性の就業率が、二〇二二年度、平成三十四年度末に八〇%に上昇していくということ。それからもう一つは、その就業率と並行して利用率は、就業率が上がるよりももう少し伸びが高いんですね。しかもこれは利用申込率をベースにしておりますから、今の利用者のみならず、現在でいえば潜在的な待機児童あるいは顕在的な待機児童も含むベースでありますけれども、これが五割を超える水準まで伸びる、そういうことでこれをつくらせていただいているところでございます。

 全体としては三十四年度末ではありますけれども、それを二年前倒しいたしまして、三十二年度末までにトータル三十二万人分の受け皿を整備していく、そういう計画であります。

長島委員 これを完成させた暁には、今いろいろな推計をして出してきたこの三十二万人、前倒しをして二〇二〇年までにやった場合に、待機児童はゼロになると大臣はお考えでしょうか。

加藤国務大臣 我々は、ゼロにしたいということで、今言ったマクロ的な試算をさせていただきました。

 ただ、実際の整備はそれぞれの市町村が実施をされるわけでありますから、毎年度毎年度、それぞれ市町村が整備計画を立て、あるいは見直しをし、それにのっとって実施をしていく。そして、そのための予算を、いわば我々はそれだけを確保して提示をします、一部は企業主導型も入っていますけれども、ということであります。

長島委員 そうしますと、この三十二万という数値目標は極めて大事なんですね。

 そこで、伺いたいんですけれども、この三十二万という数字の根拠、算定根拠をお示しいただけますでしょうか。

加藤国務大臣 ちょっと重複してしまうんですけれども、もう少し詳しく申し上げるとすれば、まず、三歳以上の利用申込者については、現在の申込率が四八・四%でありまして、これが、先ほど申し上げた八〇%まで就業率が上がることに対して、就業率が一%上がると申込率が一・二ポイント上がるというのがこの数年の傾向でありますから、それをベースにして積算をし、したがって百六十二万ということで積算をし、また、一、二歳児の利用申込者数については、これも、現在の申込率が四五・三%に対し、就業率が上がることに対してここは二・五ポイントふえる、一ポイント就業率が上がると利用申込率が二・五上がりますから、それで計算をして百十四万人。また、ゼロ歳児については、これは余り就業率との相関がないので、一、二歳がどう動くかということでの相対で計算をして出してきて、そしてトータルの数字を申し上げている、こういうことであります。

長島委員 ここに、民間のシンクタンクである野村総研の試算を出しました。

 一つ確認ですけれども、ずっとこれまで認可の保育所をつくってきた累計で、今年度末までに受け皿は幾つになるでしょうか。

加藤国務大臣 今ある定員と利用数というのは実は乖離がありまして、これはやや難しいんですけれども、我々、かた目に見積もるために、現在、平成二十八年のこれは四月一日なので年度が始まるところですね、その段階で今、二百四十六万人の方が利用しているんですね。それに対して、今、我々の当初の姿では十七万人分。したがって、二百六十三万人、平成三十年度の頭にということで、この計画を、子育て安心プランをつくったときにはそういうことでありましたけれども、さらに今前倒しを、今でも前倒しをかけておりますけれども、それらをベースに計算してきたということであります。

長島委員 もう一回確認ですけれども、五十九万三千、これは今まさに努力をして、来年の四月入園の皆さんのために五十九・三万人分ふやして、これで三百万人を達成する、そういうおつもりじゃないんですか。私はそういう説明を受けていますけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 それは、そこの、今、その五十九・三の上に三十二を乗せておられますけれども、その三十二のうち今六万人分を前倒ししておりますから、正確に言えば、三十二から六を抜いたところがさらなる部分ということになると思います。

長島委員 済みません、大臣、これは一番大事なところ。保育の受け皿は来年の四月までに累計で何万人ですか。それをずばっと答えてください。

加藤国務大臣 いつまで、いつの段階ですか。

長島委員 来年の四月。

加藤国務大臣 来年の四月では、そこにあります五十九・三。来年の四月ですね。

長島委員 大臣、二十五年の四月からずっとやられている、ここは大体二百四十万ぐらいから始まっているんですよ。こうやって安倍政権が努力してきた結果、三十年四月、来年の四月入園までに三百万の受け皿が完了するという説明を私は受けているんですが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 それは、だから増加幅になっているので、現在、二十九年の四月一日で保育所等に入っている方々が、受け入れ枠が二百八十六万ということですね、二百八十六万人分。これが、だから二十九年四月一日でありますから、これから、二十八年と二十九年を通じてトータルでたしか二十七、八万人分の増加をするということを今予定しておりまして、それを入れて、この五年間、二十五年から二十九年の五年間で五十九・三万人をふやす、こういうことになるわけです。

長島委員 いやいや、かみ合っていないんです。大臣、事務方でもいいですから、これだけ答えてください。三十年の四月、来年の四月までに政府として保育の受け皿三百万人を完了させる、こういうふうに私は説明を受けているんですが、事務方でもいいから答えてください、これは大事なところだから。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、実際に受け皿の整備と利用されているお子さんの数の間にギャップがございます。受け皿の数を申し上げれば、現時点において、三十年四月の時点における、市町村の整備をしております保育所と企業主導型の保育所を合わせまして三百万千七百十人の受け皿確保を予定させていただいておるところでございますが、実際には、利用者数の増加という形で、待機児童の解消に向けて、現在、子育て安心プランは整備の目標を立てているところでございます。

長島委員 ようやくおっしゃっていただいたんですが、三百万、見事に達成されたんですよ。これは誇っていただきたいという数字だと私は思うんですよ。

 ということは、そこから子育て安心プランでこのピンクのところを上乗せして、三百三十二万、二〇二〇年までに完了させるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 まず、ちょっとこれは正確に言っておかなきゃいけないんですが、受け皿の数と利用している数、これは、例えば二十九年四月で見ますと、受け皿は二百八十四万あるんです、二百八十四万人分。しかし、実際に使われている方は、これは待機児童を抜かなきゃいけない、多分二百六十三万ということですね。

 それはどういうことかというと、地域によっては、定員があるけれどもそこまで満たっていないもの、それから、新規につくっても、これから三歳、四歳、五歳に対応しなきゃいけないので、事前に余裕を持っていなきゃいけない部分、そういうものがあるので、それが受け皿ということですね。それは今申し上げた三百万人とする。

 ただ、我々は、受け皿ベースではなくて、実際に何人入っているかを見なきゃいけないので、先ほど申し上げたように、利用人員あるいは利用申し込みということで計算をしている、そういうことなんです。

長島委員 確かにその二つの数字のずれというのは私たちも認識しているんです。ただ、待機児童を抱えている親御さんからすれば、受け皿の数はどうなるんだというところが一番気になるところなので、私はそこに絞ってお尋ねをしているわけです。

 野村総研の試算によると、これは意外とリーズナブルなんですよ、意外となんて言うとちょっと不遜ですけれども。二〇二〇年に、親の就労に伴って保育サービスを必要とする児童数が約三百七十七万人だというふうにはじき出しているんです。

 それはどうやって出しているかというと、人口推計ですね、国立社会保障・人口問題研究所。厚労省もこれに基づいて推計していると思いますけれども、未就学児童が五百七十万五千人いる。これは共通の数字だと思いますよ。これに、子育てをしている女性の就業率、政府は女性の就業率八割を目指す、そのうち子育てをしている女性の就業率が七三%、これは推計ですけれども、掛けて、そしてさらに一マイナス九・〇%。これは、そうはいっても、自分は働いているけれども、おじいちゃん、おばあちゃんに家で見てもらうから保育園の必要はないよとか、自分は幼稚園に入れるからいいよという部分を除した上で、掛け合わせてこの三百七十七万を出しているんです。

 私は、この推計、なかなかいいところを突いていると思うんですが、これから今既に達成された三百万を引くと、今、八十八万六千人という数字が盛んに報道されていますけれども、政府は三百万の受け皿をつくりましたからそれを引くと、少なくとも七十七万人分の受け皿をつくらないと待機児童がまだ残ってしまうんじゃないか、これが民間シンクタンクの推計なんですよ。

 それに対して政府は三十二万人と推計しているので、この乖離はかなり大きいなと。ここを大臣はどうお考えになりますか。

加藤国務大臣 その表の九・〇%、あるいは逆の引き方をすると九一%、そこをどう見るかなんですけれども、そこは別途ここでも調査をしておりまして、今使っている人、それから保育サービスを利用していないけれどもすぐにも利用したい人、それから保育サービスを利用していないけれども今後利用したい人と、かなり幅があって、それまで入れて九一%になっています。

 したがって、今後というのは、今育児休業をとっているので、育児休業がとれたら入りたいという方もいらっしゃるんです。それがそのまま全てそのときの待機児童になっているとは言いがたい部分を含んでいるんじゃないかというふうに私どもは見ておりまして、一つのやり方であることはそのとおりだというふうに思いますけれども、いずれにしても、私どもも、これまでは実績をベースに待機児童解消プランで推計いたしまして、それがこういうことになったので、そこはマクロベースでしっかり見ていきたいということで、今回の試算を出させていただいたということであります。

長島委員 しようがない、これは平行線に終わりましたが、総理、こういう民間のシンクタンクの推計も参考にしながら、厚生労働省は、各自治体から上がってきたそういうデータも、ニーズ調査をしてそれで推計を出しているわけですけれども、子育て会議の中で、この自治体の推計、ニーズ調査が余り上がってくると自治体もお金を出さなきゃいけないからなかなか大変なので、それぞれの自治体で圧縮した数字を挙げている、そういうくだりの議事録もあるんですね。

 ですから、先ほどから申し上げているように、器をつくってもつくっても逃げ水のように待機児童が広がってしまうということを考えれば、もう少し最初の推計の段階から相当程度民間の方たちも入れて、厚生労働省もしっかりとしたニーズを把握した上でこれから対策を打っていただきたい。

 総理、いかがですか、一言。

安倍内閣総理大臣 もちろん、ニーズを把握することも大変重要だろうと思います。

 同時に、昨日も議論になったんですが、地域によって相当待機児童の状況が違うわけでございまして、地方に行けば余裕があるところもたくさんあります。

 ですから、この状況の中で、東京への一極集中がどんどん進んでいく中においては、さらに我々の推計を上回る状況もできてくるという、構造も十分変えていくことも含めて、よく考えていかなければならない。

 多くの企業がさまざまな本社機能等も地方に移しているところもあり、そこでは出生率もふえているという実態、例えばコマツが、小松製作所が小松に本社機能の一部を戻して、そこの従業員の出生率が上がっているという状況もありますから、そういうこと等も行いつつ、推計についてはさまざまな要因も、これが絶対だという、結果が絶対合うということにはもちろんならないんですが、推計についてはしっかりと検討はしていきたいと思います。

長島委員 最後にしますけれども、私たち希望の党は、無償化の前にまず保育の受け皿をつくる、全入化、これを党を挙げてこれから取り組んでまいりますことをお誓い申し上げまして、質問といたします。

 ありがとうございました。

河村委員長 この際、井出庸生君から関連質疑の申し出があります。長島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井出庸生君。

井出委員 希望の党、信州長野の井出庸生です。本日はよろしくお願いをいたします。

 きょう、私からは、まず一つは、多様性、あらゆる人に配慮する社会を目指すという観点から、LGBT差別のことを取り上げてまいりたい。それからもう一つは、農業、さきの本会議で玉木代表も取り上げられました。先ほど長島政調会長からお話がありましたが、希望の党は未来を先取りする政党である。その観点から、今農業の新規就農の実態、施策がどういうものであるかということを取り上げてまいりたいと思います。

 早速質疑に入りますが、まず、十一月二十三日、自民党の竹下亘総務会長が以下のような御発言をされた。産経新聞に要旨が報道されたものがございましたので、御紹介をします。

 フランスにオランドさんという大統領がいて、日本に来て、宮中晩さん会があった、恐らくこれは二〇一三年のことだと思われます。オランドさんが連れてきたのはパートナー、女性は奥様ではない、天皇皇后両陛下と並んで座るので、どう対応しようかと宮内庁は悩んだ、そのときはパートナーとして宮中晩さん会にお入りになった、問題はここからだ、もしパートナーが同性だった場合、どう対応するのか、日本国として近い将来必ず突きつけられる課題になるのではないか、私は反対だ、日本国の伝統には合わないと思う、それぞれ皆さんの人生観の中で御判断をいただければ、このような発言があったと。

 私は、日本の伝統の中で、同性の、性的少数者といった、そうした形態が必ずしもなかったとは考えておりませんが、そのあたりの認識も少し違っておるのかなと思います。また、これは竹下さんもおっしゃっておりますが、宮中晩さん会に、国賓のパートナーが同性のパートナーであった場合、それはむしろ入れてもいいんじゃないか、そういう御意見もございます。

 いずれにせよ、長い時間をかけてきて、このLGBT、性的少数者の問題を、認知を広げてきた、国会としてもやってまいりました。そうした流れの中で、大変残念な発言であった。

 それから、これも自民党の山本幸三前地方創生大臣。自民党の議員の会合の中で、その方が大変熱心にアフリカでの交流をされているということについて、何であんな黒いのが好きなんだと。このことは、後に記者団に対して、僕はアフリカだけはついていけない、遠いところだし、そういう黒いところが好きなのかなという表現をした、言葉として非常によくないということで、言葉遣いについて撤回しますと述べました。

 いずれも、差別を助長、肯定しかねない、非常に問題のある発言であろうと思っております。

 総理にまず伺いますが、発言はこれだけではございません。

 自民党の、参議院副議長も御経験のある山東議員は二十一日、党の役員連絡会で、子供を四人以上産んだら、女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうかと。これは、昨日、自民党の菅原委員が質問の最後に、不妊治療の費用負担の軽減は何としてもお願いしたいと残り最後の時間の中で一言おっしゃった問題ともかかわる、余りにも配慮に欠けた発言である。

 この三つの発言について、総理、自民党の中からこうした発言が出ていることについてどのように考えられているのか、まず伺いたい。

安倍内閣総理大臣 御指摘の発言については、政治家個人としての見解を述べたものであって、政府の立場でコメントすることは控えたいと思います。

 いずれにせよ、政府としては、LGBTと言われる性的少数者に対する偏見、人種差別、女性に対する偏見等はあってはならないと考えており、こうした偏見をなくし、一人一人の人権が尊重される豊かで安心できる成熟した社会を実現するため、教育や啓発の充実、個別事案に対する適切な対応に努めてまいりたいと考えております。

井出委員 今、政府としてコメントをしないというお話がございました。本来であれば、自民党の総務会長に任命をしたのはどなたですかと伺いたいところでございますが、今、政治家個人の御発言だとの御答弁もあった。

 私も、残念ながら、この発言に対して御当人がそれぞれ釈明の発言をされておりますが、例えば、言わなきゃよかった、そうした釈明の仕方を聞いていても、どう考えても一個人の考え方が変わるとは思えない。そうした中で、きょうは、この本当に許しがたい発言を一つの契機として、LGBTの問題を改めて国会で正面から取り上げて、この発言がむしろ差別をなくしていく小さな一歩となるように議論を進めてまいりたいと考えております。

 そこで、伺いますが、国内におけるLGBTの実態ですね。民間の調査などでは、その人口規模、統計的な調査がされておりますが、そうした調査について総理は御存じかどうか、教えていただきたい。

上川国務大臣 ただいま御質問がございました民間における調査ということでございますけれども、LGBT、性的少数者に関する調査というのはさまざまな機関で行われているということを承知しているところでございます。

 同時に、政府におきましては、人権擁護に関する世論調査をおおよそ五年に一回調査をしておりまして、その中におきまして、性的指向や性自認に関する設問も加えているところでございます。

 そして、その上で、こうした結果等を踏まえまして、LGBTにつきまして国民の皆さんに正しい理解を促進し、また、教育や啓発を通じまして社会全体が多様性を受け入れる社会となるよう、その環境づくりを進めているところでございます。

井出委員 私の方で少し御紹介をいたしますと、LGBTの人口規模についての調査としては、平成二十七年に電通ダイバーシティ・ラボという会社が調査をしていて、LGBT層に該当する人は七・六%だと調査結果を出している。それからもう一つ、平成二十八年には株式会社LGBT総合研究所が調査をしておりまして、LGBTに該当する人は五・九%と。それから、連合、日本労働組合総連合会、平成二十八年六月の調査で、LGBTの当事者が八%だ、そういう調査をされています。

 仮に八%いるとすれば、人口が一億二千万とすれば九百六十万人。それは調査に幅があるから、ではその半分だったとしたって、五百万人近い方がおられるわけであります。この数字というものは、全国の都道府県で考えれば、都道府県の中でも相当上位の方に参ります。

 性的少数者、この名前が、本当に少ない、そういうイメージを持たれている方もいるかと思いますが、実際は恐らくそれだけの、かなりの規模の数の方が該当するのではないか、そういう調査が出ております。

 そうした今私が御説明したような全体像というものを総理は御認識したことがあるかどうか、その点だけ総理に伺います。

安倍内閣総理大臣 全体としての認識というのは、その数ですか。数、パーセンテージ。

 パーセンテージについては、二つ統計、差があるわけでございますが、そういう説明を受けたことがございます。

井出委員 この人口規模統計調査についてはもう一つ問題がありまして、LGBTの人口規模に関する公的な統計調査はないと言われております。

 これは、衆議院の予算委員会、平成二十七年三月二日、当時文部科学大臣であった下村さんの答弁の中で、実際、これは統計をとっているわけではないと思うので存じ上げない、そういう答弁があるんですが、公的な統計調査というものはいまだにない、そういう認識でいいかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

上川国務大臣 ただいま、LGBTの全体像の把握のために、公的調査について必要かどうかというようなお問い合わせだというふうに思います。

 この公的調査の必要性につきましては、性的指向や性自認を取り巻く人権状況、また、その変化等も踏まえまして、先ほど申し上げたとおり、直近の公表されている調査は平成二十四年でございますが、また近々、五年目の調査が行われ、そして公表する予定でございますので、そうしたことも踏まえまして、また同時に、さまざまな人権相談あるいは人権の侵犯事件の中に、こうしたテーマにおきましての問題について、どのようなことになっているのか、十分に把握をした上で対応していくべき問題ではないかというふうに認識をしております。

井出委員 ヨーロッパでは、EUの中で五・九%の方がLGBTに該当するという調査がございます。アメリカにもさまざまな調査がございます。上川大臣がおっしゃられたこと、私も理解はするんですが、公的な調査をして、やはりもっとその実態を社会全体で共有するべきではないか。

 文部科学省は、平成二十六年六月に、この問題について学校、小学校、中学校、高等学校、調査をしております。

 その中で、実際の事例として、服装について、みずから認める性別の制服の着用を認めるとか、多目的のトイレを更衣室として使用することを認めるとか、そうしたさまざまな声が紹介をされております。また、その一方で、専門医と相談するように提案をしているが本人が拒否をしている、不登校の状態となって保健室に通うことが多い、それから、性同一障害なのか一過性の気持ちなのか、本人の考えも揺れ動いており、性の不一致に悩んでいる、そういう声もあります。

 そうしたアンケートの中で、自由記述の「課題」として挙げられているものに、学校側から寄せられている声として、卒業後の進路、就職に対してこの問題を一体どうつないでいくのか。それからまた、周囲の生徒や職員の共通理解の醸成、言うまでもないことだと思います。そしてまた、ホルモン療法を勝手に始めてしまった事例があることも踏まえ、本人が正しい知識を学べる場の提供が必要だという声もあります。

 この調査では、性同一障害としての診断のあるなしを学校に聞いているんですが、これは性同一障害としての診断の有無であって、その結果がどうであったかというところに触れた調査ではないと思いますが、例えば高等学校でいえば、二九・八%が性同一障害としての診断を受けたことがあると回答している。中学校は二二・七、小学校高学年は二五%、小学校低学年から全体の平均で二七・二%だ。

 大変公的に取り上げていくことが難しい分野であることは百も承知をしておりますが、その一方で、学校の現場はこうして悩んでいる、このことは明らかであろう。

 ぜひ、まず公的な調査というものを、今回を契機にもっと強く検討をしていただきたい、そのように思いますが、上川大臣、いかがでしょうか。

上川国務大臣 性的指向や性自認を理由とする偏見や差別がさまざまな場面で起きているということ、これを取り除くためには、やはり教育そして啓蒙、啓発ということをさらに充実させていくことが重要であるというふうに考えております。

 調査の必要性につきましては、先ほど申し上げた人権に係る調査につきましては五年に一回実施をしておりまして、近々その結果も発表される予定ということであります。

 あるいは、民間の調査の結果も十分に精査をさせていただきながら、そしてまた、法務省の人権擁護機関におきましては、既に平成十六年から、性的指向を理由とする偏見や差別をなくそう、あるいは、性自認を理由とする偏見や差別をなくそうという形でさまざまな啓発、啓蒙活動を実施しておりまして、全国でこの活動をしているところでございます。

 また同時に、さまざまな人権相談に関しましては全国の法務関係で実施をしておりまして、また人権侵害の疑いのある事案につきましては、人権侵犯事案ということで調査を行って、そして事案に即した形で寄り添い型の適切な措置を講ずるということで今実施をしているところでございます。

 こうしたさまざまな取り組みを通して得られた知見、あるいはこれまでの動向ということにつきましては、十分にそれを精査しながらこれからの政策にしっかりと生かしていくということで、この問題への取り組みに万全を期してまいりたい、こんなふうに思っております。

井出委員 なかなか調査をするとまでは言っていただけなかったわけですが、この分野では、日本は大変、世界からもこの問題に対する理解はおくれをとっているのではないか。

 最近の報道をインターネットで見ているだけでも、イタリアでは、同性婚に相当するシビルユニオンが可決になった。オーストラリア、同性婚合法化へ、郵便国民投票で支持派が圧勝。それから、ドイツでもついに同性婚合法化、現役大臣も秋にゴールインだと。そうした記事が出てきております。

 私は、この問題は、日本の外交においても大きな影響を持ってくるのではないかと。

 先ほどの竹下総務会長の発言に返りますが、フランスのオランドさんという大統領が二〇一三年六月、日本に来て宮中晩さん会に、オランドさんが連れてきたのはパートナーだった、奥様ではない、このときは、宮内庁が、天皇皇后両陛下と並んで座るのでどう対応しようかと悩んだ、こうした発言を竹下さんはされているんです。

 海外からいらっしゃる方を国賓として扱うかどうかは、まず外務省が一義的にお決めいただいて、そして閣議決定だと伺っております。そうした中で、それに応じて宮内庁が出席の依頼を出すというようなことを聞いておりますが、そうすると、このオランドさんが来たときに困ったのは、まず宮内庁じゃなくて、まず外務省が対応に苦慮した、困ったということがあったのか、教えていただきたいと思います。

河野国務大臣 申しわけございません。当時の経緯は存じ上げておりません。

 ただ、今後、ことしの十二月の天皇誕生日のレセプション、あるいは外務省が賓客としてお招きをする方々につきましては、法律婚、事実婚、あるいは同性、異性にかかわらず、配偶者またはパートナーとして接遇をするように指示をしているところでございます。

井出委員 そうしますと、竹下さんが私は反対だとおっしゃられた同性のパートナーを出席させると。それからまた、これまで同性のパートナーが宮中晩さん会に招待をされた例はないという報道もございました。これは宮内庁の山本長官が定例記者会見の中で発言をされておりますが、そのことを今回変える、そういうことでよろしいのか、教えてください。

河野国務大臣 外務省としてはそういうことをするよう、指示をいたしました。これは、宮内庁には宮内庁としての考えがあると思いますので、そこは政府内で必要ならば検討するということになるだろうと思います。

井出委員 その指示というのは、いつ、どういう形で出されたのか、お聞かせください。

河野国務大臣 竹下総務会長の話が出たときに、口頭で、天皇誕生日のレセプションについては、事実婚、法律婚に限らず、同性、異性に限らず、配偶者またはパートナーを招待するように指示いたしました。

井出委員 竹下総務会長の御発言を受けて外務省は対応されたというお話でございました。

 ぜひ、外務省の……(発言する者あり)ちょっともう一度お願いします、そうしたら。いつ指示をされたのか、もう一度お願いします。

河野国務大臣 総務会長の報道を見たときでございますので、何時何分、何月何日というのは覚えておりませんが、外務省としては、同性、異性を問わず、法律婚、事実婚を問わず、配偶者あるいはパートナーを天皇誕生日のレセプションにお招きをするように、そういう指示をいたしました。

井出委員 その発言の報道を受けてということでございます。

 外務省の指示が今後きちっと実現するように、政府全体としてもその意識を徹底していただきたいと思いますが、総理から一言コメントをお願いします。

安倍内閣総理大臣 ただいまのは、外務省の行事におけることについて外務大臣が指示をした、こういうことでございます。

 それと、オランド大統領がパートナーとともに国賓として来日をされたときにも安倍政権でございまして、これで宮内庁が悩んでいたというお話は、私は寡聞にして存じ上げないところでございますが、国賓の場合は、天皇皇后両陛下の晩さん会と総理大臣主催の夕食会がございまして、夕食会には、これは別に議論もなくお越しをいただいたところでございます。

 この総理主催のいわば夕食会、外国の首脳で既にカミングアウトされている、同性婚をされているという方は既におられるわけでございまして、私もそういう方と首脳会談を行ったことがあるわけでございますが、基本的には、そういう方がパートナーとして来日をされた場合には、総理主催の夕食会にはお越しをいただければ、このように考えております。

井出委員 今回、この件をいろいろ調べておりまして、例えばLGBTを公言しているアメリカの大使、少なくとも現役、退役を含めて十名いらっしゃるということも確認をできました。そうしたことに対して、今お話あったように対応していっていただきたい。

 ちなみに、このオランドさんのパートナーとして天皇、皇后とお会いになった方は、その後、本を出されて、その中で当時のことを書かれている。天皇皇后両陛下主催の晩さん会は今でも忘れがたい、魂を奪われるような最高の記憶として残っていると。

 ぜひ、こうしたことを言ってくださる方、それは、天皇、皇后が大変御丁寧な対応をされたということもかなり大きいかと思いますが、外交の中で、向こうの、海外からいらっしゃる方がそうした思いを持っていただけるようにやっていっていただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、農業の話に入ってまいります。

 さきの本会議の中で、自民党の岸田さんが安倍総理に対する質問の中で、いろいろな政策の先に一体どういう社会を見ているのか、そういうお話がございました。総理は、自立して、活力があって、チャンスがあって、優しくて、世界に開かれた国であるというようなお話をされたと思いますが、岸田さんは、持続可能な社会である、次世代にきちっと責任をつないでいく、そういう意味では、目先だけの政策ではよろしくない、そんなような話をされたと思います。

 きょう取り上げたいのは、農業の、新規就農に係る次世代の就農支援、これは旧青年就農給付金という事業でございます。

 まず、農業大学校等の研修に二年行っている間、最大で百五十万円が二年間出る。それからさらに、就農を始めてから五年間の間も最大で毎年百五十万。都合、最高で一千五十万円。平成二十四年から始まった事業でして、平成二十九年に今至っておりまして、平成三十三年まで続けていく。たしか、これまでは二百億円規模の予算、それが三十年度の要求は二百五十億ぐらいの要求になっているのではないかと思います。

 まず、農水大臣に伺いたいのですが、新たに事を始めようというときにやはりお金が必要である、特に農家の新規就農者は非常に今切実な問題である。新規就農をふやそうという政策の趣旨は私も大いに賛同しますが、その手法ですね。

 恐らく、毎年百五十万円というのは、なかなかほかの業種ではない。例えば、中小企業に事業継承でお金を出すときは二百万以内であるとか、親がやっていたものを廃業すれば、そこに三百万円がプラスになるとか、最大五百万程度でございます。

 そうした高額なお金を投入する、それは一つの政策なんだといえばそうなんですが、果たしてそもそもこの政策はずっと続けられるものなのか。三十三年以降も、成果が上がれば、百五十万掛ける七年、これは続けられるものなのかどうか、まず伺っておきたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、今、日本の農業の置かれた状況は、農業従事者の方の高齢化が進展をして、そしてなかなか後継者もままならない、その結果として耕作放棄地もふえていくということで、大変大きな問題になっているという認識がありまして、それにどう立ち向かうかということが大事なことになっていまして、そのためには、まず農業そのものが若い人たちにとって夢と魅力のある産業にならなくちゃいけないということで、さまざまな政策をやっている。

 今、だから、展開している政策のほとんどが、農業を成長産業化させ、魅力ある産業とする、そのことによって新しい人が始めたり後継者がやろうという気になる、そういう基本的考え方でやっているという中で、今御指摘ありました、昔、旧青年就農給付金事業、今は農業次世代人材投資事業ということで申し上げておりますけれども、これにつきましては一定の評価をいただいておると認識をしております。

 そして、もちろん見直しというものは絶えず行っていかなくちゃいけないと思っておりますけれども、基本的には、新たな人材、四十五歳未満の人に農業に何とか参入してほしい、あるいは後継として農業を続けてほしい、そういう政策としては十分機能してきているのではないかなと判断をしております。

井出委員 この政策は、全ての都道府県から、継続、それからさらに拡充するように要望が出ております。私も、大変多くの方から継続、拡大の声をいただいております。

 ただ、その一方で、継続、拡大を要望する皆さんの口から、なかなか新規就農が定着をしない、やめてしまう、お金が無駄になっているんじゃないか、だったら新規就農者じゃなくて後継ぎに回したらどうか、そういう御意見も出てきております。

 先日、農水省に伺ったところ、研修を二年受けた後、研修を二年受けた方というのは最大で三年の就農義務がある、それから、五年間受け取った方は、今までは就農義務はなかったんだけれども、今年度から受けた方は、五年受けて、五年受給期間が終わったら、さらに五年間きちっと就農しなければ返還義務が出たというふうに聞いております。

 そうした中で、九五%を超える方が就農している、ですから事業は成功しているんですというようなことを言われているんですが、まだこの事業は六年目でございます。それで九五%の方が就農しているというのは、これは当然の話ではないか、そのことをもってこの事業が果たして評価をできるのか。

 私は、やめてしまった方、それから家にこもってしまって仕事が手についていないような方、それから、私の地元ではございませんが、受給の直前にみずから命を絶たれたという方もいらっしゃると聞いております。これは、やっている方からすると、お金がいただけるから甘い気持ちでスタートをしたんじゃないか、本来経営に向かないんだけれども、百五十万というお金に引っ張られて、本人も困ってしまったのではないかと。

 そうした具体的な声というものが果たして上がってきているのか、そういう問題意識を農水省は持っているのか、伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 この制度につきましては、今、井出委員おっしゃいましたように、きちんとしたフォローをして、本当に成果が上がっているのかということはやっていかなくちゃいけないと思っております。

 現在、二種類、型がありますけれども、経営開始型の場合は、対象者に対して、支援期間中及び支援終了後の五年間、年二回の就農状況報告というものを提出していただくということにしておりまして、継続的にフォローアップができる体制を整えております。

 それから、もう一つの準備型の方も、支援期間中及び支援終了後の六年間は、年二回の就農状況報告というものの提出を義務づけさせていただいておりまして、こちらの方も継続的にフォローアップを行っているところでございます。

 もちろん、制度ができて、これからどんどん就農されるという状況になると思いますので、今の時点では、こういう形できちんとフォローをして、この制度の実施状況については万全を期していきたいと思っております。

井出委員 大変要望の多い制度であって、私も必要性を感じております。ただ、最初の質問に戻るんですが、いつまでも続けられる制度なのか。

 この制度について、農林水産省のある方が、ことしから五年間受給する方については返還義務を設けたので、恐らく、最初の受給期間の五年、その先の五年はやってくれるだろうと。それが、十年で果たして定着と言えるのかどうかという議論もありますよ。ただ、最初のうちは返還義務を設けなかったので、もしかしたら、大変残念だけれども、これからたくさんの方がやめてしまうようなこともあるかもしれない、そのことは、農水省のある方が御発言をされております。

 そうした危機感というものは、私は、いつまでも続けられる事業なのかなと。その危機感に、農水省の方、官僚の方が公式の場で発言していただいているということは大変真摯に向き合ってくださっているなと思うんですが、そうした危機意識はあるのか、伺っておきたいと思います。

齋藤国務大臣 いずれにいたしましても、きちんとフォローアップをしながら、不断の見直しを行っていくということに尽きるんだろうと思っております。

 ただ、現時点におきましては、先ほど申し上げました農業の現状を踏まえまして、少しでも多くの方に新規就農あるいは継続というものをしていただけるようにこの政策は成り立っているわけでありますので、実の上がるように努力をしていきたいなと思っています。

井出委員 私も、現状においてはやはり継続をしていただきたいと思います。

 しかし、一つだけ提案させていただくとすれば、今四十五歳未満までが対象になっております。五年受給する、それから五年、返還義務がある。農家として一人前になるのがどの程度の期間かかるかということは、これはわかりません。三十年やっても、天候に左右されて一回も満足いくものをつくったことがないと私におっしゃった方もおりましたので、そのことはわからないんですが、今、平均で六十六歳、農家の経営者の方は。四十五歳から五年、十年やって、一人前になるのに十年かかったら六十歳なんですね。

 この年齢の引き下げというものは真剣に御検討をしていただいてもよいのではないか。年齢が若ければ、失敗しても立ち直る機会というものは、もう一度トライするということは十分にできるのではないかと思いますので、御提案をいただきたい。

 最後に総理に伺いたいのですが、この給付金は、農家をずっとやってきた方からすると、俺たちが始めた若いころはそんな金はなかったと。それから、実際、給付金を受け取っていないで新規就農する方の方が実は大変多いんですね。九割が補助金を受け取らないで就農していると言われております。そうした方たちからも非常に厳しい視線が注がれていて、私は、ちょっと残念ながら、それぞれの立場で少し分断されてしまっているのではないかなということを感じております。

 その分断ということについて申し上げたいんですが、規制改革会議は、農協改革、農業委員会の改革、それから酪農の指定団体のこと等に提言を出されてきたかと思うんです。

 私は、地元の農協に入ったばかりの女性の職員の方から、酪農の視察をした帰り、車に乗るところで声をかけられて言われたんですが、どうして農協、農業の大事なことをその人たちの入っていない規制改革推進会議が決めてしまうのかと。私は、ヒアリングとかをやっていると、通常政府が言うようなことをその本当に若い女性に申し上げたんです。先日、牛の着ぐるみを着て農協の秋のお祭りにいたんですが。

 これから農業の改革を進めていくときに、さっきの補助金の関係もそうなんですが、農協を改革するときに、農協が常駐のメンバーとして入っていない会議体で、対立の構図で事を進めていいのか。決して対立ではないとおっしゃるかもしれませんが、農協からしたら、農協の上層部からもそうした声は長年ありました。

 きょう、一つの事例としてこのことを取り上げたんですが、総理にはぜひ、これから農業改革を進めていくのであれば、現状の農業に携わっている、この補助金も現状の農家の人たちの声なんですよ、そういう人たちの声を取り入れて、改革の必要性から逃げない、その上で現実とも向き合う、そうした会議体、議論をこれからは進めていっていただきたいと思いますが、総理の御所見を伺います。

安倍内閣総理大臣 農業者の平均年齢は、もう六十六歳を超えているわけであります。そこで批判を恐れて何もしなければ、どんどんどんどん農業は衰退をしていくわけであります。つまり、農業をしっかりと守っていくためにも、我々は勇気を持って改革に取り組んでいく必要があるわけでありますし、当然、その上においては、今まで農業に携わって、いわば農業者以外の方の意見も率直に話していただき、それも取り入れていくことも望まれているんだろう、これも必要なんだろう、私はこう考えるわけであります。

 そこで、我々はさまざまな改革を行ってきたところでありますが、先ほど例として挙げられた新規就農者に対する支援は、意欲ある若者が地域農業に従事し定着するために行っており、既存の農業者も含めた地域農業全体の維持発展にも資するものと私は考えております。

 また、農業改革の議論の過程において、規制改革推進会議などからさまざまな意見が出されていますが、これらも受けとめながら、農業政策の企画立案については農林水産省において責任を持って対応していくものと私は考えているわけであります。

 その政策を進めていく上において、私たちは、いわば農家、生産者の方々の声を聞かないということはあり得ないわけであります。

 もともと、例えば自民党においても多くの議員は農村地帯、私もそうですが、農村地帯の出身でありまして、農業がいかに困難なことであるか、と同時に、いかに大切なとうとい仕事であるかということは十分に認識をしているわけでありますし、これは、紙の理屈だけでは当然、自然を相手にしているわけでありますから、そのとおりには、計画どおりにいかないということは重々承知をしているわけでございまして、今委員がおっしゃったことも私は大変もっともだ、こう思っているところでございます。

 今後とも、農業者や農協の方々とも真摯に向き合いながら、規制改革推進会議の知見も活用しつつ、建設的な議論を積み重ね、強い農業の実現に向けて改革をしっかりと進めていきたい。対立構造をつくろうなどとは毛頭考えていないわけでございまして、一緒に進んでいかなければ強い農業をつくっていくことはできない、こう考えているところでございます。

井出委員 希望の党も、農村出身の議員が大変多うございます。今後とも、どうぞ議論を続けさせていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

河村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

河村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、津村啓介君から関連質疑の申し出があります。長島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。津村啓介君。

津村委員 希望の党の津村啓介です。

 私たち希望の党の玉木雄一郎代表は、二十日の代表質問におきまして、寛容な改革保守を掲げる未来先取り政党として、外交、安保、経済など幅広い政策分野で、希望ある日本の未来像を提示いたしました。私は、その中でアベノミクスの現状と未来像に焦点を当てまして、具体的な提案を行っていきたいと思います。

 また、時間が許せば、次世代の皇室の問題、皇位の安定的継承の問題と、若い世代の政治参加のボトルネックとなっております十九歳選挙権の問題も取り上げていきたいと思います。この十九歳選挙権につきましては、こちらにいらっしゃいます同僚の小熊慎司代議士が調査されたものでございます。

 それでは、アベノミクスのテーマから入ってまいりますが、今、アベノミクスは二つの意味で大きなエポックに差しかかっていると思っております。

 先週から多くの新聞、テレビで、拓銀、山一の破綻からちょうど二十年がたったと振り返りの記事が多く掲載をされました。当時、無理な金融政策によって生じた実態の伴わない株価バブルの崩壊によって金融システムは大混乱に陥りまして、その後、長期にわたって日本経済は失われた時を過ごしてまいりました。

 二十年の時を経て、今またインフレ目標二%という日本経済の実力を超えた金融政策目標が掲げられ、バブル再来が危惧されると指摘する向きもあります。二十年前のバブルの反省は生かされているのか、これは今こそ問われるべき大きな問題意識かと思っております。

 そしてもう一つは、アベノミクスがスタートしてから満五年がたったということであります。黒田日銀総裁の任期満了が来年の四月。そして、日本銀行と政府が共同声明を発してから来年一月で満五年。

 いずれも五年という節目でございますが、総理、日本銀行の総裁の任期が五年となっている、私たち衆議院議員の任期よりも長い五年となっているその趣旨について、総理はどのように御理解されているでしょうか。

安倍内閣総理大臣 日本銀行の総裁の任期は、日本銀行法により五年とされています。

 この五年という任期は、中央銀行の独立性を担保する観点や、FRB議長の任期が四年、ECB総裁の任期が八年となっているなど、諸外国の例に照らして妥当だと考えております。

津村委員 おっしゃるとおりでございます。

 つまり、この五年という節目は、私たち政治家が三年、四年という任期の中で、ともすれば金融政策の尺度からすれば少し短期的な政策判断をするケースが多いのに対して、金融政策というのは非常に効果の発現に時間がかかるという側面もありますし、また、政治との距離感も大きなテーマを抱えておりますので、そうした中で総裁の任期を五年間保障している、総理には総裁の解任権はないという状況があるわけでございます。

 ですので、総裁の任期がいよいよ五年を迎える節目に当たって、私は、この五年間、このアコードの現在の状況も含めて振り返りをさせていただきたい、それが本日の質問の趣旨でございます。

 それでは、異次元緩和の抱える三つのリスクについて、一つずつ私の方から指摘をさせていただき、議論を深掘りさせていただきたいと思います。

 こちらに三つのリスクを書かせていただきました。そのほかにもさまざまな論点はありますけれども、本日は三十分という時間ですので、三つの論点について絞らせていただきます。

 一つは、日本銀行が大量の国債を保有している。この国債は当然価格が変動いたしますので、長期金利が上昇すれば、その分、日本銀行は大きな損失を計上することになる。

 もちろん、日本銀行には通貨発行益というものがございますから、中長期的に損失を埋めていくということは可能かもしれませんが、この通貨発行益というのは本来国民に還元されるべきものですので、それを損失を穴埋めするために使ったからといって、国民の負担が減ることにはならないわけであります。

 まず、黒田日銀総裁にお伺いいたしますが、仮に長期金利が一%あるいは〇・五%上昇すれば、日本銀行の保有国債には何兆円程度の時価の減少が発生するか、お答えください。

黒田参考人 委員も御案内のとおり、日本銀行は、国債の評価方法につきまして、償却原価法というものを採用しております。したがいまして、長期金利が上昇したとしましても、決算上の期間損益において評価損失が計上されるということはありません。

 その上で申し上げますが、二〇一七年の三月末時点における長期国債の保有状況を前提として、仮に委員の言われるとおり、長期金利がイールドカーブ全般にわたって直ちに一%及び〇・五%上昇するケースを想定して機械的に計算いたしますと、その時価総額は、それぞれ、二十四・六兆円、十三・〇兆円程度減少するという計算になります。

津村委員 今、総裁は冒頭、会計上の技術的なことをおっしゃいましたが、どの時点で損失が会計上あらわれてくるかというのは、それはまさに技術的な問題でありまして、実態としてそれだけの損失が生じていることには変わりないわけであります。

 二十四・六兆円といいますと、日本の人口で割りますと一人当たり二十万円ということになりますし、もちろん、それを時間をかけてということかもしれませんが、これは大きな国民的な損失、リスクだということを指摘したいと思います。

 二つ目に参りますが、二つ目は、地方金融機関の経営に対する金融システム上のリスクということであります。

 当然ながら、地方金融機関が経営悪化すれば、融資を受けている中小企業の皆さん、あるいは預金を預けていらっしゃる地域の皆さんに大変大きな負担がかかることは、想像したくもないわけであります。

 こうした中で、現在の異次元緩和において、地方の金融機関が、本業で過半の金融機関に赤字が生じているというのが、この秋、金融庁が発表されたレポートであります。また、十月の二十三日には、日本銀行御自身も、金融システムレポートの中で、同様に、地域金融機関の収益悪化について懸念を表明されているわけでございます。

 こうした中で、地方金融機関は、これからの生き残りをかけ、さまざまな経営判断をされております。例えば、九州あるいは新潟、多くの地域で、金融機関同士の統合によって収益基盤を強化していこう、あるいは経営を効率化していこう、こういった取り組みが進められているわけでありますけれども、先般、公正取引委員会は、九州での事例につきまして、県内での貸し出しシェアが七割に達する、これは独占禁止法の趣旨に反するという、極めて形式的なといいますか、現在、地方金融機関が、インターネットバンキングその他、そうした、必ずしも一つの県のシェアということで経営尺度を考えるのが私は時代にそぐわないと思うわけですけれども、こうした前時代的な尺度によって、この経営統合が無期延期に追い込まれているという状況もございます。

 私は、ここで個別の金融機関の事案につきまして総理の見解を伺おうとは思いませんが、しかし、アベノミクスをこれからさらに地域経済に波及させていくということを考えるのであれば、こうした、県内のシェアを統合の可否の判断基準とするような公取のルールというものは、金融業界の現在の状況に照らして、時代おくれの尺度と考えますけれども、総理の見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、公正取引委員会というのは、仮にも独立した職権というのを有しておりますのは御存じのとおりなので、これを金融担当大臣としていかがなものかということをコメントするのは、少々差し控えさせていただきたいと存じます。

 その上で、一般に、地域銀行の経営統合につきましては、金融行政というものを所管する立場からすれば、これは統合というのが目的というわけではないのであって、人口減少等いろいろ事情が、長崎の場合は特に、今新潟を例に引かれましたけれども、今二つ挙がっておる例ですが、これは地域における経済状況というか経営環境が厳しくなっておりますので、これは将来にわたって金融システムというものの健全性とか、その地域における特殊性とか、いろいろなものがありますので、金融仲介機能というのが円滑に回っていくことを考えるということが最も重要なんだ、私どもとしてはそう認識しております。

 あわせて、それを利用するお客、顧客の利便性等々、また、企業の価値の向上とか、地域経済の活性化とか、いろいろあろうかと思いますけれども、そういったことが図られるのが重要なのであって、金融機能というのは、その仲介機能として、そういったものを仲介していく、活性化させていく一種のお手伝いをさせていただく、そういう立場に立っているものが多く存在しておりますので、そういったことを考えますと、その結果として、競争性がなくなって、なくなっちゃったりするとさらに大きな問題になりますので、そういったことも、いろいろなことを考えて、配慮されてしかるべきかなと考えております。

津村委員 金融庁の森長官を初め、麻生大臣のスタッフといいますか部下の方々は、この件に関しては相当深く研究をされていると思いますので、ぜひ、時代に即した御判断を、これは公取委ともども議論をしていただきたい。早晩、新しい判断が下るものと確信をしております。

 この件につきまして、個別の事案ではございませんが、金融システム全体について総裁と少しお話をしたいんですけれども、こうした金融機関が抱えているリスクというものが金融緩和の効果自体をそぐ可能性があるという論点につきまして、黒田総裁は、先般、十三日、スイスのチューリヒ大学の講演で、リバーサルレートという新しい学説を引用されて、利下げによる金融緩和が、金融機関の収益悪化を通じて、かえって金融引き締め効果をもたらすという議論について御紹介をされています。

 日本が今これに近い状態にあるという可能性はありませんか。総裁、お答えください。

黒田参考人 御指摘のとおり、リバーサルレートというのは、米国の学者が言い出した説でありますけれども、御指摘のように、金利を下げ過ぎると、利ざやの縮小を通じて銀行部門の自己資本の制約がむしろ厳しくなって、金融仲介機能が阻害されて、かえって金融緩和の効果が反転してしまう可能性があるという考えでありまして、私どもも、最適なイールドカーブを把握していく上で参考となり得る一つの理論であるというふうに認識しております。

 ただ、もっとも、現在の日本の場合に、金融機関が充実した資本基盤を備えているほか、信用コストも大幅に低下しているため、今の時点で金融仲介機能が阻害されているとは考えておりません。例えば、短観などの各種の調査を見ましても、低金利環境が続く中で、金融機関の貸し出し態度は引き続き積極的でありまして、貸出残高もかなり増加をしております。

 もとより、日本銀行として、適切なイールドカーブの形成を促すに当たっては、経済、物価だけではなくて金融情勢を丁寧に点検していく必要があるというふうには考えておりまして、実は、昨年九月に導入いたしましたいわゆるイールドカーブコントロールというものも、こうした考え方に基づいて運営してきておりまして、この点は今後とも変わらないというふうに御理解いただきたいと思います。

津村委員 日本銀行は、私も前職、勤めていたわけですけれども、バブルの当時、当時は、プラザ合意の後、さまざまな国際的な金融環境、あるいは国内的な政治環境も含めて大きな制約を抱えていたと思いますし、当時は今ほど日本銀行の独立性が高くありませんでしたので、さまざまな歴史的な経緯を丁寧に検証するべきではありますけれども、当時、資産バブルが発生しているにもかかわらずインフレ率は必ずしも高くないという環境を捉まえて、長期にわたって低金利を継続した結果、大きなバブル、そしてその後のバブル崩壊の悲劇を生んだ、そういう評価もかなり幅広く議論されているわけであります。

 私は、今、インフレ率二%という目標に拘泥する余り、一方では、総理がしばしばおっしゃるような雇用の好転、あるいは株価の上昇、あるいはGDPも六四半期、七四半期とプラスが続いている、こうした、国民生活から見ればある意味では直接的なメリットが生じているにもかかわらず、二%という、国民生活にどれほどの効果があるのか、意味があるのか、必ずしも多くの国民が腑に落ちていない目標に拘泥する余り、他方で、目に見えにくいこうした、国民の皆さんはなかなかわかりにくいと思いますよ、日本銀行のバランスシートであるとか、地方金融機関の経営の赤字化とか、あるいは、金融庁さんが、スチュワードシップ・コードといいまして、しっかりと企業統治を金融面からもチェックしていこうと言っている中で、一方では、株を日銀が大きく買い占めて、日銀は企業のコーポレートガバナンスに口は出さないでしょうから、そういう意味では口を出さない物静かな株主になってしまっている、こういう状況が、国民生活に大きなリスク、目に見えないリスクを生んでしまっているのではないか。

 そこをしっかり直視するのが、五年、十年というスパンで物を考えていただく日銀総裁のお仕事であり、また、ここで五年たって、黒田総裁が再任されるという説もあれば、またいろいろな話が飛び交う季節になっておりますけれども、大切な人事をしていただくタイミングで、総裁がよくよくここはかんで含んで考えていただくべきテーマだと思うわけであります。

 私は、何も批判を申し上げたいのではなくて、今、大切なタイミングでありますから、次の五年間に向けて、しっかりとビジョンを描いていただきたい。

 そして、そのために、人事のことは申しません、しかし、五年たった日本銀行と政府の共同声明、アコードをここでもう一度バージョンアップしていただいて、アベノミクス二・〇ともいうべき、よりリスクの小さな、そして、より国民生活に果実の大きな経済政策にチューニングをしていくべき時期ではないか。五年に一度の総裁の交代時期、そして、バブル崩壊から二十年というこの節目は大変重要なアベノミクスの曲がり角だということを申し上げたいわけであります。

 具体的な提案として、幾つか書かせていただきました。

 一つは、今申し上げましたように、二%のインフレ率というのは、これは、取り下げろとは申し上げませんけれども、中長期の大目標としながら、目の前のこの一%、あるいはそれを少し下回っている物価上昇率というものをある程度許容しながら、その他のリスクマネジメントの方に、先ほどの公取委の判断もそうです、あるいは、先ほどの日銀のバランスシートの問題は、河野外務大臣が行革本部長のころに、ことしの春に提言をされていた、市場との対話をしていくべきだ、リスク分析するべきだというのも読ませていただきましたけれども、これは、先ほどの金融庁のレポートも含めて、政権内部からそういう指摘が出てきているわけですから、ここはぜひ、アベノミクスのバージョンアップにしっかりと役立てていただきたいと思います。

 また、マイナス金利政策については、先ほどの地方金融機関の問題、金融機関の経営体質の問題に直接かかわってくることでありますし、「地域金融機関の再編を後押し」と書かせていただきましたのは、先ほどの公取委の判断のことなどを指しております。また、財政再建へのコミットメントをしっかり強化していくということも、これは、国債バブルということにならないように、国債の信認も含めて重要な要素かと思います。

 この四つのアベノミクス二・〇に向けた御提案を書かせていただきましたが、総理の御見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま、津村議員の専門的な御議論を拝聴させていただきました。

 インフレ目標についても、物価安定目標についても、二%ではなくて一%にすべきだと。

 基本的に、我々の経済政策を支持する方の中からもそういう声があることは承知をしておりますが、政府と日本銀行は、平成二十五年一月に公表した共同声明に従い、それぞれの責任において盛り込まれた内容を実行することにより、デフレからの脱却と持続的な経済成長の実現を目指し、三本の矢の政策を進めてまいりました。

 これにより、もはやデフレではないという状況をつくり出す中で、先ほど津村委員からも御指摘のあった雇用についても、有効求人倍率は史上初めて全都道府県で一倍を超え、失業率も二・八%と低水準であり、賃金についても、賃上げの流れが四年連続で続いているなど、経済の好循環が着実に回り始めております。

 確かに二%の物価安定目標は達成しておりませんが、このように着実に成果を上げていることから、共同声明の内容を現在においても妥当であると考えており、御指摘のような改定を行う必要があるとは考えておりません。

 物価が二%程度に達する時期について、日本銀行の展望レポートでは、二〇一九年ごろになる可能性が高いとされております。金融政策の具体的な手法は日本銀行に委ねられるべきであると考えておりますが、今後とも、日本銀行が物価安定目標の達成に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しております。

 また、具体的な議論については黒田総裁と行っていただきたいと思います。

 財政運営については、これも今、津村委員から言及がございましたが、国、地方合わせた税収は二十二兆円増加をし、二〇一五年度PB赤字半減の目標は達成するなど、共同声明も踏まえ、財政健全化を着実に進めてきております。

 引き続き、国に対する信認を確保しながら、プライマリーバランスの黒字化目標の達成に向けて、具体的かつ実効性のある計画を示してまいりたいと考えております。

津村委員 ありがとうございます。

 こうした市場とのデリケートな対話を要する政策につきましては、この委員会で中途半端なことをおっしゃることはできないと思いますし、本日時点での御見解としては私はそれで結構でございます。

 五年前、一月の二十二日に、当時の白川総裁と安倍総理は共同声明を公表されました。そして、その三カ月後に、その路線を御就任前から強く主張されておられた黒田総裁を任命されたことが、その後の黒田総裁の御活躍も相まって一定の効果を持ったということは、私は率直なところだと思っております。

 だとすれば、これから五年に一度のそういうタイミングが来るわけですから、ぜひ、次の人事はともかくとして、その前に、黒田総裁と総理が五年ぶりにこのアコードというものをもう一度御議論になって、場合によってはそのバージョンアップということをされた上で四月の人事ということもお考えになるのが、私は、それがどういう方向に向かうにせよ、総理には総理のお考えがあるでしょうから、私のこの提案が全てとは申し上げませんけれども、タイミングとして非常に重要だということを強調させていただきたいというふうに思います。

 時間がございませんので、次のテーマに行かせていただきます。

 次世代の皇室の問題でございます。

 ことし一月の通常国会で、安倍総理は、細野豪志代議士の質問に予算委員会でお答えになりまして、安定的な皇位継承の維持は国家の基本にかかわる極めて重要な問題だと御発言になっております。

 また、六月の皇室典範改正の議論の中で、これは菅長官のお言葉でありますけれども、当時の馬淵代議士の質問に対して、この皇位継承の問題、皇位の安定的継承の問題については、法施行後の具体的な検討に向け適切に対応したい、これは、馬淵さんの法施行前に検討を行うべきだという再質問に対してお答えになったもので、法施行後の検討に向けて適切に対応したいというふうにお答えになっております。

 法施行は今後政令で決まる、皇室会議を経て政令で決まることだと思いますけれども、既に法律自体は公布されているわけであります。

 また、重要な状況の変化として眞子様の御結婚ということが公表されております。これは、国会議員の皆さん、そして国民の皆さんに、大変デリケートなテーマでありますけれども、時間的な切迫感というもの、スケジュール感というものが、静かな議論という名のもとに十分共有されていないということは、私は大変重要な問題だと思っているんです。

 三つのことを短目に申し上げますが、まず一つ、眞子様が来年十一月に御結婚をされますと、皇室典範の十二条及び十五条によりまして、十二条といいますのは皇族の身分を離れるということです、十五条の方は一たび皇族の身分を離れると皇族となることがないという、これは古来のルールを成文化したものだというふうに解説書が出ておりますけれども、こうしたルールがございます。すなわち、今後、女性宮家創設の議論を行ったとしても、もう眞子様は対象となり得ないということが一点目でございます。

 そして二つ目。これも重要なことだと思いますが、お血筋を大変重視する現在の皇室典範の体系、哲学から考えますと、眞子様が皇籍を離脱された後に、では、妹君であられる佳子様、あるいは今上陛下や皇太子殿下とのお血筋ということであれば、少し遠い三笠宮家、高円宮家の女王様方が女性宮家の対象になるのかというと、より近い眞子様が皇籍を離脱された状態でそういう議論になると、これはなかなか国民感情において一定のハードルがある話になってしまうというふうに私は思います。

 そう考えますと、これは大変重要なことですけれども、法施行後に具体的な検討とおっしゃると、法施行というのは、これは来年の五月一日なのかいつなのか、十二月一日に決まると言われていますけれども、それ以降のことになってしまって、それより早く眞子様は御結婚されますので、つまりは、今政府がおっしゃっているタイムスケジュールによりますと、将来の女性宮家創設の議論というのは、事実上、愛子様しか対象となり得ないタイムスケジュールになっているということだと認識してよいのかどうか。

 これは、私は大変恐れ多いことだと思いますけれども、今のスケジュール感ではそういうことになってしまうのではないか。まあ、それがいいとか悪いとか言っているのではありません。そういうタイムスケジュールで議論されているという認識でよいのかどうかということを総理に伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 政府としては、まずは、国民がこぞってことほぐ中で、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位がつつがなく行われるよう、最善を尽くしてまいりたいと思います。

 安定的な皇位の継承を維持することは、国家の基本にかかわる極めて重要な問題であります。男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行うことが必要であります。

 安定的な皇位継承を確保するための諸課題については、本年六月の皇室典範特例法案の審議の際に衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重し、しっかりと対応していきたいと思います。

 女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等に係る問題は、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であります。他方で、そのための方策については、いろいろな考え方、意見があり、国民のコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討と慎重な手続が必要と考えております。

 いずれにせよ、政府としては、衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重し対応してまいりたいと考えております。

津村委員 本日、私は、この件について、今後のスケジュールについて質問通告をさせていただきましたし、これは大変デリケートなテーマですので、これ以上の議論は本日は控えさせていただきますが、大変重要なテーマでございますし、大変時間的に切迫しているテーマだと思いますので、ぜひ与党の皆さん、政府の皆さんにも議論に参加していただきながら、これはしっかりと、この国の極めて重要なことですので、議論を進めさせていただきたいと思います。

 最後に一問、十九歳選挙権の問題について触れさせていただきまして私の質問を終わりますが、こちらにいらっしゃる福島県選出の小熊慎司議員が、御自身の御地元会津地方を中心に、実際に御自身が汗をかいて調べられたテーマでございます。

 総理、今、十九歳の大学生の約二十万人が選挙権について非常に不安定な状態にあるということを御存じでしょうか。実際に選挙権を持っていないという方は、もうちょっと少なくて数千人、あるいは多くても数万人と推測されるんですけれども、しかし、誰もきちんとそれを把握していないんです。

 何が言いたいかといいますと、今、大学進学率は五〇%を超えておりますが、そのうち自宅外通学生、つまり下宿生が四〇%強おります。さらに、下宿生のうちの六割は住民票を実家に置いている。住民票を実家に置いていて、それから離れたところで、つまり下宿していると、これは多くの自治体が選挙人名簿に登録してはいけないというふうに、過去の最高裁判例、これは六十年以上前の最高裁判例。

 当時は新幹線も飛行機もございませんし、確かに、それは田舎から東京に下宿していたら、まあなかなか投票はできないという実態があったでしょうけれども、今は全くそうではありませんが、その時代の判例に基づいて、小さな自治体の方々が一軒一軒、百軒、二百軒、何なら千軒電話をかけて、おたくの息子さん、お嬢さんは今どこに住んでいますかとやって、そして、丁寧に、いや、今は東京の大学でと言ったら、では選挙人名簿から外しますよといって、自分の今いる大学の下宿先、例えば東京、大阪でも投票できないし、実家に帰っても投票できないし、どんなに頑張っても投票ができないという学生が、これは数字が出ていますけれども、多い自治体では数百人。

 全国的に何人かは総務省は把握していないようですけれども、こういう宙ぶらりんな状況が、これから若者の政治参加を進めようというときに、政府の姿勢としてよろしいのか。

 私は、地方自治体にまずはしっかり実態把握を総務省さんがしていただいて、一体どうなっているんだと。

 これは、大都市ですと、そんな一人一人チェックできませんから、もう放置しているわけです。放置している自治体では、要は遠くにいても選挙人名簿に載ったままになっていますから、だから、戻ってくれば投票ができるんです。でも、真面目に調査をした小さい自治体の方々、田舎から都会に出ていった学生さんたち、そういう自治体では、将来帰ってきてほしいから、あえて住民票を残しておいてくれというようなことを言ったりもしているわけですよ。そして、投票権をばっさり切っているわけです。そうすると、十八歳、十九歳、二十の学生さんたちが、さあ、若者の政治参加だと幾ら総理や昭恵夫人が旗を振られても、なかなかそうはならないじゃないですか。

 これは、ぜひ総理、野田さん、またゆっくり話しましょう。これは総理にきちんとお答えいただきたいテーマです。

安倍内閣総理大臣 大変重要なテーマを御指摘いただいたと思います。

 親元を離れた学生が選挙権を失うことなく投票していただくためには、現実に住所を有する市町村に適切に住民票を移していただくことが必要でありまして、総務省において、各選挙管理委員会や高校、大学等とも協力して、適切な住民票の異動などについて、引き続き周知や必要な対応を図っていく考えであります。

津村委員 もう時間ですので終わりますが、選挙権がない若者がいるということがこのままでいいのか、そのことを申し上げているんです。これは政府が対応すればきちんと選挙権を取り戻せるわけですから、投票に行こう、これからの日本の将来を考えよう、そういう若者が投票ができないという状況を一刻も早く是正してください。

 終わります。

河村委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申し出があります。長島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 希望の党の今井雅人でございます。

 午前中の質疑を聞かせていただいていまして、ちょっと驚くべき発言が安倍総理からありましたので、まずその点からお伺いしたいと思います。

 逢坂議員の御指摘のところで、ことしの十月十一日、テレビ朝日の報道ステーション、ここで総理はこういう発言をされています、こういう詐欺を働く人物のつくった学校で、妻が名誉校長を引き受けたことは問題だった、やはりこういう人だからだまされてしまったんだろうと。

 このことに対して総理は、この詐欺を働く人物ということを言った前提は、詐欺の疑いで逮捕、起訴され、今後司法の場で判断されるという前提で話をしたというふうにおっしゃっておられますが、この段階ではこの方は、被告人ではありますけれども犯罪者じゃありません。そして、詐欺を行ったかどうかもここではまだ確定されていません。まだ容疑がかかっている段階の方です。

 この方に対して、通常これは、総理も推定無罪の原則というのは御存じだと思いますが、この段階ではこの方は犯罪者じゃありません。その人に対して、こういう詐欺を働く人物、こうやって断定するのは、これは行政の長としては大変問題があります。この言葉は撤回してください。

安倍内閣総理大臣 御指摘の発言については、その前に、認識ではなくて、述べているんです。籠池さん自体が詐欺で逮捕され、起訴されました、これはまさにこれから司法の場に移っていくんだろうと思いますということを実際に述べているわけでありまして、詐欺容疑で逮捕されたと。

 ですから、詐欺容疑を働いたという嫌疑がかかっている方ということで申し上げたわけでございます。

今井委員 言葉はとても正確に使わなきゃいけませんよ。でしたら、詐欺容疑がかかっている人物というふうに言わなきゃいけないんです。(発言する者あり)いやいや、これは詐欺を働く人物と断定しているじゃないですか。意味が違いますよ、これは。推定無罪の原則から完全に逸脱しています。

 だから、もう一度チャンスを差し上げますので、言い方を変えてください。詐欺を働いた嫌疑がかかっている人物ならわかります。しかし、詐欺を働く人物というのは不適当です。これは撤回していただきたい。

安倍内閣総理大臣 もう一度答弁をさせていただきたいと思います。

 御指摘の発言については、その前に、籠池さん自体が詐欺で逮捕され、起訴されました、これはまさにこれから司法の場に移っていくんだろうと思いますと述べました。こう述べたわけでありますから、当然、聞いていただく方もこれを前提に聞いていただくというふうに思い、私はそう述べているわけであります。

 つまり、詐欺の疑いで逮捕され、起訴された人物であるという趣旨で申し上げたものであり、有罪であるということを前提として申し上げたものではないということは、今、事前に私が申し上げたことを聞いていただければこれは明らか。

 つまり、これはこれから司法の場に移っていくんだろうと思いますということを述べているんですから、これを述べていなければ、いわば、まさに詐欺を働いたということが司法の場においても断定されたということになるんだろう、こう思うわけでございますが、こう述べたわけでございます。

今井委員 総理は法務大臣の任命権があります。法務大臣は司法を監督している、そういう所掌があるわけですね。ですから、これから司法の判断が行われるわけです。そのことに対して、行政府の長が詐欺を働く人物というふうに断定的に言うのが問題だと言っているんですよ。

 言葉はとても正確に使わなければいけません。今まさに御自分でおっしゃったじゃないですか、そういう詐欺を働いた可能性のある方。これから司法で判断されるけれども、この方は無罪になるかもしれないんですよ。有罪が確定しているわけじゃないんです。ですから、詐欺を働く人物というふうに断定的に言うのは適切じゃない。これは法曹関係の皆さんもそう御指摘なさっています。

 ですから、この前提を置いたのであれば、こういうふうに断定的に言うのは整合性がとれないということなんですよ。そういう趣旨で申し上げているんですけれども、もう一度お願いします。

安倍内閣総理大臣 繰り返しになるわけでございますが、御指摘の発言については、その前に、籠池さん自体が詐欺で逮捕され、起訴されました、こう正確に述べているわけでありまして、これはまさにこれから、これからというのはこの後ですね、これから司法の場に移っていくんだろうと思いますということを述べているわけでありまして、まさに容疑者の段階であり、そして容疑者として司法の場で裁かれ、そしてそこで判断が下される、こういうことであります。もちろん、地裁そして高裁、最高裁と進まれるかもしれませんが、そういう手順になって進んでいくんだろう、こういうことであります。

 そういう中において、私は、いわば詐欺を働いたという容疑で逮捕されたのは事実でありますから、そのことを端的に申し上げたわけでありまして、有罪であることを前提に申し上げたものではないということでございまして、今、丁寧に説明をさせていただいているところでございます。

今井委員 これ以上は平行線だから申し上げませんが、これは被告人の段階では無罪か有罪かはわからないわけで、その人に対して、詐欺を働く人物というふうに断定しているのは明らかに問題です。ですから私は指摘させていただいておりますけれども、総理は、そういう意味じゃないとおっしゃるのであれば、それはやはり表現を変えるべきである。変えるべきです。そのことを指摘させていただきたいと思います。こういうことを断定するようなことを言うと、それこそまかり間違えば人権問題になりかねないということなんです。そのことをよく頭に入れておいていただきたいと思います。

 では、次に森友学園の問題なんですけれども、財務省さんはいらっしゃっていますか。いらっしゃっていますね。

 午前中にテープの話がありました。きのうの菅原委員のところでもありましたけれども、実は、先週、私、文科委員会でこのテープのことを聞きましたところ、捜査に影響があるので本人にも聞けませんしお答えもできませんということで軽く突っぱねられたんですが、与党が質問するとこういうものに答えてもらえるんですね。この国会というのはとても不思議なところだなと思いましたけれども。

 それはともかく、そこで、先ほど午前中のところで、四十五分のテープの中で一部聞いていないところがあるということで伺っていました。ここの部分ですね。だから、ゼロ円に近い形で払い下げをしてほしい、本当はね、ゼロ円に極めて近い形やというふうに籠池さんが要求をされ、それに対して財務局の方から、理事長がおっしゃるゼロ円に近い金額まで、私はできるだけ努力する作業を今やっています、だけれども、一億三千万円を下回る金額にはなりません、こういうふうに答えているところは否定はされませんでしたので、ここはこのテープの中にあったということだと思うんですね。

 それで、実は私は佐川今国税庁長官を参考人でお呼びしましたが来ていただけないので大変残念なんですが、平成二十九年三月十五日の財務金融委員会でこうおっしゃっています。「そういう価格につきまして、こちらから提示したこともございませんし、先方から幾らで買いたいといった希望があったこともございません。」と言っています。午前中、この前段があるというふうにおっしゃっていましたが、そこも読みましたけれども、それを読んでも趣旨は全然変わっていません。

 こちらから提示したかどうかというのは、この一億三千万かどうかというのは議論が分かれるかもしれませんので、これは平行線ですからやめますが、少なくとも籠池理事長から、ゼロ円で払い下げをしてほしいという要望があったことは事実です。ということは、先方から幾らで買いたいという希望があったということですね。あったんですよ。そういうことでよろしいですね。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨日の午前中の本予算委員会でも御答弁を申し上げましたが、先方からいろいろな金額についてのお話があったということは申し上げてございます。

 ただ、昨日も申し上げましたとおり、本件の価格の決め方というのは、先方側に地下に埋設するものを見積もるのが困難であるということから、こちら側で予定価格を決定して、それを先方に通知し、それを先方がのまれればそれで決まる、そうでなければ決しないということで、そういう意味での価格交渉がないということで、佐川の、前任の答弁はそういうふうになってございます。

今井委員 まるで質問に答えてくれませんね。

 先方から幾らで買いたいといった希望があったこともございませんというのは間違いですね、先方からゼロ円で払い下げをしてほしいという希望があったというのが事実ですねと聞いているんです。この答弁は間違っていますねということです。端的に答えてくださいよ。

太田政府参考人 御指摘の三月十五日の衆議院の財政金融委員会の答弁は、今ほど委員の御指摘があったところが最後のくだりでございますが、その前段の部分で、三月に新たな埋設物が発見されまして、この深いものは国の瑕疵ということでございますが、そこについて、今まで御答弁申し上げているとおりで、大阪航空局に埋設物の撤去の処分を依頼いたしまして、それを見積もって、それを前提にして私どもは不動産鑑定にかけてございます。それを受けましたのが五月の末でございますが、いずれにしても、そういう価格につきましてということで御答弁を申し上げているということでございます。

今井委員 ですから、この、そういう価格についてというところは、私は、こちらから提示したことはないということは別に言っていないんです。だから、そこは議論が平行線だからしませんと今申し上げたじゃないですか。

 私が問題にしているのは、先方から幾らで買いたいといった希望があったかどうかですよ。ゼロ円で買いたいという希望が出ているじゃないですか。どう見てもそうですよ。これは小学生が読んでもそうしか読めませんよ。先方はゼロ円で買いたいといった希望を出した、そういうことじゃないですか。これぐらい認めたらどうですか。

太田政府参考人 申しわけございません。再三の答弁で恐縮でございますが、今ほど申し上げたように、そういう価格につきましてはということで、予定価格を前提にしてこの三月十五日の答弁はでき上がっているということでございます。

今井委員 いやいや、単純ですよ。先方からゼロ円で買いたいと言われましたとテープに出ているじゃないですか。先方は価格を言ってきているんですよ。ゼロ円近くでと明確に数字を言っているじゃないですか。それを、価格は提示がなかったと言い切るんですか、あなたは。

太田政府参考人 昨日の答弁でも申し上げましたけれども、近畿財務局の職員に確認いたしましたところ、さまざまなやりとりがあって、金額のやりとりがあったということは、きのうも御答弁を申し上げましたが、それは認めております。

 それを前提とした上で、価格ということについては、今の答弁はそういう価格ということを前提に議論させていただいているということを御説明申し上げているということでございます。

今井委員 この答弁を聞いていて納得される方はおられるんですか。

 佐川さんはこのときは、結局、価格はこちらからも事前に提示もしていないし、向こうからも聞いていないとおっしゃったんですよ。そうしたら、そういう交渉をしているというテープが出てきたんじゃないですか。訂正なさればいいじゃないですか、単純に。

 あのとき私が、私も含めて、池田統括官が直接やられたんだから、その方にちゃんと確認をして御答弁してください、本人にまず出てきてもらいたいと言ったら、当時の佐川さんは、私たちがちゃんとヒアリングして答えるので、責任持って答えますとおっしゃったんです。おっしゃいましたよ。

 ヒアリングをした結果、そういう事前交渉はなかったということでこういう答弁をされたんでしょう。ところが、こういうテープが出てきたわけじゃないですか。認められたらいかがですか。もう一度お願いします。

太田政府参考人 もう一度御答弁を申し上げます。

 昨日の答弁の最後のあたりで申し上げましたけれども、近畿財務局の職員に確認した事実関係については、先方とも金額も含めさまざまなやりとりがありまして、答弁の引用のされ方の問題もあろうかとは思いますが、金額についてのやりとりが一切なかったかのように答弁が受けとめられて誤解を招いたとすれば、きのうそこまできちんと申し上げられたかどうか自信はありませんが、それはおわびを申し上げますということでございます。

 その上で、前局長の申し上げた価格ということは、今ほど申し上げている三月十五日の予定価格ということから答弁をさせていただいたものでございます。

今井委員 ちょっとこれはらちが明きませんので。おかしいですよ。

河村委員長 議事録をとめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 改めて、太田理財局長、答弁ください。

太田政府参考人 御答弁申し上げます。

 金額についてはやりとりがございました。金額については申し上げております。

 価格については、先ほど来申し上げている予定価格ということで御答弁を申し上げております。

今井委員 ちょっと、もう涙が出てきちゃった。金額と価格は違うという、そういうロジックなんです。向こうはゼロ円で買いたいと言っているんですから、それは価格じゃないですか。ちょっとあきれました。もうこれ以上やってもしようがないので次に行きますが、金額と価格が違う、これは恐ろしい答弁だと思いますので……(発言する者あり)いやいや、予定価格を幾らにするというときに、ゼロ円にしてほしいという金額を言っているんじゃないですか。同じですよ。同じです、それは。

 では、次に行きますけれども、その上で、会計検査院のやつを読ませていただきました。

 実は、先ほどから会計検査院の報告が出たから真摯に受けとめると皆さんはおっしゃっていますが、会計検査院が指摘していることは、ほぼ、この国会で私たちが指摘してきたことと一〇〇%近い、一緒です。我々が言ったらこうやってだめと言って、会計検査院が指摘すると重く受けとめるとはどういうことなんだ、国会をなめているのかと言わざるを得ません。

 今回の問題は、まず問題は、どれぐらいの量のごみがあったか。ここの三・八メートルのところ、ここにごみがありました。そして、一部、九・九メートルくいを打ったところにもごみがありました。それぞれ一万六千八百トンと二千七百二十トンで、合わせると一万九千五百二十トンです。

 混入率は、いろいろなところをこうやって掘削してみたところの混入率を、一番あったところをとりましたということを説明していたんですが、私たちは、そもそも三・八メートルのところにごみなんかずっとあったのかということをずっと指摘しました。同じことを会計検査院も言っています。九・九メートルまで掘ったところにあると言ったが、一体どこにあったんですか、途中にあったのかもしれませんよねということをずっと指摘しましたが、会計検査院も同じことを言っています。混入率についても、これは四七・一はちょっとおかしいということを言っているわけですね。みんな同じことを言っているんです。

 もう一枚、ちょっと見ていただきたい。私が何度この点を大阪航空局に聞いても答えていただけなかったやつなんですけれども、大阪航空局がごみの根拠に出してくる写真があります。写真を私たちはいただいています。

 これは業者さんからもらったというふうに伺っていますが、五カ所掘っているんですけれども、そのうちの一カ所だけ三・八メートルごみがあったというふうに出てきていて、その三・八メートルのごみの写真はこの三枚ですということを言われているんです。そのうちの一枚の写真です。

 右の方を見ると深さ四メートルと書いてありまして、ごみの層は一メートルから三・八メートル。四メートル掘ったので、三・八メートルまでごみがありました、これが証拠ですというふうに出していただいたんですけれども、よく見てもらうと、写真のところに白いプレートがあります。ここに深さ三メートルと書いてあります。四メートルではありません。三メートルです。

 これは三メートルしか掘っていないんじゃないでしょうかということをずっと聞いているんですが、提供した人に確認してくださいと言ったら、確認できないし、確認する必要もないと、ずっとはねられているんですよ。

 今回、会計検査院も、この三・八メートルの深さまであったという、写真ではそのことが確認できないと、まさに私が言っていることと同じことを指摘しているんです。

 もう一度大阪航空局に伺いますが、この写真は三メートルしか穴がないんでしょうか。いかがですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の看板の深さ三メートルの記載につきましては、写真の公開につきまして工事関係者の了解を得て確認をしておりますけれども、なぜ三メートルというふうになっているかということにつきまして、まだ現時点で御説明をいただけておりません。

 今回御指摘がありましたので引き続き確認を続けたいと思いますけれども、三・八メートルというふうに考えるようになったのは、ほかにも、公開させていただいております写真の一番目と二番目にも、メジャーを差し込んでいる写真もございます。

 この写真には、試掘の穴の中に、一メートルごとの黄色と白色で塗り分けられたメジャーが穴に差し込まれておりまして、数字の読みにくい部分もございますけれども、この白と黄色が一メートルずつの目盛りでございまして、そこの様子から四メートルということが、目盛りの様子から深いところにごみがあるということが確認できるということでございますし、今の報告書の横のところには三・八メートルという文字で書かれた記載もございます。

 また、判断をするに至りましたのは、工事事業者からの説明や職員の現地の確認といったことも含めまして、当時の状況の中であらゆる材料を確認いたしまして、その上で判断をしたということでございます。

今井委員 この三メートルもまだわからないとおっしゃっているんですよ。いかにいいかげんかというのがわかると思いますね。

 そのおっしゃっているメジャーのある写真、皆さんにはお渡ししていませんが、会計検査院の皆さんも、これを見ても三・八メートルだとはわからないとおっしゃっているんです。私も、見てもわかりません、これは。この二枚の写真を重ね合わせて見ても、三・八まで穴があるようにとても見えません。同じことをおっしゃっているんですよ。だから、今の説明は全く説明になっていないということを御指摘させてもらいたいと思います。

 その上で、会計検査院の皆さんの結論、こうおっしゃっています、処分量を求めるための仮定の仕方によって、処分量の推計値は大きく変動する状況となっているという前提のもとで、いずれも大阪航空局が算定した処分量一万九千五百トンと大きく異なるものとなっていたと。

 きのうレクでお伺いしましたけれども、このいずれもとは何を指すかというと、混入率法というのでやると六千百九十六トンごみがあるという結果になる、層厚法というのをとると一万三千九百二十七トンとなる、この二つの間には、大きく推計値で変動しています。しかしながら、どちらの数字をとっても、もともとの一万九千五百二十トンよりははるかに少ない、こういう指摘がなされているわけです。

 金曜日の内閣委員会で菅官房長官がこの前段の部分だけ取り上げて、処分の推計値によって大きく変動するんだから問題ないみたいなことをおっしゃっていましたが、それは大きな間違いで、どちらの推計をとったとしても実際の数字よりはるかに少ない結果になっているということなんですよ。これが会計検査院の出した結果です。

 総理、これをもって、総理は報告を受けてそれを信じたので適正だというふうに思ったと思われますが、今、会計検査院のこの指摘をごらんになって、これはやはり過大であった可能性があるなというふうにお考えになりますか。

安倍内閣総理大臣 既に財務省から答弁をさせているとおりでありまして、会計検査院の御指摘を真摯に受けとめたいと思っております。

今井委員 それであれば、私たち国会議員の指摘も真摯に受けとめてください。このことはずっと私たちは指摘してまいりました。そのことに対してまともに向き合っていただけなかったんです。

 やはり皆さんに指摘したことは会計検査院も指摘されていて、そこも十分真摯に受けとめる、そういうことでよろしいですね、同じ指摘をしているんですから、総理。いや、総理ですよ。済みません、総理の御見解を伺っているんですよ。

石井国務大臣 今般の会計検査院の報告におきましては、仮定の仕方によってはさまざまな試算が可能としまして、平成二十二年の地下構造物状況調査等の既存のデータのみに基づいた見積もりの条件の設定を行うなど、一定の仮定を置いた幾つかの試算、今委員がお示しをいただいた混入率法、層厚法等の試算が示されております。

 このような試算が示されておりますのは、見積もり条件の設定によって処分量が大きく異なるため、より慎重な調査検討が必要であったとの御指摘と受けとめておりますが、一つの適正額が示されているわけではないと理解をしております。

 実際の見積もりは、具体的な前提や状況を踏まえて行う必要がございます。

 当時、大阪航空局の見積もりにつきましては、限られた時間の中で検証、見積もりを報告しなければならないという状況下で、売り主の責任が一切免除されるとの特約を付すことを前提に、その実効性を担保するため、平成二十二年の地下構造物状況調査等の既存の調査で明らかになっていた範囲のみならず、買い主たる工事関係者からの報告や職員による現地確認された結果など、追加の材料も含めた当時の検証可能なあらゆる材料を用いて行われたものでございまして、限られた時間の中、検証、見積もりを報告しなければならないという状況の中で適切な見積もりを行うためにぎりぎりの努力を行ったものというふうに理解をしております。

今井委員 それで、総理、私たちのことは真摯に受けとめていただけますか。ずっと今まで指摘してきたことを会計検査院も指摘しているということを真摯に受けとめていただけますか。

安倍内閣総理大臣 ただいま石井大臣が答弁したとおりでございまして、我々は会計検査院の指摘を真摯に受けとめていきたい、このように考えております。

今井委員 私たちも同じ質問をずっとしてきていることを総理も御存じだと思います、何度もやっていますから、この計算がおかしい、ごみはそんなにあったんじゃないんじゃないかとずっと申し上げてきていますから。だから、それは真摯に受けとめていただけますね。会計検査院の報告と同様、真摯に受けとめていただけますね。

安倍内閣総理大臣 政府としては、独立の機関である会計検査院の指摘を真摯に受けとめてまいりたい、こう思っております。

今井委員 すごいですね。独立した機関のことは真摯に受けとめ、国会、立法府のことは真摯に受けとめないということですか。そういうことですか。

安倍内閣総理大臣 今、今井委員のおっしゃったことを私は言っているわけではございませんで、いわば、我々は会計検査院から政府の支出等についてさまざまな御指摘を受けとめ、いつも我々、その指摘を真摯に受けとめ、次の予算に生かしていくというのが私たちの立場であり、この件についてもそうであるということは申し上げているとおりでございます。

今井委員 私はなぜこのことをこんなにしつこく言うかというと、午前中に、会計検査院が指摘をする前と後では違うとおっしゃったんですよ。前の答弁は、そのときの状況によって答弁したことであり、会計検査院が出た後の答弁とは必ずしも一緒じゃないような答弁をされたので、それは我々がもともとこの国会で指摘してきたじゃないですか。指摘してきたことと会計検査院の言っていることが同じであれば、その時点から答弁はおかしかったということなんですよ。

 佐川さんが、我々は、不動産鑑定士が評価した更地の価格から国土交通省が適切に見積もった撤去費用を差し引いて、まさに時価で売却したという、この適切に見積もったというのが、これが過大だったということなんです。それを、会計検査院が出た後はそういうふうに思うけれども、この前の答弁は間違っていなかったと言うのは、それはちょっと詭弁ですよ。そういうところが丁寧じゃないというふうに言われてしまうわけです。ですから、このことを、我々も国会でずっと同じことを指摘してきましたよということを総理に申し上げているんですね。ぜひそのことをよく考えていただきたいと思います。

 あと、もう時間がありませんので、最後、加計学園もちょっと触れたいんです。いろいろありますけれども、一点だけ。

 設置審の問題とかいろいろ聞きたいことがあるんですが、私は、この問題、きのう、悪魔の証明と言って、加計学園に総理がかかわっていないかを証明することはできないというふうにおっしゃっていましたけれども、この点だけ明らかにしましょう。

 二〇一五年の四月二日、今治市の出張記録の中では、四月二日十五時から十六時三十分、一時間半、獣医学部養成大学の設置に関する協議ということで、首相官邸に行っています。そういう記録が残っています。これは今治市の記録ですが、ことしの八月一日に愛媛の中村知事も、この場に愛媛県の職員もいたというふうに記者におっしゃっています。さらには、加計学園の事務局長、この方も、もう今は口を閉ざしていますけれども、この場に参加していたと言われています。そして、こちら側は、証言では、柳瀬当時首相補佐官、下村元文科大臣もここにいたという報道もあります。報道です。報道なんです。

 ですから、私は、ここをはっきりさせることがこの問題を解決させる一番の方法だと思うんです。

 一時間半も行って、加計学園の皆さんがこの獣医学部のことに関して首相官邸でもし本当に会議をしていたとすれば、総理が直接知っていたかどうかわかりませんが、少なくとも官邸の誰かは知っていたということになります。

 このことを明らかにしてくれと言ったら、今治市は、最初は、気が緩んだのか、黒塗りを出してくれましたが、今は出さなくなりました。そして、愛媛県はこの記録を破棄したと言い出しました。そして、そこに参加していた、誰が参加していたと言っている方に私たちが伺っても、もう貝のように口を閉ざしてしまいました。まるで誰かに何も言うなと言われたようなごとく、誰も何も言わなくなりました。

 ですから、総理、これは、官邸の記録は今ないとおっしゃっていますが、今治市には記録があります。今治市はこれを認可に影響が出るから出せないとずっと言ってきましたが、もう認可はおりました。その影響はありません。愛媛県の職員の人たちも出たということは認めていますから、特定できます。それから、加計学園の事務局長にもこれは聞くことができます。

 柳瀬さんはあの場で、記憶にない、記憶にないと何度もおっしゃいました。会ったことは記憶にない、記憶をたどると会っていないかもしれない、ちょっと微妙な言い方でしたけれども。普通に考えれば、手帳に誰と会ったことぐらいは書いていると思います。

 日本国の政府はこれぐらいのことを明らかにする能力、調査能力がないわけじゃありませんから、ぜひここで、これが事実で、ここで誰と誰が会談をして、どういう会談内容であったか、このことだけ明らかにしてもらいたいんです。そうすれば、これは悪魔の証明じゃありませんからね、こういうことがあって、このことの事実関係を調べてくださいですから、悪魔の証明ではありません。ぜひ、このことを丁寧に説明される。

 先ほども、午前中、聞いていました。総理自身がわからなくても、政府にしっかり説明をさせることが私たちの責任だとおっしゃっていました。総理は最高指揮官ですね。ですから、このことをしっかり調べて、国民にちゃんと明らかにするようにという指示をできると思います。

 私は、レッテル張りとか印象操作とかは余り好きじゃありません。でも、事実関係を一つ一つ明らかにすることはとても大事だと思うんです。ですから、このことをとにかく明らかにしたいんですね。やっていただけないですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、下村文科大臣が会っているかのごとくお話をしておられましたが、そんなことはございませんし、本人も否定しておりますし、報道ということであれば、例えば朝日新聞は、籠池容疑者が言ったことをそのままうのみにして安倍晋三小学校という申請があったということを報道し、この報道をもとに皆さんも質問しておられたのは事実であろう、このように思います。事実の根底が覆るということはあるわけでありますから、そこのところはやはり皆さんも謙虚になっていただきたい、こう思う次第でございます。

 これは今、大切なところですから申し上げているわけでありますが、いわばファクトが全然根本から違っている、ファクトでないにもかかわらず、そういうことがあるんだということを申し上げております。

 その上においてファクトで申し上げますと、私は、平成二十七年四月二日に今治市職員の方とは面会はしておりません。市長とか議長であればともかくでございますが、市の課長が来て私が面会するということは常識的にあり得ないわけでありまして、そんなことはまずないということははっきりと申し上げておきたいと思います。

 その上で、官邸を訪問したかについては、既に萩生田前副長官が国会で答弁をしているとおり、訪問者の記録が保存されておらず確認できなかったと承知をしております。

 そして、柳瀬元総理秘書官についても、さきの閉会中審査において参考人として出席をし、御質問に答弁をさせていただいた、こう承知をしております。

 秘書官について申し上げれば、日々多くの来客を受けると思いますが、私自身が毎日分刻みのスケジュールをこなす中において、秘書官への来客についてまで私が一々報告を受けるということは当然ないわけでありまして、柳瀬元秘書官もさきの閉会中審査でそのように答弁をしております。

 いずれにしても、先般の閉会中審査において、担当大臣も前川次官も、誰一人として私から国家戦略特区における獣医学部新設について何らの指示も受けていないことがもう明らかになっている、このように思います。

 また、愛媛県の文書の開示につきましては、愛媛県が条例に基づいて既に適切に御判断されていることであり、国としてコメントすることはございません。

今井委員 ひどい答弁でしたね。

 私は、安倍総理が出席したなんて一言も言っていません。言っていないですよ、そんなこと。私は、この事実関係を明らかにするように指示してくださいと申し上げただけですから。それを、さも私がここに安倍さんが出ていたというように言っているような印象操作はやめてください、本当に。

 とにかく、こういうことを一つ一つ明らかにすることが丁寧な説明をするということですよ。もう時間が来たからやめますけれども、やはりこの問題は、このままじゃほっておけません。まだ聞きたいこともいっぱいあります。

 委員長、我々は参考人、証人喚問をいろいろ要求しましたが、全部受けてもらえませんでした。そういう方も呼んでいただいて、ぜひこの森友・加計問題の集中審議をやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

河村委員長 理事間で今協議をいたしておるところであります。

今井委員 真相を解明するまで、この問題を追及していきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

河村委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申し出があります。長島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 寛容な改革保守政党、希望の党の五番目、ラストバッターでございます後藤祐一でございます。

 総理、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私は、党で行政改革・情報公開本部長を拝命しておりまして、与党のできない改革、とりわけオープンな行政を目指すという視点から、建設的な提案型の追及を行ってまいりたいと思います。

 きょうは、茨城五区の浅野哲さんがパネル立てを手伝っていただきます。ともに頑張ってまいります。

 まず、ちょっとこれは通告していないんですが、けさの新聞で、NHKの受信料の話がございました。

 野田総務大臣にお伺いしますが、けさの朝日新聞では、「NHKは二十七日までに、来年度からの受信料値下げを見送る方針を固めた。」というふうにされております。これについては、籾井前会長、大変ここの場でも議論がありましたけれども、受信料値下げについてはかなり前向きな態度をとられていたと思いますが、大変残念な状況だと思います。

 剰余金が相当あるというお話もございますが、剰余金があるのであれば視聴者の方に還元すべきだというふうに思いますが、総務大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 質問通告はございませんが、記事については存じております。

 ただ、現状、経営委員会での議論のさなかということで、コメントは控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 これは、これからの経営計画をどう考えるか、あるいは予算の認可、いろいろかかわってくると思いますので、ぜひ視聴者の立場をよく考えて対応していただきたいというふうに思います。

 それと、午前中、我が党の長島昭久政調会長から、安全保障についての議論がございました。その中でも、これは総理にお聞きしたいと思いますが、インド・太平洋戦略ということについて議論がありまして、インド・太平洋を一体として捉えて、特にインドといろいろな関係を深く持っていくこと自体は私も大変すばらしいことだと思いますが、若干の懸念がございます。

 十一月六日に、日米首脳会談の後の記者会見で、このインド・太平洋戦略について、インド洋における海洋秩序の維持強化について日米で協力を強化するという御発言がございました。これは具体的に何を意味するんでしょうか。例えば、ホルムズ海峡における集団的自衛権の行使ですとか、あるいはインド洋における重要影響事態の認定ですとか、こういったものも含まれるんでしょうか。安倍総理にお伺いします。

小野寺国務大臣 委員からの今の御指摘は、自由で開かれたインド太平洋戦略におきまして重要影響事態等の言及があったと思いますので、短く説明をさせていただきます。

 法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序は、国際社会の安定と繁栄の礎であります。特に、インド・太平洋地域は世界人口の半数以上を養う世界の活力の中核でありまして、この地域を自由で開かれた国際公共財とすることにより、地域全体の平和と繁栄を確保していくことが重要だと思っております。このような考えを具現化したのが、自由で開かれたインド太平洋戦略ということになります。

 具体的には、航行の自由、法の支配などの基本的価値の普及、定着、インフラ整備等を通じた連結性の強化などの経済的な繁栄の追求、海洋法執行能力の向上や、防災等を含む平和と安定のための協力を進めていくということであります。

 その上で、同戦略は、重要影響事態の認定や、同事態において自衛隊が実施する活動の範囲に関係するものではないと思っております。

後藤(祐)委員 インド洋の重要影響事態は含まないという答弁だと理解しますが、そういうことであれば少し安心するところでございます。

 我々希望の党は、近くは現実的に、北朝鮮からのミサイルに対しては現実的に対応しなきゃいけないと思いますが、遠くは抑制的に、インド洋まで行って戦争はしない、米国の助太刀はしないというところが大事だと思いますので、このあたりはしっかりこれからも議論をしていきたいと思います。

 もう一つ、憲法改正について、これは総理にお答えいただきたいと思います。

 自民党の中でも憲法改正についての議論が進んでいるようでございますが、残念ながら、地方自治についての議論というのが余り行われているように感じません。

 我々は、憲法調査会の中でもこの地方自治についてまず議論しようではないかという方向で始めておりますが、地方自治に関する憲法の規定は大変古めかしいものとなっていて、地方に任すことができることは地方にできるだけ任せるという、今では当たり前になっているようなことすら憲法に書いておりません。

 ぜひこれも、御党の中でも、あるいは党派を超えて憲法の議論をするのであれば、この地方自治というのは比較的多くの政党、そして多くの国民の御理解が得られる内容だと思いますが、総理にこの点をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 前提として、私、総理大臣としてこの場に立っておりますので、我が党の憲法草案についてコメントは控えさせていただきます。

 しかし、我が党が出している谷垣執行部時代の草案につきましては、二十四年の草案につきましては、議論の過程において、現行憲法における地方自治の記述は薄いのではないかという中において、しっかりと書き込んでいくべきだという、例えば基礎的自治体等々も含めてしっかりと書き込んでいくべきだ等々の議論があり、今、私どもとしては、地方自治についても私たちの草案に書き込んでいるところでございます。

 今般、総選挙の際にお示しをした四項目の中には直接入ってはいないところでございますが、今後、御党等も含めて、憲法審査会の中において、地方自治においても積極的な議論がなされていくことを期待したいと思いますし、御党の提案もなされれば、そうした提案をもとに議論が進んでいくのではないかということも期待したいと思います。

後藤(祐)委員 ぜひ、地方自治についても優先順位を上げて議論していただきたいなと思います。

 それでは、森友学園の話に移っていきたいと思いますが、太田理財局長にお越しいただいております。

 さきに発表されました会計検査院の報告書の八十ページから八十一ページにかけて、こういった記述があります。予定価格を決定するに際して、そもそもごみの価格は議論する必要がなかったんじゃないかと。つまり、住宅として売ってしまえば、何もごみを撤去しなくても、そのまま家を建ててもそれほど問題ないんじゃないかという御指摘がございます。

 この委託を受けた不動産鑑定士は、このようにこの報告書の中で述べております、「最有効使用である住宅分譲に係る事業採算性の観点からは地下埋設物を全て撤去することに合理性を見出し難く、正常価格の概念から逸脱すると考えられること」、あるいは「不動産鑑定評価上、地下埋設物を全て撤去することが合理的であることを保証したものではないとしている。」と。

 つまり、住宅にして売ってしまえばもっと高く売れたんじゃないんですか。あるいは、住宅にした場合に売れるであろう価格、地下埋設物をどけなくてもいい価格で森友学園に売るのであればわかりますが、相当な、八億円の減額をされているわけですから、この価格の決定がおかしかったんじゃないんですか。つまり、売却価格は、住宅分譲の場合の、地下埋設物を撤去しない場合の価格であるべきじゃありませんか、理財局長。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども、国有地の売却につきましては、まず公共あるいは公共用ということを優先に考えて、そちらの方をまず優先的に考えて処理をしております。その上で、そういう御要望がなければ一般競争入札にかけるということで、今委員御指摘のありましたような住宅といったような用途も当然考えられるということだろうと思ってございます。

後藤(祐)委員 公立の小学校をつくるならわかりますよ。私立の学校をつくるんですよ。それを公共用と呼ぶかどうかはともかく、これでも安く売る理由になるんですか、理財局長。

太田政府参考人 社会福祉法人あるいは学校法人といったものは公共用ということで考えてございます。適正な価格で販売しなければならない、売却しなければならないというのはそのとおりでございます。

後藤(祐)委員 驚きましたね。そうしたら、学校をつくりたい人はそれだけ常に安く買えるわけですか。

 だとしても、住宅販売にした場合の価格で売るべきだったんじゃありませんか。幾らにするかというのは、まさに国と森友学園の間の協議で決まる話なんですから、住宅にした場合の価格で売るべきだったんじゃありませんか。優先的に森友学園が買える権利が仮にあったとしても、価格としては住宅の場合の価格で売るべきだったんじゃありませんか。

太田政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、まず公共用ということで進めております。

 本件の場合は、その前に、買い受け前提ということではございますが、貸し付けという行為が既に行われておりまして、それを前提にして次の売却という手続に移っているということでございます。

後藤(祐)委員 つまり、売買予約つきの定期借地契約の形になっていたから高値で売れなかったということですか。

太田政府参考人 売買を前提とした貸し付けということが現実に進んでおって、開校が迫り、そして学校の建物を建設中であったという現実があるということを申し上げてございます。

後藤(祐)委員 そうしますと、借地契約と売買価格は関連しているということでよろしいですか。

太田政府参考人 御質問の趣旨が、私、もう一つよくわかっておらないんですが、いずれにせよ、買い受け前提で借地をしておって、そこで学校の建設がされているという現実を前提にお話を申し上げているということでございます。

後藤(祐)委員 総理にお伺いしたいと思いますが、これは非常に重要なんです。つまり、森友学園がその土地を借りていた、将来買い受けるという特約がついていた、そして、森友学園に将来売ることになっているから住宅販売にはできない、だから、ごみを撤去する費用がかかって、結果として安く売らざるを得なくなった。つまり、売却価格にも影響を与えているんですよね、この賃貸借が。

 総理に聞きます。

 籠池氏は安倍昭恵夫人に封書を送っていますよね。その後、安倍昭恵夫人付の谷査恵子さんが籠池氏にファクスを送っていらっしゃいますね。このファクスの中に、「先日は、小学校敷地に関する国有地の売買予約付定期借地契約に関して、資料を頂戴し、誠にありがとうございました。」と書いてあります。また、「時間がかかってしまい申し訳ございませんが、財務省本省に問い合わせ、国有財産審理室長から回答を得ました。」と書いてあります。

 つまり、きょうの午前中も安倍総理は、売買そのものについては安倍昭恵夫人は関係していないというような趣旨の御答弁をされておられましたけれども、この賃貸借契約のところについては、そして、このファクスの中に明確に書いてありますけれども、国有地の売買予約つき定期借地契約に関しては関係していたんではありませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 夫人付からのファクスの件については、念のため申し上げますが、国有地売却の議論がなされる前の貸し付けの段階の話でありまして、これは半年前の話でございまして、売買とはかかわりがないということはまず申し上げておきたいと思います。

 そして、まず事実を申し上げれば、私の妻は、籠池氏から何度か留守番電話に短いメッセージをいただいたが、土地の契約に関して、十年かどうかといった具体的な内容については全く聞いておらず、そしてまた、私の妻に対してではなくて夫人付に対して、十月二十六日消印、これは平成二十七年ですね、十月二十六日の消印の問い合わせの書面が送られたところでありまして、この書面に対して夫人付からファクスにて籠池氏側に、これをちょっと読みますと、時間がかかってしまいまして申しわけございませんでしたが、財務省に問い合わせて、国有財産審理室長から回答を得ました、大変恐縮ながら、国側の事情もあり、現状では御希望に沿うことができないようでございますがということを述べているわけでございまして、これはまさにきっぱりとお断りを、丁寧な言葉は使っておりますが、きっぱりとお断りをしたと承知をしております。

 つまり、これは全くのゼロ回答であったわけでございまして、また回答内容については、財務省に問い合わせを行った結果として夫人付が作成したものであり、法令や契約に基づく対応を説明したものであります。国有財産に関する問い合わせに対する一般的な内容であって、仮に籠池氏側から財務省に対して直接問い合わせがあったとしても同様に答える内容であると承知をしているところであります。

 なお、妻は、あくまで夫人付から回答を送る旨の事前の報告を受けただけでありまして、要望に沿うことはできないとお断りの回答をする内容だったと記憶していると言っているわけでございます。

後藤(祐)委員 今の御答弁は午前中の逢坂議員に対する答弁と同じですが、私が申し上げているのは、国有地の売買予約つき定期借地契約、つまり借地の話と売買価格の話は関連しているんですよ。それを切り離して、売買については関係ないけれども、借地のところ、借地契約の話についてはファクスが行き交った、だからそれは別ですみたいな説明をされていますが、これは関連しているんですよ。

 少なくとも、関係していたんではありませんか。その国有地の売買予約つき定期借地契約に関して安倍昭恵夫人は関係していたんではありませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、これは、ごみが見つかったのは半年後でございまして、いわばごみが見つかった中においての交渉が行われているわけでありますが、これは半年前の話でございますから、そもそもごみとは全くかかわりが、見つかっていないわけでありますから全くかかわりがないわけでありまして、しかも、問い合わせにおいては、これはまさに、先ほど申し上げましたように、一般的な内容を問い合わせをしたわけでございます。

 そして、さらにそれはゼロ回答。いわばこれは、どうなっているかということについて法令や契約に基づく対応を説明したものでございまして、一般的な問い合わせでありまして、籠池氏本人が問い合わせをした際に得られる回答と同じものが返ってきたということであります。

 ですから、それを、この買い取り、売買そのものとかかわりがあるというのは、これは余りにも強引な議論ではないか、このように思います。

後藤(祐)委員 関係あるんですよ。この賃貸借契約の中で、ほかの人には売れない契約になっていて、しかも住宅にすれば高く売れたんですから、関係あるんですよ、先ほど局長が答弁したように。だから聞いているんですよ。

 このファクスの中にも、例えば国有財産有償貸付合意書という契約書があって、その第六条に基づいて、撤去に要した費用は買い受けの際に考慮されると書いてあるんですね。関係しているじゃないですか、総理。ファクスの中ですら関係しているんですよ。

 また、このファクス以外でも、安倍昭恵夫人がこの売買予約つき定期借地契約に関係していた面はほかにありませんか、総理。総理に聞いています。これは安倍昭恵さんのことですよ。安倍昭恵さんのことを聞いているんですよ。

太田政府参考人 貸し付けの際の契約は、私ども、森友学園側ときちんとルールにのっとって契約をしておるということでございます。

後藤(祐)委員 それに関連して安倍昭恵夫人が、籠池氏、あるいは谷査恵子氏を通じてかもしれませんが、何らか関係していたことがあるんじゃありませんか、このファクスに書いてあること以外にも。総理にお伺いします。総理にしかわかりませんよ。総理、お答えください。

安倍内閣総理大臣 今の御質問でありますが、谷夫人付のファクス以外に何か関係しているかということでありますか、売買に。(後藤(祐)委員「いえ、売買ではありません」と呼ぶ)貸し付けにですか。(後藤(祐)委員「定期借地契約に関してです」と呼ぶ)それ以外についてはかかわりはないということははっきりと申し上げておきたいと思います。

後藤(祐)委員 ただ、借地契約の段階ではかなりやりとりがあるんですよ、その留守電に何が入っていたかとか。売買の段階では、時間がたっているからそういうことかもしれませんが、それは安倍昭恵夫人に本当に確認されたんですか。

 このファクスに至るプロセスにおいて、谷さんを通じていろいろなことがあったのかもしれませんし、あるいは直接携帯に何か入っていたかもしれませんし、この賃貸借契約のところに関して安倍昭恵夫人が何か関係していたかどうか、本当に御夫人に御確認されて今答弁されておられますか。

安倍内閣総理大臣 これは明確に申し上げておきたいと思いますが、私の妻が籠池さんから話を聞いて例えば理財局に問い合わせをするということはまずあり得ないですから、そんなことは。

 もちろん本人にも聞いておりますが、それは全くないわけでありまして、例えば私の代理で地元によく行くことがございますが、そこでさまざまな陳情を受けるわけでありますが、それを、私の妻が直接役所に行って何かするということは基本的にないわけでありまして、それは必ず私に言うか、あるいは事務所に相談するかということでありまして、そこは明確に申し上げておきたい、こう思うわけでございます。

 また、留守電に入っていたということについては、留守電に入っていたのを事実上それはもうほっておいたわけでございまして、何回も籠池さんから定期借地契約について何らか携帯へ電話をいただき、留守電だったのでメッセージを残したとの話が、これは妻が既に述べていることでありまして、定期借地契約について、何らか私、私というのは昭恵でありますが、私の携帯へ電話をいただき、留守電だったのでメッセージを残したとのお話がありました、籠池さんから何度か短いメッセージをいただいた記憶はありますが、土地の契約に関して、十年かどうかとかいった具体的な内容については全く聞いておりませんということでございます。

後藤(祐)委員 かなり自由奔放に行動される奥様でございますから、総理が把握されていない行動もいろいろあるかもしれませんよね。

 やはりこれはこの場にお越しいただいて確認しないと、これは賃貸借契約のところまで広がるとなると、かなり親しくされているときに、いろいろなやりとりも多いときに、携帯に留守電が何度も残るような関係のときに起きたことですから、それはやはりこの場で証人喚問としてお越しいただくべきだと考えますが、委員長、お取り計らいをいただきたいと思います。

河村委員長 理事間で協議をさせていただきます。

後藤(祐)委員 次に、三月二十三日に籠池氏に対する証人喚問がございました。そのときに、百万円を寄附金として、封筒に入った百万円を下さったという発言を籠池氏がなさっておられましたけれども、昭恵夫人は全く覚えていないというふうにおっしゃっておるようですが、私たちには大変名誉な話なので鮮明に覚えておりますと籠池氏は証人喚問の場で証言をされました。

 これが虚偽であれば罰せられるわけですが、これは本当ですか、虚偽ですか、総理。

安倍内閣総理大臣 そんな事実はございません。

 ちなみに、そのときの百万円を返すといって籠池氏が私の自宅を訪れたそうでございますが、そのとき百万円の束を見せたんですが、実は中身は、九十八万円は白紙だったようでございまして、表紙と、表だけが一万円札であったということだそうであります。

 それを返しに来たのであれば二万円だったことになってしまうわけでありまして、そもそもそれは、この方の、籠池容疑者のいわば証言について、私どもは、私も妻も全くそんな事実はないということははっきりと申し上げておきたい、このように思う次第でございます。

後藤(祐)委員 菅原筆頭理事もそう思いますか。

 では、偽証罪として告発すべきじゃありませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 偽証罪として告発するのは、これは政府の立場で告発するということではないと思っております。

後藤(祐)委員 そのとおりです。これは議院証言法で。ですが、総理は、この百万円は正しくないとはっきり言いました。この場ではっきり言いました。そして、皆さんが笑っておられました、そのとおりだという顔で。理事の皆様方、そうおっしゃっておられました。

 委員長にお願いします。

 議院証言法第八条では、各議院もしくは委員会は、証人が前二条の罪を犯したものと認めたとき、つまり虚偽の陳述をしたときは告発しなければならないとされているんですね。告発するには出席委員の三分の二以上の多数による議決を要するということでございますので、告発するかしないかについて委員会で御議論いただくようお願いいたします。

河村委員長 理事間で協議をさせていただきます。

後藤(祐)委員 それでは、次に行きたいと思います。

 この森友事件を通じて、やはり国会による行政の監視というのがいかに大事か、もちろん会計検査院も大事なんですが、国会による行政がいかに大事かということを三つに分けてお話ししたいと思います。

 まず、今回、この八億円値引きも含めた額の算定に際して、通常の手続であれば評価調書というものをつくらなきゃいけないんですね。ところが、これを失念していた。これが法令違反なのかどうかというのは微妙なんですね。この論点が一つ。

 これから先の話になるかもしれませんが、やはりこれではまずいということで、我々は公文書管理法を改正すべきだと思っています。政府側は、法改正までやるのかどうか後で聞きたいと思いますが、ガイドラインの改正というものを案として出しておられました。これについて議論したいと思います。

 また、一つ大きな証拠として残っているのは電子媒体なんですね。これも実は財務本省、ございますから、このあたりについて聞いていきたいと思います。

 まず、一つ目の、評価調書というものは、これはつくらなきゃいけないということになっているんですね。ところが、国有財産を売るときは国有財産評価基準というものに基づいて評価調書をつくって額を定めることになるんですが、この評価調書の作成を失念していたわけです。

 ところが、実際の数字というのは、もともとごみが埋まっていなかったら九億五千六百万、ごみ撤去額を差し引くと一億三千四百万になった、こういう説明がございました。この適正性については甚だ疑問だとは思いますが、その数字をつくり上げることはしたわけです。その数字をつくり上げる根拠というのが評価調書なんですよ。その数字をつくり上げる式みたいなものはあるのに、それを評価調書にしなかったのはなぜですか。これは通告しています。財務大臣、お願いします。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御質問でお話しいただきましたように、この算定方法については、地下埋設物の撤去費用を控除して売却価格を算定するということにいたしました。これは、近畿財務局という私どもの組織と、別の組織である大阪航空局と協議、調整を行って決まったものでございまして、近畿財務局という組織での意思決定はきちんとされていたというふうには思ってございます。

 ただ、評価価格決定の際に、評価内容を明らかにするためにつくらなければいけない評価調書をつくることを失念して、忘れておりました。これは大変申しわけないと思ってございます。心よりおわびを申し上げます。

後藤(祐)委員 その答弁はさっき聞いたんですよ。何で評価調書をつくらなかったのかについて聞いているんです。おわびを求めているのではありません。

 恐らく、こういうことじゃないかと思うんです。実は、評価調書というのは決裁文書というものに入れることになっているんですね、通常ですと。この決裁文書は保存期間が三十年なんです。保存しなきゃいけない。ところが、この評価調書というのは、一年未満だから、捨てられちゃうわけですね。もともとつくっていないかもしれない。つまり、そのごまかしができるようにするために、失念したという言い方でもって、本当は評価調書をつくるだけの数字はあったのに、あえてつくらなかったんじゃありませんか、局長。

太田政府参考人 今委員御指摘のようなことはございません。

 残念ながら、私ども近畿財務局、全国の財務局の中で近畿財務局だけ評価調書を失念してつくっていなかった例が残念ながら複数回ございます。そういう意味では、私どもの事務処理として大変申しわけないと思っておりますが、今委員が御指摘になられたような、そういうことはございません。

後藤(祐)委員 どなたか責任をとるべきじゃありませんか。評価調書の作成を失念していたというのは、これは法律違反なんじゃないんですか。違法なんじゃないんですか。懲戒処分にすべきなんじゃないんですか、場合によっては。あるいは、もっと責任のある立場の方が責任をとる。何らかの形で責任をとるべきではありませんか。

 これは財務大臣にお願いします。財務大臣が懲戒権者でもありますし、これは通告していますから。きょうはもともと、局長には来ていただかないで、財務大臣に全部答えていただこうと思ったんです。ですが、どうしてもというので、局長にお願いするときはいいですよと言ったんですから。大臣、お願いします。通告しています、これは。

麻生国務大臣 今お話しになっていた評価の調書につきましては、これは国有財産の評価基準という内規に基づいて作成されているものでして、その作成を失念したということについては、これは調査報告でも法令違反とは指摘されていないものと承知をしております。

 また、国有財産の売却に係る決裁文書につきましては、しかるべき文書に関する規定は存在しておりませんのは御存じのとおりですが、会計検査院からの指摘を踏まえて、評価調書の作成の徹底を図るというので行政文書のより適切な管理に今後とも努めてまいりたいと思いますが、今の段階で、この問題に関して処分をするということを考えているわけではありません。

後藤(祐)委員 二つ問題があるんです。

 まず、これだけずさんな手続をしているのに、これが法令違反でないというのはおかしくありませんか。この国有財産評価基準と国有財産法の間、点々点々で結ばれています。これは法律に根拠、基づく基準じゃないんですね、どうも御説明を聞くと。つまり、だから法令違反ではないと言い張っているんです。だから処分も必要ないと言っているんです。そうしたら、この国有財産評価基準に基づかないで計算をしたって何にも罰せられない、懲戒も受けない。こんなので行政ができるんですか。

 今度、財務省として新しくいろいろなものを変えましょうという提案が出てきていますが、財務大臣、まず、この国有財産評価基準を国有財産法に位置づけて、国有財産を売るときには、例えば政令で定める国有財産評価基準に基づいて算出した価格で売らなきゃいけないとか、法律できちっと書くべきなんですよ。ここが点々点々であるうちは、誰も責任とらないと思いますよ。財務大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 今のお話ですけれども、評価調書の作成という手続の一部を失念したというものでありまして、会計検査院からの指摘を踏まえて、今後、評価調書の作成というものの徹底を図ってまいりますとともに、行政文書のより適切な管理というものに努めてまいりたいと考えておりますが、今申し上げましたように、法令違反とは指摘されていないと承知をしております。

後藤(祐)委員 ここを変えないと、結局ざる法は変わらないんです。

 次に行きますが、公文書管理法の改正案を我々は考えておりますし、これは、あそこに青柳陽一郎議員がおりますが、立憲民主党も青柳議員を中心に考えておるようでございますし、野党はかなり共通して、公文書管理法の改正あるいは情報公開法の改正、これは力を合わせてやっていこうじゃないかという議論をさせていただいているところですが、政府側はガイドラインの改正で済ませるのかどうか。今お考えのようでございますが、このガイドラインの案が今示されています。

 今回の会計検査院の報告書の中でも、例えばきょう午前中もテーマになりました録音データ、これを文字にしたものがあるのかないのかわかりませんが、この協議記録みたいなものは、保存期間、もしつくられていたとしても一年未満ですし、そもそも作成義務があるかもよくわからない。

 こういったところを改めなきゃいけないんですが、このガイドラインの案で見ますと、意思決定に与える影響が極めて小さくとか、一年未満と設定することが適当とか、こんな現場でいかようにも判断できちゃうようなガイドライン、こんなのじゃ守るわけないんですよ。ですから、こういった協議記録は一年以上にしなきゃいけないとか、義務が直接かかるような形で法律をつくるべきだと我々は考えます。

 また、先ほどの谷査恵子、安倍昭恵夫人付のファクスの話がございました。これは行政文書かという議論がかなり通常国会でありましたが、行政文書じゃないというお話がありました。個人メモですと。いつも個人メモというので逃げるんですね。大事なものほど個人メモにして、そうすると情報公開請求の対象でもなくなっちゃうんですね。

 そこが何でひっかかっているかというと、どのような文書が組織的に用いるものとして行政文書に該当するかは云々とガイドラインを改めるとなっていますが、結局、組織的に用いるものという定義が公文書管理法の中で行政文書の定義としてはまっている限りにおいて、大事なものほど個人文書にしちゃうんです。組織的に用いていないと言いわけしちゃうんです。

 我々は、この組織的に用いるものという要件を外して、行政の執行のために使うようなものについては、それはもう全て行政文書だという形での法改正案を民進党時代にも出しましたし、今提出しようとしている法案の中でも考えています。これが二つ目です。

 それと、三つ目は議事録の作成についてですが、きょうは加計問題はできませんでしたが、これまで話題になっている加計問題についてのワーキンググループ、二十七年六月五日、この議事録と議事要旨というので、実は内容が全然違ってしまっています。配付資料の中にあるので御確認いただきたいと思いますが、政府は、議事要旨という言葉で内容をゆがめて、公開したふりをしています。

 ですから、こういった審議会的なものについては全て逐語的な議事録を、作成義務を課すべきじゃないかと我々は考えます。

 ところが、政府側から出てきているこのガイドラインの案では、国務大臣を構成員とする会議とか省議とか、歴史的緊急事態に対応する会議とか、かなり位の高いものだけに限定して議事録をつくると。これでは加計問題のワーキンググループの議事録は出てこないんですよ。

 このあたりを我々は少なくとも公文書法の改正で対応しなきゃいけないと思っておりますが、きのう、公文書管理法の改正も含め検討するという答弁を一度総理はされているような気がするんです。

 以上の我々としての提案をさせていただきましたが、この森友あるいは加計問題、あるいは通常国会ではPKOの日報の問題もありました。公文書管理法あるいは情報公開法、これについて、特に公文書管理法の改正案をこういった提案を踏まえて出すべきだと思いますが、総理の見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 公文書管理については、さまざまな御指摘をいただいたことも踏まえ、国民への説明責任を全うするという公文書管理法の趣旨をより一層徹底し、公文書管理制度に対する国民の信頼をより一層高いものとするよう、行政文書の作成、保存に関する基準の明確化、文書の正確性の確保等を内容とする行政文書の管理に関するガイドラインの改正を年内に行うこととしています。

 この点、国有地の管理、処分に係る行政文書の管理については、こうした公文書管理法のガイドラインの見直し等を踏まえ、必要な措置を講ずることとの会計検査院の御指摘を真摯に受けとめ、決裁文書の内容を充実させることを含め、国有財産の管理、処分に係る経緯等について合理的な跡づけや検証をより確実なものとするという方針で財務省等にしっかり対応させることとしたいと思います。

 また、公文書を扱う職員一人一人の意識をより一層高めていくことも重要であることから、各府省職員向けの研修の充実等を図るなど、公文書管理の質を高めるための取り組みを進めてまいりたいと思います。

 こうした取り組みを不断に行う中で、制度の見直しの必要があれば、公文書管理法改正も含めて検討してまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 最後に公文書管理法の改正も含めと言っていただけたことは、大変な前進だと思います。

 ぜひここは、お互い切磋琢磨しながら、いいものになるようにしたいと思いますが、財務省のところについては、国有財産評価基準をどれだけ内容的に改めても、ここが点々々だったら守れやしないんですから、ここを法律に位置づけることも含めて対応いただくようお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて長島君、井出君、津村君、今井君、後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 無所属の会の原口一博です。党は民進党ということで。

 きょうは、総理、それから日銀総裁初め皆さんに質問をしたいと思います。

 そこで、まず日銀総裁に伺います。

 お手元の資料をごらんになってください。

 先ほど、今後、長期金利が一%上昇した場合、二十四・六兆円のマイナスだということでございますが、他方、日本銀行は多額のETFを買い入れていますね。もうじき数字が出てくると思いますが、もう二十一兆円近くになっているんじゃないかと思います。こういうことをやっている中央銀行というのはほかにあるのか。

 それから、黒田総裁に伺いたいのは、ECB、FRBと比べても、対GDP比のバランスシートの大きさ、日本銀行がずば抜けて大きいですね。これが果たして持続可能なのか。

 二点について日銀総裁に伺います。

黒田参考人 まず、第一点についてお答えいたします。

 現時点で、主要先進国の中央銀行でETFのようなものを買い入れているところはないと思います。かつて買い入れた例があったとは思いますが、今の時点ではございません。

 それから、二番目の点は、確かに、日本銀行のバランスシートは対GDP比で欧州中央銀行あるいはFRBに比べてもかなり大きな規模になっているということはそのとおりでございます。

 これは、十五年続いたデフレをどうやって脱却していくかという中で大幅な金融緩和をしてきたということの結果であるとは思いますけれども、バランスシートの将来における処理というか、それについては十分慎重に考えていきたいと思っております。

原口委員 お答えいただいたように、日銀がGDP比九四・一%、それからFRBが二三・一%ですから、実に四倍を超えていますね。それから、ECBが三八・九、だから二倍近いという状況であります。

 この絵がまさに日銀の当座預金残高でございまして、この中でマイナス金利を入れて、そして金融緩和を進めている。

 他方、諸外国の中央銀行が利上げを進める中で、日本でもいずれはやはり超低金利政策というのは終えんし、金利が上昇していく局面に来ないとも限らない。

 特に、私が懸念しているのは、総理、アメリカの三カ月物の金利、三年前が〇・一だったものが、優良なところでも今一・二、つまり十二倍にもなっている。そうすると、超低金利を前提に経営をやっていた人たち、〇・一が〇・二になったら、その返済は倍になるわけです。これは塗炭の苦しみなわけでございまして、その中でも、特に、私たちは、財政の健全性、こういう国債を日銀が大量に保有するということがいつまでも続くかどうかということについては、慎重に考えておかなきゃいかぬというふうに思っていますが、総理の御所見を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日本銀行との間においては、二%の物価安定目標という目標に向かって、デフレ脱却に向けて政策を遂行していただきたい、こう思っているわけであります。その中で金融緩和政策をとっているわけでございますが、国債の買い入れ等々については、これは日銀が手段として選択をするわけでございますので、これは日本銀行にお任せをしているわけでございまして、また、私は黒田総裁を信頼しているところでございます。

原口委員 ただ、ETF等の買い入れを通じて日銀が多くの企業の最大の株主になっている、こういう状況は、いかにも市場をゆがめてしまう、その危険もあるんじゃないかというふうに思います。

 今、世界的に、ブロックチェーンであるとか、あるいはビットコインであるとか、新たなニューワールドオーダー、通貨のオーダーをとりに行く状況の中で、脆弱性というのは極力減らしていかなきゃいかぬのではないかということを指摘して、次の質問に行きたいと思います。

 きょうは、命を守るということをテーマに総理と議論をさせていただきたいと思います。

 まず、お礼を申し上げたいと思います。

 ちょうど一年前の今ごろ、私は難病を公表しまして、闘病をしておりました。お手元の資料の二に、びっくりしました、総理からメッセージをいただきました。「政治家としての難病の告白は難しい決断ですが、頑張る原口さんの姿に難病に苦しむ多くの人たちもきっと勇気づけられると思います。御回復をお祈りします。」と。

 この総理のメッセージを、私、病室に張っておきました、大きく。そうしたら、病院の皆さんも、あるいは闘病の皆さんも、すごく勇気づけられました。本当にありがとうございます。難病をはねのけても、いろいろなことができるんだと。

 総理も、ここでおわびをしなきゃいけませんが、一次内閣を終えられるときに、当時の野党からも心ない言葉がございました。私もその政党、野党におった立場として、やはり、自分で変えられないことに対して差別的な発言をするというのは絶対に控えなきゃいかぬ、それこそ最もひきょうなことであるというふうに思います。

 今回の総選挙でも、やはり、難病を公表しましたので、いろいろな話がありました。人からお世話をされているような代議士に人のお世話なんかできるのかというような差別にも遭いました。

 しかし、私たちが、総理も公表されているんですかね、頑張ることによって、多くの難病に苦しむ人たちの勇気となりたいと思っています。

 そこで、お尋ねですけれども、やはり、難病の数は非常に多いです。しかし、指定難病はまだ限られています。そして、その研究費も、大分多くなってきましたけれども、まだまだ少ないがために、難病の認定そのものも苦しんでいるという状況でございます。総理の難病政策にかける思いを御開陳いただければというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 原口議員は我々自民党にとって手ごわい相手でございますが、しかし、難病を克服してさらに活躍をしていただきたいと思います。

 難病については、難病に対する社会の理解も深めつつ、難病患者の方々が長期にわたり療養生活を送りながら尊厳を持って安心して暮らせるよう、総合的な対策を進めることが重要と認識をしております。

 安倍内閣において、医療費助成の対象となる疾病を五十六疾病から三百三十疾病まで拡大をしました。あわせて、調査研究によって、診断基準、診療ガイドラインの作成や改訂も行ってまいりました。また、難病の治療方法の開発等に役立てるため、診断書の内容を集積したデータベースの構築を進めています。さらに、早期診断に向けた医療提供体制の整備や、就学、就労と治療の両立支援などに取り組んでまいります。

 難病と呼ばれるものは、患者さんの数がそれぞれ少ないわけでありまして、同時にまた理解も余りないものでありますから、いわば会社等を長期に休まざるを得なくなってもなかなか説明が難しい場合もありますし、また、そういう目で見られることを恐れてなかなかそれ自体を表に出せないという形で悩んでいる方も多いと思いますので、そういう意味におきましても、偏見を減らし、そして、患者さん同士がネットワークを持って、お互い同じ悩みを持つ方々が励まし合える状況をつくっていくことも大切だろうと思います。

 これは、原口さんにとっても私にとっても、難病対策はライフワークであると考えておりますので、今後とも、これらの取り組みを通じて、難病患者の方々が安心して暮らせるように、対策の強化にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

原口委員 ありがとうございます。丁寧に御答弁いただきました。

 私、病室で見ていても、この予算委員会の議論、正直、命のボーダーを行っているときはつらかったです。お互いが非常に激しい言葉で応酬をする。このテレビをごらんになっている方々の中にも、いろいろな困難を乗り越えようという方々がおられる。だから、そこでやはり一番大事なことは、真心と思いやり、温かく、明るいことなんじゃないか、政治に今まで欠けてきたことや私たちが心がけなきゃいけないことは、ぬくもりではないかと思います。

 それで、二の資料をごらんいただくと、今総理がおっしゃったように、データを活用する。

 ICTを活用したかかりつけ医機能強化事業というのも、この日本でも始まっていますし、世界的にもやはり、たくさんの人を病院に集めて、そしてそこで治療をするというモデルがもう結構厳しい。高齢化をしているので、実際に病院に行きたくても通院ができない。あるいは、患者、家族、介護者が安心してケアができる。

 リハビリという言葉は、リ・ハビリス。ハビリスというのは、自分らしさという意味だそうです。昨年の今ごろ、私は、ここに立つということは、もう夢のまた夢でした。しかし、自分自身を、リ・ハビリス、取り戻すということをたくさんの皆さんに助けていただいた。その恩返しをしたいと思って、今回の総選挙を戦いました。

 ぜひ、こういう新しい医療モデルについても力を入れていただきたいし、そして、その下をごらんになってください。日本の強み。世界の創業二百年以上の企業で、大体それが八千社あるんですけれども、その八千社のうちの実に三千九百七十三社が日本の企業。その日本の企業はどういう企業かというと、持続可能性を大事にする、社員を大事にする、地域を大事にする、もう当たり前のことですね。だから、この三十年間、新自由主義、新保守主義で荒れたその社会を私たちは変えていくのが使命であるというふうに思います。

 さて、先ほど手ごわいとおっしゃったんですが、きょうは余り手ごわくないかもわからないんですが、ちょっとFMSについて総理に伺います。

 フォーリン・ミリタリー・セールスというんですが、やはり日本を守るためにはしっかりとした安全保障をする必要がある。トランプ大統領が日本の空の上を飛ぶミサイルを迎撃せよと言われたということですが、本当でしょうか。きょう、そのことを確認する時間はありませんけれども、私は、法的にもちゃんと詰めておかなきゃいけないし、また、横田基地に真っすぐ来る大統領、私はそれを見て、笑っていられないということをまずお伝えして、このFMSについて。

 きょう、会計検査院長もお見えでございます。

 これは毎回言ってきていて、昔、二十年前は、三千八百億円ぐらいお金を払っているけれども日本に武器が来ていないという状況がありました。

 これをごらんになってください。安倍内閣になってから、このFMSは物すごくふえているんです。私たちの政権のときも五百億ぐらいありました。それが今や、四千八百億あるいは四千八百五十八億。まあ、平成二十九年は三千五百九十六、これはイージスがのいたからだと思うんですが。この状況の中で、その下をごらんになってください、未精算、未納入額がこんなにもあるんです。未精算、未納入額、お金を払っているけれども来ていない、あるいは番号が合わない。

 今回、会計検査院は、七百億近い番号が合わないということについて指摘をしたと思いますが、院長、概要を簡単に教えてください。

河戸会計検査院長 防衛装備庁等がアメリカ合衆国政府から防衛装備品等を調達するFMS調達におきまして、受領検査における防衛装備品のふぐあい十二件三千百九十四万円及び計算書の誤り十九件千三百九十一万円に対する是正措置の要求を合衆国政府に対して速やかに行っておらず、当該要求が合衆国政府から却下されている事態、六十四契約の契約額約六百七十一億円について、計算書と受領検査調書との照合に当たり、その過程や結果に関する記録及び保存を行っていなかったり、極めて多くの記載内容が一致していなかったりしていた事態が見受けられました。

 そのため、防衛装備庁に対して、是正措置の要求を速やかに行うことを周知徹底するよう是正改善の処置を求め、また、照合の過程や結果を書面等に記録及び保存するとともに、記載内容が一致していない根本的な原因を調査し、適切な照合を行うための効果的な方策について検討するよう意見を表示したものでございます。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

原口委員 今、総理、お聞きになったとおりです。これは何年も何年も続いているみたいなんですよ。

 つまり、この間、去年の今ごろですか、DOD、アメリカのペンタゴンの使途不明金が幾らでしたか。五・八兆ドルとかいう、それは間違いの数字じゃないかと。五・八に百を掛けたら、すごい数字ですよね。番号が合わなければ、その兵器はどこへ行っているのか。横流しだって可能じゃないか。

 今、北朝鮮は非常に厳しい状況と言っていますが、ISは掃討されていますけれども、何であのISは砂漠の中であんな武器を持っているのか。北朝鮮は、日本でいうと大体小さな県ぐらいのGDPしかないのに、なぜあんなミサイルを開発できるのか。私は、その根本的な問いに答えなければならぬというふうに思います。

 こういう兵器をたくさん買っている一方で、では、私たちの一番大事な、今ある脅威に対してどのように対応しているか。

 これは、nicterという、サイバー攻撃を可視化したものであります。きのう、総務省から出してもらったものであります。やはり陸、海、空、宇宙からサイバーに、総理、攻撃が変わってきていると思うんですね。では、そのサイバーに対する備えはどうかというと、NICTの予算もほとんど物件費でふえている、いや、やっとこさふやしているという状況です。

 オスプレイ一機が大体、整備費やマニュアル費まで入れると二百億ですよ。この間、イスラエルはキャンセルをしました。総理、防衛の中心を変えるべきじゃないですか。

 この間、アメリカの友人がAIとドローンを、これぐらいのドローンなんですけれども、人の頭に当てて殺傷できるというドローンを見せてくれました。そういう状況の中で、大型のたくさんの兵器を買っている余裕は我が国にはないんじゃないか、サイバーの危機に対してしっかりとした予算をつくって国民を守るべきじゃないかと思いますが、総理の御所見を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 陸、海、空、宇宙と並ぶ第五の領域とも呼ばれているサイバー空間においては、国家の秘密情報の窃取、そして基幹的な社会インフラシステムの破壊、軍事システムの妨害などを意図したサイバー攻撃によるリスクが深刻化しつつあるわけでありまして、我が国の安全保障の観点から、極めて重大な課題と認識をしております。

 そのため、安倍政権において、我が国として初めて策定した国家安全保障戦略においても、国全体としてサイバー防衛、対応能力を強化するため、関係機関の連携強化を図るとともに、サイバー攻撃に関する情報収集、分析、組織の強化を含む各種施策を推進することとしております。

 これを受けて、自衛隊にサイバー防衛隊を創設するなど、国家安全保障の観点から、体制の充実強化に努めているところであります。

 同時に、もはやどの国も一国のみでは自国の安全を守ることはできない時代となっている中、日米同盟を主軸に諸外国との連携が重要であるとの認識のもと、サイバー防衛協力を深め、抑止力及び対処力を一層強化していく考えであります。

 最初に申し上げました陸、海、空、宇宙につきましても、サイバー攻撃にも脆弱性があるわけでございまして、今、それぞれの兵器が近代化し、衛星と結び、対応している中においては、こうした守りをしっかりと厚くしていくということは当然のことであろうと思います。

 我が国を取り巻く厳しい現実に正面から向き合いながら真摯な議論を行うことによって、国民の理解を得ながら着実に取り組みを進めて、国民の生命財産を守り抜いていくために万全を期していきたいと思います。

原口委員 前向きの答弁をいただきました。しかし、予算面では、総務大臣がおられますけれども、全然足りないと思いますよ。やはり、今おっしゃったことをしっかりやるためには、防衛全体の、サイバーをしっかり入れた組み直しが必要だということを申し上げておきたいと思います。

 農業政策についても申し上げます。

 骨太の方針から食料の安全保障という言葉が消えました。ことしで七千五百円の直接支払いが終わります。来年から新たな米需給対策ということですが、政府は需給調整から手を引くんですか。

 そして、私が思うには、やはり農家あっての農業、農村だと思うんですね。先ほども答弁をなさっていました。日本の国、この基はやはり農業です。

 その農業は、農家を大規模化して、経営を効率化して、どこかの会議が、現在百三十万戸の農家をわずか十万戸まで減らすなんという、そんな議論をしていますが、私はとんでもないと思います。農業、農村についての、農水省にはちゃんと審議会があるわけですから。しかし、現実には、それは休眠状態じゃないですか。そして、出てきているのは、先ほどお名前が挙がった規制改革会議、あるいは未来投資会議。私はそこがひっくり返っていると思いますので、強く指摘をしておきたいと思います。

 最後に、加計の問題について、事実だけ。これは文科省、文科大臣と、それから細かいところは政府参考人で結構でございます。

 これは、総事業費は幾らですか。そして、補助金は幾らなのか。先ほどの森友の話でもありましたけれども、やはり認可がおりるまではみずからのオウンリスクでもってやる、そういう状況になっていますよね。

 これは、まず文科大臣に伺いたい。

 総事業費が幾らで、そのうち今治市からの補助金が幾らで、借入金はどうなっているのか、それをお尋ねします。

林国務大臣 ありがとうございます。

 加計学園の設置計画では、施設が百四十八億二千万円、設備が四十三億八千万円ということになってございます。

 それから、今治市の補助金についてもお尋ねがございましたが、これは、本年三月に今治市議会が九十六億円の債務負担行為の議決を行うということで聞いてございます。

 それから、借り入れでございますが、借り入れにつきましては、設置経費百九十二億円のうち、その半額である九十六億円について今治市から補助金を受けることにしておりまして、残り九十六億円については、学園としては自己資金を保有しておりますが、学園の方では六十億円ということで承知をしております。

原口委員 その借り入れについては確認されたんでしょうか。

林国務大臣 これは、学園の方でそういう予定ということでございますが、この設置審査では、先ほど申し上げましたように、設置経費百九十二億円のうち、その半額は補助金ということでございます。したがって、残り九十六億円については、学園として自己資金を保有しているということでございますので、大学設置・学校法人審議会においては、このような施設設備の設置経費の財源に関する基準は満たされているということでございます。

 なお、借り入れについては、財源に関する基準を満たした上で、法人の判断で行われるというものでございますので、仮に借り入れが行われなくても、施設整備の整備計画の履行に支障は生じないものと考えております。

原口委員 きょうは時間の関係で、設置審が何を審査したか、つまり、借り入れについては審査していないんですね。

 九の九をごらんになってください。お手元の資料です。

 これが、今文科大臣がおっしゃった九十六億円の今治市からの補助金です。九十六億円のところの横に、ごらんになってください、県支出金を除いた金額と書いてあるんです。

 県は何も決めていませんよ。つまり、九十六億円を、ああ、日銀総裁、失礼しました、どうぞ。

宮下委員長代理 総裁、どうぞ。

原口委員 九十六億円を払う。つまり、百九十二億円と加計学園が言うものだから、その半分を今治市が持ちますよという、そういうものですね。

 では、文科大臣に伺いますが、土地は、これも土地は今治市からの無料譲渡ですね。約五万坪の土地を幾らで、幾らのものを加計に無償で譲渡しているんですか、教えてください。

林国務大臣 土地は、今先生からお話がありましたように無償譲渡ということでございますが、評価額は今治市が約三十六億七千万円としているというふうに聞いております。

原口委員 総理、これはもうびっくりするんですけれども、評価額とは何を評価しているかというと、地価じゃないでしょう。先ほど森友問題の審査でやっていましたね、国交大臣、不動産鑑定が幾らだ何だって。これは違いますよ。今治市がここにかけたお金じゃないですか。

 実際の五万坪の土地の値段は幾らですか。文科省、知らないでしょう。事務方、わかりますか。知らないね。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、今治市はそういう評価をしておるということでございます。

 審査基準では、校地につきましては申請者が原則として自己所有していることを求めておりますが、その評価額については特段の基準は定めておらないところでございます。

原口委員 きょう現在、所有権は移転されていますね。幾らかわからないけれども、所有権が移転されている。ただ、登記はされていないんですよ。

 九の七をごらんになってください。

 では、二十九年度、三十年度にわたって、二回にわたってやるんですが、二十九年度、今年度の延べ床面積は、そこに書いております三万平米で、経費が、これは文科省からいただいたものでございまして、約百十二億円と。すごいですね。これは鉄骨ですよね。平米当たりの単価が百二十一万五千円。三十年度工事合計、これは約二千平米で経費が約十三・九億円、平米単価が二百十六万五千円ですよ。これ、坪単価にしたら幾らになりますか。物すごい額じゃないですか。

 九の八をごらんになってください。

 これが、平成二十八年十月二十一日に設計監理委託契約を締結し、平成二十九年三月十七日工事請負契約を締結、そして二十九年四月一日に着工と。

 ここでびっくりしたのは、九の十をごらんになってください。

 文科省、事務方で結構ですから、これの設計それから施工者を教えてください。

林国務大臣 済みません。ちょっと登録がなかったようでございますので、私からお答えさせていただきます。

 本設置計画において、校舎の設計監理は株式会社SID創研及び株式会社大建設計の設計共同体が受注をしております。

原口委員 そうですね。

 それで、九の十をごらんになってください。

 これは多分偶然なんですが、今文科大臣が答えたSID創研取締役、これは読みません、この真ん中の方をごらんになってください、加計さんと同じお名前の方がここにあります。設計も加計さんじゃないですか。

 私、じゃ、この坪単価六百万ぐらいのその施設はどんな施設なのか、どんなにすごい施設なのかと。

 九の四をごらんになってください。

 二十九年度に、管理棟、鉄骨づくりですね、四階建て、獣医学棟、鉄骨づくり七階建て。三十年度、つまり、坪単価で六百万以上するもの、鉄骨づくりの二階建て、大講義棟と。すごいですね、これは二階建て。それから、大動物実験、これは一階建てですよ。そんなにしますか。

 私、その補助金、今回の加計やあるいは森友の問題、森友の問題も先ほど議論をして川内さんが言っていました、なぜあそこだけ特別なのかと。なぜあそこだけ特別なのか。なぜこれだけの大きなものが、文科大臣、これはリスクは加計学園といいながら、ノーリスクじゃないですか。だって、その半分は、これだけの建設費の半分は今治市が出してくれて、そして、土地の値段はわからないとおっしゃいましたけれども、五万坪の土地を無償で譲渡されれば、それを担保にお金を借りられるじゃないですか。こんな建設の仕方ありますか。

 設置審は、大体どれぐらいの大きさであればいいかということだけ見ているんですよね。三十七億ぐらいですか。大体これぐらいの生徒さんでこれぐらいの校舎だったら三十七億は最低やってくださいね、それ以上だったら構いませんよ、これが設置審が、クリアした条件でしょう。文科大臣、答えてください。

林国務大臣 今先生からお話がありましたように、この設置審における審査に当たっては、教育研究内容とともに、その教育研究を行うにふさわしい施設などが備えられているかを確認するということになっております。したがって、校舎などの建物については、審査基準において最低基準額を定めております。

 今回の獣医学部の計画では、審査基準を上回る金額が計上をされておるということで、審議会において、計画が審査基準に適合しているということで可と答申をされております。

 設置基準の審査基準の別表というのに細かく数字がありますので、ちょっと今ここで計算はすぐできませんが、そういうルールになっておるということでございます。

原口委員 大臣、ありがとうございます。

 大体三十七億なんですよ。文科省がきのう私に教えてくださいました。

 これをごらんになってください。三十七億と百九十二億。これはどういうことか。私は、やはりしっかりとした解明が必要だと思います。

 これは、何でこんなことを言うかというと、私は、総務相のときに、夕張市、これは菅官房長官も随分頑張っていただきましたね。歴代の大臣も頑張っていただいた。本当に、夕張市は何とか博物館というのが幾つありましたか。剥製博物館、SL博物館から、もう博物館の博物館みたいなところですよ。そんな状況になっていて、それを今、若い市長さんあるいは市民の皆さんが一生懸命立て直そうとしているんです。

 これは、今治市の公債費率一三・一%。一千億以上の借金があるんじゃないですか。そして、動物を放牧できる、そういう場所はありますか。私、きょう、このたった十分質問しただけで、これは、総理がどうのとかお友達がどうのとかいう前に、これ自体の計画を本当に認めていいのかと大きな疑問があります。

 時間が来ましたので、最後に憲法についても議論をしたかったんですが、また総理に時間をとっていただきますようにお願いをして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

宮下委員長代理 この際、篠原孝君から関連質疑の申し出があります。原口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。篠原孝君。

篠原(孝)委員 無所属の会の篠原孝でございます。

 久方ぶりにこの場に立たせていただきます。時間が少ないもので、さっさと質問させていただきます。

 資料を皆さんにお配りしておると思います。

 同僚の原口委員は、今現在建設の途上にある獣医学部についてのいろいろなことを質問されましたけれども、私は根源的なことについて質問させていただきたいと思います。

 なぜかといいますと、絶対必要なんだ、五十二年間サボっていたんだ、規制だ、岩盤規制を打ち破るんだということで、何か、相当文部科学省は融通がきかなくて頑固な人ばっかりで、意地悪して獣医学部をつくらなかったようにずっと言われております。しかし、違うんですね。需給関係をちゃんと見たら、つくる必要がないからなんです。

 日本再興戦略の二〇一五にも書いてあります。石破四条件とか言われているものですけれども、近年の獣医師の需給の動向を考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討というのを、よくこれを見ていただきたいんです。

 一体、家畜の飼育頭数がどう変遷してきたか。皆さん、ちょっと目をつぶって、数十年のことを考えていただきたいと思います。

 私の個人的な経験ですけれども、私の幼いころは、我が家に、玄関を入ると右側に牛がいました。牛がいて、家族同然でした。それが、ガーデントラクターができて、要らなくなりました。それから、鶏は庭先養鶏で飼っていました。三百六十万戸ぐらいつくっていましたけれども、今は何と三千経営体で、一経営体が五万とか十万です。とても農家じゃないですね。ヤギも飼っていました。羊も飼っていました。しかし、みんな消えました。

 私の母校、長丘小学校という小さな小学校ですけれども、来年、再来年、残念ながら廃校になります。五年ほど前だったですけれども、私の弟が後を継いで農業をやっているんですが、小学生が家を訪ねてきた。なぜかというと、長丘小学校の通学区域内で鶏を飼っている農家は我が家だけになったので、鶏を見に来たという、これが現状です。

 これを見ていただきたいんですが、ばあっとふえていったんですね。ふえていって、どんどん減ってきて、この点々々の予測は私の予測ですけれども、物すごく家畜の頭数が減っているんです。

 それで、北里大学のところを見ていただきたいんです。一九六六年、上り調子のころに北里大学の獣医学部ができました。そのころの獣医さんたちというのは一万九千人です。そして、一九九〇年、ピークにあるころです。ピークにあるころは倍近くになりました。まあ、一万人ふえていますから、二万七千人。そして、二〇一五年は四万人近くです。物すごくふえているんです。これだけふえているというのをよくごらんいただきたいと思います。

 それで、獣医師の皆さん、大変だと思いますよ。大変だと思いますけれども、一体どれだけの家畜を診なければいけないのかというのは、これは簡単なんです。もちろん、ペット、犬猫病院の人も獣医師です。ですけれども、そういうのをがたがた言っているとややこしくなりますので、獣医師の数そのもので家畜頭数を割りました。その全国平均と北海道と九州と四国を見ていただきたいんです。皆さんのお手元にはほかの細かい数字のものを出してありますので、見ていただければわかると思いますけれども、全国で、一人の獣医師が面倒を見る乳牛は三十六頭、肉牛は五十九頭、豚は二百二頭。四国はいずれも大幅に下回っているんです。

 それから、統計表の方を見ていただきたいんです。これはパネルにはありませんけれども、五ページの四国の家畜頭数の増減です。いかに減っているか。

 需要と供給のことを考えたら、四国にないのは当然なんです。それをゆがめて、そして獣医学部をつくるということをされているんです。規制改革とかそういうのも、全く逆のことをやっておるんじゃないかと思うんですけれども、この点について、林文科大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。これは完全に余計なおせっかいの、国の、政府の介入だと思いますけれども。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

林国務大臣 現在、文部科学省の告示におきまして、獣医師の養成に係る学部等の新増設を抑制しておるところでございますが、これは、獣医療行政を所管する農林水産省における人材需要の見解を踏まえた上で抑制方針をとっておるものでございます。

 この分野、獣医学の分野では、人材供給の規模が国家試験により管理をされておりますが、獣医学部を修了することにより受験資格が付与されるということで、国家試験を受験する者の質が社会において当該分野で活躍する人材の供給に直接影響するために、受験者の質と規模についても一定程度の水準を維持することが必要でございます。

 また、人材育成に相当の時間を要し、公費の投入も伴うということで、昭和五十九年以降、所管省庁の人材需要に係る見解を踏まえて、獣医師養成の学部の新増設について抑制を行ってきたところでございます。

 今回の獣医学部の新設につきましては、国家戦略特区のプロセスの中で、関係法令に基づき、関係省庁の合意のもとで適切に進められてきたところでございまして、そのプロセスの中で、今回の獣医学部が、先端ライフサイエンス研究、地域における感染症対策など新たなニーズに対応するものであるということが認められたということでございます。

 その中で、農水省において、今回の特区による獣医学部の新設は、今申し上げた先端ライフサイエンス研究の推進など、内閣府が把握している新たな需要があるという前提のもとで、獣医師の需給に影響を与えないという判断があったために、その判断を受けて、文科省としても国家戦略特区のプロセスを進めることについて異議を唱えなかったということでございます。

篠原(孝)委員 答えにちょっとなっていないですね。大体、獣医師会も、私は獣医師会から献金なんて一銭ももらっていませんけれども、獣医師会も要らないと言っているんですよ、ずっと。多過ぎるんですよ。絶対、需給を崩しているんです。

 では、国際比較、皆さんお好きな国際比較を出してみます。これを見たら、もっと皆さんはびっくら仰天されると思います。これも簡単です。これは統計を二つ使わなくちゃならないんですけれども、FAOの数字とOIEの数字、各国の獣医師の数、そして牛と豚の飼育頭数、見てください。同じです。単純です。単純明快です。

 一人の獣医師が一体何頭の牛の面倒を見、何頭の豚の面倒を見るか。一とか二というのは少ない方の順番です。牛は、世界で一番少ない牛を面倒見ていればいいんです。豚も世界で二番目です。よく比べられるアメリカは、日本の獣医師の十倍の牛を面倒見なけりゃいけない。よく、オランダとかデンマークのような農業ができないかと言われますけれども、見てください。

 だから、獣医師は要らない。五十二年間つくらなかった理由は厳然と存在するんです。これはおわかりになりますけれども、根本から間違っているんです。それを規制緩和、規制緩和と、逆に介入しているんですよ。こういうことをしちゃ絶対いけないと私は思います。これはおわかりになりますでしょうか。

 これは、どうしてこんなこと、間違いが起こるかというと、きょうは来ていただけなかったんですね、八田達夫国家戦略特区審議会委員、そしてワーキンググループとかの委員をやっておられる。この議論をずっと見ました。私、しつこいというか、文章を見たり書いたりするのはなれていますので、ばあっと見ました。議事録を公開しています。相当介入していますね。ワーキンググループというか、質問とか、適当な人を呼んで、そして都合が悪い議事録は公開しない。そして、物すごく意図的に議論をリードしているんです。

 例えば、見たら、ワーキンググループの議論が収拾つかなくなったんです。そうしたら、推進する人たちの意見を聞いて既成事実化して、それをその後、突然、上の審議会に、特区の諮問会議にかけて、そして唐突に、早くつくるんだという既成事実をつくるんです。それから、問題の京都産業大学との話が持ち上がってきたら、そうしたら、突然、加計学園の方の議論をして、そしてこれも既成事実化して、京都産業大学はそんなことは全然知らされていないんです。

 こういうポリティカルな、これは政治的じゃない、政治家はもっと真面目ですから、こんないかがわしいことはしないと思います。このワーキンググループを、諮問会議をほしいままにして、適当に操っているんです。

 僕は、これが非常によくないと思います。ですから、ここへおいでいただいて、珍しく糾弾しようと思ったんです。閣僚の皆さんには、僕は糾弾とかそんなことは余り考えていないんですよ。

 本当によくないと思います。何万人の人に名前を書かれている人じゃない。それを、審議会の委員だか何だかわからない、選ばれて、そしてほしいままにして、こういうところに出てこなくて、ワーキンググループにだけはちゃんと出ていてやっているという。

 これはそもそも非常に問題だと思いますけれども、梶山担当大臣、いかがでしょうか。私は、この方などはやめさせていただきたいと思いますね。この方がこの議論を悪い方向に誘導していると思います。

梶山国務大臣 篠原委員の御質問にお答えいたします。

 獣医師の数と家畜の飼育の頭数で比較をされたわけでありますけれども、これだけではない理由がいろいろあると思っております。家畜の飼育頭数に関しては地域偏在があるということも、先ほど、違うとおっしゃいましたけれども、地域偏在がやはり地域的にはあるということで、私たちはそういう認識を持っております。

 さらにまた、一方で、新薬の開発など先端ライフサイエンス研究の推進や地域での水際対策、獣医師が新たに取り組むべき分野については、具体的な需要が高まっており、必要な獣医師が確保できないといった多くの声が寄せられております。

 十年前との比較でいいますと、会社に就職する獣医師が約五割ふえているということであります。多様な需要が出てきているということであります。これは、創薬の開発のみならず、食品の関係もそうですし、食品の国際間の貿易によるウイルスの伝染とか、そういった面においても獣医師の役割が非常に高まっているということであります。

 一方で篠原委員の見方もあろうかと思いますけれども、私どもはそういう関係者からの声を聞いた上でこういう判断をしたということであります。

 ワーキンググループに関しましては、自由勝手にやっているということではなくて、ワーキンググループも運営要領がございます。運営要領の中で、しっかり公開をしているということです。

 都合のいいもの、悪いものが公開、非公開じゃないかというお話がありましたけれども、非公開のものもありますけれども、大体は議事要旨は発表されているということであります。大体と申しますと、非公開というのは、時間がたって公開になるものもあると思います。

 そして、非公開はなぜ非公開かというと、いろいろな条件について、まだ根回しもしていない、当事者に話をしていないというようなことも含めて、まだ今の時点では表に出せないということもあろうかと思っております。ただ、構想はこういう構想ですよという中で、当事者への通知、連絡がまだされていないということの中での非公開ということですので、そういう状況の中で運営をされているということであります。

篠原(孝)委員 地域偏在とか何か、お医者さんと同じで、みんなわかっています。だけれども、トータルで考えたら絶対に余っているんです。それは、給与を上げたりすべきなんです。

 この次、総理、この数字を見ていただいて、よくお考えいただきたいと思います。

 私は、総理、よくやっておられて、加計孝太郎さんは無二の親友だと。何か、お見受けしていると、なかなか情に厚い方だと思いますよ。だから、友人にそこそこ便宜を図ったって、私は文句を言われる筋合いはないと思います。しかし、そこそこですよ、そこそこ。許容される範囲というのは何事にもありますからね。だけれども、少しもないというのはないので。

 ゴルフをされる、トランプ大統領と親しいから。加計孝太郎さんともゴルフをされる。だけれども、李下に冠を正さずと言っておられます。しかし、そういうことをやっておられてというのを一切関知しないと。それだったら、私は役所がおかしな方向に行っていると思います。何も言っていないと。

 そんたくしていいんです。官邸だとかは何か、自動洗濯機ならいいですよ、自動そんたく機ばかりになっちゃったんじゃないか。そんたく、それもいいんです。上司の気持ちを案じたり、それはいい部下ですよ。ですけれども、そこは、もう五年も総理をやっておられる。前にここで、大宰相に近づきつつあると思うと言いました。本当にそうだと思います。それから、自民党は大横綱ですよ。横綱の品格の問題がありました、この前の場所で。だけれども、自民党は大横綱ですし、安倍政権は大大横綱ですよ。もっと品格を持って、正々堂々とやっていただきたい。

 僕は総理に、この点についてどう思われるかと。やはり国民は疑念を持っているんです。これについてきちんと答えるべきだと思います。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 尊敬する篠原先生のお言葉ですから、拳々服膺していきたい、こう思っている次第でございますし、繰り返しになりますが、長年の友人でございますが、私の地位を利用して何かしようとしたことは、加計氏は一度もないわけでございます。

 事実、私が総理に、第一次政権のときからこれは構造改革特区として存在をしているわけでございますが、そのときも、加戸知事がおっしゃっていましたが、文科省に言ってもけんもほろろだったということでございますし、加戸知事も、私が加計氏と友人であることも知らなかったわけでございます。

 また、八田さんや原さん等々ワーキンググループのメンバーも、全く私と加計氏の友好関係というのは知らなかったのも事実でございまして、これは、民間人が多数かかわっていることでございますから、その方々がコンセンサスをつくっていくわけでございますから、この人たち全員に私が頼むということは、これはあり得ないわけでございます。もしそうであれば、必ず誰かがそう発言をするのであろう。誰も私から指示を受けたり依頼を受けたことはないということは、これはもう前川前次官も含めて、それは明らかになっているところでございます。

 この需給関係等々、新しいニーズについては梶山大臣から答弁をさせていただいたところでございますが、いずれにせよ、友人であることから、李下に冠を正さず、私自身も反省すべき点は反省しなければならない、このように思っているところでございます。

篠原(孝)委員 僕は、完璧に正すべきだとは思いますけれども、そこのところをちゃんと正直におっしゃればいいんだということを申し上げているんです。

 次に、資料の最後のページのところをちょっと見てください。質問時間。

 慌てて早口で言っています、いつものとおり、時間がないので。ますます時間がなくなっちゃって、小さな会派になりましたので。一番あおりを食っているのが我々の会派じゃないかと思います。

 そこで、見てください。質問時間、これまでの。

 菅官房長官、記者会見でも言っておられました、若手が質問時間が欲しいと。よく、何か勘違いがあるようで、質問をいっぱいしなかったら立派な政治家になれないという勘違いがあるんだろうという気がするんですけれども、菅官房長官も安倍総理も、華々しい質問をして、そしてそれが認められて総理の地位、官房長官の地位に上り詰められたという気は余りしないんですけれども、ちょっと調べてみました。

 これはちょっと正確じゃないかもしれませんが、結構手間がかかったんですけれども、若いころの、何委員会でどれだけ質問したか。

 加藤鮎子さんなんか幸せだなと。二期生で、もう予算委員会のテレビ入りで質問されていますけれども。

 多分、分科会、三とか四とかありますね、これは、自民党の枠をとったけれども、やるのがいないからといってやらされたんだろうと思います。

 そんなような感じですけれども、これはよく考えていただきたいんです。諭していただきたいと思います、別に質問云々じゃないということ。

 それから、これはよく聞いていただきたいんです。小泉進次郎議員も、何か党では議論していないとか、ちょっと自民党の若手の間に不満があるようです。これはよくわかるんです。

 一つは、先ほど申し上げました八田達夫委員とか、この人たちが政治を動かしている。これは公明党の石田議員が、自己実現だと、人間の最後の欲。政治家になって政策をやろうと思っているのに、それをやらせてもらえないで、ほかの何かわけのわからない人たちが決めている、これにいらいらしているんじゃないか。

 もう一つ、官邸機能の強化というのが橋本行革のときから課題でしたけれども、強くなり過ぎちゃって、官邸の総理補佐官とか秘書官が次々にやっていて、政治家が余り関与できなくなっている、与党たりといえどもね。ここに問題があるんじゃないかと思う。

 この点を正してもらいたいと思うんですけれども、菅官房長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 今、私の質問時間も調べていただきまして、ありがとうございます。

 いずれにしろ、私は、やはり政治の原点というものは、国民の皆さんが選挙で選んでくれ、そして、そこで議席を得た、その議席の数によって質問時間というのは基本的にはあるべきだというふうに思います。その中でどうするかは、これは与党、野党で、国会の中で決めることだというふうに思います。

 私自身、記者会見で質問を受けたときに、政府としてコメントすべきではない、ここは明確に言っています。そして、国会のことは国会で決めてほしい。

 そういう中で、また質問される。そうしたときに、例えば、この間の選挙の際に、相手の候補者から、全然質問しなかったとか、今、質問者ランキングだとかいろいろなことがあって、党の当選回数の若い方も、質問時間をとってほしいという動きがあるということも事実だというふうに思っています。

 いずれにしろ、基本はドント方式、あとは与野党でお互いに行っていくべきだというのが、私、今日までの政治家としての基本的な考えです。

安倍内閣総理大臣 私自身のを詳しく調べていただいて、篠原委員ほど華々しい質問はしたことがないんですが、ただ、私の場合も、与党議員ではございましたが、予算委員会で、当時の高村外務大臣に集団的自衛権の解釈の変更を迫ったことがございまして、しかし、その際に、いわば限定的な集団的自衛権の、フルではなくて限定的な解釈の変更はあり得るのではないか、いわば必要最小限という考え方としては、それは量的な考え方ではないかという趣旨の、まだ私自身の議論も生煮えではあったわけでございますが、質問をしたことがございました。

 若干自慢話めくんですが、このやりとりは、佐瀬昌盛先生の「集団的自衛権」という本にこのやりとりが重要なやりとりとして記載されまして、その後の、いわば、我々が解釈を変更する際の基本的な考え方の一つにはなったのではないかと自負しているところでございます。

 回数は余り多くはないわけでございますが、当選三回で官房副長官になり、答弁する側に割と早目に回ったということもあるのかなと思いますが、若い皆さんにとって、先ほど先生がおっしゃったように、数万の票を得て、しっかりと活躍せよというのは、党における言論活動もあるわけでございますが、やはり国会における言論活動が主戦場でございました。

 確かに、与党においては、事前に政調で、部会で審査をするときに活発な議論をするんですが、これは国民に対してはオープンではないわけでありまして、どういう議論を経て法案ができたということをこの場でもう一度大臣にただすことによって、どういう経緯で、どういう問題があった、そして、どれをどう変えてきたかということも明らかになるのではないか、こう思うわけでございます。

 いずれにせよ、若手の議員も、篠原議員を見習いながら、しっかりとした華々しい質問ができるようになれば、このように願っているところでございます。

篠原(孝)委員 済みません、質問時間は終わっておりますが、三十秒だけ。

 やはり与党政治家と野党政治家は役割が違うので、質問をいっぱいしたって、せいぜい篠原孝程度で、総理になるにはちゃんと与党政治家として活躍するということを諭していただきたいということをお願いしまして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

河村委員長 これにて原口君、篠原君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、相次ぐ米軍機事故をめぐる政府の対応についてお伺いいたします。

 米軍普天間基地所属のオスプレイが、昨年十二月、沖縄県名護市の浅瀬で墜落事故を起こし、ことし八月にはオーストラリアでも墜落事故を起こしました。総選挙さなかの十月十一日には、沖縄県東村高江で米軍CH53Eヘリの炎上事故がありまして、先週、十一月二十二日には、沖ノ鳥島、大東島沖でも米空母艦載機が墜落事故を起こすなど、米軍機事故が続発をしております。

 総理は、先週の本会議、我が党の志位委員長が、米軍ヘリ炎上事故について、日本の警察は立入調査すらできず、十分な調査ができなかったと指摘したのに対して、防衛省、県警、県の関係者も現場に立ち入り、状況を確認するとともに、放射能調査を実施し、御指摘は当たりません、こう述べました。

 そこで、防衛大臣に確認をいたしますけれども、沖縄県は、事故現場の有害物質や放射能などの土壌調査を行おうと、事故が発生した二日後の十三日に、米軍ヘリが炎上した地点に入ろうといたしましたけれども、米軍にとめられて、炎上地点から約百メートル離れた規制線の外での調査にとどまったと私は認識しております。ようやく県が規制線の中に入れたのは、事故から六日後の十七日だった。防衛大臣、間違いないですね。

小野寺国務大臣 御指摘のありました沖縄における米軍CH53Eヘリコプターの事故を受けまして、防衛省としては、随時、沖縄県を初めとする関係自治体に情報提供するとともに、防衛省から米側に対して、原因究明、再発防止、安全管理の徹底及び詳細な情報提供について強く申し入れました。

 委員からお話がありました十月十一日が事故発生であります。また、事故発生直後の十月十二日から、専門的知見を有する自衛官を現地に派遣し、このヘリの安全性に関する米側の判断の根拠等について確認を行ってきたところです。さらに、本件事故の環境への影響を確認するため、十月十三日から、事故現場及びその周辺において、放射能調査を含む環境調査、土壌、水質、放射能調査を沖縄県と協力して実施しておりました。

 沖縄県が沖縄防衛局と共同して実施した環境調査のうち、今御指摘がありました内周規制線内で初めて実施をしたのは十月十七日火曜日であり、これは土壌表面の放射性物質の状況及び空間線量率を確認することを目的としたというものであります。

宮本(岳)委員 十七日になって、ようやく内周規制線の中で調査ができた。今答弁にあったとおりですね。

 炎上地点における調査は認められませんでした。そこから最も近いところで三メートル、遠いところで四十メートルの地点で、しかも、有害物質の残留分析に必要な一地点一キログラムの土壌の採取は認められずに、そのときには百グラムの採取しかできなかった。サンプルの量が足りずに、土壌にどれほどの有害物質が残っていたのか十分調べられなかったというふうに聞いております。

 炎上地点の土壌調査がようやく認められたのは、事故から九日後ですよ。二十日です。ところが、そのときには、米軍が事故機の残骸とともに、深さ数十センチにわたって土壌をブルドーザーで掘り起こして全部持ち去ってしまった。採取したい汚染土壌はすっかりなくなっていた。

 総理、これでどうしてまともな土壌調査ができるんですか。

小野寺国務大臣 今御指摘の内周規制線内における放射能調査の立ち入りについて、米側の同意を得るのに事故発生から六日間を要しました。放射能調査の結果、一般的な環境と比べ差異がないことを沖縄防衛局と沖縄県で確認し、さらに共同で調査結果を発表したので、私どもとしては十分な調査ができたと考えております。

 また、今委員の方から土砂の搬出ということ、米側の搬出ということでありますが、このことについては、米軍からは、事故後、地権者の了解を得て、周囲に散らばった機体の残骸の回収と、汚染の拡散防止の観点から事故機の直下及びその周辺の土壌を搬出したと聞いております。また、米軍が除去した土壌については、保全の観点から米側において調査を行う旨の連絡を受けております。

 防衛省としましては、米軍の調査結果についてもしかるべく情報提供を求めていく考えであり、その結果については、速やかに沖縄県を初めとする関係自治体等にお伝えをしたいと考えております。

宮本(岳)委員 いやいや、沖縄県は十七日までは百メートル以内には立ち入ることさえできなかったんです。

 それから、一般的な環境と比べて差異はないと総理は答弁されましたけれども、それは放射性物質のことであって、有害物質についての土壌検査はできなかった。検査結果、調査結果は出ていないんですね。

 今回の米軍ヘリ炎上事故に対する環境調査も、米軍による規制のもとで、米軍が認める範囲内でしか行われておりません。事故の原因を明らかにするためには警察による事故機の検証が必要でありますけれども、今回も機体に触れることさえできなかった。

 米軍機の民有地での事故は多発しておりまして、住民は大変不安に思っております。にもかかわらず、事故機が米軍機だとなれば、事故原因の究明あるいは被害の調査など、日本は指一本触れられなくなる。そして、政府がいつも持ち出すのが日米地位協定なんですね。

 日本国民の安全や安心よりも米軍の意向最優先で、一体どこの国の政府なのかと沖縄県民が怒るのは当たり前じゃありませんか。

 総理、こうした屈辱的な現状をいつまで放置するんですか。

安倍内閣総理大臣 先般の米軍のCH53Eヘリの事故に際しては、防衛省、沖縄県警及び沖縄県の関係者等も現場に立ち入り、状況を確認するとともに、各調査を実施しているところであります。

 いずれにせよ、米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であります。政府としては、引き続き、米側に対し、安全面に最大限配慮するとともに、地元住民への影響を最小限にとどめるよう強く求めていきます。

 日米地位協定は、これは大きな法的枠組みであり、政府として、事案に応じて最も適切な取り組みを通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきております。

 安倍政権のもとでは、今まで、地位協定が結ばれて以来初めて二つの補足協定が作成されたわけでありまして、日米地位協定締結から半世紀を経て初めて実現したことでございまして、そういう意味でも、私たちも努力をしているところでございます。

 今後とも、そのような取り組みを積み上げていくことによって、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求していきたいと考えております。

宮本(岳)委員 今総理が答弁された現場というのは、まさに炎上地点から百メートル以上離れたところへ直後は入った、それ以上は入れていないわけですね。

 二つの補足協定と今言われましたけれども、今回の事故に対して何の役にも立っていないんですね。むしろ、環境補足協定は文化財調査の足かせになっているし、軍属に関する補足協定を結んでも、米軍による犯罪は一向になくなっておりません。

 日米地位協定の抜本的見直しについては、沖縄県の翁長知事が九月に要望書を提出しております。そこでは、刑事裁判権について、米軍の財産が施設及び区域の外にある場合には、つまり、米軍機であっても基地の外で事故を起こした場合には、日本国の当局が捜索、差し押さえまたは検証を行う権利を行使する旨を明記すること、米軍基地の外での事故現場等の必要な統制は、日本の当局の主導のもとに行われる旨を明記すること、こう記されております。私は当然の要望だと思います。こうした抜本的見直しこそ必要であるということを厳しく指摘して、次に、森友問題について聞きたいと思います。

 森友疑惑の核心、これは、国民の財産である九億五千六百万円の国有地が、なぜ八億二千万円も値引きされ、ただ同然で売却されたのかということにございます。

 私は、さきの通常国会でも、十二回にわたってこの奇怪な事件の真相解明に当たってまいりました。総理は、二月二十四日の衆議院予算委員会でも二十七日の衆議院予算委員会でも、果たしてこの価格でいいのかどうかということを調べるのは会計検査院だと言い、そこできっちりとやればいいという答弁を繰り返してこられました。ろくに説明責任を果たさないまま、会計検査院がチェックするから大丈夫だと言ってこられたわけであります。

 しかし、十一月二十二日、その会計検査院の検査報告書が国会に提出をされてみると、大丈夫でも何でもないことが明らかになりました。

 会計検査院に確認いたしますが、今回の報告書の「所見」では国有地の売却等に関してどのような指摘がされておりますか。

河戸会計検査院長 国有地の売却等に関し、合規性、経済性等の面から、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられたところでございます。

宮本(岳)委員 この報告書には合規性という言葉を使っております。合規性というのは耳なれない言葉でありますけれども、会計経理が予算、法律、政令等に従って適正に処理されているか、こういう基準に照らしても、適正でない事態が認められた。つまり、会計経理が予算、法律、政令等に従って適正に処理されていると認められない事態があった、こう言っているわけですね。

 総理に聞くんですけれども、あなたがまず第一に適正であるかどうかの判断のよりどころにされた会計検査院の検査報告は、予算や法律や政令に照らして決して適正とは言えない事態があったということになりました。総理は、この会計検査院の報告を受けてもなお適正だったという認識をお持ちですか。

麻生国務大臣 これは従来からお答えをしておると思いますけれども、森友学園の国有地の売却にかかわる事実関係ですけれども、これは今、御存じのように、大阪地検においてまだ捜査が行われていますので、捜査に影響を与えかねないということから、捜査そのものに関することについて答弁は慎重に対応させていただきたいとこれまでも申し上げてきました。

 本件に関して、会計検査院におきましては、地下埋設物の撤去費用については一定の仮定を置いた試算が複数示されております、今回の報告書の中ですけれども。そして、その仮定の仕方によりましては処分量の推定値は大きく変動する状況にあるということなどを踏まえれば、撤去、処分費用を算定する際に必要とされる慎重ないわゆる調査検討を欠いていたのではないかということにつきましては、御指摘を受けておりますので、これは重く受けとめ、今後必要な見直しというのを行っていかないかぬものだと思っております。

 他方で、本件の土地の処分については、これまでも国会でたびたび、宮本先生から御質問もありましたので御説明させていただきましたとおり、校舎の建設工事というのは既にもう進んでおります最中でもありました。その中で、その最中に新たに地下埋設物が発見ということをされましたので、相手方から、途中、出てきたじゃないかといって損害賠償ということになるおそれがありますなどの、いわゆる切迫した状況の中で行われたものでありますので、よく言う瑕疵担保責任を免除するという特約条項等々を付するためぎりぎりの対応であったということもあわせて考えておかねばならぬところだと思っております。

宮本(岳)委員 全然答弁になっていないじゃないですか。適正だというようなことは言えないんですよ。

 今回の検査院の指摘は、総理、極めて異例で重大なことだという認識があるかどうか。これまであなたが繰り返してきた、法令に基づき適正な価格で処分したという国会答弁が、まさに総理自身がよりどころとした会計検査院自身によって、うそだったということが明らかになったと言わなければなりません。

 では、会計検査院は何を指摘したのか。国有地は、ごみが埋まっていることを理由に、森友学園に八億二千万円もの値引きがされて売却されました。会計検査院は、その売却額算定の十分な根拠が確認できないと結論づけたわけであります。

 会計検査院に確認いたしますけれども、報告書の「地下埋設物撤去・処分費用における対象面積、深度、混入率等の妥当性の検証」というところで、大阪航空局、国土交通省が見積もった対象面積五千百九十平米、くい打ち部分以外のごみの深度三・八メートル、くい打ち部分の深度九・九メートル、ごみの混入率四七・一%、これらのうちで一つでも十分な根拠や裏づけが確認されたものがありましたか。

河戸会計検査院長 お尋ねの事項の中で十分な根拠や裏づけが確認されたものはございませんでした。

宮本(岳)委員 一つや二つじゃないんですよ。対象面積、三・八メートル、九・九メートル、混入率、全て根拠も裏づけも十分にないようなものだったと会計検査院には判定をされたわけであります。

 この埋設物の撤去、処分費用を見積もったのは、大阪航空局、国土交通省であります。

 石井大臣は、二十四日の閣議後の会見で、会計検査院の報告書は重く受けとめると言いつつも、大阪航空局のごみの撤去、処分の見積もりは近畿財務局から依頼され、約二週間で、当時検証可能なあらゆる材料を用いて行ったものだ、時間が限られた状況下でぎりぎりの対応だったと認識しているなどと、まるで時間がなかったから仕方がなかった、そして時間のない中でのぎりぎりの対応としては適切だったかのような発言をしておられます。

 しかし、そんな言い逃れは許されるものではありません。普通、こういう土地の売却に当たっては、不動産鑑定士に不動産価格の評価を依頼する際、大阪航空局が行ったようなごみの撤去、処分費用の概算額を不動産価格の中に取り込んで不動産鑑定評価を行うというのが当たり前の姿であります。その際、不動産鑑定士は、他の専門家が行った調査結果等として不動産鑑定に活用するわけです。ところが、今回、依頼を受けた不動産鑑定士は、この大阪航空局による地下埋設物撤去、処分概算額を使いませんでした。

 会計検査院に確認しますが、不動産鑑定士はその理由をどのように述べておりますか。

河戸会計検査院長 地下埋設物撤去、処分概算額を活用できなかった理由は鑑定評価書には記載されておりませんが、不動産鑑定士に確認したところ、依頼者側の推測に基づくものが含まれていて、調査方法が不動産鑑定評価においては不適当であることなどから、他の専門家が行った調査結果等としては活用できなかったとしております。

宮本(岳)委員 国土交通省は、繰り返し答弁で、公共事業の一般的、標準的な積算等に能力を有する専門の技術職職員を多数擁しているとか、十分な知見、経験を有しているとか言ってまいりました。しかし、不動産鑑定士からは、推測に基づくものが含まれていて、とても他の専門家が行った調査結果として使えないと断られたわけであります。

 総理が適正のよりどころとした会計検査院もだめ出し、財務省が適正な価格の根拠として私に繰り返し答弁してきた、独立した立場で鑑定を行うという不動産鑑定士からもだめ出しだったということであります。

 さらにこの報告書を見ますと、ごみ処分費の単価、一トン当たり二万二千五百円というものも、単価がどのような項目から構成されているかなど、単価の詳細な内容について確認することができなかったとされております。

 ごみの埋まっている対象面積、深さ、ごみの混入率、処分費用、この四つの変数どれも十分な根拠を確認できなかったのだから、仮定の仕方によってどうにでも計算できるようなものだったということだと言わなければなりません。

 会計検査院、仮定の仕方によって大きく変動する、間違いないですね。

河戸会計検査院長 該当する部分を読み上げさせていただきます。

 大阪航空局が算定した本件土地における処分量一万九千五百二十トン及び地下埋設物撤去・処分概算額八億一千九百七十四万余円は、算定に用いている深度、混入率について十分な根拠が確認できないものとなっていたり、本件処分費の単価の詳細な内容等を確認することができなかったりなどしており、既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることができず、また、仮定の仕方によっては処分量の推計値は大きく変動する状況にあることなどを踏まえると、大阪航空局において、地下埋設物撤去・処分概算額を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと認められる。

以上でございます。

宮本(岳)委員 仮定の仕方によっては処分量の推計値は大きく変動する状況にあるというのですから、さじかげん一つでどうにでも額が決められたということにほかなりません。

 私は、この八億二千万円の値引きは、前年に行った工事代金としてあらかじめ国から森友学園に有益費として支払われた一億三千二百万円を前提に、ほぼこれと同額で、つまり差し引きゼロで売り払うために算定されたものではないかと指摘をしてまいりました。

 このパネルを見ていただきたい。

 昨年三月十一日に、森友学園側から、従来からわかっていた地下三メートルまでのごみよりももっと深いところからごみが出てきたとの連絡を受けるや、三月十四日、近畿財務局は大阪航空局とともに現地で確認を行いました。そこで地中深くから出てきたというごみの山や工事中の写真を見せられました。

 三月十五日、籠池夫妻は上京し、財務省本省で田村嘉啓国有財産審理室長に談判いたします。一時間半にわたって行われた面談については、それを録音した音声データが存在し、田村嘉啓前室長自身が、みずからの声であることや、その面談を録音したものであることを既に認めております。

 財務省、間違いないですね。

太田政府参考人 御指摘の、平成二十八年三月十五日の音声データにつきましては、本年四月の衆議院財務金融委員会における議論を踏まえまして、御法川委員長から、音声データが当日のやりとりを記録したものかどうかということを確認するように御指示があったことから、当時の国有財産審理室長に確認をし、御説明をさせていただいたところでございます。

 音声データは、音声がはっきりせず不明瞭な点が多いものの、当日のやりとりを記録したものと思われるが、先方お二人が同時に話されることもあってよくわからないことも多かったことから、全体については記憶にないということでございました。

 本委員会でも、五月八日だと思いますが、宮本委員の御質問にお答えを申し上げているところでございます。

宮本(岳)委員 内容に鮮明な記憶がなくても、録音が当日の面談のものであることは認めておられるわけですから、そこに記録されていることは紛れもない事実だと言わなければなりません。

 この音声データには、籠池氏が、僕はもう紹介者に対して申しわけないからとか、あの方自身が愚弄されていると思ったから僕来たんですとか、繰り返し背後にいる大きな力をちらつかせるとともに、最後は、棟上げ式に首相夫人が来られて餅をまくことになっているからなどと、名誉校長である安倍昭恵氏の名前を出して交渉をしております。

 会計検査院に聞きますけれども、今回の報告書にも森友学園からの購入希望に至る経緯について書かれておりますね。

河戸会計検査院長 本件土地について、平成二十八年三月十四日の現地確認後、近畿財務局は、大阪航空局と協議を開始するとともに、財務本省にも現地確認の状況等を報告しており、同月十五日に財務本省は森友学園から地下埋設物の撤去等に関する要請を受けた、その後、同月二十四日に森友学園からの購入希望があったとされている、そして近畿財務局は、森友学園の要望に応じ、本件土地を売却する方向で事務を進めたとし、詳細な日付等は不明であるものの森友学園側と数回やりとりをしたとしているが、具体的な資料はなく、その内容は確認することができなかったとしております。

宮本(岳)委員 今、検査院の報告にあった同月十五日に財務本省はというのが、田村嘉啓国有財産審理室長との一時間半にわたる面談のことであります。

 三月十五日以降、このやりとりでまさに神風が吹いたわけであります。私の調査によると、少なくとも、籠池夫妻が東京から戻った翌日の三月十六日に塚本幼稚園で、三月二十五日及び三十日には現場で、近畿財務局及び大阪航空局と森友学園関係者との協議が行われております。

 会計検査院の報告書では、先ほど答弁があったように、この時期に近畿財務局が森友学園と数回やりとりしたことが明らかになっておりますけれども、これは国土交通省に確認します。大阪航空局も、この時期、このやりとりに同席しておりましたね。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪航空局の職員に確認しましたところ、平成二十八年三月下旬の当時は、新たなごみへの対応をめぐりまして近畿財務局とともに森友学園側とさまざまな打ち合わせを行っていたところであり、具体的にどの打ち合わせに出席していたかについてまでは詳細には記憶していないということでございました。

宮本(岳)委員 日付は詳細に記憶していないが、この時期、新たなごみの対応をめぐり、近畿財務局とともに森友学園とさまざまな打ち合わせを行っていたことは、ただいま認めました。

 そこで、会計検査院報告書が、詳細な日付等は不明であるものの森友学園側と数回やりとりをしたとしている三月下旬から四月上旬にかけての会合の一つを録音した音声データが存在し、それを関西テレビが入手して、九月十一日の報道番組で放送いたしました。

 昨日の当委員会の質疑では、昨年五月半ばに行われた会合の財務省職員の発言に関する音声データというものについて、当時の近畿財務局池田靖国有財産統括官に問い合わせ、事実確認を行い、池田氏はみずからの声であることを認めた上で、その内容や事実関係が答弁されました。

 当然、この関西テレビが放送した三月下旬から四月上旬の会合の音声データというものも、池田統括官及び近畿財務局職員に確認いたしましたね、財務大臣。

麻生国務大臣 この件につきましては、事務方において確認作業を行わせておりますので、事務方の方から説明させます。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の財務局職員の発言に関する音声データにつきましては、昨日御答弁を申し上げました四十五分のデータと異なりまして、恐らく、全体が公開されているわけではなくて、会話の一部が切り取られているものだというふうに承知をしてございます。

 ですが、報道の内容に関しまして近畿財務局の職員に事実関係の確認を行った結果は、以下のとおりでございます。

 報道されている音声データは、平成二十八年の三月下旬から四月ごろに森友学園側を訪問した際のやりとりではないかというふうに思われます。平成二十八年の三月十一日に、新たな地下埋設物が出てきた旨の連絡が森友学園側からあり、三月二十四日には、森友学園より、新たな地下埋設物の撤去費用を控除した価格で本件土地を購入したいとの要望が出され、それを踏まえて、本件土地を売却する方向で森友学園との打ち合わせに臨んでいたところでございます。地下埋設物の撤去費用を見積もるためには資料が必要であり、三メートルより深いところから出てきたものにつきましては新たな地下埋設物になるとの認識のもとで、必要な資料の提出をお願いする旨の話をしてございます。

 ただ、報道を聞いておりますと、こういう認識を伝える表現としてストーリーという言葉を使っておりますが、それは大変適切でなかったというふうに本人も申しております。

 いずれにいたしましても、先方とはさまざまなやりとりがありましたが、新たな地下埋設物の撤去費用を見積もるためには資料が必要であるから、さまざまな資料の提出をお願いしていたということでございます。

宮本(岳)委員 もう一問聞きますけれども、この会合、先ほど紹介した三月下旬から四月の音声データに録音されているその場に、大阪航空局が同席しておりましたか。していたと当人は言っておりますか。

太田政府参考人 大阪航空局の方も同席していらっしゃったというふうに私どもの職員は申しております。

宮本(岳)委員 重大ですよ、これは。工事業者から見積もりに必要な資料の提出を受けるための協議というようなものではありません。ここに記録されていたのは、財務省と大阪航空局の職員が森友学園関係者と買い取り価格をめぐって口裏合わせを行っていたという驚くべき内容であります。

 きょうは、その放送の全文を皆さんの手元に資料として配付してあります。そこで紹介された音声データの一部分をここにパネルにしてまいりました。このパネルを見ていただきたい。

 まず、地下深くまでごみがあったことにして売却価格を引き下げるというシナリオを国側の職員が切り出しております。

 これまで三メートルの深さまでごみがあることはわかっていたが、下線のところを見てください、その下にあるごみは国が知らなかった事実なので、そこはきっちりやる必要があるでしょうというストーリーはイメージしているんですと述べております。国側が、先ほど不適切だったと言ったストーリーという言葉まで使っております。

 それに対して、驚くべきことに工事業者が、三メートルより下からは語弊があります、三メートルより下から出てきたかどうかはわからないですと伝えている、そういうふうに認識を統一した方がいいなら我々合わせるが、下から出てきたかどうかは、私の方から、あるいは工事した側から確定した情報として伝えていない。きっぱり否定をしております。

 続いて、国側の職員が、言い方としては、混在と、九メートルまでの範囲で、こう言い、すると、またすかさず工事業者が、九メートルというのはわからないです、三メートルより下からはごみはそんなに出てきていないと重ねて否定をしております。

 ここで次のパネルになりますけれども、結局、学園の代理人弁護士が割って入って、そこは言葉遊びかもしれないがと前置きをして、九メートルのところまでがらが入っている可能性を否定できますかと言われたら否定できないでしょう、できないんです、そういう話なんですと述べる。

 ついに工事業者も、その辺をコントロールしてくれたら我々は資料を提供しますのでと折れ、国側職員は、虚偽のないようにあれが大事なので、混在していると、ある程度三メートル超のところにもあると、ゼロじゃないとと念を押し、工事業者が、あると思いますと言うと、国側が、そんなところでつくりたいと、話をつくっているんですよ。

 最後に、学園側弁護士が、責任問題に発展しないように頑張っていただけると信頼している、半分は我々のためにやってもらえると思って、半分は御自身のために頑張ってください。

 ひどいじゃないですか。冗談じゃないですよ。こんな口裏合わせで、根拠も定かでない八億二千万円の大幅値引きをやって、国民の財産である国有地をただ同然で売却してやる。

 総理、これはもう明確な背任ではないですか。

太田政府参考人 今ほど御答弁を申し上げたとおり、先方とさまざまなやりとりがありましたけれども、あくまで、新たな地下埋設物の撤去費用を見積もるために資料が必要であるということから、さまざまな資料の提出をお願いしたということでございまして、委員御指摘のような口裏合わせをして地下埋設物の撤去費用を見積もろうとしたということは当たっていないというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 口裏合わせじゃないと。そんな話は通りませんよ。

 総理、これは明確な口裏合わせじゃないですか。総理、御答弁ください。

河村委員長 太田理財局長。(発言する者あり)

 太田理財局長、答えてください。

太田政府参考人 先ほど内容について御説明申し上げたとおりでございまして、あくまで、三メートルを超える深いところから出てきたものについては新たな地下埋設物になるという認識のもとで、必要な資料の提出をお願いしてきたということでございます。

 ストーリーという表現が適切でなかったと申し上げましたが、言葉遣いが適切でなかったところはあるかもしれません。ただ、あくまで、地下埋設物の見積もりをするために必要な資料の提出をお願いしているということでございます。

宮本(岳)委員 いや、そんな答弁は通りませんよ、それは。あくまで、表現の問題じゃないんですよ、三メートルより深いところから出てきていないとはっきり業者も述べているわけですね。

 では、もう一つ、動かぬ証拠をお示しいたしましょう。このパネルを見ていただきたい。

 これは、この小学校の建設工事を担当した工事業者が、ことしの六月に会計検査院が豊中市の国有地に実地検査に入った際、検査院から提出を求められ提出した地中ごみ撤去費の独自試算に添付されていた、試算の前提となる敷地図であります。見ていただきたい。

 この黄色い部分で地下三メートル、青い部分で一・八メートル、赤いところで一メートル、その他白い部分で〇・五メートルと見積もっております。これは、現に工事を行い、既に工事を終えた業者が、ことしの六月、終わった後で行った試算でありますけれども、三メートルより深いところにごみがあるという試算はやっていないんですね。

 国土交通大臣、これはつまり、音声データに生々しく示された、三メートルより深いところにごみなどなかったということの何よりの証拠ではありませんか。

石井国務大臣 この資料を私は初めて拝見いたしましたので、この業者がどういう根拠でこういったことを出したのかは詳細には承知をしておりませんが、ただ、この業者が会見でたしか発表していたと思いますが、額については、たしか九・六億円という額を出していたかということは承知をしております。

宮本(岳)委員 そういうところだけ覚えているという今お話がありましたけれども。

 現に工事をやった業者ですよ。そして、先ほど生々しい会話を紹介したその同一業者ですよ。三メートルより深いところにない、九メートルとは言っていないと。その工事業者が、全て工事を終えた後、ことしの六月にこういう見積もりを出した。何で九億になるかというたら、対象面積を全部、一〇〇%でとっているという面もあるんですね。

 この音声データに示されたまさに口裏合わせのやりとりは、そもそも実に奇怪であります。普通、値引きを求めるのは国有地を買う側であって、売る側である国側から値引きを提案するなどということはあり得ないことであります。

 もう一度、このパネルを見ていただきたい。

 先ほど明らかにしたように、直前の三月十五日には、籠池夫妻が財務省本省に乗り込んで、一時間半にわたり、安倍昭恵氏の名前をちらつかせながら、当時の田村嘉啓国有財産審理室長に迫りました。そして、この田村嘉啓氏こそ、この方こそ、その前年の十一月、谷査恵子、安倍昭恵夫人付が財務省に問い合わせたときに、あのファクスのもとになる回答を谷査恵子さんに返した本人じゃありませんか。あのファクスの中には、今後とも見守ってまいりたい、こういうお答えもはっきり書かれておりました。ゼロ回答と言うけれども、最終的には値引きをして、ただ同然で売り払ったわけであります。

 総理、総理は代表質問では、私の妻が一時期名誉校長を務めていたと、まるで過去のことのように答弁されましたけれども、昭恵さんが名誉校長をやめたのはことしの二月ですよ、おやめになったのは。国会で問題になってから、ことしになってからおやめになった。今このパネルに示した時期、昨年の三月、もちろんのこと安倍昭恵さんは名誉校長ですよ。四月も名誉校長ですよ。国有地を八億二千万円引きの一億三千四百万で売却した六月二十日時点も、安倍昭恵さんは森友学園の名誉校長ですよ。あなたが名誉校長だったんじゃないんですよ、安倍昭恵さんが名誉校長だったんです。

 総理、これはもう安倍昭恵氏が証人として、みずからの口で直接語る以外に丁寧な説明などやりようがない、そうではありませんか。

安倍内閣総理大臣 国会の審議については国会がお決めになることだと思います。

 ただ、私の妻が一時期名誉校長を務めていたこともあり、国民の皆様から疑念の目を向けられたとしても、もっともだと思います。

 その上で、本件については、私自身、閉会中審査に出席するなど、国会において丁寧な説明を積み重ねてきたところでございます。今回の衆議院選挙における各種の討論会でも質問が多くあり、その都度、丁寧に説明をさせていただいたところであり、今後もその考え方に変わりはないわけでございます。

 いずれにせよ、私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、またもちろん事務所も含めて一切かかわっていないということは改めて明確にさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 いやいや、丁寧に説明をしてきたところでございますと今総理がおっしゃったのは、総理が語ってきたわけですよね。閉会中審査でも、私自身、総理が語ったということでありますけれども、しかし、今出ている疑惑は総理じゃないんですよ。安倍昭恵前名誉校長、この時系列でいうと、この時点で紛れもない名誉校長だった安倍昭恵氏の関与という問題なんですね。

 こういう値引きというものがなぜ行われたのか。そもそも会計検査院からは、十分な根拠が明確でない、こういう報告が出たわけですね。そうでしょう。

 私は、もとからこの根拠は疑わしいと言ってきましたけれども、そのときに政府側が力説してきたのは、根拠はあるんだ、三・八メートル、九・九メートル、一万九千五百トン、単価は二万二千五百円、こうやって計算したらちゃんと八億二千万になるのだと言ってきた。しかし、その試算は不動産鑑定士さえ使えないという試算だったわけでしょう。そして、会計検査院は十分な根拠を確認できなかったと言っている。前提が崩れたんですよ。反証する責任はまさに政府の側にあるわけであります。

 そして、なぜそんな国の側から値引きを持ちかけるような奇怪なことが起こったのか。まさに、三月の十五日に安倍昭恵さんの名前をちらつかせて田村嘉啓国有財産審理室長に迫った会合があった。その前年には、その田村さんに安倍昭恵夫人付から問い合わせて、そして答えを受け取った。今後とも見守ってまいります、田村さんはそう言っているわけですよ。

 そういうやりとりがあった、だからこういう特別扱いがやられたんじゃないのか、奇怪なことがやられたんじゃないのかというのが国民の一番の疑念でありまして、幾ら総理が丁寧な説明をしても国民が納得しないのは、昭恵さんが語らないからなんです。違いますか、総理。

安倍内閣総理大臣 当時の理財局長も近畿財務局長も、私の妻が名誉校長であったことは知らなかったということを述べているわけでございまして、いわばそこで私の妻が名誉校長であることによって値引きされたということには全くならないわけでございまして、そのことをはっきりと申し上げておきたい、こう思う次第でございます。

 一般常識的に申し上げましても、例えば私がどこかの名誉会長になっているからといって、それをもって例えば国との交渉で有利になるということは、これはほぼないわけでございますし、例えば私の地元のさまざまな陳情においても、それが一〇〇%、私自身がお願いをしても一〇〇%それが実現するということには全くならないわけでございます。ということははっきりと申し上げておきたい。

 例えば、私自身がずっとかかわってきた山陰自動車道なんかもずっとミッシングリンクのままでございますし、妻が名誉校長だったからといって、近畿財務局がそれはそう簡単にそういう行為をするということはあり得ないわけでございますし、そもそも、近畿財務局あるいは財務省側から森友学園と私との関係について問い合わせがあったことはもちろん全くないということは申し添えておきたいと思います。

宮本(岳)委員 谷査恵子さんを通じて田村嘉啓さんのところへ問い合わせたときに、安倍昭恵さん付の谷査恵子であるということを田村嘉啓氏は早くも認識した、こう述べているわけですよ。三月の十五日に激しいやりとりがあったのも、田村嘉啓氏と本省でやったわけですよ。知っているわけです、財務省側は。そのことは明らかだと言わなければなりません。

 委員長、森友学園元名誉校長の安倍昭恵氏と近畿財務局前国有財産統括官池田靖氏、そして前財務省理財局長の佐川宣寿国税庁長官の証人喚問を求めたいと思います。理事会で御協議いただきたい。

河村委員長 理事会で協議をいたします。

宮本(岳)委員 総理、あなたは二月十七日の衆議院予算委員会で、森友学園への国有地払い下げに私や妻やあるいは安倍事務所が関係していたということになれば首相も国会議員もやめると明確に答弁されました。これは、籠池氏が逮捕されようが、解散・総選挙が行われようが、消えるものではありません。

 確認しますけれども、総理、この答弁に変更はありませんね。

安倍内閣総理大臣 それはないわけでございまして、事実、それを証明するものは全く出ていないわけでございまして、先ほどから申し上げましたように、私も妻も、またあるいは事務所も全くかかわっていないということでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、まさに国側から持ちかけて口裏合わせを行った音声データが明らかになり、きょうの議論を通じて、政府もその事実を認めざるを得なくなりました。

 しかし、このような不可解なことが行われたのは、谷査恵子氏を通じて、籠池夫妻を通じて、安倍昭恵氏が、名誉校長の意向が働いた以外にどんな理由も考えられません。

 昭恵氏が証人喚問で堂々と真実を語るとともに、この国有地のただ同然の払い下げに関係していたとすれば、言葉どおり、総理も国会議員も辞するべきことを強く申し上げて、私の質問を終わります。

河村委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 安倍総理、今、後ろの方で、森友学園とか加計学園の論議を聞いておりました。しかし、選挙結果を見ると、安倍総理は三回選挙をしていますけれども、四十六回、四十七回、四十八回、その三回の選挙とも、与党は三分の二の圧勝をしているんですよね。与党が三分の二をとって三回連続圧勝しているというのは、日本の選挙史上で安倍総理が初めてなんですよ。何でこんなに強いんですかね。

 自分で、この三回の選挙をやってみて、自分のどこが一番国民にアピールできたと思われますか。

安倍内閣総理大臣 今回の総選挙においては、今例として挙げていただいたこの三回の選挙の中で、比例区においても、あるいは小選挙区においても最も自民党は高い得票数をとることができたわけでございます。これは、安定した政権基盤の上に、しっかりと政策を前に進めていけという国民の声であろう、こう思う次第でございます。

 大変私は至らぬ人間でございますが、しかし、今後とも、誠心誠意、選挙でお約束したことを全力で前に進めていきたい、こう思う次第でございます。

 私自身の至らない点を数え上げることはできるわけでございますが、何がいいのかということはなかなか思いつかないところでございます。

下地委員 相当な謙虚ですね、これは。

 今度の選挙で、私は、四百六十五番、最後の当選者でしたね。月曜日の四時四十五分ですから、一番最後でした。

 そうしたら、翌日、高校生の子供が事務所に来て、下地さん、握手しようと言うんですよ。握手しようと言うものですから、どうしてと言ったら、来年受験なんだ、下地さんはいつも選挙で落ちそうで落ちないけれども、縁起がいいから握手しようと、握手して帰ったんですよね。

 私も、この運命を見ていて、やはり、最下位ではあるけれども、自分に与えられた意味みたいなものはあるなというように思いましたよ。

 それで、安倍総理にお聞きしたいんですけれども、今回の選挙で勝って、安倍総理は、きょうで二千百六十五日で、佐藤栄作元総理、吉田元総理に次いで三番目の在任期間の長い総理大臣になりました。

 吉田総理は、もちろん、就任一年目で、昭和二十一年に日本国の憲法の公布をなされて、それで四年目に、昭和二十六年にサンフランシスコ平和条約を締結して、日本の主権を回復した総理大臣です。旧日米安保条約を締結したのも吉田総理ですね。佐藤栄作総理は、八年間のうちの七年目にして沖縄返還の協定をやりました。

 これだけ在任期間の長い総理として、今まで、このお二人の総理がやられたことに匹敵するようなことを安倍総理はやられてきたというふうな思いがあるのか。それとも、今後、自分はこの残された四年間で、吉田総理や佐藤栄作総理のような、これをやりたいというものがおありになるのか。みずからの意味みたいなものを、ちょっと国民にお知らせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 与党としては、また議員としては四年の任期を与えていただいたわけでございますが、私は、他方、自民党の総裁でございまして、総裁の任期はあと一年しかないわけでございまして、今は、この与えられた使命の中において、安定した政治基盤の中で一つ一つ政策を進めていく。

 また、今回は、総選挙に対して、国難に立ち向かうための総選挙と位置づけまして、北朝鮮の脅威に対して強い外交力で対応していく、あるいはまた少子高齢化を乗り越えるために子供たちに思い切って投資をしていく、この二つをまずは喫緊の課題として全力で尽くしていきたい。

 とても、総裁任期が来る一年先まで考えている余裕は全くないということでございます。

下地委員 私は、今二人の総理のお名前を挙げてその実績を挙げましたけれども、在任期間が本当に今の安定政権でいけば一位になるかもしれないというようなときに、振り返ってみて何をやったのかということを示すのは大事なことだと思うんです。

 私は、そういう意味では、今の働き方改革とかそういうことじゃなくて、本当にこの国の骨格を変えるというようなことになると、やはり憲法改正を本当におやりになる総理だということを明確にした方がいいんじゃないかと思うんですよ。

 骨格にするときには、私は二つのことがあると思うんですね。一つは、国の構造を変える。そういう意味では、自衛隊をどういうふうに書き込むかとか、今論議されているようなこともしっかりと論議しなきゃいけないし、私どもの党が言っているように、教育の無償化という国民に密着した政策の中で憲法改正をしっかりと位置づけていくようなことも大事だというふうに思っているんです。

 そういう意味でも、憲法改正、このことを、私は、安倍総理の、本当に骨格としてこれをやるんだというような中でこれからの任期をやられるということを明確にした方がいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうかね。

安倍内閣総理大臣 なかなか、下地委員に乗せられて余りのりを越えないようにしなければいけない、こう思っているところでございますが、憲法改正については、そもそも我が党自由民主党の立党のいわば基本的な柱と言ってもいい、党是と言ってもいいんだろう、こう思う次第でございます。

 そこで、ことしの五月に、私の考え方をあえて自民党総裁として述べさせていただいたところであります。確かに物議を醸したのでございますが、このような大きな課題についてはやはり誰かがリーダーシップを持って思い切って提言をしなければ前に進んでいかないということもございますので、あえてその中で一つのスケジュール感と一つの考え方をお示しさせていただいた。そのことによって今大変活発な議論が行われている、こう思っております。

 スケジュールありきではございませんので、まずはしっかりと憲法審査会で議論が深まっていくことを期待したいと思います。

 御党も、この憲法改正については積極的な議論をされ、また具体的な案も示しておられると承知をしております。ぜひとも、御党も含めて、国会において建設的な議論がなされることを期待しているところでございます。

 ここまで参りますと、むしろ、私が何か申し上げることがかえってそれを妨げることになる危険性もございますので、これは私の不徳のいたすところでございますが、ここはしっかりとまずは御議論をいただきたい、こう思っている次第でございます。

下地委員 三回も三分の二を勝った自民党総裁だから、これは危険だとか危険じゃないとかと言わずに、リーダーシップを出して頑張っていただきたい。

 それで、総理、一個だけ総理に、自民党総裁でもありますから申し上げておきたいんですけれども、本当に私たちは前向きに論議したいんですよね。前向きに論議したい。さっき言った、垣根もなく自衛隊の問題も九条の問題も教育無償化の問題も論議をするというのが私たちは大事だと思っているんですね。

 そういう中で、自民党は、きょうの新聞を見ると、教育の無償化、私たちが一丁目一番地と言っているものはもう明記しない、論議しないようなことが書かれておりましたけれども、非常に残念でしたね。

 私は、憲法改正の進め方というのは、今、自民党と公明党で三分の二いますけれども、三分の二でずっとおやりになるつもりなのか。この憲法改正というのは、やはり野党の声も聞きながらしっかりとつくっていきたいのかという、自民党のその姿勢が大事だと思うんですね。野党であるけれども、この教育の無償化を私たちは憲法改正で入れたいというようなことを思って、憲法改正に協力をしながらやっていきたいという政党にとっては、きょうの新聞を見ると、これは何なのだろうというような思いになります。

 ただ、大事なことは、三分の二は自公で、これは発議できますよ。しかし、今度の選挙を見ても、比例区を見ても小選挙区を見ても五〇%の得票数を超えていない。国民投票のときにはそう簡単に私はいかないと思うんですね。やはり発議をするときにも、与野党を超えて、多くの政党からやはりこの項目をやろうというようなことになって、歴史的な憲法改正というのは通ると思うんですよね。

 ぜひ、総裁として、総理として、総理が先ほど申し上げたように、憲法改正の論議は多くの政党と多くの声に耳を傾けるんだというようなことをやっていただきたいということを、総理の方から一言お願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 衆参とも与党で三分の二を維持しているところでございますが、この憲法改正については、確かに下地委員がおっしゃったように、できるだけ多くの方々に賛成していただき、できるだけ多くの多数派を形成していきたい、こう思っております。

 積極的に御議論いただく党とは建設的な議論を重ねていきたい、こう思っておりますし、国民投票の二分の一というのも大変高いハードルだ、私はこう考えている次第でございます。

 例えば、イタリアにおいて憲法改正の投票を行ったところでございます。当時の政権は大変人気の高い政権でございましたが、しかし、二分の一をとることができなかったという例もあるわけでございますから、できるだけ多くの議員の皆様に賛成していただいた上で発議をし、そしてなるべく多くの方々の、国民の支持を得て憲法改正を行いたい、こう考えているところでございます。

下地委員 ちょっとパネルに書いてありますけれども、私たちは、元祖教育の完全無償化を憲法改正にする、これは参議院にも書いて、ずっと書き続けているのが私どもです。

 論議がありましたね。党内でも、これは、憲法に書くんじゃなくて、法律でできるよという論議がありました。しかし、今二十六条に書いてある義務教育の無償化というのは、一兆五千億かかるんですよ。一兆五千億かかるから、結局は法律で毎年毎年、総理大臣がかわるごとに、そのままにしていると、これが本当に義務化としてずっと続くのかと不安だから、これは憲法の中にしっかりと書かれているんです。今回は三兆七千億ぐらいかかるんですよ、私たちの試算だと。

 となると、やはり憲法の中にしっかり書いておかないと、総理大臣がかわるごとにまたこれも動くんじゃないかというような思いがあって私たちは党内で論議しましたから、これはしっかりと、私たちとしては、教育の無償化は憲法の中に入れた方がいいという私たちの発想でやらせていただいています。

 それで、総理に二つ、きょうはお聞きしたいんですけれども、国難という言葉を総理が申し上げました。九月の二十五日の官邸の記者会見でも国難と申し上げて、十一月十七日の所信表明でも国難という言葉を申し上げましたが、国難のところの一つに少子化があるんですよね。少子化に対して総理は国難という表現を使っているんです。

 それで、国立社会保障・人口問題研究所というところの十五回目の出生動向基本調査というのが出ていますけれども、理想の子供数を持たない理由として何が一番大きいですかと言ったら、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからと答えた方は、三十歳未満で七六・五%、三十歳から三十四歳で八一%、こういうふうな数字が出ているんですね。だから、総理が国難と言ったこの少子化を解決するということのためには、私たちが言っている教育の無償化は大きな効果を示すと思うんですよ。

 そういう意味で、この教育の無償化、国難を解決するための国是としてこれをお進めになるという強い思いがないとこれはなかなか進まないというふうに思っていますから、ぜひ強い思いを持って教育の無償化に取り組んでいただきたいというように思います。

 それで、この三つのことをちょっと総理に見ていただきたいんですけれども、私たちが教育の無償化のメリット、制度設計、財源と三つを示しておりますが、一番目に人口減少の歯どめの効果というようなことが書いてあります、ページをちょっとあけて見ていただければわかりますが。年間に二百六十九万人の出生がありましたが、今、百万人以下になりました。先ほど言っているように、もう二・三人を持たない方々が六割を超えています。こういうふうな意味では、教育の無償化は人口減少に大きな役割を担うというようなことを私たちは申し上げているんです。

 あと、高等教育の進学増における高等人材の確保ということでありますが、やはり高等教育を受けると、それなりの大きな役割を担ってくる。

 今、高校の卒業生と大学の卒業生の生涯賃金の差が七千万あるわけですから、この皆さんが専門学校へ行ったり大学へ行ったりすると、総理が目指しているような二%、また今回も給料を三%上げるということは自然と生まれてきますよ。また、人材が育つということは国力のアップになりますから、これも大きな意味がありますよということを申し上げています。

 三番目のところを見ていただきたいと思いますが、この教育の無償化は経済政策なんですよ。総理がおっしゃるように、経済構造を変えて三%の賃金を上げてもらいたいというやり方をするのか。

 これはちょっと一例で私がつくってありますが、一時金と賃金の上昇で四%を計算しても、もう簡単に申し上げますけれども、七・四万円しか年間に上がらないんです、これは。給与を前年比から一%上げて、一時金を四%引き上げて五%にしても年収が七・五万円しか上がらないんです。しかし、この教育の無償化をやって、子供が二人、三歳と五歳がいると、可処分所得は六十万上がるんですよ。

 企業にお願いして給料を上げろと言うよりも、この教育の無償化をして、二十代、三十代、四十代の若い世代が可処分所得がふえて自分が使えるようにする、そういうようなことをやれば、この三兆円規模が可処分所得で消費に回ったらGDPは〇・六%ぐらい上がる。

 だから、企業を、経済だけでこの賃金を上げていこうというのではなくて、こういうような教育の無償化で可処分所得を上げていくというようなやり方が私たちはいいんではないかと。だから、これは経済政策においても私たちはこの役割を担うというふうに申し上げているんです。

 そのことについて、総理の御意見をちょっと聞かせてください。

安倍内閣総理大臣 考え方、方向性としては全くこれは同じでございます。

 だからこそ、今回我々は、子供たちに思い切って投資をするために消費税の使い道を変えるということを決断したところでございまして、真に必要な子供たちのために高等教育を無償化していく、専修学校や大学に経済的に厳しい御家庭のお子さんも通うことができるようにしていく、そしてまた待機児童を解消し、そして幼児教育の無償化を一気に進めていくという決断をしたところでございます。

下地委員 もう一つだけ説明させていただきますけれども、納税額の数字を見ていただきたいんですけれども、この一年間の納税者数が五千万人ですけれども、八百万から一千万以上の方で納税をなされている人が一六%なんですよ。そして、この高額納税者というのが一六%なんですけれども、高額納税者が払うお金というのは七兆七千億で納税額の六〇%なんですね。だから、低所得の方々というのは五兆二千億円ぐらいで四〇%ぐらいなんですけれども、今度の教育の無償化に所得制限を設けるというのはやはり間違っていると思うんですね。同じクラスの中に、無償の子供と、お父さんが所得があるからというような子供がいるというのはやはりおかしい。

 だから、私たちは、こういう納税をしている方々というのは国に貢献しているわけだから、本当は彼らは無償化じゃなくても子供に教育を与えられる力はあるかもしれないけれども、ここは、所得で分けるというようなことはやらずに、そのまま、この子供の教育に関しては、別の仕組みで納税者にもっと貢献してもらうというやり方をした方がいいんではないかというようなことを思っています。

 そして、もう一つ、私立大学の無償化についても、私どもの党の提案ですけれども、これもキャップをはめる。

 一つの例を書いてありますが、国立大学の五十四万円はそのまま無償化にする。その残りの半分については、給付型の奨学金とそして貸し付け型に分けるというふうにしています。給付型、どうせ上げるんだからそのまま教育費に回したらいいんじゃないかと言うかもしれませんが、給付型は、ある意味アパート代とかいろいろなものに使えるので、学費、学校に払うのと違う使い方ができるので、子供にとっては使いやすいのが給付型なんです。そういうふうな枠をつくる。

 下の左の方の医者とか歯科医師の場合は授業料が高いんですけれども、しかし、これも、低所得の、親の所得が低い子供も初めて私学に行ける、医学部に行けるというような構図になってきますから、私学に関してもしっかりとこの教育の無償化を進めるということが大事だ。

 そして、私たちの党の一点大事なことは、教育の無償化という言葉の中には、自分でちゃんと払えるようになる、自分の負担にならずに払えるようになるというのも教育の無償化の一つだという考え方なんです。

 だから、全部を払うんじゃなくて、最後のところの所得に応じて払えるようになってきたものは、これは無償化と同じ価値があるんだよというようなことを言って、全部を払うというのが維新の会の無償化ではない。だから、これを組み合わせれば十二分にできるんだということを、総理、御理解いただいて、完全無償化と言っていることをぜひチャレンジしてもらいたい。

 そして、憲法の中にこの教育の無償化を書き込むということに、きょうの自民党の、明記がありましたけれども、私は、それとは違う方向の方でぜひ検討いただきたいというふうに思っていますから、そのことについて御答弁をお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 教育の無償化について憲法に書き込むということにつきましては、我が党においても、教育についても、やはり憲法の中でどのように高等教育の位置づけも含め考えていくかということで議論を当然しているのでございますが、ぜひ御党のお考えを示していただきながら、憲法審査会で議論が深まっていく、また、これがもし成案にたどり着けば、それはそれですばらしいことであるな、こう思っているところでございます。

下地委員 総理、もうちょっと歯切れよく。本気で、憲法に教育無償化、論議しましょうというところまでは言っても、そう自民党の考え方と違わないんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 私、今、もう再三言って申しわけないんですが、総理大臣としてここに立っておりますので、個別具体的なことは発言を控えさせていただきたいと思いますが、ぜひ、先ほど申し上げましたように、高等教育の無償化も含め、教育の無償化について憲法審査会において御党も考え方を出して御議論をいただければ、こう思う次第でございます。

 私、自民党の中でどういう議論になっているか、よく承知をしておりませんので、しかし、自民党も、御党の案が出てくれば、まずしっかりと議論していくということについては全く賛成をしているわけでございますから、議論が進んでいくことを期待したいと思います。

下地委員 総理、もう一つ、総理の国難について御説明をいただきたいんです。

 一つは、日米の首脳会談をやりました。北朝鮮問題が大きな議題になりましたが、その中で、したたかな交渉が行われたと思いますよ。日本側も二・四兆円の装備品を買うというようなことを決めたし、そのことによってFTAの言及をアメリカ側が避ける、そしてインド洋、太平洋の戦略に大統領を同意させる、北朝鮮の問題は、最大の圧力の局面だということをお互いが確認する、拉致家族との面談をやって、拉致問題が大事だということを世界じゅうに知らしめる。

 こういう意味では、この日米首脳会談は、トランプ大統領も二・四兆円のビジネスが成功したというところもあるかもしれませんが、日本側としても、やはりこれは、日本の外交の一つのシナリオはしたたかで、うまくいったのではないかというふうに私は思っていますけれども、そういう意味で、総理は、この日米首脳会談を自分なりにどういうふうに評価なされておりますか。

安倍内閣総理大臣 防衛装備品につきましては、F35あるいはPAC3のブロック2A、またイージス・アショアでございますが、これはもう既に防衛計画の中で決まっているものについての御紹介でございますので、トランプ大統領との会談において新たに買うということではないわけでございますが、しかし、もう既に決まっている中において、これから購入段階に入ってくるということについて紹介をさせていただいたところでございます。

 日米首脳会談におきましては、最大の論点は北朝鮮にどう対応していくかということでございまして、あらゆる手段を駆使しながら圧力を最大限まで高めて、北朝鮮の側から話し合いたいと言ってくる状況をつくっていく、政策を変更するから話し合いたいと言ってくるような状況をつくっていくということで一致をしたところでございました。そのためにも、先般の国連決議を完全に履行していくよう、中国、ロシアを初め各国に協力して働きかけを行っていく、あるいは、北朝鮮をより孤立化させていくために各国に働きかけていくということ等々について一致をしたところでございまして、この考え方のもと、大統領は韓国そして中国を訪問され、その後、APEC、EASにおける会議での成果にもつながっていった、このように考えております。

下地委員 シナリオの話があったと思うんですけれども、総理が考えている北朝鮮の対応のシナリオという一つ目は、圧力をかけることで北朝鮮側から対話を望んでくるというのも一つの方法。また、北朝鮮が暴発するのではないかということも言われます。

 この二つ目の、北朝鮮が暴発するんじゃないかというときの対応について考えてみると、今、沖縄に最新鋭のステルス戦闘機F35が十二機配備されていますね。また、この前、米軍統合参謀本部が十一月四日に発表したのは、壊滅的な打撃を与えるには地上部隊が必要だ、唯一の役割だということを言っておりますが、地上部隊というと、沖縄の海兵隊が一番この役割を担うというようなことになってくるわけなんですね。

 この二つを見て、また沖縄には五万人近くの米軍人がいますから、有事の際にはこの避難のあり方とかいろいろなことが問われることになるというふうに思っておりますが、こういうふうな国難と言われる北朝鮮問題の大きな役割を担うのは、やはり沖縄なんですよね。

 だから、沖縄の基地負担軽減というだけではなくて、そういう役割も担っている沖縄問題を、日米首脳会談ではどういうふうに総理がトランプ大統領と沖縄問題というのは話をなされたかというのをお聞きしたいと思っています。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたイージス・アショアについては、これは中期防の中に入っていなくて、現在検討中ということでございます。検討中ということでございますので、訂正させていただきたいと思います。

 まず、自衛隊と米軍が行っているのはあくまでも北朝鮮の脅威を抑止するために必要な行動であるということが一点でございますが、同時に、沖縄の負担軽減を進めていく必要性についてもトランプ大統領に、今まで何回か行ってきた首脳会談を通じてお話もさせていただいているところでございます。

 いずれにせよ、北朝鮮の今後の挑発行動とこれに対応する米国の行動について、また、ましてや北朝鮮との戦争が発生した場合といった仮定の事態を予断してお答えすることは差し控えるべきものと考えておりますが、その上で申し上げれば、米軍基地が多く所在することをもって沖縄においてのみ負担が増大するようなことはあってはならないと考えております。

 安倍政権においては、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日米同盟の抑止力の維持を図るとともに、沖縄の基地負担軽減を図るため、できることは全て行う、目に見える形で実現するといった基本方針のもと、政権の最重要課題の一つとして負担軽減に取り組んでいるところでございます。

下地委員 原稿ではなくて、総理、私の質問は、これだけ役割を担っている、今でもあるけれども、これから北朝鮮の、国難というものに対して沖縄が役割を担うということになっていますが、私は、この日米首脳会談があるときに、晩さん会でも、うちの翁長知事を呼ぶんじゃないかと思ったんですよね。やはり五万人も、一番日本の中で多い。安倍総理と一番意見が今違っているかもしれない、そういう人だからこそ呼んで会談をして、話し合いをしていくというのがやはり私は大事な姿勢だと思うんです。

 橋本さんと大田さんの場合には、二十四回ぐらい会談していますよ。だけれども、今、翁長さんと安倍総理が会談するというケースは、もうめったにありませんね。何か、桜の花を持ってくるのか何かの、そういうようなことじゃなくて、実際、総理、みずから、本当に本音で一時間でも二時間でも翁長知事と会談するつもりはないのかというのを私はずっと模索したいと思っているんですよね。

 菅官房長官が後ろにいらっしゃいますけれども、ぜひこれは一回、早い時期に、辺野古を強引に進めるというような話にならないように、いろいろな交渉をしてみる。本当に辺野古を進めたいなら、日米地位協定を変えてくれとか、使用期限をつけてくれとか、また別の条件をつけてくれというような話が出てくるかもしれない。また、総理が辺野古をやめると言うんだったら、本当にあなた、普天間の基地をそのまま使わせますかとか、ほかに基地をやれますか、こういう交渉をしたためしも一回もないんですよね。やはり僕はそこに問題があると思うんですね。

 やはり一回どこかで両方が裁判をおろして、政治家同士で話をしてみるというようなことができる最後の時期が来ているのかなというふうに僕は思っているので、そういうことについて、総理、おやりになるつもりはありませんか。

安倍内閣総理大臣 沖縄と政府との関係においては、我々、裁判所の和解を受け入れたところでございます。私どもは和解を受け入れる。和解を受け入れるということについても米側の了解も、米側との関係もあるわけでございますが、米側にも話をしたところでございます。

 しかし、和解を受け入れたわけでございますが、残念ながら、沖縄県側とその和解にのっとって進んでいないということは大変残念なことだと思っております。

 そして、会談でございますが、両者が一致するところは、まず、住宅地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は断じてあってはならないということでございます。そして、当然米側と交渉しなければ物事は進んでいかないわけでございますが、その中において、私ども、米側と交渉する上において最善の、今、もちろん大変な御不満はあるだろうとは思いますが、その中でできる限りのこととして辺野古への移設。しかし、辺野古へ移設する中において、実際、機能は三分の一に減らしていく。また、防音設備をしなければならない家屋も大幅にというか、これはゼロになっていくわけでございます。

 そうしたことも行いながらできることはやっているわけでございまして、話し合いをしていく上においては建設的な話し合いになっていかなければならないんだろう、こう思っているわけでございますが、私は、話し合いを拒否するというつもりは全くないわけでございまして、お話をする機会があればいつでもお話をさせていただきたい、こう思っている次第でございます。

 政府としても相当の努力を重ねているということは申し上げておきたい、こう思っている次第でございまして、例えば岩国には空中給油機を十五機受け入れているわけでございますし、全体の米軍再編の中で相当の受け入れも行っているわけでございます。先般、空母艦載機が六十一機、岩国に来ることになりました。これは合計百二十機でございまして、アジア最大の米軍の空軍基地になるわけでございます。

 こういうことを進めていく上においても、例えば山口県と岩国の皆さんに了解を得ながら、これは私の地元というか県でございますが、了解を得ながら、皆さんに大変な思いをしていただきながら進めているわけでございまして、これも、沖縄の基地負担の軽減につながっていくという中において皆様に御了解をいただいているわけでございます。こうした努力はずっと積み重ねてきたわけでございますし、北部訓練場という最大の返還もあったわけでございます。

 そうしたことをこれから一つ一つさらに積み重ねていきたい、こう考えているところでございます。

下地委員 総理が今おっしゃっていることは正しいことで、御努力なされていることはよくわかりますよ。

 しかし、私どもの選挙結果を見ても、いろいろな結果を見ても、沖縄県民の中にはまだ納得していないというのは残念ながらあるというふうなことは間違いありません。

 そういう意味では、今申し上げたようなことを二人でゆっくり話をするというのが大事だ。総理は今、否定するものじゃないということをおっしゃいましたので、沖縄側から総理と会談したいと言ったら受けるというふうに考えていいんですね。

安倍内閣総理大臣 もし、沖縄県側というか翁長知事が私に会いたいと言えば、いつでもドアはオープンであるということは申し上げておきたいと思います。

下地委員 それともう一つお話ししたいんですけれども、我が党の政調会長もしていました吉村大阪市長がいますけれども、サンフランシスコの従軍慰安婦の問題で、非常に厳しい決断をなされました。

 この吉村市長の決断を見て、本当に姉妹都市の締結を破棄するというのは大変なことだというふうに思うんですけれども、しかし、間違った歴史観を世界に発信しちゃいけないというようなことで彼は決断したわけです。

 吉村市長のこの姉妹都市の締結を破棄するというようなことについて、政府がやはりちゃんとコミットメントしてちゃんと支援する、支持するというようなことを出すことが大事だと思いますが、そのことについてぜひお願いしたいと思います。

河野国務大臣 サンフランシスコの慰安婦像の碑文には、史実でない極めて不適切な表現が含まれておりまして、我が国政府の立場とは相入れない極めて遺憾なものだと考えております。

 政府としては、このような観点から、サンフランシスコの市長に対してこの慰安婦像の寄贈を受け入れないように申し入れを行いましたが、それにもかかわらずサンフランシスコ市が寄贈を受け入れたことは、極めて遺憾だと思っております。

 今の大阪市とサンフランシスコの間の姉妹都市の関係につきましては、これは地方公共団体に関する事柄でございますから、政府としてコメントすることは差し控えます。

下地委員 こういう答弁をしているからだめなんですよね。

 大臣、大臣のところの戦略的外交発信の予算は年間五百億あるんですよ。今回も、八百億ぐらい使って世界じゅうに日本がどういう国かというのを発信するためにやっていて結局はこうなるんじゃないかといって、外交的に負けたんですよ。

 そういう中で、外交的に、本当は吉村市長がやるべきものじゃなくて、外務省がやらなければいけない、サンフランシスコの総領事館がこれをとめなきゃいけないものがとめられなくてこういうふうな状況になっているにもかかわらず、地方自治体のことには口を出しませんなんてことがあり得るわけがないでしょうが。

 もう少しこういう歴史観の問題は、本人がだめだと言っているんだったら、それは支持しますと言うのが僕は当たり前だと思うんですよ、外務大臣として。そこのところをしっかり言っていかないと、建前だけでやってきたらだめじゃないですか。それをしっかりもう一回答弁してくださいよ。申し入れるぐらいじゃだめですよ、これは。

河野国務大臣 繰り返しになりますが、地方公共団体のことについて政府はコメントいたしません。

下地委員 まあ、こういうふうなことの繰り返しの答弁しかできないようじゃ、本当におかしいですね。

 大臣、こういうふうなことをやっていたら、大臣が答弁しないということは、これを今世界じゅうに言っていたら、これを支持しないと思って、日本政府が認めたという話になりますよ。(発言する者あり)いや、違うと言っても、やはり自治体の長がそういうことについて毅然とした態度をとっている以上は、歴史的に事実じゃないということを政府も認めている以上は、支持すると言うのは当たり前でしょうが。それが何で言えないんですか。これは今のままだったら本当に広がっていきますよ。

 日本政府は強い意思で、そういうことは許さない、だから大阪市の考え方は間違いではないということをはっきり言うべきなんです。

 内容をきょう衆議院のこの場所で読みたいんですけれども、読むだけでもう本当に、私はこれは日本の歴史にとっても余りよくないと思ってこの場所で読みませんが、あの碑文は本当に間違っていますよ。それをもう一回しっかりと、外務省は、対応できなかったという責任をはっきり持ってみずから明確なる姿勢を示す、これが大事だということを改めて申し上げたいと思います。

 それで、総理、もう一個ですけれども、この二月に、総理のところで日系四世の答弁をしていただきました。あれから、四世について総理が強い思いを示していただいて、この四世の問題が前に進んでいるかのように見えていますが、まだ前に進んでいないんですよね。結論が出ていない。

 そういう意味でも、二月の答弁を聞いて、私は急激に四世の問題が進むかと思っていましたが、ああだこうだと言ってなかなか法務省が前に進んでいないんです。この前もペルーとブラジルの方々とお会いしましたが、これは大事なことだと思いますよ、同じ日本人でありますから。だから、そういう意味でも、この問題を前に進める。

 しかも、総理、南米から日系人で留学に来ている人というのは数も少ないんですよ。今回、文部省が枠を広げようとしていますけれども、二十二名とか四十名とか、南米にどれだけの日系人の子供たちがいるかということを考えたら、その枠ではないだろうということを申し上げたいんです。

 外務省に聞いても、いや、二十二名の枠をつくってもこの前応募したのが十三名で、枠がありますからどうにもならないんですよねとおっしゃるんですけれども、そんなことじゃないんですよ。あなた方の外務省そのものの日系人に対するアプローチが少ないからこうなっているんじゃないの、自分が反省しなきゃいけないよということを申し上げているんですけれども、やはり日系人社会の中との共通の認識論というのは物すごくこれから我が国にとって大事だと私は思っています。

 特に、日系のミュージシャン、そういう方々を日本に招聘して、こういうような日系の三世、四世の方々のミュージシャンを、沖縄はウチナーンチュ大会でよくやりますが、そういうようなことを広めることは、あの七十年前、八十年前、日系人の方々が苦しい中、南米に行かれたということをこの音楽の中から知ることもできる。

 私は、総理、日系人対策というのは本当に今大事な時期に来ていると思っているので、いろいろなアイテムを使って日系人とのコミュニケーション、この前、ジャパン・ハウスも見てきましたけれども、やるべきだと思いますが、改めて、総理の発言じゃないとこれは動けませんから、ぜひ明確な発言をお願いしたいと思うんですよ。

安倍内閣総理大臣 私も、海外へ出張して、そして出張先において、特に中南米においては、必ず日系人の方々とお目にかかることにしております。その際、日系三世、四世の方々ともお目にかかりました。

 日系人の方々は我が国を祖国とするまさに同胞であり、そういう皆さんが、自分たちが日系人である、祖父の血は日本であるということに強い誇りと、そして、行ったことのない人も強い憧れを持っていることを改めて実感しております。そういう皆さんが日本に行きたい、日本に行って働きたい、そういう皆さんの思いに私たちは応えていかなければならない、これは本当にそう思っているところでございます。

 本件については、本年二月の予算委員会における委員からの御質問を契機として、私から法務大臣に、日系四世の方々に対してどのような対応が可能かについて検討するよう指示したところでございます。

 法務大臣からは、日系四世の方を対象とした、我が国と海外の日系人社会との結びつきを強めるかけ橋になる人材を育成できる制度を創設するべく、年度内の実施をめどに鋭意準備を行っていると報告を受けております。

 私も、さらに法務省を、大変かたいところでございますが、督励したい、こう考えております。

下地委員 日系社会の中で安倍総理に対する期待は物すごく大きなものがありますから、四世の問題、そして日系人の留学の問題、そして今言ったような音楽での交流の問題、さまざまなことをぜひ日系社会の中で頑張ってやっていただきたいというふうに思っています。

 それで、最後になりますけれども、これは沖縄のMICEの問題なんですけれども、沖縄側がこのMICEを一括交付金でやりたいというようなことを言っているんです。

 ちょっとグラフを見ていただければわかると思うんですけれども、沖縄に来るいろいろなミュージシャンの数というのはこれぐらいあるんですよね。だから、今、沖縄に来ても、台風が来たり雨が来たりしてなかなか、コンサートが中止になるというケースが多いものですから、ぜひこれをつくらせてくださいということをお願いしているんですけれども、この一括交付金で沖縄側が主体的につくれるのかなと思ったら、なかなか決まらないんですよ、総理。

 この決まらないというのは、経営がどうなるのかということを言っているかもしれませんが、私に言わせると、もう沖縄側が責任を持つと言っているんですから、地方自治体が自分で責任を持つと言っているんですから、三億円の調査設計費というのを今県が要望しているようでありますけれども、これは早目に認めてあげてスタートさせる。しかも、二〇二〇年のオリンピックまでに完成したい、こういうような思いもあるということなので、それをぜひ早目に認めてもらいたい。

 そして、もし認めなかったら、沖縄県としたら、みずからのお金で設計と調査はやって、それで、これをもとに国に要望して、またその五百億円かかる建築費を出していきたいとか言っていますが、私は、そこまで沖縄県にやらすんじゃなくて、ぜひ、国の方が一体となってこれを認めてやっていくというようなことをおやりになった方がいいんじゃないかと思うんですけれども、菅官房長官、どうでしょうか。

河村委員長 菅内閣官房長官。(発言する者あり)

 まず、沖縄担当大臣。(下地委員「大臣、ちょっと待って。官房長官を先に。ではどうぞ、大臣」と呼ぶ)委員長が言います。

 沖縄担当大臣。

江崎国務大臣 お答えします。

 特に、今、下地委員からお話がありましたが、ソフト交付金は、沖縄の置かれた特殊な諸事情に鑑み、沖縄に特別に創設された自由度の高い交付金制度であり、県が自主的な選択に基づいて実施する沖縄の振興に資する事業等を交付対象としております。

 一方、ソフト交付金も国の補助金であり、内閣府において事業内容等についての審査の上、交付決定を行っているところであります。

 ここからです。

 大型MICE施設については、県は、既存MICE施設でカバーできない大型MICEの誘致のため、四万平米を要する催事が開催可能な施設の基本設計にソフト交付金の活用を希望しています。

 基本設計は、規模を含め、施設の内容等を決定するものであり、その前提として、根拠ある需要、収支見込み等や、必要な受け入れ環境整備の具体的な見込み等が整理されていることが必要であります。

 しかし、大型MICE施設に係る需要、収支見込み等については、県が事業者を公募した際に推計したものと事業者が提案したものに違いがあり、県として根拠ある需要、収支見込み等が必ずしも整理されているとは言えない現状と伺っております。

 また、大型MICE施設が立地予定の東浜マリンタウンエリアには受け入れ環境が整備されておらず、県は、受け入れ環境の整備を図るため、エリアまちづくりビジョンを策定したものの、現時点で具体的な整備の見込みはまだまだ難しい状態にあります。このため、現時点で、交付金の活用を認めるのは時期尚早と判断をいたしております。これは真面目な話ですよ。

 以上です。

下地委員 全く内容がわかっていませんね、大臣。

 これはさっき、これを見ていただきたいと思いますが、需要見込みというのは全部これに書いてありますよ、県が出しているもの。ここは、そういうふうな役人が書いた答弁じゃなくて、実際自分で見てください。そして、この前も安室奈美恵さんがコンサートをしましたけれども、すばらしいコンサートでした。ああいうコンサートも幾らでもできる沖縄の体制、それを安倍総理がおつくりになったんですよ、二本目の滑走路をつくって。

 その自分たちがやったことをもっと評価して、MICEに関しては自由につくらすと。責任を持ちますか、何でもかんでも内閣府が。持たないと思いますよ。沖縄県が責任を持ちたいと言ったら、沖縄県に持たせてあげたらいいんですよ。

 そのことを述べて、時間ですので、終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

河村委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十三分散会


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