衆議院

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第8号 平成30年2月8日(木曜日)

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平成三十年二月八日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 菅原 一秀君

   理事 田中 和徳君 理事 橘 慶一郎君

   理事 福井  照君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 津村 啓介君

   理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    石崎  徹君

      石破  茂君    岩田 和親君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      衛藤征士郎君    大岡 敏孝君

      金田 勝年君    神山 佐市君

      古賀  篤君    佐藤ゆかり君

      田所 嘉徳君    竹本 直一君

      武田 良太君    根本  匠君

      野田  毅君    原田 義昭君

      平沢 勝栄君    福山  守君

      星野 剛士君    牧島かれん君

      村上誠一郎君    盛山 正仁君

      山口  壯君    山本 幸三君

      山本 有二君    渡辺 博道君

      青柳陽一郎君    池田 真紀君

      石川 香織君    尾辻かな子君

      岡本あき子君    落合 貴之君

      末松 義規君    中谷 一馬君

      本多 平直君    松田  功君

      道下 大樹君    山内 康一君

      井出 庸生君    稲富 修二君

      小熊 慎司君    大西 健介君

      後藤 祐一君    寺田  学君

      伊佐 進一君    國重  徹君

      中野 洋昌君    原口 一博君

      福田 昭夫君    藤野 保史君

      本村 伸子君    遠藤  敬君

      杉本 和巳君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         野田 聖子君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         河野 太郎君

   文部科学大臣       林  芳正君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       齋藤  健君

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣         中川 雅治君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       吉野 正芳君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)            江崎 鐵磨君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (人づくり革命担当)

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          梶山 弘志君

   国務大臣         鈴木 俊一君

   外務副大臣        中根 一幸君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      武藤 容治君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   会計検査院事務総局第二局長            腰山 謙介君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   田和  宏君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          河村 正人君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     加藤 久喜君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            渡辺 克也君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小野瀬 厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    正木  靖君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            岡   浩君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  梨田 和也君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         田村  計君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    鈴木 良之君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長)           北村 隆志君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月八日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     池田 道孝君

  伊藤 達也君     田所 嘉徳君

  石破  茂君     神山 佐市君

  今村 雅弘君     大岡 敏孝君

  平井 卓也君     福山  守君

  阿部 知子君     石川 香織君

  青柳陽一郎君     池田 真紀君

  落合 貴之君     松田  功君

  山内 康一君     末松 義規君

  稲富 修二君     寺田  学君

  中野 洋昌君     國重  徹君

  篠原  孝君     福田 昭夫君

  藤野 保史君     本村 伸子君

  遠藤  敬君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     あべ 俊子君

  大岡 敏孝君     岩田 和親君

  神山 佐市君     石破  茂君

  田所 嘉徳君     伊藤 達也君

  福山  守君     牧島かれん君

  池田 真紀君     青柳陽一郎君

  石川 香織君     尾辻かな子君

  末松 義規君     道下 大樹君

  松田  功君     落合 貴之君

  寺田  学君     稲富 修二君

  國重  徹君     中野 洋昌君

  福田 昭夫君     篠原  孝君

  本村 伸子君     藤野 保史君

  杉本 和巳君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     武田 良太君

  牧島かれん君     平井 卓也君

  尾辻かな子君     中谷 一馬君

  道下 大樹君     本多 平直君

同日

 辞任         補欠選任

  武田 良太君     今村 雅弘君

  中谷 一馬君     阿部 知子君

  本多 平直君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算、平成三十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官田和宏君、内閣府地方創生推進事務局長河村正人君、復興庁統括官加藤久喜君、総務省総合通信基盤局長渡辺克也君、法務省民事局長小野瀬厚君、外務省大臣官房参事官志水史雄君、外務省欧州局長正木靖君、外務省中東アフリカ局長岡浩君、外務省国際協力局長梨田和也君、財務省理財局長太田充君、文部科学省初等中等教育局長高橋道和君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、厚生労働省社会・援護局長定塚由美子君、中小企業庁経営支援部長高島竜祐君、国土交通省土地・建設産業局長田村計君、国土交通省道路局長石川雄一君、国土交通省鉄道局長藤井直樹君、国土交通省自動車局長奥田哲也君、国土交通省航空局長蝦名邦晴君、防衛省大臣官房審議官槌道明宏君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長西田安範君、防衛装備庁長官鈴木良之君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長腰山謙介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。星野剛士君。

星野委員 自由民主党の星野剛士でございます。

 予算委員会での貴重な質疑時間をいただきまして、河村委員長を始め、先輩、同僚議員に感謝をしております。ありがとうございます。

 まず、北朝鮮の核・ミサイル開発問題と北朝鮮による日本人拉致問題について質問をさせていただきます。

 あす九日から韓国、平壌の地で冬季オリンピックが始まります。参加する全ての選手の活躍、特に日の丸を背負う日本代表選手の活躍を心から期待をしております。昨日は……(発言する者あり)平昌、失礼いたしました。平昌ですね。一説では平壌オリンピックとも言われておりますが。

 昨日は、安倍総理とペンス副大統領との会談が行われました。核武装した北朝鮮は決して受け入れられないとの立場を確認するとともに、北朝鮮のほほ笑み外交に目を奪われてはならないとの認識でも一致をいたしました。総理は、北朝鮮が非核化に向けた真摯な意思と具体的な行動を示さない限り、意味ある対話は期待できないとしております。

 一方、北朝鮮は、本日、大規模な軍事パレードを行うとの報道もあります。軍事大国化した姿を世界に発信しようとしているのであります。

 あすの平昌オリンピックの開会式には安倍総理とともにペンス副大統領も出席をすることとなっておりまして、日韓、米韓首脳会議を通じて、昨日確認された事項をぜひ文在寅韓国大統領に伝え、日米韓の軸が決してぶれることがないよう再確認をしていただきたいと切望をしております。

 一九九一年、平成三年一月三十日と三十一日の両日、北朝鮮の平壌において、第一回目の日本と北朝鮮による国交正常化交渉が行われました。私は、この交渉を取材する産経新聞の記者としてこの現場におりました。当時二十七歳でございました。

 取材の合間に連れていかれた主体思想塔、高さ百七十メートルの頂上付近に立ったとき、眼下に見えてきたのは多数のお墓でございました。連絡員に聞いてみると、よく気づいてくれました、この塔は、金日成主席の生誕七十周年をお祝いするために金正日書記から贈られたものです、短期間で建設をしなければなりませんでした、あのお墓は、命綱をつけずに建設に当たった、速攻戦を戦い抜いた革命戦士たちのお墓でありますと。

 そんなことがこの地上で起きるのか、そんなことで命を落とした若者たちが革命戦士として祭られるのかと、強い怒りが込み上げてまいったのを今でも鮮明に記憶をしております。

 この第一回、日本と北朝鮮の国交正常化交渉で、日本側は、北朝鮮の核開発疑惑に対して、国際原子力機関による査察の受入れを強く主張いたしました。これに対して北朝鮮は、IAEAによる核査察の受入れは米国の核不使用の保証が前提と拒否をいたしました。さらに、日本側に米国との直接交渉の橋渡しまで要請をしてきたわけでございます。

 このときの国際的な懸念事項は、北朝鮮による秘密裏の核兵器の開発でございました。私自身も、核疑惑の連載記事を執筆しておりました。この日の日朝交渉で明らかになったことは、北朝鮮の国家目標は、徹頭徹尾、核弾頭とその運搬手段である大陸間弾道弾、ICBMを保有し、米国との直接交渉によって金王朝体制の存続を保証してもらうことでございました。

 一九九三年から四年にかけまして、米朝枠組み合意もございました。また、六カ国協議もございました。北朝鮮の意思は、この二十七年間全く変わっておりません。金王朝の存続を米国から直接保証してもらいたい、その目的を達成するためには、核弾頭の小型化と運搬手段の大陸間弾道弾、ICBMの保有、実戦配備が不可欠である。北朝鮮にすれば、この究極の目的を達成するまで、持てる外交資源、対話のテーブル、多国間交渉、軍事的挑発などあらゆる手段を捉え、手段を選ばず、着々と進めてきたのではないでしょうか。

 これまでの三十年間の経緯と過去を振り返ってまいりましたが、一つの結論が導き出されると思います。その結論とは、北朝鮮は、みずからの体制を存続させるために、確固たる意思を持って核・ミサイル開発を継続して、その目的達成まであと一歩のところまで来ているという事実でございます。

 ここに至るまでは、北朝鮮は、あらゆる手段、対話のテーブル、二国間や多国間交渉、南北融和のほほ笑み、軍事的挑発などを駆使してきたのではないでしょうか。我が国はこれ以上だまされ続ける余裕は一切ないと考えますけれども、中根外務副大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

中根副大臣 ありがとうございます。

 今、星野先生がおっしゃったとおり、北朝鮮は、一九九四年、枠組み合意、そして二〇〇五年、六者会合共同声明を時間稼ぎの口実に使い、核・ミサイル開発を進めてきております。一九九四年には核兵器も弾道ミサイル技術も成熟にほど遠かった北朝鮮が、今や核実験や弾道ミサイル発射を相次いで強行するようになっております。

 このような経緯に鑑み、北朝鮮とは、対話のための対話では意味がないと申し上げております。

 あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にまで高め、北朝鮮の方から、政策を変更するので対話をしてほしいと言ってくる状況をつくっていく。これを通じ、核・ミサイル問題、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、全力を尽くしてまいりたいと思います。

星野委員 あすから韓国の平昌で五輪が開催をされますが、韓国の政府の対応は、残念ながら、何とも心もとない限りでございます。北朝鮮から足元を見透かされ、手玉にとられている印象がとても強くございます。

 これまでの歴史を見ても、金大中政権及び盧武鉉政権での太陽政策など、北朝鮮の瀬戸際外交、ほほ笑み外交に翻弄をされてまいりました。

 先月のカナダでの対北朝鮮関係外相会合で、韓国の外相は人道支援八億円を主張し、日米英等の外相から、現在はその時期ではないとたしなめられたとの情報もございます。

 そこで、お伺いいたします。

 北朝鮮の核・ミサイル開発への制裁を更に強化し、圧力強化をすることによってその政策を変更させる、完全で、検証可能で、不可逆的な政策変更とするためには、日米韓の連携が不可欠だと考えます。この点について、今後、韓国政府に対してどのような外交戦略で臨まれるのか、御所見をお伺いをしたいと思います。

中根副大臣 ありがとうございます。

 平昌五輪の成功に向け、南北間での対話が行われていることは評価いたしておりますが、その間も北朝鮮は核・ミサイル開発を継続しております。

 先生御案内のとおり、北朝鮮が、先ほどもお話ししましたが、一九九四年の枠組み合意、そして二〇〇五年の六者会合共同声明を時間稼ぎの口実に使い、核・ミサイル開発を進めてきたとの反省を踏まえて、北朝鮮との対話のための対話では意味がないということを先ほどもお話しさせていただきました。

 このような観点から、七日に行われた安倍総理とペンス副大統領との会談では、核武装した北朝鮮は決して受け入れられないとの認識を改めて確認するとともに、朝鮮半島の非核化に向けて、北朝鮮に政策を変えさせるため、日米、日米韓三カ国で緊密に連携し、あらゆる方法で圧力を最大限まで高めていくことを確認しております。

 また、来るべき日韓首脳会談では、北朝鮮問題について、北朝鮮に政策を変更させ、核・ミサイル計画を放棄させるため、あらゆる方法で圧力を最大限まで高めていくとの方針からぶれてはならないということを直接伝え、日米韓でしっかりと連携していく必要性を改めて確認することが重要であると思っております。

 引き続き、日米、日韓、日米韓、三カ国で協力し、中国、ロシアを含む関係国とも緊密に連携しながら、北朝鮮に政策を変えさせるため、あらゆる手段を通じて圧力を最大限まで高めてまいります。

星野委員 ありがとうございました。

 そういう意味でも、昨日の安倍総理とペンス米国副大統領との会談、大変意義があったと思います。

 もう皆さんも御承知のとおり、今回の安倍総理の韓国訪問については、党内からも大変な反対意見も多くございました。しかし、あえてこの時期に御自身が韓国に渡られて韓国の大統領としっかりと話をする、そのことが極めて重要だ、不可欠だという御判断からの訪韓だと思います。しっかりと成果を上げていただきたいと心から願います。

 続きまして、北朝鮮による日本人の拉致問題についてお話をさせていただきたいと思います。

 核・ミサイル開発を、しっかりと政策を変更させる、そのこととともに、北朝鮮に拉致された日本人の全てをしっかりと奪還して、もう一度日本の地を踏んでもらう、これは日本国家に課せられた極めて重い、重要な課題だというふうに認識をしております。

 北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの御両親は、神奈川県川崎市にお住まいでございます。神奈川県議会のときから、さまざまな機会で御両親とお会いをさせていただきました。弟さんとも何度も食事もさせていただきました。お母様の早紀江さんは八十二歳となられました。時間がないんです。

 この北朝鮮による日本人拉致問題の全面解決に向けての決意と覚悟をお聞かせ願いたいと思います。

中根副大臣 御案内のとおり、拉致問題は安倍内閣の最重要課題でございます。全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き締める日が来るまで、安倍内閣の使命は終わりません。

 トランプ大統領は、全世界が注目する国連総会の演説で横田めぐみさんに言及、訪日の際には拉致被害者の御家族の皆様と面会し、御家族の方々の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾けていただきました。これは、拉致問題の早期解決に米国が明確にコミットしてくれたということだと考えております。引き続き、米国と緊密に連携してまいります。

 平昌五輪の成功に向け、南北間で対話が行われている間にも、北朝鮮の核・ミサイル開発は継続しております。また、北朝鮮から拉致問題の解決に向けた具体的な動きは示されておりません。拉致、核、ミサイル問題を解決することなしに北朝鮮に明るい未来はない、北朝鮮に対する国際社会の圧力をてことしつつ、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。

星野委員 ありがとうございます。

 続いて、第四次産業革命、とりわけ今国会でも関連二法案が提出をされる予定であるサンドボックス制度についてお伺いをさせていただきます。

 先日、ダボス会議でも、主要先進国の指導者は第四次産業革命の推進に強いリーダーシップを示されていると聞いております。各国の間で投資を呼び込むための法人減税や規制改革を競い合っている中で、我が国発のイノベーションもこれまで以上に加速をしてまいらなければなりません。

 今月一日の未来投資会議で、安倍総理は、従来の産業分野にとらわれない革新的なビジネスが次々と登場をしてくる時代に、いわゆる業法のような縦割りの発想に基づく二十世紀型の規制システムから脱却をして、サービスや機能に着目をした発想で捉え直した柔軟な制度改革が不可欠だとお話をされております。

 そこで、レギュラトリーサンドボックス、規制の砂場であります。

 この名前、イギリスで生まれた政策でありますが、いわば子供が砂場、サンドボックスで遊ぶように、ベンチャー企業が規制のないフリーな環境で新しいビジネスに挑戦をする、その先駆けとなるのがこの規制のサンドボックスでございます。

 このサンドボックス制度につきまして、総理はさきの施政方針演説でも触れられております。このサンドボックスの制度設計に当たりましては、昨年来、成長戦略や経済政策パッケージなどでも二つのタイプがあります。一つはフィンテックなどの全国規模の大型プロジェクトに適用するプロジェクト型と、地域限定で自治体の協力のもとスピーディーに事業を実現をさせる特区型が検討されております。その結果、それぞれ、今国会でサンドボックスの関連法案、具体的には生産性革命法と改正国家戦略特区法の提出が予定をされております。

 我が国の第四次産業革命を加速するためには、この関連二法案の早期成立が必要だと思います。まずは、この規制のサンドボックス関連法案について、世耕経済産業大臣の意気込みをお伺いをしたいと思います。

世耕国務大臣 星野議員は、お地元が特区制度を活用されるなど、規制緩和について大変知見を持っておられる議員でありますけれども、今、どんどんと革新的なサービスが、まあ、はっきり言って海外から日本に上陸しているというのが現状であります。カーシェアリングサービスですとか、あるいはキャッシュレスの決済サービスとか、いろいろなサービスが上がってきています。

 これは、非常に我々気をつけておかなければいけないのは、そういう革新的なサービスが、別にそのサービスのシェアをとるだけではなくて、そのサービスから生まれるいろいろな日本人のビッグデータを根こそぎ持っていかれるという私は懸念を持っているわけです。

 例えば、今、中国でアリペイというのがはやっていて、今、中国人観光客がふえている影響で日本でもアリペイが徐々に広がり始めていますが、これはただ単にキャッシュレス決済をとられるだけではなくて、日本人の購買データ、小売店のいろいろなデータ、それが根こそぎとられる。そういう意味で、我々も日本発の革新的なサービスを育てていかなければいけないと思っています。

 日本には技術はあります。どちらかというと、今言われている革新的なサービスというのは、実は技術的にはそんな大したことない。日本の方がもっといい技術がある。あるいは、アイデアだってないわけじゃない。だけれども、やはり規制のところでひっかかってしまうんです。

 これが今までの特区とか規制緩和と違うのは、これから出てくる革新的なサービスというのは、何で規制していいかわからない。今までは、これが規制しているこの業種のここの規制を緩和しようという議論でよかったんですが、何で規制するかというところから議論が始まってしまいますから、ルールができない。ルールができないから始められないというのが、今まで日本がこういった革新的なサービスでおくれてきた一つの原因だと思っています。

 そこで、レギュラトリーサンドボックス制度、規制の砂場と言っていますが、ぜひ、もうちょっといい日本語があればアイデアをいただきたいと思っているんですが、このレギュラトリーサンドボックス制度。これは逆に、まず一旦、メンバーとか期間は限るけれども自由にやってみてください、その中でもし問題が出てくればルールを決めていきましょうという制度でありまして、これはイギリスから始まって、今世界で既に多数の国が始めているという状況でありますので、日本でも今国会でぜひこの法律を早期に成立をさせていただいて、やっていきたいと思っています。

 具体的にどんなことが考えられるかというと、例えば、今、クレジットカードとかの与信枠というのは割賦販売法で決められていて、皆さん、申込書で年収を書く欄とかあるわけですが、年収とか預貯金とかほかの借金の残高で与信枠を決めなさいとなっているんですが、これを例えば毎回の支払い状況に応じて人工知能が判断して、この人はこれだけちゃんと払っているからこれぐらい大丈夫ですよということをやれるようにするとか、あるいは、家電をこれからネットにつないでいくというときに、電気用品安全法という法律があって、なかなかこれは厳しいルールになっているんですが、これも、一旦つないでみて、何かほかの家電製品との問題が起こるかどうかというのをチェックしてみる、こんなことが考えられるのではないかというふうに思っております。

星野委員 ありがとうございました。

 特に本日は、このうち特区型について更に質問をさせていただきたいと思います。

 私の地元神奈川県藤沢市では、既に、これまでの国家戦略特区制度を通じて全国に先駆けた先進的な取組を行ってきており、大きな成果も生み出しております。大臣からも御紹介をいただきました。こうした取組をこのサンドボックスで更に一歩前進させたいというふうに考えております。

 成功例の一つが農家レストランでございます。これまで、自分の農家で生産されたものしか加工、販売が認められなかったものでありますが、特区を活用して、全国初の都市型の農家レストランが藤沢市にこの四月にもオープンをいたします。

 全国で農家レストランの取組がもう既に行われておりますけれども、この農家レストランは、特区制度を利用して、一点突破、全面展開の一番いい例だと思います。というのも、生産緑地法の改正が既にもう行われておりまして、全国のどこでも、生産緑地内に農家レストランやまた直売所が建設をされることになりました。成功事例をもって全てを変える、一点突破、全面展開の好事例だと私は思っております。

 もう一つは自動走行でありますが、一昨年の二月、日本で初めて、一般の買物客約五十名、藤沢市民を試乗させた自動運転タクシー、ロボットタクシーの実証実験を藤沢市で行いました。また、今は、将来の自動運転を想定した、そのときには無人の車が宅配便となる、こうした取組も、ロボネコヤマトという名前で、もう今、藤沢で五台走っております。

 今回の特区法改正によるサンドボックスは、自動走行とドローンの分野を対象にすると聞いております。確かに、自動走行の実証を行う場合、道路運送車両法に基づく実験車両の認可など、まだまだ時間を要すると聞いております。

 また、ドローンについても、これはまだ構想段階ではございますけれども、再来年の二〇二〇年のオリンピックの際に、地元藤沢で行われるセーリング競技大会の模様を、ぜひとも世界初のドローンによる空撮で放映をしたいと考えております。航空法上の許可についても、抜本的な規制緩和が重要であります。

 自動走行やドローンのサンドボックスを進めるために、道路運送車両法や航空法といった規制を担当する国交省の理解、柔軟な対応が必要でありますが、これについて石井国交大臣のお考えをお聞かせください。

石井国務大臣 自動運転につきましては、車内にハンドルやブレーキペダルを備えていないなど、従来とは異なるさまざまな車両が用いられることから、運転者が車内にいることを前提とした現行の道路運送車両法の保安基準への適合性を一律に判断ができません。

 このため、国土交通省では、昨年二月に、走行速度の制限などの安全確保措置をとることを条件に、実験車両のブレーキペダルなどの保安基準を個別に緩和することを可能とする柔軟な措置を講じておりまして、昨年の十二月より、この緩和措置を活用しました、遠隔地の運転者が公道上の車両を操作する実証実験が、東京都、愛知県、石川県の三カ所で行われております。

 また、ドローンにつきましても、日本各地において、必要な航空法の許可、承認を取得した上で、ドローンによる荷物の配送など、さまざまなドローンの実証実験が実施をされております。

 国土交通省といたしましては、今国会に提出予定の法案の成立によりまして規制のサンドボックス制度が導入された際には、安全性の確保を前提としつつ、本制度も活用いたしまして、自動運転の実現及びドローンの利活用促進に向けた取組を更に加速してまいりたいと存じます。

星野委員 最近の報道では、今回のサンドボックスでは電波法の特例措置も講じられると聞いております。

 我が藤沢は、介護ロボットの開発、実証実験の拠点でもございます。電波法を所管する総務省にも、我が国のイノベーションを加速化するこのサンドボックス制度への御理解をいただき、今回の法律に電波法の特例を設けるべきかと考えますが、その点につきまして、野田総務大臣に御意見をお伺いをしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 もちろん、自動運転やドローンの社会実装を推進することは、生産性革命やイノベーションの実現に必要な取組だと強く認識しています。

 ですから、総務省では、ドローンを利用した高画質かつ長距離の映像伝送ニーズにしっかり対応するために、使用可能な周波数帯の拡大や電波の出力の引上げなどについては、既に平成二十八年八月に制度を整備したところです。

 現状、国家戦略特区の制度を活用して、各地、ドローンによる物資輸送やインフラ点検等の実証実験が実施されているところですが、総務省では、必要となる免許の手続の簡素化を既に行っております。

 総務省としては、今お話がございました委員の御提案も当然含め、今後とも、イノベーションにつながる研究開発や実証実験が迅速に進められるよう、積極的に協力してまいります。

星野委員 大変前向きな答弁をいただきました。

 このように、私の地元神奈川県の藤沢のように、国家戦略特区で実績を持つ先進的な地域が、更にもう一歩、特区を進化させたこのサンドボックス制度を活用して、我が国の第四次産業革命を地方から牽引をしていくことが重要だと考えております。

 ただ、皆さんも御存じのとおり、昨年来、この国家戦略特区は、一部の報道がきっかけとなり、問題が指摘されるようになってしまっております。総理や関係者がたびたびおっしゃっているように、この国家戦略特区制度は一点の曇りもないものでありまして、私は、むしろ、医療、農業、観光、教育などのさまざまな分野で、長年できなかった岩盤規制改革を実現してきたすぐれた取組だと確信をしておりますし、現実に私の地元で幾つも成果が上がってきております。この特区の取組を決して減速をさせてはならないというふうに考えております。

 ただし、昨年来の余りの報道の大きさに、内閣府の事務局なども萎縮をして、特区制度全体がやや停滞してしまっているのではないかという心配をする声も聞かれます。

 そうした懸念を払拭していただくためにも、最後に梶山大臣に、ぜひ、国家戦略特区はこれからも、総理みずからもおっしゃっておりますが、ドリルの刃となって岩盤規制改革を断行し続ける、そうした決意を語っておりますが、梶山担当大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。

梶山国務大臣 国家戦略特区、岩盤規制改革なくして成長戦略なしの覚悟を持って取組を進めております。このことによって、いち早く最新技術を社会実装する、そのことによって新たな産業が生まれ、新たな雇用が生まれる、新たなビジネスが生まれる、そういう考えのもとに進めております。

 議員も御指摘のような農家レストランを始め、地域限定保育士などの事業を神奈川県におかれましては積極的に提案し、具体化を進めていただいているものと認識をしております。

 今回創設を目指す地域限定型の規制のサンドボックス制度は、自動運転、ドローン、電波利用といった近未来技術や第四次産業革命の実現に資する高度で革新的な技術に関し、過去に類例のない実証実験を積極的かつ大胆に実施をしていくための取組であり、このことにより、この技術が全国に波及するような取組にしてまいりたいと思っております。

 具体的には、実証実験の内容については、区域計画で認定をされた時点で関係法令の許可等がなされたものとみなし、事前規制の最小化を図るとともに、第三者委員会を設置して事後チェックを強化することによって、関係省庁の協力も得つつ、より円滑にスピーディーに実現を目指してまいりたいと思っております。

 今国会、規制のサンドボックス制度の法制化を目指すとともに、今後、先端的かつ野心的な実験を本制度のもとでしっかりと取り上げ、世界最先端の技術の実証が我が国で実現できるように、そういう仕組みができるように、本制度の構築にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

星野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

河村委員長 これにて星野君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 身寄りのない人が亡くなって受取手のない現金を地方自治体が保管をする遺留金、この行き場のない、処理できない、塩漬けとなった遺留金がふえ続けて、各地の自治体がその取扱いに苦慮をしております。例えば、私が在住をしている大阪市、この大阪市が保管をする遺留金は、平成二十九年三月末時点で約七億三千万円になっております。

 きょうは、この遺留金の処理をメーンテーマにして質疑をしていきたいと思いますけれども、私が最も言いたい結論部分を先取りして言いますと、塩漬けになった多額の遺留金が発生しているのは、これは立法の不備であって、早急にこれに対処しなければならないということであります。

 まず、野田総務大臣にお伺いいたします。

 全国の自治体で塩漬けになっている遺留金があるということ、こういった事実を御存じでしょうか。端的にお答えいただければと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 身寄りのない独居者の死後に残された遺留金を自治体が保管し、それが多額に膨らんでいる、その事実については報道等で承知しています。

國重委員 野田総務大臣も御存じということですが、では、なぜそもそも自治体に塩漬けとなる遺留金というものが生じるのか、順次確認してまいりたいと思います。

 御参考までに、配付させていただきました資料一の「遺留金処理の流れの概要(遺留金が塩漬けになるまで)」と題するこのフローチャート、これは新聞各紙ほか文献を使ってこちらの方でまとめさせていただいたものでありますけれども、このペーパーをごらんいただければと思います。

 身寄りのない独居者が亡くなった場合で家族や親族に連絡がとれない場合は、原則として各自治体が火葬、埋葬を行う、この費用については第一義的に亡くなった故人の遺留金を充てることになる、厚労省、この理解で間違いないでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、墓地、埋葬等に関する法律におきまして、死体の埋葬又は火葬を行う者がいないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が死体の埋葬又は火葬を行うこととされているところでございます。

 また、埋葬又は火葬の費用に関しましては、まずは死亡者の遺留金等から充当することとされているところでございます。

國重委員 そうすると、遺留金を火葬、埋葬費に充ててもなおお金が残った場合、その残余の遺留金の取扱いについてはどうなるのか。現行法上特段の規定はないので、一般原則である民法の規定に基づいて取り扱われる、こういう理解でいいのかどうか、厚労省に答弁を求めます。

定塚政府参考人 遺留金を埋葬の費用に充てた後の残余の遺留金がある場合でございますが、墓地埋葬法におきましても、また墓地埋葬法において規定を準用しております行旅病人及行旅死亡人取扱法におきましても、この取扱いを定めた特段の規定はございませんので、一般法である民法の規定に基づき取り扱われることとなると考えているところでございます。

國重委員 一般原則である民法の規定に基づいて取り扱われるということになりますと、火葬、埋葬費に充ててもなおお金が残った場合、その残余の遺留金については、相続人がいれば相続人に引き渡す。親とは縁を切って、もう一切かかわりたくない、こういったことなどを言って相続人がその遺留金の受領を拒絶した場合には法務局に供託をする、そういった処理の流れになります。

 一方で、問題となるのは、相続人がいない場合の残余の遺留金の処理でございます。

 法務省に伺います。一般的に、相続人のいない財産について、現行法上どのように処理されることになるのか、答弁を求めます。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 相続人のいない財産を清算する手続といたしまして、民法は、相続財産管理制度を設けております。

 この制度におきましては、相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とされ、利害関係人又は検察官の請求により、家庭裁判所が相続財産管理人を選任することとされております。

 相続財産管理人は、相続人を捜索しつつ、相続財産を管理、清算いたしまして、なお残余財産があるときは、その財産は国庫に帰属する、このようにされております。

國重委員 ありがとうございました。

 そうですね。遺留金の処理につきましては、利害関係がある場合は自治体が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てて、この相続財産管理人というのは弁護士等がなりますので、その弁護士らに残った遺留金の清算を依頼することになるということになります。

 この申立てには、管理人の報酬などに充てるために、大体、通常約三十万円から百万円程度の費用が必要になりまして、この費用は遺留金の中から支払われることになります。そして、亡くなった方、故人に債権や債務がある場合には、管理人がそれらを清算した上で、それでもなお遺留金が残れば、それを国庫に入れることになります。

 もっとも、遺留金が相続財産管理人の申立てに必要な費用に満たない場合、例えば、身寄りのない人が亡くなった場合に、四十万円の現金が残ったとします。この場合、埋葬費等が二十万円かかれば、これを当初の四十万円の遺留金から控除をしまして、残余の遺留金は二十万円となります。仮に相続財産管理人の選任申立てに必要な費用が三十万円とした場合、この残余の遺留金二十万円は申立ての費用に満たないので、自治体としては、わざわざ公費を出してまで申立てをする必要はない、意味がない、かえって費用倒れになって市民の理解が得られない、そういったことで、このような場合、自治体は少額の遺留金を歳入歳出外現金として保管せざるを得ないことになりますが、この行き場のない、塩漬けとなった遺留金が多額に今膨らんできております。そして、この塩漬けの遺留金は、ひとり暮らしの高齢者の孤独死などが今後ふえてくれば、それに伴って更に増大していくものと見込まれます。

 そこで、一部の自治体は、窮余の策としまして、残余の遺留金を、家財処分とか、また永代供養とか、あるいは地元の社会福祉協議会への寄附などに充てて使い切っているというふうに聞き及んでおります。

 しかし、この点に関して、例えば生活保護受給者が亡くなった際に残った遺留金を永代供養や寄附に充てることについて、会計検査院は問題があると指摘をしております。

 具体的には、平成二十六年三月に会計検査院が公表しました「生活保護の実施状況について」と題する報告書の中でそのことを指摘しておりますけれども、会計検査院はどういった点に問題があると考えているのか、お伺いいたします。

腰山会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、平成二十六年三月の報告書において、一部を葬祭扶助費に充当した残余の遺留金が少額である場合に、相続財産管理人の選任の申立ての手続を行わずに、葬祭扶助の対象となる費用以外の永代供養料等の使途に充てていた事態について、このような取扱いは生活保護法第七十六条等に照らして現行制度上認められないことや、事業主体である地方公共団体が亡くなった被保護者の少額の遺留金を長期間にわたり保管しなければならない状況も見受けられ、遺留金の処理は事業主体にとって大きな負担になっていることなどを検査の状況として記載をしております。

 そして、厚生労働省において、残余の遺留金の取扱いについて、事業主体がその適切な処理を図ることができることとなるよう関係省庁と連携するなどして検討することに留意して、今後とも各種施策の立案、見直しなどに努めていく必要があることなどを会計検査院の「所見」として記載しているところでございます。

國重委員 るる御答弁いただきましたけれども、先ほどの永代供養とか寄附などに遺留金を充てることにつきましては、要は、相続財産管理人の選任の申立ての手続をせずに、法令上の根拠なく遺留金を処分している、このことを問題視しているわけでございます。私自身も、これはやはり相当でないというような理解をしております。

 こういった現行制度上認められていない取扱いを一部の自治体が行っている、この背景には、相続財産管理人選任の申立ての費用に満たない少額の遺留金については自治体が歳計外現金として保管せざるを得ず、それが塩漬け状態となって自治体の負担がふえていく、全くもって価値的でない、こういった思いもあるからだと推察をいたします。

 この問題の急所は、現行の相続財産管理人制度は少額の遺留金の処理に対応できるものとなっておらず、それをカバーする法整備もされていない、これがこの問題の急所であるというふうに考えます。一言で言えば、制度が現実に追いついていないということであります。

 とりわけ、生活保護受給者の遺留金処理の問題につきましては、自治体の負担が今急増しておりまして、この対策が急務でございます。

 これについて、自治体は、法改正を繰り返し厚労省に要請をしております。

 例えば、大阪市では、平成二十四年十月、平成二十六年十月に、厚労省に遺留金処理の取扱いに関する要請をしております。それらの書面の中には、遺留金の処理方法について、大阪市は努力してきたんだけれども、多額の遺留金を保管せざるを得ない状況であり、その管理や関係書類の保管にも苦慮しているところです、このままでは処理を進めるめどすら立たず、遺留金及び関係書類を未来永劫保管し続けることになります、こういったことまで述べて、法改正等を強く要望をしております。

 まず、これらの要望について厚労省は認識しているのか。もう当然認識していると思いますけれども、あえて端的に確認のみでお伺いいたします。

加藤国務大臣 今の御指摘、大阪市以外からも含めて、いろいろなところからそうした御指摘がございます。

 大きく二つあると思います。一つは、そうして残った遺留金をほかの債権、生活保護者の債権に優先的に充てることができないのかという話と、それから、今おっしゃった、少額の場合どうするのかということであります。

 ただ、これについては、いずれにしても私有財産ということでありますから、例えば、それを生活保護の債権に優先的に充てるって、ほかにも債権があったときにその順番をどうするのかというような問題、あるいは、そもそも亡くなった方の私有財産というのはどう扱うのかという問題もございます。

 そこに大きな問題があるということは我々も重々認識しているんですが、私ども厚生労働省の所管の中だけで解決するというのはなかなか難しい、慎重な検討が要るのではないかというのが今の認識ではあります。

國重委員 加藤厚生労働大臣みずからお答えいただきました。今、政府参考人が答えるかと思っておりましたけれども、みずから出ていただきまして、ありがとうございます。

 その上で、先ほどの、これも会計検査院の答弁の中でも出ておりましたけれども、平成二十六年三月に会計検査院が公表しました先ほどの「生活保護の実施状況について」と題する報告書では、厚生労働省に対しまして、残余の遺留金の取扱いについて、事業主体がその適切な処理を図ることができることとなるよう関係省庁と連携するなどして検討すること、このことも指摘をされております。

 そこで、この会計検査院の指摘、また大阪市を始めとする各自治体の要望を受けて、先ほどは認識されているということをおっしゃいましたけれども、これまでどのような検討を進めてきたのか、お伺いいたします。

加藤国務大臣 まず、会計検査院からの指摘でありますけれども、葬祭扶助の費用に充てた残りの遺留金を葬祭扶助以外の費用に充当している不適切な処理があったという指摘でございますので、これは、監査等を通じて遺留金の管理を適切に行うよう、しっかり周知等をしていきたいというふうに思っております。

 また、先ほどの、それでは遺留金の問題をどう扱うのかということでありますけれども、そもそも、民法における取扱いのお話、先ほど説明がありました、それとは異なる特別な扱いをどうやってやっていくのかということに関しては、なかなか簡単な議論ではないのではないかというふうに思っております。

 今、地方自治体ではその処理に困っているという事情、委員からも御指摘がありましたし、新聞各紙でも書かれているところでございますし、それは重々認識をさせていただいているところでございますけれども、先ほどと同じ答弁になりますが、厚生労働省だけの所掌の中で答えを出し得るというのはなかなか難しいという認識を持ちながら、我々としてもしっかり勉強はさせていただきたい、こう思っております。

國重委員 今、加藤厚生労働大臣がおっしゃるとおり、法整備等をするに当たってはさまざまな検討すべき課題もあることは私も承知をしております。その一方で、現実に、とりわけ生活保護受給者の遺留金の処理について困っている自治体が多くある、これが今の社会の実態であって、その対策は急務でございます。

 そこで、更に加藤厚生労働大臣にお伺いしますけれども、これまでもいろいろ検討してきたことはあるけれども、法務省を始めとする関係省庁へのさらなる働きかけを含めて、会計検査院から指摘を受けた制度見直しについて今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

加藤国務大臣 基本的な認識は先ほど申し上げたとおりでありますけれども、民法自体を所管されているのは法務省でございます。法務省を始め関係する官庁と、これもまず問題を共有し、どういう対応があるのか、いろいろと議論を重ねていきたいと思います。

國重委員 遺留金の問題というのは、今、生活保護受給者の遺留金というのが自治体メーンで、困っているところでありますので、ぜひ、責任感を持って、しっかりと働きかけて、連携をして取り組んでいっていただきたいと思います。

 この問題は、会計検査院が指摘をした、生活保護を受けていた被保護者の遺留金にとどまるものではないんですね。身寄りのない独居者の遺留金一般の取扱いの問題であります。

 相続財産管理人選任には相当の費用と手間がかかるために、特に、残余財産が少額である場合には、非現実的、非効率的。何らかの立法的解決がなされるべきであって、自治体等は、厚生労働省だけではなくて法務省にも法整備等を要請しております。

 そこで、上川法務大臣にお伺いいたします。

 相続財産管理人制度について、特に、遺留金が少額の場合における、現実に即した、現実に運用可能な内容への見直し、これが不可欠と考えますけれども、上川法務大臣の見解、決意をお伺いいたします。

上川国務大臣 ただいま國重委員から、遺留金の取扱いにつきまして、対応が現実に追いついていない、こういう基本的な問題指摘をいただきました。

 法務省におきましても、身寄りのない方が亡くなり少額の遺留金があるといった事例で、相続財産管理人の選任請求に必要な経費が負担できず対応が困難な場合があるとして、遺留金をどのように取り扱うか、その対策について要望する地方公共団体が存在することも承知をしているところでございます。

 地方公共団体におきまして遺留金の取扱いをどのようにするか、今は各種行政法規で規律されているところでございますが、法務省といたしましても、相続財産管理制度を含む民事基本法制を所管するという立場でございます。ただいまの御指摘も踏まえまして、関係省庁と連携をして、この遺留金の取扱いについて、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

國重委員 この遺留金の取扱いの問題、これは省庁間の連携というのが極めて重要だと思いますので、今、上川法務大臣おっしゃったとおり、関係省庁と連携をして、遺留金の取扱いについての必要な検討をしっかりと行っていただきたいというふうに思います。

 現在、所有者の不明の土地問題、これにつきましては、今、政府一体となって検討が進められているところでありまして、私も党の所有者不明土地問題対策等プロジェクトチームの事務局長を務めさせていただいておりますけれども、この会議を開催するときには、内閣府、国交省、法務省、農林水産省、また総務省、いろいろな省庁がさまざま来られて、政府一体となってこの問題について、対策について取り組んでおられます。今国会で、まずは現下の課題に対応する法案が提出される予定とも聞いております。

 また、休眠預金口座、これについては既にスキームができまして、これに関する法律は本年一月に全面施行されたところであります。

 このような中、遺留金の取扱いについては、まだ手つかずの状態でございます。国会審議等でも、これまでされておりません。

 世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでいる我が国が、いずれ迎えることとなる多死社会。この遺留金に関する問題の見直しがされないままになると、この遺留金、一件一件はさほど大きくない額であったとしても、これが徐々に累積され、将来的にかなり大きな額となっていくことが見込まれます。

 この遺留金問題が、既に、先ほど申し上げましたとおり、地方自治体からの要請や、また条例制定の動きもございます。こういった喫緊の課題であることからしますと、これは悠長に構えていい問題ではありません。政府内でしっかりと連携をして、政府一体となって速やかに対応していく必要があります。

 私も引き続き、この遺留金の処理の問題については今後もしっかりと取り組んでまいりたい、また政府の動きも注視してまいりたいというふうに思いますので、ぜひしっかりと取り組んでいただければと思います。

 これまで御質問させていただきましたのは遺留金の処理の問題でありましたけれども、この背景には高齢者の社会的孤立の問題もあるわけであります。それを助長する一因でもある問題として、耳が聞こえづらい難聴について、最後に質問をさせていただきます。

 難聴、とりわけ、障害には至らないけれども聞こえづらいという方への支援というのは、これまで踏み込みが浅くて十分光が当たってまいりませんでした。これに私は少々危機感を覚えまして、これまで私、厚生労働委員会を希望してもなかなか所属できなかったんですけれども、所属したことはありませんけれども、予算委員会の分科会などで、機会あるごとに繰り返し繰り返し、この施策の充実を訴えてまいりました。

 日本には、身体障害者手帳の交付を受けている聴覚の障害者が約三十六万人います。しかし、実は、日本の聴力障害を理由とする障害認定の基準は世界的に見て結構ハードルが高くて、WHOの基準では、補聴器が必要とされているレベル、耳元で大きな声で話さないと聞こえないレベルの方というのは、これは数多くいらっしゃいます。

 二〇一五年に一般社団法人日本補聴器工業会が中心となって行った調査によりますと、日本人の一割以上、およそ一一・五%が難聴の自覚があるということでありました。また、難聴と推定される人の約半数はそもそも聞こえの不調の自覚がないとのデータもあることから、実際にはもっともっと多くの人が潜在的な難聴者であるというふうにも思われます。

 私は、これまでの質問の中で、まずは実態把握をして、その上で適切な施策を講じてほしいと訴えてまいりました。その結果、平成二十八年実施の生活のしづらさ調査において、サンプル調査ではありますけれども、初めてその実態を把握しようとの試みがされたとの報告も受けております。

 これは大きな一歩であると評価をしておりますけれども、これまで、こうした方々の数も把握されていなければ、施策も講じられてこなかったわけであります。これは、はっきり言って、縦割り行政の弊害だと思います。

 先ほどの遺留金の問題も、私、去年でも省庁を呼んで議論をしましたし、今回のこの予算委員会の質疑をするに当たっても省庁を呼んでいろいろディスカッションをしましたけれども、どうしてもやはり押しつけ合いというか、縦割り行政の弊害というものをそのとき感じました。

 聴覚障害では障害担当、また子供の難聴は子供、高齢者は高齢者と、それぞれの部局でこれまでは完結していたので、その射程から抜け落ちている人を把握する目が、必要性が失われていたわけであります。

 難聴の問題は、医療、保健、福祉などの関係部局がしっかりと連携していくことが大切であります。私は、昨年の予算委員会の分科会においてもこの点を指摘したわけでありますが、厚労省として、その後どのように取り組んできたのか、また今後どう取り組んでいくおつもりなのか、加藤厚生労働大臣にお伺いします。

加藤国務大臣 昨年二月の予算委の分科会で、國重委員から今の御指摘を頂戴したところでございます。

 今御指摘にありましたように、難聴、特に、高齢者の場合、耳が聞こえなくなってくるとどうしても外に出にくくなるとか、やはりいろいろな意味での弊害もございます。それから、難聴には、予防が可能なもの、あるいは早期の治療が必要なもの、こういった種々なものがございますので、それぞれ適切な治療をしていく、あるいは適切な対応をしていくということが必要だと思っております。

 今、難聴の早期発見、早期治療の重要性についての周知については、ホームページで、そうしたことを普及啓発するべく、三十年度予算案にも盛り込んでそれを実行したいと思っておりますし、また、子供の難聴対策は特に大事でありまして、全ての新生児が新生児聴覚スクリーニングを受けられるように、市町村等に対しても通知も行ったところでもございますし、また今年度からは、都道府県で、市町村関係者や医療機関等で構成されている協議会、ここにおいて、新たに、検査の受診状況の把握、分析、研修や普及啓発などを行う新生児聴覚検査体制整備事業、これも行うこととさせていただいております。

 その上で、厚生労働省の中においても、障害部局のみならず、老健部局あるいは保健部局とか多岐にわたっているわけでありますので、そういった意味で、ある意味では対応が縦割りの中のはざまに落ち込まないように、こういう御指摘もいただきました。

 課長クラスを構成員とする難聴への対応に関する省内連絡会議を早速昨年の七月設置をし、昨年の九月には第一回の会合も行い、関係部局で現状や課題、そして円滑な意思疎通を図っていくことを申合せさせていただいたところでございます。

 そういったことも踏まえて、平成三十年度予算では、難聴の早期発見等に関する普及啓発を行うとともに、障害福祉サービス等報酬改定においては、言語聴覚士の、専門職員を加算した障害児の通所事業所に対し加算を引き上げることにより難聴の子供の療育を充実させる、あるいは難聴の方への支援についての調査研究なども盛り込んでいるところでありますので、引き続き、それぞれの部局が連携して、この問題に遺漏なきよう取り組ませていただきたいと思います。

國重委員 ありがとうございました。

 重要な前進だと思います。今後も、これを足がかりにしてしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

 きょう取り上げた遺留金の問題も難聴の問題も、一つの省庁とか一つの部局で完結する問題ではなくて、政府内での連携が重要でございます。肝になります。関係省庁、部局は、前向きに、責任感を持って取り組んでいっていただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて國重君の質疑は終了いたしました。

 次に、末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 五年ぶりに国政に復帰をいたしましたものですから、いろいろな不手際があったら、ぜひそこはあらかじめおわびをしていきたいと思います。

 さて、私は今、立憲民主党にいて、外務部会長というのをやらせていただいていまして、外交問題について取りまとめを今させていただいているところでございます。

 まず最初に申し上げたいんですけれども、立憲民主党は、外交問題も、憲法九条に基づいて、平和的、話合いで基本的には解決するというのが信条でございますので、それを前提としてしっかりやっていきたいと思います。

 北朝鮮問題、こう言うと、北朝鮮問題なんかで、現実を踏まえていないのではないか、今はもう圧力だということで、安倍総理始め政府の方で、あるいはまた世界全体で、圧力をかけるんだ、経済制裁という圧力をかける、こういう話になってきております。

 この話合い、例えば北朝鮮の問題をとっても、とにかく、そういった話合いあるいは平和外交、これはだめだ、KEDOの問題のときもだまされたじゃないか、一千億円とられた、また、六者協議のときも結局はだまされたじゃないか、何ら、北朝鮮の核問題そしてミサイル問題、解決しないじゃないか、こういう話があるわけでございまして、今こぞって、先ほど申し上げたように、日本、アメリカを中心に、国連もあわせて圧力をかけて、経済制裁でもって何とか北朝鮮に核あるいはミサイル開発をやめさせるということに、今がんがんやっているわけでございます。

 ただ、私から見ていて、圧力をかければかけるほど、何か圧力釜にがんがん火をくべればくべるほど、北朝鮮の問題がどういうふうに進展するのかいというのが国民の関心事になります。

 きょうの質問は、最初にNPRをお聞きしたかったんですけれども、ちょっと北朝鮮の話になりましたので、北朝鮮の核・ミサイル問題で、これの迎撃能力を含めた問題から始めていきたいと思います。

 そこで、経済制裁をどんどん強めていく、そうするとどうなるんだということ、四つぐらいのシナリオが考えられるわけですね。

 一つが、北朝鮮が、参りました、ごめんなさい、核開発を諦めます、こういうふうに言うシナリオ。

 二番目が、今のも考えにくいんですけれども、二番目、アメリカの方でトランプ大統領が、北朝鮮、これはもう核兵器国として認めよう、こういうふうに遇していこうというふうな、これもシナリオの一つであります。これも考えにくい。

 現実的に考えられるのは、やはり北朝鮮が経済制裁で暴発をして、そして、何らかのミサイル、これを飛ばしていったり、そして、四番目のシナリオとして、そういうことをさせないために、アメリカのトランプ大統領を中心に、今度は先制攻撃ということで、プリエンプティブアタックを北朝鮮にかけていく、こういうシナリオが考えられるわけです。

 そうしたときに、国民として一番怖いなと。やはり、下手したら北朝鮮が暴発してミサイルを飛ばすかもしれない、これは日本に来るかもしれない。今の圧力釜を沸騰させるやり方でいくと、当然そういったシナリオが現実として考えられていくわけですけれども、そのときに、ミサイルが北朝鮮から飛んでくる、これはあってはならないことですけれども、こういうことに対する危機対処能力というのが当然、問題になります。

 ですから、そういう観点からいくと、北朝鮮の核、ミサイルが飛んでくる、大体、そのままストレートに来ると七、八分で来る、東京なら東京に来る。あるいは、ロフテッドの軌跡をたどると、宇宙空間に出て高高度になると三十分とかそういうふうに言われておりますけれども、私も外務委員会で聞いたんですけれども、この北朝鮮のミサイルに対する迎撃能力、これをまず小野寺防衛大臣にお聞きをしたいと思います。

小野寺国務大臣 末松先生、お帰りなさい。(末松委員「ありがとうございます」と呼ぶ)

 今、末松先生のお話の中で聞いておりまして、やはり一番大切なのは、選択肢で言った一番目、北朝鮮が、いわゆるごめんなさいでありましょうか、基本的政策を圧力によって変えていくということ、外交で解決するということが基本だと思います。

 ただ、私ども防衛当局は、いかなる事態においても国民の生命財産を守るというのが最大の責務ということになります。

 我が国のミサイル防衛については、先生御案内のとおり、海上自衛隊のBMD対応型イージス艦による上層での迎撃と、航空自衛隊のPAC3ミサイルによる下層での迎撃による多層防衛により、いかなる事態においても弾道ミサイルの脅威から国民の生命財産を守るというのが基本ということになります。

 北朝鮮による弾道ミサイル計画の増強については、防衛省・自衛隊は、これまでも、防衛計画の大綱に基づき弾道ミサイル対処能力の向上を図ってきておりまして、具体的には、BMD対処型イージスの増勢、数をふやすということで、現在四隻ですが、間もなく五隻体制になります、最終的には八隻体制にしていきたいと思っておりますし、また、PAC3MSE弾あるいはSM3ブロック2Aといった能力向上型の迎撃ミサイルを取得して、引き続き積極的に進めていきたいと思っております。

 さらに、一刻も早く全国を常時、持続的に防御できる体制ということで、新たにイージス・アショアの二基の導入を、政府として決定をいたしました。

 北朝鮮の核・ミサイル開発が、我が国の安全に対するより重大かつ差し迫った新たな段階の脅威となっております。こうした取組を可及的速やかに進め、高度な警戒態勢を維持していきたいと思っております。

末松委員 そこは本当に頑張っていただきたいんですけれども。

 SM3というんですけれども、これはミッドコースで撃つやつですけれども、これは何か、ジェーン年鑑を含めて見てみますと、高度が五百キロが限界だと書いてあるんですね。そして、それの改良型も一千キロが限度だと書いてある。

 ロフテッド、高高度で来た場合、例えば北朝鮮が飛ばしたように、四千キロとかで宇宙空間に出て、そして落ちてくる、マッハ十から二十ぐらいで落ちてくる。こうなりますと、ミッドコースでやるというのは届かないじゃないか、こういう批判があるんですけれども、いかがですか。

小野寺国務大臣 これは、BMD対応をするイージスシステム、そして今、SM3対応をしております。いずれにしても、さまざまな撃ち方に対応するように、私ども技術向上に努めておりますが、やはり、撃ち方によっては迎撃しにくいということが当然想定されます。そういうことにもしっかり備えられるように、能力向上は努めていきたいと思っております。

末松委員 ということは、この前、外務委員会で聞いたら、どこまで届くの、五百キロぐらいじゃないのと言ったら、それは軍事機密だから一切答えられない、こういう話が出たわけですよ。でも、それだったら、確かに、今言ったように、能力向上に努めるという精神論はいいんですよ、そこはしっかりやってもらいたいんだけれども、本当に届かないんだったら、意味がないじゃないか。

 あるいは、今、北朝鮮で、一回宇宙に出て、そして大気圏再突入する、そのときに、マッハ十から二十ぐらいのすさまじい速度、この技術をまだ北朝鮮は開発していないという話もありますけれども、このときに、PAC3でそれに当たるようなことが本当にできるのか。この点はどうですか。

小野寺国務大臣 個々の能力については、委員御存じのとおり、我が国の手のうちを明かすことになりますので具体的な言及は避けますが、少なくとも、例えばロフテッドで撃ってくるということに関しては、より落としにくいということが現実なんだと思います。

 ただ、実際、通常の中距離の弾道ミサイルであれば、通常の撃ち方で撃ってくる距離ということになりますし、ロフテッドでわざわざ撃つというのは、当然もっと遠くに飛ばすためのロケットをわざわざロフテッドで撃ってくるか、それはさまざま、相手の攻撃の態様が現実に即した撃ち方なのかどうかということは、私どもしっかり分析する必要があると思っています。

 それから、いずれにしても、高く撃てば撃つほど、逆に言えば再突入ということ、その技術もまた大変高度なものになると一般的には言われておりますので、そういう意味では、現実に即した形でしっかり対応できるように、私どもとしては能力向上に努めていくということが重要なんだと思います。

末松委員 小野寺大臣からしおらしく言われると、私もなかなか質問を進めにくいんですけれども。

 今お聞きのように、要するに、ロフテッドで来たら、これは撃ち落とせない、至難のわざだというのが、これは別に日本だけじゃなくて、今、一月三十一日にアメリカが、SM3の改良型で、イージス・アショアという、先ほど大臣が言われたように、ここで実験が失敗した。そして昨年の、あれは六月でしたっけ、これも実験が失敗して、二連敗で、結局、イージス・アショアという、これから二千億円かけて秋田市とそれから山口県の萩市に配備しようとしている、これであっても撃ち落とせない。

 こうなると、国民の皆さんとして、何だ、ミサイルが来たらお手上げかい、こういうふうに思うと思うんですけれども、その不安についてどうですか。

小野寺国務大臣 まず、そのような不安を持たれないように、私ども、しっかりミサイル防衛システムをつくっていくことが大切だと思っています。

 今言及にありました、まず基本的には、私ども使用しておりますのは、SM3ブロック1Aというものを基本的には使っております。これは既に、現役を含めて、能力が確立して評価されているものであります。

 そして、さらにこの改良型ということで、これは、日本が今度は入りまして日米で共同開発をしているブロック2Aというものになります。これは、より高いところまで、そしてより能力を高く対応できる、そのような装備ということになりますが、今これは開発途中ということになります。

 御案内のとおり、過去、初めの試験は成功いたしましたが、昨年六月の試験ではヒューマンエラーがあったというふうに報告を受けております。

 そして、今回は統合型の訓練ということで、イージスシステムとさまざまなデータ連接を行うその試験において、一月三十日は成功しなかったということでありますが、今後ともまたこの試験が繰り返されると聞いておりますので、私どもとしては、最終的に信頼に足る能力を持った新しいブロック2A、これを目指し、そしてまたそれを導入していきたいと考えております。

末松委員 今、現状はそうであるということはもう重々私も承知しているんですけれども、ただ、圧力がどんどん北朝鮮にかかっていく、これはとめようがない。そして、暴発するかもしれないという中で、いや、いずれ開発をして完璧なものをつくります、そうしたら撃ち落とせます、こう言われると、何だい、これは困るぞという話になるわけですよ。そこは、今、技術的にそういうことが無理だということがよく言われていますけれども、かといって技術的に無理だったらどうしようもないよねと。そうしたら、今度はこの圧力のペースを少し遅めるか、いろいろな形もあるのかもしれませんけれども、そこのところは、我々にとって、国民にとっては非常に不安な要因があるということを指摘を申し上げたいと思います。

 そして、先ほど、通常のミサイルのコースであれば、それはSM3でも落とせるし、PAC3でもそれは撃ち落とせるというような形の御説明がございましたけれども、北朝鮮というと、本当にそこが、ノドンも何百発、四、五百発持っていると言われているし、ローンチャーといいますか、発射台も二百基弱ぐらい持っていると言われている。そういうことも含めて、不安を考えれば切りがないわけです。ただ、そこは防衛省として、とにかくできることを全力でやるしかないという話だと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それから、官房長官にお伺いしますけれども、Jアラート、これはちょっと最近ミスアラートがあったとかなんとかいう話もありましたけれども、北朝鮮が飛ばしてから八分間ぐらいで、通常コースであれば来ると。それで、Jアラートで、例えば国民の皆さんが眠っている間にJアラートが鳴りました、鳴っても、まずどこに逃げるんだいと、核兵器であればね。じゃ、逃げる時間はあるのかいと。こういうことに対して、無意味じゃないかという声を国民の皆さんからよく聞くんですけれども、その点についてはいかがですか。

菅国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、ミサイルを発射してから十分もかからないうちに日本に着弾する可能性というのはあります。その中で、政府として何ができるか。被害を最小限に抑えるのが、これが政府の仕事だというふうに思っています。

 通常であれば、我が国の領土、領海に向かってくれば、それは日米同盟で撃ち落とすことになっていますから。しかし、そういう中でも、どのような、北朝鮮が具体的な攻撃をしかけてくるかわからない中で、二十四時間三百六十五日、まさに国民の命と平和な暮らしを守るために、自衛隊、米軍が対応しているわけであります。

 その中で、万が一のことも考えて、国民の皆さんに、到達した場合、ミサイルによる爆風あるいは破片、そうしたことからも身を守ることの対応もここは必要だというふうに思っていますし、現に、航空機だとかあるいは船舶、こうしたものも、ミサイル発射をして、具体的に言えませんけれども、数分内にそうした連絡をしてほしい、これは皆さんの業界あるいは漁船の皆さんからも強い要請もあります。

 そういう中で、可能性がある場合に、Jアラートを活用して伝達をし、建物の中や地下に避難するように呼びかけるということでありますし、そういう意味で、限られた時間、限られたことでありますけれども、被害を最小限に抑えるためにここは必要だというふうに思っています。

末松委員 官房長官のお立場としてはそう答えるしかないし、実際に、もし核弾頭であったら、最小限の被害といったって、正直言うと、それはもう無理ですよね。だから、それを絶対にさせない、北朝鮮を暴発させないということは、極めてこれは外交上重要だと思うわけです。

 第四点目に、今私がシナリオで申し上げた、じゃ、そういったことがないように、アメリカを中心に、プリエンプティブ、先制攻撃をやる、この事態、これを考えた場合なんですけれども、トランプ大統領が、テーブルの上に全ての選択肢がある、それは軍事オプションを含めてやるんだという、これはおどしなのかもしれませんし、半ば事実かもしれません。

 きょう、河野外務大臣も来られていますけれども、これについて、トランプ大統領のこの言明を高く評価するという話をされていますけれども、こういうときに、もしアメリカが先制攻撃をやったというときの何かシナリオみたいなものは政府で考えられていますか。

河野国務大臣 この北朝鮮情勢について、日米で緊密に日ごろから連携をしておりますが、手のうちを明かすような答弁は差し控えたいと思います。

末松委員 結局、そう言われると、我々国会議員も、ああ、そうですかと。国民の方も、何も、政府のおっしゃることしか、何も検討もされていないのか、これはやはり、そこはおかしいよねと。

 実は、この軍事オプションについては、日本がやるというよりも、アメリカの手のうちにあります。決定権はアメリカにあるんですね。

 そういったときに、やはりそこは非常に我が国としても大きな影響を受けるわけですから、外務大臣、ちょっともう一度、丁寧な説明をやっていただけますか。

河野国務大臣 北朝鮮情勢については、日米で日ごろから緊密に連携をしておりますが、手のうちを明かすような答弁は差し控えます。

末松委員 外務大臣はそうおっしゃいますけれども、例えば、トランプ大統領が軍事オプションもあると言っているわけですよ。そういったときに、もし、トランプ大統領が攻撃をして、それもパーフェクトな攻撃をやってもらわないと、もしそれで北朝鮮に余力があって報復をするというような事態、これも当然考えられなくはありません。

 そうしたときに、日本に、先ほど言ったノドンが数百発ある、それも核弾頭を積んでいるやつがあるという話になると、これまたとんでもないことになるわけです。

 そこで、私は思うんですけれども、この前、NPRですね、アメリカの核体制の変更ということで、二〇一〇年に続いて二〇一八年、ことし、つい最近、トランプ大統領が言ったのが、小型の核兵器でやる、こういう核使用を、核兵器の使用を柔軟化させてそのハードルを下げていく、こういうことがございました。

 そうなると、北朝鮮で先制攻撃をやるときに、撃ち損じないように小型核兵器を使うような、時期的に見てそういう印象もちょっと私は受けちゃうんですけれども、小野寺防衛大臣から、ないしょでですよ、アメリカの方に、これは撃ち漏らさないように小型核兵器でやってくれ、こういうことを言ったことはないですよね。

小野寺国務大臣 基本的に、相手国との間でのさまざまなやりとりについては対外的に言うことはないんですが、この問題については少なくとも明確に否定しておいた方がいいと思いますので、そのことはありません。

末松委員 それで、河野外務大臣にお伺いしたいんですけれども、NPRの話になるんですけれども、日本というのは唯一の被爆国で、そしてずっと世界に対して核兵器の廃絶、それを本当に伝え、そして主張してきました。

 この観点からいって、日本の核兵器に対する考え方、これはどうあるべきだと思っていますか。

河野国務大臣 究極的な核廃絶を目指すという我が国の方針は変わりませんが、現在の北朝鮮の核並びにミサイルの脅威は現実的な脅威でございます。これに対して、国民の生命あるいは平和な暮らしを守る日本としては、非核三原則を堅持する以上、米国の核抑止に頼らざるを得ないというのが現実でございます。

 その意味で、今回の米国のNPRを高く評価したいと思います。

末松委員 先ほど、北朝鮮の暴発とかその辺から日本国民の生命、身体、財産を守るという意味で議論をしたわけですよ。私は少なくともそう思っている。

 そうしたときに、それをアメリカの核抑止だけにこれで頼るということなんですか。あなたが言ったのはそういうことですよね。それはおかしいと思いませんか。

 ミサイルに対する対応、そういうことを言うときに、アメリカの、オバマ大統領のときも、二〇一〇年のNPRもそうでしたよ。核抑止はもともとあったし、そして今も変わらないんですよ。なぜそのときだけ、北朝鮮の脅威が上がったということで核抑止が問題になるんですか。

河野国務大臣 おっしゃる意味がよくわかりませんが、現在の北朝鮮の核とミサイルの脅威は現実の脅威と政府は認識しております。そういう意味で、我が国の国民の生命並びに平和な暮らしを守るために、アメリカの核抑止は極めて日本にとって大切だと思います。

 今回のNPRは、米国並びにその同盟国に対して核抑止を明確にコミットをしているという点で、高く評価いたします。

末松委員 いや、私の趣旨がわからないじゃなくて、私があなたに聞いているんですよ。

 つまり、どういうことかというと、オバマ政権でも、各国、友好国、パートナーに対しては、核抑止のコミットメントをしてきましたよ。それはNPRでも当然ありますよ。なぜ、トランプさんの今回のだけ、核抑止ということをそれほど高く評価するのか。

 今のあなたの言い方だと、オバマさんのときとトランプさんのときの違い、これは北朝鮮というのが非常に危険になってきたね、こういうことなんでしょう。だから、さっき議論をしてきたわけですよ、北朝鮮の脅威に対して日本はどう対応するんだと。これに対して、核というのがそこにありましたか。核は何か関係あるんですか。

河野国務大臣 御質問の意図が全くわからないんですが、二〇一〇年のNPRのときと今回のNPRのときと、北朝鮮の核、ミサイルが日本に及ぼしている脅威の度合いは全く違います。

末松委員 いや、だから、防衛問題で、先ほどから、ミサイル対応とかそういうことを言っているわけですよ、具体的に。言っている意味がわからないのはあなたの方なんです、私からすれば。

 だって、二〇一〇年と二〇一七年の違いで、核についてはアメリカはずっと、核兵器を世界で一番きちんと管理し持っていて、そしてコミットしているわけです、友好国に対して。で、あのトランプのNPRを見ると、要は、まず、SLBMとか、海上、そしてICBM、陸上、そして戦略爆撃機、これに対しての、設備が古くなったからしっかりとそこは改修をして、予算もつけていく、そして核の比重も、核兵器の比重を上げていくということを言っているわけですよ。オバマ政権も、それは整備ということで改修をやってきた。

 だから、トランプさんの今回のNPRは、二つ、主にあって、一つは、小型核兵器というものを開発をして核兵器を使いやすくしていくという点、そして、非核攻撃に対して核攻撃もできるということをしっかりと言っているということ。

 でも、それが北朝鮮のこの問題に、多分アメリカとしては当然、そういうことで念頭に置きながらNPRを書いているんだと思うんですけれども、日本としてそういったNPRを高く評価する、これが私にわからないんですよ。

 わからないという意味は、例えば、CTBTという包括的核実験禁止だってトランプ政権は後退しているし、それからオバマ政権が、核のない社会という、これを念頭に置きながら核兵器の比重を下げてきた、これは唯一の被爆国としての私たちにとって重要なことだと思うんです。それをトランプ政権は、ほとんどないがしろにして、核兵器の比重を高めて、予算をつけて、そして小型化の核兵器をつくって、そしてやっていく、これがどうして高く評価できるんですか。

河野国務大臣 北朝鮮の核とミサイルが今、日本にもたらそうとしている脅威を考えたときに、同盟国に対して明確に、このNPRはアメリカの核抑止をコミットしております。そのことから、我が国はこれを高く評価する、そう申し上げているところでございます。

末松委員 じゃ、逆に聞きますよ。オバマ政権のときには日本に対して核抑止のコミットをしていなかったんですか、明確には。

河野国務大臣 二〇一〇年のNPRも、アメリカが同盟国に対して核のコミットはしていると認識をしておりますが、そのときと現在と世界情勢が大きく変わり、特に北朝鮮の核、ミサイルがこのような状況になっているときに、アメリカ政府が、改めて日本に対し、あるいは同盟国に対し、核抑止力をコミットしていることを高く評価しているわけでございます。

末松委員 その違いが、一言で言うわけですよ、あなたの方は、安保情勢が違うんだと。

 北朝鮮が核兵器を開発している、それはもうみんな知っていますよ、わかっていますよ。だけれども、要するに、私は、どうしてあなたがそこで高く評価するって、まあ、それはそんたくをしているのかもしれない、アメリカに対して、あるいは総理に対してそんたくをしているのかもしれないけれども、でも、あなたのずっといろいろなこと、国会議事録なんかをチェックすると、そういうことと全く真逆のことを言っているんですよ。

 例えば、二〇一四年の四月に、NPDIという、軍縮・核不拡散イニシアチブという外相会議が広島で開かれたんですけれども、そのときに、この広島で並行してNGOの会議が行われましたね。

 そのときに、あなたはパネリストとして参加をして、そこで、核軍縮についてしっかりとやるべきだということを繰り返し言っているわけですよ。そして、そこで、河野大臣が、このNGOの会議で、軍縮・核不拡散に向けた具体的な行動や道筋を示されなかった今回の会合の成果に不満を述べたというふうに言っているし、例えば、二〇一五年の四月なんですけれども、超党派の核軍縮・不拡散議員連盟、これは河野太郎会長でしたよね、が、世界宗教者平和会議、これはWCRPという、日本委員会なんですけれども、そこで一緒に共同提言文を出して、平和と核廃絶に思いをはせる絶好の機会と強調して、核兵器の非人道性をめぐる国際的な議論の中で核兵器禁止条約が取り上げられていることに着目し、両者が協力して国際社会に対して政策提言の活動に取り組む、こういう表明をしたりして、あなた自身も非常に、私はそのときこの議員でもありましたけれども、ずっと核軍縮とかそういったことに対して熱心に取り組んでいる河野さんを、私は非常に敬意を表していたわけですけれども、今のトランプ大統領のあのNPRに対して、これが全く、コミットを日本にしているからという理由で高く評価するということが、私にとっては本当に理解できない、同じ人が言ったとは思えないんですけれどもね。

河野国務大臣 究極的な核廃絶あるいはそれに至る道筋の核軍縮の重要性というのは、極めて私も強く認識をしているところでございます。それと同時に、北朝鮮の核、ミサイルの脅威から日本の国民の生命あるいは平和な暮らしを守るというのも、それ以上に重要なことであるのが今の現状でございます。

 そういう中で、この今回のNPRがきちんと同盟国に対して核抑止力を明確にコミットしているというところを、国民の生命並びに平和な暮らしを守るという観点から高く評価するのは当然のことであって、それと、究極的な核廃絶あるいは核軍縮が相反するものではありません。

末松委員 今おっしゃった中に、北朝鮮の問題があるから、だからアメリカと協調しなきゃいけない、しっかりとそれは結びついていかなきゃいけない、それは当然のことですね。それは誰しもわかっていますよ。

 それが、NPRということを通じて、小型核兵器とかそういったことを推進をしていくことそのものも含まれるわけですよ、高く評価するという中に。だから、そこを私は問題にしているわけですね。

 それで、これはあなた自身が、平成十七年、二〇〇五年七月二十六日、衆議院の、これは本会議かと思いますけれども、言った記録が官報に載っていますけれども、これであなたはこう言っているんですよ。「我々は、アメリカの小型核兵器の開発についてもはっきりとしたメッセージを出すべきだと思います。唯一の被爆国として、我々日本は、より使いやすい核兵器の開発など絶対に認められない、そういう強いメッセージをアメリカに向けて今こそ出すべきではないでしょうか。」、これで拍手が起こっているんですよ。

河野国務大臣 現在、核の世界を不安定にしているのは、アメリカではなくて、小型の戦術核の開発を進め、それを利用しようとしている軍事ドクトリンを推し進めているロシアであります。ロシアは、現在、アメリカが小型の戦術核を配備しない場合に、アメリカが大きな戦略核で核の報復はできない、そう考えて、地域的な戦術核を使うおそれがある。つまり、核のエスカレーションラダーのアメリカサイドに欠如がある、それをロシアが利用しようとして戦術核の配備を進めている。それを防ぐために、アメリカはそのエスカレーションラダーの欠如している部分を埋めようとしているのが今回のNPRだと思います。

 今回のアメリカの小型の戦術核の開発は、そういう意味で、核の使用の下がりそうな敷居をむしろ上げようとして努力をしているということだと理解をしております。

末松委員 それは、私もNPRを読んでいますから、アメリカはそう言っていますよ。実際に解説もそう書いてありますよ。それは理解もしていますよ。

 でも、あなたの言ったのはそういうことじゃなくて、そういう小型核とか核の使用を容易にすること、これをやめさせる、これが方向だと言ってきたわけでしょう。それが日本の唯一の被爆国としての、これはきちんとしたポリシーじゃないですか。そこをたがえていくということ、これは政治家としてのインテグリティーというのかな、そこに疑問を持たざるを得なくなってくるんですよ。

 例えば、外務委員会で、二〇一四年、まあまあ最近ですよ、あなたはこう言っている。「広島、長崎の経験を忘れるな、あの日には必ず日本政府はそう言って、過ちは繰り返しませんと言いつつも、日本政府として、唯一の被爆国として、この核の重要性を下げるようなことを何一つやってきていないのではないでしょうか。」、こう言い、引き続き、「我が国がまず、核兵器の数を減らせと言っても、こっちは持っていませんから、同盟国に対して数を減らせと言うのか、あるいは使われないようにする、重要性を減らしていく、そういうことを日本として真面目にやってくれる外務大臣が必要なんだと思います。そこはぜひ、外務大臣に取り組んでいただきたいと思います。」、こう言っているわけですよ。

 あなたはいつも北朝鮮の脅威だけしか言わないけれども、北朝鮮の脅威に対して、じゃ、小型核を使うことがあなたはいいと思っているんですか、そうしたら。

河野国務大臣 アメリカが小型の核の開発をしなければならないような状況をもたらしたのはロシアでありますから、まず、ロシアに対してそういうことをおっしゃるべきなんだろうと思います。

 アメリカは、小型の核の開発をするのは、北朝鮮に対して使おうとしているわけではありません。それは、今回のNPRでも明確にそううたっているわけでございます。

 私は、日本が究極的な核廃絶並びにその道筋に至る核軍縮をしっかりと進めるために、先頭に立って引っ張る外務大臣であろうとしておりますが、それと同時に、現在の北朝鮮の核とミサイルの脅威をしっかりと現実のものとして捉え、国民の生命と平和な暮らしを守るために、政府としてやらなければいけないことをしっかりやる、これが政府の義務であります。

 外務大臣として、その両方をしっかりとやれる外務大臣になろうと思っております。

末松委員 核軍縮の先頭に立つと言われましたよね。でも、アメリカとロシアの核競争は、それは、ロシアがやったからアメリカもやるんだ、当然だよねという言い方をしている。どっちなんだと。核について、あなたは本当に、世界に対してメッセージをどう発するんですか。

 自分の国は、北朝鮮があるから、だから、アメリカの小型核もいいじゃないか、核自身ももっと重要視すればいいじゃないか、これは国民の生命財産を守るためだ、こう言うけれども、本当に国民の生命財産を守るのであれば、さっき防衛大臣も言った、ミサイルとか、あるいはJアラートに含めていろいろな形で、本当に北朝鮮を暴発させない、あるいはアメリカのもし先制攻撃といったときに、日本がきちんとそこは守れるような、そういったこと、これに対してはあなたは全く言わずに、ただ、NPR、これを高く評価する、しかも、CTBTの包括的核実験、トランプ政権がこれをやらないと言っても、それは高く評価するということを言っている。ここは本当に矛盾があるんじゃないでしょうか。

 だから、そこをしっかりクリアしていかないと、幾らアメリカの、ロシアがやっているから、あるいは中国、あるいはイラン、北朝鮮がやっているから、だからアメリカがやるんだということを、本当に根本的にそれを評価をしていくということ、高く評価するということ自体、これは日本の外務大臣としては、私は、そこはおかしいと思う。これは私だけが思うことではないと思うんですね。

 もっと、この核という、核兵器で、我々としてしっかりと、唯一、被爆国としてやってきたわけですから、この七十年のきちんとした歴史を踏まえながら、慎重な発言をすべきだと思います。

 ということで、実はまだたくさん質問したかったんですけれども、質問時間がなくなってきたので、最後に、ちょっと鈴木大臣には申しわけないですけれども、スノーデン関係はまた別の機会にして、森友問題で、最近、この交渉記録というものの資料が出ました。

 これは麻生大臣にお伺いするんですけれども、麻生大臣は、この資料が発出されるということについては、そこは御存じでしたでしょうか。

麻生国務大臣 今般開示をいたしております法律相談の文書につきましては、昨年九月でしたか、行われました近畿財務局に対する開示請求の対応の中で文書の存在が判明したということから、その後、所要の手続を経て開示したもの、それはよろしいですね。(末松委員「御存じ、開示したのは」と呼ぶ)したものだということを確認しておるだけですから。

 この文書の開示決定に至る手続は、これは近畿財務局において行われたものということですが、その上で、法律相談の文書が実際に開示される前に、文書の内容につきましては、事務方の方から説明を受けております。

末松委員 説明を受けていた。

麻生国務大臣 座ってしゃべらないことにしておりますので。

 説明されております、聞いておりますと申し上げました。

末松委員 私の選挙区でも、佐川さんに対する非常に反発の声が強いわけですよ。これから税金といいますか、納税の、本格的な申告時期になるわけですよ。こういったときに、私の周りの声が、とにかく税務署に言ってやりたい、もう記録をなくしたから俺は納めないとか、さらに、それはもう記憶にないとか、こういったことも絶対言ってやるんだという人が結構いるわけですね。

 そういったときに備えて、何か、大臣も御承知でこの資料が出てきたというのは、ある人が言っていましたけれども、これはそろそろ佐川国税庁長官が切られる、そして、それがかわるというサインではないか、そのために提出されたんじゃないか、こういうことがあるんですね。

 大臣、ちょっと最後に、もう時間がないので言うんですけれども、適材適所ということで人事をやっておられるということですけれども、この佐川国税庁長官に対して、大臣の任命責任というのを私は問いたいと思いますけれども、同時に、ここでこの資料が出たということで、これがある意味では不祥事ということで、佐川国税庁長官をかえるというようなことはございますか、ございませんか。

麻生国務大臣 市民団体から財務相に対して、国税庁長官佐川の罷免等々を求める申入れ書の提出があったことは承知をしております。

 その上で、佐川長官は国税の分野での豊富な経験などを生かしておりまして、これまで国税庁長官として職責を適切に果たしていると私どもは認識しており、引き続きその職責を果たしてもらいたいと考えております。

末松委員 我々立憲民主党も、これは罷免を要求しています。そのことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて末松君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党の岡本あき子でございます。

 冒頭に、草津本白根山、それから佐賀県のヘリの墜落で犠牲になられた自衛官の方に哀悼の意、そして御家族にも哀悼の意を表するとともに、けがをなされた方々、あるいは不安におびえている方々が少しでも回復されますこと、それから安心されますことを願うばかりです。

 また、台湾で大きな地震がありました。仙台出身の私としては、当時、本当に多大な支援をいただいた中で、政府全力を挙げてこの台湾の対応にも努めていただきたいということを申し上げさせていただきます。

 また、与野党の理事の皆様、今回の質問の機会をいただき、ありがとうございます。委員長にも御礼を申し上げます。

 私は、昨年十月まで仙台の市会議員をさせていただいておりました。国政においても、地域に光を当て、地域で暮らしている一人一人が元気になるために、また、そこの事業者の方々も力を発揮できるように、そういう意味でこの場に立たせていただいているとの思いで質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 三十年度の予算ですが、そのポイントとして、人づくり革命、その中で、人への投資という言葉を使ってくださいました。どこかで聞いたフレーズだと思いますが、使ってくださって素直にうれしいと思いますし、私自身も、人への投資が経済成長へつながるとの信念を持っております。

 さて、そのポイントで、子育て安心プラン、保育の受皿拡大をトップに挙げてくださっています。三十二万人の受皿を前倒しで二〇二〇年までに整備をするとのことですが、民間の調査では、それどころか、八十八万を超える受皿が必要と指摘がなされています。ずっとこの三十二万人を堅持しておりますが、改めて、もう一度この見通しをお答えください。

加藤国務大臣 昨年六月に公表した子育て安心プランでは、三十二万人分の受皿整備ということで、二十五歳から四十四歳までの女性就業率が二〇二二年度末に八割まで上昇するということ、また、その就業率と相関して、保育の利用申込率も、ゼロ歳から五歳全体で見て五割を超える水準まで伸びるということ、こうした前提を置いて必要な整備量を推計したものでございます。

 一方で、御指摘のあった野村総合研究所の試算、これは、全国の未就学児を持つ男女三千七百人を対象としたサンプル調査を行って、そのデータをベースとして必要な保育の受皿を推計したものというふうに認識をしておりますが、その中には、育児休業中の方や、すぐには保育を必要としていない方など、保育の必要性の認定がされない方も含まれているというふうに承知をしているところであります。

 実際にこの保育の受皿整備を行うという場合に当たっては、これまでも、保育の実施主体である市区町村において、申込みにまで至らないようなケースも含めた保護者の意向、これを丁寧に確認し、いわば潜在的なニーズ、これも含めた必要な整備量を的確に把握していただくことが必要だというふうに思います。

 このため、昨年十二月にも、各市町村が子育て安心プランに基づき整備計画を作成する際には、保育コンシェルジュなどを活用しながら潜在的な保育ニーズの把握に積極的に取り組んでいただくよう要請をし、そして、市区町村だけではなくて、さらには市区町村内の保育提供区域、もう少し小さい区域で見てですね、ごとの保育の利用動向を的確に把握をしていただく。そして、私どもとしては、それを反映した受皿整備がしっかり進むように引き続き支援をしていきたい、こう思っております。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

岡本(あ)委員 今現在のニーズで三十二万人。仙台でも過去にやはりニーズ調査というのをやっています。ところが、現実、整備が促進をされると、あるいは社会情勢が変わると、さらなるニーズが出てきている、過去に何度も何度もそれを繰り返し行っているということも含めて、更に見通しというのをきちんと立てていただきたいと思います。

 私自身も、当時、保育園に落ちて途方に暮れた一人です。まだまだ待機の問題がめどが立っていない状況で、今回、消費税増税の理由として突然出てきたのが、一気に幼稚園、保育料の無償化です。財源が潤沢にあるのであれば私も否定はしませんが、初めに、やはり優先順位が違うのではないかと申し上げさせていただきます。

 資料一に、教育費の負担感についてのアンケート調査結果があります。このデータは、教育の負担感は年齢が高くなるほど負担という実感があります。就学前、かなり負担を感じるというのは一二・一%です。

 低所得世帯や多子世帯の減免をする、これは必要な支援と考えますが、そもそも、幼児教育の重要性をうたっている中で、全員無償化しなければ幼稚園に入れない、そんな心配をされているという切実な声はあるんでしょうか。

茂木国務大臣 幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うものでありまして、全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障することは大変重要だ、この点については、多分、委員とも認識を一緒にしていると思います。

 幼児教育が将来の所得の向上や生活保護受給率の低下等に著しい効果をもたらすことを示します世界レベルの著名な研究結果もありまして、諸外国を見てみましても、三歳から五歳児の幼児教育については所得制限を設けずに無償化が進められているところであります。

 お示しいただきました資料、それぞれの年代別の負担感といいますか、そこについてまとめていただいておりますけれども、例えば、国立社会保障・人口問題研究所の調査によりますと、理想の子供の数を持たない理由について、三十歳未満では七六・五%、三十歳から三十四歳では八一・一%が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからと回答しておりまして、いずれも最大の理由となっております。

 また、平成二十六年度に内閣府が実施をいたしました二十代、三十代の男女を対象としたアンケートでも、どのようなことがあればもっと子供が欲しいと思うかという問いに対しまして、七〇%の人が将来の教育費に対する補助と答え、六〇%の人が幼稚園、保育所などの費用の補助と答えております。

 こうした観点から、さきの総選挙でも、三歳から五歳児を対象に所得制限を設けない幼児教育の無償化を訴えまして、多くの国民の皆様から御支持をいただいたことでありまして、国民との約束、しっかりと実現をしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 今、御答弁いただきました。

 教育費が負担がかかるというのは重々承知です。ただ、どこにかかっているかというのはグラフも見ていただきたいと思います。

 また、要は、幼児教育も補助は求めています。理想の子供が持てないその理由として、二人、三人、四人、そういう形になると更にかかる、そういう意味で多子減免をする、それは当然必要だというのはわかります。あるいは、もう既に就園奨励費で補助は出ているんですね。それを充実させるというのはわかりますけれども、全員無償化しなければ幼児教育を受けさせられないのかどうか、そこを聞いています。

 幼児教育、九割の方々が受けている中で、更に教育の充実を図るのはわかりますよ。中身を、質を向上するのであれば、あるいは、通っていない残り一割を何とか幼児教育を受けさせるために努力をするというのはわかりますが、全員無償化すると幼児教育の機会がふえるという形では、私は賛同ができません。

 地方六団体で、国と地方の協議の場の内容を調べてみました。地方自治体からも、保育所の待機児童の解消、子供医療費助成の国の制度化、幼稚園の多子減免、こういう希望はありますが、これは、切実な家庭の経済的な負担軽減を地方自治体は求めていると思います。

 幼児教育で全員無償化してくれというのは、最初のころ、全然要望としてはなかったと思いますが、地域の自治体の声をどのように伺っておりますでしょうか。

茂木国務大臣 先ほども若干御答弁申し上げましたが、幼児教育は生涯にわたります人格形成の基礎を培うものでありまして、我が国の経済成長への寄与という観点からも、幼児期から……(岡本(あ)委員「そこは理解しています」と呼ぶ)もうすぐ終わります。人材への投資を拡充することが人材の質を高めて生産性を向上させていくことにつながるため、全ての子供たちに質の高い幼児教育の機会を保障することは極めて重要であると考えております。

 一方、待機児童の解消、これは待ったなしの課題でありまして、最優先で取り組んでまいります。

 幼児教育の無償化については二〇一九年度から段階的に進めていくのに対しまして、喫緊の課題であります待機児童対策については、平成二十九年度の補正予算に盛り込んだ施策を含め、今年度からスピード感を持って取り組んでまいります。

 具体的には、平成二十九年度の補正予算と三十年度の当初予算で合計十一万五千人分の保育の受皿を確保し、二〇二〇年までに三十二万人分を二年前倒しで確保することといたしております。

 この三十二万人という数字について、御議論あるかと思いますが、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が……(岡本(あ)委員「それはさっきも御答弁いただいています」と呼ぶ)そういったことであります。

 大事なのは、待機児童か無償か、こういう単純な二者択一ではなくて、両方を同時並行でしっかり進めていく、こういうことだと考えております。

岡本(あ)委員 二者択一とは言っていません。優先順位の問題を言わせていただいております。

 資料二をごらんください。これは、要は、幼児教育無償化という方針が出て、緊急の要請が出ております。指定都市市長会、中核市市長会、全国施行時特例市市長会ですね。

 この中で、この幼児教育、保育の無償化の実施に伴い、急激な保育需要の高まり、これを自治体、現場は懸念をしています。現場では、やはりこの無償化によって保育需要が高まると。それは、実際に行政サービスをしている立場の方がより実感を伴っていると思います。

 幼児教育の質を高めることは、先ほども重要だということは申しました。無償化が質を高めるのではなく、それは、幼児教育の中身を高めることについては異論はありませんが、無償化をして、全入を期待するために無償化をするという意味よりは、保育需要の急激な高まりがあるおそれもある中で、優先順位が違うのではないかと問わせていただいております。もう一度お答えください。

茂木国務大臣 先ほども申し上げましたが、待機児童の解消、これは待ったなしの課題でありまして、最優先で取り組んでまいる、このように答弁をいたしております。

 幼児教育の無償化は二〇一九年度から段階的に進めるのに対して、喫緊の課題であります待機児童対策については、平成二十九年度の補正予算に盛り込んだ施策を含め、今年度からスピード感を持って取り組んでまいります。

 もちろん、地域によりまして、非常に待機児童が多い地域と、待機児童がほとんどない地域があります。そういった、保育のニーズも違っておりますし、また、子育ての支援に対するニーズも違っていると思います。それぞれの地域のニーズ等もきちんと受けとめながら対策を進めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 優先順位という意味では、待機児童解消が優先順位が高いということは御答弁いただきました。そういう意味でいくと、更にその負担感を出すような施策を並行してやる必要があるのか、優先順位をちゃんとつけてやるべきじゃないかということを言わせていただいております。

 あわせて、地域によって違うというお話も御答弁いただきましたけれども、今の資料にも書いてあるとおり、地域に全然これは協議もされていないですよね。十分に協議をしてほしい、現場の声を聞いた上で政策判断をしていただきたいということもこの緊急の要請として出ているということをしっかり踏まえていただきたいと思います。

 私からは、やはり、地方自治体としては、無償化を一気にやってほしいなんて地方からは出ていない。保護者からも、高等教育とか、更に将来にわたっての負担軽減、これは図ってほしい、多子減免をしてほしい、それはあるけれども、今の幼児教育、受けさせられないから困っている、何とかしてくれという声が出ているとは思えない。これはやはり、十月の選挙のときに、突然優先順位を上げて出てきたと言わざるを得ないと思います。

 幼児教育の質を高めるという意味でいけば、それはやるべきだと言わせていただきます。私立幼稚園の教諭の資質向上ですとか、障害がある児童の受入れ体制の整備とか、幼稚園の質を高める努力はするべきだと思います。

 これは、文科大臣、お答えいただけますか。

林国務大臣 御議論いただいたように、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うものでございまして、幼稚園はその後の義務教育の基礎をつくる場として大変重要だと考えております。

 全ての幼稚園は、幼稚園の設置基準、それから幼稚園の教育要領等によりまして、その教育、保育環境の整備、それから教育の内容面の質の確保がなされているところでございます。

 また、子ども・子育て支援新制度に移行していない幼稚園につきましても、これは私学助成になりますが、教員の処遇改善等を通じて人材確保の支援を行うとともに、幼児教育指導者養成研修、それから施設整備等に対する補助、こういうものに取り組んでおりまして、今後とも、こうした教育の質の向上を図る取組をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

 また、先生から今、特別な支援についても御言及がありましたが、こういう特別な支援の必要な幼児を受け入れるための支援というのは大変重要であるというふうに認識しておりまして、文科省では、特別な支援の必要な幼児が二人以上、全体の幼稚園の中で二人ということですが、就園している私立の幼稚園等に対しては、都道府県が補助を行う場合に、その助成額の一部を補助しておるところでございます。

 また、平成三十年度予算案においては、理学療法士、それから作業療法士、言語聴覚士等の特別支援教育に関する外部専門家の配置への支援に係る経費も計上させていただいているところでございます。

岡本(あ)委員 幼児教育の中身、それから、それに携わる幼稚園教諭並びに保育士さんの資質を向上する、それはぜひ進めていただきたいと思いますけれども、幼児教育を無償化して、国民も必ずしも優先順位を高く望んでいる、最優先でやってほしいと望んでいるわけでもない、地方自治体からも要望が出ていない、こういう中で一気に進めるという判断をされたということに対しては、やはり疑問を呈したいと思います。

 今、幼稚園教諭の充実も言われました。待機児童解消の保育士の不足の中で、保育士の処遇改善、今までも御答弁いただいています。今まで討議の中で、厚労省で示された処遇改善の数値を見ていますと、例えば平均給与でいくと、平成二十四年に比べて四、五十万上がっていないとおかしい率なんですが、現実の金額としてはそこまで行っていないと思います。

 確かに制度はありますけれども、必ずしもそれが適用されていない実態があるのではないかと思います。この点に関してもお答えいただきたいと思います。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 待機児童の解消、これにしっかり取り組んでいく。そのためには、受皿の拡大とあわせて、やはりそこで働く保育士の方々をしっかり確保していく。そのためにも、今御指摘があった処遇の改善というのは大変重要であります。

 政権交代後、合計約一〇%の改善を実現するとともに、これに加えて、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を行い、またさらに、先般成立をさせていただきました平成二十九年度補正予算、また、今出しております平成三十年度予算案においても、今年度の人事院勧告に伴う国家公務員の給与改定に準じた一・一%の処遇改善を行っているところでございます。

 賃金構造基本統計調査、これは厚労省の数字でありますが、この中で、保育士の方の年収換算で推移を見ると、平成二十五年がボトム、ずっと底まで残念ながら下がっていってしまいまして、そこから上がって、平成二十五年が約三百九・八万円、平成二十八年が約三百二十六・八万円ということですから、十七万円上がっているということであります。

 ただ、これは平成二十八年時点でありますから、二十七年までの処遇改善が反映していた。数字でいえば約七%相当分が反映していたということなんだろうと思いますが、そういった形で、しっかりと更に今申し上げたような処遇改善をすることによって保育士の方々の処遇がしっかり上がっていけるように、更に取り組んでいきたいと思っております。

岡本(あ)委員 パーセントでいくと、本来一一%直近でいくと上がって、三十年度も含めて一一%上がる見込みだというデータはいただいているんですが、実質賃金換算をすると、なかなか、本人がしっかり手にする金額としては、その率とは全く一緒にはなっていないというところ。伸ばしていただいている御努力は認めますけれども、さらにそこは力を入れていただきたいと思います。

 今、処遇の話をさせていただきましたので、次に、働き方改革について伺いたいと思います。

 今回、予算委員会でも質疑がありました裁量労働制の対象拡大に対して、非常に危惧を抱いている、決してこれは安易に対象拡大を認めるわけにいかないという立場で問わせていただきます。

 安倍総理の答弁で、厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもあるとおっしゃいました。

 きょう安倍総理いらっしゃいませんが、同じ答弁、加藤大臣もされていると思います。この平均的な者という設定をして、平均値ではなく比較をしたのはなぜでしょうか。

加藤国務大臣 これは、平成二十五年度の労働時間等総合実態調査のいわばやり方ということになるんだと思いますけれども、そこでは、一般労働者に関しては、調査した事業所ごとに、そこの事業所において、調査対象月において最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に属する労働者を選んでいただいて、その数字を記録させていただいた。また、裁量労働制では、同じことなんですが、調査した事業所ごとに、事業場が法に規定する労働時間の状況として把握した時間を見て平均的な労働者として選んでいただいた。

 その時間をこうして調査をして、そして、その数字、これは最長もありますけれども、それについて私どもの方から述べさせていただいたということでございまして、また、ちょっとそこから先、当時どういう趣旨でそういう調査が行われたのか、多分、その後の制度改正を踏まえた中でそうした調査をされたんだろうと思っておりますので、全数をとっているわけじゃないということはそのとおりであります。

岡本(あ)委員 先輩委員の方で、平均値をあらわせないか、それで、調べてみますという御答弁を前回されていると思いますが、それはどうなりましたでしょうか。

加藤国務大臣 今ちょっと、この調査について、全体としていろいろ御指摘もいただいております、精査させていただいている途中なんですが、今申し上げたように、調査の仕方がそういう形で抽出したところだけを選んでいるものですから、その事業所で働いている人の全部のデータを私ども持っているわけではないので、その平均値ということを出すというのは、今私どもが持っているデータからは難しいのではないかと思います。

岡本(あ)委員 平均的な者ということで調べたということです。最長の者も評価をされたということです。ちょっと最長の者の評価はどうだったのかもお聞かせいただきたいと思います。

 厚労省のデータのほかに、労働政策研究、資料三になるんですが、私どもの方で資料を出させていただきました。これに基づくと、明らかに裁量労働の方が長時間働いている数字が出ています。

 その次の資料四のグラフを見ていただきますと、やはり、黒い、裁量労働の方が、適用なしの人に比べてはるかに長時間になっています。

 例えば、加藤大臣がおっしゃった平均的な者ということになりますと、このグラフでいくと、多分最も人数が多いところを拾うことになると思うんですね。そうすると、十二時間の三〇・七というところが要は平均的な者、平均値ではなく平均的な者ということになるのかな。そうすると、十三時間以上の方もほぼ近くいるにもかかわらず、十二時間という数値になってしまうのではないか。それから、適用なしの方でいきますと、十時間という方が平均的な者という扱いになるのかな。でも、それよりも右側の方がはるかに多い。

 そういうことを考えると、必ずしもこの平均的な者という扱いは正しい評価ではない、一つの指標にはなるかもしれないが、それをもって短いと言い切れるものではないと言わせていただきますし、最長の者についても、どのような実態なのか、お答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず先に、最長の者の方でちょっと御答弁をさせていただきたいと思います。

 ここの最長の者も、先ほど申し上げたように、調査した事業所ごとに、その事業所において、調査対象月における月間の時間外労働が最長の者ということを、こういう人だといって出してきていただいた数字でありますし、また、裁量労働制においても、法に規定する労働時間の状況として把握している時間が、この人が一番長いということで出してきていただいた数字、それを各事業所集めて平均を出した、そういう数値でございます。

 その上で申し上げると、一般労働者は十一時間十一分、企画業務型裁量労働制の対象者は十一時間四十二分、こういうことになっております。

 それから、確かに、平均的な者というのと平均値というのとは明らかに違うという御指摘はそのとおりでありまして、ただ、どうしてそういうとり方をしたかというところは、ちょっと私、まだ把握するに至っていませんが、当時の調査においては、先ほど申し上げたようなやり方で調査がなされたということであります。

岡本(あ)委員 非常に大事なことだし、間違って解釈をされるということに対しては懸念を表します。早速、あの答弁の後、日経新聞さん等でも、平均的な、平均値かのような報道で掲載をされておりますので、誤解がないように。

 それから、長時間労働、やはり裁量型の方の方が時間が長いです。何のためにこの裁量労働制に懸念を抱いているかというと、長時間労働が更に拍車がかかるんじゃないか、過労死がふえるんじゃないか、あるいは、メンタルヘルス、健康を害する方がいるんじゃないか、そのことを懸念しています。これが起きているからこそ働き方改革なんだという前提であるべきだと思います。

 そういう意味でいくと、そもそも先ほどのデータでも、平均的な者よりも最長の者の方を拾うべきだったんじゃないか、そのことを指摘させていただきます。

 時間が来てしまって、ほかに復興それから森林環境税も伺いたかったんですけれども、来ていただいた大臣には本当に申しわけありませんが、次の機会に任務を果たさせていただきたいと思います。

 とにかく、やはり働き方に関しては、今申し上げた、過労死が起きている、そのことに対して日本政府が毅然とした態度をとらなきゃいけない前提で取り組むという決意を持っていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ほかの大臣、復興大臣も含めて、御迷惑をおかけしました。申しわけありません。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。

 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 前回に引き続いて、茂木大臣にまずお聞きをしたいと思います。

 茂木大臣、選挙区内において、一年間に支持者の方の中でお亡くなりになった方が出た場合に、そこに、初盆、新盆、地域によって言い方は異なりますけれども、お盆にお参りに行かれる、こうしたことは行われていますでしょうか。

茂木国務大臣 ございます。

本多委員 その活動は、個人なのでしょうか、それとも政治活動として行われているのか、まさか政党活動ではないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 収支報告書等々に記載しましたものは、政党支部の活動として適正に行っております。

本多委員 ちょっとお答えになられていないんですけれども。収支報告書とか、全くそういう話をしていないので。

 お盆にお参りに行かれる政治家はいると思うんです。そのことは、どういった趣旨、政治家としての活動なのか、政党としての活動か、ちょっとお答えをいただければと思います。

茂木国務大臣 それぞれの政治家はさまざまな活動をしていると思います。政治に関します活動につきましては、政治資金規正法で定められたとおり、きちんと報告をさせていただいております。

 全てのプライベートな活動につきまして、何らかこういう問題があるということでありましたらお答えいたしますけれども、具体的な事実でこういう問題を起こしているということであれば御指摘ください。

本多委員 今、プライベートという言葉がありましたので、プライベートで回られているという認識でよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 今御答弁申し上げたとおりでありまして、政治に関します活動につきましては公選法にのっとり行わせていただいております。そして、その活動内容につきましては、皆さんも同じだと思いますが、公職選挙法で求められる形で適正に報告を行っております。

 その上で、何らか、プライベートな活動であっても政治活動であっても、具体的に私の活動のここが問題である、具体的に事実としてここが問題である、こういう御指摘がありましたら、それにはお答えをさせていただきます。

本多委員 いやいや、もう既に問題は指摘しておりますので繰り返さなかっただけなんですけれども、疑念が生じているわけです。公職選挙法に違反して線香を持っていったのではないかとか、手帳を配っていたのではないかという疑念が生じていて、それが、政党が主体なのか、個人の活動なのかということが法的にも大問題になっているわけですので、事実関係をお聞きしているわけです。

 それで、確認なんですけれども、大臣はよく、本人はそういうものを持っていっていないというような話を繰り返し言われているんですけれども、なぜそこを強調されるんですか。本人が持っていくと違法だと認識をされているから、私は、本人は行っていない、全部秘書がやっているんだと言われているんでしょうか。

茂木国務大臣 その点につきまして御質問いただきましたのでお答えをいたしました、私からというよりも。これまで答弁をさせていただいたとおり、私に関しては、政党支部の活動として適正に行っております。

 現在、各議員に関してさまざまな事例の報道もありますが、公選法の解釈、そしてその運用については所管省庁にお尋ねいただければと思っております。

 そして、先日来お答えをいたしておりますが、昨年の十月の衆議院選前まで先生も所属されていた当時の民進党では、党の幹部の方、私はお名前とかを申し上げるつもりはありませんが、資金管理団体からの支出の問題、これを指摘されまして、その支出を政党支部の活動へと訂正をされ、政党支部の活動であるから適正、適法であるというのが、当時の民進党、幹事長は今の御党の代表だと思いますが、党の統一の見解であった、このように理解をいたしております。

 また、現在、野党の幹部の方も同様な説明をしている、このように考えております。

本多委員 ちょっと、質問に答えていないんですよ。

 政党の活動と茂木大臣が主張されていることは、私は理解をしています。私は違うと思っていますが、茂木大臣がそう主張されていることは理解をしています。

 ただ、本人は持っていっていないということを強調されていますから、政党の活動であっても本人が持っていったとしたら違法だと認識されているから、そこを、私は行っていないですよと強調されているのではないかという質問をしているので、そこにお答えをいただければと思います。

茂木国務大臣 公選法上適法であるか否か、その解釈、そして運用については、先ほども申し上げましたが、所管省庁にお聞きをいただければと思っております。

 その上で、本人がどうですかという御質問を受けましたので、私は持っていってはおりません、こういう答えを申し上げたところでありまして、先生、大変恐縮なんですが、後ろめたさがあるとか、自分が何か悪いことをしているのではないかな、こういう臆測に基づく質問はぜひ控えていただきたいと思っております。

本多委員 いやいや、国務大臣、多くの予算を使って人づくり革命というのを担当されているから、そういった資質がある方なのか、ちゃんとルールを守って、すれすれのことをされているんじゃないかということで質問しているんですよ。

 それで、まず、大臣、政党活動とおっしゃっていますが、じゃ、今、私……(発言する者あり)

河村委員長 質問者が質問中、あるいは答弁者が答弁中は、皆さん、私語は慎んでください。

本多委員 まず、私は、政治資金管理団体からじゃなくて、政党からこの手帳代を支出しているということは、昨年の夏に週刊誌報道があった後に、四、五年間もずっと……(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に願います。質疑中です。

本多委員 その後に訂正をされて、なっているわけですよ。

 四、五年間、政治資金収支報告書に記載があった、間違った記載をされていた、四、五年も。それから、微々たる金額じゃないんですよ。百万円単位で政治資金の報告書に間違った記載をされていたことに関しては、反省はありますか。

茂木国務大臣 収支報告書につきましては、適時見直しを行いまして、もし誤り等があれば訂正をする、これは皆さんもやられていることではないかな、このように思っているところであります。

 私もそのような形でやっておりまして、公職選挙法そして政治資金規正法、それにのった活動、更に徹底をしていきたいと思っております。

本多委員 週刊誌報道がきっかけですよね、訂正は。

茂木国務大臣 先ほど申し上げたように、適時さまざまな見直し、こういったものは行っております。その都度、例えば適正な形の報告がどうであるか、こういったことも確認をしたり、そういうことはあると思います。

 適切に報告をする、そういう感じでありますが、見直しを行ったときに、もし仮に、記載のミスであったりとか記載の方法が適切でなければ訂正をする、これは皆さんもやられていること。多くの政治家の先生方が、不適切なままではなくて、適切に報告をする、さまざまなタイミングでそういうことをされている。私も行っております。

本多委員 間違いというのはあって、訂正することは当然なんですよ。

 ただ、大臣、四、五年にわたり、百万円単位の間違いを四、五年気づかずに、四、五年たってから訂正したことは、さすがにこれは事務的な管理が不行き届きだった、これぐらいのことはおっしゃった方がいいんじゃないんですか。

茂木国務大臣 御指摘、事実と違う部分はございますが、いずれにしても、政治資金規正法にのっとり、必要な訂正は行っていきたい。

 訂正があったことにつきましては、過ちでありますから、そういったことがないようにこれから努めてまいりたいと思っております。

本多委員 大臣本人の話に戻るんですけれども、本人が配付したことはないと、かなり明確に何回も委員会でお答えになっています。

 その大臣の答弁を信用したいと思いますが、万が一、明確な、大臣がお配りになったという事実が出た場合は、これまで、しっかりと大臣をおやめになった方はたくさんいらっしゃるんですよ、議員をおやめになった方さえいらっしゃる事案なんですよ、ですから、しっかりそれは御自分で判断されていくということでよろしいですか。

茂木国務大臣 私は明確に答弁を申し上げております。

 何か私が虚偽の答弁をされている、このような御指摘につきましては、事実があったら、そのような事実がありましたらおっしゃってください。具体的に事実なしに、おまえはやっているんではないかな、これは大変おかしいと思います。(発言する者あり)

本多委員 ちょっと、やじをやめさせてくださいよ、委員長。

河村委員長 御静粛に願います。

本多委員 私は、いずれにしても、この問題は、余りにも金額が多く、長期にわたってやり、週刊誌報道が出た後訂正してそれで終わり、こういうことが許されていいはずはないと思いますので、しっかり、事実関係も含めて今後とも追及をしていきたいと思います。

 茂木大臣はここで結構でございます。

 次、沖縄担当大臣に御質問したいと思います。

 私、国会に戻りましてから安全保障の担当になりまして、その直後から沖縄でヘリの事故が相次ぎ、校庭に窓が落ちる、一触即発で小学校の子供さんたちに被害が及ぶことになった、こういうことから、沖縄の問題を今一生懸命追いかけているところでありますけれども、振興予算のあり方、軍事的な問題はまた小野寺さんに今後もお聞きをしたいと思うんですけれども、総理は、今、沖縄が非常に反対をしている方も多い移転の計画などを大変強引な形で進めようとしている、しかし、これこそが普天間の軽減への道なんだという、それは政府の御主張として理解はするんですけれども、寄り添うという言葉をかなりおっしゃるんですね。

 それで、私は沖縄振興予算のあり方を少し大臣と議論したいと思うんですけれども、沖縄振興予算というのはどういう趣旨で設けられているものですか。

江崎国務大臣 お答え申し上げます。

 沖縄振興予算は、沖縄が歴史的、地理的、社会的事情などのさまざまな特殊事情を有していることから、沖縄振興特別措置法を踏まえた沖縄振興計画に基づく事業等を実施するため計上しているものであります。

 平成三十年度の沖縄振興予算案については、現下の国の厳しい財政状況のもとではありますが、現行計画期間中、毎年三千億円台を確保するとの平成二十五年十二月の総理発言を踏まえ、所要額を積み重ね、総額三千十億円の予算を確保しております。(本多委員「いや、金額とか聞いていないんですけれども」と呼ぶ)一応、念のためにお答えしました。

本多委員 今、大臣、歴史的、社会的、地理的な状況でこの予算が設けられていると。この中には、沖縄の、本土と比べて非常に過大な米軍基地の負担という事情は含まれていますか。

江崎国務大臣 お答え申し上げます。

 特に歴史的事情、地理的事情、社会的事情を鑑みての予算措置がとられております。

本多委員 今の米軍基地の過重な負担というのは、この歴史的、地理的、社会的事情の中に含まれていますか。

江崎国務大臣 特に社会的事情、国土面積の〇・六%の県土に在日米軍用地、施設・区域の七〇・三%が集中、脆弱な地域経済などを鑑みての措置であります。

本多委員 最初からそうお答えをいただければよろしいんですよね。

 これは、過重な基地負担というのも一つの振興予算をしっかりと確保している理由になっているわけですよ。しかし、ここ四年間、減額が続いていますよね。これはどういった背景なんですか。

江崎国務大臣 現在の財政事情を鑑みての数値であります。

 そして、平成二十五年から、総理がお約束した三千億円を超す、こうした数値は今日まで守られております。

本多委員 総理が金額まで言った金額で守るのは当たり前じゃないですか。そんな予算を確保したからって、威張らないでくださいよ。減額について、減額の事情を聞いているんですよ。

江崎国務大臣 約束は約束として、しっかり、総理がおっしゃられたこと、あと三年、三千億円、きちっと継続してまいります。

本多委員 いやいや、減額の事情をお聞きしているんです。四年連続の減額。別に沖縄の基地負担は大きく減っていませんよ。

江崎国務大臣 政府予算案は、各年におけるさまざまな状況を総合的に踏まえて編成されるものであり、平成三十年度の沖縄振興予算案についても、三千億円台という高い水準を確保するという基本的な方針を踏まえつつ、総合的な判断のもとに決定されたものであります。

本多委員 もうちょっと総合的判断を詳しく聞きたいんですよ。

 基地負担がこれだけ変わっていない。軽減の努力をされていると、この間総理も答弁されました。しかし、非常に基地をめぐっても論争が起こっていて、大変その論争自体も沖縄の方には負担になっているわけですよ。こうした中で、四年連続の減額。それも、三千億円確保したからいいじゃないかとおっしゃいますけれども、わずか何億多いだけですか。ぎりぎりの、総理の約束を、メンツを立てるためにその額はキープされているけれども、私は、減額というのはないと思いますよ。

 例えば、財政事情とおっしゃるけれども、そんなことを言ったら、全ての予算を削ってよくなっちゃうじゃない、今財政状況が厳しいんですから。防衛費は五兆超えで、どんどんどんどん安倍政権下でアップしている。

 寄り添うというなら、この三千億規模の予算、減額しないで、維持をする努力は、大臣、されましたか。

江崎国務大臣 もう一度言いますが、諸般の現在の財政事情、そして一方、西普天間地区住宅跡地における沖縄健康医療拠点の整備や、沖縄独自の給付型奨学金を始めとする人材育成事業について所要額を新規で計上したほか、沖縄科学技術大学院、OIST、この規模拡充に向けた取組の支援、産業イノベーション推進、離島の活性化、子供の貧困緊急対策のための予算を増額しての今日であります。

本多委員 済みません。私、三千億は適切に沖縄のために使っていただきたい、大臣のもとで、そう思っています。ですから、今言われたものをしっかりと執行していただきたいと思いますけれども、私は、この何年間減額が続いていること、それから、大臣が提出された概算要求から含めても大きく減額をされていること、こういったことについて大臣はどうお考えなのかということを伺っているんです。

江崎国務大臣 政府予算案は、要求官庁からの概算要求をもとに財政当局との間でさまざまな折衝を経て決定されるものであり、平成三十年度の沖縄振興予算案も、現下の国の厳しい財政状況のもと、総合的な観点からさまざまな議論を経て決定されたものであります。そして、私としては、沖縄振興に必要な額は確保されたものと認識いたしております。

本多委員 概算要求から削られた部分にはどういうものが入っているんですか。大臣は本当はこれが欲しかったけれども、麻生さんに査定されて、とれなかった部分はどういうものがあるんですか、では。

江崎国務大臣 何よりも、麻生財務大臣ともしっかり御相談を申し上げながら、私として、沖縄振興に必要な額は確保されたものと考えております。

本多委員 ごめんなさい。ちゃんと答えてください、これは。概算で求めていたけれども、残念ながら、苦渋の中で、財政事情の中で、麻生さんにここは勘弁してねと言われたのはどういうことがあるんですか。

江崎国務大臣 勘弁してねというよりも、今日の財政事情、そうしたことで、それ以上に対して私は答弁は差し控えたいと思っております。(発言する者あり)ええっじゃないです。

河村委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 起こしてください。

 江崎大臣。

江崎国務大臣 特に現下の国の厳しい財政状況のもとではありますが、一括交付金について、他県にはない沖縄独自の予算として約千二百億円を確保したところであります。

 県において事業内容を精査いただくなど、一括交付金が的確かつ効果的に活用され、沖縄振興に資する、県と連携をしつつ取り組んでまいってきた結果であります。

本多委員 委員長、全然答弁になっていないと思うので、ちょっと。

河村委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 もう一度、減額された分について説明してください、大臣。

江崎国務大臣 一括交付金、多少減額になっても、つけるべきところはしっかりつけての予算であります。

本多委員 概算要求から減額されたのは一括交付金だけということでよろしいんですか。ほかにも減額されたことがあると思うんですけれども、どうですか。

江崎国務大臣 御案内のように、概算要求、これは、ことごとく希望どおり通る額ではないということであります。(本多委員「そんなこと聞いていないですよ。当たり前じゃないですか。ばかにするのもいいかげんにしてくださいよ。予算の仕組み、何で私に説明されなきゃいけないんですか。失礼でしょう」と呼ぶ)

河村委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 議事を起こしてください。

 江崎大臣。

江崎国務大臣 主に交付金、こちらが減額になって、六百五十万の減額になっております。(本多委員「万円なんですか、それ。六百五十万円」と呼ぶ)六百五十万です。(発言する者あり)ああ、失礼、失礼。億円、億円。六十五億、六十五億。(本多委員「人の税金、何だと思っているんですか、こんなの」と呼ぶ)訂正で、六十五億円、六十五億円。

河村委員長 大臣、もう一度。大臣、今の数字をもう一度正確に訂正して言ってください。もう一回、もう一回おっしゃってください。(発言する者あり)

江崎国務大臣 はい、整理して。

河村委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 江崎大臣。

江崎国務大臣 失礼しました。

 公共事業費が百億円減、そして一括交付金が六十五億円減になっております。よろしいですか。

本多委員 大臣、最初からそれをお答えしていただければと思うんです。私、通告をしておりますので、概算要求という、比較ということもちゃんと内閣府にはお伝えをしておりますので、そのぐらいの金額は。億円のところを万円と言ってみたり、我々の税金なんですよ、国民の。それをどう使うかを審議しているんですよ、ここは。言い間違いで済む話じゃないんですよ。(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に願います。

本多委員 こういうふうに、公共事業百億円、一括交付金の方も、一括交付金は沖縄県にとっては大変使い勝手がいいわけですよ、こういうことも減額が続いている。概算からも大きく減らされている。百億、六十億という規模で減らされるんですよ。それは概算どおりいかないなんて、私に説明されなくたってわかりますよ。麻生さんにそこは厳しくやっていただかなきゃいけないんですよ。しかし、沖縄にとってたくさん予算があるわけじゃない。大臣が持っている一番大事な予算の金額をそういう認識で、沖縄の方に寄り添っている、寄り添っていく、そして減額を続けている。

 私、こういう姿勢は決して、安倍政権が沖縄に寄り添っている姿勢とは言いがたいのではないかということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。

 大臣、これで結構です。

 それでは、外交、安全保障に関する質問に移っていきたいと思います。

 まず、河野大臣に伺いたいと思います。

 逢坂委員や我が党の菅さん、そして先ほども末松議員と、トランプさんが出されたNPRについての評価をめぐって議論をさせていただきました。私も、大臣が随分高く強く評価されているなと。

 我々、全体を通して見て、もちろん核抑止を、今のを否定するものではありません、私も残念ながら。核廃絶に向かっていく過程の中でも、今の日本にとって、残念ながら核抑止の意味というのは一定認めざるを得ない。それをしっかり、大臣の評価によると、強く言われたと。

 ここの部分は、私は、私が外務大臣だったら評価とわざわざ言わないで、ああ、トランプさん、ここはしっかり言ってくれているなと思って、記者会見には、他国の防衛政策に、大臣のお得意の答え方で、一々コメントしませんとかそういう言い方をしていればいいと思うんですよ。全体を通して高く評価すると、意味が違ってくると思うんですよ。これはどうですか。

河野国務大臣 北朝鮮の核とミサイルの我が国に対する脅威というのはかなり高まっている、そして現実的なものだというふうに思っております。

 そういう中で、アメリカが同盟国に対して極めて明確な形で抑止力をコミットしてくれているということは、こういう状況の中で、国民の生命、平和な暮らしを守らなければいけない日本国政府として高く評価をいたしたいと思います。

 ただ、全体を通してということでいえば、例えばCTBTの批准について後ろ向きであるというような表記がこのNPRの中でございました。私は、ワシントンで行われた日米の2プラス2の中で、先方に対して、CTBTはしっかりとやっていくべきではないかというようなことを申し上げた。アメリカに対してやはりCTBTに入るべきではないかということを申し上げている私からすれば、そこの部分は非常に残念なところではございます。

 しかし、アメリカは核実験のモラトリアムについてはしっかり守っていくということを言っているわけでございますから、現在の北朝鮮の情勢を考えれば、他国のことだからというのではなくて、これは我が国の平和と安全に大きくかかわってくることでございますので、高く評価をするというふうに申し上げたいと思います。

本多委員 私、少しそれで今安心をしたんですけれども、あれだけの他国の核戦略、我々にとって都合のいいところもある、私と大臣で違うかもしれないけれども、河野大臣から見ても都合のいい部分もあるけれども、まさにCTBTというのは大きな部分じゃないですか、あの戦略の中の。

 こうしたところが評価できないものを、記者に聞かれたり、委員会で高く評価すると総体的に言っていますよね。大臣、これは言い方がちょっと違っていたんじゃないかな、そういうふうに思われませんか。

河野国務大臣 CTBTのところについて残念だということは申し上げてきておりますが、アメリカは、CTBTOに対する協力その他、これはやるんだというふうに言っております。

 CTBTについては残念なことではありますが、現下の北朝鮮情勢を考えれば、ここは、このNPRは高くやはり評価するべきだというのが私の意見でございますし、今の日本政府の意見でございます。

本多委員 わかりました。そこは私と見解が違うということですけれども、言い方を、こういう大きな方針は、余り全てを高く評価するというような言い方は私はされない方が、記者に対しても国会でも、その方が正確になる、ここの部分は、私と全て一致じゃないですけれども、核抑止を強化している部分は私としては評価するというような言い方をされた方が外務大臣として適切ではないかなと私は思います。

 このNPRについてもう一点、菅委員との議論の中でちょっと気になることがありました。

 核の先制攻撃について、オバマ時代も否定していないんだからトランプさんも否定していない、これは何にも変わっていないんだからいいじゃないかというような菅委員への御返答がありましたけれども、本当にそれでよろしいんですか。

河野国務大臣 アメリカの二〇一〇年のNPR、二〇一八年のNPR、核の先制使用については否定をしていないというのが現実だろうというふうに思っております。これはさまざまなアメリカの核戦略ということがあろうというふうに思いますが、現時点で、日本政府として、全体を通してこのNPRは高く評価したいというふうに思っております。

本多委員 意味をわかっておっしゃっていると思うんですが、実は、核だろうが何だろうが、これは大臣とは安全保障委員会でも議論をさせていただきましたけれども、一般に、国際法では先制攻撃は違法ということになっている、これはよろしいですよね。

河野国務大臣 何をもって先制攻撃というかという定義は個別具体的に判断をする必要がございますが、国際連合憲章上、自衛権が認められるのは武力攻撃が発生した場合であるというふうに認識をしております。

本多委員 この間の安全保障委員会でもそういうふうに答弁をいただければ幸いだったんですけれども、今改めて答弁をいただいて、ありがとうございます。

 とすると、わざわざ、オバマ時代も、先制核攻撃ですよ、先制攻撃ではなくて、単なる先制攻撃ではない、先制核攻撃を否定していないんだから、今回も否定していないんだから、変わっていないからいいじゃないか、こういう言い方、ここも、今回、NPRの問題点だというふうに感じませんか。

 先ほどCTBTについては率直におっしゃっていただいた。

 核の先制攻撃、これはロシアとの関係で、アメリカがしっかりと抑止を強める。いろいろな事情はあるでしょう。日本の今の立場から河野外相が抑止力、この意味をおっしゃるのも、まあ私は違いますけれども、わかります。

 しかし、核の先制使用なんて、こんなところは、このNPRを評価するのに全く適さない部分じゃないですか。

河野国務大臣 NPRで議論をしているのは、核の先制使用でございます。核の先制攻撃の議論をしているわけではありません。

本多委員 先制使用はいいんですか。

河野国務大臣 核の使用というのはあってはならないことでございますが、核の使用を防ぐための核抑止というのは必要なわけでございます。その核抑止を現実的なものとして成り立たせるためにどうするか、さまざまな議論があるわけでございます。そういう中での議論の一つというふうに理解をしております。

本多委員 大臣、いろいろなことを聞くと、他国のことはお答えする立場にないとかおっしゃいますけれども、随分アメリカのNPRについては読み込んで、お詳しく解釈もされていると思いますけれども、先制使用、核抑止のための先制使用というのはどういうケースが想定されるんですか。そこまでお詳しいのなら聞きますけれども。

河野国務大臣 核抑止、さまざまなケースがあると思いますから、どういうことでどうなるかというのは、一概にお答えするのは難しいと思います。

本多委員 ですから、一概にお答えできないようなことは、先制使用を別に今回から認めたわけじゃないと。だから、それはオバマ政権からおかしいんですよ、我々から見たら。

 先制攻撃そのものが違法だと今大臣もおっしゃったわけですよ、国際法上。ましてや抑止というところは、いろいろ程度の議論はあっても、今、日本もそれに依存している部分がある。ここは私、大臣と一致しますよ。しかし、核の先制使用、これは認める部分もあるということでよろしいんですか。

河野国務大臣 我が国が核から身を守るためには、米軍の核抑止に今依存をしているわけでございます。米軍が核抑止を現実のものとするためには、さまざまな検討が重ねられ、さまざまな理論の上に今の米軍の核のドクトリンというのがあるわけでございますから、その中の一部を取り出して議論をするというわけにはこれはいかないんだろうと思います。

 アメリカの核ドクトリンの全体を説明したのが今回のNPRでありまして、今の北朝鮮の核やミサイルからこの国の平和を守るために今抑止をアメリカに頼っている、そういう日本からすると、明確に同盟国にコミットしてくれている今回のアメリカの方針は高く評価するものだと思っております。

 ただし、その中には、先ほどおっしゃったような、CTBTの批准を求めないというような、できれば方針転換をしてほしいと言われるものがございますが、現在の北朝鮮の脅威ということを考えれば、まず、このNPRを我が国として高く評価すべきものだというふうに考えております。

本多委員 たくさん問題点がCTBT、大臣が率直におっしゃっていただいたのはいいですけれども、核の先制不使用などということを明言しないオバマ時代からの政策、ましてや、それをいろいろな形で、小型化などで現実化しかねない、問題点が多い、しかし、我が国は今、抑止力に頼っているから一定の評価をせざるを得ない、このぐらいのコメントに私はとどめておくべきだと思うんですよ。

 それで、近い観点から、もう一点大臣に伺いたいんです。

 これと似ているんですけれども、何か北朝鮮の脅威があるからアメリカと全て抱きつくみたいな議論というのは、なかなか言い方に注意をした方がいいと思うんですよ。高く評価をするという外務大臣の発言は重いんですよ、さっきのNPRにしても。よく、全ての選択肢があると言っているトランプさんに、一〇〇%一致とか完全に一致というのを安倍内閣の閣僚がおっしゃるんですけれども、トランプ大統領の北朝鮮政策に一〇〇%河野大臣は一致されているんですか。

河野国務大臣 トランプ大統領が全ての選択肢がテーブルの上にあるということを、我々は高く評価しております。

 また、昨日、ペンス副大統領もいらっしゃって、さまざまな協議をいたしましたが、現時点で、北朝鮮問題について日米は一〇〇%ともにあるということでございます。

本多委員 外交の世界において、外交ではなくても、あなたと一〇〇%一致だよなどということは、よっぽどの必要がないとき以外はおっしゃらない方がいいと思いますよ。

 つまり、トランプさんの選択肢の片方は、いやいや、北朝鮮をこのまま、私、念のため申し上げておきますが、今政府がとっている、圧力を高めて北朝鮮に政策変更を迫る、このことには何の反対もありません。それはしっかりアメリカと共同歩調をとってやっていただきたいし、言い方に注意をしながらやっていただければいいんです。

 ただ、全ての選択肢があると言っている大統領に対して一〇〇%一致ということは、こっちもこっちも一致ということですよ。片方にはアメリカがやむを得ず先制攻撃に入る可能性もあるわけですよ。それは十分、今、非現実的ではない、そういう議論になっています。

 もう一方、我が国にとって都合のよくない選択肢もあるじゃないですか、トランプさんの手元には。日本のように近い国への核の危険はそのままにして、いやいや、うちの方に撃つ遠距離のだけやめてくれといって結ぶという危険だってあるじゃないですか。どっちに至ったって日本にとっては大問題の選択肢を掲げている。

 別にトランプさんが悪いわけじゃない。しかし、この人に対して日本国の内閣総理大臣、閣僚が一〇〇%一致というのはどういうことなんですか。アメリカが北朝鮮に先制攻撃をしかけることも、アメリカが日本のはしごを外して北朝鮮と勝手に結ぶことも、全部一〇〇%一致されているという意味なんですか。

河野国務大臣 アメリカが今次のNPRで明確にしているのは、アメリカは同盟国並びにパートナー国に対して核抑止を明確にコミットしているわけでございます。

 他方、米国が国連憲章に違反をするような行動をとるとは我が国は想定をしておりません。

本多委員 ということは、トランプ大統領の全ての選択肢の中には、北朝鮮が何らかの暴発をしていないにもかかわらずの先制攻撃、又は先制攻撃的なものは含まれないという認識でよろしいですか。

河野国務大臣 アメリカが国連憲章に違反をするような行動をとるということは想定をしておりません。

本多委員 私は、実は先ほど言った選択肢の二つで私の意見を申し上げれば、はしごを外されて、一番いいのは真ん中ですよ。河野大臣が今進めていらっしゃる政策、功を奏して、北朝鮮が、いやいや、核を放棄しますよ、これは本当に世界にとっていいことですよ。日本にとってもいいことですよ。しかし、こっちの危険性もあるわけですよ。アメリカが、いやいや、この辺で交渉に入りましょう、こういう危険もある。こっちはいいんですか。

 済みません、私の意見を最後まで言うと……(発言する者あり)それでは、午後に続きをさせていただきます。

 以上です。

河村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

河村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 午前中に引き続いて質問させていただきます。

 午前の質疑の最後のところで、私の考え方を述べているのがちょっと途中になりましたので、もう一度改めて申し上げたいと思います。

 トランプ大統領が示している全ての選択肢、河野外務大臣の指摘によれば、アメリカの先制攻撃はないという御見解でありますが、私は、一般的には、トランプ大統領の選択肢の中には、おどしで言っているのか実際にやるのかは別として、そういうものも含まれている。そして、一方では交渉に入っていく。日本が取り残される形も、これは望ましくないですけれども、全ての選択肢を頭に描きながら外交をしていただきたい。

 もちろん、私は河野外務大臣と一緒で、今の圧力をかけていく中で北朝鮮の政策が変わることを望んでいますけれども、トランプ大統領によれば、その両方の選択肢、こうしたもののうち、そして私は、どちらを比べたら、どちらも非常に日本にとってはまずい選択肢であるけれども、戦争をこの東アジアでアメリカから起こすようなことは非常に望ましくない。そのことをとめることだけはしっかりとやっていただきたい。これは答弁を求めませんけれども、私の見解はそういうことであります。

 先ほど、そうした想定はしていないということ、これは国際法上違反でありますから。しかし、アメリカが過去に先制攻撃をした場合は、さまざまな理由をつけて、これは集団的自衛権であるとか自国防衛のためであるとか、いろいろな理由をつけて集団的安全保障の形を何とかつくろうとしたり、いろいろな形で先制攻撃的なことをした事案はございます。ですから、そうした状況にも対応できるような心構えはしなきゃいけない。

 残念ながらそういう状況に、私は、そうした事態を何としても日本外交としては避けていただきたい。しかし、そうした状況のことも想定をして、二つ質問させていただきたいと思います。

 アメリカが北朝鮮を先制攻撃的に攻撃をする場合、日本国の基地を使用する場合には事前協議が必要ですか。

河野国務大臣 米国が国連憲章に違反をして軍事行動を起こすということは想定をしておりませんので、それについてどうこう申し上げることは差し控えたいというふうに思いますが、米軍が、日本の基地を使用して、日本の国土を防衛する以外の目的で日本の米軍基地を使用する場合には事前協議が必要になります。

本多委員 目的というよりも、日本に攻撃があった場合を除いてという規定になっていると思われますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 正確に申しますと、米国は、配置における重要な変更、装備における重要な変更及び日米安保条約第五条の規定に基づいて行われるものを除く戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設・区域の使用については事前協議をすることとなっております。

本多委員 日本が攻撃された場合に米軍の出動は事前協議が要りませんが、日本が攻撃をされていない場合の米軍基地の使用は事前協議が必要ですので、こうした場合にはしっかりと、この東アジアで、韓国にはたくさんの日本人の方もおられます、こういうところで予告なく戦争状態のようなことになった場合に、日本人に大きな被害が及ぶことでありますので、今、圧力をかけていくというところまでは合意いたしますけれども、実際にこの東アジアで戦争のようなことが起こらないように、しっかりと事前協議も使っていただきたい。

 もう一点確認ですけれども、岸田前外務大臣は、安保法制、これはアメリカが先制攻撃などをした場合には適用できない、こういうことを安保法制を審議する国会の中で繰り返し答弁されていますが、この見解は変わらないということでよろしいですか。

河村委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 起こしてください。

 河野外務大臣。

河野国務大臣 そもそも、米国が国際法に違反するいわゆる先制攻撃を行うことは想定をしておりませんので、御指摘のような、およそ想定されない仮定に基づく質問にお答えすることは差し控えます。

本多委員 いえいえ、米国ではなくて、岸田外務大臣の答弁をもう一度読みますが、「国際法上は、予防攻撃も先制攻撃も認められておりません。これは国際法に違反するものであります。 我が国は、国際法に違反する武力行使を集団的自衛権等において支援する、こういったことは全くあり得ません。」これは、このとおりでよろしいですか。

河野国務大臣 繰り返しますが、米国が国際法に違反するような先制攻撃を行うことは想定をしておりません。(本多委員「質問に答えていないです。答えていない、委員長」と呼ぶ)

河村委員長 外務大臣、答弁をもう一度お願いできますか。岸田外務大臣の時代のことです。

河野国務大臣 特に岸田外務大臣のときから政府の方針を変えたことはございません。

本多委員 それで通していただければと思うんです。私たちは安保法制そのものに反対をいたしましたけれども、あれを無理やり、私たちは憲法違反だと考えましたが、それを押し通した政府の見解であっても、アメリカが先制攻撃をした場合はあの安保法制は使えないということを繰り返し国会で申し述べていますので、そのことはしっかりと肝に銘じて外交に当たっていただきたいと思います。

 それでは、「いずも」の件、防衛大臣にお聞きをしたいと思います。

 前回、私、この予算委員会で、全部の新聞に載っている「いずも」の空母化、まさか検討していないだろうな、検討している気配でもあるなら、全ての防衛省内の資料を出してくれということをお願いいたしました。

 昨日、共産党の宮本議員の質問の中で、DDHの航空運用能力向上に係る調査研究の契約希望者募集要項、海上自衛隊補給本部管理部長、二十八年十二月十二日という文書が示されました。内部文書を入手されたのかと思ったら、ホームページに載っていると委員もおっしゃっていたとおり、私もホームページですぐ入手ができました。

 この中に、船に関するコンサルのようなことを公募しているんですけれども、その公募の会社の条件のところに、「ひゅうが」型、「いずも」型の護衛艦の機能、性能に関する知識があること、そしてその次に、「いずも」型の護衛艦に知識があって、かつ、新種航空機を運用するために必要な機能、性能を検討、評価する能力があること。

 これは、「いずも」に攻撃型の航空機など新種の航空機を搭載することの検討を始めているんじゃないんですか。

小野寺国務大臣 ただいま委員が御指摘の、DDHの航空機運用能力の向上に係る調査研究については、平成二十九年度において、今後の防衛力のあり方を広く調査研究する一環として行っているものです。現存する航空機のうち、ヘリコプター搭載護衛艦、すなわち「ひゅうが」型及び「いずも」型護衛艦において、当該護衛艦の航空運用能力を向上させるために、現在、どのような航空機が離発着可能であるか等について基礎的な調査研究を行うというものです。平成二十九年四月にジャパンマリンユナイテッドと契約をしております。

 「ひゅうが」型護衛艦、「いずも」型護衛艦は、それぞれ九年前、三年前に就役した比較的新しい護衛艦であり、今後三十年から四十年程度は我が国の防衛任務に当たることになります。こうした観点について、将来を見据えた活用法に係る情報収集のため、基礎的な調査研究を行うことは極めて重要だと思っています。

 御指摘の、調査に関する契約希望者の募集要項においては、DDHの航空運用能力向上に係る調査研究の公募に応募できる資格として、「ひゅうが」及び「いずも」型の護衛艦の機能、性能に関する知識を有し、これを踏まえ、新種航空機を運用するために必要な機能、性能を評価、検討する能力が必要としております。ここで言う新種航空機とは、DDHの航空運用能力の向上に資する可能性のある最近開発された航空機を念頭に置いております。

 なお、現時点で自衛隊がこうした航空機を導入することを念頭に置いているわけではありません。現在、この調査研究の報告書は作成中であり、具体的な内容についてはまだできていないということであります。

 いずれにしても、将来を見据えて平素からこのような調査研究を行うことは、国民の平和な暮らしを守り抜くという防衛省・自衛隊としては当然の責務だと思っております。

 なお、この契約金額は三百七十八万円ということでありました。

本多委員 検討しているなら、正直に言えばいいじゃないですか。まだ決定していないけれども、基礎研究、安倍総理に本会議で答弁をさせているわけですよ、防衛省は。全く具体的な検討をしていないって、新種航空機を運用するために必要な機能、性能を検討、評価する能力を、民間の会社に委託して研究を始めているじゃないですか、この「いずも」の使い方。

 これまで答弁されてきた、報道を見て全くあっけにとられているというようなことを防衛大臣はおっしゃっていましたけれども、大臣はこの研究を御存じでしたか、事前に。

小野寺国務大臣 まず前提として、私ども、これまでお話をしておりますのは、これまで報道にあるような、護衛艦「いずも」の空母化に向けた具体的な検討を行ってきた事実はないと答弁をしております。これは今でも変わりません。

 御指摘のこの調査に関するものですが、今後の防衛力のあり方を広く調査研究する一環という形で、情報収集ということでの予算だというふうに私ども承知をしております。

 なお、三百七十八万円の調査費ということでありますし、これは二十九年四月に契約ということであります。私としては、当時の大臣でもありませんし、また、調査の金額からしても、私に報告があるような案件ではないと思います。

本多委員 じゃ、知らなかった、これを知っていたら、前回のときには、基礎的な研究はしていると。空母化、それから今「いずも」に積んでいる飛行機と別な飛行機を積むということは、前の大臣だったから、金額が小さいまだ基礎研究だから安倍総理も小野寺防衛大臣も把握をされず、私に研究を一切していないと答弁をされていたということになりますか。

小野寺国務大臣 基本的に、当然、部隊の中で広く調査研究をするということは、これは重要なことなんだと思っています。

 そして、いずれにしても、この調査研究というのは、「いずも」を将来、F35B、先ほど来おっしゃっていますように、いわゆる空母化というお話だと思うんですが、そのことを目標として、その実現のための検討を行っているということはありませんので、あくまでもさまざまな情報収集という中の一環ではないかと私は思います。

本多委員 新種航空機にF35Bは入らないという認識でよろしいでしょうか。

小野寺国務大臣 新種航空機というのは、まだ報告書が来ておりませんので、どのような形で報告書が来るかというのは、ちょっと今の段階でお話はできないと思います。

本多委員 質問時間が終わりましたので、終わりにいたしますけれども、普通の防衛研究をしっかりしてください、日本の防衛のために。さまざま、幅広くしてください。していることを否定しませんから、きちんとこういう研究をしていると言ってください。

 国会で、本会議でも総理が否定して、何かそれに疑わしい研究をされていたら、私たち、こういう質問をせざるを得ないんです。ましてや普通の専守防衛に資する兵器の研究だったら、それは堂々ともっとやっていると思いますけれども、これは専守防衛の範囲のすれすれのところにかかる可能性がある、こういうことをしていないと言っていてこういうのが発見されたらこういう質問になるということを申し上げて、私の質問を終わります。

 以上です。

河村委員長 これにて本多君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)委員 希望の党の大西健介でございます。

 まず冒頭、台湾東部で大きな地震がありました。被害に遭われた皆さんに心よりお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 東日本大震災のときには、我が国は世界じゅうの国々からたくさんの支援をいただきました。とりわけ台湾からは本当に温かい支援を、義援金や多くの支援物資をいただきました。

 当時、私も与党の一年生議員でありましたけれども、さまざまな団体から寄せられる支援物資を被災地とマッチングをするような、そういうことをさせていただきました。

 そのときに、台湾の慈済基金会、ツーチー会というところから大変多くの支援物資をいただいたことを記憶をしております。このツーチー会というのは世界でも最大規模の慈善活動をやっている仏教系の団体ですけれども、この本拠が、今回地震があった花蓮市にあるということでございます。

 我が国は、東日本大震災の恩義に対して今こそお返しをしなきゃいけないというふうに思います。既に政府からは、できることは何でもやる、そういう準備があると台湾側にお伝えをいただいているということでありますが、冒頭、ぜひ、この台湾の地震に際して、政府を挙げてしっかりと恩返しをしていただけるようにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、前回もちょっとジャパンライフの問題について質問させていただきましたけれども、前回はちょっと時間がありませんでしたのと、それから、その後、我が党の津村委員が質問していただいたときの答弁の中で幾つか気になる点がありましたので、それについてお聞きをしていきたいというふうに思っています。

 まず、加藤大臣が、二〇一七年の一月十三日でしたかね、ジャパンライフ社の山口会長とお会いになったんじゃないか、そのことをジャパンライフ社が宣伝やあるいは返金を撤回させるために利用していたということについてお聞きをしましたところ、加藤大臣からは、会食ではない、講演を頼まれて、そして講演をしたんだ、その主催者はリベラルタイム出版社である、そしてまた、講演料もリベラルタイム出版社からお受け取りになったということを明らかにされました。

 皆さんのお手元にちょっと資料をお配りしておりますけれども、この月刊リベラルタイムという雑誌に、ジャパンライフ社も、ここに書かせていただきましたように、多くの記事広告、それから広告を打っております。

 この広告というのは、本当に、まさに今回問題になっている磁気治療器を宣伝する広告なんですけれども、この間は加藤大臣は、ジャパンライフから講演料をもらったんじゃない、リベラルタイム社なんだから全く問題ないんだというような形で答弁をされていたように思いますが、ちょっと、これを見ると、果たしてそういうふうに言い切れるのかなというふうに思うんですけれども、加藤大臣、これをごらんになって、御感想はありますか。

加藤国務大臣 私自身がこのリベラルタイムの雑誌に載っているわけでもございませんので、ちょっと、このリベラルタイムさんがどういう形で広告をとっておられるとか記事をされているということを承知していないので、これをベースに答弁するのはちょっと差し控えたい。

 あくまでも、経済界の方々が中心の会、そこで、たしか一億総活躍だったでしょうか、そういった話をしてくれということで伺ったということでございます。

大西(健)委員 確かにそうでありますけれども、これを見たときに、これだけリベラルタイム出版社にたくさんの広告を打っている、広告記事を出している、大スポンサーであるということは明らかだというふうに思います。

 その中で、前回も私は申し上げましたけれども、これは、ほかの人物だったら、知らなかった、たまたまいたところにいたんだみたいなことで済まされる可能性もあるかもしれないんですけれども、私は、この山口隆祥氏というのは、この間も申し上げましたけれども、消費者問題の世界ではかなり有名な方だということを申し上げました。

 ただ、江崎大臣に知っていますかと言ったら、江崎大臣は知らないということでしたし、加藤大臣も山口隆祥さんのことは知らないということでありましたけれども、この間はちょっと時間がなくて聞けなかったんですけれども、麻生大臣、お聞きになっていますか、麻生大臣が山口会長のことはよく知っておられるようなことを参議院で御答弁されていますので、いま一度、山口氏というのはどういう人物か、麻生大臣が知っていることをお話しいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 質問予告はありませんね。質問予告はしておられませんね。質問予告は、私いただいていませんから。(大西(健)委員「しています。質問通告していますよ」と呼ぶ)いただいていないと思うんですが、山口さんという人の話を、これはたしか僕の記憶によると、共産党の大門先生の御質問に対して答えたんだと思いますけれども、これは結構有名な人ですよ、そう答えたと記憶しています。

大西(健)委員 参議院の財金委員会ではもう少し詳しく言われていて、「この人は結構有名人。」と。「あの山口さんがまだ生きていたのかと思って、これ見たんで、さっき、写真見たぐらい、この人はその時代から結構有名な方で、マルチという言葉が始まった最初の頃からもう出ていた方だったと思いますけれども。」と。

 それから、「結構詳しいよね。これ結構やらされたんで、この話は、」と書いてあるんですけれども、やらされたというのはどういう意味なんでしょうか。大臣、教えてください。

麻生国務大臣 今のこの答弁の内容の話で、やらされたという話は、「マルチという言葉が始まった最初の頃からもう出ていた方だったと思いますけれども。」というので、それで、この答弁の中でどこが問題なんでしょうか。

大西(健)委員 もう一度読みますけれども、私はここに会議録を持っていますけれども、「これは結構有名人ですよ。この人は結構有名人。でしょう、こっちは余り知らないかもしれないけど。結構詳しいよね。これ結構やらされたんで、この話は、」と。この「やらされたんで、この話は、」って、これは大臣がしゃべっておられることですので。

麻生国務大臣 これは、被害者対策をやらされたんだという話だと思いますが。

大西(健)委員 被害者対策をやらされたということは、もう少し詳しくお話しいただくと、どういうことなんでしょうか。

麻生国務大臣 いろいろ被害者の方がいらっしゃいましたので、この話は、いろいろ話が私どものところに来ましたのでということです。

大西(健)委員 麻生大臣は大変政治経験が長いベテランでいらっしゃいますが、でも、やはりそうやって当時も全国各地に被害者がいて、その被害者対策を、今、やらされたというお話がありましたので、やはりこれはほかの人と違って、いや、知らなかったんだということでは私は済まないんじゃないかなというふうに思っております。

 もう一つ言うと、確かに、ジャパンライフが利用しているというところはあると思います。ジャパンライフのやり方というのは、まさに政治やマスメディアというのを巧みに利用することで批判をかわしてきた。そういうことを、これはある種、確信犯でやられているんだというふうに思うんですけれども、それは実は今に始まったことではありません。

 先日、委員会で申し上げましたように、この山口氏はかつて、ジェッカー・フランチャイズ・チェーンという事件を、消費者大事件を起こした。それからまた、過去には、この衆議院の商工委員会で、ジャパンライフ問題の集中審議というものまでやっているんです。

 そのころの会議録をちょっと見てみますと、非常に興味深いものがあったので、皆さんのお手元に配っておきました。

 少し中を見てみますと、これは当時の松浦さんという野党の議員ですけれども、この山口さんという人はジャパンライフというものを常に会合の中で何と言っておったか、あのジェッカーで、ジェッカーというのは、今言ったように、最初に山口氏が起こした大マルチ事件です、あのジェッカーで私がやられたのは政治家との結びつきがなかったからだ、だから健康政治連盟をつくって金を出させ、十万、五万、三万ずつ出しなさい、こう言って、演説を打って歩いた人なんですよと書いてありますね。

 それから、ちょっと線を引くのを忘れたんですけれども、上段の後半の辺ですけれども、当時のジャパンライフの政治団体の事業報告書の中で、安倍外務大臣、安倍総理のお父様ですね、ここで、一緒にニューヨークに行ったんじゃないかということをこの委員会で追及を受けている。当時の安倍外務大臣も、その中に今の山口隆祥氏がおられたことは事実ですと答弁をされています。

 下段の線を引いた部分ですけれども、いろいろ、その後をちょっと中略しますけれども、これは明らかに、このジャパンライフという組織、それが全体的に自由民主党と一緒になって、自由民主党という与党の力をかりて伸びてきておるんじゃないでしょうかと。

 それから、ちょっとこれも線を引かなかったんですけれども、この二段目の最後の方ですけれども、自由民主党という組織が利用されたのかどうか、それはわかりません、自由民主党が利用しようとしたのか、自民党が利用されたのか、あるいは特定のここに書いてある個人がこの組織を利用したのか、それはわからない、しかし、私は、お互いに政治家のモラルというのはもう一度真剣に考えるときじゃないのか、私は、自由民主党総裁である中曽根さんに、総理に御見解を賜りたい、こういう質問をして、当時の総理大臣が何と言っているか。そのようないわゆる大衆を相手に悪徳まがいの仕事をやるという者については十分注意を払って、そういうようなことが行われないように今後深く戒めていきたいというふうに思います、こう言っておられるんですよね。

 まさに、その同一人物とまた同じようなことをしている。これで、私は知らなかった、自分は利用されたんだで済むのかということを、先ほど言ったように、消費者問題の世界ではこの山口氏というのは大変有名な方なので。

 今、この会議録を見ていただいたと思いますけれども、同じ人物ですよ。そして、時の総理が、こういうことは今後戒めていかなきゃいけないと言っているけれども、同じ人物とまた同じことをやっている。

 このことについて、加藤大臣、どう思われますか。

河村委員長 ちょっと、大西委員。これは、商工委員会ではなくて、予算委員会だね。(大西(健)委員「これは予算委員会です、済みません」と呼ぶ)

加藤国務大臣 ちょっとこのときのやりとりはよくわからない、何を前提にこういう話になったのかというのは承知をしておりませんが。

 私のケースは、さんざん申し上げておりますように、最初のリベラルタイム主催の会においていただいた名簿には、ジャパンライフ山口会長という名前はございませんでした。いろいろと経済界の方もいらっしゃるということで、私は出席をさせていただいた。ただ、その場に最初の名簿におられなかった方がいたというところが経緯のスタートになるわけであります。

 その後、こうしたことを私も承知をいたしましたから、文書をもってそれに対して強く抗議をし、謝罪を求めておりますけれども、残念ながら今のところ先方からの返答がないということでありまして、私にとっては、こうした行為は、そもそもこのジャパンライフのやっている行為もそうでありますし、こうした、許可もなく私自身を使うということも許されざる行為、こういうふうに思います。

大西(健)委員 先日申し上げましたけれども、大臣は、この一回ではなくて複数回お会いされているということでありますし、今申し上げましたように、我々政治家はいろいろな方とお会いをします。ですから、それが予期せぬ形で利用されるということは、私もないことではないということは十分理解しますけれども、何度も申し上げますけれども、この方は、先ほど麻生大臣も、かつていろいろな相談を受けて被害者救済に当たったことがあると。それぐらい有名な方であります。

 この衆議院の商工委員会で、ジャパンライフ問題の集中審議までやっているんですよ。かつ、今お示ししたように、この予算委員会でかつて問題になっている、そういう方でありますから、時の総理がこういうことがないようにとまでおっしゃっているわけですから、やはり私は、もう少し、被害者、実際に大臣の名前を信用して被害も出ているわけですから、今後こういうことがないようにというぐらいは言っていただきたいなというふうに思いました。

 いずれにしろ、加藤大臣との関係、あるいは二階幹事長との関係、さまざまな政治家との絡み、こういうことを全部知っているのは、この山口隆祥氏であります。そして、過去にもこうした消費者問題に深くかかわっている方ということであります。

 そして、何より、被害がまだ今も拡大をしている、あるいはどこまで被害が拡大するかわからないという中で、全国各地に弁護団が立ち上がっていますけれども、本当に、もう、どうしようか、首をくくろうかという方がいらっしゃるわけです。私は、その救済をしっかりやらなきゃいけない、そのためには資産隠しのようなことが行われないようにしなければならないというふうに思っています。

 そういうことも含めて、ぜひ、私は、この山口氏、予算委員会に参考人で呼んでいただいて、直接私も質問をさせていただきたいと思いますので、委員長、その点、お取り計らいをお願いいたします。

河村委員長 理事会にて、後刻協議をさせていただきます。

大西(健)委員 もう一つ、ちょっと、津村委員とのやりとりで私がひっかかったのは、これは役所が用意をされた答弁を、江崎大臣もそれに従って答弁されているんだと思いますけれども、消費者庁としては四度、業務停止命令をかけているんだと。四回も業務停止命令をやってきたんだから、やるべきことをやってきたんだ、こういうような御答弁だったと思うんですけれども、私、これはちょっとおかしい。むしろ、真逆じゃないか。同じ会社に四度も業務停止命令をかけなければいけなかったということが、消費者庁の対応がまずかった証拠だというふうに私は思うんです。

 そういう中で、一つ確認をしたいんですけれども、ジャパンライフは、二回目の業務停止命令がかかった後に、それまでのレンタル商法というのを業務提供誘引販売に変えていますね。さらに、三回目の業務停止命令の後には、リース債権の販売というのにビジネスモデルをころころ変えていっているんです。

 これはどういう意味があるんでしょうか。大臣、お答えいただきたいと思います。江崎大臣。

江崎国務大臣 大西委員、先週もお答えいたしましたが、消費者庁は、ジャパンライフ社に対する四回の行政処分において、新規契約の勧誘や締結等の禁止により新たな消費者被害を防止するとともに、正確な財務状況等の通知により既存顧客の解約や返金請求を促してきたところであります。

 これらの取組の結果、新規の顧客獲得が困難となった一方、解約が増加したことにより、同社は資金繰りが逼迫し、銀行取引停止処分を受けるに至ったわけであります。これはまさに消費者庁の取組によって消費者被害の拡大防止に効果があったものと考えられておりますが、非常に悪徳な事業者であるといったことを私ども思っております。

大西(健)委員 聞いたことについて答えていただきたいんですけれども。

 今大臣言われたとおりで、業務停止命令をかけたことによって、新規の募集ができなくなるんです。ところが、それはレンタル商法について新規の募集ができなくなったから、では今度は業務提供誘引販売だとビジネスモデルを変えるわけですよ。そして、業務提供誘引販売に業務停止がかかると、今度はリース債権だと変えていくわけです。

 これはどういうことですかということを聞いているんです。

江崎国務大臣 手をかえ品をかえ、私、そうした気持ちを持っておりますが、消費者庁は、同社に対する一回目、これは平成二十八年十二月……(大西(健)委員「それはいいです、時間がないから」と呼ぶ)もう御存じですね。要するに、同社が従来展開していた取引形態、レンタルオーナー商法に係る新規契約の勧誘や締結等を禁じたわけであります。

 このため、同社はその後、新たな取引形態、業務提供誘引販売商法を開始しましたが、消費者庁は、三回目の一部業務停止命令により、この新たな取引形態についても新規契約の勧誘や締結等を禁じ、さらにその後、四回目の一部業務停止命令により、従来の取引形態、レンタルオーナー商法を再開することを防止したところ、これら一連の業務停止命令により、同社は新規顧客を開拓することが困難になりましたが、なかなか、こうしたことに対しても事業者はしっかり対応しなかったといったこと、私ども強く思っておるものであります。

大西(健)委員 大臣が今わかって答弁書を読んでおられるかどうか、よくわからないんですけれども。

 まさに、手をかえ品をかえとおっしゃったけれども、だから、レンタル商法がだめだと言われたら、それを変えて、今度、業務提供誘引販売というものにして、それがだめだと言われたら、今度はリース債権という。

 では、大臣、業務提供誘引販売というのはどういう方法なんでしょうか。

 わからないんですか、こんなことも。これはもうジャパンライフの処分の根幹にかかわる話ですよ。(発言する者あり)

河村委員長 速記をちょっととめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 江崎大臣。

江崎国務大臣 業務のかわりに手数料を取るといったことかと思います。

大西(健)委員 いや、それは大臣、間違いです。

 今言ったように、ジャパンライフの処分の根幹にかかわるところですよ。だから、おっしゃったように、レンタル商法がだめだと業務停止をかけたら、私が今言っているこの業務提供誘引に変えるんです。今度、業務提供誘引販売がだめだといったら、リース債権に変えるわけです。だから、この業務提供誘引販売というのはどういうモデルなのかというのがわかっていないと、これは処分の根幹にかかわる話ですから。

 では、私からちょっと御説明しますけれども、業務提供誘引販売というのは何かというと、消費者が商品の宣伝活動を行うことを条件にして、ジャパンライフが毎月、その業務提供利益という手数料なんですけれども、それを払うんですけれども、ですから、六%の手数料、今まではレンタル料として払っていたものを、その商品を皆さんに、これいいよ、これいいよと宣伝してください、そうするとその宣伝費用を払いますよ、こういう商法に変えているわけです。それがだめだといったら、今度はリース債権だと。

 このリース債権というのは、じゃ、どういう商法ですか。どういうビジネスモデルですか。(発言する者あり)

河村委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 起こして。

 江崎大臣。

江崎国務大臣 このレンタルした料金を、今度は商品の販売、賃貸、レンタルに、他の消費者に回すといったことでよろしいでしょうか。

大西(健)委員 いや、意味がわからないです。

 だから、さっき言ったように、最初のレンタル商法というのは、連鎖販売だとか訪問販売で磁気治療器を売りつけますよね。だけれども、それをジャパンライフに預託させて、だから本人の手元にはないわけです、それを今度ジャパンライフが貸し出す、そのレンタル料金を年六%払いますよ、これが最初の商法なんです。これがだめだと言われたから、二回目は何をやったかというと、商品を売るんだけれども、その商品がいいですよ、いいですよと宣伝してくれたら六%払いますよと。

 だから、結局、六%もうかりますよと、それがレンタル料なのか、宣伝広告をしてくれた手数料なのかと。それがだめだといったら、今度はリース債権を販売すると。

 このリース債権販売というのは、どういう手法をとったんでしょうか。(発言する者あり)

河村委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 起こしてください。

 江崎大臣。

江崎国務大臣 商品を預託して、そしてレンタル収入を取ると……(大西(健)委員「それは最初のやつなんですよ、それは一番最初のレンタル商法なんです」と呼ぶ)はい。

大西(健)委員 今大臣が答弁されたのは、最初に業務停止命令を食らった、いわゆるレンタルして、レンタル料金を払うというやつなんです。リース債権販売というのに変えたんですよ。リース債権販売とは、どういう手法をジャパンライフがとったか御存じですか。

 こういうことが何もわかっていないと、処分を四回したんですといって、やることやったんですと胸張られても、どんどんどんどん向こうは、大臣がおっしゃるように、悪徳商法でやっているわけですから、かわしていくわけですよ。だから、どういうふうにかわされたんですかということを聞いているわけです。

江崎国務大臣 この商品のレンタル料の債権の販売といったことでよろしいですか。

大西(健)委員 確かにリース債権販売と私言いましたから、債権を販売するということなんですけれども、結局、だから、六%入ってくればいいわけですよね。

 だから、何をやっているかというのをもう私言いますけれども、例えば、額面百万円の債権を顧客に七十万円で売る。そして、三十万円差がありますよね、その部分については、毎月五千円を五年間で三十万円入ってくるんです、債権を買った人に。最後、五年たったら七十万円でジャパンライフが買い戻してもらえる、こういう仕組みなんです。だから、結局、百万円買えば毎月五千円、五年間で三十万円もうかりますよ、こういう商法なんですよ。

 いずれにしろ、私が何を言いたいかというと、まさにこれ、いずれも、消費者庁は四回も処分しましたと言っているけれども、その処分を逃れるための潜脱行為を繰り返しているわけですよ。そんなところに何回も処分したって無駄じゃないですか。

 だから、私は、前回も言いましたけれども、もっと早く刑事告発をすべきだったんじゃないか、何で刑事告発をしなかったんだと。

 実際、消費者庁の行政処分に対して、ジャパンライフは顧客向けのお知らせというところに何と書いているかというと、消費者庁の処分は現在行っていないことに対する処分であり見当違い。まさに、レンタル商法はもう今やっていませんよといって逃れるわけですよ。

 だから、そんなところに四回も処分したことが間違いで、それこそ見当違い、的外れなんですよ。ですから、刑事告発をすべきだった、そうしていれば、今ごろこんなに被害は拡大しなかったというふうに私は思っています。

 この刑事告発についてですけれども、刑事訴訟法の第二百三十九条の二項というのがあって、ここにはこう書いてあります。「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と。しなければならないんですよ。

 ですから、消費者庁が実際処分で認定した違反事実は、刑事罰がある違反事実なんです。また、もう一つ言えば、処分に従わないときもこれは刑事罰があるんです。ですから、それを知った時点で消費者庁は刑事告発する義務があるんじゃないですか。大臣、いかがですか。

江崎国務大臣 お尋ねですが、消費者庁は、消費者被害を防止するため、捜査機関を含め関係機関と緊密に連携して今日に至っております。ただし、個別事案についての刑事告発の有無等については、捜査機関における捜査に支障を来すおそれがあることから、答弁は控えさせていただきます。

大西(健)委員 今の答弁は、刑事告発をしたのかしていないのかも含めて答えられないということですけれども、その前段階で、私が言ったように、刑事訴訟法には告発義務があると書いてあるんです。告発義務があるんじゃないですか。いかがですか。

江崎国務大臣 どのような場合に告発しなければならないかは、具体的事案に即して当該公務員において判断すべき事柄であり、お答えは差し控えさせていただきます。

 なお、あくまでも一般論として申し上げれば、刑事訴訟法二百三十九条二項は、公務員が、合理的根拠に基づき、その職務を行うことにより犯罪があるとする場合には告発しなければならないという、公務員の一般的な告発義務を定めているものであります。

大西(健)委員 でも、その一般的な公務員の告発義務というのを読むと、さっき言ったように、四回処分をやっていますけれども、処分で認定した事実には罰則があるんです。だから、違反したらこれは刑事罰がかかる。

 それから、何回も言っているように、処分に従っていないということについても、これも消費者庁は何回か警告をしていますけれども、従っていないんですから、そのことについても刑事罰がかかるんです。

 ですから、それを職務上知り得たら、これは告発義務がかかるんじゃないですか。いかがですか。

江崎国務大臣 済みません。間違ったことを言うと問題になりますので、しっかり事務方とも打合せしてのお話であります。

 消費者庁は、消費者被害を防止するため、捜査機関を含め関係機関と緊密に連携しています。ただし、個別事案についての刑事告発の有無等については、捜査機関における捜査に支障を来すおそれがあることから、答弁を控えさせていただきます。

大西(健)委員 大臣は、沖縄北方大臣に就任されるときに、素人は素人、しっかりお役人の原稿を読ませていただくと言われましたけれども、今のも原稿を、多分後ろから差し出されたものを読まれたと思うんですけれども。

 これは前回の委員会でも私聞きました。こういうふうに同じ答弁をされていましたね。個別事案について、刑事告発の有無等については、捜査機関における捜査に支障を来すおそれがあることから、答弁は控えさせていただきたいと。これは多分役所がつくった答弁だと思います。

 ただ、資料の次のページを見ていただきたいんですけれども、二ページ目ですね。これ、見てください。

 二十六年の十二月十一日、消費者庁が特商法に基づく行政処分を行っています。そこに線を引いておきましたけれども、これは消費者庁のニュースリリースですけれども、消費者庁長官の権限の委任を受けた中部経済産業局長が実施したものですと。

 その下に、中部経済産業局のこれはプレスリリースです。二十六年十二月十一日、特商法に基づく訪問販売業に係る業務停止命令。一番下の丸の一つ前のところですけれども、「愛知県警に告発しました。」と書いてあるじゃないですか。言えないなんてうそですよ。書いてあるじゃないか、「告発しました。」と。

 次の、下、これは消費者庁じゃなくて近畿経済産業局ですけれども、線を引いておきましたけれども、これも訪問販売事業者の特商法違反の処分ですけれども、「本件は、特定商取引法に係る指示違反として、国の機関として警察当局に告発」しましたと書いてあるじゃないですか。

 告発することが捜査の妨げになるから、それをしたかどうかも言えないなんて、うそですよ。

 だから、大臣、ちゃんと、役所が差し入れたものだけ、それだけ棒読みすれば職責を果たせるというわけじゃないんですよ。役所が正しいものを出していないんですから。違うじゃないですか。どうなんですか、これ。

江崎国務大臣 私は、朗読も、そして棒読みもせずして、しっかり目を通しております。

 そして、この場面も一応尋ねましたが、現在の消費者庁としての対応がこのようでありますということですので。

 以上です。

大西(健)委員 これ、見てくださいよ。二十六年の十二月十一日ですよ。そんな昔の話じゃないし、ここに書いてあるように、消費者庁のプレスリリースで、特商法に基づく行政処分をやって、それは消費者庁の権限を中部経済産業局に委任して、中部経済産業局が同時にプレスリリースを出していますけれども、「愛知県警に告発しました。」と。何の捜査の支障にもならないんじゃないですか。いかがですか。

江崎国務大臣 実は、私も、この任につきましたのが昨年の八月ですが、こうしたものもいろいろ精査しながらですが、特に捜査に支障を来すおそれがない場合に告発の事実を明らかにすることがあり得ます。

 他方で、本件について、現時点で警察等の捜査に支障を来すおそれがないとは言えないことから、従前から申し上げているとおり、答弁を控えさせていただきます。

大西(健)委員 いやいや、告発したかしていないかを国会で言えないなんて、じゃ、捜査に支障を来すというのはどういう支障を来すんですか。ここで説明してください。それもないのに、我々、教えてもらえないなんというのは。したかしていないかも教えてもらえないんですか。

江崎国務大臣 先ほど言ったように、現時点で警察等の捜査に支障を来すおそれがある場合、答弁を控えさせていただきます。

大西(健)委員 いやいや、何回も言いますけれども、全国で今、被害がまだ拡大しているんですよ。

 ジャパンライフは、年が明けてから何と言っているか。磁気治療器をディスカウントして販売して、その代金で皆さんにお金返しますから大丈夫ですよ、安心してくださいと返金を思いとどまらせていて、まだ二次被害が広がっている、それを聞いた人たちが。あるいは、もう一つは、この間も言いましたけれども、弁護士のところに駆け込んだって、消費者団体のところに行ったって一円も返ってこないよ、こういうことを言っているわけですよ。

 だから、私は何度も言っていますけれども、これは刑事告発をして、ちゃんと捜査をしないといけないと言っているわけです。したかしないかも何で言えないんですか。

 じゃ、具体的に捜査にどういう支障が出るか、答えてくださいよ。

江崎国務大臣 これは、証拠の隠滅とか犯人の手口隠蔽とかいったことが言われておりますので、これ以上は消費者庁としては余り口を挟むことはならないと思っております。

大西(健)委員 私、四度も行政処分したのがおかしいと言っていますけれども、そもそも、立入検査したときに、全部、消費者庁は資料を持っていっているんですよ。

 だから、むしろ、資料を持っていって証拠があるのにそれを刑事告発しないということは、私は消費者庁の怠慢だと思いますが、せめて、したかしていないかぐらい何で言えないのか。さっぱりわからないし、今の私とのこのやりとりをもしごらんになった方がいたら、やはり不安ですよ。こんなので大丈夫か、我々は救済してもらえるのか、あるいは消費者の安全を守れるのかと。

 まさにきのうは、北方領土の日であるにもかかわらず、沖縄北方の日と言い間違えて、その人が本当に北方領土のこと、あるいは旧島民の皆さんは、それで本当にこの大臣で大丈夫かなと私は不安を持っておられると思いますけれども、消費者の皆さんも、これで本当に大丈夫かな、消費者は安全を守ってもらえるのかなと私は思うと思いますけれども、大臣、そのように思いませんか。

江崎国務大臣 私は沖縄北方担当大臣で、特に沖縄と北方をセットで物を言ったりするときに、きのう、またくしくも沖縄北方と言ったことは大変申しわけないんですが、北方の、今度、返還の大会では間違いなくしっかり物を言っておりますし……(発言する者あり)いいえ、それは……

河村委員長 御静粛に願います。

江崎国務大臣 あくまでも予算委員会で言ったことでありますし、一つ一つ揚げ足をとるのが予算委員会の役目じゃありません。

 そして、特に、もう一度申し上げます。

 もう既に警察が捜査に入っているときに、ここで支障を来すおそれがないとは言えませんので、消費者庁から警察に、ここでまた補足するとか、そうしたことは控えなければならないといったことであります。

大西(健)委員 告発があって、そしてそれから捜査に入るわけですから、だから、もう捜査してくれているならいいんですけれども、でも、告発をしたことによってその捜査が何か影響を受けるというのは全く意味がわからない話だというふうに思いますし、私はきょう別に揚げ足をとっているわけじゃなくて、まさにこの処分の根幹、そして今、全国で本当にどうしようかという人たちのためにこの質問をやっているわけですから。

 ただ、大臣、全国の、北方領土の日の大会で言い間違えなかったからいいんですって、そんなもの、言い間違えたら大変なことですよ。それはもう辞任ものだと私は思いますよ。予算委員会で言ったことだからって、この国会の予算委員会で言い間違えるということが、そもそも、やはり、きのう我が党の後藤委員も言っていましたけれども、緊張感がないんじゃないか、こう言われても仕方がないというふうに思います。

 ぜひ、これからも緊張感を持ってやっていただかないと、私は何回も言っていますけれども、消費者の皆さんが不安ですよ。これで消費者の利益は本当に守られるのか。大臣、しっかり、大臣がいい人だということは私はよくわかります。でも、いい人ということと、消費者を守るために大臣としてしっかり仕事をしていただくということは、私は違うというふうに思いますので、そこはしっかりやっていただきたいというふうに思っております。

 それでは、次の質問に移りたいと思うんですけれども、予算委員会なので、予算のことも特に財務大臣にちょっとお聞きしたいんです。

 資料の次のページですけれども、平成三十年度の予算の中で、自賠責特会の運用益六千百六十九億円が一般会計に繰り入れたままになっている。これを国交省から早く返してくれとずっと言われてきたわけですけれども、今回十五年ぶりに、今年度の予算の中で二十三億二千万円を、一般会計、繰り戻すということが決まりました。十五年ぶりでありますけれども、第一歩だというふうに私は評価をします。ただ、全体の六千百六十九億のうちからすると〇・三七七%にすぎない。

 本来、自賠責保険の運用益というのは、交通事故の被害者救済事業に充てられるべきものです。一方で、重度後遺障害の専門病院等の運営に係る経費を、毎年毎年百億円ぐらいこの基金から取り崩している、こういう状況が続いております。このままでは財源が枯渇してしまうんじゃないかと関係者の不安も広がっている中で、今回十五年ぶりの返還ということに至ったということだと思うんですけれども、問題は、本当に来年以降もちゃんと返してもらえるのかと。

 今お手元に配ったこの覚書の中では、三十一年度から三十四年度の四年間を返済期限にすると。返済期限、全額返済が延期されたのはこれで四回目なんです。だから、その中で、さっきも言いましたように、わずか二十三億円ですよ。これで四年間で本当に全額返してもらえるのか。そもそも、私は、財務省は全額返す気があるんだろうかと。

 財務大臣、ぜひ、この予算委員会の場で、これはもともと自動車ユーザーが積み立てたものであります。ですから、これはちゃんと全額返すんだということをここでお約束をしていただけますでしょうか。

麻生国務大臣 大分前の話になるんですが、これはもともとは額が大分違っていまして、その当時、最初にいわゆる特会の方からこちらの方に金がないので借りて使ったというのが、一兆一千二百億のものがそもそも最初でスタートしたので、平成六年の話ですけれども、それ以後、順次ずっと返していっておりますけれども、間があいたりあかなかったりして、なかなか苦しくてまた返せなかったりしながらも、約半分の六千百六十九億円まで返してきたというのがこれまでの経緯であります。

 今、利子相当額等々ありますので、元本と加えて約六千百六十九億円になるんですけれども、これが、今御指摘のありましたとおりに、返せないという状況がずっと続いておりましたので、今回、私どもとしては、一般会計の財政事情が厳しいというのは変わりありませんけれども、交通事故とか被害者等々の御家族の御不安に応えるために、被害者保護推進事業等の充実による事業費の分として約十億五千万、一般会計の繰越しに対して平成三十年度の利子相当額十二億七千万円というのを勘案して、約二十三億円の繰戻しを行うこととしたものであります。

 確かに、今回の繰戻し額は二十三億円になりますけれども、被害者の保護、いわゆる増進事業等の充実を実現するということにしておりますので、その方向でやっております。したがって、私どもとしては、今回の大臣間で、大臣間というのは国土交通大臣ですけれども、大臣間で繰戻し期間を従来六年のところを四年に短縮したところでもありまして、毎年度の予算編成において、一般会計の財政事情等々を勘案しながら、いわゆる被害者保護増進等々の実施に支障が生じるであろうというのが御心配のところなので、そういったことに関しましては具体的に繰戻し額というものを真摯に協議してまいりたいと考えておりますので、基本的に全額返還をするという方向で事を進んでおります。

大西(健)委員 最後、全額返還する方向でうにゅうにゅと言っておられましたけれども、国土交通大臣、これは自動車ユーザーが積み立てた保険料ですから、全額返してもらう、間違いなくということでよろしいですか。

石井国務大臣 国土交通省では、自動車安全特別会計の積立金等を用いまして、交通事故被害者の救済や事故防止対策を推進しておりまして、これらの事業の推進は極めて重要と考えております。

 この積立金につきましては、一般会計に繰り入れまして、今年度末で六千百六十九億円が繰り戻されていない状況となっております。このたび、新たな覚書を財務大臣との間で交わしまして、毎年度の繰戻し額について、被害者等のニーズに応じて被害者保護増進事業等が安定的、継続的に将来にわたって実施されるよう十分に留意しつつ、一般会計の財政事情、自動車安全特別会計の収支状況に照らし、国土交通省及び財務省が協議の上、決定することとされております。

 この繰入金につきましては、被害者救済事業等の貴重な財源でありまして、最終的には全額を返していただく必要があると考えております。新たな覚書に基づきまして、期間内における毎年度の予算要求において、財務省とよく協議してまいりたいと考えています。

大西(健)委員 四回もほごにされているわけですから、私は、とにかく全額返すということだけをここでしっかり約束してもらえばいいというふうに思います。

 それでは、次に移りたいと思いますけれども、色覚検査の問題。

 それで、国土交通大臣と、あと江崎大臣も、お忙しいと思いますので、結構ですので。

 それから、この色覚検査の問題なんですけれども、皆さんのお手元に質問主意書をお配りしていますけれども、私、質問主意書を提出したんですけれども、ちょっと答弁に納得がいかないものですから、ここで取り上げさせていただきたいんです。

 ここにも書いておきましたけれども、厚労省は、二〇〇一年に労働安全衛生規則を一部改正しまして、雇用健診時に色覚検査を原則廃止して、就職に際して根拠のない制限をしないように、こういう通達を出しました。

 ところが、カラーユニバーサルデザイン推進ネットワークという団体が、全国規模で消防職員の採用時における色覚検査の実施状況を調査しました。そうすると、約六割の自治体等で採用時の色覚検査が行われている、また、そのうち半数については検査結果を採用に影響させているということがわかりました。反対に言うと、約四割のところでは検査はやっていない。

 やっていなくても、現に色覚異常があったとしても、現に消防職員として立派に職務を遂行されている方がいらっしゃるということでありますから、色覚異常が消防業務遂行の上で何ら差しさわりがないということを、逆に言うと私は示していると思うんです。

 私も、色覚検査をする合理的な理由があるんだったらこれはやればいい話だし、逆に、本当に必要があるんだったら、やっていないところが今四割もあるんですから、これは逆に、やっていないところにやりなさいと言わなきゃいけない話だと思うんです。

 だから、何を言いたいかというと、ばらつきがあることが私は問題だと思うんです。

 ところが、大臣、答弁書を見ていただきたいんですけれども、答弁書の方には何て書いてあるか。「各消防本部において適切に判断すべきものと考える。」これは私はおかしいと思いますよ。やるならやる、必要だったらやらなきゃいけないんです。必要ないならやめなきゃいけないんです。

 これは、私、必要がないにもかかわらず消防職員の採用時に色覚検査がもし広く行われているんだったら、これは総務省の方から、消防庁の方から通達を出してもらって、必要のない検査はやめてくださいということを言わなきゃいけないと思うんです。ところが、これは各消防本部に任せますと書いてあるんですね。

 これは野田大臣なら私はわかってもらえると思うんですけれども、これは別に与野党対立する話でもないし、通達一本出すのに何の不都合も私はないと思うんですよ。

 それで、実際に私が話を聞いた方でも、生まれ育ったふるさとを守りたいので生まれた地域で消防職員になりたいと思ったんだけれども、その地元の消防職員の採用試験に色覚検査があったから、やむなく隣町、近隣の市の消防職員になったという人が実際いるんですよ。だから、こんなことが私はそのままにされていていいのかなというふうに思うんですね。

 仮に色覚異常があったとしても、それは他の手段によって補完できるところがある。それに対して、まさに職業選択の自由が不当に制限されている状況というのは、私は変えていく必要があると思います。

 大臣の御決断で、全国の消防職員採用時の色覚検査、合理的理由のない検査はやめなさいということを、通達一本出していただけないでしょうか。

野田国務大臣 お答えしたいと思います。

 私も、質問主意書も拝見いたしました。

 まず、少し順番立ててお話をしたいんですけれども、御指摘の色覚検査というのは、平成十三年に労働安全衛生規則が改正されたときに、雇入れ時の健康診断における義務づけというのが廃止されています。

 それで、じゃ、なぜ消防はということになるんですけれども、実は、消防ならではのさまざまな仕事がございます。例えば、消防活動の現場において運転を行う際の信号機の判断、信号機の色の判断ですね、あとは、けがをされた方の出血の状態とか顔色を見る判断、それとか、トリアージタグ、急病、急ぎ救急で搬送しなきゃいけない順番みたいな、トリアージのタグも今のところ色で判断することになっています。さらには、消火活動に当たって、炎の色を見て何が燃えているかみたいなものを判断するとか、危険物が保管されているボンベの色というのも判断をしなきゃならないということも、実際消防現場にはございます。

 ただ、御承知のように、法律上、消防職員の採用というのは、受験資格要件や試験の方法を定め、試験を実施するのは消防庁などとされているところで、ということで、各消防本部でお決めいただくというのが法律上定められています。

 なぜまちまちなのかというのは、やはり本部の規模なんだと思いますね。たくさん本部で採る場合は、先ほど申し上げた、トリアージのタグの色を見なくていいような、又は消火現場に行かなくていいような、そういう仕事も当然あるから、色覚に問題があっても、それをしない職場というのがあるんだと思います。

 ですから、まずはやはり、それぞれの本部の大きさも違う、取組方も違うという中で、全国の状態を把握しろという質問主意書の中でサジェスチョンがありましたので、実際調べてみたんですよ。今、全国の消防長会というのが五十一消防本部を対象にして抽出した結果、三十四消防本部が、三分の二に当たりますが、採用時の色覚検査を実施しているわけなんです、まだ三分の二が。

 私の方からは、現在取りまとめ中のこの調査の結果も踏まえながら、消防庁として一定の考え方を示すなど、対応を検討するように指示を出したところでございます。

大西(健)委員 ぜひ、大臣最後に言っていただいたように、その結果をしっかり踏まえて指示を出していただきたいんです。

 というのは、実際の色覚異常のこういう支援をしている団体の皆さんとかに言わせると、例えば、そういうふうに理由を、実際、彼らも調査をすると理由が書いてあるんですけれども、例えば信号機の識別。色覚異常があっても運転免許を取れるんですよ。だから、何の支障もない。

 それから、トリアージタグとかボンベの色とかというのは、これはさっき言ったように、例えばカラーユニバーサルデザインで色を改善するとか表示を変えることによって対応できるわけですよ。でも、それをしないで、まさに職業選択の道が閉ざされていること、どっちが重いかといったら、私は職業選択の自由を閉ざしている方が重いと思います。ほかの手段があるなら、そっちで対応すべきだというふうに思います。

 あるいは、先ほど言われた、例えば炎の色とかも、これも、色覚異常というのも程度の差がありますから、かなり重篤な方は確かに問題があると思いますけれども、ただ、今の色覚検査、一般的に行われている検査では、軽度の方もひっかかってしまう。炎や煙の識別ができないということについても、これは必ずしも実証実験が行われたわけではなくて、先入観に基づくものだということですので、これは調査結果をしっかり見ていただいて指示をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは次に行きたいと思うんですけれども、我々希望の党は、未来先取り政党ということを申し上げているんですけれども、いつも申し上げているのは、課題を先送りするんじゃなくて、将来を見通しながら必要な改革を大胆に提案していこうということで、未来先取り勉強会というのをやっています。昨年の末に第一回の勉強会を始めたときに、講師でお願いをしたのは、ベストセラーになった「未来の年表」の著者の河合雅司さんに講師にお越しをいただきました。

 野田大臣、結構です。

 この「未来の年表」、皆さんの中にもお読みになった方はいらっしゃると思います。何年先にこういうことが起きる、こういうことが起きるとショッキングな事実が書いてあるんですけれども、その中に、二〇三九年、死亡者数がピークになって火葬場不足が深刻化するということが書かれています。二〇三九年といいますと二十一年後、私、六十八歳ということですので、自分にとってはリアルな未来だというふうに思います。

 我々が生きている社会というのは少子化社会といいますけれども、同時に、多死社会、たくさんの人が毎年毎年亡くなっていく、死亡者数が二〇三九年に向かってピークに、どんどんどんどんふえていく、こういう社会であります。そういうことがある中で、火葬場の不足というのは、実際にもう首都圏とかでは起こり始めています。

 お手元に資料をお配りしたんですけれども、質問主意書の次のページです。

 これは、年次の死亡者数と火葬場の数のグラフなんですけれども、棒グラフの方が死亡者数です。右肩上がりに上がっていっています。折れ線グラフの方が火葬場の数なんです。これはずっと減ってきています。右肩下がりになっている。ですから、こういう状況の中で、本当に今、火葬場が不足しているんですね。首都圏では既に、火葬場がいっぱいで一週間待ちなんということがある、こういうことがざらにあるということであります。

 そうなると、火葬場を新設するという考え方もありますけれども、火葬場を新しくつくろうと思ったら、用地の確保とか、あと、周辺住民から反対もあるということで、なかなか難しい。また、ピークに合わせてつくっていけば、いずれは過剰になるということですので、なかなか新しい火葬場をふやしていけばいいという感じでもない。

 そういう中で、火葬までの間、御遺体を安置する、いわゆる遺体ホテルというふうに言われているそうですけれども、遺体ホテル、そういうビジネスというかが広がっているということなんですけれども、この実態というのは厚労省の方でどのように把握をされておられますでしょうか。

加藤国務大臣 すぐに火葬できない遺体を一時的に預かる遺体ホテルという施設について、さまざまな報道がなされているということは承知をしておりますが、私どもが所管している墓地埋葬法は、墓地や火葬場の管理や埋葬が、国民の宗教的感情に適合し、かつ公衆衛生等の見地から支障なく行われることを目的としているということでございますので、直接、墓地、火葬場等々について定義をしておりますが、遺体の取扱いそのものについて規定がないものですから、私どもの方として、その実態については把握をしておりません。

大西(健)委員 今、実態を把握されていないということでありますが、先ほどお示ししたこのグラフは、厚労省から出していただいたものです。

 つまり、今大臣の御答弁にもあったように、現状、遺体を保管する施設を規制する法律というのはないんです。ですから、業者の中にも、とりあえず倉庫業で届出をしてやっているというような状態でありますけれども、ただ、近所に遺体が安置されているというのは決して気持ちいいものではありませんよね。ですから、既に、そういう事業者の事業所開設をめぐって地域でトラブルになっている、反対運動が起きているみたいなこともあります。それから、衛生管理という意味でも全く基準がない状態ということでございますので、私は、これは一定のルールが必要なんじゃないかと。

 先ほど厚労大臣は、墓地埋葬法の範囲外だからという話ですけれども、やはり、今、多死社会を迎えて、実際に火葬待ちになっている間、家に置いておくわけにもいきませんので、御遺体。こういうことが広がっているんですから、何か一定のルールをつくる必要があると思いますけれども、大臣、どう思われますか。

加藤国務大臣 遺体を、どういうふうに向き合うかというか、対応していくのかということについて、今御指摘のように、火葬場の処理能力が低くて、結果として御遺体の形で保管する期間が長くなっているということ以外にもいろいろな理由があるんだろうというふうに思っています。

 ですから、そういった意味で、遺体ホテルそのもの、遺体をどうということでは、ちょっと私どもとしてもなかなか手が出しにくいとは思いますが、ただ、火葬場処理能力がなくて、結果としてそういう形になっているということについては、試算的には、はまるんではないかということでありますけれども、実際、東京では、私も今委員御指摘のようなお話も聞いたことがございます。

 したがって、火葬場の対応能力について、それぞれの自治体がどう考えているのか、また今後の対応の方向性、これについてはしっかり把握をしていきたいと思います。

大西(健)委員 ルールをつくる以前の問題として、実態を把握されていないということでしたので、これは一度実態を私は把握されたらいかがかなというふうに思います。

 次に、火葬の後の話なんですけれども、火葬が終わった後、お骨を骨つぼに入れて、さらに、残骨灰という灰が余るんですね。この残骨灰というのは所有者は誰になりますか、大臣。

加藤国務大臣 これまた、火葬に付した後の処理ということでありますけれども、基本的には、火葬場で火葬を行い、遺族等が骨揚げをして骨つぼにおさめる。そして、そこに全て入る地域もあるでしょうし、場合によっては、幾ばくか残していく、残余のものが出ていく、これを残骨灰と呼んでいるわけでありますけれども、これについては特段規制対象になっていないわけでありますので、結果的にその残骨灰についてどうするかというのは、最終的には、宗教的感情の対象として扱われない残骨灰は、これは廃棄物に該当する、そういったものとして扱われるのではないかと思います。

大西(健)委員 これもなかなか決まったあれがないんですけれども、古い、明治四十二年の大審院の判決では、昔、この残骨灰を肥料に使うというので盗んだ人間がいたけれども、それは不法取得には当たらない、そういう判決があったそうですけれども、逆に、昭和十四年の大審院判決では、粉骨後に残った金歯などの有価物の所有権は市町村にある、こういう判決があるんですね。

 実は、この残骨灰の処理、自治体によって異なっています。多くの自治体が専門の業者に異物の処理と埋葬を委託しているんですけれども、今言った残骨灰には歯にかぶせた金とか銀とかこういうものがまじっていますので、これによっていろいろな取扱いが違う。

 例えば、横浜市では、従来は入札で埋葬などの処分を委託していたのを、最近売却に変えました。そうすると、年間七千八百万円の収入があった。横浜市では、遺族の心情に配慮して、収入は一般財源に繰り入れるのではなくて、斎場の設備改善等に使っている。同じように売却している前橋市。前橋市は、年間一千八百万ぐらい売却益があるそうなんですけれども、これは一般財源に繰り入れている。

 他方で、北九州市、ここは以前売却していたんですけれども、市民の中から死者に対して不遜であるという反対の声が上がったので、売却をやめました。こういうところもあります。

 それから、京都を始め売却しない自治体というのもかなり多くあるんですけれども、そういう自治体の中には、今言ったように、有価金属の回収を目的とした業者が一円入札とかゼロ円入札でとっていく、こういう問題が起きている、こういうふうになっているんですね。ですから、自治体によってもかなりばらつきがある。

 この残骨灰の話も、先ほど大臣からあったように、これは墓地埋葬法の対象でも、先ほど大臣は残骨灰は廃棄物じゃないかと言いましたけれども、これは環境省も廃棄物処理法の対象じゃないと言っているんです。まさに法律や監督庁がない状態でありますけれども、日本の場合は火葬率が九九・九%で、さっき言いましたように多死社会です。ですから、やはりこれは、私は、墓地埋葬法を所管している厚労省が音頭をとって、国が統一的な基準をつくるべきだ。自治体は、自分たちも判断を求められても困る、国に統一的な基準をつくってほしいというのが自治体から上がっている切実な声なんですけれども、大臣、これに対していかがお思いになりますでしょうか。

加藤国務大臣 私どもが今、墓地、埋葬等にかかわっている根拠としては、墓地、埋葬等に関する法律、もう委員御承知のとおりであります。そこには、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、かつ公衆衛生その他の公共の福祉の見地からという、まさに宗教的な感情に適合しているかどうか、同時に、私どもの立場からいえば、公衆衛生かつその他の公共の福祉ということになります。

 今、では、残骨灰あるいは残骨灰に含まれている貴金属の処理、これは基本的に、先ほどの大審院の判決でいえば、誰の所有権かといえば火葬場にある、こういうふうにされていたわけでありますけれども、いずれにしても、その処理を私ども厚労省の中でそれができるのか、その中で議論することになるのかということについて、なかなか、はい、そうですねというわけにはいかないんだろうというふうに思います。

 ただ、今御指摘もあるように、どこかで何かをしていかなきゃいけないという御指摘は私はそのとおりだというふうに思いますので、とりあえず、今どういうことになっているのか、その先行きを本当は見ながら、そしてそのためにヒアリングをしたり調査をするというのが一般的なんだろうと思いますけれども、その先行きが今正直言ってなかなか出せない状況ではありますけれども、実態について、網羅的にとはいきませんけれども、まず幾つかの自治体からは、実態がどうなっているかということは聞いてみたいとは思います。

大西(健)委員 時間がなくなったのでちょっとはしょりますけれども、揺りかごから墓場までというまさに言葉がありますけれども、火葬したら次はお墓なんです。このお墓についても、今、無縁墓という、管理する縁故者がいなくなってしまった無縁墓というのがかなりの公営墓地でもある。

 これは、市によっては、無縁墓については改葬という、放置された墓石の撤去であったりとか、お墓の中にあるお骨をほかの合葬の方に移すとか、こういうことをやっているところがあるんですけれども、例えば、墓石を撤去するには一平方メートル当たり十万円前後お金がかかる。これは自治体にとっても大変な負担になる、今後どんどんどんどんふえていきますから。ですから、この無縁墓が一体どれぐらいあるのかというのを、まず実態を把握されているのか。

 それからもう一つは、この無縁墓の改葬の仕方というのも全くルールがない状態になっていて、自治体の方からは関係法令を整備してほしいという声があるわけです。少なくとも墓地埋葬法は厚労省が所管されている。例えば、撤去した墓石一つとっても、墓地の一角に供養場を設けてそこに集めているところもあれば、廃棄物だといって粉砕処理しているところもある、そういう業者もある。あるいは、墓石の不法投棄、これも後を絶たないという状態なんです。

 だから、やはりこれは何らかのルールが必要で、先ほど委員室の中からも、逢坂さんからも、これはやらなきゃいけないと。そうですよ。多死社会で、どんどんこれから二〇三九年に向かって死亡者数はふえていくわけですから。ところが、残骨灰も、お墓の改葬も、それから遺体安置の遺体ホテルも、何のルールもない。

 でも、これは社会にとってはもう大きな問題ですから、やはり私、何にもしないというのは政府の責任放棄だというふうに思いますので、こういうものを全部通して、大臣、ちょっと一回ちゃんと実態把握して、今の改葬がどれぐらい年間行われているのか、これを全部通して、やはりルール化を、厚労省だけじゃないかもしれないけれども、政府として、やはり墓地埋葬法を所管している厚労省が音頭をとってやるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 さっきの改葬の件数でありますけれども、平成二十八年度の全国の無縁墳墓等に埋蔵された焼骨等の改葬の件数は千九百四十八件ということでございます。

 それから、無縁墳墓等に埋蔵された焼骨等を改葬する際の手続については、縁故者等の存否を確認するための官報公告をしてから一年間以上経過した後に行うということで、国としては既に一定のルールを定めているところであります。

 ただ、墓地においては、それぞれの経緯等もございます、地域の実情もございます、また、周辺の方々の住民の感情もありますので、墓地埋葬行政は地方自治体の自治事務、こう整理をされておりますので、それぞれの自治体の中で、むしろ、どういう処理をしていくのか、墓石をどうするのか、やはりそれぞれがお考えして対応していただく、こういうことなんだろうと思います。

大西(健)委員 時間が来ているので、本当は私、もう一つやりたいことがあったんですけれども、ちょっと消費者担当大臣とのやりとりに思った以上に時間を食ってしまったので積み残しましたけれども、最後のページに二〇一八年問題というのをつけておきました。

 これは何かというと、民主党政権のときにやった労働契約法の改正で、更新を繰り返して五年たったら、無期転換申込権というのが発生するんです。ところが、それがちょうどこの四月に五年たつので、無期転換申込権が発生するのを回避するために雇いどめが起きているんですよ。

 あるいは、派遣法。これは三年前に改正されて、同一の組織単位に三年までしか同じ人を派遣できない。人をかえれば、また引き続き派遣を使い続けることができるんですけれども、ですから、人をかえなきゃいけない。この十月にこの三年目が来る、派遣切りが起こるんじゃないか。そしてもう一つの、無期転換ルールの回避のための、これは実際に雇いどめがもう起きています。

 この問題については、私、以前、厚労委員会で取り上げて、そのときに、特に文科省所管、きょう、ちょっと大臣に来ていただいてなんですけれども、御答弁いただけませんでしたけれども、国立大学法人だとか私立の学校だとかで雇いどめが実際起きています。これは、四月以降、もっと起きるかもしれない。

 文科省の方でもやってはいただいているんですが、ただ、多くの大学でかなりの人が雇いどめに遭うんじゃないかと言われていますので、これはしっかり監視をすることと、そして、雇いどめに遭った人たちの支援を、厚労省、文科省、しっかり一緒になって取り組んでいただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

河村委員長 これにて大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。

 皆さん、関係各位の御協力をいただきまして、一時間の質疑時間をいただきました。委員長始め皆さんに感謝申し上げます。

 きょうは、学校の制服、中学校、小学校、義務教育課程における制服や私費負担の問題というところから防衛問題のイージス・アショアまで、ちょっと幅広い話の二つになります。どちらも非常に身近なものであり、生活者にとっては感じるところがあると思いますので、質疑をさせていただきたいと思っています。

 最初に、質問が数問である文科省に対する制服の方からお話をしていきたいと思います。

 今回、昨年ですか、選挙もありましたけれども、幼児教育の無償化を含め、子育て世代の方々のできる限り負担を減らしていこう、その奥には、少子化に対する考え方や子育てのしやすい社会づくりという一般的な思惑もあったと思います。

 もちろん、さまざまなところを税金を使いながら補助をしていくという発想は大事なんですけれども、やはり昨今、昨年ぐらいからですか、ある新聞社がかなり力を入れてフォーカスをしているのが、いわゆる学費ではなくて、自分たち、私費で払う費用、私費費用に関して、かなり実態は重い形になっているというところです。

 それぞれ皆さん、過去の記憶ってあると思いますし、その年々がどういうような形だったかわかりませんが、例えば小学校、これもある方の投稿ですけれども、小学校に入って、一年生でまずハーモニカ六千円、二年生になって絵の具セット四千円、四年生になって彫刻刀セット三千円、五年生になって裁縫セット三千円、一つはこういう形ですね。あとは、校外学習、林間学校の積立て、ドリルや副教材。

 教育を受けることに対して無償であるというような話がありながら、結局のところ自費負担が何十万円にもなって、かなり、経済的に裕福ではない限りにおいて相当大きい負担になる。そしてまた、それが兄弟がいればなおさらのこと、二倍、三倍とかかっていく。

 そして制服も、小学校で制服であるところ、ないところ、何か聞いてみると西日本と東日本で結構違うそうですけれども、これに制服代が重なってくる。中学校であればほとんどのところが制服だと思いますけれども、制服代が、一見するところ、我々が着るようなスーツよりも高い価格になっているということは、お子さんを育てられた御経験がある方であればお感じになられるところだと思います。

 まず、基礎的なことですけれども、林大臣にお伺いしたいんですけれども、こういう私費負担というものが、保護者の方々、親御さんたちにとって重い負担になっているという問題意識をお持ちかどうかというところをお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

林国務大臣 うちの子も下が高一でございますので、制服代というのがちょっと、記憶よりも少し、過去の方に入っておりますが、やはり授業料とかそういう直接のものではなくて、今委員からお話のあったような、いろいろな活動等にかかる費用というのがいろいろなところで、これもある、これもあるということは私も個人としても何となく感じておりました。

 また、文科省としても、実は子供の学習費調査というものをやっておりまして、子供を公立又は私立の幼小中高等学校に通学させている保護者が子供の学校教育及び学校外活動のために支出した一年間の経費を平成六年度から隔年で調査をしておりまして、最新は平成二十八年度で、これは悉皆ではなくて抽出でございますが、ある程度のコストはこれの調査によって把握をしておるというふうに承知しております。

寺田(学)委員 今御答弁いただいて、問題意識はあるということでありまして、ただ、今少し御答弁もいただきましたけれども、きのう、この質問通告にそろえて文科省の方からお話をお伺いしました。

 私個人としては、かなり地域によって、例えば制服一つとってみても、今手元にある朝日新聞の去年の調査ですけれども、例えば仙台の太白区、女子ですね、中学校が七万七千八十円、片や、同じ女子の中学生の制服が長野県諏訪郡で三万六千二百円、倍ぐらいの値段の差がある。かなり地域によって、その地域地域の御事情及び学校長の考え方を含めて差がある。そしてまた、それが大きな負担になっているということだと思います。

 一個御紹介をしたいんですけれども、こういう問題意識に沿って、北海道の帯広市の図書館の司書さんで大平さんという方、二十八歳の方ですけれども、独自に自分で北海道内のところに対して実情はどうなっているかということを聞いてみたそうです。

 ただ、ほとんどのところが、どういう問合せかというと、制服や体操着だったり副教材とかが入学説明会のときにどのような感じで説明されて親御さんたちに負担をお願いしているのかと聞いたところ、そういうものは保存していない、保有していないという答えがほとんどで、なかなか答えてもらえず、情報公開請求を行ったところ、何とか現状のそのような実情が見えるに至ったと。

 個人として頑張っていただいたことは本当に評価したいなと思いながら、きのう文科省の方々と話してみると、文科省としてちゃんとした調査はとっていないということでした。

 どういう対策が打てるか。もちろん、税をつかさどる政府として、税としてどうやるかということは真っ先に考えながらも、子供を育てる方々にとってみると、税によって補助されていることなのか、私費によって自分たちで払っていることなのか、全てオールインクルーシブで子育てに対してお金がかかっている問題ですから、私は、文部科学省としてもこのことの実態というものはしっかりと把握しておかなければならないと思っています。

 ですので、もう一点質問ですけれども、実態調査をすべきじゃないかと私は思います。林大臣のお考え方、よろしくお願いします。

林国務大臣 先ほどちょっと触れさせていただきましたが、子供の学習費調査、これは制服についても支出した経費の把握をしておるところでございます。

 全体の平均は、先ほどちょっと御紹介がありましたが、小学一年生は、これは二十八年度の調査結果ですが、公立で一万四千円、私立で七万九千円、それから中学一年生は、公立で五万一千円、私立で九万七千円ということで、一定の負担になっておる、こういうふうに思っております。

 先ほど申し上げましたように、悉皆ではございませんが、抽出調査ということでございまして、この実態を全学校に対してやるということになると、かなりの負担も出てまいりますので、今のところは、この調査を通じて実態の把握をして、何らか必要な対応がないのかどうか、しっかりと検討していきたいと思っております。

寺田(学)委員 全小学校、中学校となると、非常に大変な事務量になって、先生方も大変でしょうから対応するのも難儀だとは思いますが、教育委員会単位でも構いませんので、もう一段踏み込んだ文科省としての調査、もちろん今すぐということはなかなか難しいかもしれませんが、ことし入学される方々は決まっていますので、来年の入学、再来年の入学に向けて、実態を調査することにもう一段踏み込んでいただけないでしょうか。

林国務大臣 教員の働き方改革についても今御理解をいただいておるという御発言がございましたので、そういうふうな負担をなるべく減らした上で、抽出のやり方等々にどういう工夫ができるのかということを検討してみたいと思います。

 それからもう一つ、制服に関して言うと、実は公正取引委員会の方で、公立中学校における制服の取引実態に関する調査報告書というものも公表されておりまして、こういうものも参考にしながら、結果として、余り過重な負担にならないようにしていく方途というのをしっかりと考えていきたいと思っております。

寺田(学)委員 今、公取のお話がありましたが、たしか四百六十ぐらいのサンプルだったという話です。それも相当大変だったみたいです。

 もちろん、学校の事務量が大変だ、対応が大変だということもありながら、やはり公取側からお話があったというところでなかなか進まない面もあるのではないかと推察します。

 しつこいようですけれども、ぜひ、教育をつかさどる文部科学省の方から、この実態把握に対して強い関心を持っている、先ほども問題意識を持たれていましたので、持っているということと、実態把握に努めるということを強く御認識し、御指示を出していただきたいと思います。

 実態を把握するとともに、目の前に、これはどうなんだろうというような、もうわかり切ったような、不思議なことも多々あると思います。

 私も、子供のころ、小学校を思い起こしますと、先ほど申し上げましたけれども、みんながみんな同じピアニカを買っている中で、うちの母親が、九歳離れた姉の、私だけ紫色のぼろいピアニカを持たされまして非常に恥ずかしかったとともに、絵の具もふたすらなく、ラップをされて渡されたときには正直引きましたけれども。

 それでも、今思うと、やはり、三人兄弟の中で末っ子ですけれども、毎回毎回これを買うことに対する負担感というのは多いなと思いますし、なぜ買わなきゃいけないのかというところの一つの理由に、やはり学校側が指定しているからというところはあると思います。この指定のあり方というものを何かしらのガイドラインで変えていくということも一案としてあると私は思うんですよね。

 制服というものに限って言うと、そういうものが日本以上にある種浸透しているイギリスの例とかを引かれている文献を見ましたけれども、イギリスの方ではやはり、そもそもとしてかなり、日本に比べて半分以下の形で制服を買えますし、日本独特ですけれども、胸に学校の校章のマークが入ったものであったり、名前を彫らなきゃいけないというようなことがなく、汎用的なものをスーパー、スーパーというかデパートで買うことができる。そのときに、セールでも買って安く済ませることができるということがありました。

 ですので、私自身の一つのこれからの考え方としては、もちろん実態調査には非常に時間と労力がかかるのはわかりますけれども、何かしら国として、親御さんたち、保護者の方々の経済的な負担を減らすべくガイドラインを出す、英国のように、そういうような形で国として一つの基準を出して、親御さんたち、保護者の方々の負担を減らすという考え方があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 私は長男でございましたので、先生のようなことはなかったんですが、小学校三年から四年にかけて実は転校しまして、前の小学校で使っていた縦笛、これを次の小学校に持っていったら、全然違う形で、何か君だけ違うのを持っていると言われて、買いかえてくれとお願いしたけれども母親に断られた経緯がございます。

 まさに、この保護者負担というのは厳しく我々も捉まえていかなきゃいけない問題でございまして、やはり取引の、先ほど公取の話は、公取が調査したから我々が引くという意味ではなくて、それを積極的に参考にしたいという意味で申し上げておりますが、そういうことをしっかりと踏まえて、どうしたら保護者負担が過重なものにならないようになるのかということをしっかりと検討いたしまして、指針のようなものを含んだ通知の発出を含めて検討してまいりたいと思っております。

寺田(学)委員 さまざま学校独自の考え方があってしかるべきだと思いますし、学校ならではの特色というのはあっていいと思うんですが、ちょっとこれはどういうことなんだろうというような実例がありまして、きょうも恐らくネットのニュースの中で話題になっていましたので、ぜひ御意見を麻生大臣にもお伺いしたいなとも思っているんです。

 泰明小学校って皆さん御存じでしょうか。特に、お偉い先生方は銀座の方にはよく足しげく行かれているかもしれませんが、東電の本社の、こちらから行って奥の方に行ったときに左側にある小学校ですけれども、この泰明小学校の制服のあり方というのが一部で話題になっていますし、私も、そのことを保護者の方に伝える文書を見て、正直違和感を持ちました。ちょっと長いものだったので、皆さんにちょっとお配りするにはあれだったので、私の方で簡単に抜粋しながら読みます。

 これは、校長先生が保護者に対して、来年から入学される方々に対してだと思いますが、お話をされたことで、泰明小学校に通うということはということの中で、いろいろお話をされています。

 強い自負を持たれているのはいいと思うんですけれども、泰明小学校はやはり特別な存在であります、泰明らしさというのは失ってはいけない、泰明小学校という学びやの気高さ、この伝統にある気品、空間、集団への凝集性とか帰属意識とか誇りとか、泰明小学校が醸し出す美しさを保っていかなきゃならぬと。

 ただ、その後、現状は余り芳しくない、問題がいろいろあって、いろいろ悩んでおると。

 泰明小学校に通っているということは、銀座の町の子供たちになるということだと私は思っている、銀座の町あって泰明小だ、今、泰明小学校は、どこか、どれかのスイッチを押さなければそのよさが失われてしまう、そういうときで、ビジュアルアイデンティティーという概念がありますと。

 今度、制服の話になるんです。標準服もその要因の一つだ、泰明小学校の標準服を身につけているという潜在意識が学校集団への同一性を育み、この集団がよい集団であってほしい、よりよい自分であるためによい集団にしなければならないというスクールアイデンティティーに昇華していくんだと。一つのお考え方だと思います。

 ここから急展開していくんですが、銀座の町も、当面は二〇二〇年東京五輪に向けて変容していくと。銀座の町には世界に名立たるブランドショップが立ち並んでいる、泰明小学校も銀座のランドマーク、銀座ブランドである、銀座の町のブランドと泰明ブランドが合わさったときに、もしかしたら潜在意識として学校と子供らと町が一体化するのではないかと、また銀座にある学校らしさというものが生まれるのではないかということを考え、アルマーニ社のデザインによる標準服への移行を決めましたと。

 松屋で販売ルートを確保してくださったそうです。生地、縫製は日本のメーカーにしてくださったということです。

 標準服というのは児童が毎日着るもので、強制ではないにせよ、これを着てほしいということで、ふだんから考えるとおよそ倍ぐらいの値段のものを買ってほしいということで、小学校の男子で全部そろえると八万円、女の子で八万五千円だそうです。

 これのよしあしというものをここの場でやるつもりはないですけれども、取材の中で、これはどのような経緯で決められたんでしょうかというと、学校の校長先生の考え方、まあ、独断と言うと言い過ぎかもしれないですけれども、で決められたそうです。

 だからこそ、先ほどの議論にも戻るんですけれども、ある程度自主性は保ちながらも、ある程度の幅というものは国の方でも、これは公立小学校ですからね、公立小学校において、ある程度の幅と保護者に対する負担というものも考えなきゃいけないなと思います。

 こういうのは、麻生大臣に聞くと意図的と思われますが、大臣、今、お話を聞かれて、何かお考えになることはありましたか。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 大分前、自民党の文教部会長をしていたときに、ここは小学校としては、全校生徒は何十人だったかな、潰そうと思って、随分運動しましたよ。

 少なくとも、あのとき、永田町小学校、麹町小学校、番町小学校を全部統合して一つにしましたから、えらい反対を食いましたよ。

 私が一番驚いたのは、この泰明小学校を潰そうと思ったときには、やはり銀座は歩けぬと思いましたね。全てのすし屋のおやじから何のおやじから全員で、俺の母校というのでえらい勢いでやられて、うわ、すごい伝統のある学校なんだなという意識があのとき起きたんですけれども。

 それ以後、いろいろな形になって、学生の数もふえましたので、随分状況は変わっているんだとは思いますけれども、私立の学校とはちょっと一緒にできないと思うので、この場合の話は、今のアルマーニの話は今初めて聞いたので、ちょっと何とも言いようがありませんけれども、高いといえば高いんでしょう。あなたの背広が幾らか知らぬけれども、高いにしては高いんだろうなという感じはします。八万円というんですから、結構高いものだなとは思いますね、これは小学校のあれとしては。

 ちょっと私ら、時代が違うので。私が学校へ入ったときは、全校で革のランドセルをしょったのは一人でしたから。小学校を出るときに革のランドセルをしょっていなかったのは俺だけで、あとは全員革のランドセルになる、そういう時代の中で小学生時代を過ごしました。全員が革のランドセルで俺だけズックのランドセルというのは、何となく、ちょっと格好いいなとも思う時代があったので、結構それなりのあれでしたので、吉田内閣で、よういじめられた時代でしたからね、あの時代は。そういう時代だったので。

 一人だけ買えないという人が出ると、またこれは難しいかなというような感じはします。

寺田(学)委員 ありがとうございます。

 私は、この泰明小学校の考え方をたたこうとか、そういうことはないですけれども、こういうような学校があらわれているということを認知することと、それが学校長の考え方一つで決まってしまう、公立小学校ですよ、そういうあり方は実態を見ながらしっかりと考えなきゃいけないなというところが問題提起です。

 林大臣から何かあれば。

林国務大臣 それに関する報道を少し見させていただきましたが、その中で、これは、制服を決める過程において、やはり保護者の皆さん等々、いわゆるステークホルダーの皆さんともう少し話をされて決めておられればなという印象をちょっと持たせていただきました。

 先ほど新しい通知のことも少し申し上げましたけれども、現在も、これは要保護児童のものなんですが、生徒援助費補助金の事務処理通知ということで、やはり各教育委員会に対して、保護者負担が過重なものにならないように留意することは重要であるというのは既に出しておりますので、各種会議でこういうことを、教育委員会、学校の取組を促すための周知というのは更に徹底してまいりたいというふうに思います。

 その中で、今先生もおっしゃったように、いろいろな考え方はあっていいと思っておりますが、ちゃんとみんなが納得の上でそういうものが進んでいくことが望ましいというふうに考えております。

寺田(学)委員 ありがとうございます。

 今回のこの問題を取り上げたのは、文科省にもう一度、もう一歩踏み込んだ問題意識を持ってもらいたいということと、実態を探ることに対しても足を踏み出してほしいということと、何かしら私は国としての指針というものは必要だという結論があるので、それをお考えいただきたいということでした。

 これで林大臣の方は結構ですので、委員長の許可があれば御退出いただいて結構です。

河村委員長 どうぞ。

寺田(学)委員 話はがらっとかわりまして、イージス・アショアに参ります。

 ここはトーンを変えてまいりますのであれですけれども、イージス・アショアを議論する上で、先刻議論いたしました補正にもこの本予算にも載っておりますけれども、イージス・アショアを含めたミサイル防衛に対してどう思うか。そしてまた、では、それの一つのツールとして、今回のイージス・アショアがいいのか、イージス艦がいいのか、THAADがいいのか、その手段論があると思います。その上で、どこに配置するか、自治体との関係ということはあると思います。

 全てに幅を広げてやると時間がありませんので、今回は、自治体との関係というところに重点を置いて議論をしたいと思います。

 私個人として考え方は、ミサイル防衛という一つの大きな概念に関しては賛成していますし、今回、ハワイでの実験等で失敗もしていますので、今回のSM3ブロック2Aだ何だというところに対しての疑念点は強く持っていますけれども、直ちに反対するものではありません。

 ただ、お手元にも配らせていただきましたが、報道においては、秋田県秋田市にある駐屯地、訓練場ですね、それと委員長の御地元の山口県のむつみ演習場、この二つに配備をされる予定という報道が出ておりますので、そのことを中心にまず議論をしたいと思います。

 基本的なことですけれども、今後のイージス・アショアの設置のスケジュール、どのような見立てを持たれているのか、まず大臣からお答えください。

小野寺国務大臣 イージス・アショアの設置につきましては、当然、その設置の場所等の調査が必要ということになります。そして、調査の中で重要なのは、当然、いろいろな環境調査もありますし、それから地質調査等もあります。

 今御審議いただいているこの予算の中にその地質調査等の予算がございますので、少なくとも私どもとしては、まずこの予算の御審議の中で決定していった後、その次のステップに進むことになるんだと思っています。

寺田(学)委員 何年後に稼働されることを目途とされていますか。

小野寺国務大臣 まだ調査もできていない状況でありますので、ここで今確たる年数を言うことは難しいと思いますが、今の安全保障環境を考えますと、できるだけ早く進めていきたいという考えを持っております。

寺田(学)委員 何年後に稼働するかということもお答えされずに予算審議をしろということですか。もっと言うと、何年後に稼働するかということを目途として持たずして防衛計画をこれから練るんでしょうか。

 何年後に稼働されること、実際、何年後になったかは、それはこれからやらないとわからないのではっきりお答えすることはできないと思いますが、何年後に稼働することを目途に今回予算計上されたんでしょうか。それをはっきりしてください。

小野寺国務大臣 イージス・アショアの導入に当たっては、その購入に向けて米国政府と調整する必要があるほか、各種調査、これは、候補地の地形や地質、電波環境等の調査や測量により、防衛上有効な場所に確実に配備できるか否かを確認し、地元の理解と協力を得ることが必要となります。

 このほか、イージス・アショアの製造に一定期間が必要となるほか、実際に運用を開始するためには各種試験を行う必要があることから、現時点で運用開始時期を確定的に申し述べることは困難であります。

寺田(学)委員 確定的でなくても結構です。大まかな年度、どれぐらいの後、イージス・アショアを稼働するということを目途として考えられているんでしょうか。

小野寺国務大臣 現時点で確定的に申し述べることは困難ではありますが、その上で申し述べれば、例えば、イージス艦を建造する場合、契約から引渡しまで五年程度の期間が必要であります。こうした期間が一つの目安になるのかなと思っておりますが、初めて導入する装備でありますし、また、その運用に向けての調査等もかかりますので、一定期間が必要だと思っております。

寺田(学)委員 イージス艦を一つの例示としながら、五年後というところの、大まかな、確定的ではないめどを示されたと思います。

 五年後よりも早まる要素というのは想定されているでしょうか。

小野寺国務大臣 これは、現時点で確定的に申し述べることは困難だと思っています。

寺田(学)委員 技術的なことになるので政府参考人でも結構ですが、耐用年数というものは、設置された場合、イージス・アショアというものは耐用年数はどれぐらいなんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 委員御存じのとおり、現在調査予算を計上いたしまして、先ほど大臣からも御答弁いたしましたが、米国政府と調整し、各種調査をし、その上で、配備、イージス・アショアそのものを購入していく、こういうプロセスをとります。

 まだ購入の予算も計上していない段階でございますので、現時点でその耐用命数が幾らになるかというのを申し述べるのは難しいかと思います。

寺田(学)委員 ただ、これから購入しようとするものが何年ぐらい稼働させることが可能なのかということをわからずして購入に対する決定はできないと思うんですけれども、大臣、どのようにお考えになられているか、大臣からお答えください。

小野寺国務大臣 今、局長の方から、確定的なことを言うのは難しいというお話がありましたが、その上で申し述べれば、これは同じくイージス艦の例でありますが、イージス艦の場合には、一旦建造すれば三十年程度の運用をすることができる、そういう期間は一つの目安と考えておりますが、イージス艦は海の上で使うものですので、当然、海の上で使うものに比べて、陸上で使うものというのであれば、それはそれなりに一定期間稼働するものと考えております。

寺田(学)委員 ありがとうございます。

 三十年というのを一つの目安にし、初めてのものなので、それが上下するか、早まるか遅まるかというのはわからないという御答弁でした。

 それで、先ほど言ったとおり、効果のほどという論点もありながら、自治体との関係、候補地の選定ということの議論をしたいと思うんです。

 報道がかなり先行しています。その割に政府から全く説明がなされていないので、私の選挙区の秋田市、そして委員長の選挙区の中からもお声が出ているのかもしれません。

 選定のステップ、さまざま省内でも考えられていると思いますが、今、二つとも、出ているのは演習場で、自衛隊の持ち物のところです。全国各地いろいろなところ、候補地というか自衛隊の土地がありながら、二基と閣議決定していますので、どこかに絞り込み、そしてそこを候補地とすることを決定という段階があると思います。

 ある種、選考の段階とそして決定の段階があると思いますが、まず、全国にある自衛隊の土地から今回の候補地の選定というところの段階、決定には至っていないと過去に答弁がありますが、選考段階というものは終えましたか。

小野寺国務大臣 今回、イージス・アショアに決める段階で、どのぐらいの基数を持てば日本全国をカバーできるかという検討を技術的に行ったと報告を受けております。その中で、日本で二基置けば北海道から沖縄まで対応可能だ、そういう報告が来ているということで、今、二基ということで閣議決定をさせていただきました。

 そして、イージス・アショアを配置するに当たっては、地形や地質、電波環境等の調査や測量といった配備可能性の調査をあらかじめ実施し、防衛上有効な場所に確実に配備できるか否かを確認する必要があります。

 このような観点から現在検討を行っているところでありまして、その公表の時期などについて現時点でお答えすることは困難でありますが、現在御審議いただいている平成三十年度政府予算案においては、配置に必要な地質測量調査や施設の基本設計等のために必要となる経費を計上しているところから、配備場所に関する検討を可及的速やかに、適切な形で検討していきたいと思っております。

寺田(学)委員 直接的にはお答えになられていないので、角度を変えて申し上げますが、二基、二カ所ですよね。二カ所に置くことになりますよね、一カ所に二つ置くわけにはいかないですから。

 その場所二つに最終的には決まるわけですが、今、検討されている段階においては、その候補地となり得るところは二つ考えられているのか、二つ以上のものから絞り込もうとされているのか。どのような段階なのかを教えていただけますか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘になりましたように、最終的な配備地をまだ決めておりません。その上で、配備の候補地について部内で検討しているという段階でございます。

 配備地の検討に当たって、いろいろな観点を考慮しなければなりません。最も効果的に我が国を防護することができる場所がどこか。それから、可及的速やかに配備できるという観点も考えなければいけません。それから、より具体的に申し上げれば、レーダー、発射機等の構成品を設置するために一定程度広範な地積が必要でございます。そういう地積が確保できるか。あるいは、レーダーで監視する際に、これはレーダー波を出しますので、地形等が障害にならないか。そして、周辺住民に対する影響が生じないようにきちんと配置ができるか。

 こういった面を検討するわけでありますが、今、防衛省の中で検討している段階でございますので、その数について申し上げることは差し控えたいと考えております。

寺田(学)委員 大臣、報道の中で、秋田の新屋演習場、むつみ演習場が、各紙において、各報道局によって、予定地とされているという報道はお耳に入っていますでしょうか。

小野寺国務大臣 報道については承知をしております。

寺田(学)委員 昨年末からもう既に報道をされていますし、少なくとも、私の秋田市、秋田県においては、地元紙含めて大きな話題になっています。

 ここまで報道された上で、打ち消しもせず、肯定もせず、そして今、はっきりと、この国会の場で予算審議を通じて候補地を聞いても、お答えできない、何もお答えできないということ、その理由は何ですか、大臣。

小野寺国務大臣 これは、一つは、今この予算自体を御審議していただいているということなんだと思います。まだ予算のお認めをいただいていない中で、ここが候補で、ここで調査をしたいということを、むしろ、そういうことのスケジュール感というのは多分あるんだと思います。

 もう一つは、これは省内で技術的な面で検討を行っているということなんだと思います。

寺田(学)委員 何を言っているかわからないですね。

 話を進めますけれども、きょう、一枚だけ参考資料を配りました。同じ縮尺で、二つの今報道にのせられている候補地、どの報道社もこの二つです。新屋とむつみです。

 ちょっと白黒なのでわかりにくいかもしれませんが、上の方が秋田市の新屋です。真ん中に、ちょっと小さい文字で見にくいかもしれませんが、「陸上自衛隊新屋演習場」と書かれている、ゴルフコースの隣のところがありますけれども、川一本隔てると、会社であったり工場であったり、そして住宅地です。

 下のむつみはよくて、上の新屋はだめだなんて言うつもりはありませんが、かなり二つの候補地とされるところでの差異があることは写真を見ると一目瞭然だと思いますし、はっきり言って、住宅街が目の前です、この演習場は。

 大臣、行かれたことがないかもしれないので想像つかないかもしれませんけれども、恐らく何百メートルというところで一番近い住宅がありますし、秋田はかなり過疎が進んでいると言われながらも、秋田市のこの地域は、若い子供たちがかなりふえて、小学校の定員がぱんぱんのところもあるところです。よりにもよってこういうところが選ばれるのか。

 そして、多くのお子さんをお持ちのお父さん、お母さんを含めて、うちの近くに何かよくえたいのわからない、政府が何も説明してくれない、そういうものが来るのかということで、かなり不安を持つ方がふえているのが実情です。

 距離感でいうと、どうやって大臣に伝えるかを考えたんですが、大臣の気仙沼の御地元の大鍋屋旅館、あそこから気仙沼市役所ぐらいです。そこにイージス・アショアが設置されると今言われている状況です。恐らく、地元のことを想像されると、かなり話題にはなると思いますし、どうなっているんだということは多くの方から聞かれる状況は確かだと思います。

 ですので、冒頭申し上げましたが、私は、ミサイル防衛に関しては肯定的ですし、イージス・アショアを使うのかTHAADを使うのか、さまざまありますけれども、そこの検討というものを阻害するつもりもありません。

 ただ、先ほど、設置されるのは五年後ということでした。もちろん、可及的速やかに、一日でも早くという努力はしながらも、どんなに頑張ってもやはり五年後です。となれば、さまざまな地元の方々との協議というものを進め、説明を繰り返し、理解を得るという行動は必要だと私は思うんです。

 大臣、いいですか。地元の方々に、このように報道されて、うちの近くの演習場にイージス・アショアが来るかもしれないというふうになっている方々、不安になられている方、私も何人も見ています。そのような御想像はつきますか。

小野寺国務大臣 あくまでも報道でありますが、例えば地元の新聞等に出ている記事等も見させていただいておりますし、この報道に関して心配されている方々がいらっしゃるんだなという印象は持っております。

寺田(学)委員 その地元自治体の方々、これはまだ秋田に決まっていない、山口に決まっていないということですので一般論でも結構ですけれども、具体的に地元の方々にどのように理解を求める行動をされるのかを聞きたいんです。

 どのように理解を求めますか。

小野寺国務大臣 これは、最終的に、調査等を行う、そういうときになりましたら、その調査の候補地というのがおのずと決まりますし、その際は、地元の皆さんに御説明をし、理解を得る努力を丁寧にさせていただくことになるんだと思っています。

寺田(学)委員 今、結構大事なことをお話しされましたが、地元の方々に対する説明は候補地が決定をしてからするということですか。

小野寺国務大臣 今回の予算の中で、最終的にそこに設置ができるかどうかということは、例えば、さまざまな調査、特に地質調査等も必要になります。その地質調査で、可能かどうかということも一つの判断になりますので、その地質調査を行うというところになれば、その場所が決まったわけではなくて、その場所を地質調査の候補地として調査を行いたいということは、当然、御地元の方に説明をすることになるのではないかと思います。

寺田(学)委員 それでは、地質調査をする段階において地元の自治体に対して説明することはないということですか。地質調査をした上で、ここが候補地としてふさわしいとわかってから地元に調査するんですか。

小野寺国務大臣 ただいまの私の説明は、地質調査に入るということになれば、当然、決まったわけではありませんが、さまざまな中で、ここで地質調査を行いたいという形で地元に御説明をして地質調査を行うということになるのではないかと思うんですが、ちょっと、詳しくは局長の方から確認をさせたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 予算の中で、来年度、地質測量調査というのを積んでおります。これを実施するに当たっては、当然、この段階では、候補地というものを選定した上で、その調査をすることになると思います。あらかじめ、当該業務の契約に向けて、入札の公告等も行ってまいります。

 したがって、そのタイミングまでには、候補地に関する、現在やっておるわけですが、検討、それを進めまして、そのタイミングで、適切な形で地元にお伝えすることになるだろう、このように考えております。

寺田(学)委員 整理ができました。

 候補地というのは、今の言葉で言うと、地質調査を行う地ということですね。間違いなかったら間違いないでいいですけれども、前田さん、いいですか。

前田政府参考人 そのとおりでございます。今申し上げたのは、地質測量調査の実施に際しては、そこが候補地になるということでございます。

寺田(学)委員 ですので、地質調査を行います、言いかえれば、あなたのところが候補地ですということです、今の説明は。

 大臣、ここはどのように地元の方々の理解を求めるかですので大臣にお答えいただきたいんですが、地質調査候補地の決定の前に、地元の首長さん、知事さん、市長さんに説明するつもりはありますか、ありませんか。

小野寺国務大臣 まず、今回のイージス・アショアを配置するに当たっての前提となるのは、周辺の住民の皆様に影響が生じないようにすることというのが、当然、考慮の中身であります。

 そして、その中で、今、局長が言いましたように、地質調査をこの場所で行いたいという、そのことに関しては、当然、地元の皆さんに御説明をするということが前提ですので……(寺田(学)委員「前か後かを聞いています」と呼ぶ)前に行うということでよろしいんですよね。ちょっと、済みません、かなり技術的なことなので。

 私としては、当然、前のことだというふうに思います。

寺田(学)委員 候補地の決定の前に地元の方に説明をするという御答弁でした。

 技術的な問題ではなくて、これは、地元に対する理解を求める、政治としての行動の話です。ですので、技術的に、どういう耐用年数があるかどうかというのは政府参考人の方がお答えになられて当然ですけれども、どのように地元の方を説得するかというのは大臣のお仕事だと思います。

 地元紙に、ある方から投稿というかお話がありまして、ちょっと聞いてください。短いです。

 国内の適切な場所に一定の防衛機能は必要だと強調した上で、こうした問題は、地元が納得ずくで進めていかないといけない、地元への相談なしに配備を決めるというのは言語道断だというような声がありました。

 この声に、意見に関して、お考えはありますか。同じであるとか違うとか、いろいろあると思います。どうですか。

小野寺国務大臣 実は、その記事、私、多分、お話をされた方は私どもの大先輩に当たる方ではないかというふうに推察をしておりますが、いずれにしても、しっかり説明をして、御理解を得る努力をすることが大切だと思っております。

寺田(学)委員 我が郷土の大先輩の野呂田芳成元防衛庁長官が、先月に地元紙のインタビューにお答えになられました。

 与野党の対立、野呂田先生をもって与野党の対立の一つの側というのも私にとっては差し出がましい話なんですが、いずれにせよ、これは与党、野党どうこうじゃなくて、やはり地元に対して、地方自治体に対して、国の防衛という問題とどのようにして折り合いをつけていくのかということだと思います。

 なので、非常に大事ですので、先ほど御答弁されたことをもう一回確認したいんですが、候補地の決定の前に、知事ないしは秋田市長、秋田市長と言うとだめですね、当該地の知事ないしは市長と事前にお話をされるということでよろしいですよね。

小野寺国務大臣 野呂田長官は、北朝鮮の工作員に対して海警行動を発令した、大変国防に造詣の深い大先輩であります。

 私どもとしては、やはり地元の皆さんに理解を得る努力が大変重要だと思いますし、そのためには、やはりさまざまな調査をして、今後、地質調査に入りたいという場合になる時期、その調査に入る前に、当然、関係する自治体には説明をし、そして調査に入るということになると思います。

寺田(学)委員 ここは、私が一つの考え方を持っているというよりも、政府の考え方がどうなのかをお聞きしたいんですけれども、その際に二段階あると思います。

 今御整理いただきましたけれども、地質調査、いわば候補地ですと言われて、地質調査をさせてほしいと言う前に、知事でよろしいですか、市長でよろしいですか、お話を事前にされるということでした。

 その上で地質の調査をした上で、適合した場合においては、今度はそこに設置をする決定を政府としてされるとは思うんですけれども、どの段階でということをちょっとあえて申し上げませんけれども、その際において、地元の首長の了解というものは政府として求めたいと思っていますか、それとも了解は必要ないと考えられていますか。

小野寺国務大臣 これは、当該の場所が決まった場合の、自治体、そして当然その自治体が所属する県というところに対してしっかり説明をする必要があると思いますし、私どもとしては理解を得る努力をしっかりしていきたいと思っています。

寺田(学)委員 答えていないです。了解は必要ですかとお伺いしています。どうですか。

小野寺国務大臣 理解をいただくよう努力をしてまいります。

寺田(学)委員 ここは、ちょっとはっきりさせた方がいいと思うんです。

 地元の了解が必要だと考えていますか、それとも考えていませんか。そこは、説明を果たすことによって政府としての理解を得たと考えるのか、地元の首長さん、基本的には私は知事さんだと思いますけれども、知事が一定程度理解する、了解する、そういうことをもって地元の理解を得たと政府が捉えるのか。そこはまさしく大臣が御判断されることだと思っているので聞いているんです。

 もう一度お伺いします。決定の際に地元の知事の了解は必要でしょうか。

小野寺国務大臣 理解を得る努力を続けてまいりますし、もちろん住民の皆様にも、不安のないように、誠心誠意説明をしていきたいと思っています。

寺田(学)委員 きょう質疑をしている肝はここにあるので、はぐらかさずにお答えください。

 了解は必要だと思っていますか。理解を示してもらうことが必要だと思っていますか。そういうふうにして捉えますか。大臣としての、政治的に説明を果たした、理解を得たと考える上で何を基準にされるのかを聞いているんです。地元の知事の了解は必要でしょうか。

小野寺国務大臣 繰り返しますが、理解を得る努力をしっかりしてまいります。

寺田(学)委員 委員長、申しわけないです、余り難しいことを聞いているわけではなくて、地元の話ですし、政府がみずから言っている地元の理解を得るということは、何をもって理解を得たと考えるんでしょうかと。

 知事の了解じゃなく違うところにあるのであれば御説明いただきたいですし、知事のところ、市長のところにあるんだとすれば、どのような形になったら地元の理解を得たと政府は判断するのかということを聞いているので、ぜひともそこに絞ってお答えをいただくように、委員長のお取り計らいをお願いします。

河村委員長 小野寺防衛大臣、もう一度お願いします。

小野寺国務大臣 理解を得る努力を続けてまいります。(発言する者あり)

河村委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 小野寺防衛大臣。

小野寺国務大臣 おっしゃったような、地元の首長の理解と協力は必須なことだと思いますので、それが求められるよう努力をしてまいります。

寺田(学)委員 かみ砕いて質問しますけれども、地元の理解と協力が必須である、それを求めて頑張ってまいりますというような御答弁だったと思います。

 必須という言葉を使われましたけれども、とすれば、地元の理解と協力というものは必要である、それを示してもらう必要があるということですか。そういうことですよね。大臣、もう一回答弁してください。必須という言葉を使われましたので、何が必須なのかを言ってください。

小野寺国務大臣 地元の理解と協力が必須だと。何が必須かというと、地元の理解と協力ということです。

寺田(学)委員 その地元の理解を、どのように理解は得たと判断するんでしょうかということを聞いているんです。地元の理解が必須であるということの御答弁はありました。その地元の理解というものはどのように判断されるんでしょうか。

 一案として私が申し上げたのは、地元自治体の首長の了解でしょうかということを聞いたんです。違うんなら違うでいいです。そのとおりだというんなら、そのとおりだと思います。

小野寺国務大臣 ここでさまざま議論をしておりますが、現時点でまだ候補地が決まっているというわけではなく、どういう形で進めていくかということもわかりません。

 仮にそこまでお話をされるのであれば、まだその段階ではないので、仮定の段階でのお答えは差し控えさせていただきます。

寺田(学)委員 仮定という言葉は未決定という言葉だと思いますが、候補地が未決定であることは先ほど議論してわかっています。どのように理解を得るのかということは、別にそれは未定でも何でもないですよ、これから理解を求めるのは必須だと言っているんですから。

 どのように政府として、何があれば、地元は理解をした、必須と言われている地元の理解を得たと考えるんでしょうかということをさんざん聞いているんです。それは首長の了解でしょうかということを聞いているんです。

小野寺国務大臣 私どもは地元の理解を得るためにしっかり努力をしてまいりますという答えでありますし、そして、具体的に何がということに関しては、それは具体的な話になりますし、まだそこまで議論が進んでおりませんので、お答えは差し控えさせていただきます。

寺田(学)委員 先ほど大臣の方から、住民の方々のこともお話がありました。

 住民の方々に対して防衛省として説明をされるというお考えはあるでしょうか。

小野寺国務大臣 防衛省・自衛隊は、例えば、今、さまざまな地域で新しい駐屯地などを建設することを随時やっております。その際には、地元の首長への説明をし、理解をしていただき、そしてまた住民への説明をしております。日ごろ、私どもとしては、防衛省の装備、あるいは駐屯地を建設する場合には、そのような手順をとらせていただいております。

寺田(学)委員 そのような手順とイージス・アショアの調査ということは同じこと、同じジャンルのもの、同じ分野の対応と考えてよろしいですか。

小野寺国務大臣 例えば、陸上自衛隊の駐屯地の場合もあれば、航空自衛隊のレーダーサイトの場合もあれば、さまざまな自衛隊の施設を建設しますので、当然、何をつくるかというところで、説明をどういう形で行うか、それはさまざまになるんだと思います。

寺田(学)委員 答弁がずれたんですけれども、地元の住民の方々に御説明をされる予定はありますか、このイージス・アショアの調査に関して。

小野寺国務大臣 まだ具体的にどこにということが決まっているわけではありませんので、具体的なスケジュールが見えてきましたら、そういうことも含めてしっかり対応していきたいと思っています。

寺田(学)委員 しっかり対応するということは、住民の方々に説明されるということでよろしいですか。はっきり言ってください。

小野寺国務大臣 これは、イージス・アショアの施設のみならず、自衛隊のさまざまな駐屯地を建設する場合には、当然、地元の皆様にも説明をさせていただいております。

寺田(学)委員 のみならずということなので、わかりました。

 一点、大臣が、今も言われていますし、さきの参議院の中で宇都委員からの質問の中にも、地元の御協力というような言葉を、先ほども必須という中の一つとして言われましたが、地元の御協力というのは具体的にどういうことなんでしょうか。

小野寺国務大臣 これは、実際に候補地が決まり、そしてまた御理解を得る、そういう中でどういう協力をいただくかということは決まってくるものではないかと思います。

寺田(学)委員 地元の方の何かしらの協力というものが起こり得るというか、求められることが起こり得るんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 まだ候補地を決めておりませんので一般論になりますけれども、自衛隊の部隊、施設等を配置いたしますと、当然そこに人間が、隊員が一定の数配備をされるということになります。そういう場合に、その配備された町で暮らす、こういうことも起こってまいります。さまざまな形で地元の共同体、自治体と接触を持っていくわけであります。

 そういうことも含めて、さまざまなことをお願いする、そのことが協力の一つの例であろうかと思います。

寺田(学)委員 時間なので終わりますが、野呂田先生が言われているとおり、こうした問題は地元の納得ずくで進めないといけない、地元への相談なしに配備を決めるというのは言語道断だと、かなり強い言葉を使われています。私はそのとおりだと思います。

 どれだけ急いでも五年前後ということであれば、さまざまな選択肢というものは想像し得る、交渉し得る問題だと思っていますので、さまざまなことを住民の方々と、そしてまた自治体の首長さんの方々との意見を踏まえた上でお考えいただきたいということを申し上げて、終わります。

河村委員長 これにて寺田君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党所属、無所属の会の福田昭夫でございます。

 きょうは、アベノミクスの問題点と平成三十年度の予算案の重点政策の考え方について政府の考えをただしてまいりますので、担当大臣におかれましては簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、アベノミクスの問題点について、茂木大臣にお伺いをいたします。

 一つ目は、旧三本の矢の基本的な問題点についてであります。

 御案内のとおり、旧三本の矢は、第一の矢が大胆な金融政策、第二の矢が機動的な金融政策、第三の矢が民間需要を引き出す成長戦略と言われてまいりましたけれども、私は、第一の矢と第二の矢は逆で、デフレを脱却するためには、大胆に行うのが財政政策で、機動的に行うのが金融政策だと、当時の甘利大臣と議論をしてまいりました。

 既に五年たって、アベノミクスは物価安定目標二%の達成もできませんし、それからプライマリーバランスの黒字化も先送りということでありますが、茂木大臣はどう思われますか。

茂木国務大臣 安倍内閣は経済再生に最優先で取り組んでまいりまして、大胆な金融政策、そして、委員、機動的な金融政策というお話でしたが、多分、機動的な財政政策のことだと思いますが、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢の政策を一体として取り組んできたところであります。

 特に財政政策につきましては、その時々の経済情勢に鑑みまして、例えば、平成二十五年一月には、日本経済再生に向けた緊急経済対策、これが国費で十・三兆円であります。さらには、好循環実現のための経済対策、これが平成二十五年の十二月で、国費が五・五兆円。さらに、地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策、二十六年の十二月で、国費で三・五兆円。さらに、未来への投資を実現する経済対策、二十八年の八月でありますが、国費六・二兆円と、累次の経済対策を行ってきたところであります。

 このような政策に取り組んできた結果、日本経済は間違いなく改善をしております。

 五年にわたりますアベノミクスの推進によりまして、名目GDP、これは過去最高の五百四十九兆円、そして実質成長率は七四半期連続のプラス成長、企業収益も御案内のように過去最高の七十五兆円を記録しているところであります。一方で、これはアベノミクスの成果でもあるんですが、需給ギャップが縮小して、直近ではプラスに転じているわけであります。

 こんな意味で、今、日本経済の最大の課題、これは、少子高齢化という壁を乗り越え、サプライサイドの改革を通じて潜在成長率を引き上げていくことだ、このように考えております。

 そのために、生産性革命、これを断行することにいたしました。

 具体的には、平成二十九年度の補正予算に、中小企業の設備投資、これを支援いたしますものづくり・商業・サービス補助金、さらにはITシステム導入支援など一千五百億円規模の予算を盛り込み、また、平成三十年度の予算、税制改正を含めまして、大胆な税制、予算、規制改革、あらゆる政策手段を総動員してまいります。

福田(昭)委員 それは、今現象的にあらわれている成果の一部であって、とんでもない方向に進んでいるということをこれからお話をしていきたいと思っています。

 二つ目ですけれども、旧三本の矢の具体的な問題点についてであります。

 まず第一点、トリクルダウンがあることを前提としたことであります。

 トリクルダウンについては、よく竹中大臣が小泉政権時代に言っていた話でありますが、アメリカのノーベル経済学受賞者のスティグリッツ博士がトリクルダウンはないということを証明したにもかかわらず、相変わらず安倍内閣でもそのことを前提としてスタートしたことであります。

 さすがに、安倍総理もトリクルダウンがないことを国会で認めましたけれども、茂木大臣はどう思われておりましたか。トリクルダウンがあると思っておりましたか。

茂木国務大臣 安倍政権はもともと、トリクルダウン、こういう考え方で政策を進めているわけではございません。富める者が富めば貧しい者にも自然に富が滴り落ちる、これがいわゆるトリクルダウンの考え方でありますが、そういった政策を進めているわけではありません。

 我々が進めておりますのは、成長と分配の好循環を政策的につくり上げていくということでありまして、このために、成長戦略とともに、例えば最低賃金につきましても、この五年間で百円引き上げたところでありまして、今後も年率三%をめどに引き上げて、全国の加重平均、これで千円を目指してまいります。

 また、働き方改革、この中で、同一労働同一賃金、これを実現して、正規と非正規の所得格差をなくしていきたいと思っております。

 さらには、大企業と中小企業の関係、これを見てみましても、下請取引の適正化に向けまして、取引条件の改善、これを行っているところであります。

 さらに、先般閣議決定をいたしました新しい経済政策パッケージに基づきまして、低所得世帯、これを対象にした高等教育の無償化等々、実現をするようにしております。

 このように、政策的に成長の果実を分配することによって、景気回復の実感、これを国民に広く行き渡らせ、所得、消費の拡大、そして日本経済の持続的な成長につなげていく、これが安倍政権の基本的な考え方であります。

福田(昭)委員 茂木大臣の答えは、当初の旧三本の矢じゃなくて、今取り組んでいることの答えなので、これは大きな三番目で、三十年度の予算案の話で出てくる話で、ちょっと答えが先走っちゃっているんですが。幾らやってもうまいこといかないので、結局、所得の再分配、人への投資をやらなきゃ経済の好循環が出ないんだということがよくわかってきたという話なんです、今の話はね。

 それで、第二点、中長期的な計画がなかったことであります。

 当初は、中長期的な財政計画を備えた成長戦略、例えば五カ年の平成のニューディール政策のようなものがありませんでした。私が甘利大臣に当時、五カ年の平成のニューディール政策をつくるべきだと提案をいたしましたが、財政規律があるからできないと言われました。

 そういうことで、残念ながら、今まで累次の補正予算を組んできましたけれども、政府は、政権がかわった当初だけです、大型の補正予算を組んだのは。そのほかは、本当に、前年度の剰余金が出たとか、あるいは国債の利子が安くて済んだとか、そういったことで、ちょぼちょぼの補正予算を組んで今までやってきたというのが実態であります。

 そうした中で、このたび、国と地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化の目標も、結局、二〇二〇年度に黒字化は無理だということで、二〇二七年度まで先延ばしした。これでさえ達成できるかどうかわからないというのが今のアベノミクスの現状じゃないですか。いかがですか。

茂木国務大臣 福田委員とはいい議論ができている、そのような前提でお答えをさせていただきたいと思うんです。

 安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なし、この基本方針のもとで、毎年、成長戦略、こういったものも取りまとめております。そして、この成長戦略につきましては、具体的な計画を立て、そしてPDCAサイクルを回すということで、その評価を行い、また、ローリングをして更にバージョンアップをしていくということを行っております。

 同時に、歳出をどうしていくか、こういう計画につきましても、二〇二〇年度までの五年間を計画期間とする経済・財政再生計画、これを二〇一五年に作成いたしまして、経済と財政の一体的な改革、成長戦略、そしてまた、この経済・財政再生計画によって行っているところでありまして、これによりまして、経済成長を実現し、税収を上げ、また、財政健全化にも大きな道筋をつけてきたと考えております。

 具体的には、国、地方を合わせました税収は二十四兆円、現実に増加をいたしております。一方で、新規国債の発行額、これは六年連続、合計でいいますと十一兆円減少いたしております。それに、PBについてはまたこの後議論があるかもしれませんが、二〇一五年度のプライマリーバランス赤字半減目標も達成をしているところであります。

 一方、機動的な財政運営を行いつつも、日本への国際的な信認を確保して、さらには、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たすために、財政健全化を進めることも重要であります。

 委員の方から、この一月の中長期の試算に関しまして、PBの黒字の時期が二〇二七年、こういう御指摘をいただいたところでありますが、これは、歳出改革努力、これをまだ織り込んでいない、いわゆる自然体の状態でありまして、これにつきましては、しっかりこの夏までに、これまでの歳出改革の取組、こういったものを検証いたしまして、プライマリーバランスの黒字化を目指す、この目標を堅持しつつ、PBの現実的な黒字化の達成時期がいつになるのか、さらには、それを達成するために必要な具体的な計画、こういったものをお示ししたいと思っております。

福田(昭)委員 六月になるというのが残念なんですけれどもね。本当は、この予算の時期に出てくれば一番いい話なんですが。

 次、第三点ですけれども、金融政策と財政政策の効果の違いを読み違えたことだと思います。

 金融政策は、幾ら緩和しても、マネタリーベースを幾ら大きく拡大しても、借りて使ってくれる人が、あるいは借りて使ってくれる企業がなければ効果は限定的であります。しかし、財政政策は、国が予算を組めば、国が直接使う、あるいは都道府県や市町村、民間企業、個人等を通じて、多分、九〇%以上は国内で使われる。その効果は大きいと思いますが、この効果の違いをアベノミクス推進論者は全く読み違えている、私はこう思っておりますが、茂木大臣はどう思われますか。

茂木国務大臣 我々は、先ほども申し上げましたが、三本の矢を一体的に進めるということでありまして、大胆な金融緩和、そして機動的な財政政策、さらには民間投資を喚起する成長戦略、どれがよくてどれが悪いというよりも、それぞれ重要で、しっかり進めていかなければいけない、こんなふうに思っております。

 中でも、日本銀行によります大胆な金融緩和、それは、これまでの固定化していたデフレマインドの払拭につながっているのは間違いないと思っておりまして、企業収益が上がる、それによって、なかなか賃上げを戸惑っていた企業も、二%程度の高い賃上げを四年連続で実施をしているところでありまして、消費にも持ち直しが見られる。間違いなく、デフレではないという状況が生まれておりますし、局面の変化が見られてきている、このように考えております。

福田(昭)委員 安倍総理も、よくデフレではない状態になったと言っておりますが、やはり物価が下がり続けている状況はデフレなんですよね、何と言おうとも。茂木大臣も、そうだと言ったら閣内不一致になっちゃいますから、言えないことはよくわかっておりますけれども。

 それでは、第四点でありますが、金融政策の副作用の大きさを認識していなかったのではないかと思っています。

 論語に、過ぎたるはなお及ばざるがごとしという教えがありますけれども、今回の異次元の金融緩和はやり過ぎで、その副作用の大きさにびっくりしたり心配している専門家がたくさんおりますけれども、茂木大臣は心配しておりませんか。

茂木国務大臣 論語の言葉については、拳々服膺し、よく私も存じ上げている、そういうつもりであります。

 その上で、財政健全化につきましては、先ほど申し上げたように、その旗を決しておろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指す、こういった目標はこれからもしっかりと堅持をしてまいる。そして、その目標に向けまして、この夏の骨太方針までに、きちんとこれまでの取組を検証して、今後どういった取組が必要か、こういった具体的な計画を伴った、PBの黒字化をいつ達成できるか、この時期も含めてお示しをしたいと考えております。

福田(昭)委員 ぜひしっかりとした計画を立ててほしいと思っていますが。

 弁護士の明石順平さんが、最近、すごい本を出しました。「アベノミクスによろしく」というんですよ。これはすごくいい本なんです。私も読ませていただきましたけれどもね。アベノミクスは戦後最悪の経済政策だ、日銀が金融緩和を今やめても、これから続けても、結果は同じだと。要するに、過ぎちゃったんです、やり過ぎちゃった。ですから、いずれ国債が暴落をし、株も円も暴落する可能性が非常に高まっている、こう言っておりますが、こういう心配を全くしておりませんか。

茂木国務大臣 私、まだ明石先生の本を拝見しておりませんで、福田先生がそれだけ御推薦でありましたら、一度拝見もしてみたいと思っておりますが、さまざまな意見、それは、経済分析をされている方、マーケットの方、こういった意見も謙虚に受けとめたいと思っております。

 そして、金融資本市場を始め、さまざまなリスク要因というものはあるわけでありまして、そういったものを注視しながら、しっかりした経済財政運営、これに努めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 六月に向けて財政健全化の計画を立てるというんですが、ぜひ、私も、そうならないように、五日の予算委員会では安倍総理に方針転換をお勧めしました。本当にこれは、それこそ、ヘッジファンドをやっているアメリカの投資家、ジム・ロジャーズの言葉を申し上げました、過度な円安政策は間違いだと。

 あのとき一ドル八十円を百二十円にしたわけです。五割も安くしたわけですよね。そして、今はいいが、やがてツケが回ってくる、自分の国の通貨をこんなにおとしめて、安くして繁栄した国はない、安倍総理はやがて日本を破壊した男としてその名を歴史に刻まれるだろうとジム・ロジャーズが言っているわけですね。だから、安倍総理もそうならないように、ぜひ方針転換すべきだというお勧めをいたしました。

 ですから、ぜひ、そういった意味では、経済再生担当大臣とすると、やはりここは慎重に私は見きわめる時期じゃないかな、こう思っております。

 それでは、きょうは黒田総裁にもおいでいただいておりますので、黒田総裁の方に質問をしたいと思います。

 三つ目、異次元の金融緩和の現状と問題点について黒田総裁にお伺いをしたいと思います。

 第一点は、マネタリーベースと日銀の当座預金残高の現状と今後についてお伺いをしたいと思っております。

 現在、マネタリーベースは幾らぐらいで、当座預金残高は幾らぐらいなのか、そして、今後はどうしようとしているのか、教えていただきたいと思います。

黒田参考人 本年一月のマネタリーベースの平均残高は四百七十七兆円、日銀当座預金の平均残高は三百六十八兆円となっております。

 御案内のとおり、現在、日本銀行は、長短金利の操作によって実質金利低下の効果を追求する、いわゆるイールドカーブコントロールというものを政策枠組みの中心に置いて金融緩和を推進しております。こうした金融緩和政策のもとで長期金利は安定的に推移しておりまして、銀行貸出しやマネーストックも増加を続けるなど、極めて緩和的な金融環境が実現をしております。

 実体経済の面でも、企業収益が過去最高水準で推移し、労働市場はほぼ完全雇用の状況にございます。

 日本銀行としては、今後とも、二%の物価安定の目標の実現に向けて、現在の強力な金融緩和を粘り強く進めていく方針でございます。

福田(昭)委員 今お話がありましたが、マネタリーベースは平均で四百七十七兆円、日銀の当座預金が三百六十八兆円ということでありますが、ということは、お金を日銀が国債を買っていっぱい出しても、印刷をしていっぱい出しても、約四分の三は日銀の当座預金に実は眠っているということなんですね。市中に出回っていないということですよ。当座預金に眠っているんですよ。ですから、金融緩和の効果は限定的だというのは、こういう意味もあるんですよ。

 まさに、出したお金は市中に出回っていないんですよ。金融機関だって、もうけが欲しいから、日銀の当座預金に積んでちゃんと付利をもらうわけですよ、〇・一%つくわけですから。ですから、こんな金融緩和をやっていて、これ以上続けてどうするのかということであります。

 このことについては日銀の中立性もありますから聞きませんけれども、大変な状態にあるということであります。

 最初は一ドル八十円が百二十円になりました。しかし、今は、さらに金融緩和を続けても、百十円前後を行ったり来たりじゃないですか。ですから、効果は、この円安に対してだってどんどんどんどん縮まってきているというのが現実であります。

 第二点でありますが、日銀が保有する国債、ETF及びJ―REITの現状と今後についてであります。

 現在保有する国債、ETF及びJ―REITは幾らぐらいなのか、そして今後それらをどうしようとしているのか、お伺いをしたいと思います。

黒田参考人 本年一月末時点で、簿価ベースで申し上げますと、日本銀行の長期国債の保有残高は四百二十四兆円、ETF保有残高は十八兆円、J―REIT保有残高は四千五百一億円となっております。

 このうち、長期国債について申し上げますと、先ほど申し上げたとおり、日本銀行は、イールドカーブコントロールの枠組みのもとで、長期金利の操作目標である十年物国債金利がゼロ%程度で推移するように買入れを行っております。その結果として、実際の買入れ額は金融市場の状況に応じてある程度の幅を持って変動することになります。先行きにつきましても、長期金利の操作目標をしっかりと実現するように適切に運営していく所存でございます。

 なお、ETFやJ―REITの買入れは、これは長短金利操作つき量的・質的金融緩和の枠組みの一つの要素として、リスクプレミアムに働きかけることを通じて、経済、物価にプラスの影響を及ぼしていこうという観点から実施しているものでありまして、これまでのところ、大きな役割を果たしておるというふうに思っております。

 今後とも、その保有残高がそれぞれ、年間約六兆円、年間約九百億円に相当するペースで増加するよう買入れを行っていくというのが現在の方針でございます。

福田(昭)委員 国債も事実上、最近になって財政ファイナンスの役割を果たしている。それから、日銀がETFを買ったりしておりますけれども、これもやはり年金基金の株買いですね。株高を維持しているのが日銀であったり年金基金であったりという状況でありますから、まさに異常な状態になっているということだと思います。

 第三点でありますが、第三点は、マイナス金利の現状と今後についてであります。

 当座預金のマイナス金利の現状は幾らまでとなっているのか、そして今後どうしようとしているのか、教えていただきたいと思います。

黒田参考人 昨年十二月のいわゆる積み期の平均残高を見ますと、当座預金三百五十四兆円のうち、マイナス〇・一%のマイナス金利が適用される預金残高は二十五兆円となっております。

 先ほど来申し上げていますとおり、日本銀行は、短期金利をマイナス〇・一%、十年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針のもとで、イールドカーブの起点が適切な水準で推移するように、短期金融市場における取引の動向あるいは当座預金全体の増減を踏まえまして、マイナス金利が適用される預金残高の額等を調整しているわけでございます。

 その結果、御指摘のマイナス金利の適用残高は、季節要因などによる若干の振れはございますけれども、おおむね二十兆円台で安定的に推移しております。

 今後とも、長短金利操作つき量的・質的金融緩和の枠組みのもとで、当座預金制度を適切に運用していく所存でございます。

福田(昭)委員 マイナス金利の枠が、当初十兆円から始まって今は二十五兆円ぐらいだというんですが、今や銀行や保険会社などは利益が出ずに経営が大変苦しくなっております。

 金融庁は、地銀にも一生懸命統廃合を今勧めておりますけれども、本当に相当収益が悪くなっている。それこそ、山一証券やあるいは拓殖銀行が破綻したことがありますけれども、このアベノミクスによって、異次元の金融緩和によって、そんなことがあったらとんでもないことになるということで、大変心配をいたしております。

 第四点でありますが、出口戦略についてであります。

 黒田総裁はいまだに出口戦略について封印しているようでありますが、任期が四月までとなる中で、やはり何らかの発言が必要なんじゃないかと思っておりますが、出口戦略を持っているのか持っていないのか、それとも言えないのか、お答えをいただきたいと思います。

黒田参考人 御案内のとおり、最近、欧米の中央銀行が金融政策の正常化を進めるということもありまして、日本銀行も現在の量的・質的金融緩和の出口戦略について検討すべきではないかといった意見があることは、委員御指摘のとおりであります。

 実際、我が国の景気は、米欧と同様、順調に改善しております。ただ、物価の面では、米欧の場合、既に前年比が一%台半ばの伸びになっているのに対しまして、我が国の消費者物価の前年比は、エネルギー価格の寄与を除いてみますと、小幅のプラスにとどまっております。

 このように、二%の物価安定の目標の実現までにはなお距離があることを踏まえますと、いわゆる出口のタイミングあるいはその際の対応を具体的に検討したり、お示ししたりする局面には至っていないというふうに思っております。

 日本銀行としては、引き続き、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく、進めていくということが日本経済にとって必要であるというふうに考えております。

福田(昭)委員 これは、去年の五月十六日、二〇一七年の五月十六日のエコノミストが特集を組みました。「日銀が国債を売る日」という特集であります。国債暴落と物価高騰、この二つのリスクが出口を狭める、時間がたつほどリスクが増し、かじ取りの足かせが重くなると言っております。

 黒田総裁、大変失礼な言い方をいたしますが、もし出口戦略がないのであったら、黒田総裁に、こうやってきちっと国債とかETFとか売り抜く、それこそ昔の高橋是清大蔵大臣みたいに、もっとも、こっちは麻生大蔵大臣になるのかもしれませんが、財務省と日銀と、しっかり経済企画担当大臣と連携をとって、そうしたことができるなら別ですけれども、もしそうしたことができないのであったら、大変失礼な言い方でありますが、先日、岩田副総裁が三月でもうやめるというふうにみずから言っておりますが、私は、黒田総裁もこの際やはり身を引かれることが、御勇退をされることが一番だとお勧めをしたいと思います。それが、日本のため、国民のため、そして、黒田総裁、あなた自身のためだと私は思いますので、ぜひそういうお勧めをさせていただきます。

 当然、返事は要りません。後で行動で判断をさせていただきます。

 では、黒田総裁、ここで私の質問を終わります。

 では、委員長、もしあれでしたら。

河村委員長 どうぞ御退席ください。御苦労さまでした。

福田(昭)委員 それでは、次に、民進党の経済政策、人への投資について、茂木大臣に簡単にお伺いをします。

 時間がなくなってきましたので、簡単にいきたいと思いますが、一つ目は、就学前から大学まで、教育の無償化を推進するということであります。

 皆さんのお手元にこういう資料があるかと思いますが、これは、民進党が二〇一七年、去年の三月に発行した資料でございます。実際はこういう小冊子でありますけれども、この中で、実は、就学前教育の無償化、学校給食の無償化、子供たちを区別しない高校無償化、大学の学費の大幅減免、無利子奨学金の拡充等とありますけれども、こうしたことに取り組めば、保育への投資の経済効果が二・三倍、高等教育の投資による財政効果が二・四倍にもなりますよという話であります。

 茂木大臣はどう思われますか。

茂木国務大臣 私が通いました小学校に二宮尊徳像がありまして、その像を見るたびに、まきを背負って、そして本を読みながら立っている姿というのを思い出すところでありますが、少子高齢化という壁を乗り越えて、日本の潜在成長率を引き上げていく観点から、教育の無償化を始め、一人一人の人材の質を高める人づくり革命に取り組んでいるところであります。

 そうした考えにつきまして、呼び方については、旧民進党の皆さんと言ったらいいのかどうかわかりませんが、共通の認識を持っていただけるならば、大変ありがたいと思っております。

福田(昭)委員 いや、私どもから言わせてもらえれば、民進党の政策を政府が取り入れた、こういうふうに私は思っているんですが、そういう意味では、子育て環境、教育に対する考え方がだんだん与野党一致してきたのかな、こういうふうに思っているところであります。

 次、二つ目ですけれども、二つ目は、誰もが能力を発揮しやすく、仕事と家庭を両立できる社会にということであります。これは資料の四です。

 これは、ライフスタイル、働き方に中立な税制、育児休業手当の一〇〇%支給・パパクオータ制の導入、長時間労働の解消、同一価値労働同一賃金の確立などを実施してワーク・ライフ・バランスに取り組むことで、企業の生産性が、ほとんど何もしないよりも、全般的にワーク・ライフ・バランスに取り組めば二・二七七倍だとか、育児・介護支援でちゃんとやれば二・五四倍に向上する、こういう話でありますが、茂木大臣はどう思われますか。

茂木国務大臣 人材への投資について、別に、どちらが先でどちらが後だ、こういう議論をするつもりはありませんし、共通認識ができればいいと思っているんですが。

 教育の無償化、我々も今に、議論を急に始めたわけではなくて、二〇一二年、我々が政権復帰しますときの与党の政権合意にもこの教育の無償化を盛り込んでございます。

 さらに、自民党でも二〇一二年の初めに、私が当時政調会長でありましたが、人生百年時代制度設計特命委員会、これを設置いたしまして、全世代型の社会保障の実現について議論し、報告も取りまとめております。

 この提言の中には、幼児教育の無償化を含みます子育て対策の一層の充実、こういった項目が中心になっているわけでありますが、この提言を受けて、政府では昨年の九月に、人づくり革命を断行するため、総理を議長、そして私が議長代理を務めます人生百年時代構想会議で取りまとめたところであります。

 生産性の向上、恐縮です、短くやります、生産性の向上、個々人のレベルでも、ライフスタイルに応じた多様な働き方を選択できるようにするとともに、みずからへの投資であったり、キャリアアップ、キャリアチェンジを主体的に進めていくことで、一人一人の人材の生産性を高めることが重要だと考えております。

 さらには、最後です、ワークバランスの改善には、長時間労働の是正によって、女性や高齢者も仕事につきやすくなり労働参加率が高まるという効果があると考えております。

 また、企業がワーク・ライフ・バランスを改善するに当たりましては、従業員にどのように働いてもらうか意を配るとともに、IT投資であったりロボットなどの省力化投資を進めることによって労働生産性の向上を図ることもできると考えております。

 こういった観点も踏まえまして、時間外労働の上限規制の導入であったりテレワークの普及など、働き方改革関連施策を政府一体として進めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 時間がなくなっちゃいますから。

 一番最後のページをごらんいただきたいと思いますが、人への投資の財源を確保というのが書いてあります。ここの歳入の中に、消費税率の八%から一〇%引上げ分のうち一%分を教育の無償化に充当、こう書いてあるんですね。これは、安倍総理は、昨年の選挙で、このとおりじゃありませんが、実はこれを上手に使ったんですよね。歳出は、今申し上げたようなことがいろいろ書いてあります。

 時間がありませんので、今、労働生産性を上げるための話がありましたので、これはもう回答をもらう時間はないと思いますが、実はドイツでは大変な法律があるんですね。一日十時間を超える労働が禁止されているんです、茂木大臣。働き方では、やはり、一日十時間以上働いちゃだめだという法律があれば、生産性も確実に上がりますよ。これはもう回答は要りませんけれども、我が国もそういうことをやるべきだと思います。

 終わりに、アベノミクスがスタートして五年がたちましたけれども、その結果、先ほどからたくさんお答えいただきましたけれども、よくなった指標もたくさんあることは確かです。しかしながら、物価安定目標二%も、プライマリーバランスの黒字化も達成できませんでした。それよりも何よりも大きいのは、余りにも拡大してしまった金融緩和、異次元の金融緩和の出口がないということ。

 これで一番私が心配しておりますのは、もし、明石順平氏が言うように、国債が暴落したり、株が暴落したり、円が暴落して財政が実質的に破綻したとき、そのときは、太平洋戦争に負けた七十三年前と同じように、せっかく日本人が働いてきて、ためてきたお金、個人金融資産千八百兆円、これが紙くずになってしまうおそれがあるんですよ。こうなることを私は一番心配しております。そうなりましたら、まさに、少子高齢化、人口減少時代を乗り切るための財源がなくなってしまいます。

 そうならないように、やはりここはしっかりと異次元の金融緩和は見直すべきだということをお伝えして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて福田君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず冒頭、福井県を始め日本海側を中心に、記録的な積雪が続いております。亡くなられた方々に、心からの哀悼の意を申し上げます。そして、被害に遭われておられる皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。政府には、住民の皆様の生活を確保するため、生活道路あるいは災害弱者の方々へのきめ細かい支援など、万全の対策を求めたいと思います。

 それでは、リニアの関連工事入札談合疑惑について伺いたいと思います。

 まず、公正取引委員会にお伺いをしたいというふうに思うんです。

 このリニア中央新幹線は、九兆円以上にも上る今世紀最大の事業で、品川―名古屋間は五・五兆円、そして、安倍政権が国家的プロジェクトと位置づけ、三兆円もの財政投融資、公的資金を投入し、そして、不動産取得税や登録免許税の非課税措置を行うなど、強力に推進してきた事業でございます。

 このリニア関連工事の入札をめぐり、大手ゼネコンが談合をした疑いが強まったということで、名古屋市の名城非常口の工事を発端に、東京地検特捜部そして公正取引委員会が、大林組の本社、そして大成建設の本社、鹿島建設、清水建設、スーパーゼネコンと呼ばれる四社に家宅捜索を行う事態となっております。

 報道では、大林組、清水建設が独占禁止法に違反したと認めたという報道がございます。

 そこで、公正取引委員会にまず確認をさせていただきますけれども、入札談合というものはどういう犯罪なのか、そして、たび重なる談合、ゼネコンによる談合決別宣言などの経過がございますけれども、談合を起こさせないための防止措置強化、どういうことを行ってきたのかというのを御説明いただきたいと思います。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 独占禁止法は、我が国における公正かつ自由な競争を促進すること、もって一般消費者の利益を確保するということを目的としております。

 入札談合はこの独占禁止法に違反する行為でございまして、価格、品質での競争を通じて本来得られるべき発注機関の利益を損ない、ひいては納税者である国民や消費者の利益を損なう行為でございます。独占禁止法の中でも最も悪質な行為の一つと認識しておるところでございます。

 公正取引委員会としては、そのような行為に対して厳正かつ積極的に対処しているところでございまして、こういった違反事件に対処することによって、企業のコンプライアンスと申しますか、談合防止につながることを目指しているところでございます。

 入札談合の独占禁止法違反行為に対する抑制強化の観点から、平成十七年には、入札談合等の不当な取引制限に対する課徴金算定率の引上げ、違反行為を繰り返した事業者に対する課徴金割増し制度の導入、違反行為に係る情報を集めやすくするための課徴金減免制度の導入、犯則調査権限の導入、こういったことを内容とする独占禁止法の改正が行われております。

 また、平成二十一年には、入札談合等の不当な取引制限において主導的な役割を果たした事業者に対する課徴金割増し制度の導入、不当な取引制限に対する罪に対する懲役刑の引上げ等を内容とする独占禁止法の改正も行われております。

 こうした行為によりまして、独占禁止法の執行力を高めることによって予防措置効果を高めるということを目指しているところでございます。

 さらに、公正取引委員会では、各種の機会を捉えまして、独占禁止法の普及啓発行動にも取り組んでおりまして、違反行動の未然防止にも取り組んでいるところでございます。

本村委員 重大な犯罪行為なんだということをおっしゃっていただいたと思います。

 次に、国土交通大臣にお伺いをしたいと思います。

 相次ぐ談合事件が起きて、ゼネコン各社は談合決別宣言も出しているわけですけれども、これまでも談合が繰り返されてまいりました。二度と起こさせないということで、国交省としても対策をとっていると思いますけれども、経過も含めて端的にお答えをいただきたいと思います。

石井国務大臣 談合などの不正行為は、あってはならないことと認識しております。国土交通省では、これまでも入札制度改革等に取り組み、不正行為の排除の徹底を図ってきたところであります。

 具体的には、国土交通省発注の公共工事における取組といたしまして、一般競争入札や総合評価方式の拡大、入札監視委員会の設置、指名停止の厳格化、内部通報制度の整備などの対策を講じてきたほか、公共工事、民間工事を問わず、不正行為を行った業者に対しまして営業停止処分の厳格化を図っているところでございます。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

本村委員 ありがとうございます。

 大手ゼネコンは、過去にも談合事件でたびたび摘発をされている、このため、業界そろって談合決別宣言を出すなど、入札のあり方を見直してきたはずだ、新たな疑惑が事実だとすれば、社会に対する大きな裏切り行為というふうなことを言われている事態でございます。

 資料一を見ていただきたいんですけれども、リニア工事の中で、ガイドウエーの関係の三つの契約以外の二十五件のリニア工事の契約内容を改めてまとめました。

 石井大臣にお伺いしたいんですけれども、国交省として、こうしたリニア工事の契約内容、ちゃんとつかんでおられますでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今、リニアに関する工事発注の状況は、委員が御配付になられた資料のとおりであると認識をしております。

本村委員 ありがとうございます。

 大林組四件、清水建設四件、大成建設四件、鹿島建設三件、会社ごとに色分けをさせていただきましたけれども、受注がきれいに分かれております。ここの色づけをした事業で談合疑惑があるわけでございます。

 リニア事業というのは今世紀最大の事業ということで、これだけ巨大な規模、巨大な額の事業で、大手ゼネコントップの四社の談合疑惑があるということでございます。

 事実だとすればとんでもないということだと思いますけれども、石井大臣、今度は大臣にお答えをいただきたいんですけれども、極めて重大な事態だという認識はございますでしょうか。

石井国務大臣 リニア中央新幹線の建設工事の受注において不正があったとされる件について、さまざまな報道がなされていることは承知をしております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、今後の捜査の進展を見守ってまいりたいと存じます。

本村委員 大臣、人ごとのような発言ですけれども、国土交通大臣が工事実施計画を認可したリニア事業で、そして国土交通大臣が建設業の許可をしたゼネコンによる重大な談合疑惑があるわけです。大臣が認可、許可したところで最大規模の談合疑惑が起きているというわけでございます。

 大林組が談合をしたと認めたという報道、そして大林組の社長が辞任をするという報道もございます。こういう話があっても、見守りたいとだけしか言われていないわけですけれども、所管の大臣として、しっかりと責任を果たしていただきたいというふうに思います。

 大林組が談合を認めたと大々的に報道されているわけですけれども、その疑惑の発端となっている大林組が受注をした名城非常口の工事はずっと続いております。おかしいという声がさまざまな方々から出されております。

 静岡県知事は一月十一日の会見で、大手ゼネコン四社の談合疑惑のことについて、実態が解明されるまで、大井川の水が毎秒二トン減るわけですけれども、大井川の水の減水対策にかかわる協定は結べないということを話し、JR東海との交渉をストップするという考えを示しております。

 談合疑惑が濃厚になっているわけですから、工事を一旦中止して、真実を、事実を解明するというのが筋で、これが国土交通大臣の責任なんだと思いますけれども、大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

石井国務大臣 委員御指摘の事案につきましては、現在、捜査当局等において捜査が行われている状況であります。国土交通省としては、その状況を見守っているところでございます。

 国土交通省としては、現時点において、工事を中止すべき状況であるとは認識をしておりません。

本村委員 談合を認めたという報道があるわけですから、しっかりと、国土交通省としても、建設業に関する所管をしている部署でもございますから、ぜひ調査もしていただいて、真実を明らかにしていただきたいというふうに思います。

 資料一をまた見ていただきたいんですけれども、談合疑惑が大きく報道された後も、ことしの一月十八日、資料でいえば二十一番目、番号を振ったところですけれども、東雪谷非常口の工事契約は行われております。一旦工事を中止をして、真相解明を行い、真相解明が終わるまで新たな工事契約はやらせないということを、大臣、しっかり指導するべきだということを求めておきたいと思います。

 角度を変えてお伺いしたいと思いますけれども、談合の重大性というのは先ほど御答弁いただきました。リニアというのは、普通の事業ではなく、三兆円もの巨額の財政投融資が行われている事業でございます。

 そこで、財務大臣にお伺いをしたいと思います。

 三兆円の財政投融資、リニア以外に使えるんでしょうか。

麻生国務大臣 リニア新幹線の整備事業の状況につきましては、これは御存じかと思いますけれども、資金の償還確実性を確保するという観点から、鉄道・運輸機構によってJR東海に対するモニタリングがやられているところだと思いますけれども、少なくとも、今言われましたように、そういったもの以外に使えるかと言われたら、使えません。

本村委員 リニア工事以外には使えないということを確認をさせていただきました。

 資料二を見ていただきたいんですけれども、これは三兆円の貸付要綱でございます。第二条の「資金の貸付対象」というのは、「中央新幹線のうち品川・名古屋間の建設に要する費用」ということになっております。三兆円はリニア工事にしか使えないというふうになっておりまして、この三兆円の公的資金が、談合疑惑の舞台となっているリニア工事に使われた可能性があるという問題でございます。実際に、個別工事ごとに公的資金がどのように使われたのかということを解明する必要がございます。

 もともと、リニアというのは、JR東海が自前で資金を調達するというふうに言っておりました。そこに三兆円の公的資金の投入という話が突如持ち上がり、実際に三兆円は既にJR東海側に行っているわけでございます。

 財政投融資というのはJR東海に直接貸付けができませんので、鉄道・運輸機構の法律の改定までしまして、そして、特別な仕組みまでつくって、鉄道・運輸機構を迂回して三兆円を貸し付けるということにしたわけでございます。

 参議院選挙の前の二〇一六年骨太方針に、リニアに財投という言葉が入り、そして、自民党の二〇一六年参議院選挙の公約に、五年で三十兆円の資金をリニア建設などに投じると書いて、安倍首相が先頭に、政権ぐるみで三兆円の投入を決めたということだと思います。この三兆円が、ゼネコンの食い物にされているという疑惑でございます。

 財務大臣、先ほど償還確実性のお話を少しされましたけれども、この法改正のときや、あるいは財投の問題で、この予算委員会で議論をさせていただきました。財務大臣は、償還確実性について、御自身が百歳まで生きられるかわからないからわからないという御答弁をされたわけでございます。財政投融資をしたお金が談合にかかわっている可能性があるわけでございます。

 財務大臣は、二〇一六年十月十三日の参議院予算委員会で、事業費が膨れ上がる、この可能性について、辰巳孝太郎議員の質問を受けたときに、こういうふうにおっしゃっております。先ほども少し言われましたけれども、「鉄運機構につきましても、これは毎年定期的にモニタリングを実施しておられますので、事業の進捗状況やその把握を行っておられるのであって、必要に応じてJR東海に対して指導、助言等は行っていきたいとは考えております。」と答弁をされました。

 麻生大臣、この答弁、間違いないでしょうか。そして、現時点で、三兆円の使い道を含め、工事契約の内容をちゃんとチェックされているんでしょうか。

麻生国務大臣 十月の十三日の話ですね、これは。間違いありませんね。

 この答弁に関しましては、国土交通省が鉄道・運輸機構を通じて事業の進捗状況というものを把握するという立場にありますから。意味わかりますね。(本村委員「はい」と呼ぶ)きょとんとされると、全然わかっていないんじゃないかと思って、もう一回説明しなきゃいかぬかと思ったので、済みません。

 鉄道・運輸機構を通じて事業の進捗状況の把握等を行っておりますので、鉄道・運輸機構からJR東海に対して指導、援助を行っていくということを申し上げております。私どもが、財務省が直接やることはできませんので。

 そういった意味では、財務省としては、引き続き、資金の償還確実性を確保するという観点から、我々としては、必要に応じて、国土交通省や鉄道・運輸機構から報告を受けつつ、適切に対応していくということであります。

本村委員 三兆円の財政投融資に関して、鉄道・運輸機構がチェックするから大丈夫なんだということを、安倍首相も麻生大臣も政府も言ってきたわけでございます。じゃ、本当に大丈夫なのかという点を問うていきたいと思っております。

 JR東海、リニアに三兆円、財政投融資をするために法改正の審議をした際に、私は質問をさせていただきました。個別工事についてちゃんとチェックするのか、一件一件の工事の予定価格、工事契約の内容、発注価格、工事の方法など精査するのかということを質問させていただきました。そのときに、国土交通省の鉄道局長は、個別工事について内容や予定価格ということでございますけれどもということで、鉄道・運輸機構は、必要に応じて確認を行うことかと思いますという答弁をしております。

 そこで、きょうは鉄道・運輸機構の理事長にも来ていただいておりますけれども、今、リニア工事について、個別工事全てについて、鉄道・運輸機構はしっかりとチェックをしてきたのか。そして、資料一を見ていただきますと、国民、住民の皆さんには、JR東海が発注した工事の部分は全て契約金額は非公表となっております。そういうところまでちゃんとチェックしているのか、御答弁をお願いしたいと思います。

北村参考人 お答え申し上げます。

 まず、私どもは、この資金のチェックにつきましては、先生今おっしゃっておりましたモニタリングですが、まず、貸付けを決定する際と、それからその後のモニタリングと、二つあるわけでございます。

 それで、先生も御提出なさっています貸付要綱にもちゃんと書いてございますけれども、貸付けの決定に当たっては、財務健全性だとか、それから、ちゃんと返ってきますよというのをチェックしてお貸しをした。

 今お尋ねの、個別の工事の内容や予定価格ですが、我々は定期的にもちろんモニタリングをやっておりますけれども、このモニタリングの目的は、確実に財投がJR東海から返ってくるかという償還確実性と、そしてその使途が、リニアの中央工事の建設に使われていますねということを確認をする、そういうことが我々の役割でございます。

 したがって、そういうことを実際に、三兆円出していますが、それを信託口座にも送っていますが、それと、実際の工事の内容だとか実績だとか、それから今後の工事の予定だとか、その事業の進捗状況だとか、そういうものを突合させて確認をしていっているわけでございまして、今御指摘の個別の工事の内容だとか予定価格でございますけれども、そういう確認作業の中で、必要に応じて確認をしております。

本村委員 ちゃんとやっているというお答えでしたけれども。

 ゼネコン四社が家宅捜索、二社が談合を認めたと報道があった後に、私がいただいた資料ではモニタリングを行っていないわけですけれども、ちゃんと談合疑惑についても一件一件チェックしたんでしょうか。

北村参考人 先ほど申しましたように、このお金は補助金ではございません、財政投融資でございます。したがいまして、確実に返ってくること、そして利率を含めた金利も返ってくることでございまして、したがいまして、私どもは、ちゃんと使われているかどうかを確認をしておりますが、その確認の中で、個別の内容についても必要に応じて確認しております。

本村委員 それじゃ、ちょっと曖昧なので確認をさせていただきたいんですけれども、一件一件の工事の予定価格、工事契約の内容、発注価格、工事の方法などもしっかりと精査をし、そして一件一件の入札調書などもちゃんとチェックされているんでしょうか。

北村参考人 何度も申し上げて恐縮でございますけれども、我々は、償還確実性だとか使途が厳格でちゃんとしたものであるか等を確認することが我々の役割ですから。

 したがいまして、一件一件が確認する必要があるときは確認しますし、全体の工事内容とか工事の実績を見て、それを突合するときに、更にさかのぼる必要があれば、必要に応じてチェックをするという役割でございまして、それ以上でも以下でもございません。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

本村委員 今の御答弁ですと、やはり一件一件の入札調書なども含めてちゃんとチェックしているということは言えないというふうに思います。

 先ほどお配りをいたしました資料の中で、貸付要綱七条を見ていただきますと、鉄道・運輸機構がチェックする項目が書かれておりますけれども、確認しましたけれども、やはり大ざっぱな数字しかチェックしていないわけでございます。一つの大きな事業が膨れ上がれば、償還確実性だってやはり低くなっていくわけでございます。

 財務大臣、三兆円について、鉄道・運輸機構がちゃんとチェックするから大丈夫なんだというふうに言われておりましたけれども、チェックをちゃんとしていないわけです。財務大臣がさっき言われていた答弁と違うと思いますけれども。

麻生国務大臣 JR東海という会社が償還を、鉄道何とか機構を通じて返してくるというシステムになっておるということでありまして、JR東海は今どれくらいの黒字が出ているかといえば、もう御存じのとおりです。少なくとも、JR東海のいわゆる格付というのは日本の国の国債より高い、みんな御存じのとおりなので、そういう会社に鉄道・運輸機構を通して金を貸しておるというのが実態です。

 したがいまして、私どもとしては、その鉄道の資金の償還確実性というものを、そこの会社の本体の部分というのと連結で上がってきますので、そこらのところの部分も十分に計算をした上でやらせていただいていると思っております。

 今申し上げましたように、鉄道・運輸機構より、JR東海に対するいわゆるモニタリングの結果の報告は受けておりますが、その中で、償還の確実性というものが引き続き維持されておるというように私どもは理解をしておりますし、そう報告も受けております。

本村委員 リニアは、当時の山田社長が言われているように、赤字の事業なんです。今JR東海の利益を支えている東海道新幹線からお客さんを移してやるけれども、赤字の事業だと。移すわけですから、東海道新幹線の利益だって減っていくんじゃないか、だからこそ、償還確実性の問題について私たちは指摘をしてきたわけでございます。

 まともなチェックもしていないということであれば、一つ一つの工事契約、入札の状況、チェックしていないというのであれば、それは、不正や談合に使ってくださいというふうに言っているということも言われるわけでございます。三兆円もの財政投融資を行ったという以上、その使い道について監視、監督するという責任があるのに、全く不十分だと言わざるを得ないというふうに思います。

 そして、伺いますけれども、直近五年間で、JR東海から鉄道・運輸機構に人事交流を行っていると思いますけれども、何人働いているか、お示しをいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十四年度以降におけるJR東海から鉄道・運輸機構への出向職員は、過去に在籍した者も含めた合計延べで十八名でございます。現在在籍している者は三名でございます。

本村委員 チェックされるJR東海の職員が、チェックする鉄道・運輸機構で働いているわけでございます。直近五年間で十八人もいる。逆の、鉄道・運輸機構からJR東海についての人事交流もあるわけでございます。

 そもそも、鉄道・運輸機構は、第三者性を持ってチェックをする機関ではない、人事交流があるから手心を加えているんじゃないかと疑念を持たれる体制なわけでございます。

 この三兆円の財政投融資の話は、平均〇・八%の超低金利のもので、返還は三十年据置き、その後の十年間で返済するということでありますけれども、財投でやったことがない異例中の異例のものでございます。そして、JR東海の利息負担というのは最終的に三千億円削減されるという中身で、本当に優遇だというふうに思います。

 使い道についてもまともにチェックをしない、厳しく監視をされない、そういう国のお金の貸付けが突如として骨太方針に書き込まれ、そして実行したのは一体誰なのかということが問われるわけでございます。その経過や背景についても解明が必要だというふうに思います。

 この問題は引き続き問うていきたいと思います。

 一番最初に議論をしたわけですけれども、談合は重大な犯罪であるということなんです。談合を防止するためのかなめ中のかなめというのは、透明性の確保、情報公開だというふうに思います。しかし、JR東海の柘植社長という方は、情報公開をやる気がないわけでございます。

 談合疑惑が大問題になっているときに、業界紙の方がインタビューをしております。契約額が非公表であるなど選定過程が不透明との指摘が出ていますというふうにインタビューをしますと、柘植社長は、ある工区の契約額を公開すれば各工区の契約の相場がわかってしまうということを言ったり、あるいは、応募企業を開示する考えはないというふうに述べておられます。

 秘密裏にやろうとしている、密室、不透明、情報が開示されない、それが談合の温床になるわけでございます。談合防止のためにもJR東海に情報を出させるべきだというふうに思いますけれども、国土交通大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

石井国務大臣 国等が発注、契約主体となるいわゆる公共工事につきましては、透明性を確保することが重要であることから、公共工事の入札や契約等に関する情報については、関係法令に基づき公表することとなっているところでございます。

 一方、リニア中央新幹線につきましては、民間企業であるJR東海が建設主体でありまして、JR東海が発注する工事については、公共工事の入札及び契約の適正化に関する法律の適用はないことから、工事契約額等の公表は義務づけられておりません。

 なお、この点は、公的資金を受け入れているか否かにかかわりがないことでございます。

本村委員 リニア工事は公共事業じゃないと言いますけれども、三兆円の公的資金、巨額の公的資金、財政投融資が使われ、そして、土地の強制収用だって行われる事業でございます。そして、土地の買収、交渉をやっているのは自治体の職員でございます。

 公共事業の場合、入札契約適正化法をつくって、入札調書などの情報も開示するようにいたしました。談合防止のかなめは透明性の確保と情報公開なわけですから、談合を防止するためにも、このリニア工事も公共事業として位置づけて、同じように扱って、情報公開の対象事業にするべきだというふうに思いますけれども、大臣、もう一度お願いしたいと思います。

石井国務大臣 先ほど答弁したとおりであります。

本村委員 私は、国会に当選させていただいて、初質問からこのリニアの情報公開を求めてまいりました。情報公開はしなかったということが談合疑惑の温床になっているのではないか。公共事業と同じように扱って情報公開させるべきだというふうに思います。

 情報公開は、憲法に保障された国民主権の土台でございます。情報が開示されて、そして情報に基づいて議論をして、よく熟考をして、そして結論を出していく、あるいはおかしいことは是正をしていく、これが国民主権の中身だというふうに思います。情報を公開しないということは、やはり国民主権にも反した事態だというふうに思います。

 リニアというのは、いろいろ情報公開をさせる理由があるというふうに思います。

 先ほど指摘をさせていただきました三兆円の財政投融資、そして土地の強制収用だってできる事業で、住民の方々を住んでいる土地から追い出すこともやるわけです。そして、土地の買収の交渉をやっているのは、実際には自治体の職員でございます。

 そして、リニアの技術を実用化するための技術開発ということに税金がずっと投入をされてまいりました。国有地だって、安く売却をされております。不動産取得税、登録免許税の非課税措置。

 あるいは、大深度地下法を使えば、地権者の方々の同意もとらず、補償もしないと。そして、ほかの地域でも、地権者の方々の同意もとらず、補償もとらないというところもございます。

 また、リニアのトンネルの上の地域の地価は下がる、そして高架の部分でも地価が下がると言われ、数々、地権者の方々の権利を侵害するわけでございます。

 国家プロジェクトとして、安倍首相、施政方針演説にも入れられましたけれども、情報公開をするというのは、最低限、当たり前のことだというふうに思います。工事を一旦中止し、談合疑惑の事実を解明していくこと、そして、リニア工事を情報公開の対象事業とすることを強く求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて本村君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳であります。

 まず冒頭、きょう午前中に災害特別委員会の理事懇談会が開催されて、私も参画させていただきましたけれども、北陸地方ほか、大雪。報道では、昼のニュースで、とまってしまっている台数が三百二十に減ったというようなニュースもございましたけれども、なおそういった台数がとまっている状況にあるということ。並びに、この連休の最終日、十二日にまた大雪が予定されるというふうにも聞いておりますので、我々、緊張感を持って当たっていかなきゃならないということを申し上げつつ、お亡くなりになった方々に御冥福を申し上げ、また、被災されている方にお見舞いを申し上げたく存じます。

 また、あわせて、台湾の花蓮沖で地震があって、こちらの方でも亡くなられた方がいらっしゃり、お悔やみ申し上げ、また、被災された方にお見舞いを申し上げたく存じます。

 それで、ちょっともう一つだけ。

 きょうもその理事懇で話合いがあったんですけれども、一部、灯油の供給が途絶えてしまうというような御家庭も、公明党さんからのお話だったですけれども、そういう情報があるということもありました。

 そんな意味でも、本当に緊張感を持って当たっていただきたいし、最善を尽くす必要があるということを申し上げたく存じます。

 私ども維新、日本維新の会は、提案型、前向き、よいものはよい、そして、四文字熟語で恐縮ですが、先憂後楽、率先垂範、有言実行を旨として当たっていきたいと思っていますが、きょうも多くの大臣にお運びいただいて恐縮ですが、丁寧に、しかし簡素に進めさせていただきたく存じます。

 まず初めに、外務大臣にお伺いをしたく存じます。

 ちょっと恐縮なんですが、ガンジーのお言葉を二つ紹介させていただき、ある意味でエールを送らせていただきたいと思います。ガンジーはこう言っています。

 あなたの夢は何か、あなたが目的とするものは何か、それさえしっかり持っているならば、必ずや道は開かれるだろう、これを一つ言われています。それから、マイライフ・イズ・マイメッセージということを言われています。

 これは国際平和研究学会の事務局長をされている児玉克哉先生から御紹介いただいたんですけれども、この言葉を河野大臣に贈りたいと思います。

 ここのところ、毅然と、中国に対して、あるいはロシアの北方領土での軍事演習に対して抗議をしていただいているかと思いますが、言うべきは言うという毅然とした外交を引き続き、岸田外務大臣もそうされておられたと拝察しておりますけれども、現大臣としてそういった形で当たっていただければとお願いを申し上げます。

 それと、あともう一つ、二つ紹介したいんです。

 マザー・テレサがいらっしゃいましたけれども、平和という言葉を非常に好まれ、逆に、戦争、例えば反戦という表現でも好まれなかったというふうに私は聞いております。そして、そういった類いの表現の会合には御出席されなかったというふうに聞いておりますが、そこで、ちょっと大上段に構えて恐縮ですが、中東和平についてお伺いをしたいと存じます。

 先般も、積極的に各国を回られている中で、中東において、イスラエルのネタニヤフ首相、そしてパレスチナのアッバス議長にお会いになっておられるかと思いますけれども、率直に、首脳との会談の成果あるいは今後の展望、こういったところをお伺いできるでしょうか。

河野国務大臣 昨年の十二月にイスラエル、パレスチナ、ヨルダンと訪問をいたしました。ちょうどトランプ大統領の声明の後でございました。

 パレスチナに対しては、アメリカ抜きの和平というのはなかなか難しい、やはりアメリカをしっかり関与させていかなければいけないというところを申し上げました。日本としては、二国家解決を全面的に支持をしている、また、イスラエル、パレスチナの両者が建設的にかかわっていくならば、日本はそれを全面的にバックアップしていくというようなことを申し上げました。

 イスラエルとヨルダンの間でさまざまな問題があり、あるいはイスラエルとパレスチナの間でもさまざまありましたので、ちょうどイスラエル、パレスチナ、ヨルダンと回りましたので、さまざまなメッセージを伝えていくという役割を果たしました。

 また、日本がジェリコで始めたJAIPプロジェクトの十周年、ようやく九社が操業を始め、いよいよ第二フェーズに行くということになりましたので、このプロジェクトについて、イスラエル、ヨルダンそしてパレスチナの、しっかりとした、今後もかかわり支援をするという約束をいただいて、第二フェーズをスタートさせたところでございます。

 こうした中東和平の当事者、いずれの国からも日本が信頼をされているというところをしっかりと再確認し、日本に対する期待の大きさというのも確認をしたところでございます。

 これから、引き続き、この中東和平に向けて、日本がしっかり関与し、できるところは支援をしてまいりたいというふうに思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 それで、今、イスラエル、ヨルダン、緊張感があるという直近のお話もいただきましたけれども、ちょっと、大臣が御就任前のときに中東に行かれて、その際に、私もたまたま、党は違いましたけれども、御一緒させていただくという機会が三年余り前にあったかと思います。

 その際に、私が非常に印象に残ったヨルダン国王からの提言といったものがあって、当時代議士でいらっしゃった、今も代議士でいらっしゃいますけれども、大臣になられる前の段階でしたけれども、その話は安倍総理にも伝えますよというようなニュアンスのお答えをされていたやに記憶はしておるんです。

 ちょっとODAについて次は質問したいんですが、例えばの話で、ベトナムで、ハノイとハロン湾の間が、私、数年前にプライベートで行った際は、でこぼこの道でした。しかし、直近、ベトナムに出ている会社さんから伺ったら、高速道路が整備されて、日本のODAなんだ、本当に感謝している、ベトナムも感謝しているよというお話がございました。

 ODAも効果的に使わなきゃいけないし、財政的な問題もあると十分私も認識しておりますけれども、その一方で、ヨルダン国王が、ヨルダン川西岸という言葉はよくありますけれども、ヨルダン川東岸の土地を拠出するから空港をつくってくれないかと。そして、空港については、それはイスラエルもヨルダンも、そしてパレスチナの方々も使える、そういう空港を整備したいと思うんだけれども、ぜひ考えていただけないかというお話があったかと思います。

 地球を俯瞰する外交ということで、ぜひともそういったところで、今お話がありましたけれども、アメリカを抜きにはしちゃいけないというお話もありましたし、やはりプーチン大統領のロシアも抜きにできないし、大国となった中国も無視できないし、英仏という国々もきちっとうまく絡ませながら、彼らのメンツなり立場を尊重していただきながら、しかし一方で、日本が主体的にその提言を受け入れて、日本が、本当に長い長い歴史で、中東の問題というのは横たわっているわけでございますけれども、そこに道を開くということが、私はヨルダン国王からのお話にはあったように感じておるんです。

 その点について、今、外務大臣となられて、ODAの活用とかそういった意味で、あるいは安倍総理との御相談の状況とか、言える範囲で結構なんですけれども、今後の展望、その可能性などについて御答弁いただければありがたく存じます。

河野国務大臣 二〇一四年の五月だったかと思います。おっしゃるように、ヨルダン国王からヨルダン川東岸に小規模な空港をつくれば、JAIPのプロダクトを国境を越えてヨルダンに持ってきて、そこからサウジあるいは湾岸諸国に物資を出せるではないかというお話がございました。

 それ以降、実は余りその件についてヨルダン側からフォローがなかったんですが、実は、数日前に改めてその話がありまして、質問通告をその後見たものですから、これは、杉本代議士がヨルダンの国王と何か話をされたわけですね。(杉本委員「いやいや、していません」と呼ぶ)そうではないんですか。いやあ、何か余りにタイミングがぴったりと合っていたものですから、ちょっと質問通告を見たときに、これは怪しいと正直思いました。

 実は、JAIP、先ほど申し上げましたようにフェーズツーになります。この第二フェーズの中では物流を円滑化しようということをうたっておりまして、JAIPからパレスチナとヨルダンをつないでいるアレンビー橋、キング・フセイン橋へ至るアクセス道路をまず整備する、これについても、パレスチナ、イスラエル、ヨルダンと話を進めております。また、そのアレンビー橋に附属をする税関その他、国境施設の機能拡張を今計画に落とし込んでいるところでございます。それがしっかりとできますとJAIPのものをヨルダン側にスムーズに物流を運べるようになりますので、そうしますと初めてこの東岸の空港の価値が出てくるのではないかというふうに思っております。

 杉本代議士の働きかけがあったかどうかは問いませんが、ヨルダン側から数日前に改めてそういう話がありましたので、その空港プロジェクトを視野に入れながら、この物流の円滑化をフェーズツーの中では大きな一つの目玉としてやってまいりたいというふうに思っております。

杉本委員 平和を希求する我が日本国としては、与野党問わず、平和をいろいろな角度から質疑になって、議論になってということかと思いますけれども、ぜひとも積極的にODAの部分でも御活動いただきたいとお願いを申し上げます。

 ちょっと時間がなくなってきたんですが、次に、北方領土。

 昨日、北方領土の日でございました。一八五五年の通商条約の絡みからきのうの日付が制定されているやに、北方領土の住民の方々から、今はロシアの方々ですけれども、高い評価を得ている鈴木宗男先生がそんなことを書いておられました。

 前の、私が二期目を務めさせていただいたときに、外務大臣と沖縄北方担当大臣に対して、北方領土をぜひ訪問してみていただきたい、難しければ極東の地で外相会談なりしていただきたいということをお願いしました。それで、山本一太担当大臣は北方領土へ行かれました。

 いろいろな制約があるのも十分存じ上げていますけれども、河野大臣にお願いというか、可能性を含めてですけれども、ぜひともラブロフ外相と北方領土で会談はできないものだろうか、難しかったら、頻度多くウラジオストク等で面談いただけないだろうかという提言を申し上げたいんですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 御提案でございますが、北方領土につきましては、閣議了解だったと思いますが、閣議了解に基づいて、日本国民に対し、北方領土の問題の解決するまでの間、原則として入域を行わないように要請してきたところでございますので、北方四島で外相会談を行うということは今考えておりません。

 ただ、ウラジオストクの東方経済フォーラムというのがございます。昨年の九月、総理のお供で行ってまいりまして、先般、さまざま、その場で先方との会談も行ったわけでございますので、こうした東方経済フォーラムのような場面を利用して、ウラジオストクを始め極東ロシアで会談をするということはあろうかと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 制約もわかっておりますが、現地にぜひとも、タイミングが難しいと思いますが、現職でいらっしゃるとぜひ現場を見ていただくと、次、環境大臣にもちらっと申し上げたいなと思っていたんですが、例えば色丹島の穴澗湾というところは、魚の加工場があって、その内臓を港に捨てるというようなことがあって、港が環境汚染に遭っております。我が国の領土です。そういった実情があったり、あるいは、北朝鮮の方々と思われる、中国系なのか韓国系なのかわからないですけれども、そういった国の方々が北方四島で活動しているという現場もございますので、ぜひとも、北方領土を多くの大臣が実際に見る、あるいは大臣でなくて先生方にも行っていただくということが極めて領土問題解決に向けての大切なことではないかと提言をさせていただきます。

 以上で外務大臣への質問は終了いたしますので、どうぞお仕事に戻っていただければ。委員長、よろしいでしょうか。

河村委員長 大臣、どうぞ。

杉本委員 次に、観光立国、生産性というようなところから環境大臣、国交大臣にお伺いいたしますけれども、ちょっと手短に伺います。

 知床の自然保護、極めて大切だと思っています。二〇〇五年に自然遺産に登録されています。

 例えばの例で、これは石原さんが環境大臣だったときにも質疑しているんですけれども、スイスに、マッターホルンの麓にツェルマットという都市があって、そこの都市は電気自動車しか走らない、原則。そこに住んでいる方が遠くに行くのでどうしてもガソリン車が要るとか、そういう例外は認めているようですけれども。

 そういったことを、知床地域、観光資源として極めて我が国にとって貴重なところであり、雪を見たことのない方々、あるいは自然の動物に触れたことのない方々、そんなに多くはないかもしれないけれども、そういう方々の観光資源として、四千万人を目指す我が国にとって極めて重要な場所であると認識しているんです。

 どこの大臣が規制をかけるのかは難しいんですけれども、ぜひとも、知床を電気自動車化するとか、あるいは送迎バスは全部電気自動車にするとかいうような工夫によって知床は大きく変わるというか、自然保護ができ、しかも観光資源として生かせるという認識を、スイスのツェルマットというところはもう二十年、三十年、もっと前かもしれないですけれども、電気自動車なんです。

 それを踏まえて、現在の環境保護という観点で結構ですが、それに加えて観光資源というようなこともちょっと考慮に入れながら、環境大臣に答弁いただければと思います。

中川国務大臣 御指摘の知床国立公園では、毎年、地元の関係機関の方々と議論いたしまして、また協議をいたしまして、混雑期に一定の区間でマイカー規制に加えハイブリッドバスの運行を行っておりまして、自然環境の保全とCO2の排出削減に取り組んでいるところでございます。

 ガソリン車の通行を制限し、電気自動車のみを通行させるとの画期的な御提案を既にいただいているところでございますが、このような取組を進めるためには、利用者や地元関係者の御理解と御協力が不可欠でございます。

 電気自動車のみを通行させようとする場合にはレンタカーをそろえなければなりませんが、地元の関係者の皆様の間には、利用者の利便性の低下に伴う観光客減少の懸念がございまして、また、電気自動車の管理員等のコストの問題、充電インフラの整備等の課題がございますので、今後とも、地元の関係者の皆様と協議しながら、知床国立公園の魅力をより高めるために必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 できるだけ官僚の方々が仕事をふやしたくないということで、省と省の間で谷間に落ちないで、ぜひともこういうことについては閣議で話し合って進めていくというぐらいの、今、大変力のある政権でいらっしゃるわけですから、ぜひともそんなことで前向きに捉えていただければというお願いをさせていただきます。

 次に、地方空港の国際線化ということで、訪日誘客支援空港、二十七空港を指定して、かなり活発に展開されているということを知りましたので、この問題についてはちょっと割愛させていただいて、次の質問に行かせていただきたいんです。

 いわゆる生産性革命、茂木大臣の御担当でもあられますけれども、その点についても絡むかと思うんですけれども、いわゆる渋滞発生、これがやはり日本の生産性を低めているというふうに私は感じます。

 具体的に、これは麻生財務大臣・副総理にもさきの特別国会でも質疑をちょっとさせていただきましたけれども、日本のへそ、要所という意味でも、たまたま私の地元で恐縮でございますけれども、愛知県の一宮のジャンクションというのが大変な渋滞をしてしまいます。そして、物流の流れを、一種動脈硬化を起こしてしまって生産性を低めている感じがあるんですけれども、今このことについては調査費がついて、東海北陸自動車道と名古屋高速をつなぐ形で、いわゆる迂回路というか、高速のバイパスというのがあり得るかどうかわからないんですけれども、そういったことの調査費がついて、今、ワーキンググループも立ち上がったと聞いております。

 今年度予算、生産性革命を高らかにうたっていただいておりますので、こういった渋滞箇所、全国に結構あるのではないかと思いますが、日本のへその一宮の例を引いて恐縮でしたけれども、こういった渋滞箇所について、解消する可能性、そして現状をどういうふうに把握されておられるか、御答弁いただければと思います。

石井国務大臣 特に高速道路について申し上げたいと思いますが、全国の高速道路では、車両感知器を設置して交通量や速度データを収集することに加えまして、最近では、ETC二・〇により、きめ細かいデータを収集することで渋滞状況の把握を行っております。

 これらのデータを用いまして、特に渋滞が多発している箇所については、国、都道府県、警察、高速道路会社等で構成する渋滞対策協議会等におきまして、全国の高速道路で三百九カ所を主要渋滞箇所として指定し、早期の効果発現に向けたピンポイント対策などの取組を進めているところでございます。

 今委員御指摘いただいた名神高速道路一宮ジャンクション周辺では、下り坂から上り坂に変わることなどによりまして、朝夕の時間帯を中心に、上り区間において年間千回以上の渋滞が発生をしております。

 このため、国、県、高速道路会社等で構成をいたします中京圏渋滞ボトルネック対策協議会において、周辺道路の対策や料金体系の見直しとあわせて、ジャンクション部分も含めた総合的な渋滞対策について幅広く議論をしているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 こういった生産性を低めてしまっているようなボトルネックの全国の渋滞箇所、財務大臣、予算は厳しいとは思いますけれども、つけるべきところはつけるということで生産性を上げていただきたいとお願いを申し上げます。

 それと、あと、サービスエリア等でも、スマートインターチェンジをもっとつくっていってもいいのではないかということも、あわせてお願いを申し上げておきます。

 以上で環境大臣と国交大臣への質問は終了となるんですけれども、委員長、いかがでしょうか、御退席いただいても。ありがとうございました。

河村委員長 どうぞお引き取りください。御苦労さまでした。

杉本委員 引き続き質問させていただきます。

 日本の財源論というか、社会保障費が非常に今後膨らんでいくという二〇二五年問題を中心にちょっと質問させていただきたいんですが、これは厚労大臣にも当たりますし、生産性の担当大臣でもあり、経済再生大臣でもあられるし、あるいは財務大臣にもかかわる話かと思います。

 私が感じるのは、二〇二五年問題というのは団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者になるというタイミングですが、実際、その方々が健康寿命を全うされて最期を迎えられるというときまでが、国家財政上非常に厳しい時期が続くというふうに私は思っております。そこを何とか乗り越えるストーリーが見えれば、日本の国民の皆さんは、皆さん賢いですから、そこの先が見えれば不安感というものが払拭されて、いわゆる消費につながっていくのではないかと私は感じております。

 人口将来推計では、二〇四二年に六十五歳以上の人口が減っていくというようなものもあるようでございますけれども、こういった社会保障費のピークといったものはどんな御認識でいらっしゃり、そして、今ちょっとちらっと申し上げましたけれども、いわゆるピークはいつまで続いて、いつになったら日本の財政はより安心感を持てるのか。この夏に向けてもう一度プライマリーバランスの見直し等も行われるやに聞いていますけれども、短期的なそういう見通しではなくて、もうちょっと長期のストーリーで我が国の安定性といったものを明確にしていくということが、国会挙げて、あるいは政権を挙げて、与野党問わずやっていくべきことではないかと思っています。

 ちょっと、いいものはいいということでは、民主党政権のときに一度いろいろな試算をされて、パターン一、パターン二というような表現で、医療・介護に係る長期推計というのを平成二十三年六月と平成二十四年に出しておられるのがありました。しかし、民主党さんは今なくなってしまいましたので、そういったことは、いいものはいいとして参考にしていただきながら、こんな点も踏まえながら、一体、我が国の社会保障費のピークというのはどんなふうに捉えておられるのか、御答弁いただければと存じます。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、日本の将来推計人口をベースにまず考えていくんだろうと思いますけれども、当面は、団塊の世代が七十五歳を超える二〇二五年というのが一つの頂だと思います。そこに向けて急激に七十五歳以上人口がふえていく。その後、いわゆる団塊ジュニア世代が六十五歳を超え、七十五歳を超えていくということで二〇五〇年ということが出てくるんだろうと思いますが、そこは、でも、ちょっと見ると、少しゆっくり目に、七十五歳人口は今、二〇二五年までに比べるとじわじわじわっとふえていく、こんな流れになっているというふうに認識をしております。一方で、いわゆる現役世代の人口は急速に減少していくわけであります。

 こうした人口構成を踏まえると、まずは二〇二五年、ここをどう乗り越えていくのか、そのためにはこうした時代を見きわめた形での、必要な、そして効率的な医療、介護サービスを提供できるような医療、介護の提供体制をどうつくり上げていくのかということが一つ。そして、データヘルスの活用も含めて、いかに医療費の適正化を図っていくのか。そして、三つ目としては、疾病や介護予防、あるいは重症化、重度化予防に取り組んでいく。そういったことをすることによって、まずはそれ以降の高齢化を乗り切る土台をしっかり築いていくということが必要なんだろうというふうに思っております。

 そのためにも、一方で、経済活力を上げるために誰もが活躍できる一億総活躍社会、そして若い人から年配の人までもさまざまなリスクに対応できる全世代型社会保障への転換、まずはこれをしっかり進めていくことが必要であり、それに向けて一つ一つ具体的に施策を進めていきたいと思います。

杉本委員 私が申し上げたような、将来的な展望をぜひつくっていただきたいなということをちょっと重ねてお願いしておきます。

 介護のことをちょっと質問したかったんですが、時間がなくなりましたので、一つだけ厚労大臣にお話をしておきたいんですが、介護甲子園というのを御存じでいらっしゃいますでしょうか。

 ことしも二月二十二日に大阪で開かれる予定でございまして、国会日程が許せば御出席されるみたいに聞いているんです。国会日程が許されればぜひとも行っていただいて、介護の先進的な事例というのは、実は、御存じでいらっしゃると思いますけれども、センサーで尿意を確認しながら、紙おむつを使わないで済むような、トヨタ方式というんですか、トヨタのカイゼン方式と言った方がよろしいでしょうか、そういったものを活用している事例というのが私の地元のところでも具体的にありますので、そういったことをぜひ知っていただいて、大いに厚生労働行政を進めていただきたいとお願い申し上げます。

 もう時間となってしまったので、麻生大臣、恐縮なんですが、ちょっと、財政についてはまた別の機会ということで、茂木大臣にお伺いしたいんです。

 同じような質問になって恐縮ですけれども、いわゆる財政のピークを経済再生担当大臣としてはどういうふうに見ておられて、今、民主党政権時のパターン一、パターン二というようなことを申し上げたんですけれども、そういったシナリオを幾つか置いてみて、そして社会保障のピークが越えられるんだというようなストーリーをつくっていくことは非常に意義があると私は思っているんです。

 その点について、経済再生、生産性、あらゆる分野を結構担当されていると思いますけれども、御答弁いただければと思います。

茂木国務大臣 委員と問題認識は共有していると思っております。

 その上でお答えを申し上げますと、この一月に公表いたしました内閣府の中長期試算で、国の社会保障費、現在御審議いただいております二〇一八年度の予算では三十三兆円でありますが、さらなる高齢化、さらには賃金、物価の上昇に伴います増加等によりまして、二〇二七年には、成長実現ケースで四十三・二兆円程度、言ってみますと十兆円増加をする、また、ベースラインケースでは四十・九兆円ということで、八兆円近い増加というのが見込まれております。

 ただ、これは、二〇一九年度以降の歳出改革を織り込んでいない、いわゆる歳出自然体のものでの試算でありまして、その点は御留意いただきたいと思っておりますが、歳出改革を織り込んだ試算につきましては、今回の中長期試算を土台にいたしまして、夏までに出したいと思っております。その中で……

河村委員長 時間が来ております。簡略に。

茂木国務大臣 わかりました。簡潔にやります。

 中長期試算でいいますと、内閣府が使っておりますマクロの計量モデル、これはモデルの特性上、需要と供給両方を入れておりますので、若干長期のモデル、供給だけを入れたものと違っておりまして、ハーバードのケネディスクールで勉強したかどうか覚えていないんですけれども、いずれにしても、十年先のもの以上は、試算するのはちょっと適切ではないと思っております。

杉本委員 時間を大分超過しました。以上で終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

河村委員長 これにて杉本君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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