衆議院

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第17号 平成30年2月26日(月曜日)

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平成三十年二月二十六日(月曜日)

    午後零時五十九分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 菅原 一秀君

   理事 田中 和徳君 理事 橘 慶一郎君

   理事 福井  照君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 津村 啓介君

   理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    伊藤 達也君

      石崎  徹君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      江藤  拓君    衛藤征士郎君

      小田原 潔君    金田 勝年君

      古賀  篤君    竹本 直一君

      根本  匠君    野田  毅君

      橋本  岳君    原田 義昭君

      平井 卓也君    平沢 勝栄君

      藤井比早之君    星野 剛士君

      三ッ林裕巳君    務台 俊介君

      村上誠一郎君    盛山 正仁君

      山口  壯君    山本 幸三君

      山本 有二君    渡辺 博道君

      青柳陽一郎君    岡本あき子君

      落合 貴之君    武内 則男君

      長妻  昭君    本多 平直君

      山内 康一君    井出 庸生君

      稲富 修二君    小熊 慎司君

      大西 健介君    後藤 祐一君

      玉木雄一郎君    山井 和則君

      伊佐 進一君    國重  徹君

      中野 洋昌君    黒岩 宇洋君

      原口 一博君    塩川 鉄也君

      藤野 保史君    浦野 靖人君

      遠藤  敬君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         野田 聖子君

   文部科学大臣       林  芳正君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小此木八郎君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高野 修一君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    桝田 好一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吾郷 進平君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     大見  正君

  石破  茂君     大西 宏幸君

  今村 雅弘君     和田 義明君

  岩屋  毅君     高木  啓君

  衛藤征士郎君     本田 太郎君

  竹本 直一君     堀内 詔子君

  野田  毅君     大隈 和英君

  原田 義昭君     船橋 利実君

  村上誠一郎君     山田 賢司君

  山本 幸三君     岡下 昌平君

  山本 有二君     岩田 和親君

  青柳陽一郎君     山川百合子君

  遠藤  敬君     丸山 穂高君

  大見  正君     尾身 朝子君

  金田 勝年君     神谷  昇君

  平沢 勝栄君     田所 嘉徳君

  稲富 修二君     城井  崇君

  後藤 祐一君     もとむら賢太郎君

  伊佐 進一君     鰐淵 洋子君

  岩田 和親君     泉田 裕彦君

  大隈 和英君     井野 俊郎君

  根本  匠君     西田 昭二君

  船橋 利実君     上野 宏史君

  山田 賢司君     三谷 英弘君

  和田 義明君     宮路 拓馬君

  阿部 知子君     吉田 統彦君

  岡本あき子君     初鹿 明博君

  落合 貴之君     高井 崇志君

  中野 洋昌君     太田 昌孝君

  鰐淵 洋子君     赤羽 一嘉君

  黒岩 宇洋君     岡田 克也君

  原口 一博君     広田  一君

  藤野 保史君     赤嶺 政賢君

  岡下 昌平君     務台 俊介君

  神谷  昇君     渡辺 孝一君

  宮路 拓馬君     繁本  護君

  山内 康一君     山本和嘉子君

  山川百合子君     道下 大樹君

  広田  一君     福田 昭夫君

  赤嶺 政賢君     宮本 岳志君

  泉田 裕彦君     古川  康君

  上野 宏史君     中谷 真一君

  田所 嘉徳君     佐藤 明男君

  堀内 詔子君     石原 宏高君

  三谷 英弘君     小田原 潔君

  山本和嘉子君     池田 真紀君

  小熊 慎司君     森田 俊和君

  大西 健介君     源馬謙太郎君

  赤羽 一嘉君     國重  徹君

  太田 昌孝君     佐藤 英道君

  福田 昭夫君     菊田真紀子君

  宮本 岳志君     藤野 保史君

  丸山 穂高君     浦野 靖人君

  尾身 朝子君     石川 昭政君

  道下 大樹君     堀越 啓仁君

  井出 庸生君     今井 雅人君

  城井  崇君     大島  敦君

  源馬謙太郎君     岡本 充功君

  もとむら賢太郎君   関 健一郎君

  佐藤 英道君     太田 昌孝君

  浦野 靖人君     串田 誠一君

  大西 宏幸君     古田 圭一君

  池田 真紀君     西村智奈美君

  高井 崇志君     海江田万里君

  大島  敦君     緑川 貴士君

  森田 俊和君     青山 大人君

  國重  徹君     濱村  進君

  石川 昭政君     上杉謙太郎君

  小田原 潔君     井林 辰憲君

  務台 俊介君     白須賀貴樹君

  初鹿 明博君     櫻井  周君

  吉田 統彦君     神谷  裕君

  太田 昌孝君     中野 洋昌君

  岡田 克也君     黒岩 宇洋君

  井野 俊郎君     三ッ林裕巳君

  井林 辰憲君     神田 憲次君

  石原 宏高君     木村 弥生君

  佐藤 明男君     国光あやの君

  高木  啓君     中曽根康隆君

  古川  康君     藤井比早之君

  西村智奈美君     宮川  伸君

  堀越 啓仁君     村上 史好君

  今井 雅人君     山井 和則君

  緑川 貴士君     井上 一徳君

  中野 洋昌君     遠山 清彦君

  濱村  進君     鰐淵 洋子君

  黒岩 宇洋君     中川 正春君

  藤野 保史君     田村 貴昭君

  串田 誠一君     遠藤  敬君

  上杉謙太郎君     鬼木  誠君

  神田 憲次君     宮澤 博行君

  国光あやの君     黄川田仁志君

  中谷 真一君     神山 佐市君

  西田 昭二君     國場幸之助君

  渡辺 孝一君     安藤 高夫君

  海江田万里君     中谷 一馬君

  神谷  裕君     松平 浩一君

  櫻井  周君     日吉 雄太君

  青山 大人君     小熊 慎司君

  山井 和則君     山岡 達丸君

  遠山 清彦君     中野 洋昌君

  鰐淵 洋子君     大口 善徳君

  田村 貴昭君     穀田 恵二君

  古田 圭一君     菅家 一郎君

  中谷 一馬君     松田  功君

  岡本 充功君     奥野総一郎君

  関 健一郎君     西岡 秀子君

  大口 善徳君     伊佐 進一君

  中野 洋昌君     浜地 雅一君

  安藤 高夫君     金田 勝年君

  鬼木  誠君     伊藤 達也君

  神山 佐市君     原田 義昭君

  菅家 一郎君     石破  茂君

  木村 弥生君     竹本 直一君

  黄川田仁志君     平沢 勝栄君

  國場幸之助君     根本  匠君

  繁本  護君     今村 雅弘君

  白須賀貴樹君     山本 幸三君

  中曽根康隆君     岩屋  毅君

  藤井比早之君     山本 有二君

  本田 太郎君     衛藤征士郎君

  三ッ林裕巳君     野田  毅君

  宮澤 博行君     村上誠一郎君

  日吉 雄太君     岡本あき子君

  松田  功君     落合 貴之君

  松平 浩一君     阿部 知子君

  宮川  伸君     山内 康一君

  村上 史好君     青柳陽一郎君

  井上 一徳君     稲富 修二君

  奥野総一郎君     大西 健介君

  西岡 秀子君     後藤 祐一君

  山岡 達丸君     井出 庸生君

  浜地 雅一君     中野 洋昌君

  菊田真紀子君     原口 一博君

  中川 正春君     黒岩 宇洋君

  穀田 恵二君     藤野 保史君

同月二十六日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     武村 展英君

  今村 雅弘君     加藤 鮎子君

  金田 勝年君     斎藤 洋明君

  大西 健介君     緑川 貴士君

  中野 洋昌君     濱村  進君

  黒岩 宇洋君     金子 恵美君

  藤野 保史君     高橋千鶴子君

  伊藤 達也君     杉田 水脈君

  竹本 直一君     細田 健一君

  根本  匠君     高村 正大君

  山本 有二君     小寺 裕雄君

  青柳陽一郎君     森山 浩行君

  井出 庸生君     山井 和則君

  金子 恵美君     平野 博文君

  野田  毅君     山田 美樹君

  阿部 知子君     岡島 一正君

  稲富 修二君     浅野  哲君

  小熊 慎司君     関 健一郎君

  後藤 祐一君     柚木 道義君

  原口 一博君     福田 昭夫君

  高橋千鶴子君     本村 伸子君

  遠藤  敬君     杉本 和巳君

  岩屋  毅君     工藤 彰三君

  小寺 裕雄君     福山  守君

  斎藤 洋明君     大西 英男君

  原田 義昭君     石川 昭政君

  岡本あき子君     早稲田夕季君

  緑川 貴士君     近藤 和也君

  山井 和則君     階   猛君

  福田 昭夫君     広田  一君

  武村 展英君     田畑  毅君

  山本 幸三君     国光あやの君

  落合 貴之君     末松 義規君

  森山 浩行君     川内 博史君

  山内 康一君     石川 香織君

  早稲田夕季君     亀井亜紀子君

  浅野  哲君     白石 洋一君

  近藤 和也君     大西 健介君

  関 健一郎君     伊藤 俊輔君

  柚木 道義君     古本伸一郎君

  伊佐 進一君     浜地 雅一君

  本村 伸子君     宮本  徹君

  杉本 和巳君     森  夏枝君

  石川 昭政君     原田 義昭君

  大西 英男君     金田 勝年君

  加藤 鮎子君     今村 雅弘君

  工藤 彰三君     岩屋  毅君

  国光あやの君     山本 幸三君

  高村 正大君     根本  匠君

  杉田 水脈君     伊藤 達也君

  田畑  毅君     石破  茂君

  福山  守君     山本 有二君

  細田 健一君     竹本 直一君

  山田 美樹君     野田  毅君

  石川 香織君     山内 康一君

  岡島 一正君     阿部 知子君

  亀井亜紀子君     岡本あき子君

  川内 博史君     青柳陽一郎君

  末松 義規君     落合 貴之君

  伊藤 俊輔君     小熊 慎司君

  階   猛君     井出 庸生君

  白石 洋一君     稲富 修二君

  古本伸一郎君     後藤 祐一君

  浜地 雅一君     伊佐 進一君

  濱村  進君     中野 洋昌君

  平野 博文君     黒岩 宇洋君

  広田  一君     原口 一博君

  宮本  徹君     藤野 保史君

  森  夏枝君     遠藤  敬君

  古賀  篤君     橋本  岳君

  佐藤ゆかり君     藤井比早之君

  原田 義昭君     務台 俊介君

  阿部 知子君     武内 則男君

  岡本あき子君     本多 平直君

  山内 康一君     長妻  昭君

  井出 庸生君     山井 和則君

  稲富 修二君     玉木雄一郎君

  中野 洋昌君     國重  徹君

  藤野 保史君     塩川 鉄也君

  遠藤  敬君     浦野 靖人君

  務台 俊介君     三ッ林裕巳君

  三ッ林裕巳君     小田原 潔君

  小田原 潔君     原田 義昭君

  橋本  岳君     古賀  篤君

  藤井比早之君     佐藤ゆかり君

  武内 則男君     阿部 知子君

  長妻  昭君     山内 康一君

  本多 平直君     岡本あき子君

  玉木雄一郎君     稲富 修二君

  山井 和則君     井出 庸生君

  國重  徹君     中野 洋昌君

  塩川 鉄也君     藤野 保史君

  浦野 靖人君     遠藤  敬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算

 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算、平成三十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官高野修一君、警察庁交通局長桝田好一君、厚生労働省労働基準局長山越敬一君、中小企業庁事業環境部長吾郷進平君、国土交通省住宅局長伊藤明子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 本日は、財務・厚生労働行政等についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本委員 自由民主党の橋本岳でございます。

 きょうは、二十五分の時間をいただきまして質問をさせていただきますが、余り時間がないので、簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

 さて、まず、裁量労働制に関して議論され、データについて撤回をされ、おわびをされるということがございました。(発言する者あり)データは撤回していないんですね、失礼をいたしました。

 答弁を撤回したということがございました。そのことに対しましては、大変残念なことでございますし、非常に遺憾なことだと思っております。

 ただ、私も、昨年まで厚生労働副大臣もしておりました。大臣政務官も以前しておりました。そういう意味でいえば、この数字の関係のことについて、自分にも責任の一端がなかったとも言えないな、こういう思いを持っておりますし、だとすれば、なぜこのようなことが起こったのか、そして、二度と起こさないようにするにはどうすればよいのか、そうした視点で、まずは幾つか質問したいと思います。

 さて、今回の問題は、二つの問題が言われていると思います。

 まず一つは、データそのものの精度が、あってはならない、一日二十四時間以上働いているような数値がまじっているとか、そういうような形で、データの精度が問われているというのが一つの問題点だと思います。

 そしてもう一つは、最初、その答弁を撤回するきっかけになったのは、平均値として比較してはいけないものを比較していたということの二点になろうかと思います。

 まずは、データの精度ということにつきましてお尋ねをしたいと思います。

 この日曜日に地元の山陽新聞に出ておりました記事、共同通信が流したんだと思いますが、「裁量制調査「ずさん」」という見出しの記事で、調査に当たった監督官の方が、一者当たりの調査時間を約一時間半とする内規に従ったが、十分な時間がとれなかった云々、こういうようなことで記事が出ております。

 まず、このことにつきまして、調査的監督ということになっているわけですが、この実施が本当にそんな短時間でやるようになっていたのか。各都道府県労働局から各監督署に対して、一日何者実施するように指示をしておられたのか。この内規、こんなふうな内規があったのかなかったのか。それから、実際、実施に当たってどういうふうに時間をかけたのか、把握をされているのか。されていたら、その内容も教えてください。

加藤国務大臣 報道については個々コメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、この実態調査のための調査的監督においては、本省から各都道府県労働局に対して、臨検監督により実施することを指示しております。

 今般の報道等も踏まえて調査をしたところ、調査的監督の一件当たりの標準的な業務量については、全ての、労働局でありますから、これは都道府県レベルの労働局でしか押さえておりませんが、一件当たり一・〇人日以上と計画し、実績としても、全ての労働局において、一件当たり一・〇人日以上ということになっております。

 報道にある一日五者というような調査的監督については、仮にそのような事実があるとすれば、まことに遺憾であります。各署ごとの状況について引き続き確認をし、そして、こうした事態がないように、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

橋本委員 指示としては一日一者、一者について一日かけろというような指示だったということでございますので、報道とは食い違っているわけでございますが、だとすれば、この監督官の人は何をしゃべったのかよくわかりません。引き続き調査をいただきたいと思いますが、今のようなことで、一応、新聞記事に書いたようなことではないのだろうというふうに考えるようにします。

 続きまして、この調査が、そもそもこの予算委員会での議論では、あたかも、あたかもというか、一つの仮説として、平成二十五年六月に裁量労働制について閣議決定がされています、それをやりたいために調査をしたのではないか、そしてデータについて改ざん等されたのではないかという御指摘まであるという状況がございますが、改めて、この調査をまず何のために実施をされたのか、厚生労働省として公式の見解をお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 平成二十二年四月に施行されました労働基準法改正において、改正法の施行後三年を経過した時点で、中小企業における月六十時間を超える時間外労働に対する割増し賃金率の引上げ、これは実は、大企業は高いんですけれども、中小企業は引上げを留保するような形になっておりますが、それについて検討を加える、そして、施行後五年を経過した時点で当該改正法の規定について検討を加える、こうされております。

 したがって、平成二十五年度の労働時間等総合実態調査においては、これらの検討に役立てることを念頭に、平成二十五年四月から六月にかけて調査を実施したところでございます。

橋本委員 中小企業の割増し賃金の引上げの状況について調べられるためということでございました。

 これは、答弁にありましたように、要するに事前に決まっていたことで、そして、見直しの時期が来たので調査をしようということであったということで、この予算委員会でるる御指摘をいただいたこととは違うという話になります。

 では、それを確認するためにお尋ねをしますが、六月に、自民党政権になっての政策についてただすためにこの調査をしたのだと仮に言われているのであれば、それは急に自民党に政権交代になって計画をされたのかもしれないということはあるかと思いますが、そもそも、この調査について、いつ企画をされたのか。

 それをどこで見るかというと、概算要求がちゃんと、どの段階でされて予算をとられているか。予算がないと実施できませんからね。ということはちょっと尋ねておきたいと思うのですが、その概算要求の時期がいつなのか。

 そして、あわせて、その要求をされたときの厚生労働省の責任者、すなわち厚生労働大臣はどなただったのか、お尋ねをします。

加藤国務大臣 この調査については、調査そのものは監督官が行うわけでありますけれども、調査の取りまとめ等を外部に委託する必要がございました。そして、平成二十四年の夏の概算要求で、労働条件研究調査等委託費、具体的には時間外労働等に関する実態の調査(労働時間等総合実態調査)ということで、所要の予算要求をするということでございます。

 なお、そのときの厚生労働大臣、平成二十四年八月ということで見れば、当時の厚生労働大臣は小宮山洋子大臣であります。

橋本委員 小宮山洋子大臣という話がございました。

 関係ない、問題ないというやじが飛んでおりますが、確かに、大臣はこんな調査の細かいところまで把握されないと思います、金額としても大きくないから。(発言する者あり)

河村委員長 質疑中でございますから、御静粛に願います。

橋本委員 ただ、だとすれば、今の加藤大臣の責任を問うということにもつながらないですね、関係ないと野党の方がおっしゃっていますから。ということは申し上げておきたいと思います。

 今、データの入力について予算要求をされたというお話がございました。ただ、そのデータが、今、あるべきではないデータがまじっているということで問題になっているわけであります。

 だとすれば、普通、データの入力等をすれば、その間違いは、見直しをする、チェックをする、データクリーニングという言い方をしたりしますが、例えばちょっと参考書みたいな本を見ても、そういうのをやるのだということは普通に書いてあります。これが、その入力業者がやらなかったのか、あるいは厚生労働省がそういう指示をしなかったのか、その点、どっちに責任があるかということはただしたいと思います。

 したがいまして、今のその発注について、発注仕様書ないしは業務の指示書のようなものがあろうかと思いますが、この点についてどうなっていたか、教えてください。

加藤国務大臣 データ入力を含む集計業務を的確に行える者が入札に参加するよう、本省でも、人員体制、専門性、エラーチェックの実施等の要件を仕様書で定めているところでございますので、それにのっとってなされたものというふうには認識しておりますけれども、ただ、さまざまな御指摘をいただいておりますので、今、もともとの調査票とそして打ち込んだデータに差異はないのか、そして、そのデータにおいてさまざまな御指摘をいただいておりますので、それについても精査をさせていただいている、こういうところでございます。

橋本委員 ちょっと済みません、仕様書にどう書いてあったのかということをお尋ねしましたが、今、御答弁いただきましたかね。仕様書等ですね、業者への。

加藤国務大臣 済みません、具体な話はわかりませんが、手元にある仕様書等を見ますと、入力データのエラーチェック、エラーデータの修正等々の項目が並んでいるところでございます。

橋本委員 お手元にあるものでお尋ねします。

 では、具体的に何と何をチェックするというような指示にはなっていなかったということでしょうか。

加藤国務大臣 済みません、個々の具体についてまで承知をしておりませんけれども、こういうところ、こういうところ、こういうところというのは当然あっただろうというふうに思います。

橋本委員 そこのところは、どっちの責任になるのかということになるので、明確にしていただきたいと思うわけであります。

 ただ、仮にですけれども、具体的にこれとこれを比較してしなさいというふうな仕様になっていないのであれば、それは厚生労働省が指示をしなかったら業者はしないだろうということですから、そこは今の答弁ではいまいちよくわかりませんでしたけれども、本来であれば、そこはきちんと指示をされるべきだったんだろうと思います。

 今、何か紙が入ってきましたが、補足はありますか。じゃ、お願いします。

加藤国務大臣 エラーチェックの例としては、一般労働者について、時間数欄に時間数、分数として適切な数値が記載されているか、月間の時間外労働時間数欄について、最長の者の実績が平均的な者の数値以上となっているか、また、裁量労働制について、労働時間の状況について、最長の者の実績が平均的な者の数値以上となっているか等の内容であったということでございます。

橋本委員 最長の者と平均の者とでそごがないかを見るようなことはあったということだというふうに受けとめますが、平均的な者なり最長の者の中で正確だったかどうかということは、今の答弁だと見当たらなかった。だとすると、厚生労働省の責任だったということは言わざるを得ないんだろうと思います。

 ですから、今、その精度については精査をされているということで、いずれそういうところまでチェックをされたデータが出てくるんだろうと思いますし、それはできるだけ速やかに出していただきたいと思いますけれども、そういう意味でいえば、厚生労働省は基本的なことがやはりおろそかであったということは言わざるを得ないんだろうと思います。

 続いて、比較できないデータを比較した問題につきまして、ちょっとお尋ねをします。

 これが、そのデータを比較する形で出した最初の資料と言われておりまして、平成二十七年三月に当時の民主党さんの厚生労働部門会議で厚生労働省が出した資料ということになっております。

 確かに、この紙の平均という欄を並べれば問題になったような形になっていたということでありますが、かつ、この資料には、要するに、一般労働者のところに最長の時間を書けというふうになっているけれども、ただ平均としか書いていないから、そこが誤解を招くということです。

 この資料をつくるに当たって、もとにした集計表があるんだと思います。山井議員がツイッターで流されておられますので、それをごらんになった方もおられると思いますが、そこには、最長の時間を聞いているとか、最長の時間の回答であるということを書いていなくて、単に平均と書いてある。それが恐らく誤解を招いた原因だと思います。

 では、この平成二十五年調査だけそのような形でやっていたのか、それとも、実は、平成十七年にも同じタイトルの調査をやって同じような集計をしていますが、そのときからそうした、長時間を聞いているということについての注記があったのかなかったのか、そのことについてお尋ねをします。

加藤国務大臣 平成二十五年度調査においては、その調査において、やはりしっかりそういったことも対応していくべきではなかったかというふうに思いますが、今の御指摘については、平成十七年度の調査の結果においても、そうした記載はございません。

橋本委員 ですから、平成二十五年になって急にそういうデータを操作したという、今の聞いた範囲ではですよ、ではなくて、平成十七年のときからそういう誤解を招くような資料だったということなのであります。

 ということは、結局それは、先ほどの話も含めて、厚生労働省が、例えば総務省統計局とか厚生労働省の統計の関係の部門はちゃんとしていると思いますが、例えば労働基準局とかそういうところが調査をするところに関して、やはりデータの扱いとか調査法の基本みたいなことができていなかったということは指摘をしなきゃいけないんだと思います。

 かつ、これからAIだとかデータヘルスだとかいうときに、データのとり方がちゃんとできていないとか、そういう基本が身についていない、それはもう大問題だと思います、仮にそういうことであれば。それは直ちに直していただきたいと思います。

 今回は厚生労働省のことが問題になっていますが、もしかすると、ほかの省庁についてもこれは当たるのではないか。政府全体として、改めて、社会調査法とかデータ処理法だとか、そうしたことについての研修だとか、基本的な知識を身につける、それをちゃんと守るという機会を、身につけていただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まず、性格が異なる数値を比較していたことは不適切であり、私からも深くおわびを申し上げたいと思います。

 その上で、御指摘のとおり、今後、行政分野においてさまざまなデータの活用がより一層必要となる中で、適切なデータの処理が行える人材の育成が重要であると認識をしております。

 そのため、昨年五月の統計改革推進会議の最終取りまとめにおいても、統計等各種データの証拠に基づく政策立案、EBPMの実践や推進、統計の作成や提供などに携わる分厚い人材層を総合的に構築するための方針を本年度内を目途に策定することとしています。

 この方針においては、広く職員の情報活用能力、データ分析能力の向上を含めた必要な人材の確保、育成等の方策などを盛り込むこととしています。

 今後、この方針に基づき、OJTを通じた人材の計画的育成や職員の統計研修のさらなる充実など、政府一体となって取組を推進してまいりたいと考えています。

橋本委員 既に昨年五月からそうした提言があって云々という話がございました。

 今回のことは、それは平成二十五年とかのことですから、すごい過去の話ではありますけれども、こういうことがあって、予算委員会に対して迷惑をかけるようなことになってしまったということを踏まえて、やはりこうした基本的なことをみんながちゃんとできるようになっておく。もちろん実際には業者の方とかに入ってもらってやってもらうということになりますが、そういうこともしっかりやっていただきたい。私も、自分が厚生労働省の中にいた人として、改めてそのように思っておる次第であります。

 さて、その資料につきましてですけれども、今、数字につきましては精査中ということになっていますから、この数字がそのまま合っているかどうかということはちょっとペンディングをして見ないといけないと思っております。

 ごらんをいただければおわかりのように、赤枠と青枠で強調されているのが、それぞれの、裁量労働制の方なり一般労働者の方なりの分布であって、十時間以下でおられる方がこのぐらいおられる、あるいは、十二時間を超える長時間の労働の方もこのぐらいおられる、ちょっと数字はきょう触れることは控えますけれども、そういう分布に注目をした表なのであって、このグラフ、この表そのものは、平均の数字も書いてありますから、ここだけ抜き出せば平均値を比較しているようにも見えますが、議論すべきはその分布で、特に、青い点線枠の、長時間の人もいますよねということも含めて、そうしたことを見て議論しようという、そのためにこの資料はつくられたんだと思いますが、いかがでしょうか、厚生労働大臣。

加藤国務大臣 いずれにしても、この裁量労働制と一般労働者、それぞれ、最長の者、平均的な者ということは一緒ではありますけれども、そのとり方が異なっているわけでありますので、それを、異なるものをこうやって比較できるような形で出したことは、本当におわびを申し上げなければならないというふうにも思いますし、不適切だというふうに思います。

 あと、どういう意図があったかについては、ちょっと私の方から申し上げるのは差し控えますが、ただ、委員御指摘のようなところに、このパーセント、パーセント、一定時間よりも長い人がどれだけいるか、短い人がいるかというふうになっていることは、そのとおりであります。

橋本委員 ですので、このパネルについては数字が今精査になっていますから議論の対象からは外しますけれども、例えばJILPT、よく野党の皆様方が引用される調査から別の数字を持ってきております。調査結果というのはこれだけありますが、その中から一部の数字を引用したものを持ってきました。

 例えば、裁量労働制の適用について、満足度というのをこの調査では聞いておりますが、今、これは企画業務型裁量労働制の方について言えば、満足、やや満足という方が七割以上おられるというのは、これはこれで一つの結果なんだろうというふうに思いますから、こういうところもきちんと議論はされるべきだと思います。

 同時に、やはり不満なり、やや不満なりという人も一定の割合おられますね。二割ちょいおられますということも出ています。では、その不満な点、ちょっと下の方にちっこいですが補足をしておりますが、業務時間、在社時間が長いという不満がある、業務量が過大という不満がある、給与が低いということもある。これはやはり改善されるべきことなんだろうと思います。

 そうしたことをやはり全体として捉えての議論が、私はしないといけないと思いますし、いい点についてはいい点として、やはり正すべき点について正していく。

 特に、裁量労働制、私もいろいろな方の話を聞きますと、みなし時間と実労働の乖離があるとか、出退勤時間とか職務内容の裁量が事実上ないのに裁量労働制になっている。それは、その制度がというよりは、その運用が悪い例がいっぱいあるのかもしれない、それがやはりこうした不満というところに出ているんだろうというふうに思われるわけでありまして、まず、今ある裁量労働制の不適切な運用については、これは撲滅をしていかなきゃいけない。

 それをぜひ厚生労働大臣にはお願いをしたいと思いますが、ぜひ取り組んでいただきたい。

加藤国務大臣 まず、今御指摘のように、裁量労働制の適正な運用が図られる、これは大変大事なことであります。

 労働基準監督署においても、裁量労働制の届出の際に確認、指導を行う、また、各種情報等から必要な監督指導を実施する、そうしたことで適正化を図ってきたところであります。

 また、この問題の重要性に鑑み、今回、全国一斉に、広く適正化に向けた取組を実施するよう指示をしているところでございまして、具体的には、裁量労働制を導入している事業場に対して、事業主みずから法に従った運用がなされているかを改めて点検し、その結果の報告をいただいているところでございます。そういったことも含めて、現行の中でやれることをしっかりやっていく。

 それから、あわせて、今回の法案で議論させていただいている、今言われたような長時間労働、あるいは、みなし労働時間に比べて実際の労働時間が長いのではないか、こういった指摘に対しては、しっかり時間を把握していく。

 それから、本来裁量がないにもかかわらずされている、こういった点、あるいは、対象になり得る者が、それは裁量労働制の対象になり得るのかどうか、そういったことについてもしっかりチェックできるようにしていく。

 さらには、先ほどお話があった、みなし労働時間と実態労働時間の差があるような場合には、今度は法的な根拠に基づいて監督指導ができる、いわばそういった規制強化というものをしっかりやって、適正な運用を図っていこう、こういう観点から労政審からも建議をいただき、今、そういう方向にのっとって法案の作成作業を進めさせていただいているところであります。

橋本委員 ぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、ただ、その点検、自己点検でどうなのという話がやじとしてありましたが、それはやはり労働者の人個人が自覚をしていただかないといけないんです。

 ただ、そうはいっても、会社へなかなか物を言いにくいというのも事実だと思います。だとすれば、労働者が個人で会社と交渉しにくいというときに、誰がサポートできるのか。

 実は、私は、労働組合の役割はすごく大きいんだと思っています。今がどうなのかということをあえて申し上げませんけれども、やはり、こういう制度というのを適正に運用するために、労使できちんと議論しながらやる、合意を得てやるわけですから、労働組合がもっとちゃんと機能していていただきたいということを私は思うのでありますが、ぜひ総理に、この働き方改革における労働組合に対する期待についてお尋ねをします。

安倍内閣総理大臣 労働組合は、労働者が主体となって自主的に労働条件の改善など労働者の地位の向上を図ることを目的としておりまして、重要な役割を担っていると認識をしております。

 このため、私が議長となった働き方改革実現会議においても労働界のトップにも参加をいただき、取りまとめを行いました。

 今回の働き方改革が掲げる長時間労働の是正、同一労働同一賃金などの実現に向けては労使の十分な話合いが不可欠であり、その中で労働組合の役割は大変大きなものであると考えています。

 なお、裁量労働制では、一定の知識経験を有して働く方本人に、会社が決めた一律の定時に縛られることなく出勤、退勤時間を自由に決めていただき、仕事の進め方をお任せして、より効率的に成果を上げていただこうというものでありまして、今回追加する業務についても、裁量労働制を導入する際には、労使委員会での決議が必要であり、かつ本人の個別同意が必須、労使委員会での決議そして本人の個別同意が必須であります。

 裁量労働制が、その本来の趣旨に沿って、一定の知識経験を有する方の希望によって柔軟な働き方を選択していただけるようなものとなるように、労働組合を含め、労使の積極的な取組を期待したいと考えています。

橋本委員 ありがとうございました。

 最後に一点だけ。

 調査原票についての議論があるようでございます。これは、回答者が安心をして信頼をして回答できるために、決して人に公開するべきものではありません。それはこの調査に限らず、ほかの調査、政府全体の信頼にかかわることですから、そのことは一点申し上げて、質問を終わります。

河村委員長 これにて橋本君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹でございます。

 まず、障害者スポーツの普及促進について、林文科大臣にお伺いいたします。

 昨日熱戦に幕がおりました平昌オリンピック、世界じゅうのトップアスリートの懸命な姿が我々に感動と勇気を与えてくれました。来月九日からは、平昌パラリンピックがスタートをいたします。

 二〇一二年ロンドン大会は、これまでにない盛り上がりを見せたパラリンピックがあったからこそ、大成功したとも言われております。なぜ成功したのか。それは、トップ選手だけではなくて、より多くの障害者がスポーツを楽しむことのできる環境が整備されていたから、これが背景にあったからだと言われております。

 他方で、二〇二〇年東京大会に向けて、我が国の障害者スポーツの環境にはまだまだ多くの課題がございます。スポーツ庁の委託事業として平成二十七年度に実施をした調査結果では、肢体不自由、車椅子必要のうち三六・九%の方たちが、スポーツ、レクリエーションを行いたいと思うができないという回答が出ておりまして、本人は興味、関心を示しているのにスポーツができない実態が明らかとなっております。

 その原因の一つが、障害者がスポーツをする場所がないということであります。障害者のスポーツの場をいかに確保していくか、これは喫緊の課題でございます。

 二〇二〇年東京大会が重要なターニングポイントになります。抜本的にこれに関する取組を強化していく必要があると考えておりますが、林文部科学大臣の見解をお伺いいたします。

林国務大臣 二〇二〇年の東京パラリンピックに向けまして、スポーツを通じて共生社会を実現していくためには、まさに今先生からお話がありましたように、障害者が健常者と同様にスポーツに親しめる環境を整備することによりまして、障害者スポーツの裾野、これを広げていくことが重要だと考えております。

 障害者にとって、スポーツをする場がないということは大きなハードルの一つとなっておりまして、文部科学省においては、まずは、地域のスポーツ施設における障害者の利用の拡大や、誰もがスポーツに親しめる地域密着型の総合型地域スポーツクラブへの障害者の参加の促進などを図る取組を実施することとしております。

 また他方、地域のスポーツ施設のみならず、身近な場所でスポーツの場を確保していく、これも極めて重要であると思っておりまして、このため、文科省では、特別支援学校の施設を活用して地域の障害者スポーツの拠点としていく取組も実施してまいるところでございます。

 こういった取組を通じて、障害者が身近な場所でスポーツを実施できる環境づくりを進め、スポーツを通じた共生社会の実現を目指してまいりたいと思っております。

國重委員 ありがとうございます。

 障害者スポーツの裾野を広げていくということは、何も障害者スポーツの振興だけではなくて、共生社会の実現、また健康長寿社会の実現、これへつながっていくものですので、ぜひ、どうかより一層の取組をよろしくお願いいたします。

 次に、観光立国に向けた体制整備について、石井国交大臣にお伺いいたします。

 二〇一二年に約八百万人であった訪日外国人観光客は、その五年後、昨年、二〇一七年には二千八百万人を超えるまでになりました。訪日外国人の旅行消費額も右肩上がりでございまして、二〇一二年、約一兆円であった消費額は、二〇一七年には約四・四兆円。今や、観光は日本の成長産業の柱の一つになりました。

 政府は、訪日外国人を、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年には六千万人という目標を掲げております。その一方で、増加に応じた受入れ体制をしっかりと構築していくということも大切なことでございます。

 外国人の受入れ体制の課題、さまざまございますが、その一つが、きょう取り上げさせていただく医療体制の課題であります。

 パネル、資料をごらんください。

 訪日外国人がふえるに伴って、当然のことながら、旅行者のけが、急病への対応が増加をいたします。

 外国に行って病気になると、心もとない、言葉も違う、文化や習慣も違う、どの病院に行けばいいのか、どうやって説明したらいいのか、幾らお金がかかるのかと、不安になって当たり前でございます。だからこそ、日本に来た外国人にいかに安心して医療を受けてもらえるようにするのか、安全、安心の医療体制をつくっていくことが今後重要でございます。

 ここでポイントとなるのが、医療費と、医療機関の受入れ体制の整備でございます。

 観光庁が実施をいたしました平成二十五年のサンプル調査によりますと、訪日外国人の約三割が旅行保険に加入をしておりません。未加入で治療を受ければ、保険で保障されず、多額の医療費を自己負担することになります。これは、医療費の未払いにも、トラブルにもつながります。

 現に、近畿運輸局が平成二十八年に実施した調査では、同年五月から七月の三カ月間で、調査に協力した大阪府内の百四十七病院のうち、二十病院二十七件で未払いが発生し、その総額は一千五百万円を超えております。未払い金が六十万円を超えるケースも二件あったそうでございます。これは、わずか三カ月の間、しかも大阪府内の一部の病院に限ったものでございます。

 より多くの訪日外国人観光客を受け入れるに当たって、安心して医療を受けてもらうためにも、医療費の未払いを防止するためにも、まずは海外旅行保険の加入を促進していくことが肝になってくると考えますが、今後の取組を含めた見解を石井国土交通大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 訪日客数四千万人等の目標を達成する上で、訪日客が旅行中の急なけが、病気の際の受診や治療費のお支払い等の不安を感じることなく滞在を楽しんでいただけるよう、旅行者自身、また受入れ側の双方が備えを行うことが重要であります。

 そこで、明日の日本を支える観光ビジョン等に基づきまして、訪日客に対する旅行保険の加入促進、外国人患者の受入れ体制が整備をされた医療機関の整備、さらに、訪日客受入れが可能な医療機関の情報の多言語発信、充実について、観光庁と厚生労働省が連携をして取り組んでおります。

 このうち、旅行保険の加入促進につきましては、これまで、今委員が御紹介いただいたように、平成二十五年度に、訪日客の旅行保険加入状況や、訪日中にけが、病気になった者の割合等の実態調査を実施いたしまして、複数の大手損保会社へ働きかけた結果、平成二十七年度から二十八年度にかけまして、二社から、日本到着後にスマートフォン等で簡単に加入ができる業界初の訪日旅行保険の販売が実現をいたしました。これを受けまして、日本政府観光局のホームページ上や、全国の空港、観光案内所、宿泊施設等で保険加入促進のPRを実施いたしました。

 委員の御指摘も踏まえまして、今後さらに、訪日客の保険加入等の最新状況を改めて調査するほか、厚生労働省等と連携をいたしまして、訪日前、訪日後のさまざまな段階を捉え、保険加入の注意喚起や訪日旅行保険のPRの強化等の取組を進めてまいりたいと考えております。

國重委員 石井大臣、ぜひ強力なPRを進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 今、石井国交大臣は、外国人患者の受入れ体制が整った医療機関の整備について、観光庁と厚生労働省が連携をして取組を進めている、このような答弁をされました。

 それでは、その受入れ体制の整備状況はどうなっているのか、加藤厚労大臣にお伺いいたします。

加藤国務大臣 先ほど、訪日外国人が年々増加する中で、中には調子を悪くされる方もいらっしゃるわけでありますから、外国の方が、いわば患者さんが安心、安全に日本の医療機関を受診できる体制を整備するということは、外国人旅行客の受入れを促進するためにも大変大事だと思っております。

 厚労省においては、これまでも、医療通訳の配置、院内案内図、資料等の多言語化の支援など、地域における外国人患者の受入れ拠点となる医療機関の整備を促進してまいりました。

 未来投資戦略二〇一七で目標が掲げられておりますが、外国人患者受入れ体制が整備された医療機関を二〇二〇年までに百カ所で整備するという目標を掲げましたが、もう既に、本年度じゅうに前倒しをして達成をしたところでございます。

 今後は、これらの基幹となる医療機関だけではなくて、地域全体で外国人患者を支える体制を整備することが重要であると考えており、平成三十年度においては、観光業界等とも連携した、地域特性に応じた外国人患者受入れ体制のモデル事業を開始する予定であります。

 こうした取組を通じて、体制整備を更に進めるよう取り組んでいきたいと思います。

國重委員 今、加藤厚労大臣は、外国人患者の受入れ体制が整備された医療機関を百カ所整備をする、その目標が本年前倒しで実現をしたというような答弁がございました。これについては評価をいたします。

 その一方で、今整備しつつあるのは、基幹となる中核的な大病院でございます。外国人が実際に病気、けがをして行くのは、地域の身近な診療所なども多いかと思います。だからこそ、その裾野をしっかりと広げていく必要がございます。

 中小の病院では、補助金を仮にもらったとしても、常駐の通訳は抱え切れないことも多いかと思います。ニーズに応じた小回りのきく対応が必要であります。

 この点、医療費の未払い対策という観点からでありますけれども、大阪府は、損保会社と病院と共同して、病院向けの医療費未払い対策マニュアルを作成いたしました。

 こういった事例を横展開したり、また、未払い対策という観点にとどまらず、言語や文化の違いを踏まえた対応マニュアルを国として作成するなど、細やかな取組が今後必要だと考えます。

 加藤厚生労働大臣にお伺いいたします。マニュアル作成を含めた中小病院における外国人患者の受入れ体制の整備に関して、今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、お伺いいたします。

加藤国務大臣 今、訪日外国人の皆さん方も、当初は重立ったところから、だんだんだんだんいろいろな地域、地方へ観光に行かれるようになっているわけでありますから、大都市の大病院以外の医療機関を受診されるという可能性も高まってきているというふうに思います。特に、中小病院においては、外国人患者を受け入れるための情報やノウハウが不足されているという場合もあるわけであります。

 このため、厚労省では、そのような医療機関において活用していただくために、問診票等の資料を多言語化しホームページで公開をする、また、医療通訳者を常勤職員として雇用していない中小企業に対しては、電話医療通訳の活用支援なども進めているところでございます。

 また、平成三十年度においては、中小病院の実情を踏まえた医療機関向け対応マニュアルの作成、あるいはスマートフォンを活用した音声翻訳アプリの普及などを進め、医療機関の負担軽減も図りたいと思っておりますし、委員御指摘いただきました、ほかでいい事例はしっかり横展開も図っていきたいと思っております。

 いずれにしても、観光庁や他省庁とも連携して、医療機関が安心、安全に外国人患者を受け入れることができるように、引き続き必要な取組を進めていきたいと思います。

國重委員 加藤大臣、ぜひ、地域の実情に応じたきめ細やかな取組、どうかよろしくお願いいたします。

 続きまして、日本経済の根幹を揺るがしかねない事業承継問題について、世耕経済産業大臣にお伺いいたします。

 パネル、資料をごらんください。

 中小企業庁の委託調査によりますと、中小企業の経営者の年齢のピークは六十六歳、その平均引退年齢は七十歳ということになっております。二〇二五年までに、二百四十五万者の中小企業の経営者が平均引退年齢である七十歳を迎えます。そのうち、約半数の百二十七万者で後継者が決まっておりません。

 ここ数年、後継者が見つからないことから会社を畳むケースが続出しておりまして、廃業する会社のおよそ五割が黒字経営という異様な状況になっております。高い技術を持っている、多くの顧客に支持をされている、利益を上げているにもかかわらず、後継者不足を理由に廃業する、こういったケースが相次げば、日本経済の全体の地盤沈下は避けられません。

 私ども公明党は、事業承継は重要かつ喫緊の政策課題であるとして、これまでさまざま政府にも働きかけ、提言も行ってまいりました。そうした我々の努力も実を結びまして、今般、事業承継税制は抜本的かつ大きく拡充されることになりました。この予算委員会でもたびたび、この事業承継税制、取り上げられているところでございます。

 地元大阪は中小企業が多く、そうした経営者や税理士の方、また金融機関といった現場からも、感謝の声、評価する声が上がっております。私も、政府の今回の努力、高く評価をしたいと思います。

 他方で、今回の税制は、基本的に、親族、家族経営での事業承継で発生する相続、贈与での負担を軽減することが大きな内容となっております。

 これまでの事業承継税制は、年間に大体四百件、五百件程度しか利用されてきませんでした。仮に、事業承継税制がこれまでの十倍、四千件から五千件程度、仮に利用されることになったとしても、それは日本全体の事業承継から見れば、ごくごく一部のことでございます。こういった中で、多くの事業承継をどのように促進していくのか、これは待ったなしの極めて重要な課題でございます。

 世耕経産大臣の見解、お伺いいたします。

世耕国務大臣 今、委員御指摘のように、百二十七万の事業者が後継者未定ということになっていまして、これをあと十年間放置すると、累計で六百五十万人分の雇用、そして二十二兆円のGDPが失われるということで、まさに文字どおり、待ったなしの状況だというふうに思っています。

 今回は、親族内の事業承継税制を抜本拡充してもらいました。今まで十年間で二千者しか使われていませんので、これをまず活用いただけるように、徹底的にまず親族内承継についてしっかりと周知徹底を図っていきたいと思います。

 また、親族外についても、今回、登録免許税ですとか不動産取得税、これが税制措置で支援できるようになっておりますので、まずはこの辺を活用しながら、親族外によるMアンドAについてもしっかりと後押しをしてまいりたいというふうに思います。

 黒字の企業が後継者がいないからということで廃業することがないように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

國重委員 ありがとうございます。

 経営者の年齢のピーク、これを考えますと、やはりここ数年が事業承継の勝負どころだと思います。本当に急速にここに重点的に支援していかなければならないと思っております。

 事業承継の支援、先ほど世耕大臣おっしゃったとおり、承継前、承継時、承継後、さまざまな段階がございます。その中で、今般の事業承継税制の大改正は、承継時の支援策の一つとして大きな前進だと評価をしております。

 その一方で、承継前の取組が私はまだまだ力不足だと思っております。ここが弱いから、大分手前の段階で事業承継を諦めている経営者が多いんじゃないか。先ほど申し上げましたとおり、後継者がそもそもいないという経営者の方が多くいらっしゃいます。そして、仮にいい後継者が見つかったとしても、その育成は数年がかり、時間と労力がかかります。

 ここ数年で、例えば大企業を早期退職した人をうまく中小企業とマッチングさせるなど、ありとあらゆる手を使って後継者の人材確保に力を入れなければならない、そう考えますが、世耕大臣の今後の取組を含めた見解、決意、お伺いいたします。

世耕国務大臣 後継者が不在の企業への対応というのは極めて重要だというふうに思っています。

 事業引継ぎ支援センター、これは全国四十七都道府県に設置されていますが、このセンターで、後継者不在の事業者とビジネスを拡大しようとしている事業者のMアンドAを活用したマッチングなども実施をしておりまして、引継ぎの成立件数は年々倍増している勢いであります。

 また、今委員御指摘のように、大企業を引退、定年退職されたような方々、特に金融機関とかあるいは商社とか、こういう方々は、かなりどんなビジネスにでも対応できる。そして、職人さん、技能を持った人はちゃんと会社の中にいてくれれば、そういう方が経営者として引き継いでいただければ事業の継続はできるわけでありますから、今委員が御指摘いただいたような視点でのマッチングというものも、これから少し、大企業などとも相談をしながら進めてまいりたいというふうに思います。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 その上で、事業引継ぎセンターとか後継者人材バンク、その認知度、決して高いとは言えません。制度がよくても知らなければ使えません。政府の広報を含めた、世耕大臣の今力強い答弁がございましたので、より一層の取組をよろしくお願いいたします。

 続きまして、女性活躍の推進に関して、不妊退職の防止について、これは安倍総理にお伺いをいたします。

 女性活躍、働き方改革、その中で余り光が当たっていないのが不妊退職の防止であります。

 国立社会保障・人口問題研究所の調査によりますと、今やカップルの五・五組に一組は不妊に悩んでおります。NPO法人ファインが昨年十月に公表しましたアンケート結果によりますと、仕事をしながら不妊治療を経験したことのある人のうち、九五・六%が両立は困難と回答をしております。実際に職場にサポート制度があると答えたのはわずか五・八%。しかも、制度があっても四割以上の人はそれを使っていない。この最大の理由は、不妊治療をしていることを知られたくないという当事者の心情、葛藤がここにあるということでございます。その結果、不妊治療と仕事の両立が困難で退職に至る不妊退職が発生をしております。

 女性活躍の観点からも、人権の観点からも、不妊治療であることを明らかにしなくてもとれるような休暇制度の整備を進めていく必要があると考えます。当事者の思いに寄り添った使い勝手のいい休暇制度のあり方を始め、不妊退職を防止するための取組を、今後、より一層前向きに検討していただきたいと思いますけれども、安倍総理の見解、決意をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 安倍内閣では、働く人の立場に立って、一人一人の事情に応じたさまざまな働き方を選択できる社会の実現を目指しています。

 そうした中で、仕事をしながら不妊治療を受けられる場合、委員御指摘のとおり、周囲に知られたくないため、企業に休暇制度があっても利用しないというプライバシーの問題、そして、治療の内容によって必要な時間や体への影響が異なることなど、さまざまな課題があると承知をしております。

 そこで、不妊治療と仕事の両立を支援するため、働き方改革実行計画に沿って、各企業における不妊治療のための休暇制度など好事例の周知、啓発、相談支援体制の充実に取り組んでいます。

 不妊治療を受けながら働いている方々の実態調査を現在進めています。その結果も踏まえて、不妊治療への支援を、医療面だけでなく、就労、両立支援にまで拡大し、各企業において、不妊治療を受ける女性の心情に寄り添ったさまざまな支援が進むよう取り組んでいく考えでございます。

國重委員 周知、啓発とともに、制度化を含めた検討をぜひよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

河村委員長 これにて國重君の質疑は終了いたしました。

 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、今大変問題になっております裁量労働制について、一問御質問をさせていただきたいと思います。

 この制度、外国ではうまくいっている国ももしかしたらあるかもしれません。しかし、日本においては、裁量と言われても、二時、三時に帰ります、そういうカルチャーはなかなかできていない。そして一方、責任感のもとに、長時間労働を生み、極端な場合は過労死をされている方も出ている。そういう制度を、今回政府は拡大をしよう、その法律を出そうとしている。そのやさきに、その前提となっている、裁量労働にすれば労働時間が短くなる、そういうデータもある、こういう答弁を撤回する事態になり、更に言えば、そのデータのもともかなりずさんなものだったんじゃないか、こういう問題が今出てきています。

 私は、この働き方改革の法案の中でも、特にこの裁量労働制の部分、少なくとも、撤回をして、急ぐことではありません。皆さんの理屈で言えば、多様な働き方ができる、何かバラ色のことをおっしゃっていますが、いずれにせよ、急ぐ法案ではないので、一度立ちどまって、検証をして、ここの部分は出し直すべきだと考えますが、いかがですか。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、本来比較すべきものではないものを比較する、あるいは、今指摘をいただいておりますように、私どもの調査においていろいろ問題点を、精査をさせていただいておりますけれども、これについては、反省すべきところはしっかり反省していかなければならないというふうに思っております。

 その上で、労働政策審議会の議論を振り返ってまいりますと、この裁量労働制については、長時間労働を更に助長するのではないか、あるいは、みなし労働時間というものと実際の労働時間に乖離がある、むしろ実際の労働時間の方が長い、結果的にその分だけ、残業代に相当するんでしょうか、それが払われていないのではないか、あるいは、本来対象にならないような業務や、そうした対象の人が含まれているのではないか、こういう問題点が指摘をされたところでございます。

 そうした認識の中で、客観的な方法による労働時間把握の義務化、あるいは、さまざまな制度運用をめぐる規制を強化していくということをまずやっていく。そして、ぐっと抑え込む中で、新たにそうした自律的な創造ができるような業務については拡大をしていく、そういったことで対応していくことが適当だという建議をいただいたわけでございます。

 建議に基づく法案要綱についても、建議で同じく労働側の意見がついたものの、おおむね妥当との答申をいただいておりますので、私どもとしては、その答申を踏まえながら法律案の作成作業を進めていきたいと思いますが、並行して、御指摘をいただいている点については、しっかりと精査をし、その結果を御報告させていただきたいと思います。

本多委員 このずさんなデータに基づくこうした法改正、私は、しっかりと見直すべきだ。この問題については、この後、我が党の長妻委員からしっかりと議論をさせていただきたいと思います。

 私は、この後、森友学園問題、国有地払下げの問題について、特に総理にお伺いをしたいと思います。

 実は、この問題の一番の発端は、私、昨年はまだここに議席をいただいておりませんでした。浪人をしておりましたときに、同僚の質問をテレビで見ておりました。

 福島議員、残念ながら今落選をされていますけれども、質問の中で、総理がこういう答弁をされました。「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、」。

 そして、その同じ日の答弁の中でもう一つ繰り返されて、「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」、全く関係ないことは申し上げておきたいと思います、こういうふうな答弁をされたのを、私はまさに浪人中にテレビで見ておりました。

 私は人がいいので、ここまで、総理大臣だけじゃなく、普通ここまで言いません、国会議員もやめる、それから、私がかかわっていたらではなく、妻まで、そして事務所、安倍総理の事務所、相当な人数いらっしゃると思います、そこ全てを、かかわっていない、この断言のされ方を見て、ああ、本当にこれは、もしかしたらこの問題、総理はかかわっていないのかなと信じた私を今恥じて、この場に立たせていただいています。

 なぜなれば、その後、籠池さんの証人喚問がこの場でございました。そこで、谷さんという方とのファクスのやりとり、籠池さんと安倍総理の、付の谷さんとのファクスのやりとり、こういうことが明らかになってきたからであります。

 その後、総理は、このことは関係ないということで幾つかの論拠を出されていますので、私はそれを反証していきたいと思います。

 一つは、これは菅長官もよくおっしゃるんですが、ゼロ回答だったからよかったんじゃないかと。

 ゼロ回答だから。総理は最初、この福島議員の答弁に、一切かかわっていないとしか言っていないんですよ。成果を上げていないとか結果を出したらとかということは言っておられないんです。一切かかわっていない、この言い方なんですよ。

 例えば、私が一生懸命、何かの補助金をとるために、地元の皆さんの要請を受けて頑張った、結果が出なかった、それじゃ、これはかかわっていなかったことになるんですか、総理。

安倍内閣総理大臣 議員でおられなかったから御存じないかもしれませんが、もう今の件については相当長いやりとりを、昨年の国会で何回も何回もこの同じ件では御説明させていただいておりまして、私がお答えをした、あるいは、そこにはおられなかったから御存じないかもしれませんが、私が申し上げているのは、いわば国有地の払下げあるいは認可について一切かかわっていないということであります。

 谷さんの問合せというのは、いわば一般的な……(発言する者あり)

本多委員 いや、質問に答えていただきたいと思います。

 さっき、私は、普通の日本語について聞いているんですよ。普通の日本語の解釈として、私が一生懸命、要望を受けて補助金をとるために頑張りました、これを私はこの問題にかかわっていないと言えるんですか。結果が出たら、かかわったと自慢しますよね。しかし、結果がもし出なかったら、かかわっていなかったということになるんですか。

安倍内閣総理大臣 今の御質問は、本多さんが陳情を受けたときのかかわり方ですか。でも、それは個別のことでございますから、私はお答えする立場にはございません。

本多委員 私、ゼロ回答だからかかわっていなかったということにならないと思うんですよ。かかわっているじゃないですか。勝手に、ゼロ回答だからかかわっていなかった、総理もそういう判断をされているんですが、それは私は間違いだと思いますけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今のちょっと御質問がよくわからないんですが、間違いじゃないと思いますがいかがですかというのが御質問なんですか。

 その間違いというのは、どの部分が間違い、よくわからないんですが、本多さんが陳情を受けて、その陳情が……(本多委員「いや、違います、総理のことです」と呼ぶ)

 ちょっと立って質問していただけますか。

本多委員 総理は、谷さんが問合せをした、役所に問合せをしたけれども、結局、ゼロ回答だったと。私、実はゼロ回答ですらないと思うんです。これはまた次に議論させていただきます。

 ゼロ回答ではないんですが、例えばゼロ回答だったとしたら、かかわっていなかったことになるんですか。かかわっているじゃないですか、問合せをしているんですから。

安倍内閣総理大臣 それでは、議員はおられなかったからよく御承知ではないかもしれませんが、何回も……(本多委員「失礼なこと言うんじゃないよ」と呼ぶ)

河村委員長 もう一度、再質問していただけますか。本多君、もう一度、再質問していただけますか。本多君、再質問していただけませんか。どこが、総理の答弁、不十分なのか、もう一度確認してください、質問において。

本多委員 例えば、本件は全然関係ありませんよ、収賄とか、あっせん利得とかあっせん収賄も、別に、例えば、お金をもらいました、何か働きかけをしました、結果が出なくても、お金をもらって働きかけをしたら捕まるんですよ。そういう仕組みで、法律でさえそうなっているんですよ。

 それを、これは今回は全く関係ないですよ、そんなこととは言っていませんよ。実際に、昭恵さんが何かをやろうが、谷さんがかかわっていようが、ゼロ回答だから、かかわっていたことになるという、そんな理屈はないんですよ。そこについてどう思うか聞いているんです、総理の見解を。

安倍内閣総理大臣 あっせん収賄とかあっせん利得とは全くかかわりがないと思いますので、まず、前提において、私、全くその質問は成り立たないと思います。ですから、お答えのしようがないんですよ。

本多委員 問合せはしたわけですよね、総理、名誉校長の安倍昭恵さん付の方は。

安倍内閣総理大臣 そういう質問をされるのであれば、あっせん利得、あっせん収賄を例として出されるのは私は極めて不適切であると言わざるを得ないと思いますし、まずそれを質問の前提から取り下げていただかなければ、私も御質問ができないわけでございまして、あっせん利得、あっせん収賄をまず出されたわけでありますから、この件が、あっせん収賄、あっせん利得とかかわりがなければ出されないんだろうと……(本多委員「そんなこと、違うって言っているじゃないですか。そういう犯罪でさえ。総理、ちゃんと人の話、聞いてくださいよ。違うのは知っていますよ」と呼ぶ)

 であれば、まずそれを取り下げていただかなければ、そのかかわりの流れの中で……(本多委員「取り下げるような御質問はないですよ」と呼ぶ)関係ないのであれば、では、私から聞きたいんですが、関係ないのであれば、なぜそれを前提として出されたんでしょうか。それが御説明がなければ、私、答えようがないと思います。

本多委員 いや、何か誤解をされているようなんですけれども、総理とか、別に総理の周辺が……(発言する者あり)ちょっと、委員長。

河村委員長 御静粛に願います。

本多委員 総理の周辺がそういう犯罪とかにかかわっているなんということは全く言っていないですよ。ただ、そういう犯罪ですら、結果が出なくてもかかわったことになるんですよ。私は、働きかけをしたらかかわったことになるということを言っているだけなんですよ、そういう犯罪の場合ですら。

 私を例にしたっていいんですよ。私がお金をもらって何か役所に働きかけをしたら、これは収賄罪なんですよ。そのときに、結果が出たか出なかったかは関係ないということを言っているんですよ。

 ですから、総理、ゼロ回答だから、問合せをして、総理付の、安倍昭恵さんから、問合せをしてゼロ回答だったからかかわっていないなんということは、全く論理になっていないと思いますよ。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 それでは、もう何回もこれは昨年来答弁をさせていただいていることでございますので、その答弁と一回一回違う答弁をするわけにはいきませんので同じ答弁をさせていただきたいところでございますが、今回も最初に申し上げていたとおり、どういうかかわり方かということについては、私、申し上げているわけでありまして、国有地の払下げか認可について、私や私の妻や事務所がかかわれば責任をとるということを申し上げたわけでございます。

 そして、この件でございますが、そもそも、今回の件に関しては、報道がなされて以来、売却価格や売却手続について国民の間で問題になっていました。この御指摘のあった点については、夫人付から籠池氏に送られたファクスについては、国有地売却の議論がなされる前の貸付けの段階の話でありまして、この段階で既に、いわば国有地売却や認可の話ではないということは御理解いただけていると思います。

 その上で申し上げているところでございますが、今回の夫人付が財務省に問い合わせた行為やファクスで回答した行為が、国有地払下げ、すなわち売却に私の妻が関与したことには全くならないということを今申し上げているところでございます。これまでも申し上げてきたとおり、私や妻がこの国有地払下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたい、こう思うわけであります。

 そしてまた、貸付けについての籠池氏からの書面に対して、夫人付からファクスにて、籠池氏側の要望に沿うことはできないときっぱりとお断りをしたと承知をしておりまして、ゼロ回答であったということは明らかであろう、こう思うわけでございます。

 そして、ゼロ回答云々の前に、今申し上げましたように、これはもう随分議論になって、ほとんどこれは結論が出ている問題でございますが、いわば国有地の払下げ、認可ということが議論になっているときにそれには一切かかわりがないということでありまして、今のファクスのやりとりについてはそれより前の話である、こういうことでございまして、御了解をいただければ、このように思うところでございます。

本多委員 私、何回か御存じないかもしれませんがと言われるんですが、一貫してずっと議事録を読んでからきょう質問に立っておりますので、変なことを言わないでいただきたいと思います。

 それで、今回のこの国有地の払下げの問題は、実は、二〇〇三年から今まで続く五年間ぐらいの話なんです。総理はなぜか、この福島さんの答弁のときは一切かかわりがないという言い方をされて、しかし、この十一月から答弁を微妙に変えられているんですよ。そこは非常に私は怪しいと思っていまして。

 いいですか。国有地の売却にはかかわっていないけれども、この貸付けの部分。しかし、これは貸付けといいますが、実は貸付けじゃないんですよ。後でちゃんと買いますよという約束のついた貸付けの時期にはかかわってもいい、こういう言い方をされているんですけれども、では、安倍昭恵さん又は安倍昭恵夫人付は、この貸付けの期間には、総理、ここだったらいいとおっしゃっているんですからね、ここだったらかかわってもいいんじゃないかとおっしゃっているので、この言ったことと違うから、この時期にはかかわっていらっしゃったんですか。

安倍内閣総理大臣 これは読んでおられるかもしれませんが、そのときの国会のことは御存じないんだろうと私は思うんですね。

 あのときに問題になったのは、問題の核心は何かということなんです。(本多委員「いや、核心を決めるのは私なので」と呼ぶ)いやいや、違います。では、ちょっと、済みません。(本多委員「答えてください」と呼ぶ)いや、私が答弁している最中に何か言われるのであれば、手を挙げて、立ってまた質問していただかないと……(発言する者あり)済みません……

河村委員長 御静粛に願います。総理答弁中です。

安倍内閣総理大臣 これは、皆さん、ちょっと大切な質問に対してお答えをしているんですから、小熊さん、やじはやめていただきたいと思います。

 そこで……(発言する者あり)済みません、長妻さんもちょっとやめていただけますか。今、誠実にお答えをさせていただこうとしているところでございますので、皆さん、やめていただきたいと思います。

 そこで、いわば核心とは何かということでありました。核心は、いわば国有地が安く払下げされたのではないか、そこに政治の力が働いたのではないかということが問題の核心であります。

 いわば、かかわっていたかどうかということについては、もう既にその段階で私の妻は名誉校長を引き受けたわけでありますから、無関係ということを私は申し上げたことは全くないわけであります。妻は、その段階で名誉校長を引き受けていたわけであります。

 関係がないというのは、いわば国有地の払下げ等についてはかかわりがもちろんないわけでありますが、籠池氏と……(本多委員「質問に答えてくださいよ。貸付けにはかかわっていたんですかと聞いているんですよ。委員長、答えていないんです」と呼ぶ)今、手を挙げたんですか。

 いわば、籠池氏とのかかわりはあったということは、そのとおりであります。

 そこで、まさに、これについては、核心は、国有地が払下げになったことについてはかかわっていない。それはもう、恐らく本多委員もお認めになっているんだろうと思いますよ。認可についてもかかわっていないということはお認めになっているから貸付けについてのやりとりについておっしゃっておられるんだろう、こう思うわけでございますが、この貸付けについてのお答えについては、国有財産に関する問合せに対する一般的な内容であって、仮に籠池氏側から財務省に対して直接問合せがあったとしても、同様に答える内容であると承知をしております。

本多委員 では、貸付けにはかかわっているということですね。ただ、問題はない、この最初に言った福島さんのときには国有地売却と言っているから当たらない、それが総理の考えです。

 しかし、私はそのとき一国民としてどうとったかというと、ずうっと、最初は買ってくださいと言っていたわけですよ、財務省は森友学園に。普通そうなんですよ、学校をつくる人に土地を貸したりしないんですよ。それを森友学園がいろいろ言ってきて、貸しましたと。その貸している時期、でも、この貸したというのも、ただ貸しじゃないんですよ。いずれ売りますよという約束がついているから、これは一連、売却の話なんですよ。

 では、総理、聞きますけれども、福島さんに答弁したときに、こういうふうに森友学園のこの一連の年表があって、最初は、売りますという話、途中、貸付けの話があって、最後、売る話になった。こう三段階に、私はこれは一連の売却だと思いますが、総理は、こういうふうに時期が分かれているということをわかっていた上で答えているんですか。

安倍内閣総理大臣 福島さんに何回もこの件について質問されておりますので、いつの質問でしょうか。

本多委員 一番最初に総理が、総理をやめるという発言をされたときの質問であります。

安倍内閣総理大臣 その当時の質問について、あらかじめ質問通告がございませんが、たまたま資料がございますので、これを見ながら、今ちょっと記憶を呼び起こす必要がございます。

 これは、いずれにいたしましても、繰り返し申し上げますが、「私も妻も一切、この認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして、」ということでありまして、「なぜそれが当初の値段より安くなっているかということは、これは理財局に聞いて、もう少し詳細に詰めていただきたいと思います」、こういうことを申し上げたわけでございまして、まさにこれは、値段が安くなっているということについて、国有地の払下げについて、一切かかわっていないということを申し上げたところでございます。

 また、貸付けについても、何か依頼したということではなくて、問合せをしたというだけにすぎないわけでございますし、また、理財局長も近畿財務局長も、私の妻が名誉校長であることすら知らなかったというのが事実であろう、こう思うところでございます。

 もし、ここに何か、そこでルール上何か問題があるんだということであれば御指摘をいただきたいと思うわけでありますが、今この議論になっているのは、どうやら、かかわっていたというこの言葉がどういう意味なのかということだと思いますが、いわば、何回も申し上げておりますように、私が申し上げてきたことは、国有地の払下げあるいは認可についてかかわっていない、国有地の払下げ、認可についてかかわっていないということでありますから、それについてかかわっているということであれば、そういう質問をしていただきたい、こう思う次第でございます。

本多委員 私、今の答弁ですと、実は、谷さんのファクスの後、そのファクスを受けた担当者は売買のところでもかかわっているんですよ。売買のときにも担当されているじゃないですか、その方は。だから、その売買のときも、これは総理夫人案件なんだと知っている方が売買のときもかかわっているから、ファクスのときには、今後もしっかりとこの案件は見守っていきますということを言われているわけじゃないですか。どうなんですか、そこは。

安倍内閣総理大臣 どうなのと言われてもよくちょっとわからないんですが、相手の方がどういう役職を務めているかというのは、これはまた別の話だろうと思います。

本多委員 いや、総理の中で勝手に切り分けをして、貸付けの時期と、私はこれは一体だと思いますよ、国有地の払下げ。それを森友学園が、一時期、お金がないから貸してくれと言った時期があった、そこの部分にかかわったから、この一連の国有地払下げ、結局払い下げられている、そして値下げもされている。そして、そこの、貸付けのときと値下げのときと同じ担当者がかかわっている。そこにいろいろな働きかけをされていた、安倍昭恵名誉校長が。

 私は、これは総理にいろいろな、もう一つ電話のことをお聞きしたかったんです、時間が来ているんですけれども。

 今月の五日の江田憲司さんの安倍さんへの質問に、籠池さんの電話にほとんど昭恵は出なかったと言っているんですよ、一番谷さんとのやりとりをしている時期に。これは私、出ていなかったのかと思っていたんですけれども、ほとんど出ていなかったという言い方は、出ていたんですか。出ていた電話もあるんですか。

安倍内閣総理大臣 これは最後の質問だと思いますが、時間がないので。

 これは、いわば、理財局、近財に行ったときかな、あの人が、籠池さんが。そのときに、何か電話があったどうこうというのが……(発言する者あり)ああ、本省ですか。本省に行ったときの後か何かに電話があったと。それについては、もちろん電話を全くしていないということは明確に申し上げているわけであります。

 籠池さんと全く電話をしなかったかというと、それは全く電話をしなかったわけではありませんが、ほとんど電話をしていないということは申し上げておったわけでありまして、それが果たしてその国有地の値下げにどういう意味があるのかということは、今ちょっと質問をお伺いしていてわかりかねたところでございますが、こういうやりとりは、もう昨年来ずっとさせていただいているところでございます。

本多委員 最後に一言。

 まず、国有地の払下げの、貸付けじゃなくて払下げの時期に電話が来たかどうかというのは、テープに、籠池さんが言っているわけです。それは、総理は奥さんに聞いて、そういう電話はなかったと言われているんですが、私、総理の答弁、全部信用するわけにいかないんですよ。

 裁量労働制のデータも、読んでみたら、厚労省に言われました、財務省の話も、財務省に言われた答弁を読んだだけですと。

 奥さんの答弁も、この時期に、どうなっていますか、財務省との値下げの交渉と奥さんから電話が入っていたら、これは完全に黒ですよ。だから、そういう電話をどうかというのは……(発言する者あり)いや、もうそれは……

河村委員長 今の白、黒というのはどういう意味ですか、本多君。本多君、白、黒のことについて説明をしてください。いかがですか。

本多委員 委員長の声が聞こえないんですけれども、後ろのやじで。後ろのやじで委員長の声が聞こえないんですけれども。

河村委員長 今、白、黒のお話をされました。どういう意味ですか。

本多委員 犯罪という意味ではなくて、総理が福島さんの答弁のときに、国有地の売却に私や昭恵がかかわっていたらという、かかわっていたに当たるという意味で申し上げました。

 この時期に電話をしたら、かかわっていたことになるじゃないですか、売却の状況はどうだと言ったら。

 だから、この電話を、本当になかったかどうかは総理に聞いてもわからないんですよ。ですから、安倍昭恵さんの証人喚問をしっかり求めて、委員長、どうですか。

河村委員長 理事会で協議させていただきます。

本多委員 質問を終わります。

河村委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申出があります。本多君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。

 裁量労働制のテーマに行きたいんですが、裁量労働制のデータの問題。

 今、政策を立案するとき、何が一番重要か。いろいろ重要なことはあると思うんですけれども、やはり、現状が一体どうなっているのか、この現状把握というのが政策をつくる上で重要なテーマの一つになると思います。これは相当難しいんです。

 我々国会議員、いろいろな現場を見て歩きますけれども、全ての現場、全ての当事者、全ての関係者にお会いすることは物理的に不可能でございますので、そういう意味では、データを駆使して、そしてできる限り現状に近づいて、現状把握をしようということであります。

 ある意味では、データというのは、政策を立案する上での命にもなるものであります。大変大切なものです。そのデータに基づく現状把握を間違うと、どんなに立派な政策でも現状に合わないで副作用が顕在化するというのは、過去、例が大変多いわけでございまして、そういう意味では、今回、データの問題というのは大変大きい、重い問題であるということで、きょうはそのテーマで質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、加藤大臣、このデータの分析を我々もさせていただきますと、一カ月の残業時間は書いてあるけれども、一日、一カ月のうち最長の一日の残業時間はゼロだ、こういうものが散見されるんですが、これは何件ぐらいございましたか。

加藤国務大臣 一般的な労働者のケースだというふうに思いますけれども、月単位の法定外労働時間が記載をされていて、そして週も記載をされていて、一日はゼロというケースですね。平均的な者において百二十八件、最長な者により百五件あります。

長妻委員 これは、今まで明らかになっている、大臣も認めたデータの間違い、百件以上ありましたけれども、それには含まれない数字だと思いますが、百二十八件と百五件、足すと二百件を超えますけれども、これも間違いだったということでよろしいのでございますか。

加藤国務大臣 間違いというか、記載がされていないという、そのとおりでございます。

 したがって、常識的に考えて、月があり週があるにもかかわらず一日に法定外をしていないということはないというふうに思います。法定外の時間がないというのはあり得ないと思います。

長妻委員 ないというんじゃなくて、ゼロと書いてあるんですね。そうすると、これも計算の分母に入るわけですよね、ゼロというのも、間違えた数字が。それは含まれるということでよろしいんですか、計算に。

加藤国務大臣 それも含めて計算をしているというふうに承知をしております。

長妻委員 そうすると、もう一回確認するのでございますけれども、百二十八件足す百五件、二百三十三件については、きょう、今、これは間違いであるデータだということで、新たな間違いのデータとしてお認めになったということでよろしいんですね。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、月と週に労働時間があるのにもかかわらず、この場合には、例えば最長であれば、月最長の者の中の週と一日の最長を書くということになっているにもかかわらず、月があって一日がゼロということは合理的ではないと思います。そういうことは多分想定し得ないと思います。

長妻委員 そうすると、今まで、百件ちょっとが間違いだったというふうに厚労省の御答弁がありましたけれども、それに加えて、新たに二百三十三件も間違いだったということだと思います。ぼろぼろ出てくるんですね。

 そしてもう一つ、山井議員が指摘をした今度は裁量労働制のデータなのでございますけれども、例えば企画裁量労働制で、二時間未満、一時間台以下、二時間未満ですね、そういう方というのはどのぐらい、何件ぐらいありましたか。

加藤国務大臣 済みません、お配りした資料を使わせていただきますけれども、企画業務型裁量労働制の労働時間で、二時間以下、最長の者の場合には九件で全体の一・二%、平均な者の場合は四・五%で三十三件、こうなっています。

長妻委員 これは山井事務所がつくって我々が確認をした資料なんでございますけれども、そうすると、この資料は正しいということでよろしいんですか。

加藤国務大臣 これは、今お話がありました山井委員から先週来御指摘をいただいておりますので、私どもにおいても、こうしたデータ、それぞれ電子化された、打ち込んだデータをベースに議論させていただいていますから、そもそも原票との関係でどうなのか、それから、実際、裁量労働制の場合には六カ月ごとの報告書等がございますから、それと比べてどうなのか、さらには実際それがどうだったのか、今精査させていただいているところでございます。

長妻委員 そうすると、例えば極端な例でいうと、企画裁量労働制で事業所に入って、おたくのところの事業所で企画裁量労働制で一番長く働いた人、一日何時間ですかと聞いたときに、一時間十三分ですと答えた事業所もあるし、一番働いた一日、何時間ですか、最長の者で一時間四十分と答えた人もいる、一時間四十五分と答えた方もいるということで、非常に短いんですね。例えば、裁量労働制の平均的な者で聞くと、三十分と答えた事業所もあります。

 つまり、一時間以下と答えているところ、あるいは一時間と答えているところ、こういうところも計算に入れたら、裁量労働制は短くなるに決まっているじゃないですか。

 これは間違いではないんですか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げた山井委員の御指摘からも、みなしの労働時間との絡みもありますが、例えば通常は八時間とか、場合によっては七時間ぐらいもあるかもしれません。それと比較すると余りにも短いという意味において、私も違和感を感じるというのは事実、違和感をまず感じるのは事実でありますが、ただ、今申し上げたような形で精査させていただき、各企業にも当たった上で御報告をさせていただきたいと思います。

長妻委員 これは至急対応してほしいんですよね。

 今回問題になっているのは、今のデータは、労政審、労働政策審議会に出ているんですよ。出ているデータなんですよ。

 今まで確かに、比較をした不適切な比較、私は捏造の疑いが大だと思っているんですが、これは労政審に出ていないんですよ。

 ただ、裁量労働制のデータや、今申し上げたデータ、三百件ぐらいになりましたね、間違い、これは労政審に出ているんですよ。ですから、そのものの信頼性が非常に失われるんじゃないのかということであります。

 そうすると、企画裁量労働制は確かに、例えばみなしであなたは八時間ですよといって、ただ、そのみなしを受けている方の最長の働く人が一日一時間十三分だったと。これはすばらしい企業というか、八時間のお給料をもらって一時間で帰れる、こういうところがいっぱいあるわけで、それは私も理屈的に全くないとは断言しません。そういうすばらしい企業があるのかもしれませんけれども、こんなに多くいらっしゃって、これはパートさんとかじゃないんですかね。

 そうした場合、本当に一般の労働者と比べる数字として適切なのかどうかというのが次に出てくるし、そもそも間違いということも、これだけほかの点で間違いがあるので、間違いということもあるし、これはいつはっきりさせてくれるんですか。

加藤国務大臣 まず、労政審に出したかということでありますが、先ほどの最初の方の御質問だった一日のデータについては、これは労政審には出していなかったということでございます。

 裁量労働制については、こういうまとめ方ではありませんけれども、出させていただいているところでございます。

 その上で、今の話でありますが、とりあえず、この一時間未満の、たしか二十五件でしたかね、二十五件について速やかにということで今精査をさせていただいて、ただ、これは最終的にはやはりそれぞれの企業にお聞きをしなきゃならない。しかも、本件については臨検というような、監督指導とは全く違いますから、電話をして丁寧に対応していくということで。我々もできるだけ早くとは思っておりますが、ちょっと先方のことがございます。ただ、余りにも長くなるようであれば、先方との連絡がつかないというところであれば、ある程度の数を見たところで判断しなきゃいけないというふうには思っております。

長妻委員 そんなの、まず、ぱっと訪問すればすぐわかることだと思いますよ、これは。この委員会の出口までにはちゃんと出してください。

 委員長、お願いします。

河村委員長 理事会において協議をいたします。

長妻委員 それで、よく一部聞こえてくるのは、今回、確かに、労政審に出したデータ、大体分母は一万データぐらいあります。一万データのうち、数百間違えても大したことないじゃないか、数百件間違えてもという意見を言う方もいます。私は、全くそういう意見にくみしませんけれども。

 ところが、裁量労働制が仮に間違いだとすると、実は、一般の労働者は一万件なんですよ、確かに分母は。ただ、例えば今回、企画裁量労働制を営業に拡大する、曖昧な形で、これは我々は、過労死がふえる、絶対やめてほしい、こういうことを申し上げているんですが、その企画裁量労働制で多くの短時間、例えば平均的な者の四時間以下というのは五十二件あるんですね。裁量労働制で企画業務型のサンプル数は、実は七百三十八件なんですよ。一万件じゃないんですよ。

 ですから、マスコミの皆さんも誤解されないでいただきたいのは、一万件のうち数百件間違えていたら大したことない、データの信憑性は失われないと、私は失われる可能性は大きいと思うんだけれども、そういうことを言う方に申し上げたいのは、企画業務型のサンプル数は七百三十八件なんですよ。ですから、そのうちの例えば何十件が間違えていたら何割になるんでしょう。データそのものの信憑性が大きく揺らぐんじゃないですか。

 サンプル数は七百三十八でよろしいんですよね。

加藤国務大臣 企画裁量型については七百三十八、専門型については九百二十というふうに承知をしております。

長妻委員 ですから、私はここで断定するわけではありませんけれども、余りにも比較するのに不自然な、例えば平均的な者の四時間以下で企画業務型は五十二件ある、分母が七百三十八件だったら大体一割近くになるわけでありまして、本当にデータそのものの信憑性、これが間違いであれば、これが労政審に出ているわけですから、全て法案はやり直しですよ。労政審に差戻しですよ。

 もう一回確認したいんですが、きょう新たに二百三十三件の誤りが見つかったということは、今まで確認しているものと足し算すると何件になるんですか、トータル。

加藤国務大臣 これまで御指摘をいただいていた一般労働者に係る話でありますけれども、一日四十五時間等の誤記と考えられるのが三件三事業所、一日の労働時間数が二十四時間を超えるものが、今のものを含めると十五件十五事業所、週と月、日と月、日と週について時間外労働の時間数に逆転が見られるものが百十七件八十三事業所、重複を除きますと九十三事業所というのがこれまでのお話でございます。

 加えて、今委員御指摘の、月や週について法定労働時間の記載があるにもかかわらず一日はゼロについては、平均的な者で百二十八件、最長の者の百五件であります。

 ただ、済みません、今、途中でありましたので、最初に言った三つと今申し上げたやつが重複するかしないかは、ちょっとわかりかねるところでございます。

長妻委員 いずれにしても、三百件ぐらいに膨れ上がっている。我々、私も統計の専門家ではありませんから、ぱらぱらただ見るだけでわかるんですね。どう考えてもおかしい、今みたいに。ところが、我々もわからないものは、一見、合理的に見えてもデータを間違えている可能性もあるので、本当に精査をきちっとしていただかなければならないということは強く申し上げておきます。

 そして、安倍総理にお伺いしたいのはこのパネル一でございますけれども、前回、総理とこの件でやりとりさせていただきました。このデータというのは政策をつくる上での命であるということで申し上げましたところ、発言を撤回するということでありましたが、ちょっとその後に注釈を総理は答弁されて、撤回をいたしましたのは、データを撤回するというふうに申し上げたのではないと。つまり、答弁……(発言する者あり)何ですか。いや、秘書官の方が今やじをおっしゃるので、何ですかね。何ですか、精査。まあいいや、じゃ。データを撤回するというふうに、ちょっと秘書官の方、気になるのでやじをやめてください。撤回をいたしましたのは、データを撤回するというふうに申し上げたのではないとおっしゃっているんですが、これは変わりないわけですか、今も。

安倍内閣総理大臣 それは答弁をさせていただいたときも申し上げたとおりでございまして、答弁は撤回をし、おわびをさせていただいたところでございますが、データについては、まさに厚労大臣から答弁をさせていただいておりますように、今精査をしているということでございます。

 このように、いわば精査自体が長引いているものについて答弁したということについては撤回をさせていただいたところでございますし、また、比較をしてはならないものを比較したということも含めて撤回をさせていただいたところでございますが、このデータそのものについてはまさに今厚労省において精査をしているというのは、厚労大臣から答弁をさせていただいたところでございます。

長妻委員 今の総理の答弁はちょっと矛盾があるんじゃないでしょうか。精査が必要で、精査に時間がかかるから答弁は撤回をしたと。しかも、データもまた精査に時間がかかるけれども、これは撤回をしないと。データも精査に時間がかかるわけですよね。というか、もう精査どころか、三百件はまず間違っているわけですよ。まだ頑張るんですか、データを撤回はしないと。秘書官の方もうなずいていますけれども、いや、私は質問していません。本当に秘書官の方もちゃんと適切な情報を入れてくださいよ、総理に。

 次に、じゃ、データそのものの調査が正しくなされたのかということで、先ほどもちょっとここでも質問がありましたけれども、共同通信の報道がございまして、これは労働基準監督官が調査されるんですね、このデータについて。これは調査的監督であるというようなことで、つまり、監督がメーンで、調査は、ちょっと言葉は悪いんですけれども、おまけみたいな形で調査があるというようなことで、「本調査的監督は、臨検監督により実施すること。」こう実施要領に書いてある。臨検監督でありますから、突然立ち入るわけです。ですから、事前に通告をしないわけで、何にも事業所は準備できないわけで、それで入っていく。

 それで、私が厚労省から聞いているのは、大体そういう場合は一人の監督官が一日一者、一日かけて一者を臨検監督する。これだけ時間をかけてやるんだということなんですが、報道によると、一者一時間三十分ぐらいであるというようなことも書いてありました。これはそうすると、ルールが守られていない可能性もある。報道ですよ。

 報道によると、一者当たりの調査時間が短い、一日何者も調査することもあったと、その労働基準監督官の方が報道に答えておられる。そして、こんなようなことも報道ではその監督官がおっしゃっておられる。抜き打ち調査のため事前に必要な資料を準備している企業はなく、分布を調べることができなかった、実際には単に平均的な人は誰ですかと尋ねていた、正確に平均的な人、者を把握するには、全従業員の労働時間を集計し、分布を調べる必要があると。そのとおりだと思うんですね。

 ですから、もし、ここにあるデータ、平均的な者とか最高の者、平均的な人、最高の人というのがありますよね。これはもうデータの根幹ですよね。これを一人選ぶわけです、事業所で。その選び方は、私は今まで、厚労省の説明では、賃金台帳を全部見て、本当に平均的な人とか最高の人をデータ的に選ぶというふうに聞いていたわけでありますが、仮に、そうでなくて、時間がないから経営者の人に、大体あなたの事務所で平均的な時間の人を一人ちょっと教えて、一番長い人は誰か教えて、その時間を教えて、もしこんなようないいかげんな調査をしていたとしたら、これは全然信頼性がないですよ。なくなりますよ。

 これは私も決めつけるわけではないんですが、どうなんでしょう。

加藤国務大臣 まず一つは、御説明したときに、臨検に行って、どのぐらいですかとまず先方に聞いて、そうすると、向こうは賃金台帳を見ながらお話しになるわけでありますから、その中身を賃金台帳を見ながら確認していくというのが一般的なやり方だと思います。

 これは報道ですから、これに直接言及するのはどうかと思うんですが、仮に一日五件行けば、それは一者当たり、そこへ行く時間も考えれば、一時間とかそんな程度になるんだろうというふうに思います。

 ただ、今委員御指摘のように、もともとこうした臨検監督により実施することということでありまして、これについては、これは標準的な業務量でありますけれども、一・〇日以上ということで計画をしているわけでありますから、丸一日かけて行くということと、今ここの報道にあるように一時間少々でやるということでは、当然違ってくるんだろうと思います。

 私どもは、一応、都道府県レベルではありますけれども、実際は監督署ですから、都道府県の労働局に確認したところは、一・〇日ぐらいで計画し、実際にもそうしたことで行われているということは承知をしております。

 ただ、こうしたこともございます、また委員からもございますので、私どもとしては、各署におけるそうした状況についてしっかりと把握をしていきたいと思います。

長妻委員 把握をしていきたいということはどういう意味なのかということなんですが、私も、このデータに、バックデータも含めて、おかしなところがなければきちっとなされているのかなとも思ったかもしれませんけれども、余りにもいろいろな間違いや不可解なことが起こっている調査なので、ぜひ、全国のこの調査に当たった労働基準監督官にヒアリングしていただけないですか、本当に適切な調査か。

 つまり、今、データの原本はあったようでございますけれども、それと突合するというのも必要かもしれませんけれども、そもそも書き込んだ数字自体が正しいのか、こういうようなこともチェックしないといけない局面に来ていると思うんですよね。

 例えば、この調査に当たった労働基準監督官に第三者が、厚生労働省の人がヒアリングすると、名前もわかってしまうので、いろいろ人事的な懲罰を受ける危険性もあるので、例えば弁護士とか外部の第三者の人が、その人物が特定されないように、誰がしゃべったのか特定されないように労働基準監督官にヒアリングをして、調査結果をこの予算委員会に提出していただきたいと思うんですが、いかがですか。

加藤国務大臣 弁護士の方が監督官に聞くというのは、どういう立場で聞くのか……(長妻委員「第三者」と呼ぶ)いやいや、第三者で聞くというときに、それはまさに監督官が言っているとおりに業務をしているかどうかをチェックするということでございますから、基本的に、出てきたことは当然、場合によっては処罰の対応にもなるということでありますから、私は、そこは慎重にやらなければならないんだろうと思います。

 ただ、委員が御指摘のように、その実態がどうなっていたのか、今私ども申し上げた局レベルでしか把握しておりませんから、署レベルにおいて、実際の計画とそして実績がどうだったのか、こういったデータもしっかり把握をして、適切に行っていたかどうか、その把握に努めていきたいと思います。

長妻委員 今の発言はちょっと私は嫌な予感がするんですが、過去もこういういろいろな調査のケースがあって、お役所の官僚の方にヒアリングするときに、懲罰をちらつかせてヒアリングするとなかなか本当の話が出てこないということが過去ありました。

 そういう意味では、やはり真実を知るということが非常に重要なので、ぜひそういう調査をしていただきたい。第三者がきちっとその方々にヒアリングをして、もし問題があれば最終的にはそれは処分ということにもつながるかもしれませんけれども、ぜひそういう調査をしていただきたいということで、委員長、お取り計らいいただければ。

河村委員長 理事会で協議をさせていただきます。

長妻委員 そして、もう一つが黒塗りの問題なんですね。

 これも非常に不可解なんですが、例えば六ページ、六番ですね。今回、どういうような調査をしたんですか、どういうような調査をするのかということで調査要領を我々要求しましたら、真っ黒。真っ黒で塗られているんですね。これは別に個人情報が入っているんじゃないんですよ。企業の情報が入っているんじゃないですよ。こういうことを聞きなさいという、データのところは空欄で、それが真っ黒になっているということです。

 ただ、もう一つ不可解なのが、これはパネルを見ていただきます。四番目のパネルでございます。四番目のパネルも真っ黒なんですが、ここだけ白く文字が出ているんです。

 これは、加藤大臣、情報公開請求のとき、情報公開請求が過去あったということなんですが、これも公開はされたんですか、四ページのこの上のところは。

加藤国務大臣 情報公開請求のときには多分、全て黒塗りか、あるいは出さないということか、ちょっとどっちかわかりませんが、そういう対応だったというふうに記憶しています。

長妻委員 今の答弁のとおり、確認すると、実はこの実施要領を情報公開された方がおられるということで、これを二〇一三年の十月、情報公開した、公開したといっても真っ黒なわけですけれども。ただ、その当時はここも黒かった、この上も公開をしていなかったということなんです。今回、問題が起こったから、上だけは我々に見せた。

 これを見れば一目瞭然ですよね。つまり、今回、不適切な比較、こういう優しい言葉で言っていますけれども、私は捏造の疑いがあると思うんですが、裁量労働制は一日の平均の時間を比べた、一日の労働時間を比べた。ところが、一般の働き方の人は、一カ月のうち一番長い一日を比べた。それはそっちが長くなるに決まっているじゃないですか。それはここを見れば一目瞭然なんですよ。一カ月のうちの一日の時間外労働の最長時間数、これを見れば、もし当時、これを黒く塗らないと、わかったわけですよ、初めから。誰だってわかるわけですよ。

 官僚の皆さんは政治家に資料を出すときに慣例的に、情報公開で黒く塗られたところは政治家にも黒く出す。今までもそういう慣例でありましたから、これも見られなかったわけですね、我々。もしこのときの情報公開でこれをきちっと出していたら、今回の問題だって事前にわかったわけですよ。

 ですから、私が言いたいのは、皆さん、これは国家機密だと思いますか。空欄ですよ、ここ。これが国家機密なんですか。黒く塗らなきゃいけないんですか。

 だから、これは私の邪推かもしれませんけれども、ここも黒く塗られているので、これはわかりはしない、情報公開されても、国会議員に要求されても、これは黒く塗られて表に出ることがないんだから、まあ、二〇一五年三月に民主党の厚労部会でそういういいかげんなデータを出してもばれはしないだろう、こういうふうにたかをくくっていたとしたら、私は大問題だと思いますよ。

 何でこういうものを、ここ、ほかのところの部分も公開してほしいんですよ。何でこれを公開しないんでしょう。この部分、皆さん、どう思いますか、国民の皆さん。また、何ですか。こういうのも公開しない方がいいと菅原さんはおっしゃるんでしょう。何で。だから、そこが誤解なんですよ。

 一部マスコミの方も誤解しているんだけれども、我々はこれを公開してほしいと言っているんだけれども、ここに企業名とかは一切書いていなくて、企業にこういうことを聞きましょうというマニュアルなんですよ。別に企業名は書いていないわけであります。

 じゃ、この部分についてなぜ今まで黒く塗っていたんでしょう。今回、何で国家機密なのに表に出されたんですか。

加藤国務大臣 それは、これまでの御議論もあり、また理事会でそういうお話がある中で、こうした形で出させていただいたということを承知しております。(長妻委員「いやいや、今まで黒かった理由。今まで何でこれが黒かったのか、答えていない」と呼ぶ)

 ですから、これまでは、全体として監督の状況について、こうしたものをつまびらかにすると監督等に支障を来すということで、マスキングをしたりあるいは不開示とさせていただいたと承知しております。

長妻委員 私はちょっとわからない。国民の皆さん、わかりますかね。

 これだけの欄ですよ、時間は入っていないんですよ。こういうのを聞くよというのを出すと監督に支障がある。でも、今回は監督というよりも調査なんじゃないですか。調査も大きな目的の一つなのに、何を聞くかを表に出さないで調査データを読み込めなんて、無理難題ですよ。

 ちょっと今の答弁はあきれました。これは監督に支障があるから。でも、調査でもあるんですよ、今回。これじゃ、ほかの黒いところも推して知るべしだと思いますよ。私は、出して差し支えないところはいっぱいあると思いますよ、何枚もありますけれども。

 ぜひこれについても、委員長、情報公開、差し支えないところを出していただきたいということを理事会で。

河村委員長 理事会で協議をさせていただきます。

長妻委員 そして、もう一つ、一番大きなテーマといたしましては、今回の件、政府は何か、間違いとか不適切な比較というようなおっしゃり方をされておられますけれども、仮にこれが捏造であったとすると大変な話になる。話がうま過ぎるんですよね。

 我々は、裁量労働制は時間が長くなる、そういうふうに申し上げていた。それに反論するデータがなかったんです、それまでは。ところが、二〇一五年の三月に突然、いやいや、裁量労働制の方が労働時間が短い、こういうデータもあるよというふうに出てきた。話がうま過ぎるんですよ。それで、これを検証してみると、全くの事実と違う比べ方。一カ月で一番長い一日と、裁量労働制は一日の労働時間を比べていたということだったわけでございますけれども、これは誰が作成したかは特定できているんですか。

加藤国務大臣 直接、固有名詞は私は承知をしておりませんが、当時、民主党の部門会議ですかというところで説明をさせていただく中でいろいろ宿題もいただき、また、それに必要なものは何かということを、戻ってきて、課長以下、課内で大体こんなことだねという方針をつくり、そしてそれにのっとった資料をそれぞれの課員がつくった、そのうちの一つがこれであります。その上で、課長に了解を得、局長に了解を得て、そして部門会議に提出をさせていただいた、こういうふうに承知をしています。

長妻委員 いや、私が申し上げたのは、淡々とその経緯でなくて、どういう意図でそれがつくられたのか、誰の指示なのか。部下が勝手にやるわけはありません。それは調べていただけますか、第三者の客観的な目で。

加藤国務大臣 その第三者の客観的な目というのはちょっと御趣旨がよくわからないんですけれども、私どもの方において承知しているのは、今申し上げた、課内において、そうしたことで、どういう態様のものをつくればいいのかということについて方針を確認し、そしてそれに必要なものをそれぞれの課内の人間が出してきたということでございますので、それ以上でもありませんから、それ以上何を調査すればいいのかということでもございます。

長妻委員 今のは開き直りの答弁だと思いますよ、ただつくったから、調査なんかする必要がないと。

 これだけ、三年間、我々、ある意味ではだまされ続けて、国会でも答弁があり、そして裁量労働制を入れる一つのデータになったわけです。総理まで答弁されているわけですから。

 調査しないんですか、なぜこれがつくられたのか、どういう意図なのか。調査する必要がないと言って、大臣、まずいと思いますよ、今の答弁は。

 ぜひ、委員長、委員長もこれはぜひ、そう思われると思いますが、調査していただけないですか。

 どういう意図であったのか、加藤大臣にお伺いします。

加藤国務大臣 ですから、今申し上げたような形で物が作成されたというふうに私が当時の担当者に確認をさせていただいているということでございますので、私もそれを聞いて特段不自然なところもないなと思いますので、今御指摘のような、第三者の目という御指摘の部分がよくわかりませんけれども、そうした調査は必ずしも必要ではない、こう認識をしております。

長妻委員 特段不自然なところがない。だって、一カ月、一日、一番長い日と、裁量労働制は普通の一日と比べているわけですよ。その比べたことが特段不自然なことはなかった。これはどうなんですか。

 じゃ、どういう意図で、動機でそういうふうに間違った比べ方をしたんですか。素人でもわかりますよ、比べちゃだめだというのが。その動機がわからないから、その動機を調べてほしいと申し上げているわけです。

加藤国務大臣 資料のつくり方というか、それぞれデータを出してきて資料をつくるわけでありますけれども、言葉が平均的な者、それから同じ調査であったということで、もう少しきちんと確認をしておくべきだったという委員の御指摘はそのとおりだと私は思います。当然、統計をつくるときには、原典に当たり、どういう定義なのか、それがどういうものなのか、場合によっては加工されているか加工されていないかとか、それをしっかり調べてつくるべきであった、それは委員おっしゃるとおりだと思います。

 ただ、今申し上げた全体の作成の経緯というのは、私が聞いた限り、課の中でそういう方針を立てて、それにのっとってそれぞれの課員が自分の持っているデータを使って表をつくってきて、そしてそれについて課長の了解をとって、局長の了解をとって出したということでございますので、それはそういうことだったんだろう、私はこういうふうに受けとめているわけであります。

長妻委員 今、私は信じられない答弁だと思うんです。何かケアレスミスみたいな話で、こんなうまいケアレスミスがあるんですか。都合のいいデータがうまいケアレスミスででき上がっちゃった。そんなミス、まず違う土俵のデータを比べるという発想なんかないじゃないですか、普通は。調べないというのは言語道断だと私は思いますよ。

 ちょっと一回、答弁を整理してください。

加藤国務大臣 ですから、私が当時の課長等にも聞いて今御答弁をさせていただいているわけで、今申し上げたそうしたものの、当時において裁量の中の専門と企画について議論もあり、そして、あわせて一般のデータとも比較をする形でつくり上げてきたということでありまして、それ以上でもそれ以下でもないんだろうというふうに思います。

長妻委員 完全に開き直り答弁ですね、今のは。これは許しません。許せない。とんでもない話だ。

 委員長、調査するように理事会でお願いします。

河村委員長 理事会で協議をいたします。

長妻委員 もう時間がなくなってまいりましたが、もう一回、最後、総理にお伺いしますけれども、データを撤回するというふうに申し上げたのではないと。この一枚目ですね。データは撤回しないと総理が頑張っておられるから、みんながなかなか非を認められないところがあるんじゃないでしょうか。総理、政治的責任、どうお考えなんですか。

安倍内閣総理大臣 まさに答弁においては、私は私の責任で答弁をしておりますから、私の行った答弁については、不適切な比較であり、また、精査に時間がかかるものについて答弁したことについては撤回をし、おわびをしたところでございます。

 また、データについては、再々加藤大臣が答弁をしておりますように、今まさに精査をしているということでございまして、精査をしている中においてそのデータ自体、これを撤回するということも適切ではない、まずはしっかりと精査をすることが大切ではないか、こう考えているところでございます。

長妻委員 これで最後にしますけれども、総理、本当に細かいことで総理が答弁を間違えたということであればそのとおりでいいと思うんですが、間違った答弁をしただけで、それは撤回した、謝罪したと。

 だって、今国会最大の目玉が働き方改革ですよね。そこの本丸の一つが裁量労働制の拡大ですよ。その一番の根幹の、しかも、厚生労働省の課長が労政審で、問題になっているこのデータを出発点として裁量労働制の拡大を議論したいとおっしゃっている最大のデータが、こういういいかげんな比較が国会でも答弁され、民主党の部会にも出されたわけであります。

 総理が何にも責任を感じておられないということで、私は、一国の総理としてこれは問題だと思いますので、これからもこの問題を追及してまいりますので、ぜひ総理、考え直していただきたいと思います。よろしくお願いします。

河村委員長 これにて本多君、長妻君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 希望の党の玉木雄一郎です。

 今の長妻委員に引き続きまして、裁量労働制の問題について取り上げます。

 きょうは、この問題、我が党でこれまで一生懸命取り組んできた京都六区の山井議員ともどもに、厳しく問いただしたいと思います。

 まず、二月五日に、ちょうど三週間前です、この問題について私は取り上げました。加藤大臣も総理も覚えていらっしゃると思います。裁量労働制、その趣旨自体を全て否定するものではありません。ただ、だからこそ、その拡充に当たっては、現状がどうなっているのか知りたい、いろいろなデータがあるので、どうなっているんだということを三週間前に聞きました。

 というのは、私のところに、私の知人からこういうメールが来ました。

 現実に私に起きていた例を挙げさせてください。私は某広告代理店グループの会社にて裁量労働で働いていました。しかし、裁量に当たる明確な成果や売上目標等もなく、また就労時間も規定、十時から十九時、されていました。死ぬかと思うほどもうろうとしながら残業していました。三日間連続で家に帰れず会社で仕事をしたり、朝まで仕事をしてそのまま客先に赴くこと、体力が追いつかず、自腹で近隣のビジネスホテルに宿泊することも多々ありました。最終的に体重が七キロほど落ち、パンツやスカートが着られなくなるようなありさまでした。営業職に裁量労働を課した場合の影響はひどい結果になるでしょう。こういったことは複数の会社にて起きており、心神喪失して働くことができなくなった人が現在も多くいらっしゃると思います。

 女性の方です。だからこそ、現状を知りたいといって、二月五日、質問をしました。

 その後、山井議員を始め野党各党の議員がこの質問をして、いろいろなことが明らかになってきました。

 私、その後いろいろ調べて、腹が立っているんですよ。なぜかというと、パネル一をちょっとごらんいただけますか。この間の経緯です。

 私が質問したのが二月五日の月曜日、三週間前でありました。質問通告をしたのが、ビジネスデーでいうと前の週の金曜日の二月の二日。ここで、こういう質問、特に、今申し上げた、裁量労働制になったら働く時間が長くなるんじゃないのか、でも厚生労働省の調査だと短くなるものもあるから、一体それはどうなんですか、本当なんですか、こういう質疑をやらせていただきました。

 その質問通告を金曜日にしましたが、後で厚労省が出してきたこのクロノロジー、経緯を見ると、二月二日、つまり私が質問通告した時点で、労働基準局長は、今問題になっている調査の方法や定義が不明確であることを金曜日の時点で認識しています。

 しかし、月曜日、私が質問したときには、加藤大臣、これはどういう証拠があるんですか、実際短くなるんですかと言ったら、後に総理も撤回された、平均的な働く人の時間で見ると、一般労働者が九時間三十七分、企画業務型裁量労働制が九時間十六分、こういった調査結果があると。引き続き、問題の調査をベースとしたこの数字に基づいて、裁量労働制の方が労働時間が短くなるという答弁を五日にしているんですよ。

 まず、担当局長に伺います。

 私が通告をした二月二日の金曜日に、この二十五年調査、調査方法や定義が不明確であることを認識していた。事実ですか。

    〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕

山越政府参考人 調査票の一般労働者の記入欄が、このとき一日の時間外労働の最長時間数となっているということを認識いたしましたのは、この二月二日の夜、部下からその旨の報告があったことによるものでございます。

 ただ、他方で、裁量労働制について、一日の時間をどのように選ぶか、この調査票には記載がございませんで、このため、確認作業を行って、その結果を大臣に報告することを考えておりました。このため、まだこの二月二日の時点ではこのことを大臣には報告しておりませんでした。

 また、この際でございますけれども、一般労働者と裁量労働制で異なる仕方で選んだ数値の比較になっているという認識が必ずしもなかったわけでございます。結果として、不適切な比較による答弁を大臣から申し上げる結果となりまして、心から深くおわびを申し上げます。(発言する者あり)

柴山委員長代理 御静粛に願います。

玉木委員 いや、調査方法や定義が不明確であることは、局長、認識されていたんでしょう。認識されていたんでしょう。少なくともあの答弁は、明確に私はJILPTの調査と二十五年調査を挙げて質問したんですよ。

 では、大臣に、少なくともそういう認識があるのであれば、これをこのままお答えするのは正しくありませんと役人としては言うべきじゃないんですか。それとも、総理大臣や厚生労働大臣をそんたくして、認識したにもかかわらず、とにかくごまかせるところまでごまかしていこう、だませるところまでだましていこう、そういう意図で答弁を作成したんじゃないんですか。どうですか。

山越政府参考人 お答え申します。

 この際でございますけれども、一般労働者と裁量労働制で異なる仕方で選んだ数値の比較になっているという認識が必ずしも私ございませんで、このため、結果として、不適切な比較による答弁を大臣から申し上げる結果となったということでございます。

玉木委員 局長、中央省庁の局長ですよ。部下からそういうことが上がってきたら、少なくとも、今までどおりの答弁を大臣や総理にさせちゃいかぬと思うのが、担当局長が判断すべきことなんじゃないんですか。

 これはきちんと、厚生労働省から出してきた言いぶりを私はそのまま書いているんですよ。調査方法や定義が不明確であることを労働基準局長が認識したんでしょう。調査の方法や定義が不明確だと認識したのに、なぜ、全くそれまでと変わらない答弁を大臣がやっているんですか。

 邪推するわけじゃないけれども、局長は、ひょっとして、役人として当然気づくと思いますよ、優秀な官僚なんだから。大臣に上げたら、いや、それはそれで総理の肝いりだから、これは何とかごまかせるところまでごまかそうと大臣自身が判断されたこともあるんですか、では。どうなんですか、これは。私はあり得ないと思いますよ。結果として、国会や国民をだまそうとしたのではないんですか。

 これは、大臣がそういうことでとにかく突っ切ろうと指示したのか、悪いそんたくを局長がしたのか、どちらですか。

柴山委員長代理 山越局長、わかりやすく御答弁ください。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 この時点で、一般労働者と裁量労働制で異なる仕方で選んだ数字の比較になっているという認識が必ずしも私ございませんで、このため、答弁書を修正するということをしなかったものでございます。

玉木委員 答えていない。

 じゃ、この調査方法や定義が不明確であることを認識した、局長が認識した不備とは一体どこまでなんですか。何を認識して、何を認識しなかったんですか、明確に答えてください。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 一般労働者の記入欄が一日の時間外労働の最長時間数になっているということは認識をいたしました。

 他方で、裁量労働制について、一日の時間をどのように選ぶかについては記載がなかったところでございまして、その辺については確認作業が必要だというふうに考えたところでございます。

玉木委員 とんでもない答弁ですよ。

 今問題になっているのは、比べちゃいけないものを比べている。どういうことかというと、一般労働者では最長の時間数を答えさせている。裁量労働制の方は、最長ではなくて、労働時間の状況ということで、出退勤の時間でとっている。そこまでは認識しているんですよね。違うものをとっているんだということは認識しながら、その違うものを比べることが不適切のところは認識していなかった。そんな言いわけが通じますか、皆さん。あり得ないですよ。

 もう一回言いますよ。一般労働者については最長の時間数をとる、それをとっている。裁量労働の方は最長じゃないものをとっている。ここまでは認識しているんですよ。ここまでは認識している。しかし、それを比べることが不適切とは必ずしも認識していなかった。そんなことはあり得ないじゃないですか。

 大臣、二月二日の時点で局長が、そういう認識をしておられた、当然大臣レクということであったと思いますが、大臣、実は、一般の労働者というのは最長の時間をとって、裁量労働制の方は必ずしも最長をとっていないんです、でも、平均的な者で比べると裁量労働の方が低い、少ない、そういう説明を受けてあの答弁をされたんですか。

加藤国務大臣 委員御承知のとおり、答弁については、一々説明を受けずに、答弁書が私のところに来ますから、疑問に思うところだけをチェックして、それを確認して実際答弁をさせていただいております。

 そういった意味において、従前の答弁から特段、今御指摘のあるような点について指摘もございませんでしたので、私はそのままその答弁を使わせていただいて、大変申しわけないことに、委員に対して、当面は精査が必要なもの、最終的には比較することが不適切なものをベースに答弁をいたしました。これについてはおわびを申し上げなければならないと思います。

玉木委員 私、本当に、二月五日にやった質疑の時間を返してもらいたいですよ。だって、気づいていたんでしょう。日本国の担当の行政官はこれを認識していたのに、それを、大臣の答弁には一切何の注も説明もなく、そのまま従前の同じ答弁をして、それで何とか逃げ切ろうとしたんですか。こういうところに、本件に関する隠蔽体質や捏造体質があらわれているんじゃないですか。

 局長、法案の担当局長でもありますから、こんなことで法案なんか通せると思わないでしょう。これでもまだ法案を通す気なんですか、担当局長として。あり得ないと思いますよ。どうですか。

山越政府参考人 労働基準法等働き方改革関連法案については現在準備の作業を進めておりまして、その作業を進めていきたいというふうに私は思っております。

玉木委員 こんなひどいことは見たことがないですよ。だって、問題だということを認識しておいて、一切それを、今の大臣の答弁を信じるのであれば、大臣には全く説明がなく、二月五日、私が総理や加藤大臣と議論したときには、依然として、裁量労働制の方が労働時間が短いという調査があるということを答弁し続けたんですよ。大問題ですよ、こんなことは。意図的に隠蔽しようとする意図があったと言わざるを得ません。

 そんな中で通そうとした、あるいはそんな中で作成したこの法案、裁量労働制と高度プロフェッショナル人材の部分、総理、これはもう無理ですよ。諦めてください。なぜなら、多くの働く人に影響を与える法案だから、施行期日を一年延ばすとかせこいことをせずに、法案を撤回すべきだと思いますが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 裁量労働制は、一定の知識経験を有して働く方本人に、会社が決めた一律の定時に縛られることなく出勤、退勤時間を自由に決めていただき、仕事の進め方をお任せして、より効率的に成果を上げていただこうというものであります。

 労政審では、労働時間等についての資料も含め、さまざまな資料に基づいて議論をいただき、種々の御指摘もあったと承知をしております。政府としては、その取りまとめの内容に沿って裁量労働制について見直しを行うものであります。

 その中で、対象業務の拡大を行う企画業務型裁量労働制、これは専門業務型と企画業務型があって、今度拡大するのは企画業務型の裁量労働制でございますが、その労働制については、JILPTのアンケート調査によりますと、対象となっている方の八割弱が満足と答えているのは事実でございます。そして、そこで不満に思われる方々の中には、業務量、労働時間などの点で不満を感じている方が多いのも事実であります。

 こうした点に対応するため、今回の見直しでは、健康確保措置を義務化したり、みなし時間と実労働時間の乖離の是正等のための労働基準監督署の指導規定を創設したりしているところでございます。これはまさに、現在行っている企画業務型の裁量労働制の中において二〇%近くの方々が不満を持っておられる、その点にしっかりと着目をしながら今回この法制を進めているところでございまして、その点もぜひ御理解をいただきたいと思いますし、そういう観点から、またしっかりとこのデータの精査も行いながら、ただいま加藤労働大臣のもとで準備をしているところでございます。

柴山委員長代理 御答弁は端的にお願いをいたします。

玉木委員 週末の世論調査を幾つか見ましたが、この裁量労働制のところをそのまま出すことに反対だという意見が六割ぐらい、調査によりますけれども、ありますよね。やはり総理、そういう声にしっかりと耳を傾けるべきだと私は思いますよ。特に、こういう致命的なミスがあった以上は、一旦これは法案から削除するのが当然です。

 大臣、これはやはり人の命にかかわる問題です。だからこそ、慎重には慎重に、客観的データをきちんと集める。今、総理の答弁を聞いていてもよくわかりました、私。私は、JILPTの調査を見て、裁量労働の方がやはり長くなっているからそれに向き合ったらいいと言ったんですが、それはこれまで労政審でも一切無視ですよね。

 ただ、今、満足度のところは、そこが七割ぐらいですか、あるからといって、都合のいいところだけまた今度はJILPTのをとってくるわけですよ。ただ、これだって、事業主にどの労働者を選ぶのかというのは任せているので、ある意味、事業主にとって都合のいい方にアンケートを渡して、それで直接回答するということのサンプルのバイアスだってあり得ますからね。

 都合の悪いところはJILPTの情報を使わない、都合のいいところだけ抜き出してここで答弁する、こういうことをやめるべきなんですよ。

 情報を恣意的に使うということがまさに問題になっているのではないんですか。しかも、実は今議論されている三十年度予算には、この法案が通ることを前提にした法規制の執行強化で十億円ぐらい予算計上もされているんですよ、関連で。

 労働基準法等の一部改正の法律案が成立した際には、事業主等に対する法内容の周知徹底を行うというような予算が入っているんですね。だから、予算だって組み替えてくださいよ。逆に、そういう予算もさわりたくないから、何が何でも通そうということなのではないんですか。

 加藤大臣にもう一つ伺います。

 先ほど長妻委員から質問がありましたけれども、私も問題視した、平均的な者についてであります。

 平均的な者というのは平均値とは違うということは、これは、質問をして、大臣も認識されたでしょう。しかし、あのとき、私、改めて議事録を読んでみたら、最初、大臣は、私が質問したら、平均的な働く人の時間という言い方をして、あたかも労働時間の平均値だと意図的に誤解させるような答弁をしたと私は思うんです。

 平均的な者と平均値というのは同じですかと聞かれたら、さりげなく、先ほども平均的な者と申し上げましたけれどもと、さりげなく言い方を修正しているんですけれども、実は、平均的な者とは先ほど言っていないんですよ。平均的な働く人の時間というふうに言っている。これだと、普通に聞くと、ああ、労働時間の平均値を比べたら裁量労働の人が短いのかなと思いますけれども、違う。これは全然違うんですよね。

 平均的な者というのは、これはどういう定義ですか。

加藤国務大臣 平均的な者とは、最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に含まれる労働者をいうということでございますし、私、者というのを働きと言ったのは、シャと言ってもなかなかわかりにくいので、者と漢字で書けばわかりますけれども、者であったり、いろいろなシャがあるので、働く者、働き手と言いましたか、働く方と申し上げたかあれですけれども、あえてそういう言い方をさせていただいたということであります。

玉木委員 総理の答弁にもそういう言い方が出てくるんですよ。私、先ほど、まあ、疑うわけじゃないけれども、一般の人にはわかりにくいから、平均的な方、あるいは平均的な働く人の時間と言えばみんな平均値かなと思うんですが、全然違うんですよね。

 では、逆に伺います。あのときも聞きましたが、この調査における一般労働者あるいは裁量労働者の労働時間の平均値はわかりましたか。

加藤国務大臣 あそこで委員からそういうお話がありました。どれだけのデータを持った上でそれが出てきているのか、平均的な者の数字が出てきているのか、それに対しては、それぞれ事業所について一個聞いてきただけでございますから、事業所全体としての平均的な数字は、そういったデータを算出するデータは持ち合わせていないということは、ちょっと委員にどういう形でお話をさせていただいたかあれですけれども、この委員会では御説明をさせていただいたところでございます。

玉木委員 つまり、二十五年の調査では労働時間の平均値はわからないんですよ。わからないんですよ。それに基づいて、あたかも平均値で裁量労働者の方が時間が短いと三年間にわたって答弁してきたことは大問題だと思いますよ。

 改めて伺います。

 その平均的な者というのは、一番そのカテゴリーに属しているところが多い、例えば九時間から十時間とか、ある事業所だったら十時間から十一時間、一番そこに属している。つまり、全体の分布の山があって、その中の一番山の高いところから誰かとっているということなんですが、先ほどもあったように、そういう人は抜き打ち検査の中で一体どうやって把握しているんですか。

 平均的な者が真に平均的な者であることは、どうやって確認しているんですか。調査票を見てもそのことが、監督官に対して明確な指示が読み取れません。もちろん、まっくろくろすけなので読めないんですが、少なくとも項目がありませんから。答えてください。平均的な者が真に平均的な者であることはどうやって調査で確認することにしていますか。

加藤国務大臣 平均的な者とは、今申し上げたように、最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に含まれる労働者をいう。そして、それについて、どういう者をとっているのかということで、私どもも調べてたしか御報告をさせていただいたわけでありますけれども、その中で、基本的な調べ方としては、疑義の照会がございまして、これは平成十七年度のときの調査でありましたけれども、それによりますと、企画業務型裁量労働制に関する報告については半年ごとに報告書がありまして、そこには平均、最長と書いてあるので、そういったものを含めてそれを転記する、そして、場合によってはその実際を調査するということであったというふうに承知をしております。

玉木委員 全くお答えいただいていません。

 山の一番高いところは、全体像が把握できて初めて山のてっぺんがわかるんです。これは多分、統計学的な言葉で言うと最頻度、最もその頻度が高く出てくるカテゴリーをどう特定するかなんですが、全体がわかって初めて一番山の高いところがわかる。全体の把握がこの調査ではどこにも出てこない、あるいは調べろという指示さえない。だから、平均的な者が平均的な者であることの確証は、この調査ではどこにもないんですよ。

 こんないいかげんな調査でやった一万件のデータは、これは百件間違っている、千件間違っているんじゃなくて、一万件全部、統計的には全く意味のない数字だと思いますよ。いかがですか。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げました記入に当たっては、企画業務型裁量労働制に関する報告で報告しているものを転記するか、又は賃金台帳票の記録により監督官が実際に調べた時間を記入することを想定している。そして、平均的な者も、一日で見て最も多くの労働者が属すると思われる労働時間の層に含まれる労働者の労働時間を書くこととする、こういうふうに書いておりますので、それにのっとって監督官が記載をしている、こういうふうに承知をしております。

玉木委員 いや、それは単に、だから、平均的な者と言われたものを平均的な者、あるいは担当官が平均的な者と思ったものを書いているだけであって、私は、その統計的な裏づけを聞いているんですよ。全体分布がわかって初めて、一番山の高いところ、最もいろんなカテゴリーがある中でそこに一番属しているのがわかる。

 ただ、この今出している調査の中では、その全体を把握するということが求められていないから、つまり、逆に、例えば八時間五十分が我が社では一番平均的な者ですと言われたときに、その八時間五十分が、三百人、四百人従業員がいる中で一番頻度の高いカテゴリーに属しているというのは、どこでどう確認するようになっているんですか。そのことが全く反証できないような調査をしていることが問題だと言っているんです。

 大臣、どうですか。

加藤国務大臣 ですから、会社に行きまして、そこの会社において労働時間の状況について把握をしている、そういったものを最終的には見せていただきながら転記しているということだというふうに承知をしております。

玉木委員 いや、それは調査でも何でもなくて、単に平均的な人は誰ですかと言ったら、この人です、何時間ですと言われたまま、そのまま記入しているだけですよ、少なくとも調査票上は。

 つまり、何を申し上げたいかというと、今、本当に、裁量労働制を拡充したときに労働時間がふえるんではないのかということを心配されているので、実態がどうなっているのかを正確に客観的に把握したい、それだけなんですよ。

 ただ、今の調査では、各カテゴリーの労働時間の平均値もわからなければ、平均的な者と言われる、最頻度、最も頻度が高いところに出てくるような人たちが、本当にその事業所の最も頻度の高いカテゴリーに属している人かどうかわからないんです。わからないんです。

 だから、個別に、一日四十五時間、法定外の労働時間をしているとか、明らかにデータ上おかしいものはしっかり精査してもらわなければいけませんが、そもそも、平均的な者ですよねととってきたデータ自体が平均的な者でない可能性が高いんですよ。だから、二十五年のこの調査そのものを撤回すべきだと思いますが、総理、いかがですか。

加藤国務大臣 ですから、先ほども申し上げておりますように、実際監督官がそこへ行きまして、まずは会社側からこういう感じだということはお話を聞かせていただいた上で、あとは、どういう数字ですかということで先方からお話があった、それを踏まえて、先ほど申し上げたように賃金台帳等、あるいは労働時間の状況の把握をしている、そういうデータを見て最終的に確定をし、そしてそれをこの調査票に記入している、こういうことでございます。

玉木委員 報道でもありましたけれども、例えばある労働基準監督官の証言、もちろん全部がこうではないかもしれませんが、少なくともこういう証言があるのは、抜き打ちでやりますから、企業が必要な資料を準備しておらず、正確な労働時間分布を調べられなかったと。当然ですよね。

 ですから、そもそも、平均的な者といって、があっと各事業所から集めていること自体が平均的な者でさえない、ましてや労働時間の平均時間では全然違うということであれば、こんなことに依拠して制度改正すべきではないと思います。

 総理、データそのものは撤回しないとおっしゃいましたけれども、私は、そのデータを集める調査方法自体が非常に問題があると思っていますので、この二十五年の厚生労働省が行った調査自体を撤回し、労働審議会に差し戻し、そしてきちんと労働時間を把握しているJILPTの調査結果などをしっかり踏まえて、もう一度一から審議をし直すべき、そのことを厚生労働大臣に指示すべきだと思いますが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 我々は、この法案作成について、今、玉木委員が指摘されているように、私が撤回をさせていただいた答弁について、そのデータに依拠してつくったわけではないわけでございまして、当然、我々、それは労働時間が長くなり得ることもあるということを認識しているからこそ健康確保措置をとっているわけでございますし、そして、みなし労働時間と実労働時間の乖離があるという可能性もあることは認識をしております。

 そして、先ほど、都合のいいデータだけ出す、こうおっしゃったんですが、先ほどの満足度については、あれは共産党の高橋千鶴子議員がここでお示しになったデータ、紹介をされたデータでございまして、そこで、我々ももう一度認識をさせていただいたところでございます。

 そこで、確かに約八割の方々が満足、やや満足ではありますが、それ以外の方々もおられる、まさにそこに着目して、我々は、健康確保についてしっかりと、そしてまた同時に、みなし労働時間と実労働時間の乖離の是正等のための労働基準監督署の指導規定を創設したいとしているわけでございまして、そういう手当てをしながら、この企画業務型裁量労働について、いわば自由な働き方をしたいという人たちの要望に応えられるものにしていきたい、こう考えているところでございます。

 データについては、先ほど来厚労大臣から答弁をさせていただいておりますように、精査をしっかりとしていきたい、こう思っております。

    〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕

玉木委員 いや、もう精査するというレベルじゃなくなっていると思います。もともとのデータの集め方そのものが、私は非常に問題があると言わざるを得ないと思います。一部入力をミスしたとかそういったことではなくて、根っこからこのデータの信憑性が問われているということを申し上げたいと思います。

 じゃ、総理、これは二つのことを精査すべきだと思うんですね。一つは、データそのものがおかしくないかどうかということと、先ほど申し上げた、平均的な者をとったというんですが、それが本当に平均的な者だったのか、各事業所において、このことも実は確証がないんですよ。

 これは二重にきちんと精査をしなければいけないと思うんですが、この精査がきちんと終わるまでは法案提出しないと約束してください。お願いします。

加藤国務大臣 最初の件については、今精査をさせていただいているところでございます。

 それから、二点目については、先ほど申し上げたような形でそれぞれの監督官が調査をさせていただいた、それを転記させていただいているという、まず、先方から聞いたこともベースに実際にさまざまな資料をチェックして書いているということでございますので。

 先ほど、あるマスコミ等に書かれた等については、これはこれとして、また、それ自体についてコメントは控えたいと思いますけれども、そうした調査というものが実際に丸一・〇日、多分八時間ということだと思いますけれども、一件についてそのぐらいかけてということで事務量を精査して実施をしている。実施をし、計画をし、実際実施をしているというのは都道府県レベルの労働局から我々聞いてはおりますけれども、監督署レベルでどうなっていたのかということはしっかり把握をしたいというふうに思います。

玉木委員 全く答えになっていませんね。

 平均的な者については、この人が平均的な者ですからと言われたやつを転記しただけですよ、今の答弁を聞いていても。ですから、これは実は二重三重にさまざまな不備がありますよ。

 一つは、そもそも平均的な者の選び方について、全くその人が平均的な者であることは確認できない。ただそう呼んでいるだけ、書いているだけです。加えて、そこで平均的な者で出してきたときに、もうずっと問題になっている、一般の労働者の人はその中で一番最長の日を一日選んで、裁量労働の方はそうじゃない普通の時間を選んでいるという比べ方がそもそもおかしい。少なくとも二つの問題が複合的にこの二十五年の調査にはあるんですよ。だから、そんなことに基づいてつくられた法案はやはり撤回すべきだと思いますよ。

 繰り返しになりますが、多くの働く人の健康と命にかかわる問題でありますから、無理しないでください。ここは、総理、立ちどまって、丁寧に制度設計、議論をやり直すべきだと思いますよ。

 もう一度、いかがですか、総理。やり直すべきです、これは。

安倍内閣総理大臣 ただ、これはまさに働く方々の目線に立っているわけでありまして、自由な働き方をしたいという方がおられるのは事実でありまして、裁量労働制につきましては、これはまさに専門業務型の裁量労働制と企画業務型の裁量労働制があって、我々が今度拡大するのは企画業務型でありますが、その中で、先ほど申し上げましたように、やや満足を合わせれば八割の方々が満足しているという事実。

 そしてもう一つは、仕事を効率的に進められるので、労働時間を短くできるかということについても、これは回答を得ているのでございますが、おおむね期待どおりの方と一部期待どおり、それぞれ三〇%ずつおられて、つまり、一部期待どおりを合わせれば約六割の方々。しかし一方、余り期待どおりとなっていないの方が三八%となっているのは事実でございます。

 だからこそ、先ほど申し上げましたように健康確保措置もとることにしているところでもございますし、そして同時に……(発言する者あり)ちょっと場外の方がうるさいので、注意していただけますか、答弁しにくいものですから。

河村委員長 御静粛に願います。総理答弁中であります。

安倍内閣総理大臣 そこで……(発言する者あり)ちょっと注意してください。再度注意していただけますか、大変答弁しにくいものですから、あの場外の方。

河村委員長 総理答弁中、特に場外の方、御静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 そこで、いわばこうした自由な働き方を選択している裁量労働制、企画業務型の裁量労働制の中で、八割の満足している方々の中には今申し上げたような方々がおられるのは事実でございまして、そういう要請もあります。そういう要請に応えていくことも大切だろう。しかし、今そういう要請はないと言う方、パネラーがおっしゃいましたが、そういう要請があるのは厳然たる事実でございまして、その上において我々は、そうではない方々がおられるということもしっかりと認識をしながら、健康確保、あるいはまたみなし労働時間と実労働時間の乖離に対してはしっかりと対応していくということにしている、それがこの法案でございますので。

 同時に、データにつきましてはしっかりと精査をしながら、今、厚労大臣のもとで準備を進めているという方針でございます。

玉木委員 では、総理、もう一回伺います。

 精査が終わらなくても、精査関係なく法案を出すということはあり得るということですね。

加藤国務大臣 ですから、これまで申し上げておりますように、この裁量労働制については、労働政策審議会において、長時間労働になるのではないか、あるいはみなし時間に比べて実際の労働時間が長くなるのではないか、こういったような問題意識のもとでしっかり時間を把握していく、また、対象者というものをどういうふうに限定していくのか、また、みなし労働時間と実労働時間が違うような場合に対する法的根拠をしっかり与えて規制強化をしていく、こういう中身を盛り込ませていただいているところでございまして、そういった絞り込む中において、新たに創造的な、自律的なできる分野についてはそうした範囲の中において拡大をしていこう、こういう流れでありますので、それに対して、建議においてもそうした対応が適切である、そして、法案要綱に関する答申においても、もちろん労働委員会側からは反対の意見は付されていたわけでありますけれども、おおむね妥当、こういうことをいただいているわけでありますから、私どもはそれに沿って今法案作業を進めさせていただいているところでございます。

 ただ、今委員御指摘のようにさまざまな指摘がございますので、それに対してはしっかりと精査をしていきたい、こう思っております。

安倍内閣総理大臣 今、担当大臣である厚労大臣が答弁したとおりでございます。

 いずれにせよ、まだ私ども、法案を提出していないわけでございますし、また与党の審査も終えていないという状況でありますが、政府の立場は今厚労大臣が答弁をさせていただいたとおりでございます。

玉木委員 いや、総理、明確に答えてください。精査が終わる前であっても法案を提出することはあり得るということですか。

河村委員長 加藤厚労大臣、政策担当者、答弁してください。(発言する者あり)御静粛に願います。

加藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、私どもはそういう形で法案作業をさせていただいており、そして今、あわせて、並行して精査もさせていただいているところでございます。

 ただ、いずれにしても、今総理からお話がありましたように、与党のプロセス等々も得ながら最終的には提出していくということになるわけでございますので、今、政府としての立場としては、そういう形で法案の作成作業を進めているということでございます。

安倍内閣総理大臣 今まさに精査中ではございますが、今私も答弁をさせていただいたように、この働き方改革全体の中における企画業務型の裁量労働制についても、いわば八割の方々がやや満足も含めれば満足をしている、そして、そうした働き方によって、一部にせよ、能率的に働くことによって時間をいわば効率化しているというふうに答えているわけであります。

 という中において、我々もそういう要望にも応えていく必要があるわけでございますので、この法案の提出準備は進めているということでございます。

 提出するかどうかということでございますが、提出するかということについては、まさにこれは与党での審査がありますから、今確定的なことは言えないということでございます。これ以上聞かれても、それは与党での審議がございますから、今確定的なことはお答えすることは差し控えさせていただきたい、こう思っている次第でございます。

玉木委員 全く答えてくれていません。

 与党、与党と言いますけれども、今、国会に対して、院に対して行政府としてどういう説明をするかを求めているんですよ。それをきちんと答えてください。多くの働く人の健康と命にかかわることなんです。

 私は、冒頭申し上げたように、裁量労働制という仕組みそのものを全部否定しているわけじゃありません。ただ、それを拡充するに当たっては、今現在の現状がどうなっているのか、それを広げるときに人の命と健康にどういう影響があるのかということを、客観的に、まさにエビデンスに基づいて政策を進める必要があるから聞いているんです。

 明確に答えてください。精査が終わらなくても法案を出すんですか、あるいは、しっかりと精査をした上でしか法案を出さないのか。どちらか答えてください、総理。

安倍内閣総理大臣 いわば、私がここでお答えする上においては確定的なことを答えろ、こう言われているわけでございますが、しかし、これはまさに法案をまだ提出していないわけでありまして、与党プロセスも行われていないわけであります。

 ここは国会の場でありますから、それは関係ないではないかという御指摘でございますが、しかし、法案を提出するかどうかということはまさに党として決めることでございまして、法案として既に出したものの御審議について、この法案をいわばどう我々は考えているかということについてはしっかりとつまびらかにお答えをさせていただきますが、出すか出さないかということにつきましては、最終的に法案を提出するかどうかということにつきましては、我々は、まだこれは党に諮っていない段階で確定的なことを申し上げることはかえって不確かなものとなる、こう考えているところでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、JILPTのいわばデータにおきましても約八割弱の方々がやや満足も合わせれば満足となっており、そして、仕事を効率的に進められるので、労働時間を短くできるかどうかについても、おおむね期待どおりと一部期待どおりの方々は、それぞれ約三割ずつおられて六割となっているということでございます。そのことは御説明をさせていただきたい、こう思う次第でございます。

玉木委員 全く答えてくれないのは、委員長、ちょっと不誠実です。私は、そんな難しい、おかしい質問をしているつもりはありません。たくさんの働いている人に直接影響を与える法律だから。データがおかしくなければいいですよ。これだけさまざまな問題が指摘されて、精査すると言っているから、その精査と法案提出の関係を素直に聞いているんです、私は。それをごまかして答えないということ自体、私は、これは誠実な答弁とは言えませんし、こんなことを許していたら公正公平な委員会運営とは言えませんよ、委員長。どうですか。注意してください。

河村委員長 私が答えることかどうかと思いますが、総理の御答弁を聞いておりまして、まだ党で実際に議論に入っておりませんと聞いております。そういう段階で総理の方からどうこうと言うことはあり得ない、このように思っております。党が政策を……(発言する者あり)

 玉木君、質問を続行してください。

玉木委員 不誠実ですね。

 私は、安倍総理と自民党の関係には関心がありません。立法府と行政府との関係において私は質問をしています。自民党とどうこうというのは、私はそんなことは全く関係ありませんし、我々も多くの国民に選ばれてここに議席を得ています。その中で質問をしているわけでありますから。総理、何がおかしいんですか。そんなにばかにして、笑う話なんですか。そこに安倍政権の傲慢さがあらわれているんじゃないですか。人が死んでいる話なんですよ。そのことを何でこんなに笑えるんですか。そんなにおかしい質問なんですか。おかしいでしょう。何でそんなにやじを飛ばすんですか。与党の筆頭理事がやじを飛ばし、総理大臣が総理席から座って文句を言う。何なんですか、これは。許せない。

安倍内閣総理大臣 それは、余りにも玉木委員が興奮されるから、こういうのはしっかりと落ちついた議論をしましょうよ、働き方の話なんですから。

 そこで、まるで、先ほど山井さんも何か指摘をしていましたが、全く私が示したものが根拠がないようなことをおっしゃっているんですが、JILPTの調査の結果、満足している方々がおられるのは事実ですよ。それを全く皆さんが認めないのであれば、もともと根本的にこの働き方改革において議論ができないわけでありますから、これはもう随分本質の議論ではないなと思って、私がやや、これはどうなのかなという表情になったということは御理解をいただきたい、こう思う次第でございます。

 そして、それと同時に、自民党は関係ないということをおっしゃったんですが、そこで私は苦笑いをさせていただいたんですが、議院内閣制ですから、与党においてこれを議論するというのは、法案提出とは密接不可分なんですよ。これは密接不可分です。党において、例えば政審や総務会を通らなくても私が出せるかといえば、出せないんです。そういう仕組みになっているんですよ。

 その上で、私の答弁には限界があるということを申し上げているところでございまして、その中における、しかし、私たちとしては必要性についてお話をさせていただいておりますし、このデータに我々は依拠してこの法律をつくったわけでもないということは今、そこで、我々はさまざまなデータを御説明させていただいている。

 これが少し長いと感じたかもしれませんが、我々、なぜ私たちが出す必要があるかということについての根拠もお示しをさせていただいている。(発言する者あり)済みません、ちょっと、余り大きな声で言われると説明しにくいものですから。

河村委員長 静かにしてください。

安倍内閣総理大臣 そこで、今申し上げておりますように、我々は、政府としては提出をさせていただきたい、こう申し上げているところでございます。

玉木委員 もっと国民のことをしっかり向いてほしいですね、総理。それは自民党の手続があるのもそうでしょう。しかし、これだけデータが問題が出てきたわけです。そのことを前提につくられた法案であれば、やはり前提が崩れたと思いますよ。

 繰り返し申し上げますが、総理、これは、働き方国会と銘打って、内閣の一番重要法案、しかも、多くの働く人の働く待遇や生き方や暮らし方に密接に影響を与える法案なんです。だからこそ、しっかりとした精査をした上で、その上で出すと内閣総理大臣として言っていただければ、それは多くの人も安心するでしょう。しかし、ひょっとしたら、今の答弁だと、自民党さえ何かオーケーになったら、精査なんか全部飛ばして、精査関係なく、自民党さえオーケーになったら法案を提出するというふうに聞こえましたよ。一体、内閣総理大臣はどちらを向いて仕事をしているのかなと思わざるを得ません。

 今、この件だけじゃなくて、官邸で決めたら、とにかくそんたくして、それに無理やり合わせたようなデータをつくってごまかして法律を強引に押し通していくということがまかり通っていると思いますよ。

 ちょっときょうは時間がないけれども、例えば、パネル二を見てください。これは、かつて出したことがありますけれども、トータル、総生産性についてのデータですよ。GDPがそれに基づいて決まるんですが、これを見てくださいよ。

 その六百兆円を達成するために、労働生産性、これはトータル・ファクター・プロダクティビティーといいますが、こんなに急に伸びるように内閣府はつくっていたんですよ。(安倍内閣総理大臣「間違えているんですよ」と呼ぶ)間違っていませんよ。去年までそうだったんです。今は変わっていますよ。(安倍内閣総理大臣「変わっているんですよ、それ」と呼ぶ)いや、全部もらいました。内閣府にもらいました。こんなの……(安倍内閣総理大臣「変わっているんだもの」と呼ぶ)いや、今は変わりましたよ。私が指摘して、余りにも非現実的だから変えろと言って、今は変わりましたけれども、こういうことを平気でやる政権だから、私はきちんとデータを精査しろと言っているんです。引き続き法案の撤回を求めていきたいと思います。

 次に、森友学園について久しぶりに聞きたいと思います。いや、笑い事じゃないですよ。

 私は、去年の今ごろもこれを取り上げましたけれども、昨年の十一月に会計検査院の報告が出て局面は変わったと思います。麻生大臣、会計検査院の報告を全部読まれましたか。

 読んでいないと思いますから紹介しますけれども、八億円値引きになったという話なんですが、八億円って、何で八億円も引いたかという、もう一回おさらいしましょう。三つの要素で決まります。深さと、そしてそこにどれだけごみが入っているのかというごみの混入率と、そして掛ける単価ですね。これで決まっていきます。

 会計検査院の報告書を見たら、これは驚きましたよ。まず、深さについては、深度については十分な根拠が確認できない、こう書いています。ごみの混入率については、混入率の平均を用いることについては十分な根拠が確認できない。単価についても、二万二千五百円がどのような条件下で提示された単価であるかなどを示す資料がなく、単価がどのような項目から構成されているかなど、単価の詳細な内容について確認することができなかった。どの要素も会計検査院が確認できないと言っているんですよ。

 まとめですが、会計検査院は結構重いことを言っていまして、合規性、経済性の面から、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられた、こう書いていますけれども、麻生大臣、これはどういうことかというと、合規性というのは規範に合致しているかどうかですよね。その観点から適切じゃないと言われているわけです。

 この報告書の合規性が指摘されるの上に何が書いてあるかというと、財政法第九条第一項のことが書いてあるんですよ。財政法第九条とは何か。資料にも書いていますが、こういうふうに書いています。国の財産は、適正な対価なくしてこれを譲渡若しくは貸付けてはならないと書いているんですよ。

 つまり、単価も混入率も深さも、今財務省が言ったことが全部確認できない、あげくの果てに、財政法九条に照らして適切かどうかわからないと言われているんですよ。つまり、財務省が所管している財政法に違反しているということを指摘されているんですよ。

 総理に伺います。

 会計検査院が、明らかに合規性がない、違法だと言われているこの八億円の値引き、違法だと言われているのに、今まで誰も責任をとっていない、誰も処分していない、これは誰の責任なんですか。

麻生国務大臣 今御指摘になっておりましたというか、この資料もいただいておりますけれども、いわゆる会計検査院の検査報告におきましては、これはもう御存じのように、地下埋設物の撤去、処分費用について、一定の仮定を置いた試算というものを複数示した上で、これは仮定の仕方によって処分量の推定値が大きく変動するということを踏まえれば、撤去費用、いわゆる撤去、処分費用の算定の際に慎重な調査検討を欠いていたと指摘されているのが一番なんです。

 他方、本件土地の処分については、これまでも国会の場で説明をしておりますとおり、校舎の建設工事が進んでおりますので、その中で新たな地下埋設物が発見され、相手側から賠償請求のおそれがあるなど、そういった切迫した状況で行われておりましたので、将来にわたって国の賠償の責任というものを問われることのないよう、瑕疵担保責任等々を免除する特約条項を含めて、ぎりぎりな対応をやらせていただいたんだと思っております。

 いずれにしても、会計検査院の指摘や国会等での議論を踏まえまして、財務省としては、国有財産の処分、管理について、今後、国民の疑念を招くことがないようにということを、私どもとしては、今後必要な対応策で考えておるということが第一点。

 もう一点言われましたのが、財政法を所管する財務省としてという話だったんだと思いますが、これは、会計検査院の答弁がありましたとおり、慎重な調査検討を欠いていたという指摘がありましたけれども、法令違反があったとまでは言えないのだと考えておるというのはたびたび申し上げてきたとおりです。

玉木委員 いや、全く答えていません。会計検査院に指摘された、合規制に反していると。違法とは言えないけれども、不適切だと明確に言われているこの不適切さの責任は誰にあるんですか。

麻生国務大臣 今御指摘のあっておりましたこの会計検査院からの報告についてさまざまな指摘がなされておりますが、先ほども申し上げてきたように、私どもとしては、法令違反あるいは不当な事項が指摘されたという事項はないと承知をいたしておりますので、その上で、今、いろいろな意味で、この問題に関して、関係者に関して、処分に関係した職員への対応ということを聞いておられるんだと思いますが、今後、各種の事実関係を精査した上で、必要があれば適切に対応していくということだと存じます。

玉木委員 これは、何、責任者はいないということですか。

麻生国務大臣 今御説明申し上げましたとおりなのであって、私どもとしては、今後、各種の事実関係を更に精査した上で、必要があれば当然のこととして対応していくということだと存じます。

玉木委員 ちゃんと答えてください。会計検査院は、合規制の観点から適切とは認められないと明確に言っていますよ。誰の責任なんですか、これは。

 誰も悪い人がいないのに不適切なことが起こるんですか。恐ろしい国家ですよ。おかしいことは認定されているんですよ、会計検査院に。でも、誰も悪い人はいないんですか。恐ろしいですね、これは国家の統治システムとして。

 大臣、誰が責任者ですか。誰の責任なんですか、この不適切さの。

麻生国務大臣 重ねて申し上げますが、不当事項はないという点だけは御理解いただけるんでしょうね。不当事項はないということは御理解いただいているんですね。その上で聞いておられるんですね。確認させていただいた上で聞きますが。

 その上で、私どもとしては、先ほども申し上げましたように、今後とも、いろいろな上で更に精査をしていかないかぬことが幾つかあろうかと思いますが、その上で精査した上で、いわゆる法令に基づいて処分せねばならぬということなのであれば、当然のこととして処分させていただくということになろうと存じます。(発言する者あり)

河村委員長 ちょっと静粛にしてください。

 今、答弁を聞いておりますと、今の答弁に対してどの点がどうなのか、玉木君、指摘をしてください。

玉木委員 いや、不適切なことは明確に会計検査院は指摘しているんですよ。でも、誰も責任者がいない。恐ろしい話じゃないかと思いませんか、大臣、これは。

 では、わかりました。行政の中にそういった不適切な人がいないんですね。いないからこそ、では、それ以外の要素でこの不適切さが導かれたんではないかと言わざるを得ない。

 だから、この委員会でも何度も議論のあった、総理、あるいは総理の奥様の安倍昭恵さんが名誉校長を務めていた、そういったことが何らかの形でこの不適切さの根源になっているんではないかということが疑われているんですね。

 今、もし誰か行政の中で不適切なことをした人がいれば、その人の責任を問えばいいでしょう。でも、それはいないんですよね。だったら、それ以外のところに責任を求めざるを得なくなっているのが、この問題が長引いている理由の一つなんではないですか。

 総理に伺いますけれども、私、前回の質問のときにも少し冒頭言いましたが、大阪教育庁に行ったら、確かに申請のところには開成小学校とか瑞穂の国記念小学院と書いてあるんですが、その前の相談の段階では、申請のとき、初めは仮称として安倍晋三記念小学院だったと担当の課長が言っていましたよ。だから、やはりこういうことが、今、麻生大臣が答えられなかった、行政以外のところで誰か不適切さの理由、根源があるとしたら、こういうところにやはりあると言わざるを得ないんじゃないですかね。

 総理に伺います。

 実は、証人喚問でも籠池氏がこういうふうにおっしゃっていますね。「安倍昭恵先生の方から御主人であらっしゃる安倍首相の方に、どうですか、安倍晋三記念小学院という名前はどうですかということを二度、三度とお聞きいただいて、当初はオーケーということでした」とあります。

 もしこういうのがうそだったら、偽証罪で訴追すればいいと思うんですよ。それをしないということは、認めたということじゃないんですか。いかがですか、総理。

安倍内閣総理大臣 この質問にお答えする前に、内閣府の示した数値について、これはアップ・ツー・デートされていないので申し上げたい、こう思いますが、全要素生産性上昇率が、日本経済がデフレ状況に入る前に実際に経験した上昇幅とペースで、足元の数字、これは〇・七%から一・五%程度まで上昇するということに変えております。ですから、先ほどの数値はもう古いものでありまして、それにおいても、名目GDPは二〇二〇年に五百九十八・四兆円、おおむね六百兆円、そして二〇二一年には六百十七・四兆円でありまして、これはまさに我々の目標には到達し得るということは申し上げておきたい、こう思うところでございます。

 それと、今御質問がございました安倍晋三記念小学校というのは、最終的に黒塗りになっているやつが安倍晋三記念小学校でなかったのは全くの事実でございまして、いわば最終的に何が申請されたかということが真実であろう。まさに真実でないことを前提に御党の方が、福島さんが質問されていたのは事実でありますから、それは間違っているとここではっきりと、間違っているのは、今、山井さんが首を振っております、これは間違っていないんですか。間違っていますよね。安倍晋三記念小学校じゃなかったんですから、開成小学校だったのは事実であろう、このように申し上げました。その前の話が問題ではないということは申し上げておきたいと思います。

 その上において、私に訴えろということでありますが、私自身は、これはまさに国会が、合同委員会あるいは予算委員会が訴えるわけでありまして、私はその立場にはないということは御承知だと思いますが、あえて質問されているかもしれませんが、私はその訴える当事者ではないということは申し上げておきたいと思います。

玉木委員 不適切なことが起こって、でも誰も責任者がいない。恐ろしいことが今起こりつつあること、こんなことは許してはならない、このことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

河村委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 無所属の会の黒岩宇洋でございます。

 私自身も、先週に引き続きまして、働き方改革、裁量労働制に関する労働時間等総合実態調査、この点についてお聞きをしたいと思っております。

 総理、私ども、働き方改革の目的というのは総理や政府と同じなんですよ。これから労働力人口が急激に減少していく、しかし、その中で生産力を高めるには、一人一人の働く方たちの生産性を高めていかなければならない、同じ思いなんですよ。ただ、その手段とプロセスが違っています。

 私たちは、今の現状では、裁量労働制が適用拡大されれば労働時間が長くなるという大きな懸念を抱いています。多くの国民もそうなんですよ。そして、労働時間が長くなれば、生産性も低下するし、労働者の健康にも影響を与え、最悪の場合は過労死すら起こしかねない、だから私たちは今これだけ徹底した議論をしていますし、裁量労働制の適用者拡大については厳に抑制的であるべきだということを申し上げて、質問に入りたいと思います。

 それでは、私も、これは厚労大臣にお聞きしますけれども、何でこの調査がこんなに複雑な、不可解なものになっちゃったんだろうと。さまざまな事項の定義が、きょうもいろいろと指摘がありましたけれども、本当に複雑怪奇になっているんですよ。

 きょうも、平均的な者の定義は一体何ですかとお聞きしました。その中で出てくる言葉が、平均的な者とは、最も多い労働者が属すると思われる法定外労働時間や、又は裁量制の場合は労働時間の層に属する者、このように定義されているときょうも大臣の答弁でありましたが、加藤大臣、ここでお聞きします。この労働時間の層、この層の定義は一体何ですか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 この今おっしゃられました層でございますけれども、これはある程度幅のある概念だと思っておりまして、この幅については必ずしも定義をされていないところでございます。

黒岩委員 驚いたでしょう、皆さん。

 きょうの議論でも、幅があって、大体イメージからすると、例えば九時間から十時間とか、八時間から九時間とか、こういう幅を定義されているかと思いきや、加藤大臣、大臣からもおっしゃってください、層の定義はないということでよろしいですね。

加藤国務大臣 今、局長が答弁したとおりだと思います。(黒岩委員「あるかないか」と呼ぶ)それは局長が答弁したとおりです。

黒岩委員 定義がないということですね。皆さん、驚きませんか。

 だったら、先ほど分布の山なんて言いましたけれども、これは我々は最頻値かと思っていましたよ、統計学上の。全然違います。幅は、三十分だろうが一時間だろうが、二時間でもいいんです。その中に入っているA、B、C、D、Eの人がいれば、その中で好きな人を、この定義のない層というものに入っていれば、Aさんを選んだ、Eさんを選んだ、ともすれば、二時間幅なら、八時間一分の人を選んだ、十時間の人を選んだ、これは可能ですよね、制度上は。大臣、そうですよね。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 平均的な者というのは、今おっしゃられましたように、最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に属する労働者でございますけれども、これは、層の幅のとり方というのは必ずしも定めていないわけでございます。

 いろいろ、事業場によって、規模の大きいところ、小さいところがあると思いますけれども、そういうところで監督官が見まして、そういった属する労働者が多いその時間数のところをとるということでございます。

黒岩委員 大臣、しっかり答えてください。

 層の定義がないわけですから、これは、事業主なら事業主、労働基準監督官なら基準監督官の、御自身の主観的な判断でここからここと決めたときに、八時間から十時間の間の二時間がこの層だと主観的に考えれば、八時間一分の人を選んでも十時間の人を選んでも平均的な者であることに変わりはないですね。イエスかノーでお答えください。

加藤国務大臣 今言われるようなこと、机上で考えればいろいろなケースがあると思いますけれども、実際の、監督官がふだん行っている中でどういうとり方をしていくのか。一定の幅の中で一定の者を選んでくるという意味においては、ある程度常識的なところを選んでいるのではないかというふうに思います。

 ただ、今申し上げたように、層を例えば三十分刻みにしろとか一時間刻みにするとかといった形でやっているわけではないというのは、先ほど局長から答弁したとおりだと思います。

黒岩委員 では、大臣、こういうことですか。

 統計的に、まさに机上できっちりとした考え方や理論や定義があるわけではなく、基準官の常識に任せている。これが調査ですか。これが統計的な調査と言えるんですか。大臣、お答えください。

加藤国務大臣 今申し上げたのは、実際の現場の話は局長にお聞きをいただく方が適切だと思いますけれども、そういった中で、監督官が判断をした数字をその中に入れている、いわゆる最も多くの層の中から選んだ数字を監督官が最終的には記載をしている、こういうことであります。

黒岩委員 皆さん、もうわかりましたよね。今言った平均的者の属する層というものの定義がないわけですから、この曖昧な中で基準官がまちまちでチョイスをしてきた人、その人の時間が平均的な者と記入されるわけですから、先ほどの議論もありましたけれども、これが本当にイメージする平均的な者と整合性がとれるかどうかなんていう以前の問題で、平均的な者の定義が完全にもう崩れたんですよ。そういうことですよ。

 今回、企画業務型の裁量労働者の時間の適用を、適用範囲を拡大しようという議論になっていますけれども、そうですね。(加藤国務大臣「対象者」と呼ぶ)対象者を広げると。

 この企画業務型に関する調査でも、私は疑問なことが一つあります。きょうも加藤大臣、お答えになっていました。企画業務型について、平均的な者の時間を記入するときには、大きく分けて二種類あると。一つは、これは企画業務型だけ法律で定められています。専門業務型にはありません。企画業務型だけ半年に一度定期報告を、事業主が自分の裁量労働制の従業員の労働時間を半年に一度報告しなければいけませんので、そこに記入する数字を転記していい、転記する場合。それともう一つは、転記しない場合は、実際に監督官がその場で聞き取りの調査をして、平均的な者を抽出して、選んで、自分で記入するという、大きく分けてこの二つですよ。大臣、よろしいですね。

 そこで、お聞きします。

 定期報告でも、こういう報告書が半年に一遍、労働基準監督署に出されます。ここに「労働時間の把握方法」と書いてあって、ここにもまたその「記載心得」として「平均的なもの」と書いてある。加藤大臣、この定期報告で報告する、記入する平均的なものと、今回の調査的監督で行う四月一カ月の裁量労働制、企画型業務労働者の平均的な者、この定義は同じですか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この企画業務型裁量労働制の定期報告でございますけれども、これは、一日の労働時間として平均的な者、最長の者の状況を報告するものでございます。

 他方で、今回の調査の方でございますけれども、これは、一日で見て最も多くの労働者が属すると思われる労働時間の層に含まれる労働者の労働時間を記入することになっているところでございます。

黒岩委員 局長、全然わからないですよ。

 加藤大臣、今言った定期報告の定義と調査的監督のこの調査の平均的な者の定義は同じなんですか、違うんですか。

山越政府参考人 今御答弁申し上げましたとおりでございますけれども、定期報告は平均的な者です。この調査の方は、平均的な者を調べているわけでございますけれども、今申しましたようなことで調べているということでございます。

黒岩委員 じゃ、もうしようがない、私がかいつまんで言いましょう。私はもう事前に厚労省にしっかり聞いていますよ。

 この半年の定期報告は、例えば十人裁量労働者がいて、一月に二十日働くとなると、半年で百二十日働くわけですよ。この十人に百二十日でありますから、延べ千二百日の時間がばあっと並べられる。この純粋な平均値をとってもいいし、山、最頻値、どっちもとっていいというのが定期報告の記入の定義なんですよ。同じ定期報告でも二つの定義がある。

 そして、後者である、定期報告から転記しない場合は、これは先ほどからずっと議論している、一カ月の平均的な、その層に最も多い、一日を選んで、抽出して、十人いたとすると、十人の中の、その層の中に入っている人、誰でもいいから選んでいいと。ですから、片や最頻値と平均値どっちも使っていいですよ、片や最頻値にちょっと似たものですよと。

 これ、どうですか、皆さん。重要な企画業務型の裁量労働者の労働時間を調査として集めてくるときに、今申し上げたとおり、集め方として大きく二種類がある、そして定義も複数ある、こんなので真っ当なデータとして比較できるわけないじゃありませんか。大臣、いかがですか。(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に願います。

加藤国務大臣 今の委員の、前半のところと後半のところ、あると思うんですけれども、まず前半のところは、半年ごとに報告を求めている、その数字の話をされたというふうに認識をしております。

 ちょっと、それについて、私自身、具体的などういうものかについてはつまびらかに承知をしておりませんから、もう一度局長の方からきちんとそこは説明を……(黒岩委員「もういいです、もう時間がない」と呼ぶ)いや、そこは説明させていただかないとならないというふうに思います。

 後者については、もう既に疑義応答ということを御党にもお出しをさせていただいておりますから、それにのっとって、実際の今回の調査ですね、平成二十五年度の調査においては、そこの疑義応答において書かれているように、基本的な報告から転記をするか、あるいは賃金台帳等の記録により監督官が実際に調べて記入することを想定しているということで、「平均的な者も一日で見て最も多くの労働者が属すると思われる労働時間の層に含まれる労働者の労働時間を書くこととする。」こういうふうになっているわけで、これを説明させていただいたわけであります。

黒岩委員 大臣、局長がもう答えていますし、私も自分なりに発言もさせてもらいましたので、きちんと答えてくださいよ。

 定義は、今申し上げたとおり複数ある、そして、そもそも層という定義がないわけですから、平均的な者の定義が根底から崩れた。これはもう調査自体が土台から崩壊したのと一緒ですよ。違いますか、皆さん。だから、調査はもうやり直し、そして法案は差戻し、結論はこれしかないんですよ。

 これは最後に総理に聞きますけれども、まだ待っていてください。

 じゃ、先に、まだまだいきたいんですけれども、もう行きましょう。

 厚労省は、もともと、一般労働者とそして裁量労働者の、この平均的な者の労働時間を、比べてはいけないものを比べてしまった。そして、それについて、今回、二月一日にあの調査付表が出てきて、担当課長がそれを認識した。しかし、裁量労働制に関しては、平均的な者の選び方がわからなかったからと言って、二月十四日まで、その疑義照会を見るまでわからなかったと言っていますけれども、ちょっと資料を見てくださいよ。

 平成二十五年三月八日に、労働基準局長名で各労働局に、これこれこういう調査的監督をしてくれと。そして、裏面なんです、済みませんが、監督付表の内容に関する問合せについては本省云々かんぬん担当課、すなわち担当課の法令係まで問い合わせてくれと。誰よりもこの調査付表について、この調査について知っているのは、ほかならない労基局の担当課じゃありませんか。当たり前でしょう。

 じゃ、先に行きますよ。時間がないので、もうはしょります。

 今、調査の部分を聞きました。調査についても本省の担当課がよくよくわかっているということは、皆さんこれでおわかりになったと思います。

 さて次に、集計と分析ですよ、集計と分析。データを入力し、集計します。そして分析します。この仕様書、皆さん見ていただくと、たくさん書いてあるので、集計については、はぐっていただいて、三ページ目の七の留意事項、この4番、調査付表上の判断に迷う記述等については、担当課に連絡し、適宜判断を求めること、集計もね。次、はぐってください。四ページ目、ここ、すごいんですよ。6番、データの集計等の作業は、担当課の担当者が了解するまで繰り返し行うこと。

 じゃ、例えば、十五時間以上の法定外時間労働者が九人いるというあの集計表を厚労省は持っていました。この集計も含めて、厚労省は、ここにあるように、集計結果について了解したんですね。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 集計結果につきましては、私ども受領したところでございますけれども、なお、いろいろ御指摘もいただいておりますので、今精査を始めたところでございます。

黒岩委員 まあ、時間がないので行きます。

 ここに、仕様書にこれだけあって、資料としてもう金曜日に提出しているんですよ、私は。了解したかどうかについて、これは後で、委員長、しっかり厚労省に確認をとってくださいね。

 そして、もう急ぎますけれども、分析についても、二ページ目、三の(二)、分析等業務、米印で、分析については云々かんぬん書いてあって、また出ました、厚生労働省基準局担当課と調整しながら行うと。

 わかりましたか、皆さん。調査自体にも本省担当課が、法令係が深く関与し、そして、集計結果についても、分析結果についても、常に調整と了解をしながら行っている。

 そして、この分析が終わったのは、平成二十六年の三月三十一日です。そして、民主党の部会に出したのは、それから一年もたっていないんですよ。平成二十七年の三月二十六日ですから、一年もたっていないんですよ。

 どうですか。調査も集計も分析も徹底して関与し、管理下のもとに置いていた担当課の人間が、比べちゃいけないこの一般労働者と裁量労働者の時間数を比べる、ましてや、法定外時間の一・三七を法定時間の八に足す、こんなことをうっかりミスで行うと、大臣、思えますか。

加藤国務大臣 まず、最後の、一時間三十七分を八時間に足した、これは、それ以外に全体の労働時間を足しようがなかったので、そういったことも、法定外労働時間ですから、法定時間を足してというのはあると思いますが、しかし、そういったことは、統計等には普通、注書きでするというのがやはり求められる態度だったというふうに思います。

黒岩委員 あり得ないですよ。もう確信犯としか言いようがない。

 最後、総理にも聞きますよ。

 総理、立ちどまってくださいよ。そして、今重要なのは、裁量労働制のみなし時間と実労働時間数、この一時間の乖離を埋めることじゃありませんか。まずこの現状を改善してからでなければ、到底法案審議に入れない。

 総理、お答えください。法案の出し直しを強く求めます。総理、お答えください。

安倍内閣総理大臣 既に厚労大臣が答弁をしているとおりでございまして、準備を進めていくということであります。

黒岩委員 じゃ、もう重ねて重ねて、この調査の撤回、そして再調査、さらには法案を出すこと自体の撤回を強く求めて、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

河村委員長 これにて黒岩君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 安倍総理は、裁量労働制で働く労働者の労働時間の長さは一般労働者よりも短いというデータもあるという答弁を撤回し、おわびをしました。

 この答弁のもとになったデータの誤りが大問題となっておりますが、そもそも、裁量労働制の見直しはどういう経緯で決められたのか、その政策決定過程についてただしたいと思います。

 まず、加藤厚労大臣にお尋ねをいたします。

 厚生労働省のホームページを見ると、労働現場のルールは、現場を熟知した当事者である労使が参加して決めることが重要です、国際労働機関、ILOの諸条約においても、雇用政策について、労使同数参加の審議会を通じて政策決定を行うべき旨が規定されるなど、多くの分野で、公労使、公益それから労働、使用者、三者構成の原則をとるように規定されています、そのために、労働分野の法律改正等については、労働政策審議会において建議、法律案要綱等の諮問、答申を行っていますとしております。

 大臣に伺いますが、これが労働現場のルールづくりのやり方ですね。

加藤国務大臣 ちょっと委員の質問に重なりますが、ILOにおける三者構成の原則は、ILOが労働者の労働条件の向上に関する問題を取り扱っていることを踏まえ、その会議や活動に、政府代表のほか、直接の利害を有する労働者代表と使用者代表が参加し、三者が一体となって議論を行う趣旨と理解をしております。

 我が国においては、こうしたILOの三者構成原則ということでありますが、その趣旨や、労使が参画することで働く現場の実態や意見を十分に踏まえた議論となること、こうしたことから、労働法制の見直しなど労働政策に関する重要事項については、公労使の三者で構成されております労働政策審議会で御議論いただくことにしております。

塩川委員 労働現場のルールは、現場を熟知した当事者である労使が参加をして決めることが重要だ、そのルールを決める場所が労働政策審議会、労政審という答弁でありました。

 そこで、重ねてお尋ねしますが、裁量労働制の見直しに当たって、法案提出に向けて行われた二〇一五年二月の労働政策審議会の建議、答申では、長時間労働についての懸念の意見が述べられていたのではありませんか。どんな意見が付されたのか、お答えください。

加藤国務大臣 これを全部読み上げてよろしいですか。かなりちょっと長いことになるんですけれども……(塩川委員「いや、裁量労働制のところ。裁量労働制の見直しについて、労働者代表委員の意見」と呼ぶ)法律要綱に対する答申ですよね。ちょっと、済みません。ちょっとお待ちください。

塩川委員 いや、この話は事前に、この労政審の答申の話でしているところですけれども、書いてあることですから読み上げますけれども、労働者代表委員から、企画業務型裁量労働制の対象業務に新たな類型を追加することについて、みなし労働時間制のもとに長時間労働に対する抑止力が作用せず、その結果、長時間労働となるおそれが高まる労働者の範囲が拡大することとなるから認められないとの意見があった、これが労政審の答申の中身であります。

 労働者代表委員は、裁量労働制の拡大は長時間労働を招くと厳しく反対をしていたわけであります。まさにそれは裁量労働制の大問題を示していたわけで、同時に、この審議会の議論を通じて、こういった、二〇一五年二月の労政審労働条件分科会の議事録では、労働者代表委員は、その決め方についても問題があるということを指摘していたわけであります。

 連合の新谷信幸委員は、日本に働く雇用労働者五千五百万人を代表する七人の労働者代表委員を代表して意見を述べるとして、今回の高度プロフェッショナル制度の創設や裁量労働制の拡大といった労働時間の規制緩和策は、いずれも政府で閣議決定をされた内容だ、しかも、その閣議決定の前段で、産業競争力会議という、政府の委員と民間議員、経営者の代表で構成され、労働者の代表が一人も入っていない会議体の中で政策の基本的な枠組みを議論し、それを閣議決定した上で、その枠組みに基づいて労政審で議論するというやり方がとられた、このことを厳しく批判をしているわけであります。

 そこで、総理にお尋ねをいたします。

 総理が主導する、議長も務める産業競争力会議のような労働者代表がいない場で、長時間労働が懸念される裁量労働制拡大の方針が決められ、閣議決定される、これは極めて異常なやり方ではありませんか。

安倍内閣総理大臣 働く方の健康の確保を大前提に、ワーク・ライフ・バランスを改善し、子育て、介護などさまざまな事情を抱える方々が意欲を持って働くことができる社会に変えていく、こうした社会を実現するために、労働時間法制の見直しが急務であると考えています。

 その中で、裁量労働制の見直しや高度プロフェッショナル制度の創設に関しては、産業競争力会議において取りまとめられた日本再興戦略では、労働時間法制について労働政策審議会で検討するとされたところであります。これを踏まえまして、労政審においては、労使を交えた議論を経て、裁量労働制の見直しや高度プロフェッショナル制度の創設の具体的な内容が取りまとめられたところであります。

 また、私自身が議長となり、労働界と産業界のトップと有識者にお集まりをいただいた働き方改革実現会議において、昨年三月二十八日に働き方改革実行計画を決定したところであります。その中でも、創造性の高い仕事で自律的に働く個人が、意欲と能力を最大限に発揮し、自己実現をすることを支援する労働法制が必要であるとされています。

 さらに、昨年七月に連合の神津会長から私宛てにいただいた要請を踏まえて、提出予定の法案では、裁量労働制の対象業務を明確化する、高度プロフェッショナル制度の健康確保措置を強化するなど、修正を行うこととしております。

 このように、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度については、働く方の御意見を伺いながら検討を進めてきたところでございます。

塩川委員 先ほど総理は、自民党の議員の答弁で、労働組合の役割は重要だということに触れておりましたけれども、労働者代表のいない産業競争力会議が先に決めて、閣議決定をして押しつけたというのがこの裁量労働制の拡大の話であります。

 そもそも、裁量労働制拡大の政策決定過程を振り返ってみれば、第二次安倍政権発足翌月の二〇一三年一月には、安倍総理が直ちに設置した組織として産業競争力会議と規制改革会議がありました。いずれも労働者代表は一人も入っておりません。

 既に二〇一三年一月の段階で、安倍総理は、産業競争力会議の議論を踏まえて、医療、エネルギーとともに雇用を規制改革の重点分野とすることを決めております。それを受けた二〇一三年二月の規制改革会議では、規制緩和項目一覧表が提示をされて、その中に、既に、企画業務型裁量労働制に係る対象業務、対象労働者の拡大、企画業務型裁量労働制に係る手続の簡素化が掲げられているわけです。

 これを受けて、産業競争力会議がまとめた日本再興戦略二〇一三年で、裁量労働制見直しのための調査、検討を決めて、日本再興戦略改訂二〇一四では、裁量労働制拡大の法案提出を決めてしまったわけです。官邸主導で、安倍総理のトップダウンで裁量労働制拡大のレールを敷いた、まさに裁量労働制拡大ありきのやり方が行われてきたということです。

 ですから、労政審での裁量労働制拡大を懸念する労働者代表の意見が顧みられなかったというのは、安倍総理が裁量労働制の拡大ありきの閣議決定を行ったからではありませんか。これでは、労働者、国民の命を守ること、できないのではないんですか。改めてお答えください、総理。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたとおり、確かに産業競争力会議において取りまとめられたのでありますが、日本再興戦略は。しかし、労働時間法制については、労働政策審議会で検討するとされているわけであります。だからこそ、まさに労政審において労使を交えた議論を経ているわけでございますし、また神津会長からの修正要求にも我々は応じているということは申し上げておきたい、こう思う次第でございます。

 そして、そうした中において、我々はまさに、健康確保措置、そして、みなし労働時間と実労働時間の違いに対してはしっかりと対応していくということになっているわけでございます。例えば、裁量労働制の対象にならない業務につかせていた場合などには、みなし労働時間は無効となります。その場合、残業代が不足していれば支払い義務が生じ、罰則の対象にもなり得るものであり、企業には厳格な運用を求めていく考えであります。

 そうした対応についてもしっかりと行っているわけでございますし、また、裁量労働制については、その対象者には労使委員会が決議した健康確保措置を必ず実施させることとしておりますし、あわせて客観的な方法による労働時間の把握を使用者に義務づけることとしているところでもあります。

塩川委員 いろいろ言いましたけれども、健康確保措置というのは、医師の面接指導でもよいとか、実際に本当に健康を担保することができるのか、そういう中身というのも問われているわけであります。

 いろいろ言いましたけれども、日本再興戦略の改訂二〇一四年で、裁量労働制の新たな枠組みを構築する、そのために次期通常国会を目途に必要な法制上の措置を講ずると枠をはめたから、その枠の中で労政審の答申を出すという方針につながったんじゃありませんか。そこに一番の労働者の懸念、長時間労働を拡大する、こういった懸念が、まさに総理の方針によってないがしろにされたということが問われているわけであります。

 全国過労死を考える家族の会の寺西笑子さんは何と訴えておられるか。裁量労働制は、年収要件がないことで若い人がターゲットになります、本当に大変な仕事の中で成果だけ求められ、長時間労働を余儀なくされる、職場でうちはこうだと言われたら、一言の反論もなく、命令を受けて、それを前提にこなすしかできない、その果てに死人が出る、国民の命を奪う裁量労働制の拡大は絶対に認めません、こういう声を上げておられます。

 国民の命を奪うことになりかねない裁量労働制拡大のレールを敷いたのは安倍総理自身であります。

 安倍総理は、二〇一四年の五月、ロンドンのシティーで講演し、規制を打ち破るため、みずからドリルのやいばになる、労働の制度は、新しい時代の新しい働き方に合わせ見直しをすると言って、その直後に実施をしたのがこの裁量労働制の拡大だったわけであります。

 国民の命と健康にかかわる労働規制にドリルで穴をあけることなど断じて認めることはできません。

 ひどいのは、安倍政権は、雇用労働政策を決める際に、そもそも労働者側の意見に耳をかさなくてよいと言い出していることであります。

 規制改革会議の提起を受けて、厚労省内では、働き方に関する政策決定プロセス有識者会議を設置し、基本的課題については、必ずしも公労使同数の三者構成にとらわれない体制で議論を行った方がよい、公労使同数の三者構成ではなく有識者委員により構成する、課題設定から法案成立までのトータルのスピードを速めるように労働政策の決定プロセスを運用すると報告までまとめています。

 労政審においても、労働者の代表を排除し、政権にとって都合のよい有識者を選んで、政権の意図する雇用規制緩和をスピーディーにやろうというものじゃありませんか。違いますか。

加藤国務大臣 労働問題については、本当にさまざまな課題もあります、さまざまな視点からの議論もある。そういった意味で、一つの議論をしていただく場所として、そういった指摘といいますか、そういった話が出てきているわけであります。

 ただ、委員も御承知のように、労働法制の見直しなど労働政策に関する重要な事項については、これは当然、公労使三者で構成される労働政策審議会で議論いただく、この基本は変わるものではありません。

塩川委員 そういう、労政審の場で労働者代表を入れなくても議論ができるようにする、スピーディーに進めていく、まさに労働者の命と健康を損なうような問題もスピーディーにやろう、そういうことが問われているんじゃないでしょうか。労働者側の意見を聞いていると雇用規制緩和が進まないから、政権に都合のいい人だけ集めて進めようという話であるわけです。

 総理、お尋ねしますけれども、結局、経営者側、財界の要求を官邸主導で推進するということになるんじゃありませんか。

 二〇一三年九月の産業競争力会議で、経済同友会代表幹事の長谷川議員は企画業務型裁量労働制の改善を要求し、榊原経団連会長も企画業務型裁量労働制を使い勝手のいいような形に改革すべきだと要求をしています。

 日本経団連の提言に企画業務型裁量労働制を拡大する要求があるとおり、安倍総理は、経営者側、財界の要求に耳を傾けて、トップダウンで労働分野の規制緩和を推進している、こういうことになるんじゃありませんか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 しかし、労働時間法制につきましては、先ほど申し上げましたように、労政審で議論をするということを決めているわけでありまして、そして、実際、労政審においては労使を交えた議論を経ているところでございます。

 そして、さらには、昨年七月に連合の神津会長から私宛てにいただいた要請を踏まえて、提出予定の法案では、裁量労働制の対象業務を明確化する、高プロ制度の場合は健康確保措置を強化するなどの修正を行うこととしているところでございます。

 こうした、いわば働く人の立場に立って、我々は今、法案について修正したり盛り込んでいるところでございます。

 例えば、長時間労働を防止し、健康を確保するために、高度プロフェッショナル制度については、在社時間等を把握した上で一定以上の休日を取得させるなどの措置、在社時間等が一定以上になった方に対する医師などによる面接指導などを使用者に義務づけることとしているところでございまして、その上において、いわば柔軟な働き方を可能とする法制としていきたい、このように考えております。

塩川委員 柔軟な働き方と言いますけれども、裁量労働制というのは、業務の進め方について労働者の裁量があるかもしれないが、そもそも業務量について裁量がないんですよ。そこが一番の長時間労働、そして過労死に至るような問題になるわけで、そういった根本の問題を抱えている裁量労働制の拡大について、労働者側の委員の意見を踏み破って進めてきている、ここに今の安倍政権の姿勢がはっきりとあらわれています。

 第二次安倍政権以降、自民党への企業献金が大幅に増加をいたしました。世界で一番企業が活動しやすい国づくりといって財界利益を優先して、労働者の命と健康をないがしろにすることは許されません。

 安倍政権が裁量労働制の拡大ありきだから、それに都合のいいデータで答弁をつくったというのがデータ捏造問題の本質であります。データ捏造問題の原因をつくったのは、裁量労働制の拡大ありきの改革政策を推進してきた安倍総理自身だ、このことが問われなければならない。中身も決め方も重大な法案の提出はきっぱりと断念することを求めて、質問を終わります。

河村委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 きょうも、働き方改革について、法案についていろいろな質疑がありました。我々日本維新の会は、常々言わせていただいているように、是々非々の政党です。ですからこそ、法案を審議するに当たって、しっかりとした、客観的に正しいと確信できるデータが我々には絶対必要です。

 ですから、今回のこの問題を受けて、政府は恐らく法案を今でも、今までの答弁の中でも提出をするという方向性は変わっていませんけれども、我々日本維新の会は審議拒否はいたしません。出てくるのであれば、しっかりと国民のために議論をしていきます。ただ、今回このような事件が発生したことについて、やはり国民の間では、非常に、このままこの法案、働き方改革大丈夫なのかという不安は広がっております。そういった不安に応える上でも、不安を払拭する上でも、誠意ある丁寧な回答が必要だとは思います。

 そのことを総理自身が国民へいま一度お約束をしていただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 働き方改革法案につきましては、一定の知識そして経験を有して働く方本人に、会社が決めた一律の、例えば九時から十八時などといった定時に縛られることなく出勤、退勤時間を自由に決めていただき、仕事の進め方をお任せして、より効率的に成果を上げていただこうというものであります。

 今回の改革においては、こうした方々にしっかりと健康を確保しながら働いていただけるよう、健康確保措置の実施や、客観的な方法による実労働時間の把握を使用者に義務づけることとしているところでございます。

 さらに、今回拡大をいたしますのは企画業務型裁量労働制でございますが、今まで企画業務型で働いておられる方々の中には、満足、やや満足を合わせますと約八割弱の方々が満足しているわけでございます。そして、実際に、労働時間についても、効率的な働き方をした結果、労働時間が短くなるということについては、大体六割の方々がそう答えているわけでございまして、そうした働き方を望んでいる方々がおられるのは事実であります。

 他方、不満な方々がおられる。その不満な方々の理由においては、労働時間が長くなる、こう答えておられますので、今回におきましては、しっかりと健康確保措置をとっていく。そして、あわせて、みなし労働時間と実労働時間の間に乖離がある場合には、その適正化に向けて、より厳格な監督指導を行うこととしているところでございます。

 また、御指摘のデータの問題につきましては、再々厚労大臣から答弁をさせていただいておりますように、しっかりと精査をしていきたいと考えております。

浦野委員 働き方は、いろいろ業種によっても違います。自分たちの人生設計においても違う。そういったたくさんのパターンのあるものです。

 中に、この土日に私、地元でお話を聞かせていただいた方は、工場を経営される中小企業の方で、例えばインターバルが長くなればなるほど、自分たちは人数の少ない社員で一丸となって工場を何時間も回しながら物をつくっている、インターバル規制をされると、それをとめないといけない、そうすると利益が上がらない、こんなことをされたらもう商売上がったりやという方も実際にいるわけですね。

 だからこそ、我々は、そういったことも含めて、この議論、ここでとまるのではなくて、しっかりと前に進めていきたいと思っていますので、この不安を払拭するように、しっかりと対応していただきたいと思います。

 その上で、法案を提出されるのであれば、いろいろな資料が今現在もあります。その資料の一つに、労働基準監督署でいろいろな調査をされていますけれども、今、三%の事業所にしか調査できていない、更に言いますと、その三%しか調査できていない事業所の中で、その七割が労基違反をしているというデータが出ております。これは皆さんも資料として持っておられると思います。

 ということは、三%しか調べていない中で、そのうちの七割が違反をしているということは、ほとんどの事業所が、全体でも七割近く違反しているということになると思うんですけれども、こういったこともしっかりと是正をしていかなければなりません。

 もちろん、監督する方が職員が少ないためにそういったことになかなか手が回っていないんじゃないかという指摘もありますけれども、このままでは、法改正しただけでは、こういった働く方々を本当に守っていくことができるのかという疑問もありますので、その点について、厚生労働大臣。

加藤国務大臣 今数字をお挙げいただきましたけれども、労働基準監督署においては、限られた体制の中で効果的な監督指導を行う、こういうために、いろいろな情報等から法違反の疑いが考えられる事業場を中心に監督指導を実施しておりますので、その結果として、平成二十八年は、実際に定期監督等を行った事業場に対して六六・八%の事業場で違反が認められたというところでございます。

 こうした中で、当然、長時間労働の是正等、法規制の執行強化を図っていかなければいけません。

 そのためにも、労働基準監督官の増員などにも努力をさせていただいておりますが、それ以外にも、例えば東京及び大阪労働局に「かとく」を設置するなど体制の強化を図り、法違反した企業名は公表するんだ、こういう制度によって効率的な業務運営にも取り組んでおりますし、また、来年度からは全ての労働基準監督署に特別なチームを新たに編成して効果的な対応をしていきたい。またさらには、非常勤の職員の方、特に労働基準監督官のOBの方を活用した事業場への指導、あるいは三六協定を届け出ていない事業場に対する相談指導については民間業者を活用するなど、限られた監督指導官を本当に必要な監督指導に充てる、こんな工夫も今検討しているところでございます。

 いずれにしても、必要な監督、基準監督官の体制確保、その構築にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

浦野委員 続きまして、我々、働き方改革を語る上で、やはり議員の働き方もしっかりと変えていかなければいけないということも言わせていただいております。

 その一つ、地方議員の報酬にかかわる所得税計算ということで、パネルにさせていただいておりますけれども、今、地方議員の皆さんは、議員報酬という形で、給与ではなくて報酬という形でいただいております。ところが、この報酬というのは今、ここに書かれております所得税法第二十八条関係二十八の八という通達で、給与等とするというふうにされているわけですね。

 ところが、報酬というのは、実は事業所得、事業所の売上げという形で本来は計算をするものです。政務活動費というのは別に議員はみんないただいておりますけれども、その政務活動費で賄えない経費は自腹で活動している、それが要は自分の所得を圧迫していることもあって、地方議会で、なかなか給与が厳しい、所得が厳しいんだという声が上がっております。

 そのために議員のなり手がないから議員年金をやるんだという声もありますけれども、そうではなくて、まずこういった部分、政務活動費その他の経費を、議員報酬というのであれば本来の形に戻して、確定申告で経費として認めるようにしっかりと通知を見直すべきではないかというふうに思うんですけれども、その点について、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは皆さん、なかなか、これは昔からある話であるんですけれども、基本的に所得税法という中においての話なんですが、いわゆる国会議員の歳費とか、歳費と同様の性質を有するというものに関しましては、これは給与所得に該当するということできちんと書いてあるんですが、今お尋ねの地方議員の議員報酬というものについては、国会議員の歳費と同様の扱いをするということになっております。

 それで、いわゆる給与所得というのは給料とか俸給とか歳費とか賞与とか、いろいろあるんですが、それをまとめて給与等という、この等というのはえらく幅が広いんですが、まあとにかく給与になるということになっておりますというのにして、いわゆる給与所得として取り扱っておるんですが、今言われた政務活動費というものについては、これは、給与所得、あるいは一時所得とか、山林を売った、山を売った山林所得とかいろいろありますけれども、その他の所得に該当しませんものですから、当然のこととして、これは雑所得ということになります。

 それで、この制度、雑所得に係る損失というものに関しましては、給与所得を含めて他の所得といわゆる損益通算をすることはできないというルールになっておりますので、政務活動費で生じることになった赤字というものに関して、これを議員報酬と損益通算ができないということは、今まさに言われた御指摘のとおりで、このルールによっているからなんですね。

 そこで、今、御提案を含めて、例えば、あなたの御提案か御党の御提案か知りませんけれども、政務活動費で生じた赤字だけはいわゆる特別に議員報酬との損益通算を認めろという話を、簡単にはそういうことをしておられるんですけれども、これは世間で通るかねという話はちょっと真剣に考えないかぬところなのであって、これはみんなに、みんなって全議員ですよ、みんなにとって、おい、何か悪くないじゃないかと思われるかもしれぬけれども、それは世間で通るかねという話はちょっと真剣に考えないかぬところかなと思っております。

 給与所得に関しましては、これは地方におかれてなり手がないとか、そういった話は私どものところに幾つもありますので、事情はよくわかっております。

浦野委員 要は、可処分所得をふやす手だてとしてこういうことも考えるべきだという考えなんですね。

 そのほかにも、議員のなり手不足を考えるときに、例えば被選挙権の引下げだとかネット投票を導入するだとか、まだまだいろいろやりようはあると思います。それが、議員年金を復活させるというのにまず行き着くというのが、それこそ私は国民の皆さんに理解をしてもらえないんじゃないかというふうに思っていますので、この件については、我が党もしっかりといろいろな準備をして、提案をまだまだしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、臨財債についてお伺いをいたします。

 臨財債は、これまでもさまざまな議論が国会でもありました。政府も答弁で、後年度にしっかりと全額、地方交付税措置を行うというふうに答弁をいただいております。

 しかし、もともと臨財債というのは、その前にやっていたのが非常に額が大きくなってしまったので、これはまずいということで臨財債をつくったわけですね。ところが、今、臨財債の残高の方が大きくなって、これもどこかのタイミングではやめていかないといけない。一気にはなくなりませんから、減らしていかないといけない。そうなったときに、地方は、本当にやってくれるのかというふうに不安がっているんですね。

 私は、だからこれは、後年度にというふうに答弁をされているのは重々承知しておりますけれども、いつやるのか、それをいつからやっていただけるのかというのをもうそろそろお答えをいただきたいと思うので、御答弁をよろしくお願いいたします。

野田国務大臣 お答えします。

 臨時財政対策債の償還については、少し流れを申し上げると、地方財政計画において元利償還金の全額を歳出の公債費に計上いたします。そして、所要の財源を地方全体として確保いたします。その上で、地方交付税の算定において、個別団体における臨時財政対策債の元利償還金について、その全額を後年度、今御指摘があった後年度、基準財政需要額に算入することにより、各地方団体が確実に償還できるよう、今現在、財源を保障しています。

 今後とも、これについては確実に対応していくんですが、お話が、いつかということですけれども、いつかというよりも、平成三十年度においても六・二兆円の財源不足が生じているところです。本来ならば、法定率の引上げ等をして、そして地方交付税を安定的に確保することが望ましい。しかしながら、今現在は国、地方とも厳しい財政状況でありますから法定率の引上げは容易でありませんが、これもしっかり取り組んでいかなければなりません。

 また、巨額の財源不足が生じている中では、過去の臨財債の元利償還金については臨財債の発行によって対処せざるを得ない状況になっていますが、こうした状況からは脱却していかなきゃならないし、まずは、国と地方が折半すべき財源不足を解消し、過去の臨時財政対策債の元利償還金のために発行する臨財債を縮減していくということが一番大切、必要だと思っています。

 このためには、やはり地域経済の好循環の拡大が何よりでございまして、地方税等の増収をしっかりと図っていきたい。歳出構造を見直すことで財務体質の強化を図り、折半分の臨時財政対策債を発行しなかったこともございます。平成十九年度又は平成二十年度のような状況をなるべく早く実現することをしっかり目指していきたいと思っています。

浦野委員 いつまでにというのは要は決められないということだと思うんですけれども、そのいつまでに決めるかということも、では、できれば決めていただきたいなと思ったりもするんですけれども、時間がもうありませんので、最後に一点だけ。

 我々、教育無償化についてしっかりと憲法に明記をしていただきたいというふうに今までも言っております。今回、努めなければならないという努力義務に政府・与党はするんじゃないかという報道があります。我々日本維新の会は、あくまでも無償化を明記するということを求めてまいります。

 総理、もしよろしければ、コメントをいただけたらと思います。

安倍内閣総理大臣 日本維新の会において憲法改正案について具体的な案を示しておられますことについては、敬意を表したいと思います。

 自民党で今議論しているところでございますし、また、教育の無償化についてもさまざまな議論があるわけでございますが、この場でお答えをさせていただくことは控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、各党が案を持ち寄って建設的な議論が進んでいくことを期待したい、このように考えております。

浦野委員 どうもありがとうございました。

河村委員長 これにて浦野君の質疑は終了いたしました。

 各大臣は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

河村委員長 この際、各分科会主査から、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査渡辺博道君。

渡辺(博)委員 第一分科会について御報告申し上げます。

 その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。

 まず、内閣所管について、国境離島振興に向けた決意、北朝鮮有事を想定した在韓邦人の救出策など、

 次に、内閣府所管については、本年の豪雪被害を激甚災害指定する必要性、金融機関の財務内容を透明化する必要性、潜在的待機児童を含めた待機児童ゼロ政策の実現性、日銀の二%物価安定目標見直しの必要性など、

 次に、復興庁所管については、東日本大震災による風評被害の要因、甲状腺がんと福島第一原発事故の因果関係、東日本大震災復興特別区域法の特例措置の期限を延期する必要性など、

 次に、防衛省所管については、対北朝鮮政策、日米地位協定を見直す必要性、有事における国家安全保障会議の迅速開会の必要性、F35A緊急着陸の原因及び再発防止策などでありました。

 以上、御報告申し上げます。

河村委員長 第二分科会主査橘慶一郎君。

橘委員 第二分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、地方交付税のあり方、障害者の参政権を確保するための取組、公共施設の老朽化対策、IoT機器のセキュリティー対策、郵便局網のあり方、地方議会議員の人材確保、ICTを活用した教育や医療の推進等であります。

 以上、御報告申し上げます。

河村委員長 第三分科会主査柴山昌彦君。

柴山委員 第三分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、入国管理体制の充実、日中、日韓関係のあり方、米軍機事故への政府の対応、財政健全化に向けた取組、仮想通貨の現状と課題、学校法人森友学園に対する国有地の売却等であります。

 以上、御報告申し上げます。

河村委員長 第四分科会主査福井照君。

福井委員 第四分科会について御報告を申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますけれども、その主な質疑事項は、英語教育の充実、教員の長時間勤務の改善、SNSを活用したいじめ等の相談体制の拡充、奨学金の充実、教育無償化の対象範囲のあり方、文化財保護を担う若手人材の育成、道徳教育の成績評価のあり方等であります。

 以上、御報告申し上げます。

河村委員長 第五分科会主査星野剛士君。

星野委員 第五分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、児童虐待における関係機関の情報連携、地域包括ケアシステム構築推進への取組、有期契約労働者の無期転換のための支援策、裁量労働制労働者の労働時間に関する調査結果の信憑性、介護離職者の実態把握の必要性、ハンセン病療養所の医師の処遇改善、刑事施設における認知症受刑者への対応等であります。

 以上、御報告申し上げます。

河村委員長 第六分科会主査田中和徳君。

田中(和)委員 第六分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、生産数量目標廃止後の米政策、豪雪による農業被害への支援の必要性、鳥獣被害対策、気候変動適応への取組、女性農業経営者の育成支援、豪雪時に原発事故が発生した場合の対応、森林環境税を活用した林業支援等であります。

 以上、御報告申し上げます。

河村委員長 第七分科会主査宮下一郎君。

宮下委員 第七分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、中小企業の事業承継支援策、高レベル放射性廃棄物最終処分場に関する施策のあり方、中心市街地活性化施策の課題、有給休暇取得の促進策、再生可能エネルギーのコスト低減に向けた取組、核燃料サイクル政策を見直す必要性、大阪万博誘致の意義等であります。

 以上、御報告申し上げます。

河村委員長 第八分科会主査竹内譲君。

竹内委員 第八分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、無電柱化の推進、羽田空港における飛行経路変更の妥当性、民有地の災害復旧に対する行政支援、バリアフリーの質の向上、公共事業の優先度のあり方、建設労働者不足の問題、広域幹線道路整備の必要性等であります。

 以上、御報告申し上げます。

河村委員長 以上をもちまして各分科会主査の報告は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会


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