衆議院

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第18号 平成30年2月28日(水曜日)

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平成三十年二月二十八日(水曜日)

    午前九時十四分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 菅原 一秀君

   理事 田中 和徳君 理事 橘 慶一郎君

   理事 星野 剛士君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 津村 啓介君

   理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    赤澤 亮正君

      安藤  裕君    伊藤 達也君

      石崎  徹君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩田 和親君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      衛藤征士郎君    加藤 鮎子君

      金田 勝年君    神田 憲次君

      古賀  篤君    佐藤ゆかり君

      斎藤 洋明君    竹本 直一君

      根本  匠君    野田  毅君

      原田 義昭君    平井 卓也君

      平沢 勝栄君    藤井比早之君

      村上誠一郎君    盛山 正仁君

      山口  壯君    山田 賢司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 博道君    阿部 知子君

      青柳陽一郎君    岡本あき子君

      落合 貴之君    山内 康一君

      早稲田夕季君    井出 庸生君

      稲富 修二君    今井 雅人君

      小熊 慎司君    大西 健介君

      源馬謙太郎君    後藤 祐一君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      黒岩 宇洋君    原口 一博君

      福田 昭夫君    藤野 保史君

      浦野 靖人君    遠藤  敬君

      串田 誠一君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (男女共同参画担当)

   (マイナンバー制度担当) 野田 聖子君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         河野 太郎君

   文部科学大臣       林  芳正君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (拉致問題担当)     加藤 勝信君

   農林水産大臣       齋藤  健君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    中川 雅治君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       吉野 正芳君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       小此木八郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (海洋政策担当)     福井  照君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     松山 政司君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          梶山 弘志君

   国務大臣         鈴木 俊一君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       植田  浩君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       長屋  聡君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    辻  裕教君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           吉田  学君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  福井  照君     藤井比早之君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     加藤 鮎子君

  石破  茂君     赤澤 亮正君

  今村 雅弘君     岩田 和親君

  岩屋  毅君     山田 賢司君

  衛藤征士郎君     神田 憲次君

  山内 康一君     早稲田夕季君

  井出 庸生君     柚木 道義君

  稲富 修二君     源馬謙太郎君

  小熊 慎司君     山井 和則君

  大西 健介君     今井 雅人君

  黒岩 宇洋君     福田 昭夫君

  遠藤  敬君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     石破  茂君

  岩田 和親君     今村 雅弘君

  加藤 鮎子君     あべ 俊子君

  神田 憲次君     衛藤征士郎君

  山田 賢司君     斎藤 洋明君

  早稲田夕季君     山内 康一君

  今井 雅人君     大西 健介君

  源馬謙太郎君     稲富 修二君

  山井 和則君     小熊 慎司君

  柚木 道義君     井出 庸生君

  福田 昭夫君     黒岩 宇洋君

  浦野 靖人君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     安藤  裕君

  串田 誠一君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     岩屋  毅君

同日

 理事福井照君同月二十七日委員辞任につき、その補欠として星野剛士君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に星野剛士君を指名いたします。

     ――――◇―――――

河村委員長 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算、平成三十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官植田浩君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官長屋聡君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、法務省刑事局長辻裕教君、財務省理財局長太田充君、厚生労働省労働基準局長山越敬一君、厚生労働省子ども家庭局長吉田学君、防衛省大臣官房審議官槌道明宏君、防衛省防衛政策局長前田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦です。

 まず、安倍総理に伺います。

 ここまで議論してきた平成三十年度予算、待機児童対策、安全保障政策等さまざまな項目がありますけれども、この予算の必要性、そして緊急性についての御説明をお願いします。

安倍内閣総理大臣 待機児童の解消は待ったなしの課題であります。待機児童の解消のための施策については、補正予算も活用し、今年度から早急に実施していくこととしています。こうした中、来年度予算においても保育の受皿拡大を実施していきます。

 また、来年度予算には、北朝鮮による核・ミサイル開発がこれまでにない重大かつ差し迫った脅威となっていること等を踏まえ、国民の生命と財産を守るため、必要な経費を計上しています。

 消費税率の引上げが可能な経済状況をつくり、二〇一九年十月に引上げを実施していくために、経済財政運営に万全を期すことは重要です。

 来年度予算においては、地域の中核企業による設備投資促進、産学官連携での研究開発等の支援、生産性向上のためのインフラ整備など、持続的な賃金上昇とデフレ脱却につなげるため、財政健全化も進めつつ、生産性向上、成長力強化に資する施策に重点化しています。

 来年度予算の早期成立が最大の景気対策であり、さきに成立いただいた平成二十九年度補正予算とともに、これらの施策を着実に実施することにより、経済の成長軌道を確かなものとしてまいりたいと考えております。

柴山委員 きょうは、その今おっしゃった、特に安全保障の問題について伺います。

 日本として過去最多の十三個のメダルをとった平昌五輪が無事終了し、パラリンピックも大いに期待されるところですが、この間、米国、韓国、そして北朝鮮によるさまざまな外交交渉にも注目が集まりました。

 それで、今後の米韓合同軍事演習や米朝対話の見通しが一体どのような形になっていくのか、河野外務大臣の見通しをお聞かせください。

河野国務大臣 オリンピック期間中も、北朝鮮は核やミサイルの開発を継続しております。また一方、国際社会による制裁が効果をあらわしており、最近は石油精製品などの瀬取りが活発化し、それと同時に、北朝鮮はオリンピックを利用したほほ笑み外交を展開しようとしているところであります。

 我々としては、そうしたことに目を奪われることなく、きちんと北朝鮮が非核化し、ミサイルの開発をやめ、拉致問題を解決する、そこまで国際社会で一致して圧力をかける、この方針は変わりませんし、日米韓でもしっかり確認をしているところでございます。

 軍事演習につきましては、米韓がまず調整をするべきものでございますが、我々としましては、パラリンピック終了後、米韓の軍事演習が再開をされる、これは、日米あるいは日米韓の軍事協力、安全保障協力と並んで、北朝鮮に対して圧力をかける意味でも大切なものだと思っておりますので、パラリンピック終了後再開される。それと同時に、国際社会は、こうした瀬取りのような巧妙な制裁回避策にきちんと対処できるように、一層の協力を強めてまいりたいと思っております。

柴山委員 そうなると、このパラリンピック終了後の日本の安心、安全を絶対に守るということがとても重要になってまいります。

 防衛大臣に伺います。

 不測の事態に対して、短期的あるいは中期的にどのような対処をされるおつもりでしょうか。

小野寺国務大臣 北朝鮮の核、ミサイルの脅威に関しては、まず、北朝鮮をしっかりと抑止することが重要であります。そのためには、日米同盟による強い抑止力が必要です。この点、平和安全法制の整備や種々の日米共同訓練などを通じ、自衛隊と米軍との連携は一層緊密化し、日米同盟の抑止力は大きく向上しております。

 同時に、我が国の防衛体制及び能力の向上を図っていくことも必要であります。例えば、弾道ミサイル防衛については、BMD対応型イージス艦の増勢や能力向上型迎撃ミサイルの取得など、引き続き積極的に進め、さらに、先般導入を決定しましたイージス・アショアにより、弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図ってまいります。

 防衛省・自衛隊は、いかなる事態にも対応できるよう、米国との協力を進め、日米同盟の抑止力、対処力を強化し、同時に高度な警戒監視体制を維持し、緊張感を持って我が国の平和と安全の確保に万全を期していく考えです。

柴山委員 在韓邦人の保護など短期的なオプションにもしっかりとした目配りをぜひお願いいたします。

 さて、次に、麻生大臣に伺います。

 日銀の黒田総裁に続投を要請されるということが発表されておりますが、野党の皆様からは、物価が思わしくないままでの国債の際限なき買入れや、財政規律の緩み、あるいは市場のゆがみを懸念する声も出されました。今後、こうした懸念に対してどのように対処されますか。

麻生国務大臣 御存じのように、政府と日銀は平成二十五年の一月に共同声明というのを、黒田さんの前の総裁との間で、白川さんとさせていただいて、それぞれの責任において、盛り込まれた内容をこれまで実行してきたと思っております。

 その結果、日本経済というのは、御存じのように、二十八年ぶりになりますか、八四半期連続プラス成長となるなど、民需主導の力強い経済成長が実現し、間違いなく、デフレ脱却という道筋を確実に歩み始めている、そういうところまで来ておると思っております。

 財政面でも、現政権において、過去最高の名目GDPを背景にさせていただいて税収は十七兆円増加しましたし、歳出削減も努力を積み重ねて、一般歳出の目安というものを三年連続五千億以下というのを達成し、国債発行額も六年連続、新規国債発行十一兆円減額というのに成功し、それぞれ目的を達してきていると思っております。

 金融政策の具体的な手法につきましては、これは日銀に委ねられるべきものだと考えております。政府としては、引き続きまして、日銀と、さまざまなリスクの要因というものも十分に勘案した上で、経済、物価、金融情勢等々を踏まえながら、我々としては、二%の物価安定目標の実現に向けて、大胆な金融緩和を着実に推進していかれることを期待しております。

 引き続き、政府と日銀が一体となって、あらゆる経済政策というものを動員させていただいて、デフレ脱却、経済再生と財政健全化、この両立に向けて取り組んでいかねばならぬと考えております。

柴山委員 実際にそうした経済成長が実現できるかということが極めて重要なわけで、そういう意味からも、今般の働き方改革というのは一つの重要な手段であるというように考えております。

 しかしながら、今回の労働時間データ問題など、極めて問題があると言わざるを得ません。これまで、古くは年金記録問題も含め、各行政における記録管理が問題となっております。菅官房長官も記者会見で公文書管理の見直しについて言及をされておりますけれども、梶山特命担当大臣、今のこの公文書管理の取組状況がどのようになっているか、最後にお伺いします。

梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、行政文書の管理のあり方については、さまざまな御指摘をいただいてきたことは事実であります。

 政府として、国民への説明責任を全うするという公文書管理法の目的をより一層徹底する観点から、有識者から成る公文書管理委員会での御議論も踏まえて、行政文書の作成、保存に関する基準の明確化、文書の正確性の確保を内容とする行政文書の管理に関するガイドラインの改正を昨年末に行ったところであります。

 改正ガイドラインを踏まえて、本年度中に各行政機関において行政文書管理規則の改正を行うことになりますが、その改正に当たっては、公文書管理法の規定に基づいて、内閣総理大臣が協議を受け、公文書管理委員会による第三者的見地からのチェックを受けた上で、同意するか否かについて判断することになっております。

 こうした仕組みを通じて、全行政機関における統一的な考え方のもとで運用の確保を図ってまいりたいと考えております。

 また、改正ガイドラインを踏まえた行政文書管理規則の見直しに加えて、公文書を扱う職員一人一人の意識をより一層高めていくことも重要であることから、各府省職員向けの研修の充実を通じてルールの徹底を図るなど、公文書管理の質を高めるための不断の取組を進めてまいりたいと考えております。

柴山委員 終わります。

河村委員長 これにて柴山君の質疑は終了いたしました。

 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 きょうまでの長い予算委員会審議の中で、地方分権や地方創生に関する議論が少なかったような気がいたしております。その意味で、締めくくりに、私からは地方分権に関する質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 明治維新から百五十年がたとうとしているわけでございまして、明治日本は近代国家への転換を図るべく、東京を中心とした中央集権国家体制を確立していったわけでございます。しかし、今や、東京一極集中と地方の衰退は目に余るものがあり、明治以来の中央集権体制は完全に行き詰まりを見せているのではないかと私は考えております。

 私は、文明論的には、中央集権体制が近代化の必要条件であるとは必ずしも思っておりません。ドイツのように、地方分権体制のまま近代化をなし遂げ、現在も成功している国もあるからであります。明治日本はたまたま歴史的経緯から中央集権体制を選択せざるを得なかったのだろうというふうに感じているところでございます。

 百五十年を経た現在の日本は、中央集権体制からの脱皮、転換を必要としているのではないか。その意味で、地方分権は私は文明論的課題になっていると思っております。

 その地方分権の旗頭として、文化庁の京都への全面的移転があるのではないかというふうに感じているところでございます。これが失敗すれば、もはや地方分権などあり得ない、虚妄となってしまうのではないかというふうに思っております。

 今回の閣議決定は、戦後初めて中央官庁の本格的移転を決断したものでありまして、単に京都のためではなくて、国策として新たな国づくりが必要と考えたからではないかというふうに思っております。

 その背景と目的、また現在の取組状況と課題について、まずお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 文化庁については、平成二十八年三月の政府関係機関移転基本方針等において、現在と同等以上の機能が発揮できることを前提とした上で、新たな政策ニーズに対応するための機能強化を図りつつ、全面的に移転することが決定をしております。

 まず、今委員からお話がありましたように、中央省庁初の地方移転として、東京一極集中の是正、地方創生などへの期待があると考えます。

 また、特に、文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都への移転により、文化財を活用した観光振興や観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興に関する企画立案能力の向上、ひいてはこうした先進的な取組効果の全国的波及など、我が国の文化行政のさらなる強化を図る上でも大変意義があるものと考えております。

 進捗状況でございますが、昨年四月に先行移転として地域文化創生本部を設置いたしまして、文化庁に期待される新たな政策ニーズに対応した事務事業を地元の知見やノウハウ等を生かしながら実施をしておるところでございます。

 また、昨年の七月に、本格移転について、まず第一に、京都に文化庁本庁を置くことなど組織体制の大枠、第二に、移転場所を現京都府警察本部本館とすること、第三に、本格移転時期を遅くとも平成三十三年度中とすること等について取りまとめたところでございます。

 引き続き検討が必要な事項としては、本格移転先の庁舎整備や費用負担のあり方などがありますが、いずれにせよ、本格移転までに京都府、京都市や関係省庁などの関係方面と連携協力しながら着実に調整を進め、円滑な移転に努めてまいりたいと思っております。

竹内委員 文明論的課題というふうに申し上げましたけれども、百五十年続いた強固な中央集権体制を転換することは容易ではないというふうに思うわけであります。

 今、文科大臣からありましたように、この新文化庁の組織体制の整備と本格移転に向けて、課題は幾つもあります。文部科学省設置法の改正案の成立であるとか、それから、平成三十年度内に定数増や組織改革を行い、文化庁の機能拡充が求められているわけであります。さらに、既に地元との合意では、平成三十三年度には、京都には、文化庁の職員数の七割を前提に、二百五十名程度以上を見込むとするとされているわけであります。

 また、我が国が真の文化芸術立国となるためにも、今ありました文化庁地域文化創生本部を始め、文化庁に係る関係予算及び実施体制の増強も不可欠であります。さらに、文化庁と一体的に、効果的で幅広い文化行政の推進に向けて、文化関係独立行政法人日本芸術文化振興会や国立美術館、国立文化機構の効果的な広報、発信、相談機能の京都設置も不可欠ではないかというふうに思います。決してこれらの施策が骨抜きにされたりすることはあってはならないというふうに思っております。

 今お手元に資料を配っておりますが、こういう機能強化の考え方で進められているわけでございますけれども、例えば政策課というのは、この黒の線を引いたところが京都に持っていくということで、政策課は京都に、そして、その下の企画調整課は東京に残すことになっているわけでございますが、しかし、政策課といっても、これが名ばかりで調査研究だけというのでは意味がないわけであります。東京の企画調整課が文化芸術政策の計画を立案し総括するというのでは、本当に文化庁の京都への全面的移転と言えるのかどうか、こういう本質的な問題もあると私は思っているわけでございます。

 文化庁の京都への全面的移転を突破口として、地方分権を推進する必要があると私は思っておりますし、これこそ、やはりこの地方分権ということが、最終的にはアベノミクスの成功にとって不可欠のものではないかというふうに私は感じているところでございます。

 その意味で、さまざまな抵抗勢力もあるかもわかりませんけれども、これらを排して、国策として、真の意味で文化庁の京都への全面的移転をやり遂げる総理の決意をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 文化の力は、人々の心を豊かにするのみならず、経済活動においても、新たな需要や高い付加価値を生み出す源泉となります。また、観光振興や地方創生などを実現する上でも、極めて重要なものであります。

 このため、政府としては、文化芸術立国の実現、文化による地方創生に向け、その中核を担う文化庁について、機能強化を図りつつ、京都に全面的に移転することとし、着実にその準備を進めてきています。

 文化庁の京都移転は、中央省庁初の全面的な地方移転であります。引き続き、関係大臣、関係する地方自治体などが連携協力し、目標である二〇二一年度中の本格移転に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

竹内委員 非常に重要な論点だというふうに思っておりまして、ぜひとも、この辺、やり遂げていただきたいというふうに強くお願いをする次第でございます。

 時間が限られております。もう一つ、地方大学・地域産業創生事業について。

 私は、実は、地方創生のためには、地方の大学振興、そして地域産業創生事業というのが大事であって、昨年の特別国会でも、新たな交付金を創設すべきではないかということをこの予算委員会でも質問させていただいたところでございます。そして、早速総理の方でも百億円の交付金をつくっていただきまして、準備をしていただきまして、この予算案にも既に盛り込まれているところでございます。

 そういう意味で、地方創生のためには大学の持つ役割は極めて大きいわけでありますが、お手元の資料にありますように、規模別の大学を見てみますと、小規模校、一学年の定員が千人未満の大学が、実は全国の大学七百五十六校のうち五百八十校もあって、大半が小規模大学である。そして、下の図を見てもわかりますように、小規模大学は、地方ではほとんどであります。地方に行けば、小規模大学が大半を占める、そして、国立ではなくてむしろ私立の大学がかなりを占めているわけでございます。

 そういう意味で、経済政策としては中小企業支援政策がありますが、大学には中小大学支援政策が乏しいような感じがします。そのような観点から、地方創生のためには、小規模大学に対する支援も含めて施策が必要だと思っているところでございます。

 最後に、この点、文部科学大臣の御見解を賜って、質問を終わりたいと思います。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、私立大学、これは、全国の約七割を超える学生の学びを支えるなど、大変大きな役割を果たしておりまして、私立大学等がみずから改革に取り組んで、社会や時代のニーズを踏まえた特色ある教育研究を進めていくことは、地方創生の観点からも重要だと考えております。

 文科省においては、各地域での私立大学、自治体、産業界の連携に向けまして、平成二十九年度から、私立大学、自治体等が参画するプラットホームの形成など、体制整備への支援を実施しておりまして、今お話のあった小規模私立大学を含めて、地域発展に貢献する私立大学等の取組を推進しております。

 この三十年度予算案においても、支援対象を二十から四十グループと前年度から大幅に拡充することとしておりまして、あわせて、総務省においても、この事業を、地方自治体が同支援を受けた大学と連携して行う雇用創出や若者定着の取組に対する特別交付税措置の対象に新たに加えることにいたしております。

 地域の実情に応じて地方私立大学等の取組がなされておりますが、これに対して重点的に支援をすることによりまして、今後、自治体のニーズに対応した、地域の活性化に資する私立大学等の取組が加速していくことを後押ししたいと思っております。

竹内委員 ありがとうございました。

 終わります。

河村委員長 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうの予算委員会ですけれども、この予算委員会は、与野党の合意なしに、委員長の職権でこれは立てられました。これに強く抗議をしたいと思います。

 しかしながら、我々は、今回の予算委員会全体を通して見て、質疑時間がまだまだ不十分である、精いっぱい質疑をしたい、そういう思いで、この質疑にはがっちりと臨ませていただきたいと思います。

 だがしかし、よもや、間違っても、採決を強行する、委員長の判断で強行することのないように強く要請申し上げます。委員長、いかがですか。

河村委員長 既に議事日程については理事会において提議をし、承認させていただいております。

逢坂委員 強く抗議をさせていただきます。

 それでは、質問に入ります。

 きょうは通告はしておらないのですけれども、我々の仲間であります福井予算委員会の理事が今回、大臣に就任されました。心からお祝いを申し上げます。

 残念ながら通告する時間がなかったものですから、沖縄北方担当大臣として、昨日、色丹島をシャコタンと言い間違えたということでありますけれども、緊張感に欠けているのではないか。大臣、そのことに対する釈明と、北海道に積丹町という町もあります、そこの方々に対しても私は失礼なことではないかと思いますので、おわびを含め、釈明をお願いいたしたいと思います。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 事実関係を申し上げますと、昨日、就任の記者会見におきまして、以前、数年前ですけれども、ビザなし交流で色丹島に参りましたということを記者の皆さんに御紹介したくだりで、シャコタンというふうに言ってしまいました。

 役所の名誉にかけて申し上げますけれども、メモなしで、私自身の言葉で記者の方を見て申し上げておりました。その間にシャコタンというふうに申し上げてしまいまして、大変、元島民の皆様そして北海道の皆様に御迷惑をかけたことにつきましては、おわびを申し上げたいと思います。

逢坂委員 福井大臣、予算委員会で一緒の仲間でありましたので、緊張感を持って職務に励んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それから、もう一点です。

 世耕大臣にお伺いしますが、世耕大臣、我が党が今法案を提出しようとしている原発ゼロ法案、これについて、責任ある政策とは言えない、こういう発言をされたと承知をしておりますけれども、原発ゼロを目指すということは、これは責任あるものとは言えないんでしょうか。例えば、世界では、ドイツでも台湾でも、原発ゼロを目指すという政策を明確に掲げている国もございます。ドイツも台湾も責任ある政策をとっていないんだ、そういうお考えなんでしょうか。

世耕国務大臣 エネルギー政策というのは、国によっていろいろな事情があって、違いがあるんだろうと思っています。我が国の場合は、エネルギー自給率の問題、地政学的状況その他を含めて、やはり原発もあわせて使っていかなければいけないというのが、我々閣議決定をしている内閣の立場であるというふうに思っております。

 日本にとっては、やはりできる限り依存度は下げつつも原発は使うというのが、責任あるエネルギー政策だと考えております。

逢坂委員 世耕大臣、この問題についてはまた今後じっくり議論をさせていただきたいと思いますが、我が党は、原発ゼロ基本法案、これを三月十一日までに国会に提出したいと思っています。それを提出するに当たって、現在、全国の十六カ所でタウンミーティングを開いて、千七百人余りの国民の皆様にも御参加をいただいております。

 そうした中で、ぜひ、立憲民主党を始めとする、この原発ゼロに賛同する仲間が大きな力を合わせてそうした社会を実現してほしい、こういう大きな国民の声もいただいておりますので、大臣、そのことも踏まえて、これから議論をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは次に、きょうの本題に入ります。

 裁量労働の問題でありますけれども、これにつきましては、平成二十五年労働時間等総合調査についてのデータ、次々と不適切なデータの事実が出てきております。

 これは本当にひどいと言わざるを得ません。データの単なる入力間違いだけではなく、そもそも統計あるいは調査としてあらわれるべきでない数字も出ている。あるいは、先日来、今度は具体的な調査そのものにも問題があった。調査手法ですね。時間をかけてやるべきところを短時間でやっていたのではないか、そういうことであります。

 そこで、総理、この精査の必要なデータに基づく答弁は取り消すんだというふうにおっしゃいました。だがしかし、精査の必要なデータに基づく労政審の議論、これも取り消すべきではないか、そう思いますけれども、総理、いかがですか。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、本来違う形で選んできたデータを比較した、あるいは精査が必要である、これについて、データをお示しし、答弁をしたことを撤回させていただいたり、またおわびもさせていただいているところでございまして、こういったことに対しては、我々も深く反省しながら対応していかなければならないというふうに思っております。

 ただ、労働政策審議会に関しては、もちろんこのデータもお示しをさせていただきましたが、それ以外のことも含めて、多様なデータあるいは多様な視点に立って、それぞれの結論をいただいているところでございます。

 また、その上で、もちろん労働側の委員からの別途の意見はありましたけれども、全体として、おおむね妥当、こういう答申、あるいはその前には、進めていくことが適当であるという建議、これもいただいておりますので、我々としてはそれを踏まえながら今法案の作業を進めさせていただいている、こういう状況であります。

逢坂委員 加藤大臣、それでは、その労政審の議論は、これは取り消さないんだということなんですね。

 ただ、労政審に出されているこの裁量労働にかかわる労働時間のデータというのは、この平成二十五年の調査しかないんですよ。それ以外の労働時間のデータは出ていないんですよ。ということは、労政審での議論については、労働時間のデータは不要である、そういう考えなんですか。

加藤国務大臣 一つは、この裁量労働制について申し上げれば、野党の皆さんからも、一時間未満というものがあって不自然ではないか、不合理ではないかという御指摘をいただいておりまして、それは今精査をさせていただいているところでございます。

 また、その上で、労働政策委員会においては、もちろん裁量労働制に係る時間のデータはこれでございますけれども、それ以外にも、いわゆる労働政策研究機構における、満足度はどうであったか等々のデータもお示しをする中で、他方で、この裁量労働制においては、みなし労働時間が賃金支払いのベースにもなっておりますけれども、このみなし労働時間に比べて実際の労働時間が長い、これは実態調査からも出てきておるわけでありますが、そういったことも踏まえて、それが長時間労働を引き起こすおそれがあるのではないかなどなどの懸念、問題意識のもとで、もう詳しく申し上げませんが、規制強化をしっかり図っていく、そしてその規制がしっかりなされる中において、自律的、創造的な分野については広げていこう、そういった議論がなされたもの、こう承知をしております。

逢坂委員 繰り返しますけれども、大臣、それでは、JILPTのデータも出されていると言いますけれども、JILPTでは、裁量についての労働時間のデータは出していないわけですよ。

 そこで、裁量型労働の問題点というのは、私は、みなし労働時間と実際に働いた労働時間の間に大きな乖離があるのではないか、これが論点の一つなんですよ。そのときに、労政審に労働時間に関するデータは一つしか出さなかった、しかも、その一つのデータも根拠、信憑性が危うい状況になっている、それでも、労政審の議論は適切で、取り消す必要のないものだ、そうお考えなんですか。

加藤国務大臣 御指摘のように、労働政策研究・研修機構、いわゆるJILPTに関しては、満足度はどうか、こういったデータをお示しさせていただきまして、その労働時間に関するデータは示していない、それは御指摘のとおりでございます。

 その上で、私どもがお示ししたデータにおいても、ちょっと今具体的な数字は手元にありませんが、みなし労働時間よりも労働時間の方が長い、そういったデータもお示しをさせていただきながら、また、それ以外の点、それぞれの委員の御認識等も踏まえて先ほどのような議論がなされて、そうした意味で建議そして答申がなされている、こういうふうに承知をしております。

逢坂委員 大臣、みなし労働時間よりも実際に働いている労働時間の方が長い、そういうデータもお示ししたという答弁に聞こえたんですが、それは具体的に示したんですか、個別に。

加藤国務大臣 ここは、実際、冊子をお配りさせていただく中で、みなし労働時間とそして実労働時間、それぞれお示しをさせていただいております。

 ただ、そこの労働時間について、今、野党の議員の皆さん方からも、その中において異常値といいますか不自然なデータが幾つもあるではないか、こういう御指摘をいただいて、今それについて精査をさせていただいている、こういう状況であります。

逢坂委員 大臣、今、私の質問にストレートに答えませんでしたけれども、あの冊子の中には、個別具体的に、みなし労働時間が何時間で、そしてその方に対応する形で、実はその方の労働時間は何時間長いんだといったようなことが載っているとは私は認識しておりません。したがいまして、適切な議論が行われたというふうには私には思われない。

 大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 要するに、トータルを平均した数字については、みなし労働時間が何時間だとかこういう記述はございます。ただ、委員御指摘のように、それぞれの事業所で見てそれがどうなっているのか、あるいは、みなし労働時間よりも多いところが何件あるのかとかそういう記述はこの資料の中にはないというのは、御指摘のとおりでございます。

逢坂委員 大臣のこれまでの答弁の中で、裁量型労働でもさまざまな方々がいて、勤務時間が長い方も短い方もいるんだといったような答弁をされていたかと思います。

 そういう観点からいうと、トータルの時間を比較しても、本当の実態はわからないんです。個別の労働者に着目をしてこれは中身を見なければわからない。満足度の高い人もいる、でも、そうじゃない人もいるわけです。法律をつくるときには、困っている人のところに光を当てて法律をつくらなければいけない。満足度の高い人にどんどんどんどん照準を合わせてやっていって、少数だが困る人が出てくるということを放置することはできないというのは、法をつくる者の立場ですよ。だから、個別の時間をしっかり比較できるようなものがなければ審議としてそれは適切だとは言えないんです。

 したがいまして、この必ずしも適切とは言えない労働時間データに基づいて議論された労政審での審議、これをやり直すことを強く求めさせていただきます。

 大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、労働政策審議会、まさに満足する方もおられるけれども、満足でない方も一定おられる、そして、その満足でない中に、先ほど申し上げた、実際、みなし労働時間よりも長く働いている、あるいはさらに、そもそも労働時間が長いとか、そういった認識は、この労政審においては共有をされていたわけであります。

 その中で、それを是正していくために、例えば、まず、労働時間の把握が十分でないからしっかり把握をしていこう、あるいは、対象者も法律に基づく省令できちんと書いていこう、また、指針をつくることになっておりますけれども、この指針に基づいてそれぞれの企業、事業所において決議をする、しっかり反映をさせていかなきゃならない、そして指針に基づいて労働基準監督署等が指導できる、そういう根拠規定を置く、こういった規制強化をこの中には入れているわけでありますから、委員御指摘のように、満足している人が八割だからそれでいいんだということではなくて、その二割、三割の方にやはり問題がある、あるいは八割の中にも、一部は満足だけれども、まだ問題があるという認識もあると思います。

 そういったことも踏まえた議論をこの労働政策審議会ではしていただいて、先ほど申し上げたような建議そして答申をいただいている、こういうふうに認識をしております。

逢坂委員 大臣、労政審で労働側の代表が言っていること、これはもう大臣も十分御承知だと思います。裁量型、裁量労働制の対象業務の拡大及び高度プロフェッショナル制度の創設については、長時間労働を助長するおそれがなお払拭されておらず、実施すべきではない、こう言っているわけですよ。しかも、今大臣がおっしゃられた規制強化、そのことにも言及しているんですよ。対象業務の範囲の明確化、健康確保措置の強化といった修正がなされたが、長時間労働を助長するおそれがなお払拭されておらず、実施すべきではない、こう言っているわけですよ。

 したがって、この間大臣が繰り返し答弁されておられますけれども、規制を強化する中において対象業務を拡大するではだめなんですよ。規制を強化することには私は賛成します。規制を強化して、それがちゃんと有効に機能する、そういうことをしっかり確認した上で対象業務の拡大を検討していくというのならわかりますよ。強化をすることとあわせて対象業務を拡大するのであれば、その強化した規制がうまくいくかどうかわからないじゃないですか。それを一緒くたにやるのは私は間違いだと思う。

 したがって、今回は規制強化だけにとどめる、そして業務の拡大はやめる。いかがですか。

加藤国務大臣 まさにそういった議論も踏まえながら先ほど申し上げた労働政策審議会では建議が出され、そして、法案要綱に対して、おおむね妥当、こういう議論がなされたというふうに私は認識をしております。

 もちろん、お出しをさせていただいた資料についていろいろ疑義を生んで、我々、これはしっかり精査をしなければならないと思いますけれども、労働政策審議会での議論はそういう形でなされ、そしてそれについて、一方で規制強化をしながら、その中で拡大をしていく。こういうことについて、もちろん労働側の委員から今委員御指摘のような御意見があった、これは付記されている、これは全くそのとおりでありますが、その上において、おおむね妥当、こういう答申をいただいておるわけでありますので、我々は今それに沿って法案の作業を進めさせていただいている、こういう状況であります。

逢坂委員 おおむね妥当と妥当の違いについては、後で我が党の岡本あき子議員が質疑してくれる、やってくれると思いますので、その議論はまたそちらに委ねたいと思いますけれども、総理、お伺いします。

 私は、今回、ずさんなデータに基づいて労政審で議論されたというふうに認識をしております。したがいまして、今回の、これからお出ししようとする法案、この中から、裁量型労働の対象範囲の拡大、対象業務の拡大、これは関連法案から削除すべきではないか。最低限でもそれはやらなければならない。我々は賛同できる部分もこの法案の中には含まれています。これは総理として削除すべき、確約すべきではないですか。

安倍内閣総理大臣 我々が今準備を進めております働き方改革の中における裁量労働制、企画業務型裁量労働制の拡大について、その必要性については今大臣から答弁をさせていただいたとおりでございます。

 ただ、大臣が答弁させていただいたように、現在のこの企画業務型の中においては、実際に八割弱の方が、やや満足の方を含めれば満足の方がおられる。しかし、逢坂議員が御指摘のように、それ以外の方々に焦点を当てろ、我々もその考え方のもとに焦点を当て、健康確保措置もしますし、みなし労働時間と実労働時間の乖離がある場合にはしっかりと対応するということを盛り込まさせていただいたところでございます。

 同時に、今回の裁量労働制の議論に関連して、厚生労働省のデータに疑義があるとの指摘を受け、精査をせざるを得ない事態となったことは重く受けとめています。裁量労働制の改正に関し、国民の皆様に疑念を抱かせることとなったことについてはまことに遺憾であります。ここをきっちり実態把握しない限り、政府全体として前に進めないという気持ちでございます。

逢坂委員 総理は今、実態把握しない限り前に進めないということでありましたけれども、前に進めない、実態把握、まず、実態把握って、これはどういう意味ですか。

 実態把握というのは、我々は、例えば労働時間についても再調査すべきだという話もさせてもらっています。あるいは、例えば十七年にもこの労働時間の調査をやっています。二十五年にもやっています。例えば、それによって推移がどうなっているのか。例えば、みなし労働時間と裁量労働の方の実労働時間、そういったものの推移、そういうものも裁量労働の範囲を拡大する上では非常に重要だというふうに思っています。

 それも現時点では必ずしも明らかになっているとは私は思っておらないんですが、総理が今おっしゃった、きっちり実態把握をしない限りというのは、これはどういう意味でしょうか。

安倍内閣総理大臣 この実態把握の中身、方法、実態把握の方法についてでありますが、それにつきましては今後検討していきたいと思います。

逢坂委員 では、総理、確約いただけますね。その実態把握の内容は検討はするけれども、とにかく実態把握というものはやるんだということでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 ここをきっちりと実態把握しない限り、政府全体として前へ進めないという気持ちであるということは今申し上げたとおりでございますが、実態把握の方法については、今後、厚労大臣を中心に検討していきたい、このように考えております。

逢坂委員 実態把握をしない限り政府全体として前へ進めない、それは、法案の閣議決定や、国会への提出や、そういうことも含むという意味でしょうか。

安倍内閣総理大臣 繰り返しになるところでございますが、今申し上げたとおりでございまして、実態把握をしない限り、今、この実態把握の必要性について、逢坂議員がるる質疑の中において強調されたところでございます。それを踏まえまして今お答えをさせていただいているところでございますが、今の質疑を受けまして、ここをきっちりと実態把握しない限り政府全体として前へ進めないということを申し上げているところでございます。

 そして、その実態把握の中身につきましては、今ここですぐにつまびらかに申し上げることはできませんが、厚労大臣を中心に検討させていただきたい、このように考えております。

逢坂委員 今の答弁の中で、実態把握について非常に前向きな、実態把握をしなければ前へ進めないということでありますので、前向きな答弁をいただいたというふうに理解をいたしますが、実態把握にどれぐらい時間を要すると見ていますか。

安倍内閣総理大臣 どのような実態把握をしていくかということについては厚労大臣を中心に検討させていただきたい、こう思うところでございますが、これは相応の時間を要するものと考えております。(発言する者あり)

逢坂委員 実態把握をしない、ちょっと委員長、閣僚席から今何かおっしゃったようですけれども。閣僚席から、今、外野うるさいよ、何とおっしゃったんですか。

河村委員長 そうですか。私は聞こえなかったんですけれども、何かありましたか。

逢坂委員 ちょっと驚きました。ちょっと御注意ください。

河村委員長 続行してください。

逢坂委員 それでは、総理、実態把握をしない限り政府全体として前へ進めない、しかもその実態把握は相応の時間がかかるということでありますので、相応の時間がなければ前へ進めないというふうに理解をいたしました。

 いずれにしても、実態把握、我々は調査という言い方をしておりますけれども、それをしっかりやっていただきたい、そのことを改めて申し上げさせていただきます。

 厚労大臣もよろしいですね。

加藤国務大臣 今、総理から、裁量労働制の改正に関して、裁量労働制についてきっちり実態把握をしない限り政府全体として前へ進めないという気持ちであるという答弁もございました。

 そして、具体的な実態把握の方法、これはこれから検討させていただこうと思っておりますけれども、例えば今あるデータで何か使えるかということにはなり得ないというふうに考えておりますので、そういった意味で、総理は相当の時間を要する、こういうふうにお答えをされたと思いますので、あと、具体の話は、今の総理の答弁を踏まえて厚労省でしっかりと検討させていただきたいと思います。

逢坂委員 今あるデータでは必ずしもという発言がございました。それも踏まえて、がっちり調査をしていただきたい、私はそう思います。

 裁量型労働においてはやはり労働時間の長短が相当大きな問題になっているわけですから、その現実の把握なしに対象業務の拡大をするというのは絶対にやってはならない、私はそのことを改めて申し上げさせていただきます。

 さてそこで、総理、前回私が質問させていただいたものはちょっと尻切れトンボになってしまったものですから、改めてお話をさせていただきたいんです。

 森友学園の問題なんですが、総理、総理は、総理も御夫人もこの件に関与をしていたら総理も議員もやめるんだという発言をしているんですが、ここで言うところの関与というのはどういうことなんですか。

 私は、売却であろうが貸付けであろうが、一連のこの森友学園と政府の関係、このことに何らかの形で関与をしていたら議員も総理もやめるんだというふうに理解をしていた。国民の皆さんも多分そういう理解をしているのではないかと思いますが、この関与というのは、これはどういうことなんですか。

安倍内閣総理大臣 いわゆる関与については、私は、今御紹介いただいた答弁をして以来、昨年も答弁をさせていただいているところでございますが、基本的には、国有地売却あるいは学校の認可等に私や妻や事務所が関与していればということでお話をさせていただきました。

 その後も関与についてお話をいただいたんですが、これまでもお答えをしてきたとおり、政治家等に籠池氏側から依頼があって、例えばそこに何かお金が流れ、いわば籠池氏側がさまざまな便宜を図る中において政治の側がそれに応えたのではないかという意味において、私も妻も事務所も一切かかわっていないということを申し上げたものでございます。

逢坂委員 政治の関与があるか、何かお金が流れたかという言い方をしておりましたけれども、それでは、それは貸付けであろうが売却であろうが、どの状態においてもそういうことがもし疑われるのであれば総理も議員もやめる、そういう意味ですか。

安倍内閣総理大臣 疑われるというのは、疑う人がおりますから、そういう疑いが絶対ないということは申し上げることができませんが、そういう事実は全くないということを申し上げたところ、今申し上げた意味における関与については全くないということを繰り返し申し上げてきたところでございます。

逢坂委員 それでは、総理、これは何度も答弁されておりますけれども、例の総理夫人付の谷さんという方、経産省から来ていた方でありますけれども、あの方が籠池さんに出したファクスの中の最後で、このことについては昭恵夫人にも報告をしているということを書かれているわけですが、例えばこういうような、これは私は関与があったというふうに思うんですね、関与があったからこそ報告をするわけで、関与も何もない人に報告をするということは一般的には考えられないと思うんですが、こういう関与については、今回の、総理も議員もやめるということには該当しないという理解を総理はされておられるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この件についても今までたびたび答弁をさせていただいておりますので、答弁の違いがあっては恐縮でございますので、今までの答弁をそのまま読み上げさせていただくところでございますが、そもそも、この今回の件に関しては、報道がなされて以来、売却価格や売却手続について国民の間で問題になっていたところでありまして、御指摘のあったこの答弁でございますが、夫人付から籠池氏に送られたファクスについては、国有地売却の議論がなされる前の貸付けの段階の話でございまして、今回の、夫人付が財務省に問い合わせた行為やファクスで回答した行為が、国有地の払下げ、すなわち売却に私の妻が関与したことには全くならないということを申し上げたものであります。

 これまでも申し上げてきたとおり、私や妻がこの国有地払下げに、もちろん事務所も含めて一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいということについては、また改めて申し上げたいと思います。

 また、貸付けについての籠池氏からの書面に対して、夫人付からファクスにて籠池氏側の要望に沿うことはできないときっぱりとお断りをしたと承知をしておりまして、ゼロ回答であり、これはそんたくしていないことは明らかであろう、このように思うところでございます。

 そして、夫人付のファクスの回答内容については、財務省に問合せを行った結果として夫人付が作成したものであり、法令や契約に基づく対応を説明したものでありまして、国有財産に関する問合せに対する一般的な内容であって、仮に籠池氏側から財務省に対して直接問合せがあったとしても、同様に答える内容であると承知をしております。

 なお、妻は、あくまで夫人付からファクスにて回答を送る旨の事前の報告を受けただけでありまして、要望に沿うことはできないとお断りの回答をする内容だったと記憶していると言っておりますが、内容について、関与していないと妻もはっきりと述べているところでございます。

逢坂委員 今の答弁からすれば、売却の過程にはかかわっていないけれども、貸付けの過程については一般論としてかかわっていた、一般論ではあるけれども、一般的な内容について問合せをするというところにはかかわっていたということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 この関与を、どのような形で関与というふうに考えるかということでございますが、まさにこの貸付けそのものに何か便宜を与えるという意味における関与は全くないというふうに理解をしております。

逢坂委員 便宜を与えていないけれども、何らかの、関与という言葉を使うかどうかはわからないけれども、報告を受けるような立場にあったわけですから、そのプロセス、事情は知っている、知り得る立場にあったということでよろしいですよね。そうでなければ報告は普通受けないわけですから。よろしいですね。

安倍内閣総理大臣 この関与ということについてはさまざまな定義があろうかと思いますので、ここで今、私も関与という形で言葉を最初に使っておりますので、私が使った定義については最初申し上げたとおりでありまして、ですから、あくまでもその定義の中においてのみ関与という言葉は使わさせていただきたいと考えております。

 一般論的関与が何を意味するかということについては今ここで私が申し上げる立場にはないんだろう、こう思うところでございますが、今申し上げましたように、妻が、いわば夫人付が行ったファクスの問合せ等についても、この貸付けについても便宜を与えるための関与では全くなかった、このように理解をしております。

逢坂委員 便宜を与えるような関与ではなかったということは、かかわりがあった上ででなければそういう話にはならないわけですので、かかわりがあったけれども便宜を与えるような関与ではなかった、その前の部分は総理の言葉の中で括弧に入っているように思うんですが、そういう理解をせざるを得ないんですけれども、それでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 私が今ここで答弁させていただくことのできる関与とは、私が最初に国会において、いわば総理の職を辞するということについての関与のみでございまして、これは私自身が先ほど申し上げましたような定義をしておりますので答えることができるわけでございますが、一般論としての関与ということについては、私はここで答える立場にはないんだろうと思います。

 その上で、さらに申し上げれば、いわばこの貸付けにつきましても、便宜を図るという意味における関与ではないということは申し上げることができる、このように思います。

逢坂委員 多分、多くの国民の皆さんは、そうは理解していないと思うんです。

 総理は、関与について、きょう定義を述べられました。政治の何らかの力あるいはお金というような言葉がございましたけれども、それ以外にもさまざまな関与の仕方があって、そのことによって、この貸付けあるいは売却の結果、それが、普通の国民の皆さんがやったらこうはならなかったものが、夫人が何らかのかかわりを持つことによって変化したのではないか、そういう疑念を多くの国民の皆さんは持っている、私はそう思います。

 そして、総理は繰り返し、ゼロ回答であった、そういう言い方をされるわけですが、結果的に、これは本当にゼロ回答だったでしょうか。土地の価格は実際には安くなりました。そして、分割払いということも認められました。ゼロ回答では結果はなかったと私は理解しておりますけれども、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 それは返答のファクスを見ていただければ一目瞭然なんだろうと思うわけでございますが、当然、その段階における回答はゼロ回答であった、このように思います。

逢坂委員 あのファクスが出た段階ではゼロ回答ではありませんでしたけれども、その後の経過を見ると、それはゼロ回答ではなかったというふうに多くの国民は理解していると思います。そのことを改めて指摘させていただきますが、質疑時間が終了しましたので、これでやめさせていただきます。

 改めて、裁量労働の勤務時間の実態の調査もないままにやるということについては、これは断固反対をさせていただきます。

 それから、委員長、きょう、よもやここで、与野党の合意がないのに強行的に採決をする、そういうことがよもやない、そのことを改めて申し上げて、質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございます。

河村委員長 これにて逢坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 私からも質問させていただきます。

 締めくくりということで、今回、予算委員会の中で、我が党からもさまざま指摘をさせていただきました。

 少子化問題で、果たして幼児教育が本当に少子化に寄与するのか。

 あるいは、安全保障問題、沖縄の問題、沖縄での米軍の飛行問題、小学校や幼稚園の保護者の方々からも懸念の声が出ております。私の地元仙台においても、小学校の近辺で米軍機の目撃情報が出ています。子供たちの命、安全を守るということがないがしろにされているということを指摘させていただきます。

 また、森友の問題を含め、これら関連する予算については疑問、疑念が晴れていないということを最初に申し上げさせていただきます。

 その象徴となっているのが、働き方改革、裁量労働制です。

 初めに、今まで、野党の指摘により、精査が必要なデータ、次々と明らかになりました。明らかに間違っていたということで、一般労働については百十七件、その後、我が党の長妻議員が指摘して、二百三十三件、新たに疑いとして出てまいりました。それ以外にもあるんではないかという指摘があります。

 一日、週、月、どれかが記載がないにもかかわらずほかが記載がある、こういうのを合わせて、これ以外に新たに何件間違いがあるんでしょうか。

加藤国務大臣 委員が御指摘のように、これまでも、四十五時間等の誤記、これが三件三事業。それから、一日の時間外労働時間数と法定労働時間数八時間を合算した場合、二十四時間を超える、これが十五件十五事業。ただ、最初のやつとはこれはダブりますけれども。週と月、日と月、日と週について時間外労働の時間数に逆転、本来あり得ないことでありますが、見られるものが百十七件八十三事業。以上三つについて、事業場ベースで勘案をすると九十三事業ということでございます。

 それから、月と週の時間外労働時間数が記載されているにもかかわらず一日の時間外労働時間数がゼロとなっているケースが、平均な者については百二十八件、最長の者については百五件、事業所ベースでは百七十三事業所ということでございます。

 それ以外についてもあるのかという今御指摘、今、手元でまだ分析しておりませんが、まだまだ、幾つかのケースにおいて、合理的でないような結論について、実際データがそうなっているかどうか、これは今、私ども精査させていただいておりますので、それらを踏まえて、まずは実態。

 もう一つあるのは、実際の調査票とそして電子データとのそご、これももちろんチェックをさせていただくと同時に、そうしたデータについて、不合理な、不自然な関係がないか、こういったケースがある、こういったケースがあるのではないかといったことについて、今それぞれ精査をさせていただいているということは、これまでも申し上げさせていただいているところでございます。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

岡本(あ)委員 おととい、長妻議員から指摘をさせていただいております。山井委員からも、別な点で指摘をさせていただいております。裁量労働の中でも、四時間以下、不自然じゃないかという指摘です。

 今、精査をしているということですが、あわせて、指摘をされた中でも、新たに何件精査をしなきゃいけないと考えていらっしゃるんですか。もう一度お答えください。

加藤国務大臣 先ほどの御議論もありましたように、裁量労働制、先ほど御説明したのは一般の労働者の方に関してでありますが、裁量労働制についても、余りにも短い時間があるのではないか、特に一時間以下か未満でしたけれども、企画型、専門型合わせて二十五件あるのではないか、そこら辺をまず精査しろという御指摘を受け、今それをさせていただいているところでございます。

 ただ、我々、全体として精査しなきゃいけない対象は全てのデータ、したがって、一般労働者そして企画型、裁量型、足すと一万一千、ちょっと正確な数字はあれですけれども、一万を超えるデータそれぞれを対象にいろいろな分析をさせていただき、精査をさせていただいている、こういうことであります。

岡本(あ)委員 もう一度お聞きします。

 山井議員に百二十一件と伝えています。それから、一日、週、月、これのどこか一つでも不自然なことがあるんじゃないか、約五十件ぐらいあるんじゃないかと指摘をさせていただいておりますが、この一日、週、月、どこかに記載が不自然にある、その前の二百三十三件以外は何件なんですか。

加藤国務大臣 済みません。野党の皆さんと事務局とどういう議論があったか、ちょっと私はつまびらかに聞いておりません。委員からは、具体的な聞くという通告もございませんので、済みません、私の手元にはそれに答え得るデータがないという状況であります。

岡本(あ)委員 おととい長妻委員から指摘を既にしているんです。事務方の方とも確認をしています。その情報が大臣に上がっていないということが問題じゃないですか。危機管理上、それはあってはならないと思います。もう一度お答えください。

加藤国務大臣 ですから、今の御指摘も、一つの、不合理なデータをチェックする視点だと思います。

 それ以外にもあると我々は考えていますから、それらも含めて精査をしろということで今指示をし、鋭意精査をしている、こういう状況でございますので、その結果が出れば私のところに上がってくるのは当然だと思いますけれども、まだ、全体的についてどういう状況になっているか、そこはちょっと、済みません、私は今の段階では承知をしていないところでございます。

岡本(あ)委員 件数の報告は大臣には届いていないということでよろしいんですね。

加藤国務大臣 いや、ですから、先ほど申し上げたように、こうした議論、野党からも御議論をいただいている、それを精査している。そこから先、細かいことを、ちょっと私、今記憶がありませんからあれですけれども、最初に申し上げたのは、委員から具体的にきょうこういう御質問があるということであれば、それに沿った答弁を整理して御報告をする、これは当然だというふうに思いますけれども、残念ながら、今そういった状況にはなかったので、私の手元には今そうした具体的な数字がないということでございます。

 もし必要であれば、ちょっと局長がどういう立場で入っているかわかりませんが、局長からも答弁をさせていただきたいと思います。

山越政府参考人 月の時間外労働があり、一日と一週がともにゼロの方でございますけれども、最長の者が十二件、平均的な者が二十五件、重複を除きますと三十一事業場でございます。

 月の時間外労働があり、一日もあるが一週がゼロというものは、最長の者が八件、平均的な者が十二件、重複を除くと十五事業場でございます。

岡本(あ)委員 新たに、事業所でいくと四十六ですね。それから、五十件近いデータが新たに間違っている。私は、その情報が大臣に上がってこないということも問題なんだと思います。意図的にどこかでとめているか。

 あと、その前の……(発言する者あり)

宮下委員長代理 御静粛にお願いします。

岡本(あ)委員 九時間三十七分の件もそうです。二週間も責任者である総理に届かない。危機管理上、不都合な情報ほど早く届けなければいけない、国民に対してきちんと誠意を持って向き合わなきゃいけないときに、こういう不都合な情報自体がどこかで常にとまっているということについて、問題ではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 いや、ですから、私、先ほど申し上げているように、そうしたことも含めて、いろいろ不自然なケースということで想定されるケースがある、それについて分析をしている、そして、その中には幾つかある。そういったことは、タイミング、タイミングの中で私のところに上がってきますが、ただ、先ほど申し上げた、委員から具体的な御質問はなかったので、私の手元にその数字はないので申し上げられないということで、今、私のところはなかったので、もし局長が承知をしていればということで、局長から答弁をさせていただいたということです。

 私は、状況についていろいろな意味で課題があることは十分認識をし、その上で、したがって、先ほど申し上げたような形で、全てのデータを対象に、そして、さまざまな考えられる不合理なケース、これを想定してチェックするということで、今鋭意やらせていただいている状況でございます。

岡本(あ)委員 通告、会派としてもしておりますし、今までも、長妻委員からも、おとといの質疑の際にも当局の方にはお伝えをしているものです。

 先ほど、局長、合わせて五十件、四十六事業所。五十件、新たに、やはりここは合理的に考えておかしい新たな件数だということで、局長、よろしいでしょうか。

山越政府参考人 御指摘の点については、現在精査をしているところでございます。(発言する者あり)

宮下委員長代理 御静粛に願います。

山越政府参考人 申しわけございません。今申し上げました件数でございますけれども、月の時間外労働があり、一日と一週がともにゼロ、月の時間外労働があり、一日もあるが一週がゼロというものの件数でございまして、これらにつきまして現在精査をしているところでございます。

岡本(あ)委員 二百三十三件も、同じような理由でおととい、厚労大臣はこの二百三十三件は合理的に考えておかしいと答弁をされています。

 同じ理由で、この五十件も合理的に考えておかしいと思いませんか。大臣、どうでしょうか。

加藤国務大臣 今おっしゃっているようなケースというのは、だから、どこかに数字があるのにここにない、でも、それはそれぞれ月のデータであり週のデータということですから、例えば日にあるのに月も週もゼロ、これはあり得ないんだろうというふうに思います。

 それを今、データ上拾って答弁させていただいたのが局長からの答弁だったというふうに理解をしております。

岡本(あ)委員 新たな疑義があるデータが出ているということだと思います。

 そして、今精査中とおっしゃっていますが、精査にどれだけ時間をかけているんですか。何事業所当たって、結果はきょう時点でどうなんでしょう。お答えください。

加藤国務大臣 二つに分けて御答弁させていただきたいと思います。

 まず、裁量労働制の二十五ということで具体的に御指摘をいただきました。これについては、今それぞれの企業にも当たるなど、できるだけ速やかに結果を御報告すべく今努力をさせていただいております。

 ただ、そのデータの中の不合理性、野党の皆さんからも御指摘をいただいております。私は、まだそれ以外にもいろいろな視点で見ていかなきゃいけないというふうに考えておりますので、データを、これはおかしいんじゃないかという関係で全部拾い上げてくるわけですね。先ほども御指摘があるように、月はゼロ、週はゼロだけれども例えば日があるとか、あるいは、月は入っているけれども一日はゼロだとか、これは本来合理的ではないと思いますから、そういった関係にあるものはどういうものかということを今全部分析させて、そしてそれに該当するものがどれだけあるかということを今分析させていただく。

 と同時に、それから、もともとの電子データと打ち込んだデータとの関係の御指摘もいただいていますから、そこも、調査票どおりにデータが打ち込まれているかどうか、これも今やらせていただいているわけでありまして、これは先ほど申し上げた全データを対象にしておりますので、これについては一定程度のお時間をいただくことになりますが、具体的な御指摘をいただいた点に対しては、それに関してできるだけ速やかにお答えをさせていただいているところでもありますし、また引き続きそういう姿勢で対応させていただきたいと思っております。

岡本(あ)委員 今、関連する予算が審議されている中で精査が進んでいかないということは、スピード感もですし、緊張感もないんじゃないかということを指摘させていただきます。

 その上で、データが精査されない、それから、総理から先ほど、実態がわからない限り前へ進めないとおっしゃいました。このデータの精査が済まないうち、それから、新たな実態調査が把握できない限りは法案の準備もされないということじゃなければ国民は納得しないと思います。

 もう一度お答えください。

安倍内閣総理大臣 ただいま厚労大臣の方からも、また厚生省の局長の方からも、この精査について、今精査を進めているという話をさせていただいたところでございますが、厚生労働省のデータに疑義があるとの指摘を受けて精査せざるを得ない事態となっていることは重く受けとめております。裁量労働制の改正に関し、国民の皆様に疑念を抱かせることとなっていたことについてはまことに遺憾であると考えています。ここをきっちりと把握しない限り政府全体として前へ進めないという気持ちであるということについては先ほど答弁をさせていただいたとおりでございまして、この実態把握の方法については今後検討していきたい、厚生労働大臣を中心に検討していきたいと考えております。

岡本(あ)委員 国民の皆さんの理解と納得がない限り、これは進めないと思います。そのためには、根拠になっている部分をしっかり、根拠たる部分をしっかりと確立してから審議に付すべきだと思いますし、そして、労政審に出した総合調査が、今ほど、精査が必要、ずさんだったという指摘をさせていただきましたし、それはお認めいただきました。

 そしてもう一つ、JILPTが調べた調査、これは厚労省が要請をした調査です。要請した際には、企画立案をこの労政審の基礎資料として活用することも明確にうたっています。ところが、先ほど逢坂委員の指摘のとおり、本当に必要な裁量労働制の時間、あり方を決めるべきときに、裁量制の労働時間を調べているにもかかわらず、労政審にかけていません。

 ずさんなデータ、それから時間も報告をせずに審議を進めてきたこと自体、労政審の委員に対しても失礼だと思いませんか。

加藤国務大臣 労働政策研究・研修機構の実施した調査研究について、労働政策審議会に出している部分と出していない部分があるのではないか、そして、出していない部分に、委員御指摘のように時間等についての部分が提示されていないのか、これを私も確認したところ、具体的な、これは一般でしたかな、たしか一般と裁量に分けていたと思いますけれども、それについての資料は出ていないということは確認をさせていただいております。

 その上で、どういう経緯で出ていないかについては、ちょっと私も当時のことを承知をしておりませんけれども、ただ、いずれにしても、JILPTに関してのデータも含めて、あるいは、それぞれ労働政策審議会あるいは分科会等において、委員から、こういった資料を提出するようにということであれば、それに対して提出をするという姿勢で対応してきたわけでございますので、そういった結果の中で、結果として提出されていなかった、こういうふうに承知をしているところでございます。

 それから、平成二十五年度の労働時間等実態総合調査に関しては今精査が必要だという状況については、我々、しっかりと反省をしていかなきゃならない、こういうふうに思っております。

岡本(あ)委員 今、御答弁で、ちょっと御指摘させていただきます。

 委員から時間のところの求めがないかのような話があったと思いますが、求めているにもかかわらず、承知しましたと言って、次に出していないんですね。加藤大臣にそのことを伺ったら、その後さらに、求められていないかのような答弁をされませんでしたか。

 実際、審議会の議事録を見ていただければわかるとおり、委員からは求めているにもかかわらず、それを提供していないんです。重ねて、労政審の委員に大変失礼だと思います。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 今委員の御指摘のところは、JILPTのそのデータを出すようにということではなかったと承知をしております。

 裁量労働制を導入する前と後において労働時間がどう変化しているか、こういったデータはないかということで御指摘があり、たしかそれは二回ぐらい、たしか時間は一年ぐらい置いて、あったというふうに記憶をしておりますが、それについて、これは私が聞いた話でありますけれども、具体的にどう対応したのは承知をしていないけれども、基本的に、そういう御指摘があって、出せないものについては、こういう理由があって出せないんだということを個々の発言された方には御説明をするというのが基本であったということであります。

 ただ、本件について具体的にどうしていたかということについては、残念ながら本人も余り記憶がなかったということでございます。

岡本(あ)委員 皆さんに配付した資料、パネルはないんですけれども、そこに、一番最初、審議に付すときに、労働時間の時間をかける、それを審議会の委員にも提供すると約束しておきながら、実はこれは出していないんですね。そのこと自体もやはりおかしいと言わせていただきますし、不誠実だと言わせていただきます。

 そして、厚労大臣、おおむね妥当という答弁をいただいているとおっしゃいました。総理、これは、審議会でのおおむね妥当というのはどういう評価だと思われますか。

安倍内閣総理大臣 厚労大臣から答弁をさせていただきますが、このおおむね、まさにおおむね妥当なんだろうということで理解をしております。

岡本(あ)委員 厚労省ではないんですが、文科省で、ある審議会で、やはり、妥当、おおむね妥当、審議委員の方々も迷うから、妥当、おおむね妥当をどういう基準でやるのかというのを審議委員の方に聞いているアンケートがあります。

 七名答えております。七名のうち一名だけ、大きな影響がない場合と答えました、答申する中身に。それから、残り六名は、一人は、政策失敗の可能性もあるため前提に条件づけが必要になる場合、おおむね妥当なんだと。二人目、一部に疑問がある場合。三人目、自信を持って妥当とは言えない場合。四番目、コーション、要注意だという場合。そして、五番目……

河村委員長 岡本君、時間が参っております。

岡本(あ)委員 一部に不十分なところがある場合。そして、最後、決め手、適切な資料が十分と思えない場合。七名のうち六名が、疑義があるからおおむね妥当としか言えない、妥当とは言えないんだと。

 今回、反対の決議もついています。おおむね妥当は、いいという判断なんでしょうか。

河村委員長 加藤厚生労働大臣、時間が来ておりますので、簡潔に。

加藤国務大臣 はい。

 今は文科省のケースをおっしゃったんだろうと思いますが、労働政策審議会等でのこれまでの妥当、おおむね妥当の使い方については、妥当と書いてある場合には、全員が一致をされておられる。それから、おおむね妥当については、今回のように、一部そうした反対意見がつく場合、それから、ついてはいないけれども、その議論の中では、やはりどうかという議論があった、こういう場合には、おおむね妥当。こういう表記をしているということでございます。

岡本(あ)委員 議論がありました。反対決議もついています。

 安倍総理からはやはり前へ進めないというお言葉をいただきましたので、改めて、それを前提として、しっかり国民の理解と納得を得るための努力をする前提で審議も進めていくということで、ぜひ頭に置いていただきたいということを申し上げ、私からは質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井委員 三十分間質問をさせていただきます。

 今の質疑を聞いておりましても、全くこの虚偽データの問題、正しいデータがどうなのか不明のままであります。おまけに、裁量労働制の労働時間がどうなのかという裁量労働制拡大の議論の根幹、前提となるデータに間違いがあることも明らかになっております。

 当然、そういう状況で、命を左右する大きな問題に疑義が残っている段階で、きょう強行採決するなんてことは絶対に許せないということを冒頭申し上げたいと思っております。

 きょうも、過労死の御遺族の方も傍聴に来られております。私たちは、このデータの問題は、スキャンダルの問題ではないと思っております。これは命にかかわる問題なんです。

 おまけに、その命にかかわる問題を安倍総理は目玉法案とされておりますので、きょうは、質問通告を丁寧にしておりますし、基本的な質問しかしませんので、安倍総理、ぜひ御自身でお答えをいただきたいと思います。

 前回の質問のときには逃げて逃げて逃げまくられましたが、やはりこれは、私も国民を代表して、労働者を代表して質問しているのでありますから、安倍総理、もし逃げまくられるようでしたら、もう目玉法案と言うのをやめて、とにかく、そのこと一つをもってこの国会での成立、断念をしていただければと思っております。

 私も、約十年前から厚生労働委員会でこの過労死の問題、特に、きょうも傍聴に来られておられますが、東京過労死家族の会の代表の中原のり子さんにもお話をお聞きしながら、医師の方々の過労死の問題を始め、十年ぐらい取り組んでまいりました。

 三年前には、過労死防止法を超党派で、安倍総理も賛成していただき、成立させ、私もこの間、数十人の過労死の御遺族の話、延べにすると百回以上お話をお聞きしてまいりました。

 そういう中で、結論として、今過労死の御遺族が一番政治に求めておられるのはこのことなんです。結論として、過労死で家族を亡くして一番地獄の苦しみを味わっておられる方々の一番の切実な願いは、ここにありますように、配付資料のトップに入れてあります、「過労死・過労自殺を増やす「企画業務型裁量労働制の拡大」に反対します」と。現状でさえ同制度の適用労働者の過労死、過労自殺が後を絶たないことから、改めて反対の意思を表明するものです、一部の営業職などに裁量労働制を広げることは、ますます過労死、過労自殺を増加させる危険性が極めて高い、今でさえ十分に行われていない労働時間の適正な把握がますます困難になり、賃金不払い残業を一層深刻化させますということであります。

 つまり、残業代を払うならば労働時間が把握されて、かつ、それほど深夜まで労働者を働かせ放題にはしないわけです。残業代というのは、単にお金の問題じゃなくて、命を守る最大のセーフティーネットなんですね。

 今回の高度プロフェッショナルや裁量労働制の拡大で、事実上残業代の縛りを外すということで長時間労働になりがちで、今後じゃないですよ、既に、過労死が続出し、体を壊す方が続出し、そして残業代不払いが合法化されるという深刻な問題が起こっております。

 さらっと申し上げますが、二ページ目、電通の高橋まつりさん。長時間労働の末に、本当に残念ながら、お亡くなりになってしまいました。

 そして、その次のページ、テレビ記者であった佐戸未和さんも、裁量労働に近い働き方で、残念ながら、三十一歳にして本当に無念の死を遂げられてしまいました。

 さらに、その次のページにもありますように、「裁量労働で過労死認定」と。月の残業が百三十三時間、それで、このアナリストの仕事をされていた方も過労死をしてしまわれました。午前六時に出社、午前三時ごろに起床、そして晩まで勤務と。御遺族は、裁量労働制で労働時間がわかりにくくなり泣き寝入りしている人がたくさんいると思うと。

 そして、その次の、二十七歳、大手印刷会社の会社員も、入社翌年目から裁量労働制、みなし労働時間は一日八時間。つまり、一日八時間なんですよ、みなし労働時間が。にもかかわらず、実際は月百時間の残業で、午前七時に出勤し、翌日の午前一時過ぎまで働く日々が続いたと。こういうことは、普通のきっちりした労働時間把握がされていたら起こりにくいんですね。

 さらに、昨日、裁量労働制ユニオンの坂倉代表の話も聞きましたけれども、六ページにありますように、現時点でも、例えば三十代の女性の裁量労働制の方が、みなし労働時間は八時間だけれども、月の残業百時間。昨年十一月、深夜に会社で倒れられて、それで救急車で運ばれた。もし発見されなかったら、そのまま過労死されていたかもしれません、この女性の方は。

 それで、残業代が払われていませんよと言ったら、そのとき初めて、あなたは裁量労働制ですよと言われたと。聞いてみたら、社員全員裁量労働制。さらに、深刻なのは、労基署に相談したけれども、裁量労働制だから労働実態、労働時間がわからないから対応できませんと。この隣の二十歳の男性の方も一緒です。

 つまり、今の状況は本当に無法地帯になっていて、ざるになっていて、労基署に言っても、労基署も、裁量労働制だから対応できませんと言うんですよ。こんな深刻な問題、規制強化するしかないと思います。

 そんな中で、このような人の命がかかった問題、これを拡大しようとするベースのデータが、労政審で唯一出てきたのが九時間十六分というデータであります。

 そこで、安倍総理に、質問通告しておりますので、お聞きします。

 長妻議員や私が追及しているように、この裁量労働制のデータもおかしいんじゃないですか。九時間十六分となっていますが、この配付資料八ページを見てください、四時間以下が約百二十件、そして、端的に言うと、平均の一日の労働時間が一時間以下というのが二十五人もいる。会わせてくださいよ、どんな人か。どんな人なんですか。

 質問通告しておりますので、安倍総理、調査結果が少し出ていると思いますので、答弁をお願いします。

加藤国務大臣 これは山井委員からも御指摘をいただいておりますので、私どもの方のデータで調べられるもの、そしてやはり最終的には事業所で確認をしないとならないというふうに考えておりますので、鋭意事業所にアポをとって、これは監督指導というわけには……(山井委員「簡略に答弁してください、時間がないので」と呼ぶ)監督指導というわけにはいきませんから、アポをとって、今、訪問しながらヒアリングをしているところでございます。

 今、それをまとめて御報告できる状況ではございませんけれども、二十五件の現状について申し上げますと、既に事業所が廃止をされていてわからないところが三件ございました。それから、今既に残りの二十二件のうちヒアリングに着手しているものが十三件、残りについてもここ一両日中に先方について連絡がつくということで、一応アポ取りができている、こういう状況でございます。

山井委員 ちょっと待って。結論はどうなんですか、結論は。加藤大臣、ちょっと加藤大臣、事務方から来ているペーパーにはそれ以上のことが書いてありますよ。何で途中で答弁を切るんですか。一体どうなっているんですか、本当に。

加藤国務大臣 ですから、今、別に、これを読めと言うんだったら読ませていただきますが……(山井委員「読んでくださいよ、下まで」と呼ぶ)いや、ですから、質問はそうではなくて、どうですかという御質問で、しかも今委員から短くとおっしゃったから、現状について申し上げたところでございます。

山井委員 ここに書いてある、その結果、一時間以下の方、極端に短いケースは確認されているのかどうか、そのことも含めて聞いているに決まっているじゃないですか。全部答えてくださいよ。

加藤国務大臣 今の御質問、ちょっと、もしかしたら私が聞き漏らしていたらおわびを申し上げますが、そこまでの言及がなかったので、手短にお話をさせていただいたということでございます。

 今お話があるのは、平均的な者で、いわゆるみなし労働時間のお話でしょうか。(山井委員「違いますよ。労働時間が一時間以下のような極端に短いケースは確認されたのか、確認されていないのか」と呼ぶ)

河村委員長 起立してお聞きください。

山井委員 ちょっと、貴重な時間だから、時間稼ぎはやめてくださいよ。今聞いたじゃないですか。平均的な者で労働時間が一時間以下のような極端に短いケースは確認されているのか、確認されていないのか。同じ質問ですよ。

加藤国務大臣 済みません。私どもの手元にある情報においては、平均的な者で労働時間が一時間以下であるようなケース、これは今持っているわけでございますので、それをベースに今精査をしているということで、十三名について……(発言する者あり)いや、ですから、手元の情報においては今委員と一緒ですから、二十五件、これは一時間未満であるということでありまして、それについて今確認作業をしているということでございます。

 少なくとも、今の状況で確認している手元にある情報からは、その一時間以下であったことがそうではないんだ、書いてあるのは一時間以下であるけれども実態は違うんだということが具体的に明示された情報はないということは、そのとおりでございます。

山井委員 いや、これは説明が違いますよ。事務方からいただいている資料は、平均的な者で労働時間が一時間以下のような極端に短いケースは確認されていないと。

 なぜ大臣は答弁を変えるんですか。逆の答弁をされたじゃないですか。長いケースは、ちゃんと答弁してください。

加藤国務大臣 ですから、私が申し上げているのは、一時間未満であるということは私どもが出したデータの中に出ているわけですね。それから、委員から、特に専門と企画を合わせて二十五件あるという御指摘をいただいた。それについて、一時間以下と書いてあるけれども、その一時間以下ということを、済みません、じゃ、裏表の言い方ですけれども、書いてあるのは一時間なんだけれども、そうではないよと。違う、ごめんなさい。一時間以下です。ごめんなさい。一時間以下なんだけれども、実態が一時間以下だよねというふうに確認されているというものはない、そういうことでございます。

山井委員 本当に、何でわざわざそのためにこれだけ時間を稼ぐんですか。もうこのことはペーパーで出てきているじゃないですか。つまり、十三件は、この一時間以下は確認できていないということなんですよ、新たに。新しい間違いですよ。

 ということは、四時間以下の約百二十件、これも間違いの可能性が高いんですよ。話によれば、裁量労働制の一日の平均労働時間じゃなくて、みなし労働時間を上回る残業時間を間違って一時間と答えたんじゃないかという話も出ているんですよ。話にならないじゃないですか、そんなことを言い出したら。これは命がかかっているデータなんですよ。労政審がこのデータで裁量労働制の拡大の議論をしているんですよ。

 もし四時間以下の百二十件ぐらいが、パートの方だったり、残業時間、時間外労働の数値だったら、ここに書いてありますように、裁量労働制の労働時間の平均は九時間四十八分に、三十分以上も延びるんですよ。さらに、これがもし平均労働時間じゃなくて時間外労働時間を答えていたら、もしかしたら十時間を超えるかもしれませんよ。

 全く議論の前提が変わってくるし、この下に書いてありますように、このデータは、当時の労政審で、この調査結果を議論の出発点にしていただければと思いますと。出発点のデータがいいかげんで、いまだに精査が必要って、そんな無責任な話がありますか。調査なくして政策なし、調査なくして法律なし。おまけに、これは人の命がかかっているデータですよ。

 私、許せないのは、この虚偽の、捏造のデータが出された日付、二〇一五年三月二十六日。どういう日なんですか、この日は。ここにあるでしょう。きょうも来られている過労死の御遺族の方々が、裁量労働制を拡大したら過労死がふえるからもうやめてください、やめてくださいという声明を出した日に、過労死の方々の、過労死をこれ以上ふやさないでくださいという思いを踏みにじるかのように、裁量労働制の方が労働時間が短いというデータを出して、それを大臣と総理大臣も答弁をした。私は、余りにもこれはひど過ぎると思いますよ。労働者の命を何だと考えているんですか。

 安倍総理、もう、今の答弁でも、裁量労働制の一番ベースとなる労働時間把握のデータも間違っていたということが明らかになりました。総理は、答弁は撤回するけれども、データは撤回しないとおっしゃっています。もうそろそろ、データも撤回するということを、総理、お認めになる時期じゃないですか。総理、総理。総理ですから。

安倍内閣総理大臣 データにつきましては、これは厚労大臣から答弁をさせていただいておりますように、今精査をしているところでございます。しかし、いわばこの精査が長くなるということの中において、精査が長くなるデータにおいて答弁をしたということについて答弁を撤回させていただいたところでございますが、その後の調査によって、比べるべきでないいわば比較をしたということについて、さらに重ねておわびを申し上げたところでございます。

山井委員 では、総理、精査が終わってデータまで撤回するかどうか、つまり、データを撤回するということは法案も撤回ということに当然なると思いますが、精査が終わってデータを撤回するかどうかというのはいつごろ判断になられますか。総理、目玉法案なんでしょう。目玉法案ですから。

加藤国務大臣 先ほど総理から逢坂委員に対して、今回の裁量労働制の議論に関連して、厚生労働省のデータに疑義があるとの指摘を受け、精査をせざるを得ない事態になったことは重く受けとめている、裁量労働制の改正に関し、国民の皆さんに疑念を抱かせることになったことについてはまことに遺憾である、ここをきっちり実態把握しない限り政府全体として前へ進めないという気持ちであるということ、さらに、実態把握等については、具体的に検討し、一定程度時間がかかる、こういう答弁をさせていただいたわけでありますので、それを踏まえて法案の作業を進めていかなければならないというふうに考えております。

山井委員 委員長、当然、精査が明らかになったら、衆議院厚生労働委員会で問題点に出たことですから、精査結果が発表になったら、速やかに集中審議をこの衆議院予算委員会で開いていただきたいと思います。

河村委員長 理事会において協議をさせていただきます。

山井委員 それで、安倍総理、先ほど逢坂議員の質問で、実態把握なくして法案作業を進めないとおっしゃいました。

 しかし、これはちょっと心配なんです。

 というのは、配付資料の十三ページを見てください、実は、既に今、この問題が明らかになる前から自主点検というのをやっているんですよ。今やっている最中で、二月中に結果が出ると言われているんです。しかし、これは事業主にしか聞いていない自主点検で、実態調査じゃありませんから、うまくいっていますよ、すばらしい制度ですよということしか出るはずないんです。それが証拠に、下の調査のように、事業場に聞くと、一律の出退勤時間があるというのは一九%ですけれども、労働者に聞くと四九%なんですね。二倍以上も違う。

 つまり、実態調査というのは、事業主だけに聞いてやると逆の実態が出ることもあるので、総理、先ほど、実態把握なくして先に進めないということですが、もちろん、この事業主の点検は実態把握には入りませんよね。実態調査を労働者も含めてやられるという意味ですね。

安倍内閣総理大臣 どのような形で実態把握を行うかということについては、先ほど逢坂委員に対して答弁をさせていただいたように、それは検討させていただきたい、厚生労働大臣を中心に検討させていただきたいと考えているところでございます。

山井委員 これは、ちょっと待ってください、言葉の使い方が重要で、実態把握というと、極端な言い方、少ない人数に聞きました、実態把握しましたと言われるように、安倍総理、実態の調査なくして先に進めないということでいいですね。実態把握と実態調査で違いますから、新たな実態調査なくして前に進めないということでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 これは、先ほど逢坂委員と加藤厚労大臣の間において、このデータについて、またあるいはデータの重要性について議論がございましたので、そこで、先ほど申し上げましたように、データに疑義があるとの指摘を受けて精査をせざるを得ないという事態になっていることを重く受けとめているということを申し上げたところでございまして、そこで、裁量労働制の改正に関して、国民の皆様に疑念を抱かせることになったことについてはまことに遺憾であります。そこで、ここのところできっちりと実態把握をしない限り政府全体として前に進めないという気持ちであるということを申し上げたところでございまして、この実態把握の方法ということについてもお伺いをいただいたところでございますが、これについては、まさにこれから厚労大臣を中心に検討させていただきたいと考えているところでございます。

山井委員 いやいや、ここは、総理が実態把握とおっしゃった以上は、そこが一番肝ですからね。実態把握というと、それはもうピンからキリまでありますよ。労働者の声をしっかり聞く、そして新しい実態調査をする。実態把握と実態調査で全然違う場合もありますから。

 だから、これは、方針は総理が示してください、目玉法案ですから。調査をするのか、ふわっとした把握でいいのか。その調査をすると言った上で、調査の中身は加藤大臣でいいですよ。しかし、目玉法案とまでおっしゃっているんですから、実態把握だけれども新たな実態の調査なんだということ、この基本方針は総理に示していただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私が総理大臣としてお答えをさせていただき、実態把握、こういうふうに申し上げたわけでございまして、今委員がおっしゃったようなふわっとした実態把握ということではなくて、まさにこれは実態を把握することでございます。

 その上において、どのような方法については、これはまさに担当大臣を中心に、どういう方法をとるかということについては答弁をさせていただいたとおりでありまして、まさに実態把握をしっかりと進めていきたい、こう考えているところでございます。

山井委員 いや、私はそれでは納得できません。

 実態把握というのは何とでもなります、これは。やはり労働者の、実際裁量労働制で働いている方、労働者本人の声も聞くということを含めた実態調査というふうに受けとめて、安倍総理、いいですね。安倍総理、ここは重要です。重要です。

 いや、総理が実態把握とおっしゃった。いや、総理です、総理。これは命がかかっているんですから、労働者の命がかかっていますから。

安倍内閣総理大臣 私は実態把握という言葉を使わせていただきました。しかし、その実態把握について、どのように把握をしていくかということは、まさに担当大臣の加藤大臣を中心に検討させていただきたい。

 ですから、これはどのように把握をするかというのは、しかし、しっかりと責任を持って現場に対して対応していかなければいけない担当大臣から答弁させることは当然のことであろう、このように思います。

山井委員 労働者の生の声を聞く実態調査というのは当然必須でありますので、安倍総理の今の答弁で、そういうことをするということの担保だというふうに受けとめたいと思います。当然であります。

 麻生副総理、何か、へへへとかいって笑うのをやめていただけませんか。もういい。結構です。もう結構です。これは人の命がかかっている問題を議論しているんですから、そういうばかにするような笑いは本当にやめていただきたいんです。

 この過労死防止法のパネル、前回も読ませていただきましたが、本当に、過労死防止法をつくるとき、署名が五十五万人集まりましたけれども、そのときの署名集めの紙にも書かれていたのがこのマーくんの詩。小学校一年生のマーくんが、過労死されたお父さんのことを詩に書かれました。先日もお読みしましたが、改めてお読みしたいと思います。

   ぼくの夢

  大きくなったら

  ぼくは博士になりたい

  そしてドラえもんに出てくるような

  タイムマシーンをつくる

  ぼくはタイムマシーンにのって

  お父さんの死んでしまう

  まえの日に行く

  そして「仕事に行ったらあかん」ていうんや

このマーくんのお父さんも、四十六歳で、百時間以上の残業をして、残念ながら命を落とされました。

 そして、このマーくん、この後、もう十数年たって、今は大学生になっておられます。今回、新たにつけ足たされたんですね、この「ぼくの夢」の次に。どういう「ぼくの夢」という詩をつけ足されたか。

  大きくなっても ぼくは 忘れはしないよ

  得意な顔して作ってくれた

  パパ焼きそばの 味を

  ぼくは タイムマシンに乗って

  お母さんと一緒に 助けに行こう

  そして 仕事で 死んだらあかんて 言うんや

  仕事のための命じゃなくて

  命のための仕事だと ぼくは伝えたい

  だから 仕事で 死んだらあかんて 言うんや

この詩を、大学生になったマーくんはつけ加えておられます。

 私も、過労死防止法を超党派で、与党の方々とも協力して成立させて三年、過労死の御家族、御遺族の方々と話をさせていただきました。しかし、このマーくんというのは、氷山の一角なんです。日本じゅうにマーくんがおられるんです。そして、話をしていると、お父さんあるいはお子さんが亡くなられて五年、十年、十五年たった方も、お父さんが好きだった、お父さんに会いたい、娘が大好きだった、娘にもう一回でもいいから会いたい、皆さん、今でも日々泣いておられるんですよ、家族に会いたいと。

 真面目な家族思いの責任感の強い人ほど過労死してしまう、こういう社会をなくすのは、私は、政党は関係ないと思います。党派も関係ないと思います。

 だから、安倍総理、私、申し上げたいのは、働き方改革法案というのは、思いは一緒ですから、野党や御遺族の方々が大反対しているのを押し切って強行採決するとか、そういう性格のものじゃないと思うんです。

 安倍総理、このまま裁量労働制の拡大を強行すれば、残念ながら、必ず死者が出ます。過労死はふえます。なぜならば、きょうも傍聴にも来られていますけれども、もう、裁量労働制によって、あるいはそれに似た制度によって多くの過労死が発生し、過労死だけじゃないです、それで体を潰して、一生仕事ができないようになっている方々がいっぱいおられるんですよ。きょうの傍聴にも来たいけれども、長時間労働で体を壊して、来たいけれども来れないと言って苦しんでいる若者もいるんですよ。

 やはりこれは、安倍総理、目玉法案とおっしゃるのであれば、立ちどまって、先ほど言った実態調査をして、もう一回、与野党、そして何よりも一番重要な過労死の御遺族の方々が賛同できるような、そういう法案にするためにも、まずは、安倍総理、この裁量労働制の拡大、とにかくまずはこの法案から削除していただけませんか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 まず明確にさせていただきたいのは、いわば、裁量労働制を含める働き方改革については、今まだ法案について準備中でございまして、まだ出してもいないわけでございますから、その採決についてはまさに皆様方でお決めになることでありまして、この予算委員会におきましては、まさに三十年度の予算について、緊急性の高いものもたくさん入っておりますので、それを今御審議いただいているところでございますから、この採決と予算の採決とは別であるということはまずはっきりと申し上げておきたい、このように思います。

 そして、過労死につきましては、まさに私たち、過労死はあってはならないことだ、このように考えております。そのためにも、時間外労働の上限規制、罰則つきの規制は初めて、労基法ができて初めて我々はその規制をつくるわけであります。今までずっと実はできなかったものを、私たちは今回初めて上限規制を設ける、罰則つきで上限規制を設けることであります。

 そして、今回、今ここで議論になっております裁量労働制につきましては、企画業務型の裁量労働制につきましては、満足、やや満足も含めれば八割弱いるというのは、これはJILPTの調査でございます。これは事実でございます。今、山井委員は首を横に振っておられますが、こうしたデータそのものを否定されては、議論の土台が崩れてしまうところでございます。

 そういう方々がおられるのも事実……(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 それを今、今申し上げているのはJILPTの調査の結果でございますが、こういう調査があるのは事実でございまして、満足している人が全くいないんだというような、そういう立場に立たれたら、これは議論にならないところでございます。

 しかし、私たちは、その中において満足、やや満足以外の方々もおられますから、そこにはしっかりと焦点を当てながら、そして同時に、労政審においても働く時間が長くなるという指摘のある中において、それも踏まえて議論を行い、しっかりと健康確保の措置をとるようにするわけでございます。そして何よりも、まずは本人の意思を確認するということが大前提となるわけでございますし、しっかりと健康確保を行うということでございます。

 そして、一つ、今までも委員が挙げてこられた、実労働時間とみなし労働時間の間に乖離がある場合には、労働基準監督署の指導規定を創設しているところでございます。

 そういう対応をしっかりと行っているということは、つまり、そういう可能性があるということを鑑みながらそういう対応をこの法案の中で行っていくということでございまして、その点もぜひ御理解をいただきたい、こう考えているところでございます。

 そして、その上において、先ほど申し上げましたように、このデータについてさまざまな指摘があったということについては重く受けとめているということでございます。

山井委員 もう時間が来ましたので終わらせていただきますが、今のJILPTの調査も、昨日も担当者と話をしましたが、これはどういう調査方法かというと、人事部長にアンケート用紙を渡して、人事部長が社員の方一人か二人に渡すということですので、一般的に考えて、満足していない人に渡すとは考えにくいわけでありまして、当然、調査としての限界として、満足という回答が出やすい。

 実際、ここの裏に自由記述を書きましたけれども、そこにもありますように、「名ばかりの裁量労働制が多い」「裁量労働は、残業代を支払らわなくていいので、会社にいいように使われている。」とか、ここに自由記述が書いてあるので、見ていただければと思います。

 最後になりますが、人の命を守るのが国会と政治の使命です。人の命を奪うような、死者が必ず出るような裁量労働制の拡大は、私たち野党、体を張ってでも阻止します。そのことを申し上げて質問を終わります。

 ありがとうございます。

河村委員長 これにて山井君の質疑は終了いたしました。

 次に、今井雅人君。

今井委員 希望の党の今井雅人でございます。

 最初に、江崎元大臣が脳梗塞でお倒れになったということで、心からお見舞いを申し上げるとともに、病気の完治を心からお祈りを申し上げております。

 かわりに福井大臣になられたわけでありますけれども、総理にまずちょっとお伺いしたいんです。

 福井大臣就任ということで報道が流れてから、私のところにたくさん電話が、いろいろ連絡が入っておりまして、いろいろ情報をいただいているんですけれども、まず先ほど、色丹をシャコタンと読んだということもありましたが、きょう資料を配ろうと思ったら認めていただけなかったんですけれども、かつて週刊誌に、自民党エリート代議士の温泉豪遊破廉恥写真ということで、これはちょっと人には見せられないような恥ずかしい写真です。恥ずかしい写真です。

 当然、身体検査をしていらっしゃると思うんですけれども、身体検査をするに当たっては、こういうのも出ているのを御存じだと思うんですが、こういう行為もされている方が本当に適材適所の任命だというふうに自信を持って総理はおっしゃれますか。

安倍内閣総理大臣 福井議員は、自民党において政調副会長も務めていました。いわば政策通として知られているわけでございますし、また、沖北の委員長も務めておられました。沖縄北方問題について、政策をしっかりと推進していく上において適任だ、このように考えているところでございます。

今井委員 沖北をやられていたのにシャコタンと読んでしまうんですね。ちょっとびっくりしますが。

 これは恐らく、テレビでもこういう写真が報道されると思いますけれども、女性の方が見られたら、本当に何と思われるか。本当に恥ずかしい写真ですから。

 私はこういう、政策もそうですけれども、これはやはり資質の問題もありますので、こういう方を選ばれるというのは大変問題じゃないかなと思うんですが、それ以上にちょっと問題なことがあります。

 実は、資料をもう一つ、これは二〇一三年の毎日新聞の記事をお渡ししていますが、私の方でちょっと事案について整理を皆さんにしたいと思うんです。

 これは、福井大臣の後援団体の新アジア再生連合というのがありました。そこの幹事長のKさん、このKさんが、新アジア再生連合が石炭灰や廃プラスチックなどをタイに輸出し、帰りの船で砂を輸入する事業への投資を募るということをされていました。この場でこの方は、福井先生がついているから大丈夫と言ってお金を集めています。この出資に応じた、出資をした人が、事業が全く見込みのないもので詐欺的行為だということで、損害賠償を求めてこのKさんと福井大臣を提訴した、そういう事案であります。

 この後は、ここに一審、二審の裁判の判決文がありますから、そこにある事実認定を皆さんに御紹介します。

 まず、本件の団体は、福井大臣の政治資金パーティー券を販売していました。これは判決文に書いてあります。それから、福井さんの政策秘書が代表を務める黄山会というのがあるんですかね、この団体と同じ場所に事務所があります。それから、政経紅台塾という政治団体、これは、この福井さんの政策秘書が代表をしていて、この新アジア再生連合の代表が副代表を務めています。つまり、一体ですね。完全に一体です。

 そして、十八年にこのお金を集めたときに、平成十八年の八月二十一日、ホテルグランヴィア大阪で、このお金をだまし取られたという二名と、それから福井大臣、政策秘書、だましたとされる被告のKさん、そしてその娘婿、その他会社経営者などが参加しています。その場で、Kさんから、この事業に関しての役割分担などの説明がありました。これも判決文に書いてあります。

 結局、いろいろこういう係争がなされまして、結果的には、一審、二審とも、原告の言い分が一部認められまして、このKさんに賠償責任が認められました。福井大臣は、実は、賠償責任はここで逃れています。

 しかし、ここの判決文にとても重要なことが書いてあります。平成二十三年十月四日の二審での判決です。ちょっと読ませていただきます。

 福井の来阪に合わせて開催された本件会合では、被控訴人らを含む本件輸出入事業の関係者が出席し、福井も出席者の期待に沿えるよう努力する所存であるという趣旨の挨拶をしていたのであるから、福井がどの程度本件輸出入事業について把握していたかはともかく、控訴人が福井の後援団体である本件団体の幹事長を務めていたことが、被控訴人らが本件輸出入事業へ出資する誘因となっていたことは明らかである。

これが、判決文に事実認定として書いてあります。判決として添えられています。

 つまり、この案件について賠償責任は問われませんでしたが、福井大臣はこのことに関与をしていたと裁判所が認定しています。

 福井大臣は、今回、消費者担当大臣ですよね。こういう事案にかかわっていたと裁判所が、こういう文書があったということは、この判決は大臣はお読みになったことがありますか。

福井国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、このような、私の後援団体の関係者に御指摘のような事態が生じましたこと、そして訴訟まで起こされたことは大変遺憾に存じております。

 しかし、その後、当該関係者とは関係がなくなっております。このことをもう一度申し上げさせていただきたいと思います。

 そして、今、今井先生御指摘の、判決文そのものは私読んでおりませんが、本日配られました資料で、この資料によりますと、「「皆さんの期待に沿えるよう頑張りますので、応援をお願いします」と事業への支援を求めた」ということで、判決においてこういう指摘がなされていることは承知をしておりますけれども、しかし同時に、同じ判決で認められておりますように、その男性と私とで意思を通じていたことはないということも、あえて申し添えさせていただきたいと思います。

 いずれにしても、私自身が出資を勧誘したことはございません。

 いずれにしても、かりそめにも、消費者の立場でないとか、あるいは悪徳業者の方に加担しているとか、そういう疑念を国民に持たれませんように、消費者担当大臣として職責を全うしてまいりたいと思います。

今井委員 今関係が切れたというのはどうでもいい話でして、当時どうだったかということなんですね。

 この平成十八年の八月二十一日には、事業の説明をしていますよ。そこに、政策秘書もいらっしゃった。御自身もおられます。その場で何とおっしゃっていたかというと、出席者の、出席者というのはこの出資をする方の皆さんです、出席者の期待に沿えるよう努力する所存であると大臣はおっしゃっているんですよ。かかわっているじゃないですか。

 皆さん出席の場で、出資を募る、どうやって役割分担をするか、そういう会合がなされています。その場で、出席者の期待に応えられるように努力する所存であると御本人がおっしゃっているんです。これは裁判所の判決に書いてありますよ。明確にかかわっているじゃないですか。いかがですか。

福井国務大臣 お答えします。

 先ほど今井先生がおっしゃったように、二〇〇六年の大阪市内での会合等において、参加者に出資を求めるようなことをしたかどうか、そういうことを発言したかどうかということでありますけれども、私自身はそのようなことをした記憶はございません。

 先ほどのパラグラフのところも、あくまでも政治活動のお話であって、出資を募る話ではありません。平素より、そういう行為はしないように気をつけているつもりでございます。

今井委員 確かに、裁判のときに、福井大臣はそういう主張をされています。しかし、判決は違います。判決の中では、そういう趣旨の発言をしたと裁判所が認定しています。司法の判断ですよ、本人の御主張じゃなくて。司法の判断は、本人がそういう主張をなさっていたということを認定しています。かかわっていたと認定しています。

 司法の判断というのは、総理、当然我々は尊重しなきゃいけませんよね。違いますか。

福井国務大臣 今、今井先生おっしゃいましたように、裁判の結果といたしまして、私に対する賠償責任は裁判において否定されており、それが確定されております。したがいまして、私が関与したという事実はございません。それが、裁判上も、そして物理的な事実でもございます。

 先ほどおっしゃいましたように、あくまでも政治活動の話であって、出資を募る話ではないということ、そして、判決でも、その男性と私とは意思を通じていたということはないというふうに書いてございますので、どうか御理解いただきたいと思います。

今井委員 それではお伺いしますが、この報道にもありますけれども、その一年半ぐらい前の平成十七年の四月ごろに、この投資の視察として、東南アジア、特にタイの方に御出張なさったことがありますか。

福井国務大臣 余り確たる記憶はございませんが、当時、この当該者とおつき合いがあって、出張したということではないかというふうに思います。

今井委員 そのとき、その旅行代金はどなたがお支払いになりましたか。

福井国務大臣 まさにそれは、少しお時間をいただいて記憶を戻さないと、随分前のことでございますので、きょう、ただいまこの時間に記憶を呼び戻すことはできません。

今井委員 ぜひ事実関係を調べていただきたいと思いますが、じゃ、私の方から少し申し上げますね。

 平成十七年の四月、日にちまで言いましょうか。いいですか。福井さんは、奥様じゃない女性の方と二人で出張されております。台北から香港へ行って、シンガポールに泊まっていらっしゃいますね。この代金を出しているのはこの被告人のKさんです。しかも、この代金は、この裁判が終わるまで払われていませんでした。ずうっと滞納になっていました。判決が終わってから、今は何回か、五回ぐらいに分割して支払われているそうですが、払っているのはこのKさんです。

 つまり、判決が終わってから払っていますから。わかりますか。実は、この八百十万円の損害賠償は一銭もまだ返していただいていません、裁判を起こした人は。賠償責任を認められたにもかかわらず、一銭も返してもらっていません。つまり、そうやって集めたお金から旅行代金を出してもらっているんですよ。これは大問題ですよ。

 損害賠償を認められた方が、いや、僕は、どなたと一緒に行ったかなんてどうでもいいんです、そんな話は。そうじゃなくて、この消費者にかかわることにかかわっているんですけれども、その視察といって一年半前に行っているんです。ということは、事業は知っていたということじゃないですか、事業の視察に行っているんですから。そのお金をこのKさんに出してもらっているんです。しかも、その方はずっとお金を払っていなかった、旅行代金は。とんでもない問題ですよ、これは。

 私は、こういう方が消費者担当大臣をやるのは絶対認められませんよ。事実を全部解明して報告してください。

福井国務大臣 今、先生おっしゃいましたように、悪意を持って出資金を募り、そしてそのお金をもって、そういう出張といいましょうか、出張ですか、旅費に充てた、支弁したということは、もしそういうことでしたらまことに不適切である。それはもうまさにおっしゃるとおりだと思いますので、事実関係を私なりに調査させていただきたいと思います。

今井委員 これは、裁判でも係争になりましたから、覚えていないなんということはないと思いますので。

 もう一つお伺いしますが、同じ日程でこのKさんも一緒に行っていらっしゃいますよね。ただし、違う空港から別に行って合流していますけれども。このKさんとも一緒にその場に行かれましたよね、出張。その海外視察はKさんも同行されましたよね、ルートは違いますけれども。いかがですか。

福井国務大臣 まさにその辺のところも含めて、しっかり記憶を呼び戻させていただきたいと思います。

今井委員 しっかり調べていただきたいと思いますが、そのほかにもいろいろ入ってきているんですよ。もう時間がないので、ちょっと御紹介できませんけれども。

 総理、消費者担当大臣です。もしこういうことが事実だとしたら、やはり適任ではないということじゃないかと私は思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど福井大臣から説明がございました。また、更にしっかりと調べておきたいということであった、このように思います。

 政治資金等の問題については、これは、内閣、与党あるいは野党を問わず、一人一人の政治家が、国民に不信を持たれることのないよう常に襟を正し、説明責任を果たしていかなければならないと考えております。

 その上で、消費者特委の委員を務めるなど、これまでの経験を生かして、消費者政策を始め重要課題に全力を尽くしてもらいたいと考えております。

今井委員 資質もそうなんですけれども、要するに、適材適所というのは、その所管として適性があるかどうかということですよね。ですから、御自分がそういうふうに関与しておられるという方が担当大臣をやるというのは、それは適材適所では絶対ないですよ。あり得ないですよ。もしそういうことがあれば、それはやはり適材適所じゃない。

 任命責任は総理にあるんです。総理、任命された方として、やはりそのこともちゃんと大臣に調査をして、総理大臣に報告をして、判断をする、そのことをお約束ください。

安倍内閣総理大臣 今大臣から既に答弁をさせていただいておりますように、今御下問の件については、しっかりとこれは調べていくということでございます。

今井委員 今、予算の審議をしていますけれども、当然、福井大臣の担当のところにも予算があります。ここの部分がはっきりしないのに予算の採決をするというのは、私は絶対に認められない。

 そのことを強く申し上げるとともに、今、総理大臣、御答弁いただきましたから、事実関係もしっかり調べて、本当に適任であるかどうか、そのことを明らかにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 もうあと二分しかありませんので、森友とかいろいろ聞こうと思いましたが、森友学園の一問だけ。

 佐川国税庁長官、報道では、都内の、KKRでしたっけ、ホテルに泊まって登庁しておられるということで、公の場にも一切顔を出さない。自宅にも帰れない。今、確定申告をしているときに、一国の国税庁長官が自宅にも帰れないような状況。本当にいいんですか、これで。

 何も困ったことがないなら、この国会に出てきて今までの答弁に関して説明をされたら、堂々と登庁できるじゃないですか。ぜひ証人喚問に呼んでください。総理の方からちゃんと説明しろと言って、御本人がおっしゃれば、我々は呼べます。御本人が出るとおっしゃれば出られます。ぜひ総理、そのことを要請してください。よろしくお願いします。

麻生国務大臣 この点に関しましてはもうたびたび御答弁を申し上げておると思いますが、佐川長官の国会答弁というものは、国有財産の行政というものを所管する理財局の長として、当時の理財局が組織として認識していることに基づいて答弁をしているものだと思っておりますので、その答弁についてのお尋ねというのに関しまして、私どもとしては、理財局の組織としてお答えすべき事柄でありますから、現在の理財局長が責任を持って答弁することが適当と考えておるということを申し上げています。

 国会の運営に関する、証人喚問等々のお話につきましては、これは国会においてお決めになることということだと存じます。

今井委員 時間が参りましたが、先ほどの裁量労働制のデータの再調査の問題、それから福井大臣の資質の問題、そして、佐川国税庁長官、安倍昭恵夫人、加計孝太郎理事長、その他関係者、この方たちの証人喚問、このことが実現しないうちに予算の採決をすることに断じて反対する、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて今井君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党所属、無所属の会の福田昭夫でございます。

 本日は、責任をとって辞職すべき佐川前理財局長が国税庁長官に栄転したことで、国家公務員の倫理観が失われたり、あるいはモラール、やる気まで失われているんじゃないかな、そんなことを心配している一人として、その責任者であります麻生財務大臣、そして、その原因をつくっていると思われる安倍総理大臣にその考えをただしたいと思いますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、一つ目と二つ目、まとめて麻生大臣に伺います。

 財務省は、森友学園への国有地払下げについて、会計検査院が大幅な値引きの根拠が曖昧だと指摘していることをどう受けとめておるのか。また、財務省は、森友学園への国有地の払下げが約八割値引きになったことに対してどう考えているのか。あわせて二つ、一緒にお伺いをいたします。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず一点目、会計検査院の根拠が曖昧だという御指摘についてでございますが、森友学園に対する国有地の売却については、昨年十一月に検査院から検査報告が出されました。これは、参議院からの要請によって実施をされた、独立した行政機関の検査院によるものということですので、私どもとしては、財務省としては、結果を重く受けとめなければいけないというふうに考えてございます。

 検査院の検査報告では、地下埋設物の撤去費用について、一定の仮定を置いた試算が示されておって、仮定の仕方によって処分量の推計値が大きく変動するということも含めて、必要とされる慎重な調査検討を欠いていたというふうに指摘をされていると承知をしております。

 ただ、私どもとすれば、翌年四月に開校が予定をされて、校舎の建設工事が進む中で、新たな地下埋設物が発見をされて、相手方からの損害賠償のおそれもあるという切迫した状況の中で行われたものであって、将来にわたって一切の国の責任を免除するような、瑕疵担保責任を免除するという特約条項も付すことも含めてという意味で、ぎりぎりの対応であったというふうには考えてございます。

 ただ、検査院からの指摘でございます。それから、国会での幾つもの指摘、あるいは御議論もございました。私どもとしても反省すべき点もございます。それも含めて、国有財産の管理処分の手続について、今後国民の皆様に疑念を抱かれないようにするように手続の明確化を図る、それを一生懸命やっていく、責任を持ってやっていくということが私どもの責務であると考えてございます。

福田(昭)委員 理財局長、それは違うんじゃないの。会計検査院の指摘は正確で、あなたたちがやったことが間違いだったとは思っていないの、財務省は。どうなの。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、検査院からの御指摘は重く受けとめなければいけませんし、その上で、今ほど申し上げた、ぎりぎりですと申し上げていました。

福田(昭)委員 間違いだったかどうだか、払下げが過ちだったかどうだかというのをちゃんと答えなさいよ。

太田政府参考人 では、基本的にお答えしたつもりですが、あえてそこまでおっしゃられるのであればつけ加えさせていただきますけれども、会計検査院から国会において答弁がなされておりますとおり、検査報告では法令違反あるいは不当事項として指摘をされている事項はないというふうには承知をしてございます。

福田(昭)委員 それでは、今回の森友学園の払下げは間違いじゃなかったというの、理財局長。どうなの。

太田政府参考人 法令違反、不当事項はないという状況、それから、そのときの置かれた状況のもとで、先ほど最初に申し上げましたけれども、ぎりぎりの判断として行ったものだというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 それでは、この件に対して関係した職員の処分はないの。全くないの。これに対して関係した職員に対して処分は一切ないの。

麻生国務大臣 これもたびたび御答弁申し上げていると思いますけれども、財務省としては、検査報告の内容というのは、先ほど太田が申し上げましたように、強く受けとめて、これまで国会等での御指摘、御議論も踏まえて、いろいろ反省すべき点もありますので、今、管理処分手続について見直しを行っております。

 また、今回のことに関して、不当事項、また法令違反ということを指摘されている事実はありません。

 したがって、本件土地の管理処分に関係した職員への対応につきましては、これ以後、また各種の事実関係を精査してまいりますけれども、必要があれば適切に対応させていただくということであります。

福田(昭)委員 法令違反はもしかするとないのかもしれませんが、不当に廉売したことは事実でしょう。安く売ったことは事実でしょう。違うんですか。

麻生国務大臣 私どもとしては、安く売ったという定義というものに関しまして、いろいろ御意見もあろうと思いますが、その隣の土地等々はどんな価格で売られたか、もうよく御存じのことだと思いますので、それに比較いたしましても、私どもとして不当に安く売ったという意識はございません。

福田(昭)委員 それはおかしいじゃないですか。会計検査院から、ちゃんとした根拠はないと指摘されているんですよ。ちゃんとした根拠がないのに、ほかの土地と比べて安くなかったから廉売しなかったという話じゃないんじゃないですか、根拠はないと言われているんだから。

麻生国務大臣 重ねて申し上げますけれども、会計検査院から、私どもとしては、そういった意味で、不当に安く売ったという事実に基づいて法令に違反しているとか、そういったような指摘を受けているわけではございません。

福田(昭)委員 いや、会計検査院だって、もしかして、後から公表した資料、会計検査院が報告書を出す直前に出して、皆さんが出した資料を見ないで報告書を出しているわけですから、あの後の報告書を見たら、違う報告が出たかもしれませんよ、大臣。

 ですから、そういう意味では、安く売ったことは事実であって、しかも、何回も麻生大臣は答弁しているようでありますが、しかし、これは、後からいろいろおかしなことがわかったということで職員を処分しようとしたら、とんでもない処分になりますよ。支離滅裂な処分になりますよ。そう思いませんか。

麻生国務大臣 これは先ほども申し上げましたけれども、会計検査院の報告におきましては、地下埋設物の撤去、処分費用について、一定の仮説において試算を複数示して、その上で、仮定の仕方によって処分量の推定値が大きく変動するということもあり得るので、そういうことを踏まえれば、撤去、処分費用の算定の際に慎重な調査検討を欠いていたと指摘されておるというのが事実であります。したがって、法令違反とかいうようなことが言われているわけではないというのは重ねて申し上げておきますが、たびたびこの場でも説明させていただいておりますけれども。

 いずれにいたしましても、建設工事が進んでおりましたので、そういった中においては、新たな地下埋設物が発見をされ、そして相手方から損害賠償のおそれ、そういった損害賠償を請求されるおそれがあるという、いわゆる極めて逼迫した状況にもありましたので、私どもとしては、これは、将来にわたってその賠償責任を一切問われることがないように、瑕疵担保責任等々を免除するというようなことを、我々としてはぎりぎりの対応であったと思っております。

 そういったことを踏まえまして、財務としては、今後、いろいろな御意見もいただきましたので、国民の疑惑というものをこれによって招いたということになっておりますから、したがいまして、手続の明確化の見直しということにつきましては、必要な対策をとるということを申し上げております。

福田(昭)委員 これは、国民の目からは、物すごい疑いの目で見られているんですよ。

 ですから、国家公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。今回は、国家公務員も誰か権力者の気持ちをそんたくして仕事をしないと出世ができないのか、そんなふうにも思われているんですよ。だから、本当に重大な問題をやっている。

 しかも、財務省といったら、昔から官僚中の官僚と言われる。その官僚がこれだけの不祥事を起こしたら、ほかの省庁の官僚たちにも大きな影響を与えるじゃないですか。大体、何だ、財務省の官僚も偉い人の気持ちをそんたくして仕事をすれば出世できるんだ、それじゃどうするかな、俺たちも、こうなっちゃうじゃないですか。公務員のモラルもモラールも、どっちもなくなってしまいますよ。

 ですから、申しわけないけれども、あなたは責任者として大変なことをやっているんですよ。それだけ指摘して、次に行きます。

 それから、時間がなくなりますので言っておきますけれども、やはり佐川長官を、国会招致を拒否する理由はないと思います。今までも事務次官級は何度も出ているし、それから民間人も、この間も籠池さんも呼ばれたばかりですから、幾らでも呼んで問題ありません。

 そこで、次に、時間の関係で六番目に行きますけれども、籠池夫妻は既に補助金を返還し、証拠隠滅のおそれもないのに、なぜ補助金詐欺の罪で勾留されているのですか。これでは人権侵害ではないですか。籠池夫妻はいつから勾留されているのかも含めて、法務大臣に伺います。

辻政府参考人 ただいまのお尋ねでございますが、現在公判係属中の個別の事件についてのお尋ねでございますので、所感を述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。

 特に、被疑者の勾留決定、被告人の保釈の許可、不許可の決定は、勾留や保釈の要件に照らして裁判所において判断される事柄でございますので、これについて法務省として所感を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

福田(昭)委員 でも、勾留の理由が何もないのにまだ勾留しておくということは、国民の皆さんは、これは口どめじゃないか、口封じじゃないか、そういうふうに、籠池さんたち夫婦も気の毒だねという声も聞こえてまいりますよ。

 まさに先ほどの、佐川長官を出世させちゃったのも、これは口どめですよね、言ってみれば。本当にとんでもないことをやられているなというふうに思います。

 そこで、七番目と八番目の質問を変えて申し上げたいと思いますが、森友学園の問題の真相を明らかにするためには、やはり佐川前理財局長と昭恵夫人と籠池氏の証人喚問が必要だと思いますけれども、これは安倍総理に伺いたいと思います。

 二月の二十四、二十五日に行ったANNの世論調査によりますと、佐川国税長官に説明を聞くために国会で証人喚問する必要があるかどうかという問いに対しまして、何と、依然としてたくさんの人、八割の人、七七・八%の人が、やはり呼ぶべきだ、こう答えております。

 安倍総理が本当に全然かかわっていないというのであるならば、やはりこの森友学園問題の真相を明らかにするためには、佐川前理財局長と、そして昭恵夫人と、籠池さんをもう一度この国会に呼ばなければ総理への疑いは晴れない、こう思いますけれども、安倍総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 国会のことについては、国会で御議論いただくことだと思います。

福田(昭)委員 総理、総理はそう言われるけれども、総理がいいと言えば必ず与党も呼んでくれますよ。総理が嫌だと言うからこれは呼ばないんですよ、与党の皆さんも。これははっきりしているんです。こんなことは人間の気持ちとしてよくわかるじゃないですか。総理だって、もう六十年も生きているんでしょう。私も六十年以上生きているからよくわかるんですよ、こういうことは。

 ですから、総理がいいよと言えば、与党の皆さんだって、はいと言いますよ。総理がうんと言わないからだめなんです、総理。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 私も六十年以上生きておりますが、この国会のルールにおいては、証人喚問するかどうか、まさにこの委員会の運営のことについてでございますから、これは当委員会でお決めになることだ、このように思います。

福田(昭)委員 それでは、総理はそうやって都合が悪いときはいつも逃げるわけでありますが、総理は、昭恵夫人又は総理自身あるいは事務所が森友学園への国有地払下げに関与していたら総理も衆議院議員もやめると国会で答弁しております。今でも変わりがないと思いますが、私が想像するに、総理はあのとき、勢い余ってたんかを切ってしまった、しかし、だんだん事実や真実がわかってきたので昭恵夫人や佐川長官の証人喚問をかたくなに拒否しているんじゃないですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 だんだん明らかになったことは、明らかに関与していないということではないかと思います。

福田(昭)委員 そうですか。総理もさすがに答弁は上手ですね。

 しかし、その答弁を信じている国民はほとんどいませんよ。だから、さっきの世論調査のように、八割近い国民が、やはり佐川長官を呼ぶべきだと言うんですよ。これは、質問の中で昭恵夫人とか籠池理事長の話が出たら、多分、この人たちも呼ぶべきだと国民は答えると思いますよ。

 ですから、そういう意味では、やはりしっかり国会へ呼んでこの問題を明らかにしない限りは総理への疑いは晴れない、そして、麻生財務大臣が佐川長官をかばっている疑いも晴れない。ですから、国民の皆さんは絶対そうだと思っています。

 大体、だって、人間の気持ちは麻生財務大臣もわかっているでしょう。麻生大臣は、それこそもう七十にもなっているわけだから、これは孔子の言葉じゃありませんけれども、本当にもう、のりを越えない、そこまでの年齢になっているわけですから。それは、佐川長官をちゃんと国会に立たす、そういうことについてやはり麻生財務大臣もしっかり考えを決めるべきだと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 たびたび同じことを申し上げるので恐縮ですが、先ほど申し上げたとおりです。

福田(昭)委員 それでは、そろそろ時間も来ましたので、最後にまとめたいと思います。

 やはり、全体の奉仕者としての国家公務員のモラル、倫理観、それを高めて、モラール、やる気を起こさせるのが総理大臣や大臣の役目ではないですか。総理大臣や大臣の役目は、官僚にちゃんと倫理観を持って、高い倫理観を持って、やる気を起こさせる、これがあなたたちの役目じゃないですか。それが、みずからそれをだめにしたのでは、優秀な官僚組織も役に立たなくなってしまいますよ。日本の危機ですよ。私はそう思います。

 猛省を促して、私の質問を終わります。

河村委員長 これにて福田君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 総理は、先ほど来、実態を把握することなしに前に進めないという答弁をされております。私は、きょうは、裁量労働制の実態についてお聞きしたいと思います。

 配付資料の一をごらんいただきたいと思います。これは、先日の中央公聴会で、全労連雇用・労働法制局長の伊藤圭一公述人が配付した資料の中から抜粋したものであります。

 読ませていただきますと、同社の勤務規定には、業務遂行にかかわる時間配分については個人の裁量に委ねる、個人に委ねると明記してあるわけですが、始業時刻、終業時刻について、とりわけ始業時刻については、裁量労働制の対象者にも十時出勤を義務づけていた。

 十時に始めろということですね。みなし労働時間は決まっておりました。これについては一日七時間四十五分なんですが、実態は十時から二十三時まで働くということが横行していたという事案であります。

 この会社で、全労連の方が、こうした実態、十時から始まることになっている、しかし実態は裁量労働といいながら二十三時まで働くこともある、こういう実態について正直に申告をして、この一日七時間四十五分というみなし労働時間は短過ぎる、実態に合わない、そう言えないんですかと聞くと、言えない、それはできないと。現場では声を上げられないのが実態だ。なぜなら、裁量を与えているのにその裁量内で仕事がこなせていない、そうみなされて評価を落とすからだということなんです。評価を落とすとPIPと言われる業務改善プログラムの対象になり、通常業務に加えてさらなるノルマが課されて、より苦しい状況に追い込まれる。目標が達成できないと、降格、減給、最後は退職勧奨の対象になると。

 総理にお聞きしたいんですが、総理はこの間ずっと、よく、働く時間をみずから計画して設定しながら成果を上げる、これが裁量労働制だとおっしゃっておりました。しかし、みなし労働時間、この労働時間の改革と、現状横行している人事制度あるいは報酬制度、これがセットになることによって、実際には長時間そして不払い、こういう労働が押しつけられている。この実態を、総理、どうお思いになりますか。

安倍内閣総理大臣 裁量労働制は、一定の知識経験を有して働く方本人に、会社が決めた一律の定時に縛られることなく出勤、退勤時間を自由に決めていただき、仕事の進め方をお任せして、より効率的に成果を上げていただこうというものであります。

 もちろん、裁量労働制が既に行われている企業においてさまざまな指摘があることも承知をしております。そうしたことにどう対応していくのかということもしっかりと念頭に置きながら、法案の作成準備を進めていきたいと考えております。

藤野委員 やはり実態がわかっていらっしゃらないと思うんです。

 そこで、もう一つ実態をお聞きしたいと思います。

 厚生労働省東京労働局は、二〇一七年十二月二十六日、野村不動産に是正勧告を行っております。さらに同労働局長は、同社社長に対して是正を図るよう特別指導を行っております。

 厚生労働大臣にお聞きします。

 個別企業名を明かしてこうした処分をするのは極めて異例だと思います。なぜこういう特別指導を行ったんでしょうか。

加藤国務大臣 こうした特別指導はそう頻繁なものではないというふうに認識をしております。

 昨年十二月二十五日に、野村不動産に対して東京労働局長が特別指導を行いました。

 野村不動産においては、一定の役職以上の労働者を一律に企画業務型裁量労働制の対象としていた。このため、対象とされていた労働者の大半が、同制度の対象業務に該当しない個別の営業活動等の業務についていた実態が全社的に認められた。これにより、企画業務型裁量労働制が適用できず、みなしの効果が発生しないため通常の労働時間制度が適用となるが、当該労働者の労働実態から違法な時間外労働及び割増し賃金の一部不払いが認められたことから、社長に対し、是正を図るよう特別指導を行ったものであります。

藤野委員 ですから、労働者の大半について、こうした、適用してはならない労働者に裁量労働制を適用したことが全社的に認められた、だから特別指導を行ったということであります。

 問題は、この野村不動産にとどまらないということであります。

 厚生労働大臣にお聞きしたいんですが、残業代を払いたくないがために、本来、現状では裁量労働制の対象にしてはいけない労働者を大量に対象として働かせている、こういう事業者がほかにもあるという認識はありますか。

加藤国務大臣 私ども、本件事案を大変重たく受けとめておりますので、そういった意味で、今、自主点検ということで……(藤野委員「これ以外」と呼ぶ)ですから、まず自主点検ということで、それぞれ、まずは事業者に確認作業をさせていただいているところでございます。

 これ以外にあるかないかといったような蓋然的なことを申し上げるわけにはいきませんけれども、常に私どもは、そういったことがないかどうか、そしてあれば適切に監督指導を行っていきたいと思っております。

藤野委員 今のはちょっとおかしいと思いますよ。

 例えば、損保ジャパン日本興亜でも、こうした本来適用すべきでない労働者に、大量に裁量労働として適用を行っていたじゃないですか。あるいは、米大手医療機器メーカー、メドトロニックに対しても、二〇一六年十二月と二〇一七年十月、二度にわたって労働基準監督署から是正勧告を出しております。

 この間も、ゲーム開発やデザイン関係の業界で、裁量労働制を適用されてしまった若い社員が残業代なしの長時間労働を強いられている事例が相次いでおります。ネットで求人広告を検索しますと、裁量労働とかみなし裁量労働という求人が山のようにヒットしてくるわけですね。

 労働問題に詳しい京都弁護士会の塩見卓也弁護士は、残業を払いたくないがために制度を濫用している事例は水面下で横行していると指摘しております。

 ちょっと総理にお聞きしたいんですが、実態把握とおっしゃいましたけれども、このように、本来適用すべきでない労働者にも現状で裁量労働が適用されている、そうしたことが水面下で横行しているという労働問題に詳しい弁護士の指摘、こういう実態もあるという認識はありますか。

安倍内閣総理大臣 さまざまな御指摘があるということについては、今の個別の案件ということではなくて、さまざまな実態があるということについては私も承知をしておりますが、そうしたことも含めながら、しっかりと実態を把握していく必要があるんだろう、このように考えております。

藤野委員 私が聞いたのは、水面下にそういうことが横行しているという実態であります。

 なぜ水面下になってしまうのか。それは、会社から、うちは裁量労働制だから残業代は出ないよ、これは労基署も受理しているよ、こう説明されてしまいますと、現場の労働者というのは、実際にはその適用が違法じゃないかと思っても声を上げることができない、現場は声が出せない。先ほどと同じなんですよ。

 総理にお聞きしたいんですけれども、やはりこうした実態、この実態を踏まえずに対象を拡大するわけです、今回。対象を拡大する前に、企業がさまざまな形で残業代を削るために、出さないために、本来裁量労働制の対象にしてはいけない労働者を大量に対象として働かせている実態、これを把握すべきじゃないですか。

加藤国務大臣 先ほど委員、個々の会社の名前をお挙げになりましたけれども、個々についてはコメントは控えさせていただくということでございます。

 その上で、先ほども申し上げましたけれども、企画業務型裁量労働制は今約三千事業場ございますので、それに対して自主点検をしっかり行っていくということで、先ほど御指摘のあるような、不適切な適用というんでしょうか、をしっかりと我々は監督指導していきたいというふうに思っております。

藤野委員 総理はよくJILPTの調査を出して、裁量労働制でも満足している人が多いんだ、こういうふうに答弁されております。

 しかし、実態として、先ほど指摘したように、水面下で、本来裁量労働制であるべきでない人たちが裁量労働制として働かされている。これは、大企業を含め、あるいは中小企業を含め、たくさんあるわけですね。

 こういう実態、本来裁量労働として届け出ないといけない、しかし、それを届出をせずに、口だけで、うちは裁量労働制だからというケースが非常に多くあるわけですね。そういう労働者には、今回のアンケートなんか行きませんよ。実際に裁量労働の名のもとで働かされている方々が満足なのかどうなのかということは、こういう実態抜きにわからないんじゃないですか、総理。

安倍内閣総理大臣 この実態についてどのように把握をしていくか、そういうことについてはまた厚労大臣から答弁をさせていただきますが、そもそも裁量労働制の対象にならない業務につかせていたり、あるいは一律の出勤、退勤時間を定め、それに従うよう指示をしていたりすればみなし労働時間は無効となるわけでありまして、その場合、残業代が不足していれば支払い義務が生じ、罰則の対象にもなるものであり、企業には厳格な運用を求めていく考えであります。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

藤野委員 いや、今総理がおっしゃったそういう実態が横行しているということを聞いたんです。しかも、それは水面下になっているということなんです。だから、その水面下を把握せずに、何か裁量労働者は八割近く満足している、そんなことは言うべきじゃないと私は思います。

 その上で、もう一点お聞きしたいと思うんです。

 二十一日の中央公聴会では、全国過労死を考える家族の会代表世話人の寺西笑子公述人が、本当に痛切な公述をしていただきました。

 寺西さんはあるインタビューでこう述べられています。「過労自殺には、「自ら死を選んだ」という無理解があります。私自身、最初は「家族のことは考えなかったんか」と夫に怒りをぶつけました。でも、違うんです。疲労困憊になると、ダメージは心臓や脳だけでなく、精神を襲うこともある。あんなに家族思いだったのに、正常な判断力を奪われ、選ぶ余地なく死に追い込まれた夫に、今はねぎらいの言葉しかありません。」。

 寺西さんは、公聴会当日もこうおっしゃってくださいました。「労災申請や裁判の中でいろいろな事実がわかりました。そのわかった中で、夫は自殺を選んだのではなくて自殺に追い込まれたのだということが、客観的証拠、職場の証言によって解明された」、こういうふうにおっしゃっている。

 つまり、過労自殺というのは、みずから選ぶのではなくて追い込まれていく、これが実態であります。そして、今回の裁量労働制の拡大というのは、労働者が追い込まれていく状況というのを更に悪化させるのじゃないか。

 具体的に見たいと思います。

 この間の質疑の中で私どもも指摘しましたけれども、例えば野村不動産のケースだけではなくて、いろいろなケースで是正勧告が出ますと、不払い残業代については支払わなければならない、こういうことになります。ところが、本法案によって裁量労働制に例えば営業職が拡大される、導入されるということになりますと、この野村不動産のようなケースあるいは類似のケースで合法になる場合も出てくるわけであります。

 総理にお聞きしたいんですが、残業が違法な場合は未払い残業を今総理おっしゃったとおり払わなければならなくなる。会社にとっては、労働時間を管理するインセンティブになるわけです。経済的コストがかかってくる。先ほど山井委員からは、これはセーフティーネットだ、こういう指摘もありました。労働者から見れば、私はそうなると思うんです。経営者から見れば、労働時間を管理することによって、未払い残業代というものを払わない、こういうインセンティブにもなってくる。

 ところが、残業が合法化になって残業代を払わなくていいとなればどうなるか。会社にとっては、労働時間を管理するインセンティブそのものがなくなってしまいます。そうなれば、幾らでも働いてもらおうとなって、長時間労働、過労死を生むインセンティブになるんじゃないですか。

 総理、いかがですか。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 今、野村不動産のお話がありましたけれども、今回私どもが法案の中で考えている開発提案型に関しては、今回不適正だと言われたまさに営業、これが対象になることはないということでございます。

 その上で、今お話があったみなし労働時間と実労働時間の乖離、これは大きな問題、そしてそこから出てくる長時間労働、これは大きな課題ということでありますので、今回の議論の中で、労働時間についてはしっかり把握する、それを省令の中に盛り込み、そして、今申し上げた乖離があればそれをしっかり監督指導できる根拠規定を法律の中にしっかり明記して、しっかりとした監督指導が行える、そういう体制を整えていこう、そういったことで、労働政策審議会から建議いただき、また法案要綱をいただいて、今、それに向けて法案の作業を進めているところでございます。

藤野委員 全く今のは答弁になっていないと思います。

 残業が合法化されることによって残業代というものを払うインセンティブがなくなる、そうすれば労働時間を管理しなくなる、そうすれば幾らでも働いてもらおうというインセンティブになるじゃないか、こういう質問に対しては全くお答えはなかった。

 もう終わりますけれども、中央公聴会で寺西笑子さんは本法案についてこう述べておられます。「真面目で責任感が強い人を死に追いやる危険な働き方の拡大は、やめていただきたいです。会社にとっては一つの駒かもしれませんが、家族にとってはかけがえのない大切な命です。」、こう述べた上で、法案の取下げと裁量労働制拡大の削除を求めております。私も、法案提出そのものを断念することを強く求めて、質問を終わります。

河村委員長 これにて藤野君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 本日は、大変御苦労さまでございます。

 それでは、質疑に入りたいと思います。

 我々、常々、財政運営に関して、行財政改革について、いろいろと党として指摘をさせていただいてまいりました。

 その中の一つ、国家公務員の人件費についてですけれども、平成二十九年度当初より四百二十二億円多い五兆二千四百七十七億円が盛り込まれております。地方公務員などを含めると、公務部門の総人件費は一千億円増の二十六兆八千億円。人事院勧告に沿って給与が引き上げられたためですけれども、以前から我々が指摘しているとおり、人事院勧告で比較するために用いられる給与水準の調査が、五十人以上の事業所とされています。したがって、これは民間企業の給与水準全体を反映したものではありません。

 人事院勧告が把握している民間給与水準は、全体の八五・一%を占める小規模事業所の給与実態が反映されたものとは言えないというのが実情です。政府として、人事院勧告制度における民間企業と公務員の給与較差の是正について、いかがお考えでしょうか。総理大臣、よろしくお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 労働基本権が制約されている国家公務員の給与については、その代償措置である人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢のもと、民間の水準を踏まえて決定されています。

 人事院が行っている官民比較の手法については、調査対象企業の規模も含めて、第三者機関としての人事院において専門的見地から判断されるものであると考えております。

浦野委員 公債残高が累増しているにもかかわらず、公務員の給与をカットするのではなくて給与をふやすという感覚が、民間企業、我々民間の人間からすれば、あり得ないと思っております。

 人事院勧告は、あくまでも勧告であり、義務ではありません。実際に、大阪府においても、大阪府の人事委員会の勧告の採用を延期し続けて、昨年ようやく勧告を採用しました。これは、民間企業と公務員の皆さんのお給料のバランスを配慮しての措置でした。

 地方においては、定数削減や大阪府のような給与抑制など、血のにじむような努力を行政、議会、一緒になってやっております。にもかかわらず、国家公務員は定数増や給与をアップしている。内閣人事局の発表資料では、平成三十年度末の定員、二十九万七千三百七十六人となって、平成二十九年度末の定員の二十九万七千二十五人より三百五十一人、定員が増加しています。

 地方の役割がふえて事業量が増加しているその中で、血のにじむ努力をしながら予算の確保に努めている地方を横目で見ながら、人件費の確保は、国によって、必要な予算は交付税の中で丸められているというのが現状です。その一方で、国の定員、公務員の定員が増加しているというのは、焼け太りになるのではないでしょうか。

 国家公務員の給与や定員のあり方について見直しをすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 国家公務員の総人件費につきましては、国家公務員の総人件費に関する基本方針において、職員構成の高齢化等に伴う構造的な人件費の増加を抑制するとともに、簡素で効率的な行政組織、体制を確立することにより、その抑制を図ることとしております。

 具体的には、給与については、給与制度の総合的見直しにおいて、初任給を据え置く一方、高齢層を四%引き下げることにより、俸給表水準を平均二%引き下げる等の取組を行っており、退職手当についても、本年一月から支給水準の引下げを行っているところであります。

 定員については、CIQの体制や海上保安体制の強化など、急増する内閣の重要課題に的確に対応できる体制の整備を図る一方、ICTの活用など業務改革による計画的な定員の合理化に取り組むことで、全体としての増員の抑制を図っているところであります。

浦野委員 続いて、社会保障関係費についてです。

 診療報酬、介護報酬の同時改定という、惑星直列とも称されるほど、二〇二五年に向けた戦略的改定が可能な年でありました。にもかかわらず、社会保障費の削減幅に強いインパクトが見られていません。社会保障費関係は年々ふえることが予測されており、政策の見直しは待ったなしのはずです。

 我が党は、診療報酬等の毎年改定を提案しております。より即効性を、即時性を持ち、実態に合わせた、フレキシブルに改定を行うことは、社会保障費の削減に向けた環境づくりに大変重要だと考えておりますが、この点についていかがお考えでしょうか。

加藤国務大臣 団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向けて、どこに住んでいても適切な医療や介護を安心して受けられる地域包括ケアシステムの構築、これをしっかり進めていきたいと思っておりますが、あわせて、社会保障制度については、持続可能性を確保していくためにも、不断の改革を行い、そして重点化、効率化を取り組むことが必要でございます。平成三十年度の診療報酬、介護報酬についても、そうした考え方にのっとりやらせていただいたところでございます。

 診療報酬について、毎年というお話がありました。

 現在、診療報酬は二年に一度、介護報酬は三年に一度でございますけれども、毎年改定をするということについては、医療機関、介護事業所の経営や従事者の賃金などを始め、改定によってどのような影響があったのかを十分に調査、検証しつつ次の改定のあり方を議論することがそういうことでできるのか、また、頻繁に診療報酬、介護報酬の内容が変わるということは医療、介護の現場に負担を与えるのではないかなどを考えますと、慎重に検討していく必要があると思いますが、薬価については、市場実勢価格を適時に反映して国民負担を抑制するため、昨年十二月二十日に薬価制度の抜本改革について骨子を取りまとめており、これに沿って、二年に一度の薬価改定の間の年度においても全品目の薬価調査を実施することとし、その結果に基づき薬価を改定するということにしております。

 いずれにしても、厳しい財政状況の中であります。適正化、効率化すべきことはしっかり行う。そうした中で、質が高く効率的な医療と介護、この提供体制をしっかり構築をしていきたいと考えております。

浦野委員 来年度予算案の規模は九十七・七兆円と六年連続で過去最大、安倍政権では予算は膨張する一方です。

 行政事業レビューによる事業見直しが実施されているにもかかわらず、歳出削減につながらないというのは、いかがなものでしょうか。小手先の見直しではなく、身を切る改革、徹底した行財政改革による歳出削減の本格的な努力が必要だと我々は考えております。

 二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は困難となり、目標が先送りされていることは、次世代への負担のツケ回しでしかありません。総理が目指す全世代型社会保障の実現と引きかえに、子供や孫の世代に借金をふやすというのであれば、本末転倒にはならないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 安倍政権としても、財政の健全化は極めて重要な課題だと考えております。

 そうした中におきまして、アベノミクスを進めるとともに、歳出歳入それぞれの面から改革を行うことによって、財政健全化に大きな道筋をつけてきたと考えています。国、地方を合わせた税収は二十四兆円増加をし、新規国債発行額は約十一兆円減少しました。そして、国の一般会計、プライマリーバランスは約十四兆円改善をしています。また、二〇一五年度のプライマリーバランス赤字半減目標も達成をしています。

 行政改革についても、行政事業レビューなどの取組を通じ、個々の事業の効果や効率性、透明性の向上を図り、国民の皆様が納めた税金が有効に活用されるように、不断に取り組んでいく考えであります。

 今般、急速に進む少子高齢化という国難に立ち向かうべく、人生百年時代を見据え、人づくり革命を断行することとしたところでございます。これによってプライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となるわけでありますが、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持をしていくところでございます。

 今後とも、しっかりと経済を成長させていくことによって税収をふやしていくと同時に、歳出改革もしっかりと行っていきたい、そして財政健全化を図っていきたいと考えております。

浦野委員 我々日本維新の会は、予算委員会ですから、もちろん予算の審議をしっかりとこれまでもさせていただきました。その上で賛否を決めていきたいと思っております。

 そして、最後に一つ。

 この予算委員会、きのう、おとついですか、なかなか日程が決まらずに、日をまたいで、結局は決まらなかった。その中で、公務員の皆さん、役所の皆さんが、待機をずっとされながら待っていた。そういった、もちろん費用だとか、あとは、今問題になっている裁量労働制などにかかわる法案の中に出てくるインターバル規制ですね。皆さんが何時に帰って、次の日何時にここに出勤をされたのか、私は非常に気になるところです。

 インターバル規制を叫ぶ方々がそういった働き方を押しつけている、そういった現状に、私は、まずは隗から始めよで、国会がしっかりとそういった働き方を是正できるようにやっていかないといけないと思っております。

 それが、与党のせいだということをおっしゃるんだろうと思いますけれども、結局、そういう大きな会社、ブラック企業なんかは、同じような言いわけをして労働者を働かすわけですね。

 もちろん法律は大事です。法案をしっかりと審議して、労働者を守る規制をしていくのは当然ですけれども、そういったものを決めたとしても、経営者がいろいろと悪知恵を働かせて労働者を働かすわけですね。ブラック企業は、どんな法律があれども働かすのがブラック企業なんです。

 私は、だから、そういったブラック企業をしっかりと取り締まることも重要ですし、そういった経営者を罰する。今回の高橋まつりさんの件でも、あれぐらいで終わりですかというような結果ですよね。一人、命をなくしている中でですよ。そんな中で経営者にあれだけしかペナルティーがかけられないなんということ自体が、この働き方を蔓延させているんだと思っております。しっかりと議論をしていきたいと思います。

 以上です。

河村委員長 これにて浦野君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成三十年度予算三案に対する質疑は全て終局いたしました。

    ―――――――――――――

河村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘委員 自由民主党の橘慶一郎です。

 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算、以上三案に対しまして、賛成の討論を行います。

 平成三十年度予算は、アベノミクスの成果の上に、今後も経済再生と財政健全化を両立させていくとの……(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に願います。

橘委員 安倍政権の方針をしっかりと体現したものになっていると考えております。

 以下、賛成する主な理由を二点述べます。

 第一の理由は、政府は、現下の重要課題に的確に対応し、国家国民のために実行すべき施策をしっかりと盛り込んでいる点であります。

 子育て安心プランの二年前倒しの実現に向け……(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に。御静粛に願います。討論中であります。

橘委員 前年度比十一万人分の保育所等の運営費を計上するなど、社会保障制度を全世代型社会保障へ転換し、人への投資を拡充することとしております。

 持続的な賃金上昇とデフレからの脱却につなげるため、地域の中核企業や中小企業による設備・人材投資などの促進を始めとする生産性向上のための施策を推進することとしております。

 このほか、公共事業関係費について、生産性向上のためのインフラ整備、防災・減災対策等に重点化するなど、さまざまな分野で日本の重要課題への対応に重点化しており、めり張りのきいた、評価できる内容となっております。

 第二の理由は、必要な施策を講じると同時に、財政再建も両立させる予算となっている点であります。

 国の税収は、五十九・一兆円と……(発言する者あり)

河村委員長 討論中です。御静粛に願います。

橘委員 平成三年度以来二十七年ぶりの高い水準となっております。

 また、経済・財政再生計画における一般歳出等の目安を達成し、公債発行額も六年連続で減額となっております。

 さらに、一般会計プライマリーバランスも前年度比で〇・五兆円改善するなど、着実に財政再建の歩みを進めていると考えております。

 以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。

 議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げます。(拍手)

河村委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成三十年度予算三案に対し、賛成の立場から討論をいたします。

 第二次安倍政権発足後、日本経済は安定をした成長を続け、成長と分配の好循環は着実に前に進んでおります。

 本予算案は、人口減少と少子高齢化の克服に向け、教育負担の軽減、全世代型の社会保障の実現、働き方改革などを進めていくものであり、一日も早い成立と執行が求められております。

 以下、賛成する主な理由を申し上げます。

 第一に、教育負担の軽減を前進させる予算であるという点です。

 幼児教育の無償化や保育の受皿確保、保育士の処遇改善などの待機児童対策が着実に実施されます。また、大学生等への給付型奨学金の本格実施が始まるなど、経済的な理由で学ぶことを諦めない社会の実現に向けた施策が前進することとなります。

 第二に、働き方改革、生産性革命の実現に資する予算である点です。

 同一労働同一賃金の実現や非正規雇用労働者の処遇改善への支援、勤務間インターバルの導入、長時間労働の是正を行う事業者への支援など、働き方改革を前に進める予算となっております。また、地域中核企業と中小企業との連携など、中小企業の生産性を高める政策が盛り込まれております。

 第三に、安心して暮らせる地域の実現、地方創生を進める予算である点です。(発言する者あり)

河村委員長 討論中は御静粛にしてください。

中野委員 診療報酬と介護報酬の同時改定における診療報酬と介護報酬の本体部分の増額や、介護福祉士の処遇の改善、認知症対策の総合的な推進など、地域包括ケアシステムの構築を支える予算となっています。

 また、観光予算の拡充、農家の収入保険制度の開始などが盛り込まれております。

 このほか、頻発する豪雨災害への対応などの防災・減災対策や、東日本大震災からの復興、福島の再生に必要な予算が盛り込まれている点も評価いたします。

 最後に、本予算は、経済・財政再生計画の目安を達成し、新規国債発行額、プライマリーバランス赤字も引き続き縮減させており、財政健全化を進めるものである点も申し添えておきます。

 以上、賛成する主な理由を申し上げました。

 私ども公明党は、これからも現場第一主義で、一人一人が持てる可能性を発揮できる社会の実現を目指して全力で取り組むことをお約束し、私の賛成討論といたします。(拍手)

河村委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、日本共産党を代表して、二〇一八年度一般会計予算外二案に断固反対の討論を行います。

 まず、働き方改革について、安倍総理が裁量労働は一般労働より労働時間が短いという答弁を撤回したことは重大です。

 国民の命がかかった問題であるにもかかわらず、恣意的なデータが次々と明らかになり、裁量労働制に反対する世論は急速に高まっています。法案の前提が根本から崩れており、法案提出そのものを断念すべきです。

 森友、加計疑惑では、佐川国税庁長官や安倍昭恵氏ら証人喚問はいまだ実現せず、米軍機事故、沖縄新基地建設問題など、審議は全く尽くされておりません。野党が求めた七十時間の野党質問時間に満たないまま採決するなど、到底認められません。

 予算案に反対する理由の第一は、本予算案が、格差と貧困を広げてきたアベノミクスに固執し、暮らしと経済を痛めつけるものになっている点です。

 本予算案は、生活保護費の五%の削減を始め、社会保障関係費を削減し、文教予算は四年連続削減、中小企業、農業予算も連続削減です。他方、法人税や研究開発減税等の大企業優遇減税は温存するなど、格差の是正に背を向けています。格差と貧困を広げる消費税一〇%増税強行など、絶対に認められません。

 反対理由の第二は、安保法制のもとで大軍拡路線に踏み込んでいる点です。

 第二次安倍政権発足以降、軍事費は増額を続け、四年連続で過去最高を更新し、有償軍事援助、いわゆるFMSによる米国からの兵器調達は四千百二億円に上っています。イージス・アショア関連経費、オスプレイやF35Aステルス戦闘機の増強、敵基地攻撃能力の保有に踏み出す長距離巡航ミサイルの導入、「いずも」の空母改修など、憲法違反の軍拡はやめるべきです。

 反対理由の第三は、三大都市圏環状道路、国際コンテナ戦略港湾、リニア中央新幹線など新規大型開発事業を優先し、原発再稼働や破綻した核燃料サイクルを推進し、原発の海外輸出を推し進めようとしている点です。原発即時ゼロの政治決断を下すことを強く求めます。

 最後に、国民の暮らしを守り、日本経済のゆがみを正してその発展を進め、戦争の危険から国民の安全を守るためには、本予算案の抜本的な組み替えが必要であることを主張し、反対討論を終わります。(拍手)

河村委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 私は、我が党を代表して、平成三十年度の予算案に反対の立場から討論をいたします。

 まず初めに、働き方改革の議論におけるデータ不備問題について、政府は、国民の信頼を回復するためにも、説明責任をしっかりと果たしていただくことを求めます。

 政府予算の歳出は四年連続で九十六兆円を超えており、補正予算と合わせて百兆円規模の予算が組まれるなど、歳出規模は膨張する一方です。

 二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化目標の達成が困難であることは明らかであるにもかかわらず、財政健全化の旗は決しておろさないとのスローガンは、かけ声ばかりで、むなしく聞こえます。

 財政を公債頼りにすることの弊害について、政府はもっと深刻に受けとめるべきであり、国際的な信用低下を招くことのないよう、これ以上の財政悪化に歯どめをかけるべきではないでしょうか。

 人口増加基調から大きく変わっているにもかかわらず、社会の仕組みを何ら変えていない現状に対し、我が党は、グレートリセット、すなわち、日本の維新を訴えてきました。国民に負担を求める前に、政治家みずからが身を切る改革の姿勢を示し、行政改革によって必要な財源を確保することで、大阪を中心とした自治体で実際実績を積み上げてきました。

 その立場からいえば、公務員人件費をふやし続けている上に、国民に対してさらなる負担を強いる新税の導入を推し進める政府の態度は、到底容認できません。

 政府は、さらに、消費税率を一〇%まで引き上げることを前提にして本年度予算案を組んでいます。どこまで国民の負担を上げようというのでしょうか。

 身を切る改革も、大胆な規制緩和もなしに、歳出の規制は膨張の一途をたどり、それを将来世代へのツケ回しと増税で手当てしようという姿勢がはっきりしています。この流れをとめて、歳出の見直しにかじを切るべきです。

 年々増加し続ける社会保障費についても、診療報酬、介護報酬の同時改定というタイミングにもかかわらず、社会保障費の増額を五千億円以内に抑制するという従来の目安を維持したにとどまり、歳出削減に向けた真摯な姿勢を見てとることができません。

 衆議院での予算審議は本日をもって終結しますが、我が党は、引き続き、身を切る改革と公務員人件費の削減に向けて全力で邁進していく、これを国民の皆様に約束をして、私の反対討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

河村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河村委員長 これより採決に入ります。(発言する者あり)

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算、平成三十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。(発言する者あり)

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河村委員長 起立多数。よって、平成三十年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(発言する者あり)

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成三十年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)賛成の諸君の起立を求めます……(聴取不能)認めます……(聴取不能)本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十二分散会


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