衆議院

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第25号 平成30年5月14日(月曜日)

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平成三十年五月十四日(月曜日)

    午前八時二十九分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 菅原 一秀君

   理事 田中 和徳君 理事 橘 慶一郎君

   理事 星野 剛士君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 津村 啓介君

   理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    伊藤 達也君

      石崎  徹君    石破  茂君

      泉田 裕彦君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      衛藤征士郎君    小田原 潔君

      金田 勝年君    岸田 文雄君

      小林 茂樹君    古賀  篤君

      佐藤ゆかり君    高橋ひなこ君

      竹本 直一君    冨樫 博之君

      根本  匠君    野田  毅君

      原田 義昭君    平井 卓也君

      平沢 勝栄君    藤井比早之君

      堀内 詔子君    村上誠一郎君

      盛山 正仁君    山本 有二君

      渡辺 博道君    阿部 知子君

      青柳陽一郎君    尾辻かな子君

      岡本あき子君    落合 貴之君

      川内 博史君    本多 平直君

      山内 康一君    小熊 慎司君

      大西 健介君    後藤 祐一君

      玉木雄一郎君    西岡 秀子君

      原口 一博君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    江田 憲司君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      浦野 靖人君    遠藤  敬君

      松原  仁君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   外務大臣         河野 太郎君

   文部科学大臣       林  芳正君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (地方創生担当)     梶山 弘志君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  邦彰君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          河村 正人君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    辻  裕教君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房輸出促進審議官)       新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任

  稲富 修二君

同日

            補欠選任

             宮本  徹君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     冨樫 博之君

  古賀  篤君     岸田 文雄君

  根本  匠君     堀内 詔子君

  山口  壯君     小林 茂樹君

  山本 幸三君     小田原 潔君

  山本 有二君     高橋ひなこ君

  岡本あき子君     尾辻かな子君

  落合 貴之君     川内 博史君

  山内 康一君     本多 平直君

  小熊 慎司君     西岡 秀子君

  後藤 祐一君     玉木雄一郎君

  遠藤  敬君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     山本 幸三君

  岸田 文雄君     古賀  篤君

  小林 茂樹君     泉田 裕彦君

  高橋ひなこ君     山本 有二君

  冨樫 博之君     石破  茂君

  堀内 詔子君     根本  匠君

  尾辻かな子君     岡本あき子君

  川内 博史君     落合 貴之君

  本多 平直君     山内 康一君

  玉木雄一郎君     後藤 祐一君

  西岡 秀子君     小熊 慎司君

  浦野 靖人君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     山口  壯君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(外交他諸課題)


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、外交他諸課題についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、内閣府地方創生推進事務局長河村正人君、法務省刑事局長辻裕教君、財務省理財局長太田充君、文部科学省高等教育局長義本博司君、農林水産省大臣官房輸出促進審議官新井ゆたか君、農林水産省消費・安全局長池田一樹君、国土交通省航空局長蝦名邦晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岸田文雄君。

岸田委員 おはようございます。自由民主党の岸田文雄でございます。

 本日の予算委員会は外交その他諸課題についての集中審議ということでありますので、基本的には、昨今の激動する国際情勢の中において、政府が外交においてどう取り組んでいこうとしているのか、こうした政府の方針についてお伺いしたいと思いますが、それに先立って、一つ要請をさせていただきたい、政府に対して要請をさせていただきたいと思います。

 といいますのは、昨今の公文書をめぐるさまざまな問題、これは、行政の信頼にかかわる問題であり、ひいては政治の信頼をも損ねかねない大変深刻な事態であると思っています。早急に対策を講じて国民の不信を払拭しなければならない、このように考えます。

 与党においても、この問題については、公文書の管理の改革に関するワーキングチームという場で議論を重ね、先日も、総理に中間報告として申入れをさせていただきました。ぜひ、政府におきましては、与党からのこの申入れ、これをしっかり受けとめていただき、そして具体的に対応をしていただきますよう、これを強く要請をさせていただきたいと思います。

 そしてあわせて、それ以外にも、これは既に申入れを行っておりますが、経済構造改革戦略について、そして、これからも、財政改革、財政再建等について、党としてもしっかり政府に申入れを行わさせていただきたいと考えております。政府にあっては、こうした党の提言、申入れにつきましても骨太の方針その他の諸施策にしっかりと反映していただきますよう、努力をお願いしたいと思います。

 その上で質問をさせていただきますが、昨今、国際情勢を見ますと、本当に大きな動きが次々と起こっています。

 まず、先日の日中韓サミットについてが一つ、申し上げさせていただきたいと思います。

 日中韓サミット、二年半ぶりに開催されました。

 前回が二〇一五年十一月、ソウルで開催されたということですが、その後、この日中韓サミット、議長が韓国から日本に移り、そして、サミットの前提であります外相会談についても、二〇一六年八月に既に開催をされています。二〇一六年八月には、中国の王毅外交部長、韓国の尹炳世長官を東京に招いて外相会談をもう既に行っているわけです。

 しかし、そこからが難航しまして、その後、韓国においては政権交代が起きました。また、中国と韓国の間においても、ミサイル防衛システム、THAADの配備をめぐりまして大変深刻な対立が生じたとされています。

 こういったこともあって、外相会談が行われてから後、ずっとサミットの開催がずれ込んできた、こういったことでありましたが、それがようやくこのたび開催されたということ、これは歓迎すべきことであると思っています。

 今回の日中韓サミットの成果として、三つ挙げることができると思います。まず一つは、日中韓三カ国の協力の進展ということです。二つ目として、日韓あるいは日中といった二国間関係の進展ということです。そして三つ目として、北朝鮮問題に関しますこの三カ国の協力の確認ということでありました。

 まず最初に、この協力の部分について申し上げるならば、そもそも日中韓サミットというのは三カ国の協力について議論をする対話の枠組みとされているわけです。今回も、防災ですとか、環境ですとか、あるいは青少年交流、又は経済、こうしたさまざまな分野において三カ国の協力が確認されたわけです。

 まず総理に一つお伺いしたいことは、この協力について、そして、この協力の中においても特に経済、RCEPとか日中韓サミット、この経済における三カ国の協力、これは、今日までRCEPは二十二回も協議を続けてきました。そして、日中韓FTA、これは十三回も議論を続けてきました。どれだけ高いレベルの経済連携を維持しながら合意することができるのか、ぎりぎりの協議がずっと続いてきたわけですが、こうした経済連携を中心に、日中韓の協力についてどのように受けとめておられるのか、この会議全体の所感も含めて総理にお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 今回の日中韓サミットは、今委員が御指摘になったように、二年半ぶりの開催となったわけであります。

 なぜ二年半開催できなかったかといえば、委員が御指摘になったように、それぞれの国との間のさまざまな課題があった。それは、お互いにそれぞれ隣国同士ですから、隣国同士でありますからさまざまな課題があるのは当然のことであろうと思います。その結果、この日中韓サミットが二年半ぶりであると同時に、あるいは李克強総理は、中国の総理としては約八年ぶりの訪日、そして韓国の大統領、文在寅大統領は、大統領としては七年ぶりの訪日となったわけでございます。

 そういう中で、今回、二年半ぶりに行われた。これは、やはり隣国であるがゆえにさまざまな課題があるけれども、あるからこそ、お互いに会って話し合うことが大切だという点、もう一度再認識し合いながら新たなスタートを切る日中韓サミット、そういう認識のもとに、やはりそういうものを大切にしていこうということを確認し合い、そしてスタートを切るという、新たなスタートを切る日中韓サミットになったんだろう、このように思います。

 二つ、大きなテーマがありました。

 一つは、地域情勢、安全保障情勢、特に北朝鮮の問題であります。

 北朝鮮の問題につきましては、三カ国において共通の認識をつくることが大切ですから、その中において、今回、安保理決議に従って、核兵器を含む全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全、検証可能かつ不可逆的な方法での廃棄に向け、制裁の実施も含め、三カ国で協力を進めることを確認することができました。

 そして、もう一点は、拉致問題についてであります。

 拉致問題の早期解決の重要性について、私から、李克強総理そして文在寅大統領に直接、この必要性について、共通認識を持つことの重要性について強く訴えたところでありまして、日本に対する支持と協力を呼びかけたわけでありますが、両首脳の理解を得ることができました。その結果、今回の成果文書には拉致問題が初めて言及をされたわけでございます。

 今回のサミットは、ちょうど開催してから十年の節目のサミットになるわけであります。第一回は麻生当時の総理のときにスタートしたわけでありますが、これまでの着実に進展してきた三カ国の協力を総括するとともに、未来志向で、日中韓のみならず域外国との協力も促進することについて一致をいたしましたし、平昌、東京、北京と三カ国でリレー開催するオリンピック、パラリンピックの機会を活用して人的交流を促進することについても合意をいたしました。

 もう一点は、今委員がやはり御紹介いただいたように、経済についてであります。

 経済については、グローバル化が進展するとともに、保護主義的な雰囲気も台頭してきています。その中において、日中韓が協力をして、経済の連携、特にRCEPを引っ張っていくことが極めて重要であります。

 日本としては、既にTPP11について署名を行い、そして日・EUのEPAについても合意に達しているわけであります。そして、いよいよ次はこのRCEPに力を集中していくことができる体制が整っていると言ってもいいんだろうと思います。

 日中韓サミットにおいては、質の高いRCEPの早期妥結及び日中韓FTAの交渉加速化に向けて連携していくことで一致しました。特に、東アジア地域を広くカバーするRCEPについては、年内妥結を目指すASEANを支持しておりまして、交渉を進めるべく進めていきたい。

 やはり自由貿易が日中韓が今後経済発展していく上で大切だねということについてはしっかりとお互いに認識し合うことができたのではないか、このように思います。

岸田委員 RCEPについても、年内合意を支持するというお話もありました。ぜひこの三カ国協力が進むことを期待いたします。

 総理、今全体を触れていただきました。順次お話を伺わせていただければと思いますが、次に、二国間関係についてであります。その中で、特に日中関係についてお伺いしたいと思います。

 総理お触れになられたように、李克強総理の中国の総理としての訪日、八年ぶりということであります。昨年の中国共産党大会終了後、日中関係、大きく前進しているのを感じます。このことについては歓迎すべきことであると思います。

 両国は、隣国ゆえに難しい問題を抱えていますが、こうした問題を適切に処理しながら、個別の問題があっても関係全体に影響を及ぼさないようにしっかりコントロールをしていかなければいけない、こういったことなんだと思いますが、あわせて、ことしは日中平和友好条約締結四十周年という節目の年です。こうした節目の年を機会に、両国関係を前進させていくべきだと思います。

 ただ、一つ考えなければいけないのは、日中関係の相対的な関係、これは四十年前とは大きく変わっているんだということです。

 四十年前は、日本が中国を支援する、こういった時代でありました。今日は、中国が世界第二位の経済大国、日本が第三位です。日本にとって最大の貿易相手国は中国です。中国にとって世界第二位の貿易相手国、これが日本ということになっています。日中間の人的交流、四十年前は合わせて四万人でした。今、日中を合わせると一千万人の人間が両国の間を行き来している。日本から中国に進出している企業の数も、三万二千社を超えていると言われています。そして中国も、今、一帯一路構想ですとかあるいはAIIBですとか、独自の国際戦略を着々と進めようとしている。

 こうした、四十年たって新しい時代を迎えている、新しい時代の日中関係について改めて考えなければいけないときだと思います。

 そして、この四十年間の変化は、国民感情ということについても大きな変化をもたらしていると思います。

 内閣府の世論調査の結果でありますが、二〇一五年の段階で、日本の国民の皆さんに世論調査を行って、中国に親しみを感じないと答えた日本人、過去最悪の記録を更新しました。八三・二%ということでありました。これは、日中平和友好条約が締結された翌年、一九七九年に同じ質問を日本で日本の方々に行った、こういった記録が残っています。そのときの数字、わずか二〇・三%でありました。この四十年間で、日本人の中国に対する国民感情が随分と悪化してしまった、こういったことがあります。

 さらには、別の調査でありますが、中国の方々に世論調査を行って、日本によくない印象を持っているという答えを寄せた中国人、二〇一四年で八六・八%、二〇一五年で七八・三%。これは、少しずつ改善しているものの、やはり多くの中国人が対日感情を十分に改善させていない、こういった状況にあります。

 国民感情に支えられていない外交というのは脆弱なものです。この四十年間の国民感情の変化、ありよう、こういったものも踏まえて、新しい時代の中国との関係を考えていかなければいけない、こういったことだと思います。

 総理、この新しい時代における日中関係、どのように考えておられるか、お聞かせいただけますか。

安倍内閣総理大臣 ことしは、日中で平和友好条約を締結してから四十周年、節目の年になります。この節目の年に、八年ぶりとなってしまいましたが、李克強総理が日本を訪問する、それが実現できたことはよかったと思います。今回は、東京だけではなくて北海道も訪問していただき、私も同行したところでございます。

 昨年、ベトナムのダナンで習近平主席と首脳会談を行い、そしてそのとき、新たなスタートを切ることができたとお互いに認識を持ち合うことができた首脳会談となったわけでございますが、今回の李克強総理の訪日によって、まさに日中関係は新たなスタートを切ることができた。

 この四十年、いろいろありました。確かに、かつてとは違い、今やGDPは、第二位が中国であり、第三位が日本ということになっています。また、中国は、経済力だけではなくて軍事力においても大きな存在になっています。ということは、どういうことかといえば、お互いに地域の平和と安定にそれぞれが責任を持っているということであろう、こう思います。

 私もよく、首脳会談をしますと、また、岸田前外務大臣も外務大臣時代によく、中国との関係はどうなっていますかと聞かれたと思います。世界各地は、経済規模第二位、第三位の国々がどういう関係にあるか、これは世界経済にも大きな影響を与えるし、地域の安全保障にも大きな影響を与える、だからこそ大きな関心を持っているんだろうと思います。実は、中国側も、それぞれの機会で、日本との関係、どうなっていますかと聞かれるということであります。

 であるからこそ、お互いに地域の平和と安定そして経済の発展に責任を持っているということを十分に認識をしながら、であるがこそに、その責任を果たしていくという中には、両国関係を改善していく、両国の首脳間の往来をしっかりとしていくということが求められているということだろうと思います。そういう認識のもとに今回の首脳会談は行われ、そして、これからもそうありたいと考えております。

 今回は、李克強総理との間で、東京や北海道で長い時間をともにすることになりました。大変率直で充実した会談を行うことができましたが、十年越しの課題であった海空連絡メカニズムの設置、社会保障協定、映画共同製作協定、金融協力、米の輸出拡大に向けた措置など、数多くの具体的な成果が上がったと思います。

 そして、これからどういう時代に入っていくか。紆余曲折があったんですが、これからは競争から協調の時代にしていかなければいけない、こう考えています。両国のリーダー同士が話し合えば大きな成果を上げることができるということを今回お互いに確認をし合ったわけであります。

 海空連絡メカニズムについても、これは十年越しであった。なぜかといえば、八年間、中国の総理は日本を訪問していなかったという中にあっては、なかなかそれは前に進んでいかない。問題があるからこそ話し合って、そしてお互いに責任を持って解決をしていくということが求められていく。まさに、競争から協調の中において、地域の安定、それは平和にも資することになりますし、両国の繁栄にもつながっていくと思います。そして、そのことを国民の皆さんに実感してもらうことが大切であろうと思います。

 今、岸田委員から御指摘あったように、両国国民の、いわばそれぞれに対する感情は相当悪化している、四十年前と比べては。それはやはり、今申し上げましたように、八年間、中国の総理は日本を、交渉をもしていないという中にあっては、そして、いわばハイレベルの往来というのは余り行われていないという中にあれば、なかなか国民も、それを見ているわけでありますから、そうしたさまざまな出来事もありますから、当然そういう方向になっていく。それを今回、大きく変える新たなスタートを切ることができた。まさに競争から協調に入っていくと思います。

 今回、李克強首相から、私の年内訪中のお招きをいただきました。そして、適切な時期に訪中をし、その後、習近平主席に日本を訪問していただき、日中関係を新しい段階へと押し上げていきたいと考えております。

岸田委員 ありがとうございました。

 北朝鮮問題について申し上げさせていただきたいと思います。

 北朝鮮問題をめぐりまして、対話をめぐる動きが進んでいます。これは、国際社会が協力して圧力をかけてきた一つの成果でもあると思いますが、二月の平昌オリンピック、そしてパラリンピック後、首脳間での動きも活発化している。六月十二日に米朝首脳会談、こういったものも予定されている。

 こうした動きについては、これは前向きに受けとめるべきだと思いますが、要は、こうした動きに対して日本がどうかかわっていくかということであります。

 一部には、日本は蚊帳の外に置かれているのではないか、こういった意見があります。しかしながら、それぞれの関係国、置かれている立場が違います。中国は、北朝鮮の貿易の九割を占める、大きな影響力を北朝鮮に持っている存在です。米国は、強大な軍事力をもって北朝鮮に対峙をしています。また、米国にとって、北朝鮮が米国に届く大陸間弾道弾を開発し終えているかどうか、大変大きな関心事でありますが、日本にとっては、今現在も、日本に届くミサイルだけであれば五百発から六百発存在すると言われています。また、日本には拉致問題という重要な問題があります。

 これは、関係国、それぞれ置かれている立場あるいはできることが異なるわけでありますから、それぞれの強みを生かしてこの問題にどう貢献していくのか、だからこそ協力が大事だということであり、どの国も同じことをしていないから日本は蚊帳の外にあるというのは当たっていないと考えます。しかし、そう考えるならばなおさら、日本としてどうこの問題にかかわっていくのか、これを真剣に考えなければいけません。

 また、時間が限られておりますので続けて申し上げますが、やはり拉致問題について、日本が主体的にしっかり取り組んでいかなければいけないということでありますが、この問題につきましては、総理もたびたび各国に対しまして、あらゆる機会を通じて働きかけを続けてきました。河野大臣も同じでありますし、私の時代もそうでありました。さまざまな働きかけを行うことによって、トランプ大統領から、六月十二日の米朝首脳会談において拉致問題を取り上げるということが確約されたとか、さきの南北首脳会談においても拉致問題について文在寅大統領が取り上げたとか、さきの日中韓サミットにおいても各国の理解が得られたとか、こういったことにつながっているんだと思います。

 ただ、拉致問題については、対話と圧力の方針のもと、核、ミサイル、拉致、こうした諸懸案を包括的に解決する、こういった方針が我が国の基本方針でありました。対話のための対話であってはならないということで圧力をかけ続けてきたわけでありますが、ただ、拉致問題における大きな目標、これは拉致被害者の方々全ての無事の確認と全ての帰国であります。こうした目的を実現するためには、日本が主体的に取り組まなければいけない、もちろんでありますが、あわせて、こういった中身を実現するためには、やはり対話という要素、解決に向けては欠かすことができないのではないかと思います。

 ぜひ、拉致問題に向けて、日朝首脳会談も含めて直接対話について総理がどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

 要は、北朝鮮問題について、日本としてどうかかわっていくつもりなのか、そして、拉致問題について、直接対話という要素をどのように考えておられるのか、この二点、総理にお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 まず、このたび、史上初めての米朝首脳会談の場所と日時が決定したことを歓迎したいと思います。この歴史的な米朝首脳会談を生かして、北朝鮮にかかわる諸問題を解決していく、そのいわば前進となる会談にしていくべく、我々も全面的に協力をしなければならない、こう思っています。

 トランプ大統領との間においては、北朝鮮に対して、核兵器のみならず、生物化学兵器を含む全ての大量破壊兵器の廃棄を求めること、そして、米国に届くICBMだけではなくて、日本を射程に入れているミサイルも多数北朝鮮は所有をしているわけでありますから、スカッドやノドン等の短中距離弾道ミサイルを含むあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を求めること、これらの廃棄に当たっては、完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法で行うことを求めていくことで完全に一致をしています。この方針は揺らぐことはないわけでありまして、できるだけ短期間で廃棄を実現すべく、米国と緊密に連携をしていきたい、こう思っています。

 また、米朝首脳会談に向けて、トランプ大統領と緊密に連携をし、六月にカナダで開催されるG7サミット等の機会も活用して、日本の考えをしっかりと米国に伝えながら、米国とともに準備を進めていきたいと考えています。

 米朝首脳会談の終了後には、トランプ大統領から直接結果を聞きたいと考えており、どのような形とするかは今後調整をしていきたいと考えています。

 そして、拉致問題についてでありますが、拉致問題の重要性については、再三再四、トランプ大統領との会談の際に説明をし続けてきたわけでございまして、認識について完全に一致できている、こう思っていますし、トランプ大統領自体も、米朝の首脳会談においてこの問題を提起するとはっきりと言われています。先般、ボルトン補佐官がテレビに出演した際にも、当然この拉致問題についても話すことになるとテレビで明言もしているということは御承知のとおりだろうと思います。

 しかし、最終的には日朝で話し合わなければこの問題は完全に解決することはできないと思っております。日本独自の努力で解決もしていかなければいけない。もちろん、米国や韓国や中国、国際社会の協力は必要ですし、実際に、今までになく、米国も韓国もよく理解をしていただき、協力をしていただいていると思いますし、日中韓でも初めて共同文書にも入ったわけでございます。

 まずは、CVIDについて、これが達成されるまでは制裁を維持していくという認識においては日米は一致をしているわけでございます。そういうものが達成していく中において拉致問題も解決をされなければならない、こう考えています。

 拉致問題の解決につながるのであれば、当然、日朝の首脳会談、しかし、日朝の首脳会談はつながるものでなければいけない、こう考えているところでございます。

 いずれにせよ、我々も、あらゆるルートを通じて日本の考え方は北朝鮮側に伝えているところでございます。

 いずれにせよ、平壌宣言にのっとって、拉致、核、ミサイル、包括的に解決し、両国間の不幸な過去を清算し、正常化をする、この基本方針には変わりはないということでございます。

岸田委員 ありがとうございました。

 時間が限られておりますので、もう一つ、国際社会におけるもう一つの核問題についてお伺いさせていただきたいと思います。それは、二〇一五年に安保理の常任理事国五カ国とドイツそしてイランとの間で合意されたイランの核合意についてであります。

 これは河野大臣にお伺いしたいと思いますが、このイランの核合意、五月八日、トランプ大統領は、離脱を表明し、制裁の再適用に向けた作業を開始する、これを発表いたしました。

 我が国は、これまで、イランとの間において伝統的な友好関係を維持してきました。そして、我が国は、この核合意を支持するというスタンスをとってきました。

 私も、外務大臣在任中、二度、イランを訪問しました。六度、イランのザリーフ外相と外相会談を行いました。こうした取組を通じてこの核合意を支持してきたわけでありますし、さらには、その合意を受けて、二〇一六年二月には、訪日したタイエブニア経済財政大臣との間で日・イラン投資協定に署名しました。昨年四月にこれも発効しました。そして、日本の企業のイランへの進出を支援してきたわけですし、現在も、両国当局間で、百億ドル相当のファイナンスファシリティーの活用に向けた動き、調整中だと承知をしています。

 しかし、こうした米国の核合意からの離脱、そして制裁の再開ということが行われたとしたならば、米国の経済制裁を恐れて、日本企業の進出、これは萎縮することになります。これは欧米も同様であります。中国やロシアの企業におくれをとるということになるんだと思います。これまでの取組を考えた場合に、こういった状況について、日本政府としてどう考えるかということであります。

 河野大臣も御案内のとおり、イランにおいては、国際協調派とそして対外的な強硬派、この両派が激しくしのぎを削っています。国際協調派でありますロウハニ大統領は、今のところ、核合意からの離脱は言及はしていませんが、今後、経済的に追い込まれるということになりますと、強硬派が息を吹き返してくる、イランが強硬路線に転換するということになります。

 イランの核合意は、中東の平和だけではなくして、核軍縮・不拡散、これについても大きな課題であると思っています。イランが再び強硬路線に転じたならば、中東で核開発競争が再開されてしまう、こうした事態は絶対避けなければいけないということで、核合意の維持に向けて日本として協力をしなければいけないのではないか。中東の安定は、エネルギーを始め、日本の安全保障にとってもこれは大変重要な問題です。

 イランの核合意に向けて、日本としてどう対応していく考えなのか、河野大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

河野国務大臣 岸田委員おっしゃるように、これまで日本は、イランと極めて伝統的に友好関係にもございましたし、不拡散体制を維持ということを考えても、この核合意をずっと支持してまいりました。

 今回のアメリカの決定はまことに残念と言わざるを得ませんが、アメリカの決定の翌日、イランの外務大臣と電話で外相会談を行いまして、イランに、日本は関係国とこの核合意維持のために協議を続けていく意思がある、そういうことを申し上げ、先方からも、イランの利益に反しない限りこの核合意にとどまるというお話をいただいているところでございます。

 しかし、アメリカのこの制裁、九十日あるいは百八十日の猶予期間がございますが、これを過ぎたときにどのようになるか。日米で少し緊密に連携をし、日本企業に制裁が適用されるというようなことがないようにしながら、欧米としっかり日本は連携をしてまいりたいというふうに思っております。

 少なくともヨーロッパは、この核合意を維持するためにアメリカとの補完合意に向けて協議をしているところでございますから、日本としても、それをしっかり後押しをしながら、日本とイランの経済関係をしっかりと維持できるように、また、委員からお話がありましたようにイランの中の強硬派が勢いづくということがないように、そして、日本の企業がこの件について制裁の適用を受けることがないように、しっかりと考えながらやってまいりたいと思います。

岸田委員 河野大臣、河野大臣は四月二十四日、ジュネーブで開催されました二〇二〇年NPT運用検討会議の第二回準備委員会に出席をされました。昨年は私が出席をしましたが、引き続き出席いただいたことを評価いたしますが、その中で大臣は、核軍縮と安全保障の両立、同時追求が大事だと発言されました。演説をされたわけですが、今まさに、北朝鮮、イラン、この厳しい安全保障環境に対してどう対応するか、一方で、核軍縮に対する理想をどう追求するか、そのバランスが問われています。

 御活躍をお祈りいたします。ありがとうございました。

河村委員長 これにて岸田君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野委員 おはようございます。兵庫八区、尼崎市選出、公明党の中野洋昌でございます。

 質問の機会を頂戴いたしまして、心から感謝申し上げます。

 まず、外交の質問に入る前に、私からは、加計学園につきまして、先週の国会審議を踏まえまして二点確認をさせていただきたい、このように思います。

 加計学園の獣医学部設置、これは国家戦略特区の手続を経てなされたものでございます。これに関して今さまざまな議論がなされているところでございますが、私は、一番大事な点は、この手続そのものが公正だったのか、あるいはゆがめられたのか、この一点である、これに尽きる、このように考えております。

 十日の参考人質疑によれば、柳瀬元総理秘書官、加計学園の関係者と官邸で計三回会っていた、こういうことがわかりました。そして、この件について総理に報告をしていない、こういうことでございました。

 まず、総理に確認でございます。

 総理は、この件について本当に柳瀬さんから報告を受けていないのかというのが一点。また、この柳瀬さんの件、国家戦略特区の手続上、これは瑕疵や違法性がないと言えるのか、手続をゆがめたものではないと言えるのか。これにつきまして、総理、御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 これまでも繰り返し申し上げてまいりましたように、秘書官は日々多くの来客を受けていると思いますが、私自身が毎日分刻みのスケジュールをこなす中で、秘書官への来客についてまで私が報告を受けることはありません。本件についても、柳瀬元秘書官が参考人招致で述べたとおり、報告は受けておりません。

 そもそも、秘書官が私に案件を報告してくるのは、私が何らか判断する必要があるときが基本でありまして、国家の重大事でもない限り、途中段階で説明を受けることは、これはほとんどないと言ってもいいと思います。

 また、特区プロセスは民間有識者が主導して進められるわけでありますが、さきの参考人質疑においても、ワーキンググループの八田座長から、柳瀬元秘書官から何の働きかけも受けたことはないこと、そして、面会の半年以上前の時点で既に民間議員ペーパーで獣医学部新設が重要と明記しており、面会が民間有識者の議論に影響を与えたことは一切ないことの発言があったと承知をしております。

 そうした観点から、柳瀬元秘書官の面会は問題ないと考えています。

 また、これまでの国会審議を通じて、柳瀬元秘書官のみならず、前川次官も含め、誰一人として私から国家戦略特区における獣医学部新設について何らの指示も受けていないことが既に明らかになっています。

 ただ、本件は私の友人がかかわる話であり、国民の皆さんから疑念の目が向けられることはもっともなことだと思います。このことを十分に意識して、今後とも事実に基づき、こうした点をしっかりと説明してまいりたいと思います。

中野委員 もう一点確認をしたいというふうに思います。

 これは先週の文部科学委員会だったと思いますけれども、当時の担当の審議官が加計学園から便宜供与を受けていたのではないか、こういう指摘がございました。これは仮に、本当に便宜供与を受けていたということであれば、私はとんでもないことであるというふうに思います。

 この事実関係について、梶山大臣、ぜひ説明をしていただきたいと思います。

梶山国務大臣 御指摘の便宜供与の件につきましては、内閣府地方創生推進室の職員が、平成二十七年の八月五日、六日両日に熊本県、岡山市及び今治市等への用務のため出張した際に、その移動手段の一部に民間事業者が管理運用する業務用車両を用いたことについて御指摘をいただいているものと推認をしております。

 いずれにしましても、国家公務員倫理規程や旅費法との関係などにつきましては現在精査中であります。

 仮に法令上の問題がないにしても、民間業者との関係は公務への疑いを招く結果とならないよう常日ごろから慎重に対応することが必要であり、職員のさらなる適正な公務遂行について、改めて職員を指導してまいりたいと考えております。

中野委員 この森友、また加計、そして防衛省の日報の問題、国民の信頼を揺るがす事態が続いております。信頼を取り戻すためには、政府は誠実に、そして丁寧に説明責任を果たしていく必要がある、これは私の方から改めて今回指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、外交問題について質問をさせていただきます。

 総理、日中韓サミット、大変にお疲れさまでございました。そしてまた、李克強首相の訪日日程にも御対応されました。

 北朝鮮問題あるいは日中韓関係、こういうものがまさに今大きく動いている、こういうタイミングであるというふうに感じております。この日中韓の連携というのは大変に重要であるというふうに私も思います。

 公明党の山口代表が、昨年、韓国、中国を訪問されまして、文在寅大統領あるいは習近平国家主席にこの連携というものを訴えさせていただいておったところでございます。

 これに関連をしまして、北朝鮮問題について質問をさせていただきます。

 先ほど総理の方から、この日中韓サミット、日本の立場について三カ国で共通の理解を得られたというふうなお話もございました。そして、拉致問題についても、今後どのようにしていくかということを総理の方から先ほど御答弁いただきましたので、私の方からは、今後のそれぞれの各国との関係につきまして、今後どのように進めていくかということをお伺いしたいというふうに思います。

 我々は、北朝鮮に対して、できるだけ早期に完全な非核化というものを求めているというふうに訴えております。北朝鮮は、他方で、時間をかけて、これはなるべく段階的に、こういうスタンスをとっているというふうにも思っております。そして、大きな枠組みとして理解が得られている今、具体的にどのように取組を進めていくのか、あるいはどの段階でその見返りとしての措置があるのか、こうしたことの細部をこれから詰めていくような段階に入っていくんだろう、このように感じております。

 まず、私は、日中の関係ということでお伺いをしたいんですけれども、北朝鮮は段階的な措置というものを求めている、これを中国そして北朝鮮の間の、中朝の首脳会談でも訴えている、こういうことを承知しておりますし、また、この点について、アメリカと北朝鮮の間を中国がある意味仲介をしているような形になっているんじゃないか、こういう報道もあるわけでございます。

 そうしましたところ、我々として、中国に対して、この北朝鮮問題についてどのように訴え、どのように連携をしていくのか、これは非常に大事だというふうに思います。この点について、総理の方から御答弁をいただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 いわば、経済においては、最も強い影響力を北朝鮮に対して持っているのは、御承知のように中国であります。

 さきの日中首脳会談においては、私から、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全、検証可能かつ不可逆的な方法での廃棄を実現するよう日中で連携していくことが重要である旨述べまして、安保理決議の完全な履行は引き続き日中共通の立場であることを確認したところであります。

 この安保理決議の中には、今申し上げましたように、核、ミサイルの完全、検証可能、不可逆的な廃棄ということが書き込まれているわけでありますから、安保理決議を確認するというのはそういうことになるわけであります。

 そしてまた、私から、中朝のやりとりにおいて拉致問題を提起するよう要請をいたしました。これ以上の詳細は控えますが、拉致問題の早期解決に向けて日中間で協力していくことで一致をしたところでございます。

 これはなかなか、中国が、先ほど申し上げましたように、経済においては最も影響力があり、もちろん、経済だけでなくて実質的に最も大きな影響力があるわけでありますが、中国がそういう認識を持つ、また、日本と協力をしてもらうということが非常に重要なことであったわけでございますが、今回、そういうことに、いわば初めて文書に書き込むこともできましたし、日中間で協力していくことでも一致したところでございます。

 引き続き、北朝鮮に政策を変更させるため、日米、日米韓で緊密に連携をし、中国、ロシアを含む国際社会とも協力をしながら、我が国としてしっかりと役割を果たしていく考えでございます。

中野委員 総理、ありがとうございます。

 そして、先ほども最も緊密に連携をしていくというふうにおっしゃられましたアメリカとの関係についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 五月の十日に日米電話首脳会談をされました。そして、六月十二日には米朝首脳会談がございますが、その前のカナダでのG7、このときにも首脳会談の機会があるのではないかというお話もございますし、また、その十二日の後につきましても連携をとれないかということで模索をされている、こういうことも承知をしております。

 この北朝鮮の問題につきまして、今後の日米の連携、そして、この六月十二日の米朝首脳会談に政府としてどのようなことを期待しているのか、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 米朝首脳会談、これは極めて重要な機会、北朝鮮にまつわる諸問題を解決していく上で、拉致問題を解決していく上で極めて重要な機会と捉えております。

 米朝首脳会談に向けまして、今御指摘になられたように、六月にカナダにおけるG7のサミットがございます。

 まず、このサミットにおきましては、G7で北朝鮮に対する共通の認識を持ち、そして北朝鮮に対する対応、CVIDを達成する、そしてそれまでは制裁を解除しないという認識を共有したいと思います。

 その共有するに当たって、日米間で連携をしていくということも大切でしょうし、そして、この機会を捉えて日米でしっかりと話し合う機会を得たい、こう思っておりますが、いずれにせよ、米国とともに準備を進めていきたい、こう考えております。

 電話で意思疎通をするということもあわせて、やはり実際にお目にかかって話すことも重要だろうと思います。

 この歴史的な米朝首脳会談が、核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の包括的な解決に向けて前進していく機会になることを強く期待しております。

 また、米朝首脳会談の終了後にはトランプ大統領から直接結果を聞きたいと考えておりまして、どのような形とするか、今後調整をしていきたいと考えております。

中野委員 北朝鮮の問題に関しまして、最後に拉致問題についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 報道でも、朝鮮中央通信が十二日に、拉致問題は解決済みであるというふうなことも報道されたということも伺いました。一日も早く拉致被害者の皆様の帰国を実現させるため、総理が大変に強い思いで活動してこられたということも承知をしております。

 この拉致問題につきまして、今回の日中韓サミットではどのような成果があったのか、そして、今後、解決に向けてどのように取り組んでいかれるのか、これについても総理にお伺いをしたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 日中韓サミットにおきましては、私から、この早期解決の重要性についてお話をさせていただいた、李克強総理そして文在寅大統領にお話をさせていただいたところでございます。そして、協力を呼びかけ、両首脳の理解を得ました。その結果、今回の成果文書に拉致問題が初めて言及されることになったところでございます。

 この問題は大変難しい問題でございますが、被害者の御両親、皆さん、大変お年を召されているわけでございますので、何とかお元気なときにしっかりとお子さんたちを抱き締めることができる、そういう日が来るようにこれからも全力を尽くしていきたい、このように考えております。

中野委員 日中韓サミットを受けまして、私、北朝鮮問題もございますけれども、今回の日中韓サミットで大変に大きな意義を感じましたのは、未来志向の関係、新しいスタートを切っていく。

 この日中、日韓の関係というのは、隣国でもございますし、大変に難しい課題もさまざまございまして、なかなか順調にはいかない時期もあったかというふうにも承知をしております。

 私も、中国も韓国も何度も行かせていただきましたけれども、非常に難しいこの三カ国の関係だというふうに思いますけれども、今回のサミットで、未来志向、新しいスタート、こういう関係をやっていくということが大きく打ち出されたわけでございまして、これは大変に私は意義のあることであるというふうに思います。

 まず総理に、この日中韓サミットを受けまして、未来志向の関係、新しいスタート、こういうものを打ち出された意義についてお伺いをしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回の日中韓サミットは、二年半ぶりの開催となります。中国の首相の公式訪問は八年ぶり、訪問としては七年ぶりなんですが、今回は公式訪問でした。公式訪問としては八年ぶり、そして、文在寅大統領の訪問は、大統領としては七年ぶりとなった。つまり、それだけさまざまな課題があったということだろうと思います。

 ただ、今回は、その課題を乗り越えて日中韓サミットを開催し、それぞれ七年ぶり、八年ぶりに公式訪問そして訪問をしていただくことができた。それはやはり、三カ国が協力していくことがその三カ国にとって極めて重要である、と同時に、地域の平和と安定に私たちはみんな責任を持っているんだなというこの責任感を共有することができたんだろうと思います。

 その中で、地域のさまざまな情勢を解決していく上で三カ国が協力をしていく、あるいは経済分野において三カ国が協力していくというそういう必要性の中において、我々は今、そうした課題について話をしっかりと話し合うことができた、率直な話合いができた、こう思っております。

 北朝鮮の問題については、先ほどお話し申し上げました、CVIDを達成しよう、この国連決議をしっかりと履行していこうということで、三カ国が協力をして進めていくということにおいて一致をしたところでございますし、先ほど申し上げましたように、拉致問題に対する認識についても共同文書に書き込むことができたところでございます。

 そしてまた、今後、未来志向で、日中韓のみならず、域外国との協力も促進していくことについて一致をした、これも新しい点であります。三カ国だけではなくて、第四国との協力も進めながら三カ国の協力の意義を生かしていこうということであります。

 そして、平昌、東京、北京と三カ国でリレー開催するオリンピック、パラリンピックの機会を活用して人的交流を推進することでも合意をしたところでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 続きまして、日中、日韓それぞれの関係についてお伺いをしたいというふうに思います。

 特に、ことしは日中平和友好条約締結の四十周年という大きな佳節でありまして、総理は今回の李克強首相の訪日の中で、日中関係を新たな段階に押し上げる、こういうことも言っておられました。

 今回の李克強首相の訪日についての評価、そして今後の日中関係について、これについても総理にお伺いをしたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 今回、公式訪問としては中国の首相の訪日が八年ぶりとなったわけでございます。現在は、世界第二、第三位の経済大国の日中関係ということになっているわけでございますが、この第二、第三の日中がともに協力をすればさまざまな可能性が広がってくるという認識を共有できたんだろうと思います。いわば競争から協調の時代に入らなければならない、日中関係をそういう関係にしていくということでも一致できたんだろう、こう思う次第でございます。

 そのことによって、先ほど申し上げましたように、アジア地域の平和と安定に、さらには繁栄に大きく貢献できるだろう、こういう認識も共有できた、こう思います。

 今回、十年越しの課題でありました海空連絡メカニズムの設置や、社会保障協定、あるいは、映画共同製作協定、金融協力、米の輸出拡大に向けた措置など、数多くの具体的な成果が上がったということであります。まさに首脳同士が会うことによってこうした大きな成果を上げることができたということも共通認識になったんだろう、こう思います。

 今回、李克強首相から、私の年内訪中のお招きをいただきました。そして、適切な時期に訪中し、その後、習近平主席に日本を訪問していただき、日中関係を新しい段階へと押し上げていきたいと考えております。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

中野委員 先ほど、シャトル外交の話も総理はされました。総理はできるだけ適切な時期に年内訪中、そして習近平国家主席の訪日ということでございましたけれども、この点につきまして、今後の具体的な、いつぐらいにですとか、あるいはその意気込みですとか、総理、もしございましたら、答弁いただければと思います。

安倍内閣総理大臣 まずは、年内ということについては合意をしているわけでございますが、あと、さまざまなスケジュールもございますから、その適切な時期にということになるんだろう、こう思います。また、次は中国が主催する日中韓サミットが中国で開催されるわけでございます。そうしたものとのタイミングをどうするかの調整もあるんだろう、こう思う次第でございます。そして、できるだけ早い段階で、その後、習近平主席に日本を訪問していただきたい。

 こういう姿を両国民に見せることによって、日中関係は改善しているんだな、時代が新しい時代に入ったということになれば、国民の両国に対する感情も変わってくるんだろうと思いますし、また、首脳間の往来が頻繁になれば、国民同士の交流、これはもう相当、今、昔よりも規模は大きなものになっておりますが、実際の日本をよく知っていただくことによって、真の日本を知っていただくことによって対日感情も変わってくるんだろうということを期待しているところでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 先ほど総理から、日中関係というのは競争から協調というふうなお話がございまして、私、まさにそのとおりだというふうに思っております。

 日中関係総論につきましては御答弁いただきましたけれども、特に今回、経済の関係についてということで、戦略的な互恵関係も深めていく、あるいは日中がそれぞれの強みを生かしてまさに協調をしていく、こういうことも大きな今回のテーマになったかというふうに思います。

 この日中の経済関係ということにつきまして、今回の成果、あるいは今後のあり方ということもぜひ答弁いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回、李克強首相との間で、数多くの経済分野での具体的な成果について合意することができたと思います。

 日中社会保障協定は、企業及び駐在員等の負担を軽減し、日中両国間の経済交流を加速するものです。

 そして、三・四兆円規模の投資枠を日本向けに設ける金融協力でも一致しました。

 また、日本のおいしいお米を中国の皆さんに味わってもらうため、日本の米輸出拡大に向けた措置も実現します。

 さらに、映画共同製作協定によって大きなビジネスチャンスが生まれるわけでございますが、日中両国民の文化面での相互理解が一層深まることが期待されると思います。

 また、日中両国が世界第二、第三の経済大国として、WTOを始め自由経済貿易体制の維持、推進のため、国際ルールに基づく自由で開かれた公正な経済秩序の構築に努力することで一致をし、RCEPや日中韓FTAの交渉についても連携を強化することを確認しました。

 今回、日中ハイレベル経済対話のもと、省庁横断的な官民委員会を新たに設けるとともに、第三国において日中民間企業によるインフラ協力を具体的に進めていくため、官民が一堂に集う新たなフォーラムを設立することで合意しました。

 今後、私の年内訪中、そしてその後の習近平国家主席の訪日と、着実にハイレベル往来を積み重ねていく過程で、幅広い分野における協力のさらなる具体化を実現させていきたいと思います。

中野委員 もう時間もあとわずかでございますが、先ほど、日本産米の対中輸出拡大という話もございました。ぜひやっていただきたいと思いますけれども、特に私からもお願いしたいのが、今回、東京電力福島第一原発事故後の日本産の食品の輸入規制、これは中国に関して動きがあったというふうに承知をしております。中国、韓国始め、この輸入規制の撤廃、緩和について、ぜひ早期に進めていただきたいと思います。

 これについても、総理、ぜひ御答弁いただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 原発事故に伴う諸外国の輸入規制については、これまでも、私自身、首脳会談などのあらゆる機会に撤廃、緩和を積極的に働きかけてまいりましたが、既に二十七カ国で規制撤廃を実現しています。

 そうした中で、先般、WTOにおいては、福島産水産物の安全性、そしてモニタリングの努力が改めて評価をされ、韓国による輸入規制の是正を求める報告がなされました。また、中国による輸入規制についても、先週の日中首脳会談で共同専門家グループの立ち上げに合意をしました。これによって、中国の輸入規制の撤廃、緩和という重要な課題の解決に向けた具体的な議論がスタートします。

 こうした成果も追い風として、あらゆる機会を捉えて、各国の輸入規制の早期の撤廃、緩和を引き続き働きかけていく考えであります。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

河村委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。

 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 総理に、加計学園問題についてお聞きをしたいと思います。

 私も先週、この場で柳瀬元総理秘書官の参考人招致を聞かせていただきました。本当に納得のいかないことが多い参考人招致だったと思います。国民の皆さんも、共同通信社の世論調査でも、七五%の方が納得がいかないというお答えをされています。

 一方、私は、野党が本当に粘り強くこの参考人招致を求めてきたおかげで、これまで、会ってもいない、記憶にないと言っていた面会が何と三回もあったんだ、そういう事実が明らかになったということも一方では一歩前進はしたと思っているんですけれども、まだまだ七五%の国民の皆さんは御理解をいただいていない、納得をいただいていないということなので、更に質問を続けたいと思います。

 私、先ほどの答弁を聞いていて、おかしいなと思ったんですよ。総理秘書官というのは、そんなに、たくさんの人と会っているので一々報告は上がらないということを、総理、先ほど公明党さんの質問で答えられているんですけれども、本当にそうなんですか。

安倍内閣総理大臣 私には六名の秘書官がおります。六名の秘書官、それぞれ働き方はいろいろでございますが、同時に、総理大臣の仕事は多岐にわたるわけでございまして……(本多委員「聞いていません、総理大臣の仕事」と呼ぶ)いや、総理大臣の仕事と報告を受ける時間は密接にかかわっておりますので、そのことも説明させていただかなければ御納得はいただけないのではないかと。

 つまり、私自身に無限の時間があればさまざまな報告を受けることができるわけでありますが、そうではないということで申し上げているわけでございますが、私の仕事というのは、ほぼ全省庁に対してかかわってくるわけでございます。そして、全省庁にはさまざまな進行中の、仕掛かり中の仕事があるわけでございまして、そしてそれは、それぞれ最終段階を迎えれば私の判断を仰いでいく。

 あるいは、途中経過においても私の判断を仰ぐ場合があります。A案、B案、C案に絞られてきたので、どうしましょうか、あるいは方向性について私に聞かれる場合が……(本多委員「質問に答えてください」と呼ぶ)今、これは答えているんだと思います。方向性についていわば決める、いわばある種の、私が判断をしなければいけない、方向性について決めていくというときに基本的に報告が上がってくる、それだけでも相当の報告の数になるわけでございます。

 きょうも、五時まで、四時半か、この委員会がありますが、この後もさまざまな会議があり、その会議の合間にまさに報告があるわけでございます。

本多委員 いや、済みません、先ほど、総理のお忙しさはよくわかっています、総理のお忙しさではなくて、総理秘書官というのが、たくさんの人と会っているので一々報告を上げられないとおっしゃったんですが、本当ですかという質問なんです。総理秘書官がたくさんの外部の方と会っているのか。役所の方とは調整するかもしれませんが、たくさんの外部の方と会っているので一々報告が上がらないということを言われたので、本当にそうなんですかということです。

安倍内閣総理大臣 それは、今申し上げたことも含めて御理解いただけるのではないかと思います。

 つまり、私が無限の時間があれば、それは……(本多委員「聞いていないですよ、そんなことは。総理秘書官の話をしてください」と呼ぶ)いや、ですから、総理秘書官との関係においても、わかってもらえないかな、私に無限の時間があれば、相当報告する時間は確保できるわけでありますが、私の……(本多委員「報告じゃないですよ」と呼ぶ)ちょっと済みません。

河村委員長 総理の答弁を聞いてください。

安倍内閣総理大臣 済みません、今私がお答えしている間はしばらく、ちょっと聞いていただけないでしょうか。その後に、疑問があれば、また問いただしていただければいいんだろう、その方が実りある議論になるんだろう、こう思うわけであります。

 そこで、今申し上げましたように、私の時間も限られています。他方、秘書官も数多くの来客があるわけでありますが……(発言する者あり)済みません、今普通の、ちょっと委員長。

河村委員長 総理の答弁中でありますから、静粛に。

安倍内閣総理大臣 これでは、普通の会話ではないんですから、私が答えている間はしばらく聞いていただけないと、私も答えようがないのでありますが……(発言する者あり)済みません、少し、皆さんもちょっと静かに聞いていただけなければ私も御説明しにくいのでありまして、御了解いただきたい、このように思います。

 そこで、いわば、今私が申し上げたいことは、私の時間も限られている、他方、秘書官も多くの来客がある、その中で秘書官は、取捨選択をして、何を総理に上げてそこで判断を仰ぐかということについて選択をしていくわけでございます。そういう意味において、先ほど答弁をしたところでございます。

本多委員 私にも、質問時間は限られているので、聞いたことに答えてください。

 私は、総理秘書官が連日たくさんのお客さんと、外部からのお客さんと会っているんですかということを聞いているんです。

 総理は今も、たくさんの人と会っていると言いましたけれども、柳瀬さんの証言は違うんですよ。柳瀬さんは、首相官邸に入ったら外部の方と会うチャンスがほとんどない、だから、アポが来たから、アポが来た人とは会うようにしていたと言っているんです。

 総理、総理官邸、私も総理補佐官を与党のときにさせていただきました、本当に、そういう環境で、外部の方と総理秘書官がそんなにお会いしていたという私は感触がないんですよ。

 柳瀬さんの、総理秘書官はほとんど外部の人と会えなかったという話と、今総理は、秘書官はたくさんの人と会っている、これはどちらが正しいんですか。

安倍内閣総理大臣 今、私がたくさんの人と会っているというのと、来客というのは、外部の、民間人の方の来客もあれば、他省庁の、役人同士の、これが実際ほとんどなんですが、役人同士の来客も、これを来客という場合も、官邸に来るのは、例えば外務省から来たり、あるいは経産省から来たり、農水省から来たり、内閣府から来たりしますよね。しますよね。(本多委員「はい」と呼ぶ)

 ですから、そういう意味において、来客は多数ありますよ。ずっと一人でぽつねんとデスクに座って仕事をしているということでは全くないわけでございまして、そして、我々、多くの仕事をしておりますので、当然、来客というのは、そういう意味での来客でありまして、いわば、柳瀬さんのところに来て、柳瀬さんと話したいという意味における来客はたくさんあるということであります。これは大体の方は御理解いただけるのではないかと思います。

本多委員 いや、私は理解できないんです。

 今、総理の説明をいただきました。総理秘書官に来る来客というのは、ほとんどが役所の方なんです。普通、外部の方のいろいろなお願い事というのは、内閣府に行ったり農水省に行ったり文科省、これだって会うのはなかなか大変なんです。

 総理秘書官が外部の業者やそれから自治体の課長クラス、こういう者と会うということが私は異常なので、こういうことがたくさんあったんですかということを聞いているんですよ。だから、ないということを柳瀬さんは言っているので、それに合わせて総理も答弁された方がいいんじゃないんですか。

安倍内閣総理大臣 それは余り大きな意味はないんだろうと思うわけでありますが、柳瀬秘書官……(発言する者あり)私は大きな意味がないと思いますよ。それは、今お話をさせていただきます。よろしいですか。

 今、私の考え方を率直に述べさせていただいたところでありまして、言ってはいけないかどうかということは国民の皆様にお決めいただきたい、こう思います。

 さきの参考人質疑においては、柳瀬元秘書官は、結果として御指摘のとおりになっただけで、そもそも、人と会うときに、国家戦略特区の関係か否かでえり分けて面会したわけではなく、時間の許す限り、東京都の方、エネルギー関係の方、メーカーの方、地方のベンチャーの方など、さまざまな方と会っていたと述べていると承知をしているわけでございます。

 そうした方々かつ役所の方々も含めて、柳瀬さんはさまざまな方々と会っていた、来客と会っていたということを申し上げていたわけでございまして、その違いはないわけでありまして、これと同じことを私に繰り返させようということであれば、それはもう当然、柳瀬さんの答弁をただ紹介させていただくということだけになるのではないか。こういう意味において、これにおいては大した差がないのではないか、こういうことでございます。

本多委員 それでは、聞き方を少し変えますけれども、総理の秘書官が一般の地方自治体とそれからまた業者、規制緩和を望む業者と三回も面会したこと自体は、今思うと適切だったと思われますか。

安倍内閣総理大臣 これは何回会うかどうかということでありますが、柳瀬さんが答弁をされたのは、いわば結果として加計学園の方と三回会ったということでございますが、しかし、それは、ほかから要望があったかないかということにもかかわってくるんだろう、こう思うわけであります。

 当然、また、私には六人の秘書官がおりまして、それぞれに仕事のやり方があるとは思いますが、現場の声や生の情報に耳を傾けることが必要と考えることもあるんだろうと思います。ただ、これは秘書官によってやり方が違いますから、外部の方と必ずしもそう頻繁に会わないというやり方もあるんだろう。私には六人の秘書官がおりますから、それはそれぞれのやり方に任せているわけでございますが、しかし、当然、行政の公正公平が保たれなければならないことは大前提であります。

 そして、そこで、では公平であったかどうかということでございますが、特区プロセスは民間有識者が主導して進められておりますが、さきの参考人質疑においても、ワーキンググループの八田座長から、柳瀬元秘書官から何の働きかけも受けたことはない、また、面会の半年以上前の時点で既に民間議員ペーパーで獣医学部新設が重要と明記しており、面会が民間有識者の議論に影響を与えたことは一切ないことの発言があったと承知をしているわけでございます。

 要は、面会し、その面会した結果、例えば八田座長と民間議員に柳瀬秘書官が働きかけをして、こういう方向でやってくださいと言えば、これはもう問題ですよ。それは明らかに問題。

 しかし、プロセスにおいては、いわば……(発言する者あり)しかし、これが重要な点でありまして、皆さんは一切ここには目を向けようとされないし、八田座長の意見にも耳を傾けようとしていただけないわけでありますが、八田座長はこのようにはっきりと、民間議員は全員皆さんこうおっしゃっているわけでありますから、そうした観点からも、問題はないと考えております。

本多委員 安倍総理の周りというのは、聞かれなかったら答えないという柳瀬さんのような方がいるので、念のため確認しておきますけれども、柳瀬秘書官から、加計という言葉がない報告、一般的な総理の重点課題としての国家戦略特区での獣医学部の問題についての報告というのは時々あったんですか。

安倍内閣総理大臣 これまでも答弁をさせていただいたところでございますが、獣医学部新設に係る制度論、いわば制度論でありますが、制度論については、平成二十六年の九月九日の特区諮問会議における民間有識者議員からの優先改革項目の提案や、あるいは平成二十七年六月三十日の「日本再興戦略」改訂二〇一五の閣議決定などに際し、獣医学部新設を含む規制改革項目の全体像について説明を受けたことはあったとは思いますが、今治市や加計学園などといった個別具体的な話は全くしていないということでございます。

本多委員 今の話じゃなくて、柳瀬秘書官から時々報告が入っていたんですかということなんですよ、私の質問は。

安倍内閣総理大臣 今お答えをしたのでありますが、柳瀬秘書官との会話について今申し上げたわけでございまして、獣医学部新設に係る制度論については、平成二十六年九月九日の特区諮問会議における民間有識者議員からの優先改革項目の提案があった際には説明を受けます。これは、この獣医学部だけではなくて、たくさんの提案の中の一つとして説明を受けます。

 平成二十七年六月三十日の「日本再興戦略」改訂二〇一五の閣議決定などに際しても、これは寸前に説明を受けるわけでございますが、獣医学部新設を含む規制改革項目の全体像について説明を受けたことはあったと思います。

本多委員 もう一つお聞きしますが、愛媛県から出てきたペーパーの中で、重要だと思われて、柳瀬さんが全く否定しているところが、下村文部科学大臣から何か加計の対応が甘いというような話があったという記述があります。

 これに関してなんですけれども、一応念のため確認しておくんですが、我が党の枝野代表との答弁の中で、総理と加計さんとそして下村さん、三人で会ったことはない、会食はしたことはないというんですけれども、その三人だけじゃない、含む会合もないという理解でよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 三人で会ったことがないということは、三人で会ったことは、間違いないですし、少人数の中で三人で会ったということもない。要するに、五、六人とか七、八人とかいう中で三人がいたということもない、記憶している限り、これはないと申し上げられると思います。

 ただ、私が例えば誰かのパーティーに行って、そこにたまたま二人がどこかの場所にいたということはあるかもしれません。でも、その中でも三人で会ったということはない。要するに、同じパーティーにあなたたち、いたじゃないかと言われても、それはわかりません。いたかもしれないし、いなかったかもしれない。でも、それは、そこで話をしたことはないということでございます。

本多委員 もう一つ確認をしておきますけれども、下村文部科学大臣、麻生総理が任命をされた下村文部科学大臣と加計孝太郎理事長が個人的に親しかったということは御存じですか。

 失礼しました。麻生総理というのは失礼しました。安倍総理、御存じですか。加計さんと下村さんが親しかったことを御存じですか。

安倍内閣総理大臣 加計さんと下村さんが面識があるということは承知をしております。親しさは、どれぐらい親しいかということはよくわかりませんけれども。

本多委員 どれぐらいの親しさかわからなかった関係かどうかは、これからますます追及をしていきたいと思います。

 次に、セクハラ罪はないという麻生総理の繰り返されている発言について質問させていただきます。

 確認ですけれども、事務次官がはめられたかもしれないみたいな発言は金曜日に撤回されたという理解でよろしいんですね。確認です。

麻生国務大臣 今出た下村さんの発言とこれはちょっと関係しているところなんですけれども、あのときにそういう発言が下村さんからあっていた時代に申し上げたと思うんですが、四月の二十七日でしたか、私ども財務省といたしまして結論を出した後、そういったことはないということを申し上げたんだと。ちょっとその後も何か申し上げたような話を、どなたかの質問のときにありましたようだったんで、それは間違いということで、私どもとしては、二十七日以降は、財務省の答えが答えでありますと申し上げたと記憶しています。

本多委員 それから、セクハラ罪はないという発言の方は、これも私は不適切だと思うんですよ。

 確かに、そのとおり、小学生的に言えばセクハラ罪という罪はないんですが、犯罪がないことは何でもやっていいという誤解を招きかねないんですよ。

 不適切だと思うので今後言わない方がいいと思うんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 あの話も、どのところの部分で、ちょっといきさつを正確には覚えていないんですが、セクハラ罪というのは強姦罪とか強制わいせつ罪とかいうような形での罪ではありませんから、刑事罰じゃありませんから、そういった意味ではと申し上げたんですけれども、切り方によって、セクハラ、罪はないと書かれたりしたんですよ。セクハラ罪はないと申し上げたら、セクハラ、罪はないと。

 何か同じような形で質問をこの間も言われた方もいらっしゃいましたけれども、私どもはそんなことはないんであって、セクハラだったら、事実、アウトだと最初から申し上げましたよ、この話は。違いますか。そのとおり申し上げたでしょうが、私は。だから、その点に関しましては私どもははっきりしておる。

 私の答えとしては、セクハラという罪、単体としてはありませんけれども、これは親告罪ですから、そういった意味では、ないということを申し上げただけであって、誤解を与えたというんであれば、その点に関しては、発言の仕方というものを考えないかぬなと思っております。

本多委員 罪がないのに親告罪ということを今おっしゃったけれども、意味がわからないんですけれども、御答弁いただけますか。

麻生国務大臣 セクハラというのは、相手側が、セクハラを受けたという人が訴えられた形で罪になりますから。殺人とか強姦とか強制わいせつというのは、これは訴えようと訴えなくたって罪になりますから。そういった意味では、罪の成立の仕方が違うという事実を申し上げております。

本多委員 いや、そうじゃないんですよ。罪じゃないことを親告罪とか、そういう国民に困惑を与えるような言い方を副総理がすることが不適切だと私は申し上げているんですよ。

 それと、もう一つ言っておきますけれども、セクハラという広い概念の中には、繰り返し嫌がる言動をして例えば精神的な疾患になった場合は傷害罪になるケースもあるんですよ。それはちゃんと御存じですよね。

麻生国務大臣 今、殺人罪と強制わいせつ罪を申し上げましたが、強制わいせつは今たしか罪になったと記憶しますので、今の強制わいせつ罪はちょっと違っていると。

 今、時代、時間とともにこの考え方は変わっておりますので、そういった意味では、強制わいせつ罪の犯罪の構成要因に該当する場合、わかりますか、セクハラにはさまざまなものがありますので、強制わいせつなどの犯罪の構成要因に該当する場合が刑事事件になり得るということだということを申し上げております。

本多委員 安倍総理、総理。麻生さんは、いろいろ今言っていますけれども、何度も、文脈の中ではありますけれども、はめられた可能性もあるとか、それから、セクハラは罪じゃない、セクハラは犯罪ではない、こういう言い方を繰り返したり今のような答弁をされて、非常に国民の間では不信が高まっているんですよ。

 それから、財務省に関して言いますと、今、事務次官もいない、国税庁長官もいない、そして文書は改ざんをする、そして、またまた隠していた文書が今後出てくる。こんなむちゃくちゃな状態で、今のまずセクハラの問題、こういう対応で、副総理として正しい対応なのかということが一点。それから二点目、今の財務省をこんな状態で放置していていいのか。このことを、総理の見解を聞きます。

安倍内閣総理大臣 今回、財務省が、事務方トップである財務次官のセクハラを認定したわけであります。まことに遺憾であります。

 セクハラは、あってはならないことであります。これはもう安倍内閣においては当然のことでありますが、我々は、この事態をしっかりと深刻に受けとめなければならないと考えております。

 麻生大臣からは、当初から、セクハラというのが事実であればこれはアウトと明言をしているわけでありますし、また、セクハラは、被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であり、決して許されるものではないとも発言をしているわけでございます。

 と同時に、やはり今後、こうした行為を受けた方は非常に心に傷を負うわけでございますから、そういう被害者の身に寄り添った対応あるいは発言が求められるのは当然であろうと思います。

 そういう意味において、麻生大臣も誤解を与える発言については撤回をされていると承知をしているところでございます。

 また、決裁文書をめぐる問題につきましても、これは国民の信頼を揺るがす事態となっております。

 こうした状況を、財務省に対する信頼を取り戻す上において、まさに陣頭指揮をとってしっかりと組織を立て直してもらいたいと考えております。

本多委員 私は、その総理の今の答弁のようなメッセージが全く伝わらない発言を財務大臣は繰り返していると思いますし、財務省は一刻も早く人心一新して、体制立て直しをしていただくことを強く求めて、質問を終わります。

河村委員長 この際、川内博史君から関連質疑の申出があります。本多君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。

川内委員 おはようございます。川内でございます。

 総理、よろしくお願い申し上げます。総理以下閣僚の先生方、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、今の同僚の本多議員のセクハラ罪に関する議論でございますが、セクハラについて言えば、男女雇用機会均等法に違反する法令違反であり、名誉毀損、傷害あるいは侮辱罪等につながる、犯罪につながる行為であるというふうに思います。

 福田前事務次官は、財務省としてセクハラという事実を認定されて、懲戒処分を受けられた上で御退職をされたわけでありますが、その事務次官を管理監督するお立場にあられた麻生大臣は、この被害女性に対してまだ謝罪をしていらっしゃらないわけであります。

 悪かったね、監督する者として申しわけなく思うよということを私はまず御発言いただいた上でいろいろな御発言をされることは、それは大臣の御発言であろうというふうに思うんですが、まず、一番管理監督をしなければならない立場として謝罪がないということが問題なのではないかというふうに思うんですね。そこをちょっと財務大臣、御発言いただけますか。

麻生国務大臣 テレビ朝日に対しまして、私どもとしては、これは基本として、四月の何日かの記者会見だったと思いますけれども、これは、口頭で言うとかいうのではなくて、文書できちんとやるべきであるということを指示して、文書をもっておわびという形を申し上げておりまして、向こう側からも、深く受けとめておりますという御返事をいただいたと思っております。私といたしましては、役所としてきちんといたしておりますので、それできちんと申し上げたと思っております。

 改めて口頭で言えということを言っておられるんですか。おわびを申し上げるということは、最初から申し上げたと思いますけれども、そう思っております。おわびを申し上げます、はい。

川内委員 いろいろ財務大臣としては思うところがおありになられるんだろうというふうに思いますが、財務大臣というのは管理監督する最終の責任者として、事務次官というのは事務方では誰も管理する人がいないわけですから、その方のセクハラですから、財務大臣として、大変嫌な思いをした女性に思いをいたして、申しわけなかったねということをまずおっしゃる、まあ、おっしゃっていただいたというふうに私は受けとめたいというふうに思います。

 そして、先ほどの公明党の中野先生の御質疑の中で、聞き捨てならないお話がございました。

 せんだっての柳瀬さんの参考人質疑で、平成二十七年の四月を挟んで三回、官邸で加計学園と会合をしていたと。そして、平成二十七年の六月に、国家戦略特区に今治が名乗りを上げた、ワーキンググループでヒアリングが行われた。そして、平成二十七年の八月に、御担当である内閣府の藤原次長が加計学園岡山理科大学を訪問し、そしてその後、今治市役所を訪れている、こういう八月五日、六日の御出張の日程が藤原次長にあったわけですが、私ども野党がもう二週間以上前から、便宜供与があったのかなかったのかということをずっと聞いてきたんですけれども、そのたびごとに、調査中です、調査中ですとお答えになられていて、きょう、中野先生の御質問で、車両での移動のサービスを受けていたということをさらっと御答弁になられました。

 国家公務員倫理規程に照らして調査中であるというふうに御答弁になられたわけですが、国家公務員倫理教本というものによれば、「無償でサービスの提供(車による送迎など)を受けてはならない。」ということが書いてあります。

 もちろん、「職務として利害関係者を訪問した際に、周辺の交通事情等からみて相当と認められる範囲でその利害関係者から提供される自動車(利害関係者が日常的に利用しているもの)を利用すること」、これはいいよ、オーケーだよと言っているわけですね。しかし、先ほどの御答弁では、日常的に使っている車、いかにも国家公務員倫理規程に照らして許されるのだ的御答弁がなされました。私は、それは看過しがたい答弁であるというふうに思います。岡山から今治まで無償での車の移動の提供を受けることが倫理規程違反に当たる可能性は高いというふうに私は思います。

 そこで、梶山大臣に、梶山先生に。

 今、この件だけを調査しているという御答弁でしたけれども、他に飲食の提供、あるいは他の日にちに飲食あるいはゴルフあるいは物品の贈答等の国家公務員倫理規程に抵触するようなことがあったのかなかったのか。これは、藤原次長に限らず、国家戦略特区担当の職員について、加計学園との関係をきちんと調査をすべきである。その端緒が、今、梶山大臣の御答弁で明らかにされたわけですから。いかがでしょうか。

梶山国務大臣 先ほど、事実関係についてはお答えをいたしました。

 その件につきまして、国家公務員倫理規程や旅費法との関係などについては現在精査中ということでして、この精査の結果、また報告をさせていただきたいと思っております。

 また、委員御指摘のようなことも含めて、この件で、あればということで今お話がありましたので、それを調べさせていただきます。

川内委員 そこで、総理、ちょっと最近、ちまたで非常に笑い話としてはやっている話なんですけれども、部屋の中に一人しか人がいない、その部屋の中に黄な粉餅が一個置いてあって、その黄な粉餅がなくなっていた、その部屋の中にいた彼に、あなた、黄な粉餅食べたでしょう、口の周りに黄な粉がいっぱいついているよと言ったら、絶対食べていない、黄な粉餅、絶対食べていないもんと言って、だけれども黄な粉がついているじゃないか、口の周りにと聞いたら、その彼が、いや、この口の周りについている黄な粉については現在調査中である、こう答えたという笑い話なんですけれども、多くの国民の皆さんは、おかしいねと。世論調査でも、納得していないという人たちが多いわけで、おかしいな、その黄な粉、何なんだよと思っている人が多いわけですね。

 そこで、この前の柳瀬さんの参考人質疑で、いろいろなことを、柳瀬さんは、記録がない、そして三年前のことで記憶も薄れている中で、それこそ総理がおっしゃるように、誠実に御答弁されたのかもしれない。しかし、他方で、愛媛県知事は、うそという言葉まで使って、おっしゃっていることが違うのではないかということもあわせておっしゃっているわけです。これは、両者の言い分がもう決定的に食い違うものが幾つかあるというところでございます。

 柳瀬さんは、この三回の官邸での会合について総理に報告しなかったということに関して、なぜなら、総理と加計孝太郎さんは親友でいらっしゃって、友人でいらっしゃって、報告するまでもないと考えたという趣旨の御答弁もされているんですね。

 そこで、ちょっと総理に事実確認をさせていただきたいんです。事実に基づき丁寧に説明をすると先ほどもおっしゃいました。

 この三回の会合がある、それが一回なのか二回なのか三回なのかは別にして、加計学園関係者並びに愛媛県、今治市等が首相官邸を訪れて柳瀬さんが会合をするよということについては、事前に総理はお知りになっていらっしゃったのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 それは承知しておりませんでした。

川内委員 そうすると、柳瀬さんが国家戦略特区担当であったということをなぜ加計学園の皆さんは知ることができたのだろうかという疑問が出てくるわけでございます。

 二〇一三年の五月のゴールデンウイークに河口湖畔で行われた五月五日のバーベキュー、そして五月六日のゴルフの際に、総理から加計孝太郎理事長や加計学園関係者に柳瀬秘書官を、この柳瀬君は国家戦略特区担当だから、規制改革担当だからというふうに御紹介されたのか、それとも今井秘書官やあるいは安倍昭恵総理夫人が柳瀬秘書官を紹介したのか。とにかく柳瀬さんを誰かが加計学園につながないと、柳瀬さんが国家戦略特区担当だということを知りようがないと思うんですよ。

 その辺の疑問について、総理の御説明をちょっと聞かせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私の自宅でやったバーベキューには、大変多くの、二十名以上だと思いますが、方が来られているわけでありまして、出入り等いろいろあるわけでありますが、秘書官の方々も実は御家族、お子さんたちも連れてきている、大変にぎやかなものでございました。

 いわば仕事のミーティングではございませんから、そこで、基本的に私は一々、いつも私のパーティーのやり方は、紹介しませんから、お互いに楽しくやってくださいということにしているんです。そうしないと、一々紹介しなければいけませんし。ですから、それはないわけでありまして、たまたま隣に座った人同士が仲よくやるという感じでございまして、私のやり方は、常に、私自身は紹介はしないという形でやっています。

 同時に、そういうやり方をしておりますから、私も妻も紹介するということはないんだろうと思いますし、今たまたま、この質問を事前通告いただいていましたから、今井秘書官はどうだったかと聞いたんですが、今井秘書官も紹介はしていない、こういうことでございました。

 それぞれ皆さん、秘書官たちも御家族を連れてきていただいて和やかにやっているということで、そこで仕事の話をするということは、例えば、私がいろいろな政治の世界の話を御紹介するということはありますよ、具体的な仕事ではなくて、こういうおもしろいことがあってねという話はしますが、具体的な仕事の話をするということは全くございませんので。

川内委員 奥様の昭恵夫人は、私が紹介したのよというふうにはおっしゃっていらっしゃいませんでしたか。(発言する者あり)

安倍内閣総理大臣 まあ、事前通告がございましたので。

 基本的に、私の方針を妻も大体知っておりますし、妻の場合は、パーティーのときにはほとんど、バーベキューのときには、いろいろ出たり入ったり、家事的なことをやっておりますので、二十人を超える方々にサービスするのは大変な仕事ですから、それを担っておりますから、そういういとまは恐らくないんだろうとも思いますが、改めて確認をしましたが、そんな記憶はないということでございました。

 しかし、それは、人間の記憶でございますから、絶対かどうかということだと思いますが、基本的に、うちの妻がそもそも柳瀬さんが特区担当の秘書官であることを知りませんから、そもそもどういう秘書官がどういう業務を分担しているかということは知りませんから、それはまず一〇〇%ないと言えるのではないかと思います。

川内委員 あと、これは総理にお聞きするのは大変聞きづらいことなんですけれども、いろいろな報道等では、総理と加計孝太郎さんの関係よりも、総理はお忙しいですから、安倍昭恵さんの方がしょっちゅう孝太郎さんと会っていたのではないか、そしてまた、いろいろなところに一緒に行かれていたのではないかという報道もございます。

 そこで、あくまでも念のための確認なんですけれども、安倍昭恵さん、御夫人が加計孝太郎さんから飲食とかゴルフとか、あるいは旅行に同伴するとか、そういう便宜の供与を受けていたのではないかということについて、事前に御確認くださいということをお願いしておったんですけれども、いかがでございましょうか。

安倍内閣総理大臣 私の妻は国家戦略特区に全くかかわっておりませんから、基本的に、極めてプライベートなことですから、ここでお答えすることではないんだろうと思いますが、基本的に、委員が質問されておりますからあえてお答えいたしますが、うちの妻が加計さんとゴルフをしたという、私抜きにゴルフをしたということはないと思います。でも、つき合いが長いですから、四十年、結婚してからは三十年ぐらいかな、ですから、その間、全部が全部というのはわかりませんが、例えば総理になってからはそういうことはないですね、まず間違いなく。飲食については、これも、それはいずれにせよ、そんな頻繁にということについては、私も、まずないと思います。

 しかも、そもそも、これは全く国家戦略特区にかかわらない話でありますから、お答えする必要はないんだろう、このように思います。

川内委員 総理、済みません、何回もしつこく聞いて申しわけないですが、アメリカへの御旅行等について御一緒に行かれていると、御夫人が加計孝太郎さんらとですね。そのときの費用等についてはいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは基本的に、国家戦略特区にかかわりのない話でありますから、今までプロセス等についてもお話ししましたから、お答えする必要がないと思いますが、基本的には、海外に行く場合はもちろん自費で行っている、それが基本であります。

川内委員 基本的にはということなんですけれども、私がなぜこんなことをお聞きするかというと、閣議決定では安倍昭恵さんは私人ということになっているわけでございますけれども、過去、防衛省の汚職事件があったときに、防衛省事務次官が逮捕、起訴、有罪判決を受けているわけですけれども、その御夫人がみなし公務員として贈収賄の対象になっているという事例がございましたので、念のためにお聞きをしたというところでございまして、お許しをいただきたいというふうに思います。

 さらに、先週、五月十日の本予算委員会の参考人質疑で、柳瀬元総理秘書官の答弁、この答弁は、中村愛媛県知事は、真実ではない、極論を言えばうそであると、先ほども申し上げましたけれども、反論をされていらっしゃいます。私どもからすれば疑惑が深まる答弁であったということになるわけですけれども、それでも柳瀬答弁で明らかになったことは、平成二十七年の、二〇一五年の四月二日であろう日に、首相官邸で、柳瀬当時の総理秘書官と加計学園、愛媛県、今治市との国家戦略特区、獣医学部新設に向けた会合があったという事実は認めたわけであります。

 しかし、柳瀬参考人というのは、参考人ですから、政府を代表する立場での参考人ではないということで、政府としてはまだこの四月二日の首相官邸での会合の事実を公式には認めておらないわけでございます、事実としてですね。

 この四月二日の官邸での会合を、安倍総理大臣の部下、秘書官が開いた会合でございますから、総理しかこれを事実認定する人はいないんですけれども、ぜひ、この四月二日の首相官邸での会合を、その会合はあったというふうに事実認定をしていただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 事実認定ということでございますが、では、事実認定は何をもって事実認定できるかということであります。

 私に事実認定しろということでありますが、私が事実認定するということにおいては入邸記録等に当たるしかないんですが、入邸記録については、御指摘を受けて調査を行ったところでありますが、これまで申し上げてきたとおり、記録を確認することはできていないということでございます。

 その上で、先般の参考人質疑において柳瀬元秘書官は加計学園関係者との面会について、四月ごろとした上で、その後の報道などを踏まえれば恐らくこれが四月二日だったのではないかと思うとの答弁を行っていると承知をしております。

 柳瀬元秘書官の個別の面会の事実関係について、私はこれ以上のコメントのしようがないわけでありまして、柳瀬秘書官自体がもう既に今申し上げたような形で述べているということでありまして、それを承知しているということでございます。

川内委員 総理、そうすると、総理秘書官が首相官邸で開いた会合というのは一体何の会合だったのか。公務員が、しかも総理秘書官という立場にある方が、関係の加計学園それから自治体を呼んで、官邸に呼んで会合をしているというのが、政府として事実として認めていただけないということであれば、これは一体どういう会合だったんですかということになるわけです。

 愛媛県文書や、あるいは文部科学省から発見されたメールでは、四月二日午後三時からという予定が書いてあり、愛媛県文書では、四月二日午後三時という日時が確定しているわけですね。

 総理の当時部下であられた方が開かれた会合ですから、これは総理しか事実認定していただける方はいないんですよ。まず、この会合が事実であったかどうかというのを事実認定していただいた上で、じゃ、どういう会合だったのかという、それこそ先ほど総理がおっしゃられた、事実に基づいて事態を分析していこうねということにつながるわけで、これは総理、その二十七年の四月二日午後三時から柳瀬さんは会合をしたということをお認めください。

安倍内閣総理大臣 これは、まずちょっと事実関係を言いますと、柳瀬さんが集めた会合ではなくて、アポが入ってお受けした、そういう趣旨の会合であったと柳瀬さんは述べて、ですから、柳瀬さんが何か大事な会合を開くので招集したとかそういうことでは全くないわけでありまして、アポが入って会ったということなんだろうと思います。

 ですから、例えば、そこで重大な判断をする会合を柳瀬さんが関係者を呼んで開いたということではなくて、ちょっと話を聞いてくださいねということで話を聞いた、そういうレベルの会合であったということであります。

 その事実認定というのは、私はその事実を否定しているわけではありませんし、柳瀬さんが、これは柳瀬さんしか、私が開いているのではないですから、私が、やったかやらないかということをお答えできなくて、これに答えられるのは柳瀬さんだけでありますが、柳瀬さんの発言では、その後の報道などを踏まえれば恐らくこれが四月の二日だったのではないかと思うと答えられたと承知をしております。

川内委員 安倍総理大臣は今、別にそんな重大な会合ではなかったのだ、こうおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、しかし、国民的には、この平成二十七年の四月二日の会合というのは実は重大な会合だったのではないか、なぜなら、愛媛県文書には首相案件という言葉が出てきている。

 政府的には、その首相案件という言葉は、国家戦略特区一般の、ごくごく一般的な議論なんだよということを御説明されていらっしゃるわけですけれども、しかし、その首相案件という言葉は実は重大な意味を持つのではないかということも、国民の皆さんから疑問を持たれている。だから、その四月二日の会合で何が話し合われたのかということについて、政府としてしっかり説明をしなければならないのではないかというふうに思います。

 そこには、文部科学省、農林水産省から当時出向していた内閣官房内閣参事官も、これは柳瀬さんが呼んだというふうに参考人質疑でおっしゃっていらっしゃいます、呼んで同席をさせたとおっしゃっていらっしゃいます。

 文部科学省、それから農水省に確認をさせていただきますけれども、内閣官房内閣参事官がその会合に同席していたという事実をお認めになられますか。

林国務大臣 五月十日の参考人質疑等を踏まえ、内閣官房の指示を受けて、当時文部科学省から内閣官房に出向していた職員に確認を行いました。

 その結果、平成二十七年四月二日とされる面会につきまして、明確な記憶がないが、柳瀬参考人の答弁の内容を踏まえれば、同席していたのではないかと思うとの回答だったというふうに聞いております。

 文部科学省としては、四月二日とされる面会の官邸側からの事前連絡の有無等について、関係者からの聞き取りと文書の存否の確認を行うとともに、今般、改めて当時の出向職員にこの面会への同席について確認を行ったところでございます。

齋藤国務大臣 農林水産省から内閣官房に内閣参事官として出向をしていた職員が平成二十七年四月二日の会合に同席していたかなどにつきまして、農林水産省で調査をするようにとの内閣官房からの指示がありましたので、それを受けて、当時内閣官房に内閣参事官として出向した職員に直接確認をいたしました。

 その結果、二日かどうかは、もう三年前の話なので記憶は定かではないんですが、この四月の官邸での会合につきましては、当時、求めに応じて自分も同席したと記憶しているということをそのヒアリングで確認をさせていただきました。

川内委員 総理、済みません、もうちょっと御辛抱ください。

 文科省、農水省からの出向している内閣官房内閣参事官も、その会合には同席していたと思われると言っているわけですね、記憶していると。

 そうすると、この件について大事なのは、内閣官房からの御指示があり調査した、そして、出席したと思うというふうに御答弁されていらっしゃるわけです。要するに、総理がこの平成二十七年の四月二日の会合をお認めいただかないと、前に進まないんですよ。

 だから、特に、文部科学省から出向している内閣官房内閣参事官は、獣医学部の新設という問題に関しては本省との連絡調整を期待される役目を担っているわけですね。したがって、この会合の後、恐らく報告を上げていたのではないかと思われるんですよ、本省に対して、文部科学省に対して。

 文部科学省の現段階での調査は、報告を受けたことがある、または記録を見たことがあると答えた者のメールなどをチェックしているんですね。要するに、三年前のことですから、みんな、よく覚えていませんわという場合が多いわけですよね。記録を見たことがある、報告を受けたことがある、そういう人だけを調査しているわけです。

 そうすると、悉皆的にきちっと調査をして、この四月二日のことについて政府として事実を確定させる必要があるというふうに総理としてお思いになりませんか。

安倍内閣総理大臣 まず、事実を、本当に真相を究明しようということであれば、事実をちゃんと確認していく必要があると思いますよ。

 そういう意味でいえば、平成二十六年の九月九日の段階で、民間有識者が改革優先項目として獣医学部の新設を提案しているわけでございます。そして、いわばその段階で、会議の方向として、これは優先するということになったわけでございます、私が議長をしているですね。

 その過程の中においてどういうことが行われていたかということでございますが、民間議員の皆さんは、いわばこの柳瀬さんから、こういうことがあったからよろしく頼むということは一切ないし、私のもちろん指示を受けた人は一人もいないということはもう既に明らかになっているとおりでございますが、この会合自体が、まず、この会合は恐らくあったんだろう、こういうことで皆さん話しておられるわけでありまして、私もそういうふうに聞いて承知をしているというか、そのやりとりを見ておりますから。しかし、そのやりとりについては、これは影響していなかったということは民間議員の皆さんは既に明らかにしているわけでございまして、ここで何が働く、これが影響しているかということでは全くないということであります。

 同時に、この四月の二日、別に私が積極的に否定しようという気持ちは全くないですし、ただ、私が確定のしようがないということでありまして、今、記憶でこれはたどっていくしかないということをおっしゃったとおりでありますが、参事官の方も、四月の官邸での面談について、同席したと思うということで、明確な日付については記憶はなかったということでありまして、柳瀬秘書官も、さきの、先日の参考人質疑で四月ごろと言っており、それ以上に私から確定的なコメントのしようがないわけでございまして、先般も柳瀬秘書官も、記憶をたどりながら、正確に、なるべく正確に答えようと、その前後で別の形で加計学園関係者と会っておられますから、それは多少の混同というのは起こるかもしれませんが、その中で正確に答えようと誠実に答えられたんだろうと思います。

 それ以上のことは、今までやってきた調査の中で全てそれが明らかになっているということしか私には申し上げられないということでございます。

川内委員 総理、わかりました。

 それでは、文科省、農水省の調査にはまだ不十分な点があるんですね。要するに、覚えているよという人のメール、個人ファイルとか個人フォルダしかチェックしていないわけです。だから、全ての人のフォルダとか記録を確認する必要があるんだろうというふうに思うんです、そこで。やはり記憶より記録ですから。

 だから、安倍総理大臣が文科省、農水省に対して、もう一回よく調査せよと。なぜなら、出席していた内閣官房内閣参事官は本省に報告のメールを送っているだろう、報告を書いているだろうということが想定されるわけです。だから、総理が、自分は事実を確定させることはできないと今おっしゃいましたから、まず、政府として事実を確定させるために、もう一度、農水省、文科省に調査せよという御指示を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 ちょっと誤解があると思いますが、私はこれを否定しているわけではなくて、例えば私の心証を申し上げることはできますよ。心証としては、恐らくそうだったんだろうと思います。ただ、私に総理大臣として認定しろという限りは、確たる証拠がなければ申し上げられませんから、それは申し上げることはできませんが、恐らくそうであろう、そういう心証のもとに今までも答弁をさせていただいておりますし、この委員会は進んできたものと承知をしておりますから、これ以上の調査というのは余り意味はないのではないか。

 いわば、参事官お二人が既にそうお答えしておられて、それが全てなんだろう、このように思いまして、そもそもこの会合が全く影響を与えていないということは、これは座長を含め民間議員の皆さんがおっしゃっているとおりだろう、このように思います。

川内委員 いや、総理、政府の御主張として、この会合が重要な会合ではなかったのだという御主張は私ども御主張として承りますが、他方で、じゃ、客観的な記録等について、あるんですかと聞くと、ありませんということになってしまっているというのが本件の一番の大きな問題で、手がかりとして、総理、心証としては四月二日に行われたのであろうというふうに自分も思うよということなんですが、これは、政府の最高の責任者として、総理しかこの事実を確定させる人が、ほかにいないんですよ、確定させていく人が。

 その上で、自分は事実かどうかは客観的なものがないので言いようがないんだとおっしゃるので、だったら、農水省、文科省にもう一度、調査できていない部分があるのであればちゃんと調査せよということを、さっきも内閣官房からの御指示により調査したとおっしゃったわけですから、もう一度、ちゃんと調査せよ、悉皆的な調査をせよと、そうすると記録が出てくるんじゃないかと思うんですよ。

 それを総理しか言えないんですよ。この間、文科省、農水省にどれだけ頼んでも、やってくれないんですよ。総理しか調査せよと言う人はいないんですから。お願いします。

安倍内閣総理大臣 これが、しかし、確定しなければ、確定したことによってどうなるのかということでございますが、そもそも、これについては、このいわば面会が全く影響を与えていないということは、八田座長始め皆さんが明確にあのときも参考人でおっしゃって、皆さんは……(発言する者あり)

河村委員長 静粛にお願いします。

安倍内閣総理大臣 ちょっと済みません、ちょっと。

河村委員長 総理答弁中ですから、静粛にしてください。

安倍内閣総理大臣 八田座長に皆さんは質問されなかったのでありますが、与党の質問に対しては、八田座長は、まさに民間議員として、一切、このプロセスには一点の曇りもないし、働きかけもなかった、柳瀬さんを含め働きかけはなかったということを明確に発言をしているわけでございます。

 そして、そもそも、行政がゆがめられた、こういうふうに言われておりましたが、今度の獣医学部自体については二十倍近い倍率になっているわけであります。多くの学校が定員割れする中において、むしろそういう多くの学生の希望の道を閉じていたということは、行政がゆがめられてきたんだろう、ゆがめられた行政を正したんだろう、私はそう思うわけでございます。そういう中において、いわば八田座長も、一点の曇りもなかった、こう申し上げているわけであります。

 この四月の二日の会合をなかったということを申し上げているわけではなくて、あったんだろう、私もそういうふうに思います。ただ、それを明確に示すものがなかったということでありますし、農水省とそして文科省に対しても指示をして、先ほどもう既にお答えをさせていただいているということではないかと思います。

川内委員 もう何回もしつこく申し上げて本当に申しわけないという思いを持ちながら再度申し上げるわけでございますが、農水省、文科省の調査には、不十分な部分、調査していない部分があるんですね。

 だからこそ、総理も、うみを出し切る、こうおっしゃっていらっしゃるので、この四月二日の会合が、愛媛県、今治市は、公務として公務員が会合しているわけですから、ちゃんと報告をつくって、愛媛県文書なり今治の出張報告書というのはあるわけですね。国家公務員側だけが記録もつくっていませんって、そんなことあり得ないと思うんです。多分、みんな、忘れているけれども、ちゃんと報告を上げていると思うんですよ。それを、農水省、文科省に、もう一回ちゃんと調査してね、調査してごらんということをもう一回言ってくださいと、それだけのことなんですよ。

 何でなんですか、総理。それを言ってくださいよ。お願いしますよ。

安倍内閣総理大臣 これは、当該面談のやりとりについてはメモ類を一切作成していないと農林水産省が既に調査結果を出しておりますし、文部科学省自体も、明確な機会はないが、同席したのではないかと思うということであり、三年前の話であり明確に覚えていないということであり、面会の内容に関するメモ等はつくっていないと思うし、残ってもいない、こう答えているわけでありまして、そういう調査は今までしているということを申し上げているところでございます。

河村委員長 時間が来ております。

川内委員 はい。

 終わりますが、総理、うみを出し切ると総理がおっしゃられたんですから、うみを出し切る方向できちんと御行動をいただけますようにお願いして、終わらせていただきたいと思います。

河村委員長 これにて本多君、川内君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。

 我々は、五月七日に、リベラルから穏健保守までを包摂する政党として新たに立党いたしました。対決だけではなくて解決を重視する政党として、我が国の諸課題についての解決策を具体的に、建設的に提案をしていきたいと思います。きょうも、幾つかそうした提案をちりばめながら質問をさせていただきたいと思います。

 外交を中心にきょうは質問したいと思いますが、まず冒頭、やはり加計学園の問題についても質問したいと思います。

 そのことに当たっても、一つ提案があります。

 真相を解明すること、そのことによって国政を正常化していくこと、このことは与野党共通の私は目指すところだと思います。しかし、きょう私が要求をした中村愛媛県知事の証人喚問、参考人については、残念ながら、与党の皆さんの反対で実現することができませんでした。

 今の国会のルールでは、多数決で、誰を呼ぶのか、どなたにお話を伺うのかを聞くルールになっています。しかし、私たちが求めるのは、立法府として真実を解明し、よって国民の負託に応えていくことだと思います。

 ですから、なぜ、前の知事の加戸知事は呼び、一番の当事者であり、そして柳瀬元秘書官の答弁とのそごが指摘をされる、その発言をしていた中村現愛媛県知事を呼んでいただけないのか。このことが実は、事の解決を長引かせ、真相究明を困難なものにしているんだと思います。

 そこで、総理に提案をいたします。

 これまでの国会のルールでは、多数の与党を中心とした全会一致で参考人に誰を呼ぶのかというのがこれまでの国会のルールだったかもしれません。しかし、これからの新しい時代を見据えて我々がやるべき真の国会改革とは、真相を究明し、国民に情報を公開し、真実を明らかにする、そんな立法府を与野党を超えてつくり上げていくことではないでしょうか。

 その意味では、自民党総裁たる安倍総理に提案をいたします。

 今回の加計学園の問題を解決する一番の近道は、中村愛媛県知事にこの国会の場にお越しをいただき、そして、二〇一五年四月二日、あの場に同席をしていた柳瀬元総理秘書官、そして今治市の関係者、また文科省や農水省、関係者の皆さんに一堂にそろっていただいて、うそをつけば罰せられる証人喚問でお話しいただくのが一番の問題解決につながると思います。

 あとは、自民党総裁たる、そして内閣総理大臣たる安倍総理の決断だけです。今私が提案を申し上げた関係者の証人喚問、とりわけ、呼ばれれば国会に来るとおっしゃっておられる中村愛媛県知事の国会への招致を、安倍自民党総裁から与党の予算委員会の理事の皆さん、そして国対委員長の皆さんに指示していただきたいと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 国会の、招致をする、あるいは参考人として呼ぶ、ましてや証人喚問ということは、長い慣例があるわけでございまして、その中で全会一致ということになっているわけであります。

 与党は多数を持っておりますから、最初に玉木委員がおっしゃったように、多数決であれば、与党が呼びたい人をどんどん証人喚問で呼べるということになってしまうわけでありますが、それはしませんよということになっているわけでございます。人権もあるでしょうし、与党、いわば過半数以上を持っている政党が横暴なことで民間人をどんどん呼ぶことはできないようにしているんだろうと私は承知をしております。

 いずれにせよ、国会において、いわば参考人であれ、あるいは重たい証人喚問であれ、誰を呼ぶかということは、まさに国会の権威の中において国会がお決めになることでありまして、私が今この場に立っているのは内閣総理大臣として立っているわけでございまして、総理大臣が院の決定について、決定的なことを言うということは厳に控えなければならない、このように思っております。

玉木委員 それが古い国会なんですよ。

 真の国会改革とは、いや、総理、人権のこととかをおっしゃいます。都合のいいときは人権を出すんですが、籠池氏を呼んだときは総理の指示で呼ばれたのではなかったんでしょうか。そういう話も聞いております。

 かつ、中村知事に関して言えば、御本人は、必要があれば国会に職員にかわって出るということも、そういう趣旨もおっしゃっておられるわけですから、都合のいいところだけ逃げるようなこういうあり方を改めていかないと、この貴重な国会の時間が、解明が進まないまま時間だけが過ぎていく。

 こういう国会改革を、総理、やろうじゃありませんか。なぜやらないんですかね。

 では、総理に伺います。

 うみを出し切ると、これは先月、大阪でもおっしゃっていました。国民の行政への信頼が揺らいでいる、徹底的に調査し、うみを出し切ると述べました。ただ、この週末の世論調査では、七割、調査によっては八割の国民が柳瀬秘書官の説明に納得できないと答えています。

 これは総理の認識を伺います。そもそも、うみは出し切ったという認識ですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど委員の御質問の中で、私が籠池さんの証人を指示したということは一切ございませんから、これは国会中継されている中での発言でありますから、慎重を期していただきたい。重要なことでありますからはっきりと申し上げておきたい、このように申し上げます。これはまさに院において御決定をいただいたわけでございますし、御本人もそう要望していたというふうに承知をしております。

 そこで、まさに、これからしっかりと我々は、現在で出し切ったというふうには考えておりませんが、いわばうみを出し切り、組織を立て直していくことで私の責任を果たしていきたい、このように考えております。

玉木委員 現在では出し切っていないということですね。では、総理、どうやって出すんですか。

 中村知事がこういうふうにおっしゃっていますね。この柳瀬元秘書官の参考人招致を受けて、強烈に言えばうそ、うそというのは、時に他人、第三者をその世界に引きずり込むことになるというふうにおっしゃっています。引きずり込んでいますよね、総理。

 柳瀬元秘書官、私も個人的にもよく存じ上げていますが、地方自治体の知事からうそつき呼ばわりされるような人では本来ありません。柳瀬さん、勝手にうそをついたんですかね。

 あるいは、地方自治体の皆さん、しっかりメモもとったはずですが、どうも、そのプライドを傷つけられる、そのことに対して非常に傷ついているというような話も伝わってきています。

 そして、森友学園の問題も考えますと、佐川局長も勝手にうそをついたり、勝手に決裁文書の改ざんをしたんですかね。また、地方支分部局である近畿財務局の職員の方、勝手にみずから命を絶ったんですかね。

 違うと思いますよ。あるうそが、ある言動が多くの人を、まさに中村知事の言葉をかりれば引きずり込んでいっている事態について、総理はどうお考えなんでしょうか。

 この根っこにあるのは、加計学園についても、去年の一月二十日まで全く知らなかったという総理の答弁につじつまを合わせるために、さまざまな優秀な秘書官を始めとした官僚の皆さんが悪知恵をめぐらせているんじゃないんですか。本来もっと日本の天下国家のことに使うべき頭をそんなことに使っているんじゃないんですか。

 さまざまな人を巻き込んでさまざまな不幸を生み出しているこの現状について、総理はどのように責任を感じているのか、そしてこの事態をどのように解消するのか、内閣総理大臣としてのお考えを聞かせてください。

安倍内閣総理大臣 確かに、行政全般にわたって行政府の長である私に最終的な責任がありますから、全ては私の責任であります。現在の状況について深く責任を感じているところでございます。

 しかし、今、玉木委員が言われたように、全て私の指示で行っているかのごとく言われるのは、これは承服しがたいわけでありまして、そうおっしゃるのであれば、いつどこで私がそれぞれの方々に指示をしたかということを明確に示していただきたいと思います。私が指示を行って決裁文書の改ざんを行ったのかということについて示していただかなければならないわけでありますし、では、いつどこで私が民間議員に指示をしたのか、そういう決定をしたのかということについて、それは示していただかなければいけないわけでありまして、そういうことなしに、いわばそういう形で議論をされるということについては承服できないということは申し上げておきたいと……(発言する者あり)済みません、委員長、ちょっと、与党側も聞こえないという意見が出ておりますので。

河村委員長 再三申し上げておりますが、総理答弁中です。御静粛にしてください。

安倍内閣総理大臣 そこで、大切なことは、やはりしっかりと真実を見きわめていくことなんだろう、このように思います。

 うみを出し切るということで、まだうみを出し切っていないということを申し上げたのは、加計学園については、もうこれは今の結果が明らかになっているわけでありますから、果たして行政がゆがめられていたのか、あるいは、加戸前知事がおっしゃったように、ゆがめられた行政が正されたのかということにおいては、二十倍近い、学生、倍率になっているわけでありますから、多くの……(発言する者あり)今、関係ないという言葉がありましたが、そういう関係ないという言葉自体が私は問題なんだろう、このように思います。こういう若い人たちの希望をいわば塞いで、認可するかどうかということ自体を門前払いをしていたという行政のあり方自体をまさにこれは正したわけであります。

 その中において、八田座長もおっしゃっていましたが、その裏にはやはり業界団体もあって、その中で、その業界団体の意向に従う政治家がいたのも事実であったということを八田座長はおっしゃっていたわけであります。そういう状況の中で我々は改革を行い、今、結果がその正しさを示しているんだろう、こう思うわけでございます。

 そして、同時に、柳瀬元秘書官についてでありますが、うそということでは私は全くないんだと思います。例えば、名刺交換についても、名刺交換をしたかもしれませんが、あと、私はなるべく名刺を渡すようにしていますということも述べていたと思います。ですから、彼は名刺を渡していないということなんかは全く言っていないわけでございます。ただ、今治市あるいは愛媛県については記憶の限りは会っていないのではないかということは言われていたのでございますが、しかし、加計学園関係者とは会っていないということは今までも証言をしたことがないわけでありまして、先般、その三年前の記憶をひもときながら正直に話をされていたということではないか、このように思います。

 それと、愛媛県側の方々も、それは誠心誠意仕事をされてメモをとっておられるんだろう、このように思います。これは、さまざまなメモ、文書で起こったことでありますが、発言については、議事録として、お互いに括弧書きのところは確認をし合いながら残していくということで、言った言わないということにはならないわけでありますし、やはり、言葉の印象というのはそれぞれ受け取り方も違うことも起こり得るんだろう、それぞれ誠実に記録をとろう、記憶をたどろうとしているんだろう、こう思う次第でございます。

 いずれにせよ、こうしたことが二度と起こらないように、私は総理大臣としての責任を果たしていきたい、こう考えているところでございます。

玉木委員 いや、総理、そういう態度がだめなんじゃないんですかね。同じことをもう何度もやらせてもらいました。ただ、早くこの事態を収拾する責任は安倍総理にあるんですよ。きちんとやはり事実を話していくこと。

 我々も、論点を巧みにごまかしておられますが、規制改革は賛成です。長年、旧民主党政権もそれを格上げして進めてきた経緯もありますよ。ただ、問題にしているのは、岩盤に穴をあけることではなくて、あいた穴に総理のお友達しか通れないんじゃないかということが問題になっているんですよ。事業者認定の問題です。

 今、巧みに、五十年間獣医学部ができなかったことが問題だと。それは進めればいいんですよ。実際に、そういった定員の募集があったことも事実でしょう。それは、じゃ、加計学園じゃなければその人数は集まらなかったかということは客観的に問わなければいけない。

 我々が問題にしているのは、実際にテストが始まる前に答案を見せてもらっていたんじゃないかとか、あるいは出題の傾向がこうではないかということが、加計学園という一事業者には特別にそれが認められ、許されていたのではないかということを問うているわけであります。ですから、何か我々が規制改革に反対してけしからぬというような印象操作はやめていただきたい。

 いずれにしても、このようなことを、総理、本当にどうやって解消するつもりですか。これは政府・与党側にしかできないですよ。我々野党がこうして質問することが悪いんですかね。きちっと、しっかりと真実を明らかにしていく責任は、これは紛れもなく総理側にあるわけでありまして、そのことが進まないから、いつまでたってもこういうことが続いているんじゃないんですか。

 改めて、一番の当事者である加計理事長の証人喚問を求めたいと思います。

 最大の当事者である加計理事長がまだ一言も公式の場で物を発していないこと、説明していないことがこうした問題を長引かせている一つの大きな原因だと思いますので、委員長、加計理事長の証人喚問を改めて求めたいと思います。

河村委員長 理事会において協議をさせていただきます。

玉木委員 総理、最後にこの加計学園について一点だけお伺いしますけれども、総理はもともと、平成十九年の構造改革特区のときには、加計学園が事業者として獣医学部をつくりたいということは認識をし、知り得る立場にもあり、そして承知をしていたというのを昨年の六月の答弁でおっしゃっています。

 しかし、それを後に答弁を修正されました。知り得る立場にあったんだけれども、知ったのはあくまで去年の一月二十日。本当ですか。

安倍内閣総理大臣 先ほどおっしゃっていた、友達の学校だけを通したということは、これは間違いです。

 そもそも、構造改革特区のときには、今治市で加計学園しかなかったのは事実じゃないですか。十数年、いわば岩盤に穴をあけようとずっとやってきたところと……(発言する者あり)京産大というのはまさに最近であり……(玉木委員「ちょっと待って。じゃ、構造改革特区のときは事業者が一者だけだと知っていたわけですね」と呼ぶ)いや、ちょっと待ってください、今答弁中だから。今、その前提について私は申し上げて、今の段階でのこと、今の段階での事実を申し上げているわけでありますから。重要な答弁です。ですから、静かに聞いてください、重要な答弁ですから。

 つまり、この十数年間ずっと、いわば岩盤規制に穴をあけようとしてきたのは加計学園であったわけでありますから、それに対して、いわば熟度が高いということに……(発言する者あり)知っていたかどうかはこれからお答えをしますから。今、知っていたかどうかについてはこれをお答えします。今、私は、現在の知識で申し上げているんですから……(発言する者あり)ちょっと済みません、少し注意いただけますか。

河村委員長 御静粛に願います。(発言する者あり)

安倍内閣総理大臣 そのとおりだと思いますが。

 そこで、ずっと、お友達しか通さなかったんじゃないかということをおっしゃったから、そうではないということをまず申し上げる必要があると思って今申し上げているんですが。いわば、これは私がいつ知ったか知らないかではなくて、今事実を申し上げているんですが、これはずっと構造改革特区のときから岩盤規制に穴をあけようとしてきたのは事実であります。安倍政権になってからも、構造改革特区については安倍政権では四回却下をしているわけであります。

 そこで、前川前次官ですら、京産大は既に出していたんですが、そのことはまだ準備が十分ではないという認識の上に、熟度が十分でないという認識の上に、加計学園しかなかったということをおっしゃっていたわけであります。十数年ずっとやってきたところとそうでないところに差が出てくるというのは当然なんだろうということも、民間議員の方もおっしゃっているということでございます。これは私が申し上げていることではなくて、民間議員の方々がそういう観点から最終的に判断をされた。京産大の方も、その結果については特段の不満はないということはおっしゃっていた。京産大の方も、それは……(発言する者あり)済みません、ちょっと静かにさせていただけますか。

河村委員長 総理答弁中です。御静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 それは京産大が記者会見をされたわけでありまして、そのことを紹介しているわけであります。事実を申し上げているわけでございます。

 そこで、いつ知ったかということをお答えさせていただきますと、これについては、まず、大前提として、獣医学部新設の提案者は、構造改革特区でも、その後の国家戦略特区でも、自治体である今治市であり、これは加計学園ではありません。

 今治市からの提案は、平成十九年の福田政権のとき以来、構造改革特区として申請が行われてまいりました。安倍内閣になってからも四度にわたって申請がありましたが、そのときの今治市からの提案に加計学園との記載はないわけであります。

 なお、その提案に対する対応方針は私が本部長を務める構造改革特区本部で決定しており、今治市からの提案については私は知り得る立場にあったわけでありますが、しかし、数十件ある案件の一つにすぎなかったわけでありまして、しかも、結果も四度とも提案を事実上認めないものだったので、実際には今治市の提案について全く認識はしておりませんでした。

 その後、国家戦略特区制度が誕生し、平成二十七年十一月から、私が議長を務める国家戦略特区諮問会議において今治市の特区指定に向けた議論が進む中で、私は今治市が獣医学部新設を提案していることを知ったところであります。

 しかし、その時点においても、また、その後のプロセスにおいても、事業主体が誰かという点について提案者である今治市から説明はなく、加計学園の計画は承知をしていなかったところであります。最終的に、昨年一月に事業者の公募が行われ、一月二十日に諮問会議で認定することになりますが、その際、私は初めて加計学園の計画について承知をしたところでございます。

玉木委員 長々とまた答弁されましたけれども、一番冒頭に重要な発言がありました。

 構造改革特区のときは加計学園しか事業者がいなかったので、加計学園がかなり早い段階からやるのは当然だという発言がありましたね。つまり、構造改革特区のときには、加計学園が少なくとも構造改革特区で獣医学部をつくりたいということは総理は御存じだったことを今発言されたんじゃないですか。昨年の一月二十日に初めて獣医学部を特区でつくりたい、知ったというのは、これは総理、やはりどう考えても不自然でしょう。

 ここは更にしっかり詰めていきたいと思いますが、事業者の認定について問題にしているんです。

 これはまさに、よく石破四条件と言われますが、既存の大学ではできないという要件がありましたね。しかし、これは一度聞いたんですが、では、既存の大学に問合せをしたかというと、誰も、一人もやっていないんですよ。では、そのことによって、何で、既存の大学でできない教育内容だということは、一体誰がどこで確認するんですか。誰も確認していないんですよ。

 加えて、二〇一五年の四月二日に会って、またその次の月にも、合計三回会ったのは、三回目が二〇一五年の五月ですが、その六月に愛媛県、今治市は提案を提出するんです、六月四日に。するんだけれども、この提案を提出する前の日に、実は、今治市に対するヒアリングの日が決定しているんですよ。前後関係、逆じゃないですか。まだ今治市が提案も提出していないのに、提出したのは六月四日ですよ、二〇一五年。なのに、ヒアリング、実はヒアリングは六月五日に行われるんですけれども、提出した次にヒアリングが行われるんですが、ヒアリングの日が決定したのが、実は今治市が提出をする前の日の六月三日なんですよ。

 事ほどさように、全部加計ありきなんだということが物証で、総理、これは裁判なら負けますよ、いっぱい証拠があるんだから。こういうことに対して、誠実に一つ一つ、そして関係者を呼んでやらないから、いつまでたっても真実が明らかにならないんです。

 改めて、加計理事長、そして愛媛県知事を始め関係者の国会招致を求めたいと思います。委員長、取り計らい、よろしくお願いします。

河村委員長 後日、理事会において協議をさせていただきます。

玉木委員 そして、もう一つ、公文書管理について一つ提案申し上げます。

 私、こういうことをきちんとやっていれば……(安倍内閣総理大臣「トイレにちょっと行っていいですか」と呼ぶ)トイレ、では、ちょっととめてください。

河村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 玉木君。

玉木委員 総理、よろしいですか。

 今いろいろやりとりをしたんですが、こういうことが起こるのは、やはり公文書でしっかり物事を残すということが日本は非常に弱いことがさまざまな不幸を招いているのではないかと思います。

 例えば、きょうも、今総理から答弁がありましたが、官邸の入館記録が全く残っていないなんというのは、先進国のセキュリティーが非常に高いところであり得るのかということが……(発言する者あり)いや、本当は、私、残っていると思いますよ、それは。ただ、ないとおっしゃる。

 そこで、これは、我々、希望の党時代に少し提案をして、後藤祐一衆議院議員が中心となって、各党にも呼びかけて、我々の公文書改ざん防止法ということでまとめた法案であります。総理、これを提案するので、丸のみでも構いませんから、こういう方向でぜひ法改正をやりましょうよ。

 一つ、まず申し上げます。

 今、報道ベースですけれども、今回の佐川さんのことについても、決裁文書の改ざんをしても、どうも大阪地検特捜部は刑事訴追を見送るというような話も出ていますね。多分、現行法では確かに難しいところがある。なので、改ざん防止は、明確に法律で罰則をやはり設けるべきだと思います。これがまず一点。

 それと、これは総理も提案していますが、電子決裁を義務化する。ただ、実は今、近畿財務局も含めて地方支分部局で財務省は、麻生大臣、聞いてほしいんですが、もう九四%、五%以上電子決裁になっています。今回出てきた文書の中の一番大事なのは、実は電子決裁でした。でも、それでもなお今回のようなことが起こる。だから、義務化するだけではだめなので、あわせて罰則を設けるということが大事だと思います。

 もう一つは、三番目に書いていますが、独立公文書監視官、これをやはり独立の一つの役職として置いて、公文書の作成、管理、保存についてきちんと責任を果たす人を置くべきだと思います。

 こういったことをしっかりと法律に明記する、そして、公益通報者の保護もしっかりやっていく、こういうことを我々野党でまとめて出しますから、ぜひ与党にも御協力いただきたいし、政府としてもぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 もう一つ、これは法律に書くか運用であるかは別なんですが、非常に大事なことを一つ紹介します。

 アメリカであるキャップストーンアプローチというアプローチなんですが、ヒラリー・クリントンさんが大統領選挙のときに、私的なメールで仕事の話をしたということが実は非常に批判をされて、それが大統領選挙で負ける一つの原因になったとも言われていますね。

 これは何かというと、キャップストーンというのは、ピラミッドの一番上にかぶせる、トップの人をあらわす言葉なんですが、ある一定の官職以上の方々については自動的に、仕事で使ったメールの送受信記録は保存するというルールなんです。これがあれば、しっかりとメールのやりとりが保存されますから、今回も、いろいろなことが行われたときに、それを見ればしっかりと何が行われたということがわかります。

 ただ、今の日本では、メールはそもそも行政文書なのかどうなのか、こんなことから議論をしているんですよ。

 そういうことをなくすためにも、この米国で今導入されているキャップストーンアプローチのようなメールの合理的な管理、保存のあり方について、これを日本政府でもぜひ取り入れるべきだと思います。

 総理に伺います。

 今提案申し上げたような公文書の改ざん防止法、そして、アメリカのキャップストーンアプローチのような電子メールの管理、保存のあり方についての新しいルール、こういったことをぜひ導入すべきだと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 このたびの公文書をめぐる問題によって、国民の皆様の行政に対する信頼を損なう事態となっており、行政の長としては、その責任を痛感しております。一度失われた信頼を取り戻すことは至難ではありますが、私のリーダーシップのもと、関係閣僚が先頭に立って、一からやり直すつもりで信頼回復に全力で取り組んでいく考えであります。

 これまでにとった措置としては、そのために最も大切なことは、一人一人の政府職員が原点に立ち返り、公文書は国民が共有する知的資源であること、公文書を扱う者の立場は極めて重いことを改めて肝に銘じること、その意識改革を徹底的に推し進めるとともに、新ガイドラインによるルールの徹底や電子決裁システムへの移行の加速に取り組んでいるところでございまして、今後、現在行われている事実関係の調査、解明を踏まえて、更に問題点を洗い出し、その上で、再発防止のため組織、制度の見直しの必要があれば、そのための法改正も含め、公文書管理のあり方について、政府を挙げての見直しを行ってまいりたいと考えております。

 御指摘の改正法案については、国会に提出された後に、その取扱いも含めて、国会において御議論いただくべきものと考えております。

玉木委員 提案をどんどん積極的にしますから、いいものはいいということで受け取ってください。もちろん、国会は多数決で物事を決めていくのが基本的なルールですが、ただ、いいものはいいということで、懐深くしっかり受けとめていただければ、与野党あるいは政府と我々との実のある国会審議ができると思いますので、こういうところから、総理、改革していきましょうよ。ぜひお願いします。

 外交問題について少し伺います。

 拉致、核、ミサイルの三点セット、包括的な解決が非常に大事だということは、そのとおりであります。ぜひ、CVID、総理もおっしゃった、完全かつ検証可能で不可逆的な破棄はぜひ実現してもらいたいと思います。

 ただ、心配なのは、南北首脳会談の声明であるとか、あるいは先般の日中韓の共同声明にも、CVIDのことは入っていないんですね。ですから、そこは、本当に共通の利益としてやれるのかということは心配ですし、今のこの非常に融和的な雰囲気は、私は注意して見なけりゃいけない、北朝鮮による壮大な時間稼ぎ、そういうおそれもありますから、ここは一つ一つチェックをしていく必要があると思います。

 もっと心配なのは、実はミサイルです。拉致と核についてはある程度総理もおっしゃっていますが、ミサイルについては、問題は、近距離、中距離であります。

 一番我々日本として恐れるべきシナリオは、米朝首脳会談、これは六月十二日にシンガポールで決まりましたから、ある意味成功したということはもう決定づけられていると私は思っています。なので、とにかく成功したという演出がある中で、日本にとって核心的な問題である、近距離、特にノドンですね、東京にも届くと言われる中距離弾道弾、これもしっかりと破棄することが米朝合意の中でなければ、アメリカの利益にはなるかもしれないが、日本の利益にはならない合意になる可能性があります。

 今後、一定の合意が結ばれ、その後、北東アジアの和平ということが進んでいくことの中で、日本にも経済協力といったことが求められてくることがあると思います。総理がおっしゃるように、大事なのは、その見返りを与えるタイミングだと思います。

 そこで、ミサイルについて伺いますが、火星15などのICBMについては破棄しましょうということが合意されても、ノドンが破棄されなければ日本にとっての脅威は残り続けます。これはあえて、トランプ大統領だから、政府からは言えないので私から申し上げますが、経済とか通商と安全保障をリンクさせたがる大統領なので、例えば、近距離、中距離もまとめて破棄されてしまったら、イージス・アショアが売れなくなる可能性があります。その意味では、アメリカの利益をいろいろな意味で最大化するという意味では、ICBMの破棄には応じるけれども、近距離、中距離は温存したまま合意するということもなくはないと思います。

 総理に伺います。ノドンの、あるいは近距離、中距離ミサイルの全廃なくして経済支援はないということを明言していただきたいと思いますが、いかがですか。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 まず、日本と米国が一致したこと、既にこれは外に出している話でありますが、それは、核兵器のみならず、生物化学兵器を含む全ての大量破壊兵器の破棄を求めること、そして、米国に届くICBM級のみならず、我が国を射程に入れるスカッドやノドン等の短中距離弾道ミサイルを含むあらゆる射程の弾道ミサイルの破棄を求めること、これらの破棄、これは核にもミサイルにも、完全、検証可能な、かつ不可逆的な方法で行うことを求めていくことで完全に一致をしておりまして、この方針は揺るがないということははっきりと申し上げておきたいと思います。このCVIDをいわばなし遂げるまでは制裁の解除は行わないということも明らかになっているわけでございます。

 そもそも、日中韓の三カ国の中にも確かにCVIDという言葉は出ておりませんが、国連決議に言及をしておりまして、この国連決議の中にははっきりと書いてあるわけでございます。

 でいえば、この国連決議の中においても、CVIDをいわば北朝鮮が実行しなければ、この国連決議は制裁決議でありますから、この制裁決議をやめるという決議を通さなければいけないわけでありまして、それを通すためにはいわばこのCVIDが達成されていなければならない。これは米国と日本は完全に合意をしていますから、それは通らないということになりますから、いわば制裁は続いていくということになるわけでございまして、大切なことは、このタイミングを間違えてはならない。

 経済支援についてでありますが、日本の経済支援は何をもって経済支援ということかと思いますが、いわば北朝鮮に対しての経済支援については、我々、核、ミサイルと同時に拉致問題もありますから、日本は独自の立場をとっていると言ってもいいんだろうと思います。

 第一次安倍政権のときにも、六者会合で、北朝鮮が核施設を破壊することに対応して重油の提供を行うという決定をしたのでありますが、私は、拉致問題が解決をしていない中で日本は二十万トンというものは出さないという、日本だけが出さないという判断をしたわけでございまして、それは今回も全く変わりがないということは申し上げておきたいと思います。

玉木委員 ちょっと曖昧だったので、もう一回明確にしますよ。私は、核の話よりも、何を聞いたかというと、ノドンです。ノドンの破棄が完全に、ノドンの破棄がCVIDでなされない限り、一円も出さないということでいいですね。

安倍内閣総理大臣 日本の立場としては、当然ノドンそしてスカッドERは極めて脅威でありますから、当然それは、そのことも、あらゆる弾道ミサイルという形で国連決議になされているわけでありますから、そもそも、制裁を解除しない中で支援をするということはあり得ないんだろう、このように思います。

玉木委員 総理、明確に答えてください。制裁との関係を聞いているのではなくて、我が国の経済支援ですね。それは日朝平壌宣言にもさまざまな、JBICまで名前をあのときは明示をして、経済支援のあり方にかなり踏み込みました。

 もう一回聞きます。

 スカッドERやノドン、近、短距離がまさにCVIDで、完全な形で破棄されない限り、制裁解除はもちろんですけれども、我が国の支援も一円もしない、このことを明確に言ってください。

安倍内閣総理大臣 我が国の支援というのはいろいろな形があるんですが、例えば、IAEAが査察をします。そのIAEAの査察に対する我々は我が国の責任を果たしていきたい、いわばそういうものに対する支援はしていきたいと考えています。

 それとは別に、支援を一切、するかしないかということについてでありますが、もちろんこれは、ミサイルと同時に拉致問題もございます。その中において、国際社会とともに解決をしていくのがこのミサイル問題と核問題であります。そして、我が国独自に解決をしなければいけないものが拉致問題についてであります。この拉致問題の解決の仕方についてもこれから真剣に取り組んでいかなければならないわけでございます。

 いずれにいたしましても、制裁については、まさに制裁がかかっている中において国際社会が経済支援をしていくということはなかなか考えられないのでございますが、我々としては、まさにこうした核そしてミサイル、拉致問題の解決についてはしっかりと対応していきたい、こう思っておる次第でございます。

 今の段階でどういう対応をしていくかということについて全てをここで私がお約束することは、むしろ、これから交渉をしなければならない立場でありますから、それは差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、かつて、十年前、第一次安倍政権のときには、ここでは、何で二十万トン出さないんだという批判すら私は野党から受けたわけでありますが、その中でも日本は立場を貫いたということは申し上げておきたい。

 そういう姿勢で今度も取り組んでいくということでありますが、日本には今、拉致問題というものもあるということも加味して考えなければならないということは御留意をいただきたい、このように思います。(玉木委員「答えていないです」と呼ぶ)

 これは今、外交をやっている最中でありますから、我々は本当に真剣に拉致問題を何とかしたいと考えて交渉しているんですよ。その中で、全ての手のうちを今ここで申し上げるわけにはいかない。それを答えなければ質問に立たれないということであれば、それはもう議論が成り立たないわけでありまして、外交というのはそういうものでありまして、どうか御理解をいただきたいと思います。

玉木委員 本来、これは与党の人からちゃんと政府に対して詰めるべき話ですよ。

 つまり何を私は申し上げたいかというと、日本の利益とアメリカの利益は必ずしも一致しないんです。これから本当にぎりぎりの、我が国の国益をどうやってやっていくのか、これから私たちの子供たち、孫たちの時代にどういう安全な北東アジアを残せるのかということが問われる局面になってくるんですよ。これはもう五十年ぶりというか、七十年ぶりの大きなところなんです。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

 私が申し上げているのは、総理、わかっているとはあえて言わないでください。私が申し上げているのは……(発言する者あり)

河村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 閣僚もそうですが、一般の方々も質疑中は静粛に願いたいと思います。(発言する者あり)速記録に残っていませんから。

 申し上げます。

 閣僚席からの発言について厳重に慎んでいただきたいと思いますが、同時に、議員席におられる皆さん方も、答弁中のやじ等、不規則発言は十分注意していただきたいと思います。

 その上で、玉木雄一郎君。

玉木委員 私は、真剣に日本の国益を考えて質問しています。自分が言いたいことを言っているという、そういうやじを飛ばすのは、麻生大臣、もうやめてください。セクハラの発言のときもひどかったですけれども、今の発言もひどいですよ。

 私が申し上げているのは、日米の利益は必ずしも一致しない、日米の国益は必ずしも一致しないんですよ。アメリカに飛んでこない、ミサイルが破棄されても、日本に飛んでくるミサイルは残ったままであると、我が国の安全保障上の問題は消えないわけです。しかし、トランプ大統領の成功の演出につき合わされて、後で、これで合意したから請求書だけが日本に回ってくるようなことは避けるべきだというふうに申し上げている。いや、もう総理も、今、やじを飛ばすのをやめて聞いてくださいと言っているのに、やじを飛ばす。

 もし仮にそれで一定の合意ができて、在韓米軍を縮小するような話が成れば、今の三十八度線が釜山かあるいは対馬まで南下してくる可能性もある。そうすると、我が国が例えば中国の力に向き合う、そういう安全保障環境の変化についても考えながらやっていかなければいけない。そのときに、近距離、中距離ミサイルが残っている事態をどう考えるのか、そのことを我々の孫たち、子供たちにどう説明するのか、引き継いでいくのか、そういう観点で質問しているのに、何でそんな侮辱するような、ばかにするようなことばかり言うんですか。それほど私はばかな質問をしていますか、総理。

河村委員長 玉木君、時間が来ておりますが、最後に。

玉木委員 総理、私はもう残念でなりません。(安倍内閣総理大臣「私も残念だ」と呼ぶ)いや、どういうことですか、総理。こっちが残念ですよ。だって、これは本当にこれから大事ですよ。

 委員長、改めて委員長にも申し上げますが、こういう状態で、不正常な国会審議しかできないのは国益に反します。私は、きょうは提案もしたし、真摯に質問しようと思いましたが、このような総理以下閣僚の態度そして姿勢では、まともな国会はできません。

 国会を不正常にしているのは安倍政権だということを強く申し上げ、抗議をし、質問を終わります。

河村委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 冒頭、北朝鮮問題等々、内外の諸課題が山積しているにもかかわらず、私もきょうもこの問題を取り上げざるを得ない、本当に残念でなりません。

 ただ、加計問題は、総理のお友達なら甘い汁が吸えるのか、利権にあずかれるのかという、まさに政治、行政の公平性、公正性、透明性という根幹にかかわる問題でございますから、きょうも、真相解明のために十五分間やらせていただきたいと思います。

 まず、きょうもそうですが、先週、民放の番組に出られて、大切なのはこの加計学園選定プロセスなんだ、その公正性なんだと。そのとおりですよ。どこが公正なんですか。そして、どこが一点の曇りもないんですか。

 このボードにある上三行を見ていただくだけでわかると思いますよ。

 総理秘書官、総理と一心同体であり、分身である秘書官が、この許認可の対象である利害関係者とこのタイミングで三度も会う。

 民間事業者なんて、まず、総理秘書官なんて、アポをとろうなんて発想はありませんよ。なぜアポを入れたか。それは、あなたの腹心の友だからでしょう。柳瀬さんと加計孝太郎さんが、バーベキュー以来知っていたからに違いないじゃないですか。それを、先週の私の質問で柳瀬さんはこう言いましたよ。よほど反社会的勢力でない限り、私はアポが入れば会うんだと。とんでもない発言ですよ。

 総理、そんな秘書官を許しているんですか。よっぽど反社会的勢力でない限り会うと言ったんですよ。言いわけするのもいいかげんにしろ、もっともっともらしい言いわけをしろと私は言いたいんですね。それが一つ。

 二つ目。その二カ月後、何と、今治市の申請を審査するワーキンググループに加計学園の関係者が三名出席していた。これも判明しましたね。事業者って、公募で選定するんじゃないですか。何でこんな人がワーキンググループに出席しているんですか。それだけで、私は八田座長にも言いたいですよ、それだけでもう二点も三点も曇りがあるじゃありませんか。

 三番目。事もあろうか、わざわざ担当の内閣審議官、藤原さんが、八月五日、六日と岡山理科大学まで行き、しかも校地予定地、今治まで行っているんですよ。新潟市は、その前年申請しているんですよ。藤原さんは新潟市に行きましたか。行っていませんね。

 この三点だけとっても、どこがこの選定手続に一点の曇りもないんですか、公正なんですか。改めて、総理、御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 プロセスに一点の曇りもないというのは、私が申し上げたわけではなくて、先般の参考人質疑において、今回の規制改革プロセスを主導して、一点の曇りもない、八田座長がそのように、主導してこられた八田座長がそのように答弁をされているわけでございます。

 また同時に、八田座長からは、柳瀬元秘書官から何の働きかけも受けたことはないという発言があったと承知をしておりますし、また、面会の半年以上前の時点で既に民間議員ペーパーで獣医学部新設が重要と明記しており、面会が民間有識者の議論に影響を与えたことは一切ない旨の発言があったと承知をしております。

 この国家戦略特区のプロセスあるいは決定過程については、江田委員も御承知のとおりだろうと思いますが、まさに民間議員が主導している、主導していくからこそいわば岩盤規制に穴があくという考え方でこの国家戦略特区がつくられたのでありますから、その民間議員の方々に対しては一切の働きかけがなかったということは明らかになっているわけでございますし、前川前次官も含めて、私から指示あるいは依頼をされた人は誰一人いないということは、もう既に明らかになっているとおりでございます。

江田(憲)委員 またおかしなことを聞きましたね。国家戦略特区というのは総理主導の仕組みですと、内閣府のホームページの資料に載っているじゃないですか。そして、最終的には総理が決断する。これは明確ですよ。

 それから、これをごらんくださいよ。さっきから違和感が大きい。だって、諮問会議というのは、確かに民間議員の方もいらっしゃる、この二〇一六年当時は七名、しかし一方で、政府関係の閣僚委員も七名いる。そして、何といっても、議長は安倍総理ですよ。

 ですから、民間有識者の意見を尊重することはそのとおりですよ。しかし、あくまでも、プロセスも決定も総理が主導して、最終的には、これは内閣府の所管なので、内閣府のトップたる総理大臣が権限者じゃないですか。どこが民間有識者が決定するんですか。

 先週の民放の番組でもそう言っていましたよ、あなたは。プロセスは全て民間議員が決定するんだ、私が判断するのではなく民間議員が決定するんだ、私が影響力を持って判断するのではないと、これは明確に言いましたからね。これこそ、あなたの責任逃れじゃありませんか。

安倍内閣総理大臣 ワーキンググループは全員民間議員であります。(江田(憲)委員「いや、本部」と呼ぶ)いや、ちょっと済みません、最後まで話を聞いてください。

 民間議員がまさにワーキンググループを形成していて、そこでいわば主導して進めていくという意味で申し上げているわけでございます。その主導の中で、いわば選定等も事実上行われているわけでございます。

 もちろん、民間議員が主導できる、していくという中においては、私がいわば座長を務めて、総理大臣が座長を務めているという中で、大きな方向について出していくわけであります。

 例えば、民間議員ペーパーの中にあった、民間議員ペーパーから獣医学部の開設の重要性について指摘をされる中において、その方向でやってくださいという趣旨のことを私が述べていく、それをてこに進めていくという仕組みになっているわけでございまして、いわば、形式上は私がもちろん座長。しかし、形式上座長であるということが大きな意味があるからこそ、民間議員の皆さんがこうやって主導しながら物事を進めていくことができるという仕組みになっているわけであります。だからこそ八田座長も誇りを持ってそのように申し上げておられるんだろうな、こう思うわけでありまして、八田座長に私が一々指図するわけでもないし、事業者についてどうこうすると言ったことは他の特区も含めて一度もないということは申し上げておきたい、このように思います。

江田(憲)委員 私も、役人を二十年やりました。海部、宮沢政権、橋本政権と官邸におりましたね。その常識として、全く受け入れられません。

 ワーキンググループの皆さんがしっかり働いていただく、それは大切なことですよ。しかし、ワーキンググループというのは、あくまでもワーキング、前さばきをやって、この本諮問会議に上げるための判断材料をそろえる。そうして、諮問会議、議長たるあなたが務めるこの会議で決めた上で、しかも、諮問会議ですから、内閣府であなた、総理大臣が決定する。だからこそこの内閣府の資料には、これは総理主導の仕組みなんですと。最終的には総理が決断する。

 わざわざ二〇一六年十一月当時のことを挙げたのは、ここでまさに、その地域に獣医学部がない場合に限るとか開学時期は三十年四月だという加計しか通れない穴をあけた会議だから、これを、わざわざメンバー表を出しましたけれども、まさに、あなたが言ったことが本当であれば、柳瀬さんが、首相案件は、まさにこれは個別案件のことではなくて戦略特区という制度のことを言ったんだという発言とも全く矛盾するじゃないですか。

 何度も言いますよ。ワーキンググループの方が下ごなしをすることは非常に大切なステップ。しかし、最終的には、こういうステップを踏んで、あなたが決定するんでしょう。どこが私の影響力がないとか私が決断するんじゃないって、もう、ちょっと、国民をだますのもいいかげんにしてほしいですよ。

安倍内閣総理大臣 ずっと、しばらく官邸におられたから御存じでしょうけれども、私が座長をしているのは事実であります。しかし、実際の仕事は有識者議員が、私が議長を務めているのは事実でありますが、実際、有識者議員の皆さんが、ワーキンググループが物事を決めていって、前さばきといって、前さばきというのは資料を決めるということではなくて、事実上、実質をほとんど決めることであって、その方向に従って私の発言要領というのは、事実、上がってくるわけでありまして、事実、ここで決まったことを私が覆したことは一度もありませんよ。

 それで、事実上、ワーキンググループで決まったこと、私も忙しいですから、この国家戦略特区諮問会議のまさに前日あるいは当日に、どういう形で会議を進めていって、どういうことが決定されるかということが私に秘書官から伝えられるわけでございまして、そこはまさに、事実上、もう中身が決まったことを決定する場でしかないわけであります。

 確かにこれは、そこで決定して、私が座長をやるからこそ国家戦略特区というのは大きな力を持ち、いわば私がそこで発言したことを突破力としていくわけでありまして、民間議員の皆さんにとっては、その発言のもとにまさにドリルで穴をあけていくという作業をされるわけでありまして、それがまさに彼らの方向性に総理大臣としてのバックアップをしていくという形になっていくということでありますが、実際に働いているのは、私が一々そこで事業者を見て選定するということは全くないわけでありまして、まさに、上がってきたものを私が最終的にその会議で決定をするという仕組みになっているわけでございます。

 これだけではなくて、さまざまな会議においてはこういうことはあるわけでございます。しかし、もちろん私が議長でありますから、最終的な責任は私にあるということになるわけでありますし、決まった案件というのは、私が決めた案件ということになるのであります。

江田(憲)委員 事務局もあって、官僚がお膳立てをして、こういう会議というのは、昔は、よくないことですけれども、審議会は隠れみのと言われたように、裏でいろいろなうごめきがあって、申しわけないけれども、ワーキンググループの皆さんが知り得る範囲って物すごく少ないんですよ。これは常識なんですね。

 さて、そんなことやっていられません。もう聞いた人はわかると思いますよ。

 総理、その民放の番組でも、政治家に業者がお金を渡して何かやるということでは全くない、何か悪いことが行われたかのような雰囲気だ、お金のやりとりもないとおっしゃったんだけれども、お金のやりとりがなきゃいいんですか。会食やゴルフはいいんでしょうか。これはわかっているだけで十七回あるんですよね。それで、これは通告していますから。

 ちょっとその前に、本当に不思議なことがあるんですよ。一次政権で、私が見る限り、一回も加計さんと会食もゴルフもされていない、二次政権で十七回もされているというのはどういう事情なんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 一次政権のときも加計さんと会食したことはありますけれども、いわば、たまたま名前が外に出ていないということだろうと思います。それはよくあることですから。いわば、パブリックフィギュアとしてどれぐらいかということで名前を出すわけでありますが、何人か中心的な人たちがいたらそちらの方の名前が出て、本人が出ていないということでございます。

 あと、また、ゴルフ等については、基本的に、私は、私の分は払っているということははっきりと申し上げておきたいと思います。

江田(憲)委員 ちょっと先走って言われたんですが、昨年七月二十四日の予算委員会で、私がごちそうすることもあるし、先方が支払うこともある、割り勘の場合もあるとお答えになっているので、この中で安倍総理が負担されたのはどれですか。

安倍内閣総理大臣 まず、ゴルフについては、私と私の同行者については私の方が全て払って、お支払いをしております。これは昔から大体そうでございますが、食事については、今どれと言われても、これはポケットマネーで払っておりますから、領収書は私もとっておりませんから、これは明らかではございません。

 また、加計さんが支払った場合も、これはポケットマネーで払っているということでございますので、これは確認のしようがございませんが、テレビを見ておりましたら、あるお店の店長の方が、これは河口湖での出来事でありますが、たまたまテレビを見ておりましたら、私が財布を出してクレジットカードで払っておりましたという証言をしておられたのを見たことがございます。

江田(憲)委員 だから、なぜこれをやるかというと、私は、二十年前、大蔵接待スキャンダルの渦中にいた政務秘書官でした。あのとき初めて、金銭の授受がなくても、飲食、供応接待で贈収賄に問えるという方針で有罪判決が出ているわけですよね。

 一回でもおごられれば、しかも、対価性の認識が安倍総理や加計孝太郎さんにあれば、職務権限はさっき言ったように一〇〇%明確なんですから、それに対して供応されて、そして、最後に残るのは総理大臣の認識であるとか指示が、関与があったかどうかなので、だからそれを詰めているわけですよ、我々は。

 先週、山口公明代表が、何だ、何で事実関係をこんなに野党は詰めるんだ、もっと目的を明確にしろとおっしゃったので、あえて言いましょう。

 ゴルフ、会食の接待、少なくとも一回はおごられたと昨年の答弁でおっしゃっているわけですからね。しかも、わいろ性の認定については、金額の多寡は問わないということにもなっているわけですよ。

 ですから、それは、当たるとは言いませんよ、贈収賄に当たる可能性があるからこの問題は重大な案件なんだということで、これからもしっかりと真相究明をしていかなきゃいかぬと思いますし、あなたが幾ら否定されても、加計孝太郎さんのやはり証言がないとこういうことは全く認定できないわけです、裁判でも。

 ですから、ぜひ、委員長、加計孝太郎さんの、参考人招致でも証人喚問でも、招致と、それから領収書も含めたこの経費負担の資料をぜひ要求して、私の質問を終わります。

河村委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 加計学園問題について質問いたします。

 総理は、この間、加計さんからこの獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ないと説明してきました。

 ところが、愛媛県の面談記録には、加計学園側の言葉として次のような記載があります。加計学園から、先日総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからぬと言っているとの発言があったとのことと記されております。

 相談しているじゃないですか。総理が加計学園の獣医学部新設に向けて加計氏の相談に乗り、政府部内の意見まで伝えていたということが、この文書を見れば示されております。総理が深く当初から関与していたことを示す証拠だと私は思いますよ。

 総理、本当に総理は、加計孝太郎さんと会食した際に、獣医学部新設について下村大臣の意見を伝えたことはないんですか。

安倍内閣総理大臣 これまでも答弁しているとおり、私は、加計理事長と獣医学部の新設について話をしたことはなく、御指摘のようなやりとりを行ったこともありません。

 なお、下村大臣も、そういった発言をしたことがないと述べておられると承知をしております。

宮本(徹)委員 愛媛県の中村知事は、職員は文書をいじる必然性は全くないと言っています。

 そして、先日の与党が招いた加戸前知事、総理も信頼されている方だと思いますが、加戸前知事も、愛媛県のメモは、当日、東京事務所で、東京事務所と愛媛県から来た職員とが協議しながらメモをつくっていかれたのだと思う、雰囲気は伝えている、流れは多分そうだ、こうおっしゃっているわけですよ。

 この愛媛県の文書というのは極めて信憑性が高いんですね。そうすると、総理がこの記載内容を否定するなら、加計学園側がその場で作り話をしたということになるんですよ。

 総理、総理の親友である加計孝太郎さんは作り話をするような方なんですか。

安倍内閣総理大臣 加戸前知事は雰囲気ということをおっしゃっていたわけでございまして、雰囲気をどのように伝えるかということについてはいろいろな伝え方があるという趣旨の話もされておられた、こういうふうに承知をしております。

 いずれにせよ、先ほど申し上げましたように、獣医学部のお話をしたことはないということは何回も申し上げているとおりでございます。

 また、下村前文科大臣もそのような発言をされていると承知をしております。

宮本(徹)委員 私がお伺いしたのは、この愛媛県の文書については、この部分については誰も、柳瀬さんだって記憶にないと言うだけで、反証は誰もしていないんですよ。そういったことを言っていないと言っているのは総理だけなんですよね。

 もし総理が、この部分がですよ、私は言っていない、そんな話はしたことがないと言うんだったら、加計学園側が作り話をこの場でしたということになるんですよ。そうすると、総理がうそをついているのか、加計孝太郎さんがうそをついているのか、二つに一つしかないんですよ。

 加計孝太郎さんは、総理の御親友で、どういう方かも総理はよく御存じだと思いますが、そういううそをつかれる方、作り話をされる方なんですか。

安倍内閣総理大臣 そもそも、加計孝太郎氏が例えばどこかでそういう話をされたということを私は承知をしていないわけでございますし、ですから、これは今、私はお答えのしようがないわけでありまして、いずれにせよ、加計氏とそういう話はしていない。

 また、下村前大臣もそういう趣旨の話をしておられる、このように思います。

宮本(徹)委員 じゃ、そうなると、加計さんに来ていただいてこの場で話していただくしかないじゃないですか。

 総理は、加計さんが総理の地位を利用して何かをなし遂げようとしたことは一切ないということを言いますけれども、もしこの場で総理は言っていないということをおっしゃるんでしたら、こういう発言をしていないんだったら、この面会の場で加計学園側は、総理が言っていないことも持ち出して、総理との関係をアピールして物事を進めようとしていった、こういう話になるじゃないですか。いずれにしても、総理のこれまでの答弁と全く違う話になるわけです。

 委員長、どう考えても、この問題、真相究明のためには加計孝太郎加計学園理事長を証人喚問する必要があります。

河村委員長 理事会において協議をさせていただきます。

宮本(徹)委員 もう一点、お伺いします。

 首相官邸での面談について、加戸前愛媛知事は、会合でアドバイスをもらったことが学部認可につながったと正直に語られました。

 そして、その場でのアドバイスだけじゃないんですよね。この三回の面談、一回目の面談の後から官邸は精力的に動いています。愛媛県の面談記録には、四月二日の内閣府の藤原次長の発言の内容として「要請の内容は総理官邸から聞いており、」と記されております。

 内閣府に伺いますが、一体、総理官邸の誰からどのような要請の内容を伝えられたんですか。

梶山国務大臣 当時の担当者に確認をしましたところ、要請の内容は総理官邸からも聞いているという発言はしていないということでありました。

宮本(徹)委員 何も、ここに記録がされているのに、そういう発言はしていないと。その類いの、趣旨の発言はされているんですか。

梶山国務大臣 今申し上げたとおりでありまして、この発言はしていないということであります。

宮本(徹)委員 四月二日にそういう発言はしていないにしても、それに近いような発言、どういう発言をその場でされたんですか、この問題について四月二日に藤原さんは。

梶山国務大臣 この趣旨の発言はしていないということであります。

宮本(徹)委員 じゃ、愛媛県に書いてある文書はうそだということを内閣府は考えているということですね。

梶山国務大臣 その事実関係について担当者に確認したところ、今申し上げたとおりであります。

宮本(徹)委員 またこれは愛媛の中村知事がお怒りになられますよ。

 記録はあるんですか、四月二日の。そういうことを記憶に基づいて話しているのか、それとも記録があるのか、おっしゃってください。愛媛県の側は記録が出ています。内閣府の側は、こういう要請がないと言うんだったら、内閣府の四月二日の記録を出してください。

梶山国務大臣 前にも答弁しているかと思いますけれども、四月上旬に会った記憶はあるということでありまして、さまざまなやりとりの中で四月二日にということがうかがえるような状況は出てきておりますけれども、記録はございません。

宮本(徹)委員 記録がなくて記憶だけに頼って言っているのと、はっきりと集団でつくった記録と、どっちが信用性があると思いますか、総理。

安倍内閣総理大臣 この問題は、例えば文部科学省の文書のときにもあったのでございますが、発言については、これはどういう受け取り方をするかということもございますので、まさに今回の反省点としては、言った言わないにならないように、発言については発言者の確認をとって記録に残すべきであろう、このように考えているところでございます。

宮本(徹)委員 私が聞いたのは、どっちが信用性があるかといったら、それは当然、集団でつくった記録の方が信用されるということなんですよ。全く、今の答弁を聞いても、国民は理解されないと思いますよ。また総理を守るためにうそをついているんじゃないか、こういうふうにしか思わないですよ。

 先ほど、藤原さんは四月の上旬に会ったことがあるということでしたけれども、四月二日に会ったという記録はないんですか、内閣府には。

梶山国務大臣 記録はございません。

宮本(徹)委員 では、念のためにお伺いしますけれども、獣医学部新設には、強力なライバル校として京都産業大学がありました。

 内閣府に伺います。藤原さんは京都産業大学と三回面談をしています。面談した日にちは記録に残っていると思いますが、教えてください。

梶山国務大臣 内閣府では、規制改革を通じて地域の活性化を目指そうとする自治体や事業者の相談に応じることは通常の業務の一つとして認識をしております。特区指定前や提案段階でも、相談に幅広く応じることとしております。

 京都府及び京産大の関係者の方にも数回お会いしていると聞いておりますが、その日時までは具体的に特定することは困難であると聞いております。

宮本(徹)委員 そんなうそ、よくつけますね。

 私、昨年、内閣府に資料請求して、メールが送られてきていますよ、京都府と藤原審議官の面談。回答、面談の記録は作成していませんが、確認できた範囲では、京都側からの申出に応じて、京都府等から次のとおり相談を受けました、平成二十八年一月二十六日、平成二十八年六月七日、平成二十八年十月五日。

 平気でこうやってうそをつく。許されないですよ。(発言する者あり)

河村委員長 ちょっと、答弁中です。

梶山国務大臣 けさ、朝、通告があった質問であります。そして、全てを明らかにされたいということであります。

 数回会ったことはあるということで肯定しておりますけれども、全てについて今つまびらかにすることはできないということであります。

宮本(徹)委員 なぜできないんですか。私はちゃんとメールで去年もらっているんですよ。

 去年の段階では出せたものが、交渉記録は残っていないということを、うそをつくっていくためには京都の側と会った日付までないことにしてしまう、総理とかかわる問題になったら全部隠してしまう、隠蔽してしまう。これは余りにもおかしいんじゃないですか、総理。

梶山国務大臣 私がこの席に出る直前にいただいた質問であります。その質問の内容は、面談した日にちを全て明らかにされたいという質問内容であります。

 それにつきまして、数回お会いしたと聞いておりますけれども、その日時まで具体的に特定することは現時点で困難だということであります。

宮本(徹)委員 去年、私、メールでもらっているんですよ。これは、内閣府の参事官補佐の方ですよ。参事官補佐の方にもらっているわけですよ。

 私、これを答えてもらうためにわざわざちゃんと通告をしているのに、おかしいですよ。(発言する者あり)

河村委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 梶山大臣、御答弁ください。

梶山国務大臣 今申しましたとおり、今の質問の時間に入る直前にいただいた質問であります。

 そのことにつきまして、全ての日時を明らかにせよということでありますけれども、数回会ったことは認めております。その日時まで具体的に現時点で示すことは困難であります。

 お尋ねのことでありますので、持ち帰って確認をさせていただきたいと存じます。

宮本(徹)委員 私は、きょうの予算委員会の場で、京都はわかっているのに、なぜ……(発言する者あり)けさ通告していますよ。

 大体……(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に願います。

宮本(徹)委員 大体、参事官補佐からちゃんと私に対してメールも出しているんですよ。メールで出している資料が、何で都合が悪くなったら出せないのかというのは、こんなおかしな話はないですよ。

 結局……(発言する者あり)

河村委員長 議事録をとめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 宮本君。

宮本(徹)委員 いや、本当におかしな話で、私は難しいことを朝言ったんじゃなくて、昨年、私は同じ質問を内閣府に求めて、メールで資料が来ているから、そのことを紹介してもらおうと思って、きのうの夜じゅうにファクスを送っていますよ。ファクスはきのうじゅうに送っていますけれども、朝、確認もしています、早朝に。委員部の方からも、通告は伝えてあります。

 はっきり言って、私に出した資料があるわけですから。去年の七月に出しているわけですよ。ところが、記録があることになってはならない、四月二日に藤原審議官が加計学園側と会った、そういう記録があってはならないと。そのこととつじつまを合わせるためには、京都産業大学と藤原さんと会った日はしっかり記録があるのに、その記録まで隠してしまうと。(発言する者あり)手元にない。

 じゃ、いいでしょう。仮に手元にないから答えられないならそうでもいいですけれども、いずれにしても、京都産業大学とは会った日の記録は明確に三回残っています。京都産業大学と藤原さんが会った日は三回明確に残っています。私は資料をもらっています。どうして加計学園と会ったら藤原さんは日付を忘れてしまうんですか。総理が関与することになったら、そういう途端に記録もなくなる、記憶もなくなる、こんなことをやっているからいつまでたっても国民の疑念は晴れないんですよ。おかしいでしょう。

 京都産業大学の側は藤原さんが会った日付の記録はある、そして内閣府の側はない。総理、どう思いますか。

河村委員長 総理、時間が来ておりますので、簡潔に願います。

安倍内閣総理大臣 私もちょっとお答えのしようがないわけでありますが、藤原参事官はいわば京都産業大学とも会っているわけでありますから、その京都産業大学と三回会っているのであれば、別に加計学園と会っていることを隠す必要はそもそもないわけであろう、こう思うわけでございます。

 いずれにせよ、梶山大臣は、きょう、本来であればもっと前に質問通告をいただかなければならないところでありますが、先週質問通告をいただくはずでありますが、きょう急に朝言われて、その場ではちょっと手元にそのメール等がなかったので確かめることもできないわけでありますが、後ほど確かめさせてお答えをさせたい、このように思います。

河村委員長 宮本君、時間が来ております。

宮本(徹)委員 時間が参りましたので、これで終わります。

河村委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 本日、外交問題に入る前に、一つまずお伺いしたいと思います。

 我々日本維新の会、衆議院では法案を提出する人数が足りずに、出せません。そして、ただ、今この国会で目玉となっている働き方改革、これが厚労委員会で審議をされております。

 我々は、国民の不安を払拭するために、この法案に対して、これは報道もされていますけれども、建設的な修正意見を与党の皆さんに提示をさせていただこうと思っております。

 その点について、総理も、政府においても真摯な対応をお願いしたいと思っているんですけれども、この点について答弁を求めたいと思います。

安倍内閣総理大臣 法案の審議については、再々お答えをさせていただいておりますが、まさに国会がお決めになることでございます。

 御党が真摯に議員立法等に挑んでおられることについては敬意を表したい、こう思う次第でございますが、あとは各党各会派によって協議をいただきたい、このように思います。

浦野委員 ぜひ真摯な対応をお願いしてまいりたいと思います。

 続きまして、きょうは、先ほども言いましたけれども、外交ということ、集中ですけれども、これまでの答弁の中でも、きょう通告を、私は通告は金曜日にしましたけれども、通告している部分はもうほぼほぼ答弁をされておりますので、同じことを答弁していただくのもどうかと思いますので、一点だけ。

 この週末、瀬取りの記事が出ておりました。そのことについて、少し、どういう対応をとられているのかというのを説明いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回、北朝鮮の側から話合いを求めてきたというのは、圧力を最大限まで高めていく、そして、米国もあらゆる選択肢がテーブルの上にのっているという態度で圧力をかけた成果であろうと思います。

 そして、日本は、圧力を最大限まで高めると同時に、抜け道は許さないということであります。つまり、瀬取りが抜け道となってはならないわけでございますので、日本としては、日本がやはり主導的な役割を果たしていこうということで、自衛隊の艦艇等が、瀬取りを行っているかどうかということについて警戒を行い、そして、こちらがしっかりとプレゼンスを示し、メッセージを出していくことによって何回か瀬取りを食いとめている、こういうことでございます。

 これは、日本だけではなくて、今後、日米英、あるいはカナダ、豪州も加わって対応していこうということになっているわけでございまして、また、更に私、他の関係国にもお願いをしているところでございます。

浦野委員 ぜひこれもしっかりと対応していただきたいと思います。

 次に、柳瀬さんの参考人質疑を、これも時間のない中、せっかくですのでお答えをしていただきたいと思っておりますけれども、先日の参考人質疑の中でいろいろと答弁されました。新聞報道等でもいろいろな御意見があります。

 私は、日本維新の会は、やはり外形的公平性をしっかりと保つべきだったという指摘をこれまでもさせていただいております。そしてさらに、文科省告示の四十五号の不当性、こういったことも我々指摘をさせていただいておりますけれども、総理も、今回の参考人質疑を受けて、この外形的公平性を保つために足らなかったものが何なのかというのを、真摯に、率直な意見を伺いたいのが一点。

 そしてまた、これもお話にありましたけれども、やはり官邸の面会記録はしっかりと残すべきではないかと思っております。その点についてももう一度御答弁をお願いします。

安倍内閣総理大臣 まず、外形的公平性ということでございます。

 まず、獣医学部の新設のプロセスについては、民間議員の八田座長も一点の曇りもないということを証言でなされているとおりでございますし、前川次官も含めて、誰一人、私から指示あるいは依頼をされた方はいないということも既に明らかになっているわけでございます。

 そして、結果としても、新しい獣医学部は二十倍を超えるものになっておりまして、それまでいわば門前払いしていた行政自体に問題があり、そのゆがんだ行政を正したという結果になったということは間違いがないんだろう、こう思う次第でございます。

 ただ、外形的なものについて、私の友人がまさに申請者となったわけでございまして、その間、会食等があったということであります。私は、申請していたという事実は知らなかったのでありますが、今後、より一層身を引き締めていかなければならない、こう考えているところでございます。

 また、面会記録等について、官邸の訪問予約については、訪問予定者の入邸確認後、その使用目的を終えることに加え、外部からの入邸者数は一日当たりおおむね数百名に上っており、これを全て保存すれば個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理する必要が生じることもあり、公文書管理法や関係規則等に基づき遅滞なく廃棄する取扱いとしているところでございます。

 このように、官邸の訪問予約は、個人情報保護の観点からも遅滞なく廃棄することとされております。これは、遅くとも平成十四年四月の新官邸供用開始時よりそのような取扱いになっているものと承知をしております。こうした経緯も踏まえながら検討したい、このように思います。

浦野委員 今回のいわゆる加計問題ですけれども、先ほど玉木さんが、参考人をもっと、中村知事だとかを呼べということをおっしゃっていました。玉木さんも国会は長いはずですけれども、委員会で参考人を招致する場合は、多数決じゃなくて全会一致じゃないと、与野党が認めないとできないというルールを御存じなかったみたいで、多数決、多数決ということを一生懸命言ってはりましたけれども、これは与野党が合意しないと呼べないと思います。

 ただ、もし多数決で呼べる、ほかにしっかり本当に呼べるのであれば、我々も、ぜひ獣医師会とか八田さんにも我々は質疑をしたいなというのもあったので、ぜひ呼んでいただけたらなと思っています。足立康史なら石破さんも呼べというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、ぜひそういったところをしっかりとやっていっていただけたらなと思っております。

 それで、最後の質問になりますけれども、本当に我々も、政府が外交問題にしっかりと取り組んでいただけるように、国会に縛ったりとか、きょうは外務大臣もずっと座っていらっしゃいますけれども、全く答弁もないということで、本当にどうにかならないかなと我々も……(発言する者あり)いや、総理がいてる上で、総理に答弁をしていただくので、外務大臣に答弁していただくことはないんですけれども、ぜひこういったところも改善をしていただきたいな。これも国会のルールを改善していただかないとだめですので、本当に質問に、立たない大臣はほかの仕事をもっとしっかりやっていただけるようなルールにしていただきたいと思っています。

 せっかくの予算委員会ですので、一つ、最近地元で問題になっていることがありまして、これは何かといいますと、周産期医療体制なんですね。

 今、国策として少子化対策、安倍政権で非常に、待機児童解消だとかに向けて一生懸命やっていただいております。我々、それは一定評価をもちろんしておりますし、これからもしていただきたいと思っています。

 ところが、その少子化対策で、待機児童の解消、保育園の数をふやす、そういったことはやっていただいていますけれども、その前の周産期医療、例えば小児・産婦人科、小児科、こういった医師、もちろん今これに係る法案が審議をされていて、医師の確保というのは非常に今進んでいくようになっています。

 ただ、今現在、もう既に、子供を産んでもらおうとしたとしても、地元に産婦人科の病院がなくなっていっているんですね、どんどん。こういう質問をすると、これは都道府県、医療なんかは特に都道府県の仕事だからということの答弁が多いんですけれども、待機児童の解消なんかは市町村の仕事ですよね、それを国策ということで政府が一丸となって対応していただいている。

 私は、周産期医療体制も小児科医療も今既にもう、現在、課題をたくさん抱えています。抱えているところで、これは政府の優先課題としてやはり取り組むべき、少子化対策と同じぐらい、待機児童対策と同じぐらいの規模で政府が取り組むべきだと思っていますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員御指摘のとおり、子供を安心して産むことができる、あるいは育てていくことができるということ、それをしていくためにも周産期や小児医療体制の整備や充実を図ることは大変重要であり、まさに優先的に取り組むべき課題だというふうに認識をしております。

 ただ一方で、分娩取扱病院の重点化や分娩取扱診療所の医師の高齢化などにより、分娩を取り扱う施設は年々減少しております。二次医療圏で見ますと、産婦人科が不在の二次医療圏が六つ、あるいは分娩取扱施設がないものも同じく六つある、これが今の現状であります。

 そういった意味で、私ども厚生労働省としては、平成二十八年度から、分娩施設の不足する地域において新規に分娩施設を開設する場合や、病院に産科等を増設し、新規に分娩を取り扱う場合、あるいは、平成二十九年度からは、産科医の不足する地域の医療機関に産科医を派遣する場合に対する支援、さらには、平成三十年度予算においては、周産期母子医療センター、小児救命救急センター等の運営や小児医療施設等の施設及び設備整備に対する財政支援、これらの増額も図り、これを支援を進めているところでありますし、また、委員御指摘のように、現在、こうした地域偏在や診療科偏在による地域間の格差を是正していき、地域における必要な医師を確保していくための総合的な医師偏在対策を盛り込んだ医療法、医師法の改正法案も今国会に提出をし、御審議をいただくところでございます。

 厚生労働省としては、こうした取組を通じまして、地域の実情に応じてということになりますけれども、周産期及び小児医療体制、こうしたものがしっかりそれぞれの地域において整備をされていけるように更に取り組ませていただきたいと思います。

浦野委員 これは保育士の確保でもそうなんですけれども、産婦人科の女医さんが多いですよね。保育士も女性が多いです。どうしても、結婚、出産等で女医さんも保育士さんも一旦職場を離れたりする、そういったことが実は、医療が回らなくなる、保育士の確保ができなくなるという原因の一つになっています。

 そういったところに今男性が、保育士も男性保育士がふえてきました、産婦人科の先生は昔から男性の方もいらっしゃいますけれども、そういった穴を積極的に男性医師、男性保育士が埋めていけるようなインセンティブを与えるような、そういったものもやはり必要だと思います。

河村委員長 浦野君、時間が来ております。

浦野委員 はい、済みません。

 時間が来ておりますので、これで終わりますけれども、ぜひ、いろいろな対策をとっていただけたらと思いますので、総理、私どもはやはり、先ほど言わせていただいたみたいに、政府が主導、メーンとなってやっていただきたいと思っています。総理が指示すると総理案件とか言われそうになるかもしれませんけれども、これは総理案件としてしっかりとやっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

河村委員長 これにて浦野君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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