衆議院

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第4号 平成31年2月8日(金曜日)

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平成三十一年二月八日(金曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 野田 聖子君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 田中 和徳君

   理事 堀内 詔子君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    秋本 真利君

      伊藤 達也君    石崎  徹君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      上杉謙太郎君    衛藤征士郎君

      小田原 潔君    小野寺五典君

      尾身 朝子君    奥野 信亮君

      鬼木  誠君    金子万寿夫君

      河村 建夫君    岸田 文雄君

      北村 誠吾君    笹川 博義君

      鈴木 俊一君    田野瀬太道君

      竹本 直一君    中山 展宏君

      中山 泰秀君    根本 幸典君

      野田  毅君    萩生田光一君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      三ッ林裕巳君    村上誠一郎君

      盛山 正仁君    簗  和生君

      山口  壯君    山本 幸三君

      山本 有二君    吉野 正芳君

      池田 真紀君    小川 淳也君

      大串 博志君    川内 博史君

      武内 則男君    長尾 秀樹君

      本多 平直君    山川百合子君

      早稲田夕季君    奥野総一郎君

      後藤 祐一君    階   猛君

      関 健一郎君    西岡 秀子君

      石田 祝稔君    太田 昌孝君

      岡本 三成君    古屋 範子君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      浦野 靖人君    松原  仁君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (マイナンバー制度担当) 石田 真敏君

   法務大臣         山下 貴司君

   外務大臣         河野 太郎君

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   厚生労働大臣       根本  匠君

   農林水産大臣       吉川 貴盛君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    原田 義昭君

   防衛大臣         岩屋  毅君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       山本 順三君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (海洋政策担当)     宮腰 光寛君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     平井 卓也君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (男女共同参画担当)   片山さつき君

   国務大臣         櫻田 義孝君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室次長)         山田 邦博君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小野瀬 厚君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        塚原 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石田  優君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   参考人

   (厚生労働省前政策統括官)            大西 康之君

   参考人

   (独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長)   樋口 美雄君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月七日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  串田 誠一君     浦野 靖人君

同月八日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     萩生田光一君

  衛藤征士郎君     簗  和生君

  奥野 信亮君     中山 展宏君

  笹川 博義君     尾身 朝子君

  田野瀬太道君     青山 周平君

  竹本 直一君     北村 誠吾君

  野田  毅君     金子万寿夫君

  盛山 正仁君     岸田 文雄君

  武内 則男君     長尾 秀樹君

  階   猛君     関 健一郎君

  太田 昌孝君     古屋 範子君

  岡本 三成君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     根本 幸典君

  尾身 朝子君     笹川 博義君

  金子万寿夫君     鬼木  誠君

  岸田 文雄君     盛山 正仁君

  北村 誠吾君     竹本 直一君

  中山 展宏君     奥野 信亮君

  萩生田光一君     秋本 真利君

  簗  和生君     三ッ林裕巳君

  長尾 秀樹君     山川百合子君

  関 健一郎君     階   猛君

  石田 祝稔君     岡本 三成君

  古屋 範子君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     野田  毅君

  根本 幸典君     上杉謙太郎君

  三ッ林裕巳君     衛藤征士郎君

  山川百合子君     池田 真紀君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     田野瀬太道君

  池田 真紀君     武内 則男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

野田委員長 これより会議を開きます。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算、平成三十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として厚生労働省前政策統括官大西康之さんの出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房国土強靱化推進室次長山田邦博さん、人事院事務総局職員福祉局長合田秀樹さん、厚生労働省大臣官房長定塚由美子さん、厚生労働省大臣官房総括審議官土生栄二さん、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史さん、厚生労働省職業安定局長土屋喜久さん、厚生労働省子ども家庭局長浜谷浩樹さん、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子さん、厚生労働省政策統括官藤澤勝博さん、農林水産省消費・安全局長池田一樹さん、農林水産省生産局長枝元真徹さん、経済産業省大臣官房審議官島田勘資さん、国土交通省水管理・国土保全局長塚原浩一さん、国土交通省住宅局長石田優さん、防衛省防衛政策局長槌道明宏さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岸田文雄さん。

岸田委員 おはようございます。自由民主党の岸田文雄でございます。

 本日から、平成三十一年度の本予算、予算委員会での審議が始まりました。ことしは、年明けからさまざまな場で言われてきておりますように、日本にとりまして大切な日程あるいは課題がメジロ押しであります。皇位の継承が行われ、平成の時代に続く新しい時代が始まります。G20、TICAD7、ラグビーのワールドカップ、消費税の引上げも予定されています。また、大きな重要な選挙も多く予定されています。

 こうした日程、課題を通じまして、間違いなく、ことし日本は世界じゅうから注目を集め、そして、日本はしっかりと発言力、影響力を確保しなければいけない大切な年になると思います。

 こうした大切な年の足元をしっかり固めなければならないということで、日本の政治や経済の安定に努めなければならない。政治の責任、まことに重たいものがあると思います。

 そして、ことしの通常国会が始まりました。まずは、日本国の国家予算、日本の予算をしっかり成立させることこそ最大の景気対策であるという思いで、しっかりと予算の成立に努めなければならないと思います。

 しかしながら、そういった国会の審議冒頭に当たりまして、大きな議論になっている、大きな波風を立てている、これが統計問題ということなんだと思います。補正予算の審議の中でも随分とこの議論が闘わせられました。だから、私も冒頭、これに触れざるを得ないと思います。

 今日までのこの議論を聞いておりまして、まず、政策立案の基礎となるもの、それが統計データです。あらゆる政策立案の基礎となる統計データの信頼が問われている、この基本的な部分が問われている、こういったことを考えますと、この議論、まことに深刻なものがあると思います。

 厚生労働省においては、さまざまな指摘を受けて改良してきた最新の特別監察委員会の体制のもとで、しっかりと真実を明らかにしてもらわなければなりません。

 また、国民の不利益が発生している、こういったことを考えるとき、一日も早く追加給付、既に明らかにしたスケジュール感に基づいて、しっかりと実施していただかなければなりません。

 さらには、この議論の中で、二〇一八年一月以降の調査の改定の問題、これも随分と指摘をされました。統計処理に必要とされるローテーションあるいはベース改定が行われた、しかし、それとあわせて、ルールに反する抽出調査の復元がにわかに行われた、こういった経緯が指摘をされました。

 そして、それから出てきたデータの評価ということですが、そもそも、景気回復局面あるいはデフレからの脱却局面、こういった局面においては、まずパートあるいは非正規雇用者、こういった立場の方がふえる、このことによって賃金の上昇が緩やかになる、こういったことであります。

 一方で、デフレからの脱却ということで、物価、これは伸びる、上昇するということでありますから、結果として実質賃金の数字の伸びは鈍化する、これは当然のことだと思います。

 であるからして、こうしたことを考えますと、賃金の動向、雇用、総報酬ですとかあるいは春闘等における名目賃金ですとか、こうしたさまざまなデータを総合的に判断する、こういった姿勢が大事だということ、これも改めて感じます。

 さらには、議論の中で、再発防止という観点からもさまざまな議論が行われました。

 この点について、一つ根本大臣にお伺いしたいと思いますが、今回の事案においては、統計調査の現場において、長年、法律やルールに基づかずに手続が進められてきた、こういった経緯が明らかになっています。今回の問題の本質ですが、これは統計に関する制度や定められた手法の妥当性が問われているんではなくして、長年、定められた制度あるいはルール、マニュアル、こういったものどおりに調査が行われてこなかった、このことが大変重要なポイントになるのではないかと思います。

 行政は、言うまでもなく法律やルールに基づいて行われるものです。だからこそ信頼される、だからこそ時として強い権力を行使することが許される、こういったことなんだと思います。

 また、総理や大臣が、出てきた数字、本当にルールに基づいてこれは調べられたのかどうか、一々そこまで神経を使っていたら、政治判断なんていうのはできるわけがないわけであります。

 今回の事案においては、この当たり前のこと、これが問われている、ここに深刻さがあるんではないか、このように思います。公務員の意識、モラル、責任感、これ自体が問われている。

 近年、考えてみますと、公務員の信頼を低下させるような事案、これはほかでも相次いでいる、こういったことに思いをめぐらすべきではないかと思います。この部分に焦点を当てないと、どんな組織をつくったとしても、どんな制度やルール、マニュアルの改定を行ったとしても、意識の低い公務員がやっている以上、これは何度でも同じことを繰り返してしまう、こういった心配が出てきます。意識改革を行い、そしてモラルを取り戻すこと、この方が制度やルールを改めるよりもずっと難しい課題だとも言えます。

 根本大臣、この困難な課題についてどのように取り組むおつもりか、御所見をお伺いいたします。

根本国務大臣 今委員からお話がありました。

 政策立案や学術研究、経営判断の礎として常に正確性が求められる政府統計について、今般の事態を引き起こしたことは極めて遺憾であり、国民の皆様に御迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます。

 私は、今回の問題を統計部門だけの問題として捉えてはならないと考えています。今委員からお話がありましたように、不適切な取扱いをしながらも、漫然と従来の方法を踏襲し、上司に適時適切に報告しない、上司も事態の適切な把握を怠り、報告があっても適切な判断がなされない、こういった組織を改革していかなければならないと考えています。

 今、統計の信頼、あるいは雇用保険等の給付の問題など、厚生労働省に対して国民の皆様の不信感が高まっていると思います。厚生労働省全体として、統計に対する意識改革とともに、組織のガバナンスが問われております。まず、個人レベルで法令遵守の意識を徹底する、しっかりと国民の皆様のために仕事をする、その意識を改めて持ってもらう。この個人レベルで法令遵守の意識を徹底すること、これは当然のことでありますが、その意味では、統計部門の組織の改革ではなく、厚生労働省全体が国民の皆様の目線を忘れず、これに寄り添った行政ができる体制を構築していかなければならないと思っています。

 厚生労働省として、統計に対する姿勢を根本から正し、再発防止を徹底するとともに、何よりも、雇用保険等の追加給付について、できる限り速やかに、簡便な手続でお支払いできるよう万全を期し、そして、私が先頭に立って、厚生労働行政の重みに対応した組織のガバナンスを確立する。これに全力を尽くし、国民の皆様の信頼回復に努めることが私の責任だと考えておりますが、全力で頑張っていきたいと思います。

岸田委員 困難な問題ではありますが、ぜひ、公務員のあり方についてしっかりと踏み込んでいただき、そして国民の信頼回復に努めていただきたいと思います。

 もう一点、この問題についてお伺いしたいことがあります。

 公務員のあり方、確かに問題ではありますが、ここまで長年にわたって不適切な状態を見抜けなかった、こういったことを振り返りますと、政治の責任、これもしっかりと振り返らなければならない、このように思います。

 背景としてあるのは、政治の側にある統計に対する無知、意識の低さ、あるいは認識の欠如、こういったものがあるのではないかと思います。

 自民党においても、三年前に、行政改革本部において、いわゆるEBPM、統計に基づく行政、これが大切だ、これを前提として統計の精度の向上が不可欠だという問題意識のもとで、統計改革に取り組んで、そして政府に対しても提言を行ってきました。

 政府の統計改革推進会議において政府統計全体の棚卸しをし、すなわち、周期的、計画的な検証、見直しをし、そして統計委員会の権限強化等が図られた、こういったことでありますが、ただ、今回の件、これは、こうした取組の道半ばで明らかになった、大変残念なことだと思います。

 大切なことは、今回のこの事案を契機に、既に進めようとしていた統計の棚卸し、総チェック、これを一層加速化させ、そして徹底させること、これではないかと思います。

 政府としてこの課題について取り組む今後のスケジュール、そして方向性、こうしたものについて、石田総務大臣、御所見をお伺いいたします。

石田国務大臣 岸田委員にお答えさせていただきます。

 我が国の統計機構におきましては、統計委員会が統計整備の司令塔機能を果たす第三者機関として、中立公正かつ専門的見地から、各府省が行う統計調査についてチェック機能を担っているわけでございます。

 そういう中で、今回の毎月勤労統計の事案は、さらなる改善を自律的に審議する過程で発覚したものでございます。

 また、統計委員会の機能強化につきましては、今御指摘ございました、党からも、諮問によらずみずからの判断で課題を設定して審議、建議を行えるようにするなどの御提言をいただきまして、昨年の統計法改正によって、まさにそれが実現したところであり、こうした機能を十分に活用していくことが重要だと思っております。

 ただ、そういう中で、今般、公的統計についてさまざまな不適切な事案が判明したことについては、まことに申しわけなく思っておりますし、まことに遺憾に感じておるわけでございます。

 今般の統計をめぐる問題を受けまして、統計委員会の点検検証部会、これが新たに設置をされまして、今、基幹統計、一般統計にわたって、きっちり、再発防止や統計の品質向上に向けまして徹底した検証を行っておりますので、総務省といたしましても、こういう点検結果を踏まえまして、今後しっかり対応してまいりたいと思っております。

岸田委員 ぜひ、政治の側の意識改革という観点からも、その御説明のあった取組、しっかり進めていただきたいと思います。

 この統計の問題、同僚委員からも引き続き質問をさせていただくことを予定しております。いずれにしましても、国民に対するしっかりとした説明責任、これは、政府、閣僚の皆様方におかれましてもしっかり努めていただければと思います。

 そして、次に、ことしの我が国に課せられたさまざまな課題の中で最も大きな課題のうちの一つ、消費税の引上げについて触れたいと思います。

 ことし十月、消費税一〇%への引上げ、これが予定をされています。人口減少、さらには少子高齢化、これは我が国の直面する中長期的な最大の課題です。こうした中で、我が国の社会保障あるいは財政の持続可能性を考えていかなければならない、こういった際に、この消費税の引上げ、これはまことに重要な課題であると認識をします。

 ただ、これは国民の皆様方に負担をお願いする以上、まずはその意義について何度でも丁寧に説明をする、こういった姿勢は政府にとって大変重要なのではないかと思います。

 まずは、ことしの重大課題のうちの一つ、この消費税の引上げに向けて、総理が、この意義、どのように感じておられるのか、そして、引上げに向けてどうした強い覚悟を持ってこれに臨もうとされておられるのか、そのあたりを総理から御説明をいただけますか。

安倍内閣総理大臣 今後の最大の課題は、今、岸田政調会長がおっしゃったように、少子高齢化を克服していくということであります。社会保障制度を考える上においても、少子高齢化、これは極めて重要な課題であります。と同時に、いよいよ人生百年時代に突入をしていくわけでありまして、少子高齢化、そしてこの人生百年時代、このことを念頭に社会保障制度を変えていかなければならないわけであります。

 そこで、お年寄りだけではなくて、子供たち、そして子育て世代、さらには現役世代まで広く安心を支えていく、そのような全世代型社会保障を築き上げていく、少子高齢化を克服していくためには消費税率の引上げによる安定的な財源がどうしても必要であります。

 さらに、例えば、人生百年ということを考えた上においては、人生をよりさまざまな段階でより豊かにしていくことも大切でありますから、そのための政策をしっかりと進めていくことも大切でしょう。

 そして同時に、例えば、来年からは、真に必要な子供たちの高等教育を無償化していきます。ということは、いわば、大卒者と高卒者以下の皆さんは相当生涯年収が違うわけであります。家庭の経済事情によらず、全ての方々、頑張る子供たちが高等教育を受けられるようになっていくということは、より大きな貢献を社会にしてくれることにもなっていく。それは、人生百年という時代においては、よりその可能性は広がっていくわけであります。

 そういう人生百年ということを念頭に置いてさまざまな政策を打ち出していくことは極めて重要である、こう考えているところであります。

 十月からの消費税率一〇%への引上げについて、国民の皆様の御理解をいただきながら進めてまいりたい、こう思っております。

 なお、前回の八%への引上げの際には、耐久財を中心に大きな駆け込み需要と反動減が生じました。その後の回復にもおくれが見られるなど、結果として見れば、需要変動に対する対策が必ずしも十分ではなかったわけでありまして、今回の消費税率一〇%への引上げに当たっては、前回の反省の上に、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとしていきたい、こう思っております。

 いわば、少子高齢化を克服していく上においては、安定的な財源を得ていくということ、そして、人生百年時代を迎えた中にあって、全世代型社会保障制度に変えていく、そのために必要な財源でもある、こういうことでございます。

岸田委員 総理の強い思いを聞かせていただきました。私も全く同感です。ぜひ引き続き、国民の皆様方にこの意義は丁寧に、繰り返し説明をしていかなければならないと思います。

 そして、この消費税の引上げ、もちろん重要なことだと思いますが、この引上げをぜひ円滑に行うこと、日本の国として、消費税の引上げを円滑に行って、引上げの成功体験をしっかり実感すること、これは大変重要なことだと思います。

 なぜならば、これから日本の将来を考えた場合に、さまざまな財源が求められます。

 今総理からも説明がありました社会保障、今後、少子高齢化、人口減少が進む中で、ますます大きな負担が予想されます。それ以外にも、災害の多発の中で、国土強靱化、これも昨年から随分大きな議論になってきました。また、昭和四十年代を中心に整備されたインフラの更新、これもこれから大きな課題として突きつけられます。

 そして、その上で、我が国は、引き続きしっかり成長を続けるために投資を考えていかなければいけない。日本の活力、未来を考える場合に、やはり大きな財源を考えていかなければなりません。

 一方で、先進国最悪と言われている財政状況、財政の再建、こういったことを考えますと、もちろん、お金が出ていく、国としてお金を出していく、これを徹底的に吟味をして、そして厳選をし、そして削っていく、こういった努力は引き続き続けなければなりませんが、今言った大きな課題を考えた場合に、出す方を絞り続けるというだけで賄うことができるのか。やはり、我々は、今言った日本の将来を考えた場合に、入る方、国民の皆さんに負担をお願いする、こういったことも誠実に向き合っていかなければいけないのではないか、こんな時代が来るのではないか、このように思います。

 国民の皆さんに負担をお願いする、日本の政治は、こうした負担のお願いについてはずっと及び腰になってきました。特に、消費税の引上げ、これはトラウマになってきた、選挙との絡みでずっと及び腰になってきた、こういった時代が続いてきました。

 しかし、今言ったようなこれからの日本を考えた場合に、やはり、負担をお願いする、こういったことに日本の政治は真っ正面から向き合う勇気を持たなければならないのではないか、こんな問題意識を持っています。

 そのためには、まずは、政治の側の説得力ですとか説明能力、さらには誠実さ、こういったものが求められるんだと思いますし、また、そういった意味から、今回、消費税を引き上げる、ぜひ、この引上げを円滑に行うことによって、引上げの成功体験を国民の皆さんとともに実感し、未来を考える、こういったことの意味は大変大きいのではないか、このように思います。

 だから、今総理の説明の中にもありました、さまざまな臨時特別な対策を用意して、しっかりと円滑な引上げに備える、こういったことなんだと思います。

 ただ、ぜひこれは茂木大臣にお願いしたいんですが、政府は、円滑な引上げに向けて臨時特別な措置、かなりいろいろなメニューを用意しておられます。キャッシュレス取引におけるポイント制度ですとか、あるいはプレミアム商品券ですとか、軽減税率ですとか、マイナンバー制度を使ったポイント制度ですとか、さらには、自動車、住宅、大型の耐久消費財、この引上げ後における優遇ですとか、本当にさまざまな対策を用意しています。

 ただ、これをずらっと並べると、いかにもばらまきではないか、そもそも何のために増税するのか、こういった批判につながっていくわけですが、ただ、このさまざまな対策、これは、目的、対象、あるいは期間、タイミング、それぞれ異なる、微妙な組合せになっている。この工夫についてしっかり説明しないと国民の理解は得られないのではないかと思います。

 対象、目的についても、対象は、中小企業、零細企業者なのか、低所得者なのか、目的についても、痛税感の緩和なのか、あるいは駆け込み需要、反動減対策なのか、あるいは中小企業対策なのか。いろいろな目的が用意されている、対象がそれぞれ異なっている。だからこそ、これだけたくさんメニューを用意しているんだと思います。

 さらには、従来から、消費税引上げに当たって駆け込み需要、反動減、この大きな変動が問題だという指摘があったわけですが、こういった対策を一斉に始めて一斉に終わったならば、これは新たな駆け込み反動減を生ずるだけだということになりかねません。だからこそ、期間をそれぞれ定め、そしてタイミングも考えて組合せが用意されている、こういったことなんだと思います。

 ぜひ、これだけ多くのメニューを用意したわけですから、それぞれの意味、そして全体としてどんなものを考えているのか、こういったことについてしっかりと説明をしないと、この臨時特別な策、このことを国民からも理解されないし、活用もされないし、批判されるということだけに終わってしまいかねません。ぜひ、これはしっかりとした整理をした説明をお願いしたい。これは要望であります。

 その上で、茂木大臣にお伺いしたいのは、こうした臨時特別な措置、もちろん重要です。ただ、そもそも、日本の経済自体が未来に向けて安定して順調に発展していく、こういった基本的な部分、これについてもしっかりと方策を講じて努力をしていかなければいけない、こういったことなんだと思います。

 こうした観点から日本の経済を考えますときに、今日まで安倍政権の経済政策、アベノミクスを進める中にあって、企業収益の拡大ですとか雇用の増加ですとか、あるいは、もはやデフレではない、こういった状態が実現できたとか、さまざまな成果が指摘されるわけですが、それでは次の課題は何かということを考えた場合に、私は、やはり賃金を上げて、そして消費を拡大する、成長、分配、そして消費、経済の好循環、これをしっかり完成させる、これが大きな課題だと思います。労働生産性を上げて、そして賃金を引き上げて、そして消費を拡大する、そして経済の好循環を完成する、こういった努力をしていかなければなりません。

 その際に、人的資本投資、これが不可欠だということを強く感じます。なぜならば、賃金、これは、上げろ上げろと叫んでいるだけではなかなか上がらないわけです。企業としても、一人一人の労働生産性が上がってこそ賃金を上げることができる。一人一人の労働生産性を上げるためにも、人的な資本投資をしっかりと行わなければいけない、こういった理屈なんだと思います。

 この点に関して、政府は、人づくり革命ですとか、幼児教育の無償化ですとか、高等教育の充実、改革ですとか、さまざまな取組を進めています。しかしながら、民間の企業ということで見てみますと、人的投資、人材投資、これは極めて低水準な状況が続いています。

 英国あるいは米国、こういった国々においては、企業が生み出す付加価値のうち約八%前後、人材の投資に回されている、こういった指摘があります。日本の場合は、その半分以下、四%以下という指摘があります。

 日本の企業、この内部留保は四百四十六兆円、これは六年連続過去最高だと言われています。配当あるいは設備投資ということを見ますと、これは着実に回復している、伸びている、こうしたことであります。

 それでは、何で企業の成長の果実、これが人的投資に回らないのか、これについて、経済の好循環を完成させる意味から、私たちはいま一度考えなければいけないのではないか、こういった問題意識です。

 私は、この一つの理由、さまざまな理由はあるんですが、一つの理由、大きな理由として、人材投資、これが何らBS、貸借対照表に計上されない、このことがあるのではないかと思います。設備、従業員、これらは全て、利益を生み出すために必ず必要となる財産であるにかかわらず、人材が評価されていない、人材投資はBSに残らないコストになってしまっている、この点について真っ正面から取り組んでもよいのではないか、こういった問題意識を持っています。

 例えば、貸借対照表の参考として、人材投資額、これを併記する、こういったことも考えられないのだろうか、こういったことも含めまして、ぜひ企業の人材投資促進ということについて、茂木大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 岸田政調会長の方から、消費税の円滑な税率の移行、そして、日本経済の拡大基調、これをしっかりと継続していく、そのためにも人材の投資が極めて重要だ、こういった重要な御指摘をいただいたところでありますが、簡単に消費税の話をまずさせていただきますと、前回の引上げ時のことを検証してみますと、幾つかの課題が明らかになっております。

 前回、二〇一四年の引上げ時には、特に低所得者層において消費の抑制傾向が見られた。また、耐久消費財を中心に駆け込み需要の反動減が大きかった。さらには、対策を実行するための補正予算の規模が負担増に対して必ずしも十分ではなくて、その対策の効果の発現も、引上げが四月の一日だったのに対して、七―九月期以降にずれ込んでしまった。結果的に、消費税率引上げ前後に大きな需要変動が生じて、景気の回復力が弱まってしまった。

 こういう点を踏まえまして、今回は、消費税率引上げの使い道を変更して、引上げによる税収のうち半分を、教育無償化など国民に還元するとともに、軽減税率制度を導入することといたしました。

 また、引上げ前後の需要変動を平準化するために、自動車、住宅といった耐久消費財について、十月一日以降の購入にメリットが出るように税制、予算措置をとる。さらには、中小・小規模事業者支援のためのポイント還元、さらには、低所得者、小さな子供がいる世帯を支援するためのプレミアム商品券によって、期限を限った集中的な消費の喚起、下支えを行う。

 さらに、公共投資につきましても、政調会長の方から御指摘いただきましたように、防災・減災、国土強靱化のための三カ年の緊急対策を含めてマクロの需要創出を図るとともに、適切な執行を通じて変動を抑制するといった万全の対策を講じることにしておりまして、対策の規模につきましても、今回の消費税率引上げでは、軽減税率や幼児教育の無償化など既に決められている措置との差引きで、経済への影響が二兆円程度に抑制をされる。

 これに対して、今申し上げた新たな対策として、合計で二・三兆円程度の措置をとることとしておりまして、経済への影響を十分に乗り越えるものとなっておると考えております。

 その上で、今後、日本が成長を維持し拡大していくための人材投資にかかわる問題でありますが、人生百年時代、これに対応していくためには、これまでの若いうちの教育、そして就労、老後、こういうスリーステージをみんなが一斉に進む、これまでの単線型の社会を前提とするのではなくて、人生の再設計が可能となるように、教育、雇用制度や社会保障制度を改革していくことが必要でありまして、こういった観点から、幼児教育、高等教育の無償化、さらに、リカレント教育の充実を進めてきましたが、一方、企業の側におきましても、収益は上がっているんですが、そのお金が十分人材投資の方に回っていない、これは事実であると考えております。

 今、金融実務も御経験をされ、企業の財務にも大変詳しい岸田政調会長の方から、企業の人材投資について企業の情報として開示してはどうか、こういう御提案があったところでありますが、各企業の置かれた状況に応じて、賃金を含めた人材への投資のあり方について、企業と投資家が、間でしっかりと対話が行われていくということは極めて重要であると考えております。

 政府としても、企業収益を投資であったりとか賃上げに向かわせるために、賃上げそして教育訓練投資を行った企業に対する税制支援措置、これを講じているところであります。

 こういった取組を通じて、積極的な賃上げや人材投資が行われ、経済の好循環に資する、そして日本の潜在成長率を大きく引き上げていく、こういう状況をつくってまいりたいと考えております。

岸田委員 ぜひ、茂木大臣、この消費税の引上げについて、日本経済を大きな視点からもしっかり考えていただき、経済の勢いをしっかり維持していただく御努力をお願いしたいと思います。

 そして、経済、より具体的に考える観点から、地方創生と中小企業対策ということについて一つお伺いしたいと思います。

 まず、地方創生ですが、先日、私、群馬県の川場村を訪問させていただきました。

 これは御存じの方、大変多いと思いますが、川場村、これは総面積の八八%が森林で占められ、人口は約三千五百人、高齢者の割合も四〇%を超える、全国の多くの地方が抱える問題を抱えている村と言えると思います。

 しかしながら、その川場村に、利用者数約百八十万人、そのうちリピーターが八割、日本で一番人気のある道の駅、川場田園プラザが存在します。木質バイオマス発電を行って、東京都世田谷区には電気を送り、その熱で温室農業を行っている、こういった姿も見てきました。この意欲的な取組、これはまさに地方創生の一つの成功例だと思います。

 しかしながら、こういった成功例、決して多くはありません。

 平成二十六年に、日本全国のおよそ五〇%に当たる八百九十六の自治体が消滅可能性都市であるという報告がなされました。これを受けて、総理のもと、地方創生が掲げられ、ことしは第一期の最終年と位置づけられています。

 ただ、総務省が先日、一月三十一日ですが、公表した外国人を含む平成三十年の人口移動報告によりますと、東京圏、埼玉、千葉、東京、神奈川、この四つの都県ですが、東京圏は、転入者が転出者を上回る、十三万九千八百六十八人上回る、こうした転入超過であります。一極集中、これをとめるに至っていないということかと思います。

 一方で、全市町村の七二・一%が転出超過、こういった現状にあります。

 第一期の最終年を迎えました。この四年間の地方創生の取組、これをどう評価するのか。また、第二期に向けてどういった決意で臨むのか。総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思います。

 地方の活力、力とは何かといえば、やはりまずは農林水産業ですね。そして、新たに観光が加わりました。そして、中小企業、小規模事業者の皆さんの活力こそが地域の力なんだろう、こう考えています。

 我々は、まさに地域ならではのものをしっかりと売っていく、あるいは、地域ならではの風景も含めて、海外からの観光客を集めていく、そういうことも含めて、そうした努力に対しまして一千億円規模の地方創生推進交付金、地方独自の創意工夫をそうした推進交付金で後押ししてまいりました。

 そうした中で、例えば農林水産物の輸出額は、五年連続で、昨年、過去最高となり、九千億円を超えたんですね。一兆円の目標ももう少しまでやってきた。そして、その中で、四十歳代以下の若い新規就農者、四年連続で二万人を超えました。これは統計をとり始めて初めてのこととなっています。生産農業所得も三年連続でふえました。その増加額は九千億円で、これは十九年間で最も高い水準に実はなっているんです。

 また、海外からの観光客、これはどういう意味があるかというと、政権交代の前の四倍にふえましたが、インバウンド消費というのは今、四兆五千億円になりました。四兆五千億円ですから、新たな大きな産業が地域に登場したと言ってもいいんだろうと思います。

 中国地方、私と岸田先生の中国地方はちょっと伸びが少ないんですが、海外からの観光客が少ないと言われている山口県においても、例えば免税店、二十一店しかなかったんですが、百四十八店、七倍にふえたんです。

 このように、大きく地方の経済に寄与しているのは間違いないんだろう、こう思います。

 また、地域経済を支える中小・小規模事業者の皆さん、我々はさまざまなメニューで生産性向上に力を入れてきました。その結果、倒産も、政権交代前から三割減少し、この四半世紀で最も少ない数になっているということであります。

 そうした中で、全都道府県の有効求人倍率が史上初めて一倍を超えましたね。そして、地方の法人関係税収も多くの県で、これはほとんどの県で四割、五割ふえています。

 川場村では、観光などが盛り上がりを見せる中で、近年は人口の転出入がほぼ均衡しているとのことでありますが、最大の課題は、今おっしゃったような東京一極集中であります。特に、十代後半や二十代の若者が東京圏への転入の超過の大半を占めています。つまり、若者にとって働く場所がなかったら東京に行かざるを得ない、あるいは、学びの場が魅力的なものがなかったら東京に行かざるを得ないという状況を変えなければならないわけでありますが、幸い、今、四十七の全ての都道府県で有効求人倍率、一倍を超えました。

 地域に仕事ができた結果、大きな変化が出てきました。

 例えば、東京から地方に転入する、移住する相談なんですが、十年前に比べて十倍にふえた。十年前は、大体、半数近くが六十歳代以上だったわけでありますが、今は、約九割が五十歳代以下、つまり、現役世代が相談しに来るようになってきた。

 さらには、三十歳未満の方の相談件数というのは何と五十倍にふえたということでありまして、かつては、例えば、私や岸田先生が引退した後、広島や山口に帰って何しようかと相談に行っていたんですが、今は、ここにおられる若い皆さんが、地方にこそチャンスがある、こう思うようになってきて、これを生かして新しい流れをつくっていきたい、こう思っています。

 魅力あふれる地方大学づくり、そして地域おこし協力隊のさらなる拡充、地方へ移住し、起業、就業をスタートする際に最大三百万円を支給する新しい制度により、若者の地方への流れを大きくしていきたい、こう思っています。

 さらに、本年は、二〇二〇年度以降の地方創生の第二期総合戦略の策定に向けた検討を進めていきたい、こう思っています。

 先月、今回の景気回復期は戦後最長になった、こう言われておりますが、前回の戦後最長というのは、平成十四年の四月から第一次安倍政権を経て平成二十年の二月まで続いたんですが、この二つの大きな違いは地域のばらつきなんです。

 前回は、プラス、マイナス、大きなばらつきがありまして、例えば、日本銀行の地域別業況判断を見ますと、例えば前回は、北海道や四国は、六年間続いてずっと、悪いがよいを上回る、マイナスで推移していた。あるいは、ずっとプラスだった、まあ最初の一年間はしようがないんですが、あとの五年間ずつ比べてみますと、五年間ずっとプラスだったのは、前回は東海地区と関東地区だけだった。

 しかし、今回の景気回復、いろいろなことを言われていますが、今回の景気回復は、北海道から九州・沖縄まで、九つの地域で全てが、よいが悪いを上回る、プラスで五年間推移している。

 これはなぜかというと、先ほども申し上げましたように、観光等が大きく寄与している。農林水産業も、いわば輸出が九千億円になってきた中において、これが大きく、やはりこうしたこと、特に観光も大きく寄与していることなんだろう、こう思っておりますが、しっかりとこれからも地方創生を進めていきたい、挑戦していきたい。

 また、政調会長始め、党において、さまざまなメニューあるいは政策をしっかりとつくり出していただきたいと期待しているところでございます。

岸田委員 ありがとうございました。

 四年間の取組、さまざまな成果も上がってきた、これは総理のおっしゃるとおりだと思います。これをいかに全国に横展開、広げることができるか、また、政治として何を支援するのが効果的なのか、こういった観点から、引き続き二期目に向けて取組を進めていただければと思います。

 そして、時間が大分回ってきましたが、先ほど言いましたように、中小企業、ちょっと一言だけ触れさせていただきます。

 日本の経済を支える中小企業、小規模事業者、このことを考えることは、日本の経済のみならず、地方の活力を考える上でも大変重要であります。

 ここ数年間、政府としましても、中小企業を支援する、不安を解消するということでさまざまな取組を行ってきた、このように承知をしています。

 事業承継ということについても、高齢化が進む中で、多額の相続金等を考えて黒字廃業する経営者が随分ふえてきた、これからどんどんふえる、こういった指摘を受けて、今年度は法人向けの事業承継税制を拡充しました。来年は、個人向けの事業承継税制を創設いたします。こういった取組。

 また、人手不足ということを考えましても、一昨年の衆議院選挙で、与党としましても、生産性革命ということを訴えて、生産性の向上に努めてきました。昨年の通常国会においては、女性や高齢者、働く意欲や能力のある女性や高齢者に働き方を選び取ってもらおうということで、働き方改革の議論も行いました。さらには、昨年の秋の臨時国会、外国人労働者の受入れのための新たな受入れを行った。こうした人手不足につきましても、一昨年からさまざまな取組を積み重ねてきました。

 そして、今国会においても、中小企業者の防災、災害対策ということで、中小企業強靱化法、事前に備える、さまざまな準備を応援していく、こういった法律が用意されている。

 こういった取組をずっと続けてきた、これが政府の取組のありようです。

 しかし、引き続きぜひしっかりと応援してもらわなければいけない。例えば、中小企業の輸出入ですとか海外進出、もっと支援する道がないのか、こんなことも思います。

 ぜひこれからも頑張ってもらいたいという意味で、世耕大臣、この中小企業対策、これからの方向性、お話をお願いします。

世耕国務大臣 中小企業のいろいろな対策は今後も打っていかなければいけないと思っています。下請取引の適正化も取り組んでまいりましたし、今国会では、個人事業主に対する事業承継の拡充ということもやってまいります。

 特に重要なのは、やはり災害における中小企業の強靱化だと思います。お地元広島も含めて、被災中小企業を、私、見に行っていますが、見るにたえないものがあります。水没して壊れた機械の前で途方に暮れておられる中小企業の経営者の方々、もう売上げが立たないから今月の給料をどうしよう、自分のところの工場がとまっている間にほかのメーカーにお客さんをとられる、こういったところを、やはり事前防災をしっかり強化するということが非常に重要だというふうに思っています。

 中小企業強靱化法というのをやって、こういう事前の防災対策に取り組む中小企業を認定して、そして、税制、金融といった面で、設備を強化するということに対してしっかりと応援をしていくという取組も、最優先で取り組んでまいりたいというふうに思っています。

岸田委員 ぜひ、中小企業対策、日本の経済を支える、地方の活力を考える、こういった点からも、しっかりと取組をお願いしたいと思います。

 そして、ことしの重要日程の中に、G20そしてTICAD7があります。この後、重要な国際会議で総理が議長を務められるわけですが、これについてお伺いしたいと思います。

 今、世界を見るときに、自国第一主義ということが声高に叫ばれています。そして、その背景に、ポピュリズム、選挙等を見ても、ポピュリズムと指摘されるような、こういった動きがあります。さらには、強権的な政治手法の方が民主主義よりよっぽど効率的ではないかというような言い方で、強権的な政治手法が開発途上国にどんどんと輸出されている、こういった動きもあります。

 こういった動きを見るときに、今まさに民主主義そのものの持続可能性が問われている、国際社会の動きの中にそんな危機感を感じます。

 また、保護主義の台頭、これも随分言われています。保護主義の台頭そして自国第一主義、その中で、自由貿易そのものが問われている。自由貿易の持続可能性、これはすなわち我が国の持続可能性と言ってもいいような課題だと思います。こういった問題が問われている。

 言うまでもなく、異常気象ですとか大規模災害の頻発など、地球環境の持続可能性、これも問われています。さらには、資本主義、これは、ポスト新自由主義などと言われますが、要は、資本主義の物差し、これを改めていくべきではないか、ESG投資とかSDGsとか、こういった動きの中で、資本主義の持続可能性、これも問われている、こういった指摘もあります。エネルギーの持続可能性も問われています。

 総理は、ダボス会議でデータ経済圏という考え方を表明し議論をリードしたと聞いております。こうした国際的な動き、これはまことに、国際社会は大きな変動期にあると思いますし、岐路に立っていると思います。

 そのときに、ことし総理は、日本国の総理として初めてG20の議長を務められます。そして、TICAD7の議長も務められます。議論をリードし、そして大きな発信を行うチャンスを持っておられるわけです。

 このG20、そしてTICAD7の議長として、どのような思いで議論をリードしていかれようとしておるのか、総理のお考えをお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 ただいま岸田政調会長からお話があった、世界の流れの中で保護主義が台頭していく、あるいは自国をファースト、第一に考えていくという風潮があるのは事実であります。

 しかし、これは率直に言って、どの国も自国を第一に考えているんです。これは当然のことなんだろうと思います。私も日本の総理大臣でありますから、日本国の国民の国益、利益を第一に考えます。

 しかし、さまざまな国際的な課題は国際社会が協調しないと解決できないんですね。

 例えば、気象変動の問題、大きな災害にどうやって対応していこうか、これは国際社会が協力をしなければ解決をしていかないという問題。そしてまた、経済においても、まさに自由貿易、日本も含め多くの国が利益を得、そしてそれによっていわば世界は成長しているんですから、それをどうやって守っていくか、これはやはり国際社会が協調しなければならないんだろうな、こう思っています。

 特に貿易においては、グローバル化による急速な変化への不安や不満が、時に保護主義への誘惑を生み出して、国と国の間に鋭い対立を生み出しています。だからこそ、さまざまな不安や不満と向き合い、公正なルールを打ち立てていくことで自由貿易を進化させていくことが大切なんだろうな、こう思っています。

 ことしは、今御指摘のように、G20が開催され、アフリカの国々とのTICAD7も開催されます。TICAD、G20、それぞれ、例えば気象の問題とか地球規模の問題も一緒に議論もしますし、自由貿易の問題についても議論していきたいと思っています。特にG20においては、今おっしゃったデータガバナンス、電子商取引に焦点を当てて議論する大阪トラックの開始を提案し、またWTO改革に新風を吹き込みたい、こう思っています。

 つまり、世界の協調を進めていく上において、日本がしっかりとリーダーシップを発揮していかなければならない、このように考えております。

岸田委員 ぜひ、大きな視点から議論をリードしていただきたいと思います。

 その中で、環境の問題、特にお伺いしようと思いましたが、時間がなくなりましたので、また別の機会にさせていただきたいと思います。

 環境をめぐりましても、画期的なイノベーションが求められている。また、再生可能エネルギーも、パリ協定から後を考えても、格段にコストが下がってきている。技術の革新が進んでいる。ビジネスとしての競争力も高まっています。こうした再生エネルギー分野、日本がしっかりリードしていく、こういったことも大事なのではないか。このあたりについて、また別の機会にお伺いしたいと思います。

 そして、最後に外交ですが、時間が限られておりますので、まずは日ロ関係、北方領土問題、平和条約問題、これは戦後日本外交に残された最大の宿題のうちの一つであります。ぜひ堂々とこの課題に立ち向かっていただきたいと思います。

 日韓関係、さまざまな課題が噴出をしています。ただ、国際法から考えても、これまでの二国間関係から考えても、韓国側の対応は我々の理解を超えています。理解できない部分が大変多いです。また、交渉の中で、無礼であるというような感情的な発言が飛び交う、大変感情的なものも感じます。ぜひ、日本としては、言うべきことはしっかり言わなきゃいけない。加えて、ぜひ国際世論をしっかりと味方につけなければいけない。広報戦略、しっかりやってもらいたいと思います。

 また、米朝首脳会談、今月末に行われます。ぜひ、非核化に向けて、また拉致問題を始めとする日本の課題解決に向けて、しっかりと働きかけをお願いしたいと思います。

 そして、最後に、河野大臣に一つ。

 INF、中距離核戦力全廃条約、これが失効するかもしれない。これは、我が国が核軍縮の土台としているNPT体制の危機です。私は深刻に思います。

 ぜひ深刻に捉えて、唯一の戦争被爆国としての対応をしっかり考えていただきたいと存じます。それをお伺いして、質問を終わります。

河野国務大臣 INF全廃条約がこれまで軍縮において果たしてきた歴史的な役割というのは非常に大きいと思います。

 今、岸田委員おっしゃったように、これが失効しかねないという状況になっているのは大変残念なことでありますが、このINF全廃条約によって義務を課されてきた米ロ以外の国がミサイルの開発を進めているという現実もございます。

 日本としては、INF全廃条約がもし失効してしまえば、それにかわる新たな、今度はマルチの枠組みをしっかりとつくれるように、世界の中で声を上げ、努力をしてまいりたいというふうに考えております。

岸田委員 終わります。

野田委員長 この際、後藤茂之さんから関連質疑の申出があります。岸田さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤茂之さん。

後藤(茂)委員 自由民主党の後藤茂之です。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、毎月勤労統計調査の問題について伺わせていただきたいと思います。

 国の大事な基幹統計が正しく運用されていなかった。まさに言語道断だと考えております。

 なぜ、平成十六年の時点で、全数調査とされていた統計計画を変更して、適切な手続を経ずに、東京の従業員五百人以上の企業について三分の一抽出にしたのか。統計計画を変更してさえいれば、三分の一抽出自体が統計上間違っていたわけではないんです。なぜ手続をしなかったのか。

 三分の一抽出をするとすれば、三倍にして復元するのは統計上当たり前のことであって、それを復元しないのは初歩的なミスだというふうに思います。どうしてそんなミスが防げなかったのか。そうであれば、追加給付の問題も発生しなかったわけです。自公、民主の両政権期間を通じて、なぜこの誤りを修正できなかったのか。

 そして、平成三十年一月に、これを修正したときに、どうしてそのことを公表しなかったのか。いつ、誰が事実を把握し、何をしたのか、何をしなかったのか。

 再発防止のためには、まず、徹底的な事実の解明と責任の所在を明確にすることが肝要だと考えます。ルールに基づく適正な手続を遵守し、誠実に数字に向き合っていくということは、個々人の意識改革として非常に重要なことだと考えますし、組織のガバナンスが確立されていなければならない。そのことも強く申し上げたいと思います。

 国民の調査に対する納得を得られるためには、特別監察委員会の中立性や客観性を高めることが必要となると思います。そもそも監察委員会にあっては、委員長指示のもとで事務局が手足となって実務を行うことまで否定されているものではないというふうには思いますが、しかし、当事者に対する、委員がしっかりと聞き取りを行うことや、あるいは事務局の構成をしっかりと透明なものになっていくように修正することは、最低限必要だと考えております。

 特別監察委員会の中立性、客観性のあり方に対する考え方も含めて、安倍総理大臣の毎月勤労統計調査問題に対する御所感を伺わせていただきます。

安倍内閣総理大臣 まず、毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、セーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわびを申し上げます。

 厚生労働省の特別監察委員会においては、先般、それまでに明らかになった事実等について報告書を取りまとめていただいたところでありますが、今般、委員会のもとに、元最高検検事の方を事務局長に迎え、民間有識者で構成される事務局が新たに設置されたところであります。更に独立性を強めた形で検証作業を進めていただいているものと承知をしております。

 今回のような事態が二度と生じないよう、徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要であり、再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

後藤(茂)委員 国民の皆様には、毎勤統計の賃金データが修正されることでどんな給付が修正されるのか、御不安もあるようであります。毎勤統計のデータに基づいて支払いが行われ、過少給付となっているのは、失業等に係る雇用保険、労務災害に係る労災保険の二つの給付です。非常に重大な事態だと思います。一日も早く差額の給付を進めなければならないと思います。

 雇用保険、労災保険の給付を現状でいつから始められるとお考えか、厚生労働大臣に改めて伺いたいと思います。

根本国務大臣 雇用保険、労災保険などの追加給付については、二月四日に工程表をお示ししたところであります。

 具体的には、現在受給している方については、新たな支給分は、三月から六月までに順次、再計算された本来支給すべき金額でのお支払いを開始いたします。また、過去の支給分については、給付の種類に応じて三月から十月ごろにかけて順次お知らせを開始し、その後お支払いを進めてまいります。

 次に、過去に受給した方については、現在、厚生労働省で保有している住所データあるいは住民基本台帳データを活用して現住所を特定できた方には、給付の種類に応じて四月から十一月ごろにかけて順次お知らせを開始することを考えております。

 国民の皆様にとって必要な情報を提供しつつ、できる限り早期に簡便な手続で実施できるよう、最大限努力してまいります。

後藤(茂)委員 一日も早い給付、そしてまた、国民の皆様からの問合せ等については、真摯に、早急な対応を図っていただくようにお願いをいたします。

 これまでの厚労委員会の閉会中審査あるいは予算委員会の質疑においても、再集計値、参考値のいずれを用いるのが適切かということが大変大きな議論になっております。賃金伸び率の判断については参考値をとるべきだと野党の皆様は断じておられます。

 再集計値、本系列とは、大企業と中小企業の労働者の構成割合などのベンチマークによるウエートを修正した数値であります。経済の変化によって、大企業や中小企業の割合や産業構造が変わります。それを反映しようとすれば、適切なウエートを変更していかなきゃいけないわけです。しかし、ベンチマークによる修正は、不連続を生み出すことにもなります。

 一方で、参考値、共通事業所系列は、サンプル入れかえ前後を比べる際に、入れかえ後と共通のサンプルのみで伸び率を比べるものです。経済構造の反映をすることはできませんが、ベンチマーク、サンプリング手法の不連続性を差し引いて、同じ企業群の賃金の伸び率をより連続的に比べられるという特徴があるわけであります。

 平成三十年九月二十八日に開催された百二十六回統計委員会では、労働者全体の賃金の水準は本系列、景気指標としての賃金変化率は共通事業所系列を重視していくことが重要との見解が確かに示されています。ただし、それぞれのメリット、デメリットについてもしっかりと提示もされておりまして、統計委員会としては、統計の特徴を示す説明資料をホームページに掲載することにより、統計ユーザーの理解も深まるものと期待するということを見解として示しています。

 さて、以上のことを踏まえると、利用者が目的に応じて本系列、共通事業所系列の双方の系列を見て適切に判断することが統計を見る上で重要と考えます。利用者が目的に応じて双方を見て適切に判断すべきであるとの見解でよいか、改めて、石田総務大臣に端的に確認をいたします。

石田国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今御指摘いただきましたように、それぞれのメリット、デメリット、そういうことはあるということを明記されているわけでございまして、議員御指摘のように、政府統一見解を端的に申し上げれば、利用者が目的に応じて、本系列、委員御指摘の再集計値、あるいは共通事業所系列、委員御指摘の参考値の双方の系列を見て適切に判断することが統計を見る上で重要であると考えております。

後藤(茂)委員 本日、毎勤統計の速報値が発表になりました。本日発表の速報値、その分析、評価について厚労省に伺います。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 本日、御指摘のとおり、毎月勤労統計調査の速報値が発表されております。平成三十年十二月分、それから平成三十年分一年分、その両方を発表いたしました。

 平成三十年十二月の現金給与総額の実質賃金は、前年同月比一・四%増でございました。また、平成三十年平均の実質賃金指数、現金給与総額は〇・二%増となったところでございます。

 それで、分析ということでございますけれども、平成三十年について見てみますと、名目賃金は、所定内給与や賞与等の特別給与の堅調な伸びに支えられたこともあり、通年でプラスでございました一方、実質賃金でございますが、原油価格上昇によるガソリンや電気代などのエネルギー価格上昇の影響を受けて消費者物価の伸びが大きかったこともあり、前年に比べて増減を繰り返しておりましたけれども、最終的に、名目賃金の伸びが消費者物価の伸びを上回り、プラスとなったところでございます。

 実質賃金は伸び悩んでおりますけれども、これは、消費税率引上げに加え、デフレからの脱却に取り組む中で物価が上昇したことが押し下げ要因となっておりますが、景気が回復し、雇用が増加する過程において、正規雇用労働者などと比較して相対的に賃金水準の低いパートで働く方の比率が上昇したことが、賃金の平均値の押し下げの要因となっております。

 一方で、パートタイム以外の一般労働者については女性や高齢者の労働参加が進んでおり、これ自体は望ましいことでありますけれども、実質賃金の平均値という点から見ますと押し下げの要因となっているといったような背景があるものと考えております。

後藤(茂)委員 名目賃金でいえば、十二月は一・八、年間でいっても一・四。答弁がありましたように、実質賃金で、本系列で一・四、年間で〇・二ということで、私も先ほど見せていただきました。

 ところで、厚労大臣、三十年速報分について、共通事業所系列の実質賃金は公表されているんでしょうか。

根本国務大臣 共通事業所の集計値について、実質は示しておりません。その意味で公表しておりません。

後藤(茂)委員 どうして公表されていないのか。

 先ほども申し上げたように、両系列の性質、算定方法が異なることは技術的にはよく理解いたしておりますが、検討がこれまで進められてきているというふうに伺っておりますけれども、検討が終わるめどはいつごろなのかもあわせて、根本厚生労働大臣に伺います。

根本国務大臣 先ほど、共通事業所の集計の前年同月比を見る、これについては統計委員会からの課題、これは委員が御紹介していただいたとおりであります。

 そして、実質化をする、いろいろな専門家の意見も私も聞いておりますが、これは後藤委員の得意なところだと思います。

 何で実質化をするか。実質化というのは、やはり年々の経年変化を見る、それが実質化の意味ではないかと思いますが、その意味では、今、共通事業所の月々の値については、次の年になるとまた別な共通事業所の月々の値を見るということですから、それを、経年変化を見るという指数化になじむか。すなわち、何のために実質化をするのかというところが、なかなか、共通事業所のそういう統計的な性格がありますから、月々の名目で見るというのは私は大事だと思いますけれども、それを実質化するという、あるいは経年的な比較を見るという指数化、これは本当になじむんだろうかという問題が、一つ課題があると思います。

 そして、共通事業所の集計については、作成が開始されてまだ、十二月でありますから、観測を開始したばかりで蓄積がない指標であるという課題もあります。

 私が申し上げているのは、共通事業所の数字、これがどういう性格のものかというところで、これは統計的な観点からの専門家の知見をいただきながら、このような……(発言する者あり)いや、実質賃金指数を統計としてお出しすることが適当かどうか、これはよく検討していきたいと思っております。

後藤(茂)委員 検討を急いでいるということですね。

 それでは、野党は、今回の毎勤統計の不適切な取扱いの問題の発生を理由として、雇用情勢の回復、賃金上昇の根拠がなくなったかのような発言を繰り返しています。雇用情勢の回復、賃金上昇は、さまざまな資料、連合の調査を始め他の調査のデータでも確認されています。総雇用所得は大きく拡大し、名目賃金の確実な上昇が確認されていると思います。

 実質賃金の伸び悩みは、我々も課題と考えてきました。実質賃金が伸び悩んでいるのは、雇用者が三百五十万人ほど増加したこと、原油、エネルギー価格の上昇による国内物価の上昇等が原因となっていると考えられます。しかし、総雇用所得が増加している以上、例えば女性労働の八十七万人の増加や高齢者労働の五十五万人の増加によって、一人当たり実質賃金が減っても、家計単位で、あるいは経済全体で賃金の上昇が見られたと考えられます。

 また、経済の回復過程においては、パート労働者、非正規から動きが出るということでありまして、実質賃金は低目に出る傾向があると聞いております。

 現に、我々が地域でいろいろな皆さんにお話を伺う場合でも、地域経済において、人手不足と賃金の上昇、最低賃金の上昇が中小企業のコストアップとなって経営を圧迫しているんだという強い声を我々は日々聞いているんです。もちろん、より高い実質賃金の上昇を今後も目指せるような、そういう必要はあると我々も考えておりますけれども、明らかに雇用情勢は好転もしておりますし、賃金は上昇していると考えます。

 現状の雇用情勢や賃金上昇についての認識、アベノミクスの評価について、安倍総理大臣に改めて伺います。

安倍内閣総理大臣 先ほど、岸田政調会長との議論の中で、前回の景気回復期と今回の景気回復期の違いについてお話をさせていただきました。

 前回の景気回復期も同じ六年間だったんですが、そのときには、デフレがずっと解消されなかったことによって、名目GDPは実は六年間で二・五%しか伸びていないんですが、今回は、御承知のように早い段階で、もはやデフレではないという状況をつくった結果、名目GDPは一〇・九%。ですから、前回の回復期よりも名目においては四倍の伸びを示しているということであります。

 そして、国民の皆さんにとって最も大切な雇用でありますが、雇用は大きく改善をしておりまして、二〇一二年から二〇一八年までの六年間で、生産年齢人口が五百万人減少する中にあっても、就業者数は三百八十万人増加をしたわけであります。

 景気回復により仕事が増加したことにより、正社員の有効求人倍率は調査開始以来最高水準となりました。史上初めて一倍を超えたということでありますから、一人の正社員になりたいという人に対して一人の正社員の仕事があるという真っ当な経済、社会を初めてつくり出すことができたと考えています。

 そして、昨年の春に卒業した高卒、大卒者の皆さんの就職率は調査開始以来最も高い水準となっていますし、昨年の十二月一日の時点の大卒者の就職内定率は過去最高となっています。

 さらに、賃上げについては、連合の調査においては、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが実現しており、中小企業の賃上げは過去二十年で最高となっています。

 そして、今議員が例として挙げられた、私もよく挙げるんですが、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得については、けさの新聞報道では複数の専門家が総雇用者所得か実質賃金かについて見解を述べていますが、複数のエコノミストが、もとは働いていなかった人が所得を得て総雇用者所得が増加するのは大きな意味があるということや、あるいは、総雇用者所得の伸びを景気回復の証拠とみなすことができる、こう述べているわけであります。

 例えば、倒産件数、先ほども申し上げたところでございますが、我々、政権交代前より三割減らすことができました。

 つまり、例えば、それまでは三割以上倒産をしているわけでありますし、就職率も低いんですから、就職できなかった人は、いわば賃金を平均化した毎勤の統計上の実質賃金の中には入っていないわけであります。つまり、新たに登場した三百八十万人の方々、これは全員がもちろん正規ではないわけでございまして、非正規の方々もおられますが、事業所自体の人数がふえていって、新たにふえてきた人数でまた割り返していくとなると、もともとの従業員の方々の給料は同じであったとしても、新たにパートの方が入ってくれば、その方々の賃金が少ないとなると、これを割ったら全員の賃金が低く平均は出るというのは、これは明らかであるわけであります。

 連合の調査というのは、四月に賃上げをしますから、賃上げをした事実、結果の平均値を出しているわけであります。しかし、四月に大体どの企業も賃上げをするんですが、そうすると、これがずっと続いていくはずでありますが、そうではなくて、月々がどうなるかというと、事業所の雇用の変化もありますし、実質で見れば物価の変動等によって月々の変化が出てくる、こういう数字であるということを認識しておく必要もあるんだろうな、こう思っております。

 アベノミクスの取組により、女性や高齢者の就労参加が進んだことで雇用が大幅に増加をし、総雇用者所得が名目でもあるいは実質でも増加が続いていることは、大変意義深いと考えております。

 このように、アベノミクスの成果により、雇用、所得環境は着実に改善をしています。こうした認識に基づき、引き続き、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現といった働き方改革とともに、生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討等を推進することにより、成長と分配の好循環を更に進めていきたいと考えております。

後藤(茂)委員 次に、本年の大課題であります消費税率の引上げと、それに伴う経済的影響の平準化対策等について伺いたいと思います。

 出生数が百万人を割りまして、国難とも呼ぶべき少子高齢化という構造問題に真正面から取り組んでいかなければなりません。

 本年十月に予定されている消費税率の引上げは、我が国が少子高齢化を克服し全世代型社会保障制度を築き上げていくために、そしてそれは、わかりやすいことで言えば、我が国の国民生活の未来をしっかりと明るいものとするためにどうしても必要な措置であり、国民の皆様に御協力をお願いしなくてはならないものと考えます。

 社会保障四経費に充てられることになっている消費税の税率引上げによる税収を活用することによって、幼児教育、保育の無償化や社会保障の充実を通じて、国民の生活の安定、将来の安心に役立てることができます。現役世代の不安を解消し、個人消費の拡大を通じて経済を活性化する側面もあります。

 改めて、今回の消費税率引上げを行う目的、意義を総理に伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 少子高齢化、そして人生百年の時代にあって、社会保障のあり方も大きく変わらなければなりません。お年寄りだけではなく、子供たち、子育て世代、さらには現役世代まで広く安心を支えていく、そのような全世代型社会保障を築き上げ、少子高齢化を克服していくためには、消費税率の引上げによる安定的な財源がどうしても必要であります。

 十月からの消費税率一〇%への引上げについては、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと思います。その上で、増収分を活用し、教育無償化や低年金者への給付等の社会保障の充実策をしっかり実現することで国民の皆様に還元する、あわせて、反動減等に対する万全の対策を行っていく考えであります。

 全世代型の社会保障と申し上げますと、高齢者の皆さんへの給付が薄くなるのではないかとの指摘もありますが、それは全くそんなことはないわけでありまして、高齢者の皆さんの安心、そして高齢者の皆さんの収入をしっかりと支えていく、それは全く変わりがないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、低年金者への給付等の社会保障をしっかりと充実をしていきたいと思います。

 いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとしていく考えであります。

後藤(茂)委員 前回、二〇一四年に五%から八%へ三%の引上げを行いましたときは、経済対策をいろいろ実施しましたけれども、国民の皆さんに大きな負担となり、また、駆け込み需要と反動減等も起きまして、経済に相当のマイナス効果があったというふうに感じております。

 こうした経験を踏まえまして、今回、政府・与党は、引上げに向けた十分な対応を用意しております。この対応策は、さまざまな工夫、配慮が尽くされたものとなっていると思います。

 五つの視点が私はあると思います。一つは、国民の負担への視点です。第二は、生活者、消費者への視点。第三は、中小企業、商店街、地域経済対策の視点。そして第四に、未来志向の経済社会づくりの視点。第五に、需要平準化の視点。

 こうした五つの視点について、時間が限られておりますから少しはしょりますけれども、順次、具体的に議論していきたいと思います。

 第一点の国民負担への視点については、今総理からもお話がありましたし、先ほど政調会長への議論もありましたので、五・七兆円税負担がふえることに対してどういうふうに返していくのか、簡単に、茂木経済財政担当大臣から御答弁をいただきます。

茂木国務大臣 今回の消費税率引上げによります直接の負担増、これは、御案内のとおり、軽減税率との差引きで五・二兆円と見られるわけでありますが、これに、幼児教育の無償化、社会保障の充実など、既に決められている措置を講じることによりまして、差引きで経済への影響は二兆円程度に抑制されると考えております。

 これに対して、新たな対策、臨時特別の措置として、ポイント還元、プレミアム商品券、防災、減災、国土強靱化によりますマクロ需要の下支えなど、予算で合計二兆円、税制面では、駆け込み需要、反動減に対応するための、自動車に係る税負担の軽減や住宅ローン減税の拡充など〇・三兆円、合わせて二・三兆円程度の措置を講じることにしておりまして、影響の方が二兆円、対策が二・三兆円、消費税引上げによる経済への影響を十二分に乗り越える対策としているところであります。

後藤(茂)委員 二点目の、生活者、消費者の視点について伺いたいと思います。

 子育て世代に対しまして、三歳から五歳の幼児教育、保育の無償化が、所得制限を設けることなく実現することに十月からなっております。

 年金を主な生活の糧とされている高齢者の方々についても、消費税率の引上げというのは、非常に重要な影響を特に心配されるところだと思います。今回の税率引上げに伴う対応策で、年金生活者への支援策としてどのようなことを行うのか、厚労大臣に伺います。

根本国務大臣 消費税率引上げに伴う対応策では、消費税に逆進性があることに鑑み、低所得の高齢者など、真に支援を必要とする層にしっかりと支援の手が行き届くことが重要だと思います。

 このため、高齢者や障害者の方で、年金を含めても所得が低い方に対して、消費税率引上げによる増収分を活用して、新たに年金生活者支援給付金を支給すること、そして、介護保険料の軽減の拡充などを行うことにより、このような皆様の生活をしっかりと支援してまいりたいと思います。

後藤(茂)委員 三点目は、中小企業、商店街、地域経済対策の視点でございますけれども、今回の対応策では、低所得者や子育て世帯を支援し地域の消費を喚起するために、プレミアムつき商品券事業を行うこととしています。

 現金給付ではなく、あえて商品券という形にしたことは、そのことによって期限や地域を区切れることや、貯蓄に回らないようにすることによって消費喚起につなげていくという利点があると考えています。

 プレミアムつき商品券については、ばらまきではないのかというような御批判もありますけれども、このばらまきに対する御見解と、付与するプレミアム分を五千円としている理由について、茂木大臣より御説明をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 プレミアム商品券は、消費税率引上げの影響が相対的に大きいと考えられる低所得者の皆さんや、小さな乳幼児のいる子育て世帯を対象に、負担増によります消費への影響を緩和するために実施をするものでありまして、プレミアム額、これは、商品券二万五千円に対してこれが二万円で購入できますから、五千円ということになるわけであります。

 この額の算出につきましては、今回の消費税率引上げの影響の出ない、軽減税率の対象となる飲食料品、これは酒類、外食を除くわけでありますが、それから消費税が非課税となる経費、医療であったりとか土地の売買などを除いた低所得者の消費支出につきまして、このプレミアム商品券、六カ月で出すわけでありますが、六カ月間で一人当たり五千円程度の負担増が見込まれることを参考にして設定をしているところであります。

 さらに、期限を区切って、発行します自治体の地域内で使用できる商品券とすることによりまして、駆け込み需要、反動減の平準化、さらには、地域における消費の下支えにも資するものだと考えております。

後藤(茂)委員 第四に、未来志向の経済社会づくりの視点が入っているということでございますけれども、中小企業支援策の目玉であるポイント還元支援事業は、需要平準化や中小・小規模事業者への消費税対策であるとともに、我が国にキャッシュレス決済を普及させようという非常に野心的な内容となっていると私は思います。

 一方で、中小事業者の方からは、自分たちがキャッシュレス化の動きについていけないのではないか、決済機能から排除されることはないかと心配する声をよく耳にいたします。

 こうした中小事業者のキャッシュレス化への不安にどう対応するのか、経産大臣に伺います。

世耕国務大臣 中小・小規模事業者の皆さんから、キャッシュレス決済による取引は導入の費用がかなりかかるんじゃないか、手数料負担が重いんじゃないかという懸念が示されているわけで、今、必ずしもそうではないんです、非常に廉価な端末などもあるわけですけれども、しかし、こういう懸念にはしっかりと対応していかなければいけないというふうに考えております。

 中小・小規模事業者がキャッシュレス決済を導入される際には、必要となる端末、その導入費用の三分の一をクレジットカード会社などの決済事業者が負担をすることを前提に、残りの三分の二は国が補助をして、中小企業の負担がゼロになる形で導入支援を行うとともに、また、当然、手数料というものが発生をするわけですが、これも、決済事業者間で競争が働くように、今、七%とか一〇%というケースもあるんですが、これは決済事業者が三・二五まで引き下げてくれるということを前提にして、その三分の一を補助をさせていただきたいというふうに思います。

 こういった支援を実施することで、地方の中小・小規模事業者もキャッシュレスを導入しやすいような仕組みをつくっていきたいと思いますし、また、キャッシュレスというと、クレジットカードばかりということになるんですが、今は、QRコード決済ですとか、あるいは、事前にチャージをしておくカード式というのがあります。こういった多様なキャッシュレス手段を選択肢としてお示しをすることで、必ずしも高い機械を入れなくても、廉価に、この間、総理に行っていただいた店でも、QRコードをお店の中に掲示するだけでキャッシュレスに対応できるというやり方もあるということもしっかり周知徹底していきたいというふうに思っております。

後藤(茂)委員 今大臣からも御説明していただきましたけれども、地方の商店街や商業組合なんかへ行きますと、プリペイドカードでポイントのつく電磁式のものを出しているようなところもあります。こういうものも対象になるということでございますから、キャッシュレス化と聞くと何か心配になる向きもあるかもしれませんが、ぜひ、そうした新しい時代に向けて、いずれにしても、事業者にとっても消費者にとっても最終的には便利になっていくという方向でございますので、ぜひ御利用をいただけたらというふうに思っております。

 第五点目の視点でございますけれども、需要平準化の視点でございます。

 前回の税率引上げ時には、引上げ前後に駆け込み需要と反動減が大きく発生をいたしました。これ自体、景気を弱めるとともに、企業においても、引上げ前後で設備の稼働率が大きく変動するなどの非効率が生じたと思います。

 これに対する、政府としてどのような対策を講じ、どのような効果が見込まれるか、茂木大臣に伺います。

茂木国務大臣 前回、二〇一四年の引上げ時に、需要変動ということで申し上げますと、特に二点、一つは、低所得者層において消費の抑制傾向が見られた、もう一つは、自動車であったりとか住宅、こういった耐久消費財を中心に駆け込み需要そしてその反動減が大きかったこと、これによりまして大きな需要変動が引上げ前後に起こりまして、景気の回復力が弱まってしまった。

 これらの点を踏まえて、今回は、まず、低所得層等々について、消費税の使い道の変更を行いまして、引上げによります税収のうち半分は教育無償化などで国民に還元をするとともに、消費税の逆進性も考えまして、飲食料品等について軽減税率制度を導入することとしたわけであります。

 さらに、引上げ前後の需要変動、これを平準化するために、これまで、ヨーロッパですと、必ずしも引上げの日に、その日に全ての事業者が一斉に値上げをする、こういう形ではなかったんですが、日本の場合、そういった慣習といいますか、そうするんだろうということで進めていたんですが、今回は、それぞれの事業者が需要に応じて自由な価格設定ができる、こういう柔軟な価格設定のためのガイドラインの設定。そして、先ほど申し上げた自動車、住宅について、十月一日以降の購入にメリットが出るように、税制、予算措置を講じる。さらにはポイント還元、そしてプレミアム商品券。

 期限を区切って集中的に、これによりまして消費の喚起、下支えを行っていきたいと考えておりまして、一定期間の需要、これはほぼ一定という考え方に立ちますと、この引上げ前後に駆け込み需要を抑制することによって、反動減そのものもしっかり抑制することができると考えております。

後藤(茂)委員 終わります。

野田委員長 この際、萩生田光一さんから関連質疑の申出があります。岸田さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。萩生田光一さん。

萩生田委員 自由民主党の萩生田光一です。

 質問の機会をいただきましたので、まさに平成が終わろうとしております、平成のその先の時代の国と地方のあり方について、いずれのテーマも内政に関して質問させていただきたいと思います。

 幹事長室で仕事をしておりますと、毎日のように、全国の自治体の知事さんですとか、市長さんですとか、あるいは議会の皆さんがお見えになって、さまざまな要望や陳情や御相談事があります。もちろん、我が党は地域に寄り添って丁寧にその質問、お願いを聞くわけですけれども、お話を聞いていますと、いや、それは国の仕事じゃなくて県の責任でやるべきですよ、それは市の仕事ですよということがたびたびあるんですね。

 私は六年前にも同様の質問をしているんですけれども、地方交付税というのは、財政力の平準化はできるけれども、行政力を高めることには残念ながら直接の効果は知らしめていないんではないかというふうに思っています。

 昨年は自然災害が非常に多くて、自治体の行政力によって住民の皆さんの生命と財産を守ることができるかどうか、こういう判断にも至った方も大勢いらっしゃるんだと思います。

 そこで、平時ならともかく、緊急時にその自治体がどういう能力を発揮できるかということを、やはり住民の皆さんに知らしめていく必要が私はあるんじゃないかなというふうに思っております。

 国土強靱化、三年間で七兆円という大きな予算を積んでいただきました。大事なことだと思います。しかし、ハードの整備だけではこの真の強靱化にはならないと思うんです。すなわち、受皿となる地方自治体、なかんずく職員の皆さんの能力を上げていかなければ、住民の皆さんの生命財産を守る自治体、強靱化はできない。私は、そういった意味では、地方自治体の強靱化というのをこの際政府と一緒に考えていきたいというふうに思っております。

 熊本地震や西日本の豪雨あるいは北海道の胆振東部地震などを経験して、政府でもあるいは党でも災害対策本部で仕事をさせていただきました。

 すごく感じていることがありまして、我々自由民主党が中心になって、この平成の三十年間、行政改革を進めてきました。例えば、民間委託ですとか、あるいは指定管理者制度ですとか、PFIですとか、PPPですとか、アウトソーシングですとか、さまざまな手法を取り入れながら職員定数の見直しを進め、またコスト削減に努力をしてきた、そんな三十年間だったと思います。一方、その結果、地方自治体ではどういうことが起こっているかというと、現業職、技術職の人たちが圧倒的に減っているんですね。

 西日本の災害のときに、私、たまたま官邸に行く用があって、総理がメーカーの皆さんに直接お電話をして、避難所の簡易型エアコンを何とか集めて、そして被災地へ今週中に送ってくれ、そういう作業をしている真っただ中でした。

 努力をされて、四百基からのエアコンをどんと広島や岡山に送ったんですけれども、しかし、翌週に現地に行った調査団の報告の中では、残念ながら、そのエアコンが箱から出されていないという自治体、避難所もたくさんあったんですね。なぜかといったら、自治体そのものが被災者ですから、また設備業者もみんな被災者ですから、なかなか工事に手が回らないと言うんですよ。

 一瞬、何となく納得できるんですけれども、簡易型のエアコンですから、これは箱からあけて、電源をつないで、水を入れて、パイプを外に出せば冷気が出るんですよね。すなわち、そういう、間に入って通訳ができる職員の人たちがどんどん減ってきていることは、結果として、地域の住民の皆さんの生命を守ることにつながらないんじゃないかということを肌で感じました。だからといって、技術職の採用をし直せというのは、これは本末転倒だと思います。

 そこで、私は、今、公務員の皆さんの定年延長が見直しをされている真っ最中であります。学校を卒業して、長い人ですと、地方自治体に四十年以上勤めることになります。一般事務職として採用された職員であっても、二十代の柔軟なうちに、その地域にとって必要なさまざまな資格を取るということを国として促していったらどうかと思うんです。

 例えば、県の知事が見えたときに、役所の中に気象予報士はいますかと言うと、まずゼロ回答なんです。

 あの豪雨が迫ったときに、気象庁はさまざまな情報発信をします。しかし、それは、ある程度、エリアででは情報発信できますけれども、その中を細分化したさまざまな雲の動きというのは、これは誰かが見なきゃならないんです。今、民間の気象予報会社というのも非常に精度を上げています。日本の衛星からすれば、かつては三・三キロ升でしか雲の動きが追いかけられなかったのが、今は四百メートル升からですよ。

 すなわち、市町村の町の降雨量まで計算をするつもりになればできる能力を今、日本は科学技術で持っているわけです。しかし、現場にそういう職員がいなかったら、残念ながら、そういう機能は発揮できません。

 あるいは、もっと身近なところでいえば、文化施設。一生に一回の小学校の合唱コンクール、ピアノの調律が壊れていた、さあ、業者に発注しても間に合いません。職員の中に一人でもピアノの調律ができる資格者がいたら、あっという間に対応できるんじゃないかと思います。

 よく道路建設で、直轄事業で、そして、スピードが速い自治体と遅い自治体があります。これは何でかというと、どれだけ露払いを地元の自治体ができるかなんですよ。

 県や市の職員の中に地権者と顔の通じる人たちがいる。そして、例えば移転補償の話になったときに、役人の皆さんは安易に移転補償の金額を口に出すことはできません、後でトラブルになると大変ですから。だけれども、ミニマムの金額の目安を計算する人がいたら、おおむねこれだけの補償費は入りますよと。そうすれば、移転を促す上で、移転先を見つけることもできるんじゃないか。例えば、不動産の鑑定士、土地区画整理の検定技術者あるいは土地家屋士、こういう人たちが自治体にいれば、事業のスピードは私は上がるんだというふうに思います。

 この際、国としては、それぞれの自治体に必要な、どういう人材が必要か、こういう目安をつくって、ぜひ、資格を取る、そういった後押しをしたらいかがかと思いますが、総務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

石田国務大臣 萩生田議員にお答えをさせていただきます。

 議員御指摘のとおりだと思います。地方公共団体が災害時に的確に対応できる能力を持った職員を育成することは、極めて重要であるというふうに認識いたしております。

 これまでの災害対応における課題といたしまして、中央防災会議などから、災害対応に必要となる知識やスキルの習得等を進めて、市町村の災害対応力を強化すべきことなどが指摘されております。

 御指摘いただきましたように、災害発生時に避難所等において応急対応を実施する上でも、職員が、例えば、御指摘のありました電気工事や危険物取扱いの技術を習得することは、非常に有用であるというふうに考えられるところでございまして、こうしたことから、総務省では、来年度から、地方公務員の資質向上を図るため、災害対応に必要な資格取得、講習受講に要する経費に対しまして地方交付税措置を講ずることといたしております。

 委員御指摘の資格の取得促進や研修の充実を含めまして、総務省としても、関係機関などと連携して、引き続き、地方公共団体の人材育成の取組をしっかり応援してまいりたいと思っております。

萩生田委員 早速の取組を大変高く評価をしたいと思います。

 ふだんは違う仕事をしていてもいいと思うんです。いざというときに役に立つ人たちが地域にどれだけいるかということが大事だと思うので、私は、資格を取得する財政的な支援をすることも大事なんですけれども、その取った技術が、資格がさびないように、ぜひ研修を上手に、ブロックごとだとか国が主体的にやってあげることが重要じゃないかと思います。

 例えば、私の自治体では、学校用務員の方に救急救命士の資格の取得を促しました。学校にもう一人そういう、保健の先生以外に救急救命に携わる職員がいるというのは、例えばプールをやる上でも非常に頼りになると思います。また、職員の中から、狩猟免許を取って、獣害駆除、猟友会の皆さんと一緒に山に入っていただいている職員の人たちもいます。

 災害に限らず、自治体にとってプラスになる、そういう資格は、大いに公務員の皆さんはチャレンジをしてほしいと思っています。プラスワンの職員を目指す、こういう地方を国と一緒につくっていったらいかがかなと思っております。

 そこで、昭和と平成、二度の合併を促しました。あのときは、どちらかというとコスト優先といいますか国の都合優先で、なかなか自治体の思いと国の合併推進の思いというのがかみ合わなかった一面があったんじゃないかと思うんです。この平成の三十年間でこれだけの多くの災害を経験しますと、安心、安全という視点で、今のスケールメリットで大丈夫なのかということは、住民の皆さんも感じることだというふうに思います。

 私は、いたずらに週刊誌などがつくる自治体ランキングみたいなもので危機感をあおる必要はないと思うんですけれども、あなたの町はこういう能力がありますよということを客観的な評価をしてあげる、そういう作業をした上で、この合併は、平成の次の時代に、もう一度その機会をつくっていく必要があるんじゃないか。

 これは、住民の生命財産を守る能力を高めることと、それから、ふるさとに戻ろうという若い人たちにインセンティブを与える意味でそのステージを広げていくという、この二つの面で重要じゃないかと思いますので、この点について御所見をいただきたいと思います。

石田国務大臣 お答えいたします。

 災害対応を含めた行政サービス、これを持続可能な形で提供していくということは、非常に重要な問題であると認識しております。とりわけ、人口減少問題について早くから向き合ってきた市町村では、既に厳しい現実に直面しているわけでございます。

 そういうことから、昨年七月から、総理大臣の諮問機関でございます第三十二次地方制度調査会におきまして、高齢者数がピークとなる二〇四〇年ごろから逆算して、顕在化する諸課題とその対応策について議論がなされているところでございます。

 関係省庁にも御協力いただきながら、同調査会においてしっかりと議論が行われることを、まず期待をいたしたいと思います。

 また、御指摘のございました平成の合併について申し上げれば、行財政基盤の強化あるいは専門職員の配置など住民サービス提供体制の充実強化などの効果があったと認識いたしておりますが、その一方で、平成の合併後にも小規模な市町村はなお相当数存在しておりまして、そうした地域におきましては、持続可能な行政サービスを提供していくことは重要な課題と考えております。

 そのため、現在、総務省では、近隣市町村との連携を視野に入れて対応することが必要と考えておりまして、例えば、中核市や指定都市を中心とする連携中枢都市圏を始めとする市町村同士の広域連携、また、核となる都市から相当距離があるなど市町村間の連携が困難な場合の都道府県による補完、そして、自主的な市町村合併などの多様な手法の中から最も適したものをみずから選択できる施策を推進してきたわけでございまして、引き続き頑張ってまいりたいと思っております。

萩生田委員 何がということはなかなか我々が決めつけることはできませんけれども、やはり、平成のその先、いわゆるミニマムの住民を守れる能力を持った自治体というのを再構築していかなきゃいけないというふうに思います。

 職員の強靱化も含めて、総理の御所見をいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 住民の生命財産を守ることは地方公共団体の最も重要な役割でありまして、住民に最も身近な市町村は、その役割を果たせるように、専門人材の確保を含め、必要な体制を確保することが大切であろうと思います。このためには、市町村が、それぞれみずから持てる人的資源等を認識した上で、必要に応じ、他の市町村との広域連携や都道府県による補完、自主的な合併など、多様な選択肢の中からみずから最も適したものを選択できるようにすることが重要だろうと思います。

 今委員が御指摘になられたような、災害時にはどういう人材が必要なのか、あるいは、その人材がその町に、市に、あるいはその広域に存在しているかということ等も、今議員の質問を聞いていて、それは大変大切だな、こう思ったところでありまして、例えば町にいなくても近隣の市にいる、そういう資格を持った人が。そのときにその人に来ていただく等のことももちろんできるんでしょうし、そういうことについて、今後、では計画的に若い人たちにそういう資格を取ってもらうということを進めていくことも大切だろうなと思います。

 まさに現在、第三十二次地方制度調査会において、私からの諮問に応じて、圏域における地方公共団体の協力体制など、今後の地方行政体制のあり方について調査審議が行われているところでありまして、委員御指摘の点も含めて、同調査会において建設的な答申がなされることを期待しております。

 また、委員の御指摘のとおり、大規模災害発生時において災害救助や生活者支援などを一線で担う地方公務員の資質向上は極めて重要であると認識をしておりまして、政府としては、地方公務員の災害対応に必要な資格取得経費について、来年度より地方交付税措置を講じることとしております。

 いずれにしても、調査会の答申も踏まえつつ、政府として必要な措置をしっかりと講じて、地方公共団体の対応能力の向上を支援してまいります。

萩生田委員 ぜひ審議が深まることを期待したいと思います。

 幼児教育、保育の無償化についてお尋ねをします。

 既に、若年世代の皆さんにこういった施策を講じることは、私は大変ありがたいことだと思いますし、多くの皆さんが期待をしている政策であります。先ほどの後藤委員からも御指摘がありましたように、所得制限なしで若年世代の皆さんを応援していこうという、このマインドは大事だと思います。

 一方、今回の幼児教育、保育の無償化、これは本当にきめの細かい制度をつくっていただいて、ありとあらゆる若い人たち、保育園、幼稚園、類似施設の人たちを救済することになっています。しかしながら、これでもやはりどこかで線を引かなきゃならないものですから、ここからあぶれる施設というのが出てまいります。多分、与野党問わず全国から、なぜこの施設はその対象にならないんだという問合せが内閣府に行っていると思います。

 内閣府は、残念ながら現場経験はないんですけれども、しかし、市町村が条例で定める認定こども園に移行することを進めてくれているんですが、移行するには、例えば園舎の面積、園庭の園児一人当たりの面積ですとか給食室の規模ですとか、ゼロ、一、二の保育をやっているかとか、あるいは延長保育をやっているかとか、いろいろなメニューがあって、直ちに移行するというのは難しい、そういう施設がたくさんあります。

 では、今線を引かれてあぶれている施設というのはどんな施設かというと、二系類に分かれると思うんですけれども、一つは、例えばインターナショナルな幼稚園だとかアクタースクールだとかスポーツの英才教育の教室のような、どちらかというと習い事の延長みたいなものと、それから、残念ですけれども、このカテゴリーに入ってこないけれども幼稚園、保育園に限りなく外形的には似ている、しかし、ぎりぎり詰めていくとこの枠の中に入らないという施設があるんです。

 私の地元の高尾山の麓にみどり幼児園という施設がありまして、昭和二十二年から開設を今日までしています。どんな園かというと、社会福祉法人でも何でもないんですけれども、もともと農業、林業が盛んな地域だったので、繁忙期に、ふだんは三世代で家にいる子供たちを、施設にみんながそのときだけ集めて誰かが見ようといって始まった施設なんですが、それが社会の変遷とともに今日まで存続をし、またそのニーズに応えているんです。

 今、どんな人たちが通っているかというと、山の中ですから、自然体験教育がすばらしいと思う価値観を持った人や、あるいは、一度は保育園や幼稚園に入園したんだけれどもなかなか団体行動がなじまない、発達障害の疑いがあったりする、そういう子たちが親と一緒に通っている、こういう一面もあります。これは、当然のことながら、我々はこういう施設も全ての子供たちに含まれて救済されると思ったんですけれども、現段階では対象外ということになってしまいました。

 私は、何か一定の基準、これは何かといったら、一番詳しいのは身近な地方自治体なわけですから、地方自治体の判断で、これは必要だ、これは存続させるべきだという施設については、もう既に、私が今申し上げた園などは、東京都の制度ですけれども、私立幼稚園等特別支援教育補助金というものの対象になっています。しかし、幼児教育のカリキュラムをやっているかといったら、やっていないんです。保育園かといったら、今言ったように、親御さんも、一緒になって保育園に通わなければ通えない子供たちのために来ていますから、仕事をしていないんですよ。そうすると、幼稚園でもない、保育園でもないという、こういう中間施設が今回のこの政策から漏れてしまうというのは、私は、本来の政策目的と違うんじゃないかというふうに思います。

 改めて、こういう施設について、今の段階でのお考えをお示しいただきたいと思います。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 今委員から御指摘のとおり、今回の幼児教育、保育の無償化は、まず、法律の基準を満たした幼稚園、保育所、認定こども園に通う子供たちを対象とするとともに、待機児童対策の観点から、認可外保育施設などに通う子供のうち、いわゆる保育の必要性のある子供について対象としております。

 確かに、認可施設以外にも、今お話があったとおり、さまざまな特色、また地域の要請、こういったことによって重要な役割を果たす幼児教育施設があるということは私どもも承知をしておりますけれども、そこに通う子供の保護者の負担軽減のあり方については、やはりいろいろな、予算等の制約もありますことから、保育の必要性のある子供については今回の無償化の仕組みを活用いただくとしながら、それ以外の子供については、まさしく今委員が御指摘になられたように、各自治体において検討をいただきたいと考えておりまして、既に、今御紹介があったように、例えば東京都など、自治体において保育料の負担軽減を図る取組も見られるところであります。

 文部科学省といたしましては、関係府省と連携をしつつ、今お話しになられたような取組も参考にさせていただき、質の担保された認可施設への移行を促していくとともに、各地域できめ細やかな支援の取組が行われるよう促していきたいと考えております。

萩生田委員 私、ほかの例を挙げろと言われれば、二つも三つも言えますよ。多分、ここにいらっしゃる議員の皆さんはそういう相談を受けていると思います。

 どこかで基準を決めなきゃならないのはわかるけれども、新制度を、総理、つくるんですから。そして、この政策の目的は、若年世代の不安解消と、ひいては、将来は第二子や第三子にもつながってもらいたいという思いもありますよ。そうしたら、必要か必要じゃないか、親が必要だと思って通って、そして地元の自治体も存続を希望している、こういう施設はぜひ酌み上げていただくように、これは時間がありません、総理の決断で、検討をもう一度指示していただきたいと思いますけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今、用意した答弁はありますが、委員の御説明を聞いておりますと、そういう制度的な仕組みの中で、その中に入らないというところが、確かに、地域のニーズ、あるいはお父さん、お母さんのニーズに合った施設であるにもかかわらず、そういう施設があるんだなということ、よく私もわかりました。

 そういうところに対しての支援について、どう、国と地方が協力して支援していくこと、今度の新しい制度の中に入ってもらえるかどうかということについて、直ちに私は答えを持っておりませんが、検討させていきたい、このように思います。

萩生田委員 ぜひ、その実態をよく見て、私は、今私が例示した園などは救済すべきと思います。

 それで、やはり一番わかっているのは地方自治体なので、よく相談をして、この制度じゃなくてもいいです、例えば移行期間を含めて、その間にこういう努力をしてくださいというメニューを出して、その間、移行期間、例えば三年とか五年を応援していって、そして五年後にもう一度再審査をするとか。何か、そういうチャンスがなくて、ここでばっさり切られて、そうしたら、園児は募集できないですよ。来ないですよ。潰れますよ。潰れれば、待機児童になりますよ。

 ですから、そういうことも考えて、今、総理からいい答弁をいただきましたので、関係部署でぜひしっかりと検討していただきたいと思います。

 時間がないのでちょっとだけ、国家公務員の件についても触れたいと思います。

 今回の厚労省の不祥事は、これはもうけしからぬことだと思います。ただ、私、かばうわけじゃないんですけれども、野党の皆さん、身内での調査で甘いと言うんですけれども、本当に甘いかというと、結構厳しい調査をされていると思いますよ。

 私、誤解なく申し上げますけれども、国家公務員の試験というのはこういうふうに数多くあります。しかし、よく話題になる、キャリアと言われる総合職、そして、それ以外の職員が役所の中で一緒に仕事をしています。キャリアの方がノンキャリの仕事の不祥事の調査をするというのは、多分厳しい調査をするんだと思いますよ。私、連帯感がないとは言わないけれども、入ったときから自分たちの役目が違うけれども同じ組織でずっと仕事をしていくということは、中では二極化、三極化というのが出ているんだと思います。

 私、今、幹事長代行という仕事をしていまして、どんな仕事ですかと言われたら、三時間あっても説明できませんよ。だけれども、経験した先輩たちがいて、大変だろうなということをわかってくれているから頑張れるんです。モチベーションにもつながるんです。だけれども、この厚労省の統計官の人たちの仕事をわかっている管理職というのがどのくらいいたのかといったら、過去をさかのぼったら、統計官から局長になったのはたった一人しかいないんですよ。すなわち、自分たちの仕事のことがわからない上司のもとで仕事をするというのは、これ、部下は結構大変ですよ。

 ですから、そういう意味では、役所のあり方というのを、平成のその先、やはり少し考えていく必要があるんじゃないかと思います。

 私、皆さんと仕事して、本当に優秀な国家公務員の方、大勢いらっしゃると思います。日本の将来をともに憂えて、しっかり行動してくれる職員、いっぱいいます。しかし、その職員たちとよく話しているときに、あの彼、いいよねと言うと、上司が、あれはノンキャリですからと、こういうワードを使ったりするんです。私、ちょっとびっくりするんですよ。我々、仕事する上で、この人はキャリアかキャリアじゃないかなんて聞いてから仕事したことなんか一度もないですよ、一緒に仕事する中で。しかし、霞が関の役所の中では、残念ながら、そういう先入観はあるんだろうな、こう思うんです。

 あるいは、あいつ、誰々が採ったんですと言うんですよね。あいつ、誰々が採ったってどういう意味かと思ったら、要は、試験が終わって、論文が終わって、役所回りして、最終採用決定するのはその役所の人たちなんですよね。すなわち、誰かがその人を採ろうと決めて、その役所の人が採るわけです。それは、採られた方も、この人が自分を選んでくれたというのはずっとつながるから。だから、私、変な、ゆがんだ縦の関係というのがキャリアの皆さんには生じてしまっているんじゃないかと思うんです。

 私は、最終決定権は、人事院や、せっかく内閣人事局をつくったんですから、外の目で、採用するかしないかの最終決定をしたらいかがかなと思います。すなわち、役所の人が最終採用の決定をするんじゃなくて、外の目を入れてやるべきではないかと思っているんです。

 そして、ではキャリアとノンキャリというのはそんなに違うかというと、ノンキャリの皆さんもちゃんと、チャレンジする仕組みは十九年、二十六年の改正でつくってきました。幹部候補になる仕組みがあります。自分が幹部を目指すんだといって手を挙げて、周りの評価があれば、この水色の幹部候補の育成課程に入ってくることができるんです。

 では、どのくらい総合職と一般職で比率があるかといったら、今、一般職で約二割ですよ。八割の皆さんは、もともとの総合職の皆さんがこのラインに乗っかっていくんです。

 大事なのは、この出口の人事評価というところです。これ、誰がやるかといったら、各省の上司がやるわけです。すなわち、役所の中で幹部候補として送り出した人を、最後、幹部にするかどうか決めるのも役所なんですね。これだったら、さっき言ったみたいに、なかなか客観的な判断ができないんじゃないか、こんな思いを抱きました。

 いや、そんなことないんだ、あなたは公務員のことを知らないだろうと言うかもしれない。しかし、委員長、大学時代の四月、たった一回の試験でキャリアかノンキャリアが分かれるんですよ。世の中に出て働いたことも一度もないのに、この人は幹部候補、この人は普通の仕事、これは民間の企業じゃ考えられないと思います。学校時代の成績で全てが決まるんだったら、結構、ここにいる人はいないですよ。働いてみて、皆さんの評価を浴びて、そしてもまれて、やはり上達をしていくんだと思います。

 私は直ちにキャリア制度がだめだなんて乱暴なことを言うつもりはないけれども、幹部候補の候補としてプールするのはいいけれども、簡単にこのラインに乗せて、一部の公務員だけが上目を目指す、そして、そうじゃない人はなかなかそこからチャレンジできない。そうじゃなくて、ノンキャリの人たちから局長や審議官が出るような、やはり、そういう仕組みをせっかく内閣人事局はつくったんですから。

 私は、これからの新しい日本の国家公務員や霞が関像というのは、この安倍内閣の時代に、誰もがチャレンジして、そして、頑張る人たちが正しく評価されるものに更にブラッシュアップする必要があると思うんですけれども、最後に総理の御意見を聞きたいと思います。

安倍内閣総理大臣 国家公務員法においては、採用年次そして採用試験の種類等にとらわれず、人事評価に基づく能力・実績主義による人事管理を徹底しており、実際に、初級職や中級職で採用された職員を幹部、これは審議官級以上でありますが、へ登用し、また、二段階以上上位の官職への登用といった取組も、今御紹介いただきましたが、行われているところであります。

 加えて、幹部職員の候補となり得る管理職員を総合的かつ計画的に育成するための幹部候補育成課程を導入し、1種や総合職以外の職員からも対象者の選定がなされているところであります。

 また、国家公務員の採用については、人事院において実施する採用試験の合格後に、更に各省庁での面接が行われているところでありまして、採用試験の過程で、筆記試験に加えて、異なる省庁の複数の面接官による人物試験が実施されており、国民全体の奉仕者として、また政府の一員としての自覚を有する有為な人材であるか等の審査がなされているものと承知をしております。

 その上で、採用試験の合格者に対しては、各省庁において、その所掌事務に応じた専門的な知見から、さまざまな役職や部署の職員による複層的な視点で面接を実施し、実際に採用する人物を見きわめているものと承知をしておりますが、今、萩生田委員が言われたこの視点も、実際に登用するということであれば、実際にしっかりとそうした人たちの能力を見きわめながら対応していく、その形式だけではなくて。

 一回私も、外務省において、大使にいわば専門職等々から任命するという話を聞いたときに、ある国の言葉の専門職だったんですが、その人を優秀ですから大使にするといったら、その国だと思うじゃないですか。それが全然違う国なんですよね。だから、やはりこういうのは私は意味がないということで指摘をしたことがございました。

 つまり、真に、形式によらず、しっかりとそうした努力を重ね、能力を持った人たちに適した職につくことができるような、そういう人事評価をしっかりと行っていくことが大切だろう、このように思います。

萩生田委員 どんな資格にしろ、国家公務員になった皆さんが仕事のやりがいを感じられる、そういう環境を安倍内閣ではつくっていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。

野田委員長 この際、根本幸典さんから関連質疑の申出があります。岸田さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。根本幸典さん。

根本(幸)委員 自民党の根本幸典です。

 本日は、予算委員会で質疑をする機会をいただいたことに深く感謝を申し上げたいというふうに思います。

 私の選挙区は愛知県の豊橋市と田原市というところなんですが、愛知県といいますと、大体、自動車とか物づくりというイメージが大変強いんですが、その一方で、実は農業も盛んでありまして、四十七の都道府県のうち、愛知県の農業産出額というのは実は七位なんです。そして、私の選挙区の田原市というところは、農業産出額、市町村別でいきますと実は第一位でありまして、そして豊橋市は第九位ということでありまして、きょうは、そういう観点から、農業に関して、農政に関して質疑をしていきたいというふうに考えております。

 まず最初に、豚コレラについてお伺いをしたいというふうに思います。

 今月の六日に、愛知県の豊田市の養豚場で豚コレラの陽性が確認をされたわけであります。さらに、そこから子豚が出荷をされ、長野、岐阜、滋賀、大阪府の農場でも陽性が確認された。

 実は、私の地元の田原市も、豊田市から子豚が搬出をされ、その農場でも陽性反応が出て、現在、約千六百頭の子豚の殺処分が進められているということであります。

 この田原市というのは、愛知県には約二百弱の養豚場があるんですが、そのうちの七十二の養豚場がありまして、渥美半島というのは大変狭いところですので、まさに密集をしているところなんです。その密集の真ん中にある農場で今回この陽性反応が出たということで、養豚関係者は大変驚いていますし、それだけではなくて市民にも大変大きな衝撃を与えたということであります。

 私のところにも六日以降、関係者から、要望だったり要請だったり、いろいろな形で連絡が入っていますので、それを踏まえて少し質問をさせていただきたいと思います。

 吉川大臣におかれましては、農水省豚コレラ防疫対策本部で、極めて重要な局面を迎えたと発言され、これ以上の感染拡大を防ぐため、今全力で取り組んでいただいていると思いますので、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 また、我々自民党も、一月三十一日、そして昨日の二月七日におきまして、鳥インフルエンザ等家畜防疫対策本部、これを開催しまして、今後の対策について今協議をしているところであります。

 さらに、その議論を踏まえて、急ではあったんですが、昨夕に、吉川大臣のところに、対策本部が中心となって要請もさせていただきました。自民党としても、豚コレラの早期終息、これ以上の感染拡大を防ぐため、さらには国産豚を守るために、また全力で取り組んでいきたい、こんなふうに考えているところであります。

 今回の豚コレラの事例は、昨年の九月から発生した事例とは大きく異なっているというふうに思います。

 一つは、今回発生しました豊田市の、発生した地区なんですが、決して地形的に山に面しているわけでもありませんし、さらにはイノシシが歩き回っているような地域でもないわけです。そういう意味では、イノシシを媒介として豚コレラに罹患した、こういうことは少し考えづらいのかなというふうに思います。

 さらに、子豚の搬出によって一度に五府県で豚コレラが発生するという、いわゆる広域への広がりということがあったわけで、ここも大きな違いだったというふうに思います。

 その意味において、吉川大臣が、新たな局面に入った、こういうふうに発言されたんだというふうに思いますが、そこで、まず封じ込めるために初動防疫、これにまずは万全を期すべきだと考えていますし、そして今回の事例に関しては、感染拡大を防ぐためにも、感染経路の早期究明、これも進めるべきだというふうに思いますが、農林水産大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

吉川国務大臣 根本委員、御地元でもございますので、大変御心配なことかと存じます。また、昨日は、党の対策本部の皆さんからも御要望、申入れを頂戴いたしました。御支援に感謝を申し上げたいと存じます。

 まず、少しくこの豚コレラにつきましての今までの現状をお話を申し上げながら、対策についてもお話をさせていただきたいと存じますが、先週、岐阜県での七例目の発生に引き続きまして、今御指摘をいただきましたように、愛知県豊田市の養豚場で、岐阜県以外では初となる豚コレラの発生が確認をされました。この豚コレラの蔓延防止、封じ込めるために、国としての新たな対策を決定して実行に移そうとしたやさきでもございまして、愛知県での発生が確認をされたところでございます。

 また、本農場から豚が移動していたことが確認をされた長野県、岐阜県、滋賀県、大阪府の関連農場におきましても、専門家の意見を聞いて、発生が確認をされたことに、極めて私は重大な局面を迎えていると考えた次第でございます。

 まず、防疫措置の早期完了を目指しまして、全力を今尽くしているところでございます。自衛隊の皆さんにも大変なる御尽力をいただいているところでございます。

 愛知県と岐阜県との連携強化のために、一つは、感染経路の究明のための国の疫学調査チームを愛知県へ派遣をいたしました。さらに、発生が確認をされました長野県、岐阜県、愛知県、滋賀県及び大阪府の農場の早期の殺処分等の防疫措置も徹底を今いたしているところでございます。

 愛知県及び岐阜県下の全農場に対しまして、飼養衛生管理基準の遵守に関する指導の再徹底も今いたしているところでございまして、何としてもこれ以上の感染拡大を防がなければなりませんので、私ども農林水産省が前面に出て、各府省、県と一層緊密に連携をしながら、防疫措置を徹底をしてまいりたいと存じております。

根本(幸)委員 今大臣の方から、農水省が前面に出てやっていただけるということでありますので、ぜひ進めていただければというふうに思います。

 続いて、豚コレラのワクチン接種についてお伺いをしたいというふうに思います。

 きのうの自民党の対策本部の中でも、生産者からヒアリングをさせていただきました。その中で、生産者からは、ぜひ豚コレラのワクチンを打たせてほしい、こういう声もありまして、生産者の、これから先行きどうなるんだろう、こういった不安感からの発言であり、気持ちは本当に痛いほどよくわかります。

 その一方で、我が国において、清浄化に向けた対策を約十年ぐらいかけてやられて、やっとワクチン清浄国になった、こういった苦労だったり歴史があります。さらには、国産の安全、安心でおいしい豚肉を海外へ輸出していこう、こういう振興策もあります。さらには、鳥インフルエンザであったり口蹄疫のときに、ワクチンを使うべきかどうかという議論がされた、こういった経緯もあります。こういうことを踏まえると、ワクチンの接種は控えるべきだという意見も国内の中にはあるんですね。

 そうしますと、私も賛否両論あるというのは理解をしておりますが、やはり、養豚家であったり関係者というのは、今、国がどういう方向を考えているのかというのは非常に関心がありますし、どうなっていくんだという関心は大変強いと思います。

 その意味において、豚への豚コレラのワクチンの使用に関して、現時点で国がどういうふうに考えているか、お伺いをしたいと思います。

吉川国務大臣 農林水産省が定める豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針におきまして、ワクチンの使用につきましては、慎重に判断する必要があり、我が国における本病の防疫措置は、早期発見と患畜及び疑似患畜の迅速な屠殺を原則としているところでございます。

 現在までの発生事例につきましては、疫学調査チームの報告等から、飼養衛生管理基準の遵守がなされていたとは言えない部分がある、そういうことが考えられることなどから、現段階では、各府県と連携をいたしまして、飼養衛生管理基準の遵守及び早期発見と迅速な屠殺により、同病の発生予防、蔓延の防止を図っていくことといたしております。

 根本委員御指摘をいただきましたように、ワクチンに関しましては、我が国は、平成八年から十八年まで十一年間かけて、ワクチンに頼らない清浄化を達成をしてまいりました。その後、農場における飼養衛生管理基準を遵守することによってワクチンの非接種清浄国を実現をしてきたところでもございますので、この件に関しましては極めて慎重に対応していかなければならないな、私はそのように考えております。

根本(幸)委員 まずは飼養衛生管理基準の徹底ということでありますので、ぜひ農水省を挙げて、それぞれの生産者に指導していただければというふうに思います。

 それでは、私の地元の田原市でもそうなんですが、各地域で、生産者が競って、安心、安全でおいしい豚肉を切磋琢磨して今生産をしているんだというふうに思います。その一方で、今こういった豚コレラ等々が出ますと、国産の豚が売れないのではないかとか、値段が下がってしまうのではないかということで、風評被害に対して生産者が多くの不安を今持っています。

 そもそも、豚コレラというのは人間にはうつらない。さらには、万が一豚コレラにかかった豚の肉を食べても、これは人間にはうつらない。そして、そもそも、今、日本の中では、豚コレラに罹患した豚肉は市場に出回っていない。ぜひ、消費者には安心して国産豚を買っていただいて、そして食してほしい。こういうやはり強いメッセージを発していくということが生産者に安心を与えますし、まさにこれが事実でありますから、この必要性があるというふうに私は思います。

 きょうは、NHKのテレビを通じて多くの消費者が見ておりますので、ぜひ吉川大臣から、風評被害対策に対して強いメッセージを発していただければと思います。

吉川国務大臣 根本委員御指摘のとおりでございまして、屠畜場に出荷される豚につきましては、屠畜場で屠畜検査員による臨床検査、解体検査等が行われて、異状がなく、検査に合格した豚のみが市場に出回ることになっております。

 また、豚コレラは、今お話をいただきましたように、人に感染することはございません。仮に豚コレラにかかった豚の肉や豚由来の製品を食べたとしても、人体には影響はございません。

 このことを理解をしていただくために、農林水産省におきましては、このような情報をホームページ等を通じて国民の皆様に発信をいたしております。さらには、生産、流通、小売団体を対象に、正しい知識の普及についても通知をいたしているところでございます。

 なお、各それぞれの地区の農政局におきましても、不適切な表示に関する調査を今実施をしているところでもございまして、万一不適切な表示が見られた場合は、表示の自粛や改善を求めることといたしております。これも徹底をしてまいりたいと思います。

根本(幸)委員 今大臣からありましたように、日本の流通している豚肉、国産の豚肉は安全だということでありますので、私も豚肉は大好きですので、ぜひ国民の皆さんには安心して召し上がっていただきたいな、こんなふうに思っているところであります。

 そもそも、今回一番の問題は、やはりイノシシを通じて豚コレラが感染して罹患してくる、こういうことであります。やはりこのイノシシ対策をどういうふうにやっていくのかというのが実は非常に大切でありまして、一月三十一日の自民党の対策本部でも、このイノシシ対策をしっかりやるべきだという声が出ていたんですね。

 その一方で、イノシシというのは大変学習能力が高いようで、おりに入れたりわなにかけるのは大変難しいとか、これから繁殖期を迎えるとイノシシの移動範囲が広がっていく、そうしますと、豚コレラの拡散する可能性がまた高まっていく可能性があるから早期にやっていくべきだとか、野生イノシシに対して経口ワクチンを利用してはどうか、こんな多くの意見が出ていました。

 もちろん、農水省においてもしっかりと今対応をしていただいているというふうに聞いていますが、私は、イノシシの捕獲の強化であったり、あとは侵入防止柵、これをやはり早期につくっていくということが極めて重要だというふうに思いますが、農水省として野生イノシシに対して具体的にどのような対策を打たれているのか、お伺いをしたいというふうに思います。

吉川国務大臣 野生イノシシの対策につきましては、今後、拡散防止と生息密度を低下させるため、岐阜県及び愛知県におきまして、今御指摘をいただきました防護柵の増設、あるいは猟友会等による捕獲活動の強化等を緊急的に支援をすることといたしたところでございます。

 引き続き、関係省庁、都道府県、北海道はイノシシはいないと思いますけれども、都府県と協力をいたしまして、野生のイノシシの感染地域の拡大防止に努めるとともに、野生のイノシシ等から養豚農家へ感染しないように対応に万全を期してまいりたいと存じます。

根本(幸)委員 ぜひ万全の体制を実施していただきたいと思います。

 次に、アフリカ豚コレラについてお伺いをしたいというふうに思います。

 聞くところによりますと、アフリカ豚コレラには有効なワクチンや治療法がないというふうに言われています。その一方で、お隣の中国では、その発生がどんどん続いていて、一月二十八日現在では百二十一カ所で発生している、こういった報告もあります。万が一我が国で発生したときには養豚業界における影響は甚大でありますから、やはりこれは国内には決して入れない、断固入れない、こういうことが大事だというふうに思います。

 一方で、今観光客も大変多くて、中国からの航空機の定期便、直行便が日本国内の二十三の空港に来ています。そして、その航空機の量なんですが、一週間に千百機程度来ているということでありますので、大変多くの観光客含めていらっしゃっている。そしてまた、今はまさに春節の時期でありまして、中国からの観光客が一番多い。

 さらには、携帯品の畜産物を検査したところ、数件にアフリカ豚コレラのウイルスの遺伝子が発見された、こういったような報道もあるようであります。

 また、過日、日本養豚協会からも、我々自民党に対して、アフリカ豚コレラの対策も水際対策をしっかりやってくれ、こういう強い御要請もありました。現場でも大変大きな危機感を持って今この状況を見守っているんだというふうに思います。

 そこで、このアフリカ豚コレラに関し、水際防疫対策、さらなる強化が必要だというふうに考えていますが、吉川大臣の御見解をお願いいたします。

吉川国務大臣 御指摘をいただきましたように、中国でアフリカ豚コレラの発生が拡大をいたしております。春節の期間中に中国から多くの旅行客が来日することが見込まれておりまして、我が国へのアフリカ豚コレラ等の越境性動物疾病の侵入リスクが高まっていると私どもも承知をいたしております。

 農林水産省といたしましては、この水際対策のさらなる強化のために、まず、検疫探知犬の臨時的増頭、さらには中国及びモンゴルからの到着便に対する探知活動の強化を実施もいたしております。さらに二つ目といたしましては、家畜防疫官の携帯品検査の重点配置により、旅客に対する口頭質問の強化も実施をいたしております。さらには、税関と連携をした旅客の携帯品検査の強化も実施をいたしております。

 広報キャンペーンの強化はもちろんでありまするけれども、中国人向けのSNSの配信などによりまして、広く国内外に向けた持込禁止品の周知なども行っております。

 加えて、都道府県、関係団体等に対しまして、中国等におけるアフリカ豚コレラ等の発生情報を提供いたしまして注意喚起をするとともに、農場への侵入防止のための飼養衛生管理基準の遵守を改めて徹底しますように指導をしているところでもございます。

根本(幸)委員 今るる大臣から御答弁をいただきましたけれども、大臣の方からも、農水省は前面に立って頑張っていく、こういうような発言もありましたし、また、自民党の対策本部の議論の中でも、できることは全てやるべきだ、何とかこれ以上拡散させないように、しっかり豚コレラ対策さらにはアフリカ豚コレラ対策をやっていくべきだ、こういうような声がありますので、大臣にぜひ、この豚コレラの感染拡大防止さらには早期終息に向けて、決意のほどをお伺いしたいというふうに思います。

吉川国務大臣 冒頭の質問にも申し上げさせていただいたところでございまするけれども、これ以上の拡散をしないように、徹底した封じ込めを図っていかなければなりません。

 さらに、愛知県及び岐阜県、そして関係自治体との連携を強化しながら、迅速かつ徹底した防疫措置に全力を尽くしてまいりたいと存じますので、委員を始め各委員の先生方の御支援をお願いいたしたいと存じます。

根本(幸)委員 豚コレラの感染が確認される中、二月六日の夕刻には、官邸では豚コレラ関係閣僚会議を開催していただいて、政府を挙げて対策に取り組んでいくということが確認されているわけであります。

 現場では、今も懸命な対策が続いております。私の地元の田原市においても、県の職員始め関係者がしっかり連携して、士気高く、発生現場の対応に今取り組んでいるところであります。

 感染の防止と事態の早期収束に向け、引き続き政府を挙げて全力で対応をお願いしたいというふうに思いますが、この対応に当たる安倍内閣総理大臣の御決意をお伺いしたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 昨年の九月以降、岐阜県の複数の農場において豚コレラの発生が確認され、政府としては、いずれの事案においても、確定診断の後、直ちに徹底した防疫措置を実施してきました。

 さらに、一昨日、岐阜県以外の複数の農場で初めて豚コレラの発生が確認されたことから、直ちに防疫措置を開始するとともに、緊急に関係自治体の知事等も交えた関係閣僚会議を開催し、関係省庁と自治体が密接に連携して、感染拡大防止のために迅速かつ徹底した防疫措置を講じていくことを改めて確認したところであります。

 養豚農家の方々に一日も早く安心していただけるよう、引き続き、やれることは全てやるとの考え方のもと、迅速かつ徹底した防疫措置に万全を期してまいりたい、このように考えております。

根本(幸)委員 去年は、台風であったり地震であったり大雨であったりということで、非常に災害の多い年でありました。

 農水省においても、特に台風対策、十二号、二十一号、二十号、二十四号と、極めて迅速な対応をしていただきまして、私の地元では、先ほど申し上げた、農業が盛んで、特に施設園芸、農業用ハウス、大変盛んなんですが、これが倒壊をするという事案がたくさんあったんですが、これをしっかりと農水省挙げて対策をしていただきました。

 やはり、現場に何度も足を運んでいただいていますし、そしてすぐ対応していただいたということで、地元の生産者の人は大変喜んでおりますので、この場をかりまして、大臣にお礼を申し上げたいというふうに思います。

 今回、豚コレラ、そして自然災害の話をさせていただいたわけですが、なかなか農業者だけでは解決できるものではないものもあるんです。そういう意味では、自然災害を受けると、農業はやめてしまおうかな、こんなことを発する農業者もいまして、私はこれを聞くと本当に寂しくなりますし、いたたまれない思いになるんですね。そういう意味では、しっかりと、我々が農業者に夢と希望が持てる政策をやはり推し進めていくということが、日本の農業を私は元気にしていくことだというふうに思います。

 課題はまだまだたくさんあるんです。例えば後継者の問題であったり、さらには耕作放棄地の問題であったり、さらには、私の地元では、海外の野菜と国内生産の野菜が今競争している、こういうような課題もあります。こういった課題をしっかりと我々受けとめて、安心、安全の国産の豚、安心、安全な国産の野菜、そして安全、安心の農産物を消費者に届けるために、農業者と協力して農政を進めていくことを最後にお誓い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野田委員長 この際、尾身朝子さんから関連質疑の申出があります。岸田さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。尾身朝子さん。

尾身委員 自由民主党の尾身朝子です。

 本日は、予算委員会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、大変悲しい事案についてお伺いしなければなりません。

 千葉県野田市で、児童虐待により小学校四年生の女の子のとうとい命が失われるという痛ましい事案が起きました。私も、二人の息子を持つ母親として、この事案の報道に触れるたびに胸の潰れる思いがいたします。なぜ救えたはずの命が失われてしまったのか。少女は勇気を振り絞ってSOSを出し続けました。しかし、そのSOSは結果として私たちに届かず、少女を守ることはできませんでした。悔やんでも悔やみ切れません。二度とこのようなことが起きぬよう、政府としても改めてしっかりと検証し、対策を打たなければなりません。

 安倍総理にお伺いいたします。

 この事案を受けて、本日、関係閣僚会議において児童虐待への対応策を協議されたと伺っております。まずは、この点につきまして、総理のお考えと今後の政府の取組をお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 本来慈しんで守り育てるはずのお父さんから暴力を受ける、虐待を受ける、本当につらい毎日だったと思います。その中で、心愛さんは、学校のアンケートに対して、お父さんから暴力を受けている、何とかしてくださいという、まさに明確なSOSを発したわけでありますが、この必死の思いで出したSOSを残念ながら我々周りの大人が受けとめることができなかった、本当に悔やんでも悔やみ切れない、痛ましい出来事だったと思います。

 子供たちを守るとりでとなるべき学校や教育委員会、児童相談所を始め周りの大人たちが、その心愛さんの悲痛なSOSの声を受けとめてあげることができなかった、幼い命を守り切れなかった、本当に残念でならないわけであります。

 児童虐待の防止について、政府一体となって取り組むため、昨年七月に緊急総合対策を取りまとめたにもかかわらず、今回の事件が繰り返されたことはまことに残念でありまして、政府として深刻に受けとめております。

 子供たちの命を守るのは私たち大人全員の責任であります。この強い決意のもと、本日、関係閣僚会議を開催し、新たな対応を指示しました。

 具体的には、現在把握されている全ての虐待ケースの一カ月以内の緊急安全確認、子供の安全を第一に、通告元は一切明かさない、資料は一切見せないという新たなルールの設定、威圧的な保護者に対する複数機関での共同対処のルールの設定、児童福祉司の来年度千人増員など体制の抜本的強化など、直ちに実行するよう、厚生労働大臣を始め関係府省に指示を出しました。

 何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。

尾身委員 ありがとうございました。

 今、総理から大変力強いお言葉をいただきました。本当に子供の命を守るために、私たちは一丸となって頑張っていかなければいけないというふうに思います。

 繰り返しになりますが、今回の野田市の事案は確実に救えた命です。どうして私たちは幼い命を救ってあげられなかったのでしょうか。もう二度と同じ過ちを繰り返さないために、私たちに何ができるのでしょうか。児童虐待へ立ち向かう人たちが、正しい知識、技能、そして誇りを持てるような環境が必要だと私は思います。

 そのためには、子供たちと実際に接する児童福祉司には、きちんと専門教育を受けた人を配置すべきです。また、既存の専門家たちを惜しまずに児童虐待に投入する。私たちが持っている全ての資源を投入し、総力を挙げて、本気で児童虐待問題に取り組んでいく。一刻の猶予もありません。逡巡している場合ではないのです。児童福祉司の質を担保するため、国家資格化するということも検討すべきだと思います。

 更に一歩進めて、児童虐待問題に立ち向かえるように、大学などで一定の教育プログラムを履修し、専門性が高い人を対象とした子ども家庭福祉士などを設けるという新たな考え方も提唱され始めています。志があり、情熱を持った人が、プロとしての誇りを持って児童虐待の最前線に立ち向かっていく、このような国家資格を創設する時期に来ているのではないでしょうか。

 また、児童相談所に医師や弁護士などの専門職を配置するという措置はとれないでしょうか。虐待の傷というのは、衣服に隠れて見えないようなところに集中します。また、今回は情報開示を求める親権者への対応も問題になりました。

 そこで、例えば、その場に医師がいれば、子供が負った傷の部位から、虐待の可能性や危険性をより的確に、確実に判断ができたはずです。また、法律のプロがいれば、今回争点となった保護者との対応においても、法的に自信を持った対処が行えたはずです。

 私たちは、もう専門家を投入することにちゅうちょすべきではありません。児童相談所に医師や弁護士などの専門職を配置するという措置はとれないでしょうか。厚生労働大臣にお伺いいたします。

根本国務大臣 千葉県野田市で十歳の心愛さんが死亡し、両親が逮捕された事案、このような形でお亡くなりになったことは、まことに痛ましく、あってはならないことであります。

 そして、今委員から、弁護士、医師等の常勤配置、あるいは児童福祉司等々についてのお尋ねがありました。

 まず、弁護士及び医師については、児童相談所において法的な知見や医学的知見を踏まえたケース対応ができることは重要と考えており、弁護士、医師の配置等における費用の補助等により体制整備を支援しています。

 常勤での配置については、社会保障審議会のもとに設置したワーキンググループにおいて、弁護士について、常勤での配置を義務づけるべきとの御意見があった一方で、常勤ではないが多数の弁護士がチームでかかわることで効果的なかかわり方ができている自治体もあり、地域の実情に応じた配置方法をとれるようにすべきだなどの議論をいただきました。いずれにしても、日常的に弁護士とともに対応できるような体制整備が必要と考えております。

 また、医師についても、常勤での配置を義務づけるべきとの意見がある一方で、常勤医師の確保は難しいとの意見がありましたが、いずれにしても、日常的に医師とともに対応できる体制整備を進めることが必要だと考えています。

 国としても、児童相談所において日常的に弁護士、医師とともに対応できる体制整備を進めるため、必要な措置を検討していきたいと思います。私も、東京都の児童相談所に行ってさまざま御意見もいただいてまいりました。

 そして、社会福祉士の国家資格化については、児童相談所の職員の資質向上については重要な課題だと思っております。ワーキンググループにおいても、国家資格化を進めるべきという意見があった一方で、社会福祉士等を活用し、養成カリキュラムの充実で対応すべきなどのさまざまな御意見がありました。

 しかしながら、人材の専門性の向上及び具体的な方策について検討すべきという点については意見が一致したところであり、今後、国家資格化も含め、一定の年限を区切って、引き続き検討すべきという取りまとめもいただきました。

 これを踏まえて、国家資格化も含めて、人材の資質向上を図るための方策について検討してまいりたいと思います。

尾身委員 ぜひ、前向きに検討していただきたいと強くお願いしたいというふうに思います。

 平成二十九年の児童相談所の児童虐待対応件数が十三万三千七百七十八件で、平成十一年から十倍以上に増加しました。そのうち約半数が警察からの通報です。この増加は、児童虐待問題への社会の関心が高まった証左であるとも考えられています。

 今回の事案では、一年ほど前から、女の子の泣き叫ぶ声が近所で聞こえたとのことです。

 一八九という番号を御存じでしょうか。一八九という三桁の番号をダイヤルするだけで、所轄の児童相談所へ直接電話がつながります。この一八九の創設に当たっては、自民党女性局も積極的に働きかけ、平成二十七年七月に実現しました。

 虐待が疑われるような子供の泣き声や物音を聞いたらこのダイヤルに連絡する。それだけで、たくさんの幼い命が救えるはずです。しかし、まだ残念ながら余り知られていないのが現状です。

 厚生労働省にお伺いします。ダイヤル一八九の啓発、周知徹底のための対策を簡潔にお答えください。

根本国務大臣 いち早くお答えいたしますが、ちょっとその前に、先ほど私の答弁で、児童福祉司の国家資格化と言うべきところを社会福祉士の国家資格という答弁をいたしました。社会福祉士はもう国家資格がありますから、児童福祉司の国家資格ということで訂正させていただきたいと思います。

 児童相談所全国共通ダイヤル一八九、「いちはやく」、これは、虐待を受けたと思われる子供を見つけたときや子育てに悩んだときに、ためらわず、通告、相談できることが重要ということから設けられました。

 まずは、その周知を図るために、ポスター、リーフレットを全国の自治体、関係機関、関係団体に配布しているほか、インターネットやSNS、政府広報、ラジオ、新聞広告を活用するなど、さまざまな手法を用いて幅広く広報を行っております。

 また、発信者の利便性の向上として、電話をかけてから児童相談所につながる時間を短縮するために、ガイダンスの時間を大幅に短縮しました。約七十秒から三十秒に短縮をいたしました。このほか、コールセンター方式の導入を行っています。

 さらに、平成三十年度補正予算では、通話料の無料化に必要な費用を計上しております。さらに、平成三十一年度予算案において、SNSを用いた相談手法を活用する場合の補助を計上しており、引き続き、利便性の向上に努めていきたいと思っております。

尾身委員 ありがとうございました。

 また、虐待をしてしまった親へのケアも重要な課題です。子供が生まれただけで親になれるのではありません。生まれた我が子を前にして、子供を慈しみ育むこと、それが親の責任であるという自覚を持つことができて初めて親になれると私は思います。

 しかし、残念ながらその自覚が欠如したまま親になってしまった人たちに、改めて自覚を持たせる機会を設ける必要はないでしょうか。

 現在の制度においても、虐待をしてしまった親たちに面談するなどの対処をしておられるようですが、更に一歩踏み込んで、決して再発をさせないためのカウンセリングや再発防止プログラムの強化が行われるべきと考えられます。厚生労働省の見解をお聞かせください。

根本国務大臣 児童相談所は、虐待を行った保護者への指導や支援を行うこととされております。

 保護者のこれまでの生活歴や心理状態、家庭の環境などを踏まえ、個々の状況に応じて関係機関とも連携しつつ対応することが重要であります。

 具体的には、家庭環境の改善のための訪問サービスや、レスパイト、要は休憩とか休息ということでありますけれども、レスパイトのための一時預かりサービスのほか、適切な子育て方法を学ぶための親子で通うプログラム、児童福祉司が家庭へ通い、家庭環境を踏まえた上での助言指導など、保護者に対するさまざまな支援があります。状況に合った支援が受けられるよう、その体制を整備することが重要です。

 このため、一時預かりなど、地域における子育て支援サービスの充実を図る、教育プログラムを実施する民間団体などの地域資源の充実を進めていく、児童福祉司がきめ細かく訪問等による支援を行うことができるように、昨年十二月に決定した児童虐待防止対策体制総合強化プラン、新プランと言っておりますが、このプランに基づいて、児童相談所及び市町村の体制、専門性強化を図ることとしています。

 虐待を行った保護者への適切な支援を行い、再発防止に努めてまいります。

尾身委員 日本の児童相談所の設置密度は、平均人口六十万人に一カ所であり、諸外国に比べて格段に低いというデータがあります。例えば、イギリスでは一カ所当たりの管轄人口が三十七万人、ドイツは約十六万人です。制度が違うために単純に比較はできませんが、日本の児童相談所の管轄人口は余りにも大き過ぎるのではないでしょうか。

 先ほど触れた児童相談ダイヤル一八九は、管轄の児童相談所につながります。今回の事案が起こった野田市を管轄するのは柏児童相談所です。柏児童相談所は、松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市の五市を管轄しており、その管轄人口は百三十五万六千九百九十六人です。これはさすがに管轄人口が大き過ぎると思います。

 また、各中核市へそれぞれ児童相談所を設置してほしいとの意見もあります。さらに、各市町村に子ども家庭総合支援拠点を設置するという動きもあります。

 このように、市町村と連携し、すぐに駆けつけることができる距離に児童相談所などを設置することで、子供たちのとうとい命を守る網の目をより細かくすることができるはずです。そのためには、国は財政的、人的支援を拡充すべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

根本国務大臣 各国の児童相談体制は、その業務内容や権限なども異なることから、一概に比較することは困難でありますが、児童相談所の児童福祉司一人当たりケース数を減らして、よりきめ細かにケースワークが行われるようにすること、これが重要であると考えています。

 昨年十二月に決定した児童虐待防止対策体制総合強化プラン、このプランにおいて、児童福祉司を二〇二二年度までに二千二十人程度増員することとしております。これによって、一人当たりケース数を減らしていく。

 また、中核市程度の人口規模を有する自治体が児童相談所を設置することによって、身近な地域で、子育て支援から要保護児童施設までの一貫した丁寧な対応が可能となりますので、設置を図ることが望ましいと考えています。このため、平成二十八年度の児童福祉法改正により、特別区も含め児童相談所を設置できるようにする。これとともに、同法の附則において、政府は、施行後五年をめどに、中核市、特別区が児童相談所を設置できるよう、必要な措置を講ずることとされております。

 平成三十一年度予算案においては、一時保護所を整備する際の補助の拡充などを計上しております。

 国としても、引き続き設置促進を図ることが必要であり、今後も引き続き、自治体との連携を図り、意見も聞きながら、財政支援も含めた支援策を講じていきたいと考えています。

尾身委員 ありがとうございました。

 犠牲になった子供たちのとうとい命を無駄にしないためにも、さらなる国の取組を切にお願いいたします。

 先ほどの事案もそうでしたが、地域社会全体で子供たちを見守り育んでいくことが大切であると私は思います。

 さて、このたび、国を挙げて大きな支援が実現することになりました。長年の懸案だった幼児教育の無償化がことしの十月からスタートします。これは、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性や、幼児教育の負担軽減を図る少子化対策の観点から実施されるものです。しかし、この制度は複雑でわかりにくいという声もあります。

 そこでお伺いします。どのような項目がどの程度無償化されるのか、具体的に制度の内容を御説明ください。

宮腰国務大臣 今回の幼児教育の無償化の対象となりますのは、三歳から五歳までのお子さん、ここにつきましては、年収にかかわらず対象になります。そして、ゼロ歳から二歳までのお子さんにつきましては、住民税非課税世帯、すなわち、家族構成などにもよりますけれども、年収がおおむね二百六十万円未満のお子さんは対象になるということであります。また、幼稚園や認可保育所、認定こども園に通っているお子さんについては、現在お支払いいただいている利用料が無料になります。

 なお、これまで保護者の方々にお支払いいただいている、送り迎え、あるいは給食の食材、遠足のような行事に係る費用などは、引き続いての御負担が必要となります。ただし、こちらにつきましても、家族構成などによりますけれども、年収がおおむね三百六十万円未満の世帯の方は、給食の食材に係る費用の一部が免除されます。

 また、自由に利用料を定めている幼稚園に通うお子様につきましては、月額二万五千七百円までが給付されます。

 幼稚園の預かり保育、認可外保育施設などについては、お住まいの市町村が保育の必要性を認めたお子さんが対象となります。認可保育所との公平性の観点から、幼稚園の預かり保育の部分につきましては、月額一万一千三百円まで、認可外保育施設につきましては、三歳から五歳までのお子さんは月額三万七千円まで、ゼロ歳から二歳までのお子さんは月額四万二千円までが給付されることになります。

 さらに、障害のあるお子さんの発達支援につきましても無料ということになります。

 十月の実施に向けて、これからも丁寧な説明に心がけてまいりたいというふうに考えております。

尾身委員 ありがとうございました。

 このように、国を挙げて子育て支援を行っていくという施策は、子育て世代の皆様へ力強いメッセージになると大いに期待しております。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

野田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。尾身朝子さん。

尾身委員 自由民主党の尾身朝子です。

 午前中に引き続き質問させていただきます。

 施政方針演説でも総理から言及がありましたが、ソサエティー五・〇の実現に向けての成長戦略について質問させていただきます。

 世界は今、第四次産業革命の真っただ中で、科学技術イノベーションが経済社会のあり方を一変させようとしています。こうした未来社会の科学技術イノベーションの推進によってソサエティー五・〇を実現していくためには、研究開発に投資していくという国の姿勢が非常に重要です。

 ここで、このパネルをごらんください。

 このグラフは、主要国の研究開発費の総額の推移のデータです。特に、中国は、この十年で急激に増加し、二〇一六年ごろには二・六八倍にまでなっています。

 このパネルの数値は民間支出と政府支出の両方を含んでおり、第五期科学技術基本計画に定められた官民合わせた投資総額の対GDP比四%以上を達成するためには、総理も答弁しておられますとおり、民間の研究開発投資の呼び水となる政府研究開発投資を充実し、同計画に定められた政府研究開発投資の対GDP比一%、すなわち二十六兆円を目指していくことが不可欠です。

 そこで、政府研究開発投資について、熾烈な国際競争の中、日本の強みを生かしながら、どのように必要な予算を総額として確保していくのか、政府の見解をお伺いいたします。

平井国務大臣 質問ありがとうございます。私も先生と全く同じ問題意識を持っております。

 民間の開発投資の呼び水となる政府研究開発投資の充実は不可欠であり、対GDP比一%、これは極めて重要だと思います。

 平成三十一年度予算案における科学技術関係予算は、科研費を対前年から八十六億円増額するなど、従来の研究開発事業の拡充に努めてきた結果、今年度と比べ一〇%以上増加し、平成七年の科学技術基本計画制定以降で過去最大となる四兆二千億円余りを計上しました。

 引き続き、各関係省庁と緊密な連携のもと、所要の規模の予算確保に向けて最大限の努力をしていくことが重要だと思います。

 その中で、人々を魅了する野心的な目標、構想を国が掲げ、その実現に向けたバックキャスト型研究開発を推進するムーンショット型研究開発制度を推進、人工知能、バイオ、量子などの破壊的イノベーションをもたらす新技術について国家戦略を策定、また、今年度中に公共調達等における科学技術イノベーションの活用推進のためのガイドラインを作成するなど、投資目標の達成に全力を挙げたいと思います。

尾身委員 ありがとうございました。

 昨年、京都大学の本庶佑特別教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。本庶先生や山中伸弥先生のiPS細胞も含め、息の長い基礎研究に対して政府は継続的に支援してきました。このことが、二〇〇〇年以降、多くの日本人がノーベル賞を受賞するもとになったと考えられます。

 このような基礎研究、科学の振興はイノベーションの源泉であり、これを継続的に支えることは国の重要な役割の一つです。また、新たなイノベーションを生み出す知の拠点の中核である大学の改革をしっかりと行いながら、近年低下していると見られる研究力を強化していくことが急務です。

 そこで、イノベーションの源である基礎研究について今後どのように推進していくのか、また、大学の改革と研究力の強化をあわせて行っていくための今後の取組について伺います。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 基礎研究は、今委員御指摘のとおり、社会のイノベーションの源泉となるシーズを生み出すとともに、新たな知的、文化的価値を創造することによって未来を切り開くという意味で大変重要です。

 しかしながら、現在、日本においては、引用される論文数が伸び悩んでいたり、あるいは国際共著論文や研究領域がほかの国に比べて相対的に少なくなっている、あるいは博士課程の入学者の減少、こういったことによる研究力の低下が指摘をされているところです。

 このような現状を打破するため、二〇一九年度予算案において、研究力向上加速プランとして、まさしく今、本庶先生のお話も引用していただきましたけれども、科研費の大幅な拡充による若手研究者への重点配分、また、海外で研さんする機会の拡充などに係る経費をしっかり手厚く計上をさせていただいております。

 また、ソサエティー五・〇に向けた人材育成やイノベーション創出の基盤となる大学の改革と研究力向上、これを一体的に進めることが必要でありまして、このような認識のもとで、高等教育機関、研究機関の教育、研究、ガバナンス改革を一体的に進めるためのパッケージを、僣越ながら柴山イニシアティブとして取りまとめて、先日発表させていただいたところであります。

 このパッケージにおける、特に研究力向上については、まず一つ、世界をリードする質の高い研究人材と流動性の確保、二つ、研究者の継続的な挑戦を支援する研究資金の改革、三つ、研究生産性を向上させる研究環境の実現に向けて、今申し上げた人事給与マネジメント等改革を始めとした大学改革と一体的にこのイノベーションシステムの改革を加速させていきたい、このように決意しております。

尾身委員 大変力強い御答弁、ありがとうございました。

 地方創生における産学官連携、地域イノベーションの役割についてお伺いします。

 私の地元群馬県では、産学官に加えて金融機関の支援を受け、地域活性化と、知的財産と産業の融合を目的とした群馬産学官金連携推進会議を十五年間にわたって行ってきています。また、群馬大学は、自動運転に関する実証実験に参画しています。

 地域には、それぞれの大学や地域産業界ごとに強みがあり、それらを組み合わせ、地域発のイノベーション主導のエコシステムを形成することが重要で、そのためには、オープンイノベーションの視点から産業界も大学側と共同していくことが重要です。

 そこで伺います。地域発のイノベーションや産学官連携について、産業振興を担う経済産業省と大学改革や基礎研究を担う文部科学省が連携協力して行っていくことが重要と考えますが、世耕経済大臣から御見解を伺います。

世耕国務大臣 おっしゃるように、地方でも産学連携を深めてイノベーションを生み出していくことが重要だと思います。

 これまでも、文科省と共同で産学官連携機能を強化するガイドラインをつくったり、あるいは大学と共同研究をする際の企業への税制優遇など、産学連携を促進する取組を進めてまいりました。また、大学や自治体等の公設試験研究機関に対しても、地域経済を牽引する企業が共同で利用できる先端設備の導入や人材育成を支援してきているところであります。

 今後とも、地域でのイノベーション創出、全力で後押ししていきたいと思います。

尾身委員 大変、本当に力強いお言葉、ありがとうございました。地域活性化のためにも、産学官連携推進をぜひとも強力に推進していただきたいと思います。

 ここで、最後に、総理大臣安倍晋三先生にお伺いいたします。

 世界が第四次産業革命の真っただ中にある中、基礎研究を始めとした科学技術イノベーション政策を成長戦略の最重要課題に位置づけ、強力に推進し、ソサエティー五・〇を実現していくべきと考えます。最後に、改めて、総理の科学技術イノベーション推進とソサエティー五・〇に向けての御決意をお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 尾身先生のお父様である尾身幸次先生が発案をされまして、尾身朝子先生もずっと事務局あるいは通訳として貢献をしていただきましたSTSフォーラムは、世界各国から、ノーベル賞受賞者を含む世界第一線の科学者、経営者などが一堂に会する世界有数の国際会議となっています。私も毎年出席をさせていただいておりますが、日本で開催され、既に十五回を数えるこの会議は、科学技術立国日本の存在感を世界に示す大きな財産であります。尾身先生のこれまでの長年の御努力に敬意を表したいと思います。

 資源が乏しい我が国にとっては、日本人の人材の力と科学技術の進歩、イノベーションを生み出す力こそが、これまでも国力の源でありました。今、我が国は少子高齢化を始めさまざまな社会課題に直面をしていますが、その解決の鍵もイノベーションです。ソサエティー五・〇を実現し、日本がこれからも成長していくため、基礎研究を始め科学技術イノベーションの力を一層発展させることは、我が国の未来にとって死活的な問題であると考えています。

 今後とも、科学技術立国日本の発展に向けて、政府として全力で取り組んでいく考えであります。

尾身委員 今、総理から大変力強い御決意を伺いました。科学技術イノベーション、そしてソサエティー五・〇の実現に向けて、私も全力で頑張ってまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

野田委員長 これにて岸田さん、後藤さん、萩生田さん、根本さん、尾身さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長小野瀬厚さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 次に、石田祝稔さん。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔でございます。

 きょうは、お時間をいただきましたので、質問させていただきたいと思います。

 昨日、第二次補正予算が成立をいたしました。ぜひ、第一次とあわせて、速やかな執行をお願いいたしたいというふうに思っております。地方の方、特に災害で被災を受けた地域はこの補正予算に大変期待をいたしておりますので、成立をいたしましたので、ぜひともの素早い執行を重ねてお願いいたしたいと思います。

 それでは、私の質問に入ります。

 昨日は、二月七日、北方領土の日ということでございまして、総理も出席をなさったということでございます。一八五五年の日露通好条約によって択捉と得撫の間に国境線を引いた、そのことを記念して、政府、閣議了解でこの日に決まったということであります。総理もきのう、出席をなさって御挨拶をされたと思いますけれども。

 これからの日ロの領土交渉について、基本的なお考えは私は全く変わっていないと思いますけれども、その上で、プーチン大統領とともに長年の懸案を解決したい、私は、総理のそういう強い御意向というんですか、意気込みというか、これは高く評価をしておりますので、ぜひ頑張っていただきたいという趣旨で、これからの問題についてどう取り組んでいかれるか、御決意をお聞きします。

安倍内閣総理大臣 昨日、北方領土の日に際しまして、北方領土返還要求全国大会に出席をし、挨拶を行いました。

 その際、数名の元島民の方々と、しばしお目にかかる機会がありました。領土問題の解決は私たちの悲願でありますが、最もそれを望んでおられるのは元島民の皆さんだろうと思います。

 二年前の長門会談で私とプーチン大統領が確認した新しいアプローチに基づき、航空機によるお墓参りで現地に行かれた元島民の方は、おかげさまで、択捉島の墓地で、倒れていた現地の先祖のお墓をきれいに修復することができたと写真を見せて喜んでおられました。

 また、別の方は、元島民の方々の間にはいろいろな思いがあるけれども、皆さんが御高齢になる中においては、とにかく早く解決をしてもらいたいという強いお気持ちを表明され、本当にその熱い思いが伝わってまいりました。

 皆様の北方領土への切実な思いをしっかりと胸に刻み、改めて、領土問題を解決して平和条約を締結するとの決意を新たにしたところであります。

 冒頭にも触れましたが、二年前の長門会談で、私とプーチン大統領が、みずからの手で平和条約を締結するとの真摯な決意を表明して以来、新しいアプローチで問題を解決するとの方針のもと、元島民の方々の航空機におけるお墓参りや四島における共同経済活動の実現に向けた取組、そして八項目の協力プランなど、日ロの間でこれまでにない協力が進んでおります。

 先般のモスクワでの首脳会談では、平和条約の問題について、プーチン大統領と二人だけで、じっくりと時間をかけて突っ込んだ議論を行ったわけでありますが、その上で、今月中に次回の外相間の交渉を行うとともに、首脳特別代表の交渉も行い、平和条約交渉を更に前進させるように指示をしました。諸般の事情が許せば、二月中旬のミュンヘン安全保障会議で外相間の交渉も行う方向で、今、調整をしております。

 戦後七十年以上残された課題の解決は容易なものではもちろんありませんが、しかし、私たちはこれをやり遂げなければなりません。六月のG20大阪サミットにプーチン大統領をお招きをし、あわせて首脳会談を行います。

 日本国民とロシア国民が、互いの信頼関係、友人としての関係を更に増進し、相互に受入れ可能な解決策を見出すための共同作業を力強く進めてまいります。そして、平和条約交渉をでき得る限り前進させていく考えであります。

石田(祝)委員 外交は政府の専権事項であるわけでございますので、特に今回は、日ソ共同宣言、これが基礎だということ、私はいろいろな御意見はあると思いますけれども、結局、一番底が固まった、こういうことだと思います。

 私も、小さいころから川や海で泳ぐんですけれども、そのときに一番大事なことは、何かあっても、足を一回地面につけて、底から浮かび上がるということが一番大事なことなので、そこのところがお互いの、両国の最高責任者の間で固まったということですから、これから後、上に上がるだけでありますから、どうぞ、ぜひ体に気をつけて頑張っていただきたいというふうに思っております。

 続いて、豚コレラのことについてお伺いをいたしたいんですが、これは農林水産大臣にお伺いをいたしたいというふうに思います。

 二十六年ぶりに、去年の九月、国内で発見をされたということでございます。ですから、これが一時、発見をされて、その後終息をして、移動制限また搬出制限を越えて落ちついたと思ったら、今、ある意味では爆発的に広がる可能性が出てきた。これは非常にゆゆしきことだというふうに私は思っております。

 人間のうつるコレラとはもちろん違いますから、ウイルスによって伝播していく。この豚コレラの対策について、私は、防疫体制、また、患畜が出たときに、しっかりと全額を補償するから、これを早く届けてもらわなきゃいけない、このことをぜひ知ってもらいたいということもありますし、また、特に、まだこちらに幸い入ってきておりませんけれども、アフリカ豚コレラ、これはワクチンがないということでありますので、これが入ってきたら大変です。

 しかし、現実に、肉製品を持ち込んだときに豚コレラの遺伝子があった、こういうことも報告をされておりますので、防疫体制、水際体制について大臣としてどうお取り組みになるのか、このことを吉川大臣からお伺いいたしたいと思います。

吉川国務大臣 ちょうどお昼の時間に、御党からも極めて力強い御要請を賜りました。御支援にも感謝を申し上げたいと存じます。

 豚コレラの蔓延を封じ込めるためにも、国としての新たな政策というものも決定をさせていただきました。それは、例えば岐阜県と愛知県の県境に防護柵を国の責任においてしっかり対応をする、さらには、わな等の設置の支援、猟友会に対する支援等も行うことも決定をさせていただいたところでございます。

 愛知県内に起きました、この養豚場におきましても、新たに豚コレラと確認をされたわけでありまするけれども、その農場の愛知県内の関連農場も含めまして、五府県の関連農場においてもこの発生が確認をされたところでございます。

 政府におきましても、一昨日、関係閣僚会議が開催をされまして、政府、関係自治体が一体となって豚コレラ対策を進めることを確認させていただいたところでもございます。

 今回の事例の早期の封じ込めを図るために、愛知県等関連自治体とも連携を強化してまいりたいと存じておりますし、関連農場における異状の有無を確認いたしますとともに、関係府省、都道府県等とも連携をして、迅速な防疫措置を実施いたしたいと存じております。それによって、蔓延防止に全力を尽くさなければならないと存じております。

 また、発生農家に対しましての、家畜伝染予防法に基づきまして殺処分されました家畜の評価額の全額が手当金として交付をされることになっております。

 さらに、経営再開に向けましては、家畜疾病経営維持資金、農林漁業セーフティネット資金の活用も可能でございます。その他、家畜防疫互助金の加入者が新たに豚を導入して経営を再開する場合でありますけれども、経営支援互助金も交付をすることになっております。

 その他、必要な支援対策に対しましては、現在鋭意検討中のものもございますので、しっかり対応させていただきたいと存じます。

 また、中国を含む海外でアフリカ豚コレラの発生が拡大をいたしております。我が国への侵入リスクが高まっていることから、農林水産省といたしましては、広報キャンペーンを強化することで旅行客に対する持込禁止品の周知を図っておりますとともに、空港において、探知犬によります探知活動や、家畜防疫官によります口頭での質問も強化することにいたしておりまして、もう実際にそれが行われております。

 そういったことによりまして肉類の持込みの防止を図っているところでございまするけれども、今後とも、税関や入国管理局の関係機関と連携をしながら、水際対策を更に強化していくところでございます。

石田(祝)委員 これはぜひ総力を挙げてお取組をいただきたいというふうに思います。

 私はこの豚コレラのことを聞いたときに、平成二十二年、宮崎で口蹄疫が起きた、あのときの、いろいろな経験をいたしまして、やはり、防いでいくのはなかなか大変だ、初動でしっかりやっていく以外ない、こういうことを実感いたしました。

 ぜひとも、吉川農林水産大臣、また政府を挙げて、この問題、封じ込めをぜひお願いいたしたいというふうに思っております。

 続いて、非常に残念な事案であります。千葉県野田市の十歳の女のお子さんが亡くなった話。これは私は全くやりきれない気持ちでいっぱいであります。本来であれば、子供を守るのが大人の役割だ。守るどころか、かえって逆になってしまった。このことについて、これは家族の、また属人的な話じゃなくて、政治、行政として、しっかり、何ができるのか、何をしなきゃならぬのか、何が足りなかったのか、こういうことをしっかりと私は考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

 きょう、一つ、一句御紹介したいんですけれども、こういう句があります。

  たのしみは朝おきいでゝ昨日まで無りし花の咲ける見る時

これは、橘曙覧という方の独楽吟という中にありますけれども、春のお話なんですよね。春で、きのうまで花がなかったけれども、朝起きたら咲いていたと。

 これは花の話ではありますけれども、私は、これは人に例えると、子供さんというのは、きのうまで全く何もできなかった、例えば、体操でも、逆上がりがきのうまでできなかったけれども、きょうになったら急にできるようになった。きのうまでは算数の問題が解けなかったけれども、また解けるようになった。そういうのは、本人も喜びですけれども、これは家族も、又は学校だったら学校の先生も私は喜びではないのかなと。

 ですから、今回の十歳でお亡くなりになった方、これから学校で勉強して歩んでいく中で、本当に毎日毎日成長できる、そういう実感をできる人生を歩めたんじゃないかなと。そういうことで、非常に残念でなりません。

 このことについて、きのう、我が党の山本香苗議員の質問に対して、きょう関係閣僚会議を開く、こういう御答弁をなさったようでありますので、その関係閣僚会議でどういう方向性で総理を中心に打ち出しをされたのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 石田委員が御指摘されたように、子供たちの命を守るのは、私たち大人、全ての大人の責任であると考えております。

 この十歳の女の子、心愛さんから、必死の思いでのSOSがあったわけであります。本来であれば慈しんで守り育てるはずのお父さんから、暴力を受けた。それを、本当に苦しい苦しい決断だったと思うんですが、勇気を振り絞って学校のアンケートという形で学校に伝えたわけであります。しかし、残念ながら、このSOSを受けとめることができなかった。そして、その文面を暴力を振るっていたお父さんに見せてしまったという問題があります。

 そして、児童相談所においても、これは現場は大変なんだろうと思います。そこで、体制を強化をしなければいけない。そして、今ももしかしたら虐待を受けている子供たちもいるかもしれない。しかし、なかなか会わせてくれないという、そういう大きな壁もあるんだろう、こう思います。

 子供たちを守る壁となるべき学校や教育委員会が、児童相談所を始め周りの大人たちが、その心愛さんの悲痛なSOSの声を受けとめてあげることができなかった、幼い命を守り切れなかったことは、本当に悔やんでも悔やみ切れない思いであります。

 児童虐待の防止については、政府一体となって取り組んでまいります。そのために、昨年七月に緊急総合対策を取りまとめたにもかかわらず、今回の事件が繰り返されたことは、まことに残念です。政府としても深刻に受けとめています。子供たちの命を守るのは、まさに私たち大人全員の責任です。

 この強い決意のもとに、本日、関係閣僚会議を開催し、新たな対応を指示いたしました。

 これは、現在把握されている全ての虐待ケースの一カ月以内の緊急安全確認を行います。まさに今行われているかもしれない虐待を直ちにとめなければいけないという決意で、一カ月以内にこれを行います。

 そして、この心愛ちゃんのSOSを親に見せてしまったという、そういう大きな問題がありました。そこで、子供の安全を第一に、通告元は一切明かさない、資料は一切見せないという新たなルールの設定をします。ぜひ、このルールにこれから従ってもらうということになりますから、このルールをしっかりと示して断っていただければ、こう思うところであります。そして、威圧的な保護者に対する複数機関での共同対処ルールの設定をいたします。

 そして、児童福祉司、尾身朝子さんからも、少ないのではないかという指摘がありました。一七年度に約三千二百人だったこの体制を、これを二二年に五千二百人にふやしていきます。まず、来年度中だけで、三千二百人であったものを千人ふやしていく。児童福祉司の来年度千人増員などの体制の抜本的な強化を行います。

 直ちにそうした、今申し上げたことを実行するよう、厚生労働大臣を始め各府省に指示を出したところであります。

 何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。

石田(祝)委員 今、力強い御決意を披瀝いただきましたが、これは、組織の問題なのか、人の問題なのか、また行政として、また法の成立に携わる我々として、法の整備の問題なのか、いろいろあるだろうと思いますけれども、私はちょっと厚生労働大臣にお伺いをしたいんです。

 児童福祉法及び児童の虐待防止等に関する法律の一部改正、これを今国会、予定をされておりますけれども、私は、この法律が去年の目黒の案件を受けてお考えになられたと思いますけれども、残念ながら、その法律の審議をする前にこういうことも起きてしまった。ですから、今のままでいいのかという私は疑問を持っているんですけれども、これについては、我が党も厚生労働部会を中心にしっかり検討させていただいて、これはまだ党として決定をしておりませんので、直すべきはぜひ直さなきゃいけない、こう思っておりますが、厚生労働大臣から御所見をお伺いします。

根本国務大臣 今回の事案を受けて、関係閣僚会議をきょう開催して、「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」の更なる徹底・強化、これを決定しました。

 今委員のお話の法改正ですが、大きく二つ考えておりまして、児童相談所の体制強化、そして職員の専門性の向上。

 児童相談所の体制強化については、相談支援体制の整備や、児童相談所における弁護士等の配置や、児童相談所の業務に対する評価の実施、これを検討しております。

 そして、職員の専門性の向上という観点からは、児童福祉業務従事者の資質の見直しということで、児童福祉司等の任用要件の見直しや指導及び教育を行う児童福祉スーパーバイザーへの任用要件の見直しなどを今盛り込んでおります。

 今回の改正内容は今申し上げたようなことでありますが、現在調整を進めているところであって、今回の事案を踏まえたものとなるよう検討を進めて、このような虐待事件が繰り返されないよう万全を尽くしていきたいと思います。

石田(祝)委員 もう一点、今回も、いろいろ報道に接しておりますと、お父さんいわく、しつけだと。しつけで朝の十時から夜の十一時まで立たせますか。これは私は、しつけというのは、漢字を調べてみれば身を美しくするという、躾と書くわけですけれども、とんでもない話になっていると。

 それで、きょうもNHKのニュースでやっていたのは、日本がそういう法整備が弱いのではないか、こういうお話が出てきておりまして、特にこれは民法の八百二十二条、ここのところで、今、平成二十三年に法律改正されたんですけれども、こういう条文になっているんですね。親権を行う者は、第八百二十条、これは要するに、親権を行う者はしっかりとやらなきゃいけない、子供を監護及び教育する権利がある、こういうことになっておりますけれども、ここのところが、八百二十の規定によって監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる、こういう法律になっているんですね。ですから、このことを指して、多分国連では、まだそういうところが弱いのではないかという御指摘であったかと思います。

 ですから、今回の事案に特化してというわけではありませんけれども、この八百二十二条、懲戒をすることができるという言葉が、これはどうなんだろうかと。いろいろなことで、親の立場でいろいろ問題を起こす人は、いや、懲戒するためにやったんだと言う人は一人もいないと、私、思うんですね。いや、これはしつけだ、こういうことになるわけですから。

 これについて、これは法務大臣にお伺いをいたしたいと思います。

山下国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘の、懲戒権に関する民法八百二十二条の規定については、もともと虐待を正当化する口実に利用されているという御指摘があったことを踏まえて、委員御指摘のとおり、平成二十三年の民法改正の際に、懲戒権は子の利益のために行使されるべきもので、子の監護及び教育に必要な範囲を超える行為は懲戒権に当たらないことを明記する、そういった改正を行ったわけでございます。

 したがって、懲戒権はあくまでも子供の利益のために監護、教育に必要な範囲で行使されるべきものであるということで、これは、しつけの名のもとに、怒りに任せて暴力を振るって子供の体に傷害を負わせる行為や心を深く傷つける罵声を浴びせて心理的な虐待を加えるといった、児童虐待に当たる行為が懲戒権の行使に当たらないということはもう明白であるし、その名に値しないというふうに考えております。

 したがって、現行の懲戒権に関する民法の規定自体が子の利益に配慮して改正されたというふうに認識をしておるわけでございますが、委員の御指摘も踏まえて、この規定のあり方につきましては必要な検討をしてまいりたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 言葉を聞くと、懲戒という言葉から受ける印象は、やはりこれはほかの言葉で何かないのかなという気はいたします。しかし、大臣が、しっかり検討する、こういうことでありますから、それについてはぜひお願いをいたしたいというふうに思っております。

 続きまして、我が党は、昨年の四月から六月にかけまして、百万人訪問・調査運動というのを行いました。それで、四月から六月まででしたので、去年の夏の暑さの、災害的な暑さというアンケートは残念ながらその時点ではございませんでした。これは後ほど触れさせていただきます。

 そういう中で、いろいろなことがございまして、ここに書いているように空き家の問題とかさまざまございますから、これについてはまた同僚議員が別の日にでも質問させていただきます。

 私は、特に、去年の七月の豪雨災害、また大阪北部地震、北海道胆振東部地震、台風二十一、二十四、二十五号、こういう災害について、閣議で昨年、緊急に三カ年でしっかりやろうではないかということで、約七兆円規模の事業費の計画を決めていただきました。これは私は非常にすばらしいと思いまして、これについては被災地の方からも非常に期待をする声が多いんですね。

 ですから、それについて、もう一つその先のことをみんな考えるわけで、じゃ、三年が終わったら、その次はどうなんだ、これはなかなか全部そうはいかないよ、こういうことになりますので、これは総理にお聞きするしかないと思いますので、先のことを余り言ってもどうかと思いますけれども、今のことを、決めたことを着実にやっていただくと同時に、やはり、ある意味でいえば、予見性を持っていろいろ動けるようなことも必要だと思いますので、この点について、三年後どうするかということ、その先のいわゆる社会資本の整備、防災、減災、国土強靱化、どうお考えか、総理にお答えをお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 平成の時代は大きな自然災害が相次ぎ、昨年も、集中豪雨、暴風雨や台風、そして地震、異常な猛暑など、異次元の災害が相次ぎました。

 災害への対応は、もはやこれまでの経験や備えだけでは通用せず、命にかかわる事態を想定外と片づけるわけにはいきません。

 このため、昨年末に、これまで培った最新の知見を踏まえて、中長期的な目標や方針を明らかにする国土強靱化基本計画の見直しを行うとともに、事業規模がおおむね七兆円程度の防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を取りまとめ、ハードからソフトまであらゆる手を尽くし、三年間集中で対策をしっかりと実施することとしました。

 この緊急対策を講じた後をどうするんだということでございますが、この緊急対策を講じた後も、国土強靱化基本計画に基づき、必要な予算を確保した上で、オール・ジャパンで国土強靱化を強力に進め、国家百年の大計として、災害に屈しない、強さとしなやかさを兼ね備えた国土をつくり上げていく考えであります。

石田(祝)委員 ぜひよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。

 三年では、日本のこの脆弱性のある国土は、なかなかそれで終わりということにはならない、その先についても、やはり私は、今回特に、人の命と暮らしを守る、これが一番の政治の役割だ、こういうことを思っております。特に財源が要ることは間違いありませんので、これはもう一緒に努力をさせていただいて、ぜひとも、安心して住める日本ということで、頑張らせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、国土交通大臣にお聞きをいたしたいんですが、私も今回の被災地を、なかなかたくさんいろいろなところに行けなかったので、特に愛媛県の方にお伺いをしていろいろなお話を聞いたんです。

 今回、堤防にいわゆる穴があく、これはパイピング現象というらしいんですけれども、今までは高さを高くしていくことを集中的にやってきた。質をおろそかにしたとは申し上げませんけれども。だんだんと水面が高くなると、当然下の方に圧力が多くかかりますから、そういうところでいわゆる水が抜けていく。そこから水が抜けていって大きな災害につながる。これをパイピング現象というらしいんですけれども、そういうことが起きていたのではないか、こういうお話がありました。

 それで、皆さんも御存じだと思いますけれども、昔、私たちが子供のころ、たしかオランダだったと思いますけれども、ある子供が、堤防に穴があいていた、それに自分の腕を突っ込んで、それで水漏れを防いで、朝、子供が見つかった、こういう、オランダという海面より低い国で、そんな話も聞いたことがありますけれども、堤防に穴があくのかなと正直思いましたが、現実に起きている。

 このことについて、国土交通大臣、ほかのものともちょっとあわせて御質問したいんですが、被災されたところに行くと、住宅再建をしたい、こういうお声がもちろんあるんですが、ことしとか来年中に新しく土地を探して、そしてそこで家を建てて、そこで住居を移して、いわゆる住民票の登録ができるような、ちょっと私たちには現時点では無理だ、こういうお声もあります。そういうお声だけ私は伝えさせていただいて、それをどう国土交通大臣として受けとめていただけるか、あわせて御答弁をお願いしたいと思います。

石井国務大臣 二問御質問いただきました。

 まず、堤防でございますけれども、大規模な浸水被害をもたらす堤防の決壊は、堤防からの越水のみならず、長時間の高い水位によって堤防に水が浸透することにより発生する場合がございます。昨年の七月豪雨におきましても、御紹介いただいたパイピング現象のような前兆現象が各河川で多数確認をされております。

 したがいまして、河川改修に当たっては、堤防の高さの確保のみならず、浸透による堤防決壊を防ぐ質的強化も重要であります。国管理河川だけでも対策が必要な区間が約四千キロメートルありまして、これまでに約三割完了させたところであります。

 今回の防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策におきましては、特に多数の人命被害等が生じるおそれのある区間の堤防についての対策を優先的に進めることとしておりまして、この緊急対策を講じた後も引き続き強力に推進することが重要と考えております。

 二問目が住宅ローンでありますけれども、今回の住宅ローン減税の拡充、控除期間の三カ年延長は、消費税率引上げに伴う需要変動を平準化する観点から、反動減が懸念される来年十二月末までの引渡しを対象としております。

 この住宅ローン減税の適用期限と平成三十年七月豪雨の被災者の居住の安定についての御質問でありますが、被災地につきましては、現在、仮設住宅を確保し、さらに、災害公営住宅の整備、自宅の再建等の支援に全力で取り組んでいるところであります。まずは、できる限り早期の生活再建を実現することが肝要と認識をしております。

 いずれにいたしましても、被災地の状況を十分に注視しながら、被災者の居住の安定の確保に向けまして、引き続き全力で取り組んでまいります。

石田(祝)委員 やはり、東日本大震災からもうすぐ八年になるわけですけれども、いまだ避難している方が五万人ほどいらっしゃるということで、なかなかお家の再建というのは我々が考えている以上に大変だ。ですから、一年、二年のスパンではなかなか無理な場合もある。しかし、家を建て直してしっかりとやっていきたいという方もいらっしゃいますので、今回は今大臣がお答えになったとおりであると思いますけれども、ぜひ、被災された方に心を寄せていただいて、政策の立案にもお取り組みいただきたいと思います。

 続いて、公立小中学校のエアコンの件で、これはちょっと私、文部科学大臣、申しわけないんですが、データをいただいておりましたので、ちょっと質問して出てきていただく前に、数字だけこちらから申し上げて質問させていただきたいと思うんです。

 昨年、八百二十二億円で公立小中学校の普通教室にエアコンを設置する、こういうことで第一次の補正予算が成立をしたわけでございます。

 その後、その十七万教室分の申請はどうかということで、今データをいただきましたが、普通教室については十一万八千、約十二万、そして、十七万の予定の予算でありましたので、特別教室については約三万二千、こういう申請状況である、こういうお話でございます。

 それで、これからそういう中で、私は去年十一月一日、総務大臣に、エアコンについて、これをつけただけじゃだめなんですね、エアコンを設置するのは大前提ですけれども、いわゆるこれは必要条件であって、必要十分条件として使うためには、電気なりガスなり、こういうもので冷房しなきゃならない、ですから、ここのところのお金をぜひ見てもらいたい、こういうことを総務大臣に申し上げまして、私からは、極めて前向きな御答弁をいただいたと思いますが、その後、三十一年度予算にどう反映されているか、よろしく御答弁をお願いしたいと思います。

石田国務大臣 石田議員にお答えをいたします。

 御指摘を前のときにいただきました。それで、そのことについて、三十一年度から冷房設備に係る光熱水費について普通交付税で措置することとし、その必要額を見込むため、標準的な規模の学校を抽出して、冷房設備に係る電気代を調査いたしました。その調査結果を踏まえまして、三十一年度の普通交付税算定より、冷房設備に係る光熱水費として約六十九億円を措置することといたしておりまして、本日、その内容を盛り込んだ地方交付税法の一部を改正する法律案を閣議決定したところでございます。

石田(祝)委員 どうもありがとうございました。

 これだけ明確にお答えいただいて、すぐ次年度の予算でしっかり対応していただいたということは、さすが石田総務大臣だ、そのように思っております。

 きょう、時間の関係で、通告していたこととちょっと、間を抜かしたりしますので、御了承いただきたいと思うんですが。

 続いて、我が党の百万人訪問・調査で、子育てについても調査をいたしました。そのときに、やはり一番多かったのが、学費などへの不安や悩みと、お金の問題でございまして、これについてはさまざまな手当てができるだろうと思って我々も努力をしてまいりました。

 そういう中で、幼児教育の無償化。これは、私は、一昨年の衆議院の総選挙で、総理が、消費税の使い道を変えるんだ、全世代型の社会保障にしていく、いわゆる幼児教育にもお金を使っていく、そして高等教育にもと。そして、我が党としては、私立の高等学校の授業料の実質無償化、年収五百九十万未満の家庭に、いわゆる高等学校の支援給付金、それとの差額、これをぜひ出していただきたい、こういうことでお願いをして、過日の一月三十一日の衆議院の本会議で、我が党の幹事長の質問に答えて、御党の提案によりこれをやることになった、こういうお答えもいただいたところであります。

 この私立高校の授業料実質無償化は二〇二〇年の四月に施行ということでありますが、これについては、私は、学年進行ではなくて、やはり全て、その時点で、一年、二年、三年とやるべきだ、こう思っておりますけれども、文部科学大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 御党から御提案をいただきました私立高校の授業料の実質無償化につきましては、今御紹介をいただいたとおり、総理の施政方針演説において、来年四月から実現をするということが示されましたけれども、では、対象となる学年はということでございますが、御指摘の点も踏まえて、安定的な財源を確保しつつ、着実な実施に向けてしっかりと検討していきたいという、現時点ではそのような状況でございます。

石田(祝)委員 これはやはり、副総理にもお出ましいただいて御答弁をいただかなきゃならないなと思いますけれども、副総理は腕組みをしていらっしゃいますけれども、よろしくひとつお願いします。

麻生国務大臣 お話のありました、年収五百九十万円未満の世帯を対象とした私立高等学校授業料の実質無償化のお話でしたと思いますが、これは、先ほどもお話もありましたし、総理からもお話があっておりますように、消費税の使途変更によって利用可能となる財源等々はいろいろあるんですが、政府全体としては、これは、安定したいわゆる財源というものを確保しつつ、二〇二〇年の四月から実現することとしておりまして、これに向けて、政府としては、具体的な制度設計について今検討をさせていただいているところでございます。

 今、石田先生の御指摘については、こうした方針のもとで、制度を所管いたします、今、柴山大臣からお話があっておりましたが、文科省ともよく相談をしつつ、政府全体としての安定的な財源というものを確保して対応すべく、ここが一番肝心なところだと思いますので、その対応で努力をしてまいりたいと考えております。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

 二十九年十二月の新しい経済政策パッケージでも、「政府全体として安定的な財源を確保しつつ、」こういう、今副総理がお答えになったのと全く同じ文章でパッケージにも書かれておりますので、これから二〇二〇年ということになると来年度の予算ということになりますので、ぜひともこれから、私たちの希望も、また、私立高等学校へ進みたいという子供さんも今いらっしゃると思いますので、ぜひともよろしくお願いをいたしたいというふうに思っております。

 続きまして、総理が全世代型社会保障と。私はこれは大賛成なんですね。幼児教育の無償化、そして小中は義務教育、そして中等教育の高等学校、そして高等教育、そういう形で教育に力を入れていくということは、私は非常に大事だと思っています。我が党も結党以来、教育、福祉に力を入れてまいりましたので、長年の懸案であった幼児教育の無償化、これも実現することになった。

 それで、私は、非常にこれはありがたいことだし、みんな喜んでいると思いますが、じゃ、これの持続可能性、いわゆる教育だけの問題ではなくて、当然、年金、医療、介護そして子育て、この社会保障の四本柱の持続可能性ということ、これは非常に大事だと思っております。

 ですから、その点と、もう一つ総理にあわせてお伺いしたいのは、要するに、幼児教育の方にお金が行くと、高齢の方々は、自分たちに来るお金が行っちゃうんじゃないのか、これを御心配なさっているんではないかと思います。

 それをぜひ総理の口から、いや、そうではないんだ、高齢の方々にも、やはり御苦労されてきたということも踏まえて、しっかり対応しているんだ、こういうこともぜひお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 少子高齢化が急速に進む中で、これまでの社会保障システムの改善にとどまることなく、システム自体の改革を進めていくことが不可欠であろうと思います。

 既に未来投資会議において生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、その上で、医療、年金も含めた社会保障全般にわたる改革を進めていく考えであります。

 しばらくの間は、残念ながら、人口は減少していきます。確かに、人口が減少していくと成長には厳しい環境でございますが、我々も、この六年間、生産年齢人口は五百万人減少したんですが、就業者は逆に三百八十万人ふやすことができた。それは、例えば、女性の皆さんが新たに二百万人働き始めたということもございますし、高齢者の皆さんが、このまま頑張ろうと、生きがいを持って働いていきたいという道を選び、そしてそのことも可能になってきたということなんだろうと思います。

 人生百年時代を見据えながら、その中で、みんなが活躍できる社会、六十五歳を超えても働きたいと思える方々が働ける、そういう仕組みをつくっていくことによって、さまざまな、社会保障制度も含めて、システムが持続可能になっていく道だろう、こう考えておりますが、こうしたシステム全般にわたる改革を進める中で、給付と負担のバランスについてもしっかりと検討していきます。

 なお、全世代型社会保障への転換とは、今、石田さんが御指摘になったように、高齢者の皆さんへの福祉サービスを削減するとの意味では全くないわけでありまして、むしろ高齢者の皆さんに引き続き安心してもらえることが大前提であります。

 全世代型社会保障制度の構築に向けて本年十月に消費税率を引き上げることとしておりますが、その増収分を活用して、幼児教育の無償化や、真に必要な子供たちへの高等教育の無償化に加えまして、所得の低い方々に対する介護保険料の軽減の拡充や、年金受給者への給付金の支給などの措置も講じることとしております。

 こうした取組により、子供から若者、子育て世代、現役世代、高齢者まで、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革をしていく考えであります。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

 今の答えを聞いて御高齢の方も、ああ、自分たちのところから持っていくんじゃないんだなということはわかったと思います。

 私の覚えている数字では、年金受給者に対して最大年六万円給付をする、これで一年間で約五千六百億円かかる、それだけのお金をそういう方々にもお渡しをする。そして、介護保険の軽減措置については大体一千三百億だというふうに私は記憶しておりますけれども、それだけのお金を、消費税が上がるときにはやはり御苦労するということで、ひとつこれもしっかり手当てをしていこう、こういうことで、心配はないというお話だったというふうに思います。

 それでは、もう一つ、我が党として調べたことの一つで、中小・小規模事業者、いわゆるこういうところでどういうニーズがあるのか、こういうことを調べました。

 きょうは時間もございませんので申し上げたいんですけれども、その中で特徴的なことは、制度を全く知らない、IT補助金、ものづくり補助金、さまざまな、また事業承継税制、これは、法人に対するものも一〇〇%納税猶予、相続税も猶予する、今回は個人事業主についても納税を猶予する、こういうことになったわけでありますけれども、その前段のときにも、私の記憶では四七%は猶予される。そういう中で、その制度そのものを知らない人がたくさんいました。

 ですから、今回調べてわかったことは、使う人はしょっちゅう使っているんですよ。しかし、使っていない人に、なぜ使わないんですかといったら、知らないというんだ。そして、もう一つは、手続が面倒だと。ですから、書類をつくっているうちに嫌になっちゃうという、もういいやと。これでは本来の、税金を使ってやる意味がありませんので、これについて、経済産業大臣、そういう広報的な面も含めて、端的にお答えをお願いします。

世耕国務大臣 今お示しのデータの中で、一方で、一度でも使ったことがあるという人が六割近くいるというのは、これはいいことだなというふうに思うんですが、そもそも、使っていない人のうちの半分以上が、知らない、手続が煩雑だ、これは深刻だというふうに思っています。

 我々も、パンフレットを大量に印刷したり、商工会、商工会議所と連携をしていろいろな説明会をやったり、ホームページをつくり、メルマガをつくり、SNSを発信し、いろいろやっているんですけれども、この結果を見ると、もっと頑張らなきゃいけないということだと思います。

 また、手続が煩雑ということについては、例えば今度のものづくり補助金については、応募段階では会社の定款とか登記事項証明とか会社案内みたいなものはもう添付を求めないようにしたいというふうに思っていますし、もう一つ、周知、認知度を上げて煩雑さをなくすという意味では、我々、今新たなシステム、これはスマホのアプリも含めて開発をしておりまして、イメージとしては、スマホで、何か使える補助金ないかなと検索していただいて、ああこれだというのがあったら詳細が出てきて、最後、申請というボタンがあって、あとスマホの上で幾つか必要事項をチェックすれば申請ができる、そして、一度入れた会社の名前とか住所とかというのは、もう二度と、一回入れれば入れなくていいというようなものを今開発中でありまして、二〇二〇年度から本格運用したいというふうに思っております。

石田(祝)委員 もう時間が大分なくなってきましたので。

 世耕大臣は民間で広報を担当なさっていましたよね。ぜひ、そのときの経験も生かして、お願いいたしたいと思います。

 最後になりますけれども、統計の問題を若干、一つだけ触れておきます。この問題について、私は非常にこれは大きな課題であると。要するに、それをもとにしてさまざまな政策立案をしていくわけでありますから、これについては、ぜひ政府を挙げてこの問題の解決に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それで、最後に私の考えを申し上げますと、この統計の問題とアベノミクスは全く関係ありません。これだけ私は申し上げておきたいというふうに思います。

 最後に総理の御決意を聞いて、終わらせていただきたいと思います。(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。

安倍内閣総理大臣 まず、勤労統計について、不適切な調査が行われ、雇用保険、労災保険といったセーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。

 厚生労働省の特別監察委員会においては、先般、それまでに明らかになった事実等について報告書を取りまとめていただいたところでありますが、今般、委員会のもとに民間有識者で構成される事務局が新たに設置されたところであり、更に独立性を強めた形で検証作業を進めていただいているものと承知をしています。

 雇用保険、労災保険などの給付の不足分については、できる限り速やかに、簡便な手続でお支払いできるよう、万全を期して必要な対策を講じていく考えでございます。

石田(祝)委員 もうこれで終わりますけれども、通告をしておりました質問、できませんでしたことがございました。これについてはおわびを申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

野田委員長 この際、古屋範子さんから関連質疑の申出があります。石田さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、認知症に関して質問してまいります。

 この認知症に関しまして、私、総理に、きょうが三度目の質問をさせていただくことになります。

 二〇一四年、私は、高齢化率の高い我が国にあって、国を挙げてこの問題に取り組む国家戦略が必要だということを総理に申し上げました。そして翌年、一五年に、認知症施策の総合戦略、新オレンジプランを策定されました。さらに、私は同年、この根幹となる基本法をつくるべきだということを主張いたしました。その後、私も厚生労働副大臣を務めさせていただいたときに、この分野、特に力を入れて取り組んでまいりました。

 そして、二〇一七年、公明党内に認知症対策の本部を立ち上げまして、更に精力的に有識者また認知症の方当事者の声を聞く、あるいは精力的に現場に足を運び、提言をつくってまいりました。そして、一七年十二月、総合的な認知症施策の推進に向けた提言、これを菅官房長官に提出をさせていただきました。

 この一番目に掲げましたのが、基本法の成立でございます。この基本法を作成してまいりまして、このほど法案が完成をいたしました。このような内容になっております。

 認知症の人が尊厳を保持しつつ暮らせる社会を構築していく、これを目的としております。そして、基本理念は、認知症の人や家族が、居住地域に関係なく、当事者の立場に立った支援を受けられるよう推進していく。また、教育、地域づくり、保健、医療、福祉、雇用等の関連分野における総合的な取組として推進をする。国、地方公共団体、事業者、国民の責務も規定をいたしました。そして、普及のために、認知症の日、月間なども盛り込んでおります。そして、基本計画の策定、基本的施策、このような基本法を策定いたしました。今、自民党に協議を呼びかけているところでございます。

 この作成をする中で一番心がけたことは、当事者の方々の意見を聞いていく、それをできる限り盛り込んでいくということを心がけて法律をつくってまいりました。

 高齢化のスピードが世界一の日本、二〇二五年には約七百万人の方々が認知症になるという推計もございます。

 昨年末、政府におかれましては、関係閣僚会議を設置されました。これは大変評価ができると思っております。この夏までに大綱をつくられるということでありますけれども、ぜひ、その大綱にこうした我が党、与党の基本法の考え方もしっかり盛り込んでいただきたい、また、当事者の声も聞いていただきたいというふうに思っております。

 認知症の方々の尊厳を守り、また、その意思が尊重される、希望を持って暮らすことができる共生社会の実現に向けて、総理のお考えを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 古屋委員が長年にわたって認知症の問題に熱心に取り組まれておりますことに敬意を表したいと思います。

 認知症対策については、二〇一五年に策定した新オレンジプランに基づき、総合的な施策を進めてきたところであります。

 今後、認知症の方の大幅な増加が見込まれる状況を踏まえれば、更に踏み込んだ対策を検討し、速やかに実行していく必要があります。

 そのため、昨年末、認知症施策推進関係閣僚会議を設置し、その新たな体制のもと、認知症の方の支援ニーズと認知症サポーターをマッチングする事業の創設、そして地域住民が認知症の方を見守るSOSネットワークの充実、さらには認知症の方とその家族や地域住民が触れ合う機会となる認知症カフェの増加など、認知症の方々に優しい地域づくりを通じた、共生と予防を柱に、夏までに新オレンジプランを改定することとしております。

 認知症の人を社会全体で支えるため、必要な施策を政府一丸となって推進していく考えでありますし、また、公明党始め与党の皆様からさまざまな御意見も伺いたい、このように思っております。

 ありがとうございました。

古屋(範)委員 先ほど石田政調会長からもありましたように、私たち、昨年、全国約三千名の議員で百万人の訪問・調査運動を行ってまいりました。その介護の分野の調査の中で、やはり認知症に対する不安というものが非常に大きかったということが明らかになりました。

 この国民の不安を払拭するためにも、総理を先頭に、認知症の方々にとって優しい共生社会の構築に向けて、全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、具体的な施策について伺ってまいりたいと思います。

 今、総理からも若干ありましたけれども、我が国では認知症のサポーターが一千万を超えております。私も受講をいたしました。これは本当に世界に誇るすばらしい制度でありますけれども、このサポーターの方々の役割がまだ明確になっておりません。大変もったいないというふうに思っております。この認知症サポーターの方々の役割を明確にしていく、そして、期待する役割に応じた継続的な研修を提供するということも必要だというふうに思っております。また、サポーターの組織化も行っていって、増加する認知症の人を支える支援体制にサポーターを組み込んでいく必要があると思っております。

 また、もう一つ、認知症の人に優しい環境づくりについてお伺いをしてまいります。

 私、富士宮市を訪問いたしました。ここは、市長の理念のもと、認知症に優しいまちづくりをしておりまして、認知症のスポーツイベントを行う、ソフトボール大会などもあるんですが、ランニングなどもありまして、こうした認知症の人たちを子供たちも応援をしていく。サポーターの養成講座も、地域、事業所だけではなくて、中学、高校でも行っていく。また、認知症サポーターのいる小売店では、ステッカーを張って認知症の人を見守っていく。さまざまな取組がなされております。

 イギリスは、認知症に関して最も進んだ国だと思っておりますが、守るべき憲章を掲げております。認知症の人に優しいまちづくりの条例、産業界でも憲章を設けています。金融機関あるいは小売業、交通機関などでその行動規範がつくられております。こうした認知症の人に優しいまちづくりについて、二つ目にお伺いいたします。

 また、もう一つ、若年認知症についてお伺いをしてまいります。

 私、丹野智文さんという方にお会いをいたしました。三十代で若年認知症と診断をされ、そのとき、絶望のふちに立たされる。仕事をどうしていくか、あるいは家族、生活をどうしていくか。そのときに、同じ認知症の人が支えていくということが必要だということをおっしゃっていました。介護ではなくて、今必要なのは、支えていく、そういう存在があることだ。車の営業をやっていらしたんですが、会社の理解を得て、営業でなくほかの部局に移って、今仕事を継続されています。

 こうした若年認知症の方々に対する就労継続、また経済的問題など、高齢の方とはまた違った支える仕組みが重要だと思っております。

 以上三点について、根本厚生労働大臣の答弁を求めたいと思います。

根本国務大臣 今、委員御指摘のように、要は、認知症サポーター、これは一千万人を超えています。私も受講しました。これについては、来年度からは、学ぶから実践というコンセプトで、認知症の方の困り事などの支援ニーズとサポーターをつなげていく新たな仕組み、これはやはり全体のまちづくりの中でもやっていかなければなりませんので、地域ごとに創設するということで、更に認知症サポーターの方に一歩進んでいただいて活躍の場を広げていただきたい、こう考えております。そういう新しい試みをしたいと思います。

 それから、若年性認知症の方は、就労や経済面、社会参加など、特有の問題を抱えています。現在、都道府県に若年性認知症支援コーディネーターを配置していただいて、この中心になって、若年性認知症の方やその家族に対する相談支援、あるいは、今就労のお話がありましたが、医療、福祉、就労等の関係機関のネットワークの構築、これを一体的に進めております。やはり若年性認知症の特性に配慮したきめ細かな支援が必要で、この支援を推進していきたいと思います。

 それからもう一つ、就労の問題も含めて、やはり生活に密着している各サービスにおける環境づくり、これも不可欠であって、金融、交通、小売、不動産などの各業界における認知症バリアフリーに関する取組を推進する場として、この春ごろ、産業界、医療、福祉業界、行政等を広く巻き込んで、まだ仮称でありますが、日本認知症官民協議会、これを立ち上げたいと思っております。

 いずれにしても、社会全体で取り組んでいきたいと思います。

古屋(範)委員 最後に、予防についてお伺いをしてまいります。

 関係閣僚会議では、共生と、そして予防をもう一つの柱、車の両輪として柱を立てていらっしゃいます。

 認知症に係る社会的費用は年間十四・五兆という研究報告もございます。それに比べて、この予防、調査の研究のための予算、これは非常に少ないと言わざるを得ません。この大幅拡充が必要です。

 また、予防の研究とともに、認知症高齢者に優しい介護、また看護の手法開発の研究も非常に重要であり、これを普及させなければいけないと考えております。

 この点に関し、総理の見解を求めたいと思います。

安倍内閣総理大臣 高齢化に伴い認知症の方が大幅に増加することが見込まれる中で、認知症に関する研究を進め、この分野の予防や治療法を確立することが重要であります。

 現在、認知症のリスク因子を明らかにするための、地域住民を対象とした大規模な追跡調査や、治療薬の開発に向けた研究に資する患者登録の仕組みの構築等を今進めております。

 また、認知症の方に対する優しい看護、介護手法の開発については、疾患や重症度別にどのようなケア手法が有効か、介護施設等に協力をいただき、研究を進めてきているところであります。

 夏までに新オレンジプランを改定することとしておりまして、予防や治療の研究開発についてもしっかりと推進してまいりたいと思います。

古屋(範)委員 認知症の人が希望を持って暮らし続けられる、その社会の構築を強く求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

野田委員長 これにて石田さん、古屋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史さん。

川内委員 立憲民主党の川内です。

 総理以下閣僚の皆さん、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、毎月勤労統計の問題を取り上げさせていただきたいと思いますが、今、この毎月勤労統計の特別監察委員会での報告がお手盛りだったのではないか、不十分だったのではないかということで、第三者性を強化するということで、中間報告を最終報告に向けて更に調査が進められているというふうに認識をしております。

 まず、この毎月勤労統計調査をめぐる特別監察委員会の報告書のタイトルなんですけれども、この報告書のタイトルは、「毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書」というふうに書いてございます。しかし、この監察委員会の評価では、統計法違反であるということが認定をされているわけですね。不適切な取扱いではなく違法な取扱いと認定をしているわけで、タイトルを、毎月勤労統計調査をめぐる違法な取扱い等に係る事実関係とその評価等に関する報告書というふうに変えなければ、これは特別監察委員会の報告書としてふさわしくないということが一点。

 さらに、この報告書に基づいて既に処分を受けている厚生労働省の職員の皆さんがいらっしゃるわけですが、この報告書では、AからJまで全て匿名で報告書が書かれております。既に処分を受けている職員については実名で報告書を作成すべきである。

 この二点、タイトルを変えるべきである、そして実名にすべきであるということについて、私は、厚生労働省の監察本部長は厚生労働大臣ですから、中間報告が出て最終報告が出るまでの間、中間報告改訂版として、それだけでもまずしっかりと改める、訂正をするという姿勢を厚生労働省として示すべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 私は、今委員のお話しのように、厚生労働省の全体の監察本部の本部長、そして、副大臣以下あるいは全体の幹部で構成している監察本部の本部長であります。そして、本部と特別監察委員会の関係でいえば、私は、特別監察委員会から、事実や原因究明あるいは再発防止を含めた報告を受けるという立場にあります。そういう立場にある。まず、そこを確認させていただきたいと思います。

 それから、法令違反の件ですが、今回の毎月勤労統計調査、これが、総務大臣に統計のこの計画を承認していただくんですが、その計画どおりにやっていなかったという点で、統計法九条及び十一条に違反している。計画どおりしていなかったという点で、九条及び十一条に違反しているということです。これは大変、極めて私は遺憾であります。

 そして、特別監察委員会においては、統計の専門家、弁護士等の外部有識者が集中的に検証を行って、そして、事実関係と関係職員の動機、目的、認識、さらに、責任の所在、これを明らかにする報告書を一月二十二日にまとめていただきました。そして、現在、国会審議等における議論も踏まえ、改めて、特別監察委員会による厳正な調査を行っていただいているところであります。

 御指摘の点も含めた、報告書の今タイトルの話がありましたが、その内容や公表時期、特別監察委員会において御判断いただくべきものであると承知をしております。

 もう一点。処分を受けた職員に、実名を公表すべきではないかという御質問ですね。

 国家公務員の懲戒処分の公表については、人事院の懲戒処分の公表指針というものがあります。この公表指針において、事案の概要、処分量定、所属、役職段階等について、「個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するもの」とされております。

 処分を受けた者を実名で記載することは、処分を受けた者が特定されることとなり、当該指針に反するものと考えられますが、いずれにせよ、御指摘の点を含め、報告書の内容については、特別監察委員会において御判断いただくものであって、私から申し述べることは差し控えたいと思います。

川内委員 今、長々と、五分以上しゃべられたんですけれども、特別監察委員会において御判断されることと思うと一言答弁してもらえばいいわけですよね。

 私の主張としては、特別監察委員会として、タイトルを変えるべきであると。そして、せめて課長さん以上は、それは調べれば全部わかるわけですから、実名で書く方がより報告書として充実したものになるという趣旨で申し上げているわけで、特別監察委員会に伝えてくださいよ。そういう指摘があった、国会で指摘を受けたということを伝えてくださいよ。

根本国務大臣 国会でそういうお話があったということはお伝えしたいと思います。基本的には、監察委員会は独立していますから。

川内委員 まあ、独立しているとか第三者性といいながら、そうではなかったということも明らかになっているわけですから、だから伝えてくださいということです。

 さらに、聞かせていただきますが、せんだっての、二月四日の本予算委員会での質問で、自由民主党の厚生労働部会長である小泉進次郎議員が、十二月十三日の問題発覚以降、十二月二十日の大臣報告会合までの間、ここからはかぎ括弧です、小泉さんの発言、「私が知る限りは二回、官房の幹部、次官を含めて、説明が入っている」というふうに御自身の質問の中で御発言をされていらっしゃいます。

 きょう、大西前政策統括官に来ていただいています。大西さん、少なくとも二回と言っているわけですけれども、官房幹部に何回説明したか、何月何日何時、誰に説明したか、どう説明したか、説明資料はどのようなものを使ったかということを教えてください。

大西参考人 お答え申し上げます。

 まず、十二月の十八日の日でございます。そのときには、厚生労働審議官、官房長、それから総括審議官に対しまして、私どもの部局の参事官から一報という形でお話をしたというぐあいに記憶しておるところでございます。

 また、翌十九日でございますが、その日は、これは私から説明いたしましたが、事務次官、厚生労働審議官、あと官房長に説明をいたしました。

 説明の内容につきましては二点ございまして、五百人以上規模の事業所において全数調査すべきところ、東京都において抽出調査を行っていたことと、二点目が、抽出調査の結果を、必要な統計的な処理を行わず集計していた、こういう内容でございます。

川内委員 きょう、官房長にも来ていただいていると思うんですけれども、官房長、今の大西前政策統括官の御発言で間違いありませんか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 省内幹部への統計情報部門からの報告でございますが、今、大西前統括官からお話ありましたように、十八日には厚生労働審議官、官房長、総括審議官、十九日には事務次官、厚生労働審議官、官房長に、それぞれ、十八日には参事官、十九日には大西前統括官から説明が行われたということ、これはそれぞれの説明を受けた方に聞いた状況でございます。

 その説明の内容でございますが、もう少し具体的に申し上げますと、十八日には、五百人以上規模の事業所において全数調査とすべきところ、東京都において抽出調査を行っていたということのみの報告がありまして、十九日には、それに加えて、抽出調査の結果を復元をしていなかったようであるということについて報告を受けたということと聞いているところでございます。

川内委員 それでは、もう一点確認をさせていただきますが、十二月二十日、大臣説明会合が行われていて、この大臣への説明は、厚労大臣は累次にわたって、審議官、そして大西前政策統括官から説明を聞いたと、説明を聞いたと、こう答弁をしていらっしゃいます。

 そのときに陪席をしていた厚労省幹部を、大西さん、教えてもらえますか。

大西参考人 今、厚労省幹部というお話がございましたが、厚生労働審議官と私の二名でございました。(川内委員「本当」と呼ぶ)はい。

川内委員 ありがとうございます。

 十二月十八日、そして十二月十九日、そして十二月二十日と三日続けて、めちゃめちゃ大事な会合が厚労省で開催をされたということでございますけれども、このときにいかなることが話し合われたのかというのは、本件事案において、厚生労働省の事務事業を跡づけ、検証するために、非常に重要な文書になるというふうに思います。これは、文書を作成をしなければならない、公文書管理法並びに厚生労働省文書管理規則にのっとって、事務事業を跡づけ、検証するために文書を作成しなければならない会合であったというふうに思います、十八日、十九日、二十日。

 きょう、官房長は、厚生労働省の総括文書管理者という立場でもあります。この三つの会合は、文書を作成すべき会合であるということでよろしいかということをお答えください。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 十八日、十九日、二十日ということでございました。私の知る限りにおいては、十八日は口頭で極めて簡単に報告がなされたということでございましたけれども、十九日あるいは二十日の分も含めて、議員御指摘のように、公文書管理法及び厚生労働省行政文書管理規則、こちらでは、予算や統計調査に関する事項を含めて、軽微な事案を除き、政策立案や事務事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等の記録については文書を作成するとともに、その意思決定過程や事務事業の実績の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書については、原則として一年以上の保存期間を設定しなければならないとされているというところでございます。

 本件は、この予算や統計調査に関する事項に関するものでございまして、文書を作成、保存しなければならない事案と認識しております。規則に沿って対応をしてまいりたいと考えております。

川内委員 今、この三つの会合については、文書を作成しなければならない会合であったというふうに、総括文書管理者たる官房長から御発言をいただきました。

 この三つの会合について、文書の提出を求めたいというふうに思います。委員長においてお取り計らいをいただきたいと思います。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

川内委員 それから、済みません、ちょっと話を戻すんですけれども、きょう、せっかく大西前政策統括官に来ていただいているのでいろいろ聞きたいんですが、この特別監察委員会の報告書は、このドラフトは、統計セクションがドラフトを起案したのか、それとも官房セクションがドラフトを起案したのか、どっちですか、教えてください。

大西参考人 私は、ヒアリングを受けただけでございますので、どなたがドラフトを書いたかは承知しておりません。申しわけありません。

川内委員 いや、そこまではないだろうと思って、一応確認したんです。

 官房セクションが起案した、この特別監察委員会の報告書の起案は官房セクションであるということでよろしいですか、官房長。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 特別監察委員会の報告書でございますが、これは特別監察委員会としてつくられたというものでございまして、事務方はそのお手伝いをしたというものでございます。

川内委員 いやいや、特別監察委員会として出していますというのは、私もさすがに理解しております。ただ、要するに、ドラフトを起案したのは誰ですかという話を聞いているんですね、ドラフトを。

 もう報道などでは、事務局が書いたということに報道されているわけですから、官房セクションで起案したというのなら、そうだということで、いろいろ聞きたいことがあるのでさっさとお認めいただきたいんですけれども。

定塚政府参考人 私ども、行政において起案といいますと、正式な文書を決裁の形で起案をするというようなことをいいますけれども、今の御質問の趣旨は、誰が報告書の原案を……(川内委員「いや、だから、ドラフトを起案と言っている」と呼ぶ)はい、ドラフトをつくったかという趣旨かと思います。

 これにつきましては、先ほど申したように、大臣官房人事課の職員が事務的なサポートを行っておりましたので、委員会の御指示のもとで報告書のたたき台のようなものを委員の方の御趣旨を踏まえて事務的に作成をしたところでございますけれども、それを委員会にかけて委員間で合意されたものが報告書となったものでございます。

川内委員 それから、この監察委員会の報告書では、平成三十年の一月まで大西前政策統括官は、違法な、毎月勤労統計における取扱いが行われていたということを知らなかったということになっているわけですが、大西さん、本当ですか。

大西参考人 今委員から三十年一月という御指摘を受けましたが……(川内委員「三十一年一月、ごめん」と呼ぶ)済みません。

 私、報告書にも書かれておると思いますが、三十年の十二月十三日に初めて知ったところでございます。

川内委員 済みません、いっぱい聞きたいことがあるもので頭がちょっと混乱して、ごめんなさい。

 三十年の十二月に初めて知った、それまでは知らなかったということなんですね。

 それでは、統計委員会の、きょう総務省からも御答弁いただきたいんですけれども、この監察委員会の報告書では、何かおかしいねということを厚労省の統計セクションに指摘したということが書いてあるんですけれども、統計委員会あるいは総務省は、何かおかしいな、ちょっと変だぞということをいつ気がついたのか、そして、それは何によって気がついたのかということを、経緯をちょっと教えていただけますか。

石田国務大臣 お答えをいたします。

 厚生労働省は、毎月勤労統計において、かねてから専門家から指摘されていました断層を解決する方法として、平成三十年一月から、他の複数の統計で導入されている統計技術的な手法、いわゆるローテーションサンプリングを導入したところ、この手法の導入により、本来、調査対象の入れかえによる断層は過去の入れかえと比べ小さくなるものと想定をされていたわけでありますけれども、しかし、ローテーションサンプリングを導入しても断層が小さくならなかったことから、この断層の要因等について、八月二十八日の統計委員会で厚生労働省に説明を求めたということであります。

川内委員 五百人以上規模の事業所のデータがおかしいねということに気づいたのはいつですか。

石田国務大臣 実は、先ほど申し上げましたけれども、ローテーションサンプリングを入れても、導入しても断層が小さくならなかったことから、統計委員会の事務局職員が従業員規模別に断層を分析をいたしまして、本来ほとんど断層が生じない全数調査である五百人以上の事務所に断層が生じている理由について、昨年の十二月に、平成三十年十二月に厚労省に確認したことが端緒となり、平成三十年の十二月十三日に委員長と事務局それから厚労省との打合せの場において今回の事例が判明し、平成三十一年一月の統計委員会において厚生労働省から事情説明があり、現在も引き続き審査を行っているということであります。

川内委員 統計委員会の事務局職員が事業所規模別のデータを精査していて気づいたと。その事務局職員の方が気づいた時期をちょっと知りたいんですけれども。

石田国務大臣 先ほど、八月に統計委員会で厚労省に説明を求めたわけでありますけれども、それに対する説明がなかったということで、その職員が十二月に分析を行ったということでございます。それが判明したのが昨年の十二月ということであります。

川内委員 大臣、済みません。十二月に分析をして十二月に説明を求めたんですか。時期がちょっと重要なので、済みません、もう一度お願いします。

野田委員長 石田総務大臣、時系列でしっかりお答えいただけますか。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 石田総務大臣。

石田国務大臣 答弁申し上げましたように、十二月に調べたわけであります。

川内委員 そうすると、統計委員会の事務局なりあるいは統計委員会が事業所規模別データを入手していた時期というのはいつになるんでしょうか。

石田国務大臣 この資料については、公表されている資料ということであります。

川内委員 そうすると、平成二十九年の十二月のデータと平成三十年の一月のデータを見比べておかしいというふうに気づくことは、実は平成三十年の三月ぐらいにはできたはずであるということになろうかというふうに思います。

 というのは、毎月勤労統計の全国調査結果原表というのがありまして、二十九年の十二月の、不正が行われていたときの原表と、不正が行われている状況の中での、去年の一月、平成三十年一月の原表の五百人以上の規模の事業所のデータを見ると、これは三倍に復元しているわけですから、異様にはね上がるわけですね。異様にはね上がっているんです。五百人以上規模の賃金が異様にはね上がっている。一月と十二月で一万円違うんですよ。それで、おかしいねということになったんだと思うんですけれども、平成三十年の早い時期に僕は気づけたんじゃないかなと。統計の専門家がそろっているわけですからね。

 大西政策統括官も、総務省から、統計委員会から説明を求められたときに、こういうデータを見て何か変だなというふうに思ったと思うんですけれども、この全国調査結果原表について、まず大西前政策統括官に、八月の時点で説明を受けなかったのか、あるいは自分でチェックしなかったのかということを教えていただきたいと思います。

大西参考人 八月の段階では委員御指摘の説明はまずございませんでした。また……(川内委員「自分でチェックしなかったの」と呼ぶ)私も自分ではチェックしておりません。

 以上でございます。

川内委員 自分ではチェックしておりませんと何かすごいどや顔で言われても、ちょっと、EBPM推進統括官ですからね。EBPM推進統括官、統計担当としては、データを私はチェックしていませんでしたと何かすごい言い切られても、あれっというふうにしか思えないんですけれども。

 では、統計委員会の事務局を統括していらっしゃる総務大臣に同じ質問です。

 もっと早い時期にチェックをしていれば当然に気づいたはずだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

石田国務大臣 三十年の一月分は四月に公表をして、そこで断層が出て、それを改善するための検討をしている過程で発見したものと認識しております。

川内委員 四月に発表されて、断層があるというのは、五百人以上の規模の事業所で物すごい断層が出ているわけですよ。さっき御説明したとおり、一万円、断層ができているわけですからね。一万円上がっているわけです。それを見ていて、これは五百人以上がおかしいぞということについて、私は、もっと早い段階で気づいていたのではないか、そのことについて厚労省にずっと問い合わせていたけれども厚労省が答えなかったんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

石田国務大臣 今申し上げましたように、三十年一月分は四月に公表されるということであります。そこで断層が出て、それについて統計委員会の中で検討をしたということで、その過程で発見をして、そして厚労省に対して説明を求めた、そういう流れだと思います。

川内委員 それは、八月より前に気づいていたという理解でよろしいですか。

石田国務大臣 その説明を厚労委員会に求めていたということでありまして、その時点で統計委員会が気づいていたというわけではないということであります。(川内委員「厚労委員会」と呼ぶ)統計委員会がですね。その説明を、ごめんなさい、厚生労働省に求めていたということであります。しかし、その時点で統計委員会がそのことをわかっていたわけではないということであります。

川内委員 事業所規模別のデータに不自然なところがある。要するに、総理、全数調査が建前になっていたので、全数調査が建前なので、実は全数調査では段差は生じるはずがないんですね、全数調査するから。それが、平成二十九年の十二月と平成三十年の一月に一万円も差が出ているということは、これは表を見ればおかしいねというのはすぐ気づくはずで、それに統計委員会の事務局が気づいたのがいつかということを知りたいわけです、気づいたのがいつか。

石田国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますが、もう一度申し上げますと、平成三十年の一月分は四月に公表がなされました。そして、断層が出ているということで検討をしておったわけですけれども、まずは全体の大きさの分析を厚労省に求めたということであります。そして、八月九日の委員会で説明を受け、その後、分析を開始して、十二月に統計委員会としては職員がそれを分析したということであります。

川内委員 済みません、もう何回もしつこく聞いて申しわけないです。

 総務大臣、平成二十九年の十二月のデータと平成三十年の一月のデータと断層があるというのは、それは実は五百人以上の規模の事業所を三倍に三十年一月は膨らませて集計したから、統計したから断層が出ているというふうに判断されるわけですけれども、それを厚生労働省との関係で統計委員会としてどうしたのかということを聞いているのではなくて、統計委員会としてですよ、集計表はもう即時に公表されるわけですから、この毎月勤労統計調査全国調査結果原表、この原表は公表資料として即時に公表されるわけですから、統計の専門家がこれを見れば、いや、こんなに五百人規模以上で差が出ているのはおかしいねということは早い段階で統計委員会は気づいたのではないかと。気づいていたのではないか、気づかなければおかしいということを申し上げているわけです。

 それを厚労省にどう伝えたかとか、どうしたかというのはまたその次の話で、気づいたのは随分早い段階で気づいたんですよねという確認をしているんです、五百人規模以上について。

 そこだけちょっと、これは事実関係なのでしっかりと答えていただきたいんです。

石田国務大臣 先ほどの答弁で、私、八月九日と申し上げましたけれども、失礼しました、八月と九月の委員会ということですので、よろしくお願いいたします。

 それで、今、もう一度整理して申し上げますと、三十年一月分は四月に公表した、そして断層が出ているということを感じたわけでありまして、そして、統計委員会としては細かな原表の分析はなかなか見ることはできなかったわけで、全体の分析に注力していて、そして、厚労省にまずは全体の大きさの分析を求めたわけでございまして、それで、その説明を八月、九月の委員会で受けた。

 そして、その後、分析を開始したところ、十二月に従業員規模別断層を分析して、本来ほとんど断層が生じない全数調査である五百人以上の事業所に断層が生じていることが大体わかった。それについて十二月に厚労省に確認したことが端緒になっている。そして、十二月の十三日に、統計委員長と事務局、厚労省との打合せの場において今回の事例が判明したということであります。

川内委員 ちょっと私、にわかに、ああ、そうだったんですねというふうに納得はできないんですけれども、今、そういう御答弁ですから、ちょっと次に進みたいと思いますが。

 毎月勤労統計の参考系列、参考値の実質化の件に関してなんですけれども、累次にわたって総理は、統計として主系列と参考値があるというふうにお述べになられ、実質化することが可能かどうかを含めて検討しているというふうに答弁をしております。

 統計の精度を上げるというのは安倍内閣の大きなテーマであったというふうに思いますが、総理が議長の経済財政諮問会議、統計改革の基本方針が平成二十八年十二月二十一日に出されていて、その中で、毎月勤労統計について、「継続標本による参考指標を作成し公表する。」と、参考値も大事だよということを経済財政諮問会議議長として御決定をされていらっしゃいます。

 この参考値も統計なわけですから、当然、統計としてのサンプルのばらつきとかを、我々ユーザーが判断するために、標準誤差あるいは標準誤差率という考え方があるんですけれども、統計がどのぐらいばらついていますかと。標準誤差率が一〇とか二〇だったら、それはもう統計として全く信頼できないということになるわけですけれども、標準誤差率について、この参考値について、まず、この毎月勤労統計は計算しているのか否かということを教えていただきたいと思います。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 共通事業所系列につきましては、活用できるデータを用いて作成するものであり、あくまでも参考値として三十年一月からお示ししているところでございます。

 このため、標本誤差が推計値に対して相対的にどの程度の大きさであるかを示す標準誤差率については、現在計算していないところでございます。

川内委員 標準誤差率を計算していないことで、統計精度検査、総務省統計委員会が行う統計精度検査で、毎月勤労統計はランクが一つ落ちていますよね。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 確認いたしたいと思います。

川内委員 いやいや、確認したいと思いますって、EBPM推進統括官が、統計精度検査を受けて、それについてどう評価されているかわかりませんって、一体どういうことなんですか。(発言する者あり)

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの件について、理事の協議により、川内さんの残余の質疑時間は後刻に譲ることといたします。

    ―――――――――――――

野田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房政策立案総括審議官横田信孝さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 この際、大串博志さんから関連質疑の申出があります。川内さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志さん。

大串(博)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 統計不正を中心にきょうは取り上げたいと思いますが、まず冒頭に、豚コレラの問題、非常に、私も一旦終息していたかと思っていたんですけれども、このときに及んで五府県にかなり急速に広がってきたという、大変緊迫した状況がございます。

 私、佐賀県なんですけれども、佐賀県も近年、鳥インフルエンザが二件続けて発生して、大変な思いをしたという経験をしました。現場は、本当に嵐のような状況で、何とか乗り切ってくれた。そのときの国及び自衛隊の皆様も含めた支援には、大変感謝しておるところでございます。

 今回の豚コレラに関しても、これだけ急速な広がりを見せておるところでございますので、とにかく、一刻も早い防疫措置、そして殺処分、そして何よりも風評被害への対策、こういったものも大変重要になってこようかというふうに思います。

 さらに、きょう、前の委員からの質疑で、農水大臣にはかなり広範に、どういう対策を国としてやっていくかというのはお答えいただきましたので、それを繰り返し御答弁いただくことは結構でございます。

 私、一点、大臣に決意を言っていただきたいのは、実は、御案内のように、県、市町村が、そして自衛隊の皆さんも含めて、まず防疫措置に入ります、どぼっと入る。もう全員がそこに投入されるような状況なんですよね。いろいろな資材も必要になる。短期間のうちにどんと必要になる。これは、県の財政、市町の財政のことを言っている場合ではないぐらい投入をどんとしなきゃならない。これは、その場においては、県、市町の自分のその場にあるお金でやらなきゃいけないものですから、非常に大変な思いをされるんですね。それを乗り越えてもらわないと、よくない。

 だから、とにかく今、急速な防疫措置をやっていただいて、それに対して、後ほどきちんと国として、例えば、これは総務省の管轄になるのかもしれませんけれども、特別交付税も含めて、きちんとした財政措置も国として万全にとるんだといった、地方公共団体の皆さんがそういう見通しを持って取り組めることに関して、細かいことは結構ですから、農水大臣から、しっかりとした後支えをするという決意を述べていただけたらと思います。よろしくお願いします。

吉川国務大臣 大串委員の御指摘の件でありますけれども、細かなことはもう申し上げません。

 今、防疫対策は、各県の専門家の御理解もいただきながら、愛知県、さらには岐阜県を中心にしてしっかりと行っているところでもございますし、飼養管理関連に関しましても、これ以上拡散をしないように、今、体制を整えながら確認の作業も行わせていただいております。

 さらに、自治体に対する支援という点におきましては、捕獲活動の支援ですとか、先ほども申し上げました、猟友会に対する支援ですとか、さらには防護柵の設置の支援、そして、わな等の設置の支援も行っております。それから、落ちついた後の養豚場の再開に関しましても、これらもしっかり支援を行ってまいりたいと思いますし、制度上、ありとあらゆるものを駆使しながらしっかりと支援をさせていただきたい、このように思っております。

大串(博)委員 ありがとうございます。

 とにかく、初期の段階で、ありとあらゆる資源を投入して、まずとめるということが大切だと思うんです。それに対して万全な措置をとるということを、国として完全にバックアップしてあげてほしい。それが全国的な広がりを抑える安心感にもつながっていくと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 さて、統計不正問題ですが、私の方からまず、私、この間ずっと、この毎勤統計の背景に関する中間報告、そして追加調査が今行われているわけですけれども、これに関して質疑を行ってきました。

 特に、私の観点としてあるのは、厚生労働大臣が、これは第三者による調査なんだ、だから公平性、客観性が保たれているんだということを繰り返しおっしゃる。これに対して、それはあるべきだと思います。よって、その第三者、客観性、これが担保されていることが極めて重要だと思うんですね。

 先般の国会において、樋口特別監察委員会の委員長、これは、いわゆる独法の理事長としてこの場においでいただきました。そのときに、立憲民主党の長妻さんからこういう質問があって、すなわち、樋口委員長に対して、つまり第三者性をきちんと信じてもらえるのかという観点ですね、できればほかの方にかわった方が公正が保たれるんじゃないか、世間の目も含めて、どういうふうに御自身では思われておられますかということを問われたことに対して、樋口委員長は、私自身、今回、統計の専門家ということで、長い間統計に携わってまいりました、統計委員会の委員長も務めたという経験も持っております、今回の問題、やはり、解明する上では、どうしても統計的な知識が必要である、そして、再発防止を考えていくにもこの知識が必要になると思っておりまして、そういう理由によって、私の責任感から、正義感から、これを受けたということでございますというふうにおっしゃっていました。なるほどなと思いました。

 樋口理事長に聞きますけれども、この思いは今も変わりませんか。

樋口参考人 お答えします。

 今も変わりません。

大串(博)委員 その思いは、私、非常に受けとめるところでございます。かつ、樋口先生の御業績も含めて、私、非常にすばらしい御業績を上げていらっしゃると思います。

 ただ、今大切なのは、国民の皆さんに信頼を持って第三者と見ていただけるかというところだと思うんです。これに関してどうかということを、きょう、少し検証させていただきたいというふうに思うんですけれども、樋口理事長にお尋ねしますが、今、中間報告が出た後の追加調査が行われていますね。これは、非常にみんなが、どういう追加調査を行われているんだろうということを気にしているわけでありますけれども、追加調査がどのようなものか御説明ください。

樋口参考人 本日は、私は、独立行政法人労働政策研究・研修機構の理事長として招致されているというふうに認識しております。このため、ただいまの御質問については答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。

大串(博)委員 先ほど、責任感から、正義感からとおっしゃったので、私は、その御決意は本当に受けとめさせていただくと申しました。しかし、今の、きょう呼ばれたのは独立行政法人の理事長として呼ばれているから特別監察委員会の委員長としては答えない、これは世間に通用しますかね。この場にいて、通用しますかね。

 これは樋口理事長にお尋ねしますけれども、長妻さんから、前回、これは誰かに言われたんですかと聞かれて、誰にも言われておりませんと答えていらっしゃいましたが、そのとおりですか。(発言する者あり)

野田委員長 お静かにしてください。

樋口参考人 この委員会に私が呼ばれております理由というのは、あくまでも独立行政法人の理事長として招致されているというふうに認識しております。したがって、これ以外の質問についてお答えすることは控えたいというふうに思っているということでございます。

大串(博)委員 この委員会において、その立場と答える内容とが完全に一致する場合じゃない場合もあるというのは多々あるんですよ。

 例えば、大西さんだって、きょう来てくれていますけれども、今の職務は大臣官房付ですよね。大臣官房付としてここに呼ばれているわけですよ。しかし、前職のときも含めて、政策統括官のことも含めて答弁されているわけです。

 だから、理事長は、自分は理事長職のことしかしゃべらないと勝手におっしゃいますけれども、委員会の場で問われれば、国民の皆さんへの説明責任も含めて、私はしっかり果たさなければならないと思いますよ。

 これは、誰からも言われていないというのは、自分の判断ですからね。自分の判断で、しゃべれるものはしゃべっていただきたい。しゃべれるというか、自分の判断で、説明できるものはきちんとこの場に、第三者なんだ、客観的、効率的、公平にやっているんだということを証明するためにも、この場できちんと語っていただきたいと思いますが、いかがですか。

樋口参考人 委員会のことにつきましては、ただいま、先生御存じのとおり、再調査を行っております。したがいまして、ここでお答えすることがその後の検討に影響を及ぼす危険があるのではないかというふうに思っておりますので、少なくとも、私個人でこれをやっているわけではなく、委員全員による合意によってこれは実施しております。そういった意味で、透明性を保ちたい、保っているというふうに思っておりますし、さらには、私個人としても、厚労省に対して手心を加えるという気は一切ございません。

 これが精いっぱいの回答でございます。

大串(博)委員 これから調査委員会の先生方と話し合いながら進めていかれることに関しては、委員長だけで、今独断でしゃべることはできないということはあるのかもしれません。

 ところが、先ほど私が聞いたのは、これまでの追加調査をどういうふうに行ってきたかという事実関係を聞いているんですよ。それをみんな知りたいんです。

 二十五日にいきなり大臣が追加調査を行うとおっしゃって、二十六、二十七と四十人の皆さんにヒアリングをされたというふうに言われている。それはどういうふうな追加調査をやっていらっしゃったんですかという事実関係を聞きたいだけなんです。ぜひ答弁いただきたいと思います。

樋口参考人 まさに、先生の御質問に答えること自身が影響を及ぼすだろうというふうに思っておりますし、現在も追加調査は続いております。

 以上でございます。

大串(博)委員 私は、二十六、二十七にどういうヒアリングをやったのかというのを、内容の細かいところまで教えてくださいとはまず言いません。

 では、例えば、四十人に対して、二十六、二十七、何時から何時までやったのか、あるいはどういうふうに手分けをしてやったのか。この委員会でもこの間問題になりました。そのときの質問項目は誰がどうつくったのか、そのあたりのまずは形式的なところでいいから御説明ください。

樋口参考人 まさに、どういうグループに分けてやったのかとか、あるいは何を聞いたのか、誰を対象にしたのかというようなことにつきましては、まさに今調査をしているところであります。したがって、そういったものについても影響を大いに私は与えるだろうというふうに思っております。

 以上でございます。

大串(博)委員 では、お尋ねしますけれども、グルーピングとかそういうのはいいです、内容がわかるかもしれないという気持ちはわからぬでもない。そうしたら、質問するときに委員会のメンバーの皆さんが持たれていた質問票、これはどうやってつくったんですか。

樋口参考人 これはまさに、内容に触れる問題だというふうに思います。(発言する者あり)

野田委員長 答弁中は静かにしてください。

樋口参考人 少なくとも、内容に触れますので極力控えたいと思いますが、私ども委員がみずから調査を、ヒアリングを実施しました。質問項目についても私どもが考えました。

大串(博)委員 私は、内容を教えてくださいと言っているわけじゃないんです。その調査のやり方が第三者的にちゃんとなっているかを確認させていただきたいということを言っているわけです。

 これはこの間の議事録なんですけれども、逢坂委員の方がこういう質問をされているんです。

 中間報告をつくる段階において、事務方が結局、三分の二のところは事務方だけでヒアリングをしていた、三分の一の方々にのみ委員会の方々でヒアリングをしていたという問題があった。身内調査じゃないかと言われた。よって、逢坂委員がこう問われたんですね。職員だけでヒアリングをしたという事例もあったと思いますが、これは誰の判断で行ったんですか、これも委員会の同意ですか、指示ですか、そういう関係があったんでしょうかというふうに聞いた。

 これに対して定塚官房長が、「委員会に同席する、あるいは事務方のみでヒアリングを行うという点については、委員会にお認めいただいて実施をしたものと考えております。考えておりますというか、お認めいただいて行ったものでございます。」というふうに言われています。

 理事長にお尋ねしますけれども、これは、なぜ事務方だけでヒアリングをしていいというふうにお認めになったんですか。

樋口参考人 繰り返しになりますが、本日の私のこちらへの招致は、労働政策研究・研修機構の理事長として来るようにというようなことでございました。

 それについての御質問についてお答えするというのが私のここにおける役割だというふうに思っておりまして、ただいまの御質問、これについては答弁を差し控えたいというふうに思います。

大串(博)委員 この論点は極めて大切な論点ですよ。すなわち、樋口委員長が、第三者性を、第三者であるということを、本当にそうかということを示す極めて重要なポイントなんですよ。

 すなわち、中間報告をつくるに当たって、三十七名にヒアリングしたけれども、そのうち三分の一しか委員会の方が直接ヒアリングはしていなかった、あとは身内でヒアリングをしていた、それに対してなぜなんだと聞いたところ、定塚官房長は、外部委員の委員会の皆さんにお認めいただいて行ったものだと。すなわち、身内調査を樋口委員長以下委員会の皆さんが認めていたということがこれでわかるんですよ。

 なぜ、そんな身内調査を認めるようなことを、第三者委員であるはずの樋口委員長以下が認めたのか。これは、第三者であるかどうかということを確認する極めて重要なポイントじゃないですか。しかも、前のことですよ、以前のこと。これからの調査に何か影響を及ぼすとかそういうことじゃないですよ。樋口委員長以下の委員の皆さんが、樋口委員長を含めてです、本当に第三者なのかということを確認する極めて重要なポイントですよ。ぜひお答えください。

定塚政府参考人 お尋ねいただきましたのは私の答弁ですので、私の方から説明をさせていただきます。

 このヒアリングへの同席、あるいは事務方のみのヒアリングの実施でございますが、これは、私ども厚生労働省事務方が厚生労働省としての姿勢を示すために、我々がみずから申し出て、委員会がお認めいただいたものでございます。しかしながら、委員会の委員の御指示のもとでヒアリングを行ったというものでございます。

 なお、樋口委員長におかれては、本日はJILPT理事長としてお越しになっているものと考えておりますので……(発言する者あり)

野田委員長 静かにしましょう。

定塚政府参考人 委員会関係については、私にお尋ねいただければと存じます。

大串(博)委員 何で、私、役人さんに、私に聞けと言われなきゃいけないんですか。おかしくないですか、定塚さん。のりを越えていないですか。私が質問するのは、私が質問したい人にきちんとする、それが国会での質問権じゃないですか。何を言っているんですか。ちょっと注意してください、委員長、今の発言。

定塚政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、大変失礼いたしました。申しわけございません。

大串(博)委員 私が聞いたのは、定塚さんが答えられる内容ではないんです。委員長が、定塚さんたち役人さんから、内部でヒアリングを行っていいですか、内部者でヒアリングを行っていいですか、しかも三分の二の分量に関して、いいですかと聞かれたときに、なぜ、第三者であるはずの樋口委員長がいいですよと言ったんですかと、樋口委員長の判断を尋ねているんです。それをもって、私は本当に樋口委員長が第三者たり得るのかをきちんと知りたいんですよ。これは国民の皆さんもみんな知りたいと思っていると思いますよ。

 そのことを、樋口委員長から、樋口理事長でいいです、きちんと答えてください。お願いします。

樋口参考人 まさに今、再聴取をしているところでございます。(発言する者あり)

野田委員長 答弁中ですから、御静粛にしてください。

樋口参考人 でございまして、本日は、繰り返しになります、恐縮です、JILPTの理事長としてこちらには来ております。したがいまして、先生も御指摘の、委員長としての発言というのは控えさせていただきたいというふうに思います。

大串(博)委員 この点は極めて大事な点。すなわち、中間報告が身内報告だったということで、追加調査、やり直しになっているんですよ。やり直しになった理由は何だったかというと、身内調査だったから。その身内調査を事務方から言われてお認めいただいた、認めたのが樋口委員長だったわけですね。

 なぜ第三者であるはずの樋口委員長が身内調査を認めたんですかということを聞いているわけです。過去のことですよ。過去のことをなぜそうだったのかというのは答えられるはずです。それによって、自分が第三者であるかどうかをきちんと証明するなりなんなりできるはずです。そこなりともきちんと答えてもらわないと、国民の皆さんに対する説明がつかないと思いますよ。ぜひよろしくお願いします。

野田委員長 樋口理事長、お答えできる範囲で答弁してください。

樋口参考人 まさに今、再調査をやっているところでございます……(発言する者あり)

野田委員長 静かにしてください。

樋口参考人 したがって、この点についての答弁は控えさせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

野田委員長 質問を続けてください。

大串(博)委員 私、ちょっと驚きなんですよ。身内調査でこれだけ統計に関する信頼を更に失墜させたこの政府が、更に理事長、委員長に対して。

 委員長がなぜこういう身内調査を認めたかということに関する答弁を求めている。これは、国民の皆さんは、皆さん知りたいと思っていると思いますよ。何せ、第三者委員会の委員長が身内調査を認めていたということですからね。

 それに対して、国会の場で聞かれて、いやいや、私は独法の理事長として来ていますから答えませんと。こんな、情報開示、説明責任を果たさない態度をとっていることに対して、よしとするのか。私は大変おかしなことだと思いますよ。

 根本大臣にお尋ねします。

 根本大臣は、第三者、しかも独立性を強めて、高めて、今、追加調査をやってもらっていますというふうに言われています。しかし、委員長御自身が身内調査を認めていた。しかも、なぜなんですかということを問われて、それを国民の皆さんの前で説明する場がありながら、それに対しては口をつぐむ。こんな隠蔽体質を背に着たような状況で、この委員長を含めた第三者委員会、特別監察委員会、これで本当に客観的な調査が行われていると、大臣、言えるんですか。

根本国務大臣 私は、特別監察委員会は、より中立的、客観的な観点を強めて、今までは監察チームというのは常設の監察チームでありました。それは有識者の皆さんと厚労省のメンバーが一緒になって監察チームとしてやっていましたが、やはりこの事案の重要性を鑑みると、これは有識者だけに限定して、そして統計の専門家で、前統計委員会の委員長もやられた樋口委員長に委員長になっていただいて、そして特別監察委員会としてやっていただくということで、私は、特別監察委員会については、まさに、どういうやり方でやるかも含めて主体的に判断していただいて、そして厳正な調査をしていただいて報告をいただいたものと受けとめております。

大串(博)委員 身内調査を認めた委員長、しかも、それをなぜ認めたかを国会で説明しない委員長、この方が第三者の委員長として適切だということですか。

根本国務大臣 私は先ほど来、樋口委員長もどういう立場でこの予算委員会に出てきているか、これは、そういう理事長として出てきているわけであって、特別監察委員会の委員長で出てきているわけではない。その中での、樋口委員長は答えているんだと思います。(発言する者あり)

野田委員長 静かにしてください。

根本国務大臣 いずれにしても、私は、この特別監察委員会は、委員長は大変有能な方だし、真面目な方だし、公平公正な方ですよ。そして、前統計委員長として学識もあるし豊かな識見もある。だから、今、特別監察委員会は委員の皆さんも大変真面目に、そして精力的にやっていただいておりますので、私は、この特別監察委員会はしっかりと厳正な調査をやっていただいていると思っておりますし、一月二十二日の報告書もいただきました。

 なお、国会でのいろいろな御議論もあったので、委員の皆様が直接ヒアリングをする形で今、さらなる調査をしていただいているということであります。

大串(博)委員 私は、この大臣の答弁を聞いていて、国民の皆さんはどう思うだろうかなと思うんですよ。身内調査が明らかになって、一旦信頼を失墜しているんですよ。それで、なおかつこれから追加調査をしようとするときに、委員長がこのような身内調査を認めていたこと、それに対する説明もしようともしない。なぜか。これは、政府・与党に気を使っているのかなと私は思いますよ。

 だったら、委員長、ぜひお願いします。この委員会に……

野田委員長 私ですか。

大串(博)委員 はい。理事会で取扱いをお願いしたいんですけれども、樋口さんを、JILPTの理事長としてではなく、特別監察委員会の委員長として来てください。今すぐ決めてください、今すぐ。今すぐ決めてください。

野田委員長 それは、後刻、理事会にて協議いたします。(発言する者あり)

 ただいまの件につきましては、後刻、理事会にて協議いたします。

大串(博)委員 私は、与党の皆さんが、特別委員会の委員長として樋口さんがここでしゃべるということがなぜそんなにだめなんだろうなと不思議に思いますよ。

 だって、総理、おっしゃっていましたよね。統計に対する信頼を確保するために全力を尽くすと、何度も国会でやられていましたよね。それに対して与党の皆さんは、これだけ、特別監察委員会の委員長として樋口さんがしゃべることに対して、なぜブロックするんですか。

 どうも事実を解明することに後ろ向き。大西前政策統括官をここに出すことに関しても、物すごい抵抗がありましたよね。やっと来られました。やっとですよ。それで、樋口さんに関しては、いまだに特別監察委員長としてはしゃべれないと。この態度は一体何ですか。この政府・与党全体が隠蔽体質なんじゃないですか。そんな気がしますよ。

 委員長、済みません、ぜひ特別監察委員会の委員長として、やはり、追加調査が今どういうふうに行われているのか、内容にさわらないところだけでもいいんです。やはりみんな知りたいと思っていると思います、追加調査がどういうふうに行われているか。こういったことも語っていただきたいし、まず、何といっても、なぜ身内調査を認めたのか、こういったことはやはりきちんと説明を、第三者委員会の委員長たる樋口さんにやっていただきたいと思う。

 だから、真摯に理事会で協議をしていただきたいと思います。

野田委員長 改めて申し上げます。

 この件につきましては、後刻、理事会にて協議をいたします。

大串(博)委員 非常に残念です。この辺は、きちんと第三者委員会が第三者だということが証明できればなと思って私は質疑している。

 樋口先生が立派な学者の先生でいらっしゃることは、私はよく知っているんです。仕事も実は前に一緒にさせていただきました。だからこそ、申しわけないなと私は思うんです。酷ですよ。樋口先生にお願いするのは酷ですよ。

 さらに、私、事務方の関与のあり方も大いに今回は問題があると思うんですね。

 この間明らかになっていることに関して言うと、十二月二十七日からの、監察チームがヒアリングをした。これは全部事務方だけでやっていた、身内だけでやっていた。これを、定塚官房長の指示で、大臣にも言わずに、事務方だけで判断してやっていたことが明らかになっています。

 さらには、先ほど来明らかになったように、中間報告をつくるに至る特別監察チームのヒアリング、特別監察チームがやっているのかなと思ったら、三分の二は身内でやっていた。

 これに関して、先ほど、定塚さん、私どもが特別監察委員会の皆さんに、これだけ事務方でヒアリングをしていいですねということを提案して、そしてお認めいただいたというふうに言われていますね。何でそんなことをしたんですか。

 あれだけ、公正、客観的にやっていくんだということで、特別監察委員会を立ち上げたわけじゃないですか。それなのにもかかわらず、なぜ定塚さんは、その三分の二を事務方がヒアリングするような内容を自分で考え、委員会に提案したんでしょうか。

 そして、それは大臣には知らせなかった。国会で大臣は答弁されましたからね、知りませんでしたと。大臣にも知らせず、自分たちだけで内部でヒアリングすることを委員長に了解をもらってやった。何でそんなことをやったんですか、定塚さん。

定塚政府参考人 幾つかお尋ねをいただいたと思います。

 まず、監察チームでございますけれども、監察チームは、もともと厚生労働省の中に常設で置かれているチームでございまして、監察チームの主査は、私、官房長が務めておりますので、この事実が、事案が起こった際に、迅速にまず監察チームにおいてヒアリングを開始するということで開始をし、人事課職員等による聴取を開始したというものでございます。

 また、続きまして、特別監察委員会でございますが、今回の事案の重大性に鑑みまして、これは、過去の経緯と原因について徹底的に解明するためには、調査の中立性、客観性を高めるとともに、統計に係る専門性も重視した体制とする必要があると判断されて、外部有識者のみで構成する特別委員会を設置するということ、これは大臣から事務方に御指示をいただいたところでございます。

 この指示を受けまして、特別監察委員会、有識者のみで立ち上げていただいていたというわけでございますけれども、こうした趣旨について私ども事務方が十分理解せず、ヒアリングの同席や事務方のみのヒアリングの実施について、私どもがみずから申し出て、委員会にお認めいただいた、このようなことでございます。

大串(博)委員 大臣の意図を十分に理解せず、しかも大臣に報告しなかったのはなぜですか。

定塚政府参考人 先ほど申し上げたように、まず、事案の発生後、監察チームという形で調査が立ち上がりまして、この監察チームの調査を引き継いで特別監察委員会を実施する、特別監察委員会については外部有識者のみの会議体で行うということになったわけでございます。

 これは、監察チームの調査を引き継ぐということもございましたので、監察チームの調査について引き継いで説明をするということ、また、ヒアリングにおいて厚生労働省としての姿勢を示すためということで、事務方として判断をして申し出たものでございます。

 大臣への御報告をその時点でしなかったということについては、反省している次第でございます。

大串(博)委員 今ちょっと言われたことの中で腑に落ちないことがあったんですけれども、厚生労働省としてのヒアリングにおける姿勢を示すという意味において、身内のヒアリングを申し出たものでございますと言われました。これは一体どういう意味ですか。厚生労働省としてのヒアリングにおける姿勢を示すというのはどういうことなんでしょうか。

定塚政府参考人 お答えいたします。

 ヒアリングに特に私が同席をいたしましたのは、先輩の職員等でございましたので、こうした職員に対して厚生労働省としてもしっかり調査をしなければいけない、正しいことを話していただかなければいけないという意味で、厚生労働省としての姿勢を示すためにということをそのときは思ったところでございます。

 しかしながら、その後の国会質疑での御議論を踏まえて、現在では、特別委員会において委員のみが質問する形式でのさらなるヒアリングを厳正に行っていただいているということでございますし、現在の運営については、委員会の御指示のもと、もとより我々はヒアリングに同席せず、事務的なサポートに徹しているところでございまして、特別監察委員会の中立性、客観性、より担保されていると考えているところでございます。

大串(博)委員 先輩方に厚生労働省としてもヒアリングをしているということを見せたかったということですか。どうもよくわからないんですけれども。

 一つ、私は、事務方の皆さんがどうも、この一連、私もいろいろなヒアリングをさせていただいているんですけれども、やはり、この調査に関する事務局機能は放すまい、放すまい、放すまいと、すごく固執しているように感じるんです。なぜかこの事務局機能を大臣官房人事課から放さない。とにかく放さない。庶務に徹するという言葉をもって、とにかく放さない。

 私も公務員、役所をやっていましたからわかりますけれども、やはり、事務的機能を持っていれば全体を差配することも可能なんですよ、役人さんとしては可能なんですよ。だからかなと思えるぐらい、事務局機能は私たちが私たちが、こういうふうになっている。

 これも私、いびつだなと思っていて、既に、ところが、事務局機能を人事課が持っているがゆえに、監察チームにおいては事務方だけでヒアリングをし、中間報告をつくるに当たっては三分の一しか委員会の人がヒアリングをしていないという結果になっているわけですね。

 そういうおかしな状況になっていることに加えて、一つお尋ねしますけれども、中間報告のドラフトを、先ほど人事課が書いたというふうにおっしゃいました、その上で委員会の先生方に了解をいただいたというふうに言われました。

 私、この中の表現として、極めて問題の多い表現が一つあるな、表現として問題というよりも虚偽の表現だなというふうに思うところがありまして、それは、四ページというところにあるんですけれども、「なお、ヒアリングの企画及び実施は、」、いいですか、「ヒアリングの企画及び実施は、」ですよ、「実施は、外部有識者の参画の下で行われた。」と書かれているんですよ。

 これを読んで、私は、ああ、なるほどな、外部有識者の皆さんがヒアリングをやったんだなとストレートに思いましたよ。恐らく、普通に読まれると、皆さん、そう思われていると思う。しかし、実際は三分の一しか有識者の人たちはヒアリングされていなかった。

 定塚官房長にお尋ねしますけれども、「ヒアリングの企画及び実施は、外部有識者の参画の下で行われた。」ここのドラフトは、もともと人事課から出したドラフトでしょうか。それとも、どなたかの委員の方が、いや、こういうふうに変えてくれというふうに、あえて変えられたんでしょうか。お答えください。

定塚政府参考人 ヒアリングの企画立案は委員会のもとで行われたということ、まさにそのとおりであったというふうに思っております。

 また、委員から御指摘いただいておりますが、昨日発表したように、新しく、事務局体制ということで、今度は全く民間の方々の事務局を置いているところでございます。(大串(博)委員「このところだけ答えてください。質問に答えていないじゃないですか」と呼ぶ)

野田委員長 官房長、今のことについてもう一度明確に答えてください。大串さんの質問に答えてください。

定塚政府参考人 御質問は、この報告書の該当部分を誰が書いたのかということでございますが、私どもは、委員の方と、いろいろ御指示をいただき、御意見をいただきながら、この報告書のたたき台のようなものをつくり上げて、委員の方の御議論を経て、最終的にこの報告書になったというものでございまして、当該部分がどのような経緯であったかということを、今現在、私は承知しておりません。

大串(博)委員 それもきちんとただしていきたいと思いますが、このように、私、ずっとこの間、事務方の皆さんからヒアリングをしていて、先ほど申しましたように、事務局機能を放さない、どうもそこを、事務局機能を放さないことで全体をコントロールしようというような雰囲気が見てとれるんですね。

 だから、この追加調査を行って新たな報告書をつくられるに当たっては、大臣、私はきょうのここでわかったことを踏まえると、第三者委員会の委員長、私は第三者として今信頼が置けるような形にはなっていないんじゃないかと思います。

 かつ、事務局も、今、人事課が庶務を行うという形になっていますけれども、これがずっと続く限りにおいては、大臣、ヒアリングが事務方だけで行われることになっていたことを大臣は聞かされていなかった、そんなことが今後も起こりますよ。報告が上がったような上がっていないようなことになって、事務方に都合のいいような報告だけになっちゃって、国民の信頼は得られないというふうなことになりますよ。

 だから、私は、これから追加調査をして、また何がしかの報告が出てくる、これは、このままいくと国民の信頼を得るようなものにはならないんじゃないかなと大変危惧するんです。

 だから、大臣に私はこれはお願いしたいと思いますけれども、この第三者、特別監察委員会、そしてその事務局、もう抜本的に改組して、厚生労働省とは違うところでやってもらうというふうにするのが一番いいんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。

根本国務大臣 私は、十二月二十日に報告を受けたときに、こういうことはあってはならない、徹底的に調査をしろと事務方に言いました。だから、事務方はそれを受けて、監察チームというのが、既に常設の機関があるから、すぐに動き出した。

 そして、当たり前ですけれども、こういう事案が各省庁であったら、人事課という部門が監察しますよ。そこは、事務方は年末年始を返上してやったんですよ。私は、大臣としてはそれを申し上げたいと思います。

 そして……(発言する者あり)いや、頑張るんです、こういうものは。

野田委員長 やじに答えないでください。

 答弁中は静かにしてくださいね。

根本国務大臣 そして、特別監察委員会は、監察チームだけでやっていた、これは、より中立性、客観性を高めるために、私は、監察チームより独立した特別監察委員会、しかも、これは統計の問題ですから統計の専門家が必要なんですよ。だから、樋口委員長は日本に冠たる統計の専門家、経済の専門家ですから、だから樋口委員長に入ってもらって、有識者の独立した特別監察委員会をつくりました。ですから、私は、特別監察委員会の皆さんは本当に使命感を持ってこの間やっていただいたと思っております。

 そして、一月二十二日に報告を受けました。しかし、その後、国会での、今やりとりがありましたけれども、国会の御指摘も受けて、委員会の第三者性に疑念を抱かれないように、有識者だけで、専門家だけでヒアリングをするということも今やっていただいております。

 さらに、事務局機能の話がありましたけれども、特別監察委員会によって改めて厳正な調査を行っていただいておりますが、委員会の独立性を高める方策について特別監察委員会で検討いただいてきて、そして、特別監察委員会の判断で、二月七日付で、民間有識者で構成される事務局を新たに設置されました。ですから、私は、ここはまさに中立性、客観性が保たれている、担保されていると思います。

 そのもとの指示で、厚労省がやはりお手伝いする部分はあるとは思いますよ、お手伝いする部分は。例えば、いろいろな庶務的な話はお手伝いする部分があるとは思いますよ、庶務的な部分はね。しかし、これはあくまでも委員長が、そして、今委員長もおっしゃっておられました、委員の合意のもとでやっているわけですから、私は、特別監察委員会、これからもさらなる厳正な調査をしていただきたいと思っております。

大串(博)委員 では、大臣、どう答えるんですか。賃金構造基本統計、この問題に関しては、今や総務省行政評価局が外部的な目からチェックするということになっているじゃないですか。なぜ賃金構造基本統計は外部、すなわち総務省行政評価局が評価をして、なぜこの毎月賃金統計の問題は、頑張るんです、頑張るんです、頑張らなきゃいけないんです、こういうよくわからないことをおっしゃいましたけれども、なぜ内部でやるんですか、こっち側で。(発言する者あり)いやいや、これは厚生労働大臣の先ほどの答弁に対して聞いているんです。なぜ、厚生労働大臣、そうなんですか。

根本国務大臣 賃金構造基本統計調査については、総務省の一斉点検で報告しなかった経緯、理由、あるいは、調査員でやりますよと言っていたところが郵送調査で行われていた、これは、こういう内容、あるいは、いつから行われてきたか、郵送調査、まずは省内で早急に事実関係の確認を行いました。その結果、平成十八年にはほとんど郵送で調査が行われていたことが判明しています。

 そして、これは、賃金構造基本統計調査の件については、官房長官、総務大臣と相談し、毎月勤労統計調査、今やっているこれとは異なって、統計数値上の問題というよりも行政機関としての基本的な姿勢が問題であって、一般の行政機関の業務の評価、監視という手法になじむので、今後は、これを担当する総務省行政評価局に調査をお願いすることといたしました。

 一方で、毎月勤労統計調査については、不適切な取扱いにより統計数値に影響を与えていることから、外部の専門家による特別監察委員会にお願いしているところであります。

大串(博)委員 最後ですよ。だから、最後、今おっしゃった、統計に影響を与えていることだから外部の方にお願いした。だから、外部を本当に外部にすればいいじゃないですか。厚生労働省以外の外部に、統計の専門家に入ってもらってやればいいじゃないですか。厚生労働省で事務局をしっかり握って、やる必要なんかないじゃないですか。どうですか、大臣。

根本国務大臣 繰り返しになりますが、賃金構造基本統計調査の件については、統計数値上の問題というより、行政機関としての基本的な姿勢が問題であって、一般の行政機関の業務の評価、監視という手法になじむことから、これを担当する総務省に調査をお願いすることといたしました。

 要は、前段で、賃金構造基本統計調査については、総務省の一斉点検で何で報告しなかったのか、あるいは、郵送調査がいつから行われてきたのか、これは省内で早急に事実関係の確認を行って、そこは平成十八年にほとんど郵送で調査が行われている、これは判明しましたから、残るのは行政機関としての基本的な姿勢の問題ですから。ですから、一般の行政機関の業務の評価、監視という手法になじむ。ですから、これは総務省の行政評価局にやってもらおうということにいたしました。

大串(博)委員 全く意味不明ですね。

 なぜか、この毎勤統計に関してだけは、絶対に役所からは手を放さない、そういう態度が見てとれる。これが、毎勤統計が去年の一月から上振れしていた、それがずっと外に公表されない中で、アベノミクスがよく見えるような何がしかのプロットがあるんじゃないか、こう思われてしまうようなことと何となくつながるんですよ。だから、この理由はしっかり説明していただきたいということは、私、思っていたんだけれども、なかなかはっきりしない。これは非常に私は疑問点です。だから、国民の皆さんもすっきり、ぽとんと落ちていないと思う。

 最後に一つ、大臣、聞かせていただきますけれども、きょう、毎勤統計の十二月までの速報値が出ました。それで、一月から十二月までの数字が出たわけですけれども、いわゆる推計値に関して、実質の賃金にできないかどうかという論点があります。これに対して、大臣は、総理もそうですけれども、検討していますとずっとおっしゃっています。

 私は、ぜひ、この変化率を見るのは推計値の方だ、重視するのはそっちだというふうに言われているので、そっちを出してほしいと思うんですけれども、大臣は、統計の専門家に議論してもらっているというふうに言っていますけれども、統計の専門家とは誰ですか。

根本国務大臣 先生がおっしゃっているのは、毎勤統計の報告で言う共通事業所の数値ですね。(大串(博)委員「参考値、ごめんなさい」と呼ぶ)参考値ですね。毎勤統計というのは、水準を見る場合には、これは本系列、そして参考値が、月々の振れを見るのは参考値、そして……(大串(博)委員「時間稼ぎはやめてください、誰に」と呼ぶ)統計の専門家って、たくさん、いろいろな方はおられますよ、おられる。(発言する者あり)

野田委員長 少し静かに聞いてください。

根本国務大臣 もし、私が誰という名前を、私も親しい人間がいますから……(大串(博)委員「隠すようなことですか」と呼ぶ)やはり、隠す必要じゃないけれども……(発言する者あり)

野田委員長 答弁中は御静粛にお願いします。特に傍聴席の方、よろしくお願いします。

根本国務大臣 それは、具体的な名前を申し上げることは差し控えたいと思います。(大串(博)委員「何でですか」と呼ぶ)

 統計の専門家もいろいろな話を、いろいろアドバイスをしてくれるけれども、やはり基本的にはこの場で自分の名前を出すのは控えてほしいという気持ちがあると思います。

 ですから、私は、具体的なお名前についてはこの場で申し上げることは差し控えたいと思います。

大串(博)委員 しどろもどろじゃないですか、大臣。

 こんな実質賃金の、参考値における本当の、政府が重視できる実質賃金を、数字を出してくださいと言っていることに対して、大臣が、統計の専門家にも聞いていますからと言うから、私たちは待っているんですよ。統計の専門家はいろいろいる、私もいろいろ聞いているといって、名前も言えないじゃないですか。こんないいかげんな統計に対する態度はありますか。

 私は、この一事をもっても……(発言する者あり)では、名前を言ってください、名前。

根本国務大臣 これは、やはり本人も公表しないでもらいたいとか、あるいは本人の了解をとらずして私がここで名前を申し上げるということは、私は控えたいと思います。本人の了解を得ないで私がいろいろな先生方の名前を申し上げることは控えたいと思います。

大串(博)委員 資料提出をお願いします。

 この件に関して厚生労働省が、誰に対して、どのような形で意見を求めているのか、この事実関係だけでも理事会に提出していただくようにお願いします。

 終わります。

野田委員長 この件につきまして、後刻、理事会にて協議いたします。

 この際、逢坂誠二さんから関連質疑の申出があります。川内さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。逢坂誠二さん。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。

 根本大臣、毎勤統計、今回、これが出ました。きょうの朝八時半に出されましたけれども、これを見ていると、実質賃金指数、現金給与総額は一〇〇・八ということで、〇・二%の増ということであります。

 これについて、大臣、ちょっと所感をお伺いしたいんですけれども、まず、大臣の前提として、全数調査と共通事業所の調査、この指数を比べると共通事業所の方が、これまでの例でいくと、きょうは残念ながらグラフを用意していませんけれども、全部低くなっているという認識でよろしいですよね。

野田委員長 答弁、大丈夫ですか。まだですか。(逢坂委員「時計をとめてください」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 根本厚生労働大臣。

根本国務大臣 数値ですので、正確にお答えしたいと思いました。

 今回の毎勤統計調査、きょう八時半に公表いたしましたが、現金給与総額、もう先生お話ありましたよね。

 それで、共通事業所系列の方の一・七%増。そして、全体は名目で一・四%増ですよね。現金給与総額は、全体は一・四の伸びですよね、ここに書いてありますけれども。それと、決まって支給する給与が〇・九、これをどう思うか。

 共通事業所……(逢坂委員「違う。質問がわかっていない」と呼ぶ)違うんですか。じゃ、もう一度お願いします。

野田委員長 では、一度、大臣、戻ってください。

逢坂委員 大臣、簡単な質問です。

 これまでの国会の議論の中で、本系列と共通事業所、これを比較すれば、どこの年とかということではなくて、これまでの国会議論の中で、平成三十年の実質賃金、毎勤における、大臣、聞いていますか。だめだ、これは。聞いていない。時計をとめてください。

野田委員長 大丈夫です。逢坂さん、もう一度お願いします。

逢坂委員 もう一回質問していいですか。

 要するに、本系列と共通事業所、昨年、平成三十年、これまで何度も議論してきましたけれども、平成三十年は共通事業所の方が低く出ている、このことは理解していますよね、その認識でよろしいですねということ、単純にそれだけです。

根本国務大臣 認識しています。

逢坂委員 認識しているということであれば、今回、毎勤を出されましたけれども、本系列の実質賃金については、これは出さないということのようでありますけれども、今回、伸び率が、例えば一〇〇・八、〇・二%増。

 だから、これは本系列で出しているものですよね、本系列で出しているもの。これを、だから、参考値、共通事業所にすればこれより下がるという認識でよろしいですね。(発言する者あり)

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 根本厚生労働大臣。

根本国務大臣 本系列については、名目と実質を出しております。

 そして、参考の共通事業所系列は名目で、先生おっしゃられたように、例えば平成三十、月々見ると、確かに三十年は、例えば三十年六月の数字は、本系列が二・八で、共通事業所の数値は一・四の伸びでした。(逢坂委員「それは六月の話ですね」と呼ぶ)去年ですね。

逢坂委員 大臣、大変恐縮なんですが、質問をよく聞いていただきたいんです。

 要するに、共通事業所は全般的に低く去年は出ていた。今回これを出したのは、共通事業所の数値ではなくて本系列の数値で出している。そういうことになれば、これと同じ考え方で、これを共通事業所でやれば、今回ここに出ている各種の数字、例えば実質賃金指数、〇・二%増とかと出ていますけれども、これよりも低くなるという認識でよろしいですよね。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 数字のことでございますので、政府参考人からお答え申し上げます。

 お尋ねが、毎月勤労統計調査の本系列、現金給与総額、それからあと、共通事業所の数値でございますけれども、共通事業所系列は各月しかございませんので、まず本系列について、平成三十年一月から各月分の現金給与総額の上昇率を順番に申し上げますと、一月から、〇・七、〇・八、一・八、〇・二、一・四、二・八、一・四、〇・六、〇・七、一・一、一・七、一・八でございます。

 また、共通事業所の数値でございますけれども、一月から、〇・三、〇・八、一・二、〇・四、〇・三、一・四、〇・七、〇・九、〇・一、〇・九、一・〇、一・七でございます。

 御質問の共通事業所系列の実質化については、現在、先ほどから御答弁申し上げておりますが、厚生労働省において検討中でございます。

逢坂委員 厚生労働省において検討中なのは、私は十分承知しています。

 ただ、私は、全体のトレンドとして、この間まで、昨年一月から十一月までの数値を共通事業所も本系列も出してグラフに並べて、ここで何度も何度も議論をしていて、先ほど大臣が答弁したとおり、六月の数値でいうならば二・八と一・四ということで、共通事業所の方が低い。だから、全体のトレンドとしては共通事業所の方が昨年は低かったですよねということを先ほど私は聞いた。そうしたら、大臣も、それはその認識だということをお答えになった。

 だとするならば、共通事業所の実質賃金については、今回はこれは出してはおりません、今検討中ですが、全体のトレンドとしては、共通事業所を出せば、今回発表された数字よりも低くなりますね、その御認識はお持ちですね、そういう質問ですよ。

根本国務大臣 これは統計ですから、本系列は、全体の賃金を戻して、復元して、そして一人当たりで出しております。そして、共通事業所は、去年とことしと同じ事業所を取り出して、それで出していますから、実はこれも、傾向は何かということは、私は一概に言えないのではないか、その月々でやはりぶれますから。もともとサンプルが違うわけですから、ここは、傾向としてどうだと言われても、責任がある御答弁は私はできません。

 なぜなら、これは統計数値ですから、統計というのは客観的なものですから、私がそこを推測して答えるというのは、私は責任を持った答弁がお答えできません。

逢坂委員 それじゃ、三十年を通しての共通事業所の数字については今検討中だということですが、十二月の共通事業所、これは数値はどれぐらいになっていますか。先ほどの一・四に対応する数字を教えていただけますか。(発言する者あり)

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働省政策統括官藤澤勝博さん。

藤澤政府参考人 ただいま御質問を聞いていなくて申しわけございませんでした。

 実質……(逢坂委員「聞いていないのに手を挙げないでください」と呼ぶ)わかりました。申しわけございませんでした。

 毎月勤労統計調査の実質賃金指数でございますが、現金給与総額の十二月の前年同月比の上昇率は一・四%でございます。それについて対応する共通事業所の数値は、実質化された数値はあるかというお尋ねだと思いますが、それはございません。

逢坂委員 大臣、今、一・四だという数字が出ましたけれども、大臣が冒頭に答弁なさったとおり、共通事業所は、本系列に比べれば少なくとも平成三十年は低くなる傾向があるということは、大臣はお認めになられました。

 であるならば、共通事業所を通年でやってみた場合に、きょう発表されたこの数字よりも、共通事業所の数値を調べれば三十年は低くなるんだ、そういう傾向になるということ、これはお認めになられますよね。具体的な数字、何%だなんということは全く聞いていない。常識的にそう考えられませんか。

根本国務大臣 共通事業所系列の何を見るか、これは、月々の前年同月比を見る、迅速に見るという意味で、本来だったら本系列で見るんですけれども、参考値として出しなさい、こういうことで、今、参考値と出しております。

 そして、共通事業所系列というのは、結構、前年、月々で、必ずしも、脱落する事業所も出てきますから、だから、そういう性格のものであって、また、標本数が少ないため標本誤差が大きくなる、あるいは標本に偏りがある、実はそういう課題があるんですけれども、これを年平均という形で、共通事業所の年平均を機械的に出せるかどうか、これは少し検討しなければいけない課題だと思っております。

逢坂委員 トレンド、傾向すら言わないということであるならば、共通事業所の数値を隠しているとしか思われない、私はそう思いますよ。はっきりおっしゃればいいんですよ。傾向すら言えないなんて、どう考えてみてもおかしいですよ。

 それと、大臣、この共通事業所のサンプルは少ないとか脱落するとかおっしゃっていますけれども、共通事業所、一体何件あるんですか。少ないというんだったら、その数を教えてくださいよ。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 毎月勤労統計調査の調査の対象事業所数は、現在、約三万件でございますけれども、共通事業所が該当する部分は、そのうち、現在、十二分の五、約四二%程度でございます。

 それで、実際には、回収率もございますので、それはもう少し低くなって、目減りするという状況にございます。

逢坂委員 要するに、大臣、共通事業所は一万件以上あるんですよ。それから、三万件に単純に四〇%を掛けても、一万二千件ですよ。それを数字が小さいとか少ないとかと、印象操作はやめてくださいよ。

 これは、統計的に一万件もあるということであれば、私は、有意なものだと一般的には思われると思いますよ。

 そこで、委員長にちょっとお願いしたいんですけれども、本系列の数字はきょう出されました。ところが、国民の関心は、これまでの議論を思うと、やはり共通事業所の数字だと思うんですね。それを検討中、検討中と言っていますけれども、これを具体的に、いつまで検討して、いつ出せるのか、しっかり予算委員会として意思を決めて厚生労働省にお願いをするということで検討いただけますか。

野田委員長 ただいまの件につきましては、後刻、理事会で協議いたします。

逢坂委員 それじゃ、この毎勤の、きょう発表されたものについての話は、ちょっとここで一区切りつけさせていただいて。

 総理、きのう、北方領土の日でした。それで、外交の関係についてお伺いしたいんですが、きのう、北方領土の日で、東京でも、それから返還運動の原点である根室でも大会が行われたわけであります。

 それで、私、きょう、北方領土について、いろいろ総理にお伺いをしたいと思ったんですが、参議院の予算委員会の議事録を読ませていただいたら、ほとんどお答えになっておられないようなので、ここで聞いても、多分同じ答えしか言わないのかなというふうに思います。

 そこで、北方領土担当大臣に今の御認識をちょっと何点かお伺いしたいんですけれども、北方領土は我が国固有の領土であるという認識でよろしいですか。

宮腰国務大臣 我が国が主権を有する島であるということであります。

逢坂委員 宮腰大臣、今、我が国が主権を有する島、あるいは島々なんでしょうか、言葉ははっきりしませんでしたが、その島々というのは具体的にどこなんですか。

宮腰国務大臣 島々ということは北方領土のことでありまして、北方領土とは、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島のことであります。

逢坂委員 改めて、宮腰大臣、北方領土担当大臣としてお伺いしますけれども、北方領土の現状というのは不法占拠状態であるということでよろしいですか。

宮腰国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、日本の主権が行使ができていないという状況にあるということであります。

逢坂委員 質問にお答えいただきたいんですけれども、北方領土の現状は不法占拠という認識はありますか、北方領土担当大臣としてお答えをいただきたいということであります。

安倍内閣総理大臣 総理大臣でありますから、総理大臣としてお答えをさせていただきましたが、まさに今……(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。

安倍内閣総理大臣 まさに今、日ロ平和条約交渉を進めている中にあるわけであります。

 昨日も、元島民の皆様とお目にかかりました。まさに私たちも、この領土問題の解決、平和条約の締結は悲願でありますが、それを一番望んでいるのは元島民の皆さんなんだろうな、こう思っているわけであります。昨日もお話を伺ったんですが、自分たちも年をとっていく中、とにかく早く、早く解決してもらいたいと。

 解決をするためには交渉を進めなければならないわけであります。まさに、ここでの議論において、それが交渉に悪影響を及ぼす可能性がある中においては、今、我々、ここでそうしたことについてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、私たちの考え方というのは、まさに、北方領土については我が国が主権を有する島々である、これはもう一貫した方針であるということは間違いがないわけでございます。

逢坂委員 私は、総理が何度もプーチン大統領に会って交渉をされている、その労は非常に多としたいというふうに思うのでありますけれども、国民の皆さんが総理の言葉を聞いていると北方領土に対して不安を覚える、もしかすると日本の姿勢が後退しているんじゃないか。そこのやはり基本姿勢は、はっきりしておかなきゃいけないんだと思うんですよ。幾ら交渉事だとはいえ、もしかして方針が変わっているんじゃないか、そういう受取方をされるのは、私はまずいと思います。

 総理は何度聞いてもお答えにならないものですから、北方領土担当大臣もいらっしゃいますので、担当大臣はどのような認識か、それもお伺いしたいなというふうに思った次第です。

 それじゃ、総理、宮腰大臣でも総理でもどちらでもいいんですが、北方領土、北方四島は一度も他の国の領土となっていない我が国固有の領土という理解も、これは、そうですかと聞かれたときに、きょうは答えられないということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 政府の法的立場には、全く変わりはないということでございます。

逢坂委員 今私が言ったこの言葉、北方四島は一度も他の国の領土となっていない我が国の固有の領土ということは、答えられないということでよろしいですね。法的立場は変わらないということだけれども、具体的には言えないということですね。

安倍内閣総理大臣 今までも政府は答弁を重ねてきたわけでございますが、今までのこの政府の立場と法的立場は変わりはないということでございます。

 そして、つけ加えて言いますと、まさに、北方領土は我が国が主権を有する島々である、こういう考え方でございます。こういう考え方については、全く変わりはないということでございます。

逢坂委員 きのう、根室で北方領土の大会がありました。

 そこで、千島歯舞諸島居住者連盟の脇紀美夫理事長さん、この方は羅臼の町長を務められた方で、私も尊敬する町長さんでした。この羅臼の町長さんがこういうふうに言っているんです。これは報道ですけれども、四島返還というメッセージが影を潜めてしまった感じがしてならない、一年前まで四島返還という言動や文字が普通だったのに、どうしてなのか、残念でならない、こういうふうにおっしゃっているんですね。だから、根室の現場では、北方領土を返せ、返還とかとなかなか言えない雰囲気になってしまった。これに対して、脇さんが、どうしてなのか、残念でならないと。

 私は、国民にこういう気持ちを抱かせてはいけないんだと思うんですね。だから、政府の姿勢というのはしっかりと明確に持っている必要がある、私はそう思うんです。この間の総理の言葉を聞いていると、北方領土問題に対して後退したのではないか、そう思わざるを得ない。多くの国民がそう思っているんじゃないでしょうか。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 昨日、私も大会の前に脇さんともお目にかかってお話をさせていただきました。脇さんからは、とにかく自分たちも、先ほどまさに私が申し上げましたように、年をとってきている中において、交渉を進めて解決してもらいたい、こういうことでございました。

 そういう中において、島民の皆さんも、何とか政府が交渉を進めてもらいたいという気持ち、強い気持ちを持つ中において、元島民の皆様が、別に私たちがこういうことを言ってくださいとかいうことをお願いしたことは一度もありません。しかし、皆さんも、まさに、ここは少し見守った方がいいということで、さまざまな努力をしておられるわけでございます。そういう皆さんの気持ちにもしっかりと応えていきたい、こう考えているわけであります。

 もちろん日本にも強い世論がありますが、ロシア側にも世論がある中において、こういう中でいかに静かな交渉ができるかということに、この交渉がうまくいくかどうかがかかっているわけでございます。そのことでどうか御理解をいただきたい。

 これはもう、私も逢坂さんのお気持ちはわかりますよ、それは。政府がもしかしたら後退しているのではないか、こういう御批判もあることはわかります。でも、それも甘受してもなお、私は、交渉を前に進めていく努力を重ねていきたい、こう決意をしているところでございます。

逢坂委員 総理、私は、交渉事ですから、簡単ではないというふうにはそれは理解はしています。ただ、北方領土に関して、国民に残念だというようなそういう気持ちを抱かせることのないように、やはり方針を明確にして、日本の主張はこうですよ、だけれども交渉事ですから交渉の詳細は言えませんというような、姿勢を明確にするということを強く要請をしておきたいと思います。よろしくお願いします。

 さて、そこで、根本大臣、またちょっと統計の話に戻らせていただきます。

 根本大臣、今回の毎勤統計ですけれども、これは昨年の一月に集計の方法を変えたり、いろいろやっています。このことについて、政府からの圧力、政府内での政治的な圧力、そういうものがあったのではないかということを指摘する方々がいる、これは大臣、認識していますよね。

根本国務大臣 三十年一月からの毎勤統計については、統計委員会で、精度をより向上させるために、純粋に統計的観点から導入されたものであって、そういう声があるかどうかは私は知りませんが、少なくともこれは、そういう声を言われているということは私も聞いていますけれども、我々は全くそういうことはありません。あれは、純粋に統計的な精度を高めようと、統計委員会という、専門家がこうあるべしといったことで毎勤統計のあの三十年一月からの新しい方式を導入したものであります。

逢坂委員 今、同僚議員からやじがありましたけれども、そこまで言い切れるのか、調査している最中なんだからという指摘ですよ。大臣、私、そこまで言い切れないんじゃないかと思うんですね。

 今、手元に平成二十九年度の厚生労働省の数理職採用のしおり、職員採用のしおりというのがあります。これはコピーです。与党の筆頭理事にも御理解いただいて、手にかざしていいよということでしたので、こういうしおりが厚生労働省で発行されていて、新規の職員を採用しようということでやっているわけです。

 これの二十九年版を見ると、中に、若い職員の方ですが、こんなことが書いてあるんですね。「経済財政諮問会議をはじめ各方面から、経済統計の改善の必要性が投げかけられています。その大きな流れの中で、毎月勤労統計調査でも標本の入替え方法や参考指標の作成などでの改善を求められています。」

 これは、私は、若い職員の方は、ストレートに自分の職務の内容を伝えて、次につながる優秀な後輩に入ってきてもらいたいなという思いで書かれたものだとは思うんですが、この文言から直接私は何らかの政治的な圧力があったなどということは言えるものではありませんけれども、しかし、やはり現場の職員はこういうことを感じているということなんですよ。

 「経済財政諮問会議をはじめ各方面から、」これは、職員にしてみると、随分外からいろいろな声があって、まあ、どうしたものかなという思いも半ばあるのではないかと思うんですけれども、大臣、こういう職員の声についてどう思われますか。

根本国務大臣 私は、それを本人がどういう思いで書いたかどうか、それは本人の思いだと思いますが、そのプレッシャーを感じてやったという認識は私はないと思いますよ。

 だって、この毎勤調査というのは、従来から三年に一遍、あるいは二、三年に一遍、全部、全数入れかえるものですから、そこで段差が生じる、これは前々から課題として指摘されておりました。基幹統計九統計のうち六統計は、ローテーションサンプリングということで、段差が生じないような方式を導入している。ですから、我々も厚労省の中で検討会を設けて検討してきた。

 そして、経済財政諮問会議では、あの時代は、全体の統計をより精度の高いものにしようという、先ほど自民党でもという話がありましたけれども、統計改革が真面目に議論されて、そして、純粋に統計的な、専門的な見地から、この毎勤統計については、段差が生じることがないように、基本的には三分の一ずつ標本を入れかえる、今は当面二分の一に、ソフトランディングのためにそうやっていますけれども、これは私は、本当に純粋に統計的な観点でやったものであって、その思いを彼はそういうふうにしたためているんだと思います。

逢坂委員 大臣、李下に冠を正さずということで、疑念を持たれることのないようにやっていただきたいと思いますし、今調査をしているんだという最中に、断定的に決めつけるような答弁は、私はしない方がいいと思いますよ。これは、やはりきちんと調査をした上で、明らかにこれは政治的な作用はなかったんだとか、そういうことが確認された上で言うべきだと思いますよ。大臣、これからそういう姿勢で臨んでいただきたいと思います。答弁は結構です。

 それで、次に、先ほどの質疑の中で、毎勤統計調査の中間報告でありますけれども、この原稿、たたき台、ドラフト、言い方はいろいろあるでしょう、これについて、先ほど定塚官房長は、委員会の要請に基づいてドラフトを書いた、たたき台を書いたというふうに言っておられますけれども、これでよろしいですね、定塚官房長。

定塚政府参考人 特別監察委員会報告書でございますが、これにつきましては、報告書に至る前に、委員会の委員の方からさまざまな議論をいただきまして、その御指導のもとに、報告書のたたき台のようなものを事務方も委員の御指示を受けて作成をし、その上で、委員の方の意見、御議論をいただいて報告書がつくられているというものであると考えております。

逢坂委員 先ほどの答弁から少し変わったようですけれども、要請に基づいてやったと。

 それじゃ、たたき台をつくる、たたき台のようなものをつくるというのは、どちらから持ちかけたんですか。どういうことですか。

定塚政府参考人 それは、委員会の御指示のもとで、報告書のたたき台のようなものを事務局として事務的に策定をしたというものでございます。

 なお、何度も申し上げますけれども、現在は、さまざまな御指摘を踏まえて、厳正な調査を更に行っていただいているところでございます。

逢坂委員 そのたたき台のようなものですけれども、委員長、これは委員会にお出しいただくということを委員会でお決めいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

野田委員長 それでは、この件につきまして、後刻、理事会で協議いたします。

逢坂委員 よろしくお願いいたします。

 それで、これは大臣にお伺いするんですけれども、事務方の方、今質問しますので、ちょっとお待ちいただけますか。

 大臣、今回のこの中間報告のたたき台、これを、いずれにしても、人事課が書いたということでありますけれども、今の話だと、委員会から要請があった、指示があったということなんですけれども、こんなことで委員会は第三者性がちゃんと保てるんですか。いかがですか。

根本国務大臣 特別監察委員会は、委員長のもとで、そして有識者のもとで、その指示で、その判断でやっていると私は思っております。強いて言えば、お手伝いはしているということだと思います。

 あくまでも、それは、委員長なり、先ほど委員長からも話がありましたけれども、委員の全員の合議制でそれを決めてしっかりやっていると思っております。

逢坂委員 大臣、ヒアリングの方法もそうですし、このたたき台を書くのも、これは先ほど我々の会派の大串議員も指摘していましたけれども、全部内部でやろう、そういう意図が私には見えるんですよ。本当の意味での第三者性があるとは言えない。

 だから、私、この中間報告を一度撤回されたらいいと思いますよ。これはもう世間に出しても全然信用されないじゃないですか、これでは。

 それと、この中間報告をもとに職員の処分もされていますけれども、これも私は時期が早過ぎたと思いますよ。

 大臣、まず一つ、中間報告を撤回することと、職員の処分についてもこれは早過ぎたなという点、二点、いかがですか。

根本国務大臣 特別委員会の報告については、特別委員会の委員長を始め委員の皆様が精力的に作業をしていただいて、そして、主体的に判断をして報告書をまとめていただきました。そして、それを私は報告を受けていますから。

 ただ、今委員が御指摘のように、例えば官房長がヒアリングには立ち会っていたということ等々で、これは疑念を持たれましたので、疑念を払拭するように、今、特別監査委員会の委員が直接ヒアリングをする形でやっておりますし、委員会の独立性を高める方策についても、二月七日付で民間有識者で構成される事務局を新たに設置されておりますので、私は、あの一月二十二日の報告書も、とにかく委員長、そして委員の責任において出されておりますので、私はこれを受けとめたいと思います。

 それから、職員の処分の件ですが、十二月二十日に私が報告を受けて、徹底的に調査をしろと言った。すぐに監察チーム、これは既に厚生労働省の中で、繰り返しになりますが、常に、例えば、こういう不適切な事案あるいは不祥事等が起こったときにすぐに動けるように監察チームは既にありましたから。ですから、もう年末から、それは厚労省の監察チームは事務方もおりますので、これを精力的に……(逢坂委員「聞いていないことを答弁しても」と呼ぶ)ですから、聞き取りをしたんですよ。それぞれの部長クラス、課長クラスに聞き取りをしたんですよ。

 私は、厚生労働省の自浄作用として、当然そういうものは聞きますよ。聞いた結果、この担当課長がこういうことをやっていたということをそれぞれ、我々は人事課として把握をしておりますので、そして、その事実に基づいて速やかに処分をさせていただいた。私が十二月二十日に報告を受けてから、一月二十二ですからね、一カ月かかりましたけれども、そこは厳正に対処させていただいたということであります。

逢坂委員 大臣、余り認識されておられないようですけれども、職員だけでヒアリングをしたのはまずい、そういう指摘もされているわけですよ。それを何か殊さら誇るように、私は職員の皆さんが随分御苦労されていることは理解しますよ。でも、今、それを誇れる状況じゃないんじゃないですか。

 改めて、この中間報告、私は撤回されて、一からこの調査、出直した方がいいというふうに思います。そのことを指摘させていただきます。

 それで、委員長、この統計の問題、非常にやはり幅広で奥が深い。まだまだ聞かなきゃならないこと、私、山のようにあるんですよ。

 ぜひ、予算委員会のこの基本的質疑が終わったら、統計の問題での集中審議、これを、これまでも求めておりますけれども、改めてこの場で委員長にお願いをしたいと思います。

野田委員長 集中審議の件につきましては、後刻、理事会にて協議をいたします。

逢坂委員 よろしくお願いいたします。

 きょう、大西前政策統括官に来ていただいております。

 まず、大西統括官にお伺いしたいんですが、今回、マスコミあるいは根本大臣の言葉でも、大西さんを前の政策統括官としての職に置いておくわけにはいかないんだということで、官房付にしたということでありますけれども、その理由は聞いているでしょうか。

大西参考人 お答え申し上げます。

 賃金構造基本統計調査に関しまして、報告漏れがあった等の理由であるというぐあいに承知しております。

逢坂委員 大西さん、組織ですから、私は、報告漏れがあったということは、それは大臣が何度も言っているとおり事実なんだと思いますけれども、大西さん一人がなぜその責めを負うのかというのがわからないんですよ。理不尽だと思われませんか。

 ほかにも多分、大西さん自身が直接そのことを聞いて報告していないとかと、直接全部やっていたわけじゃないと思うんですよ。一体、どういう経緯でどうなって今回のことになったのかは、多分、いろいろ言い分もあると思うんですよ。だから、私は、大西さんだけが処分されるのは理不尽だというふうに思っているんですが、いかがですか。

大西参考人 賃金構造基本統計調査あるいは毎月勤労統計調査に関しまして私はいろいろヒアリングを受けたわけでございますが、他の方がどのようになっているかについてはちょっと詳細を承知しておりませんので、ちょっと御答弁できない状況でございます。

逢坂委員 根本大臣、何で今回、大西さんだけの処分になったんですか。報告をしなかったという責めは大西さんだけにあるんですか。これは違うんじゃないですか。ほかの方も間にかかわっているんじゃないですか。大臣、いかがですか。

根本国務大臣 政策統括官が、十二月の段階で賃金構造基本統計調査、これについて、例えば調査員を郵送にしているのか、その事案については部下の担当室長あるいは課長から聞いていたという事実がまずあります。そして、この毎月勤労統計調査の問題があって、これは十二月二十日に私は報告を受けました。

 ですから、我々、あれ以降、厚生労働省の職員も本当に大変だと思いました。ずっとこの問題を、我々はいかにして事実を解明するか、あるいは原因は何か、そして統計の不信を解消する、厚生労働省としての、いろいろな批判がありますから、とにかく我々は原因を究明して、再発防止も含めて、そして信頼を回復する、その思いで年末年始もやってまいりました。

 その中で、基幹統計に係る一斉点検に際して、我々が統計の信頼回復に向けた取組を進めているさなかで、この一斉点検に際して、総務省への報告期限まで、まあ、失念していたと言っておりますが、報告対象事案があること、これは実は十二月に聞いていて、そして、ちょっと報告漏れがあったということがありましたので、やはりこれは、政策統括官という立場から、私は、引き続き統括官の職務を担うことは適当ではないという判断で、大臣官房付に異動したものであります。

逢坂委員 私は、組織ですから、責任ある立場の者がいろいろな処分を受けるということは理解しなくもありませんけれども、大臣、これは大臣の御指示ですか、誰かのアドバイスですか。

根本国務大臣 それは、処分の最終判断は私がやっております。ただ、これは閣議事案ですから、異動を閣議で決めた、こういうことであります。

 少なくとも、この事案について私が判断しました。そして、手続上は、それは最終的には閣議にかける、こういうことであります。

逢坂委員 この案件の決裁権者が大臣であるらしい、書面を見ていないので私はわかりませんけれども、どうもそうらしいということは漏れ聞いております。それから、閣議で決められたということも私は承知をしております。

 それでは、大臣、これは誰が言い出したんですか。大臣が言い出したのか、誰か別の方が、この案件はやはり厳しいですから処分しなきゃなりませんねということを言ったのか。

根本国務大臣 これは人事のプロセスにかかわることですから、私は差し控えたいと思います。

 そして、大西政策統括官は、懲戒処分という処分性はありません。人事異動であります。

逢坂委員 人事異動であることは、手続上、理解はしております。

 ただ、大臣がこの職に置いておくことはできないんだという御発言をされているので、これは、いわゆる世間で一般的に言うところの更迭ということになるんだろうと理解せざるを得ないんですよ。そういう処分をするときに、大臣がお一人でやったのか、誰かがアドバイスしたのか、それは私は大きいと思うんです。

 なぜか。この問題がここまで大きくなっているのは、厚生労働省が最初からこの問題について明らかにしようとする姿勢がなかったからじゃないですか。いろいろなものを内部だけでやっていこう、そういう姿勢があったからここまでおかしなことになっているんじゃないですか。大臣、いかがですか。

根本国務大臣 これは人事に係るプロセスですから、これは私はお答えを差し控えさせていただきます。人事に対するプロセスですから。

 少なくとも、それから、この事案が発生して、厚生省の職員に対しては、私は、とにかくしっかりと仕事をして、徹底的に調査をしてくれ、こういうことで言っておりますので、そこは、私は、厚生労働省として、私は大臣として先頭に立ってやっておりますので、そういうことを言われるということについては、それは受けとめますけれども、何か、これについての、隠そうとか、そういう意図は、全く、毛頭ありません。

逢坂委員 私たちは、大西さんに事実をきちんとお話しいただきたいなと思っていた。そうしたところが、国会の予算委員会が始まる直前に更迭されて、あたかもこれは、発言を封じていた、証人を隠していた、参考人を隠していたのではないか、そう思わざるを得ないんですよ。

 そして、予算委員会の中でもすったもんだすったもんだして、出す出さない、出す出さないといって、きょうになってやっとお越しをいただいた。だから、事実をきちっとお話しいただければ、この問題はこんなに変に拡大することはなかったと思うんです。私は、その責任は大臣にあると思いますよ。初動を誤っていたんじゃないですか。

 それで、事務方にお伺いしますが、今回のこの毎勤統計で数値が変わった、そのことによって予算編成替えをしなければならない、三十一年度予算の編成替えをしなければならない、それに気づいたのはいつですか。

野田委員長 どなたが答えますか。

 準備ができていないのであれば、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 定塚官房長。

定塚政府参考人 毎月勤労統計調査の関係でございますけれども、十二月十三日、それから二十日に大臣に一報という後に、事実関係等を事務方で集中的に調査をいたしておりまして、十二月二十七日までに、抽出を復元しなかった結果、統計上の賃金額が低目に出ていた可能性があり、国民経済計算や経済見通し、雇用保険、労災保険給付等への影響の可能性が明らかになったという状況でございました。

 その後も精査を続け、一月に予算編成についての手続をした、こういう経過でございます。

逢坂委員 今の、予算編成替えをしなければならないというのは、大臣にいつ報告されましたか。

野田委員長 厚生労働省定塚官房長、答えられますか。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働省定塚官房長。

定塚政府参考人 経緯については先ほど申し上げたとおりでございますけれども、具体的に何日ということ、申しわけありませんが、今把握をしておらず、お答えできる状況にございません。

逢坂委員 大臣、先ほどの大西さんの処分、報告漏れがあったと。それは確かに小さくないことかもしれません。だけれども、一度閣議決定した予算、これを編成替えすること、これの方が私は相当大きなことだと思いますよ。処分の矛先、違うんじゃないですか。

 それで、今聞いたら、いつ予算の変更をしなければならないか、それは今の段階ではわからない、こういう答弁だ。答えられないと言ったじゃないですか。

 大臣、それじゃ、お答えください。

根本国務大臣 まず、時系列で申し上げれば、十二月二十七日に、例えば雇用保険、労災保険等の給付に影響する可能性があるという報告は受けました。

 具体的には、そこから推計しなければ、そこから作業をして、具体的に追加的給付がどのぐらい必要になるのか、これはそれからの精力的な作業ですから、予算に影響する意味での給付のための推計値というのを出して、具体的にどの程度影響があるのかと。

 具体的な数字については一月十一日に公表しておりますが、その意味では、私は、私の記憶では前の日に、具体的に、こういう具体的な予算、追加的給付が必要であるという報告を受けました。

逢坂委員 ということは、大臣、事務方は早い段階から予算の編成替えが必要であるということを認識していたという理解でよろしいですね。十一日に報告があって、そのときに数字が出てきているわけですから、そう思わざるを得ないですよね、事務方がもうやっているわけですから。うなずいていただければ結構かと思います。うなずきましたので、それではそのように理解いたしました。

 それで、大臣、今回のこの追加給付、二千万人以上の方、五百億円、しかも一番古いところでは二〇〇四年、相当大規模なこれは追加給付をせざるを得ないんですけれども、今回、この追加給付に関して、法律が出ていない。追加給付は、これは法律改正なしにできるのか、私はこの点がどうも理解できないんですよ。本当に、法律がなくてこれはやれますか。

根本国務大臣 雇用保険法においては、毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した、これは年度の平均給与額ということですけれども、この上昇率を毎年使うんですが、その意味では、「平均定期給与額を基礎として厚生労働省令で定める」と法律に書いてある、この給付のための推計値は、とにかく、国民の皆様に不利益を与えてしまったので、この不利益をいかに解消するかという観点から、給付のための推計値をつくりました。

 給付のための推計値というのは、毎月勤労統計を基礎として算出したものでありますから、この法律に言う、「基礎として厚生労働省令で定める」、こう書いてありますから、法律の根拠はここであります。そして、厚生労働省令で具体的に中身を決める、こういうことであります。

逢坂委員 大臣、だから、結論的に言うと、大臣は法律改正の必要はないということだと思います。

 大臣、それでは、平成二十三年以前の推計値というのは、これは毎月勤労統計に定めるいわゆる統計数値という理解でよろしいですか。平成二十三年以前です、過去のものです。

根本国務大臣 平成十六年から平成二十三年までは再集計するための必要が存在しませんので、平成十六年から二十三年の値については、再集計値で明らかになったそれぞれの年の乖離幅というのがありますけれども、それが平均〇・六%になりますから、これを、これは毎月勤労統計として出す統計ではありませんが、毎月勤労統計を基礎として算出した。これが給付のための推計値であって、基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定しますから、要は、これは毎月勤労統計を基礎として算出した、計算したということの、そういう性格であります。

逢坂委員 私は、一刻も早く追加給付の作業を開始して、不利益をこうむった皆さんにおわびをしながら、その不利益を補うということは非常に大事なことだと思っています。だけれども、だからといって、法律に反することをやっていいとは私は思えない。

 今大臣はおっしゃいましたね、二十三年以前の数字は統計上の数値ではないんだということをおっしゃいました。でも、この雇用保険法を例に出して言いますと、こう書いてあるんです。毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額を基礎として厚生省令で定めるところにより算出をした。すなわち、法文で言うと、Aを基礎として何々を出すと書いている。Aを基礎として、このAというものが、今、少なくとも二十三年以前の数字では存在しないんですよ。存在しない数字を基礎にして算定するということは、これは法律に反するんじゃないですか。

 私は、二十四年からこちら側の数字については、まだ統計的な有意性は多少はあると思っています。でも、二十三年以前のものは、これは補正値です、推計値です。統計法とは全く関係のない数字だと言わざるを得ない。それを基礎にしてやると法律には書いてある。私は、法律のこの部分を別の立法で直さないと今回の追加給付はできない、そう思っているんですよ。大臣、いかがですか。

根本国務大臣 給付のための推計値は、先ほど私が申し上げたとおりであります。これはあくまで、スピーディーに、早く国民の皆様に追加給付を受けていただこうということで、毎月勤労統計を基礎として算出したものが給付のための推計値であって、これは条文で、毎月勤労統計における労働者の平均給与額を基礎として厚生労働省令で定める、厚生労働省令で定めて法令的には対応する、こういうことであります。

逢坂委員 私、二十四年からこちら側の数字についても、統計法上、本当に真正な、正当性のある数字かどうかというのは疑わしいと思っているんですが、二十三年より古い数字に至っては、もっともっとその統計法からはかけ離れた数字になっているんですよ。それをこの法律の中で給付をするというのは、私は法に反すると思いますよ。それを政省令で何とかやるということは、政省令の方が法律を上回ることになる。

 給付を確実にしなければならない、早く給付をしたい、その気持ちは私も一緒ですよ。だけれども、だからといって法に反していいかという問題は、別だ。

 これは明確にしてもらわなきゃ困る。なぜそれができるのか。

定塚政府参考人 先ほど大臣が御答弁申し上げましたけれども、給付のための推計値でございますが、十六年から二十三年までは、統計的処理により再集計するために必要なデータは存在しないということですが、できる限り速やかに国民の不利益を解消していく観点から、毎月勤労統計を基礎として算出をしたものでございます。

 先ほど御紹介ありましたが、雇用保険法においては、「毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の平均額」とされているところであり、今回、厚生労働省令などにおいて法令的な手当てを行うことにより対応可能であるということ、この点は内閣法制局にも御相談をしているところでございます。

逢坂委員 私は、これは疑義のあるところだと思っています。この点、きょうはもうやる時間がありませんけれども。

 私は、給付を急ぐということは、それは理解をします。しかしながら、法に反していいということは、理解をいたしません。これは明確にお話をしてもらいたいと思いますし、消えた年金のときは、あれは立法をして消えた年金の解消をやったわけですよ。私は、今回もそれをしないと、統計そのものの信頼性を大きく毀損することになると思います。

 この問題はきょうはここでやめますが、石田大臣、今度、統計法の観点から、この問題、次回は議論したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上、終わります。

野田委員長 川内博史さんの残余の質疑を行います。川内博史さん。

川内委員 川内です。先ほどの続きをさせていただきたいと思います。十六分ありますので。

 先ほどの標準誤差率、毎月勤労統計の参考系列の標準誤差率、統計としての確からしさをあらわす数字、これは今まで厚生労働省は出していないわけですね。これを出すべきであると。それは、統計改革推進会議の最終取りまとめなどでも、ユーザーの求めに応じて必要なものは積極的に出していこうねということが書かれています。

 標準誤差率を出していないことが、毎月勤労統計の厚生労働省の評価、毎月勤労統計に対する評価、統計精度検査における評価を下げている、一ランク下がっているということについて、きちんと答弁をしてくださいということでした。

 答弁してください。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 御確認のための時間をいただきまして、まことに申しわけございませんでした。

 委員御指摘の毎月勤労統計のランクのものでございますけれども、これは、総務省で実施いたしました見える化状況検査のスコアリングのことかというふうに存じます。

 これにつきましては、ゼロから三までの四段階評価になっておりまして、三が一番高い評価でございますが、毎月勤労統計の、御指摘の標本誤差に関しましては、平成二十九年十一月につきましては、評価、スコアリングは二でございまして、その後実施されました、平成三十年三月のフォローアップ的なものにつきましても、二ということになっているところでございます。

川内委員 だから、標準誤差率を参考系列については計算していないからですよ。計算してください。計算しようと思ったら、すぐできるんです。計算しますね、標準誤差率を。計算して、すぐ出しますね。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 スコアリングを二から三に上げるためには、三にするためには、ほぼ全ての指標につきまして誤差を示すということでございます。二につきましては代表的なものについて示すということになっておりまして、共通事業所系列のみ誤差率を示したとしても、三に上がるわけではないというふうには思っております。

 共通事業所系列につきましては、新たに標本として抽出したものではないというふうに考えておりますし、活用できるデータを用いて作成したものであるということでございまして、なかなか、統計技術的にも十分な検討が必要ではないかというふうに考えているところでございます。

川内委員 これは参考系列も統計ですからね。総理が答弁しているんですよ、参考系列も統計であると。あなた、何言っているんですか、いろいろ検討しなきゃいけないって。統計なんですから、統計としては標準誤差率を出すのは当然なんですよ、統計を利用する人たちのために。何でそんなかたくなに拒むんですか。

 総理、これを計算させてください。統計なんですからね。計算させて出させるからとおっしゃっていただけますか。

根本国務大臣 共通事業所の集計については活用できるデータを用いて作成するものであって、あくまで参考値として、三十年一月からお示ししております。

 これは統計の専門用語なんですけれども、標準誤差というのは、推計値に対して相対的にどの程度の大きさであるかを示すという性格のものですから、その意味では、全数で調査しているので、標準誤差率については計算していないということを事務方が申し上げました。

川内委員 いや、だから、厚生労働省の毎月勤労統計の参考系列のところに、サンプルサイズが小さいことに注意が必要であると書いてあるんですよ。サンプルサイズが小さいことに注意してねと書いてあるんです。ではどんなふうに注意すればいいのか。それをあらわす数値が標準誤差率なんですよ。官房長官、わかりますか。

 だから、サンプルサイズが小さいことに注意してねと自分たちで言っているんですから、それはちゃんと、こういうことですよという数字を示さなきゃいけないんです。それが見える化なんですよ。そして、それをすることが、実質化することが果たして有効かどうかという判断につながるんです。

 だから、まずそれを出してくださいよ。すぐできますから。EBPM推進統括官、出しますと言ってください、ここで。すぐ出ますから。あした出ますから。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、統計技術的に非常に、十分検討する必要があろうかというふうに思っておりますので……(川内委員「もういい」と呼ぶ)

川内委員 もう時間がないので、ちょっとめちゃめちゃ焦っているんですけれども。

 大臣、これは機械的なことなんですよ。統計としては当然のことなんです。政府として発表している数字なんですから、参考系列を。その統計について標準誤差率を出すというのは当然なんです、統計としての確からしさを示すために。そのことが実質化できるかどうかということの意味なんです。ちょっと事務方、変なレクしなくていいから。

 大臣、政治家としての判断を示してくださいよ。

根本国務大臣 これは極めて専門的、技術的なことですから。

 政治家の判断といっても、私は政策判断はしますけれども、統計的、専門的な、例えば標準誤差というのは推計値に対して相対的にどの程度の大きさであるかを示す標準誤差で、これは計算しておりませんので、これはあくまでも統計的、専門的な話だと思います。

川内委員 いや、専門的、技術的な話じゃないんです。

 統計というのは、標準誤差とか標準誤差率をあわせて発表するというのが統計を提供する者の務めなんです。それによって統計の確からしさがわかるわけです。だから、本系列は標準誤差率がちゃんと出ているわけですよ。それと同じように、同じ統計なんだから、参考系列も標準誤差率を出してくださいということを申し上げているんです。だからそれを判断してくださいと。

 何でか知らないけれども事務方は嫌がっているから。機械的なことなんです。もう自動的なことなんです。自動ドアの前に立てば自動ドアが開くのと一緒なんですよ。

 だから、大臣、ちょっと計算してください。お願いしますよ。

根本国務大臣 これは我々、統計をつくってお示しするのが我々の仕事ですから。

 要は、私が申し上げているのは、これは政治判断ではないんですよ。政策判断でもありません。それが統計上……(川内委員「自動的なことなんですよ」と呼ぶ)いや、機械的とおっしゃられますけれども、それが統計上意味のあるものかどうかという、精査させる必要があるということですよ。

野田委員長 川内さん、答弁を聞いてください。

根本国務大臣 統計上果たして意味があるかどうかというのを精査をさせなければいけないと思っています。

川内委員 終わりましたから終わりますけれども、委員長、私が言っていることを理解していただいたと思うんですよ。標準誤差率というのは、統計の確からしさを判断するのに必要な数字なんです。それを計算してくださいと言っているのに、かたくなに拒む。これはおかしなことですから。これは、委員会としてその数字を出させなければ、本当に、一体何の議論をしているんですかということになります。

 ぜひお願いをして、辺野古のこともやりたかったのに、あの総理の発言について。(安倍内閣総理大臣「勉強したんだよ、きょう」と呼ぶ)だからそのことについてやりたかったのに、もうできなくなっちゃいましたよ。

 本当に誠実な答弁を求めて、終わりたいと思います。

野田委員長 次回は、来る十二日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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