衆議院

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第12号 平成31年2月22日(金曜日)

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平成三十一年二月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 野田 聖子君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 田中 和徳君

   理事 堀内 詔子君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    伊藤 達也君

      石崎  徹君    石破  茂君

      今村 雅弘君    衛藤征士郎君

      小田原 潔君    小野寺五典君

      奥野 信亮君    神山 佐市君

      河村 建夫君    神田  裕君

      木村 次郎君    黄川田仁志君

      笹川 博義君    鈴木 俊一君

      田野瀬太道君    竹本 直一君

      中山 泰秀君    野田  毅君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      松本 文明君    三ッ林裕巳君

      御法川信英君    務台 俊介君

      村井 英樹君    村上誠一郎君

      盛山 正仁君    八木 哲也君

      山口  壯君    山本 幸三君

      山本 有二君    吉野 正芳君

      小川 淳也君    大串 博志君

      川内 博史君    武内 則男君

      本多 平直君    山本和嘉子君

      早稲田夕季君    大西 健介君

      奥野総一郎君    小宮山泰子君

      後藤 祐一君    階   猛君

      西岡 秀子君    古川 元久君

      太田 昌孝君    岡本 三成君

      中野 洋昌君    穀田 恵二君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      浦野 靖人君    森  夏枝君

      松原  仁君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         石田 真敏君

   外務大臣         河野 太郎君

   厚生労働大臣       根本  匠君

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国務大臣

   (原子力防災担当)    原田 義昭君

   防衛大臣         岩屋  毅君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国土強靱化担当)    山本 順三君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)    宮腰 光寛君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (女性活躍担当)     片山さつき君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       櫻田 義孝君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    阿達 雅志君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   最高裁判所事務総局刑事局長            安東  章君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    可部 哲生君

   政府参考人

   (国税庁次長)      並木  稔君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            佐伯 浩治君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         宮本 真司君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新居 泰人君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   参考人

   (元厚生労働省大臣官房統計情報部長)       姉崎  猛君

   参考人

   (前内閣総理大臣秘書官) 中江 元哉君

   参考人

   (厚生労働省前政策統括官)            大西 康之君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     三ッ林裕巳君

  衛藤征士郎君     木村 次郎君

  小野寺五典君     黄川田仁志君

  笹川 博義君     八木 哲也君

  中山 泰秀君     松本 文明君

  古屋 圭司君     御法川信英君

  村上誠一郎君     神田  裕君

  山本 幸三君     務台 俊介君

  山本 有二君     神山 佐市君

  川内 博史君     山本和嘉子君

  奥野総一郎君     大西 健介君

  階   猛君     小宮山泰子君

  西岡 秀子君     古川 元久君

  岡本 三成君     中野 洋昌君

  宮本  徹君     穀田 恵二君

  浦野 靖人君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     山本 有二君

  神田  裕君     村上誠一郎君

  木村 次郎君     衛藤征士郎君

  黄川田仁志君     小野寺五典君

  松本 文明君     中山 泰秀君

  三ッ林裕巳君     石崎  徹君

  御法川信英君     古屋 圭司君

  務台 俊介君     村井 英樹君

  八木 哲也君     笹川 博義君

  山本和嘉子君     川内 博史君

  大西 健介君     奥野総一郎君

  小宮山泰子君     階   猛君

  古川 元久君     西岡 秀子君

  中野 洋昌君     岡本 三成君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

  森  夏枝君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  村井 英樹君     山本 幸三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 分科会における会計検査院当局者出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

野田委員長 これより会議を開きます。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算、平成三十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として元厚生労働省大臣官房統計情報部長姉崎猛さん、前内閣総理大臣秘書官中江元哉さん、厚生労働省前政策統括官大西康之さんの出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西証史さん、内閣官房内閣審議官高橋一郎さん、人事院事務総局職員福祉局長合田秀樹さん、内閣府大臣官房審議官渡邉清さん、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官長谷川秀司さん、金融庁監督局長栗田照久さん、総務省大臣官房政策立案総括審議官横田信孝さん、財務省主税局長星野次彦さん、財務省理財局長可部哲生さん、国税庁次長並木稔さん、文部科学省研究開発局長佐伯浩治さん、スポーツ庁次長今里讓さん、厚生労働省大臣官房長定塚由美子さん、厚生労働省健康局長宇都宮啓さん、厚生労働省医薬・生活衛生局長宮本真司さん、厚生労働省雇用環境・均等局長小林洋司さん、厚生労働省政策統括官藤澤勝博さん、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光さん、経済産業省大臣官房審議官新居泰人さん、国土交通省航空局長蝦名邦晴さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小川淳也さん。

小川委員 おはようございます。立憲会派の小川淳也です。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 まず、昨夜、北海道で大きな地震があったという報道に接しております。官房長官、国会に現段階で御説明いただけることがあればお願いしたいと思います。

菅国務大臣 きのうの時点で大きな事故につながるようなことはなかったということの記者会見を、たしか十一時過ぎにしました。きょう、夜が明けてから確認をしましたところ、通常とそんなに変わらないという報告を受けております。

小川委員 いつ何どきこういう事態になるかわからないという意味で、大変な御多忙と、また緊張感の中かと思います。官房長官には一刻も早くこちらの方の対応にお戻りをいただきたいので、きょうお聞きしたかった点、ちょっと早々にお聞きして、御退室、委員長のお取り計らいをお願いしたいと思います。

 まず、官房長官は、三月に、勤労統計についてです、厚労省から説明を受けたという御答弁を既になさっています。それが、姉崎、きょういらしていただいている参考人なのか、あるいはそれ以外の方なのか、そしてそれは三月の何日だったのか、昨日御確認をお願いしておりますので、御答弁をいただきたいと思います。

菅国務大臣 前回申し上げたんですけれども、四年ほど前の話で、正直言って記憶が全くありませんでした。私自身、当時の秘書官に尋ねたところ、厚生労働省から、毎月勤労統計について、数年ごとの調査結果に段差が生じることに関して、統計の専門家の意見を聞くことを検討する旨の説明、これを私自身が受けたようであります。

 誰からということでありますけれども、特定の個人までの記憶はありません。厚生労働省の当時の幹部からということです。

 また、日付でありますけれども、三月末ごろであるということでありまして、ぜひ厚労省の事務方の方でそこは聞いていただきたいというふうに思います。

 私自身の記憶は、正直言ってそんなことでありました。

小川委員 御答弁を受けとめたいと思いますが、内閣官房長官の面談記録なり、あるいは応答録が定かに確認できないということ自体、非常に危機管理あるいは業務管理上不適切だと思います。これはしっかりやっていただきませんと、曖昧な御答弁では納得いたしかねます。追加で御答弁があればいただきたいと思います。

 それから、もう一点。この三月以降、今問題になっています九月に大きく事態が展開していくわけですが、三月以降九月の間に、厚労省から、この勤労統計に関して何らかの経過報告なり説明を受けたということはございませんか。

菅国務大臣 まず、私の面談録というのは、保存はしておりませんということでした。多分そういう扱いになっているということでありました。

 それで、六月から九月でありましたけれども、御指摘をいただいたその時期に、研究会に関する説明や報告、これを厚生労働省から受けた記憶は、これは私にありません。そして、当時の秘書官に聞きましたけれども、秘書官もその記憶はないということでした。

小川委員 これで御退室いただきたいと思いますが、記録がないということは堂々とおっしゃるようなことではありません。そして、記憶のあるなしが今最大の問題になっています。そういう意味で、改めてこれは、ちょっと国会、政府全体で考えなきゃいけないことかもしれませんね、もし今のような御答弁が通るのであれば。

 その点を指摘し、再度、北海道の皆様に我々野党一同も心からお見舞いを申し上げ、官房長官の御退室を、委員長のお取り計らいをお願いしたいと思います。

 それでは、きょう皆様のお手元にお配りをした資料をごらんいただきたいと思います。

 まず、委員長、この場をおかりして、私、率直に申し上げたいことがございます。

 この資料は、昨日の私の質疑を踏まえて、厚生労働省からお出しいただいた資料です。率直に申し上げて、ある種、感慨深いものがありました。私自身、霞が関での勤務の経験からいって、必ずあるはずだと思っていたデータを尋ねたわけです。これに対して、九月十四日の何時に書きかえ前のファイルが確認できた、そして、何時に書きかえ後のファイルが確認できた。

 これは、委員長、そして逢坂先生を始め野党理事、もとより田中先生を始め与党理事、そして根本大臣の御決断、また藤澤統括官の御指導、いろいろなことがあってこそ出てきた事実だということで、この限りにおいては、私は非常に感謝をしているわけです。

 と申しますのも、もしこの中継を聞いている霞が関の課長補佐、係長、若い方がいらっしゃったら、これを出したくなかったのはよくわかるんです。不都合なことは隠したい、それもよくわかる。しかし、組織や個人の保身と、そして、一片の良心といいますか、一片の良識で発見をし、出してくれたということに、非常に、こういう本当にささやかな良心によってこの社会は成り立っているということの一端を感じた気がしています。そのことについて、心より、関係者の御努力に敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。

 しかし、一方、褒めてばかりいられないので、統括官、よく聞いてください。

 午前中の答弁で、確認しようがない、わからないことなのでわかりませんと答弁しました。私は、確認するようにその前日にお願いをしていて、その気になれば、恐らく数分から、数十分から長くても数時間でできたから、午後、これが出てきたということです。

 そこには、もしかしたらなんですが、国会を侮っているか、野党議員をなめているか、あなたのそういう、心の準備も含めて非常に不十分な点があった。それで、きのうの質疑はとまったわけです。その後、五時間の空白ができた。それがなければ、きょう櫻田先生、誰よりも早く五分前に着席されているお姿を拝見しました、櫻田先生が時間を見誤って遅刻するということもなかった。であれば、その後の審議経過にこれは重大な影響を及ぼします。

 つまり、ちょっとした不注意、軽率、もしかしたら悪意がこれだけ重大なことに至っているということを自覚して、きょうの私の質疑に御答弁をいただきたい。

 まず、この点について、午前中の答弁、非常に不行き届きで不誠実であった、その気になればすぐにできた、このことについて、まず統括官の答弁を求めます。

藤澤政府参考人 昨日、先生の御質問にお答えを申し上げましたけれども、一昨日の事前通告の時点で、当時の担当者に確認をして当日答弁をしてほしい、そういう事前通告をいただいていたと思いますので、当時の担当者までは確認をさせていただいて、きのう申し上げたような答弁を申し上げたつもりでございます。

 その際、詳細な記録、十四日から十六日の間に結論部分の書きかえは行われたのかということにつきまして御答弁申し上げたつもりでございましたけれども、その間のことについて更にちゃんと答弁してほしいということでございましたので、その際、確認をさせていただきたいというふうに申し上げたつもりでございますが、もしも、今ほど御紹介いただきましたようなことを申し上げたのであれば、そこは誤解を招く表現であったと思います。おわびを申し上げたいと思います。

小川委員 以後、くれぐれも抜かりのないように御答弁をお願いしたいと思います。

 それでは、この内容に入りたいと思います。

 皆様もお手元の資料で御確認をいただきたいと思うんですが、この結論部分が書きかわったのは、確認できる限り、現在の総入れかえで行うことが適当、つまり、結論が書きかわる前の記載は、恐らく一番遅いもので九月十四日の十四時一分の時点で確認できるということです。一方、サンプル入れかえ方法を検討する、総入れかえで行うから、引き続き検討するに、ここで結論が大きく変わっているわけですが、それが同日の二十二時三十三分ということであります。つまり、この八時間三十二分の間に何があったかということなわけです。

 きょう、姉崎参考人には、国会に御出席をいただいたことにお礼を申し上げたいと思います。

 まず、九月の十四日、姉崎参考人は、中江当時の総理秘書官に面会をし、勤労統計の状況等について御報告をし、さまざま、内容の御相談なり、あるいは事と次第によっては中江氏からある問題意識なり示唆を受け取っているということが既に周知の事実になっておりますので、姉崎参考人御自身の言葉で、御自身の口で、その経緯と内容について御説明いただきたいと思います。

姉崎参考人 まず初めに、今回の毎月勤労統計をめぐる問題によりまして、統計に対する信頼を失わせるとともに、国民の皆様に御迷惑をおかけしていることにつきましては、統計情報部長をしていた者として、心からおわびを申し上げたいというふうに思います。

 それで、九月の十四日ですけれども、全ては記憶ですけれども、官邸のその担当参事官に求められまして、六月のボーナスの状況等について説明に行きました。夏の賞与はどのぐらいかというのが大きな関心事だった。

 私からは、その際に、ちょうど毎勤の検討会がもう六回目が近かったので、検討会のことについても簡単に触れた、その際にですね。私からは、あえてコストとか手間をかけて部分入れかえをするよりも総入れかえの方がいいのではないかというような意見がそれまで結構多かったんですけれども、ただ、部分入れかえも正確なデータをとるためには有益であるという意見もありまして、簡単ですけれども、このような議題があるということを、多分、秘書官に簡単に触れて、そのときに、秘書官からは、コストというよりも、ちゃんと実態を把握するような観点からいうと、部分入れかえということもあるのではないかというようなコメントがありました。というふうに記憶をしております。

小川委員 誠意ある御答弁、ありがとうございます。

 それは何時のことですか。九月十四日、昨日通告、まあ、記憶をたどっていただくわけですが、それは何時のことですか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 九月十四日の午後の、午後なんですけれども……(小川委員「早目、遅目」と呼ぶ)多分、早目の時間だったのではないかというふうに思います。

小川委員 それでは、率直にお尋ねいたします。

 今、やや曖昧におっしゃったんですが、いろいろと意見があったことはそうだとしても、この時点では、八月七日の検討会で全数入れかえを維持するという結論になっています、この九月十四日の時点では、依然として。

 ということは、姉崎参考人は、中江当時の秘書官に対して、検討会としては全数入れかえを維持する方向ですという方向感をにじませるお話はされたと私は思うんですが、いかがでしょう。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 十四日に総理秘書官のところに行ったときは、担当補佐に言って、報告書の最終的な調整というか修正を指示してやっていたので、それなので、秘書官のところに行くときに修正中だったので、資料とかは持っていっていなくて口頭で説明をしていて、そういうことだったので、いずれにしても、資料をそのとき担当課で第六回目の検討会に向けて修正をしている最中でしたので、こういう結論になるみたいな感じでは言わなかったんじゃないかというふうに思います、調整していたので。済みません。

小川委員 ちょっと怪しいですよ、御答弁ぶりが。

 では、もう一つお聞きします。

 同じ九月十四日に、当時の研究会の座長であった阿部先生に対して、委員外から意見があったので、やや検討を、少し玉虫色といいますか、引き続き検討というふうに、五回目までの議論を修正、変更させてほしいという電子メールが行っています。これは、誰から、何時ごろ阿部座長に送られたものか。これもきのう確認をお願いしておりますので、御答弁いただきたいと思います。

姉崎参考人 お答えいたします。

 私は、担当の補佐が委員の方々とどういうやり方、というのはメールとか電話ですけれども、どういうやり方で調整していたかということを知らないので、それで、メールのことは朝日新聞の報道で見ましたけれども、メールについては私は承知していないので、メールについては、済みません、わからないんです。だから、時間も私にはわからないです。

小川委員 では、通告に従って、藤澤統括官から、確認した上での答弁を求めます。

藤澤政府参考人 厚生労働省の中に御指摘のメールが残っているかどうかにつきましては、引き続き確認作業を続けておりますけれども、あわせまして、御指摘のメールが厚生労働省から阿部座長に送られたものということでございますので、阿部先生にもお願いをして、阿部先生のところにも残っているかどうか、確認をさせていただければというふうに考えております。

小川委員 これはまたとめますか、委員会。

藤澤政府参考人 申しわけございません。

 阿部先生にも厚生労働省から、メールについて、今、出していただけるかどうか、お願いを申し上げているところでございます。

小川委員 では、いつ出してくれるんですか。

藤澤政府参考人 阿部先生に確認をしていただいて、出していただけるかどうか、お願いをしているところでございます。(発言する者あり)

野田委員長 ちょっと待ってください。

 厚生労働省、もう少ししっかり答弁できませんか。

藤澤政府参考人 メールにつきましては、厚生労働省でも引き続き捜す努力を続けていきたいと思いますが……(発言する者あり)

野田委員長 静かにしてください。今、答弁中です。

藤澤政府参考人 当時と比べますとシステムがちょっと変更になっているところがございますので、ちょっと時間がかかっているのかもしれませんが、探索の作業を急ぎたいと思います。(発言する者あり)

野田委員長 皆さん、御静粛に。

小川委員 ちょっと、皆様、御確認いただきたいと思うんですが、書面で詳細に通告しておりますので、もう二、三聞いて同じ答弁であれば、全くこの審議は意味がないと判断して、続行不能という御判断を委員長からぜひいただきたい。

 その前提で、もう二、三お聞きします。

 姉崎参考人におかれましては、昨日の資料を拝見すると、非常に苦しい供述をされたと私は受けとめました。

 つまり、九月十四日午後、今おっしゃったとおり早目の時間に、中江さんに会っている。そこで研究会の方向感についても一定触れた。そして、そこで中江さんから、コストの問題よりもという言い方で、当時の研究会の方針とは異なる方針の示唆があった。そして、その日の午後十時半にファイルで入れかわっているわけです、結論が書きかわっているわけです。

 であれば、普通に考えれば、中江さんとの面談を経て結論を書きかえなければならないと判断をしたあなたが、部下である当時の石原さんかあるいは手計さんに指示をしてこの結論を書きかえさせたというのが、どう考えても自然な経過であります。

 しかし、この供述メモによれば、あなたは、書きかえの指示は、前の週、十一日の金曜日の夜か、十四日の月曜日の朝、つまり、中江さんに会う前だと供述をしている。これは本当ですか。信じていいんですか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 確認をされたので、私の記憶の限りでは十一日か十四日に私の方から言ったというふうにお答えをいたしました。

小川委員 では、なぜですか。何がきっかけで、九月の十一日又は十四日の朝に、誰に対して結論の書きかえを指示したんですか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 ちょっと私の事情を申し上げますと、この時期、日本年金機構の不正アクセスによる情報流出問題がありまして、私、六月から九月までずっとそれの対応で多忙をきわめておりまして、特に九月は再発防止策の検討をやっておりまして、私、厚生労働省の情報ネットワークシステムの責任者だったものですから、それですごく多忙であったんです。それなので、本当に今から思うと、いろいろな指示とかがちょっと後手に、後手というか遅くなったり、担当課と打合せをする時間がなかなかとれなかったということもあって、それで、十一日とか十四日という、修正の指示が遅いタイミングになってしまったということなんです。

 それで、何で、総入れかえ方式だけではなくて部分入れかえ方式の方も両方とも検討する、そういう中間まとめに、どうして私がそういうふうに指示をしたかということなんですけれども、それは、一つは、第五回目の委員会のときの、すごい統計の専門家である樋田先生の、やはり正確なデータをとるのには部分入れかえの方式の方が有用であるということをおっしゃって、それで、阿部座長も、そこのところは報告書を修正しておいてねというふうにおっしゃっていたということがありますのと、あともう一つ大事なのは、十一月以降、十二月、統計委員会で未諮問基幹統計の確認作業をやるということが前の年に決まっていまして、それで、そこに、実施状況の確認なんですけれども、今こういう検討会をやっているということをあわせて説明をしようというふうに思っていたんです。

 それで、検討会のことを説明するに当たって、そのうち諮問、答申という作業にずっと流れていくわけですので、統計委員会の委員の感触というか、統計委員会の委員の皆さんがどういうお考えを持っているのかというのを、感触というか、それを確認しないうちに断定的な、もうこれだというような結論を先にまとめてしまうのはちょっとリスキーかなというのがあって、それで、総入れかえ方式も部分入れかえ方式も一応両方とも検討するというような整理にしようというふうに私が決めて、ただ、その指示が、先ほど言ったような事情でばたばたと遅くなってしまった、そういうことであります。

小川委員 苦しいつじつま合わせを一生懸命されているとしか受けとめられない答弁です。

 では、通告に従って、統括官の答弁を求めます。

 当時、姉崎さんから結論を書きかえるように指示を受けたのは誰ですか。そして、それはいつ、なぜとその当時の担当者は言いましたか。確認をした上での答弁を求めています。

藤澤政府参考人 普通であれば、指示を受けたのは担当補佐だと思われますけれども、その者に確認をいたしましたところ、十一日又は十四日の何時ごろに指示を受けたかについては記憶がないというふうに申しております。

 また、その指示の理由とか、あるいは、自分が、本人がどのように受けとめたかについても記憶にない、そういうふうに申しております。

小川委員 まあ、よくできた口裏合わせになっているじゃないですか。

 これは、委員長、メールの中身が出てきませんと、この記憶を闘わせ、認識を闘わせただけでは、真相、事実が明らかになりません。メールを出していただくまで、審議、やめましょうか。こんなばかばかしい話につき合っていられないですよ。

 ちょっと場内で協議してくれませんか、メールなしでこんな水かけ論をやり続けるのかどうか。(発言する者あり)

野田委員長 静かにしてください。ちょっと待ってください。

 厚生労働省に申し上げます。

 今確認中ということですけれども、具体的にどういう作業を今しているところか、作業手順ぐらいはきちっと話をしてください。

 なぜ今出せないか、今どういう作業中なのでということをきちっとわかるように説明してください。

藤澤政府参考人 省内の探索作業を急ぎますとともに、国会からお求めがございましたら、阿部先生の御了解を得て、提出をしたいと考えております。

小川委員 では、委員長、ぜひ国会として求めていただきたいと思います。

野田委員長 今、筆頭間でも話がありましたので、理事会でしっかり、責任を持って協議をさせていただきたいと思います。

小川委員 では、中江参考人にお聞きします。

 これだけのやりとりをいたしましたので、少し御記憶が戻ったのではないかと思いますけれども、改めて、九月の十四日。席を一つ挟んでお隣におられる姉崎さんの顔をよく見てください。九月の十四日、姉崎さんから、勤労統計並びに勤労統計研究会の方向感について説明なり報告を受けましたね。その上で、問題意識を示唆されたでしょう。いいかげん正直に御答弁をいただきたいと思います。

中江参考人 前回もそうですし、きのうもそうですし、きょうも記憶のありのままをお話し申し上げております。

 九月十四日に厚労省の姉崎さんと宮野さんが来られたということでありますけれども、私、正直に、そのようなことを思い出せません。そこはもうそのとおりでございます。

 それで、もしかしたらそのときに、今、元部長の方からそういうような御説明があったとしたら、私としてはもう、もともと当初からの問題意識からすれば、経済の実態をよりタイムリーにあらわす方策として部分入れかえということがあるのであれば、そうした考え方についても専門的に進めてもらってはどうかというようなことを申し上げたかもしれませんが、いずれにせよ、専門家の方々がもう検討されているわけですから、そういうようなことで、あえて申し上げればということで申し上げたかもしれませんが、私も総理秘書官を長くやっていましたけれども、これは四年弱前の話でありますので、本当に申しわけありませんが、覚えておりません。

小川委員 では、今ごろになって姉崎さんからこんなことを言われるのは迷惑だと言わんばかりの答弁じゃないですか。

 姉崎さんは、本当に職責をかけてやっていたと思いますよ。いろいろ、当時、賃金の水準が議論になっていたことは事実ですからね。悪い数字が出たら官邸から怒られる、統計方法にまで不審がられて困っているという状況で御説明に行ったはずですよ。それを今みたいに、思い出せません、記憶がありません。もしそれが本当だとしたら、財務省の関税局長として不適格ですよ。これからどれだけの難題に向き合うんですか。不適格だ。

 姉崎さんにお伺いします。姉崎さんはこの日の記憶があるわけでして、中江さんから、余りコストの問題ということではなく、制度論として考えるのも選択肢としてあるのではないかという示唆を受けたわけであります。それはどの程度重く受けとめられたか、それをお聞きします。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 総理秘書官のところには三月の三十一日と九月の二回だけお伺いしたんですけれども、九月十四日ですね。検討会のことについて触れたのは、九月の十四日だけですけれども。

 三月三十一日のときに、ギャップ修正について、ギャップ修正というのはサンプル入れかえによって過去にさかのぼって数値がずっと変わってしまうということについて説明に行ったときに、総理秘書官からは、どうしてサンプル入れかえをしたら、きのうまでこう言っていた数字が何でこんなふうに変わってしまうのか、それはちょっとわかりにくいというか、もっと経済の実態をあらわすようなものにできないかというか、そういうようなコメントがあって、私は、それはコメントと受けとめて。

 九月の十四日に検討会について触れたときに、さっきおっしゃったようなコメントがあったと記憶しているんですけれども、それは、私が三月三十一日に行ったときと基本的には同じようなコメントをいただいたんだというふうに理解をいたしました。

小川委員 当時の総理秘書官、きのうもちょっと指摘したんですが、森友問題でも財務省がフル回転している時期です。それから、加計問題でも、柳瀬さんを始め総理秘書官がフル稼働しているときです。

 ちょうどこの一五年の二月、三月から秋にかけては、恐らく総理官邸は相当我が世の春だったんじゃないですか。総理の一四年の総選挙の圧勝から年が明けて、非常に政治基盤、権力基盤も固まり、官僚の人事権も圧倒的に掌握をし、総理秘書官の影響力、存在感、まさに我が世の春で、我が物顔で。

 個人的な見解とおっしゃるが、仮にそうだとしたら、一体何の権限でおっしゃっているんですか。中江さん、何の権限を持って。総理秘書官の法的権限、そんな権限、あるんですか。何の権限に基づいて個人的見解を姉崎さんに伝えたのか。中江さんの答弁を求めます。

中江参考人 小川委員にお答え申し上げます。

 総理秘書官としては、担当する政策の一つ一つについて、私は財務省、金融庁だけではなく厚労省の部分も担当しておりました。そういう中で、各省庁から説明を伺って議論することというのは当然常々あるわけでございまして、議論する中で個人的な見解を伝えたということであります。

 これまでも何度も委員にも御答弁申し上げておりますが、こういう、これまで三年間出していた数値が大幅にさかのぼって変わるということを聞いて、それは全数入れかえをしていることだからということですから、私はそれは、本当にそういうやり方がいいのかどうか。それは私は、もちろん統計の専門家でもありませんけれども、そういうことであれば統計の専門家の意見を聞いてみて、経済の実態をあらわす、そのために統計の専門家の意見を聞いてみてはいかがですかということを申し上げたわけで、私としては、それは総理秘書官としての当然の対応であったと思っております。(発言する者あり)

野田委員長 お静かに。

中江参考人 それで、それはもちろん、数値をどうこうしてくれとか、不適切な統計方法をとって変なことをやってくれとか、そんなことを申し上げたつもりは毛頭ございません。

 それで、この後、検討会、厚労省でも真剣に検討をされたと思います。その後、統計委員会というところでまた専門家の方々がいろいろ専門的な議論を闘わせて、最後、今回の部分入れかえという方式になったというふうに私は理解しております。

小川委員 では、中江さん、ちょっと聞き方を変えますね。

 変わるのはおかしいということですが、これは下がったから文句を言ったんでしょう。上がったら文句を言っていないでしょう。それぐらい、当時、賃金水準が政権として相当関心事項であった。だから、下がったから文句を言った、上がったら言っていなかったと私は思いますが、いかがですか。

中江参考人 二〇一五年一月に四百九十九人以下の全数取っかえをして、それで、新しく出てきた数値のことを申し上げているのではないんです、私は。そこは御理解ください。

 それまでの二〇一二年、二〇一三年、二〇一四年の伸び率がさかのぼって改定されると、それなりにプラスになっていた数字がマイナスにばたばたと変わっていく。それは、そうすると問題ではないですかと。(小川委員「さかのぼって、上がれば問題じゃないじゃん」と呼ぶ)

野田委員長 ちょっと静かに聞いてください。

中江参考人 別にそれは、さかのぼって上がったとしても、それは統計の連続性というんですか、今ちょっと、そのときにそういう言葉を思いついたかどうかわかりませんけれども、そのときの経済の実態をあらわすという観点からは、上であろうが下であろうが、大きく変わるのはどうかというのが私の当時の問題意識でございます。

小川委員 上がったら言っていないと思いますよ。

 総理大臣秘書官の職務なんですが、内閣法の二十三条、秘書官は、内閣総理大臣の命を受け、事務をつかさどる、事務を助けるのが仕事なんですよ。

 総理には報告も相談もしていないという中江さんの御答弁ですが、少なくとも、総理の御意向をそんたくか、推測か、総理の御意向に沿った形で仕事をしようと。あるいは、少なくとも総理の意向に反して仕事をするはずはないということはお認めいただけますね。

中江参考人 小川委員に御答弁申し上げます。

 これも、これまでも申し上げておりましたが、専門家の意見を聞くなど、改善の可能性について考えるべきではないかという問題意識を持ったのは私でございまして、それを伝えたのも、それは私個人、秘書官である私の考えであり、個人としての考えであります。総理の指示ではありません。

 それで、もちろん、私は総理の秘書的業務に従事する総理秘書官室の一員でございましたけれども、総理秘書官として担当する政策の一つ一つについて総理の指示を受けていたわけではございません。総理の指示を受けずに、各省庁からの説明を聞き、先ほども御答弁申し上げましたように、議論することは常々ございました。議論する中で個人的な見解を伝えたということでございまして、何ら問題があったものとは考えておりません。

小川委員 これは、一つ一つというより、重大な変更に至っているからこれだけ問題になっているんです、勤労統計のやり方が。それを、もし総理に一切報告せずに、あなたの一存が仮に大きな影響力となってやらせていたとしたら、大問題ですよ。総理に報告も相談もせずに、一体何の権限に基づいてやっているんだという話になる。

 時間が限られてきましたので、姉崎さんに、最後、二点お聞きします。

 ちょっとさかのぼるんですが、一五年の三月に報告に行ったときに、中江さんから問題意識の示唆を受けています、このときも。六月に研究会を立ち上げるんです。統括官を始め、それまでも問題意識を持っていた、それはそうだと私も思うんですよ。しかし、七十年やってきた調査方式を、ここへ来て急に変えるだの変えないだのの研究会を立ち上げたことは、相当な決意なりきっかけなり、踏ん切りがつかなければできなかったと私は思うんです。

 したがって、三月に報告に行き、研究会を六月に立ち上げたのは、中江秘書官からの問題意識の示唆が大きな原因でしたね。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 今、委員の御質問の総理秘書官の示唆が大きな原因になったかということについてお答えをすると、それは違います。

 違うというのは、私は、総理秘書官の先ほどの御発言は、指示とかではなくてコメントをいただいたというふうに受けとめておりましたので、したがいまして、六月に検討会を開催するというときも、一度も総理秘書官のところに、こういうことをやりますとかという報告に行ったことがないんです。

 それはなぜかというと、指示をされていれば行きますけれども、指示されたわけではなくて、私がやろうと思ってやっていたので、その後、九月にボーナスのことを説明するまでの間、私は一度も総理秘書官のところに説明に行ったことがありません。

 それで、その検討会なんですけれども、かねて、やはり三年とかごとに過去にさかのぼって数値が変わってしまうと、きのうまでプラスだと言っていたのに、いきなりきょうになったらマイナスになってしまうというのは、これはなかなかわかりにくいんだというのは、それは統計ユーザーにとってわかりにくい、意見というのはあって、担当課ではそういう問題意識を持っていて、実は私も、若いころから経済企画庁とかいろいろなところで分析をしていて、何だ、この統計はというふうに思っていたので、それなので、十二月に統計委員会の未諮問基幹統計の確認作業ということもあったので、ちょうど統計情報部長になったので、ちょうどいい、見直すのにいい機会だということで始めた。

 あと、特に、発表後に、エコノミスト等の皆さんから、何てお騒がせな統計なんだとか、要するに、変わったので、すごいお騒がせな統計だとかサプライズだとかショックだとかというお言葉がたくさんあって、やはり世の中もみんなそうだよなというふうに思ったので、それで検討会をやろうというふうに決めました。

小川委員 では、もう一つお聞きしますね。

 最後の九月の研究会で大きく結論が変わるわけです。研究会を招集し、本当にどうしていくのか、改めて委員の皆様に御相談したいとあなたがおっしゃって、研究会を閉じているんです。以後、二度と研究会は開かれていません。

 残念ながら、あなたは九月の末に異動になっていますから、それ以降のことに直接の責任はない。しかし、異動になった際に、後任の小川統計部長に何らかの引継ぎをしているはずだし、あるいは、研究会がこの後一切開かれていないことについて、不自然だと思っても不思議ではない。

 その引継ぎ、そして研究会がここで立ち消えになったことについて、認識を伺います。

姉崎参考人 私は、先ほど言いました中間報告を両論併記的にしたのは、十二月の統計委員会に報告したときに、委員の皆さんの感触を確認してから最終的にまとめようというふうに思っていたので、それで、年明け以降にもう一回開こうというふうに思っていました。

 それですので、後任には、検討会で中間的な報告を整理したこと、それから、十一月以降に統計委員会で確認作業があるので、そのときにこの検討の状況について報告をして、統計委員会の委員の皆さんの感触を得た上で年明け以降にまた研究会をやって、それでまとめたらどうですかという引継ぎをしました。

小川委員 では、小川部長は、その引継ぎを受けたはずなのにやっていないことになります。

 小川部長の参考人招致を求めます。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

小川委員 最後に、けさの日経新聞の報道ですが、研究会の阿部座長は、第六回、最後の会合の直前に電話でも省職員と話した、電話で省職員から、厚労省の職員から連絡があった、第六回会合の直前ですよ。「「結論は決めず(厚労省に)フリーハンドを与えてほしい」と言われた」と証言しています。

 この電話をした職員は姉崎さんですか、姉崎さんの部下ですか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 私は、検討会の場で阿部座長と会う以外に、阿部座長と打合せをしたり連絡をしたことが一度もないので、私ではありません。

小川委員 では、この電話をした職員が誰かも確認の上、追って委員会に報告を求めたいと思います。

 委員長、お聞きのとおりです。記憶や認識同士を闘わせても十分生産的な議論にならない。これは非常に残念なことであり、決定的な事実はメールが出てこないと、今そこで証言された、それぞれ証言されましたよ、それが本当かどうかはメールを見ないとわかりません。

 必ずこのメールの提出を、一刻も早く予算審議中にお出しいただくことを改めて委員長にお願い申し上げます。

野田委員長 先ほども与野党筆頭間で御協議をいただきました。

 詳細は、後刻、理事会で協議をしますけれども、受けとめさせていただきます。

小川委員 それでは、統計問題については、引き続き、後続質疑者に譲りたいと思います。

 二点だけ、ちょっと通告外ですが、お聞きしたいと思います。

 まず、麻生財務大臣、元総裁としてお聞きしたいんです。非常に経験ある元自民党総裁としてお聞きしたいんです。

 御党の田畑議員の離党なり今回の問題は、大変残念なことであり、言語道断だと思います。これに対して、御党の伊吹元衆議院議長が、問題にならないようにやらないとだめだ、同じことをやるにしてもと。

 ちょっと私、これは真意をはかりかねているんですけれども、同じことをやるにしても、恐らく女性とのトラブルでしょうか、あるいは女性との交際でしょうか。問題にならないようにやらないとだめだ、同じことをやるにしてもという伊吹さんの発言について、元自民党総裁として、非常に経験豊かな麻生副総理の御見解をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 何の経験が豊かだという前提ですか、今のは。女性問題に関しての経験が豊かというように聞こえるような発言ですけれども。確認します。そういう意味ではありませんね。

小川委員 違います。

麻生国務大臣 確認しておかないと、後ではめられちゃかなわぬからね。あのとき認めたじゃないかと言われても困りますので、あらかじめ断っておかないと。逢坂さん、聞いていただいたと思いますので。

 その上で、伊吹さんの発言自体も、あなたの読み方を見ていても、理解できませんし、伊吹さんが何と言われたかという確認もできていませんから、答弁のしようがありません。

小川委員 本当に残念な反応が続いていると思います。

 最後に、櫻田大臣、済みません、お待たせしました。

 きのうの委員会の遅刻に関しては、十分反省をしておられると思いますし、おわびもいただきました。理由もお述べになられました。つまり、先立つ質疑が中断したことを受けて、時間の目測を誤ったというふうに理解しています。

 ただ、もう一つ、ちょっと突っ込んでお聞きしておきたいんです、ここは危機管理の問題でありますので。

 私は、通常、秘書官なり国会連絡室から、委員会の時間運びというのは、これは生ものであり生き物ですから、どうなるかわからないという前提のもとに、例えば、五分前到着、十分前到着、あるいは、答弁の打合せがあるのであれば、三十分前到着、一時間前到着を促されていたはずだと思うんです。

 したがって、中断、委員会審議の中断があったとしても、そのとき、秘書官なり国会連絡室が、大臣、早く行きましょうと言ったのを大臣が、いやいや、中断しているからいいんだよとおっしゃったのか、それとも、大臣が早く行こうと言ったにもかかわらず、秘書官や連絡室が、いやいや、とまっていますから大丈夫ですよ、もうちょっとゆっくりしましょうと言った結果なのか、いずれの結果なのか、はっきりさせてください。

櫻田国務大臣 前の質疑が予定時刻よりおくれて開始されたこと、その後、二度にわたり中断していたことから、進行状況を見つつ、大臣室において予算委員会の質疑に向けて打合せをしておりました。

 その後、前の質疑が再開されると同時に残余の質疑時間を後刻に回すことになり、直ちに大臣室を出発したものの、到着が今井議員の質疑開始予定時刻よりおくれてしまいました。

 いずれにしても、時間におくれたことを深くおわび申し上げます。

小川委員 ちょっとはっきりさせていただきたいんですが、大臣御自身の判断ミスですか、あるいは、私は秘書官そして国会連絡室にも責任があると思うんですが、いずれの判断ミスですか、そこをちょっとはっきりさせていただきたい。

櫻田国務大臣 国会に関する日程管理が事務的に十分に行われなかったことが原因でございますが、最終的には私の責任でございます。

小川委員 御答弁、受けとめました。

 きょうは本当に早くからお越しでございましたので、以後もしっかりと拝見をさせていただきたいと思います。

 なお、石田総務大臣、まことに申しわけございません。統計全般についてお聞きする予定でございましたが、時間の都合により、また次回にさせていただきたいと思います。お忙しい中、ありがとうございました。

 それでは、委員長、重ねてになりますが、きょう、私も大変大事なこの一時間というお時間をいただいた割には、なかなか事実関係を明らかにするには至りませんでした。認識を闘わせるに終わったわけであります。

 重ねてでありますが、きょうの一連の御発言なり証言が本当かどうかはこのメールの中身次第でございまして、改めて一刻も早い国会への提出を求めまして、ひとまず質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野田委員長 これにて小川さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志さん。

大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。

 早速質疑に入らせていただきます。

 統計不正の問題に関して事実を解明する、これは今、予算案を審議している私たちにとっては必須の課題だと思います。政府全体の統計に対する信頼が揺らいだまま、すなわち今回の統計不正がなぜ起こったのかということがわからないままに予算の審議を終えるわけには、私、なかなかいかない、責任を持って語るわけにはいかないと思います。何としても事実を解明し切る、これはチェック機関として国会の最大の使命ではないかと思いますので、ぜひそれを進めさせていただきたいと思います。

 姉崎さん、きょうおいでいただいておりますので、姉崎さんと中江前秘書官にお尋ねさせていただきたいと思いますが、先ほど姉崎さんは、中江さんから、部分入れかえという方法もあるのであれば、コスト等の問題もあろうが、段差が少なくなるのであればそれも考えたらどうか、こういうことを言われた、これは九月十四日もそうだったし三月もそうであった、こういうふうに言われました。

 一旦、厚生労働大臣に、宮野総括審議官にお尋ねいただいた経過を御報告いただきたいと思います。

 私、きのうからずっと、宮野さんにも、宮野総括審議官にも、当時の状況を、ここに来られないのであれば、厚労省から聞いて確認してくださいというふうに言っています。

 なぜかというと、中江さんがおとといのこの国会の中で、こうおっしゃいました。官邸経由で自分に報告が上がってきたところでは、姉崎さんと宮野さんが九月十四日に自分のところに来て、ここの部分に関しては、中江さんは記憶がないとおっしゃっているんですけれども、厚労省の検討会の状況に関しても語ったということを言われているということだった。

 ということだったので、姉崎さんは覚えていらっしゃいました、中江さんは忘れていらっしゃいました。宮野さんは、九月十四日に、中江秘書官のところに行って厚労省検討会の状況に関して伝え、そして、中江秘書官からの考えを聞いたということを、宮野さんは覚えていらっしゃいましたでしょうか。

藤澤政府参考人 当時の宮野総括審議官に確認をいたしました。

 平成二十七年九月十四日のことだと思いますけれども、本人が申しますには、九月十四日に、中江秘書官のところに行ったようだけれども、詳細な記憶はないというふうに宮野さんから確認をしております。

大串(博)委員 行ったようだけれどもと、そこまでは覚えていらっしゃるんですね。

 中江秘書官にお尋ねしますけれども、本当に覚えていないんだ、こうおっしゃいます。ただ、私、ちょっと本当に信じられないのは、やはり当時の活動記録なりは、秘書官ですから、重要なポジションですから、総理官邸の中に私はあるんじゃないかと思うんですね。非常に事細かく総理官邸は、私も総理補佐官をやっていましたからよくわかります、総理執務室も出入りしていました、非常に緻密な活動をされています。四年前のこととはいえ、その資料が全てないというのはちょっと考えづらいんですね。

 ましていわんや、皆さんも手帳とかをつけられているかもしれません。私も手帳をつけています。四年前の手帳もあります。どういう会議があったか、全部つけています。こういったことも含めると、全く覚えていないというのはちょっと考えづらいんですね。

 中江さん、記録を、手帳とかあるいは当時の日程録とか、そういったものもチェックされたんでしょうか。

中江参考人 大串委員にお答え申し上げます。

 当時のあなたの手帳を確認したのかということですが……(大串(博)委員「当時のことなど」と呼ぶ)手帳などを確認したのか。日程とかそういうものは残っておりません。

 それから、私、手帳は持っておりますが、手帳にはそういう事細かに公務の方は余り書かないようにしておりますので、残っておりません。

 それでよろしいでしょうか。

大串(博)委員 実は私も、政府の仕事を、政務官やあるいは総理補佐官の仕事をしたときには、自分の手帳には公務の日程を書かなかったんです、余り。おっしゃるとおり、同じなんです。

 なぜかというと、秘書官も含めて事務所が日程をちゃんとつくってくれるので、それが記録として残っているので、自分で記録を残しておく必要がないんですよ。明らかに、総理秘書官室が、中江秘書官の日程も管理しているわけですから、何がしかの記録は残っているはずなんですね。

 今、さらっと記録は残っていませんというふうに言われましたが、総理秘書官室との関係で、記録はチェックされたんですか。それはどういうふうにされたんですか。総理大臣秘書官室の記録をチェックしてくれと、いつ、誰に、どういう形でチェックを依頼されたんですか。

中江参考人 そういう記録は残っていないというものだと思いますので、私、記録は残っておりませんというふうに御答弁申し上げました。

大串(博)委員 すなわち、誰にも、当時の総理秘書官室の方々に記録を調べてくれという依頼をされていないということが今わかりました。

 中江さんにお願いですが、当時の総理秘書官室、現総理秘書官室でも結構ですけれども、当時の秘書官の記録等々が残っていないか指示を出して、もし中江さんが今、関税局長ということでできないのであれば、これは政府全体の問題ですから、政府として調べていただけないでしょうか。お願いします。

中江参考人 大串委員にお答えします。

 委員おっしゃられるように、今、私、総理秘書官の職を辞して財務省に戻っておりますので、どういうやり方があるのかちょっとにわかにお答えできませんけれども、委員会のお決めになられたことに従うということだと思います。

大串(博)委員 この中江さんの記憶というのは非常に大切なことになっています。状況を確認するのに非常に重要なことでありますので、ぜひ理事会で取り計らっていただいて、政府に対して、当時の中江秘書官の行動記録に関して残っていないかを綿密に調べてもらうように、しかも、もう時間のない中でありますので、早急に調べてもらうように理事会で取り計らいいただけませんでしょうか。そして、この場に報告して、お願いします。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

大串(博)委員 続いて、姉崎さんにお尋ねしますけれども、先ほど、中江さんが言ったことに関しては、コメントであった、指示でない、それはしかも三月も言われていたんだ、こういうふうに言われました。それで、先ほどの小川さんが指摘された、きのう私たちがいただいた、研究会報告を九月十四日のいつ、何時に書きかえたか、そして、何時に中江総理秘書官に説明に行ったかというこの資料をいただいて、これはこれでわかりました。

 ただ、ここですっぽり抜け落ちているのが、まさにこの今回の論点の発端となった、阿部座長に対して厚労省が、関係者の方から意見があり、つまり、委員以外の関係者から意見があり、継続審議にしますということのメールをいつ送ったかというところがすっぽり抜け落ちているんですね。その情報だけが抜け落ちているんですよ。だから怪しいなと思ってそれを確認させていただきたいというふうになったのが、先ほどの小川さんの質問であります。

 ですから、ぜひこのメールは出していただきたいと思いますが、その前に、ちょっと私、つじつまが合わないなと思うことがあるんですけれども、一昨日の質疑の中で、根本大臣はこうおっしゃいました。姉崎さんはまだここに出てこられる前ですけれども、関係者、委員以外の関係者とメールに書かれていた人、これは誰であったかということに関して、長妻委員から問われて、根本厚労大臣は、姉崎さんに確認したところ、姉崎さんは、その関係者とは、中江秘書官のことであると言っているというふうに言われました。

 それは、根本大臣は、姉崎さんから聞かれたということでありましたので、姉崎さんにお尋ねしますけれども、姉崎さんが、この関係者とメールにあった人が、中江秘書官であったということを考えた理由をお聞かせください。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 メールについては、先ほども言いましたけれども、私、全然わからないので、どういうことか、ちょっと中身はわからないのですけれども、仮に私どもの方の担当者から、阿部先生にメールが送っているということが本当だとすれば、要するに、中間的整理案の私の修正の指示が、十一日か、その十四日という、結構ぎりぎりになってしまいました、ほかの業務の関係で。

 それで、担当者の人が、阿部座長に報告書の修正を、要するに、結論部分を結構変えるので、それなので、担当者の人が、阿部座長に連絡するときに、私からだとはなかなか言いにくく、ちょうどその十四日のときに私が総理秘書官のところに行って検討会のことについてちょっと言ったみたいなことを言ったので、それで、直前の修正はなかなかちょっと言いにくくて、ちょうどその総理秘書官のところに行ったということがあったので、そのことを念頭に置いて、委員以外の関係者という言葉を使ったのではないかというふうに私は考えたので、それで、ほかに思いつかなかったので、そういうことではないかというふうに聞かれたときにお答えいたしました。

大串(博)委員 そうすると、メールが発出されたのは、中江秘書官と姉崎さんが九月十四日に行った後、こういうことですか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 阿部座長も含めて、ほかの委員の方とかもそうなんですけれども、担当の補佐がどういうやり方で連絡等をとっていたのかというのを、私、全然承知していないので、メールについても全く承知していないものですから、その時間がどういう時間だったかというのはわかりません。

大串(博)委員 かつ、姉崎さんの今の弁明は非常に苦しいなと、私、思いまして、担当の人が、阿部座長に、座長さんですよね、第五回から内容が変わってしまう、六回に向けて変わってしまう、その変更をするのに、部長から指示がありましてというのを言えないから、他の関係者と言い、他の関係者というのが、きょう部長が会いに行っている秘書官のことを意味して送っていると。

 こんなことが当時の厚労省ではまかり通っているんでしょうか。いやしくも、厚労省内の正式な懇談会、私的懇談会ですけれども、正式な懇談会ですよね。その座長とのやりとりをするときに、担当者の方が、責任者の部長の言うことだとなかなか言いにくいので、秘書官の名をかりて言うなんてことがあるんですか、どうですか。

姉崎参考人 済みません、メールのことにつきましてはわからないので、ちょっと、担当者の人がどういう思いで言ったか、本当のところはわかりません。私の推測であります。

大串(博)委員 この間、大臣はこの場で、二日前ですけれども、その関係者とは、中江さんですということを、姉崎さんが言っているということをこの国会の場で言われました。よって、事実関係の解明が今進められています。にもかかわらず、今、答弁が変わったように私は見えます。

 極めて心外ですね。国会の場で、どのような形で統計に関する手法が変わっていったのかという非常に重要な審議をしている中で、それぞれの説明ぶりが変わっていくのは、私、非常に問題だというふうに思いますので。

 よって、この審議は、先ほど言いましたように、メールが誰から、いつの段階で、特に先後関係ですね、これは私も、紙で前から、紙も含めて通告していますので、十四日の日に指示を出したと言われましたけれども、書きかえの指示をし、その前後、どちらが前後で秘書官と会われたのか、秘書官と会われた前後、どちらが前後でメールが送られたのか、これは非常に重要な論点なんですね。だから出してくださいというふうに言っているんですけれども、出てこない。

 厚労省に聞きますけれども、メールの探索をされているというふうに言われました。メールの探索をされている対象の方、恐らく、メールを送るとすると、座長へのメールですから、係長あるいは係員の人はないのではないかなと、私、想像します。あるとすると、課長補佐あるいは課長ぐらいではないかというふうに思いますが、メールを送ったのではないかという問合せをしている対象は何人で、どのレベルの人ですか。

野田委員長 厚生労働省藤澤政策統括官、正確に、わかりやすく答弁してください。

藤澤政府参考人 当時の担当の課長補佐でございます。(大串(博)委員「何人で、どのレベルか」と呼ぶ)

 一人でございます。(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。

大串(博)委員 一人の人に聞いているにもかかわらず、メールが出ないというのは、どういう聞き方をされているんですか。つまり、その一人の方に、いつ、どういう聞き方でメールの件を確認したんですか、教えてください。しかも、その元補佐の方に、誰が、いつ、どういう聞き方でメールのことを確認したんですか、教えてください。

藤澤政府参考人 現在の統計担当の職員から当時の担当の課長補佐に確認をしておりますけれども、かなり以前の話でございますので、探索をしておりますけれども、なかなか見つからないということでございます。

 あわせまして、先ほども答弁申し上げましたように……(発言する者あり)

野田委員長 ちょっと静かにしてくれますか。

藤澤政府参考人 省のシステム全体が変わっておりますので、それもあって見つからないのではないかというふうに承知をしております。(発言する者あり)

野田委員長 皆さん、答弁が聞こえなくなるので、少し静かにしてください。(発言する者あり)いや、静かにしてください。私がはかりかねますから。

大串(博)委員 今の答弁の中で漏れていました。今の担当課の人が当時の補佐に対して聞かれたということで、これは、いつ、どのような形で聞かれたんですか。面談ですか、それともメールですか。面談したとするんだったら、何十分ぐらいその担当者の方は前の補佐の方に聞かれたんですか。

 ちなみに、担当課の担当者の方というのは、課長さんですか、補佐の方ですか、係長さんですか。それもあわせてお伝えください、具体的に。

藤澤政府参考人 ただいまいただいております御質問は、事前の通告がございませんでしたので、ちょっと今、すぐには把握をしておりませんけれども、誰が、いつ、当時の担当補佐に確認を求めたのかということにつきましては、ちょっと調べてお答えをしたいと思います。

大串(博)委員 うそをつかないでください。通告がないなんて、極めて心外な答弁ですね。紙で、きのう渡しています、極めて詳細に。かつ、口頭で補足もしています。答弁の内容によっては、詳しく、誰が、いつ、どういう形で調査したのか、二回も来てもらって、私、聞いています。

 まず答えてください。いつ、当時の補佐に関して、どういう形で、面談ですか、メールですか、どういう形でメールの確認をしたんですか。それだけでもお伝えください。(発言する者あり)

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働省藤澤政策統括官。

藤澤政府参考人 昨日いただきました御通告でございますけれども、そのメールの具体的な流れいかんということでいただいておりました。

 現在、御質問をいただいております内容につきましては、詳細を把握した上でお答え申し上げたいと思います。

大串(博)委員 内容だけなんて聞いていないんですよ。私が通告した紙を渡していますからね。読みましょうか。

 メールを送った担当者はどの担当者か、どのレベルの担当者か、メールは見つからないのか、具体的な流れいかん、こう書いて紙で渡して、この具体的な流れいかんのところで、これはどういうふうな調査をしたのかということもこの流れの中であわせて聞きますからねというのを、きのう、二回、わざわざ来てもらって私は聞いているんです。

 これだけメールを出したがらない。だから、やはり確認せざるを得ないと思いますので、私たち立憲民主党会派の質疑は続きますから、逢坂さんまで。ぜひ、簡単なことですから、このくらいは調べて、出していただきたいと思います。お願いします。

野田委員長 先ほども小川委員からも同じ申出がございました。後刻、理事会にて協議をいたします。

 厚生労働省も、誠意を持って取り組んで、速やかに提出できるようにしてください。

大串(博)委員 非常にこの先後関係は事実を解明する上において大切ですから、ぜひお願いします。

 そして、姉崎さんがおっしゃっていることは、まだつじつまが合わないことがあるんですね。

 先ほどおっしゃいました、例えば、中江秘書官が言ったのは指示ではなくコメントであった、かつ、十一月以降、統計委員会でも未諮問の審議事項ということで取り上げられることになっていくので、この厚労省検討会で余りに決め打ちをしてしまうのはよくないなという思いもこれあり、引き続き協議ということにしたんだということでございました。

 しかしながら、よく言われているように、第五回の検討会においては、阿部座長の方が、全入れかえ方式ということで取りまとめたいと思いますということで最終的に取りまとめ、その後、委員からのそれ以上の発言はありませんでした。それが第五回の結論です。

 ところが、第六回になると、いきなり中間整理という名前に変わり、かつ、継続審議、引き続き審議という内容になっている。

 加えて、姉崎さん、よく思い出してくださいね、当時、姉崎さんは、その第六回の会議の中で、こう言っているんですよ。みずからですよ、最後に、部分入れかえの方法にしたいと思っていますので、と。あなた、自分で決め打ちをしているんですよ。自分で決め打ちして、第六回で言っているんですよ。

 先ほどあなたは、十一月以降、統計委員会の未諮問審査もあるので、決め打ちしてはいけないな、こういう思いもあり継続審議としたんだ、中江さんからの話を受けてではないんだというように言いましたが、自分の説明ですら破綻していますね。

 どうも、中江秘書官からの影響ではなかったんだと言おうとするがために、いろいろな説明を積み重ねて破綻しているように私には見えます。

 先ほどの二つの答弁の矛盾、どう説明されますか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 第六回目の議事録ですけれども、私もホームページで確認をいたしました。

 それで、第六回目の議事録なんですけれども、一番最後の私の発言のところを読みますけれども、今後、統計委員会では未諮問、過去何年間かずっと諮問されていない基幹統計についての確認作業というのを行っておりまして、何年かに分けて順番に未諮問の基幹統計の確認作業というのを、ことし、毎月勤労統計が当たっておりまして、秋以降の統計委員会で毎月勤労統計の状況はどうなっているかというのを確認されることになっておりますので、中間的整理のことも踏まえて統計委員会に毎月勤労統計調査の状況について御説明をしたいと思っています、それと並行して、サンプルの入れかえのローテーション方式のことについても検討させていただいて、皆様方には来年の三月ということで、私は、決め打ちをしないで、総入れかえと部分入れかえと両方とも検討するというスタンスで、最後のこの結論のところが私の伝えたかった真意であります。

大串(博)委員 最後は確かにそういうふうに言われているんですけれども、その前の段階、その直前の段階で、サンプル入れかえのところで、総入れかえ方式ではなく、部分入れかえ方式を検討したいと思っており、実務的ないろいろな困難な問題があるということもありまして検討するのに時間がかかる、こういうふうに言われているんです。

 しかも、その直前には、担当課長の方が、次のサンプル入れかえを総入れかえにするか部分入れかえにするかについては、もう少し検討したいと思っていますと、まさにもう少し検討したいということを言っているその直後に、姉崎さんはわざわざかぶせて、自分は部分入れかえの方式を検討したいと思っていると明言しているんですよ。

 もちろん、最後の取りまとめは、中間整理の内容を引っ張らなきゃならないでしょう、統計委員会のこともありますからということで、継続審議と言われていますけれども、もう明確に方針を出されているんですよ。

 こういう一連の流れがあるので、なぜこのような総入れかえから部分入れかえへの流れが第五回から第六回に向けていきなり起こったんだろうということを聞いているわけで、説明を姉崎さんに求めているんですけれども、どうもつじつまの合わないことをおっしゃっているから、やはり怪しさが残るわけですね。

 中江秘書官に、もう一度お尋ねします。

 九月十四日の前に、問題となっている九月三日の総理答弁レクというのがあります。この総理答弁レクを朝やった、そこで総理に賃金の状況を伝え、サンプル入れかえのたびに下がっているということも説明したというふうに、総理も答弁でも言われています。

 総理は、この答弁レクというのは忙しくて、なかなか自分の政策的なことなんか言えないんだと言われましたけれども、そうかなと。当時の総理動静を調べましたけれども、この日は、厚生労働委員会、参議院、午後二時間ですね。比較的時間の余裕はあるんですよ。予算委員会みたいに朝九時からびっちりじゃないんです。比較的短い時間の総理答弁なんです。だから、結構こういうときは余裕があるんです、私も経験があります。比較的、総理とも意見交換しながら、総理レクすらできる時間の余裕があったりするんです。

 この九月三日の答弁レクの際、総理から何がしかの発言がなかったのかということが論点になっているわけですけれども、まず、中江さんにお尋ねしますけれども、この答弁レクに対して参加していたのは誰でしょうか。中江さんは行っていらっしゃったということですね。厚労省からは誰も来ていないけれども、厚労省の参事官はいたかもしれません、こう言われていましたね。

 そのほかの秘書官、例えば、今井秘書官などを含めて、誰がその場に参加していたか、秘書官、参事官レベルで結構です、教えてください。

中江参考人 大串委員にお答えいたします。

 この二〇一五年九月三日は、参議院の厚生労働委員会で法案の総理出席入りという、そういう質疑だったと思います。私の記憶というか、この前ちょっと当時の総理動静を見たら午前中だったような気がするんですが、そこはちょっと確認させてください。

 それで、今御質問の、ですから、午前中一番に多分答弁レクをやったんだと思いますが、そこに出席していたのは、私、通常、総理の答弁勉強会は、都合のつく総理秘書官は出ていたと思います。それからあと、もちろん各省の方はおりません、厚労省の方はおりません。あとは、内閣参事官も、厚労省の出身の参事官は多分いた、この前、御答弁で、いたかどうかはちょっと記憶にないと申し上げましたが、厚労省の法案だったので、いたと思います。それで、そのほかの参事官はちょっとよく覚えておりません。(大串(博)委員「今井秘書官」と呼ぶ)

 ですから、総理秘書官は、御都合のつく秘書官は出席されているとは思いますが、特定の総理秘書官がおられたかどうかは、私、済みません、覚えていません。全部私が説明したと思います、この日は。

大串(博)委員 今井秘書官が出ていたかどうかは記憶に、はっきりとはしないということですね。

 それで、そのとき総理から、総理は、この当時の答弁に対して、サンプル入れかえの影響もこれあり、賃金が下方修正されたんだということを答弁されています。ですから、レクにおいては、サンプル入れかえによって賃金が、数字が下がったということがレクされたんだと思いますけれども、それに対して総理は、ふん、そうかということで終わってしまっていたんでしょうか。何でそうなのかな、何でこういうふうになっているのかな、何か改善策はないのかなというぐらいの議論も総理との間ではなかったんでしょうか。

中江参考人 この一連のことが起きたので、私、議事録を確認したわけですけれども、議事録を見ていただきますと、小池委員の方から、総理に対して賃金に係る質問がありました。

 それで、議事録をもとに申し上げますけれども、六月の分を答弁していまして、六月には名目、実質ともにマイナスとなったが、これは本年一月に行った調査対象事業所の入れかえもあり、相対的にボーナスの支給額が大きい三十人以上の事業所において六月に支給した事業所の割合が昨年に比べて四ポイント以上も低かったものによるものと考えているということで、会社がかわったので、ボーナスというのは、六月だけじゃなくて七月とか別の月に払う、そういうこともあるので、ことしは四ポイント以上も低かったということを申し上げまして、六月の毎勤統計の数字にサンプルがえの影響があったという説明をしたと思います。

 この日も多分、覚えていませんが、かなりの問いの数があったと思いますし、限られた時間で答弁をざあっと説明して、この調査対象事業所というのは、実はことし一月に行われて、その関係で六月のボーナスに影響があったということを御説明したと思います。

 サンプルの全数入れかえでこの公表数値が過去三年間にわたって大幅に修正されたとか、それに関して私が厚労省と三月にやりとりをしたということは説明していないと思います。

大串(博)委員 ちょっと驚きましたね。厚労省から、サンプルがえに関して毎月勤労統計の検討会を開いていることに関して、九月十四日に報告を受けたかどうかは全く覚えていないというふうに言われましたけれども、そのときに、姉崎さんたちが来た本業の理由たる六月のボーナスのことに関しては、今とうとうと詳しく述べられましたね。安倍総理の答弁の中では、六月のボーナスのことなんか、そんなに、安倍総理は述べられていないんですよ。

 ということは、何ですか、中江さんは、当時、九月十四日に、姉崎さんが説明に来た六月のボーナスのことは覚えているけれども、この毎勤統計の検討会のところだけすっぽり記憶が抜けている、そういうことですか。

中江参考人 大串委員にお答え申し上げます。

 この調査対象事業所の入れかえのことが議論になりましたので、私、過去に、総理にこういうことで答弁いただいたことがあるかもしれないと思って議事録を確認したわけでございます。

 それで、それまでは、総理に、今まで五年半秘書官をやっていますと、もう何百問、何千問とレクチャーしておりますので、その一個一個はもう、正直言って、いつどういうことを御説明したかは覚えておりませんが、こういうことで出てきましたので、この議事録を見て、ああ、そういえばこういうことがあったかなと思って、それで先ほど、議事録をもとに申し上げますがということで、こういうことを総理がおっしゃった、議事録には書いてありますので、多分こういうことを直前のレクで御説明したんだろうなというふうに思います。

 それから、九月十四日に厚労省の姉崎部長と宮野さんが来られて、六月のボーナスの話をされて、それは覚えているけれども厚労省の検討会については覚えていないということですかという御質問でしたので、いえ、私、そもそも、そのときにお二人が来られたこと、ですから、どういうお話をされたか、どちらも覚えていないということをこれまでも申し上げているつもりでございます。

大串(博)委員 説明が、姉崎さんにしても、中江さんにしても、少しずつつじつまが私は合わないし、説明されようということに関しては、しかも変わってきていますしね。姉崎さんは最初、関係者とは、中江さんのことだと思うというふうに厚労省に報告しておきながら、それが大きな問題になってくると思いきや、今の段階においては、よくわかりませんという答弁になっている。どうもつじつまを合わせようとしている、あるいは、つじつまが合わなくなってきたら、メールは出さない、答弁を変える、どうもおかしな感じがするんですね。

 この点は、今回の統計不正の極めて大きな論点、つまり、ローテーションサンプリングにするか、部分入れかえにするか、これから申し上げますけれども、ほかの論点とも絡んで非常に大きな論点なんですね。

 よって、全体の統計不正の話としてこれは調べていかなきゃならない、事実確認しなきゃならないと思いますが、厚労大臣にお尋ねします。

 今、特別監察委員会がいろいろな調査をしてくれています。特別監察委員会は、まさにこのローテーションサンプリングか、総入れかえかという点、ここに官邸の関与があったか、影響があったかというようなことに関しても調査をしてくれているんでしょうか。

根本国務大臣 どのような事項について追加調査を行い、次の報告書に盛り込むかについては、委員会の判断で行っていただくものと考えており、私から言及することは差し控えたいと思います。

 いずれにしても、現在、追加ヒアリングも含め、特別監察委員会において精力的な議論が行われていると認識しており、その結果を待ちたいと考えています。

大串(博)委員 指導力ゼロですね。これだけ国会、世論の中で大きな問題になっていること、これは当然、特別監察委員会で取り上げるべきアイテムですよ。それを、監察委員会の皆さんに任せているから私は何も言えません、指導力ゼロと言わざるを得ないと思いますね。

 このほかにも、実は非常に大きな論点があるんですね。この間のベンチマーク更新です。

 資料をきょうお配りしていますけれども、ベンチマーク更新において、二ページ目、見てください。従来の説明と再集計とありますけれども、ベンチマーク更新は、従来の説明では、いわゆる段差と言われるやつの〇・七%を占めていた。いわゆるこっそり復元分を除いた再集計値においても〇・四%。一番大きな段差を生んでいるのが、このベンチマーク更新、入れかえ、ウエートの更新なんですね。

 きのう、これに関して、この場、ここでも取り上げられた、統計委員会に諮問していたかどうかということに関する政府統一見解なるものが出てきました。見ました。見ましたけれども、私、言わせていただきたいと思いますけれども、総務大臣にこれをお尋ねしますけれども、この政府統一見解なるものは、統計委員会の委員の皆さんに諮って了承を得たものですか。

石田国務大臣 昨日の統一見解ですか。(大串(博)委員「そうですね」と呼ぶ)

 私は、事務局から、厚労省と調整の上、こういう文案ということでありまして、私も読ませていただいた上で了解したものであります。

大串(博)委員 質問に答えてください。

 統計委員会の委員の先生方に了解を得て、これは国会に出されたものですか。いかがですか。

石田国務大臣 今確認いたしましたけれども、それはお聞きをしていないそうであります。

大串(博)委員 統計委員会にも確認しないで、役人さんが勝手に、ベンチマーク更新をしたことに関して、遡及改定していなかったことに対して、諮問したのか、していなかったのかという事実関係の確認、そして、それが適切であったのかという確認を統計委員会の皆さんにも確認しないで、八条委員会ですよ、その方々の、諮問、答申を受けて大臣は政策決定するわけです。

 何にも聞かないで国会に出された文書、意味ないじゃないですか。もう一回、これは統計委員会の先生方に聞いて、確認していただきたいと思います。なぜなら、ある統計委員の先生は、このベンチマーク更新、遡及改定なしということに関して、毎勤統計、統計委員会では議論していないとはっきりおっしゃっています。ここにもあります。諮問されていないんだから、議論しようがないですよね。

 先ほど申しました、資料にもありますように、〇・四%ポイントという最大のギャップを生み出している遡及改定なしのベンチマーク更新、これは段差の、つまり上振れをつくった一番大きな要因なんです。

 何でこんなことを厚労省がこっそりやっていたか、勝手にやっていたか、統計委員会にも諮問しないで。それに対して、政府統一見解、統計委員会にも意見を聞かないで出してきた紙、これは意味ないです。

 委員長にお願いします。

 これは、統計委員会にもう一度、意見を聞いた上で、諮問をしていたのかどうなのか、そして、適切だったのかどうなのか、きちんと確認していただかないと、〇・四%という上振れが適切なのか問題なのか判断できないんです。

 ぜひ、これは差戻しをお願いし、統計委員会でもう一度議論していただいた上でこの国会に戻していただくよう、委員長、お願いします。いかがですか。

野田委員長 申出にお答えする前に、総務大臣の方からもう一度しっかり答弁をいただいてから判断させてください。

石田国務大臣 この統一見解は、統計委員会等の議事録等を精査の上で作成したものでございます。

 早急に提出するようにということでありましたので、そういうふうに行ったわけでございますけれども、国会、委員会の方でそういう御指摘であれば、そういう対応をさせていただきたいと思います。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたしたいと思います。

大串(博)委員 なぜこの問題をこんなに大きく取り上げているかといいますと、この資料二にもありますように、再集計した再集計値を見たとしても、なぜこれだけ大きな段差が三十年一月に出たか。つまり、賃金の上振れがなぜこんなに大きく出たかという要因に関しては、こっそり三倍復元が〇・三%ポイント、サンプル入れかえは〇・一%しかない。ベンチマーク更新が〇・三七%と、一番大きいんです。何で、こんなに大きな影響を及ぼすものを、統計委員会に諮問もしないで厚生労働省はこっそりやったのか。

 ここも、先ほど来話があったように、部分入れかえにすることによって、改定のたびに下振れしないようにするという思い、これは私は、総理官邸の意向も踏まえて、やらなきゃなと思って事務方の皆さんが一生懸命やろうとした結果じゃないかと思うんです。

 あわせて、さらに加えて、遡及改定しないベンチマーク更新というのを入れて、これも上振れ要因をつくっている。

 なぜ、こんなに、盛り過ぎじゃないかと思われんばかりの上振れ要因を三十年一月に向けてやったのかということが今問われているんです。だから、きちんと確認していただきたいということなんです。

 厚生労働大臣にお尋ねします。

 なぜ、統計委員会に諮問もしないで、こんなに上振れの大きいベンチマーク更新をこっそりやったのか。これも、今回の統計不正の中の極めて大きな疑問点です。

 これも、特別監察委員会で今議論をしてもらっています。樋口特別監察委員長はここで言われました、私は統計の専門家だ、だから責任感と熱意を持ってやっているんだと。統計の専門家です。であれば、まさに、このベンチマーク更新をなぜ遡及改定なしでこっそりやっていたかということも、特別監察委員会でその背景も含めて調査していただかなきゃならないと思いますが、どうなっていますか。

根本国務大臣 まず、委員のお尋ねですから、少しきちんとお話をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)時間潰しではありません。

 もともと、この問題というのは、平成二十六年に、公的統計に関する統計委員会でこれからレビューしましょうねと、まず平成二十六年がスタートなんですよ。そして、先ほど、姉崎部長、前の部長からもありましたが、二十七年にレビューすることになっていた。そして、二十七年一月の問題、全数調査でやっていたら、三年に一度に更新しますから、段差が生じた。段差が生じて、改めて遡及改定をしましたが、これが大きな問題になったんですよ。だから、この問題意識で、統計としてより精度を高めるためにはどうあるべきか。

 これは、こっそり隠したとかそんな話ではなくて、専門家が専門的に、統計の問題ですから、政治の意思判断は私はこれは入らないと思います、統計の問題ですから。ですから、統計の問題として統計委員会でも議論されて、そして最終的に、これでいこうという話になりました。

 そして、先ほど、ベンチマーク更新の話については、結論から言えば、今回の精度向上のためにやったローテーションサンプリングとベンチマークの考え方、これについては、統計委員会において、毎勤の対応については、平成三十年八月の毎月勤労統計の接続方法及び情報提供に関する統計委員会の評価において改めて確認されておりますから……(大串(博)委員「委員長、ちょっと関係ないことを言われているので。私、特別監察委員会で取り上げているかどうかだけ聞いているので」と呼ぶ)ですから、それは特別監察委員会が御判断いただくことだと思います。

野田委員長 そういうやりとりはちょっと。私が指名してからそれぞれやりとりをしてください。聞いていますか。

根本国務大臣 私は、それは純粋に統計の問題だと思っております。

野田委員長 私の指名でそれぞれやりとりをやってください。

大串(博)委員 特別監察委員会で取り上げるかどうか、その一言。

 これは、私は取り上げるべきだと思います。これだけ大きな、〇・四、一番最大の段差をこっそり生んでいる。これは特別監察委員会で、なぜこんなことになったのか、取り上げるべきだと思いますが、その一点、もう一度お答えください。その一点でいいです。

根本国務大臣 これは特別監察委員会において御判断いただくべきものだと思っております。

大串(博)委員 これも指導力ゼロだと私は言わざるを得ないと思います。

 かつ、特別監察委員会の委員の皆さんに大いに期待したいというふうに思います。ここも取り上げないと、いいですか、今回、〇・八の上振れ要因があった、ここから統計委員会は、どうも段差があっておかしいなということからこの問題は発覚したんですよ。思い出してください、どこから発覚したか。〇・八%の上振れがあった、これはおかしいなということで統計委員会の方が言われて発覚したんです。

 その要因を見てみると、サンプル入れかえのところは〇・一%で、実は少なかった。こっそり三倍補正が〇・三%と、次に大きかった。ベンチマーク入れかえで、これもこっそりと遡及改定なしにしたら〇・三七%で、一番大きかった。

 統計委員会が発見した〇・八%ものぶれの一番大きな二つ、これを調査するのは当たり前じゃないですか。それを大臣は指導力を発揮しない。特別監察委員会がもしこれを取り上げないとなると、とても有意な事実解明とは思えない。そのことはお伝えしておきたいと思いますし、審議の中でこれからまた明らかにしていきたいと思います。

 さて、次に、実質賃金化の問題です。

 実質賃金化の問題に関して、やっと、いわゆる専門家の作業が始まった。第一回は今週中に開かれるということでありますけれども、今まで何をしていたのかという話なんですよ。

 一月中の答弁は、検討しますでした。二月の頭からの答弁は、専門家の皆さんの意見も踏まえて検討しますでした。ところが、専門家の意見を踏まえて検討し始めるのは、今週二十二日。三週間たっているじゃないですか。

 国会で、専門家の皆さんの意見も踏まえて検討しますと言い続けて、三週間、何をしていたんですか。時間稼ぎですか。そうじゃないと言うのであれば、その前の、専門家に聞いていたという期間、この三週間、三人の方々に意見を聞いたと言われました、大臣、そこで答弁しましたね。

 一人は、樋口特別監察委員会委員長。第三者のはずが、この方に聞いてしまっている。樋口委員長にここでお尋ねしたら、私は時間がなくてとてもできないと言って、お断りしましたと言われました。

 残り二人いらっしゃいます。専門家の方々に意見を聞かれた。だから、この三週間、徒過しちゃったんですね。この二人の方の中に、特別監察委員会のメンバーは、まさかいないですよね。お答えください。

藤澤政府参考人 以前、御答弁申し上げておりますように、三名の専門家の方から御意見をいただいております。

 これは、統計に関する専門家の方々に、お名前を出さないことを前提で御意見を伺っておりますので、相手があることでございますので、具体的なお名前を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

大串(博)委員 名前を出せなんて言っていません。

 特別監察委員会が、この実質賃金化という、厚生労働省が守りに守ろうとしている、先延ばししよう先延ばししようとしているこのこと、これに、まさか厚生労働省が絡んでいないでしょうねと。特別監察委員会のメンバーは第三者性が重要だから、まさかこれに、この二月の三週間、時間先送りのために絡んでいたんじゃないでしょうねと。そのことを確認するために、名誉のために言っているんです。

 二人の中に特別監察委員会のメンバーがいないかどうか。名前なんて要らないです、名前なんか要らない。この場で、特別監察委員会のメンバーはいない、それだけ答弁を聞かせていただければ安心します。いかがでしょうか。

藤澤政府参考人 これは、繰り返しになりますけれども、相手があることでございますので、御質問の特別監察委員会の委員であるかどうかを含めまして、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、きょうから、厚生労働省におきまして、統計的な観点や統計を活用する側の観点などを踏まえつつ、専門家を参集した新たな検討の場として、毎月勤労統計の共通事業所の実質化をめぐる論点に係る検討会を開催してまいります。

大串(博)委員 今の答弁を聞くと、残り二人の専門家と言われた方の中にも、特別監察委員会のメンバーが含まれているということがよくわかりました。すなわち、特別監察委員会のメンバーというのは、まさに実質賃金化のことに関しても厚生労働省としっかり寄り添ってやられているというのが非常によくわかりました。

 これで本当に第三者と言えるんでしょうか。極めて疑義が強いというふうに言わざるを得ないと思います。そのために三週間、時間を徒過されて、やっときょうから専門家の検討が始まる。

 予算審議はいつまで続くのか、私は知りません。しかし、予算審議をするのに実質賃金が去年プラスだったのかどうか知らないと、私はとても、責任を持った、予算に対する判断はできません。ましていわんや、今回は、ことし十月からの消費税に対する対策も含めた予算です。消費税が引き上がるのかどうか、それが適当なのかどうかということも、去年の実質賃金がプラスだったのかマイナスだったのか。だって、おととしがマイナスですから、去年がマイナスだったら、私たち野党が推計しているように去年もマイナスだったら、二年連続で実質賃金マイナス。こうであるかどうかを知るのは、この予算の審議をする前提として当然じゃないですか。

 これはぜひ早急に、先送りなどせずに去年の実質賃金に関しては出していただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

野田委員長 後刻、理事会にて協議をいたします。

大串(博)委員 特別監察委員会のあり方に疑義が生じています。これは一月においても、特別監察委員会メンバー、第三者でヒアリングをしていると言われたのが実は内輪のヒアリングであったということから疑義があった。それを、特別監察委員会をしっかりやろうということで、新たな再スタートを切られていると私は思っています。総理も厚生労働大臣も、事務局機能を強化して第三者性を強めてというふうに言われています。

 そういった中で、特別監察委員会は追加調査というのを一月の末以降やっているわけでありますけれども、大臣にお尋ねしますけれども、事務局機能を強化すると言われましたが、具体的にどういうふうに事務局機能は強化されたんでしょうか。

根本国務大臣 では、簡潔に申し上げます。

 今般、二月七日に……(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。

根本国務大臣 特別監察委員会の独立性を高める観点から、新たに元最高検検事の方を事務局長に迎え、民間有識者で構成される事務局を設置することを委員会においてお決めになられました。事務局メンバーにはトータルで三人の方が事務局メンバーとして、今、事務局として機能をしております。

大串(博)委員 事務局長さんと事務局員さん二人が追加されたということを二月に入っておっしゃっていますけれども、この方々は、事務局と言われるからには常勤ですね。

根本国務大臣 事務局のメンバーは一般職の非常勤職員であり、常駐はしておりませんが、委員会が開催される日は基本的に委員会に出席し、その他、必要に応じて厚生労働省にお越しになっていると聞いています。厚生省に来られないときでも、委員間で日々頻繁にメールのやりとりなどにより、特別委員会の事務局としての業務を遂行されていると聞いております。

大串(博)委員 驚きましたね。事務局長を置きました、事務局員を置きました、どの方も法曹関係の方ですということで、胸を張って言われましたけれども、その三名とも役所に常勤をされていらっしゃるわけではない。特別監察委員会、何回か開かれておりますけれども、その都度来て話合いに参加されている。これでは、ほかの委員の方々と同じじゃないですか。

 結局、厚生労働省が庶務を務めているわけですよね。庶務を務めるという名のもとに、いろいろな差配を厚生労働省がやってしまっている可能性があるんじゃないか。報告書も、どのような内容が出てくるかわからないと私は思います。

 報道で、組織的隠蔽を認めない旨の報告書がまとまろうとしているというふうに書かれていました。大臣、本当にそうでしょうか。組織的隠蔽というのは、報道によっては、局長が絡んでいないから組織的隠蔽じゃないんだという定義で、組織的隠蔽じゃないんだというふうに書こうとしているとか言われていましたけれども、本当に組織的隠蔽じゃないなんという報告書が、私はわかりませんけれども、出てくるんでしょうか。いかがですか。

根本国務大臣 特別委員会では、現在、中立的、客観的な立場から厳正な調査を行っていただいております。

 特別監察委員会へ委ねているわけですから、第三者、有識者に。ですから、私は、その議論の状況においては、特別監察委員会もやっていただいておりますから、厳正に、精力的に。私は承知しておりません。

大串(博)委員 特別監察委員会の委員長は厚生労働省所管の独立行政法人の理事長、関係者ですね。かつ、実質賃金の専門家と厚労省が頼った方々も特別監察委員会のメンバーであった。特別な関係にある、厚生労働省と。そんな中で、本当にしっかりとした調査報告が出てくるのか、私は非常に疑問です。

 しっかり見定めたいというふうに思いますし、先ほど申しましたような、ギャップを大きく生んだベンチマーク更新や、あるいは官邸の関与がどれだけあったのかといったような話に関しては、必ず特別監察委員会の報告で触れていただかないと、全容、納得のいく解明にならないと思いますので、その報告はぜひ確認させていただきたいと思いますし、その内容自体によっては、根本大臣がしっかり指導力を発揮してこの全容解明に臨んだかということが問われるというふうに思いますので、心して臨んでいただきたいというふうに思います。

 さて、次に、消費税の話に進めさせていただきたいと思いますけれども、麻生大臣にお尋ねします。

 今回、予算の中では、きのうの円グラフの話もありましたけれども、消費税の引上げに伴う需要の変動を平準化するための臨時特別の措置というのが入っていますね。二兆円ほど、非常に大きな額が入っております。消費税に伴う、これは資料もつけていますけれども、政府の文書でいうと、「経済への影響の平準化」と書いていますね、財務省の資料にも。平準化というのはどういう意味でしょうか。つまり、十月に消費税が引き上がる、これに対して経済への影響を平準化するというのはどういう意味でしょうか。

麻生国務大臣 消費税というのを、諸外国と比べて、日本人は真面目なせいかどうか知りませんけれども、その日から一斉にという。ヨーロッパに住んでおりましたけれども、大体もうばらばら、数カ月間、上がるとわかったら、大体自然に上がっていく。まあ、内税だというせいもあるんだと思いますけれども、そうなっておりますが。

 日本人の場合はというか、日本の過去の例を見ますと、その日から一斉にということになるんですが、この間、前回の平成二十六年のときには、駆け込み需要並びにそれの後目の反動減というのは極めて大きかったものですから、それをなるべく平準化、バランスをよくするということを目的として、駆け込み需要の分は後にしても変わらないんですよとか、いろいろな形での平準化という意味であります。

大串(博)委員 よくわかりました。

 十月から消費税が上がる、その前に駆け込み需要を皆さんされますね、駆け込み消費をされる、そこで需要がばんと上がってしまう。一方、消費税が上がっちゃうと、みんな買い控えるというか、買物をしなくなる、そこで消費が落ちる。この差を埋めたいということが、経済への影響の平準化という意味でありました。

 さて、この対策、二兆二百八十億円、これが三十一年度予算の中に入っています。その中で最も大きいのは、防災・減災、国土強靱化対策一兆三千四百七十五億円、これがほぼ半分以上、六割近くを占めています。

 山本国土強靱化担当大臣にお尋ねしますけれども、今の麻生副総理・財務大臣の答弁を前提とすると、当然、この防災・減災の一兆三千四百七十五億円も十月以降に執行されることによって経済の平準化がなされるということになると思いますが、そのような仕組みになっていますでしょうか。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 今ほどの三カ年緊急対策、これにつきましては、国民の生命それから財産を守るために、防災・減災、国土強靱化の観点から緊急に実施すべき対策を取りまとめたところでございまして、平成三十一年度予算に措置されている事業について、予算成立後速やかに執行に着手をしていきたいというふうに思っております。

大串(博)委員 麻生財務大臣が言われた経済の平準化になっていないと私は思いますが、麻生大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 今回の引上げに伴いますさまざまな対策、あらゆる対策を総動員して、経済の回復基調、これがしっかり続くようにしたい。

 前回の経験、これを踏まえた対策ということでありまして、大きく三つ教訓があると思っております。

 一つは、低所得者を始めとした消費の抑制というのが前回起こったわけであります。そして二つ目、先ほど麻生大臣の方から答弁がありましたように、自動車であったりとか、また住宅、こういった耐久消費財での駆け込み需要、これが起こり、そしてその後に反動減が大きく起こった。そして三つ目に、対策のための補正予算を組んだわけでありますが、十分ではなくて、また、その効果の発現の時期がおくれてしまった可能性がある。

 こういった三つの要因によりまして景気の回復力を弱めてしまったということでありますので、今回はそういったことも含めて、低所得者に対するプレミアム商品券の発行であったり、また、税も含めて、反動減対策、これをしっかりとっていく。

 さらには、国土強靱化の問題につきましては、まさにこれがマクロの需要面の経済の下支えになる。そして、先ほども申し上げたように、執行、これが発現する時期というのは、当然、消費税引上げに伴いますさまざまな経済需要、こういったものを見ながら適切に執行していくということになります。

大串(博)委員 ちょっと、山本大臣と茂木大臣の発言にずれがあったようですね。

 山本大臣は、早期に執行していきたいと言われました。茂木大臣は、十月以降に向けた効果の発現も見ながら適切に執行していきたいと、後ろ送りされるような……(茂木国務大臣「違う、違う、そうじゃない」と呼ぶ)ああ、そうですか。もし、そうじゃなくて、四月から適切に執行されるというのであれば、やはり需要の平準化策ではないのではないかという。

 すなわち、何でもいいから、何でもいいからという言葉は変ですけれども、非常にいろいろな理由をつけて、私、この国土強靱化は非常に大切だと思うんです、やはりこれは今、防災、減災、非常に大切です、それはそれとして予算を組まれるというのは私は非常に大切だと思うんです。これは認めます。一方で、経済への影響の平準化と銘打ってこれをやるというのはおかしいと思うんです。分析も誤るし、対策も誤る可能性が私はあると思っているんですね。

 この点、後ほどまた更に議論させていただきます。

 次に、ポイント還元、世耕大臣にお尋ねさせてください。

 ポイント還元は、これは幾つかのことを言われていますけれども、結局のところ、消費税によって大きくマイナスの影響、厳しい影響を受ける低所得者の皆さんに対してポイントがつけば、影響を少なく、消費を抑えることなく済む、低所得者の皆様への対策なのか、それとも中小事業者への対策なのか、どっちなんですか。

世耕国務大臣 基本的には、やはり先ほどの駆け込み需要、反動減対策というところが一番大きな目標にもなりまして、あわせてキャッシュレスも進めていくということになります。

 今回、ガイドラインで、前回は、八%に上げるときは、十月一日、その消費税が上がるタイミングでセールなどは行わないようにとやったんですが、今回は、消費税は要りませんとか消費税をお返ししますみたいな表現はだめですけれども、十月一日からセールはやりますというのは構いませんよということにしたわけです。

 そうすると、やはり資金力のある大手は、恐らくポイント還元とか値引きというようなことが行われるだろう。それに対して、やはり資力のない中小企業もしっかりそういった動きについていけるようにしなければいけないという意味で、中小企業対策として、中小・小規模事業者の小売店などを中心にポイント還元を我々が支援していくということにしました。

 また、手段は多様な手段を用意することによって、例えば電子マネー、今いろいろなスーパーが発行しています、これは所得の低い方でも利用できるわけでありますので、できる限り幅広い消費者を対象にしたいというふうに思っております。

大串(博)委員 わかりやすく教えてください。

 都合四千億円の予算が投入されるということなんですけれども、国民が見ると、血税四千億円がどう行くのかというところが非常に気になるわけで、四千億円のうちのざっとどれだけが低所得者対策で、ざっとどれだけが中小事業者対策なんですか、教えてください。

世耕国務大臣 これはちょっと、消費に関することでもありますので、所得階層別の予想というのは特にいたしておりません。

大串(博)委員 それで本当に低所得者に対する需要平準化対策になるんですか。数字もわからない、それは対策と言えるんですか。

世耕国務大臣 この予算額は一度お答えしました。ちょっと今手元に持っていませんけれども、基本的には、中小小売店の販売データ、そしてその中のキャッシュレス比率、そして今回どれぐらいの小売店が参加をされるだろうか、その結果としてキャッシュレスがどれぐらい伸びるだろうかということを前提、その五%を還元するとこうなるということで予算額、もちろん、それ以外にシステム費とか広報費なんかも入っていますけれども、それをトータルして算定をしているわけであります。ですので、所得階層別のデータというのは、今回、予算をつくるに当たっては組み立てておりません。

 ただ、いわゆるスーパーなどが発行しているお金をチャージできるカード、電子マネーカードですね、これもポイント還元の対象になります。これはいろいろな方々が、私の和歌山の地元でも、山間部でもこういうのを使っていらっしゃる方がいらっしゃいます。一万円、五千円チャージでも三千円チャージでも使えるわけですから、これは幅広い所得階層の方に使っていただける今回のポイント還元だというふうに思っております。

大串(博)委員 それだけ誇って言われるのであれば、四千億円のうち、どれだけが低所得者の方に、いや、私は、所得階層別にどう使われるかなんて細かいことは聞いていないんです。低所得者の方々に行く分が四千億円のうちのどれだけで、中小事業者の皆さんのメリットになるものがどれだけなのか、その大ざっぱなところだけを教えてくださいということなんです。それも答えられないんですか。

茂木国務大臣 消費税の対策全体は私の方で取りまとめの責任をやっておりますが、それぞれの政策について政策目的が違っております。

 そして、このポイント還元につきましては、基本的に、中小・小規模事業者対策、並びに、駆け込み需要、そしてまた反動減、これを平準化する、同時に、それに加えて、キャッシュレス化を進めていく。

 そういった中で、キャッシュレス化を進める中でも、カードを持っていらっしゃらない方とか、そういった方もいるので……

野田委員長 簡潔にお願いします。

茂木国務大臣 できるだけ幅広い所得層に使ってもらえるという形でありまして、そういった、低所得者対策として行っていることを基本的な目的にしているものではありませんから、低所得者にどれだけというのを、しかもこれは分配するわけではなくて消費をした上でポイントがつくわけでありますから、そういった数字を出すことは極めて困難だと思っております。

大串(博)委員 困難だと言われました。あと幾つか確認した上でまた、茂木さんへ戻りますので、ちょっと待っててくださいね。

 麻生大臣にお尋ねします。

 今回、軽減税率も同時に導入される。軽減税率で穴があく財源一・一兆円、これをどう埋めていくのかということが大きな課題になっていました。

 これに関しては、いわゆる総合合算制度を見送る、これは四千億円ですね、これが財源の一つになっていました。残りの六千億円強をどうやってやるのかなということを確認させていただきましたところ、時間の関係もあるので私の方から申し上げますので、確認いただきたいと思います。

 〇・四兆円が総合合算制度の見送りで対応する。残りの〇・六兆円に関して、一つは、個人所得課税の見直しで〇・一兆円、これはもう行われていますね。それから、これももう行われているたばこ税の課税強化ですね、これで〇・二兆円だというふうに聞きました。もう一つ、最後が、インボイス制度が導入されることによって、今、一千万円以下の、一千万円に満たない売上げの方々が免税業者として消費税を納めなくていい形になっていらっしゃる。一千万円以下の売上げの方々ですよ。非常に零細、個人の皆さん、この方々が、インボイス制度が入ると、いや応なしに消費税を納めざるを得なくなっていく。この方々の新たな税収が上がってくるのが〇・二兆円強。合わせて〇・六兆円で、これで一・一兆円が埋まります。こういうふうな説明を受けました。お手元にもあると思います。

 私が気になっているのは、この軽減税率一・一兆円を入れるがために、軽減税率自体も本当に低所得者対策になっているのかという議論がここでありました。それに対する財源の裏打ちが更に私は逆進性を強めるんじゃないかと。だって、総合合算制度をやめる。総合合算制度というのは、まさに低所得者対策ですね。これをやめる。たばこ税、まさに大衆課税、これが上がる。それから、インボイス制度によって、消費税免税業者の方々、一千万円以上の売上げを持たない零細、個人事業主の方々、今消費税を納めなくていいけれども、この方々が消費税を納めざるを得なくなる。〇・二兆円強の増税。

 ちなみに、麻生大臣、お尋ねしますけれども、この〇・二兆円強の増税に、この免税業者の方々にかかっていくわけですけれども、何百万者ぐらいの方々が増税対象となって、つまり、免税業者から課税業者になる、すなわち、増税対象になって増税の影響を受けられるという見積りなんでしょうか。

麻生国務大臣 我々の想像、予想、期待、いろいろなものが入っておろうかと思いますけれども、これでいきますと、今、免税事業者数は約三百七十万者だと思っておりますが、このうちの、いわゆるBツーB、ビジネスとビジネスという意味ですけれども、の割合に応じて約四割ぐらい、その中からということで、百六十万者程度のものが課税に転換されるのではないかというように見込んでおります。

 したがいまして、御存じのように、BツーCの場合はインボイスを求められるわけではありませんので、BツーBということを基本として考えさせていただくと、今申し上げたような数字になると思っております。

大串(博)委員 ぜひ、大臣、肌身感で考えていただきたいと思うんですけれども、消費税の免税業者となっている方々、さっき申し上げたように、一千万円以上の売上げを持たれない方々ですよ。極めて零細かつ個人の事業者の方々、この方々、百数十万と言いましたね、百数十万の一番厳しい状況を負う方々に対して二千億円強の増税を行うわけですよ。

 二千億円強の増税というのは、多分、政府税調、党税調をやられているお歴々の方が多いのでわかると思いますけれども、二千億円強の増税項目を議論するときは、多分、自民党の中でも相当すったもんだの議論になるほどのオーダーなんですよ。それが今回、軽減税率の穴埋めのために、軽減税率を導入するためにインボイスを入れることになった、そのために一番弱い百六十万の業者の方々にかかっていくわけですね。

 今回の消費税、私、どうなっちゃうんだろうと非常に極めて心配な思いがあります。

 茂木大臣がいつも使われている、資料をつけています、九ページです、消費税引上げに伴う対応ということで、茂木大臣は、万全の対応をとっていると言われます。負担増のところで、この表の一番上ですけれども、五・二兆円程度の負担増があると言われます。消費税が上がることによって五・七兆円。かつ、財源確保で〇・六兆円。まさに、私、ここで言いましたね。たばこ税などの見直しの財源確保、〇・六兆円。この中に、さっき申し上げた、一番厳しい方々に対する二千億円強の増税措置も入っている。

 消費税も、もちろん逆進性が強いアイテムだと言われています。つまり、負担増は全て逆進性なんですよ。一番厳しい層の皆さんに負担が行くんですよ。行くんですね。対策はどうか。幼児教育の無償化、これはこの国会でも議論があった。実は、この幼児教育の無償化をすると、高所得者の皆さんが得してしまうという面があるんじゃないかという話もあった。

 かつ、一番下の新たな対策。この二・三兆円のうちの一番大きな一・三兆円は、消費平準化どころか、毎年通年で執行している。これは別に低所得者に行くものでも何でもないですね。普通の、ある意味、公共事業予算。重要ですよ、重要だけれども、全然、消費を平準化する、低所得者に行くものではない。かつ、ポイント還元、先ほど言いました。四千億円の予算のうちで、一体どれだけ低所得者の皆さんに行くことになるんですか。数字すら出ない。

 こういった状況で、私は、今回、十月に消費税増税されると、とんでもないことが世の中へ影響が及ぶんじゃないか。すなわち、負担増の面でも逆進性、すなわち、体力の弱い方々に対して極めて大きな影響がある。かつ、対策においても、全然逆進性を是正する方向にはなっていない。十月にこれがあわせて起こったときに、この国は一体どうなるんだろうと私は思うんです。

 茂木大臣、これらの対策も含めて、一旦、全部撤回されたらいかがですか。

茂木国務大臣 まず、消費税率の引上げの増収分の半分、御案内のとおり、教育無償化の財源であったりとか社会保障の充実に充てることにしておりまして、特に、御指摘のありました所得の低い方々に対しては、この増収分を活用いたしまして、介護保険料の軽減の充実、年金生活者給付金の支給、そして、住民税非課税世帯を対象にしたゼロから二歳児の幼児教育の無償化、住民税非課税世帯及びそれに準ずる二つの階層になるわけですけれども、それに対する高等教育の無償化等や給付型奨学金、この拡充、こういった措置をとります。

 さらに、先ほどから言及のあります軽減税率制度、これは、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品について、軽減税率、八%に据え置くということでありまして、これも逆進性を緩和できる、こういう利点がありまして、低所得者の世帯ほど……(発言する者あり)静かに聞いてください、真面目に答弁していますから。お願いします。(発言する者あり)いや、その隣です。

野田委員長 大臣、答弁を続行してください。

茂木国務大臣 低所得世帯ほど収入における飲食料品への支出の割合が高い。おおむね、一般世帯でいいますと四分の一に対して、低所得世帯は三分の一、よりこういった世帯に配慮した施策となっている、このように考えております。

 さらには、低所得者や小さな乳幼児のいる子育て世帯に対しては、税率引上げ直後に生じる負担増などによります消費への影響、これを緩和するため、十月から来年の三月までの間に利用できるプレミアムつき商品券、プレミアムの額が五千円になるわけであります。

 そして、例えば、二歳以下のお子さんがお二人いらして、それがしかも低所得世帯であるということになりますと、世帯分としては、お父さん、お母さん、それからお子さん二人、さらにはその小さなお子さん向けということで、六人分、このプレミアム商品券、これを発行させていただく、こういうことになっております。

 全体として、今回の対策、それは、先ほど言ったように、平準化対策であったり、さまざまなマクロの需要の下支え、こういったこともありますが、政策全体としては、低所得者、所得の低い方々に手厚い施策になっている、このように考えております。

大串(博)委員 終わりますが、社会保障、子育ての財源を確保するために、広く薄く消費税を通じて負担をしていただくという考え方は極めて重要です。しかし、それを実行するための対策としては極めてちぐはぐなもので、社会に与える影響は極めて大きいということは言わざるを得ないということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

野田委員長 これにて大串さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野田委員長 この際、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局刑事局長安東章君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 次に、川内博史さん。

川内委員 川内です。

 きょうは、まず、辺野古のことについて取り上げさせていただきたいと思います。

 県民投票も行われておりますし、大変国民の皆さんも注目をしていらっしゃる結果が出るのではないかというふうに思いますが、政府的には、普天間の飛行場の危険性の除去が大事なのだということで、辺野古をとにかく強引にお進めになっていらっしゃいます。

 かつて翁長知事が、普天間飛行場が危険なのではない、普天間飛行場にいる、沖縄の空を低空で飛び回る航空機が、飛行機が危険なのだ、こう御発言をされていらっしゃいます。飛行場が危険なのではなくて、飛行場にいる飛行機が危険なのだ、ヘリコプターが危険なんだ、こうおっしゃっていらっしゃるわけですね。

 確かに、普通、窓から物が落ちてくるというのはよく聞くわけですが、沖縄では窓が落ちてくるわけですからね、ヘリコプターの。軍用の飛行機は弾に当たって落ちるとかいうことはもしかしたらあるのかもしれないけれども、オスプレイは何にもしなくても落ちてくる。そういうものが危険なのだ、だから全部どこかに移してくださいということを沖縄の皆さんがおっしゃっていらっしゃるということではないかというふうに思いますが。

 私ども立憲民主党は、ちょっとここで一回立ちどまって、よくよく米国政府とも話をし、そして、沖縄の皆さんにとって一番いい解決方法を探し出すときではないかということを御提案を申し上げているわけですが、軟弱地盤の問題や活断層の問題、赤土の問題、サンゴの問題、さまざまな問題がある。

 この前、岩屋大臣は、沖縄県が言っているほどまでに、二兆五千億ほどまでにはかからないだろう、そこまではかからないだろう、しかし、軟弱地盤等を考えると予算がふえることは想定されるというふうにおっしゃられたわけでございまして、じゃ一体幾らかかるんですか、それはこれからだということになっているわけですけれども。

 まず、きょうの新聞で、地盤改良に砂ぐい七万七千本が必要だ、軟弱層、最深は水面下九十メートルだ。これは、今まで日本での施工実績は六十五メートルが最高だと、最大深度ですね。

 それを二十五メートル、九十メートルまでくいを打つというのはエンジニアリング的に相当大変なことではないかというふうに思いますが、そこでちょっと防衛省に教えていただきたいんですけれども、六十五メートル、今まで日本で最大深度の施工実績を持つ土木構造物、どこにあるのか。そして、それは何本ぐらいサンド・コンパクション・パイルを打ち込んだのか。教えてください。

岩屋国務大臣 国内の六十五メートルの実績については、横浜港のコンテナターミナル等であると承知をしておりますが、何本かというのは、済みません、ちょっと、御通告もなかったのですぐさま答えられません。

川内委員 岩屋大臣、施工実績について教えてくれというのは、土木のことを聞くわけですから、そのサンド・コンパクション・パイルを何本打ち込んだのかということを含めて聞いているわけですよ。だから、要するに、岩屋大臣にそういうふうに役所が、事務方がレクをすること自体が今の日本の政治行政の問題点なんですよ。

 例えば、じゃ赤土のことについて、この前、本多議員の質問に対して、いや、沖縄県に立入調査をさせたよ、問題なかった、何も沖縄県は言わなかったよというふうに岩屋大臣はおっしゃられた。

 しかし、沖縄県が求めているのは、公有水面埋立法上のあの投入されている土砂に赤土がまじっているのではないか、すなわち、細粒分含有率を勝手に変更したのは公有水面埋立法上の環境保全図書上の問題なのだという立入りを求めているのであって、全然違うわけです、岩屋大臣がこの前答弁されたことは。

 そういうことをきちんとレクしてもらっていますか、大臣。

岩屋国務大臣 資料が出てまいりました。

 例えば、東京国際空港D滑走路建設工事におきましては、サンドドレーン工法で約十八万本のくいを打っているということであります。(川内委員「何メートルですか、それ」と呼ぶ)これはマイナス三十七・五メートルですね。

 サンドコンパクションの工法においては、同じ場所で……(川内委員「先輩、もうサンドコンパクションはいいです。赤土」と呼ぶ)いいですか。はい。

 赤土については、これも何度も申し上げておりますように、一月三十日に沖縄県の調査を受けまして、問題はないというふうに言われております。

 今、立入検査を求められている事柄につきましては、どういう理由で必要なんでしょうかという照会をさせていただいておりますが、まだお返事はいただいておらないということでございます。

川内委員 いや、だから、大臣、岩屋大臣、そういうふうに事務方がレクしていること自体が問題なんですよ。

 赤土防止条例に基づいては、赤土の流出が防止されるようにきちんと工法がなされているかということについて確認をした、目視で確認したら、そのときは水質に濁りは見られなかったというだけの話であって、そもそも、土砂がいかなる性状の土砂であるかということについては、公有水面埋立法上の環境保全図書に細粒分含有率は記載されていて、その細粒分含有率について、沖縄県に何の相談もなく勝手に変更されているので、立入調査を求めているわけです。その性状を検査させてくれと言っているわけです。それは、勝手に変更しているんだから、防衛省が、防衛局が。

 だから……(岩屋国務大臣「そんなことない」と呼ぶ)いや、そういうことはないって、大臣はそこで事務方にレクされて、そう思っているかもしれないけれども、勝手に変更されているんですよ。

 公有水面埋立法上の環境保全図書に細粒分含有率は記載されており、その細粒分含有率は一〇としか書いていないわけです。ところが、工事業者への特記仕様書に四〇と書いたから、それはおかしいじゃんということを沖縄県は言っているわけです。そこは性状検査をさせてあげないといけないということです。

岩屋国務大臣 その一〇%というのは、水面を締め切らないで行う工事に際しては、それが基準でなければならないということでございまして、締め切って、その中に土砂を投入しているわけでございますから、それは四〇%以下で十分だというふうに考えているところでございます。

 それから、岩ズリの性状等に関しては、昨年の七月二十日、請負業者から提出された材料承諾願に添付された資料によりまして、沖縄防衛局においてその性状等について確認を実施することで、必要な確認を適切に行っているところでございます。

 また、埋立てに用いる土砂について、昨年十二月、三カ所から採取した試料の試験結果でも、有害物質に関する環境基準をいずれも満たしていることが確認をされております。

 また、今回の埋立材である岩ズリが搬出される鉱山やその周辺において、材料承諾願に添付された資料の日付であります平成二十八年以降、土質の性状の変更が疑われる特段の事情は確認されておらず、現に最新の複数箇所の試料でも問題がないことが確認されておりますので、埋立材に問題はないと認識をしております。

川内委員 だから、埋立材に問題はないと認識していると図らずもおっしゃったように、それは全部後づけなんです、後づけ。

 大臣、いや、だから、大臣は環境保全図書の、ごらんになりましたか。読んでいますか。締め切ったところは四〇でいいなんて書いていないですよ、そんなこと。環境保全図書のどこに書いてありますか、四〇でいいと、細粒分含有率が。事務方、うそを教えちゃだめでしょう。どこにもないんだから。(岩屋国務大臣「必要な打合せをやっています」と呼ぶ)

野田委員長 ちょっと大臣、御静粛に。

 川内さん、質問を続けてください。

川内委員 いや、どこにもないことを、あたかもあるかのごとくにおっしゃるのはおかしいですよ。ないでしょう。

岩屋国務大臣 当該埋立承認願書の添付図書であります環境保全図書におきましては、一部の埋立区域については閉鎖的な水域にならない等とした上で、閉鎖的な水域に埋立材を投入する場合、工法自体によって水の濁りを拡散させない措置が十分なされていると考えられることを踏まえ、投入する岩ズリの細粒分含有率について特段の記載はしておりません。

 現在行っている埋立工事は、閉鎖水域をつくり、そこに埋立材を投入するものであるため、公有水面埋立法に基づく追加の手続を必要であるとは認識しておりません。

川内委員 記載がないわけですよ、四〇という。だから、検査させてよということを沖縄県はおっしゃっているわけです。

 では、締め切ったところだったら何でもいいんだということに関して、締め切ったところであれば赤土の割合が多くても大丈夫だよという実証実験や、あるいは論文等があるのか。私はないと思いますよ、そういうものは。大臣、いかがですか。

岩屋国務大臣 そういう文献、論文があるとは確認されておりません。

 締め切った水面であれば何でもいいということではなくて、したがって、四〇%以下のものでなければならないというふうに私どもは考えているわけであります。

川内委員 いや、岩屋大臣、水は、特に海は潮が満ち引きするので、そして水は、地球は水でできているし、僕たち人間の体も水でできているし、水はどこにでも行き来するわけですよね。物すごい細かい赤土の粒子というのは本当に目に見えないし、そういうものが海洋に影響を与える。だから、沖縄県、琉球の人たちは、長い長い歴史の中で、そういう赤土で海が汚されることがないように一生懸命努力をし、さまざまなことを考えてきたというのが琉球の歴史ですよ。

 そういうものを、いやいや締め切っているから大丈夫なんだということで一言で片づけるのは、私は間違っていると。だから、沖縄の人々に、政府がやっていることに自信がおありになるのであれば、どうぞ検査してくれ、どうぞやってくれということをおっしゃるのが岩屋大臣の政治家としてのお役目ではないかというふうに思いますが、まあ、言わないでしょうから。言いますか、言うんだったら答弁していただいても、いや、言いわけをされても困るんですけれども。

 この前のサンゴについても、南側は移植対象のサンゴは一体しかないと。北側は移植対象のサンゴは七万四千体あると。七万四千群体ですね。移植しても死ぬんですよ、六割は。移植したら死ぬんですから、サンゴは。物すごいデリケートな、しかし、私たち人間の生活にとっては、なくてはならない生き物です。移植したら六割死ぬんですよ。那覇滑走路第二事業でそれこそ実証されている。

 しかし、移植対象ではないサンゴもたくさんあるわけです。総理が、土砂を投入しているところのサンゴは移したとNHKでおっしゃったけれども、南側の、辺野古側の、締め切って今土砂をどしゃどしゃ投入している海にも、あの海域にも、環境影響評価書には、移植対象ではない小さなサンゴがたくさんあるという記載があります。

 だから、小さなサンゴは埋め殺している、移植していないということをお認めください。

岩屋国務大臣 その前に、汚濁防止のためには、ブロック、砕石、防砂シート、汚濁防止シートを重層的に組み合わせて、汚濁が起こらないように万全を期しているところでございます。

 それから、サンゴの移植については、委員御承知のように、今回は那覇空港以上の厳しい基準を採用しております。

 那覇空港の場合は、被度一〇%以上のものは移植対象になるということでしたが、今般は、被度五%以上のものは全部移植するということにしておりまして、これらは、部外の専門家から成る環境監視等委員会の指導助言を踏まえて行っているところでございますので、適切に対応ができている、また、していくという考えでございます。

川内委員 私が聞いたことにお答えいただいていないんですけれども。

 被度五%未満のサンゴも辺野古側、今締め切っている海にたくさんあったということはお認めになられますねということをお聞きしております。

岩屋国務大臣 私ども、先ほど申し上げた基準に照らして、保護対象になるサンゴ類の群体数は把握しておりますけれども、保護対象に当たらないサンゴ類の群体数は把握しておらないところでございます。

川内委員 いやいや、環境影響評価書には、被度五%未満のサンゴが今締め切っている海域にもたくさんあるということが評価書の中に、防衛局が作成した書類の中に出ていますよ。それを、保護対象以外のものは知らないという答弁は、委員長、これはまことに不誠実じゃないですか。ちゃんと答えないとだめでしょう。被度五%未満のものはあったということを認めないと。

岩屋国務大臣 知らないと申し上げているわけではなくて、保護対象に当たらないサンゴ類の、それはあるんでしょう、あるんでしょうが……(川内委員「あるんでしょうじゃないですよ、あるんだよ。政府の書類なんだから」と呼ぶ)いやいや、だから……

野田委員長 何度も申し上げますけれども、お二人でのやりとりはやめてください。私が指名したときに、それぞれ御答弁を。

岩屋国務大臣 だから、あるけれども、その群体数は把握をしておらないということを申し上げているわけでございます。

川内委員 あるということを今お認めになられました。だから、総理のこの前の発言はやはり間違いであるという、保護対象の群体は移植したという、一体だけね。

 きょうの質疑を聞いていても、ずっと朝からそうなんですけれども、行政の仕事が、国民の疑問やあるいは不審をごまかすことが仕事になってしまっていたら、これは政治や行政は成り立たないですよ。

 辺野古というのは、幾らかかるかわかりません、何年かかるかわかりませんと。だけれども、さらに、一生懸命沖縄を守ろうとして、もちろん推進の人たちもいます、他方で、やめてくれ、反対だという人もいます。そういう人を写真に撮って、あだ名をつけて、リストにしているという話もあるわけですね、もう一方で。

 政府は、いや、そんなリストの作成なんか指示していないよ、こうおっしゃるわけでございますが、きのう、毎日新聞ですか、新聞の夕刊に出ておりました。海上警備計画書というのがあって、写真を撮りなさい、そして関係機関で共有しなさいということがその警備計画書に書いてあるという報道がありました。関係各機関というのは、防衛局やら海上保安庁のことであろうというふうに思います。

 それで、この海上警備の計画書というのは、私も入手をして読ませていただいたんですけれども、確かに、反対、妨害活動での挑発、陽動や加害演出を記録し、警備に不法、不正、不良行為がないことを立証するというふうに書いてあります。関係各機関との情報共有を図り、連携を密にするとも書いてあります。

 まず、確認なんですけれども、海上警備計画書、今私が読み上げた部分、正しいかどうか。さらに、この海上警備計画書は、沖縄防衛局が提出を受け、こういうふうにしてねというふうに承諾をするものであるかどうかということを教えてください。

岩屋国務大臣 沖縄防衛局は、キャンプ・シュワブ周辺海域において、海上部における工事等を安全に実施するために必要な海上警備業務を実施するものとしております。

 委員御指摘の海上警備計画書は、受注者において警備業務に必要な範囲においてその内容を記載し、監督官、私どもの沖縄防衛局の監督官の承諾を得たものでございます。

 しかし、その内容につきましては、警備内容に係るものでございまして、これを明らかにすることによって今後の警備に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたいと思います。

 一方、沖縄防衛局は、御指摘のリストを保有しておらず、市民の写真撮影や、氏名、顔写真のリスト作成、個人情報の収集、政府への報告を指示した事実はございません。

川内委員 指示はされていないと思いますが、承諾をしていると。

 私は、反対活動というのは、私も行きますよ、辺野古に。それで何か、写真を撮られるのを何か嫌だなというふうに思っていました。何で私の写真をそんな撮られなきゃいけないのと思っていました。反対活動というのは表現の自由だし、この国は自由の国ですから、それは全然問題ない行動だというふうに思います。

 そこで、過去、最高裁で判決が出ておりまして、昭和四十四年十二月二十四日に、捜査機関であっても写真を撮っていいと許される場合はこういう場合なんだということが判示をされております。

 昭和四十四年十二月二十四日、刑集の千六百三十二ページ、要旨第三のところの十二行、これを、最高裁のきょう事務局に来ていただいているので、読み上げていただきたいと思います。

安東最高裁判所長官代理者 委員から御指摘がございました、最高裁判所、昭和四十四年十二月二十四日大法廷判決の判示部分を読み上げます。

  そこで、その許容される限度について考察すると、身体の拘束を受けている被疑者の写真撮影を規定した刑訴法二一八条二項のような場合のほか、次のような場合には、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、警察官による個人の容ぼう等の撮影が許容されるものと解すべきである。すなわち、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときである。このような場合に行なわれる警察官による写真撮影は、その対象の中に、犯人の容ぼう等のほか、犯人の身辺または被写体とされた物件の近くにいたためこれを除外できない状況にある第三者である個人の容ぼう等を含むことになつても、憲法一三条、三五条に違反しないものと解すべきである。

以上でございます。

川内委員 だから、犯罪が行われている若しくは犯罪が行われている直後でなければ、警察であったとしても同意なく写真を撮っちゃだめよというのがこの最高裁の判決ですよね。

 先ほど岩屋大臣は、承諾をしていることは間違いないというふうに、この海上警備計画書についておっしゃられたわけでございますけれども、この海上警備計画書を承諾しているというのは、警備業者が写真を撮ったりリストをつくったりというのをある種知っていた、かかわっていたということになるわけでございますけれども、海上警備計画書はリーガルチェックされましたか。法的な、これは、今、刑集を読んでいただきましたけれども、同意なく撮ると憲法十三条と三十五条に違反するということになるんですよ、最高裁の判決では。リーガルチェックをしたのかどうかということを教えてください。

岩屋国務大臣 防衛省、国が行う事業でございますから、そういうチェックは当然にしておりまして、私どもは適法だと考えております。

 それから、警備事業者が警備に係る現状の把握等の警備の目的の範囲内で行っていることであるというふうに考えておりまして、沖縄防衛局は、海上警備業務に係る契約書の中に個人情報の保護に関する特約条項を付して、個人情報保護の観点からも適切に海上警備業務を実施することといたしております。

 やはり、衝突事故等がもし起これば、反対運動をされている方もあるいは事業者の方も安全を脅かされるおそれがあるわけですから、その安全を確保するという警備の目的の範囲内で行われていることだと承知をしております。

川内委員 いや、だから、何か問題があって写真を撮るということは許容されるのかもしれませんが、何にもないのに、ただ反対運動をしている人の顔写真を撮り、リスト化するというものは、私は法的に大変疑義があるのではないかというふうに言わざるを得ない。

 過去、仲里議員の質問主意書に対する答弁書で「「市民の写真撮影や氏名・顔写真のリスト作成、個人情報の収集、政府への報告」を政府として指示した事実はなく、」というふうに書いてありますけれども、指示はしていないでしょうということは私も言っているわけです。しかし、かかわっていると。

 ここに「市民の写真撮影」という言葉があります。これは逆に、指示してください、同意なく写真を撮るなと。相手方の同意なく写真は撮っちゃだめよ、それは憲法上も疑義があるんだよということを指示をしてください、警備業者に対して。

 私もめっちゃ気分悪いですよ、ただ現地の様子を見に行く、それだけで写真を撮られて。

 要するに、犯罪か、犯罪が行われた直後じゃなきゃ写真撮っちゃだめというのが、捜査機関であってもそういうふうに言われているわけですから。同意なく撮られるというのは、犯罪者扱いされるということですよ。

 それは、警備業者並びに元請の業者とよくよく御相談をいただいて、御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

岩屋国務大臣 先ほども申し上げましたように、沖縄防衛局は、契約書上、個人情報の保護に関する特約条項を付して、個人情報保護の観点から適切に警備を行うようにしているところでございます。

 実際に許可なく埋立工事施行区域への立入りを図ろうとする方も現実にいらっしゃるという中で、やはり安全を確保するため、つまり、警備の目的の範囲内で行われていることだというふうに承知をしております。

川内委員 今まさに個人情報の保護という言葉を大臣お使いになられたわけですけれども、その写真を撮られた方々が、自分が撮られた写真がどうなっているんだろうということで情報公開請求をされた、そうしたらば、その情報公開請求に対して、ちょっと、名前とかを防衛局に報告していることがばれるとまずいので、名前を削除するようにという打合せが行われたという報道などもあるわけですね。

 岩屋大臣は、それに対して、調査するということを御答弁になられたようでありますけれども、その後の経過はいかがですか。

岩屋国務大臣 現在、確認中でございます。しっかり調べなきゃいけないと思っておりますので、まだ確認中でございます。

川内委員 情報公開を求めた対象文書が、名前等が消されて、すなわち改ざんされているとするならば、これもまた大変な問題になるわけで、よくよく御調査をいただきたいというふうに思います。

 そこで、辺野古について、私は、一回立ちどまって、きちんと政策の評価をすべきだと思うんですよ。

 行政機関が行う政策の評価に関する法律というのがあって、その第九条にこんなことが書いてあります。「当該政策に基づく行政上の一連の行為の実施により国民生活若しくは社会経済に相当程度の影響を及ぼすこと又は当該政策がその実現を目指す効果を発揮することができることとなるまでに多額の費用を要することが見込まれること。」、こういう事業に関しては、ちゃんと行政機関がみずから評価しなさいよということがこの法律に書いてあります。

 普天間飛行場代替施設に関しては、稲田防衛大臣がかつて、代替施設が、辺野古ができたとしても普天間が返ってくるかどうかはわかりません、これからのアメリカとの交渉によりますということをおっしゃっている。さらに、きのう岩屋大臣が、幾らかかるかわかりません、沖縄県が言っているほどかかるとは思いませんけれどもね、こうおっしゃる。

 これは、国民の税金を使うわけですから、幾らかかるかわかりません、いろいろな問題があります、さらに、いつまでかかるかわかりません、そして返ってくるかどうかもわかりません、こういう中で、だらだらだらだら国民の皆さんの税金だけ投入されていくというのは、私は、説明責任を果たしているとはとても言いがたい。ここで一度立ちどまって、きちんと政策の評価というものをすべきではないか。

 米軍への提供施設を政策評価している事例も過去にあるようでございますから、大臣のこの政策評価についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。

岩屋国務大臣 御指摘の行政機関が行う政策の評価に関する法律施行令第三条第三号におきましては、事前評価の対象となる政策として、「道路、河川その他の公共の用に供する施設を整備する事業その他の個々の公共的な建設の事業であって十億円以上の費用を要することが見込まれるものの実施を目的とする政策」が掲げられております。

 一般的に、公共の用といった法令用語は、国等が財産等を直接、一般公衆の共同使用にすることをあらわす場合に用いられますが、それからいたしますと、普天間飛行場代替施設は、一般公衆が共同使用する施設とはなりませんので、公共事業の類型には該当せず、御指摘の規定に基づく事前評価の対象にはならないものと考えております。

 一方、行政事業レビューというものは、毎年しっかりなされているわけでございますけれども、これは公表されているのでホームページでごらんいただければと思いますが、最新の平成三十年度のレビューシートの中では、普天間飛行場代替施設の建設事業を含む米軍再編関係経費に基づく事業について、国費投入の必要性、事業の効率性、事業の有効性の観点から点検を行った上で、抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする地元の負担軽減を早期に図るために必要であるとの総合評価がなされているところでございます。

川内委員 行政事業レビューは全体を評価しているわけで、辺野古について私はきちんと特化して政策評価をすべきであると。そうでなければ、このままだとこれは幾らかかるかわからないわけですから。いつまでかかるかもわからない。そして、普天間が返ってくるかどうかもわからない。何にもわからない中で、ただただ国民の皆さんの、いや、岩屋大臣のポケットマネーでやるなら、それは勝手にやってくださいという話ですよ、国民の皆さんの税金を使う事業に関して、何一つ確かなものがない中で、それは、いやいや大丈夫だ大丈夫だというのは、私は、国民に対する説明責任を果たしていることにはとてもならないというふうに御指摘を申し上げておきたいというふうに思います。

 ちょっと、最後五分間で、統計のことをお聞きしたいんだけれども、お配りしている資料の後半部分に、昨年の十二月十日に統計委員会から厚生労働省に宛てた、とどめのメールをつけておきました。全数調査をしていませんねということを指摘したメールでございます。

 この全数調査をしていないということに関して、十二月十日付のメールで、それで十三日に会合が行われるわけですが、十二月十日の時点で、ほぼ総務省統計委員会は、全数調査をしていないということを知るわけですけれども、この情報は、総務省の中で、どのレベルまで共有されましたでしょうか。

石田国務大臣 室内の数名の職員と聞いております。

川内委員 十二月十三日に統計委員長が、それは重大な問題だということを厚労省に指摘をする。そして、実は、十二月十七日、その四日後に統計委員会が開かれております。その統計委員会は、何事もなかったかのように会議が開かれているわけですね。全数調査をしていない、大問題だというようなことが全く議論になっていない。

 そこに、私の大変親しい友達、私、友達が少ないんですけれども、鈴木総務副大臣が統計委員会に御出席になられています。鈴木副大臣は、そのとき、厚労省が毎月勤労統計について全数調査をしていないということを報告を受けていらっしゃいましたか。

鈴木(淳)副大臣 私のもとに報告がありましたのも十二月二十一日でございました。二十一日です。ですから、その時点では知っておりません。

川内委員 これ、大臣が知ったのはいつですか。

石田国務大臣 私も二十一日でございます。

川内委員 結局、十二月十三日に、統計委員会の委員長は、これは重大な問題だ、何じゃこれと厚労省に指摘をして、上に全くどっちの省も上げていないわけですよ。厚労省は大西さんが握る、統計委員会は統計委員長が握る。統計委員会の十二月十七日の会議というのは、正式な会議ですからね。それを、いろんな委員が集まり、いろんな役所が集まり議論する場で、みんなが口を拭って何にも言わない。これは、私、あり得ない話だと思うんですね。

 だから、うがった見方をすれば、統計委員会も実はずっと前に知っていて、厚労省と一緒に口裏合わせをしていたのではないか、そんなことまで勘ぐらざるを得ないんですよ。

 大臣、いかがですか。

石田国務大臣 少し整理して答弁させていただきます。

 平成三十年の十二月十三日の西村統計委員会委員長への説明におきまして、厚生労働省の担当室長から、全数調査とすべき五百人以上の事務所について東京都で抽出調査として実施していたこと、神奈川県、愛知県、大阪府に抽出調査を拡大する計画であることとの発言があった。この場には総務省の職員も同席していたが、この時点では、東京都の五百人以上規模事業所の抽出……(川内委員「それはもう書いてあることなので知っています」と呼ぶ)はい、これは整理ですので……

野田委員長 簡潔にお願いします。

石田国務大臣 抽出率や影響の範囲、程度について皆目わからない状況であったと。(川内委員「はい、わかりました」と呼ぶ)簡単にそれでは申し上げますと、これ以降、内容については、全く、皆目、具体的には総務省として承知をしていなかったということだけは御理解いただきたいと思います。

川内委員 済みません、時間が来てしまったので、中江参考人に一言だけちょっと教えていただきたいんですけれども、麻生大臣の経済財政諮問会議の発言ですね。

 麻生大臣の周辺に、毎月勤労統計の段差について麻生大臣に伝えてねということを中江さんがおっしゃられたのではないかというふうに思うんですけれども、麻生大臣に直接レクしたか、若しくは、麻生大臣の周辺に、麻生大臣の秘書官等に、毎月勤労統計、段差が出るんだよ、これは問題なんだよということを中江秘書官がお伝えになられたのではないかというふうに思うんですけれども、御記憶はありませんでしょうか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 そのようなことを伝えたことはございません。

野田委員長 川内さん、質問時間が終了いたしました。簡潔にお願いします。

川内委員 ありがとうございました。終わらせていただきます。

野田委員長 これにて川内さんの質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。逢坂誠二さん。

逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、姉崎参考人、どうもきょうはありがとうございます。御苦労さまでございます。

 我々は、今回のこの統計の問題に関して、姉崎参考人の役割といいましょうか、いろいろおやりになられてきたことが今回の統計の問題の真相を解き明かすのに非常に大事な鍵を握っている、そう思っておりまして、この間ずっと、姉崎参考人に国会にお越しをいただきたいということをお願い申し上げておりました。

 きょう、それが実現をいたしまして、いろいろお伺いしたいことがあるんですが、これまで国会に来られなかった理由というのは何かあるんでしょうか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 来いというふうに厚生労働省から呼ばれたことがなかったので。

逢坂委員 姉崎参考人、来いと厚生労働省から言われなかったからだと。

 それでは、来ていただきたいと言われれば、実はもっと早く来ることができたという理解でよろしいでしょうか。

姉崎参考人 お答えいたしますけれども、それは国会の御判断でお決めになることでございます。

逢坂委員 そうなんですね。要するに、御本人は、来いと言われれば来て説明するんだ、そういう思いがあったんだと思うんですよ。

 それをとめていたのは誰か。国会の御判断があれば来ると言っているわけですから、とめていたのは、厚生労働省なのかあるいは与党の皆さんなのか。

 もう最近ずっとそうなんです。参考人は出さない、資料は出さない、これの繰り返しでありますから、こんな不毛な議論はやめるべきだと私は思っていますよ。だから、きちんと出すべき資料は出して、証言いただけるものは証言をいただくということをしなければ、本当に国民の貴重な税金が無駄になる、私はそう思います。

 それでは、姉崎参考人、今回の参考人で来るというのは、どなたから連絡がありましたか。

姉崎参考人 お答えいたしますけれども、特に誰かというふうに言われると、ちょっと。大臣官房の方だと思いますけれども。

逢坂委員 ちょっと記憶が定かではない、そのようでありますので。

 それで、姉崎参考人、最近、中江さんとはいつお会いになられましたか。最も直近でお会いになられたというのはいつか、覚えておられますか。

姉崎参考人 お答えいたしますけれども、恐らく、平成二十七年の九月十四日が最後だと思います。

逢坂委員 それで、姉崎参考人、今回の統計の問題が発生してから、主に昨年の十二月というふうに言ってよいと思いますが、それ以降、中江さんとメールとか電話とかでやりとりをした経過というのはございますか、この件について。

 首を横に振りましたので、ないというふうに理解をいたしました。

 それでは、今回、参考人として来るに当たって、事前に厚生労働省と、参考人で行くことが決まる、あるいは決まる前でも構わないんですが、この統計の問題について、何かやりとりをしたり意見を聞かれたということはありますでしょうか。一点は、阿部先生のメールの問題について多分お話を聞かれたというのはあろうかと思いますけれども、それ以外に、何かやりとりをされて、厚生労働省と意思を確認したようなことはありますでしょうか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 今週の半ばからでしょうか、姉崎元部長の考えを聞いてから答弁をしろという国会の質問が出ているのであなたの話を聞かせてくださいと言われてから、連絡がありました。

逢坂委員 その際に、御自身のお考えは述べるということはいいんですけれども、そのやりとりというのは何度もあったんですか、厚生労働省との間で。それは一度だけですか。メールの件と今おっしゃられた件と、その二度だけ。その辺はいかがですか。

姉崎参考人 一度ではなくて、何人かの先生方の、何問ぐらいあるからといって、結構たくさん聞かれたと思います。いろいろと聞かれたと思います。

逢坂委員 私は、基本的に、この予算委員会に、多分一番、財務大臣に次いで長く座っている方だと思うんですよね。財務大臣がずっと座っておられて、私はたまたま打合せで出ざるを得ないことがあるんですが。姉崎さんに聞いて答弁してくれと言った質問は、そんなに数が多かったようには思わないんですけれども。まあ、小川先生はそういう質問をされたというふうには思っていますけれども、そんなにたくさんの質問、あったんですかね。

 私は、別に疑うわけではないんですけれども、姉崎元統計情報部長が来るに当たって、事前にいろいろとすり合わせをしていたのではないかということを疑わざるを得ないですね。

 なぜか。この間、いろいろな参考人の方、来ていただいているんですけれども、でも私は、きょう、姉崎参考人は非常に誠実だと思って、評価をいたしたいんですけれども、この間、みんな、しゃべれないとか記憶がないとかといってやっているものですから、不都合なことはしゃべらないという参考人が非常に多い印象を持っているんです。

 その中で、では、特段何かすり合わせをしてきょうここへ来ているということではないという理解でよろしいですか。首を縦に振っていただきました。ありがとうございます。時間の節約に協力いただきまして、ありがとうございます。

 それでは、次に、中江参考人にお伺いをします。

 今回のこの統計の問題が発生して、中江参考人も、我々、同じように鍵を握るお一人だというふうに理解をしております。この参考人で来ることを前提にしつつ、厚生労働省あるいはそれ以外の霞が関の役所と、この問題について何らかの意見交換あるいは相談、さまざまなことがあろうかと思いますが、それを行っているでしょうか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省の方と私は連絡はしておりません。

 それから、この前、九月十四日に厚労省の方が来たというふうに言っているというのは、官邸経由で聞きました。そういう意味で、官邸からそういう情報をもらったことはございます。

逢坂委員 私はすごくその答弁を聞いて違和感を持ったんですが、官邸からなぜ中江さんのところに、二〇一五年の九月十四日に会っていますよということの連絡が来るんでしょうかね。それは、誰がどのような形で連絡をしたんでしょうか。

中江参考人 ちょっと官邸の上の方にどういうふうに厚労省から入ったかわかりませんけれども、官邸は官邸で、総理の答弁とかというのも集中審議とかであるでしょうから、そういう中で厚労省の人とお話をされて、そういう話があったということじゃないかと思いますが、いずれにせよ、私は、厚労省の方から直接お話は、今回、聞くと必ずそういうふうにいろいろ言われると思いましたので、一切連絡はとっておりません。

逢坂委員 官邸から、今回、二〇一五年の九月十四日に姉崎さんと中江さんが会っているんだということを知らされたということなんだろうと思いますが、それは、中江さんが官邸の方に求めたから来たんですか、それとも、何も求めていないのに連絡が突然入ったということですか。

中江参考人 御答弁がおとといだったと思いますが、その前の日にテレビの放映で、座長のところにメールを送った、そういうような報道があって、そこで、正確に覚えていませんが、委員以外の関係者というのが誰だという話になって、それで、それが私だということを言っておられるような話があったらしいです。

 それで、私は、もちろんそのテレビを見ていませんでしたので、全然そういう話は知りませんでしたけれども、どうもそれが中江元総理秘書官だという話になって、それは厚労省の中でそうなったんだと思うんですが、そういう話があったんだと思うんですが、そのときに、二〇一五年の九月十四日に姉崎元部長と宮野元総括審議官が官邸に行って中江総理秘書官に会ったという話をしているようだ、そういうことを、私は、求めたのではなくて、そういう情報を聞いた。

 それはおととい、たしか、けさ方そういう話を聞きましたというふうに答弁したと思います。

逢坂委員 そこがちょっとよくわからないんですが、それは官邸の誰から、どのような形で連絡があったんでしょうか。いかがですか。

中江参考人 私の後の総理秘書官です。私の後任の総理秘書官を務めている人間から連絡をいただきました。

逢坂委員 それは、携帯電話か何かで連絡があったんですか。伝達の手段を教えていただきたいのと、その総理秘書官から連絡があったときに、どういう意図で、唐突だと思うんですね、突然そういう話が中江さんのところへ来るのは。何か伝える意図のようなことは話されていたでしょうか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 先ほどのテレビの、座長へのメールと言われるものの中に委員以外の関係者というのがあって、それを厚労省の方に、その日の、放映された日か、その日たしか、何か別のニュース媒体にも出ていたとかいう話で、それを委員会の方で厚労省が聞かれている、それで、これは誰だと。

 それで、どうもそれを厚労省の方は中江元総理秘書官だというふうに答弁をするようだということの関係で、そうだとすると、そんな意見を、あそこには意見と書いてありましたが、私は意見とは言っていませんが、その意見というのが中江総理秘書官だということを言っているということは、そういうことを答弁するようだという連絡があって、それの関連で、そういうことを言うのは、九月十四日に官邸に説明に行って、この検討会の件についても話を触れたというようなことを答弁するということだという連絡があって、中江さん、覚えていますかと言われたので、記憶はないというのは電話で話はしました。

 したがいまして、私としては、そういう連絡をいただいたので、思い出して、なおかつ、必ず聞かれますから、どうだった、覚えているかとかいうことを聞かれるので、お答えする準備は頭の中でしていた、そういうことでございます。

逢坂委員 ということは、今の出来事は全て、一昨日の朝ですか、官邸から、中江さんの後任の秘書官から連絡が来た、それは電話かどうかという話はちょっとまだ聞いていませんけれども、連絡が来たと。そのときに、厚生労働省がそのメールに登場している第三者というのは中江さんであるというような答弁をするようだということが伝えられて、中江さんは、九月に会ったことがあるのかないのか、その辺は聞かれたということなんですか、それとも、その辺、もう少し詳しく教えていただけますか。

中江参考人 メールの中の関係者が中江元総理秘書官だと厚労省の人が言っている、それから、同じ日に厚労省のお二人が中江元総理秘書官のところに説明に行っている、その際この検討会のことについても触れたようだ、その二点を私に電話で話してくれたということであります。

逢坂委員 なるほど。ということは、おとついの朝の時点で、官邸の総理秘書官は厚生労働省がどのような答弁をするかを知っていたということなわけですね。なるほど、わかりました。

 それで、中江さん、お手元にたくさん答弁のための資料をお持ちになられておられます。よく答弁のときはそういうものを持つんですけれども、想定問答とかいろいろお持ちになられていると思うんですが、それは誰がおつくりになられましたか。

中江参考人 お答えします。

 いろいろな資料がありますが、議事録とかいっぱい持っていますのであれですが、この答弁は、私の今の職ではなくて前の総理秘書官時代のことですので、私がつくっています。

逢坂委員 全ての今お手持ちの書類は、議事録のコピーとか、あるいは中江さん御自身がおつくりになられたものであり、この資料をおつくりになるに当たって、どなたかと相談をしたとか、どなたかにお願いをして答弁を書いてもらったとか、そういうことはない、全て御自身でやられたということでよろしいですか。

中江参考人 私が答弁すべきことですので、私がつくっているということでございます。

逢坂委員 私が中江さんの立場なら、自分はこういうことで国会に行くことになった、それで、当時のことも余り覚えていないことも多い、少し資料を用意しなきゃならぬかな、いろいろなことを聞かれるだろう、ついてはこの資料とこの資料を誰か用意してくれないかというようなことを、最低限私ならお願いをするような気がするんですけれども、そんなこともせずに、全て御自身で準備をされて、想定問答も自分で全て用意をされたということで、確認ですが、よろしいですね。

中江参考人 基本的にそうです。

 それで、過去の議事録をちょっと調べてもらったりするのは、ちょっとパソコンの操作もありますので、手伝ってもらったことはありますが、答弁なんかは私がしゃべることを書いているということです。

逢坂委員 議事録をとるのは誰かに手伝ってもらった、それから、基本的に自分でやったという説明をされましたけれども、議事録をとるのはどなたに手伝ってもらいましたか。

中江参考人 たしかこれは、二十七年、二〇一五年九月三日の総理答弁の議事録ですので、それはそういう答弁を総理がされていましたから、最後、その議事録自体は、そのときに官邸の秘書官の方からもらったか、ちょっとそこは記憶は曖昧です。

逢坂委員 これも私は、中江さんほどのいわゆる政府高官と言ってよい立場にある方です、税関局長です、過去は総理秘書官もやられていたということですけれども、全くどなたにも手伝ってもらわないで準備をしている、なかなか思いがたいんですけれども。

 それでは、今回の、参考人として国会に来るに当たって、お手元の資料などはいつぐらいから準備を始められましたか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 たしか、先週でしたか、官房長官か総理かが御答弁で、当時、官邸で、この毎勤統計の数字というか、二〇一五年一月の数字について聞いたことがある、誰かが聞いたというような記事が出ていまして、それについて御答弁を用意する際に、当時どういうことだったのかということで、私もその記事を見て、ああ、これはあのころのことだろうなと思って、そのときに、ああ、これは、そういう答弁をされたら、次は私の方に何らかの形で、もちろん今のポストでは答弁はできないわけですが、来る可能性があるので整理をしておこうということで整理して、そこから始めたと思います。

逢坂委員 ちょっと私、不思議に思うんですけれども、中江さんは、二〇一五年のことを非常にクリアに覚えているところもあれば、二〇一五年の九月十四日のところについては余り覚えていないと言って、余りというか記憶にほとんどないといったようなことをおっしゃっておられる。

 先週のことについて、今、非常に口よどんだような言い方をするんですけれども、もう一回改めて聞きますが、議事録をおとりになったのは、誰にお願いしましたか。

中江参考人 そのころに、そのころというのは、そういう記事が出て、官房長官とか総理が、当時の秘書官が話を聞いて問題意識を伝えたという答弁をされたかと思いますが、ですから、その答弁を準備するころですね、官邸の方で。そのときに、私が、いや、こういうことがありましたという話は官邸にお話ししております。ですからそういう答弁になっているわけです。

 それで、私は、お尋ねの議事録については、そのころにそういうことがありまして、いずれ私、総理には、そのころ、どんなやりとりというか、そもそも四年前のことですので、もうその後どうなったかとかは余り覚えていませんでしたので、いろいろ記憶をたどるしかなかったんですが、その三月末に一度、そういう問題意識をお伝えした。

 その後、ちょっと時期は覚えていませんが、厚労省の方から、検討会を設置しますというお話が来たということを思い出して、それで、さらに、一応念のため、このころ、このサンプルの入れかえというのは、何かもうちょっと世の中でオープンになっていて、それをまた私が記憶にないと申し上げて、覚えていないと申し上げて、どこか会議でやっていたとか、あるいは総理が答弁していては、またうそをついていたとかそういうふうに言われては困りますので、それで、総理の答弁でそういうことを言っていたことがあったかなと。

 今、答弁の検索システムというんですか、そういうのがあって、調べるのもそんなに手間暇ではないみたいですので、そういうのをそのころに調べたら、ずっとこの何度か、ここに出ている九月三日の参議院の厚労委員会での総理の答弁があったということで、その議事録をもらったということであります。

逢坂委員 今のお話から、二点、改めてお伺いします。

 検索システムの話をされましたけれども、検索システムを実際に使って議事録を発見したというのは、中江さんなのかどうか。

 それから、今、もらったという話をされましたけれども、それでは、お渡しした、いただいた相手方は誰なのか、教えていただけますか。

中江参考人 余り、若い人ですのでお名前を言うのはあれかと思いますが、当時私が官邸にいたときにいた人間がおりますので、その人間に調べてもらうのが一番ある意味で早いと思いましたので、その人間に頼みました。

 それで、そのときに、そういう一個議事録があるということで、説明は受けた、こんな感じでしたかという話で、実際にそれが、答弁として総理がお話しになられたのが、ちょっと日付は覚えていませんが、そのころに、総理はあしたこういう答弁を、あしたというか、総理はこういう答弁をされるということで、その参考資料としてこの議事録がありますということで官邸の方から送ってもらったことがございます。

逢坂委員 先ほど、中江参考人、官邸と多少やりとりをしたかのような、官邸と連絡をとり合ったかのような答弁をされておられましたけれども、それでは、この統計の問題、昨年の例えば十二月の十三日がある種の起点でありますけれども、そこから現在までの間、議事録をもらうということで官邸とやりとりをしているということ、それからもう一つは、一昨日の朝ですか、官邸から、二〇一五年の九月十四日に姉崎さんと会っているということを教えてもらったということ、この二点以外は官邸との接触はございませんか。官邸若しくは官邸関係者と言うべきでしょうか、あるいは政府関係者と言ってもよいかもしれません、接点はございませんか。何らかの情報のやりとりをしているということはありますか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 まず、いわゆる十五年にわたって統計法に違反していて行われていた統計不正問題について、私は全く、去年の十二月のある時期ですか、初めてわかったときからずっと知らされておりませんで、全く連絡もいただいておりません。私から問い合わせたこともございません。

 それから、この二〇一五年三月の件については、その後、国会答弁の関係で、総理は、サンプル入れかえの話についてはこの問題がたしか起きてから知ったというような御答弁をされたと思いますが、その答弁をする前だったかされた後だったか、ちょっと覚えていませんけれども、中江さんから何かそういうことを総理には御説明されていますかという話があったので、私は、もう私の記憶で、こういう統計の技術的なことなので、二〇一五年の三月の厚労省とのやりとりとか、その後も総理にはこの件は上げていない、報告していないということは申し上げた記憶がありますので、先ほど逢坂委員がおっしゃられた議事録の件と、おとといの件、それから、おとといの、九月十四日に厚労省が来たという件、それと、総理秘書官時代にこのサンプル入れかえの件を総理に上げたことがあるか、説明したことがあるかということについて聞かれたので、私はそれはしていないという回答をした記憶がございます。

逢坂委員 最後の、サンプル入れかえの件で総理に報告をしたことがあるかと聞かれたのは、それは誰に聞かれたんですか。いつ、誰に聞かれたんですか。

中江参考人 明示的なそういう聞かれ方だったか、説明されていませんね、総理にはと言われたか、ちょっとそこは聞かれ方を覚えていませんが、この問題が国会で、私が二〇一五年の三月の末日に厚労省から説明に来てもらって問題意識を伝えたという答弁を官邸の方でされたのが、先週の火曜日ですか、ちょっと済みません、日にちは覚えていませんが、そのころだったと思いますので、そこからそんなに日はたっていなかったころかなとは思います。

逢坂委員 そうですよね。私、おかしいと思うんですが、官房長官も中江さんのことについて答弁しているんですよね、当時の秘書官が問題意識を伝えたんだと。

 ということになると、当然、官房長官と直接ではないにせよ、官邸とある程度のやりとりをしなければ、官邸が独自に、問題意識を伝えたなんということは言えるはずがないと私は思っているんですよ。

 もしそれを勝手に、中江さんの思いを官邸が勝手に言ったとすればそれはそれで問題ですし、私は、事前に多少のやりとりがあった上で、中江さんが私の問題意識をという話をされたんじゃないですか。違うんですか。それは全くされないうちに官房長官が答えたんですか。

中江参考人 総理への質問と官房長官への質問の前後関係、ちょっと私、余り覚えていませんが、実際に国会で御答弁されたのは官房長官の方が先だった記憶があります。

 ですから、その前に新聞記事が出て、二〇一五年一月の入れかえで、数値をさかのぼって下げたか何か、数値が変わったことについて官邸がいろいろ言っているというような記事が出て、それが質問通告にあって、それは官房長官だけではなく官邸ということもありましたので、官邸は、誰だということで、私ですということで、どんなやりとりをしたんだということを申し上げて、こういうことですということを申し上げていますので、それをベースに官房長官のところで答弁の資料をつくられて、それを御答弁されたということでありますので、御指摘のように、答弁の前に官邸に何か情報を提供したんじゃないかということでは、それはそのとおりでございます。

逢坂委員 そうですよね。答弁の前に中江さん自身が官邸に情報提供する、官邸とのある種のやりとりがなければ、あのような答弁はできないはずでありますから。

 中江さん、ここまで来るのに大体三十五分かかっているんですよ。なぜストレートに、私は政府関係者とかいろいろな方と話をされましたかというようなことを先ほど来聞いているんですが、なぜ官邸とやりとりがあったということを最初から言わなかったんですか。

中江参考人 済みません、御通告いただいていなかったので、正確に、間違いのないように御答弁しようと思って、御質問をいただいたことにしっかりと御答弁させていただいていたということでございます。

逢坂委員 私は、御自身のことなので、しかもこれは直近のことですから、通告はあえて必要ないだろうとは思いました。それは大変失礼なことだったかもしれませんが。

 それでは、中江さん、ここでお願いです。

 この間、この問題が発覚してから、昨年の十二月からこれまでの間に、どのような役所とどのようなやりとりをしているか、記憶もいろいろありますでしょうけれども、思い出せる限り思い出して、後で委員会の方へお知らせいただけますでしょうか。

 委員長、いかがですか。

野田委員長 後刻、理事会にて協議します。

逢坂委員 よろしくお願いいたします。

 それで、中江さん、私、どうしても理解できないことがあるんです。

 二〇一五年の三月三十一日に、統計の問題について姉崎さんとやりとりをした、それは個人的な問題意識を伝えたということなんですけれども、個人的な問題意識というのは、これはどういうことなんでしょうか。

 まず、一つお伺いしたいのは、もともと中江さんは、個人的に統計に興味をお持ちだったんでしょうか。

中江参考人 統計に個人的に興味をお持ちだったかどうか。もちろん、私、統計の専門知識とか理論に詳しいわけではありませんけれども、財務省とか金融庁とか、あるいはその他の省庁、霞が関に三十何年おりますし、官邸での勤務もこの前ので二回目でありまして、ある意味でマクロ経済政策にかかわることも多かったということでありますので、いろいろな数字を見るのは、どちらかといえば好きな方だったということだと思います。

逢坂委員 今回の中江さんの個人的な問題意識を二〇一五年の三月三十一日に厚生労働省に伝えるきっかけになったことは何でしょうか。何かがないと、あえて参事官にお願いして厚労省に来てもらおうということはしないと思うんです。しかも、それは公務ではなくて個人的問題意識ですから、官邸で個人的な問題意識を伝えるということそのものも私はどうかなとは思うんですが、まず、そのきっかけというのはどうだったんでしょうか。多分これは答弁を用意されてきているんですよね。

中江参考人 長い答弁を用意していますが、端的に申し上げますと、二〇一五年一月の数字が、調査の対象事業所が入れかわることで、過去三年間のデータも遡及的に改定される、プラスがマイナスになる月も多いということを聞いて、どうしてそうなるのかな、よくわからないなと思って、厚労省のお二人に聞きました。三月三十一日だったと思います。

 それで、そのときに、先方の方から、理由が、全数の、事業所を全部入れかえているからですというような話がありました。

 それで、私は、そんなに過去にさかのぼって大幅に変わっていいのかな、変わるようでは経済の実態というのがタイムリーにあらわされないんじゃないかなというふうに思いまして、どうしてそういうような全数入れかえという方法を採用しているんですかとか、あるいは、ほかの統計でも同じように全数入れかえしているんですかというような疑問を、当時の説明に来られたお二人にしたわけでございます。

 それで、お答えはあったと思いますが、ちょっと詳細な正確なお答えは覚えてもおりませんが、いずれにしても、私、やや、ちょっと、えっ、これ、こんなに変わっていいのかなというので思いましたので、それが本当のきっかけです。

 それで、私はもちろん専門家ではありませんので、専門家の意見も聞いてみて、よくするということ、改善できるということであれば、そういう方策も考えてみられてはどうですかというようなことで問題意識を伝えたということでございます。

逢坂委員 私が聞きたいのは、三月三十一日その日のことではなくて、三月三十一日に至る経過なんです。

 三月三十一日になぜ厚生労働省から話を聞こうと思ったのか。それ以前に毎月勤労統計に関する情報を持っていなければ、それはそういった行動にはつながらないわけです。この点、お伺いをしたいんですが、残念ながらきょうはもう時間がなくなりましたので。

 個人的な問題意識と、ずっとこの言葉を使っておられます。前の委員会のときも、私はこの言葉に違和感があるということを言わせていただきましたが、総理秘書官が個人的な問題意識で官邸の中で各役所を呼んで、いろいろな説明を聞いて、そして、指示ではないけれども個人的な問題意識を伝えたということは、それは個人のレベルにとどまる問題だとは思えません。それは、総理秘書官から個人的な問題意識であれ何であれ伝えられれば、各役所はどんな反応をするか。これは誰しもがわかることだと私は思います。

 私も、短い期間ですけれども官邸におりました。官邸にいるときにやはりそういうことをすれば、各役所がどんな反応をするか、必ず行動するんですよ。だから、そのことは指摘をさせていただきたいと思います。

 最後に一言。

 厚労省、先ほど、一昨日の朝の時点でどんな答弁を厚労省がするかが官邸でわかっていたかのような発言が中江さんからありましたけれども、厚労省は、この委員会での答弁について官邸に逐一お伝えをしているんですか。

野田委員長 逢坂さんの質問時間は終了しております。答弁は簡潔にお願いします。

藤澤政府参考人 大変申しわけございませんが、事前の通告をいただいておりませんので、ちょっとお答えはできないところでございます。

逢坂委員 では、次回は通告をして聞きたいと思います。よろしくお願いします。

野田委員長 これにて逢坂さんの質疑は終了いたしました。

 次に、古川元久さん。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 まず、質疑に先立ちまして、昨晩、北海道胆振地方で起きました地震で被害を受けられた皆様方に心からお見舞い申し上げます。

 この胆振地方は、昨年も大変大きな地震で大変大きな被害が出ました。私も党の災害対策本部長として、現場も伺いました。まだまだその復旧途上の中で、しかも雪も降って、きのう、昨晩なんかの天気予報を聞いていますと、きょうはちょっと気温が上がって雪が解けるんじゃないかと。そうしますと、余震等もあったりしたら、今後、二次災害等も懸念されるところだと思います。

 我々国民民主党は、昨晩、直ちに情報連絡室を立ち上げて、現地の情報というものを把握し、そして必要なことを迅速にとっていくようにまた対応もしたいと思っていますし、また、そうした、政府にも必要があれば申入れをしたいと思っています。

 ぜひ政府におかれましても、こうした今回の胆振地方における地震に対する対応は万全にしていただきたいということをまずお願い申し上げまして、質問に入りたいと思います。

 さて、私は、きょうは、十月から予定されております消費税の引上げについて問いたいと思いますが、このまま今やろうとしていることをやりますと、本当に、マクロ経済的にも、そして生活実感としても大変な混乱が十月以降起きるんじゃないかと懸念をいたしております。そうした懸念をしっかりこの予算委員会の場で確認をして、本当にそれが払拭できるのか、それができないのであれば、やはりそれはそもそもあり方を見直すべきではないか、そのことを問うていきたいと思っています。

 まず、麻生大臣、ちょっと確認ですけれども、リーマン・ショックのような事態が起きた場合には、そういった場合はまた引上げ延期はあり得る、そういうこの間の御答弁だったと思いますが、その認識は今も変わりないということでいいですか。確認だけです。

麻生国務大臣 これは総理もたびたび御答弁をされておられるとおりですけれども、消費税につきましては、よくリーマン・ショックという言葉が使われますけれども、リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、法律で定められたとおり、十月一日から、八%から一〇%ということにさせていただこうと思っております。

古川(元)委員 一般的には十月からなんですけれども、実は四月の一日から、一部、例えば、十月一日以降に引渡しになるような請負契約とか、そういうものは既に一〇%に上がるんですね。

 ですから、もし四月以降にそういうリーマン・ショック級のようなことが起きて延期をするということになると、もう実は一〇%になっちゃっている部分もある。混乱が生じることも予想されるわけでありますが、そういう場合でも、やはりリーマン・ショック級のことが起きれば引上げは延期するということで考えていいんですか。

麻生国務大臣 古川先生、これは、もしとか、たらとか、ればとかいう話になりますので、今のこの段階でこういったことを想定して、五月なら、六月ならというような形で想定しているわけではありません。

 基本的には、そのときになれば、リーマン・ショックというような事態が仮に起きた場合においては、その段階において判断をさせていただければと思っております。

古川(元)委員 判断をするということは、それは引上げもあり得るということですね。

麻生国務大臣 いろいろなことが考えられると思いますので、その状況によって判断するとしか申し上げようがありません。

古川(元)委員 それは、あり得るというふうに認識させていただきたいと思います。

 さて、最近の経済動向を見ますと、どうもこれは、世界経済も、そして日本も、景気のピークを越えて、だんだん下降局面に入りつつあるんじゃないか、そう思われるような兆候が見えているんだと思うんですね。私は、今後、春先以降、景気減速が明らかになってくる可能性というのは高いんじゃないかと思っているんです。

 私がまさに経済財政担当大臣で社会保障・税一体改革の担当をしていたときには、やはり消費税の引上げというのは、景気が下降局面に入ったところで行うと景気の足を引っ張るから、ちゃんと景気が拡大しているところでやらないといけない、そういうふうに答弁していた覚えがあるんです。

 そう考えますと、今後、さっきの大臣のお話、とにかくリーマン・ショック級がないと引上げ延期はないということでありますから、これも確認ですけれども、下降局面に入ったことが春以降明らかになっても今回は予定どおり引き上げる、そういう認識でいいですか。

麻生国務大臣 基本的には、昨日でしたか、内閣府から公表されました月例経済報告の内容を見ますと、企業収益の基調判断については下方修正がされております。内閣府から、昨年の十―十二の上場企業の決算において経常利益が減少ということになって、いわゆる中国の需要の減少といった影響が出ているということが背景にあると聞いておりますが、いずれにいたしましても、今、企業収益が過去最高水準にありますことには……(古川(元)委員「今はね」と呼ぶ)はい、変わりありませんので、引き続き、こういった状況を維持するように最大限の努力をして、好循環の流れというものをきちんと維持させていきたいと思っております。

古川(元)委員 気持ちはそうだと思うんですけれども、茂木大臣、もうわかると思いますけれども、それは、気持ち的には、みんな、景気、ずっと拡大してもらいたいと思いますけれども、景気には波があるんです。当然、山を越えれば、山高ければ谷深しという。聡明な茂木大臣であれば、今の経済の状況がそろそろピークアウトしているというふうに見ても、それは普通じゃないかなと思うんですけれども。

 そこで問いますが、今の話を聞いたら、それは頑張るけれども、しかし、下降になってもそこはやっていくということの認識だと思いますが、その下降になったときに、下降局面に入ったときに、今やろうとしているいろいろな政策がありますね。それによって、景気の下降局面に入っても、そこで消費税を上げても、前から言っていた、従来政府が言っていた、下降局面でやるともっと足を引っ張ることになるから、これは上昇局面でやらなきゃいけないと言っていた、そこの部分は政策によって十分補填ができる、そういう認識ですか。どうですか。

茂木国務大臣 まず、麻生大臣からも今答弁あったように、我が国経済の現状でありますが、景気が緩やかに回復している、この基調判断は変わっておりません。そして、消費、さらには設備投資、堅調であります。ただ、おっしゃるように、中国経済の減速であったりとか海外リスク要因、こういったものは注意をしていく必要があると思っております。

 その上で、今回の消費税引上げに当たっては、前回の経験、これも生かして、あらゆる政策を総動員するということにしておりまして、軽減税率であったり、さらには幼児教育の無償化等、こういった恒久措置をとるということによりまして、経済への影響を二兆円程度に抑制をする。その上で、今回の臨時特別の措置、予算、税含めて二・三兆円程度の措置をとることによりまして、これによりまして、駆け込み需要そして反動減を平準化する、またマクロの需要の下支えを行っていく。こういったことで、今の景気の回復基調、しっかり維持をしていきたいと考えております。

古川(元)委員 繰り返しになりますけれども、それは、気持ちはわかりますけれども、景気がやはり下降局面に入ることはあるわけですよ。だから、今の話を聞いたら、下降局面になった、判断がそういうふうになっても、対策でやっていくということですね。そういうふうに認識させていただきますからね。いいです、いいです、もう答弁は。そこがわかれば。

 次に、今話があった、そういう対策になるんだと言っている軽減税率、麻生大臣と何度もここでもやらせていただきましたけれども、これについて、資料をお配りさせていただいていると思いますから、ぜひちょっと見ていただきながら聞いていきたいと思います。

 細かいところは事務方で結構ですが、大臣にもちょっと飛びますから、そこはよく聞いていてくださいね、大臣。

 これはショッピングセンターを、ここだとわかりやすいので、ちょっと財務省がつくった資料を使わせていただきますけれども、ショッピングセンター内のフードコートとか、外にベンチがあったりしますね、この駐車場の下のあたりに。こういうところで食べるつもりで飲食料品を中のスーパーで買う場合、スーパー側は、この分については、こういうモールの中のフードコートとかあるいはベンチで食べますよ、そういう申出をするような、そういう明示した表示をすれば、一々、買うときに消費者に対して、これはどれか食べるものはありますか、そういうことを聞く必要はないという話になっている。ですから、それは、何も言わなければみんな八%で打つということのようであります。

 だから、逆に言いますと、買い手の方は、中で食べるという意図があるんだったら、これは申告をしないといけないということが求められているわけなんですけれども、この申告をするという行為は、義務的なものなのか、そうじゃないのか、どっちですか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 軽減税率の適用につきましては、まさに販売時点で事業者が確認するということになっておりまして、そういうやり方の中で、具体的に消費者、顧客の方からの意思を確認するというやり方でございまして、顧客側の義務というような観点での整理ではごさいませんで、事業者側が販売時点で行うという整理になっております。

古川(元)委員 では、事業者の方に義務があるということですか。

並木政府参考人 先ほど申し上げたとおり、適用税率の判定は、販売時点で販売事業者が判断するものでございますので……(古川(元)委員「判断、それは義務ですかということ」と呼ぶ)はい。それをやっていただく必要があるということでございます。それに応じて適用が決定されることでございますので、それをやらないとまさに判断ができませんので、事業者にやっていただくことになるものでございます。

古川(元)委員 その義務が、紙だけ張っておけばそれで義務が免除される、そういう理解でいいんですか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの販売事業者の意思確認につきましては、委員御指摘のように、例えば、QアンドAにおきまして、営業実態に応じた意思表示方法、掲示による意思確認といったものを事例としてお示ししているわけでございますけれども、これがなされておれば、今申し上げたような形での意思確認がなされたものとなるものと整理されているところでございます。

古川(元)委員 では、ちょっとまた違うことを聞きます。

 外のベンチ、この場合は、ここでは、その外のベンチは、設置した人が、ショッピングセンターのディベロッパーが設置したという場合ではない、例えば、この前にバス停でもあって、バス停のバスの会社が、待っている人向けにベンチを設置した。まあ、同じベンチですね。

 ただ、私が聞きたいのは、設置者の違いによって、ここの部分を設置した人がディベロッパーであるかあるいは外の人であるか、その場合によって、そこで食べていいかどうか、そこで食べてもいい、そういうことであれば、そこで食べる場合にはこれは八%じゃなくて一〇%になるという話を伺ったんですけれども。

 要は、ベンチの設置者によって対応が違う場合がある、そういう認識でよろしいですか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 軽減税率の適用対象は飲食料品の譲渡とされておりまして、テーブルや椅子等の飲食設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の定義は、食事の提供、外食であるため、標準税率一〇%が適用されることになります。

 この飲食設備とは、テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備をいい、その規模や目的を問わないこととされておりまして、飲食料品を提供する事業者みずからが設置したものに限らず、他の者が設置した設備であっても、当該設備設置者と飲食料品を提供する事業者との間の合意等に基づいてその設備を顧客に利用させることとしている場合は、この飲食設備に該当するという整理になっております。

古川(元)委員 その合意というのは、きのう聞いたら、別に書面でなくても、暗黙の合意でもいいというんですけれども、そういうことでいいんですか、これは。

並木政府参考人 お答えいたします。

 飲食料品を販売する事業者と設備を設置した者との間の合意等については、基本的には契約書等による明示的なものを想定しております。

 他方、例えば、両者の間に明示的な合意がない状況でも、飲食料品を販売する事業者がお客に設備を利用させている実態があって、これについて設備の設置者が黙認して、その飲食料品を販売する事業者がその場所を管理、支配しているといった場合においては、今委員のお話があったとおり、黙示の合意等があるというふうに考えまして、適用になるという整理でございます。

古川(元)委員 となると、適用になるかどうかということは、結局それは、何かあったときに、税務署が行って、そこで判断によって、場合によっては暗黙の黙示があったというふうに見られる場合もあるということですね、明示的に排除しておかないと。そういうことでいいですか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げたとおり、両者の間に明示的な合意がない状況で、先ほど申し上げたような状況がある場合には、合意等があると考えております。(古川(元)委員「いや、だから、それを判断するのは税務署の認識ということですね。税務署の解釈ということになるということですね」と呼ぶ)

 とりあえず、まさに合意等があるということを前提に、事業者側で外食か否かの判断をしていただくことになるということでございます。

古川(元)委員 何かよくわからない答弁なんですけれども。

 では、もうちょっと別のことを聞きます。

 この中にセルフレジというのがありますね。最近ふえていますよね。セルフレジの場合には、これは自分で、中で食べるものについては一〇%、そして、そうじゃない、持っていくものについては八%、いわば自分で、レジで選択を迫るということになると聞いたんですね。それでいいですか、これは。

並木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来申し上げていますとおり、適用税率の判定は、販売事業者が販売時点で判断するものでございます。

 このため、飲食設備があるスーパーにおいては、飲食料品を販売する際、顧客に対しては、店内飲食一〇%か、持ち帰り八%の意思確認を行うなどの方法で判定していただくことになります。

 御指摘のセルフレジにおきましても、例えば、セルフレジに顧客が店内飲食か持ち帰りかを選択するためのボタンを設けて、顧客がこのボタンを押す方法などによりまして意思確認を行っていただくことになるものと考えております。

古川(元)委員 財務大臣、どうです。これは何か、良心のテストをされるんじゃないかという気がしているんですよね。委員長、どうですか。主婦なんか、私なんか、子供のころを思いますと、おふくろなんかは、とにかく、チラシを見て、一円でも安いところということで、そういうところを回って、スーパーで特価で買ってくる、そういうのが普通の庶民なんですよ。

 そういうところからすると、目の前に誰もいない、このボタン、中で食べるんだけれども、中で食べると押しちゃうと一〇%分払わなきゃいけない。でも、持ち帰りだという八%を押せば八%で済む。どうですか、そこで八%を押したら、おまえはそれはけしからぬと言われるんじゃないかと、すごく真面目な人は逆に悩んじゃうんじゃないかと思うんですよね。

 そういう、いわば何か良心のテストみたいなことを求めることになるのは、何かおかしいと思いませんか、大臣。どうですか。

麻生国務大臣 良心のテスト。安い方がいいからという話なんだと思いますけれども。

 この軽減税率制度が導入されております欧州でも、ヨーロッパの場合ですけれども、この適用税率の線引きの問題というのを取り上げるケースというのは確かにあったんですけれども、税務当局によって、具体的な例の公示などによって制度として定着しておりまして、結構それなりに、まあしかし、国名を挙げると問題が起きますが、国によって、いろいろその国の、お釣りを絶対ごまかさない日本とか、お釣りは大体あめ玉ぐらいで終わっちゃったりなんかするようなところもありますので、そういった意味では、いろいろあるんだとは思いますけれども、少なくとも制度として定着して、円滑に運営をされているというのは現実です、もう数十年続いていますので。

 こういった例を参考にしながら、今後とも軽減税率というものの周知、広報というものに全力を尽くしていかないかぬと思っておりますけれども、少々時間がかかって、今のような問題が出てくる点がないわけではありませんけれども、私自身としては、少なくとも、こういった、良心に関係なく、やはりきちんとして、八なら八、一〇なら一〇を押す、私ならそう思っております。

古川(元)委員 それは麻生財閥の方は、麻生大臣はそれこそ、別に、持ち帰りのものを一〇%を押していただいたって結構だと思うんですけれども。でも、やはり普通の庶民からしたら、その二%の違いというのを、結構そこを求めるというのは私は酷な話じゃないかと思うんですよね。実際にそういうことがやはり起きてしまうんじゃないかと思うんですよ。

 これにかかわらず、では、もう少し別の視点から言いますけれども、これは事務方で結構ですが、今、外国人がどんどんふえているわけですよね。日本語がわからない人は、多分、掲示を見たってよくわからないんだと思うんです。レジを見ても、私もセルフレジをやったことがありますけれども、余りいろいろな外国語で書いてあるという感じじゃないですからね。

 そうすると、何か、こっちをやったら八か、こっちは一〇だといったら、当然、税率が安い方を押すという外国人が出てくるんじゃないかと思うんですけれどもね。

 日本語のわからない外国人向けには申出してくださいと言いますけれども、例えば、その掲示が読めない、書いてあることがわからない。だから、外国人は実質的に、中で食べていても全部八%、そうなっちゃうんじゃないかと思うんですが、どうですか、これは。

並木政府参考人 お答えいたします。

 外国人に対しましても、販売時に意思確認を行っていただく、この点については変わりはございません。

 そういう意味では、例えば小売店などにおきましては、英語による掲示などによってさまざまな外国語対応をしているような事業者がございます。これと同様、具体的な意思確認の方法については、事業者の実態に応じて適切に御対応いただければというふうに考えておるところでございます。

古川(元)委員 でも、英語の読めない外国人はたくさんいるんですよ。いろいろな国の人が来ていて、じゃ、全ての外国人に対応できるように全部書けということですか。どうなんですか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたとおり、具体的な意思確認の方法については、まさに事業者の実態に応じてということであろうかと思いますので、来られるお客様の国籍あるいは使われる言語等に適切に御対応いただければというふうに考えておるところでございます。

古川(元)委員 要は、事業者の責任でやれということですよ。これは本当に、事業者からしたらたまったもんじゃないですよ。

 これはまた、前にも大臣に聞きましたけれども、この間、いろいろな方々も聞いていると思いますけれども、結局、自分は中で食べるといって食べているところで、テークアウトの、明らかにそういうバッグを持った人が隣に座って食べ始めた。これはおかしいじゃないかといって店員にクレームをつける客は必ずいると思うんですよね。

 そのときに、私、これはきのう聞きましたら、店側はどう対応したらいいんだと言ったら、いや、もうそれは販売の時点で終わっておりますと。だから、販売の時点で持ち帰るとおっしゃられたので、それは八%なんです、そう答えるんだと言いましたが、それで答えて納得してくれますかね。ふざけるなという話になるんじゃないかと思うんですけれどもね。

 その後のことは、会計が終わった後のことはもう税法の世界じゃありませんとか言っていましたけれども、こんなものを入れておいて、後は店で対応してくださいというのは全くおかしいと思うんですけれども、ここはどう対応するんですか、国税庁。

並木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来申し上げていますとおり、適用税率の判定は、その販売時点で販売事業者が判断するものでございます。このため、飲食設備があるファストフード店等におきましては、飲食料品を販売する際、顧客に対して店内で飲食するか持ち帰るかの意思を確認することなどにより、適用税率を判定したこととなります。

 したがいまして、事業者の方には、みずからの責任において、しっかりと、営業の実態に応じて適切に顧客の意思を確認するなどによって適正に税率を判定する必要があることを十分認識していただいて、準備、対応を進めていただきたいと考えております。

 そうした準備の一環として、例えば、イートイン、テークアウトを同一価格にするといった対応を検討される事業者もおられるというふうに考えております。

 そうした準備を行うことや、消費者の制度に関する理解を進めることによって、まずは御指摘のようなトラブルを回避することが大切であろうというふうに考えております。

 それでもなおそうしたトラブルが生じた場合等の点につきましては、消費税法のもとでは、適用税率の判定を販売者が、繰り返しになりますけれども、販売時点で行うこととされておりますことから、これからも、事業者が顧客との間で円滑に意思確認等を行うことができるよう、QアンドA等において、例えば、営業実態に応じた意思確認方法、掲示による意思確認などの事例について、事業者の現場での対応の参考としていただけるよう、引き続き、周知、広報にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

古川(元)委員 大臣、聞いていて、大臣も事業をやっていますから、こんなことを言われたら無責任だと思いませんか。どうですか、そういう経営もやっている立場から見て。後のことの、トラブルがあったら、役所に言われて、お国に言われてやったことでクレームを言われたら、その対応は事業者で適切にやってくださいと、これは経営者だったらどう思いますか、大臣。

麻生国務大臣 今いろいろ御質問があるのは言葉の話でしたけれども、海外で、では、英語のできない国で英語しかやっていない、こういった軽減税率というようなところもいっぱいあると思いますけれども、それらの国で、説明がないのを全部ベトナム語に直してくれたか、日本語に訳してくれたかなんということは一回もありませんので。全部が全部、英語でやるだけでも、日本語にしてみれば、結構丁寧な話をしているんだと思います。

 いずれにしても、きちんとした対応は個人個人に責任を負ってやっていただくというのがまず基本ですし、売る場合のときの責任は、売った人の場合はその場において判断をされるということになろうかと思いますので、その隣のお客からごちゃごちゃ言われたら、その人にしてみれば、いやいやと言いながらも、やはり何となく、それによって少なからぬ良心の呵責もあるだろうし、ああ、これはやばいことをしているなというような、二%ごまかしているんだという自分の意識があるでしょうから、そういったものに期待をするという部分は多い。

 それが、政府はもっと責任を負うべきかと言われれば、それはちょっといかがなものかと思います。

古川(元)委員 大臣、さっきからヨーロッパ、ヨーロッパと言いますけれども、ヨーロッパは結構いいかげんなんですよ。ある種、社会としていいかげんなところを許している。ただ、日本は、そういう意味でいうと、きちっきちっと今までも消費税をやってきたんですよ。それをここで、いいかげんなことを許す、大ざっぱでいい、そういうふうに転換する、そういうことですか、大臣。

麻生国務大臣 いや、むしろ逆で、そういった意味で、基本的に、隣の普通の人たちが、普通の対応をきちんとやっている人たちが、おかしいんじゃないかというような意識がどんどん出てくるということの方が大事だと思っております。

古川(元)委員 ちょっと大臣には、びっくりした答弁ですけれども。本当に、今これを聞いている現場の人がいたら、もう唖然とすると思いますよ。こんなことを、入れてくれと言ってもいないのに入れて、混乱が起きる。

 それで、さっきの並木次長の話の中で、どうも、こういうトラブルを避けるためなら、要は、同じ価格にしてください、テークアウトとイートイン、中で食べるのも同じ価格にすれば問題ないですと。だから、これは、国税庁としては、同じ価格にすることを、混乱したくないと思えば、同じ価格にしてください、そういうのを勧めている、そういう認識でいいんですか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来申し上げていますとおり、その販売時点で販売事業者が判断する意思確認の方法の一つとして例示をお示ししたものでございます。

古川(元)委員 でも、それが混乱しないという。私が経営者だったらそう考えますよ、そんなトラブルは嫌だと。

 ただ、その場合に、ではどうするかといったら、普通は、それは安い方に合わせるかといったら、当然これはかかわってくるわけですから、では店内と同じ形にしようということになって、要は、テークアウトも店内で食べるのと同じ値段。つまり、言ってみれば、単純に言えば、二%上がるということになるわけですよね。

 これは、宮腰大臣に来ていただきましたけれども、ちゃんとこの国税庁の資料に、合理的な理由があれば、そうやってテークアウトとイートインの値段を一緒にしてもいいんだと。この合理的な理由というのに、今私が申し上げたような、要は、混乱が生じて、お客さんの間で、何だ違うじゃないかとかそういうことで、今役所の人が言ったみたいに、いや、それは事業者でやってくださいと言われるんだったら、そういう混乱を起こさないためには、価格は一緒です、持ち帰ろうと中であろうと同じ。

 そういう、混乱を避けるためというので統一価格にする、それは便乗値上げに当たらない合理的な理由だというふうに判断していいですか。

宮腰国務大臣 便乗値上げに当たるかどうかという御質問でありますが、異なる税率が適用される状況下においてどのような価格設定を行うかは、一般に事業者の経営判断によると考えております。

 その上で、消費者の混乱をできるだけ回避しつつ、事業者にとっても簡便な方法で決済を行うための一つの方策として、それぞれの税込みの販売価格を同一として、テークアウトの税抜きの本体価格をイートインの価格よりも高く設定することも考えられます。

 便乗値上げとは、合理的な理由なく、税率上昇に見合った幅以上の値上げをすることと考えておりまして、このため、御指摘の例が便乗値上げに当たるかどうかは一概には判断できませんが、合理的な範囲内で消費者の利便性確保のために同一価格とすること自体は許容されているものというふうに考えております。

古川(元)委員 これはきのうも聞いたんですけれども、一概にはということは、では、場合によっては便乗値上げというふうにそれは判断される可能性もあり得るということですか、大臣。

宮腰国務大臣 平成三十年五月のガイドラインにおきまして……(古川(元)委員「いや、もう一言でいいので。それはあり得るかどうか」と呼ぶ)例えば、配送料のコスト分を上乗せするとか……(古川(元)委員「いや、違う」と呼ぶ)

野田委員長 古川さん、答弁を聞いてから、指名しますから再質問してください。

宮腰国務大臣 それから、包装容器等のコストを上乗せするとかいうことは合理的な範囲内に該当するのではないかと思います。

古川(元)委員 私が最初に聞いたのはそうじゃなくて、要するに、トラブルを避けたい、だから同じ値段にする、それは合理的な理由に当たるかどうかという、それを聞いているんです。

宮腰国務大臣 基本的には経営判断ということではあると思うんですけれども、合理的な範囲内であれば便乗値上げには該当しないということになろうと思います。

古川(元)委員 だから、それが、もう何度も聞きませんけれども、同じことしか答弁しないと思いますから。要は、混乱が起こることを避ける、そのために同じ値段にするということは合理的な理由なのかどうかということをきのうから聞いているんですけれども、はっきり言わないんですよ。それは、そうみなされるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。そうじゃないかもしれなかったら、後から上げて便乗値上げだと言われたら、たまらないですよ。だから、この辺、ちゃんときちんとしてもらわないと、本当に現場は混乱しますよ。

 軽減税率は、私は今でも、とにかくやめるべきだと思っています、こんな愚策は。とにかく、現場が大変な混乱をする。もう一回、法律は通っていますけれども、私は、これは見直すべきだ、やめるべきだと強く申し上げたいと思います。

 次に、ポイント還元にいきたいと思いますが、世耕大臣、お待たせしました。

 世耕大臣、けさの午前中にも、大串議員だったかの中で、要は、消費税の引上げに伴って、今回は値引きセールとかいろいろやっていいよとなっているから、大企業はやるだろうと。だから、その大企業がやるのについていけない中小企業に支援するという意味で中小企業対策だというのがポイント還元だというんですけれども。

 しかし、大臣の耳には入っていると思いますけれども、実際に今起きようとしているのは何かといったら、中小企業がみんなポイント還元で、五%ポイント還元で引下げをやるから、だから大企業もみんな追随せざるを得ない。実際には、いわば政府が意図したのと逆のことが起きようとしているんだと思うんですけれども、そういう認識はありますか、大臣。

世耕国務大臣 一部大手を中心とするスーパーマーケットの業界団体は反対の意見表明をされているということは認識をしております。

 しかし、我々は、今回、ガイドラインを改定したことによって、やはり大企業、大手を中心に、当然、セールやポイント還元といったことはやられるというふうに思っておりますので、それにしっかり中小・小規模事業者の小売店等もキャッチアップできるように支援をしていく必要があるというふうに考えています。

古川(元)委員 いや、僕は、賛成か反対かと聞いているんじゃないんですよ。これをやると言ったことによって、大手はもうみんな、ある種そういうセールをやろう、値引きあるいはポイント還元をやろう、そういう流れになっているんです。だから、これをやると言わなければ、そんなにみんながやるという感じじゃないと思いますけれども、これは本末転倒になっているんですよ。これをやることによって、大手がみんなそういうセールに入ろうとしている。

 それで、大企業の場合は自腹でやってくださいということですよね。自腹で九カ月もセールをやることをある意味強要されるんです。それはやめてもいいよということになるのかもしれませんけれども、中小企業の方は、政府の支援で来年の六月まで、これは五%還元が行われる。力のあるところは、ずっとそれに合わせてやるでしょう。そうすると、だんだん苦しくなってくるところもあると思うんですよね。

 これは、ある程度は消費を、消費税引上げの状況の中で喚起して、消費税の引上げによる影響を緩和することになるかもしれませんけれども、マクロで考えてみたら、値引きを超える売上げ増がなければ、その企業でいけば逆に収益が圧迫されることになって、それはやはりマクロ経済にも悪影響、また、この審議の中でも出ていますけれども、やはりデフレの要因になっていくんじゃないかと思いますが、そういう認識はありますか。どうですか、大臣。

世耕国務大臣 我々は、このポイント還元ということによって、まず一つは、消費税を上げる前後における駆け込み需要と反動減、これをしっかり防いでいきたいというふうに思います。

 もう一つは、先ほどから御指摘のあるように、世界経済が先行き不透明な中で、やはり消費の喚起策としてしっかりとこのポイント還元を活用していきたいと思いますし、また、これをキャッシュレスに限定することによって、日本が世界からおくれているキャッシュレス化ということをしっかり進めて、小売業の生産性を高めていくということも極めて重要だというふうに思います。

 デフレになるかならないかということでありますけれども、やはりセールとかポイント還元というのは、例えば大企業がやる場合は、自分の資金によって、自分の経営判断でやるべきだというふうに思っておりまして、当然、我々は下請いじめなんということは認めないわけでありますから、例えばそのセールとかポイント還元を大企業がやることによって、下請事業者等がしわ寄せを受けて適正な価格転嫁ができないというようなことは防がなければいけないし、そういうことはやってはいけないというルールであります。

 ということで、デフレを喚起するという認識は持っておりません。

古川(元)委員 質問に簡潔にお答えいただきたいんですけれども。

 でも、今大臣いみじくも言ったけれども、平準化ということであれば、要するに、大企業にもみんな、消費税の引上げ時に応じて、ある種セールをやってもらいたいという気持ちがあるわけでしょう。そういうことでしょう。それは結局、そのことで続ければ、それはその分だけ企業収益の圧迫にはなりますよね。今言ったように、下請にそのツケを回すなということであれば、それはやるところが自分で自腹を切るということになるんですから、収益の圧迫要因になる、そこの認識はありますよね。

茂木国務大臣 まず、デフレの問題でありますけれども、基本的には、需給において、供給側がふえてしまって値段を下げざるを得ない状況から起こるわけであって、ですから、個々の企業がそれぞれの経営判断でさまざまな価格設定をする、それによってデフレが起こったという事例は、過去には私はないと思います。

 それから、先ほどの話を聞いていても、いろいろなケースを想定していただくことはいいんだと思うんですけれども、例えばイートインにするかどうするかという……(古川(元)委員「大臣、ちょっと、聞いていない話をおっしゃらないでください。時間がないですから」と呼ぶ)

野田委員長 茂木大臣、簡潔に答弁さしあげてください。

茂木国務大臣 店として、例えば列ができちゃうよりは同じ値段の方がいいという、いろいろな総合的な判断で価格設定というのは行うんだと思います。

古川(元)委員 委員長、僕は世耕大臣に聞いたのであって、それは、もう時間が限られた中ですし、やめていただきたいと思います。

 時間が限られていますから、もう少し聞きたいと思いますけれども。

 今回のポイント還元の中小企業の定義、これは、今、聞くところによると、まだ決まっていないですよね。資本金と、そして売上高という話も聞いているんですけれども。

 これは、売上高でやると、どこで線引きしても、やはりそこは何でという、ちゃんとそこの合理的な説明はきちんと出すときには出さないと、その境界線前後のところ、特に売上げなんというのは企業によって、境界線前後だったら、その年の売上げがたまたま大きいとかそういうことで、九カ月間も補助金がもらえるかもらえないかと変わってくるわけですから。そういった意味では、これはちゃんとそのときには説明が必要だと思いますし、そういうちゃんと説明できるような基準設定にするかどうかということと、中小企業の定義には、資本金要件もありますけれども、従業員数五十人以下という従業員要件もあるんですよね。

 従業員の要件というものも、たくさん従業員がいるところは、資本金が小さくたって、事実上は大企業と同じような営業をやっているところが多いわけでありまして、この従業員の要件を入れる予定はあるのか、従業員が五十人以下、そういう要件を使う予定はあるのかどうか。簡潔にお答えください。

世耕国務大臣 支援する中小企業の範囲については、原則として中小企業基本法の定義を使っていくということになりますので、小売業については、中小企業の要件というのは、資本金又は出資の総額が五千万円以下か従業員が五十人以下のいずれかを満たすことということになっていますので、五十人以下で中小企業という判断はあり得るというふうに思っております。

古川(元)委員 だから、両方の、ここが又はになっているんだけれども、これはやはり絞っていく、かつという考えはないんですか、そこは。

世耕国務大臣 これは中小企業基本法の定義で又はとなっていますので、まずはこれを適用させていただく。その上で、どう誰が見ても、これは売上げも非常に大きくて大企業じゃないか、たまたまその会社の成り立ちの歴史上、資本金が過少資本になっているというものについては、これは、過去、中小企業に対する、例えば租税特例措置を適用するときなんかも使われているいろいろな手法がありますから、そういったことも参考にしながら線を引いていきたいというふうに思っています。

 線を引くと、当然、その上と下の人で不満、満足が出たりするんですけれども、これは、中小企業の支援策をやるときには、やはりどこかで線は引かなければいけないということは御理解いただきたいと思います。

古川(元)委員 これもいろいろな問題が、やはり決めた後、起きると思うんですね。

 また、時間がなくなってきたので最後聞きたいと思いますけれども、ネットショッピングが今どんどん広がっているわけなんです。ネットのそういう業者に店を出しているのが中小企業であれば、ポイント還元の対象になると聞きました。

 ただ、ネットでも、一番最大大手はアマゾンですよね。アマゾンが直接売っているものもあれば、出品者という形で出している。聞きますと、そうするとその場合も、出品者が中小企業であれば、これは五%ポイントの還元の対象になるというお話を聞きましたが。これでも、いわゆるコンビニなどのフランチャイズ、そういうところは、いわばブランドを使っているという意味で、五%じゃなくて二%のポイント還元なんですよね。そういう意味でいうと、アマゾンに出店するというのは、ある種フランチャイズと極めて似ているんじゃないか。

 ほかのネット業者のところのどこどこに出していますというのとは、アマゾンのとはやはり質的に、消費者から見たら、これはコンビニなんかと同じようではないかと思うんです。しかし、それでも、アマゾンの場合も、その出品している事業者が中小企業ということになれば、これはやはり五%還元ということになるという認識でいいんですか、大臣。

世耕国務大臣 いわゆるフランチャイズチェーンというのは、一般に、フランチャイズ本部というのがあって、その傘下の店舗が本部の経営ノウハウなどの指導や援助を受けて事業を行う、そしてその見返りとして一定の対価を支払う関係を指すわけであります。

 アマゾンなどのいわゆるエレクトリックコマースのモールは、一般的に、その傘下に入って、いわゆる経営のノウハウなど指導や支援を受ける関係だというふうには言えないわけでありまして、我々としては、フランチャイズチェーンには該当しないというふうに考えています。

 したがって、今回の制度等の対象となる、いわゆるECのモールに出店をしている中小・小規模事業者については、一般的な中小・小規模事業者と同様、五%の還元率が適用されることになると考えています。

古川(元)委員 時間が来ましたので終わりますが、もう一回、本当に、軽減税率とこのポイント還元、現場に大変な混乱をもたらして、また、マクロ経済的にも、私は大きな足かせになってくるんじゃないか、そのことを強く警告申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

野田委員長 これにて古川さんの質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一さん。

後藤(祐)委員 国民民主党の後藤祐一でございます。

 おとといに引き続いて質疑をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、けさ八時ごろ、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに着陸に成功したという世界的な快挙がなされました。JAXAは、私の選挙区でもあります相模原にありまして、実は、JAXAがあるのはお隣のもとむら賢太郎さんのところなんですけれども、大変近くでございます。

 直径六メートルの場所へのピンポイントタッチダウンということだそうでございまして、これは、一部報道によりますと、NASAから、後で直径六メートルにどうやったらおりられるのか教えてほしいとNASAに言われたということなんだそうです、財務大臣。これは日本人としても大変な誉れじゃないですか。

 そこで、財務大臣に、ちょっとこれは通告がないんですがお聞きしたいと思いますけれども、この「はやぶさ2」の偉業は、これまでの長年の宇宙開発に携わってこられた皆様の御努力の結果だと思いますし、長年の宇宙開発あるいは科学技術の予算の蓄積でもあると思うんです。

 ぜひ、将来の子供たちの希望のためにも、宇宙開発、科学技術の予算をしっかりとこれからも確保していただくよう、財務大臣としての今回の偉業についての御感想と決意をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 あなたの話が、全て言ったことが本当だったという前提に立って答弁します。違っているかもしらぬからね。

 全て今あなたの話が本当だったとしたら、これは大したものだよね。これは本当に、六メーターというのは、ちょっとすごいよ。だから、そういったのは、それはちょっと大したものなんだと思います。

 やはり、これまで大きな有人ロケット等々のものに比べて、日本のは何だという話は随分あったんですけれども、そういった中でも、ずっと、少しずつ少しずつ、JAXAに限らず、文科省の科学技術とか、種子島ロケットとかいろいろなものを、まあ、額としては大きなまとまったものがなかったので、ちょこちょこちょこちょこ、こんなものをやり続けるべきではないとかいろいろな御意見があったんですけれども、やはりこの科学技術というものは、今後とも日本にとって大事な資本、資産になり得ると思っていましたので、引き続き、これは最初に、あれは小野田さんがJAXAの会長になったころから、ずっと支援がはっきりし始めたんだと思いますけれども、やり続けてよかったなと今正直、実感を言えというんだったら、最初にやらせていただいたあのころに比べて、十年たちましたけれども、よかったなというのが正直な実感です。

後藤(祐)委員 ぜひこれからも、温かい、長期的な御支援をお願いしたいと思います。

 それでは、統計問題について質疑をしたいと思います。

 けさ、午前中の小川淳也委員への姉崎元部長の答弁の中で、総入れかえ方式も部分入れかえ方式も両方検討するというような整理にしようというふうに私が決めてという御発言があって、総理秘書官の示唆が大きな原因になったか、それは違いますといったような御発言がございました。

 二〇一五年の九月十四日に総理秘書官の示唆があって、両方検討というような整理にしようと、私、すなわち姉崎部長が決めるに当たっての原因になったかどうか。これは、きょう、これからじっくりと聞いていきたいと思いますが、この原因になったかどうかは別として、まず、この九月十四日昼過ぎに中江総理秘書官に姉崎部長が会った際、中江秘書官から示唆があったと受けとめておられるということでよろしいんでしょうか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 九月十四日の午後に御説明に行きましたけれども、その際に、六月のボーナスの状況等について説明に行ったときに、検討会のことについても触れ、そのときに検討の状況について簡単に触れたんですけれども、総理秘書官からは、コストの問題というよりも、経済の実態をタイムリーにあらわす、そういう観点から、部分入れかえ方式という考え方もあるのではないかというお話がありまして、私はコメントというふうに受けとめました。

 先ほどもちょっと言いましたけれども、三月の三十一日の日に行ったときも、そのとき、部分入れかえとはおっしゃっていませんけれども、趣旨は同じような趣旨なのかなというふうに受けとめました。

後藤(祐)委員 午前中は、総理秘書官の示唆という言葉を使っていますが、示唆じゃないんですか。コメントにまた下がっちゃったんですか。

姉崎参考人 お答えします。

 済みません、なるべく、どの先生方に聞かれても同じように答えられるようにメモを自分でつくったつもりだったんですけれども、示唆と言ったら、そうかもしれません。申しわけありません。

後藤(祐)委員 総理秘書官から姉崎部長に示唆があったことが明らかになりました。

 中江総理秘書官は覚えていないわけですから、これは示唆があったということなんでしょうね。これは非常に重要な答弁だと思います。

 ただ、先ほどの、両方検討という整理にしようと決めたのは、本来はこれは、検討会は阿部座長がやっているわけですから、阿部座長が各検討会の委員の方々の御意見を踏まえて決めるべき立場ですよね。何で、事務方である、確かに事務方のトップだと思いますが、姉崎部長が、私が決めたなんですか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 私が決めたというか、検討会は、検討会の統計情報部長の役割は、有識者の参集を求めて、私は、開催、主催をする立場なわけですけれども、委員の皆さんの意見は当然聞くわけですけれども、役所としての考え方というのも述べた上で、それで委員の皆さんと議論した上で、では、これで決めましょうということでありますので。

 第六回で、中間的な整理のところで、両方とも検討していきましょうということ、直前になってしまいましたけれども、修正いたしましたけれども、それについては委員の皆様も特に異論はなく、一応それでまとまったということでありまして、私が決めたというか、当たり前ですけれども、検討会の皆さんの意見で、これでよいということで決まったということであります。

後藤(祐)委員 本当ですか。きょうの日経新聞では、この座長の阿部氏が、「第六回会合の直前に電話でも省職員と話したとし、「「結論は決めず(厚労省に)フリーハンドを与えてほしい」と言われた」」と証言しています。

 座長が本来決めるんですよ。フリーハンドを下さいと厚労省に、これは姉崎部長ではないかもしれませんけれども、厚労省の担当者に言われたと。

 姉崎部長が決めたんじゃないんですか。阿部座長がそう言っているんじゃないですか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 ちょっとその電話のやりとりというのを私は承知しておりませんので、よくわからないのですけれども、フリーハンドというか、第五回目のときまでは、総入れかえ方式、当面というような形だったんですけれども、中間的整理におきましては、「サンプルの入れ替え方法については、引き続き検討する」ということで、一番最後のまとめのところに、私が申し上げましたけれども、総入れかえ方式と部分入れかえ方式と両方とも検討したい。それはなぜかというと、十一月以降の統計委員会における委員の感触というのを確認をしないうちになかなか決め打ちはできないなというふうに思ったので、やはりちょっとここは両論的に整理をしようというふうに自分で考え、検討会に諮って、委員の皆様方もそうだねということで、了解を得たということでございます。

後藤(祐)委員 最後のところは違いますよ。だって、第六回の会合の前にですもの。第六回の会合へどんな資料をかけるか、第六回にかける資料に、両論踏まえた検討というものが書いたもの、それをかけることになるわけですよ。

 皆さんのお手元にも資料を配付しておりますけれども、二ページ目ですね。第五回の検討会の資料から、第六回の中間的整理では、「サンプルの入れ替え方法については、引き続き検討することとする。」という、全然違う結論を、これは第六回の検討会が始まる前にこの資料はできているわけですから、その資料をつくる過程で、阿部座長がフリーハンドを与えてほしいと言われたと言っているんですから、今の答弁は違いますよ。訂正してください。

姉崎参考人 お答えいたします。

 報告書の修文につきましては、私の記憶では、十一日の金曜日か十四日の月曜日に、担当の補佐に修文をしてくださいということをお願いして、それで……(発言する者あり)口頭でだと思います。口頭で担当の補佐に申し上げ……

野田委員長 姉崎さん、質問者にだけ答弁してください。

姉崎参考人 済みません。

 それで、担当の補佐が、阿部座長とかほかの委員の方にも調整をして、それで座長の了解も得たので、では、案文はこういう案文にしましょうということをその前日の十五日までに固めて、それで十六日にこの案を出したということになります。

後藤(祐)委員 姉崎部長が全部仕切ってやっていたということなわけですよ。だって、阿部座長がそう言っているんですから、フリーハンドをくれと厚労省に言われたと明確に言っているわけですから。

 今、姉崎部長は、各委員の意見を聞いたみたいなことを言っていますけれども、どの回のどなたの意見のことですか。つまり、お手元の資料の、第六回検討会資料、中間的整理の、「このため、サンプルの入れ替え方法については、引き続き検討することとする。」この記述になった原因は何かといったときに、先ほどの話だと、我々は中江秘書官だと思っていますよ、中江秘書官の示唆が原因だと思っていますよ。でも、姉崎部長はそうでないと言っているわけですから、もし委員の意見なんだとすれば、第六回じゃなくて第五回の検討会での意見じゃないとおかしいですよね。どなたのどういう意見ですか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 第五回目の議事録ですけれども、私が印刷したやつでは六ページになっています。

 樋田委員ですけれども、正確なデータをタイムリーに知るためには、ローテーションサンプリングという方法があります、部分的にでも入れかえをすれば、ギャップが完全に解消しなくても、それだけ早い時期により正確な情報をとり得るわけです、ですから、ギャップがあるからあるいはギャップが残ってしまうからというのではなくて、より正確なデータをとるためには、このような方法もあるのだという見方も必要ですというふうに樋田先生が言って、それで阿部座長が、そこはちゃんと修文してくださいというふうにおっしゃったので、私は、やはり、正確な統計データをとるためには、部分入れかえというのも、コストだけの話ではなくて、重要な指摘であるというふうに考えた次第でございます。

後藤(祐)委員 今部長が言ったのは、お手元の九ページ目、これはこの前も私、おととい、パネルで立てたんですけれども、この部分ですね。姉崎部長も九ページ目を見ていただけますか。阿部座長が、「そこは修文をお願いします。」と樋田委員の発言を踏まえて言っていますけれども、この「そこ」というのはどこですか。阿部座長に確認した上でお答えくださいと通告しています。どこですか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 「そこ」というのは、今申し上げました樋田委員の、より正確なデータをとるためにはローテーションサンプルというこういう方法がある、そういうことを「そこ」というふうに阿部座長はおっしゃったかと思います。

 私は今……(後藤(祐)委員「中間的整理の中でどこを変えるか」と呼ぶ)

野田委員長 ちょっと、先に答弁して。

姉崎参考人 それで、阿部座長の確認なんですが、私は今民間に行っている立場なものですから、阿部座長の確認はちょっと御容赦いただければというふうに思います。

後藤(祐)委員 配付資料の二ページ目を、姉崎部長、見ていただきたいんですが、第五回検討用資料の、これはざっくりとした部分があって、この中のどこかの部分を変えて第六回の中間的整理になるんですが、「そこは修文をお願いします。」修文ですから。第五回の検討会で配付されていた資料のどこかの部分を修文するんですから。発言じゃないですよ。

 この第五回検討用資料のどこかの部分を修文するよう阿部座長は言ったんですよね。どの部分ですか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 文書の修正は、多分、実務は全て担当の課長補佐がやっていたので、私は直接やっていなかったので、はっきり言うとよくわからないところもあるのですけれども、第六回目にお示しをしているこの中間的整理案ですけれども、これの十ページのところの三番の「中間的整理」「(2)定期的なサンプルの入れ替え方法」の二行目、「また、ギャップの縮減により結果的に精度の向上に貢献する可能性もあることから、」という文言を、今までなかったものを追加で入れたということだと思います。

後藤(祐)委員 つまり、この最後の「現在の総入れ替え方式で行うことが適当である。」という部分を「引き続き検討」に変えるという意味ではないということですね。そこじゃないところを変えるということだったわけですね。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 ですから、部分入れかえ方式も結果的に精度の向上に貢献する可能性があるというふうに記入をして、すごく肯定的に評価をしたので、それなので、ここのところも、部分も、全部入れかえも両方とも検討するということで、セットでというか、こちらの方もこのように修正をさせていただいたということです。

後藤(祐)委員 つまり、この第五回の樋田委員の九ページの発言で、二ページ目の第五回検討用資料の一番下のところ、「当面、」「二十九年一月の入れ替え時には、現在の総入れ替え方式で行うことが適当である。」という部分を修文するようにと阿部座長は言ったというふうに理解しているということですか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 阿部座長の修文は、先ほど言いました樋田委員の発言のところを修正をしろというふうに言っただけで、ここのところを「引き続き検討する」というふうに修正をしろというふうに阿部先生がおっしゃったわけではないというふうに思います。

後藤(祐)委員 そうなんですよ。だとすると、この第五回の検討用資料の一番下の「現在の総入れ替え方式で行うことが適当である。」を第六回で「引き続き検討することとする。」というふうに変えるための意見は、一体、誰が言ったんですか、さっきの質問に戻りますけれども。この樋田さんの発言じゃないじゃないですか。どなたの委員の発言で、この両論の「引き続き検討」になったんですか。最初の答弁が間違っているじゃないですか。答弁をし直してくださいよ。

 最初、だって、何でこの「引き続き検討」になったんですか、どの意見の発言でそうなったんですかと聞いたら、樋田さんの意見だと言って、でも、聞いていったら、そうじゃないじゃないですか。最初の答弁を修正してくださいよ。そして、修正して、どなたの委員のどの意見がこの「引き続き検討」につながったのか、もう一回答弁してくださいよ。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 今申しましたけれども、第五回目の会議で、樋田委員から、部分入れかえ方式も有用であるという今の御指摘がありまして、阿部座長からも、そこは修文をしなさいという御発言があったので、ここは尊重をするということにしようと。

 それから、先ほど……(後藤(祐)委員「ごめんなさい、質問に答えてください。質問に答えていないです」と呼ぶ)これから答えようとしています。

 それから、未諮問基幹統計の確認作業が、先ほど、十一月以降にあるというふうに申し上げましたけれども、そこで検討会のことについて説明するに当たりまして、選択肢を持つというか、統計委員会における委員の意見というか感触を聞く前に、サンプルの入れかえについても断定的な結論をここでばっと先に出してしまうのはどうかなというふうに思いましたので……(後藤(祐)委員「そんなことは聞いていないです」と呼ぶ)

野田委員長 後藤さんもちょっと静かにしていてください。

姉崎参考人 それで、樋田先生の御発言、阿部先生も、そこはちゃんと直してねということがあったものですから、そうしたら、ここは部分入れかえと総入れかえと両方検討するということにしようと私が判断をして、そのように修正をしましょうということを担当の課長補佐に言って、そして阿部先生に、私は見ていないんですけれども、メールでやったということになっていますけれども、阿部先生も、それは、要するに異論がなく、御了解をいただいて、それで十六日の検討会にはこういう案文で出たということです。

後藤(祐)委員 質問に答えてください。

 この第五回検討会資料の最後の二行が第六回中間的整理の最後の二行に変わった、その根拠となる、第五回検討会でのどなたの意見のどの部分ですかと聞いた。これは三回目です。全然関係ないことを答えています。

 これから後の統計委員会がどうとかは関係ないですよ。どの委員のどの発言かを聞いているんです。それで、一回答えたのが違ったわけですよ。答えてください。

 もし、どなたの意見でもないんだとすると、いよいよ中江総理秘書官の示唆がこれをさせたということになってくるじゃないですか。だから、ここは大事なんですよ。お答えください。

野田委員長 厚生労働省姉崎元統計情報部長、明確に後藤さんの質問に答弁してください。

姉崎参考人 私の説明がちょっと悪いのか、私は先ほどからちゃんと言っている……(後藤(祐)委員「第五回の議事録の中から答えてください」と呼ぶ)済みません。

 ですから、第五回の議事録の、私の打ち出しでは六ページになりますけれども、先ほど読み上げました樋田委員の、ローテーションサンプリングの方法については……(後藤(祐)委員「だから、そこはそうじゃないと答えたじゃない」と呼ぶ)

野田委員長 ちょっと後藤さん、とりあえず答弁を聞いてから。

姉崎参考人 できるだけ早い時期に正確な情報をとり得るから、これはいいという肯定的な意見があって、それで阿部先生も、そこは修文しろということは、その意見はいい意見だからそういうふうに入れてくださいというふうにおっしゃった……(後藤(祐)委員「でも、そこじゃないと答えたじゃない、さっき」と呼ぶ)

野田委員長 後藤さん、お気持ちはわかるけれども、混同してしまうので、まずきちっと答弁を聞いてから、指名しますから。

 では、姉崎さん、もう一回しっかり、簡潔に、後藤さんの質問の趣旨がわかっていらっしゃると思うので、お願いします。

姉崎参考人 第五回の会議のときに、樋田委員から、部分入れかえ方式についても有用であるという意見があり、阿部先生も、そこは修文をしましょうという御意見がありましたので、これは、先生方皆さん、部分入れかえ方式を否定しているわけではないということでありましたので、十一月以降の統計委員会のことを考えると、部分入れかえも総入れかえも両方とも検討するということで残しておいた方がいいと思い、修文をしたということであります。

後藤(祐)委員 だから、それが九ページ目の「正確なデータをタイムリーに知るためには、」云々というところだとさっき答えたんですよ。

 ところが、じゃ、それで二ページ目で言うところの結論の二行が変わったんですかと聞いたら、そうじゃないと答えたんですよ。言っていることが矛盾しているじゃないですか。

 ちょっとこれは答弁になっていないですよ。最初の答弁を訂正するのかどうかがよくわからないですよ。

 要は、もう一回、議場の皆さんも、二ページ目の第五回検討用資料の最後の二行が、第六回、中間的整理の最後の二行に変わったんですよ。それが、中江秘書官の示唆によるものか、委員の意見によるものかを今聞いているわけです。

 委員の意見によるものだとすれば、第五回のどなたのどの発言なんですかと聞いたら、九ページ目の第五回の樋田委員の意見だと言うから、じゃ、この意見、樋田さんの意見で引き続き検討することになるというふうに変わったんですかと聞いたら、そうじゃないと答えたから。そうじゃないと答えたんですよ。何言っているんですかという話なんですよ。

 もう一回聞きます。

 第五回検討用資料の最後の二行が、第六回、中間的整理の、「このため、サンプルの入れ替え方法については、引き続き検討することとする。」と変わった。この根拠となる、原因となる委員の発言は、第五回の議事録の中でどこですか。九ページ目の樋田委員のこの部分ですか。あるいは、その他の部分であるならば、議事録の中からここですと言ってください。

姉崎参考人 御説明いたします。

 私の説明が悪いのか、申しわけございませんが、先ほど申し上げた樋田委員の発言を受けて、この中間的整理案ですけれども、「定期的なサンプルの入れ替え方法」のところで、ギャップの縮減により結果的に精度の向上に貢献する可能性があるということで、肯定的な評価をここに入れて、そうすると、肯定的に書いてあるにもかかわらずこれはやらないよということにはならないので、ここをこういうふうに書いたら、ここのところでは、否定する意見ではなくて、部分入れかえも総入れかえも両方とも検討するということなので、ある意味では、ここで肯定的な評価をしたら、ここで否定はできないので、両方とも引き続き検討するというふうに修文をしたということであります。

後藤(祐)委員 では、九ページ目の樋田委員のこの発言で、二ページ目の第六回、中間的整理の「引き続き検討」になったんですか。これは最初に私、聞いたんですよ、すごく前のところで。そうじゃないと言うから今やっているんだけれども、二ページ目の「引き続き検討」になったんですか、この樋田委員の発言で。

姉崎参考人 お答えいたします。

 先ほど、ちょっとどういうふうに言ったかあれですけれども、樋田委員がここを引き続き検討しろと言ったから直したという意味、そういう意味ですかというふうに私は受けとめたので、樋田委員がここを引き続き検討するようにしなさいと言ったわけではないので……(後藤(祐)委員「違う。阿部座長の修文の場所ですよ、だから」と呼ぶ)

 いずれにしても、先ほどの、樋田委員はここを修文しろと言ったわけではないので、違いますということで申し上げたんです。

後藤(祐)委員 皆さん、九ページ目を見てください。樋田委員の発言の後、阿部座長は、「そこは修文をお願いします。」と。「そこ」とはどこですかと、一番最初に私、聞いたんですよ。見てください、九ページ目を。それを見ていないから、また混乱するんですよ。

 九ページ目の樋田委員の発言の後、阿部座長、「そこは修文をお願いします。」の「そこ」というのは、一番問題になっている二ページ目の中間的整理の最後の部分、二行のことですかと私は聞いているんです。まず、それを答えてください、さっき違うと言ったから。

姉崎参考人 お答えいたします。

 私の理解では、阿部先生が「そこは修文をお願いします。」というふうに言ったのは、樋田先生の、ローテーションサンプリングという方法は、要するに、正確なデータをタイムリーに知るためにはこういう方法があるということの見方も必要だというふうに樋田先生が言っているので、そういう肯定的な意見を、要するに文章を入れておいてくれというふうに私は理解をしたということです。

後藤(祐)委員 厚労大臣にお願いします。

 阿部座長に確認して、九ページ目の樋田委員の発言を受けて阿部座長は「そこは修文をお願いします。」と言っていますから、この「そこ」とはどこですかということを阿部座長に確認の上、この委員会に提出してください。お約束いただけますか、大臣。

藤澤政府参考人 ただいまの御指摘について、阿部先生に後で確認をしたいと思います。

後藤(祐)委員 もう実は確認して知っているんじゃないですか、藤澤統括官。知っているなら答えてください。

藤澤政府参考人 阿部先生に確認をしてお答えをしたいと思います。

後藤(祐)委員 ちゃんと阿部座長に確認していただきたいと思います。きょうの日経を読めばかなりわかると思いますが。

 さて、九月十四日問題に行きたいと思います。

 きのう配られた小川淳也委員への答弁書、配付資料の四ページ目になりますけれども、こちらで、研究会報告に関する当時の電子ファイルを確認したところ、九月十四日十四時〇一分のファイルではこう、二十二時三十三分時点では、「引き続き検討することとする。」というのが更新されていたとあります。

 この「引き続き検討することとする。」というのが初めて入ったのは、この間の何時何分ですか。これは通告してありますので、お答えください。

藤澤政府参考人 十四時〇一分の時点の記載と、それから二十二時三十三分の記載がございます。

 それで、御質問は、この十四時〇一分から二十二時三十三分までの間のどこで、「部分入れ替え方式に移行しても、ギャップの補正が必要になるのであれば、当該方式を採用する合理性は低いとの意見もある。」それから、「サンプルの入れ替え方法については、引き続き検討することとする。」という記載が入ったのはその間のどこかという御質問だと理解をさせていただいておりますけれども、その間のどこかの時点で書きかえられたものと考えられますが、その時点がどこかというのは断言はできません。

後藤(祐)委員 これはきのうの小川先生と同じじゃないですか。ここでとまっちゃったわけです、きのうは。でも、コンピューターを調べたら出てきたじゃないですか。同じことを私は要求しているんですよ。コンピューターを調べれば、これはわかるんですよ。

 きのうこれは明確に文書で通告していますから、お答えください。出てくるまで待ちますよ。お答えください。

藤澤政府参考人 十四時〇一分に一度保存をされて、その次に同じ文書が保存をされましたのが二十二時三十三分でございます。その間にこの書きかえが行われているわけでございますが、保存された時点の間のどこで書きかえされたかはわかりません。

後藤(祐)委員 そうしますと、少なくともファイルの保存は十四時〇一分から二十二時三十三分まで一度もなされていない、つまり、保存されたファイルとしては二十二時三十三分が、初めて「引き続き検討することとする。」という言葉が入ったということでよろしいですか。

藤澤政府参考人 保存をされた時点は、十四時〇一分、その次が二十二時三十三分でございます。(後藤(祐)委員「質問に答えてください」と呼ぶ)

野田委員長 では、後藤さん、もう一度質問してあげてください。お願いします。

 厚生労働省の方、ちゃんと聞いていてくださいよ。

後藤(祐)委員 ちゃんと。単純なことを聞いているんですから。しかも、文字で完全にきのう通告しているんですよ。

 「引き続き検討することとする。」という記述が入った、初めて保存されたファイルというのは、二十二時三十三分ですか。

藤澤政府参考人 初めて「引き続き検討することとする。」という文言が加わったファイルの保存日時は、九月十四日の二十二時三十三分であると承知しております。

後藤(祐)委員 最初からなぜそう答えないんですか、通告しているのに。これは悪質な時間稼ぎですよ。

 委員長、ちょっと注意していただけますか。

野田委員長 厚生労働省、そういうことなので、しっかり、気をつけてください。

後藤(祐)委員 きょうの日経の五面、先ほどの阿部座長の記事ですが、これをよく読むと、写真の下のところですね、「阿部氏は第六回会合の直前に電話でも省職員と話したとし、」とあるんです。メールが来ただけじゃないんです。電話が来たと言っているんです。

 この九月十四日に阿部座長に電話したのはどなたですか。課長補佐一人がメール調査の対象だったとおっしゃっていますから、手計補佐ですか。これも通告しています。

野田委員長 厚生労働省藤澤政策統括官、答弁できますか。

藤澤政府参考人 事前の通告では、姉崎元部長にお聞きになるということで聞いておりましたので、こちらではちょっと把握をしておりません。

後藤(祐)委員 姉崎さんに通告したかもしれません。

 では、姉崎さんに聞きたいと思いますが、阿部座長に、九月十四日、電話したのは手計補佐ですか。そして、それは何時ごろですか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 阿部先生とのやりとりは、多分、担当の補佐が全てやっていたというふうに思いますので、担当の補佐かと思います。

 やりとりの状況は私は聞いていないので、時間とかはわかりません。担当の課長補佐がやっていたというふうに思います。

後藤(祐)委員 手計補佐以外に担当の課長補佐はいるんですか。

姉崎参考人 いません。

後藤(祐)委員 担当の課長補佐イコール手計補佐ですから、では、手計補佐、やはり来ていただかないとわからないですね。

 これは私、要求しているんですが、はねられてしまっているので、この手計補佐、参考人招致をお願いしたいと思います。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

後藤(祐)委員 委員の意見が、この第六回の、皆さんのお手元の資料の二ページ目、最後の二行のところ、「検討」という言葉になったかと思いきや、そうじゃなかった。中江総理秘書官に会って、示唆を受けた。総理秘書官は否定しておりますけれども。しかも、中江総理秘書官に姉崎部長が会ったのは、九月十四日の午後早い時間。そして、この「検討」という言葉が入ったのは、少なくとも保存されたのは九月十四日の二十二時過ぎ。

 因果関係は明らかじゃないですか。九月十四日の午後早い時間に姉崎部長は中江総理秘書官に会って、何らかの話をされて、そこは答弁がありました。そして、少なくともその日の夜十時過ぎにこの「検討」というところが、ファイルが保存された。これに因果関係がないと何で言い切れるんですか、姉崎部長。

姉崎参考人 お答えいたします。

 私の記憶の限りでは、修正の指示は、十一日の金曜日か十四日の早いうちに担当の補佐に口頭で指示をしたというふうに思っておりまして、その修正を指示した後の具体的な文書、それから阿部先生といつどういうやりとりをしたか、要は、電話なのか、メールなのか、そういうことをその後全然聞いておりませんので、どの時間帯に彼が作業していたかというのは私は承知をしておりませんので、そこは、申しわけありませんが、わかりません。

後藤(祐)委員 その修正の指示は、この「引き続き検討することとする。」という、これを書けという指示を具体的にしていたんですか、十一日なり十四日の朝の段階で。

姉崎参考人 お答えいたします。

 先ほどの樋田委員のことと、それから十一月以降の統計委員会の審議のことを考えて、引き続き検討するというふうな表現の原案にして、それで検討会に臨もう、原案はこういうことにしようということを私が手計補佐に言いました。

後藤(祐)委員 そのあらかじめ指示の内容に、「引き続き検討することとする。」という言葉を入れろというのも、あらかじめの指示に具体的に入っていたんですか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 十一日か十四日に指示したときに、そういうように指示をいたしました。

後藤(祐)委員 そうすると、中江総理秘書官のところに行ったときにどういうお話をしたんですか。この検討会の方向性について、引き続き検討することとするという方向でやろうと思うという上げ方をしたんですか。どういう上げ方をしたんですか、姉崎さん。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 ボーナスの状況等について説明に行ったときに、まとめが近かったので検討会のことにも触れたというふうに思うというふうに先ほど申しましたけれども、検討会では、あえてコストとか手間をかけて部分入れかえにするよりも総入れかえ方式、そういう意見も多かったけれども、樋田委員のように、部分入れかえも有益であるというような意見もあった、そういうようなことを申し上げた。

 それで、紙とかを私は持っていっていなくて、こういう結論になるというお話はしていない。なぜかというと、その前に私は指示をして、補佐が文章を委員と調整していたので、まだ、十六日にならないと結論の方向が出ないので、それなので持っていっていないし、結論の方向も言いませんでした。

後藤(祐)委員 そうすると、中江総理秘書官のところに行ったときには結論の方向は出さずに説明した。今、明確な答弁がありました。そして、中江秘書官からは示唆を受けているわけです。明確じゃないですか。明確じゃないですか、あらかじめ引き続き検討という方向を決めて中江総理秘書官を、こうやりますからとただ報告するという形ではなくて、その方向性は示さないで中江秘書官に説明に行ったんですから。そして、中江秘書官は示唆をしたんですよね。

 ちなみに、そのとき、中江秘書官、ちょっと怒っていたりするんじゃないですか。三月三十一日にお会いしたときと九月十四日にお会いしたとき、中江総理秘書官がおかんむりだった、怒っていた、そんな感じがあったかどうか、それぞれお答えください。

姉崎参考人 お答えいたします。

 特に覚えていないので、怒られたりはしていないというふうに思います。

 九月十四日のときの総理秘書官の言葉は、先ほどちょっとどなたかの先生のときにお答えをしたかもしれませんけれども、三月三十一日に行ったときの問題意識と基本的には同じようなことをおっしゃったというふうに思います。

 実は、私自身も若いころから経済分析等をやっていて、統計のユーザーという立場からすると、三年置きとかに全部数字が変わってしまうこういう統計というのは、きのうまでのは、分析していたのにどうなっちゃうんだよ、これというのがあって、私も、これはという問題意識を持っていたので。

 ですから、もっと言うと、総理秘書官からいただいた示唆というかコメントというのは、基本的に私が思っていることと別に変わらないものだというふうに、それなので私はコメントとして受けとめたのであって、特に指示をされたわけではないというふうに認識をしているということなんです。

後藤(祐)委員 根本大臣に、最後、伺いたいと思います。

 九月十四日の昼過ぎに姉崎部長が中江総理秘書官のところに行ったときには、どういう方向性ということを説明しないで情報を伝えた。そして、示唆を受けた。その示唆は姉崎さんが説明しているとおりです。それは、部分見直しの方がいいという示唆ですよ。そして、その日の夜、この検討会の中間的整理は、「引き続き検討することとする。」となった。これでも、大臣、官邸の影響は全くないと言い切れますか。この中間的整理の「引き続き検討する」ということに至った結論、官邸の影響はないと言い切れますか、大臣。

根本国務大臣 私、ずっと聞いていましたけれども、そのときの担当の姉崎部長の答弁、私はそのとおりだなと思って聞いていました。担当しているんですから、担当者が言っているのが、私はそれが真理だと思います。

後藤(祐)委員 官邸の影響は全くないと言い切れますか、大臣。言い切ってください。

根本国務大臣 それは、今のやりとりを聞いていて、これが私は事実だと思いますよ。

 ですから、私は、厚生労働省の、まあ、四年前の話だけれども、姉崎部長があそこまでおっしゃっているんだから、姉崎部長の判断であの修文をして、そしてそれを阿部委員長も委員の皆さんも、第六回に、その中間整理の段階で議論して、それで異論なく了承されているわけですから、姉崎部長の言っているとおりだと思います。

後藤(祐)委員 官邸の影響は全くないと言い切れないんです。

 ところが、大臣は、十九日の記者会見で、官邸の影響は全くないと断言しているんですよ、記者会見で。十九日には断言しているんですよ。でも、きょうは言い切れない。これがどういう意味を持つかは、ぜひこれから追及を続けたいと思います。

 ありがとうございました。

野田委員長 これにて後藤さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介さん。

大西(健)委員 国民民主党の大西健介です。

 本日は予算委員会での質疑の機会を賜りましたことに、渡辺周理事を始め同僚議員の皆さんに感謝を申し上げたいというふうに思います。

 けさ八時半ですけれども、毎勤統計の平成三十年十二月分、それから平成三十年分の確報が公表になりました。

 まず、このことについてお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、この平成三十年分確報というのを見ますと、名目賃金の前年比というのはプラス一・四%ということになっているんですけれども、まず根本大臣にお聞きをしたいんですけれども、この一・四という数字は、景気指標としての賃金の変化率と言えるのか、それとも言えないのか。言えるか言えないか、端的にお答えいただきたいと思います。

根本国務大臣 毎月勤労統計で、もう既に何度もお話をしておりますが、労働者全体の賃金水準をあらわすのは毎月勤労統計の本系列、そして、あくまでも参考値ですが、景気の振れなどを見るのは、参考値も参考値として我々提供をしております。

大西(健)委員 もう一度明確に答えていただきたいんですけれども、この一・四というのは参考値じゃないんです。ですから、これは景気指標をあらわすものではないですよねということを聞いているんですけれども。

根本国務大臣 この一・四というのは本系列で、全体の労働者の賃金を見るのは本系列ですから、水準を見るのは。これは、その意味では、統計の本系列の数字であります。

大西(健)委員 なかなかちゃんと答えてくれないのであれなんですけれども、確かにそれは本系列の数字なんです。何回もこの委員会とかでも議論をされているように、景気指標を見る上では、本系列じゃなくて、共通事業所の方で見た方がいい、これが共通の、もう政府見解としても出ています。

 それから、もう一つ言うと、きのう総務委員会で我が党の稲富委員が質問して、改めて総務省にただしたんですけれども、何回も問題になっている、昨年六月の景気指標としての名目賃金伸び率は、本系列の二・八で見るべきじゃなくて、共通事業所系列の一・四で見るのが正しいんですよねということを言って、きのう、総務省もそれを、そうですと。二・八じゃなくて、去年の六月でいえば一・四の方を、景気指標としてはこっちを見るべきなんですということを言っているんですね。

 ということでいうと、さっきから言っていますけれども、この一・四というのは本系列の方ですから、景気指標としての賃金変化率は共通事業所系列で見なきゃいけないんですけれども、それでは、平成三十年分の、その通しの事業所系列の数字というのはどこにあるんですか、どこを見ればわかるんですか。

根本国務大臣 景気指標としては、参考値をどうして出しているかというと、月々の動きを迅速に見るために、参考値ということも共通事業所系列ということで見ましょうねということでそれを出しているんですよ。でも、それは月々の振れを見る、その意味では、景気指標、景気判断にとっては、その判断材料として、これはためになりますから、それを見ている。

 ただ、共通事業所系列というのは、これはあくまでも参考値ですから。しかも、全体の労働者の賃金水準をあらわす、これは本来は本系列ですから、その意味では、月々の共通事業所系列を年で平均するということは、そこは出しておりません。いろいろな課題がありますので、そこは月々の動きを見るのが参考値としての共通事業所系列ですから、これは統計的にいろいろな課題があるものですから、年平均というものは出しておりません。

大西(健)委員 一番聞きたかったのは最後のところ、年平均というのは出ていないんです。

 ですから、きょう出た一・四というのは、これは本系列の方の名目賃金の伸びですけれども、同一事業所のものは出ていないんですよ。出ていないんだけれども、何回も言うように、景気指標としての変化率を見るためにはこの同一事業所の方を見なきゃいけないということがこれまでの議論の結論なわけですから、それについて、景気指標を見るためには同一事業所を見なきゃいけないということもどこにも書かれていなくて、そして参考値の方の年平均の数字はどこにも載っていなくてこの一・四だけを発表するというのは、結局、国民を惑わすことになると思いませんか、大臣。

根本国務大臣 景気指標として見る共通事業所の数字、これは月々の動きを見るから景気指標になっているんだと私は考えます。

 ですから、年平均ということで見るのであれば、それは、本来、毎月統計の本系列の本来の狙いである全労働者の賃金の水準を見るのは本系列ですから、そこは当然年平均も出している、これは当然のことだと思います。

 そして、その旨の統計の読み方、そういうものについては、毎勤統計はこういうことで参考値も示しています、そういう情報は提供させていただいております。

大西(健)委員 繰り返しになりますけれども、ですから、年平均の方は出ていないわけですよ、事業所系列の方は。私はそれを早く出してほしいと、我々もずっと言ってきているわけですけれども、もう一つ、三十年分の確報の方で、じゃ、実質賃金はどうなっているんだということになると、これは確報の方では前年比プラス〇・二ということになっているわけですね。

 でも、これは事業所系列で見ると、あるいはこれまで議論されてきたように、サンプル入れかえだとかベンチマーク更新の影響で上振れしている可能性が大なので、これはマイナスになる可能性が高いんじゃないですか、こちらの方も。プラス〇・二じゃなくて、マイナスになる可能性が高いと。この点についても、以前、厚労省が答弁をしていますけれども、傾向としてはそのような状況が出ると思う、こういうふうに答弁しているんです。

 平成三十年分の確報が出たので、改めて大臣に問いますけれども、確報では本系列ではプラス〇・二ということになっていますけれども、これをまさに景気指標として重視すべき同一事業所でやれば、プラスではなくてマイナスになる可能性が高い、これはお認めになりますか。

根本国務大臣 統計をつくる側からすれば、具体的な統計の内容は示しますけれども、しかし、それをどうユーザーが判断されるか、ユーザーが加工するか。これは、私は、今の話を聞いていると、やはりこの間いろいろな議論をしていましたが、統計をユーザーという視点で見るか、ユーザーはいろいろ我々の出した統計をいろいろな加工をする、判断をする、これは私はユーザーの視点だと思います。

 そして、統計をつくるという側からいえば、このつくる統計がどういう意味を持つのかということを、やはりそこをきちんと判断して示さないと、私はそこは、そこの統計をつくる側の視点で私は答えているということであります。

大西(健)委員 そういうことを聞いているんじゃなくて、だって、大臣、きょう、まさに厚労省は、毎勤統計の実質賃金の集計に関する有識者検討会ですか、きょうから始めたんでしょう。始めたということは、そこで何らかの数字を出してくるわけじゃないですか。出た結果、平成三十年の実質賃金は、今はプラス〇・二というふうに出ているけれども、マイナスになる可能性があるんじゃないですか、マイナスになる可能性があるということを認めますねということを聞いているんですけれども。

根本国務大臣 私の答弁は、統計をつくる側からの答弁であります。

 そして、今、検討会をつくりました。なぜかというと、共通事業所の、共通事業所にはいろいろな、例えば、実質化をする、あるいは年平均を出す、あるいは指数化をする、こういうことについては、共通事業所について、本系列と比較した共通事業所の集計値の特性はどういうことか、あるいは共通事業所の賃金の集計値の指数化をめぐる論点、課題、こういうものがある、あるいは共通事業所の賃金の対前年比の実質化をめぐる論点、いろいろな課題、論点があるものですから、ここは統計の専門家に分析し、整理していただこうということで、あの検討会をスタートさせました。

大西(健)委員 以前もちゃんと認めているんですよ、厚労省は、傾向としてはそのような状況が出ると思うと。

 つまり、プラス〇・二ではなくて、プラスじゃなくて、これはマイナスの世界になる可能性があるんじゃないですか。ないんですか、絶対ないんですか。ないんですか。検討会で出してきた数字がマイナスになることはないんですか。平成三十年分が、今は実質賃金がプラス〇・二、これは本系列の方だけでは出ていますけれども、共通事業所、以前の調査手法との比べ方を今検討会で検討しているわけですけれども、それが出た結果、このプラス〇・二がマイナスになることは絶対ないんですか。

根本国務大臣 共通事業所の系列をどういうふうに見るか、私はいろいろな判断があると思います。

 そして、誤解ないように言わせていただければ……(大西(健)委員「マイナスになることはないんですかだけ答えてください」と呼ぶ)そこはいろいろな見方が。ただ、私は今、統計をつくる立場から答弁を申し上げているから、ユーザーの視点でいろいろな判断がある。それはユーザーの視点だったらいろいろ判断があるということを申し上げております。

 私は今、ユーザーの視点で私が私の個人的な意見を言うのはどうかなと。突っ張っているわけでは全くありませんが。なぜなら、共通事業所系列には共通事業所系列の集計値の特性があるし、あるいは指数化をめぐる、あるいは実質化をめぐるいろいろな課題がありますから、これは検討委員会でやっていただいている。そして、実質値とか、我々は本系列で毎年の全体の賃金水準、この実質値は出しているし、名目値も出しているし、我々はそこは実質値を出していますから、本来、私は、本系列で見るのが、そこは、実質値ということであれば、これはいろいろな課題があるので、我々が今出している、統計として出している、それをどう判断していただくかだと思います。

大西(健)委員 ユーザーの受取方じゃなくて、国民の受取方を考えてくださいよ。プラスとマイナスじゃ天と地の差じゃないですか。

 もしプラス〇・二になっている実質賃金がマイナスで出てくるということになると、受取方も何にもないですよ。新聞にもし、プラスがマイナスに変わりましたとなったら、国民はどう受け取るんですか。それで消費税は本当に上がるんですか、そういうことになるんじゃないですか。アベノミクスで本当に実質賃金は上がっているんですか、いや、皆さんの景気の実感というのはそうじゃないという方々がほとんどだけれども、ユーザーの視点も何も、国民の視点に立てば、プラスかマイナスかというのは、これは天と地の差なんですよ。

 ですから、これがマイナスになるんだったら、これは大きな問題である。だから、そこを左右するのが、今回の毎勤統計で、まさに、検討会で総入れかえ方式で行うことが適当であるという方向性になっていたのが土壇場でひっくり返ったのはなぜなのか。あるいは、そこに官邸の意向が働いたんじゃないかということがきょうさんざん議論されているのは、まさに、そのことによって上振れして、プラスとマイナスと全然結果が百八十度変わってしまう可能性がある。まさに国民生活の根幹にかかわる、実質賃金がプラスだったのかマイナスだったのかにかかわる問題だから、これだけ時間をかけて議論しているんじゃないんですか。

 大臣、だから、ユーザーの視点も何も、マイナスになることはある。ないと言い切れるんですか。可能性はあるでしょう。

根本国務大臣 我々が本来見ているのは、毎月勤労統計というのは、だって、いろいろなものを考えるときに、全ての労働者の水準を見るのは本系列なんですよ。だから、何をもって実質賃金と見るかというのは、本来であれば、毎月勤労統計の全ての労働者の平均水準をあらわすのは本来の本系列ですから。ただ、参考値として、景気の月々の動きを見るという観点で参考値を出していて、これはそういう役割分担、仕分けで我々は出していますから。それは、いろいろなユーザーとしての判断をしていただきたい。

 我々は、統計として、中立、客観的に、恣意を入れずに出しているのが私は毎月勤労統計だと考えています。

大西(健)委員 これまでの議論の中で、何で参考値を出すようになったかといったら、景気指標としてはそっちを重視すべきだ、これが政府の統一見解なんですよ。だから、景気指標としてはまさに参考値で見なきゃいけないのに、でも、参考値の年のものが出てこないじゃないですか。だから、こういう議論になっているんですよ。出てきたらマイナスになる可能性があるのに、それを認めない。まさに、認めたくないから認めないんじゃないですか。

 ですから、私は、絶対、マイナスになったときには、大臣、ちゃんと責任をとってもらわなきゃいけないというふうに思っています。ただ、これ以上言っても水かけ論になりますので、次に進みたいと思います。

 きょう、姉崎参考人が来られていますけれども、どういうやりとりがこの検討会の中であったのか、官邸の意向が働いたのかというのは、今までの委員の質問の中で相当やり尽くされていますので、重複を避けたいというふうに思います。

 一点だけ、全く関係ないところで。

 そもそも、今回の統計不正というのは、東京都の五百人以上の事業所、大規模事業所において全数調査すべきところを抽出調査にしていた、それがずっと長年続いていたということで始まっているわけですけれども、姉崎統計情報部長、元部長はまさにこの統計の責任者の一人であったわけですけれども、姉崎さんはこのことについて知っていたんですか、知らなかったんですか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 私は、平成二十五年の七月から二十七年の九月末まで統計情報部長をしておりましたけれども、その経緯については全く知りませんでした。

大西(健)委員 統計の責任者というか厚労省の幹部であったにもかかわらず、このことに全く気づかず、知らなかったということについて、今どういう責任を感じておられるか。また、今回そういうことが起こってしまったわけですけれども、そういうことが二度と起こらないようにするために、どうすべきと姉崎さんは、ずっとこういうことの専門家でやってこられていることですけれども、どう考えているか、お答えいただきたいと思います。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 恐縮ですけれども、私は通常の行政官で、余り統計については実は詳しくないわけですけれども、いずれにしても、私の在任中、気づかなかったわけですけれども、でも、この毎月勤労統計調査をめぐる問題で、統計に対する信頼を失わせるとともに、多くの国民の皆様に御迷惑をおかけしていることにつきまして、統計情報部長をしていた者として、本当に心からおわびを申し上げたいというふうに思います。

 再発防止策がやはり大事だというふうに思っておりまして、厚生労働省の中できっちりと検討していただければというふうに思います。

大西(健)委員 今、委員の中からも出ましたけれども、まさに再発防止するためには、何でこんなことが起こったのかという真相解明をしなければ再発防止策というのは練れないというふうに思いますので、ぜひ、これからも真相解明をしっかりやっていきたいというふうに思っています。

 きょうは、私の方は、そろそろことしも、認可保育園に入れるのか入れないのかという通知が届く時期になりましたということで、保育の話をしたいんですけれども、特に、この国会で法案も提出されている幼児教育と保育の無償化についてであります。

 皆さんのお手元に配った資料にもアンケートの結果というのを載せさせていただいていますけれども、これを見ると、例えば、保育園を考える親の会が自治体向けにやった緊急アンケート、これでも、十二月に結果が出ていますけれども、無償化より優先してほしい施策がある、五六%、反対が四一%、賛成というのはわずか三%です。他方、右の方は保育士と幼稚園教諭を対象にしたアンケートですけれども、賛成は三二・九%、反対は六七・一%。

 まさに、現場の自治体も、それから保育士や幼稚園教諭もこれは望んでいない、これを今行おうとしているわけです。

 もちろん、保護者は、ただにしてくれるんだったらしてくれるにこしたことはないわなというふうには思っていると思います。ただ、多くの国民は、まさにここにあるように、その前にほかに優先すべきことがあるだろう、こういうふうに考えているんだというふうに思うんですね。

 これは七千八百億円財源が必要になります。これだけの費用をかけて、一体それに値するだけの政策効果があるのか、まさにここが問題になるんだというふうに思うんです。

 日本はもう三歳以上の就園率というのはもう既に高くて、低所得者への保育料の減免というのももう今既に行われているということですから、この点の効果というのは非常に限定的だというふうに思います。

 ちょっとこのパネルをごらんいただきたいんですけれども、まさに、今回、認可保育所の場合ですけれども、これは、住民税非課税世帯の低所得者に充てられるのは、この費用全体の一%にすぎません。たった一%です。逆に、年収六百四十万円以上という比較的所得の高い世帯に全体の財源の五〇%が配分される。

 こういう限られた財源の使い方として、これが本当にベストと言えるのか。むしろ、親の職場復帰を支援するためには、今回限定的になっているまさに零歳から二歳の保育の受皿を整備することとか、あるいはその部分が非常に高額の保育料を払っている。また、保育士の処遇改善、ここにむしろ重点を置くべきであって、これはお金の使い方として私は必ずしもベストと言えないんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

宮腰国務大臣 幼児教育、保育の無償化は、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策と、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の役割の重要性の観点から実施するものであります。

 委員御指摘の保育士の処遇改善、大変重要な課題であると考えておりまして、これまで、二〇一三年度以降、月額約三万八千円、約一二%の処遇改善に加えまして、二〇一七年度からは、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施しております。さらに、ことし四月からは、さらなる一%、月三千円相当の処遇改善を行うことにいたしております。

 幼児教育、保育の無償化は、今度の予算案では、公費三千八百八十二億円、これは半年分として計上いたしております。待機児童解消や保育士等の処遇改善に向けた取組を着実に進めつつ、あわせて幼児教育の無償化を実施することが重要であると考えております。

 委員も御指摘のとおり、もともと、所得の低い方の保育料は既に公費を投じて負担軽減を図ってきておりまして、さらに、これまで低所得世帯を中心に先んじて段階的に無償化の範囲を拡大をしてきております。例えば、生活保護世帯と住民税非課税世帯に対し、合わせてこれまでに約四千五百億円の公費を投じて負担軽減を図ってきておりまして、今回の公費負担額のみをもって中高所得者を優遇しているとの指摘は当たらないのではないかと考えております。

大西(健)委員 だから、私も別に悪いと言っていないんです。さっきも、保育士の処遇改善なんかは一人当たり三万円という、今答弁の中にありましたけれども、では、例えば、六百四十万円以上の世帯に充てている二千三百二十億円、これを保育士、幼稚園教諭の数の四十六万四千人で単純に割ったら、一人当たり五十万なんですよ。三万円なんてレベルではないですよ。

 だから、お金の使い方として、べたっとただにするというのが本当にいいんですかということを私は言っているんです。

 それから、もう一つ言うと、さっき言ったように、例えば年収約二百六十万円までの世帯には一%、五十億円しか行かないんですけれども、今回、実は、こういう低所得者のところで、逆転現象というか、負担がふえるんじゃないか。それはなぜかというと、給食費の食材費というのが今度実費負担になるんです。

 これは資料三ページ目にお配りしていますけれども、これまでは保育料の一部になっていた給食費の食材費用が実費徴収に変わる。そういうことになると、さっき大臣もおっしゃったように、保育料の方は低所得者層はもう既に減免されていますから、今までも負担していないんです。ところが、今まで保育料の一部になっていたから負担していなかったこの給食費の分が一部負担になって負担増になる、こういう可能性が出てくるんじゃないですか。

 これについては、生活保護世帯とか一人親世帯については、こういう実費負担を免除するというのは聞いているんですけれども、でも、必ず今までよりも一部負担増になる低所得者層というのは出るんじゃないですか。全く出ないということは言えないと思いますけれども、いかがですか。

宮腰国務大臣 まず、食材料費につきましては、在宅で子育てをする場合でも生じる費用であること、これまでも実費又は保育料の一部として保護者に負担をいただいてきたこと、既に無償化されている義務教育においても実費相当の負担をいただいていることから、引き続き保護者に御負担いただくことにいたしました。副食費に関する徴収方法が変わりますが、保護者の御負担は変わりません。

 その上で、副食費の免除対象を、これまでの生活保護世帯や一人親世帯から年収三百六十万円未満相当の世帯に拡充することとしておりまして、低所得世帯にとって負担増にはならないと考えております。

大西(健)委員 今の三百六十万円相当まで拡大するという話は、具体的には今まで余り上がっていなかった話だと思いますので、そこまでやっていただければ確かにほとんどないのかもしれませんが、それはぜひやってください。そうじゃないと、今まで保育料の一部になっていた分が実費負担になるわけですから、保育料は免除されていたのに、実費負担になるとこれは払わなきゃいけないということになりますから、負担がふえる可能性がありますので、そこは必ずやっていただきたいと思います。

 それからもう一つ、処遇改善が進まない理由として、私は委託費の弾力運用というのがあるというふうに思っています。

 このパネルをごらんいただきたいんですけれども、これは、公定価格によると、国が払っているこの委託費というのがちゃんと人件費に充填されれば、保育士の給料が約三百八十万円になるという計算なんです。これに更に処遇改善措置を加えれば四百万円近い、あるいは超えるような年収になってくるはずなんですが、一番下のところを見ていただきたいんですけれども、「現実」と書いてあるところは三百十五万程度にとどまっている。

 何でそんなことが起こるのかということですけれども、右のグラフを見ていただきたいんですけれども、これは、国の想定では、委託費は八一%が人件費に投入されることになっているんですけれども、実際見ると、社福でも六九%、株式会社だったら五割を割っているんです。もっとひどいところだったら二割、三割というところもあるんですよ、これ。こういうことが起きているから、保育士の給料が私は上がらないんじゃないかと。

 実際に、厚労省が二〇〇〇年に営利企業に保育所の参入を認めました。それと同時に、私立の認可保育所に対しては委託費の弾力運用というのを認めているんですけれども、将来の修繕費とか人件費への積立てはもちろん、同一法人が展開している他施設の運営費や新しい保育所を建てるための費用にも流用できるんです。また、積立額に上限もありませんので、内部留保に回すこともできる。更に言えば、社福の場合は、ほかに老人ホームとか介護施設をやっていたら、そっちの費用に流用することまでできちゃうんですよ。これでは穴のあいたバケツに水を入れているのと一緒で、政府が一生懸命、保育士の給料を上げようと思ってお金を入れても、それが流用されちゃうわけですから、保育士のところに渡らないんですよ。

 この委託費の弾力運用というのを、ぜひ私、これはとめていただきたい、縛りをかけていただきたいと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 私立保育所の委託費につきましては、保育の質に関する要件を満たすことを前提として、運営主体の安定的、効率的な事業運営を図る観点から、一定の範囲内で運営費以外の管理費などに充てることができるよう弾力的な運用を認めております。ただし、職員に対する処遇改善加算につきましては、賃金の総額がふえることなどを要件としておりまして、弾力運用は認めておらず、確実な賃上げにつながる仕組みとなっております。

 また、公定価格上の給与の額と実態調査の結果での給与の額との間で違いが生じているということにつきまして、保育所において公定価格の算定における人数以上の保育士を追加で配置しているなど、さまざまな原因があるものと考えておりますが、保育士の処遇改善は重要な課題であり、平成三十一年度の実態調査におきまして、先生御指摘の点も踏まえ、実態調査をしっかりとやってまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 これは、人数がどうとか、そういう話じゃない。さっき言ったように、二割、三割みたいなところがあるんですよ。だから、これは実態をちゃんと調べて、本当に縛りをかけていただきたいと思います。

 それから、この委託費の流用で、耳を疑うような事例があるんですけれども、皆さんのお手元の資料の、次のページですけれども、これは一月六日の宮崎日日新聞が報じたものですけれども、宮崎県保育推進連盟に加盟する県内の十の保育園のうち五園で、会費を施設会計、つまり委託費から支出をしていた。そして、その会費が県連に上がって、そこから政治資金のパーティー券の購入費用に充てていたという記事なんですね。

 これは、お金に色はついていないけれども、結局、委託費が政治活動に使われたということになりかねない。さっき言ったような保育士の処遇改善に本来使うべき委託費が、流用されて、しかも、一部こうやって政治活動に回っているなんというのは、これはとんでもないことだと思いますが、これを見ていただいて、大臣はこれは不適切だと思うかどうか。

 それから、同様の事例がないか、これは宮崎の事例ですけれども、一回ちゃんと調査していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 委託費から政治活動に関する費用を支出することは、弾力運用として認められる支出の範囲外であり、認められません。

 なお、一般論として申し上げれば、弾力運用の範囲外の支出を行っていた場合は、都道府県が加算の一部を停止するものというふうに理解をしております。

大西(健)委員 大臣、宮崎の事例がこうやって報じられているわけですけれども、こういう事例、委託費の一部が会費になって、それがその先でパーティー券購入費等に充てられているというのがないのかどうなのか、ちょっと調べていただけませんか。

宮腰国務大臣 その件については検討させていただきたいと思います。

大西(健)委員 時間がなくなってきたので、あともう一つ。ちょっと、自動車の関係について聞こうと思っていたんですけれども。

 自動車の数量規制、この問題は我が党の玉木代表なんかも本会議で聞かせていただきました。これに対して、茂木大臣とか総理は、いかなる協定もWTOルールと整合的であるべきとか、我が国として国益に反するような合意をするつもりはありませんと、そればかり繰り返すだけで、じゃ日米交渉での数量規制の可能性があるのかどうなのか、この明言は避けておられます。

 この点についてなんですが、きょう、阿達国土交通政務官に来ていただいておりますけれども、昨年の十一月十二日に行われたセミナーで、次のように述べられています。

 現在、日本は自動車に対する二五%の追加関税を免れているものの、関税が嫌なら輸出を減らし、米国現地生産をふやせと、事務レベルでは相当な要求を受けている。この部分の議論は避けて通れない。これまで水面下で米国側は、日本側に年間数十万台の自動車輸出削減を打診。最大百万台という要求もあった。

 阿達政務官、こういうお話をされたかされていないか。されたかされていないかだけお答えください。

阿達大臣政務官 御指摘の記事の内容については、私個人の認識を問われた場での発言をもとに書かれたものであり、御質問に対してお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

大西(健)委員 政務官がしゃべっているんですよ。ですから、誰かそれを、個人の立場じゃなくて、聞いた人は、ああそうなんだ、事務的には百万台減らせということを言われているんですということを、普通の人がそこで聞いた人がいたら、ああ政府の一員の政務官が言っているんだと聞くに決まっているじゃないですか。

 言ったんですね、じゃ、こういうことを言ったということなんですけれども、阿達政務官はその場でこういうことも言われています。

 仮に自動車輸出を二十五万台程度日本が削減しても、貿易赤字の削減額は数千億円程度。日本が防衛装備品や液化天然ガス、LNGなどで米国からの輸入を拡大しても、貿易赤字の削減は一兆円程度。これではトランプ大統領が期待する数字とは全く違う。

 これは理にかなっていると思いますよ。言っておられることはごもっともだと思いますが、まさに政府の一員である阿達政務官は、自動車の数量規制の議論は不可避だ、実際これは事務的に言われているんだというふうに言っておられるんですけれども、茂木大臣、これで、同じ立場ということでよろしいんでしょうか。

茂木国務大臣 私の交渉相手は阿達政務官ではなくてライトハイザー通商代表でありますので、共同声明に沿ってしっかり交渉していく、こういったことで一致をいたしております。

大西(健)委員 私が懸念しているのは、北方領土交渉でも、北方四島は歴史的に見て一度も外国の領土になったことがない我が国固有の領土だということについて、ロシア側から変更を迫られているんではないかということを国民に隠したまま、今も議論を進めている。

 また、国益に反するような合意を行うつもりはありませんとうそぶいていますけれども、TPP交渉のときも、聖域のはずの重要五項目が、無傷で守られた品目は結局ゼロだったじゃないですか。

 だから、既に数量規制について米側から何か言われているにもかかわらず、そのことを国民には隠しておいて、最後の最後にはこの数量規制をのまされる……

野田委員長 大西さん、質問時間が終了しております。

大西(健)委員 こういうことになるんじゃないかということを懸念しているから、こういうことを申し上げているんです。しっかりと、そういうことを正直に国民に説明をして議論を進められることを望んで、私の質問を終わります。

野田委員長 これにて大西さんの質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二さん。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 質問に入る前に、昨夜、北海道胆振地方で発生した震度六弱の地震で被害に遭われた皆様に、心からお見舞い申し上げます。

 昨年九月の地震から半年もたっておらず、地盤や住宅は被害を受けやすくなっています。政府においては、被害状況を正確に把握し、二次災害の防止を始め、安全で安心の生活の確保に万全を期すことを改めて私からも要求しておきたいと思います。

 今回は、私は、日米地位協定と米軍の軍事空域の問題について質問します。

 昨日、私の資料要求に対して防衛省から提出された資料によれば、日米地位協定に基づき政府が米軍に使用を認めている訓練空域、これは、現在、本土及びその周辺に計八カ所、沖縄県及びその周辺に計二十カ所あると報告がありました。

 このほか、首都圏には、日本の主権が及ばない米軍横田基地が航空管制権を握る空域が存在します。それがいわゆる横田空域であります。

 皆さんにお配りしている資料一をごらんいただきたいと思います。

 横田空域は、東京、埼玉、神奈川のほか、新潟、静岡、福島の一部など、一都九県に及ぶ広大な空域です。羽田空港や成田空港に離着陸する民間機は、米軍の許可なしに空域内を通過できない。そのため、民間機は横田空域を避けて飛行せざるを得ず、空路の過密化で航空機同士が異常接近するニアミスも起きています。

 首都圏には、日本の領空でありながら主権が及ばない広大な米軍管制空域が存在し、米軍が低空飛行や対地攻撃訓練、パラシュート降下訓練などを繰り返しています。戦後七十年以上たった今、今日、こんな状態が続いているのは極めて異常だと言わなければなりません。

 政府は、先月末、横田空域を一部通過する羽田空港の新たな飛行ルートについて米軍と基本合意したと発表しました。都心を航空機が低空で飛ぶことには、関係自治体の住民から、騒音や部品落下などへの不安が多く寄せられています。

 そこで、河野外務大臣に聞きます。

 政府が横田空域の航空管制業務を米軍に行わせている根拠は一体何なんでしょうか。

河野国務大臣 昭和五十年、一九七五年五月の航空管制に係る日米合同委員会合意が、米軍がその航空管制業務など空域を管理していることの法的根拠、法律上の根拠などを記している日米合同委員会関連の文書に当たるものと認識をしております。

穀田委員 今、大臣答弁の航空管制に関するいわゆる合意というのは、皆さんにお配りしている資料二にありまして、外務省が公表した一九七五年五月の航空交通管制に関する日米合意の第一項目めです。

 これの第一項目めを見ますと、「日本政府は、米国政府が地位協定に基づきその使用を認められている飛行場およびその周辺において引続き管制業務を行うことを認める。」と記されています。

 河野大臣、このわずか二行だけで一都九県に及ぶ広大な横田空域の管制業務を米軍に行わせているというんでしょうか。私は、おかしいんじゃないかと。たった二行に基づいてやっている、それの具体的取決めは全くないのかということについて、いかがですか。

河野国務大臣 日米地位協定の側面について申し上げますと、そもそも、昭和二十七年、一九五二年に作成されました日米行政協定第六条において、全ての非軍用及び軍用の航空交通管理及び通信の体系は、緊密に協調して発展を図るものとされ、この協調及び整合を図るための必要な手続及びそれに対するその後の変更は、両国の当局間の取決めによって定める旨、規定をされておりました。

 これを受けて、昭和二十七年に、日米合同委員会において、一時的な措置として、米軍が我が国における全ての航空管制業務を実施することとなりました。

 その後、我が国における管制施設及び要員の拡充を受け、米軍の管制空域は順次削減され、例えば、昭和三十四年の日米合同委員会においては、横田空域等の米軍に提供している飛行場周辺の空域を除き、日本側が日本国内の空域の管制を全て行うこととなりました。

 こうした経緯を経て合意されたのが、先ほどの昭和五十年の日米合同委員会合意でございます。

 この合意では、米軍は、米軍飛行場及びそれらに隣接し又はそれらの近傍の空域において航空交通管制業務を引き続き実施するということを再確認いたしました。

 これらの後、嘉手納空域を始め、順次各地の管制が日本側に移管されてきており、また、横田空域についても八次にわたり空域の削減を行ってきておりますが、横田飛行場の進入管制空域については、現在も米軍が進入管制業務を実施しているものでございます。

穀田委員 私は、たった二行で、そんなことで決まるのかと。その経過についてはそのとおりの側面もあります。しかし、一時的だとか、いろいろなことがありまして。

 メディアでも、日本の空の管制は航空法に定められている、日本の領空なのに米軍の許可を得て飛行するという理不尽がなぜまかり通っているのか、こう言っているわけですよね。だから、そういう点でも私は全くおかしな話だと思うんです。

 石井国交大臣に確認したい。

 国交省には、この外務省が公表した航空交通管制に関する日米合意のほかにも、米軍が横田空域の管制業務を行う根拠を記した米側との合意文書があるのではありませんか。

石井国務大臣 横田空域におきまして米軍が管制業務を行う根拠は、昭和五十年の日米合同委員会におけます航空交通管制合意のみであると認識をしております。

穀田委員 本当にそうですかね。

 私は、ここに、米軍が横田空域を管理していることの法的根拠がわかる文書等の不開示決定に関する資料というのを持っています。これは、総務省の情報公開・個人情報保護審査会が提出した、二〇一七年三月十五日付の答申書です。これなんですけれどもね。

 この答申書を見ますと、国交省には、米軍が横田空域の管制業務を行う法律上の根拠を記した日米合同委員会関連の文書が存在すると記されています。それしかないというんじゃなくて、ここには不開示と言っているけれども、そういう文書があるということについて述べているということなんですけれども、そうじゃないんですか。

石井国務大臣 先ほど申し上げたとおり、横田空域において米軍が管制業務を行う根拠は、昭和五十年の航空交通管制合意のみであると認識をしております。

穀田委員 同じ答弁を繰り返しただけで、私は、こういうことを言っているけれども、違うのかと言っているわけで、それじゃ議論にならぬじゃないですか。

 しかも、では、少し言いますと、審査会の答申書には、政府が米軍に横田空域の管制業務を行わせている根拠を記した英文の日米両政府間の合意文書があるとこの文書には書いていて、それは不開示だという話をしているんですよ。日米合同委員会には、下部機関として、国交省の航空局交通管制部長を日本側代表とする民間航空分科委員会が置かれています。文書があることは明らかであります。そのことを正直に答えず、国会に隠し、米軍が自由勝手に使える広大な管制権を認めている、これはとんでもないことだと思います。

 沖縄県の翁長前知事は、生前、憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会があると批判しましたが、まさにそのとおりだ。およそ独立国とは言えない、属国的な態度と言わざるを得ません。同じ答弁を繰り返して、ないないと言い張るその態度には私は恐れ入ったという気がいたします。

 防衛省の提出資料では、沖縄県及びその周辺には米軍の使用を認める訓練空域は約二十カ所あるということは先ほど言いました。それに加えて、アルトラブと呼ばれる広大な空域が存在する。

 石井大臣、アルトラブとは一体どういうものですか。

石井国務大臣 アルトラブとは、一時的に設定をいたしました一定の空域の中に一定時間他の航空機が飛行しないようにする管制業務上の措置であります。この措置は、継続的なものではなく、時間の経過により終了するものであります。

穀田委員 アルトラブとは、日本語で高度留保とも訳されます、米軍による制限空域のことであります。

 配付資料の中に、二というところを先ほどお示ししましたが、先ほどの一九七五年の航空交通管制等に関する日米合意の五項目めにそれが定められたものです。

 今、大臣は、アルトラブについて一時的なものと強調されましたけれども、実際はそうではありません。

 資料三を見てください。これは、嘉手納基地の第一八航空団が二〇一六年十二月に作成した、空域計画と作戦と題する資料です。

 これを見ますと、米軍は沖縄周辺に固定型のアルトラブを設定しています。その規模は、既存の訓練空域の大半を内側に抱え込む広さで、総面積は既存空域の一・六倍にも及んでいます。空中給油を行う空域も複数箇所に設定しています。

 この地図は、皆さんにお配りしている上の地図は、下が米軍の資料で、それをわかりやすく沖縄タイムスが絵解きをした図であります。

 そこで、岩屋防衛大臣に聞きます。

 防衛省は、米軍が沖縄周辺に固定型のアルトラブを設定し、訓練空域を事実上大幅に拡大している実態を把握しておられますか。

岩屋国務大臣 米軍が、国土交通省と調整の上に、先ほど来お話が出ておりますアルトラブというものを設定をしているということは承知をしております。

穀田委員 アルトラブ一般、先ほど述べた国交大臣は、一時的云々かんぬんと言ってはりましたわな。聞いてはりましたやろ。

 そこで、私は、固定型アルトラブというのもあるでという話をしたわけですよね。そして、事実上、この空域をがばっとふやしているということを指摘したわけで、それを知っているかと聞いたわけですよね。知ってはりますか。

岩屋国務大臣 アルトラブは、先ほど国交大臣からお話がありましたように、継続的なものではなく、時間の経過により終了するものであるというふうに承知をしております。

穀田委員 同じことを言ってもだめですよ、それは。

 固定型アルトラブの設定というのは、米軍がみずからホームページで公表しているものなんですね。だから、その実態について、そんなええかげんな話をして、一時的だとかどうやとか言っている話では、到底納得を私はできないと思います。

 米軍は固定型のアルトラブを公表しているわけで、にもかかわらず、政府は、アルトラブが一時的だ、一定時間のものだとして、結局、航空路、道筋、航空路図にも掲載していないんですよ。そのために、飛行回避や迂回の指示があっても、民間機の乗務員はその存在すらわからない。とんでもないことですよ。(発言する者あり)そうなんです、危ないんですよ。

 パイロットや管制官、客乗、客室乗務員などでつくる航空安全推進連絡会議は、民間航空機の安全で効率的な運航の妨げになると指摘しています。岩屋大臣はそういう認識はございますか。

岩屋国務大臣 先ほども申し上げましたが、このアルトラブ、空域の一時的留保につきましては、国交省と米軍との間で調整し、設定しているものと承知しておりますので、民航機への影響に関しましては国交省にお尋ねいただきたいと思います。

穀田委員 いや、安全にかかわる問題やから、ちょっと聞いてみたら、すぐそう言って、そんな、人に振ったらあきまへんで、それは。そういう言い方じゃなくて、米軍の訓練空域が拡大しているという問題なんですよ。

 だって、地元紙は、このように、米軍訓練空域が大幅に拡大していると。これは全部、琉球新報や沖縄タイムスは指摘しているんですよ。これが二年間で六割増になって、訓練によって設定が常態化しているとまで触れているわけですやんか。

 私は、この問題について、それは国交省の問題だなんと言っているようじゃ話にならぬと思うんですよ。訓練によって起きている問題がどないなっているかということについて、人の命の安全にかかわる問題について、それはそっちの問題やでというような話をしていたんじゃ、それはあきまへんで。人の命をほんまに守る意味でどうなんやと私は思いますよ。

 そういう意味じゃ、大体、こういうときに必ず米軍が、自分のところのやり方、円滑なそういう活動の確保ということでやってくる。私は、驚くべき認識だと思います。

 その問題について言うならば、沖縄における琉球新報、沖縄タイムスなどは、この問題をたびたび報じているわけですよ。そして、民間機を優先すべきだということで、軍用と民間という問題についてわざわざ話を設定して安全問題について触れているから、言っているわけですよ。

 沖縄では、昨年十一月、米海軍のFA18戦闘機が南大東島の沖に墜落する事故が起きています。それから、同じく嘉手納基地所属のF15戦闘機が那覇沖で墜落する。二〇一六年十二月、名護市の海岸に普天間基地所属のオスプレイが墜落する。こういった事故はたびたびあって、今でも記憶に生々しく残っています。

 日本復帰後、沖縄県内、本土復帰後発生した米軍機の墜落事故は、五十件に上っています。米軍機が年一回を超えるペースで落ちて、県民の命や暮らしが脅かされている。だからこれを聞いているわけですよ。

 沖縄周辺のアルトラブをめぐっては、一九八四年六月二十九日の衆議院沖縄北方特別委員会で、我が党の瀬長亀次郎議員が追及した際に、外務省の山下大臣官房審議官は、瀬長議員に次のように答弁しています。

 日米間で一艦一機と申しますか、個別の軍用機等の行動に関してはこれを明らかにしないという合意があるのではないかと思います、したがいまして、アメリカ側の了承なしに御説明はできない、このように答えているわけです。

 河野大臣、一九七五年の航空交通管制に関する日米合意に関し、アルトラブについて公表しないという密約が交わされているのではありませんか。

河野国務大臣 日米合同委員会やその下部組織での合意事項、議事録の一つ一つについては、日米双方の同意の上、公表するということにしております。これは、日米間の忌憚のない意見の交換や協議を確保するためであるとともに、これら合意には米軍の運用にかかわる情報が含まれていることがあるためでございますので、今後とも、合意の上、公表するということに努めてまいりたいと思います。

穀田委員 だから、そうすると、公表しないという密約があるんじゃないのかと聞いているわけですよね。問題は、なぜそうした答弁を繰り返すのかということであります。

 私、新しく資料を持ってまいりまして、これですけれども、「米軍航空機の行動に関する情報の不公開について」と題する、秘・無期限扱いの覚書があります。一九七五年四月三十日付のもので、英文の文書とその仮訳があります。仮訳は、運輸省航空局の用紙に手書きで、これが手書きですね、次のように書かれています。そのまま読み上げます。

 (仮訳)

 議事録は両国政府の公文書と見做し、双方の合意なくして公表しないものとする。

    覚書

           昭和五十年四月三十日

 標題:米軍航空機の行動に関する情報の不公開について

 一、関連文書

  a、航空交通管制に関する昭和二十七年(一九五二年)の合意およびその第三付属書

  b、昭和四十九年(一九七四年)十二月十二日付け民間航空分科委員会の勧告:航空交通管制に関する合意

 二、両国政府は、飛行計画、交信記録、航空機運航票記載事項又は高度留保要求等の個々の米軍機の行動に関する事項は、いずれの政府も双方の合意なしには公表しないものである旨了解する。

合同委員会日本側議長署名、合同委員会合衆国側議長署名、こう記されている。

 今述べたのは、三枚の文書のうちの日本側の文書ですけれども、英文の文書にはサインもございます。その英文の文書には、日米合同委員会の日本側議長の山崎敏夫外務省アメリカ局長と米国側議長のローレンス・スノーデン在日米軍司令部参謀長の直筆のサインがあります。

 外務大臣、仮訳で高度留保とされているのがアルトラブのことだと。外務省の山下大臣官房審議官が、さきの引用した特別委員会のところで、個別の軍用機の行動に関しては明らかにしないという合意があると答えていた。となると、その合意がこの覚書ということだと思うんですね。

 河野大臣、こうした覚書が、実際、一九七五年に日米間で交わされているのではありませんか。

河野国務大臣 一九七五年四月の覚書というのは、米軍の航空機の運用について、日米双方の合意がない限りこれを公表しないということを再確認している文書でございます。

穀田委員 あるんじゃないかと言ったら、そういう公表しないと書いている文書をわざわざ読み上げたわけでしょう。ということは、やはり公表しないということでもって、そのとおりやっているということだなというふうになるじゃないですか。まさに、国会、国民よりも米国を優先するという内容だと指摘しておかなくちゃなりません。

 先ほど指摘した衆議院特別委員会の質疑で、瀬長議員に対して、運輸省航空局管制保安部の小山管制課長は、「日米間の取り決めによりまして、米軍の行動に関するものにつきましては相手側の許可なしには公表できないということになっております。」と答えている。同じことをやっているんですよね。

 結局、要するに、その日米間の取決めというのはこの覚書であり、政府が、米軍の行動に関することであり答弁を控えるという、繰り返す理由がここにあるんじゃないかと思うんです。

 そこで、この文書がどこに送られたかということについて言いましょう。

 この覚書には、秘・無期限指定の外務省の文書が表についています。外務大臣、こっちを見て。

 これがついている。運輸省航空局の受領印も押されている。そこには次のように書かれている。これもそのまま読み上げたいと思います。

 「外務省 米保第二八〇号 昭和五十年五月十四日」、外務省アメリカ局長から運輸省航空局長殿とも書いている文書で、「米軍用機の活動に関するデーターの不公表について」「五月七日付貴信空安第三三号に関し、五月八日の第三百十六回日米合同委員会において標記の件に関しメモランダム・オブ・アンダースタンディングが別添(写)の通り承認されましたので、通報します。 付属添付 本信写送付先 防衛庁防衛局長」、こう記されているわけですね。

 先ほどの覚書を外務省のアメリカ局長が、一九七五年五月十四日付で運輸省の航空局長に通報し、防衛庁の防衛局長に送付したということが、この文書の内容なんですね。

 そうしますと、結局のところ、外務省、国交省、防衛省には覚書があるということなんですね。

 国交大臣、国交省には、日米間における一九七五年四月の覚書が存在する、その事実は認めますか。

石井国務大臣 かつて情報公開請求がございましたけれども、日米双方の合意がない限り公表されないことが日米両政府間で合意をされており、不開示としたということでございます。

穀田委員 それは先ほど私、言いましたよ。不開示とする、あるということですね。それはどうなんですか。

石井国務大臣 公表されない、あるいは不開示をするということは、存在自体はあるということかと思います。存在はしているということかと思います。

穀田委員 存在しているかということだと思います、これは重大ですよ。今までは公表しないと言っていたけれども、今度は、存在するということかもしれないということになると、事は重大だ。

 だから、私は、要するに、今私が提起したこのマル秘の無期限の文書、これがある可能性があるということですよね、今の話でいいますと。

 そうなりますと、委員長、この問題についての、要するに資料の提出を当然求めるのが当たり前だと思う。提出を求めたいと思います。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

穀田委員 この覚書は、先ほど述べましたように、一九七五年五月八日に開かれた第三百十六回日米合同委員会で承認されているわけですから、結局のところ、今、あるかもしれないということになりましたけれども、じゃ、ついでに聞きますけれども、外務大臣もそういう認識でよろしゅうございますか。

河野国務大臣 日米間における一九七五年四月の覚書というものは、先ほど申し上げましたとおり、米軍の航空機の運用について、日米双方の合意がない限りこれを公表しないことを再確認している文書というふうに認識をしております。

穀田委員 そう聞いていませんやんか。それは先ほどの答えですやん。石井大臣はあるかもしれないと言っているわけだから、そういう認識で同じですかと聞いていますねんわ。

河野国務大臣 文書は外務省にございます。

穀田委員 こうなりますとまた話が違ってきて、あるかもしれないから今度はあると。こうなってきますと、いよいよ出してもらう必要がある。

 防衛大臣も同じ認識ですか。

岩屋国務大臣 御指摘の文書につきましては、防衛省として対外的に明らかにした文書ではありませんので、その真贋も含めて、当該文書についてお答えすることは控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 それはいつもの手で、そういう話をしているんじゃなくて、もはや、国土交通大臣があるかもしれないと言い、今度は外務大臣があると言っている。おたくのところだけがない、そんなことありますかいな。三つのところに同じ文書が回っておるのやから、そんな話をしていたらあきまへんで、それは。

 ほんまにもう、いかに、こういう点でいいますと、米軍にかかわる問題について、いわば覚書があったという極めて重大な事態についての認識が、言われた途端に、不都合な感じで、いろいろ今度覆い隠すというような話では絶対許されないと思います。

 私は、なぜこんなことを強調しているかといいますと、個々の米軍機の行動全般に、単なるアルトラブや、そうでなくて及んでいると。これまで防衛省は、日米共同訓練や単独訓練で全国に飛来しているオスプレイや米軍機の低空飛行訓練の飛行ルートについて、米軍の運用にかかわることで承知していないと答弁してきたわけですよね。飛行計画についても、防衛省全体として米軍の訓練情報を共有しているわけでないと説明してきた。ところが、こうした防衛省の一連の説明は全くの偽りだった。

 結局、実際は、一九七五年四月の覚書によって、米軍機の行動に関する情報は一切公表しないという密約が交わされていたからこの事態になっているということなんですよ。いわば、その謎がどこにあったのかということが明らかになる。

 だから、今まで横田空域の管制権を米軍に認めていると根拠を記した文書を公表しないのも、このためにあるわけであります。ある防衛大臣に至っては、米側に情報提供を求めていきたいなどと記者会見でうそぶいていました。

 こういう問題について、再度お聞きしますけれども、一連の問題の文書をもう一度明らかにし、やっていくということは極めて重要ですし、こういうことが許されるとしたら、国会や国民に対する重大な背信行為になるんじゃありませんか。そういう認識はありませんか、防衛大臣。

岩屋国務大臣 何か密約があるかのような先生のお話ですけれども、自衛隊の運用の詳細を私ども承知していないということは事実でございますので、そこはぜひ御理解をいただきたいと思います。(発言する者あり)米軍、はい。

穀田委員 いや、密約があるかのようなと言っているんじゃないんですよ。あるんですよ。それが覚書ということにあって、それを公表しないと言っている密約なんですよ。それが覚書に書いていると。その覚書があるということがわかったということなんですよ、今回。その論理をわからなきゃ話にならぬですよ、それじゃ。本当に情けないという感じがしますよね、私は。

 私は、改めて、この問題について、米軍の基地が全国三十都道府県にあり、専用地域も、京都、北海道、青森など十三都道府県に及んでいます。基地のない地域でも、米軍機による飛行訓練が実施されています。

 全国知事会が昨年七月、全会一致で採択した日米地位協定の抜本的見直しを求める提言で、なぜ米軍機の訓練ルートや時期の事前情報の提供を求めたのか。それは、住民の命と暮らしを最優先に考える自治体の長としての当然の責務なんですね。独立国としての当然の要求だからであります。

 河野大臣は、昨年十二月二十一日の記者会見で、日米合同委員会に関連して、情報公開のやり方はしっかり考えていかなければならないと述べています。

 そう考えるならば、私は二つ提案したいと思うんですけれども、こんな覚書は、先ほどあるように、あると言うのやから、直ちに無効にし、あわせて、米軍機の情報開示を行うべきではありませんか、外務大臣。

河野国務大臣 そのつもりはございません。

穀田委員 相変わらず、そういうことでいいますと、情報公開のやり方はしっかり考えていかなければならないと述べているのは、全くうそっぱちということになりますわな。だって、全国知事会が、いわば、このことについて、訓練ルートやその他についてやるべしと言っているにもかかわらず、それに応えてそうお答えになって、それはやる気がないと。それだったら、最初からそういうことはありませんと言ったらいいじゃないですか。私は、そういうやり方は不届きだと思います。

 しかも、私は今、改めてこの問題が、今までなぜこういうことが行われていたかとみんな疑問に思っていたのが、覚書という形で、公表しないという密約、覚書があったということが今度の質問で明らかになったと思うんです。

 今月上旬、滋賀県の饗庭野演習場で行われた日米共同訓練では、関係自治体の再三の要求にもかかわらず、オスプレイの飛行ルートが公表されませんでした。そのため、突然の飛行音に驚いた市民から、大津市と高島市で二十件もの通報が寄せられました。

 沖縄では、米軍のための辺野古新基地建設を、軟弱地盤の存在を隠してごり押しし、空では、米軍の軍事空域の存在を隠し、自由勝手な使用を容認している。これで主権国家の政府と言えるかということを私は厳しく問わなければならないと思います。

 日本の主権に関する重要事項が、国会の関与もなく、日米合同委員会という密室で決められ、覚書まで交わし、秘密裏にルール化されている。まさに、憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある。米軍に異常な特権を与える地位協定の抜本的見直しは急務である。

 その意味で、全国知事会が要求し、今、野党がこぞって、この間の一連の質問戦、論戦の中で、この日米地位協定の抜本的見直しということを掲げているのは極めて重要な取組だと私は思います。

 そのことを改めて強く求めて、質問を終わります。

野田委員長 これにて穀田さんの質疑は終了いたしました。

 次に、森夏枝さん。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 予算委員会におきまして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 昨夜、北海道胆振地方で最大震度六弱の地震が発生をしました。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、余震が続くおそれもございますので、引き続き、安全の確保をお願いしたいと思います。

 私は、昨年九月六日の北海道胆振東部地震の被災地、厚真町、安平町、むかわ町へ、災害対策特別委員会の委員として、また、日本維新の会の議員として、二度足を運ばせていただきました。被災された皆様が復興復旧に向け頑張られているところに再び地震が起きました。

 昨年は大変災害が多く、大阪北部地震、七月の西日本豪雨、台風、そして、北海道胆振東部地震と続きました。今現在も、全国の被災地の皆様が復興に向け御努力をされております。昨夜は被災者の皆さんのお顔を思い出し、改めて復興に向けた取組を前に進めなければと思いました。今後も、国としても、復興支援、そして防災・減災対策をしっかり取り組んでいただくよう強くお願いをして、質問をさせていただきます。

 まず初めに、安倍内閣が力を入れて取り組まれている女性活躍社会の実現について質問をさせていただきます。

 二十日の予算委員会で、我が党の井上英孝議員から、六月二十八日、二十九日に大阪で開催されますG20に対する安倍総理の思いをお聞かせいただきました。日本のリーダーシップを発揮し、G20において日本の存在感を世界じゅうに示すことができるよう、G20の成功を私も心から願っております。また、G20におきましても、女性をテーマに取り上げるとのお話もございましたので、期待をしておるところでございます。

 G20の開催に合わせまして、六月二十五日から二十七日の三日間、日本でWPLサミット、女性政治指導者グローバル・フォーラムサミットが開催をされます。世界の女性政治家のネットワーク強化、女性政治家の増加、影響力の拡大、政治分野における女性リーダーの育成を目的として、アジアで初開催ということで、私も女性議員の一人として大変期待をしておるところでございます。

 しかし、日本の女性政治家の現状はというと、残念ながら、女性が大変少なく、女性議員の割合は、衆議院では一〇・一%、参議院では二〇・七%、衆参合わせて一三・七%でございます。女性議員の数は、百九十三カ国中百六十位という、女性活躍とはほど遠いのが現状でございます。

 G20、そしてWPLサミット開催を機に、女性活躍社会の実現に向け、一歩も二歩も前進することを願っております。

 そこで、片山大臣に伺います。日本の女性国会議員数の現状を、女性活躍という観点からどのように認識をされていますでしょうか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 現状、衆議院が一〇・二%、参議院が二〇・七%、G7でも最下位でございますし、また、ことしは統一選の年でございますが、都道府県議会議員も一〇・一%、市区議会が一四・九%、町村議会が九・九%、市区町村議会の二割で女性議員がどなたもいらっしゃらないという現状を非常に厳しいもの、本当に改善の必要があるというふうに、もちろん認識をしております。

 それは、多様な民意の反映という観点から重要であるということと、国家の基本政策である国会においてこれだけ代表が少ないということは、大変残念なというか、累次努力を積み重ねてきたにもかかわらずこの状況であるということを非常に深刻に思うとともに、地方議会においては扱っているテーマがより更に生活に身近なわけですが、それでも、まず立候補者として出てきていただくところからして苦労している実情がございます。

 そして、委員御承知のように、昨年五月に、議員立法でございますが、政治分野における男女共同参画推進法が施行され、私も、昨年末までに各政党に対するポジティブアクション導入や数値目標の設定についての御要請を実施いたしまして、各党おのおの、できるだけのことはということで、いろいろな反応をとっていただいているわけでございます。

 今後も、多様な情報の収集、提供を行い、できるだけ政治分野に女性が参画をしやすいようにしていくとともに、地方議会ごとのいわゆる見える化した女性議員比率や両立環境の整備状況のマップといったことを実施しながら、政治に女性が参画しやすいように、それが拡大するように全力を挙げてまいりたいと思っております。

森(夏)委員 大臣、ありがとうございます。心強いお言葉で、女性議員としてうれしく思います。

 多様な民意を届けるという意味で、女性の声もしっかり届けるという意味では、女性国会議員が一三・七%というのはやはり少な過ぎると思います。安倍内閣として、女性活躍を推進しようと力を入れてくださっていることは理解をしておりますし、感謝をしております。全ての女性が輝く社会づくりが実現できれば、本当にすばらしいことと思っております。家庭や職場、学校で頑張っている全ての女性をサポートするためにも、また、悩みを抱えている、つらい思いをされている女性のサポートをするためにも、やはり女性政治家は必要だと思います。

 海外ではクオータ制を導入している国々もございますが、先ほど片山大臣からもお話がありましたけれども、昨年、参議院の方で、政治分野における男女共同参画推進法、候補者男女均等法が全会一致で可決、成立をしました。五カ月後には参議院選挙がございます。統一地方選挙も四月にございます。この候補者男女均等法成立後の初の国政選挙も五カ月後ということで、五〇%とは急にはいかないまでも、少しでも候補者がふえ、女性議員がふえ、女性の声が届きやすい環境となることを願っております。

 国政だけでなく、地方議会においても、女性に、選挙に出てください、政治家になってくださいと言うだけではなくて、これは政治家だけには限りませんが、女性の社会進出をしっかりと支援する、女性が働きやすい職場環境づくりが必要です。

 平成二十七年には、女性の職場における活躍を推進する女性活躍推進法が成立しました。女性活躍推進法の施行前後で、この約三年の間に女性の職場環境がどのように変化をしたのでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年に女性活躍推進法が成立をいたしまして、事業主に行動計画の策定あるいは女性の活躍実績の情報開示を求めているところでございます。

 この前後の六年間を見ますと、子育て世代の女性就業率が六七・七%から七六・五%へと八・八%上昇いたしまして、二百八十八万人の女性が新たに就業するなど、女性活躍は着実に進展していると認識をしております。

 一方で、年齢階級別の労働力率はなおM字カーブを描いておることですとか、女性管理職比率が諸外国と比べて非常に低水準にあるというような課題もあるところでございまして、今後、女性活躍推進法の見直しも含め、更に取組を加速してまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 実際に、女性活躍推進法の効果も少しずつはあらわれてはきているようですので、引き続きしっかりと取組は続けていただきたいと思いますが、私の周りで働く女性の声を聞いておりますと、まだまだ女性が働きやすい環境になっているとは言えない現状がございます。結婚、妊娠、出産を機に離職をしている女性は多いです。離職をさせられている女性もおります。妊娠がわかったときに、職場に済みませんと言わなければならない、こんな日本の職場環境では、女性活躍も少子化対策も進みません。引き続き、女性の声をしっかり聞いて、女性活躍推進をしっかりと進めていただきたいと思います。

 これは質問ではないのですが、私は昨年、超党派の議連「平成のうちに」衆議院改革実現会議に参加し、平成のうちに、ことしの四月中の国会改革を望んでまいりました。これまでも何度も議論があった中、国会改革は進まず今日に至っているわけですけれども、いつか改革しようでは実現ができません。ですので、私は、平成のうちにと期限を決め、取り組もうとしたことはよかったと思っておりますが、実際にはなかなか国会改革が進まず、残念に思っているところでございます。

 「平成のうちに」衆議院改革実現会議の提言の中に、女性議員の妊娠、出産時の代理投票の項目が入っております。ぜひ、男性議員の皆様にも御理解をいただき、女性議員の妊娠、出産時の代理投票を含めた国会改革に、ともに前に進めていただきたいと思います。

 次に、二〇二〇年のオリンピック、パラリンピック成功に向けて、質問をさせていただきます。

 私は鹿屋体育大学の出身で、数少ない体育大学出身議員として、そして運動指導経験のある議員として、東京オリンピック・パラリンピック、大変期待をしております。微力ではございますけれども、私もオリパラ成功のために力になれればと心から思っております。

 来年、いよいよ東京でオリンピック、パラリンピックが開催をされます。オリンピック、パラリンピックの成功に向けて、大臣の意気込みを教えてください。

櫻田国務大臣 東京大会まで一年半となり、大会本番に向けて計画を具体化して、テストイベント等を通じて実行、検証していく段階になります。担当大臣として、大会の成功はもちろんのことでありますが、大会を契機に、スポーツ文化の定着と地域振興、そして被災地の復興を目指してまいりたいと思っております。

 また、パラリンピックの成功なくして大会の成功はありません。大会を成功させるべく全力を尽くすとともに、大会を契機とした共生社会の実現に向けた取組を加速してまいります。

 東京大会については、昨年十二月、IOCから、今までのオリンピックの経験の中で、二年近く前のこの準備状況は、記憶にないくらいよく進んでいるといった非常に高い評価もいただいております。私自身、昨年十月の就任以来、競技会場などの大会関係施設の視察や、国内外の関係者との意見交換を重ねてまいりました。大会が近づく中で、さまざまな課題に適切に対応する必要があります。

 引き続き、輸送、セキュリティー、暑さ対策のほか、文化プログラム、ホストタウン、日本の食文化の発信などについて、関係大臣、東京都、組織委員会等と連携して取組を進めつつ、東京大会の成功に全力を尽くしてまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私も、パラリンピックの成功あってのオリンピック、パラリンピックの成功だと思っております。誰もが活躍できる共生社会の実現、大変重要だと思っております。

 そしてまた、私が政治家を目指すきっかけの一つとなったのが東日本大震災なんですけれども、復興五輪と位置づけておりますけれども、まだまだ復興もおくれております。風評被害もまだまだなくなっておりませんので、残り一年半しかございませんけれども、世界に復興をしっかりとアピールできるように、復興の方もしっかりと進めていただきたいと思っております。

 私は、議員になる前にスポーツ指導をしておったのですが、障がい者スポーツ指導員の資格取得の際に、その講習会の実技でさまざまなパラスポーツを体験させていただきました。

 例えば、ブラックゴーグルをして何も見えない状態で、介助をしてもらいながらプールサイドを歩き、入水、そして泳ぎました。ゴール手前では、壁に衝突しないように、タッピングバーで頭をたたいてもらう、タッチの合図をもらいました。指導者の養成講習会でしたので、もちろん、逆の立場、入水介助であったり、タッピングバーで合図をする側も行いました。

 この何も見えない状況で真っすぐ泳ぐことの難しさ、またタイミングを合わせてタッピングバーで合図をすることの難しさを知ってから、視覚障害者水泳の見方が変わりました。そのほかにも、車椅子バスケなども体験をし、水泳と同様に、難しさ、ルールを知り、パラスポーツに対する見方が変わりました。

 特にパラリンピック種目ですが、こんなに難しいんだと知ることで、選手のすごさに感動するようになりました。どのスポーツもそうですが、ルールを知っているのと知らないのでは、見ていてもおもしろさが全く違います。日本じゅうの皆さんにもっとパラスポーツを知っていただき、来年のパラリンピックでは日本じゅうで感動してほしいと思っております。

 パラリンピックまで残り一年半です。私は、パラスポーツの普及がまだまだおくれているように感じております。先ほど、準備の方は、大臣の方からしっかり進んでいるとのお話がありましたけれども、このパラリンピックのスポーツの普及、ルールを知るであったり皆さんが身近に感じるといったことは、すごくおくれているように思っております。

 パラスポーツ普及のためにどのような取組をされているのでしょうか、教えてください。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年東京パラリンピック競技大会が成功したと言えるためには、二〇二〇年以降も見据えて、多くの障害者がスポーツを楽しめる環境を整備するとともに、社会全体の障害者スポーツへの関心を高め、障害の有無にかかわらずスポーツを楽しめる環境づくりが重要でございます。

 そのため、地域において、スポーツ、福祉、医療等の関係者間の連携を進め、障害者の身近な場所でスポーツが実施できる環境を整えるとともに、スペシャルプロジェクト二〇二〇として、特別支援学校を地域のスポーツの拠点としていく取組等を実施しているところでございます。

 また、オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業といたしまして、全国各地の学校などでオリンピック・パラリンピック教育の取組を推進しており、パラリンピック競技の体験なども行われているところでございます。特に、大会前年となる二〇一九年度は、二〇二〇年の大会本番で観客席が満席となるよう、パラリンピック競技の観戦体験事業を重点的に実施してまいります。

 このような取組を通じて、障害の有無にかかわらず、多くの方に障害者スポーツの魅力を伝え、普及を図ってまいります。

 以上でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 パラリンピックの会場が満席となるように、各地でさまざまなイベント、体験教室等、しっかりと取り組んでいただいていることは私も理解しておりますが、先ほどもお話ししましたように、まだまだパラリンピックスポーツが皆さんに身近でないというのは大変感じますので、しっかりと今後も取り組んでいただきたいと思います。

 先日、同僚議員や仲間を連れて、私は車椅子バスケットボールの国際親善試合を観戦してまいりました。大変白熱した試合で、おもしろい試合でございました。スポーツにはやはり人を感動させる力がありますので、もう繰り返しになりますけれども、日本じゅうの皆さんにパラスポーツを知っていただき、感動していただきたい、パラスポーツを楽しんでいただきたいと思います。

 一つ御紹介させていただきたいんですけれども、パラスポーツ、パラリンピックの種目の中にボッチャという競技がございます。櫻田大臣もボッチャをされたことがあると伺っておりますので御存じかと思いますが、ボッチャは、障害の有無にかかわらず、障害者と健常者が一緒に楽しめるパラリンピック競技の一つでございます。

 私も、障害のある方、健常者の方とボッチャを何度も楽しんだ経験があるのですが、これまで一度も体験したことのない方には、この一年半の間にぜひ体験していただきたいと思います。

 パラリンピック競技の中では、学校教育の中にこのボッチャが一番取り入れやすいのではないかなと私は感じております。車椅子バスケやウィルチェアラグビーなど、さまざま種目がありますけれども、車椅子が必要になりますので、学校教育の中に取り入れるというのはなかなか難しいと思いますので、ボッチャであれば道具があればすぐにできますので、来年のパラリンピックを盛り上げる意味でも、ぜひ検討していただきたいと思います。子供たちもパラリンピックに興味を持つように、教育にもパラリンピック種目を取り入れていただければと思います。

 次の質問に移ります。大臣にお伺いをします。

 パラリンピックのレガシーとして次世代に何を残そうとお考えでしょうか、お答えください。

櫻田国務大臣 夏季パラリンピックが同一都市で二度開催されるのは東京大会が初めてであり、パラリンピックの成功が東京大会の成功の鍵であるとの認識のもとで、政府一丸となって全力で取り組んでまいります。

 加えて、パラリンピックを契機として、心のバリアフリーとユニバーサルデザインのまちづくりに取り組み、障害のあるなしにかかわらず、誰もが生き生きと活躍する共生社会をレガシーとして実現してまいります。

 政府においては、関係閣僚会議で決定したユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画に基づきまして、新学習指導要綱に基づく心のバリアフリー教育や、パラスポーツを題材としたパラリンピック教育の充実、改正バリアフリー法に基づく鉄道駅の改修等の促進などについて、障害者の御意見を聞きながら、取組を加速してまいります。

 今後とも、大会レガシーとしての共生社会の実現に全力で取り組んでまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私も、パラリンピックのレガシーとして共生社会の実現、大変重要だと思っております。障害者の方が、スポーツ参加しやすく、そういう環境を整えるだけでなくて、障害者の方も健常者の方も、ともに一緒にスポーツを楽しめるような、垣根を越えて一緒にスポーツを楽しめる、一緒に仕事のできる、そのような社会をレガシーとして残すべきだと思っております。二〇二〇年を境に、パラスポーツもみんなで楽しむものに変わったねと障害の有無にかかわらず皆で楽しめるような、本当の意味での共生社会の実現を期待しております。

 余り口にもしたくないのですけれども、昨年は、厚生労働省で障害者雇用の水増し問題なども発覚をしました。今後このような残念な不祥事が二度と起こることのないように、改めてお願いをして、次の質問に移ります。

 本日は、冒頭に女性活躍について質問をさせていただきました。一億総活躍を進めるには、障害者の方も女性にも活躍していただかなくてはなりません。

 少子高齢化も進み、社会保障費は年々増加をしております。病気になってから医療費を払うのではなくて、国民に健康で長生きをしてもらう予防医療、健康寿命を延ばすための取組に力を入れるべきです。二〇二〇年を機に、病気の予防に力を入れる、健康な体づくりのために予算を使うよう転換すべきと考えております。

 障害者スポーツ、パラスポーツの普及もお願いをしましたが、女性活躍を進める上で、女性スポーツ参加率も重要であります。女性のスポーツ実施率は、男性に比べてやはり低いです。女性のスポーツ参加を促進するための何か対策を行っているのでしょうか、お答えください。

今里政府参考人 先生御指摘のように、スポーツ庁で実施しているスポーツの実施状況等に関する世論調査によれば、女性は男性に比べてスポーツの実施率が低いという結果が出ているところでございます。

 とりわけ、若年層の女性のスポーツ実施率が低く、特に女子中学生のスポーツの実施の二極化や、食べない、運動しないことによる痩せ過ぎ、身体機能の低下も懸念されているところでございます。

 スポーツ庁では、昨年九月にスポーツ実施率向上のための行動計画を策定し、第二期スポーツ基本計画で掲げられた、成人の週一回以上のスポーツ実施率を六五%程度とする、こういった目標を達成するための施策を取りまとめました。その計画の中で、女性も主たる対象として取組を進めていくこととしています。

 具体的な取組といたしましては、二十代から四十代の女性を対象としたグループインタビューやワークショップを実施し、日常生活の中で手軽に取り組めるスポーツプログラムを開発するとともに、女性スポーツ参加促進キャンペーンを実施してまいります。

 これらの取組を通じまして、多くの女性が日常生活の中でスポーツに親しむことのできる環境整備を図ってまいります。

 以上でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 オリパラの成功に向けて、男女問わず、障害の有無も関係なく、国民皆が健康に楽しくスポーツができる、そのようなオリンピック、パラリンピックとなるよう心から祈っております。

 また、スポーツ界でも、パワハラやセクハラ、暴力事件など、不祥事も続いております。二〇二〇年を機にスポーツ界が大きく変わることを期待しております。

 オリンピック、パラリンピックまで一年半しかございませんが、大会期間中の災害対策についてもしっかり備えをして、防災・減災対策、そして、災害が起きたときの避難指示等も含め、オリンピック、パラリンピックまで本当に時間がありませんけれども、成功のために万全の準備をしていただきたいと思います。

 次に、献血、骨髄バンクについて伺います。

 水泳の池江璃花子選手の白血病の公表に、国民の多くが驚き、そして献血や骨髄バンク登録の支援の輪が広がっております。日本じゅうで献血、骨髄移植を必要としている方々のためにも、今後も、献血、骨髄バンクについての啓発活動に政府として全力でサポートをお願いしたいと思っております。

 私も、先週、成分献血に行ってまいりました。地元の献血センターでも、池江選手の報道後には献血をしてくれる方がふえましたとセンターの方が喜んでいらっしゃいました。初めて献血に来ましたと若い方が来られたり、三十年ぶりに来ました、四十年ぶりに来ましたといった方も、献血に現在協力してくださっているそうです。

 少子化により献血可能人口が減少している中、十代から三十代の若年層の献血者数が減少傾向で、この十年で三五%も減少しているとお聞きをしました。将来にわたって必要な献血量の確保が必要と考えますが、若年層の献血者減少に対してどのような取組をされているのでしょうか。

宮本政府参考人 ただいまの森先生の御質問に対してお答えさせていただきます。

 直近の五年間で見ますと、延べ献血者数は約四十二万人、率にしまして約八・二%減少をしております。これは全体でございます。中でも、先ほど先生御指摘いただきましたように、十代から三十代までの若年層の減少傾向が著しい状況にございます。今後の献血、血液を安定的に確保するためには、こうした減少傾向に歯どめをかける必要があると考えております。

 このため、厚生労働省におきましては、都道府県、日本赤十字社との共催で、献血運動推進全国大会や愛の献血助け合い運動などの取組を行っておりますが、特に新成人を対象としましては、「はたちの献血」キャンペーンを行い、成人として社会への第一歩を踏み出そうとしている機会を捉えて、献血への協力を求めております。

 また、若者の献血への理解を促すため、全ての中学校へのポスターの配付や、全ての高校への副教材の配付を行っているところでございます。この副教材に関しましては、文部科学省の協力をいただきまして、学習指導要領の解説に、「献血の制度があることについても適宜触れる」ことが追記されたことにより、平成二十五年度から保健体育の授業で活用されるようになっております。

 このほか、日本赤十字社におきましても、各都道府県の血液センターが、地方公共団体等と協力しながら、全国各地で若者に関心を持ってもらえるような献血イベントを開催しているところでございます。

 以上でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 やはり、若いうちから献血をしてもらうと献血できる期間が長いですので、ぜひ、今後も引き続き、中学生や高校生に対しても、若者に向けた献血への取組をしっかりと続けていっていただきたいと思います。

 次に、骨髄バンクについて伺います。

 最近、骨髄バンク登録もふえていると聞いております。骨髄バンク登録をお願いするCMは見たことがありますが、余り積極的に普及啓発をしているように感じたことがございません。骨髄移植を必要としている患者さんのためにも、骨髄バンク普及活動について、しっかり更に力を入れるべきではないかと思っております。

 献血センターで骨髄バンク登録ができますが、私は、献血センターで一度も骨髄バンクの説明、勧誘を受けたことがありません。骨髄バンク登録の普及啓発活動はどのように行われているのでしょうか、お答えください。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ドナー登録につきましては、現在、全国の献血ルーム等におきまして、ボランティアの方に御協力いただき、ドナー登録を実施してございます。その成果もございまして、ドナー登録者の総数は平成三十一年一月時点で約四十九万人と、年々増加してございます。

 他方、登録者全体に占める若年層の割合は低下してございますため、若年層への働きかけが重要であると認識してございます。

 そこで、厚生労働省といたしましては、現在、日本骨髄バンクを通じまして、SNSを用いてドナー登録会等のイベントを紹介するなどの普及啓発活動を行ってございます。

 さらに、平成三十一年度予算案におきましては、例えば、秋葉原、新宿等の若年層の登録が多く見込める地域の献血ルームにドナー登録の担当者を重点的に配置するための予算を新たに計上するなど、若年層のドナー登録者数の増加に向けて取り組んでいるところでございます。

 これらの施策を通じまして、ドナー登録者数を確保して骨髄移植医療が安定的に実施されるよう努めてまいりたいと考えてございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 若者にターゲットを絞って、イベント等で普及啓発活動をしっかりと行って、広く国民に啓発活動を今後も続けていただきたいと思います。一人でも救える命を救えるよう、今後もお願いしたいと思います。

 次に、骨髄液採取時の安全性について伺います。

 髄液採取には、全身麻酔をして髄液採取をするということで、ドナーの方、そして御家族が不安に思われるケースが多いという話をよく耳にします。また、痛みが続き仕事を休んだといった話も聞いたことがございます。

 これまで採取の際に事故などがあったのかどうか、採取の際の安全性について教えてください。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ドナーから移植に用いる骨髄液を採取するためには全身麻酔を用いた手術を行う必要がございますことから、御指摘のように、安全性を担保する必要がございます。十分な採取経験がある医師が配置されているなど一定の医療水準を持つ医療機関のうち、日本造血細胞移植学会等の認定を受けた医療施設に限りまして骨髄の採取を行っているところでございます。

 その一方で、採取が適正に行われた場合であっても、一定の割合でしびれや痛みなどの合併症が生じる可能性もございます。

 骨髄移植が開始されました平成四年度から二十七年度末までに約二万例の骨髄採取が行われましたが、医療施設から日本骨髄バンクに対して、術後に痛みが持続するなど何らかの後遺障害を認めた例が三十八例報告されてございます。これらの方は、治療によって回復されまして、日常生活に復帰されてございます。

 日本骨髄バンクにおいては、骨髄採取及びこれに関連した医療処置によって不幸にも健康被害に遭われたドナーの方々に対しまして、一時金の支援や入院費の補助等を行っているところでございます。

 また、現在、ドナーの安全確保を推進するための研究を進めているところでございまして、今後とも、こういった取組を通じて、安全性の確保に努めてまいりたいと考えてございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 やはり安全性に対しては不安に思われる方がいらっしゃいますので、せっかく適合しても断られるケースというのは大変残念なことだと思いますので、安全確保にもしっかりと努めていただき、先ほどもお話ありましたけれども、しっかりと経験のある医師にお願いをして、問題が生じないようにしっかりとお願いしたいと思います。

 最後に、ドナー休暇制度について伺います。

 骨髄バンク登録をして、患者さんと適合してから採取後の健康診断に至るまで、八回前後、平日の日中に医療機関に出向かないといけないことと、骨髄の採取には四日から七日会社を休まないといけないということで、適合した方でも採取を断念される方が多いという話も聞きます。

 最近では、ドナーとなった方が会社を休む際に、有給休暇を使うのではなくて、勤務先がドナー休暇として特別休暇を認めるドナー休暇制度の導入もふえてきているとお聞きをしました。骨髄移植を必要とする患者さんのことを思うと、大変すばらしい制度だと思います。

 今後、更に多くの企業がドナー休暇制度を導入しやすくするために、国としても支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 骨髄移植はドナーの善意に基づく医療でございまして、希望する方がドナーになりやすい環境を整備することが重要でございます。

 御指摘のように、特に仕事をされている方におきましては、骨髄の提供のための通院や入院のために必要となる休暇をとりやすくすることが重要でございます。

 日本骨髄バンクにおきましては、こういったドナー休暇制度の導入を企業に対してお願いしているところでございまして、今後、ドナー休暇制度の導入に関心がある企業等に対しまして、導入のプロセス等について説明をするなど、普及啓発等を更に強化していく予定でございます。

 厚生労働省といたしましても、日本骨髄バンクが行うこれらの事業を支援する予算を平成三十一年度予算案に計上しているところでございまして、引き続き、ドナーとなり骨髄の提供をしやすい環境の整備を進めてまいりたいと考えてございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 患者さんにとってはよい制度だと思いますので、引き続き、国としての支援もしっかりとお願いしたいと思います。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

野田委員長 これにて森さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野田委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 平成三十一年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁、防衛省所管及び他の分科会の所管以外の事項

 第二分科会は、総務省所管

 第三分科会は、法務省、外務省、財務省所管

 第四分科会は、文部科学省所管

 第五分科会は、厚生労働省所管

 第六分科会は、農林水産省、環境省所管

 第七分科会は、経済産業省所管

 第八分科会は、国土交通省所管

以上のとおりとし、来る二月二十七日分科会審査を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人及び会計検査院当局の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十五日午前八時五十五分から委員会を開会し、集中審議を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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