衆議院

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第7号 令和2年2月5日(水曜日)

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令和二年二月五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 葉梨 康弘君

   理事 堀内 詔子君 理事 山際大志郎君

   理事 大串 博志君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      あべ 俊子君    秋本 真利君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君   うえの賢一郎君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      小田原 潔君    小野寺五典君

      大岡 敏孝君    奥野 信亮君

      鬼木  誠君    金子万寿夫君

      神山 佐市君    河村 建夫君

      笹川 博義君    田畑 裕明君

      冨樫 博之君    根本  匠君

      野中  厚君    原田 義昭君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      村井 英樹君    村上誠一郎君

      山口  壯君    山本 幸三君

      山本 有二君    渡辺 博道君

      池田 真紀君    今井 雅人君

      小川 淳也君    大西 健介君

      岡本 充功君    川内 博史君

      玄葉光一郎君    源馬謙太郎君

      後藤 祐一君    篠原  豪君

      高井 崇志君    辻元 清美君

      西岡 秀子君    日吉 雄太君

      本多 平直君    馬淵 澄夫君

      前原 誠司君    矢上 雅義君

      屋良 朝博君    山本和嘉子君

      國重  徹君    濱村  進君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      杉本 和巳君    藤田 文武君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (マイナンバー制度担当) 高市 早苗君

   法務大臣         森 まさこ君

   外務大臣         茂木 敏充君

   文部科学大臣       萩生田光一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      梶山 弘志君

   国土交通大臣

   国務大臣         赤羽 一嘉君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    小泉進次郎君

   防衛大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       田中 和徳君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (行政改革担当)

   (防災担当)       武田 良太君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (海洋政策担当)     衛藤 晟一君

   国務大臣

   (情報通信技術(IT)政策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     竹本 直一君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (地方創生担当)     北村 誠吾君

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   橋本 聖子君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  松本 裕之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  阪本 克彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  安居  徹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  二宮 清治君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      佐藤 正之君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室審議官)        宮崎 祥一君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 辻  庄市君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菅家 秀人君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  秡川 直也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   大塚 幸寛君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局次長)          並木  稔君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 高嶋 智光君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            高田 修三君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 深澤 典宏君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   参考人

   (日本年金機構理事長)  水島藤一郎君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         森下 俊三君

   参考人

   (日本放送協会会長)   前田 晃伸君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月五日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     冨樫 博之君

  岩屋  毅君     金子万寿夫君

  小倉 將信君     村井 英樹君

  鬼木  誠君     野中  厚君

  河村 建夫君     大岡 敏孝君

  笹川 博義君     田畑 裕明君

  平沢 勝栄君     井出 庸生君

  山本 幸三君     小田原 潔君

  今井 雅人君     篠原  豪君

  大西 健介君     源馬謙太郎君

  岡本 充功君     西岡 秀子君

  玄葉光一郎君     池田 真紀君

  後藤 祐一君     屋良 朝博君

  本多 平直君     高井 崇志君

  馬淵 澄夫君     山本和嘉子君

  杉本 和巳君     藤田 文武君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     平沢 勝栄君

  小田原 潔君     山本 幸三君

  大岡 敏孝君     河村 建夫君

  金子万寿夫君     岩屋  毅君

  田畑 裕明君     笹川 博義君

  冨樫 博之君     石破  茂君

  野中  厚君     鬼木  誠君

  村井 英樹君     小倉 將信君

  池田 真紀君     玄葉光一郎君

  源馬謙太郎君     日吉 雄太君

  篠原  豪君     今井 雅人君

  高井 崇志君     本多 平直君

  西岡 秀子君     岡本 充功君

  屋良 朝博君     矢上 雅義君

  山本和嘉子君     馬淵 澄夫君

  藤田 文武君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  日吉 雄太君     大西 健介君

  矢上 雅義君     後藤 祐一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和二年度一般会計予算

 令和二年度特別会計予算

 令和二年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

棚橋委員長 これより会議を開きます。

 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算、令和二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西証史君、内閣官房内閣審議官松本裕之君、内閣官房内閣審議官阪本克彦君、内閣官房内閣審議官安居徹君、内閣官房内閣審議官二宮清治君、内閣官房日本経済再生総合事務局次長佐藤正之君、内閣官房国土強靱化推進室審議官宮崎祥一君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長辻庄市君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菅家秀人君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長秡川直也君、内閣府大臣官房長大塚幸寛君、出入国在留管理庁次長高嶋智光君、文部科学省高等教育局長伯井美徳君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、経済産業省製造産業局長高田修三君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江崎禎英君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官瓦林康人君、国土交通省住宅局長眞鍋純君、国土交通省政策統括官深澤典宏君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官辰己昌良君、防衛省防衛政策局長槌道明宏君、防衛省地方協力局長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。

田畑委員 おはようございます。自民党・無所属の会、田畑裕明でございます。

 通告に従い、また質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号についてお聞きをしたいと思います。

 先日香港で下船した方から新型コロナウイルスへの感染が確認されたことから、現在、横浜港沖において検疫が実施されていると理解をしております。そして、先ほどからの報道によりますと、発熱などの発症者に対するウイルス検査で十名の陽性が確認されたとのことであります。

 現在も検疫が続けられているものと理解をしておりますが、全体で三千名を超える乗員乗客がおられると聞いております。国民的には大変不安であります。

 今回の陽性確認を受けて、このダイヤモンド・プリンセス号について今後政府はどのように対処されるおつもりなのか、対応方針をお聞かせをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 二月三日に横浜港に到着したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスについては、一月二十五日に香港で当該クルーズ船から下船した方一名が、香港の病院で検査を受けたところ、新型コロナウイルスの感染が確認されたことから、二月一日より検疫感染症に指定されている新型コロナウイルスに関して、検疫法に基づく臨船検疫を実施しています。

 クルーズ船に対する検疫は継続中ですが、この船内において発熱等の症状のある方やその濃厚接触者等の検体を採取し、そのうち三十一名分のウイルス検査の結果が判明し、十名の方から陽性反応が確認されました。このため、本日午前七時半ごろ、検疫官が付添いのもと、これらの方々に下船いただき、海上保安庁の協力も得て、神奈川県内の医療機関へ搬送いたします。この十名の方は、患者として、感染症法に基づく措置入院とします。

 新型コロナウイルスにおいて、ウイルスの有無を科学的に確認せずに疫学的条件のみで判断する場合には、最大十四日間の潜伏期間を想定した措置を講じてきています。残る乗員乗客の皆様には、これを踏まえて当面上陸を認めないこととし、必要な期間、船内にとどまっていただき、感染を予防する行動を徹底しつつ、客室で確実に待機していただく中で、引き続き、臨船検疫を進めてまいります。

 乗客乗員の方々の健康状態の確認を最優先にしつつ、感染拡大防止に向けて万全の対策を講じてまいります。

田畑委員 ありがとうございます。

 今総理から、臨船検疫のお話も具体的にございました。相当な人数がいらっしゃいます。また、検査にも当然時間がかかるんだというふうには認識をするわけでありますが、迅速的確な対応をお願い申し上げたいと思います。国民の命やまた健康を守るため、また経済面での影響というものも発生をしているわけであります。総理の果断な決断を期待したいと思いますし、また、支持を申し上げたいと存じます。

 それでは、次に、GIGAスクール構想についてお聞きをしたいと思います。

 教育現場におけますICT環境整備については、「GIGAスクール構想の実現」としてロードマップが示されているところであります。

 端末や通信ネットワーク、クラウドをセットで整備をするわけでありますが、まずは、先日成立いたしました元年度補正予算により、スピード感を持った展開を期待するところであります。必要となります教員の養成、研修や指導体制の充実、専門人材の確保、外部人材の参画促進についても、各自治体の特性を踏まえ、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、個別最適化された学びの実現の努力を求めるものであります。

 一方で、私のもとには、不安や懸念の声も自治体関係者から寄せられております。例えば、導入後の保守管理費用や通信料金の増大、セキュリティー対策ソフト等の費用負担の声、また、機器導入に関してスムーズな事務処理の執行ができるか、また、OSのサポート期限の問題、入力方法も、この後、キーボードから音声など他の方法に変わる可能性など、端末機器の陳腐化対応などについても明確には各自治体に伝わっていないのではないかと危惧をするところであります。

 また、ロードマップは令和五年度まで示されておりますが、令和六年四月以降の見通しが不透明であり不明であるとの声も聞かれるところであります。

 そこで、維持管理や更新費用など、後年への負担とならないための対応策はどう考えているのか。自治体ごとの財政状況によっては、ICT環境整備の財政負担を考慮する余り、他の事業の延期や停止を余儀なくされる事態を生じさせてはならないと考えるものでありますが、萩生田文科大臣の見解をお伺いいたします。

萩生田国務大臣 おはようございます。

 今回の補正予算による整備については、各自治体が安価に学校ICT環境を維持管理できるよう、文科省として、事業者への働きかけも含め、さまざまな施策を講じているところであり、整備が円滑に進むよう、引き続き丁寧に対応してまいりたいと思います。

 更新に際しての費用負担は当然考えていかなくてはならないと思っておりますが、まずは、関係省庁や地方自治体と協議しながら検討を続けていきたいと思います。その検討のためにも、まずは、学校でのICT活用が当たり前である社会をつくり上げることが前提だと思っております。

 平成の時代は、これらの機器は、あったらいいなという学校備品でありましたけれども、もはや令和の時代はスタンダードであって、学校の教室に行って机や椅子がなければびっくりするのと同じように、こういった環境整備は当然にしていく。その延長で、しっかり自治体とも協議をしてまいりたいと思います。

田畑委員 ありがとうございます。

 改めて、もう一点でありますが、特別支援学校であったりですとか障害のある児童生徒への教育におけますICT活用の促進は当然重要であるというふうに考えておるところでありますが、改めて、こちらの方についても大臣の見解をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 特別支援教育において、障害の状態や特性等に応じてICTを活用することは、各教科や自立活動などの指導においてその効果を高めることができる点で有用であると考えています。

 これまで文科省としては、紙の教科書の使用が困難な児童生徒のため、音声教材の製作、普及促進に係る調査研究や、学習用デジタル教科書の効果、影響に関する調査研究、高等学校段階の入院生徒に対する遠隔教育の有効な活用方法等に関する調査研究等に取り組んできているところです。

 GIGAスクール構想の実現を進める中で、文科省としては、障害のある子供たちを含めた一人一人に端末を整備することで、個々の能力や適性に応じた最適な学びの実現のほか、情報やコミュニケーション手段の保障にも資するものと考えております。

 例えば、御指摘の発達障害のある子供たちが端末を使うことで、文字の拡大、色の反転、音声の読み上げ機能等を活用することができ、学習内容に対する理解が深まるなどの効果が期待されます。このため、GIGAスクール構想の実現において、特別な支援を必要とする子供たちに対して端末が優先的に整備され、ICT活用が促進されるように努めてまいりたいと思います。

田畑委員 ありがとうございます。

 総理の大変な英断によって、子供たちの教育環境、更に向上ということにつながるわけでありますが、御答弁にありますように、自治体との協議を含め、丁寧な対応を求めるものであります。

 もう一点、お聞きをしたいと思います。令和元年度の公立学校教員採用選考試験の実施状況調査結果が昨年十二月二十三日に公表されております。

 るる分析が述べられているところでありますが、その中を少し御紹介をしたいと思いますが、一つは、近年の採用倍率低下は、大量退職等に伴う採用者数の増加が寄与するところが大きいこと、二つに、小学校の採用倍率が過去最高であった平成十二年度と比べて受験生はむしろふえているとのこと、三点目に、受験者数の内訳で見ると、小学校では、新卒者は横ばい、既卒者が減少傾向であるなどが挙げられます。

 今後の対応としては、教員の働き方改革の徹底による教師という職の魅力向上により、受験者数のさらなる掘り起こしに取り組むとも記載がされているところであります。

 そこで、いわゆる教員不足を補完する者として臨時的任用教員がいますが、既卒者の受験生が減少していることも起因するかと思いますが、公立の小中学校の現場におきまして、臨時的任用教員を任用して補充しようにも、講師名簿登録者が減少していて採用できず、急な欠員に対応しかねる事態が発生をしています。やむなく教頭や主任教諭が代替を務めている事例もあります。不幸な例とすれば、昨年四月の始業式において、学級担任が発表できない事態などが挙げられています。各地において授業等に支障が出ているのではないでしょうか。

 文部科学省において、臨任教員が確保できない現状の実態把握とその対応にどう取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

萩生田国務大臣 教員不足の実態に関しましては、平成二十九年度に十一県市の教育委員会に対しアンケート調査を実施し、各都道府県、指定都市教育委員会における教員の不足の要因や対応策などについて把握に努めてきたところです。

 加えて、令和元年度に、現場の実態を更に深く把握するため、直接、教育委員会に抽出で聞き取り調査を行いました。年度当初における小学校の学級担任の不足の事例、今先生からも御披露いただきましたけれども、実際にこういうことも確認しましたし、不足に対して、学校内でやむを得ず教頭が担任を務めるなどの例も数多くありました。学校内で何とか人をやりくりして対応している厳しい状況があることが把握できました。

 教員不足が生じる主な要因としましては、産休、育休や病気休暇を取得する教員数の増加、定年退職者の増加、それから特別支援学級や通級等の増加に加え、不足した教員を一時的に補うための講師登録名簿の登載者の減少が考えられます。

 このような状況を踏まえ、文科省としましては、教師の働き方改革等による教師という職の魅力向上、特別免許状、臨時免許状の活用の促進や、採用年齢上限の撤廃促進など潜在教員の掘り起こし、また、計画的な教員採用計画の策定の促進など教育委員会による取組を促進しており、こうした取組を含め、各自治体で成果を上げている事例を横展開するなど、一層の取組を支援してまいりたいと思います。

田畑委員 ありがとうございます。

 これは、特定の地域での実態ということではなくて全国的に言えるのではなかろうかと思います。四月からの新学期のスタートに向けましても、都道府県教委とのまた情報連携協力、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、地域医療構想の実現についてお伺いをしたいと思います。

 二〇二五年に向けまして、住みなれた地域で必要な医療を受けながら生活できるよう、医療提供体制の改革が進められているところであります。都道府県が策定をいたしました地域医療構想の達成に向けた病床の機能分化、連携に必要な基盤整備や、在宅医療の推進、医療従事者等の確保、養成、勤務医の働き方改革の推進など、医療の三位一体改革に必要な事業の支援のため、所要額が令和二年度予算に計上されているところであります。

 一方、厚労省が、高度急性期、急性期機能に着目し、各医療機関が担う急性期機能やそのために必要な病床数等について再検証をお願いする発表が昨年九月になされたところであります。再編統合について特に議論が必要とされ、名指しされた四百二十四の医療機関や立地自治体や医療関係者等から反発や不満、住民からの不安の声が上がっております。

 私は、名指しされたうちの地元の三つの公立病院にそれぞれ足を運び、首長や病院長や事務長、看護部長らとじっくり、今回の発表の受けとめと該当の地域医療構想調整会議における議論進捗について話を伺ってまいりました。

 それぞれの病院においては、新公立病院改革プランの実現に向け取り組んでおり、高齢化が進む中、地域医療を守る使命と病院経営の効率化という観点から、病床数削減や病床機能の分化、職場環境の改善に真剣に取り組んでいる実態を伺ってまいったところであります。

 新年度の予算においても、新たなダウンサイジング支援や地域医療介護総合確保基金の拡大など、財政支援を整えたところであります。

 安倍総理は、これまでも、持続可能で安心できる医療、介護体制を構築していくには、地域医療構想を実現していくことが不可欠だと述べておられます。しかしながら、医療提供体制の改革を推し進めるため、この構想調整会議の活発な議論を誘導するはずのもくろみは若干外れた感じも受けとめるわけでありますが、再検証に係る具体的な進め方に関しては、骨太方針二〇一九における一連の記載を基本とし議論に着手することを明らかにしておりますが、総理にお伺いをいたします。

 現時点での地域医療構想の実現に向けた取組に対する所見と、二〇二五年に実現を目指す地域医療改革への決意をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 政府としては、急速に進む高齢化の中で、地域の医療ニーズの変化に合わせた医療提供体制を構築していくため、地域医療構想の実現に向けた取組を進めています。

 その中において、地域の皆さんにとって、医療機関、極めて重要であります。自分たちの命や健康を守るという上において、地域の皆さんにとって大切な医療機関がどうなっていくんだろう、大変な関心を持っておられるんだろうと思いますし、また、地域の住民の皆さんの健康を守るために日夜努力しておられる地域の医療機関の皆さんにとっても、いろいろと御心配もあるんだろうと思います。

 その意味におきましては、我々が進める方向、政策性について、そういう皆さんとコミュニケーションをとっていくことは大切だと思います。その意味において、田畑委員におかれては、地域の医療機関に足を運ばれて意見交換をされた。そういういわばコミュニケーションをとっていく努力をしていくことが大変大切だと、敬意を表したいというふうに思います。

 御指摘の医療機関リストは、それぞれの地域において構想の実現のために、医療機関や地方自治体がみずから医療機能のあり方を考える際の一つの材料としてお示しをしたものであります。病院が将来担うべき役割やあり方を機械的に決めるものではございません。そういう誤解も解いていかなければならない、こう思っておりますが、政府としても、地方と足並みをそろえながら、二〇二五年の地域医療構想の実現に向けて必要な支援を行ってまいります。

田畑委員 総理から丁寧な答弁、まことにありがとうございます。

 今、民間の病院のデータも都道府県には伝えられているともお聞きをしております。画一的な線引きというのは、やはり厳に慎むべきではなかろうかなというふうに思います。

 私、地元は富山で雪国でもあります。隣接二十分間というくくりで評価をされているようでありますが、やはり、冬期間、降雪があれば、平常時は二十分で行けたのかもしれませんが、降雪だとやはり時間が読み切れないというのは多々ある話でありますので、より具体的に推し進めるために丁寧な議論をお願い申し上げたいと思います。

 また、これから後期高齢者、とりわけ八十五歳以上の方々の増加が一段と加速をするところであります。医療、介護、一体的な提供体制や、その方々の生活そのものの支えや居場所など、まちづくりと全体を網羅した政策づくりということにもこれから注力をしていかなければならないのではなかろうかと思います。その重要性、指摘をさせていただきたいと思います。

 もう一点、今度はちょっと具体的な確認をさせていただきたいと思います。

 一月三十一日に、地域医療構想の実現に向けた重点支援区域の一回目の選定が発表されたところであります。これは、四月以降、当該区域において国による助言や集中的な支援が実施されるものだと理解をしておりますが、財政面、その他の面で具体的な取組をお聞かせをいただきたいと思います。また、重点支援区域の指定は今後も続くとのことでありますが、いつまで申請を受け付けるのかもあわせてお聞きをしたいと思います。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 地域医療構想の実現に向けましては、骨太の方針二〇一九に即し、重点支援区域の設定を通じて国による助言や集中的な支援を行うため、都道府県の申請に基づきまして、今委員からお話ございましたように、本年一月三十一日に、三県五区域を重点支援区域として第一回目の選定を行ったところでございます。

 ここにおきます具体的な支援といたしましては、地域の医療提供体制や医療機能再編等を検討する医療機関に関するデータの分析、また、都道府県と連携した関係者間の調整などの技術的な支援に加えまして、地域医療介護総合確保基金の優先配分や新たな病床ダウンサイジング支援の手厚い実施などの財政的な支援を行うこととしておるわけでございます。

 重点支援区域の申請につきましては、都道府県における検討状況に柔軟に対応してまいりたい、このように考えておりまして、現時点では、当面は期限を設けずに随時募集をしている、このようにしていくというふうに考えております。

 厚生労働省といたしましては、今後も重点支援区域の選定を行い、医療機能再編等の議論が困難な区域におきましても国のバックアップにより議論が活性化されるよう、先ほど委員がお話しいただきましたように、それぞれの地域の事情というのもやはりその地域において考えていただくということが大事であろうと思います。また、それを国がバックアップしてきちんと議論が活性化されるように、例えばユースケースを広く全国に伝えることなどによりまして、全国的な取組につながっていくように最大限支援を行ってまいりたいと考えております。

田畑委員 ありがとうございます。期限を区切らず申請を受け付けるということ、受けとめさせていただきたいと思います。

 それでは、日本年金機構について質問したいと思います。

 年金生活者支援給付金のはがき型の簡易な請求書の受理状況は、本年一月六日時点で約七百四十七万件、率にして九七%の返送と聞いております。まだ御返送いただいていない方については、本日再度お知らせを送るとも聞いております。的確に要件判定を実施し、着実な支払いをお願いするものであります。

 本日は、日本年金機構の水島理事長にお越しをいただいたところであります。

 水島理事長は、年金制度を公正かつ適切に運営し、制度を維持発展させ、無年金者、低年金者をなくし、高齢化社会の安定を確保することが日本年金機構に与えられた使命であると述べられております。

 悪質な保険料滞納事業者への対応、近年の成果や取組についてお聞きをしたいというふうに思いますし、あわせてでありますが、水島理事長は平成二十五年一月に機構の理事長に就任され、このたび五期目の任期に入られたところだと思います。新たな任期に入りました水島理事長より、上記の使命達成のために組織を牽引する決意を、国民に向けてお聞かせをいただきたいと思います。

水島参考人 お答えをいたします。

 二点、御質問いただいたというふうに思います。

 まず、厚生年金保険料等の徴収業務についてでございますが、この業務は、制度を公正、適切に運営する上で大変重要な業務であるというふうに考えております。

 当機構におきましては、納付指導あるいは適時の滞納処分といった取組によりまして、平成三十年度末の厚生年金保険料の収納率は九九・一%となっております。平成二十二年一月に当機構が発足をいたしておりますが、それ以来、毎年上昇しているという状況にございます。

 一方、残念ながら、滞納事業所が依然として存在していることも事実でございまして、これまで、早期の納付指導、納付協議、滞納処分など、対策を順次実施、強化してきたところであります。

 特に、悪質な滞納事業所に対しましては、繰り返しの納付指導に応じない事業所等に対しましては、迅速かつ確実な滞納処分を実施いたしますとともに、困難性の高い事案に対応するために、本部組織を東西二カ所に設置をいたしまして、集中的かつ機動的な滞納処分を実施しているところでございます。

 引き続き、本部、現場一体となった滞納事業所の管理等、徴収体制を強化し、滞納事業所数の減少に取り組んでまいりたいと考えております。

 二点目の御質問にお答えを申し上げます。

 当機構は、本年で発足以来十年目を迎えることになりました。この間、平成二十五年から、私、当機構の理事長を務めさせていただいてきておりますが、振り返りますと、繰り返し発生をいたしました諸問題に対処いたしまして、その解決と再発防止に組織を挙げて取り組んできた十年間であったというふうに考えております。

 特に、平成二十七年に発生をいたしました情報流出事案を契機といたしまして、当機構の組織、人事、業務を抜本的に改革すべく、再生プロジェクトに取り組んでまいりましたが、このプロジェクトは、一言で申し上げますと、内部統制、ガバナンス改革でございました。その目指すところは、お客様との接点であります現場を中心とした一体的な組織をつくり上げることであったと考えております。

 その結果でありますが、まだ不十分でありますが、種々の課題に迅速、適切に対応し得る組織になりつつあるのではないかと考えております。

 また、国民年金保険料が七年間連続して上昇しているということが示しておりますとおり、現場は強くなったというふうに思っております。

 先ほど先生がおっしゃいましたとおり、当機構のミッションは、年金制度を適切に運営し、無年金者、低年金者の発生を防止し、正確に年金をお支払いすることであります。改めて、この原点に戻り、お客様の信頼をいただけるよう、職員とともに組織を挙げて努力をしてまいりたいと考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 理事長からは自己評価的な発言もあったわけでありますが、これまで何度も国会にもお越しいただき、過去の細かいことは申しませんが、大変リーダーシップを持って今日までも牽引をされているというふうには評価を申し上げたいと思いますが、新たな任期に入られ、また設立十年目ということでありますので、今申し上げられたこと、その遵守をまたお願い申し上げたいというふうに思いますし、力強く組織をまた牽引をしていただきたいというふうに思います。

 水島理事長はお帰りいただいて結構でございます。

棚橋委員長 水島参考人、どうぞ御退席ください。

田畑委員 それでは、続いて、全世代型社会保障制度改革についてお聞きをしたいと思います。

 総理は、所信演説の中で、今こそ、日本の雇用慣行を大きく改め、働き方改革をともに進めようではありませんかと力強く述べておられました。

 この春から、いよいよ、中小企業におけます時間外労働の上限規制が施行されるところであります。大企業による同一労働同一賃金もスタートいたします。

 そこで、まずは、これまで施行されました働き方改革そのものが日本経済に与えました影響をどう捉えているのか。そして、さらなる多様で柔軟な働き方が可能な社会づくりのための総理の決意をお聞かせをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 働き方改革は、日本の企業風土そのものを改革することで、我が国の経済成長の隘路の根本にある少子高齢化と生産性向上の低迷という課題に真っ向から挑戦をするものであります。

 昨年四月には大企業に対する時間外労働の上限規制が施行され、さらに、今後は、我が国の事業者の大半を占める中小企業において、時間外労働の上限規制等が順次施行されることになっています。

 このため、現時点において、働き方改革が日本経済に及ぼす、現時点において定量的にどのような影響を及ぼすかということを申し上げることは難しいわけでございますが、既に企業の中には、働き方改革の趣旨を踏まえて、自社の労働時間を抑制し、効率よく働いた成果を評価して働く方に還元する等の例も出始めてきておりまして、こうした好事例を広く周知をして働き方改革の機運を更に醸成してまいりたい、このように思います。

 大切なことは、アベノミクスの果実を十分に活用しながら働き方改革を着実に前に進めて、働く人一人一人がよりよい将来の展望を持ち、自分の未来をみずからつくっていくことができる社会を実現していくことであります。

 経済社会が大きく変化する中において、ライフスタイルの多様化は時代の必然でありまして、その中で、日本の雇用慣行を大きく改め、働き方改革をしっかりと進めていかなければならない、このように考えております。

田畑委員 総理、ありがとうございます。

 これは、平成二十九年三月二十八日に働き方改革実行計画が定められ、それにのっとり、各施策、法的な整備もなされてきたところであります。

 総理はみずから、働き方改革実現会議の議長としてもそのイニシアチブをとってこられたわけであります。フォローアップ会合も設置をされていると認識をしておりますので、引き続き、現在進行形ということでありますが、対応をお願い申し上げるものであります。

 あわせて、もう一問お聞きをしたいと思います。

 政府は、七十歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする方針であるとお聞きをしております。

 近年の労働災害におけます休業四日以上の死傷者数では、六十歳以上の労働者の割合が二六%と大変増加傾向であります。社会福祉施設での腰痛、また、サービス業現場においての熱中症や、また事業場における転倒災害、転落、墜落災害の発生率が高く、女性で顕著との調査結果も出ているわけであります。

 高齢者の労働災害防止対策の取組を行っている事業所は全体の五五・七%ほどであるというふうにお聞きをしております。主に作業前の体調確認などの取組が多いということであります。

 経験のない、異なる業種、職種にキャリアチェンジをし、就労し、業務にふなれな高年齢者が多くなることや、フレイルやロコモティブシンドロームといった高齢期にあらわれてくる特徴に対する考慮も必要ではなかろうかというふうに思います。

 総理にお伺いをさせていただきますが、人生百年時代におきました高年齢労働者の安全と健康に対しての対策、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 景気回復が継続をし、そして雇用情勢が大幅に改善をする中において、高齢者の方が働き続けることができる環境が整っておりますから、高齢者の方の就業数は相当ふえてきているのでございますが、その中で、近年、労働災害で死傷された方のうち、六十歳以上の方々の占める割合が上昇してきました。特に女性の転倒災害が御指摘のように増加するなど、高齢者が安心して安全に働ける職場環境づくりは重要な課題と考えています。

 こうした目的のため、事業主の自主的な取組を促すためのガイドラインの策定や、また、中小企業の職場環境整備に対する助成制度の創設などの取組を実施することによって、人生百年時代に向けて、働く高齢者の安全と健康の確保を図ってまいります。

田畑委員 ありがとうございます。

 ガイドラインの策定ということをお聞きをいたしました。しっかり、周知を含めて、災害防止に取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、国民健康保険におきます新しい予防・健康づくり支援交付金や、保険者努力支援制度が強化、拡充をされるところであります。また、保険者機能強化推進交付金とともに、介護保険保険者努力支援交付金が創設をされるところであります。

 めり張り強化やこれまでの評価指標の配点引上げなど、自治体への財政的インセンティブ拡充は歓迎をするところであります。一方、マイナス点の設定もなされるともお聞きをしております。

 自治体固有の特性にも配慮をした中でのめり張り強化が当然と考えるものでありますが、どのような考えのもと、予防、健康づくりに取り組むのか、お聞かせをいただきたいと思います。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 まず、国保の方でございますけれども、国保の保険者努力支援制度は、都道府県、市町村における医療費適正化等の取組の状況に応じて交付するものでございまして、二〇一八年度から一千億円の予算規模で本格実施をしております。

 来年度の評価指標につきましては、骨太方針などに基づきまして、地方団体と丁寧に協議の上、糖尿病の重症化予防などの予防、健康づくりに関する評価指標について配点割合を引き上げるとともに、特定健診、保健指導など、一部の指標についてマイナス点も設定する一方で、市町村規模別の評価指標について、従来、保険料収納率の指標で設定していたところ、特定健診、保健指導の指標においても導入するなど、自治体の状況等も踏まえながら、めり張りの強化を図ったところでございます。

 なお、ペナルティーという御指摘もございましたけれども、大幅に拡充された公費についてのめり張りということでございますので、私どもとしては、ペナルティーという性格のものではないというふうに考えております。

 また、二〇二〇年度予算においては、人生百年時代を見据え、更に予防、健康づくりを強力に推進するために、新たに五百億円の増額を図ることとしております。

 続きまして、介護の方でございますけれども、介護の保険者機能強化推進交付金は、市町村、都道府県の高齢者の自立支援、重度化防止の取組を推進するため、二〇一八年度から二百億円の予算規模で実施しております。

 二〇二〇年度予算案におきましては、予防、健康づくりの取組を一層推進するため、新たに二百億円の介護保険保険者努力支援交付金を創設することとしております。

 来年度の評価指標につきましては、骨太方針などに基づきまして、予防、健康づくりに関する評価指標について配点割合を引き上げるとともに、成果指標の拡大や配分基準のめり張りを強化する一方で、全指標を市町村規模別に評価をするなど、自治体の状況も踏まえた評価指標とすることを検討しているところでございます。

 今後とも、こうした仕組みを通じて、自治体の予防、健康づくりを強力に促進してまいりたいと考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 これまでも、この自治体向けのインセンティブ施策、幾つか、好事例を含めて、やる気のある首長さんを含め、事例が出てきているというふうにも認識をしております。より拡充ということでありますので、実りのある施策の展開、また横展開を御期待を申し上げたいと思います。

 あわせて、ちょっと経産大臣にお聞きをしたいと思います。

 来年度から予防、健康づくりに関して大規模実証実験を行うということが盛り込まれているところでありますが、これは、健康増進と医療費の適正化に向けました有効なエビデンスの確認、蓄積と、またその予防に資するということに展開されるというふうに理解をしているところであります。

 まずは、令和二年度の経産省におきます実証実験における各種メニューの展開検討状況、また、これは厚労省が主にということになると思いますが、省庁間の連携についての取組についての見解、お聞かせをいただきたいと思います。

梶山国務大臣 委員から、予防、健康づくりに関する大規模実証についての御質問がありました。

 予防、健康づくりを進めるためには、保険者が効果の高い取組を行うためのインセンティブを措置することが大変重要でありまして、効果の高い取組を特定する上ではエビデンスに基づく評価が必要であると考えております。

 予防、健康づくりは、製薬や医療機器といった医療の担い手だけでなく、運動や食、エンターテインメントといった生活に身近な製品、サービスを上手に活用していくことが重要であります。そのため、現在、厚生労働省と経済産業省の両省が事務局となって、専門家からさまざまな意見を伺いながら事業の具体化を図っているところであります。

 このうち、経済産業省では、特に、超高齢社会の進展に伴いニーズが急激に増加をし、また、発症メカニズムが解明されておらず、創薬以外のアプローチが必要とされている認知症への対応を中心に事業を行うこととしております。

 具体的には、認知症の進行抑制について、認知症発症前の方に対する食事の改善、運動、認知トレーニングの三つの非薬物介入を同時に行い、認知機能低下の抑制効果を検証するとともに、認知症との共生を実現するために、買物や入浴、排せつ等の生活課題に対応した製品、サービスの社会実装を支援し、家族の負担軽減を通じた介護コストの削減効果を測定する予定であります。こういった実証を行う予定にしております。

 引き続き、厚生労働省と綿密に連携をして、効果的な予防、健康づくりの普及に向けた検討を加速させてまいりたいと考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 単年度で終わる実証実験ではないというふうにも理解をしておりますし、また、このような類いというのはさまざまな研究の知見も蓄積されているのではなかろうかと思います。無駄がないように、また、いろいろ効率的な実証実験の取組、お願いを申し上げたいと思います。

 もう一点、別問題として、ちょっと外国人労働者のことについてお聞きをしたいというふうに思います。

 昨年十月末の外国人労働者の状況発表が先日なされたところであります。在留資格別では、技能実習による入国、就労の伸びが著しく、前年比二四・五%増で三十八万三千人余りということであります。

 今の新型コロナウイルス関連においても、技能実習生の方々に対する影響というものも出てくるのではないかと思いますから、これはしっかり注視をお願いしたいというふうにも思います。

 介護福祉士養成施設においては、定員充足率は近年五〇%を下回っており、一部の養成施設では外国人留学生を専門に受け入れている養成施設もございます。

 技能の移転を目的とした技能実習制度でありますが、例えば、ベトナムなどにおいては、日本の民間企業等が資本参画をしている日本式の介護施設などは、ほぼ整備がなされていないという認識であります。せっかく技能実習で技術を習得したベトナム人は、母国に帰国してもその技能を生かすすべがないのが現状でなかろうかというふうに思います。

 政府は、アジア健康構想に基づき、内閣官房健康・医療戦略室と厚労省、経産省の三者とベトナム保健省におきまして、昨年七月にヘルスケア分野における協力の覚書を取り交わしているところであります。介護サービスの提供や介護人材の育成等の人材開発を具体的な協力分野と位置づけているわけであります。

 介護技術、また介護保険制度そのものをベトナム始めアジア諸国へしっかり導入を働きかけたり、日本の民間事業者が海外進出をする支援を行い、外国人が日本で学んだ介護技能を母国に帰りしっかり生かせるような仕組みをしっかり進めるべきだと考えますが、総理の見解をお聞きします。

安倍内閣総理大臣 確かに、日本は高齢化が世界の中で進んでいる国でございますが、同時に、そうした高齢化のような課題に取り組んだ、いわば課題に取り組む先進国でもあろうと思います。この認識は、アジアの各国、世界の多くの国々に共有されている、こう思います。

 政府は、平成二十八年にアジア健康構想を策定したところでありまして、これは、健康、医療あるいは介護に関係する我が国の民間事業者の海外進出を支援することで、我が国の先進的な技術やノウハウに基づくすぐれたサービスを提供するとともに、成長力豊かなアジア諸国の健康、医療関連の需要を取り込むことで、我が国の経済成長にもつなげていこうとするものであります。

 その中の一つの取組として、日本で介護を学ぶアジアの人材の受入れを拡大するとともに、そうした人材が自国に戻って働くことのできる職場を創出することで、人材育成と産業振興の好循環をつくることを目指すこととしております。

 ベトナムやフィリピンとは、それぞれ、既にアジア健康構想の推進に関する我が国との二国間の覚書も締結をされています。これらの国への進出意欲を有する民間事業者とも連携をして、そして、日本で学んだ技術が母国でしっかりと生かせるような仕組みを構築していきたい、このように考えております。

棚橋委員長 では、竹本大臣、簡潔にお願いいたします。

竹本国務大臣 簡潔に申し上げます。

 今総理が申し上げたとおり、アジア健康構想で努力しているんですけれども、日本の公的保険制度をアジアの諸国に受け入れてもらえれば、アジアも日本と同じような介護等の整備ができるわけで、したがって、そこに産業が入ってくる。したがって、日本で学んだ技術をその国に生かすためには、社会のシステムもまた整備しなきゃいけない。そういうことで、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジという構想で日本が対外的に宣明しておりますが、その精神に沿ってやっていきたい、こう考えております。

田畑委員 竹本大臣、ありがとうございます。

 もう一点、今度は別に、森法務大臣にちょっとお聞きをしたいと思いますが、入管の申請手続のオンライン化についてであります。

 これは三月から、これまでの更新の許可申請に加えまして、いわゆる認定の証明書等の交付受け付け申請、こういうことも広げられるというふうにお聞きをしております。

 外国人労働者はこれからもどんどんふえていくわけでありますが、労働者数三十人未満の事業所が受け入れているところがもう三五%を占めるということ、要は、中小・小規模事業者で外国人がどんどんふえているわけであります。

 入管手続、これは非常に窓口も混雑しておりますし、私たち地方から、地方の窓口に行くとなかなか手続が遅いというのが実態であり、私の地元の富山の皆さんも、名古屋入管に手続に行っているということのようであります。特に中央から離れた、ましてや中小企業においては非常に負担感が多いというふうにも聞いているところでありまして、オンライン申請の資格の簡素化、円滑化、これをしっかり、喫緊の課題だというふうに思います。お取組をちょっとお聞きをしたいと思います。

棚橋委員長 法務大臣森まさこ君。

 なお、申合せの時間が近づいておりますので、恐縮ですが、大臣、簡潔にお願いいたします。

森国務大臣 わかりました。

 在留申請手続のオンライン化については、昨年七月から、外国人を適正に雇用しているなど一定の要件を満たす所属機関の職員の方等が、外国人の依頼に基づき、オンラインで在留期間更新許可申請手続を行うことができるようにしたところでございますが、本年三月からは、さらなる利便性向上のために、在留資格認定証明書の交付申請や在留資格の変更の許可申請等も手続の対象とするほか、特定技能の在留資格も対象とする予定でございます。

 今後とも、委員の御指摘もございますので、運用状況を見つつ、オンライン申請の対象者のさらなる拡大を進めてまいりたいと思います。

田畑委員 ありがとうございます。

 これは、目標数ぐらいちょっと決めてもいいんじゃないかなというふうに思います。まだまだ、去年の四月からの導入において、実行数が少ないというふうにも聞いているところでありますから、よろしくお願いしたいと思います。

 時間となりましたので、済みません、そのほか通告申し上げておりましたが、質問できなかったことをおわびを申し上げたいと思います。

 ありがとうございます。

棚橋委員長 これにて田畑君の質疑は終了いたしました。

 次に、小倉將信君。

小倉委員 自由民主党・無所属会派の小倉將信です。

 本日は、予算委員会の質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。四十五分間いただきましたので、規制改革、行政改革、そして経済の問題について質問させていただきたいと思います。

 私は、今の政権のマクロ経済運営、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、そして成長戦略の実現、極めて適切な経済運営ではないかと思います。

 私、日銀におったんですけれども、思い出すのは、日銀に入る前、政府と日銀の内定者のソフトボール大会というものがありまして、私も参加しました。たしか、日銀のチームの名前がインフレファイターズだったんです、今はデフレファイターズができているのかもしれませんが。そんな話もありましたし、これは真偽は定かではないですけれども、やはり先輩方に話を聞くと、昔、公定歩合があったころ、上げると勝ちで、据え置くと引き分け、下げると負けというのが暗黙の事実としてあったみたいでありまして、公定歩合を上げると祝杯を上げたなんというような先輩の話も聞きました。

 何が言いたいかというと、やはり戦後、政府も日銀もインフレに対する対応に苦慮していたということもあって、恐らくインフレに対しては非常に注視をしていたと思うんですけれども、戦後初めて経験をするデフレの深刻さ、影響の大きさに対して、やはり初動の段階では非常にまだ認識が甘かったんじゃないかと思います。

 そういう意味では、安倍政権ができまして、政府と日銀のアコード、政策目標ができて、黒田総裁が誕生して、自然利子率というのがあります。自然利子率というのは、景気を冷ますのでもなければ過熱させるでもない、中立金利のことですけれども、これが実はマイナスになっているという試算もあるんですね。マイナスということは、ゼロ金利でも景気を冷ましてしまうということですから、非常に思い切った金融緩和をやらなければデフレの状況を脱却できないということだと思います。

 そういうふうな認識に立って、日銀は政府と協調しながら金融政策をやってこられたでしょうし、財政運営についても同様です。これも、日銀の資金循環統計を見ると、企業も家計も貯蓄超になっています。企業というのは、本来は借入れをして、積極果断にビジネスをやっていかなければいけない主体なんですけれども、その企業部門ですら借金を返済するだけでなかなか借りてこなかったという中で、政府がある程度借入れをふやしていかなければ、これは我が国でお金を借りていく主体が誰もいなくなってしまうということです。お金は世間を回りません。そういった意味では、財政運営も機動的にやる必要があったし、やってこられたと私は思います。

 ただ、やはり一番重要なのは、三番目の成長戦略でありまして、本来の経済の姿は、先ほど中立金利がマイナスと申し上げましたけれども、金利がプラスでも、きちんと企業が借りてくれて、我が国で企業活動を積極的にやっていただける状況がやはり望ましいですし、政府が借り入れるだけではなくて、やはり企業がしっかりと借り入れてくれて、この国での生産活動をふやしてもらう、そういう状況が本来の経済の姿でありまして、そういう意味では、成長戦略、そしてその成長戦略を実行するための規制改革等々が私は重要だったと思います。

 これについても、安倍政権の中で、農協改革もありましたし、TPPの実現もありました。岩盤規制にドリルで穴をあけるということで、国家戦略特区、そしてサンドボックス特区、ことしはスーパーシティー構想、こういったものを次々に実現をしていこうというふうな熱意は変わらないというふうに思います。

 そこで、まず初めに総理にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、政権、七年たって、規制改革、そしてそれを支える行政改革への思いは依然変わらないということを確認をさせてもらいたいと思います。

安倍内閣総理大臣 規制改革は、安倍政権にとって、成長戦略の中核であります。これまでも、あらゆる手段を駆使して、岩盤のような規制、制度の改革に取り組んできたところでございます。

 最初に日本銀行出身の小倉委員が指摘をされたように、日本は、長きにわたってデフレ不況に沈む、前例のない状況でございました。であるからこそ、前例のない大胆な金融緩和で臨んだところでございまして、その意味におきましては、伝統的にデフレファイターであった日本銀行の中においてはさすがに若い小倉さんでございますから、こういう柔軟な思い切った対応というのを御支持をいただけたんだろうと思いますが、いわば第四次産業革命というのも、今までの体験の積み上げではこれは対応できない状況なわけでございまして、第四次産業革命の中で世界が大変大きな変化をもたらす時代にあって、今後とも、一層のスピード感を持って、絶え間ない規制改革にチャレンジすることが必要であろう、こう思います。

 特に、スピード感は極めて重要であります。できたけれども遅かったでは意味がないわけでありまして、このため、昨年、規制改革推進会議を常設の組織として設置したところであり、腰を据えて大胆な規制・制度改革に挑戦し続けていく決意であります。

 また、不断の行政改革の必要性についても論をまたないわけでございまして、安倍内閣では、私を議長とする行政改革推進会議のもと、国民の視点で事業を点検する行政事業レビューや、具体的な根拠を用いて政策を立案するEBPMの推進などに取り組んでいます。

 税金の無駄遣いをなくすとともに、政府に対する国民の信頼を得る観点からも、今後とも、行政のあり方を不断に見直しをし、行政改革にしっかりと取り組んでいく考えでございます。

小倉委員 どうもありがとうございました。

 総理の規制改革、行政改革に向ける熱意、情熱を再確認をさせていただきました。

 何でこういうことを申し上げるかというと、去年、規制改革会議の見直しがありました。常設化をするということが決定をされたわけですけれども、一方で、委員の任期が三年から二年に短縮をされて、長らく規制改革会議の中心であられた委員も退任をされて入れかわったという話があります。

 そこで、この規制改革会議の見直しをもって規制改革のモメンタムが若干落ちたのではないかというような臆測も実はありまして、ここを規制改革担当大臣に、そうではないんだということと、規制改革会議の去年の見直しの意図みたいなものをお伺いできるとありがたいです。

北村国務大臣 お答え申し上げます。

 規制改革は、安倍内閣の成長戦略の中核、いわば一丁目一番地でございます。デジタル化の進展など、経済社会が急速に変化している中で、規制改革を絶え間なくスピード感を持って進めていくため、昨年十月、総理も述べたとおり、これまで時限的に設置されていた規制改革推進会議を常設の組織として立ち上げました。委員として御就任いただいた皆様方は、それぞれ豊富な経験とすぐれた識見を有しておられ、規制改革の議論を積極的にリードしていただいているものと考えております。

 なお、委員の任期につきまして、審議会等の整理合理化についての閣議決定を踏まえ二年としたところでありますけれども、会議の常設化によって切れ目なく継続的な議論ができるようになったと考えておるところであります。

 このように、規制改革推進会議は常設化によって規制改革を一層推進していける体制となっており、私としても、日本経済の活力を生み出すための規制改革に全力で取り組んでまいらなければならないと考えておるところでございます。

小倉委員 ありがとうございます。

 私申し上げたいのは、その規制改革会議の委員もそうですけれども、学者や経営者だと思います。この規制改革会議関係というのは、やはり時間も、相当勉強しなければいけませんのでかかりますし、ある意味、恨みを買う仕事であります。そういった中で、実は、委員に就任するに当たって、ちょっとやめた方がいいんじゃないのというふうに言われたけれども引き受けたなんというような声も聞かれるわけであります。そういう意味では、ぜひ、改革人材、これを政府としても大切にしていただきたいなということを御要望申し上げたいというふうに思います。

 それでは、各論についてお話をさせていただきたいと思います。規制改革についてであります。

 規制改革にしても行政改革にしても、この何十年も政府でやられて議論されてきたわけでありますけれども、令和の時代の規制改革は、やはりデジタル化社会とミックスであるべきだというふうに思っています。デジタル化に合わせて、当然、企業経営もデジタルトランスフォーメーションということでデジタルガバナンス・コードもできまして、一気呵成に進めていくという取組をしてもらっておりますので、行政も規制もこれに合わせるということが必要だと思います。

 具体的に言えば、一時点でのデータに基づく一律の規制から、リアルタイムデータやビッグデータを活用した、リスクに応じた適正な規制に変わるべきですし、細かい行為規制を定めた硬直的な規制から、民間関与のもとでの柔軟なゴールベースの規制に変えるべきだというふうに思っています。

 これでもちょっとイメージがしづらいと思いますので、資料を用意をさせていただきました。資料の一をごらんいただきたいと思いますけれども、これは、特殊車両といいますクレーンとか大型貨物の通行許可制度です。この制度がある趣旨としては、当然、大型車は道路に負担をかけます。ですから、どの経路で大型車が移動すれば道路に負担をかけないか、事前に審査をする仕組みでありますけれども、ただ、一経路一経路、自治体や国にこれは審査を要求をして、審査をした上で許可を出しますので、現状、これは六十日から三十日に国土交通省の方々の御努力で短縮はしましたけれども、まだ一カ月もあります。これは何が困るかというと、もう工事が決まっていてクレーン車を搬入をしなきゃいけないんだけれども、なかなか許可がおりないため、クレーンも持っていけない、工事も始められないなんという話もありますし、当然、大型貨物車は決められた時間までに貨物を持っていかなければいけませんけれども、許可待ちでなかなか約束どおりにお届けに上がれないなんという話も聞きます。

 そこで御紹介をしたいのが、法改正も予定しているようでありますけれども、国交省の方で、ETC二・〇を使った新しい制度を導入されるということであります。

 これまで一経路一経路につき審査をしていたのを、ETC二・〇を搭載をした登録車に限っては、事前に登録さえしていただければ、この資料の右側にありますように、通行可能な経路を審査をせずに即時にお示しをして、そしてその通行可能な経路であれば登録車は自由に通れるということであります。なぜ通れるかというと、当然、ETC二・〇を搭載をしていれば、事後的にでもどこを通ったかはっきりしますので、そういった、ETC二・〇を使って、リアルタイム、先ほど申し上げたデータを用いれば、事前の一律規制ではなくて柔軟な規制に変えることができるというふうな、非常に私は好例だというふうに思っています。

 そういう意味では、我が国はビジネス環境ランキング、OECDの高所得加盟国三十六カ国中、まだ二十五位であります。そういう意味では、こういったデジタル規制改革を、まだシーズはたくさんあると思いますので、しっかりとその芽を大切に育んでいただいて、この例に限らず、いろいろな事例でデジタルを用いて規制改革を実行すべきだというふうに思っておりますし、規制改革をすべき行政組織であっても、当然、デジタル化に合わせて行政組織自体も不断に見直していかなければいけないというふうに考えますけれども、この点について、規制改革担当大臣と行政改革担当大臣にあわせてお伺いしたいと思います。

北村国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、デジタル化の進展等により社会経済が大きく転換しているということを踏まえて、規制改革推進会議は、インフラの定期点検における新技術の活用や交通事業者間のデータ連携の推進など、デジタル化に対応した規制、制度の改革に取り組んでいるところであります。

 今後は、更に、委員御指摘のようにデジタル化の進展に対応して、これまでの規制全般のあり方についての検討を行うこととしているところであります。

 経済社会のデジタル化が急速に進展している中で、規制面でもデジタル化への対応におくれが出ることのないように、制度の点検、見直しに積極的に取り組んでまいる、新しい技術を活用した規制改革のシーズはたくさんある、御指摘のとおりでありまして、規制改革でしっかりと取り上げてまいりたいというふうに思っております。

 どうぞよろしくお願いします。

武田国務大臣 内外の諸課題に機動的かつ柔軟に対応するためには、既存の各府省の行政体制をデジタル化、グローバル化時代の新たな行政手法にふさわしいものに不断に展開していくことが必要であると考えております。

 御指摘の特殊車両の新たな通行制度の創設は、デジタル技術の進展を踏まえ、既存ルールを見直し、社会全体のコストを引き下げる好事例と認識しております。

 デジタル化に対応した規制や制度の見直しについては、現在規制改革推進会議において議論が行われていると承知しており、その議論の結果を行政体制にも反映していく所存であります。

 このため、それに先立って、民間の専門家の御意見も伺いながら、デジタル時代にふさわしい行政体制のあり方について幅広く勉強しているところであります。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 総理おっしゃるように、スピード感が大切だと思っておりますので、ぜひ一つでも二つでも、この規制改革、行政改革、デジタル化に合わせたものが実現をできるように、両大臣には御努力をいただけると大変ありがたいなというふうに思います。

 行政改革絡みで一つ御紹介を申し上げたい点に移りたいと思います。

 総理もお話の中で触れていただきましたEBPMであります。エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングということで、エビデンスの部分が、根拠に基づく政策運営ということであります。

 これは、根拠というと、当然、これまでも行政運営の中では根拠に基づいてやってきたでしょうし、政策評価というものもデータに基づいてやられてきたんだろうと思います。よく、これはこれまでと何が違うのかというふうに聞かれるんですけれども、私はあえて狭義のEBPMについてこの場で議論をさせてもらいたいと思います。

 狭義のEBPM、エビデンスは何が……(発言する者あり)

棚橋委員長 恐縮です。恐縮ですが、御静粛に。

小倉委員 何が重要かというと、私は、ロジックモデルと因果関係の推定、これを申し上げたいと思います。

 これでも、何のことか多分わからない、なじみがないと思うので、具体的に説明をさせてもらうと、例えば、歯磨きをして虫歯をなくし、歯周病菌をなくす、歯周病菌がなくなれば、今の医学的なエビデンスですと、動脈硬化を防いで心臓疾患にならないというのがあります。

 ですから、心臓疾患を減らして日本人がより健康になるためには歯科口腔医療にもっとお金をかけるべきだというのは、これはロジックモデルとしても因果関係の推定としても正しいわけでありますけれども、例えば、歯磨きをすれば水虫にならないというのは、これはロジックモデルとしては破綻をしているわけでありますし、例えば、歯磨きをして、動脈硬化云々かんぬんで、その結果、例えば失業率が減るとか女性活躍になるとか、もしかしたらそれは考えられるのかもしれませんけれども、風が吹けばおけ屋がもうかるではありませんけれども、因果関係が十分ではないということにもつながります。

 そういう意味では、きちんとそれぞれの政策でロジックモデルを構築をして、構築をするだけではなくて、ロジックモデルの間と間をつなぐ矢印の因果関係、確からしさというのを科学的に行っていくというのが私はEBPMだというふうに思っています。

 一つ、これも、これでもまだなかなかイメージしづらいかもしれないので、具体例というか好事例を紹介をさせてもらいたいと思います。

 資料二番目に用意をしておりますけれども、これは経済産業省のサポイン事業、サポートインダストリー事業と言われている中小企業向けの研究開発支援の予算です。目標は、資料にも書いてありますように、中小企業の成長です。わかりやすいと思います。売上高の伸び率ということなんですけれども。

 では、これ、サポイン事業を実行してどれだけ中小企業の成長につながったかというような、そういうような評価をしなければいけないわけですけれども、一番原始的なやり方は、それに採択をされた企業の売上げが伸びましたということかもしれませんけれども、ただ、そうなると、例えば、経済全体がよくなって、このサポイン事業の支援を受けなくてももしかしたら売上げがよくなっていたかもしれないということも、一応推測としては成り立つわけであります。

 あるいは、採択されなかったものとされたもの、これを単純比較をして、採択をされたものの方が売上げが伸びたからこれは効果があるかというと、実はそうでないかもしれません。なぜならば、採択をされなかった企業というのは、もしかしたら採択をされた企業よりも例えば企業経営者のやる気やあるいは企業の体制が劣っていたかもしれませんので、そのベースの要因が作用して、サポートインダストリーの事業とは関係なく、採択をされた企業の方が売上げが伸びていた可能性があるからであります。

 そういう意味では、そういった諸要因を全て排除をして純粋にサポートインダストリー事業の効果を見るために経済産業省さんがやられていたのが、ここに、回帰分断デザイン、これはちょっと専門的な表現なんですけれども、RDデザインと言われている、境目の変化を見ることによってその効果を判断をするということで、ここで何をやられていたかというと、採択と非採択、これは先ほども申し上げたように、企業のやる気が関係しているかもしれません。ただ、非採択と採択のぎりぎりの境目のところではそこまで企業の体制には違いはないだろう、その境目のところで売上げに大きな段差ができていればこのサポイン事業の効果があったんではないかというような、そういうことを経済産業省さんは政策評価の中でやられておりましたし、実際に効果があったというような評価をしているわけであります。

 確かに、EBPMの体制につきましては、予算委員会の委員でもあられます山本幸三委員が行政改革担当大臣のときにイニシアチブを打ち出されて、政府に政策立案総括審議官とEBPM推進委員会ができました。非常に前向きに政府が取り組んでいただいていると思いますけれども、私は、このEBPMのさらなる進化、質、量ともに充実をさせなければいけないというふうに思っておりますけれども、この点について、武田大臣にお話を伺いたいと思います。

武田国務大臣 あるべき政策の見取り図を示し、具体的な根拠を用いて政策を立案するEBPMの推進においては、行政機能や政策効果の向上を図る上で、御指摘のようなロジックモデルの活用や因果関係の検証が重要となっております。

 各府省におけるEBPMの実践に当たりましては、まずは、政府全体の取組の底上げを図る観点から、御指摘のようなロジックモデルを用いて、政策目的を達成するまでの論理的な関係などを明確にすることとしております。これにより、政策の立案や評価に当たって、より質の高い建設的な議論が促され、政策をより効果的なものにすることができております。

 他方、こうしたロジックモデルの活用に加えまして、まだ少数ではありますが、一部府省においては、データを活用し、因果関係を科学的に検証する取組が行われており、御指摘のような回帰不連続デザインやナッジの取組の効果検証などの先進的な取組事例も見られるところであります。

 政府としましては、引き続き、ロジックモデルの作成、活用を推進するとともに、このような先進的な取組を他府省にも横展開していくことを通じ、政府全体におけるEBPMの浸透、定着を図ってまいりたいと思います。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 先日私が拝見をした日本経済新聞の記事の中で、実は手がたくない野球のバントという記事がありました。これはどういうことかというと、野球の試合のデータを分析をしていると、基本的に、無死一塁からバントをして二塁に進めるのがセオリーというふうに言われておりましたけれども、データを見ると、そのままバントをせずに攻めた方が、〇・一三点、得点期待値が上がるということなんです。

 そういう意味では、私は、EBPMというのは、これまで当たり前だと思われていた政策を、実は効果がなかったというふうなことを明らかにしていく意味でも非常に効果があると思います。

 例えば、効果があると思われていた治療や薬について実は効果がなかった、効果があると思って普通にやられていた教育が実は学力向上に貢献をしていなかった、幾らでもあると思います。こういったものを明らかにしていく取組がEBPMだと思いますけれども、これは、役所側にとってみれば、一生懸命やって、効果がないとわかった時点で予算を削られちゃいますから、だからやらないというふうなインセンティブにややもするとなってしまいます。だから、効果がないことをはっきりする取組をしてくださっている、そういう役所に対して積極的に後押しをする取組もEBPMにおいて重要ではないかと思います。

 EBPMに近接をした概念にナッジというのがあります。ナッジというのはそっと背中を押すということでありまして、細かい説明はもう割愛をいたしますけれども、これは、人間が非合理的な行動をとることが多い行動経済学の知見に基づいて、例えば、法律で義務を課すのではなくて、予算や税制で誘導するのではなくて、それ以外の手段で、あるべき政策に向かって多くの人たちが協力をしてくれるような、そういうことをやるというのがこのナッジでありまして、世界的にもこのナッジの取組が進んでいるわけでありますけれども、じゃ、日本版のナッジユニット、ナッジの中心がどこにあるかというと、実は環境省なんです。

 そこで、小泉大臣に、このナッジの取組を環境省においてどうしっかり取り組んでいくかということについてお伺いしたいと思いますと同時に、せっかくの機会なので、小泉大臣と私は同い年です。

 小泉大臣も、この半年、いろいろ国際会議に出席をされていて、国際世論の風、風向き、こういったものを感じることがあるんだろうと思います。これから答えていただくナッジについてもそうですし、EBPMについてもそうです。周回おくれを感じているところももしかしたらあるかもしれません。環境省の分野でいえば、石炭火力についても、私も金融に身を置いていたので、世界的にはダイベストメントということで、さまざまな座礁資産があるということも言われておりますけれども、そういったことについても、いろいろな国際会議の場に出て肌身に感じていることがあると、今、私は思います。そういった大臣の……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

小倉委員 危機感、焦燥感、こういったものもあわせて教えていただけるとありがたいなと思います。

小泉国務大臣 小倉議員におかれましては、環境省のやっているナッジ、これについて、継続的なサポート、応援をいただいて、ありがとうございます。

 先ほど、実はバントは手がたくないという話がありましたが、高校球児だった私としても、そして「マネーボール」の、あの映画も大好きな一人としても、なるほどと思いまして、まさにそういう、実はデータを見れば全く今まで正しいと思ってやっていたことは正しくないんだということを、政治の世界で、行政の世界で入れ込んでいかなければいけないというのも、このナッジだと思います。

 小倉先生から一言紹介ありましたが、このナッジという聞きなれない言葉というのは、そっと後押しをするという言葉で、行動科学の知見を活用して、人々が自分自身にとってよりよい選択を自発的にとれるように手助けをする政策手法であります。こういったことを活用して、小倉議員の地元である町田におかれましても、例えば、省エネ政策の推進ということで、LEDにかえればあなたの負担はこれぐらい安くなりますよというアプローチと、LEDにかえないとあなたはこれだけ損しますよというアプローチで、全然、人の行動は変わります。

 そういったことも含めて、さまざまなアプローチの一つにこのナッジというのを、環境省が、オール・ジャパンの体制のナッジユニット、これの事務局を担っていますから、引き続きこの後押しをしっかりとやっていきたいと考えています。

 また、私が大臣になる前、厚労部会長のときに、ねんきん定期便の見直し、そしてがん検診の見直し、そういったことも含めて、ナッジを活用するということは効果を感じていますので、これからもしっかりと取り組んでいきたいと思います。

 また、小倉委員からは、私の国際社会に対する、直面したときの印象という話もありましたが、石炭について問題提起をしているのは、まさに先生、金融機関におられましたからよくわかると思いますが、世界銀行、欧州復興開発銀行、アフリカ開発銀行、欧州投資銀行、基本的には石炭に対する投融資、原則はしない、そういったことになっている中で、私はCOP25で、何とか日本も、ゼロにするということは不可能な中にしても、前向きなステップを踏めないかということで、さまざまな取組、調整をやってきました。

 ただ、その中で、日本がやらないと中国が席巻をするということをいろいろなところで言われました。しかし、ふたをあけてみれば、必ずしもそうかということがあるのも私は感じている中で、石炭というものに関する輸出の四要件ということは、これから更に関係省庁で議論すべき一つではないかなと。

 そして、世の中にまさにはびこっている、世界の石炭を日本の効率のいいものにかえれば世界全体のCO2排出の抑制につながるという意見に対しては、またもう一方で、もしも日本が助けなければ石炭以外のアプローチをとっていた可能性がある国に対して支援をすることは、結果としてCO2排出をふやすということにもつながるかもしれない、そういった意見もあります。

 ですので、そういったことも含めて、国際社会の現状と、日本が正当な評価を国際社会で受けて、私はこの分野で間違いなく日本はリーダーになれると思っていますから、成長戦略にもつながることがいっぱいありますから、ここに何とか前向きな一歩をしるしていきたいと考えております。

小倉委員 小泉大臣、どうもありがとうございました。

 続いて、ちょっと成長戦略について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 資料を一つ用意をさせてもらいました。これは、アメリカと日本の企業のROA、利益率の、企業が長く存続をすればするほどどうなるかということでして、我が国は長寿企業が多いと言われています。これ自体非常にすばらしいことなんですけれども、実はもろ手を挙げて喜べないというのがこのグラフにはっきりあらわれているんじゃないかと思います。

 日本企業は、最初のころは利益率が高いんですけれども、長くなればなるほど利益率が低迷したままになってしまう。一方で、アメリカ企業は、長く存続をしている企業でもしっかりと高い利益率を上げているということであります。

 やはり、これは諸説あると思いますけれども、一つの要因は、日本企業は、当然最初のうちは自社の製品やサービスは成功します。成功すると、当然資産もふえますし、内部留保も、それこそ現預金もふえていって、非常に安定的な経営になる。そうなると、本来であるならば、その資産をまた新しいビジネスに振り向けなければいけないんだけれども、それで利益率を高めなきゃいけないんだけれども、それができていないというのが日本企業とアメリカ企業の大きな違いなんじゃないか、私はこう推察をいたしております。

 来年度導入される予定であるオープンイノベーション税制なんかも、何でも自前主義で我が国の企業がやろうとせずに、しっかりと、外にいいアイデアや技術のシーズがあれば、それに対して積極的に投資をすることによって、長く続いている企業でも高い利益率を維持していく、それを促していくための取組がオープンイノベーション税制だと私は考えております。

 もう一つやはり進めてもらいたいのは、事業再編、スピンオフです。先ほど申し上げたオープンイノベーションは、既存の企業が外の企業に対して投資をするということですけれども、当然、大きな企業の中でも将来成長し得る事業部門がたくさんあるわけでありますけれども、ただ、大きな企業の一事業部門だと、どうしても小回りがきく経営ができずに、大きく事業を伸ばすことができず、類似の世界のほかの企業にシェアを奪われてしまうということもあるんじゃないかと思います。実際に、アメリカはこの八年間でスピンオフを二百七十三件実現をさせておりますけれども、我が国の実績、もしかしたら次、一件になるかもしれませんけれども、足元はゼロ件なんです。

 そういう意味では、オープンイノベーション税制だけじゃなくて、このスピンオフを促すような取組というものも政府にやっていただいて、日本の企業の成長性を加速させていただきたいというふうに思いますけれども、この点について、西村大臣からお話を伺いたいと思います。

西村国務大臣 小倉議員から大変重要な御指摘をいただいたと思います。

 日本経済において、新しい企業、ベンチャー企業をどう育てていくかということと同時に、日本に今ある既存企業、大企業、ここの持つ力をどう発揮してもらうか、これは大事な視点だというふうに思っております。

 まさに、大企業が二百四十兆円までの現預金、内部留保を今有しております。その内部留保をふやす一方で、設備投資や研究開発費、営業利益に対する比率は低下をしているわけでありまして、ぜひこの大企業の持つ資金、人材、これを大いに開花させていくということが大事だというふうに思っております。

 まさに御指摘のように、イノベーションを進めるために、自前主義をやめて、囲い込み型の組織運営も脱して、こうした資金、人材を活用して、新たな技術あるいは企業文化を持ったベンチャー企業、スタートアップ企業との協業も含めて進めていくことが不可欠だというふうに考えております。

 御指摘のように、そうした観点からオープンイノベーション税制を創設したところでありまして、まさにそのスピンオフも、アメリカが二百七十三件という御指摘がありました。日本で税制なりを使っているのはゼロ件ということで、小さいのは幾つかあるんだと思いますけれども、より大きな、こうした再編につながるようなスピンオフを促進していかなければならないというふうに思っております。

 そのため、取締役会の監督機能の強化等のあり方について、六月をめどに経産省においてそうした指針を取りまとめることとしておりますし、さらに、そのためのさまざまな検討、具体的な検討を進めて、まさに事業再編、大企業の持つ資金、人材を開花させ、新しい産業を大企業からも起こしていく、そうした流れを、この夏の成長戦略実行計画に向けてしっかりと検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

小倉委員 西村大臣、ありがとうございました。

 企業の生産性向上にかかわる、特に大企業の柔軟な経営戦略については、ナッジみたいにそっと背中を押すじゃなくて、強力に、ぜひ西村大臣のリーダーシップで背中を押していただきたいというふうに思っています。

 コーポレートガバナンスが私は重要だと思っていまして、このコーポレートガバナンスの強化についても、安倍政権のもとで、スチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コード、そして社外取締役の必置義務、これは非常に大きな改革を実現できたと私は思っています。

 このコーポレートガバナンスの強化に関する話でいえば、私は、外からの強化も重要だと思いますけれども、例えば、企業の不祥事や不正が起きた場合にはなかなか、会計監査人も含めて外から発見をすることは難しいです。やはり、よく知っている従業員の通報をもとにその不祥事や不正が明らかになるというふうなことが私は重要だと思っていまして、公益通報者保護法というのがございます。

 これはできたのは二〇〇四年でありまして、そこから実は一度も改正がなされておりません。この法律ができたときの実は自民党のPTの座長が岸田先生で事務局長が河野防衛大臣という話を私は聞いたんですけれども、それぐらい間があいてしまっているということで、私は、この公益通報者保護法、より通報者が不祥事について通報しやすい制度にして、これは、企業にとっても、企業側にちゃんと言ってもらえれば、企業の内部で早期に是正をすることができて、例えば、不祥事が大きくなってからマスコミに知られるとか行政に知られる、その結果、企業の存続自体が危ぶまれるということを防ぐことにも私はつながると思いますので、企業の健全な発展、経済の健全な発展の観点からも、私は公益通報保護法の改正が一刻も早く必要だというふうに考えておりますけれども、衛藤大臣にお伺いしたいと思います。

衛藤国務大臣 小倉將信委員にお答えいたします。

 公益通報者保護法の改正につきましては、今お話しのとおり、自民党の公益通報者保護制度に関するプロジェクトチームにおいて精力的に御議論いただき、今月三日、必要な法改正項目等について取りまとめていただいたものと承知をいたしております。

 引き続き、消費者の安全、安心を損なう企業不祥事が減らない中で、違法な行為が放置されないよう、企業の自浄努力を十分に発揮していただくため、消費者庁としても、公益通報者保護制度の実効性を向上させるためどういった制度改革が必要か、検討を深めてきたところでございます。

 今後、自民党の取りまとめの内容も踏まえた上で、今国会における法案提出に向けて全力で取り組んでまいります。

小倉委員 大臣、ありがとうございます。

 御紹介いただいたおとといのPTの提言で、実は、去年の消費者委員会の専門調査会の報告書になかった守秘義務について、導入すべきだという提言をいたしました。

 この消費者行政の世界で、消費者委員会が必要に応じて検討ということで先送りしたものについて自民党としてやるべきだと言うのは、非常に思い切った提言だと思っていますし、宮腰前消費者担当大臣が座長についていただいて、そのリーダーシップのもとでそういう提言を出させていただいたということだと思います。

 ぜひ、これから国会の審議に移ろうかと思いますけれども、大臣には、しっかりと前に進むように御努力をしていただきたいというふうに思います。

 続いての質問です。教育のICTについてお伺いしたいと思います。

 同僚の田畑議員からもお話があったかもしれませんけれども、私はこれは絶対やるべきだと思います。端末を一人一台導入するというのは英断だったと思いますけれども、新年会で地域を回っていてよく聞くのは、端末が用意されたはいいけれども、じゃ、その端末を使って、どういうコンテンツのもとで、どういうカリキュラムのもとで、一人一人の先生が学校の授業でどう教えたらいいかまだよくわからない、見えてこないというような不安の声であります。

 そういう意味では、コンテンツ、カリキュラム、そして学校の先生へのサポート、こういったものが非常に重要だと思っておりますけれども、この点について文科大臣に、萩生田大臣にお伺いすると同時に、実は経産省でも、エドテックということで、民間事業者と連携をして、ICTを使ったさまざまな新たな授業、新たな未来の教室というのをやってくださっています。

 そういう意味では、私は文科省と経産省の連携が非常に重要だというふうに思っているんですけれども、この経産省、文科省の連携について梶山大臣からお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

萩生田国務大臣 一人一台のパソコン環境整備においては、活用できるコンテンツの周知や、教員が指導する力を身につけられるようにすることも必要だと考えております。

 教育用コンピューターで活用できるコンテンツについては、新学習指導要領に基づく新しい教科書に既に掲載されているQRコードからアクセスできる、教科書の内容に密接に関係する動画やデジタルコンテンツ、あるいはインターネット上で配信されている教育用の動画など、容易に活用できるものもあります。

 また、各学校や教員に対して、各教科等におけるICTを活用した効果的な学習活動の例を示した「教育の情報化に関する手引」などを公表し、情報提供しております。

 さらに、教員がICTを活用して指導を行えるように、独立行政法人教職員支援機構における各地域でのICT活用に関する指導員の養成研修の実施、教師のICT活用をサポートするICT支援員などの配置を促進をするとともに、ICT活用に関する助言や研修支援を行うICT活用教育アドバイザーに係る経費を令和二年度の政府予算に計上しているところでございます。

 先生御指摘のとおり、私もいろいろな機会に、待っていましたと言っていただける先生と、私も使わなきゃいけないのという先生と、いろいろな御意見をいただいています。

 大事なことは、今までベテランで培ってきた、上手な授業ができる先生が、そのコンテンツを上手に使って更に魅力ある授業ができるようにするために、こうしたら簡単ですよ、こういうふうにできますよということを現場にアドバイスしてさしあげることが大事だと思いますので、無理なくICTを活用できるように、文科省としてもこれらの施策を積極的に推進してまいりたいと思います。

 後ほど経産大臣からも答弁があるんだと思いますが、GIGAスクールの実現推進本部は、まさに経産省、また総務省にも参加していただいて、文科省だけじゃなくて、もう政府を挙げて取組をしていますことも加えて報告させていただきたいと思います。

棚橋委員長 経済産業大臣梶山弘志君。

 なお、大変恐縮ですが、申合せの時間が迫っておりますので、簡潔にお願いいたします。

梶山国務大臣 はい。

 生徒一人一台のパソコン端末の配備を前提としました実証事業ということでありますが、先ほど委員から御紹介のありましたエドテックを活用することで、一人一人の理解度やペースに合わせた個別に最適化された学びを可能とし、知識習得を最大限効率化するとともに、効率化を通じて生み出された時間を、文系、理系の知識を融合して社会課題の発見、解決に取り組むSTEAM教育の開発に取り組んでおります。

 これは、予算の面もそうですし、文科省と連携をとりながら、しっかりと浸透するような取組をしてまいりたいと考えております。

小倉委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

 ちょっと最後、一問残してしまいました。赤羽大臣に、特に都市部の大きな問題であるマンションの老朽化問題についてお伺いしようと思っておりました。これは、現状、ストックが六百五十万戸以上あって、実際に建てかえが行われているのが二万戸弱。これをほっておくと、四十年以上たったマンションの戸数が四百万戸近くに二十年後にはなってしまうということで、実はそのストックの半分が一都三県に集中しています。この問題を早急にやっていただきたいと御質問させてもらおうと思っていました。

 おわびを申し上げると同時に、国交省では、大臣始め、しっかりと法改正も含めて検討していただいているということのようですので、そのことについて感謝を申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

棚橋委員長 これにて小倉君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、新型コロナウイルス関連で、これは冒頭、通告しておりませんので、ちょっとお願いベースで申し上げたいと思いますけれども、けさからニュースになっているとおり、クルーズ船に乗船をされていた方のうち十人が新型コロナウイルスの感染を確認をされて、医療機関へ搬送されたと速報で承知をしております。また、あわせて、厚労大臣の方から、船内の乗客には原則十四日間とどまってもらうというお考えを示された、これも速報で確認をしております。

 こうなると、いわゆる船内待機期間中にまた新たな感染者が確認をされると、例えば、そこからまた新たに十四日間船内にとどまってもらうといったことになりかねないのではないかということを少し心配をしております。

 例えば、船外に出て、なおかつ別の場所において十四日間待機してもらう、これは場所の確保という課題がありますけれども、いずれにしても、船内待機が長期化し過ぎないようにもしっかり検討して対応していただきたいと考えます。

 これは通告しておりませんので、では、総理、お願いいたします。

安倍内閣総理大臣 クルーズ船に対する検疫は現在継続中でありますが、船内において発熱等の症状のある方やその濃厚接触者等の検体を採取をし、そのうち三十一名分のウイルス検査の結果が判明しました。

 その結果、三十一名中十名の方から陽性反応が確認をされたわけでございまして、このため、本日午前七時半ごろ、検疫官が付添いのもと、これらの方々に下船をしていただき、海上保安庁の協力も得て、神奈川県内の医療機関へ搬送いたします。この十名の方は、患者として、感染症法に基づく措置入院といたします。

 新型コロナウイルスにおいて、ウイルスの有無を科学的に確認せずに疫学的条件のみで判断する場合には、最大十四日間の潜伏期間を想定した措置を講じてきています。残る乗員乗客の皆様には、これを踏まえて、当面上陸を認めないこととし、必要な期間に船内にとどまっていただき、感染を予防する行動を徹底しつつ、客室で確実に待機をしていただく中で、引き続き臨船検査を進めてまいります。

 ただいま委員がおっしゃった点等についても、我々も議論しておりますが、クルーズ船でございますので、それぞれ客室がございますので、その中でまずは待機をしていただくということを徹底していかなければならない、こう考えておりますが、乗員乗客の方々の健康状態の確認を最優先にしながら、感染拡大の防止に全力を尽くしてまいります。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。通告なしでお答えいただきまして、大変恐縮でございます。

 続きまして、新型コロナウイルス対策で、これは少し情報が古いんですけれども、菅官房長官、三日の記者会見で、この新型コロナウイルス肺炎への対応で、日本への入国を拒否した外国人は二日までに八人に上ると発表されております。

 一方で、邦人帰国者向けの第二便では、武漢空港で、搭乗前の中国側の検査で発熱などの症状が見つかった邦人複数名が中国側の判断で乗車できなかったと承知をしております。

 こうした形で帰国できなかった邦人の方、想像するに、大変御心配な状況になっているのではないかと思うものですから、こうした邦人への対応はどうなるのかというのが一つ。

 もう一つは、これまでにチャーター機で帰国した方々は全て日本国籍者であります。そう承知をしております。帰国希望者の中には、例えば中国籍の配偶者の方もおみえになると思います。また、外務省によりますと、中国側は自国民の出国については、今、前段の一問目の内容と沿っているわけですが、出国については慎重で、必要に応じて中国当局と交渉している、こういうふうに承知をしております。子供も含めて、家族が引き離されることになりかねません。丁寧な対応をお願いしたいと思います。

 このような中国国内に在住する邦人の配偶者や家族で、日本国籍ではなく中国籍の方々への対応はどうなっているのか。以上二つ、外務大臣、御答弁をお願いします。

茂木国務大臣 一点目の、チャーター機搭乗時のメディカルチェック等の結果、経過観察が必要とされてチャーター機に搭乗できずに湖北省に滞在されている邦人七名につきましては、現在、現地に入っております医務官や在中国日本大使館員が、中国側の関係当局や我が国関係省庁と連携して対応に当たっておりますが、これらの方々も含めて、帰国をされる方々が全員帰国できるように、引き続き中国政府、関係省庁と緊密に連携しているところであります。

 そして、これまで、帰国を希望したいという方々全員の帰国を実現するべく、中国政府、関係省庁と調整を進めてきましたが、これまでのチャーター機三機におきましては、搭乗可能人員数であったりとか中国政府との調整の結果等を踏まえて、邦人のみが搭乗ということになりましたが、現在調整しております。

 できましたら今週中にもと思っておりますが、第四便以降につきましては、人道的観点等から、例えば中国籍の配偶者など日本国籍保持者と何らかの関係を持つ方々についても搭乗を認めてもらうべく、中国側と鋭意調整をしておりまして、調整は進んでおります。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 日々さまざまな課題が出てくると思いますので、御対応は大変かと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 もう一問、これは外務大臣にお伺いしたいと思います。

 今日、NGO、経済界、そして政府、これがそれぞれ対等なパートナーシップのもとで、それぞれの特性、資源を生かして協力連携をし、海外において人道的危機や自然災害が発生したときの緊急援助が、より効率的かつ迅速に行われるようになってきております。

 このあたりのことは我が党の遠山財務副大臣が大変造詣が深いわけですけれども、例えば、政府も財政支援をしているジャパン・プラットフォームというNGOの連合体、これもその一つであります。今回の新型コロナウイルスへの対応においても尽力をいただいていると聞いておりますが、ちょうど年度末に当たるものですから、十分な予算の確保が困難になっていると聞いております。

 既に成立をした本年度補正予算や政府の予備費をぜひ活用して、国際貢献という観点から、ジャパン・プラットフォームがその特性を生かして迅速な支援を中国に対して行う場合は追加的な予算措置を実施するべき、こう考えますけれども、外務大臣の御答弁をお願いいたします。

茂木国務大臣 中国におけます新型コロナウイルスの発生を受けまして、政府としては、これまでも、マスクであったりとか防護服等の支援物資をチャーター機に搭載して現地に届けてきておりますが、この際、民間企業、団体からもさまざまな支援物資の提供を受けたところでありまして、改めて感謝を申し上げたいと思っております。

 そして、中国での新型コロナウイルスへのNGOの対応として、伊藤委員からも御指摘いただきましたジャパン・プラットフォームの枠組みのもとで、現在、我が国NGOが対応を準備しておりまして、同プラットフォームにおいて今後の具体的な事業の検討が行われていると承知をいたしております。

 政府としましては、我が国NGOによります支援活動が検討されていることを評価をしておりまして、政府としても、財政面を含めて、可能な支援を行っていきたいと思っております。

 一方で、現地におけます感染者数のさらなる増加であったりとか地理的な拡大が懸念されていること、そして、武漢、湖北省以外でも、一部移動の制限措置であったりとか、航空会社の減便、運航の休止が始まっていること等も踏まえて、人の派遣を伴わない形で支援物資を送る等、支援のあり方についてもお考えいただけるとありがたいなと思っております。

伊藤(渉)委員 外務大臣、ありがとうございました。

 まさに、中国国内は二万人を超える感染者の方が発生をしておりますし、今大臣からいただいた答弁ももちろん重要な取組でありますし、日本国の邦人の保護はもとより、隣国である中国国民の安全のためにも、引き続きお力を尽くしていただけますようお願いを申し上げます。

 続きまして、児童虐待防止について一つお伺いをいたします。昨年の予算委員会では繰り返し取り上げられた児童虐待の防止について、その後の取組を確認をさせていただきたいと思います。

 父から虐待を受けていた千葉県野田市の当時小学四年生の栗原心愛さんが亡くなってから、本年一月二十四日金曜日でございましたけれども、丸一年が経過をいたしました。先月二十三日に公表された野田市の検証報告では、救えた命だったと結論づけられております。

 千葉県では、児相の職員増、行政を支援する警察や弁護士の配置拡大のほか、父親の威圧的な態度に行政職員が萎縮した教訓から、親への対応をロールプレー形式で研修も重ねているというふうに報道等で承知をしております。また、学校が家庭訪問しなかった反省もあり、担任が虐待事案に対処する場合、かわりに授業をする講師を派遣する、こんな仕組みも導入をしたと聞いております。

 一方で、一時保護所の児童数は一・七倍に増加をしており、人、物両面からの体制強化が引き続き望まれております。

 この予算委員会でもさまざまな角度から議論されておりますとおり、少子社会だからこそ、一人一人の子供たちが健やかに暮らすことができる国づくりを進めていかなければなりません。児童虐待を防止することはもちろん、児童虐待防止に取り組む中から、社会的に弱い立場にある子供たちにしわ寄せされてしまっている社会のゆがみ、根本的な原因を究明する努力も怠らず、課題解決に向けて取り組むことが重要だと考えております。

 日夜、今も現場で児童虐待防止のために奔走する関係者の皆様に心から感謝をしつつ、より充実した体制の整備、そして根本的な原因の究明への努力、大切な子供たちの命を守るための不断の取組を引き続きお願いしたい、こう考えますが、厚生労働副大臣の答弁をお願いいたします。

稲津副大臣 お答えいたします。

 虐待によって子供の命が失われる事件が繰り返されることはあってはならない、子供たちの命を守るのは私たち大人の全員の責任である、このように考えております。

 この強い決意のもと、平成三十年の十二月に児童虐待防止対策体制総合強化プラン、いわゆる新プランを決定をいたしまして、令和元年度から四年間で、現在三千人の児童福祉司を令和四年度には五千人体制にすること、また、児童心理司も令和四年度までに八百人程度増員すること、市町村において子供や家庭に対する相談支援を行う子ども家庭総合支援拠点を令和四年度までに全市町村に整備することなどを進めております。

 また、平成三十一年三月に決定をいたしました児童虐待防止対策の抜本的強化に基づきまして、令和二年度予算案では、児童福祉司等の専門職採用活動への支援の拡充、児童福祉司等の処遇改善、一時保護所の施設整備に係る費用の補助及び職員体制の抜本的な拡充などを盛り込んでおります。

 さらに、過去の児童虐待事例を分析をいたしまして、そこで明らかとなった虐待の要因を具体的な対策につなげていくことが極めて重要と考えておりまして、社会保障審議会のもとの専門委員会におきまして、児童虐待による死亡事例等の検証を行っているところでございます。

 今後とも、死亡事例検証等において、保護者の状況などを含め、虐待の要因等について分析を深めますとともに、検証結果を踏まえて必要な対策を行ってまいります。

 こうした取組によりまして、何よりも、今議員御指摘のとおり、子供の命を守ることを第一に、児童虐待防止対策に全力で取り組んでまいります。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 本当に現場は一つ一つ、まさに子供の命がかかわる事案でありますので、神経をすり減らすように虐待防止に取り組んでいただいております。よく現場の声を聞いていただいて、非常に効果のある予算の執行をお願いをしていきたいと思います。

 続いては、自動車社会の急激な変化と交通事故防止等について伺ってまいります。

 いわゆる団塊の世代の方々が二〇二二年以降から七十五歳以上になることから、医療、介護、年金などの社会保障制度の維持が重要な課題になることはもとより、今から質問させていただきます高齢者ドライバーによる運転事故防止、これも重要な課題になっていると考えております。

 全体の交通死亡事故が減少する中、六十五歳以上の高齢者ドライバーによる交通事故比率が上昇傾向にあると承知をしております。

 まず、これは武田国家公安委員長にお伺いしたいんですが、警察の取組として、免許更新に当たり講習を義務づけております。また、免許の返納も行いやすい環境整備が進められております。ただ、車がなければ生活ができないといった地域もありますので、ここは環境整備をまずしていただく。

 この関係で、実は現場でよく耳にする声では、この講習が大変混雑しておりまして、うっかりして講習の申込みを失念すると免許更新時期に間に合わなくなるんじゃないか、そういう心配の声が届いて、よく地元の警察署に御相談の取次ぎをしたりしたことがございます。

 これからますます受講者はふえることが予想されておりますので、まず現場においてしっかりと体制の整備を進めていただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いします。

武田国務大臣 御指摘のとおり、高齢者運転というのが本当にふえていっておりまして、この事故を防止することとあわせて、その安全というのも我々は支えていかなくてはなりません。地方にとっては、年寄りにとっては大変重要な足になってきているわけであります。

 警察では、免許の更新時に、実技指導を含む高齢者講習を自動車教習所に委託をしております。この待ち時間がやたらと長いというところの御意見というのを、先生方も寄せられておるということですけれども、我々もこれは大きな問題意識を持っております。

 そこで、いろいろな取組を始めておるわけでありますけれども、具体的には、体制を整備して、警察みずからが講習を行う直接実施、また、予約、相談窓口の拡充や、自動車教習所の予約あき情報の提供、更新期限が迫っている方への優先枠の確保などの対策を講じてまいります。

 引き続き、高齢者講習の受講待ち問題が解消されるよう、体制の整備、運用の改善の両面で対策を進めてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 まさに現場の非常にきめ細かいことでありますけれども、大事な話なので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、一月三十日に成立をした本年度補正予算の中でのサポカー補助金、具体的には、対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ、そしてペダル踏み間違い急発進抑制装置、これを装着した自動車について、六十五歳以上の方を対象に補助金制度を創設をいたしました。

 これは、登録車で十万円から六万円、軽自動車で七万円から三万円、中古車で四万円から二万円、既存車への後づけペダル踏み間違い急発進抑制装置購入補助で四万円から二万円の補助額と承知をしております。

 高齢者ドライバーの運転する車の安全性を高め、より交通事故の発生しにくい環境をつくる上でもとても重要な補助制度だと考えております。自動車関連業界と協力をして、ユーザーへの速やかな周知など、実施をお願いしたいと思います。

 そこで、確認をしておきたいのは、一つは、新車登録車、軽自動車、中古車、既存車への後づけ装置、それぞれの補助実施スタート時期など、詳細はどのようになるのか。

 また、全国の自治体では、独自に上乗せを検討しているところ、既にそうした補助を行っているところ、さまざまございます。丁寧にその自治体の相談に乗っていただいて、国の補助制度とあわせて、ユーザーに対する、より手厚い補助が行き渡るように、よく相談をして進めていただきたいと考えますけれども、梶山経済産業大臣の御答弁をお願いいたします。

梶山国務大臣 サポカー補助金につきましては、委員御指摘のように、一月三十日に令和元年度補正予算が成立したことを受けまして、二月三日には補助事業実施者を選定をいたしました。受け付け開始日や必要な申請手続事項等の事業の詳細は、整い次第、速やかに広く国民の皆様へ周知を図ってまいりたいと考えております。

 なお、登録車及び軽自動車に対する補助については、サポカー補助金の創設が公表されたことによる買い控えを防ぐ観点から、サポカー補助金の対象車種が決定された令和元年十二月二十三日以降に新車新規登録された登録車及び新車新規検査届出された軽自動車が対象となります。

 中古車や既存車への後づけのペダル踏み間違い急発進抑制装置に対する補助については、自治体との調整、システム整備等に一定の時間を要するため、この点も、整い次第、速やかにお知らせをしてまいりたいと思っております。

 一部の地方自治体において、サポカー補助金と類似の補助事業が既に実施又は検討されていると承知をしております。各自治体で補助の対象となる方の年齢や車両、装置などが異なるため、各自治体の状況を踏まえながら、よりよい制度とすべく、また利用者の混乱を防ぐべく、個別に丁寧に調整をしてまいりたいと思っております。

伊藤(渉)委員 ぜひ、予算は成立いたしましたので、コマーシャル等も含めて周知の徹底をお願いしておきたいと思います。

 続いて、経産大臣に、通告ではあと二問あるんですけれども、ちょっとまとめて御質問いたします。

 今申し上げたサポカー以外にも、最近は、高齢者が運転しやすい超小型EV、あるいは電動車椅子などが登場しております。こうした多様なモビリティーの普及はスピード感を持って進めていくべきと考えておりますけれども、どのように取り組んでいくのかというのが一点。

 もう一つは、次世代カーの開発に当たっては、これもこの予算委員会で再三話題になっております環境、この環境性能の向上も避けて通れないと考えております。

 先日のIPCCの特別報告では、温暖化が現在のペースで進むと、早ければ二〇三〇年に世界の平均気温はパリ協定が抑えようとしている一・五度の上昇幅を突破するおそれがあり、環境問題への貢献も不可欠だ、こう承知をしております。

 移動のサステーナビリティーを高めていくためには環境対策も必須であります。特に、世界的には車の電動化が進んでいきますが、その鍵となる蓄電技術、これは、吉野先生がノーベル化学賞を受賞されたように、日本が強みを持つ分野であります。我が国の競争力を高める上でも、官民で研究開発を進めていくべきだと考えております。また、このEVが普及をしてくれば、これを走る蓄電池として活用をして、再生エネルギーの普及にもつなげていくなど、エネルギー分野での活躍も視野に入ると考えております。蓄電池技術の開発及びエネルギー分野でのEVの活用などをどのように進めていくのか。

 以上、経産大臣にお伺いいたします。

梶山国務大臣 伊藤委員より二点御質問がありました。

 御指摘のとおり、高齢者を中心に、交通安全と生活に必要な移動手段を確保する観点から、超小型EVや電動車椅子等への期待が高まっております。

 経済産業省では、昨年八月に、有識者による多様なモビリティ普及推進会議を設置し、これらの多様なモビリティーの普及に向けた課題を検討してまいりました。十二月の取りまとめの中では、価格低減や認知度向上等の必要性が指摘をされているところであります。

 このような課題に対処すべく、令和元年度補正予算では、超小型EVの購入補助や電動車椅子を商業施設でシェアリングする実証事業等を実施をしてまいりたいと思っております。

 これらの事業を通じて、今後も多様なモビリティーの普及にスピード感を持って取り組んでまいりたいと思っております。

 もう一点、蓄電池についての御質問がありました。

 昨年、吉野博士がノーベル化学賞を受賞されたとおり、我が国は黎明期からリチウムイオン電池の開発に取り組み、車載用電池の分野でも世界をリードをしてきたわけであります。今後も、電池の低コスト化、軽量化、省スペース化など、電池の性能を向上させ、電動車の利便性を高めていくことが不可欠であります。

 また、電動車を再生可能エネルギー電気の貯蔵や電力系統の需給調整、災害時の非常用電源にも活用するなど、用途の拡大を図っていくことも、委員御指摘のとおり、大変重要なことであると思っております。

 このため、経済産業省では、全固体電池などの次世代電池の開発を進めるとともに、IoT技術により、電動車等を用いて需給調整を行う技術実証にも現在取り組んでおります。令和二年度当初予算においても、これらの事業に約百億円を計上しております。

 我が国が強みを持つ蓄電池、電動車の分野で今後も国際競争を勝ち抜けるよう、官民を挙げて取り組んでまいりたいと思っておりますし、体制もつくってまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 再生可能エネルギーのこともこの委員会で何度も議論されておりますけれども、発電が不安定な、一定の発電ができない再生可能エネルギーを本当の意味でベースロードとして使っていくためにも、この蓄電技術は極めて重要な技術であり、これは各国争って開発をしていると思いますので、引き続き強力な政府の後押しのもとに研究開発を進めていただきたいと思います。

 続いては、同じ自動車関係で、これは竹本大臣にお伺いします。

 公共交通を担っていく主体となる二種免許保有者、これは年々減少しておりまして、運転者自身の高齢化も進展をしております。最近では、地方都市レベルでも、不採算路線を中心に減便、廃線なども発生しております。運転者の確保が困難になっていく中、自動走行車への期待が高く、私の地元、愛知でも自動走行車の実証実験を各地で行っております。

 自動走行の社会実装に向けた現状の取組と今後の方針について、竹本大臣に御答弁をお願いいたします。

竹本国務大臣 自動運転は、少子高齢化が進む中、中山間地域の移動手段の確保など、我が国の社会課題を解決する技術として期待されております。

 このため、官民ITS構想・ロードマップを策定いたしまして、その中で、地域における無人移動サービスなどの実現に向けて官民一体となって取組を進めているところでございます。

 具体的には、自動運転の安全性向上に必要な技術開発を進めるとともに、各地の多様なニーズに応じるため、全国各地で実証実験を推進しまして、自動運転の実証や実用化に必要な制度見直しについても、昨年五月に道路運送車両法等が改正されたところであります。

 実際、私自身も、昨年十一月にお台場で行われた自動運転の実証実験で実験車両に試乗いたしました。車両は安定していて、乗り心地の非常にいいものでございましたけれども、自動運転の可能性を実感した次第であります。

 ただ、私の地元、大阪におきましても、レベルは違いますが、地域交通の路線バスのかわりとして、こういった自動運転の実証実験をやりまして、それにも参加しましたけれども、やはり、なれるということが非常に難しいということも感じました。従来の路線バスとどこが違うのか。例えば、団地の高齢化が進んだところでこういうバスサービスの実証実験をやったんですけれども、路線バスは時間どおりには走ってはいるんだけれども、それがなくなったら、かわりにこれを導入しようとしているんですけれども、なかなか、お年寄りがなれることが非常に難しいということを実証いたしました。その辺、技術開発しなきゃいけないと思っております。

 今後とも、官民ITS構想・ロードマップのフォローアップや改定を行いつつ、官民が連携した技術開発や実証実験も含めて自動運転の早期実用化に取り組むつもりでございます。

 以上です。

伊藤(渉)委員 現場のリアルなお話も伺いまして、ありがとうございます。

 まさに、二種免許など、既に人手不足で大変御苦労をいただいている業界も含めて、例えばトラックですと、既に隊列走行などの実証実験も行っていただいております。ああいった実証実験を見ても、高速道路上は隊列走行で行くんですけれども、では今度、高速道路からおりた後、具体的にどうするのかとか、潰していかなければならない課題は一つ一つまだたくさんありますので、引き続き竹本担当大臣の御指導のもとで進めていただきたいと思います。

 次は、赤羽国交大臣にお伺いします。

 高齢者の自由な移動の確保、高齢化や過疎化が進む地方の喫緊の課題であります。AIやIoT技術を活用したオンデマンドバスや相乗りタクシーなど、安全運行に十分配慮した上で、地域における公共交通サービスの利便性や効率性を確保する取組を総動員をして移動手段を充実させていく、これは地方創生にもつながる重要な取組だ、こう考えますけれども、国交大臣、このあたりはどのように取り組んでいくのか、答弁をお願いします。

赤羽国務大臣 今、その前に、やりとりされておりました高齢者による自動車事故というのは大変大きな問題でございます。

 私も、昨年、大臣に就任後、池袋の高齢者の運転事故により御家族を亡くされた方を含む交通事故の被害者の御家族の団体の皆様から直接お話を伺いまして、改めて、不幸な交通事故を撲滅していかなければいけない、こう強く決意をしたところでございます。

 国交省といたしましても、経産省と連携しながら、安全運転サポート車のさらなる普及促進、技術開発に全力を挙げていきたいということでございます。

 また、高齢者の運転免許の返納、これはどの家庭も大変親子げんかのネタになっているような話で、返したはいいけれども、それからどうやって生活をしていくのかというのは、私の地元、神戸市の北区でもそうしたことも大変大きな課題でございまして、その受皿となる公共交通、これをしっかりと支えていかなければいけない、こう承知をしております。

 ただ、なかなか公共交通機関も、少子高齢化、人口減少化で、維持をしていくことは大変難しい問題でございまして、そうした中で、交通政策審議会において今具体的な検討を進めておりますが、地域ごとに、地方公共団体が中心となって、一つは既存の公共交通サービスについて、いわゆるMaaS導入とか、またAI等を活用したオンデマンド交通や、また相乗りタクシーの導入等も認めることになりまして、その改善を図っております。

 それに加えて、公共交通機関だけではなかなか対応できないということもございますので、その地域実情に合わせて、自家用有償旅客運送ですとか、スクールバス、学校とか幼稚園とか医療機関とかさまざまなところでバスがありますので、そうしたことを活用した多様な輸送資源を総動員して、地域の移動ニーズにしっかり応えられる体制を強化すべく、取組を進めているところでございます。

 また、今回、そうしたことを踏まえて、新たな枠組みや事業メニューを盛り込んだ地域公共交通活性化再生法等の改正法案を本通常国会に提出すべく、今準備を進めているところでございますので、しっかりしたものを早期成立して、しっかり施行していきたいと考えております。

伊藤(渉)委員 赤羽大臣おっしゃるとおりで、移動手段がなくなる、あるいは、仮に運転免許を返納して自動車に乗ることをやめたりすると認知能力の低下にもつながるなどという話もあって、本当に安全な移動手段が確保できるのであれば、やはりいろいろ出歩ける環境をつくっていくというのは極めて重要だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 最後に、総理にお伺いします。

 これまで議論してきたとおり、交通事故防止ということもそうですし、日本経済の屋台骨の一つであるのが自動車産業であります。MaaSやCASEといった言葉で表現されるように、大変革期に突入をしており、すさまじい国際競争の渦中にもございます。蓄電技術の研究開発や、レベル4と呼ばれる完全自動運転のための法整備など、あらゆる側面から政府の支援が必要となります。

 日本の自動車産業の優位性を確保するため、政府を挙げて、引き続き新しいモビリティー社会の実現に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、総理の御答弁を最後に求めます。

安倍内閣総理大臣 自動車産業は、我が国の製造業の約二割に当たる六十兆円の出荷額を誇る、高い競争力を持つ産業であります。また、部品やあるいは整備、ディーラーなど、地域や中小・小規模事業者も含めて裾野の広い産業であり、約五百万人の雇用を生み出す、日本経済の大黒柱と言ってもいいんだろうと思います。

 先ほどから伊藤委員も御指摘のとおり、自動車産業は、今、自動化、電動化といった大変革期にあります。国際競争は一層激しさを増しているわけでありまして、自動化技術は、高齢者のサポートや中山間地域の足を提供するなど、地方が直面する社会課題の解決に大きな力となり得るわけであります。また、電動化技術は地球規模での気候変動問題への対応に大きく貢献するものでありまして、我が国自動車産業がこれからも世界において高い競争力を維持できるように、政府一丸となって、こうした変革を力強く後押しする規制改革や研究開発など、あらゆる施策を講じていく考えでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 終わります。

棚橋委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人としてカジノ管理委員会事務局次長並木稔君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 立国社会派の大串博志です。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 これはさっき質疑もありましたけれども、新型コロナウイルスに関して、大変懸念される状況が続いております。

 大型クルーズ船をめぐる状況に関して、けさ、先ほど来も話がありましたけれども、厚労大臣が記者会見をされて、症状が出ていらっしゃる方を中心に検体を採取された、二百数十検体ですかね。それで、検査結果が出たのが今のところ三十一でいらっしゃる。三十一の検査結果が出たところの中で、陽性反応が十あった。印象としては、かなり、検査結果の内訳で陽性反応が出たのは高い割合のように感じます。

 総理にぜひお尋ねしたいと思うんですけれども、これからかなり検体の採取は続くと思うんですね、検査も続くと思います。そうすると、かなり船の中に長期化して停留していただくということになるんじゃないかと想像します。完全な安全を確保した上で上陸していただくという措置をとられると思いますが、恐らく地元の皆さんなんかは、二次感染、三次感染、四次感染を含めた心配をされている方々も地元では多いと思うんですね。

 こういった中で、かなり船の中での停留が長引くとなるとすると、今でさえ、今回、十人の陽性反応が出たということになる、これからも出てくる可能性があると私は考えますけれども、そうすると、長期化する中で、船の中できちんとした医療体制をとるということが、かなり三次、四次、五次感染を防ぐという意味において必要になってくると思うんですね。

 この辺に関して、総理のお考えを。

安倍内閣総理大臣 詳しくは橋本副大臣から答弁をさせますが、きょうは、早朝、加藤大臣からこの状況について報告が直接私のところにもございました。また、秘書官からも報告があったところでございますが、三千名を超える乗員乗客の方が乗船しておられるわけでございまして、この方々の健康状態の確認を優先しつつ、感染拡大防止に向けて万全の対策をとっていきたいということでございますが、まずは、感染を予防する行動を徹底していくということでありまして、客室に確実に待機をしていただく中において、引き続き臨船検査を進めていきたい。

 詳しくは、副大臣から答弁させます。

大串(博)委員 厚労副大臣にお尋ねします。詳しく、かつ簡潔に説明をお願いします。

橋本副大臣 船内の医療体制につきましてのお尋ねでございますが、クルーズ船には、もともと医務室がございまして、船医が乗船をしております。したがいまして、このコロナウイルスに関する感染症によるか、あるいはそうでない場合もあると思いますが、体調を崩される方が仮に出た場合には、まずは医務室及び船医の方に対応していただくということになります。

 ただ、今同時に、臨船検疫中でございますので、検疫官も乗船をしております。場合によっては、検疫官も医師ですから、その方々もサポートに入ることは検討される、そのときに応じて対応するということはございます。

 また、長期化します。そうしますと、今お手持ちの日ごろ飲んでおられるお薬が足りなくなるというようなこともあろうと思います。そうしたことにつきまして、私どもの方でニーズを把握いたしまして対応するということで今考えております。

 さらに、これはもう既に、昨日、脳梗塞の疑いの方を搬送しておりますけれども、そういう緊急な対応が必要な方に対しては搬送等の処置をとる。

 こうしたことで、さらに、もちろん、日常的に生活上手洗いなどの、あるいは個室にいていただくなどの感染防止策もしていただきながら、船内での感染防止あるいは検疫をきちんとやるということとともに、乗っておられる方の健康管理にも私たちもしっかりサポートして万全を尽くしてまいりたいと考えております。

大串(博)委員 かなり船の中での生活が長期化すると思うんですね。そこで二次、三次、四次、五次と感染が広がっていくと、どんどんどんどん、また船の中に滞留せざるを得ないということが、更に延びていくと思うんですよ。ちょっと想像を超えるような状況になりかねないと思われますものですから、船内での医療体制は極めて重要だと思うんですね。ぜひ、そこにおいては遺漏なきよう万全な対応をお願いしたいと思います。

 厚労副大臣には、この後、退室していただいて結構です。

棚橋委員長 厚生労働副大臣におかれましては、退室されて結構でございます。

大串(博)委員 次に、昨日来までの審議に関してですけれども、桜を見る会に関する審議がきのうもありました。総理、かなりヒートアップされていらっしゃいましたね。何か、やや焦っていらっしゃるような印象すら私は受けました。焦っていらっしゃったように見えましたけれども、人を間違った事実に基づいてうそつき呼ばわりすることはあってはならないと私は思います。

 きのう、総理が桜を見る会の前夜祭に関して安倍事務所が契約したのではなくて参加者個人が契約したんだということの論点に関して、黒岩委員が、キャンセルとかあるいは人数が変わるとか、こういったリスクがある、リスク負担をホテルニューオータニの規約に基づいてどういうふうにしているのか、こういうことを問うたときに、安倍総理は、今、根拠のないことをおっしゃったということが明らかになりましたね、別にこれはニューオータニの規約にあるわけではないですよ、そんなことがと言った上で、だからそれは、根拠がないことをおっしゃってるって、うそをついているということと同じですよ、はっきりと申し上げてというふうなところまでおっしゃいました。

 しかし、規約を黒岩委員は手に持ちながら、規約にはちゃんと、人数が減じたとき、キャンセルしたときにはこうこうこういうふうにしますよということが書かれている規約があるわけです。あるにもかかわらず、総理がそれをどう認識していたかわかりませんが、規約はあるわけではないですよと勝手に決めつけて、うそをついているということと同じことですよ、はっきり申し上げて、こういうふうなところまでおっしゃった。

 これに関して、私たち、理事会で、総理の撤回と謝罪を求めると。しかも、テレビ中継の入っている場で、国民の皆さんが見ていらっしゃる場での発言でありますので、なお一層看過できません。ですから、同じ環境下、テレビの中継が入っている審議の場において、この件に関して、うそではなかったわけですから、安倍総理にちゃんと撤回と謝罪を求めるということを理事会協議で求めております。

 改めて、委員長に、この件に関して総理の謝罪と撤回を求める理事会協議をお願いしたいと思います。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

大串(博)委員 何でこの議論が相当ヒートアップしたかというと、前夜祭に関して、なぜそれを政治資金収支報告書に安倍総理は載せなかったか、この一点。

 安倍総理の説明の道具はただ一つ、これは個々人の参加者の方々が契約をニューオータニと直接されたからだと、この一点によっているんですね。その細い一点によっているということです。

 でも、誰も、八百人の皆さんがニューオータニと五千円の直接的な契約を一人一人結べるとは、ちょっと考えづらいですね、考えづらい。だものだから、これはおかしいなと。やはり、安倍事務所主催であり、実質的に安倍事務所の事業なんだから、収支報告書に収支を載せるべきなんじゃないかという声が上がるわけですよ。この契約を、直接、安倍事務所がじゃなくて個々人がやったということ、私はどうもこれまでの答弁を見ても合点がいかないことがあるんですね。

 先週月曜日、黒岩委員が質問されたことに対して、安倍総理、こうもおっしゃっていますね、この前夜祭に関して。多少のキャンセルが出てもよいということとして契約をした、それから、子供さん方、十八歳未満ということですかね、子供さん方に関しては料金を取らないという了解のもとにだったと。

 この先週月曜日の黒岩委員の質疑に対する安倍総理が使った契約とか了解とか、これは誰がホテル側と結んだんですか。安倍総理の事務所の皆さんではなかったんですか。

安倍内閣総理大臣 ちょっと誤解をされておられるんだろう、こう思うわけでございますが、まず、契約主体は参加者であるということ、それと、収支が一切発生していないということ、収支が一切発生していないわけでありますから、当然それは政治資金収支報告書には載せないということでございました。

 そして、参加者一人当たり五千円という価格については、八百人規模を前提に、その大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情等を踏まえホテル側が設定した価格であり、価格分以上のサービスが提供されたというわけではもちろんありません。ホテル側において、当該価格設定どおりのサービスが提供されたものと承知をしております。

 ホテル側との合意に基づきまして、夕食会場入り口の受付において、安倍事務所の職員が、一人五千円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に、集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたものと承知をしているわけでありまして、安倍事務所には収支は一切ないということでございます。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。まず、御静粛に。

大串(博)委員 安倍総理、聞いたことだけに。

 先週月曜日の黒岩委員に対して総理が答弁した、多少のキャンセルが出てもよいということで契約した、子供の料金は取らないという了解のもとだった、この契約や了解をしたのは安倍総理の事務所の皆さんじゃないですかということなんです。そこの一点だけ答えてください。

安倍内閣総理大臣 契約というのは、ちょっと私は訂正させていただきます。契約の主体は、これは参加者である、これは今までもずっと申し上げていることでありまして、その中のやりとりの一言を取り上げてそのような指摘をされたのでございますが、それは、契約の主体は参加者であるということが一点。

 それと、子供からは取らない、十八歳以下は取らないということは、いわばホテル側がそれをお話をされたということで、事務所側がそれは参加者に伝えたということでございます。

大串(博)委員 そうすると、先週、多少のキャンセルが出てもよいということで契約したということ、この契約は、契約ということではなかったと。何だったんですか、そうすると。

安倍内閣総理大臣 それは合意、合意をしている。事務所側と合意をし、それを事務所側は仲介をしておりますから、この参加者側との関係においても、それは我々の事務所として仲介をしている以上、それを合意して、それをしっかりと把握をしていなければならない、こういうことでございます。

大串(博)委員 安倍事務所の皆さんが、多少のキャンセルが出てもいいということで合意をしたと。その合意って、一体何ですか。

安倍内閣総理大臣 何回もこれはお答えをさせていただいておりますが、夕食会の費用については、ホテル側との合意に基づき、私の事務所の職員が一人五千円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に、集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者側からホテル側への支払いがなされたものであるということでございまして、ホテルとの契約主体は参加者個人になるものと認識をしているところでございます。(発言する者あり)

棚橋委員長 大串博志君。

 なお、御静粛にお願いします。

大串(博)委員 合意って、それは、法律的な性格は何なんですか。

安倍内閣総理大臣 まさにこれは合意でございまして、夕食会のホテル費用について、ホテル側との合意、契約主体は参加者でございますが、ホテル側との合意につき、いわば、例えば二十人、三十人において集会、会合をやろうというときに、一人五千円ですか、五千円で結構ですよ、ああ、そうですかということで、参加者に伝え、参加者が個々のお財布からそこで費用を払った場合は、当然これは、後援会の親睦会であったとしても、収支報告書には載せないというのは当然のことであろう。

 そして、そこで合意がなければ、参加者に五千円ということを伝えることができないのではないでしょうか。まさにそういう意味で合意ということを申し上げているのでございます。

大串(博)委員 国会の中で答弁されていること、しかも、非常に重要なことであるにもかかわらず、言葉がころころ変わるので、言葉の定義はしっかりしなきゃいけないですね。

 そうすると、安倍総理、個々の参加者が契約をしたとおっしゃいますけれども、この契約というのは民法上の契約ですか。

安倍内閣総理大臣 これは、契約主体は参加者ということでございます。ですから、ホテル側は、領収書、ニューオータニの領収書を出して、そしてそれを参加者にお渡しをしているということでございまして、手書きで金額をニューオータニ側が書き、そして摘要を書き、日付を書き、担当者の名前も手書きで書き、そしてそれをいわば参加者宛てに渡した。いわば、後援会宛てに渡したわけではないということでございます。

大串(博)委員 質問に答えてください、字義を明らかにしたいので。

 参加者が個々に契約したというのは、民法上の契約ですか。総理に聞いています。総理が言った言葉ですから、総理に聞いています。

 ちょっととめてください、時間を。質疑時間とめてください。とめてください。

安倍内閣総理大臣 今、法律上どうなのかということでございましたから、その法律事項について確認をいたしました。そういう確認ぐらいはさせてくださいよ。

 何か、私がつい何か正確性を欠く言葉を言って、その揚げ足取りをしようという意図があるのではないかと言う人もいるわけで、私はそう考えているわけではないですよ、大串さんはそういう方ではございませんから。でも、そういう方がおられるのではないかということを……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 私も憂慮しているところでございます。

 いわば、これはホテル側が対価に見合うサービスを行ったということにおいて、まさに領収書を、その対価に見合うサービスを行い、そしてそのサービスを受けた側がその対価、サービスに対する対価をお支払いをしたということであります。

 であるからこそ、ホテル側は領収書を発行し、そしてそれを参加者が受け取ったということでありまして、これはまさに、サービスを提供する相手は参加者であり、その対価に対して支払ったのは参加者である、こういうことだと思います。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いします。

大串(博)委員 私も質疑時間が限られていますので、委員長。これは三回目の質問になります。これで答えていただかなかったら、質疑を続行することなんか到底できません。

 民法上の契約ですか、それだけお答えください。

安倍内閣総理大臣 民法上どうかということであれば、あらかじめ御質問をいただかなければ、これは六法全書を見て確認をしなければいけないわけでございます。まさに、総理大臣として答弁をしておりますから、法性格上にもこの答弁をしなければいけないわけでございますが、それは……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 そうすれば、一々、質問通告しないものをどんどん出せば、そのたびごとに国会がとまるということになってしまうということでございます。

 ですから、先ほど私が申し上げたのはまさにそのとおりでありまして、主たる契約者ということにおいては、まさにサービスが提供された側と対価を払った側ということにおいて、対価を払った側は参加者である、そして……(発言する者あり)

棚橋委員長 委員の皆様にお願いします。御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 サービスを提供した側はホテル側であるということは、これは明確でございます。

大串(博)委員 契約という言葉が合意という言葉にきょういきなり訂正されたり、言葉の定義がころころ変わるものですから、しっかりしなきゃいかぬなというふうに思って確認しているわけです。

 しかも、安倍総理自身が、契約という言葉は、何度とこの国会の中でみずから使われている言葉ですよ。ほかの人がそうじゃないんじゃないですかと言いながらも、安倍総理がわざわざ自分で、いやいや、これは個々の人たちが契約しているんですと、繰り返し繰り返し、強調に強調を重ねて答えられている言葉ですよ、使われている言葉ですよ。だから、当然、その意味するところは十分熟知した上で答弁していらっしゃるんだろうなと思うものだから聞いているわけです。

 それを、きのうの流れで聞いているわけであって、質問通告をしている、していないという問題では私は全くないと思いますよ。

 それでは、またこれは同僚議員からも確認させていただきたいと思いますので、きちんと民法上の契約かどうか確認してください。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いします。

大串(博)委員 午後の質疑者でも聞く人もいるかもしれないですから、午後の質疑者のところにでも答えられるような形で準備をしておいていただきたいというふうに思います。

 次に参ります。

 参加者ですね。総理、聞いてください、質問しますので、次の質問。参加者ですね、桜を見る会の参加者。夫人からの推薦がどうだったかという問題がありました。

 これに関して、総理は、夫人からの推薦を私自身、総理が参考にして、それを事務所に伝えた、こういうふうにおっしゃいました。御夫人の推薦でこの桜を見る会に出られたという方がたくさんいらっしゃるということがこの委員会の場でも取り上げられましたね。百何十人、あるいは二十人のグループ、何年も続けて、名刺だけ交換したら何回も招待状が来たみたいな話が続きました。

 ところが、安倍総理の答弁を聞くと、夫人が安倍総理に推薦をしたものを安倍総理が参考にされて事務所に伝えられたということを言われたので、私はお尋ねしたいんですけれども、夫人がこの人を呼びたいなというふうに推薦されてきた方々を、安倍総理がちょっとこの人はやめた方がいいということではねられたケースはあるんですか。

安倍内閣総理大臣 もう従来から答弁をさせていただいておりますが、私の事務所において幅広く参加希望者を募る過程で、何度もこれはもう答弁させていただいていることですが、私自身も、事務所からの相談を受ければ、推薦者について私の意見も言うことがありましたが、その際、各界で活躍されている人を幅広く把握する観点から妻の意見を聞くこともありました。

 妻の意見を参考として、事務所の担当者に私の意見を伝えたところでございまして、私が妻からこういう人たちも呼んだ方がいいですねと言われたら、ああ、そうだなというときもあれば、それはどうなんだろうということもそれは当然あるわけでございます。その上で、私から事務所の担当者に伝え、そして、事務所から内閣府に伝えているということでございます。

大串(博)委員 御夫人からの推薦があって、総理自身、それを聞かれて参考にして、うん、これはいいな、この方はいいな、でもこの方は避けた方がいいな。どういう方々を避けられたんですか。

安倍内閣総理大臣 これは、まさに個人のプライバシーにかかわることでありますから、答弁は差し控えさせていただきたい、そこまで答弁することは差し控えさせていただきたい、このように思います。

大串(博)委員 個人のことは聞いていないです。個人のことは聞いていなくて、どういう観点から、この人はふさわしくないなという方はよけられたんですか。

安倍内閣総理大臣 例えば、私自身が既にこれは招待をしてきたことがあるということの記憶がある人物もいるわけでございます。そういう方々等もあるわけでございますが、それ以外について、こういう人ということについては、非常にこれは個人的なことにもなるので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

大串(博)委員 そうすると、個人的な理由でこの人はよくないなということではねられた方がいらっしゃるということですか。

安倍内閣総理大臣 そもそも、私が、それは、ふさわしいかどうかという取りまとめを行うのは内閣府において行うわけでございまして、私の基準というのは、まさに私が事務所にこういう人はどうかということを伝えた方がいいかどうかということでございまして、その中で伝えさせていただいている、こういうことでございます。

大串(博)委員 ちょっと不思議なんですけれども、この人はいいな、この人はよくないなという基準は、各界で功績のある人かどうかという基準なんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 それは、それぞれの地域でさまざまな活躍をしておられる方がおられます。ですから、一定の基準が曖昧であったことから、まさに今回は中止にさせていただいたところでございます。それはもう今までも申し上げていたとおりでございます。

 その中において、私が事務所に伝える上において、私の観点から、これはまさに私から伝えるわけでございますから、ここは私側で伝えた方がいいかという中において伝えていた、こういうことでございます。これが全てでございます。

大串(博)委員 なぜこれを聞いているかというと、どういう人が呼ばれていたかということは、国民の関心事でもあるし、まず隠すべきことじゃないと私は思うんですね。

 にもかかわらず、リストがないということで、全部、今検証できない状況になっているわけですよ。中止したこと自体が適切かどうかということを確認するすべすらもなくなっているわけですね。リストはない、消去した、ログもない、こういう状況になっているものだから、余りにもおかしいということでお尋ねしているわけですよ。何か……(発言する者あり)ログは確認すらしない、確認する必要すらないと切って捨てたように言っている。これも本当によくわからないことなんですけれども。

 何か、私、この様子を見ていると、十年ほど前に中国で高速鉄道の事故があったときに、高速鉄道が橋梁から下に落ちました。その直後に政府はそれを埋めた、その場で埋めた。その後の事故の検証も何もできないようになっちゃうという批判があるにもかかわらず、全部埋めちゃった。何とかのものにはふたをするように全部埋めちゃった。そんな雰囲気すら感じるんですよ。やばいからふたをしたみたいな感じに思えるんですよ。

 当時、十年前、この中国で起こった高速鉄道の事故、そして落下した車体をその場で即時に埋めた。これは当時、現代の焚書坑儒と言われたんですよ。

棚橋委員長 現代の。

大串(博)委員 現代の焚書坑儒。すなわち、やばいなと思ったことに対してふたをするという意味で、歴史的なあれを引いて、現代の焚書坑儒と言われて、大変中国政府は非難されたんですよ。私は、似たような雰囲気すら覚えますよ。そういう意味から聞かせていただいているわけです。

 いずれにしても、先ほどの前夜祭に関する総理の契約という言葉、もうこの一点だけで、今総理は、これが政治資金収支報告書に載るかどうかというところで説明の際に立っていらっしゃいます。それが民法上の契約かどうかも明らかに、これだけ答弁されているのに、できない。これはきちんと確認させていただきたい。その上で、その性格に応じて更に議論を深めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 さらに、カジノ、IRの問題に関して入らせていただきたいと思います。

 安倍総理は、このカジノ、IR、成長戦略、観光立国にきくんだというふうに、安倍総理、聞いてください。ごめんなさい、総理に質問しますので。

 ちょっと、外務大臣、総理に聞いていますのでね。

棚橋委員長 外務大臣、今、質疑中ですから、恐縮ですが。

大串(博)委員 総理に声をかけないで。

 カジノの問題に関しては、国会の議論を踏まえながら、かつ、国民の理解が大変重要というふうに安倍総理はおっしゃっています。

 国民の理解が大変重要というふうにおっしゃっているからには、どうですか、安倍総理、カジノ、IRを推進するということは、国民の理解を得られているというふうにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 IRの推進に当たっては、国民的な理解が大変重要でありまして、カジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえまして丁寧に進めてまいりたい、このように考えております。

大串(博)委員 委員長、端的に答えてもらってくださいね。

 端的にお答えください。国民の理解は、IR、カジノ推進に関して今得られていると思いますか。

安倍内閣総理大臣 得られるように努力をしていきたい、このように考えております。

大串(博)委員 すなわち、今、報道等でも、各種報道で、六割、七割の方々がこのまま進めるのはよくないという結果が出ています。これに関して、まだ国民の理解を十分得られている状況にはないという御理解ですか。

安倍内閣総理大臣 国民の理解が得られているかどうかということについて私が評価することは差し控えさせていただきたいと思いますが、政府の立場として、この政策を進めていく上において、国民の理解を得られるように努力を更に重ねていきたいと考えております。

大串(博)委員 これが議論のスタートラインなんですよね。

 この言葉を使われ出したのは、例のあきもと元副大臣のカジノ汚職問題が発覚した以降なんですよ。(発言する者あり)あきもと司さんね、はい。以来なんですよね。

 だから、私は、総理はある意味正直におっしゃっていると思いますよ、国民の理解が得られるように、重要だと。国民の理解を得られていないんですよ、今。国民の理解を得られるようにやっていかなきゃならないということなので、相当、私、身を律していただかなきゃならないというふうに思うんですけれども。

 ちなみに、あきもと司氏は、きょうの報道では、報道でというか事実なんですけれども、今勾留中でいらっしゃるにもかかわらず、立法事務費を得るということを申請されるということらしいんですけれども、安倍総理、これは御存じですか。

安倍内閣総理大臣 報道に出ていることは承知をしております。

大串(博)委員 どう思われます。

安倍内閣総理大臣 今、自民党からも既に離党をしておられる方でございます。議員としては、個々の議員として判断されることだろう、このように思います。

大串(博)委員 御自分がIRの担当、カジノ担当として任命された副大臣在職中に汚職の嫌疑をかけられた人ですよ。他人事で済まされる話じゃないですよ。ぜひ主体的に話をしていただきたいと思いますが、国民の理解を得るために、相当なことじゃないとこれは得られないと私は思うんです。

 例えば、安倍総理は、接触禁止ルールを強化するようなこともおっしゃっていました。つまり、業者さんとの接触の禁止ルールですね。これに関して言うと、安倍総理は既に業者さんと接触をされています。二〇一七年二月、カジノ経営者の皆さんとワシントンの朝食会で会われているということですね。

 そのときの流れの中で、トランプ大統領との会話の話も問題になっています。トランプ大統領から個別に要請、参入の要請はなかったということはおっしゃっていますけれども、では、話題にカジノのことが上ったのかどうかということになると、国会答弁もかなりふらついていらっしゃいました、曖昧でいらっしゃいました。

 トランプさんのことですから、当時、二〇一七年二月というと、まだカジノの法律もできていないんですよ。法律もできていないので、個別の参入もへったくれもないんです。私、個別の参入の話が出てくるとは当然思っていません。ただ、当時は、これからカジノの整備法をつくっていこうという段階だったので、私は、トランプさんから話題として、カジノはいいぞ、IRを整備する、晋三、いいぞ、そういうふうな一般的な制度の話ぐらいあったんじゃないかと思うんですよ。どうですか。

安倍内閣総理大臣 そういうように限定していただければ答えやすいわけでありますが、そういう話題は一切ございません。

 ただ、カジノという話をされましたから、例えば、トランプ大統領自体がかつては経営者でありましたから、それにまつわる話が絶対なかったかといえば、これはちょっと、私も、食事、昼食、夕食、そしてあるいはゴルフ、さまざまな機会がずっとありましたから、そこで、全くないということは、これはわからないわけでございます。(発言する者あり)だから、そこはわからないわけでありまして……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 ただ、今のように、でもそれは本当にわからないんですよ。私は、正直言って、具体的には全くそれは覚えておりません。記憶をたどる中において、自分のいわばかつての経営がどうだったか、こうだったかという話は聞いたことはございませんし、それは申し上げることができます。

 でも、例えば、このパットを入れるのはルーレットのナンバーで当てるようなものだとか、そういう冗談を言ったかどうかということは、これはわからないですから……(発言する者あり)

棚橋委員長 与野党ともに、恐縮です、御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 こういうことも含めてカジノということであるならば、それはわからないということでございます。

 ただ、カジノの経営に関すること、産業としてのカジノについての議論というのは、これはなかったということは申し上げることができる、こういうことであります。

 ただ、非常に雑談的な、端っこのような話も、後で、これは言っているじゃないかということもありますから、慎重を期してそう申し上げたわけでございまして、それはそういうことでございます。

棚橋委員長 委員長からお願いいたします。

 閣僚席における不規則発言はお慎みいただき、また、与野党ともに御静粛にお願いいたします。

大串(博)委員 二〇一七年二月の朝食会、ワシントンでの、カジノの三社の経営者も含んだ朝食会でのことですけれども、その中で、総理は、その三カジノ業者から、統合型リゾート施設は観光立国を目指す日本にとって有益である点、また、IRに対する社会的懸念等の課題の解決に貢献していきたい旨の発言があったということ。非常に微妙な言い方なんですよね、微妙な言い方。統合型リゾート施設は観光立国を目指す日本にとって有益だと。これは、カジノの三首脳がそこにいて、統合型リゾートというのは日本にとって有益なんだぞというふうに言われた。それは、カジノの長ですから、言われる可能性はありますね。

 ただ、そのとき、私がさっき申し上げたように、これに関して安倍総理は、個別に参入のことを要請されたことはございません、こう繰り返し答弁されています。個別に、俺が日本に参入したいから免許くれ、こういうふうに言われたことはないというふうに言われています。

 ただ、私がさっき申し上げたように、このころは整備法すらできていないんですよ。これから制度をつくろうというころだったんですね、制度をつくろうというころ。だから、個別にその段階で、参入させてくれなんて言うことはないと私は思うんです。

 そうじゃなくて、もっと違った形で、さっきみたいな話ですけれども、カジノ、IRは日本にとって有益だぞ、したがって、私たち、自分たちは日本に参入しようと思っているんだ、こういうふうな、事実関係として述べられたことはないんですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、業者と接触というふうにおっしゃったんだけれども、朝食会では、これは全米商工会議所や米日経済協議会共催で行われたものでありまして、米側のビジネス界から十八名が出席をして、日本側からも同じぐらいの人数が出席をしていたため、全体では四十名近い大きな朝食会であったわけでありまして、この朝食会では、日米関係のさらなる強化に向けて意見交換を行ったということでございます。そこで、私からは、二〇一六年十二月にIR推進法が国会を通過し、公布、施行されたこと等を紹介をしたわけでございます。

 参加者の中にはカジノ経営者が含まれておりましたが、統合型リゾート施設は観光立国を目指す日本にとって有益である点、また、IRに対する社会的懸念等の課題の解決に貢献していきたい等の発言があったが、IRへの参入要請はなかったわけでございまして、今申し上げたことがまさに参加者が述べられた要点でございます。

大串(博)委員 それは私が繰り返し質問の中で言ったことですから、繰り返していただかなくて結構です。もったいないですから。

 委員長にも言いますけれども、今みたいに質問内容を繰り返し答弁されるようなことがあったら、即座にとめてください。委員長の差配としてそうするのは当然ですよ。余りに多過ぎる。質問内容を繰り返すだけの答弁は要りません。

 私が聞いたのは、今、質問内容を繰り返し言われましたけれども、その上で、三カジノ事業者の代表の方から、自分は日本のカジノに手を挙げようと思っているんだ、手を挙げているんだというふうな、事実として述べられたことがあったかということです。

安倍内閣総理大臣 ですから、今、質問内容を私が繰り返すと申し上げましたけれども、いわば要点について、私が述べていることを既に質問、そのお答えすることを質問で、お答えをして……(大串(博)委員「これも関係ない話ですから」と呼ぶ)

棚橋委員長 まず、お聞きください。

安倍内閣総理大臣 関係ない話じゃなくて、事実について申し上げているわけであります。これが全てでございますから、これ以外については申し上げようがないということでございまして、参入する用意があるとか、そういうことで今おっしゃっているんだろうと思いますが、それはないということについては既に。だって、それはIRへの参入の要請じゃないですか。それはないというふうに申し上げて、ほぼ同じ質問をしておられますから同じ答弁をするしかない、こういうことでございます。

大串(博)委員 参入の要請があったかということを聞いているんじゃないんです。自分は日本に参入しようと思っているんだという事実の話があったんじゃないかと思います。なぜなら、この二月、アデルソンさんは日本に来て、いろいろなシンポジウムに参加して、ばりばりと、俺は日本に参入するんだとおっしゃって歩いて回ったりしているんですよ。そういう時代だったんです。時期だったんです。

 だから、その場で、安倍総理が来られているのに、自分が日本のカジノに出ていこうと思っているんだという事実関係すら言わなかったというのは非常に私は解せなくて、それがこの、安倍総理がさっき私の質問を繰り返されましたけれども、統合型リゾート施設は観光立国を目指す日本にとっては有益である点という非常にオブラートに包んだような公式答弁になっているんじゃないかなというふうに思うんです。

 かくのように、つまり、安倍総理が事業者とどういうふうに接触されたか。実は、これは事務方にも聞きましたけれども、これまで閣僚を含めた政務三役で事業者と接触した記録は残っていないんですよ。残っていないんです。確認できていないんです。つまり、唯一確認できている事業者との接触は安倍総理お一人しかいらっしゃらないんです。

 ですので、接触禁止ルールを考えるときには、この間、赤羽大臣は、接触禁止ルールに関しては、福島みずほ議員に対して、過去にさかのぼることも含めて、接触禁止ルール、考えますとおっしゃいました、国会で。であれば、安倍総理が二〇一七年に業者の皆さんと会われた、このことに関しても接触禁止ルールをかぶせて、適用して、それが是であったか否であったか、こういうふうな形にしないと、全くその接触禁止ルールは意味をなさないと思いますが、安倍総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 接触禁止ルールについては赤羽大臣から答弁をさせますが、今言ったような発言をしたのではないか、それはそのオケージョンによるわけでありますから、そういう業界の方が集まる中でそういう発言をされたのではなくて、先ほど申し上げましたように、日本の総理大臣が行って、そこには全米商工会議所の代表の方々が来ているんですよ。そして、米日経済協議会の方々が出てきて、日米の経済関係をどうやって発展させていこうかという、そういう割とレベルの高い話をしていて、そこで俺は入りたいって、それはそういう場ではないんですよ。

 そういうところにちょっと一回出席をしていただければおわかりだと思いますが、四十人ぐらい出ていて、みんな見ているわけですから、それぞれ業界を代表する方々が出ていて、高い見地から、自分の会社の利益なんかは出さずに、しかし、自分のいわば産業についてはこのような状況だけれども、日本との関係が強化されていけばこれは日米の経済にいい影響がある、そういう大きな観点からしか話をみんなしていないということは申し上げておきたいと思います。

 ルールについては担当大臣から答弁させます。

大串(博)委員 私、もう質問時間、ほかの皆さんに迷惑かけたくないので、これで終わります。この点は極めて重要な点なので、真摯な議論を。

 先ほど、茂木外務大臣から安倍総理に横から声をかけられたりされたりするのは、私、ちょっと困ります。ですからぜひお慎みいただいて、先ほど机の上に足を乗せられたりされていましたけれども……(発言する者あり)机の下ですね、机の下の方ですね、下の方にね。だから、真摯な議論をこちらはしていますから、ぜひ真摯な議論をお願いして……

棚橋委員長 大串委員、その点については私の方から先ほど注意をさせていただきました。

大串(博)委員 私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。篠原豪でございます。質問の機会を、総理にさせていただけますことを、まずもって感謝申し上げます。

 短い時間でありますので、簡潔に、明快にお答えいただければ幸いでございます。

 早速なんですけれども、先ほどの大串委員からもありました。私の地元に、三千七百名以上の乗員乗客が乗られているダイヤモンド・プリンセス号が、沖合に、すぐ見えるところに今停泊をしております。残念ながら、昨晩より十名の方々がPCR陽性ということが起きまして、これから、三次感染ということで非常にこの先が心配だということであります。

 こうした中、新型コロナウイルスは、私の地元の皆様からも、発生以来、大変心配の声をいただいております。

 といいますのも、大さん橋というところがありまして、そして中華街というところがございます。山下公園があり、そして元町商店街とか、関内、関外地区といって、大さん橋というのは横浜の大きな客船ターミナルでありまして、ここに大型の客船がどんどんどんどん次から次へと着くというところでございます。こういった中で、みなとみらいの皆さんも含めて、今、春節がありまして、中華街なんかでは三分の一から半分ぐらいのお客さんになってしまっているし、下船された方々がこれから観光に来るということで、本当にこれからどうしたらいいのかということで頭を悩ませています。

 今回は一隻まず出たというところでございますが、ゴールデンウイークには、六隻同時着岸、五月六日でありますけれども、横浜は起きるということになっておりまして、その間にも大型客船が来る、入港するという予定が既に立っております。

 こうした中で、やはり、お迎えする住民の皆様、そして港湾関係者の皆様、そして商店街の皆様に、本当に不安だということで、政府、しっかり対応していただきたいということをいただいております。ですので、今この時点で私からもお願いをさせていただきたいと思いますが、政府、こういったことにしっかり対応していただけるかどうか、お答えください。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 今、当該クルーズ船が臨船検疫を行っているところであるということは、もう既に答弁を申し上げたとおりでございます。まずはそれをきちんとしていくということが大事であろうと考えておりますし、今後も、更にほかのクルーズ船も来るという場合においては、きちんと横浜港周辺の海上において検疫官がクルーズ船に乗り込む臨船検疫を実施し、検疫の結果を踏まえて、着岸及び上陸を認めるかどうか検疫所長において適切に判断を行う、こういうことになります。

 また、風評被害という話もございましたが、感染症の風評被害を防止するためには、国民の皆様お一人お一人がまず感染症の基本的な知識や感染予防策などを正しく御理解いただくとともに、感染症の発生状況や原因などについて正確な情報を収集し、また、お伝えをしていくということが大事であろうと考えております。

 関係省庁や国立感染症研究所では、国民の皆様に必要で正確な情報を周知するために、新型コロナウイルスに関する基本情報や感染予防策、そして患者の発生状況などの情報について、それぞれのホームページなどを通じて周知をしているところでございます。

 厚生労働省では、QアンドAを作成し、基本的な情報につきまして丁寧に情報発信するとともに、コールセンターなども設置をし、また、今後、インターネット等を使った方法も検討してまいります。

 こうしたことを通じて国民の皆様の不安に丁寧に対応してまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 済みません、ちょっと総理、お伺いしたいんですが、入管でありますとか経済の問題もありますので、この問題は各省庁にわたります。ですので、しっかりとした対応を、もしここでよろしければ、していただくことをお約束していただけませんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 観光振興の結果、多くのクルーズ船が日本に来航するわけでございまして、その中でその地元は今まで大きな裨益があったんだろう、横浜もそうなんだろうと思います。それが、こうした状況になって大きな影響が出ることは明らかであろう、こう思いますので、それに対する対策等もしっかりと検討していきたいと思っております。

篠原(豪)委員 風評被害と実被害という両方の観点から、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 今、不安の中、船に乗られている方々がまだ三千七百名いらっしゃるということでございますので、今回罹患された方々には一日も早い御回復を願いますとともに、今、心中を察するに余りあります皆様も、きちっと、政府の対応によって一日でも早い、そしてしっかりとした対応の上でございますけれども、ふだんの生活を取り戻していただけることを心からお祈りを申し上げたいと思います。

 今、ただでさえちょっと大変な状況になっているといった私の地元の話をさせていただきましたが、もう一つ、地元の問題で、地元の皆様からお話を聞いてまいりまして、やはりしっかりした議論をさせていただかなければいけないという問題がございます。これは、横浜市の皆様が、言い方をしっかり考えてみますと、国の政治に翻弄され大変な事態になっている、昨年八月の、林文子横浜市長が表明をした山下ふ頭四十七ヘクタールへのカジノの誘致についてでございます。

 まさに同じ場所、同じところで起きるということで、本当にいろいろな問題が私たちの地元にはあるということでありまして。

 横浜市長は、二〇一七年の市長選で白紙宣言をしていたカジノを、昨年の八月、突然、IR誘致を表明しました。市民の皆さんからは、だまし討ちに等しいというふうに言われています。

 お手元の資料の一枚目、この新聞報道をごらんいただければと思います。下線部の部分でございます。

 先ほど総理は、国民の理解が得られないから努力を、努めていきたいということをおっしゃっておりましたが、この数字を見ていただければ、横浜市が昨年行ったパブリックコメントでも、IRに関する意見四百三十三件のうち九四%、九四%ですよ、否定的な意見が占められたというふうになっております。先ほどの大串委員は、全国で六割から七割、そして、横浜市のパブリックコメントでは、九四%が否定的な意見が占められたということでございます。ですので、総理、これが地元の声であります。

 さらに、この九四%ということだけじゃなくて、横浜市は今、住民の説明会をやっています。住民説明会を各区で、横浜市の行政が、いかにカジノがすばらしいんだという話を、数字の裏打ちもろくにない中で、その話は後でさせていただきますけれども、やっています。結果として横浜市で今何が起きているかというと、残念ながら、政府がこのような法律をつくったために地元住民は非常に不安になっています。こういう状況が、今、市長のリコール運動と、あと、賛成派は経済団体に入りなさいみたいなことをいろいろな方から言われて困っているという方々のお声も聞いています。そういった中で、世論、市民の皆さんの意見が聞かれないまま、こういったことが、法律ができたことによって起きているということをまずお伝えをさせていただきます。

 そして、このことが起きている現状認識について総理はどのように今お考えであられるのか、お言葉をいただきたいと思います。

棚橋委員長 国土交通大臣赤羽一嘉君。(篠原(豪)委員「いや、済みません、総理の言葉を聞きたいんですよ」と呼ぶ)

 その後、総理に答弁させます。

赤羽国務大臣 御質問でございます……(発言する者あり)よろしいですか。

棚橋委員長 簡潔にお願いいたします。

赤羽国務大臣 IR整備法の趣旨は、観光振興ということであることは何回も説明をしております。

 また、ちょっと事実誤認でございますが、これからプロセスを進める自治体が……(篠原(豪)委員「もういいです、呼んでいないですから」と呼ぶ)いや、先ほど、事実誤認がございますので訂正をさせていただきたいと思います。

 自治体がこれから区域整備計画を申請する、認定を受けるために申請するために、それで、その際には、自治体は、公聴会の開催や議会の議決など、地域の合意形成のための手続が義務づけられております。ですから、義務づけられている、それをクリアできなければ申請もできないということでございますので、この点は、事実誤認がありますので、はっきり申し上げさせていただきたいと思います。

棚橋委員長 まず、担当大臣から。そして、内閣総理大臣安倍晋三君。(篠原(豪)委員「担当大臣には聞いていない。総理の認識を何で担当大臣が答えるんですか」と呼ぶ)

 今、内閣総理大臣安倍晋三君を指名しました。

安倍内閣総理大臣 横浜市内の状況がどうなのかということについては、私はコメントを差し控えたい、こう思うのでございますが、いわば、まさに、このIRについての法的な対応がどうなるかということについては大臣から答弁をさせていただいたとおりでございますが、もとより、IRの推進に当たっては、国民的な理解、そして、とりわけ地域における十分な合意の形成が大変重要であり、カジノ管理委員会や国会での議論も十分に踏まえて丁寧に進めてまいりたいと考えています。

篠原(豪)委員 総理、済みません。申しわけありませんが、じゃ、私が横浜の現状をお伝えします。

 九四%の人が反対であり、そして、住民を真っ二つにして、経済界も含めて、今、この国の法律をつくったことによって大変なことが起きている、リコール運動まで起きて。私も新年会だとかお餅つきだとか豆まきも行きました。いろいろな商店街にも顔を出しました。皆さん、この話をするのは本当に、なかなか言えないと事業者の方々はすごい頭を悩ませています。

 こういったことがある中で、今こういったことを起こしているのがこの国の法律なんですよ。中身が全然ない中で、三百三十一も政令や規則に定めて、中身がなくて、今何が起きているかというと、IR疑獄の問題が起きている。こういったことがあって更に不安になっている中で、総理の言葉として、横浜の皆さんに、今こうなっていることについてどういうふうにお話しいただけるかということをお願いします。

安倍内閣総理大臣 IRの整備に当たっては、地域における合意形成は、先ほど申し上げましたように、大変重要なことであります。

 そのため、IR整備を行う自治体に対しては、実施方針を策定する際に、協議会又は立地市町村等との協議を行うこと、さらに、区域整備計画を作成する際に、公聴会の開催その他の住民の意見を反映させるために必要な措置を講じるとともに、議会の議決を経ることなどが義務づけられています。これはもう委員も御承知のとおりだと思いますが。

 区域整備計画の認定に当たっては、国土交通大臣がこうした手続が適切に行われたかどうかをしっかりと審査をし、それは先ほど大臣から答弁させていただきましたが、地域の合意形成が十分に図られることを担保してまいります。

篠原(豪)委員 総理、それじゃ間に合わないんです。

 なぜ間に合わないかというと、二枚目のスライドをごらんください。

 二枚目の資料には、横浜市は既に四億円、二〇二〇年度でカジノ関係予算をつけています。他の自治体もそうなんですよ。今、国のルールが定まらない、接触ルールをこれからつくっていくみたいな話をしていますが、実際に、この表を見ていただきますと、横浜市では二〇二〇年度予算、当初予算四億円。下のところを見ていただければ、山下ふ頭の造成六十七億円、こういったお金が既に動くんです。

 接触ルールをきちっとやっていくという話をしていますが、横浜市に聞いても、これはきょうもうちで確認しましたが、横浜市の行政の皆さんがカジノ業者と接触していませんかと聞いても、接触記録は出てこないんですよ。だから、まだ中途半端な状態で、お金だけ動かそうと議会がしているんです。

 ここは、今ここで立ちどまらなければいけない。なぜならば、損をするのは市民の皆さんです。午後にもこのお話を細かくしますけれども、今起きているのは、今の説明では間に合わないんです。これは、横浜だけじゃなくて全国が間に合わないんです。

 ですので、私は、ここは、総理、横浜市民の皆さんに、今起きていることを総理のお言葉からちゃんと、これだけ分断があって、それで困っている状況について通り一遍のお答えしかありませんでしたけれども、これはやはり真剣に、真摯に、総理、受けとめていただきたいと思います。今、大変なことになるんですよ、このままやると。ですので、このことも考えて、総理、私は、今、ここで一旦立ちどまるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 詳細については国交大臣から答弁をさせたいと思いますが、事業者選定のプロセスは、制度上、国土交通大臣が定める基本方針を踏まえて、各自治体が実施方針を決定した後に開始されるものと承知をしています。したがって、現状においてはまだ事業者選定の手続が始まっていません。各自治体、おのおのの判断において、IRに関するさまざまな調査検討等が行われている段階であるというふうに承知をしております。

 詳細がもし必要であれば、大臣から答弁させたいと思います。

棚橋委員長 篠原君に申し上げます。

 午後からも篠原君の持ち時間はございますし、午後に。

篠原(豪)委員 はい。終わります。時間ですから午前は終わりますけれども、四億円のお金がもう動くんです。それじゃ間に合わないということを申し上げて、午後の質疑に続けさせていただきたいと思います。

棚橋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

棚橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。篠原豪君。

篠原(豪)委員 午前中に引き続き、質問させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 午前中の質疑では、横浜市の住民の皆様が、国がつくったカジノ法案、IR関連法案です、この法案が悪法と言われていて、そのカジノ法案に本当に翻弄されて、市長のリコール運動、そして地元経済界にも暗い影を落とす中、市民の皆さんの大切な税金が、まだ決まりもしていない横浜のカジノ誘致のために二〇二〇年度予算に計上され、使われようとしている、このことは大変問題だということを申し上げました。

 総理には、横浜の今の現状を今からもう少しお話をします。ぜひ耳をお傾けいただいて、これは地元の皆さんのお声ですから、私が拾ってきた声です、ぜひお願いをさせていただいて、また議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 今回のIR汚職で取り沙汰されているのは、例えば、まだ明らかでない消えた現金の行方、これも心配されている状況です。横浜市でも、行政にこれまで議会が求めた行政の接触記録の公開を、これは横浜市会議員が求めていますが、これも公開されていません。

 地方自治体の関係者がまさにIR汚職事件と同じようなことを行った場合、これはこれまでのヒアリングを通じて確認したことではありますが、当然、認可後でも免許は取り消されるということでした。そうなった場合に被害をこうむるのは、これは市民の皆様なんです。これは横浜市民の皆様だけに限ったことではなく、今、二〇二〇年度の地方自治体で、IR誘致に手を挙げている全ての自治体に、二〇二〇年度予算案でお金がかかるということは当てはまることなんです。

 この場合に、それまでかかったコストは誰が負担をするのか。賠償等に関しては、カジノ業者が事業がうまくいかなくなって事業を中断するような場合にも住民の負担が追加で発生しないことを定めた協定でなければいけないし、これを認めないというふうにしなければいけないんだと思います。

 加えて言えば、IR事業者については、十分な財務負担能力がないと責任を明らかに全うすることがもともと不可能ということになりますから、業者の財務状況も明らかにした上で許認可をするかどうかということが大切だと思います。

 その中には、当然、キャッシュフロー、IRの事業者が手を挙げたところがキャッシュフローを持っているのかどうか。これは、メーンが借入れで、ファンドでやっていくというお金であれば、何かあったときに逃げていきますから、そうなったときに誰が被害をこうむるかといえば、これは地元の自治体の皆さん。

 今、カジノ企業は現金をほとんど持っていません。日本で手を挙げて、自治体とタッグを組むことになってお墨つきを得ることで、世界のだぶついた投機マネーを集めて、その集めた資金を投資するというのがビジネスモデルであるとのことです。

 したがって、多くのIR事業は張りぼて、自転車操業の状況にあるのではないかというのを危惧するとともに、横浜市においては、横浜市の広報で、これは今からお話をしたいんですけれども、もしこのIR、カジノというものが、こうやって議論をしていく中で、総理は午前中に、国民の皆さんの理解を広めていく努力が大切だとおっしゃっていましたが、私から地元の現状を申し上げますと、市民説明会をすればするほど、これはまずいんじゃないかと言う方々がふえていっているという印象です。これは、今回のIR事件があって、国民の皆さんが六割、七割反対しているということでありますから。

 資料の五枚目をお目通しいただければと思います。これは総理大臣に今から私が御説明させていただきますので、聞いていただいて。このページです、カジノ推進論と比較、まとめ。ここには、カジノのあった場合とカジノがなくて開発をした場合の比較が書かれています。

 IR、カジノつきのものについては、IR導入のメリットはこういうふうになっています。来場者数年間三千万人、経済波及効果七千億円から九千億円、雇用創出三万人―四万人、税収増八百億円から千二百億円と言っていて、実は、横浜市の広報も、業者がつくった情報に基づいて、地域経済への波及効果が、建設時で最大一兆二千億円、運営時で最大一兆円、雇用創出効果も最大十二万七千人、そして横浜市の税収も最大千二百億円ふえるとしていて、これを今説明しているんです、横浜市は。

 ところが、これは世論操作のために業者が並び立てた数字で、誰も責任を負わないと言われている、夢みたいな数字だというふうに地元からは声が上がっています。普通、フィージビリティースタディーをするんですよ、こういうのをやるとき。

 その対案として、私たちはカジノがなくても同じようなことができますという声が地元から上がっているんです。これが右側です。ハーバーリゾート。

 同じような効果なんですが、この下の部分、IRのデメリット。IR、カジノつきは、総理、ギャンブル依存症になります、IRがあれば。青少年への悪影響があります。風俗環境が悪化します。反社会勢力の関与、マネーロンダリングが心配されます。

 同じような施設をつくったときに、カジノさえなければ、ギャンブル依存症の心配はなし、青少年への悪影響なし、風俗環境の悪化なし、反社会勢力の関与、マネロンの心配なしというふうになっています。

 そして、私は、総理にこれを見ていただいた上で、御感想をいただきたいんです、総理。もしIRなしでこういうことができるのであれば、これは同じ俎上に上げて、こういうことができるのであれば、いいと思いませんか、まず第一点。そして、こういったことができるのであれば、こういったことも検討してみてはいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは個別の自治体の検討状況でございますので、総理大臣としてコメントすることは差し控えたいと思います。

 個別の、まさに自治体におけるIRの整備に向けた検討状況においては、これは大臣からも答弁をさせますが、コメントすることは、まさにこれは個別の自治体において検討していることでございますから、総理大臣として答弁することは差し控えたいと思います。

篠原(豪)委員 じゃ、個別の自治体じゃなくて、もう一度伺います。

 ギャンブル依存症があるよりはない方がいいですよね。青少年への悪影響は、一般論ですよ、同じことをやるなら、ない方がいいですよね。風俗環境の悪化も、あるよりはない方がいいです。反社会勢力の関与、マネロンも、あるよりはない方が一般的にはいいと思うんですが、この点だけ教えてください。総理の普通の感覚をお願いします。

安倍内閣総理大臣 普通の感覚とおっしゃっているんですが、これは既に横浜港ハーバーリゾート協会が提示をしている案であろう、先ほどいただいた、この下の、なしのですね。これを私が論評することは、既にハーバーリゾート協会の出されている案に言及をするということになりますので、その評価については言及することは差し控えたいと思います。

篠原(豪)委員 じゃ、ハーバーリゾート協会ではなくて、私から質問しますが、ギャンブル依存症は、あるよりもない方がいいですよね。

安倍内閣総理大臣 ギャンブル依存症については、現在も、IRを設置する前の今の段階においてもギャンブル依存症は存在するわけでありまして、ですから、この依存症対策を行っている。依存症対策を行っているということについては、依存症の方をできるだけ減らしていこうということでございます。

篠原(豪)委員 わかりました。依存症対策は、やってもやらなくても、あるとなしだったら、どのみち、ない方がいいわけですね。そうですね。うなずいていらっしゃいます。青少年への悪影響もない方がいいですよね。当たり前の話ですけれども。風俗環境も悪化させない方がいいです。

 ですので、今うなずいていただいていますけれども、お答えを本当はいただきたいところなんですが、この個別じゃなくて、こういったことができるのであれば、これは、今、IRは推進をしていく立場である政府かもしれませんが、地元でこういう声があって、これが一緒に並列で並べられないで取り上げられないというのは、このカジノの法案をつくったからだと思うんです。

 私のお願い、私の考えとしては、私たちの町は、安政元年に日米和親条約を結び、横浜の開港を、この国の開港をやり、そして、神奈川の私の選挙区は、総理の御地元である伊藤博文総理がいらして、まさに明治憲法の草案をつくり、そして戦争を乗り越え、この国の繁栄と豊かさと幸せを大災害を乗り越えてつくってきた、その日本の最初の原点である都市なんです。私たち日本人は、私たち日本の力でできるということがあるのであれば、何も、ギャンブル依存に、そしてカジノというこれだけ心配されているもの、疑惑の事件もある。総理、私は今お願いがあります。ぜひ、総理、総理に御決断をいただきたいと思います。

 我々、日本の誇りを持って、日本の未来のために、日本人の手でしっかりとした未来をつくりたい。そのために、カジノ法案は一度立ちどまり、今言った問題も解決をさせていただきたいと思います。

 最後に御意見をいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 横浜がいかに立派な国際都市であるかということは私も認識をしておりますし、官房長官からもよくそれは聞いているところでございますが、カジノ事業の推進については、先ほど申し上げましたように、国民的な御理解を、何よりも地域の皆様の御理解を得る努力を続けていく中において慎重に、丁寧に進めていきたい、このように考えております。

篠原(豪)委員 引き続き、我々の手で未来をつくることを一緒にやらせていただきたい、そのことを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて篠原君の質疑は終了いたしました。

 次に、屋良朝博君。

屋良委員 立国社の屋良朝博でございます。初めて予算委員会で質問に立たせていただいております。よろしくお願いいたします。

 私、選挙区に辺野古がございます。きょうは、その辺野古の事業について、そして沖縄の基地負担について、総理と議論させていただければ大変ありがたいと思っております。

 政府は、昨年の暮れ、普天間飛行場の代替施設をつくる名護市辺野古の埋立事業について、工事を当初の二倍の十二年、予算が三倍の九千三百億円に修正しました。一日も早い普天間の危険性の除去といいながら、十二年は長過ぎるのではないでしょうか。もはや、政治的な合理性、技術的な実効性のいずれも喪失したモンスター事業と言わざるを得ません。

 普天間飛行場に隣接する小学校では、アメリカ軍のヘリコプターやオスプレイからの落下物を警戒し、政府は校庭にシェルターを設置しました。今も、子供たちはヘリコプターやオスプレイを見るとシェルターに逃げ込んでいるという状況が続いております。

 こんな状態を今後十二年も放置するのは人権問題ではないでしょうか。総理、どうお考えなのか、御所見を賜りたいと思います。

安倍内閣総理大臣 住宅や学校に囲まれた普天間飛行場の危険性を除去するため、普天間の三つの機能のうち二つを県外へ、そして残る一つを辺野古に移設をし、普天間飛行場を廃止する、これが危険性除去の基本であります。

 委員御指摘のとおり、既にこれはもう、安倍政権においては、空中給油機について十五機全機の岩国飛行場への移駐を実現し、また、緊急時における航空機の受入れ機能を九州の自衛隊基地へ移すことについても、必要となる施設整備等を行うことを日米間で合意するなど、普天間飛行場の危険性の除去に向けて着実に取り組んでいるところであります。

 残る辺野古移設については、安倍政権において、平成二十五年に当時の県知事から埋立承認をいただき、自然環境や住民生活にも最大限配慮をし、工事を進めてきたところであります。引き続き工事を着実に進め、普天間飛行場の全面返還を実現することで、その危険性の除去が完了すると考えています。

 この辺野古移設を進めていくため、昨年十二月、沖縄防衛局より工期等の検討結果をお示しをしたところでございまして、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であり、この方針に基づいて着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるもの、こう考えております。

 これからも、地元の皆様と対話を積み重ね、御理解を得る努力を重ねていきたいと考えております。

屋良委員 辺野古の飛行場は有事の運用にたえ得るか、疑問が持たれております。

 アメリカの会計検査院、GAO二〇一七年レポートでは、海兵隊側がミッションに使うのには辺野古の滑走路は短過ぎるというふうな報告もしております。

 さらに、軟弱地盤で、滑走路の端から百メートル地点では、完成から二十年で最大二十センチ近く沈下することを防衛省も想定しているではありませんか。アメリカ軍の施設基準によりますと、滑走路の端から三百メートルまでは沈下があってはならないことと規定しております。防衛省は、それであっても、国際民間航空機関、ICAOの基準をクリアしているのだからと答弁しておりますけれども、果たして、使い物にならない飛行場の建設に今後十二年もかけて、九千三百億円の血税を投下することの正当性は、もはや破綻していると思います。

 今こそ立ちどまって事業を見直すべきではないでしょうか。総理、総理のお考えをもう一度聞かせてください。よろしくお願いします。

安倍内閣総理大臣 最初に申し上げましたように、普天間飛行場の危険性を除去していく、そして基地負担の軽減を進めていく、一歩一歩着実に我々も進めてまいりました。

 その中において、もちろん、沖縄の皆様がさまざまな御不安を持っておられるということは十分に理解をしているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現在の普天間飛行場の機能のうち移していくのは、今までの機能のうち移していくのは一つだけに絞っているところでございますし、飛行経路も、今、住宅地から海上に変わるわけでございますので、大幅に軽減されるわけでございますし、防音の工事を必要とする戸数も、約一万世帯からゼロに変わるわけでございます。そういうことについてこれからも御説明をしながら、まさに負担軽減と、そして危険性の除去に向けて進めていきたいと考えております。

屋良委員 ここで私が議論しているのは、この事業の実効性、そして政治的な目標が本当に果たせるのかということへの疑問であります。

 十二年、あの小学校の子供たちは危険にさらされ、騒音にさらされ、ヘリコプターの機影を見るとシェルターに逃げ込むんですね。これから十二年我慢しなさいということを総理は繰り返し言っているような気がします。

 私は、地元でもジャーナリスト、新聞記者としてずっとこの問題を取材させていただきました。その中で、総理の答弁の中で一つ気になる、とても興味を持った御答弁があります。それは、二〇一八年二月の衆院での予算委員会でございます。総理はこのように述べていらっしゃいます。

 沖縄の基地の負担軽減について、さまざまなプランを考えても、日米間の調整が難航したり、移設先となる本土の理解が得られなかったりなど、さまざまな事情でなかなか目に見える成果が出なかったのが事実でございますというふうに答弁をなさっています。

 そこで、提出させていただいた資料一なんですけれども、これは、本土から沖縄に基地が押しつけられた経緯を示したグラフでございます。

 本土の基地に対する反対運動で、アメリカ軍がどんどんどんどん沖縄に押しやられてきた。海兵隊もそうです。海兵隊はそもそも、沖縄に駐留していたのではなく、岐阜、山梨、静岡、大阪、奈良から沖縄に移転してきました。

 総理は、問題の本質が負担の不平等な押しつけであることを理解なさっている。それは、先ほど御紹介しました総理御自身の答弁からも読み解けるものであります。にもかかわらず、沖縄の民意を尊重するよりも、日米合意の枠組みだけにとらわれて強権的に事を進める安倍政権の政治に対して私たちが思うのは、民主主義が壊されていくことへの恐怖、そして危機感でございます。

 沖縄にとって差別的で不平等な基地負担の是正については何ら手だてをしようとせず、本土移転も、訓練移転をこれまで考えていらっしゃったことは事実でございますけれども、それがなかなかうまくいかなかった。かといって、十二年このままの状態で放置する、それは、日本の政治にとって本当に大きな問題を今投げかけている。民主主義のこの国の中で、本当に大きな問題だと私は思っております。

 沖縄の小さな声など無視しても構わない、十二年間頑張って、みんな政府の対応を見守っていてくれよと、そういうことなんでしょうか、総理。

安倍内閣総理大臣 確かに、現在、米軍基地の多くが沖縄に偏在をしている、この現状は決して是認できるものではない、こう考えております。

 その中で、我々としても、一つ一つ結果を積み上げてきたつもりでございます。例えば、北部訓練場の返還は復帰後最大の返還になるわけでございますし、そうした努力を積み重ねてまいりました。これからもそうした努力を積み重ねていきたい、こう考えております。

 また、これは、我々、政権交代前には、例えばかつての政権が、最低でも県外ということを掲げて政権をとられたわけでございますが、結果としては、普天間の移転先を辺野古にするということは、これは当時、米国政府と当時の民主党政権が確認をした上で閣議決定をしたわけでございます。その際、さまざまな検討がなされたということも含めて、先ほど私の、かつて、二〇一八年に答弁をさせていただいたところでございます。

 その中においては、我々は、この辺野古への移転が普天間飛行場の現在の危険性を除去する唯一の道ではないか、こう考えております。

屋良委員 確かに、総理おっしゃるとおり、普天間の返還合意は、一九九六年、当時の橋本龍太郎首相が対米交渉でかち取った成果だと私たちも評価しております。しかし、それからもうすぐ四半世紀がたとうとしている今、実際に埋立てを強行したのは、安倍政権、初めてでございます。

 小泉純一郎首相は、沖縄の基地問題について、こう述べていらっしゃいます。沖縄の負担軽減はみんな賛成、しかし、どこに持っていくかということについては、みんな反対する、総論賛成、各論反対である、平和と安全に見合う負担をどこが負うかだということであるというふうに発言なさっております。

 今総理がるる説明なさったのは、沖縄県内でこの問題をどう処理していこうかと。今ある訓練場を小さくするとか、今ある施設を右から左、A地点からB地点へ持っていくことであるとか、それは負担の是正にはつながりません、総数が一緒だから。だから、どこかの負担を減らせばどこかの負担がふえるというのが、まあ、当たり前の話でございます。だけれども、沖縄の中だけで事を片づけようとするから、辺野古のようなモンスター化した事業もごり押しで進めるような、そういう実態が今あると私たちは思っているわけでございます。

 かつて安倍内閣は、普天間を五年以内に運用停止すると沖縄県民に約束なさいました。しかし、それはいまだに果たせていないばかりか、もう既にその期限は昨年過ぎてしまいました。

 菅官房長官は、普天間の三つの機能がなくなることが運用停止だと説明なさいました。これは、先ほど安倍総理が三つの機能とおっしゃったその中身でございます。資料二に詳しく書いてございます。

 三つの機能とは、空中給油機の運用、先ほど安倍総理がおっしゃったとおり、その空中給油機は山口県の岩国基地へ移転している。緊急時における来援機の受入れ機能は、福岡と宮崎の航空自衛隊基地に移転している。残るオスプレイとヘリコプター、これは約五十機、これをどういうふうにするかということが、今、辺野古に移すかどうかの議論になっているはずであります。

 そのヘリコプターとオスプレイの運用というのは、中身を見てみると、パイロットの飛行訓練、それともう一つ、沖縄に駐留する海兵隊の地上部隊との連携訓練、この二つでございます。

 パイロットの飛行訓練であれば、何も沖縄でやる必要はないんじゃないのか、どこでやったって一緒でしょうということが言えると思います。私の友人で、アメリカの大学教授、軍事にもお詳しい方ですけれども、こんな提案をしています。連携訓練には大体二機か四機で対応できる、飛行訓練を本土へ移転すれば、普天間の問題はすぐに解決するんじゃないのというふうに解説してくれております。

 しかし、安倍総理がまさにお認めになるように、移設先となる本土の理解が得られないことで、沖縄の基地問題はなかなか前に進まない。飛行訓練の移設先を一カ所に決め打ちした、なので反対運動が起こってしまう。そういったことを繰り返してきたような気もします。

 一カ所に決め打ちしなくて、複数の飛行場でローテーションを組むというのはどうでしょう。しかも、九州全域、四国、中国地方、広いところで飛行訓練を受け入れれば、それぞれの負担は薄まるでしょう。そして、地上戦闘訓練で必要な機数、五、六機でいいと私の友人のその大学教授はおっしゃっています、五、六機を沖縄に残せば、それで事が済む。

 大きな普天間を移設するというふうな、そんな大きな事業ではなくて、五、六機だけ沖縄に置けるような、そんな環境をつくって、本土に飛行訓練を移転する。そうすることで、普天間の運用はすぐにでも停止できる。それは政府も、三つの機能がなくなればということで認められていると思います。当然、辺野古も不要になる。よっぽど合理的で、生産的で、現実的な提案だと思いますけれども、新たな提案に、総理、耳を傾けていただけないでしょうか。

河野国務大臣 海兵隊は、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊の四つが統合し、その即応性、機動性を発揮することから、この四つが地理的に近傍に所在し、事態発生に対し迅速な初動対応を行うことができる体制を確保していることが極めて重要です。

 したがって、そもそも訓練のみが海兵隊の航空部隊が沖縄に駐留する理由ではありませんが、訓練に関しても、機動性、即応性といった海兵隊の特性を維持していくためには、四つの構成要素が相互に近傍に配備され、平素から合同で効率的、効果的に訓練を実施する必要があります。

 また、MV22オスプレイのパイロットは、操縦に必要な訓練を米本土で行い、沖縄に配属された後、沖縄の訓練場、着陸帯あるいは空域等の正確な位置を確認するための飛行訓練を実施いたします。これは、機体の操縦のみならず、配備先である沖縄の飛行環境について習熟することが必要であるためであり、このような訓練は、配備先である沖縄以外で実施できるものではありません。

 なお、MV22オスプレイのパイロットは、このような操縦や飛行環境に習熟するための訓練を実施した後も、軍の即応性の強化などを目的として、沖縄で各種の訓練を継続することも事実です。

 この点、政府は、沖縄の一層の負担軽減を図るため、普天間飛行場に配備されたオスプレイの訓練について、個別の訓練の内容を踏まえて日米で議論し、すり合わせを行った上で、具体的に沖縄県外への訓練移転を進めてきています。

 政府としては、引き続き、オスプレイの訓練移転を積み重ねるなど、可能な限り地元の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

屋良委員 これから米軍再編が実施されます。二〇二〇年代中盤ごろから始まるという計画でございます。

 三ページ目、資料に示しました三ページ目をごらんください。主要な部隊は、ハワイ、グアム、オーストラリアへ移転するんですね。だから、残るのはとても小さな機動展開部隊なんですよ。

 先ほど、緊急時におけるといった対応についても大臣述べられましたけれども、緊急時の航空機の受入れは福岡と新田原、宮崎に移るというのがもう明らかじゃないですか。辺野古の滑走路は短過ぎる、これが海兵隊の判断ですよ、見方ですよ。確かにそうだと思います。千二百メートル、とても短過ぎる。緊急時に対応できるような施設じゃありません。

 緊急時に航空機がアメリカ本国から来るとき、福岡、宮崎で受け入れることが決まっている、そして近傍で対応しないといけないという今の御答弁を考えた場合、九州の北の方で来援部隊を受け入れた方がよっぽど合理的だと私は考えます。

 それで、米軍再編によってどれだけ沖縄の部隊が小さくなるかということですけれども、現在、地上戦闘兵力は、六千人、沖縄に配備されております。それが米軍再編によって八百人という小さな部隊になります。八百人ですよ。この予算委員会でもよく八百という数字は出てきます。桜を見る会の前夜祭で来られた、あの八百人規模ですよ。あのボリューム感なんですよ。あれが抑止力とか緊急時の何たらとか、そういったものに果たして現実味を持って対応できるのか、そんなのはうそっぱちだと私は思っております。

 抑止力って一体何なんでしょう。今大臣がおっしゃった答弁、それは誰が言っているんでしょう。アメリカ政府が、沖縄でなければ、私たち、海兵隊を運用することはできません、そういうふうにおっしゃっているんですか。アメリカはそんなことを言うはずありません。

 海兵隊は、世界、どこにでも展開する、どこからでも展開する、それが海兵隊の機動性です。それを沖縄に固定的に配置しないとアメリカ軍が運用できないなんということを私はアメリカが言うはずはないというふうに信じておりますけれども、一体、先ほどの大臣の答弁は誰が言っているんですか。これは日本政府の勝手な解釈じゃないんでしょうか。お答えください。

河野国務大臣 二〇一二年の日米2プラス2において、米国は、地域における米海兵隊の兵力の前方プレゼンスを引き続き維持しつつ、地理的に分散された兵力態勢を構築するため、海兵空地任務部隊、MAGTFを沖縄、グアム及びハワイに置くことを計画し、沖縄に残留する米海兵隊の兵力は、第三海兵機動展開部隊司令部、第一海兵航空団司令部、第三海兵後方支援群司令部、第三一海兵機動展開隊及び海兵隊太平洋基地の基地維持の要員のほか、必要な航空、陸上及び支援部隊から構成されることとなるというのが共同発表でございます。

 また、トランプ政権におきましても、インド太平洋において好ましい力のバランスを維持するためには強力なコミットメントが必要であり、敵を抑止し、必要な場合に打破する能力を持つ前方軍事プレゼンスを維持するというのがアメリカの国家安全保障戦略の中にも記載をされているところでございます。

 委員は先ほどから八百人、八百人とおっしゃっておりますが、詳細な移転計画は、今後、日米間の協議で決めるものでございまして、八百人ということは何ら決まっておりません。

屋良委員 八百人の根拠は、沖縄に残るアメリカ海兵隊が司令部と三一海兵遠征隊、MAGTFですね、それであると。三一海兵遠征隊、遠征隊の標準規模というのは決まっておりまして、地上戦闘兵力は、上陸部隊ですよ、上陸大隊、大隊規模なんですね。だから、八百人と言っているだけです。それはもう普通に標準装備を見ればわかることです。何も当てずっぽうに言っているわけではございません。

 それで、ちょっともう時間も少し差し迫ってきましたので、資料の四番目、五番目あわせて見ていただきたいんですけれども、資料の四枚目は、沖縄を海兵隊がどのように使っているかということなんですね。このMAGTFが沖縄をどのように使っているかということを図示したものです。

 彼らは、沖縄をランデブーポイントと呼んでいます。ランデブーとは何かというと、落ち合う場所なんですね。有楽町で会いましょうとか、六本木で会いましょうとかという、その落ち合い場所なんですよ。目的地がどこであるかということが決まっていれば、ランデブーポイントなんていうのはどこでもいいんですね。

 そのランデブーは、何と何がランデブーするかというと、長崎県の佐世保に配備されている強襲揚陸艦と、アメリカ本国から沖縄にやってくる地上部隊、航空部隊、後方支援部隊、それが船に載っかる船着場なんですよ。それをランデブーポイントと言っている。そのランデブーポイントが鹿児島であっても大分であっても、どこであってもいいじゃないですか。それが合理的な考え方だと思います。

 最後の五ページ目。これは、世界展開している海兵遠征隊、MAGTFの展開図でございます。

 沖縄だけです。あるいは、太平洋地域にその拠点を置いているのは日本だけなんですね。だから、来援基盤とかということをるる大臣、説明されましたけれども、全く現状に即していないと私は思っております。

 もっと合理的で、普天間の今の危険な状態をこれから十二年も放置しているそんな政治を早く認識を変えていただいて、その地域に住んでいる人たちのために何が本当に必要なのかということを考えていただけるような施策を行っていただきたいと思います。

 それを申し述べて、私の質問を終わらせていただきます。

棚橋委員長 これにて屋良君の質疑は終了いたしました。

 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 きょうは、私、かんぽの不正営業の問題を中心に質問をしたいと思います。

 この問題は、かんぽ生命というのは、今契約件数でいうと二千八百八十万件、契約者数にすると二千万人。国民の約六分の一がかんぽを契約している。その中で二十二万件もの不正の疑いがあるということが発覚したという問題でございます。

 この件は、昨年から高市総務大臣とは総務委員会で議論を重ねてきましたけれども、きょうは総理もいらっしゃる基本的質疑ですので、ぜひ、これは私、決して一部の職員が悪かったとかそういう問題で片づけてはいけない、構造的な問題だと思っています。これは、郵政民営化、そして分社化、こうしたことが、果たしてそれがよかったのか、そういうことをきょう議論したいので、これはぜひ、総理、小泉総理のもとで官房副長官、官房長官、そして自民党の幹事長も務められた、まさにこの郵政民営化を推進してきた中心の方だと思いますので、ぜひ、この件、お答えをいただきたいと思います。

 では、何がこの問題の原因かというと、郵政民営化によって、同時に分社化されました。そして、日本郵便という、郵便局、郵便を担う事業会社、これは赤字なんですね。これを補うために、ゆうちょ、それからかんぽ、それぞれの二社が実は年間手数料を払っています。これが一兆円です。これは日本郵便の売上げの四分の一にも上る。まさにこの二つがないと日本郵便は支えていけない、そういう構造なんですね。そして、その日本郵便がかんぽの営業もやっている。九割は日本郵便が販売をしている。こういういびつな体制の中で起こったあの不祥事なんだということをぜひ認識していただきたい。

 そして、民営化によってかんぽ生命のノルマがどうなったか。民営化直後は三百億円でした。ところが、二〇一六年には四百七十億円。一・五倍以上のノルマを職員に課す、そういうことになったわけです。

 これは私だけが言っているんじゃなくて、昨年の十二月に第三者による特別調査委員会という報告書が、こんな分厚い報告書が出ていますが、その中でも、このグループの持ち株会社のガバナンスであったり、あるいは事業各社の情報連携の悪さ、こういう構造的な問題について指摘をされています。

 私の岡山の現場の郵便局の方と話すと、本当に皆さん一生懸命、真面目に取り組んでいる。しかし、今回のこの件で本当に今意気消沈をしていて、飲み会も禁止だ、新年会もやっちゃだめだ、そんな、本当に今落胆をしている中で、私は、この問題の根本的な、根源的な問題は、やはり今言った郵政民営化、分社化、この法律や制度、それを決めた政治、そこに大きな責任があると考えますが、総理、御見解をお聞きいたします。

安倍内閣総理大臣 まさに、郵政民営化というのは、当時の小泉総理のもと、民間でできることは民間へという考え方のもとに議論を積み重ねた結果、現在の姿となったものでございます。

 しかし、今委員が御指摘になったような課題等について、そうした御指摘についてはしっかりと耳を傾けながら、今後しっかりと、顧客の利益を害することのないように、利用者の立場に立った改革、対応をしていくことが大切であろう、このように思います。

高井委員 耳を傾けながらとおっしゃっていただきましたけれども、ぜひこれは内閣を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 もう一つ、私は、政治が日本郵政にこういう問題を引き起こした大きな原因が人事にあると思っています。

 これは、郵政民営化のときに西川社長という三井住友の方が就任をされた。そのときに、横山さんというその側近の方が一緒に入ってきた。ところが、そのときに、西川社長のもとで、かんぽの宿の、安く、関連するところに売却をするとか、あるいは日本通運との合併による大きな赤字ということがあって、この横山社長というのは、ある意味、その責任者だったわけですね、それで一旦退任をするんですけれども、また二〇一六年に戻ってこられて、日本郵便の社長に就任をされるということがありました。

 それから、一番問題なのは、二〇一二年十二月、まさに政権交代のあった前後なんですけれども、日本郵政は坂社長という方を決めるわけですね。ところが、その後、菅官房長官が、その人事はおかしい、そしてまた、安倍総理もそれを追認する発言をされ、そして五カ月後にはこの坂社長を退任させ、西室さんという社長になる。

 その西室社長のもとで、その後、後任で引き継いだ長門社長というのはみずほ銀行出身、日本郵便の横山社長は住友銀行出身、ゆうちょの池田さんは横浜銀行出身、それからかんぽ生命は石井社長、損保ジャパン、その後、植平さん、この間まで社長だった方は東京海上、こういう、全員民間企業、しかも金融機関ですよね。日本郵便も含めて、金融機関出身の方々がこの会社をずっと取り仕切ってきた。

 これは、同じように民営化したJRとかNTT、分割・民営化してたくさんの社長がいますけれども、外部から来た人なんか恐らく一人もいない。そういういびつな人事が行われてきた、こういったことが私はこの問題の根源にあると思います。

 そして、民営化されたにもかかわらず、日本郵政の社長人事に公然と口を出してきた。こういう体制をつくったのは、まさに菅官房長官も官房長官時代にはっきり記者会見や国会でも答弁をして、そしてまた、それを安倍総理が追認をしてきた、そこに大きな責任があると考えますが、いかがですか。

菅国務大臣 私どもが政権発足をする直前に人事が行われて、当時、今委員からお話がありましたけれども、財務省出身の方がなったわけであります。

 まさに、小泉改革というのは、官から民、先ほど来言っておられますけれども、そうした中で、民間の効率的経営をという形で、当時は政府が最大の株主でありましたから、当時、私は、官僚の出身の社長というのはよくないということで、民間の経験豊かな、あのときたしか西室さんでしたか、にかえさせていただいたということであります。

高井委員 まさに、今認めたわけですね、官房長官がかえさせていただいたと。

 なぜ、民営化した会社の人事を政府が公然とやるのか。これが、その後の人事はそこまで公然じゃないにしても、やはり同じような人事が、これは、この日本郵政だけじゃなくて、いろいろな、実はNHK、きょうも来ていただいていますけれども、の人事であったり、いろいろなところでこういったことがある。このことが私はいろいろなひずみを生んでいるんだというふうに思っています。

 もう一つ指摘しますと、この第三者による特別調査委員会ではこういう指摘もしています。郵政民営化法の制約の中で、多様な保険商品の開発がされず、そして、満期顧客に対して乗りかえを勧める募集形態にならざるを得なかったんだ、ですから、改善策としては、ほかの民間生命保険会社と遜色のない商品ラインアップを実現できるような、時代や環境の変化に対応できるビジネスモデルの転換を図ることが望ましいと。

 まさにここに原因があったということを指摘しているわけですけれども、この提言を受けて、そういった、今、かんぽ生命に課せられている、非常に、まさに手足をもがれたような今の状態を改善するお考えはありませんか。

高市国務大臣 郵政民営化は、公正かつ自由な競争を促進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便向上などを基本理念の一つとしておりますので、今委員から御指摘がありましたように、より良質なサービスの提供に努めていかなきゃいけないというのも一つだと思います。

 他方で、郵政事業は国民生活に必要不可欠でございますので、その安定的な提供の確保のために必要な規律を課しております。

 総務省としましては、現行制度のもとで日本郵政グループが適切にまず業務を行っていただくということを期待いたしております。

 またさらに、新しいサービスというものについて御提案がありましたときには、しっかりと受けとめさせていただきます。

高井委員 これは、規制しているのは金融庁ですよね。金融担当大臣、目をつぶっていらっしゃいますけれども。

 これは通告も金融庁に出しておりますし、金融大臣、お答えください。

麻生国務大臣 これは、かんぽ生命のいわゆる新商品の販売という話ですけれども、これは郵政民営化法において、他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは認可することになっていますから、御存じだと思いますけれども、改めて読ませていただければそう書いてありますので、したがいまして、金融庁としては法令にのっとって対応してきたところだと、私どもはそう考えております。

 また、特別調査委員会の指摘につきましては、認識としてはしておりますので、金融庁といたしましては、今後とも、かんぽ生命から認可の申請があれば、法令にのっとって適法に対応してまいりたいと考えております。

 一点だけ。質問の中で、郵便事業は今黒字になっていますから、あなたが言うことと違いますから。もう去年、おととしは黒字になっていると思いますけれども。

高井委員 会計上の数字はそうでありますけれども、構造的には、やはり郵便事業だけでは成り立たない、手数料があるから黒字だということであります。

 やはり、今の、法令にのっとって、法令の中でということなんですけれども、それにしても、私は法律も変えていただきたいと思っていますが、法令の中においても、やはり、金融庁の規制が、運用の幅というのが結構ありまして、これが非常に大きな足かせになっている。これはまさにガバナンス調査委員会でも指摘されていることですから、ぜひ金融庁としても謙虚に受けとめていただきたいと思います。

 これは、総理、もう一度お聞きしたいんですけれども、今まさに総務大臣と金融大臣が答弁したように、この質問をすると、結構両者がちょっと食い違ったことをおっしゃったり、なかなか利益相反するような面もあって、私はやはり総理のリーダーシップを期待したい。

 日本郵政は、御承知のとおり、東日本復興財源に二・八兆円、その株を既に売却しています。これは四兆円が目標なんですね。ですけれども、今回のこの件で売却が延期になっている。そのためには、これはやはり企業価値を高めていくしかありません。

 この企業価値を高めることは、まさに郵便局が、現場の皆さんが働きやすい、そういう法律、制度をつくることが大前提、これが絶対必要だと考えますが、総理、ぜひ御決意をお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 麻生大臣と高市大臣からそれぞれ答弁させましたが、金融庁においては、かんぽ生命保険については、保険業法に基づく報告命令、検査という権限を持っておりますし、それはもう御承知のとおりでありますが、総務省においては、郵政民営化法に基づく報告命令、検査の権限を持っているわけでございますが、当然、国全体として、先ほど両大臣が答弁したような趣旨に沿うように、しっかりと我々対応していきたい、適切に対応していきたい、このように考えております。

高井委員 総理が推進した郵政民営化、私は民営化そのものを全否定するつもりはありません。もう進んでしまっていますから。しかし、いろいろな障害があってこういうことが起こってきている。これをやはり、せっかく民営化させたなら、よりよい制度とすべく、ぜひ、政府を挙げて、内閣を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、この件に関連して、実は総務省の事務次官が更迭されるという事件が年末にありました。

 実は、私、調べたら、この三年間で何と五人ですよ、事務次官が更迭されているのが。二〇一七年に文科省の前川次官、防衛省の黒江次官、それから、二〇一八年は文科省の戸谷次官、財務省の福田次官、そして、ことしが総務省の鈴木次官。これは、過去を調べたら、五人も更迭をされているような年はありません。加えて言えば、第一次安倍政権の二〇〇七年にも農水次官と厚労次官の二名が更迭されています。合計すると、四年間で七名の事務次官が更迭される。

 これはちょっと、やはり、総理、責任をお感じになりませんか。総理にお願いします。内閣の問題です。

安倍内閣総理大臣 次官の更迭についてはそれぞれ理由が異なるわけでありますが、各省の事務次官においては、任免の判断はあくまでも任命権者である各大臣が行っているところであります。

 いずれにせよ、事務次官は各省における事務方のトップであり、それぞれ事情は異なるものの、処分に至ったことはまことに遺憾でございます。

高井委員 それは、事務次官は各省の大臣が決めるんですけれども、それだけいろいろな省庁であるということは、それぞれの大臣の任命責任も問われる。とにかく、やはり内閣として、これだけ多くの事務次官が更迭をされているという事態は、ぜひこれは重く受けとめていただく必要があると思います。

 今回のこの総務省の鈴木次官の件ですけれども、これは高市総務大臣とも何度か議論させていただいていますけれども、どうもちょっと腑に落ちない面もあります。鈴木次官が、先輩である日本郵政の鈴木副社長に情報を漏えいした。ただ、情報の漏えいの内容を聞いても、何か大臣の日程が漏れたとか、そんな話であったり、あるいは、どういう経緯で大臣のところにこの話が持ち込まれたのかというのも、大臣の答弁では私はちょっと腑に落ちないところがありました。

 私は総務委員会でも申し上げていますけれども、これはやはり、菅官房長官、いや、笑っておられますけれども、鈴木副社長は菅総務大臣のときの総務審議官で、かなり菅さんも信頼をしていた方じゃないかと思うんですが、これは通告していますので答えていただきたいんですけれども、この件に関して、二年前、二〇一八年の四月二十四日にNHKのクローズアップ現代で取り上げられて、そこからこの話はどんどん拡大していっているわけですけれども、その間に、日本郵政の鈴木上級副社長と菅官房長官は面会をしたことはありますか。

菅国務大臣 私が総務大臣のときに局長でありました。そういう中で、私の議員会館の部屋には、たまにですけれども、来ていたことは事実です。

高井委員 これは、何回というのを通告していると思うんですけれども、何回、それから何の要件でですか。

菅国務大臣 何回と言われると、何回かは余りよくわかりませんですけれども、年に数回だというふうに思っています。

高井委員 もうちょっと正確に教えていただきたいんですが、二〇一八年の四月二十四日以降で結構ですとわざわざ限定をつけてお聞きしていますので、この問題が発覚した以降の、まだ二年もたっていないですね、一年数カ月の間で何回、そして、どういう話をされたんですかというか、この件についての話はありましたか、このかんぽ不正について。

菅国務大臣 この件についての話はありませんで、全くありませんでした。

高井委員 回数も教えてください。

菅国務大臣 数回と申し上げました。記憶的にはそんな程度であります。何回とか定期的にとか、そういうことではありません。

高井委員 本当にこのかんぽの不正の問題についての話がなかったんですか。発覚して以降、一年十カ月ぐらいの間で、何回か、数回か、年に数回来られて、この問題が全く話題に出ないとは到底思えないんですが、本当にないと断言できますか。

菅国務大臣 これについて具体的なそういう話はなかったと思っています。

高井委員 いやいや、具体的とかじゃなくて、具体的じゃないということは、あったということでしょう。もうちょっと詳しく説明してください。

菅国務大臣 新聞報道されていますから、そういう話題があったという。ただ、具体的にどうということではないです。

高井委員 それでは、もうちょっと聞きますけれども、この情報漏えいが疑われていた期間、去年の十二月ぐらいですね、十一月から十二月、その情報が菅長官のところに伝わったということはないんですか。その期間に会ったことはありますか。

菅国務大臣 それは全くありません。

高井委員 この問題は、実はきょう日本郵政の社長には来ていただけなかったんですけれども、日本郵政の新社長の方で、郵政の方でもきちんと聞き取り、ヒアリングをやる、調査をすると言っていますので、私はやはり、情報が漏れた、鈴木副社長が何にその情報を使うのかということに関心があるわけです。ただ、高市大臣はマスコミから聞いたと答弁されるんですけれども、マスコミにただしゃべるために情報を聞き出したとは思えない。

 何らかの、やはり容易に想像できるのは、総務大臣に対して何か言える立場、総理であったり官房長官であったり、あるいは与党の中のどなたか重鎮の方なのか、こういったことが、やはりこの情報漏えい問題というのは、そういったところまでしっかりと見きわめないといけない問題だと思いますので、これは日本郵政の調査を待ちたいと思いますが、引き続き、また総務委員会などで取り上げたいと思います。

 最後に、NHKにきょう来ていただきました。これも関連いたします。

 これは、実はNHKのクローズアップ現代という番組でこの問題が取り上げられたときに、日本郵政の今出てきた鈴木副社長が、これを番組で取り上げられたことに対して抗議をするんですね、NHKに対して。その抗議を受けて、NHKの経営委員長がNHKの会長に対して厳重注意をするという。

 ところが、この厳重注意というのは非常に重い行為にもかかわらず、非公開の場で行われ、そして、その議事録が残っていないどころか、厳重注意したことすら、これがオープンになっていなかった。それを後からいろいろなマスコミが報道して発覚して、慌てて後からこれを公表したということなんです。これ、済みません、菅長官、もう一度。

 このNHKのクローズアップ現代で鈴木副社長が抗議をしていた、それについて菅官房長官が何か直接話を聞いたことはありますか。

菅国務大臣 ありません。

高井委員 念のため確認しますが、NHK、きょうは、会長、就任直後で来ていただいて、申しわけありません。また、こういう質問を会長にするのはちょっと恐縮なんですが、会長の前のときなんですが、通告していますので。

 この件に関して、菅官房長官若しくは官邸から、秘書官とかでもいいです、NHKに対して、この鈴木副社長の抗議、クローズアップ現代で取り上げるのをやめてくれということの抗議について、何か問合せがあったり話があった事実はありますか。

前田参考人 御指摘のような事実はなかったと聞いております。

高井委員 ちょっと聞こえにくかったですけれども、聞いていません、まあまあ、御本人はいなかったわけですから、事務方に聞いて、聞いていないということでありますが、ここも、やはり私はもうちょっといろいろ調べる必要があるんじゃないかなと思います。

 それでは、経営委員長にもお聞きしますけれども、今申し上げましたとおり、経営委員会がNHKの会長に厳重注意というのは、これは番組の中身にかかわることであればやってはいけないと放送法三十二条でそう書いているんですね。ですから、厳重注意の中身というのは非常に大事で重い行為なんです。それを非公開の場で決めた。

 そして、きょう、朝の我が会派の部会で来ていただいたら、経営委員の中には結構忙しくて余りNHKのこともわからない方がいて、勉強する意味もあるから非公開にしているという答弁で、我が会派の議員からは非常に怒りの声が上がりました。そんなので経営委員会をやっていいのかという怒りの声が上がりました。

 私は、百歩譲って、そういう勉強会はあってもいいと思いますよ。だけれども、勉強会の場で厳重注意という重い処分を決め、そして、中身はともかく、決めたことすら発表しない。そして、今になって、決めた経緯を議事録を出してくださいと言ったら、一時間半議論した中身をたった五行で要約して出してきて、いまだにこれ以上の議事録を公開しない。

 経営委員長、さすがにこれは公開していただけませんか。もう少し出していただけませんか。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

森下参考人 経営委員長の森下でございます。お答えさせていただきます。

 経営委員会議事録は公表することが原則と認識しております。しかし、中には、人事や個人のプライバシーに関する事案、あるいは率直な意見交換をすることが必要な経営課題など、非公表とすることがふさわしい案件もございます。また、経営委員会でしっかりとした審議、検討を行うためには、議案に関しまして十分に意見交換を行い、情報共有することがとても大事、重要であります。そのような観点で、非公表を前提に議論いたしました。

 非公表を前提として行った意見交換について議事録を公表することになりますと、今後の自由な意見交換や多様な意見の表明を妨げるおそれなど、経営委員会の運営に支障を来すことが考えられますので、開示することを控えさせていただきます。

 なお、会長に注意を申し入れたことの重要性や経営委員会の透明性という観点から、昨年十月十五日の経営委員会で、異例の対応でありますが、経営委員会の総意として、議事経過を公表いたしました。

 経営委員会として、説明責任を果たすことは重要と認識しておりまして、視聴者・国民の御理解をいただけるよう、より一層の透明性の確保に向けて今後検討していきたいと考えています。

 以上、お答えしました。

高井委員 総務大臣、今の答弁で納得できますか。もう何度も聞いていると思いますけれども。

 私が言っているのは、別に非公表の部分があってもいいと思いますよ、プライバシーとかいろいろ内規を決めていて。しかし、その内規のどこを読んでも、厳重注意という重要な行為を行うに当たって、それを公開できない理由はどう見ても思い当たらないし、ましてや、もう百歩譲って、中身はいろいろな意見の人がいたんでしょう。だけれども、結論として厳重注意をしたということすら公表していなかったわけですよ。

 我々が、マスコミが気づかなければ、結局、厳重注意したこともわからないまま来るわけじゃないですか。それは放送法でやってはいけないというものも含まれていたかもしれない。そういったものを公表しなくていいんだということを、内規で決まっているからいいんだとずっと言い続けていますけれども、総務大臣、それでいいんですか、本当に。

高市国務大臣 このNHK経営委員会の議事録につきましては、経営の透明性を確保するという観点から、放送法第四十一条に基づいて、経営委員会の定めるところにより作成、公表を行うこととされております。

 この経営委員会の定めるところによりというのが先ほど委員長がお話しになったことで、恐らく、個人名ですとか、そのときは非公開を前提にお話し合いになったことかと存じます。

 ですから、直ちに放送法第四十一条の趣旨に照らして違反になるということではございませんが、国民・視聴者の受信料で成り立つ公共放送でございますので、透明性確保は重要なことだと考えております。

 NHKにおかれましては、今後、説明責任をより適切に果たしていただくよう期待申し上げます。

高井委員 期待しているというのでは私はちょっと不十分だと思いますけれども、でも、総務省からそういう、きちんとNHKの経営委員会がみずから公表すべきだというメッセージに私は受け取りましたので、この問題は引き続き総務委員会で取り上げたいと思いますから、必ず公表していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて高井君の質疑は終了いたしました。

 次に、小川淳也君。

小川委員 野党会派の小川淳也です。

 公的行事の肥大化、そして公文書管理等についてお尋ねをします。

 その前に、きのうきょうの審議を少しフォローさせてください。

 まず、東京高検の検事長の人事について伺います。

 森法務大臣は、会ったことがない、黒川氏についてというお話でした。

 官房長官、非常によく御存じの親しい方だと思いますが、その点についてまず答弁を求めたいと思います。

菅国務大臣 もちろん私は知っています。

小川委員 総理にも同じ問いでございます。

安倍内閣総理大臣 親しいとかそういうことは別でございますが、法務省の一員として存じ上げているということでございます。

小川委員 当然、法務省の官房長、事務次官等として、共謀罪を始め、政権に貢献した方でありますから、非常に何度も折り入った、差し込んだ話をされたでしょう。会ったことがない法務大臣がこんな異例な人事を主導するはずがありませんからね。この人事の原動力はどこにあるのか、主導権はどこにあるのか、この一事を見ても明らかだと思います。

 その上で、ちょっと一、二分いただきたいんですが、少し前なんです、話題になった、これはアメリカの研究者の作品なんですが、「民主主義の死に方」という作品があるんですよ。ソフトなファシズムは民主主義の顔をしてやってくるんだそうですね。どれも例外なく、中立機関の人事に踏み込むんだそうです。そして、長年不文律とされてきたものを踏み倒すんだそうですね。日本でいえば、法制局、検察、裁判所。相当安倍政権は、本来自律的に行われてきたんですよ、この辺の人事は、健全な民主主義機能を保つために。そこに相当踏み込んできています。

 委員長、私は、この黒川東京高検検事長、そして、本来この人事に対して主導的な役割を慣例により自律的に果たすべきだった稲田検事総長、両名を当委員会に参考人としてお呼びし、特殊な事情は何なのか、よくお聞きすべきだと思いますので、理事会で協議してください。

棚橋委員長 後刻、理事会において協議いたします。

小川委員 もう一点、委員長にお願いします。

 この七年の長期政権で、安倍政権の人事権の行使の仕方は改めて検証の必要があると思います。したがって、内閣人事局の運用並びに人事権の行使のあり方全般について、同じく当委員会で集中審議の実施を求めます。

棚橋委員長 後刻、理事会において協議いたします。

小川委員 私も大変心配していますので、クルーズ船についても聞かせてください。

 橋本副大臣、ちょっと確認ですが、潜伏期間が長いですよね。ですから、十名の方の感染が確認されたが、ウイルス保持者はほかにもいる可能性がある。

 そこで、総理、午前中の答弁で、確実に自室で待機とおっしゃいました。

 まず、お聞きする前に、約三千人ですか、クルーズ船に十日以上閉じ込められるというこの乗客の皆様に対しては、大変な苦痛と御心痛、不安だと思います。心よりお見舞いを申し上げたい。

 しかしながら、ちょっとけさの報道を紹介した上で答弁を求めたいと思うんですが、これはいい意味で書いているんでしょうね。

 幸い、船内では目立った混乱はなく、ショーが見られたりコンサートが催されたり、そして、きょうですよ、きょう、五日の予定表が配られた、午前七時半のラジオ体操に始まり、聖書勉強会、太極拳DVD、ゲームショーにカラオケタイム、予定は終日びっしりと組まれ、こよいはダンスをという最終プログラムには午後十時半、遅くまでと書かれていた。

 もうちょっと加えます。

 運航会社によれば、レストランなどは通常どおり営業している、広報担当者は、船内が混乱しているという情報は特に入っていない、いい情報として報じているんでしょう、これは。もちろん、武漢からチャーター便で帰ってきた人たちとは違います。

 しかし、橋本副大臣、これは三千名が閉鎖空間に閉じ込められていますね。誰がウイルス保持者かわからない。そういう状況の中で、このレストランにせよ劇場にせよ、さまざまなアミューズメントにせよ、通常どおり営業していただくのは極めて情勢に鑑みて不適切だと思いますが、これは運航会社に委ねるしかないんですか。それとも、政府として何らかの措置をお願いすることができるんですか。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 これは、総理がけさ、当面、今船内におられる方々には上陸を認めないこととし、必要な期間、船内にとどまっていただき、感染を予防する行動を徹底しつつ、客室で待機していただく中でという御答弁をされました。

 そして、私どもといたしましては、きょう、昨日の晩に十名の方がおられるということが、これは陽性の方が少なくともおられるということが判明をし、それから、きょう朝にその方々を搬送するというオペレーションをいたしましたけれども、その中で、当然ながら、今お話があったような状況、要するに、まだ潜伏期間の方もおられるかもしれないということにつきましては認識をし、そして、その方々からまた新たな感染が広がることを防ぐべく、その船内に対して、例えば距離を置いて、食事などの場合、必ずしも個室だけでできるとは限りませんが、多くの方が同時に食事をする場合であっても、距離を置いていただくだとかそうした形で、あるいはマスクをしていただく、手洗いをしていただく、そうしたことも徹底をするようにと申し上げております。

 ただ、先ほどの、きょうにおいて、そういう大勢の人が集まるようなプログラムがあるということが仮にあったとすれば、またそのときに、更にもっと対策を徹底するべきで、伝えなければならないと思いますので、船内の様子を確認させていただきながら、しっかりと対策に取り組んでまいりたいと思います。

小川委員 総理、これは必ずしも責めているわけじゃなくて、総理がおっしゃるほど、自室で確実に待機というのは、勝浦のホテルとは事情が違うわけです。勝浦のホテルでは、二十四時間自室で待機を要請し、そして食事は、ドアもあけずに部屋の前に置いて回ったと報道で承知しています。それとはわけが違うわけです。

 もちろん、武漢から直接帰ってきた人ではない。しかしながら、この危機管理は相当大変だと思いますよ、乗客の精神状態も含めて。総理が簡単におっしゃるほど、自室で確実に待機しますと言うほど、状況は簡単ではない。

 しかも、要請するとして、この船舶に対して、どのような法的根拠で、どのような実際の行動をお願いするのか。事は容易ではないことを踏まえて、改めて総理の見解をお聞きします。

安倍内閣総理大臣 我々は、今回、三十一名の方の検査を行い、十名の方から陽性反応が確認されたわけでございますから、これは大変重大に受けとめております。

 そこで、先ほど御紹介された、いわば中で自由に行き来をしているのではないかということでございますが、いわばこの事態を受けて、きょうの段階から、きょうは朝、加藤大臣から、早朝、相当早い段階でこの連絡を受け、また秘書官にも連絡をいただいたところでございますが、委員会が始まる前、答弁の勉強会をするんですが、その前に打合せをさせていただきまして、答弁をさせていただいた形でそれを徹底するように、ただ、法的根拠につきましては、これは、例えば三日月等々において、ウイルスをいわば発症していない人たちに対して強制力は持たないわけでございますが、それぞれの方々の健康管理の上においてもそれが大切であろうと。

 ですから、今の段階においては、クルーズ船の方々も、陽性の方が出たということについて認識をしていただいたところでございまして、食事等についても個々の部屋でとっていただけるような対応をするように我々は考えております。

 ただ、今の段階でどうなっているかということは、問い合わせてみないといけないわけでございますが、我々としては、それぞれの個室でとれる、三日月等においてもそういう対応をとっているわけでございますから、そうした対応がとれないものか、こう考えておりますが、基本的に自室で待機をしていただくということでございます。

小川委員 これ、私、けさの報道をもとに質問していますから、まだ聞いていないとしたら極めて対応が遅いですよ。こんなの誰が見たって。

 ということで、極端に言えば、緊急の特措法を与野党挙げてやるといったようなことすらも、ひょっとしたら視野に置かなきゃいけない可能性がある。この余りの潜伏期間の長さ、症状のなさ、しかも人にうつすというこの厄介なウイルスを相手にするわけですから。そういったことも含めて指摘をし、より一層の緊張感を政府にお願いをしたいと思います。

 その上で、残念ですが、公的行事については引き続きお聞きをしなければなりません。午前中の大串委員の質疑で、私もちょっとよく理解しかねるところではあるんですが、宿題が出たみたいですね。民法上の契約なのかどうか。もし宿題の答えが出たのであれば、私はこれ以上聞きませんので、出たのであれば要点だけ本当に、出たということだけでも結構です。

安倍内閣総理大臣 先ほどの補足をさせていただきますと、それぞれの個室にお弁当を持っていくというオペレーションをするということになっている、朝の段階でそういう指示をしているところでございますが、今、その後、この委員会はずっと続いておりますので、その確認、そういうオペレーション……(発言する者あり)ちょっと。

棚橋委員長 お静かに願います、川内君。

安倍内閣総理大臣 いや、指示というのは政府に指示をしていると。いわば、お弁当をこちらで用意していなければできませんから。それは法的に、そのお弁当をその人たちが部屋で食べなければいけないのかということについて、それは強制することはできませんが、御説明をする上において、自室で待機をしていただくということ、失礼いたしました、お弁当ではなくてルームサービスという形で現在やっているということでございます。

 御指摘の点については、ホテル側から施設利用と飲食のサービスを受け、それに対する対価としての会費五千円を個々の参加者が支払う民法上の契約であると認識をしております。

 当該契約においては、段取りの調整を行ったにすぎない安倍事務所職員は、契約上の主体にはならないものと考えております。

小川委員 大串委員が、また次回、相当気合いを入れて詰めると申しておりましたので、請う御期待をいただきたいと思います。

 それで、私の問いは、先週この点を指摘しました。つまり、この事案は、行事の趣旨をゆがませた財政法違反の疑いがある。そして、地元有権者に対する供応接待、公職選挙法違反の疑いがある。そして、収支を明るみに出さない政治資金規正法違反の疑いがある。さらに、証拠隠滅を含めた公文書管理法違反の疑いがある。四つの法律の観点から伺い、その後、さまざまな質疑者の質疑も拝聴しておりました。

 まず、この財政法違反の疑いに関して、つまり、事業の趣旨とかけ離れて招待者が肥大化したわけですね。そこには、かなりの責任は総理自身にあると思います。既に、地元から八百名の有権者を招いたことは正直に御答弁なさいました。しかし、総理が、第二次政権が発足してから、この七年の増加数だけ見ても二千六百名なんですよ。そして、十数年さかのぼると六千七百人ふえているんですね。

 ということは、ちょっと端的にお聞きします。

 これは私の推察なんですが、恐らく、総理の政治活動を支援している地元有権者に限らず、東京近郊、関東近郊を含めた、地元以外の支援者、有権者、例えば総理のパーティー券を買っている会社は三百社以上ありますね、毎年。そういったところにも案内をしていた可能性はありませんか。これは通告していますので、お調べいただいたと思いますが。

安倍内閣総理大臣 繰り返しになりますが、事務所においては、後援会関係者を含め、地域で活躍されているなど、桜を見る会への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く声をかけたとのことでありましたが、推薦者名簿は既に廃棄をしており、詳細は把握できないということでございます。

 なお、同会の招待者は、提出された推薦者につき、最終的には内閣官房及び内閣府において取りまとめを行っており、招待状の発送についても内閣府から行われたものと認識をしております。

小川委員 その答弁は受け入れられないと先週申し上げたはずであります。

 総理、相当、総理自身も反省を口にしておられるので、無節操に広がったんでしょう。野方図に推薦したんだと思います。そして、事実上、内閣府はこれを、希望者全員丸のみする形で受け入れた。これが恐らく限りなく実態に近いでしょう。

 私、もう一つだけお聞きしたいことがあるんですが、副総理も、官房長官、秘書官、補佐官、事務所秘書、昭恵夫人、この年々肥大化していく様子を見て、誰か一人でもいさめた人はいるんですか。おかしい、総理、やり過ぎです。

 官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 私は、この桜を見る会の中で、毎年ふえ続けていく、そうしたことに対して、慣行のような形で漫然とふえてきた、それに対しての危機感がなさ過ぎたと反省をしています。

小川委員 率直な御答弁に敬意を表します。

 ということで、これは、いや、総理御自身が最も反省をいただかなきゃいけないところですよ。ただいまの官房長官の御答弁は、極めて率直なものと受けとめました。

 これが一つの長期政権の実態ですよね。誰も何も言えなくなるんでしょう、恐らく。そして、中枢にいればいるほど麻痺していくんでしょうね。そうだと思います。

 この名簿の破棄が、もう今は決定的に検証のしようをなくしています。検証しようがない。私に言わせれば、公文書管理法違反、その趣旨にもとると感じています。

 では、先週お尋ねしたことで、私も前回だまされたんですよ、総理。私は、たとえ名簿を廃棄していても、総理事務所には後援会の本体名簿が残り、そこには誰を推薦したか記録が残っているはずだとお聞きしました。ところが、巧妙に総理の答弁は、後からよく確認したんですが、招待者を確認できる名簿は作成していないという、極めて巧妙なすれ違い答弁を連発されたわけです。

 私が聞いているのは、推薦を確認できる記録があるでしょうと聞いています。総理は、招待を確認できる名簿は作成していないと答弁しました。巧妙にすりかえている。

 もう一回聞きます。

 総理の事務所には、当然ですよ、これはみんなわかっている、それぞれ後援会活動をやっているんだから。総理の事務所には、たとえ政府が名簿を廃棄しても、推薦者を確認できる記録が残っていますね。

安倍内閣総理大臣 先ほど、安倍政権の間に二千数百人招待客がふえた、これは官房長官が答弁させていただいたように、我々も反省しなければならない、こう思っておりますが、ただ、例えば、中曽根政権においても、最初六千四百名だったものが八千二十五名……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 小泉政権においても、七千八百名だったものが一万四百五十名で……(発言する者あり)

棚橋委員長 恐縮です、御静粛にお願いします。

安倍内閣総理大臣 それぞれ二千名近くふえているわけでございます。

 ですから、政権が長くなるにつれて……(小川委員「質問に答えてください」と呼ぶ)いや、事実については事実として述べさせて……(発言する者あり)済みません、ちょっと。

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。御静粛にお願いいたします。(発言する者あり)そちらの方、御静粛にお願いします。御静粛に。

 総理、お願いいたします。

安倍内閣総理大臣 それでは答弁させていただきますが、今、事実を申し上げたわけでございまして、そういう経緯もあったということでございます。

 その上で申し上げれば、招待客あるいは推薦者についても、それを確定できる名簿は残っていないということでございます。確定するいわば名簿をつくっていない……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に。

安倍内閣総理大臣 それは今まで答弁をさせていただいていることと同じことでありまして、それは、招待者と推薦者はこれは同じ、同じというか、推薦者が招待者そのものになったわけではございませんが、そのもととなる推薦者についても同じことでございます。

棚橋委員長 委員の皆様に申し上げます。

 質問はあくまで質問者がなさりますから、御静粛にお願いします。

小川委員 官房長官は、反省しています、それ以上は言わなかったんですよ。総理は、反省していますが、が必ずついてくる。ここなんですよ、総理。ぜひお願いしたいと思います。

 それで、もう一回お聞きしますよ。

 推薦を確認できる記録は総理の事務所にはありますよね。名簿とは聞いていません。招待とも聞いていません。推薦を確認できる記録は必ず残っていると思うんですが、ありますよね。

安倍内閣総理大臣 推薦を確認できる名簿は、それは残っておりません。

小川委員 もう、私どもも捜査機関ではありませんのでこれ以上は限界がありますが、ただいまの御答弁は、みんな、はあ、なるほどと受けとめた人は、たとえ与党にも閣僚にも一人もいないと思いますよ、総理。ぜひ閣僚の皆様には、きょう基本質疑最後です、御自身のリーダーはどういう答弁をされる方なのか、霞が関の官僚の皆さんは、皆さんの大親分は、この国の政治指導者は、みずからに降りかぶった不利益とどう向き合う人なのか、よくこの答弁を、その背中を見ていただきたいと思います。

 その上で、こういう答弁は、総理、私、先週、ついうっかり、御飯論法ですねと言ってしまったんですね。きょうは、ちょっと確認、お聞きしなきゃと思っているんですが、総理は御飯論法という言葉は御存じでしたか。

安倍内閣総理大臣 私は存じ上げません。

小川委員 これは、安倍政権、閣僚の答弁のひどさに、ある大学の先生、実名を挙げてもいいと思いますが、法政大学の上西先生が命名された言葉なんです。御飯を食べましたかと聞かれる。例えば、例ですよ、例えですよ、総理、その人はパンを食べていたとする。しかし、米は食べていない。御飯は食べていませんと答える類いの話なんですね。

 これは、あえて私がちょっと詳細に説明、補足すべきかどうかはあれですが、日本語で一般に御飯というと食事を指します。しかし、何らかの事情で、食事をとったことがばれたくない、聞かれたくない人は、あえてそれを米だと狭く解釈します。それによって、聞かれたくないこと、答えたくないことを言いはぐらかし、ごまかし、時に隠蔽し、時に実態を闇に葬る。極めて悪質な答弁法です。これが、安倍政権の閣僚の答弁ぶりを嘆いた大学教授が命名したんです。

 この推薦も招待も、そして名簿も記録も、あるかないかも、作成しているかしていないかも、全て同じ、微妙に言葉をすりかえ、真実を覆い隠す、そういう方法がとられています。このこと自体が、いかに総理にとって不都合かということを示す何よりの証左です。

 時間があれば、後ほどログについてもお聞きしますが、きょう、それ以上にちょっとお聞きしたいことがありますので、政治資金について聞かせてください。

 さんざんぱら、いわゆる前夜祭について、収支報告に記載すべきではないかという野党側の問いかけがありました。一貫して総理の答弁は、一人一人が、みずから、いわば、例えば割り勘を負担する形でホテルに直接支払っているから、後援会に結果として収支は発生せず、したがって収支報告への記載は必要ないという御答弁でした。

 これ自体到底受け入れられるものではありませんが、ちょっと私がお聞きしたいのはその先なんです。

 総理の収支報告書を拝見しますと、大体、通例、新年に地元で二件、新春の集い、ちなみにことしは中止をされると報道で目にいたしました。そして、大体多い年で三件から五件、東京で政治資金パーティーを開催しておられる。これは常に収支報告に記載しておられます。

 私が収支を申し上げるのは大変恐縮ですが、下関、長門であれば、大体収入は八百万円から一千万円、会場費は三百万円から四百万円。東京であれば、大体収入は一回当たり二千万円強、会場費は百万円から二百万円という、おおむね五つの後援会行事は必ず記載されています。

 そこで、お聞きします。

 支払い方式が違うから記載しないんだという答弁はもうお聞きしました。受け入れてはいませんが、お聞きしました。私がお聞きしたいのは、どういう理由で支払い方式を変えるんですか。この記載、不記載につながる実質的な理由、実態的な理由についてお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 それは、大変わかりやすい話なんですが、そもそも、政治資金規正法上のパーティー、いわばパーティー券を買っていただくものについては、大きな収益を上げておりますが、これは政治資金の規正法にのっとった、政治資金を集める上における、開催をしたパーティーでございまして、委員がやっておられるかどうかはわかりませんが、広く議員がやっているものでございまして、当然、大きな収益が上がる、収益を上げるためのものでございますので、収益を含めて、政治資金規正法上のルールにのっとってそれは報告をしているということでございます。

 また、地元では、地元で開催するものは後援会の主催のパーティーでございますが、これはまさに、いわば、前夜祭のものとは違って、これはまた政治資金を集める政治資金のパーティーでもありませんが、これはうちの事務所が主体となり開催するわけでありますし、収支においては、非常に少額ではございますが、利益が出ているわけでございます。

 事務所が主体となって開催をするわけでございまして、これは、例えば会場費だけではありません、他の、バス代等々、さまざまな費用を入れて全て報告をしているということでございまして、いわば後援会としてこれは領収書を出している。そして、後援会がこの会費として受け取り、その中での収支として報告をしており、少額ではございますが収支上利益も出ていて、それも報告をさせていただいているということでございます。

 他方、違いということでありますから申し上げますと、前日の夕食会、桜を見る会の、夕食会につきましては、これはまさに参加者が会費をいわば主たる契約者として払い、そしてそれをホテル側がこれは受け取る、提供したサービスの対価として受け取るということで完結をしており、いわば、政治資金規正法上、これは記載する義務はそもそも発生をしていない、収支がそもそも立っていない、収入もなければ支出もないという形で行われているものでございます。

小川委員 これは、収支が発生していないのではなくて、収支を発生させないように決めたということなんですよ。それを決めているのは参加者ではないんです。安倍総理なり安倍事務所なり、安倍後援会の中枢で決めているんです。

 だから、私がお聞きしているのは、どういうものは収支を発生させることにし、どういうものは収支を発生させないことにしているんですかという問いです。

安倍内閣総理大臣 どういうものは収支を発生させないようにしているのかということでありますが、政治資金をお願いして、いわばパーティー券を売り上げて政治資金として集めさせていただく皆さんがやっているパーティーは、収支を発生しなければこれはゼロになるわけでありますから、そもそも、そういう意味では意味がないのだろうと思うわけでございますが、そもそも政治資金収支報告に載せなければいけないパーティー、たとえとんとんであったとしても、あるいはマイナスだったとしても、それは載せなければいけないパーティーであります。政治資金規正法上、開くパーティーであれば、それは当然そうなんだろうと。主体が、資金管理団体が、恐らく、あるいは選挙区支部等々が開催するパーティーでありますから、当然そこにお金が入ってくる。これは政治家であれば皆さん御存じなんだろう、こう思うわけでございます。

 と同時に、もう一つについて言えば、私の地元で開催するものにつきましては、これも主体として、安倍晋三後援会が開催するものでありますが、事務所と一体として開催をし、そして事務所としての入場券をこれは販売し、そして、買っていただき、それはそこに入るわけでありますから、この後援会に入るわけでありますから、まさにそこに入金されて後援会として領収書を発行しているということでありますから、収支を発生させる以前にこれは入れなければいけないものでありまして、主体がそうなわけであります。

 他方、前日の夕食会につきましては、これは今までもう何回も何回も御答弁をさせていただいておりますが、これはまさに参加者が主体でありますが、事務所は仲介をとり、ホテル側が五千円ということを、八百人の多くが宿泊をされるということでありますから、これは事務所が仲介する。

 例えば、四、五十人の、先ほども申し上げましたが、焼き肉屋で懇親会を開くときに、事務所が、五千円ぐらいでやってもらえますか、ウーロン茶か何かつけてもらえますかと、じゃ、つけましょうということを先方が言い、それを伝えて、そしてそういう形でやるということは、これはよくあるのではないか、このように思います。

 当然、そのときは、領収書が欲しいという人に対してはそのお店が発行するということでございまして、これは規模とはかかわりがなくて、形態がそういう形態であるということは、もう今まで、再三再四、御説明をさせていただいているところでございます。

小川委員 これは、高市大臣、違うでしょう、今の総理の政治資金規正法の解釈は。収益は関係ないですよね。人数も関係ない。

高市国務大臣 先ほどの桜を見る会の前夜祭の話ということでは、実質的な調査権を持っておりませんから、あくまでも一般論として申し上げますけれども、第三者の利益となるものを、第三者の収入となるものを、たまたま秘書さんが一時的に預かってホテル側にお支払いをしたということになって、ホテル側の領収書が出たという話ですから、安倍総理の後援団体に対して収入があり、また、その後援団体から支出があったということにはなりませんので、その上、あくまでも後援団体に収入があったか、後援団体から支出があったかということでございます。(発言する者あり)

棚橋委員長 恐縮です、お静かにお願いします。

高市国務大臣 主催をどのように名乗っているかということは、基本的には関係がないと考えております。

小川委員 総理、もし本当に政治資金規正法の趣旨を取り違えておられたら、これはいけませんので、正確に御理解をまずいただかなきゃいけないと思いますが、とにかく、収益がある、ない、大きい、大きくないは関係ないんですよ。関係ない。それで、政治活動であれば、原則、全ての支出を明記するというのが原則なんです、その主催団体であれば。

 なので、私は、はっきり申し上げましょう。先ほど申し上げた東京での三回、地元での二回、共通しているのは、全て黒字ということなんですよ。黒字なんです。だから、総理、この前夜祭は赤字なんじゃないですか。載せられないんじゃないですか。だから、そういう珍答弁につながるような集金方式、誰も聞いたことがないような契約形態、ちょっと無理がある答弁に追い込まれているんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 延々とこういうやりとりをこの大切な予算委員会でやらなければいけないというのは大変恐縮でございます、重大な問題がたくさんあるにもかかわらずですね。

 これは……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 先ほど来、小川委員は……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に。

安倍内閣総理大臣 先ほど来、小川委員はさまざまなレッテル張りを行っておりますが、いわば相手を攻撃する一つの手法なんでしょうけれども、そのレッテル張りということを、レッテルを張っているということは、まさに、論理的ではなくて、レッテルでイメージを操作しようということなんだろうと想像する人もいるのではないか、こう思うところでございますが。

 そこで、先ほども私、答弁の中で申し上げましたよね、人数ではないということは申し上げました。まさに、その性格であろう、こう申し上げているわけでございまして、そして、いわば、親睦が目的であれば全て載せなければいけないということではないということも申し上げてきた。先ほども答弁の中で申し上げましたよね。

 例えば、皆さんも、地元においてどこかのお店を借り切って意見交換会をやるときに、仲介として、そこが一人幾ら幾らということで決めて、それを参加者に伝え、そしてそこで参加者がそれを支払うということはよくあることでありまして、そしてそこで、要求する人たちは領収書を要求して受け取るということでありまして、これを全て政治資金規正法上、報告をしなければならないということでもないんだろう、こう思うところでありまして、赤字か黒字かということではない。

 先ほど、黒字でなければ意味がないと言ったのは、政治資金を集めるパーティーはそもそもそういう性格のものでありますから、そもそもそれは、政治団体にはお金が入るんですから。政治団体にお金が入る、選挙区支部なり資金管理団体に入るわけでありまして、これは当然、載せるのは当たり前のことであろうと思います。

 その中で、丁寧に説明をせよということでございましたから説明をさせていただいているわけでございますが、そういうことで、まさに性格が異なるということで申し上げているところでございます。

小川委員 総理、レッテルは簡単に剥がせるんですよ。ニューオータニの見積書か領収書を示していただければ、レッテルはすぐ剥がれるんです。こんな簡単なレッテル剥がし、ないじゃないですか。

 私は、この間、まあ、総理が立証していただけたらすぐやめますよ、この質問。しかし、私もいろいろ考えたんですが、やはり出せないんだろうと。公職選挙法違反の疑いがかかるから出せないんですよ。だから、政治資金規正法に違反している疑いがある。これは個別の問題ではなくてセットなんです。

 さらに、まだちょっと私、公文書管理について議論できていないので、ぜひ次回させていただきたいんですが、この財政法に違反した疑いも、証拠隠滅のために公文書管理法にもとる文書の取扱いをした疑いがある。

 したがって、やはりこの財政法と公文書管理法、そして公職選挙法と政治資金規正法、これは相互に密接に関連して、何とか逃げ切りを図ろうとしているんだと思いますが、改めて委員長に、先週来要求しています、廃棄ログの電子記録の確認、そして、総理が簡単にレッテルを剥がしていただけます、ホテルニューオータニの明細書並びに領収書、そして、改めて総理の名簿を御確認をいただき、何名推薦したのか、そこに反社会的勢力、マルチ商法の主宰者は紛れ込んでいなかったのか、その記録の開示を改めて委員会に求め、そして最後に、きょうで基本質疑は終わりです。もう直接総理にお聞きできる機会がだんだんなくなってきて寂しい限りなんですが、公文書管理等に関する当委員会の集中審議、これをぜひともお願い申し上げまして、質問を終わります。

棚橋委員長 後刻、理事会において協議をいたします。

 これにて小川君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立国社共同会派の大西健介でございます。

 まず、新型コロナウイルスの対応について、一つ、ちょっと疑問に思っていることがあるので確認をしたいと思うんですけれども、先月の二十九日にチャーター機の第一便で戻ってこられた方、今、千葉県の勝浦市のホテル三日月に健康観察のために滞在をしておられます。同じ日本人として決断したというホテル三日月さんには、私も心から敬意と感謝を表したいというふうに思います。

 ただ、ちょっと不思議なのは、二便目以降は公共施設、例えば警察大学校とか国立保健医療科学院といったところが受入先になっているんですけれども、一便はなぜか民間のホテルになっている。

 これは何なのかなということを思っているんですけれども、政府の要請があったということでありますけれども、あまたあるホテルの中からなぜホテル三日月に頼んだのか。どなたかの紹介があったのか、また、ホテル側として受け入れざるを得ない何か事情があったのか、このあたりについて内閣官房にお聞きをしたいと思います。

松本政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府におきましては、一月二十九日に武漢から帰国される方々を受け入れる施設を手配するために、内閣官房から各省庁に対しまして受入先の選定について協力を依頼いたしましたけれども、各省庁が保有する公的な施設につきましては、その時点において直ちに対応できるものがなかったところでございます。

 そのため、民間宿泊施設にまで対象を拡大して受入れ可能な施設を探したところ、一棟貸しの調整を行える可能性がある施設として勝浦ホテル三日月に対応を要請したものでございます。

大西(健)委員 時間がないんだったら、公共の施設の方が私は融通がきくんじゃないかなというふうに思いますし、結果論ですけれども、ホテル三日月にお願いして、相部屋の問題も起きてしまったということです。

 あまた、本当にホテル、この首都圏近郊でもたくさんある中で、順番にかけていってホテル三日月に当たって、ホテル三日月が受け入れられるよということになったということは、やはりちょっと不思議な気がするんですね。

 重ねて申し上げますけれども、風評被害も予想される中で受入れをホテル三日月さんが決断されたということは、私は称賛に値すると思います。

 ただ、仮に何かほかに断れない事情があったとすれば、むしろその弱みにつけ込むような話じゃないかなというふうに思うんですが、ホテル三日月グループさんは、経産省、ジェトロの支援を受けて、ベトナムのダナンに大規模なリゾート施設の建設を進めておられます。また、先月の十一日から十四日、二階自民党幹事長を団長とする日本ベトナム文化経済観光交流団がダナンとホイアンを訪問されたそうであります。この訪問団には、田端観光庁長官、日本旅行業協会の田川会長を始め、千人を超える観光業界の方も一緒に行かれた。それから、知事も行かれた。そして、森山国対委員長や稲田幹事長代行も同行されています。ホテル三日月の社長も同行していたのではないかとの情報もあります。

 官邸からは、従業員には、これは総理からの要請ですとお伝えくださいということで連絡があったそうですけれども、このホテル三日月の受入れの背景はこういうことだったということで、総理、よろしいんでしょうか。

赤羽国務大臣 相当切迫した時間の中で、内閣官房の要請があって、これは観光庁が民間宿泊施設を探させていただきました。ありとあらゆるところに当たりましたけれども、引き受けていただくところはなかったということでございます。

 このホテル三日月は、昨年の台風十五号、十九号の際にも地元住民に大浴場を無料開放するなど積極的な被災者支援を行っていただいておりますし、近傍に複数の施設があって、そこに、受け入れてくれたホテルに泊まられたお客さんも、事情を説明していただいて、別の施設に移っていただく、大変な御苦労をおかけしたわけです。そうしたことで一棟貸しの調整をしていただいたということでございますので、そこは切迫感があって、さまざまな経緯があったなんということは断じてございません。

大西(健)委員 風評被害や従業員の安全を考えると、ホテルにとっても私も苦渋の決断だったというふうに思います。その意味では、ホテル三日月のある勝浦市も多大な影響を受けるということが予想されます。

 そこで、勝浦市の同意、地元の自治体の同意、これはどのようにとられたのか、これも内閣官房の方から。総理、もしお答えできるなら。

安倍内閣総理大臣 既に国交大臣から答弁をさせていただいておりますが、誤解のなきようにしなければいけないのですが、たくさん当たりました、その中で、そういう調整ができるのは三日月さんだけでありました。

 なかなか、正直に申し上げまして、ほかの民間のところは大分もう、二の足を踏む方がたくさんおられたんです。そして、この三日月さんに対して私たちが無理やりというのは、むしろ三日月さんに対して極めて失礼な話であって、まさに三日月さんが台風十九号のときにも自発的にやっていただいた、若い社長さんでありますが、その方は、まず日本人としてやらなければいけないということで、大きな判断をされたわけですよ、我々が依頼して。

 地元でいろいろな実はそういう中傷が三日月さんに対してあるのも事実なんですよ、今でも。それは、全くそうではないということははっきりと申し上げておきたい、このように思います。

 そして、勝浦市についてでございますが、勝浦ホテル三日月からは、帰国した方々の受入れ要請に応じるに際しまして、地元である千葉県知事及び勝浦市長の了解を国側で取り付けることなどを求められたことから、内閣官房において要請文書を発出するとともに、千葉県と勝浦市の了解を得た上で正式な対応をお願いしたものでございます。

大西(健)委員 私も重ねて申し上げますけれども、本当に、三日月さんが受けていただいたことはすばらしいことだと思います。

 ただ、先ほど総理もおっしゃったように、ほかには民間のホテルは受けられなかった。今、おっしゃったように、風評被害がもう既に出ているということですから、もう総理も言っていただきましたけれども、それはしっかり、じゃ、そうしたことに対する補償も全力でやっていただきたいということはお願いしたいと思います。

 あわせて、今のお話ですけれども、勝浦市、私、確認しましたけれども、前日の、二十八日の晩の二十時十九分ごろに内閣危機管理監から土屋市長のところに電話があった。それは、三日月で受入れをすることになりましたということで、御了解くださいということだけだった。ですから、市長としては、了解するもしないも、可否の判断はそこでは伝えていない。また、市議会に連絡があったのは、一行が到着する二時間前の二十九日の午後四時ごろだったということなんですね。

 勝浦市では、二月二十二日から毎年恒例のビッグひな祭りの開催が予定されていますけれども、既に宿泊のキャンセルが出ています。また、勝浦漁協、カツオの水揚げが始まっていますけれども、こちらの風評被害も心配されている。先ほどの、まさにすばらしい判断で受入れを決めていただいた三日月さんも同じですけれども、勝浦市も同じであります。

 房総半島、これから菜の花観光の季節を迎えますけれども、緊急事態である、時間がなかったということは私も理解しますけれども、ただ、有無を言わさず受入れを迫った、こういう経緯を考えると、風評被害等についても政府は責任を持って対応すべきと思いますけれども、総理の強い御決意をお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 有無を言わせず迫ったということではない、先ほど答弁をさせていただいたとおりでございます。

 と同時に、大西委員にも御理解をいただきたいわけでありますが、緊急なオペレーションでございまして、日本と米国のみがチャーター機の受入れをやっと中国側に了承してもらったわけでありまして、直ちに日本を発出をし、武漢に到着をして、帰国という段になったのでございますが、これは極めて短期間にやらなければいけないオペレーションでございまして、このオペレーションをやる上において、日本側の受入れ、誰かに受け入れていただかなければならないということでお願いをさせていただいたということでございます。

 さまざまな御迷惑をかけておりますので、そうした御迷惑をおかけをしたということについては我々も十分に承知をしておりますし、我々も、風評被害等の払拭に向けて、しっかりと政府としても対応していきたい、このように考えております。

大西(健)委員 まさに私申し上げているのは、ホテルも本当に大変な中で苦渋の決断をしていただいた。地元の自治体もそうだと思います。

 ですから、今申し上げましたように、風評被害が出ないようにということももちろんですけれども、既に出ているわけですから、そこについての補償はぜひしっかりやっていただきたいということを、これは私、地元の関係の方からもきょう言われてここで質問させていただいていますので、ぜひこれはお願いをしておきたいというふうに思います。

 次に、大学の設置認可の問題についてお聞きしたいと思うんですけれども、大学設置認可といえば、加計学園の問題では、萩生田副長官の御発言概要という、文科省が作成したと言われる文書が問題になったこともありました。萩生田大臣は、ほかにも大学設置認可に介入をしたのではないかという疑惑があります。

 まず、文科省にお聞きをしたいと思いますけれども、昨年の十月に幸福の科学大学というところが大学の設置認可申請を出されていると思いますが、この大学は平成二十七年にも設置認可の申請を行っていると思いますが、そのときは不可になっております。その不可になった理由を簡潔に事務方からお答えをいただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えさせていただきます。

 平成二十六年三月に幸福の科学大学の設置認可申請があり、大学設置・学校法人審議会において専門的、学問的な観点から審査が行われた結果、教育内容の根底となる部分に学問性が認められず、学校教育法が定める大学の目的等の要件を満たしていないというふうに判断されました。

 また、同審議会からは、審査過程において、創立者を著者とする同大学の新設に関連する書籍が審査委員に送付されるなど、認可の強要を意図すると思われるような不適切な行為があった旨の報告がございました。

 文部科学省といたしましては、平成二十六年十月二十九日付のこの審議会の答申等を踏まえ、十月三十一日付で不認可といたしました。

大西(健)委員 お手元の資料の二ページ目に、文科省の「幸福の科学大学を「不可」とする理由」というのをつけておきました。今お答えがあった、最後の方のところで、科学的合理性が立証できない霊言を本大学における教育の根底に据えるということは、大学目的を達成するとは認められない等々、こういう理由であります。

 大学設置審は、当時、多くの是正意見というのを出していたというふうに思いますけれども、学長予定者についてどういう是正意見が出ていたか、これも文科省からお願いいたします。

伯井政府参考人 これらの内容につきまして、公にすることによりまして当該法人の利益を害するおそれがあるため差し控えさせていただきますが、当該法人は学長予定者は差しかえたというものでございます。

大西(健)委員 あれはもう既に過去、不可になっているものでありますから、設置審は当時出していた意見というのは別に言っても問題ないんじゃないんでしょうか。今の出されている申請ではなくて、過去に不可となった申請、そのときにどういう設置審からの是正意見が出ていたということですので、お答えできるのではないかと思いますが、もう一度お願いします。

伯井政府参考人 現在も当該法人は設置申請をしております。事実として、学長候補者を当該法人の判断で差しかえたというものでございます。

大西(健)委員 これは、今申し上げました不可とする理由の次のところに、幸福の科学大学(仮称)の審査過程における申請者の不適切な行為(報告)というペーパーがついていまして、そういう文書がついていて、また、これはペナルティーとして、大学などの設置を五年間認めないということを五年前やっていますけれども、こうしたことというのはよくあることなのか、それともまれなことなのか、これはどちらでしょうか。文科省、端的にお答えください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、審査過程で不正な行為が行われたことを踏まえ、学園に対して五年間新たな認可を行わない措置を行いました。これは、めったにあることではございません。

大西(健)委員 今、めったにあることではないという話でしたけれども、ここには「認可の強要を意図すると思われるような不適切な行為が行われたことは、極めて遺憾である。」と非常に強い文言が書かれていますけれども、具体的にはどのような不適切行為があったんでしょうか。

伯井政府参考人 これは、この報告にもございますように、審査過程におきまして、創立者を著者とする同大学の新設に関連する書籍が審議会委員に送付されるなど、認可の強要を意図すると思われるような不適切な行為があったというものでございます。

大西(健)委員 これは先ほど申し上げましたように、五年間、設置認可申請できないというペナルティーが科せられたということなんですけれども、そういう不利益に対して、平成二十六年の十一月二十一日に文科省は、弁明の機会の付与についてという通知を出しています。申請者側がそれに対して、文科大臣宛てに、文部科学大臣の不正行為に関する弁明請求書という文書を出しています。これを見ますと、次のようなことが書かれております。

 六月十日の面談において、今泉室長は、自由民主党総裁特別補佐である萩生田光一衆議院議員の仲介による調整によって、幸福の科学大学の学長候補者を九鬼副理事長から別の人物にかえて、九鬼副理事長は総長として置くこととすれば、細かい問題はあっても工夫によって大学設置認可が可能であるとの趣旨の発言をしていた。

 また、次のようなことも書かれています。

 五月二十七日に行った大学関係者と萩生田議員との話合いの中でも、学長をかえるというのは九鬼さんの人格を否定しているわけではなく、正直言って、今後しばらく我慢した方が得なんじゃないかと。これはもう、役所がそういうアドバイスをしたってことになると大変なんだけれども、今までの例を見ても、やはりそこは経験のある、正直言うと名前だけかりてスタートして、それで一年間のうちに、九鬼さんが副学長とか、そういう経験を積んで、その間に一つ論文でも出しておけば、二年目からは堂々と学長をやれるから、そこはもう、介入できないからと、萩生田議員から学長をかえれば開設できるという旨のアドバイスがあった。

 萩生田大臣、大学関係者と会ってこういうアドバイスをされたということは事実でしょうか。

萩生田国務大臣 当時、学園の関係者から、党の担当の立場で、通常の陳情の一環としてお話を伺ったことはございます。

 今御披瀝いただいた文書というのは、多分、学園側がその後に一度発出をしたものだと思うんですが、私もそれを見ましてちょっとびっくりして、事務所として抗議をして、謝罪と撤回があったところです。

 私が直接どういうやりとりをしたかというのは、当時は党の立場なので、ここでお答えするのはなじまないと思うんですけれども、御指摘のような内容のやりとりはございません。

 ただ、問われたのは、学長の資格のあり方についての解釈について相談されたのは事実であります。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

大西(健)委員 ここに書かれている日付、まず、五月二十七日に大学関係者と会ったというのは事実なんでしょうか。

萩生田国務大臣 日付はちょっと定かでないんですけれども、党の方から御指示があって、相談に乗ったのは、そういう機会はございました。

大西(健)委員 その前の、六月十日の面談において、今泉前室長が大学関係者と会われたときに、自由民主党特別補佐である萩生田光一衆議院議員の仲介、調整によって、学長候補をかえれば大学設置認可は可能である、こういう発言をしたということが書かれていますけれども、文科省との間においてそういう話をされたんでしょうか。

萩生田国務大臣 学長の資格というのがあるんですけれども、学園側は自分たちの言うならばプロパーの方を学長に据えたいということで文科省と事前相談をしたんだけれども、それは要するに要件を満たしていない。要件を満たしていない要件の中身について、私はその文書を見る限り理解できたんですけれども、学園の準備室の皆さんは納得をしていなかったんです。言うならば、資格の解釈について私からアドバイスをしたことはございます。すなわち、学園側が準備していた方は学長候補になり得る方ではないということを明確にお伝えしたことはございます。

大西(健)委員 これは、ほかにもこういうことが書かれています。

 平成二十六年の六月六日、さっき五月二十七日に大学関係者と会っていると思われて、六月十日は大学関係者が今泉前室長と会われているんですけれども、その間の日付になるんですかね、六月六日、幸福実現党の選挙責任者の携帯に電話をかけてきた当時の下村大臣の発言としてこういうことが書かれています。

 萩生田から電話があって、一生懸命やっているとは聞いていた、学部名はクリアして、あとは九鬼という人が学長でなければならないというところを、一年我慢してバトンタッチするやり方はあると提案していたが点々々。

 この発言の内容は先ほどの内容と一致していると思いますけれども、萩生田大臣は、当時の下村大臣に、この大学設置の認可に関して相談等を行われましたか。

萩生田国務大臣 当時、下村大臣に私が相談をするような立場ではなかったので、こういう話題を、二人の間で会話をしたことはあるかもしれませんけれども、私の方から下村さんに相談をしたような事実はございません。

大西(健)委員 これを見ると、萩生田大臣、幸福の科学大学のために一生懸命動いておられますが、大臣、これまでに、ちなみに教団関係者から選挙の応援や政治献金を受けたことがあられますか。

萩生田国務大臣 当時は、もう政党をつくっていたので、本来我々としては相談に乗ることもちょっとどうなのかなという気はしたんですが、それなりに学長の解釈については私から説明をしたのは事実であります。

 ただ、私が接触したのはそれだけでありまして、にもかかわらず、お会いをしたこともない弁護士さんの名前で突然ネットにかぎ括弧で私とのやりとりみたいなのが出てきたので、私は正直迷惑したということで、はっきり抗議を申し上げました。そのことに対して、先ほど申し上げたように謝罪と撤回があって、多分その文書は今、出ていないんだと思います。

 はっきり申し上げておきますけれども、政治資金等々、支援をいただいたことは全くありません。

大西(健)委員 萩生田大臣は否定しておられるんですが、こういうことがあると、まさにここに書かれていることというのは、大学設置審が是正意見をつけていた学長予定者の適格性について、萩生田さんが仲介をして、文科省が、とりあえず別の人の名前を借りておいて、後で変えればいいという脱法的なアドバイスをしたかもしれない、こういうことが疑われているわけです。

 そういうことがもし事実だったら、そういう方が文科省のトップで公正な行政というのが行えるのかということは、私、心配になるんですけれども、任命権者である総理の御見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 そういうことではないということを先ほど文科大臣から答弁させていただいたわけでございまして、今、大西委員が言われたその前提自体が違うということが明確でございまして、そもそも、当時、政党をつくっていて、候補者を我が党の候補者のところにたくさん出しているわけでございます。

 ですから、それはそもそもいろいろな前提が違うということでありまして、萩生田大臣においては、文部科学行政をしっかりと前進させてもらいたい、このように思っております。

大西(健)委員 文科省にも改めて伺いますけれども、当時、五年前のことですけれども、萩生田現大臣、当時は萩生田議員から、このことに関して何か御相談とかがありましたか。

伯井政府参考人 この件に関しまして、当時の担当者に今確認をいたしました。

 当時の萩生田議員より設置基準の学長に係る規定についてのお尋ねはあった、それに対して、学長に係る規定はこうだというお答えをした記憶はあるが、その際に設置認可についての指示はされたことはないということでございました。

大西(健)委員 加計学園のときも、あのメモが出てきても、大臣は、そういうことは言っていないと。今回も、自分はそういうことは言っていないということですけれども、これは大臣が否定されているだけであって、どっちが本当なのかよくわかりませんので、ぜひ、また私の方も引き続き調査をしたいというふうに思います。

 安倍お友達内閣では、官僚人事も官邸主導で行われている。そして、それはついに聖域と言われる検察トップの人事にまで及ぼうとしています。

 今、資料として、森大臣のおとといの御答弁を、会議録をお配りをしていますけれども、森大臣のロジックというのは、国家公務員法の特例で定めた検察庁法第三十二条の二は、退官年齢を定めた第二十二条が列挙されているけれども、勤務延長の条文は書いていないので、勤務延長については一般法に戻って国家公務員法が適用されるという説明だと思います。

 そこで、森大臣に確認ですけれども、もう端的に答えてください。検察庁法には、そもそも勤務延長を定めた規定はありますか。

森国務大臣 勤務延長について定めた規定はございません。

大西(健)委員 そうなんです。ないんですから、ないから、検察庁法第三十二条の二に条文を列挙することはできないのは当たり前だと思います。

 じゃ、過去に検察官の勤務延長を行った例はありますか。

森国務大臣 お答え申し上げます。

 過去にそのような例はないと報告を受けております。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に。

大西(健)委員 前例もない、そして検察庁法にも勤務延長の定めはないと。つまり、検察庁法は、検察官の勤務延長をそもそも想定していないんです。

 検察庁法第二十二条は退官年齢を定めているんですけれども、これは、退官年齢を定めているだけではなくて、検察官の職務と責任の特殊性に基づいて、退官年齢を超えて職務を行うことを認めない趣旨と解するのが私は妥当だと思います。これは、憲法や裁判所法に裁判官の退官年齢というのが定めてありますけれども、これも同じで、裁判官も退官年齢を超えて職務を続けることができない。

 裁判官と検察官と対の関係にあるので、そう考えるのが私は妥当だと思いますけれども、総理、やはり検察官の定年延長というのは、私が今申し上げたように、違法の疑いが高いんじゃないか、少なくとも、異例だということは間違いないと言うと思いますけれども、このことを、総理、お認めいただけますでしょうか。総理に聞いているんです、総理に。

安倍内閣総理大臣 法務省における人事でございますから、法務大臣から答弁させます。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に聞いてください。

森国務大臣 大西委員に御答弁申し上げます。

 先ほど、三十二条の二に列挙されていないという私の国会答弁をお示しになりましたけれども、こちらの方には、三十二条の二に勤務延長をしないということをわざわざ記入しないということを申し上げました。

 つまり、これは国家公務員法とその特別法に当たる検察庁法の関係を記載した条文でございますが、三十二条の二というのが。ここに、もし、勤務延長を、特別の趣旨により勤務延長しないんだという、今、大西委員が言った大西委員の解釈であるならば、そこに、特別にそれは援用されないというふうに記載すべきところ、そのような記載がないということは、一般法の原則に戻って勤務延長がされるというふうに理解をしております。

 また、勤務延長の趣旨からしても、そもそも、国家公務員法の勤務延長の趣旨である特別の必要性がある場合には勤務延長をさせるというその趣旨にのっとっても、検察官の場合に勤務延長をさせる必要が一切ないというふうには理解されないと解釈しております。

大西(健)委員 次のところに条文をつけていますけれども、検察庁法、資料の後ろから二枚目です、検察庁法は下の方ですけれども。三十二条の二、一番下の条文ですけれども、ここで、十五条とか十八条とか二十条とか二十二条、二十二条がまさに定年の年齢を決めたやつですけれども、二十五条は、国家公務員法の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基づいて、同法の特例を定めたものとするということなので、国家公務員法の特例ですよといって引いているところに二十二条は挙がっているけれども定年延長の条文は挙がっていないと言うんですけれども、さっき大臣がまさにお答えになったように、定年延長というか勤務延長の条文は検察庁法にはもともとないんだから、ここに引きようがないんですよ、引きようがないんです。

 それから、逆に、上の国家公務員法を見ていただくと、これは先日も大臣も認めておられましたけれども、そもそも、国家公務員法の定年というのは後でできて、それよりも前から検察庁法には定年の定めがある。

 この資料の最後、これは、この間、本多委員が示されていた「逐条国家公務員法」ですけれども、最初の線を引いたところですけれども、一般職の国家公務員については、原則的には本法に定める定年制度が適用されるが、従来から他の法律により定年制度が定められるものについては、その経緯等に鑑み、経緯等というのは、国家公務員法が定年制度をつくるよりも前から検察庁法には定年年齢が書かれていたということに鑑みて、その法律による定年制度を適用しようとするものである、このようなものとしては、検察庁法第二十二条による検事総長六十五歳及び検察官六十三歳の定年と書かれているので、まさに国家公務員法の適用の除外になっているんです。

 またこの国家公務員法に戻っていただくと、定年による退職の特例、これが定年延長の規定ですけれども、第八十一条の三ですけれども、ここには何て書いてあるか。定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合、前条第一項というのはその前の条文ですけれども、八十一条の二で、これはまさに定年の定めですけれども、それは適用されないんですよ。だから、前条の規定により退職すべき人には検察官は当たらないんですから、ですから勤務延長はないんです、検察官には。これが私は正しい解釈だと思います。

 ただ、これはやっても水かけ論になりますから、私は違法だと思いますけれども、さっき言ったように、違法かどうか、これはどっちが正しいとか今ここでやってもしようがないので、少なくとも、極めて異例な扱いであることは、総理、認めていただけますか。総理に、総理の認識を確認したいんですけれども。

安倍内閣総理大臣 検察庁法については、まさに有権解釈を行うのは法務省であろうと思います。その上で、法務大臣として御答弁をさせていただいているとおりでございまして、法令にのっとって法務大臣から請議がなされ、そして閣議決定を行ったということでございます。

大西(健)委員 きのうも議論がありましたけれども、請議は法務省から、法務大臣がなされるけれども、最後は閣議で任命をするということですから、まさに総理が任命をされるということであると思いますし、また、さっき話が出ていたように、大臣はこの黒川さんのことをよく知らないけれども、官房長官と総理はよく知っているという話ですから。ですから、本当にこれが異例なことだということをまず認識することは最低限私は必要だというふうに思います。

 さっきの法律論はここでもうやるつもりはありませんけれども、百歩譲って、森大臣が言われるように、じゃ、一般法の国家公務員法に戻ってということ、戻って勤務延長が適用されるというふうにしたとしても、勤務延長が国家公務員で認められる場合というのは非常に限定的なんです。

 これについては、最後のページ、先ほどの「逐条国家公務員法」にもあるように、人事院規則が勤務延長の要件を三つの場合に分けて規定しています。第一は、特殊な技能を要する職務のために後任を容易に得ることができない場合、第二は、離島勤務など欠員補充が困難な場合、第三は、外交交渉など業務の継続的遂行の必要性、このいずれかに当てはまる場合であっても、そこに線を引いておきましたけれども、「特例的措置であることから、」「慎重かつ厳格に運用されなければならない」というふうに書いてあります。

 この中で、強いて言えば、この第三の業務の継続的遂行ということが考えられるかもしれませんけれども、元東京地検特捜部検事の郷原弁護士は、検察官一体の原則というのがあると。特定の職務が特定の検察官個人の能力、識見に依存することというのは、この検察官一体の原則という中で想定されていないんだと。更に言えば、郷原弁護士は、黒川氏のキャリアの大半は法務行政で、検察官としての現場の経験はそんなに豊富じゃないという指摘もされています。

 国家公務員法の勤務延長の要件にも、私は、そもそも当てはまらず、黒川氏を検事総長に昇格させるための恣意的な運用と言われても仕方ないというふうに思いますが、森大臣、いかがでしょうか。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。御静粛にお願いします。

森国務大臣 特例が定年年齢と退職時期の二点であるということで、一般原則に戻ってどの規定で勤務延長するかというお尋ねでございますが、国家公務員法八十一の三の、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情から見てその退職により公務の運営に著しい支障が……(発言する者あり)

棚橋委員長 お静かに。

森国務大臣 生ずると認められる十分な理由があるときに該当するものとして、そして、その規定を受けて定められた人事院規則一一―八との関係では……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

森国務大臣 委員がお示しになりました七条三号の「業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき。」に該当するものとして、勤務を延長するものとしたものでございます。

 また、今までお答えをしておりますが、具体的には、東京高検、検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査、公判に対応するために、黒川検事長の……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

森国務大臣 検察官としての豊富な経験、知識等に基づく管内部職員に対する指揮監督が必要不可欠であり、当分の間、引き続き東京高検、検察庁検事長の職務を遂行させる必要があるため、引き続き勤務させることとしたものであります。

大西(健)委員 検察官というのは、それぞれ個々、独任でやるけれども、その反面として、検察官一体の原則というのがあるので、特定の人の能力とか識見に依存するという想定がされていないというふうに郷原さんは言っています。ですから、やはりこの継続性というのも当てはまらないと思うし、先ほど言うように、これは国家公務員法に戻ったとしても、極めて厳格にこれはやられるべき話であって、まさに、どう考えてもそう当てはまらないと思いますよ。

 ちなみに、黒川氏の定年延長は八月七日までとなっていますけれども、再延長というのは可能なんでしょうか。その場合、最大いつまで延長可能なのか、大臣、教えてください。

森国務大臣 具体的人事の詳細については、将来のことについてはお答えはできませんが、一般的には、法の規定によっては一年延長できることになっております。

大西(健)委員 それは一年以内しかできないはずなんですね。

 検事総長の定年は六十五歳です。現在六十三歳の稲田検事総長の誕生日は八月十四日なので、来年の八月十四日までやめなければ、一年延長しても官邸の野望は崩れ去ることになる。七月には在任丸二年を迎えるということでありますけれども、稲田検事総長には、官邸の辞任圧力に屈せず、検察の意地を見せてほしいと思います。

 この話が出たタイミングで、500ドットコム側が資金提供したと供述した五人の議員の立件見送りのニュースが流れました。私は、ああ、やっぱりなというふうに思いました。

 安倍政権では、官邸のアイヒマンと呼ばれている人が国家安全保障局長に、官邸の番犬と呼ばれている人が検察庁ナンバーツーの次長に昇格しました。そして、今度は、官邸の門番、官邸の代理人、官邸の用心棒と呼ばれる黒川氏を検察トップにつけようとしています。

 長期政権が警察、検察権力を掌握することに、私は恐怖を感じます。私と同じように感じる国民は多いと思いますが、総理、最後に、どう思うか、お聞きをしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 いろいろと妄想たくましく、いろいろなことをおっしゃったところでございますが、先ほど、黒川さんは総理がよく知っている。私は、よく知っているということではなくて、法務省の幹部として知っているということであります。

 よく知っているということについて言えば、例えば、私は今井さんのことはよく知っている、黒川さんとどっちをよく知っているかといえば、今井さんのことの方を私はよく知っているんだ、そういうこと。大西さんとの関係においても、大西さんのことは、よく知っているかと聞かれたら、よく知っているかどうかというのはわからないですけれども、知っている。では、黒川さんとどっちがよく知っているかといえば、それは大西さんのことの方を私はよく知っているということでございまして。

 いわば、役所が説明に来るときにもちろん顔を見ておりますから当然でございまして、それは、法務省の幹部の多くはそのような形で知っているわけでございますが、何か、友達とかそういう状況にはもちろん全くなっていないということは申し上げておきたい、このように思わなければいけないわけでございますが、人事については、適切に、まさに有能な方を適材適所で選んでいかなければならない、このように考えております。

大西(健)委員 長期政権による警察、検察権力の掌握、この恐怖というのが私の杞憂であればいいというふうに思いますが、権力の最高の美徳は自制である、この言葉を総理に贈って、私の質問を終わります。

棚橋委員長 これにて大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内委員 川内です。よろしくお願いします。

 新型コロナウイルスのことを多くの国民の皆さんが心配をされていらっしゃいます。政府を挙げて対策を講じていただいているとは思いますが、不十分な点もあるのではないかというふうに思いますので、幾つか教えていただきたいというふうに思います。

 まず、ダイヤモンド・プリンセスの船内にいらっしゃる方々に関して、加藤大臣が朝、会見をされた。トータル二百七十三名分について検体を採取し分析を行った、そのうち三十一名分のウイルス検査の結果が判明し、十名の方から陽性反応があったというふうに会見で御報告されていらっしゃいますが、この二百七十三名の方々で、発熱等の症状がある方、あるいはその濃厚接触者等の方というふうに分けて二百七十三名を御説明されていらっしゃいますので、まず、その内訳というか、既に症状がある方、もちろんウイルスに感染しているかどうかは別にして、発熱等の症状がある方、そしてその濃厚接触者、それぞれ何人でいらっしゃったのかということを教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 今回、三千七百名、乗員乗客の方が乗っておられるわけでありますけれども、その中において、私どもが健康確認をしたり検温をしたり、そして質問票を出して、そしてさらには医師が確認した結果として、いわゆる有症者、症状があるという方が、二月、直近の段階で百二十名おりました。

 それから、そうした方々との濃厚接触者、それから、もともと今件は、香港でおりられた方が、香港でおりた後にこの新型コロナウイルスを発症したということが確認できましたので、その方との濃厚接触者、その方が百五十三名ということで、トータル二百七十三名についてのPCR検査を実施をしているところであります。

川内委員 多くの国民の皆さんは、この三千七百名余りのダイヤモンド・プリンセスに乗っていらっしゃる乗客の方々そして乗員の方々、皆さん検査すればいいのにと多分思っていらっしゃると思うんですね。その方が安心だろうにというふうに思うと思うんですが、なぜ全員を検査できないのかということについて、法令上の関係を、こういうことで全員検査ということを強制することができないんですよということをちょっと教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 法令上は、そうしたおそれがある場合ということで、この検査、これは、まだ入港して上陸していない、前の検査でありますので、臨船検疫と呼ばれる段階であります。ですから、この段階であれば、いろいろな方に関してPCR検査を実施するということは決してできないことはない。

 ただ、どうして限定しているかと申し上げますと、いずれにしても、PCRをやるためのキット、キットというのはいろいろあるんですけれども、それには、当然、上限といいますか、限定がございます。本件は三千七百名という大変な数であります。

 先般、チャーター機の場合には、これは任意ということではありましたけれども、全員にやらせていただきましたけれども、今回三千七百人、しかもそれを、キットの数、それから、実際、処理能力について考えると、まず必要なところから始めていくということで、当初、二百七十三名やらせていただき、そして、この後、この新型コロナウイルスは、高齢者とか基礎疾患を持っている方で大変重篤な病気を発症しているという実態がありますので、そうした可能性がある方を次に検査すべく、今準備をさせていただいているということであります。

川内委員 検疫法上、法令上は全員検査しようと思えばできるのだという御答弁だったというふうに思いますが、しかし、現段階においてそれをするということに至っていないということなのはなぜなんだろうというふうに思うんですが。

 そこで、ちょっと教えていただきたいんですけれども、二百七十三名の検体を採取して、現在三十一名の検査結果が判明している。一日かかっているわけですけれども、一日かけて三十一名の方々の検査結果しか判明していないというか、今、国立感染症研究所に置いてある、PCR検査において、検査結果を判明させるに足る機械の一度に検査できる検体の数とか、詳細をちょっと教えていただいていいですか。

加藤国務大臣 今の状況としては、今おっしゃった中央の感染研究所以外、それ以外の地域でも対応できるような準備をしております。

 実際どれだけかということ、全体、これはやり方で、セットで、例えば百検体一遍にということなので、マキシマムでいくと、国立感染研究所では一回で二百六十の検体は可能でありますけれども、そのときには一定の数をまとめて検査しないとできないということであります。そして、それ以外の、例えば地方の衛生研究所でも、一回に六十が可能なところ、二十が可能なところ、規模によっていろいろございますけれども、そうした能力は持っております。

川内委員 国立感染症研究所では二百六十検体を一回で検査することができるにもかかわらず、なぜ現段階において三十一名分の検査結果しか判明をしていないのかということがちょっと不思議なんですけれども。

加藤国務大臣 今のマキシマムの話は、瞬時に持ち込んで最大限やればということでありますから、今、これまでも、いろいろな検査をそれぞれのところでやっております。

 それから、国立感染研究所では、次に、今、第四便、ちょっといつになるかわかりませんけれども、それへの準備等もございます。今回は、感染研究所以外の地方の衛生研究所にも御協力をいただいて、むしろ、そちらの方で、それぞれの能力の中でやらせていただいているということ。

 それから、もう一つあるのは、これは船の中で採取をしているものですから、しょっちゅう、でき上がったらすぐとってくるのではなくて、行ったときに合わせてとってくるということで、最終的には、きょう朝、陽性確認者の方がおりて、乗船されて、戻ってきた船、そのときに最終的な検体を回収というか運んで、今それぞれの衛生研究所等へ持ち運び、検査をしようとしている、こういう状況であります。

川内委員 そうすると、この二百七十三名の方々の検体の検査が最終的に結果がわかるというのは、大体いつごろになるというふうに。

加藤国務大臣 今それぞれのところに持ち込んで、そしてさまざまな段階を経て、そして、実は、最終的な判断は、分析して、分析結果が出ますね、この分析結果をもう一度感染の中央研究所に渡して、そこで、その判断でいいですよという、そういう手続で全部やらせていただいていますので、正直言って、いつまでにとは言えませんが、例えばきょうじゅうに全部できるかというと、ちょっときょうじゅうは難しい。複数日かかるということを予定をしております。

川内委員 数日かかるということなんですけれども、ダイヤモンド・プリンセスの中で感染者が出たという、いろいろな国籍の方々もいらっしゃるということで、そしてまた、湖北省やあるいは武漢と関係があるのかないのかということについても、最初の香港の男性の方の行動というのが不明なわけですけれども、非常に、新たな局面に入ったのではないかというふうに思います。

 二月一日に指定感染症の政令が施行されて昨日の二月四日まで、総理が、湖北省やあるいは武漢からの人々を入国拒否するよということで指示をされたわけでございますけれども、四日間で、この二月一日から二月四日まで、きのうまで、湖北省のパスポート所有者あるいは湖北省から来た人々で入国審査対象者は何名いたのか、あるいは、その入国審査対象者の中で入国許可をしなかった方は何名か、そして、特段の事情をもって入国を許可した方が何名いたのかという数字をお答えいただきたいと思います。

森国務大臣 お答えいたします。

 二月一日以降、御指摘のとおり、本邦への上陸申請日前十四日以内に中国湖北省における滞在歴がある外国人、中国湖北省において発行された中国旅券を所持する外国人について、特段の事情がない限り、入管法五条第一項第十四号に該当し、上陸を拒否しておりますが、その人数についてでございますけれども、二月一日から同月四日までの間に、この閣議了解に基づく措置の対象者に当たるとして慎重な審査の対象となった外国人が二十二名でございます。そのうち、上陸を認められなかった外国人は十三名、そして、特段の事情が認められ、上陸を許可された外国人は九名でございます。

川内委員 入国拒否とはいっても、特段の事情がある場合は入国を許されるということになっているということみたいで、そもそも審査を受けるのが、自己申告的な、特段の事情を申告すればいいということで、もちろん、感染症法自体は、ハンセン病の患者さんや元患者さんに対する大変な差別の歴史を踏まえて、最大の人権を保障しながら対策していこうねということが一条に書かれている大変大事な法律で、政府も、最大の人権の配慮をしながら最大の効果を上げていくという意味においては、非常に難しい判断をこれから迫られていくのではないかというふうに思いますが、私は、対象地域の拡大について、総理はちょっと考えることもあるよというふうにきのう御発言でしたから、後で総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。

 その前に、まず、簡易検査キットなどを開発するんだということですが、私は、これは開発するのも相当時間がかかるんじゃないか、そんな簡単に、一カ月や二カ月でできるものではないのではないかというふうに思います。さらに、ワクチンも、有効なワクチンを開発して、そこから治験をして、そして製品にするまでに、やはり相当な期間がかかるのではないかというふうに思います。

 どのくらいの期間が簡易検査キットやワクチンを製品化するまでかかるのかということについて、一般論で結構ですから教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 一月三十日に、国立感染症研究所において、国内で確認された感染者の試料を使って原因ウイルスの分離に成功しましたので、これはそういった開発にはかなり資するところがあるとは思いますが、がなんですが、迅速検査キットの場合、原因ウイルスをまず分離をする、マウスを使ったウイルスの抗体の作製、選定をしている、そのときには固有のたんぱく質の特定が必要になります、そして検査キットをつくる、そして性能試験をする、こういうプロセスが要りますから、これはやはりそれなりの時間がかかる。

 さらに、ワクチンについて申し上げれば、そうしたワクチンを開発する中で、さらには有効性だけじゃなくて安全性の確認をしなければならない、さらには一定の品質を担保して一定程度の量を生産できなければ意味がない、そういうことからすると、これもまたそれなりの時間がかかるものではあります。

 したがって、現時点でどこまでということを申し上げるのは難しいのが今の段階ではありますが、しかし、我々としては、早期に開発できるように、メーカー等とも、相談支援を受けたり、さらにはメーカーと国立感染研究所や他の研究機関の協力体制を構築するなど、そうした開発が進む環境をしっかりつくっていきたいと思っています。

川内委員 そんなにすぐにはできないということで、当面は、現在のPCR検査体制あるいはPCR検査の範囲を拡大をし、防御していかなければならないわけでございまして、そこで、この検査の対象者の範囲を私は広げざるを得ないのではないか、現在の定義はちょっと狭いんじゃないか。もうダイヤモンド・プリンセスで陽性反応が少なくとも十名出たということをもって、検査の対象範囲を、定義を、対象者を広げるべきではないかというふうに思いますが、厚労大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 検査、これは疑似症サーベイランスということをしておりますから、疑似症、あるいはサーベイランスの対象をどうするかということで、これは、当初から比べると、対象の症状も、当初は重度だったんですけれども、症状が出ていればいいとか、それから対象地域も武漢市だったものを湖北省全体に拡大する、そうした対応を図ってきているところでございます。

 課題は、委員、御質問の中、まだ具体的にはおっしゃっていませんが、事前にいただいたお話の中でも、結果的に、菌は保有しているんだけれども症状が出ていない、そういう方々から感染の可能性について、言及はアメリカとか中国であります。現時点ではエビデンスということは示されておりません。

 そういう中で、我々もその可能性を念頭に置きながら対応は考えなきゃいけないと思っておりますので、ただ、範囲をどこまで広げるかという意味において、今のところ、地域的にはそういうこと、湖北省とか、それから症状がある方とか。

 今回の船の場合には、一定わかっていましたので、一つの可能性ということで、これは、今、先ほど申し上げた臨船検疫ということで、検疫の、一般の最初のスタートのところで今対応させていただいているので、この段階では、先ほど申し上げたさまざまな検査がしっかりできますし、おそれがなくなるまでは、検査済み証あるいは仮の検査済み証を出さなければ、船から上陸することもできない、こういう仕組みにはなっています。

川内委員 そうすると、巨大な密室と言ってもいいダイヤモンド・プリンセス号の中で、言葉はあれですけれども、とにかく閉鎖された空間ですよね、ある種の。そういう中で、どこまでこの感染が拡大をするのか。

 私は、政府としては、ある一定の時期に仮検査済み証を発行し、上陸をしていただくことになるのではないかというふうに思いますし、そうすることによって、今度は、じゃ、どういうふうに国内でウイルスが移動していくのかということについて、あらかじめの措置というか、あらかじめの対策をとる上でも、心配ないよ、ちゃんと検査するよということを国民的にも明らかにする上で、定義規定で、武漢市を含む湖北省への渡航歴があること、あるいは、武漢市を含む湖北省への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人というのが条件としてついているわけですが、地域的な条件をここに書いておくと、例えば、オリパラを控えて、ウイルス対策は何が何でも成功させなければならないわけで、そうすると、じゃ、ある一定の期間、指定感染症ですから一年ですよね、ある一定の期間、湖北省あるいは武漢市からの方の入国を拒否しますよということじゃなくて、地域を広げるという判断を総理がされたときに、検査対象者の定義規定がこれでは整合しないというふうに思うんですよ。

 だから、ある程度、定義規定を何らか変えるか、若しくは政令を変えて、一類の指定にして、万全の体制をとるんだ、とにかくオリパラに向けて完全に政府として頑張るよという姿勢を見せる必要があるのではないかというふうに思うんですが、まず、厚労大臣の御見解を。

加藤国務大臣 今、先生は二つのことをおっしゃられたんです。

 疑似症ということに関しては、特段政令で決めているわけではなくて、何が疑似症かを決める必要があるということで、先ほど申し上げた、当初は武漢市、そして現在は湖北省、これは今、入国と合わせていますから、これは後で総理が答弁されると思いますが、この地域を今見ていて、より感染度が高いということになれば、当然これは拡大していく。そして、そのときには我々も合わせて対応していかなければ、整合性のあることにつながらないと思います。

 それから、二点目の、一類感染症のお話をされましたけれども、これは、検疫法の隔離とか停留、あるいは感染症法上の、先ほど申し上げた、症状はないけれどもウイルスを持っている方に対する対応、これが必ずしも十分でないという指摘はいただいているところであります。

 ただ、これについては、今のウイルスの状況を見ながら今の状況にさせていただいているということと、それから、今回のプリンセス号については、これとは別の規定で今対応させていただいているので、当面、すぐにということはないとは思いますが、ただ、これまでも御指摘いただいておりますし、この状況をしっかり見ながら、当然、対応しなきゃいけないときに我々がそのツールを持っていないなんてことでは国民を守ることができませんから、そうした状況を見ながら、ただ、委員が最初におっしゃった、やはり人権と前広なものとのバランス、ここもよく考えながら対応していきたいと思っておりますから、ここはもうこれ以上やらないとかいう固定的な考え方は持っておりません。

川内委員 ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の方が二千何百名、乗員の方が一千名ちょっとという形で、部屋数が幾つあるのかとか、一人一人個別に船の中での生活を送るということは、ちょっと不可能だと思うんですね。そうすると、感染者、あるいは感染が疑われる人、あるいは感染しているのだけれども自覚症状がない人等と、同じ部屋でこれから十日間あるいは二週間過ごすことになる。

 これは、ちょっと私は、何とか、政府対策本部本部長としてお考えになられた方がよいのではないかと総理に申し上げたいし、あるいは、湖北省、武漢からの方々の入国を拒否しますということについても、地域的範囲についてももう一度政府の部内で御議論をされた方がよいのではないかというふうに考えますが、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 部屋割りがどうなっているかということについても、我々も把握をするようにしているところでございますが、多くは、例えば御夫婦という方が多いわけでございまして、そういう方々はみんな同室ということになっているんだろう、こう思うところでございます。いずれにいたしましても、これ以上この感染が広がらないように全力を尽くしていきたい。

 そして、武漢、湖北省から更に広げるべきかどうかということでございますが、御承知のように、武漢から湖北省全体に広げたわけでございますが、湖北省だけで五千万人でございますから、日本の人口の半分に対して入国を拒否する、しかも、そこに二週間以内に行ったことのある外国人は入国を拒否するわけでございますから、相当広い範囲で今の段階ではやっているわけでございますが、今後、もしそれが必要であれば、国民の命とそして健康を守ることを最優先に、ちゅうちょなく判断していきたい、こう考えております。

川内委員 万全の対策をおとりいただくことをお願いをしておきたいというふうに思いますし、私どもからも提案があれば提案をさせていただいて、お聞きいただければというふうに思っております。

 それでは、ちょっとカジノのことをやらせていただきたいんですけれども……

棚橋委員長 川内委員、厚生労働大臣はどういたしましょう。

川内委員 もうさっき御答弁いただいたので。

棚橋委員長 いや、退席してよろしいですか。

川内委員 厚生労働大臣は、はい、御退席で。済みません。

棚橋委員長 それでは、厚生労働大臣は御退席されて結構です。

川内委員 先ほど総理から、アメリカでの全米商工会議所との会合の話などもあり、要請などはなかった、日本政府としての方針を説明しただけだよという御説明がありました。まあ、よくよく考えてみたら、全米商工会議所が主催する会合にカジノ事業者が三社いらっしゃるということ自体が、広い意味でいえば、頑張るからねという先方の意向の表明だったのではないかというふうに思います。

 そこで、聞かせていただきたいんですけれども、平成二十九年の十二月十五日に、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局から出されている文書で、特定複合観光施設区域整備推進会議の取りまとめに対するパブリックコメントの結果及び説明・公聴会における意見表明という文書がございます。

 このいわゆるパブリックコメント、これは内閣委員会に対する政府からの資料として出されたもので、出されたときの建前は、これまでカジノ事業者から政府に対する何らかの働きかけがあったと思うが、その働きかけに関連する資料を出してもらいたいという内閣委員会からの資料要求に対応したものであるというふうに聞いております。

 そこで、聞くんですが、このパブリックコメントの中で、三百五十四項目、さまざまなパブリックコメント、質問とか意見等が寄せられております。この三百五十四項目のパブリックコメントに、それぞれの、例えば全米商工会議所の会合に出席していたカジノ事業者の会社や、あるいは最近話題の500ドットコムが出してきたパブリックコメントの項目数をまず教えていただけますか。

赤羽国務大臣 今、川内委員が言われているのは、特定複合観光施設区域整備推進会議の取りまとめに対して、二〇一七年八月一日から八月三十一日まで意見募集を行った、そして、同年十二月十五日にその結果を公表したということでよろしいですね。(川内委員「そうです」と呼ぶ)

 これは、もともと言うと、意見募集は、広く一般の方々から自由な意見、情報を提出しやすくするという趣旨に基づいてパブリックコメントとして実施したものであるため、提出者の特定につながるおそれのある情報は非公表とさせていただいておりますが、しかしながら、今回、川内委員がこの国会で御質問をされるということを通告いただきましたので、しっかり検討して、通告にありました、指定された五社について項目数を御報告するということは、これら五社に不利益が及ぶおそれはない、差し支えないと判断しましたので、お答えさせていただきます。いいですか、通告した五社でよろしいですね。(川内委員「はい」と呼ぶ)

 MGMリゾーツ二十件、ウィン・リゾーツ十六件、ラスベガス・サンズは具体的な意見なし、シーザーズ・エンターテインメント十二件、500ドットコム一件。

 以上でございます。

川内委員 これらの項目数は教えていただきました。

 結局、これを読むと、大変私も勉強になったんです、武田大臣。カジノの具体的なことについて、めちゃめちゃ詳しく、いろいろ制度のことが書いてあって、おお、そうかみたいな。多分、事業者の方々にとっては、政府に対するQアンドAみたいなもので、質問を出して、正式に政府としての回答が来るので、これほど確かな回答はないわけですね。それで、今お答えをいただいたわけでございます。

 ところが、肝心なことになると、このパブリックコメント、政府の回答の文章の末尾に、「今後の制度化を通じて検討してまいります。」と。これこれこれらの事柄については、「今後の制度化を通じて検討してまいります。」ということが書いてあって、これからいろいろ決めるからみたいな、また意見を言ってねみたいなことが書いてあるわけです。

 じゃ、今後の制度化を通じて検討してまいるという項目が幾つあるのかということを、きのう、これは質問通告しているんですけれども、教えていただけますか。

棚橋委員長 これは国土交通大臣ですか。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 それでは、速記を起こしてください。

 国土交通大臣赤羽一嘉君。

赤羽国務大臣 私のところに来ているのは、先ほど、カジノ事業者、まあ、カジノ事業者かどうかちょっとわかりませんが、川内先生が言われているカジノ事業者五社、さっきの名前でそれぞれどの程度の項目数の意見を提出したのか、事実関係を伺うということでございました。

 それについては、ちょっといろいろ意見もありまして、従来的には公表しないということもあったんですが、この国会で、重い場で聞かれているのでということで、ここまでだったらいろいろな意味で御迷惑にはならないだろうと判断して御報告させたということでございまして、済みません、それ以外の通告は手元にはいただいていないので、用意しておりません。

川内委員 いやいや、私、委員長、ちゃんと通告したんですよ。「今後の制度化を通じて検討してまいります。」という文章の末尾になっている項目が幾つありますかということを教えてくださいということを申し上げております。

 だから、ちゃんとこれを教えていただかないと困るんですよ。

赤羽国務大臣 済みません、きのうの段階では受け取っていないので、今の趣旨……(発言する者あり)いや、それはそうなんですから。ですから、ちょっとこの時間内に調べてお答えさせていただきます。

棚橋委員長 川内博史君、次の質問で、時間内ということですので、そうしていただけますか。(発言する者あり)まず、議場内はお静かにしてください、理事から話を聞きますので。両理事、いかがですか。(発言する者あり)議場内はお静かに、本多君。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 それでは、速記を起こしてください。

 国土交通大臣赤羽一嘉君。

赤羽国務大臣 大変恐縮ですが、通告をいただいていないので、今ちょっと三百数十項目について精査をしていますので、し次第、質問時間内に回答させていただきますので、よろしくお願いいたします。

棚橋委員長 それでは、大臣、後刻、理事会に提出してください。

川内委員 いや、委員長、整理がおかしいです、議事の整理がおかしいです。

 今、赤羽大臣は、質問通告を受けていないと私におっしゃったんですよ。私はしていますから、めちゃめちゃ不名誉なことを言われたんです、私。それはちょっと受け入れられないです。

棚橋委員長 いや、川内君、これはどちらが正しいか、私には今判断できません。ですから……(発言する者あり)お静かに。御静粛に。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 国土交通大臣赤羽一嘉君。

赤羽国務大臣 大変失礼しました。

 別に川内先生の名誉を汚すとかそういう趣旨じゃありませんでしたけれども、おわび申し上げます。あれば、私たちも用意しているということをちょっと申し上げたかったんですが。

 三百五十四項目のうち、今、川内先生が言われるような、該当しているのは百三十九の項目でございます。

川内委員 赤羽大臣、私、赤羽大臣のことを大変尊敬申し上げているんですよ。

 きのうの時点では、レクの時点では、事務方の皆さんは、項目数などは答えられないと言っていたんですよ。それは言えません、会社の情報なんて言えませんよということをおっしゃっていたんです。いや、答えられないというんだったら答えられないという答弁をしてくださいということで、私、二つの質問通告をさせていただいていたわけですが。

 ところが、赤羽大臣にこれは事務方が説明しているかどうかわかりませんが、パブコメを募集するに当たって、意見提出方法としては、氏名、住所、所属、括弧会社名、部署名等、電話番号、ファクス番号及び電子メールアドレスを明記の上、意見募集してきてね、こう書いているんですね。

 最後の、意見の公開についてのところには、氏名、住所、電話番号、ファクス番号、メールアドレスを除き、全て公開される可能性がありますよと書いてあって、所属、すなわち会社名と部署名は公開が前提ですよというふうに、そもそも意見募集のときに言っているんです。これは、多分、説明していないと思うんですよ、事務方は。だから、私は、これを公表していいんじゃないですかということを聞いていたわけですよね。

 ところが、きょう、多分、赤羽大臣が、いや、これは公表すべきデータであるということで公表されたということに関しては敬意を表したいというふうに思いますが、ところが、項目数、これから考えますよという項目数もちゃんと私は通告していましたから。それをちゃんと大臣に伝えていないという事務方の、これは事務ミスだと思うんですけれども、事務ミスなのかわざとなのか、わかりませんが。

 要するに、総理、最後、総理に、まだ時間があるので総理にゆっくり答弁していただきたいんですけれども、カジノについてはこういうことが多過ぎるんですよ、結局。何か、隠そうとか、あるいは言いたくない。だけれども、いや、公益性があるんだ、大丈夫です、大丈夫ですということだけが言われる。

 これは、カジノ、IR、我々はカジノ禁止法を出していますから、ちょっと、もうそういうばくちはやめてください、ばくちを民営化するのはやめてくださいということを言っているわけですが、政府としては、IRを推進するお立場であるとするならば、いろいろなことについて、やはり情報公開、透明性とか公正性とか、そういうものが非常に説明責任の上では大事だというふうに私は思うんですよ。

 こういう、今後いろいろなことを公表しますよということを前提にさまざまな意見募集等を、今まさに基本方針に対する意見募集がなされているわけで、それらについても、ちゃんと、公表しますよ、会社名を出しますよということを内閣総理大臣としてお約束をいただきたいんですけれども。

安倍内閣総理大臣 今、これは、恐らく川内委員はそういう質問通告をされたんだろう、そういう意図を。しかし、うまく意図が十分に、こちら側が、受けた側が必ずしも受け取れていなかったということがあったかもしれないということについてはおわびを申し上げたいと思いますが、赤羽大臣からは誠実に答弁をさせていただいて、赤羽大臣の判断で先ほど企業名も公表させていただきました。

 しかし、事柄の内容によって、いわば出せるもの、出せないもの、それはどういう判断があるかというのは大臣の方でお答えをしていただかなければいけないわけでございますが、当然、今までも申し上げておりますように、情報開示と説明に努めてきているところでございます。

 引き続き、IRの推進に当たっては国民的な理解が大変重要であることから、カジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえて丁寧に進めてまいりたいと思いますが、その上において、情報開示と説明に努めていきたい、このように思います。その中で、国交大臣において適切に判断をしていくということでございます。

川内委員 終わったんですかね。

棚橋委員長 終了しておりますが。

川内委員 いや、ちょっと、もう一問聞かせてくださいよ。(発言する者あり)いや、だって、いろいろやりとりがあったじゃないですか。

棚橋委員長 私、何もとめていませんよ。

川内委員 はい。

 最後、関西電力の問題を一つ聞かせていただきたいんですけれども、関西電力さんは、一昨年の九月に、自分たちで社内調査をして、社長、会長が金品を受領していたということでみずからを処分して、自分たちを処分して、コンプライアンス違反であった、法令違反ではないがコンプライアンス違反はあったということで、社内処分をしているんですね。

 お配りしている資料には、有価証券報告書、総理、有価証券報告書は総理大臣宛てに提出されるものなんですが、有価証券報告書には取締役の重要事項、すなわち、コンプライアンス違反等はちゃんと記載しなさいということが書いてあるわけですね。

 これは、有価証券報告書に記載されていなかったわけですよ。私は、関西電力は、これをもってしても、社長さん、会長さんは今行っている第三者委員会の報告書が出たらやめますからと言っているわけですが、ちゃんとした有価証券報告書も作成できない社長さん、会長さんがガバナンスのきいた報告書をつくれるとはとても思えないですね。

 社長さん、会長さんがまず退いて、新しい方がきちんと報告書をつくって、社長さん、会長さんが一体どういうことをしてきたのかということを調査することが大事なことで、今、私たち、もらっていましたという人たちが自分で、報告書をつくってくださいと第三者委員会に言っているわけで、これはとても信用に足る報告書ではないと思うんですね。

 だから、まず、麻生大臣に、有価証券報告書に記載がないということについて、これは法令に抵触するのではないかという認識をお示しいただきたい。経済産業大臣にもお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、金融商品取引法の規定ということになるんですけれども、上場企業等は、有価証券報告書において、役員、大株主、関係会社等に関する重要事項等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を開示する必要があると書かれております。

 今、関西電力という名前を言われましたので、それが個別の事案ということによりますので、今のあれが重要事項に当たるかどうか、これは一般的にお答えするというのはちょっとできませんので、その点だけはお断りしておきます。

梶山国務大臣 有価証券報告書に記載すべき重要事項に該当するか否かにつきましては、関西電力が、関係法令に基づき、株主等との関係を踏まえて対応すべきものであり、私がコメントする立場にはございません。

 いずれにせよ、現在、関西電力の第三者委員会において、御指摘のような関西電力の対応のあり方も含め、事案の全容を明らかにするため、事実関係の徹底的な調査が行われているものと承知をしております。

 関西電力は、電気事業という公益事業を担う事業者として、社会との信頼関係を築いた上で事業を進めていくべき立場にあり、第三者委員会の調査結果も踏まえて、法令遵守を徹底する必要があると考えております。

棚橋委員長 よろしいですね、もう。

川内委員 はい。

 この問題は、引き続きやります。

 終わります。

棚橋委員長 これにて川内君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、消費税増税の影響についてお聞きをします。

 安倍総理は、消費税を二度にわたり増税した初めての総理大臣です。八%への増税の痛手から暮らしも経済も抜け出していない段階で一〇%増税を強行した、このことが深刻な事態を生んでいると感じております。

 富山とか新潟とかいろいろなところで話を聞いてきましたが、一つだけ紹介しますと、八十二歳の女性が、それまで電動カートを使って遠くのスーパーまで買物に行っていたんですが、そのスーパーが破産してしまって、近くに行けるスーパーがなくなってしまった、こういう声もお聞きしました。

 配付資料の一を見ていただきたいんですが、先ほど総理も日本経済の大黒柱とおっしゃっていた自動車産業で、新車の販売台数が、消費税増税後、四カ月連続二桁減であります。自動車減税千三百億ですか、自動車減税したにもかかわらず、八%増税時よりも桁違いに深刻であります。下は百貨店の売上げですが、これも三カ月連続でマイナス。前回八%時よりも落ち込んでおります。

 配付資料の二、めくっていただきますと、二〇一九年一月以降、十七の百貨店が閉店しておりまして、今後も続々と閉店が予定されています。

 御承知のように、百貨店というのは従業員も取引先も多くて、地域経済にとってはまさに甚大な影響を与える。スーパーマーケットの売上げも増税後三カ月連続でマイナスで、二〇一九年、倒産は三十件に達しております。七年ぶりに増加という状況です。八%増税後、耐えに耐えてきたけれども、一〇%増税が最後の一撃になったという状況です。

 総理にお聞きしますが、総理が行った二度の増税がこうした深刻な事態を生んでいる、こういう認識はおありでしょうか。

安倍内閣総理大臣 突然消費税を引き上げたのではなくて、当然、選挙を通じて消費税を引き上げるということをお約束をする中において、あるいは使い道を変える、また延期はするけれどもその後は引き上げるということを国民に問うた後に引き上げさせていただいているということは、お断りをさせていただきたいと思います。

 今回の消費税引上げに当たっては、さまざまな施策を総動員して対応したところであります。こうした対策もあって、消費税率引上げ前の駆け込み需要やその後の落ち込みは、十月には台風の影響等も見られるものの、現時点では、全体として、前回ほどではないと見られます。

 引き続き、引上げによる影響には十分に注意をしてまいりますが、その他のデータ等については西村大臣から答弁させたい……(藤野委員「それは後で聞きます」と呼ぶ)後でですか、はい。

藤野委員 今いみじくもおっしゃったように、前回ほどでないというのは、増税前の駆け込み需要とその後の反動減の幅の話なんですね。

 配付資料の三を見ていただきますと、このグラフ、八%、二〇一四年のまさに駆け込み需要と反動減、これは確かに幅があります。今回の一〇%増税の幅、確かに比べるとちっちゃいんですが、重大なのは、八%の増税後、ずっとこう水面下にある、消費の落ち込みがずっと続いていて回復していない、こっちが大事なんですね。この幅、駆け込みと反動減の幅じゃなくて、消費全体がどうなっているか。それでいいますと、こうなって落ちて、その水準がまたずっと続いて、そこから更に落ちた、その二番目の落ち幅がちょっとちっちゃいというだけで、全体、二回を通して見ますと、国民の消費というのは極めて重大な冷え込みになっている。

 八%増税した二〇一四年四月以降、実に五年七カ月、月でいえば六十七カ月間もの間、家計消費は冷え込んでいるわけです。そこに新たに一〇%増税の負担をかぶせた。その結果、家計消費というのは日本が経験したことのないような冷え込みです。

 配付資料の三の水準でいえば、増税後の十―十一月には年額で二人以上世帯の実質家計消費支出は三百三十二・二万円となっておりまして、これは、八%増税前の二〇一三年平均の年額三百六十三・六万円からしますと年額三十一・四万円も減っている。年額三十一・四万円ということは、ほぼ一カ月分の家計消費が吹き飛んだということになる。

 総理、前回ほどではないというのは、私は認識が甘いと思うんですね。御自分が行った二度の消費増税が家計から一カ月分の消費を奪った、この現実をやはり直視すべきじゃないでしょうか。総理がやったんですよ。

西村国務大臣 幾つか具体的な数字の表明もございましたので、それについてちょっとお答え申し上げます。

 まず、資料三でお示しされました、三枚目ですか、家計調査ですけれども、これは二人以上の世帯の実質消費支出ということで示されております。この実質消費なんですけれども、まず、世帯人数が二〇一二年から一八年で三・〇七人から二・九八人に落ちていますし、それから、高齢世帯が三五%台から四一%にふえております。さらに、持家比率も八一%台から八四%に上がって、ローンは消費には入りませんので、等々含めて構造的な要因がこの家計調査にはあるということをぜひ御理解をいただきたいと思います。

 その上で、消費全体を見るGDPベースで見れば、二〇一三年から一八年にかけて、月当たり、これは実質消費でありますけれども、約千円増加をしておりますし、二〇一三年は、これは一三年から一四年にかけては駆け込みがありますので非常に高い水準になっておりますけれども、一二年と比べれば六千円増加をしているという点もありますので。

 もちろん、消費をしっかりとふやしていくことは大事でありますけれども、先ほどの、地方も人口が減少している中、百貨店の閉店、地方経済をしっかりと応援していかなきゃいけないということを我々も進めていきたいと思いますけれども、全体としては、雇用、所得の環境が改善をされて、所得は緩やかに回復をしているという認識であります。

藤野委員 今いろいろおっしゃいましたけれども、世帯人員なんというのは確かに減っていますけれども、その影響だけでこれほど、十二カ月のうち一カ月分の消費が減るなんてことは全然説明できないわけであります。ほかも、GDP、まさかGDPを持ち出すと思いませんでしたけれども、それは十七日に発表されますから。民間のシンクタンク全部、個人消費はマイナスですよ。

 それはまだいいですけれども、要するに私が言いたいのは、この二度の消費増税がもたらした結果、これを直視すべきじゃないか。

 今、経済の担当大臣が出てこられましたけれども、私は、この消費税増税の影響を直視しないという姿勢が一番あらわれるのは、やはり経済成長の見通しとその結果ではないかと思うんですね。二〇二〇年度は名目成長率二・一%を目標にされているんですが、消費税を一〇%に増税をした上で二%以上の成長目標を立てられている。先ほど言ったように、民間シンクタンクはもう全てマイナスの見通しなんですね。

 西村担当大臣に聞きますけれども、二〇一三年度から一九年度まで、安倍政権がみずから立てた名目成長率の見通し、実績、どのようになっていますでしょうか。

西村国務大臣 お答えを申し上げます。

 二〇一三年度、見通し二・七%に対して実績二・六%。二〇一四年度、見通し三・三%に対して実績二・二%。二〇一五年度、見通し二・七%に対して実績二・八%。一六年度、見通し三・一に対して実績〇・八。一七年度、見通し二・五%に対して二・〇%。一八年度、見通し二・五%に対して実績〇・一%。二〇一九年度の見通しは二・四%としているところであります。

 この点、経済は生き物でありますので、海外経済の影響あるいは自然災害の影響等々ございますが、この間、全体としては着実に、GDPは名目で六十六兆円分ふやして、五百五十九兆円としているところであります。

藤野委員 まさかそっちの方で答えるとは思いませんでしたけれども。

 今おっしゃったのは、二〇一六年度に、いわゆる六百兆を目指すんだというそのもとに、GDPの計算方法を変えたわけですね。その変えて、かさ上げしたものを今お答えになりました。やはり、当時の目標自体は当時の基準でつくっているわけですから、それが達成できたかどうかも当然当時の基準ではかるべきなのに、目標は変えずに結果だけかさ上げして今お答えになったというのは、もう本当にやめてほしい。そういう姿勢だから経済の実態がごまかされていくわけですね。

 当時の計算方法でいけば、今お答えになったかさ上げしたやつでも、二〇一五年度しか目標を上回っていないですね、二・七と二・八とおっしゃいましたけれども。かさ上げしてさえ、自分が立てたシナリオを達成できていないわけです。もともとの基準でいえば、かさ上げする前の、当初目標を決めた時点のGDP計算方法でいけば、全く七年間一度も達成できていない。これが実態ですよ、いわゆる結果ですよ。

 私、なぜかということを聞きたいんですけれども、やはり個人消費なんです。個人消費が政府見通しを上回ったのは二〇一三年度だけであります。これは何で上回ったかというと、消費税増税前の駆け込み需要が二〇一三年度にあったからですね、当然、二〇一四年四月からですから。日本経済の六割近くを占める個人消費が消費増税の影響から脱し切れない。このまま二%なんという高い成長シナリオが実現できるわけがないということを、皆さん方がある意味証明していると思うんです。

 総理にお聞きしたいんですが、細かな数字はあれですけれども、私が言いたいのは、総理が冒頭おっしゃったように、消費税増税の影響は何か前回ほどではないとか言って、増税の深刻な影響、これを直視してこなかった。この姿勢が、七年連続して二パーとか三パーとか高い名目成長率の目標を設定し続けたこと、そして、七年連続未達成だったというこの結果にあらわれているんじゃないですか。その基本的な姿勢を。

安倍内閣総理大臣 前々回、三%引き上げたときには駆け込み需要があり、八%に三%引き上げたときには確かにこれは駆け込み需要があり、谷が深かったのは事実でございます。そのときの反省、経験を踏まえて、今度は十二分な対策を行ったところでございます。

 しかし、もちろん、台風等の災害等の影響があったのは事実でございますが、国民の皆さんの実感に近い名目家計消費は、二〇一六年以降増加に転じまして、二〇一八年には、消費税率引上げ前の駆け込みを含まない二〇一二年の水準まで回復をしているのは事実でございますし、二〇一九年に入ってからも増加傾向にございます。

 そしてまた、実質についても、二〇一八年半ば以降は増加に転じているところでございまして、GDPベースで見るとということについては先ほど西村大臣が答弁させていただいたとおりでございます。

 いずれにいたしましても、どのような影響があるかということについてはしっかりと注視はしていきたい、このように考えております。

藤野委員 いろいろおっしゃいましたけれども、GDPとおっしゃいますけれども、七―九ですよね、二〇一九年の七―九。七―九というのは、当然、十月に増税するわけですから、少ないにしろ駆け込み需要もあって、それも含んでいるわけです。ですから、冒頭言いましたけれども、十七日に十―十二が出ますから、十―十二月が出てGDPの話をしたらいいと私は思います。

 私はやはり、家計消費というものが冷え込んでいる、その影響が軽視されていることが七年連続二パーとか三パーとかそういう高い目標の設定になって、当然これはできなくなる、個人消費が冷え込んでいるわけですから。そういうところをやはり反省しないと、本当にだめになってくると思います。

 先ほど、万全の対策といいますか何といいますか、いろいろな対策とおっしゃいましたけれども、私は例えばポイント還元についてもいろいろお話を聞いてきました。その話をお聞きしますと、やはり今現場で起きているのは、二度の消費税増税で耐えに耐えてきて、また今回来たと。結局、増税によって消費が減少するわけですね。パイが小さくなる。そのパイをとり合うという競争になっているということなんですね。今度の政府の対策というのは、そのパイのとり合いにキャッシュレスで参戦しろ、こういう対策ですよ。

 このキャッシュレスによるパイのとり合いというのは何を生み出すか。

 もちろん、このキャッシュレスに参加できなかったのは七割ですから、そういう七割の方はキャッシュレスとの競争がまた強いられるわけですけれども、これはきょうはちょっとおいておいて、参戦した、キャッシュレスによるパイのとり合いに加わった三割の事業者、この方々にお聞きしますと、やはり矛盾なんです。

 配付資料にも、政府の資料にもそれが出ていると思うので紹介したいんですが、この配付資料の四番目の上の方は、還元事業参加店舗の約三九%は売上げに効果があった。

 逆に言えば、六割は効果がなかったということですよね、売上げはふえていませんと。それはそうです。縮小しているんですから、全体の消費が。全体の消費が縮小しているわけです。

 そのもとで、その下の、キャッシュレス決済比率が、売上げに占める比率が一・二五倍になった。

 売上げが減っている、売上げがふえていない、減っているのにキャッシュレス比率がふえるとどうなるかといいますと、逆に、今まで売上げのとき現金で支払われていた分がキャッシュレスに置きかわるということですよね。一・二五倍置きかわった。そうなると、今まで現金で入ってきていたのがその数カ月後になっちゃうわけです。資金繰りが苦しくなるということになる。そして、キャッシュレスですから、当然、手数料負担もふえてくる。

 ですから、カードの場合ですけれども、いずれにしろ、少なくなってきた消費をとり合う、競争する中でキャッシュレスでやれという政府の方針は、矛盾なんです、多くの業者にとって。

 そういう認識はありますか、総理。

梶山国務大臣 消費税対策の中のキャッシュレスポイント還元事業でありますが、この還元事業は三つの目的がございます。(藤野委員「それはいいです」と呼ぶ)いやいや、今お話しにならなかったので……(藤野委員「だから聞いていないんですよ。聞いていません。話がないとあなた言ったでしょう、今」と呼ぶ)

棚橋委員長 どうぞ簡潔に。

梶山国務大臣 全体を話さないことには……

棚橋委員長 経産大臣、簡潔にお願いいたします。

梶山国務大臣 キャッシュレスの推進は……(藤野委員「委員長、やめさせてください」と呼ぶ)

棚橋委員長 簡潔に。経産大臣、簡潔に。

梶山国務大臣 はい。

 キャッシュレスの推進は、中小店舗にとって、売上げ以外にも、両替の回数やレジ締めの時間の削減などの業務効率化、顧客獲得に資する取組であり、今回のポイント還元事業により、店舗によって差はあるものの、さまざまな効果を実感いただいているものと思っております。

 先ほど申しましたように三つの目的があるということですが、その目的に対して効果が出ているということであります。

藤野委員 効果が出ているとおっしゃるその前に、総理、やはり、そうした矛盾を認めない、なぜ認めないのかということなんです。当然のことですよ。売上げは減っていて、効果がないというのが六割で、キャッシュ比率はふえているわけですから、当然そういうことになるとなぜ認めないのか。認めなければ、逆に矛盾を拡大していくわけです。

 総理が強弁されるように、経済がよいと言っているのであれば、私、税収にはね返ってくるというふうに思うんですね。

 実際、総理は施政方針演説の中で、二〇二〇年度、過去最高の六十三・五兆円になるとおっしゃいました。過去最高ということでお聞きすると、直近でいえば、二〇一八年、平成三十年の六十・四兆円の峰を超えるということだそうであります。ですから、ここからどうなるかということ、全体でいえば六十・四兆が六十三・五ということだと思うんですが、財務大臣、ちょっと税目別に教えていただきたいんですが、直近の過去最高だった二〇一八年度の法人税、所得税、消費税、いわゆる基幹三税の決算額は幾らで、二〇二〇年度はどうなると見込んでいるんでしょうか。

麻生国務大臣 これは令和二年度になりますね。令和二年度の予算の税収になりますけれども、消費税率引上げによる増収分に加えて、雇用・所得環境の改善が続いて、消費を始めとする内需……(藤野委員「額だけで結構です」と呼ぶ)我々としては六十三・五兆円を見込んでいるという話であります。

 その上で、いわゆる基幹三税について申し上げさせていただければ、所得税は十九・五兆であります。それから、法人税収十二・一兆、そして消費税は二十一・七兆ということになっております。

 これに対して、今言われました、これまで過去最高であった平成三十年度の税収実績は六十・四兆であり、内訳について申し上げさせていただくと、所得税収は十九・九兆、法人税収十二・三兆、消費税収十七・七兆円となっております。

藤野委員 今御答弁いただいたとおりでありまして、配付資料の五はまさにその数字であります。

 つまり、法人税は十二・三から十二・一に二千億円減り、所得税は十九・九から十九・五に四千億円減り、消費税が十七・七から二十一・七に四兆円ふえるというのが過去最高の中身であります。

 総理にお聞きしたいんですが、政府自身がこういう見通しなんですね、法人税と所得税は減り、消費税だけが四兆円ふえると。総理、これは一体どこがうまくいっているんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 過去最高の税収となるということは事実でございます。(発言する者あり)いや、過去最高の税収となるというのは事実でございまして、その中で、消費税を引き上げるという中でさまざまな影響が出ているというのは事実であろう、こう思うところでございますが、しかし、消費税引上げ後についても、我々も十分に注視をしながら、今までも、今回も、できる限りの対応を行ったところでございます。

 先ほどポイント還元について藤野委員の立場から御意見を開陳されたのでございますが、我々としては、中小企業が、ポイント還元は売上げに効果があった、四割の方が効果があったということを答えておられるのも事実であろう、このように思うのでございますし、キャッシュレス化が進んでいくことは、これはまさにインバウンドにおいて今四兆五千億円という新たな大産業が誕生したわけでございまして、中小零細、地方の方々も、そうした大きな流れの中でこのキャッシュレス化を進めていくことは、中小零細の小売店等にとっても間違いなくプラスになっていく、このように考えております。

藤野委員 今総理が、六十三・五兆、最高になるのは事実でございますというのは、私はちょっとびっくりしまして。

 といいますのも、総理は、昨年の一月二十八日の施政方針演説でもこうおっしゃっているんですね。「この六年間、三本の矢を放ち、経済は一〇%以上成長しました。国、地方合わせた税収は二十八兆円増加し、来年度予算における国の税収は過去最高、六十二兆円を超えています。」と。要するに、去年も、六十二兆を超える過去最高の税収になるとおっしゃっていたんですよ。実際どうかというと、減額補正されまして、結局六十・二兆円ですよ。去年も過去最高と言って達成できなかったのに、ことしも過去最高。ちょっと、やはり実態を見ていただきたいというふうに思います。

 次の質疑者がおりますので、最後、申し上げますけれども、やはり消費が冷え込んでいるんです。二度の消費税増税でこれだけのことが起きているというこの現実をまず直視していただきたい。そして、その上で、やはり、日本経済の六割近くを占める家計を応援する、そのためには消費税を緊急に五%に減税すべきだというふうに思います。

 世界各国、ドイツもフランスもイタリアも、所得税の減税や、あるいは日本の消費税に当たるものの据置きもしているわけであります。日本だけがそれに逆行している。

 私は、今こそ、応能負担の原則で大企業や富裕層に力に応じた負担を求めることによって、そして、米軍への思いやり予算、駐留経費、こういった無駄にメスを入れて、財源をつくって消費税を五%に減税する、このことを強く求めて、質問を終わります。

棚橋委員長 これにて藤野君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 十分しかないので、ちゃんと、端的にお答えいただきたいと思います。

 桜を見る会について、引き続き質問させていただきたいと思います。

 先週の質疑で、安倍総理からこういう答弁がありました。事務所の担当者によれば、回数を重ねる中で、推薦すれば招待されるだろうとの安易な臆測のもと、作業を進めてしまったとのことと。きのう、今井さんが質問されております。やはり、この答弁を聞く限り、安倍事務所に参加を申し込んだ地元山口の皆さんはみんな招待されてきたということだと思うんですよね。

 それで、質問通告しております。地元からの参加の方で、内閣府、内閣官房から断られた方がいるのか、事務所スタッフの記憶を確認してくださいと言っておりますので、総理、お答えください。

安倍内閣総理大臣 これは、何回か御質問いただきまして、お答えをさせていただいているわけでございますが、同じ質問でございますので同じ答えにならざるを得ないのでございますが、内閣官房が確認をした結果、私の事務所から推薦を行った者で、招待されなかった例もあったものと承知をしているところであります。

 他方、事務所に確認したところ、招待者名簿をいただいているわけではないので、具体的な人数やどのような人が招待されなかったかについては明らかではないということでございまして、また、私の事務所から、招待されなかった推薦者にそれぞれ個別に連絡をとったりはしていないということでございますので、今お答えしかねるということでございます。

宮本委員 内閣府、内閣官房が招待しなかった場合、安倍さんの事務所から推薦して招待しなかった場合というのは、連絡は当然、安倍事務所の方に行くんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 今お答えをしたとおりでございまして、内閣官房が確認した結果、私の事務所から推薦を行った者で、招待されなかった例もあったものと承知をしております。

 他方、事務所に確認をしたところ、招待者名簿をいただいているわけではないので、具体的な人数やどのような人が招待されなかったかについては明らかではないということでございました。また、私の事務所から、招待されなかった推薦者に個別に連絡をとったりはしていないということでございました。

宮本委員 私が聞いているのは、内閣府、内閣官房が、安倍事務所から来たものをお断りをしますということになったら、当然、安倍事務所に連絡するでしょう。それはなかったんですかと聞いているんですよ。

安倍内閣総理大臣 今お答えをしたつもりでございますが、内閣官房が確認した結果、私の事務所から推薦を行った者で、招待されなかった例もあったということは承知をしているわけでございますが、他方、事務所に確認をしたところ、招待者名簿をいただいているわけではありませんので、具体的な人数やどのような人が招待されなかったかについては明らかではないということでございまして、また、ここでお答えをしているのでございますが、私の事務所から、招待されなかった推薦者に個別に連絡をとったりはしていないということでございました。

宮本委員 私の聞いていることに答えていないんですよね。

 内閣府、内閣官房は、安倍事務所から推薦があった者について断った例があると。そうしたら、当然、安倍事務所に伝えるはずじゃないですか。その連絡は安倍事務所にはあったんですか、なかったんですかということを聞いているんですよ。

 委員長、ちゃんと答えさせてください。

安倍内閣総理大臣 それは、当然そうなるということではなくて、今申し上げておりますように、事務所に確認をしたところ、招待者名簿をいただいているわけではないので、具体的な人数やどのような人が招待されなかったかについては明らかではないということでございまして、そういう御連絡はいただいて……(発言する者あり)

棚橋委員長 静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 これも既にもうお答えをしているところでございますが、そういう御連絡をいただいていないということでございまして、これは内閣府もそういう答えをしているものと承知をしておりますが、また、私の事務所から、招待されなかった推薦者に個別に連絡をとったりはしていないということでございました。

宮本委員 ですから、内閣府、内閣官房から地元の安倍事務所のところに対して断りの連絡はなかったと。つまり、全員呼ばれていたということですよね、地元の山口の方は。招待されなかった方に対しての連絡もとった記憶がないということですから、普通は、参加申込みがあって、そして安倍事務所を通じて申し込んだにもかかわらず招待されないということになったら、当然、安倍事務所はおわびに行かなきゃいけないわけですよ。それをやっていないということは、間違いなく、事務所から推薦した方、山口の地元の方については全員招待されていたということだと言えると思います。

 その一方、じゃ、断った例というのは何なのかというと、あとあるとしたら、安倍昭恵さんの関係なのかなというふうに思うんですよね。安倍事務所から推薦しても結果として招待されなかった例もある、これは地元山口で参加を申し込んだ方ではなくて、安倍昭恵さん関係の方なんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 私の答弁に尽きるわけでございまして、宮本委員はいろいろと御想像をたくましくしておられるわけでございますが、内閣官房が確認した結果、私の事務所から推薦を行った者で、招待されなかった例もあったものと承知をしていますが、招待者名簿をいただいているわけではないので、具体的な人数やどのような人が招待されなかったかについては明らかではないということでありました。

 また、事務所において幅広く参加希望者を募る過程で、私自身も事務所から相談を受ければ推薦者について意見を言うこともありましたが、その際、妻の意見を参考として私の意見を言うこともあったということでございます。これはあくまでも私の意見を伝えたものであります。

宮本委員 これは通告しているんですよ。安倍昭恵さんにも確認してほしい、安倍昭恵さんが推薦で意見を出した方のうち招待されなかった方がいたんではないのか、これは奥様の記憶を確認してほしいと私は通告しております。答えてください。

安倍内閣総理大臣 それについては、そうした記録が残っていないので明らかにすることはできない、つまびらかに申し上げることはできないということでございます。

 繰り返しになるんですが、事務所において幅広く参加希望者を募る過程で、私自身も事務所からの相談を受ければ推薦者について意見を言うこともありましたが、その際、妻の意見を参考として、これは参考なんです、参考として私の意見を言うこともあった、これは事務所に対して。これはあくまでも私の意見を伝えたものであるということでありまして、私の妻からの推薦、そういうカテゴリーはないということは申し上げておきたい、このように思います。

宮本委員 記録がないから記憶を聞いてくださいというふうに私は通告をしました。しかも、ちゃんと、事務方が伝えないとかあったらまずいので、私はいつもペーパーで質問通告しております。

 奥様の記憶を確認して、招待されなかった例はあるのかということを聞いたわけですよ。その点、記憶を確認していただいたと思いますので、お答えください。

安倍内閣総理大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、まず、内閣官房が確認した結果、私の事務所から推薦を行った者で、招待されなかった例もあったものと承知をしておりますが、招待者名簿をいただいているわけではございませんので、具体的な人数やどのような人が招待されなかったかについては明らかではないということでございました。まずそのことを申し上げておきたいと思います。

 そして、その上で、事務所において幅広く参加希望者を募る過程で、私自身も事務所からの相談を受ければ推薦者について意見を言うこともありましたが、その際、妻の意見を参考として私の意見を言うこともあったわけでありますが、これはあくまでも私の意見を伝えたものでありまして、私の妻からの推薦者というカテゴリーはないということは、私の妻自体がこの人を推薦したという認識ではなくて、私にいろいろと参考としての意見を伝えたということでございますから、その中でどなたが招待されたか、されなかったかということについては、この記録も残っておりませんので、妻としても、それは今つまびらかにどうだったかということは申し上げられない、こういうことでございます。

宮本委員 委員長、私は、奥様の記憶も含めて、事務所スタッフの記憶も含めて、ちゃんと確認してほしいという質問通告をしているのに、こういう答弁ですよ。奥様の記憶は確認したんですが、記録がないという話ですよ、先ほど閣僚席からありましたけれども。

 記録でいつも答えられる、あるいは政府に確認したっていうんじゃ困るから、事務所スタッフや、ちゃんと安倍昭恵さんの記憶を確認してくださいと。これは総理だったらできるし、総理にしかできないことだから、そして総理にしか聞けないこの場で私はわざわざ通告をしている。私のたった十分の短い時間をこういう形で答弁されたというのは、本当に私は全く納得できないものでございます。

 委員長にお願いしたいんですけれども、ぜひ、私が質問通告して、記憶の部分、この点についてちゃんと安倍総理に確認していただくということを予算委員会の理事会で協議していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 宮本先生からの御質問でございますから、しっかり事前に通告をいただいておりますので、これは確認をしているところでございます。

 そこで、この記録はないということは申し上げました。じゃ、記憶をたどってみてくれということも申し上げたのでございますが、まず、妻の認識として、私には、この範囲に広げるというのはどうかということについて、こういう人たちはいますよということについて私に意見を言ったのでございますが、それをどうするかということについては、私の判断で、私が事務所に伝え、そして事務所から内閣府、内閣官房に伝わっていくということでございまして、妻が、この人たちが言ったから招待されるということでは、そもそもそういう認識でもないわけでございますから、そもそも、その人たちが招待されたか、されなかったかということについての意識はなかったということでございます。

 記憶はなかったかということ以前の問題として、そういう自分の推薦ということでどうなったかということではなくて、私に意見を言ったというところで完結をしているということでございます。

宮本委員 それは全く納得できないです。安倍昭恵さんは、桜を見る会の前夜も当日も、招いた方々と御一緒に写真撮影とか交流とかされているわけですよ。

棚橋委員長 宮本君、恐縮ですが、時間が。

宮本委員 そうですね、時間ですから終わりますけれども。

 ですから、委員長、私が言った点について、ぜひ理事会で協議をお願いします。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

宮本委員 終わります。ありがとうございました。

棚橋委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 予算委員会、初めての登壇ということで、よろしくお願いします。

 初めてなので、非常にいい機会をいただいたんですが、恥ずかしながらちょっと風邪を引いてしまいまして、昨日、我が党の足立議員から、せきをするときはドラキュラスタイルでというのがありましたので、ちょっとせきをするときはそれで御容赦いただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 本日は、地方創生について特に質問をしたいと思います。

 出生率の低下によって引き起こされる人口減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持することを目的とするいわゆる地方創生、これが始まりまして五年が経過いたしました。そのための大戦略であります、まち・ひと・しごと創生総合戦略は、二〇一五年から一九年の五カ年を第一期として実施されまして、ことしから第二期が始まるということになっております。

 これをちょっと振り返ってみますと、地方創生関連の事業、地方創生関連交付金にかかわる事業は、この五年間で約二千件、そして、金額にすると二千億が実施されまして、それぞれの個別の事業を評価いたしますと、検証結果はおおむね良好であるというふうに総括をされています。

 また、各基本目標や各施策に設定されたKPIを、検証結果が出ておりますのでざっと見てみますと、三段階に評価は分けていまして、一番が達成又は達成に向けて進捗している、つまり丸ということですね、二番目は達成していない、三番目はその他、こういう分類になっていまして、KPIの百三十一項目が設定された中で、一に該当する、つまり丸という評価を得ているものが九二%というふうになっております。

 つまり、これは認識の確認ですけれども、交付金事業、大半はおおむね良好であり、そしてKPIは九〇%以上がいわゆる合格点であるというこの認識は間違いないでしょうか。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 今御紹介いただいたような形で、KPIの進捗状況につきまして、有識者の御意見を聞きながら点検を行ったところでございます。

 九二%という数字、今おっしゃっていただきましたが、これは、今おっしゃっていただいたうちの一つ目と二つ目のカテゴリーのうちの比率ということで率を計算したものでございまして、三つのカテゴリーで率を計算いたしますと、百三十一件のKPIのうちに、百件、約七六%が目標達成に向けて進捗しているという数字となっております。

 ただ、一方で、東京圏への転出入均衡の目標など、達成に向けて更に強力な取組が必要な項目も存在する、こういう結果となっておるところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 全部合わせても七〇%以上、その他のいわゆる計数管理が難しいものを除けば九〇%以上が達成しているということなんですよ。でも、さっき答弁がありましたように、東京一極集中は全く是正されず、むしろ進んでいる、こういう状況であるということが今の現実だと思います。

 昨日、前原議員の質問にもありまして、その数字等もきのう出ましたので、そこは割愛しますが、やはり、このKPIがほとんど進捗、よしとされているにもかかわらず、一番重要な東京一極集中が是正されないというのは、これはちょっと、僕は考え方に問題があるんじゃないかなというふうに、まず思います。

 その中で、もう一点確認ですが、今回、二期の総合戦略の中で、関係人口という概念が出てきます。居住される人口にプラスして、関係人口、そこにかかわる人口、これをふやしていこうということが盛り込まれておりますが、これの趣旨、ちょっと説明いただけますか。

北村国務大臣 お答え申し上げます。

 関係人口とは、移住した人でもなく、観光に来た人でもなく、特定の地域と継続的に多様な形でかかわる人々のことを称しております。例えば、都会に住んでいながら、地方のお祭りに毎年参加してくれる、また運営にも参加してくださる人々、又は、兼業、副業で週末に地方の企業やNPOで働く方々など、さまざまな人々が該当するものと考えられております。

 これまで、東京一極集中の是正に向け、移住を直接促進する施策などを実施してきたところでありますけれども、地域への関心や地域とのかかわりを深める中で築いた地域との縁が地方移住を決めるきっかけとなることが多いことや、最初から一気に移住するという決断はなかなか難しいという指摘もあったところでありまして、このような契機を踏まえた上で、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略の新たな視点として、移住を直接促進する施策に加え、地方への新しい人の流れをつくることにより、地方移住の裾野の拡大や地域課題の解決に資する関係人口の創出、拡大に取り組んでいくこととしております。

 なお、委員が触れられました島根県江津市の転入人口が上回ったということについても総理が演説で申されたとおりで、私もきのうふつつかな答弁をしましたので、念のため申し添えさせていただきます。

 以上でございます。

藤田委員 きのうの前原議員の答弁にお答えいただきまして、ありがとうございます。

 確かに、関係人口については、施策としては私は悪くないと思いますが、これがまたKPIに設定されて、関係人口はふえているのに、実際に東京一極集中は是正されていない、こういうふうにならないようにしたいと思うんです。

 まさに、この地方創生をめぐるさまざまな取組は、総理、小さいながらも地域でのいろいろな成功事例は確かに出ているのは明らかですけれども、そしてそれがKPIに反映されていますけれども、でも東京一極集中は全く是正されていませんよねと多くの評論家とか雑誌とかにも評価されるわけですよ。私、地方創生委員会の委員でございますから、これは何ともしがたい、いかんともしがたい思いを持っています。

 ですから、ちょっと戦略の設計思想自体が間違っているんじゃないかなというふうに思わざるを得ないと思います。もっと東京から地方に人、物、金という資源が逆流していくような大きなうねりを、流れをつくらないといけない、そのように思いますが、総理の御見解をお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 我々、地方創生を安倍政権の大きな柱に掲げて進めてきたところでございます。

 一千億円規模の地方創生交付金を活用して、地方ならではの特色ある農林水産品や観光資源や地場産業の技術力などを生かした独自の創意工夫を応援してきたところでございますが、その結果、例えば、地方においては大きな産業であります農林水産業において輸出をふやしていくというのは、若い皆さんにとっては、自分たちの努力や工夫で新しい地平線が開けていく、いわば守る産業から攻めの産業になって初めて若い人たちは行くんだろうと思いますが、その意味においては、農林水産物の輸出は六年連続で過去最高を更新しておりますし、また、観光というのは、これは大きな産業として、四兆八千億円の新しい一大産業が地方に誕生したわけでございます。

 そういう意味におきましては、例えば日銀が行っております景況判断で、いいが悪いを上回るという点において、なかなか北海道あるいは四国、輸出型の製造業がないところがプラスになるのは難しかったんですが、この回復期においてはそういう地域もプラスに転じるということは、これはやはり観光等が大きかったんだろうと思いますし、いわば地方にある企業というのは中小企業等が多いのでございますが、倒産件数も減ってきたという中で、やはり一番大切なのは、地方において働く場所がないということが東京に出てくる一つの大きな原因だったんですが、その意味においては、四十七全ての都道府県で初めて有効求人倍率が一倍を超えているわけであります。

 その中で、きのうは前原委員から、それは言いわけではないかということを言われたんですが、しかし、その中で、景気がよくなると、東京が伸びが大きいものですから、どうしても東京にぐんと入ってくる。ですから、第一次安倍政権のときには十五万五千人が入ってきた、これはピークだったわけでございますが、これから比べれば減ってきている。ただ、まだ超過であることは事実であります。その中で、KPIが景気がよくなる中においてピークよりも低く抑えられていたのは事実でありますから、そういう面ではきいていたのではないか、こういうことであります。

 しかし、根本的なことにおいては、十代後半や二十代の若者が東京圏への転入超過の大半を占めておりますので、それを考えれば、就学、就職が東京圏への移動の大きなきっかけとなっているわけでありまして、そのために、地方に、若者に魅力あふれる働く場、学びの場をつくることが重要ではないかということで、きらりと光る地方大学づくり、これはすぐにできるわけではございませんから、少し時間がかかるのでございますが。

 また、東京から地方へ移住、起業、就業する場合に、最大三百万円支給する制度を更に使いやすくしていく。またさらに、都市に住む皆さんの地方での兼業、副業を促すために、人材のマッチングや移動費の支援を行う新たな制度を創設する。そして、関係人口を拡大して、将来的な移住につなげる。まずは、いきなり移住するよりも、関係人口、先ほど北村大臣が答弁したような形でかかわっていただく。

 寝屋川も私も一度お邪魔をさせていただいて、まあ、委員の対立候補の応援であったわけでございますが、その意味では、まず、おめでとうございますと申し上げたいところでございますが、まず関係人口となり、その後そこに移っていこうという決断をしていただけるような、そういう取組を行っていきたい、こう考えているところでございます。

藤田委員 寝屋川にお越しの際は、本当にありがとうございました。プラス大東と四條畷も来ていただきまして、一つその返答で言わせてもらうのであれば、総理大臣が来られたときは駅前に五千人ぐらいの人が集まりましたが、ふだんはそんなにおりませんから、このにぎわいをつくっていくというのは本当に大変です。

 地方の実情を見れば、例えば人口増の政策をそれぞれの市町村は頑張っていますよ。でも、それは、近隣の市町村とのとり合いなんですよ。実際に近隣の市町村に優位性の高いものをいかに配置するかということに終始しているわけです。それは、悪いことではありませんよ。悪いことではないけれども、でも、大きな流れを見たら、全部東京に集中していくというこの流れを断ち切らないと、新しい時代の社会像は築けないんじゃないかというのが私の考えでございます。麻生大臣にも小泉大臣にも来ていただきましたので、ありがとうございました。

 そういう意味で、では、大きな流れというのは何かということを考えると、例えば、中心的な省庁の移転であるとか、首都機能の移転、統治機構の改革、消費税の地方税化といった税源をそもそも地方に移管してしまうであるとか、きのうまさに閣議決定されましたスーパーシティー構想であるとか、それからIR、こういった非常にインパクトの大きいものを戦略的にぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 ちょっと丁寧に答弁していただいたので時間がなくなってまいりましたので、一つ飛ばしまして、道州制についてお聞きしたいと思います。

 「道州制は、まさに国のあり方を根底から見直し、統治構造を根本から改める改革です。中央集権体制を改め、地方分権型国家を構築し、地域経済社会の活性化、多極型国土の形成、中央・地方全体の行財政の効率化、二重・三重行政の解消によりムダをなくし、真の行政改革を進めます。」そのために、「道州制基本法を早期に制定し、その後、五年以内に道州制の導入を目指します。」これは、二〇一二年の自民党の政策集に書いてあるんですよ。

 でも、道州制の議論は盛り上がったり下がったりして、今は全く進んでいない。つまり、私は、道州制というより、統治機構をいかに、どうするかという根本的な問いに対して、今はもうふたをしてしまって進まない。しかしながら、昨年の北村大臣の大臣所信では、これは非常にいいことだから、一つの有効な手段であるという答弁が、大臣所信にも入ったわけです。私は、やる気がないんやったらもうそういう文章は入れてほしくないと思います。

 この件に関して、この統治機構のあり方をもう一回問い直していく、そういう東京一極集中を是正する一点突破としてぜひやっていただきたいと思うんですが、総理の御見解をお願いします。

安倍内閣総理大臣 道州制は、地方経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つであり、国と地方のあり方を根底から見直す大きな改革であると考えています。

 これまでも、与党において、道州制に関して検討がなされてきたところであり、政府としても、連携しつつ取り組むとともに、国と地方のあるべき姿、地方分権改革については、御党の御主張なども含めて、建設的な議論を進めてまいりたいと思います。

藤田委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間切れになったらあれなんで、最後にちょっと一番やりたいやつを先にやっておきます。

 IRについて。本会議の我が党の馬場幹事長の代表質問に対して、事業者との接触ルール、これを制定してはどうかと。大阪で、非常に厳しい、いわゆる大阪方式と呼ばれるような厳しいルールの設定をして運用がされていることを例に挙げまして質問させていただいたところ、総理からは非常に前向きな答弁をいただきました。

 これについて、具体の内容とそのスケジュール、思っているところがあれば御答弁をお願いいたします。

赤羽国務大臣 IRにつきましての基本方針案には、国とか都道府県等が、公平性、透明性の確保を徹底すべき旨を各所に記載をしていったところではありますけれども、いよいよ自治体が事業者を選定していくなど具体の手続が始まる段階であることも踏まえまして、接触ルールについて基本方針に盛り込むことを検討しております。また、先月の二十三日に開催しましたカジノ管理委員会からも同様の御指摘もあったところです。

 ただ、もう申請を検討している自治体については、今、大阪の話もございましたが、もう既にその多くが自主的にルールを策定しております。これは、さまざまな懸念があるところをみずから律するということで、大変すばらしいことだというふうに思っております。

 それぞれの地域の独自性は基本的に尊重したいと思いますが、そうした自治体については、最低限共通して守っていただくべき項目を求めるというような形でまとめていきたいと思っておりますし、他方、国につきましては、IR整備法上でいいますと、自治体、事業者からの申請を受ける、認定を行う立場であることから、極めて公務の公正性、透明性を確保する、みずからを律するという観点から、より厳格なルールを求めるべきだというふうに思っておりますし、その方針で、具体的には、適用対象となる職員の範囲ですとか、適用する期間、事業者との面談に参加する人数、面談記録の作成、保存方法などの項目について定めることを今検討しております。

 いずれにしても、そうした内容につきまして、カジノ管理委員会からまだこれからさまざまな御指導もありますし、こうした国会の場でのそれぞれの国会議員の皆様の意見をしっかり十分踏まえまして、慎重に丁寧に検討を進めてまいりたい、こう考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 IRに関連して、いわゆる維新以外の野党の皆さんは、これはもう白紙にせよとかという声もあるんですけれども、私は、いわゆる現ナマが飛び交う、ポケットに入れたとか、そういう問題と国家の成長戦略とは全く別次元でありますから、この外形的公正性をいかに担保するかということを、非常に厳し過ぎるぐらいのルールを設定するということを、これは行政の目線ではできませんから、政治的意思として発信していただきたいというふうに思います。

 例えば、大阪では、公職者から特定の事業者に係る要望を受けた場合は、記録して作成して公表するというような……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

藤田委員 非常に厳しいルールも運用されているわけです。私ら維新の会ですけれども、維新の会は……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

藤田委員 IR関係の業者と飯食い一切禁止というのは通達を受けています。当たり前のことやと思います。

 このような、いわゆるそういう疑惑で、本来あるべき趣旨のものがなくなってしまうというのは、これは、今のこの、これから日本が新しい産業を起こしていって新しい流れをつくっていかないといけない中では、大いにマイナスになるものと思います。ですから、そのためには、先ほど申し上げましたが、必要以上に厳しい規制をつくって自分たちを律する、そういうことをぜひ政治の意思でやっていただきたいと思います。

 最後に、そのことについて総理から一言いただけますか。

安倍内閣総理大臣 IRの推進に当たっては、国民的な理解が大変重要であり、事業者選定の公平性等が外形的、客観的にも担保されるよう、必要となる手続や審査方法などについて、高い独立性のもとに審査を行うカジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえて、丁寧に検討をしてまいりたいと考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 大阪方式、大阪ルールは非常に、多分、日本一厳しいルールでやっていると思いますので、ぜひ、そのレベルまで上げていただいてやっていただきたいなというふうに思います。

 委員長、まだ時間ありますか。

棚橋委員長 いえ、恐縮です、ちょうどオンタイムで。

藤田委員 ちょうどオンタイム、わかりました。ありがとうございます。

 ちょっと最後、大阪都構想についてやりたかったんですけれども、公明党さんの多大なる御協力も得て、大阪都構想の住民投票が十一月に実施されるわけですけれども、そのことをちょっとこの地方創生と絡めてやりたかったんですけれども、また次回、ぜひともさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 きょうは、ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、明六日午前九時から委員会を開会し、一般的質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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