衆議院

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第13号 令和2年2月18日(火曜日)

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令和二年二月十八日(火曜日)

    午前九時四十九分開議

 出席委員

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 葉梨 康弘君

   理事 堀内 詔子君 理事 山際大志郎君

   理事 大串 博志君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      あべ 俊子君    秋本 真利君

      伊藤 忠彦君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君   うえの賢一郎君

      上杉謙太郎君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小野寺五典君

      大西 宏幸君    奥野 信亮君

      鬼木  誠君    神山 佐市君

      河村 建夫君    國場幸之助君

      笹川 博義君    武部  新君

      中村 裕之君    丹羽 秀樹君

      根本  匠君    原田 義昭君

      平沢 勝栄君    福田 達夫君

      藤井比早之君    古屋 圭司君

      村上誠一郎君    山口  壯君

      山本 幸三君    山本 有二君

      吉川  赳君    渡辺 博道君

      伊藤 俊輔君    今井 雅人君

      小川 淳也君    大西 健介君

      岡本 充功君    川内 博史君

      玄葉光一郎君    後藤 祐一君

      辻元 清美君    本多 平直君

      前原 誠司君    矢上 雅義君

      國重  徹君    浜地 雅一君

      濱村  進君    田村 貴昭君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      浦野 靖人君    杉本 和巳君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         森 まさこ君

   文部科学大臣       萩生田光一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   国土交通大臣

   国務大臣         赤羽 一嘉君

   環境大臣         小泉進次郎君

   防衛大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣         武田 良太君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣         北村 誠吾君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菅家 秀人君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  秡川 直也君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            松尾恵美子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総括審議官)           渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局次長)          並木  稔君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 谷  史郎君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小出 邦夫君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    川原 隆司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小林 賢一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田島 淳志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         藤澤 勝博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  和田 浩一君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   参考人

   (国立研究開発法人日本医療研究開発機構理事長)  末松  誠君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十八日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     藤井比早之君

  伊藤 達也君     上杉謙太郎君

  岩屋  毅君     中村 裕之君

  小倉 將信君     大西 宏幸君

  河村 建夫君     伊藤 忠彦君

  根本  匠君     吉川  赳君

  村上誠一郎君     丹羽 秀樹君

  山本 有二君     國場幸之助君

  今井 雅人君     伊藤 俊輔君

  馬淵 澄夫君     矢上 雅義君

  國重  徹君     浜地 雅一君

  藤野 保史君     田村 貴昭君

  杉本 和巳君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     武部  新君

  上杉謙太郎君     伊藤 達也君

  大西 宏幸君     小倉 將信君

  國場幸之助君     山本 有二君

  中村 裕之君     岩屋  毅君

  丹羽 秀樹君     村上誠一郎君

  藤井比早之君     福田 達夫君

  吉川  赳君     根本  匠君

  伊藤 俊輔君     今井 雅人君

  矢上 雅義君     馬淵 澄夫君

  浜地 雅一君     國重  徹君

  田村 貴昭君     藤野 保史君

  浦野 靖人君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     河村 建夫君

  福田 達夫君     秋本 真利君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和二年度一般会計予算

 令和二年度特別会計予算

 令和二年度政府関係機関予算

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

棚橋委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、日本共産党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 再度理事をして御出席を要請いたしましたが、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算、令和二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、三案審査のため、去る十四日、第一班福島県、第二班熊本県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。第一班山際大志郎君。

山際委員 福島県に派遣された委員を代表いたしまして、団長にかわり私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、棚橋泰文委員長を団長として、理事井野俊郎君、大串博志君、伊藤渉君、委員秋本真利君、小野寺五典君、神山佐市君、根本匠君、平沢勝栄君、渡辺博道君、今井雅人君、玄葉光一郎君、後藤祐一君、高橋千鶴子君、私、山際大志郎の十五名であります。

 去る十四日、現地において、安達太良川決壊箇所、阿武隈川本宮左岸地区及び郡山中央工業団地を視察し、関係者から説明を聴取いたしました。

 次いで、郡山市において会議を開催いたしました。

 会議におきましては、福島県商工会議所連合会会長渡邊博美君、一般社団法人Bridge for Fukushima代表理事伴場賢一君、郡山市長品川萬里君及び福島大学名誉教授鈴木浩君の四名から意見を聴取いたしました。

 まず、渡邊君からは、被災した企業に対する支援の必要性、原発事故に関する海外における風評被害への対応などの意見が、

 次に、伴場君からは、防災対策としてのボランティアのプラットフォーム構築の必要性、東日本大震災からの復興のゴールの明確化などの意見が、

 次に、品川君からは、阿武隈川の水害を踏まえた防災・減災対策予算の追加、災害時におけるICTを活用した視覚及び聴覚障害者支援の必要性などの意見が、

 最後に、鈴木君から、原発災害の被災者の生活再建と被災地の地域再建を目指した取組、国会において原発災害後十年の検証を行う必要性

などの意見が述べられました。

 次いで、各委員から意見陳述人に対し、台風第十九号被害や消費税一〇%への引上げ後の福島県内の景気の現状及び対策、気候変動対応型の防災対策、新型コロナウイルスによる観光事業への影響及び医療体制の問題点、原発災害の被災者の生活再建への支援策などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を始め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

棚橋委員長 次に、第二班坂本哲志君。

坂本委員 熊本に派遣された委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、私、坂本哲志を団長として、理事堀内詔子君、渡辺周君、委員あべ俊子君、今村雅弘君、奥野信亮君、鬼木誠君、笹川博義君、原田義昭君、大西健介君、川内博史君、本多平直君、江田康幸君、田村貴昭君、杉本和巳君の十五名であります。

 去る十四日、現地において、熊本地震で被災した阿蘇大橋のかけかえ現場を視察し、関係者から説明を聴取いたしました。

 次いで、熊本市において会議を開催いたしました。

 会議におきましては、熊本県知事蒲島郁夫君、熊本学園大学シニア客員教授坂本正君、熊本県商工会連合会会長笠愛一郎君及び熊本学園大学社会福祉学部教授高林秀明君の四名から意見を聴取いたしました。

 まず、蒲島君からは、熊本地震からの創造的復興に向けた重点十項目の進捗状況、大規模災害に対応する体制確保などの意見が、

 次に、坂本君からは、財政健全化のため、各施策のバランスのとれた予算編成を行う必要性、地域の公共交通の再生と復興などの意見が、

 次に、笠君からは、中小・小規模事業者の後継者不足問題、商工会活動充実のための職員増員支援策などの意見が、

 最後に、高林君から、みなし仮設の支援体制の整備拡充、長期の生活再建を支える総合的な支援制度の確立

などの意見が述べられました。

 次いで、各委員から意見陳述人に対し、地域公共交通としてタクシーを利用する場合の課題、消費税増税及びポイント還元事業が中小企業に与える影響、住まいの再建に向けたこれまでの具体的な取組内容、災害による関連死が発生する要因及び防止策、現在の国の予算規模及び債務残高に対する危機意識などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を始め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

棚橋委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

 お諮りいたします。

 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

棚橋委員長 次に、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西証史君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長秡川直也君、人事院事務総局給与局長松尾恵美子君、カジノ管理委員会事務局次長並木稔君、総務省大臣官房審議官谷史郎君、法務省民事局長小出邦夫君、法務省刑事局長川原隆司君、外務省大臣官房審議官小林賢一君、国税庁次長田島淳志君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、厚生労働省健康局長宮嵜雅則君、厚生労働省医薬・生活衛生局長樽見英樹君、厚生労働省職業安定局長小林洋司君、厚生労働省雇用環境・均等局長藤澤勝博君、農林水産省農村振興局長牧元幸司君、国土交通省大臣官房長野村正史君、国土交通省水管理・国土保全局長五道仁実君、国土交通省道路局長池田豊人君、国土交通省航空局長和田浩一君、防衛省地方協力局長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菅家秀人君、内閣府大臣官房総括審議官渡邉清君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

棚橋委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 これより一般的質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。

藤井委員 自民党の藤井比早之です。

 委員長、そして理事の皆様、委員の皆様、予算委員会で質問させていただくのは初めてでございます。心より感謝申し上げます。

 では、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、新型コロナウイルス感染症対策でございますけれども、マスコミ報道やSNS等を見ておりますと、やはり不安になってくる。国民の皆様も不安をお持ちだと思います。

 そういう点では、やはり冷静に対応することが必要なのではないか。実際にこの病気はどれぐらい怖い病気なんだろうか、そういった科学的な分析というのが必要だと思います。インフルエンザと余り変わらないというのであれば騒ぎ過ぎだと言えますし、やはりそういったところ、具体的な予防策について、国民の皆様にとってどうしたらいいのかというところをお伺いさせていただきたい。

 また、マスクの不足というのが状況としてあるんですけれども、その対策をどうするのか。

 昨日、新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安が取りまとめられました。何よりも重症化を防がねばならぬということだと思いますので、正確な情報共有が必要です。正確な情報をどこに確認すればよいのか、国民の皆様への情報提供や相談窓口、自治体の窓口、自治体への支援を含めて伺います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症に関しましては、誤った情報の拡大を防ぎ、国民の皆様に迅速で正確な情報を提供することは大変重要だという、委員の御指摘のとおりでございます。

 誤った情報が拡散することがないように、厚生労働省におきまして、SNSへの主な投稿を確認、分析し、ウイルスや感染予防策など誤った情報が広がっていれば、正しい情報をSNSで積極的に発信しています。

 さらに、SNS業者から、新型コロナウイルス感染症に関する正確な情報を発信したいという御要望もあり、二月七日には公式アカウントが開設され、厚生労働省から情報を提供し、発信していただいているところでございます。

 この新型コロナウイルス感染症の危険性、重篤化につきまして、予断を持って申し上げることはなかなかできないところですが、中国からの情報等を踏まえれば、高齢者の方や基礎疾患をお持ちの方について特に重症化するリスクが高いと考えられております。

 具体的な感染予防対策といたしましては、手洗いやマスクの着用を含むせきエチケットなどにしっかりと取り組んでいただくことが重要であり、また、特に高齢の方や基礎疾患をお持ちの方につきましては、人混みの多いところはできれば避けていただきたいということでございます。

 また、現在、マスクにつきまして、感染拡大や輸入停滞などにより品薄状態にあるとのことですが、厚生労働省及び経済産業省からの増産要請を受け、国内生産主要各社におきましては、二十四時間の生産体制の強化などや輸入品の確保に取り組んだ結果、例年以上の枚数を供給できる見通しが立ったと聞いております。

 引き続き、生産、流通状況を把握しつつ、できるだけ早く品切れが緩和されるよう、官民連携して取り組んでまいりたいと考えております。

 また、症状に御不安のある方の相談につきましては、委員からも御紹介ありましたが、昨日、新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安をお示しさせていただきましたが、これを御参考いただきまして、全国の都道府県に設置されております帰国者・接触者相談センターに相談していただきたいというふうに考えてございます。

 相談後、医療機関にかかる際には、帰国者・接触者相談センターから薦められた医療機関を受診していただくようにお願いしているところでございます。

 なお、自治体が設置しておりますこの帰国者・接触者相談センターを支援するために、二月の十三日に取りまとめられました新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策で補助を行っていくこととしているところでございます。

藤井委員 ありがとうございます。情報提供をしていただいておりますことを感謝申し上げます。

 QアンドAとかだと、マスクについては、せきやくしゃみ等の症状がある方が人にうつさないようにつけるものであって、屋外などで予防用につけるのは余り効果が認められていないという形で、接触感染を防ぐためにとにかくやはり手洗いが重要だということでございますので、そういった情報も国民の皆様に広く周知していただければというふうに考えております。

 また、不安という点では、無症状でもいらっしゃるということだったりするので、やはり検査というところをしっかりしていただきたいなと思うんですけれども、こうした検査体制の整備、PCR検査の検査能力は今現在どの程度なのか、また、感染予防体制、医療提供体制の整備がどうなっているのか、また、ワクチンや医療薬の開発促進、これは時間がかかるのはわかっているんですけれども、現状、取組状況はどうかというのをお伺いさせていただきたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国内の検査体制の整備の関係でございますが、これにつきましては、国立感染症研究所において、判定を速やかに行うシステムの整備を行うことなどで検体の検査処理量を増加させる、あるいは地方衛生研究所におきまして、国立感染症研究所からの検査キットとともに検査手順書を送付する、あるいは民間検査会社等に国立感染症研究所から試薬を提供するとともに精度管理のための検証作業を支援するなどを行いまして、国立感染症研究所、地方衛生研究所、それから民間企業等、各方面の関係者とさらなる連携の強化を図っているところでございます。

 また、検査キットの開発につきまして、メーカーの開発の意向の聴取やメーカーの相談支援等も行っているところでございます。

 また、国内の医療体制につきましては、新型コロナウイルス感染症の患者の方々が入院することができる感染症医療機関につきまして、全国で延べ千八百床以上が整備されているところでございますが、さらに、患者さん等の変化に対応するために、二月の九日には、緊急その他やむを得ない理由があるときには、感染症指定医療機関の感染症病床以外の病床、あるいは感染症指定医療機関以外の医療機関に入院させることができる旨も改めて自治体に周知させていただいているところでございます。

 それから、ワクチンや治療薬につきましては、これから官民連携した研究体制の構築を図ることとしておりますが、例えば、現在、国立国際医療研究センターにおいて抗HIV薬を使用した症例の分析等を行っておりまして、今後、医師主導治験を予定するなどの取組を進めているところでございます。

藤井委員 ありがとうございます。

 重症化しないといっても、ワクチンであったり、また薬がないと、対症療法だけではやはり不安だということでございますので、早急によろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、ダイヤモンド・プリンセス号なんですけれども、こちら、本当に、乗員の方々、乗客の皆様、不自由なお立場でいらっしゃる、おつらい状況にいらっしゃる、本当に同情を禁じ得ない部分がございます。一方で、三千人以上ということになりますので、PCR検査の体制とかも今まであったと思いますけれども、やはりおりられると、国民の皆様、日本国内に感染したらどうだろう、そういうような検討もあったんだと思います。

 早く下船したいという気持ちは非常に痛いほどわかります。しかしながら、国内感染は防がなければならない。多くの感染者の方がいらっしゃるのを、これから急いで下船していただいて大丈夫なのか、陰性と出ていても、潜伏期であって、実は感染者だった、後に陽性だとわかったというようなことが生じないのか心配になります。

 ダイヤモンド・プリンセス号の乗客乗員の皆様への対応についてお伺いします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 クルーズ船の乗客の方々につきまして、船内での感染が初めて確認されました二月五日には、専門家からの御意見も踏まえて、感染予防のために、船内での過ごし方の行動基準、具体的には、可能な限り個室にて待機してくださいとか、移動時のマスクの着用、手洗いの励行とか、いろいろ行動基準をお示しして、注意すべきことを周知させていただいております。

 また、発熱等の症状がある方に対しては、ウイルス検査を行い、陽性の方は医療機関に搬送するなど、船内での感染が拡大しないよう、最大限の対策を講じてきております。

 そんな中、二月の十五日でございますが、国立感染症研究所で、武漢からのチャーター便の帰国者の方ですけれども、五百人以上のPCR検査結果を踏まえまして、十四日間の健康観察期間中に発熱その他の呼吸器症状がなく、かつ、当該期間中に受けたPCR検査の結果が陰性であれば、十四日間経過後に公共交通機関等を用いて移動しても差し支えないとの見解が示されたところでございます。

 政府としては、この見解に基づきまして、クルーズ船の乗客の方々でこれまでPCR検査で陰性が確認された方々につきましては、十四日間の健康観察期間終了後に健康状態を改めて確認し、問題がなければ、二月十九日以降になりますが、順次下船いただくこととしているところでございます。

 このような形で、クルーズ船につきましても水際対策を実施しておりまして、引き続き感染拡大の防止に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 PCR検査も、一日千件、そしてまた三千件ということで、進めていただいておるということでございますので、それで何とか皆様の命を、重症化を防いで、命を守ること、とにかく国民の皆様の命を守ることをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 厚生労働省も国立感染症研究所も、通常業務をやりながら新型コロナウイルス感染症対策を行っておられるということで、本当に職員の皆様には、ありがたい、頭の下がる思いがあるとともに、非常に疲弊しておられます。通常業務の片手間でできるものではないと考えます。米国のCDCのような、日本版CDCの創設、また、感染症対策を講じる有事の専門家集団、こういうのが必要ではないかと思いますので、要望とさせていただきますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 この新型コロナウイルスなんですけれども、日本経済への影響は想像以上に大きいものになるのではないか。やはり、これは人が集まるのも難しいということになると、非常に経済への影響が大きいのではないかと思います。

 新型コロナウイルスの日本経済への影響についてどう見ているのか、また、それにどのように対応するのか、西村経済財政担当大臣にお願いいたします。

西村国務大臣 藤井委員にお答えを申し上げます。

 中国における新型コロナウイルス肺炎の流行が我が国経済に与える影響、これまでも四点、私から申し上げてきました。

 まずは、インバウンドへの影響であります。中国からの団体ツアーの予約のキャンセルが多く発生しておりますし、二〇一九年で、インバウンド消費のうち中国人観光客の占める割合は三七%でありますので、個人旅行も含めて、このインバウンド消費の下押しが懸念されるところであります。

 それから、中国では多くの地域で休業措置などがとられておりました。今なお続いているところもあるようでありますが、二点目として、我が国企業の中国向け輸出、これの減少、それに伴う国内生産の減少の影響ですね、これが二つ目。

 三点目に、今度は中国からの部品の供給が滞る、サプライチェーンを通じた影響、自動車産業を中心にこれが懸念されるところであります。

 四点目として、中国経済全体が減速することによる、世界経済全体が今度は影響を受けて減少し、そのことによる、日本の経済が影響を受けるという、大きく四点申し上げてきましたが、今御指摘ありましたように、こうした点に加えて、イベントの中止とか外出の自粛であるとか、そういった萎縮の影響ですね、活動を萎縮していく、そうした影響も今後懸念されるところでありますので、こうした中国経済の動向のみならず、日本国内の経済動向について十分に注視をしてまいりたいというふうに考えております。

 こうしたことに対して、先般、緊急対策をまとめて、予備費百三億円を活用していこうということを決定したところでありますけれども、まずは、今、先ほど来お話がありましたように、国内の感染対策、水際対策の強化でありますけれども、あわせて、正確な情報提供、風評被害対策ですね、こういったものを行っていくこと、あるいは、既に中小企業庁、観光庁において相談窓口を設けておりますので、資金繰りなどのきめ細かな相談を行ってきております。緊急融資、保証枠も五千億円確保しております。

 あわせて、補正予算が成立いたしましたので、中小企業対策の予算を着実に執行していきたいと思いますし、また、雇用調整助成金、これについても、休業した場合の休業手当の一部が助成されます。この要件も緩和をしておりますので、こういったことを活用していただきながら、まずは対応していきたいというふうに思いますが、いずれにしましても、経済への影響を十分注視して、緊急度に応じて必要な施策を臨機応変に講じるなど、政府一丸となって万全の対応をとっていきたいというふうに考えています。

藤井委員 西村大臣、ありがとうございます。

 昨年十月から十二月までのGDPは、前の三カ月と比べてマイナス一・六%、年率換算でマイナス六・三%と大きな下落となっております。これに新型コロナウイルス感染症のマイナスの影響が加わってくるということでございます。

 景気は気からということでございますので、やはりそういう雰囲気というのも出てくる。何とか経済対策をよろしくお願い申し上げたいと思います。補正予算が通って、経済対策をしっかりやっていただいて、緊急対策をしっかりやっていただいて、そして何よりも予算が速やかに成立をしていただいて、一刻も早い執行で景気を支えることが必要だと思っております。地元明石も淡路島も大臣に期待しておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 西村大臣そして厚生労働省の皆さん、お忙しいと思いますので、退席していただいて結構でございます。

棚橋委員長 西村国務大臣並びに厚生労働省の皆様方は御退席いただいて結構でございます。

藤井委員 それでは、質問を続けさせていただきたいと思います。

 昨年は台風十五号、十九号、一昨年は七月豪雨ということで、河川氾濫等大規模な浸水被害が相次いでおります。河川改修が必要です。

 私の地元西脇市は、平成十六年、台風二十三号で市街地の約半分が浸水するなど甚大な被害を受けました。同時に、加東市や小野市も被害を受けておりまして、現在、加古川の河川改修を行っていただいております。地元加東市では約百三十軒の立ち退きをお願いせねばならぬ大改修となっておりまして、立ち退きの軒数からは、東の八ツ場ダム、西の加古川という状況になっております。ありがたいことでございますけれども。

 しかしながら、加古川自体は分水嶺、まさに日本海と瀬戸内海、太平洋を隔てる境目、分水嶺は海抜九十五メートルちょっとしかないです。標高百メートルに満たへんところから長い長い距離を経て海に注ぐんです。どこかで水がたまるんじゃないかと。そうなってくると、堤防を幾ら高くしてもというところがあります。ですから、やはりしゅんせつ、堆積土砂の撤去、樹木の伐採等が不可欠だと思います。

 ただ、幾ら砂利をしゅんせつしても、またたまるじゃないか、木を切っても竹を切っても、また生えてくるじゃないかという御意見はあろうかと思いますけれども、一旦災害が起こったら、これは取り返しがつかないという形になります。

 これは全国的にそういうことが言えるんだと思います。災害になったときの復旧費用も考えたら、河川改修とあわせて河川等のしゅんせつ、これが必要だと思いますけれども、これは全国共通であり、また、国が音頭をとらねばならぬと考えます、国民の命を守り抜くために。

 国土交通省として、樹木伐採、河道掘削等をどう進められるのか、お伺いいたします。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 治水対策においては、河川の水位を低下させることが重要であり、河道掘削、樹木伐採は水位を下げる有効な手法の一つとしてこれまでも実施してきたところでございます。

 このような中、平成三十年七月豪雨災害等を契機に実施している防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策において、河道掘削、樹木伐採について重点的に取り組んでいるところでございます。

 また、昨年の台風第十九号等により甚大な被害が発生したことを踏まえ、今年度の補正予算でも、河道掘削、樹木伐採、堤防整備等により河道断面を確保する対策を更に加速してまいります。

 国土交通省といたしましては、ダムや遊水地によりできるだけ下流に水を流さないようにするとともに、計画的に掘削等の河道整備を推進し、流域全体での治水対策に取り組んでまいります。

藤井委員 ありがとうございます。

 防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策ということで、全国の河川において樹木伐採、掘削等を実施していただけるということでございます。

 しかしながら、これは三カ年緊急対策ということで、令和二年度、二〇二〇年度が最後ということになるのであれば、これはちょっと十分な効果が得られないのではないかと思います。五年、十年と腰を据えて取り組む必要があるのではないか、ぜひ延長をしていただきたい、これを要望させていただきたいと思います。

 次に、この樹木伐採、掘削等、緊急三カ年は、国管理の約百四十の河川、都道府県等管理の約二千二百の河川を対象に行われるということでございますけれども、現場からは、やはり順番回ってこんのちゃうかと、また、大河川に注ぎ込む小河川とかが必要なんじゃないかと。どれぐらい雨が降ったらどこが危ないかというのは地元が一番わかっているので、そうした箇所の樹木伐採、掘削等を自主的、主体的に行えないかという声を聞いております。

 このたび、河川等のしゅんせつについて、地方自治体が単独事業として行う緊急浚渫推進事業が、令和二年度予算、地方財政計画に盛り込まれています。この制度趣旨と活用に向けての自治体への周知について総務省にお伺いします。

谷政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年台風第十九号等の自然災害による大規模な河川氾濫等が相次ぐ中、維持管理のための河川等における堆積土砂の撤去や樹木の伐採が喫緊の課題となっております。

 このため、地方団体が単独事業として緊急に河川等のしゅんせつを実施できるよう、令和二年度の地方財政計画に新たに緊急浚渫推進事業費を九百億円計上するとともに、その地方負担額に特例的に地方債を充当できるよう、地方財政法の改正案を今国会に提出しております。

 具体的には、事業期間は令和二年度から令和六年度までの五年間、事業費は四千九百億円を予定しており、地方債の元利償還金の七〇%に交付税措置を講ずることとしております。

 地方団体が来年度から本事業を活用して早期に河川等のしゅんせつを実施できるよう、本事業の趣旨や対象事業の詳細等につきまして総務省より地方団体にお示しし、周知をしており、今後も積極的な周知に努めてまいる考えでございます。

藤井委員 ありがとうございます。

 これは、本来、建設事業にしか認められない起債を維持管理と言ってもいいしゅんせつに認めていただける、画期的な政治判断なんですよね。また、これは、充当率が一〇〇%の、元利償還金への交付税措置率が七〇%と、過疎債並みなんですよ。

 この手厚い地方財政措置、これはやはり各自治体さんによく知っていただく、周知していただく、そうしたら手を挙げるところがいっぱい出てくると思うんですよ。ぜひとも有効な活用をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、ダムによる洪水調整機能の強化、これは本当に有効な治水対策と思うわけでございますけれども、これについてお伺いさせていただきたいと思います。

 実は、一昨年、平成三十年七月豪雨において、地元三木市の呑吐ダム、これは上流、赤羽大臣の地元でございます。こちらでは、非常放流ゲートを活用した水位調整を七月三日の昼ごろから行って水位を低下させ、七月六日十六時のピーク流入時には、流入量に対して放流量を抑えるピークカットが行われたんです。実際、現場では、早い段階から美嚢川の水位が高いなという感覚だったんですけれども、これは事前放流ともいうべき措置を行っていただいていたからだということで、ピーク時に放流を抑えていただいたおかげで洪水被害を未然に防いでいただいたと言えるんだと思います。

 これは、農林水産省の加古川水系広域農業水利施設総合管理所によるすばらしい取組なんですけれども、未然に防いだんだからマスコミに取り上げてもらったらというふうに事務所に行ってお話しさせていただいたら、いや、実は、本来、利水ダムなので、事前放流と言うてもろうたら困るんです、明らかになるとまずいんですと。また、今回、うちのダムはうまいこといったけれども、ほかのダムがあかんかったと言われて批判されたら、特に、省を超えて国土交通省のダムに批判が行って御迷惑をかけたらあかんと言うて、これは伏せてくださいという話になったんですよ。

 非常に謙虚な姿勢ということなんですけれども、こうした目に見えないファインプレーといいますか現場の職員さんの判断、尽力によって、美嚢川の洪水は未然に防がれたのです。

 きょうここには江藤農林水産大臣もいらっしゃいますので、実はそういう現場で農水省の立派な職員さんがいらっしゃったというところを、まあ、きょう初めて言わせていただくんですけれども、よくこれを知っていただきたいなと思うところなんです。

 いずれにいたしましても、こういう事前放流が表に出せない、利水なので治水に活用できないという現在の仕組み、システムを変えないといけません。事前放流して洪水を未然に防止しました、やりましたと職員さんに胸を張って言っていただきたい。

 実は、今回は、平成十六年も二十三年も二十五年も、志染川が呑吐ダムから流れてくるところが美嚢川に合流するところで、いつも、逆流するんじゃないか、危険だという指摘がありまして、緊急時以外に非常放流ゲートで水位調整できるように実は設備を整備していただいて、平成二十七年七月から稼働していただいていた、これがきいたというところがあります。

 ですから、特に、利水ダムを治水に活用するには、放流設備など構造上の課題を解決するということが必要であって、また、利水に損害があった場合の補填をどうするかという問題を解決する必要があると思いますけれども、赤羽国土交通大臣に見解をお伺いしたいと思います。

 また、事前放流を実施するためには気象予測精度向上が必要です。気象予測精度向上についてもお伺いさせていただきます。

赤羽国務大臣 近年の大水害の対策を振り返りますと、今、藤井委員御指摘のように、先ほど御質問ありましたように、中流、下流部の河道掘削ですとか樹木伐採は大変重要なことは言うまでもなく、上流部のダムですとか遊水地での洪水調節は極めて重要だというふうに考えております。

 先ほど、御地元の加古川水系の呑吐ダム、これは農業用のダムでありますけれども、こうした洪水調節をやっていただいたということは大変有意義なものだったというふうに高く評価をしたいと思います。

 他方で、我が国のダム、治水ができる国土交通省所管のダムは五百六十二に対しまして、利水が目的、電力ですとか農業用水を目的としたダムは八百九十八あるということで、全てのダムの容量のうち、水害対策に使える現状は、洪水調節容量は約三割にとどまっております。

 これを何とか引き上げなければいけない、今、藤井委員の御指摘のように、これをもっと有効に活用するべきだ、堂々と使えるようにするべきだということで、目標を今の三割から六割に引き上げることを目標にして、水害対策ダムに使えるダムの容量をふやすための、官房長官のもとでの関係省庁が連携した会議が今進んでいるところでございます。

 こうした中で、委員御指摘のように、令和二年度の予算案におきまして、利水ダムの事前放流に伴って利水者に損失が生じた場合の補填制度を創設しようということが第一点と、また、事前放流で用いる放流設備等の改造が必要な場合もありますので、そうした補助制度も創設することとしております。

 加えて、委員御指摘の、まさに気象予測というのは非常に大事でありますので、より正確な気象予測ができるような技術開発も一緒に進めていきたい、こう考えております。

 以上でございます。

藤井委員 ありがとうございます。

 あるものを生かす、防災、減災に生かす、利水ダムの事前放流に伴う補填制度の創設、放流設備等改造によって洪水被害が未然に防止されますことを心より期待申し上げるところでございます。

 また、道路の橋梁等につきましては、これは今回、個別補助制度、道路メンテナンス事業補助制度、令和二年度からということで、創設されるということでございますけれども、これにつきましては三カ年緊急対策には含まれないというふうに解しますけれども、先ほど申し上げましたとおり、三カ年緊急対策の延長と同じく、五年、十年と腰を据えて取り組んでいただきたい。

 これは、古い橋とかだと橋梁がいっぱいあって、それが洪水を引き起こしたということもありますし、うちの地元だと、もともと、自衛隊青野原駐屯地に向かう戦車も通った立派な粟田橋というのが、これが二十五年の台風で落ちまして、これは開通するのに二年十カ月。これは一旦そういう災害が起きますと取り返しがつきませんので、老朽化橋梁の個別補助をぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、河川については、本流が水が多くなると内水が問題になってくるという形になります。うちの地元では、平成十六年も二十三年も二十五年もつかった西脇市黒田庄町福地というところがあるんですけれども、ここで福地の雨水ポンプ場というのをつくっていただきました。おかげさまで、平成三十年七月豪雨、何とか家屋被害は防げたという形になります。

 ただ一方で、同じ黒田庄町の前坂で内水被害が起きているということでございますので、この雨水ポンプ場の整備や、そして雨水幹線、これはほかのところで、加東市の安取のポンプ場とか、神戸市西区では西河原で雨水幹線を今回つくっていただいたんですけれども、この予算というのは本当に必要でございますので、ぜひとも内水対策、浸水対策、特に昨年の十九号台風のときには各地で内水が起こっております。この予算確保をぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 今回、予算といたしまして、国土交通省の地方整備局、こちらは定数がふえております。地方整備局の定員は、平成十三年の発足以来、一貫して減少しておりまして、それも約二割の減少、更に建設省にさかのぼれば、地方建設局の定員は昭和四十二年から一貫して減少してまいりました。

 このたび、地方整備局について、TEC―FORCEの活動が評価されるとともに、防災・減災、国土強靱化のために、発足以来初めて定員が増加いたします。建設省時代にさかのぼれば、五十三年ぶりの歴史的な快挙ということになりますけれども、赤羽交通大臣に地方整備局の現場の定員が増加する意義をお伺いいたします。

赤羽国務大臣 地方整備局の定員につきましては、今お話ございましたように、平成十三年の国土交通省発足以来、約二割純減しておりまして、出先の事務所、出張所の組織体制もかなり細っているところでございます。

 現実に、昨年の台風十九号のように、大変大きな、また広い範囲での水害の場合、避難につながる迅速な情報伝達ですとか災害発生時における機敏な初動対応について、本当にぎりぎりでやって、もう本当に危うくという、大変地元の皆様にも御心配をかけてしまったような例がございました。

 そうした中で、地元の地方整備局、地方運輸局、またTEC―FORCE、全国から派遣されている皆さんたちが頑張って、そして地元の建設業界、土木業界の皆さんが地域の守り手としてしっかり未然に防いでいただいたということを、地元の首長、被災地の自治体の首長さん、押しなべて、異口同音に高く評価をし、感謝していただいたところでございます。加えて、ここの人員をしっかりと、定員を補強してくれという強い要望もいただきました。

 こうした中で、令和二年度の、まだ予算案の段階でございますが、地方整備局の定員につきましては、発足以後初めて対前年度比百一人の純増となりました。これは大変大きなことでございまして、これは、成立し次第、しっかりとその重みを受けとめて、今回措置される定員を最大限に活用しながら、まさに防災、減災が社会の主流になるような、安全、安心な国土づくりに邁進していくように頑張っていきたい、こう決意をしております。

藤井委員 ありがとうございます。

 大臣の地元でもある神戸市六甲山系では、昭和十三年七月阪神大水害では、総降水量四百六十一ミリに対して死者・行方不明者六百九十五人、昭和四十二年六甲山系豪雨災害では、総降水量三百七十一ミリに対して死者・行方不明者九十八人という大きな被害が生じました。同じく七月初旬の豪雨である平成三十年七月豪雨では、総降水量四百三十八ミリに対して死者・行方不明者なしということで、これは、昭和十三年の阪神大水害で六甲砂防事務所をつくっていただいて、砂防堰堤五百四十五基等を営々と整備してきたおかげさまで人の命が助かった。

 そういう現場、地方整備局は非常に大切でございますので、今回、画期的な、初めての定員増、感謝しております。どうか災害対策のためによろしくお願い申し上げたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。麻生大臣、ありがとうございます。

 次に、ため池の防災、減災についてお伺いさせていただきます。

 兵庫県は全国最多のため池王国、集中しておるというところでございますけれども、平成三十年七月豪雨では全国各地で甚大な被害が発生いたしました。ため池の改修は、本来、農業施設なので、利用者負担ということで、農業者の負担、地元負担が必要ということなんですけれども、それであったら、やはり、河川改修はそういう負担がないのにこっちはあるということになるとなかなか進まないということで、これは農家負担なし、地元負担なしというメニューをつくっていただいて、土地改良法も二回改正していただいて、ため池法もつくっていただいて、ガイドラインも改正していただいてという形で取り組んでいただいておるところでございます。

 そこで、確認のために、具体的な豪雨対策とか耐震対策でのため池のメニューがどうなっているのか、お伺いさせていただきたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年東日本大震災あるいは平成三十年度七月豪雨では多くのため池が被災をいたしまして、人的な被害も発生をしているということでございます。早急に対策を推進する必要があると考えております。

 とりわけ、農家の責に帰さないため池整備の地震対策、豪雨対策につきましては、土地改良事業における地方公共団体の負担割合の指針におきまして農家負担なしとしているところでございまして、具体的な要件につきましては、今年度から、公共事業の農村地域防災減災事業につきましては、受益面積二ヘクタール以上かつ総事業費八百万円以上であって、決壊した場合の被災農地面積七ヘクタール以上又は農業以外の想定被害額四千万円以上と要件を緩和をしたところでございます。

 また、非公共事業の農業水路等長寿命化・防災減災事業につきましては、受益者二者以上、総事業費二百万円以上、事業工期五年以内ということで、こちらも要件を緩和をしたところでございます。

 ため池の防災・減災事業は大変重要でございますので、引き続き推進をしてまいります。

藤井委員 同じく防災でございますので、ため池の下には一般民家等ございますので、どうか、防災対策、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、農林水産物の輸出促進についてお伺いいたします。

 神戸ビーフは、輸出に当たっては、兵庫県内に認定された屠畜場及び食肉処理場が存在しないことから、鹿児島県まで持っていって、但馬牛を陸送をして、鹿児島県で屠畜及び食肉処理を行わねばなりませんでした。これは長距離輸送でコストも高くなりますし、但馬牛自身が疲れる、体重が減少する、ストレスで肉質が落ちるという問題が指摘されてきました。

 それで、兵庫県内に農水省の補助金で施設をつくっていただいたんですけれども、竣工してから二年間、これは動いていなかった。それを、政府が動いていただいて、自民党が動いていただいて、それで、動いていただいたら二年三カ月で輸出できるようになったんですけれども、これはやはり、輸出をせなあかんという農水省と、食品管理をしっかりせなあかんという厚生労働省と、それぞれのはざまに立って、それぞれ省の行政目的が違いますから、そういうので問題が起きたと承知しておりますけれども、これに対しては、法律も改正していただいた、本部もつくっていただいたというふうに理解しておりますけれども、江藤大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

江藤国務大臣 二年三カ月ということでございまして、こういうことが起こらないように、四月一日から、私が本部長でしっかりやらせていただきたいと思います。

 ですから、事業認定をして設計段階、それから施工の途中もしっかり担当部局に入っていただいて、そして、完成したらすぐに、衛生管理等の基準がクリアできているかどうか、できるだけ早くその認定がいただけるような仕組みをしたい。そして、行動計画もつくりますので、その監督責任は私にあるということになりますから、完成して時間がたってしまうということであれば、それについてどうしてそういうことになっているのかということは、今まで縦割りがとかく言われましたけれども、しっかりとその縦割りの弊害を排する役割があるんだろうと思っております。しっかり取り組ませていただきたいと思います。

藤井委員 ありがとうございます。

 これは鹿児島なので、野村農林部会長は鹿児島であり、森山国対委員長も鹿児島で、大臣は宮崎で、そういう中で本当に御支援いただきましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。

 一昨年、輸出禁止の和牛精液が不正に持ち出されて、中国の入国検査で見つかるというような深刻な事態が発生いたしました。これはやはり、和牛遺伝資源をしっかりと確保していかないといけない、また、にせ神戸ビーフとかも出回っているのを取り締まらねばならない、それが必要だと思いますけれども、江藤農林大臣にお伺いいたします。

江藤国務大臣 藤井委員は、党の中でも、まだ当選三回でいらっしゃいますけれども、自民党の農林の役員にもなっておられて、それから部会長代理と。私が部会長の代理になったのが多分当選四回のときだったので追い越されたなと思いますけれども、これからも頑張っていただきたいというふうに思います。

 和牛は本当に長い改良の歴史があって、私のおやじも、どこの県とは言いませんけれども、宮崎牛をブランド化したいということで素牛を買いに行った、もう随分、何十年も前の話ですが。そのときに、当時のお金で数千万円の金額を提示しても素牛を売っていただけなかったぐらいやはり貴重なものです。国民が守るべき大切なものですから、これを守るために党でも大変な御努力をいただいたことに大変感謝をいたしております。

 昨年六月のお話は先生からしていただきました。ですから、今後、畜産関係者それから専門家の方々の意見を交えた検討会を開催いたしまして、家畜遺伝資源の流通管理の徹底を図るための法律、これは、家畜改良増殖法の一部を改正するための法律案、それから家畜遺伝資源の知的財産としての価値を保護するため、これは画期的な法律となるわけですが、国内での利用に限るという契約をしていただいて、これに反して輸出しようとする場合にはこれを差止め請求をする、そして、それによって起こった損害に対しては損害賠償請求もするということで、厳しく対応できるような法律を今検討している最中でございます。この二法案を今国会に提出させていただきたいと思っています。

 先ほど神戸ビーフのお話がありましたが、日・EU、もう経済連携ができておりますので、スペインでトロピカル神戸ビーフ、これが出たというのは今御指摘のとおりですけれども、日本から、十一月、昨年ですけれども、EU側に対して、これをやめるようにしてくれというふうな指導を行って、具体的な成果も上がっておりますので、海外での不正な名称使用については、経済連携、GIの保護ということも念頭に入れながら、しっかり農林水産省としても対応していきたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 今までの家伝法では対応できない二つの法律を出していただける、和牛遺伝資源のために、ありがとうございます。また、にせ神戸ビーフ取締り強化、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 いつも御指導を賜っておりまして、江藤農林大臣、ありがとうございます。本日はすばらしい答弁をありがとうございます。

 これで時間となりましたので、終わらせていただきます。

棚橋委員長 これにて藤井君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 きょうは、今国会で予算委員会、二度目の質疑となります。前回は幅広いテーマにつきまして一時間質疑をさせていただきましたけれども、きょうは、主に、社会問題となっている遺留金問題、この解決に向けまして大きな前進となる価値ある質疑をしたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 法令上のテクニカルな質疑も多くなりますので、原則、民事局長答弁でも構いません。最後の勝負どころに、森大臣、答弁いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 身寄りのない方が亡くなって受取手のない現金を地方自治体が保管している遺留金、この行き場のない、処理ができない遺留金がふえ続けて、各自治体がその取扱いに苦慮をしております。例えば、私が在住をしております大阪市、この大阪市が保管をする遺留金は、平成三十年度時点で約七億円になっております。

 なぜ自治体で塩漬けとなる遺留金というものが生じるのか、順次確認してまいりたいと思います。

 御参考までに、きょう配付をさせていただきました資料一の「遺留金処理の流れの概要(遺留金が塩漬けになるまで)」と題するこのフローチャート、これは二年前の予算委員会で遺留金問題を取り上げた際に配付したものと同内容の資料でございます。まずはこの資料をごらんいただければと思います。

 まず、この資料一の右側ですね。まず、身寄りのない方が亡くなって、家族や親族に連絡がとれない場合、直ちに相続人がいると判明しない場合、この場合には、原則として、各自治体が火葬、埋葬を行うことになります。この費用については、第一義的に、亡くなった方の遺留金を充てることになります。

 火葬、埋葬費に充てたとしてもなお遺留金が残った場合、残った遺留金については、相続人がいれば、これを相続人に当然引き渡すことになります。親とはもう縁を切って、もう一切かかわりたくない、こういうことを言って相続人がその遺留金の受取、受領を拒絶した場合には、これは左側の方の図になりますけれども、受領拒絶の場合は法務局へ供託することになります。

 供託をして、一定期間が経過をして、手続を経れば、これは国庫、国にこの遺留金は帰属することになります。こういった処理の流れになります。

 一方で、問題となるのは、相続人がいない場合の残余の遺留金の処理であります。この遺留金の処理につきましては、自治体が家庭裁判所に相続財産管理人、これは通常、弁護士等がなりますけれども、相続財産管理人の選任を申し立てて、清算を依頼することになります。

 この申立てには、大体、相続財産管理人への報酬を含んで、通常約三十万円から百万円程度の予納金が必要になりまして、この予納金は遺留金の中から支払われることになります。そして、債権者とかが例えばいて、債権者等への支払いをして、清算後、なお遺留金が残れば、それを国庫に入れることになります。

 ただ、遺留金がこの予納金に満たない場合、これはかえって相続財産管理人選任申立てをすることによって費用倒れになってしまいます。例えば、二十万円の遺留金があと残余で残った、申立てをする際の予納金が四十万円かかる、これだとかえって費用倒れになるのでやらないということになります。だから、この場合には、相続管理人が選任できない、自治体はこの少額の遺留金を歳入歳出外現金として保管せざるを得ない、このように現場ではこれまで考えられてきて、結果として、行き場のない、塩漬けとなった遺留金が自治体のもとで多額に膨らんで、これは社会問題になっております。

 そこで、この遺留金問題の解決に向けた方策の一つとして、まずはこの清算手続を簡易化して、簡単にして、予納金の額をできるだけ下げていくということが考えられます。

 前回、予算委員会で質疑をさせていただいてから約二年が経過をいたします。その間、私、党の法務部会長をしていたこともありますし、また法務委員会等から外れたこともありましたけれども、それとは関係なく、法務省にも再三この検討も要請をしてまいりました。また、議論も何度も交わしてまいりました。

 この予納金の引下げに向けた検討状況、これについては今どうなっているのか、答弁を求めます。

小出政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、相続人のあることが明らかでない場合における相続財産管理制度につきましては、現在問題になっております所有者不明土地の管理、これについても活用されておりますが、手続が開始されてから清算が完了するまでに十カ月以上を要することとされておりまして、またコストもかかるといったことから、この清算手続の期間を短縮化するなど、より合理的なものとすべきであるという指摘がございます。

 この点、所有者不明土地問題の解決に向けて現在調査審議中の法制審議会民法・不動産登記法部会におきましては、この相続財産管理制度も見直しの対象とされておりまして、現在、中間試案をパブリックコメントの手続に付しているところでございます。

 これにつきましては、本年中の法改正を目指して調査審議しておりますが、この見直しによりまして相続財産管理制度の手続が合理化されれば、具体的な事案にもよりますが、また、具体的な事案における個々の裁判所の判断によって最終的には定められることになりますけれども、予納金が低くなるということも期待されるところではないかと考えているところでございます。

國重委員 今、民事局長から、相続財産管理制度を合理化して、できるだけ予納金額を下げていくような今検討をしている、今年中の法改正を目指したいというような答弁がございました。これはぜひしっかりとやっていただきたいと思います。

 その上で、予納金の金額を幾ら下げたとしても、その金額以下の遺留金というのは結局処理できないままになってしまって、全ての問題を解決することはこれまでの考え方ではできないということになってしまいます。

 そこで、ほかの処理方策というのはないのかということで、法務省の皆さんとも何度も議論を交わしてまいりました。昨日も議論をしてまいりましたけれども、その中で、議論で出てきたのは、供託制度というのを活用できないかというようなことも出てまいりました。

 資料二をごらんください。資料一は旧バージョンですけれども、資料二が新バージョンであります。この資料二が、そういった議論を踏まえて新たに整理をし直した遺留金処理のフローチャートでございます。こちらを参照しながらぜひお聞きいただければと思います。

 先ほど、相続人がいるときには、受領が拒絶されれば法務局に供託ができるということでした。これは資料でいうと左の方の1に当たります。これ以外の場合、つまり、相続人調査をしても相続人が見つからず少額の遺留金が残っている場合、この資料二でいいますと右下の2の供託ですけれども、このときにも自治体は供託をできるのか、この点について民事局長に答弁を求めます。

小出政府参考人 お答えいたします。

 遺留金を保管する自治体は、委員御指摘の、遺留金の返還義務の債権者でございます相続人が遺留金の受領を拒絶した場合のほか、債権者が遺留金を受領することができない場合、あるいは自治体が過失なく債権者を確知することができない場合にも、遺留金の供託をすることができるというふうに考えております。

國重委員 私が聞いたのは、一般論ではなくて、この場合に供託ができるんですか、できないんですかと。まず、結論だけ答えてください。

小出政府参考人 お答えいたします。

 その場合でも供託ができるというふうに、今回、整理いたしました。

 相続人調査をしても相続人がいることが明らかにならなかった場合、この場合には相続財産法人が遺留金の返還債務の債権者となるわけでございますが、相続財産管理人を選任する前には債権者である相続財産法人が弁済を現実に受領することができないということから、自治体は受領不能を理由として遺留金を供託することができるという解釈が可能であると考えております。

國重委員 これは、今、供託できると言われましたけれども、常にできるんですか、原則としてできるんですか。答弁を求めます。

小出政府参考人 これは、原則といたしまして、相続財産法人が返還債務の債権者となりますが、財産管理人を選任する前の段階におきましては現実に弁済を受領することができないということでございますので、受領不能を理由として原則として供託することができるというふうに考えられると思います。

國重委員 今、答弁で、原則として供託をすることができる、これも非常に大きなことでありますけれども、原則として供託をできるということを整理をいたしました。

 ただ、原則と今言いましたけれども、これは例外があるからであります。この例外というのは、亡くなった方が生活保護の受給者だった場合、被保護者だった場合、このときに適用される生活保護法施行規則二十二条二項、これは資料三に明記をしておりますけれども、生活保護法施行規則二十二条では相続財産管理人への遺留金の引渡しが規定をされておりますので、この場合は供託することができません。

 この生活保護受給者の遺留金というのは、結構、実務上、多くあるんです。しかし、この予納金に満たない少額の遺留金しか残っていないケースでも、この規定によって相続財産管理人を選任しなければならず、私から見て、非常にこれは不合理な規定に見えます。

 これについては、供託できるように改正すべきだと。これを改正すれば、自治体で塩漬け状態になる遺留金が解消されるわけであります。これはぜひ改正すべきだと考えますけれども、答弁を求めます。

小島大臣政務官 お答え申し上げます。

 身寄りのない方が亡くなった場合で民生委員などがその葬祭を行ったときには、葬祭を行った方に葬祭扶助を給付することができます。

 その際に、自治体は、亡くなった方の遺留品をまずは葬祭にかかった費用に充当し、残余の遺留金品が生じたときには相続財産管理人を選任するとされております。

 しかしながら、相続財産管理人を選任するには、選任を行う家庭裁判所に対しまして予納金を支払う必要がございます。残された遺留金品の額が予納金の額に満たない場合、自治体がその差額を負担しなければならないなど、相続財産管理人の選任が困難なケースがあると承知をいたしております。

 議員御指摘の課題の解決に向けまして、政令市、中核市等を対象にアンケートを行ったところでございます。一定の自治体が、法令上可能となれば弁済供託の活用を検討したいと考えていることが確認されました。東京都、政令市、中核市、計三十九の自治体を調査したところが、はいと答えたところが二九%、いいえが四%、どっちとも言えないが六五%で、どっちとも言えないというところと、はいとで、約九五%の自治体がそういう回答をしていますけれども、どっちとも言えないというのは、事務負担の程度が不明であるために言えないという回答でございました。

 これを踏まえまして、弁済供託を活用してできるよう、現在、省令改正に向けまして検討を行っているところでございます。今後、一つ一つ必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 今、省令改正を検討中ということでありました。ぜひこれは改正をしていただきたいと思います。自治体は困っております。できるだけ早く改正をしていただく、規則を改正していただく必要がありますけれども、ぜひことしじゅうにこれは規則を改正していただきたい、このように思っておりますけれども、答弁を求めます。

小島大臣政務官 まず先に訂正いたします。

 七十九の自治体、三十九と申しましたけれども、七十九でございます。失礼しました。

 議員から御指摘の状況につきましては、速やかに検討してまいりたいと考えております。

國重委員 速やかにと言いましたけれども、私も事前のやりとりで、ことしじゅうにやってくれということで、やるというようなことを言われていたので、ことしじゅうにやると明言をしてください。

小島大臣政務官 失礼しました。

 ことしじゅうにやります。

國重委員 これは非常に大きなことだと思いますので、ぜひことしじゅうによろしくお願いいたします。

 続きまして、これまで、少額の遺留金というのは、自治体の歳入歳出外現金として、先ほど申し上げましたとおり、塩漬け状態となって処理できない取扱い、こういうように実務上されてまいりました。しかし、今答弁ございましたとおり、生活保護法施行規則、これもことしじゅうに改正がされる、供託が全ての場合において活用ができる、これによって今後塩漬けとなる遺留金というものは存在しないことになる、私はそう理解をしましたけれども、これで間違いがないか、民事局長に答弁を求めます。

小出政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の事案におきまして、先ほど申し上げましたとおり、受領不能を理由とする遺留金の供託が可能であるというふうに解釈いたしますので、このような場合について言えば、自治体が遺留金の保管を継続せざるを得ないという状況、すなわち委員がおっしゃっております塩漬けのような状態は生じないものというふうに考えます。

國重委員 これで、今後、将来にわたって塩漬けとなる遺留金はこれからは生じない、しっかりクリアに整理できるということが確認をできました。

 では次に、自治体が歳入歳出外現金としてもう既に今、現に保管している遺留金、これが今非常に膨れ上がっておりますけれども、この遺留金についても同じように供託ができると理解していいのか、私はそう理解していいと思いますけれども、この点についても民事局長に確認を求めます。

小出政府参考人 お答えいたします。

 供託制度は遺留金の発生の時期にかかわらず利用することができるものでございまして、お尋ねのように、既に自治体が保管している遺留金につきましても、供託の要件を満たす場合であれば供託可能というふうに整理しております。

國重委員 これまでのやりとり、答弁で、新たな遺留金が今後塩漬けになるようなことはない、また、自治体が保管して現に塩漬けとなっている遺留金の供託をすることができるようになる、このことが明らかになりました。

 社会問題とされているこの遺留金問題が、いよいよ解決に向かってまいります。眠っていた遺留金が供託された後、国庫に帰属して社会のために今後有効に活用されていくことになります。これは非常に、極めて画期的なことであると考えております。

 その上で、これまで法務省、厚生労働省は多くの自治体への聞き取りもしてきたと伺っております。先ほどの厚労政務官の答弁の中にもございましたけれども、こういった聞き取りもしてきたと伺っております。私もその現状も聞いてきましたし、私自身も自治体に聞き取りをしてまいりました。

 そこで明らかになったのが、自治体が行う相続人調査の負担が非常に重いということであります。自治体はこれまで、遺留金は制度上塩漬けになってしまうと理解して、その対応にも苦慮してきましたけれども、それとともに、通常業務をしながらなれない相続人調査をするというのが、この負担が非常に重いというような現場の声が多数聞かれました。

 そこで、次に、相続人調査の負担軽減のためにこの供託制度が活用できないか、これに関して順次質疑をしてまいりたいと思います。

 先ほどまで、供託事由として受領拒絶が出てきました。また、受領不能というのも出てまいりました。これ以外にも、債権者不確知といって、つまり、債権者を知ることができないとき、このときも供託ができることになっております。資料二でいいますと3の供託になります。

 まず、確認でありますけれども、民法四百九十四条、一応、念のため、資料三に明記をさせていただいております。この民法四百九十四条の債権者に相続人は入るのか、念のため、確認の答弁を求めます。

小出政府参考人 お答えいたします。

 ここで言う自治体が負う遺留金返還債務の債権者でございますが、亡くなった方に相続人がいることが明らかでないときは相続財産法人でございますが、その場合を除きますと、亡くなった方の相続人が債権者になるということでございます。

國重委員 相続人が債権者に当たるということでした。

 その上で、この債権者不確知の供託をするためには、民法四百九十四条で、過失なく、つまり無過失がその要件として必要とされております。

 では、ここで言う無過失と言えるためには、自治体は常に戸籍謄本を取り寄せて相続人調査をしないといけないのか。こういう戸籍謄本取り寄せの相続人調査が大変だという現場の声がございますけれども、無過失と言えるためには常に戸籍謄本を取り寄せる必要があるのかどうなのか、まずは結論のみ答弁を求めます。

小出政府参考人 お答えいたします。

 債権者不確知を理由とする供託をするためには、委員御指摘のとおり、過失なく債権者を確知することができないことが必要であるところでございます。

 この過失なく債権者を確知することができないと言えるかどうか、これは最終的には個別具体的な事案に応じて裁判所が判断することになるため、一概にお答えすることは困難でございますが、例えば、死亡者の氏名すらわからないというような理由で、相続人を調査する有効な方法がない場合もあり得るわけでございますので、御指摘のとおり、今の御質問に関しましては、自治体は必ず戸籍に基づく相続人調査を遂げる必要があるわけではないというふうに考えております。

國重委員 常に戸籍謄本を取り寄せて相続人調査をしなければならない、こういうことではないんだということが確認できました。

 では、債権者を確知することができないことについて無過失と言えるためには、自治体は一体どういうことまでやればいいのか。ここを明らかにしてあげないと、なかなか自治体の負担の軽減ということになりません。これについて答弁を求めます。

小出政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、死亡者の氏名すらわからないような場合というふうに申し上げましたが、一般的に、この要件につきましては、債権者が誰であるかを供託者が事実上知り得ない場合であればこれに該当するというふうに解されておりまして、例えば、自治体が事案に応じまして、供託時に現に知れている関係者への聞き取りや遺留物品の確認等の調査をしても相続人が誰であるかが判明しなかったような場合には、戸籍による調査を遂げなくても、過失なく債権者を確知することができない場合に当たり得るというふうに考えております。

 こういった解釈につきまして、今後、関係省庁と連携して、自治体が実務で活用しやすい形での周知を行うことを検討していきたいと考えております。

國重委員 今の答弁で、関係省庁と連携して、自治体が活用しやすいような、こういった周知を図っていきたいと言われましたけれども、ぜひこれはやっていただきたいと思います。今の答弁で言っていただいた規範ぐらいではなかなか自治体はリスクを恐れて活用できないということになってしまいますので、ぜひ、もっと具体的にわかりやすく整理をして、周知をしていただきたいというふうに思います。

 その上で、自治体が遺留金を保管している、この法的性質について、これはさまざまな見解があります。不当利得であれ事務管理であれ、いろいろなことがありますけれども、事務管理というふうにこの法的性質を捉えますと、民法六百九十九条、民法六百九十九条は資料三のところにも記載をさせていただいておりますけれども、この民法六百九十九条によりまして、自治体は、事務管理を始めたことを遅滞なく、おくれることなく本人、つまり、本件でいえば相続人に通知しなければならないことになっております。

 この点、相続人に通知するためには、自治体が相続人の存在とかあるいは連絡先を把握していることがその前提として必要になります。そうしないと通知できません。とするならば、自治体は、この事務管理の法文によって、常に戸籍謄本を取り寄せて相続人調査をしなければいけないということになるのかどうか、答弁を求めます。

小出政府参考人 お答えいたします。

 他人のために事務の管理を始めた者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならないのが原則でございます。ただ、本人の氏名や住所を知ることができない場合には通知義務を負わないと解されております。

 お尋ねの場合における本人、これは遺留金を残した者の相続人でございますので、自治体がその氏名や住所を知ることができない場合には、通知をする必要はないものと考えております。

國重委員 では、自治体は一体どこまでの相続人調査をこの事務管理の規定によってしなければならないのか、答弁を求めます。

小出政府参考人 お答えいたします。

 どこまで調査しなければいけないのか、これは事案に応じてということだと思いますけれども、一般論として申し上げれば、本人の氏名や所在を知ることができない場合には本人に対する通知義務を負わないというふうに解されておりまして、自治体に過度の負担をかけてまで通知しろというのが事務管理に関する民法の趣旨とは考えておりません。

國重委員 この点についても、先ほどと同様、自治体がわかりやすいように、この事務管理の規定があるからきちっと相続人調査をしなければいけないんじゃないかというふうに思う職員の方も出てくると思いますので、この点も具体的に整理をしていただきたいと思います。

 一方で、相続財産管理人選任の申立てに必要な予納金の額を超えるような遺留金ですね。例えば何百万円とか。予納金というのは大体三十万から百万ぐらいですかね、大体そういうのがかかりますけれども、それを超えるような、例えば五百万とか、そういうような多額の遺留金があるような場合であったとしても、相続人調査が不要になり、それで供託をされると、相続人はその供託に通常は気づくことができないために、相続人に与える不利益が余りにも大きい、不合理だと思われます。

 では、どのような場合に相続人調査をすることが望ましいのか。これについては、自治体の実務を踏まえて整理をして、周知をする必要があると考えますけれども、これはどうか。

 また、これとあわせて、これまで議論してきたことを踏まえまして、遺留金に関する供託制度について、先ほど来言っておりますけれども、きちんと整理をして、実務で活用しやすい、自治体の職員にとってわかりやすい、こういった周知を、ガイドラインなど、何らかの形でしっかりと示してやっていくべきだと考えますけれども、答弁を求めます。

小出政府参考人 お答えいたします。

 委員に御指摘いただいたように、多額の遺留金がある場合には、行政サービスの観点もそうですが、利害関係人の利益のためにも、相続人の調査を尽くした上で、相続人が特定されたときには特定された相続人に遺留金を引き渡し、また、相続人のあることが明らかでないときは相続財産管理人の選任を申立てをすべきという指摘は十分考えられるところでございます。

 地方自治体における遺留金の取扱いのあり方につきましては、今後、どのような場合に相続人の調査等をすることが望ましいかといった点を含めて検討を行いまして、地方自治体が実務で活用しやすい形で周知を図ることが委員御指摘のとおり考えられるところでございまして、法務省としても関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思います。

 また、供託制度の活用あるいは相続財産管理人制度の活用によって地方自治体として遺留金を処理できるということを、これにつきましても、関係省庁と連携して、実務で活用しやすい形で自治体に対する周知を行うということを考えているところでございます。

國重委員 非常に大きな前進になると思います。ぜひよろしくお願いします。

 以上、聞いていただいたと思いますけれども、森大臣、今回の一連のこの質疑のやりとりによりまして、遺留金の処理にもエアポケットはなくなる、遺留金が塩漬けになるような事態はもう起こらないというようなことが整理ができました。さらに、相続人調査においても、自治体の負担軽減となるような取組を関係省庁と連携してしっかりと進めていく、民事局長の答弁でこう理解をしましたけれども、これは森法務大臣としてもしっかりとリーダーシップをとって、森大臣在任中にしっかりと、遺留金問題については社会問題からなくす、解決すると、強い決意で進めていっていただきたいと思いますけれども、森大臣の見解、御決意、お伺いします。

森国務大臣 國重委員の熱心なお取組、本当にありがとうございます。

 委員の御指摘により、遺留金の問題が整理されたというふうに、よくわかりました。身寄りのないお年寄りのひとり暮らし、そして、生活保護を受けている方も受けていない方もいますけれども、そこで生じた遺留金について、相続財産管理人制度や供託制度を利用することで、地方自治体が困ることのないように、しっかり整理をされたというふうに理解をしております。

 今後も、ガイドラインのような、周知をしっかりしていくことによって、関係省庁と連携の上、遺留金問題が解決されるように、責任を持って取り組んでまいります。

國重委員 森法務大臣、力強い答弁、ありがとうございました。期待をしております。ぜひよろしくお願いいたします。

 これまで質疑で聞いてまいりましたのは、遺留金の件でございました。このほか、遺留金以外に遺留物品というのがございます。遺留預金というのもありますが、きょうは預金はちょっとおいて、遺留物品の処理についても伺いたいと思います。

 この遺留物品の処理についても自治体が苦慮をしております。とりわけ、問題となっているのは、身寄りのない生活保護受給者の方が亡くなった場合。この場合、その亡くなった生活保護受給者の火葬や埋葬、納骨などにかかった費用は、自治体が遺留物品を売却して充当することになっております。

 しかし、現在の制度、法令では、遺留物品を売却するに当たって、その見積金額が千円以上のものであれば、千円以上ですよ、千円以上のものであれば、わざわざこれは競争入札にかけなければならないことになっております。たったの千円以上で競争入札にかけないといけない、これが現在の、今の法令であります。これは余りにも不合理、非常識であります。

 家電やたんすとかも残っているでしょう。そうなれば、もう千円なんて超えてしまう。法令を真面目に遵守しようとすればするほど、かなりの手間暇がかかってしまいます。

 しかも、この千円という金額、これは昭和二十五年の制度創設時から一度も変わっていないんです。これは、時価も変わっていますし、そもそも昔も千円というのがよかったのかなと、私はちょっと疑問に思うものがあります。今の時価に換算して例えば一万円とかであっても、これはどうなのかなと思います。

 現在の社会事情とか物価、そして自治体の実務に見合ったものにこの金額も改正すべきだと考えますが、答弁を求めます。

小島大臣政務官 委員御指摘のように、自治体からもこの遺留物品の処理コストの負担について御意見をいただいておりますけれども、自治体の財産に関する他の制度の例も参考にしながら対応を検討してまいります。

國重委員 今、対応を検討してまいりますと。中身を幾らにするかとかということは別にして、これはやらないといけないことなんです。検討するというか、やると、この金額は改正すると、そこまでは言ってください。答弁を求めます。

小島大臣政務官 改正してまいります。

國重委員 政治家としての矜持を発揮していただきまして、ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 ここまでは、亡くなったときのお金の、遺留金等の問題について伺ってまいりました。

 次は、生まれるときのお金の話。時短勤務をした際の育児休業給付金の問題、課題について、稲津厚生労働副大臣にお伺いします。

 育児休業に入る前に、時短勤務を選ぶのか、勤務日数を減らすのか、これによって、出産後の育児休業給付金の金額に大きな差が出ております。

 育児休業給付金というのは、育児休業開始前の六カ月の賃金をもとに算出をされます。ただ、その六カ月間の中にカウントされるのは、月に十一日以上働いた月。勤務日数を十日以下に減らした月は対象とはならず、その前の月がカウントされることになります。つまり、勤務日数を十日以下に減らした人は、その月はカウントされませんので、給付金の額に影響は出ません。

 一方で、一日の勤務時間を半分にして給料も半分にするという働き方を選択したような人は、六カ月の賃金の計算にふだんの半分しかない月給が反映されてしまうために、給付額が大幅に下がってしまうことになります。

 今は、どこでも人手不足であります。会社としては、時短でもいいから、少しでも働いてくれたらありがたいというふうに思う場合も多いと思います。働く側としても、一気に休みの日がふえてしまうよりも、少しでも出勤をしておきたい、会社に貢献したい。そういう労使の合意のもとに時短勤務にして、そのかわり、周りとのバランスもありますから、賃金はその分、例えば半分等に減らす、こういうことは当然あるだろうというふうに思います。特に、小規模な企業などこそあり得ることだと思います。

 しかし、このように時短勤務を選択して頑張って働いた結果、育児休業給付金の金額が減ってしまうというのは、余りにも酷じゃないか。経営者側も、そういう制度だと知らなくて、時短勤務をさせて申しわけなかったと従業員の方に謝っているような、こういうお話も聞いたことがございます。

 これからの将来を見据えると、ここにも目を向けて配慮するかが非常に大事だと思います。さまざまな方法があるかと思いますけれども、どういうケアの仕方があるか、ぜひ今後検討していただきたいと思いますけれども、稲津厚生労働副大臣の答弁を求めます。

稲津副大臣 お答えいたします。

 この育児休業給付の給付金につきましては、委員御存じのとおり、これは雇用保険から支給をしているわけでございますけれども、この雇用保険制度において御指摘の問題意識に対応することにつきましては、短時間勤務で育児休業を取得した方、それから、短時間勤務で、離職した、いわゆる失業した方との公平性ということも踏まえる必要があるというふうに思っております。

 このために、各種の給付の基礎となる賃金日額の考え方について、雇用保険制度全般にわたる見直しが必要になるなど、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、育児と就労の両立を支援することは大変重要な課題でございまして、どういう効果的な取組ができるか、関係省庁とも連携しながら対策を前に進めていきたいと思います。

國重委員 今、対策を前に進めていきたいという答弁がありましたけれども、今、女性活躍とか働き方改革とか、政府が旗を振ってやっているわけです。時短勤務とかも働き方改革なわけですね。こういうものをちゃんと社会の中に根づかせていくためには、ぜひこれは私はやらないといけない問題だと思っています。自治体等でも、独自にこういった取組をしているところもございます。ぜひこれは進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ちょっと、もう時間がほぼなくなりましたけれども、最後に一点だけ、簡潔にお伺いします。最後に、時代錯誤の法律用語について伺います。

 もう時間がないので簡潔にいきますけれども、資料四をごらんください。直系尊属、直系卑属という言葉がございます。卑属という言葉が、これは民法等の法律で使われております。

 この卑属の卑、資料五で、大漢語林から意味をとってきました。卑属の卑の意味ですね、卑しい、身分、地位が低い、人格、教養が低い、下品、下等である、みすぼらしい、取るに足らない、こういった意味があるとされております。現代表記では、下品、低い地位などほぼ全てについて卑を用いるとされております。

 私、この用語を使い続けること、私法の基本法である民法等にもあることに、非常に強い違和感、人権感覚からしたらこれはどうなんだと思っております。二年前にも実は法務委員会で取り上げたんです。

 これはぜひ、問題意識は共有する、しっかり検討するというような答弁をいただいたんですけれども、森大臣、このことを御認識いただいて、この時代錯誤の法律用語、もう昭和の時代から、昭和、平成、もう令和になっております、令和の時代においてこれはふさわしくない条文だと思いますので、これにとどまらず、時代錯誤の法律用語をぜひ改正していただきたいと思います。どうでしょうか。

棚橋委員長 法務大臣森まさこ君。

 なお、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

森国務大臣 議員の問題意識をしっかり受けとめてまいりたいと思います。

國重委員 ぜひ進めてください。また、私は時折この点も質疑をしてまいりたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて國重君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 本日は、職権ですけれども、委員会を開いていただいて、ありがとうございます。

 委員会を開かないと、野党からも排除されている我々日本維新の会は質疑もできませんので、質疑ができる場を設けていただくということは本当に重要なことですので、その質疑時間をみずから放棄する人たちはもうほっておいて、しっかりとたくさんある課題を議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 まず最初に、高校受験を、障害者の皆さんが、定員割れをしているのにもかかわらず不合格になるという問題について質疑をします。

 実は、私は、兵庫県で起こったことをニュースで知って、去年、おととし、二年連続で報道があったと思うんですけれども、質疑をするに当たって厚生労働省の方に来ていただいたんですけれども、そうしたら、知らなかったんですけれども、舩後さんが参議院でもしっかりとこの質疑をされておられて、全く同じ、舩後さんの場合は沖縄の高校生の高校受験のことだったんですけれども、今まさに高校受験、行われていますよね。もう終わったのか、それぐらいの時期だったと思いますけれども。

 一度、舩後さんの質問で大臣も答弁されていますので、細かい話はなしにして。そのときに答弁をされました。しっかりと現状を把握して、いろいろ調べていって検討していきたいということだったと思うんですけれども、その点について、どれぐらい進んでいるのか、ちょっと答弁をいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 高等学校入学者選抜の方法等は、都道府県教育委員会等の実施者が決定をし、各高等学校長が、学校及び学科等の特色に配慮しつつ、その学校及び学科等で学ぶための能力や適性を入学者選抜により判定し、入学を許可することとされています。

 志願者数が定員に満たない場合の対応等については、都道府県教育委員会における方針を調査しており、最新の調査の結果によれば、四十七都道府県のうち、三十二が定員内でも不合格にする可能性がある、逆に十五が定員内であれば原則不合格は出さないこととしているとなっております。

 志願者数が定員に満たなかった場合で実際に不合格となった者の人数等は把握しておりませんが、その調査については、入学者選抜の円滑な実施等の観点から、実施者である都道府県教育委員会の意向も十分に勘案した上で検討する必要があるため、現在その確認を行っているところです。

 その結果を踏まえて対応を更に検討してまいりたいと思います。

浦野委員 検討していただくのはありがたいんですけれども、ことしの受験にはもう間に合いませんでした、当然。来年、また受験シーズンがやってまいります。その来年の受験シーズンまでには検討結果をしっかりと出していただいて、私は、同じ場合は、しっかりと入学ができる体制を整えなければならないというふうにしていただきたいと思っています。

 私の地元の大阪も、これも非常に長い歴史の中で、本当に早い時期からインクルーシブ教育に取り組んできた都道府県の一つだと思います。その中で、そういった子供たちをしっかりと、高校に入りたいと希望する子供たちにはしっかりと対応していくということで、大阪府では、ほぼ、ほぼというか全員、今まで入学できるという体制を整えています。

 これは、当然、自治体の力にも左右されるかもしれません。ただ、やはり、生まれた都道府県によって希望する子供たちの扱いに差が出るというのは、私は、それは違うだろうと。やはり、機会均等をしっかりと保障するためには、どの都道府県で生まれても、希望する子供たちがしっかりと高校、今まで、小さいころは幼稚園、保育園、小学校、中学校まで一緒に学んできた友達と机を並べて勉強したいと思うのは当然のことだと思いますし、その思いをしっかりと酌み取ってあげるのがやはり教育現場だと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 特に、心のバリアフリーという言葉を掲げて国交省も今回の法案を出しておられますし、私は、そこまでやはり国が言うのであれば、まず教育現場はその心のバリアフリーをしっかりと進めていただきたいと思っております。

 障害を持っている子供たちのためだけではなくて、健常者の友達、子供たちにとっても、ともに学ぶということがいかに重要かというのは、もうもちろん大臣は御理解いただいていると思いますので、ぜひ、これが実現すべきだと思っています。これをナショナルミニマム化するというお考えはあるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生の問題意識、私、十分理解しているつもりでいます。

 これが例えば義務教育の小中学校であれば、国が一律にルールをつくって、インクルーシブ教育は大事だと、障害のある人たちとも一緒に学び合う環境をつくっていくために、例えば人的サポートも入れながら学校現場をしっかり回していこうということはできるんですけれども、高等学校ですから、まずその設置者の皆さんの意向というのが大事だと思います。

 御紹介があったように、大阪府などは早くから取組をして、特別支援員をつけて、障害のある人たちのサポートもしていただいています。

 大前提として、障害を理由に入学を拒否されることは絶対にあってはなりません。ただ、学校ごとの学力の評価などもあって、例えば、定員が割れているんだからいいじゃないかという意見も私もわからなくもないんですけれども、その学校が目指す教育内容に、果たしてその希望される子が、たとえ障害があってもなくても、ついていけるかどうかということも考えてあげなくてはいけないんだと思います。

 あいているんだから、学力はかなり低いんだけれども入れてやってくれといって、例えば障害とは全然関係ない子を入れたとしても、授業についていけないということになれば、彼はまた新たな悩みを抱えることになります。そこまできちんとしたフォローができる体制をつくることができるかどうか、やはりここは都道府県の皆さんとよく話合いをしてみたいなと思っています。

 ともに学ぶという大切さは私は十分承知をしておりますので、それと、各学校の、都道府県の入学の基準をどうするかというのはやや違う角度から話合いをしなきゃならないと思っていますので、まずは、希望するのに学校に行くことができない子たちに何らかの受皿をつくっていくことに関しては、国としてもしっかり努力をしていきたいと思いますけれども、あいているから入れてくれということに国が直接都道府県に指導するということは、仕組み上ちょっと難しいということはぜひ御理解をいただきたいなと思っています。

浦野委員 ありがとうございます。

 ぜひ、そういったことも理解をしておりますけれども、何とか、希望する子供たちの願いをなるべくかなえてあげられるようにしていただけたらと思います。

 大臣、もう答弁、大丈夫ですので。ありがとうございました。

棚橋委員長 では、文部科学大臣におかれましては、御退席いただいて結構でございます。

浦野委員 それでは、続いて、派遣保育士の高額紹介料について質問をさせていただきたいと思います。

 派遣業法の議論のときも、そうなるんじゃないかと指摘をされてきたことが現実に起こっているということだと思うんですけれども、待機児童の多い地域においては、特に保育士不足が深刻ですよね。その中で、派遣会社から保育士を派遣してもらうということは当たり前のように今行われております。

 ところが、余りにも紹介料が高い。国の方でも、紹介料何%、二〇%から三〇%、大体それぐらいだろうというふうなことは把握をしていただいていますけれども、きのう部局の方に来ていただいて、それを国でもちゃんとホームページに載せていますと言うので、どこにと言ったら、部局の人も、ええと、ここからこう行って、こう行って、ああ行ってと言うて、そんなもの、もう絶対たどり着かないところにありました。

 私は、大体、皆どれぐらいなのかというのを統計として把握されていらっしゃいますかということを聞くと、していないということなんですね。

 実は、きのう、来ていただいた後に、私の大阪の地元の、私も保育にかかわる人間の一人ですので、大阪の業界の若手の会があるんですけれども、その皆さんにちょっと無理をお願いして、皆さんの保育園でどれぐらいの紹介料で来てもらっているかというのを急遽調べてもらいました。そうしたら、十六法人から回答をいただきまして、一番高いところで、これは大阪でです、大阪で一番高いのは九十五万円ぐらいですね。八十万円台がたくさんあって、安いところでは二十万円台のところもあります。これは、安い理由というのは、かなり前からずっとつき合いがあって安くしてもらっているとか、そういうことなんですけれども。

 ただ、例えば経験年数がゼロ、要はだから短大卒すぐ、現場の経験が全くない保育士なんかでも、紹介料を八十四万円とか取っているんですよ。それだけ払うに値する人材が来ているのだったらまだ我慢できますけれども、結局、若い、本当に経験年数数年の保育士でも高額な紹介料で保育園にいらっしゃっているんですよね。

 実は何か、自民党でも勉強会が持たれたというのをニュースで聞きました。自民党の中でもそういう問題意識を持っておられる方がたくさんいらっしゃると思うんですけれども、これは保育だけの問題ではないです。介護、医療、福祉の、いわゆる人材が不足していると言われている福祉業界の中で同じような問題が起きている。

 私は、きょう、なぜ保育士の質問、質疑をしているかというと、他業種と一番違うのが、原資がほぼほぼ税金だということなんですね。紹介料、払う紹介料だとかそういったもろもろの費用は、もともとは全て、私は全てと思っていますけれども、税金から賄われている、保育は特に。私はそれが問題だと思っているんですね。

 政府は、保育士の給料を上げるためにさまざまな取組をしています。そのしていただいているお金が紹介料とかに流れていっているだけじゃないか。下手すれば、同じ保育園で三人、四人紹介してもらう、半分ぐらい派遣で賄っている保育園とかもあると聞いたことがあります。その場合の手数料たるや、もう何百万、下手したら何千万に近い可能性があるような額になってしまうんですね。そのお金は本来使われるべきものなのかという私は疑問を持っています。

 これは国として何か対策をとらないといけないのではないかなと思うんですが、いかがですか。

加藤国務大臣 まず、保育士の人材不足という中で、民間の職業紹介事業所を活用されている方の割合が、これは二十七、二十八、二十九の三カ年になりますけれども、二十七年度が約六千件に対して二十九年度は一万一千件、有料職業紹介事業所です。ハローワークは大体二万五、六千件で変わっていないということで、やはりそういうところで人材を確保していかなきゃいけない実態があり、そして、その中で、今委員御指摘のように、非常に高いという御指摘があることも十分承知をしております。

 民間職業紹介事業所も、人手を採用する一つの手段であることは間違いないのでありますから、そこが非常に頼む方から見て安心して選択し得る、そうした状況をつくっていくことが必要だというふうに思います。

 これまでもいろいろと、職業安定法の改正をして、各職業紹介事業所に手数料の情報公開を義務づけたり、あるいは、一回採用しておいてもらって、短期間で次に行きませんか、こういう誘いをすることで、いわゆる短期間の転職勧奨、これも、指針ではありますけれども、同じ事業者は二年間してはいけない、そういった指針をつくり、さらには、こうした改正職業安定法や指針の遵守をみずから宣言する、そうした人たちを、こういう人たちが宣言していますよと載せるサイトを今つくらせていただいておりまして、これは事業者に対して集団指導しておりますので、これが終わるころを見据えて、三月上旬ごろにはそういう方のリストアップもしていきたいというふうに思っております。

 一つは、職業紹介が適切に行われる状況を確保する。それからもう一つは、やはり、保育の現場において、総合的な対応で、処遇改善にも努めてまいりました。また、保育士を目指す方の資格取得の促進、あるいは就業継続のための環境づくり、あるいは、一度やめた人に対してもう一度再就職をしてほしいという環境整備、こうしたことをしっかりしていくこと、これがまず本道だというふうに思いますけれども、委員御指摘のこともあって、ことしは医療と介護の実態調査をして、保育をしておりませんので、実態調査もしていきたいと思っておりますし、また、来年度予算で、医療、介護、保育の事業者とこうした職業紹介者の事業者の意見交換をする場、こういうのも設定していきたいというふうに考えています。

浦野委員 先ほど挙げた数字は大阪の場合なんですけれども、東京はもっとすごいですよね。私の手に入れさせていただいた資料によると、百四十万とか、紹介料を四〇%ぐらい取っているところも別に珍しくないというのが東京です。

 本当に、税金がそういった形で、本来の保育士給与、保育士の待遇をよくするために使われるべきものがそういったところに使われるというのは、経営者たちにとっても非常にじくじたる思いがありますし、本来の使われ方ではないというのはやはり御理解はいただいていると思いますので、ぜひ対策をしっかりとっていただけたらと思います。

 何か、来年度はもっと紹介料は上がりますよということを今既にもう業者が言っているそうです。こういった状況はやはりしっかりと改善をしていただけたらと思いますので、よろしく、これからまたいろいろと注視をしていきますので、ぜひしっかりと対策をとっていただけたらと思います。

 厚労大臣も、もうこれで結構です。

棚橋委員長 厚生労働大臣におかれましては、御退席いただいて結構でございます。

浦野委員 きょうは政務官に答弁いただく予定が、予定が変わったので多分大臣が来ていただけたんだと思いますけれども、ありがとうございました。

 最後に、Hibワクチンについて質問したいと思います。

 報道でも皆さんも御存じかと思いますけれども、Hibワクチンでふぐあいが出て、今供給がとまっているということですけれども、現状についてまずお聞かせいただけたらと思います。

小島大臣政務官 Hibワクチンにつきましては、昨年末、添付溶剤が充填されたシリンジ容器の針にさびが発生した事例があったことを受けまして、製造販売業者に対しまして原因の調査を行っていただいております。

 新たな出荷が一時的に遅延しているところでありまして、なお、これまで、さびに起因する健康被害というのは報告されておりません。

 以上です。

浦野委員 ありがとうございます。

 きのうも部局の方に来ていただいていろいろ話をお伺いしますと、私、最初、一社しかないということで、そのラインがとまってしまうと全てとまってしまうと。複数こういう社があればそういうことにはならなかったんじゃないですかということをお聞きすると、やはり開発にもお金がかかるし、会社でも、当初何社か開発に取り組んでいただいていたけれども、結局は、採算が合わないとか難しいという形で撤退をされて、最後、一社しか残らなかったんだという説明を受けました。

 事情がそうであるならばそれはやむを得ないことかもしれませんけれども、私は、そうはいうものの、影響を受けるのは子供たちなんですよね。だから、子供たちに影響が出るのが一番やはりだめなことなんで、そういった点について答弁を求めたいと思います。

小島大臣政務官 このことを受けまして、厚生労働省といたしましては、医療機関等に対しまして、使用の際にも、毎回、目視による針の確認を行っていただくよう依頼するとともに、不要不急の発注を控えることなどを要請したところであります。

 具体的には、去る二〇一九年十二月二十六日に、医療機関に対しまして、使用前の目視による針の確認を依頼いたしました。なお、続きまして、二〇二〇年一月二十七日には、医療機関に対しまして、引き続き目視確認を依頼するとともに、一時的な供給不足が生じる可能性があることから、不要不急の発注を控えること、また、一回、二回目の接種を優先することを依頼しております。

浦野委員 調べて、しっかりとまた品質が確保できるという形になれば供給はまた始まるということで、今、何とか影響を出さないように頑張っていただいているということですけれども、ぜひ、子供たちへの影響、しっかりと、ないように対応していただけたらと思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 きょう、朝から委員会が始まらないということで、ツイッターで、きょうも他の野党はおサボりですと書いたら、委員会が開かれていないんやからサボりじゃない、与党も出ていないんやから与党もサボりやなという批判の返信をされましてね。今見ていただいたらわかりますけれども、サボっています。これがサボりっていうやつですね。

 ですので、我々は、冒頭にも申しましたけれども、しっかりと国会の審議に出席して、聞かなければいけないことをしっかりと審議をしていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて浦野君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十八分開議

棚橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。今井雅人君。

今井委員 立国社の今井雅人でございます。

 本来はちょっと総理にお伺いしたいんですけれども、きょうはいらっしゃらないので官房長官にお伺いしたいんですが、きのう、我が会派の辻元議員がANAインターコンチネンタルに照会したメールを総理に質問しまして、総理の方からは口頭でいろいろ、ぐだぐだぐだぐだ説明がありました。その場で総理は、書面で出してくれということだったら、そちらで確認したらいかがですかというふうにおっしゃいましたけれども、その後、複数のメディアがホテル側に確認をしたところ、安倍総理が答弁したような事実はない、こういうふうにおっしゃっておられて、それで私たちは、それはおかしいだろうということで、ずっと、書面で出してくれということでこうやって審議がおくれたということでありまして、これは責任は総理の方にあります。

 それで、紙が出てきました。そこをちょっと読ませていただきますが、安倍事務所への聞き取りの件、本日十三時五十五分ごろ、電話にて安倍事務所、括弧、初村秘書に電話で確認しました、安倍事務所からは、全日空に確認したところ、辻元議員にはあくまで一般論でお答えしたものであり、個別の案件については回答に含まれていないとの回答を得たということでございますが、官房長官、これで間違いないですか。

棚橋委員長 ちょっとお待ちください、今井委員。その紙はどこから出てきたんですか。今、紙が出てきたとおっしゃいましたが、その紙はどこから出てきたんですか。(発言する者あり)大串理事が、読み上げたものをお渡しになったんですね。大串理事から出てきたんですね。はい、わかりました。

 どうぞ。

菅国務大臣 きのう、総理がこの場所で答弁しました。

 私の事務所が全日空ホテルに確認したところ、辻元議員にはあくまで一般論でお答えしたものであり、個別の契約については、営業の秘密にかかわるため、回答に含まれていないとのことであった。

 これは、きのう総理が答弁したものであって、今読み上げたことと一致しているんじゃないでしょうか。

今井委員 いやいや、私が今申し上げたのには、営業の秘密にかかわるものである、そういう文言はありません。

 ちなみに、毎日新聞ですけれども、毎日新聞が確認したところ、ホテル側は、個別の案件については営業の秘密にかかわるため回答に含まれていないと申し上げた事実はない、こうおっしゃっているんですよ。そこは正確に言ってください。ここはあくまでも、辻元議員にはあくまでも一般論でお答えしたものであり、個別の案件については回答に含まれていない、つまり、営業の秘密にかかわるためというふうには言っていないということですね。

菅国務大臣 個別の契約については回答に含まれていないということを言われていますよね。

 ですから、きのう総理が言われました、全日空ホテルに事務所の人間が確認したところ、辻元議員にはあくまで一般論でお答えしたものであり、個別の契約については、営業の秘密にかかわるため、回答には含まれていないとのことであった。ここは変わらないんじゃないでしょうか。

今井委員 いやいや、違いますよ。文字が加わっていますよ。

 営業の秘密にかかわるため回答に含まれていないと申し上げた事実はないとホテル側は言っているんです。ですから、その部分は間違っているんじゃないですか。

菅国務大臣 きのう、このように総理は答弁をしております。そして、一般論でお答えしたものであり、個別の契約については、営業の秘密にかかわるため、回答に含まれていないとのことを総理は、事務所が全日空ホテルに確認したところそうだったということをきのう申し上げていたんじゃないでしょうか。

今井委員 じゃ、済みません。この毎日新聞と食い違っていますから。営業の秘密にかかわるためというふうに、そういうことをホテル側が言ったんですか、言わないんですか、どちらですか。

菅国務大臣 きのうの答弁の中では、今私が申し上げたように総理は発言をしております。ですから、回答に含まれていないとのことであったということをきのう総理は申し上げたということです。

今井委員 じゃ、もう一回言います。

 新聞社の質問に対して、営業の秘密にかかわるため回答には含まれていないと申し上げた事実はないと答えています。だから、この、営業の秘密にかかわるためということをホテル側が言ったのか言わないのか。イエスかノーです。ここの部分だけです。ほかのところは関係ありません。この部分のこの文言を言ったか言わないか、教えてください。

菅国務大臣 きのうは、私が申し上げたように、総理自身がこの場で答弁をして、議事録に残っていると思います。そのように総理は申し上げております。

 先ほどの委員の中で、辻元議員にはあくまでも一般論でお答えしたものでありということは、きのうのと同じじゃないでしょうか。それと同時に、営業の秘密にかかわるため、回答に含まれていないとのことであった、こうしたことを総理自身はきのうここで申し上げております。それは、新聞社のこととこの場で違うと言われても、きのう総理が発言を……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

菅国務大臣 総理がきのう正式にここで答弁されていることじゃないでしょうか。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に。

 今井雅人君、もう一度お願いします。

今井委員 先ほどの理事会で、与党の坂本理事の方からの聞き取りの回答で、全日空ホテルに確認したところ、辻元議員にはあくまでも一般論でお答えしたものであり、個別の案件については回答に含まれていないと。これだけですね。つまり、営業の秘密にかかわるためという文言はここに入っていません。

 でも、官房長官は、きのう、営業の秘密にかかわるためという、総理が答弁したことが正しいとおっしゃっていますよね。

 二人が違っているじゃないですか。どちらが正しいか。どちらの方が正しいか、教えてください。

菅国務大臣 理事会で言われたということを、今、今井議員が言われましたけれども、私が今申し上げたのは、きのう総理がこの場でお答えしたことでありまして、これは議事録にもしっかり載っています。(今井委員「そういうことじゃない」と呼ぶ)いやいや。そういう中で、あくまでも一般論でお答えした、これは事実でしょうし、個別の契約については、営業の秘密にかかわるため……(発言する者あり)

棚橋委員長 ちょっとお静かに。お静かに。

菅国務大臣 回答に含まれていないとのことであったということで……(発言する者あり)

棚橋委員長 大事なところだからお静かに。

菅国務大臣 全体として同じようなことじゃないでしょうか。(発言する者あり)

棚橋委員長 ちょっと御静粛に。まず御静粛に。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 今井雅人君。(発言する者あり)

 では、済みません、与野党ともに御静粛にお願いします。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 内閣官房長官菅義偉君。

菅国務大臣 私は、きのうの総理の答弁を申し上げました。

 今、坂本筆頭と確認をしましたところ、きょう安倍事務所に電話で確認しましたが、安倍事務所からは、全日空ホテルに確認したところ、辻元議員にはあくまでも一般論でお答えしたものであり、個別の案件については回答には含まれていないとの回答を得たということであります。

 きょうのことでありますから、坂本議員が答えたことということで、私も申し上げます。

今井委員 最初からそう言ってくださればいいんですよ。

 しかし、先ほどから紹介していますけれども、朝日新聞の照会に対して、ホテル側がですよ、個別の案件については営業の秘密にかかわるため回答に含まれていないと申し上げた事実はないと。つまり、総理がこの国会で答弁されたことは事実ではない、こう文書で答えてきているんです、文書で。

 であれば、辻元さんもメールで、文書で確認をとっているんです。それは、自分の言ったことが、答弁したことが事実じゃないということを文書で言われたのなら、文書で反論する必要があるんじゃないですか。それを総理にちょっと御依頼してもらえませんか。

菅国務大臣 きのうも総理は答弁していたと思います。事務所が全日空ホテルから確認をしたところという形で、先ほど来私が申し上げていることを総理は答弁しました。総理は、国会で発言することが極めて重く、議事録にもしっかりこれは残されるわけでありますから、私は、総理がきのう答弁したとおりだというふうに思います。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

今井委員 だから大事なんですよ。総理大臣がこの予算委員会の場で、自分が責任を持って答弁されたことを、相手側がそれは事実じゃないと否定しているわけですよ。とても重要じゃないですか。総理が虚偽答弁しているかもしれないんですよ。それをちゃんと立証するのは当然じゃないですか。いかがですか。

菅国務大臣 総理は、先ほど来申し上げていますけれども、事務所が全日空ホテルに確認したところ、辻元議員にはあくまでも一般論でお答えしたものである、そういう中で、総理自身も、その事務所の報告を受けて、この場で答弁をしているわけでありますから、それは当然、議事録に残る、そのことも承知の上で答弁をしております。ですから、そのことに尽きるんだろうというふうに思います。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に。

今井委員 そうしたら、委員長、これは明らかに、総理の答弁とこの報道、ホテル側が言っていることが食い違っています。どちらかが間違っています。このことは明らかにしなきゃいけませんので、ぜひ、総理に依頼して、この事実関係について書面でこの委員会に出していただくようにお取り計らいお願いします。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたしますが、今井委員に一つだけ申し上げます。

 総理とこの当該ホテルの言い分が食い違っているわけではなくて、総理のおっしゃったことと当該ホテルのことを報じた記事が食い違っている、その点について、後刻、理事会で協議をいたします。(発言する者あり)御静粛に。

今井委員 報道関係は、ホテルからメールで回答をもらって報道していますから。まあ、いいです。それは協議してください。

 それで、きのう、安倍総理は、壊れたレコーダーのように、同じこと、同じことをくどくどくどくど、長々と話しておられましたけれども、もう何回も何回も聞いたんですが、ちょっと読みますね。

 私の事務所が全日空ホテルに確認したところ、これはANAインターコンチですけれどもね、正確に言うと。辻元議員にはあくまで一般論でお答えしたものであり、個別の案件については、営業の秘密にかかわるため、回答には含まれていないとのことであります。

 桜を見る会前日の夕食は、平成二十五年、二十六年及び二十八年の三回は全日空ホテルで実施。私の事務所の職員はホテル側と事前に段取りの調整を行ったのみであり、明細書等の発行は受けていないとのことでした。

 また、領収書については、一般的に宛名は上様として発行する場合があり、夕食会でも上様としていた可能性はあるとのことでした。

 これを聞くと、全てホテル側がこう答えたように聞こえますよ。でも、実際、違うんでしょう。実際はこの前半の、あくまでも一般論でお答えしたというところだけで、後半は総理の作り話じゃないですか。この、何とかでありました、とのことでありましたと言って、さもホテルから聞いたような言い方をするのは、これは極めて不謹慎ですよ。

 確認しますけれども、官房長官、この今の、明細書をもらったとか、領収書の件ですとか、こういうところは、安倍総理はホテル側にきのう確認しないで答弁したということですね。

菅国務大臣 きのうの答弁の中で、桜を見る会前日の夕食会は、平成二十五年、二十六年及び二十八年の三回は全日空ホテルで実施。そして、私の事務所の職員はホテル側と事前に段取り調整を行ったのみであり、明細書の発行は受けていないとのことであった。これは事務所の職員の方。

 また、領収書については、一般的に宛名は上様として発行する場合があり、夕食会でも上様としていた可能性はある。このように述べています。

 まさにこれは、ホテルと折衝した結果の話じゃないでしょうか。

今井委員 きのう午前中に、確認をしてくださいということで、ホテル側に確認をしていただいて回答をいただいていますが、そのときにこのことも確認したということですか。

菅国務大臣 今私が申し上げたとおりだと思います。(発言する者あり)

棚橋委員長 どうか御静粛に。与野党ともにお願いいたします。

今井委員 いやいや、官房長官、お答えになっていらっしゃらないんですよ。

 官房長官の話は前のときの話で、きのう午前中の、辻元議員がメールを紹介して、総理の言っていることはおかしいじゃないですか、ホテル側に確認してくださいというふうにお願いをして、ホテル側で確認しましたというふうに安倍総理が答弁されました。そのきのうの確認に、この領収書ですとか明細書ですとか、こういうことはきのうホテル側には確認をしていないんですねということです。

菅国務大臣 今私が申し上げましたように、私の事務所の職員はホテル側と事前に段取り調整を行ったのみであり、明細書の発行は受けていない。これは明確に言っています。

 また、領収書については、一般的に宛名は上様として発行する場合があり、夕食会でも上様としていた可能性はあるとのことでありました。

 さらに、総理がこれは繰り返し申し上げていますけれども、夕食会の費用については、ホテル側との合意に基づき、私の事務所の職員が会費を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたとのことであった。

 このことを、領収書のことも言われましたので、今申し上げました。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

今井委員 委員長、私の……(発言する者あり)

棚橋委員長 ちょっと待ってください。

 御静粛にお願いします。

 どうぞ。

今井委員 私の質問を委員長も理解していただいて、ちゃんと答弁していらっしゃるかどうかを判断してください。

 私は、今の、明細書をもらったかとか、領収書はどういうふうに発行したかとか、こういうことに関して、きのう安倍事務所はホテル側に確認しましたか、していませんか、どちらですか。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に。どうぞ静かにお願いいたします。

菅国務大臣 今私が申し上げたとおりじゃないでしょうか。領収書にしろ、手交しているわけでありますから、それは発行してもらわなきゃできないじゃないですか。

今井委員 いやいや、今、聞いていたでしょう。答えていないじゃないですか。

棚橋委員長 今まさにおっしゃっていた。

今井委員 いやいや、答えていない。きのう確認したかという質問じゃないですか。

棚橋委員長 だって、もう手交しているはずですから。

今井委員 いや、きのう確認したかということです。

棚橋委員長 じゃ、もう一度どうぞ。今井雅人君、再度御質問なさいませんか。

今井委員 もう一回だけ聞きます。

 なぜ私がこんな質問をしているかといったら、きのう辻元委員が紹介したメール、これには、二〇一三年以降の七年間に貴ホテルで開かれたパーティー、宴会についてお伺いします。これは一般論じゃありませんよ。ちゃんと個別に聞いていますから。ここで実績はどうだったかと。そこで、見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったでしょうかと言ったら、ございません。それから、宛名を空欄のまま領収書を発行したケースがあったでしょうか。ありません。それから、ホテル主催じゃない数百人パーティーで、代金を主催者じゃなく参加者個人一人一人から、会費形式で貴ホテルが受け取ることはありましたか、この期間の間にありましたか。ございません。一―三について、主催が政治家及び政治家関連の団体であることから、対応を変えたことはありますか。ございません。

 こういう回答を得ましたので、これをホテルに確認してくださいというお願いをしたわけです。具体的に四つあるじゃないですか。このことを確認してくださいと、きのうお願いしたんです。

 だから、それを確認してきのう答弁をしていただいたかどうかというのは、とても大事なんですよ。だから、このことをきのうちゃんとホテルに確認して総理は答弁したのか、していないのか、これはとても重要なんですよ。だから、それを答えてください。

菅国務大臣 きょう、坂本筆頭が、安倍事務所に電話で確認しました、安倍事務所からは、全日空ホテルに確認したところ、辻元議員にはあくまで一般論としてお答えしたものであり、個別の案件については回答に含まれていないと、その回答を得たということでありますけれども、そこに含まれているんじゃないでしょうか。

今井委員 じゃ、済みません……(発言する者あり)

棚橋委員長 ちょっと待ってください。

 御静粛にお願いします。

今井委員 もう一度確認します。

 今、菅官房長官が読まれて御答弁されたのが全てですね。それで全てですね。

菅国務大臣 きのう総理が答弁した中で、今井委員から、明細書の件と領収書の件がありました。今、質問を受けましたけれども。

 きょう、坂本筆頭が安倍事務所に電話で確認をしたところ、今私が申し上げましたように、全日空ホテルに確認したところ、辻元議員にはあくまでも一般論でお答えしたもの、どこの部分を指したのか、それはよくわかりませんけれども、少なくとも、あくまでも一般論でお答えしたものであり、個別の案件については回答に含まれていないとの回答を得たと。そうじゃないでしょうか。

今井委員 わかりますか、これはとても大事なところで、先ほども言いましたけれども、安倍総理は、ホテルに聞いたことと、聞かないで、自分で勝手に作り話をしていることを、さも両方聞いたような言い方をしているわけですよ。(発言する者あり)いや、そうじゃない、じゃ、もう一回お伺いしますよ。じゃ、答えてくださいよ。

 きのう、総理は、辻元さんが聞いた、明細書ですとか領収書ですとか、こういうところを電話できのうホテル側に確認したんですかと。首をかしげるところじゃないですよ。だって、そこは大事なところじゃないですか。それを確認しないでこんな答弁をしていたら、これは虚偽答弁ですよ、こんなのは。そこははっきりしてください、もう一度。

 今読まれたことが全てですね。それ以外のことはきのう電話で確認していないということですね。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

菅国務大臣 総理のきのうの答弁でありますけれども、事務所の職員はホテル側と事前に段取りの調整を行ったのみであり、明細書等の発行は受けていない。これは総理です。

 そして、領収書については、一般的に宛名は上様として発行する場合があり、夕食会でも上様としていた可能性はあるという答弁をしています。

 そして、これも何回も繰り返し総理は答弁していますけれども、夕食会の費用については、ホテル側との合意に基づき、私の事務所の職員が会費を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされた。領収書の話がありますから、現実にそうしていることを申し上げたんじゃないでしょうか。

 そして、きょう……(発言する者あり)ちょっと注意してください。

棚橋委員長 御静粛に。特に傍聴議員に関しては、退席を命じる可能性がありますから。(今井委員「委員長、ちゃんと明確に答えてもらってください」と呼ぶ)まず静かにしてくれないと答えが聞こえません。

菅国務大臣 そして、その上で、きょうの、先ほど話がありましたけれども、坂本筆頭と安倍事務所の秘書の間で、安倍事務所からは、全日空ホテルに確認したところ、辻元議員にはあくまでも一般論としてお答えしたものであり、個別の案件については回答に含まれていないとの回答を得ているということじゃないでしょうか。

今井委員 委員長、今静かでしたから、質問は聞こえていましたよね。答弁も聞こえていましたね。

棚橋委員長 後半はね。

今井委員 後半ね。

 きのう、この領収書とか明細書について確認したかということを今、官房長官はお答えになっていましたか。

棚橋委員長 私が今お答えする立場ではございません。今井委員が御判断ください。

今井委員 いやいや、答えていないからです。(発言する者あり)いやいや、だって、いつも聞こえないからとおっしゃっているから、今聞こえたのならどう判断されましたか、今。

棚橋委員長 官房長官としては官房長官の知り得る答弁をきちっとなさったと思います。

今井委員 いや、委員長は取り仕切る立場でしょう。質疑者の質問に答えていなかったら、それは注意してくださいよ。

棚橋委員長 だから、官房長官としては官房長官が知り得る答弁をなさったと私は理解しております。

今井委員 いやいや、そうしたら、今ちょっと確認してもらえませんか。今、安倍事務所に確認してください。

棚橋委員長 誰が誰に。

今井委員 きょうは、今、官房長官にお答えいただくということでこの委員会が再開していますから、官房長官にそれを確認していただきたいということです。

棚橋委員長 官房長官がどなたに。

今井委員 安倍事務所に。

棚橋委員長 これは、後刻、理事会で協議します。

今井委員 皆さん、聞いていてわかっていただいたと思いますが、安倍総理は、都合の悪いことは自分で勝手に作り話をつくって、さもホテル側が答えているような詭弁をしているわけですよ。こういうのに皆さん、だまされちゃだめですからね。

 総理もまた出てきていただいて、はっきりしたいと思いますが、もう一点。

 きのうも総理がちらっとおっしゃっていましたけれども、安倍事務所側は、ANAインターコンチのどなたに確認されたんですか。きのう、営業の方というふうに総理は答弁されておりましたけれども、それで結構ですか。

棚橋委員長 ちょっとお待ちください。それは質問通告はございましたか。今、今井委員からの質問は、質問通告はございましたか。

今井委員 質問通告というか、通告はしています。

棚橋委員長 質問通告はあったんですね。質問通告はございましたか。

今井委員 これについて伺うと聞いていますから。これについて聞くと言っているんですから。

棚橋委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 内閣官房長官菅義偉君。

菅国務大臣 総理は営業の方ときのう言っていましたし、それは間違いないと思います。

今井委員 そうですね。

 委員長、私は筆頭理事が聞き取ったことについてお伺いしたいというふうに言っていますから、誰から聞いたかとか、それも当然質問の中に含まれていますので、別にそんな、抜き打ちでやっているわけじゃありません。

 その上で、官房長官にちょっと見解を伺いたいんですが、きのう、辻元委員は、これは会社の広報を通じて、広報のそれなりの方にしっかりとコメントをとっているわけです。総理は、大変申しわけないですけれども、営業の方に質問をしているわけですね。

 どちらがホテルとしての公式コメント、一般的に言えば、どちらが公式コメントでしょうか。

菅国務大臣 私が答えるべきじゃないというふうに思いますけれども、ホテルというのは、いつも利用している人の担当する人がいますから、そういう中で、当然、責任者のところにこれは伝わっているんじゃないでしょうか。

今井委員 ここはまた総理とはやらなきゃいけないと思うんですけれども、普通、ある会社にいろいろな照会をするときは、広報を通じて正式に申入れをするんですよ。広報から返ってきたコメントというのは、その社の公式コメントですよ。ですから、辻元さんがとったコメントは、このホテルの公式コメントなんですね。クレジット、ついています。

 更に申し上げれば、先ほども言いましたように、期間を限定して、この期間中にそういうものがありましたかということを伺っていますから、これは一般論ではありません、ファクトです。そういうことが過去に実績としてありましたかということを聞いて、ないですというふうに答えられているわけですから。

 だから、それは、総理が営業の方に聞いたと言って、しかも書面も出さずに言っていることと重みが違いますよ。

 委員長、官房長官もなかなかお答えにくいところもいろいろあると思いますので、これはやはり、直接やりとりをした、これは初村さんというんですか、安倍事務所の秘書の方に、ぜひこの委員会に来ていただいて事情をお伺いしたいと思いますが、お取り計らいお願いします。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議いたします。

今井委員 あくまでもやはり、ホテル側と安倍事務所が言っていることが違いますから、これがどちらが正しいかということがはっきりするまで、とても予算なんか通せない。だって、そんな信頼感のない方たちが提出しているような予算を通すわけにいかないですよ。だから、そのことをまずはっきりとさせていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 きょうは、済みません、国税庁、ありがとうございます。

 ちょっとお伺いしたいんですけれども、総理が、きのう、こういうふうにおっしゃっています。また、領収書については、一般的に宛名は上様として発行する場合があり、夕食会でも上様としていた可能性はあるというふうにお答えになっておられますけれども、私も、いろいろな領収書をいただくときに、上様はだめですとよく言われるんですけれども、領収書を発行してもらった人たちは、中には経費で落とす方もいらっしゃいますよね、当然。自分で自腹を切られる方もおられるかもしれませんけれども、経費で落とされる方もいらっしゃると思うんですが、この上様と書いている領収書は、税務上、これは経費として認められますか。

田島政府参考人 お答えいたします。

 税務上、経費とは事業と関連する支出をいいまして、領収書はその支出を証明するものであります。

 この領収書の要件につきましては、税法上、特段の定めはございませんが、一般的には、金銭の支払いといった事実関係が客観的に確認できる内容となっていることが必要と考えており、具体的には、宛名ですとか、金銭の受領年月日、受領金額などの事実関係が記載されたものが必要であると考えております。

 今御指摘ございましたけれども、仮に今私が申し上げました項目の一部が欠けたような領収書があった場合には、これは一般論で申し上げますが、ほかの帳簿書類を含む帳簿書類全体を見た上で、金銭の支払いがあったかどうかなどを総合的に判断することとなります。

今井委員 宛名がなければいけないということは、白紙もそれは特定できないということですね、上様だけじゃなくて。もう一度お願いします。

田島政府参考人 繰り返しになりますが、宛名がない、白紙というお話でございましたが、先ほど申し上げました、この宛名というものが欠けたものというふうに認識をすることとなろうかと思います。

今井委員 そうなんですよね。税務上、これは認められないものを、総理がこういうものを発行しているとおっしゃっているというわけなんですけれども、今まさに国税庁の方がおっしゃいましたが、それを証明するためには、それを証明する何か、帳簿とか、そういうものが残っていないといけない、そういうことですよね。そういうものと突き合わせする必要があるとおっしゃっていましたよね。(発言する者あり)

棚橋委員長 ちょっと静かにしていただけますか。

田島政府参考人 法人税法の説明になりますが、これは通告にいただいてございませんので、ちょっと記憶で申し上げますけれども、法人税法上、一般企業につきましては帳簿書類の保存が義務づけられております。その附属書類として、領収書ですとか、そういった類いの書類がございます。

 一方で、それは一般法人の関係でございますので、その中で、例えば、一般法人ではなく、公益法人ですとか人格のない社団に該当する場合には、これはちょっと取扱いが変わっておりまして、税法で定める収益事業、これ以外の所得については法人税を課されないものですから、保存義務も、そういう法人が収益事業を行っている場合には、その取引に関しまして普通の法人と同様の保存義務が課されておりますけれども、収益事業以外の事業に係る取引に関しては帳簿書類の保存義務は課されないという仕組みになっていると承知してございます。

今井委員 済みません、あと五分になりましたので、この問題は、今皆さん聞いていただいたとおり、何も明らかになっていませんので、あす以降もこの問題についてはしっかりと解明をしていかなきゃいけないということを、ここでお話をしておきたいと思います。

 外務省さん、来ていらっしゃいますか。

 例の和泉首相補佐官の出張の件でありますけれども、四回の出張に関しての各質問がありましたけれども、このいわゆるコネクティングルームというものにお二人が泊まりになったということでありますが、四回ともコネクティングルームだというふうに伺いました。

 それで、一回は補佐官室の方からの依頼でコネクティングルームに二人を宿泊させたということでありましたが、残りの三回に関しては誰からの依頼でコネクティングルームに泊まることになりましたか。

小林(賢)政府参考人 和泉補佐官と大坪審議官の出張時の宿舎留保につきましては、内閣官房からの便宜供与依頼に基づき行われました。

 また、御指摘の部屋割りにつきましては、当時の関係者に確認しましたところ、和泉補佐官室の指示で行われたと承知しております。

今井委員 そうなんですよね。本当は官房長官にお伺いしようと思ったら、ちょっと会見でいらっしゃらなくなってしまったので。

棚橋委員長 今井委員、申しわけないですが、理事会の申合せで。

今井委員 いやいや、わかっております。それはわかっていますから、別に文句言っているわけじゃないので。

 じゃ、麻生大臣にちょっとお伺いしましょうか。済みません、感想をお伺いしたい。かわりにお願いします。

 官房長官は、手続は正式にやっていると。つまり、二つの別の会議にそれぞれがたまたまそこであって、そこに両方とも出席しているので手続は問題ないというふうにおっしゃっておられますけれども、二人がそうやってコネクティングルームに泊まっていたことはどうなのだと言うと、ここは一切答えないんですよ。

 私がやはり許せないのは、この和泉首相補佐官、なぜここに出てこられないんですかね。

 この方は、平成二十九年七月二十四日、この予算委員会に、加計学園の問題の件で、内閣総理大臣補佐官として、参考人として出席して答弁しておられます。過去にこっちに来て答弁されているんですよ。それで、申しわけないですけれども、女性の方はこっちに来て答弁されていますね。もう一人の人も。しかも、補佐官室から、補佐官室から依頼しているわけですよ。そのトップじゃないですか。その方じゃないですか。その方がここで説明しないでどうするんですか。男らしくないですよ。

 繰り返し、皆さん、ほかの方も言っていますが、男と女の関係なんて、それはもう、私はそれは個人の問題だと思います。そうじゃなくて、出張で、公費を使ってそういうプライベートのことをしていたとすれば、それは大変問題だと言っているんですね。そこが違うんですよ。この問題はそこに問題がある。公費を使った出張ですから、それをラブラブ旅行にしているんじゃないか、そういう問題なわけですよ。

 ですから本人に出てきていただきたいということを申し上げていますが、再三にわたって拒否をされていますが、委員長、どうかお願いです。和泉さんをこの国会に呼んでください。お願いします。

棚橋委員長 後刻、理事会において協議をいたします。

今井委員 時間が参りました。

 北村大臣、本当に申しわけありません。きょうちょっといろいろお伺いしようと思ってたくさん用意しておりましたけれども、質問できませんでしたので、また別の機会にさせていただきます。本当に済みませんでした。

 いずれにしましても、やはり、この桜を見る会の問題は、やればやるほど、総理の答弁がうそだということがわかってきます。この問題を徹底解明するまでは予算は通せない、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて今井君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内委員 川内です。よろしくお願いいたします。

 国民の皆さんが大変心配をしていらっしゃる新型コロナウイルスの問題について、現在までの進捗、そしてまた今後の見通し、そして政府としての御方針等について、きょうは幾つか確認をさせていただこうというふうに思います。

 まず、加藤厚労大臣には、大変なお仕事を今していらっしゃるところであるというふうに思いますが、せんだって、検疫法上の隔離、停留ができるように政令改正をしたということでございましたけれども、今までは指定感染症として二類感染症としての見合いの措置であったというふうに思いますが、この隔離、停留ができるようにしたというのは、検疫法上の一類感染症見合いにしたという理解でよろしいかということを教えてください。

加藤国務大臣 今委員の御指摘のところ、我々も大変、ちょっと中で議論したところであります。

 一類に指定すると、入院先が、一類から上が原則ということになってしまって、非常に限られます。今回の症状は、通常の一類にあるものと同じかというと、必ずしもそれほど致死性が高くない。しかし、やはり隔離あるいは停留等の措置はとる必要がある、これは御指摘はいただいていました。

 そこで、中で、あるいは法制局ともいろいろ議論をして、二類相当ではあるけれども、準用規定でこれまでやっていますので、準用の仕方で工夫ができないかということで、認識としては二類相当ではあるけれども、やはり隔離、停留をしていく必要がある。あるいは、無症状病原体保有者について、これは感染法の方でありますけれども、感染法において入院措置を講じる必要がある。

 そういった判断から、準用の仕方をちょっと工夫をいたしまして、認識としては二類相当ではあるけれども、しかし、今後の感染拡大あるいは水際防止を考えて、やはりこういう手段は持っておくべきだろうということで今回の政令改正をさせていただいた、こういうことであります。

川内委員 はい、理解をいたしました。

 マスコミの報道等を見ておりますと、例えばダイヤモンド・プリンセスの中で陽性反応が出た方たちの中で重症者が十何人いらっしゃるとか、あるいは感染経路が不明な方々の中で陽性が出た方々で重症の方がいるとか、単純に感染者が判明したとか、いろいろな報道の仕方があるんですけれども、重症者の定義というものを教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 感染症に関しては、感染症法に基づく医師の届出や疑似症サーベイランスにおいて、それぞれの基準に沿って届出、報告を行うことになっていまして、疑似症サーベイランスにおいては、重症である場合には保健所に報告することになりますが、この重症である場合とは、集中治療その他これに準ずる医療行為が必要であるとして、これがどういうものに準ずるかということで、例えば一例としては、気管挿管を要するということが挙げられております。

 今回は、二月七日付で事務連絡をしておりますけれども、それを踏まえて、特にこれは感染症で、肺炎が中心でありますから、気管挿管を実施した場合、集中治療室に入院した場合、これについて重症化した場合の例として厚労省に報告するよう地方自治体に求めたところでありますし、また、厚労省の発表においても、これらの場合を重症として扱っているということであります。

川内委員 気管挿管とは、人工呼吸器を装着しているということでよろしいですか。

加藤国務大臣 気管挿管をして、人工呼吸器を挿管するということであります。

川内委員 今現在、政府として、この新型コロナウイルスの陽性反応が出た方たちの中で重症者が何人いらっしゃるかということを、把握していることを教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 それぞれの方の症状が刻々と変わっておりますので、二月十七日の時点で報告が上がってきた人数というふうにさせていただきたいと思いますが、重症者と判断された方、もちろん、亡くなった方がこれまで一名おられますから、それを除いて二十三名。クルーズ船の関係で二十名、国内について三名というふうになっています。

川内委員 あと、感染経路がわからないということで、加藤大臣も一時期、会見などでわからなくなったというような御発言をしていらっしゃるわけですけれども、感染経路が判明していない方でPCR検査で陽性、新型コロナウイルスのプラスであるということになっている人数というものを教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 現在、積極的疫学中ということを前提にお話をさせていただきますが、不明だという、まず何を基準としているかということでありますけれども、陽性者本人に湖北省等の流行地への渡航歴が確認されない、湖北省等の流行地から来た者との接触が確認されない、本人の陽性が確認された時点において先に陽性になった者との接触歴が確認されない、こういった人をピックアップすると十名になります。ただ、この中には、和歌山県内の医療関係のつながりはあるけれども、今申し上げたそこまでの関係が見出せないという方三名も含んだ数字であります。

川内委員 感染経路が不明でPCR検査で陽性になるというのは、大体、どうしてだろう、どうしてだろうと思いながら幾つか医療機関を受診した後、重症化した方を検査してみたら陽性であったという例が多いのではないかというふうに思うんですけれども、この新型コロナウイルスに対応していくためには、早期に感染を発見すること、そしてまた重症化を防ぐこと、この二つが大変重要であるというふうに思いますし、そこは認識を共有していただけるのではないかというふうに思うんです。

 そこで、検査を強化していくという意味において、せんだって加藤大臣から、民間の検査機関にも一社既に委託をしたよという御答弁があったんですけれども、この民間のもう既に委託をした検査機関が検査をスタートできるのはいつごろなのか、そしてまた、一日にどのくらいの検体を検査する能力を持っているのかということについて教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 きのう時点で一社と申し上げましたが、きょうからは五社が対応できるようになっていると聞いております。トータルで、最大でありますが、九百件ということであります。

川内委員 それは、もう現に九百件対応できるということなんでしょうか、これから九百件対応できるようにするということなんでしょうか。

加藤国務大臣 国からの委託、受託は、最初に申し上げた一社は確認していまして、ちょっと残りの四社はわかりませんが、いずれにしても、もう既に、物理的に、技術的にはできるという状況であります。

川内委員 検査をするためには、その前に、じゃ、これからは三千件できるようになるよというものの中に入っているのか、それともその外なのかということを、三千九百件になるのかということを教えてください。

加藤国務大臣 きのうの段階の一社では約三百件ということでありますが、今回、六百件民間の能力は上がったというふうに考えております。前回は少し丸めて三千件と言わせていただきましたが、全部合算すると三千八百件ぐらいになると思います。

川内委員 それで、検査するためにはプライマーという試薬が必要になるというふうに教えていただきましたけれども、現在、その試薬の生産能力というのは、一日に何人分ぐらいが最大の試薬の生産能力というふうに考えてよろしいのでしょうか。

棚橋委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働大臣加藤勝信君。

加藤国務大臣 済みません、ちょっと今手元にないので、後で出させていただきたいと思いますが、今、回している、今申し上げた……(川内委員「大体でいいですよ」と呼ぶ)三千八百と申し上げました。これが毎日稼働しても、十分な数は、供給能力があるということであります。

川内委員 さらに、懸念をされるのが、今後もし国内で感染が拡大をし、重症者がたくさん出てくるというような事態になった場合、日本全国の医療機関で保有する人工呼吸器が、重症の感染症の、新型コロナの肺炎の方々に対する供給が間に合うのかということなどについても懸念をされるわけですけれども、今現在、この新型コロナに起因する肺炎に対応できる人工呼吸器が何台ぐらい全国で使用可能なのかということについて、御見解をお示しいただきたいと思います。

加藤国務大臣 これまでも御指摘をいただきまして、調査をしております。

 現在、五百五十一の施設のうち五百二十九の施設から回答をいただいておりまして、ちょっと今、一個一個最終チェックをしておりますが、今のそうした段階の数字として申し上げますと、全医療機関で持っている人工呼吸器の台数は八千九百八十八台であります。そのうち、二月五日から七日でどのくらい使っているのかというのを確認しないと、これは実際わかりません。人工呼吸器の台数のうち約四割ぐらいが使っているということでありますから、六割ぐらいは使っていない状況にある、そういうのが今の現状であります。

川内委員 ありがとうございます。

 そこで、きのう加藤大臣が、受診の目安、受診、相談の目安ということで会見をされて、国民の皆様に広報、周知をされたわけですけれども、この受診の目安なる言葉は、私は、ある意味、ちょっと誤解につながるのではないかということを懸念しております。

 なぜかならば、行政検査、要するに、PCRの検査をしましょうねという、保健所に届け出る検査の基準ですね、検査の基準は、相変わらず地域要件が入っています。湖北省という言葉が入っているし、渡航歴という言葉が入っている。国内感染がもう既に明らかなわけですから、地域要件を入れている意味が私にはわからないし、さらに、先生方のお手元に資料をお配りしておりますけれども、疑似症サーベイランスの運用ガイダンスという、これは国立感染症研究所が発行しているもので、最新版は二〇二〇年の一月十日版です。委員長、持っていますか。

 この疑似症サーベイランスの運用ガイダンスの一行目、「本ガイダンスの目的」というのは、「原因不明の重症の感染症の発生動向を早期に把握することを目的として、」というふうに書いてございます。結局、重症の感染症にかかっている人を見つけましょうねというのがサーベイランスの目的になっているということです。

 報道等を見ていても、幾つかの検査機関を受診して、結局、最後、めちゃめちゃ重症になってから、いや、もしかしたらといってPCR検査をしました、それで陽性でしたということがわかりましたという事例がここ相次いでいるわけで。SNS上などでも、相談センターに電話をしました、六日間熱が続いているので相談センターに電話。やっとかかって言われたことは、一般の病院に行ってくださいと言われました。一般の病院に行って、検査してくださいと申し出たら、いや、検査できないんですよ、渡航歴があなたはないですよねと言われたというようなことがSNS上で報告されていたりして。

 国内の感染を食いとめる、早期に発見する、そして重症化を食いとめるという意味においては、私は、検査の基準の地域要件というのは絶対外すべきだというふうに思うんですね。湖北省とか浙江省とか、それはほとんどもう、国内感染を食いとめるという意味においては、意味を持たない言葉になっているのではないか。

 せっかく受診の目安というものを発表されて、心配な人はお医者さんの判断で検査してもらえますよということになるんだけれども、しかし、実際にお医者さんたちは、このガイダンスとかあるいは通知を見て、原則は渡航歴がある人だということになっている、そうすると、ああ、これはだめねと。しかも、サーベイランスは重症者を見つけるものだといって、あなたはただちょっと熱があるだけでしょう、呼吸がちょっと苦しいだけでしょうということで、また幾つかの病院に行ってしまうというようなことになると感染が蔓延するわけですから、検査の基準を厚労大臣のリーダーシップで私は見直すときが来ているというふうに思うのですが、大臣、これは検討しなきゃだめですよ。お願いします。

加藤国務大臣 今委員御指摘いただいた疑似症サーベイランスというのは、これは今回のではなくて、どんな感染症があるかわからないので網を張っておきましょうということでつくったのがこれです。

 今回、これをベースに、新型コロナ、最初に重慶だったものですから、重慶の縛りを入れたものを足して、さらに、指定感染症にしましたから、それとこの重症者、これは必ず届け出くださいな、そことPCR検査を結びつけていた。そこには、これにこだわらずというふうには書いてあったんですけれども、書き方がそうだったので、どうしても縛りがあるようにとられていた。

 それも反省をいたしまして、実はきのう付で、もちろん今までのものはちゃんとやってください、加えて、今度は全く縛りのなく、例えば、三十七・五度以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、入院を要する肺炎が疑われる者、特に高齢者又は基礎疾患があるものについては積極的に考慮する等のことを明確に打ち出させていただいて、今までの対象はあります、しかし今度はこれだけ広げてやっています、したがって、ここに該当するものはしっかりやっていただいて、そうした感染された方が特に肺炎までいっていれば重症化することが想定されますから、そうしたことを防ぐ、その通知を出させていただいたところでありますので、その趣旨をしっかり徹底していきたいと思います。

川内委員 きのう出した通知は、では、湖北省とか浙江省とかいう言葉は入っていないんですね。外したんですね。

加藤国務大臣 図をお示しして言った方がわかりやすいんですが、もちろん指定感染症ですから、その単位として湖北省等の対象はありますが、それ以外にもう一個のゾーンをつくって、これもありますよ、しかもここは新たに足したところですよ、したがって、委員の言い方からすると、湖北省とか地方縛りではないですよということを明らかにして出させていただいたつもりでありますが、更にその辺はしっかりと徹底を図りたいと思います。

川内委員 それじゃ、湖北省縛りはなくしましたと。さらに、重症者縛りでもないということでよろしいですね。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回は入院を要する肺炎が疑われる者ということですから、これまでは、重症で気管挿入とか、先ほど御説明しました、それはもちろんでありますけれども、その手前において入院を要する肺炎が疑われる者。

 それから、もう一つ、やはり、他の疾患ではないことをチェックするということがありました。一番簡単なのはインフルエンザかどうか、これはすぐ答えが出るんですが、中には時間がかかるものもありますから、そうしているうちに症状が進むということもあるので、今回は、症状に応じて、早期に結果の出る迅速検査の結果、これはやってください、を踏まえ、培養検査など結果判明までに時間がかかるものについては、結果が出る前でも保健所に相談してくださいということで、より幅広く、できれば前広に検査の相談をしていただける、こういうことも明記して出させていただきました。

川内委員 今るる加藤大臣に御説明いただいたようなことを各地方の保健部局に通知をしていただいた上で、各地方の医師会とか大学病院とか、あるいはそれに類する公的病院の皆さんに集まっていただいて、こういうことで早期発見、そして重症化の前に治療していくよという会議を開いてもらいたいと……(発言する者あり)ちょっと、僕が質問しているときだから、失礼ですよ、そこで話をするのは。

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

川内委員 委員長、こういうのを注意しなきゃだめよ。

棚橋委員長 今、注意しております。

川内委員 いや、私が言ってから注意したじゃない。(発言する者あり)

棚橋委員長 いや、御静粛にお願いします。

川内委員 私が言う前に、そこ、ちょっと静粛にと言わないと。せっかくいい質問しているのに。自分で言うのもなんだけれどもね。

 これは大変国民の皆さんが心配しているので、だから、もう一回言いますよ。地方の行政、それから医師会、そして大学病院を含む公的病院の皆さんに一堂に会してもらって、こういうことが検査の方針だよ、更に早期の治療に努めようねという会議を開いてねということを通知されたらいかがかということです。

加藤国務大臣 既に、都道府県、保健所設置市の衛生主管部局宛てには連絡は出させていただきました。それから、日本医師会の方にも、これを出しましたということを言わせていただきましたので、現場の医師の方にこのことがどうやったら届くのか、それぞれの方と御相談しながら対応させていただきたいと思います。

 それから、済みません、先ほどちょっと、武漢と言うべきところを私は重慶と言ったようでありますので、ちょっとそこは訂正させていただきます。

川内委員 通知を出すのと、関係者が一堂に会してやはり会話して会議するというのではまた全然違うというふうに思うので、ぜひ大臣のリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。

 そこで、委員長、今この質疑をしているときは委員長、割とスムーズにお話しされるんですよね。言葉が早いんですよ。ところが、非常に与野党で対立する問題を議論しているときには、めちゃめちゃゆっくり議事を差配されるんですね。

 さっき、私は大串理事から、私は委員長を尊敬しているんですけれども、大変ショックなことを聞きまして驚愕したんですけれども、さっき大串理事が日程のことについて理事会で発言しているときに、委員長が机に鉛筆をばんと置かれて、何か大串理事の発言を遮るようなことをされたと。そんなこと、私は信じたくないですよ。そんなことがあってはならないというふうに思いますけれども、それは事実なんでしょう。

 だから、ちょっと、そういうことはしないよ、ちゃんとやるよということをおっしゃってください。

棚橋委員長 川内委員に尊敬していただいているというのは大変光栄なことでございまして、心から御礼申し上げます。

 なお、大串委員の発言を妨げたことはございません。

川内委員 まあ、ここは委員長に質問する場ではないので、委員長も、内心、今発言しながら、ああ、あんなことしなきゃよかったなと多分思っていただいていると思うので、そういう威圧的な行動は、委員長ですから、委員長ですからね、厳に慎んでいただくということを私の方からお願いをしておきたいと思います。

 それでは、厚生労働大臣は、どうぞお下がりください。

棚橋委員長 厚生労働大臣におかれましては、御退室いただいて結構でございます。

川内委員 それでは、桜を見る会と公文書管理の問題について、北村大臣にお聞きします。

 その前に、北村大臣、あの白塗りの、内閣府大臣官房人事課が白塗りにして参議院予算委員会理事会に提出をした、内閣官房内閣総務官室官邸事務所作成の桜を見る会の推薦者名簿がありましたけれども、この白塗りにするに当たって、内閣府大臣官房人事課が白塗りにするに当たって、白塗りにするよということを内閣官房内閣総務官室官邸事務所宛てに了解をとったのか。要するに、了解をとった上で内閣府は白塗りにしたのかということについて、内閣総務官室、内閣官房にまず事実を御証言いただきたいと思います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件につきましては、官邸事務所におきまして推薦を検討し決定したものの、官邸事務所と内閣府人事課との間で相談を差し上げて、内閣府人事課として推薦を行うこととされたものでございます。これまでの御議論の中で御答弁があったと思います。

 その上で、今御下問がありました、内閣府人事課におきまして官邸事務所から提供された名簿の記載の一部を消して国会に提供するに当たりましては、官邸事務所に対して、事前の相談、事前の協議、相談などはなかったものと承知をしているところでございます。

川内委員 この前、官房長官が、この桜を見る会の推薦名簿、官邸事務所が推薦する推薦名簿については内閣官房内閣総務官室官邸事務所において意思決定をしたものであるというふうに御答弁をいただいております。

 行政の一つの組織で意思決定されたものを、別な組織がもとの組織に無断で修正をし、国会に提出する。しかも、これは、北村大臣、参議院の予算委員会理事会に提出された、いわゆる国政調査権に対する回答として提出された文書ですね。それを白塗りにしていたというのは国会に対する説明としては官房長官は極めて不適切というふうにおっしゃられたわけですが、私は、公文書管理法に照らして、公文書管理法の一条、国民への説明責任が全うされるようという公文書管理法一条の趣旨にこのことは反するのではないかというふうに言わざるを得ない。

 「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること」を公文書管理法は目的としているわけで、この公文書管理法の目的に照らし合わせれば、白塗りにしたこと、意思決定された文書を白塗りにしてその意思決定をした機関がわからなくするということは、これは公文書管理法の趣旨に明確に反するというふうに思いますが、いかがですか。

北村国務大臣 お答えいたします。

 法律の第一条における目的規定とは、法規範そのものではなく、立法を行うに至った動機を述べたり、直接の目的だけでなく、究極的に大きな公益に資する旨を明記したりすることで、その法律の必要性や意義を強調する手段となることが一般的となされておることは御承知のとおりでございます。

 公文書管理法第一条の「目的」において「現在及び将来の国民に説明する責務が全うされる」ことが記載されておりますけれども、これは、その前の「公文書等の管理に関する基本的事項を定めること」を受けて達成されることでございます。

 その公文書等の管理に関する基本的事項とは、行政文書の作成や整理などの適正な管理や、歴史公文書等の保存、利用等に係る一連のプロセスを定めたものであり、それらは同法第二条以降の規定を指すものでございます。

 すなわち、第二条以降の規定を満たすか否かが、第一条の国民に説明する責務が全うされるかにとって重要になると考えられるところでございます。その観点から吟味をいたし、今回は法律上の違反は認められないものと考えております。

 むしろ今回の事案は、国会への提出資料について修正を行った旨を説明しなかったことが極めて不適切となされているものであり、公文書管理法の問題とは別とみなすべきものであると考えるものであります。

 もちろん、国会への対応については適切になされるよう、再発防止を徹底することが重要であることは、論をまちません。

 以上です。(発言する者あり)

川内委員 今、わかったかと言われたんですけれども、よくお読みいただけたというふうには思いますが、大臣、私は公文書管理法に反するとは言っていないです。公文書管理法の趣旨に反するでしょうと聞いているんですよ。第一条の目的に反する、趣旨に反しますよねということを聞いているんですよ。

 国会に、参議院の予算委員会理事会に対して修正、加工した文書を提出することは、これはいわゆる改ざんと世間では言うわけです。いわゆる改ざんと世間では言うんです。森友文書のときも、安倍昭恵さんの名前を消して、財務省は改ざんとちゃんと認めたんですよ。

 組織の名前を消すことは、意思決定した組織の名前を消すことは改ざんですよ。その改ざんしたことを、趣旨に反しますねということを言っているんですよ、趣旨に反しますねと。

 もう一度お答えください。

北村国務大臣 お答えいたします。

 私は、趣旨はこの一条に込められ、一条こそ趣旨そのものであると考えますので、先ほどは申し上げたのであります。

 もちろん、白塗りは、知る権利、国民への説明責任との公文書管理法の趣旨に反するのではないかというお尋ねということでありますが、本件は、官邸事務所から提供のあった文書と国会に提出した文書の二つの文書が、翌年度から保存期間が開始される行政文書ファイルにおいてそれぞれ別のものとわかるように整理がなされ、作成時点や作成担当が判別ができるように管理、保管されるものと承知しております。

 これは、公文書管理法に違反するものではなく、法の趣旨にも反しないと考えております。

川内委員 今、北村大臣は、保存するときにちゃんとしていればいいんだという御趣旨の答弁をされました。

 公文書管理法に、保存するときにちゃんとしていれば、それであとは何をしても構いませんということが何条に書いてあるか御教示ください。

棚橋委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 国務大臣北村誠吾君。

北村国務大臣 白塗りが適切かどうかということのお尋ねですね。(川内委員「違いますよ。ちょっと委員長、ちょっと指導してくださいよ」と呼ぶ)無断で修正していることが問題ということのように聞こえます。

 今回の件については、内閣府人事課は官邸事務所から……(川内委員「委員長、お願いしますよ」と呼ぶ)

棚橋委員長 大臣、ちょっとお待ちください。

北村国務大臣 提供を受けた名簿をそのまま……

棚橋委員長 大臣、大臣、ちょっとお待ちください。

北村国務大臣 内閣府人事課としての推薦者名簿……(発言する者あり)

棚橋委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 国務大臣北村誠吾君。

北村国務大臣 お答えいたします。

 法律の第五条に、行政文書ファイルにまとめなければならないと規定しておるものであります。

川内委員 いや、だから、まとめなければならないというのは書いてあるのでわかりますけれども、そのときにちゃんとしていればあとは何をしてもいいということがどこに書いてあるんですかということを聞いているんですよ。(発言する者あり)

棚橋委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 まずは、専門的なことですので、政府説明員から説明させます。

 内閣府大臣官房総括審議官渡邉清君。

渡邉政府参考人 失礼します。

 公文書管理法、先ほど大臣から申し上げました第五条の方で「整理」というものが決められておりますが、それに基づきまして施行令の方に移りまして、第八条で保存期間の起算日などを決めております。

 起算日は、基本的には翌年度の四月一日からというのが基本になっておりますので、その間に行政文書ファイルの方を編綴していっていただく、そういうことになりますので、現時点では完璧なものでなくても、それが、最終的に、四月一日からの保存期間が始まるときにしっかりしていればいいというふうに解しております。

川内委員 だから、私が、政府の専門の方、そしてまた北村大臣は公文書管理担当の大臣でいらっしゃるので、ぜひ教えていただきたいと今お願いをしているのは、整理の考え方はわかりました、しかし、国民に説明をするに当たって、意思決定をした行政機関等の名前を消して国会に提出する、国民に説明をすることが許される、よいのだ、管理法の趣旨に反していないのだということを私たちに御教示いただける条文はどこですか、何条ですかということを聞いております。

 整理するときはわかりましたよ、整理するときはね。ただ、公文書管理法は利用という概念を持っていますから。利用というのは、国民に説明するときのことですから。あるいは国民が利用するときですから。そのときにどうするのかということをしっかりと説明できなければ、公文書管理法は欠陥だということですよ。ちゃんと見直す必要があるということですよ。違いますか。

渡邉政府参考人 公文書管理法の違反ではないというふうに先ほどから北村大臣から申し上げをさせていただいております。(川内委員「だから、僕は趣旨と言っているんだ、趣旨って」と呼ぶ)はい。

 そこで、今回の事案につきまして、私どもの理解を申し上げさせていただきます。

 内閣府人事課として、いただいた名簿を、内閣府人事課の文書としてそれを保有することになっておりますので、もともと最初の意思決定に反するようなことをしていないというふうに私どもは理解をしているところでございます。

川内委員 だから、行政の事務事業の跡づけ、検証できるようにしましょうねというのが公文書管理法の趣旨であると。

 内閣官房内閣総務官室官邸事務所で意思決定された文書を内閣府大臣官房人事課の文書として取り扱うというのであれば、それがきちっと見える形で国会に説明するのが行政の役目であるというふうに思いますが、それがなされずに、ただ単に白塗りをして、それがばれたら、こうするつもりだったのですと言うことが、法律の趣旨にも反しないなどということを強弁することが、行政のやることとは私はとても思えない。

 どうですか、大臣。こんなでたらめをあなたは大臣として許すんですか、政治家として。民主主義を守る立場ですよ。民主主義を守る立場として、趣旨には反するね、こんなことはあっちゃいけないねということを、あなたみたいにいい人だったら、一言ここで言わなきゃだめでしょう。何で言いなりになっているんですか、作文を読んじゃって。北村大臣らしくないですよ。趣旨に反するということは言わなきゃ、ここで。(発言する者あり)

棚橋委員長 皆様、どうぞ御静粛にお願いします。

北村国務大臣 お答えいたします。

 委員のお言葉でありますが、その件に関するところにおいて、国会に提出資料についての規定はないというところも少しく御勘案いただきたいというふうに思います。

 そう申し上げさせていただいた上で、この事案につきましては、国会への提出資料について修正を行った旨を説明しなかったことが極めて不適切とされているものであり、公文書管理の問題とは混同すべきではないと存ずる次第であります。

 いずれにいたしましても、国会への対応について適切になされるよう、再発防止を徹底することが重要であると考えております。

 他方で、一般論としては、公文書管理法に規定する国民主権の理念や国民への説明責任をより確実に果たしていく観点からは、職員一人一人が公文書に対して高い意識や国民全体の奉仕者としての自覚を持って職務を遂行し、また、国会からの求めには誠実に対応することが極めて重要であると考えておるところであります。

 以上です。

川内委員 極めて大臣の御答弁は残念な答弁である。公文書管理法の第一条をよく読んでください。民主主義を守るために公文書管理というのはとても大事なんだ、根幹なんだと書いてありますよ。国会に行政が説明するというのは、行政としての説明責任を果たす、すなわち民主主義を守るということにつながるわけですけれども、それを勝手に修正して、後で指摘されたら言いわけして、いや、別に趣旨にも反していませんなどということを強弁することを擁護する大臣は、私は担当大臣として適切ではないと思いますよ、発言は。そんなことを得意げにこんなところで答弁するぐらいだったら、大臣、早く大臣をやめなきゃ。

 そのことを私は真摯に大臣にアドバイスをして、終わりたいと思います。

棚橋委員長 これにて川内君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうは、新型コロナウイルス対策について質問いたします。

 きのう、厚労省が受診の目安を発表されました。読みますと、冒頭に、「発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える。」、こう書いてあるわけですけれども、この発表に対して、私は休めないよという声がネット上であふれております。かわりの人がいないという声、手取りが十三万円なのに一週間も休んだら生活に困るという声、その程度で休んだらもう来なくていいと言われてしまう、こういう声など、たくさん出ております。休みやすい職場環境をつくることは、当人にとっても、そして感染拡大防止にとっても極めて重要な課題になっていると思います。

 そこで、厚労省の「新型コロナウイルスに関するQ&A」を見ましたら、「新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱っていただき、病気休暇制度を活用することなどが考えられます。」と書いてあるんですけれども、しかし、実際に病気休暇制度を導入しているところは厚労省の調査でも二五%程度であります。更に言えば、国保なんかでいえば、傷病手当がないわけですよね。ですから、休んだときの給与の保障というのが全然ないという事態であります。

 ですから、ここで加藤大臣にぜひ旗を振っていただきたいのは、やはり有休とは別に、企業、事業所に、賃金が保障される病気休暇制度の導入を緊急に促すだとか、労働者が休みやすい環境を整えるよう全力で働きかけをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、今回、風邪症状があったらまず休んでいただきたい。これは、もちろん御本人のためでもありますし、感染防止、防ぐということになります。また、今回の件に限らず、体調が悪くなって治療をしっかり受けていただくということは、働く方がその力を十二分に発揮をしていただくためにも非常に大事だと思っておりますので。

 私ども、これまで、企業独自の制度として、病気休暇制度の普及、これを促進をしてきたところであります。現時点では、先ほど委員御指摘のように、平成三十一年で二五・七%ということですから、これは常用労働者三十人以上の民営法人でありますけれども、四分の一という数字になりますので、引き続きこうした取組の促進を図っていきたいと思っておりますし、今時点においても、今回のこうした事情を踏まえて、働く方、要するに、国民の皆さんが休める、休みやすい環境、これをしっかり経営者側等にも働きかけをしていきたいというふうに思っています。

宮本委員 しっかりお願いしたいというふうに思います。

 それから、きょう、経産大臣にも来ていただきました。

 きのうの発表のGDPは消費税増税の影響で大変大きなマイナスでありましたが、それに加えて新型肺炎ということで、日本経済も大変深刻な影響が出ております。

 中国から物を輸入する日本の企業は二万社。中国のサプライチェーンが長期にとまれば、このままでは倒産する会社がばたばた三月に出るんじゃないか、こういう懸念も広がっております。

 そして、影響は、国内で見ても、インバウンド以外にも出始めております。

 例えば、この一月にバス運転手の感染が確認された奈良県の旅館・ホテル生活同業組合の要望書というのを、きのう出ているのを、私、見てびっくりしたんですけれども、インバウンド宿泊客を喪失しただけでなく、風評による邦人宿泊観光客も激減しておりますということで、データを見たら、国内の観光客の方がよほどキャンセルがたくさん出ているという状況にもなっております。そして、こう書いているんですね。この危機を解決するため、国内観光客向けの誘客対策の実行をお願いします、さらなる緊急資金繰り支援をお願いしますと。

 こういう要望があちこちから政府に対しても、あるいはそれぞれの地方自治体に対しても出ているというふうには思いますが、大変悲鳴が上がる状況だと思います。先日、緊急対策も発表されましたが、これだけで十分万全というわけにはいかないと思いますが、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 今回のコロナウイルス感染症の拡大により、観光関係事業者を始めとして、これまで幅広い業種の皆様から資金繰りを懸念する声があり、二月十三日に取りまとめた緊急対応策において、事業者の資金繰りを支援するべく、五千億円の規模の融資、保証枠を確保したところであります。

 セーフティーネット保証については、都道府県からの要請に基づいて、地域を指定した上で、売上高が前年同月と比べて二〇%以上減少する事業者に対して、通常とは別枠で借入債務の一〇〇%を保証するセーフティーネット保証四号を実施し、また、重大な影響が生じている業種については、通常とは別枠で借入債務の八〇%を保証するセーフティーネット保証五号を実施することで、売上高が前年同月と比べて五%以上減少する事業者についても広く支援対象としてまいりたいと思います。

 これら二つの保証を組み合わせることにより、幅広い支援を可能とし、徹底的に事業者に寄り添った機動的な資金繰りの支援を講じてまいりたいと考えております。

宮本委員 セーフティーネット保証五号も一〇〇%にしてほしいという意見もきのうも委員会で出ていましたけれども、もっとやれることはいろいろあると思うんですね。あるいは、利息に対しての支援だとかですね。やはり現場で出ている声にしっかり応える、これで十分とせずに、対策を打っていっていただきたいというふうに思います。

 それから、きょう、小泉環境大臣にも来ていただきました。

 先週末、次から次へと新しい感染者が確認される中で、二月十六日日曜日、新型コロナウイルスの対策本部の会議が持たれました。午後四時からですかね。

 この新型コロナウイルス対策本部は大臣全員が構成員だというふうに思うんですが、小泉環境大臣は欠席をされておられるわけですよね。もちろん、ほかにも、茂木大臣や河野大臣など公務で欠席されている方はいますが、環境省にお伺いしましたら、小泉大臣はこの日は一日政務だったという説明を受けました。

 インターネット上を見ましたら、同じ日に、よこすか平安閣で小泉進次郎さんの後援会の合同新年会が行われているという情報が出ているわけですよね。升を持って乾杯しているところだとか、升に一生懸命小泉進次郎さんがサインをしているところだとか、そういういろいろな写真がインターネット上ではあるわけですけれども。

 小泉大臣は、新型コロナウイルス対策よりも後援会行事を優先された、こういうことなんですか。

小泉国務大臣 今、宮本先生から御指摘をいただいた新型コロナの対策本部、これは、環境省の本部、そして政府の新型コロナウイルス感染症対策本部、両方あります。

 今御指摘の点につきましては政府の対策本部のことですが、一月三十日から計十回開催をされておりまして、一回目から九回目まで私が出席をし、今御指摘の第十回、これは八木環境大臣政務官に代理として対応をお任せをした次第です。

 これは、政府として危機管理上踏まえるべきルールにのっとった対応であります。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に。

小泉国務大臣 大臣が東京を離れる場合には、あらかじめ副大臣又は大臣政務官が代理で対応できるよう、各省庁などにおいて調整しておくと定められています。

 今般の対応はこれに基づくものでもありますし、私自身は、環境省の対策本部の本部長です。政府の感染症対策本部の本部員という形になっています。そういった中で、環境省での対策本部において必要な対策の指示も行っておりますし、事前事後において副大臣や政務官などとも……(発言する者あり)

棚橋委員長 恐縮ですが、御静粛にお願いします。お願いですから、お静かに。

小泉国務大臣 情報の共有など、しっかりしていますので、危機管理は万全であります。(発言する者あり)

棚橋委員長 お願いします。お静かに。

宮本委員 反省の声も何もないんですけれども、この時間帯は地元で何をやられていたんですか。

小泉国務大臣 宮本議員から御指摘があったとおりでして、この第十回ウイルス感染症対策本部、これにおいて、一回目から十回目までのうち九回目まで私が出席をして、今回のこの十回の会議については政務官に代理出席をお願いをしたところであります。

 これは、日ごろから、大臣、副大臣、政務官、そういった中での役割分担というのは非常に重要なことだと考えていますし……(発言する者あり)

棚橋委員長 済みませんが、ちょっと御静粛にお願いします。

小泉国務大臣 危機管理には万全を期すというのは当然のことです。そして、政府としての危機管理上踏まえるべきルールにのっとった対応をしていますので、危機管理上万全の対応をしております。(発言する者あり)

棚橋委員長 宮本徹君、もう一度聞いてください。

宮本委員 もう一度だけお伺いしますが、その時間帯、何をされていたんでしょうかということを小泉大臣にお伺いしております。(発言する者あり)

棚橋委員長 環境大臣小泉進次郎君。

 なお、与野党の皆様にお願いします。どうか、お静かなところでお願いいたします。

小泉国務大臣 今、宮本先生がおっしゃるとおりと申し上げたとおりでありますし、今回、この十回目の会議の際は環境大臣政務官の八木政務官に代理出席をお願いをしたというところであります。

 そして、この政府としての危機管理上の踏まえるべきルールにのっとった対応というのは、緊急事態発生時における政府の対応に係る取決めでありまして……(発言する者あり)

棚橋委員長 頼むから、静かにしてください。

小泉国務大臣 大臣が東京を離れる場合には、あらかじめ副大臣又は大臣政務官が代理で対応できるように、各省庁等において調整しておくと定められています。

 日ごろから、この危機管理は万全にということで対応しておりますので、今回の対策の指示を省内でも行っておりますので、危機管理は万全に行っております。

宮本委員 おっしゃるとおりというのは、新年会に出られていたということでよろしいわけですね。

小泉国務大臣 先ほどから私は同じようにお答えをしているわけで、先生がおっしゃるとおりで、十回目の会議については八木政務官に代理対応をお願いをしている。

 そして、日ごろから、大臣、副大臣、政務官、こういった中での役割分担、こういったことは常に大切なことだと思っていますので、私は、こういった会議の事前事後につきましてもしっかりと情報共有をしております。危機管理上踏まえるべき政府のルール、これにのっとって対応させていただいております。(発言する者あり)

棚橋委員長 まず、お願いいたします。御静粛にお願いします。

宮本委員 何度聞いても同じペーパーしか読まれず、おっしゃるとおりと、私が言っているとおりということで、後援会の新年会行事に参加していた、イエスかノーかそれだけ、参加していたということでよろしいわけですね。

小泉国務大臣 私、先ほどから答弁は変わっておりませんで、宮本先生のおっしゃるとおりで、第十回のこの会議において、一回目から九回目まで私は出席をしておりますが、十回目の会合において、八木環境大臣政務官に代理としての対応をお任せをしたというところであります。

 そして……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に。

小泉国務大臣 この政府の対策本部において、私は本部員です。そして、環境省内における対策本部については、私は本部長です。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

小泉国務大臣 こういった中で、環境省として必要な対策についてしっかり指示を行っておりますし、危機管理には万全を期しております。

宮本委員 はっきり答えていただければいいんですが、おっしゃるとおりの後いろいろ言うと、私の発言のどこがおっしゃるとおりなのかというのがだんだんだんだん曖昧になっていくように聞こえていくわけですよね。

 私の次のバッターもいますので……(発言する者あり)続けろと言われても、我が会派も質問時間が長いわけじゃないですので、これでやめざるを得ないわけですけれども、厚労省の職員なんかは本当に寝ずに頑張っているんですよ。政府を挙げて一生懸命やっているんですよ。そういうときに、対策本部のメンバーが会議に出ずに、地元で新年会で一杯やっていた、こういうことになったら、これは政府全体の士気にかかわるじゃないですか。

 そのことを厳しく指摘させていただきまして、私の質問を終わります。

棚橋委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 鹿児島県の種子島に隣接する馬毛島の買収問題について質問します。

 政府は、米軍空母艦載機の地上離着陸訓練、FCLPの候補地として、西之表市の馬毛島を買収するとして地権者と契約を進めています。

 私は、昨年の予算委員会分科会で、地元の意向に反し、違法開発のいわくつきの土地を米軍の訓練施設をつくるために買収するなど許されないと指摘しました。その後の臨時国会で質問主意書も提出し、数々の問題点をただしてまいりました。

 にもかかわらず、昨年十二月二日の記者会見で菅官房長官は、地権者のタストン・エアポート社との間で馬毛島を約百六十億円で買収することで合意したと発表しました。

 官房長官にお伺いします。何のために島を買うんですか。この島で何をしようとするんですか。政府が合意したという土地買収契約の内容を明らかにしてください。

河野国務大臣 馬毛島の取得につきましては、我が国の南西地域を守るための拠点として自衛隊施設を整備する、その施設を米軍の空母艦載機の着陸訓練を行う施設として活用すること、この二つの大きな意義がございます。

 これまで、与那国、宮古島及び奄美大島に警備部隊等の配備を行ってきましたが、島嶼部において陸海空自衛隊の統合訓練を行い得る拠点、整備、補給等の後方支援を行い得る拠点は限定的でございます。このような観点から、馬毛島に自衛隊の訓練拠点、緊急時の活動拠点を整備することは、我が国の防衛上、極めて重要な課題です。

 また、米軍の空母艦載機の着陸訓練の施設の確保は、日米同盟を維持強化する上で不可欠な取組になっています。

 現在、米空母は年間を通じてアジア太平洋地域で恒常的に活動を行っています。この米空母のプレゼンスは、不透明さを増すこの地域を安定させる上で極めて重要な抑止力、対処力となっていますが、訓練施設がなければ、米空母は訓練実施のために本国に戻らなければなりません。

 現在、訓練を実施している硫黄島は、艦載機の基地の岩国から約千四百キロと遠く、近くに飛行場もないため、トラブルがあった場合の安全性に大きな懸念がございます。また、硫黄島の天候不良時には人口密集地である厚木飛行場でFCLPが行われた例もあり、平成二十四年の実施時には約四千八百件の苦情が寄せられるなど、地域の方々の大きな負担にもなっています。

 このように、米軍の空母艦載機着陸訓練の施設の確保は安全保障上の重要課題であり、この訓練の移転により、関係する地域の方々の負担軽減や米軍人の安全確保のためにも、馬毛島取得は大きな意義があるものと考えております。

田村(貴)委員 馬毛島にFCLP基地をつくっても、厚木の訓練がなくなるとは言えないんですよね。厚木においても、岩国においても、耐えがたい騒音被害を与えてきているわけですよ。馬毛島から十二キロ離れた種子島においてもこれは同じことであって、更に訓練の場をふやすようなことは絶対あってはならないと思うわけであります。

 百六十億円の買収費用について伺います。

 既に買収がされています。おかしなことに、今年度、二〇一九年度の予算には計上されていません。先日可決した補正予算にもありませんでした。今審議している二〇二〇年度予算にも、この予算は計上されていません。

 これはどういうことですか。説明してください。

河野国務大臣 馬毛島の土地の購入等に係る経費につきましては、令和元年度予算に計上していないことから、財政法に基づく予算の流用により必要な財源を手当てしたところでございます。

田村(貴)委員 流用したんですね。

 詳しい説明は、私が資料を配っています。資料の1です。馬毛島買収、百六十億円の原資となっている事業に関する防衛省説明資料、ここに何と書いてあるか。米軍普天間飛行場の辺野古移設経費を回してつくるというふうに書いています。つくるのは自衛隊基地でしょう。辺野古の移設費用でつくるというのは、まさに驚きであります。

 こういう日本の自衛隊基地をつくるのに、なぜ米軍普天間基地の移設費用を使うんですか。この流用はおかしいんじゃないですか。流用を担当したのは財務大臣です。麻生大臣、いかがですか。

河野国務大臣 恒久的なFCLP施設の確保は安全保障上の重要課題であり、訓練の移転により地元の負担を軽減するためにも喫緊に解決すべき課題として日米間で特定され、これまで馬毛島の取得に取り組んできているという経緯があることから、米軍再編関係経費において財源を確保したものでございます。

麻生国務大臣 今般の馬毛島の土地の取得の話ですけれども、防衛省と土地所有者との間で話がついたということで伺っておりますので、一定の合意が得られたということによって生じました追加的な財政需要については、これは防衛大臣から話がありましたように、財政法に基づいて、国会で議決をいただいた項、項ってわかりますよね、項の範囲内で他の目から流用することにより対応するものであり、適正なものだと思っております。

田村(貴)委員 目間の流用なんですね。その目間の流用の中身がおかしいと言っているわけですよ。

 防衛省は地元の西之表市などに説明に回っていますけれども、それがこの説明資料です。

 御説明資料、防衛省、馬毛島における自衛隊施設の整備についてと書いているじゃないですか。ページをあけると、馬毛島における自衛隊施設の整備について、次のページは、馬毛島に自衛隊施設を整備する必要性、こう書いているんですよ。

 自衛隊の施設をつくることが目的となっているのに、なぜ米軍普天間基地の移設事業費を目間流用でやるのか。これはおかしいじゃないですか。

 既に買収が進んで、防衛省の国有財産台帳には明記されています。何と明記されているか。自衛隊馬毛島基地、仮称。自衛隊基地じゃないですか。費目が全く違うんですよ。こういう流用は認められません。

 百六十億円もの巨額な税金投入に当たって、予算計上もしない、国会にも諮らない、そして強引な流用で賄うことは、これはでたらめな財政支出と言わなければなりません。

 防衛省に伺いますけれども、新しい基地をつくるために、土地取得費用を、土地買収費用を予算の流用で賄った例はありますか。

河野国務大臣 平成二十一年度から平成三十年度において、新たな自衛隊の駐屯地、基地の整備のために移用、流用を行った例はございません。

 平成二十八年度に、山口県の岩国市において、目黒に所在する防衛装備庁の艦艇装備研究所の海洋環境試験評価のためのサテライト施設の用地として、約三ヘクタールの不動産購入費として四億四千二百万円を流用した例がございます。

田村(貴)委員 新しい基地をつくるために土地取得費用、買収費用を流用した例はないということなんですよ。前代未聞のやり方をやっているんですよ。

 桜を見る会の問題は、予算の三倍を支出していたという財政民主主義の問題が問われているんですよ。今度の場合は、予算そのものが計上されていないんですよ。憲法八十三条には何と書いてあるか。「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」こう定められているではありませんか。この流用は、財政民主主義の原則に違反するやり方と言わなければなりません。

 調べてみたら、流用は、その前年、二〇一八年度にも行われています。馬毛島基地のために、これも普天間飛行場移設事業費を流用しています。その流用額は幾らですか。そして、この事業、どんな事業に使ったんですか。

河野国務大臣 通告ございませんので、今、手持ちに資料がございません。

田村(貴)委員 通告していますよ。わからないんですか。レクでも言っているでしょう、通告、レクで。ちゃんと言ってくださいよ。わかるでしょう、資料あるんだから。

棚橋委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 では、速記を起こしてください。

 防衛省地方協力局長中村吉利君。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 流用に関しましては、気象調査等各種の調査などを行うために約三十四億六千七百万円を流用しているところでございます。

田村(貴)委員 今、三十五億と言われたんですかね。三十四億と言われたんですか。

 では、その三十四億六千六百九十七万円ですか、それを何に使ったんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました三十四億六千七百万円のうち、主なものは設計、あとは各種の調査ということでございます。

田村(貴)委員 ちゃんと答えてくださいよ。設計に幾ら使ったんですか。調査に幾ら使ったんですか。そこを読んだらいいんですよ。ちゃんと答えてください。(発言する者あり)

棚橋委員長 防衛省地方協力局長中村吉利君。

 なお、御静粛にお願いいたします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 設計といたしまして三十一億三千四百万円、気象の調査といたしまして八千二百万円、土質の調査といたしまして三億一千九百万円ということになってございます。

田村(貴)委員 その設計費用が三十一億円。ほかの費用も足して三十五億円になったと私は伺っています。この設計だけに三十五億円かける、その額も驚きなんですけれども、売買契約も交わされていないこの時期に、設計費用が流用で組まれて、そして委託されていた。そして、この基本設計については、地元の説明では何にも説明されていないんですよ。地元自治体はびっくりしていました。

 これがまかり通るならば、政府予算というのは、国会の審議も議決も経ずに、流用で何でもできることになるじゃないですか。こうした財政支出は断じて認められません。

 政府は、昨年十二月十九日の時点で、馬毛島の六三%の土地を既に地権者から取得したと発表しています。百六十億円の土地買収はどういう進行状況なんですか。これまでに取得した土地の所在、面積、価格について明らかにしてください。

河野国務大臣 昨年十二月二十日時点で、馬毛島全体の六三%の土地を取得しております。

 日々、さまざまな進捗がございますが、その後の逐一については、今後の円滑な取得に影響を与える可能性があるため、お答えを差し控えます。

田村(貴)委員 おかしいでしょう。取得したんだったら、移転登記して、法務局に行ったら誰でも見ることができるんですよ。既に取得した土地がどこなのか、幾らで買ったのかも答えられない。ここに馬毛島取得に当たっての数々の疑惑が隠されているんです。

 地権者のタストン社は、これまで仮差押えを受けたり、破産を申し立てられたりしています。昨年三月、参議院予算委員会で、当時の岩屋防衛大臣はこのように答弁しています。土地を取得する際には、所有者との契約において、その土地の上に所有権以外の権利が設定されているときは、あらかじめこれを消滅させた上で取得することとしている、このように述べたわけであります。

 防衛大臣に伺いますよ。そもそも抵当権だらけのこの馬毛島の土地をどうやって取得できるんですか。従来の政府答弁に照らして、これはおかしいじゃないですか。

河野国務大臣 馬毛島の土地の取得に向けた手続につきましては、今なお継続しており、その手続に影響を及ぼす可能性があるため、具体的な合意内容や手続については、お答えを差し控えます。

田村(貴)委員 怪しいですね。

 つまり、こういうことじゃないんですか。抵当権のついていないところをまず防衛省が先行取得する、タストン社はその金で債権者に債務を返済して抵当権を抹消する、その土地をまた防衛省が買ってやる、またタストン社はそうやって抹消していく、そうやって全部買っていくという手法じゃないんですか。

 国費をもって借金の肩がわりをして抵当権を外してやっている、こんなことしていいんですか。そこまでして米空母艦載機の訓練施設を提供するというんですか。異常じゃないですか。

 取得費用は、なぜ百六十億円なんですか。二〇一七年三月に示された不動産鑑定評価では四十五億円とされていますよ。多くの報道で、もうこれは全国的に発信されています。地元の人もみんな四十五億円だと理解していますよ。余りにも百六十億円と乖離があるじゃないですか。

 私は、不動産鑑定評価額の四十五億円でもこれは高いと考えています。例えば、農水省が馬毛島に所有していた土地を払い下げたときの価格は平米当たり九十六円です。馬毛島の面積で換算したら七億八千万円程度なんですよ。

 大臣、この際、百六十億円の積算根拠を示してもらえぬですか。あわせて、不動産鑑定評価額を示してください。そうじゃないと予算の執行の審議ができないんですよ。

河野国務大臣 馬毛島の取得につきましては、馬毛島の土地の大半を所有する者との間で昨年に一定の合意に達し、その後、取得に向けた手続が継続しております。売買額の根拠や不動産鑑定評価額について現時点で明らかにすることは、今後の円滑な取得に影響を与える可能性があるため、現時点ではお答えを差し控えます。手続の進捗状況、所有権の移転状況を踏まえて、適切な段階で御説明をしたいと考えております。

田村(貴)委員 こんな異常な国有財産の取得、公有財産の取得、聞いたことがありませんよ。不動産鑑定評価額も示さない、そして積算根拠も示さない。

 タストン社の社長は、かつて、雑誌のインタビューでこういうふうに述べていました。これまでにかけた費用は百五十億円を超えます、これまで島に投資してきた金額に見合った条件を提示してほしいと言っているんですよ。

 タストン社の言い値で買っているんじゃないんですか。百六十億円の取得額というのは、造成費用を上乗せしているんじゃないですか。大臣、いかがなんですか。

河野国務大臣 取得に向けた手続が現在も継続しておりますので、百六十億円の根拠その他について現時点で明らかにすることは、今後の円滑な取得に影響を与える可能性があるため、現時点ではお答えを差し控えますが、手続の進捗状況、所有権の移転状況を踏まえて、適切な段階で御説明したいと考えております。

田村(貴)委員 今説明してくれないですか。審議できないじゃないですか。

 造成費用が上乗せされているとしか考えられないんですよ。その造成費用は、違法に開発されてきたという大問題があるわけです。

 森林法では、林地開発許可制度があり、民有地においては、一ヘクタールを超えて土地の形質を変更する行為、例えば、伐採し、木を根っこごと抜く抜根などは、市町村への伐採届ではなくて都道府県知事の許可が必要なんです。

 資料にもお配りしています。まず、左の図なんですけれども、馬毛島における伐採届状況です。そして、航空写真とを見比べたものなんですけれども、左の図のグレーの色のところが鹿児島県知事が林地開発を許可した場所なんですね。ほかの色のところ、黄色とか青とか赤、こうしたところは伐採届のみなんです。ここでは抜根してはいけないんです。林地として残っていなければいけないんです。しかし、右側の写真を見れば、巨大な十字架状の地面があらわになっているのが一目瞭然で読み取れます。林地がありません。無許可の開発は明らかなんですよ。事実、タストン・エアポート社は、鹿児島県の聴聞会で、法が禁じている抜根を認めています。

 江藤農林水産大臣にお越しいただいています。

 鹿児島県は、許可を超える開発がされているおそれがあるとして、立入調査を地権者に申し入れています。それは知っていますか。農林水産省は馬毛島における森林法違反の開発行為について確認を行っていますか。端的に教えてください。

江藤国務大臣 森林法第十条の二の規定については、先生がおっしゃったところでありますから、もう省きます。

 鹿児島県からは、馬毛島の民有林について、平成十二年から平成二十二年にかけて知事名で林地開発許可を行い、その後、森林法に違反した疑いがあったため鹿児島県が平成二十四年に調査をしたということでありますが、そのような行為を行った事実は確認されていないと鹿児島県の方から聞いております。

 そして、承知しているのかということについてでありますが、立入調査の実施につきましては、鹿児島県と防衛省の事務レベルで協議、検討が行われているというふうに承知をいたしております。

田村(貴)委員 鹿児島県は、もう議会の答弁で、違法開発のおそれがあると言っているんですよ。

 それから、国の公害等調整委員会も、許可申請及び許可の範囲を超える開発、伐採をしていたものと推認されると。国の機関が、違法開発が推認されるともう断定しているんですよ。だから、ちゃんと答えてください。

 江藤大臣、もう一つ聞きます。森林法に違反する開発があった場合、森林法ではどのような定めになっていますか。これは罰則について教えてください。法の説明です。

江藤国務大臣 森林法第十条の三の規定では、都道府県知事は、森林法に違反をして民有林の開発を行った者に対しましては、中止命令又は復旧命令を課すことができることとなってございます。

 また、森林法の第二百六条の規定では、森林法に違反して民有林の開発を行った者や中止命令又は復旧命令に違反した者に対しましては、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処すこととなっております。

田村(貴)委員 無許可の開発、復旧命令違反には懲役それから罰金も科せられる。犯罪なんですよ。

 防衛大臣、そういう土地を、今、国有財産として防衛省は取得しようとしているんです。既に取得しているんですよ。違法開発の造成地はそのまま放置するつもりなんですか。答えてください。

河野国務大臣 タストン・エアポート社による開発行為等に対する森林法違反の有無は、処分権者である鹿児島県又は西之表市が事実確認の上で認定するものであり、防衛省において把握している限りでは、これまで、森林法に違反していることを理由として何らかの処分が行われたとは承知しておりません。

田村(貴)委員 森林法に違反していることを理由として何らかの処分が行われていることは承知していない。新たな御飯論法の変化形ですか。森林法に違反しているかもわからないけれども、何らかの処分が行われたとは承知していない。森林法に違反しているという認識はあるんでしょう。あるはずですよ。だって、ちゃんと許可の範囲が書かれているわけですよ、林地開発許可、ここの明記があっているわけですよ。

 防衛省、知らなかったとは言わせませんよ。これは違法開発ですよ。この違法開発について、そのまま取得して何にもしないということなんですか。それは許されませんよ。そういうつもりなんですね。変わらないんですね。そのままやるんですね。自衛隊をつくって、そして自然破壊のままで、そしてFCLPの訓練基地として米軍に提供する、原状復帰しない、そういうことなんですね。違ったらお答えください。そういうことなんですね。わかりました。いいです。そういうことなんですよ。

 ひどいじゃないですか。手法もひどいけれども、やはり政府として違法開発をずっと認める、違法開発した土地を取得するというのは、もうこれは絶対許されない話であります。

 時間が押し迫ってきたんですけれども、官房長官、十二月二十日の記者会見で、米空母艦載機の着陸訓練施設の確保に当たっては地元の理解と協力が極めて大事というふうに記者会見でおっしゃいました。

 資料三、資料四、あわせて説明します。西之表市は、自然を生かした活用を提案しています。西之表市では、青少年の自立心、協調心、自然・文化愛護心を養うことを目的に、小学校五、六年生を対象とした馬毛島体験活動を実施しています。

 資料の四、西之表市の八板俊輔市長の思い、「〜未来へ、選択の覚悟〜」、これは市のホームページに掲載されています。ここで市長はどのようにおっしゃっているか。「FCLPは騒音被害や自然環境への悪影響の懸念から、米国本土でも、遠隔地訓練場の建設に反対運動が起きています。 私は、市長選でFCLP施設反対を唱えて当選しました。馬毛島にふさわしい利用法をFCLP以外に追求する考えは、一切変わっていません。」

 官房長官、市長のこの態度は明確であり、この言葉は非常に重いものがあるんじゃないですか。

 長官が、地元の理解と協力が極めて大事と言われるのであれば、この自衛隊基地とFCLPを強行することはできないじゃないですか。それとも、無視して強行するんですか。どうなんですか。

菅国務大臣 いずれにしろ、引き続き、防衛省において丁寧な対応にしっかり努めていく、そういう中で、地元の皆さんの御理解を得るべく対応していきたい、こういうふうに思います。

田村(貴)委員 官房長官、百六十億円の馬毛島買収をめぐって、新聞報道にこんなのがあります。菅義偉官房長官を中心とする首相官邸が全面譲歩を防衛省に指示、国の用地買収としては異例の譲歩、官邸幹部、を重ねたプロセスだった、こういうふうに取材をして報道されているわけであります。

 地権者に対する全面譲歩を防衛省に指示したんですか。そのような指示をしたんですか。

菅国務大臣 馬毛島の取得については政府全体で取り組むべき重要な課題であり、その進捗について節目節目には報告を受けておりました。

 他方、具体的な取得の事務は、これを担当している防衛省の判断で行っております。

棚橋委員長 田村貴昭君、恐縮ですが、申合せの……。

田村(貴)委員 はい、わかりました。

 しかし、官房長官、防衛大臣、現に政府が今やっていることは、離島の島民の願いよりも、アメリカの要求を優先させているにほかなりません。基地建設強行は、地元自治体、住民の夢と希望を押し潰すものであります。戦闘機が飛び交い、耐えがたい騒音被害、危険を仕向けることになるわけですよ。

 国民の税金で違法に開発された土地を買い、地権者の借金を国費で肩がわりしてやる疑惑がある。しかも、その取得費は、予算措置もせずに、国会にも諮らず、流用で賄う。財政のルールを無視したやり方であります。

 即刻交渉を打ち切り、売買契約を撤回すべきであります。そのことを強く求めて、質問を終わります。

棚橋委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十九分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

    ―――――――――――――

   派遣委員の福島県における意見聴取に関する記録

一、期日

   令和二年二月十四日(金)

二、場所

   郡山ビューホテルアネックス

三、意見を聴取した問題

   令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 棚橋 泰文君

       秋本 真利君   井野 俊郎君

       小野寺五典君   神山 佐市君

       根本  匠君   平沢 勝栄君

       山際大志郎君   渡辺 博道君

       今井 雅人君   大串 博志君

       玄葉光一郎君   後藤 祐一君

       伊藤  渉君   高橋千鶴子君

 (2) 意見陳述者

    福島県商工会議所連合会会長          渡邊 博美君

    一般社団法人Bridge for Fukushima代表理事    伴場 賢一君

    郡山市長        品川 萬里君

    福島大学名誉教授    鈴木  浩君

 (3) その他の出席者

    予算委員会専門員    鈴木 宏幸君

    財務省主計局主計官   佐藤  大君

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

棚橋座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の棚橋泰文でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 皆様御承知のとおり、当委員会では、令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算の審査を行っているところでございます。

 本日は、三案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、当郡山市におきましてこのような会議を催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、この会議の運営について御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長である私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願い申し上げます。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党・無所属の会の山際大志郎君、井野俊郎君、秋本真利君、小野寺五典君、神山佐市君、根本匠君、平沢勝栄君、渡辺博道君、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの大串博志君、今井雅人君、玄葉光一郎君、後藤祐一君、公明党の伊藤渉君、日本共産党の高橋千鶴子君、以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 福島県商工会議所連合会会長渡邊博美君、一般社団法人Bridge for Fukushima代表理事伴場賢一君、郡山市長品川萬里君、福島大学名誉教授鈴木浩君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず渡邊博美君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

渡邊博美君 福島県商工会議所連合会会長の渡邊でございます。

 本日は、衆議院予算委員会の地方公聴会で意見陳述をさせていただく貴重な機会を設けていただき、まことにありがとうございます。

 東日本大震災と原発事故から九年が経過しようとしておりますが、この間、国におかれましては、特定復興再生拠点区域の整備を始めとする帰還環境の整備や相馬福島道路の早期整備、福島イノベーション・コースト構想などの国家プロジェクトの推進など、本県の復興に向けて大変な御尽力をいただいておりますことに心より御礼を申し上げます。

 また、昨年末には、復興庁の設置期限の十年延長や震災復興特別会計の継続などを盛り込んだ復興基本方針を閣議決定いただくなど、復興の途上にある本県に寄り添った御対応をいただいておりますことに重ねて御礼を申し上げます。

 国を始めとする皆様方からの御支援により、本県は着実に復興に向けて歩みを進めておりますが、甚大な被害をもたらした昨年十月の台風の影響などもあり、復興に向けて解決しなければならない課題が多く存在するのもまた事実であります。

 私からは、産業振興の観点から四点について御意見を申し上げたいと存じます。

 まず、台風十九号からの復旧復興についてでございます。

 十月に本県を襲った台風十九号、それに続く十月二十五日の大雨は各地に甚大な被害を及ぼし、県内の被災事業者は二千五百四十二事業者、被害総額は八百七十一億円にも上ります。

 グループ補助金につきましては、東日本大震災からの復興の途上にある本県と宮城県の事業者に対して特例として五億円の定額補助を設けていただくなど、手厚く支援をいただいておりますことに改めて感謝を申し上げます。

 現在、三次公募が行われておりますが、被害の大きさからまだまだこの申請はふえることが想定されますので、予算の確保などにつきましては引き続き御支援を賜りますようお願いいたします。

 また、郡山市の郡山中央工業団地においては百三十七社もの企業が被災し、いわき市においても多くの大企業、みなし大企業などが被害を受けております。

 とりわけ、郡山市においては、昨年十二月に、半世紀近くにわたって郡山中央工業団地で情報通信機器などの製造を行ってきた日立製作所郡山事業所が、台風十九号による被害を受け、事業の大半を県外に移転するという発表がございました。地元からは、事業者の移転、生産縮小が連鎖して起こる事態を危惧する声が出ております。

 つきましては、東日本大震災から産業振興を進めている本県産業への影響、大企業の県内工場などの撤退への懸念、地域雇用の確実な確保の観点から、被災した大企業及びみなし大企業に対しても支援をいただきますようお願いしたいと思います。

 あわせて、近年、異常気象による豪雨被害が多発している現状を踏まえ、防災や減災に向け、阿武隈川とかその他の河川の強靱化についても積極的に取り組んでいただきますようお願い申し上げます。

 続きまして、インフラ整備の促進による産業振興についてでございます。

 冒頭で申し上げましたが、国におかれましては、福島イノベーション・コースト構想などの国家プロジェクトを強力に推進いただいており、春には構想の中核をなす福島ロボットテストフィールドが全面開所となります。また、浪江町に整備の進む世界最大規模の水素製造拠点、福島水素エネルギー研究フィールドも、三月の七日の開所が予定され、東京オリパラの聖火台や聖火トーチなどへの水素供給に向けて試験的運用が始まります。

 国におかれましては、引き続き、構想を着実に推進いただくとともに、構想への県内企業の参入、拠点施設の活用につきまして御支援を賜りますようお願い申し上げます。

 また、復興支援道路、相馬福島道路につきましては、昨年十二月に常磐自動車道に接続し、二〇二〇年度中の全線開通が予定されております。昨年十月の台風十九号等の影響により国道百十五号はいまだ通行どめが続いているため、相馬福島道路は、まさに相双地域の命の道路として大きな役割を果たしております。

 建設に御尽力をいただいております国に対しまして、心より感謝申し上げますとともに、引き続き建設を促進いただきますようお願い申し上げます。

 我々といたしましても、この道路を最大限に生かし、南東北地域と広域的に連携しながら交流人口拡大や産業振興につなげてまいりたいと思っております。

 続きまして、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックについてでございます。

 東京オリパラの開幕まで五カ月余りとなりました。東京オリパラは理念として復興五輪を掲げていただいており、三月二十六日から始まる聖火リレーは、原発事故収束の拠点となりました本県浜通りにあるJヴィレッジが全体のスタート地点となります。また、開会式に先立つ七月二十二、二十三日には福島市において全競技の先陣を切ってソフトボールが開催され、二十九日には野球の開幕戦となる日本戦も開催されますので、訪れる方々を万全の体制でお迎えし、おもてなしをするとともに、福島の復興の発信に努めてまいります。

 当連合会といたしましては、東北の代表的な祭りが集う東北絆まつりパレードの開会式等への参加に向けた要望活動を行っておりますので、国におかれましても御支援のほどをお願い申し上げます。

 最後に、原子力災害からの復興についてでございます。

 本県では、全県を通して、原発事故による風評被害の影響を訴える声がいまだ非常に根強く、特に農林水産業や観光業などを中心に被害が続いております。とりわけ、海外における風評被害については、原発事故前に主要輸出先だった香港や台湾を始めとする二十の国と地域でいまだ輸入規制が続いており、風評被害の根強さを感じております。

 また、福島第一原発でふえ続けるトリチウムを含む処理水の問題につきましては、さらなる風評につながりかねない、地元では大変センシティブな問題であると考えております。

 この風評被害の払拭に向けては、我々も継続的に活動を行ってまいりますが、地元だけでは解決するには難しい問題でもあります。国におかれましては、これまでも輸入規制緩和等に向けて御尽力いただいておりますが、引き続き、なお一層の御支援を賜りますようお願い申し上げます。

 さらに、原子力損害賠償については、原発事故から十年が経過すれば損害賠償請求権が時効となることから、東京電力に対し、消滅時効が成立する十年経過後も時効を援用せず、損害賠償請求対応をするよう御指導いただきますようお願い申し上げます。

 以上、四点につきまして意見を述べさせていただきました。

 結びといたしまして、本県では三月に、双葉町、大熊町、富岡町において、震災と原発事故から九年もの年月を経過して初めて、帰還困難区域で避難指示の先行解除が予定されております。しかし、これはあくまで一部地域にとどまっており、住民の帰還や除染、インフラ復旧など、課題は山積しております。本県の復興は道半ばでありますが、我々も懸命に取り組んでまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上で私の意見の陳述を終わります。ありがとうございました。

棚橋座長 ありがとうございました。

 次に、伴場賢一君にお願いいたします。

伴場賢一君 私、一般社団法人Bridge for Fukushimaで代表を務めさせていただいております伴場と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は、このような場で意見を述べさせていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。私は、NPOという立場から、福島県はこの十年間で東日本大震災とさきにありました台風十九号という甚大な被害を受ける震災を二つ経験したことから見えてきた、そして考えてきたということを三つのトピックで述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まずは、さきにありました台風十九号の被害について、また今後の対応策について、経験から意見をさせていただきたいと思います。

 私どもは、台風十九号の際には、福島県の北部の伊達市の梁川町というところのボランティアセンターの運営の方のサポートに入らせていただいておりました。

 伊達市に関しては、幸いに死者も行方不明者もなく、罹災件数は千五十九件、浸水した地域は以前も水害を経験した地域でした。

 今回直面した大きな点としては、ボランティアの必要性でした。具体的な例でいうと、働き手がいる世帯、三十代から四十代の方がいる世帯の中では、働き手の方の職場の友人であったりとか、その友人たちが来てすぐに対応してくれるんですね、畳を出したりとか泥かきをしたりとか。ただ、高齢者、六十五歳以上の方たちの御自宅だと、これが全くできない状況の中で一週間以上というケースが存在しました。その方たちまでに、ボランティアがあります、ボランティアの方たちがこんなことをできますということを周知をするためのまず時間がかかるということ、さらには、そのニーズに対してそれだけの数のボランティアの方たちを募集するということに物すごく労力がかかりました。

 私たちの経験からいうと、四LDKの一軒家を修繕するまでには大体二十五人から三十人ぐらいの延べのボランティアの数が必要だというふうに思っております。今回の罹災件数は千件でしたので、その中の二割がボランティアがフルで必要だとすると、三千人ぐらいのやはりボランティアの方が必要になってくるんですね。そこのマッチングということがなかなか地域内で回らないという現状があります。

 さらには、今回のような広域の災害になりますと、ボランティアの方たちが多く住んでいる東京から福島に来るまでに幾つもの選択肢があるんですね。多くの方は千葉に行きました。長野の方にも行かれました。福島の中でもいろいろな選択肢がありました。そうなってくると、一割ぐらいの方しか今回は梁川の方には来ることができなかったということを考えると、地域内でボランティアの数をそろえておくということがとても今後必要になってくる、防災の一つの対策になってくるのではないかというふうに考えます。

 やはり、コミュニティーというものが、前回の三十年前の震災のときは、コミュニティーの中でその作業というのが完結していたんだと思うんですね。ただ、この三十年の間に高齢化ということが起こり、またコミュニティーというものが変化してきた。そうなってくると、ボランティアの必要性というのはますます増してきたのではないかというふうに考えます。

 さらには、今後の災害においての備えとしても、ボランティアが一つの地域にあるだけではなくて、多数のところに存在し、震災若しくはそういったことが起こる前から緩やかな連携をとることによって、福島で起こったら郡山のボランティアが行く、若しくは宇都宮で起こったらそれを宇都宮に派遣する、若しくは、東日本と西日本の単位で、岡山で何かが起こったら福島の者がと、そういったようなネットワークというものを、これはNPOレベルなのか、若しくは違ったレベルで新しい仕組みをつくるということが必要なのではないかというふうに強く感じたところでございました。

 二つ目です。これは東日本大震災からの復興についての意見を述べさせていただきます。

 先ほど、渡邊さんからも十年の区切りというお話がありました。私どもにとっても、十年というのは非常に大きな意味合いを持つと思っています。東日本大震災からの十年という区切りは非常に大きな意味を持っています。NPOの立場からいっても、この十年というタイミングを逃すと、二十年目まで多分もう注目が集まらないのではないかという危機感がまず一つあること、さらに、報道されるチャンス、平等な報道をされるチャンスというのがやはりここの機会を逃すとかなりなくなってしまうのではないかという危機感を抱いています。

 いかにリアルな福島の復興を見てもらえるのか、そして、逆に、今まで受けた支援に対してどのようなメッセージを発するのか、感謝のメッセージを発するのか、その一つの最後の機会が十年目なのではないかというふうに考えています。

 ただ、福島の復興は、先生方御存じのとおり、かなり複雑な状況になっていると思います。

 十二市町村の中でも、大きく言うと四つのグループに分かれていて、いまだ、一部解除がようやく行われる大熊、双葉という町、さらには住民の六割が既に帰還している町、そこの中でもかなり大きな差があるんだと思います。そこの違いということを理解していただきながら、必要な支援を必要なタイミングで行っていただきたい、そういったメッセージを今回の十年目の機会に福島から発信したいというふうに思っています。

 それは、一つの言葉にすると、ユニファイドメッセージというものなんだと思っています。つまりは、各ステークホルダーごとに統一されたメッセージをつくって、それを復興のゴールだという認識のもとに発することだと思っています。

 このやり方に関しては、アメリカのニューオーリンズで起こった震災の際に使われた手法です。東日本大震災が起こる三年前に、ニューオーリンズの方では大きな水害があったんですけれども、その際に、やはり十年目の機会ということを非常にうまく使われていました。十年目の際にはユニファイドメッセージというのをつくったんですね。そのようなやり方ということが今回の震災においてもできるのではないかというふうに思っています。

 さらに、ぜひ、いろいろなステークホルダーの中で私たちも含めて考えたいなというふうに思っていることが、復興のゴールというのは一体どこなのかということです。

 福島の風評被害、いまだ首都圏の方は一二・五%の方が福島の生産物に対して購入をためらうという消費者庁の結果があります。これが何%になったら福島の復興は終わりと言えるのでしょう。若しくは、住民の方たち、帰ってきたいという人、帰還をしたいという方たちの何割が帰還すれば福島の復興は終わりと言えるのでしょう。

 最終的に目指していただきたい姿というのは、被災者の方たち若しくは被災地が復興が終わったと思える瞬間と予算がきれいに一緒に終わることなのではないかというふうに思います。それに向けて共通言語をつくるという機会は、この十年目というタイミングが一番適しているのではないかというふうに思うところであります。

 最後に、ここの部分が私たちの団体が今最も力を入れて活動をしているところなんですけれども、高校生の人材育成の事業について意見を述べさせていただきます。

 昨日、うれしいことに、私の母校である県立福島高校のニュースなんですけれども、三年連続で東京大学のAOに合格したというニュースがありました。東京大学に地方の県立高校で三年連続でAOで受かるというのは、かなり珍しい例だと思います。

 実は、その三名の東京大学の合格者は、スーパーサイエンス部という、文科省の指定を受けている部活動を行っている子たちでした。その合格をした生徒たちは物すごくやはり情熱的な先生方の薫陶を受けているわけなんですけれども、実はそのSS部の中に私どももかなりかかわらせていただいておりまして、今、福島高校の中では百匹近いウナギの養殖をしているんです。

 実は、ウナギの養殖というのは、水産庁の許可がないと、今、事業として行えない事業です。更に言うと、ウナギの養殖というのは結構予算がかかりまして、その予算の一部、若しくは公的な部署とのやりとりに関しては全て私どもの団体で行っているような仕組みになっています。つまりは、学校ができることと地域の団体ができることという役割の分担をして、高校生たちの探求の授業を行っているというような形になっています。

 これが、文科省若しくは現在の地方再生の予算の中でいうと、地域との協働による高等学校教育改革推進事業であったり、コミュニティースクール化という事業の中に入ってくるのではないかと思います。

 福島は、今回、震災という大きなイベントがありました。この中で最もやらなきゃいけないことは、やはり人を育てることなんだというふうに思います。そこの中で私たちが経験したことは、地域の一員である私たちのようなNPOと高校が真っ正面から向かい合うことによってさまざまな効果が出せるということでした。

 一つは、現在私たちは会津地方の高校に数件入っているんですけれども、ダム一つとっても、私たちからすると物すごく学びの場だと思うんですね。

 アメリカの教育の中で、STEAM教育というのがあります。サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マスマティックス。ダムの中には全てこの要素が入っているんですね。ただ、高校の先生方だと、この視点がなかなか持つことができない、若しくは、地域の課題を解決した経験がある先生方ではないです。そこに私たちのような地域課題を解決しているNPOが入ることによって、今までとは違う、地域に密着した授業ができるのではないかというふうに考えているところ。

 ただ、ここのところに関してはなかなか予算の措置がとられていないところがありますので、こちらに関しては御検討いただければ幸いと思います。

 ありがとうございました。

棚橋座長 ありがとうございました。

 次に、品川萬里君にお願いいたします。

品川萬里君 それでは、既にお手元にお届け申し上げているペーパーに基づいて、順次御説明をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、お礼を申し上げたく存じます。きょうごらんいただきました中央工業団地は、総理大臣、国交大臣そして経産大臣もお見えくださった地帯でございまして、予算委員会の諸先生方にもおいでいただいたこと、大変ありがたく存じます。ありがとうございました。

 きょうはパナソニックさんの工場も見ていただきましたが、ここまで回復できたのも、特に国交省東北整備局の皆様がたびたびおいでいただいて、現場を見ていただいて、そして予算を組み立てていただいたわけでございます。

 具体的に申し上げますと、福島県担当の河川国道事務所長さんは、台風の前も含めまして十三回郡山においでいただいて、私どもの話、現場を見て、そして民間の方々の話も聞いて、予算の原案をつくって本省に上げたと私ども理解しております。

 ぜひ、そうした、単に計算をして上げたものじゃなくて、まさに現場、三現主義でつくっていただいた予算でございますので、どうぞその旨御理解いただいて、これからも災害対策の予算については、今申し上げたように、本当に現場に足を運んで見ていただいたこと、その上で予算案を提出しているということを御理解いただいて御審議いただければ、そしてお認めいただければありがたく存ずる次第でございます。

 東北整備局長がわざわざ一市まで来てくださるということはめったにないことでございますが、今回は佐藤東北整備局長がわざわざ郡山までおいでいただいて、その上での予算案であるということを御理解いただければと存じます。

 その上で、よく御理解いただいておりますのは、阿武隈川というのはほかにない特徴があるということがございます。南から北に流れる川でございまして、福島県は十七の市町村にわたって流れております。

 十七の市町村、いわば阿武隈川流域人口は県人口の五四・七%でございますから、阿武隈川の被害というのはもう福島県全体に累が及ぶ河川でございますので、阿武隈川の治水ということは、十七市町村のみならず、福島県全体に影響が及ぶ河川、そして、そのための対策であるということを深く御理解いただいて、これから気候変動のもと、また同じ災害、台風が来ないとも限りませんので、その折には、福島県における阿武隈川の重要性、そして、その流域の重要性も十分御理解いただいて予算審議いただければありがたく存じます。

 次に、気候変動に対応した通年防災体制ということでございますが、今回、ここにも御報告申し上げましたように、総務省の対口支援というシステムがございまして、そして、罹災証明という作業があるんですが、そのために現場に赴いていただいた方々延べ六百名、そして、内部事務作業のためにも来ていただいた方が一千八百名ございます。

 これがなければ、今回、このようにして予算委員会の先生方をお迎えすることも難しかったかもしれません。こうした地方自治体同士の協力関係があって初めてこうしてお迎えすることができたわけでございますので、今後、この対口支援という仕組みが今までのとおりのやり方でいいのか、もっと法制上も確たるものにしていくことが必要かどうか、また御検討いただければありがたく存じます。

 この際、一番大事だったことは、罹災証明ということですね。これは、各自治体、お国の方針が示されておりますけれども、具体的になりますと、それぞれ市町村に差があるようでございます。しかし、対口支援というのが普通のことになりますと、市町村ごとに罹災証明のシステムが異なっては十分に応援体制も効果も発揮しませんので、できれば罹災証明についてシステム化を、標準化をしていただくとありがたいなと。この際、これが法的手続も要るのであれば、ぜひ積極的に立法過程において御理解と御支援をいただければありがたいということでございます。

 それから、三点目のサプライチェーンでございますが、先ほど渡邊さんからも申し上げましたけれども、実は、日本に限らず、どこもそうでしょうけれども、本当に生産過程というのは一企業でとまるものはありません。まさにサプライチェーンの上に各産業も成り立っているわけでございます。

 きょう工業団地でカルガモの話を工場の方が申し上げたと思いますが、親会社、子会社という言葉がありますけれども、まさに、今のサプライチェーンは親のカルガモが子のカルガモと一緒に歩いていると言っても過言ではない状況でございまして、除く親ガモ、それでグループ補助金をするというのは極めて現実的ではない。かつ、会社の名前としてはまさに一部上場の世界的大企業であっても、工場の中はさまざまでございます。ある生産ラインはいわゆる下請の協力会社が担当しているところがございますので、一律に、これは大企業の工場であるからグループ補助金の中でも除くというのは極めて現実的ではない。

 ぜひ、グループ補助金の適用範囲については、現場の実態をよく把握いただきまして、今後御議論いただければと存ずる次第でございます。

 それから、次が、ヘレン・ケラーさんも理解しやすい災害情報ということでございます。

 今回、視覚障害のある方、それから聴覚障害のある方、一人も大きな、例えば死亡事故に至るとか、そういうことがなくて済みました。改めてどういうふうにして連絡したのかということを確認させていただきましたのが、この流れ図のとおりでございます。

 既に、私どもの障がい福祉課もかかわりまして、視覚障害者の方は、福島県視覚障がい者生活支援センター、そこが各市町村の盲人協会の方に連絡をされて、それが電話等によって情報提供、安否確認する。これで、まさに誰一人取り残さない、SDGsの理念が見事に実行されました。

 そして、聴覚障害のある方も、これは市の障がい福祉課が中心になりまして、手話をスマートフォンで送りまして、そうすると、受けた方では耳が聞こえなくても、映像でメッセージを送ることができたということでございまして、あとファクスも利用させていただきましたが、これは恐らく全国的に絶対に必要な仕組みではないかと思われます。

 法的に支援しなければならない部分、あるいは財政的にサポートしなければならない部分がございましたら、それが国御当局から申請がありましたら、ぜひお認めいただきたいというものでございます。

 それから、最後の五点目、復興支援策、関係法律の体系でございますが、今回改めて、台風後の災害対策に当たって、やはり法律による行政が基本でございますから、キーワード検索で、水害、洪水、豪雨という言葉が出てくる法律を法令検索いたしました。ごらんいただいているとおり、水害という言葉が出てくる法律が四十八本、洪水が含まれる法律が二十六本、豪雨が含まれる法律が十一本でございました。

 今、災害対策は、国土地理院さんのつくられた等高線の入った地図なくして的確な災害対策はできません。これも、準天頂衛星とか情報システムがあってのことでございます。

 それから、先ほどスマホで手話を送ったということもございますが、今お国でDX法を推進ということでありますけれども、今後の対策も、デジタルシステムを使わない、情報システム抜きに災害対策はできません。まさにシャープの「いちはやく」のためには、ぜひ、デジタル、DX法の趣旨が各種災害対策にも生かせるかどうかということを立法府のお立場で見ていただいて、そして、政府、内閣提出の方でもよろしゅうございますし、あるいは議員立法でもよろしゅうございますので、どうか、いち早く国民が災害情報についてキャッチして、今は災害対策も行政サービスから行政サポートだということを国交省でもおっしゃっておりますので、自助、共助もやはり的確な情報があってのことでございますので、法律全体について、そうした観点から御検討いただければありがたい。

 大変、自治体の一首長としては差し出がましい、また出過ぎたお願いかもしれませんけれども、市民と県民の命と財産にかかわることでございますので、あえて申し上げさせていただきました。

 ありがとうございました。

棚橋座長 ありがとうございました。

 次に、鈴木浩君にお願いいたします。

鈴木浩君 このたび発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 私は、原発災害発生直後に、福島県の復興ビジョン、それから引き続いて浪江町の復興ビジョン、さらには双葉町の復興計画の策定にかかわってきました。現在は、住まいやまちづくりの専門家として、双葉町の特定復興再生拠点整備、このプロジェクトにかかわっています。困難をきわめていますけれども、その計画にかかわっています。

 それと、今現在は、私たちの研究仲間で福島長期復興政策研究会というのを昨年から立ち上げて、この活動をやっております。更に言うと、震災直後から、原発災害直後から、私たちの友人同士で、ふくしま復興支援フォーラムというのを今日まで、つい先日、第百六十三回のフォーラムを開催してまいりました。

 そういう経験を踏まえて、きょうは、皆さんにお配りした資料と全く同じテーマですけれども、まず最初に、復興期間がそろそろ丸九年になります、九年の段階で、今、原発災害からの復興はどうなっているのかという点、それから二つ目は、復興庁が発足してから国の復興事業が展開されています、この事業の展開の特質について、それから三つ目は、今後の展開方向、課題について、お話をさせていただきます。

 まず最初に、今申し上げましたように、ほぼ九年を経て、実は、福島第一原発の事故の収束、あるいは廃炉の見通し、これは、いろいろマスメディアを見ているとおわかりのように、現状では物すごい厳しい状況になっているわけであります。デブリの取り出し、使用済み核燃料の取り出し、汚染水の処理、排気筒の除却、これが工事がどんどんおくれている、なかなか見通しも立たないという中で、被災地は現場を見ているわけであります。

 それから、県内各地で除染による汚染土の仮置場から中間貯蔵施設への搬送が続いておりますが、まだまだ、搬送中、仮置場から取り出すことすらままならない地域が結構あります。中間貯蔵施設は、御承知のように、三十年後には県外に搬出することが法律で定められていますが、その見通しすら立っていません。当初は説明されていなかった汚染土の再利用実験が、県内各地で試みられようとしています。既に具体的な事業が示されている地域では不安を抱えているという状況が、今、目の前に展開されています。

 全国に広範に避難している被災者の生活が長期化する中で、生活再建や就業などの不安、戻る、戻らない、わからない、復興庁の調査ではこのカテゴリーのどれかに属するようになっていますが、実態は、一人一人が、戻る、戻らない、わからない、その間を揺れ動いているのです。想像していただくとわかるんですけれども、それをどちらのカテゴリーと決めてしまって、戻る人が何人、こういうことになってしまうんですね。ここのところはもうちょっとひだがわかるような調査にしないと、実態はわからない。たとえ避難指示が解除後であっても、生活利便性の整わない中での困難、それぞれ過酷な状況に被災者が置かれている、このことをぜひ御理解いただきたいということであります。

 関連死者数あるいは自死者数は、なお今日もふえ続けております。これが、岩手、宮城と福島の災害の大きな違いであります。

 避難者数が、公式には、県とか復興庁の発表では、二〇一九年七月現在四万二千七百六人となっております。しかし、市町村の集計結果を合わせてみますと、ほぼ同じ時期、避難者数は六万三千三百八十六人、地元メディアの発表によると六万六千六百五十一人になっています。二万人前後の違いが出てきます。なぜか。

 これはかなり明確なんですけれども、福島県の原発被災地は広域的な避難をしておりますので、災害公営住宅が自分の自治体の中につくられることはまずありません。ほかの市町村につくられます。そこの復興公営住宅に住む、あるいは、ほかの自治体に自分の住宅を確保する、その瞬間に、避難指示が解かれると、この人はもう避難者ではなくなります。もちろん、自主避難者は避難者にカウントされないのです。こういうところに避難の実態と統計上の食い違いが生じているということも理解しておかないといけない、こんなふうに思っています。

 私は、除染をする、放射線量が減る、それで避難指示を解除する、だから帰還ですよ、これを私たち地元の研究者の中では単線型シナリオという言い方をしています。実は、議員立法でつくられた子ども・被災者支援法が示すような、被災者がいろいろな選択ができるような、選択の幅を許容できるような復興の仕方、これを私たちは複線型復興と呼んでおりますけれども、そういうものをもうちょっと具体的に豊かにしていくということが必要ではないかというふうに思っています。

 原発災害の被災者に対する損害賠償は個人への賠償に限られています。しかし、国によるダム建設なんかの補償は、湖底に沈む集落の、全体としての集落としての伝統だとか文化、こういうものに対しても補償は行われています。原発被災者の人たちは、集落ごとの自分たちの文化、そういうものが失われてしまった、これに対しても、それを復興するために一定の支援、賠償をすべきではないか、これが裁判等で闘われているわけです。

 裁判を簡略化するために、ADRというシステムを用意しています。これについても、実は、東京電力はADRにおいて集団申立てを門前払いしております。集団的にそういう補償を求めている、そういう地域や住民が多いのですが、集団としての、地域コミュニティーとしての損害賠償が実現できないでいるということであります。

 ことし十月、国勢調査が開催されます。

 もちろん予想されることは、この被災地は、多分、人口は圧倒的に少ない。御承知のように、二〇一五年の国勢調査は、そのまま総務省の地方交付税交付金の根拠にするわけにいかなかったので、二〇一〇年の国勢調査を準用しています。

 さて、ことしの二〇二〇年の国勢調査の結果はほぼ予想されますけれども、まだ総務省の方から方針が出されていないので、被災自治体は非常に不安を抱えている。首長のヒアリングをすると、そういうことであります。

 さて、二番目の問題に移ります。

 これまでの、復興庁が発足して以来の国の復興事業でありますが、災害直後の福島県の復興ビジョン、市町村の復興ビジョン等では、原子力に依存しない持続可能な地域社会を目指すということを基本理念に掲げました。市町村では、全国どこに避難していても我が町の住民だから、彼らに寄り添う、あるいは、町外コミュニティー、自分の町以外のところにもコミュニティーだとか町外拠点をつくろうということをやってきたわけですけれども、そういう道筋を示していました。

 ただ、その後、復興事業が展開するに従って、ハード事業が中心になってしまって、自分の町から外に避難している人たちに寄り添う、支援するということがどういうことかということが見えなくなってきた。

 県の復興ビジョンの、持続可能な地域を目指す。正直に言うと、今のイノベーション・コースト構想が、それは一つの役割があるかもしれません。しかし、地域社会における持続可能な経済の仕組み、再生の仕組み、それはいまだに見えないでいるというのが実態ではないかと思っています。

 結果的に、今までの国の事業の中ではハードと除染に偏った復興事業になっている。ちなみに、財政等を調べてみますと、加速化交付金は、県は農業、農村関係に、それから、市町村では産業団地整備に集中してしまっております。そういうような、ある意味では、被災者の生活支援、地元の中小企業、農業の支援、そういうところに十分に行き渡らない復興事業になっているところを見直さないといけない、こんなふうに感じています。

 これも皆さん御承知のように、被災自治体の中では、介護保険料が全国で一番になっている自治体、十位以内に六つの自治体が介護保険料の高いところになっています。

 今は補助金によって抑えられていますけれども、昨年の十二月の基本方針では、不公平になるのでこれを是正します、見直しますということになっている。これがもし是正されるとなると、被災自治体では、介護保険料を払えないから、そこからほかのところに住民票を移さざるを得なくなっていく、こういう人たちも出てくると思います。改めて、国や県の広域調整、広域的観点からの政策が必要と思います。

 最後に申し上げます。

 広域的、長期的災害からの復興の目指すべき方向として、私は……

棚橋座長 鈴木陳述人、まことに申しわけございません。お時間の都合もありますので、簡潔にお願いできれば。

鈴木浩君 申しわけありません。

 先ほど伴場さんも言われましたけれども、この間、私たちは被災地の復興のゴールがなかなか見えない、私たちも、実際かかわっていてそう思います。私は、その基本的な復興は、多分、生活の質、コミュニティーの質、環境の質、欧米ではこれを全部生活の質にひっくるめているんですけれども、被災地ではこれを別々に、コミュニティーの質、環境の質、これを具体的な指標として取り組んでいく必要があるのではないかというふうに考えています。

 それから、再生可能エネルギーが注目されていますけれども、どうも今のところ、メガソーラーなんかがふえてきちゃっていて、県内の大玉村というところではメガソーラーを規制する条例までつくられました。それが地域の経済に十分寄与するかどうかという危惧からであります。

 最後になりますけれども、私は福島県のこれからの復興ビジョンを更に見直していく必要があると思いますけれども、国会におかれましては、災害の一年半後に国会の原発災害の事故調が報告を出しました。十年を経た段階で、次の国会の事故調査、こういうものをぜひ進めていただければありがたい、これが最後のお願いです。

 どうも済みませんでした。

棚橋座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

棚橋座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。秋本真利君。

秋本委員 自由民主党の秋本真利でございます。

 四人の意見陳述者の皆様、きょうは、大変お忙しい中だと思いますけれども、国会のために時間を割いていただきまして本当にありがとうございます。

 また、地元の根本匠先生が私の後ろに座っておりまして、大臣経験者でもありまして、日ごろから大変御指導をいただいているところでございますけれども、党の中で指名をされたものですから、私がきょうは質問に立たせていただいております。

 また、冒頭に、やはり皆様方にはお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 私も千葉県の選出の国会議員でありまして、うちの千葉県は十五号でえらい目に遭いまして、その際、実は、私の母が福島の新地町の出身で、もう亡くなったんですけれども、新地町の町長にすがるように電話をして、地元が困っているので水を何とか分けてもらえないかとお願いしたところ、すぐに水を送ってくださいました。改めてここで感謝を述べたいと思います。

 かわりに、十九号で、二十一号で新地町もえらい目に遭ったようでありますので、私の地元の市長に、十五号のお返しとしてすぐに同量以上の水を返してほしいということで送り返していただいたということがあの台風のときにありました。

 千葉県も、そして福島県も大変な思いをしたというふうに思いますけれども、しっかりと力を合わせて、復旧復興に向けて頑張ってまいりたいと私は思っているところでございます。

 まず、渡邊商工会議所の会長にお伺いをしたいのは、福島県内の経済であります。

 大震災の復旧復興のさなかという中で、またしても昨年、大変な台風に見舞われました。また、そこに消費税ということもありましたし、また直近ではコロナウイルスということで、大変な思いをされているのではないかなというふうに思います。

 また、意見陳述の中にありましたとおり、風評被害というものについてもいまだに大変な御苦労があるんだろうというふうに思いますし、そうした中、韓国の方で福島県をやゆするようなポスターが掲示されるなど、とんでもないことが起こりました。

 そうした中で、福島県内の商業者の皆様方、大変苦労しているというふうに思いますけれども、まずは、県内の率直な、これら、いろいろな大きな出来事があって大変な思いをしているという生の声を聞かせていただきたいのと、これをどういうふうにクリアしていこうというふうに皆さんは今思っていらっしゃるのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。

 もう一つ、水素の話が出ていましたよね。水素はきのう発表されて、三月七日から動かすよということになったわけですけれども、パワー・ツー・ガスですよね。

 パワー・ツー・ガスというのはいいんですけれども、ガスにするとやはりエネルギーの効率はかなり落ちてしまうので、実質的には県外に運び出して使うということにも向いていて、地元では、やはり電気は電気として使っていただくというのが効率的には一番いいんだろうとは思いますが、PツーG、せっかく福島でつくった再エネで特にやろうよということで、国も力を入れてこういった施設をつくったわけですけれども、これをぜひ地元でどういうふうに盛り上げていこうかというか、日本の中でまず最初に火をつけていかなきゃいけないと思うんですけれども、福島県を代表する商工会連合会の会長さんですから、県内、どういうふうなことを考えていらっしゃるのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。

渡邊博美君 今の御質問に対してお答えしたいと思います。

 一つは景気の問題ですけれども、間もなく九年間の中で、最初は本当にダメージが強くて、もう全ての分野で、もちろん生活もそうですけれども、経済活動も、どん底という言葉は使いたくないんですけれども、そのぐらいのダメージがございました。

 ただ、その後に、いろいろな業界によっては、例えば除染、あるいはいろいろな新しい産業とかそういうふうなもの、あるいは支援も含めて、かなり業界によってのばらつきがあるんですけれども、その牽引役が相当ありまして、いろいろな資金も県内に相当流れ、そして、建設業とかそういうところはいっとき非常に潤ったという形なんですけれども、ここに来て、それらの資金の流れとかもある程度以前ほどではなくなって、よくピークアウトといいますけれども、そういうことによって、今現在はやはり全体的に、地域的にばらつきはございますけれども、かなり厳しいというのが福島県の実態です。

 これは、ただ、震災があったからというのとはまた違う角度で、もしなかったとしても、地方は、例えば東北全体を見ますと、人口減少とか高齢化とか、いろいろな問題のそういう影響を受けておりますので、福島県の場合は、そこにダブルのそういう要素で今かなりの課題を抱えているということだと思います。

 ただ、数字的に見ますと、例えば農林水産業関係でいうと、果物とかそういうふうなものは震災前よりも今輸出がもう回復しております。ただ、その輸出先が、今までは香港、台湾あるいは中国だったものが、そこがほとんどゼロで、逆にマレーシアとかあるいはベトナムとか、そういうほかの販路を、これは県知事始め、非常に、福島はオール福島という形で、党派、あるいは民間とか行政、垣根を越えてこの危機を乗り越えよう、そういう一生懸命な運動が今効果を発揮して、数字的にはそういうようになっています。

 観光関係も震災前のレベルにほぼなった。会津地方で問題になっておりましたいわゆる修学旅行、教育旅行も、一時は半分ぐらいに減りましたけれども、今、八割から九割という形でかなり数字的には戻ってきているんですけれども、それでも全体的にはやはり厳しい。

 あと、消費税の関連は、なかなか業界によっても違うんですけれども、やはりポイントとかいろいろなキャッシュレスということは、中小企業にとっては、正直言って、今後、ポイントの終わった後とか、いろいろなときに出てくるのではないか、そういう懸念で、商工団体としましては、そうならないように、いろいろ、職員の質を上げて、そしてそういう指導をしていきたいと思っています。

 あと、もう一点の水素エネルギーにつきましては、本当に、自動車関係も、水素自動車といいますか、そういうトヨタの自動車なんかも見せていただいたりしているんですけれども、正直言って、やはり電気に、世界的な動きからいうと、その中で水素はどのぐらい、もちろん環境にいいとかわかるんですけれども、そのことに関してはまだ、はっきり申し上げまして、我々中小企業の団体のレベルではなかなかつかみかねる。

 今回のオリパラのときに、福島でつくった水素がいろいろな形で、バスでも使われる、あるいは聖火リレーにも使われる、そういうことをきっかけにして、いろいろな活用とかそういうものが広がれば、そして地元にそれが産業として根づけばいいなというふうに、今の段階ではそんな感じで思っております。

 以上でございます。

秋本委員 渡邊さん、どうもありがとうございます。率直な意見でしたので、しっかりと受けとめさせていただいて、我々の方でフォローできる部分についてはしっかりとフォローさせていただきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと郡山市長にお伺いをしたいと思いますが、隣の鈴木陳述人の意見の中に国勢調査の話がありましたね。学者さんの話あるいは商工業者の話というのではなくて、首長という立場から、市長会とかでもいろいろな意見を聞いていらっしゃるだろうというふうに思います。これは政治家として、首長として、この部分についてはどのように考えていらっしゃるのかということについてお伺いをしたいと思います。

品川萬里君 これはぜひ、当然やっていただかなきゃいかぬことでございますので、今はネットエントリーで回答も可能になりましたので、これをもっと広く知らせたらよろしいんじゃないかと思います。

秋本委員 続いて、そのまま品川さんにお伺いをしたいというふうに思いますけれども、郡山市はSDGsにかなり力を入れていらっしゃって、きょうも郡山の関係者の方はSDGsのバッジをみんなつけているんだろうなと思って見ていますけれども、体感未来都市こおりやまということを掲げていらっしゃいますよね。また、工業団地に、多分東北で初めてだと思うんですけれども、ZEBの建物もできたということで、エネルギーに結構熱心に取り組んでいらっしゃるんだろうというふうに想像するわけであります。

 今、商工会議所連合会の会長の方からも、水素については、ちょっと、福島では、初期の段階では少しもてあますというような話がありましたけれども、行政としてできることというのが国、県、市、それぞれのレベルであると思うんですが、再エネをしっかりと、東北、特に福島は一〇〇%を掲げているわけですから、これから再エネをしっかり導入する。その中で余ったものについては蓄電池あるいは水素という形が考えられるわけですけれども、これは、民間ではなく行政ができることというのはあると思うんですが、少なくとも郡山市では、今みたいな、会長さんみたいな意見もありましたけれども、福島全体として取り組む中で、その一つの市である郡山市としては、じゃ、どういうふうにしたら、今会長さんがおっしゃったみたいな懸念というのを少しでも払拭して再エネを伸ばせるのか、あるいは、ZEBのような建物をもっともっと東北あるいは郡山、福島に持ってこれるのか、水素をしっかりと使うことができるのかということについてはどのように考えていらっしゃるのかということについてお伺いしたいというふうに思います。

品川萬里君 ありがとうございます。

 隗より始めよじゃありませんけれども、やはり行政府として、これは、後ろにおられる根本元厚生労働大臣の御支援もいただいて、環境省さんの補助金を使いまして、FCVを公用車に導入いたしまして、私も時々乗っております。先生、郡山においでになりましたらぜひ試乗ください。これはホンダさんのクラリティの方なんですが、今、ディーラーさんに聞くと、ミライの方は注文殺到で、なかなか、何日待ちというような状況のようでございますから、潜在需要は大きいと思うんですね。

 郡山には再生可能エネルギー研究所がございまして、そこで水素の普及もどんどんやっておりますので、私は、伸びるか伸びないかじゃなくて、伸ばさざるを得ないんだろうと思っています。

 いわき市でも、ガソリンスタンドならぬ水素ステーションをつくりまして、僕の見る限り、いわきの方が熱心に産業界と随分積極的にやっているなという感じでございます。

 これはもう解消したんですが、最初、ミライさんとクラリティで水素の給油口がちょっと合わないということでしたが、今は合うようになりましたけれども、やはり、そうしたちょっとしたところでの標準化ということもこれから考えていただいた方がよろしいのかなと思っております。

 これも、何かやはりFCVというのはぜいたく品じゃないかというイメージがおありなので、まず委員長の公用車はFCVにするとか、閣僚の公用車はFCVにするとか、そうすると、じゃ、大臣も使うのであれば、あるいは委員長、議員の皆さんもFCVに乗るなら俺も乗ってみるかということで、広がるんじゃないかと思いますので、どうぞ、FCVが特別な車じゃなくて庶民の車となるように、先生方が積極的にお使いいただくのも一つの法かと思います。

秋本委員 山際委員は個人的に自分で乗っていらっしゃいますので。

 今お話があったとおり、国を挙げてしっかりと応援していかなきゃいかぬなと私も思っているところでございます。

 また、冒頭、市長の方からは、国土交通省に大変お褒めの言葉をいただきました。私、国交大臣の政務官をしていたものですから、今市長が名前を挙げた方々はおおよそ、大体顔と名前が一致するので、大変ありがたいなと思いますし、また、本人にも、市長がそういうことをおっしゃっていたよというのは伝えさせていただきたいというふうに思います。

 また、市長は、そういう意味では、郵政省に若いころに入省されたということで、霞が関の大先輩ということになるわけですけれども、さっき総務省の対口支援の話をされていましたよね。自治体間のマッチングということで、総務省さんがその一番に出てくるというのはもちろんなんですけれども、全体のオペレーションをするという意味では、総務省でいいのか、あるいは内閣府防災、あるいはまた違う組織をつくるのかというのは、やはりこれから災害が激甚化してくる中では、頻発してくるでしょうから、我々も一生懸命しっかり考えなきゃいけないし、皆さん方にとっては使いやすいそうした窓口でなければならないわけでありまして、これはぜひ現場の市長としてこれからも意見を述べていただいて、我々とともに使いやすい制度設計というものについてぜひお力添えをいただきたいというふうに思います。

 その中で、法律の話もありましたよね。いろいろ多岐にわたっているから、なるべく集約していった方がいいんじゃないかという中で、だから、対口窓口のあり方、あるいはその法律のつくり方という意味では、もともと、霞が関の大先輩として、霞が関あるいは国会のシステムというのはよくわかっていらっしゃる品川さんだからこそ、今、もう市長としてそこを離れたわけですけれども、大所高所からという意味では、じゃ、具体的にどういうふうにしたらいいぞ、こういうふうにしてみろというふうな、もし大所高所からの御意見があればぜひ拝聴したいと思いますので、よろしくお願いします。

品川萬里君 ありがとうございます。

 これは、全国市長会も、あるいは知事会でも、かなり、提言活動といいますか、今まで要望団体から、大分、政策提言的なことになっておりますので、私が申し上げたことのみならず、いろいろ御意見はあるんじゃないかと思います。北海道から九州まで、沖縄まで、この災害対策は共通の課題でございますので、先ほど申し上げたような法律について、今、政府の方には制度改正について提言をする仕組みがございますので、そうしたところ等を立法府のお立場で見ていただいて、これはもう政府の行政指導じゃなくて法律事項じゃないのかというようなことで取り上げていただくのも一つの手かと存じます。

 それから、先ほどの罹災証明の関係で申し上げますと、今は地震の全壊、半壊のアナロジーでいっているんですけれども、どうも現実的にはあのアナロジーじゃない方がいいんじゃないのかと思っております。

 と申しますのは、家屋で浸水しても、今の新建材の建物と、紙と土と木で、瓦でできた家屋とでは全然、同じ床上浸水でも違うようなんですね、最近聞いたんですが。新建材の場合はちょっとぬれただけでももうカビが生えるとかありますので、あの地震の全壊、半壊と、それから浸水被害の全壊、半壊の、一メートル八十ですか、これ以上は全壊でという、あのみなすというのはちょっとどうかなと。

 しかし、それについては、やはり法律事項になるのか、政令あるいは省令事項でいくのか、この辺は政府と立法府におかれていろいろ御議論いただくとありがたいな、そのレベルの話だと思います。

秋本委員 どうもありがとうございます。

 曲がりネギも大変な被害を受けたというふうに思いますけれども、ことしの秋はたくさんおいしいネギがとれて、私も楽しみたいと思いますので、ぜひ、しっかりと市長のもと郡山市の復旧復興がなし遂げられることを期待をしたいというふうに思いますので、尽力いただきますように、改めて、頑張ってください。お願いいたします。

 最後に、伴場さんにお伺いをしますけれども、人を育てるということでしたが、育てた人材が、マクロ的にはそれでいいんですけれども、福島的には帰ってきてもらいたい、長く福島にとどまってもらいたいという思いがあると思うんですが、そこについては、どういうふうにしていったらそれがなし遂げられるというふうに思いますか。

棚橋座長 伴場賢一意見陳述人。

 なお、大変恐縮ですが、秋本君の申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いできればありがとうございます。

伴場賢一君 私自身、実は福島出身なんですけれども、長く海外で途上国の支援をやっておりました。

 震災を機に日本に帰ってくるというようなキャリアをつくったわけなんですけれども、その中でいうと、震災があって、久しぶりに日本の、しかもコミュニティーというものを改めて見たんですね。そのときに気づいたのは、やはり町ということを成り立たせるためにいろいろな役割があるということでした。

 今までは、紋切り型の人材で、適材適所の役割分担だったと思うんです。これからの時代においては、より複雑になる社会と、AIが更に発達する社会の中で、必要となる人材というのが全く今までとはやはり違ってくるんだと思うんですね。そこの中で必要なのは、自分はどこで必要とされるかということをわかる人材を育てるということなんだと思います。

 その意味でいうと、若者の視点の中でいうと、若者に選択肢を与えて、その選択肢を与えられるような教育を施すということが一番の解決策なのではないかというふうに考えているところです。

秋本委員 ありがとうございました。

棚橋座長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 四人の陳述人の方々に、私からも御礼を申し上げたいと思います。大変参考になりました。

 時間の関係で、お二人ずつにそれぞれ一回でお聞きをして、お答えをいただくという形をとりたいと思います。

 まず、品川市長、この市長の気候変動対応型という言葉、気候変動対応型にこれからの防災対策をしていくということは、私も大変大事な視点だというふうに思います。残念ながら温暖化が進行している現状を踏まえると、そうせざるを得ないと思います。

 台風十九号、私の選挙区も相当被災を受けまして、現場を相当歩きましたけれども、まずは私自身も目の前の対策に全力を挙げています。おっしゃったとおり、これは渡邊会頭もおっしゃっていましたけれども、グループ補助金の適用拡大などは確かにそうだろうなと。例えば、補助率を四分の三から仮に大企業の場合四分の二にしたとしても、やはり適用した方がいい、それはなるほどなというふうに思いました。

 私がきょう聞きたいのは、そのこともそうなんですが、災害のリスクに備えるということに、もっと私たちの国の制度を変えていくべきだというふうに思っているんですよ。

 例えば、国交省には集団防災移転事業というものがあります。これは三・一一の津波のときに高台移転をしたときの事業ですけれども、私は、これをもっともっと使い勝手をよくした方がいいと思っています。ですから、いわゆる住宅が毎年のように浸水する可能性がこれからあると思うんですよ。そういったところが集団で移転するときに、国が事実上、資金的にも責任を持って移転をしていく、それをむしろまちづくりに活用する、そういう時代に入ったんじゃないかと思っています。

 あわせて言うと、きょうは工業団地を見せていただきました。私ももちろん、自分の選挙区にも近いですから、何回か行っているんですけれども、工業団地全体を場合によってはやはり移転するなんということも、国が責任を持って資金支援をして移転をする。

 あるいは、こういう事例もありました。私の選挙区で、畜舎がやられて、二百頭いた牛のうち十頭やられた。畜舎について復旧するんですけれども、娘さんが継ぎたいと言っているので、高校生の娘さんですよ、二百頭の牛がいる畜産農家ですけれども、将来のリスクに備えて畜舎を高台移転したいと。これはいい発想だと思ったら、その場で災害復旧するならお金は全部出るんだけれども、高台移転するのには全然出ないんですね。

 残念ながら、こういう今の制度の欠陥というのがあって、これをまさに市長の言う言葉で言うと、気候変動対応型に変えていくというのは我々国会議員の大事な役割だなと思っていまして、その点について市長の御意見をお伺いしたいということです。

 伴場さんには、資料を読ませていただいて、とても何か力強い言葉があってうれしかったんですけれども、新しいことにチャレンジする環境は東京よりむしろ地方にある、これは強く思います、こういうふうに言っていただいていて、この間の多分活動をされる中でそれを感じていらっしゃるというふうに思いますので、そのことでよりつまびらかにお話しいただけるなら、この場で披瀝していただければありがたいと思います。

 まずはお二人。

品川萬里君 ありがとうございます。

 私どもも既に、これは、今やっているのは、洪水が来たから、医学の世界でいえば治療なんですね。今、医学の世界は治療から予防ということを考えてございますから、立地そのものから安全なところにというのは、私ども望むところでございます。

 私どものとれたところは、固定資産税は自主的に決めることができますので、郡山市内で、工業団地から別な工業団地に移転したいというときは固定資産税を何年間か緩和する、こういうような措置をとっておりますけれども、これは、今は住宅については集団移転等ありますが、工業団地にある企業については個々の企業さんで、おっしゃるような団地ごとそっくりというのは、今のところはちょっと考えておりません。

 我々地方財政のレベルでは困難でございますが、都市計画の中で、例えば、ささやかですが、これも都市計画では市街化調整区域というのがございますが、市内で避難する、例えば中央工業団地からどこかへ避難したいというときには、市街化調整区域でもいいですよと。こういうミクロの対策はとっておりますけれども、基本的に、おっしゃるように大規模に集団移転というようなことになりますと、これはさまざまな、じゃ、そこまであなたも一緒に行きなさいよというようなこと、ある意味での強制を伴いますので、これはやはり法的措置が要るのかなと。どういう場合ならば一緒に行きましょうと声をかけてもいい、あるいは、疎開みたいなものですが、そのときにはどういう措置をとりますよということがやはり立法レベルで必要なのかなというふうに感じております。

 それから、これは全く私見でございますが、見たところ、大きな川がない大都市はないんですね。大都市と河川のあり方というのは、これは不可分の体制でございますので、都市計画の中で河川行政と都市計画行政とうまく調和がとれるような、安全第一の都市計画というような発想が出てくるとありがたいなと思っております。

 以上です。

伴場賢一君 御質問ありがとうございました。

 チャレンジをすることについて、都市より地方の方がやりやすいという意見を言わせていただいたことがありました。

 その意味するところは三つあるのかなというふうに思っておりまして、東京、いわゆる都市部というところでビジネス課題を見つける、若しくは地域課題、地域にある課題を見つけるということが非常にしにくいんだと思うんですね。ただ、地方というのはやはりコミュニティーが小さいですし、情報というのが非常に入りやすい環境にあるということがあるので、まずその課題自身、取り組むことが見つけやすいということがまず一つだと思います。

 さらに、先生方の前で恐縮なんですけれども、僕らの社会の教科書だと、事業を始める上で必要なのは人、物、金というふうに言われていました。きょうびの話の中でいうと、ソーシャルビジネス、スモールビジネスを始めるには、ネットワークさえあれば進められるという時代になってきているんだと思います。

 そのネットワークが、地域だと、必要な人三人につながれば全てが解決するというようなことをよく言われていまして、銀行の関係者、若しくは業界の関係者、若しくは相談ができる人、この三人がそろえば、ほとんどビジネスはゼロからスタートアップできる環境にあるのではないか。これを東京でやるというと、やはり物すごく難しいんだと思うんですね。

 さらには、その後の、ビジネスモデルをつくった後の展開という話です。

 東京でビジネスモデルをつくっても、それを横展開するとすると、同じサイズの消費モデルがある地域若しくは同じモデルの地域ということで考えると、大阪、せいぜい福岡、仙台までなのかもしれないです。ただ、福島のモデルは、富山でも使えます、熊本でも使えます。同じ地域だからこその対象のN数が圧倒的に多いんだと思うんですね。

 ということでいっても、スタートしやすいという環境、更に言うと横展開しやすいという環境、さらにはソーシャルネットワークをつくりやすいという三点で、地方の方が新しいことにチャレンジしやすい環境があるのではないかというふうに考えているところです。

玄葉委員 ありがとうございました。それぞれ大変貴重な御意見です。

 あと、鈴木先生、先ほど伴場さんからも、これから福島の復興は十年目に入ると。九年間過ぎますからね。ユニファイドなメッセージとか、あるいはゴールに向けた共通言語とかという話が出ていました。

 私は、日本全体も、もう量から質の時代だというふうに思っていて、GDPだけで豊かさをはかる時代でもないと。それは、温暖化に悪い石炭をたくさんたいてもGDPは上がるし、健康に悪いことをしてもGDPは上がるので、GDPも大事ですけれども、GDPだけじゃなくて、持続可能性とか、幸福感とか、公平感とか、医療とか、教育水準とか、あるいは文化力とか、そういったもののトータルで豊かさをはかる、そういう物差しがむしろ大事だというふうに思っています。

 国連なんかでももうそういう試みは行われているわけですけれども、そういういわば県内版というか復興版というものを自分自身はイメージしたんですけれども、そのことについて、鈴木先生の御意見、できれば、時間があれば伴場さんも、御自身でおっしゃっていたので、御自身の意見があればおっしゃっていただければと思います。

 また、渡邊会頭には、先ほどもお話が出ていたんですけれども、私もちょっと聞きたいなと思っていたのは、ポイント還元と軽減税率に対する評価ですね。率直な、個人的な評価、会議所としての評価というよりは、個人的な評価をお聞かせいただければありがたいと思います。

 以上です。

鈴木浩君 先ほど私は、これから、被災地の目標、ゴールについて、生活の質、コミュニティーの質、環境の質ということを言いました。それをできるだけ指標化していって、将来のそれぞれの地域社会の基本的な性格づけをそういうものによってできないだろうか。

 実は、SDGsはその国際社会版なんです。あれは十七の指標があります。更に言うと、基本理念としてはノー・ワン・レフト・アローンですね。そこの基本理念を逸脱しない範囲でどうやってサステーナブルな開発をするかということなので、私が先ほど言ったQOL、QOC、QOEは、サステーナブル・リコンストラクション・ゴールズと、勝手にSRGsと呼んでいます。だからそれを福島県版でできないだろうかということをいろいろ働きかけているところです。

伴場賢一君 意味するところは鈴木先生と同じようなところだと思うんですけれども、私の場合でいうと、五つのキャピタルという考えをよくしていました。

 一つはソーシャルキャピタル、これはコミュニティーであったりとか、どんなネットワークがあったのかということがまず一つの大きな指標になるだろう。

 さらには、ヒューマンキャピタルという視点も非常に大事なんだと思います。これは、仕事につけるための教育であったりとか能力があるかどうか。今回のような震災の場合には、住むところが変わり、職業が変わるということを強いられた方たちがいますので、その方たちが仕事につける能力を回復するということが一つ本当は必要なのではないか。

 さらには、今回の震災の中でいうと、やはりナチュラルキャピタル、自然に対しての被害というのも実は大きかった。飯舘村の方たちがよく言われるのは、イノハナを食べたい、その地域でとられていたキノコを食べたいという話をされるんですね。これが飯舘の方たちにとっての復興のシンボルなはずなんですけれども、そこの自然の環境の復活ということ。

 さらには、ファイナンシャルキャピタル、金銭的なキャピタルが回復するということと、あと、ハード面のフィジカルキャピタル、これは道路ですとかアクセスですとか、そういったところの回復があって初めて、全てのことがあって復興するというような考え方ができるのかなというふうに私自身は考えているところです。

渡邊博美君 玄葉先生から軽減税率のことについて御質問がありました。

 これは二面がございまして、例えば、私どもも、事業者としての立場と消費者の立場というのがありまして、まず、消費者の立場からいえば、今、可処分所得がはっきり言ってなかなかふえない、こういう時代において、食品においての軽減税率というのは、年金生活者とかいわゆるサラリーマンでない方々、特にそういう方々からは、やはり非常に効果はあるというふうに思っております。

 もう一点は、事業者という立場で申し上げますと、中堅企業とか大企業の場合は、こういういろいろなテクノロジーとかAIあるいはIoTを使う、生産性を上げるということは、もうみんな問題意識を持っていますので、地元でも相当の率でそれをこなせるんですけれども、残念ながら、やはりキャッシュレスあるいはポイント還元、そういう全ても含めて、その当事者である中小企業の、零細企業の方々というのは、本当に高齢者も多いので、非常にこのことに関しては、やはり戸惑い、そして、なかなかそれに対する対応ができないという方が非常に多かったということも軽減税率を契機にありました。

 実際、福島商工会議所は四千会員がいるんですが、実は、自民党の先生方、いろいろな形で、事業承継の税制改革とか、あとはいわゆる銀行保証とか、そういうふうなものはすごくよくなっているんですけれども、それでも事業所の数が減っております。

 これをずっと原因を突き詰めていきますと、やはり一つの時代で、そういうふうにAIとかいろいろなものを活用しなくちゃならないというときに、私の時代ではそれはもう終わったというか、ここでけじめをつけたいみたいな形で、事業を倒産ではなくて整理するという形が実はやはり地方の現場ではかなり多く今出ておりまして、そのことが、逆に言うと、今度は消費者の皆さんに今までの利便性とかがなくなってしまう、あるいは、郡部地区や何かで店がなくなるというふうなことの、そういう面での影響が出るのではないか、そういうふうに思っております。

 軽減税率についてはそのような感じでおります。

玄葉委員 ありがとうございます。

 何か、伴場さんが育てているような若い人たちが帰ってきて、ベンチャー型の事業承継でもしてくれるのが一番いいんじゃないかなと、今聞きながらそう思いました。

 ちなみに、冒頭私申し上げたグループ補助金の適用拡大というのは、また来年あったら、本当にそれでもないと大企業とはいえ立ち直れないんじゃないか。私は、よくパナソニックは再開してくれたなというのが正直な思いなんです。やめちゃうんじゃないかなと心配をしていましたけれども、きょう行って、力強く歩み出していたので、安心をしました。

 だから、冒頭申し上げたように、大企業に拡大するときは、補助率を四分の三から下げても場合によってはいいと思うんですよね。という考えについて、会頭、どう思われるかということと、まだもう一、二分あるので、市長、私、目の前で今一番私の選挙区で大変なのは、田んぼがやられた場合、今度の作付に間に合わないということなんですよね、業者が、とてもじゃないけれども。

 だから、当面その対策をどうするかということがあって、私、三・一一のとき閣僚だったんですけれども、窓口になって、隈戸川がやられたときに、いわゆる大豆とかソバとかを植えてもらって、そして、水がなくてもできるので、とりあえずの収入を確保してもらった、つまり国が上乗せして補助金というか出せますのでそういう形にしたんですけれども、今回もそういうふうにでもするしかないんじゃないかと私は思っているんですけれども、どう思われますか。

棚橋座長 渡邊博美陳述人、お願いいたします。

 なお、恐縮ですが、申合せの時間が迫っておりますので、簡潔にお願いできればありがとうございます。

渡邊博美君 はい。

 今、玄葉先生おっしゃったように、地方では工場誘致とかを盛んに一生懸命やって工場団地をつくったりしておりますけれども、今申し上げましたように、このような災害が続くと、中小企業の場合は最大十五億円という、そしてグループ補助金の窓口に実は商工会議所そのものがなって、非常に事務的なものの改善をしておりますので、非常に喜ばれているんですけれども、今おっしゃったように、大企業あるいはみなし大企業の方が、これがやはり一番大きな問題で、ここでやはり見切りをつけられると、非常に地域では規模的に全く中小企業とは違う規模での影響があるというふうに思っております。

 また、あと一点だけ、先ほど田んぼの話もありましたけれども、実はいろいろな災害のときに、棚卸資産は被害のあれにカウントされないという、いわき市では人形の東月という非常に有名なメーカーがあるんですけれども、そこは実は、ひな祭りあるいは五月の節句の人形をたくさんつくって、それを水で今回だめにしてしまったんですが、これは被害のあれにはならないということで非常に困ったという、そういうちょっとやはり現場現場でいろいろな実情が今出てきておりますので、そういう辺についても実はもうちょっと現場サイドでの裁量をしていただければというふうに思っています。

 以上です。

棚橋座長 次に、品川萬里意見陳述人。

 なお、大変恐縮でございますが、申合せの時間が過ぎておりますので、できれば簡潔にお願いできればと思います。

品川萬里君 はい、わかりました。

 まず、気候変動、一番影響を受けるのが農業でございますので、今、気候変動によって水と空気と土がどのように変わっていくだろうかということを、地方自治体限りですけれども、ちょっと研究体制を強化しようかと思っております。

 それから、農家の方は、もう自然を体で感じておられるんでしょうか、早く作付して早く刈取りをしないと台風が来てしまうということで、どうも全般として作付が早まっているようでございます。そうした変化にも十分対応させていただきたいと思っております。

 今回、十月十二、十三日の後、ずっと農地を見て歩いたんですが、半分以上はもう稲刈りが終わっていましたですね。ですから、気候変動型には本能的に肌で感じて農家の方は対応しているなと感じましたので、その辺、十分バックアップ体制を整えなきゃいけぬと思っております。

 以上でございます。(玄葉委員「水路はやられていないですか」と呼ぶ)水路をやられたところもございますが、これはもう……(玄葉委員「間に合いますか」と呼ぶ)大丈夫です。

玄葉委員 ありがとうございます。

棚橋座長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉と申します。

 重ねて、きょうは、大変貴重なお時間を頂戴し、ありがとうございます。

 この三月十一日でいよいよ震災から十年目に入りますし、昨年の台風被害も、全国で百四十カ所中、この東北で八十七カ所、六二%の被害を受けられた。大変大きな被害からのまた重ねて復興に向けて、私どもも全力で取り組んでまいりますことをまずお誓い申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 意見陳述の中ではお触れにならなかったんですけれども、まず、現在、予算委員会で必ず話題になっておりますのが、新型コロナウイルスへの対応でございまして、日々刻々と状況が変化をしているものですから、観光等経済への影響ですとか医療体制の整備ですとか、そういったことで懸念事項がもしあれば、経済界を代表する意味で渡邊会長、行政を代表する意味で品川市長にお伺いをしたいと思います。特になければ、特になしで結構でありますので、最初にこの点をお伺いしたいと思います。

渡邊博美君 今の新型コロナウイルスにつきましては、やはり日々刻々、まず、武漢での情報が今までの最初のことから全然桁違いの形で広がっておりまして、その真実性といいますか、その怖さというのは肌で感じておりますし、日本においても死者が残念ながら出てしまったり、あとは、クルーズ船のあのテレビ放映をずっと見ていたりしますと、これは本当に、福島県が大丈夫ということは全然もうそんな感じではなくて、水際でどうしたらいいのかということを真剣に考えなければならないというふうに思っています。

 ただ、具体的に、例えばお医者さんや何かのレベルでもいろいろな意見が今ありまして、インフルエンザの方が怖いとか、あるいはSARSのときはどうだったとか、そういうことで、やはり科学的な根拠と、それから、我々民間あるいは事業者としてどういうことを具体的に、そういうマニュアルといいますか手順とか準備をしておけばいいのかというのを、ぜひ国が、あるいは内閣が中心になって、もうちょっとまとめていただきたい、そして信頼できるようなそういう情報を出していただきたいというのが、私の今現在の考えでございます。

品川萬里君 お答え申し上げます。

 実は、新型、今新型になりましたが、コロナウイルスの話が出たときに、幸い中核市には保健所があるものですから、保健所長さんと打合せしました。日銀特融じゃありませんけれども、市役所は万全の体制をとっていますよということを申し上げることは必要だろうということ、それで、医師会と保健所が中心になって連絡会をつくりまして、万一発生したときにどうするんだという、どこへどうしてというフローチャートもつくってございます。

 そして、今、県の方でも、どのような体制にするか発表されましたが、郡山市役所では、保健所は二十四時間どうぞという体制を申し合わせました。その後どうするかということも、それぞれフローチャートではどこへということを決めてありまして、今後、大分、検疫官まで罹患したということでございますので、決して対岸の火事ではいけないと。

 実際に、机上の作戦のときと実際やってみたら違うということはありますので、我々も一度、万一あったときを想定して、図上作戦から現実の行動、予行演習が必要じゃないかと。今、予行演習を、予行演習をやりますよという形でやるのがいいのか、いや、実態上やっていて、もう図上演習だけじゃなくて、実際にもう完全な装備をして万一に備えることができるということを学習しようという、少なくともそういう議論をしておりまして、文字どおり、水際作戦に十分対応できる体制を更に強化しようということで、けさ打合せをしたところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 続いては、引き続き品川市長に、昨年の台風被害のことでちょっとお伺いをしたいと思います。

 一つは、きょう現場を見せていただくまでに私が考えておりましたことは、今回の水害で残念ながら多くの都道府県が被災をしておりますけれども、特に浸水被害については、やはり現存のハザードマップとほぼ同じ形で浸水が起こってしまっている。市長は今回の台風被災後の会議でも、市内全域のハザードマップをつくって各戸に配布するんだとか、非常に精力的にそうした動きをしていただいておると承知をしております。きょう見せていただいた中央工業団地も、まさにパナソニックの方が御報告いただいたとおり、やはり想定された浸水が発生をしてしまったということを確認させていただきました。

 先ほどの玄葉先生のお話とも少しかぶるんですけれども、まさにこれから残念ながら気候変動という問題もありまして、都市計画と河川計画ということをよく連動して考えていかなければならないんだと思います。

 実は、今国会これから議論をされる国交省が所管する法律の中では、土砂法に基づくレッドゾーンとか水防法に基づく浸水想定区域は開発をある程度規制をする、条件をつける、そんな法律もいよいよ国会に提出をされてくるわけです。

 そういった議論の中で、これも残念ながら当面は我が国は人口も減少をしますので、できるだけ安全なところに住民の方や法人の方に暮らしていただくという方向性は、私は大事なんだろうと思うんです。一方で、強制的に行政がそれをするということはなかなか我が国では難しいと思うものですから、一定の合理性を持ちながら、より安全なところに住まいや法人の拠点を移していこうとしたときに、市長が現時点で思う課題、難しさ、そんなところを少し端的にお話しいただければありがたいと思います。

品川萬里君 お答え申し上げます。

 今、十月十三日の朝を思い出しているんですが、根本先生から電話がありまして、駆けつけてくださいました。

 実はそのとき、全体を見渡したいと思っておったんですが、部下にとめられまして、今は危ない、市長動くなというので残念ながら我慢したんですが、地震と水害の違いは、全貌を見るのが非常に困難だということですね。まさか乗った車が水没しちゃったんじゃ、ちょっとさまになりませんので。そうすると、どうやって全貌をつかむかというのが非常に大事でございまして、きょうパナソニックさんでは克明に写真を撮っておられましたが、これからは、何を議論するにしても、あのときの映像なり生の情報をいかに収集するか、それを市民の皆さんに見ていただいて、今後どうするか。

 それで、今回の中央工業団地は、どこから水が来たかわかっているんです。ここはもう国交省さんにおいて、阿武隈川については手当ていただくことになっておりますし、谷田川という県管理の河川も、これも手当てしていくこともわかっておりますので、じゃ、完成した後、シミュレーションは難しいんですけれども、どうなるんだろうかということを前提に、今ハザードマップの見直しをしております。

 その上で、市民の皆さんに、この地図を見てどういうふうに判断されるか。きょうの公明新聞にも、不動産取引で宅建業者さんが、水害リスク説明義務化、容認という記事を読ませていただいたんですが、ちょっと時間はかかるかもしれませんけれども、自分のビジネスとそれから利用者の安全をどう確保するのかということをできるだけ早い期間にコンセンサスを得ることが大事かなというふうに思っておりまして、専門家の皆さんにも問いかけをしたいと思っております。

 したがって、先ほど国土地理院さんの情報を申し上げましたが、非常にありがたいですね。ですから、国土地理院の予算についてはたくさんつけていただいて、市民にもわかる、万一こうなったときはこうなるんですよという、映像でわかっていただけるような、その上で、おっしゃったように、じゃ、団地を引っ越すかとか、あるいは個別がいいとか、まさにエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングでいっていただければと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 もう一つは、やはり、先ほど来重ねて出ておりますグループ補助金のことと、冒頭、渡邊会長がお触れをいただいた五億円の定額補助のこと、ちょっとここを経済界を代表して渡邊会長にお伺いしたいと思います。

 きょう品川市長がお話しをいただいた中で、まさに同じ問題意識の中で、グループ補助金は今いわゆる大企業には投入ができない、そういう観点から、BCPを策定して、BCPの中で、当然その中には一体となって大企業が入ってくるので、同じBCPの枠内の中小企業や大企業をセットで支援できないかみたいなことを、きょう要望で書いていただいた。一つのヒントになるな、こう思って読ませていただきました。

 一方で、私の認識違いだといけませんが、五億円の定額補助は、企業規模を特に特定していない、大企業でもこれは投入ができるというふうに私は理解をしているんですね。

 きょうここにお邪魔するまでは、このグループ補助金と定額補助をうまく活用すれば市長がおっしゃっているようなこともできるのではないかというイメージも持っておったんですけれども、五億円の定額補助のことも十分承知をした上で、会長、引き続き、このグループ補助の大企業等への適用のお話もいただいたものですから、今、まず、この二つのいわゆる仕組みでまだ足りていない、手が届いていない部分、もう少し教えていただけるとありがたいと思います。

渡邊博美君 東日本大震災というそういう大変な未曽有の災害があって、そしてグループ補助金というのは、そのときに非常に、浜通り地区、福島県だけではなくて、宮城県、岩手県でも大変この効果は大きかったというふうに思います。引き続き、大規模災害の今回の台風の被害、そこで特別に福島県と宮城県がそのようなグループ補助金の適用というふうなことを受けられるようになったというのは大変ありがたい。

 先ほど申し上げましたように、この水害は、阿武隈川という流域で起こりましたけれども、大変、地域的にはばらつきがあったというのもございます。例えば、福島の場合は、実は、ある地区では五十カ所ぐらいの企業がいわゆる床上浸水とかの被害を受けましたけれども、郡山、あるいは本宮、あるいは須賀川、そして伊達市というのとは全然桁違いでございましたので、その対応というのもちょっと違っていたんです。

 それによって、先ほどありましたように、グループ補助金の十五億円と、それから五億円という、幸いという言葉は使えないと思うんですが、我々の福島商工会議所の管内では、実はすぐに対応を、どういう手を打てるかということで現場に行って職員がいろいろやりましたけれども、そこまでの被害はなかったということで、それは本当に幸いだったんです。でも、実は、もうちょっと水位が上がれば福島も同じように、荒川という川があるんですが、そこが氾濫寸前だったということを聞いて、みんなやはり、そのときはどうしたらいいのかというふうな形で考えておりました。

 あと、郡山の場合は、郡山商工会議所が先頭に立って、品川市長さんと一緒に、制度の活用とかそういうふうなものをもうちょっと具体的に今検討しているということを聞いております。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに、やはり経済が基本でありますので、繰り返し品川市長からも御要望いただいている件ですので、私もしっかり取り組みたいと思います。

 もう一つ、やはりこの水害からの復興で、いわゆる敷地のかさ上げのことをよくお伺いをし、市独自でも補助制度、たしか補正予算か何かで用意をされたと。一つは、きょう、やはり現場を見せていただいて、一方で、平成の大改修に続いて、いま一度大きな改修をするわけですけれども、きょう国交省の方からお伺いしたのは、河道掘削によって発生する発生土の処分というのが工事としては一つの大きな課題だという話がありました。

 かさ上げをするためには、やはり砂、土が要りますし、ぜひ、こういった発生土の、もう既に市長の頭の中におありかと思うんですけれども、土質にもよりますけれども、発生土を活用した敷地のかさ上げということもぜひ検討していただきたいなと思ってきょうここに来ましたけれども、市長のお考えか何かあれば。

品川萬里君 ありがとうございます。

 実は、当初、この補助金、トリアージではありませんけれども、緊急措置としての補助金というのは当然あるんですけれども、やはり仕組みとして、もう今回だけじゃないわけですね。恒久的にするとすれば、かさ上げとか、塀を回したとかいう災害対策のための設備投資については、減価償却の引き当て期間を短縮して、結果として助成になるような方法をとれないかということを大分前に経産大臣に陳情いたしましたが、その辺はまだいただいていないんですけれども、今回、補助金ということですることができました。

 私どもとしては、それをフルに活用していただきたいと思っておりますが、そのときに、何を前提に、三メートルがいいのか五メートルがいいのかとなったときに、浸水被害の可能性がどの程度なのか。今回は、例えば二メートルいったけれども、今度、堤防をきちっとすれば、万一あってもこのぐらいだよとか、床下ですよということによって、かさ上げの設備投資も変わってくると思うんです。

 そういう意味では、今回の阿武隈川、それから谷田川について、予算措置はされたわけですけれども、できるだけ早く、二〇二八年とかにじゃなくて、前倒しできるように、ぜひ国会の御審議においても、予算審議で、これはもう原状回復じゃなくて改良復旧じゃないかということではなしに、まさに治療から予防で、予防のための公共事業だということで認めていただいて、浸水が減った前提でかさ上げをどうするんだということを議論させていただきたいなと思っておりますので、ぜひ、川のことも含めまして、早急に前倒しの予算を認めていただきたい。

 それから、今の河道掘削した土砂をどう使うかということについて、企業さんの、何をつくっているかによっても変わりますので、せっかくの御意見ですので、少なくとも工業団地の皆様に打診をしてみたいと思っております。あくまで、皆さん、非常に企業秘密がたくさんあるところでございますから、あの会社はかさ上げに河川敷の砂を使ったんだけれども何をやるんだろうかねとか、揣摩臆測を呼んでもいけませんので、十分、企業の御意向を伺って、今の御趣旨については企業の皆さんにお伝えしたいと思っております。

 以上です。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 もう時間が参りました。伴場代表理事にも鈴木先生にもお伺いしたいことはたくさんありました。特に伴場代表理事には、お話を聞いておりまして、我が国の大きな課題の一つである地方創生ということについても、現場からの御意見、ぜひお聞きをしてみたいと思いましたので、きょうは時間の関係でこれで取りやめますけれども、引き続き御指導いただければと思います。

 以上で終わります。

棚橋座長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、四人の陳述人の皆さん、大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。なるべく全員に質問をしたいなと思っておりますが、頑張りたいと思います。

 それで、渡邊陳述人に最初に伺いたいと思うんですが、先ほど来、グループ補助金の問題が議論をされておりまして、品川市長からも、大企業やみなし大企業に対しても支援できるようにというふうな議論があったと思います。

 そこで、私が伺いたいのは、今の伊藤さんにも関係していると思うんですけれども、五億円の定額補助の問題で、さっきお話しされたのは、福島はそこまで至らなかったというお話だったんですけれども、実際に二割の減少が条件であるということにおいては、例えば本宮の市長の言葉をかりると、そこまで減少していたらもう潰れているよなんということをおっしゃっていたんですね。だから、条件が厳し過ぎるじゃないかということを訴えてきたんですけれども、経産省は、やはり要綱などの見直しは、法律を変えるとかではなく、現場の声で少しずつ見直しをしてきましたと言っていたので、できることは見直しできないのかな、もっとやっていきたいなと思っているんですけれども、そこら辺について、御意見がありましたらお願いします。

渡邊博美君 ありがとうございます。

 今お話がありましたように、福島県というのは、やはりある意味では特別といいますか、東日本大震災のまだ復興途上ということもあって、こういう災害がダブルで来たときに、こういう使えるといいますか、そういうサポート体制ができてきているんですけれども、実際は、それがあるのとないのとでは、実際それを使うか使わないかは別として、事業活動としては非常にやはり大事な要素だというふうに思っております。

 幸いなことに、福島の場合は、それを検討してもそこまでの被害がなかったということはよかったんですが、これが今後もそうなるとは限らないし、あとは、福島だけで捉えるというよりも、既に経済というのはまさに県内だけじゃなくて県外も含めて全部つながっておりますので、我々は宮城県の方でも仕事をやっておりますし、丸森町での水害なんというのは本当に大変な悲惨な形でありましたし、そのようなことを考えたときに、現場の実情を見ていただいて、やはり、五億円とか、あるいは今回のグループ補助金のそういう制度のものは、ぜひ、前例がないとか、まだ時期尚早だとか言わないで、積極的に本当にどんどんやっていただければ、我々民間の事業者としては非常にエネルギーが出るということだと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、例えば、今回も宮城と福島だけが定額補助だったんですけれども、何でそこだけなのということも随分議論したんですよね。

 やはり震災の直後に、取引しているのは山形もそうだよねとか、太平洋側と日本海側、取引しているよねとか、そういう議論をしてさまざま支援をつくってきたということもあったので、まだまだ見直しできること、また、もっとほかの地域も全体として引き上げていく必要があるということでは、声を上げていきたいなと思っております。ありがとうございました。

 次に、鈴木陳述人に伺いたいと思うんですけれども、原発事故からの復興について、私たち国会議員団も福島チームというのがありまして、毎年必ず被災地、特に避難が解除された区域や、首長さんそれから被災者との懇談にも取り組んでまいりました。

 その中で、先生がお話しされたように、帰りたいんだけれども帰れないという気持ちはとてもよくわかるし、逆に、周りの人がもう帰れるわけないんだみたいに言っているときに、本当は帰りたいし自分は帰るうちもあるんだけれども、隣近所誰も一緒に帰ってくれなければ一人じゃ帰れないと勇気を持って言ってくれた女性がいまして、それもなかなかつらいものだなと思って聞いたことがあるんです。

 自己決定をやはり保障するためには、それに見合う時間や選べる選択肢、まさに先生がおっしゃった複線のシナリオが必要だと思うんですけれども、そのことと、やはりそれほどまでにあの原発事故というものが自然災害とは違う意味があるんだなと思っているんですけれども、その点、ぜひ。

鈴木浩君 これだけ広範囲で長期間の避難生活になると、物すごく重要になってくるのは、避難元の住民が避難先で一定程度コミュニティーを形成できる、人のつながりが避難先でも維持できる、完全ではありませんけれども。と同時に、避難先のコミュニティーとどういうふうにつながり合えるか。そういうお互いの助け合いだとか、そういうことをNPOなんかも一生懸命心がけているので、今おっしゃったような、できるだけ孤立をしないようなシステムを、避難元の人たちの結びつきを考える、避難先でのコミュニティーとの共生を仕組みとして考えるということがあちこちで実例としてありますので、こういう先駆的な事例を束ねていくと、今のような問題に対して共生社会というのはできるなというのは、私、十分対応できていないけれども、事例はたくさん生まれています。

 そういう努力をしていく必要があるし、もう一つは、そういう活動をNPOであれ避難先の自治体であれ、そういう支援をするための仕組みというのを、例えば子ども・被災者支援法を敷衍しながらやっていくという点検をしていく必要があるなと思っています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 コミュニティーの問題でお話をされたということと、NPOなどのいろいろな取組がありますよということだったので、少し、ちょっとそれに関連をして、伴場陳述人と品川陳述人にも伺いたいなと思うんです。

 一つは、伴場陳述人は、ボランティアのいろいろな取組を御自身がされてきて、紹介をされてきたんだと思うんですが、本当に、今回、福島の地域ではいろいろな形のボランティアの方に、私自身も会ったし、こんな活動をしている人もいるんだというのでとても驚いたこともあったし、学ばされたこともありました。

 そこと行政とのかかわりというんでしょうか、つまり、ボランティアがいるからいいんだよということになってもだめだし、けれども、それを指揮するみたいになってもだめだと思って、やはり、肝心のところはしっかり行政がグリップしているんだけれども、ボランティアの皆さんが活動しやすい環境というんでしょうか、そういうことも必要かなと思うんですけれども、御意見があったら伺いたいと思います。

 それから、品川陳述人には、中通りというか、郡山のすごい特徴として、県外に避難をした方がたくさんいらっしゃいました。やはり若いお母さんたちが子供さんを連れて、私も、東北だけでなく九州とかいろいろなところで郡山出身の方にお会いしました。同時に、郡山に避難をしている双葉郡の方たちがたくさんいらっしゃった。そういう二つの、支えながら、また支援をしていくという難しい役割が行政としてはあったと思うんですが、率直な思いと課題というんでしょうか、お聞かせいただければと思います。続けてお願いします。

伴場賢一君 ありがとうございます。

 ボランティアに関する御質問だったかと思います。

 ボランティアに関しての考え方、これだけでもちょっとやはり意見がかなり違うところだという前提の中なんですけれども、そもそも私個人の考え方でいうと、ボランティアという言葉は、日本人にとってはやはりすごく難しい言葉なんだと思います。

 日本の場合でいうと、ボランティアというよりも、隣の人が困っているから助ける、これはやはりそもそも持っていた当たり前の考え方なんだと思うんですね。ただ、ボランティアというのは、少しちょっと偉い、ちょっと心がくすぐったいようなところで見られてしまうというところに、少し何か日本語にしにくいところがあるのかなというふうに思うところがまずあるというのが一つあります。

 ただ、今回のような被災におけるボランティアという形になると、私の考えからいうと、いわゆるPPP的なやり方が一番いいのではないかというふうに考えます。やはり、今回の震災でもそうですし、東日本大震災でもそうなんですけれども、行政ができる余裕はまずないと思います。ただ、責任は行政が負うべきだと思います。

 そこの曖昧なところを今後できるだけクリアにするということはしなくてはいけないんだと思っているところでいうと、ふだんからの関係性でそのようなNPOを育てるのか。今の関係性でいうと、当然、社協さんと行政との中での運営ということになりますが、やはりこれだけでは当然進んでいかない形だと思います。

 今回の私どもの経験からいうと、そこの中に、例えば各地域の商工会議所の青年部さんであったりとか、郡山の中でも多分NPOがかなり運営に入っていたであるとか、鈴木先生がもともとおられた福島大学のボランティアの学生さんたちが運営にかなり入っていただいていたというような事例があります。こういったフレームワークを、各地域のリソースを合わせながら、有事のときのための備えをするということの準備の必要性ということを強く感じるところでありました。

品川萬里君 まず、郡山から避難されている方でございますが、私も市長になりたてのころ、新潟県の方にお伺いしました。新潟市長にお会いしてお礼を申し上げました。新潟市の場合は特段トラブルはなかったんですが、ほかの地域では時々新聞に出ました。

 これが自分の市であってはいけないと思いまして、学校それから地域の方に、いわゆる文化摩擦も含めて、ないかということを聞きました。少なくとも学校で双葉郡や相馬の方から避難してきた方の子弟が嫌がらせに遭ったとか、そういうことは少なくとも私自身には、あったかもしれませんけれども、耳にするようなことはありませんでしたので、ほっとしております。

 これは既に、私が申し上げた今の三・一一のときにたくさんの方がおいでになったときに、そこで郡山市民の皆さんが受け入れるマインド、それから、どういうふうに受け入れたらいいかということを体験しておられて、それが今回、やはり避難してこられた方がおられましたけれども、一つの受け入れるシステムといいましょうか、心組みというのはできているのかなと感じております。

 あと、ボランティア活動ですが、実は今回の水害で浸水被害に遭った学校があるんですね。これはきょうちょっと見ていただいた中央工業団地のもっと南の方になりますが、帝京安積高校とそれから東北高校というのがあるんですが、ここも被災したんですけれども、高校生みずからがボランティア活動をやってくれていたんですね。

 ボランティア活動も、何か特別なことをしているというんじゃなくて、ごく自然にやっていただいているんですが、では、我々としては、それは当然でしょうということじゃなくて、何とか、隠れた善行じゃありませんけれども、黙ってボランティア活動をしている方がいたんだということをやはり顕在化といいましょうか、何らかの形で市民の皆さんに伝える必要があるなということを感じておりまして、いや、やめてくれと言われない限り、窓口は社会福祉協議会になっていますので、社会福祉協議会の方と相談しまして、やはり今回、間もなく半年たちますので、ボランティア活動してくださった方の、何とか市民の皆さんにこういう方々がボランティア活動してくれましたというところをお知らせすることは我々の責務の一つかなと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 もう一度、鈴木陳述人に伺いたいと思うんですが、先ほどお話しされたように、先生は福島県の復興ビジョン検討会の座長として復興ビジョンの作成にかかわったと思いますけれども、そこで目指したものと、今、九年丸々たって、現在、大きく乖離があるという課題がありましたら、教えてください。

鈴木浩君 先ほどもお話ししましたけれども、福島県の復興ビジョンをまとめるときの一番最初の基本理念は何かというと、原子力に依存しない持続可能な地域社会を目指す、これが基本理念の第一であります。

 もちろん福島県は、それまでの間にさまざまな、第一原発、第二原発で事故があったりしましたので、その間のいきさつを、実は福島県としては、もう皆さん御存じかもしれませんけれども、こういう県の「あなたはどう考えますか? 日本のエネルギー政策」というのを、災害のある十年前に中間取りまとめを出しているんです。

 このときの論点として整理しているのはどういうことかというと、原発に依存しない、モノカルチャー的な文化ではない地域経済や地域社会をどうつくりましょうかという問題が、提起がもう既に十年前に出されている。こういうものに基づいて、先ほどのような理念が打ち出されたわけですね。

 でも、実際に動き始めると、例えば、十二市町村のビジョン検討委員会の中に、学識経験者、そういう有識者の人たちのグループができるんですけれども、そのグループの提案がイノベーション・コースト構想になる。それはそれで大きな課題かもしれないけれども、持続可能な地域社会とそれがどう連動するかということが見えなくなってしまったんです。もともとの農業だとか地元の中小零細企業の企業活動が再開するというのはなかなか困難をきわめているために、被災地の中では彼らの営業活動が再開できないでいる。ここのところが大きく乖離してしまった。

 同じように、自治体の町外コミュニティーというのをたくさん考えましたけれども、浪江町でも双葉町でも町外拠点、町外コミュニティーをつくりました。浪江町が町外拠点を、コミュニティーをつくろうとした瞬間に、避難指示が解除されて、浪江町はふるさとの復興一本やりになったために、二本松の町外コミュニティーの整備をすることが途中で中断してしまうんです。その被災者の人たちはそれに困惑したというようなことがあって、ここをどうやって理念と具体的な事業を連携できなかったのか、僕自身の力不足もあったんですけれども、物すごくそれを感じていました。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 大変いろいろなことを考えてしまって、どの質問をしようか、いっぱい聞きたいことがあるなと思っていたんですけれども。

 やはり、私がさっき最初の質問のときに言った自己決定というのがなかなか難しい状況があるのと、今先生が指摘をしたハードと予算という関係で、見える形では進めていこうとするんだけれども、なかなか人々の気持ちがついてこないというのが一つあるんじゃないのかなというふうに思っております。

 もう時間でしょうか。

棚橋座長 あと一分ほどで。

高橋(千)委員 できれば渡邊陳述人に一言だけ。

 さっきちらっと出たんですが、イノベーション・コースト構想を、地域の業者の方も関連産業としてということはあるとは思うんですけれども、やはりどうしても地に足がついたものにはなっていないんじゃないかなということは正直私も思うんですけれども、いかがでしょうか。

棚橋座長 渡邊博美意見陳述人。

 なお、大変恐縮ですが、簡潔にお願いいたします。

渡邊博美君 はい。

 それはおっしゃるとおり、ハード面とかシステムとかいろいろな法律はだんだん整ってきたし、特にインフラは、物すごくスピードを上げて、福島県だけではなくて、完成しつつあります。

 ただ、先ほど皆さんからもお話ありましたように、心の部分といいますか、それは例えば、被災に遭った人あるいはなかった人も、仕事の関係や何かでも、例えば会社でいえば、そういう地区の人も、同じ家族のように思っている人たちが全部つながっておりますので、そういう意味でいうと、常に、なかなか、納得感のある、充実感のあるというのではなくて、まだまだ、今言いましたように、原発が四十年ぐらいかかる、そこまでの間にどうやって大切なふるさとを守るための次の世代の人をつくるかというのは、これは、事業者であっても、我々も、同じであります。

 被災者が一言我々に言った言葉で今でも印象に残りますのは、やはり浪江から避難している福島にいた人が、仮設住宅から立派なマンションのような公営住宅に移動するときに、うれしくて悲しいと言ったんですね。これが本当に今でもぐっと刺さっておりまして、居住環境が変わった、それは物すごくうれしいんだけれども、もう年齢が高いので、そこに住むようになると、ふるさとには帰れない、そしてコミュニティーのつながりはもうなくしてしまう、それが悲しいというのが、実際の、私は、福島県のそれぞれの人の本音だと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

棚橋座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様方におかれましては、御多忙の中、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。

 本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるところがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後三時四十七分散会

    ―――――――――――――

   派遣委員の熊本県における意見聴取に関する記録

一、期日

   令和二年二月十四日(金)

二、場所

   熊本城ホール

三、意見を聴取した問題

   令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 坂本 哲志君

       あべ 俊子君   今村 雅弘君

       奥野 信亮君   鬼木  誠君

       笹川 博義君   原田 義昭君

       堀内 詔子君   大西 健介君

       川内 博史君   本多 平直君

       渡辺  周君   江田 康幸君

       田村 貴昭君   杉本 和巳君

 (2) 意見陳述者

    熊本県知事       蒲島 郁夫君

    熊本学園大学シニア客員教授          坂本  正君

    熊本県商工会連合会会長 笠 愛一郎君

    熊本学園大学社会福祉学部教授         高林 秀明君

 (3) その他の出席者

    財務省主計局主計官   吉沢浩二郎君

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

坂本座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の坂本哲志でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 皆様御承知のとおり、当委員会では、令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算の審査を行っているところでございます。

 本日は、三案の審査に当たりまして、国民各界各層の皆様方から御意見を賜るために、当熊本市におきましてこのような会議を催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明を申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願い申し上げます。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介をいたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党・無所属の会の堀内詔子君、あべ俊子君、今村雅弘君、奥野信亮君、鬼木誠君、笹川博義君、原田義昭君、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの渡辺周君、大西健介君、川内博史君、本多平直君、公明党の江田康幸君、日本共産党の田村貴昭君、日本維新の会の杉本和巳君、以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 熊本県知事蒲島郁夫君、熊本学園大学シニア客員教授坂本正君、熊本県商工会連合会会長笠愛一郎君、熊本学園大学社会福祉学部教授高林秀明君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず蒲島郁夫君に御意見をお述べいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

蒲島郁夫君 熊本県知事の蒲島です。

 本日は、このような機会を設けていただき、まことにありがとうございます。

 委員の皆様におかれましては、平成二十八年熊本地震からの復興に対しまして、多大なる御支援をいただき、心からお礼を申し上げます。

 熊本地震から三年九カ月が経過いたしました。本県では、熊本地震からの創造的復興に向け、お手元の資料一ページにありますように、重点十項目を掲げ、時間的緊迫性を持って取り組んでいます。

 それでは、資料に沿いまして、主な取組の進捗状況を説明させていただきます。

 二ページをお願いします。二ページに住まいの再建について書かれています。

 住まいの再建については、県政の最重要課題と位置づけ、県独自の六つの支援策を創設し、全力で取り組んでいます。

 一月末現在、仮設住宅の入居者数は、一千八百六十三世帯、四千三百九十三人となり、ピーク時から九割を超える被災者の方々が住まいを再建されております。引き続き、お一人お一人の状況に応じた伴走型支援を行い、住まいの再建を全力で後押ししてまいります。

 三ページをお願いします。熊本の宝は阿蘇でありますけれども、阿蘇へのアクセスルートがほとんど地震でやられてしまいました。道路については国交省において精力的に復旧を進めていただいており、来年度中に、国道五十七号北側復旧ルート、国道三百二十五号阿蘇大橋ルートが全線開通の見込みであります。

 四ページをお願いします。四ページには鉄道が書かれておりますけれども、鉄道については、JR豊肥本線が来年度中に運行を再開し、南阿蘇鉄道は二〇二三年夏ごろに再開する見込みであります。

 これらの道路と鉄道の開通により、阿蘇地域へのアクセスは、通勤通学の利便性回復はもとより、阿蘇観光の再生に向け、大きく前進いたします。

 それでは、五ページをお願いします。五ページは、益城町の復興まちづくりについて書いています。

 私は益城町の復興なくして熊本地震からの復興はないというふうなことを思っておりますので、この最も被害を受けた益城町について、創造的復興のシンボルとして、県道熊本高森線の四車線化と木山地区の区画整理事業を進めています。

 四車線化は、昨年一月から進めているモデル地区整備が今年度末に完了予定であります。

 六ページをお願いします。六ページは、もう一つの復興である木山地区の土地区画整理事業であります。一部の地区で昨年十一月に着工し、早いところでは、ことし六月までに自宅再建が可能となる見込みであります。

 一日も早い被災者の生活再建に向け、引き続き、町と連携しながら、時間的緊迫性を持って事業に取り組んでいきます。

 七ページから九ページにかけて見ていただきたいと思います。七ページから九ページにかけては、大空港構想についてであります。

 阿蘇くまもと空港が地震で傷みましたけれども、それを、大空港構想に基づいて創造的復興をしたいという形で、今、コンセッションの方式を導入しながら進めております。これは、国内線と国際線が一体となって、二〇二三年の春の供用開始に向けて進んでいるところであります。

 九ページをお願いします。九州の真ん中にある空港が生まれ変わるタイミングを見据えて、長年の課題であった空港アクセスの改善にも取り組んでいます。アクセス鉄道を整備する計画を進めています。

 そして、納税者の負担を抑えるため、JR九州から、JR豊肥本線へつながることで生じる増益効果分から、整備費の三分の一に相当する額を上限に拠出するという、今までに例のない協力をいただいております。

 そして、今、国にもお願いしておりますけれども、今後、具体的な整備方針が決定した段階で、国においても整備費について最大限の御支援をお願いしたいと思います。もちろん残りは県が負担するということになります。

 このアクセス鉄道は、大空港構想、それから、それを超えた、地方創生にとってとても大事なプロジェクトだと思いますので、ぜひ国の御支援をお願いしたいと思います。

 では、次に、重点十項目からかわりまして、被災自治体への支援について、十ページをお願いしたいと思います。

 被災自治体への支援についてですが、県や被災市町村の財政負担については、これまで、国庫補助制度の創設、補助率のかさ上げ、地方財政措置の拡充など、国の強力な支援により、その最小化が図られてきました。心からお礼を申し上げたいと思います。

 熊本地震のような大きな災害からの復旧復興には、着工後十年余りを要する益城町の区画整理のような、長い年月と多額の費用がかかるものがあります。今後とも、復旧復興に係る事業を着実に履行できるように、令和二年度当初予算はもとよりのこと、地方の財政負担の最小化と中長期的な財源の確保のために、特別な財政措置の継続をお願いしたいと思います。

 三番目は、大規模災害に対応する体制確保についてであります。十一ページをお願いします。

 大規模災害については、全国の市町村からの支援が不可欠であります。熊本地震発災当時の災害対策基本法では、都道府県が市町村に支援を要請するスキーム、枠組みがありませんでした。本県の要望に対し、国は、速やかに法律を改正していただき、被災市町村支援の体制が強化されました。改めて感謝申し上げます。

 現在も、本県及び被災市町村では、他自治体から多くの職員派遣を受け、熊本地震からの早期復旧に大きく貢献していただいております。引き続き、迅速かつ円滑に復旧復興に取り組めるよう、必要な支援をお願いしたいと思います。

 また、本県では、小規模自治体を中心に、専門的な知識が必要な分野において、技術職員が不足している状況です。そうした状況を踏まえ、県職員を上乗せして採用、育成し、事業受託や職員派遣など、市町村の要望に応じた支援を来年度から開始いたします。

 国においては、増員した技術職員分の人件費を普通交付税で措置する予定とされていますので、心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 四番目、国土強靱化対策の予算の確保についてであります。十二ページをお願いします。

 国土強靱化対策の予算の確保についてでは、十二ページにありますけれども、本県では、熊本地震の教訓をしっかりと反映する形で、地震発生の翌年に熊本県国土強靱化地域計画を策定しました。また、全ての市町村が計画策定に向けて取組を進めております。県、市町村とも、平時からの備えによって被害の最小化を図り、迅速な復旧復興につなげる取組を進めているところであります。

 国においては、令和二年度までを取組期間とする三カ年緊急対策が講じられています。しかし、三カ年緊急対策のみで完了するものではなく、長期的かつ計画的に取り組むことが極めて重要であります。そのため、三カ年緊急対策終了以降においても、持続的かつ幅広く適用可能な予算の確保をお願いしたい、このように思います。

 五番目、十三ページをお願いします。地方創生についてであります。

 我が国の人口減少や少子高齢化、東京都への一極集中への流れは、現時点では歯どめがかかっておりません。本県としても、国と協働しながら、熊本、我が国のさらなる発展に向けて、総力を挙げて取り組んでまいります。

 最後になりますが、このほかにも、CSF、これの感染防止への懸念や、阿蘇火山活動の活性化、長期化に伴う降灰の影響などの課題も熊本県は抱えております。国においては、このような地域事情にも寄り添っていただき、万全の対策を講じていただきますようお願いします。

 あと二分残りましたので、一ページをあけてください。

 まず、一ページの重点十項目の、災害廃棄物の処理が二番目に書かれておりますけれども、これはおかげさまで二年で完了いたしております。

 熊本城の復旧については、これについては全部終わるのに二十年かかりますけれども、現在、天守閣の外観が完了し、ことしじゅうには内部が終わる予定であります。

 六番目、被災企業の事業再建については、これは政府がグループ補助金を提供していただいたことによって九七%の事業再開が完了いたしました。ただ、今、大きな問題は、後継者問題であるとか、あるいは事業継承問題、それから資金のつなぎの問題が出ておりますので、そのことに関してはまた議論していただければと思います。

 被災農家の営農再開については、九九・八%完了いたしました。

 九番目の八代港のクルーズ拠点に関しては、現在、ロイヤル・カリビアンというアメリカの会社と国交省と熊本県がこのクルーズ船の拠点化を進めております。今月の二十九日には完成予定です。

 十番目の国際スポーツ大会は、熊本県で女子ハンドボール世界選手権大会とラグビーのワールドカップを行いましたけれども、大成功に終わりました。皆さんの御協力に心から感謝いたします。

 ちょうど時間となりましたので、私の陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

坂本座長 ありがとうございました。

 次に、坂本正君にお願いいたします。

坂本正君 それでは、予算について、財政の健全化と、それから経済の発展ということのまず印象から述べてみたいというふうに思います。

 今回の予算につきましては、経済再生なくして財政の健全化なしという形で、当然のことながら、財政健全化のためには経済再生が必要ということで見通しを立てておられますけれども、十五カ月の予算で二〇二〇年度当初、八年連続で過去最大という形になっています。いろいろな事情の結果そうなったんだというふうに思いますけれども、公的債務がGDP比二三七%で高水準を継続しているということはこの間の傾向なんですけれども、財政の健全化という感じからいいますと、非常に見通しは暗いというふうに思います。

 それで、財政健全化のためには経済再生が必要ということなんですけれども、やはり財政の健全化はいかにあるべきかということを中心に据えるべきではないかというふうに考えております。

 それと、どうしても歳入歳出で非常に難しい予算編成になると思いますけれども、その中で、社会福祉系、あるいは教育、防衛費の、この支出のバランスを、どういうふうに抑えるのかというのは、かつて大きな課題であったというふうに思います。

 その中で、この間、防衛費の増額が続いているということは、いろいろな国際的な環境あるいは状況を勘案したとしても、いろいろふえ過ぎているのではないかという印象を持っております。当然、専守防衛でございますので、専守防衛の観点から見て、限られた予算の中で防衛力の整備を考えていく、それから費用対効果というものを十分に配慮するということをやるべきだというふうに思います。

 その上だとは思いますが、八年連続で増加をし、過去最大規模を更新したということは、流れからいうと行き過ぎではないか、歯どめをかけるべきではないかというふうに考えます。

 中でも、後年度負担の負担の規模が非常に大きくなっておりまして、この後年度負担が増加するということになりますと、いろいろな形で指摘をされておりますように、柔軟な予算編成が困難になるということが考えられますので、全体の流れから見て、財政の健全化というものから見ればかなり後退している現状というものをもう一度見直すべきではないかというふうに考えております。

 以上は今の予算の編成の流れについての私の感じでございますけれども、きょうのもう一つの点は、今知事が言われました熊本の地域の経済活性化に向けて何をすべきか、そしてまた今何ができているかということを御報告して、いろいろお願いをしたいというふうに思っております。

 それは何かといいますと、地域経済の復興に向けて、公共交通の復活と整備というものはこれからの高齢社会にとっては大変大きな鍵になります。これは熊本だけではなくて、どの地域においても大きな問題になっているところでございまして、当然施策は打たれております。

 地域の公共交通の再生と復興というのは、今の超高齢社会、もう高齢化ではなくて高齢社会になっている現実の中で、生活の足である通院、通学の手段としての足の確保というものは生活にとって非常に不可欠なものでございますし、通学のことを考えますと、教育保障という点でも非常に重要なことになります。社会福祉という感じで狭く捉えるだけではなくて、地域で生きていくというその生活圏、それを保障していくという交通権の意義、その保障というものを改めて考え直すべきではないかというふうに考えております。

 交通権という言葉は大変広く流布しているんですけれども、これが地域の生活維持のための交通手段の確保としてどの程度保障されているのかということになりますと、まだまだこれからだというふうに思いますので、ぜひそれを考えるべきではないかというふうに思っております。

 熊本では今どういうような状況が進んでいるのかということを申し上げますと、この間、非常に大きな、この交通の問題については、熊本では、これからの国の施策に合わせるというか、それを見通した上で、バス会社が共同運行に踏み切るという政策の実施を掲げております。また、公共交通のあり方としては、バスと電車、市電と電鉄というのが二つあるんですが、それとJR、それと、公共交通の中の位置づけとしてありますけれども十分に活用されていないタクシー、これを組み合わせた、熊本市長はベストミックスというふうに言われているその中身を、これから展望していく新たな将来ビジョンというものを、現在準備中でございます。

 どこも人員不足ということで、会社の経営それから中身が非常に難しいんですけれども、それをどういうふうに保障していくのかというのが、今の熊本の現状でございます。

 十年ほど前に、熊本市は、公共交通のグランドデザイン、それから公共交通の基本条例を策定し、交通権を保障するという形で、熊本市が中心になって、公共交通の再編を進めてまいりました。この熊本都市圏の公共交通に当たりましては、熊本県が全面的に支援するという形で進んでおりまして、現在も、バス事業者、それから熊本市、熊本県、そのメンバーが集まりました共同協議で、バス会社全体の共同経営という形に、今、準備が進んでいるところでございます。

 これは、国がそういうふうな弾力的な施策をとるということを見通してのことでございまして、この政策については大変すばらしいというふうに考えておりまして、我々は、その施策に、ある意味では大変感謝をしているというふうに思います。

 しかし、全体的に見れば、これは熊本の場合はそういう形で進んでおりますけれども、熊本の規模でない、あるいは他の地域、そこで交通問題というものは、まだまだ大きな壁といいますか問題を抱えております。

 条例が意味があるかどうかは別にいたしまして、公共交通の基本条例というようなものも、十年前は、熊本よりも先にできているのは福岡と金沢でございましたけれども、これも議員立法で、全体的に自治体が責任を持っている状況ではございません。その後、富山のように、国のバックアップで、全面的にバックアップして進んでいるところもございますし、モデルケースはいろいろございますが、ただ、全国的に見ると、バス会社一つとってみても大変疲弊をし、北海道なんかも大変厳しいというふうに思います。公共交通の整備にほど遠いという状況の中では、地域の生活の足が奪われるということになってまいります。

 地域社会の福祉社会の構築、今後の日本の高齢社会を見通すという意味では避けて通れない大きな問題でございまして、現在の限られた予算の中でどういうふうに予算を分配するかというのは大変厳しい状況にあると思いますけれども、これからの福祉社会の中での投資ということを考えますと、単にバス会社への支援というだけではなくて、バス会社、それから鉄軌道、いろいろなローカル線、そういうものを組み合わせて地域をどういうふうに振興するのかというプラン、そしてそれに基づく支援、効率的な支援というものが考えられるというふうに思います。

 投資に対する効果というだけの費用対効果ではなくて、その投資が地域の未来をどういうふうに支えるのかという観点の大局に立って、全体的なプランの練り直しと支援策ができればというふうに思っております。

 熊本では我々の今までの流れの中でそういう施策を進めていきますが、これが各自治体の中で共有できて、あるいは熊本が一つのモデルになるような形になればというふうに思っておりますけれども、地域によっていろいろな事情が違いますので、ぜひ公共交通の支援というものに対して大きな力を注いでいただきたいというふうに思います。

 以上です。(拍手)

坂本座長 ありがとうございました。

 次に、笠愛一郎君にお願いをいたします。

笠愛一郎君 熊本県商工会連合会会長の笠でございます。

 本日は、衆議院予算委員会地方公聴会で意見陳述の機会をいただきまして、感謝申し上げます。本日は限られた時間ですが、熊本県の商工会の現状や全国共通の課題等について意見や要望を述べさせていただきます。

 資料の一ページをごらんください。熊本県商工会連合会は、商工会議所のみが所在する一部地域、荒尾、水俣、人吉市を除き、政令市熊本市から、人口増が進む熊本都市圏、人口減少が著しい過疎地域までを含み、県下四十九の商工会の連合会であります。

 資料の二ページをごらんください。会員数は減少傾向にあるものの、平成三十一年四月現在、一万七千七百五十四人、青年部千五百六十九人、女性部員二千四百十九人、合計二万一千七百四十二人、経営指導員等の事務局職員も合計三百八十五人の規模を有しております。

 資料の三ページをごらんください。地域の商工会では、青年部や女性部が中心となって、祭りやイベント、さらにはPTA活動や消防団員として災害時の消防防災の主要な担い手となりながら、地域の経済やコミュニティーを懸命に支えております。

 資料の四ページをごらんください。私は、熊本市の北東部に位置する菊池市商工会の会長も務めております。菊池市は平成十七年三月に一市二町一村で市町村合併し、平成二十二年四月には商工会も行政に合わせる形で合併を果たし、本年度で十周年を迎えました。

 菊池市は、郊外への大規模小売店舗の出店が相次ぎ、中心商店街の空洞化が進み、近年では、インターネットの普及によるネット販売や通販の攻勢も加わり、商店街の状況はますます厳しくなっております。こうした中、商工会では、市行政と連携しながら、空き店舗対策事業、創業支援強化等を行い、昨年からは、小規模事業者が最大の課題としている販路拡大事業として、通販大手と連携し、既存商品のブラッシュアップや新商品開発の提案等に取り組んでおります。

 資料の五ページと六ページをごらんください。高齢化している中小・小規模事業者の後継者不足問題は、本県だけでなく全国共通の最重要課題となっております。事業承継に関しましては、国においても喫緊の課題と認識いただき、税制の改正等さまざまな支援策が充実強化されており、厚くお礼を申し上げます。

 本県では、熊本県の特段の御配慮によりまして、被災事業者の経営再建支援とともに、事業承継の推進を専門とする特任の経営指導員を全体で十一名配置していただき、この十カ月間で県内各地を駆け回って事業承継の支援先を積極的に掘り起こし、ごらんのような実績を上げております。

 資料の七ページをごらんください。このような中、一つの取組として、先週二月七日には、熊本県内に来ている地域おこし協力隊員の方々を集めて、事業承継に成功した他県の隊員の体験談や、プランの立て方等のセミナーを行い、参加した隊員からは大変好評を得たところでございます。

 後継者がいない事業者と、地域に残る意欲のある若い隊員や、UIJターンを考えている人たちとのマッチングができれば、まさにまち・ひと・しごと、地方創生につながるのではないかと期待をしております。

 資料の八ページをごらんください。本日十四日は、平成二十八年四月十四日の熊本地震の前震から三年十カ月となります。当時の国における中小・小規模事業者に対する迅速かつ手厚い支援策には改めて感謝を申し上げます。被災した事業者に対してはグループ補助金制度を認めていただき、県によると九七%の事業者に交付され、建物、設備等のハード面の再建はほぼ完了したところであります。

 しかしながら、熊本地震により落ち込んだ売上げが回復しないとか、グループ補助金の自己負担分を金融機関から借り入れた融資額の返済や運転資金の資金繰りなどの相談がふえてきております。

 そこで、熊本県と連携をして、被害の最も大きかった益城町に復興経営サポートオフィスを開設して、中小企業診断士等の専門家がプッシュ型で被災事業者を訪問して相談に乗る伴走型支援を行っているところでございます。

 この中で出てきた課題として、被害が大きかった阿蘇地域のホテル、旅館業の経営再建があります。地震後、阿蘇地域につながる道路や鉄道が寸断され、風評被害もあって、大きく観光客が落ち込みました。このとき、国の支援により、ふっこう割という宿泊料の割引制度が創設され、熊本県内や九州各県へ適用されましたが、肝心の阿蘇地域は、建物や温泉施設が被害を受け、アクセスもよくなかったため、その恩恵が十分に及びませんでした。

 国の御尽力により、道路や鉄道のアクセスも、ただいま知事から報告がありましたように大きく改善しつつありますので、この機会に、阿蘇地域限定のふっこう割のような制度を御検討いただき、世界の阿蘇の観光復活に特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。

 資料の九ページをごらんください。国におかれましては、中小・小規模事業者が地域で果たす役割の大きさを御理解いただき、小規模企業振興基本法制定以降、小規模事業者持続化補助金や販路開拓支援事業など支援の充実をしていただき、改めて感謝を申し上げます。これらの支援策については、事業者の要望も多く寄せられ、大変好評でありますので、事業の継続とさらなる充実強化をお願いいたします。

 資料の十ページをごらんください。さまざまな支援策の充実強化は大変ありがたいことでありますが、これにより商工会職員の業務量が増加する一方で、職員数はふえるどころか減少傾向にあります。本県では、先ほど述べましたように、特任の指導員が期間限定で増員されていますが、全国的には商工会の職員不足が共通の課題となってきております。

 国の支援策を現場で実行するのは商工会職員でございます。ぜひ、マンパワーの充実に向けた総合的な対策の検討もよろしくお願いいたします。

 資料十一ページをごらんください。近年、景気は緩やかな回復基調が続いているとのことですが、地方の中小・小規模事業者にはその恩恵が届いていないという感じであります。熊本地震の復旧復興事業により、建設業界を始めとして、いわゆる復興特需があったのは事実でありますけれども、それも、三年を経過して落ちついてきております。

 このような中、最低賃金の大幅引上げが続いております。本県では毎年三%前後、この五年間で一六・七%の大幅アップとなっております。人材確保のためにも一定程度の賃上げは必要と認識していますが、最低賃金法に定められている事業者の支払い能力の範囲を超えた賃上げが続けば、事業者の意欲をそぎ、廃業や事業縮小のきっかけになりかねません。今後の水準決定に当たりましては、地域の雇用や経済に悪影響が出ないよう、慎重な対応をお願いいたします。

 資料の十二ページをごらんください。本日は、このような意見陳述の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げます。繰り返しになりますが、商工会は、地域経済とコミュニティーを支える唯一の団体であると自負しております。

 熊本県商工会連合会では、初めてとなる五カ年計画、アクションプラン二〇二〇を策定中ですが、その基本方針として、熊本地震からの創造的復興と事業承継に重点的に取り組んで、地域と事業者と商工会が持続的に発展できるよう頑張ってまいる所存でございます。

 衆議院予算委員会の先生方におかれましては、令和二年度の当初予算における中小・小規模事業者関係の予算の早期成立や、支援策のさらなる充実に向けまして、特段の御理解と御支援をお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。

 本日は、ありがとうございます。(拍手)

坂本座長 ありがとうございました。

 次に、高林秀明君にお願いをいたします。

高林秀明君 高林です。

 本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私の資料はホチキスでとめてある縦のものなんですけれども、私は、阪神・淡路大震災の仮設住宅で孤独死の実態調査をした経験があります。そして、熊本地震では、この間、みなし仮設の方々とのかかわりを持ってきました。

 きょうのお話は、みなし仮設が主流となっている現在、新たな被災者の支援制度が求められているということ、もう一つは、災害直後の応急期、短期的な復旧期の支援に重きが置かれている現在の災害対策を、生活再建期までの比較的長いスパンの制度に拡充していくべきではないかという意見を申し述べさせていただきたいと思います。

 まず、一ページ目のところなんですけれども、東日本大震災以降、仮設住宅は、みなし仮設、借り上げ型仮設ですね、こちらが積極的に活用されています。熊本地震でも七五%を占めました。今後想定される大規模災害においても、仮設住宅はみなしを積極的に活用していく方向であります。

 確かに、速やかに避難が可能であり、そして低コストであります。プレハブ仮設、熊本地震でも、比較しますと、一世帯当たりのかかる費用が、一千万に対して二百万ということで、大きくみなしの方が低コストであるということがわかると思います。

 しかし、さまざまな課題を抱えているのも事実です。一ページ目の資料二のところなんですけれども、地域支え合いセンターという仮設住宅の住民の皆さんを支援する団体の職員配置比率が、プレハブ仮設を一〇〇としますと、みなし仮設が七八、テクノ仮設とみなし仮設を支援している、プレハブとみなしの比率を見ますと、大体三分の二ぐらい。少ない体制でみなし仮設を支援せざるを得なくなっています。

 二ページ目のところなんですけれども、このみなし仮設の支援というのは、目の前に被災者がいないわけですね。益城町について言えば、千六百世帯のうち七割は町外に避難しています。二十七市町村に分散しました。遠方では、上天草市ですね、六十キロ離れたところに車で片道一時間半かけて訪問して、相談支援を行うということをやらざるを得ないわけですね。一年たって、地震から一年の時点で全ての世帯を回ったものの、八百世帯、半分にしか会えなかったわけですね。私が訪問して、私は相談員をしていましたけれども、訪問すると、開口一番、みなし仮設は情報も支援も来ないからねと言われる方もいらっしゃいます。

 そして、一年後に三世代で二LDK、六人家族で暮らしている五十代の女性の方は、もう本当に倒れそうだ、お母さん、義理のお母さんが要介護度二で認知症が進んでいて、もう息の詰まるような生活です、二LDKのアパートで本当に苦しいと。次第に時間がたつにつれて、心身ともに疲弊しているという状況もありました。

 あるいは、地震のときにすぐに罹災証明でいくと一部損壊と判定されて、みなしに入れなかった方が、二カ月後に、これは三十代の女性なんですけれども、妊娠していることがわかりまして、そして八月に、非常に過酷な避難環境の中、流産しています。ですから、当初からみなしにすぐ入っていれば、そういうことはなかったんじゃないかと思ったんですけれども、こういうケースもあります。

 速やかに避難環境が改善されるという点では、みなし仮設はすぐれているわけですけれども、なかなか支援の手が届きにくいという現状があります。そして、プレハブ仮設のように集合的に皆さん、住んでいませんので、交流が難しい。

 これは資料四のところなんですけれども、それぞれプレハブ仮設には集会所もあります。自治会もあります。そして、ボランティアも来ます。しかし、みなし仮設は、そのための集会所はありません。自治会もありません。そして、助成金もそういう点では受けられない。ボランティアの継続的な支援もありません。公的な支援員が訪問する機会も少なく、そして、地域の中でも孤立感とか疎外感を感じているというのが、みなし仮設の実態であります。

 三ページ目のところですけれども、そういう中で、孤独死が、熊本地震では公表されているだけで三十三人ということが今明らかになっていますけれども、そのうち、みなし仮設での孤独死が二十七人に上っています。入居者一万当たりの発生率を見ると、みなし仮設の方が七・三、プレハブが五・四と、みなし仮設の方が高くなっているんですけれども、今のような背景もあるのではないかというふうに思います。

 実は、いかに孤立を防ぐかということなんですけれども、少なくとも、地域支え合いセンターのスタッフの数をやはり格段に拡充する必要がありますし、しかし、スタッフを求めても集まらないという現状もあります。ですから、災害が起こる前に、日ごろから、このようなアウトリーチ型の、地域に点在した被災者を支援する、そのような団体、ボランティアの育成というものがやはり必要じゃないかと思います。それは市町村だけではできないので、少なくとも県が主体となる必要があるでしょうし、また、そこは国もサポートが必要でしょうし、国としても、このような大規模災害における大量のみなし仮設の利用における支援体制の確立を検討していただけたらというふうに思います。

 そして、みなし仮設の退去後の方々も、これもまた継続的な支援を必要としている人たちが多くいらっしゃいます。四ページにかけてなんですけれども、千六百世帯のみなし仮設を支援している益城町の地域支え合いセンターの調べによると、全ての方が退去した後も二〇%の方が継続的な支援を必要としていると。熊本地震全体の被災者に当てはめて、仮設退去後もどれぐらいの人が支援を必要とするかと試算してみますと、少なくとも二千八百世帯ぐらいはあるのではないかと思います。これは、これまでの特定非常災害のうち、仮設が延長された災害において、初めて熊本地震、最初の延長で個別の延長要件が課されたわけですけれども、まだ十分に生活再建できていないままに退去せざるを得なかった人たちも少なくないわけですよね。そうなってくると、やはり退去後の支援が継続的に必要になる。

 そうなりますと、現在の地域支え合いセンターは厚生労働省の予算の中でやっていますが、やはり補助要綱に基づいているわけですね。これを、やはり法的な根拠を与えて継続的に支援できる、長期にわたって支援できる体制を整えていただきたく思います。

 そして、次の、四ページの二つ目の柱になりますけれども、やはり長期にわたる支援、それは応急期、復旧期に限らず、復興、生活再建という長期にわたる支援の中で、やはり熊本地震の一つの特徴は関連死が多かったということですね。これは直接死の四倍を超えるという状況なんですけれども、それは、死に至らないまでも、やはり健康状態を悪化させた人たちが多い。これはもう県の調査や熊本市の調査でも明らかになっているところです。

 ところが、そういう状況の中で、医療費の免除措置、大変被災者にとってはありがたいものだったんですが、一年半で打ち切られました。この機会に受診抑制がかなり進んでいるというふうに見られます。半壊以上の方々、約十万人の方々がいらっしゃったわけですけれども、やはり経済的な事情から受診を抑制せざるを得ない。これは、熊本県保険医協会の調査などでも医師の方々がそのような状況を指摘していますし、私も独自で調査したところ、二九%の方が経済的理由で受診抑制していると言っています。これは五ページのところですね。

 そうなりますと、では、特別措置が打ち切られた後は、国民健康保険法第四十四条などの免除措置を適用できるかといいますと、実際、その後の一年で利用した方は、県内全体でたった一件しかないわけですね。十万人が適用されていた状況から、たった一人になってしまう。

 こういう状況は、相当、災害対策と既存の福祉制度の谷間が余りにも大きい。ですから、被災者のニーズに合っていないのではないか。ですから、被災者の健康を守るためには、免除制度を継続するか、これは岩手県ではまだ、十年たっていますけれども継続していますし、あるいは新たな医療助成制度をつくるというほかないのではないかと思います。

 そうなってきますと、どのようなことが必要になっていくか。これは、災害救助の原則として現物給付の原則がございますが、やはり現金給付を活用していくべきではないか。医療費も、全ての人が継続して全額免除が必ずしも必要でない。経済的な状況はさまざまです。低所得層を中心に、一部医療費助成ということもできます。あるいは、みなし仮設の退去後の家賃助成にしても、現金給付にすれば一部の住宅の家賃補助ということも可能になります。ですから、復興期から生活再建期、このような長期にわたるスパンの中での支援においては、現物給付というものと同時に現金給付を活用していくということが必要ではないかというふうに考えております。

 熊本地震関連の予算の中で、約一兆円、その中で生活関連の部分では一〇%いくかどうかという、項目の数え方にもよりますけれども、医療費について言えばほぼ一%に当たる部分になります。より国においても、県においても、健康、生活の再建のための積極的な制度の整備と十分な財政措置をお願いしたいというふうに思います。

 以上で私の意見を終わります。(拍手)

坂本座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

坂本座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川委員 改めて、自由民主党の笹川博義です。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず蒲島知事にお伺いをさせていただきたいんですが、大変な大きな災害ということで、改めて心からお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。それとまた、知事筆頭に、積極的に政策を展開して災害対応に当たっていることにも敬意を表したいと思います。

 そこで、一つお聞きしたいのは、地震における観光業のいわゆる風評被害ということもありましたよね。そして、現在では、やはり我が国は韓国からの観光客も減少、それからまた、今、中国でも新型コロナウイルスということもこれありということでありますので、知事におかれましては、いわゆる熊本の経済を支える大きな柱である観光業について、どのような形での御所見をお持ちなのか、お聞かせをいただければと思います。

蒲島郁夫君 地震を経験して一番最初に多分大きな影響を受けたのが観光業だと思います。とりわけ、阿蘇へのアクセスが全部行けなくなったということもあって、観光業界が一斉に大きな影響を受けました。ただ、旅館業に関しては、復興事業の方々がたくさん入っていらっしゃいましたので、例えば市内であるとか市内の近郊の旅館、ホテルはかなりお客さんはいたというふうに思います。ただ、一番困ったのが阿蘇地域ではなかったかなと思います。

 そのときに、政府の方でふっこう割をやっていただいたというのはとても大きかったと思います。ふっこう割のおかげでみんな息をついたというのが私の感想であります。

 ただ、このふっこう割も、ある程度まで続きましたけれども、阿蘇は結局、アクセスが回復するまでかなり時間がかかるんですよね。だから、阿蘇はどうしてももとに戻らなかったなというところがあります。

 そういうときに、今度、韓国からのお客さんがぱたっと来なくなったということもありますので、そこはまた阿蘇は特に大きな影響を受けたんじゃないかなと思っています。そして、今は新型コロナウイルスでまた不透明性が出てきていますので、震災の後でようやくカムバックしてきたかなと思ったら、そういう外的要因がとても多い状況であります。

 この中で、当然、被害を受けたところの濃淡がありますけれども、とりわけ、先ほども笠さんからお話があったように、阿蘇限定のふっこう割、このようなものを考えていただければ、ようやく浮上したかなと思うときにこのような外的要因がある、それから、来年度、来年の三月までには全てのアクセスが回復いたしますので、十分その後は大丈夫とは思うんですけれども、それまでまたちょっと起き上がれないので、笠さんのおっしゃったように、阿蘇地域特有のふっこう割でもやっていただくと、とてもポイント、ポイントとしてはうれしいなと思います。

笹川委員 ありがとうございました。

 私も、実は環境省の政務官をさせてもらったときには、国立公園の多言語化ということを進めろと、いわゆる英語、中国語、韓国語だけじゃなくて、さらにはASEAN諸国に、またヨーロッパではフランス語もドイツ語も含めて多様な多言語化を進めた方がよろしいんじゃないのかというようなお話もさせていただきましたので、そういう意味では、被災を受けたところでの観光業の支援ということの重要さもきょうは勉強させていただきまして、ありがとうございました。

 続いて、坂本先生にお伺いをさせていただきたいと思います。

 実は、私の地元も、群馬県の太田市というところでありまして、鶴舞う形の頭の方なんですけれども、港もなければ空港もなし、JRもない、私鉄路線が一路線だけというところでありますので、今先生がおっしゃったバスの重要性というのは非常に我々にとっても認識をしておるし、どうしたらいいのかということで、今、私の町では、なるべく停留所をもっと細かく、そしてバスについてはなるべく小型でいいんじゃないのかというような政策展開と、また、もう一つの市のところでは、一市四町で共同で運行をさせていただこうというような話をさせていただいております。

 ただ、やはりタクシーと呼ばれるものの公共交通の位置づけというような先生のお話がございましたので、このタクシーの位置づけということは、私も余り気にはしていなかったので申しわけなかったんですけれども、この辺についてももう少し御所見を聞かせてください。

坂本正君 ありがとうございます。同じような状況だと思います。

 バスについては、停留所をふやすということと小型化ということがあるんですけれども、バスの小型化も結構金がかかるんですね。コストからいうと、大型のバスを走らせるよりも小型化がいいという話はあるんですけれども、数が少ないものですから、かえって新型の小型のバスを導入するとコストがかかるという負担の部分があって、なかなか踏み切れない。

 それと、一市四町で共同運行というのも、大変重要なことで、ぜひやっていただきたいというふうに思うんですが、一番の問題は、バスに乗りなれていない、あるいは、運行の時間が確保されていないということになると、住民がなかなかお乗りにならない、乗ってもおくれるという経験があるとなかなか乗らないということで、実は、住民の方がいかに乗っていただくかという工夫をいろいろな形で応援していかなきゃできないということがあると思います。

 タクシーは、今、ウーバー等を含めていろいろな話がありますけれども、既に公共交通として、位置づけは、政府の方もタクシーは公共交通になっていると思います。ただ、人員不足と一時タクシーの業界が過剰だったということもあって、なかなかそこに踏み切れなかった。

 そこで、今我々が考えているのは、バスの路線が撤退していった場合、できるだけ戸口から戸口ということになるんですけれども、それをつないで相乗りで行けるようなタクシーとバスの連携というものができれば、それが現実には一番手っ取り早いかなというふうに思っています。

 ただ、それは、タクシーの方も乗員不足という問題もありますし、地域限定で全てできるわけではありませんけれども、バス会社と鉄道と、それから市町村中心になると思いますが、タクシーの活用というのは、一つの方法としては公共交通のあり方で重要だというふうに考えております。

笹川委員 ありがとうございました。

 恐らく熊本県の中でも、熊本市みたいに人口がある一定集中している、そのほかのところは中山間地も含めてどうすべきかということはあろうかというふうに思うんですね。

 その中で、ことし、補正予算の中でも実はサポカー補助金ということがあって、高齢者の皆さん方に、自動ブレーキ、それから踏み間違い防止装置といういわゆる先進技術をぜひ活用して、より安全に、そして長く車を運転してもらいたいというような予算も位置づけをさせていただいた。たまたま私の地元というのは、実は富士重工の、SUBARUの工場があるところなんですよ。なので、自動ブレーキについては非常に先進的に取り組んできたところなんです。

 そして、もう一つ、今、国としても検討してほしい、しているのが、限定免許と言われるものなんですね。いわゆるサポカーの技術を積載した小型の自動車、軽自動車よりもクラス的にはもう一回り以上小さい車なんですけれども、そういうものを、地域限定の中での免許というものの新しい創設をしたらどうかというような話もあるんですけれども、そのことによって、先進技術、それから今言った更に小型の限定免許、こういうものを組み合わせた方が、より公共交通とのミックスというのはうまくいくんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、先生、いかがですか。

坂本正君 全くそのとおりだと思います。

 今のお話の高齢者が免許を返上できないというのは、これは別に過疎地だけに限らずに、熊本の場合も、中心のところでバスが来ない、高齢化して実は足がなくなるという、都市部の中の過疎化というのが起こってまいりました。

 そういう場合に、道も狭いしバスもなかなか入らないというところに、今、地域限定型の例えばタクシーであるとか、あるいはブレーキがよくきく小型であるとか、そういうようなものの補助がないととてもサポートできないだろうということで、全く賛成ですので進めていただきたいというふうに思います。

 エネルギー政策との関係でいえば、これからはやはりエコなバスあるいは電気バスというようなものも当然出てくるので、そういうものの小型化と、それから安全性を確保するというものをいろいろミックスしていく。それについては、小型の免許であるとか、道路行政で、やはりバスを優先していくとか、あるいは地域的にはマイカーをある程度規制していくというようなことにも踏み切っていかないと、次のステップへ行けないのかなと。これについては、国の方の施策とサポートが大変重要になります。

 過疎化の進んでいるところは、実際にタクシーをといっても、タクシーの会社がない。老老介護ではないですけれども、お年寄りの方で運転免許を持っている人がお年寄りを乗せていくという非常にリスクの高い生活に今なっていますから、そこに安全性の高い小型の自動車があって、それを運用していくというようなことができれば生活の利便性は高まるんじゃないかなというふうに思っていますので、ぜひ推奨していただきたいと思います。

笹川委員 あと、先生、タクシーのドライバーの確保だと思うんですね。

 地域公共交通の中の一つの柱としてタクシーというものになったときに、若い人の賃金ベースの中のドライバーで活用できるかというと、これは恐らく補助制度でもない限りは難しいと思うんですね。そうすると、タクシーをどういう形状のものにするかは別としても、やはりドライバーということになったときには、ある一定年齢以上のドライバーで運行するということもコスト的にいうと考えられるんじゃないのかなと思うんですけれども、先生、いかがですか。

坂本正君 実際上、タクシーの運転手の賃金というのは非常に安いので、熊本のタクシー会社の運賃体系を全部調べているわけではありませんけれども、高齢の方が運転をするというのは、年金をもらいながら、あるいは、例えば他方で農業従事をしながらその合間にタクシーを運転するという意味で、非常に最低賃金に近い賃金で走っている。しかも、かなり高齢でないとドライバーが確保できないというのが現実ですので、そういうものをどういうふうに改善するか。

 タクシーの会社は今、熊本も合併していますし、賃金の状況も改善している。しかし、これは他の流通業も同じですが、トラックのドライバーも、それからバスのドライバー、タクシーのドライバーも、非常に賃金体系が低いし、労働条件がきつい。これを例えばサポートするといっても、経営サポートは自治体の場合もできないし、国の場合もできないことになっているので、経営支援するときに賃金が上がるのが一番いいんですが、それができないのをどうするのか。それが今一番悩みの種で、お知恵があればぜひお伺いしたいというふうに思います。

笹川委員 問題意識は恐らく一緒だと思うんですね。その中で、やはりバス会社、これは独禁法の問題もありますけれども、これをどう乗り越えさせて、会社なりなんなりの合理化も含めて、経営改善ということも必要だというふうに思うんですよね。何かよく、お年寄りの人というのは、なかなかバスというのは乗りづらいと。さっき言った利便性については、まだまだ改善しなきゃならない点もあろうかというふうに思うんです。

 ですから、地域におけるバス会社をどう、やはり生き残りをかけた今後になると思いますので、そういう意味では、合併というのはどうしても避けては通れないというふうに思うんですけれども。

坂本正君 今、熊本で進めているのは、バス会社が五社あるんですけれども、市のバスは、実は都市バスというところに民営化するという形で、熊本市も血を出すというか、そういう決断をして、民間で運行している。

 一番大きな問題は、お互いのバス会社の伝統と歴史がありますから、そう簡単にはいかないということで、今、独禁法の弾力化ということで、共同運行に踏み切る。これはバス会社の共同経営ということで、合併するということは大変リスクが大きいので、おのおのの会社の独立性と伝統を守った上で共同経営して、バスの時刻表であるとか運行であるとか路線の整合性であるとか、そういうものに踏み切っていくことで、バス会社の生き残りと運転手の調整。

 我々が考えているのは、その上で、バス会社の、会社は違うけれども車両を共同購入する、路線についても共同で、全部ネットワークでそれを制御する。今その方向に向かっているところなので、これも独禁法のある意味での緩和の部分でできることになりましたので、それがモデルケースになるようにしたい。一足飛びに経営統合ということではなくて、現実の流れを生かしてやっていくのが一番適切ではないかなということで、県の方も市の方もやっている、そういうことでございます。

笹川委員 先生、ありがとうございました。

 それでは、最後に笠会長にお聞かせをいただきたいのですが、恐らく我々の地元でもまさに同じような悩みを商工会については抱えております。職員をどう確保するのかということもあります。

 その中で、ちょっとお聞きしたいのは、事業承継、これについては、期限付の事業承継税制が、あと三年だったかな、二年半だったかなというふうに思います。そういう意味では、事業承継の、今現在、いろいろな御指摘もありました、ただ、もう一点、もしこういうことを改善してほしいというのがあれば教えていただきたい。

 それからもう一つは、恐らく中小・小規模事業者にとっても、従業員の方をどう確保したらいいかということがあろうかというふうに思うんですね。その中で、外国人労働者について、今、技能実習制度、特定技能ということで、大きく二本柱がございます。同時にまた、今、四大卒業生についても、在留資格を速やかに変更して就職できるようにというような改正もしたわけなんですけれども、その点について何か御所見がありましたらお聞かせください。

笠愛一郎君 事業承継につきましては、先ほど述べましたように、特に熊本県は御配慮いただきまして、全体的な職員数が、やはり小規模基本法ができまして、あらゆる事業が出まして全体的にも事業量が大きくなりましたので、職員数が、もともとの職員数からいきますと全国平均で大体三割、熊本県は少し手厚くしていただいておりますので一四%ぐらいの減で済んでおりますけれども、事業量が少し過大になってきたということがあります。

 その中で、私も、一昨年就任しましたときに県にお願いして、今後の問題としては、事業承継等を思い切って進めないと地方は残らないということで、早速お応えいただきまして、十一名の別枠の職員を配置していただきました。もちろん、地震の復興分も合わせての問題でありますから、今後定常的にいくかどうかは今からの問題でありますけれども。

 まずはマンパワーが不足しているのと、うちも今、全事業所一万八千の調査をやって、振り分けをやります。今度は、それをどこに持っていくかが非常に難しいんですね。内部承継の場合は税制関係ですぐできますけれども、第三者承継になりますと、非常にコンサルの方々の費用が高いとか。ただ、政策金融公庫が何かあっせん料をゼロにして対応するということを四月から始めるということで、一度総裁にお会いしたときもお願いしたところでありまして、早速始めていただきます。

 そういう部分の条件整備が整えられてきておりますので、更にそういう第三者承継等に係る費用の御支援をいただくこともあるのと、もちろん、マンパワー不足ですから、そういうものの人員の増員を御検討いただきたいというのが一番のお願いであります。

 それと、外国人労働者も、確かに熊本は、地震の後、非常に人手不足になっておりますので、県内にもたくさんの方々が入ってきております。ただ、小規模事業者がそれを入れるというのが非常に難しくなっておりますので、やはり外国人労働者を入れる場合の小規模事業者に対する何らかの手当て、支援策をとっていただければありがたいかと思っておりますし、地域によっては非常に数多く、あらゆるところから来ている。私の会社もインドネシアから入れておりますけれども、やはり彼女たちとかそういう人たちのよりどころがないものですから、地方自治体なんかが少しそういうセンターを用意するための、何か行政とタイアップしたものが欲しいなと。

 そして、受け入れやすい形も、絶対数が足りませんので入れなきゃいけないというような状況と、小規模事業者であると、やはり費用がかかっておりますので、コスト高ではあるんですよね。最低賃金レベルで雇入れをしましても、費用を加えますと、熊本では、うちの計算では時間給千二百円ぐらいに当たっている人を雇い入れて、八時間勤務をさせて社会保険等を全部つけるという雇用の条件になってしまいますので、その辺の問題に対する小規模事業者に対する支援策も加えていただければありがたいと思っております。

笹川委員 ありがとうございました。

 笠会長、御指摘ありがとうございました。また、高林先生、いろいろなみなし仮設の件、ありがとうございました。勉強させてもらいました。

 以上で終わります。

坂本座長 次に、川内博史君。

川内委員 立憲・国民・社保・無所属フォーラムの川内博史と申します。きょうはよろしくお願いを申し上げます。

 四人の参考人の先生方には、地域社会や経済の発展のために御尽力をされていらっしゃいますことに、まず心からの敬意を表させていただきたいというふうに思います。

 大変に私どもも衝撃を受けたわけですけれども、平成二十八年のあの熊本地震から創造的復興を遂げられていらっしゃるということに関して、皆様方の結束した協力というものに大変学ばせていただくところがたくさんあるわけでございますが、きょうは、地域社会が抱える問題、これは日本全国に共通をするわけですけれども、超少子超高齢化の時代、そして過疎化の時代、そしてまた、地域の中で県庁所在地にある一定の集中がしてしまうという問題。

 総務省で、今、二〇四〇年構想研究会というものがございますけれども、高齢化のピークを迎える年が二〇四〇年と言われているわけですが、将来人口の推計が二〇四〇年構想研究会の第一回の提出資料として出されております。熊本を見ますと、熊本市でさえ、二〇四〇年には七十五万人の人口が六十四万人に減少をするという推計になっているわけで、私たちは、地域社会というものにどう持続可能性を持たせていくのかということに関して、さまざまな観点で、みんなで知恵を絞っていかなければならないというふうに思うわけです。

 そこで、何よりも地域社会を持続させていくために必要なのは、お金が回ること。単純に言ってしまえば、お金が回ることが何よりも必要ということになるわけでございますけれども、昨年十月、消費税の税率が一〇%に引き上げられた。政府としては、平準化対策としてさまざまに策を打っているのだというふうにおっしゃっていらっしゃるわけでございます。

 そこで、経済の現場で、特に中小・小規模企業の皆さんの先頭に立って闘っていらっしゃる笠会長にまず御所見を賜りたいんですけれども、消費税増税後の商売、経済ではないんです、商売に与える影響、並びにポイント還元事業などが中小・小規模事業者の方々に対してどういうふうな恩恵をもたらしているのか、それとも余り恩恵がないねということなのか、実態をお聞かせいただければというふうに思います。

笠愛一郎君 私どもの方で消費税増税後の調査をした関係からまず申し上げますと、売上高で、減少の方向ではなくて横ばいであったというのが約半数、四七%、うちの商工会内の調査ですけれども、売上げが減少したのが一七%ということで、全体的に急激な何か影響を受けた実感はないというのが全体的な問題というところでございます。

 あと、売上げに対して価格の転嫁ができたかというのは、これもやはり半分ぐらい、五四%は価格に上乗せができたという結果が出ておりまして、消費税の上げた分を転嫁できているか、だから、大方のところは転嫁ができた、一部できなかったというところがありますけれども、私たちが初めのときに想像していたような状況にはなかったということですね。

 ただ、私たちは事業者の方でもありますので、どちらかというと準備の方と、後の軽減税率の問題等も含めて、小規模事業者が多いものですから、少しやはり戸惑っているということはありました。このことは今も継続的にフォローしていっているつもりでありますので、想像したような状況ではなかったなというところでございます。

 ポイント還元関係は、私のところはやはり小規模者が多いものですから、どれだけその対応をしたかというのが少し大手の皆さん方と違いますので、対応をしてお客様が多くなったというところもありますけれども、どちらかというと、後の手数料のはね返りが、今からが心配だ、今のところはサービスの枠内でやっておりますのでいいんですけれども、それが済んだ後というのが少し心配であるというところがうちの一応の調査結果であります。

川内委員 ありがとうございます。

 続いて、こういう状況の中で、新型コロナウイルスというものが、昨日、新たな感染経路のわからない感染者の皆さんが出て、また、大変残念なんですが、お亡くなりになられる方も出たということで、もう既にインバウンドに対しては大変大きな影響が出ているのではないかというふうに思うわけですが、この新型コロナウイルスに対する対応というのは、熊本県知事さんとしても、熊本地震に対していち早く対応をされて、計画を立ち上げられて創造的復興を推進してこられた行政の責任者として、これにどう対応するのかというのは大変重要な課題になっていくのではないかというふうに思うのです。

 きのう、私、熊本県のPCR検査ができる機関、研究所をちょっと電話をかけて調べさせていただいたりしたんですけれども、二カ所あると。一カ所が四十検体同時に検査をできます、一カ所が三十検体同時に検査をできます、合計で七十検体検査をできるということを教えていただいたのでございますけれども、きのう発見された感染者の方々というのは、感染経路がわからない、すなわち湖北省縛りにかかっていなかった方たちで、結局、重症化してから、これはちょっとまずいということでPCR検査にかかっているので、お亡くなりになられる方も出たということです。

 それこそプッシュ型の検査というものが必要になるのではないかというふうに思われる中で、今後、この新型コロナウイルスに対応する上で、熊本県知事さんとして、早目早目の検査をされることを各自治体の首長さん方とのお話合いなどの中で御議論される必要があるのではないかと私は思うんですけれども、対応方について、現段階での御所見を賜れればというふうに思います。

蒲島郁夫君 現段階で熊本県に入っているということはありませんけれども、私は、知事になって最初に対応したのが口蹄疫です。

 口蹄疫も、やはりウイルスですから、姿が見えません。隣の宮崎県に入ったとき、本当は、宮崎県に入っていて熊本に入っていないので、本部長には農林水産部長がなるんですけれども、私が専門家だから、私が本部長になって対応しました。何をしたかというと、宮崎県からの道路を全て、そこに穴を掘って消毒液を入れて、全ての車がその消毒液の中を通ってこないと熊本に来られないという形でやったんです。何で私が本部長になったかというと、本部長が私でないと警察本部が動かない。そうすると、パトカーをちゃんとそこに配置しないと危ないですから、そういう形で、先に先に今やっています。

 鳥インフルエンザのときもそうで、国にまず検体を送るんですけれども、もうその段階では動員をかけて、いつでも行けるような形でやっています。だから、見えないウイルスなので、そういう配慮がとても必要じゃないかなと。やはり、最初のころは、県庁の職員というのは確実でないと動かないので、皿を割ろうと言って、皿を割るというのは、とにかくリスクを恐れずにチャレンジしようということを言っていましたので、早くからみんなが動く。最後の南関であった鳥インフルエンザは、二十数時間で制圧できたんじゃないかなと思います。

 その経験が県庁全体にありますので、今回も、もう既に対策本部をつくって、何かあったときには、空振りは許すけれども見逃しは許さないという形でやっています。国に検査を求めるまで何もしないというのが多分一般的な状況かもしれませんけれども、それだとウイルスなんかじゃ遅いんじゃないかなと私は思って、今対応しています。

 では、実際にどういう具体的なコロナウイルスの影響があったかというと、今月の二十九日に八代港のクルーズ拠点の完成式をする予定だったんです。そこは、ロイヤル・カリビアン、上海からのお客さんがいっぱい来るところですので、中国からのお客さんも、役員の人が来るということになっていましたけれども、やはり今回はそれは中止した方がいいんじゃないか、コロナウイルス対応で今はやっちゃいけないんじゃないかということで、実はそれも中止しました。

 そういう意味では、それを中止したということの影響ももちろんありましたけれども、もう一つは、クルーズ拠点ができたので、中国からのお客さんが、今からどんどんどんどん予約が来ていますので、その影響が多分これから、早くこのコロナウイルスを国の方で食いとめてもらわないと、あちこちでクルーズ船のお客さんが来なくなって、あるいは中国からのお客さんが来なくなって、相当な観光への影響があるんじゃないかなと思います。

 個人的にはそういうことでできるけれども、国全体でやらないと食いとめられないといいますか、観光へのマイナスが食いとめられないようになるんじゃないかな、私はそう思います。

川内委員 ありがとうございます。

 ちなみに、さすが知事のお膝元の熊本県だなときのう二カ所の検査機関に電話をして感じたのは、二月一日から検査できる体制を二カ所ともとっていますと。もう既に検体を検査したことがあるんですかと聞いたら、それぞれ二カ所の検査機関が一体ずつやっています、こうおっしゃっている。これはトレーニングしたということですよね。さすがだなと思ったということを感想として申し上げておきたいというふうに思います。

 それじゃ、ちょっと時間もあれなんですが、続けて坂本先生に御指導いただきたいんですけれども、結局、大変な高齢化社会あるいは過疎化していく中で、地域の公共交通をどう維持存続させていくのかというのは先ほど笹川先生からも出ていた論点なんですけれども、県庁所在地の中心部は、独占禁止法の適用除外にして、それぞれの会社が自治体と協議をし、路線を効率よく運営しましょうねということで解決できるでしょう。

 他方で、山間部、そういうところをどうカバーしていくのかということが今後最大のテーマになるわけで、タクシーをどう効率よく使っていくのかという考え方、私もそのとおりだろうというふうに思うのですけれども、それこそ、坂本先生の冒頭の陳述の中で、やや予算に無駄遣いがあるんじゃないの的御発言があって、そういうところを本来は、地域社会を維持存続させていくための、持続可能性を高めるための予算に振り向けていくべきではないのかという趣旨の冒頭の御発言ではなかったかというふうに思いますが、改めて御所見をいただければと思います。

坂本正君 流れからいうと、どういうふうに予算の適正配分をするかということについては、今私は公共交通に限って言っておりますけれども、そこに投資をするということで社会的な費用対効果は非常に高くなる。

 つまり、今、都市部の話をしていますけれども、都市部も非常に大きな問題を抱えています。日本全国が今非常に疲弊をして、公共交通が危機になっていて、今はバス会社というのが多いのでバスをやっていますけれども、以前は鉄軌道をどういうふうにするかという話をやっていた。その建前論と総論がどんどんどんどんずれてきて、国が政策を立てて、あるいは県が、熊本の場合も、鉄軌を重要視するといったときには、もうバス会社が疲弊していたわけですね。

 以前、熊本は、全国の中でも、県内にバスを含めて公共交通の維持がかなりできていた。これは何かというと、補助金制度で国からかなりお金が出て、首長が頑張って過疎地のところにもバスを走らせていたわけですね。

 それが、補助金が切れる、政策が変わってくるということで、今後は政策の転換期で一律に補助するということが難しいのであれば、維持するための補助制度、それは、その自治体に対して補助をしてバスを走らせる、これからは、先ほど御指摘もございましたように、バス会社、いろいろな軽量化をして、あるいは、自動ブレーキであるとか電気バスであるとか、そういうものをちゃんと利用できるようなシステムを国が制度設計すれば、自治体の首長さんはみんなやりたいと思っているんです、ただ、お金がないのでできないので、そこのところの補助制度というものは、普通に試算して、それほど金がかかるものではない。

 だから、そこの制度設計が重要だというふうに国が考えていただければ、今、熊本もモデルで頑張っています、ほかの自治体も頑張っていますが、地域のところでバスを走らせているところはございます、熊本の周辺で。しかし、乗り手が少ないしコストがかかるので、どうしても廃止せざるを得ないというところが現実に出ています。住民も走らせてほしいと言っているけれども、今の自治体の町の予算ではそこまで補助できないという話になっている。もしそれが幾らかでも補助できれば、そのバス路線を走らせることはそう大したコストではないんですね。

 そこで、高齢者の人が買物に行く。これはバスに乗ったらわかりますが、バスが一つのコミュニティーなんです。その中で走ることによって、みんながそこで集い、バスに乗りなれた人は中心部までバスで行けるようになるんです。そのことによって生活の範囲が広がるということを考えれば、コストパフォーマンスとして物すごく安いコストで済むというのが私の考えなので、ぜひそこのところをお考えいただきたいというふうに思います。

川内委員 ありがとうございます。

 そして、高林先生、実は、私どもの会派の筆頭理事をしている渡辺周先生と私は、阪神・淡路大震災後に、平成八年、九年だったかな、仮設住宅に一晩二人で一緒に泊まって被災者生活再建支援法をその後構想していった仲間なんですけれども、きょうお話を承っていて、仮設住宅に最後まで残らざるを得ない人々をどうケアしていくのかということが、実は災害対策あるいは災害からの復旧復興というテーマの中で物すごく大きな問題なんだな、それを解決していくことが政治の課題なのだなということを改めて感じさせていただきました。

 残念ながら時間が来てしまったんですが、座長に若干お許しをいただいて、高林先生、私たちが仮設住宅に最後まで残る人々に対して、これを必ずやるべきなんだ、一つ挙げるとすれば、きょういただいたお話の中でどれかというのを教えていただきたいと思います。

坂本座長 高林先生、所定の時間が来ていますので、簡潔に御回答をお願いいたしたいと思います。

高林秀明君 いろいろありますけれども、次に行ったところで、安心感というと、やはり人のつながりだと思うんですよね。ですから、そこで何かサポートする人がいてくれるんだという安心感があるといいと思います。そこがまだ足りない部分もあるので、よろしくお願いいたします。

坂本座長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の衆議院議員の、地元選出の江田康幸でございます。

 本日は、意見陳述人の皆様におかれましては、大変お忙しい中で、このように予算委員会の公聴会に御参加をいただき、また、大変貴重な御意見を伺いましたことを心から感謝を申し上げます。

 では、時間の限りで質問をさせていただきます。

 まず、蒲島県知事に御質問をさせていただきたいと思います。

 熊本地震から三年十カ月になるわけでございます。知事からは、熊本地震の復興が着実に進んでいるという御報告がございました。私も、県選出国会議員、地元の議員として、蒲島知事を始め、県、市町村の首長の皆様、そして議会の皆様とともに、発災直後から復旧復興に全力で取り組んできたわけでございます。

 熊本地震で甚大な被害を受けた阿蘇へのアクセスルートにおいては、先ほども御報告が知事からありましたように、本日視察をいたしました国道五十七号の現道や、また北側復旧ルート、そして国道三百二十五号の新阿蘇大橋、さらにはJR豊肥線、これらが二〇二〇年度中には完成、開通を迎えるわけであります。

 これらのアクセスルートにつきましては、震災直後から石井国土交通大臣が国の直轄権限代行でこれを復旧すると決定したことが迅速な復旧につながっていると実感をしております。大規模災害からの復旧において、国の直轄権限代行の重要性について改めてお伺いをさせていただきたい。

 そして、ともに、阿蘇へのアクセスルートが来年度には完成するわけでありますので、この回復を阿蘇地域の観光の振興に着実に結びつけていかなければならないわけであります。

 かつて我々は、阿蘇地域に特化したふっこう割を実施したわけでありますけれども、今後においても、どのような対策を考えていこうとされているか、国と県と連携してまいりたいと思うんですが、いかがでしょうか。

蒲島郁夫君 ありがとうございます。

 まず、阿蘇だけではなくて、熊本県の創造的復興、とりわけ、先ほどの重点十項目、あの中で、六つは国土交通省関連だったんですけれども、当然、国土交通省のその当時の大臣は石井大臣で、大変優しく、また力強く我々を助けてくださったと思って、心から感謝申し上げています。

 そのときに、同じ方向を県も国も、それから県庁も議会も向いて、同じ方向で歩調を合わせたということが大きかったなと思います。これはやはり、議会の方々と執行部と、それから国会議員と県会議員の先生方が違ったり、あるいは、国と県の執行部と方向が違ったりすると、多分これだけの速い速度でいかないんじゃないかなと思います。

 創造的復興という、もともとは余り国の政策にはなじまない哲学なんですね。創造的というのは前よりもいい形で復興することですから、ずっと国の方は、復旧まではいいけれども、創造的復興の創造の部分は自分たちでやりなさいというのが多かった。

 ただ、熊本地震あたりから、創造的復興というものが市民権を得られたというふうに私は思っています。それで、その方向で国の方も、前よりもいい形で、それも早く進めたいという気持ちがとても強かった。それを直轄代行にされても同じ気持ちでやっていただいた。直轄代行というのは国の方がやるわけですから、もともとの、もとに戻すまでしかやらないといったらまたちょっと違いますよね。

 そういう意味で、創造的復興という言葉の哲学が共有できたこと、それから、国も県も、そして県議会も国会も同じ方向で進んだこと、これがとても大きかったし、それがあったからこそ直轄代行がみんなの喜びのもとに進んでいるというふうに私は思っています。

 もう一つ大事なことは、やはり、今傷んだ県土がどのような形で復興していくかということに夢が持てないとだめなんですよね。夢が少しないとだめ。私どもも、創造的復興という先に、熊本の発展にこれはつながるという夢を持ちながら進めています。これは、県民も夢を持つし、それから、多分国民も、そういう夢を持って進んでいる人たちがとても誇らしいというふうに思われると思いますので、夢を持たせるような、そういうふうな復興計画を出して、それをちゃんと、直轄代行を国の方が認めてくれて、それで財務省の方もお金をちゃんと、それを創造的でも出そう、そういうこれからの災害対応のあり方みたいなものも私は今回得ることができたんじゃないかなと思います。

 もう一つ、観光ですけれども、観光について、これは、ふっこう割がとても阿蘇にとってはすばらしい手段だったと思いますけれども、まだ今、阿蘇だけが傷んでいる感じですね、アクセスがまだ完全に回復していないので。だから、このアクセスが来年の三月までに完全に復活するというのが今の計画ですので、このあたりで阿蘇をもう一回助けてあげようというキャンペーンができたらいいなと思います。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 次に、住まいの再建についてもお伺いをさせていただきます。

 知事におかれましては、住まいの再興なくして心の復興はないという決意で取り組んでこられたわけでございますが、仮設住宅に入居された四万八千人の方々のうち、これまで約九割に当たる四万三千人の方々が住まいの再建を実現したとお聞きしております。また、被災した十二市町村においても、整備を進めてきた千七百十五戸の災害公営住宅がこの三月末で全て完成するとも聞いております。住まいの再建は最大の課題でありましたけれども、九割の方々が再建を果たすことができたということは、私は高く評価していいと思います。

 その上で、ほかの災害におけるモデルにもなるわけでございますので、どのようにしてこれだけの再建を果たすことができたか。先ほど、県の六つの支援策というようなこともありましたけれども、簡潔にそのことについてもお伺いをさせていただきたい。

 そして、その上で、今年度中に、知事も決意をされておりますけれども、残された全ての方々が再建のめどが立てられるように、寄り添った支援をやっていくということでございますけれども、その対応についてお伺いをさせていただきます。

蒲島郁夫君 住まいの再建は、私が最も重点的に災害対応をやったものであります。

 最初、皆さんの意見を聞くと、六十以上の人が銀行からお金を借りられないというのが大きな問題でした。そこで、リバースモーゲージという形で、月々一万だけ払ってください、一万円払って、そして生涯そこの家に住んでくださいと。大体一千万ぐらいの家を、災害住宅を建てるんですけれども、最終的には銀行が清算します。そして、もしお子さんが欲しいときには、残った元金を払えば自分のものになる。このリバースモーゲージが、そういう形で、一万円という具体的な目標でわかったというのがよかったと思います。

 じゃ、それ以外の六十以下の方はどうかというと、二万円払ってください、二万円は、元金を三十五年間均等に払ってくださいと。じゃ、利子はどうするかといったら、利子は県が払います。それで何とか希望が持てたんですね、みんな。だから、希望が持てて、余り焦らなくてよかったことが大きかったんじゃないかな、このように思っています。だから、明確に金額でもって希望を与えることができたということが大きかったような気がします。

 ただ、これは知事が言わないと、一万円でいいですよとか二万円でいいですよとか、とても、議会でも問題になったんですけれども、誰も信じないんじゃないか。まあ、知事が言うから間違いないだろうというので、これは悪徳不動産と思われなかったことがよかったんじゃないかな、このように思います。

 現在、千四百世帯が仮設住宅に、多分四月以降も残られる。その内訳を言いますと、自宅の再建を待っているけれども、まだ大工さんがどうしても来てくれないというのが七百世帯。それから、災害公営住宅が三月の末にできるんですけれども、それを待った後はすぐ入れるんですけれども、五百世帯の方々がそれを待っていらっしゃる。あと二百世帯の方が益城町の区画整理を待っていらっしゃる。だから、めどがついているんですね、この千四百軒は。

 全くめどがついていない方々が四世帯なんです。四世帯がめどがついていないので、この四世帯の方には、三月三十一日までにはめどが立つように全力を挙げて県が応援するという形で、そういう意味では、大体先が見えているなという感じです。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 続いて、商工会の笠会長に御質問をさせていただきます。

 済みません、時間が限られておりますので次々に参りますが、まず、被災事業者支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 商工会の皆様が被災を受けた中小企業をしっかりと支えていただいて今日があるかと思っております。被災企業の事業再建におきましては我々も全力を尽くさせていただきましたが、グループ補助金を活用して、約九七%、四千七百社の事業者が建物や設備等の再建をほぼ完了できたと認識しております。

 一方で、しかしながら、そういう状況でも顧客の喪失があったわけで、売上げが回復していない企業も、アンケート調査等においては三八%ぐらいある、そう聞きます。したがって、販路拡大などの経営支援等に重点的に取り組むことが重要だと思います。

 そこで、商工会連合会は、先ほども御紹介がございました、益城町に復興経営サポートオフィスを開設して、中小企業診断士等の専門家が被災事業者を訪問して相談に乗る伴走型支援を徹底して行っていただいております。その地道な取組に心から敬意を表したいと思います。

 このように、事業を再開した事業者についても、今熊本においては実際の売上げ回復に向けた経営支援が、今こそ、更に今後必要となってきているものと考えられますが、今後の商工会の皆様の取組、そしてそれに取り組んでいこうとした場合における、さらなる充実を国や県に求めるところがあればお聞きをしたいと思います。

笠愛一郎君 ただいま江田委員の方からありましたように、県の支援を受けてサポートオフィスを設置しておりまして、大体全事業者の方の対応は調査が進んでいるところであり、今おっしゃいましたように、三八%、四割近くがもとの状況に戻っていないということで、一〇%が二割ほど落ちているというような状況であります。

 あれからもう三年半以上たちますので、地震直後には思い切った政策を打っていただいていたものですから、融資関係も手厚くしてありますから、事業者としても、自分の必要よりも少し大きく借入れをしたとか、そういう問題がありまして、事業がもとに戻っていないものですから、そろそろ、やはりどうも資金枯渇をしてきている事業者が非常に多いということです。

 そうなった中で、今、やはり金融機関の方がどうも少し厳しく、そのときの借入れももともとありますものですから、非常に厳しくなって、なかなか貸出しができないというようなことが今ちょっと出ておりますので、それをどうするかということで、また第二次の何か支援策を、金融対策とか組んでいただかないと、せっかく設備は整ったんですけれども、次の事業に行かずに断念せざるを得ないという事業者が出てくる可能性が今後出てくるということがあります。

 そういう形で、私たちも調査上、全部こちらから出向いて今調査を始めておりますので、できるだけあらゆる形で、金融機関への引渡しとか金融機関の後押しをということでやっているんですけれども、少しやはり、金融機関自体が、これは全体的なものですかね、何か厳しくなりまして、地震と関係ない方々の融資も今、問題があるところをしたりしておりますけれども、なかなか対応ができていないということでありますので、少し金融機関に対する指導と、あわせてやはりそういう第二次の支援策を少し加えていただければありがたいかなと思っておるところであります。それとあわせて、あと人員の問題等がありますので。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 続いて、やはり商工会にとってはもう一つの重要な事業承継の取組についても、先ほどから確認をされているところでございますけれども、私の方からも、やはり経営者不足問題というのは大変大きな喫緊の課題でありまして、我々国にとってもこの事業承継に関しては最重要課題と認識しております。

 今年度の税制改正や、また来年度の予算案にもこれを反映させているわけで、充実強化はしているところなんですけれども、県の商工会においては、やはりしっかり取り組んでいただいております。先ほどもありましたように、十一人の特任の経営指導員を配置した特任支援室、これを中心に積極的に事業承継の支援に取り組んでいただいておるわけでございます。地域おこし協力隊等においても、そこに後継者に悩む企業とマッチングを行って、創業支援と事業承継、これを同時に進めていくというような先駆的な取組もなされている。

 そういう中で、着実に事業承継を進めていくことができるかどうかが、今、本当に大事だと思うんですが、現在実施している、こういう事業承継税制、また特任支援室とか事業引継ぎ支援センターがやっているマッチング支援、そして事業承継の補助金、こういうところなどを更に充実していく必要があると、先ほどからのお話も伺って思っておりますが、それに関しての改めての御意見があればお伺いしたいと思います。

笠愛一郎君 私たちとしては、今年度初めてスタートした事業でありますので、少し手探りでありますけれども、なかなかやはり小規模事業者の方々は、平均年齢がもう完全に七十を超えてきたという状況になっておりますので、小規模基本法ができてしばらくは会員数も少しずつふえてきたんですけれども、また急激に落ち始めている。もう廃業が急速に進んできております。

 廃業できるというのは、どちらかというと黒字だから廃業ができるのであって、大切な経済基盤と人を雇用している部分がなくなることでありますので、それでは、うちが担当している田舎町なんかでは、やはりあるべき業態がないと町のなりが崩れてしまいます。

 私の菊池市は、今、特化事業として、温泉街の温泉旅館の事業承継と、あわせて、お菓子屋さん、古い町なものですから、お菓子屋さんがなくなってしまうといけません、そこに特化したものを組んだりして、そこの町々に合わせたものを、今から全調査が進みますので、担当員で組んでいきたいと思っております。

 できるだけ早くリストを大きくしなければなりませんので、私たちばかりでできることではありませんし、ほかの会議所、また中小企業団体中央会とか、そういうものともできるだけタイアップしていきたいと思っておりますので、その辺の御支援をよろしくお願いいたします。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 私の時間がやってまいりましたので、坂本先生や高林先生にお聞きする時間をなくしてしまい、申しわけございません。

 坂本先生が進められている公共交通の継続の支援、これについては、我々としても、独禁法の改正案を今国会で成立をさせて、しっかりとそれを支えさせていただいて、熊本県内のバス事業者五社の共同経営、これをしっかりサポートしていきたいと常々思っておりましたので、しっかり、きょうは勉強になりました。また続けて支えてまいりたいと思っております。

 高林先生においても、みなし仮設の問題等については勉強をさせていただきました。ありがとうございました。反映させていきたいと思っております。

 ありがとうございます。

坂本座長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 四人の意見陳述者の皆さん、きょうはありがとうございます。

 最初に、坂本先生にお尋ねします。

 冒頭、先生は、防衛予算が八年連続増大して過去最大となっている、これはふえ過ぎだ、歯どめをかけなければいけないとおっしゃいました。どういった分野で、必要がない、例えば装備とか後年度負担とか、いろいろあると思うんですけれども、どの辺が不要だというふうに御認識されているでしょうか。

 一方、どの辺の施策を強めなければいけないと先生はお考えでしょうか。例えば、災害対策もあろうかと思います。社会保障、教育、環境あるいは農林水産業、商工業、いろいろな分野があると思うんですけれども、財政面で先生の御所見をお伺いしたいと思います。

坂本正君 まず、後半の部分なんですけれども、福祉、教育、こういうところは大変重要で、予算の関係から見ても、非常に配分としてはその部分は出ているというふうに、当然自然増で上がってくるわけです。全体像から見て、バランスから見て、防衛費が突出したようには見えません。

 したがって、全体の中ではおさまっているように見えるんですけれども、どこがというよりは、この間の議論として、専守防衛のためにどういうふうな軍備が必要で、それに対してはどういうふうに自衛隊の編成をすべきかという議論が国民に見えていないということが一番の問題だと思います。

 非常に重要な局面があって非常に緊張が高まる、それに合わせて防衛費が増大をしていく、その中身が後年度負担という形で、後で支払いをするという形で決まっていて、それが本当に防衛大綱の中で必要なのかどうか、これが十分に議論されて国民の中に提示されればそれは理解できると思いますけれども、そこが不透明なので、我々国民が見て、どこが不必要でどこが無駄かというようなことは当然わからないわけで、そこのところを明確にしていただくようなことが必要だということを申し上げているということでございます。

 それにあわせて、先ほど申し上げましたように、実際上、国土強靱あるいは地域の福祉、そういうものを考えますと、その中のお金の部分を、限られた中で使っていくという部分の工夫であるとか政策であるとか、そういうものはぜひ議論していただいて、我々が使えるような仕組みを提示していただければというのが私の意見です。

田村(貴)委員 もう一つ坂本先生にお伺いします。

 災害が相次いで、交通インフラが被災します。私は日田彦山線の沿線に住んでいるんですけれども、九州の中で初めて、事業者であるJR九州が被災鉄道を復旧しないという今事態にあっています。今後大きな被災があるたびに、赤字ローカル線は、これはもう復旧しても存続できないという理由をつけて廃線になってしまうという懸念があります。

 私は、ネットワークの中で、これは被災ですから、災害によって被災された鉄道というのは、これは政治の責任、事業者と一緒になってやはり復旧すべきだ、これがまず筋だと思っているんですけれども、被災鉄道の復旧と政治の支援という点で先生の御所見を伺いたいと思います。

坂本正君 本来、鉄道であるとかそういう公共交通の部分は、公的負担の部分があって、それで支えていくという形のものでなければ、バス事業者が民営化でやったとしても、利用者の需給バランスからいって非常に経営が難しい。

 ただ、それは補助金を出せばやっていけるのかというと、これは今までの補助金の体制にも問題がありましたけれども、どうしても縛りがあるので、バス会社というのは民間であって民間ではないという側面があります。それは補助金体制の中で、補助金の中で生きてきたということがあるので、民間的な発想であるとかそういうものが縛られてきたというものがあります。

 今、独禁法が緩んできたり、独創性であるとか地域の中に根差していくということを民間のバス事業者が考えたときに、いろいろなアイデアが出てくるということがあります。これは生かしていただきたいのが一つです。

 本来、鉄道の場合は国鉄分割・民営化から始まるわけですけれども、それ以後は、赤字ローカル線ということで第三セクターやいろいろな形で生かしてきましたけれども、それだけではどうしてもプラスにならない。それを民営化したJRさんが負担をしてやってきたわけですけれども、どうしても、株主というものがあるわけですから、利益を上げなきゃいけないということになりますと、株主の意見を聞く。株主の意見の中に赤字であってもローカル線を生かすべきだという議論があればいいですけれども、どうしても今、利益誘導ということになればそこのところは切り捨てられてしまう。

 そうなると、これは民間事業者では負担できない部分になりますので、特に今回のように被災が非常に大きい、全国的に被災が起こるということは、いろいろな公共交通が分断、細断されるわけですから、被災の中の復旧の一環として、政治の世界でどういうふうにそれを復旧していくのか。これは一体として考えていく、やはり予算編成を組むべきではないかというのが私の考えであります。

田村(貴)委員 ありがとうございました。よくわかりました。

 次に、高林先生にお伺いします。

 先生は熊本地震と向き合ってこられました。熊本地震の特徴の一つは、災害関連死が多いという点であります。資料も見させていただいたんですけれども、直接死よりも、その後の生活環境の中で心身悪化して、そして不幸にしてお亡くなりになった方が四倍以上おられるという状況にあります。この要因についてはまとまって報告されたものはないんですけれども、先生の御所見についてまずお伺いしたいと思います。

 また、その関連死を防ぐために、せっかく助かった命がその後の避難生活の中で心身ともに健康であるためにはどうした対応がこれから求められてくるのか、熊本地震の経験と教訓に立ってお話をいただければと思います。

高林秀明君 熊本地震のような大きな災害の場合に、例えば熊本市内、その周辺、益城町もそうですけれども、ほとんどが避難所になります、小学校も含めて。そこにも入り切れないから車中泊とか、あるいは自宅で余震の中でおびえながら、自宅避難というか、そういうこともございます。

 まず、避難所の環境、ここが非常に厳しかったというのはあると思います。私も東区の尾ノ上小学校というところで避難所の運営リーダーを実はさせていただいて、一カ月ぐらい張りついていましたけれども、何が大事かというと、まず、避難した人たちがお客さんにならない、自分たちで自分たちの環境を何とかしようという、避難者の運営委員会を立ち上げていく、そして行政の皆さんや地域の皆さんと連携していく、これだけでも随分な安心感があります。

 これは、もちろん誰でも、全ての人ができるわけじゃありません。でも、そこに若い人たちもいるし、動ける人もいるんですよね。ですから、そういうふうにみんなで協力し合って避難所の環境を改善しようという、私たちはそういう避難者の運営委員会をつくって、本当に大きく避難環境が改善されました。避難所に、食事で炊き出しを毎日やりましたけれども、並ぶ必要もないんです。体育館や教室ごとに班をつくって、世話人を決めて、自分たちでとりに来れば、三十分あれば千三百人全員に配ることもできます。それだけでも非常にストレスがないです。

 あとは、いろいろ、車中泊とかあるんですが、先ほど申し上げたように、みなし仮設の活用というのは非常に大きいです。これは一つの避難所でもあると思うんですよね。その日避難する人もいます、賃貸に、家に住めない。ですから、例えば糖尿病の方、避難所では食事がどうしても合わない、とにかく普通の環境をと。そして、先ほど、妊婦さんもいる、あるいは赤ちゃん連れ、あるいはもうあしたから出勤しなきゃいけない、あるいはぜんそくで、本当にほこりのいっぱいな、人のいるところでは過ごせない。

 ですから、皆さん、みなしということを知らなくて、とにかくどこかに避難したわけです。そして、後から、半壊以上とかで、あるいは全壊で、ああ、みなし仮設というのがあるんだなということで、家賃を払われた。しかし、これはほとんど、皆さん、自分の罹災証明がどうかもわからずに、とにかく避難しているわけですよ。これはもう避難所には入れない、こういう都市的な、直下型の地震では。ということであれば、みなしに入るということは、そこは避難所になっているわけですね。

 ですから、後々、もし一部損壊であっても、その避難した分については家賃は払いますと、そこは避難所として見ていただいて。そういうことにすれば、もっと車中泊を避けられたり、車中泊一カ月、二カ月とか普通にありましたので、それだったら、どこか賃貸に行ってもいいんじゃないかなと思うんです。あいていればですけれども。

 ですから、そういう形で、もっと柔軟に、そして複線型の避難といいますか、もう避難所、プレハブ仮設というパターンじゃないですよね。今言ったようにみなしに避難したり、親戚の家に行ってからいろいろとか、さまざまな形態です。いろいろな形の複線型の避難、そして、みなしに一回避難しても、入っても、次にもう一回住みかえられるような、先ほど申し上げたように、六人で二LDK、お母さんの認知症が悪化していく、これはなるべく早くもう少し広いところに移らなければ難しいんですよね。そういうところを認めていただけるとか、そういう柔軟性を持った複線型の避難形態、こういうことをやれば、関連死を極力防ぐことができるんじゃないかなというふうに思います。

 過酷な避難環境の中で、非常にストレスが大きかったことが、やはり避難過程の中での命にかかわるということはあったと思います。

田村(貴)委員 大規模な災害で、私も過酷な避難所の実態はこの目でたくさん見させていただきました。制度的にがちがちになっているところを柔軟にしていく、そしてストレスを抱えずに健康に過ごしていただく、やはりこの視点は物すごく大事だと思います。

 それで、先生はみなし仮設の入居者をずっと見てこられたわけですけれども、みなし仮設から出て、暮らし続ける、家賃がふえて、あるいはみなし仮設から出て、また別のところに家移りされた、ここを追いかける人がいるかいないかでは全然違うと思います。

 先生、制度の中で、例えば厚生労働省の被災者見守り・相談事業、これは仮設を出た後も続けるんだよね、それから、熊本においては十分の十の補助率を二〇二〇年度までやるといったことも国会質問で私は確認したんですけれども、ただ、おっしゃるように、補助要綱だけであってはやはりだめだと思うんですよね。制度的に被災者の方を、その後どうなっているのかと温かく見守っていく、そして支援していくといった制度が必要だなというふうに思うんですけれども、その点については、先生、どうしたらいいと思われますか。

高林秀明君 ありがとうございます。

 来年度も予算をつけていただきまして、本当にありがとうございました。そのことで、本当に被災者の皆さんも、仮設を退去したけれども、まだやはりいろいろ健康の問題、生活の課題を抱えていらっしゃる方が多くいらっしゃるわけですよね。そこにまた支援ができるということは、大変ありがたいというか大きなことなんです。

 ただ、そこにどのような支援体制をとっていくのかというのは、まだ熊本県内でもはっきりしないところがあります。

 今、私が相談員をしていた地域支え合いセンター、益城町の支え合いセンターのminoriという団体があるんですけれども、そちらも、先ほど申し上げたように、二〇%の方は退去後もやはり継続支援が必要だということなんですよね。ただ、彼らの団体の取組はもう三月で終了します。全て社会福祉協議会に引き継いで、そちらの方が見守る、あるいは町外については、今の避難先あるいはこれから住む先の自治体と連携しながらサポートしていただくということになっているんですが、今、社会福祉協議会との話合いの中では非常に限定的な支援になってきています。

 ですから、今の団体がこの三年間かかわってきて、まだ支援が必要じゃないかという方がいるんだけれども、もうそこはいいんじゃないかなということで、狭めていくような方向になっているわけですね。

 一つもったいないなと思うのは、そのようなNPOあるいは一般社団法人という、災害があってからみなしを支援してきた方々の活動がここで途切れてしまうというようなことが起こりかねないわけですよね。

 ですから、せっかく地域の力、NPO、ボランティアの力が物すごく高まってきた中で、これからまだ必要じゃないかという段階なんですよね。そこをどう育てていくか。地域の助け合い、民間の力、これをどうサポートしていくか、ここは今非常に重要なところになっているんじゃないかなと思います。

 これは公営住宅についてもそうなんですけれども、益城町もこれから続々と百戸規模の団地ができていくんですけれども、そこのコミュニティー形成支援を誰が担うのかまだ決まっていないんですよ、この段階で。ですから、NPOとか団体の皆さんの方が気にしています。自分たちが担いたいけれども、どうなっているんだろうということで、そこをもうちょっと育てていくような観点で進めていかないと。

 お金は十分の十つけていただけますけれども、その活用の仕方がまだ被災地として見えていない。ということは、これまでの東日本の教訓などもありますので、経験なども、それを何とか熊本にも紹介していただいて、熊本がそんなふうに動けるような形にしていくことが必要じゃないかなというふうに思っています。

田村(貴)委員 ありがとうございます。

 先生、もう一点。医療費の免除制度なんですけれども、これは、被災者の方の生活の再建が成り立たない間は必要だということで、確認の質問です。

高林秀明君 そうですね。東日本大震災では、岩手県がまだ十年、二〇二〇年度も継続するというふうに言われていますが、熊本も、一年半で終えましたけれども、医療、命にかかわるもの、これはやはり継続していくべきではないかというふうに私は思います。

田村(貴)委員 続いて、蒲島県知事にお伺いします。

 県独自の住まいの再建のお話、拝聴させていただきました。敬意を表したいと思います。

 それで、熊本地震の特徴の一つは、被災家屋の大半が一部損壊であったということです。一部損壊世帯への支援は、私もかなり、これは熊本に限らずあちこちで受けたんですけれども、ようやく国も救助法の応急修理代の支給を、去年の大雨、台風被害、千葉から始めて、そして、去年の春にさかのぼって支給することになりました。

 残念ながら、熊本地震まで遡及したらどうかと私も言ったんですけれども、それはちょっとままならぬということで、残念だったんですけれども。

 全国知事会は、被災者生活再建支援法の半壊世帯への適用も含めて要求をされています。私も賛成であります。そういうふうに実現しなければいけないというふうに思っています。

 大きな被災があって、そして、多くの方が、二十万棟近くの方が家の被災を受けたんですけれども、振り返ってみて、国の制度を中心にして、住宅支援のあり方について知事が今思っておられること、そして今後の災害対応で国に求められる点についてお聞かせいただければと思います。

蒲島郁夫君 住宅支援、半壊、それから全壊、この方々に関しては制度は整っていると思います。ただ、一部損壊の範囲がとても広いんですよね。一部損壊の範囲というのが広過ぎて制度ができていなかったというのが一つ。

 それから、私がこの地震を経験して感じたのは、一部損壊までぐらいの部分については国民みんなで、自動車の強制保険のような形でみんなで助け合う制度ができないかなということも感じました。

 ただ、国の方が、一部損壊の方も、もし今後、これから見ていただくということであればあれですけれども、いずれにしても、それは税金で払うのか、そういう保険で払うのかというお金の問題になってくると思いますけれども、一番難しいのは、これを誰が、これは一部で、これは半壊だという、そこのところのみんなのコンセンサスがなかなかできにくい。

 だから、今回の保険会社なんかを見てみるとわかりますけれども、なるべくたくさん拾う、たくさんの方を助けたいというのが民間の保険会社の今回のやり方だったと思うし、それにみんなとても感銘を受けたと思うし、感謝もしたような気がしますので、国もあるいは地方公共団体も、たくさん拾おうという気持ちの、なかなかそこにならないところが公務員の真面目なところかもしれませんけれども、そういう気持ちでもって、どこまででも拾ってもいいかということのコンセンサスをやはり早くつくらなきゃいけないと思いますよね。

 本当にちょっとした一部損壊から、もう半壊に近い一部損壊もありますので、そこのコンセンサスづくりを、今、平和なとき、地震が終わった後、それを検証しながらみんなで決めていく、そういうプロセスが必要かなと私は思いました。

 それについてはたくさんの問題があったのは私も知っていますし、市町村によってもまた違ってきますので、そのコンセンサスづくりを国と一緒につくっていくべき、私はそのように感じます。

田村(貴)委員 最後に、笠会長にお尋ねします。

 熊本地震の被災商工事業者に対するグループ補助金は大変大きな役割を果たしたと思います。あのときは制度も拡充されました。その後、災害が小さいところはこのグループ補助金が適用されないというアンバランスも、その後の災害で生み出されました。

 私は、やはり、恒久的な制度というのはどういう災害であっても必要だと思うんですけれども、どんな災害が、大小含めてこれから起こるかもわかりません、また、熊本でも起きるかもわかりません。今度の熊本地震を踏まえて、商工事業者の方に対する災害支援のあり方で、ここが不足していた、これからはもうちょっとこういうところを補足してほしい等々の要望があれば最後にお伺いしたいと思います。

笠愛一郎君 熊本地震の場合は案外早くスムーズに導入をしていただきましたので、県内事業者としては大変感謝を、東日本の後の問題がありましたので、スピーディーな形で対応をしていただきましたのでありがたく思っております。

 グループ補助金も、ある程度小さい部分の補修まで、百数十万ぐらいまで多分みんな認められておりますので、外されたという記憶は私たちにはないんですけれども、ただ、グループを構成をしたり、漏れた方は私たち商工会が一まとめにまとめて一つのグループを構成してあげたり、そういうお手伝いはしました、いろいろな形で。単独でされたところもありますけれども。だから、ほとんど出されたところは行き着いている、その九七%。あと三%は、まだできない場所がある。阿蘇地区なんか、まだインフラ整備が、道路がまだとまっているとか、工事をしようにもできないとか、そういうところが幾つか残っておりますけれども、大変手厚くしていただきましたので、それはありがたかったと思うんです。

 言うなら、保険制度の問題ですね。地震保険等が、やはり事業者としては加入が非常にできなかった。掛けようとするなら相当の費用が必要でありましたので、ほとんど事業者関係は地震保険が加入できていない。唯一出たのは、どうも農協さんがやっていたものぐらいで、あとはそれがもう全然適用がなかったものですから、それで苦しんだのは大分あると思うんですけれども、まあ、グループ補助金でその大方の部分は救われてきたところでありますので、ありがたかったと思います。

 ただ、一回私たちも経験をいたしましたので、そういう体制を常に日ごろからとっておく必要があるかと思っております。

 あわせてお願いするのは、何回も言いましたように、やはりマンパワー不足でありますので、ぜひ。熊本県は本当に手厚くしていただいておるんですね、職員削減数も一四%ぐらいで済んでおりますけれども、全国的には三〇%にいっておりますし。やはり県の裁量権、地方交付税になってしまったものですからね、職員の給料が。可能であればもう一回戻してもらって、半分国、半分県というようなもとの制度に変わってもらうと、全国できちっとした形ができやしないかなとは願っているんですけれども。

坂本座長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳と申します。

 本日は、蒲島知事、坂本先生、笠会長、そして高林先生、意見陳述並びに今までの御回答、大変示唆に富むお言葉、お話をありがとうございました。

 私の方からは、まず、四方共通で、専門の方は専門として、そしてそうでない方は、お立場はあるので言えないことは言わないで結構なんですけれども、国民のお一人として、あるいは一市民として、一生活者として御回答いただきたいという質問を二つか三つさせていただければと思っています。

 きょう、朝、雨が上がって、阿蘇くまもと空港に無事着陸させていただいて、そして阿蘇大橋の建築現場、建設現場を拝見しました。私の感覚としては、すばらしい自然に恵まれていらっしゃるし、また、復興もかなりスピードアップされているというところを感じました。

 今、コロナウイルスの件で総理とも質疑をしたりして、ピンチをチャンスにというようなことを申し上げさせていただいたりしているんですけれども、まさしくピンチをチャンスに変えられて、人口の方は、県では百七十五万七千が二〇一八年ですが、合計特殊出生率の方は一・六九と、二〇一四年からふえているというようなことで、知事のお言葉にありました、夢のある元気な未来が描けている地域になっていらっしゃるのかなと、僣越ながら感じさせていただいています。

 そこで、日本全体で、今回の総予算のための公聴会ということで私は伺っているという意識も強いもので、坂本先生からも十五カ月予算とかお言葉がありましたし、百兆超えの予算が二年連続で続いて、補正が常態化しているというような問題意識を私は持っていて、補正予算案、結果的には我が党は賛成しましたけれども、問題点は、会計の処理だとか、あるいは十五カ月予算だとか、あるいは常態化している点とか、こんな点を問題視させていただきました。

 それで、これはお立場で言いにくいところもあるかもしれませんけれども、今の財政、百兆超えで、千百兆の国の借金ということで、我が党の中でもいろいろ議論はあるんです。我々は、徹底的な行革をするとか、そのために身を切る改革で自分たちの給料を月二十万近くカットさせていただいて、熊本の被災地にも寄附をさせていただいているような形で、行革がとにかく徹底的に行われて、効率的な行政が必要で、ただ、一方でセーフティーネットはしっかり張ると。

 ただ、もう一つ、地域から日本を立ち直らせていくんだというような思いの中で、この現在の百兆超えの予算の組み方、あるいは千百兆を超える借金の額、これに対する危機の意識を、どのくらいそれぞれのお方がお持ちでいらっしゃるか。いや、MMT理論もいろいろあったりするので大丈夫だというような方もいらっしゃるかもしれませんが、その問題意識の持ち方と、それにどういう対処法があるだろうかという提案があれば、それぞれの先生方から、あるいは知事から、会長から教えていただきたいと思います。蒲島先生から順にお願いできますでしょうか。

蒲島郁夫君 財政の問題は、これは言うのは簡単だけれどもやるのは難しいんです。私も知事になったときに一兆六百億の借金がありました。貯金は五十三億しかなかったんです。それで、財政再建を始めようと思ったときに私がとった方法は、自己犠牲の政治学を実行した。

 それはどういうことかというと、一週間後の臨時議会で、私の月給百二十四万を百万カットにするという条例を出しました。百万カットしても二十四万はあるなと思っていたんですけれども、税金のことを忘れていました。前の年の収入に税金がかかりますので、結局十四万の給料でやったんですが、そのような、大胆というか自己犠牲の政治学をやることによってみんなが納得してくれて、それで職員も給料カットをのんでくれて、補助金もみんなカットして、不満だったと思いますけれども、私がお金を返したのが五千万円で、それで、実際に借金を返したのが一千五百億円、貯金を倍にすることができました。もしこの財政再建をやっていなかったとすれば、今回の熊本地震でもちゅうちょなく対応できなかったような気がします。

 だから、財政再建は、基本的には何かあったときのためにはいつもやっておかなきゃいけないんですよね。問題が起きたからやらなきゃいけないじゃなくて、何か将来起こるのではないかという予想のもとにやらないと、これはできないような気がします。

 二番目に、今度の災害対応で大変国にお世話になりました。そして、そのときに、これだけお世話になって、自分たちの身も切らなきゃいけないんじゃないかという気持ちを持つようになりました。それで、二年間、二割のシーリングをしました。

 だから、これに、震災対応でお金もたくさん要るのに何でそんなことをするんですかと言う職員もいましたし、言われましたけれども、やはり自分たちも身を切るところは切ろうといって、補助金もたくさんもらったし、支援もしてもらったから、むしろ自分たちも節約しなきゃいけないんじゃないかということで。二割カットというのは、シーリングというのはすごい大変なことなんですよ、県庁でも。でも、そういう気持ちを持つことが、多分財政規律じゃないかなと私は思います、そこにあるから全部使ってしまうんじゃなくて。

 だから、少なくとも自分の知事時代に経験したことは、自分の給料カットと県のシーリングを二度やってみて、そういう気持ちを持つことが県民、国民に対する責任かなというふうに思います。そういうことが、普通じゃない政治かもしれませんけれども、気持ちだけは国の方もそういう気持ちを持ってほしいなと思います。

坂本正君 経済再生なくして財政健全化なし、そういう基本方針なんですけれども、今回の消費税を見てもわかりますように、売上税から始まって、消費税というのは本来財政再建のためにするということだったんですが、どうしても経済成長に影響するということで、消費税の増税、今回も、それが今回歳入の中でふえているというのが一番大きな特徴なんですけれども、それが財政再建に寄与しているかという観点から見ると、全く別の形で動いているのではないか。それはやはり、財政の基本政策というのが経済再生ということでやっているにもかかわらず、金融の方もあるいは物価の目標も目標どおりいっていないということで、この間、ずるずると歯どめがかかっていないという印象です。

 一番大きな問題は、公債費、国債費が今回も二二・七%ということで、完全に国債依存の体制になっている。これは、昭和五十年代から始まった国債の大量発行のときに、歯どめをかけないと絶対無理だという議論が当時強かったんですが、現在ではそのことが余り触れられていなくて、国債依存のまま議論が進んできて、いざとなれば国債発行すればいいというような形に流れているのではないかな。それは、プライマリーバランスの目標年次がずっと先送りになっている、これも国際レベルから見ると極めて異常な状況が続いているということを考えれば、ことし大丈夫であっても、あるいは来年大丈夫であっても、将来財政がどうなるかということを考えれば、いつ破綻が来ても不思議ではない危機的な状況にある。

 それは、今の政策が成功して金利が正常化すれば、金利が上がれば当然負担がかかってくるわけですから、そういうような裏表の、矛盾の体制の中で、今、財政の膨張が進んでいるということは明らかに財政の危機で、その財政の危機をどうやって歯どめをかけるのかというのは国会で議論を当然すべきことだと思います。多分、それができないのは、金利が正常化すれば今の体制が財政危機含めて大きな危機になるということが、皆さん共通に認識をしているので、余りさわれないままに、今の危機状況、財政危機が進んでいるのではないかというふうに私は思っております。

笠愛一郎君 大変全体的な、百兆の問題がどうかというのは、私にはわかりにくい問題があるんですけれども、地方にいますと、私たちもぎりぎりの部分をお願いしている立場でありまして、私たちの予算の方も、現実的には、こういう中小企業の、商工会が関係する小規模事業者関係対策予算も、当初予算の部分は三分の一もないんですね。ほとんど補正で組まれてきているものですから。せっかく、いい持続化補助金とか、今度、新年度もまた何か、商工会、青年部とか女性部向けのものも若干ついておりますけれども、そういうのもみんな補正予算の部分に組まれますから、明らかになって出たときにはもう期間がないんですね。それで、年度がわりと一緒くたになって、ただでさえマンパワーが足らないところで処理をして申請をしなきゃいけないという問題がありますので、確かに、先ほど出ました補正予算の部分が膨らんできているというのはどうか是正をして、本予算を明確にしてもらって、継続的なものにしていただきたいなというのが、私たち、お願いする立場からは。つまり、百兆円がどうのこうのは、ちょっと私たちも。

 ただ、私たちも田舎におりますと、やはり東京に行きますと、あれだけ東京だけが巨大化して、九州は一極集中で博多ぐらいで、あとはしぼんでいっているという状況が、このままで全体的にいいのかなと、そういう心配は地方におるとしますけれども、私たちの専門じゃありませんものですから、その辺で御勘弁願いたいと思います。

高林秀明君 借金もあれば、国はお金も持っている、日本国全体の厚い資産というか、これは指摘されているところですね。ですから、一家の家計に例えればということで、一人当たり幾らの借金というんですけれども、いや、それだったら資産もあるだろうと。ですから、いかに国が再分配するか、国民の賃金、そして年金とか、そういうところに再分配して経済を活性化していかないと、どんどんどんどん悪循環に陥っていって、税収も上がらない。

 ですから、お金はあるわけですから、一千兆の借金があったって、それ以上の資産を持っているのが日本の特殊な状況なんですよね。世界を駆けめぐっています、日本のマネーは。ですから、それを一気に回収はできません。でも、それを活性化するための国の百兆円というのはあるわけですよ。これをどう国民に還元していくか、そして経済を再生していくか、それが私は必要だと思いますね。

 どういう政治をやればどういう国民や人間性や社会関係が育つかというのは、政治というのは、アリストテレスやプラトンの時代からずっと同じことを言っているんですよ。ですから、皆さんが身を削らなくても大丈夫だと思います。いかに再分配して経済が循環するかをやっていただくのが政治の責任であって、個々に身を削る必要は全くございません。ですから、そこはお願いしたいと思います。

杉本委員 大変示唆に富む御意見もありましたが、蒲島知事と高林先生はちょっと意見が違うのかなと。済みません、第三者的に、身を切る立場、やっている立場としては意見はありますけれども、言わずに。非常に本当に参考になりました。

 そこで、もう時間もないんですが、また端的にお答えいただきたいんです。

 消費税が上がりました。ちょっと先の話ですけれども、当面凍結だと総理は言われ、岸田さんはそれよりもうちょっと踏み込むかもしれないですが、一方で、今、五%に下げるというような議論も出ていて、それも下げ方にもあり方があるかもしれないんですけれども、消費税を下げる議論というのが今出てきております。

 この消費税、五%なのかゼロなのかも含めて、八にするのかもあるかもしれないんですが、私ども維新は、まだ中で議論をしていないので、答えが出ておりませんので、方向感は何も言えないんですけれども、消費税は、また財政論の話で恐縮ですけれども、お立場もあると思いますが、一市民としても、含めて、この五%論についての御示唆を、また知事から順に、端的にいただければありがたく存じます。

蒲島郁夫君 消費税を上げる、下げるという議論なんですけれども、一番大事なことは、上がったときに約束した社会になれるかどうか、下げたときに約束できた社会になれるかどうか、多分その部分の信頼感がなくなっているんじゃないかなと思うんですよね。

 これだけ上げたらこういう社会になります、一〇%にしたらこういう社会です、授業料もみんな払わなくていいですとか、いろいろ考えられると思うけれども、その信頼感とともに、税率を、操作するといったらおかしいですけれども、もう下げることは難しいと思いますけれども、上がるしかないと思いますが、そのときに、上げるときに、信頼感のある社会ビジョンというか、必ずそれをマニフェストと同じように実行するという心構えでやっていただかないと、政治不安というところに入っていくのかなと私は思います。

坂本正君 税制の問題については、この間余り議論されていないんですね。だから、一律的に上げる、下げるというのが、ある種の、人気取りと言うと失礼ですけれども、政策に対するポイントとして出てくるのはよくわかります。

 しかし、それをやるためには、今の税制の中で消費税がどういった位置を占めているかということが一番の問題で、今のままいけば、消費税を上げたとしても、なかなか景気としても、財政のところでもうまくいかない。そうすると、税制の公的な分配からいうと、今、企業等が非常に、たくさん払っているのか払っていないのかよくわからないような税制上で、どう見ても優遇措置じゃないかという印象もあります。ただ、そのことが議論できる資料もなければ、そのことが十分に議論されていないということが一番の問題で、今方向性が定まっていないというのは多分そのことのあらわれだというふうに思います。

 私は個人的には、データがあればもう少し、企業への負担の部分と、広く個人から消費税を取るというその問題の点からいえば、本来消費税は、やはり逆進性があるので低所得の人に対して大変不利に働く、そのようなものが現状の中にそのまま据え置かれて、上げていくということを選択するのか、それとも、世界的規模の中で、余り税金も払わない、お金も払わないで富が一極集中しているということを是正するのかということは、根本的に資料を提示して、やはり議論することが必要であれば今それはすべきだと。

 ただ、今回の予算の編成を見ると、税制問題というのは、この中からある意味ではすっぽり抜けた中で議論されているので、それ以上はお答えできないということです。

笠愛一郎君 消費税の減額というお話を、私たちちょっと、範囲ではお聞きしたことがないものですから、上がるものだという想定でありますものですから、それによって変わってくるのかなと。ただ、それがどこに行っているのかなというのは非常に必要だろうと思います。

 特に、地方にいますと、やはり人手不足、少子化、人口バランスも崩れておりまして、そして結婚できない人たちが非常にふえている。この間、私も、これは全然別の話になってしまいますけれども、娘の、結婚しないものですから、結婚相談所に行きましたら、九州は圧倒的に男が足らないと。みんな東京とか何か行っちゃって、九州にはいないわけですね。女性は進化しているから相手になる男がいないというような状況があるという。そういうものがきちっと是正されるような、せっかく税制を変えていくなら、きちっとやはり対応していっていただきたいなと思います。

 下げる議論はちょっと私たちには、想定したことがないものですから。有効に使っていただけますなら。

高林秀明君 税だけでなくて、社会保険とか介護保険とか、こういう保険料との関連もあると思うんですよね。例えば国民健康保険は、最も所得が低い人たちが最も高い保険料を払っている人たちなんですよね。それで、やはり滞納率も高くなっている。

 ですから、そこにまた消費税が上がってくると、非常に生活が苦しくなりますよね。ですから、やはり税と保険、トータルで国民の負担がどうなっているのか、そして、特に低所得のところが厳しくなっているところであれば、やはりそこはしっかり、先ほど申し上げましたけれども再分配して、取った税をしっかり返していく。

 先ほど、やはり国民の信頼がないとということも御指摘がございました。日本は、今、格差が拡大して貧困率も高まっています。高まっているというか、OECDの中でも高い方です。

 ワールド・バリュー・サーベイという、政治学者がよく引用する世界価値観調査というのがあるんですけれども、日本の国民、二千五百人ぐらいが、国会を信頼しているか行政を信頼しているかというところの回答があるんですよね。これが、大体二五%から三〇%なんですよ。でも、ヨーロッパとかスウェーデンになると六〇%ぐらい、これがだんだん上がっているわけですよね。

 ですから、国民から見て信頼できる政府、税金を払ったら返ってくる、こういうことがあれば、やはりそれは、自分たちも税をしっかり払って、そして安心して暮らせるような社会をつくりたいと、そういうビジョンを持てると思うんですけれども、そこが弱いと、なかなかやはり信頼というか納得が得られないんじゃないかなというふうに思います。

杉本委員 与野党ともに示唆に富む御回答、ありがとうございました。

 以上で終わります。

坂本座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。

 本日拝聴させていただきました御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに深く御礼を申し上げたいと思います。

 また、この会議開催のために格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後四時一分散会


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