衆議院

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第26号 令和2年6月9日(火曜日)

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令和二年六月九日(火曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 葉梨 康弘君

   理事 堀内 詔子君 理事 山際大志郎君

   理事 大串 博志君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      あべ 俊子君    秋本 真利君

      井出 庸生君    井林 辰憲君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      うえの賢一郎君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小野寺五典君

      奥野 信亮君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      河村 建夫君    小林 鷹之君

      笹川 博義君    丹羽 秀樹君

      根本  匠君    野田  毅君

      原田 義昭君    平沢 勝栄君

      福山  守君    古屋 圭司君

      村上誠一郎君    山口  壯君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 博道君    浅野  哲君

      石川 香織君    今井 雅人君

      枝野 幸男君    小川 淳也君

      大西 健介君    岡本 充功君

      神谷  裕君    川内 博史君

      玄葉光一郎君    後藤 祐一君

      櫻井  周君    辻元 清美君

      堀越 啓仁君    本多 平直君

      馬淵 澄夫君    前原 誠司君

      村上 史好君    石井 啓一君

      國重  徹君    濱村  進君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      杉本 和巳君    美延 映夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (マイナンバー制度担当) 高市 早苗君

   法務大臣         森 まさこ君

   外務大臣         茂木 敏充君

   文部科学大臣       萩生田光一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      梶山 弘志君

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    小泉進次郎君

   防衛大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       田中 和徳君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       武田 良太君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (海洋政策担当)     衛藤 晟一君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     竹本 直一君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (地方創生担当)     北村 誠吾君

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   橋本 聖子君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   会計検査院長       森田 祐司君

   会計検査院事務総局第五局長            原田 祐平君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤井 敏彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    太田  充君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文化庁次長)      今里  讓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            小林 洋司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          保坂  伸君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    前田 泰宏君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁)    田中 一穂君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     井林 辰憲君

  小倉 將信君     小林 鷹之君

  神山 佐市君     福山  守君

  河村 建夫君     勝俣 孝明君

  古屋 圭司君     鬼木  誠君

  村上誠一郎君     丹羽 秀樹君

  今井 雅人君     櫻井  周君

  小川 淳也君     枝野 幸男君

  本多 平直君     村上 史好君

  濱村  進君     石井 啓一君

  杉本 和巳君     美延 映夫君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     井出 庸生君

  鬼木  誠君     古屋 圭司君

  勝俣 孝明君     河村 建夫君

  小林 鷹之君     小倉 將信君

  丹羽 秀樹君     村上誠一郎君

  福山  守君     神山 佐市君

  枝野 幸男君     小川 淳也君

  櫻井  周君     浅野  哲君

  村上 史好君     石川 香織君

  石井 啓一君     濱村  進君

  美延 映夫君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     あべ 俊子君

  浅野  哲君     今井 雅人君

  石川 香織君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  裕君     堀越 啓仁君

同日

 辞任         補欠選任

  堀越 啓仁君     本多 平直君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和二年度一般会計補正予算(第2号)

 令和二年度特別会計補正予算(特第2号)

 令和二年度政府関係機関補正予算(機第2号)


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     ――――◇―――――

棚橋委員長 これより会議を開きます。

 令和二年度一般会計補正予算(第2号)、令和二年度特別会計補正予算(特第2号)、令和二年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井敏彦君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、金融庁監督局長栗田照久君、財務省主計局長太田充君、文部科学省高等教育局長伯井美徳君、文化庁次長今里讓君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、厚生労働省健康局長宮嵜雅則君、厚生労働省職業安定局長小林洋司君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光君、経済産業省貿易経済協力局長保坂伸君、中小企業庁事業環境部長奈須野太君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君、株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁田中一穂君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長原田祐平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。よろしくお願いいたしたいと思います。

 ことし一月十五日に国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、昨日までに一万七千余名の感染者が確認をされました。そのうち九百二十二名の方が残念ながらお亡くなりになられました。この場をおかりいたしまして、お悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、この感染症に最前線で戦っておられます医療従事者、関係者の皆様方に心より感謝を申し上げるところでございます。

 また、先日、拉致被害者家族会初代代表の横田滋さんが逝去をされました。心よりお悔やみを申し上げます。拉致被害者帰国のためにあらゆる活動をしなければいけない、改めて決意をするものであります。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 今回の第二次補正予算は、事業規模で百十七・一兆円、純粋な国の支出、いわゆる真水と言われるもので三十三・二兆円で、第一次に続き超大型な補正予算になりました。第一次、第二次合わせて二百三十三・九兆円の規模になり、真水でも六十六・八兆円であります。

 今回の補正は、第一次補正後の対応として、第一次で足りなかったところの上積みを図り、これまでにはなかった新事業も創設をされております。創設されました新事業は家賃への支援支給であり、二兆二百四十二億円が組まれております。

 企業の資金繰りをよくするための資本性資金の供給として二兆三千七百億円、そういったものが組まれ、さらに文化芸術への支援も大幅に増額されたことは重要な意味を持つと思います。

 雇用調整助成金は、日額上限八千三百三十円が一万五千円に引き上げられました。月額の上限が三十三万円になります。そのほか、持続化給付金一兆九千四百億円の上積み、地方創生臨時交付金は二兆円、医療提供体制の強化等では約三兆円など、兆円台の上積みの予算がずらりと並んでいるところであります。

 人件費、家賃などの固定費に対する支援を充実させる一方で、個人向けの使い勝手をよくする、つまり、国民生活の不安を取り除き、事業の継続を図り、日本経済を前に進ませようというメッセージが十分に込められており、世界各国と比較いたしましても、質、量におきましてナンバーワンであると私は高く評価をいたしたいと思います。

 その上で、一次補正の事業執行に際しまして、幾つかの課題も浮かび上がってまいりました。より迅速に、より便利に、より正確に、より透明度高くということを目的として、更に充実した制度にするために、幾つかを問いただしたいと思います。

 まず第一に、給付のスピードへの課題でございます。

 第一次補正、十万円の特別定額給付金の申請では、申請方法をめぐり、自治体の窓口で混乱が生じたところも少なくありません。それが、給付が遅いという国民の不満につながっております。

 オンライン申請では、暗証番号を申請者が忘れ、確認のため申請者が役所に詰めかけ、結果として密集状態をつくり、オンライン申請を中止する自治体が出るなど、思いも寄らない事態が相次ぎました。雇用調整助成金でも、申請サイトが他人にも閲覧できるようなソフトになっていたことなど、初歩的なミスもありました。

 アメリカの金融専門誌から、お隣の韓国と比べ、電子申請の韓国と紙申請の日本でスピードに大きな差が出たと書かれ、韓国紙がそれを大きく取り上げるという不名誉な姿をさらけ出してしまったことも事実であります。

 なぜこのような事態を招いたのか。一つは、オンライン申請に国民の皆さんたちがふなれであったこと、そしてその経験が浅かったこと、また、自治体側も準備不足、経験不足の自治体があったことが、まず第一の原因であります。そして、何より、圧倒的にマイナンバーカードの普及が少ない。普及率がまだ一〇%台であります。そのほかにも幾つかの課題が浮かび上がりました。

 それだけに、今回の経験を奇貨として、今後のオンラインによる申請と給付のシステムを早急につくり上げなくてはならないと考えます。

 今般、自民党のマイナンバープロジェクトチームで、特定給付金等を迅速に進めるための給付名簿作成法案が議員立法として作成をされました。法案によりますと、本人の申請に基づき、マイナンバーと預貯金口座をひもづけするもので、今後も、災害発生時の給付など、さまざまな給付金に使用できるというものであります。そして、来年には、政府提案の法律として、マイナンバーに全ての預貯金口座をひもづけする法案も政府から提出をされる予定であるというふうに聞いております。

 同時に、マイナンバーカードが来年にも健康保険証として利用できますし、今後、仕事探しのためのジョブカード、あるいは教育訓練の申請の際にも活用できるなど、マイナンバーカードの用途は広がる一方であります。

 しかし、マイナンバーカードの普及率につきましては、二〇二三年末までにはほとんどの住民がカードを保有するという計画がありますけれども、あと三年を控えて、現在、普及率が十数%。果たして目標が達成できるのか、不安であります。今後、市町村が競い合いながらカードの普及率を上げるようなインセンティブを働かせる政策が必要であります。

 そこで、マイナンバー制度担当の総務大臣にお伺いをいたします。

 まず第一点目に、今後、マイナンバーの活用とカードの普及をどのように進めていかれるのか、そして第二点目に、予定されている政府提出のマイナンバーと各個人全ての預貯金口座のひもづけへの法案がどのようなものなのかについてお伺いをいたしたいと思います。

 それから、総理にお願いがございます。

 今、各自治体の定額給付金の受付窓口では、自治体職員が昼夜を分かたず働いておられます。住民からのおくれに対する苦情は、全てこの自治体の首長や職員に集まります。総理から一言、この場をかりて、自治体に対してのねぎらいの言葉と、今後更に厳しい職場環境が続く現場の職員の皆様への励ましの言葉をいただければありがたいと思います。これは全国市町村長からの要望でもありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

高市国務大臣 まず、この場をおかりして申し上げとうございますが、四月三十日に補正予算が成立してから一カ月余りという状況で、既に給付を開始してくださった団体は、全国千七百四十一市区町村のうち、千七百四十市区町村でございますし、また、給付済みの世帯数も、六月五日までの数字で二八%となっております。平成二十年度の定額給付金に比べると、もう格段に速いスピードで給付が行われており、多くの市区町村の職員の皆様にまずは感謝を申し上げます。

 坂本委員からお尋ねのございましたマイナンバーカードの普及、交付ということでございますが、ことしの九月からマイナポイントによる消費活性化策や、令和三年三月から健康保険証としての利用など、交付の増加に対応するために、市区町村の交付体制を計画的に整備するということとともに、坂本委員御指摘のとおりでございますけれども、住民のカード申請、交付機会を拡大していくということが重要でございます。

 このため、昨年十一月までに全市区町村に策定いただいた交付円滑化計画において、窓口の増強、また土日、平日夜間開庁の実施など、交付体制の整備をしていただくことに加えて、学校、企業、公民館、商業施設などに市区町村職員が出向いてくださって出張申請受け付けですとか、申請サポートを盛り込んでおります。

 既に、これは多くの市区町村で実施をしていただいております。総務省としては、そのために必要となる人件費の増などに係る経費について、国費による支援を行っております。特に、出張申請ですとか庁舎外での申請サポートというものにつきましては、これに係る旅費や備品購入費なども広く補助の対象として応援をしています。

 マイナンバーカードは、やはり便利じゃなきゃ、皆さん欲しいと思われませんので、これはデジタル・ガバメント実行計画に基づいて、今後、健康保険証だけではなく、お薬手帳、また介護保険被保険者証、母子健康手帳、障害者手帳、ハローワークカードなどとしてでも活用できますように、政府全体で利活用策を推進しています。

 それから、政府で予定をしている第二弾の法改正、どういうことなのかということなんですが、今回、特別定額給付金を始め、各種の給付金事務において、いずれも振り込み口座情報を個人から申告していただく必要がありましたので、申請者や確認作業を行う職員にとって大きな負担となりました。例えば、私が担当します特別定額給付金は、予算措置であって、法律に基づかない給付金事務であったため、マイナンバー法に番号利用事務として規定することができませんでした。そのため、日本に住む全ての方に付番されているマイナンバー、つまり番号そのものを利用するということができず、照合作業などが非効率なものとなりました。

 今回提出していただいた議員立法は、こうした課題を的確に捉えて解決しようとするものでございます。各党各会派の先生方に改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。

 今後のマイナンバーへの預貯金口座のひもづけについて、私としましては、あと一歩、あと一歩国民の皆様の利便性を向上させたいと考えております。議員立法では振り込み口座情報の登録が個人の申出に基づくこととなっていますが、振り込み口座の登録が一部の方にとどまるのであれば、登録してくださらない方については別途振り込み口座の申告をお願いしなければならなくなります。ですから、ちょっと給付金事務の簡素化が限定的になるという課題が残ります。また、振り込み口座情報を提供する給付金が、緊急時又はそれに類する給付金に限られております。

 私は、世帯単位ではなく、今後、個人単位でも、福祉目的や景気対策など多様な給付を行うためには、全ての国民の皆様に行政からのさまざまな給付を受けるために利用する一生物の口座を一口座のみ、マイナンバーを付番して登録していただくような制度に発展させることができれば、迅速なプッシュ型の給付や行政コストの削減が可能となると考えますので、政府提出法案として準備を進めたく存じます。

 さらに、希望する方に限定する形ではありますが、相続時における被相続人の口座の所在の確認、これは大変皆さんお困りになっております、また、災害時にみずからの口座の所在がわからなくなっちゃったというようなことに対応できるように、希望者については口座が所在する金融機関名の確認にマイナンバーを利用するようにできるということは、国民の皆様の利便性を高めることに資すると考えています。こちらのサービスは、あくまでも任意で希望者に御利用いただくもので、口座の中身ではなく、口座の所在を本人や相続人が知ることができるものでございますが、国民の皆様の御理解を得ながら進めていくべきものだと考えております。

 以上のことを実現するために、既に、内閣官房番号制度推進室に検討を指示したことでございますので、第二弾の法改正として、次期通常国会に向けて検討を進めてまいります。

安倍内閣総理大臣 今回の特別定額給付金につきましては、まさに、この国難とも言える厳しい状況の中で頑張っておられる皆様への支援、一日も早くお届けをしなければならないわけでございますが、その中におきまして、全国の地方団体においては、新型コロナウイルス感染症への取組、日々大変お忙しい中であろうと思いますが、その中で、迅速かつ的確に家計への支援を行うという特別定額給付金の趣旨に鑑みて、早期の給付に向けて御尽力をいただいていること、改めて御礼を申し上げたい、このように思います。

 地方団体からの報告によりますと、先月二十五日までに全ての地方団体で申請受け付けが開始され、そして、先月中には九九・九%の地方団体で実際の給付が始まっていると承知をしています。平成二十年度の定額給付金と比較をしましても、格段に早く給付が行われている状況にあり、給付金の迅速な支給に御尽力をいただいている全国の地方団体の首長及び職員の皆様に、改めて深く感謝申し上げたいと思います。

 政府としては、一日も早く給付金をお届けできるよう、引き続き地方団体と連携をしつつ、全力で取り組んでまいります。

坂本委員 ありがとうございました。

 5Gあるいはビヨンド5Gの時代が来る中で、全ての手続を電子化するという、いわゆる、先ほど総務大臣も言われましたデジタルガバメントの構築が急務であります。これまでの計画を前倒ししてでも、これからカードの普及率の向上あるいはデジタルガバメント達成のために働いていかなければいけないし、私たち党としても全力を尽くす覚悟でありますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、予備費十兆円につきまして、お伺いをいたします。

 今回の補正予算で予備費に十兆円が充てられました。一部からは、予備費の規模が大き過ぎるという声も出ております。しかし、熊本地震での私の経験からすると、決して大規模過ぎることはないというふうに思います。

 熊本地震が発生したのが平成二十八年の四月の十四日、十六日でした。あらゆるものが崩壊し、ふるさとの光景が一変をいたしました。今後どう立て直せばいいのか、まずは県と県選出の国会議員団で予算の確保に動きました。そのとき、二つの考えがありました。一つは、東日本大震災時のように特別措置法を国に要望し、確実に予算を確保した上で復旧復興につなげるという考え方、そしてもう一つは、まずは大規模な予算を国に要求すべきであるという意見であります。

 どちらかといえば、特措法をつくるべきという意見が多かったように思いますが、最終的には、先輩議員の野田毅先生の御指導もありまして、まずは予算ありきで、予備費として大規模予算を組んでもらう選択をいたしました。結果、一カ月後の五月十七日、熊本地震の復旧に使途を限定して、予備費七千億円が計上をされました。

 この一地域のために七千億円という規模感がどれだけ県や市町村自治体、そして県民の安心感につながったか、はかり知れません。自治体では、発災後、まずは県民の生活が成り立つようにと応急措置をしなければならないが、財源の不安もあり、工事や物資の発注がなかなか進みませんでしたが、この予算、予備費投入によりまして、勢いがつきました。査定を省略して、機敏に次々と予算執行が行われ、住民の不便さを最小限度に抑えることができたと私たちは胸を張って言えると思います。

 結局、五月の第一次から七月の第四次まで、使い方についてはその都度閣議決定され、執行事業費は二千四百七十七億円でした。残余の予算につきましては、熊本地震のために改めて第二次補正予算四千百三十九億円、第三次補正予算七百六十九億円が組まれ、結局、七千億円をオーバーした形で、その年の復旧が進んだわけであります。

 今振り返りますと、当初、七千億円という規模感ゆえの安心感は本当に大きかったと思います。それは、ちゅうちょなく作業の迅速さに結びつき、その後の早期復旧復興、県民の生活の安定に確実につながったというふうに思います。七千億円という規模感、そして使途を現場の自治体に任せるという幅広い裁量性が、県や市町村及び職員や県民に高いモチベーションを与えたことは事実であります。

 それを考えますと、今回のコロナウイルス対策は、一地域の災害とは比較にならないほど大きいものであります。今後、第二波、第三波の感染が、いつ、どのような規模で起きるかわかりません。医療体制などのさらなる充実が叫ばれております。熊本地震のときの十五倍、二十倍程度の予備費は、決して大き過ぎることはないというふうに思います。

 そして、使途につきましても、コロナウイルス感染拡大防止対策として閣議決定をした上での執行になり、国会への報告義務もあるために、これは心強い予算措置ではないかというふうに思いますが、今回の予備費十兆円についての考え方に対して、財務大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘をいただきましたけれども、今言われましたとおり、今回の例は過去に例がないという、こういった感染症という形での全国という、しかも世界的にも同様に広まっております。

 そういった意味で、他国を見ました場合に、いわゆる非常事態宣言等々の制限を緩めた後において再び感染者が増加した傾向というのはいろいろ例が確認されておりますけれども、解除後の事態が急変する可能性というのは極めて大きいということを考えておかねばならぬと思っております。今、第二波、第三波のお話もありましたけれども、私どもとしては、その点を十分に考えねばならぬ。

 また、いわゆる補正予算を、このたび、総理の指示があって成立するまで約一カ月少々がたっておりますので、いわゆる補正というものを新たに組んだときにおいては、その段階で時間を要するというところが問題でありますので、いわゆるスピードということを考えた場合、事態の急変に対して臨機応変に対応できるということを考えた場合において、私どもとしては、今回の新型コロナ感染症対策、予備費として十兆円ということをやらせていただきましたけれども、確かに、熊本の七千億円、東北大震災のとき等々の例を踏まえましても、全県にわたったということになっておりますので、そういったことを考えますと、私どもとしては、十兆円というのは、これを使わなければ、済んだというのであれば、それはそれなりに結構だと思いますけれども、私どもは、国会の議決をいただいた範囲内で、その使途が限られていることになっておりますので、この予算の総則においてあらかじめそういうことは決められておりますから、そういった意味において、与野党の国対委員長の合意も踏まえまして、私どもは、昨日の財政演説で御説明をさせていただきましたけれども、今後、適時適切にその内容について国会に御報告をさせていただくという形にさせていただいておるところであります。

坂本委員 最近、自国通貨で借金ができるならばどれだけ国債を発行してもいいんだという、いわゆるモダン・マネタリー・セオリー、MMT理論というのが出てきまして、五十兆、百兆という金額が平然と語られるようになりました。その勢いもあってその十兆という予算が出てきた感はありますけれども、やはり備えあれば憂いなしであります。私の経験からいきましても、しっかりと吟味しながら執行をすれば、これほどやはり効果的な予算はないというふうに思いますので、私たちもしっかりと監視をしながら、そして、これからのアフターコロナに役立つような予算執行というものを続けていただきたいし、一緒になって国づくりに対して向かっていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、専門家会議の議事録につきましてお伺いをいたします。

 新型コロナウイルスの専門家会議は、当初、専門家の方に自由に率直に発言していただくために、速記録はとるものの、議事の概要を公表するということで、専門家の皆さんの同意を得てスタートをいたしました。しかし、第十五回の専門家会議を開催した後、誰がどのように発言したかがわかる議事録を公開すべきという意見が出てまいりました。

 専門家会議は政策を決定する機関ではなく、あくまでも参考意見を述べるという役割を持っておりますので、本来ならば発言者名を含む議事録の作成の必要はありません。ただし、専門委員の中からも発言者名を掲載しても構わないという意見が出てきたために、西村担当大臣は、十六回目から発言者と発言内容を掲載すると、六月五日の記者会見で述べられました。

 これは、今回の案件が歴史的緊急事態に該当するということから、将来の教訓として、ガイドラインに沿った記録の作成をすることは重要であるという考え方からきたものであると思いますけれども、専門家会議の会議概要について、どのような経緯を経て十六回目以降の今後の方針について結論を出されたのか、説明をしていただきたいというふうに思います。

 また、第一回目から第十五回目までの専門家会議につきまして、概要以外に詳細を含めて残す必要があるのではないかと思いますけれども、これについても西村国務大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 専門家会議につきましては、行政文書の管理に関するガイドライン上の政策の決定又は了解を行わない会議等に該当いたしまして、残すべき記録は、活動期間、活動場所、構成員、その時々の活動の進捗状況や確認事項を記載した文書、配付資料等とされているところであります。

 この方針を踏まえまして、今、坂本委員から御指摘ありましたとおり、専門家会議の第一回の会議におきまして、自由かつ率直に御議論いただくため、発言者が特定されない形の議事概要を作成し公表するとの方針について、構成員のメンバーの先生方の御了解のもと、この方針に沿って適切に対応してきたところでございます。

 その上で、専門家会議の議事概要につきましては、議論の内容がわかるよう、かなり丁寧に作成をし、公表してきております。また、ほぼ毎回、会議後、専門家の先生方による詳しい会見、平均一時間半近く行われてきたところでございます。

 他方、御指摘のように、五月二十九日の専門家会議におきまして、構成員の方から、議事概要のあり方を一度検討してもいいのではないかとの御意見がありましたので、その点について改めて脇田座長に御相談をし、構成員の先生方全員に御意見を伺ったところであります。

 経緯を少し申し上げれば、脇田座長から、議事概要については従来と同様の形で引き続き作成するが、今後開かれる会議からは発言者名を記載すること、また、速記録について、出席者が確認をした上できちんと残すことという御提案をいただき、各先生方お一人お一人に確認をした結果、最終的に御賛同いただいたということでございます。

 この結果、専門家会議につきましては、引き続き従来と同様の形で丁寧な議事概要を作成、公表することとしつつ、これまでの会議は発言者を特定されない形で公表するという前提でそれぞれの発言が行われたものでありますから、今後開かれる会議以降の議事概要については発言者名を明記することとしたところでございます。

 他方、御指摘のように、速記録が保存をされております。この速記録につきましても、各委員や出席者に御確認をいただいた上で残していくこととしまして、速記が入っていませんでした第一回及び第三回につきましても、録音等をもとに同様の記録を作成し、将来の検証に資する資料としたいというふうに考えております。

 この速記録につきましては、行政文書のガイドラインにのっとりまして、保存期間が十年とされ、そして、その満了後は国立公文書館に移管をされ、原則公表扱いとなるものでございます。

 いずれにしましても、今回の事態が歴史的緊急事態に指定されたことを踏まえまして、引き続きしっかりと記録を残してまいりたいというふうに考えております。

坂本委員 一回目から十五回目までは概要を公表するということでスタートいたしましたので、委員の皆様方が自由な討議をされて、意見交換をされたというふうに聞いております。

 しかし、私が聞くところによりますと、その中でいろいろな業界の固有名詞が出てきたりもしましたので、業界の方から、提訴をするとか、あるいはさまざまな激しい御批判を仰ぐとかというようなことが実際起きたというふうに聞いて、専門家の方々も非常に困惑された、困ったということも聞いております。

 ですから、情報公開というのはしっかりやらなければなりませんけれども、専門家という立場であるがゆえに、その発言に対して非常に皆さんやはり神経質になる。情報公開といえども、簡単にいくようなものでもないし、やはり多くのデリケートな問題を含んでいる。

 さらに、今ネット社会でございますので、これが大きな形で拡散するようなことになりますと、誤解が誤解を生じるようなことになるというふうなことも私は危惧するところでありますので、どうか、十五回目まではできるだけこれまでの方針に沿って情報公開していただくと同時に、十六回目以降も、細心の注意を払いながらも、発言者の氏名を書きながら、公表しながら、しっかりと国民の皆様への情報公開を進めていただきたいというふうに思うところでございます。よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、持続化給付金の委託事業の透明性についてお伺いをいたします。

 持続化給付金は、事業者の方々に大変期待をされております。第二次補正でも一兆九千四百億円が上積みされました。この巨大予算を迅速に給付するためには、民間団体に委託するしかございません。委託費用も巨額になります。第一次補正で七百六十九億円、第二次でも更に八百五十億円が追加をされました。それだけに、委託事業についての透明性が求められます。

 五百四十カ所のサポートセンターを設け、商工会などの協力も得て、全精力を注いで給付事務を行っていることにつきましては十分に評価をすることでありますが、委託に至るまでの過程や委託事業の執行体制、委託先からの再委託などで国民の皆様方に誤解を与えるようなことがあれば、一気にこれは信頼性が崩れてしまいます。

 経済産業大臣に、現在、国民から厳しい指摘を受けていることに対してどのように対処をしていくのか、お伺いをいたしたいと思います。

梶山国務大臣 お答えいたします。

 持続化給付金は、二百万を超える事業者の方々に対して、三密を避けながら迅速に確実に給付することが求められる、前例のない困難な事業であります。

 第一に、迅速な給付を確保するべく、申請書類は前例のないレベルまで簡素化、定型化をいたしました。さらに、審査を行うスタッフを二千九百人採用し、審査実務ができるように教育をして、迅速に審査できる体制を整備をいたしました。

 第二に、二百万を超える事業者からの申請、給付にたえられるシステムづくりということで、三密を回避するためにウエブ申請方式とし、一分間に同時に六百の事業者から申請があっても対応できるシステムを構築をいたしました。

 他方、電子申請にふなれな事業者にも配慮をしながら、約五千人を全国五百四十カ所に配置をし、ウエブ申請をサポートする窓口を設置をいたしました。さらに、全国二千二百カ所の商工会、商工会議所にも相談体制を広げていくところであります。

 第三に、確実な給付のためにも、事業者の選定に当たっては、一般競争入札において応募があった事業者の中から、IT導入補助金で過去六万件超の事業者を補助した実績を持つサービスデザイン推進協議会を選定をいたしました。

 採択に当たっては、この事業の目的を委託先、再委託先を含めた体制全体で実現できるか、現在の会計、契約ルールに基づいて確認したところでありますが、支給が遅いのではないか、事業の執行体制が不透明ではないかなど、厳しい指摘が相次いでいることは重く受けとめているところであります。

 まず、予算が無駄に使われているのではないかという点については、今回の予算は、事業終了後に証憑を厳格に確認して精算をする仕組みであります。使途が不明なお金は一切払わず、また、これまでの支出の妥当性を確保するためにも、今月中にも、通常行わない中間検査を実施をしたいと考えております。

 経済産業省の委託契約のルールについても、外部の有識者の意見を得て、急ぎ改善すべきところがあるか、検討を行ってまいりたいと考えております。

 次に、支給が遅いのではないかという点について、これまでも、未給付から二週間程度経過した場合、マイページやメールの連絡を強化をしていますけれども、それでもなお残る長期未給付案件について、また連絡が届かない案件につきましても、事務局内に専門の個別フォローアップ体制を新設し、電話等での連絡を更に密にしてまいりたいと思っております。

 国民の皆様の御批判にしっかりとお応えしつつ、事業者の事業の継続と雇用の継続を何としても守り抜くという何より重要な使命を果たしてまいりたいと考えております。

坂本委員 申請者が多数に及びます。そして、扱う金額も巨額であります。それだけに、いろいろなことが言われます。

 やはり委託先につきましては、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れず、そういう気持ちでやっていただかねばなりませんし、今大臣言われたような、しっかりとした監視体制をこれからも続けていっていただきたいと思います。

 最後に、文部科学大臣にお伺いをいたします。

 この一連のコロナウイルス関連で、オンライン授業の必要性というのが強く叫ばれました。昨年末にはGIGAスクール構想を発表して、一人一台の端末整備と高速大容量の通信ネットワークの整備というのが打ち出されました。そのためには、各学校に、全国の学校にWiFiの環境整備を整える必要があります。そして、小中だけではなくて高校まで端末を整備するということが必要であります。

 昨年末のGIGAスクール構想発表以降に、このコロナ感染を通しまして教育現場の環境が大きく変わりました。今後も更に変わってまいります。そこで、コロナ対策及びウイズコロナ、アフターコロナの中で、格差なき教育の推進のため、小中高全ての児童生徒がICT活用で学習できるよう、学校のICT環境整備を早急に進めるべきであるというふうに思います。

 文部科学大臣のお考えをお伺いいたします。

萩生田国務大臣 子供たちの学びを保障するためにはICTの活用が極めて重要であり、全ての子供たちに対するICT環境整備が急務だと考えております。

 今回、GIGAスクール構想を前倒しをしていただきまして、今年度中に小中学生一人一台の端末の整備はめどはつきました。当然のことながら、工事もしなきゃなりません、WiFi、光ファイバー等々の環境整備も同時に進めていかなきゃなりませんので、財政的にもあるいはマンパワーも非常に多くの人たちに助けてもらわなくてはなりませんけれども、この機会なので、しっかり整備をして、仮に第二波、第三波があってもそこに対応できるような学校教育環境というものをつくっていきたいと思います。

 高等学校につきましては、地方財政措置はしているんですけれども、なかなかまだ行き届かないところがございます。まず、環境整備、学校のお手伝いをさせていただいて、この一年間で、小中学校、しっかりめどをつけさせていただいて、高校についてはまた今後の対応策とさせていただきたいと思います。

坂本委員 大変重要なオンライン教育になってまいりました。さらなる前倒しもお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 この際、山際大志郎君から関連質疑の申出があります。坂本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山際大志郎君。

山際委員 おはようございます。自由民主党の山際大志郎です。

 質問に入る前に、私からも、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げると同時に、御関係の皆様方にお見舞いを申し上げます。

 また、横田さんに関しましても本当にお悔やみを申し上げます。横田さん、私の地元であります川崎に御在住であったということもございまして、この拉致問題、総理が本当にこれまで精力的に、何とか解決にというふうに動いてきてくださったことでございますけれども、私たち、与野党超えて、政治に携わる者全員がこの拉致問題解決に向かってしっかり汗をかかなきゃいけないな、このように思う次第でございます。

 さて、それでは質問に入らせていただきます。

 今、同僚の坂本議員から、二次補正の予算の大要について、包括的な、そういう質問がございました。内容につきましては、恐らくこれからまた、この後の質疑者の中で明らかにされるものと思いますけれども、私は、せっかくの機会ですので、この新型コロナウイルス感染症を乗り越えた先、それを政府としてどのように見ているかということについて、きょうは総理を中心に御披瀝をいただきたいと思うんです。

 国民誰もが、この新型コロナウイルス感染症が起こったことで、その前の社会にはもう戻らない、このような実感を持っていると思います。私たち一人一人の国民からすれば、自分たちの生活様式一つ一つ、行動全てが今までとは違った行動様式を求められるようになって、恐らくそれが持続するんだろうなという思いがあろうと思います。

 産業もそうでしょう。さまざまな意味で本当に課題がありました。それを乗り越えた先には、以前の社会よりももっと強くて優しくてしなやかな社会にしたい、誰もがそう思っているはずです。

 そういう国民全員が持っている思いというものを受けて、今般、自由民主党の中に、岸田政調会長のもと、甘利明先生が座長を務められまして、きょうパネルのお手伝いをしていただきます小林鷹之先生が事務局長を務める、新国際秩序創造戦略本部という大変大きな本部がつくられました。そのことについて、まずお尋ねをしたいと思います。

 新国際秩序創造というすごく大きな名前なんですけれども、中でやることは大きく分けると二つです。

 一つは、今申し上げましたように、今回の新型コロナウイルス感染症によってさまざまな社会の課題というものが見えました。このさまざまな社会課題、何があったかということを全部あぶり出して、そしてそれに対して、それを解決するための方途、まあ、言えば処方箋とでもいうんでしょうか、それを見出していくということが第一でございます。

 そしてもう一つ、大変大きな課題は、この感染症において、それを乗り越えていく、各国みんな努力をしたわけですけれども、いち早くその努力が実を結び、そして次のステージに移っていった国が中国だというふうに思います。この国が出てくる前に、今の二十一世紀に入りまして、世界は、デジタルトランスフォーメーションと言われるデジタル化が物すごい勢いで進んでいる。第四次産業革命の中でそれは進んでいるんだと思いますけれども、そういうさなかにあって、中国は、そのデジタルトランスフォーメーションを使って第四次産業革命をどんと、一段階段を上るような変革を今起こしているところでございます。

 それはそれですごいことなんだろうと思いますけれども、しかし、そのことによって、さまざまな国際社会の中における力関係というものが変化をしてきているのも事実でございまして、この力関係が大分変化している中で新しい社会をどうつくっていくのか、その土台の上でどうやってつくっていくのか、そういう大局観に立った骨太な議論、戦略、大戦略というものを練っていこう、これがこの戦略本部の趣旨でございます。

 総理は、当然、行政の長でいらっしゃいますけれども、私たち自由民主党の総裁でもいらっしゃいます。ぜひ、この戦略本部に何を期待されるか、このことについてお答えをいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 戦略本部での皆様の御議論に大いに期待をしております。

 今回の新型コロナウイルス感染症によって、本当に多くの方々がとうとい命を落とし、そして、たくさんの人が愛する人を失いました。

 今回のこの大変な、百年に一度と言われるような出来事の中で、日本においては、この国難とも言える出来事の中でさまざまな、今、山際委員がおっしゃったように、課題も浮かび上がってきたところでございます。我々は、この状況を何とか収束させ、その後、ポストコロナの時代に、こうした経験を生かして、新たな時代、より強靱性を持った、また、次なる事態にも備えることができる強靱性を持った社会構造を構築していく、未来に向けた社会変革の契機としていかなければならないと考えています。

 その一つとして、感染拡大を防止しながら支援を迅速にお届けするという観点からも、オンライン化の重要性が更に強く認識をされました。迅速、十分な支援の実施の観点からも、行政手続のオンライン化を進めるとともに、遠隔教育やテレワークなど、社会のあらゆる分野で遠隔対応を進めていく。遠隔診療等々もそうなんだろうと思います。

 さらに、経済のグローバル化によって生産の海外移転が進んだ結果、マスクや防護服など国民の安全、安心に係る製品について中国等からの供給量が大きく減少するといった課題、そういう事態に私たちは直面をしたのであります。このため、保健衛生、安全保障などの観点で必要な製品について、単なる価格競争力だけで左右されない安定的な供給体制を構築していく必要があります。この点からも大いに議論をしていただける、こう思っております。

 あわせまして、現下の世界的課題を根本的に解決するためには、自国のことのみに専念するのではなくて、新たな国際秩序の構築に向けて取り組む必要があります。この新たな国際秩序の構築とはどのようなものでなければならないかということでございますが、これまで世界の政治経済をリードしてきた国々の多くが国内の対応で手いっぱいになっている中、我が国は、自由、民主主義、人権、そして法の支配といった普遍的な価値を今後とも堅持をしていきます。そして、こうした価値を共有する国々と手を携えながら、自由かつ開かれた形で世界の感染症対策をリードしていかなければならないと思います。

 今まさに、どういう考え方、構想、理念で構築をしていくべきかということのせめぎ合いの中にあると言ってもいいんだろうと思います。その中で、やはり日本は、しっかりと、今申し上げた価値観を堅持しながら、その中で体制を構築していきたいと思っております。

 自由民主党に構築をされた新国際秩序創造戦略本部における取組は、まさにこれと軌を一にするものと考えておりまして、新しい国際秩序の構築に向けて活発な御議論を期待しておりますし、そして、ぜひ皆さんの議論を世界に向かって発信していただきたい、このように思います。

山際委員 ありがとうございました。

 我々もその覚悟でしっかりと議論をして、議論をするだけではだめですので、日本政府を通じて、あるいは我々政治家も全員一丸となって、その価値観をしっかり国際社会に広めるように努力をしてまいりたいと思います。

 そこで、ちょっとパネルを出していただきたいんですが、今、同僚の坂本議員からも、この新型コロナウイルス感染症で見られたさまざまな、言ってみれば社会の課題、ここでは脆弱性というふうにあらわしておりますけれども、ありました。

 この整理の仕方はいろいろあると思いますし、ここに挙げさせていただいたのはほんの一部ですので、その全てを網羅しているわけではございませんけれども、特にきょうは政府に対する御質問をさせていただいておりますので、先ほどもありましたオンラインのつまずきだとか、あるいは行政の窓口が混乱をしたとか、さまざまありました。その行政の側としてやらなくてはいけないこととして、課題の本当に大きな部分だなとつくづく感じるのは、電子政府化のおくれなんだろうと思います。一言で言うと、そういうことなんだろうなと思うんです。

 これまでも、eガバメントであるとかデジタルガバメントという言葉はずっとありますし、それで実行計画もつくっていただいて、それで一歩一歩進んできたことは間違いがないんでしょう。ないんですけれども、しかし、今回の一件で、国民からは相当お叱りを受けているわけですね。

 すなわち、これは加速させなくてはいけないということなんだろうと思うんです。これはもう大臣の皆様方の受け持っていらっしゃる各部署でも当然デジタル化はやらなくちゃいけないんでしょうが、しかし、なかんずく、やはりこれは政府全体として、とにかくデジタルで全てのことが終わるぐらいのところまでやろう、そういう意思がなければ、なかなかこれはばらばらで先に進まないというのも、今まで私たちが経験していた事実だと思います。

 先ほども申し上げましたように、コロナ感染症を乗り越えた先の社会は、当然デジタル政府になっていなくてはいけないと思います。それを加速化させるためにどうすればいいかということは皆さんもうわかっていらっしゃると思うので、その御決意について総理からお答えいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 今回、例えば給付につきましても、スピードがこれは要求されたわけでございまして、支援を必要としている方々のお手元に一日も早くお届けをしなければならない、このスピードが一番大切だと考えてきました。

 こうした危機の中にあって、地方自治体を含む関係者の皆さんは最大限の努力を尽くしてくださっておられますが、もっと早くしてほしいという国民の皆さんの声は真摯に受けとめなければならない、こう思います。

 その中にあって、さまざまな手続をスピードアップしていく上で、行政のデジタル化は極めてというか決定的に重要なんだろう、こう認識をしているところでございます。

 今回の各種対応の教訓もしっかりと踏まえながら、行政全般にわたってデジタル化を更に加速をしていきたい、そして、デジタル化を進めていくことによってどのようにサービスが向上していくかということについても、国民の皆様の御理解も得ていきたい、このように思っております。

山際委員 ありがとうございました。

 先般、経済財政諮問会議において、本年のいわゆる骨太の方針について議論がなされたようですけれども、会議においても、有識者議員から、デジタル化のこれまでの取組は失敗であったとの猛省に立って、できることを計画にしていくのではなくて、必要なことを必ず計画に盛り込んでそれを実現するという、従来とは異なる次元、手法で、デジタル時代に対応した徹底した規制改革、人材育成、民間人材活用を強力に進めるべき、こういう提言がなされたというふうに承知してございます。

 今の総理の御答弁にありましたように、我々としても全力でサポートいたしますし、結局コロナウイルス感染症が過ぎ去った後にはまたもとに戻ったなんということを国民にはこれっぽっちも感じてもらわないで済むような、そういうデジタル政府を目指して、ともに頑張りたいと思ってございます。

 そしてもう一つ、この表に書かせていただきましたサプライチェーンの混乱、これも坂本委員の方からありましたけれども、やはり、医療のマスクや防護服といったようなものから日本のお家芸と言われてきた物づくりの分野まで、まあ車は、よく言われる、三万点部品があるけれども、一つでも部品がなければもうつくれない、それが中国でつくられていたがゆえに、もしかしたら運ばれないかもしれない、そうすると車がもうつくれない、こういうわかりやすいサプライチェーンのリスクというのが今回顕在化したことは間違いないと思うんですね。

 しかし、だからといって、全ての部品を日本国内に戻すというのは、これはナンセンスだと思うんですよ、そもそも我々の国には資源がないんですから。その資源をどこからか持ってこない限り、中で何かをつくるといったって、もともとの元がないわけですね。そうなると、本当にこれはサプライチェーンリスクを、まあサプライチェーンを強靱化していくという、言葉は楽なんですけれども、一体どうやってこれをやっていくかというのは本当に大変だと思うんです。

 そこで、このことを担当していらっしゃる西村大臣に、サプライチェーンをどうやって強靱化していくか、このことをお答えいただければと思います。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。

 今回の危機は、まさに先ほど来御議論されているように、今後の世界の経済、国際秩序を含めて大きな影響を与える可能性があるというふうに思っております。中には、反グローバル化や保護主義など、内向きな動きも出てきておりますけれども、日本としては、まずは、何か自由貿易体制をリセットするということではなくて、これを維持し、更に今回の事象を契機にこれを発展させていく、進化させていくという方向でぜひこれは議論をリードしていきたいというふうに思っております。

 すなわち、御指摘のような、より強靱でしなやかな、レジリエントなという言葉だと思いますけれども、グローバルなサプライチェーンを確立していきたいというふうに考えております。

 御指摘のように、今回明らかになった課題として、自動車工場のような現場で、平時だけを想定した徹底した効率化の中で、今回、ロックダウンをしたような国で部品の供給停止が起こって、また、グローバルな需要急減の中で、自動車工場が停止をする、製造業が停止をする、あるいは、御指摘のように、マスクや防護服など医療現場に欠かせない製品で、中国依存、過大な依存をしていたところ、海外からの供給が大きく減少した、こういった課題が明らかになったわけでありますけれども。

 今後は、もちろん徹底した効率化、これは引き続き必要だと思います、これに加えて、最近ジャスト・イン・ケースという言葉が言われますけれども、つまり、さまざまな事象、いろいろな事態が生じた場合にも生産や供給を継続していけるような体制、供給先の多様化であったり、あるいは国内のサプライチェーンの強靱化であったり、こういったことの重要性が改めて認識されているところであります。

 このため、まず医療等で必要な製品や部素材については、一次補正で盛り込んだ医療等の支援策百十七億円がありますけれども、これで単なる価格競争力だけで左右されない安定的な供給体制を構築していきたいと思いますし、その他のものについても、一国依存度が高い製品、部品についてはサプライチェーンをより多角化していく、多元的な供給源をつくるということで、約二千四百億円の予算も計上しております。

 こうした当面の対策だけではなくて、さらに、今回九十四兆円規模の、無利子無担保の融資の拡充、あるいは劣後ローン出資などの資本性の資金も用意をしております。こうしたものも活用しながら、今後、サプライチェーンを支える中堅・中小企業、あるいは今回新たにチャレンジしようというベンチャー企業などの支援も含めて、よりサプライチェーンを強靱化なものにしていきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、御指摘のような視点を踏まえて、より強靱でしなやかな、レジリエントな、グローバルなサプライチェーン体制をぜひつくっていきたいというふうに考えております。

山際委員 ありがとうございました。

 中国という国を何かいたずらに敵視する必要は全然ないと思うんですけれども。しかし、そうはいっても、影響は物すごく大きくなったことは間違いないですね。そういう意味でいいますと、今、サプライチェーンの話もありましたが、二十一世紀で二十年たって、今現在、見てわかるように、もう経済と安全保障というものが切り離せなくなりましたね。ですから、どうしても、経済を活性化させようとするときには、安全保障のこともその土台、根っこの部分に考えた上で物事を進めなくてはいけない、こういう議論を昨年来ずっと我々自民党の中でやってきたわけなんですが、それに呼応して、政府の方でもさまざまな対策を打ってきていただいております。

 その中の具現化した一つとして、貿易の管理、それから投資の管理をしている、いわゆる外為法という法律がございますね。これが、六月七日に改正が施行されました。これによって、日本に対する直接の投資が、会社に対する投資が、一〇%の規制がかかっていたものが一%まで下げられて、一%以上の投資をする人たちは透明性を持って報告をしなきゃいけないということになりましたね。これは、当然ですけれども、そんなことだと面倒くさいからもう投資しないという人が出てくる可能性もあるわけです。実際にそういう意見も法律改正の議論をするときにあったじゃないですか。

 そうなりますと、経済を活性化させるために日本にどんどんどんどんお金も人も入ってきてもらいたいということと、安全保障の観点から、私たちが持っている技術、ノウハウ等々が抜かれないようにする、このバランスをとっていくのは本当に難しい。でも、これをやらなきゃいけないわけですね。その現場でかじをとられる梶山経済産業大臣に、どのようにしていくのかということについて御答弁をいただければと思います。

梶山国務大臣 お答えいたします。

 対日投資の促進は、短期的には経済や雇用へのプラスの影響等が期待されるのみならず、中長期的にも、海外への販路拡大やビジネスモデルなどを含めて、イノベーションの創出や経済活性化に資するものであると考えております。

 これまで、本年末までに対内直接投資残高を三十五兆円に倍増するという二〇一三年の政府目標のもと、トップセールスの実施、法人実効税率の引下げ等のビジネス環境の整備、企業マッチング等を通じた個別企業の誘致など、対内直接投資の促進に取り組んできたところであります。昨年末の時点での実績は三十三・九兆円ということになっております。

 他方、外国投資家が買収等を通じて安全保障にかかわる機微技術を有する日本企業の経営に関与をし、それら機微技術の国外への流出を生じさせることのないように、しっかりと対処する必要があります。

 そのため、外為法では、投資自由を原則としつつ、機微技術を有する日本企業の買収について、国の安全などを損なうおそれがある場合にはその変更や中止を命ずることができる仕組みとなっております。

 先ほど委員からも御指摘ありましたように、本年五月に施行されました改正外為法では、欧米諸国において対内投資規制が強化される中、我が国自身が安全保障にかかわる機微技術の流出につながる投資の抜け穴とならないために、上場会社の事前届出の対象を一〇%から一%の株式取得に引き下げるとともに、対日投資を一層促進させるために、事前届出の免除制度を導入するなどの改正も行ったところであります。

 新型コロナウイルス感染症を受けて、米中の技術覇権をめぐる対立が激しくなる中で、対日投資の促進と安全保障にかかわる機微技術の国外への流出防止の双方を、バランスをとるべく慎重なかじ取りを行ってまいりたいと思っておりますし、両方ともに大切な課題であると思っております。

山際委員 ありがとうございました。

 中国に限らず、諸外国から日本の技術がある意味狙われるというのは、それは日本に力があるという証拠でもあるわけですね。ですから、これからつくっていく新しい国際秩序の中で、実はそれがキーワードになるんだろうなという気がいたします。

 これは私見が入りまくっているパネルなので、そういう目で見ていただきたいんですが。

 二十年前に、世界地図を描いて、経済の分野において大きな極をちょっと示してごらんと言ったら、左から二つ目にある中国は入っていなかったですね。大体、日米欧の経済三極で物事を決めていくというのが二十年前の常識だったですよ。

 しかし、この二十年の間に、中国はGDPでも日本を抜いて世界第二位になりました。今回も、経済という意味において、サプライチェーンのリスクだけではなくて、さまざま世界経済に影響を与えた、本当に大きなプレーヤーとして中国というのはあるわけです。ですから、二〇二〇年の現在で経済の絵を描こうとすると、この四極、アメリカ、日本、中国、ヨーロッパ、EUという形になるんだろうと思うんですね。

 これが、先ほども申し上げていましたように、デジタルトランスフォーメーションがどんどんどんどん進むと、経済と安全保障というものが切っても切れなくなったわけですね。

 そうなりますと、今、経済、これはあくまでも経済という目で見てもらえるといいんですけれども、経済の中でいうと、日本を中心にして考えれば、日本とアメリカは今のところ、いろいろな意味で、ルールでもビジネスのモデルでも丸の関係だと言っていいと思うんですね。

 では、中国と日本はどうですか。政府の皆さんの御努力もあって、まあ、見かけ上は、それは何か経済上問題があるというわけではないかもしれませんが、やはり、まだそのルールという意味においては、我々、共通のルールで動いていない部分がございます。ですから、まだ三角の関係と言っていいんだろうと思うんですよ。

 日本とヨーロッパは、日・EUのEPAがこの間発効したように、その土俵がそろっていますから、これは丸と言ってもいい。

 では、アメリカとヨーロッパはどうなんでしょうね。アメリカとヨーロッパは、まあ、伝統的にはそれほど悪くなかったのかもしれませんが、特にGAFAと言われるような、データを扱う企業が台頭してきたことによって、このデータ駆動型社会におけるそのデータの取扱いについては、相当ばちばちとぶつかっていますね。ですから、これからの世界を考えると、経済という意味においては、アメリカとヨーロッパは決して一枚岩ではないんですね。

 一方で、中国とヨーロッパというのはどうなんでしょうね。これは、ヨーロッパの方々と話をすれば、みんな異口同音に言いますよね、彼らは、安全保障上の危機感というものを中国に対して持っていないですよ。我々日本のような危機感は持っていないです。したがって、自分たちにとって経済上プラスになるのであれば、中国とはできれば反りを合わせてビジネスをやっていきたいというのが本音ですね。ですから、相当アメリカが中国に対していろいろなことを言ったとしても、ヨーロッパの側からはね返されるというふうなことが起きています。すなわち、中国とEUとの間、ヨーロッパとの間というのは丸の関係なんですね。

 これから国際社会の新秩序をつくっていこうと思ったときに、このままの関係でいいわけはないわけです。ですから、私たちは、アメリカとの関係を更に深めて、しかも進化させるということをしなきゃいけないと思うんですね。それをやり、かつ、中国との関係も、実務のレベルだけではなくて、政治のレベルも含めてもっと深めていく必要があろうと思います。そして、そのことによってアメリカと中国との関係というものが、今、経済戦争をドンパチやっていますけれども、しかし、それではお互いにとって利益はないということを、私たちがリーダーシップを持って、言ってみれば調整をするということが必要になってくることは間違いないわけです。

 それで、先ほど梶山大臣からの御答弁に対して私が申し上げましたように、では、日本が調整役をやろうとしたときに本当に相手にしてもらえるか。この鍵を握っているのは経済以外ないですね。私たち日本の経済が強ければ、日本が世界の中で担っている役割が大きければ大きいほど、何かやろうとしたときに、日本の役割というものを無視しては進めない、これは何か戦略的不可欠性と呼ばれるみたいですけれども、日本は無視できない、日本は必要だ、そういう存在でい続けなくてはいけない。

 先ほど総理から御答弁の中にありましたように、自由、民主主義、人権、法の支配、こういった基本的な私たちが是としている価値観を土台にして物事を進めていこうとしていくときにも、それにプラスして、日本は経済、そういう武器を持ちつつ、世界の調整に乗り込むのではないかというふうに思うんです。

 この非常に難しいリーダーシップをとっていかなくてはいけない状況において、これからその役を中心的に担う総理にその御決意をお示しいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 今、山際委員から大変興味深い図を示していただいたんですが、この関係も、例えば八年前と比べれば画期的に変わったんだろうと思います。

 まず、日本とEUの仲は、御紹介いただいたように日欧のEPAが結ばれているということですね。そして、日米においては、TPPではなかったんですが、茂木大臣にも頑張っていただいて、これは貿易協定が結ばれているということになりました。そして、日中においては、今、RCEPの交渉を行う中において、マルチの枠組みの中において、自由な貿易のルールを共有していくという作業が今進んでいるところでございます。

 と同時に、安全保障で見ましても、日米関係の同盟関係は、平和安全法制によって、より強固なものとなってきているということでございます。

 やはり、経済と安全保障、両面で見ていく必要があるんだろうなと思います。日米においては、日米安全保障条約があります。そして、米と欧州との間においては、NATOによってこれを結ばれているということなんだろうと思います。

 そこで、日米関係というのは、まさに日本の外交、安全保障の基盤であるわけでありまして、新たな国際秩序の形成に米国とともに取り組んでいくべきことは言うまでもないんですが、同時に、中国は、地域や国際社会の平和と安全、繁栄に大きな責任を有しており、中国がそうした責任をきちんと果たしていくことを我が国としても促していきたい、こう思っております。

 そしてまた、国際機関というものも他方あるわけでございますが、例えば、先般のWHOの総会では、公平で独立した包括的な検証を行うべきとの決議案をEUや豪州等と協力をして提出をし、米国や中国を含む多くの加盟国に働きかけを行って、その賛同を得て、コンセンサスで成立させることができました。まさに日本が中心的な役割を担うことによって、このWHOに対する決議、米国も中国も両方とも参加する形でコンセンサスが得られた。

 そういう役割をしっかりと日本も果たしていきながら、コロナ後の世界において、地域や世界の平和と繁栄のためにリーダーシップを発揮していきたい、このように思っております。

棚橋委員長 山際大志郎君。

 なお、申合せの時間が過ぎておりますので。

山際委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて坂本君、山際君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井啓一君。

石井委員 公明党の石井啓一でございます。

 久しぶりに予算委員会の質問に立たせていただきました。よろしくお願いいたします。

 初めに、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方々に哀悼の意を表しますとともに、感染された方、治療中の方には心からお見舞いを申し上げます。また、感染のリスクにさらされながら勤務をしていただいた医療従事者、介護福祉施設の従事者、社会生活を営む上で必要不可欠な業務に従事していただいた皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。さらに、緊急事態宣言下で外出自粛や営業自粛に御協力いただいた全ての皆様にも感謝を申し上げます。

 また、拉致被害者家族会の会長を務められた横田滋さんの御逝去には心からお悔やみを申し上げたいと存じます。

 さて、緊急事態宣言が全国で解除となりましたが、これは言うまでもなく、ゴールではありません。マスク、手洗い、うがいを励行し、密閉、密集、密接の三密を避けるなどの新しい生活様式をとりながら、また、業種別のガイドラインを実践しつつ、新型コロナウイルスと共存していく、ウイズコロナのスタートであります。

 パネルをお示しをしようと思います。お手元に資料も配らせていただいております。

 これは、五月十四日の専門家会議の提言に添付されたイメージ図であります。縦軸が新規感染者数、横軸が時間で、波形の線が新規感染者数の推移を示し、赤い部分が緊急事態宣言が発令された特定警戒、黄色い部分が感染拡大注意、無地の部分が感染観察の状態であります。現在は、緊急事態宣言が解除され、無地の感染観察の状態であります。

 ただし、新型コロナウイルスは消えたわけではなく、人々の接触機会がふえれば、感染者数が再び増加するリスクは、全国どこにでもあります。感染者数が一定程度ふえてくれば、黄色の感染拡大注意の状態となり、都道府県知事から外出自粛や営業自粛等の協力要請がなされます。

 ちなみに、東京アラートは、現状では、この黄色の感染拡大注意の手前の状態だと思われます。

 更に新規感染者数の増加スピードが高まれば、緊急事態の再指定もあり得ます。そして、パネルの右端に示しますように、治療法の確立とワクチンの開発で新型コロナウイルス感染症の克服を目指します。

 新型コロナウイルスとの共存は長期間になることを覚悟しなければなりません。また、その間、決して一本調子ではなく、新規感染者数の拡大局面と減少局面があり、それに応じて、外出制限、営業制限等を厳しくしたり緩めたりということが繰り返し起こり得ます。大きな感染拡大を防ぎ、新型コロナウイルスとの共存の期間を乗り切るためには、国民の皆様に、このような状況を御理解をいただいて、引き続き御協力をいただくことが不可欠であります。

 人々の連帯の力でウイズコロナを乗り切るための政府の取組について、まず総理にお伺いをいたします。

安倍内閣総理大臣 今般の新型コロナウイルス感染症については、有効な治療薬、そしてワクチンの開発まで、感染防止の取組に終わりはなく、長期戦を覚悟する必要があります。そのような中、感染リスクをコントロールしながら段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくことで、コロナ時代の新たな日常をつくり上げていかなければならないと考えています。

 その際、国民の皆様と新たな日常をつくり上げる上での指針としてお示しをしましたのが、新しい生活様式であります。専門家会議において、国民の皆様が具体的にイメージできるよう、わかりやすい実践例も作成いただきました。その定着に向けて、動画、ポスター、ホームページ、SNSなどさまざまな媒体を活用しながら、積極的に情報発信に努めてまいります。

 さらに、各業界団体においては、専門家の助言のもと、感染予防のためのガイドラインを作成いただいています。政府としては、持続化給付金の上限を引き上げる等の支援策を設け、ガイドラインに沿った感染防止対策が実施されるよう、全力で支援をしていく考えでございます。

石井委員 多くの国民は、今後、本格的な感染の第二波、第三波を心配をしております。今回の感染とよく比較されますスペイン風邪の場合、我が国では一九一八年から一九二一年にかけて三回大流行が起こり、多くの方が亡くなっております。

 国民の不安をあおるつもりはありませんけれども、政策担当者は最悪の事態を想定して備えなければいけないと思います。本格的な感染の第二波、第三波に備えて、医療崩壊を招かないよう、医療提供体制の拡充、検査、監視体制の強化、できるだけ早期の治療法の確立、ワクチンの開発等を全力で進めなければなりません。このことが国民の不安を和らげ、ひいては社会経済活動と感染拡大防止の両立にも好影響を与えると考えます。

 総理の見解をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 次なる流行の波に備えるためには、医療現場において感染症対策を徹底しつつ、地域医療を継続できるようにしていくことが重要であります。

 医療機関の体制整備については、都道府県とも連携をしつつ、感染者を受け入れる医療機関に対する支援を大幅に強化をするとともに、それ以外の医療機関に対しても、感染防止対策などを強力に後押しをしてまいります。

 また、PCR検査については、保険適用による普及促進や抗原検査の活用による検査能力の増強に加え、唾液の利用などによる検体採取の体制拡充を急ぎたいと思います。

 治療薬やワクチンについては、第二次補正予算において、研究開発や生産体制の早期整備などに約二千億円を計上したところであります。有効性と安全性が確認された治療薬やワクチンを一日でも早く国民の皆様にお届けをしたいと考えております。

石井委員 それでは、具体的に順次お伺いいたします。

 まず、医療提供体制の拡充についてであります。

 第二次補正予算案では、一次補正の緊急包括支援交付金を大幅に拡充をいたしまして、医療提供体制の拡充を図り、また、感染患者に対する医療、介護従事者らに最大二十万円の慰労金を支給するという内容で、評価をいたしたいと思います。

 その上で、厚生労働大臣に二点お伺いいたします。

 厚生労働省は今後の感染ピーク時に必要となる都道府県ごとの病床数の推計を示しておりますが、これは、何も対策が行われないとして推計した入院患者数をもとにしております。五月二十九日の専門家会議の提言では、これまでの経験を踏まえて新たに患者数の再推計を示すとしておりますので、早期に、今後の感染ピーク時に必要な病床数の新たな推計を示し直していただくとともに、軽症者等の宿泊療養施設の病床数の推計も示し、今後の感染のピーク時への備えを万全にするよう都道府県を指導していただきたいと思います。その際、なるべく余裕を持って病床数を確保するようにしていただきたいと思います。

 二点目ですが、全日本病院協会等が行いましたアンケート調査では、四月度は、病院の外来患者、入院患者ともに、大幅に減少しております。経営状況が著しく悪化をしております。病院での感染を危惧して受診を避けたと思われます。

 二次補正では、重症の感染症患者に対する診療報酬を三倍に引き上げるとともに、新型コロナウイルス感染症患者の専用病院、専用病棟につきましては、空床、空きベッドへの補助や設備整備への支援が行われます。しかし、その他の医療機関につきましても十分に支援をしなければ、感染拡大前に経営破綻による医療崩壊が起こりかねないという懸念があります。

 以上二点、厚生労働大臣に伺います。

加藤国務大臣 まず、医療提供体制の確保でありますけれども、六月三日時点で、ピーク時に約三万一千床の確保ができる見込み、また、そのうち約一万九千床については医療機関との調整が行われた上で既に確保されている、こういう報告が都道府県から現在上がっているところであります。

 さらに、五月三十日付事務連絡を発出して、今、一時的に新規感染者数が低下をしておりますけれども、次なる波に備え、これまでの病床の維持、確保の取組、これを引き続き進めていただきたい、特に、重点医療機関の設定等、医療機関間の役割分担を更に進めていただくようお願いをしているとともに、今委員からお話がありましたけれども、これまでの感染状況、都市型と、それから、例えば石川県とかでそういう、そう人口規模が大きくないところでの発生事例、それぞれを踏まえて、今後の病床の確保の目安、今後の医療提供体制の整備の考え方について六月中旬にも目途をお示しをしたいというふうに考えておりまして、今、関係者と調整をさせていただいております。

 これを踏まえて、各都道府県において必要と考える病床、また宿泊療養施設の確保、さらには人員の養成確保、これを進めていただきたいと思います。

 これを推進するため、今御審議いただいております第二次補正予算において、緊急包括支援交付金、これを大幅に積み増しをさせていただいておりまして、重点医療機関への支援等の措置を講じることにより、必要な病床や宿泊療養施設、人材の確保等を確実に行えるよう支援を行っていきたいと思っております。

 また、医療機関については、今回、患者の減少等によって経営が悪化をしているというお話はいろいろなところからお聞きをしております。

 地域の医療提供は、複数の医療機関が連携をしていわば面的に確保されていく、そして、全体として必要な医療の継続を確保すること、診療が確保されることによって初めて医療提供体制を維持できるというふうに考えておりますので、今回、コロナの対応を行う医療機関のみならず、その他の医療機関への支援も必要なことから、新型コロナウイルス感染症の疑いの患者受入れのための救急、周産期、小児科医療機関の院内感染防止対策や、医療機関、薬局における感染拡大防止のための支援も行うこととしております。

 他方、空床確保については、重点医療機関を対象にということでありましたけれども、地域でお話を聞くと、必ずしも病棟とか病院を決めて役割分担をするほど病院数がなくて、お互いがそれぞれ役割分担をしているという声も聞かせていただいておりますので、地域におけるそうした、重点医療機関的な話と一般の医療的な機関の役割分担、さまざまでありますので、その辺の状況もよく聞きながら、今回この重点医療機関向けにつくらせていただいた制度も、弾力的な活用も考えていきたいというふうに思っているところであります。

 それ以外についても、資金繰り支援等々も実際行うことで、地域の医療を継続できるよう、万全の体制をとっていきたいというふうに考えております。

石井委員 次に、検査体制の強化についてお伺いをいたします。

 今後の感染拡大に備えまして、PCR検査の体制を拡充しなければなりません。そこで、厚生労働大臣に三点お伺いいたします。

 第一に、唾液を検体として使うPCR検査が六月の二日から認められました。従来の鼻の奥の粘液をとる方法に比べまして、せきやくしゃみが出にくく、検体採取時の感染リスクを低減させます。患者の負担軽減にもなりますので、積極的に活用していただきたいと思います。

 二点目に、現状のPCR検査機器では、複数の試薬の使用などで手作業が多く、人手も必要で、ミスをすれば感染リスクにさらされます。結果が出るまで約六時間かかります。一方で、PCR全自動検査装置ならば、手間もかからず、感染リスクも抑えられ、一、二時間で結果が得られます。積極的に全自動検査装置を導入すべきではないかと考えます。

 三点目ですが、抗原検査については、三十分程度の短時間で感染の有無を簡単に判断をいたします。PCR検査と比べまして、より多いウイルス量でないと正確な判断ができないという課題がありますけれども、特別な検査機器や試薬が不要であり、検体を検査機関まで配送する必要もなく、手間や時間が大幅に軽減ができます。積極的にPCR検査との併用を進め、検査能力の拡大を図っていただきたいと思います。

 以上、厚生労働大臣にお伺いします。

加藤国務大臣 先ほど総理からも御答弁ありましたけれども、唾液を用いたPCR検査については、発症から九日以内の症例では、その検査結果が、鼻咽頭拭い、通常の鼻の奥を拭う場合による結果と高い一致率が認められたことから、六月二日から同様に保険適用とさせていただいております。これによって、唾液ということになりますから、患者さんあるいは対象者の負担も軽減するとともに、それをとるときの感染リスクも低くなるということで、むしろ検体の採取が可能な施設がふえていくということも期待をしているところであります。

 それから、全自動PCR検査も、御指摘のように、通常のやつはかなり人手がかかるし、ある意味では専門性が求められておりますけれども、この仕組みを使うことによって、労力並びに一定の知識があれば対応できるというふうにも聞いているところでございますので、自治体やそれぞれの状況によって求めるものが違いますけれども、こうした機器もあるということをしっかりアピールしながら、今回の緊急包括支援交付金における設置、活用、これをしっかり働きかけていきたいというふうに思っております。

 なお、今回の当該交付金は抜本的に増額をしておりますが、あわせて、これまでは支援交付金の補助率が二分の一で、地方創生臨時交付金で二分の一で、実質は国費全額と言っておりましたが、今回はこの交付金で十分の十出すということにさせていただいております。

 また、抗原検査、御指摘のように、PCRに比べて短時間で結果が出る、もうその場で答えが出ますから、搬送するコストも不要であるという意味であります。ただ、他方で、ウイルス量の課題が、PCRよりも多く必要になるということも指摘をされております。

 現時点は、実は今、抗原検査とPCRを並行して実施をしているところでありますけれども、この検証結果を受けて、この抗原検査をどううまく使っていくのか、うまくPCRと抗原検査と役割分担をしながら進めることによって、より検査体制の強化、これを図っていきたいというふうに考えております。

石井委員 続いて、感染者の集団、クラスター対策の強化についてであります。

 感染が判明した人との濃厚接触の可能性が高い方に自動的に通知をする接触確認アプリの開発が進められております。スマホにこのアプリを入れますと、他のスマホと無線機能でやりとりをしまして、一メーター以内の至近距離に十五分以上いた相手の情報が暗号化され、自動的にスマホに記録をされます。

 このアプリは、海外の先行事例と比べまして、政府が感染者や濃厚接触者の情報を集めるわけではなく、陽性と判明した人がそのことをアプリに入力をすると、濃厚接触の可能性の高い方だけに感染者と接触したことが通知をされます。その際、誰と接触し、誰が陽性だったかという情報は伝わりません。プライバシー保護に十分配慮されていると思います。

 早期に実用化していただくとともに、このアプリの導入が進めばクラスター対策が飛躍的に進む可能性がありますけれども、多くの方がアプリを導入して初めて成り立つ仕組みでありますので、国民の皆さんに丁寧に説明をして、理解を得て、導入に積極的に御協力をいただきたいと思っております。

 政府の今後の取組を西村経済再生担当大臣にお伺いします。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、現在開発を進めているアプリでは、導入した方が一定時間以上他人と近い距離にいた場合にスマホに記録され、その接触した人の中で陽性者が出た場合に通知を受け取ることができるという仕組みであります。

 御指摘のように、個人情報保護の観点から、電話番号をとりません、位置情報もとりません。それから、データはそれぞれのユーザーのスマホ端末で管理をしますので、濃厚接触の可能性がある方に通知する場合も、誰が陽性者かということも通知がなされませんので、個人情報を極めて強い形で守る、保護する形になっております。

 他方、御指摘の、例えばシンガポールで導入されているものは電話番号を取得をして中央サーバーで管理をするということですし、インドやイスラエルでは当局が位置情報も取得をします。したがって、こういった背景もあるかと思いますけれども、導入率が二割程度にとどまっているわけであります。

 これから我が国で導入するものは、個人情報、プライバシーをしっかり保護した形で導入をしたいというふうに考えております。さらに、感染者が誰かはわからないものの、その人と濃厚接触した可能性があることの通知を受けた場合に、その方がスムーズに、適切にPCR検査などを受けられるように検査体制を整備することとしておりますので、感染の可能性をいち早く知ることができるメリットがございます。この観点からも、多くの方に導入をいただければというふうに期待をしているところであります。

 アプリの仕様書は既に公表しておりまして、現在厚労省において開発を進めているところでありますけれども、アップル、グーグルとの調整次第ですけれども、今月中旬には皆様に利用できるようにぜひしていきたいというふうに考えております。

 効果的なクラスター対策、これまでは保健所を中心に人海戦術でやっておりましたけれども、石井議員御指摘のとおり、個人情報に配慮しつつ、クラスター対策をより効果的に行うことができることも期待をされるわけであります。

 安心して使えるものでありますし、感染の可能性をいち早く知ることができますので、このメリットをぜひ多くの皆さんに御理解いただけるように、我々も広報活動もしっかりやっていきたいというふうに考えております。

石井委員 ワクチン開発の現状と今後の取組を確認をいたします。

 治療法の確立とワクチンの開発は、新型コロナウイルス感染症を克服をし、完全な日常を取り戻すために必要不可欠であります。

 通常のワクチン開発では実用化には数年間かかりますが、新型コロナウイルスワクチンの開発におきましては、全てのプロセス、過程を加速化し、異例のスピードで実用化を目指していると承知をしております。

 その努力を多としながら、厚生労働大臣に二点伺います。

 一点目ですが、米国政府のワクチン開発予算が百億ドル、約一兆円と報じられているのと比べますと、我が国では一次、二次補正の合計で二千五十五億円と約五分の一の予算で、十分なのか懸念がございます。我が国のワクチン実用化の目標時期と、その目標に対して十分な予算なのか、お伺いをいたします。

 二点目ですが、海外でもさまざまなワクチン開発が行われておりますけれども、その動向を注視して、実用化のめどが立ちそうなものについては我が国でも臨床試験を実施するなど、前広に、そして積極的に導入をしていただきたいと思います。

 厚生労働大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、ワクチンの研究開発、国民の皆さんの不安を解消するためにも一日も早く進むように、日本じゅう、世界じゅうの企業、研究者の英知も結集して開発を進めております。

 現在、複数種類のワクチンの研究開発に対する支援も行っておりまして、現状、我が国のワクチン開発の状況でありますが、基礎研究から非臨床試験の段階にありますが、一部についてはワクチン候補の作製が終了し、動物実験も開始している状況と承知をしております。まだワクチンそのものが開発されていない段階で、実用化の目標時期というのはなかなかお示ししにくいところがありますけれども、できるだけ早期に実用化し、国民の皆さんに接種が行い得る、こういう状況をつくっていきたいと思います。

 一次補正で約百億円のワクチン関係の予算がありましたが、二次補正では、ワクチン開発の支援のために五百億、また、ワクチンの迅速な製造体制や接種に必要な資材を確保し速やかな接種を確保するための体制整備として千四百五十五億を計上しております。アメリカとの比較はありますけれども、当面必要な予算は計上させていただいているというふうに認識をしております。

 この開発支援の予算は、国内だけではなくて、海外で開発が行われているワクチンの臨床試験を国内で実施をする場合についても、これは公募させていただきますが、支援の対象にすることも想定をしており、海外において実用化のめどが立ちそうなワクチンも我が国への積極的な導入を、これも図っていきたいと思います。また、ワクチン開発として大事な生産体制をどうつくるかということでありますが、これについても、海外において開発されたワクチンを含めて日本国内の国民向けのワクチンを確保する、こういう観点からこうした予算も活用していきたいと思います。

 いずれにしても、国内発、海外発のいずれのものかは問わず、でき得れば国内発がいいわけでありますけれども、有効性と安全性が確認されたワクチンをできるだけ早期に実用化し国民の皆さんに供給をする、接種が可能とする、その状況を一日も早く実現すべく努力をしていきたいと考えております。

石井委員 それでは、テーマをかえまして、経済対策についてお伺いをいたします。

 パネル二でありますけれども、これは二次補正予算案の主な項目であります。雇用調整助成金や持続化給付金を始めといたしまして、一次補正予算に盛り込まれた施策の拡充強化が多くなっております。

 ところで、一次補正予算の執行を振り返りますと、手続が煩雑、支給が遅い、オンライン手続がうまくいかない等々、施策の中身は適切でありながら実施段階で円滑に進まなかったため、評判がもう一つという状況でありまして、大変残念であります。

 そこで、総理に三点お伺いをいたしたいと思います。

 まず第一に、平時には厳格な手続が必要でも、現在のような緊急時にはスピード第一で対応していただきたいと思います。手続の煩雑さも緩和されつつありますけれども、役所の意識改革を更に進めていただきたいと思います。

 第二に、特別定額給付金のオンライン手続や雇用調整助成金のオンライン手続など、オンライン手続にトラブルが続いております。この際、行政手続のデジタル化、オンライン化を抜本的に進める必要があるというふうに考えております。

 第三に、十兆円の予備費についてであります。

 財政演説におきましては、感染の第二波、第三波が襲来し、事態が大幅に深刻化した場合、雇用維持、生活支援、事業継続、医療提供体制強化などに少なくとも五兆円程度必要と説明がございました。そのことは理解をいたします。

 その上で、仮に第二波、第三波が来なかったとしても、事業の継続、雇用の維持、生活の支援、医療提供体制の強化等に必要とあらば予備費を活用して助成金、給付金、交付金などを増額をし、遺漏なきようにしていただきたいと思います。

 以上、総理の見解をお伺いをいたします。

安倍内閣総理大臣 三点御質問をいただきましたが、まず、今回の支援について、煩雑だ、あるいは時間がかかっているというお叱りをいただきました。そうした御批判は真摯に受けとめなければならない、こう思っております。各省庁には、いま一度、平時とは違う、全く異なる緊急時に見合った対応を徹底させるなど、意識改革を促したいと考えております。

 その上で、第二次補正予算についても早期に御承認をいただいた上で、あらゆる手だてを講じ、各種の支援策を必要とされる方々のお手元に迅速に届けることで雇用と事業活動、生活を守り抜いていきたいと思います。

 そして、そのためにも、スピードアップしていく上において行政のデジタル化は極めて重要でありまして、今回の各種対応の教訓もしっかりと踏まえながら、行政全般にわたってデジタル化を更に加速をしてまいります。

 そして、十兆円の予備費についてでございますが、今後の長期戦を見据えまして、今後起こり得るさまざまな事態に対して、臨機応変に、かつ、時期を逸することなく対応するために計上したものであります。

 雇用維持、生活支援、事業継続、医療提供体制の強化等について、事態の推移を見きわめながら、必要な対応に万全を期してまいります。

石井委員 また、一次補正におきましては、持続化給付金について、国から委託された社団法人が再委託をし、運営が不透明という批判が出ております。経済産業省では、外部の専門家を交えて支出の妥当性について中間的な検査を行うとしておりますので、国民にしっかり説明していただきたいと思います。

 また、ゴー・トゥー・キャンペーンにつきましても、事務費のあり方について疑念が示されておりますので、同じくしっかりと説明をしていただきたいと思います。

 時間の関係で最後の質問となると思いますが、二次補正の、事業の継続についてお伺いします。

 事業の継続には、資金繰り支援と、固定費である人件費と家賃への支援が重要であります。このうち家賃支援が最も課題であり、自民党、公明党で検討いたしまして、政府に提言をいたしました。それが反映された二次補正予算となっております。

 ついては、経済産業大臣に三点確認をいたします。

 持続化給付金については、フリーランスについて、雑所得、給与所得として申告した方は対象から外されておりますけれども、今後は、このような申告をした方でも、事業からの収入を主たる収入として計上し、収入が五〇%以上減少する場合には対象とされます。事業からの収入であることをどのように簡潔に確認するのか、伺います。

 二点目ですが、持続化給付金では、ことし創業した事業者への対応が課題でありました。例えば、一月から三月までの平均事業収入と比較して一月(ひとつき)の売上げが五〇%以上減少する場合などは対象とすることになりました。家賃支援給付金でも同様の課題がありますけれども、その対応を確認いたします。

 最後、三点目ですが、家賃支援給付金の申請におきましては、手続はなるべく簡素で必要最小限にしていただきたいと思います。

 以上、経済産業大臣にお伺いします。

棚橋委員長 梶山経済産業大臣。

 なお、申合せの時間が迫っておりますので、恐縮ですが、簡潔に御答弁をお願いいたします。

梶山国務大臣 はい。

 フリーランスについて、雑所得、給与所得の証明ということでありますが、源泉徴収票や支払い調書などの定型的な書類を出していただくことで負担が少なく簡素な制度となるべく、今詰めを行っているところであります。

 また、家賃の支援給付金におきましては、条件はほぼ持続化給付金と同じということでありますが、それらも含めて今詰めを行っているところであります。

 また、申請の方法につきましても、算定根拠となる家賃を確認するための必要書類も含め、制度の具体化に向けて、多様な事業者の方々の声も伺いながら検討を進めておりますので、できるだけ早く発表させていただきたいと思っております。

石井委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

棚橋委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、枝野幸男君。

枝野委員 立憲民主党の枝野でございます。

 まず冒頭、私からも、横田滋さんの御逝去に対して心からお悔やみを申し上げます。

 さて、感染症対策でありますが、残念ながら、この間の政府の対応は後手に回ってきたと言わざるを得ません。

 若干細かくて読みにくく恐縮でございますが、ブルーで示したのが、野党が、一種、各党派で意見をそろえて、しっかりと決定をして、政府・与党に対して求めた項目です。これに対して黄色が、政府・与党で決定をしたもの、あるいは総理が明確な、正式な指示を出したものでございます。

 ほぼ野党が提案をし、政府が後追いをしてきたというのがはっきりしております。わずかに政府・与党が先行をしていたのは、地方自治体への支援金、一番下、それから、真ん中辺にある医療体制への支援についてでございますが、いずれも、一次補正での政府の提案は小さ過ぎると我々が主張したとおり、二次補正で大幅に積み増しをする、こうした実態となっております。

 私たちは、引き続き、現場の声を踏まえて、先手先手で必要な施策を提案し、協力すべきことには最大限協力をしてまいりますが、こうした状況であります、他方で、問題点については厳しく指摘をし、改善を求めてまいりたいというふうに思っております。

 さて、最初に取り上げるのは、命にもかかわるPCRなどの検査の問題、ここから取り上げたいというふうに思います。

 我々は、国会などでの指摘にとどまらず、三月三日にはかなり強い危機感を持って検査拡充法案を提出をいたしました。なかなか検査の拡充は進まず、五月四日の記者会見で総理はようやく、検査する人に目詰まりがあったとお認めになり、五月八日、三十七・五度、四日間以上という検査の目安の見直しをいたしました。

 感染拡大が今一旦落ちついている状況ですので、ある意味では余裕はできているのかもしれませんが、引き続き、医療機関や介護施設などの集団感染があり、今後も心配をされている状況でございます。

 五月四日の基本的対処方針で、特に感染が疑われる入院患者等については率先してPCR検査等を受けさせる、手術や医療的処置前などにおいて医師の判断によりPCR等検査が実施できる体制をとるとしております。こうした方針は示されたんでしょうが、実際にふえていますか、こうしたものは。

加藤国務大臣 まず、その方針なんですけれども、そのときは、まずPCR検査そのものは、適切な治療が受けられるよう、陽性者を判定するために医師が必要と判断する方が受ける検査、それから、感染の拡大を防止できるよう、積極的疫学調査の一環として陽性者の濃厚接触者への検査を速やかに行うということで実施をされております。大事なことは、必要な検査が確実に行われる体制をどう構築するかということであります。

 今、特に感染が疑われる医師、施設従事者、入院者等についてというお話がありました。

 これは、特に、積極的疫学調査の結果として明らかになった濃厚接触者のうち、症状がある方は当然検査をするわけですが、無症状の方については、これまで原則として検査対象としておりませんが、医療従事者等、ハイリスクの者に接する機会のある業務に従事し、感染状況の評価が必要と考えられる場合には積極的に検査対象としておりましたが、さらに、国内外の研究によって、発症する二、三日前の症状が明らかでない時期から感染性があることがわかってきております。

 そういった意味から、速やかに陽性者を発見する観点から、無症状の濃厚接触者に対するPCR検査についても、五月二十九日の専門家会議の議論を踏まえ、PCR検査の対象として方針を決定し、また、その旨、これは国立感染研究所の積極的疫学調査実施要綱にその方針が書かれておりますので、それを改正をさせていただき、今、それにのっとってPCR検査が行われ、また、その旨、都道府県に周知をしているところであります。

 実際、現在、いっときに比べると感染者数が減少しているということもありますが、例えば先般の北九州市等においては、こうした方針に基づいて、無症状の濃厚接触者に対してもPCR検査が実施されている、こういうふうに承知をしております。

枝野委員 しかし、実際の現場の医師などの方からは、もっと入院や手術に先立って検査をさせてもらえれば、心配も小さくなって、院内感染のリスクは小さいんだけれども、なかなかそうしたことが進まないという声を直近でも私は伺っております。

 他方で、どこかの知事が、特定の業種、まあ、そこは実際に感染者がたくさん出ておりますから、わからないではありません、特定の業種については何か定期的に全員検査をするとか、きょうの新聞でも、特定のプロスポーツ選手を一斉に、定期的に検査するんだなどという報道がなされています。

 唾液による検査も承認もされて、現状は検査の余裕がありますから、こうしたところをどんどん広げることは私は結構だと思いますが、順番が違うと思っております。少なくとも、政府の責任で先行して拡充すべき。濃厚接触などのない場合であっても、例えば、入院や手術に先立ってPCR検査を実施することを原則とすべきではないでしょうか。あるいは、救急等の患者は、事前にはできないでしょうが、手術や処置に際して検体を採取し、その後、PCR検査をすれば、早期に、万が一感染者であった場合に、医療従事者、救急隊員、そして、そこから感染拡大をすることを防ぐことができます。

 介護や保育の現場では、残念ながら、感染拡大を恐れる余り、受入れをためらうケースが聞こえてきています。こうしたケースにこそ柔軟に検査を行って、そして感染拡大を防いでいくべきではないかと思いますが、総理、これは総理の見解だと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、枝野委員がおっしゃられた入院、手術に関しては、これまでも、医師が必要と判断した方、症状の有無にかかわらず濃厚接触者の方が確実に検査を受けられるようにするということに加えて、入院患者については、当該患者に対して行う手術等の内容を踏まえた、医師が患者の治療のために必要と判断してPCR検査を行った場合には、これは症状があってもなくても保険適用ということにさせていただいております。

 ただ、なかなか、病院等による検査体制、これを確立するために、特に、割と短い期間で判定ができるLAMP法等々の分析機器、これについても、病院等がそうした機器を購入する、そうした助成措置も設けておりますし、我々、積極的に働きかけをさせていただいているところであります。

 また、介護、保育の現場においても、もちろん感染が疑われる場合には積極的に検査を行うこととしているところでありまして、我々としても、この時期にしっかりと各都道府県にも連絡をとらせていただいて、検査、これは拭いから一連の分析まででありますけれども、それぞれの状況がどうなっているのか、どういう必要性があるのか、そういった声も聞きながら必要な体制をしっかりと、第二次のこの補正予算、成立をしていただければそれも活用して進めていきたい、こういうふうに考えております。

枝野委員 二月からPCR検査についてはこの予算委員会で、いや、そういう方針は出している、指示は出している、あとは現場の判断だという答えを何度も何度も繰り返し聞いてきましたが、実際にはそれが徹底されていなかったということがこの間明らかになっています。

 プロ野球選手、みんなやっていただいて、早くシーズンを開幕していただきたい、私もそう思います。だけれども、むしろ医療機関とか介護施設とか、こうしたところこそ徹底してやれと、強い指示を出さないといけない、そのことを指摘をしておきたいというふうに思っています。

 さて、この間のPCR検査などのおくれについては、多くの国民の皆さんが疑問を抱いています。第二波が来ても、必要な人はすぐに検査を受けられる、そういう体制になっているんだという安心がないと、いろいろなものが解除されても、消費の回復などには限界があるというふうに思います。したがって、なぜこの間結果的におくれたのか、そのことの経緯を検証して、改めるべきところを改めるというのは、将来の課題ではなくて、第二波に対する備えとして今すぐやらなきゃいけないことだというふうに思います。

 東日本大震災に伴う原発事故のときは、政府と国会と民間と三つの検証機関がつくられて、それぞれの視点から十分な検証がされました。議事録問題そのものは同僚議員から尋ねたいと思いますが、政府と国会に直ちに検証委員会をつくり、議事録や、それが作成されていない場合の速記録や録音データなど含めて、そこには全て提示して検証を進めるべきではないですか、総理。

安倍内閣総理大臣 特別措置法改正の際の附帯決議においても、今回の新型コロナウイルス感染症に対する政府がとった対応策について検証することが求められており、この事態が収束した後には、今回の政府の対応策をしっかりと検証してまいりたいと考えております。

 また、会議等の記録については、三月十日に、今般の新型コロナウイルス感染症に係る事態を歴史的緊急事態に該当することとしたことを踏まえまして、ガイドラインに基づき、将来の検証に資するよう、新型コロナウイルス感染症対応に係る各種会議の記録を適切に作成、保存をしているところであります。

 政府としては、これらの記録等も踏まえて、今後の検証を適切に行っていく考えでございます。

枝野委員 総理、一問一答なんですから、ちゃんと質問を聞いて、役人が用意された答弁を読み上げるのはやめてください。

 私は今何を思ったのかといったら、第二波に備えるためにも、そして第二波に不安を持っている皆さんが安心して、例えば消費とか、あるいはもうちょっと事態が改善すれば観光とかに行っていただかないと、経済は成り立たない、倒産するところがたくさん出るんですよ。その第二波に向けて多くの皆さんに安心していただくためにもこの検証は今すぐ必要だと私は申し上げたのに、それについて全くお答えをいただけませんでした。大変残念です。

 持続化給付金と定額給付金について、これはこのパネルにもありますとおり、一律十万円の支給は、我々が強く求めたにもかかわらず、二週間もおくれて方針転換をし、おくれてしまっております。それから、売上げの減った事業者への支援についても、政府の意思決定は大変おくれてしまっております。

 意思決定がおくれただけではなくて、支給の手続が混乱をしている、言うまでもなく、持続化給付金の問題であります。

 総理は五月四日の記者会見で、最も早いところでは八日から入金を開始するとおっしゃいました。経産省も一貫して、申請から給付まで二週間がめどと繰り返してこられました。

 ところが、五月一日、手続の初日です、一日も早くこの給付金がないと潰れてしまう、そうした思いでネット申請をされた方は十八万一千件に上ります。そのうち、一五%を超える約三万件は、五月二十八日の時点で入金されておりませんでした。

 私たちの同僚議員のもとには、何の音沙汰もないまま放置されてきたという、悲鳴のような声が多々寄せられました。ここまで、うたい文句だった二週間以内に給付が完了したのは全体の六一%にとどまり、三分の一以上は二週間を超えております。

 経営者の皆さんにとっては、いつ入金があるのか、特に、月末の締め日であるとか給与の支払い日などの前に入金があるかないかは、倒産するかどうかという死活問題。当事者の皆さんからは、申請者の気持ちに寄り添ってほしい、給付がおくれたことを謝罪し、個別対応してほしい、せめて申請の順番どおりに対応してほしいなどの声を受けています。

 もっともな声だと思いますが、こうした声に対して、総理として、おくれや混乱を招いた原因について、責任についてどう釈明されますか。

安倍内閣総理大臣 入金手続などの業務の執行の中身については、この後、担当の経済産業大臣から答弁をさせますが、制度開始から一カ月余りで、これまでに百二十万件の中小企業、個人事業主の皆さんに、合計で一兆六千億円を超える現金をお届けしていると承知をしています。

 多くの事業者の皆さんがあすの支払いにも御苦労しておられる中で、一日でも早く現金をお届けできるよう常に改善を続けていくべきである、このように思っています。必要とされる方に速やかに支援を届けることで、政府としての責任を果たしていきたい。

 業務の中身、執行の中身につきましては、梶山大臣から答弁をさせていただきます。

棚橋委員長 梶山経産大臣。

枝野委員 委員長、いいです。また聞きますから。

棚橋委員長 いや、指名しちゃったので、申しわけないですけれども。

 梶山経産大臣、指名をいたしましたので、恐縮ですが、御答弁を。簡潔にお願いいたします。

梶山国務大臣 おおむね二週間ということで目安を申し上げたということでありますが、全ての書類が完備していれば二週間で間違いなくできると思っておりますけれども、調査等が必要になる場合には少し時間がかかっていくということと、順番が前後するということがあります。

 委員がおっしゃったように、三万件がまだ残っているということであります。

枝野委員 この三万件、五月二十八日までに入金されなかった方の中には、確かに、手続の中に不備があってそういうメールを返された、それに対して対応した、そういう方もいらっしゃいますが、音沙汰なかった方もいるのは間違いない。これは経産省も認めていますでしょう。少なくとも申請者に落ち度はないでしょう。そういう方々がいるのは間違いないんですよ。

 そして、全体で何兆円出しました、それも大事なことですが、まさに今この感染症の影響によって倒産するかもしれない、それを何とか支えましょうというときに、もちろん人間のやることですから、一〇〇%で、ほんの一件もミスがないということを求めるのは不可能かもしれませんが、これだけ大きく二週間を超える方がいる。我々のところに寄せられただけでもたくさんの方が、音沙汰なくほっておかれたという方がいる。これは明らかに間違った、失敗したということを認めていただかないと、前へ進んでいかないんじゃないでしょうか。

 この手続の発注に当たっては、大手広告代理店電通、この電通ダミー法人とでも言えるような法人による丸投げ、中抜きという疑惑があります。これについては同僚議員からお尋ねをさせていただきますが、二週間程度で入金するというのは経産省としておっしゃったわけですから、二週間程度でちゃんと処理して入金させろというのは契約の条件じゃなかったんですか。契約の条件でないならば、二週間程度で給付するという説明は、どういう裏づけに基づいてされていたんですか。

梶山国務大臣 提案書の中で、二週間程度という目安が書かれておりました。私どもも、申請から二週間でということで、申請者の方への目安ということで申し上げたところであります。

 それらができていないということもあって、審査の体制を千六百人から二千九百人にふやしていく、また、連絡体制等も組んだわけでありますが、さらにまた、いろいろな御批判もありますので、個別の対応というもののチームもつくることも今検討しているところであります。

枝野委員 確認しますが、これは、電通ダミー法人からの申出が二週間程度であると。こういう申出があったんですね、今の答えだと。

梶山国務大臣 受注者の提案書でございます。

枝野委員 それを担保するような申出内容はあったんでしょうか。つまり、具体的な申請の処理業務は、このダミー法人から電通へ、その電通から電通ライブとかパソナとか、いろいろなところに外注されています。

 実際に、オンラインで申請された、その申請を処理をしているのはどこの企業なんですか。そこでどのような形態で雇用されている何人の人が行っているんですか。

梶山国務大臣 申請処理業務は、株式会社パソナ及び大日本印刷株式会社が約二千九百名の審査体制を構築して行っております。

 審査を行う要員につきましては、これら二社が集めた一般の方々ではありますけれども、審査業務につく前には四日間の研修を受けておりますし、申請要領等をもとにしっかりと研修を行っております。仮に判断に迷うような場合には、受託者の中で補助金執行の経験がある者に相談などをされるなど、審査の適正性を確保する万全の体制を構築するとともに、また、経済産業省、中小企業庁との連携も毎日連絡をとりながら行っているところであります。

枝野委員 その人数はいつ把握したんですか。委託の段階でその人数を把握していたんですか。

 あるいは、先ほど、ふやしたと言いましたね。ふやすとかというのは、これは契約上、ふやせとか指示ができる契約になっているんですか。

梶山国務大臣 当初の人員の予定は、千六百名であります。そして、これらの処理が遅いということで、私どもの方からも、審査体制をふやせということで、二千九百名にさせていただきました。

 そして、これらのことは、契約の中で、我々と打合せをしながら従っていただくという契約の条項がございます。

枝野委員 なかなか契約の条項を我々に開示していただけないですが、今、国会で答弁された部分については、少なくとも文書で理事会に提出してください。

 二週間程度で支給をすると電通ダミー法人の側からの申出であった。そして、それを、経産省としても国民の皆さんにそういう目安を出した。

 確かに、手続をされた方々が一〇〇%完璧な手続、申請をされていないケースもあるでしょうし、そうした場合におくれるケースもあるだろうという、それは理解しますから、一〇〇%二週間以内でできなかったら契約違反だと言うつもりはありません。

 しかしながら、これだけ大きくおくれていて、しかも、一カ月近くにわたって音沙汰なし、順番を何か理由もわからず飛び越されている。これは電通ダミー法人の契約不履行じゃないですか。

梶山国務大臣 給付の期間につきましては、あくまでも見通し、そして目安ということであります。

 そして、これらを達成するためにどういう体制を構築していくかという中で、これらの対応は、事務局事業の委託業務において協議会は、受注者ですね、国の職員の指示に従い協力することが定められているということであります。

枝野委員 では、何日ぐらいで手続をするとかということは契約内容じゃないんですね。本当にそれでいいんですか。

 多くの皆さんが、そしてこれは国会でも政府も、一日も早く必要とされる方にお金を渡す、スピードがこの事業の大きな柱であることはみんなわかったじゃないですか。したがって、例外的にその期限内に支給できないケースについてあり得ることは、何度も申し上げますが、認めますが、瑕疵のない、何の落ち度もない申出があったら何日以内に支給するとかというのを契約内容にしてこそ、期待される委託内容じゃないんですか。そもそも契約の仕方が間違ったんじゃないですか。

梶山国務大臣 これは前例のない契約でありまして、二百万者に対してスピーディーに、また確実に払っていくということであります。システムの構築を含めて、どういう役割分担をしていくか、どうすれば迅速に、確実に払えるかということも含めて、受注者との連携をしながら払っていくということであります。

枝野委員 予算を組んでやっているんですよね。最大でもどれぐらいの件数が来そうだ、それを見込んでこの事業というのは始まっているんですよね、委託しているんですよね。それを大幅に超えるような申請が来てしまいましたというときの条項は入れておいてもいいですよ。でも、予算を組んで、何件ぐらい来そうだ。しかも、あの状況ですから、五月一日の、ほとんどの人が、もう一日も早くと、手続が始まったらすぐに殺到するだろう、誰が見たって予想がついたじゃないですか。

 だとしたら、そのときに、二週間なら二週間、最大でも三週間なら三週間、そういう契約をしてこそ、あのとき求められている、いや、今も求められている、スピード感を持って支給をするという国民の皆さんに政府が約束したことを、民間に丸投げするなら、それぐらいの条項をつけなければ、それは、それをつけていないから、おくれても契約違反にならない、債務不履行にならないじゃないですか。契約のやり方自体を、条件づけ自体を見直すべきじゃないですか。

梶山国務大臣 先ほど来申し上げていますように、この状況を改善するために、事務局事業の委託契約においては協議会は国の職員の指示に従い協力することとなっているということで、審査体制をふやしていく、また、連絡体制を確実なものにしていく、そういった中で日々改善を進めているところでありますが、この状況の中で個々への対応の体制づくりということを今急いでいるところであります。

枝野委員 後で時間があればやりますが、これは別に梶山大臣の責任ではなくて、私も一年半ほど経産大臣をやらせていただきました。歴代経産相含めて政府全体が、こうした事業を丸投げじゃないとできない、そういう弱い政府になっていたということに問題があるし、弱い政府であるならあるなりに、民間にお願いをする以上は、厳しく、それは、もちろん、契約の交渉のときにそれでは無理ですとかというやりとりがあったら、それで、いや、二週間じゃ無理だ、三週間なら三週間で、誠実に国民の皆さんに説明するべきであるし、その上に、この問題については、丸投げ、中抜きという問題があります。これは同僚議員に委ねたいというふうに思います。

 事業者の皆さんにとってもう一つ切実な問題は、融資です。日本政策金融公庫による感染症対策の融資は、事業継続に向けての最後のよりどころと言えます。何よりも迅速な融資が必要であります。

 五月末の時点で申込件数は五十二万件と聞いていますが、融資決定件数は三十六万件です。五月十七日時点でのNHK報道がありました。そのとき、四十六万件の申込みで二十七万件の融資決定だ、こういう報道でしたから、少なくとも、そのときから十万件は滞留している。十万件以上は半月以上かかっているのは間違いありません。

 さらに、現場の声を我々、同僚議員とともにいろいろなところで聞かせていただくと、申込みが多過ぎて公庫の窓口処理が追いつかず、面談に至るだけで一カ月以上待たされるという声を少なからず聞いています。また、審査そのものが平時と基本的に変わっていないじゃないか。そんな事業状況じゃとても融資できないよ、こう言われたという声。多々聞いています。

 こういう実態をどれぐらい把握をしているんですか。そして、これでいいと思っているんですか。

梶山国務大臣 融資実態につきましては、全国の相談窓口に日々上がってきておりまして、こういった話も私の耳にも当然届いております。

 そういった状況を少しでも改善をしていかなければならないと思っておりますけれども、まず、政策金融公庫及び商工中金では、OB職員の活用や審査手続の簡略化、これは、実際に審査手続の簡略化というのは銀行間の連携でもやっております。最大限短い期間で融資決定を行うよう努めてきておりますが、非常に多くの事業者からの申込みが集中しているということも含めて、窓口をふやそうということで、五月一日から、身近な地銀、信金、信組でも同じような条件の実質無利子無担保の融資を受けられる制度を開始をし、事業者にとっての窓口を大きく拡充したところであります。

 窓口の状況をしっかりと把握した上で、できる限りの対策をしてまいりたいと考えております。

枝野委員 幾ら窓口をふやしても、金融機関の融資の担当者からすれば、自分が決定をした融資先が潰れて焦げついたとなったら、普通はマイナス点になるんですよね。それは多分、政府系金融機関だってそうだし、時に行き過ぎた融資で問題になったケースもあります。

 これはたしか四月二十八日の予算委員会だったかと思いますが、私に先立って質問された岸田自民党政調会長が総理に性善説でやってくれということをおっしゃって、総理もそうお答えになったので、あのとき聞こうと思ったんですが言わなかったんですが、まさに性善説でやっていただくしかないし、そのことを現場の担当者に徹底しなきゃいけないし、つまり、こういうところだから、仮に融資を決定した先が潰れることがあったとしても、あなたの責任にはならないよと。

 そこはちゃんと、今、この制度の目的に照らして柔軟、迅速に対応しろということをかなり強く徹底しないと、現場ではやはり、いや、あなたのところ潰れそうじゃない、これ、借りたって返せるの、こういう普通と同じような融資をしたら、これは絶対間に合わないじゃないですか。これを徹底してください。

梶山国務大臣 これは私、経済産業大臣と金融担当大臣とともに、実際に会うこと、そして書面でも含めて四、五回やりとりをしておりますけれども、都度、そういう状況にあれば、またこれを出していきたいと思っております。

枝野委員 繰り返します。大事なことは、現場の担当者が後で責任を問われるとか、人事上の失点、マイナスになるとかということにしないということを徹底することが大事なんです。ぜひ、そのことを強く、急いでやっていただかないと、本当に、これがまた一カ月も面談まで待たされる、その間にもう諦める、実際そういう声も聞いていますから、お願いをしたいというふうに思います。

 さて、この融資もなかなか受けられない上に、持続化給付金が五〇%減収なんですよね。でも、これはかなりいろいろな業種で影響が、三カ月、半年、場合によっては一年ということが残念ながら想定される状況ですよね。もちろん業種にもよりますが、例えば売上げ、収入が四〇%減っているという状況が半年続いて、中小零細企業、経営が成り立つところがどれぐらいあると思いますか、総理。

梶山国務大臣 三月の時点に調査をしたときと、四月、五月では大きく状況が変わっております。やはり、かなりの企業において、更に中小企業において厳しい状況になっているという中で、さまざまな対策を立てているということであります。

枝野委員 何よりも、四〇%とか四五%とか、いや、三〇でも、かなりの部分の中小零細企業は、それが半年も続いたら、やはりもたないところが普通ですよ。残念ながらこれは半年ぐらい続く、業種にもよるかもしれませんが、それがかなり想定される状況になっているんですから、この五〇%という持続化給付金の基準というのは見直す必要があるんじゃないですか、総理。

安倍内閣総理大臣 今回、事業者に対して、返済不要の現金給付という、これは東日本大震災のときにおいてもやっていない、前例のない給付金事業を実施するに当たりまして、できるだけ多くの事業者の皆さんに給付したいという思いはありますが、四月以降の緊急事態宣言のもとで、多くの事業者の皆さんが休業など売上げがゼロとなるような大変厳しい状況に置かれている中で、売上高が半減というところで支援対象とさせていただいたところであります。

 給付額もできるだけ大きくしたいという思いはもちろんありますが、現在の困難を乗り越えて事業を継続していただくという観点から、固定費である地代家賃などの平均六カ月分相当ということで最大二百万円とさせていただいたところでございます。

 その上で、御指摘のような皆さん、いわば五〇%までにはなっていない、半減までにはなっていないという方々については、納税や社会保険料の支払いを一年間猶予するとともに、実質無利子の融資制度を用意しまして、日本政策金融公庫や商工中金のほか、身近な地銀や信金、信組からも受け取られるようにし、事業継続を支援しております。

 この融資制度については、実質無利子であることに加えまして、元本の返済についても最大五年間の据置きが可能であり、その間は返済の負担が発生しないということになっております。

 先ほど、なかなか、窓口でたまっていて面会にも至らないのではないかというふうにお話もございましたが、公庫における融資の申込件数については、申込件数に占める決定件数の割合はこの一カ月余りの間に七割まで上昇したところでございまして、もっと多くの方々によりスピード感を持ってお届けできるようにしていきたい、このように考えております。

枝野委員 家賃も、我々は第一次補正のときに必要だと言って、なかなか与党の皆さんに応じていただけずに、やむなく四月二十八日に法案を提出しているんですよ。そして、どうも実際にお金が行くのは七月になるんじゃないかと言われているんです。我々は、だから、給付だと時間がかかるから、まずは金融機関に立てかえ払いさせてしまえ、これなら早いだろうと言っていたんですが、全然おくれているということも指摘をしていきたいと思います。

 時間がないので、次のテーマに行きたいと思います。

 遅きに失したとはいえ、医療従事者などに対するいわゆる危険手当でありますが、対象が、患者と接する医療従事者や職員とされています。職員とされていますが、派遣とか委託で患者と接する場合はあり得るんじゃないですか。そういう場合は含まれるんでしょうか。

 それから、患者と接することがない場合も、実は対象にすべき人はいるんじゃないですか。感染者の病室の、直後に清掃に入るとか、あるいは、汚染されたと思われるものについて廃棄物の一次処理を行う等とか、こうした職員や委託業者は含まれないんでしょうか。

加藤国務大臣 委員、危険手当とおっしゃいましたが、私ども、慰労金という形で位置づけさせていただいております。

 これは、今回の感染が拡大する中で、医療従事者、福祉に携わる人のみならず、さまざまな、物流、物販の方々、それぞれ感染リスクの中でその仕事を継続的に実施をしていただいているわけでありますが、その中においても、特に、感染すると重症化するリスクが高い高齢者等の患者さんあるいは利用者との接触を伴い、継続して提供を行っている、そういった観点から、医療機関、介護、障害福祉サービスで働いている方々に対して、今回、それぞれの状況に応じて慰労金を払うこととさせていただきました。

 対象者について、今委員からもお話がありましたけれども、そうした、感染すると重症化するリスクが高い患者さん、利用者さんと接触をされているということでありますから、雇用形態が正社員であるか非正規であるか、あるいは違う形態であるか、それは問わずに、まさにそうした状況にあるということをもって判断をするということで、これはまだ、詳細は今検討させていただいておりますけれども、そういう考え方にのっとって対応していきたいというふうに考えております。

枝野委員 詳細は検討ということですが、当然、病院の正規雇用されている職員とかに限らず、委託等で仕事をされている方もいます。それから、先ほど申し上げた、感染者の方が入院されていた病室の清掃等では、感染のリスクについての不安は直接接触される方に準じて高いと思います。むしろ、感染者を受け入れていない医療機関の一般患者と接している方と比べたときに、さあ、どちらにこの慰労金が必要なのかというのは、いろいろな判断が分かれるようなケースだと思います。ですので、ぜひそういったところは柔軟に対象を決めていただきたい。

 もう一つ、薬局。処方箋薬局などにも、医療機関で診察を受けた後、患者さんが来られるというケースがあるんですが、これが本当に対象じゃなくていいんでしょうか。

 もう一つは、今、確かに、感染リスク、重症化のリスクが高い高齢者というのはよくわかりますが、やはり、集団感染のリスクが高い、濃厚接触が避けられない仕事である児童養護施設であるとか保育所、放課後児童クラブにも、準じた慰労金は必要なんじゃないですか。

加藤国務大臣 あくまでも、先ほど申し上げました、感染すると重症化するリスクが高い患者さん、利用者さんといわば直接に接触を継続的にされていく、こういった観点から一つ判断をさせていただいているところであります。

 薬局についても、薬剤師ということであればもちろん接触される方もいらっしゃいますけれども、薬局ということであれば、直接そうした方々と触れ合う状況には必ずしもないということでもございます。

 それから、児童養護施設、保育所、放課後児童クラブについても、そうした利用されている方々が先ほど申し上げた重症化するリスクが必ずしも高いというわけではないということでございまして、そういったことを判断に、慰労金に関してはそれを一つのメルクマールとして考えていきたいと思っております。

 ただ、他方で、薬局に対しても、感染防止の費用補助について、医療機関と同様に薬局も対応しているところであります。薬局における感染防止の取組、これについては弾力的に考えていきたいと思っております。また、児童養護施設、保育所、放課後児童クラブについても、今回の緊急包括支援交付金等において、施設が職員に対して、業務時間外に消毒、清掃等を行った場合の賃金等の支給、感染を防ぐために職員等が購入した物品等に対する補助、感染症対策の研修などを行った場合に補助を行うこととしており、こうした中でもきめ細かく、そうした働く方々に対して配慮がなされるよう考えていきたいと思っております。

枝野委員 薬局について言えば、多分、今の基準だと、院内薬局の薬剤師さんは対象になるかもしれないけれども、院外処方箋薬局の薬剤師さんはどうなるんだという話なわけですよ。一緒じゃないですか、患者さんと接するのは。

 そういったことについてはぜひ柔軟に対応していただきたいし、保育所とか、そうしたところで働いている皆さん、御自身、そしてそこを通じた家族の感染の不安を抱えながらも、まさに、その仕事は欠かせない、仕事を休んでしまったら困る人たちがたくさん出るということで、濃厚接触は避けられない業種であるのに頑張ってやってこられた。同じ金額にしろとまでは言いませんよ。でも、一定の配慮をしないといけないんじゃないか。

 あわせて、ちょっと時間がなくなってきたのでまとめて申し上げますが、感染者を受け入れた医療機関等に対する支援など、おくればせながら幾つも出てきていますが、一般の医療機関、こうしたところも、外出自粛などを通じて診療抑制で収入が大幅に減っている。あるいは、それは医療機関だけではなく歯科などにも言えます。ここに今は融資しか支援策がないように思います。また、介護施設や無認可保育所、放課後児童クラブの中にも、やはり大幅な収入減で、もうこれでは廃業だというような声がたくさん聞こえています。

 こうしたところが、この影響、間接的な影響かもしれませんが、一般の病院であってもどんどん閉鎖をされていったら、歯科が閉鎖されていったら、放課後児童クラブや介護施設が閉鎖されていったら、社会は成り立たないじゃないですか。こうしたところに対する支援、廃業に至らないような融資以外の支援、どうしても欠かせないと思いますが、いかがでしょうか。

 それからもう一つ、公共交通機関、これも大幅な収入減です。生活に不可欠なインフラである上に、一度撤退すれば二度ともとに戻ることはない、そうしたケースが大部分です。ここも感染拡大防止の予算しかついていません。特に、中堅の企業にとっては、何の支援策も今ないような状況です。本当にこれを放置しておいて、地方の中心として、公共交通機関が倒産、廃業といったことになっていいんでしょうか。あわせてお答えください。

加藤国務大臣 新型コロナウイルスの感染者を中心に受け入れているところに加えて、一般の医療機関についても医療機関等における感染拡大防止等の支援、これをしっかり行うことにさせていただいております。加えて、重点医療機関に対して、今、例えば空床確保等、これは四月にさかのぼって実施をすることにしておりますけれども、これについても地域の実情を聞かせていただきながら、必ずしも重点医療機関と一般的医療機関、明確に分かれているわけでもない、こうした状況を踏まえて対応していきたいというふうに考えております。

 加えて、介護施設、無認可保育所、放課後児童クラブ等々のお話もございました。介護サービス事業所の支援に対しては、介護報酬上の特例として、一時的に人員や運営の基準を満たすことのできない場合に介護報酬等を減額しない取扱い等、あるいは通所系の事業所が利用者の居宅を訪問してサービスを提供した場合にも介護報酬の算定を可能にする等、柔軟な取扱いを可能としております。

 加えて、一次補正では、感染者が発生した事業所等への各種手当や消毒費用のかかり増し費用の助成、加えてこの二次補正予算では、全介護事業所に対して感染症対策の実施のために必要なかかり増し費用の助成やサービス利用中止中の利用者への利用再開支援も含ませていただいております。

 また、認可外保育施設についても、業務時間外に消毒、清掃等を行った場合の賃金、感染を防ぐために職員等が購入した物品、あるいは感染症対策の研修について、緊急包括支援交付金の活用を考えておりますし、放課後児童クラブについても、要請を受けて休業している場合にあっても通常どおり開所したものとしての運営費の補助、あるいは臨時休業させる場合の市町村が保護者へ返却する日割り利用料についても財政支援を行う等、さまざまな措置を講じることによって、今委員御指摘のように、介護であり、保育サービスであり、児童クラブであり、それぞれ大事なサービスであります、それが引き続き継続していただけるように、しっかりと支援をしていきたいと考えております。

赤羽国務大臣 まず、公共交通機関の事業者、そしてそこに従事される方々におきましては、この新型コロナウイルス感染の拡大の中で、感染のリスクですとか大きな不安の中でも献身的に業務に従事していただいておりますことを、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 他方、今、外出や移動の自粛によりまして需要が大変大幅に減少して、経営環境が厳しい状況に置かれていると承知をしております。これまでも、全国の地方運輸局からそれぞれの事業者に対しましてプッシュ型で連携をとり、状況をヒアリングしながらその対策を講じているところでございまして、雇用調整助成金、資金繰りの支援、持続化給付金等々で政府を挙げてやらせていただいているところでございます。

 また、個別の業種への対応としましては、よく御承知だと思いますが、航空会社に対しましては、空港使用料、航空機燃料税の支払いの猶予、また、日本政策投資銀行の危機対応融資等の活用を行っているところでございます。

 また、地域の公共交通事業者、バスですとかタクシー、ここについては、地方創生臨時交付金の中に公共交通応援事業というメニューがございまして、これは実際にバスの割引乗車券やタクシー利用券の購入、配付も実行されているところもありますので、こうしたことが、より多くの地方公共団体での周知、働きかけを今させていただいているところでございます。

 今提出をさせていただいております第二次補正予算案につきましては、十分な感染拡大防止対策の一環として、駅ですとかバス車両の衛生対策、また実証運行事業にも使える経費として、国費補助約百三十八億円を計上したところでございます。

 これとは別に、今、外出自粛に伴って、新たな宅配需要の増加を受けまして、道路運送法の特例として、タクシーによる、有償で食料とかお弁当とか、こうしたものを有償運送できるということを認めております。当初、五月十三日まででしたが、大変好評で、九月の末日まで延長しておりまして、現在千四百七十社の事業者が実施をしております。

 いずれにしても、大変重要な公共交通機関でございますので、必要な支援を適時適切に行ってまいりたいと思っております。

枝野委員 固定資産税であるとか着陸料、航空機燃料税それから自動車税など、猶予だけではなくて免除を明確にしていただきたいというのと、いろいろな支援をしていただいていますが、そういった、そのきかないところが、例えば過疎地域であるとかの、でも不可欠な交通インフラというのはたくさんあって、そこからばたばた倒れていくということを大変危惧をしていますので、さらなる支援をお願いをしたいと思います。

 済みません、時間がなくなったので、教育のことは参議院の同僚に譲りたいというふうに思います。

 こういうふうに、政府の対策がおくれてきて対象も規模も常に小さくなって後手後手に回っている原因は、危機で明らかになった社会経済やあるいは政治行政の実態を直視することなく、場当たり的に進んできたことに原因があると私は思います。長期戦になるかもしれない目の前の危機に対して迅速、適切に対応してこれを乗り切るためにも、また、この危機の先にあるいわゆるポストコロナ社会を切り開いていくためにも、この危機によって明らかになった現実を我々は直視するべきだというふうに思っています。

 一つは、この間、目先の効率性や自己責任が強調され、競争ばかりがあおられてきた、いわゆる新自由主義的社会が脆弱であることが明らかになったと思っています。世界最高と言われていた日本の医療が、感染者の急増で崩壊寸前まで追い込まれました。多くの医療機関が、現時点で深刻な経営危機に瀕しています。人口当たりのPCR検査の実施数も他国と比べて決して多くありません。この間、医療も効率化の例外ではなく、医療機関の統廃合や病床数の抑制などが進められてきました。その弊害が今回如実にあらわれていると思います。

 医療だけではなく、介護や保育、障害福祉、放課後児童クラブなど生活に不可欠なケアサービス、これが感染症危機のもとで大変厳しい状況に追い込まれました。

 関係者の献身的な、そして使命感に頼ってようやく維持されているという現場が山ほどあります。これらは、需要増大に応じたサービス供給体制の整備が後回しになり、特に、そこで働いている皆さんの賃金、労働条件が低く抑えられてきた。その結果、従来からサービス不足、人手不足が言われてきた、そこがやはりこういう危機のときには一番弱い、脆弱さがあらわれています。

 目の前の危機を乗り切るためにも、ポストコロナ社会に安心できる社会をつくり上げるためにも、一つには、医療供給体制を減らしてきた流れを明確に転換する、その方針を明らかにすべきであると私は思います。また、看護師さんなどや、介護、保育、障害福祉、放課後児童クラブなどに従事する方々の労働条件や賃金を引き上げるという明確な方針を今示すべきであると思います。これを、一点目、後ほどまとめて聞きます。

 二つ目に、非正規雇用など不安定な働き方がふえたことで、雇用調整助成金などによる雇用の維持が十分に機能していません。最低限の暮らしを営むという意味で極めて脆弱な社会になっていることが明らかになりました。しかも、厚生労働省の国民生活基礎調査だと、この十年で貯蓄ゼロ世帯は一〇・五%から一五・七%へと急増しました。貯蓄ゼロですから、仕事を失ったら直ちに食べられなくなるんです。住まいを失うことにもつながるんです。

 さらには、効率化を求めて進んできた一極集中や国際分業、大きな弱点をはらんでいることが明らかになりました。都市の過密は明らかに感染症には脆弱です。マスクや防護服など、国際分業の行き過ぎで一時的とはいえ必要物資の不足を招きました。多くの皆さんが不安を抱いています。これまでのところ、幸いなことに食料とエネルギーについての混乱はまだ生じていませんが、もし今後、途上国などを中心に感染拡大が続いた場合には、世界的な食料不足のおそれが生じると危惧しています。

 二つ目に、過度な国際分業と都市一極集中の弱点が明らかになった中、速やかに、目先の効率性に左右されない一次産業、そして農山漁村政策への転換が求められていると思いますが、いかがでしょうか。

 二つ目に、小さ過ぎる行政の脆弱さが明らかになりました。

 官から民へ、民間でできることは民間で、こういうスローガンに振り回され、危機に対応できない小さ過ぎて脆弱な行政になっています。

 現場は少ない人員で頑張ってきましたが、保健所を減らし職員を減らし過ぎてきた結果として、PCR検査に至るプロセスに目詰まりが生じたのではないでしょうか。自治体職員を減らし非正規化を進めてきたにもかかわらず、この定額給付金十万円の手続を自治体に丸投げし、現場を疲弊させ、手続のおくれを招いてきたんじゃないでしょうか。

 縦割り行政の中で、自前では処理できない業務であるにもかかわらず、既存の体制で進めようと、つまり自分の省内で処理しようとするから、外部に丸投げをし混乱を招いた持続化給付金の問題を生じたんじゃないですか。

 感染者情報は、つい最近までファクスでの報告が求められていました。オンラインで感染者情報を集約するシステムの構築に手をつけたのは五月に入ってからですね。いまだに十分に機能しているという話は聞きません。定額給付金では、マイナンバーが役に立たないどころか、自治体の事務処理に混乱をもたらしました。雇用調整助成金に至っては、オンライン申請を始めたのはいいけれども、初日にバグって機能が停止し、いまだに回復できていないじゃないですか。

 公務員を減らせば改革だという三十年前の時代おくれの発想を続けてきたこと、これが今さまざまなところの問題を噴き出させているんじゃないでしょうか。必要なのは、公務員の数を減らすんじゃなくて、適切な部局間の連携支援を行って、そして、電子化も、国民に何かを求めるんじゃなくて、行政の内部における電子化やオンライン化、これこそが必要なんじゃないでしょうか。これを三点目としてお尋ねを申し上げます。

 最後に、国民の皆さんにも呼びかけたいというふうに思います。

 新型コロナウイルス感染症危機の中で、自己責任とか目先の効率性を強調していたのでは、自分や大切な人は、命は守れません、このことが明らかになりました。自分以外の全ての人に協力してもらわないと感染拡大はとまらず、結果的に自分たちの命も守れません。同時に、自分の感染リスクを少しでも小さくしようと行動することが、自分のためだけではなく、社会全体の感染拡大を防ぎ、他の全ての人の命を守ることにつながる、このことを私たちは知りました。社会はこうした互いの支え合いによって成り立っていることを私たちは再確認するべきであるというふうに思います。

 その上で、大切なことは、支え合いのために生じるリスクとコストが著しく偏っていることなんです。

 リモートワークでステイホームが可能な方がいる一方で、最も高いリスクの中で尽力いただいている医療従事者などを先頭に、ケアサービスの皆さん、物流、小売、旅客運送など、あるいは警察などを先頭に多くの公務労働、リスクがあっても欠かすことができない業務に従事する人がいて社会は成り立っている。

 多くの人は減収となっていますが、それでも、この中で実は増収になっている方も一部にはいます。一方で、観光産業や飲食関連、そして、同僚議員が聞きますが、文化芸術など、影響が特に大きく、経済が回復してきてもなかなか影響は長期にわたるのではないかということで、負担も人によって大きな違いがあります。それでも、それぞれの皆さんにできるだけのことをやっていただかなければ、そしてそれが可能な状況にしなければ、この感染症を乗り越えることはできません。

 ですから、このリスクやコストを平準化すること、つまり再分配することこそが政治の最大の役割。本来、私は平時から常に、再分配をすること、リスクやコストを平準化することこそが政治の最大の役割であるというふうに思っているし、それができるのは政治だけです。

 政治がリスクやコストの平準化、再分配の役割を積極的に果たすことが求められているのではないか、そのことを、総理、今の三点、そして最後の一点、お尋ねをして質問を終わります。総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、地域の医療提供体制について御質問があったと思います。

 少子高齢化が急速に進む中で、地域の医療ニーズの変化に合わせた地域医療提供体制を確保するため、地域医療構想を始めとした医療提供体制改革に取り組んできました。

 今般の新型コロナウイルス感染症への一連の対応を踏まえまして、今後の医療提供体制のあり方の検討に当たっては、危機管理への対応力の向上ということも一つ重要な視点であると認識をしており、地域の実情もよく踏まえつつ、感染症対策も含めた、必要とされる医療提供体制の議論を地方自治体等と連携して進めてまいりたいと思います。

 また、医療や介護等に従事する方々の勤務環境や処遇の改善は大変重要な課題であると認識をしておりまして、これまでも、介護職員等について、累次の処遇改善に加えて、昨年十月からは月額最大八万円のさらなる処遇改善を行うとともに、保育士等については、平成二十五年度以降、月額最大八万五千円の処遇改善を実施するなどの対応を行ってきているところでございまして、政府としては、引き続き、医療や介護等に従事する職員の勤務環境や処遇の改善に向け、必要な支援に努めていく考えでございます。

 そしてまた、農林水産業についてでございますが、新型コロナウイルス感染症については、国内的には需要の減少や価格の低迷が我が国の農林水産業に大きな影響を与えている一方で、国際的には、一部の食料輸出国が穀物等の輸出制限を行い、食料供給をめぐるリスクを高めています。現時点で穀物等の需給に影響はありませんが、どのような状況下にあっても国民に対して食料を安定的に供給することが国に課せられた重要な責務であります。

 このため、安倍内閣においては、地域の農林水産業の稼ぐ力を向上させる産業政策と農山漁村に活力を取り戻す地域政策、これを車の両輪として国内生産基盤強化を総合的に実行してまいりました。

 加えて、今回の新型コロナウイルス感染症の発生を契機に、輸入農畜産物から国産への切りかえや、不測時にも対応できる生産供給余力の向上等にもしっかりと取り組んでいく考えでございます。

 そしてまた、公務員の人数は、業務量に応じて合理化すべきところは削減する一方、重要な政策に係る体制については重点的に増員するなど、めり張りをつけて行うものであります。そもそも、安倍政権として、単に公務員を減らせば改革であるというふうには考えていません。

 その上で、今般のコロナ対応で明らかになった課題も踏まえつつ、引き続き、行政ニーズの変化に対応した組織の不断の見直しを進め、さらに、部局間の連携や行政のデジタル化にも取り組むことで、強靱かつ効率的な行政システム体制を確立をしてまいりたい、こう考えています。

 そして、いわば行政について、我々がいわゆる新自由主義的な考え方のもとに小さな政府をひたすら追求しているのかといえば、それはそんなことはないということはまず申し上げておきたいと思います。行政は皆さんからいただいた税金で運営されている以上、効果的かつ効率的な組織体制を追求するのは、これは当然のことであります。こうした観点から安倍政権として行財政改革に取り組んできたところでありまして、行政は小さいほどよい、民間、市場に任せればよいといった一律の考え方ではないということは改めて申し上げておきたいと思います。

 他方で、急速な情勢変化やそれに伴う流動的な状況のもとで、全ての業務を行政に担わせることには一定の限界があることもまた事実でありまして、その上で、今般の新型コロナウイルスへの対応に当たっては、政治の責任として、国民の命と健康、事業と雇用を守り抜くことを最優先に、これまでにない、思い切った措置を講じてきたところであります。

 その中で、国や自治体の職員の方々には、これまでも、そして今も、全力で対応に当たっていただいています。そして、国民の皆様にも多大な御協力をいただいた結果、人口当たり感染者数や死亡者数も、主要な先進国の中でも圧倒的に少なく抑え込むことができている、このように思います。

 他方、今般の対応を通じて、保健所の業務過多等によるPCR検査の目詰まりなど、見えてきた課題もあるわけでありまして、今は感染拡大を収束させることが最優先でありますが、その後は、しっかりと検証を行いながら、国民の期待に応えることができる体制を構築していくことが、政治に課された大きな役割だと考えております。

枝野委員 残念ながら、この感染症の危機が生じる前の話をなでられているだけだと思います。

 私は、先ほど言った考え方に基づいて、過度な自己責任社会から互いに支え合う社会へ、目先の効率性に拘泥する経済から未来志向の分散型経済へ、こうした社会と経済をつくれる、行き過ぎた小さな政府と政府不信から脱却できる、信頼できる機能する政府を次の総選挙の後につくる、そのことを国民の皆さんにお約束をして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 この際、川内博史君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。

川内委員 川内でございます。総理以下閣僚の先生方、よろしくお願いを申し上げます。

 第二次補正予算の議論ということで、先ほど枝野代表からも触れられましたけれども、持続化給付金の問題について、二次補正でも一兆九千三百億が給付金として積まれ、事務費が八百五十億ということで、一次補正では二兆三千億で事務費が七百六十九億だったわけですが、給付金が減ってはいるが事務費はふえたという、ちょっと理解しがたい状況になっているわけですが、それがなぜなのか。

 そしてまた、本来的には、一円でも多く事業者の皆さんにお届けしなければならない、一秒でも早くお届けしなければならない。しかし、総理、私が問題だなと思うのは、五月一日、二日に申請を受け付けられた方々が、まだ届いていない方たちが万人単位でいるというところに、この契約が果たして適切であったのかということの、多くの国民の皆さんの疑問があるのではないか。

 一般社団法人のサービスデザイン推進協議会というところが事務委託を受けて、七百六十九億でこのサービスデザイン推進協議会は事務委託を受けて、そこから七百四十九億で電通さんに再委託する。そこから以下、電通さんは自分の関連の会社に外注で業務を発注する。電通ライブさんという五百九十五億七千万円の外注を受けた会社が、パソナさん、大日本印刷さん、トランスコスモスさんというところに外注で更に仕事を投げるということになっております。

 ちょっと前提として教えていただきたいんですけれども、この事業スキームで電通さんに残るお金というのはお幾らになりますか。

梶山国務大臣 百四億円であります。

川内委員 電通さんから一番多く外注を受けている、五百九十五億七千万円の外注を受けている電通ライブさん、電通ライブさんには幾ら残りますか。

梶山国務大臣 株式会社電通ライブへは、審査やコールセンター業務の費用として五百九十五・七億円を想定しております。

川内委員 大臣、表を見ていただくと、電通ライブさんから更に外注をかけているじゃないですか。その外注費を除いて、電通ライブに残るお金は金額はお幾らになりますか。きのう教えていただいているので。

棚橋委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 経済産業大臣梶山弘志君。

梶山国務大臣 百七十九億であります。

川内委員 それぞれの会社でそれぞれの業務をおやりになっていらっしゃると思うので、直ちに過大な金額であるというふうに判断するには、それは早いだろうというふうに思いますが、多くの国民の皆さんから見て、委託、再委託、外注、更に下請。

 パソナさん、トランスコスモスさんから向こうにもたくさんの外注先があるという理解でよろしいでしょうか。

梶山国務大臣 今の時点では報告はございません。

川内委員 今の時点では報告がないということは、政府としてこの事業スキーム全体を把握しておらないということを、経済産業大臣は図らずもここで白状されたわけですね。

梶山国務大臣 双方の合意のもとに体制履行図をつくっておりまして、新たなものが入れば、そこに加えるということになっております。そういう意味で、現時点でまだ報告がないということであります。

川内委員 私、実は自分で申請サポート会場とかにも行ってみたんですけれども、もちろん、電話で予約を受け付けてですから、私は事業者ではないので、行って、会場の外で、済みません、ちょっと話を聞かせてくださいといって話を聞くわけですけれども、これらの会社以外の会社からの派遣の方が相談に乗るというような形で業務が行われておったということを御報告申し上げたいというふうに思います。

 そもそも、総理、公共工事であれば、みんな元請になりたがりますよね。元請じゃなきゃ要するに利益が出ないんだから。だけれども、この経済産業モデル、一般社団法人が受けて、そこから先、親分が出てくるというこのビジネスモデルでは、下請になりたがるわけですよ。何でだ、何ででしょうかということを私は物すごく不思議に思うんですね。普通は元請で仕事をして利益を出したい、だけれども、これは、私は元請にはなりたくないんですと一生懸命名前を隠そうとする。これは普通はあり得ないことではないかなというふうに思うんですが、そこで、それは何でだろうということをみんなで考えなきゃいけないと思うんですね。

 先ほど梶山大臣は、中間検査をする、ちゃんと検証するよと。これはもう梶山静六先生も、立派だ、よくやったというふうにおっしゃられると思いますよ。

 先ほど、審査の体制については千六百人から二千九百人にふやした、こうおっしゃいました。それはそういうふうにできるように契約書に書いてあるんだ、こう御答弁されましたけれども、契約書のどこに書いてありますか。

梶山国務大臣 これらの対応につきましては、事務局事業の委託契約において、協議会は国の職員の指示に従い協力することが定められているということで、まだ、開示しているかどうかちょっとわかりませんけれども、契約書の中には書かれております。

川内委員 契約書の何条に書いてあるんですか。何て書いてあるか読んでください。

棚橋委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 経済産業大臣梶山弘志君。

梶山国務大臣 事前通告がありませんでしたので、後で調べて報告をさせていただきます。(発言する者あり)

棚橋委員長 大臣、御着席を。

 それから、静粛にお願いします。

川内委員 事前通告があるとかないとかではなくて、私は持続化給付金のことについて質問をしますよということは通告しているわけですね。質問の細部について先ほど枝野代表に御答弁になられたので、そのバックデータは当然後ろの皆さんは持っていらっしゃるわけですから、それをここで答えないというのは、これ以上質問できないということになりますよ。

 総理、それは違うだろうとそこでおっしゃるけれども、私は変なこと言っていませんよ。だって、政府の閣僚として答弁されたことのバックデータを教えてください、ただ条文を教えてくださいと言っているだけなんですから。条文を読むだけですから。めちゃめちゃ難しいことを何も聞いていないですよ、私は。

棚橋委員長 ちょっとお待ちください。

 まず、経済産業大臣、午前中の答弁で可能ですか。

 川内君の質問時間は午後もございますので、川内君、午後に質問していただいて、その間に政府としてきちんとした数字を出させるという方向で……(川内委員「いや、数字じゃなくて条文」と呼ぶ)条文を出させるということで進めさせていただきたいと思います。

川内委員 いや、よくないですけれども、委員長が議事整理権を持っているわけですから。

 そうすると、総理、あっ、いいですか、はい。

梶山国務大臣 契約書の十一条でございます。乙は、甲が定める監督職員の指示に従うとともに、その職務に協力しなければならないということがございます。十一条の第一項です。

川内委員 ここが職員の数をふやすということにどうつながるんですか。ここで読むんですか。

梶山国務大臣 この申請当初、数が多く参りましたので、審査体制をしっかりと充実させなければならないということで、我々が要望して、これに従って向こうがふやしたということであります。

川内委員 やはり経済産業省の、梶山大臣、後ろの人たちは、私は、今でたらめなことを言ったと思いますよ、大臣に教えたと思います。

 条文はありますよ、それは。この契約書に記載のないことについては甲乙協議して決めましょうねということが、これはどんな契約書にも書いてあるわけです。当初の契約条件にない、千六百人じゃ足りないね、二千九百人にしようねということであれば、この契約書の甲乙協議のところで協議をして、そして二千九百人にふやすということにするというのが、これが一般的な考え方じゃないですか。

 何か、監督職員の指示に従うというのは全然違う条文ですよ。それを大臣に答弁させるというのは、ちょっと、委員長、これは予算委員会で、大事な質疑ですよ。今、後ろの経産省の職員の人たちは大臣にでたらめを答弁させたんですよ。これはちょっと答弁を訂正していただかないと、これはできませんよ、質疑。

棚橋委員長 川内君に申し上げます。

 具体的に、どの答弁をどう訂正をお求めになりますか。

川内委員 今、十一条とおっしゃったので、この契約書には、最後のところで、これはどんな契約書にもついているわけですが、本契約に関する一切の事項については、甲乙協議の上、書面の合意にていつでも変更することができる、本契約の規定について解釈上疑義を生じた場合、又は契約に定めのない事項については、甲乙協議の上決定するというふうに甲乙協議が定められていて、契約条件を変更する場合は、それは甲乙協議が普通は条文上の根拠ですよ。

 監督職員が指示していろいろなことを変えさせることができるなんて、契約は相対でしょう、対等の立場で契約するわけですから、指示して契約の内容を変えるなんてできるわけないじゃないですか。独裁国家ですか、ここは。

梶山国務大臣 これは契約の変更には当たらないと思っております。業務委託で、後々精算するものでありますから、その中で事業を遂行するための要請だということであります。

川内委員 仕事に従事する人の数を大幅にふやすというのが契約条件の変更に当たらないと言ったら、これから国の仕事を請け負う人たちは、もうびくびくして、国の仕事を受けられなくなっちゃいますよ。大変なことになるわけですよ。人数が少ない、ふやせ、はい、わかりましたと。お金は変わらないよと言われちゃうわけですから。これは大変なことになりますよ。

 今、とにもかくにも、大臣がおかしな、私に言わせればですよ、私に言わせれば、ちょっと理解不能な御答弁をされるほど、この契約はやはりおかしいと言わざるを得ない。

 このサービスデザイン推進協議会は、法に定められた義務である決算公告をしていなかった、常勤の理事もいなかった、そして電話番号もなかった、さらにホームページもなかった。国の仕事を今まで、二〇一六年に設立以来、千六百億を超えて受注しているわけですね。今回、更に大きな仕事を受注されたわけですけれども、これまでの代表理事の方は、この持続化給付金の事務委託について、自分は余り知らないと言っていたんですね。後から聞いたんだと、こうおっしゃっていたわけですよ。

 総理、このサービスデザイン推進協議会は、私は、それこそ経産省の方々に、しっかりした団体ですから、しっかりした団体ですからと一生懸命説明を聞かされたんですよ。これはしっかりした団体ですか。

安倍内閣総理大臣 この団体は、これまでも経済産業省の事業を実施した実績を有しているというふうに承知をしておりますが、私自身は、この団体自体については詳しく存じ上げておりませんので、これ以上のコメントのしようがないわけでございますが、この団体については大臣から答弁させたいと思います。

梶山国務大臣 これまでも、サービスデザイン協議会は、IT補助金導入において六万二千八百九十三件の事業者への補助を執行するなど、実務能力、事業実施能力を有する事業者であると思っております。

 あと、先ほど委員がおっしゃった代表理事の発言は、あれは発言をしていないということを言っておりますので、マスコミを通じて書かれたものでありまして、本人は言っていないということであります。

川内委員 今、梶山大臣がおっしゃられた事業実績というのは、全部電通さん以下がやっている仕事ですね。全部電通さん以下がやっている仕事で、このサービスデザイン推進協議会は、先ほどから出ているとおり、ただ仕事を受けて、再委託あるいは外注で、ほぼ全ての仕事を電通さん以下に流すということをしていらっしゃったわけですね。

 今回、この持続化給付金の事業について、本当にみんな一秒でも早く振り込まれてほしいと。マイページというのがあって、申請番号に赤枠が出るともうすぐ振り込まれるというしるしなんだそうです。それがついたり消えたりするそうなんですよ。もう本当に資金繰りに困っていらっしゃる事業者の皆さんのその画面を見るときの気持ちというのを想像すると胸が締めつけられますよね。

 こういうシステムのあり方等についても私は見直さなければいかぬとは思いますが、他方で、八百五十億の事務費を今度二次補正で計上する。配るお金は減っている、一兆九千三百億。何で事務費がふえるんですか。

 もう単純に、変だな、おかしいな、何で事務費がふえるんだろうというふうに総理は思われませんか。

梶山国務大臣 第二次補正予算では、迅速な給付に向けた審査体制等の強化や給付対象の追加等を予定をしております。

 五月の緊急事態宣言の延長に伴って給付対象となる事業者が増加をしていること、雑所得や給与所得での事業の収入を計上しているフリーランスや、ことし創業した事業者を給付対象に追加したこと、そして事業開始時点に千六百人と想定していた審査体制について二千九百人に増強したこと、現場の声も踏まえた申請サポート窓口を増設すること、コールセンターをまた増強すること等について増額となっております。

川内委員 総理が何か今小声で、いや、俺はわからないから、こうおっしゃったんですけれども、でも、私、その総理の御発言、非常に不満ですね。

 一般的に考えて、事務費というのは、もうシステムもでき上がっている、仕事も回り出している、減って当然なんですよ。それがふえるというのはなぜかというと、結局、当初見込みが甘くて、変更契約を結ばなければならなくなっているから、増額しなければならなくなっているからということを正直に言えばいいのに言わない。

 午前中が終わりましたので、午後にまた引き続きます。

 終わります。

棚橋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

棚橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。川内博史君。

川内委員 午前中に引き続き、よろしくお願いいたします。

 持続化給付金の事務委託事業について、一般社団法人が、枝野代表に言わせれば、ダミー法人が受託をし、電通さんが実質的には仕事を仕切るという形で百四億手元に残し、電通ライブさんにほとんど全てを外注し、電通ライブさんは百七十九億を手元に残すという形で事業が行われている。これはちょっと過大な事務費を計上し過ぎているのではないかという疑惑。

 それから、そもそも、一般社団法人モデルというか、ポイント還元事業もキャッシュレス推進協議会というところが事務を担って、実際には電通さんがほとんど全てをやるということになっていた。ゴー・トゥー・キャンペーンも、三千九十五億という事務費を、これまた一般社団法人が受託をし、電通さんが主体となる事業体が事務を行うのではないかといううわさがあったわけですね。

 そういう形で、この一般社団法人モデルというのは、私は、この際、しっかりメスを入れなければならないというふうに考えておりますし、入札の経緯についても、今回のこの持続化給付金の事業については、二者応募をし、Aランクの会社が落選をし、Cランクのサービスデザイン推進協議会が落札をしたということで、入札の調書なども、これは、委員長、黒塗りだらけなんですよね、ほとんど情報が開示されていないということで、よく経緯がわからないんですよね、適正な入札が行われたのか。

 財務大臣が出している「公共調達の適正化について」という文書には、「公共調達については、競争性及び透明性を確保することが必要であり、いやしくも国民から不適切な調達を行っているのではないかとの疑念を抱かれるようなことはあってはならない。」最後に「情報公開の充実に努められたい。」という前文がついているんですけれども、これは情報公開の充実に努めているとは言えない入札の調書になっているということで、これは私どもからすればもう解明ができないということで、きょうは公正取引委員会にも来ていただいているんです。

 この入札の適正性、これは一般社団法人が発足する段階から経済産業省が絡んでいたのではないかとか、さまざまなことが言われているわけでございまして、これは公正取引委員会さんに調べていただく必要があるというふうに私は判断いたしますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

杉本政府特別補佐人 独占禁止法の第四十五条におきましては、何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適切な措置をとるべきことを求めることができると書かれております。

 御指摘の件については、既に申告として私どもは受け付けておりますので、独占禁止法の規定に違反する事実があると思料して適切な措置をとるべきことを求める申告がなされた場合には、公正取引委員会は事件について必要な調査をしておりまして、本件についても適切に対処してまいる所存でございます。

川内委員 さらに、このパネルを見ていただくと、申請サポート会場経費ということで四百五億円という金額が計上してあったりするんですけれども、これは内訳とかさっぱりわからないんですよね。

 なぜなら、国が契約するのはサービスデザイン推進協議会と契約するわけですから、サービスデザイン推進協議会の見積書には一括して外注費として六百九十億、あるいは七百四十九億というふうに出ているだけで、こういう明細はわからない。そして、契約関係がどうなっているかもわからない。

 先ほど、午前中、梶山大臣が御答弁されたとおり、全体の施行体制についても現状では把握しておらないということで、これは、一般社団法人モデルというのは、さかのぼってきちんと検査をして、今、特にこの新型コロナウイルス感染症の問題でみんなが苦しんでいるときですから、一円でも多く、本当に必要とする人のところに届けなければならない、税金の無駄遣いは一円たりともないようにしなければならない。これはみんな、そうだということになると思うんですね。

 今回、この事案については、大臣は検査をする、よく調べるよというふうにおっしゃられた。私は、一般社団法人モデル全体について検査をすべきであるというふうに考えます。

 会計検査院に来ていただいています。いかがでしょうか。

森田会計検査院長 お答えいたします。

 会計検査院は、これまで国が実施している業務に係る委託契約等の会計経理について、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から幅広く検査を実施し、その結果を検査報告に掲記するなどしているところでございます。

 委託契約等に係る国の会計経理につきましては、国会等において種々の議論がなされていることは承知しており、これらの御議論等も踏まえまして、再委託先等の状況なども踏まえて、必要に応じて確認するなど、引き続き適切に検査を実施してまいりたいというふうに考えております。

川内委員 検査をするのかしないのかわからないような答弁だったんですけれども、ちゃんとやっていただけるものというふうに信じております。

 これは、いずれにしても、メスをきちっと入れて、実態を解明し、本来あるべき公共調達の姿にすべきだというふうに思いますし、公共工事と同様に、役務の調達についても、「公共調達の適正化について」という文書を改定をし、透明性をより高めていくべきであるということを申し上げておきたいというふうに思います。

 残り五分でゴー・トゥー・キャンペーンのことについても触れておきたいと思うんですけれども、四月の旅館、ホテルの客室稼働率、国土交通大臣、教えてください。

赤羽国務大臣 四月の客室稼働率は、観光庁が毎月調査をしている宿泊旅行統計調査で見ますと、全国平均一七%ということになっています。

川内委員 一七%ということで、五月はそれよりも更にひどい状況になっているというふうに思われる。

 これは、旅館、ホテルというのは装置産業ですから、もともと借金が多いので、お金を借りてしのぎなさいと言われても、なかなかそうは簡単にはできないんですよね。したがって、このゴー・トゥー・キャンペーンのお金は私は今使うべきだと思うんですね。

 このゴー・トゥー・キャンペーンのからくりというのは、三千九十億の事務費というのは旅行代理店に行くわけですけれども、旅行代理店というのは、お客さんを旅館、ホテルに送ると、送ったことによる手数料も取るわけですよね。国の今回のゴー・トゥー・キャンペーンからももらうし、旅館、ホテルからも送客の手数料を取るということになるということで、旅行業者も大変だから、それはいいとか悪いとかの問題ではなく、私は、もっと直接的に旅館、ホテルを支援すべきである。

 しかも、地方の旅館、ホテルだと、これは飛行機、エアへの支援は今回のこのゴー・トゥー・キャンペーンの支援の中に入っていないので、近場のビジネス宿泊、ビジネス旅行などの経費に充てられてしまうのではないかというふうに懸念をするわけです。これは出張旅費でもいいんですよね、大臣。

赤羽国務大臣 幾つか御質問がありましたが、まず、出張旅費でも、それは今回の案件の対象になります。

 また、先ほど川内さんが言われていました、旅行代理店を経由ということは、これは、実はふっこう割のときが、それぞれの県で旅行代理店の大手に丸投げをしているという例があって、そうしたことはやめてほしいということを、現場から随分ありまして、直接旅館に予約をする、そうしたものも対象とするという仕組みになっておりますし、ローカルの飛行機も、それもパッケージになっていれば、そうしたことも地域に、交通機関にも裨益するようにということで、そうした新しい仕組みも入れております。

川内委員 直接の予約でも対象になるよということなんですけれども、直接受けるのを多くしてしまうと、例えば、土日の繁忙期とかに代理店がお客さんを送客してくれなかったりとか、やはり代理店というのは強い立場ですから、そういういろいろなことがあるんですよね。だから、私は直接、めちゃめちゃ今苦しいわけですから、今ここを乗り切ることが大事だというふうに、総理、私は思うんですね。

 だから、ゴー・トゥー・キャンペーンの一兆六千億は、今すぐ観光持続化給付金という枠組みをつくって、観光に携わる事業者の皆さんに給付をすべきである。いろいろな、何かわけのわからないスキームをつくって時間がかかるというのはもう絶対よくないです。今すぐやるべきだというふうに思いますが、総理に御答弁いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 大変厳しい状況にある業界、旅行もそうなんでしょうけれども、多くの事業者の皆さんが大変厳しい状況にあるわけでございまして、そこで、そうした皆さんに、まずは持続化給付金によって最大二百万円の現金をお手元にお届けをしているところでございまして、百万者以上の方々に一兆六千億円を我々今既にもうお届けをしているのでございます。

 その上で、事業者の皆さんが最も待ち望んでおられるのがやはり事業の本格的な再開なんだろう、こう思うわけでございまして、今後、夏に向けて段階的に観光も再開をしていきますが、一旦遠のいた客足を取り戻していく、できれば一気に取り戻したい、こう思っておりますが、取り戻していく上においては大胆な消費喚起策が必要になってくるんだろう、こう思うわけでございまして、これまでも、地震など大きな災害で被災した観光地の復興に向けて、ふっこう割によって消費喚起を図ってきましたが、これについては評価もいただいている、こう思うところでございます。

 事務費の執行も含めて、こうした過去の例も参考にしながら、効果が最大限発揮されるようにしていきたいと考えております。

川内委員 総理も御地元に名門の旅館さんとかたくさんおありになられるでしょうし、ぜひ話を聞いていただいて、今何をすべきかということの判断を見誤らないようにぜひともしていただきたいというふうにお願いを申し上げて、終わりたいというふうに思います。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として中小企業庁長官前田泰宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 この際、大串博志君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志君。

大串(博)委員 立国社会派の大串博志です。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 新型コロナ対策に関する第二次補正予算、大変重要ですね。私たちもいろいろな提案をこれまでしてきました。第一次補正予算の足らざるところ、かなりいろいろな提案をし、政府・与党の皆さんもそれに、後からではあるけれども少々対応された部分もあります。遅く、かつ、少な過ぎるという面はありましたけれども、その面は受けとめながら。

 しかし、今回の補正予算、私は、税金の使い道として、きっちり見ていかなければならない点がたくさんあると思うんですよ。その最たるところが、予備費の十兆円です。

 予備費というのは、御案内のように、憲法にも書かれていますけれども、憲法に、予算というのは国会で事前に承認しなきゃならない、いわゆる事前承認制度、財政民主主義ですね、こう書かれている。例外として、予見できないことに対応するためにあらかじめ予備費というものを設けることができると決められていますね。この予備費は、国会に諮らないで内閣の権限で使うことができる、こうなっています。

 どのくらいの予備費が今回措置されるのかなと私は思って見ていたんですけれども、何と十兆円。聞いて腰を抜かしました。十兆円も。内閣の自由な判断で、国会に事前に相談もせずに、自由に使えるお金が十兆円。毎年の予算での予備費が五千億円であることを考えると、二十年分の予備費を今回一回の補正予算で積んでいる。しかも、第一次補正予算も含めると、今年度既に二兆円の予備費を積んでいる上にですからね。これは相当な、ある意味、財政民主主義と言われる、国会の目を通じて、国民の目を通じて予算を統制していこうということに反した行為になっているわけですね。

 総理に私はお尋ねしたい。

 この十兆円という判断は、総理が政治決断で私は判断しなきゃならないような規模だったと思うんですけれども、なぜ十兆円なんですか。なぜ五兆円ではなく、八兆円ではなく。足りなかったんですか。なぜ十兆円なんですか。

安倍内閣総理大臣 この予備費についてでございますが、今まさに百年に一度と言われる大変な危機の中にあるわけでございます。経済についても、これは今、大変厳しい、リーマン・ショック以上の大きな打撃を受けているわけでございます。

 今後、果たして第二波、第三波となるかどうかということもなかなか予見しがたい状況にあるわけでございまして、新型コロナウイルス感染症について、今後の長期戦を見据えて、状況の変化に応じて臨機応変に、かつ、時期を逸することなく対応していかなければならない、こう思っております。

 こうした観点から、今後の対応に万全を期すため、新型コロナウイルス感染症対策予備費を十兆円追加することとしたところであります。

 今回の予備費については、予算総則において、あらかじめ国会の議決をいただいた範囲内にその使途が限られることとなっておりまして、国会の御審議を通じた予算統制が十分に働く仕組みとしております。

 さらに、その使途についての考え方を財務大臣より財政演説において御説明をしたところでありますが、予備費はそもそも、予見しがたい予算の不足に充てるために措置をしているということでございます。使途をお示しした五兆円についても、ある程度の幅を持って見る必要があることから、それぞれについて具体的な予算額を計上することは困難であります。また、さらなる五兆円についても、今後の長期戦の中では事態がどのように進展するかについて予見しがたいところが大きく、今後起こり得るさまざまな事態に対して迅速かつ十分に対応できるように計上したものであります。

 さまざまな事態が起こったとしても、しっかりと国民の健康、命、そして生活、雇用を守り抜いていくことができるような、そういう対応をしているところでございます。

大串(博)委員 端的にお答えください。

 この驚愕の数字、十兆円。なぜ十兆円なんですか。なぜ五兆円では足りなくて、なぜ八兆円では足りなくて、なぜ三兆円では足りなくて、十兆円なんですか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 今御説明をさせていただいたわけでございますが、これはまさに百年に一度の大変な災害の中にある、国難の中にあるわけでありまして、今までの前例にとらわれる対応ではとても我々は雇用を守り抜くこともできないという中で、相当、今まで前例にない対応をとってきたところでございます。

 新型コロナウイルス感染症対策予備費の十兆円の追加については、まず、第二波、第三波が襲来し、事態が大幅に深刻化した場合には、少なくとも五兆円程度の予算が必要になると考えていたところです。その内訳については、ある程度の幅を持って見る必要がありますが、第一に、雇用調整助成金など、雇用維持や生活支援の観点から一兆円程度、第二に、持続化給付金や家賃支援給付金など、事業継続の観点から二兆円程度、第三に、地方自治体向けの医療、介護等の交付金など、医療提供体制等の強化の観点から二兆円程度が必要になるのではないかと考えております。

 その上で、今後の長期戦の中で、先ほど申し上げましたように、事態がどのように進展するかにつきまして、予見しがたいところが大きいと考えております。このため、どのような事態が起こったとしても迅速かつ十分に対応できるように、まさに国民の命と健康、そして暮らし、雇用、事業を守り抜いていく上において十分な予備費をとらさせていただいたということでございます。

大串(博)委員 十兆円、なぜだったかと言われないんですよね。先ほどおっしゃった、うち五兆円に関して、個人給付で一兆円、事業者支援で二兆円、地方向けの医療、介護等の提供体制の強化等から二兆円。これは、十兆円と総理が決められて、つかみ金のように決められた後に、私たち野党側の方から、これはおかしいじゃないかということで、与野党の折衝の中で、私、その折衝に携わらせていただきましたけれども、できるだけあらかじめ使途を限定にするということで、与野党折衝の中で生まれてきた十兆円のうちの五兆円、一兆円、二兆円、二兆円というこの仕切りじゃないですか。残りの五兆円がまだ予備費として白地のまま残っている。その全体としてなぜ十兆円だったかということを全然説明されない。私、説明責任を果たしていることにはならないと思いますよ。

 こういうふうに五兆円分に関して使途をあらかじめ明示していたことに関しては、与野党折衝の中で野党側からの意見に応じて、それは多としますが、それでもまだ五兆円、白地が残っている。何せ予備費というのは、国会に諮らないで、内閣がある意味自由に使える。それは、国民の皆さん、こうおっしゃっているんですよ。安倍総理に白地の委任を、白紙委任をするようなものだ、それはとてもできないという声もたくさんあるんですよ。だから私は聞いているんです。

 先ほど安倍総理、予算の中である一定の限定をされているというふうに言われましたが、おっしゃっている趣旨は、予算総則という予算のおもて紙のところで、名前を新型コロナウイルス感染症対策予備費と命名して、これを新型コロナウイルス感染症に係る感染防止策に要する経費その他の同感染症に係る緊急を要する経費以外には使用しないものとするというふうにしているから大丈夫でしょうとおっしゃったんだと思いますけれども、総理にお尋ねしますけれども、この最初の方の、総則に書かれている「新型コロナウイルス感染症に係る感染拡大防止策に要する経費」、これはわかります。直接、新型コロナウイルスの感染拡大防止に使われるお金ですね。その後なんです。「その他の同感染症に係る緊急を要する経費」、これ、使えるんです。これは一体何ですか。

安倍内閣総理大臣 最初の、新型コロナウイルス感染症に係る感染拡大防止策に要する経費、今、これについては、大串委員はよくわかるということでございました。

 その他、感染症に係るということは、つまり、この感染症によって、例えば、今、経済が大きな打撃をこうむる、それによってそれぞれの家計が大変厳しいことになっていく、あるいは多くの方々が仕事を失う等々のさまざまな出来事も起こる可能性というのは十分にあるわけでございます。

 つまり、今回の新型コロナウイルス感染症によって起こり得るさまざまなことに対して対応するための予算ということでもあるんだろう、このように考えております。

大串(博)委員 今おっしゃった新型コロナウイルスに感染するさまざまな、さまざまなって何ですか。

安倍内閣総理大臣 まさに、この予算、予備費というのは、これは予見しがたいものでございます。憲法にあるとおり、「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」こう書いてあるわけでありますが、この予見しがたいことが、百年に一度、これは、まさにこんなことが起こるということは昨年はみんなわからなかったわけでございますし、この進展ぐあい、例えば、一月の時点で、米国で十万人以上の死者が出るということは、これは予測し得なかったことでございます。世界のほとんどの国が海外からの人々の流入をストップする、これはもう本当に、今まで初めて経験する出来事が起こっている中において、経済にも相当深刻な影響が出てきている中において起こり得る出来事であります。

 それを一々、今ここで全て挙げることはできないのでございますが、例えば、既に起こっているところでございますが、相当大きな規模の企業も経営が困難になっていくということもあるでしょう。それはある程度の規模の企業であれば、その企業とかかわっている中小企業、小規模事業者の皆さんもたくさんおられる、そしてまた、それが地域において大きな役割を担っていけば、地域の経済が相当の打撃を受ける、あるいは金融機関も、これは信用の問題も起こり得る等々のさまざまな可能性に我々は対応しなければいけない、しかもそれは相当のスピード感を持って対応する必要がある、こう考えているところでございます。

大串(博)委員 結局、さまざまなと、新型コロナの影響を経済等々も大きく受ける。新型コロナほどの感染拡大があって、影響を受けない経済とか生活はないですよ。全て、それだと包含されちゃうじゃないですか。何でもありになってしまうんですよ。

 現に、第一次補正予算においては、新型コロナウイルス対策の緊急経済対策と銘打たれましたけれども、その中にいろいろな、これがそうなのかと言われる予算も入っています。

 例えば、環境省の国立公園への誘客とワーケーション推進事業、三十億円。これは、国立公園に滞在して、リゾートを楽しみながらリモートで仕事ができるようWiFi環境などを整備して、雇用維持、ツアーを企画する事業者に補助金を出す、こういったものも新型コロナ対策として一次補正予算に入っていたりするんですよ。何でも輪っかが広げられてしまう。それを、しかも国会の目の届かないところで勝手に内閣でやられてしまう、これが問題なんです。

 先ほどスピードのこともおっしゃいましたけれども、予備費を使うときには、総理は御存じか知りませんけれども、実はきちんと積算しますからね。これまで、今年度の予算ももう何度か予備費で使われていますけれども、例えばマスクの予算、四百三十七億三千三百六十五万九千円、ここまで積み上げられた上で閣議決定されていますからね。これは補正予算をつくっても、それからそんなに時間がかからず国会を通しているんですよ。だから、スピードの問題からいっても、実は、予備費でなくても、ちゃんと補正予算を出してもらえば、私たちも協力する部分は協力しますから、やれるんですよ。

 恐らく、私たちから言わせると、安倍総理は、国会を閉じて、もうこれ以上国会を開きたくないから、十兆円のお金さえ持っていれば、国会を開かないで自分たちの好きなようにいろいろな施策を打てるから、もう国会の場でこれ以上追及されるのは嫌だということで、国会を開かないために十兆円もの予備費を積んだんじゃないですか。どうですか。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いします。

安倍内閣総理大臣 それは全く的外れな批判でございます。

 私も、この国会におきましても百六十時間以上、国会に出席をさせていただきまして、新型コロナウイルス対策と同時に国会での説明責任を果たさせていただいている、こう思う次第でございます。

 今後とも、国会から求められればしっかりと説明責任を果たしていくのは当然のことなんだろうと思っております。(発言する者あり)

棚橋委員長 お静かに。

大串(博)委員 委員長にお願いです。

 今、総理は、国会で求められれば説明責任を果たしていくとおっしゃいましたので、これだけ注目されている新型コロナウイルス対策でございますので、これから予備費を使われる際には、ぜひ、もし仮に国会が閉じていれば、この予算委員会、閉会中でも開いていただいて、事前に審査をしていただきますよう、予算委員長、お取り計らいをお願いします。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

大串(博)委員 総理の言葉どおり、ぜひ、委員長、よろしくお願いします。

 次に、この予算も問題だなと。ずっと続けられています持続化給付金の事務事業の問題でございます。

 これは、先ほど来、川内委員等も言われましたけれども、全体の七百六十九億円の事務費のほとんどが、九七%が、再委託先たる大手広告代理店、電通に投げられてしまっていて、しかも、その後、再々委託になっている、そういったことですね。だから、責任の所在、透明性、これがはっきりしない。誰がどこで何をやっているのかはっきりしない。そういう中で、五月一日に申請した十八万余の人の中で、五月の末の段階で、一カ月たって、万単位の方々がうんともすんとも連絡をもらっていない、こんな状況になっているわけですよ。

 この事務が本当にどう行われているのか、これは、入札のあり方、あるいは、サービスデザイン推進協議会を含めてどういうふうな方々にこれを握ってもらうことにしたのか、この経緯が大変私は問題だったと思うんですね。

 経産大臣は、この七百六十九億円の事務費、委託費、そしてこれが再委託されている電通、この全体像、どういうふうに事務が行われているか、どういうふうにこれが遂行されているか、きちんと把握されていますか。

梶山国務大臣 履行体制図に示されている会社においては、それぞれに業務が張りついて、人間が張りついております。そして、大きな目標としては、二百万の事業者の皆様にこの給付金を届けていくということを目標に、体制の増強を図ったり、また、連日やりとりをしているところであります。

大串(博)委員 当然、どういうふうに委託されて、再委託されて業務が行われているか、国民の皆さんの命、生活にかかわることですからね、把握していらっしゃることだろうと思いますが。

 私、ちょっと驚きましたのは、先ほど、こういう委託、再委託の流れの中で、川内委員が、電通から電通ライブという子会社に再委託されている、この金額が五百九十五・七億円だと。これは認められました、経産大臣も。それが更に再々々委託ということで、外注かもしれませんけれども、パソナ、大日本印刷株式会社、トランスコスモス株式会社等に再々委託されている。それで、電通ライブに残っているお金は、じゃ、幾らなんですかということを問われて、経産大臣、先ほど、百七十九億円が電通ライブに残っているとおっしゃいましたね。本当ですか。

 きのう七時から、このサービスデザイン推進協議会は初めて記者会見を行われました。私たち、先週月曜日にここを訪れました。誰もいなかった、真っ暗でした。電話を鳴らしてもベルを押しても、誰も出てこられませんでした。その上、当時の代表理事の人は、私はお飾りでしたというふうに記者さんの前でも言われていた。そういった説明責任を全く果たせなかったサービスデザイン推進協議会が、きのう初めて記者会見をし、電通の皆さんと壇上に立たれていました。

 そのときに配られた資料を見て、私驚いたんです。皆さんのお手元にはお配りしていますけれども、5と書いた資料ですけれども、電通ライブに流れているお金は五百九十五・七億円。その下にびっしり外注が並んでいるんですよ。ここに書かれている、パソナ、大日本印刷、トランスコスモス株式会社等とあります。等がすごいんですよ。TOW、A社、B社、C社、会場費。これら金額も並べられていまして、全部足し上げると、実は、電通ライブに投げかけられた五百九十五・七億円、これにほぼぴったしなんです。すなわち、電通ライブが受け取った五百九十五・七億円、電通から受け取ったお金ですね、これは全て、外注若しくは委託で外出ししているんですよ。

 さっき、経済産業大臣は、百七十九億円が電通ライブに残っているとおっしゃいました。どっちが正しいんですか。

梶山国務大臣 失礼しました。

 電通ライブに残っているのは八千万円ということであります。(発言する者あり)先ほど計算間違いがありました。

大串(博)委員 ちょっと、国会での答弁ですので、訂正するなら、なぜ間違ったか、どういう経緯で間違えたか。百七十九億円と八千万円を間違えるって大ごとですよ。しかも国会の場で。

 しかも、経産大臣は先ほど、私は業務に関してきちんと確認しているとおっしゃったんだから。それでわかっていない。こんなことがなぜ起こるんですか。どうですか。(発言する者あり)

棚橋委員長 まず、与野党とも御静粛にお願いします。

梶山国務大臣 先ほど、突然の質問でしたので、その場で計算をしたということで、その計算に漏れていたものがありました。

 そして、ということはまた、私が間違ったことを申し上げたということでありまして、訂正をさせていただきたいと思います。

大串(博)委員 計算間違いとは、どういう計算間違いをされたんですか。

梶山国務大臣 ほかの外注先への支払いというものを除いていたということであります。

大串(博)委員 ほかの外注先への支払いを除いていたというのは、このパソナとか大日本印刷とかトランスコスモス株式会社への外注費以外をすっかり忘れていて、電通ライブに入れちゃっていた、そういうことですか。

梶山国務大臣 この資料でその四社が書かれているわけでありますけれども、四社について差引きをしたということでありますが、そのほかにも外注社があったということで、それらが抜けていたということであります。

大串(博)委員 全然理解されていないじゃないですか。すなわち、電通に再委託されて、それがこの電通子会社に再々委託されて、それが再々々委託されて、パソナさん、大日本印刷さん、トランスコスモスさんに行っている。しかし、それ以外にも、TOW、A社、B社、C社、ここにも行っている。全然理解されていないじゃないですか。それで、給付金業務がきちんといくか、皆さん生きるか死ぬかがかかっている給付金業務がうまくいくかを監督できるんですか。私は、非常に経産省のこの立ち居振る舞いはおかしいと思いますよ。

 もう一つお尋ねしますと、先ほど、履行体制図によってきちんと把握し監督していますというふうにおっしゃいました。

 履行体制図というのは、こんな感じですね、皆さんには資料4という形で、きのう契約書もいただきましたので、契約書の中にも書かれています。その中には、再委託先の電通はあります。そして、電通から更に外注先として出ていく電通ライブや電通テック、電通国際情報サービス、電通デジタル、これらは書かれています。ところが、その契約書の履行体制図の中には、再々々委託先のパソナとか大日本印刷、トランスコスモスは書かれていないんですよ。

 こういう再々々委託までなされているというのを経産大臣は御存じなんですか。

梶山国務大臣 履行体制図に追加があったときには報告を受けることになっておりまして、昨日に提出をいただいていると聞いております。

大串(博)委員 驚きましたけれども。これだけ話題になって、再委託、再々委託、再々委託となっているということが話題になっているにもかかわらず、かつ、このパソナや大日本印刷やトランスコスモス株式会社と書かれた資料、これは経済産業省から三日前ぐらいに私たちはもらっているんですよ、それを昨日になってやっと、このパソナさんや大日本印刷さん以外のところは、昨日初めて知ったということですか。

 すなわち、電通ライブさん、これは五百九十五・七億という一番大きな固まりの業務をやられています。それがどういう体制でなっていたかというのを、きのう初めて知ったということですか。

 もう一回、確認です。

梶山国務大臣 提出はきのうでありますけれども、その前に報告を受けていたということであります。

大串(博)委員 いつ報告を受けていたんですか。

棚橋委員長 梶山大臣、いつ報告を受けていましたかという質問です。今答えられますか。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 経済産業大臣梶山弘志君。

梶山国務大臣 報告を受けていて、履行体制図が提出をされていなかったということでありまして、昨日提出をされたということであります。これが事実であります。

大串(博)委員 ですから、履行体制図はきのう届いた、でも、報告を受けていたのはいつですかと聞いているんです。

梶山国務大臣 正確に確認をさせていただいて、報告をさせていただきます。

大串(博)委員 そんなこともわからないということでしょうか。すなわち、今回、どう再委託されているか、どう再々委託されているか、どう再々々委託されているか、誰がどこでどういう業務をしているか。多分、十八万人に及ぶ五月一日に申請をされた方々、固唾をのむような思いで見守っていらっしゃったと思いますよ。それを、どのようになっているかを経済産業大臣が知らずに、しかも、いつ真実の報告を受けたかも知らない。これは一体どういうことですか。

 ちなみに、更にきのう発表された資料、6と皆さんにはお届けしていますけれども、この電通テック、電通国際情報サービス、あるいは電通デジタル、電通東日本、ありますね。経産省からいただいた資料あるいは履行体制図には、この下には何も外注先、委託先はないんですけれども、きのう、電通さん、サービスデザイン推進協議会さんの記者会見で出された資料では、何と、電通デジタルからはD社、E社、F社、各社、電通テックさんからは各社、各社、各社、それぞれ数億円、数十億円の外注がなされ、これも、それぞれ電通デジタル、電通テック、電通東日本が、電通から受け取ったお金のほぼ全てを外注して使っているんです。ほぼ全てですよ。全部ですよ。

 こうやって全部丸投げ体制になっていることを、経産大臣、御存じでしたか。

梶山国務大臣 これはピーク時には一万人を超えるオペレーションとなりますので、それぞれにまた、それぞれの会社にまた発注することは想定をしておりましたけれども、この名称については存じ上げませんでした。

大串(博)委員 それでいいんでしょうか。

 例えば、電通テック。電通テックは、申請サポート会場の支援業務、申請サポート会場をつくる電通ライブの補助をする、非常に重要な業務をやっているんですね。そういったところが、ほぼこれは一〇〇%、再々々委託されていますからね。四次下請ですから。そこまでいっているんですよ。一〇〇%ですよ。そういったことを知らないというのは、一体どういったものですか。

 安倍総理、ちょっと、ここまで聞かれて、総理の感想をお伺いしたいと思います。この事業、国民の皆さんに、これだけの税金を使って、説明責任を果たしていると思いますか。

安倍内閣総理大臣 国民の皆様にできるだけ早く支援をお届けする、その意味において、スピード感を持って、しかし適切に対応しなければならない、このように思います。

 経産省においては、これは大変大きな事業でございますから、その中でしっかりとその責任を果たしてもらいたい、このように思っております。

大串(博)委員 説明責任は、私、全く果たされていないと思いますよ。

 どのような流れでこのサービスデザイン推進協議会がこの巨額の受託をし、かつ丸投げするような形になったか、私たち、どうしても知りたいと思って、入札のときの提案書、そして落札した後の契約書、これを見れば、どういうふうな流れで政府の皆さんがここだというふうに言われたかわかると思ったので、提出をお願いしていました。これも、しかし、物すごい時間がかかって、出せません、出せませんということで、やっときのうの夕刻になっていただきました。契約書とサービスデザイン推進協議会の提案書です。こういう業務をしますという、入札のときの提案書ですね。

 これは、私、驚いたんですけれども、先ほど申しましたように、何万人という方々が、まだ給付がなくて、どうなっているんだろうと待っていらっしゃる。待っていらっしゃることにきちんと説明するものになっているかというと、驚きました。皆さんが、審査はどうなっているだろう、私、審査されているんでしょうかと待っていらっしゃいます。審査のところを見てみたら、真っ黒ですよ、黒塗り。

 何で給付金の決定がなされないんだろう、これも気にされていると思いますよ。給付金決定通知の体制、真っ黒ですよ。

 更に言うと、給付金の払出しがなかなかなされない、届かないな、給付金振り込みまでのフロー、真っ黒ですよ。あれれ、私は今一体どういう立場にいるんだろう。申込みはしたけれども、赤枠がつく、つかない、ついたり消えたり、一向に連絡も来ない。メールも来ない。一度だけ不備メールが来て、返したけれども、その後、うんともすんとも言わない。電話をかけると、電話は百回かけても二百回かけてもつながらない。つながっても、わかりません、また後にしてください、どうですかねと言われて、らちが明かない。そういう皆さんが、私は今どういう立場にいるんだろうというふうに思われると思います。

 そこで、対象者動向の把握という仕事もされていますが、対象者動向の把握に関しては、三ページにわたって、どういうふうにやられているか、真っ黒塗りですよ。何だこれはと思って、私、更に進んでいきましたら、事業実施計画、これ自体が真っ黒ですよ。

 こんな、何も世の中に説明しない体制で、本当に国民の皆さんの理解を得られると大臣は思われますか。

梶山国務大臣 四月三十日に補正予算が成立して、五月一日から申請受け付けをして、そして給付という形になりました。この中で、それぞれの企業秘密もあるということで、その企業に確認をしながら、今、その提案書というものを出させていただいております。そして、競合した社名につきましても、その中身を確認しながら情報開示をさせていただいているということでありますけれども、まずは、今、給付を急いでいくことということだと思っておりますし、そのための努力を今しているところであります。

大串(博)委員 努力をしているかどうかわからないですよね、こんな真っ黒だったら。しかも、経産大臣もどういう体制で事が動いているかすら知らない。確認のしようすらないじゃないですか。

 私、入札の経緯からして、どうもやはりおかしいと思うんです。四月八日に入札しますよということが公示された。この間、先週、私、経済産業委員会で質疑したとき、実は四月八日に入札しますよということを経済産業省が公示する以前の四月二日に経済産業省はこのサービスデザイン推進協議会を呼んでヒアリングをしていたということがはっきりしました。

 このサービスデザイン推進協議会を呼んだ四月二日、電通の方々も参加されていますね。確認です。どうですか。

前田政府参考人 四月の二日の日にヒアリングをしております。御指摘のとおりでございます。(大串(博)委員「電通も」と呼ぶ)はい、電通です。サービスデザイン推進協議会と電通ということでございます。

大串(博)委員 サービスデザイン推進協議会のみならず、電通の人ももう参加されているんですよ。できレースじゃないかと思う。

 更に言うと、四月二日に、今、ヒアリングをされた、事前ヒアリングされたと言われましたね。その前もありますよね。その前。四月二日だけじゃないですよね。三月三十日にもサービスデザイン推進協議会を呼んで、経産省はヒアリングされていますよね。ここも電通の方も来られていますね。確認です。どうですか。

前田政府参考人 三月三十日でございますけれども、サービスデザイン推進協議会、電通のヒアリングがあると同時に、デロイトトーマツの会社ともここでヒアリングをしております。

 四月の二日に、今御指摘のとおり、サービスデザイン推進協議会と電通のヒアリングがありましたが、四月の三日の日にデロイトともヒアリングをしているところでございます。

大串(博)委員 デロイトにも声かけされています。しかし、デロイトは、三月三十日のときは電話だけなんですよね。呼んではいらっしゃらないんですよ。明らかに差がある。私は、できレースじゃないかというふうな気がしているんですよ。

 何か、入札前にこんなに情報を開示して、皆さん、しかも、大臣はこの間、経産委員会の私への答弁で、入札をお願いするために呼んだんだとはっきり言われています。これは談合まがいじゃないかと私は思うんですよね。

 何かこれは見たことある景色だなと思って。入札に参加する業者を事前に呼んでいろんな情報を持たせて、入札に参加して、一者入札、二者入札で実際落札する。桜を見る会のときの、あの総理の御友人の方々の飲食物提供業者の方々、これの問題も国会でも随分問題になりましたね。

 どうもこの政権においては、安倍総理、嫌がられるかもしれませんけれども、あえて言わせてもらうと、私、思うんですよ、森友学園しかり、加計学園しかり、桜を見る会しかり、あるいは黒川検事長の問題しかり、権力に近い人が優遇される、この流れの一環じゃないですか。いかがですか。どう思われます、総理。

梶山国務大臣 デロイトにもしっかりとした情報を流しておりまして、ただ、これは機微な情報はございません。同等の情報を流している、そして入札に参加をしていただくということであります。

安倍内閣総理大臣 全く的外れです。

大串(博)委員 総理が全く的外れですとか全く当たりませんと言われるときには相当気にされているということだなというのはよくわかりましたので。よくわかりました。

 私、このような、大臣が履行体制も把握していない、経緯もどうかと思われる、そして実際、今のところ給付業務にいま一つやはり心配なところがある、これが第二次補正予算で措置されている八百五十億円のさらなる事務委託を受けるということで、本当にいいのかという気がしてならないんですよ。

 今、サービスデザイン推進協議会がやっているから、第二次補正予算における八百五十億、更に高額になっていますよね、これを何事もなかったかのように受けるということは、僕はあってはいけないんじゃないかと思うんですけれども、経産大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 履行体制図につきましては、全く関知していないということではなくて、当初のものはしっかりと理解をしております。そしてその後、人員をふやす過程で新たな企業に声をかけていく、その報告が昨日来たということであります。そして、事務局と事務方のやりとりでは聞いていたということでありましたけれども、それらが少し錯綜したことは申しわけなく思っております。(大串(博)委員「八百五十億、第二次補正予算」と呼ぶ)

 八百五十億につきましては、午前中も説明いたしましたが、業務が、フリーランス、またふえていくということもございます。そして、ことしの創業者もふえていくということもあります。さらにはまた、審査体制を前倒しでやってきたということで、その部分の増加分もございます。

大串(博)委員 大臣、落ちついて聞いてください。私が聞いたのは、八百五十億もまさかサービスデザイン推進協議会にするっと受けさせるということはないでしょうねということなんです。

梶山国務大臣 入札可能性調査というものをいたしまして、事務局をかえるときにはそういった、まずサービスデザイン協議会ありきということではございません。

大串(博)委員 わかりました。よくこれから確認させていただきたいと思います。

 ゴー・トゥー・キャンペーンもそうなんですよ。ゴー・トゥー・キャンペーンも、公募を行われる前に、この民間事業者という、公募を行われる前に民間事業者から話を聞かれていますね。電通からも事前に、公募の前に話を聞かれていますね。

梶山国務大臣 ゴー・トゥー・キャンペーンの事務局の公募開始前から、事業のあり方について意見を得る観点から、電通を含む約五十社と、どういう仕組みで需要喚起策を行うかなどについて相談をさせていただいております。(大串(博)委員「電通も入っていますね」と呼ぶ)入っています。

大串(博)委員 電通も入っていますということですけれども、このように非常に国民の皆さんが疑念を持つような形で進められるのは、第二次補正予算、新型コロナ対策として私は遺憾だと思います。

 ぜひ、この八百五十億、あるいはゴー・トゥー・キャンペーンの三千億の事務費、これが執行されるときには予算委員会を開いて、きちんと私たちに事前に確認させてもらう。国会をとめるな、これが今皆さんの、ちまたの言葉なんですよ。国会をとめるな。安倍総理、ぜひお願いして質疑を終わります。

棚橋委員長 この際、辻元清美君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。辻元清美君。

辻元委員 辻元清美です。

 まず、総理にお伺いしたいと思います。

 来週の水曜日の六月十七日、国会、会期になりますけれども、きょうのお話を聞きましても、まだまだ議論することはあると思うんですよ。私は国会を延長した方がいいと思いますけれども、総理、そう思いませんか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 まだ国会の方、会期が残っているわけでございますので、この会期の中でまず全力を挙げてこの補正予算を成立をさせたい、このように思っております。他の関連法案もございますから、この会期内に成立をさせたい、このように思っております。

辻元委員 本当はやめたいんでしょう。十兆円の使い道も、五兆円はレッテルを張っただけじゃないですか。中身、さっぱりわかりません。それから、オリンピック・パラリンピックも、どうなるのか。来週閉めるということは、もう国会で議論しないで自分らで好きにやらせてもらいますと言っていることに等しいんですよ。

 ですから、総理、来週閉めずにしっかりと議論していこうじゃないか、ちょっとぐらい言っていただいていいでしょう。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 政府としては、この国会、まだ会期が残っておりますので、この中で、国民の皆様にとっても極めて重要なこの補正予算、早期に成立をさせて、関連法案もそうでございますが、成立をさせたい、こう思っております。

 そして、この会期については、これは委員も御承知のとおり、会期をどうするかということについては、これは国会がお決めになることでございます。

辻元委員 持続化給付金の中抜き問題、それから、黒川問題もまだくすぶっています。さらに、河井夫妻の選挙違反の捜査も進んでいます。こういうことがあるから、国会を開いていていろいろ質問されたり言われたら嫌やな、そういうことも総理はあるんじゃないですか。だから、心の中では早く閉じたいなと思っているんですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 いろいろと辻元さんらしく想像をたくましくしておられるんだろう、こう思いますが、そもそも、憲法によって、我々、国会から求められれば、総理大臣として、あるいはそれぞれが国務大臣として出席をして説明責任を果たしていくということは当然のこと、当然の義務であろう、こう思っております。

辻元委員 それでは、一つ約束していただきたいんです。

 国会の会期、これは国会でお決めになるとおっしゃいました。そうしたら、憲法五十三条にのっとって、衆議院、参議院の四分の一の議員が国会の開会要求を出したら、これは内閣が決めるんです、しっかりとその要請を受けとめて、憲法の規定ですから、臨時会を開く、ここで約束してください。いかがですか。約束してください。どうぞ。

安倍内閣総理大臣 まず、その前段においては、国会でそうお決めになられるわけでございまして、仮定の質問についてはお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、これは、総理大臣として当然義務を果たしていくということでございます。求められれば、出席をしてお答えをさせていただくということでございます。

辻元委員 何も仮定の話を申し上げているわけではなくて、憲法五十三条に規定をされているとおりに、しっかりと、四分の一の議員の要請があれば憲法に従って臨時会を開きますねと問うているだけで、何も仮定の話じゃないですよ。総理は憲法憲法といつも言っているじゃないですか。だから聞いているんです。

 憲法五十三条にのっとって、自民党の憲法改正草案では、二十日以内に開かなければならないという草案もおつくりになっていますので、しっかりと、要求があったら開いていただかないと困りますよね。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 憲法にのっとって対応していくということは当然のことであろう、こう思っております。

 仮定の話と言ったのは、まさに、四分の一があればというのは、それは仮定の話なんだろう、こう思いますから、その仮定についてはお答えすることは差し控えさせていただきたい、こう申し上げたところでございます。

辻元委員 やはり、このコロナ禍の中で国民の命がかかっていると思うんですね。PCR検査を受けることができなくて家に待機していたけれども、外に外出されて路上で亡くなった方がいらっしゃいましたね。私、あの話を聞いたときに、本当に無念だっただろうなと思いました。そして、私たち立法府に身を置く者としてなぜこれが防げなかったのか、本当に私は自分を恥じました。そういう事例をもう出したくない。私、もしもこの人の家族だったら、PCR検査が受けられなかった、政府の失政で命を亡くしてしまったと思うかもしれませんよ。今、全然そんなことは終わっていないんです。今も続いているんです、そういう状況。ですから、しっかりと国会を延長する。そして、延長して足りなかったら、また、要請があったら、開いて議論していくべきだと思います。

 菅官房長官にお伺いしたいと思います。議事録の話です。

 専門家会議の議事録、これは、私は議事概要じゃなくて議事録が必要と思うんですけれども、官房長官は議事録までは必要ないというお立場ですか。いかがですか。

菅国務大臣 専門家会議は、行政文書の管理に関するガイドラインにおける政策の決定又は了解を行わない会議等に該当し、ガイドラインに沿って適切に記録を作成しているものと承知をしています。

 その上で、第一回目の会合において、構成員に自由かつ率直に御議論をいただくために、発言者が特定されない形の議事概要を作成するとの方針を構成員に御説明をし、御了解いただいており、以後、その方針に沿って適切に対応しているということであります。

 いずれにしろ、公表している議事概要は、議論の内容がわかるよう、かなり丁寧に作成されていると聞いており、引き続き担当部局で適切に対応していく、このように考えております。

辻元委員 菅官房長官が、東日本大震災の後、ブログで議事録についてお書きになっているんです。私、読みました。あのとき、私たち民主党政権で、東日本大震災の各種会議の議事録を作成していなかった。私も総理補佐官で官邸におりました。本当に反省しましたよ。復元しようと努力しました。

 そのときに、官房長官はこういうようにお書きになっています。あの震災の翌年の一月二十六日なんですけれども、東日本大震災に対応するために立ち上げた多くの会議で議事録がつくられていないというずさんな実態が次々と明らかになりました、歴史的な危機に対処していることへの民主党の意識の低さ、国家運営への責任感のなさが如実にあらわれていますと言っているわけですよ。議事録がつくられていないから。

 これは、丸ごと今、官房長官にお返しする言葉になりますよ。

 それで、こうもおっしゃっています。公文書の作成は、政党の主義主張とは全く関係ない、国家運営の基本ですとおっしゃっているんですね。そして、公文書管理法では、記録を健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、意思決定に至る過程の文書を作成することを義務づけている、千年に一度という大災害に対して、政府がどのように考え、いかに対処したかを検証し、そこから教訓を得るために政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録はその最も基本となる資料です、それを作成していなかったのは明らかな法律違反であるとともに、国民への背信行為ですと言っているんですね。

 今、私は、反省したと申し上げました。復元もしたと言っていました。ここで問題にしているのは議事録なんですよ。私は、菅官房長官がここまでおっしゃっているので、今回もやはり専門家会議もきちんと議事録を残すということを、リーダーシップをとっておやりになったらいかがですか。どうですか。

菅国務大臣 私の発言と専門家会議の現在の議事録を比較するということは、全く違うと思いますよ。

 この専門家会議というのは、まさに、行政文書の管理に関するガイドラインにおいて、政策の決定又は了解を行わない会議等に該当して、ガイドラインに沿って適切に記録を作成している。基づいて行っているわけですから。

 そしてその上で、第一回目の会合において、構成員に自由かつ率直に御議論いただくために、発言者が特定されない形の議事概要を作成する、この方針を専門家の委員が了解をして、その方針に従って適切に今対応しているということです。

 そして、内容をごらんになりましたか。かなり発言について精細に残していますよ、議事概要。

 そしてさらに、五月二十九日の専門家会議で議論が出たことを踏まえて、構成員の先生方から改めて御意見を伺い、引き続き従来と同様の形で議事概要を作成、公表することとしつつ、今後開かれる会議以降の議事概要については発言者名を明記する、こうしたことを了解しているということです。

 ですから、まさに、このガイドラインに基づいて適切に対応して、残っているんじゃないでしょうか。

辻元委員 今回は歴史的緊急事態に指定もされております。菅官房長官、こうおっしゃっているわけです。意思決定に至る過程の文書が大事、ここの議事録を残さなきゃいけないと言っているわけです。結果だけじゃなくて。私も議事概要は読みましたよ。

 西村大臣にお聞きをしたいと思います。速記録は保存するということでしたけれども、速記録は情報公開法の情報公開の対象になりますか。

西村国務大臣 対象になると認識しております。

辻元委員 情報公開の対象になるのであれば、速記録はほぼ議事録なんですよ。そうであるならば、もう議事録にしてしまって出した方が私はいいと思うんですが。速記録は公開するんだったら、もう議事録にして、議事録として公開しても同じじゃないですか。西村大臣、違いますか。どこが違うんですか。

西村国務大臣 先ほど官房長官も答弁されましたけれども、今回、ガイドラインに沿って、意思決定する会議ではありませんから議事概要という形で、お読みになられたということですけれども、かなり丁寧に詳しく議論の内容を書いております。

 ただ、そこには二つのことがあります。

 一つは、第一回の会合で確認したとおり、発言者の名前は記さないということ。二つ目に、今回、いろいろな地域でいろいろな業種でいろいろなことが起こりましたので、さまざまな地域名とか、個別の業種、職種とか、それぞれの人の属性とか、いろいろなことが議論になっています、こういったこと。すなわち個人情報、そして、風評被害などのさまざまなリスクがあるということがあります。

 そして、もう一点、発言者の名前を記さないことで自由に発言していただいています。これは、専門家の皆さんが自由に率直に意見を言っていただいて、我々は参考にしたわけでありますので、その中でさまざまな御発言がありますけれども、これは個人攻撃も含めて、専門家の皆さんにさまざまなリスクがございます。

 そういったことも含めて今回確認をさせていただいて、これまでは、一回目に確認したとおり、自由に率直に発言して、名前を記さない形で、議事概要の形で残しますということで確認してきておりますので、このような形でさせていただきたいと思いますが、速記録についても、それぞれの、個々の発言者の確認をした上できちんと残した上で、これは十年間の保存期間を経て、国立公文書館に移管をして、そこで公開をされるということになると認識をしております。

辻元委員 先ほど菅官房長官のお話を取り上げさせていただきましたけれども、官房長官はこうもおっしゃっているんですよ。議事録をつくらないと、何か都合の悪いことを隠そうとしたと疑われるのは当然だと。

 私、なぜこういうことを申し上げているかといいますと、総理、森友問題で、文書、この場で、あるだろう、ない、あるだろう、ない、あった、出てきた、改ざん、書きかえ。日報もそうでした。捨てましたとか。

 安倍政権は、公文書、都合の悪いものを捨てたり、それから隠したり、書きかえたりすると思われているんですよ。だからこそ、菅官房長官も言っています、意思決定に至る過程の文書も含めてと。そして、歴史的緊急事態にしていますから、総理の政治決断で、だって速記録は公開すると言っているわけですから、議事録にしてしっかり公開していこうと、議事録をつくると決断してください。かなり疑いの目で見られているんですよ。何するかわからへんなあ、文書を捨てるなあ、隠すなあ、書きかえるなあとみんな思っていますよ。総理の政治決断で、議事録をつくりますとおっしゃってください。

安倍内閣総理大臣 御指摘の専門家会議については、行政文書の管理に関するガイドライン上の、ガイドラインというのは、我々が政権をとる、ですから民主党政権時代なんでしょうけれども、そのときにつくられたガイドラインでございます。政策の決定又は了解を行わない会議等に該当するものであり、第一回会議において、先ほど来西村大臣からも説明させていただいておりますが、自由かつ率直に御議論いただくため、発言者が特定されない形の議事概要を作成して公表するとの方針を構成員の皆様に御了解をいただき、以後、その方針のもとで適切に記録を作成しているところであります。

 その上で、五月二十九日の専門家会議の場で議事概要のあり方について御意見があったことを踏まえて、改めて構成員の皆様の御意見、御意向を確認した結果、引き続き従来と同様の形で速記録等に基づき議事概要を作成、公表することとしておりまして、今後開かれる会議の議事概要については発言者名を明記することで御了解を得られたということでございました。

 そこで、事実上、議事録をつくるということも、速記録をそのままに、恐らくしたものに近いんだろうと思いますが、その議事録というのはですね。ですから、まさに速記録が、最初、議事録は残っていませんと事務方が情報公開請求に対して答えたものですから、議事録をつくっていないのか、何もないのかという誤解を招いたんですが、議事録はつくっておりませんが、これはガイドラインにのっとってですね。しかし、速記録はあるわけでありまして。速記録がなければ概要ができないのは当然のことでありまして、かつ、速記録については、先ほども申し上げておりますように、保存期間満了後は国立公文書館に移管されます。そして、これは原則公開ということになるわけでございまして、まさに我々が何かを隠しているということでは全くないわけでございます。

 ただしかし、国立公文書館に行くまでの間等々の関係においては、まさに専門家の先生たちは、当初はそういう約束でちゃんと御議論をされているわけでございますので、今後はそれを公開するということを前提に御議論をいただくということになり、そして、それは公開されていくということになるんだろう、こう思うところでございます。

辻元委員 今いみじくも総理が、速記録は議事録に近いものであると。そうですよ。あそこで速記されていますけれども、これを起こすんですよ。だから、もう議事録にしちゃった方がいいんじゃないですかと申し上げているわけです。

 それで、なぜこういうことを言うかといいますと、私も思っていたんですよ。専門家の方は、客観的にお話しされたらすごく慎重論をおっしゃる方もたくさんいらっしゃると思うんですよ。しかし一方、政府は経済的なことも考えなきゃいけないから、規制を緩和するということをしたときに、専門家は慎重論が多かったのに政府はその判断を押し切って緩和をしたんじゃないかとか、そういうことを思われたら嫌だから公開しないのかなと私も思ってしまうんです。ですから、ここはもう丸ごと公開した方がいいと思うんです。

 赤羽大臣、山口代表がいいことをおっしゃっているんですよ。同じく東日本大震災の後、議事録について、政府の対応を検証できるようにする、議事録を残すと。議事録ですよ。議事概要じゃないですよ。これは、現在、将来の国民に対する重要な政府の責務、国際社会に対する責任、歴史の空白をつくってしまったその責任は重いとおっしゃっているんですよ。

 私、公明党の立場はこれで変わっていないと思いますよ。この間、公明党、頑張っているじゃないですか。議事録をつくろうよと山口代表も言っているんですから、リーダーシップをとられたらどうですか、閣内で。どうですか。

赤羽国務大臣 東日本大震災だけでなくて、大きな災害、またイベント、起こったことについて史実を残すということは大事だと思っております。

 ただ、今のコメントについて、私は公明党を代表するという立場ではございませんので、この場で国土交通大臣として発言をすることは控えさせていただきたいと思います。

辻元委員 いや、国土交通大臣も、議事録については、国交省にも議事録はいっぱいあるでしょう、関係あると思いますよ。

 私は、この菅さんがおっしゃっているとおりなんですよ、隠そうとしたと疑われると。隠していなくても。危機のときは国民との信頼関係が一番大事なんです。私、予算委員会でことし冒頭、総理に言いましたね、情報公開と記録を残してくれという話を冒頭に申し上げているんですよ。ですから、歴史的緊急事態というのはそういう意味なんですね。ですから、残された方がいいと思います。

 菅長官はこういうこともおっしゃっています。議事録作成という基本的な義務も果たさず、誤った政治主導を振りかざし、政権を担う資格がないのは明らかです。議事録作成という基本的な義務も果たさず、政権を担う資格がないのは明らかです、ここまで言っているんですよ。菅さん、ひょっとしたら、安倍政権、もうそろそろ潮どきだと思っているんじゃないですか。議事録も残さずに……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に。与党も野党も御静粛にお願いします。与野党ともに御静粛に。質問者の質問中です。

辻元委員 だって、菅さんの発言を引いているわけですよ。議事録を残さないような政権は政権担当能力がないとおっしゃっているわけでしょう。ここまで言っているわけですから。

 それで、私、さっきも申し上げました。いろいろな、さまざまな私たちも反省があります。そして、特に安倍政権は、また隠蔽体質かと思われますよ。そうなのかもしれない。

 どうですか、菅官房長官。政権担当能力があるんだったら議事録を残してください。いかがですか。

菅国務大臣 私は、当時は、政権担当能力がない、そのように思いましたので、自分で書いたわけであります。現在は、まさに、行政文書のガイドライン、民主党政権のときにつくったガイドラインだそうですけれども、それに従って適切に記録を残している。意思決定に必要な、例えば本部会議などは残っているわけですから。

 そして、今回の専門家の委員の皆さんの議事概要でありますけれども、ごらんになっていただければ全体像は理解してもらえると思いますよ。私は何回も読みました。

 それで、私は、その委員と発言の内容を出したらどうだと、内容、委員の先生方。しかし、委員は、いろいろな議論の中で、ある特定の業種に対して、店を閉めてしまうお願いだとかそういうことも載っているわけです。そうしたことを言った人にいろいろな弊害が現実にあったということも、そうだったんです。ですから、もう一度先生方に聞いた上で判断すべきだという形で、五月二十九日の専門家会議以降はそういう形になったんです。

辻元委員 私は、きょう、もう出そうと言っていただけるかなと思いましたけれども、残念です。

 森大臣、いらっしゃいますか。黒川検事長のことも幾つか確認したいんですけれども、退職金、これはいつ支払うんですか。

森国務大臣 黒川氏に対する退職手当は現時点では支給されておりませんが、退職手当の支払い予定日については未定ではありますが、国家公務員退職手当法第二条の三第二項において、職員が退職した日から起算して一カ月以内に支払わなければならないと定められております。

辻元委員 退職されたのが五月二十二日ですから、六月二十一日まで。六月二十一日は日曜日ですから、来週中に約五千八百万円の退職金を支払うという理解でいいですか。

森国務大臣 国家公務員退職手当法の規定に基づき支給されることになるものと承知しております。

辻元委員 ですから、来週中に支払われるということなんです、総理、黒川検事長に五千九百万円ぐらいの退職金。

 私、今、世の中、先ほどからも話が出ていますけれども、自粛要請をしっかり守って、例えば、飲食店とか、旅館とか、スポーツジムとか、ライブハウスとか、売上げが減って、持続化給付金が欲しい、雇用調整助成金が欲しいと思っても、一カ月たっても振り込まれないという人がたくさんいるわけですよ、待てど暮らせど。生活がかかっているけれども、どうしてくれる、店が潰れるという人がたくさんいるんですよ。一方、自粛要請を破ってかけマージャンをしていた政府の高級官僚なら、一カ月以内に五千九百万円ぐらいの退職金がぽんと支払われるんですよ。これは、子供から見ても不公平な世の中だなと私は思いますよ。

 総理、これは、御自分たちは、身内でかばい合って、道理に反することを行っていると思いませんか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 黒川氏の処分については、法務省において必要な調査を行った上で、法務省及び検事総長において、事案の内容等諸般の事情を総合的に考慮して、訓告が相当であると判断し、適正に処分したものと承知をしております。

 また、黒川氏の退職手当については、今後、法務省、検察庁において、法令に従って対応するものと承知をしております。

 なお、黒川氏については、訓告処分を受け、自己都合により退職をしたところ、このため、退職手当の額は、定年退職の場合に比べて相当額少なくなっているものと承知をしているところでございます。

辻元委員 私が申し上げましたのは、持続化給付金とか雇用調整助成金が来なくて困っている人はいっぱいいるんですよ。黒川さんみたいに、総理とどれだけ近かったかわかりません、でも、官邸の守護神とか言われてきたじゃないですか。自粛中ですよ、破ってかけマージャンしても、五千九百万円程度、ぽんと振り込まれる。これは、世の中の人から見たら、子供が見ても、不公平な世の中やなと誰でも思うのと違いますかと聞いているんです。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 黒川氏の処分については、法務省において必要な調査を行った上で、法務省及び検事総長において、事案の内容等諸般の事情を総合的に考慮して、訓告が相当であると判断をし、適正に処分したものと承知をしております。

 また、黒川氏の退職手当については、今後、法務省、検察庁において、法令に従って対応するものと承知をしております。

辻元委員 私、今の答弁をお聞きして、情けなかったです。今、国民はどんな思いでいるか。私、少なくとも、今総理がおっしゃったように政府は進めていますけれども、不公平とか、道理に合わないと思っている人がいっぱいいるということは、その国民の気持ちに寄り添おうとする、その姿勢が必要じゃないですか。

 そして、森大臣、今まで、かけマージャンは、質問主意書などで賭博罪に当たるという、この見解でよろしいですね。

森国務大臣 犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄であり、お答えは差し控えさせていただきますが、なお、刑法百八十五条の賭博とは、一般に、偶然の勝負に関し財物の得喪を争うことをいうと解されますので、したがって、あくまで一般論として申し上げれば、お尋ねのかけマージャンが偶然の勝負に関し財物の得喪を争うものである場合には、刑法の賭博罪が成立し得ると考えられます。

辻元委員 皆さんにお配りしている資料を見てください。成立し得るということです。上を見ていただいたら、これは法務省のクレジットの資料、下は検事総長の文書です。黄色いところ、「金銭を賭けて麻雀を行ったものである。」というように認定しているわけですよ。下の検事総長も、「金銭を賭けて麻雀を行ったものである。」これは、かけマージャンを行ったものであるということ。今、森大臣は、賭博罪に相当すると言った。これは、賭博罪に相当し得る行動を行ったということを文書で認定しているんですよ。そういうことになりますね。

 ということは、刑事訴訟法の二百三十九条二項で、公務員は不正を見つけたら、違法なことを見つけたら告発をしなければいけないという義務があるんですよ。告発を見つけたのにしなかったら、その告発を見つけた人が今度は懲戒処分に遭うというぐらい厳しい法体系です、日本は。これは刑法で言うところの賭博罪に当たると文書で書いているわけですね。これ、法務省、告発しなくていいんですか。いかがですか。

森国務大臣 先ほどの御答弁は、一般論として申し上げれば、お尋ねのかけマージャンが偶然の勝負に関し財物の得喪を争うものであれば、刑法の賭博罪が成立し得るというふうに申し上げたものでございまして、犯罪の成否については、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でございます。

辻元委員 これは文書が出ているじゃないですか。国民から見たらこれはお札になりますよ、かけマージャンをしておかしいじゃないかと捜査されたら。かけマージャン、二度とこのようなことがないようにと注意しているだけなんですよ。こういうことをしていいのかということなんです。これはまるで、もし告発しなければ、国民は、高級官僚が刑法に違反しても仲間の官僚はこれを不問に付すということになりますよ。市民が告発されているけれども、内部できちっとやらなきゃだめじゃないですか。そして、法の番人たちが文書で脱法を自白しているんじゃないですか、これは。そうなりますよ。

 総理、私、これは、かけマージャンの脱法の勧めを示しているような、この辺までだったら脱法できますよというように見えますよ。こういうことだから、退職金を払うんですかと。私、危機のときだから、政府こそ身を正さなきゃいけないと思うんです。もう一回考え直して、来週中に振り込む期限、二十一日に来るんですよ。ちょっととめて、もう一回調査し直したらどうですか。いかがですか、総理。

安倍内閣総理大臣 黒川氏の処分については、法務省において必要な調査を行った上で、法務省及び検事総長において、事案の内容等諸般の事情を総合的に考慮して、訓告が相当であると判断をし、適正に処分したものと承知をしております。

 また、黒川氏の退職手当については、今後、法務省、検察庁において、法令に従って対応するものと承知をしております。

辻元委員 私、桜を見る会のときも、ここで総理に質問いたしました。あの前夜祭の、政治資金規正法違反に当たるのではないかとか、それから公職選挙法違反に当たるのではないかとか、脱法内閣だと申し上げたんです。違法すれすれ、脱法。私は、今回の、言ってみれば、刑事訴訟法とか日本の法体系の中でいえば、黒川氏を無罪放免にしているというのは脱法だと思いますよ。ですから、結局、安倍政権は、脱法内閣と申し上げましたけれども、トップから隅々まで脱法体質がしみ渡っているということになると思います。

 次、もう一つの賭博、カジノです。

 総理、カジノ、今回も、言ってみれば、ラスベガス・サンズも撤退するでしょう。MGMも株価が一時、五分の一になっています。そして、シンガポールのカジノは無期限閉鎖ですよ、今。休業ですよ。これはもうビジネスモデルとして成り立たないんじゃないですか。総理、どうします。

 私、このコロナで世界は変わったと思います。持続可能な社会や経済をどうやってつくっていくかなんですよ。

 それで、温暖化とそれから感染症の関係も、アメリカの大学でコンピューターシミュレーションの結果が出ています。温暖化の進行は動物の分布を変え、ウイルスが野生動物から人間に移行する機会を大幅にふやすと。

 この二十年間、感染症、SARS、新型インフルエンザ、エボラ、MERS、コロナ、何年かに一回感染症が起こっているんですよ。大洪水も起こっていますね。ですから、今回何とか乗り切ればどうにかなるという話は甘いと思います。地球温暖化と、洪水や感染症、また襲ってくるかもしれないということで、社会のあり方を組みかえなきゃいけない。持続可能性。

 私は、カジノはビジネスモデルとして成り立たないと思います。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 詳細が必要であれば赤羽大臣から答弁をさせますが、IRは、カジノだけではなくて、これはもう何回も答弁させていただいていますが、国際会議場や展示場や大規模な宿泊施設、また家族で楽しめるエンターテインメント施設として、確かに、現在は新型コロナウイルス感染症の大きな影響を受けてそれぞれお客さんが来ないという厳しい状況になっているというのは私も承知をしておりますが、しかし、この感染症収束後についてはこうした観光が再び回復をしていくものと見込まれているわけでございまして、こうしたIRについても観光先進国の実現を後押しするものと考えております。

 今後、IR事業者の動向等も注視しつつ、感染症への対応などで新たに生じ得る諸課題も踏まえて、引き続き必要な準備を丁寧に進めてまいりたいと考えております。

辻元委員 私は、ちょっと、この後、経済政策を任せられるかなと思いましたよ。IRの中核的な収益がカジノなんですよ。世界じゅう、今、特にヨーロッパなんかは、グリーンディールに、もう全部、産業構造を変えようと言っているんですよ。今からでっかいIRをつくってカジノをつくろうという国はないと思いますよ。コロナ後の持続可能性のある社会をどうつくるかということ、全く発想がない。カジノにしがみついている。

 総理、私は、安倍内閣、このところ思うのは、広告代理店内閣じゃないかと思うようになったんですよ。今回、電通の話も言われていますけれども、総理の言葉もそうなんです。

 山中伸弥教授が雑誌の対談でこういうことをおっしゃっています、安倍総理に何かお願いしたいことはありますかという質問に対して。

 安倍総理にぜひお願いしたいのは、国民に向かってメッセージを発していただきたいということです。新型コロナへの対応について定期的に記者会見でお話しされていますが、真っすぐな国民に向けてのメッセージもぜひお願いしたいと思います。例えばニューヨークのクオモ知事、もし不満があったら、誰かを責めたいのならどうぞ私を責めてくださいと、厳しいこと、耳に痛いことも含めて情報発信に努めている。日本にもまさにこのようなリーダーシップが求められている。

 私、安倍総理の記者会見を拝見していまして、物すごく違和感がありました、ずっと。何か広告代理店のプレゼンみたいなんですよ。ずっとプロンプターを上手に、それは練習してはるのかどうかわかりませんけれども、読んでいますよ。でも、総理がどうしたいのか、一体どう思っているのか、総理のハートが伝わらない。国民への思いとか、国民と苦楽をともにするとか、そういう感じが伝わらないんですよ。

 総理、そういうことを総理の周りで誰かに言われたことはありますか。どうですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 なかなか辻元さんには伝わらないのかな、改めて今こう思ったところでございますが、そういう御叱正も受けとめながら、国民の皆様に、私の気持ち、考え、日本を今後どのような国にしていくのか、回復をさせていくのか、そして、コロナ後、どのようなビジョンを描いているのかということについても伝わるように努力を重ねていきたい、これからも努力を重ねていきたい、このように考えております。

辻元委員 誰か周りの人、しっかり言ってあげた方がいいと思いますよ。国民との、危機を乗り越えるというのは、信頼関係です。信頼関係は言葉なんですよ。

 きょうも、議事録は残さない、今までと一緒じゃないですか。脱法を見逃す、脱法内閣のままじゃないですか。カジノに突っ走る、全然変わっていないですよ。コロナ危機から何を学ぶのか。そして、私たちはどういうように社会を変えていくのか。残念ながら私は、安倍総理はそろそろ潮どきかなと。ここまでよく頑張られましたよ。でも、ちょっと違う発想の日本をつくらないと日本は世界に取り残されると思います。

 終わります。

棚橋委員長 この際、渡辺周君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 国民民主党の渡辺でございます。立国社の引き続きの質問をさせていただきます。

 今、辻元委員が言及をされましたので、ちょっと質問の順番を変えて、今指摘のありましたカジノについて私も二問ほど伺いたいと思うんです。

 ラスベガス・サンズというこの業界の大手会社、シンガポールの大きなプールのついたホテルで有名なあのサンズでございますけれども、このサンズが五月に日本から撤退をするということを発表されました。そして、昨年の八月にシーザーズというやはり大手のカジノ事業者も日本から撤退をするということになりました。

 今、辻元さんも指摘されたように、まさに想像しないコロナで、大変どの会社も収益が極端に落ち込んでいる。まあ、その前からもう日本市場から撤退をするということを決めていたわけなんですが。この撤退を受けて、そもそも、コロナで、日本のカジノ基本方針も、当初、三月と言われていたものが、いまだ先送りになっております。

 この機会に、このカジノ事業について凍結すべきじゃないか。そして、もうこの事業を一旦中止して、その予算とそれから人員をコロナ対策に、観光庁からも出向してこられています、あるいは内閣府から来られている方々に、ぜひ、今後のコロナ対策、コロナ回復後の日本の経済の景気対策について、まさにマンパワーを割くべきだと思いますけれども、赤羽国土交通大臣、カジノの今のあり方について、カジノ管理委員会は今も百人を超える方々が事業をされています、そして予算が三十八億円です、いや、管理委員会というよりも、カジノ事業そのものをもう凍結するお考えはないですか。いかがですか。

赤羽国務大臣 このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大で、おっしゃられるように、世界各地のIRの事業が休止をしたり、大きな影響が出ているのも事実でございますが、他方で、アメリカでは、ほぼ、国内の施設の約半数が営業を再開しておりますし、マカオでは八割ぐらいが再開もしているという動きもございます。

 言わずもがなでありますが、我が国のIRの開業は、今すぐ開業するということではなくて、恐らく二〇二〇年代半ば以後というか後半に想定をされております。その観光の政策としての意味は、先ほど安倍総理から御答弁いただいたところでございます。

 IR整備法は、もともと、我々のこの法律ができて、それを受けて、自治体とIRの事業者がそれぞれの発意に基づいて、IRの整備に関する審査を行う制度でございまして、この事業が将来どうなのかというのは、それぞれ、自治体とIR事業者が検討すべきものだというふうに思いまして、それは、成り立たないというのであれば手を挙げないだろうというふうにも思っております。

 いずれにしても、現状は、複数の自治体がIR事業者と対応しながら申請に向けた準備を進めているというのも事実でございますので、政府としては、その法律をつくって、そうしたことをしている以上、地方自治体からの申請に対して、明年になると思いますが、その審査をしっかりと行うということに尽きます。

渡辺(周)委員 いや、私は、これは政治判断の話をしているんですね。まさに、コロナのさなかにカジノかよという話ですよ。今おっしゃったように、きょう、あしたの話じゃないんですね、このカジノの話は。二〇二〇年代の半ばの話。であるならば、今、とにかく、このコロナからの脱却に人、物、金を集中させるべきだ。

 ここに、百人強の方がカジノ管理委員会で働いていらっしゃいまして、そして、そこには三十八億円の予算が今年度つけられているわけなんですね。三十八億円の予算、百人からのマンパワー、そして、今、その人たちが、二百を超える規則の、いろいろ、要は、カジノとは何たるやというルールをつくっているんですけれども、これがまさにどうしても今やらなければいけないことかといったら、まさに、経済情勢もこうなっている中で、アメリカのカジノが再開したとかいうことは別問題として、我が国がやはり成長戦略としてカジノを中心に置いてきた、だけれども、これはやはり今回を機に、アフターコロナの時代でもう見直すべきじゃないか、そして、今やるべきことは、ここに不要不急の勢力をつぎ込むことはないということで、ぜひ私は大臣に伺いたかったんです。

 そこで、もう一問だけ。この点で、菅官房長官が五月十三日の記者会見で、ラスベガス・サンズが撤退したことを受けてということで、こうコメントしています。現時点では基本的なスケジュールを変更する予定はありません。現時点ではということを言っているんですが。

 ぜひ、今申し上げたような趣旨でいいますと、カジノの事業については凍結をすべきだ。そして、よもやとは思いますけれども、投資を呼び戻すために、日本は世界で一番投資をしやすい国なんという言葉をかつて政権は使っておりましたけれども、まさかこのカジノの基準を緩めて、また投資をしてもらうように、思い返してもらえるように、投資基準を緩和しようなどということはないと思いますけれども、現時点では基本的なスケジュールを変更する予定はないというのは、現時点ということは、将来は変更することがあるということでよろしいですか。官房長官の会見について伺います。

菅国務大臣 会見当時と全く変わっておりません。

渡辺(周)委員 つまり、何度も言いますけれども、今カジノの事業を推進するということが本当に国民にとって必要なことか。とてもそうは思えない。その点について、ぜひ、この事業の執行を凍結して、カジノ対策をまさにコロナ対策にしていただきたいというふうに思うんです。

 もう一問官房長官に伺いますが、昨年の暮れに熊本県で、日本の五つ星ホテルが足りない、スイートルームがあるような高級ホテルを五十カ所ほど整備するんだということを、視察に訪れた熊本県の益城町というところでおっしゃられました。

 いろいろあのときも波紋を呼んだんですけれども、この期に及んでも、まだこうした五つ星ホテルの高級リゾートホテルを五十カ所整備するというようなお考えには変わりはないですか。

菅国務大臣 私は、政府の観光立国を推進する議員の中の座長をいたしております。日本のまさに観光振興を行う中で、当初、私ども政権発足前は八百数十万だったのを、三千百万まで外国人の観光客をふやすことができました。また、そういう中で、日本に欠けているのは、そうしたいわゆる高級ホテルですか、そうしたものをやはり日本につくる、誘致をする、まさにその仕組みをつくることが大事だと思っていまして、当時、発言をいたしました。

 それはまさに、財投資金などを通じて支援をするということでありまして、全体としてそうした環境をつくっていく、そうしたことは日本にとって私は必要だと今も思っています。

渡辺(周)委員 これは、コロナ前ならばそういう議論もできたと思います。しかし、今、このコロナのさなか戦って、コロナから私たちが何とか収束をさせた後の、コロナ後の社会の中において、先ほど川内委員の質問でお答えがありましたように、四月のホテル、旅館の稼働率は一七%という数字でした。今まさに、この非常な窮状に、厳しい中にいる方々に対して支援をすることの方が最優先であります。

 それは、財投資金を使おうが政策投資銀行だろうが、税金でもみんなそうですけれども、今助けてほしいという方々に対して、やはりそれを最優先にすべきであって、この五つ星のホテルの話というのは、これはもう将来の将来の話。まずは今、この日本の観光文化を支えてきた、まさに観光インフラであるホテル、旅館業界の方々の今の苦しみを救うことが最優先だと思いますが、長官ではなく、じゃ、総理、いかがですか。

 今、政策の最優先として、いや、政治論ですから、これはぜひ、カジノのことやこの五つ星ホテルの建設を優先するよりも、今現状の観光政策で、その観光インフラのベースになっている方々を何でも救うという、ぜひ総理、そういう考えはございますか、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 まさに今、観光業の方々、大変な打撃を受けております。また、各地域の観光業の方々、大変厳しい状況にある、その方々を救うことが最優先ではないか、それはまさにそのとおりだと我々は思います。

 そのために、持続化給付金等々、しっかりとスピード感を持ってお届けをしていきたい、こう思っております。また、しっかりと実質無利子無担保、五年返済据置きの融資もお届けをしていきたい。

 と同時に、将来に向かっては、ゴー・トゥー・キャンペーンもそうなんですが、そういう地域、観光が再び戻ってくるような施策をしていきたいと思います。その先に向かって、先ほど菅官房長官からもお話をさせていただきましたように、日本は魅力にあふれる国でありますから、その中で、いわば高級ホテルが少ない。高級ホテルはどういう意味があるかといえば、客単価が高いわけでありまして、当然これは生産性も高くなるわけでありまして、そこで働く日本の従業員の皆さんはより高い所得を得る可能性が出てくるわけでございます。

 そういう意味におきまして、そうした分野へもしっかりと日本は視野を広げていく必要があるんだろうという考え方のもとに官房長官もそういう話をしておられるんだろうな、こう思うわけでございます。

 まずは、現下の状況に大変困っておられる観光業の方々にしっかりと支援をしていく。その先には、ゴー・トゥー・キャンペーン等々で、本業で更に回復をしていただき、また更に飛躍するチャンスについても我々も考え続けていかなければいけない、このように考えております。

渡辺(周)委員 大変残念ですね。質問に対して期待したような答えじゃないんです。

 それは、コロナ前ならばそういう議論もできたと思いますが、今これから、このコロナとの、まさに総理が言う長い戦い、そして、その後のコロナ不況の長期化、拡大を、何とか我々、今防いで、何とか阻止をして、この後の新しいポストコロナの時代の中で考えなければいけない。

 残念ながら、この長い、長期の戦いの中で、廃業されたり倒産したりする方々が連日のように報道されています。私も見ていますけれども、老舗のホテルや旅館が残念ながら畳むようなことになった、こういう状況なんですね。

 だからこそ、我々は、このゴー・トゥー・キャンペーン、今お話ありました、ゴー・トゥー・キャンペーンについても持続化給付金にしても、政策に我々は、やることに反対しているんじゃないんです。やり方が間違っているから、そのことに対して我々は意見をし、問題を指摘しているからこそ、この持続化給付金も、第三者委員会という異例の形で見ていくということになったんですね。

 ここにあります、「「その手があったか」と言われるアイデアがある。「そこまでやるか」と言われる技術がある。「そんなことまで」と言われる企業家精神がある。」。その手があったか、そこまでやるか、そんなことまで、これは、株式会社電通のホームページを開くと一番最初に出てくるんですね。

 だから、今回、この電通をめぐるさまざまな、中抜きという、本来ならば、こんな委託をして、再委託をして、再々委託をして、それから外注もする、この手間暇をかけて、しかもコストをかけるんだったら、もっと早く、もっと広く、もっと多く、もっと正確に、必要とする人のところに届いたはずなんです。なぜこんな仕組みをつくったかということで、私たちはこの国会でも指摘をしてきたんです。

 このゴー・トゥー・キャンペーンもまさにそうでして、本来ならば、必要とされているところに直接行かなきゃいけない。それがまた今のままいきますと、同じような仕組みで中抜きをされて、本来必要とされる人のところに届かないでいる。そして、その時間の間に、先ほど申し上げたように、倒産をしたり、廃業したり、いろいろな形でその自身の事業を畳まなければ、諦めなければいけない人たちがいるということについて、ぜひ、この補正予算が成立をする、成立をして、その後執行をすることが何よりも大事です。

 正しく執行されるためにも、国会の会期は、やはり、先ほど言われたように、国会をとめるな、国会をとめてしまってはいけない。この成立した予算が正しく使われていることを、私たちは、行政府も立法府も一緒になって、立法府の我々が指摘をし続けてきたから、いろいろな問題が明るみに出ているわけでございます。

 ぜひその点について、総理、やはり会期延長について、国会がお決めになることだとおっしゃいましたけれども、国会を開くときは、官邸と与党とでいろいろと調整をして国会の初日はスタートするんです。閉会するときだけは、それは国会がお決めになることという理由などと言わないで、この緊急事態だからこそ国会を開き続けよう、国会をとめるなということをぜひ総理のリーダーシップで決断いただけませんでしょうか。与党に働きかけていただけませんか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 ここに私が立っておりますのは、行政府の長として、内閣総理大臣として立っているのはもう御承知のとおりでございまして、国会の会期は、両議院一致の議決で、これを延長することができるということでございまして、会期はまさに国会でお決めいただくことであると承知をしております。

 その上で、これまで実施をしてきたさまざまな施策については、担当省庁において引き続き適切な執行と丁寧な説明を徹底させていきたい、このように考えております。

 まずは、現在御審議をいただいている第二次補正予算について早期に御承認をいただいた上で、あらゆる手だてを講じて、各種の支援策を必要とされる方々のお手元に迅速に届けることで、雇用と事業活動、生活を守り抜いていく考えでございます。

渡辺(周)委員 ぜひ、国会を本当にとめるなと与党の国対委員長に指示をして、求められればどこでも出るとおっしゃったわけですから、ぜひ国会を開き続けていただきたい、そして、それこそが我々の責務だということを総理みずからぜひ指示をしていただきたいと思います。

 今回のいろいろな問題、持続化給付金と、この推進協議会のことでも、我々は何度となく与党に、参考人として、笠原さんという前代表理事の方、平川さんという実質の理事の方にお越しいただきたいとお願いをしましたけれども、御本人の意思ではなくて与党の都合で、参考人としては出ないということで、もう何度も拒否をされました。

 こうしたことの実態を解明して、特に、無駄があれば、その浮いた分を一番困っている人たちに届けるということで、ぜひ国会を開き続けて、我々も与野党協議の場やさまざまな議論の中で実現をしていきたい、そのためにも国会の会期延長をぜひこの場で強く求めたいと思います。

 さて、それで、時間もなくなってきましたので、一つ。

 きょう、裁判で、河井あんり参議院議員の公設秘書に対して論告求刑公判がございました。求刑をされたわけでございますけれども、この一連の河井夫妻のことにつきましては、我々も報道をつぶさに見ております。

 そこの感想は求めません。ただ、気になるのは、そこで、自由民主党からの一億五千万の公認料が、一部、日本テレビのニュース24というところが独材だといって流しておりましたけれども、自民党からのお金がこの違法な資金あるいは買収資金に使われたのではないかということで、自民党の関係者の方も任意で事情聴取を受けているということでございます。

 自民党総裁として、こうした一連の報道に対して、党内で調査をされましたか、あるいは、これから、この指摘されているようなことに対して何か調査の指示はしましたでしょうか。総裁としての総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 まずは、御指摘の事案については、現在捜査中の刑事事件に関する事柄でありまして、私からの答弁は差し控えさせていただきたい、このように思います。

 そして、党においては、自民党の政治活動、いわば政治資金を振り込んだということでございますが、政治活動について内閣総理大臣の立場でお答えすることは、これも差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、お尋ねでございますので、一般論として申し上げれば、政党本部から政党支部への政治資金の移転は何ら問題はないものと認識をしております。

 個別の事例については、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

渡辺(周)委員 いや、私が聞いたのは、総裁として、あるいは、総裁として指示をして、言われているような、自民党からのお金がそういうことに使われたかどうかということについて調査なりをされたかどうかということを聞いているんです。あるいは、する気はありますか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今、一般論として申し上げたところでございますが、いわば政党本部から政党支部への政治資金の移転は、何らこれは問題ないわけでございます。

 恐らく、今、委員は、その先でどのように使われたかということについてでございますが、その先でどのように使われたかということにつきましては、まさにこれは捜査中の刑事事件でございますので、それを、今捜査当局が調べているものに対して自民党がこれを調べるということは、これはできないわけでございますので、まずは捜査当局が捜査を行うということではないのか、このように考えているところでございます。

 自民党で私が、いわばこうしたものに対して、その先についてこれを調べろということについて、私は申し上げることはしていないということでございますし、いずれにいたしましても、そうした党務につきましては党の執行部に任せているということでございます。

渡辺(周)委員 総理、確認ですけれども、それは、その先のお金の使い方を捜査しているということで、自民党からのお金を捜査されている、そういうことではない、そのことをはっきりさせていただいていいですか。自民党からの、出たお金について今捜査中ということで御発言されたんですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 いや、そういうことではございません。

 いわば、河井さんにつきましては、まさにこれは事件の捜査中でございますから、これにつきましては全てお答えは差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。

 その中で、自民党で捜査せよということでございましたが、先ほど申し上げましたように、一般論として申し上げればということで、政党から政治資金を移動することについては、振り込むということについては、これは全く問題ないということを申し上げたわけでございまして、その先については、これは我々が何か調べるという立場にはないということを申し上げたところでございます。

渡辺(周)委員 ぜひこの捜査の行方をしっかりと見守りたいと思いますし、もし何かがあった場合は、仮定の話ではございますけれども、やはり任命責任、公認責任を国会の中でまた我々としても問いただすために、その際には、やはり国会で議論をしたいと思います。

 ちょっともう時間がなくなりました。一つ伺いたいのは、香港情勢について、外交の問題です。

 中国の報道副局長という方が言っておりますのは、趙立堅副報道局長、五月の二十九日に、習主席国賓来日に、日本側の良好な環境と雰囲気をつくり出すことを望むと、いわば前提をつけるような発言に加えて、中国の内政問題であり、いかなる外国も干渉する権利はないと言っています。

 この香港の問題は中国の内政問題というふうな御認識かどうか、伺いたいと思います。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 先般、全人代において、香港に関する議決が国際社会や香港市民が強く懸念する中でなされたこと及びそれに関連する香港の情勢を深く憂慮しております。

 香港は、我が国にとって緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーであり、一国二制度のもとに、従来の自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展していくことが重要であるというのが我が国の一貫した方針でございます。

 こうした我が国の強い立場については、中国側に直接申し入れ、適切な対応を求めるとともに、国際社会にも明確に発信をしています。引き続き、状況を注視するとともに、関係国と連携をしながら、適切に対応していく考えでございます。

渡辺(周)委員 総理はこれまでも、主張する外交、あるいは価値観をともにする外交、自由、民主主義、そして法の支配ということを訴えてこられました。まさに今、香港の問題をめぐって、国際社会はやはり中国に対して大変厳しい、批判的な目を向けています。

 そんな中で、コロナのこともあって国賓として来日が延期になった習近平国家主席、総理は、任期中に、あるいは近い将来、この国家主席を再び招請、招聘をする、国賓として我が国に招くというような考えにお変わりはありませんか。

安倍内閣総理大臣 まずは、新型コロナウイルスの状況を収束をさせるということが何よりも重要であります。

 その上で申し上げれば、全体の状況を見ながら日中間で意思疎通を続けていくこととなりますが、少なくとも今は、具体的な日程調整をする段階にはない、こう考えております。

渡辺(周)委員 全体的なというのは、国際世論等も踏まえて、あるいは国内の世論も、環境も踏まえてということですか。どういうことでその枕言葉をつけられたのか、総理、もう一回答弁ください。

安倍内閣総理大臣 中国との関係におきましてはさまざまな懸案が存在をしておりますが、引き続き、首脳会談や外相会談等のハイレベルの機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張し、懸案を一つ一つ解決をし、また中国側の前向きな対応を強く求めていくことが重要でありますが、この国賓訪問というのは日本にとっても大変重要なことでございますし、国際的にも大変注目をされていることであります。

 この国賓訪問を進める上において、日中両国はこの地域や世界に対してその責任を果たしていくという意思を表明する機会にしたいということを申し上げてきたところでございます。そうしたことも勘案をしながら総合的に判断をしていく必要があるんだろう、こう思うわけでございますが、具体的な日程調整をする段階ではないということは重ねて申し上げたいと思います。

渡辺(周)委員 ぜひこの点については毅然たる姿勢を示していくべきだと思います、中国に対して。

 もう時間がなくなりました。二問続けて質問します。

 一つは、地方創生交付金第二弾で、地方自治体の固定資産税の減免分、これは実はすごい要望が多いんです。固定資産税は、六月に、今、納税の通知書は来ていますけれども、これに対して払えないと。この分については、固定資産税を猶予する分、減免、先送りする分の、例えば一般財源の穴のあいたところを、これを地方創生交付金で埋められるかどうか。これは総務大臣ですか。

 それからもう一つは、PCR検査を、例えば、海外渡航する際に、ビジネスの解禁がいずれ出てきて、こういう問題がもう報道をされています。このビジネスによる渡航の際に、あるいは入国もそうですけれども、海外に出張するのでPCR検査をさせてくださいと言っても、今それはできません。このPCR検査の拡大について、どのようにして、順々、少しずつ少しずつ、ビジネスの渡航解禁に向けて用意をしていくのか、今その準備をしているのか。

 その点、二問、それぞれの大臣に伺いまして、私の質問を終わります。

高市国務大臣 地方創生臨時交付金は私の所管ではないので、所管の大臣から答えていただきますけれども、固定資産税、これは地方の基幹税でございまして、かなり減収するということから、減収補填債というものについて、一般市町村分は公的資金を極力確保するということで考えております。

 地方税の大幅減収にはしっかりと対応させていただきます。

北村国務大臣 地方創生臨時交付金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている住民や事業者に対する支援のために地方公共団体が実施する幅広い事業について活用いただくことが可能でございます。

 一方で、市町村が独自に固定資産税を減免した際の歳入の減収補填については、本交付金が地方公共団体が行う事業の実施に要する費用に対して充当するものであるという性質になじまず、第一次補正予算分の実施計画でも交付金の充当を認めた事例はございません。

 本交付金の使い方によっては新型コロナウイルスへの対応のためのさまざまな取組が可能であり、各自治体の知恵と工夫を凝らした取組が進むことを大いに期待しているところでございます。

 以上です。

菅国務大臣 コロナの感染拡大の防止と両立する形で、国際的な人の往来を部分的、段階的に再開していくことは重要であり、現在、我が国、感染状況を踏まえつつ、さまざまな国と意思疎通を図りながら検討を行っているというところであります。

 具体的な手続や時期については何ら決まっておりませんが、慎重に検討しているところです。

渡辺(周)委員 以上で終わります。

棚橋委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの後藤祐一でございます。

 一次補正、二次補正を通じたコロナ対策の主な予算をこちらのパネルにまとめてみました。

 今回の予備費の関係でも三つの分野が挙げられておりますので、簡単に紹介しますと、この雇用、生活関連で、雇用調整助成金、一次補正である程度積んだのですが、やはり足りなくなった。休業支援金、我々はもっと早くから、雇用調整助成金の対象にならないような、休業手当をもらえない方への休業支援が必要ではないかと言っていましたが、一次補正ではなく、ようやく今回積まれた。あるいは、持続化給付金も足りなくなって追加になっている。そして、我々も家賃については四月に法案を出しておりましたけれども、ようやくこの二次補正になって二兆円ついている。これも遅いんですね。

 全体として、今回の二次補正の中身、予備費を別とすれば、必要な予算であることは認めるんですが、全部一次補正に積んでおけばよかった予算なんですよ。特に、厚労大臣、お伺いしたいんですが、この中の、医療関係ですとか介護だとか福祉の関係だったら比較的自由に使える、都道府県に交付する緊急包括支援交付金、これは一次補正では千四百九十億円、二次補正で二・二兆足しているんです。全然足りなかったということなんですよ。

 実際、私の地元の厚木市では、PCRセンターをつくってドライブスルーでやっているんですけれども、見に行きました。今はそうじゃないかもしれませんけれども、当時、五月の頭ぐらいですけれども、これ、お金が出るかどうか微妙なんですよねという状態の中で、まず自分たちでお金出してやっているんですよ。一番大切なところじゃないですか。医療関係なんかに一番大事なこの緊急包括支援交付金、一次補正で千五百億、もっと、何で二兆余計に積めなかったんですか、厚労大臣。遅過ぎです。

加藤国務大臣 一次補正のときにも、今御指摘のあったPCR検査の場所をつくるとか、そうしたものに対する、メニューとしてはこの交付金の中に入れ込んでいたわけでありまして、当時の状況を踏まえながら必要な予算額を計上させていただいた。

 今回は、そうした医療関係に加えて、今度は福祉の関係も含めて、この間のいろいろな流れの中で、慰労金の支給をしたり、そういったことも含めて、またさらに、医療機関における経営環境、これも随分厳しさを増しておりますから、それを支援していく。そうしたさまざまな措置を設けて、今回、トータル、交付金としては二兆二千三百七十億円、これを計上させていただいたということであります。

後藤(祐)委員 何で素直に遅いとか少ないとか認めないんでしょうかね。ここら辺が、態度が変わっていないと思うんですけれども。

 このパネルで言えることが実は二つあって、もう見ればわかるように、大事な予算が遅かったということと、もう一つ大事なことは、そうはいっても、五千億とか一兆だとか、こういう予算については、ちゃんと補正予算で計上されているということなんですね。下に予備費がありますけれども、一次補正予算で一兆五千億の予備費、当初と合わせて二兆円の予備費があるんですが、こういった大きい額については、予備費を使わずに、ちゃんと二次補正予算で計上はしているんです。

 ちょっと調べました。過去、予備費を財源にして使った予算で一番大きい額だった予算項目って何ですか。主計局長、お答えいただけますか。

太田政府参考人 過去、予備費の使用について最も大きい金額といいますのは、平成二十二年度に経済危機対応・地域活性化予備費という予備費において使いました優良住宅取得支援事業に必要な経費ということで、二千二百三十五億円の使用決定、これが一番大きい額でございます。

後藤(祐)委員 委員のお手元には、配付資料に、上から五番目まであると思いますが、そうなんです。過去、予備費を財源にして一つの予算項目で使える最も多い額は、二千二百三十五億円なんです。今回も、休業支援金、こちらにありますね、五千四百四十二億円という、これ、大事なお金ですが、ちゃんと補正予算に計上しているんです。

 そうすると、この十二兆円も、もうちょっと使っていますけれども、たまっている予備費は一体何に使うんでしょうかといったときに、せめてこの五千億以上のお金は、一つ一つの予算項目という意味ですよ、ちゃんと三次補正を組んで、補正予算の中でやってくれと。二千二百三十五億円までは、物にももちろんよりますし、ちゃんと御相談いただきたいですけれども、場合によっては、過去の例からすると予備費でということもあるかもしれない。

 これは財務大臣に聞きたいと思いますが、これは通告しています。このあたりに上限があるんじゃないですか。何でもかんでも予備費で使えるというのではなくて、この二千二百三十五億円ぐらいまでは、もちろん中身によるし、御相談もいただきたいですが、まあ、あり得る。だけれども、この休業支援金五千四百四十二億円は、ちゃんと補正予算に計上しているんです。五千億円ぐらいから上は、やはり予備費で勝手に使うというわけにはいかないんじゃないですか。青天井ですか。それとも、やはり上限が何らかの形であるんですか、財務大臣。

麻生国務大臣 予備費につきましては、御存じのように、憲法八十七条というのを読まれたことは、お役人をしておられたので、おありだと思いますので、何と書いてあるかというのは御存じのとおりで、予見しがたい予算の不足に充てるため、また、国会の議決を得た金額の範囲内で使用できるとされておりますけれども、個別事業の使用制限限度額について定めがあるわけではありません。もう御存じのとおりですね。

 今般、提出をさせております第二次補正予算におきましても、これは、諸外国で制限を緩めた後、再び感染者が増加傾向に転じたという例がありますので、私どもとしては、そういった緊急事態というのを考えて、事態が急変するという可能性は排除できないんだと思っております。二次感染とか三次とかいろいろ、第二次とか、いろいろな表現をしていますけれども、スペイン風邪のときも、同じように翌年の方が死亡者がというような話がよくありますので。

 私どもは、補正予算の編成からその成立までには、これはある程度時間を要しますのは、今回の一次でも約一カ月少々かかっておりますので、そういったことを考えますと、事態の急変に対して臨機応変に対応するための万全の備えとして今回の予備費を計上させていただいておりますので。

 今回の予備費について、予算総則において、あらかじめ国会の議決をいただいた範囲内にその使途が限られているということになっておりますので、その扱いにつきましては、与野党の国対委員長の合意を踏まえて、昨日の財政演説で御説明をさせていただいたとおりです。

後藤(祐)委員 財務大臣、これ、通告しているんだから、すれ違いにしないでくださいよ。一つ一つの予算項目について言っているんですよ。第二波が来たら全体としてたくさん必要になる、それはそのとおりですよ。そのために予備費があることを私は否定していませんよ。ただ、一つ一つの予算項目で、例えば休業支援金とか、ここにあるような、例えば特別定額給付金を、一人五万円をもう一回やりますといったら六兆円かかるわけですよ。それはやり過ぎじゃないのということなんです。

 一つ一つの予算項目で、予備費でできるというのは二、三千億ぐらいが限界であって、例えば、一人五万円をもう一回配るから六兆円をぽんと予備費でやります、それは青天井過ぎるんじゃないんですか、一定の節度があるんじゃないんですかということを聞いているんです。

麻生国務大臣 御意見として伺いますけれども、法律違反でないということだけは御理解いただければと思います。正確には、憲法違反ではないということであります。(発言する者あり)

棚橋委員長 ちょっと御静粛に。

後藤(祐)委員 御意見として申し上げましたが、やはり財政民主主義というのは、こういうところが実質的に大事になってくると思うんですよね。やはり前例として、二千二百三十五億以上の、一つの予算項目では予備費から歳出したことはないんですから、そこは重く受けとめていただきたいというふうに思いますし、これは総理にお伺いしたいと思いますが、財政民主主義上、一人五万円をもう一回配って六兆円、これはさすがにだめですよ、補正予算を組まないと。

 ある一定の、青天井じゃなくて、額としての制約もあると思いますが、その決め方も大事だと思うんです。

 そこで、今回は、予備費使用については適時適切に国会に御報告というふうにされておりますけれども、適時適切にはいいんですが、御報告って何ですか。これは、予備費使用の際は閣議決定をすることになっていますが、閣議決定の前に、野党も含めた国会に相談する。相談の仕方はいろいろあると思う。本来は予算委員会で我々はやってほしいし、ほかのやり方、もしかしたら、今回議運でやったり、いろいろな形がある。そこは、もしかしたら、いろいろあるかもしれない。我々は予算委員会を要求したい。この予備費使用の閣議決定前に、事前に国会に相談するということで、総理、よろしいですか。

安倍内閣総理大臣 予備費は、予見しがたい予算の不足に充てるためのものであることから、その使用に当たって、個別事業の限度額をあらかじめ定めることは困難と考えております。

 また、今般、予備費の使途についての考え方を財務大臣より財政演説において御説明をさせていただいたところでありますが、その使用については適時適切に国会に御報告することとしているところでございまして、まさにこれに沿って適切に対応してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 国会に事前に御相談いただけないんですか、総理。

安倍内閣総理大臣 予備費は、そもそも予見しがたい予算の不足に充てるために措置をしておりまして、今後どのタイミングで使用することになるのかについても予見できないことや、あるいは、予備費の制度が、事前議決の例外として、内閣の責任でこれを支出し、事後に国会の承諾を得るとされていることも踏まえて、具体的な報告のあり方については今後よく御相談してまいりたい、このように考えております。

後藤(祐)委員 額は青天井、国会に事前相談することも約束しない。これじゃ財政民主主義の破綻じゃないですか、総理。予備費使い放題、白紙委任しろ。めちゃくちゃじゃないですか、それじゃ、予備費が。予備費の額が相当多いから、せめて使い方に関して丁寧にしようという姿勢がみじんも感じられない。国民に対してもう少し丁寧に財政民主主義を、先ほど憲法には違反していないとおっしゃいましたが、下手すると憲法違反ですよ、やり方によっては。ぜひそこは謙虚に、この予備費の使い方においては考えていただきたいと思います。

 続きまして、新型コロナウイルスの専門家会議の議事録の話に行きたいと思いますが、西村大臣、先ほど、専門家会議の第一回の会議において、発言者が特定されない形での議事概要を作成し公表するという方針が決まったという答弁がありましたけれども、この発言者が特定されない形で議事概要を作成、公表するという、第一回の専門家会議の議事概要の中にそのことは書いてあるんですか。

西村国務大臣 残念ながら書いてございません。

後藤(祐)委員 きょう何度も議論になっているこんな大事なことが議事概要に書いてないじゃないですか。発言者を特定しない形で議事概要を作成し公表すると、第一回の会議でそういう話があったんでしょう。そのことが第一回の議事概要に書いてない。一番大事なことを書いてないじゃないですか。隠蔽じゃないですか、西村大臣。

 もう一つ行きます。

 こちら、PCR検査、対象をどの程度広げるかというのが、これはずっと議論になってきております。いろいろな意見があると思います。必ずしも拡大すべきでないという意見もあると思う。

 これについて、少なくとも公表されている専門家会議、実は、専門家会議は、第一回から直近では五月二十九日の第十五回まで開催されているにもかかわらず、三月九日の第六回までしか議事概要を公表されていないんですよ。

 それ自体も大変問題だと思いますが、少なくとも第一回から第六回までの議事概要の中で、PCR検査の対象を余り広げるべきでない、あるいは広げるべきだという意見として、私が拾った限りでは、ここに書いてあるような、この第一回、二月十六日ですね、重症で原因が不明なときにPCRを回すのが妥当ではないか。これは、どちらかというと余り広げるべきでないという意見だと思います。キャパシティーの観点から、検査は何を目的とするのか明確にすべき。これも、いたずらに広げるべきではないんじゃないかという慎重な意見ではないかと思います。三つ目はちょっと長いので読みませんが、比較的慎重な姿勢がこの三つで、私が見る限り、いや、もっと拡大すべきじゃないかという意見は議事概要上は見当たらないんですが、実際の会議ではどうだったんですか、西村大臣。

加藤国務大臣 議事概要の中で、多分読まれておられるので、ちょっとダブってもあれですけれども、基本的に、PCRについて、全ての人にPCR検査することはこのウイルス対策として有効ではない、また、産官学が懸命に努力しているが、設備や人員の制約のため全ての人にPCR検査をすることができないということが、二月二十四日の専門家の会議の提言でなされております。

 また、会議当日、これは二月二十四日ですけれども、議論においては、全国の地方衛生研究所における検査のキャパシティーについては、全国的にはまだ余裕があるものの、一部地域では検査が追いついていない状況であるという状況認識が示され、今後の検査体制の検討に当たっては、保健所を所管する自治体の負担も考慮していく必要があるといった意見が出たと承知をしております。

 急激な感染拡大に備え、限られたPCR資源、検査、これをどう振り分けていくのか、こうしたことについて御提言をいただいたというふうに認識をしております。

 その後でありますけれども……(後藤(祐)委員「専門家会議で意見があったかどうかを聞いています」と呼ぶ)いや、ですから、そういった意見があって、それが提言になっているわけですから。

 そして、一方で、四月二十二日の提言には、逆に、帰国者・接触者相談センターの人手不足、帰国者・接触者外来の体制が十分確保されていない、検体採取を行う人員、PCR検査を実施する人員が不足しているという具体的な課題が浮き彫りになった中で、それを踏まえた具体的な対応策として、保健所の負担を縮小化できるよう、帰国者・接触者相談センターの業務のさらなる外注や委託の推進、地域医師会と連携した地域外来・検査センター等の設置など、地域の実情に応じた外来診療体制の増強等を図るべきという提言もいただいているわけでありますから、まさに、こうした提言を踏まえて検査体制の充実を図るべきとされていて……(後藤(祐)委員「専門家委員会で意見が出ていないんですかと聞いています」と呼ぶ)いや、ですから、済みません、そういった提言がなされているということであります。

棚橋委員長 一度ちょっと、まず、大臣、御着席ください。

後藤(祐)委員 全く答弁していないんですよ。提言書は公表されているから読んでいますよ。提言書じゃなくて、専門家会議の中でPCR検査の対象を拡大すべきではないかという方向の積極派の意見はなかったんですかと聞いているんです。今のは、まとまった文書で世の中に公表されたものを読んでいるだけじゃないですか。今問題となっているのは、専門家会議の中でどういう意見があったのかを聞いているんです。

 拡大すべきだという方向の意見はなかったんですか、厚労大臣。

加藤国務大臣 ですから、今の四月については、今議事概要が出ていないということでありますから、提言等についての中身を申し上げさせていただいたということであります。

後藤(祐)委員 何カ月も一番注目されてきたPCR検査の対象を拡大すべきかそうでないのかという議論について、専門家会議でどういう議論があったのかわからないじゃないですか。議事概要でもわからないじゃないですか。結果としての文書だけ公表しています、じゃないですか。だから、議事概要じゃだめってことじゃないですか、これ。

 西村大臣、先ほど辻元委員も言っていましたけれども、この速記録があるわけですから、速記録の中には、発言者名だとか、発言内容から発言者が特定されるものだとか、あるいは、地域の名前、職種、いろいろな属性、個人情報、確かに出せないものがあるのは理解します。それらを黒塗りにして、この国会に出せますか。

西村国務大臣 まず、先ほどの一回目の議事概要なんですけれども、私も、自由に率直に発言してもらうために発言者名は特定せずに概要を残しますということをなぜ記録していないのかということを事務方にも確認したんですけれども、事務的な会議の進め方として話をしたということでそこは載せなかったということで、これは大事な点を書いていなかったということで、私は大きなミスだったというふうに思っております。

 そして、その上で、今の黒塗りにしてできないかというお話ですけれども、二つのことがあります。特定の地名とか特定の業種とか属性とか、これは当然、個人、プライバシーのことにかかわりますし、また、風評被害も呼ぶことになります。それから、発言者名も、仮に黒塗りにしたとしても、それぞれの専門性から、その発言内容がどなたが言ったかというのがある程度推定されます。

 したがって、先ほど長官の答弁もありましたけれども、それぞれの専門家の皆さんが自由に率直に言われている中で、そして、いろいろな、これは個人攻撃も含めてさまざまなリスクを負われている中で、今回、お一人お一人に確認をしまして、やはり今回のこれまでの会議については今までどおりにしてほしいというのが会の総意であるということで認識をしております。

 ただ、今後は、さまざまな御議論もございましたので、会の中でも委員の中からも御指摘もありましたので、今後については、発言者を特定して議事概要を残すということにしたいというところでございます。

後藤(祐)委員 事務的なことが大事なんですよ。大事な点が書いてなかった、それはミスだった、今お認めになりました。

 ほかに大事なこと、どこが議事概要から落ちているか、我々はチェックしようがないじゃないですか。だから、速記録の黒塗りというよりは、逐語的な議事録を出すべきなんですよ。もう議事概要から大事なことが抜けていたことは明らかになっちゃったわけですから、大臣、黒塗りの速記録、あるいは逐語的な議事録、出してください、国会に。

西村国務大臣 繰り返しになりますけれども、一回目の、会議の進め方について事務方が説明した、そのことについて記録に残していなかったことは、これは私は大きなミスだということで、申しわけないと思っております。

 ただ、議論の内容、それぞれの発言された方の内容等につきましては、これは毎回毎回、議事概要を出す前に、お一人お一人、全員に確認をして、論点の漏れがないか、あるいは趣旨が違っていないか、こういったことを確認して、その内容はしっかりと記録を残しているところでありますし、公表させていただいております。

 ちなみに、ガイドラインに従って三カ月以内に公表するということになっておりますので、現場での対応をやりながら記録もしっかりと残して、そのルールに従って公表させていただいたところであります。

 そして、繰り返しになりますけれども、速記録については、専門家の皆さんお一人お一人に確認をさせていただきました。やはり、黒塗りであっても、それは特定をされて、さまざまな個人攻撃、場合によっては訴訟のリスクも含めていろいろなリスクがあるということの中で、今回、それはしない、自由に率直に発言してくださいということで御発言をいただいてきておりますので、これまでの会議についてはそのような整理をさせていただきたい。

 ただ、今後については、しっかりとお名前と、特定する形で残していくということにしたいと思っております。

後藤(祐)委員 もう議事概要の信頼が失われてしまった以上、西村大臣、黒塗りでいいですから、速記録、あるいは、そこをうまく工夫して逐語的にした議事録、どちらかをこの委員会に提出していただくよう要求します。

 委員長、お取り計らいを願います。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

後藤(祐)委員 次に、検察庁法、黒川前検事長問題に行きたいと思います。

 まず、先ほど、辻元委員のときに、退職金が六月二十一日までに支払われるという話がございましたが、皆さん、森友のころを思い出してください。森友問題でよくこの場に来ていた佐川元理財局長は、一旦、在職中に、国会審議を混乱させた責任をとって、減給二〇%三カ月という懲戒処分たる減給処分を受けて、その後、やめた後、更に処分を受けているんです。やめた後は、懲戒処分を、形式的な懲戒処分はできませんので、停職三カ月の懲戒処分に相当すると認められるとされて、この停職三カ月分に該当する退職金の一部を自主返納されています。

 財務大臣、聞くので聞いていてくださいね。今のが佐川元理財局長ですね。

 もう一人、セクハラ問題で辞職された福田財務次官がおられました。福田財務次官も、辞職された後、このセクハラ行為というのが認定されて、退職後に同じように、形式的には懲戒処分ではないけれども、減給二〇%六カ月相当の処分を受けて、この相当額を退職金から差っ引かれて、自主返納しています。

 細かい事実関係はいいですから、財務大臣、今の、数字は細かくは聞きません、この佐川元理財局長と福田元財務次官は、退職後に、形式的な懲戒処分ではないけれども、それ相当の処分とされて、退職金の一部を自主返納しているということでよろしいですか、財務大臣。

麻生国務大臣 基本的に、手短に申し上げたらそのとおりです。(発言する者あり)

棚橋委員長 再答弁を求めますか。

麻生国務大臣 では、もう一回。

 手短に申し上げたらそのとおりだと申し上げたんですが、確認できた範囲ですけれども、財務省において、退職後に新たな事実が発覚したものでは必ずしもありませんけれども、調査結果や懲戒処分等が出る前に職員が辞職し、その際、その後の調査結果に従うとの了解を職員から得た上で調査の結果、懲戒処分相当との判断を受けて職員が退職手当の受取を一部放棄した、返納した等々のケースは、今お名前が挙がっておりました福田前次官と佐川元長官の二例であります。

後藤(祐)委員 自主返納できるんですよ。形式的な懲戒処分はできないけれども、それ相当の処分ということで自主返納させることはできるんですよ。森大臣、知っていましたか。

 やめた後にいろいろなことが発覚します。例えば、この前、自衛隊職員がかけマージャンをやって懲戒処分になっている事例が、大臣は知りませんでしたよね。

 きょうは、もう一つ聞きたいと思います。

 海上保安庁の巡視船「せっつ」の船長が、三宅島噴火災害で警戒中にかけマージャンをやって、停職処分になっています。船長がかけマージャンをやったら、船に乗っている方々は、ああ、やっていいんだなと思いますよね。黒川検事長がかけマージャンをやったんだったら、まあ、やってもいいのかと思うし、それは国民も思ってしまいますよね。これは結構参考にすべき事例じゃないですか。

 森大臣、この海上保安庁の巡視船「せっつ」船長がかけマージャンをして停職処分になっていたこと、そしてこれは参考にすべきだと思いますが、このことについて御存じだったですか。参考にしましたか。

森国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の事例については参考としなかったと伺っております。

 黒川氏の処分を決めるに当たっては、法務省の事務方において他省庁の過去例を確認しましたが、具体的には、平成二十四年度以降の金銭をかけたマージャンに対する他省庁の過去例があるかを調べ、平成十三年の事例については調査しなかったと聞いております。

 なお、御指摘の事例については、当該船長は、金銭をかけたマージャンを行ったことのみならず、航海中、酒に酔って同僚に暴行した航海士の監督責任も問われて停職処分とされ、一方、当該船長とともにマージャンを行ったとされる四名の者はいずれも訓告とされていること、金銭をかけたマージャンが行われたのは航海中であったこと、当該船長らが行ったとされるマージャンにおける賭場の性格、規模、かけ金額の多寡や、その者の役割等も判然としないことなどから、直ちに黒川氏の事案と類似性があるとは認められず、参考にしなかったことが適当ではなかったとは考えておりません。

後藤(祐)委員 これを参考にしないで決めるようでは、一体何を調べているんですか。

 よく調べ直して、財務省のさっきの二つの事例のように、退職後に退職金の中から懲戒処分相当の処分をして一部でも自主返納してもらうべきじゃないですか、大臣。あと一週間ありますから。よくやってくださいよ、そこは。それによって国民の信頼が少しは回復できるかもしれないんです。

 さて、法務・検察行政刷新会議というものが設置されるそうですが、これは、国民から検察に対して信頼が失われた、検察・法務行政への国民の信頼回復ということが目的だそうですが、森大臣、検察・法務行政に国民の信頼を失った理由は何ですか。

森国務大臣 黒川氏が緊急事態宣言下においてかけマージャンを行ったこと、また、この間のさまざまな国民の皆様の御指摘を踏まえて、法務・検察行政刷新会議を立ち上げるものでございます。

後藤(祐)委員 ここに主に四つ、国民からの指摘、批判を挙げてみました。

 黒川氏の勤務延長を解釈変更して強引にやっちゃったということ、これは森大臣は議題にする考えはありませんと言っています。検察庁法改正案で、これを後づけで法律で可能にしてしまうこと、これも議題にする考えはありませんと森大臣は言っています。かけマージャンは、これは問題だということで、綱紀の保持は検討項目に含みたいと言っています。最後、黒川氏の処分についても、議題にする考えはありませんと言っています。

 これは四つとも、国民から指摘されて批判されて、信頼を失っている理由そのものじゃないですか。何でこの三つ、議題にしないと決めちゃうんですか。これから法曹経験者の方も含めてこの行政刷新会議を開くわけですが、何を議題にするかについて、この刷新会議のメンバーの方々の御意見を聞いた上でこれらの議題を加えるべきだと思いますが、いかがですか。

森国務大臣 黒川氏が緊急事態宣言下にかけマージャンを行ったことについては、まことにゆゆしき事態であり、不適切であり、大変遺憾に思っております。そのため、調査を終えて、監督上の措置として最も重い訓告を処分といたしました。

 ただし、人事も処分も、既に終えたものをやり直すことは考えておりません。また、行政プロセスは、法令等にのっとり適法になされております。

 ただ、この間の国民の皆様からの御指摘を踏まえて、どうしたらよりわかりやすくお示しして国民の皆様に御理解をいただけるか等の点に重点を置きながら、法務・検察行政の今後のあるべき姿を有識者の皆様に御議論いただく場にしていきたいと思っております。もちろん、そのメンバーの皆様方の御意見も聞きながら、検察の綱紀の保持、法務行政や刑事手続のあり方等について、国民の皆様にもわかりやすい形で議論していく場にしてまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 黒川氏の勤務延長、検察庁法改正案、黒川氏の処分について、このメンバーからこれを議題にするかどうか聞かないんですか、大臣。無視するんですか。(発言する者あり)

棚橋委員長 ちょっとお静かにお願いします。(発言する者あり)不適切な発言だと思いますよ、今のは、本多委員。

森国務大臣 今申し上げたとおりでございまして、人事上の処分等について、既に終えたものをやり直すということは考えておりませんが、この間の国民の皆様方の御指摘を踏まえて、法務・検察行政の信頼を取り戻すために、必要な事柄をメンバーの皆様方の御意見も踏まえて議題としてまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 総理、最後に聞きますけれども、岸田政調会長も、この件に関して、わかりやすく説明しないと政府への厳しい視線は今後も続くと言っているんですよ。更に言うと、これは総理に対しての言葉だと思いますが、無理な解釈変更をして黒川氏の勤務延長をしたことについては、朕は国家であるという言葉をほうふつさせるような姿勢だと、安倍総理の国会答弁を対象にしてこういうふうに言われているんですよ。

 いろいろな御見解はあると思いますが、少なくとも、黒川氏の勤務延長、検察庁法改正案、黒川氏の処分も含めてこの行政刷新会議で議論していただいて、場合によっては検察庁法の内容を出し直すですとか、少し国民の方を向いて考え直すべきではありませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 黒川氏の処分については、法務省において必要な調査を行った上で、法務省及び検事総長において、事案の内容等……(発言する者あり)

棚橋委員長 お静かに。

安倍内閣総理大臣 諸般の事情を総合的に考慮して訓告が相当であると判断し、適正に処分したものと認識をしております。

 また、勤務延長については、先ほど大臣からも答弁させていただいたように、適正なプロセスにのっとって行われた、このように認識しております。

後藤(祐)委員 これじゃ、刷新会議、やる意味ないですね。

 まず大臣を刷新することをお勧めして、終わります。

棚橋委員長 この際、岡本充功君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡本充功君。

岡本(充)委員 それでは、早速質問に入ります。

 まず、アビガンのことについてお尋ねしたいです。

 新型コロナウイルスの治療薬として国民の皆さんに大変期待をされたアビガンでありますが、それがインフルエンザに対してどういう効果があったのか、これからまず検証したいと思います。

 私の手元にはアビガンの添付文書があります。これは、承認された医薬品ならどういう医薬品にもある、医師が処方するときに参考にする資料であります。この資料の中に、アビガンの効果について、表が載っています。

 アビガンは大変不思議な薬なんですけれども、臨床の効果はどういうものがあったのか検証すると、なぜかわからないけれども、唯一効果があったのが一日二回飲んだときに効果はあったけれども、三回飲んだ、血中濃度が上がると効果がない。普通はなかなかないんですよ。薬は、濃度が上がっていって効果が出るけれども、副作用が強くなるから余りたくさんは飲めない、こうなるのが普通なんですが、この薬は、一日二回だと効果があるけれども、三回になったら効果がなくなる。極めて不思議な検査結果が出ています。

 さて、その検査結果とともに示されているこの図、お手元にありますけれども、厚労大臣で結構です、この図、ちょっと、説明と書いてあることがおかしいですね。

加藤国務大臣 いや、具体的に何がおかしいのかという指摘をいただければと思うんですが。

岡本(充)委員 縦軸がエスティメーテッド・サバイバル・プロバビリティーと書いているのに、なぜか図の説明は、インフルエンザ主要症状罹病期間、こう書いています。縦の、これは死んでいっちゃう話ですよ。これは、死ぬかどうかを見ていない、ただ単に、罹病期間だけ見ているんです。これは書いてある説明が違いますよね。

加藤国務大臣 推定生存可能性というんでしょうかね……(岡本(充)委員「生存曲線ですよ」と呼ぶ)いや、この縦軸ですね。(岡本(充)委員「主要症状だけを見ているんです。これは死亡率を見ていませんよ、横軸」と呼ぶ)いや、ですから、その主要症状でどのぐらい、このBIDとプラセボですね、赤がプラセボですから、飲んでいない場合。それから、BIDというのは一、二回、KM―TID、この緑ですか、これが三回ですかね、一日に飲んでいる場合のそれぞれの状況を示しているというふうに承知をしております。

岡本(充)委員 これはもう大臣はわかっていないんですよ。

 説明しますよ。これは、縦軸は生存曲線ですから、下に下がっていくと、本当は死んでいく。これは死んでいくものを見ているわけじゃないんです。死亡例を見ているのではなくて、主要症状が一体どのくらい続いたかというのを見ているので、これは症状が縦軸じゃなきゃおかしいんですよ。おかしいでしょう。おかしくないですか、この図で。それもわからないんですよ、結局。

 私は、はっきり言っておきますけれども、アビガンのそもそものこの添付文書の中身がおかしいということを指摘をしているのに、それについてちゃんとレクをしていないのはどうかと思いますが、まあ、続けていきましょう、わからないんなら。

 総理、このアビガン、本当にインフルエンザで効果があったのかということについて。

 今お話をしたように、たった唯一の効果が二回飲んだときに効果があって、三回飲んだらメリケン粉を飲んでいるのと変わらなかった。こういう薬を、インフルエンザの薬として、今回、特例的に承認した。

 そして、厚生労働省が、審査をするPMDAでもはっきりと書かれているんです。何と書かれているかというと、この薬はいわゆるタミフルと比べて劣っていることを確認したということが書かれている。この審査に基づいて、これが、審査したのは平成二十六年一月二十三日、そして、平成二十六年三月四日にこれは承認をされている。

 この過程において、私は問題だと思っているのは、こうやって劣っているということが書かれていながら、なぜか承認をされて備蓄をされている。

 厚労大臣に問います。一体、今、備蓄をするのに幾ら使って、このアビガン、インフルエンザ向けに備蓄されていますか。

棚橋委員長 失礼ですが、通告は。(岡本(充)委員「している」と呼ぶ)はい。

 答弁できますか。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 岡本充功君。

岡本(充)委員 これはちゃんと通告しているんですから答えてください。

 じゃ、この薬、それを踏まえて、今回、新型インフルエンザで承認をされるに当たって、二〇一七年三月二十七日、厚生科学審議会感染症部会で、この薬を備蓄をしていくことについて、それでいいかという問いを立てる中で、ある委員が食らいつきます。これは実際、本当に必要なのか。特に、耐性ウイルスが出てくることに対して懸念を示す厚生労働省に対して、耐性ウイルスは出にくいですと。したがって、耐性ウイルスに対して備蓄するということは本当に必要なのでしょうかということについて、このとき、バイオテロがあるかもしれないから備蓄をするということを突然言い出すんです。

 バイオテロがあるということであれば、世界のほかの国も備蓄していてもいいとは思うんですけれども、この薬、世界のほかの国では備蓄をされていません。そのような状況の中で、私は、なぜこの薬が備蓄をされることに至ったのかということを聞いてきたわけであります。

 そこで、総理に伺いたいわけでありますけれども、このアビガン、総理は、こうした経緯で新型インフルエンザに承認され、しかも、流通をしないことを前提に、つまり、承認はするけれども、処方してお医者さんが自由に患者さんにお渡しすることはできない、使うことができない薬だということを御承知で、五月四日にアビガンの早期承認を目指したいという発言をされたのかどうか、総理に問いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 新型インフルエンザの薬としては薬事承認されているということは承知をしております。今、その中でどういう経緯があったということ等について、私は承知はしておりません。

 その上において、アビガンについて、いわば幾つかの病院で、新型コロナウイルス感染症の患者さんに処方したところ効果があったのではないか、そういう報告が幾つかなされてきたところでありますから、その中で、観察研究等々を行うことについて厚労省において検討がなされた、こういうことではないか、こう思います。

岡本(充)委員 その中で、総理、こうおっしゃっているんですよ。今月中の承認を目指したい、ここまでは効果があればという前提です。そこは、まあ、そうでしょう、効果があれば。ただ、その時点では、企業の臨床治験は六月三十日までの予定で走っていましたから、五月中に企業の臨床治験が終わるというめどはなかった中での発言であります。その中で、総理は更にこうも言われるんですね。一般の企業治験とは違う形での承認の道もあるわけで、恐らくそちらの道になるのではないかと言われています。

 このとき想定された企業治験とは違う形の承認の道とは一体、総理、どういうものを念頭にこの御発言をされたんでしょうか。

棚橋委員長 厚生労働大臣加藤勝信君。

 その後、総理から総括していただきます。

加藤国務大臣 済みません。その前に、先ほどの薬の備蓄でありますけれども、これは一次の補正予算でありますけれども、一億六千四百万錠について百三十九・四億円で計上させていただいております。一次補正ですよ。(岡本(充)委員「それは新型インフルエンザじゃなくて、コロナでしょう」と呼ぶ)新型コロナとしてということで。

 それから、今のお話でありますけれども、当時、アビガンについては、今もそうですが、観察研究、臨床研究、企業治験が進められてきているわけでありますから、そうした研究の進捗状況を踏まえながら、私どもも、有効性が確認されれば、その段階でできる限り早期の承認手続に入っていくということで対応させていただいた、そういう姿勢を国会でも説明させていただいたということです。

安倍内閣総理大臣 我が国で開発をされたアビガンについては、新型コロナウイルス感染症の治療薬として観察研究、そして先ほど厚労大臣が述べさせていただいたように、観察研究、臨床研究、そして企業治験が進められており、これまで、これらの研究の結果により有効性が確認されれば、迅速に薬事承認を行うという方針をお示しをしているところでございます。

岡本(充)委員 厚労大臣に言っておきます。それは新型コロナで、私が言ったのは、新型インフルとして幾ら備蓄しているのかと聞いているんです、新型インフル対策としてどれだけ備蓄しているのか。新型コロナは一次補正なのは知っています。

 総理、今の発言の中で、総理がこのとき言っていた道、違う道もあるのではないかと明確に言っているんです。その道というのは、どういう道なんですか。

 つまり、このときにはそんな特例はなくて、このときにあったのは、きちっとした治験の結果を踏まえて承認申請というのがこのときの道ですよ。ところが、総理はこのときに、そんな道が私はあったのかなと思うんですけれども、どういう道があったんですか。

 観察研究では承認申請にはならないですよ。臨床研究では承認申請にならないですよ。治験を経て承認申請なんですよ。それがこのときの道ですよ。ほかの道はなかったでしょう。

加藤国務大臣 その道という意味があれですけれども、これはいずれにしても、当時、観察研究と並行して臨床研究もなされ、また企業治験も進められてきたわけでありますから、こうした研究の中で有効性が見えてくれば、それを踏まえて、これはもちろん、当然、企業側から申請がなければなりませんけれども、それを踏まえて企業側から申請がなされれば、私どもはそれに対して迅速な薬事承認の手続に入っていく、こういうことを申し上げていたわけであります。

安倍内閣総理大臣 いわば企業治験ということでこれを進めているところでございますが、例えば米国のレムデシビルについては、米国と日本で共同治験等々行ってまいりましたが、米国でこれは承認をされたことによって、日本で治験を最終的に終えているわけではございませんが、これは特例承認という形でしているわけでございまして、委員がおっしゃるように、日本だけの治験が終わらなければこれは承認がなされないというわけではないわけであります。

 私が申し上げたのは、先ほど申し上げましたように、観察研究と臨床研究、そして企業治験を進めておりました。この中で、中間解析において明らかな効果が認められた場合はこれは薬事承認されるというのが厚労省の見解でございましたので、それをお話をさせていただいたということでございます。

岡本(充)委員 いや、総理、それは、レムデシビルは、海外で、日本と同じ程度の医療が見込まれる海外で有効性が確認されたものは、それは法律のたてつけ上、特例承認ができるんです。

 だから、EUA、アメリカのFDAが緊急承認で認めたこのレムデシビルは、日本に入ってきて承認をされました。この道は、アビガンには使えないんです。なぜかといったら、海外で使われていないから。だから、総理が言っている道は、このときはなかったはずですと言っている。

 なかったんでしょう。あるんですか。このときにあったんですか、総理。

安倍内閣総理大臣 これは私が言ったのではなくて、厚労省として、今申し上げましたように、観察研究、臨床研究、そして企業治験が進められている中において、中間解析において成果が認められる中においてはこれは薬事承認が可能であるという考え方を示されたものでございまして、これを私が御紹介をさせていただいたところでございます。

 これ以上私に聞かれてもお答えをしようがないわけでありますから、これは厚労省の担当者を呼んでいただければ、より詳しい、専門的な御説明がなされるのではないかと思います。

岡本(充)委員 もう先ほどから繰り返しの話になっていますから結構なんですけれども、結局、このときに道はないんですよ、この時点では残念ながら。だって、それは、企業の治験は終わらないんですから。企業の治験が終わらない中で、企業治験の道での、従来の承認ではない、じゃ、何があるのかといったら、五月十二日にこの通知を出してきたんじゃないんですか、なかったから。なかったから、この通知を五月十二日に出して、医薬品、医療機器、これは、これまでになかったこの、皆さんから見て左側になるのかな、下の方に線を引いていますけれども、一定の有効性、安全性って、これは何ですか。一定の有効性、安全性って。

 これは先ほどのアビガンの話、インフルエンザのときもそうですよ。本当に有効性、安全性があるなら世界各国で認められるけれども、残念ながら世界各国で認められない。なぜかというと、皆さんにもわかりやすく言えば、一日に二回飲めば効果があるけれども、三回飲んだら効果がなくなっちゃう薬、なかなか考えにくい、そういう薬であるということを先ほどのデータは示していますけれども、こういった一定のとか、それから、曖昧な言葉で薬事承認をしていくのはまずいんじゃないか。やはり、薬害の歴史を考えた場合には、きちっと評価をしていくべきではないか。確かに緊急事態ですよ。しかし、こうしたいわゆる曖昧な行政がこの国の薬事行政を揺るがすのではないかという強い懸念を持っているわけです。

 ここで問うわけでありますけれども、では厚労大臣で結構です、ここで言うところの一定のというのは、明確な基準はないですね。

加藤国務大臣 委員御承知のように、薬事承認の前提というのは安全性と有効性ということでありますから、それを、これまで一般的には企業治験のデータをもとに行われてきたわけでありますけれども、その道しかないとか決めつけられているわけではなく、ただ、これまではそうやってなされてきたということでありまして、アビガンについては、先ほど申し上げたように、観察研究、臨床研究、企業治験が進められてきておりますから、そうした中で、今申し上げた安全性に加えて有効性も確認されれば、そうしたことで企業から申請がなされてくれば、我々としては、それについて薬事承認に向けての手続を行っていくということをさんざん申し上げさせていただきました。

 それから、今の御指摘の一定の有効性ということでありますけれども、一般論になりますが、試験における主要評価項目で有意差の有無は重要な判断基準となるが、試験デザイン、疾病又は医薬品の特性等に基づき、これは個別に判断するものであるということであります。

岡本(充)委員 私、気になるのは、これは今お話しになったように、有効性について、統計的な有意差がなくてもいいよと言っているわけなんですよ。

 もう一つ気になることがあって、人工呼吸器、医療機器も同様に、この枠組みで認められることになりました。

 この直前の五月八日、安倍総理はトランプ大統領とお話をされているようです。この中で、報道によりますとですけれども、人工呼吸器の買い付けについてトランプ大統領と話題になり、日本が逼迫するというような状況になればということなのかもしれませんけれども、購入することについて合意した、こういう報道がありますが、これは事実ですか。

安倍内閣総理大臣 米国との間では、先般の日米首脳電話会談の際にも、新型コロナウイルス感染症への対処において緊密に連携していくことで一致をしています。

 首脳間のやりとりについては、外交上のやりとりであり、差し控えさせていただきますが、いずれにせよ、政府として、人工呼吸器の確保については、万全の対応ができるよう取り組んでいく考えでございます。

岡本(充)委員 GMは、ベンテック・ライフ・システムというところと、もう既に日本で人工呼吸器を販売していると聞いています。そういう中で、もちろん実績があるんでしょうけれども、新たに開発をして、同様にアメリカでEUAを取得をした人工呼吸器があるという話も伺いました。

 こうしたものの輸入手続若しくは承認において、今回のこの通知で承認をすることがスキーム上可能だということでよろしいですね、厚労大臣。

加藤国務大臣 ちょっと委員、いろいろなことを言われたんですけれども、特例承認とは別という話でよろしいですね。(岡本(充)委員「特例承認とは別。この枠組み」と呼ぶ)別ということですね。もちろん、その枠ということもありますけれども、ただ、委員御承知のように、例えば、これまでも、人工呼吸器について、申請から承認まで四日、五日、あるいは二十三日で、それぞれ申請されている事例があります。

岡本(充)委員 つまり、何が言いたいかというと、だから、これはもうすぐにでも買える状況にあるんです、今お話にあったように、四日、五日という話。

 そこで、聞きます。

 今回の予算で、予備費もあります、こういったトランプ大統領が買ってくれと要望する人工呼吸器を買う、そういった費目はこの予算の中に入っているんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 予算の中身については厚労大臣がお答えをさせていただきますが、トランプ大統領から我々は求められて購入を約束したという事実はないということは申し上げておきたいと思います。

加藤国務大臣 これまでも、重症者の治療に必要とする人工呼吸器、人工肺のさらなる整備に取り組むとして、既に一次補正予算においても医療機関が人工呼吸器を購入する場合の補助等々が盛り込まれているわけでありますから、当然、医療機関から、どれがというのは別ですよ、それぞれ人工呼吸器等についての購入ということがあれば、これは地方公共団体を通じてということになりますけれども、例の交付金等で対応することは可能だということであります。

岡本(充)委員 私が聞きたいのは、国が直接買うことはこの予算上認められているかということを聞いているんです。

加藤国務大臣 委員のおっしゃっていることと直接当たるかどうかはあれですけれども、例えば人工呼吸器等の輸入、製造、これは我々いろいろお願いしております。ただ、残念ながら売れ残った場合どうするかという場合、それに対して買取り保証という仕組みが盛り込まれております。これまでの予算でもありました。

 したがって、当該、例えば輸入をされたけれども結果的に売れ残った場合には国が買い取るということは、今のスキーム上もあり得るということであります。

岡本(充)委員 国が買うことができるという予算の内容になっているということです。

 最後に、ちょっと伺います。

 安倍総理、このアビガンを開発された富士フイルムの古森会長とじっこんのようですけれども、かなりの回数お会いになっている、それでよろしいでしょうか。お会いになられた回数はどのくらいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 年に二回から三回ぐらいお目にかかっております。

岡本(充)委員 そんな中、安倍総理の政治資金団体の晋和会には、毎年、平成二十八年、二十九年、三十年と、百五十万円の政治資金パーティー券を購入してもらっている。これは事実ですか。

安倍内閣総理大臣 通告していただいておりませんので、今お答えのしようがございません。通告していただければ、他の質問もそうですが、丁寧にお答えをさせていただきたい。大したことではございませんから、通告していただければと思います。

岡本(充)委員 じゃ、もう一つ聞きます。

 この古森会長から、アビガンの承認や若しくは備蓄についてお話を聞いたことはありますか。

安倍内閣総理大臣 それは古森さんに対して大変失礼な質問だと思います。そんなことは一切ございません。

岡本(充)委員 繰り返しになりますけれども、この薬の効果が乏しいという指摘を受ける中で備蓄が決まったインフルエンザの備蓄の過程、そして今回の新型コロナウイルスの治療についても大変前のめりな発言を総理がされるということを思うと、やはり多くの方がどうしてなんだろうという疑問を持つわけであります。それは総理のお友達が優遇をされたそれ以外の案件とも重なってくるわけでありまして、私は大変懸念をして指摘をさせていただきました。

 これからも、この問題について、また私も調べてみたいと思います。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 次回は、明十日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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