衆議院

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第4号 平成29年6月9日(金曜日)

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平成二十九年六月九日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 小里 泰弘君 理事 梶山 弘志君

   理事 工藤 彰三君 理事 新谷 正義君

   理事 津島  淳君 理事 小宮山泰子君

   理事 重徳 和彦君 理事 赤羽 一嘉君

      今枝宗一郎君    大見  正君

      加藤 鮎子君    金子万寿夫君

      神山 佐市君    木内  均君

      熊田 裕通君    今野 智博君

      坂本 哲志君    櫻田 義孝君

      鈴木 憲和君    瀬戸 隆一君

      谷川 とむ君    中川 郁子君

      中根 一幸君    中村 裕之君

      平口  洋君    藤丸  敏君

      牧島かれん君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    宮路 拓馬君

      荒井  聰君    太田 和美君

      柿沢 未途君    神山 洋介君

      菊田真紀子君    近藤 洋介君

      寺田  学君    江田 康幸君

      佐藤 英道君    大平 喜信君

      本村 伸子君    伊東 信久君

      河野 正美君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       松本  純君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   国土交通大臣政務官    根本 幸典君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   加藤 久喜君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 西川 直哉君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高木 勇人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 古市 裕久君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           杉本 達治君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中井川 誠君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        山下 隆一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           北本 政行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           松本 大樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         潮崎 俊也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         津田 修一君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            加藤 庸之君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   衆議院調査局第三特別調査室長           宇佐美雅樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     宮路 拓馬君

  中村 裕之君     瀬戸 隆一君

  神山 洋介君     荒井  聰君

  小山 展弘君     近藤 洋介君

  堀内 照文君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     牧島かれん君

  宮路 拓馬君     加藤 鮎子君

  荒井  聰君     神山 洋介君

  近藤 洋介君     小山 展弘君

  本村 伸子君     堀内 照文君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     中村 裕之君

    ―――――――――――――

五月三十日

 常総市水害の被害者に対して、国民の生命と財産を守る国の使命に基づき支援制度改善等を求めることに関する請願(梅村さえこ君紹介)(第一四五二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四五三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四五四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山本哲也君、内閣府政策統括官加藤久喜君、警察庁長官官房審議官西川直哉君、警察庁長官官房審議官高木勇人君、総務省大臣官房審議官古市裕久君、消防庁国民保護・防災部長杉本達治君、法務省大臣官房審議官金子修君、厚生労働省大臣官房審議官椎葉茂樹君、厚生労働省大臣官房審議官中井川誠君、資源エネルギー庁資源・燃料部長山下隆一君、国土交通省大臣官房審議官北本政行君、国土交通省大臣官房審議官松本大樹君、国土交通省大臣官房技術審議官潮崎俊也君、国土交通省大臣官房技術参事官津田修一君、国土交通省都市局長栗田卓也君、国土交通省水管理・国土保全局長山田邦博君、国土交通省道路局長石川雄一君、国土交通省住宅局長由木文彦君、観光庁観光地域振興部長加藤庸之君及び気象庁長官橋田俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川とむ君。

谷川(と)委員 おはようございます。自由民主党の谷川とむです。

 本日は、災害対策特別委員会一般質疑ということで、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 限られた時間ですので、通告どおりどれだけ質問ができるかわかりませんけれども、よろしくお願いいたします。

 私は、阪神・淡路大震災で被災した一人でございます。二十二年たった今でも忘れることができません。

 阪神・淡路大震災が発災したのは、私が十八歳のときでした。たしか、どんという音と大きな揺れで目が覚めて、初めは地震だとわかりませんでした。トラックか何かが家に突っ込んできたのかなというふうに思いました。その後、長い横揺れで、地震ということが初めて認識できました。

 家は全壊に近い半壊。実家がお寺ということで、その建てかえに約五年ほどかかったと思います。それまで、雨漏りはするし、ダニや虫等で体はかまれるし、ネズミがよく食卓に顔を出す環境で生活していました。そして、親戚も三人、家の下敷きとなり即死。とうとい命を失いました。

 近年では、熊本地震や東日本大震災が発災し、また、台風や豪雨の発生も増加しており、さまざまな災害が発生しております。

 それぞれの災害の対策も大変重要でありますが、二十二年たったとはいえ、阪神・淡路大震災の影響で、いまだ苦しい生活を余儀なくされている方々もいると思います。そのことを皆さんにも忘れないでいただきたい。今なお、被災地には、被災者が抱える課題も残されており、引き続きの御支援をお願いしたいと思います。

 そこで、大臣の御答弁をお願いいたします。

松本国務大臣 阪神・淡路大震災では、六千四百名を超えるとうとい命が奪われました。また、住宅の全壊だけでも十万棟を超える甚大な被害が生じましたが、阪神・淡路地域では、この間、目覚ましい復興が図られてまいりました。ここに至るまでには多くの関係者の方々の御尽力があり、決して容易なことではなかったものと考えております。

 一方で、高齢化する被災者の見守り等による自立支援、町のにぎわいづくり、震災の経験と教訓の継承などの課題も残されております。

 阪神・淡路大震災から本年で二十二年が経過しましたが、引き続き、関係自治体や関係省庁と連携しながら、被災者の生活支援などの課題にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

谷川(と)委員 大臣、ありがとうございます。引き続きの御支援を賜りますようによろしくお願いいたします。

 阪神・淡路大震災発災当初から、私の家は、ありがたいことに、多くの方々に水や食料を届けていただいたので、トイレやお風呂等の不便があったものの、恵まれていたと思います。

 自分の家は大丈夫だと思い、甚大な被害があった神戸市長田区等にボランティア活動に行きました。道はめちゃくちゃで、車ではなかなかたどり着けない。みんな、自転車やバイク、徒歩で行っていたと思います。私も、何か欲しいものがないか、困ったことがないかと聞いて回りました。その中で一番記憶に残っているのが、女性の方々にお話を伺っていると、やはり、おしめやミルク等の子供関連のものが欲しい、また生理用品が欲しいということがよく言われました。

 関西では本当に地震がなくて、また、マグニチュード七を超えるような地震も近年のようになく、事前防災、減災の意識も低く、事前に水や食料を備蓄しているという習慣がなかったというふうに思います。また、発災当初は今のような救援物資も豊富ではなかったと思います。

 東日本大震災から間もない熊本地震の際は、心ある多くの国民の皆様から豊富な救援物資が届けられましたが、余りにも多くの救援物資が届けられ、受け入れ体制が整っていなかった、逆に被災地の負担となっていたとも聞きます。その実態と、また必要なものが必要な人に届けられるように、現場サイドと、救援物資を送る、運ぶサイドとしっかりとした連携を事前にとれるような取り組みをしていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 熊本地震におきましては、当初から、被災地からの要請を待たずに、必要不可欠と見込まれる物資を緊急輸送するプッシュ型支援を行いまして、その後、被災地からのニーズに基づく物資支援に切りかえたところでございます。その際、避難所等では、一部の物資の管理あるいは仕分けに混乱が見られたところでございます。

 熊本地震でのニーズに基づく物資支援におきましては、民間企業の協力を得て、避難所にタブレット端末を配付し、その端末を使って支援物資を要請できるシステムを構築し、活用するなど、被災者ニーズの迅速かつ的確な把握に努めたところでございます。

 また、民間企業によりまして、避難所においてニーズのある物資をインターネット上のサイトに掲載いたしまして、全国の支援者が購入することで避難所まで配送される仕組み、これが構築され、活用されたものというふうに認識をしております。

 今後とも、熊本地震での経験も踏まえつつ、ICT技術の活用をしながら、被災地のニーズに適合した支援が可能となるよう取り組んでまいります。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 熊本地震のときは、iPadを使って、欲しいものが欲しいだけ得られるような取り組みをしていただいていることは、本当にすばらしいことだなというふうに思いました。

 これは、地震が発災した後ではなくて、今後、南海トラフ地震等も考えられますので、そのようなところを今から少しずつ、自治体の方また民間企業と協力しながら取り組んでいただければなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、私の地元泉州、また大阪にも大きな被害が予想される南海トラフ巨大地震について質問させていただきます。

 南海トラフ巨大地震については、阪神・淡路大震災を上回るマグニチュード八から九クラスの地震が発災する確率が、今後三十年以内に六〇から七〇%程度とされています。かなり高い確率で起こると予想されています。

 国の推計によれば、最大クラスの地震とこれに伴う津波により、最も深刻なケースで、人的被害、死者数最大約三十二万三千人、関西全体で死者数がそのうち約十五万人、建物被害、全壊棟数最大約百八十二万棟、関西全体で建物全壊が百七万棟に上ると予想されています。ライフラインなど施設等の被害、経済的な被害は最大二百二十兆円と、広範囲に甚大な被害が発生することが想定されています。

 このように、大規模災害に備え、国民の生命財産を守り、社会経済システムを機能不全に陥らせないために、老朽化した都市基盤の適切な維持管理、更新はもとより、事前防災、減災の取り組みについて国家的な観点から必要な措置を講じる必要があると考えています。

 津波浸水対策も推し進めていかなければなりません。広域なゼロメートル地帯や地下街等を抱え、人口、企業、資産が集積する大阪においては、南海トラフ巨大地震により甚大な津波浸水被害が想定されます。私の地元においても、関西国際空港は海の上に立地しておりますし、海に面した市や町があります。千年に一度の巨大地震では、まず逃げることが一番ですが、地震直後に満潮位で浸水するゼロメートル地帯では、避難すること自体ができずに、多くの人命が犠牲となるおそれがあります。

 避難対策とあわせ、ハード対策で人命を守ることも国、行政の責務であると考えます。既存の防災・安全交付金等では必要な事業費が確保できないとの声が多くの自治体から寄せられていますが、国は、継続的な予算措置など、地方に対する財政支援をより一層充実させる必要があると考えますが、いかがでしょうか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 南海トラフ地震等の大規模地震に対する防災・減災対策は極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。

 切迫いたします南海トラフ地震等に備えるため、東日本大震災の教訓を生かした津波防災地域づくりを進めるとともに、河川・海岸堤防等の整備を重点的に実施しているところでございます。

 具体的には、河川・海岸堤防のかさ上げや耐震、液状化対策等について、防災・安全交付金による財政的支援を重点的に行っているところでございます。

 大規模地震に対する防災・減災対策をより一層推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 しっかりと予算を確保していただいて、自治体に要望どおりに振り分けられるように、私も努力していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、万が一大量の放射性物質等の放出により原子力緊急事態が発生した場合、国は原子力災害対策本部が設置されます。同本部は、現場や被害状況を把握し、その状況に即した緊急事態応急対策等を的確かつ迅速に実施するため、国の関係機関や地方自治体など、総合調整を行うこととなっております。

 南海トラフ巨大地震など自然災害を契機として原子力災害が発災する、いわゆる複合災害が発生した場合に、自然災害に対する緊急災害対策本部と原子力災害に対応する原子力災害対策本部の両本部が併存することになります。情報収集、意思決定、指示、調整を一元化することが必要となりますが、体制はどのようになっていますか。

 それと同時に、私の地元熊取町には京都大学の実験用原子炉があります。もし南海トラフ巨大地震の発生による原子力災害が発災したと仮定した場合、対応体制はどのようになっているか、御答弁いただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 自然災害と原子力災害との複合災害が発生した場合には、政府といたしましては、今御指摘ありましたように、まず自然災害に対する本部と原子力災害に対します本部が設置されます。その間の両者の連携を図る必要がございますので、まず、情報共有の観点から、それぞれの本部の事務局にリエゾン、いわゆる連絡要員を派遣いたしまして、常時情報共有を行うという体制をとります。

 さらに、意思決定の一元化を図るために、この二つの本部の合同開催をいたしまして、情報の共有、意思決定、それから指示、調整、これを一元的に行うという体制にしているところでございます。昨年度行いました原子力総合防災訓練におきましても、二つの本部を合同開催するような訓練も実施したところでございます。

 それからもう一つの、現地の対応でございます。

 今御指摘ありました熊取地域につきましても、熊取地域のオフサイトセンターというものが設置されております。これは、京都大学の施設に隣接したところにございます。そこにおきましては、万が一こういう原子力災害が発生した場合には、国の関係機関、関係自治体、専門機関、それから原子力事業者などが参集をいたしまして、原子力災害合同対策協議会というものを組織いたします。この場で、相互の情報交換、活動に関する調整、例えば住民の避難等の状況あるいはプラントの状況などをきちっと把握いたしまして的確に対応するという対応をとっているところでございます。

 こうした体制によりまして、さまざまな事態にも適切に対応できるよう、関係自治体、それから関係の機関と一体となって取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 御答弁いただいたとおり、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、消防団の人員減少対策についてお伺いしたいと思います。

 平成二十五年十二月、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が施行されました。消防団は、地域防災力の中核として欠かすことのできない代替性のない存在であると明記され、全国的に消防団員の確保や消防団装備の拡充等に対する取り組みが加速しております。

 しかし、現実的には、全国的には消防団員数は毎年減少し続け、かつて二百万人いた団員が今や九十万人を割る状況にあり、加えて、消防団員の高齢化も進んでおります。実際に災害が起きてしまった場合、消防団や自主防災組織に活動していただくことになりますが、消防団や地域の防災組織への加入を促す対策を講じなければ、大規模災害の発生時、地域を守る人員が不足しております。

 消防団員の加入促進のため、テレビやラジオ、広報誌等を活用した積極的な広報に取り組んだり、若者や女性の消防団への加入促進などを目的に、消防団員が店舗や事業所を利用する際にさまざまな特典やサービスを受けられるようシステムを構築したり、団員の福利厚生の拡充等を進めている自治体もあると聞きます。

 依然として団員確保に苦慮しているのが現状であり、消防団のイメージ向上や待遇改善が早急の課題であると考えます。団員の勤務先への優遇措置、団員手当の増額なども有効な手段と考えますが、現状の取り組みと今後の取り組みについて御答弁願います。

杉本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、消防団員の数は減少を続けておりまして、平成二十八年四月一日時点では八十五万六千二百七十八人となっております。

 まず、団員の報酬についてでございますが、御指摘いただきました平成二十五年十二月の消防団充実強化法の施行などを踏まえまして、消防団員の年額報酬については年々改善をしてきているところでございます。

 例えば、一般団員の年額報酬の条例平均額は、昨年四月一日時点で三万三百二十三円となっておりまして、比較ができます二年前の平成二十六年の四月時点の二万九千七百七円から六百十六円引き上げを行っているところでございます。

 これまでも、報酬額が低い市町村に対して、あらゆる機会を捉えて報酬の引き上げを要請してまいっておりますけれども、引き続きこの努力をしてまいりたいと思います。

 また、消防団員の七割が被用者という状況を踏まえますと、消防団活動に対する企業の御理解、御協力は必要不可欠という状況になっております。

 被用者団員につきましては、高市総務大臣から経済団体や地方公共団体宛てに書簡を発出していただきまして、被用者や公務員の消防団への加入促進などについてお願いをしていただいているところでございます。

 さらに、消防庁を挙げまして、各経済団体ですとか企業を訪問して改めて依頼をしているところでございまして、消防団協力事業所の普及も進めているところでございます。一部地方公共団体におきましては、こうした協力事業所に対して、法人事業税の減免ですとか入札における加点等の取り組みも行われているところでございまして、こういった取り組みを進めるよう地方団体に働きかけてまいりたい。

 いずれにいたしましても、引き続きこうした努力を続けながら、消防団員の確保に努めてまいる所存でございます。

谷川(と)委員 時間が来ましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、津島淳君。

津島委員 おはようございます。自民党の津島淳です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 きょう、ここに一冊の本を持ってまいりました。これは「十六歳の語り部」というタイトルで、あの未曽有の大災害、東日本大震災発災当時に小学校五年生だった三人のお子さんの生の声をおさめた本であります。

 これはぜひ、松本大臣、松本副大臣、それから長坂政務官、御一読いただきたいと思います。非常にこれは今後の災害対策を考える上でも、子供たちなりに考えているところはあります、それをしっかり受けとめるべきであり、多くの教訓があると思います。委員の皆さんも、ぜひ御一読いただきたいと思います。

 この「十六歳の語り部」の一人、現在、宮城県立石巻高校三年、雁部那由多君がこういうことを言っているんです。日本にいる限り災害はいずれやってくる、我々は未災地に住んでいるのですというふうに述べています。

 実際、この東日本大震災の前には、今、谷川委員からありました阪神・淡路大震災、あるいは新潟県中越地震、そして東日本大震災後には、熊本地震、関東・東北豪雨、二〇一六年の台風被害など、多くの災害に日本は見舞われたわけであります。

 いずれやってくる災害にしっかり備える。災害対策は、これまでの災害の記録を分析し、さらなる対策に生かすということが、そういった不断の努力が極めて重要であるという認識を皆さんと共有できるんじゃないかと思っております。

 きょうは、今、谷川委員からは総合的な災害対策の御質問がございましたので、私は、病院機能を有する船を生かした災害医療の充実を図るべく、幾つか、検討すべき課題というものについて認識を問うていきたいと思っております。

 私、自民党、公明党の有志の皆様と、海洋国日本の災害医療の未来を考える議員連盟というものでいろいろ議論をいたしております。

 このいわゆる病院船、そしてそれを活用した災害医療については、政府においても、平成三年六月の多目的船舶調査検討委員会を皮切りに、累次にわたり検討されてきたと承知しております。

 直近では、平成二十五年三月、内閣府防災担当により、「災害時多目的船(病院船)に関する調査・検討」と題する報告書が出されております。当委員会でも、平成二十七年三月二十日に、河野正美委員、今いらっしゃいませんけれども、質疑をされております。

 今回、私は、病院船の新規建造について、このことについてはまた改めての機会とさせていただきたいと思っております。

 きょうは、病院機能を既に有する船舶がございますので、それらについて、災害医療の海からのアプローチについて質問しようと思っています。

 病院船の新造については、病院船において提供される医療が急性期なのか、慢性期なのか、あるいはその両方、いわゆる総合型といったように、提供する医療をどうするのか、それを踏まえた船の規模、航行速度、それから設備、さらにはその船の平時の活用法、そして建造、運用に係る費用の負担など、整理すべき課題がたくさんございます。

 そして、災害はあした起こるかもしれない。そういうことを考えますと、現状、自衛隊あるいは海上保安庁が保有する艦船、医療設備を設けた艦船もございます。また、民間船舶に医療モジュールを搭載する等の方法、これが現実的であると私は考えます。

 現状、医療機能を有する船舶を活用するにしても、その運用法など、喫緊の検討課題が存在すると思っております。

 順次お尋ねをしてまいりたいと思います。

 先ほど申し上げました内閣府の報告書においては、急性期の病院船が導入に向けた検討に最も値するとされているところです。その報告書の中では、一方で、医療スタッフ等人員の確保、多額の経費を要する定期的な訓練の実施、それから陸上医療機関との役割分担等の課題も指摘されています。

 また、報告書では、人員の確保について、急性期病院船では、医師、看護師、検査技師、放射線技師、薬剤師等、五十名の医療関係者が必要とされていますが、災害時に迅速にこの要員を確保することが肝要だと思います。

 大規模災害時には、陸上の医療活動においてもDMAT等の医療チームが不足する可能性があることから、現行DMATとは別途の要員確保、また、海と陸の間での要員調整を検討する必要があります。これは、現在政府が検討している自衛隊の艦船や医療モジュールを積載した借り上げ民間船舶の運用においても、検討しておくべき課題だと思います。

 この要員について、自衛隊、消防庁等を通じて、あらかじめ、緊急時に招集可能な方を認定、登録し、緊急時の参集を義務づける、登録者には、今ございます即応予備自衛官制度と同様の処遇を行うという提案を私は申し上げるんですが、この点を含めて、政府はどのようにお考えでしょうか。内閣府さんにお願いします。

加藤(久)政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のとおり、内閣府で取りまとめました災害時多目的船に関する調査におきまして、急性期において、応急措置、安定化が必要な患者を搬送し、措置を行う急性期病院船が検討に最も値するというふうにされたところでございます。

 一方、委員御指摘のように、現行DMATとは別途の要員確保、それから、陸上と海上の間の要員調整の検討が必要なこと、仮に船内で手術等の高度な医療措置を行うのであれば、現行のものを超える、DMATの活動内容を超える場合がありまして、要員の養成確保について検討することが必要など、要員の確保が大きな課題であることが明らかになったところでございます。

 内閣府防災担当におきましても、平成二十五年度以降、関係省庁、地方公共団体等の協力を得ながら、実証訓練を実施してきたところでございます。

 御指摘ございましたが、さまざまな課題がございます。この中で、医療に関する要員の確保、これは重要な課題というふうに認識をしておりますので、関係省庁と連携しながら、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

津島委員 ありがとうございます。検討をしっかり行っていただきたいと思います。

 続いて、病院船の平時の運用方法についてでございます。

 内閣府の報告書では、急性期病院船の平時の運用方策として、災害医療訓練船としての活用が有望とされております。

 病院船を活用して、平時の訓練、その知見の分析、応用、さらなる訓練というサイクルを実施することは極めて重要でございます。災害発生時、被災地へ到着した船舶に要員の送り込みや患者の搬送をどのように行うのか、平時から訓練しておく必要があるからです。

 この点について、現在、政府では、民間船舶あるいは自衛隊の艦船を利用しての訓練等を行っておられますが、これらの取り組みを踏まえて、今後どのような方向で検討していくのか、見解を内閣府さんに伺います。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 これまでの実証訓練におきましては、政府の艦船あるいは民間のヘリを、先生御指摘のとおり、活用いたしまして、船舶への患者搬送、模擬診療を実施するなど、船舶活用のあり方について検討を行っているところでございます。

 これまでの訓練の結果、課題として、空間的、人的及び物資的な制約下において船内で提供する医療内容や、船舶に展開可能な医療モジュールの検討などが挙げられており、さらに、ただいま委員から御指摘ございました要員の参集から乗船そして医療活動に至る一連の過程、それから、医療資機材の効率的な船内配置、効率的な動線の確保などについても、課題というふうに認識をしておるところでございます。

 今後とも、引き続き、災害時医療の対応力強化に向けて、委員の指摘も踏まえながら、実証訓練を積み重ね、船舶活用のあり方について検討してまいりたいというふうに考えております。

津島委員 ありがとうございます。

 実際、どれぐらいのサイクルで患者の搬送が行えるのか、時間当たり何人搬送できるか、詳細なシミュレーションをまず行うということも大事であろうと思っております。そういったことも含めて、よろしくお願いします。

 そういったことも含めて、やはり、日ごろからシミュレーション、研究をする機関というものの役割は重要だと思うんですね。

 広域災害について、適切な医療提供を中心に、その対策を研究し、訓練を実施する主体として、実は、東京都立川市に独立行政法人災害医療センターがあるわけです。

 そのセンターでは、従来の災害医療の臨床研究にとどまらず、大規模災害時の要緊急搬送対象患者数の把握や、患者受け入れの海陸の分担、搬送方法など、多角的、総合的なシミュレーションを行う必要があると私は思います。

 このような観点から、災害医療センターの充実強化を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。これは厚生労働省さんにお願いします。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 独立行政法人国立病院機構災害医療センターにつきましては、全国の災害医療ネットワーク施設と都道府県指定の災害拠点病院の中心的な役割を果たすために、平常時から、広域災害時に重要な多発外傷、また熱傷等に重点を置きました三次救急救命医療と高度総合医療を実践しているところでございます。

 また、当センターにおきましては、災害医療を中心とした臨床研究や災害医療に関する各種研修を行っております。また、DMAT事務局を設置しているなど、我が国における災害時の医療提供に関して重要な役割を担っている組織でございます。

 厚労省といたしましては、国立病院機構に対しては災害時における医療提供の確実な実施を求めておりまして、これを確保する上で、その中核となる災害医療センターにつきましては、必要な研究、研修等に引き続き取り組んでいきたいと考えているところでございます。

 なお、こうした国立病院機構が行う研究事業に対しまして、厚労省としても運営費交付金を措置しておりまして、引き続き必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

津島委員 ありがとうございます。

 我々もさまざまな知見を積み重ねて、さまざまな提言を議連としても行ってまいりたいと考えております。

 時間がそろそろなくなってきましたので、最後の質問になると思います。

 今まで議論してまいりました、災害医療について海からのアプローチを充実させるべきというこの議論でございますが、これは我が国の災害医療を考えた場合に非常に重要な観点であるということは、私は再三申し上げているところであります。

 この災害医療の海からのアプローチについて、そして病院船をいわば創設するということについて、大臣のお考え、御決意を伺いたいと思います。

松本国務大臣 場所を問わずさまざまな災害が頻発する我が国において、国民の生命と財産を守るため、首都直下地震、南海トラフ地震など大規模地震の発生に備える防災・減災対策は極めて重要でございます。

 災害時において増大する医療ニーズに対応するためには、我が国の医療資源を有効に活用し、医療体制を確保することが必要であり、その実現に向けて多様な手段を確保しておくことが重要であると認識をしております。

 大規模災害時における船舶の活用については、自衛隊の艦船や民間船舶を活用した医療機能を補完するための実証訓練を実施しているところでございます。委員の御指摘やこれまでの検証結果も踏まえながら、今後も引き続き実証訓練を行うとともに、船舶活用の有効性、活用方策をしっかりと検証してまいりたいと思います。

津島委員 ありがとうございます。

 時間が終了になりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございます。

秋葉委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、この災害対策特別委員会で、熊本地震からの復興について私の方から質問をさせていただきますので、大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 熊本県内全域に甚大な被害をもたらしたのが熊本地震でございました。発災から一年と一カ月になります。国からの支援を初めとしまして、熊本県や被災市町村の大変な御努力、また全国の皆様からの御支援によりまして、復旧復興も一歩一歩進んできたところであります。しかし、今もなお、四万七千人を超える方々が仮設住宅など不自由な生活や将来への不安を余儀なくされておられます。

 このような中、被災地は、被災者の皆様の住まいや生活再建、そしてインフラの復旧、地域産業の再生など、本格的な復興の段階を迎えております。被災者に寄り添い、一日も早い復旧復興、そしてまた人間の復興をなし遂げるために、被災者、被災地の声をもとに、喫緊の課題について質問をさせていただきます。

 まず、地方負担の最小化、中長期の財源確保のための特別な財政措置についてお伺いをさせていただきます。

 これまで、国におきましては、激甚災害の指定や補助制度の創設、補助率の引き上げ、それらに合わせた地方財政措置の拡充など手厚い支援を講じていただき、感謝しているところであります。

 今後、本格的な復旧復興には長い期間と多額の費用が必要なため、中長期にわたり安心して被災地が事業に取り組むことができる財源の確保が求められているわけです。特に、熊本の将来の発展に向けて創造的な復興を加速するためには、復旧事業に対する継続的な支援はもとより、今後本格化する復興事業についても、補助制度の創設や補助率の引き上げとともに、地方負担の軽減につながる十分な交付税措置を講じていただきたい、そのように強く求めるものでございます。

 そして、さらに、最も被害が大きかった益城町、また南阿蘇村、西原村におきましては、家屋の倒壊や道路の寸断、そして宅地被害など、町や集落全体が面的に壊滅的な被害を受けております。震災からの復興を真に実現するためには、原形復旧を原則とする災害復旧事業だけでなくて、新たな町づくりに向けた創造的な復興に取り組む総合的な財政支援が必要不可欠であると思います。

 このため、東日本大震災時に創設された復興交付金のような補助制度のかさ上げとともに、幅広い財政需要に対応できる自由度の高い総合的な交付金制度をぜひとも創設していただきたい、このように求めるものでございますが、松本大臣の力強い答弁をお願いしたいと思います。

松本国務大臣 熊本地震の復旧復興に対しましては、政府として、これまでに、早期の激甚災害指定による災害復旧事業に対する国の補助率のかさ上げなどの特例措置に加え、三次にわたる補正予算を通じた財政支援等の措置を講じております。これらをフルに活用して、インフラの復旧や住まいの確保、なりわいの再生、復興を後押ししてきたところでございます。

 こうした措置を通じまして、政府と被災自治体が一丸となって取り組んできた結果、復旧復興が着実に前へ進んでいると感じているところでございます。

 一方、いまだ四万七千人を超える方々が仮設住宅での生活を余儀なくされているほか、崩落した阿蘇大橋や熊本城など、復旧復興にかなりの期間を要するものもあり、引き続き、地元の御要望も踏まえた取り組みを行う必要があるものと認識をしているところでございます。

 その一環として、今月下旬でございますが、現地意見交換会を開催し、関係する府省の職員が直接被災自治体から復旧復興の状況や課題、要望等をよくお聞きする場を設けることとしております。

 被災された方々が一日も早くもとの生活を取り戻せるよう、引き続き、被災地に寄り添いながら、政府一丸となって復旧復興を支援してまいる所存でございます。

江田(康)委員 熊本は本格的な復興にこれから向かってまいります。被災地がやはり安心してあらゆる必要な事業に取り組むことができるように、どうしても、地方負担の軽減につながる特別な財政措置を引き続き、また発展的につくっていただきたい、そのように思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、被災地の町づくりについて、もう少し質問をさせていただきたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、熊本地震では、先ほどの益城町を初めとする被災地では、家屋の倒壊、道路の寸断、宅地被害が非常に甚大なんですね。また、避難や救助、復旧活動時に、避難路や緊急車両の通行に支障が出るなどの課題が浮き彫りにもなりました。

 震災からの地域の再建を真に実現するためには、原形復旧を原則とする災害復旧だけでなくて、さまざまな国の補助制度を活用して、住まいの確保を図るとともに、避難路や避難場所等を適正に配置した災害に強い町づくりを行う必要がございます。特に、被災地の町づくりに有効で、かつ不可欠な事業である小規模住宅地区改良事業や都市防災総合推進事業につきましては、被災市町村の財政負担が特に大きいものがございます。

 例えば、小規模住宅地区改良事業では、実質負担額は、南阿蘇村では十一億円、西原村では十二億円、ともに四十億円の年間予算の小さな村の財政でございます。また、都市防災総合推進事業においては、この実質負担額は益城町は七十億円、これも、年間予算は百億円、それに対して膨大な費用がかかるわけでございます。

 これらのことから、やはり国庫補助率のかさ上げ、地方負担の軽減につながる地方財政措置の拡充を図ることが、これはどうしても必要でございます。政府の見解をお伺いしたいと思います。

 また、益城町では、町の中心部に甚大な被害が広がったわけでありまして、町自体を調整していく土地区画整理事業等が必要不可欠であり、それを展開しているところでございますが、この土地区画整理事業と一体となって復興を牽引するために必要な街路事業というのがございます。これは、町の真ん中を走る県道熊本高森線の拡幅、四車線化を目指すものでありまして、この街路事業については、これは平時と同様の地方財政措置でありますために、復興にかかわる地方負担は、これもまた膨大なものになります。

 このように、土地区画整理事業と同様に、地方負担の軽減を図るための地方財政措置を講じるべきだと私は強く申し上げておるわけでございますけれども、この点について国交省にお伺いをしたいと思います。

根本大臣政務官 熊本地震の被災地の復興については、昨年度の予備費や今年度の社会資本整備総合交付金により、各市町村における被災者の意向調査、住まいの復興に向けた整備方針の検討などを支援しております。

 その中で、復興町づくりは、小規模住宅地区改良事業、都市防災総合推進事業など、これまでの災害復興において活用されてきた事業を中心に検討が進められております。

 今後、事業化に向けて、地域住民の意見を伺いながら、さらに具体的な計画の検討を進めることとなりますが、その際には、さまざまな事業を組み合わせることにより、市町村の負担を少なくできる可能性があると考えております。

 このため、九州地方整備局には、熊本復興まちづくり・住まいづくり支援チームを設け、各市町村の意向を丁寧に伺いながら、その費用負担の軽減も含め、最も適切な組み合わせで事業が実施できるよう、協議が可能な体制を用意しております。

 引き続き、被災地の自治体ともよく相談しながら、復興町づくりを積極的に支援してまいります。

江田(康)委員 今答弁していただきましたが、この件に関しては、先日、石井国交大臣に、蒲島知事に私も同行して申し入れをさせていただいたところでありますけれども、その際にも前向きな発言はいただいたところでもございます。

 ぜひとも、かさ上げ措置や地方負担の軽減につながるようにその知恵を働かせるということでございましたけれども、この三事業については直接その負担の軽減が図られるように示していただきたい、そのように強く申し上げたいと思います。

 それでは、次に、具体的なことでございますけれども、阿蘇くまもと空港の創造的な復興の支援についてお伺いをさせていただきます。

 今回の地震によりまして阿蘇くまもと空港ターミナルビルが損傷しているのは、皆様方も御存じかと思いますが、特に国内線では、一部天井の落下、また躯体の損傷、壁の多数の亀裂など多大な損傷を受けました。応急工事は既に完了しておりますが、耐震性能は従前のままでありまして、国内線ビルの老朽化や、また国際線ビルの狭隘さなどの問題が残るために、熊本県は、十分な耐震性能を有する国内線と国際線が一体となった新しいターミナルビルをコンセッション方式で早期に建設することを決定して、国との協議を行っているところでございます。

 国においては、コンセッション方式をできるだけ早期に導入していただくために、平成三十年度末までに運営権者の選定を行っていただきたい。それとともに、新ターミナルビルの建設に当たって必要となる国内線別棟ビルの平成三十一年度までの完成、早期完成について、国の全面的な支援を要望してきたところでございます。

 先日、熊本県は、蒲島知事とともに石井国交大臣に申し入れをさせていただきましたが、前向きな回答をいただいたと思っております。改めて、政府の対応について確認をさせていただきたいと思います。

根本大臣政務官 震災からの復興のシンボルとして、熊本空港の創造的復興につきましては、大変重要な取り組みであると考えております。

 まず、空港運営の民間委託に関しては、民間委託に向けた手続の一環として、本年四月より滑走路やターミナルビルなどの資産調査に着手しております。引き続き、なるべく速やかに民間投資意向調査を実施するなど、手続を迅速に進めてまいりたいと思います。

 また、新ターミナルビルの建設に当たり必要な別棟ビルに関しては、国による整備を進めており、平成二十九年度に設計、平成三十年、三十一年度に工事を予定しているところです。引き続き、早期の完成に向け、関係者間にて調整を進めてまいります。

 国土交通省といたしましては、こうした取り組みにより熊本空港を活性化し、震災からの復興の加速化に貢献してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 阿蘇くまもと空港は、将来の熊本の発展につながる創造的復興のシンボルでございます。ぜひとも、今大変ありがたくお伺いをさせていただきましたが、速やかにコンセッションの導入、そしてまたビル等の完成へ進めていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、南阿蘇鉄道の早期復旧への支援についてお伺いをさせていただきます。

 今度は陸路でございますが、南阿蘇鉄道とJR豊肥線というのが阿蘇地方にはございまして、この両線は立野駅で連絡して、阿蘇地域においても熊本都市圏とのアクセスにおいて欠かすことのできない交通機関でございます。さらに、南阿蘇鉄道は、国内外から観光客に人気のトロッコ列車が運行されるなど、熊本の貴重な観光資源になっております。

 今回の熊本地震により、両鉄道とも、立野地区の大規模なあの山腹崩壊により甚大な被害を受けております。全線復旧には莫大な費用と期間を要する見込みでございます。

 特に、第三セクターである南阿蘇鉄道の災害復旧にかかわる事業費負担や災害復旧後に想定される税負担は極めて大きく、その軽減を図ることが必要不可欠となっております。南阿蘇鉄道の早期復旧と安定的な経営確保のために、国庫補助率のかさ上げ、また地方財政措置の充実、東日本大震災における三陸鉄道に相当するような支援が今必要とされておるところでございます。

 これについても政府と今協議が行われているところでございますけれども、政府の取り組みについて、改めてこの国会の場でお伺いをさせていただきたいと思います。

根本大臣政務官 南阿蘇鉄道については、沿線地域の学生や高齢者の通学、通院の足として、また阿蘇地域の観光路線として、重要な役割を担っていると承知しております。

 このため、国土交通省としては、被災した鉄道施設の復旧方法などに関する調査を直轄で実施し、その結果、復旧見通しは、第一白川橋梁では設計着手から五年程度、トンネルでは三年程度、その他の被災箇所では一年程度となりました。また、復旧費用につきましては、全体で約六十五億から七十億円となりました。この調査結果や地元からの要請も踏まえ、必要な支援策についてしっかり検討しているところであります。

 地元でも、南阿蘇鉄道再生協議会を本年四月に設立し、鉄道施設の保有のあり方や、南阿蘇鉄道の持続可能な運営を確保するための計画策定などについて検討が行われていると承知しております。

 国土交通省といたしましては、一日も早い復旧に向け、引き続き、熊本県を初め関係自治体等とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 この件に関しては、再生協議会との協議も進んでおるところであるということでございますので、これ以上は申し上げませんが、やはり東日本大震災における三陸鉄道に相当するような支援が必要不可欠でございますので、財政支援スキームについてもしっかりと詰めていっていただきたい、そのように思います。

 それでは、全体的な交通インフラの復旧についてもお伺いをさせていただきます。

 今回の熊本地震で被災した阿蘇大橋地区の斜面、また国道五十七号、国道三百二十五号阿蘇大橋につきましては、石井大臣の迅速な英断で、国直轄事業並びに直轄権限代行事業として復旧に取り組んでいただいておるところ、そこは大変感謝を申し上げます。さらに、県道熊本高森線と村道栃の木立野線についても、直轄代行で取り組んでいただいております。

 県道熊本高森線、これは俵山トンネルルートというわけですが、これについては昨年内に暫定開通していただきました。

 四月の十六日には石井大臣に六度目の視察をしていただきまして、私も同行させていただきましたが、国道五十七号の北側復旧ルートについては、速やかにトンネル工事に着手していただき、三年後の開通を目指すことが公表されました。

 また、国道三百二十五号の阿蘇大橋においては、かけかえ位置や橋梁形式を決定して、三年後の完成を目指すことを公表していただきました。

 さらに、村道栃の木立野線の長陽ルートについては、応急復旧による本年夏の開通目標を公表していただき、地元被災地では大変に感謝しているところでございます。

 いずれも地域住民の重要な生活道路であります。物流や阿蘇地域の観光を支える非常に重要な路線でもあります。これらの復旧は地元の期待が大変に大きく、阿蘇地域、ひいては熊本県の復興に欠かせないものでありますために、引き続き、早期完成、開通に向けて着実に事業を進めていただきたいと思いますが、国交省、いかがでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道五十七号北側復旧ルートと国道三百二十五号阿蘇大橋ルートにつきましては、それぞれ主要な構造物でございます二重峠トンネルと阿蘇大橋につきまして、受注者からの技術提案を踏まえ、工程を精査しました結果、平成三十二年度の全線開通を目標に復旧工事を進めているところでございます。

 このたび、二重峠トンネル、延長約三・七キロメートルございますが、これの本格的な掘削開始に当たりまして、六月十七日に着工式を開催する予定でございます。二重峠トンネルの施工に当たりましては、トンネル両側の坑口に加えまして、先行して整備する避難坑を活用して、トンネル本坑内の複数箇所から同時に掘削することで掘削日数を短縮するなど、工夫をしながら取り組む予定でございます。

 さらに、阿蘇長陽大橋を含みます村道の復旧につきましては、昼夜を問わず二十四時間体制で、崩落したのり面や橋梁の復旧工事を進めておりまして、今年夏を目標に、応急復旧による開通を目指しているところでございます。これによりまして、国道三百二十五号阿蘇大橋が完成するまでの間の代替ルートとして、熊本市や立野地区と南阿蘇村を結ぶ南北方向の通行を確保する予定でございます。

 いずれにいたしましても、国の技術力を結集して、一日も早い復旧に努めてまいります。

江田(康)委員 ありがとうございます。着実に事業を進めていただき、開通目標を達成していただきたい、そのように思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、住宅の再建、住まいの確保について、まとめて御質問をさせていただきます。

 まず、今回の熊本地震の最大の特徴は、やはり液状化や地盤沈下や陥没や地すべりといった、そういう地盤がやられているところでございます。この地盤の被害、宅地被害について対応していかない限り、自宅の再建、住まいの再建はかなわない。そういうことで、大変重要なのが、宅地耐震化推進事業という事業がございます。

 熊本県下の宅地被害は一万五千件であります。熊本市南区近見地区の大規模な液状化、また、阿蘇市狩尾地区などの地盤陥没、益城町や熊本市を初めとする地すべり、擁壁崩壊、こういう宅地被害が深刻であります。

 このような宅地被害を復旧する宅地耐震化推進事業につきましては、我が党、私からも再三の要望をさせていただいて、補助率は四分の一から二分の一にかさ上げされ、また、小規模な宅地被害等にも対象が拡大されました。

 その結果、国の公共事業で行っていただく対象は、約五千件となったわけであります。その残りの被害については、一万件、熊本県に積まれた復興基金で対応するということが決定をいたしました。

 被災者の一日も早い生活再建のためには、熊本地震の特質に応じた被災宅地の早期復旧が求められております。国の公共事業であるこの宅地耐震化推進事業については、今後も、必要な予算、地方負担の軽減を図っていただき、国による中長期的な支援をお願いしたいと思います。

 時間の関係上、もう一つ申させていただきますが、災害公営住宅の整備に対する支援もしかりでございます。このような自宅再建をすることができない方々も多数いらっしゃいます。地盤の復旧にも一千万かかる、また、自宅再建も新築は難しい、全壊や大規模半壊でも改修でいこう、こういうような、自宅再建が難しいような方々もいらっしゃるわけであります。

 益城町では、三百戸の建設を予定しているところでありますけれども、国の災害公営住宅整備事業では、補助率四分の三で、建設費の補助はあるものの、用地取得費などは対象になりません。地元では、このような地元負担の軽減を求めておりますけれども、政府の考えをお伺いしたいと思います。災害公営住宅家賃低廉化事業などの活用で、地元負担の軽減ができると考えますが、いかがでしょうか。

 また、熊本県では、木造の応急仮設住宅を建設済みでありまして、これを活用すれば、短期間かつ比較的安価な改修工事で、被災者のための公的住宅を確保できるとも考えます。ついては、市町村が改修を行う場合に要する費用に対する財政支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

栗田政府参考人 熊本地震の被災宅地の復旧についてでございます。

 既に委員お触れいただきましたが、国の宅地耐震化推進事業、補助率のかさ上げ、あるいは要件の緩和、そのほかにも地方負担の軽減措置を講じたところでございます。平成二十九年度は、県の要望どおりの国費四十二億を確保したところでございます。

 ちなみに、県下の宅地被害一万五千件のうち、約五千件を国の事業の適用対象と想定しておりますけれども、要件の拡充を行わなければ約三千八百件の適用しかできなかったということでございますので、補助率のかさ上げと相まって、これらの要件緩和も地方負担の軽減に直結しているというふうに認識しておるところでございます。

 宅地耐震化、国の事業の対象とならない宅地の復旧につきましては、県の基金事業によります復旧ということになりますけれども、五月末現在までに約七百件の宅地復旧の申請がされているというように伺っておるところでございます。

 国の宅地耐震化推進事業の実施もこれから本格化してまいりますけれども、引き続き、県や市の相談に応じながら、被災者のニーズを把握するとともに、国としての所要額の確保、地方負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。

由木政府参考人 住宅関係についてお答え申し上げます。

 災害公営住宅の整備に当たりましては、用地費は補助対象とはなっておりませんが、用地を取得した場合には、家賃低廉化事業の補助期間を十年から二十年に延長いたしておりまして、さらに、家賃低廉化の補助率もかさ上げをいたしております。こういうことで地方負担の低減を図っているところでございます。

 この災害公営住宅の地方負担分につきましては、通常は、入居される方々の家賃収入と、今申し上げました災害公営住宅家賃低廉化事業による国庫補助金を充当することで賄える仕組みになっているというふうに考えているところでございます。

 次に、木造の応急仮設住宅の活用についてでございます。

 現在、市町村の独自住宅とする、あるいは災害公営住宅とする、いろいろな利活用の方策につきまして検討されているところというふうに伺っているところでございます。

 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、社会資本整備総合交付金等により支援してまいりたいというふうに考えております。

 今後とも、こうした災害公営住宅の整備を初め、地域の実情に応じた住まいの復興に向けて、被災自治体による取り組みをしっかりと国としても支援してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 住まいの再建へ向けて、被災宅地の早期復旧、また公営住宅の建設等においても万全を期して支援をしていっていただきたいと思います。

 いよいよ時間でございます。観光、復興のための支援についても、また被災者のさまざまな支援についても質問を用意させていただきましたけれども、時間が来ましたので、ここで終わらせていただきたいと思います。

 熊本の復興は今からでございます。国の全面的な支援を引き続きいただきますように、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 民進党の荒井聰でございます。

 きょうは、私は災害特別委員会のメンバーではないんですけれども、この場をおかりいたしまして幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず第一が、海岸事業についてであります。

 現在、北海道では、北海道JRの持続的な維持問題について大きな議論を呼んでおりますが、その中で、JR北海道自身が、これは民間事業者ですね、民間事業者自身が海岸事業を担っているという実態がございます。

 皆さんのお手元に参考資料を提示いたしました。これは北海道新聞の三月二日の記事ですけれども、民間がどうして護岸責任を負うのかという記事であります。

 私もそのとおりだと思うんですね。国土というものをしっかり管理していく、その最も責任のあるのは私は公的な機関だ、地方自治体あるいは国家だと思いますが、それが一部分、事業を行っているからということで民間に担わせております。

 その過去の経緯を調べてみると、過去も、国鉄時代にも、実質は、国鉄債券でありますとか、あるいは、最後は国が面倒を見たという記事になっておりますけれども、かなりの部分、国が何らかの形でその責務を担っていたのではないかと思われる節がございます。それが、現在、どういうわけか、一事業者に任せられているということであります。

 この記事の下から三段目のところに、北海道JRの副社長が「海沿いに道路がある場合は税金を使うが、鉄道の場合はJRが国土を守らなければいけない。非常に大きな負担だった」と言う話が出ております。また、二段目の後段ですけれども、「「JR発足時、官民の土地の境界を決める必要があったが整理しきれず、暫定的に残ったままになった」と明かす。」

 このあたりの記事というのはどこまで正確なのかわかりませんけれども、今、海岸事業として、海岸保全事業として民間が担っている部分というのは全体でどのぐらいあるのかというのをまずお聞かせ願いたいと思います。

根本大臣政務官 海岸法におきましては、都道府県知事が、海岸を防護するため海岸保全施設の設置などを行う必要があると認めるときは、法第三条に基づき、海岸保全区域を指定して管理を行うこととなっており、その延長は一万五千キロメートルであり、我が国の海岸線延長全体の約四割であります。

 委員御指摘の民間が行っている海岸事業については、まずは、海岸保全区域内においては、臨海部などの企業が所有している護岸などの海岸保全施設について、それぞれの所有者が事業目的を達成するため、みずから改良や維持管理などを実施しております。そのため、国土保全上適切な管理が行われるよう、海岸法第十三条及び二十一条の規定に基づき、海岸管理者が工事の設計などを承認することとしております。

 次に、海岸保全区域外については、海岸法上防護すべき海岸ではないことから、鉄道事業者などの民間企業は、それぞれの事業を行うために、所有者である企業の責任で施設の管理を実施していると承知しております。

 いずれにしても、国土の保全を目的とした現行の海岸法の趣旨に沿って、津波、高潮などから海岸を防護する海岸事業を推進し、我が国の国土の保全をしっかりと進めてまいっております。

 以上です。

荒井委員 今の答弁でいくと、例えば、JR北海道が廃線をしたいということで地元と打ち合わせをしているんですけれども、その廃線が成立してしまったら、事業者はもう海岸保全の義務を負わなくなるわけですね。そういう場合には、これはほったらかしにするわけですか、どうですか。事務方でいいですよ。

津田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど答弁させていただきましたとおり、海岸法におきましては、都道府県知事が、海岸を防護するため、防護の必要性があると認めるときには、法第三条に基づきまして、海岸保全区域を指定して管理を行うということになってございます。

 したがいまして、国土保全目的として海岸防護の必要がある区間については、海岸保全区域を指定してしっかりした管理を行っていくというところでございます。

荒井委員 ということは、状況の変化があれば、都道府県知事が海岸の保全区域を設定し直すことができるということですね。

 それはどのぐらいの頻度で行われているんですか。これは通告していないのであれですけれども、しょっちゅう、毎年のように行われているんですか、それは。

津田政府参考人 お答えいたします。

 海岸保全区域の指定といたしましては、海岸の性状、背後の地域の状況を踏まえまして、都道府県知事が海岸の指定を行うところでございます。

 頻度でございますけれども、頻度につきましては、海岸基本計画というのを定期的に定める形になってございますので、必要に応じてその中で定めていくということ……(荒井委員「何年ごとにやっているの」と呼ぶ)期間は、済みません、ちょっと手元に資料がないもので、わかりません。

荒井委員 私の問題意識は鉄道海岸の話でしたので、これは国交委員会でしっかりとこの問題について議論をしたいと思います。また、鉄道海岸について、その災害復旧のあり方についても国交委員会で議論をしたいと思います。

 次に、皆さんのお手元の二ページ目を開いてください。「所有者不明の土地」云々かんぬんという新聞記事が出ています。

 これは、福島の原発事故に絡んで、中間貯蔵施設を急いでつくらなければならない、その中間貯蔵施設をつくるために用地取得を早急にしなければならないんですけれども、福島の双葉郡あるいは相馬とか、あっち側の海沿いのところ、浜通りといいますけれども、そこでの用地取得の困難さというのが想像以上だったわけなんですね。それはどうしてかというと、所有関係がはっきりしていないということなんです。

 国というのは、国民と国土があって国なんですよね。国民は、戸籍とかそういうものがあって、日本国民というのはどうなのかというのがはっきりしているんですけれども、ところが、国土というのは、誰がどういうふうに所有しているのか、誰がどういうふうに使っているのかということが非常に不明確なまま据え置かれているということです。これが、大規模な公共事業を行うときとか、あるいは大きな災害が起きたときに問題になります。また、最近では、空き家があちこちに発生をしていて、その空き家対策の処理をする際にも、所有関係が不確かだということから、大きな障害になっています。

 そこで、一筆一筆の土地の所有関係、あるいは、不動産が相続されている、その経緯をしっかりと、関係法令がたくさんあるんですね、それらを整理する必要があるのではないかという指摘をいたしましたところ、国交省が中心になって、そういう勉強会をやりました。その中で幾つかのことが、法務省を中心に、いろいろな制度の改正もしつつあるようですけれども、そこの検討状況というのは今の状況ではどうなっているでしょうか。これは国交省でも法務省でも結構です。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、平成二十七年四月より、関係府省と協力いたしまして、所有者の所在の把握が難しい土地の所有者探索と利活用、また、その発生を予防するための対応方策について、有識者をメンバーとする検討会を開催してまいりました。

 検討会におきましては、所有者探索を円滑にするための環境整備、あるいは所有者不明土地を利用する制度であります財産管理制度等を活用する際の専門家によるサポート体制の構築、また、所有者不明土地を増加させない対策としまして、相続登記等を促す取り組みの促進、このような現行制度を前提とした対策等の提言をいただきまして、順次進めているところでございます。

 また、提言に基づきまして、土地所有者の把握が困難な場合の所有者の探索手順や土地を利活用するために用いることができる制度などをまとめたガイドラインを策定いただいておるところでございます。

 以上でございます。

荒井委員 基本的には、恐らく法務省がもっと積極的に、財産の相続にかかわるときに、その登記がえの簡便な方法を考えてやらないと、なかなか進まないのではないかと思うんですよね。

 今、財産登記を変更するときに予納金と呼ばれる数十万円の費用を必要としているという指摘があるんですけれども、これでは、山林を相続して、ほとんど価値のないというか、数万円ぐらいの価値しかないものを数十万かけて登記がえするというインセンティブは湧かないですよね。その結果、そのまま、所有者が帳面上は江戸時代から生きている人ということになってしまって、そういう状況があちこちにあるんですよね、実際に。それが、福島の中間貯蔵施設をつくる際の物すごい障害になっているんです。

 そういうことから、その簡便な方法、あるいは経費のかからない方法、逆に、もっと言うと、インセンティブを与える、固定資産税が減免されるとかですね、そういうようなことをもっと考えるべきじゃないでしょうか。どうですか、法務省。

金子政府参考人 委員の御指摘は、相続が起きたときに、相続登記がされずに放置されたままになっている、その理由の一つとして、費用がかかるのではないかということかと思いますが、先生がおっしゃっているのは、登録免許税等のお話なのかなとちょっと思ったんですが、ちょっと質問の趣旨を確認させていただきたいのですが。

荒井委員 家庭裁判所に申し立てをするときに、大量の書類が必要だということと、それから予納金と呼ばれる数十万円の費用を納める必要があるというふうに指摘をされているんですけれども。

金子政府参考人 失礼いたしました。

 特に、必要とされる土地について、その所有者が所在がわからないというような場合は、不在者財産管理制度というのがございまして、利害関係人等の請求によって家庭裁判所が不在者財産管理人を選任して、不在者の財産を管理する、将来的には裁判所の許可を得て処分まで行うことができる、こういう制度がございます。

 確かに、不在者財産管理人として弁護士あるいは司法書士などの法律専門職が選任されることもございますので、そのような場合には、そうした財産管理人の報酬等の管理に要する費用が発生することから、不在者財産管理人の選任の申し立てをする者が費用の相当額を予納しなければならないということがございます。

 また、手続に要する時間につきましても、管理すべき財産の内容等にもよって異なってきますけれども、選任までに要する期間、通常一カ月程度かかるとされています。

 もっとも、不在者財産管理制度の活用が広く求められた東日本大震災の復興の際には、裁判所の取り組みにより、必要な書類がそろっている場合に財産管理人の選任まで一、二週間程度に短縮されるなどの迅速な対応がされているものと承知しております。

 このような運用を注視しつつ、制度上の課題が明らかになれば、必要に応じて、改善方策も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。

荒井委員 東北大震災のときには、そういう特例的なことをやったんですよね。

 政治あるいは行政というのは結果ですから、結果が、今、日本でかなりの部分が、江戸時代からの所有者が所有しているといったようなことが据え置かれているというのは、私は行政や政治の怠慢だというふうに思う必要があると思うんですよ。それが、どういうふうにすれば、どういうところを改善すればそこが促進されるのかということを考えるのが、私は政治と行政の役割だと思います。

 その意味では、国交省が中心になって今せっかく国を挙げてそういう研究会というのを始めたわけですから、それを生かして結果を出していくということが求められると思います。

 次に、もう一つ、気象庁に聞きたいと思います。

 気象庁は、最近というか去年から、地方公共団体に気象予報士を派遣するモデル事業を始めたようであります。その中で、この三ページ目で、龍ケ崎市長がコメントを出していて、相当評価をしています。

 私は、確かにそうだろうなと思うんです。地方自治体にはそんな人材、十分な人材がいるわけじゃないですから、特に、こういう気象のことをよくわかる専門的な人というのはそんなにいないと思います。そういうときに、気象予報士がそばにいて市長のアドバイスをしてくれるというのは非常に心強いと思うんです。

 今、全国で五カ所か六カ所だと言っていますけれども、これをもっと拡大していく、あるいは普遍的な制度にしていく、そういう考え方はありませんか。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御紹介のございましたモデル事業でございますけれども、昨年度、龍ケ崎市を初めといたしまして全国の六つの市に対しまして、六月から九月までの四カ月間、気象予報士を派遣いたしまして、市町村の防災対策を支援する、こういうモデル事業でございました。

 予報士の派遣先からは、平常時には、防災担当職員の防災気象情報を利活用するスキルの向上が確認できたなど、高い教育効果が認められた、また、大雨の際の防災対応時には、気象予報士の解説により避難勧告等の判断への迷いが少なくなり、より迅速な発令につながったなどの御意見をいただいているところでございます。

 このような成果を踏まえまして、気象庁では、市町村の防災対応の現場に気象予報士などの気象の専門家がいることの有効性につきまして全国の市町村への周知、説明を進めてきているところでございます。

 また、今年度につきましては、気象庁では、市町村の防災対応の現場で即戦力となるような気象予報士などの育成のための研修プログラムを作成、実施することとしておりまして、この取り組みを全国に広げるよう取り組んでまいりたい、このように考えております。

荒井委員 政治も行政も、国民の生命と財産を守るというのが最も大事なことであります。その最先端にいるのが気象庁だと私は思います。気象庁の役割は大変重たいものがあるというふうに思います。

 もしも、こういう気象予報士が津波の予測、津波の被害だとか、あるいは大震災によって火災が生じたときの避難路とか、そういうことをもアドバイスできるような、そういう能力を持っていれば、前回の東北大震災のときにも助かる人命というのはたくさんあったのではないかというふうに思います。

 ぜひ、このモデル事業をベースにして、これを広げていく、あるいは深化させていくということをお考えいただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民進党の近藤洋介です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、委員長を初め梶山そして小宮山両筆頭理事に心から感謝を申し上げます。

 早速質問に入りたいと思うんですが、本日は、私は人工衛星を活用した防災、災害対策と豪雪対策についてお伺いをしたい、こう思います。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますので、その資料をごらんいただきながら、ぜひ、大臣、御答弁いただきたい、こう思うわけであります。

 準天頂衛星、いわゆる日本版GPS、こう言われているものなんですが、この準天頂衛星が先日、見事無事に打ち上げに成功をいたしました。配付資料二枚目に準天頂衛星のスケジュールというのがございますので、ごらんいただければと思うのですが、ことしじゅうに四号機まで打ち上げが完了するという予定になっておるわけでございます。

 御案内のとおり、準天頂衛星が四つきちんと打ち上がりますと、センチメートル単位で測位が可能になるということで、非常にさまざまな用途での活用ができる、こういうことでございます。

 とりわけ、一ページ目に戻っていただきたいのですけれども、準天頂衛星については、我々民主党政権時代にも、この計画に着手をいたしまして、実用準天頂衛星システムの推進に関する基本的考え方というのを我々の政権下で閣議決定をいたしました。そして、この計画に基づいて現安倍政権でも打ち上げをされていると認識しておりますが、当初から、防災にも活用できるということでこの計画が進められていると我々は認識をしているところでございます。

 具体的に、防災の利用としてさまざまな、この一ページ目にございますように、例えば、避難所での安否確認ができるようになるのではないかといったこと等、特に避難所の安否確認であるとか、また、測位の精度向上によって、位置情報が、防災情報の伝達が可能になるのではないかといったことが挙げられるわけであります。

 思い起こしますと、三・一一のときに、どの避難所に誰がいるんだということが非常に混乱をしたわけでありますし、その情報をとることが非常に難しかった。また、どういう物資が必要だといったことも大変、これが非常に難しかったわけでありますけれども、この準天頂衛星を活用すれば、まさに、どの避難所にどういう人がいて、そして場合によってはどういう物資が必要なんだということも的確にわかる可能性があるわけであります。

 こうしたことから、いずれにしろ、衛星の活用というのは意義があるのではないかと私は考えていますし、そもそも、準天頂衛星を打ち上げる計画の中には防災の利用というのもあったと認識しておるわけであります。

 そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、そもそも、防災基本計画における衛星の利活用について大臣はどのように認識をされているのか、また、とりわけ準天頂衛星の活用についてどのように認識をされているのか、御答弁をいただけますでしょうか。

松本国務大臣 防災分野における衛星の利活用につきましては、災害発生時の情報の収集及び通信手段の確保の観点から重要であり、防災基本計画においても既に位置づけられているところでございます。

 具体的には、機動的な情報収集活動を行うための多様な情報収集手段の一つとして人工衛星を明示しております。また、通信手段の二重化などのため、耐災害性にすぐれる衛星系ネットワークについて、国、地方公共団体等を通じた一体的な整備を図ることとしております。

 御指摘の準天頂衛星の利活用については、今後の運用状況や関係部局における活用等を踏まえ、防災担当としても必要な検討をしてまいりたいと存じます。

近藤(洋)委員 大臣、ぜひこれは、ことし四号機が上がるわけです。三十年から運用が開始されるわけですけれども、既に先進的な自治体、例えば和歌山などはもう既に試験的に進めているという話もありますけれども、やはりある程度国が音頭をとっていただいて、特に防災担当大臣の方で音頭をとっていただいて、各自治体でこの準天頂衛星を活用してどういうことができるんだということを各自治体に働きかけをしていただきたい、こう思うんですね。これからですから、ぜひお願いをしたいと思うんです。星は上がったけれども、利用がどうかということだと思うんですね。ぜひ、この準天頂衛星の活用をお願いしたい。

 国費だけでも、ちょっと世知辛いことを申し上げますと、やはり衛星を上げるのに九百億円程度使っているはずです。その他もろもろを入れれば一千億を超える国費を投入しています。私は必要だと思いますよ、この国費は。しかしながら、やはり、まず、その星をどう活用するか。やはり防災に使うというのは一番わかりやすいわけですから。

 各自治体がその気になってもらわなければいけませんし、国の防災計画の中に明定されているという御答弁をいただきましたが、もうちょっと踏み込んで、防災計画を直せとは言いませんが、ぜひ大臣のリーダーシップで、この準天頂衛星の利活用について旗を振っていただきたい、こう思うわけであります、準天頂についてですね。

 加えて、ほかの衛星もあるわけであります。人工衛星には幾つかの種類があるわけですけれども、通信衛星は、災害時に機能しなくなった地上通信網を補完するわけですよね。あと、いわゆるリモートセンシング衛星というのは、災害時に迅速かつ広域の被災状況を把握する機能もあるわけです。どこに水が上がったとか、どうなった、こういうことを写真を撮ることによって把握することができる。もちろん、瞬時にどこまで情報を伝達するかということは、これはシステムが必要なわけでありますけれども、そういう機能がある。

 すなわち、それぞれの、準天頂衛星やリモートセンシングや通信衛星といった衛星群を活用することによって、かなりさまざまな防災体制、減災体制に活用することができる、こう思いますけれども、とりわけハザードマップや防災計画の作成などにも活用できると思いますが、そういった取り組みについては、担当大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 各種人工衛星等の活用につきましては、宇宙基本計画において、宇宙システムを活用することで、大規模災害について、災害予防と災害発生後の対応能力を向上させるとされております。

 例えば、委員御指摘のように、準天頂衛星の整備は、高精度測位の実現による正確な位置情報の把握、災害・危機管理通報機能による防災情報の伝達、衛星安否確認サービスによる安否情報の収集などに期待できるとされ、現在、宇宙開発戦略推進事務局において実証実験などが行われている段階と承知をしております。

 こうした技術の進展を国や地方公共団体の防災計画に生かしていくことは重要な視点と考えておりまして、引き続き、技術開発の動向を把握しつつ、必要な対応を検討してまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 ぜひ進めていただきたいと思います。大臣、宇宙政策、私は、宇宙基本法をつくった際の、議員立法をつくったときの私も関係者の一人なものですから、ぜひお願いをしたい。

 ことし、宇宙産業ビジョン二〇三〇というのができました。宇宙政策委員会でつくったわけでありますけれども、これもやはり司令塔ということで内閣府の中にあるわけでありますから、大臣も内閣府の大臣ですから、内閣府というのはやはりほかの省庁よりも一ランク上だということが特徴でありますので、ぜひ連携をとって進めていただきたい、こう思うわけであります。

 さて、雪に移ります。夏に雪の話かと言われるかもしれませんが、夏だからこそ雪の話をお願いしたい、こう思うんですね。

 私、選挙区は山形県でありまして、山形県は米沢というところなんですけれども、米沢は雪国なんです。私の自宅も、積雪、大体二メーターぐらいなんですね。雪というと、南の方から見るといいなと思われるかもしれませんけれども、雪国の暮らしは雪との闘いの歴史でありまして、もちろん畑や水田に水を供給してくれる恵みの雪でもあると同時に、実際、生活者の視点に立ちますと、本当に雪との闘いであります。

 まず冒頭伺いたいんですが、雪害、豪雪災害というものを、私は一種の災害だと認識しておるのですけれども、大臣は雪害を政府の防災対策の枠組みにおいてどう位置づけていらっしゃるか、お考えをいただきたい。

松本国務大臣 我が国では、屋根の雪おろし中の転落、雪崩や暴風雪災害のほか、降雪による都市機能の麻痺、交通の障害といった雪害が毎年発生しております。

 このため、政府といたしまして、防災基本計画に雪害対策を位置づけるとともに、これまでの雪害から得られた教訓を踏まえ、関係機関や住民に対する普及啓発、注意喚起などの取り組みを進めてきたところでございます。

 例えば、毎年、降積雪期や融雪出水期に人的被害が発生していることを踏まえ、人命の保護を第一とした防災態勢の一層の強化を図るべく、中央防災会議通知を発出し、防災態勢に係る留意事項等について、関係機関に周知徹底を図っているところでございます。

 また、豪雪地帯につきましては、豪雪地帯対策特別措置法に基づきまして基本計画が策定され、各種の雪害対策を含む豪雪地帯対策が講じられているところでございます。

 今後とも、引き続き、関係地方公共団体、関係機関と協力、連携をしまして、豪雪災害対策に取り組んでまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 大臣、本当に、雪は災害なんだ、こう思っていただきたいんですね。もし雪の色が黒かったらと想像していただきたいと思います、白いから何となくきれいだと思われるかもしれませんけれども。

 積もっている雪もまさに家が潰れるわけですし、吹雪でホワイトアウト、まさに一メーター先、見えないわけですね。本当に見えない。これは死の恐怖を感じるわけであります。また、雪おろしで亡くなる方もいます。また、積もった雪が落ちた場合、これはコンクリートのように重たいわけでありまして、非常にこれは災害、積もった雪も災害、ふぶいた雪も災害だ、こういうことであります。その認識を多くの方に持っていただきたいと思いますし、対策を練らなければいけない、こう思うわけであります。

 そこで、まず予算の話を、国交省、伺いたいと思うんですが、雪寒事業、特に除雪であります。

 地方自治体の負担がやはりふえているわけであります。雪寒法による補助もあるわけですけれども、率直に言って、各自治体の声を聞くと、配分が不足している状況にあります。

 まず、各都道府県に対しての雪寒法に基づく国費補助といった手当てがここ数年の推移を見ればほぼ横ばいという状況でありますけれども、この手当を少なくとも拡充すべきではないかと思いますが、国土交通省、いかがでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 各自治体の除雪対策につきましては、冬期の道路交通を確保する上で、地域の生活面や観光面からも非常に重要であると認識をしております。

 自治体が実施する除雪等に対しましては、積雪寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法、いわゆる雪寒法と呼んでいますが、これに基づき支援を行っているところでございます。

 その費用につきましては、国土交通省といたしましては、年度当初に社会資本整備総合交付金により措置をいたしまして、これに加えまして、補助金につきましては、年度当初保留いたしまして、年度途中に各地域の降雪状況に応じて道府県に対し配分をしているというところでございます。

 さらに、全国的な豪雪の場合には、この雪寒法による積雪地域であるかどうかにかかわらず、自治体に臨時特例措置を講じてきたところでございます。なお、直近では、平成二十六年度に臨時特例措置を講じたところでございます。

 引き続き、地域の道路交通が確保されるよう、適切に対応してまいります。

近藤(洋)委員 御答弁いただいているんですけれども、わかるんですけれども、この雪寒法による措置の金額の全体を見ると、伺ってみると、百億程度なんですよね。

 いろいろな雪対策の措置は私も知っています。特別交付税、特交の措置がある、何がある、社会資本整備総合交付金がある。わかりますが、ちょっと考えてみてください。災害対策で、補正予算で豪雪対策がどれだけ組まれたことがあるかということなんですね。台風なりさまざまな措置だったら災害対策の補正予算で組まれたことはあるけれども、豪雪で補正予算で組まれたことはないんですよ。

 何でだと思いますか。これはやはり二月、三月だからじゃないですか。国の予算の編成上、二月、三月に補正はなかなか組みにくいからなんじゃないですか。これは国の予算の関係なんじゃないか、こう思うんですよね。だから特交でごまかしている、ごまかしているとは言いませんよ、ありがたいですよ、特交も。特交ありがたいですけれども、本来なら豪雪はやはり補正予算なりなんなりで機動的に対応すべき措置なんだと思いますし、そういう意味では、この雪寒法に基づくお金というのもやはり機動的にやっていただきたいと思うわけであります。

 制度上三分の二補助ですけれども、三分の二の補助になっていないということも指摘をしたいと思いますし、それを言うと、国交省は、国交省の予算全体がと必ず返ってくるので、しかし必要なものは必要なんですから、ここはぜひ制度の見直しも含めて考えていただきたい、こう思うわけであります。

 もう一点、国交省に伺います。除雪の担い手の話であります。

 高齢化が進んでおりまして、オペレーター、除雪機の運転をする人がだんだんだんだんいなくなっているんですね。なかなか熟練の人が必要なんですね、除雪をする人も。なり手がいなくなっているという問題でございます。熟練したオペレーターが困難になっているわけであります。

 そこで、自動作業が可能ないわゆるICT除雪機の導入といったことがやはり研究の対象になるんじゃないか、こう思うわけでありますが、政府として技術開発に相当真剣に取り組む時期が来ているのではないかと思いますが、取り組みはいかがでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、熟練した除雪オペレーターの高齢化などによる減少、これによりまして除雪作業を取り巻く環境が厳しくなっていると認識しております。

 このため、最新の技術を取り入れて、運転の制御や操作支援といった除雪車の高度化により、熟練したオペレーターでなくても高精度な除雪作業ができるように、作業のアシストや省力を図ることが重要でございます。

 具体的には、北海道開発局におきまして、産学官が連携して除雪作業の簡易化、省力化に向けた技術開発に取り組む会議を本年三月に設置したところでございます。今後、委員御指摘のございました準天頂衛星が四基体制で運用されることとあわせまして、3Dマップを準備し、平成三十年度の一般道路での実証実験を目指して、車線からのはみ出しやガードレール等への接触を防止する水平方向へのガイダンス機能に加えまして、上下方向の機械のアシスト機能を搭載するなど、高度化された除雪車の開発に取り組んでいくこととしたところでございます。

 国土交通省といたしましては、熟練した除雪オペレーターが不足していくことを念頭に置きつつ、除雪車の高度化を着実に進めながら、冬期道路の交通確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 時間ですので終わりますが、ぜひ大臣、やはり雪対策というのは非常に重要であります。先般、山梨でも大きな事故がございました。このときも、雪に閉じ込められてということでございました。これも、除雪が足りなくてということでございました。

 この除雪対策をどう立て直すかというのは、国交省が主管でありますけれども、防災全体としても問題意識を持って取り組んでいただきたいということを強く申し上げて、時間ですので質問を終わります。

秋葉委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。

 きのうは、国会議員として大変貴重な経験をしたなと思っております。一つは、戦時中でありますけれども、昭和十九年、二十年の決算の採決をしたこと、そして、百十年間抜本的な改正をされることがなかった刑法、性犯罪の厳罰化が盛り込まれた刑法の一部を改正する法律案が衆議院で全会派一致で可決されたということ、大変大きな意味を持った日だったなという思いがあります。

 それとあわせて、院内集会なんですけれども、「#なかったことにはできない」緊急行動というのに私は参加いたしました。これは、五月末ぐらいでしょうか、詩織さんというジャーナリストの方が、元TBSの記者であったジャーナリスト山口氏の在任中の準強姦容疑の被害届を出されて、不起訴処分となり、検察審査会に申し立てられた案件であります。これをなかったことにはしないという女性たちや、また、賛同する男性の院内集会がございました。

 この中で、大変私も感銘を受けたのは、東京地裁に提訴しております女たちの違憲訴訟の代理人の一人であります角田弁護士さんの言葉であります。

 戦争の肯定は、同時に、平時においても社会で力を使って、もっと言えば暴力を使って物事を処理することを肯定することです、それが当たり前の物事の処理の仕方であるというメッセージを振りまくのです、暴力で物事を処理するやり方は、家父長制社会の男性優位の仕組みの中で活用されてきた方法です、それに対して、多くの女性たちは闘ってきました、詩織さんに対する性暴力が力の行使そのものであるというのは言うまでもありません、そして、私は、逮捕状の握り潰しを聞いたとき、あきれました、弁護士を四十年余りもやっていますが、そんなことは聞いたことがありません、逮捕状は、裁判官が逮捕状請求のために警察から提供された一定の資料に基づいて、犯罪の嫌疑と身柄拘束の必要性とを判断して出されるものです、裁判官のそういう判断を政治的な力で押し潰すような国のどこに正義があるのでしょうか、逮捕に文句があるのであれば、正々堂々と司法手続にのっとって闘えばよいことです、それをせずに、上からのよこしまな力で事を処理することは、限りなくひきょうと言うしかありません。

 私もこのとおりだと思います。今、森友問題や、また加計学園の問題など、さまざまな、あったことをなかったようにする、そんな話が多々ございます。これは本当に、議会制の民主主義の中では、やはり議会がしっかりとこのことをただしていかなければ、国民の生命や財産、そして貴重な、本当に命がけでお支払いいただいた税金などがおかしな方向に使われてしまう。また権力者の意向を受ければ何でも許されるんだという風潮というのは、私はとめなければならないんだと思います。

 翻って、災害地、被災地を見てみますと、被災地に行くと、あの避難所では性被害があった、痴漢があった、のぞきがあった、そんな話はたくさん入ってきます。しかし、その割には国会においても、報告などの議事録はございますが、これについて正面から議論をした、そういった形跡は本当に少なく、全くないとは言いませんけれども、今までされてこなかったのも事実であります。

 まず、熊本震災の後につくられました資料を委員の皆様方のお手元に配付させていただいております。これは「東日本大震災「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査報告書」、東日本大震災女性支援ネットワーク調査チームの報告書がもとにつくられておりますし、また東北の男女共同参画センターなどのアドバイスを受けて、避難所に入る方々に対してつくられた資料でもございます。

 こちらの方をごらんいただいてわかるように、「避難所・避難先では困っている女性や子どもを狙った性被害・性暴力、DVなどが増加します」とあります。「自分を大切にしてください」「周囲の目と支えがたよりです」「見ないふり・知らないふりをせず助け合いましょう」「単独行動はしないようにしましょう!」「性的な嫌がらせやいたずらなど尊厳を傷つける行為も犯罪です」と明確にうたっております。

 これのもとになりました記事であります。これだけ注意喚起をするということであるならば、やはり事実はあったんだと思いますが、なかなか、性犯罪や痴漢や、また、時には、ここにも書いてありますけれども、「男子が同じ避難所にいる男性にわいせつな行為をされた。ほかの男子数名も被害に遭った。」というふうにあって、女性だけではなく男性やさまざまな形で被害が、性犯罪があったことは明らかであります。

 この点に関しまして、事件化されていないものも含めて、被災地での性犯罪、性暴力被害の現状認識、実数、被害届、逮捕、検挙数、また相談件数など、どのように捉えていらっしゃるのか、まず現実をお聞かせください。

高木政府参考人 警察庁の犯罪統計によりまして、強姦、強制わいせつにつきまして、発災の月の前後一年間の数字についてお答えをさせていただきます。

 まず東日本大震災については、岩手、宮城、福島の被災三県におきまして、平成二十二年三月から二十三年二月まで、発災前でございますけれども、三百六十四件の認知、二百二十八件の検挙であります。発災後の二十三年三月から二十四年一月までの一年間におきまして、三百十三件の認知、二百七件の検挙でありました。

 熊本地震につきましては、熊本県におきまして、発災前の二十七年四月から二十八年三月までが、八十四件の認知、六十五件の検挙。発災後の二十八年四月から二十九年三月までの一年間におきまして、六十六件の認知、六十二件の検挙でありました。

 このように、統計数値からは震災に関連して性犯罪が増加していることは確認できないものの、避難所における性犯罪、その他、震災に関連すると思われる性犯罪の発生が認知されていることも、関係県警察からの報告により把握をしているところでございます。

小宮山委員 そうはおっしゃいますけれども、警察庁から出されています「東日本大震災に伴う警察措置」という平成二十八年三月の資料によれば、「仮設住宅における性犯罪は七件発生。性犯罪等に関する情報や噂については、「事実なし」といったものがほとんど」という記述が書かれております。

 きのうのレクにおきましても、凶悪犯とか、そういったものに囲まれているので数字は出ていないという回答で、私、正直びっくりしました。

 今ありましたけれども、発災後の方が件数が減っているということになっております。この点に関しても非常に疑問に思うところであります。

 先ほど言いました調査報告書の方を少し紹介させていただきます。

 「子どもへの暴力」という項目では、「報告された子どもに対する暴力の内容は、調査票への回答から、身体接触があるわいせつ行為(痴漢行為、望まない性行為の強要)五件、精神的・心理的暴力四件、言葉による暴力三件、身体的暴力二件、その他の望まない性的な行為(のぞき、性器露出、ストーカー行為など)四件であった。成人への暴力と同様、異なる暴力が重複」していると思われるとあります。

 さらには、「性に基づく暴力が犯罪であることが警察官に認識されていないことに加えて、被害届が出されなかったという理由で、事情聴取後に加害者と被害者をそのまま同じ避難所に返すという不適切な対応をしている。このような警察官の対応は、被害者が加害者からさらなる危害を受ける可能性や、被害者が抱く恐怖を充分に理解していないようだ。」ということ。

 さらには、「被害や被害者と関わろうとしない、被害の報告を信じないなどの行為・対応が、被害者の苦しみ、恐怖、困惑を軽視し、問題解決を遅らせ、被害を悪化させる。これはまた、被害者を非難する行為と同様に、暴力を容認する姿勢につながる。」

 これ自体は、実は二十代の女性が、夜になると男の人が毛布に入ってきて、暗いところに連れていって裸にされたりしたことも、結局、ほかの女性に聞きましたら、若いから仕方がないねと言われた。本当にあり得ないようなことが、やはり災害の後というのは起きるんだということ。

 でも、一方で、この報告書の中にありますけれども、「調査に関して、アジア諸国も含めて、諸外国では災害発生後、早期に避難所での聴き取り調査などが実施できているが、日本の場合、避難所や仮設住宅の運営がほぼ男性で占められており、このような調査に関する理解を得ることが極めて難しかった」とあります。

 また、夫、交際相手の暴力、DVなどさまざまな案件があって、被災をされた方々、結局のところは、防災というのは日常から始まる、女性が暴力に苦しむことのない社会を築くには、社会におけるジェンダー不平等をなくすことが両輪であると言っております。

 さらには、「防災計画や災害時緊急避難計画などに、女性や子どもへの暴力対策を盛り込むことの必要性」も、しっかりとこの調査報告書では書いてあります。

 「回答者の多くが指摘したのは、地域の防災計画に、女性や子どもへの暴力を防止するための項目、および暴力がふるわれた際に適切で有効な対応をするための項目を、具体的に明記する必要性だった。地域での女性や子どもへの暴力についての認識が十分でないために、暴力の防止や被害者への支援、加害者への対応等がなされていないことも指摘されていた。そのため、加害・被害がおこる前に、広く情報提供・啓発が行われる必要がある」という指摘もされております。

 先ほど実数の報告もいただきました。やっと出てきたなという思いもありますが、改めて、東日本大震災、阪神・淡路大震災など、熊本地震においては啓蒙活動はされましたけれども、過去の性犯罪、性被害、また相談件数なども、関係当局にしっかりと実態調査をしていただかなければならないんだと思っております。

 この点に関しまして、通告というものではございませんけれども、大臣、何かお考えはありますでしょうか。

松本国務大臣 性犯罪の被害者の方は、精神的なダメージなどから被害の申し出をためらう場合が多く、被害が特に潜在化しやすい、そんな状況にあります。

 適切に捜査を進める上で、被害者の方に被害を申し出ていただくということが何よりも大切だと考えているのですが、このような観点から、警察におきましては、平素から、犯罪被害者に対する電話相談窓口の設置、また、性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置促進、被害者の希望する性別の警察官による聴取等によりまして、被害の申し出をしやすい環境の整備というものに取り組んでいるところでございます。

 また、東日本大震災や熊本地震の際には、このような取り組みに加えまして、女性警察官を中心とする部隊を派遣し、避難所等におけます相談への対応、防犯指導等の活動、また、避難所や仮設住宅に対するパトロールの強化などが実施されたところでございまして、こうしたこれまでの災害時における対応を踏まえ、災害発生時においては、被災地における性犯罪も含めた犯罪の抑止に取り組み、被災者の安全、安心の確保に努めるよう、国家公安委員長として警察を指導してまいりたいと思います。

小宮山委員 申し出をためらう、その背景というものをぜひ知っていただきたい。

 今回、詩織さんが顔を出し、名字以外ですけれども、実名を出してマスコミの前に出て、現実にはバッシングも受けております。これまでやらなければ、多くの性被害を受けた方、一割ほどしか実際には届け出すらできない、この背景を正さなければ、現実の問題としては直らないんだと思います。さまざまな観点はあると思いますが、ぜひ、この勇気ある女性の行動、しっかりと支えていただきたいと思います。

 再捜査も含めて、資料があるからこそ、裁判所が逮捕状を、逮捕直前まで行ったんじゃないですか。この点はしっかりと受けとめていただきたいと思いますし、先ほど報告書の中にもありました、結局のところ、性犯罪や性被害の暴力などに対しての理解が足りない、そのために傷ついた方々、また場合によっては周りに知られると二次被害、そういったものが三次被害まで起こる、だからこそ申し出ができないという現実というものがあります。

 警察官の中においても、心ない言葉を被害者にかけたのも報告されています。もちろん、一方では、しっかりと理解をされ、見回りがふえたがために加害者がその避難所からいなくなって安心したというような話があり、さまざまな対応がされたという事例も聞いてはおります。

 また、性犯罪指定捜査員として指定されているのが女性警察官ばかりだということのようであります。実際、約八千人ほどいるんですけれども、男性も理解しなかったら、被災地において、警察官はさまざまな作業やそして捜査、大変な任務を担っていらっしゃる、そういった手薄のときに起こっているのが、避難所や避難場所での性犯罪です。そういったことを考えても、やはり、全ての職員がこの性犯罪指定の捜査員となれるほどの訓練や対応というものを知らなければ、根本的な申し出をためらう背景というのは解消されないんだと考えます。

 大臣、この点に関してはいかがでしょうか。

松本国務大臣 性犯罪被害者の精神的負担の軽減、被害の潜在化の防止を図るというためには、特に、被害者に対する対応が適切になされることが極めて重要なことでございます。

 捜査員への登用に際して受講させる刑事任用科、あるいは性犯罪捜査を専門に扱う捜査員に受講させる専科において、性犯罪の専門家による事例に基づく講義や、被害者の事情聴取場面を想定してのロールプレーイング方式による実技指導等を行って、被害者の心情に配慮した対応をどういう形でできるのかということを身をもって学ぶ、そういう機会もつくって、これを教養として指導していきたいと考えます。

小宮山委員 教養ではなく実践で使っていただかなきゃならないので、しっかりとそれは、性別は関係なく、指導というか対応していただきたいと思います。

 ありませんけれども、ぜひ、防災計画や緊急避難計画などこういったものにも、女性、性暴力などの対策についても、しっかり盛り込むべきだと考えておりますので、この点は要望させていただきたいと思います。

 証拠があっても被害が認定される可能性が低いとなれば泣き寝入りがふえます。実際には、周辺との調和やさまざまなあつれきなどがあって、災害のときだけではなく日常から、性犯罪、性暴力というのは被害の泣き寝入りを強いられているのが今の日本の現実だと私は考えております。泣き寝入りをさせないためにもしっかりと、詩織さんのこの事例を見ても、警察の対応、そして今後、加害者が逃げられるような、そんな日本を変えていただきたいと、防災大臣のイニシアチブ、もちろん、国家公安委員長としてもこの点はしっかりと指導していただきたいと思います。大きくうなずいて、何度もうなずいていただきましたので、この点、さらに対応していただく。

 文科省におきましても、加計学園の再調査をされるという決断をされたようであります。この点は大臣に期待をさせていただきたいと思います。

 さて、最後になりましたけれども一点、首都直下型地震の被害想定というよりかは、この点に関しましてお答えいただければと思います。

 具体的なことになります。二の二のところで先に行きますけれども、首都直下地震など大規模災害時には、緊急消防援助隊として全国の消防本部から被災地への応援が行われます。長期かつ過酷な条件下で緊急消防援助隊が救急活動等を行うためには、特殊な車両、資機材等の充実強化が必要となりますけれども、この点に関しまして、特には、無線中継機や拠点機能形成車など、配備されれば有効に使われると思われる機材があるそうでございます。この点に関しまして、国の支援策、対応等について御説明をください。

秋葉委員長 杉本部長、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

杉本政府参考人 お答えいたします。

 首都直下地震などの大規模災害の際には、緊急消防援助隊が迅速かつ的確な消防活動を行えるよう、車両、資機材等の充実強化を図ることが重要だというふうに認識をしているところでございます。

 そういったことで、例えば、被災地の前線での部隊活動の後方支援を行う拠点機能形成車を初め、単独の地方自治体では整備することが困難な大きな車両、資機材等については、国有財産の無償使用制度により計画的な配備を進めているところでございます。

 今後とも、緊急消防援助隊の活動に有効な車両、資機材等が整備できるよう、必要な財源の確保を図り、緊急消防援助隊の体制強化に努めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 災害はいつ来るかわかりません。備えあれば憂いなしという言葉もありますが、全ては平時のときにどのような対応をしていたかということが問われるのだと思います。この委員会も、だからこそ定例日が設けてあります。災害対策だけではなく、日ごろから災害に備えろといったことで捉えておりますので、今後とも、委員会においてさまざまな質疑を深めていきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。

 七十人を超えるとうとい命を奪った、私の地元でもあります広島の豪雨土砂災害から、再来月でもうすぐ三年がたとうとしております。

 先日、中国地方も梅雨入りをしまして、被災地域を初め、多くの住民の皆さんが引き続く不安の声を寄せておられます。今こそ行政はこの声に応えなければならない、そんな決意できょうは質疑に立たせていただきます。大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。

 先月末に、広島県の国への予算要望の説明会に私は参加をしまして、県知事からのお話を伺いました。あの災害の最大の教訓の一つであった土砂災害の危険地域の危険箇所の基礎調査、それから警戒区域指定、この推進に今なお大変御苦労されている、こういうお話を伺いました。

 最初に、確認ですけれども、最新の数字、昨年度末の時点になるんでしょうか、広島県とまた全国の土砂災害危険箇所の基礎調査の完了ぐあい、完了率はどうなっているか、教えていただけますか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 土砂災害警戒区域の全国総区域数の推計値は約六十七万区域となっておりますが、このうち、平成二十九年四月末現在、基礎調査については約五十三万三千区域、約八〇%が完了しております。

 また、広島県の総区域数の推計値は約五万区域となっておりますが、このうち、平成二十九年四月末現在、基礎調査につきましては約二万一千区域、約四二%が完了しているところでございます。

大平委員 昨年の臨時国会の本委員会でも、私、この問題を質疑しました。一昨年、二〇一五年の三月末時点での広島県の警戒区域の基礎調査完了率、そのときの御答弁で、五四%、全国の平均が七四%とお聞きをいたしました。全国は、七四%から先ほどありました八〇%へと前進をしている。しかし、広島県は、一昨年度末の五四%からことし四月末時点で四二%へと、これは基礎調査の完了率がむしろ後退をしてしまっているんですね。

 ちょっと疑問なんですけれども、これはどういう理由でそうなっているのか、教えていただけますか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 土砂災害警戒区域の全国総区域数でございますけれども、これは、各年の調査によりまして推計値が調査でふえていくということがございまして、分母がふえている状況がある中で調査をして、トータルとして、場合によっては完了率が低くなるという場合もあるということでございます。

大平委員 基礎調査を進める中で新たな危険箇所の発見がある、そんな御答弁だったかなと思いますが、これは、広島県以外にそういう県はあるかどうかというのは、局長、わかるでしょうか。通告していないのであれですけれども、もしわかれば教えていただけますか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 広島県では先ほど申し上げた状況でございますが、広島県以外にもそういう例があるというふうには聞いております。

 ただ、ちょっと、他の県の詳細についてはただいまデータを持ち合わせておりません。

大平委員 この警戒区域指定の大前提となる危険箇所の基礎調査を一日も早く終えるということが非常に重要になっております。この間の経過を聞いておりまして、広島県は、来年度末、来年度中にこの基礎調査を完了する、こういう目標を立てているわけですけれども、本当にこの目標どおりに完了することができるのかと、非常に危惧をしております。

 広島県は、先ほどありましたとおり土砂災害の危険箇所が約五万カ所と、少ない県と比べれば桁が一つ違う、全国一この危険箇所が多い県であります。土砂災害防止法が制定をされたのも、またこの法律が改正をされたのも、この広島県で起きた土砂災害がきっかけとなった、そういう県であります。

 規模の問題でも、あるいはいろいろ地理的な条件の問題、あるいは歴史的経過を見ても、特別な困難を抱えているこの広島県、おくれをとっている広島県に対し、私は、やはり、この基礎調査のスピードを加速させるためにも、従来の国の枠組みにとどまらない支援が必要だというふうに思いますし、広島県もそれを切望しているというお話も伺いました。

 改めて、政務官、補助率の引き上げなどを含めて、ぜひこの問題、検討、具体化をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

根本大臣政務官 平成二十六年の広島市での土砂災害を契機に土砂災害防止法が改正されたことを踏まえて、全ての都道府県において平成三十一年度までに基礎調査を完了させる目標が設定をされました。

 国土交通省といたしましては、基礎調査の促進のため、平成二十七年度より、基礎調査の経費に対し防災・安全交付金を優先的に配分するための制度を創設し、積極的に支援をしているところであります。

 国費率の引き上げについてもお尋ねがありましたが、現行制度のもと、既に基礎調査が完了した自治体とのバランスも踏まえ、慎重に検討する必要があると考えております。

 今後とも、基礎調査の完了目標が達成できるよう、防災・安全交付金の活用を通じ、都道府県をしっかりと支援し、基礎調査及び区域指定の促進を図ってまいりたいと考えております。

 以上です。

大平委員 広島県の危険箇所の推定値が約五万件、今調査が完了しているのが二万一千件というお話、およそ約三万件残っている。そして、昨年度末からこの四月末時点ですか、一年と一カ月の間におよそ二千カ所から三千カ所程度の基礎調査の完了、これが本当に来年度までで終わるのかと。特別な困難を抱えている広島県だということを再度強調したいと思うんですね。

 政務官、他の、調査を終えられた自治体とのバランスというお話をされました。地理的問題や困難な条件があるということをむしろ度外視して、横並びに、同じように機械的に措置をするという、このことの方が本当に公平なのかと、私は問題提起したいというふうに思うんですね。

 国交省自身も、二〇一五年の一月十六日付国交省告示第三十五号、ここで、国交大臣名で、土砂災害防止対策の基本指針の変更を行っております。何と書いてあるか。「基礎調査の計画的かつ迅速な実施」という項目の中で、基礎調査とその早期完了の重要性を述べた上で、「国は、都道府県が目標を達成できるよう、財政面、技術面などの支援を行うものとする。」これは先ほど政務官からあった御答弁だと思います。

 「都道府県は、定期的に調査の進捗状況を国に報告し、国は各都道府県の実施目標及び進捗状況を公表するとともに、遅れている都道府県に対しては理由を確認し、基礎調査の早期完了のため必要な措置を講ずるものとする。」と述べているのであります。おくれた県には、その理由を聞き、必要な措置を講ずると国交省みずからおっしゃっている。当然、広島県、困難な事情を抱え、おくれをとっている広島県に理由を聞いているのかどうかもありますし、必要な措置を講じていただきたい。従来の枠組みじゃない、そういう措置をとっていただきたい。

 重ねて、政務官、お答えいただけますか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 広島県では、平成二十六年八月の広島市の土砂災害を受けまして、基礎調査等の実施体制を強化するなど、基礎調査及び区域指定の促進に取り組んでいるというふうに聞いております。

 また、広島県では、先ほど申しましたように、二十九年四月末現在、二万一千カ所の基礎調査が完了しておりまして、全国は三十一年度までが基礎調査の完了なんですけれども、三十年度までに基礎調査を完了させると聞いております。

 我々としましては、基礎調査の早期完了に向けまして、防災・安全交付金を優先的に配分するとともに、地方ブロックごとに会議を開催いたしまして、先進県での効果的な取り組み事例の提供を行うなど、広島県を初めといたしまして、そのような都道府県の取り組みを積極的にこれからも支援してまいりたいと考えているところでございます。

大平委員 いや、全く空虚な答弁だと言わなければならない。

 三万カ所残っており、この一年で実績で見ても、ゼロ一つ少ない、二千カ所から三千カ所しか基礎調査が終わっていないじゃないか、こういうことを示しているのに、目標どおり進むように、こういうことを繰り返して答弁されるわけです。

 ぜひとも、政務官、国交省に重ねて訴えたいと思います。

 あの三年前の被害を決して再び起こしてはならない、この決意で、ぜひとも必要な措置を講ずるよう重ねて求めておきたいというふうに思います。

 この基礎調査のおくれの問題とともに、調査が完了したところでも、その後の区域指定がおくれているという、こうした重要な問題もあります。

 先月、五月の二十六日、総務省は土砂災害対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告を発表しました。

 総務省にお伺いします。

 その一番目の、警戒区域等の早期指定の推進について国交省に勧告をしておりますが、その理由、背景について簡潔に御説明ください。

古市政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの平成二十九年五月に公表しました土砂災害対策に関する行政評価・監視におきましては、土砂災害対策の推進を図る観点から、関係府省、十七都道府県等を調査し、特別警戒区域の指定推進のため、都道府県に対し助言や情報提供を行うことなどを関係府省に対し勧告いたしました。

 御指摘の警戒区域等の指定状況の調査結果としましては、「警戒区域等の指定に当たり関係市町村や住民から理解を得られないこと等により、基礎調査の終了後二年以上経過しても区域指定されていないものが多数みられた。」ところでございます。「これらの区域においては、基礎調査の結果、土砂災害が発生した場合に住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれがあると認められる土地とされながら、特に特別警戒区域の指定予定地については、土砂災害防止法に基づく住民等の安全を確保するための開発行為の制限や建築物の構造規制等もされないままの状態が長期継続している状況にある。」という調査結果となったところでございます。

大平委員 基礎調査の終了後二年以上経過しても区域指定されていないものが多数見られると。特別警戒区域の指定予定地について、開発行為の制限や建築物の構造規制等もされないままの状態が長期継続している状況にある、こういう御指摘でした。

 つまり、特別警戒区域の指定が放置をされているがために、こうした地域で住民の生命または身体に危害が生じるおそれがある、こういう地域で指定がされていないがために、宅地開発などが進められているおそれがある、こういう厳しい警告をしております。

 国交省にこの勧告に対する認識を伺いたい。今の現状、実態をどのように把握されているのか、お伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕

山田政府参考人 お答えをいたします。

 特別警戒区域につきましては、一定の土地利用規制を伴うことから、区域指定の内容を住民の方々に丁寧に説明する必要があります。先ほど申し上げました、その一部の地域につきましては指定に時間を要しているところがあるというふうに認識をしております。

 このため、都道府県におきまして、地域を代表する区長を対象とした説明会や、最近ではオープンハウス方式の住民説明会を開催する等の工夫を行い、住民の方々の御理解を得るためのさまざまな取り組みを行っているところです。

 さらに、国土交通省としては、これまでも地方ブロックごとに会議を開催して、先進県での効果的な取り組み事例を提供するなど、都道府県の取り組みを支援しているところでございます。引き続き、都道府県に対しまして必要な助言や情報提供を行ってまいりたいと考えております。

大平委員 この特別警戒区域の指定のおくれというのは決して曖昧にできない問題、このことは共有しておられるというふうに思います。あの広島の豪雨、土砂災害のあれだけの甚大な被害になってしまった最大の教訓の一つがまさにここにあると。

 総務省の調査の中にもありました砂防学会の「広島市の大規模土砂災害に関する砂防学会緊急調査に基づく提言」の中でも、次のように述べられている。「被災地域の大半は土砂災害防止法の警戒区域等の指定がなされていなかった。土砂災害の危険箇所でありながら、危険度の高い谷の出口付近や谷筋において新しく宅地が造成され人家が増えつつある状況と、それらの人家が激しく被災している状況も今回の災害では多数確認」されていると指摘をされているとおりです。

 国交省の皆さんのこの基本方針の中にも、可及的速やかに指定を行うことが重要だと繰り返し述べられている。市町村との協議、住民への丁寧な説明という先ほど局長の御答弁がありましたが、これは解決するべき課題だということはもう従前からわかっているわけで、本当にこの危機感を共有されているのかということを改めて指摘をしておきたいというふうに思います。

 松本大臣にこの問題を最後にお伺いしたいと思います。

 今度の総務省の調査結果とそれに基づく勧告についての御所見について、また、警戒区域の早期指定の推進など、国交省を初め関係各省に防災大臣として強く働きかけていただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 土砂災害対策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告におきましては、警戒区域等の早期指定の推進、警戒避難体制の整備、要配慮者利用施設における安全確保対策などを促進するため、地方公共団体に対し、より一層の情報提供や助言を行うように求められたところでございます。

 政府といたしましては、これまでも、土砂災害防止法を改正し、土砂災害警戒区域等に関する基礎調査結果の公表の義務づけ、要配慮者利用施設における避難確保計画の作成と避難訓練の実施の義務づけなどの対策を進めてまいりました。また、避難勧告等に関するガイドラインを改定し、一層の充実を図ることなどにより、土砂災害対策の充実強化に努めてきたところでございます。加えまして、地方公共団体への周知を図るため、地方ブロック等における研修や説明会を積極的に実施をしております。

 今回のこの勧告は、このような取り組みをさらに推進すべきとの御指摘であると受けとめておりまして、今後とも、政府一体となって、地方公共団体とも連携し、土砂災害対策を推進していきたいと存じます。

大平委員 広島の豪雨土砂災害は、この区域指定のおくれの問題とともに、避難勧告の発令のおくれや、あるいは土砂災害の防止施設のこうした整備のおくれなど、何重にも政治、行政の責任が問われる、まさに政治災害であった。このような甚大な被害を再び日本のどこでも起こしてはならない、こういう強い決意を持って松本大臣にはぜひ取り組んでいただきたいということを重ねて求めておきたいと思います。

 次に、福祉避難所の問題について引き続き伺いたいと思います。

 この問題も昨年の本委員会で私は取り上げました。要配慮者も含めて、現状では多くの国民にこの福祉避難所の存在が知らされていないという問題があります。

 二〇一三年に内閣府が行った調査で、東日本大震災の避難者に福祉避難所のことを知っていたかということを質問し、一般の人たちでは七六%が知らない、四人に三人以上が知らない、要配慮者の皆さん自身に聞いても六九%の方が知らないと答えております。

 改めて、あの前提になる問題について一つずつお伺い、確認をしたいと思います。

 内閣府が昨年の四月に作成をしました福祉避難所の確保・運営ガイドライン、この冒頭に挙げておられます福祉避難所の対象となる者の把握、自治体に求めている一項目めがまずこの問題。つまり、私たちの町には何人要配慮者の人たちがいるのかをつかんでいる自治体が今どのぐらいあるのかどうか。さらに、二つ目に挙げられている福祉避難所の指定状況について。私たちの町は、発災したときにはこの施設を福祉避難所として使わせてもらうんだ、そう指定をしている、このことを確保している自治体がどのぐらいあるのか。二点についてお伺いしたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えいたします。

 内閣府としては、福祉避難所の利用対象者数を把握している自治体の割合までは把握をしていないところでございます。しかしながら、福祉避難所の確保・運営ガイドラインでは、市町村において、福祉避難所の対象となる者の概数や現況等を踏まえ、福祉避難所の指定要件、指定目標を設定することも記載しているところでございます。

 また、福祉避難所の数についてお尋ねがございました。平成二十八年十月一日現在で内閣府が行った全国調査では、回答があった千七百十九市町村の福祉避難所の数は二万百八十五施設であり、約九割の千五百七十二市町村において確保されているというふうに承知をしております。

 内閣府としては、引き続き、福祉避難所の確保が進み、支援を必要としている要配慮者の方々に的確に周知が行われるよう、さまざまな研修等の機会を通じて、市町村向けに公表している取り組み指針やガイドラインの周知に努めてまいりたいというふうに考えております。

大平委員 要配慮者の概数を国としてはつかんでいないというお答えでした。

 ことしの三月十五日に、毎日新聞が、全国の県庁所在地を初め百二の自治体に調査をしております。この調査を見てみますと、利用対象者、要配慮者の把握状況について、回答のあった百二自治体のうち、四十六自治体、四五%が把握をしている、五十三自治体、五二%が把握していないと答えている、こういう結果が示されております。

 自治体自身が、我が町には要配慮者がどのぐらいいるのかを把握しなければならない、そういう自覚に立ってもらうということが大事なわけで、伝えているというお話ありましたけれども、その自覚がどこまで進んでいるのかということを、やはり国として、こうしてガイドラインで、第一に概数を把握せよというふうに示しているわけですから、国として、それがどのぐらい進んでいるのかをつかむということは、私は、内閣府、政府の当たり前の責任だというふうに言いたいと思います。

 福祉避難所の指定状況についての御答弁もありました。確保している自治体が全国の九〇%、こういう御答弁でした。この問題、前回の本委員会で同じ質問をしたときには、指定状況が四五%というお答えだったものですから、わずか半年余りで随分ふえたんだなと思っておりましたら、指定ではなく確保だと。つまり、自治体が、災害時に福祉避難所としておたくの施設を使わせてください、こういう協定を結んだところも含めた数として今集約をしている、こういう御答弁でしたね。

 もちろん、一歩前進だというふうには思いますが、やはり、より確実な、実効性あるものにしていくためにも、何より要配慮者の皆さんに、ここが福祉避難所ですから何かあったときには言ってくださいね、こういう周知をしっかりするためにも、指定された福祉避難所を広げていただきたいということを求めておきたいと思います。

 さらに、福祉避難所の問題でお伺いしたいのは、この福祉避難所の人員配置の問題であります。

 内閣府として、福祉避難所を開設した際、つまり、発災後、発災時、福祉避難所を開設した際に、人員をどういうふうに配置せよというふうに求めているでしょうか。このガイドラインの福祉避難所の開設で、配置という点について何と書かれているか、御説明いただけますか。

加藤(久)政府参考人 お答えいたします。

 福祉避難所の確保・運営ガイドラインにおきましては、福祉避難所は、おおむね十人の要配慮者に一人の生活相談員等を配置すること、その他備品等について記載がしてあるところでございます。

 いずれにしても、福祉避難所の体制をどうするかということは、具体的には、地方公共団体において判断されるものでございますけれども、内閣府としても、地方公共団体には、ガイドラインを踏まえ、平時から取り組みを進めるように、さまざまな機会を通じて促しているところでございます。

    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕

大平委員 要配慮者のおおむね十人に一人の生活相談員、専門的な知識を持った、そういうスタッフを配置せよということをこのガイドラインでも示しております。

 これも実態はどうか、先ほど御紹介をした毎日新聞の自治体への調査を見てみますと、内閣府の指針どおりに人員を配置できると答えたのは、百二自治体のうち二十四自治体、二三・五%にとどまっております。

 内閣府として、こうした皆さん方が示された人員配置の現状、その準備、確保の状況、実態をどのようにつかんでおられるでしょうか。

加藤(久)政府参考人 お答えいたします。

 内閣府といたしましては、具体的にはどのように福祉避難所の体制等を確保、準備を進めるかについては地方公共団体の判断において行われるものということでございまして、全国でどのくらい進められているかということについては把握をしてございません。

 私どもといたしましては、まずは指定避難所がしっかりと確保されるということをまず取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。

大平委員 この問題をなぜ私が強調するか。福祉避難所の確保と適正な運営は、地震などの災害からやっとの思いで逃れつつ、しかし、生きること自体に大変な困難を抱えている人たちの、まさに命を守るとりでである。行政にとっても決して曖昧にしてはならない課題だと私は思います。幾らガイドラインでこのようにせよと示しましても、やはりその現場の実態をつかまなければ、実効力ある、実効性のある施策は進まないんじゃないかと思って聞いております。

 この点で、大臣にぜひ、熊本地震で実際に起きた問題をひとつお聞きいただきたいと思います。

 熊本難病・疾病団体協議会の皆さんによれば、水分を多く補給しなければ急速に重度の脱水症状に陥る腎臓の難病を患う児童さんが、熊本地震が発災したとき、一般の避難所に避難をし、家族の皆さんが職員の方たちに我が子の病気のことについて説明をするんですけれども、発災直後の現場の混乱ということがもちろんあったと思いますけれども、担当者からは、我慢しなさいと、結局通常の配給量しかもらえなかったというお話でした。両親が患者会に相談をし、患者会から連絡を受けたこの協議会の人たちが急いで水を提供して、この児童の重症化を何とか免れることができた、こんなお話でした。

 また、同協議会が昨年秋に行った調査も拝見させていただきました。熊本地震を体験して気づいたことについて書いてもらった自由記述欄には、要配慮者の皆さんの切実な声がつづられておりました。

 親子で同じ病気で食事制限中であったため、食事の確保が大変、また、反対に、保健師さんの聞き取りがあってありがたかった、訪問看護ステーションの早い対応にとても助かりました、こうした声も見受けられました。いずれの声からも、専門スタッフが適正に配置されること、その存在と役割が極めて重要であるということがわかる声だなというふうに私は感じました。

 改めて松本大臣に、要配慮者の把握の問題から、福祉避難所の確保の状況、あるいは専門スタッフ配置の準備状況の把握をぜひとも進めていただきたい。現状認識と決意をお伺いしたいと思います。

秋葉委員長 松本大臣、簡潔にお願いいたします。

松本国務大臣 福祉避難所については、一般の避難所では生活することが困難な要配慮者が避難所での生活において特別な配慮が受けられるなど、要配慮者の状況に応じて安心して生活ができる体制を整備していくものでありまして、その中で支援人材確保は重要な課題と考えております。

 内閣府といたしましては、昨年四月に運営ガイドラインを策定し、平時の取り組みなくして災害時の緊急対応を行うことは不可能であるとの認識で、市町村を中心として、平時から取り組みを進めていただくよう助言しているところでございます。

 また、人材の確保につきましては、防災基本計画において、「都道府県は、あらかじめ、介護保険施設、障害者支援施設等に対して、災害時に派遣可能な職員数の登録を要請することや、関係団体と災害時の職員派遣協力協定の締結等を行うことにより、介護職員等の派遣体制の整備に努める」ことを記載しております。

 また、ガイドラインにおいても、同様の留意事項について記載をしているところでございまして、内閣府といたしましては、地方公共団体において、これらを参考に、地域の実情に応じて平時から取り組みを進めるよう、さまざまな機会を通じて促してまいりたいと思います。

大平委員 以上で終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美です。

 早速質問に入りたいと思います。

 きょうは、仮設住宅についてまず伺いたいと思いますが、前回、三月十六日の大臣所信に対する質疑で取り上げさせていただきました。東日本大震災から六年、熊本地震から一年を過ぎて、避難者が身を寄せる仮設住宅のあり方というのが問われる時期かというふうに思っております。

 応急仮設住宅の入居期限が二年とされているのは短過ぎるのではないか、仮設住宅の面積の基準が一戸当たり二十九・七平米と定められていますが、家族の多い世帯では狭過ぎるのではないかということで指摘をさせていただきました。

 大臣及び内閣府からの答弁としては、現行の基準には理由があって、御理解いただきたいというような答弁であったと認識をいたしております。

 その委員会から二週間ほどたったことし四月一日に内閣府の告示が改正をされております。その改正の趣旨と内容、検討経過を具体的に伺いたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの内閣府告示は、災害救助法による救助の程度、方法及び期間等について基本的な基準を示したものでございます。

 この基準について、内閣府において最近の災害における状況を踏まえ検討の上、本年四月には、物価変動等を勘案した基準額の改定に加えまして、被災自治体がより迅速に救助に取り組むことができるよう、現実の運用、解釈をわかりやすく示す改正を行ったところでございます。

 具体的には、仮設住宅に関しましては、建設型仮設住宅と借り上げ型仮設住宅を区分し、明確化するとともに、建設型仮設住宅の建設費用を、過去の災害で要した費用を踏まえ、実態に即した金額に改定を行ったところでございます。

 また、二十九・七平米を標準としていた面積について、数値を明示せず、実施主体が応急救助の趣旨を踏まえて、地域の実情や世帯構成に応じて設定できるとする改定を行ったところでございます。

河野(正)委員 質問の直後に、多くの被災地が要望していた事項が実行に移されたということは、歓迎すべきことだと評価をしたいと思います。

 以下、具体的に確認をしたいと思います。

 応急仮設住宅の面積の基準については、今おっしゃいましたように、二十九・七平米という規定を削除し、地域の実情や入居する世帯の構成などに応じて設定するというふうに改められました。

 前回の委員会質疑では、松本大臣から、限られた建設用地に可能な限り多くの戸数を確保する必要があるため、現行の標準面積で設定しているという趣旨の答弁でありましたが、この見解について現在はどういうふうになっているのか、伺いたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 これまでも、応急仮設住宅の面積につきましては、標準以外のものであっても、地域の実情等に応じた対応が可能であったところでございます。今回の改正により、応急救助の趣旨を踏まえて設定できるとしたところでございます。

 今回の改正では、数値を明示していないものの、応急仮設住宅は限られた建設用地に可能な限り多くの戸数を確保する必要があり、こうした趣旨を踏まえて面積を定めるべきものであり、この考え方に変わりはございません。

河野(正)委員 応急仮設住宅の設置に当たって自治体が支出できる一戸当たりの費用についても、これまでの二百六十六万円以内から五百五十一・六万円以内に引き上げられました。

 二倍以上の大きな引き上げとなりますが、この見直しの理由について確認したいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えいたします。

 今般、内閣府告示において改正をいたしました応急仮設住宅の設置費用につきましては、東日本大震災以降の災害において応急仮設住宅を設置した金額の平均額を基準といたしまして、実態に即した金額に改めたものでございます。

河野(正)委員 今回の見直しについて、先月、自治体に対する説明会が開かれたと聞いております。

 政府は、どのように受けとめられたと認識しておられるのか。一区切りついたと考えているのか、なお課題が残っていると考えているのか、見解を伺いたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 本年四月に告示を改めたところでございまして、自治体の受けとめというような御質問でございましたけれども、現在は、都道府県からそれに関連した質問等をお受けしているというような状況でございます。まずは、改正内容をしっかり周知の上、適切な運用を図っていきたいと考えているところでございます。

 その上で、今後とも、発生した災害から得られた教訓を踏まえて、総合的な防災対策を不断に見直していくということは大切であるという考え方のもとで、災害時における住まいの確保にもしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

河野(正)委員 一方で、自治体から要望の多かった応急仮設住宅の二年という入居条件については今回改められておりません。今、質問を受け付け中ということでありましたが、その理由について伺いたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 応急仮設住宅は、災害救助法に基づきまして、災害により住家が全壊等をして居住する住家がなくなった被災者の方に対し、自宅の再建や災害公営住宅等の整備がなされるまでの間、一時的な住まいを確保するために提供されるものでございます。

 また、できる限り速やかに多くの住宅を提供するため、建築基準法による規制が緩和をされ、原則として二年間提供可能な仮設施設として整備をしているところでございます。

 応急仮設住宅の提供期間が原則として二年以内とされているのは、このような住宅の基本的な性格と密接にかかわるものと考えているところでございます。

 なお、特定非常災害の場合には、都道府県知事がその必要性を判断した上で、内閣総理大臣に協議し、その同意を得て、一年を超えない範囲で延長することができるというふうにされております。

 このように、大規模な災害におきましては、必要に応じて入居期間の延長が可能な仕組みとなっているところでございます。

河野(正)委員 熊本地震では、鉄筋を基礎にした木造の仮設住宅が建設をされました。こうした形の仮設住宅は、プレハブ仮設と違って居住環境が向上するため、避難生活が長くなる被災者の方にとっては大きなメリットがあるというふうに思います。

 実際に暮らしている被災者の方からも好評と伺っておりますが、こうした仮設住宅がなぜ可能となったのか、長期の避難生活も見込まれる場合、こうした仮設住宅の設置を可能にすることができないのか、あわせて伺いたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、災害救助法に基づく応急仮設住宅は、一時的な住まいを確保するために提供しているものでございます。

 応急仮設住宅の仕様につきましては、災害救助法の実施主体である都道府県や事務の委任を受けた市町村において適切に定めることとされてございます。

 このため、発災後に迅速に一定戸数の提供が可能か、コストの面の見合いがどうかといった観点も含め、一般化するのではなく、地域の実情に応じて、そのたびごとに自治体で御検討いただき、適切に判断いただくものと考えてございます。

 なお、熊本地震における木造仕様による応急仮設住宅の提供につきましては、たび重なる余震、台風等を勘案いたしまして、その地域の実情に応じて、鉄筋コンクリートによる基礎にて建設をしたものと承知をしてございます。

 国としても、引き続き、被災自治体が、一時的な住まいとしての性格を踏まえつつ、被災者のニーズや地域の実情に応じて仮設住宅の提供ができるよう、しっかりと支援をしてまいります。

河野(正)委員 内閣府に置かれた大規模災害時における被災者の住まいの確保策に関する検討会では、被災自治体の事務負担の増加、被災者の避難生活の長期化等が予想されるので、現在の課題等を明らかにし、今後の方向性を検討しているというふうに伺っております。

 この検討会の資料を見ますと、長期的な避難に備えて、熊本地震で設置された、基礎をしっかり築いた木造住宅をつくることも選択肢として有効なのではないかとの考えをとっているように思われます。災害の規模、被災地の実情などは多様であり、多様な選択肢を平時から確保しておくことが重要だと思っております。

 検討会での議論の経過、今後の見通し、方向性などについて伺いたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模災害の発生時におきましては、圧倒的な住宅不足により被災者の広域的な避難が発生をいたしまして、応急的、一時的な住まいでの生活が長期化するということが予想されているところでございます。

 このため、現在、先ほどお話のございました検討会を設置いたしまして、応急段階や復旧復興段階における被災者の住まいの確保に当たっての課題、今後の方向性について御議論いただいているところでございます。

 委員から御指摘のございました熊本地震の際に設置された木造仮設住宅、これについても、議論の対象の中に入って、今現在議論をいただいているところでございます。

 今後の見通しでございますが、議論の進展にもよりますが、今後何回か御議論を経させていただいて、論点の整理と今後の方向性を取りまとめていきたいというふうに考えております。

河野(正)委員 仮に長期的な避難生活も見据えた仮設住宅を選択肢として広げる場合、応急的に必要な救助と定めている災害救助法の趣旨との整合性をどのように整理しておくのか検討することも大切だと思います。

 現在も仮設住宅で生活する被災者の方の声を伺いますと、住まいの再建の困難さは明らかだというふうに思います。住宅の再建に限っては新たな枠組みも検討すべきではないかと思いますが、松本大臣の見解を伺いたいと思います。

松本国務大臣 大規模災害発生時には、圧倒的な住宅不足によりまして応急的、一時的な住まいでの生活が長期化することが想定されるところでございます。

 このため、議員御指摘の熊本地震で設置された木造仮設住宅など、応急仮設住宅に救助期間後も継続して住み続けることも含め、被災者に多様な住まいの選択肢を提示し、検討を進めることは極めて重要であると認識をしております。

 現在、大規模災害時における被災者の住まいの確保策に関する検討会において、このような多様な住まいのあり方について、災害救助法との整合性や技術的な実現可能性も含めて御議論をいただいているところでございます。

 本検討会において取りまとめられる論点整理や今後の方向性等を踏まえ、内閣府として必要な検討を行ってまいりたいと思います。

河野(正)委員 次の質問項目に移りたいと思います。

 応急仮設住宅には、民間の賃貸住宅を地方自治体が借り上げて被災者に供与する借り上げ型仮設住宅、みなし仮設住宅とも呼ばれる仕組みがあります。先ほどもお話に出ておったと思います。この仕組みでは、自治体が家賃や共益費、保険料等、賃貸契約に不可欠な費用を負担するため、事実上の家賃補助、現金給付ではないかという声があります。

 災害救助法では現物給付が原則とされておりますが、そのことに関して整合性はどのように整理されているのか、伺いたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 現行の災害救助法におきましては、災害により現に救助を必要とする被災者に対して、住まいを提供し、物資や食事等が行き届くよう、現物によって救助を行うことといたしております。

 借り上げ型仮設住宅の供与は、救助の実施主体である都道府県が物件についての権利を取得し、これを被災者に提供するものであって、現物給付の一形態と言うことができるというふうに考えてございます。

 具体的には、適切な物件の確保について都道府県が責任を負うこと、都道府県、被災者及び賃貸人の三者において継続的に関係が続くこと等の点で御指摘の現金給付とは異なるというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 この制度では、貸し主、借り主である都道府県、入居する被災者という三者が賃貸借契約を結ぶ必要があるため、既存住宅にすぐ入居できるメリットはあるものの、事務負担が煩雑である、複雑であるという声もありまして、大規模災害では非常に時間がかかるという指摘もあります。また、規定されている家賃の上限を自費で賄うことができないなど、柔軟な運用ができないという声も伺っております。

 被災者が生活を再建する上で、先ほど大臣もおっしゃいましたように、住まいの確保は極めて重要であり、迅速な支援がより早い自立を可能にすると思います。そういった観点から、家賃補助という選択肢も検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 現物給付による借り上げ型応急仮設住宅の提供につきまして、契約事務等の手続が煩雑との御指摘があるということは承知をしてございます。

 熊本地震におきましては、被災者みずから物件を探し、地方自治体へ応急仮設住宅として申請する方式や、あるいは国等の職員の派遣などの工夫により、現物給付の課題の改善に一定の成果を上げたものと考えているところでございます。

 また、大規模災害時における被災者の住まいの確保策に関する検討会、ここにおきましては、借り上げ型応急仮設住宅の入居迅速化のための取り組みについても御議論いただいているところでございます。

 この中では、現物給付の原則におきましても、事前の準備あるいは外部委託の活用等について進めるべきとの御意見をいただいているところでございまして、今後、必要に応じ、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 ぜひこういったところは柔軟な対応ができるようにしておいていただきたいと思いますし、あくまで、災害が起きてから慌てて考えていくのではなくて、災害のない平時から検討を進めていくべき問題だというふうに思っております。

 次に移ります。

 一九九五年に発生いたしました阪神・淡路大震災では、兵庫県が復興基金を活用して家賃補助というのを実施したと聞いております。この際も大きな問題、混乱などは生じなかったということであります。

 阪神・淡路大震災から五年後の平成十二年、当時の厚生省が社会・援護局長のもとに大規模災害救助研究会を設置し、大規模災害時における災害救助のあり方について報告書を取りまとめておられます。そこでは、「既存住宅の活用を図るとともに、被災者が自ら入居先を選択し、一定期間にわたって安定した居住を確保できる制度であり、被災者の住宅支援策の選択肢の一つとして考えられる施策」とされています。

 支援の選択肢として評価されているようにも思うところでありますが、阪神・淡路大震災の際の家賃補助によっていわゆるモラルハザードは生じたのか、当時の運用についての評価を含めて、お聞かせいただきたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 阪神・淡路大震災におきましては、兵庫県が平成八年七月に策定をいたしました恒久住宅への移行のための総合プログラムのもと、民間賃貸住宅家賃負担軽減制度が創設をされ、中低所得の被災者が自宅、災害公営住宅等に入居せず民間賃貸に入居する場合に、公営住宅の減免制度等との均衡を図るため、自治体独自の支援措置が実施をされたものと承知をしております。

 申しわけございません、当時の状況について、今手元に資料がございませんので、モラルハザードが起こったかどうかについて承知をしているところではございませんが、この制度による支援は、現に救助を必要とする被災者に対して、住まいを提供し、現物によって救助を行う、これが災害救助法による支援でございますので、これとは趣旨が異なる、地域の仕組みであるというふうに受けとめてございます。

河野(正)委員 現金を給付すると、趣旨に合わない使い方をされるおそれが生じる、モラルハザードが起きるとの指摘もつきまとっております。

 現在、避難所に寄せられる物資の提供など、現物給付の原則に基づき徹底されていると思いますが、被災後しばらく時間がたてば、流通網が回復し、コンビニなどで容易に商品がそろうようになってくると思います。現金給付であれば、みずから動ける人はみずから必要なものを購入し、動けない方は、その方に合った現物の支援物資を提供するなど、個別の事情に合わせた、きめ細かくめり張りのある支援が可能になるのではないかなというふうに思っています。

 現金給付の有効性についての見解を大臣に伺いたいと思います。

松本国務大臣 現行の災害救助法においては、災害により現に救助を必要とする被災者に対して、住まいを提供し、物資や食事等が行き届くよう、現物によって救助を行うこととしております。

 現物給付による住まいの提供については、事務負担が大きいなどの課題はあるものの、被災者とのつながりが続くなどの利点があるとされております。

 一方、現金給付については、他の用途への使用の懸念、自力で住宅が確保できない被災者を別途把握し、支援する必要があるなどの課題と、被災自治体職員の事務軽減などの利点があるとされております。

 いずれにいたしましても、特に大規模災害時に被災者の住まいをどのように確保するかは重要な課題であり、その一環として、一時的な住まいの提供のあり方についても、どのような方法が有効であるのか、幅広い検討をしてまいりたいと思います。

河野(正)委員 今住宅についてお答えいただきましたけれども、物品に対してはいかがお考えでしょうか。

加藤(久)政府参考人 お答えいたします。

 物品につきましても、先ほど大臣が御答弁いたしましたとおり、他の用途への使用の懸念というようなものもございます。その一方、被災自治体職員の事務の軽減というようなことについては共通する点かと思いますので、その辺も含めながら、住宅についても議論しておりますけれども、あわせまして、幅広く検討を進めてまいりたいと思います。

河野(正)委員 では、次の質問項目に移りたいと思います。

 仮設住宅では、被災者への支援の目が行き届きにくく、孤立しがちとも言われております。東日本大震災や熊本地震でも、仮設住宅、災害公営住宅、それぞれ孤立死の事例が少なくありません。

 熊本地震で大きな被害を受けた益城町では、支援団体や社会福祉協議会などが集まり、生活再建が困難な世帯を中心に個別ケース検討会議を開き、個別に支援計画をつくって実施するなど、きめ細かい支援に結びつけておられます。

 こうした取り組みは、現在は自治体の判断で進められているため、自治体の対応によっては支援に差が生じてしまう現状があると思います。国による制度化を求める声も伺っておりますが、孤立死を防ぐことにもつながるこういった取り組みについて、政府の見解を伺いたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 災害時における被災者の支援につきましては、内閣府を初めとする関係府省が所管する事業におきまして、連携して適切に対応しているところでございます。

 熊本で行われております孤立死等の問題の見守りなどの支援策でございますけれども、今般の熊本地震における応急仮設住宅入居後の被災者に対する支援として、熊本県において、これは厚生労働省の補助を受けまして、自治体が、被災者のそれぞれの環境の中で安心した日常生活を営むことができるよう、孤立防止等のための見守りですとか、日常生活上の相談支援あるいは生活支援、住民同士の交流の機会の提供等を行っているというふうに伺ってございます。

 内閣府といたしましても、早期の生活再建に向け、被災者に寄り添った切れ目のない支援が行われるように、各省庁、政策を出し合いまして、自治体等としっかり連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 内閣府がリーダーシップをとってしっかりとやっていただきたいと思います。

 災害救助法では、災害が発生したときに住んでいた自宅がどれだけの被害を受けたか判断されることによって、受けられる支援メニューが変わってまいります。

 例えば、昨年、台風十号の被害に遭った岩手県岩泉町では、一階部分が浸水しているものの、半壊と判断されたため仮設住宅に入れず、自宅も十分な修復ができないまま自宅で生活をしなければいけない方もいたというふうに伺っております。

 また、自宅が全壊した場合、持ち家と賃貸住宅とでは、その方が受ける経済的な損失というのは大きく異なってまいります。賃貸住宅であれば、家財道具に被害がなければ実質的な損失はほぼなく、転居して住み続けるということができるかと思います。

 例えば、一階部分が潰れてしまったアパート等で二階に住んでいた方は、家財、住宅も壊れていないという事例があるというふうに伺っております。けれども、生活再建支援金や仮設住宅など、受けられる支援は双方同じだということであります。

 このような制度は果たして平等と言えるのかどうかという声を聞くところでありますが、政府の見解を伺いたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えをいたします。

 災害救助法は応急救助を目的としておりまして、応急仮設住宅の供与については、災害により、自宅の全壊などにより居住する住家を失った被災者の方々に対して、恒久的な住宅が整備されるまでの間、一時的な住まいを確保するために提供される仕組みでございます。

 また、救助法には応急修理というものがございますけれども、災害救助法に基づく応急修理、これは、災害のため住家が半壊もしくは半焼し、みずからの資力では応急修理をすることはできない者、または大規模な修理を行わなければ居住することが困難である程度に住家が半壊した者に対して、応急的な対応としてその破損箇所を修理して、差し当たり日常生活を営むことができるよう必要最小限の修理を行うということで、被害の程度に応じて対応しているところでございます。

 また、被災者生活再建支援制度は、その生活基盤に著しい被害を受けた方の生活の再建を支援する、こういう目的のもとに、住宅が全壊した、あるいは大規模半壊の重大な被害を受けた世帯に限って支援の対象としているところでございます。

 なお、御指摘の、持ち家と借家というお話がございました。全壊の場合でありましても、再建方法が持ち家であるという場合には、被災時の居住形態が持ち家か借家かということにかかわらず、最大三百万を支給しているところでございますが、これは、経済的な損害に対する支援ということではなく、見舞金的な性格を有した支援であるということから、基礎的な生活の再建に向けて一律の金額として支援をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、被災者の生活再建に向けまして、それぞれの法律の趣旨にのっとり、今後とも適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 今、見舞金という性格というふうにおっしゃいましたけれども、賃貸住宅であれば、被災されても、またほかの場所で住み続けることができますし、さらに、先ほど例を話したように、アパートで、一階部分は大規模損壊して潰れてしまったけれども、二階は上に乗っかって滑り落ちただけなので、全く家財道具も使える状況であるということでありますので、そういった例が実際あると聞いておりますので、そういったことを考えると、この差はどうなのかなということでありますので、見舞金と言われてしまうとそれまでなんですけれども、しっかりと検討していかなければいけない課題ではないかなと思っております。

 繰り返しになりますけれども、有事に慌てて考えるのではなく、平常時にこういった問題も考えていかなければいけないというふうに思います。

 最後の質問になりますが、遠くない将来、首都直下地震や南海トラフ地震が起こるともうわさをされております。そのときに、現在の災害救助法の仕組みで果たして十分なのかどうか。そうした大規模災害が発生した際の被害想定というのは示されていますが、災害救助法による現在の枠組みで支援を提供した場合、どれだけお金がかかるのか、そうした財政的シミュレーションはなされているのかどうか、伺いたいと思います。

 また、そうした情報が、現在の災害救助法の枠組みが十分かどうか判断する指標にもなると考えますが、見解を伺いたいと思います。

加藤(久)政府参考人 お答えいたします。

 今後起こり得る首都直下地震等の大規模災害における自治体への財政支援、これは極めて重要な課題だと考えているところでございます。

 災害救助法では、都道府県が救助の主体と位置づけられており、救助の費用も一義的には都道府県が支弁することとされており、そのための積み立ても行うこととされております。

 一方、災害の規模によっては、都道府県がその費用の全額を負担することが困難なケースもあり得ることから、同法におきまして、被災都道府県の財政力に応じて、その費用の五割から九割を国が負担する、そういう仕組みになってございます。

 これに加えまして、都道府県の負担分に係る地方財政措置を組み合わせれば、国が最大限財政支援を行う仕組みとなっており、実質的な都道府県の負担は極小化されているというふうに考えております。

 首都直下地震等の大規模災害における災害救助費につきましては、現段階では具体的な試算は行っておりませんが、いずれにしても、内閣府としては、都道府県が安心して応急救助を行うことができるよう、財政面も含め、最大限の支援に努めてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 さまざまな課題があると思いますので、平時の際にしっかりと検討しておくべきであるということを述べさせていただきまして、時間が来ましたので、終わります。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十五分散会


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