衆議院

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第6号 平成29年9月5日(火曜日)

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平成二十九年九月五日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 小里 泰弘君 理事 工藤 彰三君

   理事 熊田 裕通君 理事 新谷 正義君

   理事 津島  淳君 理事 小宮山泰子君

   理事 重徳 和彦君 理事 赤羽 一嘉君

      あかま二郎君    穴見 陽一君

      大西 英男君    大見  正君

      加藤 鮎子君    神山 佐市君

      木内  均君    今野 智博君

      坂本 哲志君    櫻田 義孝君

      鈴木 憲和君    関  芳弘君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      根本 幸典君    原田 憲治君

      平口  洋君    藤丸  敏君

      松本 洋平君    三ッ林裕巳君

      八木 哲也君    緒方林太郎君

      太田 和美君    柿沢 未途君

      神山 洋介君    菊田真紀子君

      小山 展弘君    寺田  学君

      江田 康幸君    吉田 宣弘君

      田村 貴昭君    堀内 照文君

      真島 省三君    伊東 信久君

      河野 正美君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       小此木八郎君

   内閣府副大臣       ふくだ峰之君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   環境副大臣      とかしきなおみ君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   海堀 安喜君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 篠原 俊博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     古市 裕久君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           杉本 達治君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官)  塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           徳田 正一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         奥田  透君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  織田  央君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            島  雅之君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     秡川 直也君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        山本 昌宏君

   衆議院調査局第三特別調査室長           井東 辰晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月三日

 辞任         補欠選任

  梶山 弘志君     野中  厚君

同月七日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     あかま二郎君

  中根 一幸君     根本 幸典君

  野中  厚君     原田 憲治君

  松本 文明君     松本 洋平君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  大平 喜信君     真島 省三君

九月五日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     中谷 真一君

  中川 郁子君     穴見 陽一君

  原田 憲治君     関  芳弘君

  神山 洋介君     緒方林太郎君

  佐藤 英道君     吉田 宣弘君

  堀内 照文君     田村 貴昭君

  真島 省三君     大平 喜信君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     八木 哲也君

  関  芳弘君     原田 憲治君

  中谷 真一君     大西 英男君

  緒方林太郎君     神山 洋介君

  吉田 宣弘君     佐藤 英道君

  田村 貴昭君     堀内 照文君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     金子万寿夫君

  八木 哲也君     高橋ひなこ君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     中川 郁子君

同日

 理事梶山弘志君八月三日委員辞任につき、その補欠として熊田裕通君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

六月十六日

 一、災害対策に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(平成二十九年七月九州北部豪雨による被害状況等)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成二十九年梅雨前線に伴う大雨及び台風による被害でお亡くなりになりました方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

秋葉委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

秋葉委員長 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に熊田裕通君を指名いたします。

     ――――◇―――――

秋葉委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る八月二十九日、平成二十九年七月九州北部豪雨による被害状況等調査のため、大分県及び福岡県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、自由民主党・無所属の会の新谷正義君、今野智博君、民進党・無所属クラブの小宮山泰子君、重徳和彦君、公明党の赤羽一嘉君、日本共産党の真島省三君、日本維新の会の河野正美君、そして私、秋葉賢也の八名であります。

 七月五日から六日にかけて、九州北部地方では、総降水量が多いところで五百ミリを超える大雨となりました。福岡県は、朝倉市、東峰村を中心とした地域において、わずか九時間で七百七十四ミリという記録的な豪雨を観測いたしました。

 この豪雨により、土砂災害や河川の氾濫が多発し、福岡県においては、九月四日現在で死者・行方不明者三十八名、住家被害一千六百三十八棟、また、大分県においては、死者三名、住家被害一千三百十五棟といった被害が出ております。加えて、河川、道路や鉄道等の公共インフラ、農地や農業用施設などにも多大な被害が発生しており、住民の方々の生活や地域の経済、産業にも甚大な影響を与えております。

 ここに改めて、今般の災害によりとうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対して衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告いたします。

 まず、大分県日田市役所において、安東大分県副知事、原田日田市長、前田中津市副市長から、それぞれ被害状況の説明を聴取し、被災者の生活再建への支援、農林水産業や商工業、観光産業への支援、復旧復興に向けての財政支援等について要望を受けました。

 その後、日田市内を流れる花月川のJR九州鉄道橋落橋現場を視察いたしました。落橋は、滞留した流木が流れをせきとめ、その水圧により橋脚が崩壊したことによるとのことでありました。また、JR久大本線の現在不通となっている区間はバスによる代行輸送を実施しており、JR九州は二〇一八年夏をめどに復旧に取り組むとのことでありますが、久大本線は、地域住民の貴重な交通手段であるとともに観光にとっても重要な路線であることから、一日も早い全線復旧が望まれております。

 次に、福岡県東峰村の岩屋地区において、被害の状況及び県道八女香春線の復旧状況について説明を聴取いたしました。

 岩屋地区は、土石流により宝珠山川が河道閉塞や護岸崩壊、氾濫を起こし、甚大な被害が生じております。また、被害を受けた県道八女香春線は、福岡県と国交省が共同で啓開作業を行い、去る八月九日に全線で啓開作業が完了しており、現在は、緊急車両のみ通行可とし、道路復旧作業を進めているとのことでした。一方で、当地を通るJR日田彦山線については、被害が著しく、いまだ復旧の見込みが立っていないとのことでありました。地域住民の重要な交通手段となっていることに鑑みれば、早期の復旧が求められております。

 その後、東峰村役場宝珠山庁舎におきまして、渋谷村長から被害の状況について説明を聴取するとともに、公共土木施設、農地、農業用施設及び林道の速やかな復旧に必要な事業予算の確保と迅速な災害復旧の実現、再度の災害防止のための改良復旧事業の積極的な推進、半壊以下を含む被災建物の解体撤去費用に係る災害等廃棄物処理事業の対象措置等について要望を受けるとともに、小規模地方公共団体が行う災害復旧における人的支援の必要性、被災建物に係る支援のあり方、被災した農機具に係る支援の充実の必要性等について意見交換を行いました。

 次いで、福岡県朝倉市の赤谷川久保垣橋において、今般の豪雨による河川の治水対策について説明を聴取し、現地を視察いたしました。

 赤谷川は、福岡県知事の要請を受け、権限代行により国が土砂や流木の除去を実施しております。現在は、通常の雨を安定して流せる流路を緊急的に確保し、上流部に不安定な状態で堆積している土砂、流木の流出抑制のため、国の直轄事業による緊急的な砂防工事に着手したとのことであり、再度災害が発生しないよう、原形復旧ではなく改良復旧を原則とした治水対策を行っていくとのことでありました。

 次いで、朝倉市山田地区の山の神ため池決壊現場を視察いたしました。

 山の神ため池は、貯水量約七万立方メートルの農業用ため池でありますが、流木がため池を破壊したことにより大量の水とともに土砂、流木が下流に流れ込み、大きな被害が発生しました。現在も復旧されず、中央部にわずかな水流はあるものの、土砂が堆積し、流木が散在するのみの状況でありました。今般の災害では、農地、農業用施設の被害も甚大であり、復旧のためには一層の支援が求められております。

 次いで、流木等の仮置き場となっておりますあまぎ水の文化村を視察いたしました。

 あまぎ水の文化村は、今般の豪雨災害を受け、駐車場やグラウンドが流木等の仮置き場に指定されております。流木については建設資材とすることはできないので、破砕してチップにするとのことでありますが、膨大な量の流木等を目の当たりにして、その処理には十分な支援が必要であると痛感いたしました。

 最後に、朝倉市役所において、江口福岡県副知事、森田朝倉市長からそれぞれ被害状況の説明を改めて聴取するとともに、災害復旧に対する特別な財政支援等についての要望を受けました。

 以上が調査の概要でありますが、今般の豪雨による両県の被害は甚大であり、早急な対策の実施が必要であると強く認識いたしました。

 今般の災害は、上流域で山腹崩壊が多数起こって流木が大量に発生し、土砂とともに下流域に押し寄せて被害を拡大させたことが特徴とされております。甚大な被害につながったメカニズムをよく分析し、今後の災害対策につなげていくことが重要であります。

 また、今般の豪雨災害による被災地は、平成二十四年七月九州北部豪雨の被災地とも重なっている地域があり、その教訓を踏まえた防災を進めてきた場所であります。しかしながら、教訓を踏まえて想定していた雨量をはるかに超える豪雨には対応し切れなかったということも考えたとき、再度災害を防ぐための復旧事業のあり方についても十分検討していく必要があります。

 これらの課題について、既存の仕組みの弾力的な見直しなども含めて、当委員会において積極的に議論していく必要があると決意を新たにした次第であります。

 最後になりましたが、今回の調査に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 この際、お諮りいたします。

 派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔要望事項は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

秋葉委員長 平成二十九年七月九州北部豪雨による被害状況等について政府から説明を聴取いたします。小此木防災担当大臣。

小此木国務大臣 おはようございます。

 このたび国土強靱化担当・内閣府防災担当大臣を拝命いたしました小此木八郎でございます。

 防災は国家の基本的かつ極めて重要な任務であると認識しており、災害対策を担当する大臣として、いつ起こるかわからない災害に備え、常に緊張感を持って職務に当たってまいる決意であります。そして、国家百年の大計として、災害に強くしなやかな国づくりを進めてまいる所存であります。

 秋葉委員長を初め理事、委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、被害状況等の報告に先立ちまして、平成二十九年七月九州北部豪雨等により亡くなられた方々の御冥福を改めてお祈り申し上げます。そして、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、被害状況等について御報告いたします。

 まず、六月三十日以降、梅雨前線や台風第三号の影響により、中国地方、九州北部地方を中心に記録的な大雨となり、島根県や福岡県、大分県では大雨の特別警報が発表されました。

 この豪雨による河川の氾濫や土砂災害などにより、これまでに福岡県、大分県を中心に、死者三十八名、行方不明者五名などの人的被害のほか、住家の全壊二百八十五棟、二百棟を超える床上浸水など、甚大な被害が発生しております。また、ライフライン、農業用施設などにも大きな被害が生じたほか、各地域では流木による被害が発生し、これら流木や土砂を含む多量の災害廃棄物が発生いたしました。

 政府としては、発災前から関係省庁災害警戒会議を開催するとともに、発災直後には関係閣僚会議や関係省庁災害対策会議を連日開催し、被害状況や政府としての対応を確認してまいりました。また、松本純前防災担当大臣及び松本洋平前内閣府副大臣を団長とする政府調査団を被害の大きかった福岡県、大分県に派遣するとともに、七月十二日には安倍総理も被災地の視察を行うなど、政府としても被災状況や被災地の抱える課題を直接把握した上で、人命の救助活動はもとより、暑さ対策などの避難所の環境整備や、被災地の復旧の妨げとなっていた流木を含む災害廃棄物処理の迅速化などの課題に対し、地元自治体と緊密に連携しながら、政府一丸となって対応してきたところであります。

 特に、激甚災害の指定については、全国的な梅雨明けを待たずに、七月二十一日に激甚災害の指定見込みを公表し、被災した自治体が不安なく迅速に災害復旧に取り組むことができるようにいたしました。

 なお、激甚災害の指定については、後ほど御説明する秋田県等を含め、ことしの梅雨期に発生した一連の災害を対象として、八月八日に閣議決定を行いました。これにより、農地及び農林水産業共同利用施設等や公共土木施設等の災害復旧事業、中小企業信用保証に係る特別措置を講じることとなりました。

 また、七月二十二日からは東北地方や北陸地方を中心に大雨となりました。特に秋田県では平年の七月の月降水量の一・五倍を超える記録的な大雨となったところがありました。

 この大雨により、雄物川が氾濫するなどして、秋田県内を中心に、家屋への浸水や土砂崩れなどが相次ぎました。幸いにも人的被害は報告されておりませんけれども、これまでに、住家の全壊三棟のほか、六百棟を超える床上浸水など、大きな被害が生じました。道路や電気、水道等のライフラインに加えて、地域の基幹産業である農業にも甚大な被害が発生しております。

 この災害に対しまして、発災直後に関係省庁災害対策会議を開催し、被害状況、対応を確認するなど、政府一丸となって施設の応急復旧等の災害応急対策に当たってまいりました。

 この他にも、台風第五号に伴い大雨、突風による被害が生じたほか、八月二十四日からの大雨では、秋田県では雄物川が再び氾濫するなど、各地で被害が発生しております。

 私は、八月二十一日に九州北部豪雨の被災地である福岡県、大分県を訪れ、みずからの目で現地の状況を確認してまいりました。また、両県の知事、朝倉市長、東峰村長、日田市長、中津市長など、大きな被害を受けた自治体の皆様から多くのお話を伺い、激甚な被害を改めて認識しているところであります。被災地では、福岡県朝倉市、東峰村において、八月十七日に建設型の仮設住宅が完成し入居が開始されるなど、復興に向けた着実な動きも感じることができました。

 引き続き、政府一体となって、災害復旧や被災者の生活再建支援等、一日も早い被災地の復興に全力で取り組んでいく決意を新たにしているところでございます。今般の災害に対して、今後とも、被災者の皆様方の切実な声に真摯に耳を傾け、復旧復興や被災者の生活やなりわいの再建など、被災された方々が一日も早く日常の生活を取り戻していただけるよう、関係自治体と連携を密にし、政府一丸となって取り組んでまいります。

 以上でございます。

秋葉委員長 以上で説明は終わりました。

 次に、ふくだ内閣府副大臣及び山下内閣府大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許可します。ふくだ内閣府副大臣。

ふくだ副大臣 国土強靱化担当、防災担当の内閣府副大臣ふくだでございます。

 災害から国民の生命、身体、財産を守るために、国土強靱化担当、防災担当の内閣府副大臣といたしまして、小此木大臣を補佐し、一連の災害からの復旧復興、今後の災害対策と強靱な国づくりに全力で取り組んでまいりたいと思います。

 秋葉委員長を初め理事、委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

秋葉委員長 次に、山下内閣府大臣政務官。

山下(雄)大臣政務官 このたび内閣府の大臣政務官を拝命しました参議院議員の山下雄平と申します。国土強靱化及び防災を担当いたします。

 ふくだ副大臣とともに小此木大臣をお支えし、災害からの一日も早い復旧復興、そして強くてしなやかな国づくりに全力を尽くしてまいります。

 秋葉委員長そして理事、委員の皆様の御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官海堀安喜君、総務省大臣官房審議官篠原俊博君、総務省自治行政局公務員部長佐々木浩君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長古市裕久君、消防庁国民保護・防災部長杉本達治君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長宮嵜雅則君、農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官塩川白良君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、農林水産省大臣官房参事官徳田正一君、農林水産省農村振興局整備部長奥田透君、林野庁森林整備部長織田央君、国土交通省大臣官房技術審議官江口秀二君、国土交通省水管理・国土保全局長山田邦博君、国土交通省自動車局次長島雅之君、観光庁審議官秡川直也君、気象庁長官橋田俊彦君及び環境省環境再生・資源循環局次長山本昌宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子君。

小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。

 まず冒頭、九州北部を初めとする、平成二十九年梅雨前線に伴う大雨及び台風により犠牲になられた方々の御冥福と、そして被害に遭われました皆様に心からお見舞い申し上げます。一日も早い生活再建とともに、また、国会におきましてもしっかりと支援をし、再建が早期にできるように、ともに歩ませていただければと思っております。

 さて、最初になりますけれども、まずは、小此木大臣、就任おめでとうございます。恐らく最初の国会答弁になるかと思いますが、私どもの民進党も、新しい前原代表で初めての、ここ、質疑となります。

 本日は、災害対策特別委員会のほかに、安全保障の問題で委員会も開かれます。昨日の、眞子様の御婚約内定の報でお祝い一色になるところが、このような北朝鮮の暴挙が行われたこと、これに関しては、特に核実験、兵器の実験によっての暴挙ということは断じて許されることではございません。特に、国連での原水爆またそういったものに関しての禁止ということがことし、残念ながら日本政府は参加しておりませんけれども、決議をされたその年に、また早急にされるということは断じて許されるものではございません。政府におきましても、これは与野党を超えて迅速かつ万全の対応、しっかりとした対応をお願いしたいと思っております。

 さて、八月二十九日、先週ですけれども、災害対策特別委員会で、先ほど委員長より報告がございました、九州北部豪雨で被災された大分県日田市、中津市、福岡県朝倉市、東峰村を視察させていただきました。復興復旧へ向けて、各自治体及び議会から御要望を託されました。この御要望の内容は、先ほど委員長からもありましたけれども、議事録に要望書という形でしっかりと載ります。この点を踏まえまして、本日は質疑をさせていただきたいと思います。

 また、九州北部豪雨以外にも、秋田等広域で、今回、ことしは被害がありました。この点に関しましては、各地で農業や地域産業に多大な被害がございました。激甚災害の指定ということで、先ほど小此木大臣からも報告がありましたけれども、農地及び農林水産業共同利用施設等や公共土木施設等の災害復旧事業、中小企業信用保証に係る特別措置など、この点に関しましては、しっかりと地元の要望を聞いていただき、対応していただくことをまずお願いさせていただきます。

 さて、本日の質疑、各議員が、また視察に行ったメンバーからも詳細な質疑があるかと思います。その中において、私自身は、やはり、被災地にこれまでも行っても、同じような要望が随分重なることも見受けられます。この点に関しまして重点的に質疑をさせていただきたいと思っております。

 また、民進党におきましても、災害発生後直ちに豪雨災害対策本部を立ち上げ、現地の情報なども確認しながら、対応を協議し、七月二十日に菅官房長官に対して平成二十九年七月九州北部豪雨災害に関する緊急申し入れを行いました。また、八月二日には秋田県豪雨災害に関する緊急申し入れも行ったところでございます。

 緊急申し入れは、一、被災者の救助等、二、激甚災害の指定といった、発災直後、すなわち、対応が必要なものとともに、その後から現在さらに今後も含めて関係する内容のもの、三、被災者生活支援の強化、四、地方公共団体に関する財政支援の強化、五、ライフライン、交通インフラ、公共土木施設等の早期復旧、六、産業復興支援、七、ボランティア支援を、そして秋田県豪雨についても同様の項目を掲げております。

 この点に関しまして、民進党からの緊急申し入れといたしまして、政府の受けとめ方、また対応状況全般に対しまして小此木大臣にはお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

小此木国務大臣 まず、冒頭おっしゃいました北朝鮮の自分勝手な横暴な振る舞いについては、私どもも、許せないものと、お気持ちは共有しております。しっかりと対応してまいりたいと思います。

 また、お尋ねの、民進党から官房長官に対して、この七月の梅雨前線豪雨による九州北部、秋田県での災害に対して、与野党問わず、民進党としても政府に対する協力を惜しまない、こういう申し入れがあり、長官から、被災者に寄り添い、対応に万全を期したい、こういうコメントがあったと報告を受けております。

 政府としては、総理を初め、私も、福岡県、大分県、先ほど申し上げましたようにこの目で見てまいりました。知事や市長、いろいろな方々からの深刻なお話も伺えて、改めて、この災害は激甚であるということも認識してまいりました。

 このような状況を踏まえ、政府としても、激甚災害の指定につきましては、全国的な梅雨明けを待たずに指定の見込みを公表するなど、被災した自治体が不安なく迅速に災害復旧に取り組むことができるようにしたところであります。

 現在、被災地では、朝倉市では百四十五名の方々が避難所生活をしておりますけれども、仮設住宅が完成し一部では入居が始まるなど、当初の応急復旧から復旧復興段階に移りつつあると認識はしております。

 今後とも、被災者の皆様方の切実な声に真摯に耳を傾け、復旧復興や被災者の生活やなりわいの再建など、被災された方々が一日も早く日常の生活を取り戻していただけるよう、関係自治体と連携を密にし、政府一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。

小宮山委員 ぜひ地元と密に連絡をとり、そして早い復旧復興ができるようにさらに御努力いただきますことをお願いいたします。

 さて、まずは災害救助法及び被災者生活再建支援法の適用の弾力化、柔軟な対応について質問させていただきます。この弾力化また柔軟な対応ということは、必ずと言っていいほど各被災のときに出てまいります。今回も多くの要望の中にも出てくる言葉でもございます。

 被災した規模により、国の生活再建支援制度の対象外となる地域が出る。もちろん災害救助法もしかりでございます。

 今回の被害では、中津市は、大分県独自の住宅再建支援制度を設ける形での支援をされております。

 同じ自然災害の被害によって制度また対応が違うということは大変納得しづらい部分があるというのは当然かと思います。過去には、埼玉県と千葉県の県境をまたいで、竜巻被害において、対象となるのかならないのかというのが県境や地方自治体で分かれるという事例がございました。その際、対象外となった千葉県側は、たしか交付金措置により対応が行われております。同じ災害であっても法律の運用で国の対応が変わるのは、被災者にとって、また被災自治体にとって納得することが難しく、その心情は痛いほどわかります。

 実際には政府としては公平に、かつ被災地に誠実に対応されているとは思いますが、運用基準など、現場での対応、判断を可能とする基準改正、または法律等の変更が必要なのではないのかと思うこともございます。

 それでは、まずは、現在の被災地への対応を含め、現状について御説明ください。

 あわせて、この適用の弾力化に関しては、大規模災害のたびに要望として提案される項目であると思います。政府において今後対応すべき課題かと思いますが、この点に関しまして御見解をお聞かせいただければと思います。

小此木国務大臣 災害救助法による応急救助については、いわゆる一般基準に基づき実施されているところでありますが、被災状況に応じて必要な対応ができるよう、特別基準の設定を可能としております。

 そこで、災害救助法が適用された大規模な災害が発生した場合、関係職員を派遣し、市町村関係者などに説明会を開催するとともに、いわゆる一般基準で対応することが困難な場合には、被災県より協議を受け、状況をしっかりと確認し、適切に対応しているところであります。

 また、被災者生活再建支援法に関しては、半壊の被害であっても、浸水等の被害により流入した土砂の除去や耐えがたい悪臭のためにやむを得ず住宅を解体した場合には全壊とみなして取り扱うこととしております。

 今回の九州北部豪雨の被災自治体に対しては発生後速やかにこの旨を周知したところでありまして、いずれにせよ、内閣府として毎年開催している都道府県の担当者会議など、非常時に限らずあらゆる機会を通じて制度の運用について周知を図ってまいりたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 特別基準という形で対応ができるということ、柔軟に対応ができるということ、また、現実に、私どもも現地視察に行きますと、地元の被災自治体の担当者と、一緒に行きました国土交通省や担当者とお話をする際に、あ、それができるんですかというような、柔軟に対応していただけるということ、また対応の策など、さまざま御示唆いただいている、そうやっているのを見ることがございます。

 都道府県を介して被災自治体、現場の自治体と話すこともあり、また、今、各市町村は人員配置というのが非常に厳しく、今回伺いました東峰村も、一人何役も町の職員さんたちは担当して行っているという意味で、国と県で綿密に相談をしていても、どう上げればいいのか、また、ふだんから考えますと想像以上の巨額になる復興費用の査定というものを町とかではしたことがないという意味においては、どこまでやっていただけるのかという判断が大変難しく、迷うことも多くあると伺いました。

 現実に支援も出しているとは思いますけれども、人員の配置や、また丁寧な被災自治体との協議、また、その指導をする、間を取り持つ県の担当者の方とも、しっかりとわかりやすい情報提供、また査定に関する資料の提出などの支援なども丁寧に行っていただければいいかと思っておりますし、それが、柔軟な対応という、毎回入ってくる要望書の解決策になるんだと思っておりますので、この点も大臣におきましては丁寧に対応していただきますことをぜひお願いいたします。

 今出ましたけれども、床下の土砂撤去の支援でございますけれども、この土砂災害、水害による床下、床上浸水などで、建物の躯体そのものへの影響は大きくなかった場合において、先ほど撤去の場合の対応については御説明いただきましたが、床下に入り込んだ土砂撤去というのは、乾くと大変難しくなりますし、また、これまでも、被害を受けた多くのところは人口が多くあるわけではない、場合によっては高齢化をして、大変重くなった土砂の撤去というのは難しくなり、今回もですが、ボランティアの助けに頼るのが現状となっていると考えております。こうした土砂撤去に対しての支援が必要だという声も議長から話がございました。

 被災から約二カ月たとうとしている現在も、駆けつけていただいたボランティアの方々とともに床下の泥の塊を屋外に出すなど、また、まだ洗われていない家財、建具などが今回の視察でも見ることができました。床下等の土砂の撤去というのは衛生上も建築物の安全性からも大変重要でもございます。

 被災者再建支援法などは阪神・淡路大震災のときに超党派の議員でつくられたものではございます。ある意味、新しい災害の復興の第一歩を切ったものではありますが、津波や水害というものに対してはまだまだ議論が足りていない部分もあるかと思います。床下の土砂撤去に対しても何らかの公的支援を行うというのは、現地におきまして、特に今回の北九州豪雨のみならず、土砂災害、水害の被災地では今後とも共通の課題となると思います。

 政府の見解、また対応につきまして、ぜひ御見解をお願いいたします。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 土砂の撤去でございますが、災害救助法による応急救助である障害物の除去ということで、通常は住家内を対象としているところでございますが、敷地内につきましても、住家への入り口等で日常生活に支障を来すもの、また放置しておくことが居住者の生命等の危険を及ぼす可能性があるものについて救助の対象にしているところでございます。

 また、この災害救助法によります応急救助でございますが、一般基準に基づき通常は実施しておりますが、被害等の状況によって、個々の災害の発生場所、規模、態様等を考慮し、災害救助法施行令により特別の基準を設定して対応しているところでございます。

 これらの特別基準につきましては、発災直後の七月十二日、十三日に、福岡県、大分県において、その活用について説明会を開催し、周知を図っているところでございます。

 いずれにいたしましても、内閣府としては、救助法の活用により、被災された方々の避難環境、住まいの確保等が適切に図られるよう、被災自治体と緊密に連携をし、必要な支援を図ってまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 災害支援法の関係で、その真意というものがなかなか現場に届き切らないのではないかと思っておりますので、この点も、丁寧な説明と、また具体的な、こんなことができていたんだという過去の事例もあわせて提示していただくと、より早く、また現場においても士気も上がるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、改良復旧の推進について伺わせていただきます。

 今回の視察では、ここ五年間で三回目の被害発生となった地域もございました。災害の大きさなどをあらわす際の被害額の算定のもととなっているのは、原形復旧にかかる費用が用いられております。復旧工事においては、国土交通省、農水省ともに、まずは原形復旧が念頭に置かれることとなりますが、たびたび災害に見舞われている事例を見てもわかるとおり、原形ではなく、より安全性の高い、防災機能を向上させた改良復旧を行っていくことが重要かと思います。

 道路や橋、下水道設備、治水関係設備、公共建築物などインフラ設備の補修工事や再建築などに当たっては改良工事だけでなく、農地についても、作物転換を容易にする水田の田畑化への基盤整備など実施も行っていくことが望ましいと思います。

 そこで、原形復旧とか、原状復旧という言葉も使われますけれども、より安全性や機能性を向上させた改良復旧を行いやすくするための支援の要請は、大規模災害の被災自治体から必ずと言っていいほど示されておりますが、この点に関しまして政府の見解と、現実の対応につきましてお伺いいたします。ぜひ、原形復旧プラスアルファができるということも含めて、これはやはり時代も変われば技術も上がっておりますので、現在から将来に向けてより適切な復旧ができる、その体制についての御見解もお示しいただければと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 甚大な被害を受けた被災地におきましては、早期復旧を図るとともに、より災害に強い地域をつくっていくことが求められるために、原形復旧のみならず、機能を強化する改良復旧事業の活用を図ることが重要でございます。

 今回の災害を受けまして、例えば河川事業におきましては、国土交通省がみずから管理いたします一級河川においては流量増への対応などの改良復旧等を進めるとともに、地方公共団体が実施する事業につきましても、川幅を広げる等の改良復旧事業の活用が進むよう、事業計画の策定などに対しまして国土交通省として支援を行ってまいっているところでございます。

 国土交通省といたしましては、被災地の方々が一日も早くもとの暮らしを取り戻せるように、被災箇所の早期復旧に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 さて、木造仮設住宅の計画と、仮設住宅のあり方についても伺わせていただきたいと思います。

 木造仮設住宅は、近年、大規模災害で実例がふえてきております。東日本大震災のときに福島そして岩手県で設置がされました。そして、熊本のときにも、地場の木材また畳などを使っての仮設住宅が使われたと伺っております。

 今回も、九州北部豪雨被害でも、一部、木造仮設住宅の採用が進められたと伺っております。木造仮設住宅を使うことによって、地場の工務店の方など、雇用やまた仕事、また部材等の購入等、地域経済にもさまざま寄与することもありますが、何よりも、湿度など高いところ、吸湿性もございます、結露などもプレハブ住宅よりも少ない。また、暖かさ、寒さなどに対しても大変優しく対応がされるという意味においては、中に入られた、木造の仮設住宅に入られた方々からは、そのメリットというものをたびたび耳にするところでもございます。

 現在、木造仮設住宅の計画、被災地での対応につきまして、まず御説明ください。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 災害救助法に基づく応急仮設住宅についてでございますが、災害により住家が全壊し、居住する住家がなくなった被災者の方々のために、住宅の再建や災害公営住宅等の整備がなされるまでの一時的な住まいを確保するために提供されるものでございます。

 仕様につきましては、災害救助法の実施主体である都道府県において適切に定めることとされており、発災後迅速に一定戸数の提供が可能になるか、また、コスト面の見合いがどうかなどの観点を含め、地域の実情に応じて自治体で御検討いただき、適切に判断していただくものと考えております。

 今次発生した九州北部豪雨による災害におきましては、建設型の応急仮設住宅を進めている福岡県において、被災市町村と協議を重ねながら、全て木造仕様による応急仮設住宅での提供を決めて、朝倉市では七十八戸、東峰村では二十二戸の建設が進められているというふうに承知しております。

 国といたしましても、引き続き、被災自治体が、一時的な住まいとしての性格を踏まえつつ、被災者のニーズや地域の実情に応じて仮設住宅の提供ができるよう、連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。

小宮山委員 今説明にありました、仮設住宅というのは応急的な一時的な住まいであるということで、期限は二年間が基本となっております。

 しかし、昨今の大規模災害においては、二年間で自宅の再建ができるかというと、大変厳しい現状もあります。そういう観点からしますと、二年間という仮設住宅というのはまだ短い場合も随分ある。特例で延長もできますが。また、大規模災害で、土砂また地盤等が崩れた場合などは、そこの場所に戻れない。また、経済的に、高齢世帯になっていて自宅の再建を断念している、そういった方もいます。もちろん、応急ではなく、災害住宅ということで入ることも可能かと思いますけれども、それもすぐに建てられるものでもございません。そういった観点から考えますと、大規模な災害の際には、二年間では、生活再建また緊急な一時的な住まいというものができないということも想定できることは多々ございます。

 そこで、避難の長期化等、大規模災害に備えて仮設住宅のあり方を見直す時期に来ているのではないかと考えておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。

小此木国務大臣 災害救助法に基づく応急仮設住宅については、今、政府委員がお話をしたとおりであります。一時的な住まいを確保するために提供されるということでありまして、応急仮設住宅は一時的な救助として行われるものであり、できる限り速やかに多くの住宅を提供する必要があることから、建築基準法の要件が緩和され、原則として、おっしゃるように、二年間提供可能な応急仮設建築物として整備をされているところであります。

 しかしながら、大規模災害時には住宅が圧倒的に不足することが想定されることから、今後は多様な住まいの供給の選択肢を検討していく必要も感じております。応急仮設住宅の有効活用等についても、災害救助法との整合性や技術的な実現可能性等の課題、これを考慮しつつ今後さらに検討してまいりたいと存じます。

小宮山委員 ぜひ、早急に検討会なり何らかの立ち上げもお願いしたいと思います。

 さて、山の再生に対する長期にわたる施策、検討をお願いしたいと思っております。

 今回の豪雨では一日に七百ミリを超え、五年間で三回目の豪雨の被害と、尋常ではない降り方、また、山というものが崩れていく、そんな状況も視察で見ました。また、今回の豪雨で、建物の被害はなくとも、生活が行われていると思われる家屋の奥側の裏の山の奥の方は既に山肌が見えているというような、危険な状況を推測されるような現場というのも多々ございました。

 今後の降雨によって二次的、三次的に被害が生じるということがないことを願うばかりではございますが、その点に関しましては、まずはやはり、今回起きました、山、その再生に向けては、山林の被害状況というものをどう把握されているのか。短期的ではございますが、まずは安全の確保が第一番かと考えております。この点に関しまして、今後の政府の治山対策について御説明ください。

織田政府参考人 お答えいたします。

 短期的な安全確保のためには、現地調査により山林の被害状況を把握した上で、被災した山林や林道施設の復旧を早期に行うことが重要でございます。

 このため、県、市町村等と連携を密にしつつ、災害復旧事業の速やかな実施に努めておりまして、現地調査や復旧計画作成等に対する国による人的、技術的支援ですとか、あるいは、緊急を要する復旧工事が必要な場合における査定前着工制度の活用、さらには、本年から適用される災害査定の効率化、簡素化に関する新たなルールの適用などに取り組んでいるところでございます。

 また、福岡県知事からの国による早期の復旧整備の要望を踏まえまして、特に被害が甚大であった朝倉市の一部におきまして、直轄の治山災害関連緊急事業に着手したところでございまして、来年度以降における国による民有林直轄治山事業の実施についても予算要求をしているところでございます。

 また、今後の治山対策等につきましては、間伐等の森林整備によって森林の機能の維持向上に努めますとともに、流木被害の軽減、防止を図るためスリット式治山ダム等を効果的に配置していくなど、森林整備と治山施設の整備を組み合わせた対策を推進していくことが重要というふうに考えているところでございます。

 なお、林野庁内に設置しております流木災害等に対する治山対策検討チームにおきまして、今回の災害の実態把握や、山腹崩壊の発生メカニズムの分析、検証等を行い、学識者から意見も伺いつつ、さらなる効果的な治山対策のあり方を検討してまいる考えでございます。

 引き続き、関係省あるいは地元自治体とよく連携をして、早期の復旧に全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

小宮山委員 山林、山の再生に関しては今林野庁が鋭意努力されているということを伺いましたけれども、土地の筆界問題など、所有者が明確になっていない、また、七十年前、戦後に植えられた、植林された木々等が、暴落と言ったら失礼なんですけれども、やはり商売にならない、生活の糧にならないというようなことにおいて放置される事例も随分あるかと伺っております。

 総合的な観点から、山を守るということは水源涵養であり、水を守り、そして海まで流れていく、そういった大きな観点もございます。山の再生ということが、これから特に人口減少という日本の中において、大変重要な観点かと思います。今までにない治山対策というものも防災の観点からも必要かと思いますので、この点に関しましてもぜひ御努力いただきたいと思います。

 時間の関係でございまして、風評被害に関しましては、ぜひ、努力をされているかと思っておりますが、JRなど、今、鉄道の観光をしっかりとしようとしていたところでの被害でもございます。バスの運行などで代替をしているとも聞いておりますが、この点に関しまして、どのような対策をとり支援をしていくのか、簡潔にお答えいただければと思います。

秋葉委員長 秡川審議官、簡潔にお願いします。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 被災された地域における観光需要の回復のためには風評の被害の防止というのが重要でありまして、正確な情報発信が必要だというふうに考えてございます。

 そのため、国土交通省、あと日本政府観光局はもとより、関係業界にもお願いをいたしまして、正確な地元の情報発信に努めているところでございます。

小宮山委員 ぜひ、九州もそうですが、被災地におきましては、また、きちんとした情報を我々も入手し、そして発信ができる、そして一日も早い生活再建に向けて国会でもなお一層努力をしていきたいということをお伝えさせていただき、また、災害対策特別委員会は、特別委員会におきながら、国会開会中では定例日がある委員会でもございます。常に災害に備えができるような、そんな委員会運営も今後もできることを心から決意を申し上げさせていただき、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、新谷正義君。

新谷委員 自民党の新谷正義でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。引き続き、本年七月の九州北部豪雨災害に関しまして質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 本年八月で、多くの方が亡くなられた広島の平成二十六年豪雨災害から三年が経過をいたしておりますが、そのときの広島の土砂災害でも多くの方々が亡くなり、いまだ被災された方々の不安、深い悲しみは続いております。

 そして、ことしも九州においてこのような豪雨災害が起きました。この豪雨災害では、福岡県、大分県の両県にわたって、河川の氾濫などによりまして多数の死者、行方不明者、家屋の全半壊、浸水など甚大な被害が出ております。この七月の九州北部豪雨災害におきまして亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げるとともに、このたび被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

 八月二十九日の本委員会における被害状況等調査に私も行ってまいりました。現地においてお話を伺いました。改めて、今回の被害の大きさを目の当たりにし、そしてまたこれから取り組むべき課題に関してさまざまに伺わせていただいたところでございます。

 地域の住民の皆様は、残暑の中、今も悲しみや不安とともに過ごされておりますし、また不便な中での生活を余儀なくされています。一刻も早い復旧を実現し、住民の皆様が安心して暮らしていけるよう全力で取り組んでいかなければならない、そのように決意をいたしております。また、その復旧は、先ほど小宮山委員からもお話がございましたが、もとどおりにするという原形復旧だけではなくて、より防災、減災に資するような改良復旧でなくてはならない、そのように考えております。

 現地に行きましたら、流木による被害が顕著で、至るところに驚くほどの量の流木が折り重なっていました。流木が川をせきとめて氾濫した様子がはっきりと見てとれました。根っこから丸ごと木が流されている光景、これはこれまでの常識をはるかに超えるものでございます。

 近年、これまでとは次元の違う豪雨災害が頻発しております。甚大な被害が出る中で、まずは被災地域に寄り添い、適切な支援を行っていくことは言うまでもございませんが、さらには、経験を生かし、二次災害を含む次の災害の被害を防いでいくにはどのような対策が有効かを考えていかなければなりません。防災、減災に努めていくことは我々の使命である、この思いを新たにしているところでございます。

 その上で、九州北部豪雨災害に関しまして質問をさせていただきたいと考えております。

 このような大災害におきましては、国、都道府県、市町村がしっかりと連携をし、国が可能な限り支援をしていくことが重要だと考えております。

 まず初めに、このたびの九州豪雨災害における地域の復旧復興に向けて、政府の決意を山下政務官にお伺いしたいと存じます。

山下(雄)大臣政務官 まず、改めて、このたびの九州北部豪雨でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表すとともに、被災された皆さんにお見舞い申し上げたいと思います。

 私も、九州北部の出身であります。地元佐賀県でも、流れ着いた流木で有明海などでも被害がありました。新谷先生を初め皆様が九州に足を運んでいただいて、被災地に心を砕いてくださっていることに厚く御礼申し上げたいと思います。一日も早い復旧復興に全力で取り組む決意で臨んでおります。

 政府としましても、速やかな復旧復興に資するよう、八月八日に激甚災害指定の閣議決定をしまして、被災自治体と一体となって、生活基盤である道路や橋の復旧、そしてなりわいの基盤となる農地などの復旧、そして中小企業の支援、そういったことに迅速かつ的確に対応してまいりました。

 引き続き、被災者の方々や被災地の方のお話をお伺いしながら、被災自治体と緊密に連携を図りながら、復旧復興そして被災者の生活の再建支援、政府一丸となってこの復旧復興に全力を挙げて取り組んでまいります。

新谷委員 ありがとうございました。

 この九州北部豪雨災害におきましても、政府におかれましてはさまざまに迅速に対応をいただいていること、心より感謝を申し上げます。国としてできることに関しまして、これからもまた全力で取り組んでいただくことをお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

 このたびの、七月の九州北部豪雨は、線状降水帯という積乱雲が連なったものが原因である、このように言われております。通常の積乱雲であれば、大雨になっても一時間もすれば大体おさまってくるものではありますが、線状降水帯の場合は同じところで何時間もすさまじい雨を降らせる、局所でしつこく大量の雨が降りますので、限定された地域で大きな被害が出てしまいます。

 今回の豪雨では、大分県、福岡県の二つの県にまたがるものの、限定された地域でとんでもない雨量となりました。福岡県の観測によりますと、朝倉市ではわずか九時間で七百七十四ミリという記録的な豪雨を観測しています。朝倉市の七月の平均月間雨量の二倍を超える雨量でございます。単純に想像してみても、そのエリア全部に人の腰の高さほどの雨が数時間で降るわけですから、通常のインフラでは防ぎ切れないというのは容易に想像ができるところでございます。

 やはり、そこで重要になってくるのは、危険箇所にいる場合はできるだけ早目に避難をするということになりますし、またさらに、そのためには早目に当事者に危険が迫っていることを知らせることが極めて重要かと思います。実際に、大雨警報、土砂災害警戒情報などを判断材料にしまして自治体が避難勧告を出すことになります。

 まず、今回、福岡県、大分県、それぞれの自治体にどのような警報や情報が出されていたか、概略を伺いたいと思います。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 今回の九州北部豪雨の当時でございますけれども、地元の気象台は、大気の不安定な状況が予想されましたことから、福岡県におきましては七月五日の午前から、大分県におきましては前日の四日から大雨注意報を発表しておりました。そして、強い降雨が予想される市町村に対しまして、おおむね五日の昼前後には大雨警報、洪水警報を発表いたしまして警戒を呼びかけたところでございます。

 その後、土砂災害発生の危険度がさらに高まったことから、土砂災害警戒情報を発表いたしました。

 また、並行いたしまして、数年に一度の猛烈な雨を観測、解析いたしました朝倉市や東峰村、日田市などに対しまして、記録的短時間大雨情報を逐次に発表いたしまして、災害に対する一層の警戒を呼びかけたところでございます。

 さらに、数十年に一度の降雨量となる大雨が予想されましたことから、福岡県に対しましては午後六時前に、大分県に対しましては午後八時前に大雨特別警報を発表し、最大級の警戒を呼びかけました。

 このように、今回の九州北部豪雨におきましては、早目早目の避難等の対応をとっていただくよう努めるため、気象状況とその予測に応じまして、注意報、警報、情報などを段階的に発表したものでございます。

 以上でございます。

新谷委員 ありがとうございます。

 先ほどお話の中にありました大雨特別警報でございますが、定義としては、警報の発表基準をはるかに超える数十年に一度の大雨が予想され、重大な災害が起こるおそれが著しく高まっている場合に出されるもの、このようにされております。

 今回まさにそのような災害が起きてしまったのですが、大雨特別警報が出たときには実際は被害が拡大してきている状況でした。

 警報等々を適切に運用していただいていると思いますが、事前には予測困難な豪雨災害が起きる中、実際の雨量を見ていかなければこの特別警報は出せないということになりますが、出すころには実際は既に被害が出ている、場合によっては通信が断絶している、こういったことが起こり得るという矛盾があると思います。

 この警報の性質上、実際の雨量を見てというところはやむを得ない、このことは理解をしておるところでございますけれども、やはり早目に伝えていくことが大事である、そのように考えております。何とか、この大雨特別警報、見込みの時点で地域に伝えることができないか。例えば、まだはっきり言えないのですが、今回は数十年に一度の大雨になるかもしれません、こういったように伝えることができないか、政府にお伺いしたいと思います。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 大雨特別警報につきましては、委員御指摘のとおり、大雨により重大な災害の起こるおそれが著しく大きい場合、具体的な基準といたしましては、数十年に一度の降雨量となる大雨が予想される場合に発表することとしております。

 この数十年に一度の降雨量となる大雨を早い段階から確度高く予想いたしまして特別警報を発表するというのは技術的に難しいというのが現状でございます。

 このため、先ほど申しましたように、早目早目の防災対応をとっていただくように、逐次、段階的に危険度の高まりをお伝えしておるところでございますが、同時に、できるだけ早く大雨特別警報が発表できるよう、降雨の予測精度を高めることが重要であると考えておりまして、引き続きしっかりと予測技術の向上に努めてまいりたいと考えております。

 また、御指摘がありましたように、大雨特別警報の発表について、まだはっきりと言えない段階でありましても、予報官の持つ危機感、切迫感を直接市町村にお伝えするということにつきましてはしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 大事なことは、まずはやはり人的被害をいかに抑えていくか、このことにあると思います。ぜひ、見込みの段階でもどんどん伝えていけるように、制度の弾力的な運用をお願いしたいと存じます。

 今回の九州北部豪雨災害におきまして、福岡県朝倉市、松末小学校におきまして、体育館や校舎にまで土砂が流れ込み、避難されていた方々、住民の方々が朝まで孤立した、そのように伺っております。同小学校は土砂災害警戒区域内にあったということを考えれば、さまざまな課題が示唆されると思っております。

 まずは、土砂災害危険箇所を有する小学校区においては、できるだけ早く全国的に基礎調査を行い、土砂災害警戒区域の指定を進めていくことが必要であると考えております。特に、小学生の避難能力の低さ、これを考えますと、小学校そのものが警戒区域に入っているかどうか、災害が起こる前に知っておく必要があります。その上で、住民の皆様にしっかりと周知をしていかなければなりません。

 三年前の広島県における土砂災害をきっかけに改正土砂災害防止法が施行され、土砂災害警戒区域の指定、これが進んできているところではございますが、その中でも、やはり小学校とその周辺は優先的に調査、指定をしていく必要があると考えております。

 土砂災害警戒区域の指定、これは基本的に都道府県が行うものでございますが、特に優先されるべきものに関して国として後押しできる制度はないか、政府にお伺いしたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、小学校等の要配慮者利用施設につきましては、土砂災害警戒区域等の指定を進めて、土砂災害の危険な箇所を明らかにし、警戒避難体制を整備することが重要でございます。

 国といたしましても、同一都道府県内におきまして区域数が相当数に上る場合には、基礎調査結果を踏まえまして、小学校等の要配慮者利用施設の有無ですとか、あるいは過去の災害実績等も勘案し、速やかに指定を進めるよう、土砂災害防止法に基づきます土砂災害防止対策基本指針に示しているところでございます。

 引き続き、基礎調査及び区域指定の早期完了に向けまして、防災交付金を優先配分するとともに、地方ブロックごとに会議を開催いたしまして、先進県での効果的な取り組み事例を提供するなど、都道府県を積極的に支援してまいりたいと考えているところでございます。

新谷委員 ありがとうございます。

 ぜひ、優先されるべき区域の指定、しっかりとした後押しをお願いしたいと存じます。

 このたびの九州北部豪雨災害におきましては住宅にも甚大な被害が出ている中で、被災者生活再建支援法が適用されると認識をいたしております。壊れた住居の撤去、住宅の再建には大きな後押しとなる制度でございます。該当する方にはしっかりと支援が行き届かなければなりませんが、被災された方々はまず罹災証明を受けなければなりません。

 このたびの豪雨災害におけます罹災証明の進捗状況につきまして、政府に伺いたいと存じます。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 住家に係る罹災証明書の交付の進捗状況についてでございますが、福岡県、大分県の被災市町村において既におおむね交付されているということを各自治体からお聞きしているところでございます。

 具体的な交付件数につきましては、地方公共団体によって、集計において非住家を含んでいる市町村もございますが、八月三十一日時点で、特に被害の大きかった福岡県朝倉市では千三百四十六件、東峰村では百五十件、大分県日田市では七百六十三件となっているというふうにお聞きしているところでございます。

新谷委員 該当する方が速やかに確実に罹災証明が受けられるよう、今後もしっかりとした御配慮をお願いしたいと存じます。やはり、被災された方々にとって、住環境を整備していくこと、これは極めて重要となります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 先日、現地に行き、お伺いした中に、自宅のみならず隣接する農地も被害を受けた方が多いというお話を伺いました。これは、住宅のみならずなりわいも失ってしまったということであります。

 例えば福岡県朝倉市は柿が名産でして、全国的にも志波柿という名のブランドで有名なところでございます。生産が盛んでありましたが、今回、農地の柿と自宅と、同時に被害を受けた方も多いと伺っております。この場合、住宅だけ再生しても農地が再生されなければ、自立して生活再建ということにはならないと、現地で朝倉市長のお話もございました。

 農地については、原状復旧を目指していく場合だけではなくて、新たな基盤整備が必要なケースも多いと伺っております。

 農家を営んでいる世帯の高齢化は日本全国で起きていることでございますが、このたびの災害におきましても、高齢者が営んでいる農地が少なくない、そのように伺いました。水田に復旧する間にも、被災された農家の方々は高齢化をし、これから時間をかけてもとどおり復旧していくというのが御年齢的に難しい場合も多いのではないか、そのように考えております。

 大分県日田市からも、作物転換に関して補助率の引き上げなど国が後押しできないか、そのように御要望もいただいているところでございます。日田市の原田市長は、創造的復旧という表現をされておられまして、補助があるなら水田に客土も入れ、果樹の生産ができるようにする、そして担い手に任せるなどの方策も必要ではないか、そのようにおっしゃっておられます。

 これらのことは基本的に地域が主体となることでありますけれども、作物転換、新たな基盤整備に関しまして国として後押しできることはないか、政府にお伺いしたいと思います。

 また、あわせて、地域の農業の復興に向けて、ほかに政府として現在どのような対策をとっておられるか、お伺いしたいと存じます。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 災害復旧事業につきましては原形復旧が原則となっておりますが、水田の原形復旧に要する費用を超えない範囲内であれば、水田を畑や梨園に転換することも可能となっております。さらに、再度災害をこうむるおそれがある場合には、農地災害関連区画整備事業として、災害復旧とあわせて農地の集積等の改良復旧を行うことが可能となっております。

 農林水産省は八月八日に、被災した農業者の方々が今後とも農業を継続していただけるように、支援対策を取りまとめまして公表いたしました。具体的には、共済金等の早期支払い、災害関連資金の貸し付け、当初五年間の実質無利子化、農業ハウス等の導入経費の助成、追加的防除、施肥や種子確保などに要する経費の助成などを実施することとしております。

 農林水産省としては、この支援対策を通じまして、地域農業が復興できるように全力で支援してまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 さまざまに迅速に対応いただきまして、政府の皆様に心より感謝申し上げます。これからも、復旧に向けて、そして改良復旧となるように、実情に合ったしっかりとした支援をお願いしたいと存じます。

 農地におきまして、原形復旧を目指す場合にしても、これはやはり時間がかかると思います。いずれにせよ、それまでの間は仕事が形にならないことも多いかと思います。自立して生活再建となるように十分に配慮をしていかなければならないと考えております。果樹生産、農業などの業種に限ったことではないのですが、被災者の方がすぐに収益が回復しないような仕事をされていた場合は、今までの仕事に限定することなく、何らかの形で就労支援をしていく必要があると思いますが、こういった場合の就労支援において国としてどのような措置を考えておられるか、お伺いしたいと存じます。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省といたしましては、被災された農家の皆さんが災害復旧工事におきまして雇用され、みずから復旧作業に携わっていただくことが、災害復旧事業の円滑な実施のみならず生活への支援にも資するものになると考えております。

 このため、災害復旧事業などにおきまして被災農家の皆さんの優先的な雇用に努めるよう、地方農政局及び地方自治体に文書にして要請したところでございます。

 今後とも災害復旧事業の円滑な実施と被災農家の就労機会の確保などに努めてまいりたい、このように考えてございます。

新谷委員 ありがとうございます。

 やはり、被災された方々が自立をした上で安心して生活できるようにならなければ復旧ができたことにはならない、そのように考えております。被災された方々に生活再建支援が行き届くよう、またしっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 大規模災害におきまして、国、地方公共団体が力を合わせて復旧事業を進めていくのは当然のことである、そのように認識をしておりますが、その中でやはり重要になってくるのが、いかに迅速に対応できるか、そのことにあると思います。一日おくれれば被害は拡大しますし、また、地域の暮らし、産業の再生にも大きな影響が出てきます。

 基準にのっとってしっかり激甚災害としていただくことはもちろんでございますけれども、この指定によりまして、復旧事業における国庫補助が大きく変わること、地域における復旧の財源が大きく変わってくるのも事実であります。限られた予算の中で復旧事業に取り組まなければならない被災地域からすれば、できるだけ早く財源のめどをつけ、それに基づいて復旧事業に取り組む必要があります。逆に申し上げると、激甚災害の指定を受けることができるかどうか、これがはっきりしない中では、早期に復旧事業に取り組むことは困難を伴います。

 今回、激甚災害の指定に先立ち、七月二十一日の時点で、激甚災害の指定の見込みを政府に公表いただきました。政府に対しまして、今回の迅速な対応に感謝を申し上げたいと存じます。見込みの段階でも公表されれば、被災地域も復旧計画の策定、実施に早期に取り組むことが可能となります。

 近年、豪雨災害が頻発する中で、今後も災害に備えていかなければならないところでございます。地域の公共団体が迅速に動けるよう、今後も、大規模災害におきましては激甚災害の指定の見込みの段階で公表いただけるかどうか、政府にお考えをお伺いしたいと存じます。

海堀政府参考人 お答えいたします。

 今回の九州北部豪雨を含む梅雨期の一連の災害につきましては、八月二日の梅雨明けを待たずに、七月二十一日に激甚災害の指定の見込みとして早期に公表させていただいたところでございます。このことによりまして、被災自治体においては、財政面に不安なく迅速な災害復旧に取り組んでいただけるということと考えております。

 今後とも、指定基準に達したものにつきましては早期に見込みを公表することにより、被災自治体が安心して災害復旧に取り組めるよう、円滑な激甚災害指定を行ってまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 災害からの復旧におきまして、迅速さというのは非常に大きな意味があります。住環境に加えまして、住民の皆様が安心して暮らしていくために、また公共土木施設の迅速なる復旧も欠かすことはできません。激甚災害の指定早期化、これも本当にありがたいので、ぜひ今後も続けていただきたいと思います。

 災害復旧におきまして、被災地が国に負担金を求める場合、被災自治体から国に被害報告、負担金の請求をし、それから国の立ち会いの査定が行われて決定されるとのことでございます。

 この災害査定でありますけれども、自治体では職員の皆様自身も被災されていることが多いですし、人員、知識が不足する中で対応を迫られることになります。この査定に関する業務も被災自治体にとっては実際には大きな負担になるのも事実でございます。

 今回も災害査定の効率化が適用されたと認識をしております。この災害査定におきまして、復旧事業に早期に着手できるようにする取り組みが現在どのように行われているか、政府にお伺いしたいと存じます。

山田政府参考人 お答えいたします。

 今回の九州北部豪雨におきまして、被災自治体が早期に災害復旧事業に着手できるよう、国土交通省といたしましては、被災後直ちにTEC―FORCEを派遣いたしまして、自治体所管施設の被害状況の調査をいたしました。また、現地に本省災害査定官等を派遣いたしまして、復旧工法の指導ですとか、あるいは助言を行いました。それから、設計図書の簡素化等、災害査定の事務手続の効率化、これらの支援を行っているところでございます。

 これらの支援によりまして、通常より約一カ月早い八月八日から、福岡県朝倉市、大分県日田市及び中津市におきまして災害査定を開始いたしました。

 国土交通省といたしましては、被災地の方々が一日も早くもとの暮らしを取り戻せるよう、被災市町村への支援を全力で行ってまいりたいと考えているところでございます。

塩川政府参考人 農林水産省から補足をさせていただきます。

 大規模災害が発生した際には、本年から、農地等では二百万円未満としている机上査定額の引き上げ、それから二億円以上としている採択保留額の引き上げ、それから、先ほど国交省からありました設計図書の簡素化という災害査定手続の効率化を行うこととなりました。

 今般の梅雨期における豪雨等による災害が全国の農地、農業施設、林道、共同利用施設の災害復旧事業を対象といたしまして激甚災害に指定されましたことから、今回、初めてこの効率化が適用されることになりました。これによりまして、農地の机上査定上限額は、さっき申した二百万円から、福岡県では二千万円、大分県では五百万円に引き上げられております。

 この効率化を通じまして、被災自治体の災害査定に要する業務や期間等を縮減するとともに被災施設の早期の復旧を促進いたしまして、被災地の復旧を支援してまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 これからも早期の復旧に向けてぜひお取り組みをお願いしたいと存じます。

 時間が参っておりますので、あと二点、国が県にかわって行う権限代行、あと砂防ダムの効果についてお伺いしたいと考えておりましたが、これに関しまして、今回、河川法の改正から、権限代行の制度が初めて適用されたと伺っております。ぜひまた迅速なる事業をお願いしたいと考えております。また、今回、前回の福岡県の豪雨災害によりまして整備された砂防ダムが一定の効果があった、そのように伺っております。今後も必要な箇所に関しまして、砂防ダムの整備、緊急事業も含めてぜひお願いできればと考えております。

 今後も政府におかれましては迅速に復旧復興に向けて対応いただきますようお願い申し上げます。

 以上で質問を終了いたします。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘です。

 まず、このたびの九州北部豪雨災害でお亡くなりになられました方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、御遺族の皆様、被災された皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 そして、本日で発災からちょうど二カ月です。政府におかれましては、発災直後より、人命救助、行方不明者の捜索、避難所への支援、寸断された道路やライフラインの復旧など、復旧復興に全力で取り組んでいただいておりますこと、深く敬意を表し、感謝申し上げたいと思います。

 では、質問に入らせていただきます。

 このたびの豪雨災害は、予想を大きく超えた大雨が大量の激流となって、これまた大量の流木を伴って被災地を直撃しました。大量の雨やこれまでの豪雨災害とは異なる特徴があったように思われます。

 政府におかれましては、このたびの九州北部豪雨災害の特徴をどのように認識しておられるのか、お尋ねしたいと思います。

山下(雄)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今回の九州北部豪雨は、大雨の特別警報が出されるなど、これまでに経験したことがないような大雨により、河川の氾濫や土砂災害などにより甚大な被害が出ました。

 今般の災害の特徴としては、まず積乱雲が次々と発生して、それが列をなして線状に連なる、いわゆる線状降水帯が形成、維持されたことなどにより、同じ場所に猛烈な雨が継続して降り、記録的な大雨になったことが挙げられます。

 また、この大雨に伴う多数の土砂崩壊などにより発生した大量の流木が下流の住宅地や農地などに押し寄せ、過去最大級の流木被害災害になったことなども特徴として挙げられると認識しています。

吉田(宣)委員 今、線状降水帯という言葉もございました。これは、特殊な地形と気候条件が重なり、大雨を降らせる積乱雲が線状に発生し続ける状況のようです。この点は後ほど少し触れさせていただきたいと思います。

 次に、今御説明がありましたように、このたびの豪雨災害で農地にも甚大な被害が生じております。これから復興に向かって全力で取り組んでいかなければなりませんが、大分県の日田市は二〇一二年にも九州北部豪雨で被災しており、ようやく復興を果たしたやさきのことでございました。このたびの被災で、高齢化した生産者の中には農業を断念したくなってしまうほど落ち込んでおられる方もいるとお聞きをしております。

 先日、大分の日田市長と一緒に谷合農水副大臣に申し入れをさせていただいたのですけれども、農地の復旧については、これまでの原状復旧に限るのではなく、例えば、水田から樹園地などへの改良復旧を認めていただき、今後、高付加価値の生産物をつくることができるようにすることによって生産者へ希望を送っていただきたい、そのようにお願いをしたいのですけれども、政府の受けとめをお伺いしたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 災害復旧事業は原形復旧が原則ではございますが、被災した農地を原形と同様に復旧するのではなく、地形条件や経済性などを考慮し、被災原因を除去できる必要最小限度の区画変更を行うことが可能でございます。

 また、例えば、水田の原形復旧に要する費用を超えない範囲内であれば、水田を畑や樹園地に復旧することも可能でございます。さらに、再度災害をこうむるおそれがある場合に、農地災害関連区画整備事業として、災害復旧とあわせて、農地の大規模集約化などの改良復旧を行うことが可能でございます。

 農林水産省といたしましては、県や市町村と連携しまして、地域の意向をしっかりと踏まえながら、地元農家の負担に配慮した災害復旧が行われるよう支援してまいりたい、このように考えてございます。

吉田(宣)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、現地の生産者は、農地だけでなく農機具も被災し、生産手段を失った生産者が数多く存在いたします。これから農機具を新調しようと思っても、御承知のとおり、農機具というものは安いものではないです。

 私はこれからも生産者に農業を担っていただきたいと強く願う者の一人でございますけれども、農機具が被災した生産者に対する支援策について、農水省から説明を受けたいと思います。

徳田政府参考人 お答えいたします。

 ことしの梅雨期における豪雨及び暴風雨により、現時点で農業用機械に約十四億円の被害が発生していると報告を受けております。

 このような状況を踏まえまして、八月八日に農林水産省で決定した支援策におきましては、農業用機械の導入等の支援として、経営体育成支援事業の優先採択により、被災した地域の担い手に対して、農業経営の改善に必要な農業用機械の導入に要する経費を助成するとともに、産地活性化総合対策事業により、被災を機に作物転換や規模拡大に取り組む産地に対し、農業用機械等のリース導入に要する経費を助成することとしたところであります。

 こうした対策により、被災された農業者が速やかに営農再開できるよう全力で支援してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 被災した生産者に寄り添う取り組み、ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、発災直後の状況から、この教訓を生かして、しっかり未来につなげていく、そういった取り組みについてお聞きしたいと思います。

 発災直後、福岡県の東峰村では村役場の通信が二日にわたって遮断をされました。また、東峰村では多くの地域で通信が遮断をされております。

 通信の断絶は被災状況の確認をおくらせる大きな要因となってしまったのではないかと推測をしております。特に、生存者の安否確認がおくれる結果となったこと、また、対策本部となるべき村役場との交信ができなかった状況は、私は重く受けとめられなければいけないと思います。

 そこで、今般の災害時における通信手段の状況及び対応について、総務省より説明をいただきたいと思います。

古市政府参考人 お答えいたします。

 今回の九州北部豪雨におきましては、固定電話は、福岡県朝倉市及び東峰村で千二百二十回線、大分県日田市で二百四十五回線が遮断し、復旧に二日から五日かかりました。また、携帯電話は、福岡県朝倉市、東峰村及び大分県日田市で最大六十九局が停波しましたが、エリア復旧に八日から十三日かかったところでございます。

 総務省では、東日本大震災の教訓を踏まえまして、通信インフラの耐災害性を高めるため、十分な燃料の備蓄や補給手段の確保による停電対策の長時間化、通信回線の複数経路化を初めとする対策強化を義務化いたしました。これにより、各事業者において、予備バッテリーの配備、衛星やマイクロ波による複数経路化、エリアカバーが広い大ゾーン基地局の整備などを進めていただいております。

 しかしながら、今回の九州北部豪雨では、例えば、複数経路化した通信回線が両方とも土砂崩れ等によって切断されてしまったという事態も発生したところでございます。

 災害時に通信の停止が起きないように対応していくことは大変重要と考えておりまして、今回の被害の状況をしっかりと踏まえて、通信事業者と連携し、引き続き対応に取り組んでまいりたいと存じます。

吉田(宣)委員 孤立した地域の方というのは、通信が遮断をされたということに関して、やはり大変不安な思いを数日間継続されたということにおきましては、そういった孤立された方に安心を送るためにも、最大限通信が遮断しない仕組みづくり、これをよろしくお願いしたいと思います。

 次に、先ほど政府から御説明がありましたとおり、今般の豪雨災害の大きな特徴の一つが、大量の流木が被災地を直撃した点でございます。下流域における国民の生命、身体、財産を守る観点から、今後適切な流木対策の実施が急務であると思われます。そして、この流木対策は、砂防事業と治山事業という二つの観点からその対策を得ていかなければならないとお聞きしております。

 そこで、まず砂防の観点から、今後流木対策についてどのように実施していかれるか、国土交通省からお聞きしたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 今回の九州北部豪雨によりまして、福岡県朝倉市、東峰村、それから大分県の日田市を中心に、多数の斜面崩壊や土砂、流木の流出により甚大な被害がもたらされました。

 一方、今般の災害で、事前に整備されていた砂防堰堤が流木を捕捉し、下流への被害を軽減した事例も報告されております。流木被害の防止、軽減に関しましては、これまでの事例により、鋼製部材を用いました透過構造を有する施設が効果的であることがわかっております。

 今後の砂防事業における流木対策につきましては、平成二十八年四月に改定をいたしました技術基準に基づきまして、新しく砂防堰堤を整備する場合には流木捕捉効果の高い透過構造を原則として設置を徹底すること、それから、既設の砂防堰堤について流木の捕捉効果を高めるための改良を積極的に進めることを、本年七月二十一日に、各地方支分部局と都道府県に対し通知を発出しておるところでございます。

 また、崩壊土砂や流木が多量に発生した赤谷川におきまして、流域全体の二次災害の防止を図るため、福岡県知事からの要望を踏まえまして、直轄砂防災害関連緊急事業によりまして、砂防堰堤等の工事に八月十六日から着手をしているところでございます。

 国交省といたしましては、被災地の復旧復興に全力を挙げて取り組むとともに、全国的な流木による被害軽減に資するよう、関係機関と連携して対策を進めてまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 同じく治山事業の観点から、また林野庁から御説明いただきたいと思います。あわせて森林整備事業についてもお願いいたします。

織田政府参考人 お答えいたします。

 今回の災害につきましては、真砂土等の脆弱な地質地帯、沢地などの地形におきまして、二十四時間降水量五百ミリを超える記録的な豪雨により、森林とともに山腹斜面が崩壊し、大量の流木が発生したものであると考えられるところでございます。一般に、森林は山地災害防止機能を有しておりますけれども、今回のような相当量の降雨があった場合には、その機能によって山腹崩壊を完全に防ぐことは困難ということでございます。

 こうした点を踏まえまして、林野庁といたしましては、引き続き、間伐等の森林整備によって森林の機能の維持向上に努めますとともに、今回のような豪雨に対応し、流木被害の軽減、防止を図るため、スリット式治山ダム等を効果的に配置していくなど、森林整備と治山施設の整備を組み合わせた対策を推進していく考えでございます。

 また、福岡県知事から、国による早期の復旧整備の要望を踏まえまして、朝倉市におきまして直轄治山災害関連緊急事業に着手したところでございまして、来年度以降における国による民有林直轄治山事業の実施につきましても予算要求したところでございます。

 なお、林野庁内に設置した治山対策検討チームにおきまして、今回の災害の実態把握や崩壊の発生メカニズムの分析等を行い、さらなる効果的な治山対策のあり方を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 引き続き、関係省、地元自治体とも連携し、早期の復旧に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

吉田(宣)委員 国交省、また林野庁とも、地元の要望を本当に真摯に受けとめていただいた対応に心から感謝を申し上げたいと思います。

 今、国交省からは透過構造の堰堤という言葉がございましたが、林野庁からはスリットダムということでございます。今御説明いただいたスリットダムですけれども、今回の豪雨災害で大きな効果があったと地元でも高い評価をするお声に触れさせていただきました。スリットダムの設置を今後とも適切に、迅速に行っていただきますよう心からお願いを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、これまでハード面から質問をさせていただきましたが、ソフト面から数点お聞きをしたいと思います。

 まず、今回の災害をもたらした大雨に対して、朝倉市におきましては、当日の十四時十五分に避難準備、それから当日十四時二十六分に避難勧告、十五時三十分に第一回目の避難指示、順次避難指示を、地区を拡大していくような指示が適切になされております。

 また、東峰村におきましても、十五時十五分に避難勧告、その後、避難指示はされておりませんけれども、これは大量の雨がもう既に降り始めてしまっておって、その時点で避難指示を出してしまえば、逆に村民の生命身体というものを危険にさらしてしまうという事態であったということを最大限考慮して、村長が避難指示を出さなかったという状況でございます。

 また、日田市におきましては、十三時五十二分に避難準備、十五時十五分避難勧告、一つ目を出して、その後、順次避難勧告、また避難指示というようなものが出されております。

 そこで、まず基本の確認で恐縮でございますけれども、この避難勧告や避難指示は、どのような情報に基づいて、誰が判断し、誰が発令するかについてお教えいただければと思います。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 避難勧告等についてでございますが、市町村は、洪水や土砂災害、高潮等の自然災害に対し、災害発生のおそれがある場合等に住民等が安全に避難できるように、避難に要する時間も考慮して避難勧告等の発令基準等を設定しているところでございます。

 具体的には、洪水に関しては、河川管理者から提供される水位情報のほか、気象庁から提供されます雨量情報などの気象情報をもとに設定をしております。その基準に該当した場合には、市町村長が避難勧告等を発令するということになっております。

吉田(宣)委員 各地域地域によって避難勧告、避難指示というものは当然基準があって、その地域に応じたものが取り決められていて、また水位の状況であったりとか、また気象の条件に基づいて適切になされるものという御説明でございました。としますれば、気象庁の警報情報というものが極めて重要になってくると私は感じております。

 実際に、気象庁からは、当日、朝倉市で十三時十四分に大雨洪水警報、十四時十分に土砂災害警戒情報、これに基づいて先ほど申し上げた避難準備、避難勧告というものが順次出されておる。東峰村においても同様です。十三時十四分に大雨洪水警報、十四時十分の土砂災害警戒情報、順次勧告を出されて、また、日田市でも同様にタイムリーに出されております。

 七月七日付の朝日新聞によりますと、これは朝倉市の職員の方ですけれども、「市は災害警戒本部を設置して幹部が協議を開始。午後二時十分に出た「土砂災害警戒情報」をきっかけに、約十六分後、全域に避難勧告を出し、災害対策本部に格上げした。市幹部は「避難所の開設準備を進めていたが、急いで避難勧告を出すことにした」と気象庁の情報が大雨への備えに役立った」と話しておられるようでございます。

 改めて、気象庁の警報が極めて重要なことが私はここで読み取れるのではないかと思っております。

 そこで、気象庁におきまして今回の取り組みを御説明いただきますとともに、さらに予報の精度を上げるための取り組みについてお教えいただければと思います。

橋田政府参考人 御説明いたします。

 今回の九州北部豪雨でございますけれども、当時の地元の気象台における対応状況について、福岡県朝倉市を例にいたしますと、まず、七月五日の午前九時半過ぎでございますけれども、大気の状態が非常に不安定でございましたので、大雨洪水注意報を発表しております。

 その後、線状降水帯の形成によりまして強い降雨が予想されることから、大雨洪水の警報に切り上げまして、それを午後一時過ぎに発表いたしました。

 続きまして、土砂災害警戒情報、記録的短時間大雨情報等を段階的に発表いたしまして、警戒を呼びかけたところでございます。また同時に、気象台から直接市に連絡を申し上げまして、危険度についてお知らせをしております。

 さらに、強い雨域が長時間にわたり同じ地域に停滞いたしまして、重大な災害が起こるおそれが著しく大きくなったことから、午後六時前に大雨特別警報を発表し、最大級の警戒を呼びかけたというのが対応でございます。

 また、今回、御指摘ありましたように、予測の精度が非常に重要だということでございます。

 既にお話ございましたように、今般の九州北部豪雨では、次々と新たな積乱雲が発生し、列をなした線状降水帯が数時間にわたりましてほぼ同じ場所に停滞、維持することで猛烈な雨を継続して降らせた、これが豪雨の主な発生要因でございました。このような線状降水帯につきましては、形成される前から、具体的な場所、時間、時刻、降水量を精度よく予測したり、あるいは形成後の持続、停滞の状況を精度よく予測するというのは現状では難しい状況にございます。

 このため、気象庁におきましては、線状降水帯などによる局地的な大雨の予測精度の向上に向けました取り組みを強化しております。

 具体的には、平成三十年度、来年度でございますけれども、現在の十倍の計算能力を持っておりますスーパーコンピューターの運用を開始いたしまして、降雨の予測精度を向上させるとともに、現在、六時間先までの詳細な降水予測を提供しておりますけれども、これを十五時間先までに延長するという計画を持ってございます。

 これに加えまして、気象レーダーにより発達する積乱雲を素早く捉える技術、積乱雲の発達をもたらす水蒸気の量を海上におきまして観測する技術の開発も重要であると思って考えておるところでございます。

 引き続き、最新の科学技術を活用いたしまして、線状降水帯などによります局地的な大雨の予測精度の向上に努めてまいりたい、このように考えております。

吉田(宣)委員 よろしくお願いいたします。気象の予報、この精度を上げることでより多くの国民が災害から守られていくことにつながってまいります。どうかよろしくお願いいたします。

 特に、さきに少し触れさせていただいた、また今御説明もございました線状降水帯は、日田、朝倉地域では構造的に発生する地理的要因があるようでございます。気象予報の精度向上には強い期待がございますので、重ねてではございますが、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 ただ、現状では、先ほどスポット的な精密な予報、これもなかなか難しいというふうなこともございました。先日、小松利光九州大学名誉教授、短時間でございましたがお会いしてお話をお聞きさせていただきましたけれども、八月五日の毎日新聞でこのようにおっしゃっております。

 温暖化などで雨は狭い範囲に集中的に降る傾向になり、一時間降水量が百ミリを超えるのは珍しくなくなった、豪雨災害はいつどこでも起き得る、この場所は今まで水が来たことがないという経験則は役に立たないどころか命取りになりかねない、最近の豪雨はこれまで整備してきた下水設備などの処理能力を超えている、さらなるインフラの強化だけではこれからの気象変動下の災害を防ぐことは困難と思われる、河川やため池については、これまで以上の雨や流木を想定したシミュレーションをし、弱点を見つけておくことも必要である、その上で住民自身も、自分たちはどういうところに住み、どうすれば命を守っていくことができるかを日ごろから話し合っていくことも大切だと述べておられます。

 また、同日付の朝日新聞においても同様に、専門のお立場から、ソフト面対策の重要性を述べておられます。

 この点、被災地の東峰村では、渋谷村長が、村長就任後、平成二十七年九月から計三回、防災訓練を実施されておられます。特に、直近の訓練は、豪雨災害の直前、六月二十六日に実施をしており、人口約二千人の村民のうち、約半数の千人という方が参加をしておられる。このような地道な取り組みが、私は、目に見えないところで多くの村民の命を救ったのではなかろうかというふうに思っております。

 そこで、大臣にお聞きしたいと思います。

 この東峰村で実施している防災訓練について、その評価をどのようになさっておられるか、お聞かせいただければと思います。

小此木国務大臣 ちょっと席を外しまして恐縮でした。

 委員おっしゃるとおり、まず、渋谷村長に私もお会いいたしましたけれども、非常に困難を抱えている中であっても、村民を挙げて、本当にこの困難を乗り越えるために一生懸命頑張っておる、私も非常に心を打たれました。そして、おっしゃるように、平成二十七年度から、防災訓練というもの、避難訓練というもの、特に、毎年度、大雨による土砂災害の発生を想定した訓練を実施しておるというふうに聞きました。

 具体的には、村内全域を対象に、防災無線等による避難勧告等の発令、周知や、住民の避難、要配慮者の安否確認等の訓練を実施しており、多くの住民が参加しているということは今委員がおっしゃったとおりでありまして、東峰村のこれまでの継続した取り組みは、日ごろからの地域住民の防災意識の高揚につながり、今般の九州北部豪雨被害において生かされたものと私は考えております。

 内閣府として、平成二十九年度総合防災訓練大綱において、昨今の豪雨災害等の教訓も踏まえ、避難勧告等の意思決定、発令、伝達、これらを行う訓練や、要配慮者等の参加を得た訓練の実施を促しております。

 引き続き、住民の防災意識の高揚に向けたこのような防災訓練が実施されるよう、地方公共団体等に促してまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 大臣、ありがとうございます。

 私も渋谷村長に直接お話をお聞きしました。村長の本当に意識の高い取り組みに私も感銘したところでございます。

 先ほど、国交省また農水省から、スリットダムなどのハード面の対策、これがございましたけれども、これは必ずやっていかなければならないと承知はしておりますけれども、先ほど申し上げた小松九州大学名誉教授が述べられているとおり、それだけでは国民の生命身体を守ることはできないと私は感じております。

 今取り上げた防災訓練の推奨や防災面における人材育成、またガイドラインの策定など、ソフト面での支援も充実させていくべきと私は考えておりますけれども、小此木大臣に再度御認識をお伺いさせていただければと思います。

小此木国務大臣 御指摘のとおり、自然災害による被害を最小化するためには、ハードの整備とともに、情報伝達や防災訓練などのソフト対策を適切に組み合わせていくということが重要であると考えます。また、政府による公助のみならず、国民一人一人や地域における自助、共助による防災の組み合わせ、取り組みが重要であると考えます。

 このため、内閣府では、防災訓練の実施や国、地方を通じた人材育成の強化、避難勧告等に関するガイドラインの見直し、国民の防災意識の向上のためのパンフレット、啓発動画の作成や防災情報の発信、地域の特性に応じたコミュニティーレベルでの防災活動などを内容とする地域防災計画の推進などに取り組んでいるところであります。

 今後とも、社会全体で水害等の自然災害に備えるべく、関係省庁と緊密に連携し、ハード、ソフト一体となった総合的な防災対策を推進してまいりたいと存じます。

吉田(宣)委員 ハード面とソフト面、これをしっかり密に組み合わせながら、被害の最小化というものをぜひ、私も高くその点をお願いしたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 最後に、今般の豪雨では鉄道にも多くの被害が出ております。特に大分県日田市の花月川橋梁は跡形もなく流れ去ってしまいました。この点、花月川橋梁は一九三四年に供用が開始された極めて古い橋であるとのことです。今回は、橋梁に流木がたまり、流量が増加して付近の堤防が決壊しているかもしれないという意味で、流れ去ったことがさらなる被害につながらなかったというようなことではございましたが、大切な国民の足である鉄道が寸断されてしまえば国民生活に多大な影響が生じてしまいます。

 そこで、この際、全国の鉄道橋梁を総点検すべきではないかと私は考えますが、政府の御認識をお聞かせいただければと思います。

秋葉委員長 江口審議官、申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔にお願い申し上げます。

江口政府参考人 お答えいたします。

 今回流失いたしました久大線の花月川橋梁につきましては、供用を開始したのは一九三四年でございます。このような橋梁等の鉄道構造物につきましては、列車の走行等により安全性が阻害されないよう、適切に維持管理することが求められております。

 このため、国土交通省では、技術基準省令によりまして、鉄道事業者に対して、日常の巡視、定期検査の実施や記録の保存を義務づけております。鉄道事業者はこの定期検査によりまして構造物の健全度を判定し、劣化部の補修や監視等の措置を講じております。

 国土交通省においては、これらが確実に遵守され、適切に維持管理が実施されているかなどにつきまして、保安監査等により確認を行い、必要な場合は改善を指示しております。

 さらに、今回、花月川橋梁が流失した事案を受けまして、国土交通省では、鉄道の橋梁の構造等につきまして、現在、実態調査を実施しているところでございます。

 いずれにしましても、国土交通省としましては、鉄道構造物が経年にかかわらず適切に維持管理され、日々の安全、安定輸送が確保されるよう、引き続き着実に対策を進めてまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 民進党の重徳和彦です。

 まず初めに、七月の九州北部豪雨等によりまして亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。

 今回の豪雨災害は、山林を襲った豪雨災害でありました。関連して、きょうは資料を添付しましたが、まず初めに、農水副大臣の礒崎副大臣に、森林の保水力と、災害あるいは被害の規模との関係についてお尋ねしたいと思います。

 この資料におつけしております地元の新聞記事によりますと、一方で、今回、専門家チームが山林に入ったわけなんですけれども、現地調査の結果によりますと、「過去に経験がない降雨で、地層ごと滑り落ちる「表層崩壊」が生じたと指摘し、間伐など山林の手入れが不足したことによる土砂崩れは確認できなかった」、こういう結論があるわけです。つまり、ここに書かれているとおり、流された杉やヒノキの根っこは、健常な状態とされる長さ一メートルから二メートルまでしっかり伸びていた、だけれども、深さ三メートル前後の表層崩壊が起きたため流木になったんだ、こういう評価があります。一方で、同じ記事の後半部分にありますように、そうはいっても、「仮に森林が荒廃していれば、より少ない雨でも大規模な表層崩壊が多数発生した可能性が高い」ということであります。

 現地の福岡県東峰村の渋谷村長さんも、山を守らなければ川も民家も守れない、こういうコメントも残されています。

 この点について、礒崎副大臣の御見解、森林環境税の導入を急ぐべきだと私自身は考えているんですが、その点も含めてコメントいただければと思っております。

礒崎副大臣 お答え申し上げます。

 今回の九州北部豪雨の山地災害につきましては、委員の御指摘のように、真砂土等の脆弱な地質地帯の上に、沢地等の地形において、記録的な豪雨により森林の機能を大きく超える外力が働いた結果だと推測いたしておりますが、一方、農林水産省といたしましては、記録的な豪雨にも対応し得るような治山ダムを効果的に配置していくとともに、委員御指摘のように、引き続き間伐等の森林整備をきちんと行うことによって森林の機能の維持向上を図っていくことも重要であると考えておるところでございます。

 そのため、今、森林環境税の御指摘がございました。昨年末の与党税制改正大綱におきまして、市町村が主体となった森林整備に必要な財源に充てるため、森林環境税の創設に向けて、平成三十年度税制改正において結論を得ることとされたところでございます。

 この森林環境税につきましては、現在、総務省と連携いたしまして具体的な制度の検討を進めているところでございまして、おおむね都道府県、市町村においては創設については理解が深まっていると考えているところでございますので、今後とも、地方公共団体の意見を十分聞いて、それを踏まえながら、適切な森林整備の推進に向けて、森林環境税の実現に私といたしましても全力で取り組んでまいる考えでございます。

重徳委員 何をするにも財源が必要でありますので、特に森林環境税、大切な税金だと思います。ぜひ積極的に政府においても御検討いただきたいと思っております。

 さて、今回の現地調査におきましては、福岡県の朝倉市にあります寺内ダムのダムとしての保水といいましょうか貯水の効果につきまして、現地の水資源機構から資料も見せていただきながら説明をいただきました。

 これも資料二枚目におつけしておりますけれども、寺内ダムによる下流河川の水位低減効果といったものが示されています。非常にわかりやすい絵なんですけれども、今回、ダム下流八キロの水位が三・五メートルだった。もし寺内ダムがなければ六・八八メートルまで水位は達していたであろう。すなわち、三・三八メートルのダムの貯水による水位低減効果があったんだ、こういう非常にわかりやすい資料であります。

 それはそれで当然こういう効果があったと計算できると思うんですが、一方で、ことしはこれまでのところずっと少雨、雨が少なかった、そういう傾向があったのでダムの容量も大分あきがあった、こういうような指摘もあります。

 ダムもやはりつくるのは大変な工事だし、時間もかかるし、お金もかかるということでいろいろな批判にさらされることもあるんですけれども、このダムの貯水能力、こういったことにつきまして、国交省として、今回の件を含めてどう評価をされているかということをここでお伺いしたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 寺内ダムは、筑後川水系の佐田川にございます水資源機構が管理する多目的ダムでございます。

 資料にございますように、今回の出水におきまして、寺内ダムは、計画高水流量の毎秒三百立方メートルを大きく上回ります毎秒約八百八十八立方メートルの流入量を観測いたしましたけれども、約九九%に当たります毎秒約八百七十八立方メートルの水を貯留いたしまして、ダム下流の河川水位を低減いたしました。

 具体的には、そこに書かれてございますように、ダム下流の約八キロメートルの金丸橋地点におきまして避難判断水位程度に低減をし、氾濫はございませんでした。

 仮に寺内ダムが整備されていなければ、佐田川におきまして堤防高を大きく上回り、氾濫により、浸水面積約千五百ヘクタール、浸水世帯約一千百世帯の甚大な被害が発生していたと推定をされております。

 今回の寺内ダムでは、五月からの少雨傾向に水需要が増加する時期が重なったことにより、例年に比べダムからの補給が多く、平常時に比べて貯水位が約十メートル低い状態であったこともさらに効果を高めたものと考えられております。

 また、今回の出水によりまして大量の流木が流れ込みましたが、ダム湖で捕捉をしていることもございます。このため、ダムが整備されていない場合にはさらに被害が拡大していた可能性があるというふうに考えているところでございます。

重徳委員 そうですね。貯水だけじゃなくて流木も今回はためたということなんですけれども、これは、流木が流れ込むということについても、今までおよそここまでのことは想定されていなかったんじゃないかなというふうに思います。

 ダムの説明は今の御答弁で大体わかったんですが、今回、同じ朝倉市に山の神ため池というのがあって、これは完全にぶっ壊れてしまったんですね。これは、流木、土砂が押し寄せたということによってため池が破壊された。そして、こちらは下流に大きな被害をもたらしたということであります。

 ため池も危険度調査などは行われていると思うんですけれども、危険度評価については、今回の件を踏まえて、特に流木ですね、これを踏まえてさらなる見直しを行うお考えがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度から二十七年度にかけて実施しましたため池一斉点検では、都道府県や市町村が主体となりまして、設計図書や測量による堤体諸元の確認、目視による堤体や施設の点検、現地調査や既存資料による周辺環境や下流状況の確認などによりまして、詳細調査の優先度を判断するための評価を行ったところでございますが、委員御指摘のとおり、山の神ため池では詳細調査の優先度が比較的低いと評価されていたものでございます。

 今回、当該ため池が決壊に至りましたのは、記録的な豪雨があったこと、上流部の山腹崩壊により土砂、流木が流入したことが影響しているものと考えてございます。

 いずれにいたしましても、現在、農研機構などの専門家が、ため池が被災した原因の分析を行っているところでございます。

 農林水産省といたしましては、その結果を踏まえて、点検における新たな評価項目の追加や評価項目の重みづけの変更など、必要な対応について検討してまいりたい、このように考えてございます。

重徳委員 今回の災害の教訓を踏まえて、必要な見直しをぜひ積極的に行っていただきたいと思います。

 各論を次々と行きますけれども、今回の災害において、やはり現場において活動されていた一つの組織は消防団だったと思います。消防団の今回の活動の実態について消防庁としてどう把握されているか。

 また、これは、たまたま私の地元、愛知県西尾市は今まで消防団がなかったんです。水防団はありましたが、市全体を網羅するような消防団がなかった。ですから、みんな一生懸命訓練や研修を行っておられますけれども、まだできたばかりで、一体どういうことを想定して活動すればいいのか、やはりこういったことも、西尾市の場合は機能別消防団でありますので、大災害のときだけ出動するということであります。これはたまたま私の地元がそういうことなんですけれども。

 いずれにしても、こういった大規模災害のときにおける活動の教訓というものは積極的に消防団の皆さん方に全国的に伝えていかなきゃいけないと思うんですけれども、消防庁としての御見解をよろしくお願いいたします。

杉本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回の豪雨における消防団の活動についてでございますが、もう災害が発生した当初から現場に出て警戒に当たったり、また救助等を行っていたというふうに伺っております。

 全体の大きな活躍状況については、まだ被災地は復旧等に全力を注いでおりますので、まだこれからということになりますが、今回の災害でも大きな成果を上げていただいているというふうに考えているところでございます。

 また、機能別の消防団員につきましては、こうした大規模な災害に対応するためのマンパワー確保のために大変有効な制度というふうに考えておりまして、この四月には約一万九千人と、この五年間で倍増している状況でございます。

 委員御指摘のとおり、実際に大規模災害が発生いたしますと、これらの機能別の消防団員の方々に避難誘導ですとか応急の手当て、避難所の運営等、役割をしっかりと果たしていただくことが重要だというふうに考えているところでございます。

 このため、機能別消防団員につきましても、訓練によりまして活動に必要な一定の技術や知識を身につけていただくことが求められているというふうに考えております。

 伺いますと、西尾市においても、年に何回か訓練に出ていただいて、自分の役割とか実際の技術のスキルを上げていただくというような訓練も行われているようでございます。

 基本団員のみならず、こうした機能別の消防団員に対しましても、災害対応に必要な知識等を普及するための必要な訓練等について、あらゆる機会を通じて地方公共団体にこれからも助言を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

重徳委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、DPATについて基本的なことをお聞きしたいと思います。

 昔から、心のケアが必要だ、災害現場では復旧復興における長期間の避難所生活においてその必要性が指摘され続けてきておりますけれども、ここで改めて、DPATの機能、活動状況、そしてその成果がどのように評価をされているのか、政府にお尋ねしたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、東日本大震災を契機といたしまして、被災地における精神保健医療ニーズに対応できるようにということで、災害派遣精神医療チーム、DPATの体制整備をしておりまして、平成二十九年七月時点で、三十三自治体において四十三のDPATの先遣隊が整備されているところでございます。

 DPATは、被災した精神科医療機関の入院患者さんの転院支援など、急性期の精神科医療ニーズに対応するということ、それから避難所巡回を通じた専門的な心のケア活動等の役割を担っているところでございます。

 これまで大きな六つの災害で活動しておりますけれども、直近では、昨年の熊本地震、それから本年、二十九年七月の九州北部豪雨においてDPAT活動を展開しているところでございます。

 ちなみに、昨年の熊本地震におきましては、四十二の自治体から延べ千二百四十二隊が活動しまして、約六百名の入院患者さんの転院支援とか避難所等の巡回、それから支援している方のサポートを行ったところでございます。

 また、今回、二十九年七月の九州北部豪雨におきましては、これまで、福岡県で延べ十二隊、それから大分県では延べ十隊が活動して、避難所等の面談や支援している方のサポートを行ったところでございます。

 厚生労働省としては、DPATの活動の重要性に鑑みまして、引き続きDPATの体制整備に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

重徳委員 承知しました。

 さて、次に、これは今回訪れた自治体におきましても、特に小規模な自治体においては、やはり被災自治体の職員さんが当然人手不足です。職員さん自身も家族のケアとか自宅の復旧に当たらなきゃいけない、そういう方もおられるわけであります。これはどんな災害のときにも常に直面する課題であります。

 ですから、他の自治体や他の地域からの職員派遣、応援ということを常に行っているわけですが、どうしても、今回も、これはたしか東峰村の村長さんがおっしゃっていたんですが、特に技術系の職員が足りないものだから、査定とか、そしてひいては工事着工ができない、こういう問題が続いているということをおっしゃっておりました。

 災害のときには、初動対応の応援については緊急消防援助隊、これはもう全国的な計画ができておりまして、どこが被災したら、その少し離れた自治体から応援に駆けつける、これがシステムになっているわけなんですね。

 一方で、自治体の業務についても、これは毎回、土地家屋の危険度判定を早くやらなきゃいけないけれども人が足りないとか、罹災証明を出さなきゃいけないけれども人手が足りないとか、避難所の運営に四苦八苦しているとか、決まって、こういう分野の仕事をやってくれる職員が足りないんだ、こういうことになります。ですから、これについても、平時から、どの地域が被災したら、どこからその状況に応じて応援に駆けつけるのか、こういうシステムをちゃんとつくっておくべきだというふうに前から私は常々申し上げておりました。

 総務省のこれは公務員部でしょうから、総務省の方から、実は最近、こういった職員派遣についての研究会の報告書というのが出たんだということを知らされまして、拝見をしました。これが資料の三枚目にあります。一見、対ロシア支援に見えますけれども、ロシアじゃなくて口、ですから対口支援ですね。対口支援都道府県、要は自治体ということでありますけれども、この研究会の報告書、提言の内容について少しお聞かせいただき、また今後の方向性についても御紹介いただければと思います。

佐々木政府参考人 お答えします。

 九州北部豪雨の被災市町村の短期的な応援職員、これは災害応急対策を主としてのものですが、昨日十三時現在の状況ではありますが、被災四市町村合計で四十四名の要請に対し、福岡県、大分県及びそれぞれの県の県内市町村の応援でこちらは全て充足している状況にございます。

 ただし、中長期的な派遣、復旧復興ということになりますが、については、まず、県から県への応援に関して、九州地方知事会では、域内では不足するという見込みがありますので、全国の都道府県に対して四十名の確保要請をなされているところでございます。

 また、これに加えて、被災市町村に対しての応援ということですが、これも現在、九州知事会で、域内でどれだけ出せるかということを調整次第、全国に応援要請をかける予定でございます。

 なお、この中長期的な派遣については、委員御指摘のとおり、土木や農業土木等の技術系職員が必要になると伺っているところでございます。

 総務省としては、全国の地方公共団体に対してこれらの技術系職員を含む応援職員の派遣について働きかけを行うなど、しっかり対応していきたいと考えております。

 さらに、委員から御紹介がありました、熊本地震における成果と課題を踏まえた、被災住民の生活再建を早期かつ円滑に進めるための応援職員の派遣のあり方に関する研究会を開催したところであります。ことし六月に取りまとめられた報告において、お手元の資料のとおりのようなスキームを提言したところでございます。

 この提言を踏まえ、現在、具体的に運用できるように、総務省と地方三団体及び指定都市市長会との間で実務的な検討を進めているところでございまして、できるだけ早く実現できるようにしていきたいと考えております。

重徳委員 できるだけ早く実現したいという部長のお言葉がありましたので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 次に、今回は鉄道の、特に橋が橋脚ごと倒れてしまうという大変衝撃的な被害もあったわけなんですけれども、特に赤字ローカル線については、ただでさえ赤字で、その鉄道会社にとってはなかなか負担が大きい、重たい、そういう路線であるんですけれども、そういった鉄道について、これは若干将来的な話をしてみたいと思うんですが、鉄道にこだわることなく、そこを自動車の専用道路にして、今研究あるいは実証に向けて取り組まれている、自動車、ちょっと大きな、バスみたいなイメージですね、バスの隊列走行をもって柔軟な輸送ができるような、そういうシステムを、別に被災自治体だけじゃなくて、全国の赤字のローカル線に代替して、これは毎年沿線自治体が何億円ものお金をつぎ込んでいるケースも多いわけですから、今せっかく自動車の自動運転といった段階に世の中は達しているわけですから、ちょっと発想を変えて、そういった隊列走行による、自動車による旅客システムを構築してはどうかということを、有識者の方からもそんな情報をいただいて、こんなことができるんだったらいいなと思っております。

 そこで、ちょっと将来の話かもしれませんが、バスなどの隊列走行のコストとか安全性など、現時点の課題があれば、そして、どうしていけば実現できるのか、このあたりについてお聞きできればと思います。

島政府参考人 お答えします。

 地方鉄道の維持に関する問題につきましては、地域の実情に応じた持続可能な公共交通のあり方に関する検討が行われます中で十分議論していただくことが重要と考えております。

 同時に、多数の旅客を運送しますバスなどの公共交通につきましては、一般の乗用車以上の高い安全性が求められております。現在の技術水準でございますと、鉄道に準ずる速度で大型のバスの自動運転を行う段階には至っておりません。御指摘のような形での転換が直ちに可能な状況にはございません。

 しかしながら、国土交通省としましては、地域の足の確保のため、将来的には御指摘のような形態も選択肢の一つとなり得るものと考えておりまして、引き続き、地域のニーズ、技術開発の動向などを踏まえながらしっかりと勉強してまいりたいと思っております。

重徳委員 現時点では選択肢の一つ、将来的なことという御見解のようですけれども、これも可能性をいろいろと探っていく価値はあるんじゃないかと思っております。

 次に、小此木大臣にお尋ねしたいと思います。

 これは毎回、割と、話題あるいはこの委員会における各委員の皆さん方の問題意識として上がってくるんですが、被災者生活再建支援法におきまして、全壊あるいは大規模半壊に対しては支援の対象となるわけですが、半壊になると支援対象にならない、支援金が出ない。この線引きがなかなか、半壊だったら別にお金が何もかからないわけでもないし、線引きがなかなか難しい課題であるなと。半壊と判定されてしまうと支援いただけない、こういった問題が毎回出てくるわけであります。

 今回の水害のような場合、先ほども少し話題に出ておりましたけれども、土砂、悪臭で大変だという場合に取り壊すには特例の対象になるとか、こういう運用もなされているようですが、この辺、大臣の問題意識も含めて少し御所見を伺うことができればと思います。

小此木国務大臣 言われますように、被災者再建支援制度については、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた方々の生活の再建を支援することを目的とした制度であるため、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に限って支援の対象としているのが基本的なところであろうと思いますが、ただ、半壊の被害であっても、住宅に流入した土砂の撤去のためや耐えがたい悪臭などのために住宅をやむを得ず解体した場合には、全壊とみなして、被災者生活再建支援金は支給をされます。また、半壊世帯のうちみずからの資力では応急修理ができない方々に対して、災害救助法に基づき住宅の応急修理の支援が行われているところであります。

 今後とも、被災者の生活再建が速やかに行われるよう、被害の程度に応じて適切な支援を行ってまいりたい、こういうふうに思っておりますが、これこそ国と地域、地元の方々とのしっかりとした情報収集、連携というものが必要になってくると思いますので、改めてそういったところに力を入れてまいりたい、こういうふうに思っております。

重徳委員 できるだけ要望に沿った、地域のニーズに応じた対応ができるように、制度の運用を、緩和といいましょうか弾力化していく必要があると思います。地域の声に本当に真摯に向き合える災害対策を、恐らくこれは災害対策特別委員会の委員の皆様方の一致した思いだと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。ともに考えていければと思っております。

 では、最後になりますが、これは朝倉市の森田市長さんからちょっと問題提起があったので、総務省の所管だと思いますので、お尋ねしたいと思います。

 朝倉市は、最近合併をして、合併特例債を使って市庁舎の耐震化を進めようということで計画を立てていたようであります。これが平成三十二年度完成予定だったということなんですけれども、災害が発生して、一番被害が大きかったとも言える朝倉市ですから、どうしてもそちらの対応を優先せざるを得ないという状況です。したがって、あらかじめ想定していた期限内の事業を延期せざるを得ない、こういう状況に追い込まれているということであります。

 そこで、合併特例債の期限を少し延期して、そして、今喫緊の災害復旧、災害対応に専念できるような、そういう環境を国においても応援してもらえないか、こういう御要望がありました。確かにそのとおりだなというふうにうなずける御要望であります。

 これに対してどのような対処方策があるのか、その点についてお尋ねしたいと思います。

篠原政府参考人 お答えいたします。

 合併市町村におきます合併特例事業につきましては、新市建設計画に位置づけられた事業を実施、完了することが合併の効果を住民の皆様に実感していただくために重要だというふうに考えております。

 一方で、合併特例債の発行期限につきましては、合併市町村の一体感を早期に醸成するために設けられたものでございまして、また、東日本大震災後に、国会での御議論を踏まえまして、被災地で十年、被災地以外で五年、既に延長されていることなどを考慮する必要があると考えております。

 今回の災害におきます被災地の実情や他の地方公共団体の状況等を踏まえまして、発行期限前後において円滑に事業実施を支援する措置につきましてどのようなことができるか、検討を進めてまいりたいと考えております。

重徳委員 まだ余り具体的な答弁になっておりませんでしたけれども、どのようなことができるかということであります。

 この点については、やはり被災地のニーズに寄り添うという意味では、法改正だって辞さないという姿勢で臨むべきじゃないかというふうに思っております。

 この点について、引き続きまたいろいろと検討をともにこれもさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

秋葉委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 九州北部豪雨でお亡くなりになられた方に、心からお悔やみと御冥福をお祈りします。そして、全ての被災者の方にお見舞いを申し上げます。

 私は、本日、被災家屋の支援について質問をしたいというふうに思います。

 まず、小此木大臣にお伺いします。

 大臣は八月二十一日に現地視察されました。私も発災直後から、福岡県、大分県、多くの被災地を何度も見てまいりました。いまだに車が入ることができない集落もあります。

 資料1をごらんいただければと思います。朝倉市の黒川地域のある集落であります。再建に踏み出すことすらできない被災者が、今、多数おられます。

 大臣にお伺いします。

 被災者一人一人の生活再建というのは、東日本大震災を受けて、大規模災害復興法や改正災害対策基本法に盛り込まれた基本理念の一つであります。この基本理念に立って、一人一人が生活となりわいを取り戻すことができるよう、自治体と被災者にしっかり向き合った支援が必要であると考えますが、基本的な御認識をお聞かせいただけるでしょうか。

小此木国務大臣 まさに委員のおっしゃるとおりだと思います。

 東日本大震災を踏まえ改正されました災対基本法においては、基本理念の一つとして、被災者の御事情を踏まえつつ、速やかに被災者の援護を図ることが規定されたところであり、また、大規模災害からの復興に関する法律においても、地域住民の意向を尊重しつつ、大規模災害から地域住民の生活再建を図ることが規定されたところであります。

 当該理念に基づいて、被災者の生活再建に当たっては、被災者一人一人の御事情を踏まえた対応を行うことが重要であると認識をしております。

 今般の九州北部豪雨を含め、これまでの災害対応においても、被災者や地域の実情に応じた対応がとられてきたものと承知をしておりますが、今後とも、政府として、被災者の皆様方がその地域において住み続けよう、なりわいを続けよう、こういう希望を持って前へ向いて進んでいけるよう、自治体とともに被災者支援に取り組んでまいる所存であります。

田村(貴)委員 確認できました。

 九月四日現在、被災家屋は、福岡県、大分県両県で三千五百六十七件に及んでいます。福岡県朝倉市では、住家の全壊が二百十四棟、半壊が七百六十二棟と現段階で発表されています。大分県日田市では、全壊が四十五棟、半壊が二百六十六棟であります。

 ここで言う半壊でありますけれども、半壊といっても実際には住めない状況にある世帯はかなりあります。畳が泥水に全部つかってしまった、流木が壁に突き刺さった、あるいは、たとえ家の中の土砂を撤去できたとしても湿気や悪臭で住むことができない場合には、これは全壊として取り扱うべきだというふうに思います。

 先ほどから大臣も答弁されて説明があっておりますので、内閣府にお尋ねします。平成十六年通知、浸水等による住家被害の認定に照らして、端的に、手短にお答えいただければと思います。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十六年の通知におきまして、以下の具体的な内容を示させていただいております。

 一つに、浸水により、畳が吸水し膨張した場合や、衛生設備としての機能を損失する場合などには、各部位が損傷したとして取り扱うことを明確化する、また、半壊であっても、浸水等の被害により、流入した土砂の除去や耐えがたい悪臭のためやむを得ず住宅を解体する場合には、全壊と同様に取り扱うということを通知したところでございます。

田村(貴)委員 わかりました。この趣旨はぜひ周知徹底していただきたいと思います。よろしいですね。

 住むことができずにやむを得ず解体を余儀なくされた全壊相応の場合で、被災者生活再建支援法が受けられます。そして、全壊と同様な支援金が受けられます。そうですね。

 問題は、このやむを得ない事由によって解体した半壊家屋が、環境省の公費解体撤去の対象とならない、災害廃棄物の撤去とならない、処理とならない。これはなぜなんでしょうか。御説明いただけるでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省におきましては、被災市町村の実施する災害廃棄物の収集、運搬及び処分に対して、委員御指摘のありました災害等廃棄物処理事業費補助金により財政支援を行ってございます。

 この補助金は、生活環境保全上の観点から必要となる災害廃棄物の処理を支援するという性格から、家屋の解体撤去につきましては廃棄物と同等とみなすことができる全壊家屋を対象とするという整理をしてございます。

 環境省といたしましては、この補助制度を最大限効果的かつ柔軟に活用することにより、円滑な、迅速な処理に向け、必要となる支援を実施してまいります。

田村(貴)委員 それではお伺いしますけれども、熊本地震のときにはなぜ半壊世帯を公費解体の対象としたのでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 熊本地震の場合、特に家屋の被害が膨大な数に上ったということがございます。その中で、解体を希望する半壊家屋も多数ございまして、この解体のおくれが特に被災地の復旧復興の大幅なおくれにつながるおそれがあったということから、半壊家屋の解体についても特例的に財政支援を行ったところでございます。

田村(貴)委員 災害の規模が大きかった。今度の規模も相当大きいですよ。それから、復旧復興のおくれになっていく。これは、朝倉市においても、東峰村においても、日田市においても、同じじゃないですか。矛盾していると思います。住むことができない事態は同じなのに、災害の規模によって支援策が変わる、これはおかしいんですよ。

 副大臣、お着きになっておられます。よく聞いていただきたいなと思います。被災者は、災害の規模とか、それから災害の名称を選ぶことはできません。家を失った苦しみはどこでも同じであります。

 資料2をごらんいただけたらばと思いますけれども、これは、朝倉市杷木にある、ある集落の写真であります。

 家の原形をとどめているのもありますが、住むことのできない家屋がいっぱいあります。全壊したものも、ごらんのようにあります。まさに、先ほど御答弁があったように、入り乱れた状態であります。ここは道路もなくなった。仮の道路をつくったんだけれども、また後の雨で流されてしまった。それから、橋も今見ることができない。住宅は押し流されてこのようなありさま。

 面的整備が必要となるというような地域なんですけれども、全壊相当の家はそのまま、全壊は解体撤去、そういう形で復旧復興はできないと思うんですよ。これは、やはり甚大な被害なので、自治体が要望を上げているように、全壊相当も支援対象とすべきであります。

 そこで、とかしき副大臣、お尋ねしたいと思います。

 まさに、今、事務的に話していると解決できないんです。私もずっとレクチャーを積み重ねてまいりました。政治決断が求められる課題であります。

 聞いていただきたいんですけれども、福岡県の東峰村は、財政調整基金三千三百万円を取り崩して、半壊家屋を含めて、解体撤去費用を村の財政から支出することを決定いたしました。渋谷村長はこうおっしゃられました。被災者が受ける気持ちを考えた、目に見えるものを取り除けば、また新しい考え、生きる力が出てくると語ったのであります。まさに、やむにやまれずの判断でありました。

 同じように、支援したいが財政上できないというところもあります。一番大きな被災を受けた福岡県の朝倉市であります。森田市長は、解体撤去を市として行えば、莫大な費用を伴い、基金をなくしてしまうので、これはなかなかできないというふうにおっしゃったわけであります。

 福岡県、朝倉市、東峰村、自治体からの要望書にあるように、被災自治体は半壊家屋についても全壊家屋と同様の措置をとることを切に求めておられます。この被災自治体の課題と要求に対して、環境省、やはり応えるべきではありませんか。副大臣、いかがですか。

とかしき副大臣 環境省といたしましては、被災なさった住民の皆様に一日も早くもとの生活を取り戻していただきたい。先ほど田村委員がおっしゃいましたように、現場では大変なことが起こっておりますし、全壊であれ半壊であれ、被害を受けたのは同じでございますので、そういった状況の中でも、とにかくもとの生活に戻れるように、スピード感を持って対応していきたい、このように環境省は考えております。

 あと、被災地市町村の実施に関する災害廃棄物の収集、運搬、処分に関しましては、これは災害等廃棄物処理事業費補助金による財政支援を行わせていただいております。この制度は、国費の補助が二分の一、さらに、激甚災害に指定された災害対策債により起債を行った場合には、交付金措置を含めますと最大九五・七%の財政支援が可能となります。

 本補助金では、家屋の解体撤去につきましては、生活環境の保全の観点から、廃棄物と同等とみなすことができる全壊家屋を対象とさせていただいております。

 ということで、環境省といたしましては、現在の補助金制度を最大限有効に、さらに柔軟に活用していただくということで、関係省庁とさらに自治体としっかり連携をとりながら、円滑に、そして迅速な処理に向けて、必要とされる支援をしっかりと実施していきたい、このように考えております。

田村(貴)委員 副大臣、そうおっしゃるんですけれどもね、廃棄物と同等とするならば全壊の家だと。しかし、住むことができない家は全壊相当となるわけですよ。そして、支援法に基づく支援金も受けられるわけなんですよ。そして、家の持ち主は、もうこれは解体処分してほしいと、住むことができないので。これは、廃棄物と同等になるじゃないですか、どうせ解体するんだから。ここなんですよ。

 検討の余地はないですか、副大臣。検討されませんか。

とかしき副大臣 先ほどもお話しさせていただきましたけれども、現在の補助金制度をやはり最大限効果的に、柔軟に活用していただくということで、やはりこれは関係省庁と自治体としっかり連携をとりながら、どういう場合に対応するのか、ここはちょっと知恵を出しながら対応していきたいなというふうには考えております。

田村(貴)委員 ぜひ、知恵を出して検討していただきたいというふうに思います。

 そこで、小此木大臣、今議論してまいりましたように、住むことができずにやむを得ず解体するその家屋については、全壊相当として支援の対象となります。しかし、災害等廃棄物処理事業がそれについていっていないという現実があります。

 大臣は、自治体と国がしっかりと手と手を携えて、復旧復興を前に進めないといけないというふうにおっしゃいました。やはり私は、この事業に国が自治体と手を携えることによって解決を図るべきだというふうに考えておりますけれども、政治決断が求められております。大臣、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 委員がおっしゃることと重なりますけれども、廃棄物処理については環境省の所管でありますので、環境省で判断をいただいているところだと思いますけれども、大事は、これからも起こり得る大きな災害等については、しっかりと、先ほども申し上げましたが、いろいろなところで連携を図るところが必要だと思います。

 今問題になっております被災者支援、再建支援金については、半壊であってもやむを得ず解体する場合は、その解体や撤去の費用として使用することも可能であります。こういうことは御承知のとおりであろうかと思いますけれども、繰り返しになりますが、国、地方、そして被災地、被災者、あるいはこういう議会の中での議論、いろいろなことをさらに深掘りして、私たちがしっかりと認識をしていくことが必要であると今お答えいたしたいと思います。

田村(貴)委員 私はあえて申し上げたいと思います。災害対策の原点、一人一人の立場に立った生活再建のこの立場を堅持していただきたいと思います。

 最後に、被災者支援のあり方全般について述べておきたいというふうに思います。

 大雨被害が各地で続いています。必ず問題となるのが住家の被害です。

 七月の秋田県の水害では十七の自治体に住家被害が生じましたけれども、大仙市以外の自治体は、一定の全壊世帯数に達していないので被災者生活再建支援法が受けられませんでした。秋田市では、たとえ家の一階が全流失、家財道具が一式流されたとしても、県と市のわずかな見舞金だけの人もおられます。生活再建支援法は住家滅失世帯の大小を問わず適用すべきであると思います。そういう検討が今まさに求められていると思います。

 また、その支援金、支援制度そのものも改善すべきであります。全壊で最大三百万円では再建にほど遠い。これは半壊も対象として五百万円に引き上げること。さらには、浸水対策。床上浸水も支援法の対象外であります。大分県の日田市の被災では、床上、床下、非常に多く、九百二十四棟でありましたけれども、床上で五万円の県の支援支給金のみであります。

 こうしたところの制度改善が今まさに求められている。自治体と被災者の悲願でもあります。改善を強く要求して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 先ほど冒頭、大臣は御報告の中で、今般の災害に対して、今後とも、被災者の皆様方の切実な声に真摯に耳を傾け、復旧復興や被災者の生活やなりわいの再建など、被災された方々が一日も早く日常の生活を取り戻していただけるよう、関係自治体と連携を密にし、政府一丸となって取り組んでまいりますと決意を述べられました。

 そこで、私は、今回の九州北部豪雨被災地での中小・小規模事業者のなりわいの再建のためにどんな支援が今求められているのか、大臣の基本的な考えをお聞きしたいと思っております。

 大臣は八月二十一日に被災地に行っておられますけれども、この被災地域の多くは中山間地など小規模事業者が非常に多くて、地域に根を張った一軒一軒の事業者が、雇用の場と住み続けられる集落の維持のためにも、また農業などの基幹産業を続けていく上でも、かけがえのない存在となっております。ですから、災害を機になりわいの再建を諦める事業者が生まれることになれば、地域社会の存続そのものが危うくなる。

 大臣にお聞きします。

 被災地の一つ一つの中小・小規模事業者のこうした地域社会の中での存在の重みをぜひ共有していただきたいと思いますけれども、一軒たりとも事業の再建を諦めさせない、そういう覚悟、実際それは難しいというのはわかっていますけれども、一軒たりとも諦めさせないという覚悟でこの復旧復興に当たっていただけるかどうか、最初にお聞きします。

小此木国務大臣 大臣に就任をさせていただきまして、非常に身の引き締まる思いでやっております。就任時から、この九州北部の大雨あるいは台風五号等もありまして、さらに、今おっしゃったとおり引き締めてやってまいりたいと思います。

 おっしゃったとおり、二十一日に私は九州北部に参りまして、でき得る限りいろいろなところを市長さんや村長さんや地域の方々に御案内をいただきまして、その激甚な被害を改めて認識したところであります。

 被害に遭われた皆さんが一日も早くもとの生活を取り戻していただけるよう、生活やなりわい、この再建を進めることが肝要であるということも委員と同じでございます。

 私としても、今後とも、被災者の皆様方の切実な声に真摯に耳を傾け、経済産業省を初めとした関係省庁とも連携しながら、政府一丸となって復旧復興に取り組んでまいりたいと思います。

 特に中小企業、小規模事業者の事業再建については、中小企業庁の所管と認識しておりますけれども、日本経済の基盤を支えているのは、御案内のように、企業数の九九%を中小企業、小規模事業者が占め、雇用の約七割を占めるということであります。被災された中小企業、小規模事業者に対しては、中小企業庁において、発災直後より、特別相談窓口の設置や資金繰り支援を行うとともに、小規模事業者持続化補助金等に新たな枠を設けるなどの追加措置を行ってきたと承知しております。

 被災された中小企業、小規模事業者の復旧復興に向けて、経産省を初めとした関係省庁ともさらに連携をしながら、政府一丸となって復旧復興に取り組んでまいる所存であります。

真島委員 現場の声を紹介したいと思います。

 朝倉市商工会では、約四百六十の会員のうち三割強に当たる百四十六事業所が被災をしております。

 菓子製造、販売、大成物産あさくら堂が開発した、地元特産の富有柿を使ったあんを使ったまんじゅう「ふゆ」というのが、近隣の原鶴温泉、筑後川温泉で茶菓子や土産用として利用され、福岡市の博多座でも販売されるなど、年間百二十万個を製造する人気商品でした。同社の井福勝義社長は、製造工場だけではなくて、近くで営んでいる販売店や飲食店にも土砂が入り込み、設備が泥に埋まって全滅した、いつ生産再開できるか全くわからない、そのために約三十人の社員全員を一年の間一時離職にして、これまでの返済も残っていて新たに借金をする余力はないとおっしゃっております。

 朝倉市商工会の岩下繁隆会長からは、五年前の九州北部豪雨でもここまでひどくはなかった、事業再開には新たに借金をしなければならないのでは、廃業を選ぶ事業者が出てくるんじゃないか、現時点では融資しかなく、商工業は支援が薄いと感じている、高齢で重たい借金は担げないという方が多い、被災した事業者を何としても守ってほしいという要望を寄せられました。

 朝倉商工会議所の大隈晴明会頭は、豪雨をきっかけに廃業を検討する声も聞こえてきている、政府には、補助金を含め、早期に柔軟な支援をお願いしたいとおっしゃっています。

 東峰村商工会は、約百二十会員中四割強に当たる五十超の事業所が被災をし、製造業など、億単位の損害をこうむったり、廃業を検討したりしているところもあります。

 家族四人で金属加工業を営む男性は、約三十年かけて一億円以上を投じ導入した金属加工の機械が土砂に押し流されてほとんど使えなくなって、千五百万円以上のローンも残る中、自力でまた機械を準備しようにも無理だ、私たち中小業者には、融資はあっても、補助とか助成金はほとんどないと国の支援を求められました。

 国指定の伝統工芸品で、人間国宝に認定された窯元も出ました東峰村の主要産業である小石原焼、四十七の窯元のうち二十一軒が浸水等の被害に遭い、五つの窯元が土砂、流木の流入等で窯が損傷するという甚大な被害が出ています。小石原焼陶器協同組合の柳瀬真一理事長にもお会いしましたが、廃業する窯元を絶対に出したくない、窯元が事業を継続できるように支援をいただきたいと訴えておられました。

 日田商工会議所もお訪ねしました。十時康裕会頭から、事業所や商品が水につかるなど被害が二億円を超えることや、道路復旧まで営業や販売ができない事業者の深刻な実態をお聞きし、補助金は即効性が大事だ、資金繰り援助など直接支援や観光業への風評被害対策もお願いしたいと要望を受けました。

 大臣もこうした現場の声をお聞きになってこられたと思うんですが、このままでは、事業の維持存続を諦める事業者が相次いで、地域社会が丸ごと存続できなくなってしまうという現場の危機感をどのように受けとめられたでしょうか。

小此木国務大臣 今一つ一つ挙げられましたさまざまな困難がございます。これにつきましても、中小企業庁の所管であるとは思いますけれども、内閣府といたしましても、非常に重いことだとこれは思っております。

 中小企業庁では、九州北部豪雨によって被災された中小企業、小規模事業者の被害状況を把握するため、発災直後より、地方公共団体と地元の商工会議所及び商工会と連携して、被害状況の調査を実施してきたと伺っております。

 また、中小企業庁及び九州経済産業局では、市町村、地区ごとに担当者を定めて、個々の中小企業等に対してきめ細やかな支援を行っていきたい、こういうふうに考え、支援体制を整えてきたところであるとも伺っております。

 引き続き、現地の中小企業、小規模事業者を初めとした被災者の皆様方に寄り添い、経済産業省を初めとした関係省庁とも連携しながら、政府一丸となって復旧復興に取り組んでまいります。

真島委員 今紹介したような現状を重いことだと受けとめているとおっしゃいました。

 大臣は、八月二十一日に被災地視察された際に、福岡県知事と県議会議長から要望書を受け取られております。この要望書の中には、被災した中小企業、小規模事業者の事業継続、早期再開に向け、甚大な被害を受けた施設設備の復旧に対する支援が不可欠であるとして、中小企業等グループ補助金など、施設設備の復旧等を支援する国庫補助制度を創設することを要望しています。

 大臣にお聞きしますけれども、地域にとって、先ほど言った、本当にかけがえのない、公益的な存在となっている中小企業、小規模事業者、この事業の継続、再開のためには、福岡県が求めているように、グループ補助金のような施設設備の復旧を後押しする何らかの直接支援が必要だと思うんですけれども、御認識を伺います。

小此木国務大臣 御指摘のグループ補助金につきましては、中小企業庁の所管であるとこれも認識をしておりますけれども、これまで少なくとも、東日本大震災や熊本地震、これが被害が広範囲かつ甚大であること、サプライチェーンが毀損する等により我が国経済が停滞する事態が生じたこと、これらを踏まえ、特別に措置されてきた制度であると伺っております。

 被災中小企業、小規模事業者に対しては、中小企業庁において、発災直後より、特別相談窓口の設置や資金繰り支援を行うとともに、小規模事業者持続化補助金等に新たな枠を設けるということなどの追加措置を行ってきたところと承知しております。

 また、中小企業庁及び九州経済産業局では、市町村、地区ごとに担当者を定めて、個々の中小企業等に対してきめ細やかな支援を行っていきたい、こういうふうに考え、支援体制を整えてきたところと承知をして、先ほど述べたとおりでありますが、今回の災害は東日本大震災や熊本地震のように広範囲ではないということなどから、中小企業庁においては、グループ補助金を含めた施設設備の復旧に関する直接支援の創設は考えていないと聞いております。

 いずれにいたしましても、被災された中小企業、小規模事業者等の復旧復興に向け、経済産業省を初めとした関係省庁とも連携しながら、政府一丸となって復旧復興に取り組んでいく所存であります。

真島委員 大臣が先ほど重く受けとめているとおっしゃった被災地の中小・小規模事業者の困難というのが、グループ補助金は中企庁はやらないと言っていると言われている、そういう対応で、本当に支援、再建ができるのかということをちょっと考えていただきたいんです。

 東日本大震災のときには、中小・小規模事業者の被害総額は約一兆三千億円と言われていました。これに対して、グループ補助金、四千三百七十九億円が予算措置をこれまでされております。熊本地震では、中小・小規模事業者の被害額八千二百二十三億円に対して、グループ補助金、計九百八十三億二千万円が予算措置をされております。東日本大震災では被害額の約三三・六八%、熊本地震では被害額の一一・九六%相当のグループ補助金が予算措置されているわけなんですが、今回の豪雨災害、今、百億超と中小企業被害は言われていますけれども、それから見ても、数十億の予算措置でできるんですよね。

 大臣は、自治体と密接に協力しながら、被災者の生活再建や復旧復興に向けて財政支援を最大限努力するんだ、国としてできることは何でもやっていこうと被災地を訪ねられたときに発言をされておりますけれども、中小企業、小規模事業者の施設設備の復旧に対する直接支援について、本当に現状で再建できるというふうに受けとめられているのか、ぜひ、関係省庁と実態を精査して、議論をして、最大限の努力を今後していくということをお約束していただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

秋葉委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

小此木国務大臣 困難はこの目でも確認をしておりますし、お話でも伺っております。

 繰り返しになりますが、今おっしゃいましたように、特に中小企業、小規模企業等については、経済産業省を初めとした関係省庁ときっちりと、しっかりと連携をして、対処をしたい、こういうふうに思っております。

真島委員 時間が来ましたので終わります。ぜひ関係省庁と連携して頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美です。

 冒頭、七月に、私のふるさとでもあります福岡県、そしてお隣の大分県日田市などを中心に、九州北部を襲った豪雨災害によりお亡くなりになった方の御冥福を改めてお祈り申し上げたいと思います。また、今なお五名と言われる行方不明の方がいらっしゃいます。早期発見を願いますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 まず、続発する豪雨災害についての対応について大臣に伺いたいと思います。

 過去五年の激甚災害の指定状況は二十件を超えるということでありますが、そのほとんどが豪雨、暴風雨による災害によるものであります。先週八月三十日には、岩手県岩泉町や北海道を襲った豪雨災害から一年を迎えたところであります。これだけ豪雨災害が続くと、これまでの備えで果たして本当に我が身を守れるのかどうか、国民の不安も大きいのではないかというふうに思うところでございます。五年に三度の激甚災害を受けたという大分県日田市では、百年に一度とか数十年に一度とか言っていたのがもはや五年に一度の災害になってしまったといった悲痛な声も伺いました。

 このように豪雨災害が毎年発生する現状をどのように受けとめて、国民の生命、暮らしを守るために何を重視されているのか、大臣の問題意識、現状認識を伺いたいと思います。

小此木国務大臣 まず、改めて、委員御地元の被災されて亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますし、被災者にお見舞いを申し上げます。

 おっしゃったとおり、私は、八月二十一日に福岡県、大分県を訪れてまいりました。この中で、今おっしゃいましたように、何百年に一度というのが何十年に一度あるいは毎年というような思いに至るような大雨、大災害が起こりました。

 今後も、気候変動の影響により、台風の強大化、豪雨頻度の増加等、自然災害のさらなる大規模化が懸念されているという中で、このような事態を踏まえ、社会全体で自然災害に備えるべく、河川の氾濫を防ぐ対策を強力に進めるとともに、氾濫した場合にも被害を軽減する対策や、地域住民への水害リスクやとるべき避難行動の周知等の総合的な取り組みを地方自治体と一体となって推進しているところであります。

 今後とも、国民の生命と財産を守るため、ハード、ソフト一体となった総合的な防災・減災対策に徹底して取り組み、国土強靱化を進めていく所存であります。

河野(正)委員 山合いの集落が土砂と流木で一気に埋め尽くされ、生活の基盤を全て失うような大きな被害が相次いでおるところであります。今回の北部九州では、被害を受けた地域が広範に及ぶというよりは局所的と言える部分もありますが、被災地では、川の流れが変わり、集落の面影すら失わせ、もともとの地形をも変えてしまう甚大な影響が生じております。

 確認ですけれども、今回の北部九州の豪雨災害が、昨年の岩泉などとはどう違うのか、特徴はどういうところにあるのか、地形や山林の状況、異常気象など、さまざまな要因が考えられるとは思いますが、これまでの調査を踏まえた政府の認識を伺いたいと思います。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の九州北部豪雨では、七月五日から六日までの総降水量が多いところで五百ミリを超え、七月の月降水量平年値を超えるなど、これまでに経験したことのないような大雨となり、河川の氾濫や土砂災害などにより、多数の人的被害や住家の全壊、交通網の寸断など甚大な被害が発生したものと認識しております。

 今般の災害の特徴といたしましては、線状降水帯が形成、維持されたことにより同じ場所に猛烈な雨が継続して降り、記録的な大雨となったこと及びこれらに伴う多数の土砂崩落などにより発生した大量の流木が下流の住宅地、農地などに押し寄せ、過去最大級の流木災害となったことなどが挙げられると認識しております。

河野(正)委員 次に行きます。

 今回、福岡県だけでも、道路や河川、ダム等の公共施設の被害額が八百億円にも及ぶというふうに言われております。一自治体で全て担えというのは大変に酷な状況ではないか、国の支援が必要であるというふうに考えております。

 さらに、どこの被災地でも、発災前の姿に戻すような原形復旧ではなく、先ほど来もお話が出ましたけれども、再び災害が生じないよう、安全性をより高めた形で改良復旧をしてほしいという意見を多く聞きました。

 大量の土砂や流木により地域の地形すら変わってしまった被災地では、台風シーズンを前にした二次災害を懸念する声、今後みずから暮らしていた地域に再び住むことができるのかどうか心配する声も根強く聞こえております。

 災害復旧に当たっては、迅速さも当然大事でありますが、より安全な暮らしを支えるような地域づくりに資するものでなければならないというふうに思っております。若干言葉は悪いかもしれませんが、焼け太りは許さないというような、しゃくし定規に判断をしていくのではなく、改良復旧など柔軟な対応が望まれるんだと思います。

 公共施設の災害復旧事業に係る補助対象をさらに広げるなど、新たな取り組みを含めて、政府の見解を伺いたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 甚大な被害を受けました被災地においては、早期復旧を図るとともに、より災害に強い地域をつくっていくことが求められますので、原形復旧のみならず、再度災害防止を図ることができるよう、川幅を広げる等の機能を強化する改良復旧事業の活用を図ることが重要だと思っております。

 今回の災害を受けまして、国土交通省がみずから管理をいたします一級河川において、流量増への対応などの改良復旧等を進めるとともに、地方公共団体が実施する事業につきましても、改良復旧事業の活用が進むよう、地方公共団体が行う事業計画の策定などに対して国土交通省としても支援を行ってまいります。

 さらに、改良復旧事業の実施を円滑に進めていくに当たりまして、地方公共団体からの御要望をよく伺いながら、どのようなことができるのか、検討してまいりたいと思っております。

 国土交通省といたしましては、被災地の方々が一日も早くもとの暮らしを取り戻せるよう、被災箇所の早期復旧に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

河野(正)委員 ぜひ、今強いお言葉もいただきましたけれども、改良復旧ということで、柔軟な対応をしていただきたいなというふうに思います。

 被災地を覆う大量の土砂、流木だけでなく、さらに雨が降ることで流れ込み、堆積するものも多く存在をしております。こうした土砂や流木は被災地の安全を脅かすものですが、これらの撤去や流入抑制対策は、現在の災害復旧制度では補助の対象とはならないものであるというふうに思います。

 こうした土砂、流木は、被災地の早期の復旧復興の妨げとなり、地域の安全、住民の生活再建を阻害するのは明らかであり、早急な対応が必要と思います。抜本的な対策工事を行う前に行うということは、これらは二度手間となる懸念性もありますけれども、二次災害を防止するという意味ではしっかりと今対応しておかなければならないものだと思います。

 そういった対策のための財政措置を進めるべきと考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 今回の大雨で河川や道路施設等に堆積をいたしました流木や土砂につきましては、例えば河道断面の三割以上を埋めて塞いでいる場合などは、採択要件を満たせば、その除去に係る費用の一部は災害復旧事業として国が負担することとなっております。

 一方、河川や道路の管理区域外は原則として災害復旧事業の対象とはなりませんけれども、管理区域に崩れ落ち、そして直接影響を及ぼす流木や土砂の撤去につきましては対象となる場合もございます。

 また、流域全体の二次災害防止対策に関しましては、崩落土砂や流木が多量に発生した赤谷川におきまして、福岡県知事からの要望を踏まえて、直轄砂防災害関連緊急事業によりまして、砂防堰堤等の工事に八月十六日から着手をしております。

 さらに、福岡県、それから大分県は、発災直後より土砂災害危険箇所等の緊急点検を実施して、二次災害防止に向けて応急的な対策あるいは本格的な対策であります災害関連緊急傾斜地崩壊対策事業等に着手をしているところでございます。

 今後も、このような制度を活用して、できる限り地域の御負担を軽減できるよう支援してまいりたいと考えているところでございます。

河野(正)委員 よろしくお願いいたします。

 次に参りますが、集落はもとより、町の風景を一変させるような被害を受けた地域では、住まいやなりわいの土台ごと失われ、再建が厳しいというのは、先ほど各委員からもお話がございました。各地で厳しい環境に立ち向かい、復旧復興に向けた取り組みが始まっているものの、自治体の一般財源だけではその費用を賄い切れないのが実情だと思います。

 先ほど重徳委員の質問でもあったかと思いますが、特に合併特例債の期限が、朝倉市は平成三十二年度、東峰村は三十一年度と近づいております。

 昨年の熊本地震で熊本県の宇土市役所が倒壊寸前の大変大きな被害を受けたことは、御記憶の方も多いかもしれません。朝倉市役所も同様に建てかえの時期に来ているということであります。こういった期限の迫った中、各市町村というのは、やはり合併特例債でやりたい事業というものは既に決まっているというふうに思います。

 町を取り巻く環境が一変した今、より安全で災害に強い町づくりを進めるためにも、その期限の延長が不可欠ではないかというふうに思いますが、合併特例債の適用期間の延長について、政府の見解を伺いたいと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 合併特例債の発行期限につきましては、合併市町村の一体感を早期に醸成するために設けられたものであることや、また、東日本大震災後に、国会での御議論を踏まえまして、被災地で十年、被災地以外で五年、既に延長されていることなどを考慮する必要があると考えております。

 その中で、朝倉市におかれては、平成二十四年度の九州北部豪雨災害と今回の災害によりまして、合併に伴う事業が大幅に遅延することが予想されるとされております。

 今回の災害におきます被災地の実情ですとか、あるいは他の地方公共団体の実施状況も踏まえまして、発行期限前後において円滑に事業実施を支援する措置についてどのようなことができるか、検討を進めてまいります。

河野(正)委員 ぜひ検討をお願いしたいと思います。

 次に移りますが、これまでも指摘しましたように、地域の暮らしを根こそぎ奪うような被害を受けた被災地では、流木や、破壊された建物、構造物などによる膨大な廃棄物が発生をいたしております。今後、復旧工事や家屋の解体工事が進むと、さらにごみが発生することが見込まれます。

 一刻も早い生活再建のためにも、被災家屋の解体撤去、流木の回収、撤去など、災害廃棄物の処理事業に当たって熊本地震と同様に財政措置が必要と言われておりますが、政府の見解はいかがでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、被災市町村の実施する、御指摘がありましたような災害廃棄物の収集、運搬、処分に対しまして、災害等廃棄物処理事業費補助金により財政支援を行っております。本補助金では、御指摘がありました家屋の解体撤去につきましては、生活環境保全上の観点から、廃棄物と同等とみなすことのできる全壊家屋を対象としております。

 環境省としては、現在の補助制度を最大限効果的かつ柔軟に活用することにより、円滑、迅速な処理に向けて、必要となる支援を実施してまいります。

 どうぞよろしくお願いいたします。

河野(正)委員 さまざまな場面におきまして熊本地震同様の適用をしていただきたいというのは、ある意味、キーワードでございますので、福岡県の方々からもたくさんそういった声を聞きました。熊本地震同様にやっていただきたいということでありますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 激甚災害制度についてお話をさせていただきたいと思います。

 繰り返しになりますが、大分県日田市では激甚災害指定が五年に三回というような状況にあると伺っております。立て続けに大きな災害に見舞われる自治体にとっては、激甚災害制度をより迅速かつ早急な復旧に資するものに見直してほしいといった声も聞かれました。指定を受けて国庫負担率がかさ上げされるといっても、一定率は当該自治体が負担しなくてはなりません。被害額が大きくなればなるほど、地方自治体には極めて大きな負担額となります。全国的な少子高齢化の中、また、過疎化に悩む地域などでは非常に大きな問題であるというふうに思います。

 与党からも、より早期の激甚災害指定を可能にするよう、法改正を求める意見も出ており、菅官房長官も前向きなコメントを出されているということであります。

 小此木大臣は、八月三十日の日経インタビューで、この点について運用の改善策を検討していくと発言されていると思いますが、法改正も含めて改善を図るというお考えでよいのか、改めて大臣の御意見を伺いたいと思います。

小此木国務大臣 おっしゃるとおり、政府としては、私といたしましても、先日、早期に激甚災害指定を行うため、運用の改善というところに取り組んでいるところとお話をいたしました。

 さらに、この夏の梅雨前線による豪雨に対しては、特に被害の大きかった福岡、大分、秋田、これらの県において、国が全面的に協力をして被害状況調査に取り組んだところでございます。

 また、全国的な梅雨明け、八月二日、これを待つことなく、査定見込み額が基準に達したものについて、早期に、これは七月二十一日でありましたが、激甚災害の指定見込みとして公表をいたしました。

 このように、被災自治体が財政面での不安なく復旧復興に取り組めるように対応したところであります。

 今後とも、円滑な激甚災害指定を初め、被災地の支援のあり方について、さらにどのようなことが可能なのか、検討はしてまいりたいと思います。

河野(正)委員 よろしくお願いいたします。

 ちょっと時間もありませんので、先に進みたいと思います。

 土砂や流木に覆われた農地の再建というのは、極めて大きな課題であります。特に、朝倉市は果樹生産で有名な地域であります。果樹そのものをゼロから育て直すことが必要となり、作物として出荷し、実際に現金化するまでは、田畑と比べてどうしても時間がかかってしまいます。桃栗三年などという言葉があるように、果樹を立て直していくということは、収益が回復するまでの就労機会の確保など、きめ細かく息の長い支援が欠かせないと思いますが、こういった果樹生産、農林業の再建支援について、政府の見解を伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 今回被害を受けた果樹については、園地の流亡や土砂の流入、病害虫の発生など、今後の営農継続上、短期的、中長期的に多くの課題に直面していると認識をしております。

 こうした状況の中、農林水産省では、果樹農業の再建に向けて、被災に伴い必要となる追加防除、施肥などの栽培環境整備や、被害果樹の植えかえに要する苗木代などに必要なかかり増し経費への支援など、当面の対策とともに、被害果樹の植えかえ後の複数年にわたる管理に要する防除や肥料などの経費への支援などを行うこととしたところであります。

 また、被災された農家の皆さんがみずから復旧作業に取り組むことは生活への支援にも資すると考えており、災害復旧事業などにおいて被災農家の皆さんの優先的な雇用に努めるよう、地方農政局及び地方自治体に要請をしているところであります。

 さらに、果樹農家が将来展望を持って安心して営農できるよう、国としても、地元に足を運び、自治体や関係団体などの関係者と一体となって、早期成園化に向けた新技術の導入など、新しい果樹産地のビジョンづくりをサポートしてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 被災地では、流木の多さに驚きを持たれた方も多いかと思います。山の手入れが行き届かなかったことが多くの流木につながったのではないかという声も聞かれるところであります。

 林野庁からは、雨が短時間に大量に降ったことが最大の要因というふうに伺っておりますが、林業の衰退によって森林の手入れが行き届かなかったことの影響はなかったのかどうか、被害を大きくすることにつながっていたのではないか、この点は十分な検証が必要だというふうに考えております。

 昨年、豪雨被害を受けた岩手県岩泉町でも流木による被害は生じたものの、山からの流木は少なかったというふうにも聞いております。ふだんから森林の保全管理を重ねていくことが、流木被害の抑制につながるのではないでしょうか。

 戦後の森林政策全般にも関連して、政府がどのように考えているのか、伺いたいと思います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林は、根の土壌緊縛力、根っこが土をつかむ力などによりまして山腹崩壊を防止する機能を有しております。杉等の人工林であっても、間伐などの適切な施業を行うことにより、この機能は十全に発揮されるものでございます。

 一方で、こういった森林の機能には限界もございます。異常な豪雨におきましては、森林の有無やその状態よりも、地形、地質などが崩壊に密接な関係を有するものとされているところでございます。

 今回の流木災害につきましては、真砂土等の脆弱な地質地帯、沢地などの地形において、二十四時間降水量が五百ミリを超える記録的な豪雨により、多量の水が集まり、森林の機能を超える外力が働いた結果、多くの山腹斜面が、その上に生育をしておりました樹木とともに崩壊、流出したことにより発生したものというふうに推察しているところでございます。

 こうした点を踏まえまして、林野庁といたしましては、まずは、引き続き、間伐等の森林整備によって森林の機能の維持向上に努めるということとともに、こういった記録的な豪雨にも対応し得るよう、スリット式治山ダム等を効果的に配置していくなど、森林整備と治山施設の整備を組み合わせた対策により、被害の軽減、防止を図っていく考えでございます。

 また、今般、林野庁に設置しております治山対策検討チームにおきまして、今回の災害の実態把握や崩壊の発生メカニズムの分析などを行い、さらなる効果的な治山対策のあり方についても検討してまいる考えでございます。

河野(正)委員 今、治山対策をしっかりやらなければいけないということでありましたけれども、本当にこれは、福岡県あるいは大分県、そして昨年の岩手県に限った問題ではないというふうに思っております。

 東峰村の渋谷村長は、森林の保全管理について、現場に精通した方ならではの御意見もお持ちですので、ぜひ、現地でも委員長にお願いしましたが、当委員会に参考人としてお越しいただき、直接委員の皆様にもお話しいただきたいと思っておりますので、秋葉委員長には御検討のほど、よろしくお願いしたいと思います。

秋葉委員長 はい、理事会で協議したいと思います。

河野(正)委員 次の問題に行きます。

 今回の豪雨によって、大分と久留米を結ぶ久大線、筑豊と筑後を結ぶ日田彦山線が甚大な被害を受けております。長期間の不通が見込まれております。報道で目にされた方も多いと思いますが、花月川の鉄橋が崩壊し、流失した橋の復旧目標というのは来年の夏であります。

 JR九州は、さまざまな観光列車の運行で一生懸命、企業努力をされているんだと思っておりますが、その一つに「ゆふいんの森」というのがあります。私も乗ったことがありますけれども、博多から観光地としても有名な大分県の由布院までを現在迂回する、北九州経由で行くということで、通常の倍以上である四時間四十五分かけて由布院まで行くということであります。博多から由布院まで車で行けば一時間半そこそこですので、いかに遠回りを強いられているのかということでございます。

 JR九州は、昨年の熊本地震による阿蘇での復旧工事に取り組む中、さらに不通区間が生じました。不通が長期間になると地域の人や物の流れを変え、将来の見通しが立たないなど影響は甚大であります。また、通学に通っている学生さんたちも極めて不便を強いられております。鉄道の再建を望む地域の声が根強い一方、先ほどお話もちょっと出ておりましたけれども、鉄道に限らない再建手法を検討してはという意見もあると思います。いずれにせよ、地域住民や自治体、事業者が一体となって将来像を見出していくことが必要であります。

 鉄道災害復旧事業費補助には収益が厳しい事業者に限られるなどの要件があるため、鉄道会社の負担が重くなっておりますし、JR九州は上場企業と言われておりましても、これも国鉄時代の分割・民営化に際して経営安定基金があってこそのものだと思っておりますので、極めて厳しいんじゃないかなと思います。

 与党ではこうした要件の緩和を求める動きがあるというふうに伺っておりますが、要件の緩和について、政府の見解はいかがでしょうか。

江口政府参考人 お答えいたします。

 被災した鉄道施設の復旧に対する国の助成措置としましては、鉄道軌道整備法による補助制度がございます。この制度は、過去三年間の各年度におきまして鉄道事業及び全事業が経営損失もしくは営業損失を生じていることなど、経営の厳しい鉄道事業者が対象となっており、鉄道事業及び全事業で経営が黒字であるJR九州につきましては、本制度は適用の対象となっておりません。

 一方、今委員の御指摘のありましたように、現在、自民党におきましては、一定の要件を満たす場合には、黒字の鉄道事業者の赤字路線に対し補助することを可能とする鉄道軌道整備法の改正案が議論されていることは承知しております。この改正案では、要件を満たせば、これまで支援の対象となっていなかった路線も補助対象となるため、当該鉄道事業者の負担が軽減され、復旧の後押しが図られ、沿線地域の方々の通勤通学など足の早期回復に資するものと考えております。

 国土交通省としましては、このような法改正の動向なども踏まえながら、被災した路線の一日も早い復旧を図るため、被災状況を把握した上で、どのような措置が必要かなど検討してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 JR九州が上場企業になったからといって対象外ということであれば、本当に厳しい状況になっておると思います。本当に、熊本そして大分、これだけ重なってきますと大変な負担になってくると思いますので、ぜひ前向きな検討をしていただきたいなと思います。

 次に、被災地周辺の旅館やホテルでは、幸い豪雨災害による被害はほとんどないということでありますが、そして通常営業しているものの、風評被害によって宿泊キャンセルが多くなっているということです。原鶴温泉では約九千人、筑後川温泉では約二千五百人にもキャンセルが上るということです。

 また、東峰村の窯元では四十七のうち二十で被害が生じたものの、多くの窯元、共同販売所は営業を再開しています。しかし、ここも客足が遠のいて売り上げが減少しているということであります。

 福岡、大分、それぞれの被災地の観光情報の発信やプロモーションに政府としても御支援をお願いしたいというふうに思っておりますし、また、昨年の熊本地震後に実施した九州ふっこう割は、被災地だけでなく九州全体の観光促進に大きな効果があったということでありますので、同様の支援制度の創設を求めたいという声をたくさんの方々から伺っております。

 これら今回の被災地の観光事業への支援について、政府の考えを伺いたいと思います。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 被災された地域におけます観光需要の回復のためには風評被害の防止が重要でありまして、そのためには、まず正確な情報発信が必要だというふうに考えてございます。

 このため、観光庁では、旅行業関係者に正確な情報提供を行っていただけるようお願いしておりますほか、観光庁や日本政府観光局のホームページにおきましても正確な被災地情報の発信を行っております。

 これに加えまして、九州運輸局や日本政府観光局の訪日プロモーションにおける商談会の活用、また、ブロガーやメディア等にお願いしまして、今回被害がありました九州北部の魅力や正確な被災地情報を発信していくことなどにより、風評被害の払拭に努めてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 時間がありませんので最後になるかと思いますが、西日本新聞の八月二十七日の記事によれば、九州北部豪雨で大きな被害を受けた朝倉市内の地名が、三百年ほど前の水害の状況を記した古文書にも同様に記載されていたというふうにあります。しかし、こうした過去の被害の記録は地域では知られていませんでした。地域に住んでいる方も知らなかったということであります。

 広島では、過去の水害の被害状況を刻んだ石碑の調査が進んでいるというふうにも伺っております。また、東日本大震災では、津波に関する地域の伝承の有無も大きく取り上げられましたし、津波てんでんこという言葉も有名になったんじゃないかなと思います。

 このように、地域が過去に経験した災害の記録をどのように残し、後世へと受け継いでいくか、将来そこで暮らす人々の生命を守るためにも大切なことではないかと思います。過去の記録をきちんと保存し、また掘り起こして今に生かし、未来へと引き継いでいくことも大変重要であると思います。これまでハード面での災害対策が主として論じられておりますけれども、地域で暮らす人々、社会の中の記録や知恵、伝承も注目しておく必要があると思います。

 こうした取り組みは民間の取り組みの方が進んでいるように思えますが、政府としてこうした取り組みをどのように受けとめて地域を支えていくのか、政府の見解を伺いたいと思います。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 過去の災害から得られる教訓を将来に残すことは、近い将来発生が想定されている南海トラフ地震、首都直下地震など巨大地震や、頻発する豪雨災害、その他の自然災害に備える上で非常に重要だと考えております。

 このため、内閣府では、平成十五年から平成二十二年に災害教訓の継承に関する専門調査会を開催しまして、過去の二十四の大災害についての報告書を作成し、ホームページで公表させていただいています。

 また、平成二十七年度には、「災害遺構」の収集及び活用に関する検討委員会、これを開催いたしまして、災害遺構等の種類やそれらの活用状況について調査した上、その活用方法をまとめ、現在ホームページで活用事例を紹介させていただいているところでございます。

 今後とも、災害遺構の継承などに努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

河野(正)委員 今この被災地域は私の選挙区ではありませんが、父親がかつて中選挙区で立候補していたころの地域でありまして、非常に親しみもある地域でありましたので、ぜひとも、人ごととは思えず、本当に対応させていただきたいと思っているところでございます。

 今、本当はもっといっぱい用意しておったんですけれども、こういったこと、問題の一部を提起させていただきましたので、ぜひ政府におかれましては前向きにお願いいたしたいと思います。

 それでは、時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会


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