衆議院

メインへスキップ



第5号 平成30年4月12日(木曜日)

会議録本文へ
平成三十年四月十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 望月 義夫君

   理事 大見  正君 理事 原田 義昭君

   理事 藤丸  敏君 理事 三ッ林裕巳君

   理事 三原 朝彦君 理事 岡島 一正君

   理事 近藤 和也君 理事 赤羽 一嘉君

      岩田 和親君    上野 宏史君

      大岡 敏孝君    岡下 昌平君

      鬼木  誠君    金子 俊平君

      金子 恭之君    金田 勝年君

      神山 佐市君    神田  裕君

      北川 知克君    新谷 正義君

      園田 博之君    田野瀬太道君

      高木  啓君    西田 昭二君

      根本 幸典君    原田 憲治君

      百武 公親君    船橋 利実君

      宮路 拓馬君    池田 真紀君

      高木錬太郎君    中谷 一馬君

      堀越 啓仁君    山本和嘉子君

      早稲田夕季君    青山 大人君

      浅野  哲君    岡本 充功君

      小宮山泰子君    江田 康幸君

      佐藤 英道君    黒岩 宇洋君

      田村 貴昭君    杉本 和巳君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       小此木八郎君

   内閣府副大臣       あかま二郎君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   海堀 安喜君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    村田  隆君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     角田  隆君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 堀江 宏之君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           杉本 達治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           大山 真未君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           徳田 正一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         奥田  透君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  織田  央君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           塩田 康一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小原  昇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         廣瀬 隆正君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制技監)          櫻田 道夫君

   衆議院調査局第三特別調査室長           井東 辰晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     岩田 和親君

  坂本 哲志君     鬼木  誠君

  高木  啓君     百武 公親君

  鳩山 二郎君     岡下 昌平君

  神谷  裕君     山本和嘉子君

  菊田真紀子君     黒岩 宇洋君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     神田  裕君

  岡下 昌平君     鳩山 二郎君

  鬼木  誠君     坂本 哲志君

  百武 公親君     西田 昭二君

  山本和嘉子君     中谷 一馬君

  黒岩 宇洋君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     工藤 彰三君

  西田 昭二君     高木  啓君

  中谷 一馬君     堀越 啓仁君

同日

 辞任         補欠選任

  堀越 啓仁君     神谷  裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

望月委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府政策統括官海堀安喜君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、警察庁警備局長村田隆君、復興庁審議官角田隆君、総務省大臣官房審議官堀江宏之君、消防庁国民保護・防災部長杉本達治君、文部科学省大臣官房審議官大山真未君、厚生労働省大臣官房審議官椎葉茂樹君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官塩川白良君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、農林水産省大臣官房参事官徳田正一君、農林水産省農村振興局整備部長奥田透君、林野庁森林整備部長織田央君、経済産業省大臣官房審議官塩田康一君、国土交通省大臣官房審議官小原昇君、国土交通省大臣官房技術審議官廣瀬隆正君、国土交通省水管理・国土保全局長山田邦博君、国土交通省道路局長石川雄一君、国土交通省住宅局長伊藤明子君、気象庁長官橋田俊彦君及び原子力規制庁原子力規制技監櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

望月委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大見正君。

大見委員 おはようございます。自由民主党の大見正です。

 大臣所信について、通告に従い、順次質問をさせていただきます。

 大臣の所信に、大規模・広域的災害時に被災した地方公共団体による災害救助事務が迅速かつ円滑に実施されるよう、災害救助制度の検討を進める旨の発言がございました。災害救助法とは、言うまでもなく、大規模災害が発生した際に、応急的に、必要な救済を行い、被災者の保護と社会秩序の保全を図る制度であります。災害救助法の適用により、昨年七月の九州北部豪雨では避難所の設置等が行われ、ことしに入っての北陸豪雪では障害物の除去や炊き出し等が行われたと聞いております。

 大規模災害の際に課題となるのが、救助主体である都道府県と地方自治体、特に一定規模の政令市との役割分担でございます。さかのぼること阪神・淡路大震災では、神戸市が、避難所運営や被災者への弁当の配食、仮設住宅の設置などの協議の際に、国と直接やりとりできず、県を通じての交渉になったことで意思決定に時間がかかったと聞いております。また、東日本大震災でも、みなし応急仮設住宅について県と市の連携がうまくいかずに、家賃入金がおくれるなどの課題が指摘されています。

 そのような課題を防災行政で総括するため、厚生労働省から内閣府に平成二十五年に所管がえされたと承知しております。内閣府では、この救済制度について、この数年の検討を踏まえた対応をすると聞いておりますけれども、どのような対応をする予定か、まずは、これまでの経緯と具体的対応についてお答えいただきたいと思います。

海堀政府参考人 お答えいたします。

 熊本地震を受けまして、平成二十八年十二月に取りまとめました中央防災会議の熊本ワーキンググループの報告書において、「より迅速、的確な救助の実施、災害救助の事務を円滑に行うという観点から、現行法による救助の実施体制や広域調整の在り方についても検討すべきである。」という提言がされたところです。

 これを踏まえまして、内閣府では、平成二十八年十二月に災害救助に関する実務検討会を設置し、一年間検討を重ねた上で、昨年十二月に最終報告として、都道府県と連携体制が確認された政令市に限り、新たに災害救助法における救助主体とするという提言を行ったところであります。

 しかし、その内容について、政令市側からは賛同が得られましたが、都道府県側からは、指揮命令系統が二元化し、資源配分が政令市に偏るおそれがあるとの意見があり、内閣府では、引き続き丁寧な議論を続けることとしたところです。

 これを受けまして、本年二月から、大規模・広域災害時の災害救助事務の連携の強化に関する協議の場を開催し、都道府県、政令市のみならず、住宅産業関係者などにも御参画いただき、都道府県等の実情も伺いつつ、実務的検討を進めてきたところです。

 内閣府としては、引き続き、関係者の御意見を伺いながら、丁寧な検討を続けてまいりたいというふうに考えております。

大見委員 今の答弁にございましたとおり、県と政令市の権限移譲の問題と絡み、まだ一部の知事さんの賛同が得られていないということでございます。

 しかし、大規模災害時には自治体間が連携して対応しないと、肝心の被災者が、県と政令市の権限争いとか調整に巻き込まれてしまって、応急救助がなされないまま取り残されてしまうというようなことも考えられます。これまでの反省の繰り返しがまた行われるということになるというふうに思います。

 大規模災害がいつまた来るかわからない今こそ、さまざまな救助体制のオプションを用意しておくべきだというふうに考えますけれども、防災担当大臣の御決意をお伺いをいたしたいと思います。

小此木国務大臣 おはようございます。

 内閣府では、現行の委任制度の枠組みに加えて、大規模・広域的災害に備え、迅速かつ円滑な事務実施のため、都道府県と連携体制がとれる政令市を災害救助法の新たな救助主体とすることを提案しているところでありまして、その経緯については今事務方からお話をいたしました。また、委員がおっしゃったような、阪神・淡路大震災、東日本大震災におけるいろいろな経験に基づく問題意識、こういったことも踏まえて今まで論じてまいりました。

 都道府県と連携がとれる政令市を救助主体にすることによって、新しい救助主体の政令市は、被災者に直接向き合っており、日ごろのつき合いが濃いということからも、みずからの財源で救助事務を迅速かつ円滑に実施ができるということ、都道府県が政令市以外の市町村における救助に注力できること、こういったことがメリットとしてあると考えています。

 先ほどのお話から、こういった中でも都道府県側から懸念も示されているということから、関係者の御理解が得られるように、引き続き丁寧に、私を始め御説明をして、現在開催中の通常国会には災害救助法改正案として提出できるように調整をしてまいりたいと思っています。

大見委員 さまざま調整するところが多いと思いますけれども、大臣のリーダーシップでしっかりとお取組をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、四月九日に発生をいたしました島根県西部を震源とする地震についてお伺いをいたします。

 初めに、今回の地震で被災された皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回の地震では、災害後、最大千四百五十九戸で断水が発生したと報告がございました。災害のインフラを確保する意味で、水道管の耐震化は重要な施策の一つだと言えますが、全国に張りめぐらされた水道管の耐震化を進めるためには、長い時間と費用が必要になってくるわけであります。水道管の耐震化の進捗状況、また、あわせて、下水道や都市ガスなどのライフラインの耐震化の状況もお知らせいただきたいと思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 水道管の耐震化の進捗状況についてでございますが、平成二十八年度末時点におきまして、水道管路のうち耐震性を有すると評価されます耐震適合化の割合につきましては、全国の基幹管路の三八・七%となっております。前年度と比較して一・五ポイント増加している状況でございます。

 平成三十四年度末までに耐震適合率を五〇%とするという国土強靱化アクションプランの目標達成に向けて、水道事業者における水道施設耐震化計画の策定の推進や耐震化のために必要な予算の確保等に、引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

山田政府参考人 お答えいたします。

 下水道管渠の耐震化につきましては、地震時においても下水道の機能を確保するため、地震の揺れを吸収するゴムブロックの継ぎ目への設置ですとか、あるいは改良土での埋め戻しによります液状化対策などを行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、地方公共団体による下水道の耐震化につきまして、平成十八年度から防災・安全交付金等により支援を行っておりまして、地域防災拠点に接続する管渠やあるいは緊急輸送路下の管渠などの重要な管渠のうち耐震化されているものの割合、これは平成二十八年度末時点で約四八%となっているところでございます。

塩田政府参考人 都市ガスについてお答え申し上げます。

 全国の都市ガス事業者が所有するガス管のうち、高圧及び中圧のガス供給管の耐震化は既に完了しております。

 また、低圧ガスの供給管につきましては、ガス安全高度化計画において、二〇二五年度末までに全国で低圧ガス管の総延長の九〇%の耐震化を進めるとの目標を定めておりまして、ポリエチレン管等の耐震性の高いガス管への取りかえ等を計画的に進めているところでありまして、二〇一六年末時点で八八・一%まで進捗をしております。

 引き続き、進捗状況のフォローアップと耐震化の推進に努めてまいります。

大見委員 ガス以外、上下水道はまだまだ整備が必要だということがわかりました。

 人口減少と高齢化が進み、中山間地域を中心として、いわゆる限界集落というのが点在するという状況が今後見られるようになるというふうに思いますし、また、自治体の財政力の低下、地方の建設業者や工務店の減少も進むというふうに思いますので、そのような状況の中でどのようにライフラインの耐震化を進めていかれるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

 あわせて、医療機関や警察署、消防署の建物や設備の耐震化の状況と今後のお取組についてもお答えをいただきたいというふうに思います。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 厚生労働省におきましては、毎年度、全ての病院を対象に建物耐震状況を調査しておりまして、直近の調査結果である平成二十八年九月一日時点におきましては、病院の耐震化率は七一・五%でございます。また、災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率は八七・六%でございます。

 医療施設の耐震化につきましては、重要な課題と認識しておりまして、厚生労働省におきましては、平成八年度から医療提供体制施設整備交付金によりまして、災害拠点病院の耐震整備に対する補助事業を開始し、平成二十一年度からは補助率を三分の一から二分の一にかさ上げを行ったところでございます。また、二十三年度からは、特に耐震率が低い建物を有する一般病院まで補助対象を拡大し、耐震化を進めてきたところでございます。

 これらの補助などによりまして、病院の耐震化率につきましては年々向上しており、平成二十一年度には五六・二%だったものが、平成二十八年度には、先ほど申しましたが、七一・五%となりまして、一五・三ポイント上昇しているところでございます。

 平成三十年度予算におきましては、耐震診断に係る国庫補助の上限を三百万円から五百六十万円に引き上げるとともに、医療施設の耐震整備に必要な予算について増額をしたところでございます。

 これらの施策により、耐震整備を計画中の病院へ当該補助金の活用を促すなど、医療施設の耐震化促進に引き続き努めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

山田政府参考人 下水道の耐震化についてお尋ねがございました。

 厳しい財政状況の中で、地域防災拠点に接続します管渠や緊急輸送路の下に埋設されている管渠など重要な管渠から、今、優先順位をつけまして効率的な下水道の耐震化を進めているところでございます。

 また、耐震化を含む下水道工事の実施に当たりましては、公共工事の担い手の育成、確保のために、予定価格や工期の適正な設定等に留意するよう、地方公共団体への周知を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、平成三十二年度末までに、耐震化された重要な管渠の割合を約六〇%まで引き上げることを目標として、引き続き、防災・安全交付金等による財政的な支援を行うとともに、耐震対策に関する技術的な指針の策定、周知などによる技術的支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。

杉本政府参考人 消防本部並びに消防署所についてお答え申し上げます。

 昨年三月末現在の消防本部、消防署所の耐震率につきましては九〇・四%となっておりまして、一年前に比べまして二・一ポイントの増となっているところでございます。

 消防庁といたしましては、消防本部並びに消防署所につきましては、災害応急対策の拠点となる施設でございますので、その耐震化は極めて重要と考えておりまして、地方公共団体に対しまして、財政的に有利な地方債でございます緊急防災・減災事業債、これは充当率が一〇〇%で交付税措置七〇%という非常に有利な起債でございますが、こういった財政措置を活用しまして早急な耐震化を行うよう、要請をしてまいっているところでございます。

 引き続き、地方公共団体におきまして早急な耐震化が進みますよう、働きかけを強めてまいりたいと思っております。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 警察署の耐震化につきましては、平成二十九年度末におきまして、全国の警察署千百六十三署のうち、約九四%、千八十九署の警察署において所要の耐震基準を満たしているところでございます。

 警察署の庁舎につきましては、災害発生時における被災者の救護、応援部隊の受入れなどに活用される災害警備活動の拠点としての機能を有していることから、今後とも、警察署の耐震化の促進につきましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

大見委員 ありがとうございました。

 過日地震がございました島根県西部地方というのは、愛知県の三州瓦、淡路の淡路瓦と並ぶ、住宅等の屋根材として使用される粘土瓦の日本三大産地の一つで、石州瓦として有名なところでございます。

 石州物は、いてに強く水を通さない、とにかくかたくて丈夫、塩害に強い瓦として、評判の高い、すぐれた瓦でございますけれども、石州瓦に限らず全国の瓦産業全体が、地震が発生するたびに瓦が重いから家が倒れたと間違った情報が流されまして、地震の直接の被害がなくとも、地場産業への影響がボディーブローのように出てきております。

 また、今回の地震では、これまでのところ、最大震度が五強とされておりますけれども、きょう資料を配付をさせていただきましたけれども、気象庁のリーフレット、「その震度 どんなゆれ?」の裏面にございます「震度とゆれの状況」でも、震度六弱で瓦が落下をし始め、震度七で瓦屋根の家が倒壊している絵が描かれております。一方、緑色のスレートか又は金属屋根の家は、耐震性が高く、びくともしていないという絵が描かれておりますけれども、瓦屋根がすべからく耐震性が低く危険だという変なステレオタイプをまき散らしていると私は感じておるところであります。

 さらに、瓦を屋根に載せる際は、現在は実はガイドライン工法という工法で施工しておりまして、この工法では、震度七でも瓦は落ちないというような対策も施されておりますので、絵に描いてありますように瓦がばらばらと落ちているという状況というのは、だんだんと少なくなってきているというのが現状だというふうに思っております。

 瓦を使う以上、それなりの柱の太さや筋交いを入れておけば大丈夫なはずで、国土交通省の国土技術政策総合研究所が開発をいたしましたウォールスタットという倒壊解析ソフトでも、屋根瓦の建物が一様に地震に弱いという解析結果は出ておりません。スレートや金属屋根でも倒壊する可能性があるということが示されております。

 消費者に誤った先入観を与えるような気象庁のリーフレットの改定の検討と、ウォールスタットとはどんなソフトか、瓦と建物の耐震性についての概要を説明をいただきたいというふうに思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ウォールスタットについてでございますが、ウォールスタットは、国土技術政策総合研究所及び国立研究開発法人建築研究所が、地震時の木造住宅の挙動について精度の高い解析を行うため、振動台実験や数値解析の結果をもとに開発したソフトウエアです。このソフトウエアを用いることで、木造住宅に地震動を与えた場合の変形の状況を、振動台実験を行った場合と同様、パソコン上でシミュレーションすることが可能であり、地震動に応じた損傷状況、倒壊の有無を視覚的に確認することができることとなります。

 次に、瓦と建物の耐震性についてでございますが、住宅全体の耐震性を確保するためには、使用される屋根や壁の材料の種類による重さに応じて、筋交いなどを用いた耐力壁を適切に配置することが必要となります。耐震性が不足している瓦屋根の既存住宅についても、適切な補強に基づき補修すれば、瓦屋根のままで耐震性を確保することが可能です。これは、さきに御説明いたしましたウォールスタットによるシミュレーションでも明らかになっているところでございます。

 また、瓦屋根の適切な設計、施工方法を普及するため、瓦屋根の団体により取りまとめられた瓦屋根標準設計・施工ガイドラインにおいては、瓦の安全な緊結方法等について記載されております。このガイドラインにつきまして、国土技術政策総合研究所及び建築研究所の監修による構造関係の技術基準解説書に掲載するとともに、特定行政庁や指定確認検査機関から成る団体を通じて周知し、活用を推進しているところでございます。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員が御紹介ありましたリーフレットでございますが、気象庁では、ある震度が観測された場合、その周辺で実際にどのような現象や被害が発生するかをわかりやすく示すためにリーフレットを作成いたしまして、関係機関へ配付や、気象庁ホームページで公表をしているところでございます。

 御指摘ありましたように、スレート屋根や金属屋根の建物と比較して、瓦屋根の建物がすべからく耐震性が低いという先入観を与える内容になっております。そのような誤解がないよう、リーフレットの改定を進めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

大見委員 改定の方、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 次に、三年半前に起きた御嶽山の噴火についてお尋ねをいたします。

 平成二十六年九月二十七日午前十一時五十二分に御嶽山が噴火し、死者五十八名、現在も五名の方が行方不明となっております。五名のうち二人は、実は私の選挙区の方であります。そのうち一人は、私の秘書のいとこさんでございます。

 いとこの弟さんは、噴火から三時間後の午後三時前と午後四時半ごろ、携帯電話で兄と会話を交わされておりました。午後六時ごろには父親とも会話を交わされており、動けないとの一言が最後の会話となり、その後は電話に出なかったそうであります。

 父親は、噴火から三週間後の十月十六日、捜査打切りの日に、ほかの不明者家族とともにヘリから御嶽山山頂付近を眺め、その帰りに、息子さんの無事を信じつつ、心筋梗塞のため亡くなられてしまいました。

 その後、メディアの取材により、不明者本人が一一九番通報をしていたことを親族が知り、母親が通話内容の開示を求めましたが、個人情報保護を理由に開示されなく、本年三月には弟さんが同様の開示請求をいたしましたけれども、同じで、個人情報保護を理由に開示をされておりません。

 通話記録はいずれ消去されてしまうというふうに思います。しかし、親族にとっては、最愛の肉親の生きている、あるいは生きていたあかしそのものであります。親族のもとに届くようにぜひしてもらいたいと願っております。

 個人情報保護については、それぞれの状況にもよりますけれども、特に災害にかかわる場合、親族の心情に寄り添った個人情報保護法の運用を望みたいと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いをいたしたいというふうに思います。

小此木国務大臣 今の委員の事務所の方のお話については、御同情を申し上げます。

 災害に関する情報開示について、故人の最期の状況を、それを知るために遺族から多くの請求が消防本部に寄せられているということを聞いています。それらの開示請求については各自治体の条例により処理されており、委員御指摘の事実についても、管轄する木曽広域消防本部が構成市町村の条例により対応されたものと承知しています。

 委員の先ほどのお話については、御家族の心情を察するに余りあるものでございますが、個別の事案については、防災大臣の立場でその是非をお答えすることは非常に難しいわけでありますけれども、災害による痛ましい事案が二度と繰り返されないように、防災大臣としての職責をしっかり果たしてまいりたい、また、何がこれができるのかということも、私としては考えてまいりたいと思っています。

大見委員 個人情報保護法の運用としては適切なものだというふうには思いますけれども、しかし、遺族心情ということも、これは災害の対応としては非常に大事なことだというふうに思っておりますので、難しい壁だというのは重々承知をして私も質問しておりますけれども、ぜひ、そうした面は政治の側から少しずつ変えていくということも必要だろうと思いますので、またよろしくお願いをしたいと思います。

 時間が来ておりますので、最後の質問になると思います。災害時の位置情報について伺いたいというふうに思います。

 総務省は、平成十九年四月に、事業用電気通信設備規則の改正によりまして、緊急時に携帯電話での位置情報の開示義務を課して、位置情報通知システムの運用が開始をされました。これにより、警察、消防、海保の一一〇番、一一九番、一一八番への通報での位置情報が、緊急時には通報者の位置情報として得ることができるようになりました。

 昨年、準天頂衛星「みちびき」の四基体制が整い、本年十一月には十数センチの精度で位置情報が提供される予定と承知をしております。スマートフォンの急速な普及と準天頂衛星の情報が、災害等による通報者の捜索等に威力を発揮することを大いに期待をいたしております。

 そこで、最後のお尋ねでございますけれども、平成二十七年四月現在での位置情報のシステムを導入した消防本部は、全国で六百七十一本部となっており、御嶽山の通報を受けた本部も導入をされているというふうに聞いております。このシステムの運用が導入をされますと、さまざまな効果が出てくるというふうに思いますけれども、導入本部でのシステムの導入後の効果について、これまでのところ検証がなされていればその効果と、今後、精度が増す位置情報の活用と運用の方針についてお伺いをしたいというふうに思います。

 また、大臣には、災害時にこうしたツールをどういうふうにこれから生かしていくのか、あわせてお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

杉本政府参考人 御嶽山噴火の際におきますGPSシステムの活用についてお答えいたします。

 木曽広域消防本部におきましては、噴火の際におきまして、携帯電話の位置情報システムを活用しておりまして、通報者の位置情報を確認していたというふうに聞いているところでございます。

 位置情報通知システムの導入によります効果といたしましては、その前は通報者から聞き取らなければならなかった位置情報を自動的に消防本部に通知されるようになるということでございまして、例えば二年前の軽井沢におきますスキーバスの転落事故の際におきましても、迅速な場所の特定に資したというふうに伺っているところでございます。

 今後、更にその精度が高まっていくということにつきましては、一一九番通報の際に、例えば外国人旅行者の方ですとか言葉を発することができないような方、こういった方がどこから通報されているか、こういったことの場所の特定にも資するわけでございまして、位置情報の精度向上に資する新技術につきましては、積極的に取り入れることができるよう必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

小此木国務大臣 熊本地震も今週末で二年がたちますが、そのとき、市町村が指定する指定避難所以外に避難した方や車中泊の方など、状況が把握できない被災者が多数発生いたしました。このような被災者に対して物資、医療等適切な支援を行うためには、その避難動向等の状況を速やかに把握する必要があります。委員御指摘の携帯電話の位置情報等のビッグデータの活用は、有効な手段であると考えています。

 内閣府において、官民の情報共有を推進する災害情報ハブの取組の一環として、昨年度から携帯電話の基地局情報を活用し避難動向等を把握するための調査検討を実施し、活用に当たっての課題等を確認したところ、今後も、避難動向等の把握の精度の向上に向けて調査検討を進め、被災者支援の充実等の災害対応に生かしてまいりたいと存じます。

大見委員 終わります。

望月委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽でございます。

 きょうは二十五分間の時間でございますが、先日の小此木大臣の所信表明に対して質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、昨日、大分県中津市の山崩れにおきまして犠牲となられた方に心からの哀悼を表しますとともに、まだ行方不明の方もいらっしゃいますので、一日も早い救出を心からお祈りを申し上げる次第でございます。

 また、先日の島根県西部を震源とする地震被害も含めまして、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧復興を強く求めるものでございます。

 それで、大分県中津市の山崩れについて、通告はしていないんですけれども、水局長いらっしゃいますので、ちょっと教えていただきたいんだが、今回の被害というのは、雨も降らない中での土砂崩れが起きてしまったということでございます。

 この地域は、被災箇所は一級河川のところで、土砂災害危険箇所に指定をされている、当初から危ない地域だったということだろうと思いますが、こういう地域でも、しかし、雨が降らないで結構大規模な土砂崩れがあって災害が起きた例というのはこれまであったのかどうか。もしこういうことがたまにあるのであれば、今後、対策を少し改めなければいけないのではないかというふうに想像するわけですけれども、その点について、通告がないので答えられる範囲で結構ですので、よろしくお願いいたします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 現在、ここの中津市につきましては、土砂の災害専門家が調査をしているところですので、その原因については今調査中でございますけれども、ここは、委員がおっしゃるとおり、土石流の危険区域、イエローゾーンに指定をされていたところでございます。

 これまでも、そうじゃないところといいますか、こういうイエローゾーンで起こるようなこともないことはなかったというふうに私の方は今記憶しているところでございます。

 今後、今、専門家が調査をいたしまして、例えば、今回の場合は溶結の凝灰岩が何か崩壊をしたんじゃないかというふうに推定されているとかいう、今、緊急の速報が入っているところでございますので、このあたりも、調査の結果を踏まえまして、適切な対応等をとっていきたいというふうに考えているところでございます。

赤羽委員 原因究明の調査の結果が明らかになれば、ぜひ当委員会にも御報告をいただきたいと思いますが、それよりも、何よりも、全国のこのイエロー地域ですか、危険箇所に指定をされた地域の当該市町村に、ぜひリマインドして、新たな対策をとるようにという指示を徹底していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、質問に戻りたいと思います。

 まず、私、阪神・淡路大震災、自分自身も家を失った被災体験をし、以来二十五年にわたりまして、災害復旧については、基本的に、政治家、自分自身の使命と思って取り組んできたわけでございますが、災害対策については、自助、共助、公助、やはりこの三つが、それぞれ、日ごろからの備えをしなければいけないというふうに思っております。

 そうした思いの中で、今、私たち公明党は、全国、地元に防災アンケートを行っておりまして、先日も私、地元の西宮市の防災士であって、地域の触れ合い防災組織の、自主防災組織の責任者の方にお話を伺ってまいりました。その方いわく、やはりまず自助として備蓄物資を日ごろから調えることが大事だと。その方が言うには、一家に家族人数分の水を、一日三リットルを一週間、これはもう何としても、水があれば何とかしのげると。これまでは備蓄物資というのは三日と言われていましたけれども、なかなか、長期化することもあるので、一週間、備蓄ができるようなことを徹底するべきではないか、これは自助だからといってほっておいていいという話じゃなくて、政策として徹底するべきではないかということの指摘が一つございました。

 もう一つは、日ごろからすごく頑張っている方で、どの家にどういったお年寄りの方がいるとか障害を持たれている方がいるとか、いわゆる災害弱者がどこにどういらっしゃるかということのしっかりとしたものをつかんでおかなければいけないと。いわゆる避難行動要支援者名簿みたいな、かた苦しい言い方ですとそうなるんだと思いますが、そうしたことを作成するときに常に地域で問題なのが、個人情報保護との絡みだということなんですね。

 民生委員なんかの方たちは特別にその個人情報を有すことができるというような認識が徹底されているんですけれども、私たち、地元の神戸ですとか西宮というのは、阪神・淡路大震災の教訓から自主防災組織というのも随分できているんですけれども、そこの共通の問題と捉えられているのが、こうした個人情報についての兼ね合いなんですね。

 そのことは、多分、法的には私はクリアできているのではないかと思うんだけれども、現場の中ではそういった意識がすごく高いし、個人情報保護ということで、その提供を拒む方もたくさんいらっしゃる。

 こうしたことは、実は、いざ災害が起こったときに大変被害の程度の差が出てきてしまう大きな要因になるというのは、私の阪神大震災のときの教訓でございまして、このことについて、いま一度政府の答弁を求めたいと思います。

海堀政府参考人 お答えいたします。

 まず最初に、備蓄の関係でございます。

 災害の被害を軽減するために、公助のみならず、国民一人一人の自助、共助の防災の取組が非常に重要であり、この備蓄につきましても、国民の防災意識の向上を図るため、防災推進国民大会などで、「どう備える? 備蓄」というようなリレーセッションを開いてこういったものをPRしたり、東京の、今、有明にございます広域防災公園のゾーンにおいても、備蓄品の事例などの展示をすることによって、飲料水については、災害時の備えとして一人一日三リットルを最低三日、できれば一週間備蓄するように促しているところでございます。

 今後とも、国民一人一人の災害への備えをより一層推進するための啓発に取り組んでまいりたいと思います。

 また、今先生からお話がございました、いわゆる避難行動要支援者名簿の関係でございます。

 東日本の大震災を経験して、六十五歳以上の高齢者の割合が六割、あるいは、障害者の死亡率は全体の住民の死亡率の二倍に上るなど、災害弱者の対応が大きな課題です。これらを踏まえて、平成二十五年の六月の災害対策基本法の改正により、この避難行動要支援者名簿の作成を義務づけさせていただきました。

 名簿情報につきましては、市町村の地域防災計画に定めるところによりまして、平時においては、本人の同意が得られた場合に、消防機関あるいは警察、民生委員、自主防災組織などを例示させていただいて、避難支援等の実施に携わる関係者に提供することができるということを規定させていただいております。また、災害発生時、災害発生のおそれのある有事の場合におきましては、本人の同意を得ることなく避難支援等の実施に携わる者に提供することができるというふうにされております。

 現在、消防庁さんの方で取りまとめた調査結果によりますと、平成二十九年の六月一日現在で、名簿作成済みの千六百三十一の市町村のうち、平時の提供は、民生委員のところには九二%、消防等には七九%、自主防災組織については七六%というようなことになっております。

 我々、この制度の理解を助けるために、事例集などを活用しながら、平時から避難支援のための実施に携わる関係者に名簿情報が提供されるように、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。

赤羽委員 私たち政治家というのは、よく地元の人たちにいろいろなものを、ダイレクトメールを送ったりするときに感じるのは、結構流動的なんですよね。一年間で、いろいろな地域差もあると思いますが、私のところなんかはやはり三割ぐらいの人がかわっている。ですから、こうしたいざ避難のときのための名簿というのは、結構そこの維持管理というのはすごく大事なはずなんです。

 加えて、今、海堀さんの御答弁の中で、当たり前のように思いますけれども、個人がよいとされるならばそうした提供はできるというんですけれども、そこがすごく壁が高くて、自分のことを提供したら本当に大丈夫なのかという、その自主防災組織そのものに対する信頼感というのも非常に大きいのではないかというふうに思うんです。

 ですから、そこの、私、いろいろな経験をしてきて、いざ発生をした、東日本大震災のときに散り散りになったときに、地元の被災された方たちがどうなったかということを後々フォローしなければいけないといったときには、実は日ごろからの避難、防災のためのこういう名簿の作成というか、本当は実は機械化したものが必要だと思うんです。そうしたことというのは、後々の被災された方たちに対するフォローアップの支援をする上でも大変重要な意味を持つというのは、この東日本大震災のときの最大の教訓だったと思います。

 災害というのは、少したつとすぐ忘れてしまうのが災害の常なんだけれども、やはりこういったことは、今、政府として、首都直下ですとか東南海、南海トラフが三十年後に発生するのは八割という、これは極めてシビアな政府としての報告を出しているわけですから、それに対して何も手を打たないということがあるならば、それはやはり人災のそしりを免れないわけであって、ぜひ政府当局で、各市町村でそうしたものをつくるのが当たり前ということを、ぜひリーダーシップをとってやっていただきたいと強く大臣にお願いを申し上げたい、こう思います。

 次に、先ほど同僚議員の質問にも出ていましたが、火山災害についての避難計画の策定について質問したいと思います。

 活火山対策特別措置法、これは平成二十六年九月の御嶽山の噴火災害によって、火山災害の警戒地域、これは全国で四十九の火山、その周辺百五十五の市町村で避難計画の策定が義務づけとなりました。今回、本白根山の火山のときも、その義務づけをされている避難計画を策定しなければいけないのは五市町村あったわけでありますけれども、私の記憶では一つ、嬬恋村一つしか策定をしていなかったというのが実態でございます。

 全国で見ましても、百五十五の市町村のうち、避難計画の策定がされているのは実は五十一、三分の一にしかすぎず、残りの三分の二はまだ避難計画の策定ができていない。恐らく、小さな村ですとか町ですと、なかなかそうした人材もいないし、なかなか手つかずになっているのではないか、こう思いますが、やはりこういう日ごろの避難計画の策定に基づいた避難訓練の実施といったものが被害を最小化するということにつながると思います。

 このことについて、政府の御見解、また今後の取組の方針をお聞かせいただきたいと思います。

海堀政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、御嶽山の噴火の教訓を踏まえて、平成二十七年に活火山特別措置法を改正して、避難計画の策定を義務づけております。

 この計画の具体的な検討をするに当たりまして、やはり各自治体に火山の噴火経験を有する職員が少ないということが多いものですから、我々、内閣府の職員の派遣等を行って、この避難計画の策定の手引あるいは助言などの支援を現在行っているところでございます。

 また、本年一月の本白根山の噴火も踏まえまして、更にこの避難計画の策定を推進するために、三月に火山避難計画に関する有識者会議、これを開催させていただいて、本白根山の避難状況を確認して、今後更にどういった点で支援を強化したらいいかということを御議論いただいたところでございます。

 先ほど、計画がつくられているのは非常に少ないということでございます。今後、全ての項目について全国で避難計画の策定が進みますよう、解説資料などを周知するなど、自治体への支援を図ってまいりたいというふうに考えております。

赤羽委員 また同様の内容の話になるんですけれども、近年の大雨、集中豪雨のため、洪水被害が各所に出ております。

 一昨年の岩手県の岩泉のところも、この災害対策特別委員会で視察をさせていただいたわけでありますが、このときに感じたことも、岩泉町も町役場でありますので、そういう専門の人材がいないということが大きな要因だと思いますが、やはり、水害対策のハザードマップ作成が極めて進捗が進んでいないということを感じました。

 このことについても、どのような取組をされるのか、これは国土交通省かと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年三月末時点で、洪水ハザードマップの作成が必要な千三百三十一市町村のうち、九八%に当たります千三百三市町村で洪水ハザードマップは作成されております。

 洪水ハザードマップが作成されていない市町村は二十八ございまして、その主な理由といたしましては、土砂災害や津波を含む総合的なハザードマップの作成を検討中であるためですとか、想定最大規模の洪水浸水想定区域の公表を踏まえて作成を予定しているためなどというふうに聞いております。

 国土交通省では、洪水ハザードマップを作成する市町村に対しまして、防災・安全交付金等による財政的な支援とあわせまして、「水害ハザードマップ作成の手引き」の公表ですとか、あるいは、ハザードマップ作成に係る相談窓口の設置といった技術的支援を行っているところでございます。

 引き続き、市町村におきましてつくられます洪水ハザードマップの作成が進むように努めてまいりたいと考えているところでございます。

赤羽委員 最近の、災害が発生して、復旧復興については、TEC―FORCEとか、どっちかというとプッシュ型、政府が出張ってやっていくということをやらざるを得ない、これがもう実態だと思います。避難計画の作成ですとかハザードマップの作成も同様に考えて、ぜひ、政府から積極的に取り組んでいただきたいということを強く申し上げたいと思います。

 ちょっと飛びますが、同様な事例で、十一月五日が、世界津波の日、津波防災の日ということになりました。昨年、私も、当委員会や国土交通委員会で、この十一月五日の世界津波の日というのはまだまだ国民においての認識が薄いので、その啓蒙活動をするとともに、防災訓練等々のことをやるべきではないか、そうしたことをすることによって、その当該地域というのはハザードマップを作成しなければいけない地域と重なるわけですから、そうしたことを盛り上げて、対策としてやっていくべきではないか、こうお訴えしてまいりました。

 昨年十一月五日のこの世界津波の日をめぐって、全国各地、そうした取組がどうであったのか。私は今、こうしたものは、九月一日の関東大震災のときには、これは全国で防災訓練をするというのは定着をしておりますが、津波の危険を、対象となっているような地域では、少なくとも九月一日並みの行動をすることが東日本大震災の教訓に対応する対策だと思いますが、その点について、状況のお答えをいただきたいと思っております。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 十一月五日の津波防災の日の前後の期間に、関係機関に津波防災訓練、地震防災訓練の呼びかけをいたしております。

 平成二十九年度におきましては、十月二十八日から十一月十二日までの十六日間を主たる取組期間と定めまして、同期間中に、国においては十四府省庁、地方公共団体では百五十五団体、民間企業等の九十三団体の参加をいただき、合計二百六十二団体、約八十万人の方の参加を得て訓練を実施されております。

 今後とも、国民の津波防災意識の向上に向け、取り組んでまいりたいというふうに考えております。

赤羽委員 それでは、次に、災害が発生をした後の一時的なというか、案外、中長期化する住宅の問題について、ちょっと質問を飛ばさせていただきたいと思います。

 私、この通常国会、初日の予算委員会の質問に立ちまして、応急仮設住宅のこれからのあり方について質問させていただきました。今回の小此木大臣の所信表明の中でも、南海トラフ地震や首都直下地震等の大規模災害の発生における被災者の住まいの確保について、昨年八月に有識者会議で課題を取りまとめているといった、そうした報告がございました。

 私は、多分、そのことについて、まだつまびらかではないわけでありますけれども、応急仮設住宅、建設型の住宅というのは、その土地の確保ですとか水回り等の工事で大変時間がかかるわけでございます。

 阪神・淡路大震災のときも、初めて入居できたのは、地震発生後二十九日後でございました。最終的に完成したのは、約七カ月後、八月十一日でありました。ですから、震災発生後七カ月間、学校の体育館で生活をせざるを得なかった、こうした状況でございまして、私は、予算委員会の質問のときに、避難所暮らしはやはり一週間と決めるべきだ、やはり人としての暮らしを体育館では保障できない、そうした状況を何とかヘッジするべきだということで、日ごろから、空き家ですとか賃貸住宅に出してある物件を、災害協定を結んでリストアップしておいて、いざといったときに使えるようにするべきだということを提言を申し上げました。

 国土交通大臣からも前向きな御答弁をいただいたところでございますけれども、私はそういう主張をしているんですけれども、一つは、昨年八月の有識者会議で取りまとめた課題というのはどんなことがあったのかということと、今、私が提案してきておりますそうした空き家の登録、活用、こうしたものについて、現状どうなっているのか、それぞれお答えをいただきたいと思います。

海堀政府参考人 お答えいたします。

 まず、昨年の八月の有識者会議で取りまとめられた課題でございます。

 やはり大規模災害時におきましては、圧倒的な住宅不足によりまして、一時的な住宅が不足するということが予想されます。これらにつきまして、災害の応急段階、それから復旧復興段階においてどのような課題が住まいについてあるか、今後の方向性について論点整理をしていただきました。

 具体的な方向性としては、一つは、応急仮設住宅を円滑かつ迅速に供給すること、二つ目に、応急的な修理の促進を進めること、三番目に、復興まちづくりと連携した住まいの多様な供給方法を考えること、これらについて指摘がされたところでございます。

 これらの論点については、今後、さらなる検討を行っていきたいというふうに考えております。

 また、空き家の活用について、こういった検討を進めることを今後予定しておりますが、現時点での対応状況についてお答えさせていただきます。

 いわゆる災害の応急時において、被災者の住まい確保のためにこういったことを円滑に進めるべく、災害の際に提供できる住宅を民間団体との協定により提供を促進するほか、国土交通省におかれましては、昨年の十月に施行されました改正住宅セーフティーネット法に基づいて、空き家等を活用して、被災者の住宅確保に向けた登録制度が開始されたところでございます。

 また、こういった空き家を円滑に今後活用していくべく、内閣府においては、都道府県が借り上げ型の応急仮設住宅を円滑かつ迅速に提供できるように、公共団体と住宅不動産関係団体との役割分担を明確に策定したり、あるいは発災後の借り上げの業務オペレーションなどを実際に行うというようなことを進めることによって、これらを実務的にも早く進めるということにしていきたいというふうに思っております。

赤羽委員 災害救助法によりますと、応急仮設住宅というのは一応年限は二年と決まっているんですけれども、近年の大災害では二年で終わったためしはほとんどない。熊本も、間もなく二年でありますが、四万人の方がいまだに住まわれている。これは継続していくんですね。ですから、やはり中長期的に住める住宅、まあ、みなし住宅もふえておると思いますけれども、そうしたことに対応すべきだということを重ねて申し上げたいと思います。

 最後に、大臣に一点だけ質問したいと思いますが、私は何回も言っているんですけれども、災害が起こる、そうすると、どこの地域も避難所を立ち上げなければいけない、救援物資の手当てをしなければいけない、また罹災証明書を発行しなければいけない。これは、これまで、被災された自治体の職員がマニュアルを持ちながらやっているんですね。

 被災された自治体の職員というのは、大半が被災者であるわけです。大変な中でやりなれないことをやる、そこにまた更にストレスがたまるというようなことが繰り返されてきているので、私は専門的な人材を養成するべきだということを言ってまいりました。

 最近、本省から随分出ているとは思いますけれども、これはぜひ組織としてそういったものをつくって、各都道府県にそうした専門的な対応ができる人材をつくる、こういうことが実は復旧復興の加速化につながる最大の要因だというふうに、私はそう主張しておりますが、その点について御答弁をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

小此木国務大臣 赤羽委員とは当選が同期でして、もう二十数年前になりますが、初当選した一年半ぐらいで阪神・淡路大震災がありまして、委員が御地元を駆けずり回って、予算委員会等で質問されていた姿をまだ覚えています。

 ですから、いろいろな形でそういう経験があり、防災意識を培われてこられたと思いますし、私たちも高めていかなきゃいけない。そういう中で、大規模な災害が発生した場合、膨大に発生する災害対応業務を被災自治体が単独で実施することは困難であり、円滑に災害対応を行うために被災自治体の人的応援を行うことは重要だと考えています。

 このため、政府として、これまで災害の種別や規模に応じ職員を被災地に派遣するとともに、自治体間においても、ほかの自治体から応援職員が罹災証明の交付や避難所運営等に従事しているところであります。内閣府としても、自治体の防災力向上のため、防災担当職員向け研修を行うとともに、積極的に自治体職員を研修生として受け入れるなどの取組を進めているところであります。

 とりわけ、委員の御指摘のとおり、初期段階における災害救助制度の迅速、円滑な運用は重要であります。今後も職員を積極的に派遣できるように、人材育成と体制の整備に努めてまいります。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 災害はいつどこで起こるかわかりませんし、どこで起こっても対応できる国づくりをすべきだということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

望月委員長 次に、早稲田夕季君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田夕季でございます。

 冒頭、九日に発生をいたしました島根県の地震災害、そしてまた、十一日には大分県中津市で大規模な山の崩落ということで、被災をされた皆様に心からお見舞い申し上げ、また、とうとい命を失われた方に心から御冥福をお祈りいたしまして、一日も早い復旧のために国としても支援をしっかりとやっていくべく、みんなで力を合わせてまいりたいということを申し上げさせていただきます。

 私は、昨日の集中審議を拝見しておりまして、大変、国と地方の信頼関係が揺るぐのではないかと心配をするところであります。県の知事がおっしゃった発言を首相が真っ向から否定をされるというような事態にまでなっておりまして、この心配がどうなるのかなということを懸念しております。

 その中で、まず、防災・減災対策におきましては、国と地方の連携、そして信頼関係の構築がもう当然の基盤だと思っておりますので、通告はしておりませんが、大臣にその信頼関係の構築ということをお尋ねをしたいと思います。

小此木国務大臣 これは、人命救助、人の命がかかっている問題でありますから、委員の御指摘はもう本当に大切なところだと思っております。

 この委員会でも、冒頭、災害救助法についての話がありました。その中で、政令市を抱える知事と政令市との間の、まだ一〇〇%になる理解が得られていないような状況で、今、防災部局としても努力をしておりますが、こういったところも、時間をかけて議論するだけではよくない、その間に被害が起こったらとんでもない話になりますので、丁寧にもやはり迅速に理解を得られるような努力を私どもとしてもしていかなきゃならないというふうに思います。

 たくさん申し上げるべきことはあると思いますが、今、現実的な問題として申し上げました。

早稲田委員 御答弁をいただきました。

 それでは、私どもは、この災害対策特別委員会の派遣ということで、三月十四日に豪雪被害の山形県の調査をさせていただきました。私も初めて凍上災という言葉をこちらで学ばせていただき、改めて、観測史上初めてという山形県の大蔵村の肘折地区も見せていただきましたけれども、その豪雪被害が長期にわたっているのではないかと今懸念をしております。

 その中で、この凍上災は、まさに巨大な霜柱のような形で道路の下が浮き上がって路面が浮き上がり、そしてひび割れになるというものですけれども、これについて、やはり山形県それから村の方からも、採択の要望というものがこちらの委員会にも上がっております。

 そこで、お尋ねいたしますが、この冬のこういう低温が続いている状況を受けてのこの凍上災の採択の見通し、これについて伺います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、凍上災は、十年に一度程度を超える異常な低温によりまして地面が凍結して隆起すること等によって、道路舗装のひび割れが路盤まで及んで道路に被害が発生する災害でございます。これまで、低温の発生あるいは地方公共団体による被害の見込みについての調査結果をもとに、関係機関と協議の上、災害復旧事業の対象としてきたところでございます。

 本年は、三月二日に全国に調査を依頼しておりまして、八つの地方公共団体から凍上による被害の見込みの報告があったために、関係機関と協議をして、改めて四月四日に、災害復旧事業の採択要件につきまして、全ての地方公共団体に対して通知をしたところでございます。

 現在、県におきまして、道路のひび割れ等の災害報告の準備をしているというふうに聞いております。

 今後、地方公共団体からの災害状況の報告、申請に基づきまして、災害査定を実施し、早期の復旧を支援してまいりたいと考えているところでございます。

早稲田委員 四月四日に、この凍上災の見通しというもの、それから通知というものを出していただいたということでございますので、ぜひ早急にこの採択に向けてやっていただきたいと思います。

 さらに、要望の方で上がってまいっておりますのは、この凍上災の要件が大変厳しいのではないかということもありますので、それについても今後御検討をいただきたいと私からも申し上げておきたいと思います。

 それから、次の質問に移りますが、津波の防災・減災対策でございます。

 東日本大震災から七年がたちまして、まだまだ復興復旧もままならないところではありますけれども、この東日本の大震災で得た教訓を生かしていくことこそが犠牲になられた方々への私たちの使命ではないかと思っております。

 そうした中でございますが、この東日本大震災後、復興特別税で全国防災対策費を使っての津波対策の予算額、そしてまた、どのような緊急の津波対策がこれまで行われたのか、伺います。

角田政府参考人 お答えいたします。

 予算額と執行の間にずれがございますので、執行額でお答え申し上げますと、復興財源を用いて行いました全国防災対策費につきましては一・六六兆円となってございます。

 内容につきましては、国交省の方から。

山田政府参考人 海岸保全施設についてお答え申し上げます。

 海岸保全施設の整備に関する全国防災対策事業としましては、直轄事業等で平成二十三年から二十七年に約二百九十八億円の予算を投じたところでございます。

 具体的な対策といたしましては、地盤改良ですとか鋼管ぐいを用いた工法による海岸堤防の耐震対策、あるいは水門、樋門の自動化、遠隔操作化といったようなものでございます。

早稲田委員 今、復興特別税の関係の対策を教えていただきましたが、まだまだだと私は市町村の状況を見ていても思うわけなんです。

 それで、これから、海岸施設におきましての、どのように進捗をしていくのか、そのことについて伺いたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 海岸堤防等の整備につきましては、全国防災対策事業と、通常の予算によります海岸保全施設の整備を合わせて、南海トラフ巨大地震あるいは首都直下地震等の大規模地震が想定されている地域等において、対策を重点的に行っているところでございます。

 直轄事業では、海岸堤防の耐震化、かさ上げですとかあるいは粘り強い海岸堤防の整備等について重点的に事業を推進しておりまして、一般会計予算といたしましては、直轄事業等に係る海岸事業の予算は、平成三十年度では約二百七十七億円を計上しているところでございます。

 都道府県の事業につきましても、防災・安全交付金等による財政的支援を重点的に行っているところでございます。

 これらの整備によりまして、南海トラフ巨大地震、首都直下地震等の大規模地震が想定されている地域等における海岸堤防等の整備率は、平成二十八年度末で約四六%となっておるところでございます。

早稲田委員 今、御答弁いただきました。海岸の堤防等の整備率で四六%ということでございますが、先ほどもございましたとおり、最大級の津波が三十年以内に八割の確率とも言われておりますので、数十年単位のものでございましたらもっと頻度が高くなるということは容易に想像ができるわけですから、この進捗を、きちんと前に進めていただきますよう、都道府県とも連携をしていただきたいと強く要望させていただきます。

 時間がございませんので、こちらでまた最後の質問にさせていただきますが、その中で津波浸水想定の設定、これは大分進んでまいりました、三十四都道府県ですが。

 そして、その後にやらなければならないはずの津波災害警戒区域の指定、特別警戒区域の指定というものが、まだ九府県にとどまっております。また、推進計画の作成済みも十市町ということでありまして、なかなか、実際の市町村がやっていく部分もまだまだではないかと私は思っておりますので、ここでぜひ国の方でもリーダーシップを発揮していただきまして、津波の浸水対策、これを進められるように、市町村の支援も含めて前に進めていただきたいと私は思いますが、防災担当大臣の御決意を伺いたいと思います。

小此木国務大臣 委員の御指摘は非常に重要なことだと思っております。

 政府において、東日本大震災、平成二十三年度に制定された津波対策の推進に関する法律や津波防災地域づくりに関する法律等を基本に、ハード、ソフト、この施策を組み合わせ、総合的な津波対策を推進してきたところではあります。

 平成二十五年度には、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づき、避難施設、避難経路の整備等に対し、国庫補助率のかさ上げ特例が措置されました。

 また、平成二十八年度には、津波対策の推進に関する法律の一部改正が行われ、十一月五日の世界津波の日を法律上位置づけ、津波防災訓練や普及啓発活動の積極的な実施を改めて地方公共団体へ促す旨を通知したところであります。

 さらに、南海トラフ地震対策として、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合の新たな防災対応のあり方等を検討するため、有識者から成るワーキンググループを設置し、本日ですが、第一回目の会合が今行われ始めたところであります。

 今後も、政府一丸となって、津波防災対策の推進に取り組んでまいります。

早稲田委員 それでは、今後も進めていただきますように、そしてまた、実施主体は市町村ではありますけれども、リーダーシップをとっていただくように重ねてお願いいたしまして、質問を終わります。

望月委員長 次に、池田真紀君。

池田(真)委員 立憲民主党の池田真紀です。

 まずは、昨日、大分県で非常に大きな山崩れがありました。被災に遭われた皆様へのお見舞いを申し上げます。そして、今もなお懸命な救助、救命活動が行われているかと思います。しかし、三十時間経過いたしました。政府を挙げて、まずは人命第一、救助活動に力を入れていただくことをお願いを申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、この災害対策の特別委員会なんですけれども、国民の命と財産を守っていく、防災のためにあるということで、何よりも人命が第一、そのことに間違いはないかと思います。そのことの確認をさせていただいて、そして、この防災についてですが、内閣府が御担当されているということの意味をぜひちょっと内閣府の方にお聞きをしたいと思います。お願いします。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 委員今御指摘のとおり、災害に当たって、国民の命を第一に、その生命財産を守るというのが防災の基本だというふうに認識しております。また、内閣府は、関係省庁と連携をして、政府一丸となって防災に取り組むということで取組をさせていただいているところでございます。

 引き続き、防災、減災に尽力をしてまいりたいというふうに考えております。

池田(真)委員 ありがとうございます。そこの確認をしてからでないと進めないもので、一言確認をさせていただきました。

 そして、ちょっと土砂災害のこともあるんですが、まず、災害対策のこの委員会では結構質問が重なるなと思いまして、前段の先生方の委員の皆様からの御意見とかありましたので、順不同になるかと思いますが、関連ということで二点ほど追加をさせていただきたいと思いますので、これは答えられる範囲で御答弁の方をお願いしたいと思います。

 そして、まず一番最初にこのことをお聞きしたいと思います。予算委員会の分科会で大臣に質問させていただきました。幅広い範囲の質問だったもので、尻切れトンボになったかと思いますけれども、福祉施設のBCPの策定状況について平成二十五年の八月の公表が最後というふうになっていることにつきまして、二月の二十三日に大臣の方は、今後進めるということでお答えをいただいております。

 今現在の福祉施設のBCPの策定状況、あれからまだ二カ月しかたっておりませんが、年度もかわりましたので、その後の取組ですね、その後、福祉施設のBCPについてどのような計画があるのか、あるいは、関連省庁と連携をしながら進めていく、検討していくということでございましたので、どこの省庁とどういうことを検討したのかということを、今現在の範囲で結構ですので、お聞きしたいと思います。お願いします。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 先般の一月以降の取組状況でございますが、具体的に数字として現在私どもの手元に持っているところはございません。ただ、関係省庁ということで、私ども、厚生労働省などの方々と今後の進め方について検討を進めるべく、準備を今進めているというところでございます。

池田(真)委員 具体的にはないということなので、やはり目標を持って、どことどのようなことをまずやっていくかということを明確に、期日を持って取り組んでいかないとなかなか進まないと思いますので、それはぜひ具体的にお願いをしたいと思います。

 そして、参考に、きょうは資料を配付させていただきました。ごらんいただきたいのですが、ちょっと資料の順番を間違えてしまいましたので、資料の二番からごらんいただきたいと思います。資料の二番、これが最新の公表されている内閣府の情報でございますが、平成二十五年の八月の三十日に発表されました。

 この赤でくくっております福祉施設になります。これは、事業継続計画、BCPでございますけれども、策定しているよというのがわずか四・五%です。そして、知らないというのも非常に多いんですね、右側の四〇・九%。他産業のところの事業所と比べると非常に少ないということがわかるかと思います。

 そして、医療施設の部分は、もちろん同様に低いんですけれども、医療施設の場合は、投薬や治療が必要な場合とか、どちらかというと、緊急に対処できる、常日ごろからBCPの状況にあるというようなところです。

 福祉施設の場合は、先ほどからお話が出ています、避難に時間のかかる方がいらっしゃったり、あるいは日ごろから人手不足であったり、事業所によっては、夜間体制というのはたった二人しかいないというような状況の中で過ごすということがあります。また、投薬を必要とされている方々もたくさんいらっしゃいますので、物資がとまった場合に、医療があっても処方ができない。要は、介護職ではできないことがたくさんありますので、非常にこのBCPの策定というのが重要になってくるというふうに考えておるところでございます。

 そして、資料の一番に戻っていただきたいんですが、これは平成二十一年の七月の十四日に公表されていたものであります。何と福祉施設の方は、数字がここでかぶっちゃって、消えちゃってなくなるぐらいに見えないかと思いますけれども、〇・五%しか策定率がなかったんですね。本当に、この当時、私も普及活動の方を進めさせていただいたところでございますけれども、全く日本語が通用しなかった、言葉が通用しなかった、考え方も普及までいかない状況でございました。

 ただ、このときに内閣府が、福祉施設のBCPを取り組みますよという旗をすごく振ってくださった。だから、この〇・五%から、その後の取組で、私も、まずは特別養護老人ホームのBCPのガイドラインを、全国調査を含めて策定をさせていただいた経緯があって、四・五%までやっと来たなというところでありました。それが今現在途切れてしまっているということは非常に不安であります。

 そして、これから高齢者の方々がどんどんふえてくるわけですし、これにおきましては、ぜひ明確に、大臣の御意見、御意向というところで、決意という範囲で結構ですので、お聞かせいただきたいというふうに思います。今後の取組ということで、重なるかもしれません、お願いします。

小此木国務大臣 たしか、予算委員会の分科会でそのお問合せをいただいて、お答えをいたしました。今の御指摘のとおり、その分野においてのBCPのあり方というものが、その時点ではよかったけれども、その後、滞っているんじゃないかという御指摘だったと思いますし、今もまだ応えられておりません。

 委員のいろいろ抱えておられるといいますか、持っておられる認識が、やはり障害を持たれる方ですとか、そういう中でも弱者についてのお話、あるいはそういう方々の生活の中での認識を非常に重く持たれていると思いますので、そういったところに寄り添った意味での思いを強くいたしながら、事に当たってまいりたいと思います。

海堀政府参考人 補足させていただきます。

 BCPについては、先ほど数字がないというようなお話をさせていただきましたが、平成二十五年以降の最近の取組について御説明をさせていただきます。

 平成二十八年の八月の台風十号、これは、岩手県の岩泉町で大きな災害を起こしまして、当時のその区域内にある福祉施設が被災をするというような出来事が起こりました。これを踏まえまして、国土交通省におきましては水防法などの改正を行っていただき、こういった支援施設においては訓練などの義務づけがされるというようなことが進められております。

 BCPとあわせてこういった取組を進めていくということで、取組を強化させていただいているところでございます。

池田(真)委員 ありがとうございます。

 本当に、この取組の方は、まずは目標を掲げていただくということが次につながる、具体的につながると思いますので、ぜひ内閣府を挙げて頑張っていただきたいというふうに思います。

 そして、引き続き、こちらの方の高齢者、障害者の日常支援のところでもお伺いをしたいと思いますが、厚労省の方の御担当にお伺いをしたいと思います。

 高齢者、障害者の個別支援計画、災害時の避難計画ではございません、日常の中でのケアプランですね、介護保険でいうとケアプラン、そして障害者の総合支援法では個別支援計画等ございますけれども、この中の日常のケア計画の中での災害時の対応といったものはどのようにされているでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 在宅でお暮らしになっておられる要介護高齢者や障害者の方が介護保険や障害者福祉のサービスを利用する際に作成されます計画の中に、今議員御指摘の災害発生時における支援内容を記載することは求められておりませんけれども、そういった要介護高齢者などが被災された場合には、その状況を把握するとともに、サービスを継続して受けられることが重要でございます。

 このため、厚生労働省は、災害救助法が適用された市町村に対しまして、実際の状況に応じて、例えば、地域包括支援センターやケアマネジャー、障害者の相談支援事業者等によります要介護高齢者等の状況把握を行うことや、避難所などの自宅以外の場所で生活している場合であっても必要な介護サービスなどが受けられるよう、サービス提供事業者などに協力を依頼することなどの柔軟な対応を要請しているところでございます。

池田(真)委員 ありがとうございます。

 今の範囲の中では、お答えの中では、災害の中の特別対応は義務づけられていないということではございます。

 ただ、地域包括ケアシステムの中で位置づけていくということは非常に重要だというふうに私自身は考えておりまして、そもそも、今おっしゃったのは、高齢者の中の制度とか、分断されているわけですよね、法律別。当然だとは思いますけれども。

 ただ、そもそも地域包括ケアシステムの中の地域包括ケアセンター一つとっても、本来、もともとは介護保険法に位置づけられておりますけれども、地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援をすると。地域住民が対象なわけですよ。でも、高齢者に限定した実態になってしまっているわけですね。

 だから、地域包括ケアシステムといったものが今構築をされる中で、災害を入れていくということで、それを緩やかにですけれどもつないでいくことができる。これは個人情報もそうですし、そして、一歩対応がおくれれば、これは災害の二次被害、三次被害ということが、非常に個人のADLを低下させたり病状を悪化させたりということにもつながりますので、日常のケアが必要な方たちというのは、それは災害時にも生かされなければいけないというふうに思いますので、ぜひその取組もお願いをしたいというふうに思います。

 そして、今、あと少ししか時間がなくなってしまいましたので、先ほどの委員の先生からもちょっとお話がありました救助法の、大臣の御答弁もいろいろあって、災害救助法の改正があるということですが、今回のことには入っていないかと思いますけれども、そもそも、災害救助法の部分で対象となっていない、福祉避難所を除いての実費弁償ができていない、要は、在宅だったり施設だったり、その他のいろいろなところに肩を寄せ合いながらケアを手がけたときに、実費弁償ができないといったものが実際の課題になっておりますが、厚労省は、災害福祉が救助法の対象となっていないということをどうお考えでしょうか。

 もし難しかったら、通告していなかったので、先ほど救助法の関係が出てきたのでちょっとあれでしたけれども、もしあれでしたらお願いします。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 災害救助法の現在の規定におきましては、医療などは位置づけられておりますが、広く福祉が位置づけられておりません。これは、生命を危機的状況から守るということで現在法定がされているということで、医療は例示されていますが、福祉が規定されていないという状況になっております。

池田(真)委員 生命の危機的な状況は同じかと私は思います。

 そして、内閣府の方でも災害救助法の対象についての要請をする予定があるかどうかもお聞きしたかったんですけれども、時間がありませんので、そこはぜひ検討事項ということで、盛り込むことを検討していただきたいというお願いにかえさせていただきたいというふうに思います。

 そして、最後になりますけれども、先ほどから地方と国との関係のお話がありました。もう本当に議論する時間もないぐらいやっていかなければいけないというふうに思いますが、強い連携と、そして何よりも強い信頼関係がなければならない。

 そしてもう一つ、自治体の現場判断は物すごく重要だと思います。

 一つ事例、私もちょっと調査に入らせていただいた熊本の地震でございますけれども、避難所を開設をするかしないかといったときに、町職員さんの判断で開設をしないということを決めたわけです。それは何だったかといいますと、ちょっと資料もないんですけれども、町の総合体育館のメーンアリーナの天井の部分が一気に、余震のときはそうではなかったんですけれども、それで、多くのマスコミや報道関係者はあけろあけろという話があったんですが、町職員さんの日ごろ見ている方の現場判断で、ちょっとの違いに気づいて、ここは避難所としては危ないという判断があって、そして、結果的に、その次の本震があったときにこの屋根が落ちました。

 非常にそういう意味では、町職員の現場判断をいかに重要視していくことが必要かというふうに思いますので、それを後押しをする国の政策、国の方は大きな旗を振って前に進めるのはもちろんですけれども、災害が起きたときの現場判断といったものは、ぜひ現地を信頼して後押しをしていただきたいというふうに思います。

 多くの方々の命を救った熊本の一つの例だというふうに私は思っておりますので、そのことをお願いをいたしまして、時間が参りましたので、本日の質問は終了させていただきたいと思います。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

望月委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 この間、たくさんの災害がありました。豪雪被害、島根県大田市を中心とする地震もありました。その前から、鹿児島、宮崎にわたる新燃岳で爆発的な噴火も起こっておりますし、そして、大分県耶馬溪では突然の山崩れも起こりました。とうとい命が奪われた。

 改めて、犠牲となられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方にお見舞いを申し上げます。

 早速、質問に入ります。

 まず、ハウスの雪害対策について、農水省にお伺いします。

 各地で甚大な被害がもたらされているわけであります。経営体育成支援事業を中心に救済支援活動が行われるわけでありますけれども、どうも制度の運用がわかりづらいところがあります。そこで、きょうは、具体的にこういうケースの被害について救済できるのかどうかについてお尋ねします。

 福井県で電照菊をつくっている農家さんは、五十メートルのハウス三棟でやっていたんですけれども、いずれも大雪で倒壊し、撤去もできていない状況です。電照菊はコストがかかる割には市場価格が低く、直売所などで販売してぎりぎり何とかやっているわけですが、再建の見通しは立っていません。園芸施設共済からは四十万円は出たんですけれども、これでは次につながりません。四十メートルのハウスに縮小して二棟だけ建てる、そういう計画を持っておられ、それでも五百万円以上かかります。市の農政課の窓口に相談すると、担い手でないから支援は受けられないというふうに言われたそうであります。

 齋藤農水大臣は、離農者をとにかく出さないことが基本だと、災害における農家救済に当たっての基本的立場を述べておられますけれども、崖っ縁に立った農家の方はたくさんおられるわけです。

 そこで、尋ねます。この農家さんは、経営体育成支援事業の支援は受けられないのでしょうか。

徳田政府参考人 お答えいたします。

 今冬期の大雪では、北陸を中心に五六豪雪以来三十七年ぶりの積雪となり、農業用ハウスなどに大きな被害が発生しており、この状況を受け、三月十六日に支援策を決定したところであります。議員御紹介の事例につきましても、今回の経営体支援事業の対象になることが可能となるよう措置しているところでございます。

 具体的には、現時点で人・農地プランの中の中心経営体でなくても、事業計画の承認までに位置づけられればよいこととしております。

 また、経営規模の変更により、新たに露地栽培を行うための農地の改良に要する経費についても対象としているところでございます。

 さらに、本事業は経営改善の目標を設定していただく必要がございますが、これは事業実施後三年度までに付加価値額の拡大に取り組んでいただければよいものとしているところでございます。

 今後とも、被災された農業者の皆様が支援対策を活用して一日も早く経営再開ができるよう、地方公共団体と連携して全力で取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 それでは、産地活性化総合対策事業ではどうなっていくんでしょうか。この農家さんは一つハウスがなくなるわけですけれども、露地栽培への転換もオーケーなのかも含めて御回答いただければと思います。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 今般の大雪対策のうち、産地活性化総合対策事業については、被災を機に作物転換や規模拡大などの前向きな取組を行う農業者に対して、ハウスの設置に必要な資材導入などの支援を行うものであります。

 御指摘のように、ハウスの棟数が減少する場合であっても、再建するハウスと露地栽培に切りかえる面積の合計が三年以内に被災前の面積を上回る場合は、規模拡大が図られたとみなして支援対象とすることができるようにしております。

 被災状況は各農家ごとにさまざまであることから、現場の声を丁寧にお聞きをして、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 よくわかりました。

 こうした制度は、こうこうこうすれば適用できますよ、そういう親身な相談があって初めて理解が進んでいく。私も勉強になったわけなんですけれども、そういった意味では、資格要件が自分は合わないのかな、相談に行って行政の窓口で、そうですねということで門前払いがされないように、ひとつ周知徹底を自治体の方にも図っていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 今般の大雪により、北海道や北陸地方などを中心に多くの農業用ハウスに損壊などの被害が発生したことを受け、農林水産省では、三月十六日付で「大雪による被災農林漁業者への支援対策について」をプレスリリースしたところであります。

 本対策の周知に当たっては、三月十六日に支援内容をホームページに掲載するとともに、特に被害の大きかった福井県、石川県、北海道に本省職員を派遣して県別説明会を開催するなどにより、農業現場に速やかに情報が伝わるよう努めてきたところであります。

 被災された農業者の皆様が一日も早く営農再開ができるよう、引き続き、現場への丁寧な説明を行うなど、地方自治体と連携しつつ、全力で復旧復興支援に取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 さらなる制度の拡充にも御尽力をいただきたいというふうに思います。

 そして、我が党がかねてから要求してまいりました被災者向けの経営体育成支援事業、これは関東豪雪それから熊本地震などで適用されたということでありますけれども、今回の豪雪被害もかなり大きな被害であった、この適用もぜひ検討していただきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。

 次に、凍上災、道路が凍ってしまって道路表面が破損してしまうというこの凍上災のことについて、国土交通省の方に伺います。

 この委員会でも質問が出されたかもわかりませんけれども、この支援を受けるためには、被害のあった地域における最近十年間の凍結指数を算定し、今冬の凍結指数がその最大値を超えるものであるといったような条件がありますけれども、この条件が極めて厳しいということで、被災した自治体の方からは、何とかこの条件の緩和をお願いできないだろうか、災害特の視察へ行って私もその声を聞いてまいりました。こうした見直しができないのか、お答えいただきたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法におきましては、異常な天然現象により生ずる災害によって被害を生じた災害復旧事業について、その事業費の一部を国が負担することとされているところでございます。

 凍上災につきましては、この異常な天然現象を、十年に一度程度を超える異常な低温としております。これまで、低温の発生、地方公共団体による被害見込みについての調査結果をもとに、関係機関と協議の上、災害復旧事業の対象としてきたところでございます。

 本年は、三月二日に全国に調査を依頼しており、八つの地方公共団体から凍上による被害の見込みの報告があったため、関係機関と協議し、改めて四月四日に、災害復旧事業の採択要件について、全ての地方公共団体に対して通知したところでございます。

 御指摘の要件の緩和につきましては、さまざまな検討が必要でございまして、難しい面がございますけれども、個々の採択に当たりましては、地方公共団体の意見に耳を傾け、丁寧に対応してまいりたいと考えているところでございます。

田村(貴)委員 昨年度までの平均を下回っても、甚大な被害に遭っているということは間違いないわけであります。

 そして、平年ベースの災害対策の費用を、もうことし一月、二月、三月あたりで相当使っているといった自治体も聞きました。ぜひ検討を前に進めていただきたいというふうに思います。

 次に、大臣にお伺いしたいと思います。災害関連死のことについてお伺いしたいと思います。

 小此木大臣の所信表明にこういうくだりがございました。「一連の災害からの迅速かつ円滑な復旧復興のため、被災者に寄り添いながら、被災した地方公共団体と一体となって取り組むとともに、これらの災害を教訓とした災害対策の一層の充実を実現し、」というくだりであります。

 災害を教訓とした災害対策の一層の充実といったところで一層進めていただきたいのが、災害関連死対策であります。

 間もなく熊本地震から二年を迎えようとしています。熊本地震で亡くなった方は、直接死が五十人であります。災害関連死は、今、二百八人、三月二十九日現在二百八人というふうに伺っております。ほかに、大分県でも三人の方が亡くなられています。地震が直接の原因で亡くなった方を四倍上回っている。過去の災害において関連死が直接死を大きく上回る、熊本地震はその典型ではないかなというふうに思います。

 そこで、大臣にお伺いするんですけれども、大地震からせっかく救われた命がここにあります。しかし、残念なことに、避難中の車上生活、車中生活、車中泊の中で命を落としてしまう、あるいは、みなし仮設、仮設住宅の中で残念な孤独死を迎えてしまう、そういった災害関連死を生まないために、行政として必要な手だて、施策は今何があると考えておられるでしょうか。

小此木国務大臣 おっしゃいましたように、熊本地震から二年がたちます。その地震では他の災害に比べていわゆる災害関連死の割合が高いかどうかは不明ではありますけれども、その要因については調査を行ったところであります。その結果も踏まえ、災害時は、保健師、看護師等が中心となって避難所や公園、駐車場等を巡回して、健康状態の把握、心のケア等を実施しているところであります。

 災害時の対応は、災害の規模、態様、発生場所等により千差万別でありますけれども、過去の災害における知見等を生かし、災害が直接的な原因以外で亡くなる方、こういった方々が一人でも少なくなるように、今後とも政府一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。

田村(貴)委員 それで、私は去年も別の委員会で聞いたんですけれども、災害関連死という概念規定が政府にはありません。唯一あるのは復興庁のみであります。東日本大震災の復興庁においては、災害関連死、震災関連死の定義はあります。その他の災害においてはなぜないんでしょうか。

 災害関連死、震災関連死というのは、マスコミでももう当たり前のように使われています。私も当たり前のように使っています。委員の皆さんも当たり前のように使っておられるんじゃないかなというふうに思います。

 しかし、これが、政府においては、行政の用語としては今はない、定義づけをしていないというんですけれども、その理由についてお答えいただけるでしょうか。

海堀政府参考人 お答えさせていただきます。

 震災関連死の死者については、先生御指摘のとおり、復興庁において、東日本大震災による負傷の悪化等により亡くなられた方で、災害弔慰金の支給対象となった方と定義されております。

 また、消防庁におきましては、死者の定義を、当該災害が原因で死亡し、死体を確認したもの、死体は確認できないが死亡したことが確実なものとした上で、当該災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき災害が原因で死亡したものと認められたものについても、市町村で死者として計上しているところでございます。

 いずれにいたしましても、委員御指摘の、いわゆる災害関連死を定義することについての考え方を整理する必要があるというふうに考えておりまして、関係省庁ともよく相談してまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 考え方を整理する必要があると。去年私が聞いた答弁からはちょっと変わったかなというふうに思うわけですけれども、今、省庁間において、災害関連死という定義をどうするのか、このことについて検討がされているということでしょうか、確認したいと思います。

海堀政府参考人 現在、復興庁、消防庁でそれぞれ定義をしております。そこについて、内閣府においても、関係省庁と相談をして、一定の整理をしてまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 復興庁が災害関連死をなぜ定義したのかということについて、去年、これは私の総務委員会における答弁なんですけれども、このように述べておられます。調査を行ったところ、助かった、助けられた命の中で、お亡くなりになっている方がいらっしゃることを真剣に受けとめまして、将来の災害に向けた対応策などを検討する必要があると思いまして、関係府省を構成員とします震災関連死に関する検討会を設けて分析し、調査も進めてきたというふうにされたわけであります。将来の災害に向けた対応策などを検討するといったところが意義づけになっている理由であります。私が先ほど紹介しました小此木大臣の所信の一端、「災害を教訓とした災害対策の一層の充実を実現し、」とこれは通じるところがあるんじゃないかというふうに思います。

 災害は災害対応で全力を尽くさなければいけません。しかし、一旦落ちついて、被災者の方が仮設住宅に移る。熊本地震なんかはみなし仮設が物すごく多いわけです。地域の見回りがなかなか届かない、制度的になかったらなお届かないといったところで、また、被災者にとっては、あんた、家賃ただでええねというふうに言われる、偏見を持ったそういう目があることで、なかなか表に出しづらいといった面があるんです。本当に心身の体調は大丈夫なのか。それから、見回りが物すごく大事になってくるというふうに思います。

 そうしたことをやはり加速させるためにも、定義づけというのが私は必要になってくると思います。復興庁においては、この定義づけをもって、国費ももって見回り活動をされているわけなんです。

 こうしたことが私は大事だと思うんですけれども、大臣、今、検討はされているというふうに伺いました。大臣、いかがでしょうか、災害関連死、防災担当の内閣府としても、しっかりこうしたことに向き合うことが今求められているんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 私が申し上げたのは、先ほど、今後とも、過去の災害を教訓に、災害が直接的な原因以外で亡くなる方が一人でも少なくなるよう、政府、自治体関係者がしっかり連携して取り組んでまいりたい、こういうふうなことを申しました。そして、今おっしゃったように、事務的に今検討がされている。

 また、関連という言葉ですね。これはどこまで関連してどういうところに、国民の皆様から、税金から成る、いろいろな義援金そのものや、あるいは、その活動、救助、いろいろなものがあります。これはしっかりと、やはり、線引きというと何か冷たい言葉として捉えられてもいけませんけれども、気持ちを込めた検討が今されていると思います。これがいいかげんなものにならないように、しっかりと論じてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 既に東日本大震災の復興庁では定義づけがされて施策が進んでいますので、そして消防庁の定義づけもあるということで、整理と、それから、政府としてちゃんと考え方を持つということが何よりも重要ではないかなというふうに思います。重ねて要求させていただきたいというふうに思います。

 次に、災害援護資金の貸付けについてお尋ねをいたします。

 災害時に生活の再建にお金を借りて、その返済に被災者も自治体も大変悩んでおられる状況が、この間報道でも伝えられているところでございます。

 読売新聞の報道によれば、貸付額に対する返済済みの割合は、仙台市で、それから宮城県石巻市、福島県いわき市、ともに一二%という状況であります。西日本新聞の報道では、福岡市西方沖地震、これは二〇〇五年ですけれども、貸付額六億七千七百六十四万円に対して滞納額は三億九千四百十七万円、雲仙・普賢岳、一九九一年でありますけれども、七億八百九十万円の貸付けに対して二千三百十二万円の滞納となっている、こうしたことが報じられているわけであります。阪神大震災でも熊本地震でもその他の災害でも、被災者は生活再建のためにこうしたお金を借りて返済をし続けているんですけれども、返せない状況があります。

 この状況について政府は掌握されていますか。

あかま副大臣 お尋ねの災害援護資金の貸付けでございますけれども、この制度は、災害救助法による救助が行われる災害といったようなもの、こうした一定の自然災害により被害を受けた低所得者に対して、その生活の立て直しに資するために行われるものであるというふうな、そうした性質を持つ制度でございますから、貸付けを受けた後に病気になられるであるとか、個々の事情により返済が厳しくなるといった方々がいらっしゃるということは承知をしております。

 そうしたことを踏まえて、市町村が債務者個々の事情を勘案して適切に判断できるよう、関係都道府県を通じてよくお支えすること、これが大事なんだろうと思っておりますし、あわせて、市町村側に対しても、どういったことで債権管理が難しくなっているかなどの実情をよく伺いながら、丁寧に対応してまいりたいと思っています。

田村(貴)委員 ちょっと時間がなくなってまいりました。

 この利子が三%なんですよ。利子が市中銀行の貸付利率よりも高い。そして、自治体などからも被災者からも、この利子を何とかしてほしいと。

 今、分権一括法で自治体がこの利子を決められるという論議も始まっているんですけれども、この制度そのものを変更していく、改善していくという検討はされるでしょうか、してもらえるでしょうか。簡単にちょっと答えてもらえますか。

海堀政府参考人 ただいま委員から御指摘のありましたように、現在、地方分権一括法におきまして、災害弔慰金の支給等に関する法律の改正を見込んでおりまして、最大金利三%以内で条例で定めることができるようにすることを提案させていただいているところでございます。

田村(貴)委員 わかりました。

 回収を強いれば、被災者を追い込むことになってまいります。そして、自治体の担当者はまたこれで苦労するわけであります。自治体は、国の三分の二の負担が滞ってしまったら、それを肩がわりしなければいけないという問題もあります。ですから、私は、やはり自治体や被災者の立場に立った制度の改善が今求められているというふうに考えます。ぜひ検討していただいて、被災者、自治体に寄り添っていただけるようにお願いしたいと思います。

 あわせて、その利子三%分は自治体の事務運営費というところの規定が、位置づけがあるんですけれども、それだったら別の形で自治体の事務負担は政府として応援していただきたい、このことを要請させていただきたいと思います。

 最後に、新燃岳の爆発的噴火についてお尋ねします。

 ずっと噴火が続いているわけなんですけれども、今、降灰被害、私も行ってきたんですけれども、灰が降ってくると日常生活にも差しさわりますし、とりわけ農家が大変悩んで、そして窮状を訴えておられます。

 私も、鹿児島県の霧島市の方に行ってまいりました。火山灰が降ってきた。露地物の野菜、レタスであるとかキャベツであるとかブロッコリーであるとか、ブロッコリーなんかは、降ったらもうおしまいですよね。それから、白菜とかキャベツも、芯の方に入ってしまったら、それを出荷できたとしても、加工業者が、刃物が、カッターが傷ついてしまうから嫌がるといったお話も聞いてまいりました。灰が降ると本当に大変なんですね。

 それから、シイタケですね。シイタケも、私、灰が降ったシイタケをもらったんですよ。どこについているかわからないぐらい微妙な降灰だったんですけれども、戻して食べたらむちゃくちゃおいしかったですよ。差がわからないぐらいおいしかった。でも、商品価値はゼロなんですよね。

 こうした農家の窮状を救う救済措置、支援措置というのは残念ながら今ないというふうに聞いております。何か策を講じる必要はないのかなと思うんですけれども、農水省、いかがでしょうか。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 新燃岳では、三月一日に小規模な噴火が発生した後に、現在活発な噴火活動が続いているところでございます。

 これまでの噴火によりまして、鹿児島県、宮崎県を中心に広い範囲で農作物への降灰が確認されております。キャベツなどの野菜では、農業者の皆様の大変な御努力によりまして、洗浄あるいは外側の葉を除くなどして出荷が続けられていると聞いておりますし、そういう中で、一部の地域では、先生が御指摘のシイタケ、ブロッコリー、あるいは生食用のホウレンソウ、これが出荷ができなかったという声も聞いているところでございます。

 農林水産省としては、三月中旬に、鹿児島、宮崎両県に、林野庁の職員、九州農政局の担当者を現地に派遣いたしまして、被害に遭ったシイタケ生産者、露地野菜の農家の声を伺うなど、状況の把握を行ったところでございまして、その結果を踏まえるとともに、今後の被害の状況を十分踏まえまして、その発生状況に応じまして必要な対策を考えていきたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 農家の方は、せっかく丹精込めた野菜が商品価値がなくなってしまったと、本当に悔やんでおられます。価格補償を求めておられますので、自治体としっかり相談していただいて、一日も早い救済、そして支援の手だてを打っていただくようにお願いしまして、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

望月委員長 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 無所属の会の黒岩宇洋でございます。

 まず冒頭、島根県西部での地震で被災された方にお見舞いを申し上げますとともに、大分県中津市での土砂崩れ災害で亡くなられた方には心から御冥福をお祈りいたします。また、今、安否の定かでない方々の無事を、これも心からお祈りする次第でございます。

 きょうは、内閣府の、本来は防災担当ラインの公文書管理についてお聞きしたいと思っています。

 今、行政府全体で非常に公文書管理について問題が起きている。その過程の中で、昨年の十二月二十六日に行政文書のガイドラインというものが改正されました。これも、森友問題で財務省が面会記録や交渉記録を破棄していた、こういったことが妥当ではないのではないか、こういう問題意識でガイドラインが改正され、そして、この四月一日に内閣府の府の中での規則が改正された、こういうことでございます。

 私の問題意識は、公文書管理法ができたのは麻生政権のときです。そして、各府省庁の規則ができ運用されたのは、これは平成二十三年四月ですから、民主党政権時代。私、当時法務省の大臣政務官でございましたので、大臣が訓令を発した際、この規則の策定にかかわった者として、非常にこの規則自体は大変詳細ですばらしいものなんですよ、ただ、これだけ詳細で精緻なものであると、実際に運用が追いつくのかどうか、それが当初からの心配でありました。

 今回のガイドラインの改正及び内閣府規則の改正によって、更にこの内容は詳細、精緻なものになっているわけです。これに対して、実際に内閣府として、防災担当ラインとして対応が、運用ができているのか、この視点で何点かお聞きをしていきたいと思っております。

 それでは、まず内閣府に聞きますけれども、内閣府の文書管理体制について概要をお聞かせください。

田中政府参考人 お答えいたします。

 内閣府では、公文書管理法第十条第一項に基づき、内閣府本府行政文書管理規則を制定し、行政文書の管理について必要な事項を定めているところでございます。

 この規則におきましては、内閣府における行政文書の管理に関する事務を統括する者として、大臣官房長を総括文書管理者としておるところでございまして、あわせて、これを補佐する者として、大臣官房総務課長を副総括文書管理者としておるところでございます。

 また、各部局におきましては、当該部局における行政文書の管理に関する事務の監督を行う者として、部局長を主任文書管理者としておるところでございます。あわせて、これを補佐する者として、副主任文書管理者を置くこととしてございます。

 さらに、文書管理の実施責任者といたしまして、課室長級の文書管理者が置かれ、これを補佐する者として、文書管理担当者を置くこととしているところでございます。

黒岩委員 今回のポイントは、今おっしゃられた文書管理者のもと、課長級のもとに文書管理担当者を置くという、これは今までのガイドラインですと、置くことができるというできる規定だったわけですけれども、今回の改正によって、置くという必置の規定になったわけですね。

 ですから、内閣府も、今までは、文書管理担当者というものが仮にいても、これは、公文書等を交わして指名しているわけではなく、事実上の担当者。ですから、実際の運用というのは、実際、課長級が全て管理しているということはないんですよ。やはり、課長補佐クラスがきちんと目を配っているという、この運用にある意味合わせる意味でガイドラインそして規則を改正した。

 そこで、「文書管理担当者を指名する。」と、これは内閣府規則の第七条に規定されていますけれども、それでは、内閣府は文書管理担当者を指名しましたか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、内閣府におきましては、課室長級の文書管理者として現在二百八十九名が指定されておるところでございまして、また、御質問の文書管理担当者につきましては、内閣府本府において文書管理担当者を選定したという旨の報告が既に各部局から大臣官房総務課に対してなされているところでございまして、体制を整えているところでございます。

黒岩委員 厳密に答えてください。指名の手続は完了しているんですか、していないんですか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 現在、正式な指名手続をとっておるところでございまして、先ほども申しましたように、選定はされているんですけれども、いわばリストのような形にはまだなっていない、そういう状況でございます。

黒岩委員 審議官、正確に答えてください。指名できていませんよね。(田中政府参考人「はい」と呼ぶ)そういうことですね。

 大臣、よく聞いていてください。

 今申し上げたとおり、公文書管理法ガイドラインの所管省庁は内閣府ですよ。そして、実際には大臣官房公文書管理課が行っているわけですけれども、その本元の内閣府において、今回の一つの肝である文書管理担当者を置く規定に四月一日になっているんです。そして、多くの省庁は、四月一日は日曜日ですから、二日の月曜日に指名は終わっていますよ。もう十二日ですよ。

 私は、この姿勢そのもの自体が、本当に公文書の管理をしっかりと運用していけるのかという、これは疑問として投げかけておきますし、大臣としてもこれはしっかり目を配っていただきたいと思います。

 それでは、先ほどおっしゃられた文書管理者、これは課長級ですから課長又は参事官ですけれども、二百八十九名いるということです。

 そこでお尋ねしますけれども、これは行政文書管理規則の十六条で、実際には内閣府全体で規則をつくるんですね。内閣府全体で規則をつくって、そして、そこに保存期間表、こういった公文書は三十年保存とか、こういった公文書は十年保存とか、大分類でも三十数類型、そして、これは中分類、小分類と分けるとかなり詳細なものになっているんですけれども、これをもとに、当然、各課室によっては、国有財産の処分が例えば要らないところだったら、これは自分の課室ではこの規定は要らないねとか、自分たちで判断して、各文書管理者ごとにおいて、すなわち二百八十九の文書管理者がそれぞれその課室の文書管理に対する保存期間基準を定めるということになっているわけです。

 では、お聞きします。二百八十の文書管理者それぞれの保存期間基準、保存期間表を定めましたか。

田中政府参考人 各文書管理者は、文書管理規則第十六条第一項に基づき、その管理する行政文書の類型ごとに、保存期間を定める保存期間表を作成することとされて……(黒岩委員「いいです、それは私言いましたから」と呼ぶ)はい。

 内閣府におきましては、大臣官房総務課より各部局に対し、三月二十三日までに保存期間表を作成するよう指示したところでありまして、現在、各文書管理者において、新しい保存期間表に基づいて適切に行政文書の管理が行われているものと認識しております。

黒岩委員 審議官、正確に答えてください。二百八十九の部署で、それぞれの文書管理規則、保存期間基準、これが表としてしっかり定められているんですか。それをお聞きしているんです。定めましたか。

田中政府参考人 保存期間表につきましては定められておるところでございますけれども、それを全体を集約する作業は、今、官房総務課において行っているところでございます。

黒岩委員 審議官、私が聞いたことにストレートに答えてくださいよ。ですから、集約しているということですから、まだ、課室ごとの保存期間基準、これはできていないということですね。

田中政府参考人 保存期間表自体は定められております。

 それを定めた場合は公表しなければいけないわけですけれども、そのためには集約をする必要がございまして、その作業は今やっているというところでございます。

黒岩委員 きのう私が担当者に聞いたときには、まだできていない、近日中にでき上がると言っていたんですけれども、これはいつできたんですか。

田中政府参考人 四月一日に新しい規則が施行されますので、それに合わせて保存期間表を作成するように指示しておりましたということでございます。ですので、四月一日から、いわば新しい保存期間表によって文書管理が行われているという状況になっているわけでございます。

 そして、先ほど申しましたように、その各部局での公表、保存期間表の公表に向けまして集約をしているところなんですが、それは今やっているというところでございます。

黒岩委員 それならいいんですよ。

 きのう担当者に聞いたところ、まだ文書管理者ごとの保存期間表ができていないということだったので、これはゆゆしき問題だと思ったんですけれども、それは違うのならそれはいいことなんですが、それによって、何せ二百八十九種類、別々のものですから、これによって運用を管理するということはある意味大変複雑な業務になりますので、これはしっかりと徹底管理をしていただきたいと思います。

 それでは、今回の森友関係についても大問題になった電子決裁。

 電子決裁をしているもの、これは、その後の不正アクセス等を防ぐために、今、総務省の文書管理システム、これになるべく電子決裁化を進めていこうという、これは最近安倍総理大臣からも督励されたところでありますけれども、今、内閣府の電子決裁率は何%になっていますか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 内閣府における平成二十八年度の電子決裁の実施率は、八五・四%でございます。

黒岩委員 府省庁の全体の平均が九一・四%ですので、内閣府はもう少し決裁率を上げていっていただきたいと思います。

 そこで、大臣にお聞きしたい、お願いしたいことがあるんですけれども、この行政文書ファイルというのは、今申し上げたとおり、文書管理者ごとで保存することになっていますので、私は、今回の島根の地震だとか大分の土砂崩れ災害とか、この災害に対しては、もちろん内閣府の防災担当ラインが主導的な部分はありますけれども、そのほか国交省や農水省やさまざまな省庁が関係してきます。

 その場合、私は、行政文書として、今申し上げたとおり文書管理者は縦割りになっていますので、さまざまな書類が総務省の文書管理システムに保存されますけれども、何々災害、例えば今回の島根県西部地震という横串で文書管理、保存はされないということになっています。そうしますと、この後何年後かに、じゃ、この災害においてどういう対応がなされたのか、そういったことの検証が一元的にできないのではないか。これは、総務省のシステム上そういうことになっています。

 ただ、文書というものは決して独立してあるものではありません。その事前に業務があって、その業務が一元化されて、業務に伴って公文書というものが発生するわけですから、できるだけ防災担当ラインが主導的に、各省庁とのやりとり、今回の新規則でも、各省庁との折衝については、相手の確認をとって文書を残すということになっていますので、他省庁とまたがって複数に管理されてもそれは結構ですから、重要なことは、今申し上げたとおり、何々災害ということで一元的に文書が保存される、こういった運用をしていただきたいんですよ。

 そのためには、今申し上げたとおり、実際の業務の時点で各省庁とのやりとり等をしっかりして、それについての公文書を残しておくという、ここからスタートしなければ、総務省の電子決裁システムには落とし込めませんので、こういった運用を今後しかとやっていただきたい。

 大臣、そのことについて御答弁いただきたいと思います。

小此木国務大臣 これは、災害ごとに行政ファイルを整理すべきではないかという観点からだと思うんですけれども、私は、必ずしも文書管理を担当している大臣ではありませんが、防災部局の担当の大臣として責任ある立場ではあります。

 内閣府において、内閣府本府行政文書管理規則に基づいて行政文書ファイルを管理しており、事務及び事業の性質、内容等に応じて系統的に分類し、わかりやすい名称を付しているものと承知しています。

 ただ、委員御指摘の整理の仕方、これは全く排除されるものではなくて、一つの考え方として私はあると思っております。

 しかしながら、内閣府防災においても、まずは当該規則に基づいて適切に行政文書ファイルの管理を行っているのが今現実でありますので、このことを重要なものとして今は行ってまいりたい、こういうふうに整理をしております。

黒岩委員 公文書管理について、内閣府の責任者は官房長官です。ただ、今申し上げたとおり、公文書というものは独立してあるものじゃありません。業務との表裏一体をなすものでありますので、防災担当ラインの業務については、これは小此木大臣が責任者でありますので、今申し上げたとおり、この業務をなるべく一元化していく、そのことによって最終的には公文書管理が一元的なものになる、こういう指摘でありますので、ぜひ運用上しっかりと目を届かせていただきたいと思います。

 それでは、この電子決裁システムについてのことでお聞きしますけれども、じゃ、総務省、よろしいですか。

 この電子決裁システム、今回、財務省は保存完了したものを改ざんしちゃったわけですよ、システム上。これは、一体、システム上は誰が保存完了後の修正ができるのか、この点を教えていただけますか。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 文書管理システム上、保存済みの決裁文書の修正につきましては、文書管理者や各府省が設定した文書管理担当者など、文書管理の責任者のみが行えることとなっております。

黒岩委員 今の説明でおわかりだと思いますけれども、規則上しっかりと規定されている文書管理者、そして文書管理担当者、ここまではわかるんですけれども、さらに、この権限を付与された者まで入っているわけですから、システム上は、この文書についてはこの人が修正していいということを文書管理者が権限を付与すれば誰でもできちゃうんですよね。私はこれが非常に問題だと思っているんですよ。

 これは内閣府に聞きますが、じゃ、過去において、内閣府が一旦保存完了した決裁文書をその後修正した例というのは過去にありますか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 電子決裁の保存措置終了後におけるファイルの修正につきましては、網羅的に調べているところではございませんが、具体例といたしましては、許認可申請のための決裁終了後に、申請先から添付資料の一部修正の指示があった場合、それから、政令等の官報掲載に当たり、決裁の段階で引用する法令番号が確定しておらず、法令番号確定後に法令番号を記載する場合というような例が実際にあったということでございます。

黒岩委員 これは、修正というのは、今審議官がおっしゃったような場合、あり得るんですね。ただ、ごくごくまれなんですよ。省庁によっては一年間で一回もない、そんなものですね。ともすれば、本当に何年に一度あるかないか。ただ、その後、今おっしゃったような、追加で決裁番号や法律番号などを加えなきゃいけないという場合のために、一回保存したものについても修正できる。ただし、これも今かなり限られた人間しかアクセスできないことになっています。

 ただ、私は、今回の財務省の例でいうと、この修正そのもの自体がまれであるにもかかわらず、この修正が改ざんということまでなってしまったおそれがあるわけです。

 私は、これは大臣に御答弁もいただきたいし、お願いしたいのは、規則上、システム上は、今総務省がおっしゃったように、文書管理者でも担当者でも、そして権限を付与された者、誰でもアクセスできることになっています。ただ、今申し上げたとおり、何年に一度かのまれな例でありますし、そして、仮に修正するときには改ざんということが事実上できるシステムになっているんですよ。それはそうですよ、コンピューター上、これが修正なのか改ざんなのかなんて見分けられませんから。

 ですから、これにおいては、相当なる責任者のみが修正できるという、これは私どももそういう法律案を、今、改正を考えていますけれども、まだそこに至っていない状況ですので、運用として、少なくとも内閣府の防災担当ラインにおいては、今後も日々決裁が出てくるわけですけれども、これがもしも一旦保存完了をした場合には、文書管理者のみ、すなわち課長、参事官クラスのみが修正をするんだという、これは、他の省庁にもこの運用をお願いしたら、そのようにこれからやりますという答弁も私はいただいていますので、少なくとも、内閣府防災担当ラインにおいては、運用上、文書管理者のみが一旦保存完了をしたものの修正ができる、このような運用をしていただきたいんですが、大臣、ぜひ前向きな御答弁をお願いします。

小此木国務大臣 今言われましたことはしっかりと確認をして、しっかりとまた考えてまいりたいと思います。

黒岩委員 もう少し力強い答弁がいただきたかったんですけれども、大変これは重要な視点なんですよ。やはり運用でできますので。くどいようですけれども、大変まれなケースです。ただし、改ざんというおそれのある大変ある意味危険性のある作業ですので、これは限定された人間が、そして責任のある人間のみができるというのが私は合理的だと思っておりますので、少なくとも大臣の所管のラインにおいては、この運用をしっかりと大臣の方から指示をしていただきたいと思います。

 今回、規則改正の肝は、大体、各府省の規則の保存期間表ですと、三年以上の保存期間というものが定められています。逆に言うと、三年未満はありません。ただ、今回の規則においては、意思決定過程の跡づけや検証に必要となる行政文書は原則一年以上の保存期間を定めるものとするとある。これは表裏一体で、これは十六条の五項ですけれども、次、六項で、一年未満で廃棄していいものは七つの類型に分けた。これは今までなかったものです。ですから、一年以上のものと一年未満のものをしっかり分けて、これは破棄していいものかどうかというものをしっかりと規則に照らし合わせているものが今回の改正の大きな肝です。

 そこで、内閣府は先ほど保存期間表を各文書管理者ごとにつくったとおっしゃいましたが、その中に、この規則に照らし合わせて、三年未満のもの、そして一年以上の保存期間基準を定めたその保存期間表はありますか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今回の規則改正により、十六条五項において、跡づけ、検証に必要となる行政文書については原則として一年以上の保存期間を定めるものとするということで規定したところでございまして、この規定を踏まえまして新たに保存期間表に明記することとした事項といたしまして、これも、網羅的ではございませんけれども、実際ございまして、内閣府ホームページ等からの意見に対する回答ですとか審議会等の開催通知につきましては、保存期間を一年としているものがございます。

黒岩委員 ですから、各文書管理者ごとに一年以上という保存期間があるということですね。つくったと。それはいいことです。

 大臣、短時間でしたので、やりとりがまだまだ詳細なことまで詰められませんでしたけれども、やはり、災害対応等、こういったものも、しっかりとした文書が残って、その後のまた新たな対応に生かされるわけですから、特に内閣府は、今申し上げたとおり、公文書管理法、そして公文書ガイドライン、これは内閣総理大臣名で発出されているガイドラインですから、これをまさに主導的に遵守をし、管理運用していくということをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

望月委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 希望の党の岡本でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきましたこと、感謝申し上げたいと思います。

 まずもって、大分県で大変大きな土砂崩れが起こって、いまだに行方不明の方が、私が知り得る情報では五人ほどいらっしゃるということですし、一人亡くなられておる。大変痛ましいことであり、一刻も早い行方不明者の発見を願わずにはいられないわけでありますが、本当に災害が多いこの日本です。

 きょうは大臣の所信に対する質疑でありますから、冒頭、大臣の所信に関して、私、一言聞きたいと思います。これは通告していませんけれども、大臣自身のお考えとして、福島の原発事故、津波による原発事故ですね、あれは防ぎ得られたというふうに考えてみえるのか、防ぎ得なかったというふうに思っているのか、大臣自身のお考えというのをちょっとお聞かせいただけませんか。

小此木国務大臣 突然のことでありますが、あれから七年がたちまして、いろいろなことを私自身も考えました。現地にも参りまして、あるいは現地に行った方のお話も聞いたりして、結論的なことをここで言えるわけではありませんけれども、英知を結集して、原子力というものについて必要であるという考え方を持ってこの日本は進んできたことも事実でありますし、これを防ごう、何かあった場合に防ごうという、危険があった場合の状況も考えながら行動してきたことも事実でありますので、これは防ぐことができたという思いもあります。

 しかし、現実は、結果、御案内の状況になったということは非常に残念なことであります。

    〔委員長退席、三原委員長代理着席〕

岡本(充)委員 ということは、大臣、防ぐことができたけれども防げなかった、残念なことだ、こういう理解でいいということでよろしいですか。そこは確認をしたいです。

小此木国務大臣 言い方が非常に難しいわけでありますけれども、これは防ぐことができた、英知を結集すれば、あるいは危機感というものがあれば、そういったことは考えられたと思います。

岡本(充)委員 本当にそういう認識は私は大変重要だと思っています。

 やはり学ぶことも多いし、防ぐことができたことを防げなかったのではないかという立場に立ってしっかり施策を推進し、予防していくことが、未然の対策をとることが重要だと思う中で、きょうは、冒頭、少し私の選挙区、地域の話をさせていただいて、今後どういうふうにしていくかということを議論していきたいと思います。

 きょうは、文科省さんにも来てもらっていますかね、はい。

 改めて確認したいんですけれども、ことしに入ってですか、一月一日時点での評価として、南海トラフ地震が、今後十年、それから二十年、三十年、それから五十年で発生の確率値はどのくらいというふうに考えているのか、そしてまた、これについては、この確率で津波を伴うような地震が起こる、こういう理解でいいのか、ちょっと見解を求めたいと思います。

大山政府参考人 お答えいたします。

 地震調査研究推進本部地震調査委員会では、例えば、今後三十年といった一定期間内に発生する可能性のある地震の場所、規模、確率についての長期評価を実施しております。

 南海トラフ地震につきましては、今後十年以内の発生確率を三〇%程度、今後二十年以内の発生確率を五〇%程度、今後三十年以内の発生確率を七〇%から八〇%、また、五十年に関しましては九〇%程度若しくはそれ以上と評価し、公表しております。

岡本(充)委員 その南海トラフ地震で津波が起こることが想定をされ、その津波の被害が一定程度来る、こういうことが、例えば伊勢湾の中でも指摘をされています。

 その中でも、関東地方にも大きな川があります。関西にも大きな川があって、多くの人々が住む地域が海面下、マイナス地域、マイナスゼロメートル地域と言われている地域があるわけでありまして、これらの地域は、一旦津波が越えてくると、場合によっては二階部分まで津波が来るということが容易に想定されているわけでありますが、この委員会でも私は何遍か指摘をしました。地震で津波が、壊れることはないように対策をとるということで、この間ずっとやってきたんですが、昨今私が取り上げているのは、堤防は壊れないけれども、液状化で堤防が沈むんじゃないか、これを検証してもらってきたわけです。

 長良川河口部、木曽三川の三重県側になりますけれども、長良川河口部では、高さ八メートル程度の堤防が、液状化が起こると、ずぶずぶと沈んでいって、一メートル以下になるところがあるのではないか、こういう推計が出されたことも事実だと思います。

 こういった推計を出したこと、ありますよね、国交省でしたかね。ちょっとその点、正確な数字とは言いませんが、沈んでいくという推計を出していることは事実ですね。

山田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、河口部につきまして液状化が生じるということで、現在、堤防の改築におきましては、液状化対策として地盤改良をしているというのは事実でございます。

岡本(充)委員 という状況なんですね。それで、これは崩れない、堤防はちゃんと残っているんですけれども、沈んでいったら、そこに津波が来たらどういうことが起こるかというのは、もう大臣、想定ができる話です。

 ここには、百万人単位のとは言いません、百万人前後の方が住んでいるというこの地域が、要するに、関東地方にも、それから、もちろん近畿地方にも、そして私の選挙区でもそういう状況であります。

 こういうところの堤防を、国管理のところをしっかり液状化対策してほしい、こう言ってきました。川表と川裏があるということでありましたけれども、少なくともどちらか一方の工事を積極的に進めるべきだと。もう何年、私、この話をしているかちょっとわかりませんけれども、毎年のようにこの話を取り上げています。

 今の現状を含めて、少なくとも、川表、川裏、どちらか一方が、木曽川の場合、対策をとらなければならないその区間において、あと何キロ残って、何年ぐらいで大体それが完了するのか、そのめどについて、ぜひ、まず国交省からお答えいただきたい。

山田政府参考人 お答えいたします。

 沿川にゼロメートル地帯が広がります木曽川と鍋田川の堤防の耐震対策は、大変重要であるというふうに認識をしております。

 木曽川につきましては、これまでに約七・五キロメートルの対策が完了しておりまして、現在は、優先的に対策を実施する箇所として、堤防の沈下量が大きく、施設計画上の津波に対する安全性が不足する区間で対策を実施しております。

 これらの区間は、平成三十五年度までに対策を完了させることを目指しておりまして、その後、残りの区間についても対策を進めていくこととしております。

 また、鍋田川につきまして、鍋田川下水門から下流区間の鍋田川右岸側の堤防耐震性の調査が昨年度完了したところでございまして、今後、詳細設計が完了した区間から順次対策に着手する予定でございまして、緑風橋よりも下流側の区間はおおむね十年間で、緑風橋から鍋田川下水門までの区間をその後おおむね十五年間でそれぞれ完了させることを目標に対策を推進していく予定であると三重県からは聞いております。

 南海トラフ巨大地震の危険性が指摘される中、耐震対策のより一層の推進が重要であることから、今後、必要な予算の確保に努めるとともに、三重県に対しましても技術的支援等を行っていきたいと考えておるところでございます。

岡本(充)委員 鍋田川のことまで答えていただきましたけれども、結局、今の話だと十五年かかると。

 鍋田川の下水門のエリアで、大体、堤防は今何メートルあって、そして、予想される地震によっての沈下により何メートルの高さになってしまうのか、ちょっとそこをやはり委員の皆さんにもぜひ知ってもらいたい。今、どれだけの高さがあって、どれだけに沈むんですか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 延長は一キロメートルでございますが、私の方で、済みません、現段階でどれだけ沈下するかという詳細なデータは今持っていません。申しわけございません。

    〔三原委員長代理退席、委員長着席〕

岡本(充)委員 もう国交省で計算していますよ。これは、一メートル程度、一メートル二十センチでしたっけ、私も正確にはちょっと覚えていませんが、沈む。そこに、それを上回る津波が来ることが想定をされているわけでありまして、結果として、先ほどの話ではないですけれども、十年以内に三〇%という答弁でした。十年以内に三〇%の確率で津波が来ると言われているのに、その津波対策が十五年かかる、こう言っているんですよ、大臣。三割の確率であなたの家は沈みますと言っているのに、これは等しいんじゃないですか。どういう対策をとるか、大至急やらないと、三割の確率であなたたちのおうちは沈むんです、こういう話のまま放置をしていくことは許されないと思いますよ。

 ここを津波が越えてくれば、三重県の木曽岬町から始まって愛知県側に幅広く水が入ることになるわけでありまして、これは対策が大変求められると思っています。

 十五年と言わずに、何らかの工夫をして、これは速やかに完了することが求められると思いますが、いろいろな工夫があると思います。少しでも安い工法を見つけるだとか、もちろん予算が獲得できれば最もいいわけでありますが、いろいろな工夫をするべきだと思いますが、ぜひその工夫をしていく、そういう御答弁、責任ある答弁をいただけませんでしょうか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 限られた財政状況のもとではございますけれども、特に、堤防の沈下量が大きくて、施設計画上の津波に対する安全性が大きく不足する区間での対策、こういったものの優先順位等を決めまして、重点的な事業の実施に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

岡本(充)委員 大臣、今のを聞いてもらいましたよね。十五年かかると言っているんですよ。それで、結局、国交省は予算も限られている、こういう話です。

 今までのやり方だと、十五年かかるかもしれない。先ほど言いましたが、工法を工夫するということもあると思います。これは、ぜひリーダーシップを出して、きょうは国交の政務の方も来られていますけれども、やり方を工夫して、本当に地震の発災までに手当てをする、応急でもいいから手当てをする、その工夫をしてもらいたいんです。ぜひそういうリーダーシップを発揮して、取り組む、その決意ぐらいはいただけませんでしょうか。

小此木国務大臣 無責任なことは言えませんけれども、防災の意識というものがこの数年で、私もいつも言っておるんですけれども、災害がここ数年多くなってきている中で、防災の意識というものが逆に、これは皮肉なことでありますけれども、高まっているということも、いろいろな被災地に伺って感じるところでもあります。

 今、工夫とおっしゃいましたけれども、それは町の中でも、生活者の中でも、あるいは企業、さまざまな工夫が今されている、その意識も高まっているという中で、工法の工夫ということも言われましたけれども、そういったことも実際あろうかと思います。防災部局として、こういったものをしっかりと参考にしながら、今言われたような観点からしっかりと取り組むことができればこんなにいいことはないと思っています。

岡本(充)委員 願望じゃないんですよ。やはり決意なんですね。できればこんないいことはないじゃなくて、決意をぜひ。私はぜひ、できるかどうかわからないけれども取り組みたいぐらいのことは言ってもらいたいですよね。

 ちなみに、農水省にも来てもらっています。海岸堤防の件もあります。こちらの方は、いつごろ、どういうふうに終わるんでしょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 愛知県が実施しております木曽川河口部の農地海岸である鍋田海岸の耐震対策工事につきましては、平成三十年度は事業費六億円で延長三百三十メーターの整備を予定しております。これによりまして、総延長約七千五十メーターのうち五千二百三十メーターの整備が完了する見込みでございます。

 また、完了年度につきましては、その時々の予算情勢によるため、なかなか確定的なことは申し上げられませんが、あえて仮定して目途を計算しますならば、平成三十一年度以降の残延長は千八百二十メーターであり、仮に三十年度と同じ年三百三十メーターのペースで実施した場合には、約六年後に完了するという計算になります。

 いずれにいたしましても、愛知県と十分に協議しつつ、農林水産省としても必要な予算の確保等により早期の完了に努めてまいりたい、このように考えてございます。

岡本(充)委員 不測の事態も起こり得るでしょう。工事をしていたらとても難しい箇所が出てきたとか、そういうこともないわけではないので、六年と言わずに、やはりできるだけ前倒すように頑張ってやっていっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。

 それを踏まえて、もう一つ、更に聞きたいと思います。

 川の高潮対策として、いろいろな川の中にある横断工作物の撤去について、聞くところによると、関東地方でも関西地方でも、淀川や関東の一級河川でも同様のケースがあると聞いておりますが、また具体例で、私がよく知っている場所でいえば、木曽川の橋梁、国道一号線などの橋梁にこうした工作物があると理解をしています。

 こうした撤去などについて、国道一号線であれば、例えば民営鉄道というか私鉄であるとなかなか、相手さんもあることですから難しいというのはわかりますが、国道などの場合は、少しはどういう課題があるか協議をして、少しでも進捗をしていくことが可能なのではないかと思うんですが、こうした取組、少しでも課題を整理をしていく、関係者の会議等をやるぐらいの、まずスタートを切る、これぐらいのことはできないんでしょうか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 木曽川河口部の高潮対策につきましては、現在、鍋田上水門の改築を実施するなど、鋭意進めているところでございまして、これにより橋梁取付け部以外の高潮対策は整備完了ということになります。

 残る橋梁の取付け部につきましては、国道一号の尾張大橋及び近鉄の木曽川橋梁が橋桁の高さが低く、計画上の高潮堤防高に対して一部割り込んでいる状況でございます。しかしながら、当該箇所は計画高水位までの堤防高を確保されていることから、河川全体の治水安全度の向上を図る観点から、関係住民の意見を聴取し策定されました河川整備計画に基づきまして、現在は、堤防の高さとそれから幅が不足している起、それから小信中島地区の整備等を進めるとともに、堤防の耐震対策等を優先して実施しているところでございます。

 橋梁のかけかえは一般的に多額の費用を要すること、それから、橋梁のかけかえが地元住民の生活道路等にも影響を与えるため、合意形成には長時間必要となることなどから、優先順位をつけながら実施をしているところでございます。

 尾張大橋及び近鉄木曽川橋梁についても同様な状況であることから、引き続き、橋梁管理者と必要な協議をより一層進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

岡本(充)委員 より一層進めるということですから、ぜひそうした成果についてもまた御説明をいただきたいと思います。

 さて、もう一つ大きな話として、やはり、マイナスゼロメートル地帯というのは強制排水をして暮らしているのが実態であります。川がそのままでは流れない、若しくは、潮が高くなると海の水が河川を上がってくる、こういうことがあって、高潮対策が必要です。

 先日も、これまた愛知県の二級河川であります日光川の水閘門のオープニングがありまして、各党の国会議員の先生もお越しになられて盛大に開催されましたけれども、こうした水閘門は門として新しいものをつくっていく。一方で、強制排水する排水能力は本当に十分なのかということを私は懸念しています。

 伊勢湾台風を一つの目安としている、こういう話であります。二百四十四ミリの降雨量、降水量。雪は入りませんから、降水量ほぼイコール降雨量だと思います。

 この二百四十四というのを超えるのがあるのか、ざっと調べてみたところ、二〇一一年には、これは台風が来たときだと思いますけれども、たった十分で、新潟県で五十ミリの雨が降った、こういう記録もあるようです。また、一時間雨量だと、千葉県の香取市や長崎市などで百五十三ミリという降水量がある。また、一日だと、これも台風のようですけれども、二〇一一年に、台風二十三号が来たときじゃないかと思いますが、高知県で一日雨量が八百五十一・五。また、同じ時期に三重県でも、二〇一一年の七月、この台風の時期だと思いますが、七百六十四ミリ、こういう雨が降っています。

 そういう意味でいうと、二百四十四という想定が果たして適正なのか。伊勢湾台風ですと言っていますが、昨今の台風の状況。そしてまた、気象庁ではないけれども、四国電力が観測をしたデータでは、二〇〇四年に一日の降水量が一千三百十七ミリ、こういうのを徳島県で観測しているようであります。

 そういう意味で、本当に、二百四十四ミリの降水量に対して耐え得る排水ポンプの能力だと言っていることが果たして想定内なのか、先ほどの話で、回避でき得るものなのか、こうしたことを検討して、今の排水ポンプの能力を高める必要がないかどうか、もう一度確認をする必要があると思うんですが、それについての見解を求めたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 日光川の河口部には、高潮等の浸入を防止するための水門設置とあわせまして、日光川の排水を行うために、排水機場の整備を進めてきたところでございます。

 この排水機場では、この流域におけます既往最大の被害である昭和三十四年の伊勢湾台風が再来した場合でも浸水を防止できることを目的といたしまして、最大時間雨量は四十一ミリ、総雨量二百四十四ミリという外力を想定し、土地改良事業によって整備された分と合わせまして毎秒二百トンの排水能力を確保しておりまして、関係住民の意見を聴取して策定されました河川整備計画においても、現況の施設を適切に維持していくこととされているというふうに聞いているところでございます。

岡本(充)委員 きょうの新聞にも載っていました、大臣。福島原発の津波、十五・七メートル来るんじゃないか、こういう指摘があって、長期のスパンで見ればこういうことに対しても対応するべきだという声があったことに対して対応しなかったことが、やはり今回の事態を招いたんじゃないかという指摘があるわけですよ。

 今お話をしましたように、私は今、この国会で、議事録にも残ったと思います、これだけの雨が降っている昨今の現実がある。一日の降水量が八百五十一、これは二〇一一年ですよ。二〇〇四年には、四国電力の観測所だけれども、一日で千三百十七という数字がある。二百四十四でいいんだ、今、伊勢湾台風の被害を繰り返さないために二百四十四だと。

 二百四十四を想定して準備をしているというのが果たして適切なのかどうか。これは検討ぐらいしてもいいんじゃないですか。検討もせずに、こうやって指摘を無視をして、あるいはこれに対応せずに、本当に、また、いや、想定外でした、雨降っちゃいましたと。これではやはり許されないと思いますよ。

 ぜひ、これも大臣、先ほどの感想ではなくて、決意を込めて、できることをやるという意味で、検討を進めていく、それぐらいは御答弁いただけませんか。

小此木国務大臣 これは、日夜、日々検討はしているんですね。防災部局として、いろいろな有識者からの話を聞くということもあります。委員からの御指摘も、この災害対策特別委員会では私は初めてでありますけれども、省として幾たびか受けていると思います。そういったことも含めながら、しっかりと取り組んでまいります。

岡本(充)委員 きょうは国交省の政務にもお越しいただいておりますが、いかがですか。検討、どうですか。

 今、事務方からは、二百四十四だ、伊勢湾台風だと。ただ、私、言いました、もっとすごい雨が昨今降っているんですよ。本当に二百四十四でいいのかということをもう一回考え直す。それは、すぐに予算をつけろと言っているわけじゃない。いろいろな意味で多角的に検討する必要はあると思いますよ。

 やらないか、やるのか。どうでしょう。

秋本大臣政務官 先ほど小此木大臣が答えたとおりでございます。

岡本(充)委員 ということは、日々検討しているから二百四十四でいい、こういうことですか。

 大臣、もう一回ちょっと、今の政務の説明を受けて、どういう決意か。

小此木国務大臣 日々さまざまな検討がされていると思いますし、災害も、島根県で起こったような、あるいは土砂崩れ、地震、雨、年々ふえてきています。こういった中で、委員会でさまざまな委員の御意見、あるいは視察をされた皆さんの認識を伺いながら、有識者の考え方もお知らせいただいて、日々私たちが、今考えています。

 ですから、同じように、一人でも大切な命を救うために取り組んでまいります、こういうことを申し上げました。

岡本(充)委員 何か一般論みたいな話で残念ですね。

 これは議事録に残りますからね、秋本政務官。そんな冷たい答弁をしていたことは、後から指摘されますよ。口を結んで、少しはにかんだ笑いをされていますけれども。これは本当に真剣な話ですよ。

 悪いけれども、そんな話ではなくて、やはりこれは検討するべきですよ、これだけ雨が降っているんだから。二百四十四で本当にいいのかということは考えるべきですよ。私は本当に、これは議事録にしっかり残してもらって、後からの検証のときに、私は指摘をしていたということを言いたいと思います。

 その上で、もう一つ、やらなきゃいけないのにこれがなかなかできていないのが、国土交通省の宅地耐震化推進事業、特に液状化防止事業です。

 これは、家が倒れてから、若しくは液状化になってから再建するのは大変です。費用もかかります。今から対策をとるべきだと言ってきて、はや何年たったかわかりません。五年間、この予算、多分平成二十五年ぐらいから行われている。熊本地震での復旧に関連して使われたお金を除けば、実質的にこの五年間で行われたのは、大津市で行われた液状化マップの作成にとどまる。これは事実ですよね。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年につくりました宅地液状化防止事業、使われましたのは、先生御指摘のとおり、熊本の地震の復旧工事以外は、滋賀県大津市の事例一カ所のみでございます。

岡本(充)委員 五年間やっていて、大津市で一カ所、液状化マップをつくっただけのこんな予算というのは、なかなかないですよ。

 これも前から指摘しているんです。この委員会だったかほかの委員会だったか、ちょっと覚えていませんが、何回か指摘している。何でこれが使われないのか。

 食べてもらえないメニューを並べて、私たち、メニューを用意していますと言ってもだめだと。どうしてみんなが使わないのか、いろいろな関係自治体に聞いてみたらどうですか。必要性はわかっているはずですよ。だけれども、何でこれを使って液状化対策が進まないのか。何か課題があるはずです。国で用意をするだけじゃなくて、お客さんの声、聞いてみましょうよ。どうですか。例えば、うちの地元の自治体の皆さんにでも聞いてみられたらどうですか。

 どうしてやらないんですか。いかがですか。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 先生にはたしか三回ほどこの御指摘をいただいているかと思います。

 国土交通省といたしましては、地方公共団体の防災に関する担当者会議などあらゆる機会を捉えて、情報提供と具体的な技術的支援の内容を説明しております。また、現場での調査や対策工事を実施する際に生じます問題を聞き取るなど、液状化対策に取り組む地方公共団体をふやすように取り組んでまいっております。

岡本(充)委員 時間だから終わりますけれども、これは三回やっているんです。でも、結局使われていないんですよ。だから、自治体に一回聞いてみたらいいんですよ。霞が関で幾らヒアリングをやったり関係者を呼んでメニューをつくっても、使われなきゃ一緒なんです。

 大臣、それも、最後に一言。ぜひ、関係自治体、地元自治体、ちゃんと聞いてやっていただく決意をもう一回最後に聞いて、終わります。

小此木国務大臣 各省庁と、責任ある立場でありますので、しっかりとこの委員が言われた観点から取り組んでまいります。

岡本(充)委員 終わります。

望月委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本でございます。

 きょう最後の質問者ということで、おつき合いをお願い申し上げます。

 まず、きょうは、防災という点で、自助、公助、共助とか御議論もあったかと思いますけれども、わかりやすさというか、自助をしていただくためのわかりやすさみたいなところをちょっと論点にさせていただきたいと思います。

 冒頭、各委員おっしゃっていますけれども、島根県西部を震源とする地震に対する被災の方々へのお見舞い、そしてまた、昨日の大分県の山崩れで被災された、亡くなられた方への御冥福、そして、今なお見つからない五名の方々の奇跡的にでも助かっていただきたいという思いを込めての捜索を、お見舞いと御冥福を申し上げたく存じます。

 それで、土砂災害特別警戒区域であったということなんですけれども、今、岡本先生からは雨の量についてあって、想定されるのは、雨が相当降ってしまって山崩れなり土砂崩れが起きるというのは我々も想定していたと思うんですけれども、今回の大分の中津の事案については、雨がない状態にもかかわらず、地下水なのか、そういった影響なのか、まだ原因は究明されておりませんけれども、そういった事案が起きてしまったということなので、これは大臣に答弁は求めないんですけれども、土砂災害特別警戒区域であったり土砂災害警戒区域の方々も、日本は、海洋国家でもありますが、山間国家でもある、山国の国であるということもありますので、質疑の中で、急いでやらなきゃいけないこともありますし、予算の制約もありますし、政府側の立場も私もわかりますけれども、改めて、こういった危険な地域に住んでいらっしゃる方々が現在もなおいらっしゃるということなので、国がいろいろできることをやっていかなきゃいけないんですけれども、やはりみずから、自分はそういう危険なところに住んでいるという意識を持っていただかないと、今回の事案も本当に残念なんですけれども、特別警戒区域に住んでいらっしゃったことが生死を分けてしまうようなことにつながっているような気がいたしますので、そういった意味では、御自身の御認識を高めていただくような警鐘、広報活動を改めて政府にはお願いしておきたいと申し上げます。

 それと、先般、雪害の件で大臣とは質疑をさせていただきました。その際に、私は、とにかく現場に入っていただきたいというお願いを申し上げたところ、小此木大臣は早速早いタイミングで現地に行かれました。やはり現場あっての政治だと私は思っていますし、大臣はそれ以上の御認識をお持ちだと思いますので、先般入っていただいたことに対しては敬意を申し上げさせていただきたく存じます。

 それで、いろいろ話を申し上げて恐縮なんですけれども、けさほどNHKで、熊本地震のみなし仮設に住んでいる方の孤独死について報道がございました。この方は、いわゆる地公体さんがフォローする対象から外れて、ひとり住まいで被災され、そして、みなし仮設住宅に五キロ離れて住んでいたというような中で孤独死を迎えられたということで、それでまた発見がおくれたとかという報道でございました。

 現実問題として、こういう方を少しでも減らしていくということは我々は行うべきことでもありますけれども、一方で、やはり高齢化が進んでしまっている、そして人口減少がいや応なく来ているというのが我が国の本当に現状だと思います。

 そういった意味で、安倍総理とも質疑させていただいていますけれども、やはり人口減少に対する対策を打たないと、被災する方を少しでも減らしていくということにつながっていかないんじゃないか。話はそれるかもしれないですけれども、本質はそこだと思っていますので、委員長、聞いていただいて恐縮なんですけれども、やはり人口減少に歯どめをかけるための教育無償化であったり、あるいは子育て環境の整備であったり、あるいは税制を含めた子育て環境の整備といったことも我々は考えていく必要があると思っています。

 さて、きょうは、わかりやすい防災ということなんですけれども、多岐にわたって質問をしてしまう関係で、ちょっと順番を変えて、質問漏れで、せっかく忙しい中来ていただいたのに答えていただかないというのは避けたいと思いますので、順序が真逆になるかもしれませんけれども、まず、先般の所信のときに副大臣から御説明いただいたかと思うんですけれども、予算のところの中で、科学技術の研究予算、原子力規制庁の部分の予算で、原子力災害対策項目、原子力発電所等の地震・津波等の外部事象に対する安全性の評価というところで予算が計上されていまして、三十年度予算でございますけれども、十七億八千四百万という数字だったんです。

 私は、金額を見て、さっきも質疑いただいて、防ぐことができたのではないかと言われた福島第一原発の事故があったわけですが、最善を尽くして行えばできたかもしれないけれども、やはり人間が行うことなのでミスがあって、全電源喪失ということになりました。

 またちょっと一人でしゃべって恐縮なんですけれども、この部屋で、当時、民主党が政権だったときに、今は引退されました共産党の吉井英勝先生が全電源喪失の質問をされたんです。全電源喪失しても大丈夫かという質問を経産大臣にしたところ、いや、大丈夫だという答えをされました。しかし、大丈夫ではなくて、全電源が喪失されたというのが事象だったかと思います。

 そういった意味で、この地震・津波に対する外部事象に対しての安全性評価というのは極めて大事だと思うんですが、我々は福島F1を経験しているにもかかわらず、月日はたちましたけれども、まだそんな、十年もたっていないわけでございます。

 そんな中で、十七億八千四百万という金額はどういう算定根拠でなされたのか。私は不十分でならないと思っておりますけれども、この内容等も含めて御説明をいただければと思います。これは原子力規制庁さんの技監の方をお願いしていると思いますが、よろしくお願いします。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、原子力規制委員会におきましても、東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえまして、こういった地震、津波等の自然現象、これは重大事故に至るような共通原因故障を引き起こす一つの要因でございますけれども、こういった自然現象に関する研究を重要な研究の分野として位置づけてございます。

 御指摘のございました原子力発電所等の地震・津波等の外部事象に対する安全性の評価等としてお示ししております十七億八千万余りでございますけれども、この研究予算におきましては何をしているかということをまず申し上げますと、一つは、地震、津波といった、こういう自然災害の規模あるいは発生の頻度、それから、それらが原子力施設へどのような影響を与えるかといった、こういった度合いに関する研究をやっているのが一つ。

 それからもう一つは、こういった地震や津波などが起きますと、例えば原子力発電所においては建屋、機器あるいは防潮堤といった構造物がございますけれども、こういった構造物の安全性の評価に関する研究、このようなことを実施することとしてございます。

 御指摘のございました数字でございますけれども、平成三十年度におきましては、当初二十二億四千万余りの概算要求を行ったところでございますけれども、予算編成段階におきまして計上単価等の精査を重ねた結果、最終的には十七億八千万余りといった金額になりましたけれども、必要な予算額を確保することができて、今しっかりと研究ができているというふうに思ってございます。

 もちろん三十年度につきましてはこれから執行しますけれども、今後とも、原子力規制を支える安全研究にはしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

杉本委員 御説明ありがとうございます。

 財務省、今、こういう事態がいろいろ起きていますけれども、財務省は、今、役所の中の役所でなくなっている状況ですから、言うべきは言ってきちっと予算を確保していっていただかないといけない部分もあると私は思いますので、御説明いただきましたけれども、また引き続きお仕事に精励いただきたいと思います。

 もしお忙しければ、お引き取りいただいて構いません。ありがとうございます。

 次に、今回の山津波の関係でも多分派遣されていると思いますけれども、災害救助犬のことについて伺いたいんですが、きょうは南海トラフの地震について主に伺う予定でございますが、南海トラフの大地震が起きたときに極めて広域になると思うんですけれども、災害救助犬の数というのは一体十分なのか。

 何か、私が聞く限り、八歳で引退して里親を探すとか、犬種が限られているとか、適性が雄雌であるとか、いろいろもろもろあると思いますが、現在の災害救助犬の頭数なり、そして、今後、南海トラフ地震の大規模地震を想定すると、広域地震に備えてもっとふやしていく必要があるのではないかという思いを私は持っているんですけれども、これは警察庁の警備局長にお越しいただいていると思うんですけれども、御答弁いただければと思います。

村田政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、警察犬のうち災害現場における捜索活動等に対応可能なものを災害救助犬として活用しており、平成三十年一月現在、全国の警察で百頭弱が活用可能であります。

 昨日発生した大分県中津市における土砂崩れ現場での捜索活動に際しても、大分県警察が災害救助犬を活用するなど、従来からさまざまな災害活動現場において救出、救助等に貢献したところであります。

 平成二十三年の東日本大震災におきましても災害救助犬を捜索等に活用しており、今後発生が懸念される南海トラフ地震や首都直下地震等の大規模災害においても適切に活用していくこととしております。

 災害救助犬として今後活用すべき頭数につきましては、民間団体との連携も図っているところであり、これまでの活動実績や今後のハンドラーの育成、各種装備品の導入等を総合的に勘案しつつ、今後とも引き続き的確な取組を進めることとしております。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。百頭という数を伺って少し安心をしました。

 民間団体との連携、そして、予備自衛官じゃないんですけれども、八歳で引退しても、いざとなったらまた、登録しておいてもらって更に出てきてもらうとか、そんなこともちょっと検討していっていただければありがたいかなというふうに思います。

 以上、災害救助犬について質問は終わりますので、お忙しいと思いますので、もうお引き取りいただいて、委員長、よろしいでしょうか。

望月委員長 はい、どうぞ。

杉本委員 それでは、本論というか、南海トラフ全体について、わかりやすいのかわかりにくいのかみたいな、ちょっと庶民感覚的なところで質問させていただきたいと思います。

 赤羽先生から自助、公助、共助という質問がありましたけれども、私がちょっと聞きかじった言葉だと、自助、近助、共助という言葉があるそうで、近くを助けると書いて近助という言葉で、これは地区防災活動ということの中で、「コミュニティ防災の基本と実践」という何かいい本が大阪公立大学共同出版会というところで出ていて、いわゆるコミュニティーで地域を助けていくんだということで、私も聞きかじった話で恐縮ですが、直近、二十八年度かもしれないんですが、モデル地区を全国で四十四地区決めて、私の地元の一宮市神山連区、地域を連区と我々は地元で呼んでいるんですけれども、そこも選んでいただいていまして、そんなことで、自助、近助、共助の近助を一生懸命モデル的に活動させていただいている地区があったりします。

 こういった意味で、いわゆる公助というか近助というかという部分は極めて大切だと思うんですけれども、一方で、やはり自助の意識というのを持っていただかないと、高齢化していったりする中で、あるいは、先ほども文科省さんが確率を十年、二十年、三十年、五十年でおっしゃっていただいていたと思いますが、十年で三〇%だと、どうなのかな、野球でいえば三割の確率という話になるかもしれませんが、十年間で三割だと、まあ来ないかなと思っちゃうというのが人の気持ちというか、危機意識みたいなところだと思うんです。

 そんな中で、これもまた一方的に申し上げていますが、政府広報があって、テレビで時々宣伝が入りますけれども、ああいった部分でもやはり自助に対する意識を少し高めていただく必要があると思いますが、その一方で、いろいろ政府の、地震の可能性とかそういったところでわかりにくくなってきていて、何を準備したらいいのかみたいなところが、複雑多岐にわたってしまうと準備が逆にしていただきにくくなってしまうのではないかなという意識を私は持っています。

 これも気象庁さん、内閣府さんに主に答えていただくんですけれども、その前に、文科省さんに来ていただいている部分の担当があって、そこについて伺いたいんです。

 政府の地震調査委員会は、今後三十年以内の発生確率を七〇から八〇と、先ほど答弁がありましたけれども、予測し、次の地震が切迫してきているということで南海トラフについて言っておられたんですけれども、三十年以内の七〇から八〇の予測というのは、これは決まったことなのでそう言わざるを得ないんですけれども、何かもう少しわかりやすさ、対応しやすさみたいなところで変えていく必要もあると私は認識しているんです。

 発表する立場でなかなか難しいと思いますけれども、こういう三十年以内の七〇から八〇という表現がわかりやすいか、あるいは準備しやすいか、そういった点での今の文科省さんの認識を伺わせていただければと思います。

大山政府参考人 お答えいたします。

 地震調査研究推進本部地震調査委員会では、例えば、今後三十年といった一定期間内に発生する可能性のある地震の場所、規模、確率についての長期評価を実施しております。

 委員御指摘のとおり、南海トラフにつきましては、今後三十年以内の発生確率を七〇%から八〇%と評価し、公表しているところでございます。

 地震調査委員会の評価の広報のあり方については、さまざまな御指摘があり、これまでも不断の見直しを行ってきたところでございます。今回御指摘いただきました点も踏まえつつ、有識者の議論を経て、引き続き広報のあり方について検討してまいりたいと存じます。

杉本委員 ありがとうございました。

 政府全体挙げて、確率論というのはそれはそれであると思うんですが、やはり各省庁が協力いただいて、わかりやすい告知というか周知というかをお願いをしておきたいと思います。

 文科省さんはこれで、委員長、よろしければお引取りをいただければと思います。

 次に、これは内閣府さんに伺おうと思うんですが、済みません、相前後しますけれども、地震予知はもうしないみたいな、諦めたみたいな情報があるんだかないんだかわからないんですけれども、あるいは、地震予知は相当難しいのでなかなかできにくくなったのか、ちょっとこの辺が一庶民感覚でいくとわかりにくいんですけれども、今、地震予知というものはどうなっているのか、このあたりを含めて御説明をいただければと思います。

海堀政府参考人 お答えさせていただきます。

 南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループのもとに設置されました地震学の専門家から成る調査部会におきまして、現時点においては、地震の発生時期や場所、規模を確度高く予測する科学的に確立した手法はなく、大規模地震対策特別措置法に基づく警戒宣言後に実施される現行の地震防災応急対策が前提としている確度の高い地震予測はできないのが実情であるということが整理されたところでございます。

杉本委員 いわゆる人間の英知の限界みたいなのを逆に言っていただいちゃうと、そういうことになっちゃうと残念なような気もしますけれども、現状そうなっているということですが、さっき文科省さんが言われたような確率では、地震というか南海トラフ大地震の確率が逆にあるということなので、とにかくわかりやすくしていただくということをお願いしたいなと思います。

 気象庁さんに来ていただいているんですけれども、臨時の情報と定例の情報みたいな表現があって、ふだんと比べて巨大地震が起きる可能性が高まったとか、あるいは、ふだんより巨大地震の可能性が高まっているとか、もろもろ表現があったり、ひずみ計を使われている中で、一定の異常を捉えたとか、もろもろあって、これもまた非常に、私、素人的にはわかりにくいというか、庶民感覚ではわかりにくいんですけれども、このあたりの運用、あるいは変更とかあったのかをわかりやすく御説明いただければと思います。

橋田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねのありました情報は、南海トラフ地震に関連する情報のことでございます。先ほど内閣府からもございましたけれども、昨年九月に開催されました中央防災会議防災対策実行会議におきます報告等におきましては、南海トラフ沿いで発生する大規模地震につながる可能性がある現象を観測し、その分析や評価結果を防災対応に生かすことができるよう、適時的確な情報の発表に努めることが重要である、このように指摘されておりまして、この会議を受けまして、昨年十一月から、気象庁では、南海トラフ地震に関連する情報の発表、運用を行っているところでございます。

 この情報には、臨時と定例で発表するものがございます。このうち臨時につきましては、南海トラフ沿いで異常な現象を観測し、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合、また、その調査をした結果として地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価した場合などに臨時の情報を発表するということとしております。

 また、お尋ねがありましたひずみ計でございますけれども、この南海トラフ沿いには東海地域などを中心といたしましてひずみ計を設置しておりまして、このひずみ計に有意な変化を観測した場合等におきましても、同じく調査を行うというようなことをしております。その調査をした結果として相対的に地震発生の可能性が平時と比べて高まっていると評価された場合には、同じく臨時の南海トラフ地震に関連する情報を発表する、このようにしております。

 それから、定例でございますけれども、定例につきましては、この南海トラフ沿いの地震活動を常時監視しております。この監視をした結果を、有識者で構成されます南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会というのを毎月定例で開催をしておりまして、観測データを分析するという行為を行っております。その結果として、定例として、南海トラフ沿いに関連する情報を、今の状況がどうなっているかということを発表することとしておりまして、このような定期的な情報の発表は、南海トラフの地震に関する理解、それから防災意識の向上にも寄与するものと思って取り組んでいるところでございます。

 以上であります。

杉本委員 臨時と定例、御説明いただきましたけれども、わかりやすさという点でもう少し煎じ詰めていく必要があるのかなというのは、今伺いながらちょっと感じてしまいました。鋭意努力をいただければと思っております。

 その関係で、日本大学がことし二月にインターネットで行った全国二千人のアンケート調査、この南海トラフ大地震について、情報そのものや内容について知っていたかということに対して、答えた人のわずか一八%しか知っている人がいなかった。知らない人は、もろもろ合わせて八二%にも上った。また、情報について、二〇%の人が、どのように判断すればいいのか難しいと。あるいは、情報が出た際の行動や対応がわかりにくいという答えが多かった。

 これはNHKの社会部の記者さんが書いている記事にあったんですけれども、最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、政府広報なども含めてなんですけれども、一体我々は何を備えたらいいのか。先ほども、水は三日分じゃなくて七日分だというお話もあったし、避難場所はちゃんと確認しているんでしょうかとか、あるいは、寒い冬に地震が起きたらどうしたらいいんだろうか、暖をとらなきゃいかぬとか、そういった単純化した形での備えみたいなことを、ぜひ自助という意味でしておいていただく必要があると思うんです。

 そういった意味で、以上の話をまとめて、全体として、政府は、南海トラフに対しての備えを自助としていかにしていただくべきなのか、あるいは方向感があるのかなどについて御所見を伺えればと思います。

小此木国務大臣 先ほど岡本委員のときに答えたように、我々は、やはり日々いろいろな検討会議を持って危機に備えなきゃいけないということが一つだと思います。これが、いわゆる公助、国あるいは自治体が手を差し伸べるということでは必要で、これは日々やっていかなきゃいけないこと。

 そして、自助、近助、公助という話は私は今初めて聞きましたけれども、ただ、自助という、今、岡本さんに答える一方で、そうは言っても、私がいろいろな被災地を訪れるたびに、あるいは被災に遭われた方々のお話を聞くたびに、防災意識が高まってきているのを感じる。その一方で、今のアンケートの結果を見ると、ちょっと私の答え、気持ちとはまた裏腹だなというところがいろいろなところであろうかと思います。実際に、国民の皆さんに、どこに信頼を置いていいんだろうか、不安もまだ現実にある。

 そういったことを私たちはしっかりと確認をするというか、そういうことがあるんだということを認識をしながら、例えば、南海トラフにおいて予知ができるという思いも、かつて、大震法の中で、いろいろな研究者の中でそういうことがあったけれども、それには課題があるということが最近、この二年、一年の間に出てきた中で、新しい南海トラフに関するワーキンググループというものもでき、きょうの十時から、南海トラフに関連する情報が発表された際の住民避難等の防災対応のあり方等を検討するための有識者から成るワーキンググループを設置して、十時からきょう開かれているということも、先ほどの、日々の検討をしなきゃいけない、会議を持たなきゃいけないということであります。

 ですから、自助にかかわる被災地の皆さんというか地域の皆さん、そういった方々が助け合う共助、そして、私たちから成る公助というものをバランスよく、しっかりとそれぞれの分野で認識をして当たっていくことが重要である。話が長くなりましたけれども、自助、共助、それぞれの中でしっかりと認識をしてもらうということをむしろ私たちは発信をし続けるということだと思います。

杉本委員 以上で終わります。ありがとうございました。

望月委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.