衆議院

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第3号 平成28年12月12日(月曜日)

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平成二十八年十二月十二日(月曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 克昌君

   理事 伊東 良孝君 理事 武部  新君

   理事 堀井  学君 理事 武藤 容治君

   理事 渡辺 孝一君 理事 佐々木隆博君

   理事 松木けんこう君 理事 稲津  久君

      秋本 真利君    尾身 朝子君

      國場幸之助君    佐田玄一郎君

      櫻田 義孝君    鈴木 隼人君

      田畑 裕明君    高木 宏壽君

      とかしきなおみ君    中谷 真一君

      宮腰 光寛君    宮崎 政久君

      山口 泰明君    山田 美樹君

      和田 義明君    石関 貴史君

      近藤 昭一君    吉田 宣弘君

      赤嶺 政賢君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 鶴保 庸介君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  滝澤 依子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          日下 正周君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   北崎 秀一君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  槌谷 裕司君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           山本 茂樹君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           斉藤  実君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 鈴木 三男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤江 陽子君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        山下 隆一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 山本 達夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 谷井 淳志君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十二日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     田畑 裕明君

  高木 宏壽君     秋本 真利君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     中谷 真一君

  田畑 裕明君     尾身 朝子君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     山田 美樹君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 美樹君     高木 宏壽君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官滝澤依子君、内閣府大臣官房政府広報室長日下正周君、内閣府政策統括官北崎秀一君、内閣府沖縄振興局長槌谷裕司君、内閣府北方対策本部審議官山本茂樹君、警察庁長官官房総括審議官斉藤実君、警察庁長官官房審議官鈴木三男君、外務省大臣官房審議官相木俊宏君、財務省主税局長星野次彦君、文部科学省大臣官房審議官藤江陽子君、資源エネルギー庁資源・燃料部長山下隆一君、防衛省大臣官房審議官山本達夫君、防衛省大臣官房審議官土本英樹君及び防衛省地方協力局次長谷井淳志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田義明君。

和田委員 北海道五区選出の自由民主党、和田義明でございます。

 本日は、沖縄北方特別委員会で質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 特に、日ロ首脳会談を三日後に控えたこのタイミングにおきまして、北海道選出議員としてこの機会を賜りましたことは本当に光栄でございまして、心より御礼を申し上げます。

 また、大変御多忙な中、鶴保沖縄及び北方対策担当大臣、岸田外務大臣、若宮防衛副大臣及び政府関係各位に貴重なお時間を賜りまして、重ねて御礼を申し上げます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 早速質疑に移らせていただきます。

 まず最初の点でございますが、日本とロシアは、戦後七十年にわたりまして、残念ながら、まだ平和条約が締結できておりません。これは大変異常な事態でございます。

 その一方で、近年、日本とロシアの間では大変緊密なコミュニケーションが進んでおりまして、このたび、総理が地元にロシアのプーチン大統領をお招きする大変友好的な演出もされております。先日は、岸田外務大臣もロシアの方に赴かれて、外務大臣と会談をされておりました。このような地球儀を俯瞰する外交の成果は非常に大きいというふうに思っておりまして、安倍総理を初め、政府各位の活発なイニシアチブに心から敬意を表したいと思います。

 また、日本を取り巻く安全保障環境は極めて厳しい状況にございまして、南西諸島では中国と尖閣諸島の領有権を争っておりまして、また、北朝鮮は核、ミサイルの脅威を日に日に強めている状況でございます。こういった中で日本がロシアと平和条約を締結できますと、これは極めて日本の安全保障上重要なことでございまして、ぜひとも、一日も早い実現をお願いしたいというふうに考えております。

 さて、北方領土の方に目を移しますが、現在御存命の元島民の皆様方は六千三百名いらっしゃいます。多くの方々が高齢化が深刻でございまして、これは本当に一刻の猶予も許さない事態だと認識をしております。この事態は、北朝鮮の拉致被害者問題と同様に、一日も早く解決をしなければ高齢の方々が結果を見ないで大変残念なことになってしまう、こういったことが危惧されておりますので、一日も早く解決をしなければいけない、そういった責任感を非常に強く感じている次第でございます。

 元島民の方々に気兼ねなく故郷の土を踏んでいただきたい、そして故郷の空気を胸いっぱい吸っていただきたい、こういった思いを政府と共有させていただいておりますとともに、これを実現するのは我々政治家の使命であるというふうに考えております。

 また、北方領土の返還でございますが、これは、対岸の根室のみならず、北海道東部全体の漁業者が期待を寄せるところでございます。近年、気候変動などで不漁が続いております。最近では、タラやホッケがなかなかとれない、そういったことで地元の漁業関係者の方々も大層苦しんでおられます。そしてまた、道東におきましては、北方領土返還後はこれを軸とした観光業をもってぜひとも地元の経済活性化を進めて地方創生を果たしたい、そういった期待、思いも強うございます。ですので、一日も早い領土返還を期待したいところでございます。

 最初の質問でございますが、鶴保大臣にお尋ねいたします。北方領土問題への取り組みに対する意気込みについてお尋ねいたします。

鶴保国務大臣 委員御指摘のように、北方領土問題は、戦後七十年が過ぎた今も解決をしていない日ロ関係最大の懸案事項であると理解をしております。

 その意味で、これまでも国民の理解を進めるため啓発活動を紡いでまいりましたけれども、先ほど来お話がありますとおり、ことしこそという島民の声は強く私も感じておりますし、先般も現場へ行かせていただき、その思いを強くしたところであります。

 したがって、我々として何ができるかという観点から、内閣府北方対策本部のホームページには領土問題についてのわかりやすい解説を掲載させていただき、そこにおいて、どういうことを問題意識として持っていらっしゃるか、どういうことを聞きたいか、知りたいかといったことについても書き込みができる等々の双方向のやりとりもさせていただいております。

 また、北方領土隣接地域の地盤沈下、人口減少等々の状況も鑑み、これらの隣接地域の振興策も北方領土問題の正しい理解と関心を高めるために必要なことであろうということで、北方領土隣接地域での観光、交流人口の強化に向けた検討会等々も始めさせていただきました。

 いずれにいたしましても、さまざまな手段を通じてこうした啓発、理解を深める努力を続けていきたいというふうに考えております。

和田委員 鶴保大臣、ありがとうございました。双方向のコミュニケーションを取り入れるなど、元島民の方々、関係者の皆様に寄り添った対策も含めて全力で取り組んでいただいているというふうなことを承知いたしました。まことにありがとうございます。

 続きまして、次の質問に移りたいと思います。

 現在、ニュースでは、ロシアとの経済協力の話が非常に先行しているようにお見受けをいたします。資源、エネルギー、インフラ、金融など、幅広い分野で検討が進んでいるというふうに承知をしております。私も、元商社マンでありまして、こういった話を聞きますと、非常に腹の底からアドレナリンが湧いてまいります。期待を強めている次第でございます。

 その一方で、このチャンスを逃してはいけない、そういった危機感も感じております。まかり間違っても中国資本による北方四島の開発などはあってはならない、そういうふうに思っておりますし、そういった意味におきましても、厳しい交渉だとは思いますが、スピード感を持って解決していく必要があるというふうにも感じており、このかじ取りの厳しさというものにおきましては、本当に大事だなというふうに感じている次第でございます。

 その一方、領土問題の交渉の過程、当然今、直前でございますので、なかなかお話しいただけないことも多々あるとは思いますけれども、なかなか不透明なようにもお見受けいたします。

 先般、岸田大臣がラブロフ外相と行われました会談におきましては、日米の安保がネックになっている、そのような新聞記事も拝見いたしました。また、先般、安倍総理の談話におきましても、領土問題の即時解決は難しいかもしれない、そういったような趣旨のコメントがあったようにお見受けをしております。全くもって楽観を許さない状況であるというふうなことを承知しております。

 そして、国後島、択捉島では共同立法地域というふうな案も出ているようでございまして、これも一つの妥協案なのかなと思う一方で、法の執行の管理の難しさ、これをどうやったら本当にちゃんとできるのかといったことの懸念もございます。例えば、仮に邦人が国後島、択捉島に住むようになった場合に本当に安全が確保できるのか、また、どの人たちにどの法律が適用されるのか、こういった難しさはあると思っておりまして、早く現実的な解決策が見つかるように期待をさせていただいている次第でございます。

 今最も懸念されますのは、経済協力が先行して、本来返してもらわなければならない領土、これが返ってこない、こういったただ食いの状態だけは何としても避けていただきたい、そういうふうに思っておりまして、凜とした姿勢でもって交渉に臨んでいただき、領土返還に向けて全力で御尽力いただきたい、この思いをこの場をおかりしてお話しさせていただきます。

 歴史的な交渉の直前でございまして、なかなか詳細をつまびらかにできないということは重々承知しておりますが、三日後に始まります日ロ首脳会談を控えまして、平和条約締結を含む対ロ外交の意気込みにつきまして岸田外務大臣よりコメントをお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 我が国の対ロ政策の基本的な考え方ですが、八項目の協力プランを初めとする経済分野、あるいは政治分野、あるいは文化、その他さまざまな幅広い分野を、日ロ関係全体を国益に資する形で進めていく、その中で北方四島の帰属の問題を明らかにし平和条約を締結していく、これが基本的な考え方です。要は、経済協力ももちろんですが、何よりも平和条約締結問題、これをしっかり前進させなければならない、このように考えます。

 戦後七十一年たってまだ解決できない問題ですから、そう簡単なことではありません。ぜひ一歩一歩進めなければならないということで、十一月十九日には、ペルー・リマで安倍総理も首脳会談に臨みました。十二月二日、私もサンクトペテルブルクでプーチン大統領を表敬し、十二月三日にはラブロフ外相と日ロ外相会談に臨みました。さまざまな分野で十二月十五日のプーチン大統領の訪日を成功させるために努力を、協議を続けている次第です。

 そして、来るべき山口での首脳会談、これは首脳会談ですし、まだ今協議が続いているさなかですので、この時点で予断を持って申し上げるのは控えなければならないと思いますが、まさに委員がおっしゃったように、元島民の方々も高齢化されておられます。高齢化されているこの島民の皆様方の気持ち、これをしっかり胸に刻みながら、静かな雰囲気で首脳会談を行い、率直な議論を行い、そして、ぜひ平和条約締結問題を前進させるべく最後まで力を尽くしていきたいと考えます。

和田委員 岸田大臣、ありがとうございました。

 いずれにしましても、この十二月の十五日の日ロ首脳会談にまでこぎつけたということは非常に大きな成果でございまして、せっかくここまで来れたのだから、目に見える結果が出ればこれはすばらしいことだなというふうに思っております。会談の成功を心より祈念しております。

 続きまして、三つ目の質問に参ります。

 御案内のとおり、我が国を取り巻く安全保障環境は依然厳しい状態にございます。

 そして、北海道におきましては、自衛隊に対する友好的な感情、これは特筆するべきものがあるというふうに自負をしております。北海道自衛隊駐屯地等連絡協議会を筆頭に、地元の応援団は、自衛隊の精鋭諸官そして御家族をしっかりお支えしていること、これを誇りに思ってございます。

 また、北海道には、御案内のとおり、広大な訓練施設がありまして、先般も日米の合同訓練が実施されたというふうに理解をしております。このようにすぐれた訓練環境は日本随一だと自負しておりまして、今後ともしっかりと御活用いただきたいということを、まずは一言お願い申し上げます。

 その一方で、日本とロシアとの関係、そしてロシアそのものでございますけれども、歴史的に見ますと、第二次大戦のときには、日ソ不可侵条約を当時のソ連が一方的に破棄して、そして満州と樺太に攻め込んだという客観的事実がございます。また、一九四五年の八月十八日には、占守島に、ポツダム宣言を日本が受諾した後にソ連が攻め込んできて、そして今の北方四島もソ連にとられたというふうな客観的事実がこれまたございます。

 近年におきましては、ロシアがウクライナの一部を実効支配した、武力によって現状変更を行ったという、これまた客観的事実もございます。

 今日の北の情勢を見ますと、国後島、択捉島を含む千島列島において、バスチオン、地対艦ミサイルをこれから配備するというような計画が進んでいるというふうにも仄聞しておりますし、また、自衛隊の飛行機によるスクランブル、これも決して減少しているとは言えない状況にございます。

 こういった客観的事実、そして自衛隊の今後の練度の強化の必要性を考えましても、北海道の自衛隊の体制強化、これは極めて重要だというふうに考えております。

 そこで、こういった状況を考えまして、ぜひとも北海道の自衛隊の体制は維持強化の方向で御検討いただきたい、引き続きお願いしたいと思っております。この点につきまして、防衛省の御見解をお伺いいたします。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 和田委員の御地元の北海道五区は、私どもの防衛省・自衛隊の陸上自衛隊の施設がまず五つ、それからまた航空自衛隊の施設が二つということで、大変、長年にわたってお世話になっておりますこと、改めて感謝申し上げたく思っております。

 先ほどの御質問の件でございますけれども、北海道は、もちろん今委員も御指摘になりましたように、全国の中でも演習場として非常に良好な訓練環境にあるということで、総敷地面積の約四七%ほどが北海道に位置してございます。

 また、特に陸上自衛隊につきましては、高い練度を維持しました機動運用を基本といたします作戦基本部隊の半数を北海道に配備させていただいている、保持させていただいているような状況でございます。

 また、大綱におきましても、部隊の改編、駐屯地それから基地等の配置に当たりましては、地方公共団体、また御地元の住民の皆様方の御理解が得られますよう、それぞれの地域の特性に十分な配慮をしていくというふうにも書かれてございます。

 委員が今御指摘になりましたように、さまざまな状況で一層、安全保障環境、我が国を取り巻く状況は非常に厳しさを増してございます。このような、訓練環境という北海道ならではの特性、それからまた大切な地域コミュニティーとの関係もよく踏まえながら、大綱、中期防に基づきまして、引き続き高い防衛力の整備に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

和田委員 若宮副大臣、どうもありがとうございました。

 先般、私の選挙区にある恵庭市というところで、戦車の射撃訓練大会が開催されました。その大会におきましては、地元の市議会議員の方々や地元の応援団の方々が多数駆けつけ、そして自衛隊の活躍を拝見させていただきました。

 北海道の連絡協議会の代弁といたしまして、これからもしっかりと応援させていただくことをお約束させていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは、四点目の質問に移りたいと思います。

 日ロ首脳会談を機に、ロシアとのエネルギービジネスがこれまで以上に注目を集めてございます。中でも、LNGの開発は経済協力の中核というふうに報道をされてございます。

 私の地元の石狩湾新港におきましては、サハリンから天然ガスを船で輸入をしております。そして、そのガスでもって札幌と札幌の近郊の都市ガス需要を賄っておりますとともに、目下、天然ガスによる発電所が建造中でございまして、今後はこのサハリンからの天然ガスを使用して電力もつくっていく、そういったプロジェクトがまさに今進んでいる状態でございます。

 現在、電力ケーブルやガスパイプラインの敷設が検討されているというふうに伺っておりますが、今後、ロシアは日本に対する資源供給国としてどのような位置づけになってくるのか、これから日本は今まで以上にロシアにエネルギーを依存するのかどうか、こういったところについて政府の見解をお尋ねいたします。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 地理的にも近接をし、豊富な石油、天然ガスの埋蔵量を有するロシアは、我が国の石油輸入量の約九%、天然ガスの輸入量の約九%を占めており、石油、天然ガスの供給源の多角化を進める上で重要な相手国でございます。

 石油の八割、天然ガスの三割を中東に依存しています現状に鑑みれば、ロシアとの経済協力を進めることでロシアへの資源依存度が直ちに懸念すべき水準に高まることにはならないというふうに考えてございます。

 政府といたしましては、日ロ首脳会談で提案された八項目の協力プランを踏まえて、引き続きエネルギー分野の協力を具体化してまいりたいと思います。

 また、お話ありました日ロ間のガスパイプライン構想につきましては、さまざまな報道がなされていることは承知をしておりますが、一般論として申し上げれば、パイプラインの建設投資主体、あるいは通過ルートの地元調整、漁業調整、あるいは地震対策などの安全性確保など、実現に向けてはさまざまな難しい課題があるというふうに承知をしてございます。

 また、ガスパイプライン敷設の可能性は否定されるべきものではございませんが、想定されますパイプラインルートは、現在、LNG受け入れ基地が多数建設されてございまして、既に大規模な投資が進んでいることから、LNGによる輸入との比較など、まずは民間企業による事業性の検討が進むことが必要であるというふうに考えてございます。

和田委員 どうもありがとうございました。

 石狩湾新港におきましてもLNGの受け入れ設備に多額の投資がされておりますので、今のお話を聞いて少々安心をいたしました。

 いずれにしましても、あと三日後に大事な会談があるわけでございますけれども、この会談が成功裏に終わりまして、そして、領土問題、経済問題が無事解決しますように心から祈念をいたしまして、私の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、國場幸之助君。

國場委員 國場幸之助です。

 沖北の委員会では三年ぶりの質問の機会をいただきまして、伊東筆頭理事を初めとしまして理事の皆様方には心から御礼を申し上げます。

 それでは、質問に入ります。

 私は、今回、大きく分けて三点の質問を行いたいと思います。まず最初に、沖縄が日本とアジアのかけ橋、万国津梁という言葉もありますけれども、これは観光や経済の文脈ではよく語られるわけでありますけれども、やはり沖縄が日本の外交、ソフトパワーの分野におきましてどのような貢献ができるのか、そういう趣旨でまず質問をしたいと思います。

 本年は、日米関係にとって重要な一年間だったと思います。それは、五月にアメリカ合衆国大統領として初めての広島訪問の実現、そして今月末には日本の首相として初めての総理の真珠湾訪問が行われます。

 真珠湾攻撃から七十五年がたちますけれども、日米開戦時の一九四一年の十二月、日米の国力の差、これは、GDPにおきましてアメリカは日本の十二倍、鉄鋼材の生産量は十七倍、自動車の保有台数は百六十倍、石油の備蓄量は七百七十七倍と、圧倒的な物量の違いがありました。にもかかわらず、さきの大戦に突き進み、多くのとうとい命を失いました。絶えずその歴史の検証と無数のみたまに対する慰霊と不戦の誓いを行うことは大切ですが、広島、真珠湾と、その象徴である悲劇の地に双方の首脳が訪問し合い、慰霊し合うということは、日米の外交史にとって歴史に残る二〇一六年だったと思います。

 そこで、岸田外務大臣に質問をします。

 歴代三位の外務大臣の在任期間を誇り、年明けには大平正芳外務大臣の任期も超える、そういうことになっているそうですが、最終的かつ不可逆的な慰安婦問題に対する日韓外相合意や、イギリスの現職外務大臣を含むG7の広島平和記念公園の訪問など、数々の実績を重ねてきた外務大臣として、そして、第一次安倍内閣と福田内閣では沖縄担当大臣も経験されております、その岸田外務大臣としまして、日本の外交力の強化のために、沖縄の潜在力や優位性というものをどのように生かしていくと考えておりますか。この点をまず冒頭にお聞かせください。

岸田国務大臣 日本の外交力、あるいは外交におけるソフトパワーにおいての沖縄の存在ということでお答えをさせていただきたいと思いますが、成長するアジアの中心に位置し、そして交易、交流の拠点として持続的な発展を図っていく、こうした期待される沖縄の地域ですが、日本のフロントランナーとしての役割を果たす可能性を秘めていると思います。加えて、豊かな自然、独自の文化、さらには食生活、こうした多くの人々を引きつける魅力を持ち、観光資源としてもすばらしいものを持っておられると思います。

 お聞きしますと、沖縄へのクルーズ船の寄港回数はこの十年間で二十二倍、沖縄を訪れる外国人観光客はこの十年間で十二倍に膨れ上がっているということでありまして、沖縄のこうしたソフトパワーというものが、世界に向けて日本の魅力を発信する上で大きな貢献をしていただいているというふうに認識をしています。

 人間というものは、実際にその土地を見ますと印象が随分変わるということがあります。やはり、日本をありのままに見てもらうことは大変重要であると思いますが、沖縄の魅力を入り口として日本のさまざまな側面に理解を深めていただく、そして、そのことによって外交における友好関係の基盤を強化していく、こういったことにつながるのではないか、こんなことも期待をするところであります。

 ぜひ、こうした重要な沖縄の魅力を世界に伝えるべく、外務省としても積極的に後押しをするべく努力をしていかなければならない、このように認識をしております。

國場委員 大変前向きな御答弁、まことにありがとうございます。

 そもそも、日本とアメリカの歴史は、一八五三年にペリーは浦賀に来る前に沖縄を数回訪問しております。日米の歴史を考える上で、沖縄の果たすべき役割は極めて大きいと思います。その大局的な、また歴史的な観点から、私は、二〇〇〇年のサミットの首脳会談や太平洋・島サミットが何度か開催されたように、国際会議の積極誘致や、ことし沖縄で開催されました太平洋島嶼国リーダー教育支援プログラムのレセプション、各国との人材交流プログラムを初めとしたものを積極的に誘致、推進するべきであると考えております。

 そのためには、JICAの沖縄国際センターや外務省沖縄事務所、沖縄担当大使の有効活用は重要であると考えております。

 私は、JICAの沖縄国際センターに関しましては、島嶼性や亜熱帯性といった特性を生かしたさまざまな実績があると高く評価しておりますけれども、その一方で、外務省の沖縄事務所の役割というものが極めて限定的過ぎると見ております。

 具体的には、この外務省の沖縄事務所、これは質問主意書の答弁なんですけれども、「沖縄担当大使は、在外公館の長たる特命全権大使と異なり、待命中の特命全権大使を沖縄担当に任命し、沖縄に駐留する米軍に関わる事項等についての沖縄県民の意見及び要望を聴取し、これを外務省本省に伝えるとともに、必要に応じ、米軍等との連絡・調整を行うこと等の外務省本省の事務に従事させている。」と。

 このように、米軍基地にかかわるさまざまな連絡調整という、これも重要な任務でありますけれども、しかし、今、岸田外務大臣からも答弁がありましたように、もっと大きな、大局的な観点から日本の外交のまさに基盤強化を担っていく、そういう側面も外務省の沖縄事務所には、当然そういう役割も担っていくべきであると考えております。その点についての大臣の御答弁をお願いします。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、JICAの沖縄国際センターについては、沖縄県の大学や企業とも協力をして、沖縄の強みを生かした途上国の支援に取り組んでいるわけですが、より一層この活用を図っていかなければならないと思います。

 一方、御指摘の外務省沖縄事務所ですが、これはそもそも、沖縄県の要望を受けて、平成九年二月に、沖縄担当大使を長とする外務省の出先機関として設置したものですが、御指摘のように、沖縄県には米軍の施設・区域が集中している現状等を踏まえて、米軍に係る問題について、地方公共団体等の意見を聴取し、在沖縄米軍と連絡調整を行っているわけです。

 ただ、今、現状を見ましても、沖縄県が国際的な交流とか協力活動を行うとか、さらには沖縄の魅力を世界に発信しようとする取り組みをする際に、外務省のこの沖縄事務所がお手伝いをする、支援をする、こういったことも行っているのは事実だと思います。

 このように、米軍にかかわる問題に限った取り組みだけをするものではないと思っています。よって、外務省沖縄事務所について、より一層幅広く活用することができるかどうか、こういった検討はしていくべきではないかと思います。

 ぜひ多くの方々に理解していただけるよう、期待に応えられるよう、さまざまな検討を続けていきたいと考えます。

國場委員 ありがとうございます。

 ぜひとも御検討していただきまして、日本とアジアの、世界のかけ橋としての沖縄の外交力の強化に、外務省にかかわるさまざまな関係機関を最大限に活用して取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、鶴保大臣に質問をしたいと思います。

 鶴保大臣は、沖縄の交通渋滞対策に大変熱心に取り組んでおられます。鉄道を持たず、自動車に過度に依存し、慢性的な交通渋滞による経済損失、環境汚染をもたらす。沖縄にとって、交通体系の円滑化は極めて重要な政策でございます。

 そこでお尋ねしますが、鶴保大臣が、沖縄の振興というものは多岐にわたる課題や問題や可能性というものが存在しておりますけれども、その中でも交通渋滞解消に着眼をしたそのきっかけと申しますか理由と申しますか、そして、その渋滞解消のための目玉政策というものはどういったものを考えておられるかということを御答弁お願いします。

鶴保国務大臣 観光についての分野から渋滞という切り口に至った経緯でありますが、観光振興の政策は、これは一般論で申し上げて大変多岐にわたり、そしてその優先順位をつけていくというのは非常に複雑怪奇なところがございます。

 したがいまして、今回も、沖縄を訪れる観光客の皆さんにアンケート調査をとらせていただきました。その中で、いろいろ順位はありますけれども、かなり上位の方に渋滞がある、渋滞があることが沖縄のこれからの観光に阻害要因になっていくという大きな声があるということもわかりました。

 また、現実問題として、先ほど外務大臣の方からもお話があったとおり、相当な勢いでこれから伸びていく。そして、そのために、空港であるとかクルーズ船の港湾整備でありますとか、そういうアクセスの整備も進めてまいる所存でありますから、こうしたところとのリンクの道路等々、アクセス道路等々も非常にこれから心もとない状態になってくるであろうということから、渋滞対策をさせていただかねばならない。

 また、沖縄県自体も、移動の約九〇%を自家用車に依存する典型的な自動車社会であるということはもう委員御承知のとおりでありますし、こうしたことから、懇談会を開かせていただいて、渋滞対策に向けての提言をいただいたところであります。

 目玉政策はということでありますが、公共交通が非常に脆弱でありますから、鉄路やあるいはその他の歩行者道、自動車道の交通空間の整備はもちろんのこと、これまでにない新しい技術を使った渋滞対策はなし得ないものか。例えば、今回は私が科学技術政策を担当させていただいております関係で、自動運転技術を活用したバスの社会実験を今年度中にも開始させていただきたい等々も考えさせていただいておるところであります。

國場委員 ありがとうございます。

 鶴保大臣は、観光政策にも大変精通をされており、なおかつ沖縄担当大臣とともに科学技術やITやイノベーションも担当されております。そういった特色を生かしましてバスの自動運転の社会実験を早期に行うということは多くの県民も期待しておると思いますので、ぜひともそのことを要望したいと思います。

 沖縄県の交通渋滞時の速度というものは、日本で一番深刻なんです。東京と大阪よりはるかに渋滞時のスピードは遅いわけでありまして、鉄道もありませんからレンタカーもふえてきております。同時に、沖縄も超高齢社会に突入しつつありまして、県民所得も低く、一人世帯も多く、過度に車に依存する方々も多くいらっしゃいます。

 鶴保大臣が中心となって交通政策の中間取りまとめが出されておりますが、この中で私が注目している点が何点かあります。まず、今大臣からも答弁がありましたように自動運転の導入、これはぜひとも推進していただきたいわけでありますが、同時に、「コンパクトなまちづくりと連携した、各地域の居住者が自家用車のみに依存せず、公共交通を利用して広域に移動することが可能となるような公共交通ネットワークの見直し」という記述でございます。

 沖縄県は、なかなか歩かないわけでありまして、日本一のメタボ県にもなっており、平均寿命、健康寿命もかつて日本一でありましたが、今この凋落ぶりというものは非常に深刻でございます。車に過度に依存しないようにして、交通渋滞の解消のみならず、あるべき公共交通や、そしてまた、町づくり全体、住む人にも観光客にも優しい地域社会の形成というものもぜひ鶴保大臣に期待したいと思います。

 さらには、この有識者の懇談会の中間取りまとめの中では無電柱化というものも含まれております。

 そういったさまざまな具体的な、貴重な提言というものが打ち出されておりますけれども、それを実現するに当たっての大臣の決意というものをお聞かせください。

鶴保国務大臣 委員るる御指摘のとおりでございまして、公共交通が大変脆弱であるという認識のもと、さまざまな手段を用いて移動手段、移動の確保をしていかなければならないというふうに思っております。

 そのため、中間取りまとめの中にも出ておりましたとおり、歩道や自転車道の整備などによる快適な歩行空間、通行空間の創出なども必要、またあるいは、国際通りのように、中心市街地の車だめをつくらねばならないなどというような指摘もありました。

 総合的に見て、こうした施策は一見たやすいようでありますけれども、県当局やあるいは警察部局等々、地域の方々はもちろんでありますが、さまざまな方々の御協力をいただかなければならないものでありますから、こうしたことをしっかりと踏まえながら、虚心坦懐に進めていきたいというふうに考えております。

 なお、最後に、委員御指摘の無電柱化についても、これもしっかりやらせていただく覚悟であります。

國場委員 最後に、泡盛について鶴保大臣にお尋ねしたいと思います。

 今回の自民党税調におきまして、酒税の軽減措置が従来の五年間から二年間へ短縮されております。

 しかし、泡盛という酒は、賞味期限無期限の銘酒でありまして、百年、二百年と、古ければ古いほどまろやかに、味わいや価値が高まってまいります。

 沖縄には四十七の酒造所、メーカーがありますけれども、そのうちの約四割は小規模離島にありまして、赤字の厳しい経営状態の中で、サトウキビと泡盛ぐらいしか産業のない島々もあります。多くの離島の有人化にも大きく貢献をしております。

 泡盛の酒造所の従業員、これは五人未満が九社、そして五人から十人未満が十七社と、極めて脆弱な中で、地域共同体、沖縄の歴史、伝統、文化に根差して、平和の象徴としての産業を担っているわけでありますけれども、その離島を中心とした沖縄の泡盛を守るために、鶴保大臣の決意を最後によろしくお願いします。

鶴保国務大臣 離島を初めとする泡盛の伝統文化は、これから、根づいてきたものをしっかり守っていくという観点で臨んでいかなければいけないというふうに思います。

 私も、泡盛の酒蔵へ行かせていただいて、古酒なるものを味わわせていただきましたけれども、本当に、味も全て、色も、これが泡盛というものかというぐらい驚きを持って感動したことを覚えております。

 こうした経験は、当然、来ていただいて飲んでいただくということがまず前提となっていなければならないわけでありますから、先ほど来申し上げておりますような交流人口の拡大等々とあわせて、泡盛の情報発信をさせていただく、酒蔵等に観光客として誘致をしていただくようなこと、あるいは、そしてもちろん、試飲をしていただくようなイベント等々もこれからやっていかなければならないというふうに思います。

 こうした具体的施策については、何としても、地元の方々からの提案をいただくという場を設けなければならないというふうにも思っておりますから、できれば今年度中に、クールジャパンも私が担当させていただいておりますので、沖縄県において地方版クールジャパンの推進会議を開かせていただき、泡盛の関係者の方々にも積極的な振興策への御議論をいただければというふうにも思っております。

國場委員 ありがとうございます。

鈴木委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従って順次質問してまいりますが、きょう私は、限られた時間でございますので、北方領土、そして日ロの平和条約締結に向けての日本側の取り組みということで、ここに特化して質問させていただきたいと思います。

 いよいよ、十二月十五日のプーチン大統領の来日まであと三日となりました。関係者の方々は大変大きな期待をしておりまして、私も、この十二月の十五、十六の二日間にわたる首脳会談というものが今後の日ロの平和条約締結に向けての大きな一歩になるだろう、ぜひそうなっていただきたいということを強く願っている一人でもあります。

 まず、岸田外務大臣にお伺いしたいと思います。それは何かというと、現時点での日ロ平和条約締結交渉の雰囲気というか、あるいは決意というか、期待度のようなことをぜひ何点かお話しいただきたいと思っております。

 ロシアと日本とのこのテーマにおける誰に一番の権限というものがあるかということを考えていったときに、ロシアの方は、北方領土問題については、上院の議長などが、いわゆる大統領以外の方がこのことについて昨今否定的な発言もありましたけれども、原則、やはりロシア側は外交権限を持っているのはプーチン大統領お一人だろう、こう思っております。

 片や、そういうことを考えていったときに、では、我が国の外交権限を持つのは誰なのか。これはもう当然総理でもありますし、しかし、そこはしっかり答えていくと、やはり内閣にある、このように思います。したがって、その中で外交を預かる岸田外務大臣におかれては、総理とともにこの日ロ間の交渉のまさに中心軸の方である、このように思っておりますし、私も外務大臣に期待するところが大変大きいと思っております。

 そこで、外交交渉の中身についてはオープンにできないことはもう十分承知の上でお伺いいたしますけれども、安倍総理がこれまで十五回にわたってロシアのプーチン大統領と会談をしてきた。そして、ことしに入ってからは三回ですか、ソチ、ウラジオ、それからリマということで、ソチとそれからウラジオのところでは新しいアプローチということで、特にウラジオのところでは総理の日ロ首脳会談後の会見の中でも、「新しいアプローチに基づく交渉を今後具体的に進めていく。その道筋が見えてきた、その手応えを強く感じ取ることができた会談だった」、このように述べられておりまして、大変期待も高まってまいりました。ところが、リマに来て、それが少ししぼんだような感もいたしております。

 一方で、今月に入って十二月の二日、三日と、モスクワで、プーチン大統領、ラブロフ外相と外務大臣が会談をされて、そして、まさにこの十二月十五日、十六日の山口、東京での総理の会談の最終的な段取りを全部つけてこられた、このように思っております。

 したがいまして、ここはぜひ大臣にお伺いしたいんですけれども、この山口会談直前の現時点での日ロ平和条約締結交渉に向けての雰囲気、期待、また、それに向けての安倍内閣としての決意ということをぜひお伺いさせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 委員おっしゃるように、十二月十五日の首脳会談まであと三日となりました。既にロシアの先遣隊は山口に入っております。

 そして、この会議に臨むに当たりまして、まず、我が国の基本的な立場は全く変わりません。幅広い分野にわたって日ロ関係全体を国益に資する形で進め、そしてその中で四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、この基本的な立場に基づいて臨んでいるわけですが、戦後七十一年たって解決できていないこの問題、これはそう簡単なものではありません。

 その中で、委員が御指摘になられたように、両首脳間の信頼関係に基づいて、一歩一歩この議論を進め、そして前進を図ってきました。そしてあわせて、外相レベルにおいても、またさまざまな事務レベルにおいても、十二月十五日に向けて準備を続けているわけです。あと三日ということになりましたが、ただ、実際は、今現在も激しい協議、調整が続いています。結論はまだ出ておりません。ぎりぎりまで続くものと予想しています。

 そして、その結果、首脳会談ですので私の立場から予断を持って結果を申し上げることはできませんが、総理はやはり、戦後七十一年たち、高齢化された元島民の方々の思いをしっかりと踏まえながら、冷静な、静かな雰囲気で議論を行って、ぜひ平和条約締結問題について一歩でも二歩でも前進をさせたいと強く思っておられますし、そのために我々も最後まで全力で、力を尽くしていきたいと考えています。

稲津委員 ありがとうございました。

 今大臣からも御決意をいただきましたけれども、いよいよあと三日、そして、この十五、十六の二日間が最大のそのときでございますので、今大臣からも、この時点においてもさまざまなことが行われているということを伺いましたので、ぜひこの二日間の会談が成功裏に、また大きな前進になることを期待させていただきたいと思います。

 具体的に、一つ、八項目の経済協力プランについて、これも岸田外務大臣にお伺いしたいと思います。

 我が国は、一九九三年の東京宣言以降、領土交渉と領土問題解決のための環境整備、これを車の両輪として捉えてきたという経緯があるというふうに私は思っています。ロシア側は少し違っていて、環境整備が領土交渉を引っ張るという認識だったというふうに私は思っておりまして、ただ、いずれにしても、この領土交渉と環境整備というのが車の両輪のように連動していることは共通していたというふうに私は思っています。

 それで、安倍総理は、ソチの日ロ首脳会談で、プーチン大統領に八項目の経済協力プランを提示しました。プーチン大統領はこれを高く評価して、以後、これに関して、ウラジオでもリマでも好意的に話し合われて、山口会談の翌日に東京で協議をされると言われております。

 この八項目の経済プランは、その内容から見るとほぼ対ロ経済援助プランでありますけれども、これは、東京宣言以降我が国が車の両輪の片側として捉えてきた環境整備なのか、ロシア側もそう認識しているのか、これが大事ではないかというふうに思います。

 この八項目の経済協力プランが環境整備であるならば、領土交渉に目に見える進展がなく、このプランだけがどんどん前進するというのであれば、これは車の両輪であろうが、車の前輪、後輪であろうが、これまでの日ロ平和条約交渉の土台を覆すことになってしまうだろう、こう思います。両者のバランスをとっていくのが重要だということを肝に銘じていかなければならない、こう思っております。

 そこで、山口会談直後の東京での経済協力協議に臨む安倍内閣の認識と決意について、この点を大臣にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、大変重要なポイントを御指摘いただいたと思います。

 先ほど申しましたように、我が国の対ロ政策の基本方針、これは、八項目の協力プランを含む経済分野、あるいは政治分野、あるいは文化を初めさまざまな分野、こうした広い分野にわたって日ロ関係を全体として国益に資する形で推し進め、そしてその中で四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、これが基本的な方針です。つまり、経済協力と平和条約締結問題、これは両方ともしっかりと進めなければならない。何よりも、我が国にとっては、平和条約締結問題、これをしっかり進めなければならない。これが基本的な方針です。

 そして、加えて、経済協力の部分について、これは、世の中においては、議論を聞いておりますと、何かODAのような経済支援を行うと勘違いされておられるような議論も見ることがあります。もちろん稲津委員はもう十分正確に理解されていると思いますが、世の中は、何か経済支援を行うのと勘違いしているのではないかという議論があります。

 これは、あくまでも支援ではなくして経済協力です。ビジネスをやるわけです。民間企業に参加してもらうわけです。民間企業が参加する以上、利益がなければなりません。ビジネスですから、ロシア経済に、あるいはロシアとの関係に関心のある民間企業でないと参加はしないわけでありますし、何かメリットを感じる日本の民間企業でなければ参加しない、これは当然のことであります。

 こういったビジネスですから、経済協力はあくまでも互恵的なものであります。日本の企業にとってもしっかりとした利益がある、裨益するものがある、こういったものでなければならないと思います。ですから、経済協力自体も両国にとって互恵的なものである、なおかつ、全体の枠組みを見ても、経済協力だけじゃなくして、平和条約締結問題、これもしっかり進めなければならない、これが基本的な考え方です。

 こういった考え方に基づいて今までも努力をしてきましたし、そういった考え方に基づいて、一歩でも二歩でも前進できるように最後まで力を尽くしていきたい、このように思っています。

稲津委員 後でまたもう一問、岸田外務大臣にお伺いしたいと思いますけれども、ここで、鶴保担当大臣に一点お伺いしたいと思います。

 国内の世論啓発をどう返還に結びつけていくのかという基本的なことでございますけれども、先般、長年にわたり返還運動の中核を担われてきた千島歯舞居住者連盟の前理事長小泉敏夫さんが逝去されました。私も、サハリンに北方領土問題の交渉に、州知事や、あるいはサハリンの議長の皆さんとの意見交換に一緒に行った経緯もありまして、大変親しくしてまいりました。お世話になった方でもありまして、心から御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。

 小泉さんは、常々こうおっしゃっていました。一人でも多くの元島民が生きている間に何としても島は返ってきてほしいんだ、そのようにお話をされていまして、二十三年間連盟の理事長を務められてきたわけで、この小泉さんの言葉は大変重たいというふうに思っております。

 大臣も、先日の所信の中で、一日も早くこの問題が解決されるよう、国民世論の啓発を強化することが重要だ、具体的には、若い世代の方々へのそうした理解と関心を高めるように努力していきたい、こう述べられました。

 そういうことを踏まえて、北方四島の交流事業の一層の推進ですとか、元島民の皆様への援護措置ですとか、こうしたことを含めた啓発活動、これを北方領土返還に具体的に結びつけていくことが強く求められますけれども、大臣の見解をお伺いしておきたいと思います。

鶴保国務大臣 委員御指摘のとおり、北方問題についての国民世論の啓発こそがこの北方問題の国民的理解を深め、そして領土交渉にも大きな援助に、サポートになっていくのだという認識のもと、我々としては、これまで以上に啓発活動に力を入れなければならないと認識をしております。

 このため、まずは、内閣府北方対策本部のホームページに北方領土問題についてのわかりやすい解説を掲載させていただき、特にこういう問題について聞きたいということがあれば、ぜひそれもどしどし意見として出してほしいということもお願いをしておるところであります。今、まだそれほど検索件数が多いようにも聞いておりませんが、今後、漸次中身についても見直しをしていきたい。

 そんな中で、やはりこの地域に訪れていただく数をいかにしてふやしていくかということも、大きな啓発運動の一つだというふうに思います。納沙布岬には年間十五万人の人が訪れるということでありますが、これが十倍、二十倍となっていくぐらいの思いを持って、隣接地域の皆さんと一緒にこれを考えていくべく、隣接地域への交流人口拡大のための検討委員会も立ち上げさせていただきました。その場で、修学旅行をいかにしてふやしていくか、あるいはまた、アクセスの悪さなど隘路となっているものがどういう問題があるか等々の御意見を賜り、面として、この地域を観光地域として情報発信がしていけるように、私たちもさまざまなサポートをしていくことをお約束しておるところであります。

稲津委員 ぜひ、検討そして具体的な取り組みを進めていただくことをお願い申し上げます。

 最後になりますけれども、これは岸田外務大臣にお伺いしますが、山口での会談の折にぜひ山口声明のようなものを発出していただけないだろうかという話なんです。

 安倍総理が、ウラジオストクでもソチでも首脳会談の後に、新しいアプローチに基づく交渉を今後具体的に進めていく道筋が見えてきた、このように言及されました。これは当然、岸田外務大臣を初め内閣でも共有されているものというふうに思います。

 そのことも伺っておきたいと思いますが、その上で、十一月二十六、二十七日の共同通信が行った全国の電話世論調査によりますと、山口会談に北方領土問題の進展を期待すると回答した割合は、全国で二七・三%、北海道で一四・二%。期待しないと回答したのは、全国で七〇%、北海道は八四・一%。

 この数字は、どうもやはり、ソチの会談からウラジオ会談にかけての領土問題の楽観ムード、これがリマでちょっと一転したんじゃないかという、がっかりしたという声もここに反映されたのかなと思っています。地元北海道はよりそういうものが強く出たのかもしれません。

 北方領土の問題を解決するためには、国民世論、なかんずく元島民が多く暮らす地元北海道の人々の世論の支えが私は政治的にも大変重要であると思っています。このことに鑑みれば、山口会談では、そうしたものをぜひ挽回して期待感に転回すべく、目に見える成果を期待したいと思います。

 新しいアプローチに基づく交渉を今後具体的に進めていく道筋、これをより確実なものとして、それを安倍総理とプーチン大統領の共同声明として発表できれば、このように願いますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 委員御指摘のように、九月のウラジオストクの首脳会談において、安倍総理は、新しいアプローチに基づく交渉を具体的に進めていく道筋が見えてくるような手応えを強く感じた、このように発言をされました。

 ただ同時に、先ほども申し上げたように、戦後七十一年たって解決していないこの問題、そう簡単なことではありませんし、だからこそ、両国の首脳間の信頼関係に基づいて一歩一歩進めていく、こうしたことが必要であったと思っています。

 十二月十五日、今回のプーチン大統領の訪日の成果について、最後は首脳間の話し合いですから、内容について私から予断を持って申し上げるのは控えますが、ぜひ、北海道を初め地元の皆様方の期待に少しでも応えるように、最後まで力を尽くしていかなければならないと思っています。

 大変難しい課題でありますが、共同声明についても、もう既にマスコミ等でいろいろな共同声明が報じられています。こういった共同声明、こういった内容が入る共同声明、いろいろなことが報じられています。少なくとも、今報じられているような共同声明がまとめられつつあるという事実はありません。しかし、先ほど申したようにまだ議論が続いています。それ以上のことはまだ決まっておりませんし、引き続き努力を続けていきたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、一歩でも二歩でも地元の皆様方の期待に応えられるように全力で取り組んでいきたいと思っております。簡単なことではありませんが、ぜひ御理解と御支援をお願いいたします。

稲津委員 時間が参りましたので終わりますけれども、ぜひ、十五、十六、この会談の成功と、それから今大臣がおっしゃったことを具体化できるようにお願いしたいと思っていますし、北海道民、とりわけ元島民の皆さん、御家族の方々の期待は大変大きいものがあるというふうに思っています。

 会談の成功を心から祈念申し上げますとともに、そして、ぜひ歴史に残るそうした声明も残していただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民進党の近藤昭一でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 高江における警察官による差別発言についてであります。沖縄県東村高江で、ヘリパッド建設に反対する市民に対して、大阪府警から派遣された機動隊員が、土人、シナ人という言葉を発したことが大きな問題となっています。今なお問題となっていると思います。

 この発言に対して鶴保大臣は、十一月八日の参議院内閣委員会で、「私個人が大臣という立場でこれが差別であるというふうに断じることは到底できない」と答弁されたわけであります。しかし、大臣は同時に、「人権問題のやっぱり一番のポイントは、被害者、その差別発言を受けた方の感情に寄り添うことである」とも述べておられます。

 これは、自民党内の人権問題調査会で事務局長を長らく務められ、人権問題に対する議論を大変深く、広範にわたって続けてこられた鶴保大臣としての見識であり、差別問題の本質であると私も思うわけであります。大臣が人権問題の一番のポイントと言われたように、被害者、その差別発言を受けた方の感情に寄り添ったとすれば、機動隊員の発言を沖縄の人たちはどのように捉えるのでありましょうか。

 また、大臣は十一月二十四日の本委員会での所信表明の中で、「沖縄には今なお多くの在日米軍専用施設・区域が存在し、沖縄県民の皆様に大きな御負担をかけているものと認識しており、引き続き、沖縄の皆様の理解を得る努力を続けながら、沖縄の基地負担軽減に取り組む」と述べられたわけであります。

 大変な御迷惑をかけている、沖縄の皆さんの理解を得る、そして、発言を受けた方の感情に寄り添うならば、やはり大阪府警の機動隊員が発した言葉が差別でないとは言えないと思うわけであります。大臣、いかがでありましょうか。

鶴保国務大臣 近藤委員御指摘のとおりでございます。過分に不穏当な発言であると私も思います。なおかつ、逮捕権を有する公権力の立場にある者がこうした発言をすることは、許すまじき行為であるということも申し上げてまいりました。

 ただ、それを差別であるかというふうに聞かれますと、私はそれを判断できる立場にはないということは繰り返し答弁させていただいているとおりでありますし、今後、県民の皆さんに寄り添いながら、こうしたお気持ちを体してしっかりと振興策をやらせていただくということに尽きると私は考えております。

近藤(昭)委員 鶴保大臣は、大臣としてその立場にないという答弁をされたわけであります。ただ、先ほど申しますように、大臣が人権問題調査会の事務局長として、それは、やはりその言葉を受けた人がどう捉えるだろうか。その人の感情に、気持ちに寄り添っていかなくてはならない、こうおっしゃっているわけです。

 そして、この問題、大阪府警は当の機動隊員を戒告という処分にしている。また、やはりこの間、戦時中または戦後も本土側が沖縄の人々を見下す言葉、こういうふうに解釈をされているわけだと私は思うんですね。

 それと、よく沖縄の問題、基地の問題というのは沖縄だけではありません。しかし一方で、沖縄という全体の中で小さな面積の中に、米軍の関連施設が七割以上あるという状況。そして、今申し上げたように、もちろん沖縄だけではないわけですが、いわゆる騒音問題あるいは米軍の関係の航空機、こうした飛行に関しては、大臣御承知のとおり、日本の航空法は日米安保の中で除外をされているわけであります。航空法で飛行できる最低の高度が決められている、しかし、それは米軍関係機には除外をされていて、適用外になっている。

 よく沖縄の皆さんが、沖縄防衛局等々を通じて、あるいは外務省を通じて、米軍への抗議を政府として伝えてほしい、こういうことがあるわけであります。しかしながら、大体の場合、政府側の答弁は、米軍機の運航等を規制、制限する立場にない以上どうすることもできないんだ、こういう答弁が多いわけであります。まさしく、日本の法令は、時に日米安保が憲法の上にある、こういう指摘、表現をする方もおられるわけでありまして、日本の航空法の規定が、除外の法律がある、こういうことであります。

 そういう中で、先ほど申し上げましたように、特に沖縄に米軍基地が非常に集中している中、戦後ずっとそういう中に、やはり沖縄の人たちにとって長い苦しみがあるわけであります。そうした中でこの発言が出る。戦時中あるいは戦後も続く見下す言葉として土人という言葉があった。そして今回、また高江にヘリパッドがつくられている、工事が行われている、こういう活動の中でその言葉が出てきた。私は、沖縄の人にとっては大変な痛み、苦しみを感じる言葉だと思うんです。

 大臣、もう一度、いかがでしょうか。

鶴保国務大臣 まず、何よりも、繰り返しになりますが、沖縄県民の皆さんがいかにしてこの言葉を受けとめているか等については、虚心坦懐に我々も見ていかなければならないというふうに思います。

 そんな中で、この発言以降、さまざまな御意見が私どもに寄せられていることも事実でございまして、先般も、部落差別、部落問題の法務委員会の参考人の中の御意見もありました。これをまた一方的に断じることがよくないという参考人の方の御意見もあり、また、なおかつ、沖縄県はその一方で、この問題は断じて許すことはできないという決議もございました。

 ただ、そんな中で、またその一方で、石垣市の市議会からは、これは、沖縄県民に向けられたものでもなく、なおかつ沖縄を差別したものでもない、県民への差別発言でもないということを含んだ議決もされているところであります。

 こうしたさまざまな意見がある中で、私どもが、これは差別であるということを今断じてすることが沖縄県のために果たしてなるのかどうかということを勘案した上で、私はこの発言に至ったものであります。何とぞ御理解をいただきたいというふうに思います。

近藤(昭)委員 大臣、私は、やはりそこは理解がしがたいわけであります。

 ただ、そういう中で、そういう判断にないという見解をおっしゃる大臣に、別の角度からちょっとお聞きをしたいと思います。

 それは、高江ヘリパッド建設工事に関連してであります。これは大臣ではなくて防衛省ですから、少し関連して後でお聞きをするかもしれません。

 十二月の六日に、北部訓練場高江のヘリパッド建設工事に関する工事差しとめ仮処分申し立てについて、那覇地裁は申し立てを却下する決定をしました。国側は、環境基準を超える程度の騒音が発生する可能性を否定し、那覇地裁も、騒音被害が十分に疎明されていないことを理由に決定を下したわけであります。しかし、国が定める環境基準を超えることは十分に説明できなかったとしても、基準まではいかないものの、騒音被害については、裁判所は一定程度の認定をしたと聞いております。裁判の決定書の中でであります。

 私はヘリパッド基地建設を容認するものではありませんが、仮に今後訓練を行う際、大臣が所信で述べられたように、大変な御負担をかけている沖縄の皆さんの理解を得る努力として、現行法による住民宅への防音工事や、さらに、新法や新事業による防音工事を実施することによる被害緩和措置、こうしたことをとるつもりはあるのかどうか、お聞きをしたいわけであります。

 先ほど申し上げました、沖縄に基地が集中する中、先般、那覇地裁の決定は出ているわけでありますが、そうした中でこうした被害緩和措置をとるつもりはあるのか、また、それに先立って、米軍への提供の後の騒音測定をする御予定があるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきましては、環境基本法に基づき定められた航空機騒音に係る環境基準の趣旨を踏まえまして、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第四条の規定に基づき、住宅防音工事の対象区域である第一種区域を指定し、同工事の助成を行っているところでございます。

 北部訓練場周辺における航空機騒音につきましては、東村の高江区牛道集落、高江区車集落及び宮城区宮城集落の三カ所に設置した自動騒音測定装置により、年間を通じ継続的にその把握に努めているところでございますけれども、現時点では、第一種区域の指定基準を上回るような騒音結果は得られてございません。

 他方、学校等は、一般的な生活環境よりも特に静穏な環境が求められるわけですから、一定の強度の音響が一定回数認められる場合には、住宅防音工事を必要とする基準は超えていなくとも、防音工事を実施しております。

 防衛省といたしましては、引き続き、騒音状況の把握に努め、ヘリパッド移設後の北部訓練場周辺の騒音状況を踏まえ、必要に応じ騒音対策の実施について検討するなど、適切に対応してまいりたいと思っております。

近藤(昭)委員 引き続きそうしたことに対して測定をしていく、必ずしも、基準があるけれども、それだけではなくて対応していくというお答えであったわけであります。

 ということは、今後使用される状況になったときに、継続して測定をしていって、必ずしも基準にこだわらずにそうした対応をしていくということでよろしいですか。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたとおり、今後とも継続的に調査を行うとともに、さらなる影響の軽減に努めてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 その軽減をするに当たって、先ほど答弁もされたように、改めて内容を確認するわけであります。基準でなく、まさしく負担を軽減するために、先ほど来から繰り返しておりますけれども、沖縄に基地が集中している。

 そして、今回、ヘリパッドの基地の建設に当たって、ダンプカーが東村へ向かう、そういうときに、地元の小学校の子供たちがダンプカーが通過するまで約十五分待った、通学に非常に支障があった、それに対して保護者たちが抗議をしている、こういう状況もあるわけであります。

 あるいは、報道によりますと、キャンプ・ハンセンでありますが、物資のつり下げ訓練をしている。それは、六日、七日、沖縄防衛局を通じて米軍に抗議をしたけれども、抗議をした後もそれが続けられている。

 私が申し上げたいのは、先ほどから繰り返していることであります。いわゆる日米安保のもとで航空法の除外があったり、あるいはこうした地元の人たちが抗議あるいは要請をしてもなかなかそれが反映されていない、こういうことが続いている。これで、沖縄の皆さんの理解を得ることができるんだろうか、沖縄の皆さんの負担を軽減していることになるんだろうか。私はならないと思っているんです。

 そういう意味でも、今答弁もなされたわけじゃないですか、基準ということでなくても、その状況を見ながらきちっと対策をとる、こういうことですよね。

谷井政府参考人 私どもといたしましては、継続的に調査を行うとともに、さらなる影響の軽減、これは、どういったことができるかということにつきましては、その状況を踏まえながら検討させていただきたいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 その状況を見ながら、当然、基準を超えていれば軽減する。しかし、状況を見ながらということでありますから、そういう基準のもとだけではなく、さまざま対応する、こういうふうに理解をさせていただくところであります。

 ところで、辺野古新基地埋立用土砂供給計画の関連する予算についてであります。

 ことし四月二十六日の本委員会で私は質問をさせていただきました。また、十一月一日には、辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会というところがあるわけでありますが、そこで防衛省と環境省の担当者と意見交換をさせていただきました。それを踏まえております。

 十一月の意見交換を通して、普天間代替施設建設事業に係る平成二十八年度予算の内訳として、三年間の全体で千五百九十九億三千九百万円であり、そのうちの半分強に当たる八百十六億三千二百万円が土砂の採取、運搬のための埋立工事の費用ということであったわけでありますが、各年度ごとの予算額は幾らか、この予算額には外来種侵入防止対策に対する費用は含まれているのかどうか、含まれているとすれば各年幾らずつか、その算出根拠を教えていただきたいわけであります。

 四月二十六日の私の質問に対して、環境監視等委員会の助言指導を得て対策を講じると答弁しておられるわけでありまして、十一月一日の意見交換の際には、防衛省は、まだ委員会でこの問題は議論していないとのことであったわけであります。

 そうすると、いつから議論を始めるのかと思うわけでありますし、いずれにせよ、外来種侵入防止対策に関する議論もなされていないような段階で土砂の採取、運搬予算が今年度から三年間ついているとすれば、それは適正ではないと思うわけであります。いかがでありましょうか。

山本(達)政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度予算では、埋立土砂の採取、運搬などや埋め立ての作業を今後三年度にわたって行っていくために必要な経費として、契約ベースで約八百十六億三千二百万円を計上しております。このうち、平成二十八年度の歳出分は約五十五億六千百万円であり、平成二十九年度以降の歳出分は残余の約七百六十億七千百万円とされております。

 このうち、平成二十九年度の歳出分と三十年度の歳出分のそれぞれの額につきましては、各年度の予算案に計上し、国会の御議決を経て固まっていくものであり、現在では未定でございます。

 なお、先般、三月四日の和解の決定を受けまして、防衛省としては、埋立工事を中止しており、当該予算に係る契約手続は行っておりません。

 次に、この予算額に外来種侵入防止対策に要する費用は含まれているのかというお尋ねでございますが、平成二十八年度予算では、埋立土砂の採取、運搬など、埋め立ての作業を今後三年度にわたって行っていくための必要な経費を計上しており、同経費には外来種対策に係る費用も含まれております。

 具体的には、土砂調達に係る契約に当たり、仕様書等に、使用する埋立土砂が生態系に対する影響を及ぼさないものであることを確認する旨を規定し、埋立土砂の供給業者に所要の調査等を義務づけるなどの措置をとることとしております。

 また、当該調査等の結果につきましては、環境監視等委員会などの指導助言を得て、さらに調査が必要と判断される場合には再度供給業者等に確認を求めるなど、沖縄防衛局において適切な対応をとることとしております。

 次に、外来種対策の具体的な金額についてでございますけれども、外来種対策に係る費用につきましては、全体の予算のうち、埋立土砂の採取、運搬に要する費用に含んで予算計上を行っており、外来種対策に係る費用のみを取り出して確定的にお示しすることは困難であるということを御理解いただきたいと存じます。

 次に、環境監視等委員会において外来種侵入防止対策を講ずる議論は行っているのかというお尋ねでございますが、先般お答えしましたように、本年三月四日の和解の決定を受けまして、防衛省として、埋立工事を中止し、環境監視等委員会の開催も見合わせているところ、現時点におきまして、同委員会では埋め立てに伴う具体的な外来種対策の議論は行っておりません。

 防衛省といたしましては、今後、事業を進める場合、使用する埋立土砂に係る調査等の結果を環境監視等委員会に報告し、指導助言を得て、さらなる調査が必要と判断される場合には再度供給業者等に確認を求めるなど、沖縄防衛局において適切な対応をとることといたしております。

近藤(昭)委員 質問時間が限られておりますので、今のことに対して、質問の中でも申し上げましたけれども、どこから採取をして持ってくるかが決まっていない、また、この間、今、委員会も動いていないという中で、なぜその予算組みができるのか。ある種、取り出しては言えないと言いましたが、取り出せないといっても、計算といいましょうか、何らかそうしたものがあるはずだと思うんです。

 そういう意味では、私が申し上げたいのは、どうしてその算定というものができるのか、ずっと答弁では、まだどこから持ってくるか決めていないのです、こういうことを言われます。ですから、今、適正なやり方をして、こうおっしゃいますが、私は、今やっていること自体が適正ではない、こういうふうに思います。

 時間がないので、次に行きます。

 辺野古新基地建設に係る国と県との協議についてであります。

 九月十六日の辺野古違法確認訴訟に係る高裁の判決は、法治主義と地方自治のじゅうりんだと私は思います。ひいては、人権保障を初めとする憲法の諸価値のじゅうりんだとも言えると思います。

 沖縄県の自治は、憲法が保障する自治の一つであります。偶然にも沖縄に生まれたら、基地の町で生活を余儀なくされ、憲法が保障する基本的人権が制限されても当然といったような沖縄差別、区別というものは許されないと思います。あたかも安保の中の法治主義、地方自治、先ほど申し上げました、安保の中というのは、航空法、さまざまなところで除外規定があるということであります。安保の中の法治主義、地方自治を是認するかのような判決内容であったと思います。

 より具体的に、一方で沖縄防衛局が私人として不服審査法を悪用、濫用し、他方で国交大臣がその審査庁になり、沖縄県知事の承認取り消し処分の執行停止をしました。さらに、地方自治法上の代執行も行いました。この間の地方分権改革に逆行する地方自治法の解釈を行ってきた、こうとしか言えないと思います。

 福岡高裁那覇支部の裁判長でさえ、地方自治法第二百四十五条の八の代執行要件を満たすものである、そうした判決を書けない、だから和解の勧告をしなければならなかったのだと思います。

 その上で、和解条項に基づき是正の指示に対する不服申し出の機会を与えられたとはいえ、今申し上げた和解を勧告しなければならなかった。しかし、一方でそれが与えられたとはいえ、その中の重要な内容であった真摯な協議、真摯な協議をしなさいと言ったわけです、ところが、これが全く顧みられることなく、和解から三日後には是正の指示を下したわけであります。地方自治の理念である国と自治体との適切な役割分担の原則を理解していないものとしか思えないような指示の出し方でありました。

 国地方係争処理委員会は、和解条項の内容も踏まえ、また同委員会における審議での国、沖縄県の双方の主張を踏まえ、両者の共通の基盤づくりのための協議を求める決定をしたわけであります。これを無視したわけであります。権威ある第三者機関としての同委員会の存在理由をも完全に否定したと考えるわけであります。

 先ほど申し上げた処理委員会でしっかりと協議をしなさいと協議を求めたにもかかわらず、三日後にはそういう指示が出た、これはまさしく同委員会の存在理由を否定し、地方自治の本質を無視するものだ、軽んじるものだと思うわけであります。大臣、いかがでありましょうか。

山本(達)政府参考人 お答え申し上げます。

 現在政府は、埋立工事を中止した上で、本年三月四日に国と沖縄県がともに合意した和解条項に従って、司法の判断を仰ぐ手続と協議の手続をいわば車の両輪として迅速に進めるなど、問題解決のための真摯な努力を行っております。

 その上で申し上げれば、政府といたしましては、六月十七日の国地方係争処理委員会の御指摘以前から、和解条項に基づいて協議を実施してきたところでございます。

 具体的には、三月四日の和解以降、二度の政府・沖縄県協議会、これは三月二十三日及び七月二十一日でございますが、さらに、四度の作業部会、四月十四日、七月十四日、八月三十一日、十一月二十五日、を開催したほか、防衛大臣が沖縄県を訪問し、協議を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、引き続き、和解条項に従い、訴訟と協議の手続を並行して進めるなど誠実に対応してまいります。

近藤(昭)委員 質問時間が来ておりますが、大臣、国交省、あるいは防衛省、外務省、それぞれが関連しているわけでありますが、この特別委員会がある、そして大臣がおっしゃったみたいに、やはり沖縄に大変な負担があって、そこに寄り添っていかなくてはならない、そのためにこの委員会があるんだと思います。

 そういう意味では、大臣として、沖縄の状況に対して、軽減負担に対してしっかりと取り組んでいっていただきたい、そのことを申し上げまして質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、松木けんこう君。

松木委員 松木けんこうでございます。

 それでは質問をさせていただきますけれども、両大臣、本当にお疲れさまでございます。大臣になるとずっと座っていなきゃならないというだけでも大変なことですけれども、まあ、もうちょっとですので我慢していただいて、頑張っていただきたいなと、いやいや、別にあなた方がやめるとかそういう話じゃない、この委員会が、時間がということですからね。

 戦後七十一年ということなんですけれども、ことしは国際情勢が随分目まぐるしいですよね。イギリスの問題もそうだし、ここのところでいえばイタリアのこともそうですね、ああいうことが、随分いろいろなことになっている。そしてもちろん、アメリカのトランプ大統領が当選なされる。なかなかそうなるというふうに思っていなかった方の方が多いんじゃないかなというふうに思います。そして、十二月十五日、いよいよプーチン大統領もお見えになるということでございます。大変な時期になっているわけですけれども、両大臣、しっかり頑張っていただきたいなと思います。

 この国際情勢の変化というのは、いろいろとやはり、沖縄そして北方領土問題、こういうことにも大きな影響を及ぼしているのではないかというふうに私は考えているわけですけれども、これまでも、地元北海道にかかわりの深い北方領土問題、そしてやはり悲惨な沖縄の記憶、こういうことを通じて、平和への思いを大きな自分の政治のテーマ、こういうふうにもして私はやってきたわけでございます。

 ことしは、私も行政監視委員長というのをやっていたものですから、そのときに沖縄の方に視察をさせていただきまして、もちろん沖縄のいろいろな、大学院大学だとかの状況、そういうものも見てきましたし、ほかには、やはり平和ということを考えるに至っては、佐喜眞美術館というなかなかいい美術館がありますので、ぜひ見に行ってもらいたい。もともと普天間基地の土地を返還してもらったという話をちょっと聞いたんですけれども、それが佐喜眞美術館という、戦争のときの、記憶に残るような絵が随分飾ってありますので、特に鶴保さん、よかったら一度行かれたらいいと私は思いますよ。

 そういうことを、委員の皆さんとも一緒に行って、平和への思いというものも新たにしてきたわけでございますけれども、今回の質問でやはり私が考えるのは、沖縄戦、有名な話ですけれども、ここで自刃した大田中将の話、あと、樺太の電話交換手の集団自決、いわゆる北のひめゆり事件、こういうふうに言われていますよね。大田中将の最後の電文というのは皆さんもうよく御存じだと思いますけれども、沖縄県民かく戦えり、県民に対し後世特別の御高配を賜らんことをということだったそうでございます。非常に重い言葉だなというふうに思います。電話交換手の最後の言葉、皆さん、これが最後です、さようなら、さようならということだったようでございます。これを胸に質問させていただきます。

 まず、沖縄の方の話をさせていただきます。

 安倍首相が真珠湾の方に慰霊のために訪問するということを公表されました。大変よいことだというふうに私は思います。戦後政治の総決算との言葉を使われているということでございますけれども、まさに歴史的なことだなというふうに思います。一方で、戦後七十一年、沖縄というのは現在もやはり米軍基地という大きな負担を抱えているわけですね。私は、何とかこの負担を減らして、沖縄経済を自立的でより力強いものにすることが必要だと強く願っているわけでございます。

 沖縄の戦争において大田中将が後世特別な御高配という言葉を残されましたけれども、現在の沖縄の状況は、この大田中将の思いにしっかりと応えることができている状況なのかどうか、御見解を伺いたいというふうに思います。

 また、戦後政治の総決算ということであれば、基地問題や他地域との経済格差といった沖縄の抱える問題についても総決算を進める必要があると考えますけれども、そこら辺の御見解を、大臣、お答えいただければありがたいと思います。

鶴保国務大臣 まさに松木委員がおっしゃったように、沖縄、後世に対する御高配賜らんことと言われた大田中将のお言葉どおり、我々、その意味を込めて振興策を紡いでいっているんだ、今私がこの立場に立っているのもその責任のためであるということを常に感じております。一日も早い、沖縄の真の意味での振興を私たちはなし遂げていかなければならないと思います。

 これまでも、先輩方、多くの先人たちの努力をもってたくさんの振興策が行われてまいりましたが、まだ依然として道半ばであるというふうに思います。有効求人倍率が一を超え、そしてまた空前の好景気だという状況もあり、今沖縄は相当恵まれた状況にはなってきつつあるとはいえ、一人当たりの県民所得等々の数字を見るとまだまだなところもございます。

 県民一人一人の方々が豊かさを実感できるような振興の日が訪れるまで、私たちはこの努力を不断に続けていかなければならないんだというふうに思いますから、今まで以上に、今後、大きなインフラ整備でありますとかそういったもののみならず、県民の一人一人が直接こうした豊かさが実感できるような施策に傾注していくべき時代が来ているのではないか。そんな意識の中で、何度か申し上げてまいりましたけれども、貧困の連鎖を断ち切るべく、人材の育成策、あるいはその隘路となっているような、例えば、先ほど御答弁申し上げましたが、渋滞対策等々もやっていかねばならないのではないかというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、県民の皆さんの御意見を虚心坦懐に聞きつつ、我々としてはしっかりとこれを支えていく所存であります。

松木委員 ありがとうございます。

 まだまだだというふうに感じていらっしゃるということでよろしいんでしょうかね。道半ばである。物事何でもこれで完璧だというものは、もちろん世の中にはそうないわけでございますから、どんどんどんどん頑張っていかなきゃいけないということでございます。

 私は北海道の人間なんですけれども、時々、沖縄の人たちに対して、基地があるから、あいつらそれを目的でなんと言っている、変なことを言う人たちもいる。これはとんでもないことだと私は思いますし、そして、潤っている人は潤っているのかもしれないんですけれども、どうも県民所得という形で出ると、やはりそうじゃないですよね。ですから、一人一人にきめ細かないろいろな政策が行く、それが私はやはり非常に大切なことだというふうに思いますので、そういった観点で、ぜひ大臣、頑張っていただきたいなというふうに思っているわけです。

 私は沖縄にはいろいろな友達もいまして、ボクシングの元世界チャンピオンとか、いろいろといるんですけれども、中にはやはり、今回、今、基地のことでちょっともめていますね、いろいろと。このことに関して、ちょっと予算がこの一、二年減ったんじゃないかとか、そういう事実もどうも少しあるようで、それで、税制上のことでもちょっといじめられているんだよねというようなことを口にされる方もいるようなんです。

 御高配を賜っているのは基地があるからだけじゃないんですよ。わかりますよね。やはり大田中将が言った言葉というのは、これだけ大変な思いを沖縄の方々がされた、そのことに関して、後世ぜひ御高配をしていただきたいということだったと思います。ですから、今、基地があることによって大変なところがある、しかし、それだけじゃないんですね、この御高配という気持ちは。大臣、どう思いますか、そこら辺は。

鶴保国務大臣 もう全くそのとおりだと思います。

 繰り返しになりますけれども、我々の今ある立場というのは、その御高配という言葉のみならず、今、県民の方々がどれだけの苦労をしてきたかということの、そういう思いを紡いでいくということも必要なことだろうと思いますから、しっかりこれは受けて頑張っていきたいと思います。

松木委員 非常に有能な鶴保大臣ですから、よくわかっていただけるというふうに思います。

 つくづく本当に、やはり、ぜひ時間があったときに佐喜眞美術館に行ってきてくださいよ。あそこの絵を見ると、本当にこの沖縄戦というのは大変だったんだなというのが、もちろん写真はいっぱい残っていますけれども、絵という力も随分ありますよ。ぜひ見に行っていただきたいなというふうに思います。

 それでは次に、北方領土の問題をちょっとお話をさせていただきますけれども、皆さん、いろいろな方が聞きましたね。ですから、これからどうなるんだということをちょっとしゃべってくれと言われても、なかなかしゃべりづらそうな、まあそうだろうなと。これは外交ですから、当然そういうことになるんでしょうけれども。

 大臣、一日から三日までロシアに訪問されたということなんですけれども、今回の地ならしのために一生懸命行かれたんだというふうに思いますし、できたら、ラブロフ外相にどのような主張をして、これに対してロシア側はどのような対応があったかというのを、少しだけでもいいんですけれども教えていただきたいなというふうに思います。具体的にこういう成果になりましたよと言えるものがあれば、お示しをいただければ結構だというふうに思います。

 それと、十五日からいよいよ日ロ首脳会談というのが始まるんですけれども、日本側の目的、得ようとする成果についてお聞かせもいただきたい。日本側の目的と得ようとする成果、こういうことを教えてください。

 そして、今いろいろと報道がなされていますね。これも、報道も必ずしも正しい報道ではないんでしょうけれども、いろいろなことが出てきているんですよね。北方領土での共同経済活動の協議促進を盛り込んだ共同声明を発表する方向で検討に入ったというようなことの報道もありますし、さらには、北方四島の振興計画策定や、四島での人的交流拡大も明記される見通しだということが書かれていたり、焦点である領土の帰属問題を含む平和条約締結交渉については、首脳会談を受け内容を最終決定するということを言っていたり、こういう報道が随分あるんですけれども、交渉事ですので、どこまでお話しできるかというのはちょっと難しい問題だと思いますけれども、できる限りのところで、今の話で、大臣、何かお答えできるようなことがあればぜひ答えていただきたいなというふうに思います。

    〔委員長退席、佐々木(隆)委員長代理着席〕

岸田国務大臣 まず、十二月の三日に行われました日ロ外相会談ですが、ことしに入って三回目の日ロ外相会談でありましたが、外相会談ですので、まずは二国間関係、外交、安全保障や経済を初め、二国間関係についてしっかり議論しましたし、また、アジアあるいは中東など、地域情勢についても議論を行いました。しかし、何といっても、議論の中心でありましたのは、来るべきプーチン大統領訪日に向けての準備、この詰めの議論を行うという部分でありました。

 今現在議論が続いていますので詳細は控えますが、十二月三日の外相会談の時点で、お互いに関心事についてしっかりと発言をし、その課題について、引き続き、プーチン大統領の訪日ぎりぎりまで、事務レベルも含めて議論を、協議を続けていこうということでは一致をした会談でありました。

 そして、あと三日後に迫りましたプーチン大統領の訪日ですが、我が国としましては、八項目の協力プランを初めとする経済、そして政治、文化など、幅広い分野にわたって二国間関係全体を推し進めていく、国益に資する形でしっかり推し進めながら北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、この基本方針はしっかり守って臨んでいきたいと思います。

 簡単な議論ではありませんし、今現在も激しいやりとりが続いています。成果については予断することは控えますが、ぜひ、平和条約締結交渉問題について、一歩でも前進できるような成果を上げるべく最後まで力を尽くしていきたい、このように思っています。

 それから、さまざまな報道について御質問がありました。

 さまざまな報道、いろいろな共同声明がまとまるのではないかとか、いろいろな報道がありますが、少なくとも、私が見る限り、報道されているようなことがまとまったとか結論として出ているということは全くありません。そういった事実は今現在ないということだけは申し上げておきたいと思います。なぜならば、今、まだ現在協議は続いているわけですから。

 ぜひ、最後までこの協議は続け、具体的な成果につなげるようぎりぎりまで努力をしていきたい、このように思います。

    〔佐々木(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

松木委員 ぎりぎりまで頑張っていただきたいと思います。

 大臣、ちょっと報道の方にも、やはりヒートアップし過ぎているところがあると思うんですよ。報道、マスコミに何か政治家が物を言うというのは余りいいことじゃないんだけれども、少しオフ懇か何かで、余り言い過ぎるんじゃないよというぐらいのことは、大臣の方からも言っておくこともひょっとしたら必要なことかもしれませんよ。余り膨らませておいて、何かうまくいったとかいかないとか、私はやはりそういうことはよくないと思うんですよね。こういうものというのは、やはり地に足をつけて一歩一歩行くしかないわけですよね。七十何年間やってきて、そう簡単に何でも決まるものじゃないというのは私もわかりますので、ぜひ、いずれにしてもしっかり頑張っていただきたいというふうに思います。

 それでは、まだもうちょっと時間ありますね。領土問題に関する世論調査のことなんです。

 これは、昭和四十四年に特別世論調査というのがまず行われたんですね。そして、それから随分、ずっとこれをやることなく、そして、たまたま私も気がつきまして、平成二十年の四月の本委員会で、当時、外務大臣が担当大臣だったんですけれども、あれから八年、随分早いものだなと思いますけれども、あのときに、世論調査、こういうものをしっかりすることによって、また国民に北方領土の問題があるんだよということを知らしめることができるのではなかろうかという話の中で僕はお話をさせていただいて、そして、もちろん、私の意見どうのこうのというのも少しはあったかもしれないけれども、やはり大臣の見識、そして内閣府の皆さんの見識ということで、平成二十年十一月、二十五年十一月とこれを実施したということでございます。

 そのほかにも、さまざまなテーマで世論調査をやっているようでございますけれども、どうでしょうかね、五年に一遍、もうちょっと頻度を上げてもいいんじゃないかなというふうに思うんですよね。

 そして、その結果、一番初め、昭和四十四年からずっとやっていなかったので、結果が悪かったらこれは困るな、そのときはもう秘密にしちゃおうぜ、こんなふうなことも思ったんですけれども、意外と高かったということもありましたので、これは何かもうちょっと大々的に、こういうふうになっていますよということを僕はPRしてもいいんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひそこら辺をやっていただければというふうに再度提案をさせていただきたいと思います。

 あと、昔、政府広報でよく、北方領土は日本の固有の領土ですとテレビでやっていましたよね。何となくこのごろ余り見ないような気もするんだけれども。まあ、テレビを見なくなったからかもしれないんですけれどもね。

 いずれにしても、これは今どのぐらいの予算でやっているのかなということも、もしよかったら、過去のものとちょっと照らし合わせて教えていただければありがたいなというふうに思います。

 これは、答えていただくのは審議官の方かな、お願いします。

山本(茂)政府参考人 先生御指摘のとおり、国内世論を高めることが外交交渉の後押しとなりますので、国民の意識の現状を正確に把握して広報啓発活動の施策に生かしていく上で、世論調査の実施が重要だと認識しております。

 これまでのところは、調査の実施の間隔につきましては、世代の半数が交代する五年としておけば意識の推移を把握できるという考え方のもとで、平成二十年、二十五年と実施してきております。

 今後も、北方領土問題に関する国民の意識の現状を正確に把握するために、北方領土に関する世論調査の実施に向けて検討してまいりたいと思います。

松木委員 なるほど。審議官、五年に一遍というのはそういう意味があるんだね。でも、毎年やってもそんな大変なお金じゃないはずなので、ぜひやっていただきたいなというふうに思います。

 あと、コマーシャルの方の話はどうですか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の北方領土に関するテレビCMでございますけれども、直近では平成二十七年の二月に放送してございまして、その経費は約一億一千万円でございます。

松木委員 一回で。(日下政府参考人「一回」と呼ぶ)結構するんだね。わかりました。では、余りやり過ぎるより、デモ行進をやった方がいいかもしれないですね、これは。わかりました。

 岸田大臣、当時の担当大臣、私の声も聞いていただいてちゃんとこういうことをやっていただいたというのはさすがだな、こう思うんですけれども、もちろん、私が言う前に、皆さんの方がちゃんとそういうお気持ちを持っていたわけですけれども、一言、何かあったら。

岸田国務大臣 おっしゃるように、平成二十年の四月に松木委員から御質問いただきました。昭和四十四年以来この調査をやっていないという指摘をいただき、私も改めてそれを確認しまして、これは大変重要なことであると認識をし、指示を出し、その直後にまず第一回の調査を行ったということにつながりました。

 大変貴重な御指摘をいただいたと思いますし、こういった世論調査というもの、これは、こうした平和条約締結問題を進めるに当たって、国民の支持は不可欠です、こうした国民の支持あるいは世論を把握するという意味で、こういった調査は大変重要であると認識をいたしますし、そして、こうした調査が公表されることによって国民の関心が喚起される、こういった効果もあるのではないかと思います。こうした調査の重要性を改めて感じるところです。

 頻度につきましては、ぜひ、内閣府とよく相談した上で、効果的なありようはどうなるのか、これもしっかり政府として判断しながら進めていくべきだと思います。ただ、こうした世論調査の重要性は御指摘のとおりだとしっかり感じているところでございます。

 以上です。

松木委員 結構でございます。ありがとうございました。

 もう一問、実は学校教育における北方領土の取り扱いということで聞きたかったんですけれども、ほとんど時間がなくなったんですけれども、学校教育の中で、やはりこの北方領土の問題というのは、平成二十年と二十六年というのを比べますと随分詳しい指導を行えるような記載にもなっているので、ああ、一生懸命頑張っているんだなということはあるんですけれども、ぜひ、しっかりまたこれからも学校での教育、こういうものも頑張っていただきたいと思います。

 きょうはもう時間がないので、せっかく来てもらったのにごめんなさいね。ありがとうございました。

 そんなことで、私の質問なんですけれども、きょうは、両大臣、お答えいただきましてありがとうございました。

 我々が政権交代をなかなかできなければ多分総理大臣になるお二人ですからね。特に岸田外務大臣は、もう大平外務大臣より長くなるんですね。(岸田国務大臣「まだです」と呼ぶ)もうちょっとでね。ああいう方々というのは私が秘書時代の方なんですけれども、本当に時間も随分たったなと思います。

 なかなか大変なお仕事ですけれども、しっかり頑張ってこれからもやっていただきたいということをつけ加えまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民進党の佐々木でございます。

 沖北での質問は久しぶりであります。何年前か忘れるぐらいしばらく前でありましたけれども、機会をいただきました。しかも、十五日には歴史的な日ロ会談が行われるというときでありますので、北方問題を中心に、きょうは与えられた時間の中でお伺いをさせていただきたいというふうに思うんですが、その前に一つだけ、鶴保大臣に、例の土人発言について。

 鶴保大臣は、先ほどの答弁でも、差別であるとは断定できないというような発言をされてございます。

 ただ、土人という表現というのは、限られた地域と限られた人たちに向かって使う呼称ですから、そういった意味では私はやはり差別に当たるのではないかというふうに思うんですが、その発言から大分時間も経過しておりますから、お考えもいろいろめぐらされているのではないかというふうに思いますが、改めて鶴保大臣にお伺いしたいと思います。

鶴保国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたが、土人についても、私の方へたくさんの方々から御意見をいただきました。それはそれは、委員御指摘のとおり、土人発言、けしからぬと。中には、私が土人発言をしたというような、誤解に基づいた御指摘もあったようでありますが。

 決して私もこの発言を容認したわけでも擁護しているわけでもないということは、繰り返し申し上げておきたいというふうに思います。

 不穏当な発言であり、そしてなおかつ、公権力の行使に当たる者が威圧的、差別的ととられかねない発言をするということは決して許すまじき行為であるという前提のもと御答弁をさせていただくならば、いろいろな意見の中には、県民の何々ですとお電話でいただいたこともあります。これは決して、私たちが土人であるというふうな認定をされると私たち自身のこれまでの思いと甚だ離れたものになってしまうという意見から、また、先ほど御紹介申し上げましたが、石垣の市議会での決議、今回の発言は、総合的に勘案をして県民に向けられたものではないだろう、したがって県民への差別発言でもないんだというような御意見もあるようであります。

 あえてそのことを強弁するつもりはありませんが、いろいろな御意見があるということを私も前提にしながら、より県民のために何が必要かを考えつつ、これまでのところ、私が差別であると断定をする立場にはないということを繰り返し御答弁させていただく、このことに御理解をいただきたいというふうに思います。

佐々木(隆)委員 大臣、今の石垣の話もありますが、先ほど部落の話もちょっと引用されてございましたが、鶴保という議員が何を考えているかということではないわけですよね、今、内閣の一員ですから。それは内閣の発言ということになるわけなので、そういった意味では、私はやはり少し違うのではないかという見解を持っております。

 そこで、私は北海道ですから、北海道にはアイヌに対して旧土人保護法という法律がありました。これは今はアイヌ文化振興法という名前にもちろん変わっているわけでありますが。

 これが、その発言をしたときに、平成八年、これはアイヌ文化振興法に変えたときです、ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会というところが、なぜ変えなければいけないのかということについて見解を述べております。「「旧土人」という用語は今日の社会常識に照らし呼称として不適切であることは否定できない」、こういうことを言って、今大臣は断定できないと言いましたが、このときはもう適切でないということを結論づけて、よって旧土人保護法というものをアイヌ文化振興法に、まあ、今アイヌ新法というのも考えられていますが、名前を変えたわけですね。

 そのほかの場合においても、特定の地域の特定の人たちを指してこうした呼び名をするときに、何を求めているかというと、本土あるいは和人に対する同化を求めているわけですよね。そうでなければこういう言葉を使わないんです。だから、同化を求めているということは、その人たちの人権を認めていないということにつながるわけですよ。

 今はそういう人たちの人権を認めましょうという方向にどんどん変わっていっているから、アイヌという呼称も使えるようになったし、あるいは世界じゅうのそうした先住民族に対してもそういう方向に向かっている。

 そういう意味からすると、やはり、この土人という表現というのは、私は極めて極めて不適切な表現だというふうに思うわけであります。もう一度見解をお願いします。

鶴保国務大臣 アイヌの北海道旧土人保護法と言われるものの法律のことについても、平成五年の参議院の決算委員会等々でも議論をされておられるようであります。

 その当時の厚生大臣のお言葉を引くならば、差別的な響きを与えかねないと考えておる、現在の社会通念に照らして適当ではないというふうに考えているということでありましたので、今委員御指摘の御趣旨だと思いますが、これは、響きで、差別であると断定をしておるわけではありませんし、なおかつ、この時点で、法律の名前にすることが果たしてどうなのかという議論の中で、その文脈の中で出てきた言葉であるというふうに理解をしております。

 今回も、土人であるということを、私に差別であるかどうかという質問があった、そういう文脈の中で答えたものでありますから、私が差別であると断定をする立場にはないということを申し上げたにすぎないということを御理解いただきたいというふうに思います。

 繰り返しになって申しわけありません。

佐々木(隆)委員 ほかも質問したいのでこれ以上繰り返しませんが、先ほども申し上げましたが、鶴保個人の見解では済まない話、内閣としての判断ということになるわけですから、そういった意味では、私は極めてそこは反省をしていただかなければならない課題だというふうに思っておりますし、先ほども申し上げたように、やはり、同化を求めるというのは、非常にこれは差別ですよ、一般論ですけれども。そういった意味で、私はあの発言は非常に不適切だったというふうに思っておりますので、ぜひこれからもじっくり検討していただきたいというふうに思います。

 次に、北方領土についてお伺いをさせていただきます。

 十五日に首脳会談が行われるわけでありますが、首脳会談は十六回目だそうでございます、お二人の会談は。日ソ国交回復、いわゆる日ソ共同宣言からちょうど六十年を迎える年に当たります。

 ここの一連の経過の中で、五月六日の総理の発言は、新しいアプローチという表現をされているわけであります。加えて言えば、これまでの発想にとらわれない新しいアプローチと。これまでにとらわれなければ当然新しいんですけれども、繰り返して言っているというところに何か意味があるのかなというふうに思うんですけれども。

 この新しいアプローチというのは、言葉がどんどんどんどんあちこちに先行していて、具体的な中身というのは余り知らされていないような気がするんですが、中身の話じゃないですよ、新しいアプローチというのは何を意味しているんですか、具体的にどんなことをイメージしているんですかということについてお伺いします。

岸田国務大臣 平和条約締結問題における新しいアプローチについてですが、戦後七十一年、北方領土をめぐりましては、両国の間で、歴史的な解釈ですとか法律的な立場をめぐって食い違いがあり、激しい議論がずっと続いてきました。

 私も、外務大臣になったのが四年前ですが、就任してすぐに、ロンドンで、当時はG8でしたが、G8の外相会談が開かれまして、その際に初めてロシアのラブロフ外相と日ロ外相会談を行いました。その際も、北方領土の歴史的な解釈あるいは法的な立場をめぐりまして、もう何時間にもわたって大議論を行い、激しい議論を行ったのを覚えています。

 そして、その後、ウクライナ問題等でこの北方領土をめぐる議論が中断しましたが、昨年九月、久方ぶりにこの議論を再開することを確認しましたが、やはり相変わらず、歴史的な解釈あるいは法的な立場をめぐって激しい議論が続いたということでありました。

 そして、ことしの四月、確かに北方領土問題をめぐりましては両国の間で法的な立場の違いとか歴史的な解釈の違いはあるものの、ぜひ未来に向けて両国が合意できる案をつくろうではないかということを両外相の間で確認し、一致することができたというのがことしの四月でありました。

 それを受けて、五月に今度は首脳会談が行われまして、首脳会談の場で新しいアプローチというものが打ち出されたわけです。

 新しいアプローチの具体的な中身については、今も交渉が続いているので明らかにすることは控えますが、要は、今申し上げました、戦後ずっと続けてきた議論があり、そして今の外相間でも続けてきた議論があり、その上に立って、法的な立場、歴史的な解釈の違いはあるものの、未来に向けて、新しい、両国が受け入れられる案をつくろうではないか、こういった考えのもとに出てきたのが新しいアプローチであると理解をしています。ぜひこうした考えに基づいて結果を出すよう、しっかりと努力を続けていきたい、このように思っています。

佐々木(隆)委員 私は外相のように頭がめぐりませんので、今までの日ソ共同声明でのいろいろないきさつ、いきさつというか、あのときは声明も出しているわけでありますけれども、それからイルクーツクでの声明とか、今日まで幾つか声明、合意をした部分もあるわけですが、それも今大臣も説明されましたけれども、それを説明した上で新しいアプローチといったら、これを踏襲するのか、ここからぷつっと切れちゃって新しくなるのかというのが、ちょっと今の説明だと余計怪しくなってきちゃったんです。

 いずれにしても、国民なり元島民なりが今回の交渉で最も期待していることは、それは言うまでもなく、平和条約の締結、協定ですよ。平和条約を結んでほしいというのが一番の望みなわけです。その上で島の返還ということにつながっていくわけで、今までの過去の話をされて、そこから新しいアプローチと言われたら、これを踏襲するのかしないのかが、今のお答えでは私にはちょっと理解不可能だったんです。

 いずれにしても、平和条約ということが何よりも、先ほどもお話が出ましたけれども、亡くなられた小泉会長や、あるいはまた、私はこの間、北海道版の朝生テレビでこの議論をさせていただきましたが、今の千島連盟の脇会長とかが一番望んでいるのはそこなわけですよね。そこから全てが始まるということでありますので、そのことに変わりはないんですよね。

岸田国務大臣 まず結論から申し上げますならば、過去の文書、これはしっかりと今後も踏襲していくということであります。

 一九五六年の日ソ共同宣言はもちろんでありますし、一九九三年の東京宣言ももちろんでありますし、それ以外にもさまざまな文書があります。この文書については、二〇一三年に、安倍総理とプーチン大統領、この二人の間で文書をまとめて、その中で、過去の文書はしっかりと踏襲する、しっかりとこれからも尊重していくということが文書においても確認をされています。ですから、今後もそれはしっかりと確認します。

 私が申し上げたかったのは、それでも、北方領土をめぐりましては、法的な立場ですとか歴史的な解釈をめぐって両国の間で食い違いがあり、それぞれこの議論が続いています。そして、これは幾ら議論を尽くしても、私が幾ら日本の立場を言っても、ロシア側がわかりましたといって法的な立場、歴史的な解釈を変える、なかなか難しい、これは当然のことでありますし、私も、日本の立場を背負って交渉に臨んでいるわけですから、幾らロシアの外相に説得されても、はい、わかりましたと言うわけには絶対にいかないわけであります。

 それぞれの立場をしっかりと訴えることになりますが、これをずっと続けていたのではいつまでたっても結論が出ないのではないか、だからこそ、立場の違いはあるものの、未来に向けて受け入れ可能な案というのはつくれるのではないか、そういった考えに基づいてこれからは取り組んでいこうということになった、これがことしの四月の外相会談でありました。そして、その考え方の延長に新しいアプローチがあるというように御理解いただければと存じます。

佐々木(隆)委員 今の説明で、ある程度わかりました。この場は国民の皆さん方に対しても知っていただく場所でありますので、そういった意味でも、さらにお伺いをさせていただいたところであります。

 その新しいアプローチの一つかどうかはわかりませんけれども、「ロシアの生活環境大国、産業・経済の革新のための協力プラン」、いわゆる八項目というのがあります。この八項目というのは、これは日本側の提案ですよね。日本側がこれを提案したというのは、ひとつこれを弾みにしたいという思いがあるのかもしれませんが、八項目の実施というのは全て民間に対してお願いをする話であって、政府が、では、この八項目に対して、どこをどういうふうにかかわって、どこには政府が責任を持ちますというのがあの文書からはわからないんですよね。

 だから、要するに、八項目、民間の皆さん、頑張ってください、こういうメニューを用意しましたと言われても、政府が一体どこまで支援してくれるのか、あるいはこういう制度を改善してくれるのかということは、ちょっとあの八項目の提案だけでは理解できないんですけれども、その点についてお願いします。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 八項目の協力プランでございますけれども、我が国の対ロ政策の基本的考え方であります平和条約締結問題を含む、政治、経済、文化など幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するよう発展させていく、こういった考え方にのっとりまして、日ロ両国の互恵的な協力関係を強化する。それは日本企業にも利益がある、それが日本の国益に資するという意味で互恵的ということでございますけれども、相互理解を増進するということを通じて日ロ関係の発展を目指すものでございます。

 この具体化のためには、委員御指摘のとおり、日本企業が関与してプロジェクトを推進していくことが不可欠でございます。これはビジネスベースで進められるものでございまして、事業性が必要であるということでございますけれども、個別のプロジェクトにつきまして、また経済環境あるいは投資環境といったことにつきまして、日本政府としても側面支援をするところはあるわけでございますが、個別のプロジェクトについては、作業中のところもあり、また外交中のやりとりでもあり、企業が関知することもありまして、個別についてはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

佐々木(隆)委員 別に私は交渉の中身を教えろと言っているわけではなくて、この八項目は、また分野も、厚労省、外務省、国交省、経産省、文科省、ありとあらゆる分野に及ぶわけですよね。

 今もお答えの中にありましたが、互恵でなければならないと。この文書を見て、互恵という意味をもう少し説明していただかないと、先ほど外務大臣もおっしゃいましたが、ただの支援なのではないのかというふうになってしまったら、実は、ただの支援になってしまったら前進しないと思うんですよ。互恵でなければまさにその関係というのは前進しないと思うんですよね。

 そういった意味でも、今の答弁だけでそれを感じ取れと言われてもなかなか感じ取れないんですが。これはどちらでも結構ですが。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 個別のプロジェクトにつきましては、準備をしているところでございますけれども、そのプロジェクトの中で日本企業が関与をして、ビジネスベースで、まさに日本企業にとっても利益が上がるような形でのプロジェクトを進めていくということでございます。

 各分野、八分野、医療、都市開発等ございますけれども、それぞれについて日本企業が関与して、その中で、事業性のある形でビジネス、日本企業にも利益が上がるようなものとしてプロジェクトを進めていく、そういうことでございます。

佐々木(隆)委員 そのぐらいは私もわかります。

 だから、例えば、世耕大臣が、お互いのポテンシャルの高い分野をお互いに交換するんだというような発言をされているわけですよ。では、そのポテンシャルの高いというのはどことどこなんだぐらいなことがないと、これがどこが互恵なのかというところに結びつかないわけですよ。

 私は、これはうまくいってほしいし、成功してほしいんですよ。別に反対しているわけじゃありません。ぜひそれはもう少しわかるように、今でなくて、時間がなくなりますから、いつかそのことが国民の皆さん方にわかるようにしていただきたいというふうに思います。

 そこで、これは鶴保大臣にお伺いしたいと思いますが、元島民の皆さん方にとって、残されている大きな大きな課題、もちろん島が返ってくるということが大きな課題でありますが、それと同じように、漁業権、鉱業権、財産権、これらの権利回復というものが実はなされていないわけですね。

 漁業法について言いますと、昭和二十五年に実施された漁業法の改正と、これに伴う漁業権切りかえの際に、本土旧漁業権は漁業法施行法により補償されたが、北方地域の漁業権はGHQの覚書により消滅した、こうなっているわけです。

 鉱業権もそうですが、鉱業権も実は、当時は石炭だったわけでありますが、今はあの辺はメタンハイドレートの宝庫とも言われていて、大変ロシア側も関心を持っている地域になっておりますし、不動産についても暫定扱いのままになっている。

 それは領土問題と一体だと言うかもしれませんが、ここで七十年も経過しちゃっている人たちがいるわけですよ。それはまさに日本政府の責任だと私は思うんですね、その人たちに対して。そういった意味で、この権限についてぜひ政府としての責任ある対応を求めたいと思います。

鶴保国務大臣 委員御指摘の財産権問題については、これまでも長らく議論をされてきた問題であると認識をしております。

 残置財産の現状把握やその保全措置は、現状においては極めて困難であると過去の大臣も答弁をさせていただいているとおり、この問題についての確定的な財産権補償措置なるものは、基本的には平和条約の締結交渉時において清算を明確にされるべきであるというふうに政府としては認識をしております。

 したがいまして、政府としては、島民等が置かれた特殊な地位、先生が御指摘のような地位に鑑みて、北対協による低利融資制度を創設しておりまして、これを積極的に現状のところ利用していただくということが有効かというふうに思っております。

佐々木(隆)委員 私は、これは二つ、日本のこの国の行政としての課題なのかもしれませんが、今言ったように、二国間の話だといって、それはそれとセットでないことはないんですが、しかし現実に七十年もほっておかれている方々がいるわけですよね。その人たちに対しては、少なくとも、それとは切り離してでも、日本政府としてその人たちに対して何らかのやはり措置をとる。それは融資とかなんとかの問題ではないと思うんですよ、あの見舞金みたいなお金をいただいたきりになっているわけですから。

 そういうことと、日本政府というのは個人に対して非常に私は冷たいというふうに思っているんですが、災害や何かに関しても個人補償はしないとか、これは世界じゅうに余りないですよ、先進国の中で、個人に対して認めないというやり方をする国は。

 そういった意味でも、ここは、日本政府として元島民の皆さん方について何ができるかということを、答弁は求めませんけれども、ぜひこれは御検討いただかないと、まさに先ほど来の話のように、もう大変高齢になっていて、もちろん島を踏みたいという思いもありますが、その権利も全部剥奪されたままになってしまっている、そういう状況に置かれているということをぜひ再考いただきますように、ここは要望しておきたいというふうに思います。

 時間がなくなってまいりましたので、最後の質問になるかもしれませんが、何よりも、先ほど来申し上げているように、平和条約が協定をされて、そしてそのもとで島が返還するということが、これは私自身もそうですし、皆さんのとりわけ今回の大きな思いだというふうに思いますが、先ほど来お話がありますように、いろいろな情報がここへ来て、十五日だということもあるのかもしれませんが、飛び交っております。

 平和条約なのか、友好協定なのではないかとか、それから特区なのではないかというような言葉も出てきたり、また、主にこれはロシア側の発信だと思うんですが、共同開発だとか、あるいはビザ発給条件の緩和だとか、まあいろいろなレベルのいろいろな話が飛び交っておりまして、かえって国民の皆さん、とりわけ元島民の皆さん方にとっては不安をあおるようなことに今なってしまっているのではないかというふうに思います。

 申し上げるまでもなく、平和条約の締結というのが最大の課題であります、目的であります。そこの決意をまずお伺いしたいのと、あわせて、返還後についてそろそろ想定をしなければならないのではないかというふうに私は思っております。

 先ほど来ありますように、共同居住なのか共同統治なのか、これはこのことによって南の方の島にも大きく影響する話でありますので、その辺の見解もあれば、あわせて伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、さまざまな報道が飛び交っております。そしてその中には、事実ではないことも多く含まれているというのが実態だと思っています。

 ただ、これが事実でこれが事実でない云々を申し上げること自体が、今交渉が行われていますので、交渉に影響しかねません。よって、報道の一つ一つについて申し上げるのは控えるべきであると考えます。

 いずれにせよ、我が国としては、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、これが基本的な方針であり、大きな目的であります。ぜひこの基本方針はぶれることなく、しっかりと大事にしていかなければならないと考えます。

 そして、共同経済活動だとか特別何とか区とか、いろいろな言葉が飛び交っておりますが、どんな形であっても、北方領土において我が国の法的な立場が損なわれることがあってはならない、これは大前提であると考えます。

 今の段階では、その大前提だけはしっかりと守るということは申し上げなければならないと思いますが、それ以上につきましては、引き続きしっかりと協議を行っていきたいと考えます。(佐々木(隆)委員「主権の問題は」と呼ぶ)

 今、主権の問題はというお言葉がありました。我が国の基本的な方針は、先ほど申し上げたとおりであります。

 我が国の基本的な考え方は、従来から申し上げたものを改めて申し上げるならば、北方四島は我が国固有の領土であるということが一つ。そして、四島の帰属の問題を明らかにして平和条約を締結するということが一つ。さらに言えば、いろいろな議論の中で政府として申し上げたのは、北方四島の我が国への帰属が認められたならば、その時期とか態様については柔軟に対応する、こういったことは申し上げてきたと思います。大きく言ってその三つの基本方針以外は、政府として、これが基本方針だということを申し上げたことはないと承知しております。

 今申し上げた基本方針は、これからも大事にしていかなければならないと思います。それ以外につきましては、相手のあることでもありますが、ぜひ多くの国民の皆様方の期待に応えられるよう、一歩でも前進するべく努力を続けていきたい、このように思います。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、今の、私も全く同じです。やはりそこを基本、これをきちっと守って、毅然として平和条約、帰属、主権というものを守りつつ、その上で柔軟な対応というものがあり得るんだというふうに思っておりますので、期待を申し上げております。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、最初に、沖縄の国民健康保険財政について伺います。

 沖縄県の市町村で国保財政が悪化しておりますが、これについて、今年度は特別調整交付金で約八億円の追加支援が行われましたが、赤字額が約百九億円に上る沖縄県の現状では焼け石に水であります。国保税の引き上げはもう限界に来ております。

 ですから、各市町村、一般会計からの繰り入れを各自治体の努力で行っているわけですが、そのために一般財政にも大変しわ寄せが来ておりまして、ある自治体では、ことし、どうしても、救急車の購入を予定していたけれども、国保財政の悪化でそれを諦めざるを得ない、こういう訴えも聞きました。

 沖縄県の国保税の収納率は九割を超えております。全国七位です。これ以上何を努力しろというのかと、市町村から悲鳴が上がっております。

 次年度についても、浦崎副知事を先頭に、各市町村長、議会議員約五十人が、官房長官や厚労省、鶴保沖縄担当大臣を訪ねて、沖縄県の特殊事情に配慮した制度設計の構築を求めました。厚労省の二川事務次官は、要請に理解を示した上で、沖縄県の国保財政が困らないように努力していきたい、こう述べております。

 東日本大震災の被災地の市町村国保に対してとられた前期高齢者交付金への財政支援のスキームの採用を含めて、沖縄県の特殊事情に配慮した財政支援を強めるべきだと考えますが、その対策について説明していただけますか。

馬場大臣政務官 お答えします。

 今御紹介ありましたように、沖縄県の国保につきましては、これまで沖縄県や県市長会などから、さきの大戦における地上戦等の影響で前期高齢者が少ないために前期高齢者交付金が少ないことなどが財政赤字の大きな要因となっている状況に配慮して、特別な財政支援をすべきとの趣旨の要請をいただいておるところであります。

 国保財政の安定化は重要な課題でありますので、沖縄県の国保については、その特殊な事情や財政状況もよく考慮しながら支援を行っていく必要があると考えております。

 ただ、御指摘の東北三県における支援につきましては、東日本大震災への対応として、極めて特例かつ時限的に行った措置であります。

 そういった中で、今後は、平成三十年度から、国保制度の改革の一環として、子供の多い自治体や医療費適正化等の取り組みを進める自治体に対して財政支援の強化を図ることといたしております。

 今後、具体的な制度設計を検討することとなりますが、引き続き、沖縄の国保が置かれている状況を踏まえつつ、地域の事情を踏まえながら検討していきたいというふうに存じます。

赤嶺委員 きょうは、ちょっと国保はこの程度にとどめておきますが、前期高齢者交付金制度ができて、それが、戦争の影響の結果、百億円もの赤字を出すけれども、今の財政支援は八億円、これでは焼け石に水だということを強く指摘しておきたいと思います。

 次に、環境補足協定について伺いますが、最初に防衛省に伺います。

 昨年九月の協定締結以降、従来は実施できていた地元自治体による返還前の米軍基地への立入調査ができなくなっています。普天間基地の文化財調査は、一九九九年から沖縄県と宜野湾市が共同で実施してきたものですが、昨年二月に申請した立ち入りがいまだに認められていません。キャンプ瑞慶覧の施設技術部地区についても、北谷町が昨年十一月に、北谷城の国史跡指定に向けた文化財調査を申請しましたが、これもいまだに認められていません。

 防衛省、なぜこのようなことになっているんですか。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 普天間飛行場やキャンプ瑞慶覧の施設技術部地区における埋蔵文化財調査につきまして、まず、普天間飛行場につきましては、沖縄県教育委員会が平成十一年から平成二十六年まで試掘調査を行っています。また、キャンプ瑞慶覧の施設技術部地区につきましては、北谷町教育委員会が昭和五十八年から平成十三年まで発掘調査を実施してきたところです。

 先生御指摘の平成二十七年に予定していた調査につきましては、普天間飛行場は平成二十七年二月、キャンプ瑞慶覧の施設技術部地区につきましては平成二十七年十一月にそれぞれ立ち入り申請がなされておりまして、現時点においても米側と調整を行ってございます。

 その調整状況につきましては、米側との関係もあってお答えは差し控えたいと思いますけれども、防衛省といたしましては、環境補足協定に基づき、地元の要望に即した埋蔵文化財調査が実施できるよう、米側と鋭意調整を行っているところでございます。

赤嶺委員 馬場政務官、もうこれで質問はありませんので、結構であります。

 それで、外務大臣に伺いますが、今、環境補足協定ができて、今までやっていた文化財調査が普天間基地あるいは北谷城でできなくなっている。

 環境補足協定ができたころ、この問題は何度も外務大臣にも質問をしてまいりましたが、日米地位協定締結から五十五年を経て初めての取り組みだ、あるいは、従来の運用改善とは質的に異なる、このように、画期的な運用改善であることを強調していました。

 ところが、これまでに環境補足協定に基づいて立ち入りが認められた事例がありません。それどころか、逆に協定が妨げになって、従来は実施できていた立ち入りさえできなくなっています。こんなことは絶対に許されないことだと思います。知事を先頭とする軍転協も、ことし九月、従来どおりの立ち入りを政府に要請しております。

 外務大臣の責任で直ちに改めていただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田国務大臣 環境補足協定に基づく日米合同委員会合意では、通常、返還日の百五十労働日前、つまり、七カ月強前の段階から立ち入りを行うことができる、このようになっております。また、返還される施設・区域ごとの事情を踏まえ、地元関係者の立ち入り期間等を日米間でよく調整することにしており、日米間で合意すれば、この百五十労働日より前からの立ち入りも可能、このようになっています。

 その中で、今委員の方から御指摘がありました、普天間飛行場あるいはキャンプ瑞慶覧において、従来は地元の合意に基づいて調査が行われていたのに、この環境補足協定ができたがために、この手続が終わらなければ前に進まないということで、取り組みが滞っているということでありますが、これは、要は運用の問題であると認識をしています。

 環境補足協定の重要性については、今まさに委員からいろいろ御紹介いただきましたように、これは大変大きな意義を有していると思います。従来の運用改善とは質的に異なります。日米地位協定締結後五十五年間の歴史においても重要な意義があると思いますが、ただ、この運用において、今御指摘がありましたような点、不都合が生じているということ、これはしっかり受けとめなければならないと考えます。

 環境補足協定のもとでの立ち入り申請、これは始められたばかりでありますが、今後の運用を通じて、立ち入り申請が迅速に認められ、必要な立ち入りがタイムリーに実施されること、これが重要であると考えます。

 ぜひ、御指摘も踏まえて、環境補足協定の円滑かつ効果的な運用のために努力をしていかなければならないと考えます。ぜひ、そういった思いで取り組んでいきたいと考えます。

赤嶺委員 環境補足協定は画期的な運用改善だと言って、それを我々が言葉どおりに評価するためには、補足協定がスタートした後に、それは運用の面においても、今まで入って埋蔵文化財の調査ができていたものができなくなる、これを改善しなきゃいけないんですよね。その認識はお持ちだと思います。

 では、外務省、何をなさるんですか。

岸田国務大臣 今、実際に御指摘の点等において、運用において滞っている部分がある、これについて、ぜひ円滑かつ効果的な運用が行えるように米側としっかり調整をしていかなければならないと思います。

 一方で、環境補足協定につきましては、冒頭申し上げましたように、しっかりとした前向きな内容を含むものであります。この協定に基づいての前進もぜひ図っていきたいと思います。

 両方の課題にしっかり取り組むことによって、地元にこうした環境補足協定の意義をしっかり感じていただけるよう、努力をしていきたいと思います。

赤嶺委員 調査できていたものができなくなったら、環境補足協定の意義を認識しようにもできないんですよ。我々の評価は非常に厳しいということを申し上げて、また別の機会で議論していきたいと思います。

 次に、政府が六月に出した沖縄県における犯罪抑止に関する対策、これについて伺います。

 これは、四月に起きたうるま市の女性暴行殺人事件を受けて出されたものですが、中身を見てみると、青色パトロールとか、防犯灯、防犯カメラの設置、それから学校における防犯教育などと、あたかも沖縄県の防犯体制に大変問題があるかのような内容です。

 そもそもタイトルからして、米軍犯罪ではなく、一般的な犯罪抑止という呼び名になっております。米軍犯罪ではなく犯罪抑止と、米軍犯罪を何で入れなかったんですか。米軍犯罪抑止に主眼を置いた対策ではなかったんですか。

滝澤政府参考人 お答えいたします。

 国民の生命と財産を守ることは政府の責務であるということで、委員御指摘のとおり、沖縄県で発生いたしました米軍関係者による悲惨な事件を二度と再び繰り返すことがないよう、徹底した対策を早急に検討するようにとの総理の指示を受けまして検討を進め、六月三日に「沖縄県における犯罪抑止に関する対策について」ということで取りまとめたものでございます。

 中身につきましては、御指摘ございましたとおり、防犯パトロール体制の強化、安全、安心な環境の整備の二点ということでございまして、具体的には、防犯パトロール体制の強化については、沖縄総合事務局に百台規模の青色パトカーによる沖縄・地域安全パトロール隊を創設し、緊急防犯パトロールを実施するほか、警察官百名の増員とパトカー二十台の増強等により、事件、事故の初動対応やパトロールのための警察力の充実強化をすることとしております。また、安全、安心な環境の整備につきましては、夜道の明るさを確保するための防犯灯や防犯カメラの整備などを行うこととしておるところでございます。

 これらの施策につきましては、国と地元自治体との協議機関を設置いたしまして、地元と十分な調整を行いながら実施することとしております。

 なお、この施策につきましては、冒頭に申し上げましたように、国民の生命と財産を守ることが政府の重要な責務であるということに鑑みまして実施をしているものでございまして、沖縄県における犯罪抑止全体を目的として実施しているというものでございます。

赤嶺委員 答えになっていません。

 うるま市で二十の女性の暴行殺人事件が起こって、米軍犯罪の抑止に県民の怒りが高まっているときに、米軍犯罪抑止対策ではなくて沖縄県における犯罪抑止対策という、わざわざ米軍を抜く、米軍に遠慮したそういうスキームになっている、それを総理が指示した。私は実に恥ずかしいことだと思いますよ、こういうことは。

 それでは、聞きますけれども、青色パトロールの実施から半年がたとうとしています。繁華街などを回って不審者や不審車両を見つけて警察などに通報するという業務であると思いますが、これまでの通報件数とその内容、そのうち米軍関係者がかかわった事例が何件あったか、これを答えていただけますか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 沖縄・地域安全パトロール隊による警察への通報は、パトロール隊の発足以来、十二月九日現在まで、十三件でございます。主な内容は、泥酔者や不審車両を発見したことによる通報や交通事故に関連する通報などであります。

 また、沖縄・地域安全パトロール隊による警察への通報のうち米軍関係者に関するものは、現在のところございません。

 以上であります。

赤嶺委員 現在のところ米軍関係者に関するものはない、とても米軍犯罪抑止に効果があるようには思えません。

 警察ですが、警察についても、警察官を百名、パトカーを二十台ふやしてパトロールや交番などの増強を図るとしています。

 沖縄県の刑法犯認知件数の推移はここ十年でどうなっていますか。全国と比べてそんなに多いんですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 沖縄県における平成十八年の刑法犯認知件数は一万七千四百二十三件で、昨年、二十七年は九千四百六十三件でありました。沖縄県における刑法犯認知件数は平成十八年から二十七年まで毎年減少しており、この間、総じて七千九百六十件、四五・七%の減少となったところでございます。

赤嶺委員 沖縄県の犯罪は減少しているわけですね。全国と比べても少ないですよ。手元の私の資料によりますと、十万人当たりの認知件数は、ここ十年間、全国平均を上回ったことがありません。この現状を見て、一体なぜこのような警察の増強が必要なのか、全く理解できません。

 都道府県の警察官の増員というのは、警察法五十七条によると、国が政令で決めた基準に従って各自治体が条例を出すということで定められていますが、既に十一月に百人増員の警察法施行令の一部改正を閣議決定して、今は沖縄県で条例についての審議が行われようとしています。

 どうしてこういう仕組みになっているんですか。

斉藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、本年六月に決定をされた犯罪抑止対策の中で、沖縄県民の安全、安心を確保するため、警察官百名の増強等により、事件、事故への初動対応やパトロールのための警察力を充実強化することに取り組むこととされたところでございます。

 これを受けまして、本年十一月十一日、沖縄県警察官の定員の基準を百人増員し、二千七百四十一人に引き上げることを内容とする警察法施行令の一部を改正する政令が施行されたわけでございます。

 地方警察官の定員は、警察法五十七条第二項において、条例で定めることとされるとともに、その定員は政令で定める基準に従わなければならないこととされており、先ほど申し上げました政令改正を踏まえて、警察官の定員を改正することを内容とする条例案が県議会に提出されているものと承知をいたしております。

赤嶺委員 警察庁が百人増員を政令で決めて、それを県議会で条例で決めさせる、その人件費は沖縄の負担になるんですよね。沖縄の負担になるんです。米軍犯罪とは無関係なところで警察力を強化していく。

 外務大臣、米軍犯罪の抑止というのは、それこそ官邸や外務大臣、防衛大臣の仕事だと思います。私は、これまでも、例えば夜間外出禁止時間のときに事故、事件が起こっている、まさに抜け穴だらけじゃないか、こういうことを強く申し上げてきました。

 最低限やるべきこともしないで警察官をふやす、青色パトロールをふやす、沖縄に犯罪が多いかのようなそういうスキームの計画をつくる、それではないんじゃないですか。外務省として、米軍犯罪抑止のために、もっと努力すべきじゃないですか。

岸田国務大臣 まず、在日米軍による事件、事故、これはまことに遺憾であり、もとよりあってはならないことであります。

 そして、それに対してさまざまな対応をしていかなければならないということで、まずは米側のみずからの努力が重要であるということでリバティー制度等があるわけですが、リバティー制度だけでこうした事件、事故を全て防ぐわけにはいかないわけです。

 あわせてさまざまな取り組みをしなければならないということで、米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チームの枠組みを活用するとか、今議論に出ておりました沖縄・地域安全パトロール隊による見回りですとか警察官の増員、これもしっかりと取り組んでいかなければならないわけでありますし、さらには、沖縄に新たに着任した全ての軍人軍属、家族及びコントラクターを対象に研修を行う、研修資料をしっかりと見直していく、さらにはその研修を地元関係自治体にしっかりと視察してもらう、こうしたさまざまな取り組みが行われています。

 こうした取り組みをしっかりと同時並行的に進め、そして、これらがお互いにしっかりとした効果を発することによって事件、事故を防いでいかなければならない、このように認識をしております。

赤嶺委員 外務大臣、リバティー制度でさえも抜け穴だらけでまともに守らせ切れていないのに、それ以外の警察官の増員とか青色パトロールとか、まさにそれも沖縄の犯罪抑止という、減ってきている沖縄県の犯罪抑止というタイトルで、米軍犯罪のことを言わない。

 最後に一問、沖縄担当大臣に伺いますが、これらの、例えば街灯の設置とか青色パトロールだとかそういうもの、警察官の増員も、沖縄県が求めているわけじゃないんです。青パトや街灯の設置というのは、今、沖縄振興予算の枠組みの中でこの予算が確保されているんですね。

 国が犯罪抑止として計画した、沖縄県が要求しているわけではない、それが沖縄振興策の予算の枠内で処理される、これが財源になる、これはおかしいんじゃないですか。

鈴木委員長 時間が参っております。鶴保大臣、短く御答弁ください。

鶴保国務大臣 はい。

 沖縄振興策を推進するに際しましては、このような沖縄県民の安全、安心を確保することがそもそもの大前提であると認識をしております。したがいまして、振興策の予算で、この安全、安心のパトロール等々の予算を算入していること、これについては全く筋違いなものであるというふうには思いません。

 ただ、より振興に資するために前広に議論をしていく必要があるという思いについては先生と同じ思いを持つものでありまして、沖縄・地域安全パトロールについては沖縄総合事務局において非常勤職員を雇用するなどして実施しておりますけれども、今後、沖縄県の犯罪抑止対策推進協議会防犯パトロール部会の検討次第によっては、民間委託も視野に入れながら進めてまいる所存であることも付言しておきたいと思います。

赤嶺委員 終わりますけれども、私と同じ方向を向いていないことだけははっきりいたしました。

 これで終わります。

鈴木委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 岸田大臣は、僕は質問がありませんので、どうぞ退席して結構です。委員長にも話してあります。

鈴木委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

下地委員 ちょっと提案があるんですけれども、委員長、この一年間でこの委員会をやったのは六時間、所信を除いて、四月の二十六日に三時間、きょう三時間なんですよね。

 沖縄では、今回、事件、事故もありました。また、北方領土の問題もあります。そして、今回のような沖縄の振興開発計画の特別措置法の見直しの五年目を迎えますという中で、この委員会は二回しかやらないんですよ。検証もしない、何もしない。基地問題は外務委員会と安保委員会でやりなさい、北方領土の問題もやりなさいとなると、この委員会の意義そのものが、これは二回の六時間だけでいいのかと言われかねませんよね。

 そういう意味では、やはり、これは積極的に委員会を開いて、沖縄問題、北方問題をやっていくというようなことを、ぜひ、委員長、お願いをしたいというふうに思っております。

鈴木委員長 理事会で協議いたします。

下地委員 主税局長、来ていますので、ちょっとお話ししますけれども、今度、沖縄の振興開発計画が、五年から二年になりましたね。これは、五年から二年になった意義とか意味とか、どういうのがありますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘は、今回、与党がお決めになりました税制改正大綱におきまして、沖縄振興関連税制について、これまで五年間であった適用期間が二年及び三年になったということを指してのことだと思います。

 まず、その経緯でございますけれども、今年度で期限を迎える沖縄関連の租税特別措置について九つございました。これについて、関係部局から二つの項目についての拡充と九項目全体について五年間の延長が要望されまして、その後、要望事項の取り扱いの方向性を議論するいわゆるマル・バツの審議の議論を経まして、最終的な取りまとめにおいて、航空機燃料税の軽減措置及び沖縄型の特定免税店制度は三年間、それ以外の制度については二年間適用期間を延長するということとされたところでございます。

 与党における議論の詳細について政府としてお答えする立場にはございませんけれども、こうした結論につきまして、これまで沖縄関連の租税特別措置の適用期間が五年とされてきたわけでございますけれども、二年間または三年間という期間できめ細かく政策効果等を検証しながら必要な対応を検討していくというお考えによるものと受けとめております。

 政府といたしましては、与党税制改正大綱の決定を踏まえまして、今月二十二日に政府として税制改正大綱を決定すべく準備を進めているというところでございます。

下地委員 今の税制改正が二年になったのは、それは今、自民党と公明党の与党がやっているんだけれども、これまでは、十年、五年は政府が決めてきたことですよね。この十年、五年が二年になって短くなったということで、政府が今まで十年と決めてきた、五年と決めてきたことが二年になるわけだから、何の意味を持っているのかというのを聞きたいんです。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄振興関連税制につきましては、法人税の特区制度、これについて適用件数が非常に少ないものがございまして、十分に活用されていない等の課題があるものと受けとめております。

 これらの措置につきましては、例えば、平成二十六年度の税制改正によりまして大幅な拡充を行ったところでありまして、まずは、所管省庁である内閣府や沖縄県におきまして、事業者等への周知徹底ですとか相談対応等を充実して、企業誘致等のために有効に本制度を活用するよう工夫していただく必要があるものと考えております。

 こうした状況を踏まえますと、長期間にわたって十分に活用されないといった状況をそのままにするのではなくて、きめ細かく適用状況や沖縄の経済状況等を検証していくべきものと考えておりまして、今般の与党の決定のとおり、適用期間を五年ではなく二年または三年とすることによりこのような対応が可能になるのではないかというふうに受けとめております。

下地委員 主税局長とこうやってお話しするのは、あなたはこの国の中の税のエキスパートだから話をさせていただいていますけれども、今話をしたように、この九項目、もう何回も論議をしていますから。なかなか成果が出ていませんよね。成果が出ていないものは、五年が二年になるとか五年が十年になるということが問題ではなくて、中身に問題があるからこの問題が起こっているわけです。

 今、この特区においても、観光地域の促進税制というのは対応がゼロ、これはもうゼロですね。産業高度化というのも、投資減税が十八件で三億五千七百万、特別償却も七件で一億六百万、この程度しか成果が出ていない。経済金融活性化特区というのは、特別償却はゼロ、エンジェル税制もゼロ。国際物流拠点集積地域というのも、二十五年もゼロ、特別償却も今回もゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ。情報通信も一件。こういう状況の中で、五年を二年にすることが大事なのか、五年を十年にすることが大事かといったら、違うはずでしょう。

 酒税においても、平成十六年が一番最高で六千三百八十八キロリッターだったものが、今は二千ですよ。今この税制を延ばすということにどこに意味があるのかということを正直言って聞きたいわけですよね。

 私は今回思うんですけれども、やはりだめなものは廃止した方がいいと思うんですよ。だめなものは廃止する。しかし、これは延ばそうと思うんだったら、税のプロだったら、もう三つしか手法はありませんよね。

 一つは、だめなものはやめる。効果がないものは税をやめるのが当たり前だからやめる。もう一つは、効果がないものは効果があるように修正していって、泡盛が売りやすくなる、オリオンビールが売りやすくなる、特区に企業が入ってくる、こういうふうに修正してから新しい税制にするか。それとも、こういう趣旨、もう本土から企業誘致はやめて、沖縄の企業を伸ばしていくんだという新しい税制に変えるか。

 三つの選択肢があったらいいと思うんだけれども、今あなた方が考えている選択肢は、ただの延長。だめなものは二年延長しても十年延長しても変わらない。意味のないことをやっているんじゃないかと言っているわけですよ。税のプロが、果たして沖縄以外であなたがそんなことをするかというわけよ。俺はしないと思うよ。あなた方は厳しいから、だめなものはばつばつ切る、効果があるものは考えようとする。しかし、この税制ではもう全く意味がないじゃないですか。

 大臣、大臣も記者会見でこう言っていますよね。適用実績が乏しい制度がある中、制度そのものの縮減にまでは踏み込まれず、他の租税特別措置の延長幅に合わせる形で延長が認められたことから、一定の評価ができるものだと考えております、自民党税制調査会、沖縄振興調査会、公明党内閣部会を初め関係者の御尽力と沖縄振興への御理解に心から敬意を払います。何でそんな答弁になるんですかね。これは難しくないですか、成果が出ないものを。

 私は大臣とも論議しましたけれども、やはりダイナミックに見直すべきでしょう、この税制は。これは沖縄県民にとって何も効果が出ていませんよ。出ていない。

 先ほど配ったこの資料も見ていただきたいと思いますけれども、振興目標、実績というもの。目標計画というのは大臣の内閣府がつくるんですよ、大臣の内閣府が。振興計画ごとにつくるんですよ。

 これは一回目、二回目、三回目、四回目、五回目とあるんだけれども、まあ一回目、二回目は、沖縄が非常に経済的に厳しい状況だから、ちょっと刺激をすると伸びてきて、目標を達成しました。三次振計、四次振計、まあ五次振計は今回ですけれども、まだわかりませんが、これは達成できないと言われていますよね。

 こういうふうに目標が達成できていない現状がずっと続いているけれども、同じことをやっているんですよね。大臣、やはりここはおかしい。やはりここはダイナミックに大臣の指導力で変えると言わないと、沖縄の期待をいただくことはできないんじゃないかなというふうに私は思いますよ。

 これから沖縄問題を考えるといいながらも、やはり二年間にしたということになると、次の知事選挙に合わせてやるんじゃないかと新聞で書いたりするよね。大臣が一番嫌な沖縄タイムスとか琉球新報はそんなことを書きますよ。私も好きじゃありませんから。だけれども、こういうふうに勘ぐられることになるんですよね。

 しかし、今回の税制改正は余りにもひど過ぎる。これは沖縄県民誰一人として喜ばない。こういう喜ばないものをやって、ありがとうございますと言えというようなことをやっているようじゃ話にならない。

 私は、そういう意味でももう一度、もうこれは遅いですけれども、本当にこの二年間で、どういうふうにして実績のあるような税制に変えていくのかと。あとは大臣のところの仕組みを変えていかなきゃだめだ。もう税制は決まった。泡盛が外に出るように広告宣伝費を予算でつけるとか、そういうふうなことをやらざるを得ないと思うんだけれども、大臣の考え方を少しお聞きしたいと思います。

鶴保国務大臣 大変熱い御指摘をいただいたと思います。

 私もこの話を最初に聞いたときに、これはどうなっているの、ああなっているのと。適用実績がゼロ、ゼロ、ゼロというもので、これはどうなっているのかということをつまびらかにいろいろ聞いた記憶がございます。

 ただ、その時点で聞いている状況を少しお話しいたしますと、特区や地域への企業進出は進んでいるところであるが、企業が黒字化するまでには一定の期間がかかる。すなわち、黒字化せねば、さまざまな特区制度の便益を享受できる立場にならない、そういう租特の対象にならないという説明。あるいは、平成二十六年度に拡充、創設した制度内容の浸透が不十分であった。つまり、その地域へ進出していこうという企業が、こういう特措法がありますよということについての理解がまだ進んでいなかった、周知徹底が進んでいないというような説明を受け、そういうことならばということで今回は是認をした覚えがあります。

 なおかつ、今回、特に地元の経済団体の皆さんがいち早く東京にお見えになられて、御意見を聴取いたしましたけれども、異口同音にというかほぼ全て、今回は延長をお願いしたいというお願いであります。そして、なおかつ、先日もいらっしゃって、経済団体の皆さんも、ありがとうございましたということで、今現状は終わっております。

 今後、先生が今御指摘をなさったような状況を踏まえて、何ができるかについては、確かに、時期的にはもうこれは税制大綱の閣議決定はすぐ目の前でありますからなかなか難しい問題がありますけれども、内部部局でもしっかりと検討させていただき、本当に振興に資するものは一体何なのかということについて議論を始めたいというふうに思っております。

下地委員 この税制がもう意味のないことだけははっきりしました。

 しかし、意味のない税制をやって、泡盛も伸びない、オリオンビールも伸びない、特区にも企業が来ないという税制にして、ありがとうございますと言いに来なければいけない沖縄の経済界のわびしさ、これは、本人たちが、行っている人たちがみんなそう思っていますよ。行かないとまた次に何をやられるかわからない。誰が考えてもこれはありがとうございますでないにもかかわらず、ありがとうと菅官房長官のところに行かなきゃいけない、大臣のところに行かなきゃいけない。そういうふうな沖縄に追い込んではいけないと思うよ。

 やはりもう一回、沖縄に寄り添うということならば、本当に沖縄に成果が出るような仕組みづくりをやる、そういうふうなことを大臣が、沖縄担当大臣なんだから、そこが本気でやらないと、自分の自民党とも、与党で同じ公明党にも本気でけんかして臨まないと、この沖縄問題というのは変わらないんですよね。基地問題だけは強引にやるけれども、こういう問題に対しては強引にやらない、そういう見方になっちゃう可能性があるというふうに思っていますから。

 あとは、できるのは、大臣の予算で、このうまくいっていない、浸透していないと今大臣がおっしゃったことを、予算をしっかりつけながらどうやってやっていくかというのが一点。そして、この二年間の間に、そのときに来てから検証するんじゃなくて、一年ごとに、半年ごとに検証しながら、アドバイスをしながら業界団体を伸ばしていくというこの沖縄担当大臣の役割をぜひ果たしてもらいたい。そのことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十四分散会


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