衆議院

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第1号 平成29年2月22日(水曜日)

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本分科会は平成二十九年二月二十日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石田 真敏君    大串 正樹君

      國場幸之助君    渡辺 博道君

      緒方林太郎君    伊東 信久君

二月二十一日

 大串正樹君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十九年二月二十二日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 大串 正樹君

      安藤  裕君    石田 真敏君

      國場幸之助君    簗  和生君

      渡辺 博道君    緒方林太郎君

      北神 圭朗君    伊東 信久君

      椎木  保君

   兼務 尾身 朝子君 兼務 大西 宏幸君

   兼務 黄川田仁志君 兼務 古川  康君

   兼務 泉  健太君 兼務 小川 淳也君

   兼務 後藤 祐一君 兼務 玉木雄一郎君

   兼務 稲津  久君 兼務 中野 洋昌君

   兼務 斉藤 和子君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   財務大臣政務官      三木  亨君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  多田健一郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   山脇 良雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 池田 憲治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 吉田 朋之君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中尾  睦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策評価審議官)        中川 健朗君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       伊藤 洋一君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            関  靖直君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            田中 正朗君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    高橋 道和君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     和田 浩一君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            野間 俊人君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  渡辺 博道君     簗  和生君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

  伊東 信久君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  簗  和生君     安藤  裕君

  北神 圭朗君     岡本 充功君

  木下 智彦君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     渡辺 博道君

  岡本 充功君     緒方林太郎君

  伊東 信久君     小沢 鋭仁君

同日

 辞任         補欠選任

  小沢 鋭仁君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  河野 正美君     椎木  保君

同日

 辞任         補欠選任

  椎木  保君     伊東 信久君

同日

 第一分科員大西宏幸君、第二分科員泉健太君、小川淳也君、第三分科員尾身朝子君、黄川田仁志君、第五分科員中野洋昌君、第六分科員斉藤和子君、第七分科員後藤祐一君、稲津久君、第八分科員古川康君及び玉木雄一郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

大串主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました大串正樹です。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。松野文部科学大臣。

松野国務大臣 おはようございます。

 平成二十九年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十九年度予算の編成に当たっては、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術の振興についての施策を総合的に展開するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆三千九十七億円、エネルギー対策特別会計千九十五億円などとなっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

大串主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申し出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大串主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大串主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

大串主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西宏幸君。

大西(宏)分科員 おはようございます。

 きょうは、分科会一人目の質疑ということでございまして、質疑をさせていただきます、自由民主党・無所属の会、大西宏幸でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。

 私は、大阪一区でございまして、衆議院になる前は、大阪市会議員、約十六年その職務に当たらせていただいたわけでございますけれども、そのころから教育問題につきましては諸課題に取り組んでまいりました。あわせて、子供が三人おりまして、その子供を育てる中で、さまざまな諸問題等々、感じてきたことを、本日、国民の声、保護者の声として、視点から質問をさせていただきます。

 昨年の二月のことでございますけれども、神奈川県で、インフルエンザに罹患して高校受験がうまくいかなかったということが理由と見られる親子心中事件がありました。このニュースを見て、皆さんも本当に心が痛んだと思います。

 高校受験は、最近では小学校、中学校の受験もふえたとはいえ、やはり基本は人生最初の大きな試験であり、将来を大きく左右すると考えてしまう生徒や保護者が多うございます。そういうことも現実でございます。

 その中で、今回の事件は大きくワイドショーやニュースに取り上げられ、国民の大きな関心の一つとなってきております。この事件が起きた神奈川県教育委員会の対応についてもいろいろマスコミ等々で注目を浴びたということでございますけれども、その対応についてお聞かせいただけませんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 神奈川県の高校入学者選抜におきましては、入学者選抜当日に病気などによって通常の検査形態による受験が難しいと受験者から申し出があった場合は、別室での受験を認めていると承知しております。

 委員御指摘の事案における当該生徒に対する受験当日の対応についてでございますが、受験の初日に行われた学力検査は、本人の申し出がなかったことから、ほかの受験者と同様に一般の教室にて行われておりまして、次の二日目の面接については、当該生徒の保護者からインフルエンザを理由に別室受験の申し出が当該学校へあったことから、別室受験での対応を認めたというふうに聞いております。

 神奈川県教育委員会によれば、今年度の入学者選抜における対応としては従前どおりでありますが、この事案を受けまして、追試験の実施も含め、平成三十年度以降に対応する方向で検討すると聞いております。

大西(宏)分科員 いろいろ諸事情があるということで、学力試験のときには御本人からの意思を示されなかったということ、そして二日目の面接において罹患をされているということを申し出されたということで、何でこういうことになったのかということを本当に痛ましく思うわけでございますけれども、その所管の省庁である文部科学省はこれまでどういう対応をされたでしょうか、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、この事案を受けまして、各都道府県等における入学者選抜上のインフルエンザ罹患者等への対応状況について調査いたしまして、その調査結果を踏まえて、昨年十月に都道府県教育委員会等に対して通知を発出し、追検査の実施などインフルエンザ罹患者等に対する受験機会の十分な確保について要請をいたしました。

 また、全国の入試担当者を対象とした会議におきましてインフルエンザ罹患者等への対応について緊急協議を行うなど、各都道府県教育委員会等における追検査の実施を初めとしたインフルエンザ罹患者等に対する受験機会の十分な確保について、その取り組みを促しているところでございます。

大西(宏)分科員 通知を出されたわけでございますけれども、全国都道府県、高等学校の入試について、インフルエンザの罹患者への対応を調査されたということで、この結果をお教えください。

 また、通知を出された後、対応が変化してきていると思います。先ほども神奈川県の教育委員会の対応の変化というものが見られるという話も聞いておりますけれども、どのような方向に変わっていったんでしょうか、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました文科省からの通知を踏まえました各都道府県等における今年度以降の入学者選抜における対応状況について、現在まさに調査をしているところでございます。

 この調査結果につきましては、現在取りまとめ中というところでございまして、詳細なことにつきましては現時点ではお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、大まかに申し上げますと、今年度の入学者選抜から新たな追検査を実施する自治体はございませんでしたけれども、平成三十年度以降に対応する方向で検討している自治体が現時点においては二十以上の自治体となっているところでございます。

 引き続き、各都道府県教育委員会等において、この通知の趣旨を踏まえまして、インフルエンザ罹患者等に対する受験機会の十分な確保について適切に対応していただきたいと考えております。

大西(宏)分科員 ここでいろいろ疑問点も残るわけですよね。何で今までこういう別日の追試の議論がなされていなかったのか。これほどまで毎年毎年インフルエンザの大流行の中で試験をなぜされているのか。

 我々大人、私たちも子供の時代がありまして、そのときの大人たちが一生懸命、子供のことを中心として、環境をどう改善するか考え、そして考え抜くことで今現在の教育というものがあると私は思います。変えること、考えること自体をやめるということは、未来に対して、その未来を閉ざしてしまうということにもなり、教育の硬直化とも言えると思います。

 いろいろ話をする中で、都道府県の教育委員会のことが中心として議論される中で、いや、大変だから追試はできないんですよという話もお聞きしますけれども、そんな、大変だからということで、子供のことを、努力を諦めては私はならない、これは指摘を申し上げておきます。

 冒頭に申し上げたとおり、この事件、本当に胸が痛みます。国会でも、以前、公明党の先生から質疑をされたということもお聞きしておりますけれども、私は少し視点を変えて、質問というよりこれは提案になると思いますけれども、申し上げさせていただきたいと思います。

 日本の入試は、一月の終わりから二月がメーン、先ほども言いましたように、一番気候変動が激しい時期ですね。一年で最も寒くて、めったに雪の降らない東京でも、センター試験の前後になると、雪が降って、交通機関もおくれが出るほど、多くの受験生が苦労する。その中で、受験生とともに、やはり保護者の方も風邪を引かせないように、体調管理等々も大変気を使って対応していかなければなりません。風邪など体調を崩せば、それこそ親の責任、取り返しのつかないことになります。

 そこで、必ずぶつかる質問なんです。これは皆さんがおっしゃいますし、よくワイドショーでも議論されるんですけれども、なぜこの時期に入試なんでしょうか。時期をずらすことは本当にできないんでしょうか。お答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 高等学校の入学者選抜に関しましては、文部科学省といたしまして、高等学校の学年が四月一日に始まり翌年三月三十一日に終わるという現行制度を前提といたしまして、中学校教育に悪影響を及ぼさないこと、また中学校における教育活動の成果を十分評価することができるように、余り早い時期に行われないよう、各都道府県教育委員会等に対してこれまでも指導してきたところでございます。具体的には、平成五年二月二十二日に、文部事務次官名で各都道府県等に通知を出しているところでございます。その結果、現状におきましては、公立学校の入学者選抜については、おおむね三月上旬に一般入試が実施されているところでございます。

 委員御指摘の入学者選抜の時期の見直しについてでございますが、まず第一に、高等学校の学年は、先ほど申し上げましたとおり、四月一日に始まり翌年三月三十一日に終わるという現行制度が定着しておりまして、これに基づいて各教育課程が編成されているなど学校運営がなされているということ、それから、第二に、高等学校だけの問題にとどまらず、高等学校と接続する中学校への影響に配慮する必要があるということで、議論の論点が種々あるというふうに考えている次第でございます。

 したがいまして、まずは、各都道府県教育委員会等における追検査の実施を初めとしたインフルエンザ罹患者等に対する受験機会の十分な確保の取り組みについて、文部科学省としては注視してまいりたいと考えております。

大西(宏)分科員 そういう課題はあるということもお聞きしていますし、予測もしておりました。しかし、ここまで受験生、一人の若者が人生を大きく左右することは、そろそろこうした議論もやはりすべきではないかなと思います。

 そこで、今お聞きした課題に対応しようとすれば、秋季入学というのも視野に入ってくるということだと思います。これはひとまず大学についてお聞きしますけれども、秋季入学について、現在の検討状況はいかがでしょうか。

松野国務大臣 大学の秋季入学については、平成十九年の教育再生会議第二次報告を踏まえた、学校教育施行規則の一部改正により、学年の始期及び終期は学長が定めるものとされ、大学の判断で学年の始期を四月以外にすることが可能となりました。

 また、文部科学省においては、秋季入学を初めとした学事暦の多様化と、入学前のほか、在学中も含め、大学外での多様な経験を推進するため、有識者会議を平成二十五年九月に設置し、平成二十六年五月に意見まとめがなされました。

 意見まとめにおいては、大学が秋季入学に移行しようとする場合のメリットとして、欧米大学の学事暦と適合することによる国際的な学生の流動性の向上、高校卒業後から大学入学までの期間を活用した学修体験の豊富化、高校教育の成果を適切に評価できる時期に入試を実施可能といった点が指摘をされております。

 一方、課題としては、高校の卒業時期を三月のままにして大学が秋季入学に移行すると、大学入学までの期間を無為に過ごしてしまうことや、社会に出ることがおくれ家計負担が増加してしまうことへの懸念、また、三月卒業を想定している就職慣行や公的な資格試験等の仕組みに合わないなどの点が指摘をされています。

 現状として、九月入学など四月以外の時期の入学者については、留学生を中心に二千人程度でとまっている状況でございます。

大西(宏)分科員 松野大臣、どうもありがとうございます。

 このくだんにつきましても、過去に与野党間で議論が交わされて、賛否が大きく分かれたということもお話を聞いております。賛成、反対の主な意見をお教えいただけますでしょうか。

 秋季入学制度というのは、一部取り入れている大学があるということでございますけれども、秋季入学を全体として想像すると、そういうことの課題がございます。ぜひ、入試では、子供たちが安心して日ごろの努力をしっかりと発揮できる環境整備、文部科学省として検討を続けていただきたいと思います。

 さて、ここからは、子供の貧困と教育についてお聞かせいただきたいと思います。

 言うまでもなく、教育は国の根幹であって、安倍晋三総理も今国会の施政方針演説の中で、「学問は身を立るの財本ともいふべきもの。」と、学制の序文を引用されました。貧困の連鎖を断ち切るためにも、教育は非常に重要です。また、将来に夢や希望があるのに、家庭の経済状況によって進学を諦めることがあってはならないと思います。

 まず、文部科学省として、いわゆる貧困家庭の子供たちの就学状況や進学、退学の状況について、どの程度把握しておられるでしょうか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 家庭の経済状況と進学率の関係につきまして、高等学校等進学率につきましては、全世帯の子供が九八・八%であるのに対しまして、生活保護世帯の子供が九二・八%。また、大学等の進学率につきましては、全世帯の子供が七三・二%であるのに対しまして、生活保護世帯の子供が三三・四%であることを把握しております。また、家庭の経済状況と高等学校中途退学率の関係につきましては、全世帯の子供が一・四%であるのに対しまして、生活保護世帯の子供は四・五%であるということを把握しております。

大西(宏)分科員 私が市会議員時代から、先ほど申し上げているとおり、教育問題に携わってきた事柄の中で、貧困家庭の子供たちはしっかりと学校に通うことができないということが現実でございました。

 文部科学省では長期欠席の子供たちについて把握しておられるということですけれども、その中で、人数や理由を可能な範囲で教えていただきたいと思います。その中で、ネグレクトや虐待を隠すためになどもあるかもわかりませんけれども、可能な範囲でどうぞよろしくお願いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年度の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと、長期欠席、すなわち年度間に連続または断続して三十日以上欠席した小中高等学校の全児童生徒数は約二十七万四千人おりまして、そのうち、病気による児童生徒が約五万五千人、経済的理由による児童生徒が約千八百人、不登校による児童生徒が約十七万六千人となっております。

 この不登校児童生徒の約十七万六千人につきまして、家庭に係る状況がその要因になっている児童生徒が約五万六千人おります。この中には、委員御指摘の貧困とかあるいはネグレクトに関係するケースも少なからず含まれていると考えております。

 文部科学省といたしましては、今後とも、関係機関と連携の上、スクールソーシャルワーカーの配置拡充等を通じまして、このような児童生徒の支援を強化していきたいと考えております。

大西(宏)分科員 大阪だけではなくて、大都市の部分ではよくある話という、一くくりにできるような状況ではないんですけれども、私の選挙区の西区でも、子供が餓死をしたということで、近くの本当に身近な話であったのでいまだに覚えていますけれども、その話をすると、やはり目に涙があふれます。

 最後、母親にネグレクトされた子供が、お姉ちゃんが弟を守るように餓死して死んでいて、その下の子供はおむつまで食べていたということでございます。こういう子供たちを何で助けられないのかな。私は残念で残念でたまりません。

 そういう可能性のある子供たちが五万五千人いるということ、これはやはりゆゆしき状況であるという認識を我々は持たなければならない。この五万五千人を殺さない、未来につなげていく、未来のよき人材に育て上げていくというのが我々の仕事じゃないのかなと思っております。

 その中で、経済的な理由から長期欠席になっている子供がいることもわかりました。ネグレクト等々はちょっと所管が違うので、文部科学省として、いわゆる貧困家庭の子供たちに何か生活の支援はしているのでしょうか、また今後ともしていこうと考えていらっしゃるんでしょうか、お聞かせください。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちの未来が貧困の連鎖によって閉ざされるといったようなことはあってはならず、全ての子供が家庭の経済状況に左右されることなく、希望する質の高い教育を受けられることは大変重要であると考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、平成二十九年度の予算案におきまして、まず、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育費負担軽減といたしまして、幼児教育無償化の段階的推進、義務教育段階における就学援助の充実、高校生等奨学給付金の充実、学生等への無利子奨学金の充実や給付型奨学金の創設などを盛り込んでいるところでございます。

 また、学校を貧困対策のプラットフォームとして位置づけ、貧困による教育格差の解消のための教員定数の加配、スクールソーシャルワーカーの増員や貧困対策のための重点加配なども盛り込んでおります。

 さらに、地域の教育資源を活用した子供の貧困対策といたしまして、貧困を抱える親子がともに学び育つことを支援する地域の教育資源を活用した教育格差解消プランの創設、学習がおくれがちな中学生、高校生等を対象とする原則無料の学習支援であります地域未来塾の充実を図ることとしております。

 こうした取り組みを通じまして、子供たちがそれぞれの夢にチャレンジできる社会の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

大西(宏)分科員 いわゆる長期欠席の子供たちを学校の学びやに戻していく、こういうことをどういうふうに一つ一つ積み重ねていって、子供たちの心、環境につなげていくのか、これがやはり大切なことだと思います。

 これは私が経験したことでございますけれども、いわゆる貧困の家庭もしくはネグレクトや虐待を受けている子供たちは学校に来たら何でわかるのか。まず一つに、においでわかります。お風呂に入っていない、服を着がえていない。髪の毛も洗っていないんでしょうから、すごく体臭がする。また、虐待を受けている子供はよくあることで、顔にけがをしている、体にけがをしている。それがばれたくないから学校を休ませる。

 そういうことに我々はどう気づくのか。これはやはり地域、学校、そして多くの方々のボランティアの力をかりながら、そういう子供たちを一人でも多く見つけ出し、救い出し、そして家庭環境を変えていくしか私はないと思っております。

 本当に助けられた子供は幸せなんでしょうけれども、親がいろいろな理由でいなくなって、離婚した子供が親戚に預けられて、トイレに一年以上閉じ込められて、そして歩けない状況、外に出ることが怖いという刷り込みをされて虐待を受け続けていた子供もいるというお話も聞いています。

 そういう子供たちを一人でも助ける、それが未来に対しての我々の務めである認識を持って、我々は今後、教育問題、そしてそれに携わることに対して突き進めていかなければならないと思います。

 最後に、松野博一文部科学大臣にお聞きしたいと思います。

 安倍晋三総理大臣は、施政方針演説の中で、高等教育における無利子奨学金の拡充や給付型奨学金の創設、また奨学金の返還について言及されました。私の地元でも、このくだんにつきましては大変喜んでおられる方もいらっしゃいます。私自身も、国の宝である子供たちに平等に学ぶチャンスを与えるすばらしい政策だと思います。

 具体的に、そのことに対して、検討状況などをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。先ほどのくだんも、もし御意見がありましたら、足して言っていただきたいと思います。

松野国務大臣 まず、委員の方からお話をいただきました子供たちを取り巻く環境についてでありますけれども、子供たちが安心して安全、健全な環境の中で過ごすことができる、そして学習機会をしっかりと確保できるということは、言うまでもなく最も重要なことであるかと考えております。

 文部科学省として、委員のおっしゃられた方向に関して、できることはしっかりと対応してまいりたいと思いますし、あわせて、厚生労働省等を初め関係省庁と連携をしつつ、子供たちの環境の向上に対して取り組んでまいりたいと考えております。

 そして、委員からの御質問でありますけれども、意欲と能力のある学生が経済的な理由により進学を断念することがないよう安心して学ぶことができる環境を準備するために、今、学生の経済的負担軽減を図ることは重要であると考えております。

 このため、来年度から、無利子奨学金については、住民税非課税世帯の子供たちに係る成績基準を実質的に撤廃するとともに、残存適格者を解消し、必要とする全ての学生が奨学金を受けられるようにしてまいります。

 また、委員からお話もいただきましたが、返還負担の問題でありますけれども、これを大幅に軽減する所得連動返還型奨学金制度も導入することとしております。

 加えまして、給付型奨学金については、経済的理由によって進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするため制度を創設することとしており、このための法案を国会に提出させていただいております。

 文部科学省といたしましては、これらの取り組みによりまして、教育の機会均等の実現に取り組んでまいりたいと考えております。

大西(宏)分科員 ありがとうございます。

 本当に、繰り返しになりますけれども、子供は国の宝であり、教育もまた国の根幹をなすものであると私は思っております。

 その宝の子供たちは、余すことなく幸せになる権利があります。不幸になる子供を一人でも救えるように、今後とも、私自身も頑張っていきたいと思っておりますけれども、引き続き教育行政について尽力を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

大串主査 これにて大西宏幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)分科員 民進党の後藤祐一でございます。

 まず、昨日発表された中間まとめでございますけれども、この七ページに、再就職等監視委員会への対応として紹介者としての嶋貫氏の名前を出さないようにしていたことが確認できたと。「誰から声がかかったかについては、基本的に代表ではない誰かとする」とか「三月退職、五月再就職の場合、四月中に最終面接があったとする等、適宜、再就職者と調整しておく必要有り」とか、これは悪質な組織的隠蔽があったと考えてよろしいですか、大臣。

松野国務大臣 この事案に関しては、委員の御指摘のとおり、文科省の再就職等規制違反の形を隠蔽する目的があったと考えております。

後藤(祐)分科員 それと、八ページのところには、「守秘義務違反や個人情報保護の観点からの職務義務違反が生じうる。」とあるんですが、これについて、私は、二月七日の天下り集中審議の際に、文科省から嶋貫氏への個人情報の提供は個人情報保護法違反ではないか、こういう指摘をさせていただいておりまして、松野大臣は、そこの点に関しては検討させていただきたいと答弁されておられます。

 この三十七事案、それ以外は今調査中だと思いますので、この三十七事案で明らかになった部分だけで結構なんですが、かなりの数の、文科省から嶋貫氏への個人情報の提供があります。これは、文科省の職員側が行政機関個人情報保護法違反ではないでしょうか。

 つまり、八ページには、「守秘義務違反や」、これは多分、国家公務員法上の守秘義務違反ということではないかと思いますが、「守秘義務違反や個人情報保護の観点からの職務義務違反が生じうる。」としているのは、逆に言うと、行政機関の個人情報保護法違反はないというふうにこの八ページで書いてあるように見受けられますが、文科省の職員の嶋貫氏への個人情報の提供は、行政機関の個人情報保護法違反ではないですか。

松野国務大臣 行政機関の保有する個人情報保護に関する法律においては、行政機関は、所掌事務を遂行するため必要な場合に、利用目的のために保有個人情報を利用、提供できるとされています。しかし、行政機関の職員が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された個人情報ファイルを提供した場合、業務に関して知り得た保有個人情報を自己もしくは第三者の不正な利益を図る目的で提供した場合等に該当すれば、刑事罰が科せられる可能性もあります。

 現時点の調査結果において、人事課職員がこれらの規定に違反する行為を行ったと最終的に判断する状況には至っておりません。

 しかし、いずれにせよ、嶋貫氏を中心とする組織的な再就職あっせん構造に関して、再就職等監視委員会からその全容解明が文部科学省に求められており、現在、私のもとに設置した再就職等問題調査班において、外部有識者の指導、判断のもと調査を行っているところであり、引き続き、委員御指摘の点に関しましても、調査を進める中でしっかりと調査をしてまいりたいと考えております。

後藤(祐)分科員 三十七事案以外のものについてはまだ調査しているでしょうから、それに伴って起きる行政機関個人情報保護法違反については検討でいいんですけれども、三十七事案については既に具体的に何があったか調査済みなわけです。その三十七事案で起きている文科省の職員から嶋貫氏への個人情報の提供が、行政機関個人情報保護法違反に該当するかしないかを聞いております。

 今の時点で違反はないというお答えですか。

松野国務大臣 先ほど申し上げたとおり、現状において最終的に判断する状況に至っていないということでございます。

後藤(祐)分科員 個人情報保護法違反の可能性はあるということであれば、なぜこの八ページに書かないんですか。

松野国務大臣 今回に関しては、監視委員会から御指摘をいただきました三十七事案を先行的に調査をさせていただいております。委員の方から個人情報保護違反に関する御指摘をいただいていることは承知をしております。私も答弁の中で、しっかりとこの点に関しても調査をすると申し上げておりますので、引き続き。

 ただ、この調査の全容解明をした時点において、三十七件の中でどうかという委員の御指摘もありましたが、この問題に関しては、例えば、個人の秘密に属する事項が記録された個人ファイルに該当するかどうかという点であったり、また、人事課職員のOBの個人情報を提供した点も含めて、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律五十四条に規定します「自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的」に該当するかどうか、こういった点も含めて検討をさせていただくということでございます。

後藤(祐)分科員 この八ページにその点が触れられていないのは大変問題があると思います。そこは、検討しているのであれば、だって、この守秘義務違反は、守秘義務違反という書き方は国家公務員法ですよね。うなずいておられますね、大臣。ということは、行政機関の個人情報保護法違反については、その違反になる可能性があるような今答弁をされたということは、この中間まとめにその旨を記述していないのは大変問題が大きいと考えます。

 引き続きまして、もう一点の職業紹介事業でございますが、嶋貫氏のマッチングについては、職業安定法第三十三条の無料職業紹介事業に該当し、厚生労働大臣の許可が必要にもかかわらず、嶋貫氏は、手続はとってございませんという答弁が二月七日にございました。

 これも、この三十七事案、詳細が明らかになっています、この三十七事案から明らかになった部分だけで判断した場合、嶋貫氏の行為は職業安定法三十三条に基づく無料職業紹介と言える可能性があるのではありませんか。

松野国務大臣 職業安定法の規定について厚生労働省から聞き取ったところ、一般論として、職業紹介を事業として行う場合には厚生労働大臣の許可を受ける必要があり、許可を受けずに職業紹介事業を行った場合には、職業安定法上、違反となり得るものと承知をしております。

 嶋貫氏を中心とする組織的な再就職あっせん構造に関しては、先ほど申し上げましたとおり、現在、私のもとで調査をしている最中でございますが、嶋貫氏の行為が事業として職業あっせんが行われていたか等を最終的に判断する状況には至っておりません。

 また、仮に事業として行われていた場合でも、無料の職業紹介について、把握できる限りでは今まで告発をされた例はなく、行政指導が主体として対応されております。これらの事例との比較や、可罰的違法性があるか等の検討も行う必要があるということでございまして、引き続き、厚生労働省を初め関係機関とも相談をしつつ、しっかりと調査を進めてまいりたいと考えております。

後藤(祐)分科員 仮に行われた場合でもというお答えもありましたし、その可能性はあるという理解でよろしいですね。

松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この構成要件に関しましては、事業として行っているかどうかという点がございます。この案件が事業かどうか、行われていたかということに関してのさらなる精査が必要であるというふうに考えておりますし、告発するかどうかということに関しましては、これは可罰的違法性等の問題、今までの厚生労働省による指導との比較も検討しなければなりませんので、それもあわせて、今後、厚労省としっかりと相談しつつ進めてまいりたいということでございます。

後藤(祐)分科員 その可能性はあるという答弁だと受けとめましたが、その場合は、やはり、もう委員会で指摘しているわけですから、この中間まとめにおいてその可能性について触れるべきだったと思います。そこに触れていないことについては、私は大変大きな問題があると思います。

 実は、なぜこの二つについて触れたかといいますと、行政機関個人情報保護法違反の可能性があり、かつ無料職業紹介事業に該当する可能性があるとなると、第二の嶋貫氏のようなことというのは、国家公務員法の観点だけでなく、これら二つの法律上違法になる、しかも、その場合は刑罰がかかるわけです。ということを明らかにするということは、第二、第三の嶋貫氏を生みにくくするということにおいて大変重要なんですね。

 ですから、ここに触れていないということは大変問題が大きいと思いますが、そこは早く調査をして、これから後、まだ衆議院の予算委員会は続きますので、その間に答えを出していただけるよう要求したいと思います。

 続きまして、事案二十一、科研費について触れたいと思います。

 科研費の申請機関となるための事務体制の整備のためにアドバイザーの候補者の情報提供を依頼することは、結果として科研費を受領する一つの要素を構成しているという事務方の説明がきのうございました。

 玉井公立学校共済組合理事長は、間接的に科研費受領に向けた準備行為を働きかけているのではありませんか。まず、それを聞きたいと思います。間接的に科研費受領に向けた準備行為を働きかけているのではありませんか。

松野国務大臣 委員御指摘の働きかけということでございますが、国家公務員法第百六条の四において、違法な働きかけとして、退職して営利企業等に再就職した職員OBが、離職前五年間に在職した局等組織の職員に対して、再就職に関する契約等事務について、離職後二年間の間、職務上の行為をするように要求または依頼することを禁止しております。

 今回、御指摘の事案につきましては、玉井理事長は離職して五年経過をしているとともに、人材を求めるということは、法律が依頼を禁止する契約等事務に該当しないと考えており、この件に関しまして、違法な働きかけという認識はございません。

後藤(祐)分科員 働きかけ規定との関係での整理は、御説明はそういうことなんでしょうが、この玉井氏の行為がなければ、この公立学校共済組合は科研費を交付されなかった可能性があるのではありませんか。

松野国務大臣 この玉井氏が働きかけた内容というのは、これは、その機関としての研究をしっかりと行っていくに当たって、科研費を受けることができるような機関を整備したいということに関して、その知識がある人間をということでございます。

 直接的に、この玉井氏の働きかけが科研費と直結する事案であるとは考えておりません。

後藤(祐)分科員 直接とは言っていません。間接的に、この玉井氏の行為がなければ、科研費の交付はなかった可能性がありませんか。

松野国務大臣 これは、その機関が科研費を受領することができる機関を整備できるかどうかということにかかっております。

 玉井氏がこのアドバイスといいますか、このところに入ってそれについての活動を行ったことがない場合にこの機構ができなかったかどうかについては、今私が判断をできるものではございません。

後藤(祐)分科員 この公立学校共済組合は、平成二十九年度予算においても科研費が交付される可能性があるんですか。

松野国務大臣 可能性ということにおいては、あると思います。

後藤(祐)分科員 そうしますと、この玉井氏がこういった行為をしていなければ、科研費の取得はなかった可能性がある。それについて、今判断できないとおっしゃいました。調べる必要がありますね。それを調べてください。そして、その結果を衆議院の予算通過前に報告してください。

 というのは、これは二十九年度予算を交付する可能性があるという、今、明確な御答弁ですから、これは二十九年度予算を判断する上で大変重要な要素だと考えます。お約束ください。

松野国務大臣 この科研費は、まず申請ベースに対応するものでありますから、これは支給をする可能性はあります。

 しかし、この支給に当たっては、第三者の有識者を含めた厳正な審査のもとに支給がなされるものでありますから、今回の計上されている予算に対して、これによって不当な予算が計上されているというようなことは言えないと考えております。

後藤(祐)分科員 そのことを言っているんじゃなくて、この玉井氏の行為がなければ科研費の取得はなかったのではないかということについて、今判断できないとおっしゃいましたので、それについては調査をした上で、その調査結果を予算委員会の理事会に提出いただけるようお約束ください。

松野国務大臣 まず、当該機関が科研費を今まで獲得したという実績はありません。ありませんが、これはもう、今後申請によって認められるかどうかという可能性は、それは研究機関、ある一定の受領できる要件がそろっていれば、あり得るわけであります。

 その上において、先ほど私が、玉井氏がこの機関に入っていなければ科研費を受領できる機関ができたかできなかったかということに関しては、今私が判断をできるものではないというお話をさせていただいたことでありまして、それを、科研費が、その機関として今後申請をするかしないか、したときにはどう対応するかということに関して言及したものではありません。

 いずれにしても、先ほど申し上げましたとおり、科研費は、機関から申請があっても、第三者機関の厳正な審査のもと配分される……(後藤(祐)分科員「そのことじゃなくて、調べた結果を出してくださいということを言っているんです」と呼ぶ)調べた結果。(後藤(祐)分科員「今判断できないと言ったので、調査した上で、予算委員会の理事会に提出してくださいということを言っているんです」と呼ぶ)

 これは先ほど私が申し上げた趣旨が、委員の方から、玉井氏がいなければこの機関はできずに、できない結果、科研費が受けられなかったということがあるのではないかという御指摘をいただきましたので、玉井氏がいる、いないと、その機関が成立する、成立しないに関して、私が言及する立場にないという意味でございます。

後藤(祐)分科員 お約束いただけないようなので、主査、この玉井氏の行為がなければ科研費の取得の可能性はなかったのではないかということについて、現時点で判断できないと大臣はおっしゃいましたので、それを調べた上で、予算委員会の理事会に提出していただけるよう、理事会で協議いただきたいと思います。

大串主査 ただいまの資料要求につきましては、予算委員長に報告いたします。

後藤(祐)分科員 次に行きます。

 筑波大学に関する事案三十三においては、吉川理事に関するマッチングがある程度進んでいましたが、吉川理事は本年一月に文科省を退職したが現在再就職していないというふうにされております。

 この三十七事案以外にも、今後調査することになるんでしょうが、マッチング作業がある程度進んでいるけれどもいまだ再就職していないという事案がたくさんあるんじゃないでしょうか。特に、三月三十一日には退職される方がいっぱい出ます。そのマッチング作業が事実上かなり進んでいる、終わっているものがあるんじゃないかと思うんです。その中には、違法性の疑いがあるようなマッチングについても結構あると思うんです。

 この違法性の疑いのある再就職のマッチングが既に終わっている、あるいはある程度進んでいるものについては、その人事は執行されないということを、大臣、お約束ください。

松野国務大臣 まず、先ほどの事案で、私が申し上げましたのは、科研費を得ることができるかどうかは判断できないと申し上げたのではなくて、科研費を得る、その機構が成立することができたかどうかということに関しては、私が言及するべきものでもないし、その委員会としての能力があるかどうかではないということを申し上げたということでございます。

 今の御質問に関しては、嶋貫氏を介した再就職あっせんを受けたものの、まだ就職をしていない事案につきましては、現在調査中でございます。これらの事案も含めまして、平成二十年十二月三十一日の再就職等規制が始まった時点までさかのぼって、引き続きしっかりとした調査をしてまいりたいと思います。

 そして、もしも仮に国家公務員法違反、再就職等規制違反があった場合について、その就職に関してはという御指摘、御質問でありますけれども、これは個々の事案を精査した上で判断をしていかなければならないものだと承知をしております。

後藤(祐)分科員 もちろん精査しなきゃいけないんですが、違法性の疑いのあるようなマッチングが、仕掛かり品という言い方はよくないかもしれませんが、ある程度まとまりつつあるようなものについては、その人事が執行されてしまったら、違法性があるあっせんを追認したことになっちゃいますよね。その人事はとめるということをお約束くださいと言っています。一つ一つ精査するのはもちろんのことですが、一つ一つのことについてというよりは、そういうものがあった場合にはとめるということをお約束ください。

松野国務大臣 国家公務員法上、違反とされている案件というのは、これはもう委員御承知のとおり、現職の公務員が情報を提供したり、また就職にかかわる活動をしたりすることが禁止をされて、違反行為に当たるわけでありますが、再就職等に当たる御本人もしくは受け入れの団体に関して、国家公務員法上の違反行為に当たるわけではありません。

 その上において、個々事例をしっかりと確認しつつ、先ほど申し上げましたとおり、その事例ごとの適切な判断が必要だという旨を申し上げたことでございます。

後藤(祐)分科員 お約束いただけないということですね。法律違反は、本人ではなく、あっせんした側にかかるのはもちろんわかった上で言っています。文科省側が何らかの形で違法性の疑いがあるようなあっせんをしたような案件について、その人事が執行される可能性があるということを今おっしゃったと理解します。

 これは大変大きな、大臣自身の責任になってきてしまう可能性があるということを御理解いただきたいと思います。

 続きまして、事案十七、ACCU案件でございますが、室長級職員Bは前川文科審議官の了解を得たとするメールを送信したと事実認定されています。しかし、結論は、前川文科審議官が了解したという事実は認められずとなっています。メールでは明確に事実認定をされているわけです、了解を得たと。そういうふうに書いてあるメールが見つかったんでしょう。これに対して、前川文科審議官はBに対して、具体的に何と発言したんでしょうか。

 要は、文科審議官に対して何らかの説明があったときに、わかったとか、それでよしとか、何か発言があって、あるいは発言がなくて、それをもって、了解だったのか、報告にすぎなかったのかという判定をしたと思われますが、メールの方では了解したという明確な言葉があるわけです。それを覆すだけの根拠が必要です。

 前川文科審議官はBに対して具体的に何と言ったのか、事実認定されておりますか。何と言ったのか教えてください。

松野国務大臣 御指摘の事案に関しましては、調査班における、まず前川氏に対してヒアリングを行い、前川氏からは、了解ではなく事実として聞きおいた旨の発言を得ております。また、前川氏が了解したと嶋貫氏に報告した人事課職員へのヒアリングも実施をしており、当該職員からは、前川氏も聞きおいただけだと思う旨の発言を得ております。

 これらのことから、ヒアリングの結果として、了解ではなく報告の趣旨であると推測をされまして、中間まとめにおいて、御指摘の事案について、再就職等、違反する行為が現状において確認できなかったという報告になったと承知をしております。

後藤(祐)分科員 つまり、前川文科審議官がBに対して具体的に何と発言したかは特定していないということですね。

 メールは了解したと明確に書いてあるにもかかわらず、それをひっくり返すだけの証拠を明確に示せないということですね。にもかかわらず、これは了解を得たということではないと断定したのは、これは、この十七の事案、ちなみに二十九も同じです、この事実認定及びその最終結果として、了解があったのかなかったのかに関して、大変疑義があると思います。

 これは具体的な、前川文科審議官が何と発言したかが特定されない限り、メールをひっくり返すだけの根拠があるとは思えません。これは、曖昧な根拠に基づく、前川審議官を事実上救済する判断をしようとしているのではありませんか、文科大臣。これは、もしそうだすると、大臣の責任になってきますよ。

松野国務大臣 まず、前川氏のヒアリングにおける具体的な発言でございますけれども、私はOBの再就職について了解したり了解しなかったりという権限を持つ立場ではないと認識をしていた、事実として聞きおいたということが前川氏のヒアリングでございます。

 そして、人事課職員のヒアリングに対しての発言でございますけれども、前川さんに報告して、前川さんとしては特段再就職の意見はありませんから聞きおいただけだと思います、はいはいと聞きおいただけだと思いますという表現をされております。

後藤(祐)分科員 今の点については疑惑が深まったと思います。

 実際、きのうの説明ですと、部下の説明に対し、上司が報告を受けたのか了解をしたのかという違いに関して、了解があった場合には主体的なかかわりがあったと推認されて、その場合は違法である蓋然性が高いという御説明もありました。これは事実ですか。きのうそういう説明がありましたけれども、こういう判断でよろしいですか。

松野国務大臣 済みません、私の方でその説明、文科省の方から委員に御説明があったということでありますが、その内容をちょっと今承知をしておりませんが、しかし、このヒアリングに関しては、外部有識者、法曹関係者、弁護士さんも入っていただいた中でヒアリングが行われてこの報告書に至ったわけでありまして、そのヒアリングを通して、ヒアリング内容からは、これは、了解ということではなく事実として聞きおいたという報告書に至ったのであるというふうに承知をしております。

後藤(祐)分科員 一般に、部下の説明に対し、上司が報告を受けたのか了解をしたのかの違いについて、私はきのう説明を受けました。

 文科省としての、こういうふうに考えるという資料を提出していただけるよう、理事会で協議いただけますでしょうか、委員長。

大串主査 ただいまの件については、私の方から予算委員長にお伝え申し上げます。

後藤(祐)分科員 次に行きます。

 情報提供の禁止でございますが、一月二十六日の予算委員会では、私から「どういう方がいつごろおやめになるか、あるいは法人なんかがどういうポストがいつごろあきそうかという情報をいっぱい持っています。今は、これをまとめてこの元人事課職員」嶋貫氏ですね、「にお渡ししています。これはやめるということでよろしいですか、」という質問に対し、松野大臣は「今後は一切行いません。」と断定的な答弁をしておられます。

 この提供とは一体、何をしない、一切行わないということなのか。特に、OBに直接は提供しないけれども、例えばその間にOB以外の人を一人かませて、形式的にそこをスルーして嶋貫さんみたいなOBの方に行くようなケース、こういったものも情報提供を行わないというものに含めないと、ざる法になってしまうわけですね。

 今言ったようなケースも含めて今後は一切行わないということなのかどうか。そして、情報提供を行えない対象となる、求人情報、求職情報という言葉で非常にざっくりしちゃっていますが、どういう情報、二種類あると思いますが、求人にかかわる情報と求職にかかわる情報、これをきちっと定義した上で、こういう情報については誰に対して情報提供しないのかということを、今後は一切行わないという答弁の意味を、これは通告しておりますので、具体的にわかる形でお約束ください。

松野国務大臣 国家公務員法の再就職等規制では、職員が他の職員、職員OBを再就職させることを目的として、当該職員、職員OBに関する名前、職歴などの情報を営利企業等に対し提供することを禁止しております。

 今回の文部科学省再就職等問題調査班の中間まとめでは、嶋貫氏からの要請に応じ、人事課職員が、職員及び職員OBの再就職を紹介することを目的として、氏名、職名、生年月日等の職員情報について、名簿等の体裁を整えるなどにより提供し、定型化された作業として継続されてきたということが認められました。今後、このような再就職等規制の潜脱的行為を一切行わないようにするということでございます。

 このことを徹底するために研修等を行っており、また、再就職に関する情報提供の依頼があった場合の対応についても、これもあわせて提供しておりますが、委員からの御質問がありました、これはOB以外にも出さないということかということに関しましては、この法律自体にありますとおり、営利企業等に対し提供することは禁止をされているわけでありますから、OB以外に対しても、就職、再就職を目的とした対象者に対しては情報を出さないということでございます。

後藤(祐)分科員 OBに限定しないという後段のところは非常にわかりやすいんですが、対象となる情報に関して潜脱的行為に当たるようなものに限定しているところは、一月二十六日の松野大臣の答弁から後退しています。このときは、私は、いつごろおやめになるか、どういうポストがあきそうかという情報について、今後は一切行いませんと大臣は答弁しているわけですから、これは、大臣、一月二十六日の答弁、修正ということですか。今のは狭くなっていますよ。

松野国務大臣 今申し上げましたとおり、人事課から再就職等を目的として外部第三者に伝える情報は先ほど申し上げたとおりでありますが、もちろん、営利企業側からの就職、再就職の依頼を含めた情報等も当然のことながら、それを再就職を目的とした第三者に伝えるということはしないということでございますから、先般私の方から答弁をさせていただいたとおりでございます。

後藤(祐)分科員 前回の答弁から随分狭くなっていますし、営利企業なんて大学の中では少ないんですよ。そこも非常に狭くしているように聞こえます。

 ぜひここは、前回の答弁を事実上修正しているように思いますので、今後も明らかにしてまいりたいと思います。

 終わります。

大串主査 これにて後藤祐一君の質疑は終了いたしました。

 次に、簗和生君。

簗分科員 自由民主党の簗和生でございます。本日は、質問の機会をいただきましてまことにありがとうございます。

 本日は、学校教育とそして科学技術の振興という二つの点について質問をさせていただきたいと思います。

 まず前段として、学校教育について質問をいたします。

 先般、学習指導要領の改訂案が示されました。教育の質の向上というものが求められますと同時に、小学校の英語教育の教科化そして時間数の増加、またプログラミングの必修化等、量的な増加も想定をされています。そして、授業や学習内容の増加のみでなく、教職員にとっては、自己研さんあるいは授業の準備、こういったものの時間の確保も重要になってくるというふうに思います。

 現状において、教職員をめぐる環境というものは、業務が複雑化、多様化しており、業務負担が増大しています。負担軽減の必要性というものが求められている状況でございますが、今般の学習指導要領の改訂に伴い、さらなる業務負担の増加も予想されるといった状況にあります。

 教職員が安心して教育に専念できる、そうした教育環境をつくることが国の責務であるというふうに思いますが、現状として、この新しい学習指導要領のもとで、質と量を両立させる、そうした教育指導ができる、学習指導ができる、そうした環境を実現する上で、文科省としてこれからどのように教職員の負担を軽減していくのか、こうした取り組みについて見解をお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 委員御指摘のとおり、今日の学校を取り巻く環境は複雑化、困難化をしております。貧困問題への対応や保護者等からの要望への対応など、学校に求められている役割も拡大をしております。こうした中、今般の学習指導要領の改訂を受け、教育の質の向上が同時に求められているということでございます。

 平成二十六年度に公表されました、中学校教員を対象としたOECD国際教員指導環境調査等においても、我が国の教員の長時間労働の実態が示されていると認識をしております。

 文部科学省としては、教員の業務負担の軽減を図ることは喫緊の課題であると認識をしておりまして、二十カ所程度の重点モデル地域を指定し、学校現場の業務改善を加速するためのプロジェクトを開始すること、部活動の適正化の推進、業務改善等に知見のある有識者や教育関係者等を業務改善アドバイザーとして派遣する仕組みの創設などを柱とする、学校現場における業務の適正化に向けた取り組み方針を本年一月に発表いたしました。

 あわせて、教職員定数についても、義務標準法の改正法案を国会に提出したところであり、学校現場の実態等を踏まえ、引き続き学校指導体制の充実に努めてまいります。

 文部科学省としては、委員のお話の中にありましたとおり、教員が子供と向き合える時間、教育の質の確保、教員一人一人がこれまで以上に誇りとやりがいを持てる学校現場の環境を実現するために、今申し上げました施策を初めとして、しっかりと業務改善に取り組んでまいります。

    〔主査退席、國場主査代理着席〕

簗分科員 大臣、ありがとうございました。

 学校の先生方は、本当に大変な御苦労をされながら、子供たちのために、児童生徒のためにという思いで気力を奮い立たせて頑張っておられますので、ぜひそうした気持ちにお応えをいただいて、各種施策を講じていただきたいというふうに思っております。

 今大臣から御答弁いただきました中で、教職員定数の改善のお話がございました。財務省が、財政制度等審議会ですけれども、少子化による児童生徒数の減少ということにのみ焦点を当てて、少子化の進行に合わせて教職員定数の合理化を図るよう促しているという状況があります。これは、学校現場の先ほど言ったような実情を全く無視した、そういった見解であるというふうに私は思っております。

 現場において苦労されている、その先生方の気持ちに応えていくという中で、これから安定的、計画的な教職員の採用、配置が実施できるように、継続的に教職員定数の改善というものを図っていく必要があると思いますので、これからの中長期的な教職員定数の改善に向けた文部科学省の取り組みについて見解をお伺いさせていただきます。

松野国務大臣 教職員定数につきましては、二十九年度予算案において、これまで加配定数として予算の範囲内で措置をしてきました、障害に応じた特別の指導、いわゆる通級による指導です、また、外国人等日本語能力に課題のある児童生徒への指導、初任者研修などに必要な定数について、義務標準法の改正により新たな基礎定数化を行うこととしております。

 地方自治体にとっては、基礎定数化によりまして、安定的、計画的な採用、研修、配置が行いやすくなるとともに、発達障害や日本語に課題がある児童生徒等に対するきめ細やかな指導の充実や、教員の質の向上に必要な研修体制の充実が図られるものと考えております。

 今後の教職員定数のあり方については、引き続き、経済・財政再生計画改革工程表における方針に基づいて、学校の課題に関する客観的なデータや実証研究、地方自治体の政策ニーズ等を踏まえ、必要な検討を進めてまいります。

簗分科員 大臣、ありがとうございます。

 財務省が、先ほど申したような、児童生徒数の減少というもののみに焦点を当ててシーリングというものをはめてくる、そういうことが想定されますが、文部科学省としては、ぜひ、こうした財務省の決めつけ的なシーリングというものにとらわれずに、必要なものはしっかりと確保する、そのための声をしっかりと訴えていくんだ、そういう姿勢で、現場の皆さんの声をしっかりと酌み取った姿勢を見せて取り組みを進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、学校現場の定数に関係するお話ですけれども、今、学校現場は、養護教諭の皆さんが大変業務負担がふえていて、そういう中でも、配置基準の関係で現場が大変苦労しているという実情があるということでございます。

 今、養護教諭、保健室の先生方ですけれども、児童生徒のけがや病気への対応とか、それから健康診断等の保健管理ということにとどまらず、特別な支援を要する児童生徒がふえているということで、先ほどこれは大臣からも御指摘がありましたけれども、そうした中で、今の配置基準では、小学校においては八百五十名までは一名、そして中学校において八百名までは一名のみしか養護教諭というものを配置することができないという状況があります。

 先ほど言ったように、現行の配置基準では、大変業務が多様化して多忙化する中で、現場の実態にそぐわないものとなっているというふうに私は感じておるんですけれども、今後、この基準の改善、改定も含めて、文科省としての見解があればお伺いをさせていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 養護教諭の定数につきましては、委員御指摘のとおり、これまで計画的な配置の改善を行ってきておりまして、配置基準は委員御指摘のとおりの状況になっております。

 近年におきましては、いじめ問題など課題のある学校に対しても複数配置ができるように、加配定数の措置も行っているところでございます。

 委員御指摘のとおり、養護教諭を取り巻く環境は非常に大変だということは文部科学省としても十分承知しておりまして、平成二十九年度の概算要求におきましては、大規模な学校への複数配置基準の引き下げについて盛り込んで財務省と折衝したわけでございますが、残念ながら、結果としてはそれが実らず、加配定数の十人の増ということにとどまったところでございます。

 文部科学省といたしましては、養護教諭が教諭とは異なる専門性に基づき児童生徒等の心身の健康について中心的な役割を担っており、その必要性がますます高まっていることを踏まえまして、引き続きその配置の拡充について検討していきたいと考えております。

簗分科員 配置基準の引き下げを実現できるように、引き続き取り組みを進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、先ほど学習指導要領の改訂のお話を申しましたけれども、その中で、これから新しく取り入れられる主体的、対話的で深い学びの導入というものもありまして、学校の先生方にとっては、授業の準備の時間というもの、自己研さんの時間というものが大変重要になってくるというふうに考えられます。

 そういう中で、しっかりとした研修の体制を確保するですとか、国として先生方をバックアップしていく、そうした体制づくりも重要になるというふうに考えております。

 また、小学校の英語教育の充実というものをするに当たりましても、英語の教育免許を持っていない先生方がこの指導に当たられるという状況になると、先生方もそれなりに準備をしっかりとしなければいけないという状況が想定をされますので、こうした観点から、学校の先生が授業の時間を準備する、自己研さんをする、そのための時間の確保、あるいは、国としてそうしたものを支援していく、そうした取り組みについて見解をお伺いさせていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の学習指導要領の改訂は、昨年十二月の中央教育審議会の答申を踏まえて、現行学習指導要領の基本的な枠組みを維持しながら、子供たちの知識の理解の質をさらに高めることを目指し、授業改善を推進することとしております。

 具体的には、語彙の確実な定着、体験活動などを重視するとともに、小学校段階における外国語教育の充実や、主権者教育、防災教育、オリンピック、パラリンピックに関連した指導の充実などを図るものでございます。

 新しい学習指導要領が各学校において円滑に実施されるためには、教職員定数の改善や業務改善の推進に加えまして、教員が研修や授業準備等に十分に取り組める時間を確保することが大切であるというのは、委員の御指摘のとおりでございます。

 その上で、さらに、これらの時間を活用して、授業改善を通じて子供たちの知識の理解の質を高めるための研修の充実が必要であると考えております。

 そのため、文部科学省といたしましては、情報発信や各種支援策を積極的に実施していくこととしております。

 具体的には、小学校における外国語教育の充実に向けて、英語教育推進リーダーや中核教員の育成の推進、ICTの活用も含めた効果的な新教材の開発等を行うとともに、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の取り組みが活性化できるように、独立行政法人の教員研修センターの次世代型教育推進センターにおきまして、引き続き教育実践例の収集、提供を実施してまいりたいと考えております。

簗分科員 ありがとうございます。

 小学校の英語教育について、改めて触れさせていただきたいと思います。

 しっかりと小学校段階から英語教育を強化していくということは、これはもう国としてやるという方向になっていますけれども、ただ、いまだに小学校段階で英語教育をすることに対して懐疑的な見解を持たれる方もいらっしゃいます。こうした懸念の声にしっかりと応えながら、より英語教育の目的というものを明確にして、効果的にこの教育を実施していく必要があるというふうに思っております。

 意見としては、やはり日本人としてのアイデンティティーというものを身につけて、そして日本の歴史や文化というものを学ぶという上では、何といっても国語をしっかり学ぶ必要があるということでございます。

 もちろん、英語もやって国語もやる、両方できることはいいんですけれども、ただ、英語の時間にそれだけ授業時間を割くということであれば、その分、例えば国語の教育の時間が減らされるんじゃないかとか、あるいは、本来、ではそこに時間があるのであれば、もっと国語をやって日本のことを学べばいいじゃないか、そういう方が本来的な日本のことをしっかりとわかって国際的にも自国のことを発信できる、真の意味でも国際人になれるんだ、そういう見解もあります。

 そうした懸念にもお応えしながら、効果的にこの英語教育を実施する目的というものをしっかりと現場の先生に明確にして授業を実施していただくということが必要になると思いますので、改めて、今のような懸念に対する見解をお伺いさせてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 グローバル化が急速に進展する中で、外国語によるコミュニケーション能力は、これまでのように一部の業種だけでなくて、生涯にわたるさまざまな場面で必要とされることが想定され、その能力の向上が喫緊の課題となっております。

 また、世界と向き合うことが求められている我が国におきましては、自国や他国の言語や文化を理解し、日本人としての美徳やよさを生かし、グローバルな視野で活躍するため、特に言語能力の向上が求められているところでございます。

 国語教育と外国語教育は、ともに言語能力の向上を目指すものでございまして、両教科の指導内容や指導方法を連携させることによって、言葉の働きや仕組みなどの共通性や固有の特徴への気づきを促すことを通じて相乗効果を生み出し、言語能力の効果的な育成につなげていくことが重要でございます。このため、次期学習指導要領におきましては、これらを踏まえた内容にしているところでございます。

 また、文部科学省におきましては、国語の時間を削ることなく、小学校三学年から六学年において年間三十五単位の時間増となる時数を確保するために、地域や各学校の実情に応じて、短時間学習を含めた幅のある弾力的な授業時間の設定や時間割り編成が必要と考えておりまして、時間割り編成の事例を紹介するなどして、各学校の創意工夫による取り組みが行われるように支援してまいりたいと考えております。

簗分科員 ありがとうございました。

 主体的、対話的で深い学びという新たに始まる教育のやり方についても、現場ではいろいろな意見がございます。

 知識とそれから思考というもの、この両方をしっかりと両立させて教育をしていくんだというその趣旨はわかるんですけれども、やはり、知識のないところでいかに議論とか意見発表をしても、それは本当の意味で実のあるものにはなっていないんじゃないか、そういう見解がございます。

 もちろん、バランスの問題でありますけれども、国がやろうとしているその趣旨がしっかりと現場まで伝わらなければ、学校の先生方はどうやって新しいスタイルの教育を実施していけばいいのか、そういったことにもなりかねませんし、また、あるいは、知識というものの習得がおろそかになって議論とか意見発表ばかりやっているような、そんな状況になってしまっては困りますので、その辺につきましても、どのような、今回新しく始まる主体的、そして対話的で深い学びの導入というものを進めるに当たって、文科省として現場にその目的や趣旨を浸透させていくのか、これについて見解をお伺いさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、主体的、対話的で深い学びによって子供たちの知識の理解の質を高めるためには、例えば小学校段階におきましては、その後の学力差に影響すると指摘されている語彙の確実な定着や生きて働く知識の習得など、いわば当たり前のこととしてしっかりと取り組むことが重要でございます。

 そのため、特に小中学校では、新しい教育方法を導入しなければならないと浮き足立つのではなくて、これまでの蓄積を生かしながら創意工夫を重ねていただくことが重要だと考えております。

 文部科学省といたしましては、来年度、全国規模の教育課程説明会を開催いたしますとともに、各地域の研修会等に担当者が直接出向いて、この趣旨を丁寧に説明することとしております。また、インターネットを活用して、一人一人の教職員が理解を深めてもらうように情報発信を充実させていただくつもりでございます。

 さらに、独立行政法人の教員研修センターにおきましては、先ほど申し上げましたとおり、すぐれた全国の実践事例の収集、提供を行うことといたしまして、既に約四十の事例を集めて提供しているところでございます。今後とも、さらにその内容を充実させる予定でございます。また、今年度から全国各地で教職員を対象としてセミナーを開催しており、引き続き、研修機会の充実も図ることとしております。

 こうした情報発信とか研修機会の充実を図って、各学校における主体的、対話的で深い学びが、これまでの教育実践の蓄積の上に当たり前のこととしてしっかりと取り組むことを重視していくものであるということを前提として、地に足のついた授業改善が活性化できるように支援してまいりたいと考えております。

簗分科員 ありがとうございます。

 時間の関係がありますので、後段の、科学技術の振興について質問をさせていただきたいと思います。

 我が国の今の研究開発基盤の現状というもの、これについてきょうはちょっとお伺いをしていきたいと思うんですが、まず、諸外国と比較した研究開発予算の水準というもの、これが適正規模が確保されているのか。ちょっとざっくりとした質問ですけれども、まずお答えをいただきたいと思います。

山脇政府参考人 お答え申し上げます。

 中国を初めとする諸外国は、近年、政府研究開発投資の拡充を図っているのに対しまして、我が国では、極めて厳しい財政状況によりまして、科学技術関係予算の伸びは低調な状況にあるというふうに考えております。

 しかしながら、生産性を向上して我が国の経済成長を実現するとともに社会的課題の解決を図っていく、このためには、政府による科学技術イノベーション政策への先行投資が不可欠であるというふうに考えております。

 このため、昨年閣議決定いたしました第五期の科学技術基本計画におきまして、政府の研究開発投資目標ということに言及しております。そのポイントは、対GDP比一%を目指すということでございます。

 現状、まだそれに達しておりませんが、その実現に向けてしっかりと推進してまいりたいと考えております。

簗分科員 今、予算の目標のお話をいただきました。

 それでは、人材の育成状況そして基礎研究の実施の状況というものについてお伺いしたいと思います。

 研究者の中で、現状としてこういうことをおっしゃる方がいます。はやりの研究を選好する傾向が出てきている、その方が予算がとりやすいからということで、真に必要な基礎研究というものが実施されにくくなってきているのではないかと。そうした意味で、人材の今後の育成というものでも大変な懸念があるということでございます。この辺についてまずお伺いしてみたいというふうに思います。

 それから、予算を財務省に対して確保するという関係から、成果目標というものをよくつくれということが言われるんです。ただ、余りにも短期的な成果ばかり求めると、これもさっき言ったように、やはり、今はやりの研究ばかりに集中してしまって、中長期に花が開くような研究というところに人材が育っていかないということも想定されます。こうしたところにも十分配慮をしていただくことが本当に重要になってくるというふうに思います。

 そうした観点から、科研費という制度、科学研究費助成事業という制度がありますけれども、これの現状と、そして今後これをどういうふうに、今いろいろと議論を進めていただいているようですけれども、いい制度にしていくのかというところで、見解をお聞かせいただきたいと思います。

松野国務大臣 研究者の自由な発想に基づく学術研究、基礎研究の振興を図り、我が国の競争力を高めていく上で、科学研究費助成事業は極めて重要な役割を担っており、平成二十八年度は、十万件を超える応募に対し二万七千件を新規採択しております。科研費については、学術の新たな動向や研究者のニーズの高まりに応えつつ、より多様かつ独創的な成果を創出するため、審査システムや研究種目の見直しなどの改革を進めていくこととしております。

 このため、平成二十九年度予算においては、対前年度十一億円増の二千二百八十四億円を確保し、アイデアの斬新性を重視した種目、挑戦的研究を創設し、幅広い分野の専門家による総合審査を導入する、若手研究者独立支援のための重点支援を行うといった新規策を盛り込んでいるところであります。

 今後、これらの取り組みを初め、科研費改革を積極的に推進してまいります。

簗分科員 大臣、ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 私、もう一つきょうお伺いしたいのは、今、科学技術振興ということで国を挙げて取り組んでいるわけですけれども、省庁間の連携というものが司令塔機能のもとでしっかりできているのかというところを改めてお伺いしたいと思います。

 やはり、しっかりと国家としての目標を定めて、そして司令塔機能のもとで省庁間の連携を図って、限られた予算というものを効果的に配分して、最大限の効果を生み出していくということが必要であると思います。

 そうした点に鑑みて、現状として、国全体としてどのような科学技術の振興施策がとられているのか、これについて、まず内閣府さん、お伺いしたいと思います。

山脇政府参考人 委員御指摘のとおり、国として科学技術イノベーション政策を一体的かつ戦略的に推進していくということが重要であるというふうに考えております。

 このため、政府におきましては、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔となりまして、国の中期的な基本方針であります第五期科学技術基本計画に基づきまして、ソサエティー五・〇の実現に向けた取り組みなど、府省連携して推進しているほか、毎年策定いたします科学技術イノベーション総合戦略におきまして、限られた政府研究開発投資の効果を最大限に引き出すように各府省庁が重きを置くべき取り組みを位置づけるということなど、関係府省の政策を主導しているところであります。

 さらに、昨年十二月には科学技術イノベーション官民投資拡大イニシアティブを取りまとめました。ここでは、総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能をさらに強化して官民投資を拡大するための三つのアクションを示したところでございます。

 具体的には、第一に、民間投資誘発効果の高い領域に各省施策を誘導する予算編成プロセス改革、第二に、産業界からの投資拡大を図る大学改革などの制度改革、第三に、PDCAサイクルの確立、政策効果の見える化などを進めるエビデンス構築という政策の柱を示したところであります。

 今後、その具体化に向けて、取り組みを各府省連携のもとに進めていきたいと考えております。

簗分科員 では、その省庁間連携について、今、司令塔機能のお話がありましたので、最大に予算を持っている文部科学省さんについて、現状どのような見解を持っているか、お聞かせください。

伊藤政府参考人 科学技術が経済成長、社会的課題の解決に大変重要な役割を果たすことは御指摘のとおりでございます。

 このため、今、内閣府からございましたように、総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能のもとで、文部科学省を含めまして関係府省が成果の最大化を目指して連携を進めているところでございます。

 文部科学省におきましては、例えば、政府の人工知能技術戦略会議のもとで、文部科学省、総務省、経済産業省が連携のもとで、人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップを発表したところでございます。

 また、文部科学省と経済産業省が共同で、イノベーション促進産学官対話会議を設置し、産学官連携を円滑に推進するためのガイドラインを策定してございます。

 このような形で、科学技術関係予算の六割を担い、国の科学技術政策の中核的な役割を担います文部科学省として、各府省との連携を図りつつ、引き続き取り組みを充実強化してまいりたいというふうに考えてございます。

簗分科員 ぜひお願いいたします。省庁間で重複した研究をやるということは非常に無駄もあると思います。その辺の意思疎通、意見交換というものをしっかり強化していただきたいと思います。

 時間もありますので最後の質問になりますが、科学技術の振興において、安全保障分野での研究というものも大変これから重要になってくるというふうに思います。民生分野とデュアルユースという形でしっかりと連携をして、相互にその成果を共有していく、こういう取り組みがこれから必要になってくるというふうに思います。

 科学技術、この技術優位というものが大変重要なんだ、そういう認識に至って諸外国はこの政策に力を入れて、そして安全保障のみならず民生にもそれを転用していくということをやっておりますので、ぜひ我が国もそういう考え方で進めていただきたいと思います。

 その中で、防衛省の安全保障技術研究推進制度というものを、今取り組みを進めていただいておるところでございます。これは、防衛省が行う研究開発フェーズで活用することに加えて、デュアルユースとして民生分野でも活用されることも想定されているというわけでございますが、当該制度に関する見解を多省庁にお伺いしてみたいと思います。そして、我が国の科学技術振興において、安全保障分野の研究開発というものをこれからどのように位置づけてやっていくのか。この二点について、内閣府さん、そして防衛省さん、そして文部科学省さん、順番にそのまま途切れないで御回答いただければと思います。

山脇政府参考人 昨年一月に閣議決定された第五期科学技術基本計画におきましては、国家安全保障上の諸課題に対応するため、関係府省、産学官連携のもと、必要な技術の研究開発を推進する方針が盛り込まれたところでございます。

 また、昨年五月に閣議決定された科学技術イノベーション総合戦略二〇一六において指摘されているとおり、我が国の安全保障をめぐる環境が一層の激しさを増す中、国及び国民の安全、安心を確保するため、テロや災害対応を含む国家安全保障に関する科学技術の動向を把握し、俯瞰するための体制強化や、技術力強化のための研究開発の充実を図っていくということが重要と認識をしています。

 同時に、科学技術の多義性を生かして、経済発展等にも成果の活用を図っていくことも重要と考えております。

 さらに、昨年九月に開催されました総合科学技術・イノベーション会議におきまして、総合戦略二〇一六に基づく重きを置くべき施策として、防衛省の安全保障技術研究推進制度を含む国家安全保障に関する科学技術政策を、重要な施策として初めて特定したところでございます。

 今後とも、同会議のもとで、防衛省等の関係府省と連携をして、国家安全保障に貢献する科学技術の強化に一層取り組んでまいりたいと考えております。

野間政府参考人 近年の技術革新による防衛技術と民生技術のボーダーレス化、デュアルユース化を踏まえまして、国家安全保障戦略に加えまして、第五期の科学技術基本計画などの科学技術政策の指針においても、国家安全保障上の諸課題に対し、産学官連携のもと、必要な技術の研究開発を推進するとされたところでございます。

 先進的な研究に取り組む大学、研究機関、企業などに対し、基礎研究の公募及び委託を行う防衛省の安全保障技術研究推進制度は、こうした政府としての方向性を踏まえて、一層の充実が必要であるというふうに考えております。

 そのため、平成二十九年度予算案におきましては、本制度を拡充し、例えば、大規模な研究装置を新たに導入したり、実物の試作を繰り返すことで理論を実証するといった大規模かつ長期間にわたる基礎研究も複数実施し得る経費を計上したところでございます。

 本制度の研究成果は、既に学会や学術雑誌などで公表されつつありまして、民生分野においても広く活用されることを期待しております。

伊藤政府参考人 防衛省におけます安全保障技術研究推進制度、これは、国内の研究者、研究機関から提案を募り、すぐれた提案に対して研究を委託するものであると承知してございます。

 本制度による研究に応募するかどうか、これは各大学などの自主的な判断によるものでございますが、大学、文部科学省所管の研究開発法人の採択状況を見ますと、平成二十七年度は大学が四件、研究開発法人が三件、また、二十八年度は大学が五件、研究開発法人が二件採択されているところでございます。

 文部科学省といたしましては、本制度を含めまして、研究成果の公開を基本としつつ、大学や研究開発法人の研究成果が社会に還元され、我が国及び国民の安全に係る研究開発、こういったものにつながっていくことは大変重要なものと認識してございます。

簗分科員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、これで終わります。

國場主査代理 これにて簗和生君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木分科員 玉木雄一郎です。

 まず、天下りについてお伺いをいたします。

 二月二十一日に、文科省から中間まとめという形で調査報告が発表されました。衝撃の内容だと思います。これまで言われてきたいわゆる組織的な違法あるいは脱法天下りが、明確に、公式に文科省において認定された報告だったと私は思います。その意味では一定の評価をしております。

 この報告書の中に出てきますが、天下りの引き継ぎ書というものが作成されていたという記述がありますけれども、であれば、嶋貫氏がこれまで国会等でも話をしておりました、こういったあっせん行為はあくまで個人的なボランティアあるいは人助けだ、こういう前提は私は崩れたのではないかなと思っておりますけれども、大臣、その点の認識はいかがでしょうか。

松野国務大臣 今回の中間まとめにおいて、文部科学省における組織的な再就職のあっせん構造について、まず、御指摘の引き継ぎ資料について、調査を通じて、複数の人事課職員が再就職等に係る作業を引き継ぐ際のメモが確認をされ、その内容からも、嶋貫氏と人事課職員による資料作成作業等が、嶋貫氏の文部科学省退職以降メモが確認された遅くとも平成二十二年七月までに、実態として、定型化をされた作業として継続されてきたと認めることに加えまして、二十五年九月十一日付の資料、「再就職支援業務について」は、文部科学省人事課と嶋貫氏が共同して作成したものであり、平成二十六年一月の嶋貫氏による文教フォーラム設立までの一連の過程において、主として人事課が組織的に再就職規制を潜脱する目的で嶋貫氏を中心とした再就職支援を行う環境づくりに関与していたと考えられること、文部科学省における組織的な再就職あっせん構造について、事態を防止する職責を果たせなかった歴代の人事課長その他幹部職員に責任があること等、文部科学省の組織的な関与が報告をされております。

 先ほど委員から御指摘があった嶋貫氏御本人の意識に関しましては、今の嶋貫氏の御認識ということもあるのかもしれませんが、文部科学省としては、嶋貫氏を含んで、再就職等規制違反に関してその法規を潜脱する目的でこの体制がつくられてきたということは、今回の中間報告において、監視委員会から従前より指摘をされていたことがヒアリングを通して証明されたものと考えております。

玉木分科員 組織的な違法あるいは脱法あっせんだったということをお認めになられたわけであります。

 そこで、今回私は、幾つか具体的な事例が出ている中で、二つ注目しているんですね。

 一つは、生命保険会社、具体的に言うと日本生命に対する天下りのあっせんについても記述をされております。

 そこで、文科省から民進党への会議の回答の中に、これは二〇一七年一月二十四日ですけれども、嶋貫氏の収入について、保険会社や大学の顧問の仕事をしているとは聞いていますけれども文科省として嶋貫氏がどのように生計を維持していたかについては関知しておりませんと当時我々に説明があったんですが、今から振り返れば、これは結果として虚偽だったと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

松野国務大臣 その当時の認識として、文部科学省から直接的に嶋貫氏または嶋貫氏が出向する文教フォーラムに関して支出があった等はなかったということでございますが、委員御指摘のとおり、今回、中間報告によっても明らかになった構図の中において、嶋貫氏が再就職業務に関して活動できる環境づくりに対して文科省が関与したということは、今回の報告の中に示されたことであると考えております。

玉木分科員 下からいろいろな情報が上がってくると思うんですね。ただ、時に、できるだけ隠そうという思いで大臣に説明することもあると思うんです。ですから、大臣、ここはしっかり掌握をして、この際、本当にうみを出し切るという観点で、厳しく省内のリーダーシップを発揮していただきたいと思っております。

 そこで、今回新たに違法と認定されたのが、これまで出されたものに加えて二十六件ありますけれども、そのうち九件については、五件が来年度の予算にもかかわる支出があるということで御回答いただいております。

 では、この広げた、今度新たに二十六件分違法だということが認定されましたけれども、その中に、来年度の予算にかかわるような支出が行く天下り先が幾つありますか。

松野国務大臣 御指摘の内容に関しましては、先般、二月六日の時点の先行発表の時点であわせて提出をさせていただきました予算にかかわる内容ということの作業も、残り、今回の中間報告分に関しても、作業が終了次第速やかに提出をさせていただきたいと考えております。

玉木分科員 今の時点でわからないんですか。

 衆議院の予算審議が間もなく、与党側は来週月曜日にもと言っていますけれども、これは私、もう何回も指摘していますけれども、もしこの天下りに関して不当なこと、不正なことがあったら、場合によっては来年度予算を減額しなければいけない対象も入っているかもしれないんです。ですから、余り悠長なことを言っていないで、これはぜひ速やかに提出をいただきたいと思いますけれども、きょうか、あしたじゅうに出していただけますか。

松野国務大臣 今、その作業に関して、並行して鋭意進めているところでございますので、できるだけ速やかに提出をさせていただきたいと考えております。

玉木分科員 必ずこの予算の審議の終局までに出していただきたいと思うんです。そうじゃないとこの審議を終えることができないと思いますので、よろしくお願いします。

 先ほど二つ興味深い案件があると言いましたけれども、一つは生命保険会社の天下りさえ文科省がやっていたということと、あわせて、大学の設置の認可にかかわる案件があります。

 大学設置をどうするのか、学校をどうつくるのかというのは、法令に基づいて客観的に公平に行われなければなりません。しかし、そのことが、まさに嶋貫さんが学長になる大学をつくるということで、それはちょっとまずいなと言われて、その情報を事前に担当部局が得て、それを人事課に回して、ちょっと学長はだめなので、しばらくほとぼりが冷めるまで副学長で、それで何とか大学の設置認可をとりましょうみたいなことが行われているわけですよ。私、これは大問題だと思います、予算に加えて。

 こういうことについて、文科省、ほかにもやっていませんか、大臣。

松野国務大臣 現状の調査においては、委員から御指摘があった滋慶大学設置事案に関する情報が担当局以外に関して漏らされたということの事案でありますけれども、この設置認可に係る事案が再就職等違反に関連してあったかどうか、どういった内容であるかどうかに関しても、平成二十年十二月三十一日までさかのぼってしっかりと調査をし、また発表していきたいと考えております。

玉木分科員 今回、ある意味未遂だったんですよ、未遂。その設置認可を取り下げましたけれども、ちょっと嶋貫さんを副学長にしたら、それで認可がおりて、大学、これは通信課程ですかね、できていたとしたら、これは大問題ですよ、大臣。

 ですから、そういうことも含めて、違法なことがなかったのかということを徹底調査してください、これは。お願いします。いいですか。ぜひ一言。

松野国務大臣 現状の認識において、設置認可に関しては適正に行われているものと考えておりますが、委員御指摘のとおり、これはもう、こういった再就職違反の流れの中において、これらのことに関しても国民の皆さんから不信の目があるというのを十分認識しておりますので、しっかりと調べさせていただきたいと思います。

玉木分科員 続きまして、某私立小学校の設置認可に関して質問したいと思います。

 森友学園、大阪の学校法人でありますけれども、小学校の、ことしの四月一日、四月の開校予定ということで、今、設置認可の手続が大阪府において行われております。その校地、校舎の土地の取得に関して、これは国有地が売却されていますから、それについて、今さまざまな疑問、議論がありますけれども、きょうはこの設置認可について伺いたいと思うんです。

 お手元に、これは情報公開請求してやっと出てきました、大阪府私立学校審議会の、森友学園の設置しようとする小学校に係る審議の内容が示された審議会の議事録でありますけれども、一部黒塗りになっていますが。

 私、気になるのは、この中で、極めて率直に、財務体質が極めて脆弱だということの指摘、また、カリキュラムや、既に幼稚園を設置しておりますけれども、その評判について、多くの教育関係の専門家からたび重なる懸念が示されているんですね。私、読んでみてびっくりしました。

 ちょっと幾つか具体的に申し上げますが、資料でいうと五ページのところ。右の方に書いていますが、普通でいうと私立学校会計基準というね、あれでいきますと、こういう新しい校地校舎をやるときは第二号基本金という形でね毎年積んでいくことになっているんですよ、予算的にやっちゃいけないという指示が文科省からですね今から十年ぐらい前に出てねと。それに対して事務局、これは大阪府の事務局ですけれども、この第二号基本金は森友学園さん幾らあるのかと聞かれたことに対して、ゼロでございますと。新しい学校を建てようとしたら、ちゃんと毎年の収支にかかわらずきちんと積んでいって、それで校舎を建てる、安定的な運営に努めるという趣旨でなるんですけれども、これがゼロだということなんですね。

 次、六ページ。二号基本金ゼロやったら計画性はないわなと、委員から指摘されています。思いつきで始めたか、大体おかしいですよこれと言われていますね、財務について。

 七ページ。理事長のワンマンの思いつきでという指摘もあります。右。安定的に運営ができる可能性が非常に心配されるという指摘もありますね。

 次、八ページ、右下です。認可がどんどんどんどん延ばしている間に校舎が建ったから、もう許してくださいと。いわば既成事実をつくって、もうできちゃったから許してくださいということになってしまうこともあり得ることですから、とにかくきっちり話を整えて結論を出さないと、どんどん先行していってしまうと予感するきょうこのごろです、とても危険かなあと思いますという指摘もありますね。

 九ページです、左。財務的なことが非常に不安に、今伺ってですね、非常に不安になってきていましてという、財務に対する懸念ですね。

 そして十ページ、右の方です。初年度から私、黒字の計算というのは、私も実は書類は最後まで目を通す方ですが、これはすごいなあと、普通はなかなかないんですねと。数字は上手につくれと言われればつくれるんですよというような指摘を委員から受けていますね。

 あと、この下に書いてある。強制やらパワハラやら、いろいろなものを伴う形で社会的に問題になるものがあるとか、こういう記述もありますね。

 別の日の、十八ページを見てください。これはちょっと違う日の審議会ですけれども、出てきた資料について、あり得ないような内容ばかりがあり、こんなことがあるなら僕もやってみたいと、冗談ですけれども思うぐらいのことですので、こんな絵そらごとでうまくいくとは私もとても思えないのですが審議会としてはそういう手順が明らかにされることが大切なのかなと思いますということですね。

 十九ページですけれども、これはカリキュラムの内容について、素人臭いんですねということが言われております。

 加えて、右下ですが、幾ら監査法人でオーケーが出たからといっても報告は必要だと思います、我々委員や事務局がまとめてだまされたということのないようにしたいものですとさえ指摘をされています。さらに、既に先々に進んでいますということなのでしょうが、なぜこんなことになったのかと今後新聞沙汰にならないように、ならなければと心配ですと。新聞沙汰になっていますね、今。

 あと、最後に、ずっと飛んでいただいて、二十九ページを見てください、右下です、別の日の審議会。この学校、幼稚園も、この法人については現在幼稚園を運営されておりまして、余りいい話を聞きません正直なところ、一度に先生がたくさんやめるとか転園をされる保護者の方が何人もおられるということを聞いておりますと。

 次です、三十ページ。教育基本法の精神に抵触するようなことがあってもいけませんし、あるいは子供や保護者の思想信条の自由に抵触するようなことはあってはいけませんので、いろいろと方針はあってもいいのですが、極端なことにならないよう実情を見ていただいて、必要であれば質問させていただいてというような、こういう記述がございます。

 今見ていただいたように、特に二つですね。財務の健全性、安定性ということに対してたび重なる懸念、指摘が示されていること、そして、カリキュラム等についても、素人臭いということもありましたけれども、懸念が示されているということであります。

 そこで、大臣に伺います。

 一番最初に紹介した、これは平成十七年ぐらいに新たに出たんだと思いますが、私立学校会計基準に言う第二号基本金が、これはゼロということで大阪府の事務局は答えていますけれども、こういう形で学校が仮に設立されたとしたら、基準にも違反しますし、問題ではないでしょうか。これは文科省としてもきちんと確認をして、必要に応じて地方自治法二百四十五条の五に基づく是正要求をすべきではないですか。

松野国務大臣 当該事案に関しては、もう委員御案内のとおり、これは自治事務ということでございます。その上におきまして、学校法人が将来固定資産を購入するに当たって第二号基本金をどの程度組み入れるかについては学校法人が判断するものであり、第二号基本金への計上がないことをもって直ちに学校法人会計基準に違反するものではないと考えております。

 森友学園に関し、今、大阪府に確認をしたところ、本年三月に、府の審査基準に基づいて、必要な資産等の財務状況を含め、開校に向けた準備状況について最終的な確認を行った後に、大阪府による認可について判断が行われることになると聞いております。

玉木分科員 大臣、この件が問題になって、この議事録を読んでおられますか。

松野国務大臣 きょう初めて読みました。

玉木分科員 たびたび私は、事務局の方には、これは取り寄せて読むべきだということを申し上げております。

 なぜかというと、義務教育ですね、小学校は。やはり子供たちの育成に関して、成長に対して非常に大きな影響を与えるので、こういうことが審議会で言われている以上、これは文科省としてもしっかり私は見るべきだと思うんです。

 確かに、地方自治事務です。ただ、繰り返しになりますが、地方自治法には、是正の要求というのが第二百四十五条の五で定められておりまして、各大臣は、法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、明らかに公益を害していると認めるときは、必要な措置を講ずべきことを求めることができるという是正措置の規定があります。私、やはりこれは検討する案件だと思っています。

 もう一つ申し上げます。

 この資料に最後つけましたけれども、これは実は、きのう、森友学園が経営する塚本幼稚園を退園した保護者の皆さんと、五人ですかね、お話を直接お母様から聞かせていただきました。その保護者からいただいた資料の一部なんです。

 例えば、「私は憲法改正に賛成します」という、これは、美しい日本の憲法をつくる国民の会ということで、ジャーナリストの方、杏林大学名誉教授の方、日本会議会長の方が名前を連ねている、こういう署名のものを学校は保護者に配っているということです。

 もう一つ、これは「ごあいさつ」というふうにありますけれども、これはちょっと読み上げるのは差し控えますけれども、中ほどに、ある政党がまことしやかに日本人の顔をして日本国を、それを構成する日本民族を分断しようと活発に動いていますとか、下には、安倍昭恵首相夫人の教育に関する講演会が実施されますと。

 最後は、橋下元大阪市長、松井大阪府知事のことを書いた紙、これも中で配られているものであります。

 こういったことは教育基本法第十四条の二の規定に違反すると思われますが、大臣はどうお考えでしょうか。

松野国務大臣 繰り返しになりますが、教育内容に関する指導等に関しても、第一義的にはこれは大阪府によるものでありますが、委員から御指摘がありました教育基本法第十四条の二項の規定、法律に定める学校は、特定の政党を支持し、またはこれに反対するための政治教育その他政治活動はしてはならないと規定をしております。この政治的活動の解釈としては、政治上の主義もしくは施策を推進し、支持し、またはこれに反対するようなことを目的として行われる行為を指すものと理解をしております。

 塚本幼稚園の教育内容については、同園のホームページや報道によれば、教育勅語を暗唱させる等の活動を行っているとのことでありますけれども、私の方も、先ほど申し上げたとおり、この内容に関してはきょう初めて委員の資料として読ませていただきましたけれども、文部科学省として、現状において詳細に承知をしていることではありません。

 所管庁である大阪府の監督をもとに、こうした教育内容について、その目的が特定の政党を支持する活動等に該当するものではない限り、直ちに教育基本法第十四条第二項に違反するものとは承知をしておりません。

玉木分科員 これは、しっかり大阪府からも聞き取って、現状をよく把握してください。

 きのう大阪府の教育庁にも行っていろいろお話を聞きましたけれども、大阪府の設置認可の基準の中にも、法令等に従って適正に運営されることということが入っています。ですから、教育基本法十四条の二との関係も含めて、そういったことがないのかどうか、実態をよく把握していただきたいと思います。

 もう一つ、きのう元保護者の方から話を伺ったというふうに申し上げましたけれども、塚本幼稚園をやめられた、あるいは退園をさせられた保護者の話を直接聞きました。こういうことがありました。

 食事中はお茶を飲むことが禁止をされているそうです。ですから、家へ帰ってもお茶を飲まないので、どうしたのかなと言ったら、お茶を飲むことを禁止していると。それは、旧海軍がそうしていたからそうだという教育なんだそうです。

 聞いたまま、全部伝えます。

 あと、おむつが禁止をされている。二歳の子でもおむつが禁止です。お漏らしをすると、謝らないと、かえのパンツをもらえないということだそうです。

 あともう一つ。これはちょっとびっくりしましたけれども、これは複数の親から聞きました。お漏らしをしたり、あるいはうんちを漏らしたりすることもあるでしょう。それを、パンツでそのうんちをくるんで、幼稚園のバッグに入れて持って帰らすと。これは複数のお母さんが言っていました。時に食器と一緒に入っているので、極めて不衛生だと言っていました。

 犬を家で飼っている子供が、犬臭いと言われて、学校で勝手にリュックサックを捨てられたそうです。あと、カリキュラムに関して言っても、パンフレットも私確認しましたが、剣道の授業があると書いているんです。剣道の防具を早いうちに買わされたんだけれども、一度も剣道の授業がなかったと。あと、コーンフレークは鳥の餌なので食べてはいけないと言われたり、公立の学校に行くと頭が悪くなると言われたり、こういうことを複数のお母さんから伺いました。

 私、これは本当に、いろいろな考えの教育があっていいと思うんですけれども、前段申し上げたような、例えばパンツでうんちをくるんで幼稚園のバッグに入れて持って帰らせるなどというのは、これは児童虐待にもつながるような。これは高齢者の虐待もそうなんですけれども、排せつ物に関することが虐待の第一歩とも言われますから。お話を伺っただけなので断定するわけにはいきませんけれども、ただ、今回、いろいろな意味でこれは問題になりましたからね。

 自治事務です、確かに。自治事務です。ただ、日本の教育をつかさどる文部科学省としても、こういったことが少なくとも父兄から聞こえてき、また一部メディアなどでもこうした報道があるわけでありますから、法令との関係や、あるいは今申し上げました児童虐待、あるいは人権という観点からしっかりと、府任せにせずに、文科省としてもきちんとこれは調査をすべき、現状把握を少なくともすべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 それぞれの幼稚園の教育、指導に関する内容に関しては、幼稚園のそれぞれの、私立の場合、建学の精神、理念等に基づいて行われるものと思いますが、それをもって所管の官庁が監督をしていくということでございます。

 しかしながら、委員からお話があったとおり、今、そういった委員からの例示、情報提供もいただきましたので、文科省としても大阪府の方に、今どういった状況であるのかということに関しての報告を求めていきたいと考えております。

玉木分科員 これはぜひお願いします。

 私も、最初、どうかなと思ったんですが、この審議会の議事録の中にも、先ほど紹介しましたけれども、現在幼稚園を経営されておりまして、余りいい話を聞きません正直なところ、一度に先生がたくさんやめるとか転園をされる保護者の方が何人もおられると。この転園をしたケースのお母さんの話を直接聞きましたので、これは、単にうわさじゃなくて、やはりきちんと調査すべき案件ではないかなと思っています。

 実は、幼稚園はほかに二つ運営していたんですけれども、これは、南港さくら幼稚園というところが開成幼稚園に変わって、それで今はもう閉園になっています。

 その潰れたところの子供たちは半強制的に別のところに移されるということも実態としてありますので、やはり子供の学ぶ環境に深くかかわる話でありますから、大臣、これはしっかりと大阪府とも連携をとって調査をしていただきたいというふうに思っております。

 最後に一問、ほかのことを伺います。

 オリンピックの件を伺いたいと思います。

 オリンピックまであともう数年となりましたけれども、子供たちの食ということも大事なんですが、オリンピックの選手村等で提供される食材の量、これはどれぐらいの、例えばジャガイモが幾ら要るとか、お米がどれぐらい要るとか、パンがどれだけ必要なんだということは把握されていますか。もし把握されていないとしたら、いつまでに把握しますか。

多田政府参考人 お答えを申し上げます。

 東京大会におきまして調達する食料の量でございますが、こちらにつきましては、今後、組織委員会におきまして検討会議を設置し、調達基準に基づきました国産食材の活用などを含む飲食提供基本戦略というものを策定することとしてございます。

 こちらにおきまして、夏ごろまでには有識者の意見を踏まえました案を取りまとめてまいる予定というふうに聞いております。

 なお、ロンドン大会におきましては、同様の戦略につきまして、大会の三十カ月前、二年半でございますけれども、三十カ月前に策定されたものと承知してございます。

玉木分科員 できるだけ国産のものを使ってもらいたいなと思うんですが。

 実はロンドン大会でも、御存じのとおり、レッドトラクター基準とか、国内の基準を設けたり、あるいはGAPというような、グッド・アグリカルチュラル・プラクティスというのを求めたりというふうな調達基準を示していますね。

 私は、今のままだと、日本で、東京オリンピック、テロを起こすのは簡単だと思うんです。武器も鉄砲も要りません。食品がつくられてから、加工され、パッケージされ、選手の口に届くまでの過程がきちんと管理されていないので、途中でどこかでステロイドを混入すれば、公式記録が一個も出ないオリンピックにすることができます。

 その意味でも、レッドトラクター基準というのは、一連の、川上から川下までについてのきちんとしたルールを定めた基準で調達することを求めましたね。イギリスの中では八〇%ぐらいそれを満たしたと言われていますけれども。

 では、伺います。先ほどあった調達基準、GAP、グローバルGAPあるいはJGAP、これはいつごろまでに示す予定ですか。

多田政府参考人 東京大会におきます調達基準でございますが、こちらにつきましては、昨年十二月にパブリックコメントをいたしました基準案がございます。

 これにつきましては、委員からも御指摘がありましたとおり、ロンドン・オリンピック以降の持続可能性というものの採用というものを踏まえまして、具体的には、農産物でございますと、グローバルGAPやJGAPアドバンスといった認証のほかに、農林水産省のガイドラインに準拠した、GAPに基づき生産され第三者の確認を受けたもの、こういったものが基準案に示されているものと承知をしてございます。

 そういった関係で、政府としましては、国産食材を最大限活用するという観点からも、先ほど申しました、これまた組織委員会が策定をする予定としてございます、飲食提供基本戦略におきます品目などの情報といったものができるだけ早期に公表されるよう協力してまいりたいと……(玉木分科員「いつ」と呼ぶ)こちらは、先ほど申しましたけれども、夏ごろまでには案を取りまとめるというものでございます。(玉木分科員「調達基準は」と呼ぶ)調達基準につきましては、今年度内に……(玉木分科員「来月末ですね」と呼ぶ)はい。取りまとめる予定と聞いてございます。

玉木分科員 終わりたいと思いますが、大臣、きょうは天下りの話とそして森友学園の話をしましたけれども、実はきょう、二月二十二日、大阪府の私立学校審議会の臨時の審議会が開かれます。そして、最後、定例が三月にありますので、認可するのはもうあとこの二回だけなんですね。今申し上げた問題が今もまだ残っています。ですから、これはぜひ府とも協力してやってもらいたいのと、四月の開校なのに三月の直前に認可をする例があるのかと私は予算委員会でも聞きましたけれども、大阪ではあるということで、もらったんです。確かにありました。

 しかし、これは、例えばもう既に高校を持っていたりとか、中学校、高校を持っていたりして、かなり財務も安定して、しかも、答申が出たときに何ら条件をつけられずに、形式的な、ちゃんと机が入っていますかねとか、そういうことを確認した上で実は最終的に三月に認可するケースもあるんです。何でかというと、三月が定例会だから。

國場主査代理 済みません、質疑時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

玉木分科員 ただ、今回の場合は、答申自体に山のような実質的な条件がつけられて実は認可適当と出されているケースでありますから、本当にこういう学校を四月からつくっていいのかどうか、これは関係法令に照らして厳しくチェックして、文部科学大臣としてもリーダーシップを発揮していただくことを強くお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

國場主査代理 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。

    〔國場主査代理退席、主査着席〕

大串主査 次に、黄川田仁志君。

黄川田(仁)分科員 松野大臣におきましては、松下政経塾以来、日ごろから御指導をいただきまして、ありがとうございます。こうして松野先生が大臣となられて私が質問するということに対して、私は大変うれしく思っている次第でございます。

 私が政治家として心にとめている言葉があります。それは、国民の強さは弱い立場の人たちへの福祉によってはかられるという言葉でございます。これはスイス憲法の前文で書かれておりまして、昨今、日本ファースト、東京ファーストとか何々ファーストという言葉が乱立しておりますが、私は、いい社会、強い国民、強い国というのは、やはり他人を思いやり弱い立場の人たちのことをしっかりと考えられる、ゆとりのある国こそがいい国であるというふうに考えております。ですので、その一環として、政治が障害者福祉にしっかりと光を当て、ユニバーサルな社会をつくることに努力をしていくということが大切だというふうに思っております。

 そして、そのユニバーサルな社会をつくるために強力な推進力として働くのが二〇二〇年の東京パラリンピックと考えております。この重要な機会をしっかりと利用して、パラリンピックが成功するよう、障害者スポーツへの支援を国として、文部科学省として行っていくことが必要不可欠と考えております。

 しかしながら、残念なことに、昨年行われましたリオデジャネイロのオリンピックにおきまして、パラリンピックでは金メダルがゼロ個ということで終わってしまいました。ロンドン、リオと、メダル獲得数が非常に少なくなってしまいました。

 メダル数ばかりを競うことに対して重要ということではなくて、やはり、いかにこの障害者スポーツ、パラリンピック種目に国が力を入れているかということが着実にメダル数に反映していくということで、一つの指標となると思います。参考に、中国や英国等は、オリンピックを迎えるに当たり非常に力を入れて、大きくメダル数を伸ばしております。

 そのことを踏まえまして、リオ・パラリンピックの総括及び今後の強化に向けてどのように考えられているか、答弁をよろしくお願いいたします。

松野国務大臣 私も、黄川田委員から質問をいただくというのは大変感慨深いものでございますし、特に今、私としても、文科省としても力を入れている障害者スポーツに関して御提言をいただくということに関し、ありがたく、感謝をしているところであります。

 リオ大会のお話もありました。前回のロンドン大会と比較して、メダルの獲得数はふえたものの、金メダルは獲得ができませんでした。これは、メダル獲得競技が固定的で、強豪国と厳しい競合関係にあるためと考えられます。

 東京大会における金メダルの奪還など過去最高の成績をおさめるためには、得意とする競技の強化を一層図るとともに、メダルを獲得できる競技数をふやす支援が必要と考えております。

 この点について、例えば、強豪国であるイギリスでは、中長期の強化戦略プランの評価を通じて、メダル獲得の可能性に応じためり張りのある予算配分などにより、多くのメダルを獲得しております。

 これらのことを踏まえ、文部科学省においては、昨年十月に競技力強化のための今後の支援方針を作成したところであります。

 具体的には、中長期の強化戦略プランの実効化を支援するシステムの確立、ハイパフォーマンスセンターの機能強化、アスリート発掘への支援強化、女性アスリートへの支援強化、ハイパフォーマンス統括人材育成への支援強化、東京大会に向けた戦略的支援を行うこととしております。

 なお、これらの支援に当たっては、パラリンピックの競技特性や環境等に十分に配慮しつつ、オリンピック競技とパラリンピック競技の支援内容に差を設けない、一体的な競技力強化支援に取り組んでまいりたいと考えております。

黄川田(仁)分科員 しっかりと強化していくということなんですが、少し具体性を示していただきたいと思っております。

 やはりトップアスリート、ヒーローの存在が必要だというふうに考えております。やはり、目標とする選手がいると、障害者の人も励みになりますし、また一般の健常者の人も、障害を持ちながらメダルを多く獲得していくということで、パラリンピック、障害者スポーツへの理解、関心が高まっていくというふうに思っております。

 トップアスリートの育成に関しては、私は二つ課題があると思っておりまして、選手への費用、特に義足や義手など、やはりすぐれたものをしっかりと購入できるということが障害者スポーツでは非常に重要になっておりますし、遠征費等の支援も必要なのではないかというふうに考えております。

 また、本人の努力だけではなかなか進んでいかない。これは、パラリンピックに限らずオリンピックもそうでございますが、周辺環境やインフラを整えることが大切だと思っております。そういう周りの環境としては、やはり障害者スポーツの指導者ですね。指導者も多くがボランティアでやっているということで、なかなか専任してパラリンピアンについてあげることができないということでございます。

 これらの課題についてどのように考えているか、お聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年東京大会を成功させるため、パラリンピック競技についても、オリンピック競技と同様に、選手の強化など必要な取り組みを進めることが重要であると考えております。

 各競技団体が行う大会遠征や強化合宿の実施に係る費用については従来から支援を行っておりますが、平成二十九年度予算案においてはその増額を盛り込んでおります。

 また、御指摘がありましたように、選手個人の費用の負担への支援でございますが、従来、独立行政法人日本スポーツ振興センターにおいては、オリンピック競技についてはアスリート助成制度というのがございました。これは、トップアスリート個人を支援するというものでございます。平成二十八年度、今年度からは、新たにパラリンピック競技についてもこの支援を拡大したところでございます。

 さらに、トップアスリートに対する指導者への支援といった御指摘もございました。これにつきましても、平成二十七年度からパラリンピック競技についても指導者への支援を対象と拡大したところでございまして、平成二十九年度予算案についても該当予算の増額を盛り込ませていただいております。

 今後とも、文部科学省といたしましては、日本パラリンピック委員会や独立行政法人日本スポーツ振興センターとも十分連携を図りながら、引き続きパラリンピック競技の競技力強化の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

黄川田(仁)分科員 ありがとうございます。

 それらのトップアスリートの強化は必要だと思っておりますが、パラリンピック競技もいろいろ、たくさんございます。その中で、中長期的に、どのようにトップアスリートを輩出する競技を発掘するのか、そしてどのように選択してやっていくのか、そういう観点で中長期的プランというのが組まれているのでしょうか。もう少しそのあたりも教えていただければと思います。

高橋政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁いたしました競技力強化のための今後の支援方針の柱の一つとしては、東京大会に向けた戦略的支援を行うこととしております。

 これは、めり張りのある予算配分などの観点から、東京大会までを大きく二期に分けまして、二〇一八年まで、まず前半につきましては活躍基盤確立期と位置づけまして、全競技のパフォーマンスが最大化するように強化活動を積極的に支援する予定でございます。そして、二〇一九年、二〇二〇年、後半につきましてはこれをラストスパート期と位置づけまして、メダル獲得数が最大化するように、それまでの各競技団体の取り組みをしっかりと評価した上で、強化活動への支援を柔軟かつ大胆に重点化していく。こういった戦略を描いております。

黄川田(仁)分科員 もう一つ、トップアスリートの強化に際して提案したいことがあります。それは、味の素ナショナルトレーニングセンターの活用でございます。

 中長期プラン、これは鈴木プランと呼ばれているようなんですが、オリパラ一体化も大きな柱となっていると聞いておりますが、海外では、オリンピック選手とパラリンピック選手がトレーニング場で一緒に練習しているところもあると聞いております。

 先日、かつてオリンピックの申し子であるというふうにいろいろと言われておりました、橋本聖子参議院議員と意見交換をさせていただきました。橋本先生いわく、先生が現役選手時代、障害者の方とリハビリをしてとても励みになったということで、その後の選手生活に非常にいい影響を与えられたというふうにおっしゃっておりました。

 パラリンピック競技及び障害者スポーツの所管官庁が厚生労働省からスポーツ庁になって、一体化したことによって、これを機にしっかりと、ナショナルトレーニングセンター等を含め、障害者、健常者一緒になってトレーニングに励んでみてはどうかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

松野国務大臣 委員御指摘のとおり、オリンピック競技とパラリンピック競技のトレーニング方法、指導方法等については、さまざまな相乗効果が期待をされており、両者を一体として競技力向上を図ることは極めて重要と考えております。

 このため、ナショナルトレーニングセンターについては、オリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用化の取り組みを進めており、平成二十七年度においては、延べ千二百三十三人のパラリンピック競技者の利用があったところです。

 また、オリンピック競技とパラリンピック競技のさらなる共同利用化等を見据えて、日本初となるパラリンピック仕様のナショナルトレーニングセンターの拡充整備を行うこととしており、二〇二〇年東京大会開催の約一年前の完成を目指して計画を進めているところであります。

 この計画では、例えば、各トレーニング場は、オリンピック競技とパラリンピック競技が同時にトレーニングや相互交流ができるようにするほか、ゲーム分析を行うテクニカルルームもオリパラ共用とし、指導者同士がいつでも相談できる環境となるよう工夫をしています。

 文部科学省として、引き続き競技力の強化の支援にしっかりと取り組んでまいります。

黄川田(仁)分科員 ありがとうございます。

 やはりトップアスリート、オリンピアン、パラリンピアンが一緒に練習している、そういう風景が見られるということは、一つの日本の社会のモデルとなると思いますので、そのことを強力に進めていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 また、パラリンピック種目、メダル獲得数が少なかった理由ということで、トップアスリートの強化ということが大切なのはもちろんですが、もう一つは、やはり競技の裾野を広くしていくということ、これも大事な要素の一つだというふうに考えております。障害の有無にかかわらず、幅広い世代の国民の皆様にもっと実際にパラリンピック種目を体験してもらう必要があるというふうに思っております。

 実は、先日、私、東京体育館で行われたボッチャの体験会に参加してまいりました。大臣、ボッチャは御存じですか、地上のカーリングというふうに呼ばれているものでありまして、実に障害者と健常者、両方とも楽しめる競技でございました。

 私の地元である草加市には、リオのパラリンピック、ボッチャの日本代表選手の高橋和樹選手がおります。ボッチャは、リオで銀メダルを獲得し、草加市内でもとても注目されている競技でございます。市内の小学校全てにボッチャの道具が配付されるという話もございます。埼玉ボッチャ協会や関東ボッチャ協会では、今回の銀メダルを機に、高齢者や子供たちにもっとボッチャに親しんでほしいと、競技の裾野拡大に努めているところでございます。

 しかしながら、これらの、ボッチャを含めパラリンピックの各団体の事務局は非常に脆弱でございます。これも御家族等のボランティアが中心ということでございますので、各競技団体だけに周知、広報活動を任せるというのも難しいということでございます。

 ですので、改めて、オリンピック種目の裾野を広げるために、文部科学省として、スポーツ庁として、どのような取り組みが行われているか。また、各競技団体の脆弱な事務局体制の支援などをどのように行っているか、考えをお聞かせいただきたいと思います。

松野国務大臣 委員から、ボッチャ体験会に参加したエピソード、またお地元での活動についてお話をいただきました。

 文部科学省では、二〇二〇年東京大会のレガシーとして、全国の特別支援学校でスポーツ、文化、教育の祭典を実施するスペシャルプロジェクト二〇二〇を推進しております。

 その取り組みの一環として、昨年九月に、文部科学省主催でボッチャイベントを開催いたしまして、パラリンピアンや特別支援学校の子供たちにも参加をしていただきました。私も当該イベントに参加をしパラリンピアンに挑戦をしたわけでありますが、全く歯が立たなかった、なかなか複雑で難しいゲームだなというふうに感じました。そして、このボッチャという競技は、障害の有無にかかわらず、誰もが一緒に楽しめるすばらしい競技であると感じたところであります。

 委員の方から、障害者スポーツの裾野を広げていくための施策はという御質問でありますけれども、障害者スポーツについては、九割の国民がパラリンピックは認知をしているものの、スペシャルオリンピックスの認知度は約二割、デフリンピックの認知度は約一割にとどまっております。障害者スポーツを直接観戦した経験のある人の割合は約五%という状況であります。

 多くの障害者スポーツ団体の事務局体制は脆弱であるという御指摘は、委員からも御指摘があったとおりであります。そのため、昨年十月に、水落副大臣のもとに、文部科学省障害者スポーツ推進タスクフォースを設置し、障害者スポーツの振興のための検討を行ってきました。具体的には、障害者スポーツ団体に対して支援ニーズに関する調査等を実施しましたが、多くの団体が、事務局体制、運営資金等の活動基盤の脆弱さを課題として挙げております。

 これらを踏まえ、文部科学省としては、民間企業を個別に訪問して、障害者スポーツ団体への支援を各企業に要請する取り組みを始めたところであります。また、厚生労働省が実施する企業向け説明会の場でも、参加企業に障害者スポーツ団体への協力支援を要請する場を設けるなど、関係省庁とも連絡して取り組みを進めているところでありますが、今後とも、このような取り組みによりまして障害者スポーツの裾野を一層拡大してまいりたいと考えております。

黄川田(仁)分科員 ありがとうございます。

 リオデジャネイロの反省を踏まえて、東京オリンピック・パラリンピックに向けて力強く支援をしていただけるものと感じました。

 また、裾野を広げることに際しまして、障害者スポーツの施設利用の促進も重要であると考えております。

 これは非常に無理解、無知から端を発しているわけでございますが、地域の体育館等に車椅子の乗り入れが禁止されているところなどもございます。もちろん、車椅子バスケットのように激しいものに関して言えば、床を傷つけたりいろいろ規制をする必要があるところもありますが、ただ乗り入れる、ボッチャのように特に激しくない、ただ単に入っていくだけでも、入ってはいけない、使用してはならぬというところもあるということで、いろいろ施設の使用についてさまざまな課題があるというふうに聞いております。

 このことについて、今後どのように取り組んでいくか、お聞かせいただきたいと思います。

松野国務大臣 黄川田委員からの御指摘にありましたとおり、障害者スポーツの裾野を拡大していくためには、障害者スポーツ施設の利用の促進を初めとした環境整備を行うことが重要であると考えております。

 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づき、文部科学省では、所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針を策定しています。この指針では、不当な差別的取り扱いの具体例として、障害のみを理由としてスポーツ施設等のサービスの利用をさせないことを挙げており、各都道府県、政令指定都市にも文書で周知をしているところであります。

 地方自治体等の具体的な取り組みとしては、例えば東京都及び公益社団法人東京都障害者スポーツ協会において、障害者スポーツ施設の利用を促進するため、施設管理者に対する理解啓発や取り組み事例提供のための障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルを作成しています。この中では、スポーツ用車椅子はバンパーが緩衝材で保護されており、床に傷がつきにくい工夫がされていることなどが具体的に説明をされております。

 今後とも、地方自治体等と連携しながら、障害者のスポーツ施設の利用促進に努めてまいりたいと考えております。

黄川田(仁)分科員 ユニバーサル社会を目指すためには、インフラ、道路とか体育館の施設的な、ハード的なバリア以上に、人の心のバリアも取り外していかなければならないことを考えると、施設利用に関して理解を促進していくということは非常に重要であると思いますので、しっかりとこのあたりも普及啓発に努力していただきたいというふうに思っております。

 大臣はこの間、ボッチャの体験等も参加してきたということではございますが、私の後援会の方でも、地域で普及するために、ボッチャの大会とかも開きたいと今後考えておりますので、その際にお誘いしたときには、来て、また体験していただきたいというふうに思っております。

 二〇二〇年のパラリンピック、これは非常に日本にとってもチャンスであると思います。これは、障害者スポーツに限らず、少子高齢化社会を迎えて、子供そして高齢者も生きやすい、暮らしやすい社会を築くことにつながると思いますので、障害者スポーツの推進を機に、大きな目標に向かって一緒に取り組んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 少し時間が早いんですが、前の時間も延びておりますので、これで私の質問は終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

大串主査 これにて黄川田仁志君の質疑は終了いたしました。

 次に、泉健太君。

泉分科員 民進党の泉健太でございます。

 本日は、第四分科会ということで松野大臣に質問させていただきますけれども、大臣も大変お疲れだと思います。何せ、今、文部科学省の天下りの問題が非常に注目を集めておって、またさらに十七名ということでしたかという状況ですので、そういった関係の質問も多いと思います。

 きょう私が主に取り上げるのはその質問ではないことなのでありますけれども、ちょっと冒頭、通告はさせていただいていないんですが、一般的な見解としてちょっと大臣にお伺いしたいことがあります。

 天下りの問題で、いろいろな構図の中で気になるところはほかにもたくさんあるわけですが、私がやはり象徴的に気になったのは、複数のOBが幾つかのわたりをした後にいわゆる生命保険会社に再就職をするわけですが、これは話題にもなったとおり、週一勤務で一千万とか月二勤務で一千万というような事例があったという御認識は、恐らく大臣も持っておられると思います。

 これは、報道等では、やはり団体保険のメリットがあるからだということのあかしではないかなと思うわけでありますが、OBが、幾ら経験や知見があるとはいえ、こういう破格の待遇で再雇用されるということは、やはり国民的な常識からいえば大きく外れているというふうに思うわけですが、大臣、この、週一で一千万、月二で一千万の年収、その待遇というのに異常性というものはお感じになられますでしょうか。

松野国務大臣 委員御指摘のとおり、今、委員が例示をしていただいたような待遇というのは、一般の国民の方の視点からすれば、これは大変高額で優遇されている待遇であろうというふうにお感じになるんだと思います。

 もちろん、個々の待遇に関しては各企業の判断においてなされるものでありますけれども、何よりも大切なことは、こういった再就職等の事案、また、委員の方からわたりという御指摘がありましたが、いわゆるわたりと言われているような事案の中において、そのことで、行政に対する施策の公平性であるとか透明性であるとか、そういったもののゆがみがあるのではないか、国民の方からそういった御指摘をいただくことを何よりも私たちは避けていかなければならないと思っておりますので、今、文部科学省においては、お話がありました再就職等規制違反に関して監視委員会の方から指摘を受け、省内の調査班において、まずは全容解明、そして厳正な処分を行うということで進めさせていただいております。

 この調査に関して、また処分に関して、再発防止に関しては、私が責任を持って、文部科学省の責任者ではありますが、今回の調査においては、何よりも国民の皆さんから見て御納得がいただけるかどうかという点が一番重要な点だと考えておりますので、その思いでしっかりと進めてまいりたいと考えております。

泉分科員 これまで起こしてしまったことというのは非常に問題が多いわけですし、今その全容解明に当たられている、特に大臣には真摯に当たられているという御姿勢が私も感じられますし、ぜひ、これを機会に、本当にこういったことが行われないようにということを徹底していただきたいわけです。

 その一つの手段というか、中で、確かに民間企業においては、それは採用の自由もある、待遇を決めるのも民間の自由なんですが、やはり、同じ役人OBといっても、都道府県、市町村初め、あるいは本省でも、本当に現場で頑張ってきた方々は、みずから就職先を探し、みずから本当に実労働として働いてお給料を得ている方もたくさんおられるわけですね。そういった意味では、やはりこういった月二勤務で一千万とか週一勤務で一千万ということそのものが異常だということを、ぜひ大臣や政府、閣僚挙げて、経済界にやはりこういった雇用はおかしいということを言っていただきたいと思うんですよ。それがなければ、いやいや、民間でやっていることですからで済んでしまう。しかし、それはあなた、何かあるでしょうというような待遇の仕方というのは、よく顎足つきなんて言われ方もしますけれども、やはりそこはもうなしですよという世界をつくっていかなきゃいけないというふうに思うんですね。

 また、そういう待遇の中で、今回はその待遇を受けた方がまさにあっせんの間に立っていたということでありますので、ぜひ、特に、恐らく大手民間ですよ、こういった採用をされているのは、そして恐らく、製造業を初めいろいろなところで実はそういう雇用をされている会社が一部上場でもあると思います、こういうところを直していただくということがやはりまず大事じゃないかということを、冒頭申し上げたいというふうに思います。

 さて、本日は、学校教師が関係するわいせつ行為を初めとした懲戒ということについて問題意識を持っております。

 ことしの二月に、男児ポルノの画像をやりとりしていた一味が逮捕、摘発をされたということがあって、この中には、学校教師、そして元教師が含まれていたということでありました。

 もちろん、だから全部の教師がということは当然ありませんし、大半どころか、本当に全ての教師は真面目に取り組んでおられる方ばかりです。しかしながら、大変残念なことに、教師ですとか、幼稚園等々、あるいは予備校、こうした自然体験、いろいろな子供と接する現場で許せないような行為を行うためにそういった職につくという者も、恐らく全くないとは言えないという状況であると思います。

 そのほかにもさまざまな事例がある中で、文部科学省では調査をされて、直近の調査でいきますと、二百人を超える方が一年間に処分を受けている、このわいせつ行為のみで処分を受けている、そのうち懲戒免職が百十八人、こういうデータもあるわけであります。

 大臣の責任ではないということかもしれませんが、やはり、大臣、わいせつ行為が後を絶たないという状況、これについて改めて御認識をいただきたいと思います。また、どういった課題があり、そしてどんな対策が必要かということも、あわせてお答えいただきたいと思います。

松野国務大臣 委員御指摘の事案に関しては、一言で言えばもう言語道断であり、あってはならないことであると考えております。

 文科省による当該事案に対する調査は、今委員から御紹介をいただきましたが、平成二十七年度におけるわいせつ行為等で懲戒処分等を受けた教員等は二百二十四人で、これは過去最多となっております。また、懲戒処分を受けた二百二十四人のうち、自校の児童生徒に対するわいせつ行為等によって処分を受けた人数は九十一人ということになっております。

 本当に、児童生徒に対するわいせつ行為、これらは教員として絶対に許せないことであって、極めて遺憾であると考えております。

 どういった対策をということでございますが、本来、教師の職は、児童生徒に直接かかわるということでございますから、より高い倫理観が求められているという職であり、その自覚をしっかりと持っていただくことが必要であります。

 このため、教員の倫理観の向上や服務規律の確保に向けた研修を実施するとともに、児童生徒に対するわいせつ行為等があった場合には原則として懲戒免職とするなど、厳正な処分を行っていくことが必要であると考えております。

泉分科員 今、基本的にわいせつ行為があれば免職に値する、そういったことの通知等々で各都道府県教育委員会に促しておられる、また、徐々に公表の基準や処分の基準についても、以前に比べれば均一化してきたというか、どこでも同様な対応をしていただくようになってきてはいる。しかし一方で、公表するしないの問題だとかで、まだ足踏みをしているような都道府県もあるというふうに認識をしております。

 例えば、大臣がおっしゃられた文部科学省の調査でも、基本的には免職となっておりますが、平成二十七年の総数二百二十四のうち、もちろんケースはさまざまですが、免職は百十八ということでありますので、停職や減給だけれども免職ではないという事例もあるわけであります。この辺がやはり非常に、本当にそういった処分でよかったのかということ、また、保護者からの信頼という意味で、それに応える教育行政になっているのかというところは、まず一つ懸念がございます。

 きょうは資料をお配りしております。

 私がまず第一点で申し上げたいのは、きょう、「教員免許取得後に懲戒免職となった者の復職までの流れ(公立)」というものの資料を、フローチャートの資料ですね、配付させていただいております。

 ここで幾つか、現状の問題点というものを指摘したいと思います。もちろん、物事には理由がありますので、それも認識をした上での発言ということを御理解いただきたいと思います。

 真ん中の黒いところに「非違行為」と、わいせつですとか交通違反等々があるわけですが、そこで、懲戒免職を受けると教員免許も同時に失効をするということになるわけですが、現時点の制度では、失効したとしても、処分から三年がたつと教員免許の再申請、再取得ができるということですね。ここには、特段何も、例えばこの三年間の間に更生プログラムを受けたか受けないか、こんなこともございません。そして、再申請のときにも再取得の際にも、過去について恐らく問われることがないんじゃないでしょうか。

 過去、問題を起こした、非違行為を起こしたにもかかわらず、それが、例えば児童買春であったり学校内におけるわいせつ行為を行ったにもかかわらず、処分の日から三年間たてば、取り消しをされたにもかかわらず申請可能、取得可能、こういう制度でよろしいですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、例えばわいせつ行為で懲戒免職を受けた場合、委員が配付されているここの資料にありますとおり、懲戒処分を受けて三年間たてば、その免許を失効した者が再度申請して再取得が可能であるということは、御指摘のとおりでございます。

泉分科員 そこに対する問題意識はございますか、局長。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 この点につきましては、例えば他の専門職、例えば医師とか看護師とか公認会計士とか弁護士とか、そういった方々の資格と同様に、非違行為があった場合につきまして、その資格が失効してしかるべき年限がたてば、いずれにしても資格が回復できるという仕組みでございまして、教員免許につきましても同様の仕組みになっているということでございます。

泉分科員 私も今、子供がおります。皆小学生です。大臣は、お子様はおられますね。(松野国務大臣「娘が」と呼ぶ)お嬢様。

 余りこういった端的で感情的にも聞こえる質問は望ましくないかもしれないんですが、過去そういう処分を受けた、特に過去わいせつ行為で免職になった方が、特段何も問われずに、もう一度教員免許を再取得して、大臣、その先生にみずからの子供をクラスで委ねられますか。

松野国務大臣 今、文部科学大臣として答弁に立たせていただいておりますので、個人としてという見解は控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、全ての子供が安心して教育を受けることができる、保護者も安心して我が子を学校に預けることができる、そういった教育環境を整備するということは重要である、そのことはもう言うまでもないことであります。

 先ほど委員の方から、三年をたった時点でもう一度資格を再取得できることについての問題の指摘をいただきました。

 この問題も、平成十四年の教育職員免許法の改正で二年から三年間に延長されたということで、厳罰化が図られる傾向にありますが、しかし、いずれにしろ、教員免許の再取得に要する期間についても、教員の職務の特殊性や、もちろん他の資格との均衡も考えなければいけませんが、その妥当性については今後とも考えていく必要がある、検討する必要があると思います。

泉分科員 今大臣もおっしゃられましたけれども、特性なんですね。

 例えば税理士さんや行政書士さんが非違行為を行った、三年たった、資格を回復する、こういうものとの均衡というお話もありましたけれども、子供と生身で接するようなお仕事ではないですね。ですから、仮に非違行為があっても、経理ですとか商談ですとかそういったものに従事をするということは、被害者が生まれるということではございません。

 しかし、子供に被害を与えたような過去を持つ方がまた同じ環境に従事をするということを、同じように許容してよいのかどうかということなんです。それは、学校の中でいえば、運動もあれば、着がえもあれば、身体検査もあれば、遠足もあれば、修学旅行もあれば、本当に、先生に子供たちを預けて信頼をして学校教育を受けてもらっているわけですから、そういう中でわいせつ行為を起こしたということは、やはり特段、まさに特性という形で考えねばならぬ問題ではないのかなというふうに思います。

 もちろん、その方の人生ということもあるでしょう。しかし、まず最初に守らなければいけないのは児童ではないでしょうかという観点に立って、現在、そういった形で懲戒免職を受けた、特に私は限定してもいいと思いますよ、例えば交通違反でというのも広く言えば子供に悪影響がないかといえばあるかもしれませんが、児童に直接的に被害を与えたという方について、これが何事もなく三年後には再申請、再取得ができる、こういう資格主義というかになっていることについては、やはりぜひ再検討をしていただきたいということがまず一点目であります。

 そして、同じくこのフローチャートで、もう一つ、一番最後のところですね。申請、再取得というのは免許の話でありまして、実際に、採用という、また次のハードル、段階があるわけですね。この採用についてなんです。

 実は、私もいろいろと幾つかの都道府県の教育委員会に問い合わせをさせていただきましたが、非常にばらつきがあるということがわかってまいりました。

 例えば、過去処分歴があったということについては、今官報で各都道府県の教育委員会に通知をされるということでして、各都道府県ごとに保存をしているというふうには聞いているものの、その保存の仕方やあるいはデータの活用の仕方、こういったものが曖昧です。

 例えば、私の地元京都府から東京都の教育委員会に問い合わせをした場合、東京都は答えるかもしれない、でも別のB県は、それは個人情報ですからと言って答えないかもしれないんです、問い合わせをしているのに。この方の過去の処分歴はございませんかと、ある教育委員会がわざわざ問い合わせをしているのに、そこの照会に答えない、そういう場合が現在はあるというふうに認識しております。

 そういった意味で、やはり、今この場所で、そういった方々を全て採用できるのかできないかということについては、私は採用しない方がまずいいとは思うものの、しかし、職業選択の自由もあるという中でいけば、せめて教育行政側は、本人の処分歴が、本人からの自己申告ということは当然促さなければならない、しかし自己申告をしないケースがある、そういうことについて、自己申告に委ねるのではなくて、しっかりと情報をプールして、その情報を事実として認識しておくこと。

 まず、それぞれが採用段階で必ずその事実を認識しておけること。認識した上で、面接等々で、もしかしたら改善が見られて、あるいは、今後二度と起こしませんというようなことも含めて証明できることがあれば、それは採用に至るケースというものがあるのかもしれないというふうに思いますが、今現在の採用現場ではそういったことが求められていないんです。

 例えば、東京都は正規採用試験の際に過去の刑罰歴の書類を提出させています。このような取り組みというのは、全国の教育委員会あまねくしていただいておりますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、東京都の教育委員会におきましては、その教員採用選考において、第二次試験受験の際に、全受験者に提出させる面接票におきまして、職歴とともに賞罰を記入させ提出させているものと承知をしております。

 委員お尋ねの、全国の都道府県、指定都市教育委員会の状況でございますが、この東京都を含めまして二十二の教育委員会で、願書等において受験者に賞罰を記入させていると承知しております。

泉分科員 大臣、お聞きになりましたか、二十二ですよ、二十二。この自己申告ですら二十二なんですよ。こういうところでばらつきがあってよいのか。北海道から沖縄まで、その先生がわいせつ行為で処分を受けたことがあるかどうかは別に誰も問いませんよという保護者ばかりでしょうか。決してそんなことはないと思うんです。ですから、自己申告ですら今二十二ということですね。

 文科省、さらに問い合わせしますが、臨時教員の採用の際には、そういった取り組みを実施しているというのは何件ぐらいあるでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 臨時的任用教員に関しましては、東京都につきましては受験者に提出させる受験申込書におきまして賞罰を記入させているものと承知をしております。

 ただ、文部科学省といたしまして、他の道府県、指定都市については、この点につきましては残念ながら承知していない状況でございます。

泉分科員 これは正規採用も臨時職員も変わらないですね。

 大変すばらしいことではあるんですが、学校の先生は育休の取得ですとかも含めてしっかりとられるケースも多いわけでありまして、そういった意味では臨時で来られる先生も多い。

 やはりこれは子供たちからすれば変わらないわけですから、保護者や子供たちの立場に立って、ぜひ正規採用のみならず臨時教員についてもこういった書類の提出というものは進めていただきたいというか、全国で実施をしていただきたいというふうに思います。

 ただ、大臣、これもあくまで自己申告の世界の話を私は今しております。

 さらに言うと、先ほど私も言いましたけれども、教員採用に当たって私立学校ですとか教育委員会から他の都道府県教育委員会への人物照会があった際に、懲戒事由の情報提供をしていないケースがあるということですけれども、この懲戒歴そのものが個人情報に当たるのか。それを個人情報に当たるからということで提供していないケースがあると聞いているものですから、その辺の文科省の見解をお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省は委員お尋ねの個人情報保護法を所管する立場ではございませんが、特定の者の氏名、生年月日などを示した上で懲戒歴を問い合わせた場合につきましては、個人情報保護法に定める「特定の個人を識別することができること」になると考えられますので、個人情報に当たると思われます。

 なお、個人情報の具体的な取り扱いにつきましては、各地方公共団体の条例等で定められておりますので、それに基づいて適切に運用されているものと承知しております。

泉分科員 これは今全国で、文科省も認識されていると思いますが、免許管理システムというものが別な目的で運用が始まっているわけですね。ですから、データベースは今、もう当たり前ですよね、これだけ人の移動が多ければ、全国的に共有するということの時代の中で、個人情報に当たったとしても、これは公的な利用であって、別に保護者からの問い合わせに一個一個答えてくださいというものではないわけですから、あくまで公的機関から公的機関への問い合わせ。

 そこで、一部情報は提供している都道府県もあるけれども、しかし提供していない都道府県もあるということを文科省が今現状として認識しているのであれば、それぞれで条例を定めていただくということになるかもしれませんが、私は、これはぜひ文科省から通知なり連絡をしていただいて、やはり情報提供には応じるべきというふうにするべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

松野国務大臣 冒頭お話をさせていただいたとおり、教員のわいせつ事案等はあってはならないことでありますし、特に、被害に遭った子供たちが生涯にわたって傷つくことを考えると、何としてもこの事案というのを撲滅していかなければならないという思いは委員と共有をしているところであります。

 と同時に、これももう委員から御指摘いただきましたが、職業選択の自由の問題、また個人情報に対する保護の観点、そして一定の罪を償った後の個々人の人権の問題、こういった要素も考えていかなければなりません。

 しかし、委員のお話のとおり、何よりも守らなければいけないのは子供たちでありますから、今、こういった難しい問題があるからこそ委員御指摘のような状況になっているわけでありますけれども、もう一度文科省としても、この事案に関して、今後さらにどういった対応ができるかについて検討をしていきたいと考えております。

泉分科員 先ほど話をしましたとおり、三年たてば自動的にというか再取得ができてしまうということですけれども、文科省、例えばわいせつ行為で懲戒を受けた教師に対して、免職をしてしまうわけですけれども、再申請、再取得の際なのかそれ以前なのか、更生プログラムですとか、それが有効なのかどうかは別にして、何らか、その改善を確かめることをされているんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 教員が児童生徒に対してわいせつ行為等を行うことは、大臣も申し上げているとおり、絶対に許されないことでございまして、文科省におきましても、毎年度の通知で、そのような非違行為があった場合は、先ほど申し上げましたとおり原則として懲戒免職ということで、厳正な対応を求めております。

 その上で、各都道府県、指定都市等の教育委員会におきましては、教員採用の初任者研修あるいは十年経験者研修などの研修の場において……(泉分科員「失効した人にですよ」と呼ぶ)失効した者についての更生プログラムというのはございません。

泉分科員 そうなんですよ。何もやっていない先生たちに一生懸命言うことの話をしているんじゃなくて、失効して再取得をしようとする中で、特段何も、その時点ではもう教師ではありませんから、確かにできない。ですけれども、今私が話をしたように、もう一度免許を取ろうとしたらそれは簡単にできてしまうし、採用試験も、一般教養だの専門教養だとか論文だとかいろいろありますけれども、こういうところでその過去のことについて触れているケースもあれば、触れていないケースもあるという状況なんですね。こういうところが曖昧ではいけないということなんです。

 本当に本人にもう再犯のおそれがないということを確かめられるのであれば、それは確かに、職業選択の自由ということで、もう一度ついていただくことというのは全く妨げることはできないかもしれない。しかし、そのチェックをしていますか、そのチェックが今どうなっていますか、都道府県ごとでばらばらです、情報の共有もしていませんという、今、状況なんですよ。

 ですから、大臣には、その免許管理システムの活用も含めてお考えをいただきたいというふうに思いますし、今教育の現場がどうなっているかというと、そういった方かもしれないというのを確かめるために教育委員会がどうしているか。

 一つは、免許状を持ってきたかどうかで確認する。これは最近ちょっとなくなってきましたね。免許状を持ってきたとしても、それはにせものかもしれないだとか、あるいは失効しているものかもしれないので、それについては、やはり免状で確認するというのはもうやめていただきたいというふうに思います。厳に番号なりでちゃんと確認をしていただくというところが一個。

 もう一つは、何と、普通にネットで検索して、本人の名前がヒットするかどうか、別にデータベースじゃないですよ、グーグルだとかで検索をして、本人の名前がヒットしたら見つかるかもしれない、こんな状態で、その人に過去、前歴があったかどうかを確かめている。非常に不確かですね。

 私、これではいけないと思いますよ。各都道府県の教育委員会の実務をそういった状態にさせているということは、やはり文科省は改めなければいけないというふうに思いますので、大臣も先ほど、お子様のお話も、きっと内心では、それはやはり保護者としての感情というものも受けとめていただいたと思いますので、ぜひそういった形で各都道府県の取り扱いの徹底ということをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大串主査 これにて泉健太君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川康君。

古川(康)分科員 ただいま許可をいただきました自由民主党衆議院議員の古川康でございます。

 私からは、まずユネスコ無形文化遺産についてお尋ねをさせていただきます。

 昨年、ユネスコ無形文化遺産で、唐津くんちなど三十三の山・鉾・屋台行事が登録をされました。関係の地域はその効果に大いに期待をして、かつ盛り上がっているところでございます。

 私の地元の唐津くんちも今回登録をされました。小さなころから私自身がこのくんちの山に乗り、あるいは長い間山を曳かせていただいておりまして、本当に我が事としても大変うれしく思っているところでございます。

 ということで、お尋ねをしたいと思います。

 地元で大変盛り上がっているこのユネスコ無形文化遺産への指定でありますが、この指定を受けることによって、あるいは受けたことによって、国あるいは関係機関が地元の取り組みに対して支援をするといった制度があるのかどうか、まずこれについてお答えください。

 例えばでございますけれども、今回の登録を受けた九州のお祭りの山、鉾、屋台が福岡に集まって、多くの皆様にその姿を披露するということが予定をされています。本来の行事以外で地域の外に出ていくことを私たちは出動と呼んでいます。今回の登録を契機として、まさに出動が行われるわけでございます。

 しかしながら、出動には、手間暇がかかることとあわせて、山が傷むという無視できない問題があります。そういう問題がありながらも、登録をしていただいたということで、いわば傷み覚悟で出動することになるわけであります。

 このような登録を受けて、それを多くの人たちに知っていただきたいという取り組みに対しては、何らかの形で国の支援があってもしかるべきとも考えますが、こうしたことも含めて、いかがでございましょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 昨年、ユネスコ無形文化遺産に山・鉾・屋台行事が登録されたことは大変喜ばしいことでございます。

 ユネスコ無形文化遺産に登録されたことによって、今、ユネスコからの支援措置というものはございませんけれども、文化庁におきましては、山・鉾・屋台行事を初めといたします重要無形民俗文化財が着実に次世代に継承されますよう、伝承者養成の支援だとか用具の修理等への支援を行っております。

 各地域におきましてそれぞれの文化を大切に考えて保護を継承していくことは極めて重要でございまして、ユネスコ無形文化遺産も含めまして、今後とも、その保存、活用の充実に一層取り組むことによりまして、各地域において文化財を大切にし誇りに思う住民の方々の気持ちに応えたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 このユネスコ無形文化遺産の対象となった行事に対する支援として、今お話にあったような制度があるというふうなことでございました。

 それはそれでまた後ほどお尋ねをしていきたいと思っておりますが、私は、このユネスコの無形文化遺産になったということで、何かそういったことをきっかけにするような支援というものが、このユネスコ無形文化遺産プロパーの支援といったものができないのかといったことを思っているところでございます。

 これもまた後ほどお尋ねしますが、日本遺産になったものについては、日本遺産になったということでの広報宣伝であるとか、それを地域の活性化に生かしていくプロデューサー制度というようなところもあると伺ってもおります。

 こうしたことも参考にしていただいて、やはりユネスコ無形文化遺産になってよかった、そういったことになっていくような、声が沸き上がるような、そういったこともぜひ考えていただければと思います。

 さて、唐津くんちの話に戻りますが、今、地元では、このようなすばらしい遺産を次の時代に伝えるために大変苦労がなされています。例えばですが、そのために、唐津曳山取締会では、曳山の台車の修復材の確保という難しい問題に取り組みを始めています。

 曳山の台車を修復するためには、大径材、非常に大きな直径の材が必要になってまいります。昔はどこの山にも、山というのはつまり、マウンテンの山にもあったのかもしれませんけれども、だんだんそういったものが少なくなってきて、いわば各地域でとり合いになってきている。このままでは数十年後の次の修復のときに材がなくなってしまうのではないか、こうしたことに危機感を抱かれたわけであります。

 その曳山の台車の修復材の確保のために、この唐津曳山取締会では、カシやケヤキの木、そういう修復材になるような木材を曳子が植林するという事業を始められる、こうしたことを検討されています。植林された木が使えるようになっていくためには、五十年じゃだめでしょう、百年とか百五十年とか、そういう長い期間を必要としていきます。ですので、民有林に植えると所有権の問題も出てくるかもしれないから、やはり県有林のような場所に植えた方がいいのではないか、そういった議論もされながら、こうしたことをスタートさせる予定になっています。

 まさに、こうしたものは将来、次世代に向けて今から始めておかなければならない事業であると考えておりまして、地元としてもこうした努力をされながら、次の時代に伝えていこうということで努力をされている、このことをぜひ御認識いただきたいと思います。

 そこでお伺いをいたしますが、平成二十九年度予算案、これにおきまして、先ほども御説明がありましたけれども、民俗文化財伝承・活用等事業、こうしたものを使って保存をしていくんだというお話がございましたが、そもそもこの予算は総額で幾ら確保されているのか、お示しください。そして、それが対前年に比べてどれぐらい伸びているのか、あるいは減っているのか、そこの数字もお願いいたします。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 我が国民の生活の推移の理解のために欠くことができないものでございます衣食住だとか、なりわい、信仰及び年中行事等に関します風俗慣習、民俗芸能それから民俗技術といった無形の民俗文化財のうち、特に重要なものを文部科学大臣が重要無形民俗文化財に指定して、保存、継承に努めているところでございます。

 文化庁におきましては、重要無形民俗文化財に指定されております行事等に用いられる用具の修理、新調、伝承者養成等の支援を行っております。

 先生お尋ねの平成二十九年度予算案におきましては、民俗文化財伝承・活用等事業に一億五千百七十二万円を計上し、対前年度で約五一%の増額となってございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 一億五千百七十二万一千円で、対前年度五一%の増ということでございます。ちょっと普通の予算ではこれだけの伸びというのはなかなか考えにくいと思いますけれども、これはどういう事情に基づくものでございますか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 大変厳しい財政状況の中ではございますけれども、民俗文化財伝承・活用等事業の予算を確保できましたのは、やはり、先ほど御紹介ございました山・鉾・屋台行事のユネスコ無形文化遺産登録を契機といたします、地域の誇りであります民俗文化財を後世に確実に伝えていこうという機運の高まりなどの後押しがあったものと考えております。

 文化財は国の宝でございます。また地域の宝でもございます。今後とも、我が国の貴重な文化財が将来にわたりまして保存、継承されますよう、予算の確保について引き続き努めてまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 まさに、今のお話を聞けば、予算の獲得上もこのユネスコ無形文化遺産効果が出ているということではないかと思っております。

 予算が確保できないと、いざ修理をしようというときにもなかなか全てのものが補助対象にならないといった悩みもございました。また一方で、同じ内容の修理、修復をしていこうと思っても、昔はその辺にあったような材料が今は非常に手に入れにくくなっている、あるいはワシントン条約等の規制で、動物由来のようなものについてはそもそも手にも入らないし値段も上がっているということで、かつてやった修復と全く同じ修復をやろうとしても、お金が昔以上にかかってしまうといった悩みなどもあります。

 そういった現場からすれば、これだけの予算を確保していただいているということは安心感にもつながりますし、さらに保存の意欲というものにもつながっていこうかと思っておりまして、引き続きの御努力をお願いしたいところでございます。

 そこで、ちょっとこれは一点確認なんですが、この民俗文化財の関係の修復の事業については、重要有形の民俗文化財のものと、民俗文化財の中で無形のものとございます。例えば、山、鉾、屋台の中でも祇園祭りのようなものは有形になっていて、それについては補助対象事業が、重要有形民俗文化財に指定されている山、鉾、屋台等の修理、防災設備の設置事業というような感じになっているんですね、という表現になっています。一方で、無形の方は、祭り等で使用される用具の修理、新調と書いてあるんですね。

 この山、鉾、屋台等の修理と書いてあるものと用具の修理、新調と書いてあるものの表現ぶりの違いで、何か対象になるものにすごく大きな違いがあるような印象も受けるんですけれども、そこはそうではないというふうに理解しているんですけれども、その辺はどうでしょうか。

中岡政府参考人 山、鉾、屋台、そういう引き物でございますけれども、そういったものは有形ということで支援をさせていただくわけでございますけれども、引き綱だとか、そういったそれに付随するようなものにつきましては、無形のものとして整理をして支援をさせていただく、そういうような構えになっているということでございます。

古川(康)分科員 今でも、唐津くんちの曳山の、山そのものの総塗りかえとかについては、その台車も含め、全体をこの事業で支援していただいているんですね。それには綱でも対象になるというふうなことも伺っているわけなんですけれども。

 今私がお尋ねをしていたのは、重要有形の民俗文化財の修理・防災事業の場合は、山、鉾、屋台等の修理とはっきり書いてあるんですね。ただ、唐津くんちの場合には、有形民俗文化財ではないので、ここの補助金は使えないので、民俗文化財伝承・活用等事業という事業の中で、そういう台車とかも含めて支援をしていただいている、こう認識をしています。

 私が確認をしたいというのは、そのときに、補助対象事業が並んでいるんですけれども、祭り等で使用される用具の修理、新調というふうに無形の場合は書いてあるんですね。ただ、実際上は、有形の大きな山とか鉾とかの修理をすることになるので、実際の補助対象の中身としては、これまでの運用上も有形のものと変わらないような運用をしていただいているというふうに思っているんですけれども、ちょっと表現ぶりが余りにも違うので、その辺がどうなのかなと思ったということなのであります。

 これについては、今の運用がおかしいというようなことではありませんので、また別途確認をさせていただきます。

 次に、今度は日本遺産の方に移ってまいります。

 昨年、佐賀県では、このユネスコ無形文化遺産のほかに日本遺産も認定をされました。肥前窯業圏という単位でございましたけれども、いわば焼き物が日本遺産として認定されたということでございます。昨年は、ちょうど日本磁器誕生四百年を記念して、有田町を中心にして、四百年の記念事業というものが行われました。現代の生活に合った商品開発や、数百年ぶりに海外市場に本格的に打って出るといった挑戦も行われました。そのうちの一部は、行政からの支援がなくなった後でも民間で引き続き事業として継続して、そういった意味でも新たな将来が見え始めていると思っているところでございます。

 このように、ひとり立ちできている部分もあると思えば、まだまださまざまな形で支援が必要というか、この日本遺産の認定を契機にしていろいろな取り組みをしていきたいという部分もございます。

 そこでお伺いをいたします。

 例えば、日本遺産に認定されたものについての政府としての支援策、来年度の予算、こうしたものについて、簡潔にお答えいただければと思います。

中岡政府参考人 日本遺産のお尋ねでございます。

 地域の歴史的魅力や特色を通じまして我が国の文化、伝統を語るストーリーを認定するものということでございまして、中身といたしましては、認定地域に対しまして、日本遺産を通じた地域活性化に資しますような情報発信、人材育成、普及啓発、調査研究、公開活用のための整備に対して必要な財政支援を行うとともに、諸課題への助言等を行う専門家の派遣を行ってございます。

 平成二十九年度政府予算案におきましては約十四億円を計上しているところでございまして、今後とも日本遺産を通じた地域活性化の取り組みが推進されますよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 本当に厳しい中でこうした予算を確保していただいているということに感謝を申し上げますし、しっかりと使っていかなければならないと思いますが、ことしも日本遺産の認定がこれから行われると思いますが、それに向けて、佐賀県からの申請が出ているのかどうか、そしてまたその内容について教えてください。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度の日本遺産認定に向けた申請でございますけれども、二月二日に締め切りまして、佐賀県からは二件の申請があったと承知しております。

 具体的には、一つ目が、江戸時代から続く置き薬の技術や知恵等が今も息づく町というもの、もう一つは、飛鳥時代に古代日本を防衛するために築かれた山城の風景というもの、そういった二つのテーマとしたものでございまして、いずれの申請も、他の県及び市町と連携したものでございます。

 申請されたものにつきましては、今後、日本遺産審査委員会において厳正に審査をする、そういう運びになります。

古川(康)分科員 この一点目の置き薬については、まさにあの申請が出ている基山・鳥栖地域というのは、その昔、対馬藩の領土であった時期がございまして、そういったことで、朝鮮通信使の貿易によるさまざまな材料が入ってきたといったことなどがあって、張り薬の伝統というものがある地域だというふうに理解をしているところでもございます。

 まさに、この日本遺産というのはストーリー性が問われるわけでありますけれども、共同申請している富山県などと並んで、これは非常におもしろいストーリーができ、かつ、これからの地域活性化策が期待できるものと思っております。

 この古代の山城についても、前々から、何らかの形でもっと検証ができないかというのを地元から伺っておりました。こうした形で出てきていることを本当にうれしく思っておりますし、ぜひとも吉報を待ちたいと思います。

 さて、残った時間で、大学移転と地方創生について幾つかお尋ねをいたします。

 私たちの国では、大学生の四割が首都圏にいます。首都圏の人口そのものは三割ですから、プラス一割が学生という形で首都圏に住んでいるということでございます。

 政府は、これまで長年にわたっていろいろなものの地方移転、特に企業の地方移転ということに取り組んできましたが、いろいろ調べてみましたら、実は、企業だけではなくて大学などの教育機関についても、工業等制限法、工場等制限法において、一定規模以上の大学の教室または増設の禁止という政策がとられていました。私もこれは実はよく知らなかったところでございました。

 できる限り首都圏に学生が集中しないというための政策がとられていたわけでございますが、これが平成十四年に廃止をされています。そして、そのころと軌を一にして、東京二十三区内の学生数が近年伸びてきています。子供たちの数は全体として減ってきているわけでありますから、学生数がふえているということはちょっとびっくりするようなことなわけであります。

 地方創生が叫ばれる今、もう一度地方への人の流れ、あるいは、地方に生まれ育った人が学びも地方で終えられるような、続けることができるようにしていくことが何より必要だと思っております。

 そこで、本日、内閣官房がお越しになっておられると思いますけれども、いわゆる地方に立地している大学等の教育機関の充実について、どのように取り組みをされようとしているのか教えてください。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 全国の学生の四割が東京圏の大学に在籍しているという、委員御指摘の大学の東京一極集中の状況があるということ、それから、全国知事会などから地方大学の振興等についての要望があることを踏まえまして、昨年十二月に、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六の改訂版でございますが、閣議決定をした中において、地方大学の振興、地方における雇用創出と若者の就業支援、東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進等を総合的に検討するとされたところでございまして、御指摘の地方大学の振興、これは、地方を担う多様な人材の育成、確保の観点から、大変重要なテーマであると考えております。

 これを受けまして、山本地方創生担当大臣のもとに有識者会議を設置いたしまして、二月六日に第一回を開催したところでございますが、現在、地方自治体、産業界、大学関係者などの御意見を伺いながら検討を進めているところでございまして、ことしの夏を目途に方向性を取りまとめてまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 ということで、政府としても、今、地方大学の振興というものに取り組み始めているということが確認できたと思います。それがどの辺のところまでいくのかということについては、また後ほどお尋ねをさせていただきたいと思います。

 それで、ちょっと話はずれるんですけれども、埼玉県、神奈川県、山梨県、滋賀県そして佐賀県、この五つの県の共通項は何かわかりますか。それが実は、この五県、高専、高等専門学校が一つもない県なんですね。大都市圏の周辺部の県で、そこの県になくてもいいというようなことがあったのかもしれないと思う県もあれば、佐賀県のように、別に要らないと言っているわけでもないのに、これまで立地してこなかったというような県もあります。私は、そういう議論をしていく際には、地方の大学だけでなくて、この高専のあり方についても充実させていくことが大事なのではないかと思っております。

 そういう中で、この高等専門学校の未設置県が県立の工業高専を設置していこうということを検討したこともあったと聞いています。でも、非常にお金がかかるということで、文科省や地方交付税の地方財政措置も十分ではなくて、結果的に設置を見送らざるを得なかったと伺っております。

 そこで、文部科学省にお尋ねをいたします。

 文科省の、高等専門学校の充実に関する調査研究協力者会議が、昨年の三月に、高等専門学校、高専に関して、既存の工業高校の移行を提言したことがありましたが、これが出た以降、実際にそういうことを、転換を検討している例はあるのでありましょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、委員御指摘のように、高等専門学校の充実に関する調査研究協力者会議を設置いたしまして、昨年の三月でございますけれども、「高等専門学校の充実について」というまとめをしたところでございます。

 その提言におきましては、高等専門学校の設置について、既存の工業高等学校を高等専門学校に移行することにより、地域産業を支える人材の養成を担う高等教育機関として地方創生に貢献し得ることも十分に考えられるという提言でございます。

 その提言、昨年の三月以降でございますが、複数の地方公共団体から、工業高等学校からの転換も含めて、高等専門学校の設置に関する問い合わせをいただいているところではございますけれども、現時点で具体的な計画について検討しているという例は承知をしておりません。

古川(康)分科員 問い合わせがあった程度で、まだ検討が進められているというようなところに至っていないというようなことだと思うんですけれども、現時点でそういう本格的な検討に至らないネックといったものがどの辺にあるのかという点はいかがでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 工業高等学校を高等専門学校に転換する際でございますけれども、三点ほど申し上げたいと思います。

 一つは、高等学校の教員に求められる資格、能力とは異なって、高等専門学校の教員には博士、修士の資格が必要でございますので、教員組織の整備が必要になるということ、二点目といたしまして、実験、実習に必要な施設設備等について質的、量的な拡充がやはり必要であるということ、それから三つ目といたしまして、転換でございますので、既存の施設設備をどこまで活用できるかということはケース・バイ・ケースで異なってくるとは思いますが、やはり新たに経費が必要となること。

 こういうことなどが課題となるということとして想定をされるところでございます。

古川(康)分科員 まさに、課題についても既に認識をしていただいているということなので、本格的な御相談があったときには、ぜひ、こうした課題についてどうしたらクリアできていくのかということについても、またお力をかしていただければありがたいと思います。

 それで、先ほどの内閣官房の方からお話のあった、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、地方大学が対象になっているということでございました。

 ちょっと通告と順番が違いますけれども、内閣官房の方でお答えいただければと思うんですけれども、地方大学の振興といった場合、例えば短大だの、高専だの、あるいは専門学校だの、その辺はどの辺までイメージしておられるんでしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 有識者会議におきましては大学を中心に議論しているところではございますが、御指摘の高等専門学校など、これも地方産業を担う専門的な人材でございますので、そういった他の高等教育機関なども視野に入れまして幅広く対応策を考えて、地方を担う多様な人材の確保、育成という観点から議論をしてまいりたいと思っております。

古川(康)分科員 最後に、同じ質問になるんですけれども、教育機関を所管している文部科学省としては、全く同じお尋ねでありますけれども、どのようにお考えなのか、お示しください。

常盤政府参考人 現在、中央教育審議会におきまして、今後の高等教育機関の機能強化の方向性ということについて論点整理が行われております。高等専門学校については、基本的方向性の一つとして、地域の産業界との連携の強化の観点が重要であると示されております。今後、こうした観点から、高等専門学校の機能強化のために必要となる施策について中教審で検討を進めていく予定でございます。

 また、あわせて、地方創生の観点からの高等教育のあり方については、内閣官房あるいは総務省の施策も視野に入れながら、文科省としても議論を進めてまいりたいと考えてございます。

古川(康)分科員 まさに政府を挙げてこの地方創生と教育機関のあり方について議論をいただくということでございます。

 ぜひとも、高専を欲しくてもこれまで未設置県でいたという佐賀県の、佐賀県民の思いもしっかり踏まえていただきながら検討を進められていくよう心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

大串主査 これにて古川康君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津分科員 公明党の稲津久でございます。

 きょうは、公立中学校夜間学級、いわゆる夜間中学について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、公立夜間中学校の必要性についてということでお伺いをいたしますが、これはもう既に多くの方々が御理解のもとですけれども、改めて経過を少し触れさせていただきます。

 夜間中学校の歴史的な背景、これは、戦後の混乱期の中で、生活困窮などを理由に仕事をしたり家事手伝いをしたりということで、残念ながら学校に通えなかった子供たちが多数おり、それらの生徒に義務教育の機会を提供するということが昭和二十年代ごろから始まりました。

 昭和三十年代ごろになりますと、設置中学校数は八十校を超えたということでございまして、そういう進展もあったのですが、今は、社会情勢の変化に伴って、東京、大阪、神奈川など八都府県にわずか三十一校という状況であるというふうに伺っております。

 また、私も文部科学委員会に籍を置いていたときに現状の視察等をさせていただきましたが、近年は、日本国籍を有しない生徒の増加、それから、不登校などのそうした事情から実質的に十分教育を受けられなかった、そういう方の受け皿的な存在になっているということがございます。そのニーズは決して少なくない、このように認識をしております。

 私ども公明党といたしましても、この問題については積極的に取り組んできたというふうに思っておりまして、また各会派からのお互いの協力もあって、昨年の十二月の七日に議員立法で、義務教育の段階における普通教育の段階における、いわゆる教育機会確保法が成立をいたしたところでございます。

 そこで、まず初めにお伺いしておきたいのは、この公立夜間中学のニーズはどの程度というふうに認識しておられるかということでございます。その必要性について、ぜひ文部科学大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 公立夜間中学の問題におきましては、稲津委員を初め公明党の皆さんが大変熱心に取り組んでいただいていることに敬意を表したいと思います。

 現在三十一校設置されているということは、先ほど委員の方からお話をいただいたとおりであります。約千八百人の生徒が学んでいるということでありますけれども、これ以外に、文部科学省の調査によりますと、いわゆる自主夜間中学や識字講座の取り組みが百五十四市町村に三百七件存在をし、義務教育未修了のまま学齢を超過した方々や、本国において義務教育を修了していない外国人の方々など、約七千四百名の方々が学んでいるということが明らかになっています。

 また、夜間中学は、こうした方々に加えて、今後は、不登校等による、実質的に十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した者の受け入れという役割も期待をされているところであります。

 こうしたことを踏まえ、文部科学省としては、夜間中学の意義は大きく、その必要性は高いものと認識をしております。

稲津分科員 ありがとうございました。

 そこで、次は、基本指針の策定状況と法施行に伴う取り組みについてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 昨年成立しました教育機会確保法は、本年の二月、つまり今月全面施行されたというふうになっておりまして、条文の第一条の「目的」には、ちょっと読み上げますけれども、「この法律は、教育基本法及び児童の権利に関する条約等の教育に関する条約の趣旨にのっとり、教育機会の確保等に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本指針の策定その他の必要な事項を定めることにより、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することを目的とする。」このようにされております。ここは非常に大事なところで、この後の質問の中身にも直接触れてきますので、あえて紹介をさせていただきました。

 そこで、まずお伺いしたいのは、この基本指針の策定状況ですね。現在どういう状況になっているのか、また、いつまで、どのようなことに配慮して作成をすることになっているのか。基本的なことですけれども、お伺いして確認させていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の教育機会確保法第七条におきまして、文部科学大臣が基本指針を定めることとなっております。

 この基本指針につきましては、今年度末を目途に策定できるように、現在文部科学省において準備を進めておりまして、その骨子について、今まさにパブリックコメントを実施している最中でございます。

 そのうち、夜間中学の関係の内容につきましては、一つは、ニーズの把握や設置に向けた準備への支援、協議会の活用等、夜間中学の設置の促進等に係る事項、また二つ目として、夜間中学における多様な生徒の受け入れに係る事項、これらについて基本指針の中に記載することを現在文部科学省で検討しているところでございます。

 今後、地方公共団体や関係する民間の団体の意見も伺いながら、この基本指針の策定に向けた検討を進めていきたいと考えております。

稲津分科員 そこで、このことに関連して、もう一点お伺いしておきたいんです。

 今回の法施行に伴って、その設置の推進に当たって、文科省として具体的にどういう目標を掲げて取り組みを行っていくのか、このことは今後の取り組みを進めていくに当たって非常に大事な基本中の基本の話になると思うんですけれども、この点について御所見をいただきたいと思います。

松野国務大臣 夜間中学については、義務教育未修了者等の就学機会の確保に重要な役割を果たしている、このことは委員からもお話をいただいたとおりであります。

 現在、夜間中学の設置も、先ほど委員からお示しをいただきましたが、全国で八都府県三十一校にとどまっている状況であります。

 このため、文部科学省としては、各都道府県に少なくとも一つは夜間中学が設置をされるよう、その設置を促進していきたいと考えております。その上で、さらに各自治体においてニーズを踏まえた取り組みが進むよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

稲津分科員 ありがとうございました。

 今回の法施行で、まずは第一段階の目標として、各県に一校、これを目指していきたい、その上で、各県等のニーズをしっかり把握してさらに進めていくように促していきたい、こういう御答弁でした。私もその趣旨に全く賛同なんですけれども。

 先ほども伺いましたけれども、需要があるということはやはりもう明らかでして、先ほど大臣も御答弁ございました、公立ではないけれども、自主的な夜間中学は識字学級も含めて全国に三百カ所以上、それから、夜間中学の四倍に当たる七千四百人が通っているというこの事実。

 私の地元北海道でも、四半世紀の歴史を持っている自主夜間中学、札幌遠友塾というのがございまして、私も何度か意見交換をさせていただいたり具体的な要請も今日までいただいてまいりましたが、平成二十六年現在で五十七名が在籍をしているということ、それから、そのほか三つの自主夜間中学で現在合計百五十人以上が北海道で学んでいる、こういうことがございます。

 こうした自主夜間中学を運営する方々からも、北海道においては、センター的な役割を担う公立夜間中学校の設置を求める大変強い要請があることをここの場で御紹介させていただきたいと思います。

 それで、現在の公立夜間中学校の中で一番最後に設置されたのは千葉県の大洲中学校ということを伺っておりまして、それでも約三十年前ということです。

 先ほど来紹介をさせていただいていますけれども、需要やニーズがありながらこれまでなかなか設置が進まなかった理由、これはどこにあるのかということを改めて確認させていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 夜間中学の設置につきましては、委員御指摘のとおり、現在、八都道府県三十一校にとどまっておりますが、その背景といたしましては、国や地方公共団体において夜間中学の設置に関する情報の周知が必ずしも十分ではなかったこと、また、夜間中学の設置に関する具体的なニーズを十分に把握できていなかったことなどが考えられます。

 さらに、現在の三十一校について見ましても、いずれも市立か区立でございまして、仮に都道府県がみずから設置しようとする場合、現在都道府県立はないんですが、その場合は、市町村立の場合と異なりまして、教職員の給与費についての国庫負担制度の仕組みは現在ないということで、都道府県が設置しにくいという状況もあるかと思っております。

稲津分科員 今の御答弁にありましたけれども、なかなか進んでこなかった理由についてのお話がありました。

 やはり地方公共団体の役割というのは非常に大きなものがあるというふうに再認識をいたしますけれども、この法の第十四条には、地方公共団体は夜間等において授業を行う学校における就学の機会の提供等を講ずるものとして、地方公共団体に対する義務規定が設けられました。

 確かに、公立夜間中学の設置者は地方公共団体であることを考えれば、この規定によって設置の後押しになることをぜひ期待させていただきたいと思います。

 その上でお伺いしたいのは、それでは具体的に、地方公共団体の役割とは一体どういうことなのか。都道府県、市町村それぞれの役割について、この分科会の中においてぜひ文部科学大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

松野国務大臣 昨年十二月に成立をしたいわゆる教育機会確保法における地方公共団体の本事案に対する役割については、委員から御紹介いただいたとおりであります。

 これを受けまして、都道府県においては、域内の市町村と連携をし、教育機会確保法第十五条に定める協議会の枠組み等も活用しながら、広域的なニーズを踏まえて、夜間中学をみずから設置したり市町村間の調整等に取り組んだりすることが求められております。

 また、市町村においては、夜間中学を新たに設置することや、夜間中学を既に設置している場合には受け入れる対象生徒の拡大を図ること、また、夜間中学を設置しない場合に、他の市町村の夜間中学の設置、運営に関する経費の一部負担を行うことなどの取り組みが求められているところであります。

稲津分科員 ありがとうございました。

 協議会の設置、それからいわゆる生徒の拡充等に努力いただくということでございました。

 このことについて、実は、私どもの党の地方議員、それから党派を超えたさまざまな地方議員も、各議会において質問あるいは要請という形、それから、既に自主夜間中学に取り組んでいる方々からの御要請をいただいたり意見交換をするということで、相当活発に取り組んできていただいております。ですから、こうしたことをぜひ具体的な設置に向けての成果にこれからつなげていきたいというふうに思っております。

 残りの時間で、もう少し具体的な、現場での問題を踏まえた上での改善策というか対応策についてお伺いをして、終わりたいと思っています。

 まず一点目です。人材確保と財政的支援についてということです。

 今回、文部科学省は二十九年度の予算案に、中学校夜間学級の設置促進等推進事業として二千万円ですかを盛り込んでおられます。義務教育の未修了者は少なくとも全国に十二万以上いるというふうにも伺っておりますが、さらに実態把握がなかなか難しい義務教育未修了者も相当数存在することを考えれば、先ほど来、質疑、答弁の中で繰り返し申し上げている公立夜間中学校のニーズがあるのは間違いないことでありまして、今後公立夜間中学の新規設置を促す事業として、まずは大きな一歩をこの予算で踏んでいただいたというふうに思っています。

 そこで、伺っておきたいのは、新たに夜間学級を設置する場合に求められる人材をどう確保するのかという大変重要な問題があります。それから、設置にかかわる自治体負担への財政的な支援策をどのように考えていくのかという課題もあります。それからさらに、設置場所等の設置、運営上の工夫でカバーできるようなことはないのかどうか、こういったことがやはり現場では重要な課題になっておりまして、これらの対応が進んでいくとさらにニーズに応えられる結果になっていくと私は思っておりまして、この件についての文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 市町村立の夜間中学については、通常の中学校と同様に教職員定数が算定をされ、都道府県が教職員給与を負担し、その三分の一を国が負担した上で、必要な教員が配置されるということになります。

 また、現在提出をしている義務教育費国庫負担法の改正法案では、都道府県が夜間中学を設置した場合についても同様に教職員給与の三分の一を国が負担することとしております。さらに、施設整備についても、通常の中学校と同様に国庫補助の対象としています。

 これに加え、夜間中学を分校として設置する場合や、既存の学校の空き教室を活用する場合等、地域や生徒の状況に応じてさまざまな工夫が考えられます。

 文部科学省としては、こういった工夫の例を紹介した夜間中学の設置に関する手引を策定したところであり、その内容も周知しながら、各地域の事情に応じた取り組みを促してまいりたいと考えております。

稲津分科員 ありがとうございました。

 今、大臣の御答弁の中では、分校また空き教室の活用も含めて促していきたいというお話がありまして、まことにそうだなというふうに思っております。

 ただ、その上で、一言申し上げておきたいと思うんですけれども、最近は、少子化等に伴って学校が閉校になっていく、そして校舎だけが残る、そこをどうするかという議論もありまして、実際にそうしたところを校舎にして取り組んでいるところもあるというふうに承知をしておりまして、そんなこともいろいろとこれから視野に入れていただきながら、こうした人材確保と財政支援ということを文科省としてぜひお取り組みいただきたい、このことをきょうこの場で要請させていただきます。

 それで、最後の質問になりますけれども、最後は、学齢超過者を教育する場合の教育課程の特例をつくっていくことはできないだろうかという趣旨の質問です。これも大事な視点で、私のみならずかなり多くの方々からの意見が出ているかというふうに思います。

 これも繰り返し話が出ておりますけれども、夜間中学の義務教育の未修了者、この学齢超過者等の就学機会を確保するために、夜間中学というのは重要な役割を果たしているというふうに認識をしております。今後、この夜間中学の設置を促進するためにも、夜間中学において学齢超過者を教育する場合の教育課程の特例を設けるべきではないかということです。

 きょう、前段の方でいろいろ議論していた中にニーズ等の話がありましたが、そのニーズの中をさらに一人一人に当てはめて丁寧に見ていくと、今私が申し上げたような、いわゆる学齢超過者の方々がこの夜間中学に求めているカリキュラムというか中身については、これまたいろいろ違うものがあります。

 つまり、それまでの履修状況がさまざまである生徒の実態に応じて、単位の履修ですとか科目選択等の履修しやすい仕組みづくりなど、教育課程の特例を制度化すべきではないかという、これは少しまだ工夫が必要なところかと思うんですけれども、このことについて最後に松野文部科学大臣の所見を伺いまして、質問とさせていただきたいと思います。

松野国務大臣 夜間中学に通う生徒の年齢や社会経験等は多様であり、現在、学校現場の工夫により教育活動が行われているところであります。

 今後、夜間中学の設置等を促進するためにも、それぞれの生徒の実情に応じた教育活動を実施できることを明確にしたいと考えております。

 具体的には、夜間中学に通う学齢経過者に対しては、必要に応じて、その者の実情に応じた特別の教育課程によることができるものとし、教育内容等について柔軟な取り扱いができる旨を学校教育法施行規則等において定めることを考えております。

 現在、こうした規定の整備についてパブリックコメントを行っているところであり、今年度中を目途に教育課程の特例を定めたいと考えております。

稲津分科員 終わります。

大串主査 これにて稲津久君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大串主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。北神圭朗君。

北神分科員 皆さん、こんにちは。民進党の北神圭朗でございます。

 きょうは、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。また、松野大臣、三木政務官にも、お忙しい中来ていただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、私の地元が京都ということで、千年の都ということで、日本の伝統的な文化というものが非常に蓄積されている地域でありまして、きょうは分科会ということで、美術工芸品、いわゆる文化財の保存とか修理、こういったための予算というものがありますけれども、これについてちょっといろいろ御質問したいというふうに思っております。

 まず、私の認識は、戦後特に、余り日本は文化財に対してそんなに重視をしてこなかった、文化庁の皆さんあるいは大臣の、皆さんはそういう思いはあったかもしれないけれども、どちらかというと経済優先、福利厚生優先ということだと思うんですが、その辺、大臣は、文化財に対していかなるお考え、思いがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。

松野国務大臣 全国各地で長く伝えられてきた絵画、彫刻、工芸品などの美術工芸品は、我が国の歴史と文化を理解する上で欠かせないものであると認識をしております。また、これらは広く公開をされており、委員のお地元の京都でもそうだと思いますが、観光振興を図る上でも重要な資産であるというふうに考えておりますし、今後の日本の各方面にわたる産業の面でも、こういった工芸品また美術品、文化の力というのはその基礎となる重要な資産であるというふうな認識を持っております。

 これらの美術工芸品は、特に日本の美術工芸品は紙、絹、木といった脆弱な素材からできているものが多いことから、後世へ確実に継承していくためには、必要な時期に適切な修理を行うことが必要不可欠であると考えております。このため、美術工芸品の保存修理は極めて重要な意義を有するものと認識をしております。

北神分科員 ありがとうございます。

 同じ質問を政務官にもちょっと伺いたいと思います。

三木大臣政務官 お答えしたいと思います。

 大臣と同じように、私どもも、絵画、彫刻、工芸品などの美術工芸品については、日本の歴史や文化を理解する上で必要不可欠なものだというふうに考えております。

 また、そうした上で、美術工芸品を後世に確実に継承するためにも、適切に修理を行う、こういった方々を確保して修理を行うことは絶対必要なことだと思いますし、また、美術工芸品の保存修理というものはそういった意味でも大変重要な意義を私は持っているものだというふうに考えております。

北神分科員 ありがとうございます。

 私も、こんな顔をしていますけれども、昔は財務省におったんですよ。そういう役所の仕事も予算の仕事もよくわかっているんですが。どうしても財務省というとやはり数字合わせみたいなことをやっているんですが、これも重要なことなんですけれども、政務官は、政治家として、やはり文化財だけじゃなくて文化全体のこともぜひ頭に入れていただいて、これから予算編成とか、今の二十九年度予算はもう案としては決まっているんですが、今後ともまたそういう御指導をいただければというふうに思っております。

 大臣から、紙とか木とか非常に脆弱な素材でできているものが我が国は特に多いということなんですが、私の選挙区でいえば、例えば桂離宮とか、そういったところもあるんですね。これは西京区の桂というところにあるんですが。西洋の石の文化に比較して、日本の方は紙、木の文化だという話がありますが、この辺は非常に重要だというふうに思っております。

 ちょっと演説みたいになりますけれども、私は、文化財というのは、大臣から観光の話、産業の話もあると思いますが、大げさに言えば国家にとっても物すごい大事なことで、政治というのは、よく教科書で見ると、国民の生命と財産を守るのが政治だという話なんですが、私はそれに文化も加えるべきだというふうに思っております。

 生きるだけ、経済的な利益だけだったら、例えばほかの国の属国になっても、命に何の支障もない、経済的に裕福になるんだったらそれでもいい。しかし、それを潔しとしないのは、やはり自分たちの価値観、自分たちの感性、そういったものが大事だ。簡単に言えば日本人の心というものが大事で、これを失うということは国家としても非常に問題である。

 特に近代民主主義においては、やはり国民というものが一体になって国の振興というものを図っていかないといけないんですが、これもある程度共通の帰属意識、アイデンティティーみたいなものが大事で、そのアイデンティティーというのは決して政治家や官僚が決めるものじゃなくて、これは長年続いてきた日本の伝統に育まれて、そういったことによって形成されていくものである、そういった意味で物すごく極めて重要だ。

 特に、グローバル化とかいろいろ言われていますが、そういう中にあって、ほかの国々はしっかりとそういう文化政策をしてきているところがありますので、こういったところと衝突したり交流したり交渉したりする中で自分たちの基軸というものをしっかり持たないといけない、こういうふうに思っております。

 文化というのは、必ずしもお寺とか神社とか絵画とか、いわゆる文化財とは限らないというふうに思っておりますけれども、しかし、今現在、よくアニメが日本の文化だとかいろいろ言われていますし、それを否定はしないんですが、そういったものもやはり伝統があって、ある意味ではその伝統を継承する。個人のそれぞれの芸術家とか技術者とか作家が、自分たちの伝統とある意味では格闘して、単に模倣するだけじゃなくて、そこから新たな、時代に合ったような文化をつくっていくという意味では非常に重要だというふうに思っております。

 昔、高坂正堯という国際政治学者がおられましたが、この人のたしか吉田茂に関する論文で、国家というのは、利益の体系、経済ですね、力の体系、これは軍事力とか政治力ですね、最後は価値の体系、文化ですね、やはりこの三つがそろわないといけないし、高坂先生のあの時代は戦後復興の時代でしたから、まずは経済、そして次は力の体系、そして最後は価値の体系ということでおっしゃっていたと思うんですが、そのぐらい国家国民にとって極めて重要、特にこれから世界がいろいろ変動する中で極めて重要だというふうに思っております。

 ところが、本題に入りますと、今回の予算をちょっと見ますと、重要文化財保存修理等補助金予算というのがありますが、今までは、私もちょっと平成二十五年度の数字からしかわからないんですが、大体七億八百万円ぐらいでずっと推移してきた、二十五年度も二十六年度も二十七年度も二十八年度も。ところが、ここに至って、二十九年度で六億四千九百二十三万六千円という、減額になったんですが、これについて、ちょっと財務大臣政務官に、なぜ、特に、毎年変動があったんだったら理解できるんですが、急に平成二十九年度に至ってがくっと落ちている、その理由についてお伺いしたいと思います。

三木大臣政務官 平成二十九年度の予算案におきまして、国宝、重要文化財に指定されている美術工芸品を対象とした保存修理事業に必要な予算として十億円を計上しております。また、委員御指摘のように、うちに、保存修理の補助金として六億四千九百万円を計上させていただいておるところでございます。

 今申し上げました金額につきましては、厳しい財政状況においても、美術工芸品の保存修理事業等の重要性を踏まえまして、その必要性や緊急性、また他の施策との関連性を考慮しまして、可能な限り必要な予算の確保に努めたものでございます。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、日本の歴史や文化を理解する上で、美術工芸品を初めとする文化財というものは適切に保存するべきだと我々も感じておりますので、引き続き適切に対応してまいりたいと思いますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。

北神分科員 ありがとうございます。

 財政事情が厳しいということで、極めて何にでも使える言葉でおっしゃったんですが、私も非常に財政事情が厳しいのはよくわかっています。皆さんもいろいろ、ほかの予算との関連もあるというふうに思いますけれども。

 例えば、これは大体都道府県からの要望額、こういう保存すべきもの、修理すべきものがありますよと、毎年、多分概算要求のときに、それに基づいて文化庁さんがいろいろ要望していくということになっていると思います。これが、見ていると、いわゆる修理の要望の金額というものが、若干の変動はありますけれども、平成二十五年度から見ると少しずつふえてきて、平成二十五年度の段階では七億五千六百万強だ。これが、八億一千万、八億三千万、九億三千万、今回は九億一千万と若干減ったんですけれども、要望はどんどん金額がふえている。

 修理予算との差額を見てみましても、いわゆる要望と実際の予算との差額を見ていても、これも大分差があいてきています。平成二十五年度においては四千八百万円強、差があったんですね、要するに、要望に比べたら四千八百万ぐらい足りなかった。それで、今は四千どころか、二億六千八百万円ぐらい差が出てきてしまっている。

 ですから、財政事情というのはいろいろあると思いますけれども、ふえているところもあるというふうに思います。多分、安倍政権としては、やはり文化というものを非常に重視しているというふうに思いますし、特に観光という枠組みの中でも重視されているというふうに思いますので、もう一回ちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、もう一つ聞きたいのは、ずっと今まで機械的に七億八百万で推移してきたところが、これは毎年そうだったんですね、急に減っちゃうわけですね、だから、ここ、何か理由があるのかお聞きしたいと思います。

三木大臣政務官 御質問にお答えしたいと思います。

 特にこれだという理由というのは実はございませんけれども、例えば、美術工芸品ではございませんけれども、建造物もまた重要な国民としての遺産だと思います、こちらの方は百十五億七千三百万円というふうな、昨年より十億円増の予算をつけさせていただいております。

 その中で、先ほど御指摘ありましたように、美術工芸品の方の予算が、若干ではございますけれども少し減っている、要求額に少し届かないというところもまた事実でございます。

 ただ、これはもう、先ほど申しましたように、厳しい財政事情の中でやりくりしておる状況でございますので、我々も、この美術工芸品の補修ということの重要性というのは感じておるところでございますので、これからもしっかりと適切に対処してまいりたいと思いますので、御理解のほどよろしくお願いします。

北神分科員 ありがとうございます。

 これは勘ぐり、推測なんですけれども。建造物の方がふえていると。これも私は全然否定しません、大事なことだというふうに思っておりますが。いわゆる建物ももちろん大事ですけれども、例えば、美術工芸品といっても、絵巻物とかそういったものもございます。資料はそちらにお配りしていませんが、東大寺のいわゆる鎌倉時代の仁王像、阿吽の像とか、こういったものも含まれたりして、当然、建造物と一体の部分もあるし、いろいろ海外の旅行者にアンケート調査をしますと、もちろん風景も大事だけれども、やはり文化財そのものに物すごく関心があるという意味で。

 ちょっと推測ですけれども、観光だから、何となく派手な建造物にちょっと予算をつけて、めり張りをつけたらいいというような。それで、財務省ですから、忠実な財務官僚は、何かこんなことを政権から言われているけれども、しゃあないな、つき合わなあかん、そんなら建造物ぐらいちょっとふやして、そのかわりちょっといわゆる美術工芸品の方は減らしたれと。そうしたら、上司にも、ここはやむを得ず政治家の人たちがいろいろなことを言っているからふやしたけれども、ちゃんとここも減らしていますよと。この程度の話だったら、ちょっと残念だなというふうに思っています。

 私は、これは推測といっても、いわゆる観光政策で、デービッド・アトキンソンさんという方、多分御存じだと思いますが、この人は非常に官邸に出入りしたりしているということを私も知っていて、私は彼の本は読んだことがないんですが、実は京都で一緒に食事をする機会がありました。

 この人が、これもインターネットで拾ったものなんですが、建築学部開設記念レクチャーシリーズというものなんですけれども、この中で彼が文章を書いておりまして、イギリスとの比較で、イギリス全体では指定文化財に対して年間で日本円にして五百一億円程度の修理代を国から出している、日本は二倍の経済規模があるので、日本に置きかえると一千百億円程度の予算と考えられる、それに比べて、日本では国宝、重要文化財に対して建造物の修理代として出している予算は年間八十億円しかないのが現状だ、こういうことを書いているんですね。

 これは多分、彼としては、彼自身がたしか、何かそういう美術工芸関係の、修理の仕事をされているというふうに思っているんですが、これは単に、建造物の修理代ととりわけ強調されていますけれども、もしかしたら彼が、まずは建造物という話をされたのかもしれませんが。やはりこれは一体のものとして捉えるべきで、建造物をふやすのも結構ですけれども、それで美術工芸品の方の予算を減らすというのはいかがなものかというふうに思っておりますので、その辺についてちょっとお考えを聞きたいと思います。

三木大臣政務官 済みません、私の答弁が誤解を与えてしまったのでしたら申しわけないと思いますけれども、決して建造物の方に振り分けているので美術工芸品の方が減っているという意味ではございませんで、私の所管で申しましても、優劣はつけられないというふうに私は考えております。

 その上で、美術工芸品と建造物の違うところといいますと、建造物というのは大抵風雨にさらされる、外にあるものでございますので、非常に傷みが早いというところがございます。また、建造物ですから非常に大きなものが多うございますので、その分補修にもお金がかかるという部分があるかと思います。

 そういった部分で、全体としては非常に大きな予算になっておりますし、また、中世からしますと今もう千年近くなるわけでございますので、そういった建物群というものの耐用年数といいますか、補修すべき期間が押し迫っているものがまたたくさんあるという事情もあっての予算額になったのかというふうには私は認識しておりまして、決して優劣をつけるという意味ではございません。

 また、加えて申しますと、先ほども申しましたように、美術工芸品の補修また維持管理というものは非常に日本人にとって大切なものだというふうに認識しているところは間違いないところでございますので、しっかりと努力してまいりたいと思います。

北神分科員 建造物も、私もさっきから申し上げているように、私も否定しませんし、優劣をつけないということはよく理解しました。

 あと、観光政策に余り惑わされずに、観光ももちろん大事ですし、文化財を利用して経済の活性化につなげるということは極めて重要な戦略だというふうに私も思っておりますので、それは大事ですけれども、先ほど申し上げたように、文化財そのものに価値があるということをぜひ御理解いただきたいというふうに思っております。

 これは、建造物もそうなんだと思いますけれども、やはり美術工芸品の方は、職人が基本的に修理保存というものを支えていただいているということで、ある程度の予算がずっと確保されていると、恐らく彼らは、ことしも同じぐらいの予算が入ってくるという計画で来ていると思うんですね。

 ところが、急に減らされるとどういうことが起きるかというと、私の地元ではそういう職人の団体があるんですが、彼らが言うには、既に、今までの予算でも、去年、内定者の取り消しを、いわゆる職人さんですね、多分専門学校から仕事に入ろうとした、内定ももらっていた、急に内定を取り消さざるを得ない状況になったと。ことしも内定者を取り消さざるを得ないと。さらに減らされると、非常にしんどいと。

 この二年間で二人だけじゃないかと思われるかもしれませんが、そもそも職人の母数というのは物すごく小さいし、なかなかこういう仕事をやってくれる技能者というのはまことに少ないわけで、貴重な存在なので、そういった意味でも、非常に今回の予算の減額というのは厳しいと。

 もう一つは、関連していますけれども、職人さんの工房とかいわゆる左官屋さんとか、いわゆる零細企業が、たくさんいろいろな零細企業がかかわっている。これも例に漏れず高齢化が進んでいるし、なかなか若い人たちが入ってこない。あるいは、入ろうとしても、なかなか給料が出せないので、入れることができないということです。

 これは、選定保存技術保存団体、社団法人国宝修理ソウコウシ連盟のグラフをちょっといただいたんですが、いわゆる修理技術者数の推移が書いてあるんですね。配っていないんですが、黄色いところがいわゆる若手ですね、経験年数がまだ一年から四年しかない方なんですが。これが十年間で若手が半数になってしまっていて、これは特に技術の承継というものが非常に重要だということで、非常に嘆いておられるということです。

 これで今までの予定していた仕事が入ってこないと、高齢化が進んでいますから、これを機に、では、これでもうやめようかなというような、そういう技術者の会社の社長が言ったりしているような状況なので、ぜひここは御理解をいただきたいというふうに思っております。

 このデービッド・アトキンソンさんが、違うところを読んでいたら、自分でそういう修理保存の会社のたしか社長をやっていると思うんですが、そこで、これはちょっと違うんですけれども、技術者が非正規雇用だったんですね、これを全部正社員にしたと。そうしたら、彼らも安定して技術というものをさらに磨くことができるし、多分、長い目で見たら、正社員だからいわゆる技術の承継というものを果たすことができるということで、これは利益が物すごい、たしか八割ぐらい上がったということをデービッド・アトキンソンさんが言っているんです。

 同じようなことで、いかに人材というものがこの世界で重要かと。それは、残念ながら、民間の寄附とかそういうことで特に我が国の場合はできないので、まさに国が非常に重要でありますので、そこをよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 大臣から、今のやりとりで、御感想というか、意気込みみたいなものがあれば教えていただきたいと思います。

松野国務大臣 美術工芸品の保存修理において、その技術者を、継承していく方々を、いかにその技術をつないでいくかということが重要であるというのは、私もそのとおりだと思いますし、その技術をつないでいくためには、やはり毎年安定した仕事ができる、そういった予算の確保というのも重要なことだろう、そのことは委員と思いは同じなんですが、先ほど建造物と美術工芸品に対する予算の、そのときによっての、どちらに向いているかというような御議論もありました。

 結論的には、日本全体の文化投資、文化予算をさらにふやしていくということが重要だと思います。もちろん、厳しい財政状況のもとでありますから、財政的な制約というのは考えなければいけませんが、ヨーロッパ諸国と比べても、対GDP比の文化投資というのは、日本はまだまだそこに至っていませんし、お隣の韓国と比べても、日本は大分対GDP比が低いということもございます。

 これはもう文化庁だけの話ではなくて、日本全体、財政の、投資の問題でありますが、関係省庁としっかりと打ち合わせをしながら、美術工芸品を守っていくことの重要さ、それは技術者、技術継承の重要さということの観点においても、安定した環境の中でお仕事をしていただけるような予算組みをぜひ進めていきたいなと考えております。

北神分科員 ありがとうございます。そういう思いを聞かせていただきました。

 今年度、二十九年度の予算というのは私もとやかく言うつもりはないんですが、今申し上げたような技能者の立場とか、あるいは、本当に美術工芸品で待ったなしで修理をしなければいけないものもあるかもしれません。

 申し上げたいのは、減額されたけれども、その予算の範囲内で、いろいろな運用とかさまざま工夫をしていただいて、できるだけ現場に支障のないように運用をしていただきたいと思いますけれども、大臣にちょっとその決意を聞かせていただきたいと思います。

松野国務大臣 限られた予算の中で、いかにこれらの現場の声をお聞きするかということだと思います。

 具体的には、先ほど委員の方からお話があったとおり、この予算に当たっては、各県から、各地方からもお声をいただいて、その積み上げのもとに進めているものであります。その保持している地域とのコミュニケーションをよくとりながら、もちろんこれは、全てにわたって、上がってきているものはそれぞれにおいて重要で、その地域によって必要だという考えの中から申請を上げていただいているわけでありますけれども、その中においても優先順位をつけながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

北神分科員 大臣からもぜひ、そういう幅広い観点から役所の方にも御指導いただきたいというふうに思います。

 文化庁の中岡次長さんもお越しいただいていますので、ぜひ、いわゆる役所の、役人の現場の方でも、いろいろな声を聞いて、いろいろ工夫して、支障のないように運用の面で頑張ってほしいんですが、ちょっとお考えを聞きたいと思います。

中岡政府参考人 こういった美術工芸品の承継、技術の承継といいますのは非常に重要でございまして、これまでも必要な予算を確保する中で人材の育成、継承が図られてきたと思っております。

 先ほど先生の方から、平成二十九年度のある意味工夫というような御指摘でございますけれども、平成二十九年度におけます美術工芸品の保存修理補助金につきましても、対象となる美術工芸品の状態などを考慮いたしまして、緊急性の高いものを優先的に措置するなどによりまして、必要な修理などになるべく支障が生じないよう予算の範囲内で最大限配慮をしたいというふうに思っております。

北神分科員 ありがとうございます。

 大臣からも、文化予算全体をふやすという話がありました。財務省としては余りおもしろくない話かもしれないけれども、このデービッド・アトキンソンさんが結局言っているのは、私との食事のとき言っていましたが、要は金をかけろと言っただけなんですわ。

 これは、経済戦略として考えるんだったら、やはりそれなりの投資も必要だと。京都で二条城というのがあって、そこに人形さんが置いてある、殿様の人形があると。こんなのはヨーロッパでは考えられぬと。ヨーロッパだったら、実際の俳優が出てきて、大政奉還の場面を見せるとか、それはお金がかかると。でも、お金をかけないと、当然その投資の回収というものも少ないよということを言っていますので、ぜひ、大臣は予算の獲得に頑張っていただいて、財務省も数字だけじゃなくて、日本全体のことを考えて頑張っていただきたいと思います。

 以上、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

大串主査 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、安藤裕君。

安藤分科員 自民党の安藤裕でございます。本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 松野大臣、大変長い時間お疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、文化庁にお伺いをしたいと思いますが、文化庁の京都移転が昨年決定をいたしました。東京一極集中を是正する意味でも注目をされる中央省庁の移転であるとともに、長い間日本の都であり、日本文化の薫りが色濃く残っている京都に移転をするということは、私の選挙区が京都であるということを度外視しても、日本にとって大きな意義があると考えています。

 まずは、文化庁として、今回の移転について、どのような意義を感じ、そしてまた将来の日本の文化行政にどのようなよい変化が生まれるとお考えになっているかをお伺いしたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 文化庁の京都移転でございますけれども、昨年決定いたしました内容といたしましては、現在と同等以上の機能が発揮できるということを前提とした上で、地方創生や文化財の活用など、新たな政策ニーズへの対応を含めまして、文化庁の機能強化を図りつつ、全面的に移転をするという内容でございます。

 文化庁におきましては、ことし四月からでございますが、先行移転の取り組みといたしまして、地域文化創生本部、これは仮称でございますが、これを設置いたしまして、その本部におきましては、京都側の協力も得まして、文化庁に期待される新たな政策ニーズに対応した事務事業を地元の知見やノウハウ等を生かしながら実施することといたしております。

 このように、文化財が豊かで、伝統的な文化が蓄積をいたします京都に移転することによりまして、地方創生、あるいは東京一極集中の是正に加えまして、例えば文化財を活用した観光振興、あるいは外国人観光客向けの効果的な文化発信、さらには生活文化の振興など、これは京都が非常に得意の部分でございますけれども、我が国の文化行政の企画立案能力の向上という観点からも非常に意義があることではないかというふうに考えております。

 また、その先進的な取り組みの成果を全国の地方公共団体にも波及させるということもあろうかと思いますが、そういったことによりまして地方の多様な文化の掘り起こしと磨き上げというものにつながっていくのではないかというふうに期待しておるわけでございます。

 今後とも、我が国の文化行政のさらなる強化につながりますよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。

安藤分科員 ありがとうございます。

 まだスタートラインに立ったばかりだと思いますので、ぜひしっかり進めていただきたいと思います。

 ところで、二〇二〇年は、皆様御承知のとおり、東京オリンピック・パラリンピックの年でございますけれども、私は、日本にとってもう一つ忘れてはならない大切なことがある年であると思っております。それは、日本書紀が編さんをされてから千三百年の節目の年を迎えるということです。

 そこで、まずお伺いをしたいと思いますが、日本書紀という書物の編さんの経緯と、それから日本の文化史における意義についてお答えいただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の日本書紀でございますけれども、養老四年でございます、西暦で七二〇年に完成をいたしました我が国最古の勅撰の歴史書でございます。神代から持統天皇の時代までの出来事を記しておりまして、七世紀以前の日本の歴史を解明する上で極めて重要な文献史料として位置づけられていると承知をしております。

 このようなことから、日本書紀の写本につきましても、我が国の文化史上特に貴重なもの等に該当するものといたしまして五件が国宝に指定されるなど、その価値が高く評価されているというふうに承知しております。

安藤分科員 ありがとうございます。

 今お答えいただきましたとおり、七二〇年に勅撰の歴史書として編さんをされたと。今残る日本最古の正式な国史の歴史書であるということであろうと思います。

 そこでお尋ねをしたいと思うんですけれども、今、文化庁として、この日本書紀千三百年、編さん千三百年に当たり、何か文化庁としての事業を実行しようとしているかどうか。そしてまた、日本国内ではこの日本書紀千三百年に当たって事業を行っている都道府県があろうかと思いますが、把握している限りで結構ですので、どのような都道府県でどのような事業が行われているか、そして、それらの都道府県の事業に対する文化庁の支援体制はどのようになっているかをお答えいただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 まず、国の立場でございますけれども、御指摘のとおり、二〇二〇年は日本書紀編さん一千三百年の記念の年というふうに承知しておりますが、文化庁としての関連行事については現時点では未定でございますが、他方、これから、二〇二〇年にはオリンピック、パラリンピックの競技大会が東京で開かれるということでもございます。今後、それに向けまして文化プログラムの展開をしていくというような動きが、まさに今最中でございますけれども、その中で、議員の御指摘についても、大変重要な御提案の一つとして承りたいというふうに考えております。

 それと、もう一点、地方でどういうような取り組みをされているかということでございますけれども、日本書紀編さんの一千三百年に関連する事業につきまして、網羅的に把握しているわけではございませんが、例えば、当時、都が置かれておりました奈良県や、多くの神話、伝説の舞台となりました宮崎県におきまして、既に関連のイベントが開催、企画されていると承知をしております。また、宮崎県では、二〇二〇年に開催されます国民文化祭に関連した同種の事業を企画していると承知しておるわけでございます。

 今後、都道府県の方で具体的な事業の提案があった場合に、私どものいろいろな支援のスキームで、その内容によりまして、必要に応じて支援を検討したいというふうに考えております。

安藤分科員 ありがとうございます。

 少し残念に思うのは、日本書紀という日本最古の歴史書の編さん千三百年という節目の年であるにもかかわらず、文化庁も含めてですけれども、日本人の関心が本当に低いということを本当に残念に思います。

 今、グローバル化の時代ということが言われておりますけれども、真の国際人というのは、単に英語をぺらぺらとしゃべれるということではなくて、やはり祖国の歴史について誇りと自信を持って外国人に対して語ることができる、そういった人材のことをいうんだろうと思います。

 今、日本人の中で神話が本当に忘れ去られようとしています。本屋に行って見ていただきたいと思いますけれども、日本の神話を置いていないか、置いてあっても本当にわずかなスペースしかとられていません。トヨタやホンダの話は海外に行ってどんどんできるのかもしれないですけれども、日本の国の始まりの話ができない、それでは外国人から尊敬される日本人にはなれないのではないかと思います。

 昨年は天皇陛下のお気持ちの表明があり、天皇陛下の退位についての議論が今始められていますけれども、今の日本人は、初代天皇陛下の名前すら知らないという人が驚くほどふえています。建国記念日がどういう日かも知らないということですね。神話の時代から連綿と続く万世一系の天皇が今も存在しているということは、日本が世界に誇るべきことだと思いますし、世界はそんなことを知ったら本当に驚愕をする事実だろうと思います。こういうことを外国人に対して雄弁と語ることができると、国に対する愛国心であるとか、またあるいは、日本書紀には、日本各地において、それぞれの地で起きた出来事が記述されていますから、それぞれの地域の誇りを持つことにもつながりますし、地方創生にも大きな意義があろうと思います。

 私の地元にも、宇治には、仁徳天皇を天皇の地位に即位させるためにみずからを犠牲にしたと言われている菟道稚郎子という人のお墓がありますし、また京田辺市には、継体天皇が都を置いたという筒城宮というところがあったという記述もあります。

 そして、先日、一昨年ですか、お亡くなりになりましたが、ルバング島で長く日本兵として一人で戦い続けた小野田寛郎さんという方がいらっしゃいましたけれども、私、この方の講演を生前にお伺いをしたことがあるんですが、小野田さんの生まれた家は、和歌山県の今の海南市の神主の家系で、そこでは、何と驚くべきことに、神武天皇が東征をしてきたときに滅ぼされた、その地に上陸をして滅ぼされた名草戸畔という人を葬った神社であると言い伝えがあるんですね。この名草戸畔という人が、神武東征で、そこで滅ぼされた。それで、頭と胴体と足、三つに分けて葬った、それぞれの三カ所の神社が残っているということなんです。こういったことは口伝で伝えられているんですね。日本書紀には、戦闘があって、そこで名草戸畔を滅ぼしたという記述はあるんだけれども、どこで葬ったかまでの記述はないんですね。神話の話と現実とがまさに交錯をしていることだと思いますし、こういったことが現代まで伝えられているということに、私は、日本の歴史と、それからそれぞれの地域の奥深さというんでしょうか、そういったものを感じます。

 実は、こういった話は、日本の各地には本当に眠っていると思うんです。それぞれの地域で脈々と受け継がれてきているんだろうと思うんです。ところが、戦後の民法改正によって家制度、家督相続制度というものがなくなりましたから、家を継いでいく責任者、地域で家を次の世代につないでいく責任者というものが不在になりつつあります。そうすると、親から子へ、子から孫へと、その地域で確実に伝えられていたそういった口伝のようなものが、今、どんどん失われている、そういった時代になっていると思うんですね。これは、日本にとって本当に大きな損失であると思います。

 天孫降臨伝説とか、今の神武東征、あるいはヤマトタケルノミコトの話とか、日本各地には、いろいろなところにいろいろな伝説が残っていて、これらを再認識することによって、日本人の郷土愛であるとか、またあるいは祖国愛を取り戻すことにもなりますし、それから世界に対しては、オリンピック、パラリンピックというこの祭典を契機として、日本は世界最古の国としての歴史を認識してもらうことができる、まさに千載一遇の機会であるというふうに考えられます。

 そして、神話の時代から一つの国として継続をしている国はこの国だけですし、それでも先進国として、経済大国として存在をしている。これは、我々日本人は、自信と誇りを持って自覚をすべきことだと思います。

 ぜひ文化庁には、これは文部科学省にも大臣にも取り組んでいただきたいと思いますけれども、ぜひ国家プロジェクトとして、日本書紀千三百年の記念事業に取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、我が国の歴史をきちっと知って、外国人に対してもきちっと説明できるような、そういう人材を育成するという意味においては、非常に、こういった日本書紀の千三百年の事業というのは意義のあることではないかというふうに考えております。

 日本書紀編さん一千三百年関連の具体的事業につきましては、先ほど申し上げましたように、現時点では未定ではございますけれども、今後、二〇二〇年のオリンピック、パラリンピックの文化プログラムの展開を検討していくということになるわけでございますけれども、その中で、先生の御提案、貴重なものとして承っていきたいというふうに考えております。

安藤分科員 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、やはり日本の本屋に日本の神話がちゃんと置いてあるという、これは極めて当たり前のことを、ぜひ文化庁にも、そしてまた文部科学省にもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次の話題に移っていきたいと思います。

 今、少子化がやはり日本では大きな課題になっているわけですけれども、その一つの要因としては、教育に大変お金がかかるということが言われています。今回、文部科学省でも、奨学金制度の見直しや拡充を図っているということでございますけれども、まずは、今回の見直しや拡充の概要をお答えいただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 奨学金制度の拡充について、二十九年度の予算案でその充実について盛り込まれているところでございます。

 まず、給付型奨学金でございますが、給付型奨学金につきましては、生徒の進学を後押しするという観点から、平成三十年度の進学者から本格実施することといたしております。特に経済的に厳しい方を対象といたしまして、平成二十九年度進学者から一部先行実施をするということとしております。

 本格実施のときの給付対象者でございますけれども、住民税非課税世帯であって、各高等学校が定める学力・資質基準を満たす者として各高等学校が推薦する者とし、全体で一学年約二万人を対象とするということとしております。給付月額でございますけれども、学生生活費の実態を踏まえまして、国公私立といった進学先であるとか、自宅、自宅外といった通学形態の違い、また、対象とならない世帯との公平性などを考慮の上、月額二万円から四万円と設定をしております。

 なお、社会的養護を必要とする学生等につきましては、入学金相当額として二十四万円を給付するということで考えております。

 二十九年度の政府予算案におきましては、先行実施の対象となる私立自宅外生及び児童養護施設退所者等の計二千八百人に対する給付の所要額といたしまして約十五億円を見込んだ上で、日本学生支援機構に基金を造成いたしまして、対象者の在学期間分の支給額として七十億円を措置することとしております。

 また、給付型奨学金とは別のお話になりますが、無利子奨学金につきまして、所得連動返還型奨学金制度を導入するということで、卒業後の所得に連動いたしまして返還月額が決定されることによって、所得が低い状況でも無理なく返還することを可能とする制度でございます。無利子奨学金制度において平成二十九年度進学者から実施をするものでございます。

 この制度によりますと、例えば、私立大学の自宅生では貸与月額が約五・四万円になりますので、その場合の返還月額は、定額ですと一万四千四百円が月額で返還が必要となりますが、所得が低い場合には最低で二千円という返還月額となりまして、大幅に負担が軽減されることとなるということでございます。

安藤分科員 ありがとうございます。

 今、先行実施の予算規模十五億円ということでしたけれども、三十年度から本格実施をすると予算規模が幾らぐらいになるのかはもう出ているんでしょうか。

常盤政府参考人 平成三十年度からの本格実施になりますと、約二百二十億円程度の所要額ということになります。

安藤分科員 ありがとうございます。

 それから、今現在、外国人留学生に対する奨学金もかなり充実をしていると思います。外国人に対する給付型奨学金、その内容や、その奨学金を使っている外国人留学生の国籍、人数、そしてまた金額を教えていただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 外国人留学生に対する奨学金の関係でございますが、世界的に人材獲得競争が激しくなっております。その中で優秀な外国人留学生を我が国に引きつけるという観点から、奨学金の支給に当たりまして、より魅力的な教育環境を整備することが必要であると考えてございます。

 文部科学省では、現在、三種類の奨学金を支給してございます。

 一つ目は、国費外国人留学生制度でございます。これは、日本政府といたしまして直接に、あるいは重点分野等を設定いたしまして大学等を通じて、すぐれた留学生を募集するというものでございます。

 二つ目は、留学生受け入れ促進プログラムでございます。これは、私費で渡航する留学生の中からすぐれた学生を大学が選定するというものでございます。

 三つ目は、海外留学支援制度でございます。大学間の協定を通じまして学生交流の拡充等を図るということで、短期交流を支援するという枠組みでございます。

 予算額でございますけれども、今申し上げた順番に申しますと、二十九年度予算額として、それぞれ、百八十七億円、三十九億円、十六億円を計上しているところでございます。

 また、奨学金を受けている外国人留学生が多い国、これは奨学金プログラムによって少し国の変動がございます。例えば、平成二十七年度に、国費外国人留学制度ですと、一万人弱が奨学金の受給を受けているわけでございますけれども、受給人数が多い順に申し上げますと、中国が千四百十八名、インドネシア七百九十八名、韓国七百十五名、タイ六百六十七名、ベトナム五百九十二名ということになってございます。

安藤分科員 ありがとうございます。

 外国人留学制度も、これも、優秀な留学生を採るんだということも今言われましたけれども、最初は発展途上国の学生に対する支援という意味が多かったんだろうと思います。今、国際競争に勝ち抜くためには優秀な外国人を日本に呼び込まなきゃいけないということが言われ始めて、少しその趣旨が変わりつつあるような気もしますけれども、しかし、スタートはやはりそういったところ、発展途上国を支援するということで始まっているんだろうと思いますし、だからこそ、今出てきた国名は基本的には発展途上国が並んでいるんだろうと思います。

 しかし、やはり気になるのは、一番トップに来るのが中国ですよね。今、中国は、では果たして今でも発展途上国なんでしょうかということは、もうそろそろ考え直さなきゃいけない時期に来ているのではないかなというふうに思います。経済規模は日本を追い越していると言われておりますし。

 そんな中で、日本で今教育費負担が大変に問題となっていて、それから、ことしの給付型奨学金の日本人に対する予算は十五億円で、来年からは本格実施で二百二十億円になるということですけれども、どうしても、この金額で見ると外国人に手厚くて日本人に冷たいという制度のような、そういった印象を受けるわけですね。

 やはり、まずは日本人の若い人たちに安心して勉学をしていただける環境というのをつくらなくてはいけないのではないかと思いますし、ぜひ、これから日本人により手厚くなるように、それからまた、国も支援する。留学生に来てもらうのも結構なんですけれども、どこの国から来てもらうのかというのをやはりしっかりと戦略を練りながら、また対応していただければと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 教育費負担の関連の中で、国立大学の授業料が今大分上がっています。その国立大学の授業料、以前私が学生のころなんかはかなり低く抑えられていましたけれども、その授業料の推移と、それから上がっていった経緯についてお答えいただきたいと思います。

常盤政府参考人 国立大学の授業料の関係でございますが、国立大学の授業料につきましては、昭和五十年度は三万六千円でございました。現在、平成二十八年度におきましては五十三万五千八百円となっております。

 国立大学の授業料につきましては、高等教育の機会提供という国立大学の役割を踏まえつつ、私立大学の授業料の水準、あるいは大学教育を受ける者と受けない者との公平の観点、こうしたことなど、さまざまな社会経済情勢等を総合的に勘案して設定されております。

 文部科学省といたしましては、学生が経済的理由により修学を断念することなく、学業を続けられるように支援するということが重要だと考えておりますので、特にこの最近の十一年間でございますけれども、国立大学の授業料については値上げをしておりません。二十九年度におきましても、授業料標準額を対前年度同額として、引き上げは行わないということとしております。

 また、特に経済的な理由によって修学を断念することがないようにという観点から、二十九年度予算案におきましては、国立大学の授業料減免につきましても対前年度十三億円増の三百三十三億円を計上するなど、教育費の負担軽減ということに努力をさせていただいているところでございます。

安藤分科員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってきつつありますので、次の質問もちょっと答えておいていただきたいんですが、一つ飛ばして、大学運営費の交付金ですね。運営費交付金についての推移と、それから、今、以前に比べれば大分予算が減らされていると思いますけれども、予算減額によって発生している何か問題点などがありましたら教えていただきたいと思います。

松野国務大臣 国立大学法人運営費交付金は、法人化時の平成十六年度から平成二十八年度までの過去十二年間で千四百七十億円の減額となっております。運営費交付金の減少等によりまして、常勤教職員人件費が圧迫をされ、特に若手教員の安定的なポストが減少しており、博士号取得後のキャリアパスの不安定さ、不透明さなどから博士課程入学者が減少するなど、国立大学の教育研究基盤の弱体化が懸念をされているところであります。

 こうしたことを踏まえ、平成二十九年度予算におきましては、国立大学法人運営費交付金等の基盤的経費について対前年度二十五億円増の一兆九百七十億円を計上しており、今後とも基盤的経費の確保に努めてまいりたいと考えております。

安藤分科員 ありがとうございます。

 国立大学の授業料がどんどん上がっていったことや、またあるいは運営費交付金が削減をされていること、これは結局、全てはとは言いませんけれども、かなりこれが学ぶ側の学生の側に負担、しわ寄せが行っているということが言えるんだろうと思います。

 本来、国が、恐らく、これも想像ですけれども、昭和五十年までは国立大学の授業料というのはわずか年間三万六千円だったんですよね。昭和五十年は三万六千円。これはやはり、その当時物価がまだまだ安いとはいえ、相当少ない金額であろうというふうに思います。

 かつての日本は、大学は公費で行くものなんだ、そして、優秀な若い人たちは、昔の野口英世なんかも、地元の金持ちがおまえは優秀だから東京に行って医者になれと言って金を出してくれて、東京に行って勉強して医者になったりする、そういうものだったんだろうと思うんです。優秀な人には、もうあなたは金の負担は心配しなくていいから、しっかりと勉強して、お国のために、地域のために、人々のために役に立つ人物になってくれということでやってきたんだろうと思うし、かつての国立大学の授業料もそういった考え方から設定がされていたのではないかというふうに思います。

 そこには私立大学とは全く違う設立の趣旨というものがあって、私立大学は、私の教育方針に賛同する人はぜひ私のところに来てくださいということで設立をしているでしょうから、それはそれなりの対価を払う人が集まって行ってもいいと思うんですけれども、国がやる授業はやはり基本的には金銭的な負担を感じずにもできる状況でなくてはならないんだろうと思いますし、今の授業料は五十三万五千八百円ということですけれども、これもやはりもっと下げることを考えていくべきではないかというふうに思います。

 それから、運営費交付金が減額になって、大学の教員、若手教員が本当に今安定した職につくことができずに、これが日本の研究力を損なっているというのも、これもまた事実なんだろうと思います。今、日本では外国人の大学教員をふやせというようなことも言われております。大学ランキングを上げていかなきゃいけない、そのためには外国人の教員もふやした方がいいということを言われておりますけれども、その前に、日本人の教員、日本人の研究者が安定した職について、安定して研究できる環境を整えた方が、やはり日本の将来の文部科学の発展には資すると思いますけれども、大臣、最後に一言、御意見をいただけませんでしょうか。

松野国務大臣 国立大学における基盤的経費が減少してきているということは、今委員から御指摘があったとおり、日本の研究力、また国立大学法人における教育力、こういったものの低下をもたらす可能性があると考えておりまして、基盤的経費はしっかりと確保していかなければいけないと考えております。

 あと同時に、これは当然に、各家庭の教育費の家計負担の軽減も考えていかなければなりません。現行において、家計収入のクラスによって、授業料の減額でありますとか、また無利子奨学金の拡充等の施策を行っておりますし、来年からは給付型奨学金事業を創設いたします。こういったことを複合的にしながら、家計負担という点においてもこれはもうできるだけ小さくしていき、それぞれの家庭環境によって高等教育を受ける機会が失われることがないように、施策を進めてまいりたいと考えております。

安藤分科員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

大串主査 これにて安藤裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、尾身朝子君。

尾身分科員 自由民主党群馬県連所属、北関東比例ブロック選出の尾身朝子でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 初めに、第五期科学技術基本計画についてお伺いいたします。

 第五期科学技術基本計画が、今年度、平成二十八年度からスタートしました。この基本計画では、政府の研究開発投資目標、対GDP比一%、総額二十六兆円が数字として盛り込まれています。

 中国やアメリカ、ドイツなどの諸外国が政府の科学技術予算を大幅に伸ばしている中で、日本は、二〇〇〇年度から二〇一五年度で一・〇六倍の伸びと、ほぼ横ばいにとどまっています。我が国の科学技術イノベーション政策の司令塔である総合科学技術・イノベーション会議の強いリーダーシップのもと、政府の科学技術予算をしっかりと確保し、この投資目標を確実に実行していくことが求められます。

 そこで、まず初めに内閣府にお聞きします。

 第五期基本計画で掲げた政府の研究開発投資目標の二十六兆円の着実な達成に向けて、政府はどのように科学技術関連予算の拡充に取り組んでいくのか、お聞かせください。

山脇政府参考人 御指摘の政府研究開発投資につきましては、これまでも、毎期の科学技術基本計画に目標を掲げて、その確保に努めてきたところであります。年度により多少のばらつきはありますが、第一期から第四期の基本計画期間中の科学技術予算の実績総額で見ますと、対GDP比一%には至っていないですが、実績総額自体は増加傾向にあるという状況にあります。

 生産性を向上し、我が国の経済成長を実現するとともに、社会的課題の解決を図っていくというためには、政府による科学技術イノベーション政策への先行投資が不可欠であるというふうに認識をしております。

 このため、昨年閣議決定いたしました第五期科学技術基本計画におきましては、政府研究開発投資の目標といたしまして、特に、そのポイントとして、対GDP比一%を目指すということを掲げたところであります。その実現に向けて、しっかりと推進をしていくこととしております。

 その一環といたしまして、昨年十二月には、科学技術イノベーション官民投資拡大イニシアティブを取りまとめいたしました。総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能を強化して、官民投資を拡大するための三つのアクションを示したところであります。

 具体的には、第一に、科学技術や研究人材投資に関する予算の量的、質的拡大を目指す、予算改革アクションであります。第二に、制度改革を通じた民間資金の導入の拡大。第三に、エビデンスに基づく政策の効果の見える化等を進めることを掲げたところでございます。

 言うまでもなく、政府研究開発投資は、イノベーションの源泉である知の基盤を支えるとともに、民間投資の呼び水になるものであると考えます。

 目標の達成に向けまして、科学技術イノベーション官民投資拡大イニシアティブの具体化を進めながら、関係省庁と協力して、科学技術予算の量的、質的両面の充実を図ってまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございます。

 今まさにおっしゃったとおりだと思います。成長戦略においては、政府による研究開発投資を文字どおり呼び水として、企業から大学、国立研究開発法人への投資を二〇二五年までに現在の三倍とするという目標が掲げられています。社会変革をもたらすようなイノベーションに結びつけていくためには、官民合わせた研究開発投資をふやしていくことが不可欠です。

 榊原定征経団連会長は、中国の科学技術投資の大幅増を引き合いに出して、このようにおっしゃっておられます。イノベーションの成果は投資額に比例すると言われており、大変危機感を持っている、官民対話で企業から国内の大学や国立研究開発法人への投資額を三倍にふやすという目標を掲げ、企業としても努力していく姿勢を示した、政府としても、総理のリーダーシップで二十六兆円を着実に実現していただきたい。また、小林喜光経済同友会代表幹事も、ぜひ政府研究開発投資一%を死守してほしいと強く訴えておられます。

 一方で、産学官連携の現状を見ると、欧米に比べ、企業と大学との共同研究の金額は極めて少額にとどまり、また、企業と大学との間の人材交流もほとんど進んでいないなど、多くの課題があります。本格的かつ実効性のある産学官連携の推進に向けた取り組みを強化しなければなりません。

 また、持続的なイノベーションには、オープンイノベーションの強化が不可欠です。現在、松野文部科学大臣の強いイニシアチブにより、大臣のもとにオープンイノベーション共創会議を設置し、組織対組織の本格的な産学官連携や、ベンチャー創出、拡大に向けた具体的な対策の検討を始められたと聞いております。

 そこで、大臣にお聞きいたします。

 オープンイノベーション共創会議の検討状況も含め、産学官連携の強化、活性化に向けた取り組み及び大臣の御決意についてお聞かせください。

松野国務大臣 尾身委員には、科学技術の政策分野において中心的なお働きをしていただいていることに敬意を表したいと思いますし、特に、科学技術分野の国際交流の面において実績を積まれております。ぜひ引き続き御活躍いただきたいと思います。

 御指摘をいただきましたオープンイノベーション共創会議の状況でございますが、近年、オープンイノベーションにおける大学、国立研究開発法人の役割が極めて重要になっております。文部科学省としては、大学等が民間企業との緊密な連携のもとに最先端技術を生み出し、新産業創出や地方創生に貢献するための幅広い取り組みを展開しております。

 このため、本年一月十九日よりオープンイノベーション共創会議を開催し、特に、大学、国立研究開発法人が民間投資拡大を通じて自己財源を生み出し、より魅力的なパートナーに成長するため、財務会計、知財管理などの組織マネジメント力の強化、また、人材、技術、資金面でのベンチャーに対する総合的支援機能の構築等について、具体的な方策を検討しているところであります。

 本会議での検討結果を踏まえ、大学、国立研究開発法人による産学官連携イノベーション創出のさらなる強化に努めてまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございます。松野大臣から大変心強い答弁をいただきました。

 御答弁の中にも地方創生に貢献するという言葉がありましたけれども、私の地元群馬県では、毎年、産学官に金融機関を加えた方々が一堂に会して連携を考える場として、群馬産学官金連携推進会議が開催されています。この会議を通じて、大学などが持つすぐれた研究成果の事業化や産業化を促進する取り組みを行い、ことしで第十三回目を迎えます。

 このような取り組みもあって、群馬県では、ウエアラブル端末や半導体分野で世界を相手に戦う企業がふえてきています。機械、電気、化学、サービス、農業などの分野で、多くの地場企業が新たなビジネスチャンスを模索しています。地方における産学官連携を推進することは、まさに地方創生に資すると考えております。

 群馬県の例のように、大学などが持つすぐれた技術シーズを全国の中小企業などのニーズに結びつけ、地域発のイノベーションを起こしていく支援を強化すべきと考えます。産学官のマッチングがうまくいっていないという声もありますが、国を挙げてのマッチング制度の整備が急務だとも思います。

 さて、基本計画では、サイバー空間と現実社会が高度に融合した超スマート社会、ソサエティー五・〇を、目指すべき未来社会の姿として掲げています。その実現に向けては、特にAIやIoTなどの基盤技術を戦略的に強化し、それらの技術を実用化につなげることで、我が国の競争力を向上させていくことが必要です。

 そのため、安倍総理の指示により、人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップの策定作業が進められ、また、文部科学省においても、今年度より新たに理化学研究所のAI研究センターを新設するなど、AIの最先端の研究開発のための取り組みをスタートさせています。しかしながら、国際的な厳しい研究開発競争の中で、我が国のAIの現状は先進諸外国に比べて周回おくれというような声も聞いております。

 そこでお伺いいたします。

 AI分野における厳しい国際的な研究開発競争に打ちかつために、文部科学省としてどのように具体的に取り組んでいくのか、見解をお聞かせください。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 情報技術が世界的に急速に進展し、とりわけ人工知能やビッグデータ等への関心が高まる中、我が国の大学や企業、研究機関の総力を結集しまして国際競争に臨むことが必要です。このため、政府では、未来投資会議のもとに置かれました人工知能技術戦略会議を司令塔として、次世代の人工知能の研究開発に向けまして府省横断的な取り組みを進めております。

 文部科学省では、こうした政府全体の方針に沿いまして、今御指摘いただきました理化学研究所に革新知能統合研究センター、AIPセンターを新設することなどを通じまして、革新的な人工知能の基盤技術の研究開発や人材育成の取り組みを積極的に推進しているところでございます。

 具体的には、高度に複雑、不完全なデータにも対応できる基盤技術の構築、特に、そのための理論研究でありますとか我が国が強みを有する分野をさらに発展させ、医療、介護や防災など、我が国固有の社会的課題を解決するための応用研究などを行うこととしております。そのため、平成二十九年度予算案におきまして、AIPセンターの研究費及び人工知能等の分野に関連する研究課題への支援といたしまして、合計七十一億円を計上しております。

 引き続き、総務省、経済産業省や内閣府を初めとする関係府省と密接に連携しながら、我が国の将来のイノベーションの創出に向けた研究開発を強力に推進してまいりたいと存じます。

尾身分科員 今、大変心強い御答弁をいただきました。

 日本の強みをさらに増してイノベーション創出を行っていくための予算をしっかりと確保していただいたこと、また、司令塔機能のもとに政府全体で取り組んでいただくということをぜひとも確実に実行していただきますように要望したいというふうに思います。

 情報やデータなどを活用して国民生活の向上に還元していくということも大事な案件だというふうに思いますけれども、このためには、各省の連携や官民連携により、データを収集し、社会的に価値のあるものに変換していくということが重要になってまいります。

 例えば、今お話がありましたけれども、防災の分野などにおいても、最近ではビッグデータの活用によりさまざまな可能性が広がっております。昨年四月の熊本地震や、また、この冬の記録的な大雪など、我が国は日々、自然災害の脅威にさらされており、これらによる被害を予測、軽減するためにもこのような取り組みをしっかりと推し進めることが重要と考えます。

 そこでお伺いいたします。

 防災分野におけるビッグデータの活用についての現状をお聞かせください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、多くの機能が集中し、社会経済活動の中枢となっております首都圏において発生する首都直下地震に対し、防災、減災力を向上させるために、平成二十九年度予算案におきまして、データプラットフォーム拠点形成事業(防災分野)を新規に計上いたしました。

 本事業では、国立研究開発法人防災科学技術研究所を中核として、内閣府防災担当等の政府関係機関、民間企業、地方自治体等の関係機関との連携のもと、第一に、現在ライフライン系や交通系の民間企業などが独自に保有している地震データの相互共有を図り、超高密度地震観測システムを構築いたします。第二に、E―ディフェンスを用いて、配管や天井などの非構造部材を含む構造物の崩壊余裕度に関する情報を収集いたします。第三に、これらから得られたデータに基づきまして、官民一体の総合的な災害対応や事業継続、個人の防災行動等に資するビッグデータの整備を行います。

 将来的には、本ビッグデータを活用いたしまして、より精緻な被害推定を行い、避難所の設置、救援物資の効率的な配分、企業活動におけるサービス復旧の適切な判断等に役立つことが期待されております。

 文部科学省といたしましては、都市機能維持を実現する防災研究の推進に努め、首都直下地震の防災、減災に貢献してまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございました。

 今お話ありましたデータプラットフォーム拠点事業というようなものをぜひとも活用していただいて、今、首都直下型の災害についてとおっしゃっておられましたけれども、災害に関しましては全国どこで起きるかわかりませんので、引き続き、全日本的な規模で、全国的な規模でもこのようなビッグデータの活用をしていただければというふうに改めて要望させていただきたいと思います。

 次に、特定国立研究開発法人についてお伺いいたします。

 昨年十月より、国立研究開発法人の中で世界トップレベルの研究水準を誇る法人を選んで指定する特定国立研究開発法人制度が開始され、産業技術総合研究所、理化学研究所、物質・材料研究機構の三法人が指定されました。特定国立研究開発法人には、今後一層、産業界や大学などの人材、知見が集結するハブとして、日本の科学技術力を押し上げていくことが期待されています。

 理化学研究所においては、新しく立ち上げたAIPセンターなど、国のミッションをしっかりと果たしながら、創立百年の実績に裏づけられた研究のクオリティーを今後もぜひとも維持していただきたいというふうに考えております。

 そこでお伺いいたします。

 文部科学省所管の理化学研究所並びに物質・材料研究機構の現状についてお聞かせください。

関政府参考人 今お話ございました特定国立研究開発法人には、国家戦略に基づき世界最高水準の研究開発成果の創出等を推進することによりまして、我が国のイノベーションシステムを強力に牽引する中核機関としての役割を果たすことが求められております。

 まず、物質・材料研究機構でございますが、我が国が強みを有する物質・材料分野に特化した特定国立研究開発法人といたしまして、平成二十九年度から、新たに世界じゅうの研究者が集うグローバル拠点としての機能の充実を図ること、また、鉄鋼業界や化学業界を初めとする産業界との組織対組織のオープンイノベーションを推進すること、さらに、これらの活動を最大化するため、世界最大級の物質・材料データプラットホームの構築や最先端機器等の研究基盤を整備すること、これらを一体的に行います革新的材料開発力強化プログラムを開始することとしております。

 また、理化学研究所では、我が国唯一の自然科学に関する総合的研究開発機関といたしまして、平成二十九年度におきまして、ニホニウムに続く百十九、百二十番元素の生成、同定を目指すなどの世界トップレベルの基礎研究や、超高齢社会課題の解決や省エネルギー社会の実現等に向けた社会課題解決型の研究プロジェクト、また、健康・医療分野のデータを集積いたしまして産学官で共有、利活用するデータプラットホームや世界最先端の大型施設等の研究基盤の整備、運用等の取り組みを推進することとしております。

 この二つの両法人がこれらの取り組みを通じまして特定国立研究開発法人としての役割を達成できるよう、文部科学省としても支援してまいります。

尾身分科員 ありがとうございました。

 特に、私といたしましては、NIMSの行っておられる組織対組織の、まさに先ほど大臣の御答弁もありましたオープンイノベーションの確実な実現を応援したいと思いますし、また、基礎研究を中心として行っておられます理研におきましては、何せ百年の歴史をお持ちの組織でございますので、今までの研究成果そして研究のクオリティーをしっかりと維持しつつ、国のミッションも果たしていただきたい、そのように重ねてお願い申し上げたいというふうに思います。

 次に、若手研究者の支援についてお伺いいたします。

 昨年、大隅良典博士がノーベル賞の医学・生理学賞を受賞されました。三年連続の日本人の受賞でございます。今世紀の我が国のノーベル賞受賞者数は米国に次いで世界第二位になるなど、日本国民として大変喜ばしいことだと思っています。

 他方、受賞理由となった研究成果は、二十年、三十年前の先行投資が実ったものです。国としては、短期的な成果、つまり結果や利益だけを追い求めるのではなく、長期的な視野に立ち、基礎研究や学術研究に対する支援を強化していくべきではないでしょうか。それが未来のイノベーションにつながり、ノーベル賞の種ともなり得ます。

 若手や女性の研究者に対して安定的なポスト、正規雇用を与えて、安心して自由に研究活動ができる環境を整えていくことも大変重要です。

 質の高い研究論文の数も、ここ十年間で隣国中国は世界八位から二位に躍進する一方で、我が国は四位から十位に転落し、逆転を許しています。このままではインドやASEAN諸国にも抜かれてしまうという危惧さえあります。今先行投資をしないと、将来のノーベル賞は生まれません。

 そこでお伺いいたします。

 我が国の研究力を向上させるためには、特に若手研究者のポストの確保と研究をサポートする人材の拡充、充実が不可欠だと考えておりますが、この点につきましての文部科学省の見解をお聞かせください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が成長を続け、また新しい価値を生み出していくためには、科学技術イノベーションを担う創造性豊かな若手研究者、あるいはその研究活動を支える人材の確保が大変重要でございます。

 一方、我が国では、近年、若手研究者の安定的なポストの減少、あるいは諸外国と比較して研究者一人当たりの研究支援者の数が少ない、こういった指摘がなされているところでございます。

 このため、文部科学省では、若手研究者の安定的なポストの確保に向け、国立大学改革強化推進補助金あるいは卓越研究員事業などを通じまして、すぐれた若手研究者が安定的かつ自立して研究できる環境の実現を図っているところでございます。

 また、研究活動を支える人材につきましても、一つは、大学等における研究活動のマネジメントを担うリサーチアドミニストレーターと呼ばれる方々、あるいは、研究施設設備を支える技術支援者、さらには、研究プロジェクトの企画から管理までを行うプログラムマネジャー、こういった多様な人材の育成、確保に今努めているところでございます。

 さらには、昨年の十一月より、田野瀬大臣政務官を座長といたしまして、基礎科学力の強化に関するタスクフォースを省内に設けまして、研究者目線に立って、若手研究者が活躍できる環境の整備ですとか、学術研究、基礎研究の振興に向けた具体的な対応策の検討を進めております。

 文部科学省といたしましては、こういった検討も踏まえながら、今後とも、若手研究者それから研究支援人材の育成、確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

尾身分科員 ありがとうございました。

 関連する質問になりますけれども、我が国は、国際共著論文数において他国におくれをとっていると言われています。これをふやすためには、若手研究者が積極的に留学をしたり、また海外派遣を行うなど、グローバルに活躍する若手研究者の育成が急務だと考え、またこれを強く推進すべきと考えております。この点につきましても文部科学省の見解をぜひお聞かせください。

伊藤政府参考人 グローバル化の進展に伴いまして、我が国の科学技術力を強化し、国際競争力を向上させるためには、科学技術に関する国際協力の推進でありますとか国際研究ネットワークの強化が大変重要でございます。

 先生の御指摘にもありましたように、主要国の例えばトップテンパーセント論文における国際共著論文数を比較してみますと、イギリス、ドイツにつきましては我が国の約三倍以上の国際共著論文が執筆されております。

 また、近年の推移を見てみますと、各国における国内の論文数については、日英独の間で余り大きな差はないものの、イギリス、ドイツでは国際共著論文数が大幅に伸びている、こういった状況にございまして、我が国が国際ネットワークから孤立してしまうのではないか、そういった指摘もなされているところでございます。

 このような状況を打破するために、文部科学省におきましては、頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進事業におきまして、世界トップクラスの研究機関との間の研究者の派遣、受け入れ、こういったことを通じましてネットワークの形成に努め、結果的に国際共著論文の増加につながるようなプログラムを実施しているところでございます。

 また、若手研究者につきましては、早い段階から国際経験を積んでいただくということで、平成二十九年度からは新たに、優秀な博士後期課程の学生を海外に、短期間ではありますけれども派遣して、早い段階から共同研究に取り組んでいただく、こういった、若手研究者海外挑戦プログラムというのを新たに実施することとしてございます。

 このような取り組みを通じまして、国際協力を積極的に推進して、我が国の研究力の向上に貢献してまいりたいというふうに考えてございます。

尾身分科員 ありがとうございました。

 これからも日本の若手の研究者が海外の研究者と交流し、そしてネットワークづくりをしっかりと構築していくこと、また、その際に、例えば留学などや派遣などをしたときに、戻ってきたときの日本のポストが安定して確保されているというような制度改革も必要だと思いますので、ぜひトータルで、国として若手研究者の支援をしっかりと行っていただければというふうに考えております。

 次に、我が国の宇宙分野についての取り組みについてお伺いしたいと思います。

 先日、JAXAの大西卓哉宇宙飛行士から、国際宇宙ステーション長期滞在ミッションの報告をお聞きしました。リアルタイムで宇宙に滞在する大西飛行士が、各国から応募されて選定された実験を行い、それを、宇宙との交信をリアルタイムに行って、アジアの子供たちが見詰めている。その子供たちの目は輝いていました。その姿はとても感動的でした。改めて、宇宙分野での国際協力の重要性を認識したところです。

 国際宇宙ステーションについては、二〇二四年までの運用延長が決定され、日本の実験棟「きぼう」を活用した研究は国際的にもニーズが高いと聞いています。今後の「きぼう」における研究や宇宙での研究開発について、御展望をお聞かせください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 国際宇宙ステーション、ISSにおきまして、我が国は、日本の実験棟「きぼう」を用いて、宇宙空間の特徴を生かしたさまざまな科学研究に取り組んでございます。

 例えば、宇宙空間におきまして骨や筋肉が受ける影響を捉えるために、マウスを無重量環境で長期飼育することができる実験装置が「きぼう」に設置されておりまして、加齢に関する研究への貢献が期待されております。今後世界の高齢化は急速に進展すると予想されておりまして、米国を初め関係各国から高い関心が寄せられております。

 委員御指摘がございましたように、昨年、大西宇宙飛行士、軌道上でマウスの飼育を始めたところでございまして、そこから得られております初期的なデータにおきましても、無重量環境下で飼育されたマウスにおきましては、顕著に骨密度や筋肉の減少が認められたり、あるいはそれに基づく遺伝子の発現パターンが変わっているというようなすばらしい成果が既に得られているところでございまして、今後、装置の共同利用、共同研究などについて米国との間で議論を始めているところでございます。

 また、「きぼう」は、エアロックとロボットアームをあわせて持ち、我が国だけでなく、世界各国の超小型衛星の放出を行ってございます。近年は、フィリピン、ブラジルなどが初めて開発した衛星の放出機会を提供しておりまして、これまで宇宙開発の機会がなかった国々の宇宙開発利用の拡大にも貢献しております。

 現在、本年じゅうの放出を目標といたしまして、トルコ、ケニア、ガーナ、ナイジェリア、モンゴル、バングラデシュなどの超小型衛星への協力を進めているところでございます。

 また、宇宙新興国の「きぼう」からの超小型衛星の放出には各国の学生たちが取り組むプロジェクトも多く、各国の科学技術を担う若者の人材育成にも大きく貢献できるものと考えてございます。

 一昨年末のISS運用延長への参加決定に伴いまして、日米間では、日米オープン・プラットフォーム・パートナーシップ・プログラム、OP3というものを締結いたしまして、アジア太平洋地域の諸国へISSの利用機会等を日米協力して提供するところとしたところでございまして、今後とも、日本の実験棟「きぼう」の有する特徴を生かし、科学的知見の創出及び国際協力を推進してまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございました。

 次に、我が国の海洋研究開発についてお伺いしたいと思います。

 四方を海に囲まれた我が国は、排他的経済水域や領海の広さが世界第六位です。昨年我が国が議長国を務めたG7伊勢志摩サミットにおいても、気候変動や海洋生物多様性のモニタリングの観点から、国際協力による定常的な地球規模の海洋観察が喫緊の課題であるとの指摘がされました。海洋研究開発機構を中心に我が国が果たすべき役割は大きいと考えています。

 文部科学省における今後の海洋研究開発への姿勢について、お聞かせください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 科学技術基本計画におきまして、海洋科学技術は、海洋立国としての立場にふさわしい科学技術イノベーションの成果を上げるために、着実に取り組む必要があるとされてございます。

 また、近年、これまで生命や人間活動を支えてまいりました海洋環境が急激に変化していることから、海洋を持続的に開発利用するために、海洋のガバナンスを確立することが国際的に大きな課題となってございます。

 昨年開かれましたG7伊勢志摩首脳宣言では、科学的知見に基づく海洋資源の管理、保全及び持続可能な利用のために、国際的な海洋の観測及び評価を強化することの必要性が指摘されております。

 また、G7茨城・つくば科学技術大臣会合でも、海洋生物の生育海域の過剰利用や破壊、海の温暖化や酸性化の進行、酸素濃度の低下により海洋環境は急激に変化しており、海の健康は経済開発に関する極めて重要な問題であること、多数のフロートを用いて全世界の海洋を自律的に観測するアルゴネットワーク等の国際連携のもとで、定常的な地球規模の観測を強化することが喫緊の課題であることなどの指摘がなされているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、文部科学省では、国立研究開発法人海洋研究開発機構におきまして、フロート、係留ブイ、船舶による観測等を組み合わせた統合的海洋観測網を構築し、そのデータを活用するなどの取り組みを進めることとしております。

 特に、フロートにつきましては、既存の水温などの物理データだけではなくて、pH等の化学データやクロロフィル等の生物データも観測できる新たなフロートの開発、運用、海面下六千メーターまで潜ることができる大深度フロートの開発、運用などを実施しまして、国際アルゴネットワークへの貢献を通じて国際的な海洋観測の強化に取り組むこととしております。

 さらに、得られた膨大な観測データについては、高い付加価値をつけて発信することで、海洋観測ビッグデータとしてさまざまな分野での利活用を目指すこととしております。

 文部科学省といたしましては、今後とも、関係省庁と連携のもと、科学的知見の充実や基盤技術の強化を図りつつ、社会の要請に応じた研究開発や調査を強化してまいりたいと考えております。

尾身分科員 科学技術イノベーションは、我が国の国力の源泉であり、将来の成長、発展を支える礎となるものです。安倍政権が掲げるGDP六百兆円の実現に向けた成長戦略のかなめでもあります。科学技術イノベーションが我が国の将来を左右すると言っても過言ではありません。科学技術への投資は未来への投資です。

 政府におかれましては、科学技術イノベーション創造立国実現のため、引き続き、科学技術イノベーション政策を国家戦略として明確に位置づけるとともに、官民挙げてソサエティー五・〇の実現に向けて取り組むため、松野文部科学大臣のリーダーシップのもと、より一層強力に科学技術イノベーション政策を推進していただくことを大いに期待申し上げまして、本日の私の質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

大串主査 これにて尾身朝子君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、國場主査代理着席〕

國場主査代理 次に、小川淳也君。

小川分科員 民進党の小川淳也です。

 大臣、昨日は、中間報告、お疲れさまでございました。

 率直に申し上げて、非常に赤裸々にいろいろなものを開示していただいたというふうに受けとめております。しかし、見るにつけて、一定の安心感なり収束感が広がるというよりは、むしろ逆で、どんどん事態は深刻化していますし、また拡散しているという印象でありまして、一体これはどういう形で最終的に決着をつけていただくのか、非常に大臣自身も思い悩んでおられることではないかというふうに想像いたします。

 きょうは、分科会ですので、一定落ちついて、いつも以上に落ちついて議論させていただきたいんですが、これは、思ったより、やはり、申し上げたとおり、事態は深刻で、かつ組織的で、非常に広がりがあるという受けとめを大臣自身されておると思うんですが、まず、ちょっとそこの、大臣御自身の感想について、率直なところをお聞かせください。

松野国務大臣 今回の文科省の再就職等違反に関して、これは、監視委員会の方から、文科省内において、再就職等の違反を潜脱する目的において、OBを巻き込んでの形ができ上がっているという御指摘をいただきました。

 今回の中間報告までの調査によりまして、歴代人事課長を初め、ヒアリングを通して、この監視委員会から指摘をされていたことが、これは事実として受けとめなければならないということが判明した、改めてそう認識をしております。

小川分科員 まず、指摘事案三十七事案のうち、今回、監視委員会の段階では九事案ですかね、違法の認定があったのは。これに加えて二十六事案、いや、ごめんなさい……(松野国務大臣「十七」と呼ぶ)十七か。合計で二十六事案、違法行為を確認したと。

 ただ、残りの十一事案についても、中身をよく読むと、非常にグレーゾーンが多い。情報提供を直接したもの、あるいは間接的にしたもの、あるいは、嶋貫さんまででとどまったがその先も接触は濃厚だったのではないかと疑われるものも含めて、非常にグレーゾーンが多いです。

 ですから、最終報告に向けては、この残り十一事案についても、まだまだ違法でないと認定されたわけではない。したがって、違法事案はさらに拡大する可能性はあるということの御確認をいただきたいと思います。

松野国務大臣 今回の中間報告において、十七事案について違法行為があったと認定をいたしました。

 今委員から御指摘があった残りの十一事案に関しては、現状、これまでの調査によって違反があったと認定に至らなかったというものでございまして、今後、最終報告に向けてさらに調査を進めていくということでございます。

小川分科員 そうしますと、最終報告のタイミングで、恐らく関与した職員の処分の拡大に踏み切られるのではないかと想像いたしますが、まずその点を確認したいと思います。幹部職員の処分に既に中間報告で言及しておられますので、そのタイミングは最終報告の段階でいいのかどうか、それをまず確認します。

松野国務大臣 今お話を申し上げましたとおり、監視委員会から指摘をいただいているうち、十一案件に関しても引き続き調査が必要だと考えておりますし、全職員に対する調査、また退職OBに関しての調査も並行して続けております。

 それらをしっかりと精査した上で、厳正に、関係した職員の処分はしていきたいということでございます。

小川分科員 厳正にとは、どういう意味ですか。最終報告をして、なお処分まで間を置くということがあり得るということですか。

松野国務大臣 間を置くというより、今回、文科省の中に、任命権者である私のもとに設置をした調査班は、監視委員会の指導のもとに設置をされている法定の調査班でございます。でありますから、その調査の内容と、またそれによっての処分に関しては、監視委員会の方に逐次御報告をする形になっております。

 処分に関しても、文科省の方で調査内容から決定した処分について監視委員会の方に報告し、それが監視委員会の方で適正でないという評価があった場合は、今度は監視委員会の方から勧告が出る、そういう法律上のたてつけになっておりますので、そういった意味において、三月末と今目標を立てておりますけれども、なるべく早く調査結果を発表したいと思っておりますが、今申し上げた理由によって、監視委員会の方の報告を受け、調整の上公表をさせていただくということでございます。

小川分科員 そうすると、監視委員会とのすり合わせが終われば、処分まで、それはほぼ同時といいますか、そんなに間をあける必要はありませんよね。

松野国務大臣 これは監視委員会の方からのまた御指導等もあると思いますので、現時点において、私どもの方から、監視委員会に上げた、何日以内というような明示的な答えはできませんが、極力早くその公表をさせていただきたいと考えております。

小川分科員 現実に、一回目の処分は、一月の二十日に、国会召集と同時に、監視委員会の報告の公表、即日処分ですから。通常、そうじゃないともたないと思いますよ。最終報告はしているけれども処分まで間があいているというのは、通常もたないと思います。

 重ねてお聞きしますが、大臣御自身の一回目の処分は、大臣俸給の返納という形でみずからに科されました。これは、何をもって、何の責任に対する大臣御自身の処分だったのか。違法事案がさらに二倍、三倍、四倍と拡大をし、関係者の処分がさらに拡大をするとすれば、大臣御自身についても、その監督責任、結果責任において何らかの追加処分を検討される必要があると思いますが、現時点でのお考えをお聞きします。

松野国務大臣 まず、私の大臣としての責任で、私個人に帰する部分に関してでございますけれども、私は昨年の八月三日に文部科学大臣に就任をいたしました。そして、この再就職等規制違反に関して監視委員会の方から調査を受けているという報告を受けたのが十二月の初旬でございますが、その間、これはもう、本来であれば監督指揮をしなければいけない責任にある私がその状況を把握していなかったということにおいて、監督指揮ができなかったということに対する責任と、この事案は平成二十年十二月三十一日以来のことであって、報告書の中においても、この法制度が変わってから、たしか二十二年の時点でのメールが出てきておりまして、そのメールの内容の中で、人事課職員による引き継ぎ等に関するものが存在をしております、その時点からこの事案が続いてきたということに関して、現状の文科省の責任者としての結果責任として、私に対する処分として、大臣の俸給の六カ月分の全額を返納という形をとらせていただきました。

 大臣としての最大の責任というのは、先ほど来委員からも御指摘があるとおり、しっかりと全容解明をして、そして厳正な処分をして、そして再発防止に努めるということが私に課せられた最大の責任だと考えております。

小川分科員 非常に申し上げにくいんですが、そうすると、一月二十日に大臣がみずからに科されたみずからの処分ないし責任は、違法九事案、認定された九件に対する責任の果たし方ではなくて、過去から綿々と続いてきたであろうこの水面下に埋もれたもの、潜在的なものを含めて、総体としての責任は既に大臣はおとりになったという認識なんですね。これからいかにその事案が拡大をし、全容が当初の予定より拡大したとしても、大臣御自身の追加の処分は必要ないという御認識という理解でいいんですね。

松野国務大臣 私の認識としては、先ほど申し上げたことでございまして、私自身に帰する部分に対しての責任と、この制度変更以来、改正以来のこの文科省の状況に対する、本日、現状における責任者として、大臣としての結果責任、そういう認識を持っております。

小川分科員 そこは一つの考え方だと思いますが、これだけ事態が、あたかも進行しているかのように進捗している状況の中ですから、国民感情がそれで許すかどうか。ちょっとそれは、一つ別問題だと思います。

 それと、非常に細かい話で恐縮ですが、大臣がみずからに処分を科されたときに、大臣報酬の全額返納という表現をされました。

 それは非常に、政治的なアピールとしては一つのやり方だったと思いますが、正確には、大臣報酬の四分の三は議員報酬です。大臣報酬は四分の一です。なおかつ、四分の一の中の四分の三は既に自主返納済みでありますから、正確には四分の一の中の四分の一、十六分の一に相当する部分、なおかつ、公職選挙法の関係だと思いますが、一円残されているわけです。

 私はここで、本当に申し上げにくいんですが、大臣がみずからに科された処分を正確に表現するのは、大臣報酬の全額返納ではなくて、大臣報酬部分についてごく一部を残して残りを返納するというのが正しい表現だと思いますので、それはぜひ、ここで修正していただきたいと思います。

松野国務大臣 大臣報酬という私の理解は、今委員から御指摘があったとおり、これは全体として考えれば、私の歳費を含めれば、衆議員としての歳費があり、そして大臣職としての報酬があるんだろうというふうに思います。

 まず、前提として、今回私が責任を感じている部分というのは大臣職としての責任でございまして、衆議員職として果たすべき役割、これは、地域の皆さんのお話をしっかりと受けとめて国政に反映をしていく、また、わかりやすくは本会議の出席等も含め議決に参加をしていく、そういった面での衆議員としての責任は、これは自分に対する評価ですからあれですけれども、果たしていると認識をしております。ですから、大臣としての責任において関係する部分というのは、大臣職に対する報酬部分であろうという理解を私はしております。

 あわせて、公職選挙法で、一円を除いてという部分は、それは、衆議員歳費に関して公職選挙法で寄附をしてはいけないということになっております。大臣報酬に関する寄附規定において、一円、一部を除いてという表現でございますが、現実的には一円を除いては返納することが可能だということでこういった表現、今までの表現をさせていただいているということでございます。

小川分科員 これも国民感情との兼ね合いで申し上げているわけですが、大臣が受け取っておられる大臣報酬の四分の三が議員報酬だということを国民は御存じないと思います、一般的には。大臣報酬を全額返納という表現をされますと、この方は、責任を痛感して、収入一切なしで、半年ですか、歯を食いしばって奮闘されているんだという誤解を与えることは、私は、この際は、事態が事態であるだけに誠意に欠ける可能性があるということで、そこはぜひ正確を期していただきたいという立場から申し上げました。

 論理的に説明して、今の御説明はあり得ることだと思いますが、受けとめる側の国民の理解と感情をしんしゃくすれば、より正確に表現していただきたいということであります。

 なおかつ、追加処分についても、今大臣は必要ないというお考えでありましたが、やはり、事態の進展によっては、何らかのけじめをつけられる必要に迫られる可能性なりおそれはあるのではないかと思います。

 この中間報告についてなんですが、率直に申し上げて、冒頭申し上げたとおり、非常に赤裸々で、本来出てくるはずのないものまで出してきていただいている。ここには、一定、大臣のリーダーシップあってのことだろうというふうに敬意を払うところです。

 ただ、ここから先が本当の勝負だと思います。つまり、この三十七事案は、既に監視委員会から明示的に指摘を受けているわけで、もう逃げようがないんですね。十一事案については違法とまでは言い切れないというお立場の中間報告でしたが、それにしても、この三十七事案については逃げられません。

 しかし、国家公務員法が変わってから七年、八年ですか。どうなんでしょう、恐らく千人や二千人ではきかないかもしれませんね、再就職者の総数は、と思います。そうすると、その中で三十七だけだということはおよそあり得ない、これだけシステムとしてやっているわけですから。そうすると、ここから先が本当の勝負だと思いますよ。この既に指摘をされたもの以外に、どの程度あるのかないのか。

 そこで、文科省調査で、もう既に現役職員とOBから情報を集められていますよね。事務的には、二月の九日に現役からの情報提供は締め切った、二月の十四日にOBからの情報提供も締め切ったと聞いています。

 しかし、それは書面によるもののみであって、なおかつ、さきの予算委員会でもございましたが、証拠がないと、事と次第によっては、懲戒処分も含めてでありますが、非常に内部告発を制約するのではないかと疑われかねないような調査様式にもなっているわけであります。

 これは現状、どういう状況ですか。二月九日、二月十四日、現役、OBから情報提供を依頼して、その現況について、十四日ですから、もう一週間以上はたっています。新たな情報は寄せられているというふうに理解していいですか。

松野国務大臣 まず、この三十七件に関して中間報告を出させていただきましたのは、当初より、これは予算委員会の御指摘の中においても、まずこの三十七件に関して、早く、中間報告的にという御指摘もいただきました、その中において、この三十七件を先行的に出させていただいたということでございまして、当然のことながら、さまざまな調査の中において、これ以外の案件に関しても引き続き調査をしていくということでございます。

 全職員に対する書面による調査、OBによる調査の状況が今どういう状況かに関しては、事務方の方から説明をさせていただきます。

中川政府参考人 調査班長の中川でございます。お答え申し上げます。

 書面調査につきましては、委員から御指摘のとおり、既に回答を締め切っておるところでございまして、現在集計中でございます。最終まとめに向けまして、回収した結果を精査し、関係者へのヒアリング等、必要なものを実施していく予定でございます。

小川分科員 三十七事案については逃げられないわけでありまして、それ以外に出てこないということになりますと、これはかえって最終報告の信憑性が疑われるということになりかねません。そのことは、非常にここから先はつらい作業だと思いますが、ここから先が本当の勝負だということを御指摘をし、関連して、報道では、元外交官が大学に再就職したという事例がありました。これは三十七事案と無関係であります。これについて事実関係が今わかれば、お答えいただきたいと思います。

中川政府参考人 お答えいたします。

 報道で、元外交官が東京外国語大学の方に再就職したというような報道があったことを私ども承知しております。また、昨年の四月一日と記憶しておりますが、そのときに、この外国語大学で当該教授が再就職をしているということは、事実として私ども承知しております。

 先ほど大臣からも申し上げましたとおり、こういった、この事案も含めまして、私ども、この全数調査だけではなく、必要な調査というものを全体として全容解明に向けてやっておるところでございますので、その中におきまして、この案件につきましても、これは外務省とも協力しながら、文部科学省の観点から、再就職という観点でどういうかかわりがあったのかといった点について、全容解明の中でしっかりと調査してまいる予定でございます。

小川分科員 これも世の中の受けとめを申し上げたいと思いますが、まさに前の事務次官の山中さんですか、欧州の方へ大使で転任しておられますよね、そういう方は複数いると思います。逆に、外務省から大学の先生として転身されている方も複数、相当数あるでしょう。これはバーターじゃないかという疑いを世の中から持たれてもおかしくありません。もちろん、専門性のある方がそれぞれの場で活躍いただくことはいいことですが、そこに組織的あっせんがあってはいけないというのが現行法体系でありまして、それを疑わしめる一つの報道事例でありました。

 そこで、お願いなんですが、この書面調査でどの程度出てきているのか出てきていないのか、わかりません、これは想像するのも難しいですが、一般的には難しいでしょう、職員がみずから内部告発するというのは。しかも、証拠も求められているわけですから。

 ただ、そういう中に、調査を通して、例えばヒアリングをし、例えばやりとりをした電子メールの提出を求めた場合、そこに文部科学省外、今回でいえば、報道されている事例でいえば外務省、またその他厚生労働省、農林水産省含めて、あらゆる省庁の専門家が大学に転身しています。この外部の方と人事情報をやりとりしたメールの形跡が仮に残っていた場合、これは、今、世の中の関心事は、これは本当に文科省だけの問題かというのももう一つの大きな関心事なんですね。

 これは、お願いを含めてでありますが、文科省として、まず把握するのは難しいと思いますが、把握した場合、それを公表するのは相当覚悟の要る、勇気の必要なことだと思います、直ちに各所に波及しますから。しかし、松野大臣、そういった事案も含めて、ここから先、甘い対応をされると、それこそ大臣自身の責任問題になります。そういった各省との人事情報のやりとりを含めて、今回の省内調査の結果として、他省庁に波及する事案、あるいはその物証等についても、当然のことながら、積極的に公開、公表、報告をしていくということについて、ここで明言をしていただきたい。

松野国務大臣 当然のことながら、文部科学省によって起こされた再就職等違反に関する事案、これは、判明したものに関しては、しっかりと公表してまいります。

 それに当たっての、メール等に関してもという御指摘もいただきました。これは、調査がまず終了して、調査に影響がなくなった状況で、これは人事情報でありますから、全てというわけには、正直、人事に関する案件だといかないかもしれませんが、少なくとも違反事由に関する部分として、証拠として必要なものに関しては公表させていただきたいと思います。

小川分科員 相当決意なり覚悟の要るお話だと思いますが、ぜひともお願いをしたいと思います。

 ちょっと予算に戻りますが、今回、新たに違法認定した事案が二十六事案でありますから、これに関連した二十六法人ですか、ここに支出される本年度予算、二十九年度予算は総額で幾らぐらいになりますか。

松野国務大臣 御指摘の、今、総額に関してということでありますが、まず、新たに違法と認定をされた案件に関する予算部分に関しての資料を、今これは資料要求もいただいておりますので、できるだけ早い時点で、それぞれの事案に関してかかわる予算項目に関して挙げさせていただきたいというふうに考えております。

小川分科員 それは早急な御対応をお願いしたいと思います。

 ちょっと時間の関係で、中身にきょうのところは入れませんが、またあす以降も予算委員会等の場において議論させていただきたいと思います。

 今回、私が中間報告を拝見して、非常に衝撃を持って拝読させていただいたわけですが、主に四点であります。

 一つは、やはりこの五番目の事案、滋慶大学の設置事案において、設置認可の審査過程が、省内とはいえ部外者に漏えいしていた。そしてそれは信用失墜行為であるという。具体的に、天下りに関連して、行政過程、予算の配分や許認可、検査等ですね、行政過程がゆがめられかねないおそれが実際に生じていた。これも恐らくこの一件ではないでしょう。世の中の受けとめはそうだと思います。それが発見されたということが一つ。

 もう一つは、十九番事案の戸松参事官は生涯学習政策局ですね。それから、PTA全国協議会は同じ局でしょうか。全国公民館連合会も同じ局かな、社会教育課。つまり、これまで、この天下り事案は人事課を中心にした、大臣官房のラインの話だと思われていたわけですが、まさにハブ・アンド・スポークといいますか、人事課をハブにする形で、原局原課が権限を持っている先の団体等と情報交換を行い、それが人事課にフィードバックされる形で、さらに嶋貫氏を通して再就職あっせんにつながっていた。つまり、人事課、人事系統ラインの話に限らず、原局原課を巻き込んだ話だったというのが二つ目の驚きです。

 三つ目に、単なるあっせんではなく、大学に対してポストの昇格を求める。非常勤を常勤にという形で、極めて能動的、積極的にポストの要求までしていた、これもまた新たな驚きであります。

 最後に、これも機会を見て詳しくお聞きしたいと思いますが、結果として、当然こうなるのかもしれませんが、いわゆる文科省からの退職者の再就職に限らず、再就職者の再々就職、二回目以降ですね、いわゆるわたりと言われています、こういったもののあっせんにまで関与し、そして、OBを総体として管理していた。これも、この中間報告が出るまでは、余り世の中には受けとめられていなかった論点であります。

 ちょっと繰り返しますが、実際に天下りに関連して、行政がゆがめられかねないおそれがあった、そして、人事課のみならず原局も関与していた、そして、ポストの要求という極めて悪質性の高い行為までしていた、二回目以降のわたりも含めて、OBの再々就職まで含めて面倒を見ていた、この四つが、私は主にこの中間報告が明らかにした大変悪質度の高い実態だったと思います。

 この観点から、さらに、これは実際どうなのかは、前川氏、嶋貫氏、そして歴代の、これは人事課長が余り出てきません、任用官ですか、そういったポストにおられた方々、もっと言えば、現実に引き継ぎ書をつくられた方ですよね、こういった方々に直接聞かないと、この中間報告以上のことはわかりませんので、あす以降の委員会になろうかと思いますが、そういった機会をぜひいただきたいと思います。一覧表の中で、特に5番の人事課任用官の方については、名前も公表されていません。そういった、本当に核心に迫る情報に迫るためには、そういった方の参考人も含めて対応が必要である。

 このことに対する大臣のまずは前向きな御答弁をいただいて、きょうのところは質疑を終えたいと思います。

松野国務大臣 委員から、四つの案件に関して、極めてこれは悪質度が高いのではないかという御指摘をいただきました。

 その中において、個別案件はこれから、今後ということでありますが、滋慶の設置に関する情報に関しては、外部には漏れていなくて、実際的にそれが相手にも伝わっていなかったということで、これは実害的なものというか、実際の、行政をゆがめるという措置には至らなかったということでありますが、しかし、これは、関係者以外にそういった情報が漏れるというのは極めて遺憾なことであります。

 委員の方から御指摘をいただいた案件に関して、それは、それぞれにおいて、対象者がOBであろうと現職であろうと、要は、現職の再就職に対する関与ということが国家公務員法違反ということでございますから、現状の中間報告においては、違法性が認定されたものとされていないもの、委員の御指摘の中にもあるかと思いますが、これもしっかりと調査を進めてまいります。

 参考人等のお話をいただきました。参考人等の御判断は、これは委員会の御判断に従わせていただきたいと思います。

小川分科員 石田筆頭理事がおられますので、ぜひ御配慮をお願い申し上げまして、きょうのところは終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

國場主査代理 これにて小川淳也君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野分科員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、早速質問を始めさせていただきます。

 私、初当選以来、長く文部科学委員会の方にも所属をさせていただきまして、教育はやはり非常に大事だ、本当に国の柱だというふうに思っております。その中で、きょうは幾つかテーマを絞って質問させていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず第一問目は、学校施設関係の整備の予算でございます。

 この学校施設整備、さまざまな予算が必要でございます。学校の耐震化というものもございます。そしてまた、例えば老朽化対策、こういうものも必要でございますし、あるいは給食のような施設、こういうさまざまなものも含めて、学校の施設整備の予算というのは非常に大事だというふうに思います。

 学校耐震化もなかなかずっと進んでこなかったものが、私ども公明党が二〇〇一年に最初にPTを立ち上げて、そしてこの学校耐震化というのをしっかり進めていこう、こういうことでずっとお願いをさせていただいて、そして、今まさにほとんどの学校で耐震化が実現をしている。そして、非構造部材を初めいろいろなものを、まだまだ対策をとっていかないといけないということではございますけれども、こうした充実が図られてきている。

 給食の制度につきましても、全国で既に八八%の中学校で給食ができているということでございます。しかし、大変残念なんですけれども、私の地元の兵庫県尼崎市では、市の財政が大変厳しいこともございまして、まだ中学校給食というのが実はできていない、これから整備をしていこう、こういう状況でございます。

 また、現場から上がってくる要望といたしましては、確かに予算の問題も、総額の問題もございます。耐震化、老朽化、さまざまな要望がございますので、当初予算の規模が非常に少ない、しっかり確保してほしいというお願いもございますし、また、実際に設計をしてつくってみると、最近は、非常に建設の資材であるとか、あるいは人件費であるとか、さまざまなものが値上がりをしていたりですとか、実際に必要な工事単価というのがなかなか確保できない、こういうような御要望もございます。

 しかし、学校給食にせよ老朽化対策にせよ、学校施設の整備というのは非常に教育という部分でも重要でございますし、いざ地震等が起きましたら、学校の施設というのはさまざまな方が避難所等で使われる、こういうことでもございますので、この学校施設整備関連の予算というのは非常に大事だと思います。

 これを、しっかりと必要な予算を確保していただきたいということで、まず、大臣の方から答弁をぜひいただければと思います。

松野国務大臣 まず、中野委員を初め公明党の皆さんが、学校の耐震化、また老朽化対策等に御熱心に取り組まれていることは承知をしておりますし、文部科学大臣としても感謝を申し上げる次第であります。

 学校施設は、子供たちの学習の場、生活の場であります。その安全性、機能性の確保というのは不可欠であると承知をしておりますし、委員から御指摘がありましたとおり、それに加えて、災害時は地域住民の避難所にもなる極めて重要な施設だと認識をしております。

 公立学校施設の耐震化についてはおおむね完了したところでありますが、しかし、築二十五年以上経過をし改修が必要な建物の面積が全体の約七割となるほど、老朽化が深刻な状況となっております。

 このため、文部科学省では、公立学校施設整備費として、平成二十八年度第二次補正予算において約千四百億円を確保し、平成二十九年度予算において約七百億円を計上しているところであります。また、建築単価についてでございますが、平成二十九年度予算において、資材費や労務費等の上昇分を勘案し、昨年度に引き続き引き上げを行っているところであります。

 今後とも、地方公共団体が計画的に施設整備を行えるよう、必要な予算の確保に取り組んでまいります。

中野分科員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 特に、当初予算がなかなかつかなくて、いつも補正でしっかりと積んでいただくというふうな形もかなり多くて、しっかりと必要な予算の確保をぜひお願いしたいというふうに思います。

 今まさに予算委員会でも審議をされております来年度の予算に関しましては、私ども公明党のさまざまな教育に関する要望というものが盛り込まれた非常に大事な予算だというふうに思っております。

 教育の関係でいいますと、例えば学校教員の定数の関係でいいましても、特別な支援を必要とする生徒、あるいは外国語、こういうものへの支援が必要な生徒、こういうものを今まで加配で対応していたものが基礎定数化を図るということで、安定して予算措置が図られる、こういうこともございます。

 また、奨学金の制度でも、長年来私ども公明党が要望しておりました給付型奨学金がついに導入をされる。それも含めて、無利子予算の大幅な拡充であったり、所得連動型の新しい奨学金であったり、奨学金の予算が大きな形で拡充をされるということは非常に喜ばしいことだというふうに思っております。

 特に、給付型奨学金につきましては、本来は全面的な実施は再来年度ということでありましたけれども、しかし少しでも早く実現をさせていこうということで、来年度から先行実施も行っていく、こういうことでございまして、制度の周知というものが非常に大事だというふうに思っております。

 もともとこの給付型奨学金の出発点といたしましては、今まで、成績がいい、勉強を頑張っている生徒でも、昔というのは所得が少なくてもそれでも頑張って大学に行こう、こういう生徒が多かったわけでございますけれども、所得が低いから、成績は、勉強は頑張っているんだけれども、しかし進学を断念する、こういう子供たちが残念ながらふえてきた、こういうところが問題である、これを何とか後押しをしないといけない、こういうところから始まっているというふうに思います。

 ですので、いろいろな制度ができた今、さらに大事なことは、進学を諦めている生徒について、こうした国のいろいろな給付措置があるんだということをしっかりと周知して、そして進学の意欲を高めて、経済的な事情で進学を諦める生徒というものを少しでも減らしていく、これが非常に大事だというふうに思います。

 特に、給付型奨学金、今回導入をいたしますけれども、ヒアリングのときに出てきた意見としては、入学金であるとか新しい生活を立ち上げる費用であるとか、入学時の負担の軽減というのが非常に大事だという指摘がございました。こうしたこともありまして、党といたしましても、例えば児童養護施設であるとか、そういった特に支援が必要な方々にとっては入学時の支援というものも含めて今回制度化したわけでございますけれども、それ以外の方もいらっしゃいますし、入学の前に予算を確保するためには、実際には奨学金が入学後に入ってくる仕組みでございますので、実際は借り入れをしたりですとか、いろいろな複数の制度を活用したりする必要もございます。

 こうしたことも含めて、さまざまな周知をぜひ図っていただいて、そして、経済的事情で進学を諦めるということがないように生徒を後押ししていっていただきたい、それがこれから国の大事な役割である、このように思いますけれども、答弁いただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 意欲と能力があるにもかかわらず経済的理由によりまして進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするという観点から、平成二十九年度予算案におきまして、返還不要の給付型奨学金の創設のために必要な経費を盛り込んでいるところでございます。

 今御指摘のございました入学時の費用負担の関係でございますが、社会的養護を必要とする方々に対しまして、毎月の給付額に加えて、入学金に相当する額として二十四万円を給付するということとしております。

 また、貸与型の制度でございますけれども、日本学生支援機構の入学時特別増額貸与、あるいは厚生労働省の生活福祉資金貸付制度、こういうものがございますので、こういうものを通じて経済的支援を充実した形で実施していきたいと考えてございます。

 これらの制度につきましては、幾つか私どもとして周知に留意をしていることがございます。

 一つは、昨年末に日本学生支援機構に電話相談窓口を設置いたしまして、相談対応を行っているということがございます。また、二つ目といたしまして、文部科学省及び日本学生支援機構から、高等学校等を通じて、生徒や保護者に対する、制度内容の周知を図るということをいたしております。さらに、社会的養護を必要とする方々につきましては、これは厚生労働省を通じまして関係団体の方々に周知を依頼したということがございますので、こういうさまざまなチャンネルを使って周知に努めてまいりたいと考えております。

中野分科員 この今回の奨学金、大きく拡充をいたしました。しかし、あくまで新規に借りる人というものが対象でございまして、もう一つ大きな声として上がっておりますのが、現在奨学金を借りて返している方、これは私も、当時の日本育英会でございましたけれども、奨学金を借りて社会人になってずっと返済をしておりましたので、気持ちは非常に共有するところでございますけれども、やはり、二百万、三百万、四百万と奨学金を返していかないといけない。今、特に若い世代の所得というものが昔に比べて低い、こういう状況もございます。こうした青年世代の負担軽減を図るというのは、子育て支援などの観点からも非常に大事なのではないかなというふうに思います。

 こうした、新規に借りる人たち以外の、今まで借りている既卒者の人たちの奨学金の返済の負担の軽減を図る策、これも充実をぜひする必要があるというふうに思いますけれども、これについても答弁をいただきたいと思います。

常盤政府参考人 奨学金制度について、返還の負担軽減策ということでございます。

 まず、平成二十九年度以降の大学等進学者を対象といたしまして、卒業後の所得に毎月の返還額が連動いたします所得連動返還型奨学金制度、これを二十九年度以降の進学者から導入するということが一点ございます。

 それから、今御指摘をいただきました、既に返還を開始している方々等への負担軽減策ということでございますけれども、これは公明党の先生方から御要望をいただいてきたところでございます。文部科学省の有識者会議において検討を行いまして、当面、減額返還制度を拡充することによりまして負担軽減を図ることが望ましいとされたところでございます。

 具体的には、経済的理由により返還が困難な場合には返還月額を二分の一に減額できるという現行の減額返還制度がございますが、これを拡充いたしまして、毎月の返還額を三分の一に減額できるようにするということ、そして、適用期間につきましても十年から十五年に延長するということ、こうしたことを平成二十九年の四月から適用を開始することができるようにということで、現在、準備を進めさせていただいているところでございます。

 この制度とあわせまして、所得が低い場合に返還を猶予することができる返還期限猶予制度もございますので、返還困難時のこうした救済策についてしっかりと周知を行いまして、既に返還を開始した方々を含めまして、返還負担の軽減を図ってまいりたいと考えております。

中野分科員 返還負担の軽減、特に既卒者ということで、なかなか情報に接する機会も少ないのではないかというふうに思いますので、情報の周知も含めて、これもお願いをぜひしていきたいというふうに思います。

 現在、予算委員会等の議論の中では、さらなる学費負担軽減、大学無償化ですとかさまざまな議論が今、国会の方では行われているという状況でございます。我が党としても、やはり授業料の負担の軽減というものをさらに拡充していく必要があるのではないか、こういう思いでございます。

 しかし、授業料免除、今回の給付型奨学金のときの議論でもあったんですけれども、制度としてはありますし、年々拡充はしていっているんですけれども、国公立の方はかなり充実をしているのかなというふうに私は思います。一方で、大学に通っている学生というのは、私学の学生が七割以上ということで、私学の部分の授業料免除がどうかというと、国公立ほどまだ充実をしていないのではないか、やはりここにも公私間格差があるのではないかというふうに思います。

 こうした私学向けの授業料免除の拡充、あるいは私学予算全体についてもやはり充実を図っていくということが、学費負担の軽減という中では非常に大事ではないか、このように思いますけれども、これについて、大臣、御答弁いただければと思います。

松野国務大臣 家庭の経済状況に左右されることなく、意欲と能力のある者が大学における教育を受けられるということは、大変重要だと認識をしております。

 このため、文部科学省において、これまでも、私立大学等に通う学生が経済的な理由で修学を断念することがないよう、経済的に修学困難な学生に対する授業料減免等の支援に要する経費の二分の一を支援しています。平成二十九年度予算案においては、授業料減免等に関する予算について、初めて百億円を超える百二億円を計上し、その対象人数を一万人増加させ、五・八万人と拡充することとしております。

 また、私立大学は、委員から御指摘がありましたけれども、我が国の約七割の学生の教育の機会を提供するなど、我が国の高等教育において重要な役割を果たしていますが、私立大学の教育研究にかかわる経常的経費に占める国からの補助割合は、平成二十七年度に一割を切っている厳しい状況にございます。

 文部科学省としては、私立大学等に通う学生等が経済的な理由で修学を断念することがないよう、授業料減免等の充実を図るとともに、私立大学等が社会や時代のニーズを踏まえた特色ある教育研究を行えるよう、私学助成の確保に努めてまいりたいと考えております。

中野分科員 大臣、ありがとうございます。ぜひお願いをいたします。

 私学という話をさせていただきましたけれども、今回、新しく文部科学省の方で要求をしていただいている予算といたしまして、私立の小中学校に通う特に所得の低い世帯、こういうところに対して、今まで支援というものが抜け落ちているような状況であったかというふうに思います。今回の来年度の要求で、そうした部分についても一部支援をする、こういうことが、予算の要求がされております。

 この予算の要求の過程でさまざまな議論がございましたことは私も承知をしておりまして、私立ということなので、もし負担が大きいのであれば公立に行けばいいのではないかとか、いろいろな声があったことも事実でございます。しかし、他方で、実際にヒアリングをしてまいりますと、やはりやむにやまれぬ事情で行かれているようなケースというのも、そういうお声もいただいているところでございます。

 今回の制度が、仕組みとしては恒久的な補助制度という形にはなっておらず、時限的な措置のような形なのかなというふうに、今回の予算を拝見させていただいて感じております。これは、実態の調査等々を踏まえてしっかりやっていただきまして、安定した制度として今後ぜひ確立をさせていっていただきたい、このように思いますけれども、文部科学省の答弁を求めます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねのこの事業につきましては、年収四百万円未満の世帯に属する児童生徒につきまして、年額十万円の授業料負担軽減を行いつつ、義務教育において私立学校を選択している理由、家庭の経済状況などにつきまして実態把握のための調査を行うために必要な経費として、新たに十二億円を二十九年度予算案に計上しているところでございます。

 委員御指摘のとおり、この事業は実証事業でございまして、平成二十九年度から三十三年度まで五年間の事業ということで実施をする予定でございますが、私どもとしては、実態把握のための調査結果を踏まえまして、できる限り恒久的な制度にすべく努力してまいりたいと考えております。

中野分科員 恒久的な制度にできるようにということでしっかり答弁いただきましたので、この予算の執行を踏まえて、また制度化をぜひしていただければと重ねてお願いを申し上げます。

 私の方から、いじめ対策についても質問をさせていただきます。

 いじめ防止対策推進法が成立して三年以上もう経過をいたしました。私も、この法律制定のときの議論に当初から参画をさせていただきまして、やっておりますけれども、大変残念なことではございますけれども、いじめを苦に生徒がみずから命を絶つ大変に残念な事案というのは、しかし引き続き続いておるわけでございまして、これはしっかり対策をしないといけない、このように思いを強くしているところでございます。

 特に、昨年は、これは横浜だったかと思いますけれども、福島県出身の、避難をしている、こういうことでいじめがあった、こういうようにも報道等でございました。私、先日福島県にも行ってまいりました。復興の特別委員会の方にもずっと所属をしておりますので、よく福島は行かせていただくんですけれども、やはり、福島県としても非常に苦慮されておられて、これは全国的にしっかり対応していただくしかない、文科省に音頭をとっていただいてぜひとも対応をお願いしたい、こういうお話も伺ってきたところでございます。

 今回、福島の特別措置法の方が改正をされまして、いじめ対策ということについては、特にそういう条文も新たに設けるということで、しっかりと全省庁挙げてやっていく、こういうことだとは思いますけれども、原子力災害からの避難に関連したいじめについて今後どのように対応していくのか、これについて答弁をいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 全国で原子力発電所事故により避難している児童生徒がいじめに遭うという事案が発生していることを受け、文部科学省といたしましては、昨年十二月、被災児童生徒を受け入れる学校に対して、改めて対応を求める通知を発出いたしました。

 この通知におきましては、各学校におきまして、原発事故の避難者である児童生徒を含め、被災児童生徒がいじめを受けていないかどうか確認を行い、いじめがあると把握した場合は直ちに対応を行うこと、いまだ故郷に帰れず不安の中過ごしている被災児童生徒に対して、心のケアなど日常的に格別の配慮を行うこと、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけるとともに、理解を深めることができるよう、放射線副読本等の活用を含め、放射線に関する教育の充実に努めることなどの対応を求めているところでございます。

 また、現在、いじめの防止等のための基本方針において、原子力発電所事故の避難者である児童生徒に対するいじめの未然防止、早期発見を明記すべく、今年度中の改定を目指しておりまして、今後、各学校における取り組みを一層促していきたいと思っております。

 文部科学省といたしましては、引き続き、原子力発電所事故の避難者である児童生徒に対するいじめについて、各教育委員会に対し必要な指導助言を行ってまいります。

中野分科員 ぜひともよろしくお願いをいたします。

 続きまして、少し話題はかわりますけれども、ブラックバイト、最近よく報道等でも出てくる言葉にもなってまいりましたけれども、これは実は、私が公明党の学生局という組織に所属をしておりまして、現役の高校生、大学生、十八歳選挙権ということもございましたのでいろいろなお声を伺ったときに、こういう事案があるんじゃないかということでいろいろお声をいただきました。これは国の方に、厚生労働省の方で実態調査をしていただきまして、高校生、大学生それぞれ、アルバイトの実態ということでやっていただいております。

 そうしますと、やはり、高校生、大学生のアルバイト、書面で条件が通知をされていないですとか、基本的な労働法令に違反している事例というのが極めて多うございまして、特に、業界としてもある程度、飲食であるとか学習塾であるとか、そういった高校生、大学生のアルバイトが多い業界に対して個別にお願いをしているところでもございます。

 具体的な事案を個々に伺いますと、やはり、例えば、大学生の方がアルバイトでシフトに入って、飲食業とかですと、もうほとんど普通の社員と変わらないような、店をあけるところから、仕込みもやって、レジもクローズもして、閉めるところまでやってということで、学生のアルバイトがいないと全く事業として回らない、こういうような状態で、そうすると本人もやめられないわけでございまして、就職活動があってもテストがあっても、店長さんも必死でございますので、これは絶対に、シフトを抜けられると困る、損害賠償を要求するぞ、こういうふうにいろいろ言われたりして、そうして精神的に少し参ってしまったり、あるいは、学業であるとか就職活動であるとか、学生としてのある意味果たすべきものができなくなってしまったりとか、そういう事案というものも聞いております。

 やはり、こうした労働法令も含めて、学生側にも、あるいは高校生にも、こういう法律で、もちろんそういう要求というのは無効であるものもかなり多いものでございますけれども、過去のこうした事例、どう対処をすればいいか、こういうものを教えていかないといけないんじゃないかな、そうしないと守れないのではないか、このように思います。

 そうした教育の充実、これは例えば私の地元では、社労士会のような、そういった外部の人たちも出前講座のような形でやっておられたり、さまざまございますけれども、そうしたものの活用も含めて、こういう教育の充実をぜひ図っていっていただきたい、このように思いますけれども、答弁いただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 高校生や大学生がアルバイトをする際、労働基準法違反などのトラブルに巻き込まれないように、高校や大学等において労働関係法規や労働者の権利に関する理解の促進を図ることが重要と考えております。

 そのため、高等学校におきましては、学習指導要領に基づき、公民科において労働問題について考えさせるなどの指導を行うとともに、文部科学省といたしましても、厚生労働省と連携しながら、働くときのルールなどを取り上げたハンドブックや、アルバイトトラブルQアンドAリーフレットの活用、それから、生徒や教員に対して労働関係法規の講義を行うための都道府県労働局による講師の派遣といった取り組みを進めているところでございます。

 また、大学等に関しましても、各大学において、都道府県労働局職員など専門的人材を活用し労働法制やアルバイトにおけるトラブル事例とその対応を学生に教えるセミナーなどの実施、日本学生支援機構が厚生労働省と連携し、学生支援担当教職員を対象とした学生アルバイト問題への対応に関するセミナーの開催といった取り組みが行われております。

 今後とも、アルバイトで働く高校生や大学生の適正な労働条件の確保に資するよう、文部科学省といたしましては、厚生労働省と連携しながら、労働関係法規に関する理解の促進を図ってまいりたいと考えております。

中野分科員 最後に、余り時間もありませんので簡潔に、フリースクールに関連して一問だけ質問をさせていただきます。

 私も、教育機会確保法、フリースクールあるいは夜間中学、こうしたものを支援していく、この議員立法の、議連のメンバーとしてかかわらせていただきまして、いよいよ、成立もしまして、関連の予算も措置されている、こういう状況でございます。

 しかし、残念ながら、予算についても、私は今週もフリースクールに行ってまいりましたけれども、少し使い勝手が悪いというお声もあったり、あるいは、教育委員会との連携も含めてこの制度構築というのをいよいよこれからやっていかないといけない、こういう状況でございまして、新しい制度が始まりましたもので、来年度の予算での支援も含めてしっかりとこの施行というものに遺漏なきよう対応していただきたい、このように思いますので、最後に簡潔に答弁いただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月に成立いたしましたいわゆる教育機会確保法の基本理念におきまして、国、地方公共団体とフリースクールなどの民間団体との適切な連携のもと、教育機会の確保に関する施策を行うべき旨が定められております。

 また、今月、文部科学省に設置しておりますフリースクール等に関する検討会議におきましても、教育委員会、学校とフリースクールなどの民間団体との連携による支援の充実についての提言がまとめられたところでございます。

 他方、今年度実施しておりますフリースクールで学ぶ児童生徒への支援事業についてでございますが、これは五つの自治体でしか実施されておらず、教育委員会とフリースクールとの連携強化につきましては大きな課題があるというふうに認識をしております。

 したがいまして、文科省といたしましては、来年度予算案において計上している教育委員会とフリースクールとの連携事業につきまして、委託先となる自治体に対して十分な周知を行い積極的な申請を促すこととしているほか、両者の連携における現下の課題を検証して、関係者の意見も踏まえつつ、必要な事業の見直しを行ってまいりたいと考えております。

中野分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

國場主査代理 これにて中野洋昌君の質疑は終了いたしました。

    〔國場主査代理退席、主査着席〕

大串主査 次に、椎木保君。

椎木分科員 日本維新の会の椎木保です。

 まず初めに、天下り問題について質問させていただきます。

 文部科学省による再就職あっせん問題については、二十一日に公表された中間報告により概要が明らかとなりました。

 新聞の見出しを読みますと、「他省職員をあっせんの疑い」、「違法天下り 新たに二十件弱」、「「出向」の名で「天下り」か」、「天下り「引き継ぎ書」」などという文字が躍っております。今さらながら、ゆゆしき事態であると言わざるを得ません。

 私は、二月七日に行われた本委員会で、天下りを根絶する制度を早急に確立すべきと御提案させていただきました。

 日本維新の会として、さきの国会でも提出しておりますが、天下りを全面的に禁止する国家公務員法改正案を議員立法として再度提出してまいります。各党各会派に改めて審議入りをお願いしてまいりますが、場合によっては、政府として天下りの根絶の決意を示す意味でも、閣法として出されてはいかがかと思います。

 我々は議員立法にこだわるものではありませんし、ぜひ一緒に取り組んでいきたいと考えますが、松野大臣の御認識をお願いします。

松野国務大臣 今回の再就職等規制違反に関しましては、国民の文部科学行政に対する信頼を著しく損ねるものであり、省を挙げて猛省をしているところであります。

 また、私のもとで調査班を設置して、昨日、中間報告を発表させていただきましたが、引き続き全容解明をし、そして厳正な処分をして、再発防止策を構築してまいりたいと考えております。

 委員の御指摘の点でございますけれども、二月七日の予算委員会における委員と総理、山本大臣との質疑応答については承知をしております。私としても、まずは文部科学省が引き起こした再就職問題の全容解明、再発防止ということに全力を尽くす立場でございますが、政府全体の対策がとられる場合には、山本大臣を初め関係閣僚に協力をしてまいりたいと考えております。

椎木分科員 これは所管は山本幸三国家公務員制度担当大臣、それは承知した上で松野大臣には質問させていただきましたけれども、今調査中の段階ではありますけれども、常に松野大臣が強いリーダーシップを発揮してしっかり調査をしていただいて、また、しっかりとした中間報告もいただいている、これについては本当に私たちも信頼をしています。

 加えて、一言つけ加えさせていただくとすると、さきの予算委員会で私の質問に対して山本幸三大臣が、大阪府、大阪市の先進事例も調べていただきたいという私の問いに対して、調べますと。何を申し上げたいかというと、ぜひとも、大阪府、大阪市の職員条例の制定で天下りが根絶できた、この中身のいいものを今後の最終的な調査結果が出た段階でぜひ参考に、あるいは取り入れていただいて、そして一緒にさらなるいいものをつくっていきたい、そういう趣旨で質問させていただいていますので、最終結果が出ましたら、しっかりとした対応を改めてお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 学校図書館に関して質問いたします。

 平成五年に学校図書館図書標準が設定されました。当時の文部省初等中等教育局長名で各都道府県教育委員会教育長宛てに通知された文書には、「学校図書館は、児童生徒の知的活動を増進し、人間形成や情操を養う上で、学校教育上重要な役割を担っております。特に、今日、社会の情報化が進展する中で、多くの情報の中から児童生徒が自ら必要な情報を収集・選択し、活用する能力を育てることが求められている一方で、児童生徒の読書離れが指摘されており、学校図書館の果たす役割が一層大きなものとなっております。」、以上のように書かれております。児童生徒の活字離れを何とかしなければ、そういう思いがあったのではないかと推察しているところです。

 それまでは義務教育費国庫負担法によって経費負担がなされていましたが、平成五年の法改正に伴って、学校図書に関する経費については地方交付税として措置されることになったと承知しております。学校図書館図書標準に基づき、学校図書館の図書整備のための財源として、平成五年度を初年度とする五カ年計画により五百億円の地方交付税措置がとられました。以来、今日まで途切れることなく予算措置がされてきました。平成五年から平成二十八年までの二十四年間で地方交付税として措置された額は実に四千三百七十五億円になります。

 そこで、お尋ねしますが、現在、この学校図書館図書標準の達成状況はどのようになっていますか。答弁を求めます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の調査によれば、平成二十七年度末におきまして、学校図書館図書標準を達成している学校の割合は、小学校が六六・四%、中学校が五五・三%でございます。

椎木分科員 次に、この学校図書館図書標準が設定されてから二十四年経過しているにもかかわらず、目標がいまだに達成されていない現状についてどのように考えているのか、答弁を求めます。

松野国務大臣 学校図書館の図書につきましては、学校図書館図書標準の達成を目指し、学校図書館図書整備五カ年計画等に基づいて整備の推進を図ってきたところであります。その結果につきましては今事務方の方からお話をさせていただいたとおりでありますが、いまだ図書標準の達成には至っておりません。

 このような状況を踏まえ、平成二十九年度から、新たな五カ年計画に基づき、単年度で約二百二十億円、総額一千百億円の地方財政措置が講じられる予定となっております。新たな計画に基づきまして市町村において図書の整備がより一層進むよう、教育委員会等に対して働きかけを続けてまいりたいと考えております。

椎木分科員 今の松野大臣の答弁にもありましたけれども、この新たな学校図書館整備等五カ年計画に基づいて市町村において図書の整備が一層進むよう、本当にしっかりと教育委員会等に働きかけをお願いしたいと思います。

 続いて、学校図書館図書標準を達成した学校の割合は年々増加していると承知しておりますが、蔵書が十分な水準に達しておらず、古い図書が保有されているケースがあると聞いております。学校図書館図書標準の設定についての局長通達にも、「社会の情報化が進展する中で、多くの情報の中から児童生徒が自ら必要な情報を収集・選択し、活用する能力を育てることが求められている」、以上のようにあるように、学校図書館の図書については、児童生徒が常に社会の変化や学問の進展を踏まえて新しい情報に触れることが重要であると考えます。

 冊数をふやすことも必要ですが、図書の更新についてはどのように考えているのか、答弁を求めます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 学校図書館の図書につきましては、委員御指摘のとおり、刊行後、時間の経過とともに誤った情報を記載していたりする場合もあると承知しておりまして、児童生徒にとって正しい情報に触れる環境の整備等の観点から適切な図書の更新が必要と考えております。

 このようなことから、平成二十九年度からの新たな学校図書館図書整備等五カ年計画に基づく地方財政措置におきましては、図書の更新に係る経費についてこれまで以上に充実した措置を講じる予定としております。

 具体的には、今年度までの第四次五カ年計画では更新冊数分は単年度で約百十四億円でございましたが、来年度からの第五次五カ年計画では更新冊数分が単年度で約百五十五億円と大幅にふやしているということでございます。

椎木分科員 次の質問に入ります。

 それぞれの自治体によってさまざまな事情があるとは思いますけれども、図書整備のために措置されている地方交付税、これに罰則がないからといって、他に流用し図書整備を後回しにするといったことについては、私も個人的には若干これは問題ありという認識でおります。

 この学校図書館図書標準を達成するために、それぞれの自治体に対してどのように促していくお考えなのか、答弁を求めます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 学校図書館図書整備等五カ年計画に基づく地方財政措置につきましては、まさに委員御指摘のとおり、市町村において予算化されることによって初めて図書の整備が進むものでございます。

 文部科学省といたしましては、市町村において図書の整備が進むように、図書整備の重要性について周知するとともに、図書標準を達成している自治体名の公表などによって一層の整備を促してきたところでございます。昨年末には新たな学校図書館ガイドラインを策定いたしまして、図書整備の重要性等について改めて理解の促進を図ったところであります。

 今後とも、自治体関係者への働きかけや、広く一般に向けた広報活動を通じて、理解の増進を図っていきたいと考えております。

椎木分科員 淡々とした答弁なので、非常にテンポよく進んでいますけれども。

 これは、私も地方自治体の教育委員会で勤めていたので、本当に実際現場でやらせていただいていましたけれども、地方交付税だからといって、学校図書に予算が充てられない自治体というのは、残念ながらあるんですね。これは法的な制約がありませんので、国としても大変、指導まで至らないというのが現実な話だと思います。

 ただ、これは実際に、やはり市町村、首長によってはしっかりと学校図書を整備されて、これが非常に単純明快に、そういう学校図書にしっかりと財源を充てて整備されている学校はやはり非常に学力が伸びるんですね。

 だから、そういった、取り組めば取り組むほど非常に学力に成果の上がる、それが一応私の今までの経験上のお話なんですけれども、そういった先進的な取り組みとか、そういう費用対効果、これはなかなか教育というのは費用対効果というのは出ないと思うんですよね、時間のかかるものだ、だけれども、この事業に関しては非常に効果が出やすいというのが私の今までの経験上のお話なんです。

 そういう意味で、局長の方からいろいろ各自治体に促していくというお話がありましたけれども、これまでとかあるいはこれから具体的にどういう促しを考えていらっしゃるのか、その辺をちょっとお聞かせいただければと思うんです。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、学校図書の整備につきましては、地方財政措置、地方交付税措置ということでございまして、国庫補助あるいは国庫負担のような形とは異なりまして使い道が結果的には自由な部分があるということで、なかなか整備が進まないということで歯がゆい思いをしているのは、私も委員と同じ思いでございます。

 そういった中で、できるだけ、先ほど御説明申し上げましたとおり、既に図書標準を達成している自治体名を公表するということで、まだ達成していないところとの差別化を図り、まだ達成できていないところに対して、より一層のきめ細かな指導を文部科学省としてもしていくということを考えておりますし、また、この件につきましては、超党派の議連、河村建夫先生が会長をやられている議連がございまして、そことの連携もとりながら、役所として一生懸命、一層の達成に向けて努力をしていきたいと思っております。

椎木分科員 この質問の趣旨は、私の地元の保護者の皆様から、やはり、どうしても学校図書の整備に対して満足いかない、御要望が数ありまして、国として何とかできないものかと。私も、今の局長の御答弁のとおり、何とかしたくても何とかできない状況の説明はするんですけれども、やはり一般の市民の皆様や保護者の皆様にはなかなか上手に理解を得られない。そういう意味で、きょう、こういった質問の機会をいただいて、保護者の声、あるいは地域の子育てに一生懸命御尽力されている皆さんの声、そういう思いを代弁して今質問させていただいたところなんです。

 本当に、私も、地方自治の経験上、余り努力義務というのは、あっても全くないようなものだという認識しかなかったんですけれども、事この事業に関しては、本当にできることであれば努力義務を課せるような、今後そういった方向に進んでいければいいなというふうに個人的には思っております。

 局長の答弁、るるいただきましたけれども、できるだけその先進事例、効果の上がっている市町村のそういうPRをしながら、これは本当に子供のためですから、何とか文科省として、今も努力されていることについては本当に敬意は表していますけれども、さらなるそういった周知徹底ができるような工夫をしていただければと思いますので、これについては改めて切にお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 学校司書の学校図書館への配置についてお聞きします。

 平成二十六年六月の学校図書館法の改正により、学校図書館の運営の改善、向上を図り、児童または生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため、学校司書を置くよう努めるものとされております。

 学校司書の学校図書館への配置拡充が必要との観点から、平成二十八年度までは単年度措置であった事業が、計画的な配置を促進するため、新たに五カ年計画に位置づけ、財政規模として五カ年で約一千百億円、これは先ほどの大臣の答弁にもあったと思います、単年度ベースで約二百二十億円、これらを措置することになったと承知しています。

 小中学校における学校司書をおおむね一・五校に一名程度配置することが可能になるとのことですが、各自治体に対しては確実に実施するよう要請していただきたいと思いますが、これについて答弁を求めます。

松野国務大臣 学校司書は、学校図書館を運営していくために必要な専門的、技術的職務に従事するとともに、学校図書館を活用した授業やその他の教育活動を司書教諭や教員とともに進めるものであります。

 学校司書については、その配置の充実が図られるよう、これまでも、学校図書館広報リーフレットの作成、配付等を通じて、学校図書館に、専らその職務に従事する職員を置くことの重要性の周知を図ってきたほか、平成二十九年度からの学校図書館図書整備等五カ年計画においての予算措置等は委員の方から御紹介をいただいたとおりであります。

 今後とも、各種会議の場を通じた自治体関係者に対する働きかけ、学校司書の配置による効果的な取り組み事例の紹介などを通じ、学校司書の配置の充実を促してまいります。

椎木分科員 これもやはり、私は地方の教育委員会に通算で十三年勤務していましたので、非常に長い経験年数だと自分でも思うんですけれども、そういう中で、非常に教育の効果といいますか、これがあらわれたのはやはり図書館司書なんですね。やはり図書館司書を置いている学校については子供たちが図書館に足を運ぶ機会が非常に多い、まずこれが一点。

 もう一点は、子供たちが調べ学習をするのに非常に適時適切に司書の先生のサポートがありますから、やはりどんどんどんどん子供たちが興味を増して本になれ親しむといいますか、ですから、図書館司書というのは本当に子供たちの教育にとっては効果的な、成果が上がりやすい。これも先ほどのお話と同様です。

 さらに、今、政府もそうですし我が党も教育の無償化についてるる検討していますけれども、やはり、家庭の経済事情によっては思うような本がなかなか購入できない。だから、学校の図書館にしっかりと整備されていて、またそれを司書の先生からいろいろ指導される、そういう中で、やはり子供の心も育めますし、学業に対する、勉強に対する向上心も非常に生まれてくる。

 本当にそういう心の教育、ケア、そういったものにも非常につながりやすい事業であったと今でも本当に感じておりますので、その辺の、先ほどの局長にもお願いした内容と同様に、そういった図書館司書をしっかり配置してその成果の上がっている自治体なり学校、こういったものはぜひ何らかの機会に調べていただいて、そういうものを全国的にどんどん広めていただいて、どこの学校に通う子供たちであっても同じような、司書が配置されていて学校図書が整備されている、その中で子供たちが伸び伸びすくすく成長していく、勉強できる、そういう機会、環境をしっかりつくっていただきたいと思いますので、この点については、お願いになりますけれども、文科省の方で、局長の方、しっかり機会を見て、できるだけそういった啓発といいますか促しをお願いしたいと思います。

 本当に自信を持ってここで私も断言できるぐらい、非常に子供たちにも喜ばれるものですし、子供たちの安心といいますか、そういうものにもつながる、成果があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 放課後子供居場所づくりについてお聞きします。

 私の地元である大阪市東住吉区に、特定非営利活動法人ハートフレンドというNPO法人があります。「子どもの居場所づくりに関する事業や子どもの基礎学力向上のための事業を行うことで、社会教育の推進及び子どもの健全育成を図る。また、地域の大人と子どもの信頼関係を育み、地域を愛する心を育てるために、子どもの体験事業を行い、地域の保健・福祉を推進していく。そして、地域ぐるみで子育てをしていく活動を推進していき、」「高齢者に対しては、認知症防止や介護支援事業を実施する等、地域における出産から高齢者までの総合的な共生福祉のまちづくり、及び地域の安全・安心のまちづくりを推進していく」、こういった目的を持って活動しております。その独自の取り組みが高く評価され、さまざまな賞を受賞されております。

 このような真摯な活動を行っているNPO団体は、全国各地域にたくさんあると思います。それぞれの地域で頑張っているNPO団体等がこれからも継続して活動できるよう、国としてどのような支援を行っていこうと考えているのか、答弁を求めます。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 子供の地域での居場所づくりは、学校と地域が連携、協働いたしまして、社会総がかりで取り組むことが重要であると考えております。

 これに向けて、各地でNPOが活躍いただいているわけでございますが、文部科学省といたしましては、このために、NPO等を含む地域の関係機関と学校との連携、協働によります事業について必要な経費を支援しております。

 具体的には、放課後における小学生の教育プログラムであります放課後子供教室、また、学習がおくれがちな中高校生に対する学習支援であります地域未来塾、また、外部人材を活用しました土曜日の教育支援、こうした事業を実施するために必要な経費を支援しておりまして、地域においてこれを活用して、NPO等が参画して実施していただいている例も多数ございます。

 例を挙げさせていただきますと、例えば、東京都の文京区では、放課後子供教室の例といたしまして、放課後に地域住民の方々を市民先生として招いて多様な教育プログラムを実施しておりましたり、また、地域未来塾の例としては、東京都江戸川区で、中高生を対象にして地域の大学生の協力を得て、いわゆる斜めの関係を生かした学習支援をしたり、あるいは、土曜日の教育活動の例としては、岡山県の勝央町では、地域住民や保護者の協力を得ました冒険遊び場づくりを土曜日に実施するといったような事例がございまして、それぞれにNPOが参画していただいているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、子供の居場所づくりに関する事業につきまして、NPO等が活用できるように支援してまいりたいと考えております。

椎木分科員 今、有松局長の方から御答弁いただきましたけれども、今私が御紹介した大阪市東住吉区のNPO法人ハートフレンド、この代表の方が言われていましたけれども、これは以前はモデル事業で委託事業だったんですね。それが今、都道府県、政令市、市町村で補助事業になっている。委託事業のときに、本当に国に大変お世話になりました、大変地域の子供たちにとってプラスなといいますか手厚い対応ができる、そういった、国のこの事業については本当に感謝しているということを繰り返し申していましたので、それを、この機会をおかりしてお伝えさせていただきたいと思います。

 真面目に真摯に活動しているNPO法人の力というのは、やはり子供たちにとっても地域にとっても大変必要不可欠だと思うんです。ですから、これからまたいろいろな新規事業等々出てくると思いますけれども、その際には、こういった、真面目に真摯に活動されるNPO法人に対しての国からの支援ということを一つの柱に置いていただいて、新規事業の際にはそういった国の支援を検討していただければと思いますので、これも私からのお願いになりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 最後の質問になります。

 放課後における教育活動を推進していくためには、地域住民と学校との連携、協働が大変重要であると思います。文科省としてこの点についてどのようにお考えなのか、答弁を求めます。

松野国務大臣 近年、子供を取り巻く環境が大きく変化をし、複雑多様化する課題に対応するためには、地域と学校が連携、協働し、社会総がかりによる教育を実現することが重要であると認識をしております。

 このため、文部科学省としまして、地域と学校がパートナーとして連携、協働し、地域全体で子供たちの成長を支え、地域を創生する地域学校協働活動を積極的に推進しているところであります。平成二十九年度予算においては、地域学校協働活動を推進するため、地域と学校をつなぐコーディネーターの配置や、放課後や土曜日等における学習支援について所要の経費を計上しているほか、地域住民との連携、協働による学校運営の改善を図ることを含めた法案を今国会に提出させていただいています。

 文部科学省としましては、これらを通じ、地域全体で未来を担う子供たちの成長を支えてまいりたいと考えております。

椎木分科員 松野大臣から、本当にすばらしいといいますか、本当にありがたい答弁をいただいたと思っております。やはり、現場の教師、そして各市町村教育委員会の行政職員、当然保護者も含めて、本当に文部科学行政に対しての信頼というのは厚いと思います。

 私も、教師のときもそうですし、教育委員会職員のときもそうです、やはり、文部科学省の指導のもと、しっかりと教育行政にかかわってこられたと思っています。その指導をしっかりいただいた文部科学省の皆さんと、引き続き、この文部科学行政、できるだけ全ての子供たちに、充実した、有意義な教育の機会、そういったものを確保していきたいと思っていますので、私も、党として、また一議員として、文部科学行政にできるだけ真摯に精いっぱいかかわってまいりたいと思いますので、松野大臣初め文部科学省の皆さんともしっかり力を合わせていきたいと思いますので、引き続き、子供たちのために、文部科学行政、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 若干早いですけれども、質問を終わります。ありがとうございました。

大串主査 これにて椎木保君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)分科員 日本共産党の斉藤和子です。

 まず初めに、天下り問題で中間報告が出され、菅官房長官からも、教育行政をつかさどる省庁として決してあってはならないことで極めて問題だというふうな会見での言葉もありました。悪い意味で文科省が注目されている、こういうときだからこそ、教育現場の声を真摯にぜひ受けとめていただきたいということを初めに強調して、質問に入らせていただきます。

 学校現場の現状、特に、教育に穴があくという問題、教員未配置とも言われますけれども、この問題について質問いたします。

 義務教育の学級編制と教職員定数の標準を定めたものに、義務標準法があります。その第一条には、「この法律は、公立の義務教育諸学校に関し、学級規模と教職員の配置の適正化を図るため、学級編制及び教職員定数の標準について必要な事項を定め、もつて義務教育水準の維持向上に資することを目的とする。」というふうにあります。

 この義務標準法の位置づけ、そして法の趣旨を明らかにしてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のいわゆる義務標準法でございますが、教職員の給与費を負担する都道府県に対しまして学級編制及び教職員定数の標準を示すものでありまして、また、義務教育費国庫負担金の算定上の基礎となるものでございます。

 具体的な教職員定数及びその配当につきましては、給与負担者である都道府県教育委員会が定めることとなっております。

斉藤(和)分科員 義務教育の標準を定めたものだと。教育の機会均等と義務教育の水準を維持する上でこれを義務教育の標準として定めているということですから、最低ラインともいうふうにもとれると思います、標準。

 一九八〇年にこの義務標準法は四十人学級になって以降、二〇一一年度から小学校一年生のみ三十五人学級が実施されましたが、実に三十一年ぶりの改正でした。時代の要請からいっても、これを標準とすることは率直に言って不十分であり、早急に三十五人学級にすることが求められていることを強調した上で、お配りしています資料をごらんいただきたいんです。

 これは、公立小中学校の教員定数の標準に占める正規職員の割合を示した文部科学省の資料です。これを見ますと、平成二十八年五月一日現在の教員定数の一〇〇%が正規になっているのは東京都のみです。九〇%を割り込んでいる県は七県あります。八年前の平成二十年と比較しますと、平成二十年段階では三県だったものですから、この八年間で非正規教員がふえている県が目立っているという現状です。

 この現状に対して、大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。

松野国務大臣 いわゆる非正規教員は、さまざまな教育課題への対応などに重要な役割を担っている一方で、勤務時間や任用期間の都合により、児童生徒への継続的な指導や、教職間、地域や保護者との連携に制約が生じるといった懸念や、雇用が安定せず、正規職員と同じ処遇が保障されていないなどの課題もあると考えております。

 具体の教員配置は任命権者である教育委員会が適切に行うべきものでありますが、教育の機会均等や教育水準の維持向上等を図る観点から、可能な限り正規教員が配置されることが望ましいと考えております。

 二十九年度予算において、これまで予算の範囲内で措置してきた加配定数の一部を、義務標準法の改正により新たに基礎定数化を行うこととしており、地方自治体における安定的、計画的な採用、研修、配置につながるものと考えております。

斉藤(和)分科員 教育の機会均等からいっても正規教員の配置が望ましいという御答弁がありました。それは国民の共通する思いだというふうに感じております。

 しかし、実際は非正規教員がふえている実態がある。振り返ってみますと、二〇〇〇年以前の臨時教職員の配置というのは、産休、育休、病休などの代替と、限定的なものでした。それが、二〇〇一年の定数崩しと言われる義務標準法の改正で、正規教員の定数を複数の非常勤講師に分割、換算して人件費の節約ができるような方向が持ち込まれました。例えば、一日八時間の常勤教員を一日四時間の二人の非常勤教員に振りかえることができるわけです。

 さらに、二〇〇四年、総額裁量制が導入されて、これは義務教育国庫負担金の総額の範囲内で、給与額や教職員配置に関する地方の裁量を大幅に拡大する仕組みであるというふうに言われてきました。

 それが、さらに二〇〇六年には、国庫負担率が二分の一から三分の一に引き下げられて、地方の裁量がさらに拡大されました。しかも、残りの三分の二は交付税措置ですから、これはここに使ってくださいというような色はついていない。その結果、非正規教員の拡大につながるのは当然のことではないかということは、当時から指摘をされていました。

 国は、正規教員が望ましいと、大臣も御答弁されましたけれども、言いながら、やってきたことを振り返ると、非正規教員を拡大するような仕組みをつくってきたのではないか。その責任は重大だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 平成十三年の学級編制の弾力化及び平成十六年度総額裁量制の導入に伴い、教職員配置について地方の自由度が高まった結果、例えば地方独自の少人数学級が一層進められたものと考えております。

 また、いわゆる三位一体の改革において、義務教育費国庫負担金の負担割合は二分の一から三分の一となりましたが、国と地方の負担により、義務教育の教職員給与費の全額を保障するという義務教育費国庫負担制度は堅持されており、引き続き教育の機会均等や水準維持は図られているものと考えております。

斉藤(和)分科員 地方の自由度が高まったということで、各地では三十五人学級を既にやっているところが多いわけです。だからこそ、国がしっかりと三十五人にしていくということも逆に言えば求められているということも私は言えると思います。

 ただ、確かに教員の給与の枠は定められている、確保されていると言うけれども、地方が財政困難になれば、やはり、安上がりの臨時教職、言い方は悪いですけれども、非正規になっていく方向性というのは、現にこの文部科学省が出している表からも出ているわけですね。

 臨時教職員の皆さんというのは、非常に多くの矛盾を抱えながら頑張っていらっしゃいます。先ほども大臣から御答弁ありましたが、こういう声を聞きました。

 教員採用試験に落ちたのに、教壇に立って正規教員と同じように生徒たちに教える。部活も校務分掌も、学級担任までやる。採用試験に合格すれば、初任研もあって、担当の先生もつく。しかし、落ちた自分には誰もつかず、いきなり生徒と向き合わなければいけない。しかも、翌年採用試験を受けてまた落ちれば、一体自分は何なのか、そんな自分が子供たちを教えていいのか。こういう自己矛盾を常に持ちながら教壇に立って、子供のためにと踏ん張っていらっしゃるわけです。しかも、来年自分はどうなるか、そういう不安も常につきまとう。

 こういう先生たちの、毎年不安がある、そして、そういう不安を抱えている先生に教えられている子供たちや、毎年先生がかわることに対する、継続性の中で、本当に子供の教育を維持、担保できるのかというところは、やはり真剣に文科省としても考えていかなければいけないんではないかというふうに思うわけです。

 その点で、正規雇用を拡大していくことが一番大事なわけですけれども、財政的な裏づけをやはり文科省としてもしていく必要がある。総額裁量制や国庫負担を三分の一に引き下げられて地方の裁量をふやした、そういう中で三十五人学級を実現している、踏ん張っていらっしゃる自治体もある。しかし、その一方で、非正規をふやさざるを得ないような状況もある。

 地方の裁量が大きくなった分、逆に言えば、財政力やその地方の姿勢によって教育に地域間格差が持ち込まれているというふうにも言えると思いますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 総額裁量制導入直後である平成十七年度と平成二十七年度を比較すると、教員の定数に対する実配置数の割合はほとんど変化をしておらず、地域間の格差が広がっているとは認識をしておりません。

斉藤(和)分科員 実配置数は変わっていないけれども、その中で非正規がふえているというのが一番最初に示した資料ですから、それに対してしっかりとやはり地方の声も聞く必要があるというふうに思うわけです。教員の財政措置に対する地方の裁量をふやすのではなくて、国の責任をしっかり果たしていくということが私は求められているということを強調したいと思います。

 しかも、問題なのは、非正規教員がふえているということにとどまりません。産休、育休、病休などの代替教員が見つからないという事態が起こっています。国の義務標準法の定数さえ割り込み、全ての授業を担任の先生が受け持っている、学級担任というのは小学校では非常に多くの授業、全てを持っているわけですけれども、そこに担任が置けないという事態まで起こっています。

 大臣、この教育の、代替が置けずに未配置になっているという現状をつかんでいらっしゃるでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点につきましては、確かに私どもとしては、例えば、今年度千葉県におきまして、教員が病休等のために、それに対応するための代替教員が見つからない、こういった事例があることは文部科学省としても承知しているところでございます。

斉藤(和)分科員 千葉県の事例がありましたので、ちょっとそれは後で御紹介したいと思うんですけれども、ここで、なぜそういう本来いるべき学級担任が置けないような困難な状況が置かれているのか。私は、そもそもの基準が少ないのではないかというふうに思うわけです。

 お配りしたもう一つの資料も文部科学省からもらった資料ですけれども、学校規模別教職員配置の標準(例)というのがございます。

 これを見ますと、小学校では、一年生から六年生まで、例えば全て三クラスだった十八学級には、校長先生、教頭、学級担任以外にいる先生は二・六人、教諭数でいえば全体で二十・六人になります。対して、中学校は十八学級で三十人になっているんです。中学校が十分とはもちろん到底言えませんし、教科ごとに先生がつく中学校と単純に比較することもできません。しかし、それにしても、余りにも小学校の教員の配置に余裕がなさ過ぎると思うんです。

 小学校は学級担任が全ての授業を受け持つわけですから、休む暇が、息を抜く暇がない。低学年の担任や、多動の子などがいればトイレにも行けない。せめて音楽の授業ぐらい専科の先生にやってもらえたら少しは息が抜けるのにとか、フォローしてくれる人が欲しい、これは余りにもささやかな現場からの要求だと思うんです。

 大臣、この教員配置の標準で十分だというふうにお考えでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が配付されております学校規模別教職員配置の標準の資料でございますが、これは、いわゆる義務標準法に基づき教職員を配置する場合の具体例を文部科学省としてお示ししているものでございます。したがいまして、各学校における教職員の配置につきましては、給与負担者である各都道府県教育委員会において適切に行われるべきものと考えている次第でございます。

斉藤(和)分科員 適切に各都道府県でと言うんですけれども、財政措置でやられている標準はこれなわけですね。これに対して十分だというふうな見解を文科省が持っているとしたら、私はより深刻な事態が今後広がると。ここの認識を私は改めていただきたいというふうに思うわけです。

 先ほども御紹介があった千葉県の実態をちょっと御紹介します。

 千葉県のある小学校では、昨年産休に入った先生の、例えばAクラスとします、Aクラスには教務主任が学級担任で入りました。要は、余裕がないからです。

 二月から産休の予定の先生が体調を崩し、早目に休みに入ってしまった。代替教員が来ませんから、教頭や学年のやりくり、つまり、自分が担当しているクラスを自習にして、担任不在のBクラスの授業を何とかやりくりしながら学校現場の人たちがやっている。

 それが、ことしに入って別の先生が新たに産休に入ってしまって、この新たなCクラスは音楽の先生に担任をやってもらっている。担任不在のCクラスは、一月から講師の代替がやっと来たんだけれども、経験がなかったために体調を崩して来られなくなって、結局、あいた状態になってしまった。

 さすがにこれ以上学級進度に差がつくのはまずいということで、苦肉の策で、担任不在のBクラスを二クラスに分けて、本来三クラスを五十四人と五十三人の二クラスにして授業をやらざるを得なかったと。その期間は非常に短いもので、すぐ代替の教員が見つかって、もとの三クラスに分けて授業を行ったようですけれども、別の学校でも、数カ月間代替教員が見つからずに加配の先生に担任をやってもらっているというようなこともお聞きしました。

 こうした余裕のない定数配置の中で、学校現場で、担任不在、定数を割る、教育に穴があくといった実態が起こっております。大臣、どういうふうにごらんになっていらっしゃるでしょうか。

松野国務大臣 まず、委員が例示をいただいた千葉県の例で、教員の病気、出産等に対応するための代替教員も見つからないといった事例が生じていることは承知をしております。

 また、千葉県の教育委員会において、こうした教員未配置に係る対応として、広報紙やホームページに講師募集について掲載し、広く周知をしていること、大学での説明会において講師制度を広く周知すること、教員採用選考の志願書に講師登録への同意欄を設定するなどを実施していると承知しております。

 また、こうした講師登録者の確保に加えて、今後、これまで六十歳以下を対象としていた臨時的任用講師の年齢要件を、新たに平成二十九年四月一日から、六十歳を超える者についても任用することを可能とする措置を実施すると承知をしております。

 文部科学省としては、引き続き、千葉県において、人事上の工夫等により適切に対応し、代替措置が確実に講じられるように努めていただきたいと考えております。

 ただ、冒頭申し上げましたとおり、やはりこれは正規教員が望ましいというのは文部科学省の基本的な考え方でございますし、また、大変複雑化をしている教育現場において、今、教師の皆さんが大変な多忙感をお持ちである、子供たち一人一人に接する時間をもっと確保したいとお考えだということも十分承知をしております。

 その認識のもとに、平成二十九年度において、発達障害がおありのお子さん等の通級指導であったり、日本語指導が必要な子に対する等々、今まで加配で対応していたものを、標準法の改正法案は提案させていただいておりますけれども、その中において、これはきちっと正規職員化をしてやっていくという、今、改善策も提案をさせていただいているところでございますので、これは財源との問題もございますけれども、しっかりとした財源を確保しながら、そういった定数改善の面でもまた確保に向けて努力をしたいと考えております。

斉藤(和)分科員 財源との関係でというお話なんですけれども、やはり国の未来をつくるのは子供たちなわけですから、子供たちに質のいい安定的な教育を行うというところに国が責任を持たなくて誰が責任を持つのか。やはり、国全体としてしっかりと義務教育、子供たちに質を確保し、誰でもが受けられる教育を確保していくということを最大限に、優先的に私はやっていく必要があるというふうに思うわけです。

 千葉県は、現場からの要望で、県教委が未配置の実態調査を始めました。十一月からは、何と未配置になっているのが百人を超えているという状態があります。そのうち、小学校は、一月でいえば七十八人が未配置になっている。産休、育休もありますけれども、療養休暇に入っていて代替が埋められないという方が六十六人いる。

 先ほど大臣からもありましたが、社会が複雑化する中で、学校に求められる役割も非常に大きくなっている。そうした中で、余裕のない教員数の中で先生たちが疲れ切っている。文部科学省の調査でも、精神疾患の病気休職者数は平成十九年度以降五千人前後で推移しているという数字もあります。

 また、年齢構成からいっても、今、現場には四十代がほとんどいない。五十代以上と二十代、三十代の若い先生たちで構成されている、こういう感じになっているわけですね。そういう中で産休、育休がふえていくことは見えるわけで、そこに代替教員が見つからなければ、現場はさらに大変な実態になって、精神疾患へとつながる悪循環になりかねないわけです。

 教員が倒れていくということは、教育を受ける子供の権利を奪っている、教育を受ける権利を奪っているということになります。やはり、国が、一体今現在どれだけこういう未配置の状態があるのか、現場がどんな実態で苦労しているのか、それぞれの県教委がどんな苦労をしているのか、これをしっかりつかむ必要があると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の調査によれば、精神疾患による病気休職者は、委員御指摘のとおり、二十七年度現在約五千名でございまして、これは平成十二年度と比較いたしまして、平成十二年度が二千二百六十二名ということで、倍以上の増加になっているということでございます。

 また、育児休業の取得者についても、二十六年度と比較して二十七年度は二千八百名増の四万人弱ということになっている次第でございます。

 このように、病気休職者あるいは育児休業の取得者数、いずれも増加しているわけでございまして、文部科学省といたしましては、代替教員の必要性がますます高まっているというふうに認識をしております。

 また、委員御指摘のとおり、代替教員が非常に見つかりにくいという状況でございまして、これは非常に問題があると思っております。

 文科省といたしましては、任命権者である各教育委員会におきまして、代替教員が必要となった場合に備えた、例えば先ほど御紹介申し上げた千葉県の事前登録制、こういったことなどの工夫をすることによって、さまざまな人事上の工夫で適切に対応していただき、代替措置が確実に講じられていくことが重要であるというふうに認識をしております。

斉藤(和)分科員 それぞれの都道府県の対応ではどうにもならないから、こういう未配置が起こっているんです。だからこそ、国が本腰を入れて、どこまで大変な状況になっているのかを調査して、それに見合う対策を打たなければ、子供の教育を受ける権利が奪われかねない。さらに深刻になる。

 ぜひ、大臣、もっともっと現場の実態、こうした未配置、調べる必要があると思いますが、実態をつかむ必要があると思いますが、いかがですか、大臣。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、子供たちに適切に教育を行う観点から、適切な代替措置が講じられることが極めて重要であるというふうに認識をしております。

 任命権者である各教育委員会がその権限と責任において適切に対応するよう、文部科学省といたしましては、各教育委員会ときちんと情報を共有しながら、今後とも指導して対応してまいりたいと考えております。

斉藤(和)分科員 情報を共有しながらというお話がありましたので、ぜひ綿密に情報を共有し、やはり未配置になっている現状に対して、任命権者に任せるだけではどうにもならない。やはりしっかりと教員の必要性、複雑化している中で教育現場が大変になっているという御認識、ありました。だからこそ、教員の定数をふやしていくという、国全体で日本の教育をどうしていくのか、やはり子供たちの義務教育をしっかり確保する、そのためには、教育をするのは教員です、そのための確保をしっかりとやっていくという、国全体が本腰を入れていく、このことを強調して、もう時間もありませんので、ちょっと最後に。

 発達障害を含む障害のある子供たちのさまざまな面でのサポートを行っている特別支援教育支援員というのが平成十九年度からスタートして、財政措置が行われています。これは交付税の措置ですけれども、どんな基準で、額で支払われているでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 特別支援教育支援員の配置に要する経費につきましては、普通交付税におきます小学校費、中学校費等において措置をしております。

 具体的には、例えば平成二十八年度におきまして、支援員の配置に要する経費を、市町村分の学校数を測定単位とする小学校費の単位費用に一校当たり百九十八万六千円を、同じく中学校費の単位費用に一校当たり百十五万七千円を計上しており、それぞれ学校数に応じて算定をしているところでございます。

斉藤(和)分科員 これは重要な取り組みだと思うんです。

 やはり、発達障害などを持っている子たちがいて、先ほどもありましたけれども、担任の先生が一人だったら、例えば出ていってしまった、そうすると、その子を追っかけないわけにいかないから、ほかの子を置いて担任がその子を追っかけなきゃいけない。しかし、こういう支援員の方がいれば授業を見られるわけです。

 しかし、今お話がありましたように、学校数でやられている。学校にはマンモス校もあれば小規模校もある。しかも、一校当たり百九十八万円、中学校は百十五万円。これでは、必要な人員配置ができる基準とは到底言えないと思います。

 こうした中で、各自治体では、必要性に応じて自分たちの自治体として持ち出しも含めてやっているわけですけれども、文科省としても、しっかりとこの支援員、先生たちの負担の軽減を図っていく上でも、私はこの額を増額していく、もっと言えば、やはり、余裕のない教員配置を真剣に改善していくということが一番のかなめだと思いますけれども、それをやっていくというふうに求めたいですが、そういうこと以外にも、こういうフォローをする先生たち、この増額を求める等々、大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 近年、発達障害などによりまして特別な支援を必要とする児童生徒が増加傾向にあることから、障害のある児童生徒の学校生活上の介助や学習活動上のサポート等を行う特別支援教育支援員の活用が一層重要となっております。こうした状況を踏まえ、特別支援教育支援員の配置に要する経費について地方財政措置が講じられているところであります。

 特別支援教育支援員の実際の配置については各地方公共団体の判断に係るものでありますが、文部科学省としても、特別支援教育支援員の配置実績を踏まえつつ、特別な支援を必要とする児童生徒に対して適切な支援がなされるよう努めてまいります。

斉藤(和)分科員 適切な支援ができるように、ぜひ、自治体もなかなか財政難で苦労をしています、文科省として後押しをしていただきたいということと、根本的には、やはり、余裕のない教員配置、これを抜本的に変えていく、子供の学ぶ権利をしっかりと国が保障していく、未来をつくっていく、その立場でぜひやっていただきたいということを最後に強調して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大串主査 これにて斉藤和子君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)分科員 日本維新の会の伊東信久です。本日はよろしくお願いいたします。

 昨日に、文部科学省再就職等問題調査班から、文部科学省における再就職等問題に係る調査報告概要、中間まとめが提出されました。

 メディアからの情報だけではやや、ちょっと受け取り方がどうかなと思うんですけれども、世論として、全ての再就職、いわゆる天下りが違法かのように捉えている方もおられるのではないかなと思います。

 本日は、いわゆる天下りの中の、何が違法で何が違法ではないのかということをまずは明確にするところからしていかなければこういった議論も進まないと思いますので、そういったところからスタートしたいと思うんですけれども、まずは確認のために、国家公務員法における再就職等規制違反行為とはどのような行為なのかを教えてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 調査班長の中川でございます。

 国家公務員法第百六条の二第一項では、現職の職員が、営利企業等に対して、地位につかせることを目的として、この後幾つかのパターンがあるんですが、例えば、役職員もしくは役職員であった者に対する情報を提供した行為、あるいは地位に関する情報の提供を依頼した行為、あるいは役職員もしくは役職員であった者を地位につかせることを要求または依頼した行為、これらについて行ってはならないとしているところでございます。

伊東(信)分科員 どのような行為かということに関しては、まずわかりました。

 それでは、このような行為に違反した場合、どのような罰則があるのでしょうか。

中川政府参考人 これは、違反認定したものでありますと、それに応じた罰則というのがあります。

 その違反認定の具体的なものとして、どのようなパターンがあるかというものを少しお話しした方がよろしいかと思いまして、今回の報告書の中の事例をもとに、違法性の確認がされたものを具体的にお示しさせていただきます。

 例えば、違反認定したもので、報告書の中の二十一番、これは公立学校共済組合の事案でございます。これは、文科省の職員が、公立学校共済組合の理事長からの、これは文科省OBでございますが、求人依頼がございました、それに対して、いわゆる嶋貫さんというOBに相談の上、候補者の情報を同組合に対し提供いたしたという場合です。この場合だと、現職の職員が、営利企業等に対しまして、地位につかせることを目的として情報を提供したというパターンになります。

 それから二つ目の、地位に関する情報提供依頼、このパターンでございますが、これは例えば、中間まとめの二十二番に日本PTA事案というものがございます。これは、文科省の現職の課長が、日本PTA全国協議会事務局から、文科省OBの事務局への求人依頼を受けた、これに対して、その待遇等の情報について依頼をして取得したということでございますので、これは、現職職員が地位につかせることを目的として地位に関する情報の提供を依頼するということに当たります。

 それから、先ほど言った三つ目でございますが、これは例えば中間まとめの二十四番ということで、医学教育振興財団事案というようなものがございます。これは、文部科学省の現職職員が、この医学教育振興財団から事務局長の後任の派遣の依頼を受け、同財団に文科省OBを紹介したという事案です。この場合だと、現職職員が、営利企業等に対して、地位につかせることを目的としてこうした地位につかせることを要求または依頼するという行為でございます。

 以上のようなものを違反した場合、これは、国家公務員法に基づき、懲戒処分あるいは十万円以下の過料の対象等、その内容によって罰則が科されるということになってございます。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 いずれにしても、国家公務員法における再就職等規制違反行為に基づいて違法であるかどうかの判断がされ、かつ、それに基づいて罰則規定があるというのは、私自体は理解できます。

 今回の、何が違法で何が違法にならないのかということを明確にする意味でも、ただいま二十一、二十二、二十四の事案を例示として御説明いただいたんですけれども、今回の事案でも、個別の事案で三十七事案があり、二十六事案に違法性があったわけですね。逆に言うと、違法性がなかったものもあったわけなんですけれども。

 改めて、では違法性が確認されなかった事例に関して一つ抽出いたしますと、私、医師でもありますので、どちらかというと医科系の教育機関に対してまたちょっと違った目を持っているわけなんですけれども、例えば、事例九の新潟県立看護大学事案については違法性は確認されなかったわけなんですね。

 これは今からお聞きするわけなんですけれども、事例九のものは後ほどお答えいただきますけれども、その前に、事例八は、明治薬科大学の事案には違法性があったということなんですね。事例九に関してはちょっと別の聞き方をしますので、まず、事例八に関してはどこが違法であるかということを明確に教えてください。

中川政府参考人 お答えいたします。

 事例八は、先生御指摘のとおり、明治薬科大学の事案でございます。

 こちらにつきましては、同年に、明治薬科大学の求めに応じ、文科省の職員が、再就職目的に使用されることを認識しながら、電話番号やメールアドレスといったものを、そちらの明治薬科大学の方の後任候補として嶋貫さんに渡したということが確認されております。

 これは、結果として後任候補として実際その方が再就職されておるんですが、この文科省の職員が連絡先を提供したという行為は、先ほど整理しました、文科省職員が、現職職員が地位につかせることを目的として役職員であった者に対する情報を提供したということで、違法性が認定されたというものでございます。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 今答弁いただいたことの繰り返しになるかもしれませんけれども、確認としては、再就職の目的に使用されていることを室長級の職員はまず知っていたわけですね。だからそこに、法律の百六条の二第一項の、地位につかせることを目的としているということに抵触したわけですよね。次に、実際に就職した方の電話番号及びメールアドレスを送付した。これは、文部科学省OBの方の情報を送付したということで、役職員であった者に関する情報を提供したということに抵触するわけです。

 それでは、九の新潟県立看護大学の事案に関して、整理する意味でも、どういった事案があって、どのあたりが抵触しなかったかをお教えください。

中川政府参考人 先ほどの明治薬科大学の事案は、先生御指摘のとおり、文科省職員が求めに応じ後任候補のOBの個人連絡先を送ったということにおいて、そうしたものでございます。

 一方、新潟県立看護大学の事案、これは、この中間まとめによれば、その室長級職員、文科省の職員が、県立看護大学職員に対して嶋貫氏の紹介を行ったということは確認されております。その後、大学側が嶋貫氏と連絡をとって、文科省OBが再就職することとなったというところまでは確認されています。一方、室長級の職員が行ったのは、大学側に嶋貫氏を紹介するところまででございました。このとき、室長級職員、文科省職員と嶋貫氏とに何か連絡があったかどうか、ここについては確認できておりません。

 こういうことで、ここの確認行為というのは、さらに引き続き調査が必要であるということも明言してございますが、この時点では違法というものが認定できない、先ほどの条件に当てはまらないということで、このあたりは非常に難しいのでございますが、第三者の専門家の方あるいは公務員制度に通じた方、この方々の御知見をいただきながら判断したものでございます。

伊東(信)分科員 個別の事案のことを伺って、まだやはりわかりにくいところがあるんですよね。

 整理すると、要は、違法性が認定されなかったという事案に関して、その新潟県立看護大学事案については、室長級職員と嶋貫氏とのやりとりがどのようなやりとりだったのかというのが今現時点でわからない、もしくは調査中だから認定していないという、つまりは、まだアイ・エヌ・ジーだ、進行形だという解釈で、答弁はいただかなくていいですよね。

 であれば、三十七事案のうち二十六の違法性があったというのは、十一事案に関しても、違法性がなかったということじゃなくて、二十六事案の違法性がわかったという、つまり、文部科学省さんはこれだけのことがわかったという中間報告で、しかもまだ調査中、そういう解釈だと思うんですね。

 その場合、たびたび予算委員会の質疑の中でも上がっているわけなんですけれども、OBとして名前の挙がっている嶋貫氏の行為ですけれども、この行為に対して、違法となるものはあるのでしょうか。

中川政府参考人 お答えを申し上げます。

 嶋貫氏自身は、OBでございますので、国家公務員法の適用というのはございません。この報告書にもございますとおり、嶋貫氏と文科省が、何か一体的になって、現職職員が先ほど申し上げたような行為をしたかどうか、そのときにそういう目的を持っていたかどうか、こういうことによって、個別事案で一つ一つ判断されていくというものでございます。

伊東(信)分科員 今回のやりとり、質疑、答弁をお聞きしている上で、やはり、何が違法で何が違法でないかというのを、本当に具体的に個別で聞いていかないとわかりにくいというところもあるんですけれども、ただ、やはり、世論全体の、天下り全て悪という論調というのは、この違法のわかりにくさというのもあると思うんですね。

 行為規制違反行為というのは、違反した場合、罰則規定というのが義務づけされていないわけなんですけれども、ほかの法律では、行為規制違反行為を信義上の義務違反と認定し、違法と明確にしている判例もあるんですね。

 実際、委員会での調査というのはわかるんです。文科省だけの問題じゃないと承認しているんですけれども、今後違反行為を確認した場合に罰則規定を設けるなどのいわゆる議論というのは、文科省の中では上がっているのでしょうか。

 また、先ほど、我が党の椎木議員の提案の中で、そのときは松野大臣から答弁いただかなかったので、もし御所見があればお伺いしたいんですけれども、大阪府の例のように、全ての利害関係のある団体の再就職を規制するということを大阪府ではやっているんですけれども、このようなことを検討されたか、もしくはお考えを、お答えできる範囲でよろしいので、お願いいたします。

松野国務大臣 現状におきましては、文科省が起こしました再就職等規制違反に関して、これはこの一連の隠蔽行為も含めて、大変な国民の皆様からの信頼を失うということに至っておりますので、まず全容の解明をし、厳正な処分をして再発防止策を進めるというのが私の責任であると認識をしております。

 御党が大阪における条例をもとにした法案を提出されているというのは承知をしておりますし、予算委員会における議論もお聞きをさせていただきました。

 まず、私も今は、文部科学大臣の立場としては、文部科学省案件にしっかりと対応するということでございますが、委員御指摘の方向性は、これは文部科学省のというよりも、全体の法規制に対する御指摘でございます。この全体の法規制に関する問題というのは、山本大臣の所管ということになります。政府全体が対策をとられる場合においては、山本大臣を初め関係閣僚に協力をしていきたいというふうに考えております。

伊東(信)分科員 松野大臣のお立場も、本当に、一定理解もできるんですね。

 ただ、本当に、ここを乗り切らないと、文部科学委員会というのは、未来に向けての研究を議論したり、オリパラの話をしたり、スポーツの話をしたり、いろいろあるんですけれども、やはり教育という点では、子供たちの未来がかかっているので、しっかりとした、そういった未来への投資、本当に子供たちの未来の審議をするために、こういったことは法律に基づいて明確化して、足りない法律があればそれを審議していただくというのが、大阪のことばかり言うわけじゃないですけれども、やはり、原則禁止にしているというのは一つのモデルじゃないかなと思いますので、これはもうお話だけにさせていただきます。

 教育ということに関して、同じようにこの予算委員会でも議論されているのは、やはり教育の無償化ということですね。

 日本維新の会は、就学前児童から高等教育までの無償化を提案しています。やはり、その場合は、財源を安定的に確保するというのは非常に大事だ。

 その中で、憲法改正の話も我々はさせていただいているわけなんですけれども、けさの産経新聞に、昨日の中央公聴会で私が質問させていただいた教育無償化の財源に関して記事が掲載されていたんですけれども。先ほどちょっとメディアの話をさせていただいた、私も当事者だったんですけれども、産経新聞の報道の論調を見ていると、やや私の趣旨とは、誤解を招くような表現であったのではないかなと思ったんです。

 やはり我々は、まずは、財源は身を切る改革を中心とした行財政改革を優先すべきというのが、これはもう、まず一つ目の柱なんですね。このことを申し上げたつもりなんですけれども、メディアではちょっと違った感じになっていたんですね。

 その中で、教育の無償化についての見解と、この財源の捻出方法について、党内でも議論になったと思うんですけれども、松野大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

松野国務大臣 まず、誰もが、家庭の経済状況を初めとして、そういった家庭環境に左右されることなく、教育の機会、委員の方からも幼児教育から高等教育までという例示をしていただきましたけれども、質の高い教育を受けられるということは重要なことであり、その機会を担保、確保していくということが文部科学省としても重要であると認識をしております。

 この考えにのっとりまして、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない形で、教育費負担軽減として、平成二十九年度予算では、特に、幼児教育無償化に向けた取り組みの段階的推進、高校生等奨学給付金の充実、大学等における授業料減免等や、給付型奨学金の創設を含めた大学等奨学金事業の充実等に必要な経費を盛り込んだところであります。

 文部科学省の立場としては、今後とも、必要な財源をしっかりと確保しつつ、教育費負担軽減に向けた取り組みを進めてまいりたいということでございます。

 もちろん、各党各会派において、財源の捻出の方法について御議論が進んでいることは承知をしております。それぞれにおいて御議論をいただいてという考えは私ども持っておりますが、今の私の立場としては、まずは、この現行体制の中、現行の財源の中において改革を進めるということでございます。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 本当に教育に関して財源のかかることでありまして、財務省のお話によると、そういったところをいかにエビデンスを持ってアピールするかというのも大事なことだと思うんですけれども、財源に関して言いますと、今国会審議されるであろう内容に関してちょっと気になったことがあったので、残り時間、そのお話をさせていただきたいと思うんです。

 近年、日本語指導が必要な外国児童生徒の数も急増しています。国際人権規約や児童の権利条約の趣旨を踏まえ、その希望に基づいて公立の小中学校において受け入れがされていると思います。

 このような児童生徒に対して、特別な指導が確実にされるように配慮が必要だと思います。教育現場も、国においても、十分にわかっておられると思うんですけれども、実際、対応が困難な状況になっていることも事実でございます。

 超党派の議連の方も日本語に対して立ち上がっていまして、私も役に入らせていただいているんですけれども。自治体によって、英語の対応すらおぼつかない地域もありましたら、手厚い指導を行っている自治体もありますので、教育格差が残念ながら広がっていく危惧もあります。

 日本維新の会としましても、今回の予算委員会でも下地議員が質問させていただいて、安倍総理から積極的な前向きな答弁をいただいたんですけれども、日系四世の入国容易化の法案も提出しておりまして、今後ますます日本語能力に課題のある児童生徒数は増加すると想定されます。

 ここでやはり問題になるのは、日本で生活し、日本の学校に通うんだから、日本語ができて当然じゃないかという意見があるというのも承知しています。そういった意見もあるのもわかるんですけれども、しかしながら、高等教育だったらそういった主張もあるのかと思うんですけれども、児童生徒に関しましては、いろいろな家庭の事情もありまして、必ずしも子供たちの意思でのみ日本に来て、日本語の学校に通っているわけではありません。だから、日本語の能力にかかわらず、教育を受ける権利というのは保障されまして、先ほどのお話ではないですけれども、国際人権規約や児童の権利条約がありますので、十分な配慮を、対応をしていただきたいと思っています。

 そこで、文部科学省では、日本語能力に課題のある児童生徒への指導のための基礎定数の新設を、今国会で改正が予定されている公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正に盛り込んでおります。

 まずは、その基礎定数の積算根拠について御説明をお願いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の国会に、文部科学省といたしまして、いわゆる義務標準法等の改正案を提出しております。その中に、委員御指摘の、日本語指導のための教員の従来の加配定数の部分について基礎定数化するということを盛り込んでいる次第でございます。

 現状は、日本語指導を必要とする子供たち約二十一・五人に対しまして一人の指導の担当教員が加配として配置されている、こういうところでございました。それにつきまして、やはりそのような状態ですとなかなか子供たちへの指導が手が回らないというようなことがございまして、本来であればかなりの改善をしてやりたいと思ったんですけれども、なかなか、財政事情もあり、手元に資料がないんですが、今回は、十八人に一人程度の改善を図るということで予算案を盛り込んでいるということでございます。

 ただし、いろいろな各地域の事情あるいは僻地の対応とかそういうようなこともございますので、全体の今の加配の定数の中の一割については、引き続き、加配として弾力的な対応をすることができるようにするということにしておりますので、それをあわせますと、さらなる環境の改善が図られるというふうに考えている次第でございます。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 局長のお話の中にも、僻地のこともありますし、地域の差があると。僻地じゃなくても、やはり、労働の種類によっては、そこの親御さんの事情もあって、極端に多い地域もあるわけなんですね。

 私自身が、これは教育ではなくて医療の立場なんですけれども、二十年ほど前に勤務医だったころに、入院患者さんでブラジル人の男の子がいまして、全くもって親御さんも含めて英語が通じないんですね。何とかポルトガル語を勉強してコミュニケーションを図ったんです。幸いにして、私、格闘技のドクターをやっていましたので、格闘技の中にブラジリアンもおられましたので、ちょうどいいかなと思って勉強したんですけれども。ただ、本当に、これは一個一個、個別に対応していくと大変だなというような経験もあります。

 また、これはホームステイなんですけれども、台北からホームステイをしてくるから日本語はしゃべれると思ったら、全くしゃべれない、英語も通じない、それでホームステイしてこられるといったことで、日本語が当然しゃべれると思うこと自体の誤解なり困難さというのは味わったつもりなんです。そういったときに、私はやはり、発音とかそういったものも、学校も通いましたけれどもわからなかったので、紙に書いてそれを見せるようなやり方もさせていただきました。

 であるのならば、今回、教員設置基準に満たない、対応が要るような課題も、PC端末やタブレットなどを利用した、ICT化のコンテンツを配信すれば解消されるのではないかと思うんですけれども、そういった御議論というのはあったのでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の議論は、文部科学省として、してまいりました。具体的には、外国人児童生徒等の教育の充実を図るため、タブレット等のICTを活用した児童生徒向けの学習支援教材や、保護者とのコミュニケーションの促進のための多言語翻訳システム等の実証研究をするということを考えておりまして、平成二十九年度概算要求をさせていただきました。

 しかしながら、財政当局との種々のやりとりの中で、結果的にはこの要求は通らず、二十九年度予算案の中には盛り込まれていないという状況でございます。

 文部科学省といたしましては、この点につきましては非常に重要だというふうに認識しておりまして、委員御指摘のとおりだと思っていますので、この点については、諦めずに、引き続き、できるだけ前向きな形で対応していきたいと考えております。

伊東(信)分科員 質疑時間が終了いたしましたので、この後、何が障害になっているかお聞きしようかなと思ったんですけれども、とりあえず頑張ってください。

 終わります。

大串主査 これにて伊東信久君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十三日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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