衆議院

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第2号 平成29年2月23日(木曜日)

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平成二十九年二月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 大串 正樹君

      石田 真敏君    木村 弥生君

      國場幸之助君    古田 圭一君

      渡辺 博道君    緒方林太郎君

      小宮山泰子君    伊東 信久君

   兼務 角田 秀穂君 兼務 宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        川淵 幹児君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      山下  治君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂口  卓君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石田  優君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  渡辺 博道君     古田 圭一君

  緒方林太郎君     小宮山泰子君

  伊東 信久君     吉田 豊史君

同日

 辞任         補欠選任

  古田 圭一君     木村 弥生君

  小宮山泰子君     緒方林太郎君

  吉田 豊史君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     渡辺 博道君

  木下 智彦君     伊東 信久君

同日

 第二分科員宮本岳志君及び第三分科員角田秀穂君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

大串主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算中文部科学省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古田圭一君。

古田分科員 おはようございます。自由民主党、中国ブロック比例の古田圭一と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、山口県で高等学校と自動車学校を設置しています学校法人の理事長を務めております。

 御存じのように、私立の高等学校は、創始者の教育への熱い思いの詰まった建学の精神がそれぞれにありまして、独自の特色ある教育を展開し、公立高校とともに公教育の両輪を担っております。しかしながら、少子化に伴い、特に地方の私学を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。

 そこで、きょうは、主として私立の高等学校の振興に関連して、幾つか質問させていただきたいというふうに思います。

 まず最初は、障害のある生徒の受け入れについてです。

 私が勤務しております高校にも、車椅子が必要な生徒が通っております。送り迎えは保護者の方がされていますけれども、学校内での移動は、必要に応じて同級生や担任が手助けをしております。

 先週、その障害のある生徒も北海道への修学旅行に行ってきました。スキー研修が内容の主なものなんですけれども、班別の自由行動も含まれております。修学旅行に行く前に、車椅子の生徒がいる班も移動スケジュールを立てていたらしいんですけれども、冬の北海道はみんな初めてで、雪の道や凍った道で車椅子を初めて押すことになって、要領がわからず、移動がかなり難しくて、スケジュールどおりに行動ができなかったと話しておりましたけれども、手伝った生徒は大変爽やかな顔をしてそういうことを話してくれました。

 友達同士、力を合わせて行動したことはよい思い出になることというふうに思います。彼らは、困った人がいれば今後自然と手助けができる人間になってくれるものと期待をしているところです。障害のある生徒から健常者がもらう心の財産も大きいものがありますので、障害のある生徒とともに学校生活を送ることは大変意義のあることだというふうに思っております。

 昨年の四月に、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、障害者差別解消法が施行されました。学校においても、不当な差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の提供が求められていると思います。不当な差別的取り扱いに当たる具体例として、学校への入学の出願の受理、受験、入学、授業等の受講や研究指導、実習等校外教育活動、入寮、式典参加を拒むことや、これらを拒まないかわりとして正当な理由のない条件を付すことが挙げられています。

 また、合理的配慮に当たり得る配慮の具体例として、聴覚過敏の児童生徒等のために教室の机や椅子の足に緩衝材をつけて雑音を軽減する、視覚情報の処理が苦手な児童生徒等のために黒板周りの掲示物等の情報量を減らすなど、個別の事案ごとに特性に応じて教室環境を変更することや、入学試験や検定試験において、本人、保護者の希望、障害の状況等を踏まえ、別室での受験、試験時間の延長、点字や拡大文字、音声読み上げ機能の使用等を許可することなどが挙げられていると思います。

 障害者差別解消法では、実施に伴う負担が過重でないときは、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならないとなっていますけれども、実施に伴う負担が過重であるかは何を基準に判断すればいいのか、大変悩むところです。

 例えば、クラスルーム一教室のみに机や椅子に緩衝材をつけて雑音を軽減することはできても、特別教室、例えば理科教室、情報処理教室、美術教室や、選択授業などで使用する教室全てとなりますと負担は大きいものになりますし、点字を一度も使ったことのない学校で点字の試験問題をつくることも負担はかなり重いと思いますけれども、そのあたり、どのように考えればよいのか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、障害者差別解消法における合理的配慮の実施に伴う負担が過重であるかどうかの判断につきましては、平成二十七年二月二十四日に閣議決定されております障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針、ここにおきまして、国、地方公共団体といった行政機関、それから学校法人を含む事業者におきまして、個別の事案ごとに、事務事業への影響の程度、実現可能性の程度、費用負担の程度、事務事業の規模、あるいは財政、財務の状況などを考慮いたしまして、具体的場面や状況に応じて総合的、客観的に判断することが必要であるとされております。また、これら行政機関や事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましいともされております。

 文部科学省におきましては、平成二十七年十一月に文部科学省所管事業分野における事業者向けの対応指針を策定しておりまして、過重な負担の考え方について、先ほどの政府の基本方針と同様の考え方を示すとともに、個別の事案ごとに具体的な場面や状況に応じた検討を行うことなく、一般的、抽象的な理由に基づいて過重な負担に当たると判断することについては、この法の趣旨を損なうために適当ではないというふうに示しているところでございます。

古田分科員 どうもありがとうございます。

 生徒あるいは保護者と十分話し合うということが大事だというふうに感じました。

 二つ目ですけれども、障害のある生徒を学校が受け入れるには、例えば車椅子を使う生徒であれば施設のバリアフリー化が必要ですし、自閉症や学習障害のある生徒の対応にはある程度専門知識を持った教員が必要と考えます。障害のある生徒への配慮等の取り組みは私立学校においても一層求められていくことになると思いますけれども、こうした取り組みを行う私立学校に対してどのような助成制度があるのでしょうか。また、障害者差別解消法の施行の前後で拡充された助成制度があればお教えいただきたいと思います。また、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも、国の私学助成におきましては、障害のある児童生徒あるいは学生の受け入れにつきまして、全ての学校段階において支援策を講じたところでございます。

 具体的に申し上げますと、私学助成の平成二十九年度の予算案におきましては、一番目として、私立大学等に対する経常費補助におきましては、障害のある学生の受け入れ状況等に応じた支援を行っております。二番目といたしまして、私立の高等学校等、これは幼稚園から高等学校まででございますけれども、経常費助成におきまして、一つは、障害のある幼児が二人以上就園をしている私立の幼稚園に対する支援、それから、特別な支援を必要とする児童生徒の学習生活等をサポートする取り組みなどを行う私立の高等学校等に対する支援。それから、三番目といたしまして、私立の特別支援学校の経常費経費に対して国から直接補助を実施いたしております。

 またさらに、お話のございましたハードにつきましては、施設整備に対する補助といたしまして、障害を持ったお子さんのお受け入れに対応するということで、エレベーターあるいはスロープなど、障害者の方が円滑に利用できる環境整備に対する支援、これは補助率、大学が二分の一、高校等が三分の一でございますけれども、こういった形でソフト、ハードの両面で支援を行うこととしているところでございます。

 なお、これまでも、私立幼稚園において障害のある幼児の受け入れが増加していることに鑑みて、予算を年々拡充いたしておりますなど、障害者差別解消法の施行の前後を通じまして、必要な支援の充実に努めたところでございます。

 今後とも、障害のある児童生徒、学生の受け入れに関する私立学校のニーズを踏まえ、より一層の教育環境の整備が図られるよう、予算の確保に努めていくことが課題であると認識しておりまして、引き続き、私学助成の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

古田分科員 ありがとうございます。

 幼児に関してはかなり支援が進んできているというふうに思います。ただ、高校の方が、例えば人件費がやはり一番たくさんかかりますので、その辺の人件費の手当てについてもう少し拡充をしていただければというふうに考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 教育現場におきまして、発達障害など障害のある児童生徒が増加しているようです。文部科学省の資料によりますと、特別支援学校の在学者数、これは幼稚園、小学校、中学校、高等学校の合計ですが、平成十七年に十万一千六百十一人だったのが、平成二十七年には十三万七千八百九十四人と約一・四倍、それから、特別支援学級に在籍する児童生徒数、小学校と中学校の合計ですが、平成十七年には九万六千八百十一人、平成二十七年には二十万一千四百九十三人と約二・一倍となっております。

 小中学校では、通級による指導によって、学習上、生活上の困難がかなり改善、克服されて、通級の効果が上がっているというふうに聞いております。中学校卒業後の高校段階におきましても通級による指導ができればよいというふうに思います。また、私立の高校に在籍する生徒も公立の通級指導教室に通うことができればいいというふうに思うんですけれども、今後の通級制度の取り組みの方向性についてお伺いをいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 障害のある児童生徒への教育につきましては、委員御指摘のとおり、現在、小中学校段階では通常の学級、通級指導、特別支援学級、それから特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場が整備されている一方で、中学校卒業後の進学先につきましては、主として、高等学校の通常の学級か、特別支援学校高等部に限られているところでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、通級による指導につきまして、昨年の十二月に省令等を改正いたしまして、平成三十年度から、高等学校においても通級による指導が実施できるようにしたところでございます。

 平成二十九年度につきましては、通級による指導を担当する教員の専門性向上のための各種研修の実施、教育委員会に対する各種会議での説明、モデル事業の成果の周知など、国としても教育委員会等が準備を進めるために必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。

古田分科員 ぜひ今後とも、しっかりとした取り組みをよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次は、教育費の負担軽減についてです。

 教育費の公私間格差は非常に大きいものがあります。私立学校も公立学校とともに公教育を担っております。

 何らかの理由で私立中学等に通う生徒等に対しても、低所得世帯を中心として授業料負担を軽減する制度が創設されることを望んでおりましたけれども、このたび、平成二十九年度予算に、私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業が盛り込まれて、授業料負担軽減に一歩踏み出していただきまして大変うれしく思っておりますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

松野国務大臣 古田委員におかれましては、御自身で私立高校を経営されているということで、ぜひ現場の支援、教育行政の方に御指摘をお届けいただければと思います。

 御質問の事業でございますけれども、年収四百万円未満の世帯に属する児童生徒について、年額十万円の授業料負担軽減を行いつつ、義務教育において私立学校を選択している理由や家庭の経済状況などについて実態把握のための調査を行うため、必要な経費として十二億円を計上しています。

 なお、実証事業としての五年間で実施としているところであり、私立学校を選択している理由や家庭の経済状況について実態を十分に把握するとともに、当該事業のあり方についても検討をしてまいります。

古田分科員 ぜひ、五年に限らず、その五年の結果を見て、もっと拡充されることを望んでおります。よろしくお願いをいたします。

 平成二十二年度より、国の費用により、公立、私立高等学校の生徒の授業料に充てる高等学校等就学支援金制度が設けられました。さらに、平成二十六年度入学生より学年進行で制度改正が行われまして、世帯年収九百十万円程度以上の世帯は就学支援金支給の対象外となる一方、約五百九十万円未満までの世帯につきましては加算がふえて、私学に通うことがより身近になったということも言えます。

 しかし、支援金の基本額は制度発足当時の公立高校の授業料相当額のままであり、公立は無償になっているのに対しまして、私立では依然として生徒等が学費を負担しております。

 自治体によっては、独自に授業料等の減免措置を設けておりますけれども、都道府県によって、減免措置の対象世帯や減免する額に大きな差が生じているのも事実であります。

 就学支援金の基本額の増額とともに、加算措置限度額年収五百九十万円の引き上げを強く要望したいと思いますけれども、高等学校就学支援金の今後の見直しの方向性についてお伺いをいたします。

松野国務大臣 高等学校等就学支援金制度については、平成二十五年の法律改正時に衆参両院で決議をされた附帯決議において、改正法の施行から三年経過後、すなわち平成二十九年度に検証を行い、必要な措置を講ずることとされております。

 附帯決議においては、低所得世帯への経済的支援の拡充の状況、公私間の教育費負担の格差是正の状況等、具体的効果や影響をさまざまな角度から検証することとされており、実情を十分に把握した上で、専門的見地からの意見も踏まえ、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

古田分科員 この就学支援金制度、本当に低所得世帯の家庭については大変助かっていると思いますので、ぜひ今後とも充実をお願いしたいというふうに思います。

 次は、ちょっと広域制の通信の問題ですけれども、昨年、株式会社ウィッツが設置するウィッツ青山高校の通信制課程の教育運営の問題が大きくマスコミで取り上げられました。

 通常、高等学校を指導監督するのは都道府県ですけれども、ウィッツ青山高校は株式会社立ということで、高等学校を指導監督した経験のない市が指導監督する場にあったことも問題の一つというふうにお聞きをしました。

 一方、学校法人が設置する広域通信制高校についても、全国に施設が置かれている学校の運営状況をどこがどのように把握するのか、かねてより疑問に思っておりました。

 二度とこのような問題を起こさないようにするために、広域通信制高校の質の確保、向上に向け、今後どのような取り組みをされるのか、お伺いをいたします。

松野国務大臣 通信制高校は、不登校や中途退学経験者等への学び直しの機会の提供など、多様な学びのニーズへの受け皿としての役割が期待されるようになっている一方で、一部の広域通信制高校において、民間教育施設との不適切な連携や学習指導要領に基づかない教育を行うなど、学校の管理運営に関し、さまざまな問題が生じています。

 文部科学省においては、平成二十八年三月に、広域通信制高校に関する集中改革プログラムを取りまとめ、これに基づき、同年九月に、高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインを作成したところであります。

 文部科学省では、平成三十年までの約二年間を広域通信制高校の質の確保、向上に向けた集中点検期間と位置づけており、本ガイドラインに基づき、所轄庁に全面的に協力しつつ、広域通信制高校に対する点検、調査を進めることを通じて、広域通信制高校の質の確保、向上に努めてまいります。

古田分科員 所轄庁も大変だと思いますけれども、しっかり国もバックアップしていただいて、質の確保、向上に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次は、国公私立学校の定員の問題についてなんですけれども、少子化等の進行で、特に中山間地域の中学卒業者数が減少して、中山間地域では、統廃合等によりまして公立高校の定員が減少しております。

 そうなりますと、私学と競合する場所にある都市部の学校の定員の割合が相対的に大きくなり、特に、公立志向の強い地方では、私学の経営を圧迫する可能性があります。

 また、県立高校、市立高校及び私立高校につきましては、中学卒業者数の減少に応じて、それぞれ入学定員を減少させておりますけれども、国立である高等専門学校については、その規模が維持されまして、相対的に高専入学者数の比率が大きくなっているのではないかというふうに思います。

 山口県は、高等専門学校は三校ありますけれども、国立高専の入学定員の影響も大きいものとなっております。

 公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の第四条に、「都道府県は、高等学校の教育の普及及び機会均等を図るため、その区域内の公立の高等学校の配置及び規模の適正化に努めなければならない。この場合において、都道府県は、その区域内の私立の高等学校並びに公立及び私立の中等教育学校の配置状況を充分に考慮しなければならない。」とありまして、公立と私立の間では入学定員を協議する場がありますけれども、国立の高等専門学校は独自に定員を設定しているのではないかと思います。

 昭和四十年代の生徒急増期に、公立だけでは生徒の受け入れが難しいときに、私立学校関係者は、みずから私財を提供して、新たに校舎を建設したり増築したりして生徒を引き受けて、公教育に大きく貢献もしてまいりました。

 公立高等学校はもちろんのこと、国立高等専門学校につきましても、その区域内の私立高等学校の状況を十分に考慮して入学定員を設定すべきだと考えます。

 教育費の公私間格差の影響もあり、私立の生徒確保が困難になっている状況ですけれども、国公私立学校の定員についてどのように考えておられるでしょうか、お伺いをいたします。

松野国務大臣 公立高校の統廃合や定員設定については、法律の規定に基づき、生徒や保護者のニーズ、進学動向、生徒の通学の利便性、学校の規模に加えて、域内の私立高校の配置状況等を踏まえた地域事情を十分に考慮して、設置者である地方公共団体が適切に判断すべきものと考えています。

 また、その判断に際しては、五年一貫により、工業、商船の分野の実践的技術者の養成を行い、我が国の技術者養成において重要な役割を担っている高等専門学校を初め、各種教育機関への進学ニーズについても適切に勘案することが考えられます。

 建学の精神に基づき、特色ある教育活動を展開する私立高校は、我が国の学校教育の発展に大きく貢献をしており、少子化の影響により、私立高校を取り巻く経営環境が厳しくなる中においても、引き続きその役割を果たしていくことは非常に重要と考えております。

 文部科学省として、私学助成や税制の充実等、引き続き、幅広い側面から支援施策を推進し、一層の振興に努めてまいります。

古田分科員 どうもありがとうございます。

 国立高専につきましても、地方公共団体がその配置状況に十分配慮してほしいということで、強く要望をしておきます。

 次に、校舎の耐震化についてです。

 学校施設は、将来を担う子供たちが学習、生活する場所であり、一億総活躍社会実現の拠点となる重要な施設です。

 昨年四月に発生した熊本地震において、公立学校施設については、耐震化はおおむね完了しており、倒壊や大規模な天井の落下はなく、地域住民の避難所として大いにその機能を発揮しました。しかし一方で、私立学校については、国公立学校と比べ耐震化が大きくおくれている状況にありまして、耐震化が未完了の建物で構造体に甚大な被害が生じたものもありました。

 また、熊本県内では指定避難所に指定されている私立学校はありませんでしたが、近隣の指定避難所が被災した場合や指定避難所より私立学校が近くにある場合など、避難所に指定されていない私立学校でも多くの避難された方の受け入れを行ったと聞いております。

 私立学校施設も、災害時には地域住民の避難所としての機能も果たすなど、重要な施設であります。学校施設の社会的位置づけや重要性については、私立であろうと国公立であろうと、何ら違いはありません。

 私立学校施設の耐震化は極めて重要な課題ですけれども、私立学校施設の耐震化の進捗状況について、また平成二十九年度予算案において耐震対策事業にどのような内容を盛り込んでおられるのか、お伺いをいたします。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私立学校施設の耐震化率、平成二十八年四月の時点でございますけれども、幼稚園から高校までの学校で八六・四%、公立は九八・一%でございます。それから、大学等では八八・八%、国立は九七・九%でございまして、国公立学校に比べて大幅におくれておる状況でございます。私立学校の耐震化の早期完了は喫緊の課題であると私どもとしても認識しているところでございます。

 このため、私立学校施設の耐震化関連の予算でございますけれども、平成二十八年度の二次補正予算におきましては、耐震関連としては過去最大規模の三百一億円を確保させていただいたところでございまして、平成二十九年度の予算案におきましては、耐震化を一層促進するため、関連予算に前年度より四億円増の四十九億円を計上しているところでございます。

 また、私立学校の耐震改築の補助制度でございますけれども、二十八年度までの時限措置とされておりましたけれども、三十年度まで二カ年延長することといたしておるところでございます。

 さらに、学校施設の自己負担部分でございますけれども、これは日本私立学校振興・共済事業団によります貸付事業により支援を行っておりまして、耐震化も含めた貸付事業への財政融資資金として三百十七億円を計上しているところでございます。

 文部科学省としては、こうした国庫補助と融資の両面の支援によりまして、私立学校施設の耐震化を一層促進してまいりたいと考えております。

古田分科員 どうもありがとうございます。

 耐震改築に関しても補助金が出るようになったことは大変うれしく思っておりまして、それもまた二年延長ということで、大変ありがたく思っておりますけれども、需要額が二千億、三千億というふうに聞いていますけれども、それに対してまだまだ足らない部分もあろうかと思いますので、引き続きまして予算措置の方をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後に、もう時間がなくなってきてしまったんですけれども、昨年、熊本の震災の現場を見に行かせてもらいました。そこは、学校法人開新学園の開新高等学校というところなんですけれども、壁から剥落した大きなコンクリート片が廊下にも幾つも散乱しておりまして、生徒が通行中だったらと思うと非常にぞっとした思いでした。そこは新しい校舎もあったんですけれども、古い建物はそういう被害を受けたということでございました。

 耐震化が進んでいない学校に対しては、個別の状況を把握して、これまで以上によりきめ細やかな対応が必要であるというふうに考えますけれども、私立学校施設の耐震化完了に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。

村田政府参考人 先生御指摘ございましたとおり、耐震化がまだおくれている、手がついていない学校に対しては、個別の状況に応じたきめ細やかな対応が大切であると認識しているところでございます。

 具体的には、高校以下の学校につきましては、所轄庁である都道府県と密接に連携した対応が必要であるということで、一つとしては、国の補助に加えて、都道府県独自の補助制度ということも充実、拡充をお願いしたいということ、あわせまして、各都道府県におきまして、耐震化がおくれている学校の状況を個別に把握していただき、御相談、アドバイスをしていただくようにお願いをしているところでございます。

 こうした各県の取り組み状況を調査の上、公表することによりまして、各都道府県の取り組みということもさらに促進するように対応してまいりたいと考えているところでございます。

古田分科員 どうもありがとうございます。

 どうか今後もより一層私学の振興を図っていただきますようお願いして、私の質問を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

大串主査 これにて古田圭一君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。大臣、おはようございます。

 まず初めに、百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録についてお伺いをいたします。

 私の地元、堺市、羽曳野市、藤井寺市と大阪府は、既に世界遺産暫定一覧表に記載されている百舌鳥・古市古墳群が大阪初の世界文化遺産に登録されることを目指して努力をしてまいりました。

 まず、文化庁に確認いたしますが、現状はどういう状態でございますか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 世界文化遺産の推薦についてでございますけれども、これは毎年七月ごろに文化審議会において一件選定をさせていただいているというところでございます。

 お尋ねの百舌鳥・古市古墳群につきましては、残念ながら本年度の選定からは漏れたところでございますけれども、その際に、文化審議会から検討すべき課題が提示されております。現在はそれを踏まえまして関係自治体において検討を進めていると認識しておりますが、来年度の推薦案件につきましては、各自治体から三月末までに提出されます推薦書素案に基づきまして、文化審議会における審議を経て選定されていくという段取りになります。

宮本(岳)分科員 今、何としても国内候補にということで、随分地元でも皆さん頑張っておられます。

 去る一月の六日、私もその一員でありますけれども、超党派の国会議員でつくる「百舌鳥・古市古墳群」の世界文化遺産登録を推進する議員連盟、こういうことで、知事や市長さんたちとともに、松野大臣や文化庁長官にお会いをして直接お願いをいたしました。大臣も覚えておられると思います。

 こういうクリアファイルもつくりまして、今地元でも随分このことに力を入れているところでありますけれども、ぜひ松野大臣の受けとめや御決意をお伺いしたいと思っております。

松野国務大臣 来年度の世界文化遺産の推薦案件の選定に向けて、関係自治体において、昨年七月に文化審議会から示された課題をクリアするための検討がなされ、完成度の高い推薦書素案が提出されることを期待しております。

宮本(岳)分科員 ありがとうございます。

 さて、この間、連日のように問題となっている、大阪府豊中市内の国有地を近隣国有地の約一割の価格で小学校用地として売却を受けた学校法人森友学園の問題を聞きたいと思うんです。

 まず、昨日、臨時の大阪府私学審議会が開催されたと伺っております。文部科学省、その内容をつかんでおられますか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪府の方から、電話で確認をいたしましたところ、昨日、私学審議会が開かれ、この森友学園の件について審議が行われた、その結果として、まだ引き続き確認をする事項があるということで、来月、三月にもう一度審議会を開き、その状況を踏まえて最終的に認可についての判断を行うということが想定されているということを伺っております。

宮本(岳)分科員 昨日のNHK大阪放送局の報道によりますと、この小学校の定員百六十に対し一年生四十五人、二年生五人しか集まっておらず、さらに五人程度の辞退者が出るおそれがあるということが大阪府から報告をされて、校舎の建設状況や入学予定の児童数、資金計画や学校の教育方針等々をめぐって委員の間から懸念する意見が相次いだと。これはNHKの報道であります。

 こういう様子だったと聞いておりますが、事実でしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 本件について、委員の方々からさまざまな御意見があったということは聞いておりますけれども、恐縮ですが、その詳細まで全部私ども確認しておるところではございません。

宮本(岳)分科員 これだけ全国的にも話題になり、連日のようにマスコミ、メディアも取り上げておりますから、ぜひ迅速につかんでいただいて、適正に物事が進むように、不適正なところがもしあれば、それはきちっと、もちろん、大阪府の私学審議会の問題ですから、国から介入のそしりを受けるようなことはできませんけれども、しっかり助言や援助をしていただきたいというふうに思っております。

 大阪府私学審がこの学校の設置認可をめぐって委員の間から懸念の声が続出するのは、決して今回の臨時審議会だけではありません。

 私の手元に、大阪府私立学校審議会の議事録、これは我が党の大阪府会議員団が大阪府から適正な手続で開示を受けたものでありますが、この場に全部持ってきております。昨日お伺いすると、文部科学省も情報開示手続によって同じ会議録を手にされたというふうにお伺いをしております。

 この設置認可が議論され、継続審議となった二〇一四年十二月の定例会議でも、あるいは、そこでは継続審議になり、翌年、二〇一五年一月二十七日、臨時会で、条件つき認可相当、こういう答申が出たその審議会も、議事録を見ていただいたら、本当に懸念の声が相次いでいると言わなければなりません。

 例えば二〇一四年十二月定例会でありますけれども、委員からは、普通で言うと、私立学校会計基準で、こういう新しい校地、校舎をやるときは第二号基本金という形でね、毎年積んでいくことになっている、予算的にやっちゃいけないという指示が文科省から今から十年ぐらい前に出ていて、理事会決定に基づいて、こういう構想があるから校地、校舎等の建築資金を第二号基本金という形で積み立てていくようにという指導があるが、第二号基本金はあるのかとの意見が出されております。

 これも文科省に確認しますが、この議事録によると、第二号基本金に関するこの指摘に間違いはないか。そして、議事録によると、それに対して、大阪府は二〇一三年度でこの学校の第二号基本金はどれだけあると答えておりますか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 二号基本金についてのお尋ねでございますけれども、これは学校法人の会計基準におきまして、必要な資産を継続的に保持するために基本金を組み入れることとされておりまして、二号基本金については「将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額」とされているところでございます。

 学校法人が将来固定資産を購入するに当たって、具体的には第二号基本金をどの程度組み入れるかにつきましては学校法人の判断によるものでございまして、第二号基本金への計上がないことをもって直ちに学校法人会計基準に違反するものではないと考えているところでございます。

 先ほど先生御指摘で引かれました文科省の指導云々というのは、私どもちょっと、確認をしましたけれども、それに直接該当するようなものは例としては確認できなかったところでございます。二号基本金の取り扱いについては今申し上げたところでございます。

 それで、森友学園に関しましては、財務状況を大阪府に確認いたしましたところ、本年三月に、府の審査基準に基づいて、必要な資産等の財務状況も含めて最終的な準備状況について確認を行うということでございます。

 大阪府の審査基準を拝見いたしますと、二号基本金ということではなくて、法人の全体の資産の状況等について基準を設けまして、その基準に該当するかどうかということで審査が行われていると承知しておりまして、私どもとしては、そうした府の審査基準に基づいて、資産の要件も含めて御判断がなされるものと承知しているところでございます。

宮本(岳)分科員 二号基本金というものを私立学校会計基準で定めたことはありませんか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 二号基本金については当然定めがあるわけでございますけれども、府の会議で言及されておりましたような、十年前でございますか、何かそういった文科省の指導というものが、直に該当するようなものが見当たらなかったということを先ほど申し上げたところでございます。

宮本(岳)分科員 いや、事実確認をしているんですけれどもね。

 二号基本金を積み立ててやるということが一般的に行われていることは事実ですね。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 二号基本金の積み立てというのが一般的にあるというのは事実でございます。

 ただ、これも、先ほど申し上げたように、必ずしもそれ自体が決定的な審査の要因になるわけではないということでございます。

宮本(岳)分科員 再度聞きます。

 会計基準に二号基本金というのはあるわけですね。その基本金は、一体、どういう目的の基本金ですか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、学校法人会計基準におきましては、必要な資産を継続的に保持するために基本金を組み入れる、二号基本金については「将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額」というふうにされているところでございます。

宮本(岳)分科員 学校にとって、校地、校舎は継続的に使用する必要はないのか。これはどちらですか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、校地、校舎は学校の基礎的な財産でございまして、その取得というのは重要な要件でございます。これについては大阪府が審査基準を定めているということで承知しております。

宮本(岳)分科員 会議録で、この時点で二号基本金の積み立ては幾らだと答えていますか。

村田政府参考人 私どもの手元の議事録でございますと、それに対して事務局は、平成二十五年度のものなんですが二号基本金はゼロでございますというふうにお答えをされております。

宮本(岳)分科員 通常積み立てておかなければならないとされている第二号基本金がゼロでありました。

 さらには、その上、初年度から黒字とするなどの学園側の収支計画についても、委員たちからは、大丈夫かなどの不安や生徒が集まる根拠への疑問などが続出しております。

 同じく二〇一四年十二月の定例会。委員から、流動資産はいいが借入金はどうなっているかとの質問が出ております。事務局が答えた借入金額は、残念ながら開示をされておりません。黒く塗られておりますけれども。それを聞いた委員は、借り入れは今持っているものよりもオーバーしているわけですねと返しているので、容易に借入金の方が上回っていることが見てとれるわけであります。

 議事録は、間違いなくそうなっていますね。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が言及されましたやりとりは、議事録に登載されてございます。

宮本(岳)分科員 附帯条件つきで認可相当とした二〇一五年一月の臨時会では、それでも梶田会長が条件つきで認可相当を提案した際にも、会長御本人が、今後さまざまなチェックをかけて、事実と違うようなことがあればそれだけでアウトです、今後何回かチェックをかけていただく中で虚偽の内容があればその時点でアウト、また心配な点がより一層明らかになれば指導して、指導してもだめな場合はその時点でまた別の判断を考えないといけないのではないか、一度ゴーにするとお墨つきをもらったようになってしまって、ずっといってしまうと困る、こう述べております。

 会長がそう述べても、さらに委員から、率直に申し上げて、条件つき認可となると、やはり後段に記載の言葉から考えると認可ということになるので、提出された資料が妥当であると認めることになるのではないかと違和感を覚える、あるいは、私も全部よしとすることはほとんど難しいと思っている等々、まだ異論が噴出しております。

 議事録の事実確認ですが、事実ですね。

村田政府参考人 これも、議事録を拝見いたしますと、先生が引用されているようなやりとりがあったということでございます。

宮本(岳)分科員 まずは、財政面でこのように懸念が噴出をしております。

 それもそのはずです。この学校法人は、先ほど確認したように、二号基本金ゼロ、借り入れオーバーという状態で認可申請を上げてきているからであります。学校を開設しようと思えば、当然、校地や校舎が必要であります。とてもそのような資金を確保できる状況にはなかった、また、できるという確信が持てなかったわけでありますね。

 そこで、今回の森友学園による新しい小学校、瑞穂の國記念小學校の校地取得のいきさつは既に大問題になり、私も財務金融委員会で国有地売却の不明朗な実態を明らかにしてまいりました。

 校舎については、木質化を行うことによって、国からサステナブル建築物等先導事業の補助金六千二百万円弱が交付決定されているということが既に明らかになっております。

 この補助金は、木質化という場合、補助対象事業費の三・七五%を補助する制度と聞いておりますけれども、これは国土交通省に確認いたします。サステナブル建築物等先導事業における森友学園からの応募申請における工事費、建設費用、設計費を合わせた補助対象事業費及び補助要望額は幾らになるか。これに対し、国土交通省が補助対象とした事業費及び補助上限額は幾らになっておりますか。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 サステナブル建築物等先導事業は、先生御指摘のとおり、建物の先導的な木造化、木質化を図るプロジェクトを公募した上で、学識経験者の評価委員会を経て補助をさせていただいております。森友学園からは二十七年度に応募がございました。

 当該応募申請におきます補助対象事業費は、工事費、設計費合わせて二十一億八千万円、に基づきます補助の要望額は一億一千八百七十五万円となっております。

 当該応募につきましては、評価委員会におきまして、木造の建設が難しい防火地域内で、鉄骨の建物の内外装を木質化することで、大規模な木造校舎の内観、外観を再現するという点などが評価されて、採択に至りました。

 ただ、補助金の上限額につきましては、木質化をされる部分の延べ床面積の割合を勘案しまして、補助対象とする事業費を、応募事業費のうちの約七割、約十五億二千百五十五万円に絞らせていただきました。さらに、予算の状況等を考慮しまして、先ほど三・七五%とございましたが、設計費の場合二分の一補助という制度となっております。そういった機械的な計算を、先ほどの金額に当てはめた場合の金額からさらに減額を、予算状況等を踏まえてさせていただきまして、補助の上限額を六千百九十四万四千円とさせていただいたところでございます。

宮本(岳)分科員 大阪府私学審議会でも少し議論がありましたので、これは事実を、事実というか制度そのものを、もう一問教えてもらいたいんですけれども、木造というのと木質化というのとは違うと伺っておりまして、この森友学園の場合は木質化というふうに伺っております。これは事実か。そして、どう違うのか。

石田政府参考人 木造化の場合ですと、いわゆる建物の構造本体を木を中心に構成するということになります。木質化の場合、今回の場合は鉄骨造がベースでございまして、基本は鉄骨の建物でございます。ただ、その外観、内観を、木を使うということで、見た目を木造のようにするということで、こういった建物を木質化というふうに呼んでおります。

宮本(岳)分科員 要するに、鉄骨を使うんだが、その外に木を張って、木造のように見えるようにするというのが木質化だと聞いております。

 いずれにせよ、森友学園は、相手側から申請してきたときには二十一億八千万の校舎を建てるのだという申請があり、そして、そのうち国交省は十五億二千数百万の分について、今御答弁になったサステナブル建築物支援事業の補助金を六千二百万弱おろすということになっているわけであります。ですから、相当財政的には厳しい状況での認可申請ということになっているわけですね。

 ところが、二〇一五年十二月二十四日に開催された大阪府私学審議会の十二月定例会の議事録を読みますと、驚くべき記述が出てまいります。残念ながら額は明かされておりませんが、納付金を大幅に引き下げることができるほどの巨額の寄附金が寄せられたことが推察できます。

 議事録によると、これは何人の人から寄せられたものですか。そして、大阪府私学審では、その後どのようなやりとりが交わされていますか。

村田政府参考人 失礼いたしました。

 寄附の話でございますけれども、これも、今、手元の議事録で申し上げますと、これはどういった形で寄附されたのですか、一人が寄附されたものか複数が寄附しているのかどうかで全然状況が違うということで、事務局が、一人の方が寄附をされています、一人の方なんですけれどもどういった方ですか、済みません、把握しておりませんというようなやりとりがあったということを今確認してございます。

宮本(岳)分科員 それに続けて、どういった方かで全く意味合いが異なると思うので把握する必要があると思いますが、お金というのは出所も大事だと思います、きちんと事務局の方で把握しておく方がよいでしょう、どのような方からの寄附であるのかの確認は必要かと思います、三月の審議会で報告をお願いします、こういうやりとりが交わされているわけです。

 これはその後把握したのだろうと思うんですけれども、大阪府に、どういう方であるのかということは確認できますか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪府に照会してみることは可能かと存じますけれども、ただ、これは当然寄附者の御意向ですとか、開示をどこまでしていいのかどうか、それは先方のことがございますので、お問い合わせはさせていただきたいと思っております。

宮本(岳)分科員 ぜひとも問い合わせていただいて、私の方にも御報告をいただきたいと思うんですけれども。

 もちろん、それは御本人がどういう御意向かというのはわかりません。しかし、一人の人物が巨額の寄附をして私学を自分の思いどおりに支配するというようなことがあり得るわけでありますけれども、そういうことを避けるために、私学にはどのような制度的な保障や仕組みが存在するか、これも私学部からお答えいただけますか。

村田政府参考人 これは、私立学校法におきまして、私立学校の管理運営につきましては規定が設けられているところでございます。

 これも先生から今御指摘がございましたとおり、私立学校の最終的な意思決定は五人以上の理事から成る合議体である理事会が行うこととなる、それからもう一つは、評議員会の制度が設けられておりまして、重要な事項については諮問を行い議論をしていただく、そういった形で、恣意的な学校運営が行われるということをチェックできるような制度となっているものでございます。

宮本(岳)分科員 理事会がチェックの役割を果たすと。私も私立学校法改正案を審議しましたから、重々わかっております。

 しかし、その理事会も議事録が不十分だと。理事長の発言に対して異議なく了承されたというような中身が報告されるばかりで、それではだめだという議論がこの議事録で交わされております。

 もちろん、カリキュラムについても危惧の声が噴出しております。一、二年生の道徳や特別活動の時間が国基準よりも大幅に多い。委員からは、教育内容は何なのか、どちらかというと思想教育のような部分がある、少し違和感は覚えるといった懸念が出されております。

 二〇一四年十二月定例会では、森友学園が現在運営している塚本幼稚園について、先日も安倍首相の奥様をお呼びされたり、そういった結構独特といいますか教育勅語を子供たちが覚えてそれを唱えたりとか、幼稚園でやっているようなことの何かを持ってこようということでしょうか、一、二年生というのはという議論が交わされております。

 議事録に出てくると思うんですが、事実でしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の議事録において、そのような記述があることは事実でございます。

宮本(岳)分科員 この塚本幼稚園というのは、幼稚園児に教育勅語を暗唱させていることでも有名な幼稚園であります。

 教育勅語をめぐっては、私はかつて衆議院文部科学委員会で下村博文文部科学大臣と相当突っ込んだ議論をやったことがございます。下村大臣も、私とのやりとりの中で、教育勅語の中の徳目の中で「夫婦相和シ」とか「朋友相信シ」とか真っ当なものもあると言いつつも、教育勅語をそのまま使っていいと思うとは一言も申し上げていないと答弁し、当時の前川初等中等教育局長も、教育勅語そのものを教材として使うということは考えられない、こう答弁をされました。

 文部科学省に確認しますが、この立場に変更はございませんね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、当時の国会でのやりとりがあったことは承知しております。また、文部科学省といたしましては、その立場が変わっているものではないということでございます。

宮本(岳)分科員 再度確認しますが、教育勅語をそのまま子供たちに教える、これは適当でない、間違いないですね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げれば、そのとおりでございます。

宮本(岳)分科員 もちろん私は、「夫婦相和シ」とか「朋友相信シ」とかいう、いわゆる十二の徳目と言われるものも、その全てが、「一旦緩急アレハ、義勇公ニ奉シ、以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ。」、ここに係っておりまして、いざというときには全てをなげうっていけるように、日ごろから夫婦は仲よく、友達とも関係をきちっと努めて、後顧の憂いがないようにしておきなさいという意味が込められているのであって、徳目自身が今日の憲法と教育基本法のもとではその価値を認めることはできない、こう私は考えております。

 しかし、教育勅語全文の暗唱というものは、文部科学大臣も文科省も一貫して否定してきた教育勅語をそのまま子供たちに暗記させる、教え込むという以外の何物でもありません。

 これは文科大臣に聞かなければなりませんが、これを小学校で生徒にそのまま教えるというようなことは、私は適切でないと思いますが、いかがでしょうか、大臣。

松野国務大臣 現在、塚本幼稚園において教育勅語を暗唱する活動が行われているということは同園のホームページや報道の内容を通して把握をしておりますが、文部科学省として詳細に承知をしているわけではありません。

 今、委員から小学校においてというお話があったかと思いますが、この教育方針が、まだ認可も受けていない小学校においてどう扱われるかというのは、これは仮定の話でございますから、仮定の話に私がコメントすることはございませんが、いずれにしろ、幼稚園にしろ小学校にしろ、所轄庁である大阪府が適切に判断をし、指導するものと考えております。

宮本(岳)分科員 でも、大臣も、先ほどの文科省の答弁、また前下村大臣の答弁、これは同じですね。

松野国務大臣 教育勅語に関しては、これは、戦前においての教育勅語の位置、要は、教育勅語を教育の源泉として取り扱うということは適当でないということが文科省の中で引き継がれているということでございます。

宮本(岳)分科員 ぜひ、しっかりこの中身についても今後つかんでいただきたいと思うんです。

 ましてや、この塚本幼稚園では、しつけというふうに称して、児童虐待にもつながりかねないことが日常的にやられているおそれがあることが昨日の分科会でも議論になりました。私も、子供がお漏らししたら、そのままかばんに入れて持ち帰らせるといった話は伺っております。

 昨日、大臣は、大阪府にはどういう状況なのか報告を求めると答弁されたようでありますけれども、答弁を求めるとともに、万一不適切なものがあれば直ちに正していただきたい。最後に大臣の答弁を求めて、私の質問を終わりたいと思います。

松野国務大臣 この事案について、大阪府から状況について聞き取りをしたいというふうに、もう既にこれは聞き取りを電話で昨日行ったところでございます。

 委員御案内のとおり、これはもう自治事務でございまして、文科省が直接的にその学校等に指導することはできません。現状においては、大阪府としっかり、この問題についていろいろと聞き取りを進め、状況を把握したいということでございます。

宮本(岳)分科員 ありがとうございました。

 終わります。

大串主査 これにて宮本岳志君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山分科員 民進党の小宮山泰子でございます。

 本日、予算委員会第四分科会で質疑をさせていただきます。

 本日は、学校のバリアフリー、また、日本の伝統文化の継承ということで、教育現場における指導の仕方等、さまざまお聞かせいただければと思っております。

 まず、冒頭ではございますが、連日、各予算委員会、また、さまざま、天下り問題等、大臣におかれましては、陣頭指揮をとっておられることに心から敬意を表します。

 ここまで明らかになってきたのも、松野大臣がこれまで築いてこられた文科省との信頼関係があるからこそここまで情報が開示されてきているんだとも、私は確信をしているところでもあります。

 しかし、今先ほど質疑もありましたけれども、大阪の案件とあわせまして、今、日本の教育という現場が、大変信頼性というものが問われる、やはり、金銭であったりそういったもので許認可が出たり就職になったりという、そういったことを多くの方が認識をしたということは、ここを今是正しなければいけない正念場なんだ、教育行政においては正念場だと思いますし、その責任というのは松野大臣のやはり手腕にかかっているし、その責任感の強さにかかっていることと感じておりますので、ぜひ、今だからこそ全てを明らかにし、そして、きちんとした道筋をつけていただきますことを大臣には心からお願いしたいと思いますし、御期待を申し上げたいと思います。

 それでは、本日、私のテーマでもございます障害者政策の中で、学校の施設のバリアフリーに関しての質問に入らせていただきたいと思います。

 二〇〇六年バリアフリー新法の附則に、「法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とありますが、二〇一一年では基本方針改定を中心にとどまり、法改正には至りませんでした。

 そこで、今回、オリパラ二〇二〇を見据えて、ようやく動き出したとは感じております。今回の見直しの背景には、障害者制度改革、障害者権利条約の批准、改正障害者基本法、障害者差別解消法の成立や、また、オリンピック・パラリンピック、東京で開催されるというものがあると思っております。

 法改正から、現実には、公共交通機関の旅客施設や車両等のバリアフリー化は着実に進展をしておりますけれども、まだまだ進んでいないところ、また、差別がより大きく事件に発展したなどは私たちの記憶に新しいし、これはやはり直していかなければならないんだと思っております。

 先日、二〇二〇年東京パラリンピックへの行動計画が政府から発表され、計画案によると、バリアフリー法に基づく施設整備基準を一七年度中に改正し、車椅子利用者の利便性を高めるため、駅のエレベーター定員増、移動経路の複数化、ホテルなどの建設物の設計標準改定で障害者等が利用できる客室確保を目指すこととあります。そして、文部科学省においても、二〇年度から、次期学習指導要領で、障害者との共同学習、道徳、音楽など各教科を通じ、全ての子供に心のバリアフリー教育を実施、教員に対する研修の充実も明記されたと伺っております。

 気になるのは、二〇年度からでは、東京パラリンピックにはもう間に合わないわけでありますから、ここはやはり少し早めていただかなければならないのかなと思います。

 また、実際に障害をお持ちの方からの御意見としては、こういった座学ではなく、やはり、ともに学び、インクルーシブな環境というものが、共同することの方が、よほど現実には即したバリアフリー、心のバリアフリーというものを育成するのではないかという御意見も聞こえてまいります。

 そこで、障害をお持ちの方が学校に来る状況というのは、災害時には顕著にあらわれるものでもありまして、災害の避難所としての役割、学校に備えるべき設備について、まずお聞かせいただきたいと思っております。

 昨年の十月十七日、厚生労働省並びに防災担当大臣に対して、障害者当事者でもある地方議員などによる市民団体、障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークの皆様とともに、熊本地震の際に障害者の皆様が直面したさまざまな問題に関して同団体が取りまとめた提言内容の説明と、そして要望書を提出させていただきました。

 避難所となった学校においては、バリアフリー化が十分でなく、被災者である障害をお持ちの方が避難所に入れない、入りにくい、とどまりにくいということが現実に起きてしまいました。結果、障害者の方々は、被災した自宅にとどまる、また、車中にとどまるなどしていたために、食料やそのほかの支援の手が行き渡らない原因ともなったと、大変つらい経験を伺わせていただきました。

 そこで、インクルーシブ教育の時代にも入りました。なおかつ、バリアフリー法改正での、避難所となりやすい学校においてバリアフリーの義務化をすべきではないかという思いが強くございます。文部科学大臣の御所見を求めるとともに、積極的に取り組みをしていただきたいと思いますし、まずは、この点を大臣にお伺いさせていただけますでしょうか。

松野国務大臣 文部科学省では、東日本大震災や熊本地震発生後、これらの災害を踏まえた今後の学校施設の整備方針を検討するための有識者会議をそれぞれ設置をし、児童生徒の安全確保や避難所機能の確保等について提言を取りまとめています。

 その中で、避難所機能の確保に関する課題として、トイレについて、洋式が少なかったり、断水により利用ができなかったことや、避難所となっている体育館の出入り口に段差があり、高齢者の方が苦労されたことなどが被災自治体の声として挙げられるとともに、避難所となる学校施設に必要となる機能や今後の推進の方策に関する提言が盛り込まれています。

 文部科学省としては、この提言を踏まえ、引き続き、避難所となる学校施設に必要な防災機能の強化に努めてまいります。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 必要な機能という中において、まず、避難所となった公立学校の被災時の経験等、文科省としての情報収集また集積のあり方は、どのようなことをしたのかも具体的にお聞かせいただけないでしょうか。

 熊本地震の後に、学校のトイレ研究会誌というのがございまして、熊本避難所調査レポート、号外で出されたそうです。

 この中では、避難所で不便だったことの第一位としてはトイレが挙げられていました。避難所に多く占める高齢者には和式トイレが使えない方が多く、大変苦慮されたと書いてありました。高齢者や車椅子使用者などが使えないなどは、先ほど述べたとおり、その実態は熊本の村上市議からも伺わせていただきました。また、仮設トイレも同様で、段差等があり使えないということでありました。

 耐震化とともに、学校の常設トイレの洋式化をすること、また、多機能トイレ、オストメイト対応や折り畳みシートの導入の現状について、文部科学省の見解を伺わせていただきたいと思います。

 あわせて、東日本大震災、熊本地震などで避難所になった学校施設での問題点、課題についてどのように捉えていらっしゃるのか、お聞かせください。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、トイレの件でございます。

 学校施設は災害時には地域住民の避難所になることから、御指摘のトイレ環境改善についても極めて重要であると考えております。

 公立小中学校施設のトイレの状況を調査しましたところ、平成二十八年四月一日現在で、洋式化率は四三・三%、多目的トイレにつきましては全国で約六万カ所が設置されている状況でございます。

 これらの状況を踏まえまして、文部科学省としては、これまでトイレの改修について国庫補助を行うなど環境整備に努めてまいりましたが、今後とも、トイレの環境改善を含め、地方公共団体が計画的に施設整備を行えるよう、必要な予算の確保に取り組んでまいります。

 また、御指摘のありました熊本地震、東日本大震災等を踏まえた課題という認識でございます。

 先ほど大臣からもお話がございました、私どもとしても有識者会議を設置しまして、児童生徒の安全確保や避難所機能の確保等について取りまとめたところ、それを踏まえまして、避難所機能確保につきましては、調査をするとともに財政支援を行ったところでございまして、引き続き、この提言を踏まえまして、避難所となる学校施設に必要な防災機能の強化に努めてまいりたいと考えてございます。

小宮山分科員 ちょっと先に行きまして、引き続きトイレの話になりますけれども、ぜひ、今もう少し詳しく本当は、老朽化した学校トイレの、和式便器が多いというのを、いろいろな行事等でも、おじいちゃま、おばあちゃまとかが来られて、子供たちの応援をしたい、そんなようなときにも、やはり洋式が少ないということで、改修を望む声というのは大変大きくあるということは承知しております。

 この点に関して、きのう伺ったところによると、県とか地域によって随分、先ほど、随分普及が進んでいるようには、データは伺いましたけれども、実際には地域的な格差があるというようなことも感じております。

 この点の格差をやはりなくしていくことというのもぜひしていただきたいと思いますが、この点もちょっとあわせて伺わせていただきたいのと、続きまして、災害時等では、上水の断水などで、排水システムが重要となってまいります。

 東日本大震災のときにも、私も学校の施設、衛生環境のところを見て回りました。非常に、仮設トイレも水が流せないという状況、汚物が積み上がるような状況になっておりました。

 また、学校の方も、浄化槽が設置してあるところは多少は、環境衛生関係の皆様がバキュームカーを持ってきて処理をし、また他県でし尿処理などをしていただいたり、そういったことをされましたけれども、なかなか都市部では厳しいところも、公共下水のところはそれもできないということもあります。

 国としては、国交省を初め、現実には下水道のマンホールトイレなどの普及はしておりますけれども、この点に関しましては、山間部などにおいては、まだ、もしかすると公立の学校で単独浄化槽がそのままになっているのではないか。環境負荷のこともあわせて考えますと、合併浄化槽への転換というのは全て、一〇〇%にするべきであると考えております。

 この点に関しまして、また、先ほどの洋式に変更する、耐震化等、さまざまなところ、また、災害のときには代理の設備等の支援というのも大変望まれているところではありますが、日常のことでもありますし、応用がきくということで洋式に転換する、そこの推進に関して何か地方自治体等への支援策がありましたら、あわせてお聞かせいただければと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、トイレの調査についてお話をさせていただきました。

 実は、この中で、各学校設置者のトイレの整備方針というのを調査してございます。

 それを見ますと、学校設置者、全体千七百九十九自治体の整備方針の内訳でございます。おおむね洋便器化をしたいという自治体が全体の四二・五%、各階に一個程度和便器を設置し、他は洋便器が一三・四%、各トイレに一個程度和便器を設置し、他は洋便器とするのが二九・三%、洋便器と和便器をおおむね半々に設置が一〇・七%、あと、その他となってございますが、和便器より洋便器を多く設置する方針の学校設置者は全体の八五・二%になっております。

 これに沿って、私どもも、地方の計画がちゃんと進むように財政支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

 あと、トイレの断水があった場合の件でございますが、御指摘の学校施設における浄化槽の設置状況につきましては、残念ながら把握はしてございません。

 下水道が普及していない地域に立地する学校施設につきましては浄化槽の設置が想定されるところですが、これにつきましては、地方公共団体が学校施設の整備を行う際にはあわせて国庫補助の対象としてございます。また、下水道が普及している地域におきましても、災害時に下水管に被害が生じた場合、マンホールトイレとあわせて汚水貯留槽の設置なども検討しておくことが有効であると考えております。これらについても国庫補助をしているところでございます。

 引き続き、学校施設の防災機能の一層の強化に努めてまいりたいと考えてございます。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 学校の防災拠点としての役割を担うために今後優先的に改善した方がいいと思うことは何かというアンケートでは、自家発電装置、長期停電によりテレビ、携帯が使えず情報不足になるといった点。また、非構造部材の耐震化、校舎自体の耐震化は終了しても天井、内装、照明、窓ガラスなどが非耐震ということで、大分壊れた事例が多かったと伺っております。そして、今取り上げました、常設のトイレの洋式化ということが挙げられておりました。

 東日本大震災では、計画停電で、関東、まあ、東京、永田町は余り停電がなかったので、この話をすると、私の地元が埼玉、川越ですけれども、一日二度の計画停電等があったということで、さまざま苦労が皆さん地元ではあった、商売にも影響したという話は聞けるところでありますが、避難所に指定される可能性の高い学校施設も、当然、停電というエリアに入ることが想定されます。被災時にも電源確保また蓄電池などの設備というものも設置をするべきであると考えております。

 この点につきまして、今現状どのようになっているのか、また、今後、設置に対しての補助や支援策はどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 国立教育政策研究所の調査によりますと、災害時の避難所に指定された公立学校施設において、自家発電設備等が設置されている割合は、平成二十七年五月一日現在で四三・九%となってございます。これにつきましては、東日本大震災以降、かなりその設置率を上げてきているということがございます。

 文部科学省では、地方公共団体が公立学校施設において蓄電池を設置する際の施設整備について国庫補助も行ってございますので、引き続き学校施設の非常電源確保に努めてまいりたいと考えてございます。

小宮山分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 先ほどお伝えしました、障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークの皆様方の御要望を聞いていても、福祉避難所をつくったといっても、やはり、一時的に避難をされる多くの方は、まずは学校に向かうということがあります。また、多くが、地域において避難所という指定を受けているのも公立の学校かと思っております。

 「「熊本地震の被害を踏まえた学校施設の整備について」 緊急提言」というのが出されております。その中には、熊本県のアンケートによると、救命避難期、生命確保期に当たる地震直後から二日から三日後までは、トイレ、非常用電源、水、情報通信機器のニーズが高い、また、段差の解消は、高齢者や障害者への対応だけでなく、物品の搬入にも必要となる、これらについては、避難のために不可欠な機能と考えられる、地域の実情に応じて必要最低限備えるべきものを検討し、それらを優先的に整備または機能確保すべきである。

 また、避難所となる学校施設においては、雨漏り等の施設老朽化に伴う建物性能の喪失がないことのほか、ユニバーサルデザインの採用や断熱性の確保、施設の長寿命化など、学校施設として備えておくべき基本的な建物性能が確保されていることが重要であるというような報告書がありました。

 また、その中には、文科省は、内閣府、総務省消防庁、国土交通省等の関係府省と連携を深化するとともに、地方公共団体において関係者の適切な協力体制が整備され、各学校における防災機能強化の取り組みが促進されるよう要請していく必要があると提言されております。

 現在、学校は、バリアフリー法におきましては、特定建物、利用円滑化基準に適合努力義務となっております。これを特別特定建築物として適合義務にすることで、学校のバリアフリー化がより早期に実現するものと考えております。

 災害に強い、災害後に強い学校にすることで、子供たちと地域の人々を守る拠点となります。これは、社会とともに学校が人を育むことを体現するためにも重要な観点だと確信しております。この点につきまして、ぜひ、大臣におかれましては前向きに御検討されることを強く要望いたし、また、ぜひこの点に関しまして御意見を聞かせていただければと思います。

松野国務大臣 避難所としての学校の機能、必要な機能に対する考え方は先ほど申し上げたとおりでありますが、委員の方から御指摘をいただいた、インクルーシブ教育を推進する上でという観点で、障害のある児童生徒が支障なく学校生活を送ることができるようにするため、学校施設のバリアフリー化を進めることは重要であると考えています。また、地域社会における学習活動の場、先ほど申し上げた災害時の避難所としての機能も求められることから、学校施設のバリアフリー化を進めること、このことに関して、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 バリアフリー法では、不特定多数の方が利用される建築物、及び、主として高齢者、障害者の方が利用される建築物について、建築物移動等円滑化基準への適合を義務づけしています。学校施設につきましては、委員から御指摘があったとおり、障害のある児童生徒が学ぶ特別支援学校は義務づけの対象になっていますが、一方で、その他の学校は努力義務の対象となっていると承知をしております。

 バリアフリー法は国土交通省の所管でありますので、文部科学大臣として見解を申し上げることは差し控えさせていただきますが、私としては、学校種を問わず、学校施設のバリアフリー化を推進していくということは重要であると考えています。

 文部科学省としては、各地方公共団体等に対し、学校施設のバリアフリー化の推進について要請するとともに、指針や事例集等の作成による情報提供や、バリアフリー化にかかわる施設整備について国庫補助を行っているところであります。今後とも、バリアフリー法を所管する国土交通省とも協力しながら、各地方公共団体等における学校施設のバリアフリー化の推進に取り組んでまいります。

小宮山分科員 大臣、ぜひ、この点に関しましては、災害時、不特定多数の方、さまざまな方が学校に来るということを鑑みても、国交省の確かに所管ではありますけれども、多くの方の命、そして情報を得る拠点ともなる学校のバリアフリー化、これに関しましては、各省庁と連携をしていただき、推進をしていただくことを心からお願いいたします。

 さて、日本伝統文化を遺産とせず日常に生かしていただきたいと思っております。時間が大分過ぎてしまいましたので短くはなりますけれども。

 私自身も、この数年、経済産業省など、この分科会を通じまして、日本の職人が使う道具をつくる職人の支援というのをテーマに質問を重ねさせていただきました。国際化の中で、日本の伝統文化を日本人自身が知らな過ぎるというのも実感でもございます。日本人が日本の伝統文化、生活文化を知ることというのは、日本の文化、そして日本の魅力というものをさらに深化させるとともに、これが、世界の方からやはり日本が一目置かれる、そういったものにつながるのだとも確信しております。

 そこで、観光庁への質疑では、ユネスコ無形文化遺産登録一号の能楽の映像が外務省で作成され、大変すばらしかったものでありまして、これはやはり、個人としては、私としては、文化庁でもっと、日本の伝統文化、そういったものを国内外に紹介をする、多言語でできれば紹介をする取り組みがあっていいのではないかと思っております。この日本の伝統文化の伝え方、施策についてお聞かせください。

中岡政府参考人 先ほど外務省の方の事例が紹介されましたけれども、日本各地には歴史や風土に育まれ発展し、伝承されてきた貴重な無形文化財や民俗文化財が多数存在しますけれども、近年の急激な社会構造の変化、とりわけ少子化、過疎化等々によりまして、それが廃れていったり衰退していくというおそれが危惧されるわけでございます。

 そういった面で、この保存というものは喫緊の課題となっておるわけでございますけれども、文化庁におきましては、重要無形の文化財に指定されている保持者の高度なわざを、これをしっかりと後世に残せるような記録映画等を作成しておりますし、また、無形の民俗文化財につきまして、各地において守り伝えられてきたものを文書、映像等によって残すための記録作成にも取り組んでおるところでございます。

 今後とも、こういった伝統文化の指導者や学び手等が正しい知識を学べるという観点もございますけれども、我が国の貴重な文化の保存に努めてまいりたいと思いますし、国内外への発信につきましてもきちっと対応してまいりたいと考えております。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 農水省の調べによりますと、ピーク時の昭和三十四年には全国で千八百七十一社あった製糸工場は、今はもう七社になっており、もう少し減っているかもしれません。また、絹産業も、養蚕農家というのは、ピーク時二百二十一万戸だったものが、平成二十四年には五百六十七戸まで減っています。これは和装離れがあり、そして需要がなくなったからだということも言われております。

 サブカルチャーなどには政府は本当に巨額の基金などを積み上げておりますが、こういった文化に対してはなかなか支援が行き届いていない。また、私も県議会議員時代から、学校でもう少し日本文化を教えられないのかというような質問を教育局などにお話しいたしますと、難しいから教えられないという答えが何度も返ってきて、大変つらい思いもいたしました。

 しかし、今、そう言っている場合ではございませんので、やはり、日本というのはすばらしい文化があり、伝統がある。着物などを見ても、ポップカルチャーにつながるような、さまざまなデザイン性の高いものもたくさんあります。

 例えば、着物歴史博物館といったものの整備や、国立博物館や国立近代美術館工芸館で染織、繊維、着物作品の充実をすることで、織物や養蚕、小袖や能衣装のデザイン性の高さ、日本人の美意識を再認識し、後世に伝えることというのは、日本の伝統文化をつなげる意味においても大きな役割を担っていただけるのではないかと思っております。この点につきましてお聞かせいただければと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 小袖とか能装束などの染織品は、我が国に受け継がれてきました貴重な文化財でございます。これらの継承を図る上で、博物館が果たす役割は大きいものと考えております。

 現在、文部科学省におきましては、公私立の博物館の施設整備に対する国庫補助制度というものはございませんけれども、美術館、博物館が地域で行う特色ある取り組みを支援いたします、地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業を実施しております。例えば、平成二十八年度には、こういった事業の中で、奈良さらしに関する展覧会にあわせたワークショップや講演会に係る経費を補助したりしております。

 先ほどもお話がございましたが、国立博物館におきましては、歴史的、芸術的に価値のある約五千件の染織品を、国立美術館では重要無形文化財保持者など近現代のすぐれた作家による染織作品約一千件を所蔵しておりまして、その保存、活用を図っておるところでございます。

 今後とも、こういった取り組みを通じまして、着物文化の振興に努めてまいりたいと考えております。

小宮山分科員 桃山時代から大変すばらしい意匠のものもございますので、ぜひ、一千点と言わず一万点ぐらいはそろえていただければなというふうに思います。

 さて、私の地元は川越でございまして、ユネスコ無形文化遺産で指定を受けました川越氷川神社の祭り、川越まつりが大変有名であります。市内各所、鯨井の万作踊りや南田島の足踊り、富士見市においては南畑神社や諏訪神社の獅子舞など、さまざまな伝統文化が残るエリアでもございます。地域に根差した伝統行事、文化を担う地元の小学校など、保存会などの方の外部講師を得て教えている場合もあると伺っております。

 このように、地域とともにある、肌で感じる、学べるような地域の文化学習の機会をとっていただくことが望ましいと思いますけれども、この点に関しまして、文科大臣の御見解をお聞かせください。

松野国務大臣 まず、先ほどの質問の日本文化の発信についてでありますが、小宮山委員、茶道家でもいらっしゃって、日本文化に対して造詣が深く、見識をお持ちであり、また、かねてより文化庁の情報発信に関してアドバイスをいただいておりますが、今、文化庁でも、日本の伝統文化を国内外に伝えるためのさまざまな施策、動き出しておりますので、ぜひ御期待をいただきたいと思います。

 地域に根差した伝統行事、また教育の場でということでございますが、御指摘のとおり、子供たちが地域に根差した伝統行事などの日本の伝統文化について学ぶことは、大変重要であることは言うまでもありません。

 本年度中の告示を目指している小学校、中学校の学習指導要領の改訂案においても、県内の主な文化財や年中行事、我が国や郷土の音楽、和楽器、和食、和服など、我が国の伝統や文化に関する教育について充実を図ろうとしているところであります。

 また、伝統文化親子教室事業や文化芸術による子供の育成事業などを通じ、子供たちが日本の伝統文化に親しみ、あるいは体験、習得できる機会を充実させるよう、努力を続けてまいります。

 こうしたことを通じて、学校教育において伝統や文化について学ぶ機会を一層充実してまいりたいと考えております。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 地域、日本の伝統文化を学ぶことによって、世界各国の文化を大切にする人たちとその思いも共有できる、そんなすばらしい教育ができることを心からお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大串主査 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。

 次に、角田秀穂君。

角田分科員 おはようございます。公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことをまずもって感謝申し上げたいと思います。

 早速質問を進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 第一点目としては、子供の貧困対策ということにもかかわってまいりますけれども、このことに関して幾つかお伺いをしていきたいと思います。

 学校現場における生徒指導上の諸問題を抱える児童生徒や発達上の特別な支援を必要とする児童生徒がふえている、こうしたことに加えまして、子供の貧困問題を早期に把握して必要な支援に結びつける必要性も高まっている中で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに対する現場のニーズも高まっております。特にスクールソーシャルワーカーについては、新年度予算案でも増員が目指されているものの、まだまだ十分にニーズに応えるには不十分な状況であろうかというふうに考えております。

 新年度予算案を見ましても、スクールカウンセラーについては、公立の小学校で一万六千校、中学校では全ての公立中学校で相談体制の整備を図られようとされておりますけれども、いじめや不登校に加えて、貧困問題、虐待などさまざまな問題を抱える子供に寄り添って、必要に応じて福祉制度や行政サービス等の利用を支援して、またそれら関係機関の間に立って子供を取り巻く環境を少しでもよくしようとさまざまな働きかけを行う、そうしたスクールソーシャルワーカーの必要性は、現場の要望も含めて高まっているにもかかわらず、現状では、市内の学校には配置されていない、隣の市に行かなければスクールソーシャルワーカーがいないというような状況もございます。

 現場の教員では、問題を抱えていそうだと気づいても、その先の支援にどう結びつけてよいのかまではなかなかわからない。そうしたとき、身近なところに一緒に動いてくれる福祉の専門家がいてくれることは、これだけでも非常に心強いことだろうと思います。

 そうした点からも、できる限り全ての現場に配置されることが目指されるべきと考えますが、子供の貧困をめぐるさまざまな指標を見ても、依然として高い水準にあることを考え合わせて、今後、早急に配置を拡大していくことを目指すべきと考えております。

 この点について、文部科学省として、スクールソーシャルワーカーの配置の目標はどこに置いているのかといったことも含め、今後の取り組みもあわせてお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 子供の貧困問題など、子供を取り巻く環境に働きかけながら福祉の専門家として支援を担うスクールソーシャルワーカーの配置の充実を図っていくことは、委員御指摘のとおり、大変重要なことと考えております。

 スクールソーシャルワーカーにつきましては、平成二十七年十二月の中央教育審議会の答申におきましても、日常的に相談できるよう配置の拡充を検討するとされておりまして、これを受けまして、文科省といたしましては、平成三十一年度までにスクールソーシャルワーカーを全ての中学校区に約一万人配置することを目標として立てております。

 平成二十九年度予算案におきましても、対前年度約三億円の増額ということで、約十三億円を計上しているところでございます。これによりまして、二十八年度が、予算積算上、三千四十七人でございますが、二十九年度の予算案では五千四十七人の予算積算を積んでいるというところでございます。

 引き続き、文部科学省といたしましては、スクールソーシャルワーカーの配置の拡充に向けて努力していきたいと考えております。

角田分科員 現場のニーズも高まっている。また、貧困の問題というものも、さまざまな指標を見ても非常に高い水準であって、早急な対策が必要で、どこで把握するか、学校というのも非常に大きな機会であろうと思います。

 そうしたことから、平成三十一年度には全中学校ということですけれども、小学校の現場も含めて、可能な限り早急に各現場に配置がされるよう、これからも積極的な取り組みを要望させていただきたいと思いますし、また、そうした人材の養成確保についても、文科省としてもしっかりと取り組みを進めていただきたいということを要望させていただきます。

 続きまして、就学援助について少しお伺いしたいと思います。

 これは、学校教育法第十九条において、経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は必要な援助を与えなければならないというところから、要保護及び要保護に準ずる就学援助として、学用品、修学旅行費、給食費など必要な費用の援助、補助が行われておりますけれども、ここでは主に、準要保護児童生徒、市町村教育委員会が要保護者に準ずる程度に困窮していると認めた児童生徒に対する就学援助について質問をしたいと思います。

 学校生活においてかかる費用、これはさまざまありますが、特に学校に上がるときが、やはり学用品等さまざまそろえなければいけないということで、出費がおのずとかさむ、したがって援助の必要性も高い。こうしたことに対して、一部の自治体では前倒しで必要な費用を入学前に支給できるようにする動きも出てきておりますけれども、まだまだ、多くは入学後に、いわゆる後払い方式をとっているところが大半のようであります。

 この理由としては、一つには、やはり、保護者の前年分の給与所得証明書など収入を確認しなければいけない、そうした証明する書類の提出を審査要件としているためになかなか手続上前倒しが難しいんだということも挙げられておりますけれども、中には、法律で学齢児童生徒の保護者を対象としていることからできないと、法律上の理由を挙げている自治体もあるというふうに伺いました。

 この点、学齢児童生徒ということについて確認のために質問をさせていただきたいと思うんですけれども、法律の解釈上、このような支給をできない理由というのは本当にそうなのかどうかということですね。解釈上、前倒し支給はできないのかどうか、この点について文科省の見解をまずお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の要保護児童生徒に関する点につきましては、これは国の制度として、市町村が行った学用品や通学用品の費用についての援助ということで、二分の一について、国の要保護児童生徒援助費補助金から補助しているわけでございますが、この補助金につきましては、学齢児童または学齢生徒を対象としているわけでございます。

 したがいまして、中学校に入学する方については、既に、小学生ですので、学齢児童に該当しますので、国の要保護児童生徒への補助金の対象にはなっているということでございますが、小学校入学については、まだ小学校入学前ということでございますので、この要保護の補助金の対象には仕組み上ならないということでございます。

 他方、準要保護の児童生徒につきましては、小学校あるいは中学校に入学する際の費用についての補助について、市町村の判断によって、入学する年度の開始前に支給することは可能でございまして、委員御指摘のとおり、一部の自治体、例えば福岡県福岡市などにおいて入学前の支給を行っているという実態でございます。

角田分科員 要は、できるということなんですね。したがって、そういった誤解をしているようなところもあるということに鑑みて、できる限り必要なときに必要な支援が行われるということがやはり求められなければいけないと思いますので、そうしたことについての周知を文科省としてもぜひ図っていただきたいというふうに思います。

 続きまして、切れ目のない支援体制の構築について、これは特別支援教育になりますけれども、お伺いをしたいと思います。

 切れ目ない支援体制の構築について、新年度の予算案において、インクルーシブ教育システム推進事業として、就学前から卒業後にわたる切れ目のない支援体制を構築する地域を三十地域程度選定して、そこに対する補助を通じて支援する事業というものを実施するということにしております。

 このことに関しまして、特別な支援を必要とする子供に、具体的には教育部局と福祉、保健、医療、労働等の部局が連携して、一貫した支援体制の構築を目指すということですけれども、これは非常に幅の広い部署にまたがる事業となるかと思いますが、まず、この事業の中心的な主体はどこを想定しているのか。これは文科省所管の事業ですので、教育委員会が中心になって連携体制を構築していくことを想定されているのかなと思いますけれども、まずこの点についてお伺いをしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 障害により特別な支援を必要とする子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援を行うため、教育、保健、医療、福祉、労働など関係部局が連携して、一貫した切れ目のない支援を行うことが求められていることは委員御指摘のとおりでございます。

 文部科学省といたしましては、このような状況を踏まえまして、関係部局が連携し、特別な支援を必要とする子供に対する一貫した支援体制を構築する自治体を支援するために、特別な支援を必要とする子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制構築事業につきまして、平成二十九年度予算案において新たに計上しているところでございます。

 この事業につきましては、それぞれの自治体の実情に応じて実施主体を判断いただくものとしておりまして、これは、教育委員会のみならず、福祉部局など教育以外の部局につきましても実施主体になることは十分可能であるという事業でございます。

角田分科員 この支援体制構築を進める上で、私自身、やはり一番大切な視点というのは、本人や保護者の視点に立った支援が行き届く体制、こういったことが築かれること、そこが目指されるべきだろうというふうに思っております。

 私自身も、特別な支援を必要とする子供の、ある意味生まれる前も含めて、乳幼児期から就学、それから卒業後、その先が人生の大半を占めるわけですけれども、この卒業後をにらんで一貫した支援を行う体制づくりをすることは極めて重要なことだという思いから、議会等でも訴えてきましたけれども、なかなか本人、保護者の視点に立った連携の仕組みづくりということは難しいことだなということを私自身感じております。

 例えば、子育てに関する相談体制一つとっても、しつけや育児不安、子供の発達、療育等に関する悩みについての相談は市長部局の中の福祉部局。妊娠中の健康や赤ちゃんの発育、発達など育児に関するものは市長部局の中の健康の部局。また、落ちつきがないとかコミュニケーションがとりづらい、言葉がおくれている、そういった発達に関する心配事の相談というのは、これはまた福祉の中でも障害の部局。言葉が遅い、コミュニケーションがとりづらい、吃音であるとか、そういった言葉についての相談はまた別の窓口を紹介されるということで、本人や保護者の立場に立って考えた場合、入り口から迷ってしまうような対応が現状あって、こういったものは早急に改めなければいけないと思います。

 あわせて、特に療育支援の面では、保護者として、就学に関する悩みが子育てをしている中でやはり大きな問題となっていることも踏まえて、そうした悩みに早い段階から寄り添って相談に乗り、就学後も将来を見据えた一貫した支援が行われるよう、教育委員会も連携してワンストップで対応できる、まずそうした入り口の体制を早急に構築する必要があるというふうに私自身訴えてきた経緯があります。

 その中で、特に福祉保健部局とそれから教育委員会の間、この間の連絡をスムーズにする取り組みが何よりも重要だ、必要性が高いというふうに痛感をしてきました。ここがうまくつながらない限り、卒業した後の雇用労働対策、こちらの方とも連絡しないだろうというふうに思っております。

 そうした経験も踏まえまして、改めて伺いたいと思うんですけれども、切れ目ない支援体制の構築を目指す事業を創設する目的、そして切れ目ない支援体制を構築する上で、これまでにどのような障壁があってなかなかそうしたところが進んでこなかったとお考えなのか、文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 障害により特別な支援を必要とする子供への支援については、各発達段階や必要な支援の内容に応じ、教育のみならず、さまざまな部局等による支援が求められていることから、例えば自治体における相談窓口の一本化や個々の障害の状況や支援内容の共有化により、一人一人に適切な支援がなされることが期待できます。

 本事業は、各自治体における、委員の方から今御指摘があったとおり、部局間や外部機関との連携体制の強化を図るため、例えば連携支援員を配置したり、個別の支援計画を活用して情報共有をする取り組みなどを支援するものであります。

 文部科学省としては、こうした支援に加え、当該事業において成果を上げた自治体の取り組み事例を全国的に発信し、切れ目のない支援を推進してまいります。

角田分科員 ぜひまた、この事業を通じて、そうしたモデル的な、また好事例、そうしたものの発信、それによって、全国的にこうした切れ目のない支援体制が構築されるよう、今後の取り組みもまた要望したいと思います。

 この点に関して一点だけ。今お話もありました、連携をするために福祉部局との連絡支援員の配置というものを一例として掲げられていますけれども、具体的にこれはどういう方を想定されているのか、この点だけちょっと確認をさせていただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの件につきましては、専門家もあり得ますし、あるいは事務方もあり得るということで、特段、現時点において明確なイメージがあるわけではございません。

角田分科員 時間もありませんので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 ここで取り上げさせていただくのは、動物介在の活動についてということで少しお伺いをしていきたいと思うんですけれども。

 動物介在の活用というのは大きく分けて三つありまして、一つにはレクリエーションの分野、それから医療の分野、それから教育という大きく三つの領域に分けられます。

 医療としての動物介在療法、これはAAT、要すればセラピーですけれども、医療の現場で治療行為として行われる補助療法で、医療従事者の主導のもと、精神的、身体的機能や社会的機能の向上など、治療を受ける人に合わせた目標を設定して行われているもので、一つには医師がかかわっているかどうかということで区別をされます。この点については、治療を主導する医師の理解がまだまだ広がっていないこと、また、この活動自体、専らボランティアの協力によって行われておりますけれども、我が国においてはそうしたボランティアの裾野が狭いことなどからほとんど普及をしていないというのが現状でございます。

 一方で、教育としての動物介在教育、AAEということになりますけれども、小学校などに動物とともに訪問をして、正しい動物との触れ合い方や命の大切さなどを子供たちに学んでもらうための活動で、こちらの方では、国内でも生活科であるとか総合学習などのプログラムとして取り入れる学校も少しずつではありますけれども出始めてきております。

 ここでは、主に動物介在教育に関して質問をさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。

 動物介在教育の目的について、日本にいち早く人と動物の触れ合い活動をスタートさせ、二十年以上普及に取り組んでいる日本動物病院福祉協会の活動マニュアルの中では、動物との正しい触れ合い方、危険防止、命の大切さ、自然への正しい判断力を育てることというふうにうたっております。

 同協会の会長を務められた柴内裕子氏は、住環境だけでなく生活環境や家族の構成も変わり、子供たちが自然や動物に触れる機会は少なくなってしまったと感じます、自然や動物に心を向けたり、体で感じる体感を得る機会というのは人間にとっても大切との思いから、小学校等での触れ合い授業の推進に取り組んで、当初は犬が学校に来て何するんだということでほとんど学校側の理解が得られなかったということですけれども、子供の教育において大切な内容であるという理解も徐々に広まっており、特に東京都などで授業に取り入れる学校がふえてきております。国内での実施事例が少しずつではありますけれどもふえる中で、教育としてのプログラムもかなり精密に練られたものとなっております。

 そのプログラムの内容についてはもう時間もありませんのでここでは割愛しますけれども、私自身も幾つかの学校、小学校も含めて、このAAE、動物介在教育の模様を視察させていただいてまいりました。

 先月も都内の中学校に視察に伺いましたけれども、やはり驚いたのは、そこで動物を飼っている子ということを尋ねられて、手を挙げた生徒が一人しかいなくて、ほかに動物を飼っている子というのも三人ぐらいですか、いかに最近そういった生き物と触れ合う機会というのが少なくなっているのかということをそこでも改めて痛感したわけです。

 そことは別に、千葉県内にあるんですけれども、通信教育のサポート校でもこうしたAAEを取り入れて取り組んでいるところがございます。そこは在籍している生徒の半数以上は小中学校で不登校を経験してきた、そうした生徒が半数以上を占めているというような学校ですけれども、そのAAEの授業を視察させていただいた際に、生徒たちが本当に目を輝かせて授業に臨んでいる姿勢が非常に印象的でございました。

 授業の感想についても、一緒にいると心を開いたり、優しさが出ると思った、動物の大切さがわかったとか、犬や猫はペットではなく本当に人間の家族だと思ったとか、人として自然や動物を大切にしないといけないと改めて思ったなど、そうした授業の感想などにも触れるにつけ、都市化の進展、核家族化の進行など、子供たちが自然や動物に触れる機会が少なくなっている、そうした状況の中で動物介在教育を導入する意義というものは非常に大きいのではないかというふうに感じております。

 まずは、動物介在教育とはどういうものなのか、教育的な効果であるとかそうしたところも含めて、ぜひ文科省でも積極的に研究、検討していただきたいと思うものでありますけれども、この点について御見解をお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の子供たちは、生命のとうとさやかけがえのなさに心を揺り動かされることがなかなかなく、そういう直接体験が少なくなっているということでございます。

 動物と直接触れ合うことを通じまして、生き物への親しみを持ち、生命を尊重することについて学ぶということは大変重要であると考えております。

 これまでも、各学校におきまして、それぞれの学校、地域の実態や子供の発達の段階を踏まえながら、生活科において動物を飼育する活動、総合的な学習の時間や学校行事などにおいて、さまざまな動物と触れ合う体験的な学習などの活動が行われてきているところでございます。

 本年度内に改訂を予定しております新しい学習指導要領の改訂案におきましても、命の有限性などを実感しながら理解することができるように、各教科の特質に応じた体験活動を充実することとしております。各学校、地域においてさまざまな取り組みが進められるように、学習指導要領の趣旨をしっかりと周知してまいりたいと考えています。

 また、この学習指導要領の趣旨を周知していくに当たりましては、既に各学校や教育委員会、あるいは研究団体などが蓄積してきています動物介在教育に関する実践あるいは研究の成果を踏まえまして、効果的な活動を行う上で特に留意すべき点などを示していきたいと考えております。

角田分科員 先ほど御紹介いたしました柴内氏は、触れ合い活動の実践をする中で出会ったこととして、こんなエピソードを紹介しております。

 地域や学年にもよりますが、一回死ぬともう帰ってこられないと思うか、帰ってこられると思うかと尋ねます。ボタンを押すと生き返ると思う人、手を挙げて、すると、ちゅうちょしながらも手が挙がります。集合住宅の多い地域の小学校で、動物と暮らす機会の限られている子供たちは特に多いと思います。三十人ほどのクラスでそのように答える子供が四人から六人もいて、ショックを受けたことがありましたと。

 その上で、今、都市化が進む中で、自然は遠のき、動物との生活も許されない環境もあります。また、今、ともに暮らす動物の代表、犬と猫は、人類との長いつき合いの歴史を歩んだことで、既に帰る自然を失った動物です。人の社会の一員、家族の一人としてのみ生きていかなくてはなりません。幸い、犬と猫は動物介在活動、動物介在療法、動物介在教育の現場で多くの役割を担います。このような動物たちからのすばらしい恩恵を正しく受けとめるためにも、動物介在のこうした活動の普及の必要性を強調されております。

 動物介在教育の発展型として、アメリカではリードプログラムという動物を交えた読み聞かせのプログラムも開発をされ、効果を上げております。これは、日本でも数年ほど前から特別支援学級で実践が試みられているというふうにも伺っております。

 動物介在教育は、人と動物の極めて長いつき合いの中で育まれてきた土台をベースに、最も大切な命の大切さを学ぶということを含め、多くのことを学ぶことができる非常に効果の大きい試みだとも思っております。先ほども、これからさまざま取り組みをしていただけるということですけれども、ぜひ、少しでも多くの現場で取り上げられ、またその有効性が証明され、広がっていくことを望むものでございます。

 松野大臣におかれましても、ぜひ一段落したら、こうした現場も視察をしていただければと思いまして、そういった要望をさせていただきながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大串主査 これにて角田秀穂君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村弥生君。

木村(弥)分科員 自由民主党の木村弥生です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、子ども・子育て政策に力を入れておりまして、とりわけ、幼児期の環境、愛着形成がその後の人格形成に大きな影響を与えると考えております。

 幼児期においては、幼稚園、保育所、認定こども園等があり、四、五歳児ではほぼ全ての児童がどちらかの施設に通っています。

 私は、昨年、自民党の待機児童問題緊急特命チームの座長として、保育園の待機児童問題に取り組み、提言書を安倍総理に提出いたしました。

 平成二十九年度予算では、保育の受け皿拡大に予算が計上されております。加えて、保育所や認定こども園に通う子供たち、ゼロ―二歳児については、子ども・子育て支援新制度に基づきます保育料補助が行われていると承知しております。一方、幼稚園に通う子供を持つ家庭に対しては、所得に応じて幼稚園就園奨励費が支給され、小学校入学前の子供の学習がサポートされておりますが、保育所や認定こども園に通わせていないゼロ歳から二歳児を持つ母親からは、保育所等に通わせている場合に比べて支援が少ないとの声を聞きます。そこで、例えば、週に二回程度でも、子供と母親が一緒に幼稚園等に通い、家庭教育を基本とした育児のサポートをしてくれるような、そんな場があると非常に助かるという声を聞きました。

 これまでにも、幼稚園で園庭の開放といった、不特定多数を対象とした取り組みはされておりますけれども、さらに一歩踏み込んだ支援が求められているように感じます。それぞれの御家庭のニーズに応じたきめ細やかな対応こそ、少子化対策、ひいては待機児童問題の解消にもつながると考えております。

 保育所や認定こども園等に通わないゼロ―二歳児の子供を持つ家庭に対する支援の必要性について政府はどのようにお考えか、お聞かせください。

松野国務大臣 幼稚園は、学校教育法において、家庭及び地域における幼児期の教育の支援に努めるものとされているところであり、地域における幼児期の教育センターとして、家庭にいる幼児やその保護者への支援に役割を果たすことが期待をされているところであります。

 実際に、木村委員も、お地元でいろいろお話をお聞きする中でこういった声が多いという御指摘もありました。

 実際に、約九割の幼稚園において子育て講座や教育相談などの子育て支援活動を実施しています。政府としては、こうした活動に関し、子ども・子育て支援新制度の地域子育て支援拠点事業や私学助成により幼稚園を支援しているところであり、幼稚園における保護者のニーズを踏まえた地域の子育て支援活動がより一層充実したものとなるよう、引き続き、内閣府、厚生労働省と協力しながら取り組んでまいります。

木村(弥)分科員 ありがとうございました。

 そういった取り組みをしておられます幼稚園の運営費等の支援等もお考えいただければと思います。

 次に、学童保育施設についての質問でございます。

 先ほど保育園の待機児童問題に触れましたが、小学校入学後、学童保育のニーズもまた高まる一方です。厚生労働省の調査によれば、学童保育施設を利用する児童は二〇一六年の五月時点で過去最多の約百九万人であり、学童保育施設の入所を待つ児童も過去最多の約一・七万人いるとされております。

 今、私の選挙区であります京都三区の乙訓地域におきましても、若い現役世代の転入などがふえ、学童保育の質と放課後児童支援員等の人材確保が課題となっております。平成二十九年度予算案においても、学童保育施設の効率的な運営と受け皿拡大を両立することが必要との観点から、支援員のキャリアアップ、処遇改善等に予算が計上されました。大変心強いことでございます。

 学童施設の運営主体については、近年、行政からの委託を受けたNPO法人や民間企業による運営がふえていると承知しております。限られた行政資源だけで考えるのではなく、NPOや民間企業の知見を有効活用していく、それぞれの家庭の事情やニーズに呼応できる受け皿の選択肢をふやしていくのも、これからの学童保育に必要な視点であり、民間委託を推進するべきだと考えますが、政府の見解をお聞かせください。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブの運営主体でございますけれども、平成二十八年の五月現在の調査によりますと、全数二万三千六百十九カ所のうち、公設民営で実施されているクラブは一万五百八十九カ所、割合にいたしまして四四・八%ということで、増加の傾向でございます。

 放課後児童クラブにつきましては、ほかに直営あるいは民間立など多様な運営主体によって実施されているところでございますが、児童が安心して利用できますように、質の確保を図りつつ、地域住民や行政、関係機関などと十分連携や、子供と持続的な関係をつくるなどによりまして、迅速性、継続性を持って適切に対応できる運営体制が重要だというふうに考えております。

 御指摘がございましたように、住民の方々のニーズの増大、多様化に対応するためには、NPOや株式会社といった、そうした民間主体の知見、ノウハウも活用しながら運営に努めていくことが重要だというふうに私どもも考えておりまして、新規整備への補助ですとか、ただいまお話にありました処遇改善などの支援も講じつつ、自治体における取り組みを支援してまいりたいと考えております。

木村(弥)分科員 ぜひ、柔軟性あるさまざまな支援をしていただけると、保護者の皆様も、また子供たちも非常にハッピーになるのではないかと思います。

 それでは、次に、学校給食に関する質問をいたします。

 私は、現在、自民党の食育調査会の事務局の次長を務めておりまして、子供食堂の視察なども含めて、食育の啓発に努めております。

 現在、学校においては、平成十七年度より栄養教諭制度が開始されております。栄養教諭は、学校で食に関する指導の推進に中核的な役割を担っておられます。

 文部科学省の調査によりますと、全国の学校に配置されている栄養教諭の数は約五千四百人であり、全ての学校に配置されているわけではありません。現在の配置基準は、児童生徒数が五百五十人以上の場合で一校に一人ですけれども、食に関する指導は、学校の規模や学校給食実施の有無にかかわらず、全ての学校において行われる必要があると私は思います。

 と申しますのも、私の地元地域で、子育て支援、特に若年のシングルマザー等への支援をしておられますNPOの代表の方から、食材や栄養に関する教育支援までが必要な場合も少なくないとの話を聞いております。きちんとした食育指導を受けた子供たちが、また成長して、自分たちが親になったときに、それを継承することができるためにも、食育支援は大変有意義なものであると考えております。

 栄養教諭の配置の必要性について政府はどのようにお考えか、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 栄養教諭等の定数につきましては、これまでもその配置基準の改善について鋭意努力してきたわけでございますが、さらに、その配置基準の改善だけではなくて、肥満や偏食など、食の指導への対応のための加配定数についても拡充に努力してきております。

 平成二十九年度の予算が要求の段階におきましては、共同調理場における栄養教諭の配置基準の改善を盛り込んで財務省と折衝したところでございますが、残念ながら配置基準の改善はできず、加配定数が十人増ということになった次第でございます。

 文部科学省といたしましては、栄養教諭が担うその専門性に基づき、食に関する指導の推進の中核的な役割を担っていることから、その必要性を十分踏まえながら、今後とも、引き続きその配置の拡充について努力、検討してまいりたいと思っております。

木村(弥)分科員 ありがとうございました。

 続けて、学校給食に関する質問をさせていただきます。

 文部科学省の調査によりますと、公立の学校において保護者が負担する学校給食の月額が、小学校が約四千三百円、中学校が約四千九百円となっております。また、学校給食費を負担することが困難な生活保護世帯やそれに準ずる世帯に対しては、就学援助を通じて学校給食費の補助がなされていると承知しております。

 その一方で、幾つかの自治体では、経済的には学校給食費の負担が困難ではない世帯に対しても給食費を無償とすることで、若い世帯の移住を推進しようとする取り組みを行っていると聞いております。

 このように、貧困家庭のサポートという観点ではなく、若い世帯に対する経済的な援助を通じた地域活性化という積極的な理由で学校給食費を無償化する自治体に対してその費用の一部を国が補助するという制度を創設することは、安倍政権が推し進める方向性にも沿うと思いますが、政府の見解はいかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 学校給食に要する経費につきましては、給食施設整備費や人件費につきましては学校の設置者が負担しておりまして、残りの食材費について保護者が負担する仕組みになっております。

 この保護者負担分につきましては、既に、一部の自治体におきましては、それぞれの地域の状況を踏まえまして、無償とする取り組みが実施されていると承知しております。これら一部自治体における取り組みにつきましては、子育て支援や地域活性化に資するものがあると考えられます。

 他方、学校給食費の無償化に向けた国の財政的支援のあり方につきましては、さまざまな意見がありますとともに、また、その財源の確保、あるいは学校給食を実施していない学校の児童生徒との公平性、バランス、こういった検討すべき論点が幾つかあると考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、御指摘の財政的な支援につきましては現時点では慎重に検討する必要があると考えておりまして、まずは、小中学校における学校給食の実施率の向上など、学校給食の普及充実に努めてまいりたいと考えております。

木村(弥)分科員 学校給食の無償化につきましては、財源等さまざまな問題があることは承知しております。今、子供の医療費が自治体によってばらばらなところがある中で、私は、医療費のことも含めてもう一度考え直し、公平な形で取り組むことが大事ではないかな、これは本当に個人的な思いですが、そういうことを考えております。ありがとうございました。

 次に、障害のある子供たちとその御家族への支援についてお尋ねいたします。

 私が所属しております超党派の永田町子ども未来会議という勉強会では、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児、いわゆる医療的ケア児とその御家族への支援を議論してまいりました。その努力が実り、昨年改正されました児童福祉法において、初めて医療的ケア児が定義された次第でございます。

 医療的ケア児への支援は、福祉、教育、医療からの連携が不可欠でございます。文部科学省の調査によりますと、特別支援学校ではない一般の公立の小中学校に通う医療的なケアが必要な児童生徒は、全国に約八百四十人いるとされております。

 一方、そういった児童生徒の保護者からは、学校で医療的ケアを行う看護師などの配置は十分には進んでいないと聞いています。特に、一人では登園できない、登校できない児童に付き添う介助者の配置が十分ではありません。

 全国の学校現場におきまして、児童生徒らの医療的なケアを行う看護師等の数はまだまだ不十分であり、このたび、平成二十八年度予算において、学校で医療的ケアを行う看護師等を千人、充実させるための予算が計上されましたのは大変心強いことで、感謝しております。

 しかしながら、募集をかけても集まらない、人材確保が厳しいという指摘もあります。

 私は、この課題について二点の提案があります。

 一つは、看護師基礎教育の段階で現場の実習を進めていくということ。

 そしてもう一つは、地域の訪問看護ステーションを活用することです。訪問看護師の活用については、その地域の教育委員会との兼ね合いや、在宅ではないからという理由で進まない事情があるようですが、この点につきまして文科省のお考えをお聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、公立学校において医療的ケアを必要とする児童生徒につきましては、平成二十七年度の調査結果によりますと、特別支援学校では八千百四十三名、それから公立小中学校では八百三十九名、これは委員御指摘あったとおりでございます。

 医療的ケアを実施する看護師の数についてでございますが、現時点では、特別支援学校で千五百六十六名、公立小中学校で三百五十名という実態になっております。

 文部科学省といたしましては、公立小中学校と特別支援学校で医療的ケアを行う看護師の配置に必要な経費の一部を補助し始めておりまして、医療的ケアを必要とする児童生徒の増加傾向に対応するために、予算積算上の人数につきましては、平成二十八年度、今年度が千名でございますが、二十九年度の予算案では二百名増の千二百名に拡充するという予算を計上しているところでございます。

 また、教育委員会等に対しましては、看護師等の配置や活用を計画的に進めることや、関係機関や関係部局と積極的に連携を行いながら、学校において医療的ケアを行う看護師等を確保するように、厚生労働省と連名でお願いをしているところでございます。

 さらに、医療的ケアが必要な児童生徒の安全を確保するために、学校において医師と連携した校内支援体制を構築するためのモデル事業についても、二十九年度予算案に計上しているところでございます。

 このように、文部科学省といたしましては、今後とも、看護師の確保に努め、医療的ケアが必要な児童生徒に対する支援の充実に努めていきたいと考えております。

木村(弥)分科員 本日は厚生労働省からもお越しいただいておりますが、何かございますでしょうか。特になければ、次に進めたいと思います。

 次は、放課後等のデイサービス、障害児のための学童保育等について質問させていただきます。

 六歳から十八歳までの障害のある子供が放課後や夏休みなどの長期休暇中に利用する放課後等デイサービスは、障害のある子供の自立支援や日常生活の充実のために、欠かすことのできない重要な役割を担っていると認識しています。

 この放課後等デイサービスについては、近年、NPOや民間企業による運営がふえて、受け皿拡大に寄与した一方、施設ごとに質のばらつきが生じ、中には十分な設備や人員が配置されていないところもあると聞いています。

 障害のある子供を持つ親が安心して学童保育施設や放課後等デイサービスに我が子を預けて働くことができる環境を提供することが大切です。

 さらに申し上げれば、人材確保が困難という側面があるのなら、親御さん、現実にはお母さんが中心になると思いますけれども、お母さんたちの就労支援につながるのではないかと考えます。一昔前は、障害児の母親はつきっきりでその子の面倒を見なくてはいけない、学校にもずっと付き添わなくてはいけないといった考えが大半だったように思います。

 私は、ソーシャルファーム議員連盟の事務局長を務めております。ソーシャルファームとは、社会的弱者の方たちへの就労支援、それもビジネスとして成り立つ社会的な企業、そういった仕組みづくりを進めております。障害者もその保護者の方も、能力に応じて就労し、納税者となり得る、まさに安倍政権が目指す一億総活躍社会の理念にも合致するものと考えます。

 障害のある子供の自立支援とともに、保護者の就労支援の必要性に対する政府のお考えをお聞かせください。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方からも御指摘ございました放課後等デイサービスにおきましては、障害のあるお子さんの授業終了後の支援の場所としても、それからまた、今委員の方からもお話がございましたけれども、そういった障害のあるお子さんをお持ちの保護者の方が就労し続けるということからも、大変重要な役割を担っているということで認識をしております。

 この放課後等デイサービスにつきましては、平成二十四年にこの制度を創設いたしましたけれども、それ以降、事業所の数が非常に大幅に増加をしております。ただ、その一方で、まさに先ほど委員の方からも御指摘ございましたけれども、支援の質が低い事業所であったり、あるいは適切でない支援が行われている事業所がふえているという御指摘もございました。

 そういうことで、私ども、関係の審議会の、社会保障審議会の障害者部会というところで御議論いただいて、その報告書の中でも、やはり支援の内容の適正化、そして、質の向上ということをしっかり求めていくべきではないかということとされたところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、私ども、放課後等デイサービスの人員配置基準などについて見直しを行いまして、本年、二十九年の四月からでございますけれども、事業所におけますサービス提供の責任者の方の要件としまして、新たに障害児等の支援の経験を必須化するというようなこと、それから、基準上配置すべき職員の方の要件としまして児童や障害者の支援についての知見や経験を必要とするということ、それから、放課後等デイサービスの基本的役割等を定めた放課後等デイサービスのガイドラインがございますけれども、それに基づきまして自己評価結果をしっかりと行って公表するということを義務づけるというようなこととしまして、まさに、支援の質の確保、向上を図ることとしているところでございます。

 そういったことを通じまして、まさにこの仕組みが、議員御指摘がございましたような、障害のあるお子さんの保護者の方が安心してお子さんを預けて就労し続けることのできる環境整備ということにしっかり取り組んでまいりたいと思います。

木村(弥)分科員 ありがとうございました。

 少子化の時代、出生数も百万人を切っている中で、医療が非常に高度に発達し、そこで障害を抱えて生まれてきた子供たちというのがふえていく中で、そういった受け皿、保護者の皆様への支援というのは非常に大切なことではないかと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 私は、この日本におきまして生まれた子供たちが、どのような家庭環境に生まれようと、大人と社会を信頼してすくすくと成長し、そしてよき社会人として育つような、そういった社会にしていきたいと思っておりますので、どうぞ今後とも御指導をよろしくお願いいたします。

 私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

大串主査 これにて木村弥生君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方分科員 民進党、緒方林太郎でございます。

 本日の第四分科会最後の質疑者ということで、松野大臣、長い分科会、本当にお疲れさまでございます。

 皆さん、結構教育の話が多かったと思いますが、最後、私一人、少し毛色の違う話をさせていただきたいと思います。

 公益社団法人日展についての質問でございます。

 日展については、少しだけ簡単に経緯を申し上げさせていただきますと、二〇一三年に朝日新聞の方で、日展五科、書の篆刻の部門で不正審査が行われている、入選者、特選者の社中ごとへの数の配分とか、それに伴うお金の流れがあるということが朝日新聞にスクープでぱんと抜かれて、その後、日展の方で第三者委員会をつくって改革案を取りまとめ、そして、その改革を進めた結果、平成二十七年、二十八年というのは、改組新日展ということでこれまで行われてきております。

 私、二年前のこの予算委員会分科会、全く同じところで下村文部科学大臣にこの件について質問させていただき、昨年も内閣委員会の方でこの件について質問させていただきました。

 質問しますと、投書が物すごくやってくるんですね。いかに自分たちがこのお金の話とか不正審査の話とかで苦しんでいるかというのと、改組された新日展でもそれは余り、変わっているところもあるけれども、変わっていないところもあると。

 私も、不正審査が起き、そして日展が自己改革を進めてきたその結果として、例えばこれまで入選とか特選に入ってくることのなかった社中の方から入選者が出る、特選者が出るというような事態が生じていること、そういったことで一定程度の公平性が確保されつつあるということについては評価したいと思いますが、まだまだこの件は十分ではないのではないかと思います。

 まず冒頭、お伺いいたします。

 公益法人を所管しております内閣府、現在の日展改革の状況をどのように見ておられますでしょうか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 公益社団法人日展における不正審査の疑いの問題についてでございますが、公益認定等委員会として、第三者委員会による指摘、提言を受け、役員の責任をどのように果たし、どのように改革を実行していくかについて、平成二十六年四月に法人に対して報告要求を行いました。

 法人からは、同年の八月までに、日展規則を改正すること、それから日展審査員行動基準を作成して守っていくということについてなどの取り組みの報告がありまして、一定の前進があったものというふうに理解しております。

 もちろん、この改革の動向がどうなるかについては、引き続き注視していくべきものというふうに認識しております。

緒方分科員 念のため確認ですけれども、改革が貫徹をされた、全て実施をされて何の問題もなくなったという理解ではないということでよろしいですか、内閣府。

川淵政府参考人 改革ができたかどうかにつきましては、その時点でこんなことを決めましたということはあると思いますが、大事なのは、それに従ってきちんとそれが継続されていくかどうか、それが重要だというふうに認識しております。

緒方分科員 一つだけ文部科学大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 かつて、二〇一三年の不正事案が起きた際に、当時の下村文部科学大臣は、うみが出切るまでやり切るというような発言をされました。

 大臣にお伺いいたします。

 現在の状況はうみが出切ったというふうに思っておられますか。

松野国務大臣 文部科学省としては、日展が平成二十六年七月二十八日に取りまとめた改革案に基づき、組織運営や日本美術展覧会の審査体制についての改革を進めてきたものと承知をしております。

 日展において改革案で示された事項が全て実施をされ、日本美術展覧会における審査が公正に実施される体制が確保されたと認識をしています。

 また、昨年に開催された改組新第三回日展の審査において、審査員行動基準の違反はなく、審査は公正かつ公平に実施されたと報告を受けています。

 文部科学省としては、今後の日展の対応について、内閣府とともに確認し、国民に信頼される組織であり続けるよう、引き続き注視をしてまいりたいと考えております。

緒方分科員 体制としてしっかり整った昨年については何らの違反事案も見られなかったということですが。

 私のところにいろいろな情報がやってくるんですが、改革において日展規則を改正いたしまして、金品を贈ってはいけない、審査員に対して金品を贈ってはいけないということで、そういう規則が決まっているわけですが、別目的で金品のやりとりをしているケースが結構散見をされます。日展の例えば入選が欲しいから、特選が欲しいから誰かに金品を贈るということは、これはやっていないけれども、例えば、別目的で、先生が個展をやる際のお礼で出すとか。

 そして、きょう配付資料にはいたしておりませんが、私のところに来た投書の中には、二〇一五年、文化庁としても後援を出したときの日展でありますが、審査員を委嘱された後の者に対して、審査員の委嘱が済んだ、もう審査員になることが決まった方に対して、その年、日展で特選を目指しているという方が、別目的ではあるものの、先生にお礼をいたしましょうということで金銭の取りまとめをした、その文書、内閣府にも文化庁にもお渡ししていると思います。そして、そのお金を取りまとめて、審査員にもうなるということが決まっている方に対して金銭を贈った。そして、実際に、その取りまとめた方は、その後日展で特選をとっております。

 ここまで来ると、もう、事実上、改革に反する動きは払拭をされていないと私は思うわけでありますが、これは文化庁ですかね、内閣府ですかね、御答弁いただければと思います。

川淵政府参考人 御指摘の点、日展規則に照らしてどうなのかという点につきましては、日展規則は日展御自身で決めておられることなので、まず公益社団法人日展自身が説明責任を果たすべきものと考えております。

 いずれにいたしましても、日展の改革については、それが実質を伴っているものであるかどうか、継続して注視していくことが必要だというふうに考えております。

緒方分科員 前回質問したとき、そんなに後ろに下がった姿勢じゃなかったですよ。前回、前の局長は、改革の趣旨に反するのではないか、そこまで答弁をされました。

 日展の改革を進めることによって公益社団法人としてしっかりとした組織になっていくこと、これが役割であります。その中で、お金のやりとりをしないと言っているけれども、実際に日展の審査員の委嘱を既に受けた人間に対して、その年の日展で特選を目指そうと周りで目されているその方がお金を取りまとめて、その審査員になった方に対してお金を渡すという行為、そして、実際にその取りまとめた方は、それによって、それによってかどうかわかりません、実力もあるんだと思います、けれども、その結果として特選をとっております。

 もうここまで来ると、事実上、日展の改革に反する動きが残っているということではないですかと、確認的に聞いております、局長。

川淵政府参考人 まず、一般論で恐縮でございますけれども、私ども監督に当たりましては、公益法人の事業、運営に関する情報はさまざま寄せられることがございます。これについては、そうした情報も参考にしつつ、必要があると判断されれば、報告要求などの監督上の措置を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、日展の改革につきましては、それが実質を伴っているものであるか、継続して注視していくことが必要でございまして、そのような情報も参考にしつつ、しっかり見ていきたいと考えております。

緒方分科員 実際に私はその対象となった文書をお渡ししております。真贋も確認してほしいと事前に申し上げております。そういう行為が行われていることは確認いただいているはずです。それが日展改革の方向性、さらには公益社団法人としてのあり方、その観点から問題ないのかということを聞いているんです。そんな後ろに下がった答弁、だめですよ、局長。

川淵政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが……(緒方分科員「もう、じゃ、いい」と呼ぶ)

緒方分科員 いや、これはひどいですよ。本当にひどいですよ。一般論でしか答えない。私、ちゃんと具体例を示して、見せています。

 前回、私が内閣委員会で聞いたときは、明確に、前任者は、改革の趣旨に反するおそれがある、そこまで言っているんです。そんな一般論じゃだめです。一般論じゃなく、具体論でお答えください、局長。

川淵政府参考人 前回の御質問の際には、仮にそういうことがあれば改革の趣旨に反するというふうにお答え申し上げたかというふうに思います。

 私ども、必要があれば、しっかり事実関係を確認して対処してまいりたいと思います。

緒方分科員 いや、私が、だから事実関係をしっかり明示したじゃないですか。示したじゃないですか。書類を見せたじゃないですか。それが正しいかどうかわからないから、きょう、配付資料にはいたしておりません。投書で来た、真贋が確認できない資料だから。だから事前に確認してくれと言っています。

 必要があればという話をしました。今、必要があるんじゃないですか。ちゃんと説明してください。

川淵政府参考人 先生からお渡しいただいた資料、直前にいただきましたので、しかも、この資料は、法人そのものが持っている資料ではなくて、その先のものでございます。

 申しわけございませんが、先生も真贋を確認できないとおっしゃいましたけれども、事実関係を確認するには、一定の時間はいただきたいというふうに思います。

緒方分科員 質問通告、早くやれと言われます。私、二日前に渡しております。二日前に渡した書類で、それで、ちゃんとそれを確認してくれとその場でも言っています。それを、こういった形で、それが本当なのかどうかもわからないし一般論として答える、その姿勢は、内閣府、本当に公益法人を所管する内閣府として、姿勢を問われますよ。うるさいなという顔をしていますけれども、無礼ですよ、あなた、本当に。ちゃんと、私、ちゃんと順序を追って説明しているんです。

 質問を移していきたいと思います。

 今、真贋を確認して何らかの報告をすると言いましたので、後で報告を求めたいと思います。

 もう一つ、錬成会。事前に下見会をやっちゃいけない、これも規定で決まっています。事前に、例えば審査員になる方が生徒の作品とかを見たりして、これはいいね、こう直すべきだ、ああやるべきだという、そこに実際、情実が絡みお金が絡むからということで、そういうこともやっちゃだめだということになっています。

 これについても、資料をお渡しいたしております。もともと九月ぐらい、大体、日展というのはその後に行われますが、日展が行われる直前に行われていた、日展のための、それを目的とした錬成会が行われていたのが、改革された後どうなったかというと、審査員の委嘱が行われる直前に、日展目的でないということが変わっただけの状態で、同じことをやっているんです。

 これについても問題がありますね。日展目的で錬成会を行っちゃだめだといって、だめだということになったら、日展目的で九月にやっていたものが、それが単に七月に変わっただけ。会報もお見せしていると思います。

 そういったことについて、事実上、脱法行為があるんじゃないかということを私は思うわけですが、内閣府、どうですか。

川淵政府参考人 御指摘の点、日展規則において、「審査員は、鑑審査を委嘱されてから鑑審査終了までの間、会派による研究会などでの指導、下見を行ってはならない。」というふうに規定されております。

 これに照らして適切であるか否か、まずは規則を策定した日展自身が説明責任を果たされるべきものというふうに考えておりますが、私どもも、適切に注視してまいりたいと考えております。

緒方分科員 今、先ほどから注視するとか見守っていきたいとかいうことですが、何をされるんですか、局長。

川淵政府参考人 委員会として、監督上、措置が必要であるということであれば、監督上の措置をとる。法律上定められておりますのは、法人に対して報告を求める、そういったことがございます。

緒方分科員 この件を質問すると必ず、お金のやりとりをしている、おかしいじゃないかと言うと、いや、別目的ですと、別目的でやっているので特に問題ないと思いますと、これは内閣府から返事が返ってきました。そして、錬成会やっているじゃないかと言ったら、審査員委嘱前ですという話をしている。

 しかしながら、これは私のところにいろいろな情報が来ますが、今の内閣府の理屈だと、審査員に正式に委嘱する前であれば何をやっても構わないと言っているわけですよね。その前に錬成会やろうが、お金もらおうが、何しようが、正式に審査員になっていないわけだから、それは構わないと。

 けれども、そんなことないですよ。実際に私のところにいろいろな人が話をしに来ますけれども、実際には、もう審査員になる人間というのは相当前から、例えば七月の下旬に決まるときであっても、六月とか五月とかその段階から、あの人が審査員になると。本人も、ことし僕、審査員だからというふうに公言をしているということであります。

 今の内閣府のような姿勢でやっていると、正式に理事会で審査員にばんと任命される前であれば、お金もらっても構わない、錬成会やっても構わない。それは日展規則が、審査員になった者、委嘱された後でないと規則がかからないから。それはそうなんだと、公式的にはそうだと思いますけれども、事実上の脱法行為じゃないですかね、内閣府。

川淵政府参考人 先生御指摘の点につきましては、日展規則、これは日展が決めておるわけですから、その趣旨に合致したような運営がなされるかどうか、日展の方で責任を持ってやられるべきと思いますけれども、私どもの方でも必要な把握はやっていきたいというふうに思っております。

緒方分科員 では、もう一度要望しておきますが、今言った件、全てまとめてちゃんと日展側とも話をした上で、私の方に報告していただけますか。よろしいですか。

川淵政府参考人 一定のお時間は必要かと思いますけれども、法人側とお話をしてみる必要はあるかと思っております。

緒方分科員 確約ください。

川淵政府参考人 恐縮ですが、こちらの、私どもの権限は委員会としての権限ですので、まず委員会に諮った上で、行使するかどうか決定することになると思います。

緒方分科員 聞いている方も、ひどいなというふうに思った方がいるんじゃないかと思います。

 明らかな不正事案がある。私は別に、芸術の中身がどうだとか、そんな話は一つもしていないです。その正当な評価が、権威のある公益社団法人日展の中で正しく評価されるために、お金が飛び交わない、そして事前の錬成会をしないとか、そういったことも含めて進めていこうとしているときに、それを脱法するような行為が進んでいることについて、私は社会正義の観点から言っています。

 その社会正義の観点から私がいろいろ言っているにもかかわらず、公益法人を所管する内閣府として全く他人事ですよ。その法人が決めること、その法人の責任だ、よく注視していきたい。他人事ですよ、あなたの言っていることは。

 この件はもうちょっとやらせていただきたいと思います。

 それでは、少し質疑を移して、同じように、日本芸術院という組織についてお伺いをいたします。

 二年前の分科会で、私は日本芸術院について、日本のさまざまな芸術のトップクラスの方が集まる組織ということで、そこに幅広いベースの方から選ばれるようにということを申し上げさせていただきまして、当時、下村文部科学大臣、そのとおりでありますという答弁をされました。

 今、日本芸術院の仕組みというのは終身会員でありまして、一度なると終身です、お亡くなりになられるまでずっと会員です。そして、新しい会員の枠ができたときには、現在の会員、所属している部からの推薦をベースとして新たに会員を選んでいくということですね。そうすると、現会員の覚えがめでたくないと日本芸術院の会員になれないということがある。しかしながら、もっと幅広いベースから選ぶべきだと言ったときに、下村文部科学大臣は、そのとおりですと言いました。

 現在、二年たっていますので、どのような状況にございますでしょうか、文部科学省。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 日本芸術院会員の選考につきまして、外部の意見を取り入れることにつきましての検討状況でございます。

 日本芸術院におきましては、外部の意見を取り入れる方策につきまして、日本芸術院長及び第一部、美術、第二部、文芸、第三部、芸能、こちらの三つの部の各部長、部長代行を中心に、平成二十七年の七月以降、十回、うち部長会議が六回、総会四回の検討を行っているところでございます。

 今後は、日本芸術院内に芸術院会員で構成されます専門委員会を設置して、さらに検討を進める予定と聞いております。

 文化庁といたしましては、日本芸術院会員の選考におきまして、外部の意見が取り入れられるよう、引き続き検討を求めてまいりたいと考えております。

緒方分科員 この件、よろしくお願いいたします。

 本当に、私、今いる方がどうだとか、そういうことではなくて、幅広いベースのところからいろいろな方が選ばれるような状況であってほしいと思います。

 先ほども言いましたとおり、現行の制度が、会員は終身制であるということと、新しい会員を選ぶときは所属の部からの推薦をもって総会で承認するということですが、例えば、第一部、美術であっても、さらに日本画、洋画、いろいろな分野に分かれています。事実上、第一部の美術に属している方であっても、例えば日本画なら日本画、洋画なら洋画、それぞれ、細かくさらに分かれていますね。

 そこから上がってこないと、多分、彫刻の方を日本画の方が推薦したりすることというのは余りないわけであって、事実上、物すごく狭いところ、現在の会員、細分化された各分野でいくと、三人とか四人とか五人ぐらいだと思います。それぐらいの方に好かれないとその分野で日本芸術院会員になっていけないという状況は、私はおかしいというふうに思いますので、この件、よろしくお願いを申し上げます。

 最後に、少し技術的な話ですが、もう一件、文化庁にお伺いをいたしたいと思います。

 これは、孤児著作物の件、英語でオーファンワークスと言われるものであります。著作物というのは、今、いろいろ分野にありますが、基本は著作者の死後五十年ということで決まっています。

 音楽にしても書いたものにしても、例えば今から五十年前というのを見たときに、では、今目の前にある著作物が誰が書いたものであるかとか、そもそもこれは著作権が切れているのか切れていないのかとかいうことがわからないことによって、やはりリスクがあるので、著作物の有効活用が妨げられているということになっています。ましてや、TPPでは七十年に拡大をするという話もございました。これは成立していないですけれども。

 今後、やはりいろいろな創作活動とかを促していくときに、この孤児著作物の問題というのは非常にクローズアップをされてくると思います。

 文部科学省、非常に文化庁は頑張っておりまして、「みつからないときの詩」というユーチューブの画像を私、見ました。文化庁長官がこういう感じで歌っておられました。非常に楽しい映像だったと思います。

 現在、この孤児著作物の問題を解決するために、文化庁長官による裁定制度というのが新しく設けられ、そして、それの利用、活用が進められていると思います。

 まず、裁定制度の実績についてお伺いをいたしたいと思います、文化庁。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの著作権者不明等の場合の裁定制度の実績でございます。

 現行の著作権法が施行されました昭和四十六年から平成二十七年度末までの累積の裁定件数は二百五十九件ということでございますが、これは、著作物の累計ということになりますと、約二十七万件ということになっております。

 平成二十七年度の裁定実績は、裁定件数が四十八件でございまして、裁定を行った著作物等の累積数は四万六千五百ということでございます。

 この中には、国会図書館が一件でございますけれども、国会図書館一件で四万三千八百十四件というような状況になっています。

緒方分科員 件数は少しずつ伸びてきているわけですが、年によって、実際の著作物の数というのは四、五万、どんといくときもあれば、千ぐらいしかないときもあったりして、結構活用の実績に年によって差があるなということと、これを周知した上で、使いたいと思う方にどんどん使っていただけるようにするというのは言うまでもないことですが、やはり文化庁にもヒューマンリソースの限界というのはあると思います。

 そうすると、今いろいろと使いやすくしているということはこれはよくわかりますけれども、さらにヒューマンリソースのことも考えると、信頼できる民間団体とかにこういったものを委ねていく、そういった方向性も考えられるのではないかと思いますが、文化庁、いかがですか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 ヒューマンリソースについて御心配いただいておりますが、先ほど来お話がございましたが、裁定制度につきましては、より簡便に裁定を受けられるということで、順次改善を行っているわけでございます。

 その中で、昨年十月からでございますが、権利者団体の協力を得まして、権利者の捜索に係る負担軽減のための方策について検討を行っております。これは、具体的には、権利者団体が利用者のために権利者の捜索や文化庁への裁定申請、そういったものを利用者にかわってやっていくということでございまして、そういう意味においては、利用者の負担の軽減が図られるというものでございますが、こういった取り組みにつきまして、ことしの三月までに実証事業といたしましてやっておるわけでございます。

 さまざま、運営体制の課題だとか負担軽減のいろいろ効果とかそういったものがございますが、そういったものをきちっと検証して、そういったものが軌道に乗れば、より裁定制度が使われるようになるということでございます。

緒方分科員 その件、よろしくお願いします。

 あと、もう一つ。

 本来、この裁定制度というのは、著作者が誰だかわからないということと、あと、いつ切れたかというのがわからないということでして、実は、裁定制度によって孤児著作権の問題が完全に解決するとかいうことではなくて、場合によっては、本当であれば著作権がもう切れているにもかかわらず、切れているかどうかわからないのでこの裁定制度に持ってくるというものも結構あると思います。そうすると、本来切れているものであるにもかかわらず、例えば補償金を積むとかそういうことが要求されるというのは過剰な負担ではないかと私は思うんですね。

 そういうことを考えると、今言ったような、本来切れているもの、よく調べれば切れているはずのものなんだけれどもよくわからないからというので裁定制度のところへ持ち込んで補償金を積むというのは、若干合理性に欠けるところもあるのかなというふうに思います。

 こういった、裁定制度を利用する方々の金銭負担の問題について、いかがお考えですか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 裁定制度自体は、実際、そういったお金を伴うものでございますけれども、そういったものをやはり根本的に解決するということが必要になるんじゃないかなと思っております。裁定制度自体は権利者不明の状態にある著作物等の利用を認める制度でありますけれども、そもそもそういった権利者不明の状態に陥ることがないようにするということは非常に重要でございまして、例えば、権利情報を集約してデータベース化をしていくというようなことで、そういう中で、いつそういった権利が消えたのか消えていないか、そういったことがわかるようにしていきたいということでございます。

緒方分科員 統計によると、五十年前の著作物で現在既に活用されているものというのは全体の二%程度だというふうな統計も、データも聞いたことがあります。

 なかなか、今の話だと、偶然見つけた、眠っていた著作物がどうであるかとかいうことの解決策にはならないというのと、最近、映像の二次利用で、この人捜していますという、インターネットで、例えば、かつての番組の二次利用とかをしたいけれども、出ている人と連絡をとりたいんですけれども捜していますという中に、結構有名な、引退された芸能人ですけれども、宝生舞さんを捜していますとかいうのが一時期ニュースで話題になったことがあると思います。

 誰が著作権を持っているかが長く時がたった後でもわかるようにできるだけしていきたいということは、それはわかります。そうあるべきだと思いますけれども、しかしながら、その努力だけではこの問題は解決しない。そして、では、この裁定制度を使わなきゃいけないけれども、そうすると補償金を積まなきゃいけない。その補償金を本当に一個一個丁寧に積んでいくことが合理的なのかな、ここをもう少し見直すことができないかなと思いますが、もう一回、文化庁。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 補償金を、例えば事前にそういったものを支払わなきゃいけないというようなことにつきまして、私どもとしては、そういった裁定制度の改革という観点から、そういったものの、事後にそういった支払いをするということも視野に今検討しているということでございます。

緒方分科員 私、そう理解していたので、その答弁が欲しかったんですが、最初からよろしくお願いします。

 質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

大串主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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