衆議院

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第1号 令和4年2月16日(水曜日)

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本分科会は令和四年二月十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十五日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      青山 周平君    亀岡 偉民君

      下村 博文君    石川 香織君

      浦野 靖人君    伊佐 進一君

二月十五日

 青山周平君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和四年二月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 青山 周平君

      尾身 朝子君    亀岡 偉民君

      川崎ひでと君    下村 博文君

      石川 香織君    大島  敦君

      谷田川 元君    渡辺  創君

      浦野 靖人君    伊佐 進一君

      平林  晃君

   兼務 高見 康裕君 兼務 山本 左近君

   兼務 湯原 俊二君 兼務 小野 泰輔君

   兼務 堀場 幸子君 兼務 河西 宏一君

   兼務 鈴木 義弘君 兼務 仁木 博文君

    …………………………………

   文部科学大臣       末松 信介君

   文部科学副大臣      池田 佳隆君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         渡邉その子君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  水野  敦君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            合田 哲雄君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   下間 康行君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       千原 由幸君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            真先 正人君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    串田 俊巳君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  下村 博文君     川崎ひでと君

  石川 香織君     大島  敦君

  伊佐 進一君     浜地 雅一君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     尾身 朝子君

  大島  敦君     谷田川 元君

  浜地 雅一君     平林  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     中野 英幸君

  谷田川 元君     渡辺  創君

  平林  晃君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  中野 英幸君     下村 博文君

  渡辺  創君     藤岡 隆雄君

  金城 泰邦君     庄子 賢一君

同日

 辞任         補欠選任

  藤岡 隆雄君     石川 香織君

  庄子 賢一君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 宣弘君     福重 隆浩君

同日

 辞任         補欠選任

  福重 隆浩君     庄子 賢一君

同日

 辞任         補欠選任

  庄子 賢一君     伊佐 進一君

同日

 第一分科員小野泰輔君、第二分科員堀場幸子君、仁木博文君、第六分科員湯原俊二君、鈴木義弘君、第七分科員山本左近君、河西宏一君及び第八分科員高見康裕君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

青山主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました青山周平です。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。末松文部科学大臣。

末松国務大臣 文部科学大臣の末松信介です。二日間、大変お世話になります。青山主査、亀岡副主査、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、令和四年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 令和四年度予算の編成に当たっては、教育、科学技術イノベーション、スポーツ、文化芸術関連施策を推進するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆二千八百十八億円、エネルギー対策特別会計千八十六億円などとなっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付をいたしております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

 以上でございます。

青山主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

青山主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

青山主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

青山主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川崎ひでと君。

川崎分科員 おはようございます。自由民主党の川崎ひでとです。

 本日は、質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。

 私は、さきの衆議院総選挙において初当選をさせていただきました。三重二区から出馬をさせていただいておりました。質問に立つのは人生で初めてでございますので、不手際があるかもしれませんが、何とぞ御了承賜りたいと思います。トップバッターということで大変緊張しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、四つのテーマについて質問をさせていただこうと思います。

 まず一つ目は、デジタル人材についてです。

 岸田内閣においては、デジタル田園都市国家構想が打ち出されました。私も、自民党のデジタル社会推進本部に加わり、日々、先輩方、そしてデジタル庁の皆様に御指導いただきながらも政策検討を行っております。

 さて、その中において、今後はデジタル人材の育成が必須だということをあらゆる文章で拝見いたしますが、このデジタル人材とは具体的に何ができる人なのか、これを改めて御提示をお願いしたいと思います。例えば、エクセルやパワーポイント、こういった標準的なソフトが使えればデジタル人材と呼べるのか、あるいはプログラミングができないと駄目なのかなど、デジタル人材の定義が不明確に思えますので、御回答をお願いできればと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル田園都市国家構想におきましては、今後の社会において、レベルを問わず、労働人口の全てがデジタル人材、つまり、データやデジタル技術を相応に利活用できる人材になることが重要であるとの考えの下に検討を進めております。

 その中でも、特に、地域や企業が抱える課題のデジタル実装による解決、これを牽引する人材をデジタル推進人材と位置づけまして、例えば、ビジネスの現場において、デジタル技術の導入を行う際の全体設計ができるビジネスアーキテクトや、AIを活用して多くのデータから新たな知見を引き出せるデータサイエンティストといったような方々を想定しております。

 具体的な知識やスキルの中身につきましては、現在、経済産業省において、二〇二一年度末までに、全てのビジネスパーソンに向けたリテラシースキル標準を作成するとともに、二〇二二年内には、先ほどのデジタル推進人材の人材像やスキルに係る専門スキル標準を作成する予定であると承知をしております。

 今後、デジタル人材の育成、確保に向け、デジタル人材育成プラットフォームの構築、職業訓練のデジタル分野の重点化、大学等における教育、デジタル人材の都市部から地方への還流、以上の四つを重点領域として、関係省庁が連携し、政府を挙げて計画的に取り組んでまいります。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 先ほど、デジタル推進人材という言葉が新たに出てまいりました。よく理解できましたので。ありがとうございます。

 このデジタル人材という言葉が独り歩きし過ぎてしまうと、理系の人材ばかり増やすのじゃないか、こうした誤った理解を生んでしまう可能性もあります。特にこのデジタルという分野においては横文字もたくさん出てまいりますので、更に理解度は落ちてしまう可能性もございます。是非、その辺りも御配慮いただきながら、今後もデジタル田園都市国家構想の推進に向けて進めていただければと思います。御回答ありがとうございました。

 内閣官房の方は御退出いただいて構いません。ありがとうございました。

 二つ目に、高等専門学校の位置づけについてお伺いいたします。

 デジタルを推進していく上では、高等専門学校で学ばれている生徒は非常に高いスキルを持っていると考えます。先日も、高知工業高等専門学校の生徒が全国の高専十校と共同開発した超小型衛星KOSEN1を打ち上げ、その技術、そして能力の高さを証明いたしました。高専は、これまでもこうしたイノベーション人材を輩出してきたすばらしい機関であると考えます。

 一方で、私が知っているIT企業数社でも、高専卒よりも大学卒の方が初任給が高く、また出世スピードにも差があります。しっかりと学んだ能力が評価されることが一番大切だと思っておりますが、現状の企業の採用の実態、こちらを踏まえた上で、文科省、そして経産省のお考えをお伺いしたいと思います。

池田副大臣 川崎先生御指摘のとおりだと思います。高等専門学校は、中学卒業後の早い段階からの実践的な技術者教育によって優れた技術者を育成しておりまして、産業界からも高い評価を受けていると承知しているところでございます。

 そうした中、川崎先生言われるように、高専生と大学生を区別して初任給や出世スピードなどで差を設けている、そんな企業がある一方で、高専生を大学生と同等又はそれ以上の処遇で採用する事例も出てきていると承知しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、単なる年齢や学歴等の物差しではなくて、その学生が身につけた能力を評価していただくことが、高専生の学習意欲の更なる向上と、ひいては産業成長という好循環につながるものと考えているところでございます。

 今後は、高い能力を持つ高専生が適切に評価されて活躍されている企業の例や高専卒業生の活躍を積極的に発信するなど、優秀な卒業生を輩出する高等専門学校に対する社会全体の認知向上に文部科学省を挙げて更に努めてまいりたいと考えております。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、高専の卒業生は、これまでも我が国の産業競争力を支える中核人材として活躍してきており、今後もイノベーションの創出や産業競争力強化の観点から大変重要だと思ってございます。

 高専生の更なる活躍には、各企業において能力や成果に応じた適切な処遇がなされることが必要と考えておりまして、実際、今副大臣からもお話がありましたとおり、高専生を大学生と同等の処遇で採用する事例も出てきているものとは承知しております。

 こうした取組を一層広げるとともに、経営環境の変化に応じた人材戦略の構築を促す観点から、経済産業省では、ROE経営等の企業経営論の権威でありまして産業界に影響力を持つ一橋大学の伊藤邦雄教授を委員長とする検討会におきまして、一昨年九月に人材面での取組をまとめた報告書を公表しております。

 その中では、人材の適材適所の必要性など、適切な処遇の重要性を指摘しているところでございまして、こうした内容につきましては、様々な機会を捉えまして、産業界に対してもしっかりと働きかけを引き続き行ってまいりたいと考えております。

 また、高専が社会や産業構造、技術の大きな変化に対応して、将来を担う人材を育成することも求められると考えてございます。高専の卒業生が活躍できるようにするための取組として、例えば、ロボット分野では、当省が主導する形で、高専等と産業界が連携した人材育成の枠組みを構築しておりますし、それから、半導体分野では、TSMCの工場が立地予定の九州の高専を対象にして、即戦力となる人材育成のため、基礎から応用まで一貫したカリキュラムを開発していくこととしてございます。

 引き続き、文科省と関係省庁とも連携をしながら、高専における人材育成、それから卒業生の更なる活躍に向けた環境整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 課題を共有できて大変よかったと思っております。

 経産省としては、手を加えるというのはかなり難しいことだとは思うんですけれども、萩生田経産大臣も、これは大臣に就任される前からずっと言われていたことでもあります。私も一緒になって考えてまいりたいと思いますので、引き続き、こちらに対する取組をよろしくお願いいたします。

 経産省の方はこれで御退出いただいて構いません。ありがとうございました。

 では、二つ目のテーマについて参ります。

 小学校等に配付された抗原検査キットについてお伺いをいたします。

 昨年、国で購入した抗原検査キットが在庫過多になったことを受け、幼稚園や保育園、介護施設、そして小学校に昨年八月から無料で抗原検査キットが配付されました。しかし、その使用要件、条件を見てみると、施設内で発熱等の症状が出た場合に使用するとされております。

 この点を踏まえて現場の意見を聞いてみると、実は、次の理由から使用がされていませんでした。

 まず一つは、具合が悪くなった時点で、この時点でもう医療機関に行きますので、はっきり言って使わないというところが一つ。そしてもう一つは、抗原検査キットは鼻奥まで綿棒を突き刺すなど使用が大変難しく、結果、陰性と出た場合においても、本当にこれで正しく検査できているのかと職員が大変に不安になってしまうというのが一つ。そして、偽陰性の可能性もあるので、注意書きにも書いてありますが、医療機関に受診してくださいと。

 こういったことで、かなり使用条件が難しく、結果、冷蔵庫に大量に保管されているという実態がございます。このまま使われない状態で、一月末においては小学校においても使用期限が過ぎてしまい、廃棄になりました。二月十二日の朝日新聞の報道にも、この部分、記載がございました。

 是非、これらについて、使用要件を緩和する等の策を講じていただいて、在庫が無駄にならないようにすべきだと考えますが、省庁の御見解をお聞かせください。

宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 今委員御指摘の抗原定性検査キットに関してでございます。

 先ほど御紹介いただきましたように、この抗原定性検査キットにつきましては、昨年、職員の方などに発熱やせきなどの症状が表れた場合に速やかに検査を受けられるように、医療機関、高齢者施設、保育所等に対して配付をいたしたところでございます。

 内容につきましては御紹介いただいたとおりでございまして、基本的にそのような観点で活用いただきたいとは考えておりますが、まさに委員御指摘のような声が現場からございまして、先月、一月の二十七日に厚生労働省からQアンドAを発出をいたしまして、濃厚接触者の方で社会機能維持者である方の待機期間の緩和のための検査にも使用することは差し支えないという旨をお示しをしたところでございます。

 具体的に、その点で考えますと、例えば、高齢者施設の介護職員の方でありますとか、保育施設の保育士の方あるいは医療機関の看護師の方などが、このような待機の解除のための検査のために自宅等で持ち帰って使うということがあり得るということをお示ししたところでございまして、委員御指摘のように、検査キットの有効な活用という観点からこのような取扱いを示したところでございますので、引き続き、その周知に努めてまいりたいと考えております。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 厚生労働省からQアンドAも発出いただいたということで、現場の声を聞いていただいて対応いただいたこと、大変感謝申し上げます。

 一方で、私がこうして今日この場で質問に立たせていただいてこれを御発言させていただくということは、現場に対して周知が行き届いていない、滞っている可能性もございます。是非、地方自治体、更にその先まできちんと周知が行き渡るように、フォローアップをお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 厚生労働省の方は御退出いただいて構いません。本当にありがとうございます。

 それでは、三つ目のテーマ、オンライン教育の推進についてお伺いいたします。

 まずは、オンライン学習による学力の状況についてお伺いいたします。

 新型コロナウイルスの発生に伴い、オンライン学習というものが日の目を浴びました。ただし、今回導入されたオンライン学習は、いわば学校に登校できない状況においてもカリキュラムを進めるために、仕方なくウェブ会議のシステムを、この仕組みを利用して行ったものと考えます。

 このウェブ会議システムを使ったオンライン授業というのは、私も過去に経験がございますが、例えば英会話で遠くに離れたネイティブの方とオンラインで勉強する、こうしたときによく使われております。これは、受講する生徒が大人であり、かつ物すごく学習に意欲的なので、例えばそういう離れた場所において画面越しであっても、そうした障壁を難なく乗り越えられたと思っております。

 一方で、今回のコロナを鑑みると、子供たちは強制的にオンライン授業に切り替えられ、教師も正直、慣れないシステムに不安を覚えながら、カリキュラムの消化に必死だったように聞いております。実際に、生徒たちが、一人一人がPCに対するトラブルがあり授業が中断してしまった、こうしたケースもよくお伺いいたしました。

 これらの点を踏まえて、子供たちの学力について、オンライン授業導入前と今、ここで、例えば上昇あるいは下がったなどの変化はありますでしょうか。また、パソコンの画面を凝視する、こうしたことなどによる健康の影響、こうしたものを学校側、保護者側で注意すべき点はありますでしょうか。こちらについてお聞かせをお願いします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 まず、学力への影響でございますが、令和三年五月に実施された全国学力・学習状況調査の結果によりますと、臨時休業期間の長さと平均正答率との間に、全体で見ると相関は見られませんでした。これは、各学校において、オンライン学習を含めたあらゆる手段を通じ、児童生徒の学びを保障するための取組を懸命に取り組んでいただいた結果であるというふうに考えております。

 ただ、GIGAスクール構想は本年度から本格運用が始まったということで、今先生から御指摘いただいたような様々な課題を解消しなければなりません。今回の全国学力・学習状況調査の結果のみからオンライン学習による学力への効果の有無を結論づけることは、現時点では難しいとも認識しております。

 現在、オミクロン株の影響で学校休業が一部行われておりますが、そうした臨時休業期間中の実際の学習指導に関する取組を把握するための調査も実施しているところでございます。

 今後、こうした調査結果も踏まえて、オンライン学習の充実も含めて、切れ目なく学習が継続できるように文科省としては取り組んでまいりたいと考えております。

 また、健康面についての影響でございます。

 文部科学省といたしましては、例えば視力や姿勢、睡眠への影響など、子供たちの健康に配慮すべき事項をポイントとして作成し、周知しているとともに、保護者との間で家庭における端末の使用について事前に確認、共有しておくべきポイントということも周知をしているところでございます。

 今後とも、ICTを活用した学習が安心、安全に行われるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 現時点においては、学力、さほど、そう相関はないというふうな御回答でございました。恐らくこれは、子供たちのみならず、教師やあるいは保護者がこれまで以上に気を配って子供たちを見ていただいているからだと思います。そうした意味においては、学校の先生方、そして保護者の皆様にも心から感謝を申し上げたいと思います。

 一方で、幼少期においては、学力のみならず、コミュニケーション、これによる人格形成も非常に重要だと思っておりますので、是非、このオンラインという新しいツールを取り入れながらも、学習のみに焦点を当てずに、コミュニケーション能力あるいは協調性、こうした能力を育む教育を引き続きお願いいたします。

 次に、パソコンやタブレット端末の更新費用についてお伺いいたします。

 GIGAスクール構想については、私も大いに賛成し、促進に向けて進めてまいりたいと思います。私自身も小さいときからワードやエクセル、パワーポイントなどを使えればよかったな、改めて振り返ると、こう思います。

 一方で、配備した一人一台の端末については、数年後には更新をしなければなりません。この経費は大変大きく、自治体の財政を圧迫するものであると考えます。これについて御見解をお願いいたします。

池田副大臣 文部科学省では、先生御案内のとおり、GIGAスクール構想の実現に向けて、補正予算によって合計四千八百十九億円を計上させていただいて、昨年度内での整備完了を目指して、一人一台端末及び高速大容量の校内通信ネットワークの整備、これらを進めてきたところでございます。まずは、今般整備されたICT端末等を積極的に活用していただくことが重要であると考えているところでございます。

 その上で、御指摘の今後の機器更新等に係る費用負担の在り方についてでございますが、これらは重要な課題であるという認識をしっかりと持っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今回整備した一人一台端末の将来の在り方について、関係省庁と協議しながら検討してまいる所存でございます。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 池田副大臣がおっしゃるとおり、自治体での利活用というのは大変大切なものだと思っております。しっかりと利活用がいただけるように国としても最大限のフォローをすべきだと考えますし、逆に、利活用がされていないからといって、じゃ、更新をやめよう、こういう話にはならないと思います。デジタルをこれから推進する上でも確実にやらなければいけないものだと考えますので、是非、財政面上はかなり厳しいものかもしれませんが、引き続きよろしくお願いいたします。

 では、三つ目に、今後のオンライン授業に係る費用についてお伺いをいたします。

 私は、現在、自民党青年局の学生部の副部長の職に就かせていただいております。

 先日、学生の皆様に、このオンライン授業について、今後推進すべきか、いや、あるいは推進すべきでないか、この意見を伺ったところ、ぴったりフィフティー・フィフティーでした。

 推進すべきでないと答えた学生の意見を伺ったところ、授業中に聞き逃したところ、分からないところを隣の人にすぐ聞けた環境の方がよかったとか、あるいは集中力が続かないとか、こうした意見がありました。その中で、附属品についてお金がかかり過ぎて学生にはつらい、こうした意見が非常に印象に残りました。

 これまで、学校、これは大学ですけれども、大学に行った際は、大学側でプリントを配ってくれていました。しかし、オンライン授業になった際には、やはりプリントアウトしなければならないシーンが発生し、その学生はプリンターを自身で購入したようです。また、デスクトップなどウェブカメラのないパソコンを利用している子はウェブカメラを買い、そして、イヤホンマイクがない子はイヤホンマイクを購入するなど、附属品購入が大変負担となっているとのことでした。

 今後は、メタバースなどの技術が発達し、よりリアルな授業体験ができることになるかと思いますが、技術が進歩すればするほど機材は高価になり、学生には大変厳しい状況となります。私も実は先日VRゴーグルを購入いたしましたが、これは四万円ほどしました。学生にはかなり重い負担となります。

 こうしたところを踏まえて、今後、GIGAスクール構想を始めとするデジタル化に伴う学生の費用負担についてどのようにお考えか、御意見をお聞かせください。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 文科省では、コロナ禍を契機に拡大した大学等の遠隔授業の需要に速やかに対応すべく、遠隔授業の環境整備に必要な経費といたしまして、令和二年度第一次、それから第二次の補正予算で百億円を計上し、大学を支援したところでございます。具体的には、遠隔授業を行うための機材整備としまして、学生側にモバイル通信機器等の貸出し等をやっているというふうに聞いております。

 こうした支援も活用いたしまして、各大学においては感染症対策と両立しながら授業の継続を進めておりますが、先生御指摘のとおり、新型コロナ感染症拡大の長期化とともに、経済的に厳しい家庭の学生等の学びへの支援も継続すべきと考えております。

 文科省といたしましては、令和三年度補正予算におきまして、学生への緊急給付金といたしまして一人十万円を六十七万人分計上するとともに、令和四年度予算案におきまして、高等教育の修学支援新制度によりまして、給付型の奨学金と授業料減免五十九万人分を実施する予定でございます。また、無利子奨学金五十万人分、そして有利子奨学金七十二万人分を実施する予定であるほか、修学支援新制度及び貸与型奨学金を、それぞれにおいて、コロナ影響を含め家計が急変した家庭におきましては直近の所得に基づいて採用の判断を行うなど、きめ細かな支援を行っているところでございます。

 これらの施策を通じまして、コロナ禍においても、経済的に厳しい学生が学びを継続して諦めることがないよう、学生に寄り添ってしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 今おっしゃられましたとおり、これから先の時代をリードする子供たちが、例えば端末価格などを理由に学ぶ機会が減少したり、あるいは差が出てしまうことは大変不平等だと考えますので、是非、国を挙げてデジタル田園都市国家構想やGIGAスクール構想を打ち出したわけですから、引き続き手厚い支援のほどを期待いたします。本当にありがとうございました。

 では、四つ目のテーマに参ります。スポーツ教育についてです。

 まず、地域スポーツの振興についてお伺いをいたします。

 昨年は、コロナ禍であったものの、パラリンピック、そしてオリンピックに勇気づけられました。コロナ禍ということで、当初、開催に批判はあったかもしれませんが、日本のメダル獲得数は、オリンピックで五十八個、パラリンピックで五十一個とすばらしい成績で、見る者を大変興奮させました。今もなお北京オリンピックをやっておりますが、スポーツの力を私自身も改めて実感いたしました。

 一方で、地方では指導者の高齢化や、例えばスケボー等の新スポーツに対する指導者不足があり、地域によっては部活の存続すら危ぶまれるところもあります。東京など都市部においては指導者が多数いるかもしれませんが、地方における指導者不足は、今後、子供たちが、じゃ、地方を出て東京へ行こう、こうした東京一極集中を加速させてしまう可能性があります。

 以上の課題を踏まえ、地域におけるスポーツ振興に対する現状の取組あるいは今後の計画を教えてください。

串田政府参考人 お答えいたします。

 過疎化など様々な地域の事情があるわけでございますけれども、こうした事情の中で、スポーツに取り組むことを諦めたり、途中で離れたりするといったことがないよう、地域で様々な方々が一人一人のニーズに合わせたスポーツをするといった、そういうための場、それからプログラム、指導者等の充実を図っていくということが重要だと考えております。

 こうしたことから、現在、スポーツ審議会におきまして、第三期スポーツ基本計画といったものを議論していただいているわけでございますが、その中におきまして、地域におけるスポーツの振興という観点から、一つ目、地域スポーツの担い手であります行政、体育協会、競技団体、学校、スポーツクラブ等の関係者の連携の促進、運動部活動の地域移行を議論しているわけでございますが、その中で、受皿となります総合型地域クラブ等の整備充実、このような取組を盛り込む方向で検討を進めております。

 また、令和四年度の予算案におきましては、地域スポーツ連携・協働再構築推進プロジェクトといったものも盛り込んでおりまして、関係者の連携促進のためのコーディネーター配置、地域の企業内に在籍されます元アスリートの発掘、こういった取組への支援を考えております。

 さらには、スポーツ庁におきまして、令和四年度に組織再編を行いまして、地域のスポーツ活動の推進のため、地域スポーツ課といった課を新しく設置する予定で準備を進めております。

 こうした取組を通じまして、地域における様々なニーズに合わせたスポーツ実施環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

川崎分科員 地域スポーツ課、大変期待をしております。

 申し訳ございません、持ち時間の関係上、本当は最後に障害者スポーツの練習環境について等をお伺いしたかったのですが、こちらについては、先ほどの地域スポーツの振興と同様、これに加えて練習場所や練習器具といった課題もございますので、こちらについても引き続き検討をお願いしたいということを最後に申し上げて、申し訳ございませんが、これにて質問を終了させていただきます。

 各省庁におきましては、準備いただきまして、本当にありがとうございました。

 ありがとうございました。

青山主査 これにて川崎ひでと君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)分科員 国民民主党の鈴木義弘です。おはようございます。

 私は常々、教育と産業政策というのは裏腹な関係にあると思っています。今の日本の経済状況を見ていても、今まではある分野では先端を行っていた分野が、どんどんどんどん他国の企業に抜かれてしまって、いろいろな問題が出てくるんですが、それについて、やはり教育の在り方をもう一回根本的に見直していこうという考え方を持っております。過去にも何回か文科委員会でも質問に立った機会があったんですけれども、今回も予算委員会の分科会でその機会をいただきました。

 まず、大臣にお尋ねしたいんですが、日本の教育制度で何を育てていかなくちゃいけないのか。海外の教育制度と何が違うか。今の制度を取り入れて、例えば大学の入試も、途中で、昨年、前任の文部大臣が入試改革をしようといって意気込んだんですけれども、実際は頓挫してしまった。それで本当に産業をもう一回再興させるための教育を行うことができるのか、そこのところをまずお尋ねしたいと思います。

末松国務大臣 先生に御質問いただきました。根本についてのお尋ねかと思うんですけれども、我が国の教育基本法では、教育の目的としまして、教育は、人格の完成を目指して、そして平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身とも健康な国民の育成を期して行われなければならないと規定してございます。基本法でございます。

 この目的を実現するためには、我が国の将来を担う子供たちがそれぞれの個性や能力を伸ばして社会で活躍していくことができる教育を確保することが重要でございます。

 特に、初等中等教育段階におきましては、不登校児童生徒や障害のある児童生徒、経済的に困難な事情を抱えている生徒、日本語指導が必要な児童生徒、特定分野に特異な才能のある児童生徒を含め、多様化する子供たちの背景や特性、意欲を踏まえ、個々の教育上のニーズを把握して一人一人の可能性を伸ばしていく必要があろうかと思います。

 また、高等教育段階におきましては、教育と社会との接続の観点から、変化の激しい社会のニーズを十分踏まえた教育の充実が必要であると考えてございます。

 こうした観点から、文部科学省として、幼児教育段階から高等教育段階まで、教育の機会の確保や質の向上に努めており、今後とも各教育段階における施策の充実に努めてまいりたいと思っておりますが、先生の質問の御趣旨と合っていない部分もあるかもしれませんけれども。

 私は、自分なりに考えて思うのは、小学校六年生のときに、文集が出てまいりまして、私の希望というのが。四十三人の生徒がおりました。こういう職業に就きたい、設計士になりたいとか、あるいは先生になりたいとか。調べてみましたら、もう六十年近くなりますけれども、七割がその職業若しくはそれに類する職業に就いていたということでありますから、私は、自分の夢を描いて実現できる社会、やはりこういう社会でありたいなということを思ってございます。

 と同時に、明治は工業化に進んでまいりましたけれども、維新以降。やはり、この原動力になったのは、基本的に寺子屋と藩校であったというように、私はそのように固く信じてございます。

 そういう思いを持っておりますけれども、諸外国との比較という点においては先生に的確な御答弁になったかどうか分かりませんけれども、自分の考え方を申し上げました。

鈴木(義)分科員 そういう崇高な理念に基づいて、学校教育を、戦後七十年を超える時代、やってきたんだと思うんですけれども、ここ数年来、世間でよく言われているのは、今だけ、自分だけ、お金だけという、大臣、これは聞いたことがありますか。学校教育の現場で、自分らしく生きろというんです。夢と希望を持って自分らしく生きろと。だから、嫌なことはやらない、自分のやりたいことだけはやる、そういう社会になっちゃっているんです。

 ここに教育基本法の理念がありながらも、現実の社会は違っている。だから、そのギャップをお感じになっているかというのが一番目の質問なんです。今言った、今だけ、自分だけ、お金だけ、今、うなずいている幹部の方がいらっしゃいますけれども、そういう現実と教育理念との乖離がどんどんどんどん開いちゃっている、そういう考え方です。

 もしお考えがありましたら御答弁いただきたいと思います。

末松国務大臣 後ほど答弁をする機会もあるかもしれませんけれども、やはり、教師もまた、豊かな、自分の生きてきた経験を生かして、こういう問題にぶち当たったときにはこういう行動を取るべしというような、そういうことを、体感したことを教える機会も少なくなってきている、そういう思いも私なりに持ってございます。

 と同時に、当然、核家族は働きに出る御両親が多くなりましたので、大事なことを子供に教えることができない、隣保とのつき合いも随分薄くなってきておるという。ですから、社会においても学校においても、今先生御指摘の、今だけ、自分だけ、やりたいことだけというような、そういった問題もあるという感じも思います。

 と同時に、やはり、今の端末機を見ていましても、自分が見たいものだけにアクセスできるという、そういったことも多少私は心配な社会だというふうに認識しております。

 いろいろな御意見、また御指導いただきますようにお願い申し上げます。

鈴木(義)分科員 よろしくお願いしますと言われちゃうと質問が終わっちゃうんですけれども、まだ幾つかあるのでお許しいただきたいと思います。

 一つは、戦後七十年以上たっている受験制度の弊害というのが結構言われてきたんですけれども、結局、それを直すという考え方がないんです。

 例えば、テクニックやスピードが強調され過ぎて、特定の日本人の大人、試験を作る人が、答えが決まった入試問題をいかに早く正しく解けるかが究極の目標になっているために、人生に重要なものを学ぶということよりも試験に受かるための勉強をするというのが今の受験制度の弊害だというふうに言われているんです。

 試験に受かるための勉強をすることを、幼少期、まあ、どのぐらいからのことをいうのか私も分からなかったんですけれども、グローバル社会でこれから世界の若い人たちと伍していかなくちゃならないにもかかわらず、日本の若者の独自性とか独創性とか革新性を日本では軽視されていて、大人が作った問題であらかじめ答えが決まっているものをいかに早く解くかということが今の受験制度になっちゃっているわけです。それで記述式を入れようと言ったら、いや、そんなたくさん見られないよ、こういう話になって頓挫していくわけですね。

 それは大人の理論ですよ。それに基づいて、小学校、中学校、高校、ましてや小学校に入る幼稚園、幼稚園にもお受験があるんだそうです。これが今の日本の社会です。それで有益な、若い意欲のある人たちがどんどん育っていれば問題ないんですけれども、そうじゃないから御質問しているんですけれども。

 大臣が昨年替わられて、前の文部大臣と考え方が若干違うんだと思うんですけれども、教育制度の見直しを根本的に、要するに受験制度を見直していく考えがあるのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生の方から入試のテクニックの話とか言われました。大学受験の関係でお答えさせていただきますと、文部科学省といたしましては、受験生が目的意識を持って大学選択が行われるように、各大学が、大学において学修し卒業するために、大学への入口段階で、どのような能力、それから適性を有する学生を求めているか、いわゆるアドミッションポリシーを分かりやすく示しまして、受験生と大学との望ましいマッチングが図れるようにしていくことが重要だと考えております。

 その上で、昨年七月に大学入試のあり方に関する検討会議の提言を示させていただいておりますが、これにおきましては、一般選抜だけでなく、総合型選抜とか学校推薦型選抜など、知識、技能のみならず、思考力、判断力、表現力も重視した多面的、総合的な選抜を推進することが重要であるということでございました。

 文科省といたしましては、引き続き、高等学校までに育成した学力の三要素、これを大学入学者選抜において評価させていただいて、大学教育において、高校までに培った力を更に向上、発展させるために、大学入学共通テストの実施とか個別入学者選抜の改革等を着実に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(義)分科員 大学の在り方については後でまたお尋ねするんですけれども、要するに一発試験なんだよね。人生そこで決めちゃっていいのかということを問いかけられているにもかかわらず、大学に入っちゃえば、みんな意欲がなくなっちゃって遊んじゃうんだよ、簡単に言えば。それがもうずっと前から指摘されていたにもかかわらず、私たちも、大学のときはどっちかというとマージャンをやったりして遊んじゃった口ですけれども、その当時はそれで何とかなったんですけれども、今は何とかならない時代になっちゃっている。それで、学生がお客さんになっちゃっているんですよ、簡単に言えば。授業に三日来ないと、大学の事務局の人が電話をかけて、そろそろ授業に出てきてくれって、こんな大学ですよ。

 それは何っていったら、少子化になってきて、大学に学生をどんどん呼び込むためにサービスをどんどんどんどんすることが、後に大臣にお尋ねしたいんですけれども、結局、今の日本の教育で、小中高も含めて、自分の頭で考えて行動するという基本を教わっていないんじゃないかと言われているんです。

 何のために大学に行くの、自分の子供も尋ねたときがあります。将来何になりたいと聞いたら、分からないという。何をしていいか分からない。分かる子もいますよ、目標をきちっと捉えてやる子もいる。でも、どのぐらいの人ですかね、分からないという。

 だから、本来だったら、小中高の初等中等教育の中で、自分の考え、頭で考えてどうすればいいかということを訓練させるのが初等中等教育の目的じゃないかと思うんですけれども、学校で何をやっているか。今さっき申し上げたように、受験に受かるための勉強をするんです。人生はどういうものなのか、何なのかというのを考えさせるような教育になっていない。だから、途端に、社会に出たら何やっていいか分からない、人とコミュニケーションが図れない。それが時々教育の世界で問題になってくるじゃないですか。

 だから、自分で考えて行動すること、自分の頭で考えるにはいろいろな経験をすること、自分がどう思ったか、どう感じたかを忘れないことというふうに言われているんです。今の教育がそうなっているかといったら、私は違うんじゃないかなと思うんですけれども、それに対するお考えを大臣の方でお述べいただきたいと思います。役人さんが答えるんじゃなくて、大臣の考えを聞いてからお答えください。

末松国務大臣 全く答弁は用意をしてございません。先生の御指摘、極めて妥当なお話であると思ってございます。

 今までの教育そのものというのは、やはり小学校、中学校、高等学校もそうだと思うんですけれども、これは文科省内でもよく言われているんですが、知識の習得量とそれに対する再生量が、再生していくということが学力であるという、それに基づくものが非常に多かった。

 今回の学習指導要領の改訂に当たっては、何を知っているかだけでは全く話にならぬ、これからの時代はということで、それをもって何ができるかということを考えなきゃならぬというのが、これからの教育に必要なこと、そして新学習指導要領の根本にあるものでございます。

 しっかり先生の今のお話を念頭に置いて、これから初等中等教育段階でどういうようにすればいいかという。少なくとも、やはり教師は、ツールは確かに立派なものがありますので、任せておけばかなりできるようになったものもございます。ただ、自分の受けてきた経験はやはり対面教育でもって教えてやらなきゃいけないという、そのことが一番大事なので、それはいろいろな、たくましい先生にたくましい子供を育ててもらうには、やはりその経験を述べていただきたいという思いがございます。

 大事なことは、自分で問題点を見つけて自分で解決する力をつけるという発想で教育は行うべきであるというのが自分の考えであります。私もそういう気持ちで政治家になりました。

鈴木(義)分科員 大臣の御答弁をいただいて、ありがとうございます。

 それと、もう一つ根本的な問題があって、これは私も、私は県会議員を、お世話になってきた人間なんですけれども、県の教育行政についても同じなんですが、どんなに市町村でお金をつけていい先生を雇って、教育環境を充実させて、お金をかけて子供を育てて、高等教育、大学の教育をやっても、地元で働いてくれなければ最終的に税金が落ちないんです。でも、今は全然その仕組みができていない。これはなかなか、いろいろな法律で難しいと思います、職業選択の自由が憲法でうたわれているんだから。

 田舎から、私は埼玉の出身ですけれども、みんな東京に働きに行く。地元に残るのは、地元で商売をやっている人が何人か。地方も同じだと思うんですね。東京に出てくるのはいいけれども、中には、中国に行ったりアメリカに行ったりしちゃう。いつになっても帰ってこない。

 昨年のノーベル賞を受賞した先生がアメリカに行って、もう何十年も行かれる。日本人がノーベル賞を受賞したと日本で盛り上がるんですけれども、もう米国籍を取っちゃっている。過去には、青色発光ダイオードでノーベル賞を受賞された元日本人の方が、日本人から三人、四人、ノーベル賞が出て、よかったねと言ったら、私は日本人じゃないとはっきり言いました、その先生。

 だから、優秀な人ほど外に出ていってしまって、戻ってくる仕組みができていないんです。どこの地区も同じ、地域も同じだと思います。その仕組みをつくっていかない限り、私は、優秀な人材を海外に、輩出して、またそこでいろいろな経験を積んだ人を、また日本に戻ってきて後進の指導に当たれるような仕組みをつくらないと、日本の知財というのは積み上がっていかないんじゃないかと思っています。

 そこの点について、大臣、どうお考えなのか、御答弁いただきたいと思います。

末松国務大臣 吉田松陰の言葉に、地を離れて人はなし、人を離れて事はなしということで、やはりふるさとは大変大事であるというような言葉かなと私なりに思ってまいりましたんですけれども。

 この前、ある方の質問で、熊本県内の工業高校の卒業生を調べましたら、熊本県内で勤めている方というのは三割いなかったかなという。有名な半導体の工場が台湾から進出してくるという可能性があるという中でこんな話が出たわけでございます。

 そういう意味では、先生、地元にきちっと、そこで起承転結的な歩み方をしてもらうということでしたら、やはり産業界が、中学校、高等学校の初等中等段階からいろいろな形で、マイスター・ハイスクールとかいろいろな制度もございますから、企業人が学校に行く、学校の生徒もまた企業に行って、企業の方から学んだりするという、そういった制度もございますから、やはり地元の中で一つのそういう流れをつくるということを、一つ大事かなということを、そんなことを思っておるところでございます。

 いずれにしましても、全国的に大変難しい問題でございますから、大きな課題、一気に解決することは難しゅうございます。いろいろな点、よく検討しながらというふうに考えております。

 補足は参考人からさせます。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 もう大臣からお答えしたとおりでございますが、我が国の大学教育がそうした優秀な人材を引きつけられる魅力あるものであること、これが非常に重要であると考えております。

 このため、まず大学の学部教育において、単に個々の教員が教えたい内容だけでなく、何を教えたいか、何を学び、身につけることができるのかという学修者本位の教育へと転換することが非常に重要であるというふうに考えているところでございます。

 また、優秀な人材が我が国の大学院への進学を選択するためには、我が国における大学院教育が海外の大学院や企業への進学等に比較し、あらゆる面で魅力的であることが極めて重要であるというふうに考えております。

 このため、文科省では、新たな知の創出と活用を主導し、時代を牽引する価値を創造するために、いろいろなプロジェクトを進めているところでございます。また、博士課程学生の処遇改善のために、令和三年度当初予算、それから令和二年度第三次補正予算に予算を計上することによりまして、新たに七千八百人規模の博士後期課程に在籍している学生に経済的支援を実現するということにしております。

 また、国際的に頭脳獲得競争が盛んになっている中で、国内外の優秀な研究者や次世代の研究者が日本で研究をしたいと思えるような魅力ある研究環境を整備していくことが重要であるというふうに考えておりまして、文科省としてもしっかりと対応してまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(義)分科員 今、御答弁いただいたんですけれども、結局、大学院を出て、ドクターコースを出てドクターの資格を取っても、就職する先がないんです、簡単に言えば。だからみんな海外に出ていく。日本の大学の内部の在り方が硬直化しちゃっているから、なかなか先生方が辞めていかない。

 今、六十から六十五に定年を延ばしたり、六十七にしたりして、そこをカバーしようとしているんですけれども、実際に、実績という言い方が合っているかどうか分かりませんけれども、よく論文を出したからというんですけれども、論文も質がばらばらです。基準がなかなか、あるようでない。じゃ、論文の数で評価するのか、じゃ、論文をたくさん出した先生は優秀なのか。そうでもない。

 研究は、長い時間をかけて、こつこつこつこつ積み上げていって、データを作って初めて、理系なんか特にそうですよね、文系も同じなんでしょうけれども。でも、結局、それでその先生が横に行って自分の後を後進に譲らない限りポストが空かない。研究したくてもできないのが現状。そこをどう制度としてつくり直していくかというところに、今、日本は差しかかっているんだけれども、もう十年遅いかもしれない。だから海外にどんどん出ていってしまう。

 それは、取りも直さず、大学の在り方を、先ほども申し上げましたように、受験というところで、人生の最大イベントが大学受験なんだ、五十数%の学生が日本全国で、やはり大学受験が最後のターゲットというふうに思って、自分の希望校に一生懸命勉強して入りたいと思ってやるんだけれども、それをやった途端に、結局、意識が低下してしまって、日本の大学生ほど世界の学生と比べて勉強しない。それはよく御存じだと思うんです。だって、勉強しない学生が、四年間なのか六年間なのか、九年間、まあ、マスターとかドクターへ行くのはまた別ですけれども、それで社会に出ていって、勉強しなかった四年間でどうするのという話ですよ。それが社会に出ていって、経済を支える業種に就いていくわけだから。

 だから、冒頭申し上げましたように、教育と産業というのは、産業政策は、裏腹な関係に私はあると思って今までやってきましたけれども、そこの、勉強以外の時間に、大学、キャンパスを謳歌するというのは、誰でも、私だって思ったわけないわけじゃないんですけれども、それをずっとこれからも続けさせていく中で、要するに、もう少し卒業するのを厳しく、きちっとある程度の基準の知識を習得できたら卒業させるぐらいな形を取っていかない限り、今の制度をそのままやっていってもうまくいかないと言っているんです。

 そこのところを、考え方なり制度を直していく。これは一年、二年じゃできないと思います。でも、関係者と議論しながら、日本の国益にかなうとか日本人のためになるんだということであれば、今申し上げたように、制度を根本的に変えていく。それと、海外に出ていって活躍した人が戻ってきて後進に指導できるような場をつくってあげるというのが日本の知財をもう少し積み上げていくことにつながると思うんですけれども、最後、大臣に答弁いただいて終わりにしたいと思います。

末松国務大臣 先生、これは答弁をちょっと読ませていただきたい、一旦は。

 学校教育法八十三条第一項において、大学は、学術の中心として、学生に対し広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とするとなっています。先生が御指摘された内容のとおり、この法律、できているかどうかはともかくとしましても、法律はこうなっています。

 とりわけ、人口減少や経済社会のグローバル化、情報化や産業構造の変革、変化が急速に進展する今日、大学には、様々な分野で活躍することのできる高度人材の育成や、リカレントを始めとする多様な学習ニーズへの対応、学術研究の深化、イノベーション創出、そして教育研究機能を生かした地域社会の発展への貢献などが求められています。

 特に今後の大学教育においては、予測不可能な時代の到来を見据え、学生は卒業後も自ら常に学び続けていく必要があり、学生自身が目標を明確に意識しつつ、主体的に学修に取り組む自律的な学修者を育成することが求められています。どのような人材を育成するためには、大学は単に個々の教員が教えたという内容ではなく、何を教えたか、何を学び、身につけることができたのかという学修者本位への転換が必要だということが重要であります。

 そこで、先生御指摘ありました卒業認定・学位授与の件、これはディプロマポリシー、そして教育課程編成・実施の方針、これはカリキュラムポリシー、そして三つ目、入学者受入れの方針、アドミッションポリシーですけれども、私は、先生と考え方を一にしていますのは、やはりディプロマポリシーにおいて卒業要件の明確化ということは絶対やっておかなきゃいけない、そのことを、何をしてきたかということをやはりきちっと問われなきゃいけないし、どういうものを大学で学んで資質と能力を身につけたかということは大学できちっと判断してもらわなきゃいけない、それまでは簡単に学位というのは授けるわけにいかないと私は思うんです。

 そういう点はこれから真剣に大学は考えてもらわないと、千を超える大学数があるはずです、生き残っていくことができないと思いますので、本質が問われると思いますから、しっかりと御意見を社会に反映できるようにと思います。

鈴木(義)分科員 大臣に頭を下げられちゃうと、これ以上質問できないんですけれども。

 大臣が最後におっしゃられたように、人口減少に入っているんですね、もう全入時代と言われて久しいんですけれども、日本は毎年毎年四十万の人口が減少していく社会に入っています。新生児は八十万しか生まれない。全部の方が、そのうちの半分、四十万何がしの人しか大学に行かないんです、行けていないのが今の現状ですね。

 だから、門戸を広げる意味で、高等教育の無償化、どこの党でも叫ばれると思うんですけれども、それは否定するものじゃないんですが、やはり遊びに行くためにただで学校に行かせるということじゃないんだと思うんですよね。そこのところをきちっと国が打ち出さないと、人口減少で出生率が低い中で、大学の定員がいつも変わらないというのはおかしな話だし、特に、私学助成金をもらっている大学であっても、建学の精神だといっても、税金を投入されているということは、自分たちで好き勝手はできない話なんです。

 だから、やはり文科省がある程度、私立、国公立も含めて、今、独立行政法人とかと、独法というんでしょうけれども、もう少し、公費を入れているということに鑑みて、今大臣が御答弁いただいたように、少し中身を触らせてもらうような形を取らないと、大学は中から変わるかといったら、変わらないと私は思うんですけれども、最後に御答弁いただいて、終わりにしたいと思います。

増子政府参考人 先生御指摘のとおり、私学の方でも定員割れ、そういう中で大学数は増加しているという状況もございます。

 そういう中で、大学においても、強みとか特色を生かした教育研究の充実とか地域との連携、いろいろな取組をしております。こういう取組を通じまして、学修者本位の観点から、大学教育の充実に引き続き努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(義)分科員 ありがとうございました。終わります。

青山主査 これにて鈴木義弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島分科員 時間をいただきまして、何点か質問をさせてください。

 これから質問する内容は科学技術に関することでして、大臣の御地元の兵庫県だと、SPring8があると思います。SPring8も視察をしたことがあり、また、国立天文台とか、あるいは物質・材料研究所とか、十二月末には、量子科学技術研究開発機構の那珂研究所で核融合炉の実験装置の視察もさせていただきました。

 ですから、文部科学省の研究機関、もちろん、JAXA、宇宙航空研究開発機構もこれまで視察をさせていただいたり、時間があると、文科省あるいはほかの官庁の研究所はほぼほぼ行っておりまして、私、産業界出身ですので、日本の研究開発力が相当落ちていると思っています。

 我が国の成長力については、科学技術がしっかりしないと成長しないと思っておりまして、今回の質問は、今の予算は、大臣自らが作られた予算ではなくて、前の大臣が作った予算でして、今年の八月からの概算要求に向けて、多分、大臣のお考え、あるいは総理のお考えで予算が作られることになりますので、国としても、政府としても、科学技術についてはしっかりやっていこうという方向だと思うので、是非その点について何点か質問をさせてください。

 まずは、今回の博士後期課程学生の処遇改善、特に、給付の対象者や年間の給付額について政府参考人よりの説明をお願いします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 博士課程学生は我が国の科学技術、イノベーションの将来を担う重要な存在であり、その育成確保に向け、処遇の向上やキャリアパス等の整備など、様々な支援の充実を図っていくことが不可欠と考えております。

 このため、文部科学省におきましては、令和三年度当初予算及び令和二年度第三次補正予算に合計二百二十三億円を計上することによりまして、新たに合計で約七千八百人規模の博士後期課程に在籍している学生に対する経済的支援を実現をいたしました。

 また、令和三年度補正予算においては、これらの支援を安定的に行っていくために四百億円が措置されたところでございます。

 また、令和四年度当初予算案におきましては、更に約千人の博士後期課程学生に対する経済的支援を行うための予算が計上されてございます。

 各博士課程学生に対する支援額につきましては、生活費相当額としての年間百八十万円以上の支給に加えまして、それぞれの研究活動等を踏まえた研究費を併せて支給することとしておりまして、一般的には、これらの合計といたしまして年間二百万円から二百九十万円程度支給しているところでございます。

 今後とも、優秀で多様な博士課程学生の処遇向上に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

大島分科員 政府参考人、ありがとうございます。

 大臣、これまで、各文科省の研究機関、訪問をさせていただいて、その責任者の方あるいは研究者の方と結構率直に意見交換をさせていただいています。数年前、ある研究機関を訪れて、責任者と話したときに、大島さん、以前は、数年前です、以前は工学部でも優秀な人は民間企業に行くことはあった、最近は理学部でも優秀な人が民間に行ってしまうというお話をされておりました。

 ですから、今、政府参考人から処遇の話を聞いて、ポスドク、大体、二十代後半とか三十代ぐらいだと思うんですよ。その百八十万円とか二百万円という数字が正しいかどうかと思うんです。

 今、海外の企業が日本に研究所をつくった場合の処遇は断然違います。日本の新入社員の給与もはるかに超えていると伺っております。

 これは、文部科学省科学技術・学術政策研究所、科学技術指標二〇二一から、主要国における大学部門の研究開発費の推移、OECD購買力平価換算ということで、私の事務所の方でこれを見させていただいて、大体、EUだと二十五年間で、科学技術の研究開発費、大学部門、二・三倍です。アメリカだと二十五年間で二・一倍。日本だと一・一倍。ちなみに、中国だと二十五年間で十六・四倍ですから、圧倒的に大学部門における研究開発費は伸びています。

 ここと、もう一つが、所得はどうなっているのかなと各国の年間収入の推移を見ると、アメリカだと三十年間で一・四一倍だし、日本だと三十年間で一・〇五倍ですから、科学技術、特に大学部門の研究開発費を多く投じると所得が伸びるのかなと私は考えておりまして、今、政府参考人からお話を伺った中で、例えばアメリカだと、三十年間で購買力平価で所得が一・四一倍、日本はほぼ変わらずですから、この二百万円の価値というのが、多分、競争力を失っていると思うの。やはり、今は諸外国との競争ですから、博士後期課程学生の処遇改善していただくのはありがたいんですけれども、金額そのものを諸外国並みに持っていかないと、多分難しいと思うの。

 理化学研究所の方と何年か前にお話ししたときに、新しく研究機関をつくる、大島さん、なかなか外国の方、研究者の方を招聘できない、日本だと一年ごとに契約を見直さなくちゃいけないので、五年間とかコミットメントできないから、なかなかいい研究者を招聘できないという話もありますから、その処遇のことについては、大臣、是非よろしくお願いいたします。ここはキーだと思っていまして。

 それで、大臣、次の質問に移ります。

 例えば、五年間で研究成果を上げてパーマネントの研究者になれる方や、研究開発力強化法案が成立して、渡海先生に私頼まれまして、当時所属していた政党を賛成でまとめて、参議院で答弁もしたりしておりまして、それで、成立したので、五年間の研究期間、これは競争的研究費ですか、が十年間に延びたことで、研究成果が認められてパーマネントに移行した研究者もいらっしゃる、非常に励みになっているというお話でした。

 そして、それを支える技師の人材が重層的に確保されて初めて科学技術の発展が促されると考えています。ですから、本当に優秀ですぐにパーマネントになれる方も必要ですし、それを支えていらっしゃる研究者の方、またそれをしっかりと支える技師の方、この重層的な構造があって、人材が確保されて、初めて科学技術の発展が促されると考えておりまして、国立天文台、宇宙航空研究開発機構、物質・材料研究機構などなど、全ての研究機関で最先端の成果を上げていくためには幅広い人材育成が必要ではないかと思うんですけれども、大臣の御答弁をお願いします。

末松国務大臣 御指摘いただきましてありがとうございます。

 先生のお話のとおり、優れた研究成果を生み出すためには、研究者だけでなくて、今おっしゃいました技術職員などの研究を支える人材を育成、確保することは大変重要でございます。

 このため、文部科学省としては、研究設備の利用に携わる技術職員のキャリア形成やスキルアップのための支援や、それと、リサーチアドミニストレーター、研究管理者、先生の方がお詳しいと思います、などの研究マネジメント人材について、専門的な研修や認定を行う質保証制度の推進といった取組を進めております。

 また、例えば、私も参りましたが、先生もよく行かれていると思うんですが、物質・材料研究機構では、研究支援を行うエンジニアの職に対して、新たに独自の職制を整備して、その知識に見合った待遇を提供するなどの取組を進めていると聞いております。このような機関の先進的な取組を運営交付金等で支援するとともに、その横展開をしっかり目指していきたいと思います。

 技術職員は、職員ともよく話をしますけれども、大きな設備が入ったら、やはり動かすには人が要る、しかも、新たに、故障したときに、点検とかメンテのときに、呼んできたら非常に時間がかかってしまうということで、そういった職員は大変重要であるということを聞いておりますので、しっかりその辺のところは念頭に置きながら、我々、受け止めたいと思ってございます。

大島分科員 ありがとうございます。

 そして、研究現場が疲弊している現状を踏まえ、研究者が安心して研究活動が行えるよう、研究人材育成に関して長期的展望を持って経済的支援を行うことが必要であると思います。更問いですので、大臣の御所見をお願いいたします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国の国際競争力の向上や産業発展等に向けまして、研究力の強化が非常に重要でございますが、その活動の中核を担う若手研究者が、経済的に厳しい、キャリアパスが見えないといった状況がある旨指摘がなされております。研究者の処遇向上や研究環境の改善を図ることは喫緊の課題と考えております。

 私自身、大学の、今申し上げましたけれども、研究現場なども視察をしまして、直接お話をさせていただきまして、博士課程学生を含む若手研究者の将来への不安を解消していくことが重要であるという認識をしております。

 昨年三月に策定されました第六期の科学技術・イノベーション基本計画、若手研究者のポスト確保や、博士後期課程学生の処遇向上に関しまして、中長期的な展望からの数値目標が盛り込まれました。もう先生御存じのとおりだと思います。

 文科省では、こうした目標を達成するための取組を進めているところでございます。特に、今般の大学ファンドの創設によりまして、世界と伍する研究大学の実現を目指すとともに、全国の優秀な若手研究者への支援を実施することとしておりますが、大学ファンドによる支援に先駆ける形で、博士後期課程学生に対する経済的支援の抜本的な拡充に取り組んでいるところでございます。

 文科省として、研究者が安定的に研究に取り組めるように、我が国の研究者の処遇向上や処遇環境の改善にしっかりと取り組んでいきたい、そのように願ってございます。

大島分科員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 先ほど、博士後期課程学生の就職先、民間企業が少なくなっているというお話があったかと思います。私、民間企業出身でして、多分、二〇〇〇年代以降、民間の中央研究所が大分細ってしまったのかなと思っています。例えば、工学部、理学部ですと、前は東芝の中央研究所なんというと憧れの的でした。今はどうしちゃったのかなという感じだと思うんですよ。例えば、もう十年以上前ですけれども、東芝の横浜の研究所へ行くと、今結構、小型の原子炉なんてあるじゃないですか、ああいう研究をしていましたからね、十五年ぐらい前に。

 ですから、民間企業でも研究所が細り、日本の研究機関も人材の流出が行われているという環境だと、我が国においてのイノベーションが極めて起きにくくなっていると思いますので。これはすぐ結果は出ません。多分、国民の皆さんの御理解、あるいは財務当局の皆さんの御理解をいただいて、十年以上かけてようやくだと思うので、この点は是非、多分今年が大きな転換期になると思いますので、よろしくお願いします。

 それで、政府の役割として研究者の皆さんをしっかり育てるとともに、大臣の御地元にあるSPring8ですか、こちらにも視察に伺ったことがありまして、やはり、極めて微細なものが見ることができる研究機関だと思いますので、どういうイノベーションが起きているのか、手短に政府参考人より御答弁をお願いします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のSPring8でございますけれども、これは産業界でも広く利用されておりまして、例えば、高性能燃料電池ですとか、あるいは高効率の触媒、さらには低燃費タイヤなど、様々な成果を今産出しているところでございます。

大島分科員 ありがとうございます。

 大臣、SPring8は、かつては世界で一番、微細なものまで見ることができる、半径五百五十メーターぐらいの巨大な顕微鏡でして、トヨタの燃料電池車が大分コストが軽減されたという報道を耳にしたときに、多分ここで材料を見て研究開発した結果かなと思ったんです。国としては、こういう世界で一番のものを持ち続けないと、産業技術そのものが発展しないと思っています。

 我が国として研究力、産業競争力の両面を強化して国際競争力を確保するためにも、このSPring8、これは更新をしながら世界の最高水準を常に維持する、そして、次世代放射光施設などの大型研究施設に係る必要な予算をしっかりと措置すべきと考えておりまして、そのことが産業界を更に発展させることになると思いますので、御答弁をお願いします。

末松国務大臣 平成九年に、二十五年前にSPring8、完成しまして、竣工式も行かせていただきまして、もう何度も伺いまして、先生からそういう御質問をいただいて、私は感激をいたしております。

 これは一体どういう施設なのかということを聞きましたら、これは、末松さん、地球からお月さんを見て、お月さんにゴルフ場があったら、そこに転がっているゴルフボールが見えるものだと思ってくださいと、先生の今の御説明のとおりでございます。

 それによって最小単位のものまで分かって、例えば、住友ゴムのタイヤの摩耗の在り方とか、あるいは、隕石のサッターズミルの中、鉱物の中に閉じ込められた二酸化炭素を含む液体の水、世界で初めて発見とか、一万六千人ぐらいの方が御利用されておられる。今五十七本ぐらいのビームラインも入っているということでありますから、これはやはり大きく活用してもらって、更に大きく育てなきゃいけないと思ってございます。

 仙台にも新しいまた設備もできますけれども、やはり力の源泉になってまいりますので、予算は今年で九十七億円程度でありますけれども、しっかりと皆さん方のお力もかりながら前へ進めていきたい、そういう思いを持っております。

 文部科学省としては、引き続き、これらの大型研究施設の整備、供用を推進するため、民間資金の一層の活用も進めながら、必要な予算の確保に努めていきたいと思います。よろしくお願いします。

大島分科員 次の質問に移ります。

 核融合エネルギーは、安全性が高く、将来のクリーンエネルギーとして重要な技術であると考えています。その技術開発は長期にわたるため、腰を据えてしっかりと取り組んでいく必要があります。このような核融合の研究開発を推進する意義についての大臣の御所見をお願いいたします。

末松国務大臣 核融合につきましては、大島先生御指摘のとおり、安全性が高く、二酸化炭素の排出も伴わないことから、将来のクリーンエネルギーとしてその実現が強く望まれているところでございます。

 加えて、核融合は、海水から得られる燃料一グラムで石油八トンに相当するエネルギーを得られることや、核融合関連技術の多くで日本企業が世界的な水準にあることから、我が国の経済安全保障に資するものであると考えてございます。

 こうした観点から、核融合の研究開発を推進する意義は大変大きいわけでありまして、文部科学省としては、世界七極、三十五か国の国際協力によりまして、核融合実験炉の建設と運転を行うITER計画を進めるとともに、日欧協力によりまして、ITER計画の補完、支援や、核融合原型炉のための技術基盤の構築を目的とする幅広いアプローチ活動を進めているところであります。

 文科省として、これらの活動を通じまして、核融合エネルギーの実現に向けて引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 年末に先生は茨城県の施設を、固有の施設に行かれたことをお伺いしておりますので、よろしくまた御協力のほどお願い申し上げたいと思います。

大島分科員 大臣、ありがとうございます。

 那珂研究所を訪問させていただいて、那珂研究所にあるJT60SAという核融合実験装置を事細かく案内をしていただいて、やはり最先端なものをつくるというのは、民間企業に対しても相当な負荷を与えていきます。やはり、最先端のものは民間企業の技術水準を引き上げていくことになるものですから、こういうITER計画及び取り組んでいくということは、産業技術そのものを上げることにつながると思うので、よろしくお願いします。

 政府参考人に伺います。

 世界各国では核融合エネルギーの実現に向けて研究開発が進んでおり、先日、英国において発電に向けた新しい成果が発表されたと伺っております。世界各国の核融合エネルギーの研究開発の状況について御答弁をお願いします。

真先政府参考人 お答えいたします。

 エネルギー問題と環境問題を根本的に解決する、このような期待感から、主要国では近年、核融合研究開発に関する新たな動きが見られるところでございます。

 まず、ヨーロッパに目を向けてみますと、欧州においては、EU関連機関、ユーロフュージョン、こちらの方が、二〇五〇年頃に発電実証を行う核融合炉を建設すべき、このような評価を二〇二〇年に発表されました。

 また、議員御指摘のとおり、ユーロフュージョン、こちらの方が、英国内で行っている核融合実験においてこれまでの二倍の核融合エネルギーを発生させた、このような報道が最近なされております。

 また、英国政府に目を向けてみますと、二〇二一年十月、英国政府の核融合戦略を発表いたしまして、二〇四〇年代までに核融合発電に向けた原型炉を建設するというような構想を打ち出しているというところでございます。

 またさらに、米国でございますが、エネルギー省の諮問委員会、FESACが、核融合の将来計画に関する報告書、これを二〇二一年二月に公表いたしておりまして、二〇四〇年代に発電実証を行う構想が提案されております。

 また、お隣の韓国でございますけれども、二〇二一年十二月、核融合基本計画が決定されておりまして、二〇五〇年代に核融合電力生産実証炉を建設する構想でございますとか、あと、核融合発電に必要不可欠な八つの基幹技術の開発などが盛り込まれているというふうに承知しております。

 このような国際動向も注視いたしまして、核融合エネルギーの早期実現に向けた研究開発を推進していく必要があるというふうに認識してございます。

大島分科員 今の御答弁いただいた内容を聞くと、これまでの商用炉の開発スケジュールが早まっているように思えるんです。ですから、日本も本腰を入れていかないと各国の後塵を拝してしまうのかなと思うものですから、その点よろしくお願いします。

 大臣には、核融合は最先端技術の集合体であり、発電に必要な技術の確保と産業界の技術レベルの向上を急ぐべきであると考えています。核融合の実用化に向け、産業界の予見可能性を高めるために、ITER計画の次の段階を見据えて、重要技術の早期確保など研究開発の方向性を見出すべきと考えています。

 これは、民間企業としても、ある一定の政府の方針が見えないと、人を雇えないということになります、研究者を。やはり、十年、二十年先に、こういう国としてのビジョンがあって、実用化したいので、これは国としての方針化ということが決まれば、各企業もそれに合わせて研究人材を育てていくものですから、その点についての大臣の御答弁をお願いします。

末松国務大臣 まず、先生の今のお話でございます。世界各国で核融合の発電の実現に向けました取組が進んでいることを踏まえましたら、我が国としても、戦略的に技術開発を推進する必要がございます。特に、我が国の産業競争力強化の観点からは、核融合発電に不可欠となります重要技術について、世界に先駆けて確保していくことが極めて重要であると思います。

 こうした重要技術を確保する上では、最先端の技術を結集したITER計画や、幅広いアプローチ活動等の機会を利用しまして、速やかに技術実証を進めることが効果的であると考えております。実際、ITER計画等を通じて獲得した技術を基に、海外展開を実現する中小企業も出てございます。大和合金という会社、先生も御存じだと思います。

 そして、このため、文部科学省としては、将来の核融合発電の実現に向けまして、現在のITER計画のプロジェクトを最大限活用することによりまして、核融合発電に必要な重要技術の研究開発を加速してまいりたいと思います。

 と同時に、今の、人の問題、先生御指摘ありましたけれども、このことにつきましても、今日、一旦、そのお話、頂戴したいというふうに思ってございます。よく考えていきたいと思います。

 それと、先ほど、私、間違った数字を申し上げてしまいました。

 大型放射光施設SPring8、大島先生の御質問で、今年九十七億と言いましたけれども、九十五億一千八百万の間違いでございました。失礼いたしました。訂正いたします。

大島分科員 今、NTTと量子科学技術研究開発機構の間で、ITER計画に光電融合技術を活用する共同研究を開始したと聞いています。光電融合技術の活用は、世界最先端の核融合の研究開発を実施するために重要と考えておりまして、その点についての政府参考人からの御所見をお願いします。

真先政府参考人 量子科学技術研究開発機構、QSTとNTTが、世界に先駆けた革新的な環境エネルギー技術の創出を目指すため、連携協力協定を締結したというのは承知してございます。

 この協定によりますと、QSTとNTTは、今後、核融合エネルギーの実現に向け、最先端の通信技術である光電融合技術関連の共同研究に取り組むというふうにされております。これにより、ITERなど核融合炉からの膨大な観測データ、これをリアルタイムに収集、分析可能なネットワークの実現というのが大変期待されているというふうに考えております。

 文科省といたしましては、このような光電融合技術のような最先端技術の活用も意識しながら、ITER計画等の核融合に関する研究開発を推進してまいる所存でございます。

大島分科員 大臣、最後に、質問ではなくてお願いなんですけれども、やはりこのITER計画、世界最先端の研究開発です。今の光電融合の技術は、圧縮することなく、時間の遅れもなく、膨大なデータを送れる新しい技術でして、やはり、最先端のものにチャレンジすると次の技術も生まれてくるものですから、その点を、大臣も十分に認識されていると思いますので、来年度予算に向けて、来年度というのは再来年度予算ですかね、次の概算要求に向けて是非御尽力をお願いします。

 終わります。ありがとうございました。

青山主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、湯原俊二君。

湯原分科員 ありがとうございます。こんにちは。大臣、一日お疲れさまでございます。

 私は、大臣、鳥取出身でして、選出が隣の県ということで、よろしくお願いしたいと思います。

 今日は、事前に通告しておりますけれども、学校の先生の長時間労働と教員不足に絡めて、学校がこうあったらいいですよねということを私なりに御提案をさせるのが思いであります。

 今までずっと国会での議事録を拝見していまして、この長時間労働の話をずっと過去から拝見させていただいて、様々な議論があるというのは承知しております。

 私自身の身近な問題でいいますと、私は、大臣、御存じでしょうか、鳥取県の米子市というところに住んでおりまして、落選中に街頭を、夜、日没以降までやっていまして、自宅に帰るときに小学校の前を通って帰るんですね。日が暮れておりまして、毎日毎日帰るたびに絶えず学校が電気がついている、先生方が頑張っていらっしゃるということで、毎日毎日ここを見てまいりました。

 あわせて、大臣、御存じでしょうか、大山という山があるんですけれども、大臣の地元では校区民町民運動会というのがあるかどうか分かりませんけれども、私は地元で世話役をやっておりまして、あるとき学校のスピーカーが都合が悪かったんですね。不都合があって、なかなかうまくスピーカー、拡声機が働いてくれないものですから、学校管理者に、スピーカーが切れているので、何とか直さなきゃ校区民の運動会、町民の運動会ができないということで電話したら、学校の先生は、日曜日でしたけれども、どこにいらっしゃったかというと、大山におられたんですね。なぜ大山かというと、小学校ですから、翌週に子供たちが大山登山をするので、日曜日を使って事前に下見がてら大山に上がっていくという、もうボランティア精神そのもので、給特法の話を出すわけではないんですけれども、そこまでして子供たちのためにやっている。

 そういう、先ほど申し上げたように、ぎりぎりのところで、魂をすり減らすとは言いませんけれども、結果的に教育現場が大変な状況になって、先生も、すり減らして休職をしたり、あるいは仕事を気抜けしたり、あるいは子供たちに悪影響が出てきているんじゃないか。最たるところは教員不足だ。

 地元の教育委員会では、最初はいろいろ探していたんでしょうけれども、教育委員会では対応できずに、もう校長先生と各学校任せで教員を探してくれ、こういう状況があるという前提で、枕の話になりましたけれども、ちょっと長くなりましたけれども、そういう状況の中で、これから日本の先々、未来を見据えたときに、子供たちにうまく健全に育ってもらわなきゃいけない状況、それを応援する学校というものが今の状況で本当にいいのだろうか、根本的なところから考えると、まずは、育むところ、育ちを応援する先生方が是非健全な体制をつくらなきゃいけない、こういう観点に立って質問をさせていただきたいなというふうに思います。

 そこで、今回質問するに当たって、文部科学省による令和三年度教育委員会における学校の働き方改革の状況調査、及び、令和四年一月の教員不足に関する実態調査、そして、二〇一八年、いわゆるTALISと言っておりますけれども、国際的な教員指導環境調査報告書などを見ますと、やはり日本の学校の先生は先ほど来申し上げているように長時間労働の実態があって、これが教員不足の原因になっているんじゃないかなということを改めて考えるわけであります。

 お手元に私の資料が届いていますでしょうか。これは、簡単に言うと、各国の学校の先生方の教員時間数でありますけれども、また後でこれについては質問させていただきますけれども、やはり、一番左側、OECDという文字の真下に仕事時間の合計というところが挙がっていると思いますけれども、グラフ上の段、大臣、お分かりでしょうか。ここの一番最初のところです、その一番左側のところに合計の時間数が挙がっています。やはり、これを見ると、日本の中学校は、一週間当たり五十六時間、前回調査が五十三・九時間で、伸びていらっしゃる。参加四十八か国は三十八・三時間。簡単に言うと、一週間当たりで二十時間近く長時間労働だという実態調査ですね、これは世界各国と比較すると。

 このことを踏まえて、少人数学級の導入、これがやはり必要。先生方の時間を削減するための一つの方策として、長時間労働を削減するとして、少人数学級。私が住んでいる鳥取県は既に三十五人学級にしておりまして、今の小学校一年生、今度から、今は三十人ですが、他の学年も全部三十人学級にしよう、県単独でしようとするぐらいでありますけれども、まず少人数学級が一つの改善策ではないかということ。

 あわせて、先生が受け持つ時間を例えば上限を設定して、小学校は二十時限までとか、あるいは中学校では十八時限までとか、こういう方向によって長時間労働を少しでも少なくしていこう、こういう考え方を持っておりますけれども、大臣の御所見があれば伺いたいなと思います。

末松国務大臣 隣県の兵庫県の出身でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 学校の学習環境と教員の勤務環境に焦点を当てましたOECDの国際調査である、今先生御指摘されました国際教員指導環境調査、TALISの結果によりましたら、我が国の教員について長時間勤務の実態が明らかになってございます。今先生御指摘のとおりであります。

 また、我が国の小学校教員の持ち授業時数が多いことはこれまでも指摘されておりまして、文部科学省としては、小学校における専科指導の実施に必要な教職員定数の改善を進めることによりまして、持ち時間数を軽減するための取組を進めてはきております。

 これに加えまして、令和四年度予算で、先生のところは三十人学級が既にスタートしておりますけれども、小学校の三十五人学級の計画的な整備や、更なる教育の質の向上や働き方改革を進めるため、小学校高学年の教科担任制を推進するための九百五十人の加配定数を盛り込んでいるところでございます、これからですから。

 こうした教職員定数の改善に加えまして、教員業務支援員を始めとするいわゆる支援スタッフの充実など、様々な施策を総合的に講じて今後とも学校における働き方改革は進めてまいりたいというふうに思っております。

 なお、更なる少人数学級化につきましては、小学校における三十五人学級の教育効果を実証的に分析、検証する等の取組を行った上で、学校の望ましい教育環境や指導体制の在り方の検討に努めていきたいと思ってございます。

 よろしくお願い申し上げます。

湯原分科員 ありがとうございました。御答弁いただきました。

 専科指導を含めて取組をしているし、教科担任制も取り組んでいますよ、あるいは、教職員支援員のことは後でもお聞きしますけれども、やっていますということで、少人数学級については、今、三十五人学級にして、その分析、検証をして、望ましい学校の姿とおっしゃいましたけれども、進めていきますという御答弁だったと思いますけれども。

 具体的にこのTALISのやつで私がなるほどなと思ったのは、これを見ていただくと、総時間はそうですね。その後、二つ目のところに、上の段の左から二つ目が、最初の一つ目が、仕事時間の合計が二十時間ぐらい多いということですけれども、授業時間が二つ目ですね。授業時間は、日本の場合は中学校で十八時間、参加国では二十時間と、二時間ぐらいしか違わないわけですね。授業時間は、ほとんど生徒指導は変わらないということなんです。

 じゃ、何が多いかというと、これを見てもらうと、下の段の左から二つ目に、一般的な事務業務、教員として行う連絡事務、書類作成その他の事務業務を含むというところが、日本の場合は一週間当たり五・六時間。参加国では二・七時間。つまり、書類作り等が日本の場合は参加国と比べると多いという時数ですね。

 隣の職能開発ということは、スキルアップの時間は逆に日本の場合は少ない。その後、右から二つ目に出てくる課外活動の指導、いわゆる部活等が、これが参加国に比べて、日本の場合は七・五時間が、参加国は一・九時間ですので、ここが多いということでありまして、こういうデータ、調査結果が出ているわけでありまして、やはりここの部分が違うな。授業時間は、生徒を実際見ているのは一緒なんだけれども、書類作りであったり、部活であったり、こういったところが日本の先生は負担がかかっている。一方で、先生自身のスキルアップの時間は少ない。こういう状況がTALISで見て取れる。

 こういうことを思いまして、そこから私なりに調べましたら、アメリカは地域主権で各学校の自立性が高い国でありますけれども、アメリカでは、免許や資格を持った専門職員を各学校に配置して、いろいろ子供たちにトラブルがあったときに家庭訪問を日本の場合は担任の先生が行ったりしていますけれども、アメリカでは、ソーシャルワーカー、スクールカウンセラーがそこに行くようになっている。学校の先生が行かない。あるいは、補助職員がいて、クラブ活動はもちろん外部コーチ。アメリカは大体そうだそうです。

 イギリスの場合は、これもすごいなと思ったんですけれども、日本では、休憩時間や給食の時間、例えば小学校では当たり前に先生がおられますけれども、クラスで、休憩がないような状況で。イギリスなどは、休憩時間やあるいは給食の時間は、担任の先生や教師以外の人がちゃんとついて子供たちの面倒を見ている。イギリスはそれが当たり前だそうであります。

 イギリスでは、教員がすべきでない業務二十五項目を確定させて、他の職員を拡充させてそれをフォローしてきた。実にイギリスでは、二〇一六年の統計でいうと、学校の教職員、事務職員も含めた業務のうち、半数以上の五二%が教員以外が担っている。そういう各国の調査結果であります。

 つまりは、冒頭申し上げたTALISで見るように、日本の学校の場合は、担任の先生中心にでありますが、学校の先生におんぶにだっこで全て押しつけていっている。これを少しずつセパレートしていく方がいいんじゃないかなというふうに、これが私の質問の思いであります、大臣。

 もっと言うと、学校というプラットフォーム、こういう土台の中に、知識を教える担任の先生もいらっしゃる、ソーシャルワーカーもいらっしゃる、スクールカウンセラーもいらっしゃる、養護の先生もちゃんとおられる、後で申し上げる学校図書館司書など、専門性の高い人もそこに一緒になる、さっきの事務支援員さんもおられる。様々な人たちが学校というプラットフォームに参画をしていただいて子供の健全な育ちを応援していく、こういう形に変えていきたいというのが私の思いであります。

 今のように、プラットフォームも何もない、担任の先生に全てあれもこれも押しつけるようなそういう学校の在り方ではなくて、先生も確かにいるけれども、その人以外の地域の人たちを含めた専門の方々がそこに参加して子供の育ちを応援する、これを是非していきたいなというのが私の思いだということを御理解いただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 平成三十一年の中央教育審議会で、さっきイギリスは先生がする必要のない二十五項目を確定させたと言っていましたけれども、文科省でも、基本的には学校以外が担う業務、あるいは、学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務、教師の業務だが負担軽減が可能な業務、これらを仕分しておられますけれども、これをもっと積極的に進めて、私がさっきプラットフォームと言いましたけれども、これを大胆に進めていただきたいなということであります。これが一点、お伺いであります。

 そして、その一つとして、免許を持たない社会人でも教えられる特別免許状制度、これも外部の人材を登用するためには必要であろうと思いますので、積極的に。

 併せて、さっき申し上げた部活動で大変負担が強いられているわけでありますけれども、部活動人材バンク等の方策をやっていらっしゃるのは認めますけれども、これらについてももっと進めていただきたいなと思っています。

 そして、方向性として、いじめや貧困、虐待、食物アレルギー、様々な子どもたちに関わる問題があります。さっき、自宅に家庭訪問するのはイギリスなんかではソーシャルワーカーが行くと言っていましたけれども、担任の先生は行かないと言っていましたけれども、こうした問題も専門の方々が対応していくべきではないかなというふうに思います。

 もう一つ、私は、以前の任期中もそうでありますが、シチズンシップ教育というのをやっておりまして、いわゆる主権者教育です。主権者教育をずっとライフワークにしておりますけれども、子供たちが大人に健全に育つためには、この主権者教育とか、シチズンシップ教育とか、あるいは、今でいえば税教育ですね、十八歳になって。消費者教育、あるいは裁判員制度で法律の業務とか、様々な健全に育つためのこういう教えは、やはり学校の先生だけでは難しいところがあるし、中立性を保てないところがあるので、外部のNPO等をもっと参画させて育ちを応援していける、こういう体制にすべきだと思っておりますけれども、方向性について、この点についても質問をさせていただければと思います。

末松国務大臣 示唆に富んだお話を伺いました。先生からは、外部の人材をということが中心であったと思ってございます。

 まず、学校の教員組織は、絶えず変化しておりまして、社会のニーズに的確に対応していく上で、これまで以上に多様な知識や経験を持つ人材で構築されることが望ましいと考えております。

 こうした専門的な知識経験を有する人材を登用するための仕組みとして、特別免許状の制度がございます。ただ、先生、年間の授与件数が二百件程度にとどまっておる。通例、教員免許は十九万件を超えるはずなんですけれども、僅かなんですね。こういう意味で、教職員課程を経て授与される普通免許状の件数に比べて少ないという状況がございます。

 このため、特別免許状制度の活用促進を含めて、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を図るための方策について、現在、中央教育審議会の方で議論を行っていただいております。今後、その結果を踏まえて必要な制度改正を行うことによりまして、より多様な知識経験を持つ人材の活用に努めていきたい、先生の今日の御質問を更に生かしたいと思ってございます。

 また、部活動なども、部活動指導支援員のこともありますけれども、これにつきましても、本年度、同額でございますけれども、部活動支援員は十三億で一万一千二百五十人となっていますけれども、同額だと思うんですけれども、引き続き、外部人材を活用するという考え方には変わりございません。

 それと、今先生からお話がありました税教育とか、いわゆる社会に出たときにすぐ役立つ社会的な常識をできるだけ生徒の皆さんに知ってもらいたいという、この教育の在り方は大変重要でございます。

 学校が複雑化、多様化した課題に対応して教育活動を充実していくためには、組織として教育活動に取り組む体制を強化するとともに、教師が、心理や福祉、部活動を始めとする様々な専門家と連携、分担する体制を整備することが大切です。

 学校における働き方改革については、学校や教師が担う業務の役割分担や適正化を進めることが重要でありまして、チーム学校として、あらゆる職種の方々、医療関係者もおれば、PTAの方もおられれば、法律家の方もおられれば、スクールカウンセラーの方もおられればというところで、みんなで支えていくという体制が一番大事かなということ、そのように思います。

 私の経験から一つ、ある会合に出たときに社会保険労務士会の方が来られまして、是非、中学生、高校生に税金や年金のことを知らしめるべきである、リスクを伴って初めて社会保障のありがたさが分かるのでは遅いんだ、その前に知らしめるべきということで、実際に、高等学校で公共か家庭科で社会保険労務士と年金と保険の勉強をしております。今ちょっとコロナでこの二年ほどできていないんですけれども、おととい電話で確認をしました。

 そういう意味では、是非、先生方からいろいろな御意見をいただきまして、さらに、実践教育というんでしょうか、社会を生きていくための知恵を、知識を得るための、そういう勉強、学びの場を是非つくっていきたいということ、更によく検討しながらつくっていきたいということ、そのことを思っておるところであります。

湯原分科員 ありがとうございます。

 大臣始め文科省の方向性としては私ももちろん認めていますし、私も、今日質問するのも、どっちかというと、批判的にではなく援護射撃的な質問をさせていただいている。

 ただ、問題なのは、もっと大胆に幅広くというところで、応援の意味でですね。そうじゃないと、今の教員不足がこの何年か前から出てきて、教育現場は大変、言葉は悪いですけれども、ブラック職場みたいな言われ方をしていて、教員不足になってきている、長時間労働でですね。これが五年、十年続けば、ただでさえなり手がないのに、より一層なり手もないし、影響を受けた子供たちが大人になっていくわけでありまして、スピード感を持っていただきたいというのが思いでありますので、これを申し上げておきたいと思います。

 次、質問を用意していましたけれども、さっきの教育業務の支援員制度については、最初、冒頭、大臣から答弁がありましたので結構でありますけれども、今、配置が各学校に一人ぐらいでありますけれども、いろいろなアンケートを見ますと、やはり大変助かっていらっしゃる、こういう声を聞いております。

 これは、フィンランドぐらいに、北欧ぐらいに行きますと、先生一人に一人ぐらいつくぐらいの、さっき申し上げたように一週間のうち七時間強ぐらい書類作りに先生方が時間を割いているわけでありまして、本来、先生は子供たちの顔を見て話してコミュニケーションを取ってほしいんですけれども、実態は、パソコンとにらめっこして書類作りが放課後の仕事みたいな、こういう状況があるわけでありまして、ですから、この教員業務支援員制度、これも、アンケートを取っておられますけれども、いいということだけれども、大胆にこれを進めていって、各都道府県の教育委員会を通じて現場に広めていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。

 あと、お時間の関係で、次に、私はプラットフォームという言い方をしましたけれども、大臣からは、学校というチームでと。これは中央教育審議会で出た言葉だと思います。チーム学校ということで、担任の先生一人だけにおんぶにだっこで任せるんじゃなくて、チーム全体でということでありますけれども。

 その中の一つとして今日取り上げたいのは、あと八分ほどでありますけれども、学校図書館であります。次の質問であります。

 学校図書館というのが、簡単に言うと、私は六十前でありますけれども、私が小さいときは、本を借りに行って、そこにいるのは図書係の同級生がいて本を貸してくれた、これが学校図書館でありました。

 私は米子の市議会議員と鳥取県議会議員を通年でいうと大体二十年弱やってきましたけれども、学校図書館が今はだんだん整備されてきていますけれども、当時はまだまだでして、今から二十年ぐらい前ですけれども、後で資料を、グラフをお見せしますけれども、二十年ぐらい前、ソ連はもう崩壊してないのに、学校の図書館に行くと、古い本があって、まだソ連が生きていた。もうロシアに変わっているんだけれども、学校図書館の中にある資料がリニューアルできていなくて、誰もそれをしない。司書教諭さんは、任せられているんだけれども、司書教諭さんも先生でありますので、授業でそれどころじゃない。専任の、専門の人がいないからそういうことになっている、これが実態であります。

 学校図書館について、まず、これは、先般、平成二十六年に学校図書館法が改正されて、司書を置くよう努める、こういうことになったわけでありますけれども、私が二〇二一年の調査を見ますと、小中学校で司書がいる学校はおおむね八割ぐらいになってきた、大体。つまりは、法改正が簡単に言うと後追いみたいな感じなんですね。だから、司書を置くように努めることにしたんだけれども、もう既に八割ぐらいが置いている。まあ、中身の問題はありますよ、身分の問題はあるんだけれども、なってきた。

 私は、一つは、司書を置かなければならないということで国が率先して進めていってはどうかなというふうに、政府委員さんでも結構ですので、御答弁いただきたいと思います。これが一つ。

 身分について言うと、先ほど申し上げたように、専任の、専門の司書、資格を持った人がおられた方がやはりいい、司書教諭ではなく。それも、専任の資格を持った人。

 私が調べておりますと、いろいろな資料を見ました。これは、大臣、思いだけ伝えて答弁は必要ないですけれども、養護室、保健室ってありますね、体が万が一のときの居場所。中には、子供たちの中で、心にもやもやを持った子供たちが学校の図書館を通じて、そこを居場所にしている子供たちが結構おられる。

 いろいろ学校図書館について調べていくと、例えば、今、LGBTQ、思春期を迎えていろいろな問題があると思いますけれども、居場所がなくて学校図書館に行って、その本を調べて、司書さんに紹介されて調べて、自分の中ですとんと落ちたり。あるいは、親権という本ですね、親の権利。まあ、御両親が何かいろいろトラブルがあったのかどうか知りませんけれども、そういった問題を子供たちが思春期で抱えながら自分で調べて、そういったところにも、心を癒やす居場所、あるいは、自分で調べるという意味で、保健室ではないんだけれども、学校図書館の役割がそういうところまで今広まってきている。その上で、チーム学校、私はプラットフォームと言っていますけれども、学校図書館を充実させていただければなというふうに思うわけでありますけれども、政府委員さんで結構ですので、この点について。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、学校図書館というものは、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であり、児童生徒の心の居場所としての役割を持っております。そうした意味で、教育指導への支援等の職務を担う学校司書の役割は大変重要だというふうに考えております。

 そして、こちらの方は、先生からも御指摘がありましたように、平成二十六年の学校図書館法の改正がございまして、これによりまして、学校には、専ら学校図書館の職務に従事する職員である学校司書を置くよう努めなければならないという努力義務の規定が置かれたわけでございます。そうした中で、学校司書を配置する学校が近年着実に増加をしているという状況はございます。

 こうした司書の配置を進めるために、文部科学省の方では、平成二十九年度から単年度二百二十億円の地方交付税措置、これは小中学校のおおむね一・五校に一人という算定になるわけでございますけれども、こうしたことを講じてきたところでございます。

 さらに、来年度、令和四年度からの第六次学校図書館図書整備等五か年計画におきましては、毎年度二百四十三億円という額でございますけれども、こちらの方は、おおむね一・三校に一人というふうな積算に基づく地方交付税措置を講じるということにしているところでございます。

 そうした中で、学校司書の必置化ということでございますけれども、現状といたしましては、まだ自治体間の配置のばらつきというものがかなりある状況ではございます。そうした中では、一律に必置化を直ちにするということにつきましては、混乱を生じるという懸念もございます。

 私どもといたしましては、まず現行のこの努力義務の中でしっかりと配置が進んでまいりますように、今後、この五か年計画に基づきまして、地方交付税措置を実際に各自治体でしっかり予算化していただけるように、粘り強く指導してまいりたいというふうに考えております。

湯原分科員 ありがとうございます。

 時間の関係もあるので簡潔に申し上げますけれども、今、地方交付税、一・五校に一人、あるいは一・三校に一人、つまりは、一校に一人では、専任ではないということと、五か年計画でありますので、それを見ながらということですけれども、五年後には一校に一人置かなければならないになりますよぐらいのことは暗におっしゃらないと、いつまでたってもこの八割が伸びていかないし、兼任ということは、子供たちが図書館に行ってもおられないときもあるわけですので、兼任ですので、隣の学校と一緒にやったりとか、こういうことですので、是非専任で。

 それも、見ると、やはり資格を持っていない方々が多くて、小中学校は、一五%が正規雇用ですけれども、八五%は非正規雇用でありますし、高校では、六二%が正規雇用ですけれども、三八%が非正規雇用という状況ですので、スキルアップ、専門性を高めるためには、やはり正職員で雇用してもらうような体制をつくっていかなければならない、そう考えております。

 もう一つ、まとめて二つありますけれども、お手元の資料、二つ裏面にあると思いますけれども、一つは、上の部分が学校図書館経費ですね。

 二〇一一年からこの十年間を見ると、小中高とも少なくなっていっている、トレンドとして。大切だといいながら、現場は予算が、上のグラフは少なくなってきているんですよ、この十年間で。下のグラフは図書標準という、各学校の冊数が足りているかというと、残念ながら、小学校では七一%は足りている、中学校では六三%。裏を返せば、三割、四割が冊数すら標準に足りていない状況があるということであります。

 こうしたことを改善しなければならないというふうにお訴え申し上げますけれども、最後、この点について御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。

青山主査 藤原章夫総合教育政策局長、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 現在の図書の整備状況は、御指摘をいただいたような状況でございます。

 私どもといたしまして調査を実施しておりまして、その結果を分析いたしましたところ、一校当たりの図書購入冊数が多い都道府県というのは、図書の選定基準、廃棄基準の策定率が高いということが判明をしております。

 そうした中で、こうした状況ということでございますので、文部科学省といたしましては、今後、計画的な図書の購入、更新、活用を促進するためのモデル事業の実施、また調査結果を分析したパンフレットの配付などを通じて、教育委員会に対し、図書の計画的な整備をより一層進めていただくよう、しっかりと働きかけをしてまいりたいと存じます。

湯原分科員 ありがとうございました。失礼しました。

青山主査 これにて湯原俊二君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷田川元君。

谷田川分科員 立憲民主党の谷田川元でございます。

 末松大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど来、議員会館の方で中継、そして今日、今ここに来て大臣の答弁ぶりを見ておりまして、非常に聞く姿勢をお持ちの大臣だと、お人柄がにじんでおります。

 今日の質問は、私が去年、文科委員会で取り上げたことを、三つを主に質問させていただきますが、そのとき萩生田大臣からかなり前向きな答弁をいただいているんですが、残念ながら、私から見て、余り進捗状況がよくないなという点もありますので。

 私、大臣が過去において、参議院議員をもう三期やられていますので、どういった発言をされているか、参議院の議事録を見たんですが、残念ながら、余り文科行政に関しては、それほど発言されていませんでした。ですから、私は、ある意味で、私は最初質問しますので、政府参考人が答弁しますので、過去の経緯も説明しながら質問しますので、その質問と答弁の内容を聞きながら大臣が御判断いただきたいなと思って、答弁していただければと思います。

 残念ながら、今、オミクロン株がまだ猛威を振るっております。私の地元でも、休校だとか学級閉鎖が相次いでおります。文科省も問題意識を持っているのは分かるんだけれども、二月四日に一月二十六日時点の全国の小中学校の休校状況の調査結果を公表しました。どうして一週間前以上の数字しか公表できないのか。一週間たてば、状況は大きく変化します。私は、余りにも文科省の対応は遅過ぎではないかと思うんですが、政府参考人の答弁を求めます。

    〔主査退席、亀岡主査代理着席〕

伯井政府参考人 先生御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響による学校の臨時休業の状況につきましては、一月二十六日時点の休校状況を二月四日に公表したところでございます。

 我々といたしましても、できる限り速やかに全国の状況を把握、周知してまいりたいというふうに考えておりますけれども、この調査は、市区町村教育委員会から報告のあった数値を都道府県教育委員会で取りまとめた上で、文科省が確認して集計するということで、一定の時間を要したものでございます。

谷田川分科員 私は、これは、アナログ方式、旧式のやり方だと思うんですよ。

 一昨年の十一月、私は文科委員会でコロナウイルスの感染に関する学校支援についての質問をしまして、当時の担当者に、じゃ、今現在の全国の小中学校、高校も含めて、休校状況、すぐ分かるかと聞いたら、分かりませんと言うんですよ。いや、それは問題あるんじゃないか、やはりこういう学校が困っているときこそ、文科省が、いわゆるプッシュ型支援、現場から上がってくる声を拾う前に、文科省の方から、大丈夫か、文科省も一生懸命支援するから頑張れよ、そういうメッセージが必要じゃないかという話をしたんですよ。しかし、現状が分からないと。

 ちょうどその頃、GIGAスクールが前倒しされましたので、まさに、デジタル庁も発足しました。ですから、市町村教育委員会は地元の小学校を管轄していますから、市町村教育委員会がすぐ、自分たちが管轄する学校の学級閉鎖、休校状況等をインプットすれば、それが都道府県教育委員会に行って、文科省の方には行く。文科省の司令塔には全国地図があって、例えば私の地元千葉県を押せば、ぱっと数字が出て、千葉県のどこの学校がこうだと、そういうふうに瞬時に分かれば、対応も早くできるじゃないですかと言って、そういう質問をしましたら、萩生田大臣は、御指摘の調査が学校の負担なくリアルタイムでどこかで確認できるようなということを、今後しっかりつくり上げていきたいと思っていますという前向きの答弁をいただいたんですよ。

 ですから、あれからもう一年三か月以上たっていますので、できているかなと思ったら、できていないんですよ。文科省は一体何をやっていたのか。ちょっと、政府参考人、答弁ください。

伯井政府参考人 学校の臨時休業につきましては、公益財団法人日本学校保健会におきまして、関係者がリアルタイムに情報を把握、共有できるデータベースを構築しているということで、文部科学省でもこれを活用して全国の臨時休校の傾向を把握をしてきたところでございます。

 ただ、大部分の学校が参加しているわけではございませんので、これではより正確な状況を把握することができないということで、先般、全国調査を実施した。ただ、御指摘のように、これが、リアルタイムで、一瞬にして我々が分かるというものでもございません。

 そういうこともございまして、現在、教育行政全体として、文部科学省と全国の学校等をつなぐアンケート調査システムの構築に向けた実証事業を進めております。この調査システムの活用可能性、三月から試行開始予定でございますけれども、しっかりとそこは取り組んで、先生のおっしゃるような体制が組めるように、我々としても努力していきたいというふうに考えております。

谷田川分科員 前向きな答弁をいただきましたので、やはり、大臣、いつまで在任されるか分かりませんけれども、少なくとも大臣在任中にはこれはしっかり構築したい、そういう意気込みを述べていただければありがたいと思います。

末松国務大臣 今日も朝から大議論をいたしました、この件につきまして。是非先生のお考えを尊重しながら、今、伯井局長から話がありましたように、令和四年度文部科学省のウェブ調査システム、教育分野でありますけれども、すぐにこういったデータが取れるように、アンケートの結果、アンケートというんでしょうか、調査結果が得られるように、五千万円の予算もつけておりますので、実現できるように努力をしてまいりたいと思います、しっかりと。

谷田川分科員 大臣の前向きな答弁、ありがとうございます。

 地方教育行政の運営に関する法律、いわゆる地教行法、この精神は、戦争の反省から、国が学校現場に指揮監督しない、地方教育委員会に対しても指導助言だ、そういうことなんですよ。

 私は、この地教行法の精神というのは非常に正しいと思うし、そうあるべきだと思うんだけれども、一つ私は非常に残念なのは、例えばこの間の一斉休校の問題があったけれども、いろいろな場面で、やはり、学校現場を責任を持っているのは地方教育委員会だ、我々文科省は指導と助言しかできないんだ、ある意味でそういう無力感を感じている役人の方がいるかもしれない。

 しかし、私は皆さんにあえて申し上げたいんだけれども、英語のことわざで、エブリバディーズビジネス・イズ・ノーバディーズビジネスということわざがあるんですよ、連帯責任は無責任と。つまり、文科省の役人の皆さんに是非お願いしたいのは、市町村教育委員会が責任を持つといっても、我々は指導助言しかできないなんて思わないで、日本の教育は全部我々の双肩に懸かっている、そういうプライドを持って仕事をしていただきたいんですよ。そういうプライドを持っていれば、恐らくこの一年四か月間の間にできないことはなかったですよ。改めて、文科省の皆さんに、日本の教育は我々の双肩に懸かっている、そういう思いで仕事をしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 それから、二番目の質問に行きます。

 英語検定協会の受検料についての質問であります。

 そもそもの話をしますと、一昨年の十一月だったんですが、私の地元の高校の先生が、自分の学校で英検の受検をやるんだと。それで、当時の、コロナウイルスで万が一感染が拡大して、生徒の安全上できないと英検協会が判断した場合、中止にします、しかし、その場合、その受検料は返せません、そういうことを言ってきたというんですよ。

 私は、それを聞いておかしいと思ったんですよ。学校の判断で中止するんじゃないんですよ。英検協会の判断で中止する。延期になった場合でも、あるいは受けられない場合でも、受検料は一切返しませんと。なぜか。規約にうたってありますというんですよ。いや、これを聞いておかしいと思いましたね。

 だって、皆さん、記憶に新しいところで、去年のオリンピック、無観客になりましたよ。あのオリンピックのチケット、無観客だったから、あれは政府の判断で無観客にしたわけだから、当然返すのは当たり前でしょう。返しますよね。だから、英検協会がやっていることは、中止にしましたけれども、その受検料を返しませんと言っているんですよ。どう見てもおかしいでしょう、常識的に考えて。学校の先生も、自分たちの生徒に受検を勧めているわけですよ。それで、自分たちの判断じゃなくて、英検協会の判断でその検定試験を中止するといって、その検定料を返さないというんですよ。どう見てもおかしい。

 それで、私は、去年の三月に文科委員会で、消費者庁を呼んで、消費者庁の方から答弁をいただいて、消費者契約法に抵触する可能性があるという答弁をいただいています。

 そこで、まず消費者庁にお伺いするんだけれども、まずお聞きしたいのは、国会答弁というのは私は非常に重みがあると思っている。文科省もこういう国会答弁があったというのは英検協会に伝えると聞いていますので、その後、英検協会から消費者庁への問合せがあったかどうか、お答え願います。

    〔亀岡主査代理退席、主査着席〕

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 確認できます限りでは、日本英語検定協会から、消費者契約法との関係で当庁への問合せはございませんでした。

谷田川分科員 問合せはなかったということですね。

 じゃ、消費者庁から英検協会へのヒアリングは行いましたか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁から日本英語検定協会に対するヒアリングや問合せは行っていないところでございます。

谷田川分科員 非常に残念なんですが、これは訴訟になっているんですよ。去年の十二月二十八日のしんぶん赤旗に詳しく載っているんだけれども。

 準一級を申し込んだ兵庫県の方が、娘が八千四百円の納付をしたけれども、急に試験日の変更をされて、新たな試験を受ける際には新たに八千四百円払え、そういう英検協会の返答だったと。そのお父さんは、二次試験の時間変更、検定料の返金、次回検定料免除のいずれかをやってくれと言ったけれども、全部英検協会は拒否したわけですよ。

 それで、これは八千四百円のために訴訟したというので、やはりこの方、義憤に駆られたんですよ、どう見てもおかしいと。ましてや、文科省が、この英検協会の試験は後援しているんですよね。私も英検を受けたことがありますよ。あのときは放送で、当時は文部省だったけれども、文部省認定英語検定と放送が流れるんですよ。だから、受検料を返さないというのは、文科省も黙認しているんじゃないか、そう思われていますよね。

 例えば、SNSに上がった一般国民の意見なんだけれども、漢字検定協会やTOEICは同時期の試験を中止し、検定料は返金、繰越しにしているわけです。TOEICは受験料を全額返還、英検は勝手に振替日を決められ、来られない人は返金ゼロ、公益財団法人とは思えない塩対応、受検料を取るだけ取ってこれだよ、検定料巻き上げてからの、規約を盾に返金しない、ふざけるな、こんな投稿もあります。

 そこで、文科省にお聞きしたいんだけれども、去年の三月の私の質問に対して文科省は、「法令等の趣旨に基づきまして適切に対応していただくものと考えております。」という答弁だった。その後の英検協会の対応を文科省は適切とお考えになっていらっしゃいますか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 民間検定試験は主催者の責任で実施されているものでございまして、検定料の取扱いにつきましては、基本的には主催者である日本英語検定協会において、法令の趣旨等に基づき適切に判断いただくべきものと認識をしております。

 なお、御指摘の検定料の取扱いについてでございますけれども、協会からは、新型コロナウイルス感染症や自然災害等の影響により当初の日程で試験が実施できない場合の対応として、二〇二一年三月の試験より、試験を延期して実施をするということ、また、延期された日程で受検ができないような場合には、その次の試験の検定料を免除する、このような措置を講ずることとしたというふうに聞いておるところでございます。

谷田川分科員 ちょっと最後の事実、初めて聞きましたよ。

 そうすると、もしそれが、今のが事実ならば、裁判は成り立たないんですよ。もう原告の方は勝訴ですよ、そうであるならば。この記事、御覧になっていますかな、局長さん。そうでしょう。そう思いませんか。今のが本当なら、裁判にならないじゃないですか。

藤原政府参考人 ただいま御答弁申し上げましたのは、二〇二一年の三月の試験以降ということで伺ったところでございます。

谷田川分科員 じゃ、時期が違うからということですか。そういうことでいいんですね。

 消費者庁、少しは改善があったけれども、裁判までなっているんだよ。やはり消費者庁の責任は大きいと思うんだよ。私の質問に対して、消費者庁はあそこまで答弁したんだから、その間、英検協会に対して何かしらのアクションをすべきだったんですよ。そうすれば裁判も起こらないはずですよ。消費者庁、なめられていますよ。そう思いませんか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者契約法は、最終的には裁判所におきまして個別具体の事例に応じた判断がなされる民事ルールということでございます。行政が事業者に対して、例えば処分や、それから行政指導等の根拠を規定する法律ではございません。

 こうしたことによりまして、消費者庁から英検協会に対する行政指導等を行うことということは適当ではないと考えられるところでございます。

谷田川分科員 消費者庁の方、今の答弁、私、納得いかない。消費者庁自身が自分たちの存在意義を否定しているんじゃないか、そう思うような答弁ですよ。おかしいよ、どう考えても。消費者庁、何のためにあるのか、いま一度、根本的に考え直してもらいたい。後で私は消費者庁長官にお目にかかって、そのことを伝えたいと思います。

 大臣、確かに法律的にはいろいろあるけれども、しかし、これ、政治家として思うんですよ。オリンピックの入場料は文句なしに返すじゃないですか。あれと同じですよ。ましてや、これは文科省が後援しているんですよ。今、学校現場の先生が気の毒。勧めた受検料を返せないと。勧めた試験の受検料が返ってこないといったら、先生だって、生徒が何で返さないんですかと突き上げられて、困って、だから私のところに相談があったんですよ。

 これは、法規の規定は指導とかできないかもしらぬけれども、しかし、これは政治家として、英検協会に対して、こういう場合、受検料を返還すべきだと強く要請すべきじゃありませんか。大臣、いかがでしょうか。

末松国務大臣 今のやり取りを聞いておりまして思うところもありますけれども、文科省としての考え方だけはきちっと申し上げたいんですけれども。

 この英検、我々も受けたことがございます。実用英語技能検定の検定料の取扱いの違法性につきましては、これそのものは後援ではありますけれども、後援というのはたくさんのところをやっていますので、文科省も。いろいろな規定に基づいて。私も頼んだことがあります。

 文部科学省として直接的に判断するものではなくて、あくまで日本英語検定協会において、法令の趣旨等に基づいて適切に対応していただくものであると考えてございます。

 しかし、ちょっと私も頭をひねってみたいなという気はありますけれども、今ここで明確に答えろといったら、それは、文科省は適切に判断すべきものではないと思ってございます、先生。御理解いただきたいと思います。

谷田川分科員 大臣がそこまで言っていただきましたので、これ以上は言いませんけれども、是非、私は、英検協会理事長に一本電話をかけて、やってもらいたいと、それだけは要望しておきます。はい。やることやってくださいよ。大臣、それ、是非、大々的に大臣がそれを言えば、国民世論は大臣の味方しますよ、間違いなく。英検協会、余りにも理不尽ですよ。是非大臣、要請してください。そうすれば国民世論は味方しますよ。さすが末松大臣だ、これまでの大臣と違う、そう言われますので、大臣の行動を期待しております。

 では、最後の質問に行きたいと思うんですが、文科省は、初めて実施した教員不足の全国実態調査で、全体の五・八%の小中高校で教員不足に直面していることが分かりました。

 私も初めて聞いたのでびっくりしたので、担当者に聞いたら、何か平成二十九年にも十一の県で抽出調査をやったそうですね。そのときも教員不足が明らかになったんだけれども、さらに今回は全国全てでやって、その結果、やはり教員不足の数が増えていると。もうこの三年の間に、皆さん御存じだと思うけれども、結構過疎地域は小中学校の統廃合が進んでいるというんですよ。にもかかわらず、これだけの教員が不足しているということは、かなり私は事態は深刻だと思っています。

 採用試験を見ても、なかなか倍率が上がらない、二倍を切るところも出ている。人材をいかに集めるかと各都道府県教育委員会はかなり腐心しています。なかなか有効な対策も打ち出していない。

 はっきり言って、優秀な人材を各都道府県で奪い合っているようなものですから。千葉県なんかも他の都県に行って、是非うちの教員試験を受けてくださいとやっていますよ。だけれども、やはりこれは全体としてパイを増やさなきゃいけない。つまり、教員の仕事というのが魅力あるものであるということを、実態的にそうしなきゃいけないし、そうなんだということをしっかりアピールしていく、それが必要だと思うんです。

 それで、私も大臣と同じように県会議員を経験しておりました。約十年間やっておりました。そのとき思ったことなんですけれども、当時、千葉県の場合、千葉県教育委員会に占める教員出身者の割合は大体五割ぐらいだったんですよ、半分ぐらい。

 ところが、今お手元に資料ありますね。実は、これは二年ほど前に文科省に依頼して各都道府県教育委員会の教員出身者の割合というのを調べてもらったんです。当初は、全国一律で同じようなものかなと思ったんだけれども、びっくりしたことがありまして、東京都というのは少ないんですよね、これを見ると。二一・一%。分かりますね、二一・一%。上を見てみますと、全体で四九・四%ですから、東京というのはかなり低いんですよ。私の地元の千葉県は六〇・七%。ですから、私が県会議員だった今から二十年ぐらい前は五割と聞いていたので、一〇%も増えたんです、一〇%も。

 県教育委員会に来る方というのは、学校現場で優秀な人が来ているんですよ。これは大臣御存じですよね。そうなんです。将来の教頭とか校長先生の登竜門ですよ。

 私がつくづく感じたことは、あのときよく聞いたんだけれども、田中内閣のときに教員の給料を上げたので、現場の先生が事務職として教育委員会に来ると、何と多い人で年収百万円ぐらい減っちゃうんですよ。給料が減っちゃうんです。今でもそうなんです、今でも。

 ということは、どういうことが起きるかというと、はっきり言って、学校の先生に憧れて先生になった人は、そして現場で優秀な成績を収めた人だから、早く現場に帰りたいんですよ、ましてや給料も安くなるわけだから。そうすると、どういうことが起こるかというと、挑戦的な、長期的な課題は後回しにする。自分が引き受けちゃうと、責任を取ってずっと長くいなきゃいけない。だから、いつまでたったって課題が先送り、先送りと、なかなか教育委員会が迅速に対応できないケース、たくさん私は見てきたんです。これはやはり人事の弊害だなと思っている。

 ましてや、今は教員が減っているわけだから、教員不足に陥っているわけだから、やはりその優秀な先生をできるだけ現場に帰す、これが教育として正しい道だと私は思うんですよ。生徒ファースト、学生ファーストの観点でいけば、やはり優秀な教員をしっかり現場に戻す、そういうことが大切だと思うんです。

 それで、まずお聞きしたい点は、大臣は兵庫県、大臣の御地元の兵庫県は四五・八%だから、そんなに割合は多くないですね。ですから、もしかしたら大臣は私より問題意識はそんなに感じなかったかもしれないけれども、一つ、大臣にまずお聞きしたいんだけれども、大臣は県会議員を六期おやりになられていましたよね。やはり教育委員会における教員出身者と事務職の連携も含めて、その人事の在り方について、大臣は何かいろいろと疑問に思ったこととかありませんでしたか。大臣の経験からお答えいただければと思います。

末松国務大臣 私自身、先生お話しのとおり、文教委員長も務めたことがございます。文教委員も長くやりました。参議院の直前まで私学審議会の委員も務めておりました。ただ、おっしゃるとおり、国会では初めてこういう大きな役職に就けていただいて恐縮をいたしてございますけれども、しっかり頑張っていきたいと思います。

 教育委員会は、学校現場に対する指導助言、施策の企画立案とか、予算折衝、執行等の多種多様な業務を行っているものでございます。もう先生御承知のとおりです。我々知っているとおりです。

 その中で、例えば、学校現場に対する指導助言は、教員出身者がその能力、特性を生かして中核的な役割を担っていただいているものと認識をいたしております。他方で、予算折衝や執行等の事務的な業務への対応も求められていることから、いわゆる行政事務の能力も重要であると考えられます。

 教育行政をバランスよく進めていくに当たっては、どちらか一方のみに偏ることなく、教員出身者と行政出身者が連携、協働して対応していくことが重要と考えております。

 現在、地方教育行政の在り方について議論する有識者を立ち上げており、その中で、教育行政職員が身につけるべき専門性や、教育委員会内の教職員出身者と行政出身者の適正な構成等については論点として取り上げることを予定いたしております。

 私の長年の思いとしましては、教育次長はやはり、教員の免許を持った方がおられますね、一人。一般県職員で入られた方、教育次長、おられますよね。指導系、事務系ですよね。やはり、何か問題が起きたときには二つの考え方が生まれてしまう。これはいいことであるんですけれども、そうでなくなったときにはグループができてしまうという問題がある。そこへ学校事務職で採用された方がおられるという。

 三十数年前に大きな事件がありまして、そのとき、やはり考え方が大きく割れたことがございます。平成二年に大きな事件があったんです。事件じゃなくて事故がございました。先生お調べいただいたら分かりますけれども、そのときの文教委員長もやっていましたので。ですから、必ずしも、いい面と芳しくない面というのはやはりあります。

 それと、先生おっしゃるように、現場に帰られたら、立派に活躍された教育次長でしたら、それだけの辣腕を持っていたら、それは経営困難校ぐらい行くぐらいの気持ちで行ったらいいんですけれども、いい高等学校へ行かれますよね、比較的。それはやはり序列をつけるものであるかどうか、その辺りのことにつきましても、それは現場、教育委員会で判断されるべき問題でありますけれども、教育こうあるべしということは、やはり広く考えていく一つの論点であるというふうに認識をいたしてございます。

 以上です。

谷田川分科員 大臣、私も実は県会議員のときにそういう思いを持っていたんですよ。ただ、もう定年間際で、やはり最後は有終の美を飾らせてあげたいと。だから、自分の希望する校長先生になっていく人が多いわけです、県教育委員を経験した人は。だから、そういう教育困難校には、若い人、四十代の前半ぐらいから行かせるぐらいのことをやるべきじゃないかと私言ったことを今思い出しました。

 ですから、そういう、年功序列人事じゃなくて、本当に課題を持った学校に対しては公募するぐらいのことをやって、こういう手法でやればいいんじゃないかというぐらいの、何か文科省としてのアイデアを、最後に決めるのはもちろん地方教育委員会だけれども、やはりこういう形で、こういう方法もあるんじゃないかということを提示して、その中で各地方教育委員会の判断で採用するものをやってもらう、そういうことを是非お願いしたいなと思っています。

 今大臣から答弁がありましたけれども、新たに有識者会議でこの問題も当然議論されると聞いておりますので、是非、大臣、任せないで、そういう報告書が上がった段階で、俺の意見がちゃんと反映されているかどうか、しっかりチェックしてくださいね。是非大臣にはそういう面でのリーダーシップを発揮していただきたいと思います。そのことをお願いしたいと思います。

青山主査 末松文部科学大臣、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

末松国務大臣 先生の御意見もよく念頭に置きながら、誤解のないように。優秀な方が優秀な高等学校の校長になること、教頭になること、別にそれはいいことでもございますので、あくまで決めるのは地方の教育委員会であるという認識でございます。ただ、そういうことを思ったことがございました。先生と同じその思いを持ったことがございます。

谷田川分科員 ありがとうございました。

青山主査 これにて谷田川元君の質疑は終了いたしました。

 次に、平林晃君。

平林分科員 公明党の平林晃と申します。

 本日は、大臣御臨席の下、質問の機会を与えていただきましたことを心より感謝を申し上げます。

 昨年の十月の選挙で、比例区中国ブロックから初当選をさせていただきました。前職は、二十六年間、大学教員をさせていただいておりました。本日は、この国の将来を決する文部科学行政に関しまして私なりの観点から質問させていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、GIGAスクール構想についてお尋ねをいたします。

 GIGAスクール構想は、一人一台の情報端末を整備、活用することで教育の質を向上させる構想、今よりももっといい学びを実現する構想、このように理解をいたしております。決してハードだけの問題ではないということであります。でも、当初、二〇一九年度からの五年間でハード環境を整備する予定であったにもかかわらず、今回のコロナに対応するため、補正予算を活用して、端末導入のスケジュールを大幅に前倒しをしていただいた。様々御尽力いただいた皆様に心から感謝を申し上げます。

 この整備された環境において、こんな話を伺いました。

 ある地域の、ある児童の端末が故障してしまった。その上で、小学校は、予備の端末を準備していたにもかかわらず、多分複数出てしまったんじゃないかと思います、足りなくなってしまって、地域の教育委員会に相談したところ、周辺の小学校から融通してもらうように、こんな回答があったということで、なかなか融通してもらえそうな学校も分からないとか、そういう混乱もありまして、地域の市会議員の対応もあって何とか対応できたということですけれども、いずれにしても情報機器に故障はつきものでありまして、転校など、生徒数の変化も想定されるところであります。

 整備した端末が何らかの事情により不足した場合の対応について、政府の認識を伺います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 一人一台端末の本格運用、活用が開始した、それに伴いまして、今御指摘いただきましたように、例えば端末の故障や紛失によりまして端末の数が不足するといったことが考えられますが、このような場合、各自治体においては予備用端末の確保により対応していただくということとしております。

 その経費をどうするのかということでございますが、教育のICT化に向けた環境整備五か年計画に基づいて、単年度千八百五億円の地方財政措置を講じているところでございます。

 こうした財源も積極的に活用いただきながら、児童生徒が円滑にICTを活用できる環境の整備に取り組んでいただきたい。そのためには、我々としてもそういう財源措置をしっかり周知してまいりたいというふうに考えております。

平林分科員 ありがとうございます。現場でしっかりと対応していただけるように、周知の方をお願いできればというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、今のは小中学校のお話だったんですけれども、高等学校における端末の整備状況に関しまして、自治体ごとに異なるということなんですね。

 私の地元、中国地方ではありますが、県によって違いがある。全生徒分の端末を学校、設置者側が整備する県もあれば、保護者にも負担をお願いする県、こういうものが混在をしております。更に細かいことを申し上げますと、同じ地域におきましても、県立高校は保護者が負担、でも市立高校は設置者負担、一つの地域においてそういう差が生じているということであります。

 高等学校の端末整備に関しましては、本年、年明け早々に文部科学大臣、デジタル大臣の連名で出された通達にも、臨時交付金も活用し、こういう記述もあるわけでございますが、結果としてこういう違いが生じている。この理由は、恐らく、近い将来、機器交換というもの、リプレースですね、これも発生するということを考慮して自治体なりに判断をされていらっしゃるのかなというふうに想像しておるところではございます。

 こうした今後のリプレースも含めまして、高等学校におけるICT、情報機器端末の整備についての国としてのお考えがあればお聞かせいただきたいと存じます。

伯井政府参考人 高校の端末整備につきましては、今先生から御指摘いただきましたように、保護者負担の原則で行っている自治体が二十三自治体でございます、都道府県ですけれども。様々な財源を確保して設置者負担で整備するというところが二十四自治体ということで、多様な実態がある中で、基本的には設置者の判断でそれを行っていただくということでございます。

 文部科学省といたしましては、令和二年度第三次補正予算におきまして、自治体などの設置者の取組を支援する観点から、低所得者世帯の高校生への貸与等を目的として設置者が行う端末整備、そこの部分の支援はしておるところでございます。

 自治体によっては保護者負担による端末購入に係る家庭の負担軽減に取り組んでいるところもございまして、そうした事例などの周知を含めて、昨年末に通知を発出したところでございます。

 また、今御紹介いただきましたように、昨年末から自治体における端末の計画的整備を強力に促してきたところでもございます。

 全国どこの高校においても一人一台端末の環境がしっかり整うということをまず我々としては目標として、必要な支援を行っていきたいということでございます。

 その上で、高等学校を含めて、今整備を進めているICT端末をまず積極的に活用していただくような条件、環境を整えていくということが我々は肝要かなというふうに考えております。

 今後の、更新も含めた、機器更新に係る費用負担の在り方につきましては、端末等の利活用の状況でありますとか、地方自治体の様々な御意見がございますので、そうしたものを踏まえて、関係省庁とも協議しながら検討してまいりたいと考えております。

平林分科員 数年後の話ということもありますので、決して簡単なことではないと思いますけれども、引き続き前向きな御検討をいただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、GIGAスクール構想に関連した最後の質問になりますけれども、スマートフォンを含めまして、電子機器の持つ負の側面に関しまして御質問申し上げます。

 一般論といたしまして、スマホなどにより、視力や知能、社会性、感受性などの低下、あるいは睡眠障害、こういった懸念がある。また、いじめなどが起きてくるということも、これは本当に大きな問題だと思います。

 スマホ等を個人所有する生徒も多い中、GIGAスクール構想によって情報機器に触れる時間が更に増えてしまう、このことを心配をされる声が、保護者の方からもいただいておりますし、小児科医の方等を含めましてお医者さんからもいただいているところでございます。

 この点についてGIGAスクール構想としてどのように対応しておられるのかを伺います。

伯井政府参考人 情報化社会の中で、子供の頃から情報を主体的に捉えて適正な行動を行うための基となる考え方と態度である情報活用能力を育成していくということは重要であり、そのためにもGIGAスクール構想は欠かすことができないというふうに考えておりますが、今御指摘いただきましたように、端末の使用に当たっても、子供の心身の健康面など、負の側面にも十分留意することが重要と考えております。

 そのために、文部科学省といたしましては、まさに御指摘である視力とか睡眠への影響等、子供たちの健康に配慮すべき事項、あるいは保護者との間で家庭における端末の使用について事前に確認、共有しておくことが望ましいポイントなどの資料を作成、周知し、安心、安全に学習用端末を活用できる環境づくりに取り組むよう働きかけを行っているところでございます。

 さらに、今年度中には、学校現場における学習者用端末がより一層適切に活用できるような、先生御指摘の負の側面にも配慮した、より内容の濃いガイドラインを作成する予定でございまして、こうした取組を進め、負の側面にも配慮しながら、教育の質の向上を促してまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。ガイドライン等を設置をしていただいているということでございまして、本当にそれが遵守をされますように、現場の先生方、あるいは保護者の方、そういった皆様にも御協力をいただいて本当に大切な未来の宝の小学生、中学生、高校生を守っていきたい、このように思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 続きまして、話は変わりまして、学校教育での情報科教育についてお尋ねをさせていただきます。時間の都合で、通告内容より少し絞って御質問させていただければと存じます。高等学校関係に質問を絞らせていただければと思います。

 高等学校の情報科といいますのは、平成十一年に教科「情報」が創設をされた、十五年に情報A、B、Cの三科目が設定をされて、いずれか一つを必履修、必ず履修することとされ、十年後の平成二十五年に「情報の科学」又は「社会と情報」という二科目いずれかの必履修、こういう制度に変更になってきた、そして、この新年度、来る四月から「情報1」の必履修と「情報2」の選択、こういう新しい制度が始まる、このように伺っておるところでございます。

 十年ごとに変更を行ってきたわけですけれども、特に今回の変更においてどのような人材を育成することを目的としておられるのか、お尋ねいたします。

伯井政府参考人 新学習指導要領におきましては、来年度から、高等学校はまずは学年進行で実施いたしますけれども、共通必履修科目「情報1」を新設いたしまして、全ての生徒がプログラミングやネットワークを、これは情報セキュリティーも含めまして学習する、またデータベースの基礎についても学習するというふうにしたところでございます。

 これは、高校だけじゃなくて小中も含めて物事を論理的に考えていく力を育成するという観点から、プログラミングなんかも体験して、必要な論理的思考力、我々はプログラミング的思考と言っていますけれども、そうしたものを小中高等学校を通じて身につけさせ、いわば将来のAIあるいはICT人材の育成の基盤を培っていく、あるいは、どの子供たちにとっても必要な情報活用能力を育成していこう、こういう趣旨で進めているところでございます。

平林分科員 ありがとうございます。プログラミング論理能力というふうにおっしゃられましたかね、非常に重要な能力であるというふうに思います。

 私も、大学で教育に携わってまいりまして、情報教育というものの難しさというのを味わってまいりました。といいますのは、工学部の中でも、例えば機械工学科であれば、基礎がこれと決まっているんですよね。ところが、情報系の教育というのはなかなかそれが確定をされていない、あるいは年とともに変わっていく、こういう側面があるということで、この難しさというのを非常に認識をしておる一人であると自覚をさせていただいております。

 その意味において、今御答弁の内容というのは、その中でもエッセンスの部分を言っていただいているというふうに思いますので、非常に重要なことだというふうに思います。その部分がしっかりと現場において子供さんの中に培われていくことを本当に切に望むということ、このことが、日本のデジタル人材の拡大、今政府も二百三十万人という大きな大きな目標を掲げていますけれども、そういったことにも直結をしていくというふうに考えております。しっかりと私も応援をさせていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、別の三点目の内容に移らせていただきます。放課後子供教室についての御質問であります。

 中国地方のある市におきまして、放課後児童教室の需要が増えている、こういう報告をいただいております。この地域は人口増加エリアということもありまして、具体的には四十三名の児童を三名の指導員で見守る、こういう状況もあるというふうに伺いました。似たような制度の児童クラブは有料制、一方、子供教室は無料であり、でも、この子供教室の指導員はあくまでボランティアとしての位置づけである、こういうことであるんですけれども、これだけ人数が多くなるとなかなかボランティアということだけで捉え切れない部分も出てくるというお声を頂戴をいたしました。

 指導員の人員増でありますとか処遇改善、こうしたことは可能かどうか。また、GIGAスクール構想に関連いたしまして、WiFi環境の整備も可能かどうか。こうした点について見解を伺います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 放課後子供教室は、地域と学校が相互に連携、協働して行う地域学校協働活動の中心的な活動の一つであり、保護者や地域住民等の多様な地域ボランティアの参画を得て、子供たちに無償で学習支援や体験活動の機会を提供するものでございます。

 文部科学省では、子供たちに多彩で豊かな活動を提供できるよう、地域住民の方々への謝金やWiFi環境に必要な経費なども含め、全体といたしまして、令和四年度予算案において、放課後子供教室を含む地域学校協働活動を実施する自治体を支援する補助事業を、前年度から約一億円増額となる六十九億円を計上しているところでございます。

 今後とも、放課後子供教室を含む地域学校協働活動を支援する予算の充実に努めてまいりたいと存じます。

平林分科員 ありがとうございます。一億円の予算を増やしていただいて、御対応していただいているということで、本当にありがたく存じます。予算を適切に執行していく、そのためにも、しっかりと現場と連携も取りながら協力を進めさせていただければと思います。ありがとうございます。

 続きまして、大学の研究力向上施策についてお尋ねをさせていただければと存じます。

 世界に伍する研究大学、いわゆる十兆円ファンドの施策におきましては、大学の事業規模に関して三%の成長という目標が掲げられております。例えば、事業規模一千億円の大学について言えば三十億円程度の成長、このように理解をさせていただいております。

 一方で、十兆円ファンドの運用益から一校当たり数百億円の補助を行う、こういう方針も示されているように伺っております。例えばでありますけれども、この三十億円という成長を実現するために数百億円の支援を行うということが不釣合いにも感じられます。

 様々な資料を拝見いたしますと、支援大学の研究開発基盤の抜本的強化を図るという観点から従来の支援とは一線を画した支援を行う、このような記述もありますが、従来の支援とは一線を画す、この意味が、金額だけの意味なのか、あるいは、支援の中身について検討があって、その内容に基づく妥当な金額なのか。この根拠について政府の答弁を求めます。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国における研究大学の在り方につきましては、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議、いわゆるCSTIに置かれた専門調査会におきまして、先進諸国における国の経済規模とトップレベルの研究大学数などを踏まえ、我が国において数校程度の大学が世界トップレベルの研究大学と競争していくことが必要と指摘されております。

 一方、近年、我が国の大学の研究力は諸外国と比較して相対的に低下している状況にございます。その一因は、特に、欧米のトップレベルの大学においては数兆円規模の基金を造成し、その運用益を活用することによって研究基盤や若手研究者への投資を充実していることにあると考えております。例えば、ハーバード大学など、米国のトップレベルの大学は、数兆円規模の基金を有し、年間一千億円を超える運用益を得て、研究基盤の強化に充てております。

 今回の大学ファンドの創設は、このファンドからの支援により、これら欧米の大学と我が国の研究大学との差を埋め、世界と伍する研究大学の実現を目指すものでございます。

 このため、先日CSTIで決定した最終まとめにおきましても、従来の大学支援策とは一線を画した異次元の大学支援策として、支援大学の研究開発基盤の抜本的強化を図る観点から、一校に対して数百億円規模の支援を行っていく必要があるとされております。

 文部科学省といたしましては、大学ファンドを含め、関連施策を総動員して我が国の大学全体の研究力を強化することが重要であると考えておりまして、引き続き、関係府省と緊密に連携しつつ、大学の研究力強化に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

平林分科員 ありがとうございます。校数、何校支援する、またファンドの運用益、そういったことも鑑みながら決められたという部分もあったかというふうに思います。その支援がきちっと大学の中で消化されていくということも、この部分もしっかりと応援をさせていただきたいと思います。

 続きまして、二月四日の内閣委員会でも私は質問させていただいたんですが、博士課程の学生を増やすこと、これは極めて重要でありながら、日本の博士課程の学生は残念ながら減少傾向にある。

 この一つの要因として、欧米の大学では博士課程の学生は給料をもらって研究をしている、日本では学費を払って研究をしている、この違いは非常に大きいということで、この問題を解決するために、十兆円ファンドの運用益から博士課程学生の生活費を支援する、また、運用益が安定するまではJSTの別プログラムで支援する、このことは非常に重要であり、大学からも歓迎する声が私の耳にも届いているところでございます。

 こうした施策以外にも、博士課程の学生を増やす政策を様々検討していると伺っております。その内容を伺います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 博士課程学生は、我が国の科学技術、イノベーションの将来を担う重要な存在でございまして、その育成、確保に向け、処遇の向上やキャリアパスの整備など、様々な支援の充実を図っていくことが不可欠と考えてございます。

 昨年閣議決定されました第六期科学技術・イノベーション基本計画におきましても、博士後期課程学生の処遇向上などに関する目標が盛り込まれているところでございます。

 これらを受けまして、文部科学省では、これらの目標を達成するために、博士後期課程学生に対する生活費相当額及び研究費の経済的支援の抜本的な拡充、あるいは、創発的研究支援事業の採択課題をリサーチアシスタント、RAとして支える博士課程学生等への追加支援、また、企業と連携した長期、有給のジョブ型研究インターンシップの推進といったことを進めているところでございます。

 少し具体的に申させていただきますと、生活費及び研究費の支援であります経済的支援の抜本的な強化の拡充につきましては、次世代研究者挑戦研究プログラム等の事業の実施によりまして、年間百八十万円以上の生活費相当額及び研究費を支給する博士課程学生数を従来の七千五百人規模から一万五千人規模に倍増させるなどの取組でございます。

 また、創発的研究支援事業におきましては、各採択課題に対し研究計画やその進捗に対応してRA支援経費を追加措置することにより、研究の加速を図るとともに、RAとして活動する博士課程学生等への適切な労働対価の支給を促進してございます。

 また、ジョブ型研究インターンシップにつきましては、博士課程を対象とする長期、有給のインターンシップの先行的、試行的実施を令和三年度後半から開始しておりまして、博士課程学生のキャリアパス拡大と大学院段階における産学共同教育の充実ということを促進をさせていただいているところでございます。

 文科省といたしまして、今後とも、優秀で多様な博士課程学生の確保及び育成に向けてしっかりと取り組んでまいります。

平林分科員 ありがとうございます。主に経済的支援を行うということとともに、キャリアパスも見通せる、そういった支援を行っておられるということで、本当に重要な支援というふうに考えます。

 その上で、重要なことを一つだけ申し上げさせていただくと、博士課程に進みたい、このように学生が思うということ、これが根本でありまして、これが重要であります。研究が面白い、研究を続けたい、大変だけれども論文を書いてこの世界で勝負していきたい、このように思ってもらえる修士課程の学生、増えていただく、そのように思ってもらう姿を大学教員が見せる、これが大事になってまいります。

 ところが、今、なかなかそれが難しい。大学教員は教授から助教までいつも忙しくしていて、会議や講義に追われまして、研究のロマンを語る時間なんてない。そんな状況を見ていると、博士課程に進学しようなんて夢にも思わないみたいな、こう学生が思ってしまうということもあろうかというふうに思います。その一方で、忙しい中でも学生と接して、学生を必死になって育てている先生の下には博士課程の学生が育っている、こんなように感じている部分もございます。

 大学が忙しい、研究者に時間がない、このことを二月四日の内閣委員会においても強調したところ、私のSNS上で賛同の声を多く頂戴いたしました。大学教員の時間確保の問題は、研究費と並んで極めて重要な問題、いや、それ以上に重要な問題かもしれません。

 少しだけ生の声を御紹介させていただきますと、末端が、現場の先生だと思います、必死に耐えているうちに取り返しのつかないレベルにまで病気が進むだろうなと。ちょっと砕けた表現になってございますけれども、これが本当に生の声なんですね。私と認識を共有しているところも二つありまして、必死に現場が耐えていただいているということとともに、もう一つ大事なことは、取り返しのつかないレベルにまで進むだろうなということ、これは、今はまだ取り返しのつかないレベルではない、こういうことを言っているということでもあると思います。

 今ならまだ間に合う。これが最後のチャンス。この思いを皆様と共有させていただいて、日本の大学の研究力の向上に私も必死になって取り組んでまいります。このことをお誓いを申し上げます。

 最後になります。最後の質問、大学の秋入学ということに関して御質問させていただければと思います。

 国内におきましても、秋入学制度を導入している大学が数多くございます。その理由は、諸外国、欧米、中国が中心になると思いますけれども、その入学時期に合わせることにより学生や研究者の交流をより活発にさせる。これにより、学生にも意欲が芽生えたり、就職率も向上するなんという成果が得られている、こんなことも伺っているところでございます。

 こうしたメリットの一方で、大学への入学前やあるいは入学後、就職するまでの間に空白の時間が生じる、いわゆるギャップタームとかギャップイヤー、こういった存在も気になるところであります。この問題に対応するために、ボランティアやインターン経験を推奨したり、さらに、そうした活動を単位として認める大学もあると聞いております。

 こうしたメリット、デメリットもある制度ではございますが、秋入学を今政府としてどのように検討しておられるのか、その状況を伺います。

末松国務大臣 大学の現場で教授として御活躍された先生の御質問、興味深く聞かせていただきました。ありがとうございます。

 御指摘の全面的な秋入学への移行につきましてですけれども、令和二年に、新型コロナウイルス感染症による学校の臨時休業の長期化を想定した選択肢の一つとして検討を行いました。

 その際には、学生の卒業や就職の時期が五か月間後ろに倒れることによる個人の逸失利益、そして教育期間の延長に伴う追加的な費用の発生、二つ目には、春季の入学、卒業を前提としている社会制度や行事等への大きな影響等の課題が指摘されたところでございます。

 また、大学に限って秋季入学を導入する場合であっても、三月に高校を卒業した後、先生のお話にありましたが、九月に大学に入学するまでの間の学生の身分がやはり不安定になることや、生活費等の追加的家計負担が発生することの問題がございます。

 このように、秋季入学への移行は国民生活全般へ及ぼす影響が極めて大きくて、国民の十分な理解と協力に加え、社会制度全般にわたって改革が必要となることから、令和二年度の議論においては、学校教育制度としての秋季入学を直ちに導入する結論には至らなかったわけであります。

 他方で、大学では学長の判断で秋季入学の導入が可能でございまして、海外大学の入学時期も九月に限らず様々であります。先生御承知のとおりです。

 このため、昨年の六月にまとめられた教育再生実行会議の第十二次提言では、入学時期を一律に秋季に変更するのではなくて、入学、卒業時期の多様化、柔軟化を進めることが重要とされました。

 これを踏まえまして、現在、文部科学省においては、大学において秋季入学を含む入学時期の多様化を推進するための具体方策等につきまして検討を行っているところでございます。

 先生、今後、検討結果がまとまり次第、各大学に周知するとともに、必要な施策を実施してまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

平林分科員 柔軟な対応もできるように検討していただいているということで、非常にありがたく存じます。

 大学の研究力を論じるとき、部分的に論じるだけではなくて、総体的、全体感に立った議論が必要と感じており、改めて問題提起をさせていただきました。

 いずれにしましても、日本の大学の研究力向上のために、そしてより活力ある日本社会構築のために、教育こそが最大の希望であると感じております、そのために私も全力で働いていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

青山主査 これにて平林晃君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

青山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。尾身朝子君。

尾身分科員 自由民主党の尾身朝子です。

 本日は、科学技術イノベーションの取組について質問いたします。

 末松文部科学大臣を始め、文部科学省、内閣府の皆様方に御出席いただき、ありがとうございます。

 初めに、科学技術イノベーションの推進について質問いたします。

 私は、資源に乏しく、少子高齢化社会が顕在化する日本において、国力を維持し、輝き、世界から尊敬される国であり続けるためには、科学技術の力が必要であると確信しています。

 先日の予算委員会でも、この点について、岸田総理に質問させていただきました。研究開発費の総額で中国との差は更に広がり、今や三・〇三倍。引用論文数などでも大きく引き離されています。

 政府は、第六期科学技術・イノベーション基本計画において、政府研究開発投資目標を三十兆に増やすなど、その取組は評価できます。しかしながら、国際競争は想像以上に熾烈であり、米国や中国は、しのぎを削って、成長の源である科学技術イノベーションに加速度的に投資しています。科学技術の分野で世界における日本の主導的地位が揺らいでいるのです。その厳しい現実を私たちは直視し、打開していかなければなりません。

 そこで、末松大臣に伺います。

 科学技術立国の更なる推進のため、大学政策から基礎研究、各種研究プロジェクトを担う文部科学省の役割は非常に重要です。日本の科学技術イノベーションの現状について、大臣の御見解をお聞かせください。

末松国務大臣 御指摘いただきましてありがとうございます。日頃から科学技術に、大変先生にはお世話になっておりますことに感謝を申し上げます。

 科学技術立国の実現は、岸田総理が掲げる成長戦略の重要な柱でございます。私といたしましても、科学技術イノベーションは成長のエンジンであり、科学技術立国の実現に向けて、特に近年、世界と比べて相対的に低下している我が国の研究力を強化していくことを喫緊の課題と認識をいたしております。先生全く御指摘のとおりでございます。

 特に、研究力が相対的に低下している背景には、諸外国が研究開発投資を増加させている中で、経済的な不安や、キャリアパスの不透明さによる博士後期課程への進学者数そして進学率の減少がございます。また、新たな研究分野への挑戦の不足、国際的な研究ネットワークの構築の遅れなどが挙げられると存じます。

 先生今おっしゃいましたように、論文数も、文科省でもしょっちゅうこの数字が出てくるんですけれども、二〇〇七年から九年、論文数は第三位でしたけれども、今は四位で、六万五千七百四十二本になっておりますし、トップ一〇%の補正論文数も二〇〇七年から二〇〇九年は五位だったのが十位にまで落ちたということ、これは重く受け止めなきゃならないと思います。

 このため、文部科学省では、近年、科学技術予算の拡充を進めるとともに、イノベーションの源泉である研究力を強化するため、世界最高水準の研究大学を形成するための十兆円規模の大学ファンドの創設、博士課程学生への経済的支援の抜本的な拡充、そして、世界と戦える優秀な若手研究者の育成、自由で挑戦的な研究への支援の強化、我が国が全体の研究力を底上げするための地域の中核となる大学の研究力強化等について、令和三年度の補正予算と令和四年度予算について必要な予算を計上したところでありまして、今懸命に取り組んでいるところであります。

 また、重要分野におきましては、戦略的に研究開発を行っていくことが重要でございまして、国産ワクチンの開発、全体では、省庁をまたがれば五千億ぐらいになるんですけれども、文科省自身は、ワクチンについては拠点として五百十五億円を計上しております。ワクチン開発のための世界トップレベルの研究開発拠点の形成、AI、量子、宇宙、カーボンニュートラル、海洋そして極域といった先端的な重要技術の研究開発の強化等の取組を進めているところでございます。

 引き続き、文部科学省としては、関係府省とも連携しながら、科学技術立国の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。

尾身分科員 ありがとうございました。ただいま大臣より大変力強い御答弁をいただきました。

 続きまして、今大臣も触れられたような、個別の政策について質問させていただきます。

 米国は、大統領の強いリーダーシップにより、世界の最先端を維持するため、巨額の科学技術投資を行っています。先日の予算委員会で述べたとおり、日本でも、総理や大臣のリーダーシップにより、思い切った資金を確保し、選ばれた研究に集中投資するというような大胆な政策をちゅうちょなく行っていくことが不可欠です。

 岸田政権においては、目玉戦略の一つとして、十兆円規模の大学ファンドの創設が掲げられました。これは、自民党が強く提言し、実現したものです。この大学ファンドは、世界最高水準の研究大学を形成するため、研究基盤への長期的、安定的な支援を行うことを目的として創設されたものです。これまで、総合科学技術・イノベーション会議、CSTI等において、支援対象大学や支援内容等についての検討が進められてきました。また、これを受けて、文部科学省においても関連の法案の提出が検討されています。

 そこで伺います。

 この大学ファンドの意義や位置づけ、支援の在り方、また、大学ファンドの実施により、いかにして我が国の科学技術イノベーションの強化、研究力全体の向上につなげていくのか、御所見を伺います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の大学ファンドは、その運用益により、大学の研究基盤や若手研究者への長期的、安定的支援を行うことで、世界と伍する研究大学の実現を図るものを目的としたものでございます。

 その支援に当たっては、財政基盤の強化や自律的なガバナンスの確立など、改革を進める大学に重点的に支援することとしており、我が国の成長戦略においても最も重要な取組の一つであると考えております。

 加えて、大学ファンドの支援対象となる大学は、我が国の研究活動の拠点として、学術研究ネットワークを牽引する責務を負うものと考えております。支援対象大学がハブとなって全国の大学との連携を強化することにより、人材の流動性の向上や共同研究の促進、リソースの共有などを図り、我が国の研究力向上を牽引する研究システムが構築されることを期待しております。

 なお、大学ファンドでは、支援対象となる大学に限らず、全国の優秀な博士課程学生への支援も実施することとしております。既に、大学ファンドによる支援に先駆ける形で、博士課程学生に対する経済的支援の抜本的な拡充にも取り組んでいるところでございます。

尾身分科員 ありがとうございました。

 科学技術イノベーションを推進していく上で鍵となるのは、それを支える研究者、技術者を始めとする優秀な人材です。我が国にとって、人材の育成、確保こそが重要です。

 そもそも、若者が研究者を目指し博士課程に進学しなくなった理由としては、まず、博士号取得後のキャリアパスが見えないことや、加えて、生活が経済的に苦しい状況にあることなどが挙げられます。

 十兆円ファンドの運用益が実際に恩恵を及ぼすまでに、数年単位の時間が必要とされています。そのため、文部科学省は、二年前に、研究力強化・若手研究者支援総合パッケージの運用を開始し、博士課程の学生を経済的に支援するなど様々な取組がなされていることは、今もお話がありましたとおり、承知しております。

 一方で、初等中等教育の段階からサイエンスの魅力を子供たちに正しく伝えることができておらず、将来の職業の選択肢に研究者が選ばれていないという状況こそが根本的な問題ではないでしょうか。すなわち、小中学校から高等学校における魅力的なサイエンス教育、中でも理数教育が重要な要素になってくると思います。

 手遅れになる前に、職業としての研究者を魅力あるものとすることが重要です。若者が安心して博士課程での研究生活に没頭することができる、そして、彼らが基礎研究に進み、又は企業の研究所に進み、ソサエティー五・〇を支える技術を開発する。そして、多くの子供たちが研究職を志す。人材の育成なくして科学技術立国は成り立ちません。

 そこで伺います。

 未来を担う子供たちが研究職を志すために、初等中等教育に責任を持つ文部科学省の果たす役割は重要だと考えております。現状と今後の方策について、御見解をお聞かせください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、国の将来の科学技術を担う人材を育成していくためには、初等中等教育段階から理数教育を充実し、科学技術への興味、関心を子供たちに持ってもらうということが極めて重要と考えております。

 昨年度から順次全面実施されております学習指導要領におきましては、理科や算数、数学を学ぶことの意義、有用性の実感、興味、関心を高める観点からの日常生活や社会との関連を重視していくこと、また、見通しを持った観察、実験を行うなど、科学的に探求する学習活動を充実するといったことに取り組んでいるところでございます。

 また、観察、実験の充実を図る観点から、実験器具等の物的環境の整備、あるいは観察実験アシスタントの配置支援なども行っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、学習指導要領の着実な実施に努め、観察、実験に係る環境整備、アシスタントの配置支援などを通じまして、児童生徒の科学技術への興味、関心が高まるよう更に努めてまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございます。

 今のような取組で、一人でも多くの子供たちがサイエンスに興味を持ってくれることを私も期待しております。

 次に、宇宙開発について質問いたします。

 宇宙は、人類の新たな知を得るための科学技術のフロンティアであるとともに、新たな産業創出や安全保障の観点からも極めて重要な分野の一つです。こうした宇宙分野における幅広い取組を更に発展させ、宇宙開発における我が国のプレゼンスを維持向上させることが重要です。

 昨年末、総理が主導する宇宙開発戦略本部において工程表が改定され、日本が参加する米国の有人月面探査計画、アルテミス計画において日本人宇宙飛行士を二〇二〇年代後半までに月面に送り込む目標が工程表に明確に盛り込まれました。実現すれば八年以内に日本人宇宙飛行士が初めて月に降り立つことになります。これは、宇宙戦略上も非常に意義のあるものになると期待しています。

 そこで伺います。

 今後、人類の活動領域としての宇宙がますます広がる中、国際宇宙探査、アルテミス計画などの宇宙探査、有人宇宙活動を我が国として一層強力に推進すべきでないかと考えます。御見解はいかがでしょうか。

真先政府参考人 お答えいたします。

 月、これは地球以外で最初に人類の活動領域となる可能性を持つ天体ということでございます。さらに、今後の太陽系探査という観点からも非常に重要な場でございます。

 そういったことを踏まえまして、我が国は令和元年十月に、持続的な月面探査の実現を目指すアルテミス計画、これへの参画を政府決定したところでございます。このアルテミス計画におきましては我が国が強みを生かした分野で戦略的に参画することというふうにしてございまして、月周回有人拠点のゲートウェイへの機器提供や補給、あるいは月面データの取得、提供、また、月面における有人与圧ローバーの開発、こういったことを行ってございます。

 また、先生御指摘のとおり、昨年末に開催されました宇宙開発戦略本部におきまして、アルテミス計画に関しまして、米国人以外で初となることを目指し、二〇二〇年代後半をめどに日本人による月面着陸の実現を図る旨、宇宙基本計画工程表に明記されたというところでございます。

 このことを踏まえまして、文科省といたしましては、米国を始めとしたアルテミス計画参加各国とも連携しながら、しっかりと人類の活動領域の拡大に向けた取組を推進してまいります。

尾身分科員 ありがとうございます。

 次に、国際宇宙ステーション、ISSについて質問いたします。

 日本は、ISSにおける滞在時間が米国、ロシアに次いで三番目に長いという実績を持っています。これまでISSは、宇宙での有人活動における基礎的な知識や経験を得るために大きな役割を果たしてきました。米国は、ISSの運用期限を二〇二四年から六年間延長し、同時に、二〇三〇年頃には運用を民間に委ねることが伝えられています。これは、今後の日本の低軌道での活動や実験棟「きぼう」の運用にとって非常に重要な決定です。ISSの運用に大きく貢献している日本は、米国と歩調を合わせつつ、一刻も早く戦略的かつ能動的にISSの延長について対応していく必要があると思います。

 そこでお伺いします。

 ISS運用期限の延長に関して、我が国の検討状況をお聞かせください。

真先政府参考人 お答えいたします。

 本年一月一日、これは日本時間でございますが、アメリカ宇宙航空局、NASAより、米国政府として国際宇宙ステーションの運用期間を二〇三〇年まで延長するということについて発表がございました。我が国も参加を促す書簡を受け取っている、こういうことでございます。

 また、委員御指摘のとおり、米国がISSの運用期間を延長した目的の一つとして、二〇三〇年以降の地球低軌道活動、これを商業的な所有、運用へシームレスに移行させることがあるというふうに承知をしているということでございます。

 こういう状況も踏まえまして、文科省といたしましては、民間の地球低軌道活動の拡大に向けた取組の在り方も含め、ISS運用延長への参加の可否について本年一月より既に検討を開始しているところでございますが、本年の春から夏頃の政府方針の決定を目指し、速やかに議論を進めてまいる所存でございます。

尾身分科員 ありがとうございました。

 宇宙関係の最後の質問になります。

 H3ロケットの打ち上げが再延期されたと聞きました。もちろん、技術開発には常に不確実性が伴うものと理解はしています。しかしながら、H3ロケットは我が国の宇宙戦略上極めて重要な役割を果たすものであり、その遅れは、様々な分野、特に宇宙戦略工程表の計画に従って予定していた衛星の打ち上げに大きく影響を与えます。ひいては、安全保障上の懸念及び関連産業に与えるダメージは無視できません。ここは、我が国の総力を結集し、多大なる実績を誇っていた基幹ロケットであるH2で培った技術力と信頼性を失うことなく、H3ロケットをできるだけ早く当初の予定に戻していくことが宇宙戦略上不可欠です。

 ここで末松大臣にお伺いします。

 H3ロケットの打ち上げについて、大臣の意気込みをお聞かせください。

末松国務大臣 御質問いただきましてありがとうございます。

 H3ロケットにつきましては、新たなエンジンの開発過程で確認をされました技術的な課題に対し、一定の技術的なめどを得ることができた一方で、新たに配慮すべき事象が確認をされてしまいました。このため、先月、JAXAより、試験初号機について今年度中の打ち上げを見合わせる旨の公表がなされたところでございます。打ち上げ時期の変更はもう今回で二回目でございます。計画どおり打ち上げを実施できないことは、先生御指摘のとおり、本当に残念に思っております。

 一方で、H3ロケットは、我が国の宇宙活動の自律性確保及び国際競争力強化を実現する上で極めて重要なロケットでございます。今後高い信頼性を持って運用を行っていくためには、今回の技術的課題に対して確実な対応を行うことが不可欠でありまして、開発に万全を期する必要があると考えております。

 このため、JAXAでは、H3ロケット開発を組織の最優先課題と位置づけまして、開発チームを強化するなど、総力を挙げて課題に取り組んでいるところでございます。JAXAでは、エンジンのターボポンプを開発するIHIとの新たな技術チームや、プライムコントラクターの、三菱重工業ですけれども、の研究所などの協力を得まして、可能な限りの陣容で連携して役割分担をしていこうということです。

 なかなか、ロケットの構造は難しいんですけれども、私にも、不具合の状況について、燃料室内側の壁面が溶融し穴が空いた、こういったことまでいろいろ細かく説明を頂戴をいたしたところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、JAXAと連携して、H3ロケットが確実に打ち上げられるように、その開発に精力的に取り組んでまいります。よろしくお願いします。

尾身分科員 大臣、ありがとうございました。

 次に、地域の中核、特色ある大学の振興について質問いたします。

 我が国の研究力が諸外国と比較して低迷している状況を克服するためには、その基盤となる地域の大学が社会変革を牽引していくことが必要です。政府は今月のCSTIで、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージを取りまとめました。

 しかしながら、大学と地域の自治体双方に、お互いを生かす組織や体制が脆弱であるということは私も承知しております。

 私の地元群馬では、十年以上にわたり産学官金連携推進会議を継続して開催しており、昨年からは新たに、産学官金共創ぐんま未来イノベーション会議として相互理解に努めています。大学の強みや特色を伸ばす取組を強化すること、地域と大学をつなぐ仕組みの構築を行うことで、地方の大学と地域の結びつきを活性化することができるものと考えます。

 そこで伺います。

 地方大学や特色ある大学の研究力を強化し、地域と一体となって活動できる体制をつくり上げることが重要であると考えます。御見解及び具体的な取組はいかがでしょうか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国全体の研究力を強化するためには、大学ファンドによるトップレベルの研究大学への支援のみならず、地域の大学を強化することも重要であると認識しております。

 例えば、熊本県立大学では、地元の課題である球磨川の氾濫の防止に取り組むため、大学、自治体及び地元金融機関等でチームを組み、自然環境との共生と治水対策を両立させつつ産業振興に取り組むプロジェクトを推進しております。

 このように、意欲のある大学がそれぞれの強みや特色を十分に発揮し、地域の経済社会の発展や国内外における課題の解決、また、特色ある研究の国際展開を図っていくことができるように、政府といたしまして、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージを策定したところでございまして、文部科学省のみならず、関係府省の支援策を総動員して、大学と対話をしながらきめ細かな支援を行っていきたいと思っております。こういった支援を通じまして、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学がトップレベルの研究大学とも互いに切磋琢磨できる関係を構築して、日本全体の研究力を向上させることを目指しております。

 今後は、これらの支援の取組状況や、科学技術・学術審議会の下に新たに設置されました大学研究力強化委員会における議論を踏まえながら、総合振興パッケージの改定、充実を順次図り、必要な支援の拡充等について検討してまいります。

尾身分科員 ありがとうございました。

 次に、スタートアップエコシステムの構築について質問させていただきます。

 岸田総理は、施政方針演説において、本年をスタートアップ創出元年とし、大規模なスタートアップの創出に取り組むと述べられました。そのため、イノベーションの担い手であるスタートアップを徹底的に支援し、新たなビジネス、産業の創出を進めるとともに、高い付加価値を生み出す成功モデルをつくり出す必要があります。

 大学は新しいアイデアの宝庫であり、企業と連携することにより、このスタートアップの創出に重要な役割を果たします。新しい資本主義の原動力ともなり得るスタートアップに関して、より包括的、戦略的な取組が求められてくると思います。

 そこで伺います。

 スタートアップエコシステム環境創出に向けてどのように取組を進めていくのか、御見解及び具体的な方策をお聞かせください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 スタートアップエコシステム環境の創出に向けては、イノベーションの担い手であります大学発スタートアップの創出、育成、そして世界とのつなぎへの集中支援を通じて、スタートアップエコシステムの機能を強化していくことが重要と認識しております。

 文部科学省では、令和二年七月に策定されましたスタートアップ・エコシステム形成に向けた支援パッケージの下、スタートアップエコシステム拠点都市に対しまして、我が国の大学に今なお不足しているとされるギャップファンドの拡充や、アントレプレナーシップ教育の強化も含め、大学発スタートアップ創出の強化に向けた集中的な支援を進めているところでございます。

 さらに、内閣府におかれましては、世界トップレベルのアクセラレータや大学と連携したアクセラレーションプログラムにおきまして、大学発スタートアップ等によるグローバル市場への参入や、海外投資家、企業からの投資を呼び込める事業戦略の策定、そして国際的な専門家とのマッチングにもつながる施策を実施しておりまして、文部科学省といたしましては、内閣府と連携して取組を進めてまいります。

 今後、国際的に日本のスタートアップの存在感を高められるよう、大学発スタートアップとその基盤となる人材が持続的に創出されるエコシステムの形成に向けて、関係省庁と連携し、一層強力に取組を進めてまいります。

尾身分科員 ありがとうございます。

 次に、経済安全保障について伺います。

 熾烈な国際競争にさらされている我が国が、国力を維持しながら生き残っていくためには、経済安全保障の視点である自律性、不可欠性の概念が必要です。これは、科学技術イノベーションの分野においても同様です。

 研究開発に関しては、昨年末に、研究インテグリティーに対するガイドラインが取りまとめられました。また、令和三年度補正予算において、政府全体で二千五百億円計上された経済安全保障プログラムがその開始に向けて準備段階であると承知しています。

 その反面、科学技術イノベーションの分野ではオープンイノベーションが必須です。アカデミアの自由な研究活動と経済安全保障とのバランスをどのように取っていくのか、大学を所管する文科省が主体的な役割を果たしていくことが必要です。

 この観点から、アカデミアと協力しつつ、いかに先端的な技術領域で日本の優位性を保っていくのか、経済安全保障の視点からその対策についてお聞かせください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 世界各国が重要技術の獲得にしのぎを削る中、先生御指摘のとおり、科学技術イノベーション政策を推進するに当たりましては、経済安全保障の観点も重要であると認識しております。

 そのため、文部科学省といたしましては、先端的な重要技術を守り育てる観点から、関係府省と連携し、大学や研究機関における研究の健全性、公正性、御指摘ありましたいわゆる研究インテグリティーの確保等を推進するとともに、令和三年度補正予算に計上いたしました経済安全保障重要育成プログラムの立ち上げを進めているところでございます。

 これらの施策を進めるに当たりましては、あらゆる技術を守ることに偏重して、アカデミアを萎縮させることがないよう配慮するとともに、守るべき技術を生み出せる国にすることがまずもって必要との認識の下、我が国の研究力強化にもしっかりと取り組んでまいります。

 こうした取組も含めまして、文部科学省といたしましては、アカデミアの特性、技術の内容や成熟度等に配慮した形で、経済安全保障に係る科学技術イノベーション政策を推進することにより、広くアカデミアの理解と参画を得て、我が国の技術の優位性、ひいては不可欠性の確保にしっかり貢献してまいります。

尾身分科員 ありがとうございます。

 次に、研究開発法人についてお伺いします。

 研究開発法人制度は、二〇一五年に独立行政法人通則法が改正され、従来の独法とは異なり、自由度が担保された形で創設に至りました。そして、二〇一六年、二〇一八年と、研究開発の主要な担い手である研究開発法人について様々な環境整備が進められてきました。今後も、研究開発法人の現場の活動を最大化すべく、政治や行政の立場で支援していく必要があると考えます。

 例えば、物質・材料研究機構において、橋本理事長のリーダーシップの下、日本の誇るナノテクノロジー、材料の優位性を確固たるものにするために、データをつくり、ため、そして使うを一連で行うためのデータプラットフォームが構築されたことなどは、すばらしい業績です。

 ここでお伺いします。

 数年にわたる制度面の改正により体制が整備されてきた研究開発法人が、理事長のマネジメントの下、今後も十分に研究開発成果を創出し続けるための方策について、簡潔にお聞かせください。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 研究開発法人につきましては、御指摘の制度改正などによる研究環境の整備を踏まえ、第六期科学技術・イノベーション基本計画において、多様な財源を確保し、財政基盤を強化しつつ、研究開発成果の最大化を着実に実施することとしてございます。

 そのため、ただいま御指摘のございました物質・材料研究機構、NIMSのデータプラットフォーム整備などについて、今年度補正予算及び来年度予算案において予算を確保し、基金も活用しながら、国立研究開発法人における最先端の重要技術の開発を支援してございます。

 今後とも、必要な予算を確保するとともに、研究開発法人が、理事長のリーダーシップの下、研究成果の最大化を図ることができるよう、各理事長の御意見もしっかり受け止めながら、例えば、ガバナンス強化を前提とした特例随意契約制度の上限の引上げ、NIMSではこれを五百万から一千万に引き上げたところでございますが、など、効果的、効率的な業務運営、マネジメントの確立、科学技術・イノベーション活性化法により、成果活用等支援法人への研究開発法人からの出資を可能とするなどの財政基盤の強化などを行っているところであり、今後とも政府としてしっかりと取り組んでまいりたいと存じております。

尾身分科員 ありがとうございました。

 次に、沖縄科学技術大学院大学、OISTについて質問いたします。

 二〇一一年に設立されたOISTも、内容の充実を図りながら、昨年、十周年を迎えました。この間、世界中から一流の研究者を招聘し、優れた研究環境の下、世界トップクラスの研究を継続し、論文の質などにおいて顕著な成果を上げています。

 ここで、改めてOISTの設立当初の趣旨を振り返ってみると、OISTは、理系大学の世界最高峰、カリフォルニア工科大学を意識して創設されました。将来、カリフォルニア工科大学、カルテックと伍していくためには、現在の規模は単なる通過点にすぎず、当初の目標だった三百PIを目指して、体制の増強に引き続き努めていくことが不可欠です。

 昨年行われたOISTの今後の諸課題に関する検討会においても、現状のPIの数では地域発のイノベーションの観点から見ても不十分であり、今後、百五十、二百、三百と、長期的な体制の増強が必須であるとの指摘がありました。OISTが世界一流の大学として成長し続けるためには、政府による安定かつ強力な予算措置が必要です。

 そこでお伺いします。

 卓越した成果を短期間で上げているOISTに対して政府が手厚い予算措置をし、当初の目標である三百PIの体制まで充実していくべきだと考えますが、御見解をお聞かせください。

水野政府参考人 お答えいたします。

 まず、OISTに係る予算につきましては、これまでも、沖縄振興政策の重要な柱として、その運営等に必要な経費を確保してきており、令和三年度補正予算では、令和四年完成予定の第五研究棟の整備費として二十五億円が措置されたところでございます。

 また、令和四年度予算案では、第五研究棟整備のほか、教員八十八名から九十一名への増員など、OISTの規模拡充等に必要な経費として約百九十三億円を計上してございます。

 OISTの規模に関しましては、平成十七年三月十七日の衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会におきまして、当時の尾身幸次委員から、大学院大学の将来の計画として、教授陣三百人ほどの規模が最終的には必要ではないかとの趣旨の御質問があり、当時の小池沖縄担当大臣からは、それらの点は十分に留意していく必要があるとの答弁をさせていただいているところでございます。

 なお、足下の対応といたしまして、国としては、昨年八月に公表した新たな沖縄振興策の検討の基本方向についてで示したとおり、まずは、今後五年間で教員の数、百名を目指す、その後は、定期的にOISTにおける成果や外部資金獲得状況等を確認しながら、規模拡充を支援していく考えでございます。

 今後とも、OISTが、世界最高水準の教育研究を通じ、沖縄の振興及び自立的発展並びに世界の科学技術の発展に寄与するという所期の目的を達することができるよう、適切に支援してまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございます。引き続きの力強い御支援をよろしくお願いいたします。

 最後に、末松大臣、改めてお伺いいたします。

 更なる科学技術イノベーション推進に対する御決意を是非お聞かせください。

末松国務大臣 六年前に、参議院の外交防衛委員長を務めさせていただいたときがございまして、二之湯さんや山本香苗さん、五人でアメリカに行かせていただきまして、FRBを訪ねたときだったんですけれども、そのときに、当時まだ議長でなくて理事でありましたパウエルさんが日本の状況はどうだということを言われまして、三本の矢がありましたから、積極財政、金融緩和、そして最後に成長戦略ということを言ったんですけれども、その成長戦略とは何かといったときに上手に答えることができませんでした。今先生からいろいろな御質問をいただきまして、初めて、科学技術というのはやはり成長のエンジンであるな、そういう思いを持ったところでございます。

 科学技術やイノベーションは我が国の成長のエンジンであるということで、私自身、文部科学大臣としてその実現に向けてしっかりと取り組んでいくことの重要性を強く認識しておりまして、諸外国が研究開発投資を総体的に増加させている中、我が国においても官民による積極的な研究開発投資を進めていくことが重要であるという認識です。

 文部科学省といたしましては、第六期科学技術・イノベーション基本計画に掲げられた取組や目標達成に向けまして、積極的な役割を果たしていくとともに、関係府省と連携しながら、科学技術立国の実現に向けて全力で取り組んでまいります。

尾身分科員 大臣の大変力強い御答弁、ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

青山主査 これにて尾身朝子君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺創君。

渡辺(創)分科員 立憲民主党の渡辺創でございます。

 毎日新聞政治部の記者から、宮崎県議会議員十年を経て、衆議院で、昨年の秋、議席をいただきました。県議時代には県教委を所管する委員会の常任委員長を三年させていただいたり、教育分野は熱心に取り組んできたつもりであります。また、あわせて、現場で奮闘する先生方とも大変深くつき合わせていただいてきたつもりでおりますので、今日は末松大臣を始め文部科学省の皆さんとこうして議論ができることを大変楽しみにしております。どうかよろしくお願いいたします。

 私は、義務教育の充実が一番大事だというふうに思っています。子供たちは、小学校、中学校で社会を知ります。自らとは異なる環境の友達がいて、様々な考え方があることを社会の縮図としての義務教育の中で学びながら、自らの未来につながる基礎的な学びをしっかり身につけていく。それが大事なことですし、文科省も文部省の時代から機会の均等にこだわって守ってきたものだというふうに思っています。だからこそ、これからも国や自治体が義務教育をきちんと支え、その水準を守っていくことが、これからの国の在り方を考えても実に肝要だというふうに思っています。そういう立場で今日はやり取りをさせていただければと思っています。

 まずは、その要である学校現場、ここの多忙や過剰な負担が指摘をされ、久しくなりました。国や自治体もその改善は急務と取り組んでおりますけれども、残念ながら、まだ大きな改善を実感できるという状況にはないというふうに思っています。

 さらに、そこに加えて、新型コロナ対応が既に三年目に入っています。学校現場では、感染予防、陽性者や接触者が出た場合の対応、さらには、当初計画よりも早く進んだGIGAスクール構想やオンライン授業への対応など、新たな負担が生じているというふうに感じています。宮崎県内の教育長や県教委の幹部とも話をしましたが、やはり学校現場の負担感は心身共に大変大きく高まっている状況だというふうに思っています。

 この状況について、大臣は、今の現場の過剰な負担感がコロナの前に比べて更に大きく高まっていっている、そういう認識をお持ちかどうか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 まずは、先生も県議会議員をお務めになったということで、私もそうでございます。よろしくお願いを申し上げます。

 まず、日々、感染症対策と教育活動の両立に向けて使命感を持って取り組んでいただいておられます学校現場の先生方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 学校現場における業務につきましては、支援スタッフの配置の充実とか行事の精選など、これまでの学校の働き方改革のための取組や各学校の御尽力によりまして削減されたものもある一方、先生御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症対策のための消毒の作業、さらにはGIGAスクールに基づく一人一台の端末機導入によります設定作業等によりまして、先生方にとっても大変な負担であると認識をいたしております。

 最初は子供三人に一台だったのが、コロナ禍でしたから一人一台になってしまいます、達成をいたしました、小中につきましては。

 このため、文部科学省では、消毒作業とか、あるいは健康観察等の新型コロナ感染対策や、ICT活用のサポートとして、教員業務支援員、GIGAスクールサポーター、そして、情報通信技術支援員、ICT支援員でございますといった支援スタッフの配置支援とか、あるいはGIGAスクール運営支援センターの整備、ここは二百人ぐらいの方々を確保したいと思っているんですけれども、まだそこにいっていません。二百か所ですね、済みません。

 そしてまた、昨年十二月に公表しました教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査では、その結果では、時間外勤務は、平成三十年度以降令和三年度までおおむね改善傾向にあり、新型コロナウイルス感染症対策が必要となる前から働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の先生が多く、引き続き取組を加速させていく必要があると認識をいたしております。

 このため、国、学校、教育委員会が連携しまして、教師が教師でなければならないことに全力投球できる環境を整えるということが一番大事である、そういう認識でございます。

渡辺(創)分科員 ちょっとベースになるので、改めて感覚的な話で申し訳ないんですけれども、大臣から見られて、たくさんの情報が来ていると思いますが、改善はいろいろ取り組んで進んでいるけれども、やはりコロナ禍で膨大な仕事が増えているので、コロナが起きる前に比べたら、先生方は今、その前に比べればもっと大変な状況になっているというふうに大臣は御認識かどうか。ちょっとそこだけ御確認させていただきたい。

末松国務大臣 確実に業務が増えてございます。

 消毒作業は学校の作業でありますけれども、当然、子供たちと連絡を取り合わなきゃいけないということでありますし、現在においても、先生御承知のとおり、学校が学年閉鎖、学級閉鎖をやっているところもありまして、この前のアンケートでも全国で一三・二%でした。一時休校も三・二%あるということは、先生が動かないとそういったデータも取れませんし、子供の声も聞こえませんので、そういう意味では、ありとあらゆる業務が増えているということを認識しています。

渡辺(創)分科員 大臣が大変になっているという認識をしっかりお持ちいただいていること、大変うれしく思っています。

 学校で消毒の業務が大変だというお話がありましたけれども、実は宮崎県のえびの市というところでは、学校の先生方は大変だろうということで、いろいろな地域団体の皆さんが学校の消毒とかを自主的に手伝って応援をいただいている。地域と学校の連携がしっかり結べていれば、こういう応援もいただけているというのはうれしい話だというふうに話を聞いていて感じましたので、ちょっと御紹介をさせていただければというふうに思います。

 次の質問に移りたいというふうに思いますが。

 文部科学省は、一月に、教員不足に関する実態調査の結果を発表されました。実態把握が必要との声に押されての初めての全国調査だったわけですが、全国の公立学校で二〇二一年度の始業日時点で二千五百五十八人が不足しているとの衝撃的な結果でしたけれども、恐らく、年度途中の状況は、産休、育休や年度途中の離職などがあるわけですから、もっと深刻ではないかというふうに想像ができます。

 この原因について、正規を減らして臨時的任用講師をバッファーとしてきたこと、さらには、その講師の確保も困難になっている状況など様々ありますけれども、今日はちょっとそこはおいておきますが。

 こういう前提の中で、まず、人材の供給源について考えてみたいというふうに思いますけれども、教員、特に義務制の先生方は、地方では地元の国立大学の教育学部が圧倒的な供給源というふうになるわけです。

 この国立大学の教員養成課程における入学定員の推移を調べてみると、昭和六十一年度に二万百人だったものが、平成になる頃から漸減傾向が続き、さらに、平成七年の一万五千八百四十五人あたりから五百人超の急ペースで下がり始め、平成十二年度には九千七百七十人。底の平成十七年度は九千三百九十人ですけれども、そのまま低位が続いて、今年度は一万九百五十一人というふうになっています。

 昭和の終わりの頃からすれば、約半分という状況になっているわけですが、このような経緯をなぜたどったのか、文科省の見解をお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 国立大学の教員養成課程の入学定員につきましては、教員就職率の低下に伴い、昭和六十二年度以降、他学部への振替等が行われてまいりました。特に、平成十年に教員就職率が四割を下回るなど、少子化の影響による教員就職率の更なる低下を踏まえ、平成十年度から十二年度までの三年間で、教員養成課程全体の入学定員を五千人削減をしたところでございます。

 その後でございますけれども、将来の全国的な教員需要が増加傾向となること等を踏まえ、平成十七年度に、国公私立を通じて、教員分野に係る大学学部等の設置又は収容定員増の抑制方針を撤廃をいたしましたことを受け、以降、私立大学において教員養成に取り組む大学が増加するとともに、各国立大学におきましても、所在する地域の教育委員会等と連携を図りつつ、教員需要の将来の見通しを十分見極めながら、中長期的な視野に立って養成規模を検討することとされたところでございます。

 こうした中で、国立大学につきましては、十八歳人口の減少等を踏まえまして、大学全体としての学部収容定員の総数の増加というのは、これは原則として認めていないという状況にあるわけでございますけれども、ほかの学部・学科等の入学定員を振り替える形で教員養成課程の入学定員が増加してきているところでございまして、先ほど御紹介いただきましたように、令和三年度におきましては、平成十七年と比較して増加をいたしまして、今、一万九百五十一人という数字になっているという状況でございます。

渡辺(創)分科員 ちょっと一つの例として調べてみたんですが、私の母校は宮崎県から遠く離れた新潟大学というところなんですけれども、平成十年に教育学部が教育人間科学部に改組されています。ところが、これがまた平成二十年に再び改組されて教育学部に戻っているわけですが、この動きは、教員養成課程の定員がぐっと下がった時期に教育人間科学部になり、また今度は、微増に転じた段階で教育学部に戻っているという形です。

 これは、全国の国立大学、特に地方の国立大学を見ると、同じような傾向のところが幾つか見られるように思うんですけれども、この変遷に、先ほど御説明もいただいた入学定員の変化を重ねてみると、実に特徴的な傾向が全国の大学で見られるということかと思います。

 この間に日本の教育に関わることで何が起こったのかというのを考えてみれば、少子化の見通しは強く強調されたわけですけれども、例えば特別支援学級の増加など、そういう社会の要請に応える形で、必要な教員数というのは余り減らなかった。さらに、二〇〇一年には省庁再編で文科省ができたり、国立大学の独法化があったり、三位一体の改革の中では国の義務教育費国庫負担金が下がったり、そういう大きな政治的な変化にさらされてきた時期とこの時期がまさに重なっているというふうに思います。

 この時点でいろいろな見通しがきっちり立つような状況下にあれば、少し今の状況も違ったのかなというふうに思うところもあるんですが、これは感想にとどめたいというふうに思います。

 質問に移りますが、教員のなり手が減っている、そして、自治体としても教員の確保が大きな課題になっている、そういう中で、とにかくこの国の未来を支える教育現場の充実を図らなければならないわけですから、優秀な人材に教職を目指してもらわなければなりません。その認識は恐らく文科省も同じだろうというふうに思うんですけれども、だからこそ、昨年発表された令和の日本型教育を担う人材確保・質向上プランでも、教職の魅力の向上により、教師を目指す人を増やすというふうにしているわけですが、ここで言う教職の魅力というのはどのようなことを想定されているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 御質問の答えとしては、それは先生、人それぞれの思いがあろうかと思います。

 教育は人なりと言われますように、学校教育の成否というのは、やはり教師の資質、能力に懸かっております。教師は、やはり子供たちの人生を変える存在です。何げない教師の一言とか、いろいろなことの諸注意というのが、その後、私も、六十年たっても頭に残っていることがあって、一つの行動基準にもなっておるということで、先生の存在というのは本当に大きいと思うんです。特に、小中学校時代は大きいかなということを思っておるところであります。

 そうした大きな役割を担う教師が、言うまでもなく、十分なやりがいがあって、人との関わり合いの中で自身も成長することができるという、そこに大きな魅力を感じていただきたいな、そんなことを思います。そこだけにとどめておきます。

渡辺(創)分科員 ありがとうございました。

 私も、本当にやりがいのある仕事だというふうに思いますし、たくさんの先生と接する中で、僕自身も教え子として大変先生たちにリスペクトする思いを持ってきましたし、今現場で頑張っている先生方を見ても、本当に奮闘している姿を見て、頭が下がるような思いであります。

 そういう仕事であるはずの教職が、その魅力がなかなか、それで選択をすることができないという状況が今続いていっているわけですね。そういう、ある種、非常に魅力的な仕事であるはずにもかかわらず、魅力を意識できずになり手が少なかったり、国立の教員養成系を卒業しても教職に就く率が六割程度であったり、免許を持っていても教員試験を受けないとか、さらには、受かっていても他業種、他職種に流れていく、こういう状況にいっているわけですけれども、このような状況がなぜ起きてしまっているのか、その原因を大臣はどのようにお考えでしょうか。

藤原政府参考人 失礼いたします。

 就職率の話がございました。

 御指摘ございましたように、国立教員養成大学・学部の卒業生の教員就職率、こちらにつきましては、過去十年程度、おおむね六割前後で推移をしているところでございます。過去一番低かった時期は四割を下回るような状況があったわけでございますけれども、現在はそういう数字でございます。

 卒業生が教師以外の職業に就く理由につきましては、民間企業の採用状況など様々な要因が考えられるわけでございまして、一概に断定をすることは困難な面もございますけれども、これに対する対策といたしましては、各大学において、まず、大学入学の段階で教員志望の高い、強い学生をしっかり選抜できるような工夫をするということ、また、各大学のカリキュラムの中で教育委員会と連携をして教職の魅力を伝えるような、そうした様々な取組を行っていくことも有効な方策ではないかと考えております。

 文科省といたしましては、こうした状況も踏まえまして、現在、中央教育審議会で特別部会を設けまして、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について審議を行っているところでございます。

 こうした議論も踏まえまして、文科省といたしましては、今後とも教職が一層魅力ある職業となるような取組を進めてまいりたいと存じます。

渡辺(創)分科員 御説明ありがとうございました。

 是非大臣にお伺いしたいんですが、いろいろな対策を取られている中で、なぜ今、先生に就こうという意欲が余り大学を卒業する方とか若い方につかないのか、そこを大臣はどうお考えなのか。政策的な説明ではなくても感覚的でも結構でございますので。

末松国務大臣 大変、教師は子供たちの人生を変えるということで、誇り高き仕事だと思うんです。それ以上に職場が厳しいからです。

渡辺(創)分科員 今大臣から御答弁いただいたように、やはり、その職場が厳しいというところが大変問題なんだと思います。特に義務制の学校というのは、もちろん私立を選ばれる方もいますけれども、社会で巣立っていこうとする全ての子供が通るところなわけですね。言ってみれば、国民みんなが通る場所がブラック職場だと言われているような現状というのは、やはりこれは政治や行政に関わる者として非常に恥ずべきことだというふうに私は思いますし、この状況はとにかく何とか改善しなきゃいけないことではないかなというふうに本当に強く思うところです。

 私には高校生の娘と中学生の息子がいます。まだ十分な社会経験があるわけではないので、いろいろな仕事を知っているわけではありませんが、そういう環境の中で、日常的によく接する学校の先生に対して、将来自分の生き方としての目標みたいな、夢みたいなものも持っているように感じています。それは、そういうふうに思ってくれることは親としてすごくうれしく思うんですが、今日も議論をしているように、先生方の職場の実態を考えて、そういうのをかいま見てしまう立場になると、正直親としてなかなか複雑な気持ちになるな、そういう気持ちになってしまうような現状というのが今の教育現場にあるということだと思うんですね。これはやはり、社会の在り方として私は実に不健全な状況ではないかなというふうに大変思っています。

 そういうふうに恐らく国も思っているからこそ、各種の取組を進めているわけだと思いますが、その一例として、例えば、新年度に向けても、小学校の高学年の教科担任制などを視野に、定数改善に取り組むとのことでした。ただ、この数字が新年度は九百五十人というふうに聞いております。ただ、概算要求の段階では二千人だったはずではないかというふうに思っておりますし、これから四年間での見込みも八千人から三千八百人に大幅に削減されているというふうに聞いておりますけれども、これで本当に状況の改善が図れるような実態であるというふうにお考えでしょうか、大臣にお伺いしたい。

末松国務大臣 有意義な御指摘をいただきました。

 御指摘の教科担任制の推進に係る予算編成の過程では、最終折衝はある部分が担当いたしましたので、財政当局から、担任間の授業交換等によって追加的な人的な措置を行わずとも教科担任制の推進が可能ではないかという指摘はございました。ちょっと分かりづらいんですけれども、分からなかったら後で初等中等教育局長からまた補足させます。

 他方で、学校現場や地理的条件によって、このようなことが大変対応が困難な場合がございます。これは新聞にも掲載されたとおりです。

 更なる教育の質の向上や学校における働き方改革を推進するためにも追加的な人的措置が必要不可欠でありまして、議論を重ねた結果、令和四年度は、予算案において、先生おっしゃったとおり、九百五十人の定数改善を計上することになりました。

 文部科学省では、教科担任制に係る四年間の改善総数は約三千八百人と見込んでおります。既存の加配定数措置を併せると、四年後には、計算上、週当たり三・五こま程度の軽減が図られるということになって、小学校高学年の学級担任の授業数、週当たり二十一こま程度となる見込みでございます。

 私としましては、小学校の三十五人学級の計画的整備を進めつつ、高学年の教科担任制についても、今回を皮切りに、四年程度をかけて計画的に定数を改善することに意義があり、この取組を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

 問題は、局長からちょっと補足させますけれども、じゃ、今年、九百五十人、要求どおり二千人になっていたらどうなっていたのかということですよね。

 この三・五こまというのは、四年先に三・五こま減らすということなんですけれども、これが、今年もし二千人を認めておったら何こま減るかといったら、実は四年先には二十一こま程度になるという計算になってくるということで、加配の問題がありましてなかなか計算が分かりづらい話でございます。できましたら、局長からちょっとお話し申し上げます、差し支えなければ。

伯井政府参考人 簡潔に申し上げます。

 財政当局との折衝におきましては、小規模校では、例えば、中学校教員の活用でできるんじゃないか、あるいは、中大規模校では授業交換することによって先生を増やさなくてもいけるのではないかという御議論がありましたが、そこは我々としては、教員の持ちこま数を減らすことによって教師の働き方改革と授業の質を上げたいということで、四年間で三千八百人、これで持ちこま数が四年後三・五こま程度軽減できる、それはそれで意義があるということで、そういう折衝をした経緯でございます。

渡辺(創)分科員 実情の厳しさはいろいろ分かりますし、問題意識としては、加配だけで対応でも大丈夫なのかという疑問点もいろいろ持っているところですが、今日は時間の課題があるのでこのぐらいにしたいというふうに思いますけれども、文科省を応援したいという立場での質問でございますので、是非、長期的に見渡して、本当の意味で効果の出る対策を望みたいというふうに思います。

 局長、横浜市の教育長をされていらっしゃった時代、私、横浜支局で新聞記者をしておりまして、多少取材したことがあります。どうでもいい話、ごめんなさい。

 次の質問に移りたいと思いますが、次に、教員の人員増とともに、学校を支える学校内の職種を充実させること、チーム学校、今日午前中も議論があっておりましたけれども、そういうことは必要だと思います。

 例えば、その中でもスクールサポートスタッフ、これは実に好評で、大きな支えになっているというふうに聞いていますし、数字も調べているんですが、宮崎県でもどんどん増えていっています。ただ、国の財政で見ていただけるのが三分の一ということで、市町村、県にとっては進めたいけれどもなかなかという面もあるかと思います。

 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも含めて、新しい時代では、こういう支えていただく人材が標準装備であるというふうに考えますけれども、展開状況と有用性についてどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 特にスクールサポートスタッフ、教員業務支援員につきましては、学習プリント等の準備、採点業務、あるいは来客、電話対応等を行うことを通じて教師の負担軽減を図りまして、教師がより児童生徒の指導や教材研究に注力できるということで、非常に大きな役割を果たしているところでございます。

 令和三年八月には、これを学校教育法施行規則に位置づけて、一層の配置を促進するということでございますし、来年度予算案におきましても一万六百五十人分を配置するとしておりまして、平成三十年度の三千人分と比較しても随時拡充を図ってきたところでございます。

 今後とも、支援スタッフは教師の負担軽減を図る上で必要不可欠な存在であるというふうに認識しながら、その取組を充実していきたいと考えております。

渡辺(創)分科員 各校への配置、さらに、大規模校等では複数の配置等、必要になると思いますので、国としても後押しを是非お願いしたいというふうに思います。

 教員数の確保、そして教員の負担軽減のためのチーム学校の取組など聞いてまいりましたが、なかなか、残念なことに、現状では、負担軽減に確実につながるというか、問題を解決できるというところまでの十分な規模にたどり着く道筋というのがまだ見えていないというのが本音かなというふうに思います。

 文部科学省は、教員確保、働き方改革、それぞれ現状を深刻と考えているわけですから、是非、この状況の改善に向けて、子供たちに十分な環境を与えるために、いち早くこの水準まで解決するんだというラインを持っているはずですから、そのラインにたどり着くための取組を明確に示していただいて、そのことによって、国の本気度、また、教育行政に対する信頼も醸成されていくのではないかというふうに思います。

 ここまでとにかくいつまでに達するんだ、今見えている課題をいつまでに解決するんだということを明確に示すことが教育に対する信頼性の醸成にもつながると思いますが、大臣、その辺り、いかがでしょうか。

末松国務大臣 幾つかの角度から考えられると思います。

 文部科学省が実施をしました平成二十八年度の教員の勤務実態調査において、教師の厳しい勤務実態が明らかになってございます。小学校で月五十九時間、中学校で月八十一時間、これは時間外在校時間数ですね。

 これを踏まえまして、令和元年には給特法を改正しまして、教師の勤務実態の上限等を定める指針を策定をいたしました。先生御承知のとおりです。また、この法改正に関する国会審議において、衆参両院より、三年後をめどに教職員の勤務実態調査を行う旨の附帯決議がなされております。

 文部科学省としては、教育委員会や学校との連携をしながら、学校における働き方改革を集中的に進めてきたところでございます。

 具体的には、小学校における三十五人学級の計画的な整備や高学年における教科担任制の推進、教職員定数の改善、それと今局長から話があったように、教員業務支援員のこと、支援スタッフの充実です、そして部活動改革、教員免許更新制の発展的な解消に向けた検討、学校向けの調査の精選、削減、調査が多過ぎてはいかぬので削減したり、取組事例の展開など、様々な施策を総合的に講じているところでございます。

 今後、こうした働き方改革、様々な取組と成果等を踏まえつつ、令和四年度に改めて実施する、来年度、四月以降実施します勤務実態調査において、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定です。その結果を踏まえまして、給特法の法制的な枠組みも含めて検討していきたいと思ってございますので、いろいろな角度でやっております。

渡辺(創)分科員 ちょっと時間が迫っていますので、次に、定時制、通信制高校について二問お伺いしたいと思っておりますが、ちょっとまとめて一問でお伺いしたいと思います。

 私は、宮崎県議時代から、宮崎県の定時制、通信制高校の教育振興会という応援団の組織の役員を務めてまいりました。実は、私自身も、高校中退経験があって、定時制高校の昼間の部の卒業生でもあります。そういう縁で、今、勤労学生が働くという場面から、高校中退者の受入先であったり、さらには、不登校経験者であったり、多様な学び方を求めていたり、いろいろな子供たち、時代の要請を受けて、たくさんの子供たちの受皿となるところに今、定時制、通信制はなっていると思います。

 ですので、是非、教育の充実振興を図っていただきたいというのと、もう一つは、高校の授業料無償化に所得制限がついたことの関係でもありますが、高等学校就学支援金や高校生等奨学給付金について、これは対応年限を超えてしまうと、例えば、留年をして余計に長く学校にいるということになっていると支払われなくなっています。全体から見れば、対応となる子供たちの数は僅かなはずですので、是非、学びの継続を経済的に苦しい家庭でもできるように、そこは年限を延ばすなどの対応をいただけないかというふうに思うんですけれども、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

青山主査 末松文部科学大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

末松国務大臣 高等学校の定時制、先生、振興会の副会長をされているということを伺いました。

 高等学校の定時制、通信制課程は、制度創設の当初に主な対象とされておりました勤労青年のみならず、学習時間や時期、方法を自ら選択して、自分のペースで学べるという特徴を生かして、近年、全日制課程の中途退学者の方や、不登校経験がある生徒さんなどが、多様な生活を受け入れていると認識をいたしております。時代が随分変わったなと私は思います。

 こうした状況を踏まえれば、定時制、通信制の課程においては、生徒の実態や学習ニーズに応じた教育活動をより一層推進していくことが期待されるところです。多様な課題を抱える生徒一人一人に寄り添った指導、支援を行い、学校生活への不安を取り除き、再び学びに向き合えるような配慮を充実することが必要でございます。

 そのため、文部科学省としましては、多様な学習ニーズに応じた学びを実現するための支援事業を実施しておりまして、例えば、義務教育段階の学習内容の学び直しや、ソーシャルスキルトレーニング等の学習プログラム構築について実証研究を行うなど、その成果の充実を図っております。引き続き、その振興に努力をいたしてまいりたいと思います。

 それと、先生の今おっしゃった、支援が受けられなくなる、四年を超えるという意味だと思うんですけれども、これにつきましては、確かに、休業すれば、五年目はまた戻ったら取れるんですけれども、今ここにおいてすぐに御返事というわけにはまいりませんで、先生から今日御意見をいただいたというところで、今日はちょっととどめさせていただきたいというふうに考えてございます。

 先生に定時制で大変お世話になっていることに感謝を申し上げます。ありがとうございます。

渡辺(創)分科員 どうもありがとうございました。

青山主査 これにて渡辺創君の質疑は終了いたしました。

 次に、小野泰輔君。

小野分科員 日本維新の会の小野泰輔でございます。よろしくお願いいたします。

 私からは、今日は、大きく分けると、教育予算についての話、それから、その教育予算を充実させた上で何をやるかという質の話、それから、先ほど来ありましたけれども、学校教員の皆様の待遇の問題という大きく三つを御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、教育予算についてなんですけれども、一人当たりの年間の教育支出に対する公財政支出、よく挙げられる話題ではあるんですけれども、これを私の方からも御質問させていただきたいと思います。

 文科省で紹介しているOECDのエデュケーショナル・アット・ア・グランス二〇二一、「図表でみる教育」二〇二一という資料がございますけれども、初等教育段階から高等教育段階における公財政教育支出額の対GDP比、これが、最新の二〇一八年度において、日本はOECD平均の四・四%を大きく下回って、加盟国中最下位ということになっております。

 文科省さんは、このデータを国内にやはりアピールしたいという思いがあってこのデータをよく使われるというふうに思っているんですけれども、それに対してよく言われる財務当局の反論としては、我が国においては少子高齢化が進んでいるので、教育予算のGDPに対する比率は他国よりも劣っている、それは言えるんじゃないですかというようなことを説明する向きがあります。

 では、財務省さん、初等教育から高等教育段階における一人当たりの公財政教育支出額が一体どうなっているのかといいますと、これも決して誇れるような数字ではなくて、OECD平均の一万ドルという額を下回る八千六百九十六ドルというふうに我が国はなっておりまして、G7諸国ではやはり最下位となっています。

 データが二〇一八年度でございますので、安倍政権時に導入された高等教育無償化がまだ反映されていない時点ということですから、これからある程度上の方に来る可能性はあるとは思うんですけれども、教育を重視する岸田政権で支えていらっしゃる末松大臣、このデータをどのようにお感じになっているかということをまずお聞きしたいと思います。

末松国務大臣 データは、この前、参議院本会議で質問を受けたときに、三十八か国中三十八位という答弁をしましたら、財務当局は、少し、私の知らないところで御意見を言われたみたいですね。一人当たりでやらぬのかというところがあったんじゃないかと思うんです。

 先生御指摘のとおり、我が国の教育に関する公財政支出の対GDP比は、OECD平均と比較して低い水準でございます。加えて、我が国の在学者一人当たりの公財政教育支出額が、OECDと、平均して、今申し上げたように低い水準にあるということです。

 子供は国の宝であります。教育は国の礎ということもよく言われますので、言葉で本当に理解しているのかということを我々は思わなきゃならないというふうに認識をしております。人への投資は、新しい資本主義を起動していく上で、成長と分配の好循環の流れを加速していく鍵であるということ、これは総理ともよく確認をし合っている言葉でございます。

 こうした認識の下で、文科省としては、幼児教育、保育の無償化は二〇一九年十月からやってまいりました。高等教育の修学支援制度についても令和二年から実施をいたしてまいりまして、今、二年目に入ろうとしております。GIGAスクール構想、小学校三十五人学級の計画的整備など、着実には進めてきたわけなんですけれども、加えて、さらに、小学校高学年の教科担任制を推進するための教職員定数の改善等も盛り込んでおりますけれども、私の思いは、更なる教育の質の向上を図るためにも、やはり教育予算というのは上を向いていくべきだというのが認識です。

小野分科員 大臣、ありがとうございます。

 まさしく、やはり我々の国の礎となるのが教育でございまして、これを充実させていくということを、これは文科省だけではなくて国全体として、総理ももちろん御認識はされていると思いますけれども、それはしっかり力を入れていかなきゃいけない問題だというふうに思っています。

 そこで、提案なんですけれども、教育は国家の礎というような認識の下に、一人当たりの公財政教育支出額の対GDP比率、これを、ターゲット指標を設けて、ちゃんとそこに向けて国家が動いているのかどうかということを、これは文科省としてもしっかり打ち出す必要があるというふうに思っております。これは通告していませんので、そこについて、やります、やりませんということを答弁は求めませんけれども、私どもの政党としても、維新としても、やはり、そういったことも設けて、そして確実に前に、教育充実に向けてやれるようにということを目指していきたいなというふうに思うんですね。そのことをちょっとお伝えをしておきたいというふうに思います。

 次の質問に入りますけれども、その後に、じゃ、公的な財政支出がなかなか充実していない中で、家計がやはり負担しているのが多いんじゃないかということについての質問です。

 同じOECDのデータによりますと、初等教育から高等教育段階における教育支出に占める私費負担が、我が国は、OECDの平均の一六・二%を大きく上回る二八・七%ということになっておりまして、データのある三十六か国中五番目に高い。傾向としてはアングロサクソン系がどうも高いようなんですけれども、日本もそういう中で非常に高い位置を占めています。家計の負担が重いということですね。

 先ほどの質問で取り上げました公財政教育支出額が少ない分を、子育て世代の可処分所得から補っているという状況だというふうに思います。これを見れば、やはり、所得がある程度高い人であっても、子供は、例えば三人、四人も持つのは結構つらくなってきて、少子化が加速する一因であることも言えるんだろうと思います。

 この状況について、プライベートの支出が、教育における比率が各国よりも高いという状況をどのように大臣は考えていらっしゃるのかということについてお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 まず、経済格差が教育力に影響を与えるということは全く好ましくないという認識を持ってございます。

 それを踏まえて、先生御指摘のように、教育支出の公私負担割合につきましては、我が国の私費負担割合がOECD平均と比べて、先生の御指摘のとおり高い水準であることは事実でございます。公財政が七一・三%、私費負担が先生の御指摘のとおり二八・七%ということで、三十六か国中五番目に私費負担が高いということでございます。

 このため、文部科学省としましては、就学前段階から、先ほど申し上げたように、幼児教育の無償化、保育の無償化を行ったりとか、義務教育段階でも、授業料は原則無償であることに加え、低所得者向けの就学援助制度も実施をしております。

 また、高等学校段階でも、私立学校の授業料は、五百九十万円未満、公立は九百十万未満ですけれども、こういった支援も行っておるということで、高等学校就学支援金というものを行ってございます。教材費、教科書費も同じでございます。授業以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金も実施をしておるということでございまして、かなり幅広く行っております。

 高等教育段階、大学では、真に支援が必要な学生等を対象とした高等教育の修学支援制度に加えまして、中間層に対しましても、貸与基準を満たす希望者全員に対して無利子奨学金の貸与を行っております。先生はもう副知事もされておられたのでお詳しいと思いますけれども。

 このように、財源を確保しながら教育費負担の削減を進めているところですけれども、最初に申し上げたとおり、更なる教育費の支援の在り方も、検討を含めて前へ進めていきたいというのが思いでございます。先生がおっしゃるとおり、低い水準にあります、諸外国に比べて、OECD平均でも。そのことを認めたいと思います。

小野分科員 ありがとうございます。

 本当に認識は同じなんですけれども、公教育の中でいろいろな負担が生じているものを、例えば教科書代とかいろいろ、あと授業料とか、それから学校に通う費用を奨学金として貸し出すとか、そういった配慮を本当に御努力されているというふうに思うんですけれども、次の質問にもつながるんですけれども、やはり、公教育の内容そのものを変えていくことによってプライベートの負担を減らしていくという発想が私は必要だというふうに思いますので、これから、ちょっとその質問をさせていただきたいというふうに思います。

 教育の私費負担の比率が高い背景というのには、公教育だけでは我が子に十分な教育を受けさせることができないというような親の負担も少なからずあろうかというふうに私は感じています。特に都市部では、私も東京一区なので、割と私学に行かせるような親御さんが多いんですけれども、小学校から受験勉強をして、中高一貫の私立中学、そのままストレートで、例えば高校あるいはもう大学まで行かせようというような教育を受けさせるというようなことが多いわけなんです。

 今の中学受験塾というのは、レベルが高いところだと入塾試験というのがあって、学校に、入試をするんじゃなくて、塾に入塾するための試験があって、塾に入るためにも熾烈な競争になっているというような現状もあります。

 私自身の経験も申し上げますと、東京の私立高校に通っていましたけれども、そこの授業のレベルが高いわけでは決してなくて、それは総理の開成とかいうと多分違うかもしれませんけれども、結局、進学校の生徒であっても、学校が終わってから現役生向けの予備校に通ったりとか、プライベートのお金で結構通っているというような実態があります。

 公財政教育支出の充実の話とも表裏一体だと私は思っているんですけれども、公教育の中身の充実を図っていけば、家計による教育費の負担も私は緩和されるんじゃないか。つまり、親御さんあるいは本人が求めている教育を公教育の中でちゃんと完結する、ちゃんとそういったものを品質として届けられるというような中身にすれば、先ほどOECD諸国の中で五番目ぐらいの、プライベートの比率が高いというようなことも改善されるんじゃないかというふうに思います。

 先ほどの御答弁だと、やはり公的な負担の中での充実というのは大臣も一生懸命やられているというのは理解するんですが、公教育の質の向上というのが、プライベートの、家計からの、塾に行かせるというようなところの負担を減らすということにつながるんじゃないかというふうに私は思うんですが、その点に関しての、これはもう役所の答弁じゃなくて、大臣の思いというか率直なお考えをお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 令和三年度の全国学力・学習状況調査の結果によりましたら、学習塾に通っておられる児童生徒の割合、小学校六年生で約四八%です。中学校三年生で更に上がって六三%となっております。一口に学習塾といいましても、受験対策のものから、英語やプログラミング、科学実験に特化したものまで、その実態は様々であります。夜遅くまで塾に追われて体を壊したりとか、学校における学習がおろそかになるようなことがあれば本末転倒であるわけなんですけれども。

 先生は今、そういった私的に出す教育費というものの在り方のお話をなさったと思うんですけれども、確かに、公的な支出のことをずっと我々は抑えてきましたから、子供たちの生活の実態として塾に通っておるところ、そこを、先生、維新はクーポン券を出されたりとか、いろいろなことをお考えになっておられることもよく聞いております、一万円を出されたということで。それはそれで一つの考え方ではあると思うんですけれども、今のお話でいけば、一概に、私的に塾に行かれているお金、それを間接で支えるとか、ある程度、目的の、書籍を買うために図書券を上げるとか、こういったところまで、どこまでサービスを提供するかというのは、もっと議論をしなきゃ、私は簡単に決められるものじゃないと思うんですよ。

 私自身、高等学校を義務教育にできるかといったら、先生、これは逆に、選抜制度も変えてしまいます、入学の。校風を失ってしまうわけですよね、義務教育に変えてしまったら、高等学校が。だから、そういう意味では、あらゆる面で、どうしていくかということについては、やはり十分な検討を重ねなきゃいけないなということ、そういうことを思うんです。

 以前、私は青年会議所に入っていたときがあったんですけれども、小学校五年、六年生でしたかね、アンケートを取ったことがあるんですよ。大分昔ですよ。その子供たちに一番何を望むかと言ったら、子供たちが何を言ったかといったら、テストで百点を取りたいと言ったんですよ。二番目には思わぬときに思わぬ人からお年玉やプレゼントをもらうことです、三番目は友達と遊んでいたい、四番目は子供同士でどこかへ出かけたい、五番目はゆっくり寝たいと言ったんですよ。

 そういう子供たちの実態なんかも、いろいろなことを考えた上で、やはり塾にかなり無理して行っているということ、それに対して公がどう考えるかということを考えていくということですから、今ここで私が答弁を出すことはできません。

    〔主査退席、亀岡主査代理着席〕

小野分科員 ありがとうございます。

 文科省としての考えというよりも、大臣のお考えをお伺いしたいなというふうに思ったんですね。

 それで、でも、やはりそこに日本の教育が進むべき道が私はあると思っていまして、先ほどから申し上げていることというのは、公教育の中で、公教育という言葉をもうちょっと正確にするのがいいかもしれません、先ほど高校を、それを義務教育にするということにどうしても答弁としてはつながってしまうので。私も、そこまでする必要はないとは思っています。

 ただ、今社会で議論されていることというのは、別に義務教育じゃなくても、子供たちが今の社会の中でちゃんとした大人になって、そして自分の頭で考えて暮らしていくようにするためには、それは公的な、やはり財政的な支援があってこそだというふうに思うんですね。ですから、そこをやはり充実させる。そして、その内容も、やはり今の世の中から必要とされているようなものにする必要があるというふうに思っているんです。

 私は、今日本は、これは東アジア諸国、特に儒教の国家、儒教の色合いを残している国家は塾文化というのも結構あるんですけれども、でも、小中学生が夜の十時とかそういうところまで勉強したり帰宅する時間が遅いというのは、やはりどう考えても、これはもう社会全体として見直すべきだろうというふうに思っているんです。

 日本は生産性が低い低いとずっと大人の社会でも言われていますけれども、子供の時代から残業しているんじゃないかというふうに私は思っていまして、そして、親のお金で、しかも授業料を自分で払って、残業代ももらえずに残業しているみたいなのが子供の世界だというふうに思っていますので、そこをやはり文科省が認識をして、なぜ、じゃ、ほかのヨーロッパの国々みたいに子供たちが起きている時間内、勉強すべき時間の中で勉強が終わらずに夜中勉強しているのかということを、これを、先ほど民間の側にどこまで踏み込めばいいのかという話もありましたが、そこにやはり目を向けるべきだろうというふうに私は思うんですね。

 そのために、じゃ、どうしたいのかということなんですけれども、やはり公教育の内容を、社会が求めている、そして、子供たちがこうなりたい、あるいは親がこういうふうに育ってほしいと思うようなニーズをもっともっと酌み取って、それを公教育の中あるいは高等教育の中でもっともっと色濃く反映させるということが必要だというふうに思っています。

 もちろん、今、親がとにかく受験のことが一番先に念頭にあるので、それで受験勉強というふうになっていますけれども、そこはもちろん入試制度とか、あるいはどういう人材を企業や社会が求めるかというところもありますので、その点については今日は立ち入りませんけれども、ただ、社会がどういう人材を求めているのか、あるいは、子供たち、親たちが何を学びたいのかということをもっと酌み取った公教育あるいは高等教育にしていく必要があるというふうに思うんですね。そういう意味では、オンライン教育を盛んに取り入れて、例えば、林先生という有名な先生の授業が学校で取れるようにしたっていいと思います。

 ですから、公教育の中に、我々維新の方では、コンテンツとして民間のものをどんどん入れていくということもやっていいというようなことも訴えておりますし、また、私は、やはり、これからの学校の先生というのは、一人一人が立派な授業をやれる必要は全くなくて、一人一人の子供の育ち、学びというものをしっかりと押さえながら、先ほども三十五人学級の実現とか、そういうところで努力はされているとは思うんですけれども、一人一人の学習進度が、大教室方式じゃなくて、ちゃんとできているのかどうかということをきめ細かくファシリテートしながら、一人一人の成長を見守っていく、そういう役割に教師が変わるべきだろうというふうに思っています。

 そういう意味で、今までの公教育の枠組みにとらわれずに、民間で一人一人に、例えば、私なんかが塾に通っていたとき、予備校に通っていたときの時代というのは大教室方式でしたけれども、今はもう、本当に成績を伸ばしているところは、民間の塾なんというのは個別が多いわけですね。

 そういうふうに、学校の教育の現場も、民間のメソッドをどんどん取り入れて変わっていくべきだというふうに思っておりますけれども、この点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

末松国務大臣 これは、先生、大変難しい御質問かなということを私は思っておりまして、ちょっと先生、もう一度ポイントをつかんで質問いただけますでしょうか。ここを簡潔に質問いただいて、簡潔に答えます。

小野分科員 ありがとうございます。

 私の思いがちょっと出過ぎちゃったので分かりにくかったかもしれませんけれども、端的に言えば、民間の様々優れたメソッドというのがあります。ニーズに応える、例えば、この間、私がTSMCの質問を、TSMCの工場の進出を予算委員会でテレビ入りでさせていただいたときに、末松大臣からも、地元の企業と連携しながら、そして、高専とか工業高校でちゃんと産業のニーズに合ったような人材育成をしていきたいというような御答弁をいただきました。大変ありがたかったんですけれども。

 そのように、本当にこの日本で役に立つ人材、あるいは子供たちがなりたいような、教育を受けられるような、カスタムメイドとか一対一とか、それから、民間で今実現しているような、きめ細かい一人一人に対する教育、こういったものって、やはり三十五人学級でもなかなか実現できないと思うんですよね。

 こういったものを、やはり、大胆に民間の力を取り入れながらやっていくおつもりというか、そういったことを是非、大臣として、すぐできるかどうかは別として考えていただきたいと思うんですけれども、そういうお考えはいかがでしょうか。

末松国務大臣 この前、先生から御質問いただいて答弁したのは、文科省で実施をしておりますマイスター・ハイスクール事業指定を受けて、八代工業高等学校で、DX時代に夢をつなぐ創造的なエンジニアの育成として、産業界と一緒になってやってほしい、産業の方も学校へ行く、学生も企業の場所に行って会議室で授業を受けて、産業界の方から講義を受けるというような、そういうことを私はもう少し深化させていった方がいいというように思ってございます。

 したがいまして、教員免許は大体十九万ぐらい毎年取られるんですけれども、普通免許を取得されるんですけれども、特別免許制度というのがやはりありますから、僅かに二百件しか取られない、二百人ぐらいしか。もっと増やして、生きた、生き生きとした知識を与える、社会はこんなものであると社会をのぞけるような、思いを巡らせるような生きた教育というものをやはり実践していくことは、私は一歩進めていくべきだというような認識でございます。

 どこまで公共が、公がそういうところまで踏み込んでいくかということについては、私の思いばかりが前へ出ても、これは大臣といえどもできませんので、これはやはり小野先生なんかといろんな会話をしながら、全体で進めていかなきゃいけない。

 今、私は幸せやと思うのは、おおよそ、共産党の先生もみんなひっくるめてですけれども、割合、教育は同じ方向に向いておる。まずは予算の充実というのは同じでありますし、強い社会、日本をつくっていこうという点においても同じでございますので、どしどし御意見を是非いただいて、できるものからやはり進めていきたい、そういうふうに願ってございます。

小野分科員 ありがとうございます。

 いろいろ答えにくい質問ばかりで恐縮ですけれども、私も行政側にいましたので、なかなか自由に答えられないという事情は分かるんですが、ただ、やはり大臣としてのリーダーシップで是非今の教育を大胆に変えていくんだと。やはり教育が国をつくるというのは本当のことだと思うので、我々もいろんな政策提言もさせていただきますが、そこを是非酌み取っていただいて、大胆な教育改革というのを進めていただきたいと思います。

 残り時間も少なくなりましたので、最後の教員の待遇について御質問したいと思います。

 まず、学校教員の免許資格の更新ですね。これは大英断だというふうに思いますけれども、資格更新制度を廃止されるということになりました。私も当時、熊本で、行政の現場でいろんな先生方に話を伺うと、やはりこれは本当に負担になっていると。更新するときも自費負担で講習を受けなきゃいけないとか、勉強する時間の制約も大変だということで、これは本当に英断だったというふうに思うんですが、この免許更新制度、私は、やはりできるだけ先生の創意工夫を生かすような仕組みが必要だと思うので、今後、がんじがらめにする方向とは逆の方向でやるべきだというふうに思いますけれども、まず、教員の免許更新の廃止についてのお考えを伺いたいと思います。

末松国務大臣 これにつきまして、前置きはもう抜きにいたします、先生。

 先生が御指摘された点のとおりの部分でございます。経済的な負担も教師にかかっていましたし、時間的な負担もあります。効果たるや、今検証しておりますけれども、少なくとも、これからは新しい仕組みをつくって、せっかくやってきた今までのこの免許法の更新ですから、その本来の気持ちというのは大事にしながら、これからも、発展的解消ということですから、新たな研修制度をまたつくっていきたい、そういうように強く思います。

 言葉が重なってまいりますけれども、社会や研修環境の変化を受けまして、昨年度の末の中央教育審議会の審議のまとめは、教師の学びの姿も変化することが必要であるとされているんですけれども、具体的には、教師自身が変化を前向きに受け止めていただいて取り組む主体的な学び、個々の教員のニーズに応じて、学校現場の課題に対応する個別最適な学び、これは中教審が使う言葉です、答申に入っていましたから。単に知識、技能の習得ではなくて、教師としてふさわしい資質、能力を身につけられるような教師間での協働的な学び、協働的な学びというのも答申の中に入っている言葉でございまして使ってございます、などを求められております。

 このため、文部科学省としては、個々の学校現場や教師のニーズに即した新たな研修システム、先ほど申し上げました、に移行することにより、これからの時代に必要な教師の学びが実現することに伴いまして、十年に一回の更新講習を義務づける現行の教員免許の更新制を発展的に解消したいと考えて、これから提案、関連法案を提出をする予定をいたしているところでございます。

 これに伴って、いろいろな御意見は各先生方からまた頂戴をしながらと思ってございますけれども、来年四月一日からは新たな制度で進めたいと思います。

小野分科員 ありがとうございます。

 やはり今後の制度についても、とにかく新たな資格をつくるとかそういうのじゃなしに、先ほどおっしゃったような主体的な学び、私も御答弁を聞きながら、まるで何か子供たちに対して言っているような、教育方針と同じだなと思って、ちょっとほほ笑ましく思ったんですけれども、でも、そういう、やはり皆さんがモチベーションを高めて、そしてスキルアップをしていくような制度に是非していただきたいと思います。

 もう時間がありませんので、本当に簡潔にお伺いを、最後の質問をしたいというふうに思います。

 私も、街頭活動をしていて本当に多くの方々から言われたんですけれども、やはり、教員の皆さんの時間外手当、これの支給がなされていない。給特法の問題、これはほかの議員さんも、かなり皆さん御質問されることだと思うんですけれども、やはりどう考えても実態に合っていないんじゃないか。先生方の御努力、そして今の職務の多さから考えれば、それに報いてあげるということが必要だと思いますが、この点について、大臣の御答弁を伺いたいと思います。

末松国務大臣 給特法の問題は、いろいろな方々から御指摘をいただいてございます。

 公立学校の教員の処遇を規定しております現在の給特法の仕組みでは、教師の職務は自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が多くて、どこまでが職務であるか切り分け難いというのが、実際、今の状況です。特殊性を踏まえなきゃならない。時間外勤務手当を支給しない代わりに、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして、教職調整額を支給しておるわけでございます。昭和四十七年からですよね。もう長くなりました。

 一方で、給特法の制定からもう大分、今言ったように時間がたちましたので、教師に求められる仕事の内容も随分変わってきています、先生、これは。また、平成二十八年度の調査においても、法制定当時の想定を大きく上回る長時間勤務の実態が明らかになったことを踏まえまして、令和元年に法改正を行いました。これは、一か月の時間外在校時間数は四十五時間、一年では三百六十時間、そういうことを決めたところでございます。

 働き方改革に取り組んでいるところなんですが、今後、こうした働き方改革の様々な取組と成果等を踏まえて、令和四年度に改めて実施する予定の勤務実態調査において、教師の勤務実態と、そして働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定でございます。その結果等を踏まえて、給特法の法制的な枠組みを含めて改めて検討していきたいと思います。

 現状においては、教師はかなり厳しい環境で働いておられるということを認めたいと思います。

小野分科員 ありがとうございました。

 その御認識を基に、是非、多く頑張っていらっしゃる学校の先生方がモチベーションを高めてやり続けられるように御努力をいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

亀岡主査代理 これにて小野泰輔君の質疑は終了いたしました。

    〔亀岡主査代理退席、主査着席〕

青山主査 次に、堀場幸子君。

堀場分科員 日本維新の会、堀場幸子です。

 本日は、第四分科会、質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 先月末に公表されました調査にて、全国公立学校における教員不足の深刻な実態が浮き彫りとなりました。

 教員不足の背景には、教員の仕事が教育の分野にとどまらず、福祉的な領域まで幅広くあり、かつ量が膨大だということ。ましてや、今は新学習指導要領の導入時期という変化のときです。新型コロナウイルス感染症の対策も大きな負担となっていることは想像に難くないのではないでしょうか。

 そして、さらに、先ほども出ておりました給特法により、給料は残業代が出ない、働かせ放題という現状が事態を悪化させていると考えております。文部科学省が行いました昨年三月の「#教師のバトン」プロジェクトでの厳しい現実の声は、社会的に大きな反響を呼んだことも記憶に新しいところでございます。

 文部科学省でも問題を認識されており、学校における働き方改革推進本部を設置し、今後取り組むべき工程表を作成されています。現在、二〇二二年ですから後半に来ておりますが、現状として教員の働き方が改善されたのでしょうか。このような視点、問題意識から今回は質問させていただきたいと思っております。

 主な改革として挙げられております学校及び教師が担う業務の明確化、適正化、そして、教職員定数の改善充実、専門スタッフや外部人材の配置拡充についてお尋ねいたします。

 教員の配置について質問いたします。

 率直にお尋ねします。教員の配置において加配はありますか。小学校における加配に関しては、三十五人程度学級と教科担任制等で、あると承知しております。一方で、中学校の加配についてはいかがでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 教員の業務は非常に多様化しておりますし、いじめ、不登校対応など、一人一人に応じたきめ細かな指導という意味で、加配定数というのは、これも極めて重要であるということでございます。

 そういう意味におきまして、これまでも、小学校、中学校、様々な加配措置を講じておりますが、令和四年度予算案では、小学校は、三十五人学級の実施、あるいは高学年教科担任制の推進ということで、基礎定数、加配定数、それぞれ必要な定数改善を行っておりますが、中学校の生徒指導を始め、いじめ、不登校への対応のための加配定数五十人増というのも改善を盛り込んだところでございます。

 そのほか、学校運営体制、チーム学校の実現に向けた指導体制の整備ということで、三十人の加配定数増をしておりますので、我々としては、三十五人学級の導入等、基礎定数の充実とともに、加配定数の措置というのもしっかり取り組んでいきたいと考えております。

堀場分科員 中学校における先生方の業務が非常に多岐にわたっております。今おっしゃられていたとおりだと思います。

 四十人の進路指導、これは非常に、本当に大変です。近年は、進路も多様化しております。家庭の状況を踏まえて進学先を決めていく作業の中で、出てくる課題も多くあります。また、学習面での個人差が大きくなる小学校では、個に合わせた学習、個別最適化ですね、その対応に苦慮しています。そして、何より中学校では部活の課題もあります。これに加えて、不登校対応、いじめ対応。そして、特別支援教育としての対応など福祉的な意味合いのある業務。そこでまた早期に支援が必要な生徒がいた際の対応。

 末松大臣にお尋ねいたします。

 多くの課題が山積しております中学校の現場、この状態は、単に教員を増やすだけでは解決できない。そういった意味では、既に限界が来ているのではないでしょうか。

末松国務大臣 中学校の現場でございますね。先生今お話あったように、ドッグイヤーじゃないんですけれども、変化が余りに激しい状況になりましたから、先生おっしゃるとおり、過去の物差しでその状況を続けていくということは非常に難しい問題がありますから、常に改善できる点は改善していきたいということ、そのことを思ってございます。

 突然の、通告に入っておりませんでしたので、今、お答えさせていただきましたけれども。

堀場分科員 済みません、ありがとうございます。

 働き方の部分というところで、中学校の先生が、この後、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーというところに行くので、やはり先生たちの量を増やすということだけでは、どうしても対応するのがしんどいのではないかというふうな視点を持っております。

 ところで、学校における働き方改革工程表は結構前から続いています。二〇一八年ぐらいからきっと働き方改革には取り組んでいらっしゃるかと思うんですけれども、結果として働き方というのは改善したのかなというのが、ずっと考えているんですけれども、これについても御見解を伺ってもいいですか。

末松国務大臣 働き方改革は、今、現在進行形でございます。小学校の一か月の時間外の勤務時間が五十九時間、中学校が八十一時間ではないかと思って、記憶をいたしているところであります。

 私の知り合いも教師をまだ続けております。教師が確保できないから、何と、まあ、お年を言ったらあれですけれども、六十六歳でも一年更新で、今、大阪で勤務を続けておるという実態でありました。

 どこがしんどいかといったら、昔は、先生頑張りなさい、頑張れよということを父兄が言ってくれた。ところが、今は、その声がなくて、全て学校に持ち込まれる。それはもう三十年前と比べて物すごいことである。

 ですから、働き方改革は、学校だけがやっていっても、学校だけでは解決できないんですよ。社会全体で解決をしていく、そういう仕組みが必要だと思うんです。

 その中で、三十五人学級もやる。給特法もどうなるか分かりません。これから勤務実態調査も行っていかなきゃいけない。そして、教員業務スタッフを増やして、ドリルを配付したりとか、父兄への連絡も、これからは校務の効率化でタブレットを使うことができるかもしれませんが、今はそれができていない学校がありますので、負担もかかっておりますから、総合面で今働き方改革を実施をしておるということでありまして、私は、その実は上がりつつあると思ってございます。

堀場分科員 ありがとうございます。

 私のイメージでは、やはりもう少し専門的なスタッフの方が入っていただく、これが非常に重要ではないかというふうに思っています。

 教員の先生は、やはり子供たちに何かを教えるという教育的なものに関しては非常に熱心で、そして、先ほどおっしゃっていました主体的な学び、先生方自身もとてもされているというのは認識しています。新しくGIGAスクール構想、道徳の教科化、それに対する評価が変わる、いろいろなものに対して積極的に対応されておりますし、オンライン授業の中で、オンラインはなかなか苦手なんだよねという世代の先生も非常に前向きに取り組んでいらっしゃる姿も目に浮かぶというか、そういう世界だと思っています。

 けれども、それ以外の、やはり福祉的な支援が必要な業務、これは本当に文部科学省の管轄なのかと思うような、そのぐらい福祉の領域に入っていくような業務も非常に多いのではないかと認識しています。

 スクールカウンセラーとソーシャルワーカーについてお伺いいたします。

 専門スタッフや外部人材の配置の拡充、これは働き方改革の中にも入っているかと思います。先生方の業務を助ける、チーム学校の福祉的業務を担う専門職であるスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの皆さんについてお尋ねします。

 昨日の公聴会でも、スクールカウンセラーなどの常勤化についてお話があったかと思いますし、この会でもかなりの質問があるのではないかと想像しております。現場のニーズはかなり高いと承知しております。

 改めてお尋ねいたします。

 現在のスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置は適正だとお考えでしょうか。そして、全校、児童生徒数に関係なく、同じ時間数で配置をしているということについて、御説明をお願いします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 学校におきましては、福祉的な支援を含め、様々な課題を抱える児童生徒がいるわけでございます。そして、その学校の規模や児童生徒の実情に応じてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを配置し、教職員が連携協力して、まさにチームとして支援を行うことというのは、教師の働き方改革にも、今御指摘いただいたように、資する重要なものであるというふうに考えております。

 現状と令和四年度予算案についての説明でございますが、スクールカウンセラーについては、全公立小中学校で週一回、おおむね四時間配置するための必要な予算、あるいは、スクールソーシャルワーカーについては、全公立中学校区、これは中学校区でございますけれども、に週一回、おおむね三時間配置するための必要な予算を計上するとともに、今御指摘いただきました、学校規模等に応じて配置時間を拡充するという重点配置に関する予算も令和四年度予算では拡充いたしまして、学校の規模とか、特に課題に応じた対応が必要な学校では、配置時間を倍にするというような取組も進めているところでございます。

 引き続き、充実に取り組んでまいりたいと考えております。

堀場分科員 なかなかそれでも足りないというのが多分現状で、毎日学校にいてほしいというふうに思われる方がたくさんいると思います。

 やはりSCに関するニーズも高いんですけれども、私が現場の方にいると、やはりSSWさんがもう少し拡充することができると、ノンストップで支援までつながることができるのじゃないかなというふうに考えています。

 文部科学省、この福祉的な業務、それは、つまり、ほかのところにもしっかりとつないでいかなければならないというところが難しいところなんだろうなと思っています。特に虐待、子供の貧困、ヤングケアラーなど、様々な課題が山積している我が国の子供の問題です。なかなか自ら支援要求ができないものですから、こちらから発見していかなければならないと思っています。この発見機能の一つとして、学校や教職員との関わりがあると認識しています。

 そして、発見したら支援につなげるべきなんですが、そこまで教員が担うべきなのか、それがすごく疑問だなといつも思っています。その仕事を安心して託せる専門家のはずのSCやSSWというのは、週に一回、四時間では、ほぼ学校にはいません。

 現在、学校内の福祉的な業務が非常に多く見られます。地域の子ども家庭センター等、厚生労働省管轄の福祉への迅速な接続が、早期発見、早期対応にもなります。でも、その接続をしていく、そしてそれとのつなぎ目をやっていくというのが非常に難しいと思っています。その業務を担う人材を文部科学省だけで補うということ、それが本当に大事なことなのかなというふうに考えています。予算的なものも含めて、この福祉的な人材を文部科学省の中だけで補っていくということでしょうか。予算的なものも含めて厳しいのではないかなと思っているのですが、末松大臣、これは厳しいかなと、これから常勤化とかSSWのもうちょっと拡充とかというのは、本当のニーズに合わせるほどであるならば、文部科学省さんの予算だけでは厳しいのではないかというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

末松国務大臣 先週土曜日に尼崎市へ行きまして、市議会の先生方とか関係の行政の方々と話をしまして、文部科学大臣を務めていることがありましたんですけれども、やはり今先生おっしゃったスクールソーシャルワーカーの増員ということについて、件数が余りにも多過ぎて、その対応を求められました。同じことは、この前参りました兵庫県の西脇市でも同じようなことをおっしゃられたわけであります。

 近年、虐待等の課題を抱えます児童生徒数が増加をしてございます。令和元年度十九万三千七百八十件が、二十万五千四十四件に膨らんでございます。こうした福祉的な支援が必要な児童生徒に対しまして、教職員がチーム学校として、関係機関と密に連携しながら対応することが一層重要になってきておるということは認識をしておりますのですけれども、今の先生のおっしゃった指摘もつまるところでございます。

 このため、文部科学省としましては、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーについて、令和四年度予算でも配置の更なる充実の経費は盛り込んでございます。

 先生御指摘のとおり、学校において福祉的な課題を抱える児童生徒を把握した際には、学校だけで対応するのではなくて、関係機関と連携することが重要である。このため、例えば、今言った虐待対応において、要保護児童対策地域協議会を通じて関係機関と協力するなど、福祉部局と連携して取組の充実を図るよう教育委員会等を指導しているところであります。

 文部科学省としては、引き続き、スクールソーシャルワーカーの配置充実に努めるとともに、児童生徒に対する福祉的な支援の充実に向けて関係省庁とも取り組んでいきたいと思いますが、文部科学省だけで解決するとは全く思ってございませんで、横断的な考え方を取らなきゃいけない。いずれ立ち上がる、まあ先生のところは子供省の御主張があられるかもしれませんけれども、こども庁もいろいろなこうした問題に一緒に対応を協議していただく対象になりますので、深く掘っていきたいと思ってございます。

堀場分科員 ありがとうございます。

 本当にこども家庭庁の議論になってしまうので、ここではちょっと駄目かなと思っていたんですけれども、そういった期待というのは非常に持っておりまして、一部文部科学省の管轄、つまり学校の中だけでどうしても解決してしまおうとする先生方が非常に多いと思うんですね。やはり子供のことは私たちがやるんだという強い自負もお持ちだとは思うんですけれども、でも、それは、安心して託せる人、安心してチームを、学校内でアウトソーシングする相手がいないからだと本当につくづく思っています。

 例えば、私は支援にいましたけれども、学校の外に出て子供を捜しに行く権限はありません。そうすると、子供が学校外に出ていってしまった場合には先生たちしか捜しに行くことができないというふうになってしまうと、先生たちは、学年が違うとその子の顔が分からないとか、そういったこともありながらの中で人を捜す、何色の服を着ているのみたいな。そういった現状が多分学校の中でありますので、そういった権限等々も、やはり、学級担任をやっている、副担任をやっている先生方にある権限と、例えば講師であったり支援をしている人にある権限が全然違いますので、そうすると、学校がチームになったとしても、先生がやらなければならないということが非常に多くなってきますよね。

 なので、これは問題点が共有されていると私はすごく重々認識しているんですけれども、なぜこの福祉的な業務をもっと学校の中でアウトソーシングできる相手が増えていかないのかなというのが、一つ大きな、この働き方改革につながると確信しております。

 学校の現場で見ていても、福祉的な業務が非常に多い。その子たちのために、是非、ソーシャルワーカー、本当に文部科学省さんだけでは難しいのであれば、子家センから人が来るでもいいですし、何とか学校の中でチーム学校をつくっていけるようにしていただきたいなと思っています。

 最後に、いじめ対策とスクールローヤーについてお尋ねいたしたいと思います。

 専門的なスタッフと外部人材というところには、スクールローヤーという方も当てはまるのではないかと思っております。いじめ対策や不当な要望等の対策として、スクールローヤー、学校弁護士の活用がありますが、現在のスクールローヤーの配置について教えてください。

伯井政府参考人 スクールローヤーの配置の現状でございますが、令和二年度におきまして、法務全般に関与する顧問弁護士とは別に、専ら教育行政に関与する弁護士に相談できる体制があると回答した自治体は、都道府県で約七割、市町村では約一割となっております。

堀場分科員 ありがとうございます。

 システムとして非常に皆さんの近くにあるスクールローヤーなんですけれども、なかなか、このスクールローヤーの状況、もっともっと学校や教育委員会で利用や活用されてもいいのではないかというふうに思っているんですけれども、まだまだ、例えば学校長の先生方が、いつ、どこで、どのように利用したらいいのかなという思いを持たれている方が非常に多いように感じております。

 まだまだこのスクールローヤーのシステムが分かりづらいものになっていると思うんですけれども、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 まだまだ分かりにくい状況になっているのは、そのとおりだと思うんです。

 保護者等が例えば相談窓口としてスクールローヤーを活用するというようなことに関しましては、恐らく、直ちに法務の専門家である弁護士等を活用するのではなくて、教育的な観点を含めて学校が対応する中で、それでは解決できない問題を、必要に応じて法務の専門家である弁護士等の適切な助言を得る、そういった体制づくりをしていくことが文科省としても重要であるということで、地方財政措置なども講じておりますので、我々としても、各自治体におけるスクールローヤーの活用促進というのは、必要な支援を行っていきたいと考えております。

 まだまだ周知が不足しておりますので、対応していきたいと考えております。

堀場分科員 ありがとうございます。同じような問題意識があるということで、本当によかったと思います。

 スクールローヤーはいろいろな使い方があるのではないかというふうなお話を前もさせていただいたことがあります。

 いじめの対策には、二つ方法があると思っています。

 一つ目は、学校内で生活指導、生徒指導、教育相談など、教員の業務の中でいじめを対策していく、いじめの対応をするということでございます。従来、そして日本の中で多く見られるやり方だと認識しています。現状として、スクールローヤーはこの中での位置づけになるとお聞きしております。

 二つ目は、教育的アプローチには限界があると仮定して、新たな方法を模索されている大阪府寝屋川市のような取組に代表される、いじめの初期対応における学校外での取組です。初期対応から行政的なアプローチをしていく、そして法的なアプローチで実効性を担保していく。それによって、教育的アプローチ、行政的なアプローチ、法的なアプローチと、三段階をリンクさせながら、相互補完をしながら対応していくというのが寝屋川市の取組だと認識しています。

 末松大臣にお尋ねいたします。

 現在の学校内の対応でしているいじめ対策でございますけれども、教育的アプローチには限界があるのではないか、つまり、全てが教員、学校、教育委員会だけで対応することに限界があるのではないかと仮定することについて、そして多層なアプローチを構築している寝屋川市の取組について、御見解をお願いいたします。

末松国務大臣 スクールローヤーの活用を柔軟に考えることは大変重要なことだと私は思っております。

 いわゆるスクールローヤーにつきましては、基本的には、学校現場が抱える諸課題につきまして、初期段階から法的側面の助言を行うことによりまして、速やかな問題解決につながる役割は期待されていると思うんです。やはり弁護士さんがおられて、法律の専門家ですから。

 他方で、いじめ等が発生する場所やエスカレートする場所は、学校だけとは限らないわけであります。このため、御指摘のように、事案の性質とか地域の事情に応じてスクールローヤーの在り方を考えなきゃならないと思います。

 いずれにしましても、いじめ等への対応に当たっては教育的配慮がやはり必要であり、学校で起きた事案も含めて、児童生徒の変化に気づきやすい立場にある、まずは学校や教育委員会が主体性を持ちつつ、自治体内の関係部署と必要な連携を図りながら対応することは重要である、まあ、最初の一歩なんですけれども、必要であると認識をいたしております。

 その上で、外部の窓口として、学校内外を問わないで、いじめ等に対して、二十四時間対応、無料の相談窓口等を設けて、児童生徒が気軽に相談できる環境の整備を図っているのは先生御承知のとおりです。

 文部科学省としては、こうした学校外からの情報を含め、学校内外を問わず、いじめ等の事案を把握した学校や教育委員会が、必要に応じて、法律の専門家である弁護士等から適切な助言を受けることができる体制を充実させることが重要であると思います。

 加えて、いわゆるスクールローヤーの配置は、学校現場の働き方改革の観点からも非常に重要であります。先生おっしゃるとおりです。学校現場の諸課題につきましては、早期の解決を図って教職員の負担を軽減するためにも、引き続き、スクールローヤーの活用促進に向けて必要な支援を行っていきたいと思います。

堀場分科員 ありがとうございます。

 今私が考えているというか、学校にいて思うところは、チーム学校というものがもっともっとプロフェッショナルな人材の活用であればいいのになということでございます。

 今のチーム学校は、地域の皆さんが本当に積極的に参加してくださっているのはとてもとてもよく存じ上げています。けれども、この地域の皆さんはほぼボランティアです。ボランティア費だけでいろいろなことを積極的にやってくださっている。それだけでは非常に、もう学校として厳しいのではないかというふうに思っています。

 当然、開かれた学校、いい町はいい学校をつくる、いい学校はいい町をつくるだと思っておりますので、それに関しては本当に大賛成なんですけれども、つまり、コミュニティースクールとか、そういったシステムに関してはすばらしいと認識しているんですが、何せ、子供に対するこういった福祉的なもの、これは非常にプライベートなことです。本当にほかに漏らされたくない、そういったものでございますから、余計に、地域の方にそこの部分を担っていただくのは、ちょっと保護者としても教員としても気が引けてしまう、そういったものだと思っています。

 よって、私は、チーム学校は本当にすばらしい考えだと分かっているんですけれども、それにはもっとプロフェッショナルな人材を入れていただきたい。それが文部科学省の予算では難しいということであるならば、今度できるこども家庭庁、そういったところからもどんどん学校の聖域を打破していただいて、学校は教員だけでつくっているのではないと思っていただいて、是非是非、学校の中に福祉の力をもう少し充実させていただきたいなと思っております。

 いじめによる被害を最小化するためには、本当に早期の対応が必要だと思っています。あらゆる手段を講じていく必要がありますし、あらゆる検討をしていく必要があると認識しています。

 今後、こども家庭庁設置に関する質問もさせていただきますが、子供たちの教育と健やかな育ちを分け隔てることなく、一元化されたシステムの中で対応していくのが一番必要なことではないかなというふうに考えております。教育から支援、一つのラインとしてつなげていけるように、それをいかに充実させるか、これにも少し目を向けていただければと思っております。

 少し時間より早いんですが、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

青山主査 これにて堀場幸子君の質疑は終了いたしました。

 次に、仁木博文君。

仁木分科員 有志の会の仁木博文と申します。

 今日は、末松大臣始め文科省の職員の皆様方、そして関係者の皆様方、ありがとうございます。いろいろと質問させていただきたいと思います。

 皆さん、改めて釈迦に説法ですが、国家百年の計という言葉がありますように、特にこの国においては教育、人づくり、これは非常に重要なことであるという認識の下で、私は公立の学校ばかりに行きましたけれども、教育で大切なのは教材だとも言えます。最大の教材は、広い意味でいうと教師だと思います、先生だと思います。例えば、小学校、中学校では、その先生を好きになれば、その教科も好きになって学習意欲が湧いてくるとか、あるいは、先生からいろいろな人生の哲学なり理念なり、そして優しさなりを教えてもらって、自分がまた人として成長していく、知識も経験も積み重ねていくということができるというふうに思っております。

 それで、一番目の質問なんですけれども、そういう中におきまして、安倍政権の一次政権のときにできました教員免許の更新制度のことなんですけれども、これが廃止になるということでございますけれども、このことについての末松大臣の率直なというか、政治家としての見解を賜りたいと思います。

末松国務大臣 近年、グローバル化あるいは情報化の進展によりまして、社会の在り方が急速に変化するとともに、学校現場におきましても、GIGAスクール構想など情報化への対応や、増加する特別なニーズを有する児童生徒への対応の充実が求められております。

 また、平成二十八年の教育公務員特例法の改正以後、各地域の課題やニーズに応じた体系的な研修の実施が図られるとともに、新型コロナウイルス感染症への対応を契機としてオンラインの活用が急速に進んでまいりました。地理的、時間的な制約も踏まえて、機動的に研修を実施することが大分可能になってきたということが一例ございます。

 このような社会や研修環境の変化を受けまして、昨年末の中央教育審議会の審議のまとめで、渡辺会長が私のところにお越しになりました、答申書を持って。教員免許のことだけ先に答申が出てきたわけですけれども、教師の学びの姿も変化することが必要ということが述べられております。

 具体的には、教師自身が変化を前向きに受け止め取り組む主体的な学び、個々の教員のニーズに応じて学校現場の課題に対峙するための、中央教育審議会はこの言葉をよく使われます、個別最適な学び、そして、単に知識、技能の習得だけではなくて、教師としてふさわしい資質、能力を身につけられるような教師間での協働的な学び、私はこれは恐らく校内研修を指していることは事実だと思うんです、などが述べられているところであります。

 このため、文部科学省としては、個々の学校現場や教師のニーズに即した新たな研修システムに移行することにより、これからの時代に必要な教師の学びが実現することに伴いまして、十年に一回の更新講習を義務づける現行の教員免許更新制を発展的に解消したいという考えに立ちました。

 ただ、先生、個人としましては、やはり、聞こえてくる声は、非常に教師の時間的、経済的負担が大きいということ、それと、学んだけれども効果があったという方と効果がなかったという方と、二年二か月前から講習を受けられるんですけれども、自分が行きたい講習を受けられないといった問題とか、非常に矛盾を生じてきたという、その中で、今言った、タブレットなんかが出てきて、オンラインで学習ができるということ、環境が変わったということで、そういう回答が出てきたと思うんです。

 近くそれを提案したいと思ってございます。

仁木分科員 末松大臣、ありがとうございます。

 特に教育、そして最前線で子供たちに大きな影響を与える教師、先ほど教材というふうに私は言わせていただきましたが、そこにある種管理者サイドからするとフィルター的なことをかけて、いい人材、いい先生をという形、あるいはいい先生になってもらうという意味もあったという形での免許更新制度であったと思います。

 大臣が最後の方で個人的なくだりをおっしゃっていただきまして、私は実は、妹も公立中学校の教師でございますし、多くの教員の友人が本当に現場のことを率直に語っていただける場面があります。その中で、今大臣もおっしゃったように、現場では、本来は生徒に向かっていたい、生徒と対峙したい、最大の教材として対峙したい、そう思いながら、教員でいるがために更新制度をクリアしなきゃいけない、事務的な準備もある、決められたカリキュラムをこなしていかないと更新をクリアできない、つまり教員でい続けることができないというようなこともあったわけでございまして。私はある意味、大臣が先ほどおっしゃった最後のくだりというのは、本当にありがたい、教育を所管する大臣、トップの御感想だというふうに思いまして、感動しました。

 さて、その中におきまして、今、学校の現場は本当に大変です。教師に何もかもさせるというふうなこともありますけれども、実際、私は医師なんですけれども、医療現場でも、例えば、マイナーな科というか、これは偏在が出てきていまして、いわゆる医師免許を取った後にどの科に行くかということも偏在が出てきていますけれども、教育の場においても、余りにも負担がかかって、それだったら自分のプライベートライフもある、でも仕事、教師になったという思いを貫きたいという方もいらっしゃるんですけれども、片や、やはりそういうことでなかなか教師のなり手が減っているということもお認めになられて。

 この前、メディアにも取り上げられましたけれども、教師不足についての調査なりもされていました。そのことに対しての具体的な、原因というのは分析されていると思うんですけれども、アウトラインでもいいんですけれども、対策ですね、お考えがあったらお答えいただきたいと思います。

末松国務大臣 臨時的任用職員の確保ができていないということも一つの理由でありますし、そのため、学校へ配置する予定の教師の数に欠員が生じる、教師不足が課題となっております。

 最初は二千八十六人だと思いましたけれども、令和三年五月時点の公立小学校の教師不足は千七百一人生じているという実態が明らかになってございます。不足率は〇・二八%です。この中には一時的欠員も計上されておりますが、中には小学校の学級担任を管理職が代替している例がありまして、校長が教壇に立っている話も伺いました。懸念すべき状況として危機感を持っております。

 こうした教師不足の要因として、近年の大量退職、大量採用を背景として、臨時的任用の候補者が正規採用されたことによる教師のなり手不足の、減少、そして、産休、育休取得者や、もう一つは、特別支援学校の見込み以上の増加などが、先生、挙げられております。

 このような状況を踏まえまして、文部科学省としてはまずやはり学校における働き方改革をやらないと、教師はへばっています、かなりしんどいです。そして、働き方改革を行うことによって、教職の魅力の向上、その上で教育委員会における計画的な教員採用の促進の取組を進めていくことが大事かなということも思うんですね。

 私は、やはり、今やるべきは教師の働き方改革、教師がやらなくても、本来やる業務以外のことをたくさんやっていますので、並行しながら、タブレットを使うとか、教員業務支援員を雇ってくるとか、量をこなさないと、量で確保しないと、ちょっと今は魅力ある職にならないなと。平均しても小学校は二・六倍ですから。私らのときは、もっと昔は、二十年、三十年前は、六倍、七倍、もっとあったかなということです。ブラックと言われる悪い話も認めるところでございます。そういうふうに言われています。

仁木分科員 ありがとうございます。

 先ほども、全く違う話ですけれども、超党派のオーバーワークによる死亡をなくすための議連、過労死予防のための議連の方にも出ておりましたけれども、まさに働き方改革において、教師の分野は非常に大切だと思っております。

 先ほどの、私の前の委員も質問されましたけれども、チーム学校、チームスクールという中においても、プロフェッショナルな人材という話もありましたが、特に、私の妹とかは中学の教師なんですけれども、生徒指導、ふだんの、普通の学校の授業あるいはいろいろな業務に加えまして部活というものがあります、部活動ですね。これはやはり、子供のスポーツを通じての健全な発育あるいは地域の中での貢献、いろいろな形で重要でございますけれども。

 そういったことでいうと、働き方改革の中でも、今大臣は人員を増やしていくということはおっしゃったということで、私も現場を分かっていらっしゃる本当にすばらしい大臣だなというふうに思っておりますけれども、これにはやはり予算も必要でございますし、その動員をどのような、動員というか、学校に入って、いろいろな部活動、スポーツ、あるいは、後で出てきますけれども消費者教育とかいろいろな、今後の新しい社会情勢の変化に応じたものを専門的見地から教えていけるような人材の確保も大切だというふうに思っております。

 そういう形で教育の場に入ってくる人材のクライテリア、これは教育委員会が主にフィルターをかけてと言ったらあれでございますけれども、あると思うんですけれども、学校によっては、学校の校長なり、学校で決めるということもあると思うんですけれども、そういったいろいろな社会情勢の変化、例えばこの四月からも、高校生にも該当しますけれども、成人年齢の引下げということもあります。それによって様々な商談等々も今までできなかった高校生ができるように、一部の年齢の方も高校三年生に存在するようになってくるという中で、いわゆる私が聞きたい質問というのは、そういう社会情勢の変化の中にあって、そういうことを実際の教育の場で、従来の知識を積み重ねていって大学受験に結びつけるような教育以外の面で、具体的な人選のありようとか、そういうのは現場の教育委員会等々には国として、文科省として出されたりしているんですか。

末松国務大臣 それは、先生、確認ですけれども、民間の方が、例えば高等学校で教鞭を少し執らせてもらうとか、実質的な教育を行うということでございますか。もし答弁が間違っていたらお許しをいただきたいんです、まあ、分科会、こういう、マンツーマンでやっているあれですから。

 私は、それは必要だと思ってございます。教育委員会に文科省から積極的に、そういう、例えば通常の教科以外に、税金の勉強をしろとか、金融の勉強をしろとか、保険の勉強をしなさいということは下ろしてはいないんですけれども、相談をあずかったときには、それは積極的にどんどん受けて、公共なりあるいは家庭科なり、あるいは総合学習の時間を使ってやはり活用できないかということを私たちは言っておるつもりでございます。

 現に、私が、ある場所で、社会保険労務士会の方から、今の高校生、中学生には、やはりリスクを伴ったときに初めて社会保障のありがたさが分かる、その前に社会保障を教えておかないかぬから私たちを活用してくれと言われまして、それで、兵庫県教育委員会は、コロナ前までは、多分、公共の時間を使っていると思うんですけれども、社会保険労務士の方が来られて教壇に立ったはずでございます。もちろん、教師の方が一人おられてですけれども。

 そういうように、実践的な、生きるための力をつけるための教育は行ったところでありますけれども、文科省から教育委員会へ積極的にやりなさいというところには通達していません。

仁木分科員 ありがとうございます。

 そういう中で、様々な、今、私は、新たに、公的な教育の場においても子供たちに、幼少時、成人になる前からある程度教えていける分野があると思います。それを二、三申し上げますけれども。

 例えば、GIGAスクール構想にもつながるわけでございますけれども、私は、その前提として、情報教育、これはすごく重要だと思っています。

 私たちは、情報で自分に取り入れ、そして行動を起こします。そういった情報の教育について今後、GIGAスクール構想から始まって、そういった概念そのものを教えていく。そのことは、例えば、今回、コロナ禍で突然休校になったり学校でクラスターが生じて、学校で実際、小学校、中学生であったとしても、学びのチャンスを失った方もいらっしゃると思うんですね。もちろん、ICTの技術も進歩して、よりバーチャルリアリティーに立って、例えば、学校の先生が教壇に立って、自分たちの目の前で教鞭を執っているような形の授業も受けられるかもしれませんが、そういったことを今後更に拡充していくということ。

 もしかしたら、それに伴う直接の接触とか同じ空気を共有するということが失われることによるデメリットもあるかもしれませんが、そういった科学的根拠を組み入れながら情報教育もされていくということがまず一点、それから、推進されるのかということ、現状のままなのかということも含めてお聞きしたいと思いますし、あと、最近、人権問題にもつながってくる、あるいは男女共同参画的な考え方もありますが、LGBTQとか、いわゆる様々な多様性を重んじる、そういう概念の授業も私は必要だと思います。

 そういったこと二つを今ちょっと質問の内容として挙げさせていただきますけれども、そのことはどうでしょうか。

末松国務大臣 先に、先ほど社会保険労務士の話をしましたけれども、外部人材につきましては、積極的に活用しなさいということは言っております。通達は出している、事務連絡はいたしてございますので、決して受け身ではございませんです。

 現に、いろいろな先生方が、各団体の方々が教えている例がございますので、是非、先生にもよろしく御理解いただきたいと思います。

 情報のことでございますけれども、先生の御趣旨に合うかどうかはちょっと分からないんですけれども、二〇二〇年度から順次実施されております新しい学習指導要領では、情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力と位置づけて、一人一台の端末のICT環境の下での学習活動の充実を図りながら、教科横断的に育成をしてございます。

 それで、こうした学習指導要領の狙いの実現を図るために、教師のICT活用指導力の向上は大変重要でございます。

 私が行きましても、ツールはもらったものの、どう使っていいかというのが分からない、若い先生は年配の先生からセットアップを頼むぞと言われて押しつけられるというようなことがあって、てんてこ舞いしている実態がございます。

 デジタル教科書の使い方につきましても、私の大臣室へ専門家に来てもらって、みんなで聞いたということでありましたけれども、えらく時代も発達したなという。実のところは、見て驚いたのは私一人じゃございません。それほどすごい速さで行っています。

 そういうことで、今、特にICTの活用につきましては指導力の向上が極めて重要なわけでありまして、独立行政法人の教職員支援機構と連携して、各地域でICT活用を推進する指導者の養成研修を充実させるとともに、ICT活用に関する専門的な助言とか研修支援を行うICT活用教育アドバイザーの派遣などを行っておるところでございます。

 恐らくちょっと先生の質問とはすれ違う点が、すれ違うというよりも、たくさんありますので、GIGAスクール、StuDXとかいろいろなことをやりながら、レベルアップを、現場へ、できるように今目指しているところでございます。

 それと、LGBT、クエスチョン、Qですね、先生御指摘のLGBTQの教育につきましては、性教育、生命の安全教育につきまして、学習指導要領に基づきまして、児童生徒が正しく理解をして適切に行動が取れるようにすることを目的として、これは、先生御承知のとおり、体育科、保健体育科などを始め、学校教育活動全体を通じて指導することとしてございます。

 一般論として、こうした性に関することを学校教育の中で扱う場合には、児童生徒の発達段階を踏まえること、先生はお医者さんですから本当に詳しいと思います、そして、教育内容について学校全体で共通理解を図るとともに保護者の十分な理解を得ることが求められるところです。いろいろな電話がやはり学校側にもかかってくるようでございます。

 御提案のように、外部でこれらの問題に取り組んでいく人材の活用も考えるところなんですけれども、その場合、学習指導要領の趣旨を踏まえつつ、先ほど申し上げましたように、基本的な考え方や、教育の中立性の確保、これが一番大事なところでして、中立性の確保に十分な注意を払った上で、指導の目的や内容、取扱いの方法等を適切なものとする必要がございます。

 文部科学省としては、これらの指導が各学校で適切に行われるように、引き続き、関係省庁と連携しながら、先生方を始め、適切な指導助言に努めてまいりたいというふうに思ってございます。

 時間を取りました。

仁木分科員 ありがとうございます。

 私も、ここに、具体的には、アシスタントティーチャー、英語の分野ではアシスタント・ランゲージ・ティーチャー、ALTという存在がありますけれども、GIGAスクール構想、いわゆる情報教育においても、そういった分野のエキスパート、タブレット端末を操作できるだけではなくて、そういう理念、概念も分かってやっている方、それが、本業がありながらサブビジネス的に、副業的に学校でアシスタントティーチャーとして働くということもありかなと思っています。

 例えば、大臣も御指摘されました、人権教育とか性教育とか、そういう命の教育ということにおいては、例えば私を含めた産婦人科医とか助産師とか、そういう最前線で命の現場に対峙している人が一時的にアシスタントティーチャーとして実際の教壇に立つ、教師と一緒にやっていくということもすばらしいのではないかと思っております。

 それで、今から私がする質問は、通達していなかったので、大臣の所見ももし可能でしたらお答えいただきたいんですけれども、大臣は兵庫県、私は徳島県で、かなり徳島は全国の最前線を行くような過疎が進んでいる地域でもあります。淡路島も先生の所管だと思いますけれども。そういったところで学校が今、統廃合がされたりして、結構、消えていっちゃうことによって、その地域でますます若い世代が住めない、だからその地域が、消滅自治体という言葉がありましたように、衰退していくというようなことがあっています。

 そういう形で、ナショナルミニマムと私は位置づけて、やはりこういった子供の、いわゆる次世代の学びの場、これは絶対確保すべきだと。ある程度赤字があったとしても確保すべきだと思いますが、文科省、これはもちろん、私立というよりは公立ですから自治体の所管であるわけでございますが、学校の統廃合における基準というか、その辺はお持ちだったり、あるいは社会情勢の変化に応じてその基準が緩くなったり厳しくなったりするというようなことは、御理解というか、あるんでしょうか。

末松国務大臣 詳しくは初等中等教育局長がおられたらお答えできると思うんですけれども、いや、いません。

 それで、今、淡路島に限らず、兵庫県、この前も実は西脇小学校というところが国の重要文化財になりまして、シンポジウムがございました。この西脇小学校におきましても、生徒が減っていきますし、将来の人数が分かりますから、当然にして、小中連携にするか、一貫校にするか、九年間の義務教育学校にするかという選択を迫られてございます。おっしゃるとおり、もう学校が成り立たないので、二クラスできるところは小中連携で、二クラスができないところは小中の九年制学校にしようという話になっているんですよ。基準については、詳しいことは、事務方がまた後ほど御連絡させていただきたいと思いますけれども。

 これにつきましては、一定の基準があろうかと思うんですけれども、積極的に統合しなさいという話はしておりません。ただし、学校はやはりある程度のコミュニケーションを持たないといけないと思います。

 私がこの前行った福島県の浪江町立小中学校は、震災前は二千人を超えていましたけれども、今、三十一人のスタートをしておりまして、小学六年生一人、これでは授業がやはりできないということでありまして、オンラインで授業を進めているわけなんですけれども。

 あらゆる実態がございますので、やはり、人数、人口減とか、そういったある種の問題が発生した場合のことを考えながら、適切なコミュニケーションが取れる規模の学校は維持されるべきであるというのが私の認識でございます。

 そういうことで、先生、御意見があったら、ちょっと今、もう一遍答弁させていただきます。

仁木分科員 意見としましては、先ほど質問の中で述べさせていただいたように、総務省マターというか、あるいは自治体マターかもしれませんが、やはり多少の、人口予測で明らかに愕然と、将来の小学生なり中学生が減少すると分かっていても、ある程度その地域の将来性を潰してしまうことにもなるんですね、それがなくなると若い世代が住みませんから。そういうことも踏まえると、今かなり、GIGAスクール構想のように、ICTの進歩で例えば在宅での教育も受けられるとか、あるいは、様々な形で、スポーツも、例えば、分校的に少ない小学校はスポーツの時間だけ、体育の時間だけ集まってどこかで、グラウンドでやるとかですね。実際、少年野球、少年サッカーチームも、合わさって合同でやっているのも地方の現状でございますので、そういったことも一つの提案として持っております。

 それと、ちょっと話を変えさせていただきます。時間があれで済みません、押してきました。

 私は、日本はやはり科学立国、健康と特に環境で世界をリードする国にしたいと思っておりますが、先般の予算委員会でも、こういった基礎研究についてもっともっと政治家の私たちが認識を持って、基礎研究に対する予算をかけていくべきだというふうなことがあります。

 特に今、基礎研究が展開されているのは日本の場合は大学等々、高等教育での実際の現場、ラボが多いわけでございますが、国として、例えば、一つの基礎研究、様々なフィールドがありますけれども、一年や二年で結果が出せないものも多々あるわけですね。例えば、科研費等々も一部運用が変わりましたけれども、ただ、そういったことに対する現場の状況をより分かるような、伴走するような経済ということも今出てきていますけれども、伴走してその状況を分かる人が例えば文科省の担当の官僚の方々にそういった情報をプレゼンするとかですね。そうでなければ、今、コロナもありますけれども、上京して、予算が切れるから次のときまでまたつないでほしいとかいうことの陳情が繰り返されているのも現状と思います。

 そういったことで、いつ結果が出るかというのが分からない、特に大切な将来の日本の成長エンジンでもあります、シーズにもつながります、種にも、成長の種になる研究、特に基礎研究ですね、これに対して、今年度予算も含めまして、大学の運営交付金等々も減らされている中でやはりこれを高めてほしいという、地元の徳島大学だけではなくて様々な大学の関係者の方からの要望もあります。

 その中で、予算の増額をお願いしたいのと、同時に、今、大学も門戸を開いて民間との官民共同の研究等もなされるようになって、以前ほど厳しい状況もないわけでございますが、ただ、それでも、全てのラボにお金を取ってくる教授がいらっしゃるわけでもないので、たけている教授ばかりじゃないですから、そういった官民との連携をよりスムーズにするようなことも改めてお願いしたいというふうに思いますので、そのことに対して御答弁いただけたらと思います。

末松国務大臣 先生の、基礎研究でありますけれども、基礎研究は、新たな知的、文化的な価値を創造して、ひいてはイノベーションの源泉となる重要なものでございます。

 基礎研究の多様性と厚みを生み出していくためには、若手研究者が腰を据えて研究に打ち込める環境や、国際的な研究環境の整備、そして独創的な研究に対する支援の強化が必要でございます。令和四年度予算において必要な経費を計上しているところでございまして、加えて、継続的、安定的な教育研究活動を支える国立大学法人の運営交付金の基盤的経費の確保にも努めているところであります。もう下げ止めしておかないともたないと思うんです、私は。

 また、先生御指摘のとおり、大学と民間による共同研究も一層活発にさせることも重要と認識をいたしております。大学改革を進めてまいりますし、産学官の連携も進めてまいりたいと思うんですけれども、令和二年度から共創の場形成支援プログラムを開始しまして、産学共創のプラットフォームの形成も進めることで、今言いました産学連携も進めてございます。

 科研費は二千四百億ぐらい毎年あるんですけれども、十万人申し込んで三万人という。しかし、今、長い人は三年ぐらい続けていただいて、研究を続けているということで。戦略的研究推進事業とかがございます、先生もCRESTとかERATOとかを御存じだと思うんですけれども、やはり長期で安定的に見てあげないとできないと思うんですよ。基礎研究なんて全くそうじゃないかと、私は素人ですけれどもそう思うんですよね、息の長い目で見ぬと。

 ところが、今の、博士課程の方々とも私はお話しする機会が何度もあったんですけれども、皆さん、長く見てくれないので短期的に成果を出すものを取りにかかってしまうということと、身分が全く保障されていないという問題で、何とか期限なしにしてほしい、そうでないと研究も落ち着かないというような問題もあります。だから、科学技術の振興に当たりましては、総合的な観点からやはり触っていかないと、改善していかないといけないというのがあるんですけれども、ここは、科学技術は、今見ていましても、やはり踏ん張りどころである、私はそういうふうに思っています。

 先生御指摘のとおり、成長の種はそこにしかないと思いますので、あらゆる、工業を中心とした産業であれ、情報産業であれ、そこから発展してまいりますので、各博士課程の先生方、特に博士課程の研究生、研究員の方々とお話をして、かなりいい勉強をさせていただきましたので、先生の御意見も踏まえながら前へ進めたいと思っております。

 それと、訂正箇所がございまして、教員不足のところで、私が力んでしゃべりましたので、産休、育休、休職者や、特別支援学校じゃなくて学級の間違いでございました。訂正をいたしたいと思います。

仁木分科員 時間が来ましたが、本当に大臣は現場のことをよく理解されていますし、また理解しようとされている大臣で、これからの文科行政が楽しみだと思うんですけれども。

 ただ、これだけICTも進んでいますし、私も、同じ予算を使ってどれだけのフィードバックがあるかという、ある別の面では乗数効果とかいいますが、やはりこれからは、現場の声も、あるいは現場の結果も何か文科省として受け止めるような窓口を設けられて、それを、いい政策ならまた打ち込んでいく、そうでなければまた違うところへ回していくとか、そういったこともできるような体制づくりも、よくEBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングというふうに言いますけれども、科学的根拠に基づいた政策決定というのができればいいかなと思っております。

 今日は、本当に長い時間ありがとうございました。どうも失礼します。(末松国務大臣「先生、最後にちょっと、一言だけ」と呼ぶ)

青山主査 それでは、末松文部科学大臣、簡潔にお願いします。

末松国務大臣 先ほどの統廃合のことですけれども、やはりどこの地域でも地元の御意見がまとまらないと簡単にはできませんので、そこを持ってきて、今先生がおっしゃった、オンラインなんかでそういった少ない人数でも学校の授業ができると。浪江町立創成小中学校もそのようにしておられましたので、そのことをつけ加えさせていただき、慎重にやるべきだと思います。

青山主査 これにて仁木博文君の質疑は終了いたしました。

 次に、河西宏一君。

河西分科員 公明党の河西宏一と申します。

 昨年の衆院選で比例東京ブロックで初当選をさせていただきまして、本日は、この予算委員会第四分科会で末松大臣に直接質問を申し上げる機会をいただきまして、ありがとうございます。

 また、何より、この場に送り出していただきました方々に心より感謝を申し上げます。国民の皆様から御負託をいただいた一人として、現場の声を踏まえ、質問をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず初めに、新型コロナの影響で経済的に困窮する学生を支援する、一人当たり十万円の学生等の学びを継続するための緊急給付金についてお伺いをいたします。

 これは、新型コロナの感染拡大が始まりました一昨年の五月にまず創設された学生支援緊急給付金というものがありましたが、それと全く同じスキームを使うものというふうに承知をしておりまして、いわば、この原型となりました学生支援緊急給付金、これは、当時、第一次補正予算が四月に成立をした後、ちょうど年度を越えてコロナ禍で生活が急変された学生さんや親御さんから大変多くのお声をいただきまして、我が党も、公明党として予備費の活用をまさに提案をさせていただきまして、また、学生さんが多く使うLINEによる申請なども提案をいたしまして、実現に至りました。

 その後も、コロナ禍を理由とした休学や中退をされる方は年々増えておりまして、公明党は、昨年十一月、重ねて、経済的に困窮された学生さんへの現金給付、これも提言をさせていただき、先般の補正予算を自民党の皆様とも力を携えながら成立をさせましたが、六百七十五億円が計上されまして、この予算規模は対象を約六十七万人を想定したものでありましたが、伺っているのは、二月十五日現在で支給を完了した人数は約四十五万人というふうに伺っております。

 これは、本来対象となる学生のうち二十二万人、割合で想定数の三割強の方々がまだ受給できていない、そういった計算になってまいります。御承知のとおりと思います。

 この対象の六十七万人の内訳を念のため確認をいたしますと、まず、給付型奨学金を従前から利用されている学生さん、約二十九万人強いらっしゃいますが、これはプッシュ型で支給をされる。これ以外の三十八万人程度の方々については申請型になるわけですが、この未受給の二十二万人は後者の申請型に含まれる、そういったことでございます。

 一方、受給済みのこの四十五万人、二週間前の二月一日は四十三万四千人ということで、これはまさに、冒頭触れました一昨年の学生支援緊急給付金、原型となったものであります、そこで支給されたまさに四十三・四万人におおむね近い値になっているわけでございます。

 これはあくまで客観的な見解ですけれども、前回受給した方々は、自分の御経験に基づいて、今回、申請型であっても自分から申請をされている。一方で、今回初めて対象になるはずのこの二十万人強の方々は、自分が対象であること自体や、あと、申請の必要性になかなかお気づきではないんじゃないか、そういった可能性がございます。

 現在、一次推薦に引き続きまして、文科省からも二次推薦を呼びかけていただいておりまして、多くの大学でホームページで二次推薦の受付を開始して、その一方で、一見すると一次推薦を締め切っているんですけれども、予備的な申請も受け付けていますよ、こういったところもあるようでございます。

 以上のような状況を踏まえまして、まず、最新の申請並びに支給状況について伺います。また、支給完了に至っていないこの約二十二万人の学生さんに対して政府としてどのように周知を図り、後押しをしていくのか、見解をいただきたいと思います。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、昨日時点の二月十五日時点で、既に約四十四万七千人に支給を完了しているところでございます。

 それから、学生等への周知につきましては、各学校において在籍する学生へ十分周知いただくようにお願いしているところでございますが、文科省においても、SNSなど、若い世代の利用頻度が高い媒体を活用した広報活動を積極的に行っているところでございます。

 今後も、支援を必要とする学生に情報が行き渡るよう努めてまいりたいと考えているところでございます。

河西分科員 その上で、大学から日本学生支援機構への推薦、これは三月一日が期限というふうに聞いておりまして、そのとおりに各大学の案内もそこから逆算をして、まさにこの一週間、大体二月の十五から二十二あたりを二次推薦の申請の締切りとしているようでございます。

 前回のいわゆる第一弾の学生支援緊急給付金の際もやはり周知が届いていなかった例等が散見されまして、当時、公明党といたしましても調査と追加給付を強く求めて、実施に至りました。最初四十二万人までいって、プラス一・四万人ということでございまして、加えて、今年度は昨年度よりもやはりコロナを理由とした中退や休学を余儀なくされた学生の皆さん方が増えております。

 そこで、これは大臣に是非お伺いをしたいんですが、今回の緊急給付金につきましても、大学や日本学生支援機構には大変御努力をいただいているのは重々承知の上なんですが、その上で、予算の執行状況を踏まえて、三次推薦、これを是非御検討賜りたいと思っておりますが、大臣の御所見を伺います。

末松国務大臣 先生、これからよろしくお願いを申し上げます。

 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスの感染症の影響で学生等が修学を諦めることがないように、しっかりと支援していくことが何より重要でございます。

 先ほど増子局長からも答弁がありましたけれども、現在、四十四・七万人に支給を実施をいたしております。また、現在、二次推薦を実施をしており、三月一日までに日本学生支援機構へ推薦をいただき、随時支給を行っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、まず二次推薦に係る支給を確実に迅速に実施することが必要と考えていますが、その後につきましても、執行状況を踏まえながら、追加の推薦の要否について検討いたしてまいりたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

河西分科員 大変にありがとうございます。

 冒頭の趣旨、大臣の思いも伝わってまいりましたし、前向きな方向性を賜ったと思っておりますので、是非よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、無利子で貸与する第一種奨学金の学力基準についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この第一種奨学金でございますが、大学、短期大学、また、専修学校専門課程の進学予定者や新一年生の学力基準について特に伺いたいと思います。

 この学力基準ですが、現在は、二年生以上につきましては、本人が所属する学部や学科の上位三分の一、いわゆる大学の成績となっておりますけれども、冒頭申し上げました進学予定者や新一年生の場合は、学力基準は高等学校あるいは専修学校高等課程の成績、要するに大学に入る前の成績が基準になっているわけでございます。

 しかしながら、高校卒業後、当然、浪人をされる方もいらっしゃるわけでございます。そこで学力を上げて合格をされるということでございまして、やはり、浪人後合格をかち取った方に対しても、今は、浪人時代の学力とは関係なく、高校時代の成績が第一種奨学金の学力基準になっているわけでございます。

 こういったことをめぐりまして、私の元に、浪人後まさに合格をかち取った方の親御さんから、浪人時代の頑張りも含めた学力基準で御判断をいただけないものかという声をいただきました。志望校への進学を諦めずに、当然経済的な負担もあるわけでございまして、頑張り続けた御本人、またそれを支えてきた親御さんの当然の御意見なんだろうというふうに思っておりまして、やはり、教育費負担を軽減をしていく、そして、まさに経済格差が教育格差につながらないようなそういった観点、これが元々の意義でありますけれども、制度の更なる拡充はこうした小さな声にも一つ一つ真摯に対応していくことが大事なんだろうと思っております。

 他方で、第一種奨学金の学力基準は、仄聞するところ、昭和の時代から長い間ずっと変わっていない。恐らく、その頃の浪人されていた方々と今の数というのは、経済状況も変わっておりますのでパイが違うんだろうと思うんですが、これはある意味御提案になるんですが、浪人時代は高校時代と異なって多様な学び方があります。塾に行かれる方、行かれないまま頑張られる方もいらっしゃると思います。公平な学力評価はなかなか難しいことは重々承知なんですが、例えば、新一年生につきましては、入試の結果を基準とすることなども一案ではないかと考えますが、政府の御所見を伺いたいというふうに思っております。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の無利子奨学金事業につきましては、特に優れた者に対して貸与することとしておりまして、現実問題、浪人生か否かにかかわらず、新入生については、原則、高等学校の最終二年間の全履修科目の成績の評定平均が三・五以上の者に対して貸与するということになってございます。

 今、先生から御提案のありました浪人時代の努力に対する評価につきましては、入試のやり方も一般選抜や各大学の判断で実施する総合型の選抜など多様な入試方式がある中で、浪人生を全国統一的に評価できる指標とならないことから、現行の高校の成績と同様な扱いができるか、これはなかなか難しい問題でありまして、慎重な検討が必要と考えているところでございます。

 なお、二年生に進級後においては、先生御指摘のように、所属する学部・学科の成績に基づきまして無利子奨学金の貸与を受ける機会が開かれているところですので、浪人生も入学後もしっかり学業に励んでいただければ十分にチャンスがあるのかなというふうに考えているところでございます。

河西分科員 ありがとうございます。

 私も、そういった課題、入試の様々な多様性、その課題も十分承知をしておりますが、何とか模索できないかと思っております。引き続きいろいろと御指導いただきたいと思っております。

 続きまして、学級閉鎖や臨時休校における学びの継続についてお伺いをいたします。

 御案内のとおり、第六波、保育所や学校での感染、これが拡大をしている実態がございます。こうした状況の中で、オミクロン株の特徴を踏まえていただいて適宜対応を変えていただいておりまして、例えば、陽性者が発生した場合の学級閉鎖や臨時休校の期間、二月二日の事務連で、従前のおおむね一週間程度からおおむね五日程度へと目安が短縮をされました。まさに科学的エビデンスに基づいて行っていただいて、また、今般、保健所が逼迫をしておりますので、学級閉鎖や臨時休校の判断を学校独自で行っている例も少なくないために、実態に合わせたガイドラインの変更、これは適切だというふうに思っております。

 そこで、まず伺うんですが、感染急拡大が顕著になった本年に入ってから学級閉鎖や臨時休校を余儀なくされた学校の数、また、どれほどの幼児児童生徒に影響が及んだのかについて、政府の把握状況をお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の影響による各学校の臨時休業の状況につきましては、今月四日に、本年一月二十六日時点の状況を整理した調査結果を公表いたしました。特定の学年、学級といった学校の一部が臨時休業とされている学校は全体の一三・三%、四千七百二十七校、学校全体が臨時休業の学校は全体の三・一%、千百十四校でございました。

 なお、休業に係る幼児児童生徒数までは調査項目には入れませんでしたが、令和四年一月の間の幼児児童生徒の感染者数は、九万八千四百二十五人の感染の報告がございました。

河西分科員 ありがとうございます。

 特定の学年、学級の臨時休業が、先ほど、四千七百二十七校ですか、これは全体の一割を超えているということで、非常に大きな数なんだろうと思っております。

 世界銀行の推計がございまして、学校閉鎖などによる影響は世界で十六億人に及んでいるというふうに言われています。それで、教育機会の損失による学力の低下が招いた世界のGDPの損失額は約一四%に上るだろう、このような推計が出ているわけでございます。

 したがいまして、大事なことは、パンデミックにおいて、当然、対面の授業の重要性、これは重々承知をした上で、やはり、安定的に教育機会を確保するオンライン授業、そして、これを提供する教員の皆様のスキル、すなわちICT活用指導力の向上、これが非常に重要なんだろうと思っております。

 私自身も二児の父親、上の子がまさに来年度から小学校入学になるわけなんですけれども、様々、同じ世代の方々から声を伺います。痛感する点は、昨今のコロナ禍で教育のDXがぐっと一気に急加速をしたわけですけれども、なかなか、学校やあるいは教員の方によって小さくない差が生まれているということも伺っているわけであります。例えば、一昨年、政府の判断で行われました緊急の臨時休校の際には、同じ期間でも、ある学校では毎日オンライン授業、ある学校ではプリントが来ただけで終わってしまったというようなお声も伺いました。

 当時から比べれば、現場の大変な御努力をいただきまして状況はかなり改善をされているわけなんですけれども、例えば、ちょっと何点かお声を紹介しますが、御家族で感染者がいらっしゃって濃厚接触者として待機中になった、自宅から学校で行われているリアルの授業にオンラインで参加する予定だったが、学校側が接続を忘れてしまって、そのままスルーをされてしまったという非常に悲しい状況があったわけであります。

 また、専科、いわゆる音楽、図工、家庭科の授業についてはなかなかオンラインでは行われにくい。あるいは、リアルだと、児童生徒が先生ということで手を挙げる、よく目にする場面なんですが、そしてその場でやり取りができるんですが、オンラインだとなかなかそのやり取りがしにくいということも伺っております。

 また、原因は学校側だけにあるんではなくて、やはり全体として底上げをしていかなければならないということも感じるわけであります。

 先ほど申し上げましたように、世界銀行の推計にもございました教育機会の損失の影響、これは個人にとっても国にとっても非常に甚大かつ長期にわたるんだろうというふうに思っておりまして、したがいまして、学級閉鎖や臨時休校、自宅待機が発生した際にオンライン授業が質、量共に適切に学校側から提供されているのか、政府として実態をしっかり調査をしていくことが非常に重要だと思いますが、是非大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 現場の状況を先生が説明されながら質問をお聞きをさせていただきまして、ありがとうございます。

 臨時休業等によりましてやむを得ず登校できない状況に至った場合でも、あらゆる手段を講じて学びの継続をお願いしたいと考えております。

 そのためには、先生御指摘のとおり、オンライン学習の体制を整えることが極めて重要でございます。

 このため、文部科学省から各教育委員会に対しまして、非常時の端末の持ち帰りに関する準備状況調査を実施しましたところ、一月末時点で、全国の公立の小中学校等のうち、九五・二%の学校において端末持ち帰り準備済みとの回答を頂戴をいたしました。

 また、臨時休業等に際しまして、自宅等の通信環境が整っていない児童生徒に対しましては、国からの予算も活用してモバイルルーターを貸し出したり、こうした児童生徒のみを登校させて対面授業を受けさせるといった代替手段を講じるよう、指導助言をいたしているところでございます。

 さらに、ICT端末を活用しましたオンラインによる学習指導も含め、臨時休業期間中の学習指導等に関する具体的な取組状況を把握するために、現在、調査を実施をしております。

 今後、この調査の結果を踏まえまして、オンライン学習の充実を始めといたしまして、新型コロナウイルス感染拡大の中において切れ目なく学びが継続できるように、鰐淵先生と相談しながら取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。

河西分科員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 今御答弁いただいた調査は非常に大事だと思っておりますので、我々もしっかりそれを参考にさせていただいて後押しをさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、視覚障害のおありの方に対する文化芸術鑑賞サポート体制についてお伺いをいたします。

 昨年末、私の元に、都内の任意団体、視覚障がい者生活支援協力会の皆様がお越しになりまして、演劇や映画、コンサートなどの鑑賞に対するサポート支援の御要望をお受けしたところでございます。

 実は、これまで、ある心あるボランティアの方がたったお一人で、映画やコンサートなどの情報提供、そして希望者の取りまとめ、主催者側への氏名、連絡の共有、チケットの手配、配送、さらには当日の送迎、場合によっては食事の提供までやられていたという方がいらっしゃいまして、一気通貫でやられていたわけです。実は、残念ながら、この方は昨年急逝をされました。受益者は二百名に上るわけでございます。実際にこの方のサポートを受けていた方が二百名。

 突然このアクセスが断たれてしまったということで、やはり、協議会の皆様からは、一人のボランティアに頼る形ではなくて、持続可能な仕組みを是非行政としてつくってほしいという御要望でございました。

 私も、共生社会の実現という意義から、障害者の方々が、自助、共助だけではなくて、やはり公助において文化芸術にアクセスする機会を損失しないことは極めて重要であると思っておりまして、こうした中、我が党の浮島智子文部科学部会長が尽力を賜りまして、今般、文化庁は、当初予算の中で、障害者等による文化施設へのアクセス改善、鑑賞サポートの取組、これは事業規模一千万円で位置づけていただきました。一月二十七日からモデル事業を公募していただいているところでございまして、御尽力を賜りました皆様には心より感謝を申し上げたいと思っております。

 公募の締切り、実は、今週月曜日、二月十四日を迎えまして、一件の申請があったというふうに伺っております。その上で、現状はどこまでのサポートを担っていただけそうか、従前のサポートがかなり手厚いものでしたので、今後の取組をめぐる見通しについて、是非、鰐淵政務官に御答弁をいただきたいと思っております。

鰐淵大臣政務官 まず、河西委員におかれましては、障害者の方の声を届けてくださいまして、また、その実情を変えるために御尽力いただきましたこと、敬意を表しまして、また感謝を申し上げたいと思います。

 また、お尋ねの障害者等による文化芸術活動推進事業の公募状況につきましては、複数のカテゴリーがございまして、現在精査中でございます。

 そのうち、議員御指摘の障害者等による文化施設へのアクセス改善、鑑賞サポートの取組につきましては、公募要領上、一件程度の採択を予定しておりました。先ほどもおっしゃっていただきましたけれども、二月十四日の締切り時点で一件の申請を受けているところでございます。

 この当該事業につきましては、障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画や、近年、障害者に文化芸術の鑑賞サポートが十分に提供されていない現状を踏まえまして、当事者と文化施設、主催者をつなぐ新たな取組を試行的に実施することで、その効果や課題について検証し、中長期的な支援の在り方の検討に資することを目指しているところでございます。

 来年度からの事業実施に当たりましては、まずは現状把握、モデル的な取組の実施、課題の整理と、今後必要となる取組の検証などを進めながら、障害者の多様なニーズに寄り添った支援をしっかりと進めてまいりたいと思います。

 引き続き御指導をよろしくお願いいたします。

河西分科員 ありがとうございます。

 今まで一人で担われていたことをチームワークで行っていくことは逆に難しさもあるかと思っておりますので、まさにしっかり今回は課題を検証もしていくということでございますので、公明党としても全力で取り組みまして後押しをしてまいりたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、濃厚接触者となった受験生への対応についてお伺いいたします。

 文部科学省は、無症状の濃厚接触者が大学を別室受験する際、会場へ向かう移動手段、これは、昨年の六月四日に策定されたガイドラインで、公共の交通機関を利用せずに、かつ、人が密集する場所を避けて会場に行くことということでございますが、これを本年の一月の七日の事務連で要件を緩和をしていただきまして、いわゆる感染防止策を徹底したタクシー等の利用、ここまで可能にして、いわゆる緩和をしていただきました。

 現実的な交通手段を追加をしたという意味では一定の評価をさせていただきますが、やはり課題は残るんだろうと思っております。例えば、地方部に住む受験生の方が都市部の受験会場までタクシーで移動した場合に、やはり数万円程度かかってくるわけでございます。先ほどの奨学金の話もありましたが、やはり受験という極めて重要な局面にありまして、受験生また御家族の金銭的また心理的負担を少しでも軽減をしていくことは非常に重要なんだろうというふうに思っております。

 今の方針は、いよいよ始まった高校受験にも適用されていると認識をしておりまして、かつ、オミクロン株による感染拡大の出口もまだなかなか不透明な状況でございます。

 したがいまして、これも御提案ですが、濃厚接触者となった受験生、移動中の感染防止対策は大前提といたしまして、例えば、検査で陰性が確認できた場合には電車、バス等の公共交通機関の利用を可能にすることも視野に、感染制御の科学的知見や、あと、バス、電車等の換気能力も大変高いものがありまして、こうしたものも十分に踏まえつつ更なる緩和の可能性を探るべきだというふうに思いますが、御見解を伺いたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 文部科学省としましては、受験生の皆さんの努力が無駄にならないように受験機会を可能な限り確保するという観点から、濃厚接触者となった受験生への対応について検討を行いまして、試験当日に症状がないことや、公共交通機関を利用せずに、人が密集する場所を避けて試験場に行く場合などには、別室で受験できることとしております。

 受験生が濃厚接触者となった場合の電車、バス等の公共交通機関の利用につきましては、関係省庁とも協議をし、検討を行いました。

 しかしながら、電車等の利用につきましては、個室性が確保できるタクシーの場合と異なりまして、駅等の構内での移動、乗降時、そして車両内の感染対策、一般乗客の理解など、感染対策上の観点から、現時点においては利用を認めることが困難であるとの認識に至っており、御理解をいただきたいと思います。後藤大臣、斉藤大臣、山際大臣、私と立ち話をよくしたことがございます。

 他方で、受験生の受験機会を最大限確保するため、大学入試につきましては、大学入学共通テストの追試験を二週間後に全都道府県で実施するとともに、各大学の個別入試につきましても、追試験又は振替受験の実施に加え、再度の追試験の実施等について要請を行っております。

 また、高校入試につきましても、追試験の実施や書類のみによる選考を検討するなど、改めて柔軟な対応を各都道府県教育委員会等に依頼をしております。

 文部科学省といたしましては、引き続き、受験機会の確保のために最大限の努力をいたしてまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

河西分科員 是非引き続きの御検討を賜りたいと思っております。

 続きまして、私立大学のガバナンス強化についてお伺いをいたします。

 御案内のとおり、近年、大学設置者である学校法人における不祥事が多発をしておりまして、社会問題化をしております。こうした背景から、二〇二一年のいわゆる骨太の方針の中で、学校法人のガバナンス改革を推進するための学校法人ガバナンス改革会議が設置をされまして、昨年末までに計十一回の審議の後に、報告書が出されたというふうに承知をしております。

 そこで示された改革案なんですが、学校法人も社会福祉法人や公益社団・財団法人と同等のガバナンス機能を確実に発揮できる制度の改正を目指したものになったわけでございます。しかしながら、当該改革案は、例えば、評議員については、現役の理事ないし退職後五年までの元理事、さらに教職員との兼任は認めない、いわゆる学校現場にいる方は認めないといったことで、私学団体や教職員の当事者からは、余りにも非現実的ではないかというお声があったのは大臣も御存じのとおりであるというふうに思っております。

 そういった御懸念の下、再度、バランスある改革案の策定に向けまして、新たな検討がされているというふうに承知をしております。要するに、現場がついてこれる改革をしっかり進めていこうということでございまして、そこで、本年設置をされましたのが学校法人制度改革特別委員会でございまして、ここは学校法人関係者も含めた体制で改めて学校法人のあるべき姿について検討が始まったところだというふうに認識をしております。

 こういったお取組があるんですが、やはり昨年のガバナンス改革会議の改革案のインパクトが余りにも大きかったものですから、私の元にも、いまだに御懸念のお声、今後の私学法の改正の内容についていろいろ御不安のお声も届いているわけでございまして、こうした懸念の払拭のために、是非、現在の審議の体制、また今後の方向性などについて、改めて確認をさせていただきたいというふうに思います。大臣、よろしくお願いを申し上げます。

末松国務大臣 大変大事な点を御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 学校法人のガバナンスにつきましては、昨年末に、学校法人ガバナンス改革会議の提言が取りまとめられました。これに対して、先生御指摘のとおり、私学関係者等から様々な懸念が示されました。御意見をいただきました。

 このため、関係者の合意形成を丁寧に図る場として、本年一月に、大学設置・学校法人審議会学校法人分科会の下に学校法人制度改革特別委員会を設置をしまして、学校種ごとの私学団体の代表者の参画の下、現在、昨年末の提言を一つの大きな参考としつつ、学校法人の沿革や多様性、また、これまで関係者から寄せられました懸念なども踏まえた御議論を頂戴をいたしているところであります。

 文部科学省としましては、学校法人の沿革や多様性に配慮し、かつ、社会の要請に応え得る改革案が必要と考えています。

 このため、引き続き、丁寧な合意形成を図りまして、成案が得られ次第、速やかに法案を提出することを目指して、最大限努力いたしてまいります。よろしく御指導のほどお願いを申し上げます。

河西分科員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので以上になりますが、本当に、文部科学政策、人をつくっていく政策ということで、非常に大事だと思っております。私も全力で尽力をさせていただきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

青山主査 これにて河西宏一君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本左近君。

山本(左)分科員 自由民主党、東海ブロック比例代表選出、山本左近でございます。

 まず初めに、本日、質問に立たせていただくに当たり、この国会の場に送り出していただきました国民の皆様、先輩議員、同僚議員の皆様、そして関係する皆様へ感謝を申し上げます。

 それでは、始めさせていただきます。

 今、日本に生まれ育っている子供たち、またこれから生まれてくる子供たちの誰もが希望を持てる、そして成長できる社会をつくりたい。子供たちが描いたそれぞれの夢へ向かって、誰もが挑戦できる社会を。一人一人の個性や特徴を生かし、伸ばしていける教育を実現したい。そういう思いを持ち、本日の質問に立たせていただいております。

 しかしながら、日本の子供たちを取り巻く環境というのは決して明るい状況ばかりではございません。

 少し前のデータになりますが、二〇〇七年にユニセフが発表した、OECD二十五か国で、十五歳が孤独を感じると回答した数は二九・八%、世界でトップです。二位のアイスランドの一〇%に対しても約三倍の結果となっています。また、二〇二〇年には子供の自殺数も四百十五人となり、調査開始以来、最多となってしまいました。

 いじめや虐待などの課題は、子供たちの課題だけではなく、社会の課題でもあると考えます。これからの日本で子供たちが夢や希望を持って成長していける社会をつくっていくために、文科大臣としての思いを是非お聞かせください。

末松国務大臣 先生とは議員になられる前からのおつき合いでございまして、福祉の現場にも明るく、また、教育のことにも御指導いただきますようによろしくお願いを申し上げます。

 子供たちを取り巻く環境につきまして、学習環境の変化を加え、先生御指摘のとおり、児童虐待やいじめの対応など、引き続き解決していく諸課題がたくさんございます。

 私は、昨年十月の就任記者会見において、現場に赴いて、子供たちの姿や教師の姿を見て、そういう立場に身を置いていくということが重要である、現場が大切である、そういうことをお伝えさせていただきました。

 就任以降、実際に幾つかの学校も訪問させていただきまして、子供たちの学習の様子なども拝見をいたしました。そこで子供たちが楽しく学ぶ姿や、学校の教職員の方々の御苦労などを直接伺うことで、推進すべき取組、そして解決すべき課題といった様々な学校現場の実情を知ることができたと私なりに思ってございます。施設も二十五、六か所回りました。

 このような経験を通じまして、学校における個別最適な学びと協働的な学び、この言葉は中央教育審議会の答申にある言葉なんですけれども、この協働的な学びの一体的な充実に向けた、多様で魅力的な人材が参加できる学校教育の実現や、教師が教師でなければできない仕事に注力できる環境、先生がやはり忙し過ぎると思います、今は。そうした環境整備に取り組んでいきたいというのが私の強い思いでございます。

 どんな環境であっても子供たちが希望を持って学んで前向きに生きていけるよう、文部科学大臣として引き続き全力を尽くしてまいりたいと思います。

 特に、私、小学校の六年生の卒業の文集、冊子がありまして、私の希望というのを四十三人の友人が五十五年前に書いておりますのですけれども、私は設計士になりたいとか、ロケットの設計士にもなりたいとか、学校の先生になりたいとかあるんですけれども、七割がその仕事若しくはその仕事に類する仕事に就いている。やはり、夢を描いて実現する、そういう社会づくり、教育はそのためにあると私は思っております。よろしく御指導いただきますようにお願いを申し上げます。

山本(左)分科員 末松大臣、本当にありがとうございます。

 今、末松大臣からの決意といいますか、子供たちに対する思い、また、現場を大切にされている、そして実際に回られてきました。これまで回られてきましたその実績といいますか、御尽力をこれからも続けていただきたいと思いますし、また、子供たちの希望や夢を大切にしていただける大臣として続けていただきたい、そういうふうに改めて思いました。

 済みません、お忙しいところありがとうございます。これにて御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 それでは、質問を続けさせていただきます。

 公立学校における改修についてです。

 教育環境の質の向上、また児童生徒たちの安全な学習環境を守るために、大規模修繕は欠かせません。例えばトイレの洋式化への改修などの時期というのは、学業に支障を来さないように夏休みなどの長期休暇中に工事ができることが望ましいと考えますが、それを実現するためには年度当初の交付金採択の確実な実施が必要かと思います。文科省として、現状と、どのように対応されているのか教えていただきたいです。

下間政府参考人 お答えいたします。

 公立小学校の改修に係る国庫補助につきましては、当初予算の場合、例年、予算の成立後、四月下旬に対象事業を内定し、学校設置者である各地方公共団体に通知いたしまして、学校設置者からの交付申請を確認の上、六月に交付決定を行っております。

 学校設置者においては、交付決定を受けて、公示、公告、入札、契約を行い、改修工事を実施いたしますため、工事の規模によりましては、夏季休業中に工事を完了することが難しくなるという実態もあることは承知をしております。

 夏季休業中に工事を実施することにより、日々の教育活動に支障を生じずに工事を完了させたいとの学校設置者のお考えは当然でありまして、文部科学省といたしましては、引き続き早期の交付決定に努めてまいりたいと考えております。

山本(左)分科員 ありがとうございました。引き続き早期の交付決定を是非よろしくお願いしたいと思いますし、また、自治体との連携も、ここは極めて重要だなというふうに改めてお願いをさせていただきたいと思います。

 続きまして、GIGAスクール構想についてお伺いさせていただきます。

 一人一台端末を配付していただくというのは、世界的に見ても非常に先駆的な取組かと存じますが、これはあくまで目的ではなく手段であるべきだと考えます。これをどのように活用していくのかが重要になります。

 その上で、学び方というのは、今、変化が求められております。教員による一方的な、私の時代では、学校の授業では一方的な講義形式の受動的な学び方から、今は、自ら調べたり考えたり行動する力、より能動的に学ぶアクティブラーニングという手法、こういったものが時代で求められております。

 タブレット端末等を配付したことによる、より能動的な学び方やアクティブラーニングなどを促進できるかと思いますが、カリキュラムでの取組、また学校の先生たちが使う電子黒板や、またそれを使うためのICT支援など、文科省での取組をお聞かせください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学び、それは能動的な学びであったり、アクティブラーニングであったり、協働的な学び、そういったことを実現する上でICT活用というのは必要不可欠でございます。

 一人一台端末など、充実したICT環境を大いに活用することが、御指摘のとおり重要であるということで、具体的には、音声、動画などのデジタル教材により、子供たちの興味、関心をまず高めて学習意欲を高めていく、また、教師が一人一人の子供たちの反応とか考えを即時に把握しながら、まさにアクティブラーニングできめ細かな指導を行う、多様な意見や考えにそれぞれの生徒が触れたり協働して学習していく、そうしたことに効果的に活用ができるというふうに考えております。

 文科省では、そうしたことを推進するため、省内に特命のプロジェクトチームを立ち上げ、特設ウェブサイトで学校現場で参考になる事例を発信したり、あるいは学校でのICT活用のイメージを具体的に現場で共有してもらうようにしながら、取組を進めているところでございます。

 また、環境整備の御質問もございました。

 ICT支援員などは地方財政措置を講じて促進しておりますし、また、何よりもその運用面での支援が求められておりますので、令和三年度補正予算及び令和四年度予算案に、GIGAスクール運営支援センターということで、学校への支援を広域的にワンストップで行うセンターの整備を進めようと。

 そんな中で、ICT支援員になる専門人材が不足、偏在しているという課題もございますので、センターからそうした支援人材を派遣してもらうというようなことも含めて取組を進めていこうと。あるいは、電子黒板などの整備につきましても、オンライン教育推進に必要な機器の整備ということで、令和三年度補正予算に八十四億を計上したところでございます。

 文科省といたしましては、全国の学校におけるICTの円滑な活用が進むよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

山本(左)分科員 ありがとうございました。しっかりした取組をされていまして安心をいたしました。

 また、もう一点質問させていただきたいのは、情報のデジタル化が進むことによって利便性、効率化は上がり、そしてきめ細かな生徒たちへの、学習能力を引き出すような学習をできるということなんですけれども、一点、情報の取扱いについては、更なる慎重な対応が求められたり、また、外部からのサイバー攻撃等によって情報のセキュリティーの問題も考えられると思います。この辺りについて取組を教えていただければと思います。

伯井政府参考人 御指摘ございましたように、児童生徒や外部の者等によるサイバー攻撃などの不正アクセスなどに対しまして十分な情報セキュリティー対策を講じるということは、学校等が持っております個人情報の保護であったり、教員及び児童生徒が安心してICTを活用するということで重要な視点であります。

 そういった観点から、文科省では、教育委員会や学校が教育情報セキュリティーポリシーを策定するに当たり参考となる情報や対策を教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインとしてまとめまして、周知をしているところでございます。

 また、学校のICT環境整備に必要な経費につきましては、セキュリティーに関するソフトウェア、これは、セキュリティーのためにはソフトも必要ですので、そのための経費ということで、標準経費として地方財政措置を講じているところでございますし、また、GIGAスクール構想の一人一台端末の導入に当たっても、不正インストール防止等のセキュリティー対策をその標準仕様として示しておりますので、そうしたことを盛り込んだ端末整備も進めているところでございます。

 また、現在、学校におけるICTの積極的な活用が可能となるよう、より活用しやすいガイドラインということで、そのガイドラインの改定作業を進めております。教育委員会や学校に対して丁寧に周知して、教育委員会や学校における教育情報に関するセキュリティー対策が適切に確保されるよう、引き続き取り組んでまいります。

山本(左)分科員 ありがとうございます。セキュリティポリシーに関するガイドラインを作成いただいている、また改正されていくといったところで、今後も、更なるセキュリティーについては先手先手で対応いただくことを期待しております。

 続きまして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについて御質問させていただきます。

 ほかの先生方からも御質問があったかと思いますけれども、スクールソーシャルワーカーについてお伺いさせていただきます。スクールソーシャルワーカーとは、社会福祉士や精神保健福祉士など専門職の方が、様々な課題を抱える児童生徒への早期支援、不登校状態にある児童生徒への手厚い支援などに向けた相談体制を整えるということで、全中学校区に一人、スクールソーシャルワーカーを配置していただいております。

 ただ、その配置時間というのは、週一回三時間ということで、一中学校区の平均児童生徒数は約九百人となるわけでございまして、つまり、一人で受け持ち範囲が九百人となるわけですね。そうすると、全ての児童が対象となるわけではないんですけれども、やはり、いじめや虐待、貧困といった多様な課題に対して解決していくためには、より手厚い教育相談支援体制の充実が必要かと思いますが、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 現在、子供たちをめぐりましては、虐待であったり貧困であったり、様々な課題を抱える児童生徒がいらっしゃいます。学校において、そうした児童生徒に早期に対応するという意味からも、スクールソーシャルワーカーというのは非常に重要であるというふうに認識しておりまして、これも、学校の規模や児童生徒の実情に応じてしっかり配置していくということが重要であるというふうに基本認識をしております。

 令和四年度予算案におきましては、引き続き、スクールソーシャルワーカーを、今御指摘いただきました全公立中学校区に週一回、おおむね三時間配置する、そのために必要な予算は引き続き計上するとともに、学校規模に応じて配置時間を拡充した重点配置ということに関する予算も拡充をしているところでございます。

 やはり現在の、今まさに御指摘いただきましたように、この配置時間では十分な対応ができないという指摘も教育委員会から多くございます。文科省としては引き続き、効果的、効率的な配置ということも考えながら、配置の充実に努めてまいりたいと考えております。

山本(左)分科員 ありがとうございました。

 今、量、質共に拡充をしていただける、その方向で話をしていただけるということなんですが、今度は、その配置していただいたスクールソーシャルワーカーの人たちが、学校や地域、自治体と連携をしっかり取らなければいけません。

 その中で、学校の先生方に、やはりスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの皆さんの取組をしっかり御理解いただき、関係する皆さん、連携した上で、課題の早期発見や見逃しをなくしていきたい、そういう必要があるかと思いますが、この辺り、地域連携の部分について教えていただければと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 スクールソーシャルワーカーは福祉の専門家でございます。学校において福祉的な課題を抱える児童生徒に対して、その専門家であるソーシャルワーカーと教職員が連携協力して、まさにチームとして支援を行うということが重要でございます。

 文部科学省におきましては、スクールソーシャルワーカーと教職員との連携強化ということで、スクールソーシャルワーカーの専門的職務や具体的役割について、教育委員会や学校における理解の促進に努めているということでございます。

 具体的には、各教育委員会に対し、スクールソーシャルワーカーの活用に係るガイドラインを周知するとともに、スクールソーシャルワーカーを活用して児童生徒の支援を行った好事例であるとか、スクールソーシャルワーカーに対する教職員の理解促進を行った取組事例をまとめた事例集を作成、周知しているところでございます。

 引き続き、スクールソーシャルワーカーという専門性を持った方が十分に力を発揮できるよう、環境の整備に努めていきたいと考えております。

山本(左)分科員 ありがとうございました。引き続き、このスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの皆さんと連携をいただいて、子供たちの課題解決へ向けていただきたいと思います。

 続きまして、留学生の受入れについて質問させていただきます。

 待機している留学生の方たちから、入国できない期間が長く、日本に対する不信感も高まってきている声もあります。我が国の未来を考えたときに、留学生が入ってこれないというだけではなく、交換留学といったプログラムを考えると、日本の生徒が海外へ行く機会、また海外で生活、学ぶ機会を失ってしまうというのは非常に貴重な機会のロスと考えます。

 この入国制限というのは水際措置で対応されていると思いますが、特段の事情による留学生の入国というのは再開予定をされておりましたけれども、現在の入国受入れ準備の対応ですとか、また、もし入国された留学生の方が既にいらっしゃいましたら、そういった方が今どういう状況で学べているのか、また健康状態、そういったことを教えていただければと思います。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 留学生を含む外国人の新規入国停止につきましては、先生が御案内のとおり、当面二月末までその骨格を維持する一方で、人道上、国益上の観点から、特段の事情により、特に卒業、修了まで一年未満になっているなどの個別の事情を勘案した上で、一部の留学生について入国が認められているところでございます。

 今日まで入国が認められた留学生は、国費留学生を中心に約一千四百名おります。順次入国させる予定ですが、既に入国した者の中で新型コロナウイルス感染症の陽性者は一人も出ておりませんので、順次、隔離期間が終了した後に各大学に行っているということでございます。

 また、十二日の会見において、総理が水際措置の緩和に向けた検討を進める旨を表明されたこと、また、昨日、自由民主党の政務調査会より文科大臣に対しまして、外国人留学生の入国に係る決議文について申入れをいただいたという経緯もございます。

 文科省といたしましては、日本留学を心待ちにしている多くの学生が一日も早く入国できるよう、関係省庁に対し、これまでの受入れの実績や、入国できないことによって生じる、先生がおっしゃられたようないろいろな課題がございますので、丁寧にこの辺を説明して、強く働きかけを行うなど全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

山本(左)分科員 ありがとうございました。やはり、留学生が入国することによって感染症拡大につながるんじゃないかという不安を抱く方もいらっしゃいますが、決してそうではないということをやはり周知して、広く知っていただく必要があるかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 続いて、スポーツ、文化芸術についての質問へ移りたいと思います。

 昨年は東京オリンピック・パラリンピック、現在は冬季オリンピックが開催されておりますけれども、やはりスポーツというのは、人に勇気や感動を与える非常に偉大な力を持っています。

 このスポーツ、アスリートが活躍するというのも大事ですが、多くの子供たち、国民の皆様にスポーツを楽しんでもらいたい、そういう思いで、現在の子供たちのスポーツとの関わり、また学校での部活動改革が行われていると聞きますが、具体的にどのように進められているのでしょうか。少し簡潔にお答えいただけると幸いでございます。

串田政府参考人 お答えいたします。

 部活動改革についてでございます。

 子供たちにとって望ましいスポーツ環境の構築、それから学校の働き方改革の推進に向けまして、令和二年九月に、改革の第一歩といたしまして、令和五年度からの休日の部活動につきまして、地域主体のスポーツ、文化活動に段階的に移行するといった方針を示したところでございます。今年度から、全国各地域におきまして実践研究といったものを実施しております。

 また、運動部活動の地域への移行についてですけれども、これにつきましては、昨年十月に有識者の会議を設置いたしまして、現在、整備方策、それから指導者の確保方策など具体論について議論を行っております。

 この会議についてでございますが、本年五月、そういったところを目標にいたしまして改革案を取りまとめまして、令和五年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行、これをまずは着実に進めていこうということで、子供たちにとって望ましいスポーツ環境の構築に引き続き取り組んでまいりたいと思っています。

山本(左)分科員 ありがとうございました。

 引き続き、スポーツの更なる発展、またスポーツを通じた地域社会づくりの貢献にも今後御尽力いただきたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、芸術文化へ話を移りたいと思います。

 我が国における、歴史的に貴重な美術品や重要な文化財が多くあります。その中で、有力な美術品をナショナルコレクションとして国内外に発信すべく、美術館、博物館における管理の徹底や、民間に所在する美術品の捕捉をDXを通じて実現するために、美術品DXによる管理適正化・市場活性化推進事業が令和四年度で新規予算がついておりますが、どのようなことを行う事業でしょうか。文化庁、簡潔にお答えいただければと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、グローバル化が進む中、アート市場の活性化による我が国アートの世界的な価値の向上など、我が国の文化芸術のグローバル展開につながる取組を強力に進めていくことが重要と認識しております。とりわけ我が国にはすばらしい美術作品が数多く存在しており、これらの魅力を世界に発信していくことは重要です。

 文化庁としましては、その前提として、美術館、博物館におけるかけがえのない収蔵品管理の徹底や、重要作品の来歴、価格等に関する情報の可視化、いわゆる見える化が不可欠と考えております。

 このため、令和四年度政府予算案におきましては、美術館、博物館における収蔵品の取扱いに関する業務標準化や、DX化により館の運営の効率化、経営体質の改善を図ること、そしてブロックチェーン等の技術を活用し、我が国に所在する優れた美術作品のトレーサビリティー確保を実証的に実施することを行うべく、新たな予算、四千四百万円を計上しているところでございます。

 文部科学省として、こうした取組を通じ、アート市場の活性化を強力に推進し、文化芸術の振興に向けて懸命に取り組んでまいりたいと考えております。

山本(左)分科員 ありがとうございました。

 美術品、文化財の適正な情報管理を進めることで、美術館などの人材不足への対応や、またその美術品の来歴がブロックチェーンで守られることによって取引市場の透明性が高められるということが理解できました。ありがとうございます。

 それでは、最後の質問に移りたいと思います。

 アート・フォー・ザ・フューチャーについてです。

 長期にわたるコロナ禍において、芸術文化活動をされる方にとっては破滅的な状況でした。例えば、音楽関係のフリーランスの方へのアンケートを見ますと、二〇二〇年は、前年の二〇一九年に比べて収入が約五割から七割減少したという方が約七割、しかも二〇二一年も変化なしと答えた方も七割、つまり公演の機会や収入は減ったままで、コロナ前まで回復しているとは全く言えない状況であります。

 そういった状況の中で、文化芸術活動を支援するアート・フォー・ザ・フューチャー、AFFとして支援をいただいておりますけれども、この制度について文化庁へお伺いいたします。

 このAFFには、実際に申請された方からの声として、個人やフリーランスへの申請が届かない制度ではないでしょうか、また、申請してから不備の指摘が繰り返され、ちゃんと直して出したにもかかわらず、最後、結果、採択されなかった、また、大手ばかりが採択されているんじゃないか。こういった声が、その制度についてありがたいな、ありがたい支援だと思いながらも、こういった声が実際に、制度を活用できなかった方からは落胆の声、不信感もありました。

 人が人前で演奏したり演じるという場が失われるというのは、稽古の時間を含めた労力、時間を含めて失われているということです。だからこそ、幅の広い支援が必要になるかと考えますが、AFFのこういった現状と今後の取組についてお聞かせください。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、文化芸術団体は今大変な状況でございます。そこで、令和二年度第三次補正予算におきまして、アーツ・フォー・ザ・フューチャー、AFF事業につきまして取り組んだところでございますが、予想をはるかに上回る多くの団体から申請を頂戴したところでございます。

 この事業の中では、おっしゃっていたとおり、交付、不交付の決定まで時間がかかるとか、あるいはコールセンターの回答が統一されていないとか、審査状況が分からないなどのお声も頂戴しているところでございます。

 他方で、申請の中には、同じ日時、場所で同じ演者による舞台で、内容を少し変えて別事業として二重に申請といったような事例とか、対象外経費もちょっと入っているんじゃないかとか、対象ではない古い年度の領収証が混じっているとか、ちょっとそういったものもございまして、団体側も一部不慣れだというのはもう承知していますけれども、いずれにせよ、こうした申請の実態を踏まえた形でこちらもチェックしなきゃいけないという状況もございます。

 我々の方でも、二重払いなどの誤った支給をするとまずいものですから、そうした事態を避けて、少しでも多くの団体を御支援させていただきたいと思っておりますので、今度はこっち側も丁寧に慎重に審査しなくてはならないというのも、また現場の事情もございます。

 いずれにしましても、こうした皆様からのお声、それから現場の実情も踏まえまして、次のアーツ・フォー・ザ・フューチャー2の事業におきましては、まずは審査体制の倍増を図るということと、あわせまして、審査の迅速化等、統一的な回答に努めたり、例えば申請から原則一か月以内に、交付か不交付か、はたまた差し戻して資料をお願いするとか、そういったことをお知らせするなどの運用の改善を図りたい、このように考えておりまして、こうした取組を検討しまして、文化芸術関係者に対して速やかに支援を届けることができるように努めてまいりたい、このように考えております。

山本(左)分科員 ありがとうございました。

 我が国のエンターテインメント市場というのは、コロナ前、二〇一九年には六千二百九十五億円と、二〇〇〇年以降ずっと右肩上がりで伸びてきた成長産業でした。この十年で見ても、二〇〇九年の三千百九十八億円の倍になっています。その成長を支えていたのはフリーランスである演者さんや技術者さんの皆様です。

 今、AFF2がこれから出るというお話をいただきました。エンターテインメント事業を守るだけではなく、ウィズコロナ、アフターコロナでアーティストの皆さんやエンターテインメントに関わる皆さんが更なる活躍をいただけるよう、問題点が改善され、そして使いやすくなったAFFをしっかり御活用いただけるよう、これはまた改めて、周知を含めて対応のほどよろしくお願いしたいと、改めてお願いを申し上げます。

 本日は多岐にわたる質問をさせていただきましたが、我が国のますますの発展、そして、子供たちが夢や希望を描ける、そういった社会にしたい、そういう思いで、文部科学省の皆様にはたくさん役割はあると思っております。どうか、私も頑張ってまいりますので、皆さんと一緒に頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

青山主査 これにて山本左近君の質疑は終了いたしました。

 次に、高見康裕君。

高見分科員 島根二区から初当選をいたしました、自由民主党の高見康裕でございます。

 島根県は、全国に先駆けて人口減少が進んでいる課題先進県でございます。課題解決の先進県になれるように、現場の声をしっかりと届けてまいりたいと思いますので、末松大臣始め政府の皆様の御答弁をどうぞよろしくお願いいたします。

 初めに、スポーツにおける人材育成について質問をさせていただきます。

 先日、自民党の部会で、サッカーの本田圭佑選手と意見交換をさせていただく機会に恵まれました。本田選手は、日本の子供たちのスポーツの現状につきまして、特に地方において運動量の少なさが非常に目立つ、そして、環境に恵まれている子とそうでない子のスポーツの格差がどんどん深刻になっているということを指摘をされました。

 この解決策としまして、本田選手は、幼少期からもっと公園で遊べるようにしてほしいという実にシンプルな提案をされたわけなんですけれども、裏返して言いますと、今の日本のスポーツというものが遊びとかけ離れてしまっているということだと私は感じました。

 本田選手が見てこられたアメリカまたオーストラリア、こういった国々では、スポーツというのはイコール遊びの延長という位置づけでございまして、楽しむものであるのに対し、日本の特に部活動ですとか習い事というのは、どうしても教育っぽさがあるといいますか、面白くなさそうで、わくわくどきどき感が薄いというようなことを本田選手はおっしゃっていました。

 本田選手いわく、海外では、幼少期に多くの種類のスポーツを楽しみながら経験をし、そして、周りの大人が体力測定などのデータも分析をしてあげて、何がその子供に合っているのか時間をかけて見つけるんだそうです。

 日本は、習い事や部活動で、最初から一つの種類のスポーツに絞って打ち込むのが普通であります。これでは、せっかくその子が持っている才能に気づかないかもしれない、また、バランスのよい身体の発達を阻害してしまう、また、燃え尽き症候群になってしまう、こうした様々な弊害があると考えられます。

 そこで、末松大臣にお尋ねしたいのですが、幼少期に複数のスポーツを楽しむことを奨励すべきだと考えますけれども、大臣の御見解を伺います。

末松国務大臣 高見先生には、島根二区から当選されまして、これから文部科学省が大変お世話になりますけれども、よろしくお願いを申し上げます。

 先生の今の御質問をお聞きしておりまして、印象的なワードが、遊びとわくわく感という言葉かなと思うんですけれども、私自身が、昔と比べて少なくなったのは、子供たちにとって、空き地とやはり時間かな、そういう感じを抱いてございます。

 幼少期から多様な運動やスポーツに親しむことは、生涯にわたってたくましく生きるための健康や体力の基礎を培うとともに、何事にも積極的に取り組む意欲や態度を培う等、人間形成に重要な役割を果たしてございます。

 文部科学省では、幼児期運動指針を策定いたしまして、幼児は様々な遊びを中心に毎日合計六十分以上楽しく体を動かすことが大切である、このことを示すとともに、令和四年度予算案では、幼児期から運動習慣形成プロジェクトを計上し、子供たちが多様な運動遊びを継続的に経験できる環境の充実を図りたいと考えております。また、小学校学習指導要領の体育におきましては、各種の運動遊びの楽しさに触れることを目標の一つといたしまして、子供たちが多様な運動に親しめる環境づくりに取り組んでおります。

 先ほど本田選手の話が出ましたけれども、現在開催されております北京オリンピックのスキージャンプで金メダルを獲得されました小林陵侑選手は、小中学校時代、レスリングやラグビー、ボクシングなど多様なスポーツに取り組んでおり、また、スノーボードで金メダルを獲得しました平野歩夢選手は、幼少期から同時にスケートボードも行い、東京五輪の日本代表になられたり、そして、高木美帆選手は、五歳からスケートを始めるとともに、七歳からサッカーに打ち込んで、中学校時代にはサッカーで北海道選抜のメンバーに選ばれてございます。こうした多様なスポーツに取り組むことがパフォーマンスの向上やバランスのよい体づくりに効果的であるという御指摘のとおりでございます。

 文部科学省におきましては、こうした取組を通しまして、子供たちが多様な運動やスポーツを楽しむことができる環境づくりに、先生の御指摘を踏まえまして、積極的に取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

高見分科員 力強い御答弁を本当にありがとうございました。

 多様なスポーツという以前に、遊びを子供たちが経験をして、子供の可能性をもっと広げてあげる、才能に気づいて引っ張り上げるというのは大人の責務だというふうに思います。この複数スポーツ、遊び、推奨していただいて、これからも大臣の御尽力をいただきますよう、どうかよろしくお願いいたします。

 大臣はここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 それでは、質問を続けさせていただきます。

 次に、お金に関する教育についてでございます。

 日本のプロスポーツ選手の多くが、二十代あるいは三十代という若さで引退をした後、社会人としての第二のキャリアで困難に直面をしてしまうというのが日本の現状でございます。

 私は、本田圭佑選手に、これはなぜでしょうかという質問をいたしました。本田選手の答えは、学校でお金について教えていないから、競技のこと以外何も分からないアスリートが育ってしまうんです、こういうふうにお答えになりました。本田選手いわく、アメリカの貯金箱には四つの穴がある、日本の貯金箱には一つ、貯蓄しか教えてくれないけれども、アメリカでは、子供ながらに、貯蓄、投資、寄附、消費とお金にはたくさんの使い道があることを教えてくれるというお話をいただきました。実に示唆に富んだお話だと感じました。

 そこで、学校でお金について教えることの重要性について所見を伺いたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 児童生徒が発達段階に応じて金融に関する基本的な仕組みや考え方を身につけられるようにすることは、極めて重要でございます。

 現在、学習指導要領に基づいて、小中高等学校で必要な内容を指導するということとされておりまして、例えば、中学校の技術・家庭科におきましては、購入方法とか支払い方法の特徴が分かり、計画的な金銭管理の必要性について理解する、あるいは、売買契約の仕組みとか、消費者被害の背景とその対応について理解すること、さらに、来年度から学年進行で実施される高校の学習指導要領、家庭科におきましては、家計の構造とか家計管理について理解するとか、生涯を見通した生活における経済管理、計画の重要性について、ライフステージや社会保障制度など、関連づけて考察するとか、将来にわたるリスクを想定して、不測の事態に備えた対応などについても触れることとしております。

 文部科学省としては、引き続き、金融に関する教育というのをしっかりと指導要領に基づいて推進していきたいと考えております。

高見分科員 成人年齢の引下げということもございます。また、スマートフォンで子供でも簡単に買物ができる時代になっております。ますますお金の教育の重要性は高まっていくと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 二点目に、ICTを活用した教育について質問をさせていただきます。

 オミクロン株の流行に伴い、島根県でも、先月、小中学校、高校で一斉休校を余儀なくされました。ICTを活用したオンライン授業の実施状況を確認しましたところ、一部の学校では積極的に実施しているところがあるものの、多くの学校ではまだまだ、プリントを配付したり、多めに宿題を出したりという状況でありました。自治体や学校による温度差がかなり激しく、これからGIGAスクールを推進していくということを考えると、早急な改善が必要だということを痛感をいたしました。

 そこで、質問ですけれども、オンライン授業などICTを活用した教育が順調に実施されているとは現状言えないと私は思いますけれども、現状と課題、そして対策について伺いたいと思います。

伯井政府参考人 ICT活用、GIGAスクール構想により、一人一台端末の整備というのを進めたわけでございますが、令和三年度からが本格的に運用を開始したということで、様々な課題もございます。そういう意味で、地域間の格差というのも依然あるというのが現状でございまして、それをいかに埋めていくかというのを、いろいろな取組を進めているところでございます。

 さらに、今回の臨時休業により、やむを得ず登校できない状況にあった場合でも、このせっかく進めた端末整備も活用しながら、学びを継続する体制をしっかり構築してもらうことが重要であるというふうに我々は考えております。

 そういう意味におきまして、先般、非常時の端末の持ち帰りに関する準備状況調査というのを、この一月末現在、まさにコロナ禍での臨時休業が多く行われている現時点において、全国の公立の小中学校を対象に調べました。九五・二%の学校において端末の持ち帰りの準備済みという回答を得ております。

 ただ、自宅等の通信環境が整っていないところについては、モバイルルーターの貸出しとか、あるいは一部の児童生徒のみ登校といった代替手段も併せて講じてもらうよう指導も行っているところでございます。

 文部科学省としては、準備はできているという回答はあるんですけれども、実際にオンラインを活用した学習も含めまして、臨時休業期間中の学習指導がどのように行われたかという取組状況を把握して、それを公表し、改善していくということも重要であるというふうに考えてございます。現在、その調査を実施しているところでございます。

 調査結果を踏まえまして、オンライン学習の充実を始めとして、新型コロナウイルス感染拡大の中においても切れ目なく学びを継続できるよう、あらゆる手段を講じて学びが継続できるよう、しっかり取り組んでいきたいと考えております。

高見分科員 現在、調査をしていただいているということでございます。端末とか環境とか、そういったことは順次整えていただいておりますけれども、私は、できているところ、できていないところには意識の差がかなりあるということも感じております。その点の分析も是非進めていただきたいと思います。

 私が実施していないところに聞いた限りでは、やはり、一部に環境が整わない生徒がいる家庭があるということで、全体を実施していない。私は、できないところに合わせて何もしないというこの発想だけは一日も早く捨ててもらいたいというふうに思っています。九割であってもオンラインに対応できるのであれば、残り一割の生徒には、個別に、より手厚くサポートができる、こうしたことで、いきなり百点を目指すのではなくて、五十点でも六十点でもいいから、まずはできることからしっかり始めていく、こういう発想をどうか徹底していただくようにお願いをいたします。

 さて、ICTを活用した教育が普及をすれば、このコロナ禍を乗り切るためだけではなくて、大規模災害や、例えば長期の入院療養をしなければいけない場合、あるいは不登校のようなケースでも、学びを止めないことが可能になると考えます。オンライン授業をきっかけに、不登校だった生徒が授業に参加をして、その後教室にも通えるようになったという事例も何件も報告をされています。

 熊本市が、コロナ禍の初期、令和二年に、一斉休校時に全部の小中学校でオンライン授業を導入しましたけれども、それまで授業を受けられなかった不登校の子供たちが授業に参加するようになって、結果、この一斉休校が解除されて学校が再開された後も、熊本市はオンライン授業を継続して学びを保障しているということを聞いています。

 そこで、不登校の児童生徒に対するオンライン授業の活用について見解を伺います。

伯井政府参考人 御指摘の不登校につきましては、平成二十八年度に教育機会確保法が成立いたしまして、不登校自体が問題行動であるというふうに受け取られないよう配慮することや、個々の状況に応じた支援が必要であるということが規定されました。こうしたことを受けて、不登校児童生徒に対して、ICTを活用した学習支援を含め、教育の機会を確保していくということはすごく重要であるというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、不登校児童生徒が自宅においてICTを活用した学習活動を行った場合に、一定の要件の下、指導要録上の出席扱いとできるというふうにしておりまして、この取組によって、不登校児童生徒の学習意欲や成果を認めまして自己肯定感を高めるなど、社会的自立を支援することにつながるというふうに考えております。

 さらに、不登校児童生徒へのICTを活用した学習支援につきましては、各教育委員会等に対して、好事例、こういう様々な自治体の取組の周知を行っているところでございまして、引き続き、先ほどの教育機会確保法の規定の趣旨も含めまして、支援が一層円滑に行われますよう、必要な取組を進めていきたいと考えております。

高見分科員 御答弁をいただきました教育機会確保法、不登校というだけで問題行動であると受け取られないように配慮すると明記をしていただいたことを大きな前進だと思っています。不登校の子供を学校に行かせることが、これが一番の目的であってはいけないと私は思っています。不登校であっても学びの機会を保障する、これが一番最上位の目的だと私は思っています。この考え方を浸透させる努力を引き続きお願いをしたいと思います。

 三点目の質問でございます。地方国立大学の活性化について質問をいたします。

 島根県は、高校卒業と同時に多くの十八歳の若者が県外に流出をしてしまう、これが人口減少の根本的な要因であります。その背景にありますのが、島根県が全国で唯一、私立大学がない県だということであります。

 具体的に申し上げれば、毎年、高校を卒業する生徒が約六千人います。このうちほぼ半数が大学、短大に進学をします。しかしながら、県内に進学先が、受皿となるのは島根大学と島根県立大学の二校しかなく、合わせても定員千七百人分しかありません。千七百といっても、この半数以上は県外生ですから、実際はもっと少ないわけです。進学の受皿というのが明らかなボトルネックになっている結果、地元に残りたくても残れず、県外の進路を選択せざるを得ない若者が相当数いるというのが厳しい実態であります。

 私立大学がないという点は島根の特殊事情でありますけれども、このような若者が流出してしまうというのは、多くの地方に共通する構造的な問題であると考えます。

 この問題をクリアするために、島根大学では、現在、産学官が連携をして地域で活躍する人材を育成しようと、世界トップレベルの先端金属研究が可能となる新学部の設置と定員増を柱とする大学改革に着手をしているところであります。

 そこで、島根大学のように地方創生の実現のために改革に取り組む地方国立大学、国として支援をしていくことが重要だと考えますけれども、見解をお聞かせください。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国全体の教育研究機能の強化のため、また地方創生の駆動力として地域の経済発展や課題解決を牽引するため、地域の中核となる地方国立大学の役割は重要であるというふうに認識しております。

 このような中、地方公共団体、地元産業界、他の高等教育機関等を巻き込み、地域のニーズを踏まえて、地方創生に資する魅力ある地方大学の実現のため、真に地方創生に取り組む地方国立大学に対する特例的な定員増を実施することとしておりまして、令和五年度の対象大学については現在公募中ということでございます。

 また、地方国立大学の支援といたしましては、令和四年度予算案において、地域のステークホルダーとの抜本的な連携、協働を通じた地方創生に資するため、教育研究組織の改革や経営改革といった取組に対する重点的な支援を行うために必要な経費を計上しているところでございます。

 文科省といたしましては、引き続き、島根大学を始めとする地方創生の実現のために改革を進めている地方国立大学に対し様々な支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

高見分科員 ありがとうございます。まさに産官学巻き込んだ、地方創生のプラットフォームのような存在になると私は思っていますので、引き続き御支援よろしくお願いいたします。

 人材が地方に定着をするためには、受皿となる大学の入口と併せて、もちろん、出口となる、つまり地元での就職を支援していくということが重要であります。

 これに関して、政府では、平成二十七年度に導入された、若者の地元就職あるいは都市部からのUIターンを促進をするために、奨学金返還を自治体が支援する場合にその取組を推進する、こうしたすばらしい取組をされているところであります。この取組を更に推進することが重要だと考えますけれども、見解を伺います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のように、地方創生を推進するためには、若い世代の地方への流れを促進し、地域を担う人材を確保するということが重要でございます。

 御指摘の自治体による奨学金返還支援は、地域の未来を担う若者のUIJターンを促し、地域経済の活性化や人手不足の改善につながる重要な取組と認識してございます。

 政府といたしましても、奨学金返還支援に取り組む地方公共団体に対しまして特別交付税措置を講じておりますほか、内閣官房のポータルサイトによる一括した広報、周知などを通しまして、地方公共団体の取組を推進しているところでございます。

 今後も、積極的な周知、広報によりまして、より多くの若者の地方への定着につながりますように取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

高見分科員 すばらしい取組だと思います。もっともっとこの件数が伸びていくように、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、教職員定数の確保について質問をいたします。

 国は、児童生徒へのきめ細かい対応を可能にするために、小学校への三十五人学級を導入することとしています。このこと自体は重要なことでありますけれども、その実現のために、様々な課題に対応する国の加配教員が減ることがあれば、本末転倒ではないかという懸念をしているところです。

 具体的には、補助的な教員が授業に入ってサポートをするチームティーチング、あるいは、ますますニーズが増えている通級指導や生徒指導、日本語指導といった重要な役割が担保されるのか、学校における諸課題が複雑困難になる中、課題解決が難しくなるのではないかとの不安が教育現場からも聞かれます。

 そこで、三十五人学級実現のための教員は、加配定数とは別に確保すべきだと考えますけれども、見解をお聞かせください。

伯井政府参考人 御指摘のように、昨年三月、義務標準法を改正いたしまして、約四十年ぶりに公立小学校の学級編制の標準を四十人から三十五人に引き下げるということで、一人一人のニーズに応じたきめ細かな指導を可能とする指導体制を計画的に整備していくということといたしました。

 一方で、地域地域の実情とか、あるいは児童生徒の状況に応じた支援も重要であることから、個々の教育課題に応じた加配定数ということにつきましても、必要な教職員定数は引き続き確保することが重要というふうに考えております。

 そのため、令和四年度予算案におきましては、小学校第三学年の三十五人学級実施のために必要な三千二百九十人の基礎定数改善に加えまして、それとは別に、小学校高学年における教科担任制推進や、複雑化、高度化する教育課題への対応のため、千三十人の加配定数の改善を盛り込んでいるところでございます。

 引き続き、新しい時代を見据えた学校教育の実現ということで、教員定数配置の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

高見分科員 まさに今答弁でおっしゃった、地域の実情ということをおっしゃいました。この点を忘れずに取り組んでいただけたらというふうに思っております。

 まさに、冒頭申し上げましたように、島根県、人口減少の最先端を行く県でございます。少子化も最先端。そうすると、多くの中山間地域の学校というのは、一クラスが元々三十五人以下の学校がほとんどでございます。そういう学校では、四十人学級が三十五人になる恩恵ということは及ばない一方で、その他の加配教員が減ることになれば、マイナス面だけが感じられてしまう。そういう現場が地方に行けば行くほど多いんだということを改めて認識をしていただき、今後の施策に生かしていただけたらということを思います。

 次に、特別支援教育の充実のための教員定数の改善についてであります。

 通級指導教室において、小中学校の教員定数基準を児童生徒十三人に対し先生一人と国は定めています。

 島根県の事情を重ねて申し上げますと、非常に東西に長く、また大部分が中山間地域、そしてかつ離島も抱えている、そうした県でございます。小規模校が非常に広範囲に点在をしている、そういう県でありますので、一人の教員が何校も巡回をして十三人の児童生徒を教えるということは極めて難しいというのが地域の実情でございます。

 そこで、この教員配置に当たっては、決して、十三人に一人という、機械的に判断をされるのではなく、地理的条件などにも配慮していただきたいと考えますけれども、見解をお聞かせください。

伯井政府参考人 通級指導につきましては、平成二十九年三月に義務標準法を改正いたしまして、従来の加配定数措置から、今御指摘いただきました、対象となる児童生徒数十三人につき一人という形で算定される、いわゆる基礎定数化が図られたわけでございます。この基礎定数化は、平成二十九年度から十年間かけて段階的に実施することとしております。

 我々として、まずこの基礎定数化を確実に進めていくということによって、通級指導の担当教員の採用、研修、配置というのが安定的、計画的に行いやすいようにしていくということも重要であるというふうに考えております。

 一方で、通級による指導の形態につきましては、今御指摘いただきましたが、各教育委員会において、いわゆる自校通級とか、ほかの学校に行く他校通級、それから巡回指導というそれぞれの指導形態の特徴、効果、児童生徒や保護者の負担等を総合的に勘案して選択されているというふうに承知しております。

 基礎定数化以降、全国的に見れば、通級による指導の教員定数は着実に充実されておりますが、通級による指導の基礎定数化が始まり五年経過したということも踏まえ、通級による指導を含めた特別支援教育の充実に向け、引き続き必要な指導体制等については検討していきたいと考えております。

高見分科員 基礎定数化を今進めていただいている、このことはもちろん重要なことだというふうに受け止めております。その上で、今御答弁いただきましたように、様々な事情を総合的に勘案をしていただくというお話でございました。ですので、決して機械的ということではないというふうに受け止めました。多くのこの通級指導のニーズ、今増えていく一方だというふうに思っております。こうした子供たちがしっかりと学びの機会を得られるような施策を引き続きお願いをしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

青山主査 これにて高見康裕君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十七日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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