衆議院

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第1号 令和5年2月20日(月曜日)

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本分科会は令和五年二月十五日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      岩屋  毅君    亀岡 偉民君

      三谷 英弘君    西村智奈美君

      庄子 賢一君    緒方林太郎君

二月十七日

 三谷英弘君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和五年二月二十日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 三谷 英弘君

      五十嵐 清君    岩屋  毅君

      亀岡 偉民君    古川 直季君

      本田 太郎君    山下 貴司君

      青山 大人君    小宮山泰子君

      西村智奈美君    道下 大樹君

      山井 和則君    庄子 賢一君

      中川 宏昌君    緒方林太郎君

   兼務 石原 正敬君 兼務 平沼正二郎君

   兼務 一谷勇一郎君 兼務 堀場 幸子君

   兼務 鈴木 義弘君

    …………………………………

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  廣瀬 健司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 滝澤 幹滋君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房経済安全保障推進室次長)     品川 高浩君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局次長)       澤川 和宏君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官)      坂口昭一郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       金井 正彰君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            森  晃憲君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     上田 英俊君

  西村智奈美君     山田 勝彦君

  庄子 賢一君     中川 宏昌君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     山下 貴司君

  山田 勝彦君     山井 和則君

  中川 宏昌君     山崎 正恭君

  北神 圭朗君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  山下 貴司君     五十嵐 清君

  山井 和則君     青山 大人君

  山崎 正恭君     國重  徹君

  福島 伸享君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     古川 直季君

  青山 大人君     小宮山泰子君

  國重  徹君     庄子 賢一君

  吉良 州司君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     本田 太郎君

  小宮山泰子君     道下 大樹君

  仁木 博文君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     岩屋  毅君

  道下 大樹君     西村智奈美君

同日

 第二分科員鈴木義弘君、第五分科員一谷勇一郎君、堀場幸子君、第六分科員平沼正二郎君及び第八分科員石原正敬君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

三谷主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました三谷英弘です。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。永岡文部科学大臣。

永岡国務大臣 令和五年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 令和五年度予算の編成に当たっては、教育、科学技術イノベーション、スポーツ、文化芸術関連施策を推進するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆二千九百四十一億円、エネルギー対策特別会計千八十六億円などとなっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

三谷主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三谷主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

三谷主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

三谷主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平沼正二郎君。

平沼分科員 おはようございます。自由民主党の平沼正二郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたこと、誠にありがとうございます。そして、同じ大学の先輩であります永岡大臣、ありがとうございます。

 早速ですが、質問に入らせていただきます。

 今、様々な課題が日本にはございますが、少子化、防衛力の強化、地方創生など、特に、少子化問題というのは静かなる有事と言われるぐらい深刻な問題でございまして、国力の根幹はやはり人口でございまして、現在の日本のGDPを維持するためには、やはり相応の人口規模も必要となります。

 しかしながら、現在の見込みにおいては、生産年齢人口の予測として、二〇五〇年には五千二百七十五万人、二〇二一年から二九・二%減になると言われております。そうなると、先ほど述べたとおり、経済規模の維持が大変困難な状況になるのではないかと思っております。

 現在、少子化対策においては様々な議論が行われておりますけれども、実際に現在の対策が功を奏して人口増の傾向が出せたとしても、生産年齢の人口になるまでには恐らく最低でも十五年、十八年かかります。つまり、将来の人口増対策というのは現状においては投資の段階で、やはりリターンが出てくるのは先になるというわけであります。

 では、投資効果が出てくるまでの間に何をしなければならないのか。それはやはり、現状の人口の人数においていかに経済の効率性を上げていくのかというのが大事になってくるんだろうと思っております。そして、その効率性を上げるための鍵となるのが、やはり私は人材の育成ではないかと思っております。そして、様々な人材育成というのがありますけれども、今最も不足しているのが私はデジタル人材ではないかなと考えております。

 先ほどの生産効率性もそうなんですけれども、こういった生産効率性を上げるには、今後、デジタルの活用というのが非常に不可欠、重要でございますし、防衛における例えばサイバーセキュリティーの分野であったり、地方創生においては、今、デジタル田園都市国家構想の下、AIや自動運転技術、ドローン、こういったものを活用して農作業の効率化を図っていこう、こういったことが行われる予定でございまして、あらゆる施策にデジタル人材の活用というのが必要になってまいります。

 今後、デジタルの専門性を持った人材の育成がますます必要になることは明らかなわけでございますけれども、私は、この一つの解決策というか、その一端を担うのが、全国の国立高専をもっと活用するということが必要ではないかなと思っております。

 これは、地方における人材の創出であったり地方の活性化にも資するものであると考えておりまして、現在、私の地元である津山市にも津山高専というのがございます。実情として、今この津山高専がどうなっているかと申しますと、情報系のコース、こちらの募集枠においては、昨今の状況もあって、応募の人数が非常に多いという状況なんですけれども、現在、定員の枠自体がそんなに多くないという状況がありまして、希望どおりに入学できない、若しくは違うコースをやむなく選択するというようなことも発生しております。

 こういったものは非常にもったいないという状況でございまして、今後のデジタル人材の育成というのを考えると、高専における定数の拡大というのをやっていかないといけないなと思っておるんですけれども、その辺りの見解を是非お聞かせ願えますでしょうか。

永岡国務大臣 平沼委員にお答え申し上げます。

 今、御地元の津山高専のお話を伺いました。やはり、デジタル人材の育成を図っていく上では、御指摘のとおり、国立高専の果たす役割というのは大変重要だと認識をしているわけでございます。

 文部科学省においては、デジタル分野を始めとした成長分野を牽引する高度専門人材の確保に向けまして、新たな基金を設置をいたしまして、意欲ある大学、高専の学部再編等の取組を支援する中で、デジタル分野の学科の定員を増やす国立高専の取組も積極的に支援をしております。

 その際、人口減少に鑑みまして、一定期間経過後においては、ほかの学科の定員を縮小する等によりまして元の規模に戻していただくことを想定しておりますけれども、デジタル人材の確保のための高専の機能強化は大変重要でありますので、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

平沼分科員 大臣、ありがとうございます。

 先ほど、非常にいい回答をいただいたのかなと思っております。

 今後、基金等をつくっていただいて枠の拡大というのもやっていただく、ただし、やはり、先ほど大臣が述べたとおり、人口減というのがありますので、やみくもに増やしても余ってしまうという状況も発生しかねないので、そこは適宜注視していただいて対応していただいて、デジタル人材の育成というのをしっかりと尽力をしていただければ幸いでございます。

 次の質問に移ります。

 北朝鮮による拉致問題に関しての啓発、啓蒙活動についてお伺いいたします。

 特定失踪者を含む北朝鮮による拉致問題は、日本と日本人の安全を国家としていかにして保障するのかという最大の人権問題でございます。

 ごく普通に暮らしていた同胞が突然拉致され、家族と引き裂かれたままになっている。全ての拉致被害者を無事に取り戻すことは国家として当然のことでございます。

 そのためには、国民世論の喚起をして、国際的な連携をして、北朝鮮に圧力をかけ続ける必要があると思っておりまして、日本が国を挙げて拉致問題解決に取り組んでいることを国内外にはっきりと示し続けることで、初めて諸外国の理解と協力、共感を得られるものではないかなと思っております。

 その意味において、家族会の皆様や救う会の皆様の本当に大変な御苦労や悲しみを国民が理解し、共有し、共に行動するためにも、学校教育を通じての北朝鮮拉致問題解決への啓発というのは非常に重要であると私は考えております。

 拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律が平成十八年六月に施行されました。改定を経て、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関し、国民世論の啓発を図るよう努めることが国及び地方公共団体の責務であるとされました。

 平成二十年三月においては、「人権教育の指導方法等の在り方について」において、個別的な人権課題の中に、北朝鮮当局によって拉致された被害者等が明記されました。人権教育・啓発に関する基本計画においても、北朝鮮当局による拉致問題等が取り組むべき人権課題の一つとされ、拉致問題の解決のためには、幅広い国民各層及び国際社会の理解と支持が不可欠であり、その関心と認識を深めることが求められているとうたわれております。また、学校教育においては、児童生徒の発達段階等に応じて拉致問題等に対する理解を深めるための取組を推進することと明記されております。これは大変重要なことであると思っておりまして、北朝鮮における拉致問題は我が国にとって看過することができない問題であります。

 現在の義務教育課程、高校教育課程において拉致問題等に対する理解を深めるための取組についてお伺いをいたします。教育現場における北朝鮮拉致問題への授業等における実施状況について教えていただけますでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮当局による拉致問題は、人権教育・啓発に関する基本計画で人権課題の一つとして位置づけられており、各学校においても、地域の実情や児童生徒の発達段階に応じて取り組んでおります。

 文部科学省においても、各学校の取組をより一層促すため、これまで、学校におけるアニメ「めぐみ」等の映像作品の一層の活用や、内閣官房拉致問題対策本部が実施する作文コンクールへの協力を促すとともに、教育委員会の人権教育担当者等を集めた会議等の場で、教育委員会や学校における研修を促すなどの取組を推進しておるところでございます。

 また、学校における北朝鮮拉致問題への授業等における取組につきましては、文部科学省として、拉致問題も含めて、人権教育の好事例の普及等を行う人権教育研究推進事業を実施するなどの取組を進めているところでございます。

 拉致問題の若い世代への一層の理解促進を図るため、引き続き、拉致問題対策本部事務局と密接に協力をし、必要な取組を進めてまいりたいと存じます。

平沼分科員 ありがとうございます。

 いろいろな啓発活動に努めていただいているということでございまして、現状は要請になっているという状況もありまして、なかなか細かく実際にどうやったかというウォッチまでは難しい部分もあるのかなとは思っているんですけれども、文部科学省においても、啓発状況の把握など、引き続きしっかり努めていただければ幸いでございます。

 また、啓発活動においては、アニメ「めぐみ」、先ほどおっしゃっていただきましたけれども、あと、ドキュメンタリー映画「めぐみ―引き裂かれた家族の三十年」などが活用されていると認識しておりますけれども、民間制作の「めぐみへの誓い」という映画もございまして、私の地元で拉致問題解決に向けた啓発活動を熱心に行っている方々がいらっしゃって、私の事務所においてこの映画の上映会を開催したところ、御覧になった方々から、やはり認識を改めてしっかり取り組んでいかないといけないといったお声も上がって、非常にこういった民間制作の映画とかもなかなか効果があるのかなと考えております。

 やはり、こういった民間団体においても啓発活動に一生懸命御協力をいただいている方々が多くいらっしゃいます。是非、こうした民間の皆様と国、地方自治体も連携して、よりよい、より効果のある啓発活動を引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 次に、道徳の教育についてお伺いいたします。

 他者を思いやる、うそをつかない、家族を大切にする、自然を大切にする、こういった当たり前のことを当たり前に行えるということが重要でございますけれども、現在の社会を鑑みると、いじめの件数は増加しており、令和三年は約六十一万件、前年より一九・〇%増加しております。また、昨今においては、SNSなどにおいて、飲食店等において迷惑行為を面白がって投稿する事案などが多数発生し、道徳の向上というのが必要ではないかなと私は個人的に強く思っている次第でございます。

 例えば、昔であれば、悪いことをするとおてんとうさまに叱られるよと。こういった教師でもなく親でもなく、おてんとうさま、つまり、自然にあるようなもの、太陽だったり自然、つまりは、この世を形成する、世の中の、に対しての一種の敬意の表れみたいなものに基づいて、自分の行動が正しいものであるのかどうかということを自己判断するという自己意識の研さんが非常に重要であったのかなと思っているわけでございます。つまり、道徳的教育の役目とは、自分で考え、自分を律する力を養うことではないかなと私は思っております。

 よって、私は、学校教育における道徳の重要性を感じているわけでございますけれども、長く教科外活動として行われてきた道徳の授業が、小学校で二〇一八年度、中学校で二〇一九年度から特別の教科として再スタートをしております。現在までの取組状況に関してどのような見解を文部科学省としてはお持ちでしょうか。

藤原政府参考人 文部科学省では、道徳を特別の教科化して以降初めて、昨年度に道徳教育実施状況調査を実施したところでございます。その調査結果からは、以前と比べ教師の意識が高まるなど、総じて高い割合で前向きな変化が認識できるところでございます。

 特別の教科化が目指した道徳教育の量的確保とともに、考え、議論する道徳への質的転換の面でも取組は着実に進展しているというふうに考えているところでございます。同時に、道徳教育の更なる充実に向けて、学校、教育委員会共に、一層の授業改善や指導力の向上、評価の工夫や研修の在り方等について学校現場が課題として捉えているといった状況もうかがえたところでございます。

 文部科学省としては、こうした調査結果も踏まえ、授業づくりの参考となる授業映像や指導資料などを掲載した道徳教育アーカイブ、これの拡充や、オンラインを活用した研修機会の充実を図るなど、引き続き、考え、議論する道徳の充実に向けた授業改善、指導力向上の取組をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。

平沼分科員 ありがとうございます。

 いろいろと、割とよい結果も出ているようなお話も伺っております。他方で、先ほども申し上げたとおり、いじめの件数が減っていなかったり、そういった状況もありますけれども、そういったものを鑑みて、引き続き、改善また横展開等々を含めて検討いただければなと思っております。

 次に、我々政治家にとっても重要であるかと思いますけれども、政治教育に関してお伺いをいたします。

 我が国の政治離れというのは、ある意味深刻な問題でございます。現在の投票率を見ると、さきの衆議院議員選挙で五五・九三%、参議院議員選挙において五二・〇五%となっております。約半分の方は投票に行かない。そして、二十代ですと両選挙とも大体三五%ぐらいの投票率ということで、若年層においての投票率の低さというのは大変深刻でございます。

 原因は果たして何であるのかなと考えますと、いろいろな見方はあるかと思いますけれども、例えば、国内の情勢が非常に不安定な国であれば、政治の選択によって自分の生き死ににかなり直結するという国においては、投票率が非常に高くなるという傾向もあるのかなと思っております。

 その考えに立てば、日本の投票率の状況というのは、政治が特に変わらなくても日々の生活は維持されるという安定的な国を表しているのかなということもあるんですけれども、しかしながら、私は、やはり、我が国の政治離れの根底にあるのは、政治参画をしても何も変わらないよという一種諦めの要因も強いのかなと考えております。

 しかしながら、私も政治家として改めて思うのは、法律一つや政策によって国民の皆様の生活は変わりますし、よりよい国をつくっていくためには、政治に対する参画を高めていく努力が必要であると考えております。

 現在の教育現場において、政治に関しての教育は、特定の政党や意見に偏りが出ないようなどの配慮から、政治のシステム面、つまり、選挙制度や投票の仕方であったり、こういったものの教育がメインになるかなと認識をしておりますけれども、しかしながら、先ほど述べたとおり、若年層における投票率の低下など、若い方の政治離れが我が国では顕著であります。

 他方、諸外国において見ると、若者も結構熱心に政治参画をしているようなイメージを持っているんですけれども、例えば、他国における政治教育の取組例などに関して教えていただけますでしょうか。

藤原政府参考人 諸外国において政治教育は、特に中等教育段階の社会科、市民科、公民科、政治科などの教科の中で扱われておると承知をしております。

 例えば、ドイツにおいては、学校教育で、実際の選挙に合わせて選挙の仕組み、政党、候補者などについて授業で学んで模擬投票を実施したり、社会科や政治などの授業を中心に、民主的な生活態度やそれに結びついた行動様式などが学ばれたりしている例があるというふうに承知をしております。

 また、ドイツでは、学問と政治の世界において議論があることは、授業においても議論があることとして扱わなければならない、こういう論争性の原則などを掲げるボイテルスバッハ・コンセンサス、こういう政治教育の基本原則があるということで、こうした考え方の下で学校での政治教育が行われているものと承知をしております。

平沼分科員 先ほどドイツの例を教えていただきましたけれども、非常に洗練されたシステムなのかなと、聞いて思っております。実際の選挙に合わせて授業を行う、なかなか日本では考えられないような議論も行われているということで、しかしながら、やり方も含めて参考にする部分もあるのかなと思いますし、より政治に興味を持ちやすいような仕組みというのも形作っていく必要があるのかなと思っております。

 ところで、我が国においては、二〇一六年六月に改正公職選挙法が施行され、選挙年齢が十八歳以上に引き下げられましたけれども、現在における教育の場での政治教育の取組に関して教えていただけますでしょうか。

藤原政府参考人 選挙権年齢の引下げにより、よりよい社会の実現を視野に国家、社会の形成に主体的に参画しようとする力などを育む主権者教育をこれまで以上に充実することが求められております。

 従来、学校教育では、学習指導要領に基づき、政治参加の重要性や選挙の意義等について指導を行っておりましたが、今年度からは新たに、高等学校で、自立して社会に参画する力を育むことを狙いとした必履修科目、公共を実施しているところでございます。

 また、文部科学省では、平成二十七年以降、総務省と連携し、全ての高校生に対して政治や選挙等に関する副教材を配付することにも取り組んできているところでございます。

 こうした中で、実際に学校現場では、政治的中立性を確保しながら、実際の選挙公報を基に政党間の政策を比較した資料を参考に議論して模擬選挙を実施する、こういった取組や、高校生議会を開催し、実際に市町村の議会で質問する機会を設定する、こういった様々な実践的な取組が行われているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、各学校において、学習指導要領に基づき、しっかりとした指導が行われるように努めてまいりたいと存じます。

平沼分科員 ありがとうございます。

 引き下げられたことによって、高等教育においても様々な取組をしていただいているということで、先ほどのドイツの例にも近いような模擬的なものをやっていただいたりとか、本当の今の政策とかには余りリンクしないのかもしれないんですけれども、非常に効果的なものであると思いますので、引き続き尽力をしていただければ幸いでございます。

 次に、全く今までとはがらっと変わった質問をさせていただきます。

 これは文化庁の方にお伺いをいたしますけれども、特別天然記念物のオオサンショウウオが私の地元の真庭市の湯原地域に生息をしておりまして、ちなみに、地元ではオオサンショウウオじゃなくてハンザキと呼ぶんですけれども、これは半分に裂いても生きるぐらい生命力があるみたいな話みたいなんですが、諸説あるそうです。

 現在のオオサンショウウオ保護に関しての取組状況について教えていただけますでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 オオサンショウウオは、日本固有の動物であり、現存する世界最大級の両生類であることから、世界的にも学術上貴重で、特に価値が高いものとして、文化財保護法に基づき、昭和二十七年に特別天然記念物に指定されております。また、岡山県真庭市など四か所において、生息地が天然記念物に指定されています。

 この指定により、捕獲などを行うときや生息地の改変を行う際には、文化財保護法の規定に基づき、事前に文化庁長官の許可が必要となります。

 さらに、文化庁では、自治体が実施する天然記念物の生息状況や生息環境の調査等に対して補助を行っており、オオサンショウウオについては、今年度は、岡山県鏡野町など、全国一県六市町村に対し支援を行っているところでございます。

 文化庁といたしましては、こうした貴重な特別天然記念物に係る自治体の事業に対し、今後とも必要な支援を行ってまいります。

平沼分科員 ありがとうございます。

 保護の対象としてやっていただいているということなんですけれども、実は、オオサンショウウオの保護活動をしている団体の方から聞いたんですけれども、オオサンショウウオが湯原地域においては生息域から川下に流れてしまうということがあるそうです。そして、川下に行ってしまうとうまく繁殖をしないということがあるそうで、個体を生息域に戻すという作業をしていただいております。そして、生体にチップを埋め込む。これはなかなか大変な作業でございまして、そんなにたくさん一遍にできないというのもあるんですけれども、以前、国が、環境調査ということで、たくさんの個体を川上に戻して、そしてチップを埋め込んでくれたことがございまして、これ自体は非常に地元の人も感謝しておりまして、よくよく私の方で調べたところ、これは国交省の予算で実は行われておりました。

 なぜかというと、上流にあるダムの改修計画があるということで、放流量がその後変わってしまう可能性があるため、生態調査をしなければならないということでやっていただいたものでございまして、しかしながら、これはワンショットの調査でございますので、永続的に行うものではありません。

 現在、オオサンショウウオは、国内のみならず、実は海外の方にも非常に人気が高いとも聞いておりまして、エコツーリズムということを企画されて、オオサンショウウオの生息域を見に行くというようなのもやられておりまして、注目を集めております。特別天然記念物というだけではなくて、観光的側面でも活用ができるのではないかという期待も出てきております。

 オオサンショウウオを適切に保護していくためには、文化庁の皆様、そして河川の改修に関わるとなると国交省、そしてエコツーリズムや河川の環境整備という観点からすると環境省との連携も必要になっております。現在、残念ながらばらばらでいろいろやられているという状況がありますので、是非連携して、予算面も含めて、生態の保護に努めていただければ幸いでございます。

 時間も少なくなってまいりましたので、最後にGIGAスクール構想に関してお伺いをいたします。

 GIGAスクール構想の下で一人一台端末の整備がされましたけれども、学校によって活用法がまちまちであるような印象を私は持っております。現状、実際の教育現場における一人一台端末における取組に関してはどのように把握されておりますでしょうか。

藤原政府参考人 GIGAスクール構想に基づく一人一台端末の本格的な活用が始まっておりますが、今年度の全国学力・学習状況調査によれば、全国の八割以上の学校で週三回以上授業で端末の活用がなされている、こういう結果が出ている一方で、その中身を都道府県ごとに分析をいたしますと、ほぼ毎日端末を活用していると回答した学校の割合は、最も高い県では八割ぐらい、最も低い県では二割程度というふうになっているなど、地域間、学校間でばらつきが見られているということが明らかとなっているところでございます。

 こうした差が生じている背景は様々であると考えておりますけれども、例えば、地域によっては研修やサポート体制が十分整っていない、端末活用の意義や指導方法が十分に浸透していない、ネットワーク環境が十分に整っていないといったことなどが課題として考えられるところでございます。

 こうした格差を是正するため、令和四年度第二次補正予算及び令和五年度予算案におきまして、学校のICT活用を広域的かつ組織的に支援するGIGAスクール運営支援センターの機能強化や、効果的な実践例を創出し、モデル化して横展開をするリーディングDXスクール事業などの取組を進めることとしております。

 引き続き、現場の声に耳を傾け、国が責任を持ってGIGAスクール構想を加速してまいりたいと存じます。

平沼分科員 ありがとうございます。

 私も八歳の小学校二年生の息子がおりまして、端末を持って帰ってたまにやっておりますけれども。私もたまに参観などにも行ったりしますけれども、本当に先生は結構大変そうだなという印象も持っておりまして、通常の授業の業務というのももちろん大変なんですけれども、それに加えてITを活用した学習をされるということで、結構先生によってもスキルの差がありますので、先ほど、好事例を展開していくような話とか、そういうのもあったかと思いますけれども、やはり先生たちのITスキルを上げていくような必要性というのも非常に出てきているかなと思っております。

 先ほど最初に申し上げたとおり、IT人材の育成、こういったのも非常に重要でございますので、引き続きこういった面も含めて推進をしていただければ幸いでございます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

三谷主査 これにて平沼正二郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、石原正敬君。

石原(正)分科員 おはようございます。

 冒頭なんですけれども、永岡大臣におかれましては、私、質問はございませんので、もしよければ御退席いただいても結構でございますので、よろしくお願いします。

 では、質問をさせていただきます。

 今日は、日本語教育機関とスポーツ振興策、大きくこの二つ、質問をさせていただきたいと思います。

 日本語教育機関、いわゆる日本語学校なんですけれども、コロナ禍におきまして、外国から生徒さんが来ることができない時期が続きまして、大変厳しい、経営的にも厳しい状況があった。これは文化庁あるいは文科省も認識をしていただいていると思います。

 そういったこともありまして、今、大変苦しい状況にあるということをまず御認識いただきたいなというのが冒頭の私のお願いでありますことと、もう一つは、今日は日本語教育の質の問題をテーマにするわけなんですが、確かに、外国人の方に日本語を教育する、これは質の問題、大事なわけでありますけれども、一方で、初めて外国から日本に来られた方の入口がこの日本語教育機関になっておりますので、日本語を教える以外にも、日本の生活習慣とか、あるいは彼らが生活していく、収入を得るとか、そういった部分についても非常に、手間がかかると言うとちょっと言い過ぎかも分かりませんが、日本語学校の先生方というのは非常に苦労されている。

 こういう状況にある中において、今日は日本語教育の質について質問をさせていただくということでございますので、まず御認識をいただければと思います。

 さて、質問に入ります。

 日本国内における日本語学習者といいますのは、三十年ぐらい前、平成二年、一九九〇年に約六万人であったと聞いております。二〇〇〇年に入りまして十万人を超え、二〇一九年に過去最高の約二十八万人となった。その後、新型コロナの影響で減少しましたけれども、ここ三十年間は、コロナ以外は増加の一途をたどってきたということでございます。

 このような中、二〇一九年、令和元年に、議員立法によって日本語教育の推進に関する法律が成立しまして、その後、政府としても、文化庁は有識者会議を設置するなど課題を議論してきたと伺っております。日本語教育の環境整備が大きな課題であり、例えば、先ほど申し上げましたように、教育の質の確保、日本語教育機関の正確な情報提供、あるいは専門性の高い日本語教師の確保などが課題にあると伺っております。

 そこで、まず、二〇一九年の推進法の成立の背景や経緯、加えて、その後の文化庁の有識者会議などで議論された日本語教育機関の課題について御答弁願います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、我が国の在留外国人数は御指摘のとおり増加傾向にございまして、今後もその数の増加が見込まれております。

 しかしながら、その中には、我が国において生活するために必要な日本語を理解し使用する能力を身につけていない者も多数に上り、こうした外国人は、日常生活、社会生活を円滑に営むことができないため、社会的に疎外される要因となっています。このため、外国の方々が我が国の社会に包摂され、共生社会を実現する観点から、我が国において生活するために必要な日本語を理解し使用する能力を身につけられる環境の整備が必要となっています。

 こうした中、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、先ほども御指摘ありました、令和元年に日本語教育の推進に関する法律が成立いたしまして、現在、同法に基づきまして、日本語教師の資格制度及び日本語教育機関の教育水準の維持向上のための評価制度の整備について検討を進めているところでございます。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 現在議論をしていただいているということでありますので、ここからの質問は逆にちょっと要望めいたことになるかも分かりませんが、よろしくお願いします。

 まず、一つ目なんですけれども、日本語教育機関における量と質の問題が明らかになってきたということでございます。

 その背景には、これまでの日本語教育機関は、それぞれの教育機関の設置の背景が多様であるということだと思います。例えば株式会社であったりとか、あるいは地方公共団体であったりとか、財団法人であったりとか、様々であります。それは多分、設置の時期とか、その地域の目的とか地域事情とかも含めて、設置主体が多様になってきたんだろうなと思います。この多様な主体というのを私は好ましいことだと思うわけなんですけれども、一方で、教育の質を確保するという視点が少し弱かったということが課題として明らかになったんだと思います。

 そこで、現時点における日本語教育機関の数と設置主体の割合、それに対する在籍学習者の数について御答弁願います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁の調査によれば、国内の日本語教育実施機関、施設等の数は、令和三年度現在で二千五百四十一となっています。このうち、法務省に告示され留学生を受け入れることができる日本語教育機関の割合は約二六%で、学習者の数は約三万四千人、大学等教育機関の割合が約二一%で、学習者の数は約四万二千人、任意団体の割合が約一六%で、学習者数は約九千人などとなっています。今御指摘のあったような、株式会社立とかいろいろな設置主体があります。学校法人立とかいろいろございます。

 一応、統計ではこのような形の数字で、多いところから御紹介させていただきました。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたけれども、本当に非常に多様な設置主体がある中で、今回議論されているのは、一定の基準を設けながら、文部科学省が設置を許可するという仕組みを導入しようとしているということでありまして、これまでの教育の質にばらつきがあったという課題を解決するための一つの方向性としては間違っていないですし、私は後押ししていきたいと思うわけなんですが、一方で、多様性を尊重するという観点からいくと、余りにも画一的な運用を図っていくと学校独自の特徴が失われていく可能性もあるのかなと思うところでありまして、そこを気をつけていただきたいのが、私のここでの質問の一つの趣旨といいますか、お願いであります。

 それと、もう一つなんですけれども、教師の皆さん方なんですが、常勤の方が一六%ぐらいだと聞いています。現状、ボランティアの方が半数ぐらいを占めたり、あるいは非常勤の方が三六%ぐらいということで、質を確保するためには、それ相応の資格、プラス、やはり収入といいますか、職業として安定したものを確立しなければ、質自体が上がってこない。

 現状、ボランティアの数が半分ぐらいということは、今まで善意の地域の皆さん方の御協力によって成り立ってきたということもあって、この歴史的な経緯というか、これはやはり私は尊重すべきであると思いますし、それを一切合切ばっさり切り捨てて、あしたからは新しい制度ですよというように上から押しつけていくのは、ちょっと肌感覚として、日本語教育機関には合わないのではないかというふうにして思っています。

 ですので、そこら辺を今後引き続き留意しながら制度設計を考えていく、制度導入をしていくのが私はベターな方向だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 先ほど少し触れましたけれども、日本語教育機関の質ですけれども、文化庁として、現場で生じている教育の質の確保に関する課題をどのように把握しているのか、お聞かせください。

 それと、併せてもう一つ、先ほど少し触れましたけれども、日本語教育機関を一定の基準で審査して認定する仕組みをつくろうということだと思いますが、認定されないというようなそういう場合があるのか、認定をどうしてつくらなければならないようになったのか、そういう事案が今まで発生したことがあるのか、あるいは、こういうことをやると認定は取り消されますよというような想定のようなものがあるのか、その辺り、ちょっと教えてください。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 日本語教育機関の課題ということでまず申し上げさせていただきますと、例えば一部の機関におきましては、校長などの教育課程に責任を負う者が教育課程の目的、内容を十分に把握していないといった場合ですとか、募集要項に記載されている入学予定者の日本語能力レベルとカリキュラムの乖離が生じている、ずれが生じているといった場合などの事例も散見されるところでございます。

 こうした課題に対しまして、先日取りまとめられた文化庁の有識者会議の報告などでも、一定の質が担保された教育機関を認定するという議論が行われておりまして、こうした制度を通じて、教育機関の質の確保が可能となるものと考えてございます。

 現在、法務省の方で告示校という制度がございまして、その下で文部科学省の方でも、文化庁の方でも、いろいろな事務的なお手伝いをさせていただいているところでございますけれども、今申し上げたような例、課題を持っているようなところもありまして、そういった場合はやはり認定が難しくなってくるということも十分これからもあり得ると思いますし、現在でも、今の基準の中で合わないところは、当然、無理なところはございますので、そういったところが出てくることは十分考えられます。

 ただ、いずれにしましても、この新しい仕組みがもしできますれば、これを基に皆がしっかりと日本語教育を推進する体制をつくりまして、日本に来ていただいた方々が日本に来てよかったなと言っていただけるように、しっかりと行政の方もサポートしていかなきゃいけない、このように考えております。

石原(正)分科員 先ほど、学校が開示している、目標とする日本語レベルですね、達成しようとしているものとカリキュラムとの乖離とか、あるいは、教育課程の目的あるいは内容が明らかになっていないとか、ここはまさしく教育の内容、カリキュラムとか実践のレベルの話で、今議論している日本語教育機関の質というものに大きく関わっていることなんですけれども、冒頭私申し上げたように、日本に来た外国人の学生さん、やはり学習面、もちろんこれは大事なことなんですが、一方で、生活支援をする、生活指導とまで言うとあれなんですけれども、具体的には、例えば交通法規をどのように守っていかなきゃならぬかとか、あるいは災害が起こった場合にはどういう対処をしなければならないかというようなことも含めて、日本語学校が受け持っている。

 すなわち、教育の質以外の部分もしっかりやっている学校があるわけでして、そこの実態をしっかり踏まえた上で基準を作っていくということが必要ではないかなと思っています。

 特に、法務省の告示校、今、二六%ぐらいあるわけなんですけれども、そこでの今までの蓄積というのがあろうかと思いますので、是非、その知見を参考にしながら、文科省らしい基準を作ってほしいということを考えています。

 告示校の話でいきますと、法務省のサイドからいくと、どうしても厳しめといいますか、提出する書類が一字でも違っていると受入れができないとか、そういったことも現場では散見されるようでございますので、実態把握をまずしていただいて、その辺り、きちっと柔軟性を持った制度設計になることを私は望んでおりますので、よろしくお願いします。

 それと、先ほど答弁願ったわけなんですけれども、万が一取り消されたというような事案が起こった場合に、被害を被るのは学生さんだと私は思います。そこに至るまでにいろいろな是正勧告とか指導が入るんだと思いますが、万々が一認定が取り消されたときに、学生さんは大変弱い立場の中で更に弱くなってしまうんじゃないかなと思っております。そういった場合の救済措置みたいなことは、現時点で想定されているのかどうか分かりませんけれども、もし考え方のようなものがあれば御答弁願います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、日本語教育機関の認定制度について検討を進めているところでございますが、委員御指摘のとおり、認定が取り消された場合の当該機関に在籍する生徒についてどう対応するかは課題の一つと考えております。

 いずれにせよ、日本語教育機関の認定が取り消されるようなことがあった場合にも、生徒の学習機会が確保されるということが重要なことでございまして、日本語教育機関の設置者において、転学の支援を含めた生徒への丁寧な対応が必要となるものと考えております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 次に、ちょっと視点を変えまして、日本語教員についてお尋ねします。

 現在、政府内で検討している日本語教師の登録制度等、新しい制度ができた場合、現場に混乱や不利益が生じる懸念があります。

 例えば、今働いている方が、資格はないんだけれども実績はあるよねというような場合において、やはり経過措置があったりする方が私は円滑な制度移行ができるんだろうと思いますし、何より人材が不足している、数も不足しているわけでありますから、質と量の関係性でいいますと、そこが肝になるんじゃないかなと思っております。

 それを回避するために、今後、どのような考え方をされているのか、御答弁願います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、国内にはボランティアも含めて約四万人の日本語教師がいらっしゃいますけれども、その資質、能力は様々でございまして、専門性を有する日本語教師の質を担保する仕組みは今のところございません。

 先日取りまとめられました文化庁の有識者会議の報告におきましても、専門的な知識及び技能を有する日本語教師について、国が実施する試験に合格し、実践的な教育実習を修了した者を国に登録するという、登録日本語教員の資格制度が提言されているところでございます。

 こうしたことから、新たな制度の創設に努めますとともに、現職の日本語教師が円滑に新たな制度に移行できますよう、経過措置についても丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。

石原(正)分科員 是非、経過措置、柔軟に対応していただけるとありがたいなと。

 先ほど申し上げましたように、日本語教育の質ということも本当に重要なことでありますけれども、外国人の皆さん方の生活全体を支援していく、そういう観点もやはり私は必要だと思いますので、ちょっと日本語の教育、資格はないけれども、外国人の生徒さんとすごくフレンドリーにつき合えるというような方もたくさんおみえですので、上手な、柔軟な対応をできればなというふうにして願っております。

 それと、最後なんですけれども、日本語教育機関というのは、日本で生活する外国人が地域コミュニティーに参画することや、まさしく、先ほど冒頭述べられたように、地域の共生社会の実現に貢献するとも期待されています。

 教育機能だけでなく、地域社会への貢献という観点から、この日本語教育機関の役割のようなことを政府はどのように考えているのか、お聞かせください。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 現在検討中の新しい制度により、日本に暮らす外国の方々が安心して日本語教育を受けられる環境を整えようとしておりますけれども、こうした環境が整えば、日本人と外国人との間の日本語によるコミュニケーションが進み、共に円滑な社会活動や経済活動を営む環境が整っていくものと考えております。

 委員御指摘の共生社会の実現にも資するよう、今後も努力を重ねてまいりたいと考えております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 先ほど少し触れたんですけれども、告示校の話になりまして、一時、課題として、学生さん、日本語を勉強しに来ているんだけれども、就労というか、アルバイトをし過ぎて、おろそかになっているんじゃないかというような学校があったりとか、学校全体として少しガバナンスに問題があるような、そういった事案もこれまで報道等でもなされてきていると私は承知しています。

 ただ、それを余りにも厳しく運用しようとし過ぎていまして、一部、学生さんの銀行とか金融機関の通帳のコピーを学校に義務づけて、要するに就労の状況を調査するというような事案もあるようであります。これは、いいのか悪いのか、ちょっと私は判断しかねるわけなんですけれども、ちょっとそこまで行くと踏み込み過ぎるんじゃないかなという懸念も私は持っております。

 先ほど少し実態に即したというようなことを含めて申し上げたのは、そういう少し厳し過ぎるような、以前の失敗を気にし過ぎて余りにも枝葉末節の部分まで踏み込んでいるような、事務負担を付加させているような部分もあるようでございますので、またそこら辺りも文科省としても考えていただければなというふうにして思っております。

 繰り返しになりますけれども、今、現時点で働いている皆さん方が不利益を被らないようにすること、そして、日本語学校、コロナの状況もあったわけなんですけれども、大変、ガバナンスという問題、あるいは経営という問題、非常に厳しい状況にあるところでございますので、教育という部分だけでなく、学校自体の運営とかガバナンスにやはりしっかり取り組める、そういう人材も確保しなければならないというような課題もあることを是非御認識いただいた上で、よりよい制度設計になることを期待するものでございます。

 日本語教育機関については以上でございます。

 続きまして、スポーツ振興について御質問をいたします。

 近年では、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会やラグビーワールドカップ二〇一九大会が日本で開催され、また、昨年末はサッカー日本代表がカタール大会でベスト十六に入るなど、スポーツの持つ可能性が再認識されていると私は感じています。

 大変個人的なことなんですけれども、私は浅野拓磨選手の同じ町でありまして、私は後援会長をやらせていただいていますので、彼の活躍が非常にうれしかったなと。彼は、地域のサッカークラブで本当に小さい頃から育ててもらって、公立の中学、公立の高校、そしてプロサッカー選手になって、日本代表。ある意味、今のサッカー界というのは、Jリーグの下部組織で育った選手たちが華やかなところに行く、そういう一つのルートがある一方で、高校サッカーを公立高校でやって、名門クラブに入って、日本代表で活躍するという、デュアルなコースを体現した、私はすばらしい選手だと思っております。

 そういうことは日本のスポーツ界にとっても非常に重要なことで、一つのエリートだけのコースを歩んでいくだけじゃなくて、いろいろな選択肢の中から、切磋琢磨しながらスポーツを支えていく、あるいはスポーツを実践していくということの重要性を示したことだと私は思っております。

 第三期スポーツ基本計画を昨年の三月に策定したと思うんですけれども、第二期の成果を踏まえて、三つの視点というのを出されています。

 一つは、社会の変化や状況に応じて、既存の仕組みにとらわれずに柔軟に対応するという、スポーツをつくる、育むという視点。二つは、様々な立場、背景、特性を有した人、組織が集まり、共に活動し、つながりを感じながらスポーツに取り組める社会の実現を目指すという視点。三つ目が、性別、年齢、障害の有無、経済的事情、地域事情等にかかわらず、全ての人がスポーツにアクセスできるような社会の実現、機運の醸成を目指すという視点。この三つを提示しています。これは私はいずれもすばらしいことだと思いますし、新しいこれからのスポーツを切り開く重要な視点だと思っています。

 これらの視点も含めまして、第三期スポーツ基本計画を踏まえたスポーツ庁の取組状況や、もしあればで結構です、令和五年度の今提案中の予算案の中で、これはしっかりやっていくぞというようなことがあれば、御答弁願います。

角田政府参考人 お答えいたします。

 今年度から五年間の第三期スポーツ基本計画におきましては、東京オリンピック・パラリンピックのスポーツレガシーの継承、発展に向けた重点施策を掲げ、総合的に施策を推進しているところでございます。

 具体的には、持続可能な国際競技力の向上、東京大会による共生社会への理解、関心の高まりと、スポーツへの機運向上を契機としたスポーツ参画の促進、運動部活動改革の推進、地域における子供、若者のスポーツ機会の充実と体力向上等に取り組んでいるところでございます。

 また、スポーツによる健康増進、地方創生、国際交流、協力、スポーツの成長産業化といった、スポーツの価値で社会活性化に寄与する取組も積極的に進めておりまして、スポーツDXの推進、日本らしいスポーツホスピタリティーを取り入れたスポーツ・健康まちづくりなど、新たな課題への取組も重要と考えているところでございます。

 今後とも、委員御指摘の三つの視点を踏まえながら、全ての人が自発的にスポーツに取り組むことで自己実現を図り、スポーツの力で前向きで活力ある社会ときずなの強い社会を目指して取り組んでまいりたいと考えております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 本当に多岐にわたって、逆に言うと、これからの日本の社会のためにスポーツはあるんじゃないかというぐらい、スポーツは重要だと私は思っています。ですから、スポーツをやっていく上でも持続可能な状況というのは、誰にとっても私はいい町づくりになると思いますし、地域づくりにもなると思いますし、社会づくりになると思いますので、そういう視点で力強く、そういった、様々今挙げられた、地方創生とか、スポーツの価値で活性化していくとか、スポーツホスピタリティーとか、そういうことにしっかりと取り組んでいくことが私は大切なことだと思っています。

 少し前に、私、かつてある小さな町の首長をしておったんですけれども、そのときに、聴覚障害者、いわゆるデフサッカーというのがあるんですけれども、聴覚障害者のサッカーの日本代表の合宿の会場を提供してくれという依頼を受けまして、会場費をこっちが受け持って合宿をしたことがありました。

 そのきっかけというのは、七つの障害者サッカーの団体から成る日本障がい者サッカー連盟が日本サッカー協会に加盟したということをきっかけにしまして、ああ、そういう取組をサッカー協会はやっているんだな、いいことだなと思って、私は取り組もうとしたんですね。

 ただ、やはり、障害者スポーツを振興していくというので、予算とかもしっかり、結構かかるというのは、障害者の方々というのは、参加する人数を募ると、どうしても広域にならざるを得ないということなんですね。

 我々、健常者と障害者を差別するわけじゃないですけれども、我々がサッカーをやろうといったら一つの小学校で集まってできたりするわけなんですけれども、障害を持たれた方が、例えばデフサッカーのような、聴覚障害者の方がサッカーをしようとすると、一つの都道府県で一チームできるかどうかというようなことで、活動範囲が広がるということになるんですね。ということは、やはりそれに対しての支援をしっかりしていかないと、皆さん方がなかなか活動費すらままならない状況もあるわけであります。

 そういったことを含めまして、障害者スポーツの振興について、スポーツ庁として今後どのようなことに取り組んでいかれるか、見解を伺います。

角田政府参考人 お答えいたします。

 東京大会における共生社会への理解、関心の高まりを受けまして、これを継承、発展させる観点から、第三期スポーツ基本計画、さらには、昨年の八月に公表いたしました障害者スポーツ振興方策に関する検討チームの報告書におきまして、今後の障害者スポーツの振興に向けた基本的な考え方や方向性、具体的な方策をお示ししたところでございます。

 具体的には、障害のある方、ない方が共にスポーツを楽しむことが重要であること、また、障害者のスポーツへのアクセス改善に多面的に取り組むことを基本に、障害者スポーツの普及とアスリートの発掘、育成、強化を並行して進めることとしております。

 これらを受けまして、スポーツ庁におきましては、令和五年度予算案におきまして、公園や商業施設のオープンスペースなどで誰もが障害者スポーツを楽しめる環境の整備を行う取組、また、盲聾者や重度障害者など実態把握が不十分な障害者のスポーツ実態の調査及びデジタル技術を活用した障害者スポーツの課題解決に向けた取組、また、各競技団体が実施する選手強化活動及び次世代アスリートの発掘、育成に対する支援や、クラス分け機能の強化などを進めることとしております。

 引き続き、これらの取組を通じまして、障害者スポーツの振興、そして、スポーツを通じました共生社会の実現に努めてまいりたいと考えております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 もう時間もなくなってきましたので、最後、提案といいますか、要望したいと思うんですけれども、地域でスポーツをやっていく上で、やはり施設整備の問題というのは大きいんですね。いろいろな町を見ていますと、河川敷の中にサッカーグラウンドを造ったり野球場を造ったりしてやっているところがあります。ぎりぎり法の範囲の中だと私は信じているんですけれども、やはり、施設整備は予算がかかりますので、今あるものを大事にしていこうという考え方に立つならば、少し河川法の規制を緩めて、過去百年ぐらい洪水が起こっていない、水が入っていないところに対しては少し規制を緩めて、更衣室とかトイレが造れるような、そういったことの取組をしていくことも重要かなと思っています。

 是非、国交省との兼ね合いもあると思いますけれども、スポーツ庁としてはしっかりその辺の後押しをしてもらえるよう御期待申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

三谷主査 これにて石原正敬君の質疑は終了いたしました。

 次に、庄子賢一君。

庄子分科員 公明党の庄子賢一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 一点目は、性的マイノリティーに対する一連の事柄についてでございます。

 先般の総理秘書官のあの発言は極めて遺憾ですし、また言語道断でございます。あの発言があって、日本という国がいかに性の多様性あるいは多様な性についての認識が浅いか、理解されていないかということを改めて浮き彫りにしたような気持ちがいたしました。

 先般十七日、総理は当事者団体、支援する団体の皆様に面会をされて、この発言、深く陳謝をということで、会っていただいたのはよかったと思うんですけれども、しかし、それによって、差別を受けておられる皆様の苦しみが消えたわけでもありません。今もなお、そうした偏見や差別に苦しんでいらっしゃる、こういう実態があるということに変わりはないというふうに思います。

 私は、県会議員時代から、地元仙台で当事者団体の皆様と交流をしてまいりました。先般も、仙台で改めてお会いをいたしまして、意見交換をしました。その際に、当事者の方からは、差別というのは命に直結する問題ですよというふうにお訴えをいただきまして、本当にそうだと改めて痛感をしました。

 申すまでもありません、憲法には基本的人権の尊重がうたわれているわけでありまして、こうしたことがいささかもおろそかになってはならないというふうに思っております。理解増進法は速やかに成立をさせるべきというふうに私は思いますが、その上で、この法律の有無にかかわらず、差別や偏見があってはならないという動かし難いこの事実に照らして、法律がなくてもできることはあるのではないか。

 理解を進めるという一番の近道であり最も確かな進め方は、当事者の皆様と直接会うこと、語り合うこと、分かり合うこと、これ以外に私はないというふうに思っておりまして、幾つかの調査を見ても、私の身の回り、近くにそうした方はいませんと答える方の方が非常に多いんですね。

 会っていない、会わない、話したことがないから理解が進まないという側面もあるのではないかというふうに思っておりまして、例えば、今後、学校とか大学とかで、教職員、それから児童生徒、学生の皆さんとの、例えばタウンミーティング、セミナー、こうしたものを積極的に開催をするという方向を是非提案をしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 庄子委員にお答え申し上げます。

 性的指向等を含めまして、個々人が持っている多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重して、そして誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会、これを目指した取組を進めることは本当に本当に重要であると考えております。

 御指摘のように、学校現場におきまして当事者等から直接お話を聞く機会を設けることは重要であると考えておりまして、文部科学省といたしましては、性的マイノリティー当事者や支援団体を、講師を招聘しまして、児童生徒や教職員の性の多様性に関する理解を深めるといった取組を支援しているところでございます。

 こうした取組を含めまして、引き続きまして、共生社会の実現に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。

庄子分科員 大臣、一層アクセルを踏んでいただきたい、こう思います。今こういうときにやはり大臣をしておられるという意味合いがあると思います。是非お願いしたい。

 二つ目ですが、公益社団法人「マリッジ・フォー・オール・ジャパン 結婚の自由をすべての人に」においては、今月かな、岸田総理に対して、性的マイノリティーの権利保障を進める具体的アクションを求める要請書を提出をされました。その中で、具体的に四点あるんですけれども、その四点あるうちに、私は一点、是非ここでお願いをしたいなと思っていますのは、権利保障を検討するワーキングチームをつくって同性カップルやその家族からヒアリングを行うこと、この要望項目については是非先んじて取り組んでいただきたい、こう考えますが、いかがでしょうか。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 政府としては、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見があってはならず、当事者や関係団体の方から話をお伺いすることは重要であると考えております。先週金曜日には、委員御指摘のとおりでございますが、岸田総理、小倉共生社会担当大臣等がLGBTの当事者の方々の御意見を直接お伺いしたところです。

 政府としては、共生社会の実現に向け、関係省庁が連携し、引き続き、様々な声を受け止め、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

庄子分科員 当事者の皆様も、都市部と地域、住んでおられるところで置かれている環境は全く違います。相談窓口がたくさんある都市部とそうでないところとありますから、是非満遍なく、そうした地方部にも目を向けていただきたい。一点要望させていただきたいと思います。

 次に、部活動の地域移行についてでございます。

 非常にこの問題は悩ましい問題でありまして、学校の先生の負担を軽減する、あるいは、地域によってはもういわゆるチームスポーツが部活動として成り立たない、こういう現状にもありますので、特に土日の地域移行というのは進んでいかざるを得ないという側面がありますが、しかし、部活動が果たしてきた役割、意義、教育的効果も否定ができませんので、これをどう円滑に地域に移行していくか、非常に難しい課題だというふうに思っています。

 地元の宮城県の岩沼市というところで調査をしてまいりました。平成三十年度からスポーツ教室を開催、令和元年度には、部活動支援事業として、運動部での指導者派遣及び市の体育館で複数の生徒が合同で行う拠点型の地域部活動を開始をしております。

 先般、この岩沼市が市内の小中学校の学校教職員百六十三名に行いました休日の部活動地域移行に係る意向調査、これによりますと、こういう答えが返ってきています。休日部活動の意向について賛成が一四%、意向なしという反対の声が八六%なんですけれども、その中には、休日は家族との時間を大切にしたい、平日は帰宅時間が遅くて我が子と関わる時間が大変少ないのが現状だ、あるいは希望しない部を任された場合苦痛以外の何物でもないなど、今の学校の先生が置かれている立場が生々しい声として寄せられておりました。

 そこで、まず、部活動の地域移行を通じて、教員の負担の改善、そして、より生徒一人一人に向き合う時間が確保されて質の高い授業を行える、こういうことが期待をされておりますが、この点の大臣の認識をまず伺いたいと思います。

永岡国務大臣 先生、宮城県の岩沼市で調査をしていただきましたこと、感謝申し上げます。

 やはり部活動につきましては、少子化の進展によりまして、従前と同様の学校単位での体制の運営というのは大変困難になってきております。また、専門性や意思にかかわらず教師が顧問を務める指導体制の継続、これは、働き方改革が進む中でより困難になってきていると思っております。

 このため、少子化の中でも、将来にわたりまして子供たちがスポーツ、文化芸術に継続して親しむ機会を確保するべく、まずは、休日の部活動の地域連携や、地域クラブ活動への移行に向けた環境の一体的な整備を進めることとしております。

 この取組を通じまして、教師が教師でしかできないことに集中をしてもらい、生徒一人一人により深く向き合うことができたりすると考えられますので、先生御指摘のとおり、教育の質の向上につながる、そういう認識をしている次第でございます。

庄子分科員 よろしくお願いします。

 土日に移行していく場合の外部人材については、非常に大事なのは、いかに安定的に、継続的にこの人材を確保し続けていけるかどうかということが極めて重要だというふうに思っております。

 これも、都市部と地方部ではやはりちょっと違いがありまして、そうした人的資源の豊富な都市部と、なかなかそういう方々がいらっしゃらない地方部ではばらつきがあるということが課題だと思っております。

 地方においては、例えば、種目によって、部活動そのものの参加機会に格差が出たり、あるいは大会参加が困難となってしまうケース、これが懸念をされています。

 外部人材の確保について、特に地方部での円滑な地域移行をどのように国として支援をしていかれるか、伺いたいと思います。

永岡国務大臣 部活動の地域移行を進める上で、特に地方部では指導者の確保が課題である、先生と同じ認識でございます。地域の様々な人材を活用する必要があると考えているところです。

 令和三年度から実施をしております実践研究事業では、公認スポーツ指導者やスポーツ推進委員、部活動の指導員、そして退職教師などの活用、指導者の確保の様々な工夫がなされております。その成果は、各自治体の取組の参考にもしてもらえるように、事例集として公表しております。

 また、令和四年度の第二次補正予算では、都道府県の人材バンク設置等に係る経費、今のは第二次補正予算です、そして、令和五年度の予算案では、指導者の確保等に関する実証事業のほか、部活動指導員の増員等の経費を計上しておりまして、地域の実情等に応じた総合的な支援に取り組んでまいります。

庄子分科員 今大臣おっしゃっていただいた都道府県の人材バンク、非常に重要です。同時に、県境の周辺の自治体によっては、県をまたいで経済圏を同じくしている市町村は結構ありますので、都道府県をまたいでもそうした人材バンクが柔軟に活用できるように、是非体制を御検討いただきたい。これは一点、要望とさせていただきたいと思います。

 部活動の地域移行で懸念されているもう一つ、家庭そして保護者の経済的負担が増すのではないか、そうした声もいただいております。外部に委託をすることによって、指導料が必要になる、あるいは、学校以外での活動が増えるケース、送迎費などが発生する場合が想定をされます。

 各御家庭の費用面での問題、例えば、生活困窮の御家庭においても、経済的理由で地域クラブ活動参加を諦めるといったことにならないように、地域移行をしっかり、国として打ち出しをした以上、支援をしていくべきではないかと思っておりますが、この点、いかがでしょうか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 部活動の地域移行を進める上で、生徒や保護者等の理解を得つつ、活動の維持運営に必要な範囲で可能な限り低廉な会費を設定するとともに、経済的事情から生徒がスポーツ、文化芸術活動への参加を諦めることのないようにする必要があると考えているところでございます。

 このため、令和五年度予算案におきましては、関係者との連絡調整の体制や指導者の確保、参加費用負担への支援等に関する実証事業を実施することとしており、この中で、困窮世帯への支援も可能となっているところでございます。

 文部科学省といたしましては、本実証事業を通じまして地域の実情等に応じた取組を支援するとともに、その成果の普及に努め、更なる検討を進めてまいりたいと考えております。

庄子分科員 是非お願いを申し上げたいと思います。

 大臣、御答弁はここまででございますので、御退席をいただいても結構でございます。

 大きな三点目は、放課後デイの諸課題についてお尋ねをしたいと思います。文部科学省と全く関連がないわけではありませんので、厚労省の所管ではありますけれども、ここでお尋ねをさせていただきます。

 今、全国で、この放課後デイの使用人数というのは大体三十万人ぐらいいらっしゃって、事業所の数も約一万九千か所ということですので、大分広がって、制度開始以来十年ですけれども、この十年で大分拡充をしてきたのかなというふうに思っております。

 一方で、事故が多発しているという指摘が、先般、新聞の報道でもございました。制度が始まってこの十年間で、全国で約四千百件以上の事故が発生をしている。中でも、死亡案件が八件、一時的な行方不明も約三百五十件起きたことが調査で明らかとなりました。実際には、制度開始以降十年というふうに言っておりますが、書類の記録、保存上の問題で、この五年間における割合というのが九四%になっておりますので、かなりの頻度で事故が起きているということが分かります。

 国への事故報告の義務づけがありませんので、事故の事例の共有ですとか対策の共有が国としてできないということが問題ではないかというふうに思います。既存のガイドラインにおきましても、安全対策ということについては、デイの現場にしっかり反映される具体的なものではないのではないか、こう指摘もございます。

 国として、放課後デイの事故防止、事故抑制、これをどのように強化していかれるか、お伺いをいたします。

畦元大臣政務官 庄子議員にお答えいたします。

 障害児支援において、子供の安全確保は支援の基礎となるものであり、大変重要なことだと考えております。

 事故が発生した状況については個々の状況によって様々であると考えられますが、いずれにしても、事業者が様々な事態を想定し、あらかじめ安全確保のための対策を講じることが重要であり、従来より、運営基準において都道府県へ事故の報告を義務づけるとともに、福祉サービスにおける危機管理、リスクマネジメントですが、に関する取組の指針を参考に再発防止を講じるように求めております。

 また、今般、放課後等デイサービスを含めた児童福祉施設などの運営基準の改正を行い、設備の点検や職員の研修など、安全確保に関する安全計画の策定を義務づけ、それに基づき日々の取組を求めることとしたところです。令和五年四月一日から施行となる予定ですが、国としても、放課後等デイサービスを利用する子供の安全確保に向けて、安全計画に基づいた取組の徹底が図られるよう進めてまいりたいと考えております。

 今後とも、自治体と連携をしながら安全確保について方策を検討するとともに、引き続き、子供の安全が確保されるために重要な環境整備を進めてまいりたいと考えております。

庄子分科員 今おっしゃっていただいたことは、非常に重要です。障害を持っている子供さんを預かる施設ですので、特にソフト面での研修の義務づけ、スキルアップ、これはとても大事です。単に預かっているだけではなくて、一人一人の障害の程度、あるいは一人一人の状況に合った配慮がなされなければいけませんので、職員の皆様のスキルアップ研修、これはしっかり、是非、内容も精査をした上でお取り組みをいただきたいというふうに思っております。

 ところで、放課後デイの自己評価あるいは保護者向けの評価表、この作成状況についてはどのように掌握をしておられるでしょうか。

畦元大臣政務官 お答えいたします。

 障害児支援において、支援の質を確保、向上していくことは大変重要と認識しております。支援の質の評価と改善の取組を進めているところでございます。

 放課後等デイサービスにおいては、運営基準で、おおむね一年に一回以上、自らのサービスについて自己評価を行うとともに、サービスを利用する障害児の保護者等による評価を受けて、サービスの質の改善を図ることを義務づけています。

 さらに、その評価及び改善の内容については、ホームページなども活用し、公表することを求めており、これが適切に行われていない場合は報酬を減算する仕組みとなっております。

 令和元年度に調査研究を行ったところ、対象の四千七百四十事業所のうち、減算を受けた事業所は調査対象事業所の〇・四%にとどまっており、大部分の事業所においては取組がなされているものと考えております。

庄子分科員 そこは少し私の認識と乖離があるところですけれども、冒頭申し上げたように、実質この五年で約四千件もの事故、死亡事件が八件、一時行方不明も三百五十件です。自己評価、保護者向け評価があるとはおっしゃいますけれども、そして、いわゆる指摘事項というのは〇・何%という話なんですが、しかし、評価すること自体が目的化していて、実際にそこで評価したことが、施設の安全面の質の向上とかに、サービスはもちろんですけれども、やはり何より安全第一ですので、ここの質の向上につながっていかない自己評価というのは、全く、評価が目的化してしまっているということですので、ここはちょっと踏み込んで、評価が改善につながるように、是非、厚労大臣とも協議の上、お進めをいただきたいというふうに、これは要望させていただきたいというふうに思います。

 今後予定されていることとして、いわゆる報酬改定によって、総合支援型と特定プログラム特化型、この二つに類型化をしていく予定というふうに伺っています。これは、利用者の年齢や特性に合わせた支援が実施できるということで極めて重要です。同時に、保護者からも、単なる預かりではなく、子供の情緒あるいは感性の発達へ支援をしてほしいという期待に応えるものでもございます。

 一方で、この二つの類型に属さない放課後デイは公費対象から外れます。存続に関わることになって、このデイを利用している家庭にとっては、通所が困難になるケースが出てくるのではないかという懸念もございます。この点、厚労省としてどのように対応していかれるでしょうか。

辺見政府参考人 放課後等デイサービスを始め、障害児通所支援につきましては、令和三年十二月の社会保障審議会障害者部会の報告書におきまして、各サービスの支援の在り方や地域の支援体制の整備、支援の質の向上など、様々な観点から御指摘をいただいており、現在、厚生労働省において障害児通所支援に関する検討会を開催し、具体化に向けて御議論をいただいているところでございます。

 今年度中に報告書を取りまとめ、それを踏まえまして、今御指摘ございました、令和六年四月の報酬改定に向けて検討を進めていくこととしておりますが、いずれにしましても、支援を必要とする方に必要な支援が適切に提供されるよう、障害児とその家族が地域で安心して暮らせるように取り組んでまいりたいと考えております。

庄子分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、スタートランプについてお尋ねをいたします。

 これは大臣も御存じだと思います。耳に障害をお持ちの陸上選手にとっては非常に大事な装置でございます。

 スタートのタイミング、普通、ピストルの音なんですけれども、聴覚障害の方はその音が聞こえませんので、スタートのタイミングを光の色で合図をするというのがこのスタートランプという装置でございます。位置についてが赤、用意が黄色、スタートは白のランプが点滅をして、これがピストルと連動していますので、健常の陸上競技選手と同じタイミングでスタートを切ることができるというものでございます。

 昨年九月、地元仙台市なんですが、全国の自治体としては初めてこれを導入をいたしました。

 きっかけになりましたのは、聴覚支援学校中等部に通うある陸上部の生徒のこんな言葉です。こんなに練習したのに出遅れる。この小さな声を受け止めたんですけれども、この生徒さんは、市の中学校総合体育大会で健常者に交じって男子百メートルに出場した際に、スタートで大きく出遅れて入賞を逃しておりました。そのことを知った我が党の市会議員が、市の当局に対して、聴覚に障害のある陸上選手たちへ合理的配慮をすべきだというふうに強く訴えまして、仙台市では三レーン分のスタートランプを約百七十万円の費用で購入をいたしまして、市の陸上競技場に配置をしたところでございます。

 この後日談なんですけれども、県大会で好成績を収めたある部員は東北大会に進出をいたしまして、全二十四人中十五位と健闘をされたそうであります。その聴覚障害児の担任の先生は、陸上を指導して三十五年、スタートで出遅れる短距離走から逃げてきたが、ようやく胸のつかえが取れたというふうにコメントをされておりました。

 このスタートランプの有用性について、国としてのお考えを伺いたいと思います。

角田政府参考人 お答えいたします。

 スタートランプは、スターターのピストルが発する音を感じることができない聾の陸上選手にとりまして有用な情報伝達機器であると考えているところでございます。

 この装置を用いることで、選手は離れた位置にいるスターターのピストルを見ることなく、目の前にある、スタートラインに設置されたボックスの光を見て自然な姿勢でスタートを切ることが可能となるというものでございます。

庄子分科員 余り有用性を認識したコメントではありませんでしたが、機器の説明は、もうそれはおっしゃらなくてもよく分かっているんです。有用かどうかということを聞いているので、そこをちょっと端的に、一言でいいですから答えてください。

角田政府参考人 失礼いたしました。

 今のような状況もございまして、大変有用な機器であるというふうに認識しているところでございます。

庄子分科員 では、そのスタートランプは今国内に何台あるかお分かりでしょうか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 聾者の競技団体及び専門機器取扱業者に確認した範囲では、委員から御紹介のありました仙台市を含め全国で六台あり、さらに、本年度中に三台納入される予定と承知をしているところでございます。

庄子分科員 有用性をお認めいただいた割には、合理的配慮に欠けるのではないかなという気がしています。

 これは、聴覚障害の方同士が競い合う場面ももちろんですけれども、一般の小学校の大会だったり中体連、高体連だったりというところは、健常者と聴覚障害の方が一緒に競技をするので、どうしたってこれは出遅れるんですね。

 健常者は、位置について、用意と言われたら、一点集中して、ピストルの音を集中して聞くんですけれども、聴覚障害の方はスターターの方を向くんですね。スターターがどういうふうに指を動かすか、スターターを見てスタートを切るので遅れてしまうんですね、どうしても。

 こうしたことは是非改善をしていただきたいと思っているんです。製造できる会社が日本には一社しかありません。なので、供給体制、供給能力といったところも含めて、国の役割、私は大きいというふうに思っておりますが、ちょうど二〇二五年に我が国でデフリンピックが開かれるということでありますので、そういう意味では絶好の機会だというふうに思っています。

 そのデフリンピックまでに聴覚障害の児童生徒、また聴覚障害者の陸上選手の皆様が一層競技に打ち込んで力を伸ばすことができるように、スタートランプの普及促進など、国として最大限の支援を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 二〇二五年の夏季デフリンピック競技大会が東京で開催されると予定してございます。障害者スポーツ振興の上で大変意義深いことと考えているところでございます。

 日本でのデフリンピックの開催は初めてでございまして、大会の開催を契機に、聾者スポーツへの理解、環境整備など、共生社会の実現に向けた取組が進んでいくことが重要であると考えております。

 文部科学省では、現在、聾者スポーツの普及振興に向けまして、委員御指摘のスタートランプを始めとする競技実施に必要な情報保障機器や競技用具の整備支援、競技を現場で支援する手話通訳者の参考となる手話マニュアルの整備等を進めているところでございます。

 文部科学省といたしましては、二〇二五年の大会の成功に向けて、全日本ろうあ連盟、さらには開催都市の東京都と緊密に連携をいたしまして、必要な支援、協力を行うとともに、聾者スポーツの普及振興を着実に進めて、スポーツを通じた共生社会の実現を目指して取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

庄子分科員 終わります。ありがとうございました。

三谷主査 これにて庄子賢一君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方分科員 よろしくお願いいたします。

 三谷主査、よろしくお願いします。そして、大臣もよろしくお願いします。

 今日、政府参考人の方、自分の出番が終わったと思ったら出ていって構いませんので、その件はあらかじめ述べさせていただきます。

 まず、地元福岡県北九州市の無形文化財についてお伺いしたいと思います。

 戸畑祇園大山笠の祭礼幕の新調、復元は、補助金が現在止まっております。様々な事情があるんですけれども、どのような条件が整えば再開となるのか。事業を見守るということのみならず、具体的な内容で答弁いただきたいと思います、文化庁。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、戸畑祇園大山笠行事のことであろうかと思いますけれども、平成二十七年度から二十九年度までの文化庁補助金の執行について、ここの振興会関係者の法令違反行為について争われていたところ、二月十五日付で被告の上告が棄却されたと承知しています。

 そのため、引き続き本件の動向を注視してまいりますけれども、いずれにせよ、本件については、補助事業関係者が逮捕、起訴された事案であることも踏まえまして、当該事案の判決内容をまずしっかり確認しながら、法令に基づき厳正かつ適切に対応していく必要があると考えています。

緒方分科員 もう少し具体的に答弁ください、次長。

杉浦政府参考人 判決の内容をよく見なきゃいけませんけれども、まず、この関係の事業がきれいな形で、お金の流れとか関係がまずきれいになっているということを国民の皆さんにもしっかり御認識いただけるような体制になっていること、それから、お金の場合は決算がありますので、そこでもきれいになっているかということをしっかり見たいと思います。

緒方分科員 それを聞きたかったんです。

 続きまして、同じくうちの地元の山笠でありますが、黒崎祇園山笠、国の重要無形民俗文化財を目指しております。

 昨年の祭典に文化庁から調査官が来られました。現在、全国において都道府県がいろいろな調査をしているということはよく承知をしておりますが、今後、国の重要無形文化財を目指していくときに、どのような条件が整うことが重要だというふうにお考えですか、文化庁。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 地域における伝統的な祭り、行事等が国の文化財に指定、選択されるためには、調査等により学術的な知見が蓄積され、行事の歴史的な由来や内容などが国民の基盤的な生活文化の特色を示す典型的なものであるかどうかを明らかにする必要がございます。

 黒崎祇園山笠行事につきましては、現在、福岡県が実施している調査の結果も踏まえて判断することとなります。

 文化庁としては、これまでも、同調査に対する補助のほか、文化財調査官による現地での助言などを行ってきたところであり、引き続きこうした支援を行ってまいります。

緒方分科員 同じ質問になるんですけれども、もう少し具体的にお願いします。

杉浦政府参考人 失礼しました。

 先ほども申し上げたとおり、指定、選択されるためには、調査によって、まず、学術的な知見が蓄積されること、それから、その行事が歴史的な由来とか内容などがしっかりと典型的なものである、国民の基盤的な生活文化の特色を示すということで典型的なものかということを調べなきゃいけませんので、大体、この手のものにつきましては、周りの地域の似たようなお祭りですとか、全国に似たようなお祭りがあるかどうかをまず調査しまして、その辺りの中で、ここは典型的に残しておかなくては記録、保存が難しいということが分かるようになったらそこを指定する、そういう流れでございます。

緒方分科員 それを聞きたかったんです。最初からよろしくお願いします。

 続きまして、学校教育について質問させていただきたいと思います。

 英語教育なんですけれども、私、日本人が英語が苦手な理由の最大の問題は、まずヘボン式のアルファベットからスタートしているところがあると思います。音の感覚が、あれだとばきばきに壊れるんですね。

 例えばですけれども、皆さん、岸田総理の岸田という名前がありますが、私、あれの真ん中のシの音は、母音を発音していないと思います。そして、松野官房長官のツについても、子音だけで発音していると思います。それを、実は、日本語でアルファベット表記するときには、全部、子音、母音、子音、母音と書いていくんですね。その結果として音の感覚がばきばきに壊れて、それで英語の勉強を始めるので、日本人の片仮名英語になるんですね。これを私は何とかしたいと思っています。

 私は、外務省出身でして、フランス語を勉強していて、子音だけで音を発音するのは別に普通にやっているので、その感覚があるんですけれども、日本人がその感覚がないことを非常に懸念いたしております。いかがお考えでしょうか、文部科学省。

藤原政府参考人 ローマ字につきましては、これは先生御承知のように、ローマ字表記の案内板があったり、あるいは情報機器の入力の際に必要である、こういったことも踏まえまして、小学校三年生の国語科において取り扱っているところでございます。

 一方、英語の教育でございますけれども、現行の学習指導要領においては、小学校三、四年生から週一こま程度の外国語活動を導入したところでございます。

 先生御指摘のように、音声重視ということ、これは非常に重要なポイントでございまして、文科省では、ALTの配置やデジタル教材の配付、また、中高では英語の授業を英語で行うといったことなどを通じて、音声重視の教育の推進を図っているところでございます。

緒方分科員 ここは非常に重要でありまして、例えば、アップルという表現、リンゴですね、プとルは子音だけで発音しているんですよね。そういうことが学校教育の中で、少し、音だけで把握するようなことをしないと、全部、子音、母音、子音、母音で書く習慣が身についてしまうと、皆さん方、ここにおられる方の子供さんの教育にも是非この点御留意をいただくのがいいのではないかなと、英語が上達するコツだと思います。

 続きまして、学校教員の負担軽減についてお伺いをいたしたいと思います。

 学校の先生、私の子供も小学生ですので、見ていますが、我々が小学校とか中学校にいた時代に比べても、物すごく負担が多いなという感じがいたします。

 諸外国と比べてみると、何を学校の責任でやりますかというのを、多分、文部科学省の方で調べておられると思いますが、非常に、日本の学校の先生というのは、諸外国でやらないようなことまで学校の先生の責任としてきているというところがある。もう少し学校がやることを明確に絞り込むことが私は必要だと思います。

 一生懸命文部科学省として取組をしていることは存じておりますが、余り現場に浸透していないです。しっかりと取組を進め、そしてそれを周知していくことが重要だと思いますが、文部科学省、いかがですか。

藤原政府参考人 先生御指摘のように、教師が行うべき仕事、これはしっかりと明確化していくことが重要だと考えております。

 平成三十一年の中央教育審議会の答申におきまして、学校や教師の業務について三つに分類をしたわけでございますけれども、一つ目は、登下校の対応などの基本的には学校以外が担うべき業務、二つ目には、学校の業務ではあるが必ずしも教師が担う必要のない業務、三つ目には、教師の業務ではあるが負担軽減が可能な業務、こういった三分類をお示しをしたわけでございます。

 文部科学省としては、今後、こうした考え方に基づいた業務の精選が更に進むように努力をしてまいりたいと存じます。

緒方分科員 そうなんですね。登下校を学校の先生の負担にしている国というのは世界で恐らく日本だけだと思います。

 さらに、今、学校の先生がやる業務でない学校の校務のところ、私も小学校の先生と話してみると、ここを実は充実してほしいんですという声が非常に強いです。学校の教員、特に小規模校になってくると、この校務をやっていただける方がいないと学校が回らないというところがあります。

 是非ここはよろしくお願いさせていただきたいと思いますが、もう一言。

藤原政府参考人 様々な事務作業に教師が力を取られて本来の授業に力を注ぐことができない、これは大変重大な問題だと考えております。

 文部科学省では、スクールサポートスタッフなどの配置を通じて、そうした意味での教師の業務軽減に努めているところでございますが、今後、更に施策の充実を図ってまいりたいと存じます。

緒方分科員 続きまして、学校の義務教育の教員の給特法についてお伺いいたしたいと思います。

 中央公聴会で、連合の清水事務局長からもお話を伺いました。前回改正によって、在校等時間の管理において月四十五時間で収めるというような方向になっていますが、現場の声としては、この結果として持ち帰りが増えたというような指摘も実はございます。そのような中、四%の給与を払えばあとは働かせ放題になっている給特法の問題というのは、本当に真剣に取り組まなくてはならないと私は思います。

 教員勤務実態調査の結果等も踏まえつつ、今後どうしていかれるのか。連合の清水事務局長からは、労働基準法三十七条における時間外、休日及び深夜の割増し料金に踏み込む可能性についても言及がありました。いかがお考えでしょうか、文部科学省。

藤原政府参考人 教師の給与の仕組みにつきましては、その自発性や創造性に基づく勤務に期待する面が大きいということなどにより、どこまでが職務であるのか切り分け難いといった考え方に基づいて、現行の教職調整額のシステムが設けられているところでございます。

 一方、給特法制定から半世紀が経過をいたしまして、教師に求められている仕事の内容も変化をし、また、法制定当時の想定を大きく超える長時間勤務の実態が明らかになっている。こういった状況の中で、現在、勤務実態調査を行っているところでございます。

 今後、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握をし、その結果等を踏まえ、教師の処遇を定めた給特法等の法制的な枠組みを含め、検討してまいりたいと考えております。

緒方分科員 大臣、ここはちょっと、通告していませんでしたけれども、大臣の思いを聞かせていただきたいと思うんですが、四%払えば残業し放題というのは、民間企業でやるとブラック企業であります。そういう状態に学校がなっていることについて、大臣の思いを聞かせていただければと思います。

永岡国務大臣 先生おっしゃいますように、給特法が制定されまして、四%、普通の一般公務員よりは高い給料をいただいて、そして残業代がないというところは、やはり本当に本当に今の先生方の苦労というものがしのばれまして、特に、土日の部活動の顧問の仕事であるのは、本当に、働かせ放題、ボランティアし放題、そういうふうに思っております。

 そうですから、しっかりと、この春になりますと勤務実態調査が出ますので、それ以降、しっかりその対応をさせていただきたいと思っております。

緒方分科員 本当によろしくお願いを申し上げます。現場の先生方からこの件を最近本当によく聞くようになったので、文部科学省の御尽力をお願いをさせていただきたいと思います。

 先ほど申しましたが、答弁が終わった方は本当に出られて構いませんので、改めて申し上げさせていただきます。

 次に、東京オリンピックについてお伺いをいたしたいと思います。

 今日、せっかくこの質問をいたしますので、東京オリンピックのオフィシャルネクタイでやってまいりました。ただ、質問内容自体はちょっと厳しいことを言わざるを得ない内容になるわけですが、まず、永岡大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 東京オリンピックというのは最も費用のかかったオリンピックではなかったかと思うわけでありますが、いかがですか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 オリンピック・パラリンピック競技大会におけます大会経費につきましては、それぞれの大会で大会経費の対象やまた考え方が異なっております、各国で。そういうことを思いますと、やはり一概に比較することは困難であると考えております。

 なお、東京大会においては、大会経費を、仮設施設の整備であるとか、大会運営費の経費、新規の恒久施設の整備など、大会を開催、運営するために直接必要となる経費と定義をしておりまして、大会経費の総額は一兆四千二百三十八億円とされております。

緒方分科員 その数字は、会計検査院から指摘をされる前の数字ではないかと思いますが、今でも政府としてその認識をお持ちですか、大臣。

永岡国務大臣 昨年の十二月に会計検査院は、組織委員会が公表した最終報告の金額に加えまして、大会経費に含まれない、競技力の強化であるとか、セキュリティー対策等の国が実施をした大会の機運醸成そして成功等に直接資する事業の支出額約千八百億円など、これを大会の総経費と整理をいたしまして、一兆六千九百八十九億円と公表していると承知をしております。

緒方分科員 それを言った方がいいと思います。

 続きまして、もう一つ、これも嫌な質問ですが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会というのは最も不正事案の多いオリンピック・パラリンピックではなかったかと思うんですけれども、大臣、御見解はいかがですか。

永岡国務大臣 今先生おっしゃいました、本当に、汚職にまみれているというお話、ちょっと耳が痛いわけでございますが、東京大会をめぐります一連の事案、仮に不正があったとすれば誠に遺憾であると考えておりますし、また、オリンピック・パラリンピック競技大会を始めといたしますスポーツの価値、これを本当におとしめた、そういうふうに考えております。

緒方分科員 もう一言、それを受けた大臣のもう少し所見をお聞かせいただけると非常にありがたいです。

永岡国務大臣 今、とても、ちょっと残念なお答えをさせていただきましたけれども、しかしながら、ちょっと思い出してください。先生、東京大会、テレビで御覧になりましたか。コロナ禍でした。本当に一年延期ということで、大変、一年延長しての大会、それも無観客ということでございましたが、様々な制約の中で行われたオリンピックでございます。そんな中で世界が一つになって難局を乗り越えられたということを伝えることですとか、またパラリンピックもございました。共生社会の実現に向けた大きな契機となったことなど大きな意義を果たした、そういうふうに私は感じておりますし、また改めてスポーツの持つ価値というのを再認識できたということもあった大会だと思っております。

緒方分科員 私も柔道三段でありまして、柔道を食い入るように見たのをよく覚えております。

 続きまして、オリンピック招致の際のフランス刑法における贈収賄についてお伺いをいたしたいと思います。

 フランスで竹田元会長が予審手続、フランス語でミズ・アン・エグザマンと言いますが、これに入ってもう四年といわず五年近くたつのではないかと思います。その後、何の音沙汰もないわけでありますが、もちろんフランス司法の話なのでどういうふうになっているかというのを有権的に答えられるわけではないということは承知いたしておりますが、現状、どう認識しておりますでしょうか。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしまして、JOC、日本オリンピック委員会に確認をさせていただきましたところ、まさにお尋ねの件に関しまして、政府として予審手続が開始された旨を承知して以降、何らかの進展があったとは承知していない、そのようでございました。

緒方分科員 そうなんですね。けれども、別に終わったという話もないわけでありまして、予審手続が引き続き続いているんですね。

 フランスの予審手続って通常二年なんです。大体二年と言われていて、それが例外的に広がっていくということがあって、もう四年を超えて五年近くになっているというのを見て、何があったのかなというのはずっと疑問に思っておりますが。

 この予審手続に入るというのが何を意味するかということについて、もう少しお伺いをいたしたいと思います。

 フランスの政治の世界には、ジュリスプリュダンスバラデュールというのがあります。バラデュールルールというものがあります。これについて説明いただければと思います、外務省。

池上政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、フランスにおきましては、いわゆるバラデュールルールと言われる慣習、すなわち、閣僚が予審の対象となった場合には辞任するという慣習がございます。

 ただし、これはフランスにおける政治的な慣習ということにとどまっておりまして、法令等に基づくものではございません。実際には、これまで、予審の対象となった後も辞任しなかった閣僚というものも存在するというふうに承知しております。

緒方分科員 そうなんですね。実は、フランスの政治の世界では、この予審手続に入るというのは、もちろん無罪の推定は働くんですよ、無罪の推定が働くんですけれども、その状態になったら閣僚は即辞任なんです。それぐらい重大なことなんだというのはなかなか日本で知られていないんですけれども。私が外務省フランス語組だったので知っているという、それだけなんですけれども。それぐらいのことが今起きているのであるということは、結構問題だというふうに思います。

 その上で、今回何が問題になったかというと、竹田氏がシンガポールの方を介して世界陸連の前会長だったかな、のディアク氏にお金を渡したことが、フランスの刑法において贈収賄になっているんですね。

 けれども、よく考えると分かるとおり、民間人間でのお金のやり取りですので、日本の法律では贈収賄に当たらないんですね。フランスにはそういう特殊な、特殊というか、彼らなりの刑法観があって、民間人間での贈収賄を有罪とする仕組みがある、そういうことなんですね。

 私は、今後、国際的なスポーツ競技招致において、国内外の有力者との間で、こういう、いかがわしいとまで言うとよくないんですけれども、招致に際してお金のやり取りをするということを、日本でも取り締まった方がいいのではないかという思いを持ちます。

 そうするときに、どういう可能性があり得るのかと考えたときに、フランスの刑法のように、民間人間での贈収賄が成立をするというような仕組みを考えるというのが一つあるのかなと。現在の刑法の仕組みの中では、たしか会社法で一部、民間人間での贈収賄があるというふうに理解をいたしておりますが、それ以外には基本的にこういうことはないんですね。

 それをやるか、あと、外国人公務員等への贈賄を罰する規定が不正競争防止法の中にございます。ただ、よく調べてみると、例えば世界陸連とかIOCとかそういうところは外国公務員等のカテゴリーに入らないというふうになっているわけでありますが、これを改正して、例えば、国際的なスポーツ競技の誘致のときにお金を渡す相手として考えられるような国際的なスポーツ団体とか、そういう方を明示的に含めるというような改正をしてみるというのも一案かなというふうに思います。

 この民間人間での贈収賄の適用又は外国人公務員等への贈賄を罰する規定にこういった機関を含めるという考え方について、それぞれ、法務省、経済産業省、いかがお考えでしょうか。

保坂政府参考人 委員御案内のとおり、刑法におきましては、贈賄罪の方は主体の限定はございませんが、収賄罪につきましては公務員に限定されております。

 公務員以外の者といいますのは、例えば団体とか組織について定めている法律が、特別法という形で、そこに属する職員あるいはその職務に関する規律といたしまして、金品を収受して不正な行為を行うことを防止するために、職務の公正等、特に保護すべきと考えられるものについては、特別法で公務員以外の者も収賄罪の対象にしているというものがございます。

 その上で、御指摘のように、刑法を改正して民間人を収賄罪の対象にするということにつきましては、民間人の職務というのは様々なものが想定されるわけでございますが、既に収賄罪の対象とすべき職務についてはその職務を規律する特別法で対応がされておるところでございまして、更に刑法を改正する必要があるのかどうか。

 仮に特別法で規律されていない職務について一般的に刑法の収賄罪の対象とする場合には、様々な職務のうち収賄罪の対象とすべき範囲を過不足なく明確に、合理的に線引きができるのかといった点が課題になると思われますので、それらの点を慎重に検討する必要があるというふうに考えております。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の不正競争防止法でございます。外国公務員贈賄の防止条約の確実な実施を確保するために、外国公務員贈賄罪に関する規定が措置されてございます。

 この条約が対象とする外国公務員には、公的国際機関の職員ですとか公的な国際機関から事務を受託する事業者が含まれておりますが、この公的国際機関とは、政府又は政府間の国際機関によって構成されるものを指しております。

 IOCは民間機関により構成されている国際機関であることから、公的国際機関には該当せず、IOCの職員に対する贈賄は条約の対象外となってございます。このため、当該条約の日本国内における実施を担保するこの不正競争防止法においても、条約で対象とされていない民間国際機関の職員に対する贈賄行為は対象外としているのは、先生御指摘のとおりでございます。

 なお、フランスやイギリスにおいては、私人間の贈収賄を一律に禁止する規律が設けられているというふうに承知をしてございますけれども、外国公務員に関する贈賄を罰する規律としては別に設けられているというふうに認識をしておりまして、外国公務員に対する贈賄を罰する規律において、外国公務員の定義にIOC等の民間国際機関の職員を一律に含めているという国は承知をしてございません。

 日本において贈収賄に係る規律は、先ほど御指摘がありました刑法ですとか会社法、その他設けられておりますけれども、IOCなどの民間国際機関の職員に対する贈賄行為についてどのような規律の在り方があり得るのかについて、既存の規律の趣旨、要件等を含めた慎重な検討を要すると認識してございます。

緒方分科員 ここも、がちっとした答弁ではなくていいですけれども、大臣に答弁を求めたいと思うんですが、国際的なスポーツ競技大会の誘致をする際に、こうやってお金が飛び交うということについて、大臣、いかがお考えですか。永岡大臣。

永岡国務大臣 御答弁申し上げます。

 今、日本の国の中でのスポーツ関係の競技大会、それも大変大きい、それにつきましては、プロジェクトチームを立ち上げまして、調査、分析を行っております。

 オリンピックの組織委員会のことでございますが、理事会が適正に機能していたかは疑問の余地があること、また、役員向けの研修は行われていなかったようであること、利益相反管理の観点からすれば、出向者が多い組織委員会では人材配置の適正性が確保されていたかは疑問の余地があることなどが課題として指摘されているところでございますので、これからも、しっかり議論を続けながら、いろいろと調査をしながら、適正に大きな大会ができるようにやってまいりたいと思っております。

 それと、申し訳ございません、先ほど答弁させていただきましたところ、私、働かせ放題と申し上げましたけれども、これは、働かせ放題はあってはならないということでございます。そして、今後、勤務実態調査の結果等を踏まえまして、教育の質の向上に向けて、働き方改革、処遇の改善、学校の指導、運営体制の充実を一体的に進めていきたいと思っております。

 以上です。

緒方分科員 なかなか法制度は難しいということでありまして、私もフランスの刑法を読んでみて分かったんですけれども、接待文化が全部ひっかかるんじゃないかと思うぐらい、そういう書きぶりになっていて、どうやっているのかなというのは非常に疑問に思ったところではありますが、何かすべきではないかということを述べさせていただいて、最後の質問に移したいと思います。

 大学ファンドについてお伺いいたしたいと思います。

 運用の目標を年四・三八%で置いているわけですよね。私、最初見たときから、ちょっと無理じゃないかなというふうに思っていて、十兆円積んで四・三八ですから、年間、単純計算すると、四千三百八十億円の利益が上がるという前提でやっているんでしょうが、昨今、どうも調子がよくないようであります。一番直近の数字についてお聞かせいただければと思います。

森政府参考人 大学ファンドの運用実績につきましては、昨年十一月の財政等審議会の財投分科会において、科学技術振興機構が説明した数字が公表されたものが最新でございまして、その数字では、令和四年度の四月から九月末における収益率がマイナス三・六七%となってございます。

緒方分科員 昨日とか、おとといとかの実績というのは分からないですか。

森政府参考人 この大学ファンドの関係の運用の状況についてでございますが、これは、JSTにおいて、関係省令に基づいて、毎年度、財務諸表の提出後遅滞なく作成します資金運用の状況に関する報告、この中で公表することとしてございますので、今後、令和四年度の財務諸表の作成、その際に公表はされる、そういう予定でございます。

緒方分科員 最後の質問にしたいと思います。

 四・三八%を想定していて、マイナス三・数%ということなので、八%近く乖離があるわけですよね。本当に大丈夫ですか、局長。

森政府参考人 大学ファンドは長期的な運用を行うものでございまして、これは資産評価額自体の変動で、それによって支援の可否とか変動とかが決まるものではなくて、毎年度の損益計算によって出てくる確定した利益を大学への支援の財源に充てることとしてございまして、資産評価額そのものの変動がそのまま支援のどうかということではございません。

 損益の計算というのは、受取利息でありますとか配当金、それから経費を支出したものでございますので、それを基に支援していくということでございます。

 なお、今、立ち上げ期でございますので、そういった状況を踏まえながら、長期的な見通しの下に、リスク管理をしながら行っているものでございます。

緒方分科員 終わります。

三谷主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、山下貴司君。

山下分科員 自由民主党の山下貴司でございます。

 こうした予算委の質疑によって、様々な大臣あるいは政府の方とやり取りすることによって、政策がよりよくなっていく、変わっていく、そうした経験をさせていただいているところでございます。本日も、本当に私が尊敬する永岡文部大臣を始め文科省の皆様と様々な議論をさせていただきたいと思っております。

 まずは、予算委員会で質疑を行ったことによって、私としては、政策が変わった、あるいは政策がよい方向になったと私自身感じた例を御紹介させていただきたいということで、介護に関する中学あるいは高校における学習指導要領の実施状況について伺いたいと思います。

 この問題は、平成二十九年の二月三日、これは衆議院予算委員会において私が当時の松野文科大臣に伺ったところでございまして、地元で介護職の皆様にいろいろ聞いている、そうすると、是非、自宅でも今後介護をやることになるということであれば、例えば、ベッドから抱き起こして車椅子に座ってもらう、そしてトイレに連れていくとか、そうした家庭でできる、あるいは家庭でもやらなければならない、そうした基本的な介護技術、これは学校でも教えていただきたい。これは、高校の進路指導に迷うようになって介護を選ぶというんじゃなくて、中学、高校から、可能であれば小学校からですけれども、そうしたところから教えてもらえないか。

 実際、私自身も経験がありまして、亡くなった母を介護しようとしたときに、例えば、車椅子から立ち上がらせようとすると、わきに腕を入れてそのまま引き上げて、これがすごく痛いんですね。ところが、車椅子から抱き起こすときに、体重を預けさせて、それで変えるということをやると、それだけですぐにうまく体重移動ができて、車椅子からベッドに、そういったことができる。

 こういったことを、せっかく中学の教育課程で技術・家庭などがあるということ、あるいは高校でも家庭科を習うということ、これを是非学んでいただきたいということを問題提起させていただいて、それで、松野文科大臣や当時の塩崎厚労大臣からも非常に前向きな答弁をいただいて、その後、学習指導要領が、元々政府でも検討していたところだとは承知していますが、そうした実技を義務教育である中学の技術・家庭、あるいは更に進んで高校でもやっていただけるように変わったというふうに聞いておるんですが、その状況について、是非大臣あるいは当局からお話をいただきたいと思います。

永岡国務大臣 山下議員にお答えいたします。

 少子高齢化が進む中で、子供たちが介護の意義について理解を深めるとともに、実際に介護を体験する機会を持つことは本当に重要だと思っております。

 このため、今回改訂いたしました中学校の学習指導要領の技術・家庭科では、新たに、介護など高齢者との関わり方について学習する際に、立ち上がりや歩行などの介助など、高齢者の介護の基礎に関する体験的な活動ができるよう留意することなどを明記をいたしました。

 また、同じく、高等学校の学習指導要領の家庭科では、新たに介護について明記をした上で、生活支援に関する基礎的な技能を身につける際に、車椅子の操作や、また移動、移乗の介助、そして食事、着脱衣の介助など、体験的な学習を行うことという旨の記述を充実をさせていただきました。

 現在、この学習指導要領に基づきまして、各学校において工夫した取組が進められているものと承知をしております。

山下分科員 まず、本当にありがとうございました。

 それで、若干詳しく申し上げると、先ほどの要領の解説のところで、例えば、中学においては、先ほど大臣がおっしゃっていただいた、高齢者の介護の基礎に関する体験的な活動ができるよう留意することということを更に具体的に、介護については、家庭や地域で高齢者と関わり協働するために必要な学習内容として、立ち上がりや歩行などの介助の方法について扱い、理解できるようにする、この学習は、高等学校家庭科における高齢者の介護に関する学習につなげるようにするということが具体的に書いてあります。

 そしてまた、高校に関しましては、やはり要領解説のところで、生活支援に関する基礎的な技能については、例えば、車椅子の操作や移動、移乗の介護、食事、着脱衣の介助などの基礎的な技能を身につけることができるよう、高校生同士が体験的に学習することを想定しているというふうに書いてありますけれども、この具体的な運用について、これは当局からで結構ですけれども、それが今どういうふうになっているかということについて教えてください。

藤原政府参考人 こうした介護に関する学習、これは、座学だけではなくて体験的な実習が必要ということでございます。

 現在、学習指導要領に基づいて様々な取組が始まっている、こういう段階だと承知しておりまして、今後、その中身もしっかり見ながら、更に充実が図られるように努めてまいりたいと考えております。

山下分科員 藤原局長がおっしゃるとおり、やはり座学では駄目で、実際の技能をしなければならない、これは本当に文科省も局長が共有していただいて、ありがたいと思っております。実際、やってみないと分からないんですね。

 実際、推計によれば、高齢者と言われる先輩方の四人に一人が認知症、あるいはその予備軍になるということになると、お父さん、お母さんに、おじいちゃん、おばあちゃんがいるわけですから、一家に必ずお一人認知症になられる方がおられるかもしれない。そういった方々が自宅に戻って介護が必要になったときに、これをどういうふうにやってあげるかというのは、これはやはり国民全体で取り組まなければならないというふうに思っておりますので、それについて、文科省として、これは実際の技能、基礎的なことをやる、実技をやるというのはなかなか現場では難しいのかもしれないけれども、国民全体の問題だということで是非積極的に取り組んでいただきたいんですが、ちょっと局長から御意見を伺いたいと思います。

藤原政府参考人 おっしゃるとおり、介護の問題、これは極めて身近な問題であろうというふうに思っております。ある意味、誰もが遭遇する課題ということだと思いますので、実際にそうした介護ができるように、そうした実践的な学びが進むように努めてまいりたいと存じます。

山下分科員 ありがとうございます。今の大臣の御答弁、そして局長の答弁、これは介護に携わる方々にも大きな勇気を与えると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、話題を変えまして、大臣は文化を守るということも所管で、まさに文化の守り神というふうに思っております。その文化、コンテンツということに関して、日本は世界第三位のコンテンツ大国だとも言われております。そのGDPが十三兆円にも達するという統計がなされております。ちなみに、アメリカが五十七兆、中国は日本の倍の二十七兆ということで、日本がコンテンツ大国の地位を若干下げている部分はあるんですけれども。

 ただ、その成長力、このコロナ禍で様々な、欧米そして中国、韓国もコンテンツの振興に非常に力を入れて、それが非常に伸びている。三〇%伸びた、成長率を見せているところもありますし、二桁伸びているところもある。ところが、日本のコンテンツ産業の成長というのが大体一桁%であるということで、これはやはりコンテンツの成長というのは喫緊の課題であろうと思います。

 時あたかもデジタル時代、そして今後のウェブ3時代でございます。そういったものについては、過去のコンテンツ、日本は豊富な放送のコンテンツはありますけれども、これは必ずしもデジタル化を想定していなかった、この権利処理が非常に大変だ。あるいは、ユーチューブなどに見られるように、インスタなどに見られるように、誰もがコンテンツを作り、公表、流通できるような時代になっております。

 日本の著作物は、著作権法、これが相当早くから整備されたこともあるんですけれども、逆に、それが新しい技術を想定していないということもあって、若干日本の著作物は、映像を中心に、多くの権利者が存在するものに関して、ネット配信などデジタル化を前提とした権利処理がなされていない。従来の著作権法では、特に過去のコンテンツなど、今となっては権利者が分からないコンテンツをネット配信するための許諾を得ることも非常に困難であるということになります。

 実は、同じような問題は、不動産などの所有者不明土地問題、これも似たような問題でした。相続人が増えて、あるいは権利者が分からない、そういった所有者不明土地問題に関しては、私も法務大臣などとして、政府で計画を作り、明治以来の民法改正が今年の四月に施行されるなど、政府を挙げて改革を実現したところであります。

 同じ権利であります著作権についても、是非、永岡大臣の下でデジタル時代を見据えた改正が検討されているとも伺っておりますので、その概要と大臣の意気込み、答弁につきましては概要等については大臣でも当局でも結構ですけれども、その概要と大臣の意気込みを問わせていただきたいと思います。

永岡国務大臣 先生おっしゃいますように、やはりデジタル化が本当に進展をいたしまして、誰もが著作物を創造し、そしてまた公表し、そしてそれが利用できるような時代となりました。著作物の円滑な利用のニーズは本当に高まってきております。

 一方で、著作物の利用には、原則として、著作権者の許諾が必要でございます。利用者にとりましては、著作権者を捜して連絡するまでの過程が大変ということであることから、円滑な利用に結びついていないといった課題があると承知をしております。

 このため、文部科学省では、文化審議会の答申を受けまして、利用条件等の、著作権者等の意思が確認できない著作物については、一定の手続を経まして、利用料相当額を支払うことによりまして時限的な利用を認める新しい制度を創設すべく、そのための法律案の提出を目指しているところでございます。

 新たな制度では、過去の作品のデジタルアーカイブなどが迅速かつ適法に利用できるようになりまして、著作物の利用の円滑化と著作権者等への適切な対価還元の実現、ひいては文化の発展につながるものと期待をしているところでございます。

 このため、私といたしましては、速やかに法案を提出いたしまして、成立に向けまして万全を期してまいりたいと考えております。

山下分科員 これは本当に大きな、コンテンツの利活用についての前向きな答弁あるいは大臣の姿勢だと思います。

 というのは、結局、権利関係が分からないから、要するに、全員の同意がない限りは利活用できないというのがこれまでの対応であった。

 でも、権利関係が分からない事情についてはいろいろなことがあります。例えば、相続人が誰か分からないであるとか、あるいは、映像コンテンツの中に映っておられる俳優の方が今となっては所在が分からないとか、様々なコンテンツがあるのが、そういった、例えば、映像コンテンツは全体で一つのピースになっていて、言ってみれば、マンションのように大きく権利関係が組み合わさっているわけですね。ですから、そういった権利者が分からないものについても、今までは使えなかったものを、大臣の御答弁では、一時的な使用を一定の手続下でやれるようにするということであると思います。非常に前進だと思いますが。

 これは、実際は文化庁長官の裁定等が既にあるわけですけれども、こういった手続を迅速にするということもあろうかと思いますが、この迅速にするということに関して、今、当局でもいろいろ検討をされていると思いますが、言える範囲で、是非どういうふうに取り組んでいくかについてお話しいただきたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、著作権法の改正に向けまして、審議会等で有識者の方々からいろいろな意見を聴取しまして、現場もお伺いしながら、そのあるべき姿を模索しているところでございますけれども、今るる御指摘があったところについてクリアしていくためには、まず、集中管理がされておらず、その利用可否に係る著作権者の意思が明確でない著作物、これにつきましては、文化庁長官に申請を行って、利用料をお支払いすることによって時限的な利用が可能という形の方の制度を今考えられるのではないかということでございます。

 その場合は、この新しい手続を一元的に権利処理できますように、文化庁長官による指定等の関与を受けた窓口組織を考えなければならないでしょうし、また、これを動かしているときに著作権者の方から、やはり自分のところでしっかり管理したいという話がございますれば、申出により時限的利用は停止して、利用されていた間の利用料を受け取ることができ、その後は民民の方の契約という形で、原則どおり、また戻るといったことも考えられるのではないかと思っております。

山下分科員 ありがとうございます。

 これから法案を提出されるということではあるんですけれども、やはり、結局、権利者が分からない、あるいはそういったことで使えないということから、そうではなくて、使うための合理的な手続を設ける、それも、文化庁長官の合理的な裁定、それを助けるための、例えばそういった民間機関なのかもしれません、窓口組織、そうしたことで円滑にやっていくという方向だというふうに承りました。

 これによって、過去の作品のデジタルアーカイブ化、これも進むであろうし、また、複数の著作権上の権利者がいる、実演者も含むかもしれません、そうしたコンテンツも利活用できるのではないか。

 他方で、先ほど御指摘したように、ユーチューブなどの一般ユーザー、これが、どなたかが分からないんだけれども、使う際に適切な手続を取って、また権利の、例えばコンテンツの交渉等をしっかりとテーブルにのってもらってやるということもできるということでございます。これについては、もちろん、既存の権利者の保護ということも十分これまで文化庁は図ってきたというふうに承知しておりますので、そうしたところも配慮しながらやっていただけるというふうに考えております。

 このほか、著作権法の改正の中には、やはり権利者を守るための改正、海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償の算定方法、これが今まで低過ぎるんじゃないかというふうな指摘もありました。これについて検討を進めているということでございますが、その方向性について当局から、可能であれば。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話があったように、海賊版につきましては、既に賠償請求ができるような手続があるわけでございますけれども、その額の算定に当たりましては、基本的には、今の関係者の販売の能力を超える場合につきましては、ライセンス料相当額についてその賠償を請求することができるということですとか、あるいは、ライセンス相当額の方につきましても、海賊版ということでございますので、いろいろな権利を使われてしまっているということがございますから、そのライセンス料相当額の計算に当たりましても、ちゃんとその被害実態等々を見てもらいながら、裁判所の方で判断できるようにという形で規定を直したらどうかということで、審議会とかで意見が出ておるところでございます。

山下分科員 それぞれ非常に画期的な内容を含む改正でございますので、是非、大臣のリーダーシップの下であれば必ずこの著作権法改正はできると信じておりますし、楽しみにもしております。

 一方で、ちょっと追加というか、先ほどお話もありました、コンテンツの利活用を図るためにはデジタルアーカイブなども整備すべきだと。

 というのは、そういったコンテンツというのは、紙媒体であったり、あるいは原画であったり、そうしたものがどんどんどんどんいわゆるGAFAと言われる外国資本によって著作権が買われたり、あるいはデジタル化の権利を買われたりしてしまって、やってしまっている。これはあたかも、昔、日本の浮世絵が海外に流出して、もう海外に行かなきゃ見られないというようなものと同じではないかというふうにも思われます。

 そうしたことから、コンテンツのデジタルアーカイブ化、これもしっかりやっていただきたいというふうに思っておりますが、そうしたことについて、もし当局において何か御検討等があれば、お願いいたします。

杉浦政府参考人 委員御指摘のとおり、やはり著作権の、これから更に発展させていくためにも、そして文化がそれで発展させるためにも、その種となる部分のところ、これをしっかりと残して、アーカイブ化して、利活用しやすいようにするということは大変大切なことだと思っています。

 今、具体にそのアーカイブ化につきまして、具体の方法、施策があるわけではございませんけれども、今、漫画、アニメなどもそうですが、非常に日本の有力なコンテンツがなかなかアーカイブ化されていないという問題がございますので、これについては、幅広くいろいろな有識者の御意見を頂戴しながら、また国会での議論も頂戴しながら、何らかの形でまたこれも前に進めていかなきゃいけないものというふうに考えております。

山下分科員 前向きな答弁をありがとうございます。

 本当にコンテンツは国家戦略になっておりまして、韓国は、例えばメタバース新産業先導戦略で五百五十六億円も投入しているとか、あるいは、イギリスも、例えば二億五千万ポンドを割り当てる文化投資ファンドを発表したりしているんですね。

 そうしたことから考えると、やはりこうした文化戦略として、文化の守り神であります永岡大臣を始め皆様には、これは経産省との、あるいは知財事務局との連携も必要ですが、是非国を挙げてお願いしたいと思っております。

 それでは、次に、教育費の問題について、若干、学校外活動の関係から申し上げたいと思います。

 これは資料としては配付しておりませんが、文科省の資料によると、子育て、教育費、今問題になっておりますけれども、高校から大学まで国公立、これは、実は私も大学まで国公立だったんですけれども、これでも八百万円以上かかるんですね、一人当たり。例えば、大学に私立に行っていただいたら一千万を超えますよ、全て私立に行ったら二千四百万ぐらい、一人当たりかかるんですよ、そういうことになりました。

 やはりこれは少子化の原因の一つでもあります。これについては、例えば、大学あるいは高校について、奨学金であるとか、あるいは私立学校への適切な助成で公私間の格差是正を図るということは、今大臣が筆頭に、教育の平等を図るために文科省でも検討されていると思いますが、若干、塾の費用もばかにならないんですね。

 塾の費用がどれぐらいかというのを、文科省からちょっと資料をいただくと、例えば、これは恐らく多くが塾の費用だと考える公立中学校では、大都市においては四十四万円ぐらい年間でかかっている。これは平均ですから、恐らくもっとかかっているんだろうと思います。地方都市だともっと低いんですけれども、これは、地方には塾がなかなかない部分もあるということであります。

 そこで、今、GIGAスクールを進めている中で、地域間格差是正であるとか、あるいは教育の平等を図るために是非お願いしたいのが、学習指導コンテンツとして、文科省は、例えば国立大学の附属校、小中高がありますけれども、物すごく教え方のうまい先生、これは別に附属校だけではなくて、全国の、やはり文部省所管の学校におられると思います。そうした方が単元ごとに上手に教える学習コンテンツを作って、これを、例えばユーチューブとか、あるいはGIGAスクールでお配りした端末などで、生徒さんが単元ごとに自ら予習、復習ができるようにできないかということなんです。

 それをすることによって、自らできるとともに、例えば、学校の、学童保育なんかで分からないときに、大学生の方がそれを見ながら教えるということもできるかもしれない。あるいは、最近、若い先生方が教え方に迷っている部分もあるんですね。そうしたものを例えばそういうお手本として見るということもできるかもしれない。

 そうしたことで、是非そういったことも進めていただきたいんですが、その予算に当たるであろうリーディングDXスクール事業は、これは好事例をやってくれということなんですが、二・四億円ぐらいしかないんですね。

 こうしたコンテンツを作ることによって、本来、塾に行こうかどうしようかというのが、自宅でできるようになる。副次的効果として、例えば、学校に行けない不登校の子でも、それを見ればそんなに遅れなくても済むんじゃないかという様々な効果があると思うんですが、こうした学習コンテンツを文部省で作っていただいて、あるいは文部省の所管で作っていただいて、全国で子供たち、生徒さんが見ることができるようにするということは是非考えていただきたいんですが、これについて、ちょっと文科省側の御意見、お考えを伺いたいと思います。

藤原政府参考人 優れた教師による優れた授業の在り方を共有しながら、一人一人の教師が授業の質を高めていく、こうしたことは非常に重要だと思っております。また、御指摘のありました格差の問題、そうした問題もあるわけでございまして、そうした課題に対応していく上でも、様々検討すべきものがあるのではないかというふうに考えております。

 それから、先生御指摘のありましたリーディングDXスクール事業、こちらの方では、一人一台端末も活用しながら、効果的な指導の実践例を創出し、その横展開を図っていくというもので考えているものでございまして、今後、こうしたものも基盤としながら、様々な形で授業の質を高めるようなそうした取組、それから、子供たちにどういった形でその内容を提供していくのがいいのか、しっかり研究してまいりたいというふうに思います。

山下分科員 ありがとうございます。

 ただ、藤原局長、先ほど御指摘したように、このリーディングDXスクール事業は二・四億円しかないんですよね。しっかりとした配信とかそういったことを考えるということになると、ちょっと予算が足りないですよね。

 よく学校の先生なんかに聞くと、学習指導要領や、あるいは教科書に沿ったあんちょこみたいなものがあって、それで勉強しているという部分があるんですけれども、それはそれで結構なことだと思うんですが、そうしたいい教え方、どうしたら伝わるか、あるいはどこでひっかかるのかということは多分蓄積があると思うので、そこに特化したそういったコンテンツですね、端末で見られるような。そういったものをやはり今こそ検討すべきじゃないか。

 GIGAスクールというと、例えば動画で、本では見られないものを見せるという部分もあるんですけれども、先生の教える姿というか、基本的なそういったものも教えてあげるということになると、地方でも都市でも同じようなハイレベルな分かりやすい授業が受けられるという部分があると思うんですが、そこら辺をもう一声、ちょっと検討していただきたいんですけれども。

藤原政府参考人 御指摘のように、今のこのICT技術を最大限活用していくことで、様々なこれからの更なる発展ということが考えられるところがあろうかというふうに思っております。

 その中で、特に、最近若手の教師が非常に増えているという中で、授業の仕方自体に悩んでいるといった状況もあろうかと思っております。

 そうした中で、御指摘のような優れた教師の授業の実践の在り方、そうしたものを多くの方が共有しながら、よりよい授業につなげていけるように、体制整備を考えてまいりたいと存じます。

山下分科員 是非前向きにお願いいたします。

 そして、最後の質問なんですけれども、私は、議員立法として、公認心理師法の議員立法をさせていただきました。その際には、文科省の皆さん、厚労省の皆様に大変お世話になりました。

 今、やはり学校でも、非常に悩みを抱える子供たちもあり、あるいは先生も悩みを抱えている部分がある、こういうこともございます。そうしたことで、是非スクールカウンセラーとか学校教育において、公認心理師、せっかくつくった国家資格で、もう七万人の合格者がいますから、是非お願いしたいと思うんですが、これについて当局からちょっと見解を伺いたいと思います。

藤原政府参考人 スクールカウンセラーの量的な確保とそれから質の向上、両面で取組を進めていく必要があるというふうに考えております。

 現在、スクールカウンセラーにおける資格の保有状況といたしましては、公認心理師の資格を持っておる者が約八割程度というふうになっているところでございます。

 今後とも、その質の向上に努めてまいりたいと存じます。

山下分科員 様々質問をさせていただきましたが、まさに教育の大きな方針を大臣がしっかりと指導していただき、そしてまた日本の教育レベルが上がるものと考えております。

 最後に、永岡大臣の意気込みを是非聞かせていただければと思います、教育全般について。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 やはり母親でございますし、また子育ても本当に実践的に頑張ってきた人生でございました。

 そんな中では、子供たちが、本当に楽しく、心の底から学校に行きたいのだというような、そういう思いで学校に通ってもらえる、そして、一人一人の先生方と、それぞれのお友達と、楽しく、そして有意義な時間を過ごしてもらえる、そういう日本の学校にしていきたいと考えております。

山下分科員 大臣の下であれば必ずできると思っております。

 ありがとうございました。

三谷主査 これにて山下貴司君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井分科員 三十分間、統一教会問題について質問をさせていただきます。

 永岡文科大臣、そして植田審議官、どうかよろしくお願いをいたします。

 今日は、統一教会の合同結婚式など、デリケートな問題について質問いたしますので、質問の前に、私の基本的な考えを述べさせていただきます。

 まず、合同結婚式で結婚される御夫妻には、私は、幸せになっていただきたいともちろん願っておりますし、さらに、その御夫妻のお子さんにも幸せになっていただきたいと切に願っております。私は、合同結婚式で結婚される御夫妻や御夫妻のお子さんの幸せを願うばかりであり、批判する意図は全くありません。私は、信教の自由は当然守られるべきと考えます。

 また、もし、今、統一教会の解散請求やあるいは解散命令が出たとしても、合同結婚式を止める力はありませんので、合同結婚式をやめるべきという議論をするつもりもありません。

 私は、昨年の八月以降、二十五人の統一教会の被害者の方々にお目にかかり、お話をお聞きし、多額の献金などによる自己破産、家庭崩壊、自殺未遂、自殺、精神疾患、児童虐待、うつ病、PTSDなどの深刻な被害を聞いてまいりました。

 この配付資料の中にも、永岡大臣、御覧いただきましたら分かりますように、ここの配付資料の十ページ、十一ページ、十二ページ、十三ページと、二〇〇九年のコンプライアンス宣言以降も深刻な金銭トラブル、金銭被害が出ているという一覧表を十ページから十三ページにつけさせていただきました。不法行為の認定もされているということで、今、質問権が行使されているところであります。

 その中には、もちろん、合同結婚式に参加された方や、その二世の方々も多数おられました。統一教会により幸せになっている信者さんもおられますが、一方では残念ながら多くの被害者もおられ、解散請求について質問権が行使され、昨年末には被害者救済法も与野党の賛成により成立いたしました。

 現役信者の方々や二世の方々には幸せに暮らしていただきたいですし、また、このような解散請求などの議論の中で生きづらくなることがないように、私も、もちろん解散請求は急ぐべきだという立場でありますが、現役の信者の方々、二世の方々への支援、そういう方々への支援も今まで以上に必要だということを私はずっと繰り返し要望し、発言をさせていただいております。この解散請求の議論は、一般の信者の方々には何ら罪はないことであります。

 そんな中で、信教の自由は守りながらも、人間を不幸にするような信教の自由であるならば、それは問題であり、被害者救済法などに違反するような、また、二〇〇四年の最高裁で判決が出たような違法な事案を抑止することは、政府や立法府の責務だと考えております。

 このような認識に基づき、質問をさせていただきます。

 まず最初、配付資料の一ページ目にありますように、日本霊感商法対策弁護士連絡会の阿部弁護士が、中和新聞という統一教会関係の新聞の記事について、先日、私たちの勉強会で紹介をされ、そしてその中で、五月七日に教団が韓国で合同結婚式を予定しているということを明らかにされました。

 阿部弁護士いわく、「「今回は新型コロナウイルス禍明けで、大規模になると予想される。韓国に信者が(献金などで)多額の現金を持ち込む可能性もあり、注意深く見ていく必要がある」と指摘した。」というふうに報道はされております。

 また、今日の配付資料を見ていただきますと、この合同結婚式で幸せになられるということを私は切に願うわけですけれども、一方では、この配付資料にもありますように、例えば「カルトの花嫁」、冠木結心さん、仮名でありますけれども、この方が書かれた本では、「統一教会信者となった母親の影響で信仰にのめりこみ、十代でカルトの罠に溺れていく。二十年という歳月を、統一教会に翻弄された筆者の衝撃のノンフィクション手記。」「カルトにはまる」「幸せが約束されたはずの「祝福結婚」」「思わぬ災難」「極貧生活」「自己破産して生き延びる」、こういうふうな形で書かれておりまして、残念ながら、詳細は分かりませんが、韓国に合同結婚式の後、滞在されて、DV被害を受けている日本人の奥様も多いというふうなことも聞いておりますし、今、七千人、韓国に渡った日本人女性の信者がおられるというのが十五ページにございます。

 それともう一冊、これは有名な方でありますが、ここにありますように、「愛が偽りに終わるとき」、山崎浩子さん、新体操のオリンピックの選手でございます。この方も、以前でありますけれども、合同結婚式に出席をされたということで、この本も私も読ませていただきましたが、この三ページに目次がありますが、「「神の子」になる」「盲信者」、そして「暴かれた嘘」「悪夢は消えた」というふうに、こういう被害に遭われた方がどれだけのパーセンテージか、もちろんそれは定かではありませんが、残念ながら、こういう被害も一部では出ている。

 そういう中で、結婚式というのは本来もちろんお祝いすべきことではありますが、こういう最高裁の違法判決も出ております。そういうことで、私も質問をさせていただいております。

 では、永岡大臣にお伺いしますが、二〇〇四年には、合同結婚式についての参加強要について違法と最高裁の判決が出ております。今日の配付資料の九ページに、当時の地裁、高裁、最高裁の判決の新聞記事がございますが、永岡大臣、どのような違法判決が出たのか、お答えください。

永岡国務大臣 二〇〇四年の二月に最高裁で、被告側、上告棄却の判決が出ております。

 その前の二〇〇二年八月には、東京地裁におきまして、各原告らが合同結婚式に参加するに至った具体的な経緯を詳細に認定した上で、元信者であります原告らに対する合同結婚式への参加に向けられた各行為には、原告らの婚姻の自由を侵害する違法性、違法があると判決で示されました。その後、被告である旧統一教会からの控訴、上告が棄却されまして、当該判決が確定したものと承知しているところでございます。

山井分科員 繰り返し申し上げますが、人間の結婚というのは本来祝福すべきすばらしいことでありますが、こういう違法判決も一部では出ている。もちろんこれは過去の話ですよね、二〇〇四年ですから約二十年前の話とはいえ、今後もこういうことがないように私も切に願いますし、そういうことがないように心配をしております。

 この五月七日に合同結婚式が行われる予定であるということは、永岡大臣、御存じでしたでしょうか。

永岡国務大臣 そちらは、委員の先生方のお話等を伺いまして、承知はしております。

山井分科員 それで、これは一般論なんですけれども、こういうふうな形で阿部弁護士も指摘されるように、この結婚式を機に多額の献金とかそういうことがあってはならないと私は思っております。

 ついては、一般的な意味で、改めて宗教法人などが不法行為をしないように注意喚起をすべきではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 昨年成立いたしました不当寄附勧誘防止法につきまして、宗教法人に対しては、本年一月の六日に、同法の一部施行に合わせまして、文書によりまして周知を図るとともに、また、一月の二十日に開催されました日本宗教連盟主催の説明会で消費者庁から説明を行うなどしてきたところでございます。

 さらに、同法における違反に対する行政措置等に係る規定や罰則規定などが本年の四月の施行を目指して準備されておりまして、それに向けて、消費者庁が、広く国民に対する周知のための広報また発信を行うこととしていると承知をしております。

 そのため、文部科学省といたしましても、これら消費者庁の取組と連携をいたしまして、宗教法人が同法に違反をする勧誘行為を行うことがないよう、どのような行為が不当寄附勧誘防止法に違反するおそれがあるのかの具体例を示すなど、しっかりと宗教法人に対して周知徹底を図ってまいります。

山井分科員 解散命令請求も、本当に熱心にというか、しっかりと文化庁さんが今調査をしてくださっているということで、私も信じておりますし、期待をしております。弁護士の方々、被害者の方々にもヒアリングをされ、本当に取り組んでおられることは私も評価をしております。

 ただし、残念ながら、今年に入ってからも献金被害の相談も私も受けておりますし、遅くなればなるほど被害者は増えます。是非、解散請求、急ぐべきだと思います。いかがでしょうか。

永岡国務大臣 解散命令の要件というのは、やはり宗教法人法で厳格に定められておりまして、この要件に該当するかどうかの判断に当たりましては、法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げというものが不可欠でございます。

 そのため、報告徴収、質問権の効果的な行使等を通じまして、旧統一教会の業務等に関して、具体的な証拠や資料などを伴います客観的な事実、これを明らかにするための丁寧な対応を着実に進めまして、その上で、法律にのっとりまして、必要な措置を講じてまいります。

山井分科員 これは、いずれ解散請求が出た場合、例えばその少し前に多額の献金をした方、あるいは、そういうふうな方々からすると、解散請求が出たら、迷っている方も思いとどまったり、あるいは御家族が止められたりするケースもやはりあると思うんですね。これは非常に政府の重い判断ですから。そういう意味では、遅れれば遅れるほど被害者が増える。

 やはり、最大の被害者救済は被害者を出さないことなわけですから、そのために、被害を、ブレーキをかけるのはやはり解散請求であり解散命令であると思いますので、是非急いでいただきたいと思いますし、そういう意味でも、早い段階で、解散命令請求に該当する疑いが高まっている、解散命令請求に向かっているというメッセージを中間報告として出すべきではないでしょうか。

永岡国務大臣 旧統一教会の動向につきましては、国会での委員各位からの御指摘等によりまして、本当に承知はさせていただいております。

 しかしながら、統一教会に対しましては、これまで三回にわたりまして報告徴収、質問権を行使するとともに、また、全国弁連の皆様方や、また被害者の方々から旧統一教会の業務の実態等を把握するための資料、情報を収集して、分析を進めているところでもございます。こうした対応を着実に進めまして、その上で、法律にのっとり、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

 その過程におきまして、検討状況をどのように社会に対して説明するかというのは、いただいた御指摘等など様々な御意見も参考にいたしまして、実態把握に支障が生じない範囲で検討してまいりたいと考えております。

山井分科員 重要な答弁だと思います。是非、そういう中間報告的なメッセージは出していただきたいと思います。

 そして、調査が長引いている間に被害者がどんどんどんどん増えているわけですけれども、解散請求を少しでも早めるために、訴訟担当の職員を二倍ぐらいに増やして、調査スピードを大幅にアップすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 宗務課の体制につきましても、初めは八人でございまして、本当に野党の先生方からも御心配をいただきました。そんな中で、省内そして関係省庁からの応援も得まして、昨年十一月の一日には三十八名に、そして今年の一月二十五日に四十名に増員をいたしまして、報告徴収、質問権の行使、そして、全国弁連や被害者の方々からの情報収集、民事裁判の事例の把握、分析などの対応を鋭意進めているところでございます。

 他方、被害者等からの情報収集に当たりまして、全国に多数おられる被害者については、やはり、長期間に被害を受けられている場合や、また、御自身の気持ちの整理がなかなかつかない、丁寧に向き合う必要がある場合など、様々な事情があることから、その心情に配慮をしながら情報をお伺いしているところでございます。

 こういった対応を着実に進めまして、その上で、法律にのっとり、必要な措置を講ずることとしておりまして、更なる体制の拡充については、これからの状況を踏まえながら検討してまいりたいと思っております。

山井分科員 是非、早急に増員をしていただいて、解散請求をスピードアップしていただきたいと思います。

 そして、統一教会は、五月上旬に天苑宮の完成を控えて、また今、献金集めも引き続き行っておりますし、五月七日にも合同結婚式を開催いたします。

 ここからは消費者庁にお伺いしますが、繰り返し言いますが、合同結婚式自体は、これは宗教行事であると思いますけれども、阿部弁護士も指摘されるように、その際、今回の被害者救済法で違法となったような献金勧誘、集めが行われてはならないという視点からの質問なんですが、多額の寄附を募ろうと今も統一教会はしております。

 この合同結婚式に向けての取組の中で、中には、借金をしたり田畑を売って多額の寄附を行う、あるいは、そのような多額の献金によって本人や家族の生活が困窮するといったことも起こる可能性があるのではないかと想定をされます。

 ここの配付資料にもありますように、今回の被害者救済法において、禁止規定そして配慮義務規定が書かれております。ついては、このような多額の献金によって本人や家族の生活が困窮するといったことも起こったり、あるいは、借金をしたり田畑を売って多額の寄附を行う、このようなケースには、被害者救済法つまり不当寄附勧誘防止法における禁止行為や配慮義務違反に当たるのではないでしょうか。また、禁止行為の違反の場合はどのような罰則になりますか。

植田政府参考人 お答えいたします。

 寄附を募るに当たりまして、御指摘のような借入れでありますとか、生活の維持に欠くことのできない事業を継続するために不可欠な事業用資産、御指摘ありました田畑のようなものでございますけれども、この処分によって寄附のための資金の調達を求めるということは、不当寄附勧誘防止法上の禁止行為に当たります。また、寄附者本人の配偶者や親族の生活の維持が困難になるような場合には、同法上の配慮義務違反に当たるということでございます。

 御指摘の旧統一教会に関するお尋ねにつきましては、個別の事案によることになりますが、御指摘のように、借金を求めたり田畑の売却を求めたりするなどの勧誘行為があった場合には、不当寄附勧誘防止法の禁止行為に当たり得ると考えられます。さらに、家族の生活が困窮する場合には、配慮義務違反にも当たり得るということと考えております。

 それから、罰則につきましてでございますけれども、不当寄附勧誘防止法の禁止行為に関する罰則につきましては、禁止行為を行っていると認められ、引き続き当該行為を行うおそれが著しいと認められる場合に、当該行為の停止等の勧告を行います。勧告に従わない場合は、当該勧告に係る措置を取るよう命ずるということができます。このような命令に違反した場合には、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金が定められておるところでございます。

山井分科員 おっしゃったように、もちろんこれは統一教会に限る話ではありませんし、合同結婚式に限る話ではありません。そういう意味で、せっかく新法が施行されたわけですから、それに違反するようなことが行われては決してならないと思っております。

 そして、このことに関して、献金の勧誘というのはまだまだ続いているわけでありますが、そのような被害の端緒の情報を消費者庁に伝える場合に、今は一八八の消費者ホットラインがあると理解しておりますけれども、電話というのはちょっとハードルが高いので、電話ではなかなか難しい面があると考えられますから、例えば、宗教二世のネットワークの方々からは書面送付制度の提案などがされておりますけれども、四月一日の被害者救済法の本格施行に向けて、被害報告をより受けやすくする方策として、消費者庁としてどのような情報収集の方法を考えていますか。

植田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、法の的確な運用のためには情報収集は非常に重要であるというふうに考えております。御指摘いただきました消費者ホットライン一八八ももちろん活用いたしますけれども、それから、法テラスに集まっております相談情報、悪質な寄附勧誘の手口等が分かる相談情報については、継続的に法テラスから消費者庁に情報の提供を受けるということになっております。

 さらに、これに加えまして、消費者庁のホームページに、個別の法人等による寄附勧誘に関する違反行為に関する情報を受け付けるウェブフォームを開設することとしております。不当な寄附勧誘の実態把握にこれを用いて努めてまいりたいということでございます。

 不当寄附勧誘防止法の本格施行に向け、このような情報収集体制の整備を速やかに行ってまいります。

山井分科員 今も重要な答弁だったと思います。電話だけではなく、今後、四月一日以降の本格施行に向けて、被害をホームページに書き込むようにできる、これは非常に私は一歩前進だと思いますが、四月一日施行ですけれども、是非とも、四月一日以降と言わずに、できるだけ速やかに、三月から書き込めるようにしていただきたいと要望させていただきます。

 もう一点、今問題になっておりますのが、配付資料の八ページ、「「講演会」実態隠し宗教勧誘」「統一教会友好団体「手芸サークル」と登録」ということで、統一教会がかつて、二〇一七年に公民館で手芸サークルといって人を集めながら、実はそこで信者さんの勧誘をしていたということがばれたわけでありますね。これは、残念ながら、一般の人からすると、正体を隠されたら、言ったら悪いけれども、だまされますよね。ということで、これはやはり深刻な問題だと思います、今後も起これば。

 ついては、被害者救済法においてこの点は違法になるのではないかと。つまり、旧統一教会は、ほとんどのケースで献金勧誘の一環として宗教勧誘を行っていると考えられ、被害者救済法の施行以降であれば、このような献金の勧誘の一環として勧誘する法人等を明らかにしない宗教勧誘行為は、被害者救済法、不当寄附勧誘防止法での配慮義務違反に当たると考えられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

植田政府参考人 お答えいたします。

 本年一月五日の不当寄附勧誘防止法の施行以降に、法人等を明らかにせずに寄附勧誘を行っている場合には、同法における配慮義務違反となります。

 旧統一教会に関するお尋ねにつきましては、個別の事案によることとなりますけれども、御指摘のような寄附勧誘、献金勧誘の一環として法人等を明らかにせずに宗教勧誘行為を行っている場合にも、不当寄附勧誘防止法における配慮義務違反に当たり得るというふうに考えております。

山井分科員 ここにありますように、今までは法律がなかったわけですね。でも、結局、被害者救済法が成立した以上は、これは配慮義務違反になると。かつ、じゃ、配慮義務違反になったら何が起こるんだということですけれども、先ほども答弁してくださいましたように、電話でも受け付けるけれども、消費者庁のホームページでも簡単に書き込めるようにする。結局、それが数多く重なってきたら、質問権を行使し、勧告権を行使する、そういう流れになっていくんだと思います。

 そういう意味では、残念ながら、被害者救済法は成立したけれども、効果はないんじゃないかというような、抑止力はないんじゃないかという声も出ておりますけれども、しっかりこれが効果を発揮して、新たな被害者を生まないようにすることが非常に重要だと思っております。

 それで、永岡大臣、ちょっとまた合同結婚式の話に戻らせていただきますが、繰り返し申し上げますが、結婚によって幸せになる、そしてまた、お子さんが生まれ、お子さんも幸せになる、これは本当に祝福すべきことだと思います。

 しかし、私も拝読してショックを受けましたけれども、例えばこの冠木結心さんの本でも、紀藤弁護士の帯文によると、カルト二世には悲しいストーリーが無数にある、本書は著者の体験を通して、カルト宗教の金銭被害、家庭崩壊、人生破壊の罪深さを私たちに問いかけるというふうに書かれております。

 また、山崎浩子さんのケース、この方もテレビで大々的に取り上げられたケースですけれども、合同結婚式に出席されたわけですけれども、その後、脱会をされたということが、この「愛が偽りに終わるとき」という、こういう本にも書かれております。

 繰り返し言いますけれども、これは以前の話ですからね。今の合同結婚式については、以前とは違うという部分もあるようですし、以前と変わっていないという部分もあるようなんですね。

 こういうふうな話を聞いて、永岡大臣の御感想を一言いただければと思います。

永岡国務大臣 山井委員おっしゃいますように、確かに、私の記憶にも、山崎浩子さんが統一教会の合同結婚式に出る、出ないということで、一時期、相当メディアに出演していた、そういうことは思い出しております。

 しかしながら、今、これは文化庁の、また、宗教法人法の所管の大臣でございますので、そのことにつきましては、意見、これを差し控えさせていただきたいと思っております。

山井分科員 おっしゃるように、宗教行事自体については、いいとか悪いとか、私たちも言う権限はありません。

 ただ、一つ、私もそういう中で、質問しづらい中質問しておりますのは、やはり、過去、こういうことがあった以上、また同じような、最高裁の違法判決が出るようなトラブルがあっては、本当に、立法府としても政府としても、これは許されることではないという危機感からであります。

 そして、配付資料を見ていただきましたら分かりますように、十ページ以降、赤線を引きましたのは、一億円以上の統一教会との和解のものに赤線を引かせてもらいましたけれども、おびただしいような金銭トラブルが起こっているわけですね、十ページ、十一ページ。

 そしてまた、コンプライアンス宣言以降に関しましても、これは全て弁護団の資料でありますけれども、十二ページ、十三ページにありますように、多くの被害がコンプライアンス宣言以降も続いている。裁判になっているものはごく一部ですけれども、和解や交渉で様々なトラブルが起こっており、私がお目にかかった多くの被害者の方々の被害も、残念ながら、二〇〇九年のコンプライアンス宣言以降に起こっているんですね。

 そういう意味では、やはり解散請求というものが遅れることによって更に被害者が増えるということは、本当に私はあってはならないというふうに思っております。

 それでは、最後の質問になりますけれども、少し趣旨が変わりますが、私も京都選出の議員といたしまして、三月二十七日に文化庁が京都に移転をされることを大変楽しみにしております。先日も私、京都府庁の、移転される先に視察をさせていただきましたし、それこそ宗務課の部屋も拝見をさせていただきました。一か月後に予定をしている京都移転に向けて、永岡文科大臣の思いと意気込みをお伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 山井委員もいらっしゃった、文化庁の京都移転、しっかりと私も先月視察をさせていただきました。

 文化庁が京都に移転する意義というのは、単に東京一極集中の是正にとどまりません。まずは文化芸術のグローバルな展開、そして文化芸術のDX化、そして観光や地方創生に向けた文化財の保存、活用などを始めとする新たな文化行政の展開を進める上でも大きな契機になると考えているところでございます。

 また、京都移転が行われます令和五年度に向けて、地域文化の振興拠点強化を図るための予算、これを計上しております。新たな地域文化の創造に資する取組を行うこととするなど、文化庁の京都移転を契機といたしまして、我が国の文化行政の更なる強化というものが図られるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

山井分科員 時間が参りましたので、一言まとめを申し上げます。

 こちらに西村智奈美議員もおられますけれども、我が党は立憲民主党として被害者救済の対策本部、統一教会の対策本部を立ち上げて、今までから被害者救済法の立法にも取り組んでまいりましたし、被害者救済、そして一日も早い解散請求、これは、私たちは政争の具にすることなく、与野党力を合わせて、被害者救済法も与野党の賛同でできましたし、私たちも文化庁の応援もさせていただいております。

 ただ、やはり私たち肝に銘じねばならないと思っていますのは、今までからもう三十年ぐらい問題になっているにもかかわらず、行政もまた与野党の国会議員も、残念ながら及び腰であった。もちろん、信教の自由は守らねばなりません。そういう中で、先送り、先送り、先送りしてきた結果、これだけ甚大な被害者が出て、そして被害者の方々がその被害を訴えざるを得ない。そしてまた、被害を訴えた被害者の方々が、また様々な、統一教会関係者なのかそうでないのか分からない方々も含めて、強烈なバッシングを受けて、本当に被害を受けておられる。被害者が被害を語ると、またバッシングを受ける。一歩間違うと口止めをされる。更に一歩間違うと、スラップ訴訟のような訴訟すらされかねない。

 そういう中では、本当に私たち、永岡大臣、岸田首相、この点に関しては思いを一つにして、これ以上絶対に被害者を出さない、そして私たちも、解散請求、必要な証拠を固めて一日も早くやる、そういうことが必要だと思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

三谷主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三谷主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中川宏昌君。

中川(宏)分科員 公明党の中川宏昌です。よろしくお願いいたします。

 最初に、不登校問題への取組についてお伺いしてまいりたいと思います。

 不登校に対する支援強化につきましては、二月八日の予算委員会で我が党の鰐淵委員が質問させていただき、総理からは、特例校を含め、全ての学校で、誰一人取り残されない多様な学びの実現に取り組むと力強い御答弁をいただきました。

 小中学校の不登校児童生徒数は、二〇二一年度で二十四万五千人となり、深刻な状況と文科省の資料にもありますが、ここ数年の上昇率はとても高くなっております。

 コロナの制約などで、小中学校では、休校や黙食、行事なども行われず、人間関係づくりが難しいときを過ごし、不登校の状況が極めて深刻な状況となりました。

 不登校の主な要因としては、無気力や不安、友人関係や学業不振、親子関係や生活リズムの乱れがある一方で、学校を休むことへの抵抗が減ったことも不登校増加の一因と見られております。

 昔は、学校に行かないと言うと親に怒られましたので、学校に行った方がましだ、こういう環境もありましたけれども、時代は変化してきていますので、不登校に対してあらゆる角度から見ていくことと、多様性の時代であるということをしっかり押さえて対応していくことが肝要だと思っております。

 文科省でも、不登校の増加の要因を調べ、詳細に分析をされ、対策を検討して、教育支援センター設置推進ですとか、また、不登校特例校の設置の促進にも力を入れていく方針としておりますけれども、政府として、改めて不登校の課題についての御決意をお伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 昨年度、小中学校におけます不登校児童生徒数が二十四・五万人で、過去最多となりました。多くの子供たちが学びの場から置き去りにされること、これは教育の根幹を揺るがす大変憂慮すべき課題である、そう考えているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、現在、全ての不登校の児童生徒が支援を受けられるよう、不登校特例校の設置促進等の体制整備、それから、一人一台端末の活用等によりますデータに基づく不登校の兆候の早期発見、早期支援、そして、全ての児童生徒が安心して学べる学校づくりによる予防的な不登校対策の推進を柱といたします、誰一人取り残さない学びを保障するための不登校対策につきまして、年度内をめどにまとめるべく、有識者等の御意見も伺いながら検討を進めているところでございます。

 今後、速やかに検討を進めるとともに、可能なことから順次実施をしてまいります。

中川(宏)分科員 大臣、ありがとうございました。

 今大臣からも憂慮すべき課題との認識をお話しいただいたところでございますけれども、今後、様々な対応を是非お願いしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 大臣におかれましてはここで御退出していただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移りますけれども、不登校につきましては詳細な分析がされておりますけれども、不登校の四割が起立性調節障害、体の病気が要因とも言われております。この病気の特性から、サボっているですとかやる気がないという根性論的なことから子供を追い込むようなことはあってはならないと考えております。

 この点の誤解や偏見についてはどのように分析をされているのか、お伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 御指摘の起立性調節障害については、思春期に発症しやすい自律神経機能不全の一つで、立ちくらみや倦怠感、動悸、頭痛などの症状を伴い、朝起きるのがつらくなることも多い疾病であり、このために登校できなくなる場合もあるというふうに承知をしております。

 不登校の要因は、学校に関わるもの、家庭に関わるもの、本人に関わるもの等、多岐にわたり、特定することが困難な場合もありますけれども、仮に起立性調節障害等の疾病の場合は、文部科学省の調査においては不登校ではなく病気を理由とした長期欠席とした上で、医師の診断の下、周囲の大人が適切な対応を取ることが重要であると考えております。

 文部科学省では、学校の教職員が起立性調節障害について理解を深め、健康課題を抱える児童生徒に対応できるようにするための指導手引を作成したところであり、指導主事を集めた会議等における周知を通して、引き続き教職員の理解を深めてまいります。

中川(宏)分科員 そのように是非とも御対応を引き続きお願いしたいと思います。

 今後はこども家庭庁にこの問題が移っていくわけですけれども、資料によりますと、全ての子供への居場所づくり等の中で、不登校の子供への居場所の確保や、アウトリーチのきっかけをつくるとありました。不登校児童へのアプローチをすることは大事な観点でありますが、これは相手のある話ですので、その子の側としてどのチャンネルがいいかという問題もあり、とても難しい取組だと思っております。

 ただ、不登校の要因分析として、児童生徒本人の無気力、不安が五〇%近いという結果からしますと、子供たちが興味を持てない、未来に希望を持てない状態だということでもあるかと思います。

 そこで、提案でございますが、アウトリーチ支援と同時に、ICTでの支援を拡充するということがもっとあっていいのではないかと思っております。例えば、不登校児童などが参加できる小中学生専用のメタバース的なものを作りまして、時間的なものもそうでありますが、自由に学習ができる環境をつくる、また、趣味が同じ友人と出会える空間、あるいは自分の好きな分野での交流ができる空間としての場所を考えてはいかがかと思っております。

 中学までは義務教育であるならば、学びの選択肢を提示するのは政府の責任でもあるわけですので、時代と環境変化も捉えて検討していくことが大事ではないかと思っております。まさに総理から御発言のありました多様な学びの実現ということになると思いますが、この点につきまして御見解をお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 不登校児童生徒などに対し、さらに、近未来を見据えた学びの姿として、御指摘のメタバースなどの先端技術を効果的に活用していくことも期待されるところでございます。

 文部科学省では、各自治体や民間事業者の協力も得ながら、学校現場で様々な先端技術の効果的な活用を推進しており、今年度からは、不登校児童生徒に対し、メタバースによる仮想空間上の教室を提供した学習支援などについて、複数年の取組も視野に入れた実証事業を行っているところでございます。令和五年度予算案におきましても、関係予算の確保を行っているところでございます。

 今後は、実証の成果をしっかりと検証しつつ、不登校児童生徒などの学びの充実に関する施策の充実に生かしてまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 不登校児童にもいろいろあり、教育支援センターや不登校特例校に行ける児童、フリースクールに通える環境の児童もおりますが、外へ出ない、家を居場所としている児童もおり、決して居場所がないということではないかと考えます。

 様々なデータはありますけれども、不登校だった児童がそのまま大人になって引きこもりになるのは二割程度と言われております。また、不登校児童の大半は無気力とのデータもありますが、実はそうではなくて、やりたいことが見出せない、また、勉強したいが学校での授業に合わないということも多分にあるかと思っております。

 その意味でいきますと、教育現場の充実、拡充に加えまして、不登校児童ということも視野に入れて、学校自体の充実、つまりは、教員の数を増やすことや専門性の高い教員を配置するという観点も極めて大事であると考えますが、この点につきましてお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 不登校児童生徒の増加等の子供たちの多様化、教育DX、少子化等の社会変化を踏まえ、新たな学校教育が求められており、それを担う質の高い教師を確保することは重要でございます。

 このため、学校における働き方改革を進めつつ、小学校における三十五人学級の計画的整備や高学年教科担任制の推進等の教職員定数の改善等の環境整備に取り組んでいるところでございます。

 これに加え、令和五年度予算案におきましては、複雑化、困難化する教育課題への対応のため、不登校児童生徒への支援や生徒指導等のための加配定数の配置充実等に関する経費も計上しているところでございます。

 今後とも、持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るため、教職員定数の改善、また専門性を有する教師の確保ということに努めてまいりたいと存じます。

中川(宏)分科員 続いて、教育相談体制について伺いたいと思います。

 小中学生は多感な時期で、親や友達ですとか学校の先生、地域の人、塾の先生や家庭教師などという、誰かしらに相談できる環境とは思いますが、今では、ネットで知らない人に相談するということもあると伺っております。

 現場では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる対面での支援に加えまして、オンラインを活用しましたアウトリーチ型の相談体制の構築も進められているようでありますが、このオンラインを活用したアウトリーチの取組の現状と課題についてお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる不登校児童生徒への支援におきましては、対面とオンラインを有機的に活用し、子供たちにとって相談しやすい環境を整えることが重要であると考えております。

 オンラインを活用した支援を行っている教育委員会等からは、オンラインでは表情や身なり等の細かな状況までは把握しづらいといった課題がある一方で、対面でのカウンセリングが実施できなかった児童生徒が、オンラインを活用することで支援につなげられたといった成果も報告されているところでございます。

 令和五年度予算案におきましては、スクールカウンセラー等の配置について、不登校対策のための重点配置校数の拡充に加え、新たに、オンラインを活用した広域的な支援体制整備のために必要な予算も計上しているところでございます。

 文部科学省では、様々な事情を抱えた子供たちに相談支援が届けられるように、引き続き必要な支援の充実に努めてまいります。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 相談窓口は、私は、いろいろな角度で幾つもあってもいいと思っております。先ほども、効果を検証しているということでありますけれども、その効果の実証を基に、またしっかりとした体制を構築していただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。

 フリースクールの方からお話を伺いますと、学年が上がるほど不登校から登校するようになることが難しくなる、こんなお話をお聞きしました。小さい子の方が適応能力が高いので、登校するようになるということであれば、小学校低学年での対応、更に言いますと、幼稚園や保育園での対応が重要になってくるのではないでしょうか。

 幼稚園と保育園で暮らす幼少期に重層的に子供を育てていくことが大事だと思いますけれども、教員増加でありますとかまた対応など、政府の御所見をお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることから、その質の向上を図ることが大変重要であると考えております。

 このため、幼稚園、保育所、認定こども園といった施設類型を問わず、質の高い幼児教育を受けられるようにするため、教育、保育内容の基準の整合性を確保するとともに、幼児教育において育みたい資質、能力の明確化や、小学校教育との接続の改善を図ってまいりました。

 また、幼稚園教諭、保育士等の配置の改善を図っていくことは重要であると考えておりまして、平成二十七年度から、三歳児に対する職員の配置改善に取り組んでいるところでございます。

 さらに、処遇改善につきましては、これまで累次の処遇改善を実施してきたところであり、令和四年二月からは、幼稚園教諭、保育士等の収入を三%程度、月額九千円引き上げるための措置を行っているところでございます。

 文部科学省としては、こども家庭庁を始めとする関係省庁と連携しながら、幼児教育、保育の質の向上に向けて引き続き取り組んでまいりたいと存じます。

中川(宏)分科員 次に、子供の安全と見守りについてお伺いしていきたいと思います。

 千葉県八街で、下校中の児童五人が飲酒運転のトラックにはねられ死傷した痛ましい事故がございました。今年中までに通学路の点検、整備をしていくと伺っておりますが、点検をした結果、当時、対策が必要な危険な箇所は全国で七万六千四百四か所であったと聞いております。

 そこで、対策が講じられた箇所は現在どのぐらいあるのか、また、講じられていない箇所についてはいつまでに完了できる見込みか、取組状況についてお伺いするとともに、今後、状況把握のための実態調査を是非定期的に行って、ソフトとハード両面について定期的にチェックし、子供たちの安心、安全を隙間がないようにすべきと考えますが、お伺いをしたいと思います。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきましたように、令和三年六月に千葉県八街市で発生いたしました痛ましい交通事故を受け、同年に実施いたしました通学路合同点検では、全国で七万六千四百四か所において対策が必要とされたところでございます。

 このうち、四万五千五十七か所、約五九%につきましては、令和四年三月末時点において既に対策が講じられております。

 また、教育委員会、学校による対策が必要とされた箇所は三万九千九百四十三か所ございましたけれども、令和三年度末の時点で既に約八九%、三万五千五百五十八か所について、安全教育ですとかボランティアによる見守り活動などにより、対策が講じられているところでございます。

 文部科学省といたしましては、総理が目標年度として掲げた令和五年度末を待つことなく、速やかに対策を完了できるよう、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業等を通じて、自治体の取組を支援してまいります。

 また、今後についてのお尋ねもございましたが、この目標年度後も、各地域において通学路の安全点検と必要箇所への対策に係る一連の取組を継続していただくものと考えておりまして、文部科学省といたしましては、引き続き、関係省庁と連携しながら、子供たちの通学路の安全確保のために不断の見直しが行われるよう、各自治体の取組を支援してまいりたいと考えております。

中川(宏)分科員 不断の取組で、是非よろしくお願いしたいと思います。

 それで、子供たちの安心、安全を守るべく、全国の各地域で工夫しまして、先ほどもお話がございました、様々な取組がなされております。

 共働き世帯も増えまして、地域の見守りが手薄になっていることに加えまして、登下校中の児童が巻き込まれる不審者による事件など、保護者の不安は尽きない状況であります。

 こうした不安を払拭し、未然に被害を防止するために、横断歩道に立ち、あるいは一緒に登下校の道を歩くなどして、子供の安心、安全を見守ってくださっている地域のボランティアの皆様方に、改めて敬意を表したいと思います。

 このように、全国で子供の見守りに御協力をいただいているボランティアの方は、御高齢者の方やPTAなど様々であります。子供たちの安全を地域一体となって支えるために、国として更なる体制づくりを望むものであります。

 子供の見守りについて、何点かお伺いをしたいと思います。

 各地域には、交通安全プログラムという地域の見守りについての協議会があると伺いましたが、全国の設置率はどのぐらいか、また、どのような方々が参加をされているのか、頻度や人数を伺うとともに、この交通プログラムには、警察や自治体の担当部局、学校が一堂に会し、協議をしているということでありますが、子供の見守りを日々されているボランティアの方々の参加は直接できないそうであります。

 子供たちや地域を見守ってくださっているボランティアの方々は、日々、様々見聞きをされまして、危険を感じることですとか、また、課題に対してどうしたらよいだろうという、悩むことも多々あろうかと考えます。

 交通安全プログラムにそのようなお声や要望を反映できるように是非していただきたいと思います。自治体によっては運営は様々な形態があるかと思いますが、政府の御所見をお伺いしたいと思います。

藤江政府参考人 今委員御指摘の点でございますけれども、文部科学省では、通学路の安全確保に向けて、各地域において、関係機関と協働した通学路安全確保の実施計画である通学路交通安全プログラムの策定と、その推進体制として、地域の関係機関が加わった協議体の設置を求めているところでございます。

 この推進体制につきましては、令和三年三月末時点におきまして、九八・九%、千七百二十二の市区町村において構築されているところでございまして、そのうちの九九・五%、千七百十四市区町村において通学路交通安全プログラムが策定されているという状況でございます。

 また、この推進体制の構成につきましては、通学路における安全対策の関係機関となる教育委員会、学校、PTA、道路管理者を含めることを基本といたしておりまして、必要に応じて、自治会代表者ですとか学識経験者等を加えることとしております。子供たちの見守り活動を行ってくださっているボランティアの方々も参加できるものというふうに考えております。

 各自治体における合同点検や、協議会の参加人数ですとか開催頻度につきましては文部科学省では把握しておりませんが、通学路交通安全プログラムに基づき、各自治体において適切な時期や頻度を設定し、実施しているものと承知しております。

 文部科学省といたしましては、ボランティアの方々の声や要望が適切に取組に反映され、様々な関係者との連携、協働によって通学路の安全確保がより一層図られるよう、ボランティアの方々等の通学路交通安全プログラムの推進体制への参画ですとか別途の交流機会の設定など、地域の実情に応じた対応を行っていただけるよう、自治体に対して働きかけてまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)分科員 今答弁いただきましたが、様々な要望ですとか気づき、こういった知見を関係各所と是非御協議した上で、QアンドAのような形で分かりやすくまとめたものを、各団体、また見守りをされている当事者の方々に是非周知徹底していただきたいと思いますので、その点、よろしくお願いしたいというふうに思っております。

 内閣府には、登下校防犯ポータルサイトがあります。このサイトは、二〇一八年に新潟県で登下校中に七歳の児童が殺傷されたという痛ましい事件を受けて、登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議を開き、登下校防犯プランを定めまして、関係省庁の施策や各地域の取組等の情報を集約、発信することによりまして地域の取組を支援することとしておりまして、これを拝見しましたが、内容も充実しております。

 このサイトを見ると、子供の見守りについての大概のことは明確になりまして、有用な情報が多数掲載されておりますが、情報が各省庁ごと、多岐にわたっておりまして、これを知り得たとしても、全て読み込むのは大変であると推察いたしました。また、実際に携わっていただいている御高齢のボランティアの方は、インターネット環境にアクセスできない方も多いかと思いまして、見ること自体、困難であると考えます。

 そこで、このポータルサイトに掲載されている有用な内容を、AI等を使いまして、誰が見ても分かりやすく見聞きできるようにするために、財政という点もありますので、国として、使い勝手のよいアプリを公募しまして、全国の学校に配置してはいかがかと提案をさせていただきたいと思います。子供見守りについては、これは全国的な問題でありますので、国が主導すべきと考えております。

 見守りボランティアの方がどうすればいいか分からないことや、見守り中、気になったことなどをそのAIを通じて瞬時に解決できれば、見守りの更なる充実、防犯、交通事故防止の強化につながります。視覚的、感覚的に使っていただける仕組みづくりを国が公募で手がけることによりまして、全国の安心、安全が更に強化をされまして、見守りボランティアの方々の安心にもつながるかと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

 また、このポータルサイトを見ても分かるとおり、子供の見守りについては様々な省庁が関わっていただいております。このサイトは内閣府が運営をしておりまして、管理のみでしたので、ポータルサイトに掲載をされていることについて相談したくても、窓口がない状況であります。こども家庭庁が設立をされることを契機に、子供見守りについて一元化をした相談窓口を是非とも設置し、子供の見守りをしてくださっている全国のボランティアの皆様方の安心に寄与していただきたいと強く要望させていただきますが、見解をお伺いしたいと思います。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のポータルサイトは、登下校時における子供の安全確保について、関係省庁が横断的に取り組むべき課題であるという認識の下、決定いたしました登下校防犯プランを踏まえ、内閣府が設置したものでございます。

 本ポータルサイトでは、登下校における防犯対策に関しまして、関係省庁の施策や各地域の取組等の情報を集約、発信することで、全国の子供の見守りボランティアの皆様を支援してございます。

 議員から、一元化した相談窓口やAIの活用という御提案をいただきましたが、本ポータルサイトの運営の在り方につきましては、全国の子供の見守りボランティアの皆様のお役に立てるよう、関係省庁とも連携しながら、不断の見直しを行ってまいります。

 なお、本ポータルサイトについては、四月に設置されるこども家庭庁に移管されることから、見直しの考え方につきましても、内閣府としてしっかり引き継いでまいりたいと考えてございます。

中川(宏)分科員 ありがとうございました。

 実際にこのボランティアに携わる人が相談ができないということで、今回、私は質疑をさせていただいております。是非、前向きに取り組んでいる皆様のお声にお応えできますように、これからしっかりと各省庁と連携をして是非とも検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 子供の自殺についてお伺いしたいと思います。

 二〇二二年十月十四日に、自殺総合対策大綱が閣議決定をされました。年間自殺者は減少傾向にありますが、女性や小中学生の数が増加をしております。また、日本の自殺死亡率は、G7の中で、一六・四%と最も高くなっております。このうち、若年者の死因の一位が自殺なのは、G7の中で日本だけとなっております。

 対策といたしまして、スクールカウンセラーを配置し、相談の受皿を拡充してきたところでありますが、子供が頼れる、相談できる場所の選択肢を更に増やしていくことに力を入れることがとても大事なことであると思っております。

 そこで、子供の自殺の要因の統計と分析について伺うとともに、受皿拡充につきましてどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 警察庁及び厚生労働省の自殺統計によれば、令和四年一年間の児童生徒の自殺者数は、暫定値で五百十二名と過去最多になっており、大変憂慮すべき状況であると考えております。

 自殺の原因、動機は様々かつ複合的な場合が多く、一概には申し上げることは困難でございますが、学業や進路に関する悩み、病気の悩み、親子関係の不和などがあるものと承知をしております。

 文部科学省においては、令和五年度予算案において、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの重点配置校数の拡充、オンラインカウンセリング等の新たな実施、二十四時間子供SOSダイヤル等の相談窓口の周知、SNSを活用した相談体制の整備推進など、教育相談体制の強化を図るとともに、命の大切さや貴さを実感できる教育やSOSの出し方に関する教育を含む自殺予防教育の更なる推進に取り組んでいるところでございます。

 児童生徒が自ら命を絶つ悲しい事案が起こらないよう、来年度、四月に新設されるこども家庭庁や厚生労働省などの関係省庁とも連携しながら、自殺防止に全力で取り組んでまいりたいと存じます。

中川(宏)分科員 時間が迫ってまいりましたので、最後に一問だけ質問させていただきたいと思います。

 いじめの中でも、ネットいじめについてであります。

 二〇二一年度に、初めて小中学校などでネットいじめが二万件を超え、最多となりました。学校での学習用端末の導入ですとか、またスマホなどで、ネット利用は生活に今必須となっている状況であります。コロナ禍でオンラインゲームやSNSの利用は急激に増えている中、SNS利用についての学校での学習の取組ですとかまた対策について、この点についてお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 パソコンや携帯電話を使ったいじめの認知件数は、令和三年度は二万一千九百件と過去最多になったところでございます。こうしたいわゆるネットいじめへの対応は重要な課題であると認識をしております。

 文部科学省としては、児童生徒がいじめを含む様々な悩みに関する相談をしやすいように、SNS等を活用した相談体制の充実を図っているところでございます。また、SNS等の安全かつ適切な利用のためには、情報モラルを身につけさせることが重要であり、小中高等学校の様々な教科等において、情報モラル教育の充実を図っているところでございます。

 文科省では、こうした取組を支援するため、SNSへの書き込みによるトラブルの原因や回避の方法などについて考えさせる動画教材や指導資料の提供、学校だけでなく家庭でも学習できるように、児童生徒向けのEラーニングコンテンツの提供などの取組を進めているところでございます。

 引き続き、SNS等を介したいじめ等の問題解決に向けた取組を推進してまいりたいと存じます。

中川(宏)分科員 以上で終わりにしたいと思いますが、今日は、一つは不登校の課題、そして、もう一つは子供さんたちを見守る方々へどのような支援をしていくか、この点について触れさせていただきましたが、いずれにいたしましても、全てを、今の現状にとどまることなく、やるべきことはしっかりやっていく、そして、拡大していくことはしっかり拡大していく、これを是非ともお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

三谷主査 これにて中川宏昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、青山大人君。

青山(大)分科員 昨年の予算委員会分科会に続き、高校無償化に向けて所得制限を撤廃すべきという立場から質問いたします。

 高校無償化は、単に教育だけじゃなくて、少子化対策の観点からも進めていかなければいけないと思っています。言うまでもなく、教育にかかる費用を軽減していくというのは、少子化対策の大変重要なことの一つでございます。

 現在、年収九百十万円以上で国公立に通っている方が約四十二万人、私立が約三十九万人でございます。現在、所得制限により、一人当たり十一万八千八百円の授業料支援を受けることができない約八十一万人の家計に対して、所得制限を撤廃し、授業料支援を行ったとしても、年間約一千億円でございます。

 私たち立憲民主党を始め、野党の国会質疑により、児童手当の所得制限が撤廃される見込みとなりました。大臣、高校無償化に向けて所得制限を撤廃すべきと考えますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 やはり、子育てをする上で、授業料というのは大変家計負担が大きいというのは私も存じ上げております。

 高等学校等就学支援金につきましては、平成二十六年度に、所得制限を設けることで捻出した財源を有効活用することで、私立高校等へ通う生徒への就学支援金の加算拡充、そして授業料以外の教育費の支援である高校生等奨学給付金の創設などの見直しを行いました。その上で、令和二年度になりまして、私立高校等に通う年収五百九十万円未満の世帯の生徒への加算を更に拡充するなど、支援の充実を図っているところでございます。やはり低所得世帯への支援を拡充することで、より教育の機会均等に資する制度となっていると考えております。

 今後とも、恒久的な財源をしっかり確保し、そして教育費の負担軽減に取り組んでまいります。

青山(大)分科員 ここは大臣の考え方ですので、私は、約一千億円という予算で九百十万円の所得制限を撤廃できれば、その費用対効果は非常に大きいなと思っております。

 大臣も御存じのように、今、私の地元の茨城県南、つくばエクスプレスでは、子供の数が増えて、県立高校を新しくつくってほしいとか、そのような活動をされているのを多分大臣も聞いたことがあると思います。この人口減の中で、なかなか新しい高校を設置するには高いハードルがあると思います。ただし、このつくばエクスプレス沿線には私立の高校も当然幾つかあります。そういう中で、まさに所得制限を撤廃することによって、公立高校じゃなくて私立に行けるような選択肢をもっと広げていくことは、私は非常に大切かなと思っております。

 まさに大臣も、いつもポスターで、お母さんの底力という、まさにその気持ちですね、我々茨城県民も大きく文部科学大臣に期待していますので、ここは大臣の大きな政治的決断で、高校の無償化、所得制限の撤廃、是非一度御検討の方を重ねて要望し、この質問はこれにて終わりにさせていただきます。

 続きまして、不登校に対する国の取組についてお伺いします。

 不登校児童生徒数が、特に小中学校においてここ数年で急激に増加をしています。私も意見交換会や勉強会などを通じて不登校児の保護者の方々の御意見を伺いますと、フリースクールに通わせる経済的な負担が大きいと、支援を求める声を多く聞きます。

 まずは、フリースクールの利用者に対する国による経済的支援の現状についてお伺いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 不登校児童生徒が、家庭の経済状況に関係なく、フリースクールや教育支援センターなど、学校以外の多様な場で、そして社会的自立に向けて学習などに取り組むことができますように、きめ細かな支援体制を整備することは大変重要であると考えております。

 こうした認識の下、文部科学省では、経済的に困窮した家庭の不登校児童生徒に対します経済的支援の在り方に関する調査研究を、これはモデルケースでございますが、実施しております。フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒に対し、通所や体験活動に必要な費用を支援しながら、その効果の検証を進めているところでございます。

 文部科学省といたしましては、経済的支援が不登校児童生徒の社会的自立に与える効果の検証を進めてまいりたいと考えているところでございます。

青山(大)分科員 今、大臣の方から調査事業というふうな御答弁をいただきましたけれども、現状では調査事業の枠組みの中であり、しかも経済的に困窮している世帯のみが対象とのことでございますけれども、御家庭の所得と不登校には必ずしも因果関係はないと思います。

 困窮世帯というくくりを設けること自体が不自然だと思いますが、制度の見直しの可能性について、大臣、お考えはありますか。

永岡国務大臣 不登校児童生徒が、フリースクールなども含みます学校以外の多様な場におきまして、社会的自立に向けて学習などに取り組む機会を確保することは重要であると考えております。先ほど申し上げました。

 文部科学省といたしましては、全ての児童生徒が家庭の経済状況にかかわらず学習を行うことができる環境を整えることが重要と考えているところから、より支援の必要性の高い困窮世帯を対象に調査研究を実施しているものでございます。

 引き続きまして、経済的支援が不登校児童生徒の社会的自立に与える効果の検証、これは進めてまいりたいと考えているところでございます。

青山(大)分科員 なかなか、大臣、見直さないということでしょうかね。

 そもそも、調査事業なので、予算の額も余り十分でないこともそうですけれども、現在、利用自治体数も全国で七つの自治体にとどまるとのことと聞いています。本当に少ないです。調査事業の枠組みに一部困窮世帯救済を組み込むという形じゃなくて、私は、やはり利用者への直接の経済的支援の枠組みを考える必要があると思います。

 また、不登校支援について、県や市町村だけでは十分な経済補助に届かず、国による支援が必要だと、自治体からそういった声も出ています。恐らく多分、大臣もそういった声を地方自治体から聞いているというふうに思います。教育を受ける機会の確保の観点からすれば、文部科学省には、是非広い視点から不登校について取り組んでいただきたいと思います。フリースクール利用者へ国が経済的支援を行うこともその手段の一つだと私は思います。

 調査事業という枠組みを一度取っ払って、利用者に向けた国による経済的支援について是非検討をお願いしたい。再度大臣に伺います。

永岡国務大臣 調査研究を実施しているわけでございますが、補助事業とするためには、やはり調査研究におきまして十分な客観的、定量的な検査が必要と考えております。

 現段階におきましては、全国的な事例のサンプル数が少ないこと、経済的支援を実施した場合における社会的自立を示す客観的なデータ、これが本当に不足をしております。また、補助事業として実施する上で必要な客観的、定量的検証が担保されているとは言えないものと考えているわけでございます。

 いずれにいたしましても、不登校児童生徒の多様な教育機会を確保することは極めて重要でございますので、不登校特例校の設置促進、また、フリースクール等の民間団体との適切な連携等を通じました総合的な対策を講じてまいりたいと考えているところです。

青山(大)分科員 まさに今大臣から、なかなかサンプル数が少ないといった御答弁をいただきましたけれども、先ほど言いましたように、この調査事業はなかなか使いにくいという声もありまして、全国で七自治体しか使っていないということですので、大臣、どうでしょう、新年度は、もっとサンプル数を増やすためにも、積極的に自治体を増やしてみてはいかがでしょうか。どうでしょうか。

永岡国務大臣 今、現状はそういう数でございますが、やはり、自治体から応募がございましたらば、しっかりと対応していきたいと思っております。

青山(大)分科員 前向きな御答弁をありがとうございました。

 それでは、スクールカウンセラーの質の向上、拡充について伺います。

 不登校児は、発達障害やHSC、ハイリーセンシティブチャイルド、とても敏感、繊細であり、豊かな感受性を持った気質の子供など、社会での生きづらさにつながる特性に起因する場合もございます。こうした特性について学校教員が理解し、いつでも戻りたくなったら戻れるような学校の環境づくりが大切だと思いますが、しかし、教員の働き方改革の中、教員の皆様へ更なる負担をかけるのは論外だと思います。そこで、専門知識を持つスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用、拡充がますます重要でございます。

 私は、昨年もこの第四分科会で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの制度周知、拡充について政府へ求めました。おかげさまで予算拡充も続いていますが、さらに、カウンセラーの常駐時間が多くなれば、不登校児の特性への教員の理解促進につながる可能性もあり、カウンセラーの専門知識、知見を共有でき、教員支援にもつながります。

 しかしながら、まだ配置数は十分でなく、常駐しないため予約が取れないとの保護者からの御指摘や、質の面でも、カウンセラーが学校側の立場に立ってしまい、子供に寄り添ってくれず、助けにならなかった、学校との関係を気にするカウンセラーに対し保護者が不信感を抱いてしまい、活用できていない、そういった率直な声も伺っています。

 子供に寄り添えるスクールカウンセラーの育成、質の向上への国の取組と人員拡充について伺います。

永岡国務大臣 先生おっしゃいますように、やはりスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーは大変重要な仕事をしていただいていると思っております。

 学校におきましては、不登校を始めとします様々な課題を抱える児童生徒に対して、スクールカウンセラー等の専門家と教師、関係機関が連携して、チームで支援を行うことが重要と考えております。

 令和四年度の予算におきましては、スクールカウンセラーについて、基礎配置分として、全公立の小中学校に相当します二万七千五百校に週一度おおむね四時間程度分に加えまして、それぞれ重点配置も計上しているところでございます。

 令和五年度の予算案におきましては、重点配置の更なる拡充に加えまして、新たに、各都道府県、政令市六十七か所へのオンラインを活用した広域的な支援体制整備のための予算も計上しているところでございます。

 また、文部科学省におきましては、スクールカウンセラーの質向上のため、関係団体が実施いたしますスクールカウンセラー向け研修会等の機会を通じまして、チーム学校、学校関係者の方々ですね、としての支援の在り方について周知するとともに、ガイドラインや活用事例集の作成等も行っているところでございます。こうした取組を通じまして支援の充実に努めてまいります。

青山(大)分科員 ここは、大臣、予算拡充と制度の周知については引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 不登校関係の最後の質問でございますけれども、誰しも我が子が不登校になるとは思っておらず、不登校になった場合でも、経済的負担や子供の将来を心配することなく、いつでも社会にまた戻っていける柔軟な環境づくりが今後ますます重要だと私は思います。

 かといって、学校の先生、教員の皆様へのこれ以上の過度な負担は、教員の皆様の心理的余裕をなくしますし、子供をめぐる環境の悪化にもつながります。繰り返しになりますが、教員支援の意味でも、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの拡充を、そして、子供の権利である学習権の確保は、学校を通じてのみ実現しようとせず、フリースクール利用者への国による経済的支援を行うことも手段の一つとして是非検討を改めて願うところでございます。

 今いろいろなやり取りをしましたけれども、最後に、大臣に改めて、不登校児を取り残さない柔軟な学校の在り方、学びの在り方についてどのようなビジョン、お考えを持っているか、再度お伺いさせていただきます。

永岡国務大臣 先生、不登校児につきましては大変御心配をしていただいております。やはり、多くの子供たちが学校の学びから置き去りにされていること、これは教育の根幹を揺るがす憂慮すべき課題であります。

 先日開催されました不登校に関する有識者会議に私も出席いたしまして、検討に当たりまして四つの方向性を示させていただきました。

 まず、約三十万人、これは高等学校も入れまして約三十万人の不登校児童生徒でございますが、全ての居場所を確保して学びを継続すること、そして、子供たちの心にある小さなSOS、これを見逃さないこと、チーム学校として組織的に支援をすること、全ての学校をみんなが安心して学べる場所にすること、そして、こうした取組を実効性のあるものにするために、不登校を科学的に把握することをお示しいたしました。

 会議の際にいただいた御意見も踏まえながら、年度内をめどにして実効性のある対策を取りまとめて、こども家庭庁とも連携しつつ、検討を行いたいと考えております。

青山(大)分科員 是非、今日幾つか提案した、特にフリースクールに通う家計への直接の経済的支援、そこを是非考えてほしいなと思います。あとは、やはり高校の無償化ですね、九百十万円、所得制限撤廃も含めて是非御検討をお願いいたします。

 お母さんの底力という、ちょうど永岡大臣は私の隣の選挙区なので、いつもあのポスターを拝見していますけれども、やはりそういった意味で、今までとは違う教育行政を永岡大臣に期待する声は非常に高いです。そういった意味で、まさにお母さん的な立場から、教育行政、是非独自の新たな取組をやってほしいなと思いますので、重ねて御要望させていただきます。

 最後に、残りの時間、宇宙政策について伺います。

 まず、先週、二月の十七日、H3初号機の打ち上げが延期されましたけれども、焦らず原因究明に努めて、確実な打ち上げの成功を祈念いたしております。

 この後質問しますが、これは通告に入っていませんので、もし、この延期について何かコメントがあったら、答弁の中で少し触れてくれたら幸いです。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のH3ロケット試験機一号機、種子島宇宙センターより二月十七日十時三十七分に打ち上げ予定でございましたけれども、カウントダウンにおきまして、打ち上げ時刻直前に異常を検知いたしました。このため、固体ロケットブースターへの着火信号が自動的に停止をいたしまして、打ち上げは中止となっております。

 その後の検査の結果、機体や衛星に損傷はなく、今、数百メートル離れましたロケット組立て棟に戻っておる状況です。

 対応状況でございますが、第一段エンジン、LE9でございますけれども、これは、打ち上げ時刻約六秒前から正常に立ち上がっているという状況、また、その後に、第一段機体制御用機器が異常を検知いたしまして、自動カウントダウンシーケンスを停止したということが確認されております。

 現在、JAXA及びメーカーにおきまして直ちに原因調査を開始したところでございまして、データ解析や検証等を実施して、先生が御期待いただきましたように、確実な打ち上げを目指してまいります。

 以上でございます。

青山(大)分科員 質問に、通告していなかったんですけれども、答弁をありがとうございました。

 昨年末の新たな国家安全保障戦略の策定を受けて、今年の夏を目途に宇宙の安全保障構想を策定する準備に入ったというふうに聞いています。陸海空に続き、宇宙は第四、サイバーは第五の空間と考えられているので、安全保障のために宇宙技術の有効活用を考えることが必要なことは言うまでもありません。

 そして、ロシアによるウクライナへの侵攻により、ドローンを活用した戦争が今も行われていますし、本当に悲しいことですけれども。中国の最近の偵察気球騒ぎを見るまでもなく、航空技術と宇宙技術を連携させた防衛能力の強化も必要かなと考えます。具体的には、人工衛星にドローン、成層圏プラットフォームを組み合わせた情報収集、衛星測位技術を使ったドローンや成層圏プラットフォームの自動操縦技術、画像情報と測位衛星からの情報を組み合わせて、高精度で位置を特定する技術などでございます。

 宇宙の安全保障構想を策定するに当たって、JAXAや航空宇宙学会など、航空と宇宙の両方の技術を持つ機関の連携をより強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。

坂口政府参考人 宇宙の安全保障構想については、昨年末の宇宙開発戦略本部において、岸田総理より、高市大臣を中心に、本年夏を目途に策定するよう発言があったところです。

 国家安全保障戦略には、JAXA等と自衛隊の連携の強化など、我が国全体の宇宙に関する能力を安全保障分野で活用するための施策を進めることなどが記載されております。

 これら宇宙の安全保障分野の課題と政策について、宇宙の安全保障構想において今後具体化させることとなっております。関係省庁と連携しつつ、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 是非、我が国にはJAXAというすばらしいものがございますので、そことしっかり、航空宇宙学会との連携をより深めてほしいなと思います。

 また、研究者の研究成果を安全保障に活用する上で、安全保障に求められる秘匿性と、自由な研究に求められる公開性のバランスが重要でございます。防衛に協力したことで研究を続けられなくなったり公表できなくなったりしないように特段の配慮をよりすべきと考えますが、現状はいかがでしょうか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、安全保障に求められる秘匿性と、自由な研究に求められる公開性のバランスは重要なことと認識してございます。

 一般論として申し上げますと、研究開発力の向上は、科学技術イノベーションの創出だけではなく、安全保障の強化、防衛力強化に資するものであり、例えば、宇宙・航空分野に関しましては、政府の宇宙基本計画におきまして、我が国の宇宙政策の目標の一つとして宇宙安全保障の確保が位置づけられるとともに、そうした活動を支えるために先端技術の開発を強化する方向性が示されてございます。

 研究開発におきましては、御指摘のバランスへの配慮、また、研究者自らが設定した研究目的を尊重するなどの研究現場への配慮が重要と考えております。

 昨年開催されました内閣官房の有識者会議におきましても、防衛力強化に向けた研究開発の在り方に関しまして、総合的な防衛体制の強化に当たっては、安全保障分野の研究者だけでなく、広くアカデミアや民間の研究者の協力が必須であり、それぞれの分野、枠組みの性格に応じて、慎重にコンセンサスを得ていく努力が重要である旨指摘されてございます。

 こうした御指摘も踏まえ、関係省庁とも連携をしながら適切に対処してまいります。

青山(大)分科員 そして、もう一点、研究者の安全保障関連技術の研究成果が適切に評価できるように、日本の防衛省だけが使えるような特定の特許などの制度は今現在あるのでしょうか。もしなければ、そういったものを整備すべきことも必要かなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 昨年五月に成立いたしました経済安全保障推進法におきましては、重要物資の安定供給確保、官民技術協力の強化、基幹インフラ役務の安定提供確保及び特許出願の非公開の四つの制度が創設されたところでございます。

 このうち、特許出願の非公開制度につきましては、安全保障上機微な技術の発明の出願につきまして、国が公開の是非を判断した上で、仮に安全保障上のリスクが認められる場合には非公開の措置が取られるものでございます。この措置を講ずることによりまして、安全保障上機微な発明の情報流出を防止することが可能になるとともに、これまで安全保障上の観点から特許出願を諦めざるを得なかった発明者に特許法上の権利を受ける道を開くことができるものと考えております。

青山(大)分科員 分かりました。

 次の質問に行きます。

 日本の科学技術を飛躍させるためにも、宇宙開発に力を入れるべきことは言うまでもありません。アメリカだけでなく、中国もインドも宇宙開発に大変力を入れており、我が国が科学技術立国で産業競争力を維持するためにも、宇宙開発の一層の推進が必要と考えます。

 よく、宇宙開発といいますと、国際協力がと言われますけれども、もちろん国際協力が大事であることは間違いありませんが、産業競争力、人材育成の観点からも、また、国際協力も、費用分担だけでなく、技術的に国力に応じた貢献を行うためにも、アメリカ追従のみでなく、我が国独自の目標と技術開発のビジョンが必要だと考えます。民間企業がビジネスのために投資を行う上でも、アメリカの計画変更に左右されない我が国独自の開発計画が必要ではないでしょうか。

 宇宙開発は人類百年の計。アメリカの計画に追随するばかりでなく、アカデミアなど専門家の意見を取り入れた二十年、三十年を見越した我が国独自の長期的なビジョンを作り、我が国独自の宇宙の技術開発を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 我が国の宇宙開発や利用につきましては、今後二十年を見据えた十年間の宇宙政策の基本方針を定めました宇宙基本計画を策定しているところでございます。

 現在、安全保障や経済社会における宇宙システムの役割がますます大きくなってきておりまして、我が国が宇宙活動の自立性を維持していくため、技術開発や科学技術基盤の強化でありますとか、宇宙産業を強化、育成していくことが重要であります。

 このような状況も踏まえまして、昨年末の宇宙開発戦略本部におきまして、岸田総理より、高市大臣を中心に、本年夏をめどに宇宙基本計画を改定するよう指示があったところです。

 関係省庁とも連携しつつ、宇宙政策委員会などにおきまして、アカデミアなど専門家の意見をいただきながら、しっかりと進めてまいります。

青山(大)分科員 昨年末に今の計画を改定して、また今年の夏に新しい計画を作る、もう計画だけ作って終わっちゃうんですね。もっと本当に長い長期的なビジョンを持ってそこをしっかりとやってほしいなと思います。

 我が国独自の技術開発の推進という観点から、最後に大臣に質問します。

 我が国の月の観測機「かぐや」の観測データから日本人が発見した月の縦穴、地下空洞の探査をまさに行うべきではないでしょうか。この縦穴、地下空洞は、人類の宇宙長期滞在を妨げる最大の要因である放射線から守られており、月面基地としても最も有利な環境を持つと言われています。アメリカの議会でもこのことが取り上げられました。また、中国もこの探査の計画を持つというふうにも聞いています。日本人が発見した縦穴、地下空洞が月面基地として最適の環境を有することを観測データとして示せれば、アルテミス計画に対して、我が国は大変大きな貢献もできると思います。逆に、中国に先に行かれた場合には、我が国のその逸失利益は計り知れません。

 月の縦穴、地下空洞の探査計画の進捗状況はどうなっているのか、もし進んでいないならその優先順位を高めて推進すべきと考えますが、いかがでしょうか、大臣。

永岡国務大臣 本当に青山先生には、御地元、つまり選挙区につくば市そしてJAXAがあるということで、大変、宇宙に関して頑張れと言ってくださいますことはうれしく思っております。

 日本の月周回衛星「かぐや」、これは二〇〇九年に出ましたけれども、月に縦穴と巨大な地下空洞を発見したことは承知をしております。この月の縦穴、地下空洞の探査につきましては、今後、科学的な議論等を踏まえまして、必要な検討が進められるものと考えております。

 文部科学省としては、引き続きまして、アルテミス計画を始めとする国際協力に参画しつつ、取組は進めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 これで質問を終わりにしますけれども、本当に日本人が月の縦穴を見つけた、まさに、もしここが我々の技術で本当に開発できれば様々な可能性が私は起こると思うんですよ。場合によっては夢のような話と言われるかもしれませんが、やはり夢を追わなければ日本の科学技術が発展することはないと思います。

 大臣、まさに私の地元にJAXAがある話もしましたけれども、当然、大臣もお隣ですし、まさにそういった中で、先ほどの身近な教育の問題もそうですけれども、宇宙に対しても、そこは是非先を見通した長い長いビジョンを持ってほしいなと思っていますので、重ねてお伝えをさせていただきます。

 以上で質問を終わりにします。ありがとうございました。

三谷主査 これにて青山大人君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)分科員 国民民主党の鈴木義弘です。

 大変貴重な機会をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。

 まず初めに、ここ数年来、IT技術者が足らないと言われて久しいんですけれども、対応できているのかどうかというのをまずお尋ねしたいと思います。

永岡国務大臣 先生おっしゃいますように、IT技術者が不足していると言われて久しいということでございますが、確かにデジタル人材の育成、確保は喫緊の課題でございまして、大学の人材育成機能を強化していくことが重要と認識をしている次第でございます。

 文部科学省におきましては、大学、高専の理数、データサイエンス、AIについての教育プログラムを認定する制度ですとか、大学、高専が全国九ブロックで協議会を形成して、モデルとなるカリキュラムですとか教材等を普及、展開する取組を実施しているところです。また、デジタル分野を始めといたしました成長分野を牽引する高度専門人材の育成、確保のために新たな基金を設けまして、大学等の学部再編等を支援することとしている次第でございます。

 これらの取組を通じまして、デジタル人材の育成、確保に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(義)分科員 一番大事なところは、何人足らないのかということが分からないと、それを育てていくのにどのぐらいの機材が必要なのか、指導者が必要なのか、それに伴う予算というのが、これは予算委員会の分科会ということですから予算に絡めた話をするんですけれども。今までいろいろな施策を打ってきていながら、やはり、今、ITばやりでありますから、IT人材が足らない。

 おととしの十二月に、私は経産委員会にも所属していて、半導体が足らないと大騒ぎしました。四千五百億、台湾の企業さんにお金を出したんですけれども、何の分野の何の半導体がどのぐらい足らないのかと尋ねたら、分からないと言うんです。では、四千五百億入れたら足りるのか足らないのか、何個足らないんだ、では、今足らないのか、先を行ったときにもうちょっと足らないのか、そこが分からないでなぜ予算立てができるのか、不思議でしようがないんです。

 それと、IT人材というふうに一くくりに言っても、私、去年の十二月にやっとがらくた携帯からスマホに替えたんです。こういう人も世の中いっぱいいると思うんですね。だから、何をもってIT人材かといったとき、プログラミングまでできる人を育てようとしているのか、ITの外側にいる人たち、ITのハードの部分を作ろうということをやろうとしているのか。IT人材というふうに一くくりにしたときに、何の分野の人を育てるのかというのが一番大事なんだと思うんです。

 それで、何人必要なんだ、例えば各企業で千人必要なんだというんだったら、最低、千人の、途中で転職したり辞める人も出てくるでしょうから、そうすると一割余計に育てるとかそうじゃないとかいうのを、やはりもう少し計画的にやらないと駄目なんだと思うんですね。まあ、細かい数字を見ているわけじゃないんですけれども。

 そこのところ、今私が御質問したところを是非、御答弁いただくという話でもないかもしれないんですけれども、お願いできればと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 政府全体で、デジタル田園都市国家構想におきましては、五年間で二百三十万人のデジタル人材を育成するということを掲げてございます。

 その中には、今委員御指摘のとおり、いろいろな段階の人材がございますので、エキスパート、特にトップクラスの人材から、応用基礎レベルの、一定のデータサイエンスの知識があって、なおかつほかの分野のことも分かっているというような人材、それから本当の基礎的なデータの知識がある、そういったことを合わせて五年間で二百三十万人を育成するという目標を掲げておりまして、今回、先ほど大臣が御答弁申し上げたような取組をすることによって、それぞれの段階での人材を計画的に養成していきたいというふうに考えております。

鈴木(義)分科員 要するに、ステージワンとかツーとかスリーとかフォーとかとやっていった方がいいのか、カテゴリー的にやるのか。

 だって、今の若い子供さんがスマホをぴっぴっぴっぴっやるのを、私なんか、指、押しながら、震えながらやっているんです。使えるのは使えますよ。でも、スマホをいじるのはすごく速いスピードでできるけれども、いざキーボードでテンキーを打つとか、パソコンのキーボードを打つと、ほとんど触ったことがないから打てないんだという話も聞きます。

 だから、もう少し、どういうところのレベルまでやれる人をどのぐらいつくりたいかという目標をきちっと定めないと、何となくふわふわっとした話ばかりで終わってしまうんじゃないかなと思うんです。うなずいていただいているので、これ以上は質問しませんけれども。

 では、次に、博士号と修士取得の在り方について。過去にも質問したかもしれませんけれども、社会の変化に大学が追いついていっていないんじゃないかという考え方です。

 建学の精神や大学自治を侵害するものではないんですけれども、国から税金を、日本国内にある国公立、今は独法と言っていますけれども、私立も、大概なお金を税金として投入してもらっている。ということは、全然国から税金をいただかないで自分でやっているんだったら、自分で好きにやるのが建学の精神だと思う。でも、文科省なり地方自治体から何らかのサポートをしている、大学でも、私立の学校でもいっぱいあると思うんですね。それであれば、やはり、国やまた企業が求めている人材、教育に対応しないと、技術立国日本にはならないだろうという考え方です。

 自分たちは自分たちで、大学自治だから、有益な人材を育てるんだと言いながらも、全然変わらない。文科省が幾ら言っても、そういう人が欲しいんだけれども、今、サポートするというような答弁を大臣からいただいたんですけれども、それでは、国や企業が求めている人材が増えていかない。

 では、それの一つの提案として。博士号だとか修士も大学任せです。論文を出そうが出すまいが、何本出せば博士号を出すか出さないかも、何の基準もない。大学ごとに基準もばらばら。でも、社会に出て、自分はドクター鈴木、博士課程前期修了、鈴木、こういう名刺を使って営業活動をしたり、学会に行ったりする。もうそろそろ、日本で最低のランクというんですかね、レベルはここなんですよ、それ以上だったら何も文句は言えませんけれども、最低ここまで、博士号とか修士を与えるのであればそれだけの知識、能力がある人というのを、国が最低ラインの統一基準を出した方がいいんじゃないかと思うんです。

 それともう一つ、大学任せにしているんですけれども、技術力がどんどんどんどん低下しているというのが片や違うデータで幾らでも出てくるんです。それでも、文科省が中心になって、人材教育だ、科学技術立国だということで予算をどんどん入れているんだけれども、結果が全然見えてこない。それをこれから先もやり続けるかということなんです。

 だから、最低のここだけは、特に修士だとか博士課程に行って卒業する、学位を取るというのは、日本ではここを最低ラインにするというのを示した方がいいんじゃないかという考え方なんですけれども、御答弁は大臣でいいですか、よろしくお願いします。

永岡国務大臣 先生からは、大学で異なるんじゃないか、修士や博士号の質を担保しなければいけない、そういう御質問をいただきました。

 修士、博士の学位の授与に係る論文審査、これは、学術の中心として自律的に高度の教育研究を行う大学自身が、学位規則十三条に基づきまして、学内規程を定めて、具体的な審査の方法や審査基準を定めるように求めております。

 また、学校教育法の施行規則を改正いたしまして、令和二年度より、各大学院における学位論文に係る評価に当たっての基準の公表を義務づけているところでございます。

 このほか、各大学院では、学位審査委員名の公表や学外審査委員の登用等、学位審査の透明性そして客観性の確保のための自主的な取組が進められているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、学位の水準や審査の透明性、客観性を確保するため、各大学の自主的、自律的な取組を促してまいります。

鈴木(義)分科員 例えば、これも過去に質問に使ったことがあるんですけれども、博士論文を出して、最低三本、そのうちの一本は英文で書くとか、そういうことを最低の義務づけにして、ではどこに論文を投稿すればいいのか。何年か前にちまたで大変話題になったのは、論文を出すに当たって、今は、有料で、お金を出してくれれば論文として認めちゃう、そういう雑誌もあるんです。それも論文として認めるのかというところです。そこを一回調査して、精査した中で、最低三本のうち、五本でもいいんですよ、最低、英文二本。

 特に、日本人が出している論文で、大半の人は論文を出すといったときに英文で出します、日本は論文の数はどんどんどんどん多いんだけれども、なぜ引用数が少ないんですかといったときに、中身を一度精査してみてください。日本語だけで論文の数をカウントしていたら、日本語を読む人が世界にほとんどいない。日本に留学に来ている中国とか韓国とか台湾の人、ほかの国から来て日本語を学んだ人は日本人が出した論文が読めますけれども、ほとんどは英文じゃなければ読めない。それでも、尋ねれば、論文を出す数は日本は世界で一番だ、二番だというふうな、数だけでいけばそういうふうに言うんです。誰も読まない論文を出したってしようがないだろうという考え方なんです。是非、そこのところも御一考いただけたらなというふうに思います。

 では、次に行きます。これからの大学の在り方。

 大変、若造の私が言うのもおこがましいんですけれども、社会を取り巻く環境の変化に対応して、世界と伍していく人材を育成するためには、これまでの文系、理系というくくりじゃなくて、リベラルアーツを軸として学ぶ教養大学と、研究者を養成する研究大学のくくりにしてはどうか。その中でも、研究大学は六年制を基準にするということですね。

 先ほど申し上げましたように、マスター、M2までは、理系の場合、文系でも修士に行く人もいるんですけれども、今の統計をもらうと、ドクターコースに行く人はどんどんどんどん減っちゃっているんですけれども、修士に行く人は増えているんですね。社会環境だとか経済状況とか、いろいろあるんだと思うんですけれども。そういうくくりにして、社会にすぐ出ていこうとする大学、そういう人材を育成しようというところは教養大学、そうじゃないところは研究を主体にしてやっていこうというような大学のくくりにするのはどうかなと。

 これも、お尋ねしたから、はい、分かりましたということは絶対ないというふうに思って聞いているんですけれども、これも五年とか十年ぐらいのスパンで少し再編をしていかないと、特に理系に、今でいえば理系に進む人材がどんどんどんどん減ってきている。

 例えば、金融の世界へ行ったって、金融工学ですよ。理系の知識がなければ、本来だったら文系の分野の金融なんだけれども、やはり、数式だとか、理系の知識がなければ金融工学は学べない。

 だから、もう、文系とか理系のくくりでうちは何々大学、うちは何々大学じゃなくて、やはりちょっと違うくくりの仕方をしていって、本当に必要な人材を育てていく場所を大学に求めるのであれば、少し考え方を変えていかなくちゃいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 先生おっしゃいますように、グローバル社会の中で、日本の企業また役所のカウンターパート、海外のカウンターパートといいますと、修士ではなくて博士号を取った方々が大分多いというふうに聞いておりますし、また、そういう中ではやはり日本も出遅れてはいけない、そういう気持ちでいっぱいではございます。

 そんな中で、やはり、ソサエティー五・〇の到来ですとか本格的な人口減少など、社会の変化が激しく予測困難な時代の中で、大学は人材育成とイノベーション創出の基盤として、我が国の社会や経済を支えることのみならず、世界が直面をする課題の解決に貢献するという使命を有していると思っております。

 このため、今後の大学政策におきましては、学修の成果を実感できる学修者本位の教育への転換、また、リカレント教育の充実、国際的な学生交流や大学の国際化の推進等を通じました、多様な価値観が集い、そして新たな価値が創造される場の実現、それから、成長分野を牽引します大学、高専の学部転換等に向けた基金による継続的支援、そして、大学ファンドによります世界最高水準の研究大学の実現や地域中核、特色のある研究大学の研究力強化、そして、大学法人のガバナンス強化に向けた大学の経営改革といった、教育研究の機能の強化、これをしっかりと進めてまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(義)分科員 例えば、日本で石炭を掘ったり石油を掘った時期が過去あったと思うんですね。今はほとんど、石炭を掘ってももうからないし、石油を掘っているというのは一部、新潟の方とか、一部の地域では油が出るという話は聞くんですけれども。

 では、鉱山学を教えている大学が、今、私の記憶が間違っていなければ二校ぐらいあったと思うんですけれども、二校あるか一校になっちゃっているか分かりません、生徒が集まってこない、何でと。そこで学んでも就職先が限られちゃっている。鉱山学を学んだ人が就職できる企業が限られている。そこは何十人、何百人も就職を受けるわけじゃない。だから、そこで学んでも。

 でも、そう言いながら、日本は資源がない国だといって海外にいろいろなところに触手を伸ばして、そこの鉱掘権を商社なり国が買って、そこに鉱物が出てくるか、石油が出てくるか、天然ガスが出てくるかは別にして、そこを掘って初めて、では掘る技術は日本であるのかといったら、ほとんどない。

 だから、多様な人材が必要なんだとか多様な価値観が必要なんだというのは、それは外向きに向かってはいいのかもしれません。でも、本当に必要な人材は誰なのと。だから、一番最初にIT技術者というのを一つの例示でお尋ねしているんですね。

 だから、多様な価値観だとか、それは個人の価値観はいいけれども、国が欲している人材はこういう人なんです、企業が欲している人材はこういう人なんですと言って、教育界もそれに全部とは言わなくてもやはり対応してもらわないから、なかなか技術が、新しいイノベーションをつくれているんだと言いながらも、世界に先駆けてイノベーションになっていかない。そこの考え方を少し変えないと駄目なんじゃないかということですね。

 では、次にもう一つ。研究者の確保について。

 これは、日本人で過去にノーベル賞を受賞した先生がいらっしゃったんですけれども、日本人からノーベル賞受賞者が三人出たけれども、うれしいことだというふうに時の総理がおっしゃったら、その受賞者の一人が、私は日本人じゃありません、私はアメリカ国籍を持っているからアメリカ人ですとインタビューに答えていたのが頭に残っているんですけれども。

 一つ目は、博士課程に進学する学生の数、先ほども申し上げましたように、どんどんどんどんやはり減ってきているんですね。一つは就職先がないこともあるというふうに聞くんですけれども、技術立国日本を標榜して、文科省が人材教育をやっていく司令塔になるんだというのだったら、やはり、博士課程でちゃんと学んで博士号を取得した人をきちっと企業なり産業界、国のいろいろな独法もあるでしょうし、大学もそうですね。大学で残れるなんというのは本当に一握りです。何でって、上が辞めていかないから。それで、文科省が指示を出して、六十五歳を上限にしてくれとか、六十六とか七とかというのは、今おやりになっていると思うんですけれども。結局、もっと強く産業界に働きかけていかないとですね。逆に言えば、産業界が欲する知識だとか経験を持った学生を育ててほしいといったときに、大学がそれに応えられているかどうか。

 これは卵が先か鶏が先かの議論になっちゃうんですけれども、やはり文科省として、経産省なり国交省なり農水省とか、いろいろな人材を受け入れてくれる側の方に働きかけるべきと考えるんですけれども、まずお尋ねしたいと思います。

永岡国務大臣 先生、先ほども私申し上げましたけれども、今後の大学の政策におきましては、学修成果を実感できる学修者本位の教育への転換、これは大変大事だと思っております。

 そんな中で、希望する学生が博士課程に進学をして、そして、博士号の取得後、研究者を始め、社会の多様な場で活躍できるよう支援していくこと、これは本当に重要なことでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、博士課程の学生への経済的支援ですとか、産業界と連携をしたキャリアパス整備の抜本的な充実、そして、企業と連携した長期、有給のジョブ型研究インターンシップの推進、そして、研究人材と求人機関とのマッチングの支援を行うなどのポータルサイトの運営、これに取り組んでいるところでございます。

 今後とも、産業界等とも連携をいたしまして、科学技術イノベーションを担う優れた人材育成、そして活躍推進に向けた取組、これは強化をしてまいりたいと考えております。もう既に、経済産業大臣等と文部科学省、連携しまして、企業の方、そして教育関係者と連携が始まっております。会議も開いておりますので、そこのところはしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

鈴木(義)分科員 研究者、特に自分が師事している教授とか、ヘッドになる人たちというのは、これは難しいなと自分でもお尋ねしていて思うんですけれども、研究者は人がやらないことをやります。人がやらない分野のニッチなところを狙ってやろうとしますから、世界の大発明を狙うわけです、簡単に言えば。それを企業が欲しているかといったときに、全然関係ないかもしれないです。これは難しいと思うんです。連携を取ったから、企業で、はい、分かりました、では鈴木義弘を雇ってくださいって、私が一生懸命やっていた分野は企業は全然欲しくない。だから、イノベーションと簡単に言うけれども、イノベーションで産業になるまでにはえらい時間と労力とお金がかかるということなんですけれども。

 少しもう遅いかなと思うんですが、去年の分科会でも御質問した、優秀な人材ほど我が国の大学院に進学を選択しないで、結局、海外へ出ていっちゃっているんですね。

 昨年の答弁では、文科省では、新たな知の創出と活用を主導し、時代を牽引する価値を創造するためにいろいろなプロジェクトを進め、博士課程学生の処遇改善のために、令和二年度当初予算で、令和二年度第三次補正予算に計上して、新たに七千八百人規模の博士課程に在籍している学生に経済的支援を実施するというふうに答弁されているんです。

 また、国際的に頭脳獲得競争が盛んになっちゃっている。先ほど冒頭申し上げたIT人材、インド人の方でIT人材の人を日本に招聘しようとすると、一千四百万払わないと来ないんだそうです。では、今、日本のIT人材、先端をやっている人で平均年収幾らなんですかと聞くと、八百万なんだそうです。これだけのギャップがあったら、日本に来ても、払えない。だから、そこが今の、産業界に働きかけている、連携を取っていますといっても、そこを改善していかない限りは人は寄せられない、逆に日本から外に出ていってしまうということですね。

 国内外の優秀な研究者や次世代、理化学研究所でも外国籍の方がたくさん働いているのは承知しています。そういう方々を日本に呼んでいくのに、やはり研究環境を整備していく必要があるんだというふうに、逆に述べておられるんですね。

 では、それが、魅力ある研究環境の整備の状況について、去年答弁をいただいているんですから、それから上がっているのか横ばいなのかということ。要するに、外国から来る人が増えたのかということですね、去年使った予算の中で。

 先ほど申し上げましたように、やはり数値をきちっと捉えてやらないと、何が評価だったのか、何がうまくいかなかったのかというのは分からないんですね。特に、科学技術をやろうとしたときに、どこまで、例えば富士山に登るに当たって、今五合目にいるのか、八合目にいるのか、一合目なのか、まだ一合目まで行っていないのかというのが分からないで、そこに一生懸命予算をつけてもね。これが八合目、九合目に行っているんだったら、予算だけ入れればあとは十合目に到達できるよというのは、誰でもこれは理解できると思うんです。一合目、二合目でどうしようかと言っているときに、予算をどれぐらい入れても、結果が出るかどうか分からない。それを議会だとか国民が許容してくれるかどうか。

 だから、ある程度の数字でとか、数字だけじゃなくて、内容も吟味してそれを公表していかないと、やはり理解いただけないんじゃないかという考え方なんです。いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御指摘のありました博士課程の支援は、昨年度の御答弁では補正予算も加えた額を申し上げていたかと思いますけれども、令和五年度予算案におきましても、博士後期課程の処遇向上と研究環境確保や、大学院生に対する授業料免除の充実など、必要な予算を措置しているところでございます。

 これに加えて、国際卓越研究大学制度や、それから地域中核大学に対するパッケージなど、大学そのものの研究力向上とか研究環境の抜本的な改革に資するよう、制度なども設けまして、こういったことを併せて、優秀な学生が不安なく博士課程に進学できるような取組をしているところでございます。

 また、このほか、博士課程学生への経済支援やキャリアパスの整備、あるいはジョブ型研究インターンシップ等の取組も併せて推進することによって、日本で研究したいと思われるような魅力的な研究環境の整備に力を注いでいるところでございます。

鈴木(義)分科員 ありがとうございます。

 時間がないので、一つ飛ばして、最後のAIと教育について。

 分かりやすい例示を挙げます。何億のデータがあって、一つの答えを導き出す、それがAIなんだと思うんですけれども、昔、教育界の中で聞いた話なんですね。雪国の生徒だったんでしょう。雪が解けたら何になると先生が質問をしたら生徒が答えたのは、水になる、私はそれが正解だと思うんです、でも雪国の生徒は、雪が解けたら春になるという、これは有名な話だったと思うんです。AIでそれができるかということなんです。

 一番日本人の情緒を育んできたのは、自然の豊かさだとか情操教育だったと思うんです。今は、でも、AIで一つ答えを出せばいい。その中身は全然検証もできない。それでもAIだ、AIだ、どこの分野でもAIだ、AIだとやっていく。まあ、そういう時代なんでしょう。でも、日本人の心根の優しさだとか情緒感というのは、AIだから学べるかといったら、学べないと思う。そこをどう教育の現場で取り入れていこうとするのか、お尋ねしたいと思います。

永岡国務大臣 雪が解けたら春になる、大変いい話題でございました。ちょっと感激いたしました。

 AIが幾ら発展しようとも、それを使うのは人でございます。また、変化の激しいこれからの社会におきましては、一人一人がお互いにあらゆる他者を価値のある存在として尊重して、そして、尊重し合いながら、答えのない問いに共同して立ち向かっていかなければなりません。こうした観点から、やはり、これからの子供たちに育む資質と能力として大切なものの一つが、相手を思いやる気持ち、人間らしい感性である、そう考えております。

 文部科学省では、学習指導要領におきまして、道徳教育や体験活動、多様な表現や鑑賞の活動なども重視をいたしまして、そのような活動を通して、子供たちに、豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めることとしているところでございます。

 委員御指摘いただきましたような心の優しさをしっかりと育成する観点も忘れずに、今後とも教育政策充実に取り組んでまいります。

鈴木(義)分科員 終わります。頑張ってください。

三谷主査 これにて鈴木義弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、五十嵐清君。

五十嵐分科員 自由民主党の五十嵐清でございます。

 質問の機会をありがとうございます。

 永岡大臣は私の隣の茨城県ということで、そして、簗大臣は同郷の栃木県出身ですので、ホームゲームのような温かい雰囲気でやり取りができればというふうに思っております。

 まず初めに、国立大学改革とデジタル人材の育成についてお伺いをいたします。

 社会環境が大きく変化する時代にありまして、大学にはそれらに柔軟に適応できる高度な人材を育成することが期待をされ、一方では、十八歳人口の減少により、定員割れや赤字に陥る大学も少なくなく、社会や時代のニーズに合った教育機関への変革が求められております。

 今年度に引き続きまして、国立大学改革関連では、令和五年度予算案でも約一兆八百三十四億円が計上されておりますが、今後、どのように取組を進めていくのか、文部科学省にお伺いをいたします。

 また、私の地元栃木県を含めまして、特に地方においては、デジタル人材の育成、確保が喫緊の課題でございます。令和四年度補正予算で約三千億円の基金を造成しておりますので、これらを活用してしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、併せて文部科学省の見解をお伺いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度から始まりました第四期中期目標期間におきまして、国立大学は、それぞれのミッションに基づき、自律的、戦略的な経営を進め、社会変革や地域の課題解決を主導することが求められております。

 令和五年度予算案におきましては、各国立大学のミッションの実現加速化を支援できるよう、国立大学法人運営費交付金として一兆七百八十四億円、国立大学改革・研究基盤強化推進補助金として五十億円、合計で今委員御指摘の額を計上しております。

 具体的には、デジタル、グリーン、地方創生、ソサエティー五・〇、SDGs等への貢献を通じた各大学のミッション実現を加速するための組織設置や体制構築に対する支援、ポストコロナや国土強靱化、グリーン社会の実現、デジタル化の加速等に必要な設備等の整備に対する支援など、改革に積極的な大学の活動基盤の充実に資する経費を計上しております。

 例えば、先生の御地元にございます宇都宮大学では、次世代型スマート農業を目指した植物分子農学分野の強化に取り組まれており、文部科学省としても支援を行っております。また、宇都宮大学では、データサイエンス経営学部の設置を構想しており、必要に応じ、支援を行ってまいります。

 文部科学省としては、国立大学が引き続き我が国の人材育成、学術研究の中核として継続的、安定的に教育研究活動を実施できるよう、運営費交付金の確保に取り組むなど、国立大学改革の取組を進めてまいります。

 それから、二点目のデジタルにつきましては、デジタル分野を始めとした成長分野を牽引する高度専門人材の育成、確保が喫緊の課題であると考えております。このため、意欲ある大学等が成長分野への学部転換等の改革に予見可能性を持って踏み切れるよう、令和四年度第二次補正予算におきまして三千二億円を措置し、基金による継続的、機動的な支援を行うこととしております。

 現在、早期の公募開始に向けて、事業に係る基本指針を作成しているところでございまして、今後とも、あらゆる機会を捉えて、各大学等に丁寧に御説明し、検討を促してまいりたいと考えております。

五十嵐分科員 幅広にお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 出だしとして、見せ方としては非常に幅広の、本当に時代に合ったミッションを解決するというような印象を持っていますけれども、極めて大きい予算ですので、しっかりと活用して結果につなげていただきたいと思います。

 文部科学省が、二〇三〇年に高度なIT人材が五十四万人超不足するというような試算を出しているようですけれども、先日、政府有識者会議で、東京二十三区内においては、デジタル人材を育成する学部・学科に限り、期間限定、地方での就職を促すことで増員を認める規制緩和が了承されたと聞いております。

 これは、背景には、都内の私立大学が早くからそのような意欲があったということもありますけれども、やはり意欲だけで対応していると、また東京都偏重だったり、地方が大変な状況になる、こういうことも考えられるのかなというふうに懸念をしております。

 私の地元の栃木県の県立高校なんですが、情報科の教員の配置率、これが、残念なことに全国でワースト二番目ということで、地方でのデジタル人材の確保の難しさというのがうかがえるというふうに私は思っております。

 答弁で触れていただきました宇都宮大学のデータサイエンス経営学部の設置と併せまして、そのような資格が地方の国立大学で取得できる体制も併せて着実に構築していただきますように要望して、次の質問に移りたいと思います。

 次に、GIGAスクール構想、ICTの環境整備について伺いたいと思います。

 国が主導いたしまして、教育現場におけるICT環境の整備を早急に進めるため、令和元年度補正予算からGIGAスクール構想実現のための経費が措置されてまいりました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けまして計画が前倒しされたこともあって、全国的に一人一台の端末の整備がおおむね整備されたと承知をしております。

 そこで、全国的な端末活用の現状をどのように把握、分析をしているのか。また、地域間や学校間での活用方法の違いなども指摘されている中、分析から明らかになった課題の解決に向けて、国として責任を持って取り組むべきと考えますが、簗副大臣に見解をお伺いいたします。

簗副大臣 お答えいたします。

 GIGAスクール構想は、子供たちの個別最適な学びと協働的な学びを実現する上で必要不可欠なものでございます。

 お尋ねの全国的な端末活用の現状につきましては、今年度の全国学力・学習状況調査の結果を分析したところ、全国の八割以上の学校で週三回以上授業で端末の活用がなされていること、一方で、その結果を都道府県ごとに分析しますと、例えば、ほぼ毎日端末を活用していると回答した学校の割合は、最も高い県で八割、最も低い県で二割となるなど、地域間、学校間でばらつきが見られること等が明らかとなりました。

 こうした地域間、学校間での端末活用の格差は速やかに解消する必要があると考えており、引き続き、あらゆる施策を講じて、自治体に伴走しながら、利活用を推進してまいりたいと考えております。

 そして、二点目に御指摘の、地域間、学校間における端末活用の格差を解消するため、令和五年度予算案においても、学校のICT活用を広域的かつ組織的に支援するGIGAスクール運営支援センターの機能強化や、効果的な実践例を創出、モデル化し、横展開するリーディングDX事業等の取組を進めることとしております。

 また、端末活用の基盤として、通信ネットワーク環境が重要です。文部科学省では、GIGAスクール運営支援センター整備事業において、ネットワーク環境のアセスメント、いわゆる診断です、それや、応急対応に要する経費を支援するとともに、本年二月に、各自治体におけるアセスメント等を促す事務連絡を発出しているところでございます。

 引き続き、現場の声に耳を傾け、国が責任を持ってGIGAスクール構想を加速させてまいります。

五十嵐分科員 今回のことで地元から具体的な生な声も聞いてきましたので、お耳を傾けていただければと思います。

 地方自治体からは様々な要望はありますけれども、その中でも、GIGAスクール運営支援センターの存続、国の予算が令和六年で終了というふうに地方自治体は聞いておりますので、非常に不安視をしております。

 地方のデジタルレベルの向上のためには、令和七年以降も継続的な支援体制は不可欠であると思いますが、当然、効果と課題を分析した上で、そのタイミングで一番ふさわしい形態のものとして存続させる意欲がある、意向があるメッセージ、これは非常に必要だと思います。地方でも、デジタル人材の育成、確保のために中長期的に計画を組んだり取組をしている中で、恐らく役所の対応ですので、財務省とのやり取りの中で、六年までしかきちんとした明確なメッセージを出せてこなかったというのはあると思いますけれども、ここは、地方の方々、地方自治体もしっかりとこの先の支援もあるということが分かるようなメッセージを出していただけると幸いだと思います。

 また、今回の端末活用の調査についてなんですけれども、恐らく学校の校長先生あるいはデジタル教育の担当者への聞き取りだったのだと思うんですけれども、実際に児童生徒からお話を聞くと、また違った状況が見えてくるなというふうに思っております。

 端末を活用した授業の質を確保する上で不可欠なWiFiの環境、先ほど、チェック体制には、チェックをすることには国の費用が出ているのは承知しておりますけれども、実際には、脆弱とか不十分というところが私の地元にもたくさんあるようでございます。

 例えば、学年全クラスでは使えないので、クラス、学級を絞り込んで対応しているとか、時間割りをずらしているとか、学校によっては、電波が入りやすいように窓際に机を寄せるとか、そんな話も聞いております。最悪な状況は、授業の途中で通信環境が悪くなって、断続的につながらなくなって、結局、授業をやったのか、やっていないのか分からなかった、こういう状況も実際にはあるので、やはり生徒児童にも話を聞く、あるいは、もっと深掘りをして現場の状態を把握していただけるとありがたいというふうに思います。

 心地よく、効率、効果的に授業が行えるレベルでの通信環境を是非国の責任で整備するように要望をさせていただきまして、次の質問に移りたいと思います。

 次に、いわゆる教員不足の現状と具体的な対応方策についてお伺いをいたします。

 いわゆる教員不足問題について、永岡文部科学大臣は、さきの予算委員会において、文科省の各教育委員会からの聞き取りにより、年度後半において状況が深刻化する傾向について言及をされました。

 原因としては、教職員の育休や病欠を代替する臨時的任用教員などの人的確保の難しさがあるとのことでしたが、実際には、私が思うに、団塊の世代の大量退職による大量採用によって、かつて正規での採用が狭き門であった時代に、ある意味、人材ストックの効果があった再チャレンジの方々、そういう方々が完全に消失してしまった、あるいは極めて少なくなったということ、また、教員の労働環境への厳しい評価、これがマスコミなどでも多く取り上げられているということもあって、このような状況に陥っているのではないかなというふうに思っています。

 これまで、障害のある児童生徒への通級指導を基礎定数化してきたり、あるいは、小学校の教科担任制に対応して加配定数についても改善してきたからこそ、本来の教育効果をしっかり上げるためにも、国の責任において教員不足の解消のための具体的な取組が必要と考えます。永岡大臣の見解をお伺いいたします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃいますような対応は本当にしっかりとやらなければいけない、そういう気持ちで答弁をさせていただきたいと思っております。

 全国的な教師不足の実態につきましては、憂慮すべき状況として危機感を持って受け止めているところでございます。

 教師不足が発生する構造的な要因といたしましては、先ほど五十嵐先生がおっしゃいますように、近年の大量退職、大量採用によりまして、二十代から三十代の教師が増加をし、産休、育休取得者が急増したこと、また、特別支援学級が見込み以上に増加したことなどによりまして、臨時的な任用教員の需要というものが増加しているところでございます。その一方で、採用枠の拡大等によります倍率低下に伴いまして、臨時的任用教員の候補者の正規教員としての採用が進みまして、なり手が不足していることが考えられます。

 このために、文部科学省といたしましては、各教育委員会に対しまして、講師等の候補者を集めた人材バンクによる情報提供ですとか、現在教職に就いていない免許保持者に対する教職への入職支援など、様々な取組を実施をしているところでございます。

 今後、各教育委員会の実情を聞きつつ、更なる教師のなり手確保の支援について検討をしてまいります。

五十嵐分科員 人がそのタイミングでどの職業を目指すかというのはなかなか難しい、簡単に分析して対策が取れるものではないのかもしれませんけれども、結果として、これまで長い時間を使って少人数学級なども、例えば、地方議会も一生懸命になって取り組んで、ようやく三十五人学級が小学校、中学校で全てで実現したなと思ったら、数年たったら、教員不足で結局三十五人学級を維持できないというのは、本当に本末転倒というか、今までの取組が水泡に帰すというか、大変残念な結果だと思いますので、先ほどの答弁にあった様々な対策をしっかりと進めていただきたいと思います。

 私としては、非常に現場で好評の教員業務支援員の配置、これは是非力を入れてやっていただけるといいのかなと思います。

 文部科学省において、補助金によって支援が実施されておりますけれども、私の知るところでは、一部の地方自治体ではコロナの臨時交付金を使って対応しているところがあるようなんですが、コロナの臨時交付金が今後どのようになるか分からないとか、交付金の中での優先順位というものも各地方自治体で判断が分かれるようでして、この際、コロナの交付金を使わずに教員業務支援員の配置を継続したいというふうに希望を持っている地方自治体もありますので、そのような地方自治体が引き続き教員業務支援員が配置ができるように、予算の拡充であったり、対象の拡充も是非検討していただきたいと思っております。

 また、加えて、昨年の十二月に文科省が公表した調査結果、通常学級に在籍し、学習面そして行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合が小中学校において八・八%ということで、十年前の六・五%より増加してしまっていることが明らかになっております。このこともありますので、通級指導に係る教員定員の基礎定数化、これも着実に進めていただくように要望させていただきたいと思います。

 最後に、文化財の保存についてお伺いをさせていただきます。

 地域の宝でもあります国宝、重要文化財建造物は、観光振興の核として地域の活性化にも大いに貢献できる存在であり、近年では、公開活用等の機運も盛り上がり、文化財建造物の積極活用を求める声もあります。

 一方では、滅失してしまえば代替の利かない唯一無二の大変貴重な国民の財産であるとともに、経年による劣化も避けることはできません。令和五年度予算案では、今年度と比べまして僅かに上回る費用が計上されているものの、対象となる件数が大幅に増加をし、これまで計画的に維持修繕を進めてきた所有者等が大幅な計画の見直しを迫られていると聞いております。

 また、文化財を適切な周期で修繕、修理するためには、文化財の保存技術の継承、維持が極めて重要でありますが、多くの分野において後継者が不足をし、技術断絶の危機も指摘をされております。さらには、我が国では、近年、毎年のように大規模な災害が発生をし、そのたびに文化財の修理、復旧などが行われております。今後は、防火対策や耐震対策なども含めての対応は非常に重要になってくるのだと思っております。

 こうした文化財をめぐる状況に鑑みまして、特別の対策を取る必要のあるものについては特別枠を設けるなど、文化財保護予算の安定確保、充実を図るべきと考えますが、文化庁の見解をお伺いいたします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化財の保存、継承につきましては、修理の遅れによる経年劣化、担い手の高齢化や後継者の減少、頻発、激甚化する災害による損壊といった課題に直面しており、厳しい状況に置かれていると認識しております。

 こうした状況を踏まえまして、文化庁では、令和四年度からの五か年計画として、文部科学大臣決定の文化財匠プロジェクトに基づき、修理周期の適正化に関する事業規模の確保や、文化財修理の担い手育成を一体的に進めているところでございます。

 また、こうした取組と並びまして、文化財の防火対策、耐震対策、史跡等の老朽化対策につきましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に基づく予算を確保するとともに、災害復旧につきましては、これまでの補正予算等により対応してきたところでございます。

 委員御指摘のとおり、文化財が将来にわたってその保存に必要な技術とともに次世代に継承されますよう、文化財保護予算の安定確保、充実を図っていくことが重要であると認識しておりまして、今後見込まれる文化財の修理需要を踏まえてしっかり対応してまいりたい、このように考えております。

五十嵐分科員 私の地元には、世界遺産に登録されております日光の社寺がございます。日光東照宮、二荒山神社、輪王寺で構成する日光二社一寺では、世界遺産にも登録されている文化的価値、これを維持するために、公益財団法人日光社寺文化財保存会という形で計画的な修理を実施をしております。十年の計画を持って修理に臨んでいるということであります。

 地元関係者からは、文化財修理の特徴として、文化財修理を担う職人、技術者、技能者に係る比重が非常に大きいことから、後年度に予算を追加しても取り戻すことが難しいということであります。つまり、計画的な修理、修繕ができないばかりではなく、後から挽回しようとしても、職人の作業量には限界があります。

 また、減額幅、要望から大きく少ない金額で予算がついた場合には、今現在、例えば十年計画で採用あるいは確保している技術者、技能者を確保しておくことすらできなくなるというような悲鳴も聞いてございます。

 そういう中で、分かりやすい表現としては、十年計画で例えば技術者を十人雇っていても、七割に予算が減ってしまったときに、じゃ、三人辞めてもらっていいのか。そういうことはなかなか難しい。道具とか材料の部分を減らして、少し長めに修繕計画を見直すということは不可能ではないものの、技術者、人の部分を考えると、非常に、少しの予算が減るだけでも難しい局面に場合によっては陥ってしまうということを是非御理解をいただきたいというふうに思っております。

 文化庁から個別に事前にお聞きしましたところ、このように各地から寄せられている補助金への要望に対しましては、来年度予定事業の今年度への前倒し実施であったり、予算の繰越しも含めて様々な工夫などを検討していただいているということですが、文化財の所有者や関係者の声をよく聞いていただきまして、文化財の計画的な修理に影響が生じないように万全の対応をお願いをしたいと思います。

 また、私の意見として二点申し上げたいんですけれども、近年の大規模災害からの復旧もあって、通常の文化財修理予算が圧迫をされているのではないかというふうに思っています。

 大きなものを挙げれば、平成二十八年の熊本城、平成三十年の丸亀城、そして昨年の福島県沖地震で被災した仙台城。お城の石垣などの修理は、やはり普通の文化財の維持補修とは全く違って、特別な建設機械も必要ですし、莫大な土木費用というような形でお金がかかるものだというふうに思っております。

 このように災害に起因した、災害由来というのか、そのような修復作業、工事には別枠の予算措置がこれからは必要だというふうに私は思っております。

 細かいところまで聞くと、気候変動によって雨の降り方とか風の吹き方も変わったことでカビが生えやすくなったとか、雨水が知らないところで入るようになって腐食が始まっているとか、いろいろな理由によって維持修繕の件数が増えているという部分もありますので、災害対応枠というのは是非検討していただけるとありがたいと思います。

 あわせて、時代の変化とともに、全てを社会全体で支えるという意識が重要になってくると思います。そういう意味では、国や地方の宝である文化財、これは、国や自治体で予算措置をすることだけではなくて、社会全体で支えるという意識を涵養することが重要だと思います。是非、社会全体で文化財を支えるような仕組みづくりを国が主導して考えていただきたいと思いますが、通告はないんですけれども、もし所見があれば、大臣、お願いしたいと思います。

永岡国務大臣 先生御指摘のとおり、先生の御地元は日光がある、世界遺産でございますので、やはり地震が起きたときに、その存在、そして被害はどうなるか、修復をどうするかというのが頭の中をよぎるというようなお話での議論であったかなと思っております。

 そんな中で、御指摘のとおり、文化財が将来にわたりましてその保存に必要な技術とともに次世代に継承されるように、文化財の保護予算というのは安定確保、そして充実を図っていくことが重要であると認識をしております。

 文部科学省としては、今年度から文化財の匠プロジェクトを推進しているところでございますが、社会全体で文化財を支える仕組みづくりは大変重要でございます。議員に御提案をいただいた内容につきましては、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

五十嵐分科員 ありがとうございます。前向きな答弁、本当に感謝を申し上げます。

 私の地元日光は、今回のG7に関係して、閣僚級会議で、男女共同参画・女性活躍担当大臣会議が開催をされます。特に、ヨーロッパあるいは欧米の方々というのは日本の文化財建造物に非常に興味、関心を持っておられるので、会議の前に、先ほど申し上げた二社一寺を是非訪問していただきたいと思いますが、そういうところの文化財は、日本政府はしっかり国を挙げて保存をする、守っていく、そういうメッセージもこの際必要になってくると思いますので、大臣にはこれまで以上に積極的にお取り組みをいただきますようにお願いを申し上げまして、私の全ての質問を終わります。

 ありがとうございました。

三谷主査 これにて五十嵐清君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山分科員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、永岡大臣への質問ということで、たくさんいろいろな分野について質問がしたかったのですが、そのうちから厳選して質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、今やはり多く話題になっています教育の環境について質問させていただきます。高等教育の給付型奨学金の拡充などについてお伺いいたします。

 今の岸田内閣においては、防衛費の総額四十三兆円もの増額については閣議決定でどんどん決まっていくのにもかかわらず、子供、子育て、教育など、国民生活に直結した重要な様々な課題に関しての施策の充実は、議論は進むかもしれませんが、予算確保については、検討をするという定番のフレーズが重ねられております。

 かつて子ども手当に強烈に反対をされた自民党の議員の先生からも、厳しく当時批判をいただきましたけれども、これについても、今現在は多くの方が、子ども手当、児童手当の拡充ということでまた進められるということは、政策の方向転換をされたということは歓迎されるものであります。

 高い福祉と幸福度で知られますフィンランドは、教育も高く評価されています。フィンランドと日本の教育で大きく差があるのは、教育費が無償であるか否か。フィンランドでは、全ての子供が平等に教育を受けられる環境があることを意味し、日本は、対照的に、家庭の環境、経済状況によっては子供の学ぶ環境や進学に影響が表れるという、この二つの大きな違いがあるかと思います。

 義務教育は日本と同じ九年間ですが、その間、フィンランドでは、プレスクール、就学前教育学校から大学院までの教育費が全て無料、さらに、教材費用や給食費、通学する上で欠かすことのできない交通費においても全て無償ということで、国が、未来の、将来の国の人材を育てることに力をかけていらっしゃいます。

 日本では、親の所得制限や給食費の未払いなど、経済的理由によって進学を断念したり、たとえ大学を卒業しても奨学金の返済に追われるケースが少なくありません。日本の将来を担う人材を社会で育てる、未来への投資を実践する文部科学行政への転換を強く要請いたします。

 そこで、高等学校以降の高等教育、大学、短大、専門学校等で、研究者や教育者も含めて、様々な専門知識を身につけて学ぶための費用を、家庭環境、世帯収入などに左右されず用意できるよう、給付型奨学金の拡充を行っていく、また、返済を要する奨学金であっても、返済方法が収入の状況に応じて柔軟に変更や免除、減額が行われるようにしていくべきと考えます。施策の拡充が必要だと考えております。

 文部科学省が率先して施策を示し、牽引していくべきですが、文科大臣の御所見をお伺いいたします。

    〔主査退席、亀岡主査代理着席〕

永岡国務大臣 小宮山議員にお答え申し上げます。

 給付型奨学金ですとか授業料等の減免につきましては、昨年六月の骨太の方針二〇二二等におきまして、負担軽減の必要性の高い多子世帯、それから理工農系の学生等の中間層に拡大することとしておりまして、現在、令和六年度の導入に向けまして具体的な制度設計を進めているところでございます。

 また、貸与型の奨学金につきましても、月々の返済額を減額できる減額返還制度について、制度の見直しの検討を進めているところでございます。

 今後とも、経済的理由によりまして学生が修学を断念することがないように、教育費負担の軽減に努めてまいります。

小宮山分科員 社会人になっても、一定以上の収入があると税制上の控除制度もなく、家庭を支えながら学ぶと子供や家庭への支出や時間を抑えなければならなくなります。これでは、学び直ししたくても仕事と学業の両立は厳しいという現実も日本ではあります。

 また、働きながら学ぶ勤労学生は、ドラマや小説の中でも、昔から新聞配達と飲食店のアルバイトなどが描かれておりまして、ある意味、しっかりとした賃金が保障されるものではありません。高所得ということで、風俗や水商売で何とか学費を稼ぐという人もいるようであります。暮らしていくには精いっぱいであり、学業修得にしっかり取り組めるという環境に日本はないと言えると思います。

 そこで、学び直し、リスキリングが話題になっていますが、文科省として何か具体的施策はあるのか、この点を伺います。

永岡国務大臣 リスキリング、文部科学省では学び直しと言ったり、またリカレントと言っておりましたけれども、人生百年時代やデジタル社会が進む中で、生涯にわたりまして学び、新しい知識やスキルを身につけるために、社会人の学び直しの推進は大変重要だと考えております。

 文部科学省といたしましては、DX等、成長分野を中心といたしました就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業を実施しておりまして、開発されました教育プログラムは無料若しくは低廉な受講料で受講が可能でございます。

 さらに、社会人ですとか、あとは企業等のニーズに応じて職業に必要な能力の向上を図る実践的、専門的なプログラムを職業実践力育成プログラムとして認定をいたしまして、このうち厚生労働省の指定を受けた講座については、教育訓練給付金によりまして受講費用への支援を受けることができるようになっております。

 また、社会人の学びを応援しますポータルサイト、マナパスでは、大学、短大、専門学校等が社会人向けに提供するプログラムが検索でき、また、無料で受講できるものに絞り込んだ検索も可能でございます。

 引き続きまして、関係省庁と連携をし、必要なときに学び直しができる環境づくりを推進してまいります。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 私もそうですけれども、社会人になってから大学院に通信制で行きました。そのときに、多くの方々、三十代半ばはスキルアップ、六十代前後の方たちは自分の様々な経験を次に生かそうとして頑張っていた。しかし、その中で、やはり税制的な控除、ある程度働いて、自分たちで学ぼうとしてきた方、スキルアップしようとした方たちに対しては控除等がありません。

 低所得にはあるんです。なので、こういった点も是非、過去に私も財務大臣に対しての質疑もさせていただきましたが、もう十年以上前になります、残念ながら、渋い、渋い、渋い、回答がないという状況でありました。こういったやり方もあると思いますので、この点も是非検討していただければと思います。

 また、リスキリング、学び直しというのは必要ですが、学ぶことを知っているかどうかというのも大きくあります。

 私の地元、埼玉県の川越市におきましては、中学生や高校生、学生の時代にホームステイを、一週間から二週間以内で短いんですが、海外に行くきっかけをつくっています。この前、そのOBの方たちのお話を聞く機会がありましたが、あのときに海外を見たことによって視野が広がり、そして自分の人生を、いろいろな学びをした、中には、外務省に勤める方もいましたし、起業をする、新しい事業を起こすということに社会人になってつながった、あの時代に行ってよかったということがありました。

 今、恐らく、国で応援する、支援をする留学というのは長期にわたるもの、学位を取るものとありますが、それよりも若い世代で、姉妹都市間でありましたけれども、そうやって地域ごとで、学びや、世界に出ることによって新しい視点を得る、そういう機会をやっている自治体に対しての支援等も是非御検討いただければと思います。

 さて、次に行きますけれども、小中学校などの災害時のエネルギー供給施設について質問させていただきたいと思います。

 トルコ、シリア地域での大地震は、四万五千人を超す人命が失われました。いろいろな背景はあるかと思いますが、実に東日本大震災の三倍以上という大きな命が失われております。改めて、被災された皆様の御冥福とお見舞いを申し上げたいと思います。

 日本は災害大国でもあります。間もなく東日本大震災から十二年が経過し、今年は関東大震災から百年ということで、防災への関心は上がっていく、そんな年になるのではないかと思っています。

 その中で、避難所として用いられる小中学校の体育館については、近年、耐震化とともにエアコンの設置が全国で進められているかと思います。この点に関してはいいことだと思います。また、バリアフリー法改正によって、新規建設時及び大規模改修のときにもバリアフリー化も義務化され、現在は既存の施設へのバリアフリー化の要請が来ております。

 一般的に、エアコンは高断熱、高気密の建物では効果が高くなりますが、体育館のような構造、外壁も屋根も天井も断熱性能に乏しいものに関しては、エアコンなどの冷暖房設備の効果は悪くなるのが一般的だと思います。小中学校などの体育館へのエアコン設置の推進が進んでいる中で、光熱料がかかる、構造上の問題で効率が悪いと心配する向きもあります。公立学校への遮熱、断熱改修に対しての支援についてお伺いします。

 また、今回、新設される体育館などの仕様についてのガイドラインでの奨励など、取組状況についても御回答をお願いいたします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 やはり学校の施設といいますと、災害が起きたときに避難所として使うということもありますので、非常に空調の設備は重要だと思っております。学校施設の遮熱性また断熱性の向上は、児童生徒の快適性の観点、又は避難所の機能の観点、又は施設の省エネルギー化の観点からも大変重要と認識をしております。

 文部科学省では、公立小中学校等の施設の遮熱性、断熱性向上のための工事に対しまして国庫補助を実施しているほか、体育館の空調設置に関する国庫補助につきましては、断熱性確保を要件としているところでございます。

 また、文部科学省が策定いたします学校施設整備指針におきましては、地域の寒冷度そして利用状況等を十分検討いたしまして、断熱性能を確保した上で冷暖房設備の設置を計画することが重要であると示しているところでございます。

 引き続きまして、学校体育館の遮熱性、断熱性の確保につきまして学校設置者の取組を支援してまいります。

小宮山分科員 既にエアコン設置が終了しています、私の地元なんですけれども、ふじみ野市の女性市議から、体育館の高断熱、高気密化や屋根、屋上の遮熱、断熱材の追加工事が必要ではないか、その方が効率がよくなるのではないか、そのときの手法の一つとして遮熱塗料の敷設も有効と考えるけれども、これは対象に入っているのか分からないという声がありました。この点、遮熱塗料というものも入るのか、お聞かせいただければと思います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、公立小中学校等の施設の遮熱性、断熱性向上のための工事に対して国庫補助を実施しております。その中で、御指摘の遮熱塗料を使用した工事についても補助対象としてございます。

小宮山分科員 遮熱塗料も補助対象になるということで、御答弁ありがとうございます。

 ただ、残念なのが、この点が余り地方自治体に、様々な手法があるということが知られていない、認知されていないというのは大変残念であります。是非、遮熱、断熱改修には、遮熱塗料のように認知度が低いのも含めて様々な方法があるということ、より環境に優しく、省エネ、かつ、できることならばエネルギーを使わない低エネルギーな整備を文部科学省として情報提供をしていただくことを要請いたします。

 また、体育館など、通常時から利便性、快適性の向上、また自然災害時の避難所として使用する際の機能向上へとつながるように努めるべきだと考えておりますので、この点と併せまして、小中学校の体育館などへの再生可能エネルギー、ソーラーや地中熱などの導入と併せて、蓄電池施設設置推進、及び、災害時には非常に有効であると考えられます都市ガスエリアにおいてのLPガス利用施設の設置の促進についても、所見並びに取組状況について答弁を求めたいと思います。

永岡国務大臣 文部科学省では、遮熱塗料の特性を踏まえた活用も含めまして、学校体育館の温熱環境確保のための改修の手法や事例、これにつきまして情報提供をしております。そして、温熱環境の確保に向けた取組、これもしっかりと進めてまいりたいと考えております。

 学校施設では、児童生徒の学習、生活の場であるとともに、災害時には地域の避難所としての役割も果たすことから、やはり何といっても防災機能の強化は重要でございます。その観点からも、再生可能エネルギー設備等の設置は重要と認識をしております。

 このため、文部科学省では、公立学校施設につきまして太陽光や風力、地中熱利用設備等の設置、そして太陽光発電設備等を整備する場合の蓄電機能の整備、またLPガスを利用するための施設の整備など、学校施設整備指針やまた事例集等で示すとともに国庫補助対象としておりまして、学校設置者に対し、地域の実情等を踏まえまして取り組むようにお願いをしています。

 今後とも、公立学校施設につきまして、様々な再生可能エネルギー設備の設置などの取組が進むよう支援をしてまいりたいと思っております。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 質問としては聞きませんけれども、是非、昨今の光熱費の高騰に対して、学校もそうですし、文科省の関係の博物館であったり、いろいろなところが費用がなかなか出せなくなる、そういう点が推測されております。この点に関しても、大臣の決断において、是非、支援、補正も含めてする必要があるかと思いますので、その節には英断をしていただきますようお願いいたします。

 さて、日本の伝統文化について質問に入っていきたいと思います。

 私、当選以来ずっと、日本伝統文化関係の質問をするのになるべく着物を着るように、そのほかのときも日常で着るようにはしておりますので、こういう格好になっております。こういう姿で質問させていただきます。

 現在、海外からの訪日客も多く、お箸を使えたり、また、生魚、昔は嫌がられていましたけれども、今は積極的におすし屋さんに行って食べるということで、文化は大変親しまれているものだと思っています。日本経済は後退しておりますが、日本文化への注目は、世界での一般化は進んでいるんだと思っています。

 そこで、まず最初に、文化庁には文化経済・国際課が設置されましたが、現状の日本文化の市場規模、及び、今後の市場規模や発展可能性など、どのような施策の目的を設定しているのか、御説明をお願いいたします。

永岡国務大臣 やっとここで、小宮山委員が着物を着てくださっていた、文化的な話になりまして、私もうれしく思っております。いつも着物を御自分で着られるということも大したものだなと思って尊敬をしております。

 我が国は、世界に誇る伝統的な文化資源を数多く持っております。これらは我が国に対する世界の憧れを生むソフトパワーの源泉だと思っています。こうした我が国の文化芸術を経済活性化にもつなげ、そして戦略的に進めるため、平成二十九年に文化経済戦略を策定いたしました。

 文化庁では、本戦略を踏まえまして、平成三十年に文化経済・国際課の設置を含む組織編成を行うとともに、文化芸術産業の経済規模、いわゆる文化GDPの推計に取り組んでいるところでございます。

 ユネスコの示します国際的な枠組みに基づく推計では、平成三十年の文化GDPは約十兆円となっている一方、ユネスコの枠組みには含まれない我が国独自の生活文化等に係る推計方法等についても検討を行っているところです。

 今後、文化を起点に産業等他分野との連携、そして、創出された新たな価値が文化に再投資され持続的に発展する文化と経済の好循環の実現を目指してまいります。

 また、日本の美と心を国内外に発信する日本博二・〇等を推進してまいる所存でございます。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 着物を自分で着てということでお褒めいただき、ありがとうございます。が、逆に言えば、国会開会日に国会議員の多くが着物を着ていらっしゃいます。でも、その中で本当に何人の方が自分で着られて、そしてレンタル着物ではないんだろうというのを、毎回、通常国会開会日には考えることであります。

 また、住宅においても、マンションや建て売りなどでも、既に和室がない家が大半、かなりの率を占めているということで、日本文化というものが本当に日本に、今、特に、長い時間をかけてつくり上げた文化というものが失われているのではないかという危機感があります。

 そこで、なぜ日本伝統文化は縮小したのか、文化的価値の経済的効果というのはどのように捉えていくのか、改めて伺わせていただきたいと思います。

永岡国務大臣 委員おっしゃいますとおり、私も、お正月にはというか、開会初日、着物を着てまいりますが、自分では着られません。それを思いますと本当に恥ずかしい限りではございますが、和装等の生活文化を含めた伝統文化につきましては、生活様式の変化や担い手の減少によりまして、次世代への継承が大変課題となっているところでございます。

 今年度からは、文化GDPに関する調査研究におきまして、ユネスコの国際的な枠組みには含まれていない我が国独自の生活文化等に関します経済規模につきましても推計を進めているところでございます。

 以上です。

小宮山分科員 ありがとうございます。素直な言葉もありがとうございます。

 時間の関係でどんどん先へ進めますけれども、日本の伝統文化の特質として、季節により家の中であったりしつらいを変えたり、料理によって器を変える、絵柄を季節に合わせる、日常の道具がモチーフになるなど、世界的にも独自の美意識があるものだと感じております。また、自然との共生は、職人が多角的に関わる分野で、現在のワークシェアのような労働市場をつくる役割もあったかと考えています。

 そういう意味においては、日本の文化というのは、日本の社会やそして市場などをつくる形を取っていた、それがある意味急速に失われたことによって縮小している面もあるのではないかと思います。

 先ほども指摘ありましたけれども、十兆円という規模ではもちろん計り知れないものがあると思います。特に、新型コロナの中での、ぴあ総研が二〇二一年に出された記事によりますと、集客型のエンターテインメント産業、音楽や演劇、映画やスポーツなどですが、これは一九年の一兆千四百億円と比べて七五%減の二千八百億円まで落ち込んだとありました。また、ほかのジャンルの消失割合は、演劇が七六%、映画は四六%減だということで、市場規模というのは十兆円では足りないほどに、関連の、宿泊であったり移動であったりを入れればもっともっと大きなものであります。なので、文化経済というものには、もっと文科省も文化庁も力を入れていいのではないかと考えております。

 新型コロナ禍で日本の文化産業は打撃を受けましたけれども、その一方で、また今議論になっておりますが、フリーランスとして働かれる俳優やスタントマン、これまであしき慣習が検証されることなくおりましたが、ここが、今国会は無理ですが、近い将来にフリーランスを支援する法律ができ、そして、今国会に出されています、その中で起きてきた性犯罪の罰則規定を目的とした刑法改正が今国会で成立すること、これによって健全な市場や業界になっていただきたいと思っております。

 そういう、より質の高い産業になるためにも、この時期の文化支援というのは大変大きな意味を持っていると考えています。近年及び令和五年度予算案での文化庁による特徴的な伝統文化支援策の説明をお願いいたしたいと思います。

永岡国務大臣 文化庁では、生活文化を含めた伝統文化を振興し、次世代への継承を図るために、子供たちが伝統文化等の活動を計画的、継続的に体験、習得する機会を提供する伝統文化親子教室事業ですとか、新たな切り口や手法によりまして取組を実施することにより各分野の活性化、魅力向上、後継者の確保を図る生活文化振興等推進事業を実施をしているところでございます。

 また、令和三年の文化財保護法一部改正に基づきまして、生活文化の無形文化財登録を進めるとともに、今後の生活文化の保護や振興施策についての検討のために、生活文化の実態等についての調査研究を実施しているところでございます。

 我が国の宝であり、外国の方々にとっても日本に来て体験したい文化である生活文化について、確実に次世代に継承していくために、その振興や保護について引き続き取り組んでまいります。

小宮山分科員 先日、茶道の関係の方と話しているときに、新しくできる茶室なんだけれども、市長は自慢をされたけれども、使い勝手が悪そうだという話がありまして、全国でよく、茶道をやっているメンバーとは、公共施設の茶室が使いづらいという話はよく出てくる話です。

 これは、一面としては、文化の在り方というか、親しんでいない方が設計をするという一面もあるかと思います。茶室は、茶室としてももちろん使いますけれども、ふだんは和室であり、災害時は避難所としても機能を生かすことで、こういった和室があるということは、日常から日本文化に親しむ、そういった機会の提供になると思うので、普及はしていただきたいと思いますが、茶室や武道、日舞、能楽等、自治体設置の文化施設の在り方については、なかなか管理する側が理解をしていない、若しくは、流派によっていろいろあるので決め切れない、様々なことで、結果として使いづらい施設になっていることが往々にして起きやすいものだと思っています。

 そこで、茶室同様に、日本舞踊、能舞台など、文化の特徴を生かせる施設の設計、施工は特異であるために、施設整備の設計段階から、特別な設計を求められる部分については分離発注を可能にするなどの工夫が必要だと考えます。また、修繕や改修などが後々できるように、費用も支援をいただくことも必要かと思っております。

 文部科学省、文化庁として、関係省庁などにもこうした考え方を率先して提唱していくべきと考えますけれども、御所見をお聞かせください。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 自治体の施設におきます茶室等の整備に当たりましては、その設計や発注方法につきましては、設置者で、当該自治体がその用途や予算等に応じて検討を実施するもの、このようにされているところでございます。

 一方で、利用者が使いやすい茶室等とするためには、必要に応じて茶道団体等の伝統文化の担い手の方々等の御助言を受けつつ整備を進めていくことも一つの方法ではないかな、このように考えております。委員御指摘のとおり、いろいろな専門的な、使いやすい形にするということも大切だと思います。

 文化庁としては、こうした施設が、伝統的な文化を多くの人が体験し、継承していく場となりますよう、伝統文化に関わる施設を設置、管理する自治体や、こうしたことについての知見を有する団体などと機会を捉えて議論して、御提案のことにつきましても、またいろいろ検討してまいりたいと思います。

小宮山分科員 最後の質問になりますけれども、今日、着物を着させていただきました。これは、母から聞きましたら、白洲正子さんのやった「こうげい」の作品ということで、いろいろなデザイン、意匠というものがあるなと思っておりますが、今、デジタルアートの市場というのは拡大をしております。日本の着物、非常に独創的な色遣い、デザインというものがたくさんあります。これも、日本の博物館などに多く所有されているものでもあります。

 この着物、反物の柄についても、記録、整理などを行う、また、そうしたデザインの活用が広がるような取組を行っていくべきと考えますが、この点についてお聞かせください。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 着物や反物の柄、紋様などの記録、整理や活用につきましては、民間企業において、着物の帯の図案をデジタルアーカイブしながら、それらをデザインとして活用したり、ほかの製品のデザインとして活用を図ったりしている例があると伺っております。

 また、文化庁におきましては、博物館などでの着物に関する企画展への支援等を通じまして、着物の魅力を国内外に発信するとともに、その柄や図案の歴史的な変遷を整理する、説明する取組なども行ってきているところでございます。

 今後とも、文化庁といたしましては、このような和装の振興に関する取組を進めまして、着物文化の継承、発展に努めてまいります。

小宮山分科員 都倉文化庁長官と野村萬斎さんの対談のユーチューブが文化庁の方で公開されています。義経千本桜を例示されて、これから文化庁としてもこういう古きよき伝統芸能、伝統無形文化財をうまくプロモーションしていきたいとおっしゃっていました。

 日本の伝統芸能、能にしても、七百年も、時代は変わっても人間の本質というものは変わらない、ここを映し出すところが世界中に受け入れられ、親しまれているところだと思います。是非、すばらしい点を改めて見詰め直し、そしてこの点を進めていただくことを文科省、文化庁には期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

亀岡主査代理 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。

 次に、堀場幸子君。

堀場分科員 日本維新の会、堀場幸子でございます。

 本日は、不登校の子供が増えている現状と、その学び、そして、ポイントとしては、新学習指導要領について主にお伺いしたいと思っております。

 不登校の子供が増えているのは、今、大きな教育課題となっている状態でございます。不登校とは、年度の間に連続又は断続して三十日以上欠席した児童生徒のうち、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因、背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくてもできない状況にあるもの、ただし、病気や経済的理由によるものを除くと定義され、二〇二二年の調査結果では、二十四万四千九百四十名の児童生徒が不登校とされているというところでございます。これは、千人当たりの人数でいうと二十五・七名と、前年度の二十・五を大きく上回り、過去最多となったと思っています。

 不登校の理由は多岐にわたっています。学校に行きたくない、学校に行く必要を感じないという子もいるでしょうし、集団での生活がなじまない子供もいると思います。そして、それ以外にも、生活習慣が昼夜逆転している子供や、起立性調節障害に苦しむ子供もいます。多くの不登校の理由の中で、様々あるんですけれども、不登校の理由の中で、本当は学校に行きたいけれども行けない生徒に関して、アイスバーグ理論というような、氷山ですよね、でいうと、水面下にある根本的な部分において、勉強が分からないというのがあるのではないかと感じているところでございます。

 令和二年の不登校の児童生徒の実態調査結果によると、直接的なきっかけとは別に学校に行きづらくなる理由において、勉強が分からないというのが小学生で三一%、中学生では四二%となっており、学校に戻りやすいなと思う対応は何でしたかと聞いた場合も学習が一定の割合を占め、学習支援の重要性が示唆されているところだと認識しています。この状況から考えると、不登校の児童生徒にとって、学びの在り方が一つ大きなポイントになってくると思います。

 こういった問題意識の中で、一つ目の質問に移らせていただきます。新学習指導要領における個別最適な学び、協働的な学びについてお尋ねします。

 集団の中で個別最適な学びというのはどのように実現していくのか、お答えください。

    〔亀岡主査代理退席、主査着席〕

永岡国務大臣 先生にお答え申し上げます。

 現在、文部科学省では、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図りまして、全ての子供たちの可能性を最大限に引き出す、令和の日本型学校教育の実現に取り組んでおります。

 このうち、個別最適な学びとは、一人一台端末を活用しながら、子供たち一人一人の特性や学習の進度等に応じまして、補充的な学習や発展的な学習などを柔軟に取り入れていこうとするものでございます。

 こうした学びを実現するために、文部科学省では、小学校における三十五人学級の計画的整備や高学年教科担任制の推進などの教職員定数の改善、また、支援スタッフの充実を図るとともに、GIGAスクール構想によりまして整備した一人一台端末を活用し、子供たち一人一人の学習進度や、興味、関心などに応じた指導を行えるように、活用事例の紹介などに取り組んでいるところでございます。

堀場分科員 一人一台の端末が配られるようになりまして、そこというのは、先生と直接つながっておりますし、グルーピングをすれば、そのグループのメンバーと協働的な作業もできる。そして受講も、なかなか皆で挙手したりするのは恥ずかしい生徒がいたとしても、そういうところで自分の意思を発することもできる。様々な活用をもって、集団の中で個人に合わせた最適な学びというのを見ていくというのが、恐らく新学習指導要領において具体的にやっているところなんですよね。これは非常にすばらしいと思っています。

 もう一方であった、大臣が先ほどおっしゃっていました協働的な学び、これが目指すものは何かということもお答えください。

永岡国務大臣 協働的な学びとは、やはり、子供たち同士が協働しながら、お互いの異なる感性ですとか考え方に触れまして刺激し合いながら、更に自分の学びをより深く、よりよいものにしていくことを目指すものであると考えております。

 こうした協働的な学びが先ほど申し上げました個別最適な学びと相まって、全ての子供たちが豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となるような教育の姿を実践していきたいと考えているところでございます。

堀場分科員 ありがとうございます。

 話題になっている、発達に課題のある子、特性を持っている子供も非常に多く見られるというような現状の中で、やはり、協働的にやっていくというのは、非常に先生方は苦労なされているところの一つなのではないかなというふうに思っています。

 児童生徒一人一人の発達の支援をした上で、これまで以上に児童生徒の成長やつまずき、悩みなどの理解に努め、個々の関心、興味、意欲等を踏まえてきめ細かく指導、支援していくことというのは非常に難しいなと思いながら読んでいるんですけれども。学校の中で課題が一つ一つ解決できるようにするために、特に、小学校の三年生では掛け算、四年生では割り算、分数、中学校では関数といった算数、数学分野でのつまずきに対して、少人数算数とか学習支援の先生がいたりとか、非常に多岐にわたっていろいろなことをやっているんですが、こういった教科教育の中で主体的な学びをやっていくという、実は、今まで授業をやってきた経験値の高い先生であればあるほど非常に何となくハードルが高いというのが今の学校の姿なのかなというふうに思っています。つまり、今、現状が試行錯誤の状態にあるというふうに認識しています。

 勉強が分からない、先生と合わないと訴えている子供が多くいます。多くは授業に関することだと考えるんですけれども、それについていかがお考えか、よろしくお願いいたします。

永岡国務大臣 昨年度の小中学校の不登校児童生徒数は過去最多となっておりまして、多くの子供たちが学校の学びから置き去りにされまして、大変憂慮すべき問題である、そう思っております。

 そうした課題に対応するためにも、子供一人一人にとりまして、毎日の授業が、先ほども申し上げました、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実によります、分かる、できる、そういう実感というものが大変重要だと思っております。

 また、あわせまして、教師には、威圧的な指導などを避けることはもちろんですが、一人一台端末の活用などを通じまして、画一的、一方的ではなくて、一人一人の特性や学習の進度などに応じました指導、これを行っていくことが求められているわけでございます。

 学校はみんなが安心して学べる場所であること、これが重要です。先日行われました有識者会議において、こうした観点も含めまして、不登校対策の検討に当たっての方向性をお示しをいたしまして、有識者などの御意見を伺いました。今後、年度内を目途に、実効性のある不登校対策、これをまとめていきたいと考えております。

堀場分科員 ありがとうございます。

 やはり、不登校の子供にとって、ちょっとしたきっかけはあると思うんですけれども、そのきっかけよりも前に、小さな積み重ねの原因というものがあって、それの中に学習というものが大きなウェートを占めているのではないかという問題意識を持っているということです。

 それで、子供も、分かったというところで知的好奇心が上がっていくんですけれども、今度は、児童生徒の学習の評価についてお尋ねをいたします。

 今、子供たちの評価、学校での通知表というのは、三観点となりました。この三観点の学習評価の目的というのをお伺いしたいんですけれども、現在は、一つ目が知識、技能、二つ目は思考力、判断力、表現力等、三つ目が学びに向かう力、人間性等という、三観点で評価をしているかと思います。

 特に重要なのが、学びに向かう力であると思っています。これを評価をするのが非常に難しいなというのが現場の中でのお話だったというふうに記憶をしています、ちょうど変わる時期に私も学校にいたんですけれども。主体的に学習に取り組むというのは定量化ができません。関心、意欲、態度の時代には、挙手の回数とか提出物とかノートの状況とか、そういうので客観的に判断をしていたというふうに聞いています。また、人間教育や、心とかコミュニケーションというところまで踏み込んで教科の教育をしていかなければならないという状況で、またそれを判断していくということになります。

 この目的というものを教えてください。

永岡国務大臣 まず、一番目の知識、技能でございますが、各教科等におけます知識、技能の習得状況などについてでございます。そして二つ目の思考、判断、表現は、知識、技能を活用して課題解決等をするために必要な思考力、判断力、表現力などが身についているかでございます。そして三でございますが、主体的に学習に取り組む態度は、こうした知識、技能や表現力などを身につけることに向けた粘り強い取組の中で、自ら学習を調整しようとしているかどうかなどにつきまして評価することを目的とするものでございます。

堀場分科員 ありがとうございます。

 すごい実は難しいなと思って、生徒自身が、特に例えば小学校の低学年の子が、自分が今ここは学習した、こういう学習をしていくというような、計画性というか、自分が何ができるようになったのかとか、そういうものを最重視していると思うんですけれども、それを児童生徒に理解させるというのはとても難しくて、それを理解した上で、学びに向かう力という評価をしているところでございます。

 なので、何ができるようになるのかということをどうやって児童生徒に理解させ、評価をしていくのか、これもまたお尋ねさせていただきたいと思います。定量的に判断できない学習評価というのは、具体的にはどうやるんですかということをお尋ねさせていただきます。

永岡国務大臣 大変難しい評価だとは思っております。

 子供たちの学習評価に際しましては、先生おっしゃいます、量的に学習状況を把握するペーパーテストだけではなくて、子供たちのレポートや作品などの成果物、また、発表やグループでの話合いといった授業中の子供たちの発言や行動にも着目するなど、評価方法の工夫が必要となります。

 このため、実際の学習評価に際しましては、平素から子供たちに接している教師が、日頃の授業での様子や学習状況を丁寧に把握しながら、デジタル技術も適切に活用いたしまして、様々な視点から学習評価を行っていくことが大切であると考えております。

堀場分科員 ありがとうございます。

 なぜこういう話をさっきからずっとしているのかというと、児童生徒というのが、学習の個別化であったり個性化、自分はこれが得意だとか、そういうことも含めて理解をして自分がまず受け入れる、その後、同じクラスの仲間がそれも受け入れる、そして評価をしてくれる、こういった状況というのができて初めて子供たちは安心して通える個別最適な学びを実現できる状態になっているというふうに考えています。

 だから、まず自分自身が受容して、そして周りが理解をして、そして評価をしてもらえる、この三つの環境が必要なんだなというふうに思っています。

 なので、個別最適な学びというのは、なかなか、AIとかソサエティー五・〇の時代に、どんどん力が、ITが発達したとしても、ICTの技術が発達したとしても、やはり人を育てるのは人なんだというのが、こういう評価にも出てくるところだと思っています。

 なので、本当は学校に行きたいなと思っているけれども不登校になってしまっている子供を一人でも減らすということを目指していくとするならば、やはり、令和の日本型の学校教育というのは集団指導だと思いますけれども、この日本型の集団指導の意味というところは、やはり、自分の特性であったり、得意不得意を理解して、そして、みんなに、さっきも言っている、受け入れてもらって、評価してもらえる、これを集団の中でやっていくことなんだということをまずお話をさせていただいた上で、次世代の校務のデジタル推進事業というものについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 言いました、定量化ができない、人間が、先生方が非常に細かく目で見て判断していく、そういった評価の状態になっているのが今の学校教育です。

 次世代の校務デジタル推進事業、ここで言う校務は何ですか。教えていただけますか。

永岡国務大臣 校務とは、一般的には、学校教育の実施のために必要な、事業を遂行するために必要な全ての仕事を指します。具体的には、教育課程に基づく学習指導や生徒指導などの教育活動、そして、施設整備や教材、教具などの物理的管理、それから、文書作成や人事管理事務、また会計事務などの学校の内部事務、また、教育委員会等との連絡調整などがあると考えております。

堀場分科員 その業務を、次世代の校務のデジタル化というのは、デジタル化をしていくというお話なんですけれども、これは何を目指してやっているのか、教えてください。

永岡国務大臣 校務の帳票類を電子化をいたしましてシステム上での処理を可能とします統合型校務支援システムは、やはり校務の効率化に寄与してまいりましたが、システムを自前のサーバー等に設置する仕組みが、GIGAスクール時代の教育DXや働き方改革の流れに適合しなくなってきております。

 具体的には、教員室でしか校務処理ができません、以前は、今までのは。また、民間企業で加速している柔軟な働き方が難しい。そして、自治体ごとにシステムが整備されている場合が多くて、異動のたびに、転勤のたびに、先生方は新しいシステムに慣れる必要があるということもあります。また、学習データと校務データの連携がちょっと困難でありまして、児童生徒に関わるデータの分析、また可視化が困難といった課題などがあるようでございます。

 文部科学省では、これらの課題を解決する新たなシステムを次世代の校務デジタル化と呼んでおりまして、令和四年度の補正予算では、校務支援システムのクラウド化や、校務系、学習系ネットワークの統合、また、システムの共同調達を一体的に実証研究する予定となっているところでございます。

堀場分科員 一個ずついくとちょっと大変なので、まとめてお聞きをしてしまうと、特に校務系のデータと学習系のデータと行政系のデータ、福祉データですよね、の連携のメリットと、個人情報保護の観点、これは大丈夫なのかということ。業務端末の一台化の必要性、なぜその必要性があるのか、二台で本当に助かっているパターンも非常にあります。校務の全国レベルの標準化というのが、教育の地方分権、役割分担の原則との整合性は取れているのか。そもそも、自宅において校務ができるようにする、持ち帰りが可能になることに対して、これは働き方改革に資するものなのか。校務用パソコンが職員室に固定されていることが、なぜGIGA時代、クラウド時代の教育DXに適合しないと判断されるのか。こういった様々の疑問があります。

 本当は一個ずつ全部答えていただきたいですけれども、特に、職員室で校務ができない、どこかいろいろなところでできる選択肢が増えるということを事前にお伺いしたんですけれども、その必要性が何なのか、なぜほかの場所で校務ができなきゃいけないのか。

 例えば、成績処理という非常にナイーブ、本当に子供たち一人一人にとっては、オープンになったらとても心が傷つく、そういった情報を、一台にすることで、先生はいつもいつも学校の教室若しくは移動教室、特別教室に持ち歩くことになりますけれども、それは何か開けるようにとか画面認証でやりますとかと言っていましたけれども、それを推進するメリット、お金をかけるメリットと、限られた予算ですからね、もっとほかのことに使ってほしい。

 また、校務系のデータ、つまり成績処理と学習系のデータをくっつけることによって成績処理等が楽になるというようなお話もありました。

 でも、校務のデジタル化、成績処理というのは、別に、今言ったとおり、定量的に測れないので、恐らく、将来的にAIとかで判断して成績をつけるというような事態は余り想定されていないのが文部科学省の考え方だと思っています。新学習指導要領でいう考え方は、定量的には判断できない、AIとかコンピューターとか、そういったところでは判断できない力を成績で評価をしている。

 にもかかわらず、校務系のデータというか、データにしていくというので、自動的にできるというようなことを含めた学習データと校務データの一体化というところの、そういう一個一個が、この次世代の校務のデジタル化という方向性が、やるのはいいんですけれども、この方向性が学習指導要領の実現にどのように寄与しているのかなというふうに思っています。そこの、どのように寄与しているかというところをお願いいたします。

永岡国務大臣 先ほど申し上げましたように、次世代の校務デジタル化推進実証事業は、主に教職員の働き方改革と、そしてデータ連携の観点から、現行システムの諸課題を解決することを目指しているところでございます。

 例えば、校務支援システムのクラウド化や学校ネットワークの統合によりまして学校の内外を問わない柔軟な働き方を可能にしたり、また、校務系データと学習系システムの間で名簿情報を連携することによりまして無駄な転記作業から先生方を解放できると考えております。

 また、児童生徒の出欠状況や保健室の利用状況などの校務系データと、学校生活の満足度アンケートやデジタル教材の学習履歴などの一人一台端末から生み出される学習系データとの連携を加速させることで、例えば、支援が必要な児童生徒を早期に発見することも可能になると考えているところでございます。

 また、先生おっしゃいますように、文部科学省といたしましては、次世代の校務デジタル化によりまして、自宅への仕事の持ち帰りを推奨するつもりは全くありません。

 その一方で、民間企業では、例えば子供の送り迎えや介護など、様々なライフスタイルに応じた柔軟な働き方が急速に加速をしております。教職を魅力あるものにするためにも、民間と遜色のない仕組みを整える必要があるというふうにも考えている次第です。

 校務用の端末の持ち帰りに限れば、先行して取り組んでいる自治体も幾つかありますけれども、現場の先生方からの評判もよい、そういうふうに伺っているところでもございます。

堀場分科員 先生方が家に帰って、例えば、この前休校になっていたと。そのときに持って帰りたかったのは、学習系のデータのタブレット端末を持って帰りたいという先生は非常に多かったと思います。そうすることによって子供たちと直接連絡も取れましたし、それこそ、ロイロとか、いろいろな、これはちょっと言ってはいけないのかな、そういう様々なソフトを使って子供たちと直接やり取りができる、そして顔も見て話もできる、そういった一人一台端末の意味が出てくる。これは学習用の端末が分かれていて、持って帰ればいいと。

 だけれども、校務パソコンまでそこに入ってしまって、校務データまで家に持って帰れる。例えば学校の外、カフェとかでできるという状態を生み出す必要性が私は余り感じられない。特に子供の個人情報というものを非常に大切にしてきた学校の現場の中で、それを持って帰る必要性、若しくはそれを、だから分けているということにメリットがあるというふうに思っています。

 だから、持って帰って、例えばユーチューブを作って上げてあげたいとか、授業風景を作って上げてあげたり、そういう先生方はたくさんいらっしゃったと思いますし、そういう活用の仕方をしているのは学習用のタブレット、パソコンが多くて、校務まで持って帰る必要性というのは余りないのではないかというふうに考えています。

 この話をするとちょっとエンドレスになってしまうので、最後にどうしても大学の課題についてもやりたいなと思っています。

 なぜ大学についてやりたいのかというものを先に結論ありきで言わせていただきますと、私自身は、大学というものが、文部科学省さんが新学習指導要領を作られたときに、やはり教育というのは国の力なんだ、地域の力なんだという強いメッセージ性を持ってこれを作られたと思っています。だからこそ、初等教育から一貫して同じ目標に向かって、人間性をつくっていくという目標を持って、継続性のあるプログラムで子供たちを教育していこうというふうに、学びを構築されているんだろうなというふうに思っているんですけれども、大学というところでの学びについても、そこに一貫性を持たせてほしいなというふうに思って、御質問をさせていただきます。

 大学における研究機能の強化についてお尋ねします。大学における研究機能の強化というのはどのようなことを指しているのか、そしてちょっと一緒になってしまうんですが、研究の機能を強化するために必要なことは何とお考えなのか、教えてください。

永岡国務大臣 近年、我が国の研究力は諸外国に比べまして相対的に低下をしている状況にあります。このような中、我が国最大の知の基盤であります大学の研究力を強化することは大変重要であると考えております。そのために、大学におけます研究の機能の強化といたしまして、研究人材、資金、環境の改革を大学改革と一体的に展開することが必要であると考えております。

 具体的には、若手を始めとする多様な研究者が活躍できる環境の整備、そして研究マネジメント人材や技術職員などの専門職人材の確保、そして全学的な研究マネジメント体制の構築といったことが挙げられると考えているところでございます。

堀場分科員 ありがとうございます。

 小学校からずっと、新学習指導要領とか、先生たちが工夫した、面白い、できた、分かったという面白い授業を構築しているというのは、最後のところで、大学じゃなくてもいいと思います。高校とか高専とか、もしかしたらそういうところに行かなくても、そういった様々な、自分たちで、人間の力として、生きていくということができるようにするための力を養っているんだろうと思います。

 大学には、人材を育成していく教育とか研究、そして社会実装、スタートアップを支援していくというような大きな役割があって、今、地方創生が叫ばれている中で、地方都市において、研究に強い、専門性が高い大学があるということは非常に意味があるんじゃないかなというふうに思っています。大学発の新産業の創出や地域活性化人材育成事業にお金を出されていることから考えても、文部科学省さんでもそのように認識されていると思っています。

 最後の、地域創生との関連ということもあったんですけれども、ちょっと時間がないので省かせていただくと、教育というのは、さっきも言ったとおり、国であって、地域の力になっていくというふうに思っています。地域社会における高専や大学の役割は大きいですし、そもそも、そこにも学習指導要領で言われている、変化を前向きに受け止め、私たちの社会や人生、生活を、人間ならではの感性を働かせてより豊かなものにしたり、現在では思いつかない新しい未来の姿を構想し実現していくことができるために、一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々とも協働しながら様々な社会的変化を乗り越えて、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となることができるようにすることが求められているということだというふうに思っています。

 ということは、やはり、最終形は、大学であったり、その後に働いたり、自分たちが仕事をして、その後、長い人生をどのように生きていくのかというところまで含めてこの新学習指導要領というものが存在しているんだということを、ここでまた改めてお話をさせていただき、不登校になっても、学校に行きたくなくても、多様な環境が選択できて、そして、本当は学校に行きたいなと思っている、希望する子供は、何度でもチャンスが与えられて、そして、自分の居場所があって、そういう前向きで寛容な社会をつくっていくという学習指導要領の考え方、私は深く、すばらしいといつも思っているんですけれども、それを是非、大学の研究機能の強化というところまで、最後まで引っ張っていただきたいなと思っているんですね。

 問取りとかレクをさせていただいたときに、大学における研究強化の話になったときに、新学習指導要領でここを目指しているんだよねという話をしたときに、え、と言われちゃって、いや、え、じゃなくて、みんなでそういうところを共有していただいて、もっと、余り私は好きな言葉ではないですが、高度な人材というか、より専門性の高い研究をする人材、そういった皆さんもこういうところをスタートにして、やはり、理系人材のときもお話ししましたけれども、小学校のときに算数とか理科が嫌いな子が、なかなか理系人材に、いかに、幾ら大人になって勉強、学び直しをしても、到達できないと思っておりますので、そこのところを、大学という研究機能を強化するということも含めて、そして魅力ある大学をたくさんつくっていただきたいなと思っています。

 最後に、大臣、今日の質疑を通して、やはり、不登校をなくしていく、そして、その不登校の子供たちに明るい未来を見せていくというためには、新学習指導要領とか先生とかの働き方というのは非常に重要だなと思っていただいたと思うんですけれども、御所見を頂戴できるとありがたいなと思います。

永岡国務大臣 本当に先生には、実際に教師をしていらっしゃったという観点も含めまして、多岐にわたり、本当にいろいろ教育について考えていただいておりますこと、感謝を持って、敬意を表したいと思っております。

 本当に、今お話ししましたように、学習指導要領の中の協働的な学び、そして個別最適な学びというのと相まって、この二つの言葉、これが子供たちを豊かにする、本当に自分の人生を切り開いてくれる、そういう本当に大きな大きな両輪になろうかと思います。

 やはり、持続可能な社会のつくり手となる、未来の、これは本当に原動力になる子供たち、その子供たちの教育に対する、今お話しした協働的な学び、個別最適な学び、これをしっかりと、日本の未来のためにも、頑張って指導そして牽引していきたいと思っております。

堀場分科員 ありがとうございました。終わります。

三谷主査 これにて堀場幸子君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川直季君。

古川(直)分科員 自由民主党の衆議院神奈川六区の古川直季でございます。三谷委員長と同じ横浜でございます。

 本日は、貴重なこうした質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私は、一昨年の衆議院選挙で初めて当選をさせていただきましたが、その前は、長年にわたりまして横浜市会議員を務めておりました。ということから、今日は、横浜市会議員のときからいろいろと思っていたことや、また、横浜市の事例なども御紹介をさせていただきながら質問を進めてまいりたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、子供、若者の自己肯定感についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 自己肯定感を高めることに関しては、平成二十九年に教育再生実行会議で提言が出されておりますが、日本は、諸外国、特にOECD諸国と比べて、自分自身を肯定的に捉えること、いわゆる自己肯定感が低いと言われております。若者が自分の将来を明るいものだと考えられない国が発展するわけがないのでありまして、自己肯定感が諸外国と比べて低いということは、私は大変重要な問題であるというふうに思っております。

 世界に目を向ければ、経済規模の大小にかかわらず、人の心が豊かで、国民が幸せを感じて生きている国々があります。私は、どんな状況であれ、自分を信じて、自己肯定感を高く持つことは大変重要であると思っております。

 改めて、そこで、文部科学省ではこの自己肯定感をどのように定義しているのか、また、OECDの調査の中で、日本の若者の自己肯定感が諸外国に比べて低いと言われている要因は何なのか、お伺いしたいと思います。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の自己肯定感につきましては、現行の教育振興基本計画におきましても、その育成を図ることとしているところでございます。

 その内容につきましては、独立行政法人国立青少年教育振興機構の調査におきましては、友達が多い方だ、今の自分が好きだ、勉強は得意な方だなどの項目に当てはまるかどうか、また、OECDの学習到達度調査によれば、自分の人生には明確な意義や目的があるなどの項目に当てはまるかどうかについて子供たちにアンケートをしているところでございまして、これらの指標を総合して、自らを肯定する感情であるというふうに考えております。

 OECDの調査結果、御指摘いただきましたように、あるいは内閣府が実施する我が国と諸外国の若者の意識に関する調査などによって、我が国の子供は、諸外国の子供に比べて自己肯定感が低いということが指摘されているところでございます。

 その要因につきましては様々な御指摘がありまして、一概に申し上げるのは難しいところでございますが、例えば、内閣府の調査におきましては、日本の若者の自己肯定感の低さには、諸外国の若者とは異なり、自分が役に立たないと感じる自己有用感の低さが関わっていることなどが指摘されているというふうに承知しております。

古川(直)分科員 今御答弁いただきまして、独立行政法人国立青少年教育振興機構の令和元年度の青少年の体験活動等に関する意識調査によりますと、学年が上がるにつれて自己肯定感は減少傾向にあり、特に小学校六年生から中学校二年生にかけて、思春期に自己肯定感が大きく減少している傾向が見られます。

 ただ、自己肯定感の経年比較を見ますと、平成二十年から令和元年にかけて、自己肯定感に関する回答の割合のうち、高い、やや高いを合計した割合は、年を経るごとに大きくなっています。この十数年で自己肯定感が高い子供が増えているという結果であります。ただ、この結果は大変喜ばしいものでありますが、やはり一方で、まだ半数近くの子供たちが自己肯定感は高くないと感じていることが懸念されます。

 そこで、近年の子供たちの自己肯定感が上がってきている要因はどのようなものと捉えているのか、また、文部科学省として、今後の自己肯定感を上げるための取組について、これは大臣より見解をお伺いさせていただければと思います。

永岡国務大臣 日本の将来を担います子供たちは、我が国の一番の宝でございます。教育の振興を通じまして、無限の可能性に満ちた子供たち一人一人が自己肯定感を持って生き生きと活躍できるような社会、これを目指していきたいと考えているところです。

 自己肯定感が上昇している要因は様々あると思いますけれども、例えば、教育再生実行会議の第十次の提言では、自己肯定感を育むための取組といたしまして、幼児教育や家庭教育支援の充実、そして多世代交流や異年齢の交流等の推進、それから様々な体験活動の充実、新学習指導要領の実施に向けました条件整備などが挙げられておりまして、これらの取組を推進することにより改善につながった面もあるのではないかと考えております。

 今後につきましては、例えば、体験活動を行う子供は自己肯定感が高いとのデータを踏まえまして、体験活動の更なる充実のための企業や民間団体との連携強化を図るなど、子供たちの自己肯定感が育まれるよう、こうした様々な取組を総合的に推進をしてまいります。

古川(直)分科員 大臣、ありがとうございます。

 今御答弁いただきました、子供たちの様々な体験や経験の機会を増やし、その中で自分で目標を設定して、できたという小さな成功体験の積み重ねが子供たちの自信につながり、自己肯定感の向上につながっていくのだと思います。

 昨年、私はアイルランドに視察に行ってまいりました。アイルランドの教育というのは、日本でいう中学校に当たるジュニアサイクル修了後の一年間、大体十五歳のときに、トランジットイヤーと呼ばれる、グループ学習や自由研究、ボランティア活動や企業でのインターンシップによる仕事の体験を積むなど、移行期間を過ごします。アイルランドでは、こうした社会体験を通じて、人間形成と将来の進路のイメージをしていきながら、自分が社会にどのように貢献できるのか、これなら自分でもできるんじゃないかというような、そうした子供たちが自信をつけていくものだというふうに思っております。これは、日本はすぐに導入というのはなかなか難しいと思いますが、やはり研究していく必要があろうかと思っております。

 自信そのものは人から与えられるものではなくて、自分で一つ一つ積み重ね、得られるものですから、私たち大人は、こうした一つ一つ自信をつけていっていただけるような、子供たちにそうした機会をなるべく多く提供していかなければならないというふうに思います。引き続き、文部科学省におかれましては、よろしくお願いしたいと思います。

 私は、常々、人の心を前向きにするにはどうすればいいのか、日本の社会がどうすれば明るくなっていくのかということを考えるんですね。逆境であっても前向きに生きる、いわゆるポジティブシンキングとでもいうんですかね、こうしたことは、決して先天的な資質じゃなくて、後天的に、教育や体験によって身につくものであるというふうに思っております。

 しかし、人が前向きに生きるための教育活動には、まだまだ改善の余地があるのではないかと思います。例えば、人間の感情の研究ですとか、実践的な心理学やコーチングなど、これはアメリカが進んでいるように私は思っておりますけれども、こうしたことに力を入れるような政府の取組というのは余りないのではないかと思います。

 人の心に火をつけるような教育ですとか、人を前向きにするための教育を文部科学省は徹底的に研究して、学校教育の現場に取り入れていくことが、今のこの時代の閉塞感を打ち破ることにもつながるのではないか、ちょっと大きなことを申し上げているかもしれませんが、私はそんなふうに思っております。

 こうした人を前向きにするための教育活動を学校の現場に取り入れることについて、これは大臣の見解をお伺いできればと思います。

永岡国務大臣 古川先生には、アイルランドの子供たちの体験、教育活動につきまして今お話をいただきました。

 子供たちが学校を含めた日々の生活を生き生きと過ごして、そして自らの将来に向かって毎日を前向きに暮らしていけるような社会をつくっていくことが、私たち大人に課せられた責務であると考えております。

 教育の世界におきましても、教師と子供、そして子供同士がお互いの存在をかけがえのないものとして認め合う中、学ぶことの意義ですとか、自己有用性、そして自己肯定感を感じながら学校生活を送るということができるようにすることが大変大事でございます。

 このため、例えば、学習におきまして、自然体験や職場体験、ボランティア活動などの体験活動を充実させ、こうした機会を通じまして、主体的に挑戦してみることや、多様な他者との、ほかの方たちとの協働をすることの重要性を実感を持って理解をすることが大変重要と思っております。

 学習指導要領におきましても、学校行事を始めとする様々な場面におけます体験活動の充実などを明記しておりまして、子供たち一人一人が豊かな人生を切り開いて、持続可能な社会のつくり手となることができるように、引き続きまして学校教育活動の充実に努めてまいります。

古川(直)分科員 ありがとうございます。

 改めて、日本の子供たちが自分の将来に希望を持って前向きに生きていくことができるように、自己肯定感を高めることに引き続き注視し、対応していただきたいと思います。

 次に、多様な人材の教育現場での活用についてお伺いいたします。

 昨年十二月の中央教育審議会による令和の日本型学校教育を担う教師の養成、採用、研修等の在り方についての答申には、日本型学校教育は、国際的には高く評価される一方で、教師の長時間勤務が課題であると指摘されています。

 かねてから教員の長時間労働は問題視されており、働き方改革が急務であると言われておりますが、この点につきまして、まず、文部科学省の現状の認識についてお伺いいたします。

永岡国務大臣 文部科学省の調査結果ではございますけれども、時間外勤務は、平成三十年度以降、一定程度改善傾向にあります。しかしながら、学校における働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続きまして取組を加速させていく必要があると認識をしているところでございます。

 このため、文部科学省におきましては、令和元年の給特法改正を踏まえまして、勤務時間の上限などを定める指針を策定するとともに、教職員定数の改善、そして支援スタッフの充実、ICTを活用した業務効率化などに総合的に取り組んでいるところでございます。

 今後は、令和四年実施の勤務実態調査において、教師の勤務実態などをきめ細かく把握をいたしまして、その結果等を踏まえまして、教師が、教師でなければできない仕事に全力で投球できる環境の整備を図ってまいる所存でございます。

古川(直)分科員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 この学校教員の働き方の問題は大変深刻だと思います。学校の先生が子供に、自分はこれがやりたいんだという情熱を持たせるような教育をするには、やはり働く先生自身が、先ほどの話じゃありませんけれども、自己肯定感を強く持って、高めて、そして元気で、やる気と情熱がなければならないというふうに思います。

 学校の現場には、明るく元気に子供たちに接していけるよう、制度面でも整えていくことが大切だと思います。令和の日本型学校教育の答申からも読み取ることができますが、これまでのように、学校や子供たちに関わることを全て学校の先生に頼るのは、もはや持続可能な学校運営ではありません。学校で起こったことが全て担任の先生の責任になるような状況は、一刻も早くこれは是正をし、それぞれの専門性を持ったスタッフを充実させていくべきであろうと思います。

 本来、教員がやるべきことは、子供たち一人一人に向き合うことであります。生徒の心のケアや保護者とのコミュニケーションはもちろん大切なことですが、それを学校全体で補うことで、担任の先生が全て対応しなければならないというわけではありません。教員が授業に集中し、教育の質を高めるために使える時間を増やす必要があると思います。

 教育基本法九条には、「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」と記載されています。つまり、教育という大切な使命を全うするため、教える立場の教師自身も学び続けなければならないということであります。

 文部科学省においては様々な教員の研修体系を用意されていると思いますが、その中の社会体験研修は、教員の経験の幅を広げるだけでなく、学校と地域社会とのつながりを深める上でまだまだ活用の余地があるのではないかと思います。

 社会体験研修は、現職の教員を企業や社会福祉施設等の学校以外の施設に教員を派遣する研修ですが、これは私も横浜市会議員のときに、夏休みの休業期間に学校の先生を地域の民間企業に派遣する研修を推進いたしました。今、横浜市では全ての教員がこの研修を行っております。

 私がこの研修制度を推進した理由は、学校と地域企業や社会のつながりを深めることができれば、教える教員の視野が広がって子供たちへの教育の幅が広がるだけでなくて、逆に、地域の側も教育に対する理解が深まり、社会全体で学校を支えようという機運が醸成されるのではないかと考えたからであります。

 実際に派遣された先生からは、社会を見る視野が広がった、仕事の効率を上げる工夫や努力の実践を体感した、今後のキャリア教育や自己研さんのきっかけとなったなど、前向きな感想が寄せられています。一方で、企業からも、派遣された教員がその研修の期間を通じて学校の様子や取組を紹介することで教育への関心が深まったなどの声が上がっています。

 しかし、現在、こうした研修は、新型コロナウイルスの影響で研修の件数が減るばかりでなく、学校現場もなかなか教員を研修に出せる余裕もなくなってしまっているようで、研修の数自体は減ってしまっているようです。

 そこで、この社会体験研修の現状と、特に、民間企業や社会とのつながりを深めていくことについて、教員の資質向上のための研修の今後の方針をお聞かせいただきたいと思います。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、教師を民間企業や社会福祉施設など学校以外の施設等へ派遣する社会体験研修につきましては、視野の拡大やあるいは対人関係能力の向上等にも大きく効果を上げるというふうに考えております。

 教師の働き方改革による研修の精選ですとか、あるいは新型コロナウイルスの影響等により受講者は減少傾向にあるものの、令和三年度には、都道府県、政令市、中核市のうち七十九の教育委員会で実施されておりまして、約一万三千人が派遣されたところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、研修の計画立案において創意工夫を凝らし、効果的、効率的な研修を実施するよう、各教育委員会に対して周知等をしながら求めてまいりたいというふうに考えております。

古川(直)分科員 この社会体験研修をこれからも積極的に実施していただきたいと思います。

 先ほど申し上げた中央教育審議会の答申の中では、多様な専門性や背景を持つ人材を教師として取り入れるための方策として、特別免許状に関する運用の見直しについて触れられています。変化の激しい時代と言われている現在、外部から多様なバックグラウンドを持った人材を学校に取り入れていくことは、多様な価値観を学び、子供たちが経験する幅も広がりますので、非常に重要な施策だと思います。

 しかしながら、特別免許状の制度は、昭和六十三年に創設されて以来、年々免許授与数は増加しているものの、令和三年度の発行数は三百三十四件、特に公立学校での活用が進んでいない状況を鑑みると、まだまだ制度として活用する余地があると思います。

 そこで、今後、優れた能力や多様な経験を持つ外部人材を登用するために、特別免許状の授与者を増やしていくとともに、教育者として必要な資質を補えるような研修制度の充実を図るべきだと考えておりますが、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

永岡国務大臣 昨年十二月の中央教育審議会の答申でも示されているように、多様な専門性を有する質の高い教職員集団を形成するためには、特別免許状を活用し、優れた知識経験などを有する方を教師として学校現場に迎え入れることは大変重要と考えております。

 文部科学省といたしましては、特別免許状の円滑な活用に向けまして、令和三年五月に特別免許状の授与に係る指針を改正したところでございます。また、特別免許状を授与された教職に就く者の円滑な入職につなげる観点から、外部人材向けの研修コンテンツを開発しておりまして、採用前後の適切な時期に、各教育委員会が最新の教育事情などの研修を実施することを推進しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、外部人材の学校現場における積極的な活用に向けまして、引き続きまして全力で取り組んでまいります。

古川(直)分科員 大臣、ありがとうございます。

 様々な経験を持った多様な方々に不安なく教員として教育現場に入っていただき、子供たちに多様な価値観に触れる機会を充実できるよう、この特別免許状制度の周知と運用をよろしくお願い申し上げます。

 次に、学校の校舎の建て替え、活用についてお伺いをいたします。

 日本では、第二次ベビーブーム世代の増加に伴い、昭和四十年代後半から五十年代にかけ、全国各地で多くの学校が建設されました。現在、それらの校舎は更新時期を迎えています。校舎の耐用年数は五十年と言われておりましたが、公立小中学校の建物の面積のおよそ半数が築四十年以上であり、そのうちの約七割が改修を要する状況であります。

 文部科学省及び自治体におかれましては、建て替えだけでなく、長寿命化改修による耐用年数の延長によって経費の節減を行っているとも伺っております。

 今、国、地方とも厳しい財政状況の中でありますが、学校の施設は、子供たちの学びと生活の場として、安全面、衛生面、防犯、防災に配慮し、そして、何よりも子供たちの豊かな人間性を育むものでなければなりません。

 私は、かねてから木造校舎の普及や校舎の木質化に力を入れております。横浜市会議員時代のときには、子供たちに木のぬくもりのある校舎で学んでほしいと考えまして、横浜市内では数十年ぶりに木造校舎を建設することを決定いたしました。

 日本は森林大国と言われ、これだけ豊かな木の文化の歴史を持つにもかかわらず、木は切らずに保護するべきだという意識が強い傾向にあります。しかし、実際のところは、皆様御承知のとおり、森林は、間伐して育成し、伐採して植林することを繰り返さなければ、森が老化して、二酸化炭素の吸収量も減少してしまいます。森を整備するためには、人口密集地での国産材の流通を活性化させ、しっかりと収益を生み出し、生産、流通、活用のサイクルを回して、国内の林業を支えていかなければなりません。

 こうした環境教育も、これからの時代においては非常に重要です。ほかにも、国産材から国内の自然や日本の林業に興味、関心を持ったり、あるいは、どんな種類の木がどんな質感を持つのかを知ったり、子供たちに身近な校舎から学び取れる仕掛けづくりは教育の質を高める上でも大切だというふうに思います。

 そこで、公立学校施設における木材使用の状況と学校施設への木材利用の教育上の効果、また文部科学省の方針についてお聞かせいただきたいと思います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度に新しく建築された全学校施設六百九十棟のうち、木材を使用した学校施設は五百二十棟、その割合は七五・四%となっております。

 木材利用の教育上の効果につきましては、児童や教員に対するアンケート結果によれば、教育、学習環境について温かみが増した、雰囲気が明るくなった、木質化された部屋では児童生徒が落ち着くなどの効果が見られたほか、地元の木材を利用することで、地域への理解や愛着を深める効果も期待されております。

 文部科学省といたしましても、学校施設への木材利用は重要と認識しており、その推進のため、地域材を活用して木造施設を整備する際の補助単価の加算、木材利用に関する手引書、事例集の作成や講習会の開催等に取り組んでおります。

 引き続き、地方公共団体において学校施設への木材利用について積極的な取組が進められるよう、関係省庁とも連携しつつ、支援してまいります。

古川(直)分科員 校舎の校の字は木に交わると書きますので、是非、政府におかれましても、国内の林業の発展と日本の森林を守るため、そして、何よりも子供たちの学びや豊かな心を育むためにも、木造校舎や、校舎の木質化の推進をよろしくお願い申し上げます。

 なかなかコスト面で難しいとおっしゃる方も多いんですけれども、最近は、CLTなどの新しい建築素材も活用の幅も広がっておりますし、木造建築の工法も発達しております。自治体におかれましても、是非、木造校舎、あるいは改修での木質化を積極的に推進していただければと思います。

 学校校舎や体育館などの施設は、地域との関係性においても非常に大きな意味を持ちます。私は、自治体や地域コミュニティーの中心的な拠点としてもまだまだ活用の余地はあるのではないかと考えています。

 学校施設は、土日祝日、夏休みなど、年間約百七十日間も使われていません。広い校庭や体育館、プール、音楽室、美術室、家庭科室、理科室など、こうした施設が年間百七十日も使われていないというのはもったいないというふうに思うんですね。

 今、政府においては、放課後の子供たちへの教育支援や、大人に向けてもリスキリングや生涯学習を広めて、進めているところでございますが、こうした公立学校の施設を市民に更に開放し、又は民間での活用を推進することについて文部科学省としてどのようにお考えか、取組内容も併せてお聞かせいただきたいと思います。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の学校開放につきましては、各自治体において様々な創意工夫ある取組がなされているというふうに承知しております。

 例えば、ある自治体では、地域と学校が協働して、学校施設に、時間帯に応じて様々な住民が集まって活動できるようにしているところでございます。具体的には、昼間は学校教育の場、放課後は子供たちが多様な体験活動等を行う場、夜間は多様な主体の生涯学習や交流の場として活用がなされているというふうに承知しております。

 こうした事例は、学校に、子供たちだけではなく、地域住民が集まり、学び合い、地域課題の解決等につなげているすばらしい事例であり、文部科学省といたしましては、こうした好事例の横展開を図るなど、民間での活用も含め、地域での学校開放をしっかりと推進してまいりたいというふうに考えております。

古川(直)分科員 ありがとうございます。

 学校という施設を中心に地域のにぎわいが活性化するよう、自治体との連携も併せてよろしくお願いします。

 時間になりましたので、これで終わります。

三谷主査 これにて古川直季君の質疑は終了いたしました。

 次に、一谷勇一郎君。

一谷分科員 日本維新の会の一谷勇一郎です。

 私は、二十年間医療や福祉に関わってきまして、どちらかというと厚生労働の仕事をずっとさせていただいてきたんですが、その中で、地域の御家庭に医療や福祉でお邪魔することが多くありました。その中で、不登校になっているんじゃないかなというお子さんも多く見てきましたし、私自身が、今、中学生、そして次が小学生に上がる子育てをしながら、やはり、学校に行くことにすごく疑問を持つお子さんも増えているように思います。

 先日、私の東京の事務所に、実際に不登校になっておられるお子さんが父兄の方と来ていただいて、国会の見学をさせていただきました。物すごく喜んで帰っていただいて、本当によかったなと思うんですが、その父兄の方からも声を聞き、そして、実際にフリースクールまで立ち上げられた父兄の方もいらっしゃいました。

 私は兵庫県の神戸市ですが、同じ維新の中で、市会議員の方々が、この特例校について非常に熱心に勉強して、不登校の子供たちを何とかしたいという思いで活動していますので、ここは連携を取ってやっていきたい、そういった思いで本日は質問に立たせていただきます。大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、少子化で全国の児童生徒は減少しています。しかし、その中で、学校に通わないという選択をする子供が、いわゆる不登校児が年を重ねるごとに増えていっている。令和三年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果についてによると、小学生の全児童の一・三%に当たる八万千四百九十八人、そして中学生では、何と更に増えて、五%、十六万三千四百四十二人の学生が不登校になっているということになっています。この数字は病気や経済的な理由は含まれないというところで、この数がお子さんの数が減っていく中で年々増加していくというのは非常に問題だというふうに、これはもう皆さんの認識は一緒だと思います。

 こうした子供たちに対するための公的機関として教育支援センターがあり、平成十七年度、不登校特例校の制度がつくられました。また、近年、民間のフリースクールなども増えていますが、十分な連携が行われていないように感じています。

 特に、実際に不登校の状態にある子供たちであっても、教育支援センターや不登校特例校を紹介してもらえるかどうかは、いいか悪いかは別にして、先生の考え方次第というところが多いのではないかという保護者の方の声を聞いております。

 この点について、国の規定や指導方針、実際に不足している部分、児童生徒の在籍校から支援センターや特例校、保護者グループにつなぐための指針などについて、大臣にお伺いをいたします。

永岡国務大臣 一谷先生おっしゃいますように、小中合わせて約二十四・五万人の子供が不登校である、そういう現実を考えます。

 本当に様々な背景を持つ不登校児童生徒に対しまして個々の状況に応じた支援を行うためには、やはり、不登校特例校や教育支援センター、そしてフリースクールなどの民間団体などが相互に連携をしながら支援を行っていくことが重要であると考えております。

 教育機会確保法及び指針におきましても、不登校児童生徒の支援を実施いたします際には、国、自治体、民間の団体などが相互の密接な連携の下で行うことを求めておりまして、文部科学省といたしましては、その趣旨につきまして、各都道府県教育委員会などに対して周知を行っているところでございます。

 また、学校や教育委員会とフリースクールなどの連携、情報共有が適切になされますように、都道府県、指定都市教育委員会を対象といたしました予算事業におきまして、教育委員会などとフリースクールなどの関係機関の連携協議会の設置であるとか、フリースクール等と合同して行う教職員等向けの研修会の実施を支援しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続きまして、不登校児童生徒の社会的自立を目指しまして、様々な関係機関との連携が進むように取り組んでまいりたいと考えております。

一谷分科員 今大臣から連携の協議会をというお話もあったんですが、その中で一つお願いしたいなと思うのは、フリースクールにもいろいろな規模のフリースクールがあると思いますので、大きなところだけではなくて、非常に小規模でも地域に絶対必要だなと思われるようなところにもお声をかけていただきたいと思いますし、是非、保護者の御意見もその中に入るような仕組みづくりをしていただきたいというふうに考えております。

 次は、政府参考人の方にお伺いしたいんですが、平成十七年に不登校の特例校の制度がつくられたというふうに認識しております。この特例校は、現在、全国に二十一校しかないというふうにあえて私は捉えております。そのうち、半数を超える十一校が東京都と神奈川県に集中しています。中学校の全生徒の五%が不登校であるということを考えると、この数はとても十分とは言えないのではないかというふうに私は感じております。

 昨年の政府の骨太の方針では、全都道府県と政令指定都市に特例校を設置する方針を掲げておいでです。現状では、設置されているのは十都道府県、政令指定都市で見ると、全二十市のうち、横浜市、名古屋市、札幌市、京都市の四市にとどまっています。

 これにつきまして、なぜここまで少数にとどまっているのか、どのようにこの目標を現実にしていくのかということをお聞かせください。

藤原政府参考人 骨太の方針二〇二二におきまして、不登校特例校について、全都道府県、政令指定都市への設置を示しているところでございます。その数は、今御指摘がありましたように、二十一校にとどまっているという状況でございます。

 これまで、不登校特例校の成果といたしましては、基礎学力の定着や自己肯定感の向上、それから、不安や悩みが解消され、意欲的に学習に向かえるようになったといったような教育的な効果も報告をされているわけでございます。

 これまでこの不登校特例校が増えていない理由ということでございますけれども、一つには、こうした既存の学校の取組が必ずしも十分周知をされていないといった部分も多分にあるのかなというふうに思っているところでございますけれども、文部科学省では、令和五年度予算案において、新たに不登校特例校の設置準備に関する支援のための経費を計上しているところでございます。

 昨年行いました調査によりますと、不登校特例校の設置の検討状況というのがございます、その結果といたしましては、設置は現在していないけれども、今後設置を検討しているという自治体が二百三十一自治体というふうな報告がされておりまして、文部科学省では、様々な面でこうした取組を後押ししてまいりたいというふうに考えております。

一谷分科員 ありがとうございます。

 そうしたら、この特例校は効果が上がっているという認識でいいということですね。そして、予算措置もしっかりされて、二百三十一の各自治体がやっていきたいというふうにおっしゃっているということですね。分かりました。

 では、次はまた大臣に御質問させていただきたいんですが、不登校特例校は、カリキュラム面では、学習指導要綱を厳守せず、子供たちに合った柔軟な授業の進め方が認められています。その一方で、法律上は通常の公立学校と同じ扱いのため、より子供たちを丁寧にケアしなければならないにもかかわらず、人員配置は基本的に通常校と同じ水準にとどまっています。自治体などの努力によって手厚い配置を行っている状態だと伺っております。

 自治体の姿勢次第で格差が出るとなりますと、一人一人の子供が教育を受ける権利にも差が出てくると思います。そこで、全国的により手厚い人員配置をするような制度づくりはできないものでしょうか。

 また、設備等の設備基準についても通常の学校と同様の条件が求められるため、設立可能な立地を見つけるのが難しいのも課題であります。より多くの子供たちが自分たちに合った教育を受けるためにも、設置条件や人員配置の面での緩和された設置水準の拡大を視野に入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 委員御指摘の不登校特例校につきましては、不登校児童生徒の多様な教育機会の確保を図る観点から、設置を推進しておりまして、現在、好事例の周知や、設置に関します手引を様々な機会を通じまして周知しつつ、一つでも多くの自治体に設置されますように、積極的に取組を進めているところでございます。

 一方、御指摘のとおり、不登校特例校は、学校教育法の一条に規定されます学校であるため、小学校の設置基準及び中学校の設置基準に基づく設備や教員の基準を満たす必要がありまして、一定の基準があるものと承知をしているところでございます。

 このために、不登校特例校の設置に当たりましては、いわゆる分教室型という学級を単位とした小規模な不登校特例校の設置促進も周知するとともに、生徒指導等のための加配定数も措置するなど、必要な体制を整備しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、来年度予算案におきまして、新たに不登校特例校の設置基準に要する経費を盛り込んでおりまして、その活用を促すことも含めまして、引き続きまして不登校児童生徒の支援にしっかりと取り組んでまいります。

一谷分科員 そうなんです。基準は普通の学校と同じだということなんですが、私がいろいろ聞いておりますと、生徒さんの数はまちまちなような気がします。例えば、四十人いっぱいいっぱいで先生が本当に大変な特例校もあれば、八名、九名ぐらいで見られている特例校もある。それは、八名、九名のところは、先生方が、やはり今の先生の配置ではこれぐらいが限界だというふうに人数を決めておられるのかも分からないですが、ただでさえ今少ない特例校の中で、それではすぐ定員がいっぱいになってしまうのではないかなというふうに思います。

 また、四十人でやられているところが全然手が足らないとなれば、不登校の方が適切な学習を受けられないということもありますので、ここはやはり、学生と先生の数、ここの根拠というのは少し考えていくことも必要ではないかなというふうに思うんですが、これは質疑の通達をしておりませんので、あくまで私の意見でありますし、もし私の認識が間違っているようでしたら、参考人の方が話をしていただいてもいいですけれども、大丈夫でしょうか。何かありますか。

藤原政府参考人 おっしゃるように、不登校特例校の状況は様々な状況にあるというふうに思っております。これはまだ、ある意味ではスタートしたばかりの制度でございますので、現場の様々な実態やニーズを踏まえて、不登校特例校あるいは分教室型も含めて、どういった形が一番受皿の整備が進んでいくのかということをしっかり研究、検討してまいりたいというふうに存じます。

一谷分科員 通達もないのに、お答えをありがとうございます。まさにそこも、私がいろいろなところで意見を聞いていて、物すごく問題を感じました。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 不登校特例校は、設置の面では従来の学校と同じ基準が適用される一方で、学びの内容については、学習指導要綱を厳粛になぞるのではなく、一人一人の児童生徒に合わせて変えることができるようになっています。言い換えれば、特例校では、一人一人の児童生徒の能力を十分に伸ばす教育、カリキュラムそのものではなく子供に優先順位を置いた教育を行い、そのノウハウを蓄積していると考えます。

 子供の多様性を生かし、能力をしっかり伸ばす教育という視点では、これは、教育の本来あるべき姿、能力開発、人間開発という面からも理想に近い在り方であると私は認識しております。ですので、ここで得られた知見を一般の学校にも還元し、全ての児童生徒が才能を開花させられるような教育をつくり上げていくべきではないかと考えますが、大臣のお考えをお願いいたします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 学校教育におきましては、子供たち一人一人に応じた柔軟な教育を行うことは、不登校にならないようにする観点からも大変重要と考えております。

 不登校特例校におきましては、例えば、子供たちの学習進度に応じた指導、少人数や個別での指導、学年の枠を超えた異年齢集団による学習の実施などが行われているところでございます。こうした実践の視点というのは、画一的な指導ではなく、より子供たち一人一人に寄り添った教育であると考えておりまして、不登校特例校以外の学校でも参考になることが多い、そういうふうに考えております。

 文部科学省では、令和の日本型学校教育の実現に向けまして、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図っておりますけれども、この中でも、こうした子供たち一人一人に寄り添った柔軟な教育実践が展開されますように、必要な施策に取り組んでまいりたいと考えております。

一谷分科員 ありがとうございます。

 先ほど、いろいろ協議会もつくられるということですので、是非ここは、いいものを普通の学校にも入れていっていただきたいなというふうに思います。

 次は、現在、不登校特例校などを利用することができるのは、年間三十日以上の欠席に代表される一定の条件を満たした子供のみとなっています。それでも、特例校などを利用したいにもかかわらず利用できない児童生徒が数多くいるということです。

 不登校特例校の整備がなかなか今現状進まないことを踏まえても、そもそも、子供たちが不登校に至る前、例えば、学校に行くことを渋るいわゆる行き渋りなどの状態からしっかりとケアをし、必要に応じてサポートをしていく仕組み、あるいは、通常の学校の中にカリキュラムの柔軟性を高めた居場所などをつくり、通いやすくする仕組みなどを整えていくべきではないかと考えます。

 このような支援の仕組みや、今後どのように支援を行っていくかについて、大臣に御見解をお伺いします。

永岡国務大臣 不登校児童生徒の増加が続く中、児童生徒が学校に行けないことで苦しむことがないように、全ての児童生徒の学びを保障するということは大変重要です。

 不登校になる以前に、先生おっしゃいますように、登校渋りの段階におきまして、学校の別室を活用した相談ですとか、一人一台端末を活用いたしまして教室の授業を別室で受けられるようにするなど、各学校におきましては様々な工夫がされていると承知をしているところでございます。

 また、それに併せまして、文部科学省といたしましても、不登校にならないような取組を行うことも重要でありまして、先日、私から、一人一台端末の活用等によるデータに基づく不登校の兆候の早期発見、早期支援や、また、全ての児童生徒が安心して学べる学校づくりによる予防的な不登校対策の推進などを柱といたしました不登校対策を年度内にまとめるよう指示をしたところでございます。

 引き続きまして、不登校対策についてしっかりと取り組んでまいります。

一谷分科員 いきなり三十日も休むということもあり得るのかも分からないですが、やはり少しずつ、一時間しか行けない、二時間しか行けない、そこから学校に行けなくなってしまうというようなこともあると思いますので、学校でのそういった対策、これも十分に必要であると思いますし、少し違う角度からいきますと、これは言い方があれですけれども、不登校特例校があるから、そこがあるからというふうな感じにはならないようになってほしいなというふうに考えております。学校の先生が、どうしてもそういうふうな気持ちにいかないようにすることも大事じゃないかなというふうに思います。

 続きまして、政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

 これまでに、不登校特例校の整備が必要とされていることを踏まえて、仮に不登校特例校を自治体主導で設置する場合、自治体によっては、既に設置している教育支援センターや、自治体独自の取組でフリースクールに近い受皿を設置しているケースもあります。複数の制度が入り乱れ、運営もすみ分けも複雑化することが想像できます。

 複雑化するということは、利用者であるお子さんや御家族にとっても、どこに行けばよいか迷ってしまうことにもつながります。国としての不登校特例校の位置の方向性などを明確に打ち出していただければと思います。現在の段階の方針などがあればお伺いできればと思います。

藤原政府参考人 不登校の児童生徒は様々な背景を持っておるわけでございまして、その個々の心の状況や学習の進度等が異なっているという中で、その状況によって学べる場を選べる、そうした体制をしっかり整備することは重要だろうというふうに考えてございます。

 そうした中で、既存の教育支援センターや様々な受皿があるわけでございますけれども、不登校特例校といったものでこそ救われる子供たちがいるのも確かだと思っておりまして、そうした実態に応じた様々な受皿づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。

一谷分科員 次も参考人の方にお伺いをしたいんですが、不登校の支援を行う民間のフリースクールの数は徐々に増えているとお聞きをしております。継続的な費用補助等が受けられないために、運営している方々も持ち出しが多く、切り盛りに頭を悩ませている、子供を通わせる家族にとっては大きな経済負担となっているということもお伺いをしております。

 不登校の子供のケアをする御家族にとって、フリースクールのような場所は、子供の学びを保障する機会であると同時に、孤立し、子育てに悩んでいる状況で、外部の人と情報交換をしたり、親同士でつながり、悩みを話し合ったりする重要な場であると当事者御家族から伺っております。となれば、こうした場を維持するために公的補助を行うことは、教育面での支援となるだけではなく、難しい子育てに取り組む家庭全体への支援となることも疑いはありません。何らかの形でこうした場を公的補助で支えることはできないのかということも考えております。

 先ほど、大臣のお話でもフリースクールの話もありましたし、不登校特例校の設置に向けての手引の中にも、フリースクールとの連携を行うということも書かれておりますので、こういったフリースクールについてのお考えを参考人の方にお伺いいたします。

藤原政府参考人 フリースクール等を含め、きめ細やかな支援体制を整備していくことが重要であるというふうに考えております。

 そのため、文部科学省においては、フリースクール等で学ぶ困窮家庭の不登校児童生徒に対し、通所や体験活動に必要な費用を支援しながら、そうした取組が社会的自立に与える効果の検証に係る調査研究事業を進めているところでございます。

 また、学校や教育委員会とフリースクール等との連携が適切になされることが支援の質の確保の観点から重要であると考えておりまして、都道府県、政令指定都市教育委員会を対象とした予算事業において、教育委員会等とフリースクール等の関係機関の連携協議会の設置や、フリースクール等と合同で行う教職員等向けの研修会の実施を支援しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続きこうした取組を更に進めてまいりたいというふうに考えております。

一谷分科員 今、困窮世帯というお話があったんですけれども、今国会で子供のことをしっかりやっていくというのであれば、困窮世帯に絞るというのは、少し今の話の中ではどうかなというふうに思っているんです。

 フリースクールは非常にお父さん、お母さん方の心の支えにもなっていると思いますので、ここは、特例校もなかなか、私は、設置するにも、土地の問題もあり難しいところもあります。いずれできるでは、今の子供たちをではどうするんだという問題もありますので、やはりフリースクールにもある程度の決まりは必要だと思います。物すごくすばらしいところもあれば、言いたくないですけれども、ひどいところもある可能性もありますので、そういったところも、ある程度決まりを作りながら、フリースクールの存在をかなり認めていただいていると思いますので、何らかの継続していくことを検討していただけたらというふうに思います。

 それでは、次は特別支援学校のことについて質問をさせていただきます。

 インクルーシブ教育の推進と少子化を受けて、障害のあるお子さんの中で通常学校に通う数が増えていると聞き及んでいます。一方で、視覚、聴覚に障害のあるお子さんの特別支援学校在籍数は減っていると認識しております。

 この点につきまして、具体的な特別支援学校、特別支援学級に在籍する児童、学生等の変化やその内容について、参考人の方にお伺いいたします。

藤原政府参考人 少子化に伴って全体の児童生徒数は減少しているわけでございますが、その中で、特別支援学校に在籍する児童生徒は、直近十年間で一・二倍ということで、増加をしてきているわけでございます。

 その一方で、障害種別の内訳を見てみますと、知的障害が一九・五%というふうに大きく伸びている一方で、視覚障害、聴覚障害は減少しているというふうな状況でございます。また、肢体不自由、病弱、身体虚弱はおおむね横ばい、こういった状況でございます。

一谷分科員 時間の関係で、次の、特別支援学校の在り方についてのところを大臣にお伺いする予定だったんですが、ここはちょっと飛ばさせていただきまして、目の悪い方、そして耳の悪い方の学校は、しっかりとした設備がありながら、学校自体の数が減ってきている。これは、次の十年、どうやってその学校を生かしていくかというところをお聞かせいただきたかったんですが、大臣に次のエの質問をさせていただきます。

 特別支援学校の目の悪い方の学校の中で、学校の役割として、地域センター的機能というのがあります。これは、普通の学校に行かれている目の不自由な方、耳の不自由な方、特に目の方に対して、訪問して、こういったルーペがいいんじゃないかとか、こういった器材で見えやすいようにすればいいんじゃないか、また、お子さん自体が見えていないところが分かっていなくて勉強に支障が出ているというところを問題視しているんですが、この地域の支援センター的役割を担う人材の配置とか予算について、なかなか行き渡っていないのではないかなというふうに考えているんですが、大臣のお考えをお願いいたします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 特別支援学校の教員の配置に関しましては、関係法令に基づきまして、児童生徒数や学級数等に応じまして基礎定数が算定されるとともに、障害のある児童生徒に対する指導体制の整備を図る観点から、特別支援学校のセンター的機能強化のために加配定数を措置しているところでございます。

 通常の学級に在籍する、著しい困難を示す児童生徒が増加しているとの調査結果もある中で、現在、有識者会議におきまして、特別支援学校によるセンター的機能の充実につきましても議論をされておりまして、年度内に取りまとめられる予定でございます。

 引き続きまして、特別支援学校がその専門性を生かしながら、小中学校に適切な指導ができますように努めてまいりたいと考えております。

一谷分科員 特別支援学校の地域の範囲が物すごく広いですので、なかなか今の先生方の配置では、インクルーシブな社会ということで、普通の学級に多く今、障害の方が学んでおられる、そこに支援をしに行きたい、もっと学びやすいようにしてあげたいという気持ちはあるんだけれども、本当に広いです。私の兵庫県でも二つあって、ほぼ神戸の中にありますから、じゃ、姫路とかそんな遠いところはどうやって行くのかなというふうに思っているんですけれども、この辺は現実のところを考えていただけたらと思います。

 最後の質問をさせていただきたいと思います。

 特別支援学級のところで、特に、目の悪いお子さんが体調が悪くなってしまったときにタクシーに乗って帰らないといけないというときに、特別支援教育就学奨励費というのでタクシー代は出るそうなんですが、かといって、そこにお子さんを一人乗せて帰らすということもできないので、やはりここは、同行援護ですか、この用途の拡大ができないか。これは厚生労働省のところになるのかも分からないですけれども、少し大臣のお考えをお伺いできたらと思います。

永岡国務大臣 特別支援学校は大変遠いというお話でございました。それは、一人では行けないということになりますと、どなたか同行の援助が必要だということでございます。

 特別支援教育の就学奨励費につきましては、特別支援学校への就学奨励に関する法律に規定されている経費以外の経費につきましても、関係者の要望を受けまして、順次その充実を図ってきたところでございます。近年におきましては、受給者数の増加を受けまして、予算額をこの十年間で約五十一億円増額をしております。

 文部科学省におきましては、引き続きまして、現場のニーズに耳を傾けながら、障害のあるお子さんの教育の支援にしっかりと努めてまいる所存です。

一谷分科員 ありがとうございます。

 同行援護はかなりニーズがあるとお聞きしていますので、是非議論の俎上に上げていただけたらと思います。

 これで質問を終わります。誠にありがとうございました。

三谷主査 これにて一谷勇一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、道下大樹君。

道下分科員 立憲民主党の道下大樹です。

 今日は、永岡大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 私は、学生秘書から、大学を卒業してすぐに横路孝弘衆議院議員の秘書になりまして、ちょうど肖像画がそこにありますけれども、二月二日に亡くなって、何か縁があったのかなというふうに思いますけれども。九八年に秘書になりまして札幌事務所に勤めて、ちょうど二〇〇二年に札幌でDPI、障害者インターナショナル世界会議札幌大会が開かれるということで、私も秘書としてその活動に携わり、そこから多くの障害のある方々といろいろと仕事を一緒にしたり、一緒にお酒を飲んだりするきっかけがありました。

 その後、私は北海道議会議員になりまして、そして、やはり障害者の権利というものをしっかりと擁護していかなきゃいけないということで、これは自民党も含めて超党派で北海道障害者権利擁護条例を作ったわけでありまして、その中でも、障害児や保護者の希望に沿って教育が受けられるような、そういったことを記した条文もあるわけであります。

 そうした意味で、北海道と日本の特別支援教育についていろいろと考えることがあって、これまでも衆議院議員として活動してまいりましたが、まず、日本の特別支援教育と国連勧告について伺いたいと思います。

 私たちのことを私たち抜きに決めないでを合い言葉に、世界中の障害のある人たちが参加し、作成されたのが障害者権利条約でございます。目的は、障害のある人の人権や自由を守ること、差別を受けることなく、好きな場所で暮らし、好きな場所で学び、働くことができるという当たり前の権利の保障であります。

 日本が批准したのは二〇一四年。国連障害者権利委員会による日本の審査が、審査といいますけれども、国連は建設的対話というふうにしています、昨年行われ、昨年九月に総括所見と改善勧告が出されました。

 国連では、建設的対話というふうに審査のことを呼んでおります。それは、審査にありがちな批判的評価が目的ではなくて、日本の障害者施策の課題について障害者権利委員会と政府が報告書や対面で対話を繰り返すことで、政府から状況改善に関する前向きな回答を引き出そうとするからであります。

 この勧告では、教育分野において、障害のある子の中にいわゆる通常の学級で学べない子がいることを問題視しまして、分離された特別支援教育の中止に向け、障害のある子もない子も共に学ぶインクルーシブ教育に関する国の行動計画を作ることなどが求められています。これには法的拘束力はありませんけれども、条約締結国にはその勧告内容を遵守する義務があります。日本政府は極めて重く受け止めて、早急に法律や制度を見直すべきだというふうに考えます。

 しかしながら、永岡文科大臣は、多様な学びの場で行われている特別支援教育の中止は考えていないと、現行の教育システムを維持しつつ、勧告の趣旨を踏まえて、引き続きインクルーシブ教育システムの推進に努めたいと記者会見で述べられました。この言葉に、障害当事者らは落胆と怒りを感じました。

 大臣は、今回の日本の教育に対する勧告をきちんと読まれたのでしょうか、伺いたいと思います。

永岡国務大臣 文部科学省といたしましては、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすための条件整備と、また、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪といたしまして取り組んでいるところでございます。

 具体的に申し上げれば、小中学校における通級によります指導担当教員の基礎定数化ですとか、あとは、通常の学級に在籍をします障害のある子供のサポートなどを行う特別支援教育支援員に対する法令上の位置づけですとか財政支援をしております。また、就学先の決定に当たりまして、本人及び保護者の意向を最大限尊重するための制度改正などに取り組んでまいったところでございます。

 昨年九月に公表されました勧告は私も読んでおります。その趣旨を十分に踏まえまして、現在、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議におきまして、そこで議論が進んでいるわけでございますが、年度内に取りまとめられる予定になっております。

 引き続きまして、勧告の趣旨も踏まえて、インクルーシブ教育システムの促進にしっかりと取り組んでまいります。

道下分科員 しっかりと読まれたということでございますけれども、勧告に沿った形で制度等を見直すということになれば、大きく日本の、いわゆる障害のない子と一緒に学べる環境をつくるということは、大きな大転換になるということは御理解いただけているでしょうか。

 障害者権利委員会からの教育に関する改善勧告の主な点は、一つに、インクルージョン、インクルーシブを正しく翻訳し理解すること、二、医学モデルである法令や規則を見直すこと、三、日本の特別支援学級を含む特別支援教育は分離特別教育であるので中止すること、四、保育及び全ての学校段階で、インクルーシブ教育に移行するための具体的な達成目標、期間、予算を伴った国家行動計画を採択すること、五、障害児が普通学校に就学することを拒否できない法制度を整備すること、六、特別支援学級に籍を置く児童生徒は週の過半数時間を特別支援学級で学習することを規定した二〇二二年四月二十七日の文部科学省通知を撤回すること、七、全ての障害児に対して合理的配慮を保障すること、八、教職員のインクルーシブ教育研修を確保すること、障害の人権モデルに関する意識啓発を行うこと、九、通常学級において、点字、イージーリード、手話などの使用を保障すること、聾文化を推進すること、盲聾児のインクルーシブ教育を保障すること、十、高等教育における障害学生にとっての大学入試及び学習プロセスを含む障壁に対処する国レベルの包括的政策を策定することであるというふうに私は思っております。

 もうちょっと詳しく申し上げますと、障害者権利条約の手引には、インクルーシブ教育とは、障害の有無を問わず、あらゆる生徒が同じ教室で学ぶこととされておりまして、誰もが一緒に学びながら、個別のニーズを満たすことができる教育制度の構築が求められています。そして、重要な点として、教育制度は個人のニーズに合わせるべきであり、個人を教育制度に合わせることではないとも規定されています。

 国連障害者権利委員会は、日本の特別支援教育、つまりインクルーシブ教育システムは、分離教育であり、インクルーシブ教育ではないとはっきり断言して、中止を勧告したのです。そして、特別支援教育のみならず、日本の教育政策全体の方向性と施策が条約に反することが指摘され、改善を求められているわけであります。

 障害者権利委員会の副委員長であるヨナス・ラスカスさんは、二〇一六年に相模原の障害者施設、津久井やまゆり園で起きた殺傷事件を例に、分離教育は分離した社会を生む、インクルーシブ教育は、将来、障害者が地域の中で生活することにつながる、インクルーシブ教育は、共に生きる礎であるとおっしゃいました。そして、障害の有無で分離した特別支援教育は、インクルーシブな社会で暮らしていく道のりを否定し、将来、施設で暮らすことにつながる、インクルーシブ教育なくして障害のある人の自立生活はあり得ない、だから、明確に今回の勧告を出していると語られました。

 次回の日本の審査、報告書提出締切りは五年後の二〇二八年二月です。それまでに、勧告で出されたように、真のインクルーシブ教育に移行するための具体的な達成目標、期間、予算、国家行動計画を示したロードマップを策定すべきだと考えますが、文科大臣の見解を伺います。

永岡国務大臣 道下委員にお答え申し上げます。

 インクルーシブ教育システムの実現に向けまして、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすための条件整備というのが大変重要だと考えております。

 現在、中央教育審議会におきまして議論されております教育振興基本計画の答申案におきまして、インクルーシブ教育システムの実現に向けた取組を一層進めること、また、通級による指導の充実及び外部人材の活用の推進などが盛り込まれているところでございます。

 また、私が先ほど先生に申し上げましたように、検討会議におきまして、児童生徒の実態を適切に把握をし、必要な支援を組織的に行うための校内支援体制の充実、自らの学校で受けられる通級による指導の促進、また、特別支援学校からの小中学校等への支援の充実、そして、特別支援学校と小中高校のいずれかが連携をした一体的な取組を行う自治体への支援などにつきまして議論が行われておりまして、年度内にまとめられる予定でございます。

 二〇二八年、次回の障害者権利委員会の審査に向けて、通常の学級に在籍する障害のある子供の支援の充実にしっかりと取り組んでまいります。

道下分科員 期待はいたしますけれども、今の答弁では、やはりインクルーシブ教育システムという日本独自の特別支援教育に固執しているような感じがいたします。

 これは、全くインクルーシブ教育とインクルーシブ教育システムは違うということを是非御理解いただいて、大臣も、そして文科省の担当の方々も、特に、国連の障害者権利委員会の建設的対話に出られた方々の回答などは、周りから失笑が出されるような、えっ、そんな教育を日本でやっているのというふうに笑われるような内容なんですね。恥ずかしいことだと私は思っております。今までやってきたことは正しいんだと余り固執されずに、柔軟な発想で、また、勧告に対して、建設的対話ですから、対話にどのように応えていくのかということを是非文科省全体で取り組んでいただきたい。

 そうしなければ、やはりまた差別が起きる、そして様々な、殺傷事件などが起きてしまう。これは、障害のあるなしにかかわらず、差別のみならず、性的マイノリティーやいろいろなことへの差別につながることになってしまうと私は思いますので、国連の勧告に沿った改善を、見直しを心からお願いを申し上げたいというふうに思います。

 これからもいろいろと、引き続きこれについては取組をさせていただきます。また、文科省の今年度中に取りまとめるような答申について注視をしていきたいというふうに思います。

 次に、少人数学級について伺います。

 いわゆる義務教育標準法が改正されて、二〇二一年度から公立小学校の一学級当たりの児童数を段階的に三十五人に引き下げることが始まりました。これについて、文科大臣の感想を伺います。

永岡国務大臣 国におきましては、個別最適な学びと協働的な学びを実現し、一人一人のニーズに応じたきめ細かな指導を可能とするために、令和三年に義務標準法を改正をいたしまして、公立小学校の学級編制の標準を三十五人に引き下げたところであります。その計画……(道下分科員「感想の部分で結構ですから、説明はいいので。本当に個人の感想を是非お願いします」と呼ぶ)はい。小学校の学級編制の標準を引き下げたのは四十年ぶりでございまして、教育現場にとりましても大変有意義なことであると考えております。

 質の高い教育の実現、学校における働き方改革や複雑化、困難化する教育課程への対応のため、今後とも教職員定数の改善に全力で取り組んでまいります。

道下分科員 三十五人に引き下げたことについては、大臣としては非常によかったことという御感想だというふうに思います。

 私は、この第四分科会、二年前も質問させていただきまして、当時の萩生田文科大臣に少人数学級について質問したところ、萩生田大臣は、本当は三十五人学級ではなくて三十人学級にしたかったんだ、三十人学級を目指そうとしていたんだというふうに答弁されました。うれしく私は思いました。永岡大臣はどのようにお考えですか。

永岡国務大臣 令和三年の衆議院の予算委員会の第四分科会におきまして、道下委員からの御質問に対しまして、当時の萩生田大臣から、元々は小中学校の三十人学級を目指していた、こういう答弁があったということは承知をしているところでございます。

 今後につきましては、小学校におけます三十五人学級の教育効果を、これは実証的に分析、検証するなどの取組を行った上で、中学校を含めまして、学校の望ましい教育環境や指導体制の在り方の検討、これをしっかりと進めてまいりたいと思っております。

 さすがに、三十人学級を今目指すというふうな話をいたしましても、財源の話であるとか検証の話、これをしっかりとやらないわけにはいかないというのが今の私の考えでございます。

道下分科員 二年前にも、効果については、以前、文部省の研究所が、少人数学級にしたら子供たちの学力が上がったという結果が出ているんですよね。改めてこれをやることは財務省に対する説明というか説得の材料にもなると思いますし、私はあしたの財務金融委員会でこの点については財務大臣に伺う予定でございますので、何としてもこれは効果の検証、効果があるということを是非出していただきたいと思います。

 コロナで三十五人とか四十人の学級が半分半分で運営されたとき、ちょうど二十人とか十五人とかになったときに、先生方は、これだけ、十五人とか二十人の少人数学級になったら本当に教えやすい、子供たち一人一人に目を向ける時間が増えて本当にすばらしい、自分たちの働き方改革というか、長時間労働を改善することにもつながるということをおっしゃったんです。

 最近でも、こうしたコロナによって改めて少人数学級のよさが全国に広まったというふうに思いますので、ここの点は、是非、三十五人の効果検証はなかなか出すのは難しいと思うんです、四十人と三十五人の違いというのはどうやって出すのかということはあるんですけれども、何とか出さなきゃいけないわけですが、どうやって具体的にやっていこうとしているのか、政府参考人に伺いたいと思います。

藤原政府参考人 この効果検証につきましては、令和三年の改正義務標準法の附則において、そうした実証的な研究を行うということが言われたことに基づいているものでございます。

 具体的には、少人数学級の効果、外部人材活用の効果、それぞれについて、児童生徒の学力のみならず、社会情動的スキル等に与える効果を多角的に検証する、また、児童生徒への影響に加えて、その指導に当たる教師の精神的健康や指導方法への影響等についても分析の対象とするということで、一部自治体を対象として質問紙調査を実施しているところでございまして、現在、その集計作業中でございます。

 令和七年度までこの調査を実施するということにしているわけでございますけれども、中間まとめを令和五年度末頃に考えておるところでございます。

道下分科員 是非、なかなか難しいと思いますが、効果があるんだということを出していただいて、私は更なる少人数学級を進めていただきたいと思います。

 小学校や中学校、高校にもどんどん三十五人学級、また小学校を含めた更なる少人数学級、欧米と同様な二十人程度の少人数学級を私は進めるべきと。これは、子供たちのみならず、本当に社会全体のことにもつながると思いますし、本当に進めるべきだと私は思うんですけれども、大臣のお気持ちを伺いたいと思います。

永岡国務大臣 令和三年の三月に義務標準法を改正いたしました。約四十年ぶりに公立小学校の学級編制の標準を四十人から三十五人に引き下げることによりまして、生徒一人一人のニーズに応じたきめ細かな指導を可能にする指導体制を整備していくこととしました。

 今後につきましては、小学校におけます三十五人学級の教育的効果を実証的に分析、検証するなどの取組を行った上で、中学校を含めまして、学校の望ましい教育環境や指導体制の在り方の検討を進めてまいります。

道下分科員 前回は、四十人から三十五人にするのに四十年かかりました。これではちょっと長過ぎます。なので、これは早く、短期間で、小中高三十五人、そして更なる、三十人とか、そういう少人数学級を進めていく取組を進めていただきたいというふうに思います。私も応援しております。

 次に、三番目の、教員不足と学校の働き方改革について伺いたいと思います。

 大臣、現在、日本の公立学校において全国的に教員不足というふうに思われていらっしゃいますでしょうか。また、この教員不足や教員を確保できていない状況について、何が原因であると認識されているでしょうか。

永岡国務大臣 教師不足の状況につきましては、昨年度、文部科学省が行いました初めての調査で、全国の公立学校におきまして、令和三年度始業日に二千五百五十八人、そして、五月一日現在では二千六十五人の教師不足が生じていることが明らかになりました。不足が生じている自治体は一部の自治体にとどまっておりませんで、全国的な問題として憂慮すべきもの、そう考えているところでございます。

 また、教師不足が発生する構造的な要因といたしましては、まず、近年の大量退職、大量採用によりまして、二十代から三十代の教師が増加をしております。そのことによりまして、産休、育休取得者が急増したこと、それから、特別支援学級が見込み以上に増加をしたことなどによりまして、臨時的任用教員の需要が増加をしているということでございます。また、その一方で、採用枠の拡大などによりまして、倍率低下に伴いまして、臨時的な任用教員の候補者の正規教員としての採用、これが進みまして、なり手が不足をしていることが主な要因であると考えております。

道下分科員 今、教員不足の数を示されました。昨年度実施した調査で、全国で二千五百五十八人、始業時ということでありましたけれども、もっと多く教員不足なんだという意見が多く寄せられています。その理由は、先ほど答弁されたとおり、調査した時期が一年間で最も教員の数が確保されている始業時や五月を基準にしているからでありまして、学期後半になるほど教員不足となる実態が把握されていないと考えます。

 欠員により学校現場が混乱しているのは、例えば、一月二十六日の参議院本会議で、我が党の水岡俊一参議院議員が沖縄県での事例を取り上げて御承知のことと思います。さらに、沖縄県教育委員会は、教員不足により、小中学校の定員を四十人学級に戻すことも検討しているというふうに私は聞いております。子供たちの学びに大きな影響が出ている状況を、私は文部科学省はしっかりと重く受け止めるべきだと思います。

 そこで、教員不足を解消する取組として文部科学省が検討されているのは、試験の早期化だとか複線化ということなんですけれども、これは根本的な解決にはならないと思います。

 なぜか。ある市の教育長は、採用選考の在り方の改善だけでは教員不足の解消に限界があると強調しています。早くやっても、結局はほかの、民間などに移ったりとか。元々教師になりたい人は、いつ試験があったって受けて、受かって、先生になろうと思うんです。だから、早期化とか複線化というのは教員不足の根本的な解決にならないという意見が多数出ています。

 この点について、文科大臣の見解を伺います。

永岡国務大臣 教員の採用選考試験の在り方につきましては、文部科学省と教育委員会等の関係団体から成ります協議会を立ち上げて、早期化、複数回の実施を始め、多様な人材を確保するための選考の工夫など、幅広く検討を進めているところでございます。

 一方で、教師の志願者を拡大するためには、採用選考の改善だけでは十分ではございません。先生がおっしゃっていることは事実だと思っております。

 学校におけます働き方改革も含めまして、文部科学省、教育委員会、学校現場が一体となって多角的な取組を進めていくこと、これが不可欠だ、そう認識をしております。

道下分科員 教員不足、教育現場だけじゃなくて、地方自治体でも、私の地元北海道でも、道職員を集めるのが大変なんですね。試験をほかの自治体の試験日と別々にしたり、全国でやったり、早く試験日を設けたりしても、なかなか集まりません。これは教員も同じだと思います。だから、本当に今のようなブラック企業と言われるような長時間労働だとか、そういったところを改善しなきゃいけない。

 文科省としては、教員不足解消の取組として、給特法における教職調整額を上げることや各種手当を支給するなどの議論がなされていますが、それではそういった、なかなかなり手がいない、先生になろうと思えない、長時間労働の是正にはつながりません。処遇の改善は働き方改革とは別の問題でありまして、所定の勤務時間内に収まる働き方を基本とする必要があります。

 まず、国は、残業時間の上限は月四十五時間だというふうに指針を定めています。文科省の最新の調査では、時間外在校等時間が四十五時間を超える教職員が減少したということで、働き方改革の効果が出ているというふうに報告しておりますけれども、私は、そもそも働き方改革の基本は、先ほども申し上げましたが、所定の勤務時間で全ての業務が収まるようにしなければならないと思っております。

 私の地元北海道では、北海道教育委員会による調査で、月四十五時間を超えた道立高校の教員の割合は、二〇二〇年度で二三・七%、二〇二一年度で三九・六%、二〇二二年度では四二・七%といずれも全国平均を上回り、今年度最も多かったのは六月で、四八・四%でした。

 また、北海道教職員組合の昨年九月の調査によりますと、厚生労働省が過労死ラインとする月八十時間以上残業していた教職員は、小学校が一七・四%、中学校が三三・九%、高校が一三・三%。このうち中学校では、一九・九%、約二〇%が百時間を超えていたという調査結果が出ました。

 これ以上、過労で倒れて長期間休むだとか過労死する、過労死してしまう教職員を出してはならないと私は思います。そのためにも、業務削減、定数改善、そして長時間労働を抑制するための給特法の廃止や抜本的見直しが必要と考えます。大臣の見解を伺いたいと思います。

永岡国務大臣 文部科学省の調査の結果では、時間外勤務は改善傾向にあります、先生となかなか意見が対立しておりますけれども。学校における働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続きまして取組を加速させていく必要があります。

 このため、文部科学省におきましては、令和元年の給特法改正を踏まえまして、勤務時間の上限等を定めます指針を策定するとともに、教職員定数の改善、支援スタッフの充実などに総合的に取り組んでいるところでございます。

 こうした中、昨年十二月には、今年の春頃に予定をしております速報値の公表後の円滑な検討に資するように、有識者などから構成されます調査研究会を設置をいたしまして、給特法等の関連する諸制度ですとか学校組織体制などにつきまして、幅広く情報収集また論点整理を進めているところでございます。

 働き方改革は、教職員定数や支援スタッフ、勤務制度、それから校務効率化の在り方など、本当に様々な論点が総合的、複合的に関わる課題でございます。文部科学省としては、今後、勤務実態調査の結果等を踏まえまして、教育の質の向上に向けて、働き方改革、処遇の改善、そして学校の指導、運営体制の充実、一体的に進めていきたいと考えております。

道下分科員 時間が参りましたので質問は終わりたいと思いますが、私にも小学校に通う子供がいます。やはり、先生方の表情だとか動きだとかで、先生、疲れているなとすぐ分かるんですね。本当に先生が大変な思いで仕事をしていると、やはり生徒にも、子供たちにも影響が出ます。

 そういった意味で、亀の歩みのような着実な改善も必要ですが、今年はうさぎ年です。早く大転換、先ほどのインクルーシブ教育もそうですけれども、教育政策は本当に重要なものでありますので、スピード感を持って着実に、そして早期に改善、見直しを進めていただきたいと心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三谷主査 これにて道下大樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、本田太郎君。

本田分科員 自由民主党の本田太郎です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは政府参考人の皆様に答弁をいただきますので、永岡大臣におかれましては御退席いただきましても結構でございます。

 では、質問に入らせていただきます。

 まず初めに、岸田内閣が現在力を入れている人への投資の一環として、大学の学部設置等への支援についてお尋ねをしたいと思います。

 政府は、経済再生に向けた具体的施策の中で、人への投資の抜本的強化を示しております。その一つとして、学校教育段階から社会で活躍し評価される人材を育成していくために、デジタルやグリーンといった成長分野を牽引していく大学、高専の機能強化に向けた基金を創設し、学部再編等へ継続的支援を行うとしております。高度専門人材育成を担う大学や高等専門学校が予見可能性を持って大胆な組織再編に取り組める安定的な支援策として、私もこの施策を高く評価しておるところであります。

 ところで、私の選挙区である京都府福知山市には、福知山公立大学という公立大学がございます。この大学は、六年前に、市民の大学、地域のための大学、世界とともに歩む大学を基本理念として、公立化をして新しくスタートした大学でありまして、当初は地域経営学部のみから始まりましたが、二〇二〇年度に情報学部を設置し、現在は二学部制となっております。そして、二〇二四年に大学院修士課程の創設を目指しています。

 現在の情報学部では、地域貢献を主眼とした情報の学術を担う国際的に通用する人材育成まではできないという学部の限界も明確になってまいりました。現状では、地域貢献に関わる学術研究に深く関わりたいという学生がいたとしても、学外の大学院に進学しなければなりません。

 そこで、修士課程を創設することにより、地域で単にプロジェクトを実施できるだけではなく、地域に貢献する情報学と情報技術を追求する研究力を持つ学生を輩出することを目指して、修士課程修了者の多くが、福知山の存在する北近畿だけではなく、日本各地の地域に広がり、それぞれの地域の個性を生かした情報技術を追求する事業に参加できるようにしたいと考えておられます。

 修士課程のレベルでは、今ある高度な知識をただ使うだけではなく、それらの知識から地域の諸問題に対応した新たな知識や理論を組み立てられる人材育成を図る。そのような人材を安定して自力で育てる仕組みを実現する、そうしたことで、福知山市のみならず、全国のいわゆる田舎と言われる地域でも、慢性的に生じている課題に対し、有効なアプローチを生み出せるようになるのではないかと期待をしているところであります。

 福知山公立大学のように、高度専門人材を育成することを目的に新たに大学院修士課程を設置したいと希望する大学に対して、幅広く基金からの安定的な財政支援をしていただきたいと考えていますが、文部科学省の見解を伺います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、令和四年度第二次補正予算におきまして三千二億円を確保し、大学及び高等専門学校における高度情報専門人材の育成機能の強化に向けた取組等に対して、基金による継続的、機動的な支援を行うこととしております。

 このうち、高度情報専門人材の育成に係る支援では、大学院において、情報についての教育研究の実績を有する大学への支援を基本と考えておりますが、委員御指摘のような大学院を新設する構想につきましても、これまでの学部における教育の実績を有することを前提として、支援を行う方向で検討しているところでございます。

 この基金を通じて、意欲のある大学、高専の取組を積極的に支援してまいりたいと考えております。

本田分科員 前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 私が今申し上げていた福知山公立大学もそうでありますが、全国の様々な大学において、意欲のある学校はございますので、そうした学校をしっかり見極めていただいて、投資すべき学校には手厚い支援をしていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 次の質問に行かせていただきます。

 実生活で使える実践的な英語の教育についてお尋ねをいたします。

 中学校から英語教育を受け、しかも、そこそこの成績を上げてきたのに、いざ大人になって、日常生活で英語を話す場面になると、コミュニケーションを取ることができないという話をよく耳にいたします。しかし、一方で、日本と同様に英語を母国語としない国であっても、子供から大人まで、上手とは言えなくても、英語で外国人とコミュニケーションを取っている国も多く見受けます。

 多くの外国では、ふだんのテレビ放送で、母国語のほか、英語やその他の主要言語のアニメやドラマが流れているため、それを見たい、理解したいという子供が自然に英語に触れて、理解していくということになるんだろうと推測をしております。また、日本の観光地などの飲食店でも、高齢の方であっても外国人観光客とうまくコミュニケーションを取っている姿をよく拝見いたします。

 どちらも、文法的に正しいかどうかはさておき、必要に迫られて、又は興味があるから、そういった理由で英語を理解し、又は話さざるを得ないという環境がそうさせているのではないかと感じております。

 翻ってみて、多くの日本の子供たちにとって、英語は、学校で机に座って習う教科という捉え方がされています。その上、英語を話す必要に迫られておらず、また、そもそも興味を引くような英語のアニメやドラマが日常生活で流れているわけではないため、実生活でコミュニケーションを取るための実用的な英語を身につける機会が少ないのではないかと感じています。

 そこで、文部科学省として、実践的な英語教育としてどのような工夫や方策を講じていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

藤原政府参考人 今お話がございましたように、英語の実践力を高めていくということが極めて重要であろうというふうに考えております。

 現行の小学校学習指導要領におきましては、新たに小学校三、四年生から外国語活動を導入し、聞くこと、話すことの体験的な活動を通して、英語の音声や基本的な表現に慣れ親しませることとしております。

 また、こうした学習を支えるために、文部科学省といたしまして、外国語活動のためのデジタル教材の配付、また、ALT、外国語指導助手の配置といったような施策を行っているところでございます。

 また、中学、高校段階では、英語のコミュニケーションの場面を充実させるために、英語の授業は英語で行うことを基本とするというような形で進めているところでございます。

 また、来年度の予算案におきましては、新たに、留学生と日本人の生徒が英語での交流や文化発信などを行う国際交流キャンプ等を実施する経費を盛り込んでいるところでございます。

 これらの取組を通じて、子供たちが早くから英語に慣れ親しみ、実際のコミュニケーションで活用できる英語力を身につけていけるように取り組んでまいりたいと考えております。

本田分科員 ありがとうございます。

 デジタルの活用やALT、英語の授業は英語で、また国際交流キャンプなど、様々すばらしい取組をしていただいていることに感謝を申し上げたいと思いますが、あわせまして、やはり興味を持ったり、どうしても話さなきゃいけない、話せないと食っていけないとか、話せないと友達と話せないとか、そういう環境をつくるということも非常に大事だと思いますので、また様々、これからより一層の工夫を凝らしていただけるとありがたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 英語教育はもちろん大切ですが、それ以上に重要な、私たちの母国語である日本語の教育についてお尋ねをしたいと思います。

 文化庁が行った令和三年度国語に関する世論調査によりますと、あなたは、日常の言葉遣いや話し方、あるいは文章の書き方など、国語について、どの程度関心がありますかという質問に対して、非常に関心があるが一三・九%、ある程度関心があるが六八・〇%で、二つ合わせた、関心があるの合計は八一・八%となっています。

 この関心がある人たちに対して更に質問をして、関心がある点について質問をいたしますと、第一位は日常の言葉遣いや話し方が七九・四%と圧倒的に高く、二番目が敬語の使い方ということで四八・八%となっています。

 私自身も、正しい日本語を使わなければならないと自戒の念を込めて質問をしているわけですが、最近は、拝見させていただきますなどの二重敬語や、誤りとまでは言えませんが、やたらと回りくどい、何々してもらっていいですかなどの言葉遣いがメディアにおいてすら散見されます。

 そうした中、文部科学省として、正しい日本語、中でも言葉遣いや話し方、敬語の使い方についてどのような対策や教育を行っておられるのか、伺いたいと思います。

藤原政府参考人 敬語を含む言葉遣いにつきましては、学校の国語教育においては、学習指導要領に基づき、小学校では、日常よく使われる敬語を理解し使い慣れることや、世代による言葉の違いに気づくこと、中学校では、相手や場に応じた言葉遣いを理解し、適切に使うことなどを指導し、発達の段階に応じて、日常生活や社会生活に必要な国語の知識及び技能を身につけるようにすることとしているところでございます。

 また、このほか、学校教育以外におきましても、広く国民の皆様に向けて国語の改善とその普及を図るため、敬語の基本的な考え方や具体的な使い方を示す敬語の指針を示したり、敬語の使い方などに関する動画集を公開したりするなど、日本語によって円滑に伝え合うための考え方の発信に努めているところでございます。

 文部科学省といたしましては、これらの取組を通じて、引き続き国語教育の充実に努めてまいりたいと考えております。

本田分科員 ありがとうございます。

 英語教育はもちろん大事でありますけれども、重ねて申し上げますが、私たちの母国語である日本語はより大事でありますので、一層の御尽力をお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 文化庁の京都移転に関してお尋ねをいたします。

 文化庁は、いよいよ、令和五年三月二十七日から京都での業務を開始いたします。京都府では、これまで、文化庁の本格移転先庁舎の整備主体として、一日も早い文化庁の全面的な移転の実現に向けて施設整備工事などを進めてまいりました。

 文化庁は、芸術文化の振興、文化財の保存、活用、国際文化交流の振興などを使命としており、今後、時代の変化に応じた取組を進めていくために、文化行政を大胆に転換し、観光、町づくり、福祉、教育、産業など、様々な関連分野との連携を強化して、総合的に施策を推進することが不可欠であります。また、文化芸術資源を核とする地方創生の推進や、生活文化や近現代文化遺産等の複合領域などの新分野に対応できる体制も求められています。さらに、戦略的な国際文化交流、海外発信や文化政策の調査研究の強化も必要であります。

 そこで、いま一度、文化庁が京都に移転することの意義を伺いたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁が京都に移転する意義につきましては、単に東京一極集中の是正にとどまらず、文化芸術のグローバルな展開、文化芸術のDX化、観光や地方創生に向けた文化財の保存、活用などを始めとするこれからの新たな文化行政の展開を進める上で、大きな契機になると考えています。

 また、京都移転が行われる令和五年度に向けて、地域文化の振興拠点強化を図るための予算を拡充して計上しており、新たな地域文化の創造に資する取組を行うこととするなど、文化庁の京都移転を契機としまして、我が国の文化行政の更なる強化が図られるよう取り組んでまいります。

本田分科員 ありがとうございます。期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、文化庁宗務課の人員配置についてお尋ねいたします。

 世界平和統一家庭連合、いわゆる統一教会をめぐる問題で、宗教法人法に基づき調査の実務を行っている文化庁の宗務課の人員を、これまでの八人から四十人に増員したと聞いております。これらの人員も京都に移転するのか、それとも、東京に残るのでしょうか。移転するか残るか、いずれにせよ、その理由と意義を伺いたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁の京都移転につきましては、本年三月以降の移転に向けて、引き続き準備を着実に進めているところでございます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、旧統一教会をめぐる問題が社会的に大きく取り上げられており、文化庁、文科省はもちろん、政府を挙げて関係府省庁とともに取り組んでいるところでございます。

 こうしたことから、現在、京都府、京都市など関係者の方々と協議中ではございますが、宗務課のうち、こうした課題に取り組んでいる職員につきましては、当該課題に支障なく対応できるよう、業務の一定の区切りがつくまでの間、暫定的に東京で勤務を行うこととならざるを得ない、このように考えております。

 いずれにせよ、具体的にどのように配置するかについては、更に検討を進めてまいります。

本田分科員 承知しました。

 いずれにしても、調査の実務は非常に重労働となるかと推測されますし、大変な業務であると思いますので、充実したというか、きちんとした調査ができるような人員体制の確保をよろしくお願い申し上げます。

 次に、学校部活動の改革についてお尋ねをいたします。

 昨年十二月にスポーツ庁と文化庁は、学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインを策定され、その中で、学校部活動の適正な運営や効率的、効果的な活動の在り方とともに、新たな地域クラブ活動を整備するために必要な対応について、国の考え方を提示されました。

 そこで、そもそもなぜ部活動の改革が必要であったのか、その背景を伺います。

角田政府参考人 お答えいたします。

 部活動の改革が必要な背景でございますが、部活動は、これまで、生徒の自主的、主体的な参加による活動を通じまして、責任感、連帯感の涵養などに寄与してきたと考えております。

 一方で、少子化の進展により、従前と同様の学校単位での体制の運営は困難になっていること、また、専門性や意思にかかわらず教師が顧問を務める指導体制の継続は、働き方改革が進む中、より困難になっていることなどの課題があると認識しております。

 このため、文部科学省では、少子化の中でも、将来にわたり子供たちがスポーツ、文化芸術活動に継続して親しむ機会を確保するため、まずは、休日の部活動の地域連携や、地域クラブ活動への移行に向けた環境の一体的な整備を進めることとしております。

 このような取組を通じまして、子供のニーズに応じた多様で豊かな活動を実現し、また、子供のみならず地域住民にとってもよりよいスポーツ、文化芸術環境の整備を目指してまいります。

本田分科員 ありがとうございます。部活動改革が必要とされる背景は理解をいたしました。

 その上で、部活動改革は、生徒や保護者はもちろんでありますけれども、さらには、先ほど言及がありました地域の関係者にも大きな影響を及ぼすため、非常に関心の高い事柄となっております。

 そこで、部活動改革の具体的な内容について伺いたいと思います。

角田政府参考人 お答えいたします。

 部活動改革の具体的な内容でございますが、文部科学省では、委員御指摘の昨年十二月に策定をいたしましたガイドラインにおきまして、令和五年度から七年度までを改革推進期間として位置づけ、休日の部活動について、合同部活動や部活動指導員の配置により地域連携をすることや、学校外の多様な地域団体が主体となる地域クラブ活動への移行を行うことによって、地域の実情等に応じて、可能な限り地域連携、地域移行を早期に実現することを目指すよう求めているところでございます。

 このため、令和四年度第二次補正予算におきまして、自治体の方針策定、体制構築等に係る協議会の開催経費や、実技指導を行う指導者研修会の開催経費を含む準備体制の構築に係る経費を計上しております。また、令和五年度予算案におきましては、指導者の質の保証、量の確保、また地域における活動内容の充実、参加費用負担への支援等に関する実証事業、部活動指導員の増員などの経費を計上しているところでございます。

 文部科学省としては、必要な支援を行いながら、また、生徒、保護者、また地域の方々の理解もいただきながら、子供たちのスポーツ、文化芸術活動の機会確保のために取組を進めてまいりたいと考えております。

本田分科員 承知いたしました。ありがとうございます。

 部活動も地域によって随分状況が違うようでありまして、私の選挙区の中でも、過疎化が激しい地域では、一つの学校で野球部だとかサッカー部といったような複数のチームでやるようなスポーツの部活動がそもそも成り立たないというような地域もありまして、今後、部活動改革によって、地域の関係者の皆さんで指導していただくというようなことになっても、なかなか、指導する側の人材もどうやって見つけていくのかというようなことも心配されている状況もございます。

 地域によって様々事情は異なると思いますので、それぞれの地域に寄り添った、協議会で具体的に話合いをしていくことになるかとは思いますけれども、それぞれの地域、個別の事情がそれぞれあると思いますので、寄り添った形で、よりよい形での改革になるように取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後の質問に入らせていただきます。

 文化芸術推進基本計画についてお尋ねをしたいと思います。

 新型コロナによりまして、三年以上、芸術活動は大きな制約と打撃を受けました。他方で、欧米などを中心に、ロックダウンが行われた地域では、ニュースの映像でも流れておりましたが、人々が家のベランダから歌を歌う姿など、まさに芸術が人々の心の癒やしとなっていたこと、また、それどころか、芸術なくしては人は豊かに生きていけないという現実を私も目の当たりにいたしました。

 ところで、私は、京都府北部にある天橋立の近くに住んでいます。「大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立」という百人一首でも有名な天橋立は、日本三景の一つで、幅は約二十メートルから百七十メートル、全長約三・六キロの砂州に六千七百本以上もの松が生い茂る珍しい地形で、何千年もの歳月をかけて自然がつくり出した神秘の造形であります。室町時代後期の画僧、雪舟が描いた国宝天橋立図でも有名であります。

 私は、地元の方々とともに年二回の清掃ボランティアに参加しておりますが、そこには多くの市民、団体、企業の皆様が参加され、天橋立を大切に思い、誇りに思っている、そのことがよく分かります。こうした地域の文化的資源を全体的な文化の発展に向けてどのように今後活用するのかという視点も大切だと感じています。

 そこで、本年策定が予定されている文化芸術推進基本計画の内容、意義についてお伺いをしたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化芸術は、人々の創造性を育み、豊かな人間性を涵養するとともに、人々のつながりを強め、心豊かで多様性と活力ある社会を形成する源泉でございます。

 現在、令和五年度から始まります第二期文化芸術推進基本計画の策定を目指しまして、これからの五年間で、まず一つ目は、ポストコロナの創造的な文化芸術活動やデジタル技術の活用、二つ目として、文化資源の保存、活用、三つ目として、次世代の育成、四つ目、多様性の尊重、五つ目、食文化や生活文化など文化芸術を通じた地方創生に重点的に取り組むことなどの検討が文化審議会で進められているところでございます。

本田分科員 ありがとうございました。

 様々な意義を並列的におっしゃっていただきましたけれども、それぞれについてもう少しブレークダウンをして、具体的にどういったことを施策としてやっていくのかということを、今後やっていくんだと思いますけれども、そこのところが大事だと思いますので、文化というものが文化としてあるだけではなくて、今後はそれをうまく活用して、文化的素養を高めたり、人々の心を豊かにするような、そういった文化の使い方に力点を置いていただけるとありがたいなというふうに個人的には思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

三谷主査 これにて本田太郎君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十一日火曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時四分散会


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