衆議院

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第2号 令和5年2月21日(火曜日)

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令和五年二月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 三谷 英弘君

      岩屋  毅君    亀岡 偉民君

      宮路 拓馬君    篠原  豪君

      西村智奈美君    吉田 統彦君

      庄子 賢一君    浜地 雅一君

      緒方林太郎君

   兼務 勝目  康君 兼務 柚木 道義君

   兼務 掘井 健智君 兼務 本村 伸子君

    …………………………………

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   農林水産副大臣      勝俣 孝明君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設立準備室審議官)     浅野 敦行君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府健康・医療戦略推進事務局次長)      長野 裕子君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            森  晃憲君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   政府参考人

   (農林水産省農産局農産政策部長)         松本  平君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木正士郎君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     宮路 拓馬君

  西村智奈美君     吉田 統彦君

  庄子 賢一君     浜地 雅一君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     岩屋  毅君

  吉田 統彦君     篠原  豪君

  浜地 雅一君     稲津  久君

  北神 圭朗君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  篠原  豪君     西村智奈美君

  稲津  久君     庄子 賢一君

同日

 第一分科員柚木道義君、第三分科員本村伸子君、第五分科員勝目康君及び第七分科員掘井健智君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

三谷主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中文部科学省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。浜地雅一君。

浜地分科員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 大臣、また副大臣、そして役所の皆様方、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私の方からは、まず第一問目、大臣、北九州に八幡西区というところがございます。ここの黒崎地区に、黒崎祇園山笠というお祭り、山笠がございます。今日の質問は、この黒崎祇園山笠を国の民俗文化財のうちの記録等の措置を講ずべき無形民俗文化財へ選択を目指している、そのことを大臣にお尋ねしたいというふうに思っております。

 現在、黒崎祇園山笠は、福岡県の無形文化財の指定を受けております。ただ、これをなぜ国の民俗文化財の記録選択としていただきたいか、すべきか、これを目指すか。この一番の特徴は、今日資料を持ってきておりますが、この笹山笠というものでございます。写真がございます。

 この笹山笠は、大臣は恐らく、山笠というと、例えば博多の山笠、もう少したくさんの装飾を施して非常に派手なイメージをお持ちかもしれませんが、実は、この笹山笠が山笠の原型というふうに言われております。

 福岡県からの聞き取りや私の手元にあります文献からは、明治三十九年以前までは全てこの笹山笠の形式で山笠が行われていたということでございます。また、古くには、天保十四年の文献にもこの笹山笠と思われるものが出てきます。

 もう少し説明しますと、この写真を見ていただきたいんですが、いわゆるこれは御神体を意味しておりまして、ササを二本立てているのがお分かりになるかと思っています。ササを二本立てて、この二本をしめ縄でつないで、そして、後ろに見えます須賀大明と書いてありますが、須賀神社というのが黒崎祇園山笠の元々のルーツでございますので、そのお札をここに立てているわけでございます。その下に杉の葉で勾欄を作っているわけでございます。この勾欄から上が神が宿る場所ということになります。

 先ほど言いましたとおり、現在も黒崎祇園山笠はこの形式を承継しまして、お汐井取りといって、神事の当日には、笹山笠を海水で清めて、実際にこの笹山笠の形で町の中を運行するという伝統を保っております。

 皆様方がイメージされるたくさんの装飾を施した山笠は、この笹山笠の運行を行った後に、この笹山笠を取り外して派手な装飾を施して、もう一度黒崎祇園山笠として町の中を運行して市民の皆様方に喜んでいただけるという祭りでございます。つまり、笹山笠という原型をとどめているのは、この黒崎祇園山笠であるということになるわけでございます。

 二枚目の資料なんですけれども、実は、黒崎祇園山笠は国際交流にも一役買っていただいております。

 朝鮮通信使、二〇一七年にユネスコの世界記憶遺産に登録をされたわけでございますが、実は、この朝鮮通信使をユネスコの世界遺産に登録しようという祭りが釜山市で日韓共同でございました。朝鮮通信使のユネスコ申請というのは日韓共同で行ったものでございます。

 この二枚目の写真にあるとおり、二〇〇八年の五月、そして二〇一六年の五月、二度、黒崎祇園山笠は海を渡りまして、釜山の町で祭りに参加をしております。この壮大さ、又は勇猛果敢な姿に、釜山の市民の皆様方、そして世界からこの祭りに参加をされた方々が非常に感動されたということを私の方から紹介をさせていただいております。

 実は、私は、二〇一六年の五月、当時外務政務官の任にありましたので、このときに初めて私はこの祭りの中で黒崎祇園山笠を拝見いたしました。非常に私も感動したものですから、その後おつき合いが始まって、実は、黒崎祇園山笠というのは、先ほどの一枚目にありますとおり、笹山笠という原型をとどめている非常に珍しい祭りなんだということを保存会の皆様方から御説明を受けたわけでございます。

 ですので、今、私の方でるる、黒崎祇園山笠はいわゆる原型である笹山笠の形式で行われている珍しいものである、また国際貢献にも一役買っているということを御説明させていただきましたが、今の御説明や資料を見て、まず大臣の黒崎祇園山笠に対する御感想、御所見をいただきたいというふうに思います。

永岡国務大臣 ただいま浜地議員から御説明いただきましたとおり、福岡県指定の無形民俗文化財の黒崎祇園山笠につきましては、山笠の古い形と言われております笹山笠が引き出される例祭であると聞いておりますし、また、ただいま、海外のイベントにも参加しているということで、文化交流にも従事しているということを大変うれしく思っているところでございます。

 地域におきます伝統的な祭り、行事などは、日本の歴史や風土の中で生まれまして継承されてきた貴重な地域の財産だと考えております。このような文化財の継承と活用、これが各地で展開されていくということは大変重要である、そう考えている次第でございます。

浜地分科員 ありがとうございます。

 大臣から御感想をいただきまして、保存会の皆様方も大変うれしく思われているというふうに思っております。

 私の方では、しっかりこれを、民俗文化財のうち、記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に指定したいということでございますが、この指定の要件として、国指定以外の無形文化財のうち、特に必要のあるものを記録作成等の措置を講ずべきものとして選択をすると書いてあります。

 国指定以外ですから、これはまさに、現在、黒崎祇園山笠は福岡県の無形文化財の指定を受けているわけでございますけれども、この特に必要のあるものというものは具体的にはどういう要件を満たさなければならないのか、これは文化庁の方にお答えをいただきたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化財保護法においては、重要無形民俗文化財及び登録無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財につきまして、文化庁長官が特に必要のあるものを選択し、記録選択の措置を講ずべき無形の民俗文化財として保護を図っているところでございます。

 この文化庁長官により特に必要のあるものとされるものにつきましては、記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財の選択基準に示されておりまして、そこでは、行事の歴史的な由来や内容等が国民の基盤的な生活文化の特色を示す典型的なものなどが挙げられているところでございます。

 このため、今後は、同じ種類、同種の祭り、行事などと比較し、その歴史的な由来や内容などについて特色があるものかどうかが重要になってくるものと考えております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 ほかの祭りに比べて様々な由来等が特色のあるものということでございますので、今私が説明した限りでは、非常にこの笹山笠は特色があろうかと思っておりますので、ここは、当然、様々な資料が残っておりますので、是非、特色のあるものとして、今後調査を進められて選択をしていただきたいというふうに願うところでございます。

 そこで、黒崎祇園山笠については最後の質問にしますけれども、是非、いわゆる選択に向けて国の方でも様々な支援をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、最後に、黒崎祇園山笠の記録選択等の措置を講ずべき選択に向けての国の支援について、文化庁にお聞きをしたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 黒崎祇園山笠行事につきましては、現在、福岡県が実施している祭り、行事に係る調査の結果を踏まえて判断するということとなります。

 文化庁といたしましては、これまでも、同調査に対する補助を実施してきたほか、文化財調査官による現地での助言などを行ってきたところでございまして、引き続き、調査に対する支援や専門的、技術的助言を行ってまいりたいと考えております。

浜地分科員 現在、福岡県の方で調査をしていただいておりまして、感謝を申し上げたいと思っています。

 実際に福岡県の方がお汐井取りの神事のときに調査に来られたときに、私も立ち会わせていただきました。まだ全体の調査が終わっていないということでございますけれども、是非現地で、どういった資料がもう少し必要なのかとか、どういった歴史的なものが必要なのかとか、御助言もいただきながら、確実な資料がそろうように支援をいただきたいと思っています。

 調査の資料がそろった暁には、もう一度改めて、できれば保存会の皆様方とともに、選択に向けて文化庁の方又は文科大臣の方にお願いに上がるかと思いますが、そのときは是非また大臣にはよろしくお願いできればというふうに思っております。

 大臣はここで退席されて結構でございます。ありがとうございます。

 質問を続けたいと思っております。

 次は、テーマを変えまして、大学や専門学校等の高等教育に対する修学支援金制度が現在ございます。令和二年度からスタートしたこの支援金制度は、主に低所得者の御家庭のお子様が大学や専門学校に進学できるようにということで、我々公明党としても強く求めてきた制度でございます。

 まず、この制度の効果を確認したいんですが、令和二年度からこの支援金制度はスタートいたしました。特に低所得世帯の大学等への進学率にどのように変化があったか、端的にお答えいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、令和二年度より、給付型奨学金と授業料等減免を併せて行う高等教育の修学支援新制度を、真に支援の必要な学生を対象に開始しております。

 本制度は、低所得世帯の者であっても、社会で自立し、活躍することができるよう、大学等での修学を支援するため、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯を対象としております。

 この制度の成果として、住民税非課税世帯の進学率の推計値は、制度導入前の平成三十年度は約四〇%でございましたが、制度導入後の令和三年度には約五四%と、一〇ポイント以上上昇しております。

 また、この制度利用者へのアンケートによりますと、この制度がなければ進学を諦めた方が三三・四%、この制度がなければ今の学校より学費や生活費がかからない学校に進学したという方は二六・五%との結果が出ており、この制度は低所得層の若者の教育機会の確保に一定程度成果があったものと考えております。

浜地分科員 私も今の数字を見て非常に効果があるなと感じました。

 住民税非課税世帯の御家庭のお子様、これまでは四〇%の大学等への進学率が、五四%ということになっているわけでございますので、当初スタートしたときは、収入要件等がもう少し緩やかなものがいいんじゃないかということもございましたが、まず一定の効果が出ているということで、是非この制度を応援していきたいと思っています。

 その上で、令和六年度からスタート予定のものがございます。新制度として、三人以上のお子様がいらっしゃる多子世帯であるとか、また、授業料が文系に比べて比較的高い理工系又は農業系の大学への進学について新たな要件が検討されているというふうに聞いておりますが、この新制度の検討状況について具体的に教えていただきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の修学支援新制度の拡大につきましては、昨年六月の骨太の方針二〇二二などにおいて、今御指摘いただいたように、負担軽減の必要性の高い多子世帯や理工農系の学生等の中間層に拡大するとしておりまして、現在、令和六年度からの導入に向けて具体的な制度設計を進めております。

 新たな支援区分の年収目安等は現在調整中でございまして、早急に明らかにできるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

浜地分科員 分かりました。

 なるべく、当然、多子世帯、理工農系の皆様方は、これまである年収要件よりは恐らく高いゾーンになるべき、そして、しかし逆に、給付される金額や減免される金額は、恐らく住民税非課税世帯よりは段階がつくんだろうと思っておりますので、早めにお示ししていただくことが、実際は、理系まで挑戦しようかとか、その辺り、高校生等が決定する非常に重要な要素になろうかと思いますので、早めに大体の目安がアナウンスできるように準備をしていただきたいというふうに思うところでございます。

 最後に、今回、令和六年からいわゆる対象を広げていく、多子世帯や先ほどの理工農系への援助を始めていくことの要件としてと言ったらおかしいんですが、逆に、大学等の機関側の機関要件を厳しくすることが骨太の方針でも一つの条件的なものになっていたわけでございます。例えば、大学の定員は必ず八割以上定員を満たさなきゃいけないとか、様々考えていらっしゃると思いますけれども、これについては実際に大学や学生等から不安の声が多くあるわけでございます。

 学生からしてみると、自分がそういう支援金の収入要件に合うんだけれども、自分が行きたい大学が機関要件で外れてしまうと、せっかくの進学を諦めなきゃいけない。また、大学側も、これまでそうやって生徒を募ってきていたのに、機関要件が余りに厳しくなり過ぎると、自分たちの学校に来ても支援金が受けられない、そうなると大学の運営にも根本的に関わるということで、数々のケースについて実は私は相談を受けております。こういう場合はどうするんですか、こういう場合はどうなるんでしょうかと。

 今日は具体的な話をいたしませんけれども、そういった不安の声に合わせてしっかり対応いただきたい、なるべく激変的な変化が起きないように対応いただきたいと思いますが、この点について御答弁をいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の見直しにつきましては、文部科学省において有識者会議を設置し、具体的な制度設計を検討してまいりました。

 昨年十二月に取りまとめられたこの会議の報告書では、制度創設当初の想定よりも出生数が大幅に減少するなど急速な少子化の進展により、中長期的に十八歳人口が減少する中、定員充足率だけをもって判断する場合、特に地方において高等教育の選択肢を狭めることにつながりかねないとの指摘がございました。

 このため、この報告書におきましては、定員充足率という現行制度の枠組みは継承しつつ、定員割れがあったとしても、質の高い教育を行う大学等は対象校となるよう、進学、就職率や都道府県知事等の関与という新たな要素を加え、調和を図ることについて提言されております。

 改正後の要件による制度の運用は令和六年度から行ってまいりますが、文部科学省としては、今後とも、人口減少社会の中で、質の高い高等教育と全国各地における高等教育の選択肢の確保との両立を図るべく、この修学支援制度のみならず、高等教育行政全体で取り組んでまいりたいと考えております。

浜地分科員 今るる考えていらっしゃるということがよく分かりました。

 特に、定員も当然、大学の経営基盤とかには大事だけれども、直近の進学率や就職率、これについても柔軟に、現状に即した形で検討いただきたいというふうにお願いをしたいと思っております。

 最後のテーマに行きますけれども、最後のテーマは、埋蔵文化財の発掘作業員の皆様方の労務単価について質問をしたいというふうに思っております。

 まず、国交省にお聞きをしたいんですが、例えば、国交省の直轄の道路事業の公共事業を行うとします。この道路事業の本事業に入る前に埋蔵文化財がある場合、文化財保護法に則して、必要がある場合は事前の発掘調査を行うわけでございますが、このとき、いわゆる国交省としては、公共事業の工事にかかる以前の段階の埋蔵文化財の発掘においては、発掘作業員の労務単価はどのように決定をされているのか、まず簡潔に御答弁いただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 道路事業におきましては、埋蔵文化財の調査が必要となる場合、まず、都道府県の教育委員会と発掘調査の範囲や概算費用などについて協定を締結いたします。その際、教育委員会が直接調査することが困難な場合は、教育委員会が実施機関として指定した財団法人等を含めた三者による協定を締結しております。その後、実施機関より見積りを徴収し、費用の内訳も確認した上で、受委託契約を締結しております。

浜地分科員 これは昭和三十九年の通知によってそのようなやり方になっているということは承知をしておりますが、今日私が問題提起をしたいのは、最後の三枚目の資料でございます。

 先ほど国交省の方では、例えば道路事業をやる場合、都道府県の教育委員会と協定を結び、場合によっては財団と三者契約を結んで見積りを出すということなんですが、この単価が問題でございまして、これは、実際に文化庁が提出された資料を基に、私の方で今日提出をしております発掘調査作業員の単価、令和二年三月のものでございます。

 先ほど言いましたとおり、国交省が道路事業を行う場合の土木工事がある場合には、この左から七番目の公共工事設計労務単価の恐らく普通作業員という形になろうかと思っています。全国の数字がございますが、令和二年で大体二千五百円程度の設計労務単価が設定されているわけでございますが、先ほど道路局が答えた、いわゆる発掘調査が必要な場合に協議をして決めている金額というのが、左から五番目の箱の発掘作業員というところの単価になるわけでございます。

 御覧になって、一目瞭然、一目で分かるとおり、いわゆる国交省の設定する土木の普通作業員よりも著しく低い金額が設定されている県がございます。中には、土木工事の標準単価を基に協議をしまして、国交省の単価と同じような単価を設定している、例えば静岡県でありますとか、二十七番の大阪府、兵庫県、二十九番の奈良県というようなところもございますけれども、私の地元の四十番の福岡県を見ていただきますと、国交省の土木作業員の普通労務単価は時間当たり二千四百三十八円に対して、何と発掘作業員は九百七十四円というふうになっておりまして、約三分の一に近い安い金額になっております。つまり、著しく低い県がある、そして全国的にばらつきがあるということは、これは見て分かるとおりだというふうに思っております。

 これは都道府県の教育委員会と協定を結んで協議をして決めているんですが、通達を出しているのは文科省及び文化庁なんですね。ですので、この実態を見て、副大臣、どうですか、この全国的なばらつき、又は著しく安い金額がある。しかも、令和五年度からは国交省の単価は五・二%上がったんですね、もう御存じのとおり。

 どんどんどんどん労務単価が人手不足の中で上昇していかなきゃいけない中において、土木の普通作業員と発掘の作業員は同じような仕事内容に近いんだと私は思うんです。そこの定義が決まっていないので、これから問題提起をしたいんですけれども、やはりここは問題だと思いますが、この表を見てまずどのように副大臣としてお考えになるか、お答えいただきたいと思います。

簗副大臣 お答えいたします。

 文化庁が令和二年に実施をした発掘調査費用に関する調査におきまして、全国の発掘調査作業員の単価について把握をしてございまして、御指摘のように、都道府県間で差があることは承知をしております。

 一方で、発掘調査に係る行政事務は自治事務でございまして、発掘調査の作業員単価は、発掘調査を実施する自治体が、民間調査会社の活用も含め、それぞれの地域の実情に合わせて設定しているものと承知をしております。

浜地分科員 是非、副大臣、この表をよく御覧になっていただきたいなと思うんですが、今、自治事務という話が出てきたんですけれども、この根拠は、昭和三十九年に発出された通知が根拠になっておりまして、法律的な根拠ではないんじゃないかと私は思います。

 ですので、私の提案としては、確かに都道府県の事業なんですけれども、文化庁の方が是非積極的に、都道府県が決めるのであれば、都道府県の参考になるように、まずはこの発掘作業員の仕事の定義、これを決めていただいて、その上で、合理性のある発掘作業員の単価を、やはりモデルケースを示すべきじゃないかというふうに思っております。

 この点について文化庁の御答弁をいただきたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど副大臣からお答え申し上げましたとおり、発掘調査に係る行政事務は自治事務でございまして、発掘調査の作業員単価は、発掘調査を実施いたします自治体がそれぞれの地域の実情に合わせて設定しているものと承知しております。

 文化庁が令和二年に実施いたしました発掘調査費用に関する調査では、発掘作業員単価につきましては、各地域において、公共工事の単価を採用する場合が九府県、それから、地方公共団体が定める給与表等を適用する場合、これが三十八都道府県ございまして、これにより単価が変わってきているものと考えられます。

 作業員単価は、地域的な実情に応じて決定されており、文化庁におきましても、全国一律の標準単価を示すことは困難と思いますけれども、今後、各地域の発掘作業員単価につきましては、文化庁において継続的に調査しまして、その結果を地方公共団体に共有することで、各地域におきます適切な単価決定のための参考に供していきたい、このように考えております。

浜地分科員 確認します。

 じゃ、こう聞きましょうか。今、自治事務だから示すのが困難だとおっしゃいましたけれども、示してはいけないんですか。モデルとかガイドラインを示すことは文化庁は禁止をされているのか。

 要は、自分たちではできないと言っているんだけれども、ある程度示すことは、決定するのは都道府県ですよ。しかし、全国にこれだけの著しいばらつきがあり、しかも、最低賃金に近いような九百七十四円ですよ、そういう単価を設定している県がある中について、まず、文化庁としては、これについては問題と思いますか。その上で、ガイドラインを設定することは、まず、できるのか、できないのか。しかねるんじゃなくて。そういったものが法律として自治事務だからやることができないんですか。その二点を最後に答えてください。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 自治事務ということでございますので、基本的には、地方自治法に基づく形の規定に沿って我々も動かなければならないというふうに認識しております。

 自治事務につきましては、基本的には、その権利、権限、責任につきましては地方自治体の方がまずは持つということでございますので、それにつきましては、基本的には地方自治体の方で判断されるべき性格のものとなりますので、国の方で基準を示すときには、それは相当慎重な対応を取らざるを得ないと思います。

 基本的には、国の事務であれば基準は示しやすいものでございますけれども、地方自治体の事務ということでございますれば、それは地方自治の尊重がまず重要かと考えております。

浜地分科員 地方自治の根拠についてもう少し私も詳しく調べますけれども、恐らく昭和三十九年の通知でずっとやっているわけで、通知で自治事務になっているという根拠だと思いますけれども、それだと通知自体をどうするかという話にもなってきかねないわけでございまして、最後にしますけれども、単価がかなり安い、最低賃金に張りついている県もあるということは本当に問題視してください。今は賃上げの時代でございますので、是非よろしくお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

三谷主査 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田統彦君。

吉田(統)分科員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、予算委員会の第四分科会ということで、文科省所管の事項について、主に永岡文部科学大臣に質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 昨年の通常国会の厚生労働委員会で、薬機法改正案の審議の際に、岸田総理へ直接質疑を行う機会をいただきました。そこで、私は、我が国のブレーンサーキュレーションについて質問させていただきました。

 近年に至るまで、我が国は継続的に自然科学分野でノーベル賞を受賞する学者を輩出してきています。しかし、それほど遠くない将来、我が国は、残念ながら、特に我が国のアカデミア、研究機関に所属する研究者がノーベル賞を受賞することがなくなるのではないかという危惧が示されています。

 昨年明らかになった三年間の自然科学分野の論文引用について、各研究分野で上位一〇%に当たる論文が日本は平均三千七百八十本。これは、実はお隣の韓国などに抜かれています、十二位ですね。初めてトップテンから陥落をしています。この指標はいわば論文の質を表すものとされていますので、自然科学分野における我が国の国際的地位の低下が明らかになったと言えます。

 以前私も指摘させていただきましたが、例えば、国立大学などの地位の低下には様々な要因が考えられます。その中の大きな問題の一つが、国立大学に対する運営費交付金の減額であります。

 資料によりますと、二〇〇四年度の国立大学に対する運営費交付金等の予算は一兆二千四百十五億円となっていました。しかし、二〇二三年度では一兆七百八十四億円と、二十年で約一三・二%減少しています。また、国立大学協会の資料によりますと、二〇〇四年度は五百八十一億円あった附属病院運営費交付金は、二〇一三年度からゼロになっています。

 このような話をすると、政府や文部科学省は、競争的資金により補完されていると詭弁を発言されるわけですが、国立大学の法人化そして運営費交付金の削減によって、国立大学の経営、特に人的な面での改悪が確実に進んでいます。

 その最大のものは、常勤雇用を削減して、非常勤雇用が増加している部分であります。さらに、常勤雇用の中でも、特任教員など任期つきの方が研究職も含めて大幅に拡大されたことが問題であります。結果、定員は削減されて、現在では、教授一、准教授一、助教一、あるいは大学によっては教授一、助教一というパターンもあるんですね。教授が定年退官すると講座そのものが廃止されたという例もよくお聞きします。このような身分保障のない中では、腰を据えて研究を行っていくことは極めて難しいと想像できますよね。

 さらに、これも以前指摘させていただいたことですが、競争的資金は基礎研究的内容は通りにくいんですよね。競争的資金が日本の研究者の研究対象そのものを狭めているという指摘もあります。さらに、この競争的資金を得るためには大きな事務作業が必要であり、研究者はかなり研究時間を奪われている現実があります。

 その中で、ちょっとここはまず厚労省に、大坪審議官ですかね、お伺いしていく部分なんですが、最近、気になる話を耳にしています。この点を最初にお聞きします。

 独立行政法人国立病院機構という、国立病院を総括する組織がありますね。私も週一回そこで勤務をさせていただいています。

 この国立病院機構のホームページを見ると、その理念のところに、私たち国立病院機構は、国民一人一人の健康と我が国の医療の向上のため、たゆまぬ意識改革を行い、健全な経営の下に、患者の目線に立って懇切丁寧に医療を提供し、質の高い臨床研究、教育研修の推進に努めますと書いてありますね。また、業務のところには、一、医療の提供、二、医療に関する調査及び研究、三、医療に関する技術者の研修、四、その他附帯する業務と書かれています。

 医療における質の高い臨床研究というのが大きな役割になっていますね、審議官。しかし、お聞きしたところによると、国立病院機構の臨床研究センターというのがあるんですけれども、ここに対する運営費交付金がゼロになりましたね。これは本当に事実でしょうか。ちょっと信じ難い事実でありますが。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の国立病院機構の運営費交付金でありますけれども、令和二年度までは、臨床研究事業を含めて国から予算措置を行っておりました。令和三年度の予算におきまして皆減をしておりまして、それ以降、措置はしておりません。

 その理由といたしまして、年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の成立を前提といたしまして、令和二年度まで同機構が負担をしておりました公経済負担、基礎年金拠出金に係る国庫負担の二分の一相当額及び育児休業等の手当金の給付に必要な費用の一定の割合でございますけれども、これについて令和三年度以降は国の方で負担をするということとさせていただきまして、これに合わせて、当時予算規模が同程度でありました運営費交付金、これを皆減するという見直しを行わせていただいております。

吉田(統)分科員 それは役所の方からも実はもう既に聞いているんです。言い分はそういうことなんですが、これは、お上に言われたら、臨床研究センターは従わざるを得ないですよ。これはもう分かっていらっしゃいますね、審議官。

 では、この変更をしたことによって、いいですか、この国立病院機構の臨床研究センターの運営において、全体としてどんなグランドデザインを描く中で決定したのかということを、もう一問、問わせていただきます。どうでしょう、審議官。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 国立病院機構の中長期の目標の中でも、臨床研究事業というものは非常に大きく力を入れているものであります。運営費交付金が皆減された令和三年度以降におきましても、中期計画に基づき、大規模な臨床研究の推進など取り組んでいただいております。また、財源につきましても、令和三年度の財務諸表などを見ますと、臨床研究の治験の収益、また競争的研究資金、こういったものを獲得していただいておりまして、これまでと同様にかなり推進をしていただいているというところであります。

吉田(統)分科員 いや、審議官、それは審議官がだまされていますよ。もう、むちゃくちゃ首になっています、現場。審議官にそんな答弁を、私の尊敬する審議官にそんな答弁をさせようという役人、ちょっとこれはアウトです。

 取れるところは取れます。もちろん、非常に優秀で、そういう治験の、そういった資金を獲得できる人もいます。これは実際、そういうのが得意な方はいるんですよ。ただ、そうじゃない基礎研究分野、ちょっと調べてください、審議官。これはどんどんどんどん雇い止め、解雇。ひどいですよ。特に、大きな臨床研究センターを抱える東京医療センターだとか、大阪ですかね、あと名古屋とか、そういったところ、どんどん解雇されているんですよ。だから、今の説明は全然的外れですよ、申し訳ないですけれども。ちょっとこれは、答弁書を書いた人を後で怒った方がいいですよ。ひどい。これは事実ですからね。僕は現場で見ているから、本当に。

 では、もう一個聞きます。この通常国会冒頭の施政方針演説で、岸田総理は若手研究者支援を進めますと発言されていますよね。今回の私が今申し上げたような状況を招いている方針自体は、この岸田総理の施政方針に反するんじゃないかと思うんですけれども、審議官、どうですか。

大坪政府参考人 私は厚生労働省でございますので、今日は国立病院機構についてのお尋ねだというふうに承知をしております。

 国立病院機構の中長期目標を先生は目を通されていると思いますけれども……(吉田(統)分科員「いやいや、僕が聞いているところだけ答えてくれますか。反するか反しないか」と呼ぶ)はい、分かりました。

 厚生労働省といたしましては、総理の指示に基づきまして、この機構の研究能力というものが落ちないようにということで、十分配慮してまいりたいと思っております。

吉田(統)分科員 答えになっていません。

 では、申し訳ないですけれども、大臣、今同じ問いをどう思われますか、今の話を聞いていて。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 科学技術、文部科学省でございますので、科学技術イノベーションを活性化するための最大の鍵は人材だ、そう考えております。文部科学省におきましては、若手研究者の育成確保のため、博士後期課程程度の学生への経済支援の拡充であったり、若手研究者等を中心といたしまして……(吉田(統)分科員「それは聞いていないです。大臣、反するかどうか聞いているだけです。同じ問いです。施政方針演説に反するか反しないかを聞いているんです」と呼ぶ)それは文部科学省のことではないので、少々お話をしかねますので……(吉田(統)分科員「いやいや、一緒でしょう」と呼ぶ)

三谷主査 委員長の指示を得てから発言するようにお願いします。

 吉田君。

吉田(統)分科員 大臣の答弁が的外れだから、それを主査は注意してください。今、全く的外れじゃないですか、主査。誰が聞いても分かりますよ。まあ、いいです。お答えになれないということで判断をされます。

 では、もう審議官はここまでで結構ですが、本来なら、審議官、もうちょっと歯切れのいい答弁をしてほしかったですよ。ちょっとひどい。私は事実を言って、かなり細かくレクをしてあります。しかも、かなり前にね。時間、かなり前に、皆さんの残業時間が増えないように。だけれども、事実と違う答弁をしていますから、これは駄目ですよ。雇い止め、すごいですよ。ちょっと一回調べてください。もう答弁は要らないです。ありがとうございました、審議官。

 では、大臣、今の話の続きで、本格的に議論をしていきたいと思います。アカデミアで働く研究者の待遇改善についてお聞きします。

 アカデミアで働く皆さんは、業績を上げても、いわゆる雇い止めに遭って、事実上の首になっている。優秀な研究者を失うという危機がこの三月末に起こると聞いています。

 研究者・教員等の雇用状況等に関する調査、これによると、回答機関全体の労働者六十五万三千五百九十七人いらっしゃいますね、そのうち、無期労働契約者は三十四万千六百三人で五二・三%、有期労働契約者は三十一万千九百九十四人で四七・七%です。うち特例対象者というのが、大臣、九万九千七百七十六人で一五・三%に及びます。

 この特例対象者とは、労働契約法第十八条で、有期契約を繰り返して五年を超えた場合に雇用の安定のために労働者の申出により無期雇用への転換権を認めるという制度を前提として、研究職員はその業務の特性から短期間での成果を出し難いということから、十年延長するという特例を認めるものであると承知しています。大臣もよく御存じのことだと思います。

 そうすれば、本来、この制度は被雇用者への不利益な特例になります。抑制的に用いられるべきであって、今回特に問題になっている理研では、二〇一六年に、就業規則の不利益変更で、事務職員に対し五年の雇用上限を、そして研究職員に十年の雇用上限を導入していますね。職員の実績や能力がどれほど高くても、また業務や予算が継続していても、雇用上限の年限で雇い止めをしようとしているということになります。これはやはり権利の濫用ではないかと思うわけです。

 特に、今年の三月末に、特例対象者で、アカデミア、研究開発法人などで通算契約期間が十年を迎える方が一万二千人以上いるんですよね。大臣もよく御存じだと思います。理研では四百人が雇い止めになるということで、訴訟も起こされていますね。

 先週火曜日に理研の雇い止めの対象の方のお話を聞きましたけれども、その中で、研究グループのリーダーを務めておられて、競争的資金も獲得して、プロジェクト自体があと二年残っているにもかかわらず雇い止めがされてしまうという方の発言も拝聴しました。こんなことをやっていると、大臣、我が国の研究開発はますます衰退していってしまいます。また、人材が海外に流出しますよ、本当に。

 まず大臣にお伺いしたいんですが、こんな状況をどのように率直に考えておられるか。二月七日には、科学技術・学術政策局長以下六名の連名で、「大学及び研究開発法人等における無期転換ルールの適切な運用について」という文書が発出されていますね。どういうような考え方からこのような文書が発出されたのか、またこの文書で何か変化があったのかも併せて御答弁いただけますか。

永岡国務大臣 無期転換ルールの適用、これを意図的に避ける目的でいわゆる雇い止めというものを行うことは労働契約法の趣旨に照らしまして大変望ましくない、そういうふうに考えております。また、研究者等の雇用管理につきましては、大学また研究機関、各機関におきまして、法令に基づきまして適切に対応する必要があります。

 文部科学省といたしましては、昨年九月に調査を行うとともに、昨年の十一月、そして二月にも、各機関の適切な対応を求める通知を発出しております。また、個別の機関の状況も確認をしながら、累次にわたり働きかけを行ってきているところでございます。

 一方、労働契約法の特例ルールの下におきましても、やはり各機関において、雇用契約の継続ですとか寄附講座も含めた個々の研究プロジェクトの継続の判断は適切にされるべきもの、そう考えているところでございます。

吉田(統)分科員 大臣、ありがとうございます。

 大臣、では、ちゃんと、私がるる申し上げたことや今の研究者の訴えに寄り添った対応を、英明な大臣としてなさってくださるという理解でよろしいですね。

 ここからは、なるべく、答弁書だとどうしてもずれていっちゃうので、私の話をちゃんと聞いて、それにお答えください。そうしないと時間がもったいないですから、せっかく大臣とこうやっていい議論ができる場ですから、答弁書を読まずになるべく、私、分かりやすく説明していますので。

 私から、今の大臣の話を受けて、以前から危惧していることの一つとして、寄附講座のことをおっしゃいましたね、寄附講座が成り立たなくなる可能性が、大臣、あるんです。

 そもそも、企業として、アカデミア、研究開発法人の人材、研究力に期待して寄附講座をつくるわけですよ。しかし、十年過ぎたら、どれだけ優秀でも、また、研究がどれほど成果が上がって、若しくは上がりつつある、そういったプロジェクトのリーダーが雇い止めになっちゃったら、なるわけですよ、なっちゃうんです、今の現行の制度だと。これでは、企業が続けたくても大学が断る状況になるわけです。

 また、特任教授等任期つきの研究者が幾ら頑張って業績を上げても、無期転換ルールが有名無実なものになってしまって、結局、無期雇用で常勤雇用のポストが用意できない、用意する必要がないということになると、寄附講座でせっかく教授をつくっても意味がなくなっちゃうんですね、大臣。

 寄附講座っていいシステムだと思う中で、実際、相当、ポイントに来ているんです。ここはやはり相当留意をして、アカデミアの寄附講座の取扱いも含めてやっていただかないといけないんです。今、申し上げたように、運営費交付金が減らされてしまったわけで、常勤雇用のポストがそもそも減っている状態で、寄附講座のポストが必要なんですよ。研究スタッフを維持するために絶対必要なんですけれども、これが後退しちゃうんです。

 ですから、寄附講座というポイントに当てて、今後どういうふうにしていくのか、今私がるる申し上げたことに対して何か対策を打つのかを御答弁いただけますか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 寄附講座に限らず、それぞれ研究プロジェクトが、一、二年ではなくて、五年でもなくて、やはり七年とか、結構長期にわたってそれぞれの研究機関で行われるというのは、先生、常識だというのは御存じだと思っております。

 そんな中で、大変すばらしい功績を上げている方々、そういう方々が例えばこの三月に十年目を迎えるということになりましても、しっかりと、本当に機構が必要とするという方は、きちんとその後の対応というのは、それぞれの大学、機構なりで対応していただける、私はそう確信をしております。

吉田(統)分科員 分かりました。多分、現場をもう少し見ていただいた方がいいのかなとは思います。

 では次に、続いてお話をしていきますが、内閣委員会や厚労委員会でも以前申し上げたんですが、二〇一九年のノーベル医学・生理学賞を受賞したジョンズ・ホプキンス大学のグレッグ・セメンザ教授、私も、彼とはジョンズ・ホプキンス時代、対等な立場で研究をやり、一緒に論文を書いてきました。非常に優秀な学者でしたね。そのとき、セメンザ以外にも多くのノーベル賞学者やトップクラスの研究者と私も共に研究をして共に論文を書いてきたんですが、UCLAから日本人のPhDの研究者がジョンズ・ホプキンスに移ってきたんですね。

 彼とはたまたま同じ敷地のマンションに住んでいたので、彼に聞くと、若いんですよね、非常に若い、助教、アシスタントプロフェッサーなんですが、UCLAからジョンズ・ホプキンスに来るときに、宿舎も提供されて、引っ越し代、飛行機代、全部出してくれて、かなりよい待遇で、UCLA時代よりはるかに高い給与で雇われてきたわけです。要は、一本釣りしてきているわけですよ、大臣。

 今、あえて日本人の例を挙げましたけれども、アメリカは、人種関係なく、とにかく優秀な人材、有為の人材を招くんですよ。しかし、日本でそういうことが非常に難しい。できないんです、実質。

 これも実際の例ですが、ある有名ながんの研究施設、アメリカですよ、アメリカの誰もが知っている有名な大学で教授をしていた日本人研究者と私が日本で話したときに、日本でもし研究してくれと言われたらどうしますかということを聞いたら、彼は二億ぐらい年収をもらっていますよ、彼は、年俸は減ってもいいけれどもやはり五千万は欲しいと。やはり五千万。四分の一になってもいいと言っているんです。ただ、日本では、こう言ってもらっても採用できないですよね。

 もう一つ条件で言っていたのは、さっき大臣は七年とおっしゃいましたが、五年ぐらいやはり業績を上げるために期間が欲しいと。

 この二点、本当に母国愛に満ちた、彼は高校、大学だけ日本なんですね、国籍は日本なんですけれども、母国愛に満ちた提案ですよ。五千万は、はっきり言って、私から見たら安いと思います。ただ、こういったポストが用意できない。彼は、もう実はアメリカ国内の別の研究室に既に移動しました。

 これだと、大臣、本当に有為な、優秀な人材を連れてくることは不可能ですよ。ブレーンサーキュレーションとずっと言っていますよね。安倍政権になってからもずっと言っている。その前からも言っていましたけれどもね。これは無理だと思うんですよね。

 こういった状況を大臣は聞いて、どうお考えになられますか。

永岡国務大臣 先生御心配の我が国の研究力を強化するためには、やはり優秀な研究者、そして、次世代の研究者が日本で研究したいと思えるような魅力ある研究環境を整備するとともに、国際頭脳循環のネットワークに加わることが大変重要だと認識をしております。

 このため、文部科学省では、令和五年度の予算案におきまして、世界トップレベル研究拠点プログラムや、国立研究開発法人におけます研究開発の機能強化などによりまして、大学や研究開発法人における研究者の待遇、研究設備、それからサポート体制など、世界水準の国際的な研究環境を整備するために必要な経費、これを計上しているところでございます。

 また、我が国の研究者の国際的なトップ集団からの脱落と、それに伴う若手人材の国際的な育成の機会の損失も課題と認識をしているところでございます。そのために、グローバルに活躍いたします若手研究者の育成等に必要な経費を計上しております。

 令和四年度の二次補正予算に計上いたしました先端国際共同研究推進事業等と併せまして、優秀な研究者の交流やネットワークの強化を図りまして、国際頭脳循環に参画したい、そう考えております。

吉田(統)分科員 大臣、それが全然成り立っていないと僕は言っているの。だから、その危機的な状況をどう考えるかと聞いているので、答弁書を読んでも駄目ですよ、役所が作った答弁書では僕の質問に答えられないですから、本当に。申し訳ないけれども、現場の声ですから、私が世界で見てきた、そして今でもまだ世界のトップレベルの研究者とメールでやり取りする中での話ですから、駄目ですよ。

 では、今、若手、若手、若手と大臣はおっしゃいました。これも大事なことなんですけれども、頭脳流出は決して若手だけじゃないんです。高齢の、例えば私の母校である名古屋大学の工学部の平野総長は、非常に優秀な方だったので、退官された後、すぐ中国が、どうしても来てくれと、上海交通大学にすぐポストを用意して、一本釣り。これが本当に行われるんです。

 我が国は、ブレーンサーキュレーションどころか、優秀な役に立つ人材を保持することも今困難になっているということを本当に考えなきゃいけない。だから、我が国のアカデミアでも、必要な教授は、主任教授じゃなくなっても、特任教授とか様々なポストで、国家にとって、研究室にとって、アカデミアにとって、研究開発にとって有能な人材はそのまま保持する、そういうシステムが大事なんです。

 これは、アメリカなんかはずっとやっているんです。例えば、アメリカは、企業とコラボレーションして収益を上げる教授や、臨床で高い実績を上げる教授は、もう定年は関係ないんですよ。

 例えば、私が知っている方で、ドールマンとか、SERIという組織を一九五〇年に設立したスケペンスという教授、これは共にハーバードです。これは九十歳を超えても第一線の教授として活躍しています。そして、私がいたジョンズ・ホプキンスでも、ゴールドバーグという有名な教授、これも九十を超えても大活躍をしている。

 大学、アカデミアもそうだし、国家も、こういう有能な教授は逆に絶対流出させてはいけない、国家ぐるみで抱え込むということをやるんですよ、アメリカは。アメリカだけじゃないですよ、欧米もやります、ヨーロッパもやりますよ。

 逆に、我が国も、若手若手とずっと連呼されていた大臣、若手は大事です。でも、逆に、昔、技術者をやはり手放したから我が国の優位性が、工学系や、様々な電気製品、失われた部分を反省すべきですよ。

 ですから、大臣、今、私の話を率直に聞いていただいてどうお考えかということと、何かお考え、所感があれば是非お答えいただけますか。

永岡国務大臣 先生がおっしゃることは、ほとんど納得するようなお話でございます。

 過去の過程から、今、先生が本当に国際的に有名な、また大活躍をしている方々との連携というのがあるというのも伺いまして、私はちょっと驚いているところでございます。

 しかしながら、やはり、大学におきまして、優秀な研究者が継続的に研究に取り組むための環境の整備、これは大変重要でございます。アメリカだけに任せておくわけにはいかない、そういうふうには思っているところでございますが、組織としての新陳代謝、それぞれの研究所の新陳代謝を図る観点からも、大学等の判断というのが大事かなと思っております。

 これは今、定年の話でございます。ずっと九十歳になりましてもということでございましたが、それぞれの大学の判断ということがやはり一番重要なのかなというふうには思っております。

吉田(統)分科員 ありがとうございました。

 今、最後におっしゃっていたことだけは非常によかったですね。大学の自治や、大学、個々の研究機関の考え方ということを重視された方がいいです。大臣、そこだけ非常にいいことをおっしゃいました。

 ただ、新陳代謝といっても、だから、さっきから言っているように、有能な方は有能なんですよ、何歳になっても。それはもう大臣だって、それなりに年を重ねられて、二十代じゃないわけですから。非常に大臣は優秀な方じゃないですか。だけれども、そこは新陳代謝という言葉で片づけちゃいけない部分があるんです。

 私、有為の教授たちが海外に流出していくのを本当に見ますよ。特に、中国。工学系は本当に危ないですよ。大臣、これは逆に言うと責任問題になると思います、僕は。まあいいです、そこは本当に留意してやってください。役所とよく話してください、こういうこともね。

 ブレーンサーキュレーションの問題点で、私が前から提案しているんですけれども、何でブレーンサーキュレーションがしにくいかということの一つが、AMEDとかJSTという組織があるじゃないですか、これが自前の研究者を持てないということが一つの問題なんです。つまり、日本版NIHというのが有名無実化しちゃった原因は、AMEDが自前の研究室を持っていないことなんですよ。

 アメリカのNIHというのは、下部にNEIとかNCIとかいろいろな組織があって、そういうところのチェアマンは、地方の大学のこれぞと見込む教授を、別にそこの主任、チェアマンでもない方を一本釣りしてチェアマンにするなんという人事が本当にされているんですよ。もう組織をとにかく強化するの一点で、だから、そのためにポストがあるんです、研究施設と。

 だから、日本も、例えばトヨタとか武田という企業が、日本国内にすばらしい企業がありますよね、これは人種にかかわらず、取締役に外国人を登用したりして、これもブレーンサーキュレーションの一種だと思いますよ。日本の研究施設も、AMEDは大坪審議官のところですけれども、JSTもそうですけれども、一本釣りして、研究室を構えて給与をつけて研究をさせるという、これこそ有能な教授や優秀な教授を世界から連れてくる素地なんですよ。ポストがない、ポストがない、ポストがないばっかりですよ。

 私のアメリカで一緒に研究していた人間が、これは日本人も含めて、日本に帰りたいなと思っても、こんな人が日本に来たらいいなと思うような教官が、ポストがないから駄目だ。結局こればっかりなんですよ。

 ですから、今の私のは一例です、別に、JSTじゃなくとも、AMEDじゃなくてもいいんです。ただ、こういう組織も、お金配りだけをするんじゃなくて、自前で研究室を持たせて予算を自由に使える、例えばチェアマンにこれだけの予算と研究室を運営する権限を与えて、そこに優秀な人をがあっと連れてくる。それをやるだけで、大臣、もう全然がらっと変わると思いますよ。人なんですよ、研究は、人。

 私は、さっき申し上げたグレッグ・セメンザ、一緒に研究したのはもう十三、四年前ですけれども、私、ノーベル賞を取ると思いましたもの。あっ、取るなと思った。そうしたら本当に取った。ただ、十年後でした、やはり、取ったのは。

 やはり、本当に人なんですよ、大臣。だから、ブレーンサーキュレーション、とにかく人を集める素地を、あらゆる手を使った方がいいですよ、あらゆる手。そうじゃないと、今でも後塵を拝している研究が更に後れていっちゃいます。

 大臣、そこを一言、私の提案も含めて、ちょっと決意をいただいて質問を終わりたいと思いますので、お願いします。

永岡国務大臣 吉田先生には、本当にもう心躍るような研究開発のお話をいただきました。先生のお話も参考にしながら、これからの頭脳循環、しっかりやってまいります。

吉田(統)分科員 もうちょっとしゃべって。大臣、せっかくだからしゃべってください、もうちょっと。

永岡国務大臣 私が昨年八月から大臣になりまして、非常に、科学技術イノベーション、勉強してまいりました。先生の御経験というのは大変貴重だし、また、聞くに値するようなお話だと思っております。そのところも、私もお話はそれぞれの機関から伺っておりますが、もっともっとしっかりと知らなければいけないということも再認識をさせていただいたということで、ありがたくお話は拝聴いたしました。ありがとうございます。

吉田(統)分科員 終わります。ありがとうございました。

三谷主査 これにて吉田統彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、柚木道義君。

柚木分科員 立憲民主党の柚木道義です。

 今日は、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 永岡大臣、それから伊佐厚労副大臣、ありがとうございます。

 ちょっと通告と前後して、先ほど大臣にはお伝えしたんですが、「はだしのゲン」の、広島市の教育委員会の教材から外れるということについてまず伺いたいんです。

 というのは、関連して、皆さん、委員の先生方も委員長も御承知だと思いますが、松本零士さんがお亡くなりになりました。本当に心より御冥福をお祈りいたしますし、私も子供の頃、「銀河鉄道999」とか「宇宙戦艦ヤマト」とか、本当に心躍るような思いで、漫画はもとより、映画館に家族で行ったり、本当に大きな大きな、子供から成長する中で、宇宙とか、いろいろな夢やロマンを与えてくださった偉大な漫画家だったなと思うんですね。

 同じ漫画の「はだしのゲン」のことをこの後聞きますが、永岡文科大臣、松本零士さんの御逝去に際して、何か御感想や、あるいは作品に対しての思いなどがあれば、ちょっと御感想をいただければと思います。

永岡国務大臣 松本零士さんといいますと、やはり「銀河鉄道999」が挙げられると思います。

 そんな中で、実は、松本零士さんというのは、今、JAXAと言われておりますが、その前身でありましたNASDAというときに、子供たちに宇宙に親しんでいただきたいということで、NASDAとともに、松本先生は、子供たちへの宇宙への誘惑ですね、そういうことをしていただいたということは私も存じ上げておりますので、今、大変悲しいなというふうには感じているところでございます。

柚木分科員 ありがとうございます。

 松本零士さんというのは、実は、戦争漫画も描かれた方でもあるんですね。まさに今回、「はだしのゲン」が、これは世界でも二十四か国語に、松本零士さんの作品も世界中で本当に親しまれたわけですが、同じように、「はだしのゲン」、まさに戦争漫画。この「はだしのゲン」が、広島の教育委員会、大臣は御答弁で、前回、地域の事情なども考えながらということをおっしゃったんですが、地元広島では、私の質問も含めて、こんなに大きな記事になっているんですよ、これは中国新聞ですけれどもね。

 やはり市の教育委員会の意向はもちろん尊重するわけですが、ただ、小学生向けの平和教育の教材から漫画「はだしのゲン」を削除する方針を決めたことで、この記事を掲載した、中国新聞の記事、これはヤフーニュースで、二月十七日、報道直後ですよ、六千件を超えるコメントが寄せられている。そこから更に四日たっていますから、今は相当なコメントが寄せられているわけですね。

 大臣に伺いますけれども、まさに漫画だから悲惨さが伝わるという記事のタイトルでもありますが、広島市の教育委員会は、漫画の一部では被爆の実態が伝わりにくい。この教育委員会の説明に対して、まさに、いやいや、漫画だからこそ伝わるんだと。私は、松本零士さんの作品もそうだと思いますよ。確かに、教育委員会は、生徒の生活実態に合わない、誤解を与えるおそれがある等々と述べられていたり、かつては、松江市の教育委員会で、描写が過激だといって図書館の閲覧が制限されて倉庫でしか読めないとか、これは大抗議があって撤回されましたね。

 漫画の一部では被爆の実態が伝わりにくい、いやいや、漫画だからこそ伝わるという様々な意見、永岡大臣、漫画だと被爆の実態は伝わりにくいんでしょうか。また、仮に今後、現場の先生方が「はだしのゲン」を教材として使いたいと考える場合には、「はだしのゲン」を教材として使うことは可能なのでしょうか。以上二点、お答えください。

永岡国務大臣 柚木先生御指摘の事案でございますが、中国新聞というお話でございましたけれども、報道以上の詳細なことは把握をしておりませんので、コメントは差し控えたいと考えております。

 その上で、一般論として申し上げれば、こうした補助教材は、地域や学校、そして児童生徒の実態に応じまして、教育委員会や校長が、その責任の下で、漫画を用いることも含めまして、その内容などにつきまして、教育的知見から見て有益、適切であるかどうかというのを決めるものである、そういうふうに考えているところでございます。

柚木分科員 私もその答弁には賛同します。後段の部分の、まさに子供たちの教育に有益であるかどうか、これについては、まさに漫画を使うことが有益かそうでないかではなくて、漫画も含めて有益かどうか判断をされて、今後、これは方針が報じられていますが、別にいろいろな意見を受け止めて教育委員会がいろいろな対応をされることはあり得ると思いますので、まさに今、後段で言われた有益であるかどうかの部分に、漫画を使うことというのも含むという理解でよろしいですか。

永岡国務大臣 教育委員会や校長が、その責任の下、漫画を用いることも含めて、その内容等について教育的知見が見られる、そして有益で適切であるかどうかを決めるものであると考えております。

柚木分科員 よく分かりました。

 「はだしのゲン」も含めて、教材として、別に漫画だから伝わりにくいということではなくて、いや、漫画だからこそ悲惨さが伝わるといういろいろな意見も踏まえた対応が、いろいろな意見を教育委員会も受け止めて、今後、対応が進んでいくんだろうというふうに私も受け止めました。ありがとうございました。

 次に、マスクの質問、ごめんなさい、伊佐副大臣、ちょっと先にいきたいと思います。残りはまた文科大臣の後にさせていただければと思っています。

 マスク、資料の二十五ページ目になるんですが、前回も加藤大臣にこの表を示しながらお話をさせていただいて、見えにくかったらいけないので、委員長、同じものなんですけれども、ちょっと拡大してきました。こちらが見えにくかったらいけないので。

 それで、飲食店や接客業など事業者におけるマスクの着用ルールの変更について、二月の十日に政府から出された通知に、飲食店や接客業などにおける事業者ということですから、マスクの着用は三月の十三日以降は個人の判断に委ねられるが、事業者が、つまり飲食店とか接客業とか、様々な事業者ですね、感染対策上又は事業上の理由などにより、利用者、つまりお客さん、あるいは従業員の方々にマスクの着用、お客さんからいえばマスク会食、これを求めることは許容されるとこの通知にも書かれており、前回、加藤大臣もそう答弁されています。

 この二月十日の政府の通知なんですが、これは、三月十三日のまさにマスクルール緩和以降、また五月八日以降のコロナがインフルエンザと同じ五類に変更された場合以降、まさに事業者が、事業者というか、お店とか、つまり接客業とか飲食店とか、いろいろな事業者ですね、マスク会食などの要請をできなくなってしまうのか。あるいは、そうではない、そしてまた五類変更後でも引き続き飲食店、接客業、あらゆる店舗ですね、こういったところでの、飲食店であればマスク会食とか、あるいはマスク着用などの要請はできるのか。御答弁をお願いいたします。

伊佐副大臣 結論をまず申し上げれば、要請はできるということでございます。

 三月十三日からマスクの着用は個人の判断に委ねるということを基本とさせていただきたいという中で、今委員御指摘のとおり、個人の判断とすることに伴って、特に飲食業など利用者と直接接する業種、業態においては、マスク着用の取扱いに関して利用者とのトラブルや現場での混乱が生じる懸念があって、ここは丁寧な対応が求められるというふうに思っております。

 このため、各業界では、業種別ガイドラインというものを三月十三日までに変更していただいて、そして、この内容について利用者また従業員に対して周知をすることが必要だというふうに考えております。このガイドラインの作成の過程においても、しっかりと業界団体からの相談にも政府として丁寧に対応したいというふうに思っております。

 事業者が感染対策上又は事業上の理由等によって、先ほどおっしゃったようなマスク会食でありますとか、こういう着用を求めることも利用者側にありますよということを国民の皆様にも御理解いただけるようにしっかりと周知をしてまいりたいというふうに思っております。

柚木分科員 これは非常に重要な答弁です。

 私のこの間の質疑で、私は両面あると思っているんですね。脱マスクあるいは着マスク、両方それぞれ理屈も根拠もあるんですね。ただ、ちょっと一気に脱マスクという流れが報じられて、あたかも三月十三日以降はマスク会食をお願いすることなどは法律違反じゃないかというような反応がいっぱい来ているんですね。そうではないと今御答弁をいただいた。今、うなずいていただいています。

 もちろん、私も子供が、小学生が二人いますから、マスクで夏は熱中症とか、あるいはコミュニケーションの取り方とか、副大臣もお子さんがいらっしゃいますから同じだと思いますが、マスクを取ることによっていろいろな環境がよくなることというのも理解していますし、着けていることによる弊害も理解しています。他方で、この後、医療現場のことも聞きますが、やはり医療、介護など、エッセンシャルワーカーとして働いていらっしゃる現場、家族、そのお子さんは、一般の方とちょっと感覚が違いますよ。本当に危機感を持っている、まだまだ。

 だから、そこのギャップを埋めるために、次に、もう一つだけマスクに関連して言うと、ここの、前回、加藤大臣にもちょっと提案して、大臣はちょっと違う観点から御説明いただいて、それは私は理解しているんですが、今後、こういう厚生労働省は分かりやすい、三月十三日からマスク着用は個人の判断が基本となる、これは結構ですよ。ただし、今言われたように、事業者は、例えば接客業とかお店、飲食店とかの判断で、マスク会食をお願いします、マスク着用をお願いしますということはできるという中で、この図の中にちっちゃく一番下の米印で、事業者の判断でマスク着用を求める場合があるということが書いているんですが、これを例えばお店に貼って、これじゃ分からないですね。東京都は、まさにマスク着用のポスター、お願いをもう外す、感染防止の認証店からマスクの要件を外すんですから。そうすると、えっ、何でマスクをしなきゃいけないのと。

 お店の人にいろいろ聞いて回ると、いや、柚木さん、そんなのは、幾ら感染が再拡大したからといって、マスク着用のお願いをお店から、ようやく戻ってきてくれたお客さんに言えないよ、国がちゃんと方針を出してくれないと。これは、週末、私の質問以降に聞いてきた意見です。

 したがって、例えばですよ、この中に、通勤ラッシュ時など混雑した電車、バスに乗車するとき、まさに周囲の方に感染を広げないためにマスクを着用しましょうとあるんですね。例えば、この中に、混雑した電車、バス、あるいは店舗などに乗車、入店するときとか、そういう何らかの形で、これは別に、飲食店の方だけが何か標的にされていて最初問題になりましたけれども、そういう意味ではありませんので、あらゆる店舗、接客業、業種、業態、先ほどおっしゃった三月十三日までに業種別のガイドラインを作成するわけですから、現場の声をよく聞いていただいて結構ですから。

 その結果、やはり感染再拡大時にお店から言いづらいよ、せっかく戻ってきてくれたお客さんに。それだったら、違う店へ行くよとなるわけですね。そういうようなことでお店の方が、あるいはお客さんも混乱しないように、今申し上げたような形も含めて分かりやすく三月十三日までに、まさに接客業や飲食店などが混乱しないように、どういう場所、どういう場面でマスクの着用あるいはマスク会食などをお客様にお願いすることができるのか、これは早急に分かりやすく整理して発信をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊佐副大臣 分かりやすく広報をするというのは非常に重要なことだというふうに思っております。

 今委員がおっしゃっていただいたとおりで、個人の主体的な選択を尊重するという、個人の判断に委ねるということが基本になってございます。

 ただ、その上で、じゃ、どういう場合は各個人のマスク着用の効果があるのかという判断に資するようなことはしっかりと政府から示していく必要があるというふうに思っておりまして、それも含めて、今回の、先ほど示していただいた広告の一枚紙でございますが、こういう一定の場合にはマスクの着用を政府としても推奨するという言い方をさせていただいております。

 その上で、専門家の皆さんから御意見をいただきましたのは、基本的な感染対策は引き続きまず重要ですという上で、重症化リスクが高い方への配慮でありますとか、あるいは通勤ラッシュなどの混雑した電車、バスにおいてはやはりマスクの着用が推奨されるのではないかという御意見もいただいたので、こうした形での広報をさせていただきました。

 さらに、その上で、こうした医療機関でありますとか高齢者施設についてはこうして明示的に書かせていただいておりますが、委員のおっしゃった店舗、飲食業については、ここは今まさしく業種別ガイドラインを業界内で作っていただいているところでございますので、しっかりとこれを受けて政府としても必要な対応を取ってまいりたいというふうに思っております。

柚木分科員 よく分かりました。

 まさに最後の答弁のところを具体化しようとする中で、余りたくさん例示が来ても混乱しますからね、ここに一言、電車、バス、店舗。店舗というのは別に飲食店だけじゃないですからね、飲食店いじめになってはいけません、もちろん。科学的根拠に基づいて、あらゆる接客業ということですよね。乗車、入店するときなどとか、分かりやすく発信。今、御検討いただけるという御答弁は重要だと思いますので、三月十三日以降、現場が混乱しないように是非お願いをいたします。

 あとの質問は、また戻ってこられたら戻りますので、お願いします。

 それで、文科大臣、最初の通告どおりいきます。

 旧統一教会と自民党との関係ですね。これは資料の一以降、るる、先週土曜日、「報道特集」もかなり詳細に報道していましたので、番組を御覧になったかどうか分かりませんが、御覧になっていないときのために一応ずっとつけております、その以降ですね。御覧になりながら質問を聞いてください。

 旧統一教会と自民党との関係が、家庭教育支援条例、資料の一、二ページ、あるいはLGBT、今日、西村委員もおいでですが、岸田総理の答弁を聞いていても、明らかにLGBT理解増進法に影響を与えてきた、その影響について。さらに、それが解散命令請求にまで影響を与えているんじゃないか、そういう見方もありますので、以下、伺います。

 資料の一ページ目、二ページ目を御覧をいただくと、一、二とプロットしたのは、これはうちの事務所でやりました。それはどういう意味かというと、二ページ目を見ていただくと、これは予算委員会でもさせていただきましたが、まさに旧統一教会と自民党の都道府県連との対応で、二ページ目の一番上が、旧統一教会側との接点や関係遮断の、関係を絶つと意思を確認しない方針が十二の自民党都道府県連。もちろん、これは最新の報道ではありませんから、若干変わっているということは留意する必要があると思います。その後、既に確認したり、逆に今後調べる、つまりまだ確認していない、こういう方針。その下、意思確認していないが、今後申請が出てきたものは確認する、無回答、分からない。

 こういう中で、最初のページを見ていただくと、家庭教育支援条例等の制定をしている自治体は、十七の都府県、市町村。そして、二番が、条例を法制化すべきと国に対して意見書を出しているのは、これは一年以内に載っていたもので、六件ですね。

 これ以外に、資料の三ページ目以降を見ていただくと、これは朝日の記事をつけています、それから条例の、一応様式も添付しています。

 実は、六つしか書いていませんが、これは一年以内で、あとは破棄されていますから、三十四もの自治体から、地方議会から、国に対して家庭教育支援法の制定の意見書が上がっているんですよ。

 それをプロットすると、ちょっとこれは見えづらいかもしれませんが、私が青マーカーで更に引いた部分が増えるんですね。つまりは、まさに自民党の都道府県連と統一教会との関係を遮断する、しないと、家庭教育支援条例、そしてまたそれの法制化を求めているというこの地方議会がかなりのウェートでクロスする、一致するということなんですね。

 前回の質問では、永岡大臣は、私が、旧統一教会が自民党議員に働きかけをして、家庭教育支援条例の法制化、あるいはLGBT理解増進とか、同性婚とか、選択的夫婦別姓とかはとんでもない、後で資料を見せますけれども、そういうことを言ってきて、キャンペーンを張ってきて、影響を受けていないと御答弁をされましたが、これで影響を受けていないと言えるでしょうか。御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 確かに、二月の二日、衆議院の予算委員会におきまして、家庭教育支援につきましては、教育基本法の十条二項に基づきまして、文部科学省においては、有識者や自治体、関係者などの意見も踏まえまして進めております、御指摘のような政治的な影響があったかということは考えておりませんと申し上げました。

 一般論におきましては、政府におけます政策の企画立案というのは、国民、有識者、その他幅広い関係者の意見を積み重ねた上で進めていくものでございます。

 やはり、繰り返しになりますけれども、御指摘のような政治的な影響があったということは今でも考えておりません。

柚木分科員 これは答弁が矛盾していますよね。そういうふうに強弁をされるのであれば、更に進めますが。

 資料七ページ目以降、「報道特集」、土曜日の。これは全部刷ると大変なあれになるので、特に関係があるところ。

 全国三十四の自治体が、まさに旧統一教会の働きかけを受けてというのは後でるる分かりますが、国に家庭教育支援法の制定を求める意見書を提出、二〇一七年以降ですね。まさに大反対キャンペーンを張るわけですね。パートナーシップ制度や同性婚に反対、これは鈴木エイトさんの提供ですね。

 そして、沖縄県宜野湾市役所では、多様性を尊重する条例案、議会で否決。これは、ほかの議会では可決しているようなものを、旧統一教会と非常に接点があった方が当時の議長さんで、自民党会派から出ている、否決する。まさに次のページがその議長さんですね、当時の。自民党系の与党会派の反対多数で否決。

 ちなみに、市長さんというのは別に野党系じゃないですよ。自民党会派さんとちゃんと意思疎通ができる方。

 その次のページ以降、まさに世界平和青年連合元会長は、岸田総理と同じようなことをおっしゃっていますね、家庭と社会を破壊して、国ががたがたになっていく。社会が変わってしまう。そして、そうやって条例を制定するんですか、法律で同性婚という結婚制度を認めるんですかと。

 この宜野湾市の議長さんは、LGBTの話もたくさんあります、性の多様性だとか言われています、だからといって、公的機関、つまり自治体ですね、議会が条例を作ってそれを認めるということは、未来の日本国にとっては余りにも情けないお話になろうかと思います、こうるる述べられて、こういうことを、統一教会の関係団体が公民館で主催した会に行かれた方、この議長さんのお話を聞かれた方は、次の十六ページ目、統一教会の教えをそのまま言って、実行しているとの印象を受けたと。

 この議長さんは、後で調べたら、合同結婚式にまで行っている、海外で。これは報道ですからね、全部。十八ページ目に資料もつけています。

 さらに、驚いたのは、この集会に参加した男性は、抗議状が来た、公開質問状はこの議長さんに送ったと。議長さんに送ったのに、次を見てもらうと、その抗議文が家庭連合の方から来ているんですよ。おかしくありませんか。最後、それはまさに教団側と自民党の議員さんたちが一体化しているということを証明していると。

 沖縄は、ちなみに、最初の資料を見ていただいても、二ページ目ですね、この関係を絶つかどうか分からないということです。

 これは影響を受けているんじゃないですか、大臣。

永岡国務大臣 各自治体におけます条例の制定ですとか、また意見書の採択等につきましては、各地方議会による必要な審議を経て、その判断と責任の下に行っているものと承知をしているわけでございます。

 自治体におきまして決定された事項につきまして、事柄につきまして、私が意見を申し上げるという立場にはない、そう考えております。

柚木分科員 意見を言えないですよね、もうずぶずぶですからね。ちょっとこれは本当に正してください。

 それで、解散命令請求にまで影響を与えられては困るんです、大臣。本当に私どもも、とにかく一日も早い解散命令請求をお願いしてきていますよ、去年の年末の、まさに被害者救済法案の審議のときから。もう二月も終わりですよ、大臣。ここに来てこれから解散命令請求を裁判所にする、もう三月に入りますよ、統一地方選挙が始まるんですよ。統一地方選挙に向けてのアピールをするためのようなタイミングで、統一地方選挙前に解散命令請求をするのは、政治利用とも受け止められかねません。

 逆に、統一地方選挙の後にしちゃったら、いやいや、自民党議員さんの中で、さっきのように、旧統一教会から応援を受けている議員さんがいっぱいいる。岡山にもおられるんですよ。報じられています、認められています。そういう方々に配慮したとなっちゃいますよ、後だったら。

 だから、どっちにしても政治利用となりかねないタイミングになっちゃっているんですよ、大臣。一刻も早く、まさに旧統一教会への解散命令請求をしてほしいとずっと言ってきましたよ、昨年末から。もうこんなに遅くなっちゃった結果、統一地方選、三月の前でも後でも政治利用になりかねないタイミングになっちゃっていますよ。

 早く出してほしいけれども、政治利用ではないタイミングで出していただくことが必要だと思いますが、いかがですか。

永岡国務大臣 解散命令の要件というのは、やはり宗教法人法に厳格に定められております。この要件に該当するかどうかの判断に当たりましては、法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げというものが不可欠と考えております。

 解散命令請求の判断につきましては、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきますけれども、報告徴収、質問権の効果的な行使などを通じまして、旧統一教会の業務等に関して、具体的な証拠、資料などを伴います客観的な事実を明らかにするための丁寧な対応、これは着実に進めてまいりますし、その上で、法律にのっとり、必要な措置、それを講じてまいります。

柚木分科員 是非、本当に政治利用と受け止められるタイミングを避けて、早くといっても、私も今月中ぐらいがぎりぎりだと思っているんですけれども、多分、今のリアクションだとなかなか難しいのかもしれませんが。少なくとも、政治利用だと受け止められる解散命令請求のタイミングは避けていただくように、そして早くということをお願いしておきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、また伊佐副大臣に伺いたいと思います。

 コロナ五類後の医療機関の診療体制確保について、これは非常に重要なことなので伺います。この項目はちょっとまとめて伺います、時間がありませんので。

 五月八日の五類移行後、つまりインフルエンザと同様の扱いになって以降、自治体、全国知事会、平井鳥取県知事さんが会長ですね、加藤大臣や後藤大臣にも要請されていますが、病床確保料の継続、つまり財政支援ですね、自治体間格差が生まれないように、これは各都道府県知事さんがおっしゃっています。これがなければ、この後お願いする治療薬、あるいは入院調整はできませんよね、だって、受皿がなければ。

 この治療薬も、例えば、一人の治療にかかる薬価、薬が十万円を超える高額なものがあるとか、これは受けませんよ、十万円。私も八月に療養しましたけれども、十万円、ちょっと無理ですという感じですよね。

 あるいは、入院調整、これは現在行政が担っていますが、医療機関が、さらに、コロナで大変なのに、マスクルールが変わるのに、勘弁してくださいとおっしゃっていますよ、医療機関にこれ以上負担がかかるのは。

 これも、現在の行政がやっている部分については、当面、特に感染拡大時や、重症者、妊婦さんなどについては継続すべきだと思いますので、是非、五類移行後の医療提供体制、しっかりこういった自治体、ちなみに、自治体の知事さんたちは、このコロナ支援の五類移行後の維持が統一地方選挙の最大の論点だとまで今言い始めていますから。是非、特に病床確保料の継続を含めてお願いします、御答弁を。

伊佐副大臣 今回、分類の見直しというものをさせていただく中で、入院、外来の取扱いについて、原則としては、インフルエンザなど、ほかの疾病と同様になるということになりますが、ただ、幅広い医療機関で受診していただける医療体制に向けて、いずれにしても、段階的な移行を目指していくべきだという方針の下で今議論を進めさせていただいております。

 そういう観点で、診療報酬上の特例措置あるいは病床確保料の取扱いというものについては、こうした各種対策、措置の段階的な見直しという観点で、関係者の意見も伺いながら今議論を進めておりまして、三月上旬をめどに具体的な方針をお示ししたいというふうに思っております。

 治療費につきましても、急激な負担増が生じないようにするということが重要な論点だというふうに思っております。自己負担に対しての一定の公費支援については、期限を区切って継続することとしたい、その上で、三月上旬をめどに具体的な方針も、これも三月上旬でございますが、お示ししたいというふうに思っております。

 あともう一点、御質問いただいた入院調整でありますが、幅広い医療機関で受け入れていただくという点と、そして、入院調整について、今までは行政が関与していたものでございますが、これは、個々の医療機関の間で調整する体制へと段階的にここも移行していくということを目指しております。

 その上で、ただ、そうはいっても、感染拡大時でありますとか、あるいは重症者、妊婦、こういう方々に対する入院調整の在り方については、先ほどの段階的な見直しという観点で、具体的な内容というものをもう少し様々な意見を伺いながら調整を進めていきたいというふうに思っております。

柚木分科員 最後、短く一点だけ。

 マイナ保険証、これも、一年延長できる、有効期限。だけれども、健康保険証のように自動的に更新されるわけではないとも聞いていまして、これは、うっかり更新するのを忘れていたら、いざ医療機関、病院、クリニックとかに行ったら、資格が喪失されていますから全額自己負担とか、結局、無保険扱いとなりかねないわけです。

 そういうことにはならないように、強制ではないわけですから。マイナ保険証を利用している人と、医療費負担が、窓口負担が増えるということも問題ですが、少なくとも、更新をうっかり忘れていたりしたときに全額自己負担になるようなことは、これはあってはならないと思います、皆保険の崩壊につながりますから。御答弁をお願いします。

伊佐副大臣 保険料を納めることで保険診療を受けることができるというのは、これは当然の権利であります。更新につきましては、更新は、当然、一年たったら更新できないというわけではございませんので、本人の申請に基づいて保険者が行っていくということになります。

 委員の御指摘のあった、更新ができないということで医療費が全額負担となるような事態が生じないように、ここはしっかりと検討を進めていきたいというふうに思います。

柚木分科員 終わります。

 最後、重要な答弁をいただきましたね。更新をうっかり忘れていても全額自己負担にはならない。これはちょっと安心しましたが、少なくとも、強制につながっていかないように、格差が生まれないように、いろいろな御対応をお願いして、質疑を終わります。

 大臣もありがとうございました。

三谷主査 これにて柚木道義君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮路拓馬君。

宮路分科員 自由民主党の宮路拓馬でございます。

 本日、多数質問をさせていただきますが、まず、昨年、国連障害者権利委員会、障害者権利条約の対日審査勧告というのが出されました。総括所見の中で、障害者権利条約二十四条に関連して、政府が二〇二〇年に発出した通知、その中身は、特別学級の児童が授業時間の半分以上を通常の学級で過ごしてはならないという旨ですが、その通知に関して懸念が表明されたところです。

 ただ、この通知についてしっかりその趣旨を確認すると、特別支援学級で半分以上を過ごす必要のない子供については通常の学級に在籍を変更することを促すということとともに、特別支援学級の在籍者の範囲を特別支援学級での授業が半分以上必要な子供に限ることを目的としたものであって、むしろインクルーシブ教育を推進する趣旨だというふうに聞いております。

 そうであるとするならば、今回、この総括所見にこうした懸念が示されたことは大変残念だというふうに考えております。そうしたことであるとすれば、国連障害者委員会の誤解を解くためにも、正確な通知の趣旨と内容の発信について、しっかりと国としても発信、周知を徹底すべきだと考えますが、御見解はいかがでしょうか。

藤原政府参考人 ただいま御指摘のとおり、昨年四月に発出をいたしました通知は、特別支援学級在籍者の範囲をそこでの授業が半分以上必要な子供に限るとともに、その必要のない子供が特別支援学級に在籍している場合は通常の学級に在籍を変更することを促す、こういったことを目的としたものでございまして、むしろインクルーシブ教育を推進していく、そうした趣旨の通知でございます。この通知の趣旨を障害者権利委員会に説明する機会がない中で、通知の撤回を勧告されたことは遺憾であると考えております。

 文部科学省としては、これまでも通知に関するQアンドAの発出や自治体への説明会の実施等を行ってきたところであり、引き続き、このような取組を通して通知の趣旨の周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

宮路分科員 永岡大臣も記者会見等でその旨発信をされておりますが、やはり正確な理解を求めるというためには努力が必要です。不断の発信に努めていただければというふうに思います。

 ただ、その総括所見においては、それ以外の分野、今申し上げた通知以外の懸念あるいは我が国に対する要請については真摯に受け止める必要があるというふうに考えています。

 例えば、通常学級、小中高に通いたいという本人あるいは保護者が、しかし、実際には、学校からその受入れについて、体制が整備されていないから、十分ではないから受け入れられない、特別支援学校に通ってくれというふうに通学を断られるというケースがいまだあるというふうに聞き及んでおります。

 学校教育法が改正されて、子供本人そして保護者の意向を最大限尊重するとなって久しいわけですが、いまだそういった状況が残っているというのは非常に懸念すべき点であるというふうに思っております。

 そうした意味では、総括所見で述べられた、非拒否条項、拒否してはならないという原則を打ち出すということは大変一考に値する指摘だというふうに考えておりますが、それに対する文科省の受け止めをお聞きしたいと思います。

 あわせて、ただ、文部科学省はこれまで何もしていなかったわけではないと私は認識をしております。障害のある児童生徒が原則として通常の学級に在籍し、適切な配慮や指導の工夫等により適切な教育を受ける特別支援教育構想という構想を、実は平成十七年、大分前になります、その時点で既に打ち出していたということは評価に値すると考えております。

 ただ、その構想を打ち出して実現に至っていないということであれば意味がありません。その構想、せっかく出した大変すばらしい構想だと私は認識しておりますので、その具現化に向けた取組をより一層推進すべきである、今回の総括所見を受けてそのように考えておりますが、文科省の見解を併せて伺いたいと思います。

藤原政府参考人 障害のある子供の就学先については、本人及び保護者の意向を最大限尊重することとしておりますが、御指摘の特別支援教室構想は、全ての児童生徒が通常の学級にまず在籍をいたしまして、必要に応じて特別の場で障害に応じた指導を行う、こういった構想でございます。

 現在、一部の自治体では、特別支援学校に在籍する児童生徒が地域の小中学校に副次的な籍を置く、こういった取組も行われているわけでございますけれども、文科省では、先ほど御質問いただいた通知において、こうした取組の重要性が増しているといった旨もお示しをしているところでございます。

 これらの特別支援教室構想や、副次的な籍を置く、こういった取組は、障害のある子供と障害のない子供が共に過ごす条件整備を更に進める、こういった趣旨であると考えておりまして、現在、有識者会議において、その趣旨も踏まえ、特別支援学校と小中高校のいずれかが連携した一体的な取組を行う自治体への支援等について議論がなされており、年度内に取りまとめられる予定でございます。

 そうした内容も踏まえ、引き続き、インクルーシブ教育システムの促進に取り組んでまいりたいと考えております。

宮路分科員 今御答弁いただきました副籍、非常にすばらしい取組を自治体が先進的にやられているということは大変評価に値すべきですし、そうした横展開を図っていくべきだと考えております。

 そのときに、副籍、どちらが本籍なのかというのも大変重要だと思っておりまして、やはりインクルーシブ教育を前面に掲げる以上、本人の意向に沿って、特別支援学校に、物理的にはそこに長くいつつも、地域の、自分が住む近くの学校に本籍を置きたいという思いがあるとすれば、それにしっかり応える、つまり、本籍は小中高、いわゆる通常学校の通常学級に置くなり、これは質的な話だと思いますが、是非そうした方向で考えていただければと思います。

 このインクルーシブ教育に関して、国の立場は、多様な学びの場を確保することが重要だというふうに考えていると承知をしておりますが、多様な場、これは確かに大事です。ですので、特別支援学校も、やはりそれに応じたプロフェッショナルの先生方がおられる、そうした場は大変重要だと考えておりますが、あくまでも生徒本人、そして保護者の意向により学ぶ場というのは決まるべきだというふうに考えております。したがって、その意向が最大限尊重される環境を整備するということ。

 そして、これは実は、障害児あるいはその保護者だけの問題ではないと思っています。このインクルーシブ教育というのは、障害を持つ子供さんとともに過ごす、いわゆる障害のない子供たちにとっても大変重要なテーマであるというふうに思っております。

 共生社会、多様性が認められる社会とするためには、教育段階から、幼いときからインクルーシブな環境に置かれるということが、障害児のみならず、障害を持たない子供にとって大変重要だということであるとすれば、やはり基本的には通常学級あるいは通常学校、そういったところでしっかりと障害を持つ子供さんたちがそこを本籍として学べるような制度、仕組みとしていただければというふうに思っております。

 続きまして、聴覚障害の問題について質問したいと思います。

 私は、自民党の難聴対策推進議員連盟、その事務局次長として様々な政策提言を政府に対しても行わせていただいておりますが、その中で、厚労省と文科省の方で連携をして、難聴児の早期支援充実のための連携体制構築事業というのも打ち出していただきました。

 これは、いわゆる未就学児に対する早期からの療育を含めた支援ということですが、実際、我が地元鹿児島の聾学校でもそうした取組を行っておりまして、聾学校において、まだ通学前の、つまり未就学児を受け入れて、保護者とともに、療育あるいは聴覚障害に応じた子育て支援というか教育を行っている、そういう実態でありました。

 そこに従事する先生方、大変頑張っておられまして、手話も、実は私は国会議員の中では珍しい手話ができる議員でありますが、同じく先生方、手話を駆使しながらその教育に当たられていましたが、ただ、残念なことに、全ての先生が聾学校において手話ができるわけではない。むしろ、まだまだ手話ができる教員の数が十分ではないというのが実態であります。

 先ほど申し上げた総括所見の中にもやはり、要請の中で、児童のための手話教育等、通常の教育環境における補助的及び代替的な意思疎通様式及び手段の利用を保障し、障害者を包容する教育環境における聾文化を推進し、盲聾児童も含めてそうした教育を利用する機会を確保することというふうに指摘をされております。

 そうした指摘も踏まえれば、聴覚障害を持つ児童に十分な教育を行うための環境整備を整えていくことが大変重要であると考えております。

 現在、手話に関しては、手話通訳士という資格がありますが、難易度がとても高い。私も、とてもとても資格取得は無理だなというふうに思うわけですが、さらに、取得するまでに相当な長期間のプロセスが必要であるということで、結果、手話通訳業務に従事する人数が少なくなり、そして、聴覚障害を持つ児童が手話によって教育を受けづらい状況にあるというふうに認識をしております。

 現在、群馬大学などにおいて専門の講座が設けられて、そうした手話通訳士の資格を大学、高等教育段階でしっかり取れるような取組も出てきているというふうには認識しておりますが、一方で、もう少し手軽にというか、身近な資格として、我が難聴対策推進議員連盟が提言をした手話支援員の資格の創設も必要だというふうに考えておりますが、文科省の見解をお伺いいたします。

藤原政府参考人 手話の重要性ということは言うをまたないところであろうと思っております。

 特別支援教育に当たる教師の皆様方の中で、手話ができるといった割合が必ずしも高くないといった状況にあるということは認識をしているところでございます。

 資格の創設ということにつきましては、関係省庁を始めとする関係者間で議論をしていくことが必要というふうには考えているわけでございますけれども、そうしたことも踏まえつつ、いずれにしても、手話のノウハウがちゃんと身につけられるように、そうした体制整備を図っていくことが重要と考えております。

 この点では、現在、国立特別支援教育総合研究所において、手話に関する聴覚障害の研修をオンラインで実施をしているところでございます。こうした取組の充実を図って、御指摘のような体制の強化ということを努めてまいりたいと考えております。

宮路分科員 手話は言語です。そして、私も大学時代に手話サークルで手話を学びましたが、言語として大変面白い、だからこそ私も手話ができるようになったわけですが。昨今、手話が用いられるドラマも放映され、私は見ていなかったんですが、大変人気を博したということで、手話に対する関心も高まっているこの時期を捉えて、しっかり進めていただきたいというふうに思っております。

 続いて、これまた私の政治家としてのライフワークの一つである女性の健康課題、この点についてお伺いをしたいと思います。

 私が事務局長を務めるフェムテック振興議員連盟、いわゆる女性特有の健康課題、生理や妊娠、出産、不妊治療、あるいは更年期、それに伴うつらさや悩みをテクノロジーの力で解決するというものですが、テクノロジーの進歩で様々な解決手段が出てきてはいますが、その前提としてまず、女性の健康課題、月経痛のことであるとか月経前症候群、あるいは妊孕性の話、そしてまた更年期の話についてやはり学ぶ場が必要だというふうに考えております。

 昨年、内閣府大臣政務官時代、本邦初でありましたが、内閣府の新採研修において、女性の健康課題について新採職員が学ぶ場を設けていただきました。社会人になってから学ぶ場も大変重要なんですが、やはり教育段階において学ぶことが必要である。

 先般、私の大学の後輩に当たる男子学生と意見交換をする場があったんですが、やはり今この時代においても、私が卒業してからもう二十年以上たちましたが、今この時点においても、今の大学生たちは、教育段階で、そうした女性の健康課題、生理や更年期、あるいは妊孕性、これは自分たちの男性不妊についてもしかりなんですが、学ぶ場はなかったというふうに聞いております。

 やはりまずリテラシーが高まらないと、幾ら解決策が出てきたとしても、そこにアクセスする機会が得られません。そういう意味では、女性の健康課題に関する知識向上を目指して、女性の健康課題について教育段階から学べるようにすべきと考えますが、文科省の見解をお伺いいたします。

藤原政府参考人 心身の健康の保持増進に関する指導については、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達の段階に応じて指導することとしております。

 このうち、女性の健康課題については、例えば、中学校の保健体育科で、初経後の数年は体が未成熟であることから月経周期が不規則なことがあること、また高等学校の保健体育科では、月経前症候群、PMSや、月経痛を伴う月経困難症があること、三十歳半ばからは妊娠の可能性は急減すること、中高年期になると加齢とともに心身の機能に老化が生じることなどが教科書に記述をされているところでございます。

 こうした学習内容も含め、児童生徒が積極的に心身の健康の保持増進を図っていく資質、能力を身につけられるよう授業改善に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、こうした取組に加え、関係省庁と連携し、産婦人科医や助産師など外部講師の活用も促しているところであり、女性の健康課題も含め、健康の保持増進に関する指導の充実を図ってまいりたいと考えております。

宮路分科員 実は、先般、バドミントン元日本代表の潮田玲子さんとも意見交換をさせていただいたんですが、トップアスリートといえど、自分の体について、つまり月経痛やPMS、月経前症候群のことについて知識がなく、そうした生理周期にアスリート人生を通じて悩み、それを仕方がないと諦めていた、解決策がないと諦めていたという話を聞いたところです。

 今局長が御答弁いただいたとおり、教育課程にしっかりと明記されているといえど、結局それが届いていないというのが現実です。より具体的に、そうした誰もが知っているような方でもそういう悩みを抱えていたとか、それを解決したケースがあるとか、より、聞いている生徒さんたちに自分事として聞いていただけるような工夫を凝らした教育を是非お願いしたいというふうに思っております。

 続いて、子供のメンタルヘルスの問題についてお伺いをしたいと思います。

 近年の急激な社会環境や生活環境の変化で、子供の心身の健康にも大きな影響を与えております。とりわけ、昨今のコロナ禍において、一斉休校などもあり、実は、二〇二〇年、小中高の自殺者は過去最多となった。そして、たしか昨年の自殺者数は五百名を超えたという話も聞き及んでおります。その主たる要因の一つに、メンタルヘルスの問題が大きく関わっているというふうに考えております。

 今だからこそ、子供の数が減っているからこそ、一人一人の子供が健やかに育つということはこれまで以上に大変重要になってきています。そうした意味で、子供のメンタルヘルスケア、メンタルヘルスの問題への取組が大変重要だというふうに考えておりますが、文科省の取組についてお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 子供のメンタルヘルス、これは極めて重要でございます。また、御指摘がございましたように、小中高校生の自殺者の数が過去最高になっているという極めて深刻な状況にもあると認識をしております。

 こうした状況の中で、相談体制の充実を図るという観点から、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の推進を図っているところでございます。その際には、対面それからオンライン、この双方を有機的に活用した支援を行っていくという方向で進めているところでございます。

 令和五年度の予算案におきましては、スクールカウンセラー等の配置について、重点配置の学校数の増加を図るとともに、新たに、オンラインを活用した広域的な支援体制整備のための予算も計上しているところでございます。

 文部科学省では、様々な事情を抱えた子供たちに相談支援が届けられるよう、引き続き、必要な支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

宮路分科員 もちろん、文科省もスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの増員を図り、そうしたメンタルヘルスの問題にも取り組んでいただいておりますが、従来型のアプローチ、やり方だけではとても間に合わないような状況だというふうに思っております。

 そうした意味では、先般話を聞いたんですけれども、精神科医の方がアプリを開発して、そして、GIGAスクール構想、一人一台端末が実現した中で、その端末を使って、そのアプリで、AIなどの技術を使いながら子供のメンタル面の変化を敏感に察知し、本当にケアが必要な子供をしっかりスクリーニング、抽出して、そしてその子供に対面でサービスを展開するなり、いわゆるハイブリッドが必要だと思っております。

 そうしたテクノロジーの力も十分使う、スタートアップの力も十分使う、NPOの協力も得る、総力戦でこの問題については取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 続いて、LGBTQの問題についてお伺いをしたいと思います。

 先般、内閣委員会においても質問させていただきました。我が党においても、LGBTQの理解増進法、議員立法での動きが出てきているところでありますが、その成立を待たずして、やはり教育段階におけるLGBTQの理解増進、これは、教育者である教師側ももちろんですが、あわせて、生徒側に対する理解増進、これは人権教育の一環として行われてきているとは思いますが、昨今、ますますその重要性は高まっております。

 本年、G7サミットも日本において開催をされます。そうした中でますます重要性が高まっている中、文科省の取組、見解についてお伺いをしたいと思います。

藤原政府参考人 性同一性障害や性的指向等を含め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することができる共生社会を目指した取組を進めることは極めて重要であると考えております。

 このため、文部科学省では、性同一性障害や性的指向等に係る児童生徒等へのきめ細かな対応に資するよう、教職員向けの啓発資料や研修動画の作成、周知、改訂版生徒指導提要への性的マイノリティーに関する記載の追加などを行ってきたところでございます。

 さらに、児童生徒の理解増進のため、学校教育における人権教育を通して、多様性に対する理解、自他の人権の尊重等の態度を育む取組を進めるとともに、人権教育研究推進事業において、性的マイノリティーに係る理解を深めるための実践的な研究も進めているところでございます。

 共生社会の実現に向けて取組が更に進むよう、学校現場での取組の推進に努めてまいりたいと考えております。

宮路分科員 やはり無理解が差別的な発言などにつながる、これは真理だと思っております。したがって、教育段階における理解増進というのは極めて重要だと考えておりますので、更なる対策の推進をお願いしたいと思います。

 最後に、障害者スポーツについてお伺いをしたいと思います。

 実は先日、サッカー外交推進議員連盟、超党派になりますが、において、日本代表の森保監督、そしてまた日本サッカー協会の田嶋会長、宮本恒靖専務、あるいはJリーグの野々村チェアマンなどをお招きをして、様々な意見交換を行わせていただきました。次長も同席していただいたと思います。

 日本サッカー協会は、ダイバーシティー、多様性を運営の柱に据えておられます。サッカーは障害種別が何と七つもある。デフ、ブラインド、知的障害、ソーシャル、つまり精神障害ですね、麻痺、そしてアンプティー、片足がない、片手がない方々によるサッカー、そして電動車椅子サッカーと、実に七つものカテゴリーがある。大変ダイバーシティーが行き届いたスポーツ、グローバルスポーツだと思っております。

 そうした形で、障害者のスポーツというのが今どんどん拡大をしてきております。東京パラリンピックにおいても多くのアスリートが活躍をし、国民に感動を与えていただいたところでありますが、しかし、実際、裾野という意味では、トップアスリートだけではなく、多くの一般の障害者の方々がスポーツに関われる、スポーツを行うことができる環境が必要だというふうに思っております。

 しかし、現実は、例えばスポーツ用の車椅子一つ取っても大変高額であります。あるいは、私の鹿児島の友人は義足なんですが、交通事故で足を切断し義足になったんですが、その陸上用の、スポーツ用の義足、これも大変高額だというふうに聞いております。スポーツを継続することも大変金銭的な負担になっていると。

 厚労省では補装具費支給制度というものが福祉政策の中で設けられていますが、そもそもスポーツ用の義足やスポーツ用の車椅子は対象となっていません。

 そうした中、ダイバーシティーの一層の推進、あるいは一億総活躍社会の実現を目指すのであれば、障害者スポーツについて更なる支援を行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

角田政府参考人 お答えいたします。

 ダイバーシティーの高い共生社会の創造のためには、障害のある方が、障害の種類や程度、ライフステージに応じて、身近な地域で日常的にスポーツを楽しめる環境を整備することが大変重要だと考えてございます。

 そのような中で、一部の障害種におきましては、競技用の義足あるいは車椅子といった、スポーツを実施するため体の機能を補助する用具を用意する必要があるものの、それらの用具が高額なために、障害のある方がスポーツを気軽に行いにくい状況になっている、こういう御意見もあると承知をしているところでございます。

 このため、スポーツ庁におきましては、令和元年度より、障害者スポーツ推進プロジェクトのメニューに、障害者スポーツ用具活用促進事業を加え、障害者スポーツを試したい方が少ない負担で用具を利用でき、気軽にスポーツにアプローチできるようにするために、スポーツ用具活用普及拠点の整備に向けたモデル創出等の事業を継続して実施しているところでございます。

 これらの取組を通じまして、地方自治体あるいは関係団体などと緊密に連携しながら、障害のある方がより少ない経済的負担で自らに合ったスポーツを試すことができる持続的な環境の実現に努めてまいりたいと考えているところでございます。

宮路分科員 入口が大変重要です。やはり気軽に始められるように、今御答弁いただいた事業は大変有効だというふうに考えております。ただ、これは国が直轄で行うわけにはいきませんから、やはり自治体の意識が高まり、そして取り組む自治体が増えていくことが大変重要だと思っておりますので、しっかり予算の確保とともに自治体への売り込みを是非お願いをしたいと思います。

 最後に、デフリンピックについてお伺いをしたいと思います。

 二〇二五年、日本で初めて東京においてデフリンピックが開催をされます。私が大学時代、手話を学ぶ中でできた聾の友人は、実はデフリンピックのスノーボード競技の代表候補でした。鹿児島生まれの私は彼からスノーボードを教えてもらったわけですが、いよいよ日本においてもデフリンピックが開催される日が来るんだなと大変わくわくしております。

 大会の成功に向けて、スポーツ庁においても全面的にバックアップしていただきたいというふうに考えておりますが、御見解をお伺いいたします。

角田政府参考人 お答えいたします。

 二〇二五年、夏季デフリンピック競技大会が東京で開催されますことは、障害者スポーツ振興の上でも大変意義深いものと考えております。

 日本でのデフリンピックの開催は初めてであり、大会の開催を契機といたしまして、聾者スポーツへの理解、環境整備など、共生社会の実現に向けた取組が進んでいくことが重要であると考えているところでございます。

 大会に向けましては、現在、全日本ろうあ連盟及び東京都を中心に、具体的な運営体制や大会計画などについて検討を進めている状況と承知をしております。

 スポーツ庁といたしましては、二〇二五年の大会の成功に向けまして、全日本ろうあ連盟、開催都市の東京都と緊密に連携しつつ、必要な支援、協力を行うとともに、聾者スポーツの普及振興を着実に進め、スポーツを通じた共生社会の実現を目指して取組を進めてまいります。

宮路分科員 ありがとうございました。

 質問を終わらせていただきます。

三谷主査 これにて宮路拓馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、勝目康君。

勝目分科員 自由民主党の勝目康でございます。

 本日は、予算委員会第四分科会で質問の機会を頂戴しまして、ありがとうございます。永岡大臣始め文科省幹部の皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 早速質問に入りたいと思います。

 まず初めに、文化政策についてお伺いをしたいと思います。

 突然ですけれども、大臣は安倍総理の回顧録はお読みになられましたでしょうか。その時々の息遣いが聞こえるような、大変な書物であったというふうに思いますけれども、私は次のシーンが非常に印象に残りました。

 フランスのオランド大統領を国賓でお迎えになったときのことでありますけれども、元赤坂の迎賓館というのはベルサイユ宮殿を思い起こさせるけれども、本物と比べれば明らかに見劣りがする、フランス人に見せるのがちょっと恥ずかしかった。あるいは、ワーキングランチの食事はフレンチで、本場の人に挑んで大丈夫なのかと心配になったとあります。

 誤解なきように申し上げますと、私、フランスで三年仕事をして、日本のフレンチは世界一だと心底思っておりますので、質が低いということを言いたいんじゃないんです。

 ただ、このエピソードが物語るのは、明治維新以降の日本の近代化というのが、欧米に追いつけ追い越せ、キャッチアップ型で国づくりをしてきた、その表れなんじゃないかな、こういうふうに思う次第であります。

 日本が独自の文化の中で、海外からの賓客をもてなす空間がつくれないのか、お出しする料理がないのか。答えは当然、否であります。

 ウィズコロナの世の中になれば、これまた再び世界はグローバル化が進んでいくわけであります。こうした中で、いかに日本らしさというものからその価値を生み出していけるか、このことが重要になるというふうに考えております。

 そこで、文化庁の京都移転であります。いよいよ三月二十七日、移転の日が迫ってきました。京都文化庁は、単なる京都の町おこしを超えて、我が国の文化政策を、まさに明治維新以降の欧米キャッチアップ型から脱却をして、建築も庭園も工芸も料理もそうでありますけれども、より日本らしさを基軸に据えて、新たな価値を創造する、こういう文化政策を展開していく、こんな役割を担えればなというふうに考えているところであります。

 永岡大臣に改めて京都移転の意義をお伺いしたいと思います。また、この京都移転は第二期文化芸術基本計画の実質初年度でもございます。京都移転の意義も踏まえ、計画の方向性、基本的な考え方を併せて伺います。

永岡国務大臣 勝目先生には、先月、私が京都の新しい文化庁の庁舎に視察に行きますとお話ししましたところ、一緒に同行していただきましたこと、本当に感謝申し上げます。

 実は副大臣のときも全然整備されていない庁舎のところに伺わせていただいたのですが、本当にきれいになり、また、早く使ってほしい、そういう声が庁舎から聞こえてきた、そういうふうに感じて、うれしく思った次第でございます。

 さて、文化庁が京都に移転をする意義につきましては、単に東京への一極集中の是正ということにはとどまりません。やはり、文化芸術のグローバルな展開、そして文化芸術のDX化、そして観光や地方創生に向けた文化財の保存、活用などを始めといたします新たな文化行政の展開を進めるもので、大変大きな契機になると考えていることでございます。

 このため、京都移転が行われます、令和五年度になりますが、これに向けまして、劇場や音楽堂など地域文化の振興拠点の強化ですとか、また、地域に貢献する特色ある取組を行う博物館の支援など新たな地域文化の創造に資する事業に要する予算案、これを計上するなど、これまで以上に文化芸術の振興に取り組むこととしているところでございます。

 また、さらに、二〇二五年には大阪・関西万博が開かれることになっております。内閣総理大臣を議長に関係府省庁で進めます日本博二・〇、これを全国展開をいたしまして、我が国の文化芸術や、また日本の美と心というものを、やはり国内外へ発信をしてまいりたいと考えているところでございます。

 また、現在、令和五年度から始まります第二期の文化芸術推進基本計画の策定を目指しまして、これからの五年間で、ポストコロナの創造的な文化芸術活動やデジタル技術の活用、そして文化資源の保存、活用や次世代の育成、そして多様性の尊重、また食文化や生活文化など、文化芸術を通じた地方創生に重点的に取り組むことなどの検討、これは文化審議会で進められているところでございます。

 委員御指摘のとおり、いよいよ文化庁が京都に移転をいたします。これを機に、例えば、文化芸術を通じた地方創生に更に力を入れるとともに、京都や日本の伝統文化も生かした我が国の文化芸術のグローバル展開、これも一層力を入れて取り組んでまいりたいと考えているところです。

勝目分科員 ありがとうございます。

 京都企業は、京都から本社を移さないというふうに言われています。これは、世界に対する、京都に本社があるという、その意義を理解してのことだと思います。文化庁も同様に、新たな文化政策の立案、発信の拠点として京都にしっかり根を張っていただきたいなと思いますし、この移転を単なる役所と公務員の引っ越しにしちゃいかぬということで、京都の方もしっかり役割を果たしていきたい、このように考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、計画についてもう一点お伺いしたいと思います。

 都倉長官は、常々、文化で稼ぐことの重要性というものを説いておられます。私自身も、文化の振興が豊かな社会経済の構築に寄与して、また、その果実が文化の振興へと再投資されていく、こういう、いわばらせん状に好循環が図られていくことで文化の発展と持続、これが成し遂げられるんだ、こういうふうに考えています。第二期計画の初年度となる令和五年予算における、この長官の意図を酌んだ具体的な取組内容について伺いたいと思います。

 また、この稼ぎを、もうかる文化の、その中だけで回すんじゃなくて、人材の育成であるとか技術の伝承とか、文化全体の底上げに循環させていくことも重要だと思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 これからの我が国の文化芸術の発展のためには、芸術レベル、サービスの向上などによる事業収益の改善や、多様な資金調達等による更なる再投資を進めることで、継続的な人的、経済的な資源投入を呼び込み、このことが更に文化芸術活動の振興、向上へとつながっていくという、いわゆる文化と経済の好循環を実現していくことが必要でございます。

 このため、こうした観点から、令和五年度予算案におきましては、国全体の文化芸術の自律的、持続的な発展を図るため、芸術家等の活動基盤強化及び持続可能な活動機会の創出、文化芸術エコシステムの形成促進、文化芸術のグローバル展開の推進などに必要な経費として、合計で十四億二千五百万円を計上しているところでございます。

勝目分科員 どうもありがとうございます。

 稼ぐとか経済とかというと、どうしてもお金もうけみたいなふうに受け止める方も多いわけでありますけれども、これは決してそうじゃないんだ、あくまで文化に対して再投資されていく、そして循環していくんだ、この一環としてまさに社会も豊かになるということを併せて是非発信をしていただければなというふうに思います。

 続きまして、日本が誇る文化財の保存、修復についてお伺いしたいと思います。

 匠プロジェクトによって文化庁さんも本腰を入れていただきました。本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。ただ、文化事業者の皆さんにお話を聞くと、原材料の確保とか担い手の育成、これを、しっかり自律的に回っていくためには、やはり事業量が要るよね、こんな話であります。

 先般、東博で国宝展を拝見をいたしました。これは非常にすばらしい展覧会でしたけれども、その中で、埴輪挂甲武人という、あの「おーい!はに丸」の、はに丸のモデルになったあれですけれども、これがバンク・オブ・アメリカの助成によって修復されましたという一文が書いていました。日本史の教科書の一ページ目に載るような文化財でありまして、これを外国企業の手で修復がされているということで、ありがたいなと思う反面、ちょっと複雑な思いもしたところであります。

 文化財の修復は各所有者が実施をすべきものでありますけれども、この負担を少しでも軽減していくことができれば、もう少し修復も進んで、事業量も確保できていくんじゃないかな、こう思うところであります。

 そこで、企業からの支援あるいは一般からの寄附の促進、こうしたものを通じて所有者負担を軽減して、文化財の修復事業が積極的に実施されることが大事だと思います。文化庁さんのお取組、お聞かせください。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化財を適正な修理周期で修理するために、必要な事業規模の確保を図り、その上で文化財の保存、活用における多様な資金調達の活用を促進することが重要である、このように認識しているところでございます。

 このため、文化庁では、文部科学大臣決定である文化財の匠プロジェクトに基づき、修理周期の適正化に資する事業規模の確保や多様な資金調達の促進を一体的に推進しているところでございます。

 このうち、文化財を適切に保存、修理し、将来に継承していくための国庫補助におきましては、文化財所有者等の負担を軽減するため、従来から所有者等の財政状況に応じて補助率の加算を行うとともに、令和四年度からは寄附により資金調達した場合に寄附額と同額を補助金に加算する仕組みを取り入れたところでございまして、その活用について普及啓発を図っているところでございます。

 また、さらに、委員御指摘のように、寄附の促進などを進め、文化財の修理が積極的に行われるようにしていくことは重要でございます。

 文化庁では、今から三年前でございますけれども、令和二年三月に、こういった、文化財保護のための資金調達ハンドブックというものを出しまして、地域の宝物、社会総がかりで守ろうというものを発行したところでございます。

 これは、全国の文化財所有者、地方公共団体担当者、関係の民間企業担当者等のヒアリングを通じて得た知見をまとめまして、どうやって資金を確保したらいいのかということでお悩みの方々などに御活用いただけますよう、具体的な事例を整理し、紹介しているものでございます。実は、これは文化庁の地域文化創生本部、いわゆる京都東山のオフィスで構えている先遣隊のメンバーが全国各地の事例を集めて作成したものでございます。

 こうした知見などを活用するとともに、今後、更に実態を調査研究しながら、社会全体で文化財を支える仕組みづくりなどについても検討してまいりたい、このように考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 いろいろと積極的に知見も集めて発信をしていただいて、恐縮です。寄附額を補助金に加算する仕組み、制度はできていますけれども、まだなかなかというところ、お伺いをしています。これがきっちり広まっていって、少しでも修復事業というものが実行されるように、まさに発信の方をよろしくお願いをしたいと思います。こういうことを通じて現実を動かしていきたい、このように考えております。官民共に取組が進むよう、よろしくお願いします。

 続きまして、文化に係る技術の伝承についてお伺いをしたいと思います。

 昨年の秋、京料理が無形文化財として登録をされました。このことを契機に、他の地域でもそれぞれの地域の料理の登録が進んでいって、持続的に和食が振興されていく、こういうことにつながっていけばなというふうに思います。

 現場の話を伺っていますと、そこで乗り越えていかないといけない壁、これが長時間労働規制だという声を聞くところであります。伝統工芸もそうなんでありますが、技術の習得というのは時間がかかります。これはもう体で覚えていく、体得しないとしようがないわけでありまして、日本文化というのはその積み重ねの上に受け継がれてきたものだというふうに思います。

 この修業の部分、これも労働時間に当たるということで、働き方改革の長時間労働規制に当たっていくということで、なかなか修業に時間を割けないという声を聞きます。

 もちろん、今は各お店ともちゃんと労基を守って、その中で経営をされているわけですけれども、心配なのは将来だということです。このままでは次の世代が技術を身につけられるだろうか、こういう心配です。その行き着く先は、結局、大手チェーンだけが生き残る無味乾燥な世界、これじゃ日本ならではの価値というのは生み出せないんじゃないかな、そんなふうに思うところであります。

 長時間労働規制によって文化の継承がなされなくなる、こんなことがないようにしていかないといけない。制度所管官庁として、厚労省さん、どういう取組をされるか、お聞かせください。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、和食や伝統工芸などの日本文化の技術を継承していくことは非常に重要であると認識をしております。

 他方で、時間外労働の上限規制は、誰もが心身共に健康で、希望に応じた多様な働き方が選択できる社会を実現するために必要不可欠なものであると考えております。

 厚生労働省におきましては、働き方改革に取り組んでいただく中小企業を支援するために、働き方改革推進支援センターにおいて、各事業主の事情に合わせた労働時間の削減に関する業務プロセスの見直しなど、専門家による支援を実施するほか、生産性を高めながら労働時間の短縮等に取り組む中小企業等に対して助成する、働き方改革推進支援助成金の支給を行っております。

 より多くの中小企業、小規模事業者等にこうした支援策を活用いただけますよう、一層の周知に取り組みながら、各業界の実情も踏まえて、今委員おっしゃったような、そういう業態も含めて、そういう事情も踏まえまして、働き方改革の推進に取り組んでまいりたいと存じます。

勝目分科員 おっしゃるように、業として適用除外するとか、そんなの到底やっちゃいけない話だと思っています。そうした中でどういうことができるかということで、現場の声、よくよく耳をそばだてていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。労働法制は実は文化の継承にも関わってくるんだ、こういうことでございます。

 もう一点、生活文化についてお伺いをしたいと思います。

 日本では、古来、五節句、つまり、一月七日を人日の節句として、以下、三月三日上巳、五月五日端午、七月七日七夕、そして九月九日重陽ということで、この五つの節句によって、無病息災や子孫繁栄あるいは健康長寿といったものを願い、あるいはお祝いをする、こういう気持ちという無形なものを、食事とか草花を通じた季節感のある行催事という形、まさに有形なものにしていくということで表現をしてきたわけであります。

 しかしながら、現在、この五節句でありますけれども、一連のものとしてではなくて、スポット的なイベント、例えば、七草がゆであるとか、ひな祭りであるとか、こいのぼりであるとか、七夕とかいう、そういうイベントのような扱いになってしまっていて、重陽の節句に至っては知らない人がほとんど、こういう状況であります。このままでは、季節感と行催事を通じて気持ちを表してことほぐという日本の基本的な精神すら失ってしまうんじゃないか、そこまでの危機感があります。

 子供の頃から五節句になれ親しむということが日本らしさを会得していくためにも非常に重要だというふうに思っております。教科書とか補助教材、こうしたものへの記載というのも有意義だと考えますけれども、文部科学省さん全体としてどう対応されるか、お聞かせいただきたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 五節句は、我が国に古くから根づいた重要な文化でございます。

 文部科学省では、伝統文化親子教室事業におきまして、次代を担う子供たちの五節句に関わる行事の体験機会に対する支援を通じて、五節句の振興に取り組んでいるところでございます。

 学校教育におきましては、学習指導要領で季節の行事や生活文化などについて規定し、その解説において節句を例示するなど、各教科等の特質に応じた指導を行うこととしております。

 また、教科書におきましては、こうした学習指導要領の記載を踏まえまして、五節句について取り上げている例もございます。例えば、小学校生活科では、季節の行事として、春の七草、ひな祭り、端午の節句、七夕などが、あるいは、社会科では、平安時代から今日に伝わる年中行事として五節句が紹介されてございます。また、高等学校家庭科でも、五節句の行事のいわれや行事食に込められた願いなどについて記述する教科書もあるところでございます。

 文部科学省といたしましては、こうした事業や教育における取扱い等を推進し、引き続き五節句の振興に努めてまいります。

勝目分科員 今ほど節句という記述があるという話でありましたけれども、これを節句から五節句にするだけで、そうか、五節句かと思いながら教材が作られるということもあると思います。これはタイミングがあると思いますので、そのタイミングに向けて是非ちょっと検討を進めていただければなというふうに思います。

 まさに文化政策についてお伺いしてまいりましたけれども、文化庁の京都移転、そして第二期の計画にのっとって、文化政策の刷新、充実、是非お願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、GIGAスクールについてお伺いをしたいと思います。

 先日、地元の小学校に視察に参りました。各年代の教員が、教員用の端末あるいは大型ディスプレーを使って、国語、算数、社会、それぞれGIGAならではのやり方で各科目の授業が行われておりました。着実に教育現場に定着しつつあるな、そういう印象を持ったところであります。

 その学校の校長先生もおっしゃっていたんですけれども、決して全国に名をはせるようなデジタルスーパースター教員がいたわけではなくて、教員全員が効果的に使用できるようにということで、これは教育委員会の方でしっかりサポートをして、それで対応している、こんな話でありました。

 他方で、地元の京都市においてもまだまだ活用が進んでいない学校もあるということでありますし、全国的には更にその傾向は強いというふうに承知をしております。

 今の端末の整備、活用状況と、現時点での課題につきまして、文科省の御認識をお聞かせください。

藤原政府参考人 GIGAスクール構想に基づき整備された一人一台端末は、個別最適な学びと協働的な学びを実現する上で必要不可欠なものでございます。

 その一人一台端末の活用状況につきましては、今年度の全国学力・学習状況調査の結果において、全国の八割以上の学校で週三回以上授業で端末の活用がなされているということ、その一方で、その結果を都道府県ごとに分析をいたしますと、例えば、ほぼ毎日端末を活用していると回答した学校の割合は、最も高い県で八割、最も低い県で二割となるなど、地域間、学校間でばらつきが見られるといったことが明らかとなりました。

 こうした差が生じている背景は様々でございますが、例えば、地域によっては研修やサポート体制が十分整っていない、あるいは端末活用の意義や指導方法が十分浸透していない、あるいはネットワーク環境が十分に整っていないといった課題が考えられるところでございます。

 文部科学省としては、こうした地域間、学校間での端末活用の格差について、速やかに是正してまいりたいと考えております。

勝目分科員 まさに今おっしゃったこの格差というのが非常に大きな問題にこれからもなってくるだろうというふうに思います。そのためには、やはり先ほど申し上げたように、スーパースターが突き出た取組をやって、それを横展開といっても結局無理みたいな、そういう世界ではなくて、全体を底上げしていかないといけない。そのためには、やはり都道府県、市町村の教育委員会の役割が大きいだろう、このように思っております。

 文科省さんとして、教育委員会の機能強化のためにどう取り組まれるのか、お聞かせいただきたいと思います。

藤原政府参考人 ただいま御指摘のありましたばらつきを是正していくという観点が非常に重要であるというふうに考えております。その上では、都道府県教育委員会と市町村教育委員会が連携協力しつつ、効果的な研修を計画的に実施をしていくということが重要であると考えております。

 文部科学省としても、各教育委員会の取組に資するよう、特設ホームページ等におけるICT活用の優良事例の発信、あるいは教育委員会等に対し研修支援等を行うICT活用教育アドバイザーの派遣、あるいは教職員支援機構と連携をした指導者養成研修の実施などを行ってきたところでございます。

 加えまして、令和五年度予算案におきましては、学校のICT活用を広域的かつ組織的に支援するGIGAスクール運営支援センターにICT研修経費を支援対象とする等の機能強化を図るとともに、効果的な実践例を創出、モデル化し、都道府県等の域内で校種を超えて横展開するリーディングDXスクール事業を実施する予定としており、こうした事業によって、地域間の格差、学校間の格差、ばらつきを是正してまいりたいというふうに考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 こういう文科省さんの取組、非常に大事だと思います。京都市教育委員会では、単元ごとに、どこでどうやってこのGIGAを使ったら効果的かというのを全部作っていて、それを見たら、少なくともこういうことはできるということがあまねくできるような、そういう体制をつくっているという話もございました。

 取組の仕方は各自治体によってそれぞれだろうと思いますけれども、やはり、教育委員会の方で底上げして、そして、寄り添い支援ですね、サポートをしていく。意義がまだ浸透していないというようなところであれば、そこをすとんと腹落ちするようなところも含めて、是非、御支援を賜りたいというふうに思います。

 さて、この端末でありますけれども、地方の方からは、遠からず更新が来るよねということでありまして、いろいろな御要望があるんだろうと思います、私の耳にも入っておりますけれども。今この時点で、どういう方針で更新に臨もうとされているか、考えをお聞かせいただきたいと思います。

藤原政府参考人 今後の機器更新に係る問題でございます。

 費用の在り方の議論もあるわけでございますけれども、そうした検討を進めていく上でも、まずは整備された一人一台端末を積極的に活用していただくということが前提だろうというふうに考えております。

 その上で、GIGAスクール構想というのは、個別最適な学びと協働的な学びを実現するため、令和の日本型学校教育の基盤となるものであるというふうに考えており、その持続的な推進に向けて、数年後の更新時期を見据え、地方自治体の意見や端末の利活用状況等を踏まえつつ、関係省庁と協議しながら、端末の更新の在り方について検討してまいりたいと考えております。

勝目分科員 今ほど、地方の意見と、あと利活用状況、こういう話がありました。まさに、今の学習指導要領で定められている個別最適な学びとそして協働的な学び、このために、当初はそれに効果があるということだったと思いますが、そのうち不可欠なものだ、そういうふうに、現場で実装が進んでいくかどうかということによってこのGIGA端末の位置づけというのが変わってくるんだろう、このように思います。

 地方からはいろいろな要望があると思います。そこには耳を傾けていただきつつ、地方、現場はそれぞれやはり実装の方をしっかりやっていただかないといけないということを併せてメッセージとしてお出しいただくことで、次なるステップに進めるように御工夫をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、最後の質問でありますけれども、昨今、いろいろな自治体で給食費の無償化、こういう動きが出てきているところであります。

 食育の充実であるとか、あるいは栄養を全ての子供たちにちゃんと確保しよう、そういう狙いといいますか観点で、各自治体独自の取組としてされていることだと思います。これはもうそれぞれの自治体、住民の御判断だというふうに思いますけれども。ちょっと心配なのは、行き過ぎてしまうと、結局、ただの給食で、行く先の学校の教育の質はどうなのかというところが顧みられることなく、給食がただかどうかということだけが過度に関心として高まってしまうということになっちゃこれはいけないんだろうなというふうに思っております。やはり、全体として教育というものを、学校というものを評価しないといけない、これはあくまで住民の目線としてしないといけないと思います。

 住民が自治体の教育行政の質を確認、評価するためには、例えばですけれども、じゃ、子供の学力はどうだろうかとか、あるいは教員はきめ細かく配置をされているだろうかとか、それこそGIGA端末がちゃんと配備されて有効に活用されているだろうか、障害を持っているお子さんの支援、サポート体制は十分だろうか、いろいろな関心、観点があると思うんですけれども、それを住民それぞれが、自らの関心に基づいて、ここの自治体の教育行政というのはこうなんだなということを総合的に把握をする必要があるんだろう、このように考えるところであります。

 では、その場合、何を見たらいいのか。結局、今のままだと、給食費がただかどうかというのが唯一の評価軸になってしまっては、ちょっとバランスを失しているんじゃないかなという思いもありまして、お伺いをしたいと思います。

藤原政府参考人 御指摘のとおり、個々の自治体を含めた教育施策の取組状況等について可視化をしていくこと、これは自治体の教育施策に住民の意向を適切に反映する観点からも大変有意義であるというふうに考えております。

 教育に関する指標は様々なものがあり、必ずしも特定の指標だけで測れるものではございませんが、文部科学省として、例えば、都道府県、指定都市教育委員会ごとに、一人一台端末の利活用の状況や学校施設の耐震化の状況、コミュニティースクールの導入状況等について公表してきており、これにより自治体間の教育の特色や教育施策の状況等について比較するということも可能な部分があろうかと思ってございます。

 文部科学省としては、引き続き、地域住民の方々にも分かりやすい形で、各自治体の教育施策に関する各種データについて積極的な公表が進むよう努めてまいりたいと考えております。

勝目分科員 数値というのは、独り歩きするとまた全然別の意味を持ってしまう可能性もありまして、その取扱いというのは本当に慎重を要するところではあるんですけれども、やはり住民の視点から見て、いろいろな評価軸がある。じゃ、自分の関心に即して見たときに、自分が住んでいるところはどうなのか、あるいはこれからどうしようとしているのかということが、やはり全体として分かっていかないといけないと思います。

 今おっしゃったような点も含めて、ほかにも幾つか考えられる点もあると思いますので、そうしたところを含めて、全体としての教育の質を高めていく、そのことが住民にとっても子供たちにとってもメリットになるということで、そういう取組を進めていただければなというふうに考えるところであります。

 時間が来たようでありますので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

三谷主査 これにて勝目康君の質疑は終了いたしました。

 次に、掘井健智君。

掘井分科員 日本維新の会の掘井健智でございます。

 いじめ防止対策推進法が平成二十五年九月に施行されまして十年がたちます。しかし、深刻ないじめが後を絶ちません。今日は、いじめについて、今、学校現場は非常に大変でありますけれども、多忙で大変でありますけれども、やはり子供を預かる以上、非常に責任があるということで、この学校側の責任について質問したいと思います。

 これは実際にあった事例なんですけれども、中学生が自死するという事件がありました。市や学校側は、第三者委員会の報告に対しまして、記者会見では真摯に受け止めると反省の弁を述べました。しかし、自死につながるいじめを発見、防止する注意義務違反が認められないということを主張して、裁判で争うことになります。

 いじめの責任についての市、学校側の考えは、以下のとおりなんです。報道資料ですけれども、第三者委員会の評価、判断を真摯に受け止めておりますけれども、法的責任については、市教委が学校や教師に行った調査から得られた事実に照らし合わせれば否定せざるを得ない。

 これは、第三者委員会の報告ではなくて、事前に市教が学校側に尋ねたことを重視しているということなんですね。いじめが分からないから第三者委員会に託したにもかかわらずなんです。

 これは民事裁判でありますから、それぞれ主張し合うということになりますね。これはそういうことになります。しかし、裁判するということで、市、学校側の本音も分かるんですよね。市、学校側がいじめを発見できないことに義務はない、そして、自死に至っても学校側は責任がない、こういうやはり主張になると思うんです。

 こういった考えに即していじめを対応していくのであれば、幾ら先生が、学校がアンテナを上げても、子供に寄り添うと言っても、なかなか信じられるものではないと思うんです。生徒の安全にもっと責任を持ってもらわないと、やはり親は学校に預けられないのではないかなと思います。

 そこで質問です。

 第三者委員会の調査報告が学校の責任を認定しているにもかかわらず、法的責任はないと争うことは、先ほども言いましたけれども、学校側はいじめに対して責任を持ちませんよという変なメッセージになってしまうのではないかと心配しております。

 まず、大臣、この辺の考えというか、今聞きまして、御所見を伺いたいと思います。

永岡国務大臣 掘井委員、今お話しした個別の案件ではなくて、これは一般的な話になりますけれども、学校ですとかそれから教職員は、学校におけます教育活動ですとか、また児童生徒の学校生活におきまして安全の確保に配慮すべき義務がある、そう考えているわけでございます。

 今お話ありましたような、重大ないじめが客観的に疑われるような場合におきましては、適切な対応を取らないことはいじめを隠蔽しているとのそしりを免れない、そう考えております。

掘井分科員 先ほど安全配慮義務の話がありましたけれども、やはり常に注意していじめに取り組むということは、この安全配慮義務の範囲ではないかなと思うんですね。

 大臣、いじめを発見、防止する注意義務違反とは、どのようなことを想定しておられますでしょうか。

永岡国務大臣 いじめの対応に当たりましては、教職員は、いじめの事実があると思われるときは学校いじめ対策組織への通報を行うこと、また、学校は、いじめの通報を受けたときなど児童生徒がいじめを受けていると思われるときには、速やかに、いじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を学校設置者、これは教育委員会になろうと思いますが、に報告すること、また、いじめが確認された場合には、いじめをやめさせ、その再発を防止するため、被害児童生徒等への支援及び加害児童生徒への指導や助言を継続的に行うことなどが、これは、いじめ防止等のための基本的な方針を義務づけているということになります。

掘井分科員 いじめが起こった、いじめと分かったときはそうなんですけれども、いじめがあるかどうか、これを精いっぱい学校の先生はアンテナを張って対処すべきである、そこに責任があるというお話なんですね。

 ちょっと時間の都合で、また次の質問に行きます。

 深刻ないじめが後を絶たないという中で、学校でいじめが発生することは当然という意識がやはり必要なんです。すなわち、安全配慮義務を徹底して、いじめが起こった以上、学校側がある程度責任を負うというルールがあってしかるべきなのかな、こんなふうに思うんです。

 高い注意義務を負う場合、無過失責任という考え方があります。例えば、原子力損害賠償法や製造物責任法ではこの無過失責任が採用されておりますね。ちなみに、この無過失責任とは、故意や落ち度がなくても、強制的に、相手に与えた損害に責任を負うということなんですよね。

 また、立証責任の転換という考えはどうでしょうか。民法の使用者責任の条文などでは、注意義務違反についての立証が十分にできなかった場合に、敗訴するリスク、すなわち立証責任が転換されております。いじめ事件で立証責任が転換された場合には、いじめが起こったことについての学校側の過失に対する立証責任を被害者家族側が負うのではなくて、学校の過失がなかったことに対して学校側が立証責任を負うということになるんです。

 こういったように、学校側に立証責任があるという高い注意義務を負わせることによって、いじめ被害者を救済することになるとも僕は考えられるんですよね。

 これは法律の範囲の話でありますけれども、被害者救済のためにこういった法のたてつけが、大臣、必要だと思いませんか。

永岡国務大臣 民事裁判におけます立証責任の考え方につきましては、やはりお答えは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、立証責任の在り方にかかわらず、いじめの認知に関しまして学校側が消極的になることはあってはならないと考えておりますし、また、いじめの認知と初動対応が適切に行われなかったために深刻な結果を招いた事案がいまだに発生をしていることを真摯に受け止めて対応していくことが重要だと考えているところでございます。

 いじめは、児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害しますし、また、心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は心身に重大な危険を生じさせるおそれがございます。学校及び学校設置者は、いじめを決して許さず、そして被害児童生徒を徹底して守り通す必要がある、そう考えております。

掘井分科員 学校側にとっては非常に厳しいんですけれども、隠蔽がだんだん大きくなってきて、たくさんになってきて社会問題になってきたら、やはりこういうことも考えなければいけないのかなと思います。

 これも法律の技術的な話なんですけれども、第三者委員会の事実認定に自治体や学校側が拘束されないんですかということなんです。拘束されるということを市の条例なんかで規定することについてどう思われますでしょうか。これは大臣の所見を伺いたいと思います。

永岡国務大臣 第三者委員会の調査の報告書ということでございますが、やはり、いじめ重大事態調査の報告書を踏まえた学校や学校の設置者におけます対応につきましては、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインにおきまして既に、学校の設置者は、調査結果において認定された事実に基づき、いじめの未然防止、早期発見、対処、そして情報共有等の学校の設置者及び学校の対応を検証いたしまして、再発防止策を検討することを示しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、ガイドラインの周知徹底を図りまして、学校及び学校設置者に対しまして、ガイドラインに基づきまして、調査結果を踏まえつつ、いじめ防止等の体制を見直すなど適切な対応を取るよう指示してまいります。

掘井分科員 ガイドラインの設定、これは存分に見直していただきたいと思うんですけれども、拘束というのは、裁判所を拘束するということなんですよね。つまり、これが証拠になるということなので、もしかしたらこういうことも考えていかなければいけないというふうに思います。

 次の質問であります。

 やはり第三者委員会の報告の中身が充実してくるほど、こんな分厚い報告書もありました、報告の意義を高める議論が必要だと思っております。もっとこれを重いものとして位置づける必要を感じております。ですから、具体的に質問していきたいと思います。

 第三者委員会による重大事態の調査は、そもそも、当該事態への対処や同種の事態の再発防止に資することが目的になっております。いじめを受けた子供の自殺が相次ぐ中で、被害者家族の方々は、その背景や真相、一体どうだったんだ、そういうことを究明することを当然望んでいると思います。

 そこで、真相解明のために、第三者委員会の権限に対する力、エンパワーメントがもっと必要であると考えておりますが、第三者委員会には、二十八条の調査をするための権限を裏づける規定が今ないんですね。こういったものをきちんと作るべきではないかなと思っております。具体的には、情報の照会とか、それに対する協力でありますとか、記録の作成とか保管、こういったことに関する規定をもっと整備する必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 いじめの重大事案の調査というのは、民事、刑事の責任追及ですとか、その他の争訟等への対応を直接の目的とするものではありません。当該いじめ事案への対処及び同種の事案の再発防止を目的としております。

 したがいまして、学校及び学校設置者が、調査結果を踏まえて、自らの対応を振り返り、いじめ防止等の体制を見直していく趣旨で行うものでございます。調査組織が強制的な権限に基づいて調査をすることはなじまないと考えているわけでございます。

 いじめ重大事態調査におきまして、情報の記録につきましては、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインにおきまして、各地方公共団体等の文書管理規則等に基づきまして適切に保存することなどを明記しておりまして、引き続きまして、ガイドライン等の周知徹底をしっかりと図ってまいります。

掘井分科員 やはり、再発防止のためには、まず調査して、事実がどうであったかということが分かって反省しないと、次には行かないと思うんですよね。そこで第三者委員会が立ち上がるんですけれども、市教が学校側に幾ら聞いたって、やはり正式な調査はできないわけですよ。でも、裁判ではそれを重きに置いてしまう。だから、僕は、これはあえて第三者委員会の報告書の重さについて、引き続き今から質問しますけれども、よろしくお願いします。

 次の質問です。第三者委員会の調査報告の活用について質問をいたします。

 いじめの再発防止は、現状では不十分であると考えております。第三者委員会の調査報告を活用していくためには、例えば、データベース化していくとか類型化を行って現場へ確実にフィードバックするなど、こういうことをすべきだと考えております。

 対処を求める、法二十九条から三十一条にありますけれども、学校側が首長に報告することは書かれておるんですね。でも、そこで止まっているんです。報告書を一元管理して、例えば国に報告する、国がアドバイスできるように、これを明文化する必要もあると思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 学校の設置者は、いじめの重大事態調査の結果について、地方公共団体の長などに対しまして報告することが求められているわけでございます。

 加えまして、調査結果を踏まえて、学校におきましては、被害児童生徒に対して状況に応じた継続的なケアを行うとともに、加害児童に対しては、個別に指導を行い、そして、いじめの非に気づかせ、被害児童生徒への謝罪の気持ちを醸成させる等の指導や対応を行うこととしております。

 また、学校設置者におきましては、学校への積極的な支援を行うとともに、調査結果において認定された事実に基づき、いじめの未然防止、早期発見、対処、情報共有等の学校設置者及び学校の対応について検証し、再発防止策の検討を行うこととしております。

 国においては、四月以降、来年度からになりますが、いじめの重大事態について報告を求め、一つ、重大事態の発生時から進捗を確認し、必要な助言や支援を行うこと、二つ目、こども家庭庁に設置をするいじめ調査アドバイザーから調査委員の第三者性確保について支援を行うこと、そして三つ目でございますが、調査報告書を収集、分析をし、国における政策立案に活用することなどによりまして、重大事態調査の適切な運営やいじめ防止対策の改善強化を図ってまいりたいと考えております。

掘井分科員 要は、情報を収集して、収集するにはデータベース化した方がいいと思うんですけれども、して、国の方で、文科省の方で、管理するという言い方はおかしいですけれども、把握していくということでよろしいんでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 これは来年度からでございますが、こども家庭庁が設置をされますので、こども家庭庁に配置をしますいじめ調査アドバイザーから、調査委員、つまり第三者性確保について支援を行いますので、そういう中では、国におけます、国というのは文部科学省それからこども家庭庁連携をしてということでございますので、共通の認識をしてということでございます。そうやって、事態、また報告書の共有をさせていただきたいと思っております。

掘井分科員 ありがとうございます。

 続いて質問します。

 ちょっと難しい話ばかりするんですけれども、第三者委員会の調査と訴訟とは目的と調査権限に違いがあります。第三者委員会の調査は再発防止、訴訟は法的責任を取ること、調査権限は、第三者委員会の方が任意であるということ、強制力がある、こういった違いがあります。

 被害者救済のためには、やはり第三者委員会の調査報告の認定事実をもっともっと尊重すべきだと考えております。大臣のお考えはいかがでしょうか。

永岡国務大臣 いじめの重大事態の調査は、当該いじめ事案への対処及び同種の事案の再発防止を目的としているわけでございます。民事、刑事の責任追及ですとか、その他の争訟等への対応を直接の目的とするものではございません。

 なお、裁判において活用するかどうかは、司法、それぞれの裁判での判断になると考えております。

掘井分科員 そのことはよく分かっているんです。でも、これだけやはり隠蔽という体質が出てきたときに、それが社会問題になったときに、こういったことも見直したらいいという意見なんですね。

 現状は分かっていますよ。でも、それをやはりもうちょっと重視する、これだけ分厚い資料が出てきていますので。教育委員会が学校に聞いて、ああ大丈夫やと、そうじゃなしに、例えば被害者の親が、本人も含めて、それを立証するのは難しいじゃないですか。だから、既に出ている第三者委員会の報告書を持って裁判でも挑むべきだ、こういうふうに解釈を変えていくということも、また法も変えていくことも必要だという意見のための質問でありました。

 いじめの把握というのは、今の教育現場では非常に難しいと思います、今のお話も。そもそも専門家に任せるべきではないかという考えがあります。例えば、国税処分の不服申立ての審査、特許庁の審判、審決のように、行政審判の例に倣うのはどうだろうと考えております。行政審判では、高い専門性とその判断を尊重する趣旨から、実質的証拠法則が認められるということであるために、これは裁判所を拘束できるんです。

 真実解明やいじめの被害者救済にも資することが考えられておりますけれども、いじめの認定にも高度の専門性を認めて、いじめに特化した行政審判、こういったものをつくるべきではないかと思いますが、大臣、どうお考えでしょうか。

永岡国務大臣 やはり、いじめは主に学校で生じることから、いじめの対応、解消に当たりましては、引き続きまして文部科学省が責任を持って、教育委員会や学校に指導助言を行い、また事案の解決につなげていくことが重要と考えております。

掘井分科員 今までの対応は分かるんですが、これからそういうことを考えていただきたいということなんですね。いじめは非常に複雑なので、専門性が高いとは思いませんけれども、複雑であるから、こういうことも考えた方がいいのではないかなと思っております。

 次の質問です。

 いじめを学校現場で解決するのが困難であるならば、警察などの外部の力を頼るしかないと考えます。警察は、抑止力となって、加害者の心のブレーキにもなると思っておるんです。

 文科省が、今月、警察との連携を通知しました。この種の警察との連携の通知は、過去に、平成二十五年度、平成三十一年度にも行われております。今回の通知の意図、背景は一体何なのか。特に、相談ではなく通知するところに意図があるのではないかなと思っておりますけれども、どうでしょうか。

藤原政府参考人 いじめは決して許されないことであり、学校及びその設置者は、いじめを決して許さず、被害児童生徒を徹底して守り通すという断固たる決意で全力を尽くすことが必要でございます。

 しかしながら、一部のケースでは、学校及び学校設置者が法律に基づいた対応を徹底しておらず、被害を受けた児童生徒がいじめを苦に自殺するなどの最悪のケースを招いた事案も発生をしております。

 これまで、ややもすれば、生徒指導の範囲内と捉えて対応し、警察に相談、通報することをためらっている、こういったケースも指摘をされているわけでございます。

 しかしながら、犯罪行為として取り扱われるべきいじめにつきましては、直ちにこれを警察に相談、通報を行い、適切に援助を求めていくことが必要であるという観点から、改めて通知を発出したものでございます。

掘井分科員 そこで、学校現場で警察へ通報できる具体的なマニュアルがあるかどうか、こういうことを考えておられるのかどうか、質問いたします。

永岡国務大臣 学校と警察の日常的な情報共有体制の構築につきましては、いじめの対応におきまして、学校が一丸となった組織的な早期発見、早期対応に資するものであり、大変重要である、そう考えております。

 先ほどお答え申し上げましたか、いじめ問題の的確な対応に向けました警察との連携等の徹底につきまして、これは通知をしているところでございますが、その中で、学校、警察の連絡員の指定の徹底、それから学校警察連絡協議会等の活用、スクールサポーター制度の積極的な受入れの推進など、実施するに当たりまして留意すべき事項について、項目ごとに具体的な内容を周知しているところでございます。

 今回出しました通知の周知と併せまして、各自治体等におけます好事例を収集いたしまして横展開を図るなどして、学校現場への浸透を図ってまいりたいと考えております。

掘井分科員 先生というのはなかなか警察に自分の生徒のことを言わないと思うんですよね。だから、きっちりとしたマニュアルを作って、そして先生に負担がないような、親御さんも理解できるようなマニュアルを作るとかルールを作るということは非常に僕は大事だと思うので、それに取り組んでいただきたいと思います。

 次の質問です。

 公的第三者機関の設置の法定化はいかがでしょうかということで、大阪の寝屋川市なんかでは、独自に子供の権利を擁護する機関を設置しております。昨年の予算委員会第四分科会で、私の質問に当時の大臣は、寝屋川市の事例のように首長が一定の関与を行うことも意義がある、いじめの対応に当たっては首長部局と連携を図っていくことが重要であると答弁されました。これは連携だけでは足らないと思うんです。

 子供の人権に地域差があってはならないということから、法改正で全国の自治体に公的第三機関の設置をすべきだと考えますが、これはこども家庭庁でしょうか、いかがでしょうか。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 子供の権利利益の擁護等の観点から、いじめ対策での第三者性の確保は重要でございます。この点を踏まえた地域の体制づくりをこども家庭庁が中心となって今後取り組んでまいります。

 昨年十一月に文部科学省と共同で設置したいじめ防止対策に関する関係府省連絡会議で確認した検討項目においても、いじめ対応における第三者性確保の方策、それから学校外からのいじめ防止対策アプローチの確立方策、こういったことについて盛り込んでございます。

 こども家庭庁設立準備室といたしましては、来年度予算案において、地域におけるいじめ防止対策の体制構築の推進に係る費用を計上してございます。

 本事業を活用して、第三者性を発揮しやすい自治体の首長部局が、これまでの学校、教育委員会における取組等に加えて、専門家の活用等により、いじめの相談から解決まで取り組む新たなモデルの構築を支援してまいりたいと思っております。

掘井分科員 モデルから始まって全国的に広げていただきたいと思っております。

 次の質問です。

 法二十三条四項は、加害児童の隔離規定であります。出席停止は年間僅かしか実施されていなく、機能しておりませんけれども、これは、いじめた生徒にも教育を受ける権利がある議論のために、単に出席停止して隔離するという以外にも、更生プログラムを施してはどうでしょうかということで、いじめの加害者児童に対する指導の実効性を高めていくために、教育課程の特例なんかを設けて、いじめの加害者に対して、更生プログラム、こういったものをまず策定すべきではないかと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

永岡国務大臣 加害児童生徒への指導に当たりましては、特別の指導計画による指導のほか、出席停止や警察との連携による措置も含め、毅然とした対応を行うことで、自らの行為の悪質性を理解させ、健全な人格の発達に配慮するよう示しております。

 また、加害児童生徒本人への指導に加えまして、その保護者にもいじめに関する事実を伝えて協力を求めるとともに、継続的な助言を行うことを示しているところです。

 なお、法務省管轄の法務少年支援センターでは、学校や保護者に対して、児童生徒の心理や性格の面で相談や支援、また、問題行動の分析や指導方法の提案なども行っておりまして、こうした地域の関係機関についても、先日出しました通知におきまして活用を促したところでございます。

掘井分科員 ありがとうございました。

 時間が来ました。やはり、更生プログラムを実施するに至るまでのマニュアルも欲しいんですね、本当を言ったら、学校が判断しにくいので。そのマニュアルも是非作っていただきたいと思っております。

 以上で終わります。

三谷主査 これにて掘井健智君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三谷主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。篠原豪君。

篠原(豪)分科員 ありがとうございます。今日は、分科会で永岡文部科学大臣に質問の機会をいただきましたことをまずもって感謝申し上げます。

 私は、今日は、主に教員不足の問題についてお話をちょっと聞かせていただければなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 私の地元の横浜市金沢区に金沢シーサイドタウン連合町内会というのがありまして、ここは九千世帯があって、二万名の方が住んでいる非常に大きなところなんですね。先日、この役員の皆さんと懇談をさせていただいた際に、事務局長の古川さんより、地元の金沢養護学校についての御相談をいただきました。

 この学校は、神奈川県立特別支援学校、神奈川県には特別支援学校が二十九校あるんですけれども、その本校の一つでありまして、お隣の磯子区にも分校があるんですね。横浜市はそういう体制を取っているところが結構ございまして、ここがやっている教育は、知的障害教育と、あと肢体不自由教育をやっています。

 地域の大切な学校で、私も、前は横浜市会議員だったんですけれども、その時代から卒業式にお邪魔させていただいて、一緒に校歌を歌ってやらせていただいて、小学校、中学校、高校まであるので、その後、高校を出てどういう、社会に出てというのもありますが、肢体不自由の子もいらっしゃいますし、知的もいろいろなレベルがあるので、非常に御両親あるいは保護者の皆さんも大切にこの子たちを育てなければいけないというところでずっとやっていて、学校も非常に教育熱心にやっているところでございます。

 そこでの現状なんですが、御相談の内容は、児童生徒数が年々増加しているけれども、教員が減っているので困っているということです。生徒数が平成三十年には二百名台だったのが、今は三百名を超えているということでありまして、ただ、教員は減っているんだということでございます。

 その結果、具体的にどういうことが起こっているかというと、これは文部科学大臣に是非聞いていただきたいんですけれども、まず、児童数が増えると、これまで学校がいろいろな教室を作っています、それが、例えば陶芸実習室であったり、生活体験家庭教室だったり、プレーホールといった特別教室があるんですが、これを通常の教室として使えるように工事をし直して、そして使用せざるを得なくなっているということでございます。

 給食も、配食数ももうマックス、リミットになっていまして、今まで食べていた看護師さん、肢体の方もいらっしゃいますので看護師さんがちゃんと見ていなければいけない、そういった方々、職員さんにももはや配食ができなくなっていて、それで、児童数が増えれば、これからまた配食できない方々が増えていくということで、切実な問題が起きているということをまず御理解いただきたいと思います。

 この学校の問題については、後ほど大臣に、どう思われるのか、最後の方で伺いたいと思いますけれども、教員不足の問題は、全国で言われていますが、私のこの地元の学校だけでなくて、横浜市でも深刻な問題となっています。教職員の勤務環境のみならず、児童生徒の学びにも大きな影響を与えていると現場から聞いています。

 教育は国の将来が懸かっている問題で、早急な解決が望まれますので、そうした観点から、地元からも多くの要望が寄せられていますので、質問させていただきたいと思います。

 今、教職員不足が喫緊の課題として認識されていますが、この質疑に当たって、私も先週から昨日まで、地元の養護学校だけじゃなくて、普通の小学校の校長先生方にも話を聞いてきました。やはり、どの学校も先生が足りていないということなんですね。

 令和四年一月に文部科学省が公表しました調査によれば、令和三年度始業日時点において、小中高等学校と特別支援学校で合わせて二千五百五十八人の教員不足が生じているということが明らかになっていますし、また、令和四年度は教員不足がより一層深刻になっているという教職員団体による調査の結果も出ています。

 私がヒアリングしていますと、本当にそれだけなのか、実態は足りない数がもっと多いんじゃないかというふうに思います。今日、党でのヒアリングで子供の自死の問題がありまして、五百名を超えているということでありまして、先生の数がそれでも二千五百人しか足りないというのは本当に数が合っているのかというのも、ちょっと自分でも、どうなのかなというのを少し感じたところであったんですが、話がそれたので、戻します。

 このような深刻な教員不足を背景として、地方自治体の中には、これまで独自で推進してきた少人数学級の見直しを余儀なくされていることがあるという報道も、沖縄なんかも、今週、先週あたりも、学級の生徒数、これを変えなきゃいけないというのは本当に勘弁してくださいみたいな話が起きているというのが報道で大きく取り上げられていますが、これは全国どこでもそういう状況に近づいているんだというふうに思っていまして、政府は、まず、このような教員不足の原因をどのように分析しているのでしょうか、また、教員不足を解消するためにはどのような対応が必要だということを考えているのか、文部科学大臣に伺います。

永岡国務大臣 篠原委員にお答えいたします。

 篠原委員の御地元だけではなくて、やはり、全国的な教師不足の実態につきましては、大変憂慮すべき状況と危機感を持って受け止めているところでございます。

 教師不足が発生いたします構造的な要因といたしましては、まず、近年の大量退職、大量採用によりまして、二十代から三十代の教師が増加をしております。そして、産休、育休の取得者が急増をしたこと、また、特別支援学級が見込み以上に増加したことなどによりまして、今まで大変多かった臨時的任用教員の需要が大変増加をしているということでございます。その一方で、採用枠の拡大などによります倍率低下に伴いまして、臨時的任用教員の候補者の正規教員としての採用が進みまして、なり手が不足をしているということが主な要因であると考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、各教育委員会に対しまして、講師等の候補者を集めた人材バンクによる情報提供ですとか、また、これはペーパーティーチャーと言ったら分かりやすいのかと思いますが、現在教職に就いていない免許保持者に対する教職への入職支援など、様々な取組を実施しているところでございます。

 今後も、各教育委員会の実情を聞きながら、更なる教師のなり手確保の支援について検討してまいります。

篠原(豪)分科員 今ありました非正規職員のことについてちょっとお伺いさせていただきたいと思いますけれども、文部科学省さんが教育委員会に実施したアンケート調査によれば、今、教員不足の発生要因として、おっしゃられたように、産休や育休取得数などが見込み以上に増加している、それで必要な臨任教職員が増加したことと、近年の大量退職に伴う採用者数の増加により講師名簿登録者が正規採用されたことにより、講師名簿登録者数が減少したということが挙げられましたということでございました。これは、教員不足は非正規職員の不足により顕在化したんだということが多分言えるんだというふうに思います。

 この非正規職員の不足については、将来の少子化に備えて各地方自治体が正規職員の採用を控えてしまった結果、非正規職員の需要が大きくなり過ぎていたことが根本的な原因だというふうに分析をされているというふうに思っていまして、この解決のためには、地方自治体の非正規依存を脱却するために、国が中長期的な教職員数の定数改善を示して、そして地方自治体が中長期的な教員需給を見通せるようにすることが大事だ、それで正規職員の採用を促進することが重要だと。これは、有識者の方々も、今、現状を見て、同じくそういうようなことを言っているんだと思うんです。

 そこで、各地方自治体が計画的に正規職員を採用することを後押しをするために、教員の定数改善計画を策定して、中長期的な財政保障の見通しを示すことが不可欠だと思っていまして、今大臣がおっしゃられた中で、財政的な保障の見通しというものがやはり本当に必要なんだというふうに思っていまして、この点について政府の見解を伺いたいと思います。

 また、正規職員の採用促進に向けて地方自治体の支援をすることについて、こういった観点からも、どういうふうに考えていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 教職員定数の改善に当たりましては、先ほど先生がおっしゃいました定数改善計画という名称にかかわらず、中長期的な見通しを持った改善を図ることが重要であると考えております。

 このため、障害のある児童生徒に対する通級による指導等のための教職員定数については、平成二十九年度からの十年計画で基礎定数化を進めております。そのほか、小学校の三十五人学級につきましても令和三年度からの五年間で計画的な整備を図るなど、本当に計画的な基礎定数の改善に取り組んでいるところでございます。

 加えまして、加配定数につきましても、できる限り見通しを持った改善を図ることが望ましいと考えております。小学校高学年におけます教科担任制の推進について、これは令和四年度から四年程度かけて、これも計画的に進めているところでございます。

 また、各教育委員会におきましては様々な取組が行われていると承知をしておりますが、安定的な学校教育を実現していくためには、正規教員を計画的に採用していくことが本当に極めて重要と考えておりまして、積極的な正規職員の採用について、私からも、昨年九月の教育長会議の場で依頼をしたところでございます。

 中長期的な見通しを持った計画的な採用に資するように、今後とも教職員定数の改善に取り組んでまいります。

篠原(豪)分科員 財政保障をやはりしっかりと中長期的にするに併せて充てていくという、財源を充てていくことが大事なので、そのこともしっかりと言っていっていただきたいというふうに思います、お金がないとどうしようもないということで。

 今、定員数を、正規職員の方々を増やしていこうという取組をやっていこうという話でしたが、じゃ、他方で、なり手がいるのかといった問題ですよね。この問題についてちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

 令和四年度の公立小学校教員の採用試験倍率は全国で二・五倍と四年連続で過去最低を記録していて、更なる教員不足を招くことが懸念されています。

 私の地元の横浜市では、教員の採用試験の倍率は一・九倍なんです。二倍を切っているんです。二倍を切ったらまずいなというふうによく言われているらしいんですけれども、それを切ってしまっていて、それが横浜という、都市部の、本当に日本最大の基礎自治体のところで起きているということでございまして、教職員組合の方々にもお話を聞かせていただきましたけれども、神奈川県は、政令市だけでも、横浜市と川崎市と相模原市と三つあるんですね。それで、神奈川県の職員さんの募集もあって。そうなってくると、二倍を切っていますから、三つ受ければ、実質倍率は、極端な話、一倍を切ってしまうというようなことになりまして、これは、教育の、先生の質が担保できるのかどうかというのが非常に心配だという声を、皆さんも聞いているかもしれませんが、本当に皆さん、今そうやっておっしゃるんです。

 先生の質が下がれば教育の質は下がりますし、教育の質が下がれば日本の子供たちの未来も危ないということでありますので、これは何とか解決しなきゃいけないですし、さっき定員を増やすと言ったけれども、受ける方がいないということになると、これは困ったなということであります。

 昨年十二月の中央教育審議会の答申では、民間の就職活動が早期化していることを踏まえて、教職員の志望が民間に流れるのを食い止めることを狙いとして、教職員採用の実施時期の前倒しを挙げました。これは昨年十二月の話なんですよね。今まで何をしてきたのかという、まあ、何をしてきたかと言っちゃいけないですけれども、そういう実態がある中で、もっと早くしっかりとやっていく、対応するというのも大事だったんじゃないかと思っていまして、この教員採用試験の前倒しについては、教育委員会間の新規採用者の取り合いを過激にするといった声とか、小手先の対策では効果が期待できませんとか、待遇改善や魅力のある職場環境の構築が必要との声が少なくありません。

 既に、一部の地方自治体では、採用試験の早期化や複数回数実施を図っているところもあるようですけれども、教育委員会間の教員志望者の獲得競争の激化を防ぐためにも、これはお任せしていると、マスクの話じゃないですけれども、やはりきちんと国が示していかないと、政府として、教員志望者そのものを増やすことを目標とした取組をきちんと進めていかないとまずいんじゃないかと思っていまして、こういう実態が起きている中でどういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

永岡国務大臣 篠原先生のおっしゃるとおりだと思っております。

 教員採用選考試験の在り方につきましては、文部科学省と教育委員会等の関係者団体から成る協議会を立ち上げまして、試験の早期化であるとか複数回実施を始めとして、多様な人材を確保するための選考の工夫など、幅広く検討を進めているところではございます。

 その上で、教師の志願者を拡大するためには、やはり採用選考の改善だけでは十分ではございませんで、学校におけます働き方改革も含めた、教職の魅力を向上させていくことが不可欠だと考えております。

 昨年十二月の中教審の答申も踏まえまして、教職の魅力を向上させるために、大学一、二年生の早い段階から学校現場での実践を行う取組の充実や、教員研修の高度化、働き方改革の一層の推進などによります環境整備などにも取り組んでいるところでございます。

篠原(豪)分科員 今、多様な人材を活用していかなければいけないことも考えますということをおっしゃっていただいたんだと思うんですけれども、その点について、教員免許状がなくても優れた知識や経験などを有する社会人の任用を認める特別免許状制度の積極的な活用を促すために、都道府県の教育委員会に対して、令和四年四月、文部科学省が通知を発出をしていると思います。

 ですが、これはいい制度で、学校現場の多様性や活性化を期待して導入したものだと思いますけれども、実際はまだ採用が伸び悩んでいまして、令和三年度で三百三十四件と、普通免許状の〇・二%にも満たないといった状態になっていて、これは工夫が足りていないんじゃないかなという指摘もあります。私もそう感じるところでございます。

 そこで、お伺いしますけれども、この臨時、緊急的な措置としての特別免許状制度の活用をちゃんと促していくのか、それとも、教員不足の解消を図るにとどまらず、積極的に今後社会人の採用を促して、学校現場の、緊急的にじゃなくて、そういったことも含めて継続的にやっていこうというふうに考えていらっしゃるのかというところをちょっと確認させていただきたいと思います。

永岡国務大臣 先生がおっしゃいますように、やはり、社会経験を積んで、その方が資格を持って学校で子供たちを教えるというのは大変いいことだと思っております。

 特別免許状というのは、普通免許状を持っていない方が、多様な専門分野の人材を学校現場に迎え入れることによりまして、学校教育の多様化への対応、その活性化を図るための制度でございます。昨年十二月の中教審の答申でも示されておりますように、多様な専門性を有する質の高い教職員集団を形成するためには、特別免許状を活用いたしまして、優れた知識経験等を有する方を教師として学校現場に迎え入れることは大変重要だと思っております。

 このため、特別免許状の円滑な活用に向け、令和三年五月に授与に係る指針を改正するとともに、令和四年四月に、各都道府県の教育委員会等に対しまして、制度の有効活用や、特別免許状を活用した採用実績等の公表について通知をしたところでございます。

 また、特別免許状を授与された者の円滑な入職につなげる観点から、研修コンテンツの開発を行っておりまして、採用前後の適切な時期に、各教育委員会が最新の教育事情等の研修を実施することを推進をしているところでございます。

 外部人材の学校現場におけます積極的な活用に向け、引き続きまして全力で取り組んでまいりたいと考えております。

篠原(豪)分科員 〇・二%ですから、それもやるんだったらしっかりやっていただきたいと思います。何か中途半端になってしまうと、結局、全体的にどういうふうに考えているのかということが分からなくなってしまいますし、その点もよろしくお願いしたいと思います。

 やはり忘れちゃいけないのは、教員不足の一番の被害者は子供たちだということです。

 有識者グループが公立の小中の副校長、教頭に対して行った調査によると、学級担任の先生がいない、頻繁に替わることで不安に思う子供や、不登校傾向の子供たちが増えるとする回答が、現場の先生からですよ、八割以上にも上っているんです。教員不足について、こういう不安がありますよ、こういうことが起きるんですよということがありますので、そればかりじゃなくて、もちろん、さっきから言っている、授業の質の低下や学びの支援という観点からもこれは不安が残りますので、しっかりとやっていっていただきたいというふうに思います。

 次に、今回の質問のきっかけとなった特別支援学校のことについてお伺いしたいと思います。

 特別支援学校の免許保有率も向上させなければいけないという問題が実は世の中に存在していまして、教員不足が生じている学校数としては、文科省さんの調査によっても分かっているように、特別支援学校が非常に多くなっている。令和三年度の始業時点について、実に一三・一%の学校は先生が足りませんよというふうに上に上げています。

 特別支援学校では、正規教員の割合が小中高と比較してかなり少なくなっていて、今日の教員不足は非正規職員の不足を契機として問題が顕在化したということはさっきからお伝えしていますけれども、一層深刻だというふうに思います。なぜなら、正規職員の比率の低い特別支援学校に、そもそも低いですから、そこで更に足りないという話なので、これも深刻だと思っています。

 特別支援学校の教員は、当分の間、小中学校の免許状があれば、特別支援学校の教員免状がなくても、免許状を保有する学校に相当する各部の教員になることができるとされていて、徐々に、その間に特別支援学校の免許保有率は上がっているんですが、特別支援学校の教員のうちの一割以上が特別支援学校の免許を保有していない状況にあるということなので、この辺についても。あとは、保有率についても地域間格差があるんですよ。

 なので、そこで、教育の質を担保して、特別支援学校の教員不足を解消するためには、正規職員の配置の促進を図ることも大事ですし、特別支援学校の免許保有率の向上ということも大事だということなので、地域間格差もありますので、ちょっとこの辺を、端的に、どういうふうに思っていらっしゃるかを言っていただければ。

永岡国務大臣 障害のある子供の学びの充実のためには、やはり教師が障害の特性について十分理解をした指導を行うことが大変重要と考えております。特別支援学校教諭等免許状の保有率の向上や、養成、そして採用、研修の各段階におきまして質の向上を図ることが重要と考えております。

 そのため、令和四年三月の特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議の報告を踏まえまして、大学の資源を相互に活用、共有し、特別支援学校教諭免許状を計画的に取得できる取組の促進、そして、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所におけます免許法認定通信教育の実施により、免許状の保有率一〇〇%を目指すこととしているわけでございます。

 現在、特別支援学校の教諭の免許状の保有状況を毎年調査をいたしまして、その結果を都道府県ごとに公表するなど、全国的に保有率を向上させる取組を行っているところでございます。

 引き続きまして、教師の専門性の向上に取り組んでまいります。

篠原(豪)分科員 取り組んでいってすぐできるわけではないので、しっかりやっていっていただくことも、中長期的に考えることも大事ですが、ちょっと大臣にそもそもの話を聞かせていただきたいと思うんですけれども、この質問のきっかけとなった冒頭の金沢シーサイドタウンにある養護学校の話では、実際に足りないのでどういうことが起きているかというと、管理職が児童生徒の給食介助をしているんですね。教員数も多いので、産休、育休、公災などで年度中に欠員となる場合も多いんだそうです。その場合、欠員を埋める役割も管理職が行っているということになります。

 この問題をまずいなということで、実は、先ほど御紹介した連合町内会の自治会の皆さんが、不足する教員の募集を少しでも解決するために、地域住民の皆さんが地域に募集チラシなどを配布をするといったことを行っていまして、それでもなかなか採用に至らず、慢性的な教員不足となっています。

 今、こういったことが実際に、地域の皆さんがチラシを配って、それで先生を何とか集めなきゃいけないという話があります。こういうことをやっていらっしゃる方がいるということについて、このことを受けて、大臣、どういうふうに思われるのか。少なくとも、せめて、地域住民の皆さんが一生懸命チラシ配りをすることに頼るようなことになっている事態を踏まえて、教育委員会がきちんと対応すべきと考えているのか、あるいは教育委員会の方を応援するために、本当に、実際にどういうふうに回していくかということをちょっと聞かせていただければと思います。

永岡国務大臣 学校の先生の試験の応募に地元の方々がチラシまで配ってくださるというのは、本当に心温まるというか、胸が締めつけられるというような気持ちを起こさせていただきました。

 特別支援学校に限りません。年度の中途の教員の欠員につきましては、子供たちが安心して学べる環境を整える観点から、各任命権者におきまして早急にその補充を図ることが大変重要と考えております。

 各教育委員会においては、臨時講師募集の呼びかけですとか、各学校の管理職の人的ネットワークを使った教師のなり手確保に取り組んでいると承知をしております。

 また、文部科学省としても、講師等の募集を集めた人材バンクによる情報提供ですとか、現在教職に就いていない免許保持者に対する入職支援などの取組を実施しているところでございます。

 しかしながら、やはり教師不足が生じている現状を踏まえますと、更に新たな取組も必要であると考えておりまして、今後、各教育委員会の実情を聞きつつ、更なる教師のなり手確保の支援、これについて検討してまいりたいと考えております。

篠原(豪)分科員 こういうことが起きているということをまず知っていただいて、切実なのでということで、対応していただきたいというふうに思います。

 先生方に話を聞いていますと、若い方々は教師に希望を持ってなるんですが、先生が今尊敬されていなくて、非常にいろいろな仕事が多いので、民間に行って、そうすると給料も高いということなので、こういった問題を解決するには、やはりお給料を上げるという話も大事だと。

 昨日、給特法の話がありまして、四%あるけれども、あとは残業し放題みたいな話がありましたけれども、四%というのは八時間でいったら十九分ですから、十九分分しか残業代を出していないということになりますし、それはあり得ない話でありますので、そこも含めて考えていただきたいと思います。

 最後、もう時間が来ますので、一つだけちょっと、また違う話ですけれども、H3の打ち上げ、これも文部科学省さん、JAXAさんとやっています。

 この問題について、二月十五日に満を持して宇宙ビジネスに参入するためにやろうとしたH3の打ち上げがうまくいきませんでした。宇宙ビジネスへの参入には、打ち上げコストの半減、搭載能力の三割増の実現が不可欠であるとして、これを開発してきたんですが、ようやくやろうと思ってもなかなかうまくいきません。イプシロンも、もう一つの基幹ロケットで、日本でありますけれども、この打ち上げも昨年十月にうまくいっていませんで、その失敗の完全な解明にも至っていないということらしいんですね。

 現状は極めて厳しい環境にあると言えますので、H3は三月十日までに再度打ち上げるということですが、現下の見通しと、その先のビジネスの成算の見通しについて、最後に文部科学大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

永岡国務大臣 十七日に予定されておりましたH3ロケット試験機一号機の打ち上げにつきましては、固体ロケットブースターへの着火信号が自動的に停止をし、そして打ち上げは中止をされておりまして、今後、JAXAによります詳細状況の確認結果を踏まえまして、打ち上げの見通しが検討されます。

 また、H3ロケットは、我が国の宇宙活動の自律性の確保と国際競争力の強化を実現する上で極めて重要な基幹ロケットでありまして、これまで、JAXAと我が国の宇宙産業界が一丸となりまして、コスト低減や信頼性の向上などを目指して開発を進めてきたものでございます。

 早期の打ち上げを目指しておりまして、今回の打ち上げ中止が我が国の宇宙政策やビジネスに直ちに影響するとは考えておりませんが、文部科学省といたしましては、JAXAとともに原因調査等に最大限努めてまいります。

篠原(豪)分科員 時間ですから終わりますけれども、このH3ロケットを造っている民間の会社さんは、これから新しくミサイル関係で日本の防衛も担っていくようなところがありまして、そういうところが一緒にやっていてそれがうまくいかないと、やはりいろんなことが起きてくると思いますので、JAXAが成功するというのは極めて重要なことだと思いますので、そこのところを是非成功させていただきたいと応援させていただきまして、本日の質疑とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

三谷主査 これにて篠原豪君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村伸子君。

本村分科員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 給食の無償化、そして過酷な教育実習の問題、そして教員不足、非正規の教員の方々の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、給食の無償化についてですけれども、物価の高騰の下で、今、政治がやるべきことは、本気になって暮らしを応援することだというふうに思います。そういうときに、給食の無償化というのは子育て世帯の家計の直接支援になるというふうに考えますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

永岡国務大臣 児童生徒の学校給食費につきましては、経済状況が厳しい保護者に対しまして、生活保護によります教育扶助ですとか就学援助を通じまして支援をしているところでございます。

 学校給食の無償化につきましては、学校の設置者とそして保護者との協力によります、学校給食が円滑に実施されることが期待されております。これは、学校給食法の中に書かれている立法趣意を踏まえた発言でございます。設置者であります自治体におきまして適切に御判断いただくものと考えております。

本村分科員 昨年の十二月二十一日ですけれども、日本共産党の岐阜県委員会の皆さんと一緒に大臣宛てに要請を行わせていただいたんですけれども、岐阜市では給食費の滞納が増えている、このことに私は大変危機感を抱いております。岐阜市では、就学援助も生活保護の基準の一・三倍から一・五倍に引き上げたにもかかわらず、不認定の方々が三百人以上いらっしゃるということで、生活保護やあるいは就学援助だけでは救えていないという現実があります。

 保護者負担と書いてある学校給食法を変えなければいけないというふうに私は考えておりますけれども、それは、義務教育は無償と規定をしております憲法二十六条を実現することだというふうに思います。

 学校給食は教育の一環でございます。政府は、一九五一年に義務教育無償の範囲をできるだけ早く広範囲に実現したいというふうに答弁をしておりました。次は学用品やあるいは学校給食費、できれば交通費も無償にしていくという意欲を、七十二年前ですけれども、答弁をしておりました。

 しかし、来年度の予算案の中では、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、これで給食費の負担軽減をやるようにということになっていたわけですけれども、それがなくなるということで、四月から給食費の保護者負担が増えるという自治体が出てきております。更に物価は高騰しておりまして、今、保護者負担を増やすということはあってはならないというふうに思っております。一層の支援が必要です。

 来年度も給食費の無償化や負担軽減などの子育て支援ができるように、やはり各地方自治体への支援を強めていくべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 今般の物価の高騰につきましては、大変憂慮はしております。

 今般、学校給食におけます食材費の高騰につきましては、もう既に地方創生臨時交付金を活用いたしまして各自治体の皆さん方が保護者負担軽減に向けた取組を、ほとんどの自治体が取り組んでくださっております。

 そんな中で、物価高騰に対する取組につきましては、今後の政府全体の取組の中で、関係省庁と連携を図りつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

本村分科員 是非来年度もこの電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金などの財政措置をして、給食無償化などで子供たちやあるいは子育て世帯を応援する、そういう地方自治体を是非支援をしていくことが必要だというふうに考えますけれども、内閣府の副大臣に来ていただきました、よろしくお願いしたいと思います。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 地方創生臨時交付金については、コロナ禍において物価高騰の影響を受けた生活者や事業者の方々を支援するため、昨年四月に、コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分、昨年九月に、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を創設し、計一・四兆円を措置してきたところでございます。

 各自治体においては、本交付金を活用し、学校給食等の保護者負担の軽減を始めとした子育て世帯への支援も含め、地域の実情に応じたきめ細やかな支援が行われていると承知をしております。

 現在の対策は、コロナ禍における物価高により厳しい状況にある生活者や事業者の方々への支援として令和四年度予備費等により創設された臨時の措置であり、まずは、現場の声を聞きながら、自治体における本交付金の着実な執行に努めてまいりたいと思います。

本村分科員 この四月から給食費の値上げ、保護者負担を増やすという自治体が予想されているわけです。ですから、これから検討ではなくて、早くやるんだということを示していただきたい、決定をしていただきたいと思いますけれども、副大臣、お願いしたいと思います。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 今後の物価高対策につきましては、総理の施政方針演説において、必要な政策対応にちゅうちょなく取り組んでいく旨表明されているところであり、政府全体で適切に対応してまいりたいと思います。

本村分科員 是非早急に決めていただきたいというふうに思います。

 地方財政措置などを担当しております総務省にもお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、食材費の高騰の下で、来年度一年間を通じて給食費の無償化や負担軽減、これが行えるように地方財政措置をしっかりとしていただきたいというふうに考えますけれども、政務官、是非お願いしたいと思います。

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 児童生徒の学校給食費につきまして、経済状況が厳しい保護者に対して、生活保護による教育扶助や就学援助を通じて支援していると承知をしているところでございます。

 御指摘の給食費の無償化等につきましては、まずは、学校給食法を所管している文部科学省において検討していただく必要があると考えております。

本村分科員 生活保護や就学援助では救えていないところがあると先ほど申し上げました。そして、政務官の地元の愛知県の自治体で、給食費が四月から負担増になるという自治体があるわけで、やはり政務官も是非御努力いただきまして、関係省庁と御努力をいただきまして、給食の無償化、負担軽減ができるように是非していただきたいというふうに思っております。

 農水省にもお伺いしたいというふうに思います。

 給食費の値上げ、これを絶対にやらせないために、この物価の高騰の下で、それぞれの御家庭でも今様々節約をしているというふうに思います。そういうときだからこそ、学校の給食、保育園の給食などで地元産のよい食材をおなかいっぱい食べてもらえるように、そして、今苦しんでいる農家の方々も応援するという取組が必要だというふうに思います。

 子供たちの給食、そして大学生などの学食の負担、これを軽減するために、農林水産省としても、お米とかお肉、お魚とか卵、牛乳、野菜、果物など、地元の食材を利用する、購入する、そういう支援を行うべきだというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。副大臣、お願いします。

勝俣副大臣 ありがとうございます。

 様々な観点から対策が必要なのかなというふうに考えております。

 まず、備蓄米の利用という観点から少しお答えをさせていただきたいんですが、農林水産省では、従来より、政府備蓄米を活用し、食育の観点から、学校給食における御飯食を推進してまいりました。具体的には、米飯給食の実施回数を前年よりも増加させる取組に対しては政府備蓄米の無償交付を行っているところでございます。

 また、先生御指摘の地場産品を学校給食に使用し、食に関する生きた教材として活用してもらうため、学校給食での地場産メニューの開発や食育授業としての農林水産物の試食等を支援していきたいと考えております。

本村分科員 是非お願いしたい、更に強めていただきたいというふうに思います。農家の皆さんも苦しんでおられますので、是非強めていただきたいと思います。

 学校給食、保育園の給食もそうなんですけれども、子供食堂と位置づけて、無料にしてほしいというお声もございます。先ほど岐阜市で給食費の滞納が増えているという問題を申し上げましたけれども、どうしても、今、子育て世帯の負担軽減が必要になっているというふうに思います。

 それだけではなく、給食費の無償化という問題は、教職員の方々の負担軽減にもなるということでございます。

 給食費の滞納なんですけれども、名古屋市の学校では、給食費の集金の事務というのは、毎月、銀行の引き落とし、徴収簿の作成など日常業務に加えて、未払いの世帯への援助、対応、電話をしたり、手紙を書いたり、訪問をしたり、お話ししてもなかなか就学援助の手続が進まないケースもあるということで、時間がかかる状況があり、教職員の方々の負担が重なっております。

 無償化は教職員の方々の負担軽減にもなるというふうに考えますけれども、大臣、お答えをいただきたいと思います。

永岡国務大臣 学校給食などの学校徴収金につきましては、未納者への督促などの教員の負担軽減や、また保護者の利便性の向上等の観点から、徴収、管理を地方公共団体の業務とする公会計化を進める必要があると考えております。

 このため、文部科学省におきましては、徴収、管理に関するガイドラインや、また公会計化に関するQアンドA、既に公会計化を実現している自治体の事例集を作成をいたしまして広く周知を図るなど、公会計化の推進に努めているところでございます。

 今後とも、学校給食費の徴収、管理に係る学校現場の先生方の負担軽減に向けた取組を促進してまいります。

本村分科員 学校が抱えている問題をほかの部署に移すだけということになり、新たな行政サービスの低下を招きかねないということも大変危惧をされております。やはり保護者の方々の負担軽減、無償化という方向こそ力を注ぐべきではないかというふうに思っております。

 三月までに少子化対策のたたき台をまとめるということですけれども、やはり子育て世帯の方々への支援にもなるし、教職員の方々の負担軽減にもなる無償化を進めるべきだというふうに思います。しっかりとこのたたき台に給食の無償化を位置づけるべきだ、そして、学校給食法の改正、保護者負担というのを削除するということが必要だと思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

永岡国務大臣 先生、繰り返しになってしまいますけれども、学校給食費の無償化につきましては、学校の設置者と保護者との協力によりまして学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨を踏まえて、設置者である自治体において適切に御判断いただくものと考えております。

 他方では、少子化対策については、小倉少子化担当大臣の下に設置されました関係省庁会議におきまして、有識者から広く意見を聞きまして、三月末を目途として具体的なたたき台を取りまとめることになっておりますので、文部科学省といたしましては、内閣官房を始めとする関係省庁としっかりと連携協力をしてまいりたいと考えております。

本村分科員 七十二年前に学校の給食の無償化ということを、憲法を実現するということで意欲を示していたわけですから、是非、子供ファーストということであれば、早急にこれを実現していただきたいというふうに思います。

 次に、教員不足、教員の多忙化の中で、教育実習を行っている学生さんにもしわ寄せが及んでいるという問題について質問をさせていただきたいと思います。

 資料をお出しをしているんですけれども、資料の一を御覧いただきたいと思います。

 これは、民青同盟の愛知県委員会の皆さんが、教育実習をやった学生さんから取ったアンケートの結果です。

 十一の県で実習をされているんですけれども、一番最初のところ、本来の勤務時間というところを見ていただきますと、十時間というふうに言われた学生さんがいます。これ自体おかしいんですけれども、実際の一日の実習時間はもっと大変な状況があります。研究授業の前ですと、十四時間三十分も学校にいる学生さんがいる。研究授業の前ではない通常のときでも、十三時間三十分、学校にいる学生さんもいらっしゃいます。ですから、朝七時半に学校に行きまして夜九時に帰るというイメージなんですけれども、毎日そういう状況が続いたというお声も聞いてまいりました。教育実習の学生さんが二十七こま担当するというケースもございます。

 こういう非常に過酷な実態がある。こういう過酷な実態の下で、教員になるということを諦めるケースが出ております。

 文部科学省として、やはり教育実習の実態をつかんでいただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 教育実習というのは、一定の実践的な指導力を有する指導教員の下で体験を積みまして、そして、学校教育の実際を体験、総合的に理解をして、教育実践並びに教育実践研究の基礎的な能力と態度を身につけることを目的とするものでございます。

 教育実習の実態の詳細につきましては、すべからく承知をしているわけではございませんけれども、教育実習は教育職員免許法を始めとする法令に基づき、各大学の責任におきまして適切に実施すべきものであります。

 文部科学省といたしましては、網羅的に調査をする予定はございませんけれども、昨年十二月の中教審の答申におきましても、学生の多様化等の観点も踏まえまして、それぞれの学生の状況に応じた柔軟な履修形式が認められるべきと提言をされているところでございます。

 教育実習の本来の目的が達成されない過度な負担を学生に課することはあってはならないということでございますし、また、そのようなことがないように、教職課程を実施する各大学、また受入先であります学校を設置をします教育委員会に対しましてしっかりと働きかけてまいります。

本村分科員 是非お願いをしたいというふうに思います。

 先ほども働きかけていただくということですけれども、大学でいいますと、学校が忙しい中でも教育実習を受け入れてもらっているという負い目があるようで、実効ある是正を取らせるということが、なかなか言えない実態があるそうでございます。

 来年度から、一週間、土日はなしで五日間ですね、そして一日八時間、週四十時間、これを三週間やれば、教育実習の標準である百二十時間、必要な四単位が取れますから、こういうことを是非教育委員会のルートからも学校に徹底していただきたいと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

永岡国務大臣 教育実習の時間数につきましては、大学の責任におきまして適切な時間の設定をする必要がありまして、また、免許法施行規則におきましては、教職課程を置く大学は、教育実習の受入先の学校の協力を得て、その円滑な実施に努めることとされているところでございます。

 繰り返しになって申し訳ございませんが、学生にとって過度な負担を課し、そして教育実習の本来の目的が達成されないことのないように、教職課程を実施いたします各大学、受入先であります学校を設置する教育委員会に対しまして働きかけをしてまいります。

本村分科員 ありがとうございます。

 次に、ハラスメント被害に関してなんですけれども、教育実習先でハラスメントがあり、大学側から是正の要請をした後に、指導教諭との関係が更に悪化するというケースが実際に出ております。大学任せではなく、ハラスメント被害に遭った際に、被害を受けた学生さんの救済措置、実習先を変更するなど、救済措置を国としてつくるべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 教育実習先でのハラスメントのことでございますが、やはり教育実習についても大学が実施をする教職課程における授業科目であることから、一義的には、大学においてハラスメント被害の対応を行う必要があります。

 そして、文部科学省といたしましては、学生が安心して教育実習を行える環境が確保されるように、ハラスメント防止やハラスメント被害に遭った場合の相談窓口の周知等につきまして、大学そして教育委員会等に働きかけてまいります。

本村分科員 ありがとうございます。

 被害を受けた学生さんが不利益を被ることがないように、是非徹底をしていただきたいと思います。

 この教育実習の学生さんの過酷な状況と教員不足というのは関連していると考えております。今、少なくない学校で、長時間労働に追われ、人員が足りない。そういう中で子供さんへの対応、保護者の方々への対応ということで大変努力をされておられるわけですけれども、そういう中でストレスが蓄積していくという実態がございます。先ほど来お話がありましたように、団塊の世代が退職をし、そして年齢構成がかなり若くなっているという状況もあります。

 教育実習の学生さんを指導する教員の皆さんが、余裕がない勤務の下で実習生にきつく対応するということも考えられるのではないかというふうに思います。教員不足の解消が遅れ、そして教員の働き方改革も進まないということが、結局のところ、教育実習の学生さんから教員になるという夢を奪っていることになっているのではないか、それが、教員試験の倍率が更に低下するという悪循環をつくっているのではないかというふうに考えます。若者が臨時教諭に登録をして、働きながら正規採用を目指すということも実際に減っております。

 これらの深刻な事態を変えるために、思い切った施策が必要だと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 やはり教師不足の状況につきましては、大変憂慮すべきものとして危機感を持って受け止めているところでございます。

 そのために、文部科学省といたしましては、教師のなり手確保のため、各教育委員会に対しまして、講師等の候補者を集めた人材バンクによります情報提供ですとか、現在教職に就いていない免許保持者、ペーパーティーチャーというような言い方もするようでございますが、その方々に対しまして教職への入職支援など、様々な取組を実施をしております。

 また、採用倍率の低下につきましては、大量退職等に伴います採用者数の増加と、その中で既卒の受験者層の多くが正規採用に進んだことによりまして、受験者数の減少によるものと認識をしているところでございます。

 このような中で、文部科学省といたしましては、教師の志願者を増やすため、各教育委員会における取組を促進するとともに、計画的な教員採用の促進、学校における働き方改革、教員採用選考の早期化ですとか試験の複数回の実施の検討、教職の魅力向上等の取組を通じまして、質の高い教師の確保に努めてまいります。

本村分科員 愛知県内でも、教員不足というのは深刻になっております。

 資料の二を御覧いただきたいんですけれども、愛知県内にある、ある小学校の特別支援学級の子供たちのケースでございます。

 新年度、四月七日から、専任の担任の先生はおらずに、校務主任の方が担任をされ、授業は様々な先生がいらっしゃる。四月十八日からは、これも校務主任の方が担任業務なんですけれども、一時間目から五時間目までは非常勤講師の先生が授業をし、そして六時間目は教頭先生や教務主任の先生が授業をする。二学期は新しい担任の先生が来られて授業を行うということだったんですけれども、三学期の始業式のときには担任が不在になりまして、元々育休復帰の先生が担任になるはずだったんですけれども、五人欠員というのが学校の中であって、通常の学級の方に行ってしまう。特別支援学級の三組の子供たちはほかのクラスに振り分けられる。そして、一月十九日からは教頭先生が兼務で担任になり、授業は様々な先生が来る。そして、やっと二月、つい最近ですね、二月六日から新しい担任の先生が来る。

 様々な特性を持った子供たちがいらっしゃるわけです。先の見通しがつくことが大切で、予定の変更が苦手な特性がある子供さんは非常につらい思いをされ、実際に不登校になってしまいました。保護者の方も泣いておられました。子供たちの特性を担任の先生が替わるたびに伝えないといけないわけです。一年間ちゃんと責任を持って教育をしてくれる、そういう特別支援をするべきだというふうに思っております。三学期から育休復帰の先生が担任になると言われていたのに通常学級に行ってしまったということで、やはり通常学級が優先された、子供さんが、自分が大切にされていないというふうに感じたというふうにおっしゃっております。

 この学校だけではなく、自分たちは放っておかれている、別の自治体の子供たちからも声が上がっています。今年二月二日、全日本教職員組合の皆様が取りまとめた実態結果からも明らかなように、五月の時点からも増えて、十月の時点で千百八十四人、十六道府県四政令市で比べると、未配置が千百八十四人に膨らんでいるという実態があります。

 子供たちに悲しい思いをさせてはならないというふうに思います。来年度の四月からは、年度を通じて子供の学ぶ権利が奪われることがあってはならないというふうに思います。文部科学省を挙げて教員の確保に取り組むことが必要です。

 まず、今年度末での退職者、新年度の配置予定数の精査をして、不足する教職員数を把握することや、担任の先生がいないクラスはないか、そのほか、未配置はないか、確認をするべきだと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

永岡国務大臣 今年度の教師不足の状況が依然として厳しいことにつきましては、申し訳ございません、具体的な数については調査は行っていないというわけでございますが、しかしながら、文部科学省としても、全ての都道府県、指定都市教育委員会等との意見交換によりまして、状況は承知をしているところでございます。

 今後、全国的な調査を実施するかどうかにつきましては、教育現場の負担というのも考慮しながら、教育委員会等の関係者の声も聞きながら適切に判断をしたいと考えております。

 また、各教育委員会の実情をしっかりと聞きながら、更なる教師のなり手確保の支援にはしっかりと検討してまいりたいと思っております。

本村分科員 最後に、二問まとめてお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、今年度、愛知県は、四月当初に二千五百三十四人もの正規採用不足が生まれまして、欠員補充ということで、そこを臨時の教員の方々で補いました。二千五百三十四人の欠員補充というのは過去最高の数字となっております。その一方で、採用不足がありながら、採用試験で補欠合格とされた受験者を合格に繰上げをしないということがございます。

 愛知県は財政不足を理由としているわけですけれども、財政不足が生じないように国としてしっかりと手だてを取るべきです。財政力第二位の愛知ができないのであれば、ほかの都道府県でもできないということになります。

 また、非正規の問題がやはり教員不足の背景にはありますから、非正規で使い続ける在り方をしっかりと変えていくべきだというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

永岡国務大臣 公立学校教員の採用の選考というのは、任命権者でございます各教育委員会の権限と責任において実施されているところでございます。

 令和五年度採用の愛知県の公立学校教員の採用選考試験受験案内によりますと、補欠者につきましては、受験区分、教科ごとの新規採用教員の欠員状況に応じまして、令和五年四月一日以降順次採用するとされております。産休、育休の取得者ですとか、また病休者が出た場合の代替任用を行うという趣旨ではなくて、合格者から辞退者が出た場合に繰上げで採用されるものと聞いております。

 なお、教職員給与費に関します財政措置につきましては、義務教育費国庫負担金におきまして国庫負担をしております。そして、都道府県等が正規教員を任用した場合においては、それに対応する給与水準で国庫負担をしているところでございます。

 正規任用も含めました公立学校の教師の任用につきましては、任命権者であります教育委員会の権限と責任に基づいてこれは行われると先ほど申し上げました。各教育委員会に対しまして、中長期的な採用計画の中で、目標とします正規教員の割合などを設定をし、その目標に向かって積極的に正規教員の採用を進めていただくようにお願いをしてきたところでございます。

本村分科員 長期的な採用計画に基づいて愛知県も実施していると言っておりますけれども、二千五百人以上の正規での採用が足りない現状がございます。正規での採用をもっと進めていただき、子供たちが犠牲になることがないように、是非文部科学省として、していただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三谷主査 これにて本村伸子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後二時四分散会


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