衆議院

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第2号 平成29年2月23日(木曜日)

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平成二十九年二月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 菅原 一秀君

      古賀  篤君    根本  匠君

      野田  毅君    山下 貴司君

      井坂 信彦君    長妻  昭君

      柚木 道義君    伊藤  渉君

   兼務 山尾志桜里君 兼務 穀田 恵二君

   兼務 宮本  徹君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   国土交通副大臣      末松 信介君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           北島 智子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君

   政府参考人

   (観光庁次長)      蝦名 邦晴君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  根本  匠君     古賀  篤君

  井坂 信彦君     柚木 道義君

  伊藤  渉君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  古賀  篤君     根本  匠君

  柚木 道義君     井坂 信彦君

  高木美智代君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  大口 善徳君     伊藤  渉君

同日

 第三分科員山尾志桜里君、第六分科員穀田恵二君及び宮本徹君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

菅原主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀篤君。

古賀分科員 おはようございます。

 連日の分科会対応、お疲れさまでございます。そして、早朝より御対応いただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、三十分、質問の時間をいただきました。大きく三点伺いたいと思いますし、ちょっと多岐にわたりますので、早速質問の方に移らせていただきたいと思います。

 まず一点目でありますが、医療、有床診療所に関する質問でございます。

 私の地元福岡でございますが、平成二十五年の十月に福岡市の有床診療所で火災事故がありまして、十五名の方が死傷するという大変痛ましい事故がありまして、それからもう三年が過ぎております。命を救う、けがや病気を治す、そういった場で事故が起こり、死傷者が出る。大変痛ましい事故でありましたし、こういうことを繰り返してはいけないということを強く思ったわけであります。

 その事故が発生した後、国におきましては、対策の検討部会というのを立ち上げていただきまして、具体的には、スプリンクラー設備の設置基準等について検討いただき、消防法令の改正等を行っていただくとともに、スプリンクラーや自動火災報知、火災通報装置の施設整備事業を、補正、当初予算で講じていただいたということであります。

 来年度、二十九年度予算案でも計上されておりますが、こうした毎年の予算措置によって、これまで有床診療所約千六百において、この予算措置でスプリンクラーが設置されたというふうに伺っておりますが、一方で、未設置の診療所もまだまだあるという実態も聞くわけであります。

 当然、有床診療所の中には義務がかかっていない診療所もあるわけでありますが、こうした設置、整備をしている中で、今、診療所等でスプリンクラーの施設整備、どのように進んでいっているのかということを調査されている最中だというふうに伺っております。この調査内容について、まずはお聞かせいただきたいと思います。

神田政府参考人 先生御指摘のとおり、平成二十五年に福岡県の有床診療所で発生した火災事故を受けまして、翌年、消防庁におきましてスプリンクラーの設置義務の見直しが行われまして、二十八年四月から、原則として全ての有床診療所、病院等がスプリンクラーの設置義務の対象となったところでございます。

 既存の有床診療所につきましては、平成三十七年六月末までの設置義務の猶予期間が設けられておりまして、それまでにスプリンクラーの整備を進めるために、厚生労働省といたしましては、平成二十五年度の補正予算からスプリンクラー等の施設整備事業を設けまして、その補助を行ってきているところでございます。

 現在、その調査を行っておりますけれども、昨年十二月に調査を行いまして、一月末までの回収ということで行っておりますが、まだ一部、出てきていないところがございます。この調査におきましては、未整備の理由でございますとか、設置予定、いつ設置するのかという予定等について調査を行っておりまして、今後の設置予定、なぜ今設置できていないのかという理由を把握することにいたしております。

古賀分科員 今の御回答でございますが、まさに今調査中ということで、未整備の理由、それからいつ設置されるのか、こういった点で調査をかけているということであります。

 今、有床診療所は、御存じのように、この火災事故が発生する前から、毎年どんどん減っていっているという現状にありまして、直近では七千六百ほど、八千弱という施設数の現状にあるというふうに伺っています。

 スプリンクラー、基本的にはこういった補助がある中で、幾分、自己負担があったりする部分もあるんだと思います。スプリンクラーの設置義務がかかっている中で、設置をされない診療所というのはどういう理由か、本当にしっかり把握していただきたいと思いますし、そういう意味では、今申し上げたような財政的な面だけではなくて、それ以外の理由が必ずある。

 私も現場でいろいろな声を伺うわけであります。その中には、有床診療所、もう経営がそもそも成り立たない、厳しいという中で、有床から無床へ、あるいは、そもそも診療所、後継ぎ、引き受け手が、もうめどが立たない、なので、どうするか迷っておられる中で、あるいは、もう畳まれようと決意されている中で、この設置が行われていないというふうな状況も伺うわけでございます。

 ですので、今回の火災を機に、法令を改正した、あるいは予算措置をした、これで国の対策は万全だということではなくて、ぜひこれを機にしっかりと把握をしていただきたいなと。今、有床診療所がどういう状況にあって、その中で、何のどういった課題を抱えているのかというのを把握していただきたいというふうに思うわけであります。

 地域医療をこれから展開していくわけですが、その核となるのがまさに有床診療所だというふうに思っておりますし、ぜひともこれを機に、国の支援、あるいは何かできることはないか、拡充策も含めてぜひお考えいただきたいと思いますが、厚生労働省のお考えというのをぜひお聞かせください。

馬場大臣政務官 お答えします。

 有床診療所等の患者が安全かつ安心な療養生活を送ることができる環境を整備するために、平成二十五年度よりスプリンクラー整備等に対する財政支援を行っているところであります。先ほどお答えしたとおりでありますが。

 平成二十八年度補正予算においては約百五十億円確保し、平成二十九年度当初予算では対前年度比八十一億円増の百七十三億円の予算を計上しているところであります。

 今後は、まずは本予算によりスプリンクラーの整備を進めていくとともに、調査によって把握した実態も踏まえて適切に対応してまいりたいと存じます。

古賀分科員 馬場政務官、ありがとうございます。ぜひともしっかりとした把握と、それを受けた対応というのを御検討いただきたく思います。

 続きまして、有床診療所をもう一問お伺いしたいんですが、宿直の位置づけであります。

 医療法上、病院に医師を宿直させるという義務があって、有床診療所にはその義務はないわけですが、そういった中で、宿直を置くということが行われているわけであります。

 この宿直される方は労働基準法上どういう適用になるのかということでありますが、待機時間も一般的には労働基準法上の労働時間とされる一方で、一定の要件を満たした場合に、そしてそれを、許可を受けた場合には労働時間規制を適用除外するということになっているかと思います。

 そこで、労働時間規制の適用除外の基準というのが問題になって、具体的な診療所ごとの個々の事案というのは地域の労働基準署に任されて、ある意味、裁量的に行政されているのかなと思っております。

 聞くところによりますと、その中には、どちらかというと厳しい判断、基準をされて、その中で時間外手当が発生するなど人件費がふえる、あるいは、そういう対応ができない、負担が重いというような声も伺うわけでございます。

 当然、こういった規制というのは、医療水準を維持する、あるいは、そこで働かれている方を守っていく、保護するという観点があるので、むやみに緩めてはいけないのは当然でありますが、一方で、余りにしゃくし定規あるいは厳しい運用をした結果、もう医療が回らないということになっては元も子もないということもまた一つあるわけであります。

 ですので、各署の監督官が個々に判断をする、そして中に、過剰に厳しい運用をされているということがあってはいけないと思うわけでありますが、こういう状況をぜひ把握していただきたい。現場任せ、地域に任せるなり地方に任せるわけじゃなくて把握して、場合によっては、ややもう少し明確に基準を設けることで、安心して医療を提供いただく、現場でも医療を提供いただくことができるような環境をつくっていくことが大事なんじゃないかと思うわけですが、ぜひ厚労省の考えを伺いたいと思います。

堀内大臣政務官 古賀篤先生の御質問にお答え申し上げます。

 労働基準監督機関においては宿直の許可基準を定め、医療機関も含め、全ての業種の事業場について、全国斉一的かつ公正な運用を行っているところでございます。

 引き続き、各労働基準監督署において、個別の事案ごとに労働の態様、そういったあり方を十分に調査させていただいた上で、宿直の許可基準に照らして適切に対応してまいるように、各労働局を通じてしっかりと指導してまいる所存でございます。

古賀分科員 堀内政務官、ありがとうございます。

 しっかりと指導というお話がありまして、いろいろな地域から声が上がってきます。私も有床診療所の議員連盟に属していまして、その中で具体的なお声が上がるわけであります。ぜひともそういう声を拾っていただいて、もし問題がある、あるいは是正する必要がある場合には、しっかりと厚生労働省、本省で把握していただいて、適切な対応を改めてお願いしたいと思います。

 続きまして、二点目でありまして、これからは有床診療所じゃなくて、保育について伺いたいと思います。

 近年、保育の、特に保育士の方の処遇でありますが、改善されてきているという状況にあります。具体的には、我々、政権復帰して、平成二十四年度から二十五年、二十五年からその予算措置になるわけですが、保育士の処遇というのは、二十四年と比べまして、二十五年で約三%、以後毎年、五パー、七パー、八%と改善をしまして、来年度、平成二十九年度は約一〇%の改善が図られる。加えて四万円の上乗せ、ある程度の経験年数があり、要件を満たす保育士の先生には四万円の増があるというふうに伺っております。大変ありがたいことですし、現場を伺っても、保育園を伺っても、大変感謝の声を多くいただくわけであります。

 それはそれで大変いいこと、大変支援拡充になっているということを認識するわけでありますが、一方で、従前の、これまで自治体が保育士の方に独自にやっていた支援、処遇について、この国の支援を機に後退する、減らす、あるいはやめる、そういう話もたくさん私は伺って、せっかくこういう、国が上乗せ、拡充をしても、地域がそれを引っ込めるとなると、結局、支援する出どころが自治体から国にかわるだけで、保育士さんの側からすると何ら変わっていないじゃないかというようなこと。

 実際、私もそういう指摘を受けて、処遇改善されますよねと言ったら、いや、全然変わらないですよと。あるいは、いや、国が支援するだけで自治体は引っ込めますよという話は聞きます。これは地元福岡だけではなくて、九州も各地あるようですし、全国的にもそういう実態があるようにも聞いているわけであります。

 ですから、こうした自治体の対応次第では、せっかく国がお金を出していっても、ネットでは増になっていない、こういうことになっているんじゃないかという懸念を持っております。

 まず役所として、この実態、地域がどういうふうに対応しているのか、自治体がどういうふうに対応しているかというのを把握されているかどうかを、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

堀内大臣政務官 保育士等の処遇改善については、ただいま古賀先生がおっしゃってくださったとおり、国においては平成二十五年度以降、毎年度取り組んできており、また、一部の自治体において、独自に処遇改善の上乗せを行っていると承知しております。

 一方で、国の支援拡充に伴い、地方単独事業を後退させている自治体の動向につきましては、これまでも、国で処遇改善を行う場合、地方単独事業で行う処遇改善施策を後退させないように、自治体に対して働きかけをしているところでございます。

古賀分科員 今の御答弁、働きかけを行っていただいているということであります。

 それは、確かにそういう話はお聞きしますし、私もいろいろなお話を厚生労働省あるいは内閣府の方からも伺っている状況にあります。ただ、最終的には自治体の判断ということがあって、なかなか厚生労働省としても最終的にかかわることができないという状況もあるというふうに聞いております。

 ですので、そこは最後、自治体の負う部分があるんでしょうけれども、ぜひ現状を把握していただいて、実は国がしっかり出しているのに地域で違う状況になっている、あるいは、場合によっては逆のこともあって、上乗せで、多分東京とか、保育士さんたちは非常に待遇がいいという話も聞くわけです。これが結構ばらばらだったりすると、処遇がいい方に保育士さんが流れる。地域からは、保育士さんがなかなかいない、人材不足になるということも、大変心配の声として聞くわけでございますので、ぜひ現状を把握していただいて、また、それに対して何か対応ができるんじゃないか。あるいは自治体との関係で、もう少し調整ができるんじゃないかということがあれば、やはりそういう役割を、厚生労働省を初め中央の役所にも担っていただきたいと思っております。

 やはり、これからの、国が子育て支援あるいは保育を充実するという中で、自治体の対応をしっかり踏まえた政策展開を行うべきではないかというふうに考えておりますが、ぜひ塩崎大臣の御見解を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

塩崎国務大臣 昨年、児童福祉法の改正というのをやってみて、特に、地方自治体、自治事務でお願いをしていることと、中央との、政府としてやっていることとの整合性というか、これについて随分考えさせられたところでございます。

 今、古賀委員から御指摘のとおり、やはり自治体によって、それぞれの考えでそれぞれやっていただいていることがたくさんあるわけでありますけれども、そんな中で、保育を初めとした子育て支援の取り組み、確かに各自治体で差があると思います。

 待機児童対策に取り組む自治体に対しては、自治体の負担を軽減するための補助率のかさ上げを行うとともに、政府としては、国が処遇改善などを行う場合に、自治体独自の処遇改善施策などを後退させないようにお願いをして、働きかけているところでございます。

 しかし、今お話があったとおり、究極的には自治でありますから、それぞれの考えでやっていただくということで、平成二十九年度の予算案で実施しようとしている処遇改善についても、自治体に対して、地方単独事業を後退させないように今後とも働きかけていきたいと思っておりますが、やはり方向性が同じ方に向いてくれないと、政府として、地方が、言ってみれば児童福祉法の目的に合っているかどうかということは、我々はやはりちゃんと見ていかなきゃいけませんし、その目的の中で、政府が目指すところについても、おおむね同じ方向を向いていただくように、私どもとしてもお願いをしっかりしていきたい、こう思っております。

古賀分科員 大臣、ありがとうございます。

 やはり難しい部分があるというのは私も認識を共有させていただくところでありますし、今、保育士の処遇改善のことだけ申し上げましたが、やはりそれだけではなくて、今、待機児童が物すごく問題になっておりますけれども、保育園の質の向上を図るということが大変大事だというふうに思います。その中で、処遇の改善だけではなくて、園の状況というのもしっかり見ていく必要があるというふうにも思うところであります。

 ぜひとも、引き続き、現場の声、保育士の方を初め園の声をお聞きいただきまして、地域によって差が出る、あるいは保育士の不足も含めて、きっちり対応できるような、そういう行政を行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして三点目でありまして、最後の分野についての質問でございます。生活衛生、美容について伺いたいと思います。

 現在、美容につきましては、美容師法において、これは十一条だと思いますが、美容所、美容室を開設する際には、その美容所の位置ですとか構造設備等の事項を都道府県に届け出て、そして開設する、開所するということになっているわけです。

 ですので、美容室以外で美容を行う、これはいわゆる出張美容というものでありますが、これは一定の条件だけで認められているということであります。こういう出張美容、出張理容もそうなんですけれども、どういうときに認められるかというと、例えば高齢の方、あるいは障害があって美容室、理容室に外出できない、足を運ぶことができない方、あるいは、そういう施設に入っていて出られない方のところに出向いていって、理美容を行うということになっているわけですね。

 そこは非常に十分理解するわけですが、それ以外にいろいろな要件がございまして、その要件の一つ、これは施行令で定められておりますけれども、婚礼やその他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に美容を行う場合に、やはり出張美容が認められるということであります。

 確かに、私もいろいろな結婚式等々に出るわけですが、晴れの衣装を着ているときに、直前にそういう美容をするということは、美容室に行くんじゃなくて、それは認められるだろうなと。あるいは、お色直しをする、こういうときにも出張してちょっと直してもらう、大変ニーズがあるんだろうなと思うわけでありますが、その儀式の直前というところがどこまでが認められるのかという、ある意味判断が難しい、グレーな部分があるというふうに伺っております。

 そして、私の地元福岡では、この範囲をなかなか明確にできない中で、卒業式対応で学校へ、あるいはその近辺で衣装とセットで、こういった中で出張美容が行われているというふうに伺っております。当然、福岡だけでなくて、いろいろなことが出張美容の判断、要件として各地で行われていると思いますが、福岡県を含めて、まず国がそういう状況を把握されているかどうかをお聞かせいただきたいと思います。

馬場大臣政務官 お答えします。

 美容を業として行う場合、公衆衛生上の観点から、美容師法施行令第四条に定める特別な事情がある場合を除いては、美容所以外ではこれを行うことは認められておりません。

 この特別な事情につきましては、既に委員から紹介がありましたように、疾病その他の理由により美容所に来ることができない者に対して美容を行う場合、また、婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に美容を行う場合、それからもう一つ、都道府県等が条例で定める場合となっておりまして、個別事例ごとの判断については各都道府県が自治事務として行っているところであります。

 なお、お話にありました、卒業式の直前に美容所以外の場所で施術を行う必要性は、必ずしも高くないというふうに考えられますが、地域ごとの事情に応じて、条例により特別の定めを置くことは可能ではあります。

 御指摘の、卒業式等における出張美容の取り扱いについては、福岡県において現在も検討中であると承知しておるところであります。

古賀分科員 馬場政務官、ありがとうございました。

 先ほど大臣がおっしゃった自治事務というワードがまた出てきまして、やはりこの部分は難しいんだなということを改めて認識したわけであります。どこまでを認めるかというのは、いろいろな関係者がおりますので、大変難しいというのは一般論としてもあると思います。

 先ほど申し上げたように、出張美容というのは、今ニーズがかなり高まっているというふうに伺っております。どんどん高齢化が進んでいって、お年寄りの暮らす自宅、介護施設、こういうところに赴いて髪を切るということは、どんどんふえてくるんだろうと思います。

 働き手、つまり美容師さん側としても、一定のこういうニーズというか、なり手というのはいるのも承知しているわけであります。つまり、美容室を構えて、予約が入るまで店にいる、フルタイムで働く、こういうのが通常の美容室なんだと思いますけれども、そうではなくて、結婚、出産で退職した女性の美容師の方が、そういうニーズがあるときに出向いていって、やる。理美容の市場はどんどん縮小していっていますので、そういう意味で、こういう中でのビジネスチャンスとかニーズがある、美容師さんも助かるというのはあるというのも、一つ理解するところであります。

 一方で、既存のお店、これはまず開所するのにもコストがかかり、そして維持するにもコストがかかる、そういった中でこつこつされている。それで、新たにこういうビジネスが出てきて客をとられてしまうということがあっては、やはり経営は成り立たないなという心配の声も一方であるわけですので、いろいろなお声をしっかり伺って、どこまでが認められるのか。

 それで、消費者がどういうことを望んでいるのか、当然そこも大事なわけですから、こういったさまざまな声を聞く中で、どこまでがいいのかというのは、最後は自治体だと思いますが、国としても、全国の動向、ちょっとこれは保育の話あるいは有床診とも全く同じ話をしているわけですけれども、ぜひ、どういう実態になっているかというのを把握いただく中で、場合によっては、自治事務だけれどもこういう事例があるよ、もしくは、ここまではいいけれども、そこから先はちょっとどうかなというような基準というのを例えば示していただければ、現場も安心されるし、あるいは都道府県の方も判断しやすいということもあるんじゃないかと思うわけです。

 ですから、いろいろなニーズに応えていく一方で、別に既存の既得権益を守るという意味では決してなくて、その結果、例えば美容が潰れてしまって、普通に行ける人が使えなくなるというのは当然消費者にとっての不幸でありますので、これは保育も有床診も全部同じで、決して既得権益を守るということではなくて、有床診療所がなくなったらその地域の方が困る。保育も質が上がらなければ、子供を預ける、そして子供も困る。そして、この美容、理容も同じでありますが、どういう形で安心して経営していただけるのか、そして、そういったいろいろなニーズに的確に応えて、消費者の、サービスを受ける側のサービスの向上にもつながるのか、こういったことをしっかりと考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

 なかなか、自治事務という中で難しい点があるというのは、繰り返しですが、認識しているところでありますが、ぜひとも、国としても問題意識を持っていただいて、調査をする。余り調査をかけるとまた自治体の負担もふえるわけですので、適度にしていただきたいと思いますが、そういうことを行っていただく中で、次の段階の御検討をし、政策を実行していただきたいと思います。

 私からは三点でございましたし、ぜひとも厚生労働省にお願いさせていただくとともに、塩崎大臣を初め両政務官、また、きょうお越しはありませんが副大臣の御健闘もお祈り申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

菅原主査 これにて古賀篤君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田分科員 日本共産党の穀田恵二です。

 きょうは、いわゆる民泊問題について、厚生労働省並びに国交省に質問したいと思います。

 今、利用者の大きな話し声やキャリーバッグを引く音などの騒音がひどい、たばこのポイ捨てなどもあり火災が心配だ、さらに、マンションの一室が無許可で民泊に利用され、オートロック機能の意味がなくなり不安だなど、こういった声が全国で広がっています。

 塩崎大臣は、二〇一六年十一月二十一日のTPP特別委員会で、我が党の辰巳議員の質問に対し、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行う場合には、原則として旅館業法に基づいて旅館業の営業許可を取得する必要がございます。したがって、住宅などを活用したいわゆる民泊サービスであっても、現状では、旅館業の許可を得ずに宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行えば、旅館業法に違反、無許可営業というふうになると考えられるわけでございます。」こう答弁していますけれども、その認識は変わりませんね。

塩崎国務大臣 今御指摘いただいた、昨年十一月二十一日のTPP特命委員会での質問に対して、確かに私は、現状では、旅館業の許可を得ずに宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行えば、旅館業法に違反をすると申し上げたわけでございまして、認識の変更はございません。

穀田分科員 変わらないと。

 そうすると、今全国に広がっている民泊の多くは旅館業法に違反、違法であり、つまり取り締まりの対象とならなければならぬということなんですね。

 違法民泊が横行しているということは許されないことだと私は思うんです。その最大の民泊の仲介業者の大手、エアビーアンドビー。これは、エアビーに登録されているだけでも、世界百九十一カ国二百万件、日本では四万六千件が登録されていると言われています。東京都で約一万六千件、大阪市で約一万二千件、京都市約四千五百件。これらのほとんどが旅館業法上の簡易宿泊所の営業許可を受けていない違法民泊であります。

 しかも、エアビーのサイト上には、宿泊先の詳細な住所や運営者の連絡先は記載されていません。調査しようにも、所在地さえわからないところが大半です。こういう状況を掌握しているんだと思うんです。

 違法民泊を仲介する行為は、法違反を承知で仲介するわけだから、共犯もしくは幇助に該当する。ここが野放しになっていては取り締まりなどおぼつかない。まず私はプラットホーム提供事業者を取り締まるべきではないのかと考えますが、見解を求めます。

北島政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、現在の違法民泊により、騒音やごみ出しのルールなどが守られないなど、近隣住民とのトラブルが多発していることは認識しているところでございます。

 違法民泊がもたらす問題に対応するため、現行の旅館業法のもとにおきましても、民泊サービスが旅館業法の許可のもとに適切に提供されるよう、昨年十一月に営業許可取得の手引を作成し広く公表するとともに、各自治体における無許可営業施設への対応状況の把握に努め、現行法の遵守や悪質な民泊を対象とした取り締まり等の強化について、昨年九月に警察や自治体に協力を要請するなどの対応を行っているところでございますが、エアビーアンドビーなどの海外の業者に対する取り締まり等は現行の法制下では大変難しい状況もあり、まずは今民泊を提供している方々への対策を強めているところでございます。

穀田分科員 今話を聞くと、対策を強めていますと。そうすると、何か効果が出ているか。それほどいい話って聞いたことありますか。ないですよ。いつもやっているという話なんだけれども、私は、そんなことないと。要するに、事実上野放しにしているということが問題なんですね。私が聞いたのは、エアビーアンドビーなんかのそういう宣伝やその他について、きちんと対処したらいいということを言っているんですね。

 ニューヨーク市では、そもそも住宅法によって三十日未満の短期間滞在のために住宅を貸し出すことは禁じられていますけれども、新法で短期滞在について広告宣伝することを違法とすることを決めています。つまり、違法広告を発信、掲載した場合、最高で七千五百ドルの罰金が科せられる。罰金が科せられるわけですね。新聞、ウエブサイト、テレビCMなどあらゆる媒体への広告が含まれるため、エアビーのみならず他の民泊仲介サイトへ民泊物件を掲載して広告宣伝することも対象になるわけですね。だから、やろうと思えばできるわけですよ。

 問題は、どたばたしてやっているわけだけれども、ここ数年ぐらい前から問題になっており、まずは海外だという話を必ずするんですよ。しかし、そうじゃなくて、旅館業法による規制を強化して抜け穴を塞ぐべきだということなんですよ。

 そこで、今エアビーの問題について言いますと、私の秘書さんが実際に宿泊を予約してみました。まずインターネット上で個人情報を登録するわけだけれども、個人の顔写真の登録に不安があったので、動物の亀の写真を登録したんですね。それで登録できるんですよ。驚くべき事態なんですね。みんな笑ってはるけれども、そういう実態なんですよ。だから、こんな適当な、いいかげんな写真でもオーケーとされていることに私は本当に驚きましたよ。

 この時点ではまだ宿泊先の詳細な住所はわからずに、最後の宿泊料のカード払いが確認されると、詳細な住所や鍵が入っているポストのあけ方などがメールで届くだけなんですよ。だから、宿泊当日、運営者に会うことなく、メールに届いた住所に行き、個人ポストをあけ、そうすると鍵が入っていて、その鍵でマンションのオートロックをあけ、部屋に入る。予約、宿泊を通じて利用者と運営者が顔を合わせることはないんですよ。

 このように、手軽に空き家、空き部屋を使う民泊ビジネスが世界的にも日本でも流行になっている。

 今お話があったように、マナーの問題とか、それから、いろいろな小さい話、いろいろなことをしてはりましたよ。でも、問題はそういうレベルにとどまらないんですよ。フロントさえ置いていない違法民泊では、利用者との面接の機会さえ確保されないわけだけれども、結果として感染症や伝染病、犯罪行為の温床となるリスクが当然考えられる。そういうことについてどうお考えですか、大臣。

塩崎国務大臣 今御指摘になっているのは、現状の旅館業法の許可を得ずに違法な民泊を行った場合の、言ってみれば危害というか、例えば、騒音であったり、先ほどもちょっとお話がありましたが、加えて、ごみ出しのルールが守られないで近所にごみを広げてしまうというようなこと、そういうようなことで近隣の住民とのトラブルなどが生じることがあって、今御指摘のとおり、いわばその地域の住環境などが悪化をするという問題が起きているということは私どもとしても認識をしているところでございます。

穀田分科員 住環境の問題は次に言うんですけれども、私が言ったのは、やはり感染症や伝染病、犯罪行為の温床となる可能性がある。全部それがあかんと言っているのと違いまっせ。だって、そういうものを取り締まるために旅館業法というのはやって、それで金をかけてやっているわけで、片っ方にそういう人がいるわけですやんか。

 では、私は京都に住んでいますけれども、京都でも、今お話があったように、違法民泊が問題になっています。

 下京区では、路地を入ったところにある八戸のうち四戸が民泊、半分が民泊で利用されて、残りの四戸は独居老人が住んでいる。夜中もキャリーバッグを引く音が絶えず、夜中に間違えてインターホンを押す。始終見知らぬ人が出入りする。住民の一人は、このままでは住み続けられないとまで言っています。

 京都駅に近い下京区だけではありません。市内全域に広がり、空き家が、あれ、えらい小ぎれいになったなと思ったら民泊だという例は枚挙にいとまがありません。

 京都市が二〇一六年に行った京都市民泊施設実態調査、これによれば、エアビーなどが運営する仲介サイト八つの調査で、民泊登録施設のうち、旅館業法上の許可が確認されたのはわずか七・〇%にすぎない。

 先ほど部長が、一生懸命やっていると。一生懸命やって、たった七%しか登録されていないんですよ。ということは、九割以上が違法だということなんですよ。こういう事態のもとで、京都が京都でなくなる、これが京都に住む方の思いなんですよね。

 そこで、今大臣もおっしゃったように、住環境という話をしてはりましたわ。私は、住生活、住環境に直結するまちづくりの問題だということ、こういう認識が必要なんじゃないかと。だから、京都のメディアは、観光民泊無法地帯京都とまで酷評している実態なんですね。今住環境の話は出ましたけれども、大臣には、そういう、いわば、まちづくり全体にかかわる大問題だという認識があるのかということを私は改めてお聞きします。

塩崎国務大臣 おっしゃるとおり、それはすぐれて地域というか地方の問題として町をどうするのかということと大いにかかわってくる問題であるわけでありまして、私どもの旅館業法のもとでも都道府県が、知事が一義的には責任を負っていくというのは、やはりその地域のまちづくりそのものに深くかかわる問題でもあるからだというふうに私どもは思っておりまして、今回、法改正を予定しておりますけれども、その際にも、やはり地域の判断というものが重視をされるということで、それぞれの考え方に合ったまちづくりの考え方とは違うようなことが起きないようにするというのは、地方自治として当然やっていくことだろうというふうに思います。

穀田分科員 一般論としてはそうなんですよ。現実、そんなことがちゃんと守られると思いますか。

 先ほどの話でも、相当一生懸命やっていると言うてはって、たかだか七%しか登録していないわけじゃないですか。ビラをまいている、チラシをまいている、そうやっている、大体どこにいるかわからない人たちを相手にやっているのに、そんな話は通用しないんですよ。

 問題はそんな生易しいものじゃないということを認識していただいて、あわせて、地域住民がどんな苦労をしているかということにも思いをはせなあかんと私は思うんですね。

 私は聞いてきましたけれども、京都の東山区のある町内会では、駅から徒歩一分という立地条件がいいということもあって、百軒の住宅、学区と言ってもいいです、町内と言ってもいいですよ、そこに五軒もの民泊施設が無許可営業中あるいは許可申請手続中だという状況があるんですね。住民は、事業者に対して説明会の開催を要求し、その次の次の週には四十人以上の近隣住民が町の集会所に集まって説明会が実施され、民泊の開業に当たって地域住民との協定書をつくることを約束したと言われています。つまり、何回も何回もやって協定書をつくらなければ、そういう地域は守れないということまでやって努力しているんですよ。

 伏見区でいいますと、ある商店街では、中に三十三人が宿泊できるゲストハウスの建築計画が出てきた、町内会と自治会が運営事業者に説明会を繰り返し開催させる中で、フロントに交代で二十四時間常駐する人の配置をすると約束をさせ、さらに、三交代のうち一人は地域の人を採用する、また、電気器具は地域の店で買う、こういったことを約束させて協定書をつくる、こういう努力があるわけですね。

 チラシをまいているとかあれしているとかじゃないんですよ。そんな話でうまくいくわけじゃないんですよ。そういう苦労をしているということに思いをはせなあかん、そういうものに比べれば、大臣、行政の対応がおくれているんとちゃうか。このまま手をこまねいていいのか、すぐ大臣は、次の新法を考えていますと言うけれども、まず、現実を厳しく取り締まる、そして、手をこまねいていてはあかんという認識があるのかどうか、再度聞きたいと思います。

塩崎国務大臣 違法な民泊の問題に対応をきちっとするために現行の旅館業法のもとでしっかりやっているのか、こういうお尋ねだろうというふうに思いますが、まず、民泊サービスが旅館業法の許可のもとに適切に提供をされるように、昨年十一月に営業許可取得の手続というものを作成いたしました。広く公表するようにしているわけでございます。これが一点、これは厚労省として。

 それから、各自治体における無許可営業施設への対応状況をこれまで以上に把握するということに努めているとともに、現行法の遵守あるいは悪質な民泊を対象といたしました取り締まり等の強化について、昨年九月に警察あるいは自治体に協力を要請しているところでございまして、厚労省としては、今のような手だてをとりながら違法な民泊が起きないようにしていくということで、これは直接的に旅館業法にかかわる問題としてやっているということであります。

 その上で、今回、違法民泊へのさらなる対応ということで、無許可営業者に対する都道府県知事等による立入検査権限の創設、あるいは無許可営業者に対する罰金の上限額の引き上げなどを内容とする旅館業法の改正法案を今国会に提出することとしておりまして、私どもの所管をする旅館業法というもとで、引き続き全力で取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

 民泊そのものについては、政府全体としての取り組みが別途ございます。

穀田分科員 去年からやっている、それは知っていまっせ。だけれども、この間、私は新聞を見て、これが本音だなと思うんですね。新宿区では民泊のルールづくりの検討会議が開催されています。その報道は、警察関係者はこう言っているんですね。一斉に取り締まるべき問題だが、できないままに増殖してしまい警察力で規制は困難、今警察の話がありましたよね、地方自治体の話も警察も。地方自治体は、さっぱりつかめへんと言っている。警察は、警察力で規制は困難、こう言っている。さらに消防署も、苦情は入っているんだがなかなか手を打てない、こう言っている。これが実態ではありませんか。

 しかも今、次のことで、民泊新法というようなことを大臣は言うてはりますけれども、これも、報道によりますと、全部詳しく私は見ているわけじゃありませんが、これからやりますけれども、第一種住宅専用地域での営業さえ可能にすることも浮上してきていると言われています。私は、冗談じゃないと思いますよ。取り締まるべき問題だが、できないままに増殖してしまい、規制は困難、これは警察の発言なんですね。新聞に出ていますよ。こういう発言が政府の対応そのものをあらわしている、これが実態だ。

 さらに今、もっとひどい、これを逆に奇貨として緩和しようなんというようなことは、もってのほかだと言わねばならぬと思います。今でも違法の民泊の取り締まりは不十分で、結局、現状を追認し、今度は違法民泊を合法化し合法民泊にするような規制緩和は断じて認められぬということはあらかじめ言っておいて、これから法案が出てきたときにまたそれ自身は議論しましょう。

 問題は、そればかりじゃないんです。

 違法民泊は、法を守って観光を支えている旅館業を営む中小ホテル、旅館に大きな打撃を与えています。そもそも、一番最初にありました、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業に対して旅館業法は厳しい規制を課していると思いますけれども、なぜそうしているのか、端的にお答えください。

北島政府参考人 お答えいたします。

 旅館業法につきましては、厚生労働省として、宿泊者に対する衛生面の確保、そして、旅館業という業を適切に運営していただくための業としての確保、そういった面から規制を行っているところでございます。

穀田分科員 つまり、安全を確保するために、衛生を確保するために、戦後、昭和二十三年にスタートしているわけですけれども、そういうものをきちんとするということでやっている。特別な規制を課しているということですよね。

 私は、京都で、旅館業を営む全国旅館ホテル生活衛生同業組合、私のところも実家はそうだったんですけれども、懇談しました。その際、組合の方々はこう言っているんですね。

 たとえ一日であっても、お客の命と財産を預かってお泊めするのが宿泊サービスであり、だからこそ、消防法や建築基準法、衛生の規制は当然であり、環境整備が大事だと思っている。こうした基準をクリアするにはコストがかかるが、万が一事故が起きたときのために、我々は旅館業法を守って営業している。同時に、近隣住民との協力は必須の条件だ。地蔵盆や地元の自治会の各種の催しの会場を提供するなど、地域コミュニティーを重視してきた。このように述べておられるんですね。法を厳格に守り、地域になくてはならない存在として営業しているわけであります。

 宿泊サービスというのは、観光客、ゲストですね、そして旅館・ホテル、ホスト、それから近隣住民、この三者が協力して安全、安心が守られて初めて成り立つものなんですよね。だから、コストをかけ、基準をクリアする努力があってこその宿泊営業なんですよ。民泊に対してその基準を緩和すれば、既存業者とのイコールフッティング、つまり公平な条件、これが損なわれる。結局、そうなりますと、小規模な旅館が多い京都の業界などは壊滅的打撃を受けかねないと思うんです。

 そこで、皆さんにお配りした全旅連青年部が提案を行っている配付資料を見てほしいと思うんですね。そこには民泊の緩和に関するルールの要望書があります。全部読むと時間がありませんから。民泊は、宿泊に関する業務として旅館業法適用とする、さらには、民泊を含め全ての宿泊施設の宿泊者の対面確認と記録の保存、納税、衛生管理、消防の義務を負わなければならない、近隣住民に対する告知の義務を負う必要がある、こういうことを含めた七項目が出されています。

 これらの要望は至極当然と思うし、最低限の要望だと私は思うんです。大臣の所感を求めたいと思います。

塩崎国務大臣 きょうるる御指摘をいただいておりますとおり、ここ数年、いわゆる民泊サービスというのが急増しているわけでございまして、日本に来られる外国人観光客のニーズがふえているということはそのとおりだと私は思いますが、一定の要件を満たす民泊サービスを適切な規制のもとで推進するとともに、無許可で旅館業を営む違法民泊への対応はきちっとしなければならない、それは急務となっているというふうに思っております。

 このため、現行の旅館業法のもとでの対応に加えて、先ほど申し上げたとおり、新たに民泊新法を制定しようということで、公衆衛生の確保、それから地域住民等とのトラブル防止に留意をしたルールづくりを行って、旅館業法の改正も同時に行うことによって、違法民泊に対する取り締まりの強化を行うということにしております。

 今お配りをいただいた全旅連の青年部の要望書に幾つかの事項が書かれているわけでありますけれども、厚労省としては、まず、都道府県知事による立ち入り権限を創設して、無許可営業に対する取り締まりを強化する、そして、無許可営業者に対する罰金の上限額を引き上げることは先ほど申し上げたとおりでありまして、また、民泊サービス提供者に対しては、清掃等の衛生管理を義務づけ、公衆衛生の確保を図るというもともとの旅館業法の基本哲学を実現していく、そういったようなことを含めた措置を講じていこうということでございます。

 旅館業法が遵守をされて民泊サービスが適切に実施をされるように、観光庁などと連携をしながら必要な法整備に全力で取り組みたいと思っております。

穀田分科員 私は、そういうことを幾ら言っても、適切にというような話にはならぬと。今大事なことは、旅館業法に基づいて厳しく取り締まって違法な民泊はなくすということをしなけりゃ、それが蔓延するということなんですよ。蔓延しているから、それを奇貨として認めちゃおうなんというような話は、しかも名前も、聞くところによると住宅宿泊事業法と伝えられますけれども、住宅専用地域における民泊をも認可すると取り沙汰されているのは、さっき言いましたけれども、冗談じゃないということを言っておきたいと思います。

 今観光のニーズという話がありました。そこで、観光立国基本法は理念が定められているわけですけれども、そこには、簡単に言って、観光理念というのは、住んでよし、訪れてよし、こういうことだと思うんですよね。この観光理念から見て、現状をどう見るかということなんですよね。

 そこは国土交通副大臣にお聞きしたいんですけれども、この考え方の根本を簡単におっしゃってください、観光立国の基本理念。

末松副大臣 先生の御指摘されました観光立国推進基本法というのは二十七条で構成をされておりまして、目的と基本理念が頭に書いてあります。

 申し上げましたら、観光立国推進基本法につきましては、我が国の発展のために観光立国を実現することが極めて重要であることに鑑み、観光立国の実現に関する施策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、当該施策の基本となる事項を定めることにより、観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民経済の発展、国民生活の安定向上及び国際相互理解の増進に寄与することを目的といたしてございます。

穀田分科員 前半は要らないので、目的だけ、理念を言ってくれたらいいんですよ。

 何が目的かというと、簡単に言うと、国内からの観光旅行を促進することによって、将来にわたる豊かな国民生活の実現、つまり国民の豊かな生活を実現するということが目標なんですよ。三、四千万人来ることが目的じゃないんですよ。国民の暮らしが豊かになるということが目標なんですよ。そこをわきまえないとあかんと私は思います。

 先ほど述べた、京都の観光総合調査によると、京都の宿泊客は、二〇一五年は外国人客が百三十万人ふえているんですよ。ところが、日本人客は百十万人減なんですよ。減っているんですよ。百十万人も減っているんですよ、泊まり客は。だから、その上に京都観光に訪れる日本人客の満足度が低下している、こうなっているわけですね。

 そこで、観光政策審議会が出した観光政策の基本方向についても一言言っておきたいと思うんですね。

 これも、よりよい地域づくりに貢献するものでなければならない、人楽しむところ人集うと言われるように、よい観光地づくりは地域住民の生活の質を高める、ここが目的なんですよね。人が来ればいいというんじゃないんですよ。その住民が豊かにならなくちゃならぬ。

 だから、今言った観光立国の考え方、それから観光政策の基本、そういうもとからすると、いずれもその事態にそぐわないのが民泊によって生じている。

 だから、民泊によって地域住民が自分たちの住む町に対して魅力や誇りが失われているんじゃないか、これでは観光の発展という戦略からしても本末転倒と違うのかということで、一言、末松さん。

末松副大臣 先生御指摘の理念、目的、「観光が健康的でゆとりのある生活を実現する上で果たす役割の重要性にかんがみ、」ということでありますから、それが逆行しておるんじゃないかという御指摘がありましたけれども、だからこそ、新しい法律を、まだこれは閣議決定もしていませんから、法を整備していこうという考え方もございます。

 ただ、現状において、先生、海外のサイトを、エアビーアンドビーですか、四万五千軒の宿泊場所が提供されておると。これについては、国内では、現状の法律の中では取り締まることが極めて難しい、そういうところの話し合いもなされておるということを御理解いただきたいと思うんです。

菅原主査 穀田恵二君、時間が過ぎております。

穀田分科員 最後に。

 おくれていることに対して正しく手を打つということは必要なんですよ。だから、規制強化をきちんとすればいい。さっきの話においては、何も動いていない。

 そこで、最後に一言言うと、よい観光地づくりは、さっき言いましたが、地域住民の生活の質を高め、よく保存された自然環境や文化遺産は非常に貴重な資源だ、観光はそれらの破壊者ではなく保護者となるべきだと書いているんですよね。今何が起こっているか。民泊でそういう事態が、破壊が起こっているということじゃないですか。

 だから、一度京都に来ていただいてもいいけれども、全国で起こっていることは、まちづくりは破壊されるわ、よき伝統は破壊されるわ、従業員とかを一緒に抱えている旅館業はなくなるわだとか、そういう事態に対してまともな対策を打たなあかん、そういうことを改めて述べて、終わります。

菅原主査 これにて穀田恵二君の質疑は終了いたしました。

 次に、柚木道義君。

柚木分科員 塩崎大臣、おはようございます。よろしくお願いを申し上げます。

 質問の通告に沿ってと思います。資料の方も二種類、ボードのものと紙のものとおつけしておりますので、ごらんをいただければと思います。

 塩崎大臣、プレミアムフライデーがやってまいります。初めてのお取り組みで、そして、このプレミアムフライデーというのは、当然、消費の活性化や、あるいは長時間労働の是正も含めたさまざまな効果が期待、見込まれるものでございます。省庁におかれましても、内閣人事局の方から、できれば十五時、午後三時には退庁してくれ、退省してくれ、要は退勤してくれということですね。そういうことで全省挙げて、まさに働き方改革が、昨日も実現会議が行われておりますが、まさに安倍政権、本当に結果が出なければ責任をとるとまで総理がおっしゃっている、予算委員会でも。それぐらいの大事なテーマの中で、初のプレミアムフライデーがやってくるわけです。

 塩崎大臣、あした十五時、あしたというか、プレミアムフライデーはこれからも続きますからプレミアムフライデーですね、ぜひ十五時に退勤していただければほかの職員の方も帰りやすくなると思うんですが、プレミアムフライデーはどのような御予定でいらっしゃいますでしょうか。

塩崎国務大臣 基本的な考え方は、今回、プレミアムフライデーそのものが、国民が家族、友人などと、言ってみれば特別な人としっかり特別な時間を持とうということで、豊かさ、幸せ、そういったものが感じられるようにしようということであります。

 私どもとしても、今、十五時からということでいろいろ話題になっていますが、私もかつて、二十年ぐらい前にシリコンバレーに行ったときに、金曜日の午後三時ぐらいになると芝生の上で、みんな社員が出てきて、それもジーパンか何かでみんな出てきて、スナックとビールぐらい飲んでそのまま帰っちゃう、そういうのを見て、日本とは随分違うなと思いました。それに近いことが今回、かなり機運が盛り上がって行われるということでありますので、私としても、できるだけ自分の友達と会う時間にするとか、そういうような形にしたいというふうに思います。

 もともと、例えば海外から来る人がこの時間しかだめだといって夕方に会わなきゃいけないとか、そんなことが若干ありますけれども、基本的には、友人などと会えるようにして、役所の方には余り迷惑をかけないようにしたいなと思っておりますが、まだどういうふうになるか、さらに詰めていかないといけないなと。ただ、心としては、できるだけ役所の人にはお世話にならないで、自分のプライベートな時間としてできるようにしたいというふうに考えています。

柚木分科員 私の事務所もプレミアムフライデーぐらいは午後三時を目標に、まあ、この質問の準備に、午後三時どころか、きょうは午前三時ぐらいまで準備していましたから。働き方改革、やはり上司が退社、退勤しないとなかなかその部下の方は帰りたくても帰れない。

 ちなみに、きのう、質問レクのときに省庁のそれぞれの方に、三時に帰れそうですかと。厚労省以外の省もおられましたが、一人も手が挙がらないんですよ、帰れそうですかと。

 ぜひ、塩崎大臣、やはりトップが率先垂範で、これはもう帰るのが仕事だぐらいの、そういうつもりで、プレミアムフライデー、十五時、午後三時に帰っていただけそうですか。いかがですか。

塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、なるべくそうしたいと思っていますが、海外から来られるとか、また、友人が来るとかなんとかいうようなことで、その場所がどこになるのかまだちょっとはっきりしていないので。基本的には、役所の皆さんにはお世話にならないようにしたいなというふうに思っております。

柚木分科員 ぜひ、最初のプレミアムフライデーは三時には退省されて御友人と有意義なときを過ごされるということで、まあ、もちろん、我々、三百六十五日二十四時間、本当にいざとなればいつでもというつもりで日々仕事をしているわけですが、民間も含めて波及していく上においては、やはり国や省庁が率先をしてということが重要だと思いますので、また、ぜひプレミアムフライデーの過ごされ方もしっかり宣伝していただいて、働き方改革所管、労働、雇用の厚生労働大臣としてしっかり発信をお願いしたいと思っております。

 そして、その働き方改革に関連をして。

 昨日も働き方改革実現会議が行われております。けさの我が党の厚生労働部会の方でも、毎回、働き方会議の後には共有をさせていただいて議論をするんですが、私、率直に申し上げまして、残り二回ほどで、三月末までに、まあ、今は、残業時間の年間の上限、もともと、四十五時間、三百六十時間、あるいは月平均六十時間、年間七百二十時間、それぞれ大臣告示の部分あるいは三六協定も含めた全体としての長時間労働の枠は議論の中に出てきておりますが、ポイントは何点かあると私は思います。

 三つ挙げれば、忙しい月の上限が何時間になるのか。そしてまたインターバル規制。それぞれもちろん議論がこの間ありますが、高橋まつりさんのような事例を防ぐ、二度と過労自殺を起こさない、こういうことであれば、やはりこれも重要な論点です。そしてまた適用除外の話も。もちろん運輸あるいは建設。私も現場の方から話をお聞きしております。本当に今回の働き方改革が最後のチャンスだ、適用除外ということでなくて、あるいはいろいろな工夫も考え得ると思います、きょうはそこもちょっと議論させていただきますが、そういったポイントをしっかりと合意を得る。

 きのうも安倍総理の方から、現場を熟知されている労使でぜひ合意をいただけるようにと。ただ、合意が得られなければ御破算になるかのような御発言も、前回、前々回、聞いておりますとございますので。御破算にさせないというのがやはり改革会議議長でもある安倍総理の責務だとも思われますし、結果が出なければそれは私の責任だとまでおっしゃっているわけですから。そして、やはりそれをしっかりと後押しされるのが、私は塩崎厚生労働大臣ではないかと思うんですね。

 それで、ぜひその後押しをいただきたいという意味も込めて、ちょっと提案なんですけれども、きょう、もう御存じかもしれませんが、まさに運輸、適用除外の運送分野で、ある倉庫会社さんの事例を資料としておつけしておきましたが、こういうスマートフォンのアプリケーションを使って大変すばらしい取り組みをなされておられます。

 いわゆる、ドライバーさんの待ち時間が非常に長時間で、そのことが、まさに土日も休めないことも含めて人手不足にもつながっていて、それを是正すべくID運輸というやり方で、つまり、入荷トラックをネット予約制にして待機時間を削減して、さらに無駄な荷おろしの待ち時間を削減、さらには受領印電子化、伝票など電子化をして、在庫あるいは商品の欠損なども確認できる写真もついた伝票、e―伝票、こういった仕組みを構築して、これは私もびっくりしましたけれども、ドライバーの長時間労働の要因である納品時の滞留時間の大幅縮減、六五%も削減ということだそうです。この取り組みがまさに大手の運送会社さんにも今拡大しつつあるということでございます。

 この間、厚生労働省として、働き方改革実現会議に対していろいろなデータ提供もされてこられているというふうに承知しております。仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会などでも、そういったさまざまな取り組み、好事例も含めて実現会議の方に提供していく、そういう経緯もこの間お聞きをしておるわけです。

 いよいよもうあと二回もしくは三回というふうに聞いておりまして、実は、けさの部会の中で、内閣官房、厚労省にお越しいただいていたんですけれども、もし本当に、もちろん、連合の神津会長と経団連の榊原会長が会われるということですが、なかなかこの着地点が具体的にぎりぎりの段階で見出せないような場面に、言い方はさまざまかもしれませんけれども、いわば事務局案のようなものを内示、提示、つまりそれは双方がそれならと思えるような部分の提示も含めて、そういう難しい場面に何らかの調整が事務局側から入ることは起こり得るというやりとりもあるんですね。

 そうすると、大臣、やはりそれは、働き方改革の、まあ、議長は総理ですけれども、副議長でいらっしゃると思います。そして、決まった案は労政審で議論をされてそこでしっかりと成案を得るという流れじゃなければ実際に前に進んでいかないわけですから、ぜひこういった事例も含めて、この事例を一つ参考にすれば、例えば適用除外の問題あるいはインターバル規制の問題も含めて、さまざまな突破口、アイデア、まだまだあると思います。これは建設も含めてやってほしいんですね。

 もう最後の最後、あと一カ月ほどになってまいります。この事務局案が提示をされるという可能性も含めて、厚生労働省として、あるいは厚生労働大臣として、成案を得るべく、ぜひ、働き方会議の中でも御発言も毎回されます、その発言、あるいは資料提出など、さらなる御努力をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 きのう、第八回目の実現会議がございまして、その前のときも、経済界それから連合の神津会長、いずれもかなり踏み込んだ決意表明をしていただいたと思うんですね。きのうもお二方からそういう御発言がございまして、総理からも、私も力を尽くしていく決意でございます、これまでの努力が水泡に帰すことのないようにしっかりと合意形成に努めていただきたいとお願いを申し上げますということで、みずからもやるということを言っているわけです。

 私ども厚生労働省としてもしっかりその役割を果たせ、こういう今、柚木委員からのお話でございまして、私どもももちろん、加藤担当大臣とともに副議長を務めさせていただいておりますけれども、実現会議の議論これまで八回分のものを踏まえた上で、実効性のある結論というものを出すために頑張らなきゃいけないと思っていますし、実行計画の中に入れ込んでいくということでありますので、そこに至る過程では当然、これまでもそうでしたが、これからも厚生労働省としてできることはやっていきたいと思っています。

 まずはこれは労使でよく話し合って結論を出すようにという期待が高まっているわけでありますが、もともと、労政審では今まで、両者側が結局着地点がない議論で終わってしまった。今回初めて、こういうような形で答えを出すぞということを労使も、そして総理も言っているわけでありますから、私どもとしても、言ってみれば、最終的な法律としてまとめ上げて御提起申し上げるのは厚生労働省ですから、一番力を出して汗をかいていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、今お話しのように、責を果たせということはそのとおりでありますし、これまでもやってきましたし、これからもやっていきたいというふうに思います。

柚木分科員 見方によっては、今本当に私はちょっと膠着状態に陥っている感もあると思っていますので、本当に厚生労働省あるいは大臣が、もちろん労政審に入ってからもそうですけれども、働き方改革実現会議の中における役割をね。もう労政審に丸投げで決まらないじゃないかみたいなこと、厚生労働大臣もそういうことを批判されているというぐらいの御認識でおられると思いますけれども、やはり、それは労政審でも当然決めるんだけれども、実現会議の方でちゃんとした案が出てくる、ぜひそのための役割をですね。

 きょうもちょっと議論になったのは、要は、労政審はどうせ決められないから働き方改革の会議の方で決めるんだ、それは、そもそもの労政審のあり方、ILOの、政労使合意をして決めていくというのは国際標準の考え方ですからね、やり方、ルールも。そこは、何か、労政審で決められないから働き方会議じゃなくて、労政審でもちろんしっかり決めるけれども、今回、その労政審で決められる案が働き方会議の中で出てくると。

 だからこそ私は、今この事例は、いわゆる忙しい月の残業の上限規制だけじゃなくて、インターバル規制あるいは適用除外の問題も含めた成案が働き方改革会議の中で得られる、一つのこういうものを厚生労働省の方からどんどん発信もいただいて、まさに労使合意ができるような、これは労使ウイン・ウインなわけですからね、そういった形をとっていただきたいと思うんです。

 ちょっと一つだけ、これは確認です。

 これまでの議論でも、いわゆる忙しい月の上限、報道ベースで最長百時間あるいは二カ月で八十、年間六十、出ていますが、やはり、過労死ラインは超えない、クリアをする、つまり、百から八十の八十よりも下だ、こういう認識、総理も厚生労働大臣もそういう認識でいらっしゃると思うんですが、ちょっと念のために確認の意味でいま一度、忙しい月といえども過労死ラインを上回るということをわざわざ数値で法定化したら、それを合法化というか、お墨つきを与えることになりかねませんから、忙しい月も八十を下回る、そういう認識で臨まれている、あるいは臨んでいくということに変わりありませんか。

塩崎国務大臣 過労死の話の前に、実現会議と労政審の関係について。

 私どもは、労政審で決められないからここでやっているということを明示的に言っているわけではございませんが、しかし、事実として、長時間労働の規制についてのあり方は答えが出てこなかったということは事実です。ですから、レベルを上げて、それぞれのトップが集まって、ここで大局的な見地からしっかりと議論を尽くした上で合意を得よう、こういうことでございます。それが合意できないということであれば、トップではない実務的な方々も入っている労政審で決まることはないんじゃないかということを思うがゆえに、何が何でもこの実現会議で答えを出していこうじゃないか、こういうことを総理が申し上げて、労使トップも大変踏み込んでおられるので、私は、ぜひここで答えを出していただきたいと思っています。

 今の過労死については、時間外労働の上限規制について、過労死基準、すなわち脳・心臓疾患の労災認定基準、これは八十とか百とかそういう数字が出てきますけれども、それを正確に書かれた基準がありますから、それをクリアするといった健康の確保を図ることが大前提であるということで、これまでも答弁を申し上げてきたとおりでありますが、これらについても当然、労使の間で議論をして答えを出していかなきゃいけないことだと思っておりますけれども、我々としては、この労災認定基準をクリアするということが大前提だということを、総理からも私からも繰り返し申し上げてきているところでございます。

柚木分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、この働き方改革、必ず具体的な数値を入れて結論を得る、これは我々も同様で、長時間労働規制法もそのために提案しております、野党四党で。引き続き、私たちも後押しもしますので、しっかりお願いいたします。

 まさにそういう意味では働き方とも絡むんですけれども、高齢者の働き方改革も議論になっていますが、介護保険の議論をさせていただきたいんですね。

 ボード用の資料を一枚別にしておきましたけれども、ちょっと私は、これを見て本当に心配になるんですね。

 今回の介護保険法改正案の中には、現行二割の利用負担の方が三割になっていく、まずは三%、十二万人、年金も合わせて年収三百四十万円の方からスタートするわけですが、この年収要件は政令で、国会の議論を経ずともどんどん下げられる、拡大できますから、全員三割負担ということも物理的にはあり得ますし、二割負担についても、現行の二百八十万、夫婦でいえばもう少し上がりますけれども、これも、既に社会保障審議会の中で、その年収要件を取って全部二割負担、支払い側のそういう意見も何度も出てきています。

 ですから、私、一割から二割になったときの、例えば利用抑制も含めた検証なくして今回また、しかもかなり短い期間の中で三割になっていくというのは非常に、逆に、その後議論もしますけれども、例えば生活援助などが削減をされていく、いわゆる軽度者切りが起こる、あるいは特養などでも、きのう新聞報道も出ていますが、いわゆる介護難民みたいな方が要介護一、二の中で発生しているんじゃないかとか、それが重度化すればかえって財政的にも負担が増大していく、こういうことも懸念、有識者もある中で、これは厚生労働省が調査していない中で、四割が、一割から二割になったときに訪問介護やデイサービスの利用を減らしたという回答。

 これはケアマネジメント・オンライン、会員はケアマネジャーさんですね、回答されている千二百十二人。つまり、一番実態がわかっておられる方々。ここにそれぞれ、二三・五%、一五・三%、合わせて約四割が、利用抑制が実際に起こっている、こういうふうな答えをしているわけです。

 大臣、ぜひまず一つお願いしたいのは、今、三割の議論が出ていますが、一割から二割になったときの利用抑制の影響をしっかりと厚生労働省としても調査をいただきたい。そして、三割の議論をするのであれば、三割になったときにどうなるのかの予測も含めて、そしてその対策もしっかりとお示しをいただく中での議論でないと、ただ単に数字で、ここで線を切るんだということであっては、まさに制度は成り立っても生活が成り立たない、サービスが受けられない、介護難民、介護離職、まさに安倍政権の介護離職ゼロとも逆行しかねませんから、ぜひちゃんと調査を、まず一割、二割の検証を行う、これをお願いしたいんですが、いかがですか。

塩崎国務大臣 今、二割に上げたときのお話をされていますが、今回三割に上げる見直しにつきましては、まず第一に、大多数の方々の負担は全て据え置く、つまり、上位三%部分の皆さん方についてのことを言っているわけでありまして、九七%の方々の負担は据え置いた上で、制度の持続性を高めるために、世代内、世代間の負担の公平、あるいは負担能力に応じた負担というものを求めるということで、現役並みの所得を有する方の負担割合を二割から三割にするということになるわけでございます。

 今回の三割負担の導入については、対象は、二割負担の方々よりも一層範囲を限定して特に所得の高い層でありまして、また、負担の上限額、月額四万四千四百円、これも据え置くというような配慮を行っているわけであります。

 なお、前回の、今の二割に上げたときの介護保険法改正においての問題について御指摘がございましたが、平成二十七年の八月の施行前後におきましてサービスの受給者数の伸び率を見ますと、これまでの傾向と比較して顕著な差は見られていないというのが私ども見てとっているところでございます。

 今回の見直しの趣旨あるいは内容についても、利用者の皆様方にしっかり丁寧に鋭意御説明をしてまいりたいと思っているところでございます。

柚木分科員 大臣が御答弁いただいたのは全体としての利用率の推移で大きな抑制の効果が見られないということですので、ぜひやはり二割に負担増になった方を対象に調査いただきたいんです。そうでないと、純粋にそこの利用抑制がどれだけかかったかというのがわかりませんから。これは一つお願いです。二割になった方を対象に調査いただきたいのが一つ。

 加えて、ちょっと時間もありますから、同じような論点で、特養の話。

 きょう資料の二枚目につけていますが、これは朝日新聞の昨日の報道です。費用支払い困難で百を超す特養で退所、これは負担増が影響。

 つまり、前回、一五年の見直しで、まさに要介護三以上が原則と。特例入所は、それまでいた人あるいは新規の人、認められる認められないあります、その部分。さらに、一定以上の所得があれば利用料の自己負担がまさに一割から二割になる。それから、補足給付の見直し、要件の厳格化ですね、施設の部屋代や食費の補助対象要件が厳しくなった影響だというようなこと。これもやはり報道では、特養も、いわゆる待機高齢者の数字のカウントの仕方が変わっているから減っているように見えるんだけれども、むしろ、こういう報道も含めて見ると、介護難民が増加しているんじゃないのか。

 実際、この調査には、なぜそういう利用抑制がかかっているかというので、八割、九割ぐらいの方が、やはり二割負担になったことと補足給付の厳格化というふうに答えているんですね。

 ぜひ、先ほどの二割負担になった方を母数とする調査、そして、特養についても、要介護一、二の方々が一体今どうなっているのか。

 きのう出していただいた資料によれば、二十五年以降、要介護一、二の方々のウエートはやはり減ってきているんですね、この三年で一割ぐらい、一割強。実際、厚生労働省が出した施設・事業所調査においても、やはり減ってきているんです、入所者、利用者が。

 ぜひ、二割の方に対して利用抑制、そして要介護一、二の方々が今どうなっているのか、これも評価、検証、今たしかやっているはずで、年度末に出ますから、それをあわせて、特に二割の方を対象にした調査をお願いしたいと思うので、もう一遍答弁をお願いします。

塩崎国務大臣 そもそも、我々、特に介護報酬を変えるまでの三年間の間にさまざまなデータをとって分析をしながら実態の把握に努めているわけでありまして、今お話しのことについても、二割の人たちがどうなっているのかということでありますが、当然、我々もこれまで調べてきているわけでありますので、あらゆる観点から調査を絶えずやっていくということは何も今までどおりで変わらないと思いますので、今先生から御指摘をいただいたことも踏まえて今後もしっかりやっていきたいと思います。

柚木分科員 ぜひ、二割の方を母数の調査を引き続きお願いします。

 それで、看護師さんの問題、ぜひこの質問でやっておきたかったんです。

 実は、女性活躍、看護師さんは、私も余り最初は知らなかったんですが、十七人に一人、女性の方で。職種の中で女性が一番多い職種だそうです、看護師さんは。

 実は、新たな医療の在り方を踏まえた医師、看護師のビジョン検討会、これでも夜勤の問題が非常に議論の中で取り上げられています。

 また、超党派で、与野党が入って女性医療職エンパワメント推進議連というのが立ち上がって、自見はなこさんが事務局長、野田聖子さんが会長でしたか、そして私も発起人に入っているんですが、その中でもやはり、女性の働き方改革、これは看護師さんにかかわらず、女医の方、いろいろな方が入っています。

 夜勤手当の推移を見ていただくと、私、今回驚いたんですね。二〇一四年、最新のデータ。初めて、準夜も含めてそれぞれ減額になっているんです。

 夜勤というのは、御存じのように、本当に今、日勤の希望者がワーク・ライフ・バランスでふえていて、夜勤が特定の人にどんどん集中していく。しかも、やはりヒヤリ・ハット事例は明け方に多い。しかも、女性活躍というのであれば、看護師さん、実は離職する年齢が早いんですね。

 だから、そういうことも含めて夜勤の対応をしっかりすることが、女性活躍、あるいは医療安全、そしてまさにこういった分野をベースアップしていくこと、これは、医師会の横倉会長も、人への投資、人件費率が五〇から四六に下がってきている、そこに投資することが非常に経済的にも効果が大きい、特に地方に行けばと、そういうことも述べられておられますので、ぜひ看護師さんの夜勤手当、これは一つの例ですが、今重要な状況ですので、年末の診療報酬、もちろん介護報酬改定も含めて、人への投資にしっかりとプラス改定、増額いただきたいんです。

 この夜勤手当の問題、大臣、どう認識されて、今後どう対応いただけるでしょうか。御答弁をお願いします。

塩崎国務大臣 今お配りをいただいているこの夜勤のデータでありますが、もちろん、これは私どもいつも見ているわけでありますけれども、そもそも何でこういうふうに少し下がったように見えているのかというのは、多分いろいろあると思うので、しっかり分析をしたいと思います。例えば、団塊の世代が抜けていくことで若い人たちが入ってくれば、平均的な報酬は下がるということもあり得ますから。最近は、人口動態の変化でいろいろなことが変わっているということがございます。ですから、そういうことを踏まえ、なおかつ、夜勤そのものがどうなのかということもしっかり見ていきたいと思います。

 いずれにしても、二十七年度の医療経済実態調査でも、平成二十六年度の看護職員の給料は対前年度比で増加をしておりますけれども、安全、安心で質の高い医療を効率的かつ安定的に提供していただくためには、引き続き、賃金を含めて、医療機関の職員の勤務環境の確保は大変重要だと思っております。

 三十年度は介護、診療報酬、両方の改定がございますので、しっかりと中を見ていきたいと思っていますし、看護師さんの役割はこれからますます重要になります。私もそう思っています。それは、私どもで開いております新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会というのがありますが、これは三月末までには報告書が出てまいります。この新たな医療のあり方の中で、看護師の皆さん方の働き方を含めて、タスクシェアリング、タスクシフティング、あらゆることを考えていきたいと思っております。

 今、女性医療職エンパワメント推進議連の話もありました。私のところにも来られました。しっかりとそういうことを踏まえて、何しろ大事なのは、新しい医療はどういう形で提供されるのかということで、そういう中での看護師さんのこれまで以上の役割というものをしっかりやっていきたいというふうに思います。

柚木分科員 最後にします。

 この後、山尾さんが質問されますが、資料、看護師試験、ネット炎上。下手をすれば、看護師落ちたの私だ、くたばれ厚労省、こうネットの中で拡散されているんですね。保育園落ちたの私だ、日本死ねというので物議を醸しました。

 先ほど、看護師さん、女性活躍、そういう意味では本当に一番大きな影響を与える分野で、質と量両方担保しないと。幾ら優秀な人を採用しようと思っても、絶対数が足りなければ現場は回りませんから、質と量を両方担保する。ただ単に出題傾向を変化させて、仮に合格率が下がってしまってどんどん人が減るようでは困りますから、質と量を両方担保するということが重要だということ、これは認識を共有させていただいてよろしいですか、大臣。

菅原主査 時間が迫っていますので。

塩崎国務大臣 質、量ともに重要であることはそのとおりだと思って、私たちもそれを大事にしているところでございます。

柚木分科員 終わります。ありがとうございました。

菅原主査 これにて柚木道義君の質疑は終了いたしました。

 次に、山尾志桜里さん。

山尾分科員 民進党の山尾志桜里です。

 待機児童問題について塩崎大臣といい議論をしたいと思って、きょうは伺いました。

 保育園落ちたというブログから約一年がたって、またお母さんたちのもとに、不承諾という、ちょっと悲しい通知が舞い込む季節が来ております。そういう中で、この一年間を私なりに見ていると、塩崎大臣は幾つかのことを、あのお母さんたちのアクションをきっかけにやっていただいたと思っています。

 一つが、大きかったですね、隠れた待機児童を自治体ごとに公表したということは、大変大きい成果だったと思います。やはり今までは表の数字で、必ずしも実態を反映していなかった。でも、大変すごくネットなんかで一生懸命調べるお母さんたちにとっては、一生懸命調べれば、どの自治体が本当に待機児童が多いのか少ないのか、どういうカウントをしてこの数字が出ているのかということが、調べる時間と労力を費やせば一定程度可視化されるようになったというのは、一点、大きいのかなというふうに思っています。

 それと、保育士給与ですね。私たちは、保育士さん、基本的には全員に五万円、法律で確保しましょうという提案です。今政府の方がやっているのは、予算措置で三分の一の方に四万円の上乗せを今年度からできる限り実施しよう、こういうことだと思いますね。かなり離れていた距離から、少しずつ近寄っていくことは大事だと思います。

 私は、きょう主に議論したいのは、待機児童のカウント数の話なんですね。やはり全ての大もとだと思うんです。実態の数字が明らかになって、誰もがそれを把握できて、初めて本当にゼロにする裏表のない道筋が描けるというふうに思っています。

 大臣、ここから、ちょっと数字じゃない質問です。

 この間、予算委員会のときに、大臣もいらしたんですけれども、私は安倍総理に、待機児童ゼロと言っていますけれども、いつまでというおつもりでおっしゃっているんですかと聞きました。どう見ても、ちょっと認識されていなかったんですね。平成二十九年度末がゼロ達成の目標期限だということを、総理、把握をされていなかった。

 私がすごく心配になったのは、とすると、この今審議されている来年度の予算というのは、来年度末には待機児童をゼロにするんだ、これを達成するんだ、こういう前提での予算組みになっているのかなと根本的に疑問を感じたわけです。

 大臣にお伺いしたいのは、総理から、二十九年度の予算組みに当たって、今年度末までに待機児童ゼロを実現できるような予算措置をとるように、こういう指示はあったんですか。

塩崎国務大臣 これは既に、昨年の一億総活躍プランの中で五十万人に、その前から、その前の年にふやしてきているわけであって、当然それは二十九年度末に待機児童ゼロ、もともとの加速化プランの目標である二十九年度末のゼロ達成ということを前提に五十万人、これは保育を求める側と提供する需給の両方の動きを見ながら、そういうことで五十万人としていますが、ゼロにするということは何も変わらない目標として、これを達成するには五十万人にふやさなきゃいかぬねということで四十万から五十万にふやした、こういう理解で、私たちは、当然のことながら、これは達成をするということはもう何も変わらないことであって、女性がかなり活躍し、なおかつ仕事もふえてきているということで、家庭から職場に復帰をされたり新たに加わったりする方々がふえているという、これ自体は大変ポジティブな動きだと私は思いますが、そういうような中で、総理からの指示というのは何も変わっていない、目標達成だというふうに私は理解をしてきております。

山尾分科員 厚労省そして厚労大臣は、幾ら何でも来年度末達成ということを忘れていないでしょうし、それに向かって一歩一歩やれることをやろうというふうに思っていらっしゃるんでしょう。

 ただ、一方で、総理は、二十九年度末ゼロの達成は難しい、しかし、ゼロにするという目標は維持する、こうおっしゃっているんですね。

 大臣、平成二十九年度末までに待機児童ゼロにするという政権の目標、これは政権として維持されているんですか、されていないんですか。

塩崎国務大臣 これは総理が明確に、あのときの議事録を見てみても、目標を取り下げるかといえば、決してそんなことはない、頑張っていかなければ改善はしないというふうに言っているわけですから、これは、取り下げていることは決してないということだと私は、まあ、これは私が思っているわけじゃなくて、そう言っているんだから、まごう方なき、この目標を取り下げることはないということを言っているんだと思いますね。

山尾分科員 ゼロという目標を維持するということはおっしゃっていたと思うんです。二十九年度末までにゼロにするという目標は、今も政権として維持されているんですか、されていないんですか、こういう御質問です。

塩崎国務大臣 いやいや、それは山尾先生の御質問が、総理は、平成二十九年度までにゼロにする、こういう前からの約束を、期限については変更する、撤回する、期限をなくす、こういうことですかとお聞きになったときに、目標を取り下げるかといえば、決してそんなことはないということですから、二十九年度までのゼロにするということについて、目標を取り下げているわけでは決してないというふうに総理は言っているということだと思いますよ。

山尾分科員 それでは、伺いますね。

 平成二十七年では二万三千百六十七人、平成二十八年では二万三千五百五十三人、こうやって、二年連続、待機児童がふえている。そして今、これ自体はいいことだと思いますけれども、今まで必ずしも待機児童にカウントされていなかった隠れた待機児童も含めて待機児童としてしっかり把握しよう、こういう動きをされている。私は、してくださいと言いました。

 こういう動きの中で、どのように、あと一年と三カ月で待機児童ゼロにする、こんな具体的な道筋を描かれているんですか。

塩崎国務大臣 各市町村で、二十九年度末までの待機児童解消に向けて、さまざまなことを今努力していただいています。

 いわゆる待機児童だけではなくて、女性の就業率とか保育の利用率とかさまざまなことを踏まえ、潜在的な保育ニーズというものも考えなければいけないので、私たちは、例えばリカレント教育とかいろいろなことをやって、今、女性が働きやすくしようということをしているわけでありますから、そういうようなことを各市町村とも幅広く把握をして、それに応えるだけの受け皿整備というものを進めていただいているというふうに理解をしております。

 もちろん、号令をかけてきているのは私どもであり、これは民主党政権のときも同じようにやってきたはずでございます。

 昨年の九月に集計をまとめました。そのときの数字を見てみますと、平成二十五年から二十九年度の五年間で約四十八万人分の受け皿拡大が見込まれておりまして、加えて、企業主導型保育事業というのは今大変な勢いで伸びていますが、受け皿拡大が大体約五万人分ということを予想しておりますけれども、これを加えますと、待機児童解消加速化プランの五十万人を超える保育の受け皿の確保が達成される見込みだというふうに思っておりますので、女性活躍の急速な進展をしっかりと受けとめながら、保育を希望する方のニーズにやはり少しでも早く応えられるように、各市町村の取り組みを強力に支援して、引き続き、プランに掲げた待機児童の解消に向けて全力で取り組まなければならないというふうに考えております。

山尾分科員 この道筋を聞くと、必ず受け皿という言葉が出てくるんですけれども、受け皿の整備を加速しているということ自体は、私たちの政権のときも、皆さんもやられている。

 ただ、ではそうやって整備を加速しているにもかかわらず、例えばこの一年で、待機児童のいる市区町村は、前の年から十二増加して三百八十六というふうになっています。待機児童が百人以上ふえた自治体数も十市町あるんですね。

 そういう中で、やはり受け皿という言葉でもう一つ現実を見ていただきたいのは、要するに、施設整備の予定は立っても、結局、近隣住民の理解が得られずに施設を開園できない事例が間々あるということ。そしてまた、施設を開園できたとしても、予定どおり保育士が集まらずに開園できなかったり、予定の定数を受け入れられない、こういう保育園もたくさんあるということ。

 だから、受け皿を幾ら整備して、それが一定程度実現できるように見えても、実際は子供を受け入れられていない、園が開園できていない、やはりここに目を向ける必要があると思っていて、その受け皿という言葉で、私たちはもうちょっと細かく見ていく必要があるんだというふうに思うんですね。

 どう考えても、二十九年度末、来年の三月三十一日時点の待機児童がゼロになる、こういう道筋は描けていないというのがお互いの共通認識でしょう、正直言って、一生懸命やるけれども。でも、そういう中で、私はこれは大変遺憾ですよ。去年から言っていた保育士の給与のことも含めて、もっとやるべきことをフルにやって、それでも到達できないというならそこは理解するけれども、私からすれば、まだまだ不十分だと思っているから。

 でも一方で、来年度末ゼロにならなかったという結果が出たときに、ではこの先どうするんだ、ここがやはり一つ大きなこの待機児童問題の転換期になると私は思うんです。ここでいいスタートを切るためには、やはり待機児童の定義づけをどうするかということなんですね。

 今、検討会を立ち上げていらっしゃいます。まず、この検討会で待機児童の定義をどうするか、ここを検討していただいているわけですけれども、去年からちょっとすれ違いなんで、私は、統一基準にしてほしい。一方で、それを言うと、いや、自治体の義務だ、保育というのは自治体の仕事だから、なかなか国が押しつけることはできないのだと。少し、こんなちょっとすれ違いの議論をしていたような気が、今になるとするんです。

 改めてちょっと整理をすると、つまり、厚労省が通知を出していらっしゃいますよね。こういう定義で計算をして、その数を集計させてほしいと。それは、その定義づけを通知の中で変えることによって各自治体の待機児童数の物差しをそろえることは、私は実質的にできることだと思うんですが、その点、大臣はどのように御理解されていますか。

塩崎国務大臣 よく答弁で私どもが言ってきたのは、不合理な市町村間のばらつきが待機児童の定義についてあることはなくしていこうじゃないか、こういうことを申し上げているということは、大きな方向としては不合理じゃない、つまり、合理的な考え方で定義を待機児童についてするということを期待しているということを私たちは言っているので、大体、おおむね合理的な考えというのは、みんな、おおむね一緒のはずでありますから、方向としては大体同じような感じで考えていただけるとばらつきがなくなって、なおかつ、市町村としての、一人一人のお母さんやカップルの扱いを大体同じような考え方でやっていただくことが、国としての待機児童ゼロに向かっていくという目標を共通のものとして持っていただけるんだろうということでありますから、方向としては、完全に統一ということは私はなかなか難しいと思いますけれども、不合理なばらつきをなくそうということは、大体似たようなものに認識をしていただくということにつながっていくものだろうというふうに思います。

山尾分科員 これは去年十二月の、総務省行政評価局が「子育て支援に関する行政評価・監視」結果報告書というものを出していて、この中に、まさに総務省が厚労省に対して、待機児童数の範囲の明確化とそれを踏まえた入所保留児童数の公表をすべし、こう勧告を出しています。このことは、大臣、御存じですか。

塩崎国務大臣 これは、高市総務大臣の方から私どもへ直接言われました。不合理なばらつきはやはりまずいということを同じように思っていらっしゃるんだろうと思いますから、そういうことで、私どもも検討会をつくって、この解消に向けて努力をしているということであります。

山尾分科員 そうしますと、通知内容を変えて不合理なばらつきをなくしていく、こういう方向性については、これは確認させていただけるんですか。

塩崎国務大臣 やはり市町村によっては、余り、お母さんの状況について、きめ細かくお聞きをした上で定義づけを、待機児童あるいは待機児童じゃないというようなことを決めていないケースが間々見受けられると私たちは思っています。したがって、そういうことがないようにしていただくということで、総務省からの御指摘もありますが、そういう方向で、大体同じような認識で待機児童を定義できるようにしていきたいなというふうには思っております。

山尾分科員 では、少しその中身について入っていきたいと思うんですね。

 今大臣、おおむね合理的と思われる範囲というのはおおよそ一致するんだろうという、私からすると少し希望的観測のように思える御答弁だなと正直感じたんです。

 特に、このばらつきがあるんじゃないかと指摘されているものは、四つテーマがございます。一つは育休、一つは特定保育園、一つは求職中の問題、そして四つ目に、自治体独自補助の問題ですね。要するに、認証保育なんかに入って、認可に入るのを待っている人を外すか外さないか。自治体独自補助の保育園には入れているけれども認可を希望している人、こういう人たちを待機児童に入れるか入れないか。こういう四点があります。

 まず、ちょっとこの四点目について、この検討会の俎上に上がっていないように見受けられるんですけれども、これはあえて……(塩崎国務大臣「単独事業」と呼ぶ)そう、単独事業。これはきちっと議論の俎上に上がって、このことについても結論が出されるんでしょうか。

塩崎国務大臣 独自の支援を市町村がやっているというケースは、これはもう一目瞭然でありますから、余りそこについての議論は、ほかのところに比べると幅が狭いということだろうというふうに思います。

山尾分科員 つまり、独自補助の保育園に入れている場合は基本的に待機児童には含まない、こういう考え方で検討しているということですか。もしこういうことならば、私は残念ですけれども。

塩崎国務大臣 それぞれの自治体は、やはりみずからの税金を使ってそういう手だてを打っているということで、待機児童にカウントしていないというのが、おおむねの共通の認識だということで、やや四つの中では後回しにして、むしろもっと意見が割れているようなところで、あるいは、例えば交通手段がどういうのがあって、それをどこまでカウントした上で待機児童、待機児童じゃないというふうにやっているのかということを、我々としては、プラクティスとしてどうしているのかということも含めて、よく議論しているということであります。

山尾分科員 だとすると、私は、もう少しこの四点目のテーマについても優先順位を上げていただきたいんですね。

 これは去年のデータでいくと、隠れ待機児童とされている六万七千三百五十四人のうち、独自補助の保育園に入れている人、そして待っている人、これは一万六千九百六十三人、四分の一を占めているわけですね。

 当事者の声をどれだけお伺いになっているかわかりませんけれども、認可と、認証等の認可外を比べると、やはり保育料は平均一・五倍違うというデータもあります、ならせばですね。さらに格差が多いところもあります。また、三歳を超えて、やはり園庭のある認可保育園を望む声というのは、これはそれなりに合理的だと思うんですね。

 やはり、そういう声が待機児童からそもそも外される前提で議論が進むというのは、私はいかがなものかなという気がする。この検討会で、ほかの三点を議論していただいているんですけれども、やはりこのことも、いま一度きちっと検討するべきだというふうに私は思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 やはり、行政の立場、市町村の側からして、恐らく、保育園に入れたいと考えていらっしゃる方々の、言ってみれば優先順位を考えられるんだろうというふうに思います。どういう事情で入れないのかということを考えたときに、入れている人と入れていないで困っている方とを考えると、入られていない方がやはり優先的に考えられるんだろうというふうに思いますので、今みたいな順番になっているんだろうと思います。

 しかし一方で、もちろん、庭があって土をさわりながら子供が育つというのはやはり望ましいことでもありますし、費用が余りかからない方がそれはいいわけで、一方で、認可の方に随分高額所得者がいることをどう考えるのかということを考えていらっしゃる自治体の方もおられるというのは、私は自治体の方からも聞いております。

 そんなこともあって、恐らく今は、さっき申し上げた優先順位で考えていらっしゃるのかなというふうに思って、より緊急的に入れてさしあげたい人は誰だろうかということをよく見ていらっしゃるのではないかなというふうに私は理解をしております。

山尾分科員 よく見ているとおっしゃるなら、もっとよく見ていただきたいんです。なぜ認証を含めた認可外に入れているのか。認可外に入れてポイントを稼いでおかないと認可に入れないから入れているという方がどれだけいらっしゃるか。そして、それを見越して、例えば最初の一年なら一・五倍あるいは二倍以上の保育料を何とか捻出するけれども、もうそのポイントで認可に移転できなければ生活的に続かないという中で入れている方もたくさんいるんですね。なので、質の問題も大事。そしてまた、やはり経済面の負担というのは死活問題なんです。

 そういうことを考えると、今一応入れているからちょっと後回しでもいいんじゃないかというのは、入れている環境、なぜ入れているのか、なぜそういう状況をつくってしまっているのかという根本的な原因が、私たち国、政治の側にあるということを知っていただきたいんです。入れているからいいじゃないかじゃなくて、認可に入るために、認証とか認可外に入れておかないと入れないから入れているんですよ、多くの方が。そうすると、やはりそこは、だからといって優先順位がちょっと下がるよというのはどうかなと。

 もう一度、いかがですか。

塩崎国務大臣 そのことは、ポイントを稼ぐために、タイミングとか、少し高くても認可外に行くというのは、前も申し上げたとおり、私の息子がそれをやっていましたから、それはお嫁さんからよく聞いてわかっています。そんな高いのに何で行くの、でも四カ月だからということで、二人のまだ安い給料の中から、私から見れば保育料としてはえらい高い四カ月間のものを払って、それでも優先順位が一番のところにたまたま行けたということで、たまたま行けただけで、行けない人の方もたくさんおられるということで、だから、認可外に行っていれば、あるいは認証に行っていればそれで終わりというわけでは決してないことは私もよくわかっていて、ですから、そのときにどういう優先順位かというと、認可外に入っている人が、どういう理由で入っているか、一人一人多分違うと思うので、そこのところをよく考えなきゃいけないし、さっき申し上げたように、だとすれば、認可のところの所得制限などがあってもいいんじゃないかという意見も私も聞くときがありますが、まあ、安いからですね、やはり。そういうことを、では、これは山尾委員は賛成されるのかどうかなと、こっちからちょっと聞きたくなっちゃうぐらいで、そのぐらい限られた数の認可ですから、これを誰に優先的に振っていくのかというのは、やはり普通に考えたら、所得が余り高くない人に優先的に行っていただこうということになっていますけれども、今そんなことにはなっていないと思うんですね。そういうところもどうお考えになるのか、本当は聞きたいところですが、私は聞いちゃいけないことになっているから聞きませんが。

山尾分科員 私は、この国の少子化、人口減少ということを考えると、むしろ就学前教育を含めて無償化するべきだと思っていますので、今の御質問については、それが方向性としてのお答えになるのかなと思いますが、議論はあっていいと思いますけれども、なので、この四つ目の、認証等に入っている人をどう考えるのかというのをちょっと検討会で、やはり議事録を見ていると、もうかなり机上から漏れちゃっているんですね、この話。でも、まだ検討会は続きますので、大臣、やはりここも含めて検討するようにと指示していただけないですか。

塩崎国務大臣 私、かねてより、このポイント制も改善の余地があるんじゃないか、つまり、今おっしゃったような形で、無認可、無認証、都の承認とかですね、そういうところに行っている理由が、実はポイント制が、少し改善の余地があるから行っているときがあるんじゃないかということは、ずっと事務方にも言ってきています。

 したがって、今御指摘でございますので、そういう国会での問題指摘があったということを受けて、議論もしてもらうように伝えたいと思います。

山尾分科員 ぜひお願いします。

 あと、次、二点目。隠れ待機児童の半分を占めている、特定の保育施設を希望しているというものなんですね。これは、ともすれば、特定の保育園というのは、ちょっとわがままもあるんじゃないのというような文脈で語られることもあるように思います。

 そこで、私、申し上げたいんですけれども、例えば二つの事例。

 一つは、兄弟の問題なんです。兄弟が別々の保育園では、仕事と子育ての両立がやはりできないということが現実なんですね。ある自治体のお母さんたちが、今回も、今度は保育園落ちたじゃなくて、保育園入りたいというポジティブな名前で一生懸命活動をしようとやっておられます。

 そういう中で、例えば、お母さんたちのモチベーションの一つのきっかけになった事故というのがありまして、二人の兄弟を別々の保育園に送っていく途中、私が聞いたのは、一人のお子さんを送って、もう一人のお子さんを自転車に乗せて二つ目の保育園に向かっている最中に、バスにひかれてお母さんが亡くなった、こういうことがあるんですね。

 だから、私もわかるんですよ。うちなんか、一人だって、本当に、送って仕事に行くということの焦り、それは交通事故にも遭いそうな気がしますよね。それがまさに兄弟別々で、二つの保育園に送った後に仕事に行く、またお迎えも別々で。それがやはりわがままではなくて、それを同じところに入れてもらわないとできないのだということが、これまたあるんですよね。

 あとは、通えるじゃないかという中にも、この前もお話ししました。駅から反対側に二十分だったら、その往復の四十分プラス駅までの通勤。これで、どうやって毎朝これをクリアできるんだろうかということがあるわけです。

 私が申し上げたいのは、特定保育園を希望しているという場合も、やはりその希望がかなっていなくて待機をしているということを大事に考えて、原則やはりカウントするという運用をしていただきたいんです。中にはあるでしょう、ごく例外的な事案がね。その原則と例外の哲学をはっきりさせていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

塩崎国務大臣 待機児童というのは大体都会のものだということですが、実は、私の愛媛県の松山市も五十人ぐらいはおります。仮に松山で、端っこと端っこで行けと言われたら、これはえらいことになるぐらい時間が、片道でも例えば三十分とか平気でかかっちゃいますから、毎日それで二時間ぐらいとられるようなことになることはやはりあってはならないので。

 それはまた、ですから、何が合理的か合理的じゃないかというのは、それはそれぞれの地域地域でまた変わってくるのでありますが、一方で、例えば利用申込書に、二つなら二つまでしか書かせない、あるいは書かない、それをそのまま、二つしかないからもうこれで待機児童じゃないとかいうような不親切な行政だってあり得るわけでありますから。

 今、例外と原則、これをきちっとわきまえろ、こういうことでありますが、おっしゃるように、ですから、それが合理、不合理の別れ道になるわけでありますから、そういうことは、私どもとしても、原則はみんなで共有した方がいいと思いますが、では、例外は例外で、許される例外と許されない例外の解釈についてがまたこれは割れていて、それは自治事務で、首長さんが、これは待機児童じゃなくていいんだ、待機児童だ、そういう分かれ道があっては困るので、私どもとしても、そこの辺も共通認識が一定程度できる方がいいな、ただ、完全に統一するというのはなかなか難しいのかもわからないというふうに思います。

山尾分科員 時間が来ましたけれども、厚労省の方が、待機児童をこういう解釈でこういうふうにカウントをして数字を上げてくださいねということ自体は厚労省本体の事業ですから、これは自治事務にさわるものではないということだと思うんですね。

 今申し上げた特定保育園の問題、そして自治体補助の保育園に入れている場合の問題、そして求職中の問題、育休中の問題と、例外はあるんでしょう、それぞれに。だけれども、その例外を細かく血眼になって外すという運用よりは、基本的にはやはり当事者の意思や希望や申し出に寄り添って広く包含をするということを原則にした上で、本当に例外的な場合は、これは違いますよねと。こういう原則と例外の運用を目指して、大臣も検討会に指示を出していただきたいですし、検討会の結論を踏まえて、また大臣独自の判断も含めて、やはりこの待機児童の問題、定義の問題、解決していただきたいというふうに思っています。

 ありがとうございました。

菅原主査 これにて山尾志桜里さんの質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、山下主査代理着席〕

山下主査代理 次に、宮本徹君。

宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうは、まずハンセン病療養所の医師不足についてお伺いしたいと思います。

 大臣も、多磨全生園はよく御存じだと思います。私も、正月に新年の挨拶に行ったときに、入所者の方から、お医者さんがやめて大変なことになっているという話を伺いまして、今月の初め、改めて多磨全生園の方をお伺いしまして、園長先生だとか、あと入所者の皆さんにお話を伺ってまいりました。

 多磨全生園では、昨年、常勤の医師の退職が相次いで、特に内科医は、四人いた常勤医のうち二人が退職されて、補充が常勤医としてはされていないということなんですね。残っている二人の内科医の方は、内科医といっても専門がありますから、一人の方は血液の専門だ、もう一人の方は透析の専門だというお話なんですね。

 入所者の皆さんからは、今までの先生だったら判断がついたような病気も判断がつかずに、園外の病院に行かなきゃいけないようなこともあったりするんだ、夜にぐあいが悪くなったときは大変不安だ、こういうことをおっしゃっていました。

 命と健康、暮らしを守るためにも、医師不足を解決するのは緊急の課題だというふうに思っております。

 塩崎大臣に改めて確認いたしますが、ハンセン病療養所の入所者の皆さんが最後の一人まで安心して暮らせるよう国は責任を果たす、この立場には変わりはないですね。

塩崎国務大臣 国は、長年にわたるハンセン病隔離施策とらい予防法によってハンセン病政策の被害者に多大な苦痛と苦難を与えてきたことについて真摯に反省をして、衷心より謝罪する立場にあるというふうに思っています。被害を受けた元患者の方々が良好かつ平穏な生活を営めるように、国としてこれからも適切な対策を講じていく必要があるというふうに思っております。

 特に、国立ハンセン病療養所の入所者の皆様方については、ハンセン病の後遺障害に加えて、高齢化が進んでいて、今、平均八十四・八歳ということであります。そんな中で、ハンセン病問題対策協議会における確認事項等に基づいて、入所者の皆様が在園を希望される場合には、その意思に反して退所、転園させることなく、終生、在園の保障をしているところであります。

 この点については、平成二十年に成立をしたハンセン病問題の解決の促進に関する法律にも明確に規定をされておりまして、引き続き、国としての責務を果たしてまいります。

宮本(徹)分科員 国としての責務を果たされるということなんですけれども、なぜお医者さんが退職されるのか。定年で退職される場合もありますけれども、お話を聞いていましたら、一人の方は定年ではなくて、やめられたというお話だったんですね。お子さんの教育費の関係だというお話も伺っておりますが、やはり処遇、給与という問題が一因になっております。

 園長先生にお話を伺いましたけれども、新しい常勤医を確保するのも大変苦労されているんですよね。出身大学のつてをたどっていろいろな方にアプローチをして、やりがいを語って、うまくいきそうかなと思ったけれども、最後に給与の面のところで話がまとまらなかったというのは幾つもあるというふうにおっしゃいました。全国の十三の療養所を見ても、この五年で医師の充足率は八五%から七二%に低下しているわけですね。

 塩崎大臣自身は、療養所の医師不足の原因はどこにあるというふうにお考えですか。

塩崎国務大臣 今御指摘をいただいた医師不足の原因でございますけれども、国立ハンセン病療養所において医師の確保が極めて困難となっている現状については、主に、離島であったり、僻地に存在をする施設が多いという地理的な問題などが理由として挙げられるというふうに考えております。

宮本(徹)分科員 いや、私は今、多磨全生園のお話をしたんですよ。離島だとか僻地の話をしているわけじゃなくて、東京都内の話をしているわけですね。東京都内でこういう医師不足が起きている原因はどうお考えですか。

塩崎国務大臣 やはり、処遇の面での課題というものがあるのは、先ほど先生からも教育費の問題の御指摘がありましたが、その問題についてもあるんだろうというふうに思います。

 とりわけ多磨全生園の場合には、都内ですから、そういうことであれば、東京都での他の職場との比較なども考えられる先生もおられるんだろうというふうに思うところであります。

宮本(徹)分科員 そういうことなんですよね。ですから、常勤のお医者さんを確保するためには、やはり給与面での処遇の改善というのが私は不可欠だというふうに思っています。

 国家公務員の医療職の場合は、民間との差は大きくありますけれども、国立病院機構との差も今かなりあるわけですよね。国立病院機構のパンフレットなんかを見たら、「けっこういいぞ!!」、こういう医師募集のパンフレットを出していますよ。その中で、給料も、これだけ年収になりますよというのをアピールして集めているわけですね。

 ハンセン療養所の場合は、医師募集のパンフレットを出していますよ、でも給与面は書けないわけですね、書かれていないということになっております。それをアピールできないという面があるのは間違いないというふうに思います。

 同じように医師不足で苦労されているものに法務省の矯正医官があったと思いますが、矯正医官の場合は、御存じのとおり、法律も改正して、フレックスタイム制だとか、あとは兼業、ほかの仕事もできるようにするという改善もして、いろいろな工夫をして対応しているわけですよね。ただ、療養所の場合は、フレックスタイムだとか兼業なんてできないですよ、当直もやらなきゃいけないですし、入所者の皆さんの責任を負わなきゃいけないわけですから。

 そうすると、ここまで東京都内の多磨全生園でも医師不足が起きて、なかなか現場で解決できないということを考えたら、何らかの政治的な判断で処遇を改善する、何らかの手だてをつくるだとか、国家公務員の医療職の俸給表を改正するだとか、こういうことも必要になるんじゃないかと思いますが、大臣、どうでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、処遇の問題というのが人においでいただく際に一つの考慮要素として重要な部分を占めるということもあり得るということを申し上げましたが、安定的な医師確保を実現するためには、やはり給与を初めとする処遇についても、毎年度、私ども、関係省庁に対して必要な改善を要望しているわけであります。

 また、関係自治体あるいは医学部を持つ大学、国立病院機構などの機関に所長などが訪問しておりまして、医師確保についての協力を依頼するとともに、研修医に向けた全国的な病院説明会にも参加するなど、医師確保のためのアピールはさまざま今やっているわけでありますので、そういう努力も含めて医師確保を図らなければならないというふうに思っております。

宮本(徹)分科員 ですから、今まさに、目の前で常勤医も補充できない、こういうことが都内の療養所にまで広がってきているという状況なんですから、ここは、毎年各省庁に要望しているという話はされましたけれども、大臣の政治決断が必要なんじゃないですか、大臣として何らかの手だてをとると。きょうは、全生園でインターネットでこの中継を入所者の皆さんが見ているというお話ですから、大臣の前向きな答弁をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、私ども、この国立ハンセン病療養所については、国の責務として、しっかりと、入園されている方々には、終生ここで暮らしていきたいという方々には暮らしていただけるようにする、そのための医療環境をどう整えるかということでありますので、今お話がありましたように、処遇、もちろんこれは財源あっての物種でもございますので、私どもとしては、先ほど申し上げたとおり、関係省庁にもしっかりと言うべきことは言いながら、医師確保にもつながって、療養所におられる方々が安心して暮らしていけるようにしていきたいというふうに思っておりますので、引き続いて努力を重ねていきたいというふうに思います。

宮本(徹)分科員 財源ということをおっしゃいますけれども、全体でいっても、医師の定員というのは、全ての療養所を合わせても百四十六ですよ。その財源が出せないという国であってはならないと思うんですよね。大臣もそう思われますよね。財源を理由にできないような話じゃないと思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 いや、これはやはり財源抜きには語れないことでありますけれども、財源だけを理由にしてできないことにするわけにはいかないということだと思います。

宮本(徹)分科員 財源抜きにできない、財源を理由にできないという話には絶対ならないわけですから、ぜひ、いろいろな政治判断、政治決断を塩崎大臣のところで下していただきたいということを重ねて求めておきたいと思います。

 それから、あと、医師確保のためにはできることは何でもやるという姿勢が大事だと思うんですね。

 法務省の矯正医官、ポスターをつくっています。国会議事堂前の地下鉄の駅にも張ってありましたけれども、EXILEのATSUSHIさんを採用してこういうポスターを張って、一生懸命やっているわけですよ。

 法務省の矯正医官の募集を見ても、六つの魅力ということでいろいろなことが書かれてやっていますけれども、本当にそういうところも見習って努力をお願いしたいと思いますが、その点はどうですか。

塩崎国務大臣 法務省も努力しているということでありますし、私どもも同様に、やはり努力をしないといけないというふうに思います。

宮本(徹)分科員 よろしくお願いしたいというふうに思います。

 それから、園長も定年を迎えて後継者がなかなか見つからないという状況があります。副園長もいない園が五園にもなっております。定年延長をしても三回までというふうになっていまして、園の運営に見通しがなかなか持てないという状況もあります。

 医師の定年延長については、見直しが必要なんじゃないか、もっと長く安定して、一定の期間療養所で働けるようにする必要があると思いますが、この点はどうでしょうか。

塩崎国務大臣 今、園長あるいは副園長の立場の方々の人材不足についてお話がございましたが、医師である園長及び副園長は、施設における医療と運営、両方を担っていただいているということでございまして、厚生労働省としては、その確保に今全力を挙げて取り組んでおるところでございます。

 一部施設におきまして、平成二十八年度に、それ以前は空席となっていた副園長を補充することができたといった成果も上げているわけであります。一方で、引き続き園長等を含む医師の確保が極めて困難でありますので、定年年齢の引き上げ、あるいは、三年を超えることができないと定められている定年後の勤務延長の年数の増加について、関係省庁に私どもとしても強く要望をしておるところでございます。

 引き続き、しっかりと医師確保のために努力をしていかなければいけないというふうに考えております。

宮本(徹)分科員 全力を挙げて医師確保に取り組んでいただきたいということを申し上げまして、次の問題に移りたいと思います。

 もう一つ取り上げたいのが、二〇一五年度からスタートした生活困窮者自立相談事業についてです。

 二〇一三年に法律の制定が行われました。私たちの党は、この法律の制定に当たって、この法律が生活保護申請や、受給する際の水際作戦になってはならないということを言って警鐘を鳴らしてきたわけですが、制度が始まって二年近くになりますが、まさに危惧していたような事例が起きております。

 厚労省の通知を見ますと、生活困窮者自立相談事業と生活保護制度の連携について、こう書いています。「必要な者には確実に保護を実施するという生活保護制度の基本的な考え方に基づき、生活保護が必要であると判断される場合には、福祉事務所と連携を図りながら適切に生活保護につなぐことが必要である。」こう書いてあるわけですが、実際はそうなっていない現状を先日、私、聞きました。

 東村山市の市議会議員から聞いたお話を紹介します。

 六十九歳のAさん。年金がないので、ずっとガードマンで働いていたんですが、腰を悪くして仕事ができなくなり、貯金もなくなって、生活保護を受けたいと市の自立相談事業の窓口、ほっとシティ東村山といいますが、この窓口に行ったら、生活保護を受けたいと言ったのに、働きたいですかと聞かれて、新聞配達をやってはどうですかと言われたというんですね。本人は、もう腰も痛いし、バイクも乗れないので、できない。あとは死ぬしかないのかなとそのときは思ったそうです。

 ただ、この方の場合は、うちの地元の共産党の市議会議員にたまたま相談があって、一緒になって生活保護申請に行って生活保護を受けられましたけれども、窓口では帰されたという話になっているわけですね。

 それから、五十三歳のBさん。仕事を失って、三年間ホームレス状態にあった。精神的にも、うつ状態で、足も引きずっていた。病院にも行けずに、足のけがは紫色にひび割れて一部壊死している状態だった。この方も、生活保護を受けたいということでこのほっとシティ東村山の窓口に行ったら、仕事がしたいか、住み込みの新聞配達ならきょうにも行けますよと新聞配達を勧められて、なかなか生活保護につなごうとしなかった。

 ただ、この方の場合は、私どもの地元の市議会議員が同行していたので、生活保護の担当者を出してほしいと相当強く言って、それでやっと生活保護の担当者が出てきて、市議を交えての話をして、結果としては生活保護を受けられることになりましたけれども、こういう例が幾つも、ほかにもこの一人の市議会議員の方が相談を受けた例で出てきているということになっているんですね。

 こういうふうに、生活保護を受けたいといって来ているのに、生活保護の相談員にすぐつながずに引き延ばす。これは、この制度の運用としては極めて不適切だというふうに思います。

 これは、調査して、是正、指導が必要なんじゃないですか、大臣。

定塚政府参考人 今御紹介いただきました東村山市の個別事案についてでございますけれども、私どもも逐一窓口の取り扱いを全部確認したわけではございませんが、私ども厚生労働省といたしまして、先ほど委員から御指摘ありましたとおり、通知においても、生活保護が必要な方は、生活保護の窓口に紹介をしてつなぐようにということを生活困窮の窓口にも徹底をしてきておるわけでございます。

 また、通知だけではなく、私どもの会議や研修会、その他あらゆる場を通じてそのような指導、周知はしてきておるところであり、今回、東村山市にもお伺いしましたけれども、東村山市におかれても、そのような方針であるということは変わりないというふうに伺っております。

宮本(徹)分科員 そういう方針があったら、こういう事態が私たちの市議会議員のところに次から次へと相談が来るということにはならないわけですよね。

 この東村山市の事業を委託されているのはやまて企業組合というところですけれども、このやまて企業組合の職員会議に東村山市の職員が参加をして、何ですぐに生活保護に回すんだと強く言った、こういう話も私たちは聞いているわけですよ。

 それで、市はちゃんとやっていますよというのをうのみにして見逃すというわけにはいかないと思いますが、大臣、どうですか。

定塚政府参考人 御紹介があった事案の一つは、昨年六月に市議会でも取り上げられているというふうに伺っております。

 この事案のことであれば、市からは、相談者が新規に相談に来られたときに、短時間なら就労したいという意向を示された、また、手持ち金も一定程度あったということで、本人の意向に沿って仕事を探そうということで翌日の来所を促したけれども、翌日は顔を出さなかったということで、再度相談窓口から連絡をして就職の話をしたというような経過があるというふうに伺っています。

 市としての方針は、先ほど申し上げたとおり、生活保護につなぐ必要がある方については、本人の意向や状況を踏まえてつなぐ対応をしている、早急につなぐ対応をしているというふうに申しております。

 ただ、いずれにしても、こうした窓口で相談者の意向とか健康状態をしっかり確認して、御本人、なかなかしゃべりにくいという方もいらっしゃるので、そうしたことをしっかり聞き取るアセスメント能力、これがしっかりしていないと窓口が適切な対応をできないのかなと思っておりますので、私どもとしても、そうした窓口の対応をしっかりできるような人材を育てていく、これを自治体と一緒に進めていくことが一番重要ではないかと思っているところでございます。

宮本(徹)分科員 私は、職員会議で市の職員が何と言ったのかという証言まで紹介しているわけですよ。何ですぐに生活保護に回すんだというのを、この委託事業を受けている事業者の職員会議に市が出てやったという話ですよ。もうちょっとちゃんと調査する必要があるんじゃないですか。大臣、どうですか。

山下主査代理 まずは定塚局長、後、大臣で。

 定塚局長。

定塚政府参考人 今御紹介いただいた事柄については私どもとしても確認をしておりませんので、その点については市に再度確認をしたいと思います。

 しかしながら、大きな方針としては、そのような、先ほど申し上げたような方針であるということを市からも確認しておりますので、我々も、市がその方針に沿って適切に行っていただくように引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

山下主査代理 では、引き続いて、塩崎厚労大臣。

塩崎国務大臣 基本は、先ほど来御答弁申し上げているように、御本人の意思がやはり一番大事でありますから、それを踏まえた上で、この相談窓口の対応としては、生活保護を必要とするということであれば、福祉事務所の生活保護担当を紹介して、そちらに行っていただくというのが基本だろうと思うので、今局長の方から申し上げたように、この個別ケースについてどうなのかということについては、もう一回確認をしてみるということでございますので、そういうようにさせたいというふうに思います。

宮本(徹)分科員 しっかり市に状況を把握して指導、調査していただきたいというふうに思います。

 私たち地元の共産党の議員団は、そういう話がいっぱい来るんですよ。市がやっているやっていると言っても、やっていたら私たちのところにそんな相談は来ないですよ。相談が来るというのは、そういうことなんですよ。みんな困り果てて、自分たちが生きていくためにはどうにか助けてほしいということで多くの方が来るわけですから、本当に、市の言い分だけでなく、しっかり調査、指導していただきたいというふうに思います。

 そういう点でいえば、この「自治体における様々な取組事例」という中で、これは厚生労働省の検討会に出された資料で、東村山が例で出ていて驚きましたよ。「新規相談・プラン作成」、「市役所として「複合的な課題を抱えている人にはまず自立相談支援機関を案内する」ことが徹底されている。」というんですね。これから先に、ちゃんと生活保護が必要な人につながっていたらこれは褒められる話かもわからないですけれども、事実上の水際作戦のようになっていたら、およそ褒められる事例ではないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 私は、この生活困窮者自立支援事業については、厚労省の通知から離れた実態がほかの自治体で起きていないか、こういうことが懸念、心配されるわけですよね。これは実態を全国的にしっかり調査する必要があると思いますが、大臣、どうでしょうか。

定塚政府参考人 現在、私どもは、生活困窮者自立支援制度の見直しということで検討会も始めているわけでございます。こうした検討会を通じて、あるいは各自治体からのヒアリング、それから自治体だけではなくて生活困窮者を支援する方からのヒアリング等も進めておりますので、そうした中で御指摘のような事案がないかどうかというのはしっかり把握をしてまいりたいと考えております。

宮本(徹)分科員 検討会をやられているということですけれども、やはり全国的にこれは調査しないとわからない話ですよね。それぞれの検討会に参加している方が把握している事例だけではなく、やはり全国の自治体でどうなっているのかというのをしっかり調査するよう重ねて求めておきたいというふうに思います。

 今、生活保護行政全体でも就労支援事業というのは進んでいるわけですよね。その中で改革工程表を見れば、数値目標なんかも入れて就労支援というのを進めているわけですけれども、やはり目標先にありきというふうになりますと本人の実態からかけ離れていく。本人が実際どういう支援が必要なのか、そこから離れて目標達成先にありきというふうになっちゃうと思うんですよね。ですから、私は、こういう事業において、生活保護の就労支援なんかも数値目標を掲げるというのはやめた方がいいというふうに思いますよ。

 もう一つ質問、残り時間が短くなったので先に行きたいと思いますが、この間、子供の貧困対策の中で生活保護制度の改善が一定見られました。しかし、現場で徹底されていない例というのもいろいろ聞いています。

 これは少し前の話ですけれども、高校生がアルバイトをしても進学費用のためにそれを貯金した場合収入認定しないという制度ができるようになりましたよね。それが半年以上現場に徹底されていないという例もあったというふうに聞いております。その件を地元の市議会議員が市にただしたら、厚労省から通知は来ていたけれども課長でとまっていて、忙しくてケースワーカーに徹底されていなかったという話があったわけですよね。本当にひどい話だと思います。

 昨年秋からは、この生活保護、奨学金についても、これを専門学校の受験料だとか入学金だとかに充てても保護費を減額しないということになったわけですけれども、では、こういうことがしっかり現場のケースワーカーまで徹底されているのか、私はこういうのをしっかりつかんでいく必要があるというふうに思います。

 あと、現場のケースワーカーの皆さんまで徹底されると同時に、やはり受給者の皆さん自身にもちゃんと知らされていく必要があるというふうに思います。生活保護を厳しくする際は、大体どこの自治体も、生活保護受給者の皆さんには案内が行くんですね。例えば、来年から資産報告が義務化されますという話だと、これは通知が全員に行われるということになっているわけですけれども、昨年秋から始まった、奨学金を専門学校の受験料や入学金に充てても収入認定しない、保護費を減額しない、こういうことについては、ほっておいて、別に、市は一生懸命告知するということにはなっていないわけですよ。

 ですから、制度の改善については現場のケースワーカーにやはり速やかに徹底する、これをしっかりつかむ必要がありますし、あとは受給者本人にしっかり告知される体制をつくる必要があると思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、貧困の連鎖を断つためにはやはり教育というのはとても大事でありますし、そういうようなことを含めて大学等への進学による自立ができるようにしようということで、平成二十六年度以降、御指摘の、アルバイトで得た給与あるいは奨学金について、大学などの入学金や受験料に充てる場合それから学習塾代に充てる場合、こういったときは、収入認定して保護費の減額をするということなく手元にお金が残るように順次運用を改善してまいっているわけであります。

 こうした取り組みについては、その都度、自治体に対してもちろん通知をしますが、毎年開催をしております全国会議等の場において国から自治体の担当者にも資料を用いて説明を行っています。

 今後とも、もちろん制度改正の内容について丁寧に自治体の担当者に周知をして、より多くの生活保護世帯の子供が進学のための支援をしっかりと利用できるようにしていかなければならないと思います。

 また、今御指摘のあった、ケースワーカーにちゃんと伝わるということ、それに周知が行き届いていないということがあるという御指摘がありました。そういうところについても、ケースワーカーにもちゃんと伝わり、また本人に伝わるにはどういう方法が一番有効なのかということも考えて、今後、自治体に対しても指導を強めていきたいというふうに思います。

宮本(徹)分科員 現場のケースワーカーまで伝わっているかどうかというのは、やはり通知を出して会議で決定して終わりじゃなくて、伝えたのかという報告をちゃんと求める仕組みをつくれば、それだけでも、伝えました、伝えていないというのが国としてつかめるわけですから、そういうことをやってはどうかというふうに思いますし、あと、受給者のところまでいろいろなものを、ちゃんと制度の改善を伝えるためには、例えば、お知らせの文書のひな形をつくって、これをちゃんと届けてくださいということを、そこまで徹底するということをやっていけば伝わるんじゃないかというふうに思いますので、そういう改善をぜひ検討していただきたいんですが、最後、どうでしょうか。

山下主査代理 定塚社会・援護局長。

 なお、申し合わせの時間が既に経過しておりますので、簡潔に答弁をしてください。

定塚政府参考人 今委員からも御指摘があったようなことも踏まえまして、周知方法をしっかり工夫してまいりたいと思います。

宮本(徹)分科員 以上で終わりますが、ケースワーカーは、現場の忙しさもありますので、過重負担の解消には増員も必要だということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山下主査代理 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂分科員 大臣、長時間お疲れさまです。

 本日は、腎臓機能障害認定の問題、それからクリーニング業法の問題についてお伺いをいたします。

 専門的な話は参考人から、最後の御決断いただきたい部分については大臣からお答えをいただきたいと思います。

 まず、腎臓機能障害認定についてですが、腎臓機能が低下しますと、血液中の老廃物が、ろ過して体外に出されなくなるということになります。この腎臓機能障害の認定基準、障害認定基準には、今、血清クレアチニン濃度というものが使われております。クレアチニンというのは筋肉から出る老廃物。これは、血液中に出ても、健康な人であればそれが腎臓でろ過されて、おしっことともに体外に排出をされるわけでありますが、腎臓機能が低下をすると、ろ過されずにどんどんどんどん血液中に残ってしまう。この濃度が高いほど腎臓機能の障害が重くなっている、こういうことであります。

 今、血清クレアチニン濃度が単位体積当たり八ミリグラム以上だと障害一級認定がされます。八ミリ未満だと、二級は飛んで三級ということになってしまうわけであります。

 ここからが問題なんですが、これまで使ってきたこのクレアチニン濃度、これは筋肉からの老廃物なので、もともと筋肉が少ない高齢者、特に女性の高齢者はそもそも生産されるクレアチニンが少ないので、ろ過の能力、腎臓が幾ら機能が低下しても、血中濃度がそれほど高まらないという根本的な問題がございます。筋肉量の少ない高齢者は、腎臓機能が幾ら低下してもクレアチニン濃度がその割には低く出てしまう、これが専門家の中でずっと指摘をされている根本的な問題です。

 そこで、日本腎臓学会初め専門家は、今は、クレアチニン濃度ではなくて、それを年齢とそれから性別で補正をした推算糸球体ろ過量、eGFRというものを使うようになっています。これを使うと、筋肉量の少ない年配の方、特に女性の方でも、クレアチニン濃度は低いんだけれども、でも腎臓機能は思ったより低下をしていますよということがわかるように補正をされている。

 そこでお伺いをいたしますが、障害認定基準にも、クレアチニン濃度ではなくて、年齢と性別で補正をしたeGFRを用いるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 身体障害者福祉法におきましては、身体機能に日常生活が著しい制限を受ける一定以上の障害が存在し、かつその障害が永続していることという考え方に基づき、内部障害に関する身体障害の認定を行い、身体障害者手帳を交付してございます。

 腎機能障害などの内部障害の認定基準は、一定の専門性、客観性を確保することが重要であり、障害特性に応じて、医学等の専門的観点から検討された結果に基づきまして定めてございます。

 腎機能障害の認定でございますが、腎機能に係る検査値を基本とし、日常生活の制限の程度、腎不全に基づく臨床症状、治療の状況によって行われます。その際、腎機能の低下の指標については血清クレアチニン濃度を用いておりますが、これは加齢による筋肉量の減少等、腎機能以外の要因にも影響されるというのは、議員の御指摘のとおりの部分もあることは承知してございます。

 一方、腎機能障害の一級はおおむね人工透析が必要な状態に相当するわけでございますけれども、日本腎臓学会も入りました国内の透析導入基準ということでは、臨床症状、日常生活障害度等に加えまして、腎機能の目安として血清クレアチニン濃度が判断要素となってございまして、年齢、性別は判断要素には含まれてございません。

 このため、日常生活が著しい制限を受ける一定以上の腎機能障害があることを裏づける評価指標として血清クレアチニン濃度を現在用いてございまして、合理性を持ったものであるというふうに今考えているところでございます。

井坂分科員 そうおっしゃいますが、実は、障害年金の認定基準の方は、もう既にeGFRを追加するということで決めておられるわけであります。

 また、専門家はクレアチニン濃度でいいんだとおっしゃいますけれども、しかし、その指標だって、よく見れば、高齢者の方は点数を加算するとか、厚労省からもらった資料にだって、高齢者は点数を加算する、なぜならクレアチニン濃度は低く出るからだということが書いてあるわけです。

 ちょっと、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

堀江政府参考人 障害の一級の度合い、一級は言ってみれば生活活動の制限ということでございまして、透析と連動させた形で私どもの方は見てございます、今の基準でございますけれども。そうしたことから今の血清クレアチニン濃度を使っているものでございまして、その判断はそのときに行っている、必ずずっとそれがいいかどうかというのは別でございますけれども、現状はそういう考え方でやってございます。

井坂分科員 大臣にお伺いをしたいと思いますが、今のやりとりを聞いていただいて、障害年金の方は既にeGFRが入っているんです。その理屈も簡単で、やはり筋肉量が少なかったら数値が低く出てしまうという根本的な仕組みがあって、まさに、障害年金の議事録を見たら、クレアチニン濃度でやっていると高齢者、特に女性の高齢者が救済をされないのでeGFRの導入をすることとなりましたとはっきり書いてあるんですね。

 障害認定にもeGFR、検討していただけないでしょうか。

塩崎国務大臣 今お話がありましたとおりであるとするならば、私も今、障害年金の方でそういうことをもう既に使っているということは初めて知りましたが、そういうことであれば、今部長から、一定の合理性があるということではありますけれども、現在の腎機能障害に関する身体障害者手帳の認定基準については、やはり最新の知見に基づいて行われるべきというふうに考えます。

 障害者手帳の認定の基準というのが、これまでもいろいろな指摘がありました。大分古くなっているものもありますから、専門家の御意見、患者の方々の御意見もよく聞きながら対応してまいりたいというふうに思います。

井坂分科員 ぜひ合理的な御決断をいただきたいと思います。基準がまさにできたのが、こんな高齢化の進む時代じゃなくて高齢の透析患者がまだそんなにいない時代の基準ですから、こういう問題が当時は起こっていなかった。当時は合理的な基準だったと思いますが、今まさに高齢の透析患者がふえている中では、しかも新しい指標ができている中では、古い血清クレアチニン濃度にこだわる理由は私はないと思いますから、ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、クリーニング業法についてお伺いをいたします。

 今、インターネットで受け付けるクリーニング業というものが非常に広まってきております。そこで、お伺いいたしますが、クリーニング所、クリーニング工場やそれからインターネット受け付け業者と提携をして、宅配業者、宅急便が汚れた衣類を受け取ってクリーニング所、クリーニング工場に持ち込む場合は、これは、クリーニング業法、事前にもう事務方と何度も確認をしておりますが、宅配業者の全ての中間集積所について法五条二項の届け出を行い、また、宅配業者の全ての車両について法五条二項の届け出を行い、また、宅配を行う従業員の五人につき一人は法八条三の業務従事者講習を受けなければ違法になるということでよろしいですか。

北島政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、クリーニング業法におきまして、営業者とは、クリーニング業を行う者のほか、洗濯をしないで洗濯物の受け取り及び引き渡しを行う者も含まれております。

 したがいまして、宅配業者が洗濯を行わない場合であっても、みずから洗濯物の受け渡しや引き取りを行う場合は、都道府県知事等に取次所として届け出なければならないこととなっております。

井坂分科員 車両の届け出、それから業務従事者講習についても、これも事前にきちんと通告していますけれども、端的にお答えをいただきます。

北島政府参考人 はい、御指摘のとおりでございます。

井坂分科員 実は、都内のある保健所に確認をしたところ、その区内四十カ所の宅配便の営業所からは一枚も届け出が出ていないというお答えをいただいております。ちょっとその業者とかその区の名前を明らかにすることはここでは差し控えますけれども、どうもそういう実態もあるようであります。

 そこで、お伺いいたしますが、宅配業者がこういう届け出を出しているのかどうかの確認を怠ったまま、クリーニング工場であったりあるいはインターネット取次業者がこういう確認もせずに継続反復して宅配業者に洗濯物の集配を依頼していた場合は、厚労省は、このクリーニング所あるいはインターネット取次・受け付け業者にどのような是正指導を行うのか。これは業務停止とかいうことになってしまうのか、お伺いをいたします。

北島政府参考人 クリーニング業法に関する指導監督は自治事務でございますため、クリーニング業法に定める届け出がなされていない場合は、具体的なケースに応じて、宅配業者やクリーニング所、インターネット受け付け業者に対して、都道府県等が指導を行うこととなります。

 なお、クリーニング業法に定める届け出をせずにクリーニング業を行った場合は、二万円以下の罰金に処することとされております。

井坂分科員 ちょっとそろそろ大臣にお伺いをしたい段階になってきたんですけれども。

 ちょっと重ねてお伺いをいたしますが、では、罰金を払えばそれでよい、業務を継続してよいということになるんでしょうか。

北島政府参考人 いきなり罰金というよりは、きちんと業としての届け出をしていただいて、施設やその他の議員御指摘のようなルールに従っていただくということを都道府県等が確認させていただき、普通であれば、業として届け出をしていただいて営業していただく。また、それに従えない場合については、業をやめていただくということになろうかと思っております。

井坂分科員 ちょっと大臣にお伺いをしたいと思います。

 かいつまんで御説明いたしますと、今、クリーニング業法、これはいろいろ厳しい規制があるんですが、一方で、インターネットでお客さんを集めて、宅急便、宅配便でその汚れた洗濯物をクリーニング工場に送ってもらって、そこできれいにしてまた宅配便でお客さんのもとに送り返す、こういう業態が大々的に広がってきております。

 ここで問題になるのが、この宅急便の車であったり、あるいは宅急便の荷物の集配所であったり、あるいは宅急便のスタッフがクリーニング業法に基づく届け出や講習を受けなければ、これはクリーニング業法違反ですよと明快に今事務方から御答弁をいただいたわけでありますが、一方で、私が都内のある区の保健所に確認をしたところ、その区内にある宅配業者からは、届け出は一枚も出ておりませんということになっています。

 これは、宅配業者が違法なだけでなくて、そういう宅配業者を、ずっと提携して自社のクリーニング業者あるいはインターネット受け付け業者のビジネスに組み込んでやっていた場合も、当然問題になる、指導の対象になるということでした。

 大臣にお伺いをしたいのは、もし旧来のクリーニング業者が自社の車で洗濯物の集配を行う場合は、当然、公衆衛生上の理由から、車を全て届け出をし、スタッフは五人に一人は講習を受け、また、荷物の集配所、集積所は取次所として業法の届け出をしなければいけない。これはみんなやっているわけであります。その部分を宅急便、宅配便に外注したら、急にこの届け出とか講習をやっているかやっていないかの確認すら満足にされないということになりますと、これは大臣、まずクリーニング業法を所管する厚労省として、また、これの立法趣旨である公衆衛生を守る厚労省としても、最低限の確認の仕事を怠っているというふうに私は思いますけれども、速やかにこの実態調査をしていただけませんか。

塩崎国務大臣 クリーニング業法に明らかに違反をする行為を看過するわけには、法所管官庁として、厚労省としては、あってはならないことだというふうに思います。

 したがって、全国を一つ一つ見るというのはなかなか難しいので、そういうことで自治事務の自治体にお願いをしているわけでありますが、そのことについて最近の動きとして把握をするのは厚生労働省としての責務でもありますので、私どもとしては、これを知った限りは、こういうことがないようにして、法令を守るということについては徹底をしていかなければいけないというふうに思いますので、当然、所管の自治体とちゃんと連携をして、場合によっては私どもとしても独自に判断をするということも必要になるのかなというふうに思います。

井坂分科員 ありがとうございます。

 自治体の保健所の方と話していると、一般人が汚れた荷物を実家のお母さんのところに送るのと一緒じゃないかみたいな受けとめでおられたような感じもありましたので、クリーニング業法とのイコールフッティング、バランスという意味でも、やはり国の法律ですから、ぜひ厚労省として実態を調べていただきたいというふうに思います。

 もう一点、クリーニング業法で、やはりいろいろアイデアだなと思いますのは、今度は、コインランドリーのあいている洗濯機を使って、汚れた洗濯物をお預かりして、そこで洗ってあげて、乾燥してあげて、畳んで、また宅急便で送り返す、こういうビジネスモデルも今広まってきております。

 事務方にお伺いしますが、コインランドリー業者が汚れた衣類を受け取って、洗濯を代行して、畳んで顧客に届けている場合、これは法の定めるクリーニング業に当たりますか。

北島政府参考人 いわゆるコインランドリーにつきましては、利用者みずからが当該施設に設置された洗濯機等を使用しまして洗濯を行うものであり、そのもの自体はクリーニング業法の適用を受けません。

 しかしながら、コインランドリーの利用者から洗濯物を受け取り、当該施設内の洗濯機を使用して洗濯を行い、利用者に引き渡す行為を業として行っている場合は、クリーニング業法の営業者に該当すると考えられます。

井坂分科員 まさにクリーニング業そのものだというふうに思うわけであります。

 大臣はこのコインランドリー型のクリーニング業者というのをごらんになったことはありますか、私生活の中ででも。

塩崎国務大臣 ごらんになったというのは、どういう意味でごらんになったと……(井坂分科員「見かけたこと」と呼ぶ)業者としてやっているかどうかは知りませんけれども、コインランドリーがあるのはよく見ていることは見ておりますし、アメリカでも、家族寮の中にコインランドリーがあったりして、私は、どちらかというと洗濯は私の仕事で、女房との間の分業がなされておりましたので、よく使っておりました。

井坂分科員 ありがとうございます。

 なぜお聞きしたかといいますと、実は、議員会館の中にもあるんです、このコインランドリー型のクリーニング業者が。議員会館の地下一階のコンビニがあって、コンビニの横、お土産屋さんがあって、その横に取次窓口があるんです、コインランドリーで洗っているタイプのクリーニング業者が。だから、我々は、気づかないですけれども、議員会館に通っている人はほぼ毎日見ているところにあるわけであります。

 それぞれ、こういう業者はいっぱいあるので、やり方は多少違いはあるんですけれども、やはり多いパターンは、専用のバッグを支給されて、そこに詰め放題、詰め込める限り詰め込んで、これでバッグ一つ二千円ですよとか、そういう形で預かるという形になっています。

 ここで疑問が生じるのが、クリーニング屋さんは普通、靴下とかは洗ってくれませんよね。なぜかというと、クリーニング業法では、靴下とか下着とか、そういう消毒が必要な洗濯物というのが分けて厳しく規制をされていて、そういうものを取り扱う場合は、消毒したりとか、分けておいたりとか、いろいろやらなきゃいけないことはふえるんです。ですから、普通のクリーニング屋さんはパンツや靴下は洗ってくれないというふうに思います。

 ところが、こういうタイプのコインランドリー型のクリーニング屋さんは、バッグ詰め放題という形をとっているがゆえに、みんな入れるわけですね。ホームページを見たって、そういうものを入れる前提のような書きぶりになっております。

 そこで事務方にお伺いをいたしますが、このコインランドリー型のクリーニング業者が、下着など法に定める消毒を要する洗濯物を消毒処理せずに洗濯していたり、あるいは消毒を要する洗濯物とそれ以外を分けずに扱っていた場合は、法三条三項五号違反ということになるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この場合はどのような是正指導が行われますか。

北島政府参考人 議員御指摘のとおり、クリーニング業の営業者は、伝染病の疾病の病原体による汚染のおそれのある洗濯物を取り扱う場合は、その洗濯物はほかの洗濯物と区別し、これを洗濯するときは、その前に消毒することとされております。

 都道府県知事等は、営業者がこれに違反していると認めるときは、その営業者に対して措置命令をしなければならないとされております。

 ただし、そもそもこういった届け出を行わずにクリーニング業を行っている場合、営業を停止するか、届け出を行うよう是正をして届け出をきちっと行っていただいて、許可に合うような形で実施をしていただくということを指導することとなるのが、まず最初の一歩でございます。

    〔山下主査代理退席、主査着席〕

井坂分科員 届け出を行っているかどうかは全然私も確認していないですし、クリーニング業であるから、さすがに無届けで取り次ぎなんかはやっていないんだろうというふうに私は思うんですけれども、ただ、届け出をやっていたとしても、そういう下着も含めて詰め放題というような受け取り方、また、いわゆる普通のコインランドリーの洗濯機でどうも洗っているようなので、そうすると、何か法に定めるような消毒処理がされているというふうにもなかなか見受けられないということでありますから、これは、ちゃんとやっていれば私は、全然問題ない、むしろ新しいビジネスモデルで、やるなというふうに思うわけでありますが、しかし、法律と全然違うことをやっているのであればこれは問題だというふうに思うわけであります。

 大臣にお伺いしますけれども、こちらの方も、我々の議員会館の中にもあるという業態でありますので、知りませんでしたということでは我々国会議員は済まされない話だと思いますから、一遍実態を、どういう業態でやっていて、特に消毒を要する洗濯物の扱い、法律に従ってちゃんとやれているのかどうか調査をしていただけませんか。

塩崎国務大臣 原点に立ち返って、公衆衛生上の観点からクリーニング業法もできているわけでありますから、その根本哲学に合わないことが起きているということはあってはならないことだろうというふうに思います。

 自治事務で自治体に監督をお願いしているといえども、さっき申し上げたとおり、この法律の所管をする官庁として、そういうことが行われ、なおかつ我々の膝元で行われていると。コインランドリー自体が会館にあるんですか。(井坂分科員「いや、その取り次ぎの窓口があるんですね」と呼ぶ)そうでしょう。

 いずれにしても、どういうような実態なのかは自治体とも連携しながら把握をしっかりとして、皆さん方が公衆衛生上問題ではないのかという御心配を抱かないようにしていかなければいけないのではないかというふうに思います。

井坂分科員 今大臣の方から、公衆衛生という原点に立ち返ってという御答弁がありました。

 そこで大臣にお伺いをいたしますが、今回のコインランドリー型クリーニングのことはぜひ調べていただきたいんですが、そもそもコインランドリーそのものというのが、公衆衛生という原点から考えると、私は、今回の件をいろいろ調べているうちに、確かに危なっかしいなというふうには思うようになりました。

 なぜなら、私も実は自分の洗濯物をこっちに来たらコインランドリーで毎週洗っているわけでありますけれども、自分のものだけ洗っているから、何となく、ほかの人の洗濯物とは触れずにきれいかなというふうにも思っておりました。また、実はコインランドリー型のクリーニング業者の売りもそういう売り文句になっていて、お客様のものだけを、専用の洗濯機でそれだけ洗うから、ほかのお客さんの洗濯物とは一切接触しないですよ、こういう売りでやっておられるわけでありますが、しかし、よく考えたら、私が自分の洗濯物を洗う直前に誰がどんなものを洗ったかというのはもう全くわからない。

 クリーニング業法が非常に厳しいのは、それこそ、汚物とか病院のものとかそういうものが一緒に、ちょっとでも接触したら、昔でいえば疫病の蔓延、こういったことがあるからクリーニング業法というのは今厳しくなっているわけでありますが、その厳しさと比べて、そもそもコインランドリー自体は、私の前の人がおむつを洗っていようがペットのシートを洗っていようが、何を洗っているかわからない、不特定多数の人がどんな汚いものでも洗ってそのままにしていけてしまうということに、ちょっと大丈夫なのかなという気もしたわけであります。

 大臣、通告どおりなのでお伺いをいたしますが、衛生面が厳しく規制をされているクリーニング業と、それから今普通にみんなが便利に使っているコインランドリーとは、公衆衛生という観点からは物すごい隔たりがあるような気がするんですけれども、それについて、そもそもコインランドリーは厚労省の所管ですらないんだと思いますが、その公衆衛生上の隔たりについて、政治家としてどう思われますか。

北島政府参考人 まず、事実関係について御説明申し上げたいと思います。

 いわゆるコインランドリーにつきましては、公衆が当該施設に設置された洗濯機を使用し、利用者みずからが洗濯するために利用する施設であることから、クリーニング業法の対象とはなりませんが、議員御指摘のとおり、その衛生確保は大変重要だと考えております。

 このため、厚生労働省といたしましては、当該施設の施設環境を適正に維持するため、都道府県等に対しまして、必要に応じ条例等を制定することなどにより、当該施設における衛生上の問題の発生を防止し、公衆衛生の維持や向上が図られるよう各施設への指導等に当たることを求めております。

 具体的には、営業者に施設の衛生措置を求めることや、営業者は利用者に対して、感染症に罹患している人の洗濯物を洗わないことなど汚染防止に関して周知をすることというような内容について、自治体に周知を図るように求めているところでございます。

塩崎国務大臣 今部長から答弁申し上げましたが、地方自治体に任せ切りでいいのかどうかというのは、少し考えなければいけないかもわからないなと私は今思いました。やはり原点に立ち返って、公衆衛生という観点からすれば、どこの所管であろうと、公衆衛生にかかわることは厚生労働省は責任を持たないといけないというふうに思います。

 今お話しのように、また今部長から言ったように、御自身もおっしゃいましたが、コインランドリー自体の所管官庁はどこだというとなかなかにわかに定まらないということでもありますが、一方で、病院のリネンなどを一緒にするということはなかなか考えられないことで、それはそれとして、ちゃんと滅菌をされるような形でクリーニングされなきゃいけないわけであります。だからこそ専門業者がいるわけですから。そういうところと紙一重のところにあるこのコインランドリーをどうするかということについて、少し冷静に考えて、専門的な観点から、どういうふうにしていくことが公衆衛生上ふさわしいのかということを厚労省は考えるべきではないかということです。

 当面はもちろん、条例でやっていただくというのはそれはそれでやらなきゃいけないと思いますが、根本的に、やはりそこの公衆衛生の問題は考えなきゃいけないのかなというふうに感じたところでございます。

井坂分科員 ありがとうございます。

 本日議論をさせていただいたのは、私は、何でもかんでもぎちぎちに規制せよという立場ではふだんからありません、時代に合わない規制は見直すべきだというふうに常々申し上げておりますし。ただ、問題は、こういう新しいビジネスモデルは野放しで、既存の業者は物すごく真面目に昔ながらの規制をぎちぎちに守っている、これはやはりよくないというふうに思いますから、やはり最低限同じルールで競争ができるように。加えて、原点は、おっしゃったように、そもそも法律をつくった趣旨である公衆衛生がちゃんと守られるのか。そこは、新しい業種に対しても、ちゃんと守られるような法適用と指導をしていかなければ、法律は手段ですから、目的は、おっしゃったような公衆衛生でありますので。

 ぜひそういう観点から、本日のこの新しい形のクリーニング業について実態調査とそして法適用、また、法が現実に全く合わない、しかも公衆衛生上特に意味がなくなっているのであれば、むしろ規制の見直しをということでよろしくお願いいたします。

 本日はどうもありがとうございました。

菅原主査 これにて井坂信彦君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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