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第1号 平成31年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成三十一年二月二十二日(金曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石崎  徹君    後藤 茂之君

      鈴木 俊一君    野田  毅君

      大串 博志君    宮本  徹君

二月二十六日

 後藤茂之君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十一年二月二十七日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 後藤 茂之君

      安藤 高夫君    石崎  徹君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      佐々木 紀君    鈴木 俊一君

      田畑 裕明君    野田  毅君

      三ッ林裕巳君    和田 義明君

      尾辻かな子君    大串 博志君

      岡本あき子君    宮本  徹君

   兼務 斎藤 洋明君 兼務 初鹿 明博君

   兼務 福田 昭夫君 兼務 早稲田夕季君

   兼務 浅野  哲君 兼務 源馬謙太郎君

   兼務 小宮山泰子君 兼務 佐藤 英道君

   兼務 浜地 雅一君 兼務 古屋 範子君

   兼務 森  夏枝君

    …………………………………

   厚生労働大臣       根本  匠君

   文部科学副大臣      浮島 智子君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大坪 寛子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           藤本 隆史君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 田中 勝也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 多田健一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 沖部  望君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 横山  均君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     菅原 泰治君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           平野 統三君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           玉上  晃君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  塩見みづ枝君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     内藤 敏也君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         椿  泰文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       高橋 俊之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         宮本 真司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       北條 憲一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            木村  聡君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            奈須野 太君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  鈴木 俊一君     和田 義明君

  野田  毅君     木村 哲也君

  大串 博志君     中川 正春君

  宮本  徹君     畑野 君枝君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     佐々木 紀君

  和田 義明君     渡辺 孝一君

  中川 正春君     尾辻かな子君

  畑野 君枝君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     木村 弥生君

  渡辺 孝一君     田畑 裕明君

  尾辻かな子君     岡本あき子君

  高橋千鶴子君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     野田  毅君

  田畑 裕明君     三ッ林裕巳君

  岡本あき子君     尾辻かな子君

  田村 貴昭君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     安藤 高夫君

  尾辻かな子君     大串 博志君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     鈴木 俊一君

同日

 第一分科員佐藤英道君、古屋範子君、第二分科員初鹿明博君、早稲田夕季君、小宮山泰子君、第三分科員福田昭夫君、第四分科員斎藤洋明君、浜地雅一君、第六分科員浅野哲君、第七分科員源馬謙太郎君及び森夏枝君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

後藤主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算及び平成三十一年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。根本厚生労働大臣。

根本国務大臣 平成三十一年度厚生労働省関係予算案の概要について説明いたします。

 初めに、毎月勤労統計について、本来とるべき統計調査の変更の手続を行わず、抽出調査を行う際にとるべき統計的な処理を行わなかった結果、政府の行う統計に対する信頼が損なわれ、雇用保険や労災保険の受給者の方に追加給付が必要な事態を招いたこと等について、改めて国民の皆様に深くおわび申し上げます。

 省全体として、統計に対する姿勢を根本から正し、再発防止の徹底に努め、厚生労働行政に対する国民の皆様の信頼の回復に努めるとともに、雇用保険等の追加給付につきまして、できる限り速やかに簡便な手続でお支払いできるよう、万全を期して必要な対策を講じてまいります。

 厚生労働省所管一般会計予算案については、昨年度より二・九%増の三十二兆三百五十八億円となっており、また、厚生労働省所管特別会計予算案については、労働保険特別会計、年金特別会計及び東日本大震災復興特別会計に所要額を計上しています。

 以下、平成三十一年度予算案の重点事項について説明いたします。

 本予算案では、人生百年時代を見据え、誰もがその能力を発揮できる一億総活躍社会の実現に向けて、本年十月の消費税率引上げによる増収分を活用して子ども・子育て支援や高齢者に対する支援を拡充するなど、全世代型社会保障の基盤強化に取り組むこととしています。

 第一に、働き方改革、人づくり革命、生産性革命について、誰もが活躍できる労働環境を整備するため、働き方改革や生産性向上に取り組む中小企業、小規模事業者への支援を強化するなどにより、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現等を推進します。あわせて、多様な人材の活躍を促進するため、女性、若者、高齢者、障害者等の就労支援、外国人材の受入れ環境の整備等に取り組むとともに、リカレント教育の拡充等を行います。また、医療、介護、障害、保育分野等の生産性向上等に取り組みます。

 第二に、質が高く効率的な保健、医療、介護の提供について、地域包括ケアシステムの構築や健康寿命の延伸等を進めるため、地域医療構想を始めとした地域医療確保対策の推進、介護の受皿整備、介護人材の確保等に取り組むとともに、予防、健康づくり、受動喫煙対策、感染症対策等を推進します。また、ソサエティー五・〇の実現を目指して、データヘルス改革、保健医療分野等の研究開発等を推進するほか、医療の国際展開、国際保健への貢献、医薬品、食品等の安全確保、水道事業の基盤強化等に取り組みます。

 第三に、全ての人が安心して暮らせる社会に向けた福祉等の推進について、子供を産み育てやすい環境づくりを進めるため、子育て安心プランに基づく保育の受皿整備、保育人材の確保、児童虐待防止対策、社会的養育の迅速かつ強力な推進等に取り組みます。また、地域共生社会の実現に向けて包括的な相談支援等に取り組むとともに、障害福祉サービスの確保等による障害児や障害者の支援、依存症対策の強化等を推進します。さらに、持続可能で安心できる年金制度の運営、戦没者の遺骨収集等の推進、災害からの復旧復興の支援等を行います。

 なお、委員の皆様のお手元に資料が配付されていますが、一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の歳入・歳出予定額については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 今後とも、国民生活の安全、安心の確保に万全を期すとともに、我が国の経済社会の発展に寄与すべく、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様の一層の御理解と御協力をお願いいたします。

後藤主査 この際、お諮りいたします。

 厚生労働省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の歳入・歳出予定額は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤主査 以上をもちまして説明は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。木村哲也君。

木村(哲)分科員 おはようございます。

 本日は、分科会ということでございまして、長丁場、朝の八時から夜の八時までということでございますので、本当にお疲れになられると思いますけれども、答弁の方をよろしくお願い申し上げます。

 そのトップバッターを務めさせていただきます自民党の木村哲也でございます。

 本日は、虐待問題、そしてまたその施設整備、人員の拡大、それに伴う質の向上、もう一つは、特別国会でも質問させていただきました保育問題について議論をさせていただきたいと思います。

 まず、野田の事件がありまして、本当に胸が痛む、本当に痛ましい事件でありましたけれども、地元の新聞におきますと、千葉日報でございますけれども、やはり毎日第一面又は社会面を飾っているということでございまして、また、母親も昨日再逮捕されたということでもございます。

 十二月の三十日から一月の三日まで、ひどい虐待があったということでございまして、骨折等々もあり、そしてまたあざも多くできたことから、逆に表に出せなくなってしまった。学校も通わせられない、そしてまた病院にも行かすことができないというような状況で、逮捕から約一カ月が経過をしたわけでございます。そしてまた、関係所管におきましても、会議会議を重ねてかなり進展をされてきております。

 そのようなことも踏まえまして、児童虐待の問題を質問させていただきますけれども、児童相談所や市町村の児童虐待に対する体制の強化や質の向上も必要であります。しかしながら、出生率が下がって子供の数が減っているにもかかわらず、この児童虐待は毎年一万件伸びている。今回に限っては、一万二千件伸びて十三万三千七百七十八件ということで、二十七年連続伸びているということでもございます。

 そういうことがありまして、まずはこの数を絶対にふやさない、そしてまた限りなくゼロに近づけていく、虐待など絶対に親から子への暴力をさせない、そして虐待を起こさせない、そういう強い思いがなければこの政策は実らないと思います。そのようなことも鑑みながら、この根幹を変えなければ何も変えることができません。

 その部分で、未然予防に積極的に取り組むべきと考えますけれども、大臣のお考えをお伺いいたします。

根本国務大臣 子供の命が失われる事件が繰り返されることはあってはならないと考えています。全ての子供について健やかな成長、発達や自立などが保障されるよう、児童虐待防止に関しては、今委員のお話がありましたけれども、事前予防というお話がありました。発生予防、早期発見、児童虐待発生時の迅速的確な対応、そして被虐待児童への自立支援、私は、この大きな三つの課題に、切れ目なく一連の対策として講じていくことが重要だと思います。

 このような考え方のもとに、これまでも、平成二十八年及び平成二十九年の法改正、そして昨年七月には緊急総合対策、そして昨年末の新プランなどの総合的な対策を累次講じてまいりました。

 発生予防、早期発見、これにつきましては、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行う子育て世代包括支援センターを全市町村に設置すること、乳幼児健診の未受診者や未就園児等を把握し、必要な支援を行うこと、児童相談所全国共通ダイヤル一八九、「いちはやく」を周知して、速やかに相談につなげるようにすることなどの施策を実施してまいりました。

 加えて、本年二月八日に決定した、緊急総合対策の更なる徹底・強化に基づいて、現在把握されている全ての虐待ケースの一カ月以内の緊急安全確認などの対策に直ちに取り組むことにしました。

 これらの取組によって、子供の命を守る社会づくり、これを全力で進めていきたいと考えています。

木村(哲)分科員 御答弁ありがとうございました。

 あの虐待を受けてから、毎日毎日、日ごとに進展をしているということでございまして、全国で虐待の可能性があることをこの一カ月以内にまとめていただけるということもございます。

 そのためには、やはり施設が足りているのかどうなのか、そしてまた、人員の拡大が必要であるとともに、その質の向上というものが叫ばれております。

 ここで一つ注目をしたいのは、これは都道府県管轄そしてまた政令市管轄で設置をされておりまして、全国で二百十二所ございますけれども、平成十六年の児童福祉法改正から、石川県の金沢市で平成十八年、そしてまた神奈川県の横須賀市で設置がなされました。そして、ことしの四月には兵庫県の明石市で設置がなされます。中核市でも児童相談所を設置してもよい、可能であるということになっているんですが、今現在、五十四の中核市でわずかこの三つ、三市にとどまっておるということでございます。

 ということで、中核市の児童相談所の設置が進まないというのはどのような理由があるのか、中核市で全国で一番人口が多いのは船橋市で、私も船橋でございまして、ちょっと一例を挙げながら御説明をさせていただきたいと思います。

 施設整備とこれからのランニングコストの運営費というものもあるんですけれども、そしてまた人材確保、人材の質の向上というものがあるんですが、まずは施設整備についてお伺いをいたしたいと思います。

 船橋市を一例として挙げますと、児童相談所を設置したら約十五億円から十六億円かかると言われております。なお、一時保護所を除く児童相談所の整備費については、こちらには補助制度ではないんですね。そして、更に申し上げますと、このうち半分の七から八億円程度が一時保護所にかかる費用となりまして、国の補助制度、補助率が二分の一と言われておりますけれども、国が想定している整備費は実態と乖離しているところがあります。実際には一割程度しか補助されていないという試算もあります。

 この補助額の少なさと申しましょうか、実態と乖離した補助額と申しましょうか、これが、中核市において児童相談所を設置できない、児童相談所の設置拡大が進まない要因の一つであるのではないかと考えますが、厚生労働大臣のお考えをお伺いいたします。

根本国務大臣 児童防止対策においては、身近な地域で子育て支援から要保護児童施策までの一貫した丁寧な対応が重要であると思います。

 国においても、このような対応を可能とするため、中核市における児童相談所の設置を促進しております。そして、平成二十八年度児童福祉法改正では、附則において、政府は、施行後五年をめどに、中核市、特別区が児童相談所を設置できるよう、必要な措置を講ずるとされております。

 中核市の設置状況については、委員が今丁寧にお調べいただいてお話しした状況になっております。このことから、実は平成三十一年度予算案では、中核市での設置促進につながるよう、人材確保や育成に対する支援と施設整備に対する支援の拡充などを計上しております。

 施設整備に対する支援、これは委員はもう御案内だと思いますが、児童相談所整備に係る地方債の元利償還金に対する地方交付税措置、児童相談所設置に係る総事業費の二分の一までは地方債を充てることが可能、そして、この地方債で借り入れた金額は地方交付税措置の対象となっております。

 また、実は、交付税措置と、そして我が方では、一時保護所を設置する際に、子供の特性に配慮した処遇を可能とする施設整備を行う場合に補助単価の加算も拡充しています。

 今委員の御指摘のように、一時整備に係る補助、これについては、御指摘のテーマについては検討課題であると考えておりまして、今後どのような対応が可能か、検討したいと思っております。

木村(哲)分科員 ありがとうございます。ぜひとも検討していただいて、一市でも早く児童相談所を設置できるようにしていただきたいというところでございます。

 施設整備とともに自治体が心配しているのは、運営費でございます。運営費についてでありますけれども、この設置、運営には、整備費のみならず、運営費に係る財源確保についても重要であります。

 こちらも、中核都市で六十四万を有する船橋市についてもちょっと触れながらお伺いさせていただきたいと思うんですけれども、先ほどの施設整備費も十六億、こちらの運営費に関しましても十六億八千万円という試算が出ておるところでございまして、この運営費については、児童入所等に係る措置費については国が二分の一を補助して、残りの地方負担は交付税措置となっております。約八億二千万円に対して半分の四億一千万円の補助がありますが、残りは交付税措置となっているということになります。

 人件費を含む管理運営費については、非常勤を雇用する経費等に対して国庫補助が一部措置をされておりますけれども、基本的に、残りは交付税措置となります。

 児童相談所には、児童福祉司や児童心理司などの専門職を配置する必要がありますけれども、政府は、児童虐待防止対策体制総合強化プランを決定いたしまして、二〇一九年から二〇二二年まで四年間で、児童福祉司を二千二十人、児童心理司を七百九十人増員するとしております。

 こうした政府の新プランに基づく児童福祉司等の増員に係る運営費の増加について、どのように財源確保を、この部分が重要なんですけれども、行っていくのか、総務省の見解をお伺いいたします。

多田政府参考人 お答えをいたします。

 児童相談所の体制強化につきまして、本年二月、関係閣僚会議におきまして決定されました、緊急総合対策の更なる徹底・強化についてという項目の中で、今御指摘があった体制強化のうち、来年度につきましては児童福祉司を千七十人程度増加させるといったようなことなどの取組を行うこととしてございます。

 来年度に行いますこれらの児童福祉司等の増員に伴う運営費の増加でございますが、こちらにつきましては、地方交付税の算定におきまして、これは道府県を標準団体として、人口百七十万ということで標準団体にしてございますが、この団体当たりの児童福祉司数を四十二名から十六名拡充いたしまして五十八名に、児童心理司数を十八名から四名拡充して二十二名にするということを積算の根拠として交付税の算定をすることとしてございます。

 今後におきましても、児童相談所の運営に要する経費につきまして、普通交付税の基準財政需要額に適切に算入してまいる考えでございます。

 以上でございます。

木村(哲)分科員 本当にランニングコストはどれぐらいかかるのかというところがやはり心配であると思いますし、この施設整備費と運営管理という問題はこれからも続いていく問題でありますので、一歩踏み出せるような検討を願いたいと思います。

 あともう一つは、人材の確保と質の向上でございます。こちらについてお伺いをいたします。

 政府の新プランを踏まえて財政措置の拡充が行われるようでありますけれども、重要なことは、実際に現場で専門職が配置をされることであると考えております。千葉県におきましても、このような事件が起きたわけでございますけれども、それらの専門職がこれから不足するのではないかと懸念しておるところでありますけれども、このような状況のもと、野田市の痛ましい事件が起きて、それらの専門職の必要性が更に高まるのではないかと感じております。

 今後、中核市や特別区が児童相談所を設置することによって、全国的にもこの専門職が不足すると思われますけれども、児童福祉司や児童心理司の確保に向けて、厚生労働省はどのように取り組んでいくのか。

 また、専門職を確保したとしても、それなりに熟練するまでには三年から五年の月日がかかります。学校を卒業したからといって、すぐに現場で活躍できるわけではございません。また、問題として、現在の児童相談所の児童福祉司の四割超が三年未満の経験であるというようなことも問題視されております。新規に確保する専門職だけでなく、職場の児童福祉司の質の向上を図る必要があると考えます。

 研修や職員派遣に対する補助制度については充実が図られてきたようでありますけれども、単にそれらを充実させるだけではなくて、専門職の質の確保、向上のために、国家資格化や、例えば中核市で設置をする際には、県と中核市との人事交流による質の確保、これも重要であります。そして、国が専門性の職の確保を図る必要があると考えますが、厚生労働省のお考えをお伺いいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、人材確保全体でございますけれども、委員御指摘のとおり、昨年十二月に新たなプランを決定いたしまして、二〇一九年度から四年間で、児童福祉司二千二十人程度、児童心理司七百九十人程度、また、保健師を各児童相談所に配置するなど抜本的拡充を図ることといたしておりまして、特に児童福祉司につきましては、来年度予算におきまして、先ほど総務省から答弁がございましたけれども、一気に千七十名程度増員することといたしておりまして、必要な財政措置が講じられると承知しております。

 また、実際に自治体が採用するための支援も必要と考えておりまして、都道府県等が福祉系大学、専門学校、高校との連絡調整、あるいは学生向けのセミナー企画、インターンシップ企画などを行いまして、児童福祉司等の専門職を確保するための非常勤職員の配置又は委託に必要な費用の補助を三十一年度予算で創設いたしております。これは、採用に対する支援ということでございます。

 続きまして、質の確保、向上についてでございますけれども、資質向上は、委員御指摘のとおり、極めて重要であると考えております。三十一年度予算案におきましては、平成二十八年改正児童福祉法により義務づけられました児童福祉司の任用後の研修等の実施費用の補助、それから、児童相談所職員等の研修センター、現在全国で東日本に一カ所でございますけれども、これを西日本にも創設いたしまして二カ所に拡充する、それから、国が主催いたしますブロック単位の児童相談所職員の研修の開催といった措置も講じる予定でございます。

 また、委員御指摘のとおり、中核市等におきまして児童相談所の設置を計画している場合には、都道府県との人事交流が必要、重要というふうに考えておりまして、この人事交流を促進するための補助、いわば、都道府県の職員が市区に派遣された場合には、その代替職員を都道府県において配置する費用、逆に、市区町村の職員が都道府県等の児童相談所の業務を学ぶ場合に県に派遣されるわけですけれども、その場合の市区における代替職員の配置に係る費用の補助、こういったものも行うこととしております。

 また、質の向上ということで、児童福祉司の国家資格化ということも検討課題でございます。

 社会保障審議会のもとに設置されましたワーキンググループにおきましては、国家資格化を進めるべきといった意見があった一方で、社会福祉士等を活用し、養成カリキュラムの充実で対応するべきといったさまざまな御意見がございました。

 しかしながら、人材の専門性の向上及び具体的な方策について検討すべきという点については意見が一致いたしておりまして、今後、国家資格化も含め、一定の年限を区切って引き続き検討すべきとの取りまとめをいただいておりまして、これを踏まえまして、国家資格化を含め、人材の資質向上を図るための方策について検討してまいりたいというふうに考えております。

木村(哲)分科員 もう一つ、人材育成じゃないですけれども、今回の野田の件は、教育委員会も交えてやはり反省しなければならない点がありました。教育側にも専門性の知識が必要になると思います。その部分で、文科省の御意見をいただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の野田市の事案を踏まえますと、教員の専門知識を高めることは極めて重要であるというふうに考えております。

 学校におけます児童虐待への対応におきましては、その早期発見、早期対応や、虐待を受けた児童生徒等の支援が重要でございます。

 このため、文部科学省におきましては、早期発見、早期対応がなされるよう、これまでも、各学校における教職員研修に活用していただくため、研修教材「児童虐待防止と学校」「養護教諭のための児童虐待対応の手引」を作成いたしまして、全国の教育委員会に周知を行っております。

 さらに、今般二月八日の関係閣僚会議におきまして、「学校や教育委員会において、児童相談所及び警察と虐待ケースの対応マニュアルを共有する」とされたことを踏まえまして、今後、厚生労働省作成の「子ども虐待対応の手引き」のうち、特に学校、教育委員会の関係者が留意すべき事項につきまして厚生労働省と共同で抜粋、整理を行いまして、学校、教育委員会において共有することを考えております。

 文部科学省といたしましては、これらの取組を通じまして、学校の教員の虐待対応に係る知識を高め、もって児童虐待の早期発見や児童生徒等への適切な支援をしっかりと進めてまいります。

木村(哲)分科員 この虐待の問題は、事件が起きてからその体制を強化する、これも重要でありますけれども、やはり親が子供に暴力を振るわせない、虐待をそもそも起こさせない。例えば、経済の貧困とか言われていますけれども、やはり親が子供を殴るというのは、これはもう心の貧困であります。この部分をどうやって政治的に解決していくかというのが私たちの使命でありますから、体制の強化をするのは当たり前ですけれども、根幹から根絶をしていく、それを考えていかなければならないと思います。

 そしてまた、保育の問題を一つだけお伺いさせていただきますけれども、もう時間ですか。わかりました。済みません。

 では、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

後藤主査 これにて木村哲也君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤洋明君。

斎藤(洋)分科員 おはようございます。自由民主党の斎藤洋明です。

 早速質問を行わせていただきたいと思います。

 まず、PT、OT、STの先生方がかかわるリハビリテーションの問題について、二問通告をしております。

 このリハビリの質問に限らないんですが、私の問題意識としまして、国民の健康寿命の延伸、それによって総医療費を抑制していく、これは非常に重要なことだと思っています。

 その流れでまずお伺いしたいんですが、このリハビリテーションということをもっと活用していただくためには、リハの効果の見える化、これが非常に重要だと思っております。回復期のリハのADLの評価基準でありますFIMの現場での受けとめ、さまざまな声を私も伺っていますけれども、厚生労働省のまず認識をお伺いしたいと思っております。

 また、急性期のリハ活用をより進めるべきではないかと私は考えておりますが、この点についてもあわせて御見解をお伺いしたいと思います。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 リハビリテーションの効果に対する評価ということでございますけれども、平成二十八年度の診療報酬改定におきまして、回復期リハビリテーション病棟におけるリハビリテーションについて、ADLの指標でございますFIMを活用した評価というものを導入して、リハビリテーションの効果を実績に応じて評価する仕組みというふうにしたところでございます。

 三十年度の改定においては、回復期リハビリテーション病棟の入院料につきまして、従来の日常生活機能評価による患者のADL評価に加えてFIMを活用した評価を導入したところでございます。従来からの日常生活機能評価というものとFIMというものとをあわせて、患者のADLをより多面的に評価することとしたいというふうに考えているところでございます。

 それから、急性期の患者に対するリハビリテーションということでございますけれども、こちらは、平成二十六年度の改定におきまして、急性期医療において、入院早期からのリハビリテーションにより入院中のADLの低下等の防止を図るという観点から、リハビリテーション専門職の配置、あるいはADLの低下を一定以下に抑えることといったところの評価を新設をしたところでございます。

 リハビリテーションの効果の評価のあり方、あるいは患者さんの状態に応じた適切なリハビリテーションを提供する、そういう体制等につきましては、引き続きまして、関係者の皆様方の御意見をよく聞きながら、中医協において検討してまいりたいというふうに考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 続きまして、もう一問なんですが、疾患別のリハビリテーションの点数表には標準算定日数が定められております、例えば脳血管疾患であれば百八十日ですけれども。この標準算定日数を過ぎてもリハビリの効果が見込まれる場合というのが想定されるわけですが、この算定日数の変更というのを現場でより積極的に行っていただきたいと考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

樽見政府参考人 医療保険におきますリハビリテーションの扱いでございますけれども、発症早期のリハビリテーションの強化ということを図るという観点から、疾患ごとに標準的算定日数というものを定めているわけでございます。例えば、脳梗塞の患者さんに対するリハビリテーションということになりますと、発症した日から百八十日を標準的算定日数というふうにしておりまして、それを超えると減算するということになるわけでございます。

 しかし、一方で、例えば失語症でありますとか高次脳機能障害といった患者さんなどの場合には、治療継続によりまして状態の改善が期待できるというふうに医学的に判断される場合がございますので、そういう場合には、減算されることなく、継続してリハビリテーションを提供できるというふうにしているところでございます。

 この点につきましても、患者さんの状態に応じたリハビリテーションが提供できるように、引き続きまして、関係者の御意見もよく聞きながら、中医協において検討してまいりたいというふうに考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、現場の声、特にPT、OT、STの先生方に実際によく聞いて、制度をしっかり進めていっていただきたいと思っております。

 一問目にFIMのこともお伺いしましたけれども、成果指標でありますけれども、例えば片麻痺が出ている場合の着衣動作というのは、結果としてはできたとしても、着衣動作をさせるために片麻痺の方に強い痙性の問題が出たりして、成果は出ているように見えるけれども別の問題があったとか、そういう場合もやはり考えられるわけで、その点で、ぜひまたそういった現場の声も聞きながら、よく進めていっていただきたいと思っております。

 また、百八十日のことにつきましても、どの時期に一番リハの効果があるかというのは本当に患者さんによって人それぞれだというのを私も現場でお話を聞いて感じていますので、ぜひ実態に応じてリハが行えるような環境整備に努めていただきたいと思っております。ありがとうございます。

 では、続きまして、介護のことで一問お伺いをしたいと思います。

 介護職員、非常に離職が多いということで、さまざま処遇改善の声が出てきておりますけれども、特に離職率が高いのが若手の介護職員ということだと思っています。その処遇改善が可能になるようにしていただきたいということと、特に処遇改善の仕方、施設によって課題がさまざま異なりますので、今まで以上に介護施設の運営者の方に裁量を認めていただきたいと考えておるんですけれども、見解をお伺いしたいと思います。

大島政府参考人 介護職員の処遇改善でございますが、一昨年十二月の新しい経済政策パッケージに基づきまして、消費税率の引上げに合わせて本年十月から、満年度で公費一千億円を投じまして、さらなる処遇改善を行うこととしております。

 具体的には、経験、技能のある介護職員において、最大月額八万円又は役職者を除いた全産業平均水準までの賃金増を行うことや、一人当たりの平均賃金上昇額について、経験、技能のある介護職員は、その他の介護職員の二倍以上とすること、介護職員以外の職種は、その他の介護職員の二分の一を上回らないこととすることといった配分方法を設定することとしております。

 この取扱いの範囲の中におきまして、広く事業所の裁量を認めるという方向としておりまして、経験、技能のある職員のみに配分する方法もできますし、経験、技能のある介護職員及びその他の介護職員に配分する方法もできますし、経験、技能のある介護職員及びその他の介護職員に加えて介護職以外の職種にも配分する方法も可能ということで、いずれの方法も選択することができます。

 その他の介護職員の中には若手職員も含むこともできますので、介護現場におきまして、処遇改善の対象職員の範囲等について柔軟な設定が可能ということと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 施設によりましてやはり課題はさまざまでありますので、ぜひ、より弾力的に運営者の方で処遇改善、大胆な傾斜配分ということも含めてできるように、また工夫をお願いしたいと思います。

 引き続きまして、保育についてお伺いしたいと思います。

 保育現場につきましても、処遇改善が必要だということでさまざま取り組んでいただいておりますが、より充実した保育を行う観点から、職員の一人当たりの業務削減、それから質の向上のための配置基準の改善、これを進めるべきと考えておりますが、厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 保育士の業務負担軽減は極めて重要だというふうに考えております。

 このため、平成三十年度予算におきまして、保育士の業務を補助する保育補助者の雇い上げに対する支援を予算計上いたしております。また、平成三十年度の補正予算におきましては、保育業務のICT化に対する支援なども実施をいたしております。

 また、人員配置の充実につきましても、質の高い保育を提供するために重要であるというふうに考えております。平成二十七年度から、三歳児の保育士配置を二十対一から十五対一に引き上げた際の公定価格上の加算を設けました。また、二〇一九年度予算案では、チーム保育推進加算の充実を盛り込んでおります。

 さらに、質の向上のため、消費税以外の財源により実施することといたしております、いわゆる〇・三兆円超のメニューにつきまして、毎年度の予算編成過程で安定的な財源の確保に努めているところでございます。このメニューの中には、人員配置の引上げも盛り込まれておりまして、人材確保の状況も踏まえつつ取り組んでまいりたいというふうに考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 保育の質の充実のための人員配置基準の改善に取り組んでいただきたいと思います。

 また、質問はいたしませんが、保育士の配置基準の中で、地域格差というのもやはりありまして、今お話ししたのは絶対的な質の向上のお話ですが、ぜひ相対的な格差の改善も取り組んでいっていただきたいと思っております。

 続きまして、歯科医療について何点かお伺いしたいと思います。

 まず、歯科と医科の診療報酬、初診料と再診料などの点で格差が認められます。今後の診療報酬改定におきまして、もちろん必要な財源の確保は大前提なんですけれども、適切に歯科医療技術というのを評価できるような診療報酬としていただきたいと思っておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

樽見政府参考人 歯科医療の診療報酬という御質問でございます。

 例えば、口腔ケアを高齢者の方に実施をいたしますと誤嚥性肺炎の発症が低下するといったようなこともわかっておりまして、高齢者の方々の増加に伴いまして、口腔と全身のかかわりというものが注目される中で、歯科医療の役割というものはますます重要になるというふうに考えているところでございます。

 歯科の外来診療につきましては、例えば歯を削ったり抜歯をしたりという小手術、あるいは義歯の調整といったような歯科医療技術の提供が主であるという歯科医療の特性を踏まえまして、初診料、再診料といった基本診療料よりも技術料に点数を多く配点をした体系というふうになっているところでございますけれども、こうした点も含めまして、引き続きまして、歯科医療の評価については、中医協の議論を踏まえて適切に対応していきたいというふうに思っているところでございます。

 また、平成三十年度の診療報酬改定におきましては、口腔疾患の重症化予防あるいは口腔機能低下への対応を強化するといった観点から、口腔機能の低下した方に対する検査あるいは治療を行った場合の評価を新設をしたところでございます。

 また、財源の確保という御指摘でございますが、診療報酬本体全体で〇・五五%のプラス改定という中で、医科、歯科、調剤の配分比率についてもこれまでと同様の比率を確保したというところでございますので、これから、引き続きまして、例えば患者像の変化あるいは医療技術の進歩といった歯科医療を取り巻く状況を勘案しながら、国民の皆様に対して適切な医療を提供できるような診療報酬にするという観点から、中央社会保険医療協議会、中医協において御議論いただき、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 口腔ケアの充実による誤嚥性肺炎の防止というコメントもいただきましたけれども、そういったエビデンスの収集も含めて、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、骨太方針の二〇一八におきましても、「生涯を通じた歯科健診の充実、」という言葉を盛り込んでいただいております。この文言も踏まえて、法定健診の中に、幼少期の一時期だけじゃなくて生涯を通じた定期的な歯科健診を組み込んでいただきたいと考えておりますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 口腔の健康の保持増進を図ることは、健康で質の高い生活を営む上で重要な役割を果たしているという認識に立ってございます。

 現在、ライフステージに応じまして、乳幼児に対する歯科健診、生徒児童に対する学校歯科健診、それから成人に対する健康増進事業における歯周疾患検診、後期高齢者に対する歯科健診というふうに、ステージに応じた実施をしてございます。

 今御指摘いただきましたように、いわゆる骨太方針二〇一八、あるいは未来投資会議における中間整理におきましても、歯科健診の機会の拡大など、さらなる充実が盛り込まれております。

 平成三十年度から歯科健康診査推進等事業というものに取り組んでございまして、その中で、効果的、効率的な実施方法の検討でありますとか、あるいは歯科健診の実施効果、医療費との関連性の検証というものを行っております。この事業、三十一年度予算案にも計上させていただいております。

 今後、こうした事業による検証結果なども踏まえまして、口腔の健康を推進するために、歯科健診のあり方などについて必要な検討を行ってまいりたいと考えてございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 健康保険組合によりましては、医療費の抑制のためにも、歯科健診、重要だということで取り入れていただいているような組合も出てきておりますので、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

 歯科医療関係、最後でございますが、歯科衛生士による介護保険施設における要介護高齢者の口腔衛生管理の充実に引き続き取り組んでいただきたいと思っておりますが、介護報酬改定におきましてぜひ御配慮をいただきたいと思っておりますが、政府の見解をお願いしたいと思います。

    〔主査退席、石崎主査代理着席〕

大島政府参考人 介護保険施設におきましても、高齢者に対して適切な口腔ケアを行うことは、誤嚥性肺炎の防止あるいはQOLの向上につながることが期待されます。

 こうしたことから、介護報酬におきましては、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護保険施設入所者に対して口腔ケアを行うことを評価する口腔衛生管理加算というものを、平成二十四年から設けております。

 この加算につきまして、平成三十年の介護報酬改定において見直しを行いまして、回数の要件をそれまでの月四回以上から月二回以上に減らし、より多くの対象者に実施できるようにするとともに、介護職員に対する口腔ケアに関する具体的な助言や指導、必要に応じた介護職員からの相談への対応を要件に加えたところでございます。

 まずは、こうした加算が多くの介護保険施設において活用されることが重要であると考えておりまして、普及の状況を見ながら、今後の介護報酬のあり方につきまして更に検討してまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 歯科技工所、歯科技工士の問題について、一問お伺いしたいと思います。

 歯科技工士のなり手が減少している、あるいは離職する方がふえているということも問題になっています。歯科診療所が発注元でありますので、歯科診療所の収支改善によって歯科技工士の収入増を図るべきだと考えておりますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 患者さんに対する良質な差し歯あるいは入れ歯、いわゆる補綴物でありますが、を提供していくことが非常に重要でございまして、高齢者の増加による口腔機能の回復に対するニーズがふえていくという中、歯科技工士が担う役割は今後ますます大きくなるというまず基本認識にございます。

 三十年度の診療報酬改定におきましては、中央社会保険医療協議会、中医協の議論を踏まえまして、補綴物等の製作に関する費用の評価に関する点数の引上げあるいは加算などの見直しを行ってございます。

 また、技工士の処遇に関しましては、現在、厚生労働科学研究において調査研究事業を行っておりますし、あるいは、歯科技工士の養成・確保に関する検討会として、有識者の方々、関係者の方々の御意見も伺っております。今後、歯科技工業全体の効率化など、これらの提言あるいは関係者の御意見も踏まえまして、引き続き、処遇の問題を含めた歯科技工士をめぐる課題については検討を進め、対策をとってまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 補綴とか義歯製作は、国民医療、歯科医療の上でなくてはならないものですので、それを支える歯科技工士の処遇の改善は不断の取組をお願いしたいと思います。

 続きまして、ちょっと地元のことで、厚生連の村上総合病院の移転新築に関連して質問をしたいと思います。

 厚生連病院、新潟県におきましては公的病院のネットワークの非常に重要な役割を担っております。特にこの村上総合病院につきましては、離島であります粟島ですとか、あるいは過疎地域の医療で非常に重要な役割を担っているわけですが、この建物を建てるに当たっては地元自治体も非常に協力の上でやっているわけですけれども、今後、二〇二〇年十月開院を目指して現在工事を行っておりますが、医療機器の整備につきましては、新潟県を通じまして国に対する支援の申請があった場合、ぜひ厚生労働省として御支援をお願いしたいと思っておりますが、御見解をお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 JAの新潟厚生連村上総合病院につきましては、今お話ございましたように、二〇二〇年の十月を目指しての移転新築ということを御予定されていると伺っております。

 この病院は、新潟県より僻地医療拠点病院という形で指定を受けておられます。僻地医療拠点病院として必要な医療機器等を整備するためには、国の制度として、医療施設等設備整備費補助金というものがございまして、この活用も考えられると思います。

 この補助金、都道府県事業に対する補助というたてつけになってございますので、医療機器購入を県の事業として位置づけていただいて、そういう形で、まずは都道府県と御相談いただいていると思いますけれども、国としても、都道府県から御相談があればしっかりと対応してまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。ぜひ御支援をお願いしたいと思います。

 医療全体につきまして何点かお伺いしたいと思いますが、まず、消費税の補填措置です。

 特に、歯科診療所ですとかあるいは一部の病院等につきましては、一〇〇%補填とはなっていないのではないかという調査結果も出ております。実質的な補填が可能になるように、診療報酬の配点方法の見直し等を進めていただきたいと思っておりますが、政府の御見解をお伺いしたいと思います。

樽見政府参考人 社会保険診療、消費税非課税でございますので、その仕入れに係ります消費税額というのが仕入れ税額控除の対象にならないという構造になっておる。そこで、医療機関の負担します総費用のうち、課税されない費用を除きました課税仕入れ部分に係ります消費税負担相当額というものを、これまで、消費税率引上げに合わせて、全体として診療報酬に上乗せする形で補填をするという診療報酬上の対応を行ってきたところでございます。

 御指摘のように、平成二十八年度の診療報酬による補填状況調査の結果というもので、全体の補填不足と医療機関ごとの補填率のばらつきが生じていることがわかったということでございまして、ことし十月からの消費税率の引上げということに備えまして、その際にも診療報酬改定を行って診療報酬の引上げを実施するということで準備をしているところでございます。

 そこにおきましては、診療報酬の配点方法をより精緻化をする。具体的に申しますと、病院の種別ごとに、あるいは入院料ごとに、医療機関の中の収入に占めます入院料のシェアというものを考慮して算定をする、あるいは、これまではデータの限界がありまして一月のデータを年度に引き伸ばして使っていたものを、通年の算定回数というものを、実績を使用して算定をするといったような形で精緻化をするということによりまして、医療機関の種類ごとに消費税負担に見合う補填となるようにということで改定案を作成いたしまして、先日、中医協において御承認をいただいたというところでございまして、これに基づいて十月から改定を行ってまいりたいというふうに考えております。

 また、引上げ後におきましても、適切な補填がなされているかということについて、必要なデータがそろい次第、速やかに、かつ継続的に調査をしていきたいというふうに考えているところでございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ継続的な調査と改善をお願いしたいと思います。

 続きまして、医師不足、あるいは特定の診療科目の医師が不足しているという問題なんかで、特定の診療科目については、特に訴訟リスクが大きいということもあるのではないかという指摘があります。

 医師に向けられる訴訟のリスクというのは、ある面、医療制度そのものに内在しているリスクでもあります。将来的に、医療の過誤訴訟そのものを、基金なり、あるいは何か法的、技術的な手段で国として支援するというようなことは検討できないかと私個人としては問題意識を持っておりますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 御指摘いただきました医師に向けられる訴訟のリスクの問題につきましては、まず、産科の分野において、分娩時の医療事故が裁判で争われる傾向ということ、そういう紛争が多いということになって、それが産科医の不足の理由の一つということもございましたことから、平成二十一年に産科医療補償制度というものを創設をいたしました。この制度、患者の早期救済、紛争の早期解決を図るということと、事故原因の分析を通じて産科医療の質の向上を図るということを目的とさせていただいています。

 御指摘のさらなる支援方策に関しましては、これまで、今もお話ございました無過失補償制度というようなものをつくったらどうかという御提案もいただいておりまして、平成二十三年八月から、医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会というものを開催して議論を行ってきたという経緯がございます。

 検討会におきましては、検討に必要な補償範囲あるいは費用負担などなど、さまざまな論点がございまして、直ちに具体的な議論を行うことは困難な状況であるということから、その検討会、当面、平成二十七年十月から開始された医療事故調査制度の実施状況などを十分に見きわめた上で検討を行う必要があるのではないかという形にされております。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、医療事故調査制度の円滑な実施に取り組むとともに、その状況把握に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

斎藤(洋)分科員 ぜひ継続的に検討いただいて、私としてはこういう制度は必要だと思っておりますので、よろしくお願いします。

 ちょっと時間の関係で質問いたしませんが、医療機関、介護事業所におけるハラスメント対策、これも大きなテーマだと思いますので、ぜひお取組をお願いしたいと思っております。

 最後、残された時間で、医療データの利活用につきまして質問したいと思います。

 冒頭申し上げましたとおり、国民の総医療費、これはもう、無制限に拡大していくというわけには今の財政状況ではいかないと思っております。一方で、国民の健康増進、これはもう欠かせないことでありまして、それを進めていくためには、一つは医療用のビッグデータ、全体的なデータの活用と、それから、個人個人の医療に関するデータの収集と利活用、これが両方とも大事であると思っておりますが、政府の御見解をお伺いしたいと思います。

椿政府参考人 国民の健康寿命の延伸や効果的、効率的な医療サービスの提供のためには、健康、医療、介護分野のデータやICTの利活用を推進するデータヘルス改革が重要です。

 このため、御指摘の医療データの集積と活用として、今国会に提出している健康保険法等一部改正法案におきまして、NDBという医療保険レセプト情報等のデータベースと介護データベースの連結解析を可能とする内容を盛り込むとともに、昨年六月にがんゲノム情報管理センターを設置し、がんゲノム情報の集約、管理、利活用を推進するなどの取組を進めております。

 また、健康増進や重複投薬の削減などを図るための取組として、マイナポータルを通じて個人単位で健診データや薬剤情報等の履歴を閲覧できるよう、PHRの整備を進めてまいります。

 昨日、根本大臣を本部長とするデータヘルス改革推進本部を開催し、こうした取組の進捗管理を行ったところでありまして、二〇二〇年度までのデータヘルス改革の工程表に沿って着実に取組を推進してまいります。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 続きまして、もう一問最後にお伺いしたいと思いますが、個人が自己の健康管理をしっかりやった場合とそうでない場合とでは、もちろんその人個人の健康にも大きな差が出ますけれども、その人に医療費がどれぐらいかかるかということにかかわってくることも間違いないと思っています。

 そこで、個人が自己の健康管理をしっかりやった場合に、ペナルティーはだめだと思うんですが、何らかのインセンティブを与えて、自己の健康管理はしっかりやるべきだ、歯科の健康診断の法定化の話も申し上げましたけれども、健診ですとかを積極的に受けた人に対して何らかのインセンティブを付与するということを検討していただきたいと思いますが、最後に見解をお伺いしたいと思います。

樽見政府参考人 予防でありますとか健康づくりに取り組んでいただく個人にヘルスケアポイントを提供するといった、インセンティブの取組というのは重要だというふうに考えています。

 医療保険制度の確保においても、保険者の努力義務の中に、疾病の予防に係る被保険者及びその被扶養者の自助努力についての支援というようなことを書いておりまして、保険者の努力義務に位置づけているところでございます。

 また、国としても、二〇一六年の五月に具体的な取組を推進するために、個人インセンティブに関するガイドラインというものを策定をして、公表しているという状況でございます。

 また、今年度から、保険者インセンティブ制度の本格実施ということで取り組んでおりますけれども、その中でも、保険者が加入者個人にインセンティブを付与することについて、評価指標の一つというふうに位置づけているところでございます。重要なことだというふうに思っております。

 引き続きまして、こうした取組を通じまして、個々人が主体的に予防あるいは健康づくりを進めるというための取組を推進してまいりたいというふうに考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 個人が実際にどの疾病にかかってしまうかあるいは病気を発症してしまうかというのは、もちろん、遺伝的な要因もありますし、それから、確率、偶然に左右される面もあります。

 なので、結果については、これは個人に何か責任を求めるようなものではないんですけれども、そこに至るまでのプロセスの中では、自分の健康管理に向かって努力した人にはやはり何らかのインセンティブを与えた方がトータルの総医療費の削減にもつながると思いますし、また、冒頭リハビリの話をしましたけれども、リハビリ一つとっても、リハビリに意欲的な人とそうでない人とでは全く効果が異なるということも現場の感覚として私もあります。

 ですので、健康管理を個人の問題だけで終わらせないで、社会全体で個人個人の健康管理に向けた取組を応援していくという仕組みをぜひつくっていっていただきたいと思っておりますので、引き続き御努力をお願いしたいと思っております。

 以上で質問を終わります。

石崎主査代理 これにて斎藤洋明君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木紀君。

佐々木(紀)分科員 自由民主党の佐々木紀でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。

 先日、地元の税理士会の無料相談というものをちょっと視察してきまして、どういう相談が多いですかと聞きましたら、去年は新幹線の用地買収と仮想通貨の相談が大変多かったと。今、北陸新幹線、金沢―敦賀間、工事をやっていますから、その用地買収に係る相談が多かったということだったんですけれども、では、ことしはどうですかとお伺いしたら、給料の合算についての相談が大変多いということでございました。

 最近、本当に人手不足ということで、賃金の上昇も大変高いんだろうなというふうに思いますし、特に、昨年は最低賃金が上がったということも大きく影響しているんではないかなということをおっしゃっていらっしゃいました。

 最近、統計についてどうのこうのと言われるわけでありますけれども、肌感覚であっても、明らかにやはり賃金の上昇、所得がふえているということはあるんだろうというふうに思いますし、実際にそういった相談も多いということでございますから、これは大変いいことだなというふうに思います。

 そこで、最低賃金の改定に伴って、年度途中の契約金額の変更についてお伺いをしたいというふうに思います。

 特に、人件費比率の高い役務契約であって人件費単価の低い業務、例えば清掃みたいなものですけれども、に関して、いわゆる最低賃金近傍業種というふうにも言われているわけですけれども、労働集約型の産業において最低賃金の改定は、業務金額に大変大きな影響が出ます。人件費が上がった分は、なかなか企業努力だけで吸収できないといったことだと思います。

 そこで、最低賃金というのは大概十月に変わるわけでありますから、四月からの役務契約ですと、最低賃金が改定された場合は、契約期間途中であっても契約金額の増額をやはりすべきなのではないか、このように思うわけでありますけれども、どのようにお考えか、お伺いをしたいというふうに思います。

 最低賃金というのは国が決めるわけなんですよね。いつ上がるかというのもなかなか四月の契約の段階では予見ができないわけでありますから、国が十月に、年度途中に上げると、ああ困ったな、こういうことになるわけです。

 ですから、国が最低賃金を決めているわけでありますから、せめて官公需において、最低賃金が上がった分だけでも金額変更してあげると大変業者はありがたいし、むしろそうすべきだというふうに思うわけであります。

 あと、ことしは消費税の税率の引上げも予定されているわけでありますから、同様の問題が起こると思います。ただ、消費税の場合は、もう上がるということがわかっていますから、それを見越して四月の契約段階で金額を、契約するということはあり得るかと思いますけれども、最低賃金の場合はなかなかそういうわけにいかないわけでありますから、特に、最低賃金の引上げがあった場合の年度途中の金額の引上げについてどのようにお考えか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 官公需法でございますけれども、こちらの法律に基づきましては、国等が調達を行う際、中小企業の受注機会の増大、これを目的としておりますので、同法に基づきまして、毎年度、具体的な取組を盛り込んだ国等の契約の基本方針を閣議決定させていただいております。

 その上で、経済産業大臣から各府省や独立行政法人など各機関に対しまして、この内容を十分に踏まえた公共調達を行うよう要請しているところでございます。

 この基本方針につきましては、中小企業の賃上げ、最低賃金引上げの必要性を踏まえまして、平成二十九年度以降の基本方針には、特に人件費率の高い役務契約であって人件費単価が低い業務に関し、年度途中に最低賃金額の改定があった場合は、適正な価格で契約金額の見直しが行われるよう検討し対応するように努める旨を盛り込んだところでございます。

 また、消費税についても御指摘がございましたが、本年十月には消費税の増税が予定されております。この基本方針には、従来から、契約の締結等に当たっては、消費税率引上げ分の予定価格への反映等、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のため、関係法令を遵守する旨も明記しているところでございます。

 官公需法では地方公共団体も国に準じた取組を行うことを求めておりまして、毎年度、全都道府県、全市町村及び東京都特別区に対しまして、国に準じた措置を講ずることを経産大臣名で要請しているところでございます。これとあわせて、全都道府県で説明会を行い、その周知を図っているところでございます。

 引き続き、最低賃金の改定に伴います契約金額の見直し等につきましては、さまざまな機会を通じまして周知徹底を図ってまいりたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

    〔石崎主査代理退席、主査着席〕

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 経産大臣が文書等を出して、しっかり周知させるということだと思います。年度途中であっても、それはしっかり対応しろということだと思います。

 しかし、なかなか、年度途中の契約変更というのは手間もかかることもありますし、役所は消極的なのではないかなというふうに思うんですね。特に、昨年、最低賃金が改定をされた。じゃ、そのときにどれくらいの件数が契約変更に至ったのかを見れば、恐らくその姿勢というのは明らかにわかると思うんですよね。

 今ほど御説明があったように、平成二十九年の中小企業者に関する国等の契約の基本方針、これは閣議決定されているわけでありますけれども、この中にも、人件費比率の高い役務契約であって人件費単価の低い業務、清掃等に関して年度途中に最低賃金額の改定があった場合は、適正な価格で契約金額を見直すように、こういう記載があるわけでありますし、同様に、厚生労働省の生活衛生課長並びに賃金課長の連名で同趣旨の通知を出しているんですね。都道府県や、それぞれの省庁の契約課に出しているんです。

 したがって、出した結果、ちゃんとそれを履行しているのかどうか、履行確認をしているのかどうか。特に、厚生労働省がほかの省庁や都道府県に出しているわけでありますから、まず、厚生労働省内でそういった役務契約の金額変更をした実績はあるのかどうか、その辺について教えていただきたいと思います。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 今議員の方から御指摘がございましたとおり、ビルメンテナンス業務の発注に関しましては、昨年の九月に関係省庁等に対しまして通知を発出しまして、入札参加者に対して、最低賃金制度を十分に周知すること、また、最低賃金額の改定等を注視して、必要がある場合は代金の額の変更を検討することということについて改めてお願いをしたところでございます。

 今、履行確認ということがございましたけれども、この通知自体につきましては昨年の九月に発出したということで、この通知についての履行確認ということはまだ実施できていないということでございますが、これも、委員は本当にいろいろお詳しいので御承知のとおりでございますけれども、同様の内容について、二十七年の六月にもガイドラインを策定しております。

 その関係で、二十八年度に、こういったビルメンテナンス業務の発注に関して、そういった契約金額の変更等がないかということで状況を確認した調査を行っておるのですけれども、残念ながら、やはりその調査の結果では、変更した事例というのが把握できていないというのがそのときの実情でございます。

 今、履行確認という御指摘もございましたので、今後、例えば二、三年に一回とか、いろいろな頻度でしっかり実施状況の調査を行うことによって、このガイドライン、あるいは先ほど申し上げた通知の実効性というものの確認ということをしっかり行うように努めてまいりたいと思っております。

 それからまた、まずは厚労省からというお話がございました。

 厚労省におきましても、業務の発注契約につきまして、先ほど局長の方からお話がありました基本方針に即しまして厚生労働省の中小企業者に関する契約の方針というものを定めておりまして、二十九年度から、特に人件費比率の高い役務契約であって人件費単価が低い業務について、年度途中に最低賃金額の改定があった場合には、適正な価格で契約金額の見直しが行われるよう検討し対応に努めるものとしておるところでございます。

 これを受けまして、私どもの方でも把握に努めておるんですけれども、一部の都道府県労働局では、改定後の最低賃金額を下回る場合には、金額の変更の要否を聴取して、必要に応じて契約金額の変更を行っておるという実例も把握はしております。

 ただ、こうした取組ということを拡大していかなければいけませんので、こういった取組についてどういった状況であったかということを更に把握した上で、課題や具体的なあり方ということについて、しっかり更に検討してまいりたいと考えております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 少しずつですけれども、前進というか、業界の皆さんにとってはこれは大変大事なことですので、履行確認等をやりながら、しっかりとその周知に努めていただきたいというふうに思います。

 本当にこの賃上げというのは、よく政府が、総理が民間の業界団体にお願いしますと依頼をしているわけで、民間の努力で上げていただくわけでございますけれども、官公需は政府が主導してできることでありますので、ぜひ、まず官公需から最低賃金の引上げという、これは本当に最低限のことですから、この辺はしっかりやはり取り組んでいただくということはすごく大事なことだと思います。これを放置しておきますと、デフレになります。ですから、デフレ脱却を目指しているわけでありますので、そういった観点からも、ぜひ官公需についてのお取組を徹底していただきたいというふうに思います。

 ただ、そうはいいましても、おっしゃるとおり、なかなか関係の部署がやはりすごく多岐にわたるんですよね。都道府県も絡んできたりとか省庁もまたがっていたりということで、確かに、厚生労働省の一部署の通知だけではやはり動かしがたいところもあるんだろうなと。やはりこれも官邸主導で、政府のどこかに司令塔機能をつくって、一緒にやりましょうということが必要なのではないかなというふうに思います。

 そこで、中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議というものが官邸の中には設置をされております。今ほど御説明のあった案件について、ぜひこういった会議を活用して、取組をどんどん前に進めていくということをしていただきたいなというふうに思います。

 この後ちょっと御説明する内容にも絡んでくるんですけれども、最低賃金の変更に伴って、年度途中の金額変更だけで対応できないことも実はたくさんあるんです。そういったことも含めて、入札制度のあり方とか、今ほどの年度途中の契約変更等々、あらゆる方策をとって官公需による賃上げというのをやっていかなければいけない、特に最低賃金の改定があったときにはしっかり徹底してやらなければいけないということだと思うんですけれども、ぜひ、こういった関係省庁連絡会議を活用していくということについてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員の方から御指摘がございましたとおり、最低賃金の履行確保ということは、賃金の低い労働者の賃金の最低額を保障するために重要であると考えております。

 このため、先ほど来御指摘の清掃等の業務につきましても、年度途中での最低賃金の改定を見込んだ予定価格の設定や、最低賃金の改定時に契約金額の適正な見直しが行われることも必要であると考えております。

 厚生労働省としましても、三十年度の最低賃金の改定を踏まえまして、関係府省や地方自治体、各業界団体等に対しまして、民間企業への役務等の発注に当たって最低賃金法違反を生じさせないよう、特段の配慮をお願いしております。

 このほか、例えばということでございますけれども、大阪労働局では、大阪市と最低賃金に係る情報の提供に関します協定を締結して、大阪市が発注した委託業者に雇用される労働者の賃金が最低賃金額を下回っている等の情報を大阪市が入手した場合に大阪労働局へ情報提供を行うといった取組を行っておりまして、こういった事例についても推奨してまいりたいと思っております。

 そういったことも含めまして、今議員御指摘の関係省庁連絡会議の点についても、御指摘がございましたその連絡会議も含めまして、最低賃金引上げの環境整備の観点から、引き続きこうした取組にしっかり努めてまいりたいと考えております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、そういった会議を活用して、司令塔機能を生かして取り組んでいただきたいというふうに思います。

 本当にこの最低賃金をめぐることというのは、やはり企業の皆さんも大変センシティブであります。かなり労働基準監督署も、そういった最低賃金を下回るケースについては、やはり企業に厳しく最低賃金を守りなさいと指導に入るわけなんですね。

 それは大変いいことなんですけれども、一方で、発注者側の責任というのもやはりあるんですよね。官公需において、政府が、そういった人件費率の高い人件費単価の安い業種、簡単に言うと清掃のような業種ですけれども、の業務を発注しました、それで、最低賃金が上がった、実際の清掃員が最低賃金以下で働いていないことを確認する、これは当たり前のことです。これは大事なことです。

 しかし、やはり発注側の責任として、最低賃金が上がったんだから、上がった分だけでもせめて契約変更を年度途中でもやってくださいと。それは確実な最低賃金の引上げにつながっていくわけでありますので、この発注側としての責任を果たしていただきたいということを私は申し上げているのでありますので、ぜひそこをしっかりと、今後、履行確認等しながら取り組んでいただきたいな、そのように思いますので、ぜひお願いします。

 これは、放置しておきますと、単なる業者をいじめているということにとられかねないわけでありますので、ぜひ、この辺については、閣議決定もしているし、通知も出しているわけでありますから、ただそういうことをやっているから、もう準備はいいでしょうということではないので、しっかり履行確認までやっていただきたいな、そういうふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、業務の入札についてちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほど来議論しているのは業務の入札なんですね。業務というのは、毎年同じことをやっていくわけなんですね。一方で、入札といえば、よく皆さんが思い浮かべるのは公共工事の入札なんですね。実は、この公共工事の入札と業務の入札というのは別なんですよね。

 特に、公共工事というのは積み上げ方式です。労務単価が幾らで、資材費が幾らで、利益があってと積み上げていきますし、しかも、一回きりなんですよね、工事ですから。工事が終わればもう、その契約年度が終われば、完成してしまえばそれでおしまいなわけですから、ここはしっかりと、そのときの物価の状況なんかを加味できるような仕組みになっているんです。工事は大変ですから、よくできた仕組みになっているわけなんですね。

 ただ、毎年ある業務というのは、これは物品、役務の入札、調達といって、業務であろうが物品であろうが同じ入札、取扱いなんですよね。ですから、簡単に言うと、安ければいいというような入札方式になりがちなんです。

 特に、毎年業務が一緒ですから、毎回毎回積算もされない。そうすると、前の年の落札価格が翌年の予定価格になっているケースもやはりあるんです。そうすると、どんどんどんどん値段が安くなっていってしまうんですね。

 本来、毎回積算をしていれば予定価格というのは変わらないんです。むしろ、人件費や資材費が今上がっていますから、予定価格というのは上がっていくはずなんだけれども、物品、役務の入札というのは、値段がどんどん下がっていく仕組みに実はなっているんです。

 ですから、先ほど来のそういった、人件費率の高い業務で、人件費単価の安い、低い業務は、清掃みたいなものですけれども、やはりこういった入札制度のこともあって、なかなか値段が上がっていきにくいということがあるんです。ですから、この入札制度の改革というのは必要なのではないかなというふうに思います。

 あともう一つ、こういうことをやると問題になるのは、いわゆるダンピング受注というのが起こりやすくなるんです。特に、そういった業務というのは、品質をチェックする仕組みが余り確立されていないんですね。工事ですと、納品の際、細かくチェックします。ですから、品質というのは確保しやすいんです。手抜き施工というのが少ないんです。

 しかし、毎年の業務ですと、なかなか品質を確保するということができないもので、例えば一番悪い例で言うと、ある業者がぽっと入ってきて、ダンピングで、値段だけ安ければ落ちますから、とります。それで、手抜き施工をするんですね。

 例えば、掃除なんかですと、掃き掃除しているか拭き掃除しているかというのは、要は、その現場へ行ってずっと毎回確認しないとわからないんですよね。本来毎回拭き掃除しなきゃいけないところを三回に一回で済ませて、残りは掃き掃除で例えば済ますということをしたとしても、結果的に、一年たってみてもそんなに汚れは変わらないんです。しかし、三年、五年たつとやはり明らかに汚れてくるんですよね。

 ですから、そういった手抜き業者は、ダンピング受注しておいて、翌年入札に参加しないんですよ。そうやると、値段だけ下がって、しかも品質も悪くなるということで、こういった業界こそ入札改革というのが大変必要になってくると思うんです。

 したがって、この物品、役務の購入の際の入札のあり方について、もう少し適切な予定価格を算出するよう努めるとか、あるいはダンピング防止のために最低制限価格制度を導入するとか、あるいは手抜き施工を防止する、品質確保のために履行検査体制、品質インスペクターの配置とかをやるとか、あるいは総合評価方式にするとか、こういった改革も必要なのではないかなというふうに思うわけでございますけれども、財務省ですかね、どのようにお考えか、教えていただければと思います。

宇波政府参考人 おはようございます。

 先生今御指摘の入札の制度でありますけれども、法令上は、公共工事かあるいは物品、役務の提供かということで分けているわけではございません。

 先生御承知のとおりでございますけれども、法律上は、予算決算及び会計令、いわゆる予決令というものの八十条二項というところで、公共工事に限らず、幾つかの点、一つは取引の実例での価格、それから需給の状況、それから履行の難易、難しさ、易しさ、それから数量の多寡、多いか少ないか、それから履行期間の長短、長い期間かかるかどうかなどを考慮して適正に予定価格を定めなければならない、こういうふうに規定されているところでございます。

 先生御指摘のとおり、公共工事につきましては、この際に幾つかの特性がございます。施工に多くの日数を要するというようなことであるとか、個別の工事で条件がかなり異なる、個別性が非常に高いというようなことなどの特性があるということに鑑みまして、公共工事を所管する各省、例えば国土交通省において御指摘のように積み上げ方式で予定価格を作成している、これは、予決令の運用のあり方としてそういうふうにしているということでございます。

 他方で、物品とか役務の調達の予定価格につきましては、こういった公共工事の特性を有していないということもあって、それぞれの執行する所管の官庁においては、先生御指摘のように、取引の実例の価格ですとか、あるいは、公開されている価格があればそれを参照するとかといったような方法で、そういったものを各府省において考慮して予定価格を作成しているケースが多いという現実があるかというふうに承知しております。

 この際に、御指摘の、労務単価が上昇したときにどうするかということなんですけれども、これは、物品、役務の調達であっても、各府省において、例えば賃金、労務単価が上昇しているとか、あるいは資材価格が上昇しているといったような要因を考慮いたしまして、合理的な理由があると判断をされる場合には、今申し上げた予決令で言うところの適正であることが認められる範囲内においてこういった要因を予定価格に反映することは、制度上は妨げられていないわけでございます。

 改革に当たって幾つか御指摘のあった点でありますが、まず、最低制限価格制度でございます。これは、メリットとデメリットがございます。

 メリットとしては、おっしゃるように、入札から一律に無条件で、基準価格よりも低いという場合には排除するということになりますので、ダンピング防止であるとか、あるいは安かろう悪かろうといった業者は排除できる、これは自動的に排除できるというのがメリットかと思います。

 他方で、あくまでも入札制度は、大原則は経済性の原則ということでありますので、競争の利益を享受して廉価ですぐれた条件を提示してくださる業者の方を一律に排除する形になるものですから、それによって全体として国民に不利益をもたらすおそれもあるということで、そのバランスを見ながら考える必要があるということでありまして、現状、国の契約制度においては最低制限価格制度というのは採用していないわけであります。

 ただ、予定価格が一千万を超えるような請負契約につきましては、低入札価格調査制度というものが採用をされておりまして、基準価格よりも低い価格で入札した場合に、その価格で契約を履行できるかどうかを個別に調査するということで、おっしゃっている、安かろう悪かろうみたいなことがない、あるいはきちんと履行できるかということを調査する制度が設けられておりますけれども、これも一千万円という閾値を設けております。これは、メリットの反面、事務コストの過重というようなことも総合勘案して、この水準で今設定しているということでございます。

 それから、総合評価方式でありますけれども、これにつきましても、おっしゃるように、例えば役務の場合ですと、すごく高い専門性が必要とされるとか、あるいは、価格競争だけでなくて、必要な技術、ノウハウを評価して相手方を選定した方がよろしかろうというような場合にはこういった契約方式が有効かというふうに存じます。したがいまして、こういった場合に該当する場合には、現在においてもこの総合評価方式によることを積極的に活用しているというところでございます。

 いずれにいたしましても、この物品、役務の調達に関しては、会計法令の規定に基づきまして執行する各府省において適正に実施されることが基本でありますけれども、財務省といたしましても、引き続き、適正な契約が行われるように各府省と協力してまいりたいというふうに考えております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 会計法上はそういうことだというのはよくわかるんですけれども、現実としてやはりこういうようなことがあるんだということをぜひ御理解いただいて、適切な予定価格の算定と品質確保のための手法、これを考えていただきたいと思うんですね。このままだと本当に、物品、役務ですから、物と同じなんですよ。人件費率が高い、しかも人件費そのもののわけですから、そういった業務に関しては特に、最低制限価格を設けないと言いましたけれども、明らかに最低賃金を入れればわかるわけでありますから、それよりも低い入札に関してはやはりどのみちできないことなので、そういったことも含めて、よくよく、一つ一つの案件をよく吟味してやっていただきたいというふうに思いますので、お願いしたいと思います。

 ちょっと時間が参りましたので、私の質問を一つ残しましたけれども、以上とさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

後藤主査 これにて佐々木紀君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)分科員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 本日は、福祉用具専門相談員について質問をさせていただきます。

 この福祉用具専門相談員なんですが、介護が必要な高齢者が福祉用具を利用する際に、本人の希望を聞いたり、その心身の状況また置かれている環境を踏まえて、専門的な知識に基づいた福祉用具を選定して、自立支援の観点から、その使用方法等を含めて適切な助言を行っていくという専門職であります。

 福祉用具は、自立支援を図るために、高齢者自身の身体能力を最大限に活用できるように、生活環境の観点から支援をするものでございます。福祉用具の貸与サービス、もしこれを使わなければ高齢者は行動範囲が狭くなりますし、また、介護者の負担が増大をしていくということが起こってまいります重要なサービスでございます。

 この福祉用具を適正に利用するために、選定相談、適合性判断、モニタリング等を担っている福祉用具専門相談員の役割は大きく、高い専門性が求められていると思います。

 専門相談員の知識、技術、業務の進め方等について質の向上に取り組むこと、これが福祉用具貸与サービスの質を確保していく上で極めて重要と考えます。高齢者の自立支援と介護者の負担軽減を図るための福祉用具の選定をする福祉用具専門相談員、この重要な役割について、大口副大臣にお考えをお伺いいたします。

大口副大臣 古屋委員にお答えいたします。

 介護保険制度における福祉用具は、利用者が可能な限り居宅において自立した日常生活を営むことができるよう、生活機能の維持改善を図り、重度化を防止するとともに、介護者の負担軽減を図る役割を担っております。

 こうしたことを踏まえ、福祉用具貸与・販売事業者においては、これは常勤換算法で二名以上の配置が義務づけられているわけでありますけれども、福祉用具の機能や使用方法など具体的なサービスの内容を利用者に説明し、適切かつ効果的な利用を支援する福祉用具専門相談員の配置が義務づけられていて、重要な役割を果たしていると考えます。

 福祉用具の利用者に対して質の高いサービス等を提供していくために、福祉用具専門相談員が、本人の希望や心身の状況、その置かれている環境などを踏まえた上で、自立支援の観点から、専門的な知識に基づき具体的な選定や助言を行うことが求められており、その役割は重要である、こういう認識でございます。

古屋(範)分科員 今、副大臣から、福祉用具専門相談員の役割について、大変重要であるという答弁をいただきました。まだまだ認知度が低いようにも思いますので、ぜひ光を当てていただきたいと思っております。

 この福祉用具専門相談員の資質向上について、これまで議論されてまいりました。平成十九年以来、福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会等におきまして、福祉用具貸与サービスにおける課題が議論をされてまいりました。中でも、福祉用具専門員の平成二十五年十二月の社会保障審議会介護保険部会では、福祉用具専門相談員の専門性の向上について議論が行われたと認識をいたしております。これまでのこの資質向上についての議論の経緯、今後の方向性について、お伺いをしたいと思います。

 また、続けて、福祉用具専門相談員の資質向上について、調査研究の老健事業が行われてまいりました。平成二十六年には、専門的知識を有する福祉用具専門相談員の養成に向けた研修内容、また、平成二十七年、より専門的な知識と経験を有する福祉用具専門相談員の配置、また、平成二十八年、福祉用具専門相談員の適正配置にかかわる養成モデル事業。

 このように、福祉用具専門相談員の知識及び技術の向上に向けた取組は非常に重要であるということが示されております。専門知識、経験を有する専門員の配置を促進していくべきと考えております。

 特に、平成二十五年十二月の社会保障審議会介護保険部会におきましては、福祉用具専門相談員の要件を、福祉用具に関する知識を有している国家資格者及び福祉用具専門相談員指定講習修了者とすることが適当であるということがここに明記をされております。

 平成二十七年現在で、福祉用具専門相談員のうち約八・三割が指定講習会修了者で、一・七割は指定講習は受けておりません。福祉用具専門相談員の知識及び技術の向上、さらなる専門性の向上に向けた取組は重要だと思いますので、ぜひ、福祉用具専門相談員の専門性向上のために、例えば三年に一回程度の更新の研修を義務づけるというようなことが必要なのではないかというふうに考えます。これについての見解をお伺いいたします。

大島政府参考人 福祉用具専門相談員、非常に大切な業務でありますが、その資質向上につきまして、今委員御指摘のように、平成二十五年の社会保障審議会介護保険部会で議論が行われまして、資質向上に向けて一定の方向性が示されました。

 その結果、平成二十七年度から講習カリキュラムの見直しと講習時間の拡大が行われておりまして、また、指定基準の中に、自己研さんに関する努力義務の規定も設けているところでございます。

 さらに、福祉用具関係団体と連携いたしまして、これも今委員から御指摘がありましたとおり、平成二十六年度から、老人保健健康増進等事業で、専門性向上を図るための調査研究事業を四年以上継続的にやっておりまして、こうした調査研究事業での結果を踏まえまして、平成二十九年度から、一般社団法人福祉用具専門相談員協会におきまして、より専門性を高めていくための独自の研修講座が始まっております。その中では、三年に一回受講するように促しておられると聞いております。

 こうした更新研修につきましても重要であると考えますが、まずはこうした団体独自の取組を注視してまいりたいと考えております。

古屋(範)分科員 協会の方では自主的に今講習を行ってくださっているんですが、制度の改正などもありますし、福祉用具専門相談員の専門性を高めるために、ぜひこうした更新研修についても前向きに御検討いただきたいと考えております。

 また、本年十月から消費税率が引き上がる予定でございます。この消費税の改定に当たりまして、福祉用具の貸与、昨年十月から貸与価格の上限が適用となりました。課税対象となる福祉用具の貸与価格は、消費税込みで設定をされております。昨年十月に上限価格されている貸与価格というのは、当然、八%の税込みのものでございます。

 本年十月、消費税率引上げの際、プラスの二%引上げ分に関しましては貸与価格上限にしっかりと織り込んでいただきたいと考えております。この点について、厚生労働省のお考えを伺います。

大島政府参考人 福祉用具につきまして、適正価格での貸与が行われるよう、昨年十月から商品ごとに貸与価格の上限を設定するようにしております。

 こうした中、本年十月に消費税率の引上げが予定されております。それに伴いまして、この貸与価格の上限をどうするかということが議論になります。

 昨年十二月に取りまとめられました社会保障審議会介護給付費分科会の報告の中では、設定された福祉用具貸与の上限額について、税率引上げ分を引き上げることが適当であるということが示されました。これを踏まえまして、厚労省としましては、本年十月に間に合うよう、税率分の引上げの措置を講じてまいりたいと考えております。

古屋(範)分科員 ただいま局長の方から、消費税引上げの折には、二%引上げ分をしっかり上限に織り込んでいくという答弁をいただくことができました。

 上限価格を設定していくということは重要なことだと思っております。しかし、福祉用具を供給していく側にとって、やはり適正な価格で事業を継続していくということも重要視をしていかなければいけないと思っております。これは、使う側にとっても、事業者が供給できなくなっては大変な問題であります。

 ですので、適正価格を維持していくということ、そしてまた事業者が継続して経営ができるように、このこともしっかりと勘案をしていかなければいけないと思っております。消費税引上げにしっかり対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 この福祉用具貸与の価格の上限設定についてでございますが、平成三十年度介護報酬改定に関する基本的な考え方におきまして、昨年十月から、全国平均貸与価格の公表、また貸与価格の上限設定ということが適用となりました。さらに、公表された全国の平均貸与価格、設定された貸与価格の上限につきましては、平成三十一年度以降もおおむね一年に一度の頻度で見直しを行うということが盛り込まれております。ですので、次の見直しは平成三十二年の四月ということになります。

 市場価格を踏まえて適切な価格を決めたのであれば、見直しというのは新商品だけでよいのではないかというふうに思っております。やっと改定をし、徹底をして運用していく、その中でまた更に次の年度には見直しを行う。非常に事業者にとって大きな負担になってまいります。事業者が萎縮をしかねないという懸念がございます。

 平成三十年介護報酬改定に関する基本的な考え方につきましては、平成三十一年度以降もおおむね一年に一度の頻度で見直しを行うということが盛り込まれてはいるんですが、それに続いて、施行後の実態も踏まえつつ実施していくこととするということも盛り込まれております。

 現場の影響を最大限に考慮しつつ、毎年一回の見直しというのは非常に負担が大きいこと、また一定の効果が期待できるということを踏まえまして、効果の検証というものを行っていただきたいと思っております。これについての見解を伺います。

大島政府参考人 委員御指摘のとおり、平成二十九年十二月に取りまとめられました介護給付費分科会の報告の中では、全国平均貸与価格や貸与価格の上限は平成三十一年度以降もおおむね一年に一度の頻度で見直しを行うといった内容が盛り込まれております。加えて、これも委員御指摘のとおり、これらは施行後の実態も踏まえつつ実施していくといった記述がされております。

 それで、今現在、昨年十月の施行以降の貸与価格の実態、経営への影響などの調査、把握を行っているところでございます。

 今後、この内容を踏まえまして、上限見直しに関する必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

古屋(範)分科員 ぜひ現場の状況をしっかり見ていただき、これに関しても配慮をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 福祉用具に関しましては、以上で質問を終わりたいと思います。

 続きまして、自治体病院についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 公立病院の現状はと申しますと、公立病院の約六五%は十万人未満の市町村にあります。約三〇%は三万人未満の市町村に所在をしております。僻地の多い都道府県ほど公立病院の病床数割合が多いという傾向がございます。

 私は、昨年の八月、山形に行きました折、米沢市立病院を訪問いたしました。ここの病院事業管理者、渡邊孝男先生と面談をしてまいりました。この米沢市立病院のある山形県におきましては、公立病院の病床数割合というのが四六・七%と、非常に高い割合となっております。

 山間僻地など民間医療機関の立地が困難な地域で医療を提供している公立病院は、地域において必要とされる医療に加えて、医療と密接に関連をしている保健、福祉等、いわば地域の暮らしそのものを支えているという役割が求められております。この基幹的な役割を担っている公立病院につきましては、医師の派遣機能また人材養成機能等を新たな役割と位置づけていく必要があると思っております。

 このように、公立病院につきましては、地域医療構想を踏まえて、公立病院でなければ担えない分野への重点化、他の医療機関との役割分担が必要であると思っております。さらに、災害対応また新型感染症などの突発事項への対処、外国人観光客への対応など、地域の特性に応じた重要な役割があると考えております。

 公立病院の役割の重要性について、お考えを伺います。

大口副大臣 古屋委員にお答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、自治体病院は、本当に地域になくてはならない役割を担っていただいている。新公立病院改革ガイドラインでも書いてありますように、やはり、救急医療、災害医療、それから山間僻地や離島など民間の立地が困難な過疎地における一般の医療の提供、そしてまた、救急、小児、周産期、災害、精神などの不採算・特殊部門における医療の提供、また、高度先進医療の提供、これはがんセンターとか循環器センターですね、そして研修やあるいは広域的な医師派遣、こういう政策医療を担う役割が期待されております。

 私も、昨年十二月の二十七日に山形県の酒田市に行ってまいりまして、ここの地方独法の山形県・酒田市病院機構にお伺いして、そして、日本海総合病院は急性期、これは県の病院だったんです、そして酒田市リハビリテーション病院、これは回復期ということで、統合されました。これは、栗谷さんという理事長のリーダーシップで統合ができたわけであります。

 やはり、地域ごとに、具体的に今、地域医療構想の実現に向けてやっていただいているわけでありますが、自治体病院に対しても、二〇二五年に向けて、民間医療機関では担うことができない救急医療、災害医療等の政策医療等に重点化するよう医療機能を見直すようにお願いをし、また、見直しに必要な再編統合の議論を進めるよう、調整を要請しているところでございます。

 そういうことで、今、厚生労働省といたしましても、地域で合意に至った医療機関ごとの具体的対応方針の内容が地域医療構想の実現に沿っているかどうかをしっかりと検証するとともに、地域医療構想の実現に必要な施設整備等に対し、地域医療介護総合確保基金により重点的に支援を実施してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)分科員 副大臣、山形に行ってくださったそうでございます。

 今おっしゃいましたように、公立病院というのは、医師の確保に苦労しながら、救急を始め地域の重要な医療、政策医療等を担ってくれております。ですので、公立病院に対する重点的な支援というものが非常に重要になっております。

 その米沢市立病院なんですが、昨年、開設から六十年を迎えておりまして、非常に老朽化をしております。ここは、米沢市内にある三友堂病院との間で、機能分化、連携強化に向けた建てかえ、リニューアルというものが決まっております。

 それで、地域医療確保のために、絶対に財政的な支援が必要となってまいります。公立病院が、公と民の適切な役割分担のもとで、地域において必要な医療提供体制の確保を図っていく、持続可能な病院経営を目指すために、限られた地方交付税財源を地域の実情等に応じてより効果的に配分することが必要になってまいります。公立病院が安定的に不採算医療また高度先進医療などの役割を担っていくことができるようにするためにも、財政支援が必要であります。

 総務省におかれましても、新公立病院改革プランに基づいて行われている公立病院等の再編・ネットワーク化に係る施設設備の整備について、病院事業債を措置することとしております。これが平成三十二年までの措置となっております。

 米沢市立病院の建てかえは、当初、新病院開設の準備スケジュールとして、基本計画の策定を平成三十年四月から同三十一年三月としていましたけれども、これがおくれております。ぜひ、この措置の延長をお願いしたいと思っております。この点についての見解を伺いたいと思います。

沖部政府参考人 お答え申し上げます。

 公立病院におきまして、経営状況の悪化や深刻な医師不足に直面する中、地域医療を確保する観点から、公立病院の再編連携を進めることは大変重要な課題と認識しております。

 このため、委員御指摘のとおり、総務省におきましては、平成二十七年三月に新公立病院改革ガイドラインをお示ししまして、再編・ネットワーク化などの経営改革に集中的に取り組むよう要請いたしました。その上で、再編・ネットワーク化に伴って必要となる施設設備の整備につきましては、通常の施設設備の整備と比べて手厚い地方交付税措置を講じているところでございます。

 今後とも、地域医療を確保することができるよう、公立病院の再編・ネットワーク化などの取組に対して必要な支援を行ってまいりたいと思っております。

 なお、本措置は、委員御指摘のとおり、現在の改革ガイドラインで示しております標準的な期間が平成三十二年度まで、それに伴う措置ということで、現状これは三十二年までの措置ということになっておりますが、我々としまして、先ほど申し上げたとおり、公立病院の再編・ネットワーク化などの取組に対しましてはしっかりと支援を行ってまいりたいと考えております。

古屋(範)分科員 米沢市においても、再編統合については大変努力をしてきておりますので、そこのところはしっかりと対応していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 最後に、再生医療についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 私は、平成二十五年、議員立法で、再生医療推進法の成立に携わりました。その後、再生医療安全性確保法、また医療品医療機器等法が成立をいたしました。その後も私は、山中伸弥先生などとも交流を保ちながら、iPS細胞研究の予算の確保を始め、再生医療分野の発展に取り組んでまいりました。

 このたび、慶応大学のチームが、臨床研究、脊髄損傷の患者へ、iPS細胞からつくった、神経のもとになる細胞を移植するという、機能回復を目指す計画が了承されました。国内の脊髄損傷患者は約十五万人、また年間の新規発症者は約五千人と言われております。慶応大学の中村雅也教授より、移植した動物の機能回復の映像を先日見せていただきました。治療の効果が大きいということを私も目の当たりにいたしました。多くの患者にとって、この移植というものは大きな希望の光になるというふうに思っております。

 神奈川の川崎に殿町というエリアがございます。ここは、殿町キングスカイフロントと呼んでおります。ここには、国立衛生研究所、理研、神奈川県の産業技術総合研究所、また慶応大学を中心とするアカデミア、動物実験中央研究所など、企業も集積をしている地域でございます。慶応大学の中村先生は、この殿町に再生・細胞医療バリューチェーンを構築するという構想を持っていらっしゃいます。ここに体性幹細胞の再生医療用細胞製造、加工の拠点、細胞バンクを構築していくということが、我が国の再生医療分野の前進に私は必要だと思っております。

 殿町キングスカイフロントは、私もスタートのときから応援をしてきた機関でございます。安全性を確保して、また研究から臨床、実用化へと、体性幹細胞の運用ルールをしっかりと厚生労働省で定めていただきたいと思っております。これについての見解を伺います。

大口副大臣 古屋委員が、これまで再生医療の発展について貢献されてきた、また、御地元の殿町のキングスカイフロント、非常に注目をしているところであります。

 再生医療学会等の関係団体からは、アカデミア等での再生医療の研究開発を産業化へとつなげる仕組みとして、国内で再生医療用の細胞製造拠点と細胞バンク、セルバンクを整備し、運用ルールを定めることが再生医療資源の安定供給と流通を確立することにつながるとの御意見もいただいているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、再生医療分野の研究開発やその実用化に向けた支援を行うとともに、再生医療等の安全性の確保に関する法律によって、再生医療等の提供手続や細胞培養加工施設における施設基準を定めてきたところであります。

 現在、細胞バンクに特化した運用ルール等、ガイドライン等ですね、これが設けられていません。御指摘のとおりです。そこで、再生医療用の細胞製造拠点の構築そして細胞バンクの運用ルールについても、関係団体の御意見や現在運用されている細胞バンクの状況を確認しつつ、再生医療の推進という観点から、来年度、AMEDの事業として実施できるよう、検討してまいりたいと思っております。

古屋(範)分科員 ありがとうございました。来年度はAMEDの事業で実施をしてくださるということでございます。

 私も、山中先生に、我が国のこの分野の法整備の状況はどうですかと、もし、日本が法整備がおくれているので、いや、海外に出て研究した方がいい、このような人材が流出してはもったいないと思いまして、伺ったことがございます。我が国の再生医療分野における法整備は世界で一番整っているというふうにおっしゃっていました。アメリカなども日本の法整備を学ぼうとしているということでございました。その最も進んだ法整備のもとで、こうした細胞バンクにかかわるルール、ガイドラインが確立されれば、また更にそこから大きく発展していくということが期待をされるわけでございます。

 脊髄損傷を始め、世界の難病の患者がこの移植治療を待っていると思いますので、ぜひこの前進につながるお取組をお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

後藤主査 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野分科員 国民民主党の浅野哲でございます。本日は、よろしくお願いいたします。

 本日は、働き方改革関連法について、そして高齢者雇用、また幼児教育の無償化について質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、働き方改革についてですけれども、昨年の国会での審議を経まして、本年四月一日より、時間外労働の時間数の上限について規制が強化されることになりました。

 中小企業については一年後の来年からということでありますけれども、これまでは三六協定という協定を結ぶことによって時間外労働をできるようにしていたということでありますが、これまでは実質的に、特別条項、ある特定の、特別な理由があれば青天井で残業ができるような仕組みだったものが、ことしの四月一日以降は、基本的には、月四十五時間、年三百六十時間という制限がかかりますけれども、特別な事情があれば、単月で百時間未満、複数月平均で八十時間、また年間にも七百三十時間という上限が設けられるということであります。

 この制度の変更に伴う準備を今各職場はいろいろ行っているわけですけれども、ちょっと現場からいただいた声として、今回の法改正に伴って三六協定の協定書の書式が少し変更になっております。

 具体的に申し上げますと、これまでは、三六協定を締結する際に、所定外労働時間を基準に協定を結んでいたものが、今後は法定外労働時間で結ばなければいけなくなってくる。よく聞かれるのは、所定外と法定外の違いというものも聞かれるんですけれども、その部分も含めて、今回変更した経緯について御答弁を求めます。

上野大臣政務官 御指摘をいただきました三六協定についてでありますけれども、労働基準法で定める法定労働時間、これは週四十時間、一日八時間ということでありますけれども、それを超えて労働させる場合や休日労働させる必要がある場合に労使で協定をするものでございます。

 従来の三六協定届の様式においては、延長することができる時間数を協定し届け出ることになっておりました。

 本来、この延長することができる時間数には、法定労働時間を超える時間数を協定して届け出る必要がある一方で、労使の慣例として、所定労働時間を超えた時間数を協定して届け出る事業場もあるため、労使慣行への影響を考慮し、やむを得ないものとして受理をしていたところであります。

 今回、時間外労働の上限規制を罰則つきで法定化をするということとなりました。

 これは法定労働時間を超える時間外労働に上限を設けるものであることから、三六協定届の新しい様式においては、法定労働時間を超える時間数を協定することを必須としたところであります。

 なお、御指摘もありました新しい様式においても、所定労働時間を超える時間数を任意の記載事項として定めており、法定労働時間を超える時間数とあわせて所定労働時間を超える時間数を記載することも可能としているところであります。

浅野分科員 ありがとうございます。

 もう一つ質問をさせていただきます。

 この三六協定に関して、先ほども触れました特別条項という部分に該当する場合は更に通常よりも長い残業が可能になるということなんですけれども、これを見ますと、一カ月、先ほど百時間未満と申し上げましたが、この百時間未満という中には、通常の平日の残業時間と法定休日の労働した分というのが含まれています。それを合わせて百時間未満。

 しかし、一年を通算した方になりますと、この場合は、法定休日に働いた時間はカウントせずに時間外労働のみ記載するということになっております。つまり、法定休日を除いてカウントしなければいけないということで、これがまた職場では少し混乱を生む要因の一つになっているんですけれども、なぜこのような差異が発生しているのか、その経緯についても答弁を求めます。

上野大臣政務官 御質問いただきました。

 まず、現行の労働基準法において、時間外労働については三六協定で具体的な時間数を定めさせるとともに、大臣告示において、その時間数は月四十五時間、年間三百六十時間以内が原則であることなどを定めております。

 一方で、休日労働については、三六協定でその回数を定めさせているなど、時間外労働と休日労働とを区別した取扱いをしている、これが現状でございます。

 今回の法改正についてでありますけれども、こうした枠組みを前提に、これまで大臣告示にとどまっていた時間外労働の上限を罰則つきで法定化をするものであるため、月四十五時間、年三百六十時間以内が原則、それから、臨時的に特別の事情がある場合であっても年七百二十時間以内といった上限時間数については、いずれも休日労働を含まない時間数としているところであります。

 一方で、労働者の健康確保を図る観点といったところから、これは大変大事なところでありますけれども、休日労働を含めた実労働時間の上限を定めることも重要であり、今回の法改正においては、休日労働を含めた実労働時間の上限を新たに設けたところであります。

 具体的には、休日労働も含め複数月の平均が八十時間以内、休日労働も含め単月では百時間未満といった上限を設け、労働者の健康確保をしっかり図っていくという観点もあわせて規定をしたところであります。

浅野分科員 今説明を聞いていてよくわかりましたけれども、やはり、ここまで聞けば何となくわかるんですけれども、実際、各職場の労務担当の方ですとか、特に労働組合の役員の方ですとか、こういった方々というのは、その背景という部分まで触れる機会が少なくて、四月一日に備えて今準備はしているんですけれども、まだまだ理解が進んでいないという話も聞いておりますので、ぜひとも、今のような経緯を含めて、しっかり、三六協定の締結が各職場でなされるような対応を政府としてもお願いをいたします。

 次の質問なんですけれども、今、三六協定の中身について質問させていただきましたが、じゃ、この三六協定がどのくらい締結されているんだろうか、今の実態について、政府の今把握している情報についてお伺いをいたします。

上野大臣政務官 三六協定の締結率という御質問でありました。

 まず、労働基準法では、原則として、一日八時間、週四十時間を法定労働時間としており、これを超えて働かせる場合には、限度となる時間について三六協定を締結し、労働基準監督署長に届け出る必要があるというふうにしているところでございます。

 平成二十九年における三六協定届の届出件数は百六十二万三千二十五件であります。また、平成二十六年、これは経済センサス基礎調査でありますけれども、これに基づく労働基準法の適用事業場数を算出すると、四百十二万八百四十事業場であります。

 ただ、これらのうち、三六協定を締結し届け出る必要がある事業場数については把握をしていないことから、お尋ねの三六協定の締結率についてお答えすることは難しいものと考えております。

浅野分科員 今言っていただいた、三六協定締結数が大体百六十二万、そして事業所数が四百十二万、しかし、締結すべき事業場の数はわからないということなんですが、単純計算で言えば大体三分の一程度なのかなというふうに思います。

 その一方で、きょう配付資料をお配りをさせていただいていると思いますけれども、最初の資料一、一ページ目を見ていただきますと、これは平成二十五年度に厚生労働省が調査をした際のデータを記載しております。

 左下の方に赤く囲ってありますけれども、大企業と中小企業それぞれで、労使協定を締結していると答えた企業の割合が、大企業の場合は九四%、中小企業の場合は四三・四%という数字が出ております。先ほど三分の一程度というふうに申しましたけれども、こういう調査結果を見ても、特に中小企業に関しては半分いっていないだろうという予想がつくわけであります。

 こういった現状を踏まえて大臣にお伺いをさせていただきますが、やはり、これから働き方改革、政府が力を入れてこれまで取り組んできていると思いますし、働く人たちの健康管理をしっかり守るためにも協定化を徹底していかなければいけないと思いますけれども、こうした現状を踏まえて、今後の課題や方針などについて、大臣の御見解を伺います。

根本国務大臣 委員、実際に現場に行かれて、そして、さまざまな意見を酌み取ってきょう御質問をいただいておりますが、そういう最前線の現場の声というのは非常に大事だと私も思っております。

 そして、労働者の労働条件の確保を図るために、三六協定の適正な締結や、あるいは労働基準監督署への届出は重要だと思っております。こういう観点から、我々は、事業主に対してさまざまな支援を実施しています。

 例えば、三六協定を届け出ていない事業場に対する労務管理の自主点検や相談支援、例えば平成三十年度から都道府県労働局の委託事業として実施しておりますが、自主点検の送付や回答の取りまとめ、平成三十年度に約十二万事業所に自主点検を送付しております。そして、労務関係書類等の確認や相談支援の実施、あるいは平成三十一年度、十一月の時点で五千事業場に相談支援を実施しています。

 また、各都道府県に働き方改革推進支援センターを開設しておりますが、この働き方改革推進支援センターを通じて、地域の商工会議所、商工会などの関係団体と連携し、全国津々浦々まで三六協定に係る周知を行っております。

 また、全ての労働基準監督署に特別チームを編成し、法令に関する知識や労務管理体制が必ずしも十分でない中小企業などに対するきめ細かな相談への対応や支援を行っております。

 時間外労働の上限規制の施行も念頭に、三六協定の適正な締結を推進するために必要な支援、周知を行ってまいりたいと思っております。

浅野分科員 ありがとうございます。

 もちろん、今おっしゃっていただいたような取組をしっかりと進めていただきたいんですけれども、更に力を入れてやっていただきたいということなんですが、労働安全衛生法の改正を受けまして、御存じのように、中小企業を含めて、管理職や裁量労働制で働く方々の労働時間も把握することが義務づけられるようになりました。こういった労働者の労働実態を行政としてしっかり把握するということが、これからもっと、より一層求められていくようになると思います。

 今おっしゃっていただいたような支援センターの設置あるいは情報提供はしっかり行っていただいた上で、こういった取組の成果がどの程度上がっているのか、しっかりPDCAを回していただきたい、これがお願いであります。

 では、続いて、ちょっと視点を変えまして、特別条項の対象となる新技術、新商品等研究開発業務というものについて、少し御質問させていただきたいと思います。

 これは、いわゆる研究開発業務、新商品開発業務に携わる方々の場合は、決まった時間に決まった成果が必ずしも上げられないだろう、比較的、中長期的な視点で取り組まなければいけない職種であることから、残業時間に対する規制もこれまで緩められてきていました。

 ただ、最近の産業の現場を見ますと、新商品開発、研究開発、非常に対象となる範囲が広まっているように思うんです。例えば、私が以前見た職場では、製造ラインがある工場の中にいる設計の方々というのは、この特別条項の対象ではなく、残業時間にしっかり規制が設けられていた環境で働いていました。一方、同じような仕事をしている、隣は研究所でしたので、そこでは、同じような業務内容をやっているにもかかわらず、特別条項の対象になって、実際には残業時間が青天井であった、そんな実態もございます。

 そこで、改めて、この新技術、新商品等研究開発業務の定義について伺えますでしょうか。

上野大臣政務官 今、新技術、新商品等の研究開発業務の定義というお尋ねでありました。

 昨年十二月二十八日に通達を出しておりまして、その中で、「専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務をいい、既存の商品やサービスにとどまるものや、商品を専ら製造する業務などはここに含まれない」としたところであります。

浅野分科員 今言っていただいた定義、やはり、改めて聞いてみても非常に広いんですね。

 例えば、最近ですと、スマートフォンとかいろいろなIT端末が普及をしてきまして、そこにアプリがいっぱいつくられています。その数は、何百万、何千万というオーダーだと思うんですけれども、こういったものも、新商品、新技術と主張されればそうみなさざるを得ないような現状がありまして、これから研究開発と名のつく職種につく方々の人数というのはどんどんふえていくだろうというふうに見通されております。

 こうした中で、余り曖昧な線引きのままこの定義で運用していくと、今後、この制度が逆に悪用されるリスクもふえていく懸念もありますので、今すぐにというわけではありませんけれども、新商品、新技術を開発する業務の範囲というのをぜひ政府の中でも御議論をいただいて、悪用されないように対応をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、続きまして、高齢者雇用の質問をさせていただきます。

 高齢者雇用、現在、少子高齢化時代になりまして、六十歳を過ぎても、六十五歳までの継続雇用は進んでおりますけれども、更にその先の雇用を求める方もふえております。ただ、現状、六十歳を境に六十歳以降の賃金水準ががくんと下がる、そんな労働慣行もございまして、その減った分を補填する制度として高齢者雇用継続給付制度というのがあると認識をしております。

 しかし、きょう質問したい意図としては、昨年の働き方改革関連法の中で同一労働同一賃金というものも議論がされました。年齢や性別、立場によらずに、同じ仕事をした場合は同じ賃金を支給すべきだということでありますけれども、こういう制度が議論されている一方で、年齢という条件だけで賃金ががくんと下がってしまう、そんな現実もございます。ここから脱却できない要因の一つに、こういう継続給付制度の存在があるのではないかという声も聞かれております。

 そこで、改めて、この制度の意義、そして、これから同一労働同一賃金も出てきます、こういう少子高齢化の時代を念頭に置いた場合、今後のあり方についてどう考えているのか、御答弁を求めます。

上野大臣政務官 ただいまお尋ねの高年齢雇用継続給付についてであります。

 まず、賃金が六十歳時点に比べて一定程度以上低下するような場合には、高齢者の働き続ける意欲の減退や、それによる基本手当、失業手当や年金などの受給の安易な選択を招きかねないこと、また、これを放置すれば更に深刻な保険事故である失業に結びつきかねないことを勘案し、このような賃金の低下を失業に準じた保険事故と捉え、雇用保険給付を行うこととしたものであります。

 この高年齢雇用継続給付の支給実績としては、平成二十九年度で、初回受給者数が約十七万人、支給金額で約千七百四十五億円となっているところであります。

 この高年齢雇用継続給付のあり方については、これまでも労働政策審議会の雇用保険部会で累次に取り上げられてきたところであり、平成二十九年改正の雇用保険部会報告でも、引き続き中長期的な観点から議論していくべきであるとされているところであります。

浅野分科員 これから高齢者の方々も働く方々の比率がふえていく中で、やはり、一千七百四十五億円というのが一年に支払われているということでありますけれども、それを国が負担をするのか、それとも、職場の賃金水準をしっかり改善して民間の中でこれを対応していただくのか、これは政府として大きな方針の違いにつながるとは思うんですけれども、ぜひその部分も意識をしていただきながら議論を深めていただきたいと思います。

 それでは、この高齢者雇用について大臣にお伺いしますけれども、改めて今、国としても高齢者雇用に対するさまざまな施策を検討していると思います。その全体像について御答弁を求めたいんですが、今の件に関しても、もし大臣の御見解がありましたら、よろしくお願いいたします。

根本国務大臣 少子高齢化、人口減少が進む中で、我が国の成長力を確保するためにも、働く意欲がある高齢者が年齢にかかわりなく活躍できる社会を実現すること、これは本当に重要だと思っております。政府としては、六十五歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けて、今、環境整備を推進しております。

 厚生労働省としては、六十五歳を超える継続雇用年齢の延長や定年年齢の引上げに取り組む企業の支援などを行っております。そして、昨年の秋以降、政府では、未来投資会議において、七十歳までの就業機会の確保について検討しております。

 昨年十一月に取りまとめた経済政策の方向性に関する中間整理、これでは、六十五歳以上への継続雇用年齢の引上げについて、これまでの六十五歳までと異なって、それぞれの高齢者の希望、特性に応じた活躍のために、とり得る選択肢を広げる必要があるという方向性を提示しております。

 七十歳までの就業機会の確保については、六十五歳を超える高齢者の働き方に対する本人の希望や健康状態が多様でありますから、この多様な状況を踏まえる必要があると思っております。従来の仕組みだけではなくて、複数の働き方のメニューを用意し、労使の話合いの上で個人が選択できるものとなるよう、しっかりと検討してまいりたいと思います。

 今委員の、高齢者雇用継続給付のあり方についても、先ほど政務官から答弁いたしましたが、これは中長期的な課題として議論もしておりますが、それらも含めて我々検討していきたいと思っております。

 そして、昨年の十月に、私を本部長として立ち上げた二〇四〇年を展望した社会保障・働き方改革本部のテーマの一つとして高齢者雇用を設定し、さらなる高齢者の就業機会の確保について検討を進めているところであります。

 今後とも、働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮できるように、高齢者が働きやすい環境整備にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

浅野分科員 今、少子超高齢化時代と言われておりまして、高齢者の方々の就労機会の確保、労働環境の改善は大事だと思います。また、それは最終的には社会保険料の支出の削減にもつながる話だというふうに思っています。

 今、何回も大臣は耳にされていると思いますけれども、六十五歳以上の方を何人で支えるんだという話になったときに、一九九〇年は五・一人で一人の高齢者を支えていた。それが二〇一〇年には二・五人になった。これからその人数はどんどん減るということで、これは喫緊の課題だと皆さんが認識をされていると思いますが、ちょっと視点を変えてみますと、働いていない人一人を働いている人何人で支えているかというふうに分母と分子をちょっと考えてみますと、実はこの比率というのは、ここ数十年、一貫して、一前後なんだそうですね。

 なので、働ける能力のある人に働いてもらえれば、支える側の人数がどんどんふえていって支えられる側の人数がどんどん減っていくということで、社会保障の視点からいっても非常に価値のある取組であろうというふうに思っております。ぜひ、社会保障の問題への対応という観点からも、この問題にしっかりと取り組んでいただくことをお願い申し上げます。

 最後の質問に移らせていただきますけれども、幼児教育の無償化について、大臣に御質問をさせていただきます。

 ことしの十月から幼児教育の無償化というのが全国でスタートいたします。五年の経過措置もありまして、認可外保育ほか、一部の認可がおりていない施設についてもこの対象となるということでございますけれども、その一方で、安全対策、これは本当にやらなければいけないと思っております。

 私も、小学校、小さな子供がおりますけれども、更に小さなお子さんを持っている親御さんとしては、子供を預ける施設の安全対策をしっかりしてほしい、これは当然の思いでありますので、この安全対策をどう図っていくのか、最後に大臣の御答弁を求めます。

根本国務大臣 認可外保育施設は、待機児童問題によって、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方がいることから、今回、幼児教育の無償化に当たっては、代替的な措置として、幼児教育の無償化の対象といたしました。

 今委員がお話しのように、これは、原則、都道府県などに届出を行って、国が定める認可外保育施設の指導監督基準を満たすことが必要ですが、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たすために、五年間の猶予期間を設けることとしました。

 そして、今般の無償化を契機に、認可外保育施設の質の確保、向上を図ることが重要ですから、このため、児童福祉法に基づく都道府県などの指導監督の充実を図っていきたいと思っております。

 具体的には、認可外保育施設が守るべき基準の内容についての助言などを行う巡回支援指導員の配置の拡充や、指導監督の手法、ルールの明確化等による、現行の児童福祉法に基づく都道府県による指導監督の徹底、あるいは、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たして、更に認可施設に移行するための運営費の補助の支援、こういう取組を行うこととしております。

 さらに、待機児童の状況などが地域によって大きく異なりますので、これを踏まえて、市町村が地域の実情に応じて柔軟な運用ができるように、今回の法案では、市町村が保育の需給状況等を勘案して、条例によって対象施設の範囲を定めることを可能とする仕組みを盛り込みました。

 子供たちの保育環境の安全確保の観点から、PDCAサイクルを行うための幼児教育無償化に関する協議の場、これを設けまして、この協議の場で、認可外保育施設の質の確保、向上を始めとするさまざまな課題の検討を続けながら、十月からの幼児教育無償化の円滑な施行に向けて検討を進めてまいりますが、要は、保育環境の安全確保の観点から、我々もしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

浅野分科員 ありがとうございました。終わります。

後藤主査 これにて浅野哲君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山分科員 国民民主党の衆議院議員、小宮山泰子でございます。

 きょうは、厚生労働大臣に対して多くは質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、質問に入る前に、委員長、今回、私も六期議員をさせていただく中で、この予算委員会の分科会が朝の八時から夜の八時まで組まれている、十二時間コースというのは正直言って、特にここ第五分科会においては、働き方を多く議論しているところにおいて、一時間の休憩があるとはいえ、やはり尋常な状態ではないと思います。これの準備も、もちろん各官僚の方々や関係の方々は、夜中、場合によっては朝まで徹してその調整もされた。

 特に、私自身が当選した間もなくというか、この間、ほとんどは二日間は日程をとっていました。しかし、それも今やらずに一気呵成としてやるようになってしまう。これでは充実した審議というものにもならないでしょうし、また、ここ分科会というのはもともとは、やはり地域のこととか、ふだん委員会の中ではやはり天下国家を語るのが国会でもありますので、そこを中心にやる部分、できなかったことをやるという意味においては大変貴重な場であって、そこの時間というのは、三十年ぐらい前であれば場合によっては最大四日とっていたというのがこの分科会であります。

 こういった質問の機会を減らすがために、結局、自民党の若手議員さんが俺たちにも質問させろというようなことが、案分なんですから、予算委員会のこの分科会をちゃんと、若しくは決算委員会の分科会もとることが何よりもやはり国会の活性化であり、議員の質の向上につながるんだと思っております。

 ぜひ、委員長には、この点に関しまして御検討と提言をしていただきたいと思います。委員長、いかがでしょうか。

後藤主査 予算委員会の理事会の決定事項でございます。今の御発言については、予算委員長にはお伝えをする、理事会にはお伝えをしたいと思います。

小宮山分科員 お願いいたします。

 あと、各党、ぜひ皆さん方、持ち帰っていただき、やはり最低二日間をやることによって、審議の充実、そして国の予算に対しての審議がもっと深まることを心から願っております。

 この点に関しましては、委員長のイニシアチブ、また熱意をぜひこれからも注視していきたいと思います。

 それでは、質問の内容に入らせていただきます。

 まず、本年四月から、入国管理法改正におきまして、外国人労働者の受入れの拡大がスタートいたします。

 少子高齢化、人手不足のさまざまな現場からは、外国人が国内で働くこと自体は私たち国民民主党としても理解をしておりますが、技能実習生制度、この実習生という言葉、このもとにおいて、この制度を隠れみのにして、過酷な労働環境の現実を十分検証することなく受入れ拡大、実質移民制度へと移行するのは、さまざまな面から粗雑であり、また、受け入れる地方自治体、現場への負担を押しつけることになると危惧をしております。

 また、日本語というのは、ほかの国で母国語として使用されておりません。汎用性のない言語とも言えます。労働力の担い手として訪日する方は、技能の習得、また地域での生活、いずれも日本語能力の習得が避けて通れません。

 厚生労働省では、外国人就労・定着支援研修事業に取り組んでいらっしゃいます。これは、二〇一四年までは日系人就労準備研修として実施を重ねてきた事業であり、二〇一五年度から名称を改めて現在に至っております。この外国人就労・定着支援研修事業の目的、実施人数規模について簡潔に御説明ください。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人就労・定着支援研修事業は、身分に基づく在留資格で日本に在住する外国人の方々の就職や安定雇用の促進を目的といたしまして、平成二十七年度より、先ほど先生御指摘になりました、前身となる日系人就労準備研修事業を引き継ぐ形で実施をしているものでございます。

 具体的には、日本語コミュニケーション能力の向上、ビジネスマナーの習得、我が国の労働法令、雇用慣行、労働・社会保険制度などに関します知識の習得などに関する講義や実習を行っているところでございます。

 平成三十年度の事業といたしましては、全国十七の都府県、九十二の都市におきまして、二百五十二コース、四千二百五十名の受講者数を計画しているところでございます。

小宮山分科員 二百以上を今やっているとおっしゃいましたけれども、これまでどのような機関が日本語教育の事業を落札したのか、また、受講者の語学習得の実績、その習熟度の確認の有無、方法、受講者の修了後の進路、日本に定着と就職につながったか、その点に関して把握されていることを教えてください。

土屋政府参考人 これまで、本事業につきましては、留学生の受入事業や国際交流などを行っている一般財団法人や、日本語学校などを行っている学校法人が落札をしていただいているところでございます。

 本事業につきましては、受講者の日本語能力レベルなどに応じた複数の研修コースを設定しているところでございますが、それぞれのコースごとに学習到達目標を定めておりまして、研修終了時に能力評価を実施することによって受講者の学習到達度の確認を行っているところでございます。

 平成二十九年度の実績について申し上げれば、受講者四千二百二十一名のうち二千九百七十六名、約七〇%の方が学習到達目標に達しているということで修了された状況でございます。

 また、平成二十九年度における修了者二千九百七十六名のうち、コース修了時点において就職をされていた方というのは一千二百七十四名で、四二・八%となっているところでございます。

小宮山分科員 それでは、まず、日本語学校、日本語教育の専門家の定義、また、現在、日本語を母国語としない方々への日本語教育機関の種類、学校数、資格者の人数などを教えていただければと思います。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、日本語学校についてでございますが、日本語学校についての定義は特にございません。

 日本語教育を行っている機関の種類についてのお尋ねでございますが、日本語教育を行っている機関の形態はさまざまでございまして、例えば、大学等や専門学校、留学生の受入れを行うことができる日本語教育機関については法務省告示の日本語教育機関、生活者としての外国人については自治体等が設置した国際交流協会やNPO法人等が開催している日本語教室、技能実習生や研修生については受入機関、企業において日本語教育を含めた研修などがあると認識してございます。

 文化庁の実施しております日本語教育実態調査によれば、平成二十九年十一月一日現在の日本語教育実施機関、施設等の数は二千百九となってございます。

 また、日本語教育の専門家につきましても、特に定義はございません。

 なお、文化審議会国語分科会の平成三十年三月二日付、「日本語教育人材の養成・研修の在り方について」の報告においては、専門家としての日本語教師には、言語教育者として必要とされる学習者に対する実践的なコミュニケーション能力を有していること、日本語教育に関する専門性とその社会的意義についての自覚と情熱を有し、常に学び続ける態度を有していること等の資質、能力が求められていると示されております。

 文化庁の実施しております日本語教育実態調査によれば、平成二十九年十一月一日現在、日本語教育実施機関、施設等で日本語を教えている者は三万九千五百八十八人であり、そのうちボランティアの二万二千六百四十人を除いた一万六千九百四十八人が、いわゆる専門家としての日本語教師の数であると考えてございます。

小宮山分科員 そうなんですよね。日本語教育というのですと、主管となるのは文化庁であり、基準というのは法務省がつくっているということでありまして、ある意味、厚生労働省がやるというのは非常に異例なところなんだと思います。

 私の伺うところでは、基本的には、団体というのがやっているところは大変少ない、多くても二団体ぐらいが、厚生労働省の所管で日本語教育、日本語コミュニケーション教育と言うのかもしれませんが、やっていらっしゃるということでもあります。

 それでは、この事業に対し、二つあります。一つは、前身であります日系人就労準備研修への入札に参加した者の数の推移について伺いたいのと、あわせて、入札参加者数のこれまでの推移をどのように捉えているのかということ、この数が少ないというのも後でまた指摘させていただきますけれども、この推移について、まず御説明を厚生労働省からお願いします。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人就労・定着支援研修事業の入札に関する応札者の数は、事業開始の平成二十七年度以来、平成二十七年度は二者、二十九年度が二者、三十年度が三者、三十一年度が一者となっているところでございます。なお、平成二十七年度は複数年契約で事業を実施したために、二十八年度には入札を実施していないということでございます。

 また、前身の事業でございます日系人就労準備研修事業につきましては、平成二十一年度から二十六年度まで実施をしてまいりましたけれども、この間、その入札に関する応札者の数は、各年度とも一者となっていたものでございます。

 こういった応札状況につきまして、私どもとしては、本事業、これまで一般競争入札によって調達をしてきたところでございますけれども、入札に関する応札者数というのは少数となっているというふうに考えておりまして、調達を実施するに当たっては、できるだけ多くの事業者に参加してもらうことが、質の高い事業実施を担保する上で望ましいものと考えているところでございます。

小宮山分科員 そうですよね。競争入札という形で今はまた再度実施をされているということでありますけれども、平成三十一年度は一者、その前が二者という数でありますから、この一者と言われるところは、実は前の事業からも同じ団体がずっとやられているかと思います。

 そして、多くの方々に入札に入っていただきたいと言われながらも、現実はどうかといえば、入札の資格要件、日本語学校等を運営していないことが提示されたり、外部機関からの受託により日本語研修実績が延べ六十五万時間以上あることとか、また、日本語学校を要件から除外する、そして、過去に外国人向け日本語研修に用いるためのテキストを作成した実績を有しているとか、こういうものが急激にこの三十一年度入札には入ってきました。

 これは、実際に、日本語研修実績の六十五万時間ですか、これができるところというのは、実を言うと、人数と時間数を考えてみると、一者しか残らなくなるんですよ。これで先ほどおっしゃったのは、多くの方が入札をし、その中から優秀な、そして適切なところを選びたいと言っているのに、相当な矛盾がある入札方法に変えられてしまっています。

 大臣、これはどう思いますか。一者しかできないように、入札の一カ月ぐらい前とか要件を出したときに、要件が変わっている。実を言うと、二年間やったことがないと、まずもって入札もすることもできない。また、入札してからテキストをつくるということはあり得ないですし、これまでもさまざまやっています。先ほど文化庁の方からありましたけれども、日本語教育の実績というのは、日本はいろいろあります。二千社以上が実際は日本語教育をやっている。そういう中において、すぐれたテキストはあるはずなのに、なぜ応用ができないのか。その方がよっぽど、コストもかからないし、また研さんも積まれているということであります。

 一者入札に絞り込まれるような入札を所管のところでやっているというのは、どうお感じになりますか。大臣、お願いします。

根本国務大臣 私は、しっかりその事業がやれるようなところを選ぶために要件を設定しているんだと思っておりますが、詳しくは局長から答えさせます。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、外国人就労・定着支援研修事業、これは身分に基づく在留資格で日本に在留する外国人の方々の就職や安定雇用の促進ということを目的にしてやっている事業でございます。

 そういった観点から、必要な入札の要件を検討し、設定をさせていただいているという状況がございまして、また、平成三十一年度からは、日本企業に就職する外国人留学生の方々の職場定着を促進するための新しいコースとして、外国人留学生等定着支援コースを設けることにもいたしておりまして、この関係もあって、日本語学校等を運営していないことといった追加の要件もさせていただいております。

 これは、ビジネスとして日本語学校などを運営している事業者が受託した場合において、その学校の生徒と国費によって実施をする本事業の受講生とを十分に区分できずに受講管理が曖昧になるという懸念があったから設定をしたものでございます。

 いずれにいたしましても、委員からも御指摘をいただいておりますように、質の高い事業内容を担保する上では多くの事業者に入札に参加していただくということが望ましいと考えておりまして、例えば、公示期間をより長く確保するとか、仕様書を具体的にわかりやすくするというようなことなども考えられるわけでございますけれども、本事業の執行状況などを踏まえながら、多くの事業者に参加いただける方策について、今後よく検討してまいりたいというふうに考えております。

小宮山分科員 ぜひよく検討していただきたいし、門戸は広く開いていただきたい。

 先ほどもありましたけれども、既に企業が採用決定しているところが四〇%以上またここに入っているということも含めて考えると、これは本当に厚生労働省でやるべき事業なのかと思わざるを得ない。

 もともと言えばやはり日系人のためという意味で、厚生労働省でやることの意義というのは、非常に、私、本来的なものは理解いたします。でも、この事業で、先ほどもありました日本語学校という定義自体や、専門家、これは実を言うと入札の要件にも、専門家の意見を聞いたり、また、日本語学校という専門的に教えているところは排除してみたりという、要件も矛盾が多々あります。

 やはりここも見直すべきだと思いますし、外国人のための日本語学校や日本語教育に関しての内容や水準という基準がしっかり整理されていないまま各省庁で今取組が行われているというのは、やはり、文化庁で連絡会議にも厚生労働省も参加されているとは聞いておりますけれども、もっとこの点は整備をされるべきではないかというふうに思います。

 その上で、ぜひ、門戸を開くならきちんと開き、そして、日本に入ってくる労働者の方々、そういった方々のためになるように、やはり、門戸を開くだけではない、きちんと入札ができるフェアな競争環境というものもしっかりオープンにしてやっていただきたいと思います。

 このあたりに関しましては、ぜひ大臣、しっかりとリーダーシップをとって、適正な入札ができるように、多くの方々が日本がいいと思っていただけるような、そして効果がきちんとわかるように整備をしていただきたいと思いますが、ぜひ、大臣、お聞かせください。

根本国務大臣 今現在の考え方については、局長から答弁したとおりであります。

 日本企業に就職する外国人留学生の職場定着を促進するため、新たに外国人留学生等定着支援コースを設けることとしておりますが、要は、きちんとした質の高い事業内容を担保する、委員も御指摘されていますが、質の高い事業を担保する、これが私は何よりも大事だと思います。そして、そのために要件を設定するということだろうと思います。

 先ほど局長から答弁いたしましたように、繰り返しは避けますが、多くの事業者に参加いただける方策について、よく考えていきたいと思います。

小宮山分科員 ぜひよく考えていただきたいと思います。

 質の高い定着をするためといいながら、これは後で追っかけているのはたしか三カ月、長くても半年までしか、三カ月でしたかね、それが最後のチェックになっておりますので、三カ月や一年未満で定着とは言わないんだと思います。

 やはり、この点も含めて、大臣、ちゃんとチェックをしていただくということでよろしいでしょうか。

根本国務大臣 よく検討していきたいと思います。

小宮山分科員 行政用語の検討というのは余り信用してはいけないと、議員になったときに市役所の方に言われましたけれども、しっかりと大臣のことを信用したいと思いますので、やっていただくこと、また、その間に関しての報告をいただけることをお願いしたいと思います。

 それでは、手すり先行工法の義務化について質疑をさせていただきたいと思います。

 平成二十九年三月、建設職人基本法、正式名称は建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律が施行されました。私も、この議員立法の成立に対しかかわらせていただきまして、また、この法律に基づいて基本計画が閣議決定もされております。

 基本計画の第三の2の(2)「墜落・転落災害防止対策の充実強化」に規定されているとおり、公共工事だけでなく民間も含めて、全ての建設工事について建設従事者の安全及び健康の確保を図ることがひとしく重要であり、建設職人基本法の官民格差の是正、幅広い方策の実現に向けるためには、官民同じ土俵に立った制度、対策を早期に確立、強化することが喫緊の課題であります。

 墜落、転落災害防止の対策の一つであります手すり先行工法については、平成十五年四月に「手すり先行工法に関するガイドラインの策定について」の施行後、その普及率は全体として相当上がっている現状とはいいますが、民間の普及率は全体に低い水準で推移しております。

 発注別で見ますと、国発注の工事は八一・一%、地方公共団体発注工事は六七・五%採用されていますが、民間工事では、平成二十一年度一六・六%から平成二十九年度では三四・五%と、公共工事から見れば低い水準となっております。

 手すり先行工法は、参議院国土交通委員会において、国の直轄工事では、同工法を採用した現場において足場からの墜落による死亡事故はなかった旨の国会答弁があり、建設職人基本法の目指す建設工事従事者の安全、健康確保にとって有効な工法であるということは明らかでもあります。

 昨年、参議院予算委員会においても、大臣においても同じような答弁があったかと思いますが、この手すり先行工法について、有効性があるという認識というのは変わりはないのか、確認をさせていただきたいと思います。

根本国務大臣 手すり先行工法、これは、手すり先行工法によって足場を組み立てることは、墜落、転落災害の防止を図る上で有効な手法の一つであると考えております。

 昨年十一月に私が手すり先行工法について一定の有効性がある旨の答弁をしたことについては、現在でもこの認識には変わりはありません。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 マンションなどでは、築後一定期間の後に大規模改修工事が行われることとなりますけれども、改修工事や改築工事などにおいての足場費用の場合は、やはりそこそこ負担がかかっていく、そんなことも、民間の事業者の中においてこの手すり先行工法というものが進まない、その一端になっているのではないかと思うこともございます。

 しかし、近年を見ても、おおむね三百人ほどの方が建設現場で転落事故で命を失っております。つまりは、おおむね一日当たり一人近く亡くなっておりまして、以前より減っているという指摘も確かにありますけれども、年間で三百人という、ある意味高どまりをした状態が続いております。

 今後、根本的かつ実効性のある対策を更に講じていくためにも、足場の組立て時等における手すり先行工法の採用について、労働安全衛生規則において義務化すべきではないかと考えておりますけれども、大臣の御見解をお聞かせください。

根本国務大臣 この点については、現在、建設業における墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合、この実務者会合において、手すり先行工法の義務化の是非も含め検討を行っております。

 本会合の内容を紹介しますと、本会合では、手すり先行工法を義務化すべきとの意見がある一方で、実際の現場でやっておられる皆さん、あるいは学識者等々に参加してやっていただいていますが、その中で、義務化には慎重な意見も多いと報告を受けております。

 本会合での御議論を踏まえて、建設現場で働く労働者の方々の墜落、転落災害の防止、これについては推進してまいりたいと思っております。

小宮山分科員 先生、やはり建設官僚らしく、前進をしていきたいと。これの方が行政用語としてはうれしい回答ではありますけれども。

 私自身がなぜこの手すり先行工法の義務化が必要と考えているかといえば、まずは、技術的に不可能な場合など、適用除外規定を設けることができると考えていますし、また、義務化でなければ、手すり先行工法を採用する場合と不採用の場合とで価格競争面で差が生じまして、よりよい安全な工事を施工している者が不利となる危険があるということ、そして、これまで十数年来、通達による指導が行われてきましたけれども、死亡事故件数も、先ほどお伝えしたように高どまりをしている現状を考えれば、やはり義務化をすることによって安全確保というのを最重点に置くべきではないかと考えるからでもあります。

 少子高齢化、働き手不足の中で、建設現場の職人として入ってくる若者も減少しております。今、高齢化がこの建設現場にも現実として起こっております。人材不足解消は喫緊の課題であります。先ほどもありましたけれども、外国人労働者に依存をしても、条件の悪さや安全が確保されないままの現状では、日本人も選びもしない業種は当然、外国人労働者からも選ばれなくなると危惧をしております。

 今後の建設業を支えていく人員確保、これは災害時などにおいても絶対に必要な業種でもありますが、不安があったり、現状は人手不足の負の連鎖に陥っております。労働者側に立ち、作業時の安全向上、安全経費確保、仕事の安定性などが解消されることが、日本の建設業と建設職人の人手不足の負の連鎖からの離脱につながると捉えております。

 建設業は危険な業種と言われております。人手不足が懸念されることから、持続可能な業種とするためには、安全を重視した施策を実施していくことが必要だと考えております。この安全を守るために、大臣の御見解をぜひ最後にお聞かせいただければと思います。

根本国務大臣 働く方々の一人一人がかけがえのない存在であって、それぞれの事業場において一人の被災者も出さない、我々厚生労働省においては、こういう基本理念のもとに労働災害の防止に取り組んでいます。

 建設業における労働災害、これは中長期的には減少しておりますが、死亡者数を業種別に見ると、建設業が全体の約三分の一を占めている状況にあります。

 建設現場における労働災害、これは本来あってはならないものだと思っております。労働安全衛生関係法令の遵守の徹底、これはもとよりでありますが、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画に基づく施策を着実に推進し、建設業における労働災害の防止を推進してまいりたいと考えています。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、労働災害の防止をする。しかし、やはり下請の方が、多くは孫請、ひ孫と言われるような方たちが支えている。この方たちに対しては、元請の方に対しての、本来いただけるはずの安全経費も今取り切れていないというのも現実にあるかと思います。

 これは、競争をする、先ほど公正な入札制度をと言ったのは、やはり現実の民間事業ではそういったところに、皆さん、心血を注ぎ、そして自分の仕事にプライドを持ち、頑張っていらっしゃるんです。これを守るのは、やはり労働行政を担う厚生労働省がきちんとその方々に対しての支援をするということをぜひお願いしたいと思います。

 本日、内閣府からも、保育士のことで来ていただいておりますけれども、時間の関係で質問できなかったこと、申しわけなく思っておりますが、これからも、しっかりと子育て環境、またさまざまなところで質疑をさせていただければと思っております。

 ということで、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤主査 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串(博)分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、委員長、今の状況って、この委員会、定足を満たしているんでしたっけ。

後藤主査 満たしています。

大串(博)分科員 三人いれば大丈夫だっけ。

後藤主査 はい。

大串(博)分科員 はい、わかりました。

 ぜひ、午後に向けてもしっかりやっていただきたいと思います。

 それで、質問通告しておりますので、それに沿って質問しますので、的確にお答えください。

 まず第一に、九月十四日朝に、手計補佐に修正の指示をしたと姉崎氏は言っていますけれども、どういった経緯だったか。会議等を行って指示したのか、個別に直接手計氏に指示をしたのか。メールか電話か、具体的な経緯、対応の詳細いかん、それを裏づける資料があるか、あれば示してください。どうぞ。

藤澤政府参考人 お尋ねの九月十四日の朝の件でございますけれども、まず、当時の担当部長が担当補佐に指示をした経緯につきまして、これは、まず元統計情報部長に確認をしております。

 元統計情報部長が申しますには、記憶が定かでないが、私、これは元部長のことでございますけれども、私が覚えている限りでは、十一日金曜日か十四日月曜日の午前中に修文案の指示をしたように思うが、当時、情報セキュリティーの事案で多忙をきわめる中で、なかなか担当者と打合せをする時間もとれなかったこと等から考えると、恐らく口頭で担当補佐に個別に直接指示をしたのではないかとのことでございました。

 また、今度は担当補佐に確認をいたしましたところ、四年前のことであり、記憶が定かでないが、口頭で私、私というのは担当補佐のことでございますけれども、私に直接指示があったのではないかとのことでございました。それで、指示があった日付でございますけれども、もし十一日金曜日に指示があれば土日に作業していると思われるので、恐らく十四日月曜日の朝だと思うとのことでございました。

 なお、議員の御質問は資料があるかというお尋ねもあったと思いますが、以上のことを具体的に裏づける資料は見つかってございません。

大串(博)分科員 姉崎氏は、恐らく口頭ではないかということですけれども、ぱっと思いついて、いかぬ、いかぬ、あのことを指示しておかなきゃと思って、誰とも打合せをせず単独で、ぱっと思いついて、ある日思いついて、十一日とかにぱっと思いついて補佐に指示したのか。課長とか、そのほかの人を全く介在せずに、直接口頭で、電話かな、そうすると、呼び出したのかな、ぱっと思いついて指示したんですか。

藤澤政府参考人 今ほども申し上げましたけれども、元統計情報部長には確認をしてございますけれども、そもそも記憶が定かでないというふうに元統計情報部長は申し上げておりますけれども、覚えている限りでは、十一日の金曜日か十四日の月曜日の午前中に修文案の指示をしたように思うが、当時、情報セキュリティーの事案で多忙をきわめる中で、なかなか担当者と打合せをする時間もとれなかったこと等から考えると、恐らく口頭で担当補佐に個別に直接指示をしたのではないかとのことでございまして、当時、情報セキュリティーの事案で多忙をきわめる中で、なかなか担当者と打ち合わせる時間もとれなかったというふうに申しているところでございます。

大串(博)分科員 はい、わかりました。

 次に、手計補佐は、十四日の朝に修正の指示を受けていましたけれども、なぜその修正が午後十時三十三分と遅くなったのか。

藤澤政府参考人 十四日の朝に修正の指示を受けて、その修正が反映されたのが午後十時三十三分ということでございますけれども、これは、検討会の報告に関する当時の電子ファイルを確認をいたしましたところ、これまでも申し上げておりますように、九月の十四日の時点のファイルにつきましては、十四時〇一分の時点のものと二十二時三十三分の時点のものとが確認をされているところでございます。

 それで、姉崎当時の担当部長からの指示を踏まえて、部分入れかえ方式に移行してもギャップの補正が必要になるのであれば当該方式を採用する合理性は低いとの意見もある、それからもう一つありまして、サンプルの入れかえ方法については引き続き検討することとするというふうに更新をされたのは、御指摘の二十二時三十三分の時点の方でございます。

 今の点につきまして、当時の担当補佐に確認をしてございます。

 三点ほどございますけれども、当時は、検討会以外の業務も多忙であったために、報告書案の確認依頼に対する各委員からの意見や部長の指示を受けた修正指示は断続的に実施をしており、十四時〇一分時点のファイルは主に報告書案の前半部分を修正したもので、二十二時三十三分時点のファイルは主に報告書案の後半部分とタイトルを含めて修正作業が完了したものであるが、部長の指示を踏まえた修正箇所は、報告書案の後半部分であったため、結果的に、二十二時三十三分時点のファイルにおいて反映したとのことでございました。

大串(博)分科員 そうしたら、これも通告していますけれども、藤澤さん、事実関係は私もよく知っていますから、質問にだけ答えてくださいね、時間がもったいないので。

 十四日午後二時一分にファイルの更新を行いました。その直前の更新は何日何時のものか。その更新から、十四日二時一分のファイルの更新においてどの部分がどう修正されたか。今、前半部分が修正されたというふうに言われましたけれども、それの確認の意味も含めて、十四日二時一分のファイル更新の直前の更新は何時何分であったか。教えてください。

藤澤政府参考人 御質問の九月十四日の十四時〇一分時点のファイル更新の直前に該当する更新についてのお尋ねだと思いますけれども、それは、九月八日の二十二時五十四分時点のファイルが確認をされております。

大串(博)分科員 確認したいので、主査、お取り計らいを願いたいんですけれども、その今話のあった九月八日二十二時五十四分時点のファイルと、そして十四日午後二時一分の時点のファイルと、それと十四日午後十時三十三分時点のファイル、これを時間もきちんと確認できるように、それがそれだというふうに、その時間のものだと確認できるような形でそれらのファイルを委員会に、今確認されていますから、ぜひ提出いただけないでしょうか。これは非常に重要な資料ですので、あしたまた集中審議もあるようですから、速やかに提出していただくようにお願いします。

後藤主査 ただいまの資料要求につきましては、主査から予算委員長に報告して、適切に判断させていただきます。

大串(博)分科員 ちょっと一つ戻りますけれども、九月四日と八日に補佐がメールを送付されています、座長に。これは、課内、部内でどのような議論を経てのことだったのか。独自にメールを送ったのか、メールを送ったことは、姉崎氏に事前若しくは事後も含めて情報共有しなかったのか。その経緯の詳細いかんを教えてください。

藤澤政府参考人 お尋ねのメールを送付した経緯でございますが、元統計情報部長とそれから担当補佐には確認しております。

 初めに、元統計情報部長に確認した内容を申し上げたいと思います。

 これは、記憶が定かでないが、情報セキュリティーの事案で多忙をきわめる中で、なかなか担当者と打合せをする時間がとれず、担当者が座長や委員と事務的な連絡をとる際など、その全てが、私、これは元部長でございますけれども、私が確認する体制にはなっていなかった。九月四日の阿部座長へのメールの内容については、私が担当補佐と事前に相談したことはなかったように思う。九月八日の阿部座長へのメールの内容に関して、姉崎部長の意向もありますとの一文があることについては、厚生労働省がメールを公表した後で知った。私が両論併記の修文案の指示をしたのが九月十一日か十四日だったので、このメールの八日時点では、担当者が、私が当面総入れかえ方式でいく方針に賛成していると思い、そのように書いたのではないかと思う。当時、このメールを読んだという記憶がないため、担当補佐から二つのメールの事後的な共有はなかったのではないかと思うとのことでございました。

 以上が、元部長から確認をした内容でございます。

 続きまして、また担当補佐に確認をした内容でございますけれども、四年前のことであり、記憶が定かでないが、当時、元部長も自分、これは担当補佐でございますけれども、自分も多忙な中で、座長や委員への事務的な連絡については自分に任されていると考えており、必要があれば担当課長や部下と逐次やりとりをしながら、検討会を円滑に進めようという思いで検討会委員との事務的な連絡をしていたと記憶している。

 九月四日の阿部座長へのメールは、事務的な連絡であったことから、元部長と事前に相談したことはなかったように思う。

 また、九月八日の阿部座長へのメールでは、元部長は、都道府県の事務負担、コストを考慮すれば部分入れかえ方式の導入は難しいという考えだと思っていた。このため、第二種事業所の部分入れかえ方式の記述をすれば部分入れかえ方式を重視していくと誤解されることから、あえて記述しない方がよいと考え、姉崎部長の意向もありますと書き添えて、第二種事業所に係る記述を反映しないとの判断を行った。

 四日と八日の私のメールは、いずれも事務的な内容であったことから、事後的に、事務的に元部長に共有したという記憶はないとのことでございました。

 以上が、元担当補佐から確認をした内容でございます。

大串(博)分科員 もう一つ、手計氏から阿部座長へのメールにあるCC、黒塗りされていました。この宛先の役職は何だったでしょうか。

藤澤政府参考人 担当補佐から阿部座長へのメールにありますCCの宛先の方でございますけれども、お名前は申し上げられないということは御理解をいただいていると思いますけれども、このCCにある方でございますが、当時の担当補佐が送付したメールを確認をいたしましたところ、阿部座長が勤務をする大学でスケジュール等を管理をしている事務職員でございました。

大串(博)分科員 横幕氏に関することです。

 横幕氏に確認してお答えくださいと言ってありますけれども、本件に関して、三月三十一日以降九月十四日までの間、厚労省から何がしかの報告を受けたことはあるか。それはいつか、どのような報告であったか、何をそれに対して述べたか。九月十四日にも同席していたか、同席していたのであれば中江さんはどういうふうに述べていたか。お願いします。

藤澤政府参考人 当時の官邸参事官が報告に対してどのように、何を述べたかとか、レクに同席をしていたのか、そういうお尋ねと……(大串(博)分科員「いや、渡していますから。三つ渡している」と呼ぶ)

 当時の官邸参事官に確認したところ、済みません、これは五点ございまして、ちょっと順番を振らせていただいてお答えを申し上げたいと思いますけれども。

 まず一番目が、毎月勤労統計調査の毎月の数値については、定期的に中江元総理秘書官にも情報を入れていた。以上が一点目でございます。

 二番目でございますけれども、平成二十七年三月三十一日に、毎月勤労統計調査について、当時の厚生労働省の宮野総括審議官と姉崎統計情報部長が総理秘書官を訪問し、平成二十七年一月の毎月勤労統計調査における対象事業所の総入れかえに伴い調査結果に段差を生じることなどについて説明があった際には、同席したと思う。以上が二点目でございます。

 三番目が、平成二十七年六月ごろには、検討会の設置について厚生労働省から聞いて、秘書官に報告をしたのではないかと思う。以上が三点目でございます。

 四番目でございますが、九月三日の小池晃議員の質問の関係では、恐らく総理答弁レクに同席したと思う。

 以上が四点目でございまして、五番目でございますが、五番目は、九月十四日に同年六月のボーナスの状況等について宮野総括審議官と姉崎部長が総理秘書官に説明した際も、恐らく同席したと思うとのことでございました。

 それから、御質問が、その際、当時の参事官が何か述べたかということもあったかと思いますけれども、当時の官邸参事官は、同席をしたと言っております、先ほど申し上げた二番目の三月三十一日とそれから九月三日と九月十四日に同席をしていたというふうに申し上げましたけれども、そのいずれの場でも、二番目、四番目、五番目の場で、当時の官邸参事官は、二番目、四番目、五番目の場で特段のコメントは述べていないと思うとのことでございました。

 最後でございますが、また、九月十四日のレクの際の中江総理秘書官からのコメントは覚えていないが、あったとすれば、コストの問題よりは、実態をタイムリーにあらわすという観点からは、部分入れかえという考え方もあるのではないかといった旨の話だったのではないかとのことでございました。

大串(博)分科員 九月三日の総理レクに同席したか、これは同席していたということですね、同席していたと思うですね。

 その際に、総理から何かコメントはなかったか、今井秘書官は同席していたか。この二点。

藤澤政府参考人 九月三日についてのお尋ねでございますけれども、当時の官邸参事官に確認をいたしましたところ、はっきり覚えていないが、九月三日の、これは、済みません、先ほど申し上げました九月三日の小池晃議員の質問の関係で、恐らく総理答弁レクに同席したと思うということでございました。

 今井秘書官が同席していたかどうかについては、覚えていないとのことでございました。

大串(博)分科員 わかりました。いいです。

 次に、ちょっと行ったり来たりしますけれども、特別監察委員会のことに関してお尋ねします。

 特別監察委員会、事務局機能を強めたと言われますけれども、事務局長、事務局員の方々が三人ふえられたということですけれども、この方は常勤ではないということですね。

 常勤ではなくて、この方々、具体的に週に何日ぐらい来られて、例えば具体的にどのような活動をされているんでしょうか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 事務局のメンバーは一般職の非常勤職員ということで、常駐はしていないということでございます。出勤等については、委員会が開催される日には基本的には委員会に出席し、そのほか必要に応じて厚生労働省にお越しになっていると聞いております。

 また、厚労省に来られないときでも、委員との間で日々事務局として頻繁にメールのやりとり等をされているということで、こうしたことにより、特別監察委員会の事務局としての業務を遂行されていると聞いているところでございます。

大串(博)分科員 委員会の日には来られている、その他の日、必要に応じて厚労省に来られているということですけれども、特に例えば事務局長、名取さん、何日に何時間ぐらい来られているんですか。

定塚政府参考人 済みません。今の問いについては御通告なかったと思いますので……(大串(博)分科員「詳しく聞きますからというふうに言っていますからね」と呼ぶ)はい。何日ということまでは調べておりません。

大串(博)分科員 通告はしているんですよ。今のことを知って、かなり詳しく聞くからと。かなり詳しく聞くからというふうに言っているんですね。

 どのように具体的に事務局長なりが事務局機能を強めたかということに関して聞きます、かつ、答えによって、更問いに更問いを重ね、細かなる細かなる、細かく聞きますからと私言っているんです。だから、当然、必要に応じて、そのあたり、厚労省に来ているというのであれば、どのくらい来ているかということを。局長の前でそんなことを言ったら倒れるでしょう、すぐ。そういうことなんです。

 これに関しては、調べて、ぜひ私に、この委員会とは関係なく質問レクをしていた案件なので、調べればわかると思いますので、きょうじゅうにでも私に教えてもらえますか。

定塚政府参考人 御本人の出勤のことですので、御本人とも相談をしなくてはならないと思います。相談をした上で、対応を判断したいと思います。

大串(博)分科員 どうぞ、御本人が自分の第三者性を立証することに対して後ろ向きだと私は思いませんけれども、ぜひ相談した上で答えていただければというふうに思います。

 ベンチマーク更新のことに関してです。ベンチマーク更新の遡及改定なしに関して。これは政府統一見解に関しては、一旦、予算委員会で差戻しして、また検討してもらっている状況だと思います。

 それで、私の質問は、厚労省の中で、これは諮問に入っていない、明示的には諮問に入っていない形で遡及改定なしのベンチマーク更新が行われているわけですけれども、厚労省内では、いつ、誰が、どういう議論の中で、どういう判断の中で、諮問に入れずに遡及改定なしのベンチマーク更新を行うということになったのか、教えてください。

藤澤政府参考人 御指摘の統計委員会の諮問に至る経緯でございますけれども、毎月勤労統計では、二、三年に一回のサンプルの総入れかえに加えて、経済構造の変化を反映するためのウエート、ベンチマーク更新を行ってきております。そのために、新旧の数値にギャップ、断層が生じてきておりました。その際、過去の統計数値をさかのぼって補正する取扱いをしていたため、かねてより利用者にとってわかりにくい等の問題がございました。

 こうした問題意識のもと、厚生労働省として、平成二十七年に毎月勤労統計の改善に関する検討会を開催をして、サンプル入れかえや、ウエート、ベンチマーク更新の方法について議論を行い、その後、統計委員会に検討の場が移っております。

 統計委員会では利用者のニーズ等の観点から議論が進められてきましたが、平成二十八年六月から九月に行われた統計委員会の新旧データ接続検討ワーキンググループでは、標本交代による新旧ギャップへの対応として、過去の値を補正することなく、新旧の計数をそのまま接続する等の考え方が示されたところでございます。

 厚生労働省としましては、こうした統計委員会の議論の経過や考え方も踏まえつつ、ウエート、ベンチマーク更新を含めて、過去の数値の遡及改定を行わないこととしたものでございます。

 今申し上げましたような考え方を前提として、平成二十八年十月に、厚生労働大臣から総務大臣に対し、毎月勤労統計調査の変更申請が行われております。なお、この申請につきましては、政策統括官の専決事項による文書の決裁が行われております。

大串(博)分科員 内部の議論でやったということですね。はい、わかりました。

 次にお尋ねしますけれども、追加給付のところに関して、今、統計委員会との関係で、二〇〇四年から二〇一一年に関して、統計委員会も認めるような形での数字をつくりなさいと言われていらっしゃって、それに対して、藤澤さん、誠実に対応するというふうに言われましたね、統計委員会の場で。そうやって二〇〇四年から二〇一一年の数値がつくられていくんだと思いますけれども、追加給付に関しては、給付のための推計値を使うのか、それとも、今後、藤澤さんが誠実に対応しますというふうに統計委員会に約束した、新しい何がしかの数字を使うのか。どちらですか。

藤澤政府参考人 二月の二十日の統計委員会の御提案、御指摘のとおりでございまして、基幹統計の継続性の観点から復元又は推計に努力すべき、そういう御提案をいただいて、真摯に受けとめさせていただいているところでございます。今後、こうした方法によって復元が可能かどうかといった点も含めて検討をしていくこととなります。

 それで、厚生労働省といたしましては、国民の不利益をできる限り速やかに解消していく観点から、給付のための推計値に基づき、国民の方々にもお約束をしております、現在予定しております工程表に沿って追加給付を行うことが最優先ではないかと考えているところでございます。

大串(博)分科員 確認ですけれども、二〇〇四年―二〇一一年に関して、統計委員会も後々認めてもらえるような数字をつくっていくことに関しては誠実に対応すると。それはやられるんですね。やられるのではないかと。検討すると言われたので検討されるんでしょう。

 にもかかわらず、給付に関しては給付の推計値を使うということを今決めているということでよろしいですか。

藤澤政府参考人 給付のための推計値でございますけれども、追加給付のための算定基礎として合理性があるものと考えております。

 これは繰り返しになりますけれども、国民の不利益をできる限り速やかに解消していく観点から、給付のための推計値に基づき、国民の方々にお約束をしました、現在予定している工程表に沿って追加給付を行うことが最優先ではないかと考えているところでございます。

大串(博)分科員 わかりました。

 一点、ちょっと戻りますけれども、特別監察委員会ですけれども、報告書が出る出ないという話になっていますけれども、今回、この報告書のドラフトは誰が書いたんでしょうか。事務局長を含む事務局の人が書いたのか。書いたとすると、どのような手続で彼らが書かれて、どのように意思決定をしていこうとされているのか。ドラフトの作成経緯に関する説明をお願いします。

定塚政府参考人 現在作成中の特別監察委員会の報告書のドラフトということでございますが、これは、どのように作成しているのか、私どもも承知をしておりません。

 ただ、いずれにしても、厚生労働省職員が作成にかかわっているということはないと承知しております。

大串(博)分科員 わかりました。

 では、先ほどの、事務局長さんを含めた方々がどのくらい厚労省に来てやっていらっしゃったのかということは、ぜひきょうじゅうに教えていただきたいというふうに思います。

 あと、ほかの統計への影響は、十一統計に毎月勤労統計の影響があったというふうに発表されましたけれども、この調査は一体いつから行われたんでしょうか。

藤澤政府参考人 他統計への影響等についてでございますけれども、初めに、一月の二十五日に、五党一会派から、政府・与党への要求事項というものをいただいたところでございます。厚生労働省内でお求めの対応について検討し、一月の二十九日に、関係省庁に対して、毎月勤労統計調査の再集計に伴う影響についての確認と厚生労働省への報告の依頼を行っております。

 その後、一月の三十一日に、五党一会派から、影響が及ぶ経済指標や統計指標のお求めがあったこと等も踏まえて、厚生労働省として対応したものでございます。

大串(博)分科員 終わりますけれども、委員長、お願いします。

 実は私、繰り返し、先ほど一月二十九日という日にちをもってして関係省庁に調査の依頼をしたというふうに言われていますけれども、これは多分、文書あるいはメールで指示をしていないと各省庁には行き渡らないと思うんですね。その文書なりメールなりを出してくださいということを再三、もう一カ月近く言っているんですけれども、いまだに出てきません。

 これは確認するに極めて重要な、どういう調査が行われたのか、しっかりした調査が行われたのか、極めて、確認するためには重要な書類ですので、あした集中審議もありますから、それに資するために、今言及されましたからね、即座にこの委員会に提出していただくようにお願いしますが、主査、いかがでしょうか。

後藤主査 ただいまの資料要求につきましては、予算委員会の理事会の方にも伝えておきます。

大串(博)分科員 終わります。

後藤主査 これにて大串博志君の質疑は終了いたしました。

 次に、森夏枝君。

森(夏)分科員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も、昨年に引き続き、この予算委員会第五分科会で質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 昨年は、認知症対策や健康運動士の活用等について質問をさせていただきました。

 本日は、女性活躍そして少子化対策の観点から大変重要と思われます不妊治療について質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、自治体の不妊治療の助成事業のばらつきについて伺います。

 私の周りでも、現在不妊治療を行っている方、また、不妊治療を行い子供を授かった方、また子供を持たない人生を選んだ方、さまざまな方がいらっしゃいます。

 東京都内二十三区においても、助成事業のない区があるとお聞きをしました。助成事業がある区でも、大体対象年齢が三十九歳までとなっており、四十歳から四十三歳までのところもあるようですが、回数制限があるようです。例えば、四十歳未満には六回の補助が出て、四十歳から四十三歳は三回の補助など、また、一回しか補助が出ないところや、全く出ないところもあるようです。

 また、都内だけでなく、地方に目を向けると、更に助成制度に格差があるのが現実でございます。

 助成手続も、給与の多い配偶者の方の住民票がある自治体に申請ができるとのことですが、私の知人は、御主人が地方で仕事をされており、住民票があるその自治体に問い合わせたところ、助成が全く出ない自治体だったようです。住民票のある場所によって、助成制度がなく、金銭的に厳しく、不妊治療を諦めてしまう方もいらっしゃると思います。

 自治体のこととはいえ、厚生労働省として、このような助成金の格差や基準をどのようにお考えでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 不妊に悩む方への支援は、議員御指摘のとおり、極めて重要であると考えております。患者の経済的負担の軽減を図るために、高額な治療費がかかる体外受精あるいは顕微授精につきまして、平成十六年度からその費用の一部を助成いたしております。

 現在の国の事業の内容でございますけれども、この事業は、採卵準備のための投薬開始から、卵子を取り出して体外受精又は顕微授精により精子と受精させ、受精胚を女性の体内に移植する一連の治療について助成するものでございます。また、助成額につきましては、一回につき十五万円、初回三十万円でございます。

 また、対象でございますけれども、治療期間の初日における妻の年齢が四十三歳未満の夫婦、助成回数は最大六回までというふうになっておりまして、実施主体は都道府県、指定都市、中核市でございます。

 この事業でございますけれども、この枠組みに沿いまして、都道府県、指定都市、中核市を実施主体といたしまして、全ての自治体で実施されているものと承知をいたしております。

 自治体によりましては、委員御指摘のとおり、国の基準と異なりまして、これに更に独自事業として助成額の上乗せ等を実施している自治体もあるというふうに承知をしております。これらにつきましては、各地域のニーズ等を勘案して、各自治体の判断において実施しているものというふうに考えております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 各自治体の判断ということですけれども、ばらつきがあることは事実ですので、少子化対策は国としてしっかり取り組んでいかないといけないと思いますので、助成金を配って終わりということではなくて、妊娠を望まれている方々に手厚いサポートができるよう、国としても今後ともしっかりとサポートをお願いしたいと思います。

 政府は、一億総活躍社会を目指しておられます。私は、女性も障害者も活躍できる社会、共生社会を目指すのは大変すばらしいことだと思っておりますが、子供を産むのは女性です。女性の社会進出、女性活躍と同時に、少子化対策も進めていかなければなりません。

 私は、不妊治療に対して今後手厚い支援が必要と考えますが、国として助成制度についてはどのようにお考えでしょうか。また、今年度は男性の不妊治療に係る初回の助成額を拡充しましたが、その経緯も教えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 この事業でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、平成十六年度から実施しているものでございます。

 この事業の経緯でございますけれども、十六年度に創設した際には、一年度当たり十万円を限度といたしまして、所得制限額六百五十万円というようなところでスタートいたしました。その後、さまざまな経緯を経まして、拡充をしてきております。

 最近で申し上げますと、この助成制度につきましては、平成二十八年一月から、早期の受診を促すために、出産に至る割合が高い初回治療の助成額につきまして、当時の十五万円から三十万円へ拡充いたしました。また、不妊の原因が男性にある場合に、精子回収を目的とした手術療法について最大十五万円の上乗せ、これを平成二十八年一月から拡充いたしております。

 さらに、男性の不妊治療を行う場合におきましては、夫婦ともに不妊治療費用が必要となりまして、治療費も更に高額になりますことから、委員御指摘のとおり、平成三十一年度の予算案におきましては、男性の不妊治療に係る初回の助成額を最大三十万円に増額するための予算を計上しているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、子供を持ちたいと願う夫婦への支援を推進してまいりたいというふうに考えております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 不妊治療は女性だけが行うものではありませんので、この男性の不妊治療の助成額の拡充というのは大変よいことだと思います。今後とも、国としてしっかりと支援をお願いしたいと思います。

 私も、三十七歳独身で、子供を将来持ちたいと思っております。私自身、既に高齢出産と言われる年齢ですが、私の周りには、独身で仕事を頑張っている女性、活躍している女性はたくさんおります。この不妊治療の助成制度が四十三歳までとなっていることを知らない女性も多いと思います。

 平成二十五年度の有識者検討会の報告書の医学的知見に基づいて、今回の不妊治療における助成制度の対象年齢が四十三歳となったとお聞きをしましたが、その際の知見についてお聞かせください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、平成二十五年度の有識者会議で検討いたしまして、現在の枠組みになっております。

 この平成二十五年度の有識者会議におきましては、年齢と出産率、出産リスクの関係につきましての普及啓発を推進いたしますとともに、より安心、安全な妊娠、出産に資する観点から、適切な不妊治療の支援のあり方等について検討したものでございます。

 この有識者会議の報告書の中では、妊娠と年齢の関係につきましては、例えば特定不妊治療を行った場合の生産分娩率、これは一回の治療で出産に至る確率でございますけれども、これが年齢とともに低下いたしまして、一方、流産率は年齢とともに上昇するということが指摘されております。具体的に申しますと、四十歳以上では流産率が三〇%、四十三歳以上では五〇%を超えまして、分娩に至る割合につきましては五十回に一回となります。

 また、例えば妊娠高血圧症候群などの産科合併症のリスクでございますけれども、これは四十歳を超えると急激に上昇いたします。例えば、妊娠高血圧症候群につきましては、三十歳を基準といたしますと、四十歳以上で相対リスクが一・七倍超、四十三歳以上では二倍超となります。

 それからまた、周産期死亡率、これは年間の妊娠満二十二週以後の死産数と早期新生児死亡数の合計を年間の出生数で割ったものでございますけれども、周産期死亡率につきましては、三十代後半から上昇いたしまして、四十歳以上では出産千件当たり七・〇件、四十三歳以上では出産千件当たり十件を上回る、こういった医学的知見が示されたところでございます。

 一方、不妊治療の助成事業の利用状況からいたしますと、助成対象者の三割以上が四十歳以上であること、また、四十歳以上で治療を開始した場合の生産分娩率は相対的には低いわけでございますけれども、妊娠、出産に至る方もいらっしゃることなどに配慮する必要があるとの意見も出されたところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、不妊治療助成の対象年齢を四十三歳未満とする見直しを行ったところでございます。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 高齢出産のリスクがあることも理解をしておりますし、妊娠適齢期があることも理解をしておりますが、国として女性活躍を推進するのであれば、女性が活躍しながら早目に妊娠、出産に臨める環境づくりは必要かと思います。

 まだまだ全ての職場で整っているとは言えませんが、以前に比べ、育児休暇はとりやすくなってきたと思います。男女ともに、妊活休暇のようなものはこれからもっと考えていかなければならないのではないかと思います。また、高齢出産のリスクや妊娠適齢期を周知する必要もあると思っております。

 我が党も訴え続けてまいりました教育無償化も着実に実現に向かい、子供たちへの支援に関しては、少しずつではありますけれども、整いつつあると思います。今後は、まず、子供を授かりたいために全身全霊で闘い、苦悩と苦労をしている女性、また御夫婦の支援にしっかりと目を向けていただきたいと思います。

 都内で、不妊治療で有名といいますか、多くの方が診察をしていただきたいと知っている病院は、数カ所のようです。例えば、新宿区でいえばKクリニックと、皆さん、同じ病院を頼りたい、その病院で挑戦したいと思われているそうですが、人気病院のため、予約がとれない、先生の指名など全くできないそうです。そして、やっと予約がとれたとしても、職場で、不妊治療で病院に行きたいから休ませてほしいと言い出せないのが現実です。まだまだ不妊治療に対しての理解は深まっておりません。

 女性は、妊娠をすれば定期的に健診でもお休みをとりやすいかと思いますが、不妊治療で休みたいとは言えないのが現実です。これは男性も同じだと思います。

 私の周りの議員秘書さんからもお聞きをしましたが、男性議員、男性秘書の上司だと、やはり言えないそうです。定期健診や体調不良と言って数回病院に行かれたようですが、いつまでこの状態のまま通えるのか、今後どうするのか考えているそうです。

 また、御主人も、仕事を休むことへの理解と精神的な苦痛、また、先が見えない不安と、それに伴い多額の費用、何か一つでも軽減をし、治療に前向きに臨めるように環境を整える必要があるかと思います。

 不妊治療費が高く、お金の問題で諦めた方もたくさんいらっしゃるかと思います。四十三歳までしか助成金が出ないのであれば、やはりもっと周知をすべきだと思います。

 次に、卵子機能検査についてお伺いをします。

 卵子機能検査についても、女性にもっと知っていただく必要があるかと思います。女性に早くから自分の体のことを知ってもらうことは、不妊で悩む方を減らすことにつながると思います。この検査は若いうちにしておけばいいものではないことももちろん理解をしておりますが、ぜひ意識を持っていただくことを促していただきたいと思います。

 大変繊細なことですので、御自身の判断が第一優先かと思います。費用助成があれば、検査を事前に行い、早目の対応ができる方もいらっしゃると思いますので、国としてこの卵子機能検査を促すことをお願いしたいと思います。

 安心、安全はもちろん第一優先かと思いますが、子供を持つことを希望している方が子供を授かれるよう、国としてのサポートをお願いしたいと思います。

 そこで、卵子機能検査の費用についてお伺いをします。まず最初の、卵巣の中の状態を調べる検査費用と、その後の進め方について教えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の卵子機能検査でございますけれども、その中にはいろいろありますけれども、例えば抗ミュラー管ホルモン、AMHの値を測定することで卵巣内に残存する卵子の数の目安が確認できる検査がございますけれども、体外受精や顕微授精の一環といたしましてこの検査を受ける場合には助成の対象となります。

 一方で、この検査のみを受ける場合には対象としていないわけでございますけれども、これは、この助成事業の趣旨が不妊治療の経済的負担の軽減を図るという観点から、高額な治療費がかかる体外受精や顕微授精について費用の一部を助成するというものであるからであります。

 抗ミュラー管ホルモンの値を測定する検査でございますけれども、網羅的なものは把握しておりませんけれども、例えば幾つかのクリニックで聞いてみますと数千円程度の検査費ということでございまして、そういう意味では、検査のみでは助成の対象にはなかなかしづらいのかなというふうに思っております。

 一方で、不妊の問題を含めまして、女性の健康に関する知識の普及啓発を図りまして、みずから健康管理を行うことができるように支援することは大変重要な課題というふうに認識しております。

 このため、都道府県、指定都市、中核市におきまして、生涯を通じた女性の健康支援事業というものがございまして、この中で、専門的知識を有します保健師、助産師さん等によります学校等での健康教室や講演会の実施、あるいは、女性の健康教育に資する小冊子の配布などを実施いたしております。

 今後とも、体外受精や顕微授精に対する費用助成とあわせまして、妊娠、出産に関する知識の普及啓発に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 高額な不妊治療にしっかりと助成していただくのは、これは大変重要なことかと思っております。

 先ほどお話もありましたけれども、女性の健康に対する教育に対してもしっかり取り組んでいただいているということで、こちらも今後も続けていただきたいと思います。

 このAMHの検査は数千円から一万円未満で大体のところで受けられるとのことですけれども、こういった検査の費用の助成などもあると、女性が早いうちから自分の体のこと、不妊になる確率が高いのかどうかというのを考える一つのきっかけとなると思いますので、この血液検査、数千円程度でできるものというところでありますけれども、この費用負担も少し御検討いただければと思います。

 女性活躍の中で、仕事の切りがいいところでいざ子供を授かろうと考えたときには、個人差はあると思いますけれども、やはり二十代であったり三十代前半というわけにはいかないと思います。不妊治療等、卵子凍結をされるのは四十代が一番多いとお聞きをしました。妊娠適齢期に関する知識も改善していくことが大変重要なのだと思います。

 次に、不妊専門相談センター事業について伺います。どのようなことをされているのでしょうか、教えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の不妊専門相談センターでございますけれども、不妊あるいは不育症、これは二回以上の流産、死産、あるいは早期新生児死亡の既往がある方でございますけれども、こういった不妊、不育症に悩む方に対しまして適切な相談支援を実施いたしまして、生涯を通じた女性の健康の保持増進を図ることを目的といたしております。

 この事業の実施主体でございますけれども、先ほどと同様、都道府県、指定都市、中核市でございまして、不妊治療に関する専門的知識を有します医師、あるいはその他社会福祉、心理に関しての知識を有する者などを配置いたしまして、実際に保健所あるいは大学病院等において実施されております。

 主な業務内容でございますけれども、不妊、不育症に関する相談、不妊治療と御指摘の仕事との両立に関する相談、不妊治療や不育症治療に関する情報提供、不妊相談や不育症相談を行う専門相談員の研修などを行っているところでございます。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 この不妊相談センターのここ数年の相談実績について、更に詳しく伺いたいと思います。どういった相談が多いのか、教えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、不妊専門相談センターの相談の件数の総数でございますけれども、平成二十六年度で二万七百九十三件、平成二十七年度二万六百五十五件、平成二十八年度二万二千三百四十七件ということで、若干増減はありますけれども、増加傾向にございます。

 相談内容でございますけれども、例えば平成二十八年度でいいますと、不妊に関する費用や助成制度に関する相談が九千七百二十件、約三九%、それから不妊症の検査、治療についての相談が五千四百九十一件、割合で二二%、その他が一八%、四千四百三十七件でございますけれども、その他の中には、不妊治療を実施している医療機関の情報に関する相談などがございます。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 この不妊専門相談センターで医師や助産師さんであったり心理的な知識をお持ちの方々に相談できるというのは大変よい機会かと思いますが、費用や助成制度であったり専門機関についての情報提供であったり、そのような内容を、不足していると言われている医師や助産師の方にお答えいただくというのは、少し改善の必要があるのかなと思います。

 また、この不妊専門相談センターなんですけれども、私の周りでここに相談しているという方はちょっといらっしゃいませんでしたので、このセンターについても更に周知が必要かなと思っております。

 次に、この不妊専門相談センターの予算が減った要因について教えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 不妊専門相談事業、これは生涯を通じた女性の健康支援事業という予算の一環でございます。この生涯を通じた女性の健康支援事業の予算につきましては、今年度の行政事業レビューの公開プロセスにおきまして、「本事業の執行率が低い状況に鑑み、適切な予算額に減額すべきである。」というような指摘がなされております。

 このため、平成三十一年度予算案におきましては、執行状況を勘案いたしまして、対前年度予算額より減額の予算となっております。

 ただ、不妊専門相談センターにつきましては、平成三十一年度までに全都道府県、指定都市、中核市への配置を目指しておりまして、平成三十一年度予算案におきましても必要な予算が確保されているものというふうに考えております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 執行率が低いというレビュー、私もちょっと公開資料を見ましたけれども、そういうことで予算が減額されているということであったり、不妊相談の面談が専門家不足で実施できない自治体があるなどということもあるようですけれども、平成三十一年に全ての自治体にということですので、今後もしっかりとこの相談センターを、予算は減ったとはいえ、しっかりと充実させていただきたいことをお願いしたいことと、先ほども申しましたけれども、やはり、こういう相談できる場があるんだということをしっかり周知をお願いしたいと思います。

 次に、卵子凍結について伺いたいと思います。

 不妊治療も、年齢や費用の問題、配偶者の協力や職場の理解など、環境によっても治療法も変わってくると思いますし、そしてまた、さまざまな治療法があると思います。

 健康な女性が将来に備えて卵子の凍結をするというのは、医師のさまざまなお考えがあるかと思います。しかし、がん患者さんが、治療前に卵子の凍結を望まれる方が多いと聞きました。

 未婚のがん患者さんは、年間五千百五十名とお聞きをしました。卵子凍結については、十分な情報を得られなかったり、身近に実施可能な施設がない患者さんも多いかと思います。お子さんを授かりたいと思われる方々に、ぜひ国としての支援をお願いしたいと思います。

 全国で十四県には卵子凍結ができる施設がないとお聞きをしております。ぜひ、妊娠を希望する女性が機会を失うことのないように、更に環境を整えることが必要かと思っております。

 卵子凍結に係る費用は施設ごとに設定をされているとお聞きをしましたが、卵子凍結を実施されている病院を厚生労働省としてどのぐらい把握をされているのでしょうか、教えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 直ちに生殖補助医療に用いない場合の卵子の凍結保存につきましては、厚生労働省といたしまして、現時点で、実施できる施設についての網羅的な把握はいたしておりませんけれども、例えば日本産婦人科学会の報告、平成三十年九月でございますけれども、これによりますと、医学的適応による妊孕性温存、この医学的適応の場合の妊孕性温存でございますけれども、これは、悪性腫瘍などに罹患した方に対しまして、その原疾患の治療のためにその方の生殖機能が失われると予測される場合に行われる未受精卵子、胚及び卵巣組織の凍結保存等の処置でございます。こういう妊孕性温存を実施している施設数でございますけれども、平成二十八年時点で九十六施設とされております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 今後、女性活躍、少子化対策を推進していく上で、卵子凍結を希望されている方は更にふえると思います。厚生労働省としてもサポートできるよう、今後も、卵子凍結の施設についてはしっかり把握をしてサポートをお願いしたいと思います。日本では、生殖医療に関する法律が未整備と感じました。

 また、台湾で不妊治療を受ける方が急増という新聞も目にしました。卵子提供を受け、百十名のお子さんが誕生したという記事でした。台湾では、卵子提供の実施を法的に管理しているものの、生まれた子供に出自を知らせる権利を認めていないとの問題もあります。

 子供を授かりたいと思う方は、可能性がある限り挑戦をしたいと思われています。ただ、治療には多額の費用がかかるのが現実です。御夫婦でも、治療に踏み切るまでに、努力や意見の相違を埋めるにはとても時間がかかったというお話も聞きます。やっと治療ができることになっても、さまざまな問題が出てきて御苦労をされております。

 ぜひ、女性に関しては、国が定めた年齢の制限ではなく、希望がある限り挑戦の後押しをお願いしたいと思っております。

 先々週、四十四歳から不妊治療を始めた知人のところに、四十六歳で初めての子供が誕生しました。心からうれしく思っております。

 この世には、意味がなく生まれてくる子供はいないと思います。最近では児童虐待も大変問題となっておりますが、子供を授かりたいと努力をされている方々は、きっと虐待には無縁だと思います。すぐに前に進む解答はないと思いますけれども、女性活躍を推進していくということで、仕事と不妊治療の両立のための支援や、女性の可能性に対しての支援を前進させていただきたいと思います。

 本日は、不妊治療の質問をさせていただきましたが、長くつらい不妊治療の末、やっと新しい命を授かった方の中に、お産難民となる方もいらっしゃるそうです。出産間近に産婦人科の閉鎖に直面した方もいるそうです。不妊治療の病院が少ないという問題もありますが、産婦人科、産婦人科医師不足も問題となっております。

 この不妊治療の病院であったり、産婦人科の病院不足について、どのように把握され、今後、どのような対応を考えられているのでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと今手元に資料がございませんけれども、産科等の不足は重要な課題と認識しておりまして、診療報酬その他でしっかり支援をしてまいりたいというふうに考えております。

森(夏)分科員 ありがとうございます。

 病院の不足であったり医師不足に関しては、大変深刻な問題かと思います。不妊治療を本当に、やっと長い治療を乗り越えてお子さんを授かった、これから子供を産む準備をするというところで病院がないというのは、これも大変な問題だと思いますので、不妊治療だけではなく、この医師不足、病院不足に関しても、厚生労働省として、国としてしっかりサポートをお願いしたいと思います。

 女性が未来に希望を持って社会進出ができるように、女性活躍と少子化対策の推進について、今後、国からの大きな御支援をお願いして、私からの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤主査 これにて森夏枝君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

後藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐藤英道君。

佐藤(英)分科員 公明党の佐藤英道でございます。

 私の方からは、厚生労働省にかかわる案件について幾つかお話をさせていただきたいと思います。

 まず、先週木曜日、二月の二十一日木曜日、夜二十一時二十二分でありますけれども、北海道の胆振中東部におきまして震度六の地震が発生をしたところでございます。

 今回の地震は、昨年九月六日の胆振東部地震と関連する地震であるとも言われているところでございます。胆振東部地震からの復旧復興に向けて、連日、地元の方々を中心に多くの努力が進められているさなかでありまして、そのやさきの地震でありまして、現地にお伺いしたときにも、皆様方、またかという思いでいらっしゃっておりました。

 改めまして、お亡くなりになられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、その御家族、けがをされた方々、また、現在も避難生活を余儀なくされておられる皆様に、改めて心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 この間、根本大臣、また大口副大臣におかれましても、被災地の支援のために陣頭指揮で当たってくださっていることに、この場をおかりいたしましてお礼も申し上げたいと思います。

 そこで、まずお伺いしたいのは、胆振東部地震からの復旧のうちで、厚生労働省の所管事項で、厚真町の富里浄水場の早期復旧について、現在の状況及び今後の見通しについてお話を伺いたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、土砂災害によりまして被災した厚真町の富里浄水場につきましては、配水池が損壊いたしましたものの、浄水設備を収容している建物内には大きな被害はなく、現在、裏山の斜面対策工事の進捗状況に応じて工程を調整しつつ、復旧工事を進めているところでございます。

 裏山の斜面工事につきましては、現在、北海道庁が工事を実施しており、二〇一九年度の完了を予定しています。

 また、浄水場の復旧工事につきましては、現在、厚真町が被害調査や調査設計を進めており、二〇一九年度より、裏山の斜面工事により安全が確保された部分から復旧工事に着手し、二〇二〇年度中の運転再開を目指しています。

 厚生労働省といたしましては、水道施設災害復旧費補助金により、富里浄水場の復旧に要する事業費の一部を補助する予定です。

 今後、浄水場の調査設計が進んだ段階で災害査定を行っていきますとともに、引き続き、復旧に際して技術的助言を行うなど、支援してまいります。

佐藤(英)分科員 今御説明いただきましたけれども、富里の浄水場、ある意味では地震の被災復興のやはりシンボルでもございますので、今後とも、御支援のほどよろしくお願いをしたいと思います。

 昨年九月の地震では、電気やガス、水道といった多くのライフラインへの被害が深刻でありました。先週の地震でも、厚真町の豊沢地区を中心に百数十軒に及ぶ断水が発生したところでございました。私も現地にお伺いをさせていただいておりますけれども、本当に、やはり翌日でありましたので、非常に困っておられました。

 この豊沢地区というのは比較的新しい居住地域でもありまして、町内へ移住してこられた方も多いところでもございます。昨年の九月の地震の際にも約一カ月にも及ぶ断水が起きておりまして、今後の生活への不安の声も伺ってきたところでございます。

 地域の方々にやはり引き続き安心してお住まいいただくためにも、豊沢地区などの水道管路については、現在応急復旧がされているものの、今後、本格的な耐震化の必要性があるのではないかなとも承知をしているところであります。お話を伺うと、あの地域というのは火山灰があるところであるので、そうしたこともやはり原因があるのではないかとも言われていたところであります。

 ぜひ国からも技術的な面を含めてしっかりと支援をしていっていただきたいと思うのでありますけれども、御見解をいただければと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 厚真町豊沢地区につきましては、火山灰層という悪い地盤条件にありますが、水道管が耐震管ではなかったこともあり、昨年九月六日の地震では四十七カ所が、二月二十一日の地震では六カ所の破損が確認され、現在は、主に水道管の継ぎ手部分の耐震補強等により応急復旧している状況でございます。

 今後は、厚真町において水道管の耐震化計画を策定し、耐震化を進める予定であるというふうに承知しております。

 厚生労働省としては、水道管の耐震化に関しましては、昨年成立しました改正水道法において、水道事業者等に、水道施設台帳の整備の義務づけ、収支見通しの作成や計画的な更新を求めますとともに、地盤条件等を踏まえて管路の更新を行うための耐震化計画等策定指針を提示しているところでございます。

 今後、この改正水道法を適切に施行いたしますとともに、耐震化計画等策定指針の周知など、厚真町を含めた水道事業者に対して技術的支援を着実に進めてまいりたいと考えています。

 また、水道施設の耐震化や今般の地震で破損した施設の復旧に対する財政支援等を通じまして、地震に強い水道となるように取り組んでまいります。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。

 冒頭申し上げましたとおり、あの地域は、移住されてきている方々も本当に希望を持って来られたところでもありますので、ある意味では地方創生のやはりシンボルとも言うべき地域でもございますので、厚生労働省がこれまで培ってきた知見や技術というものをぜひとも投入していただければと思います。よろしくお願いします。

 さて、大規模災害で被災された方々の生活を支えていく避難所や仮設住宅。災害救助法が適用されると、財源は、自治体だけではなく国費が投入されることになるわけでありますけれども、この災害救助法は、東日本大震災の経験をもとに内閣府防災に一元化しようということで、現在は内閣府の所管となっております。

 しかし、発生後、避難所などの現場では、保健所や医療関係者、市町村や都道府県の保健や福祉の部局の職員がより一層やはり頼られる場面が多いのも事実であります。被災者の皆さんの生活の場でありますので、結果としてそのようになることは至極当然であると思います。

 内閣府はぜひとも、さまざまな施策を検討していく上で、厚生労働省とより深い連携をとっていく必要があると私はこのたびの震災においても実感をしたところでありますけれども、所見をいただきたいと思います。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、災害救助法につきましては平成二十五年の十月から内閣府が担当しておりますが、言うまでもなく、被災者支援につきましては、災害救助法による救助だけではなく、被災者一人一人のニーズを踏まえた、平時の福祉や就労支援等も含めた、被災者に寄り添った幅広い支援を行うことが重要でございます。

 特に大規模災害時には、厚労省におきまして、災害派遣医療チーム、DMATの医療活動を始め、避難所におきます医師、保健師等による巡回、仮設住宅におきます孤立防止等の見守り、日常生活上の相談支援などが、関係省庁の協力のもと、厚労省を中心に取り組まれていると承知しているところでございます。

 内閣府といたしましては、御指摘のとおり、引き続き、厚生労働省等の関係省庁と十分連携をさせていただきまして、被災者に寄り添ったきめ細かな支援を行ってまいりたいと考えてございます。

佐藤(英)分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 特に、このたびの地震は二月で、非常にやはり厳寒の、一番厳しい季節でありました。昨年の九月はまだそういう時期じゃありませんでしたけれども、やはり雪のときの災害というのは日常と違う現状もありますので、ぜひとも、さまざまな、きめ細やかな対応をよろしくお願いしたいと思います。

 三月にあとわずかでなるわけでありますけれども、北海道においては、まだ一面銀世界、雪に覆われている地域も非常に多いのが現実であります。

 この冬季間、大雪に見舞われるのが北海道でございますけれども、こうした中、道民の生活を守るために、北海道の建設業の方々は、土日祝日関係なく、また昼夜関係なく除排雪の作業に当たってくださっております。

 昨年、働き方改革の一環として時間外の労働規制が強化されましたが、建設業においても、五年間の経過措置はあるものの、年三百六十時間を実現させると定めております。

 こうした中、北海道の道路維持管理の関係者、いわゆる除排雪をされる業者の関係者の方々から、一律にこれを適用されると除排雪に十分な対応ができなくなるのではと心配する声が寄せられました。

 これまでも、災害対応などの一部の場合、適切な届出によって時間外の労働規制が例外的に解除されるという規定が設けられておりますが、除排雪に係る道路維持管理の業務については今後どのような取扱いとなるか、お伺いをさせていただきたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員の方から御指摘がございましたとおり、労働基準法におきましては、その第三十三条におきまして、事前の許可又は事後の届出により、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、使用者は時間外、休日労働をさせることができるとされております。

 そして、除排雪につきましても、道路交通の確保等人命又は公益を保護するために臨時の必要がある場合には、この労働基準法三十三条の適用が認められるものでございます。

 具体的には、例えば、安全で円滑な道路交通の確保ができないことにより通常の社会生活の停滞を招くおそれがあり、国や地方公共団体等からの要請等に基づき除雪を行う場合であったり、あるいは、人命への危険がある場合に住宅等の除雪を行う場合、あるいは、降雪による交通や社会生活への重大な影響が予測される状況において予防的に対応する場合が含まれるものでございます。

佐藤(英)分科員 大変に明快な御説明をいただきました。ぜひ業界の方にもお伝えをさせていただきたいと思います。

 北海道における降雪というのは、やはり災害に直接結びつくような降雪状況でもございます。多くの接触事故、また死亡事故なども発生するぐらい、やはり雪の恐ろしさもございますので、ぜひ、除排雪に配慮できるような体制を今後ともよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、一昨年前の予算委員会の分科会におきましても質問させていただきましたメディカルウイングについてお話をさせていただきたいと思います。

 地域の医療機関では提供できない高度医療や専門的な医療を必要として、転院等のための長距離移動を要するものの、搬送時間の問題や、搬送中の揺れなどを享受できないケースがあります。こうした方々にも遠距離搬送を可能にし、高度医療、専門医療を受けられるようにしようとしたのがメディカルウイングであります。

 オープンの式典に私もお伺いさせていただきましたけれども、多くの北海道の関係者、広大な北海道で緊迫した状況のときにジェット機で急病人の方を搬送することができるということで、やはり大きな反響と喜びが巻き起こったのも事実でありました。

 厚生労働省は、平成二十九年度より、へき地患者輸送航空機運行支援事業を新たに創設してくださったわけでありますけれども、今年度は全国で二十八件の搬送実績が報告されておりまして、着実に実績も積み重ねているのではないかなと思います。

 今後の事業継続、あるいは事業の拡大について、メディカルウイングの今後の運行について御見解をいただきたいと存じます。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 無医地区などにおいては、安全かつ安心な医療へのアクセスを確保するということは重要な課題だと私ども認識してございます。国におきましては、今委員御指摘いただきましたように、平成二十九年度より、無医地区等から都心部へ航空機を活用して患者を輸送するへき地患者輸送航空機運行支援事業、国ではメディカルジェットという言い方をさせていただいていますが、この事業を実施してございまして、都道府県等の事業実施主体への財政支援を行わせていただいております。

 これもまた今委員お触れいただきましたように、この実績、平成二十九年度におきましては、運行開始の七月三十日から年度末までで二十一件、足元、三十年度につきましては、四月一日から直近二月二十五日までという期間ではありますが、実績として二十八件となってございます。

 今御審議いただいております三十一年度の予算案におきましても、このために必要な予算約二億円を計上させていただいているところでございまして、私どもとしては、この継続的な事業の実施に向けて、引き続き必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えてございます。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。引き続き運行の支援をお願いしたいと思います。

 このメディカルジェット、メディカルウイング、なかなか聞きなれない言葉で、知らない方も多いんじゃないかなと思います。機会がありましたら、根本大臣、また大口副大臣におかれましても、北海道に見えられた際には、ぜひメディカルウイング、メディカルジェットを御視察していただければと切にお願いをさせていただきたいと思います。

 さて次に、今国会で予定されております健康保険法の改正によって、健康保険証の個人化と、保険証番号とマイナンバーがひもづけられまして、オンライン資格確認医療の現場で運用されることになっているところであります。

 将来的には、レセプトや健診データの健康、医療、介護政策への活用にもつなげられる可能性もあり、副次的効果として、マイナンバーカードの普及の後押しにもなると言われております。

 私は、大変に効果的な、また、住民にとっても国民にとっても非常に重要な構想であると思いますし、推進をしていただきたいと思います。

 この改正により、各医療現場ではシステムの改修等が必要となりますが、政府も、消費税収を財源に三百億円の基金を創設して、医療機関や薬局の設備の整備支援を行うこととしたところであります。この基金については、具体的にどのように活用していくお考えなのか、伺います。

 また、その際、医療機関や薬局にはできるだけ早く対応してもらうことが求められるわけでありますけれども、そのためにも、基金に対する助成申請が効率的に行えるよう、ぜひとも配慮をお願いしたいと思います。

 例えば、全国に数多く存在する調剤薬局については、本部で組織的にシステムに対応する設備整備ができるよう、基金に対する助成申請についても、本部や本社で一括して申請することができるよう配慮してほしいという御要望も伺っているところでございます。

 厚生労働省の御見解を伺いたいと思います。

大口副大臣 佐藤委員にお答えをいたします。

 今委員御指摘のとおり、健康保険法の改正法案、これは二月の十五日に閣議決定をされました。その中で、オンライン資格確認の導入、あるいは、医療機関や薬局における、その導入を支援するための医療情報化支援基金の創設、三百億の予算が組まれておるわけですが、それを内容とする法改正案でございます。

 この医療情報化支援基金は、オンライン資格確認を導入する医療機関、薬局のシステム改修等を支援する基金でございます。

 オンライン資格確認の導入によって、患者さんが医療機関に来られたときに、その人がどこの医療保険に加入しているかリアルタイムに確認することができるとともに、患者さんはマイナンバーカードでも窓口の手続ができるようになるなど、国民生活上のメリットがあるものと考えます。また、資格の過誤請求等も削減できますし、事務コストの削減にもつながるということでございます。

 この医療情報化支援基金の申請につきまして、医療機関や薬局が利用しやすいような方法となることが重要であるという考えでございます。

 手続の詳細につきましては今後検討してまいる予定でございますけれども、今委員御指摘の点も踏まえまして、医療機関や薬局の利便性に十分配慮していきたいと思います。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。前向きな御検討をいただけるということで、ぜひお進めをしていただければと思います。

 次に、薬局の調剤報酬について、昨年の改定で地域支援体制加算が導入されたところでありますが、この地域支援体制加算を薬局が算定するには一定の基準を満たす必要がありますが、一方で、地域医療に貢献している実績として八つの要件が課される薬局と、こうした要件が課されないで調剤基本料一として算定できる薬局と、制度上立て分けられておりまして、この点について不公平感があるとの指摘もございます。

 また一方、課される八つの実績要件について、例えば夜間、休日等の対応実績が、薬剤師一人当たり年間四百回以上というものがありますが、現場からは、達成するのは極めて困難との指摘もあるところでございます。早期の見直しも求められているところであります。

 こうした背景を踏まえまして、地域支援体制加算の算定要件が調剤基本料一とそれ以外の基本料を算定する薬局で異なっている理由、また、今後見直しの検討を行う予定があるのかどうか、御見解をいただければと思います。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の地域支援体制加算というものでございますけれども、平成三十年度の診療報酬改定におきまして、地域包括ケアシステムの中で、かかりつけ薬剤師が在宅対応や夜間、休日対応などの機能を発揮し、地域医療に貢献する薬局を評価するという観点から創設をしたものでございます。

 この加算の趣旨は、今申し上げましたように、地域における薬局のかかりつけ機能等を評価するものであるということでございますので、薬局の評価の調剤基本料一、二、三とありますが、調剤基本料一以外を算定する薬局、いわゆる門前薬局と言われておりますけれども、そういうものが加算を算定する場合には、地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績ということで、夜間、休日などの対応や重複投薬の防止に関する実績などの要件を求めるということになっているわけでございます。

 そういう考え方で、調剤基本料一を算定する薬局とそれ以外とで要件が異なっているということになっているところでございまして、また、考え方は、そういうかかりつけ機能の評価ということでございます。

 今回のこういう評価でございますけれども、地域支援体制加算を含む調剤報酬につきまして、改定の影響などについて、必要な調査、検証を行うということにいたしておりますので、引き続きまして、次期改定に向けて、関係者の御意見を伺いながら、中央社会保険医療協議会などにおいて検討を進めたいと考えております。

佐藤(英)分科員 よくわかりました。ぜひ、引き続き御検討いただければと思います。

 次に、健康保険に関してお伺いをしたいと思います。

 二〇一七年の介護保険法の改正によりまして、被用者保険が負担する介護納付金につきまして、いわゆる負担増による健保の財政への急速な影響を緩和するために手当てされていた九十四億円が来年度で打切りになると伺っておりますが、国費の削減が予定よりも八百億円減って、健保等の負担増が六百億円ふえたことを踏まえて考えれば、せめてこの九十四億円の補助は継続してもよいのではないかと考えますので、ぜひこれは要望としてお話をさせていただきたいと思います。

 その上で、被用者保険の適用拡大についてお伺いをしたいと思います。

 政府は、二〇一六年に、週二十時間以上、月額八万八千円以上の被雇用者を健康保険の対象者とする適用拡大を行っております。そして、この拡大を更に進めるために、ことし九月にも結論を得るという流れにもあると聞いております。

 この健康保険の適用拡大は、労働集約型産業の健保組合に急速な被保険者の増加をもたらすものであり、事実、二〇一六年の改正の影響により保険料が値上げされ、財政に大きな影響を受けた健保組合もあったわけであります。

 我が国では、誰もが健康保険を活用して、医療費の総額ではなく一部の負担で医療を受けられる国民皆保険制度が整備されておりますが、近年の医療費の増大により、財政は極めて厳しい状況にあります。特に、後期高齢者、前期高齢者の医療財源は健保などを通じた現役世代の大きな負担の上に成り立っており、高齢者であれば、資産の多寡にかかわらず、一割負担で医療が受けられるという状況にもなっております。

 私は、健保組合が皆保険制度を維持する鍵となっている点を大変に重要視しているところであります。今後の被用者保険の適用拡大については、慎重の上にも慎重を期し、必要に応じて、急激な財政悪化が予想される健保組合を対象とした支援策を確実に講じていくべきと考えます。また、任意継続被保険者制度についても、しっかりと結論に向けて準備を進めるべきと考えます。厚生労働省の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

根本国務大臣 ただいま、健保組合について先生からいろいろ御意見をお伺いしました。

 健保組合は、労使協調の枠組みの中で、自主自立の運営を行い、事業主とも連携した保険事業を実施するなど、公的医療保険制度の重要な担い手であると認識しております。これは先生のお話のとおりであります。

 しかしながら、一部の健保組合では財政状態に問題を抱えており、健保組合の安定的運営を堅持することが求められていると認識しております。

 このため、これまでも健保組合への支援に取り組んでおります。例えば、高齢者医療への拠出金負担に対する軽減措置、あるいは保険者機能の強化に取り組む健保組合を対象として、財政検証事業、医療費適正化対策事業及び保健事業の実施に係る経費を助成することとしております。

 一方で、働きたい方が働きやすい環境を整えるとともに、短時間労働者に対して年金などの保障を厚くする観点から、被用者保険の適用拡大を着実に進めていくことが重要と考えております。現在、有識者や労働者、使用者団体から成る懇談会において御議論をいただいているところであります。

 適用拡大の検討に当たっては、医療保険制度の重要な担い手である健保組合の財政にどのような影響を与えるか、これも大事な論点であると思っております。今後の議論の中で、健保組合財政への影響を見きわめながら、必要な検討を行っていきたいと思っております。

 また、任意継続被保険者制度の見直しについては、これまでも医療保険部会で議論してまいりました。退職者に対する国保と被用者保険の適用範囲に係る課題があります。この見直しに伴う保険者への財政影響も考慮しながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

佐藤(英)分科員 ありがとうございました。

 さまざまな検討を今後いただけるということで、御期待を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

後藤主査 これにて佐藤英道君の質疑は終了いたしました。

 次に、尾辻かな子君。

尾辻分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの尾辻かな子です。

 質問の機会を頂戴して、ありがとうございます。

 それでは、三十分という時間なので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まずは、認知症のことについてお伺いをしたいと思います。

 日本の総人口に占める七十歳以上の割合が、昨年九月の時点で推計二〇・七%、人数は二千六百十八万人となって、初めて二割を超えました。六十五歳以上の高齢者が総人口に占める割合も二八・一%、三千五百五十七万人で、いずれも過去最高を更新しております。ということは、認知症とともに生きる方々の方も、やはりこれは増加が予想されるという状況にあります。

 私も現場で、例えば認知症の方や御家族の方の相談、そして介護の仕事をさせていただきました。認知症であったとしても、御本人も、そして御家族も安心して暮らしていただくためには、やはり国、自治体、一層の取組が必要だと思います。

 今国会、安倍総理は施政方針演説で、「認知症対策の強化に向けて、夏までに新オレンジプランを改定します。認知症カフェを全市町村で展開するなど、認知症の御家族を持つ皆さんを地域ぐるみで支え、その負担を軽減します。」というふうに表明をされております。

 この新オレンジプランの改定というのはどのようにされるのか、簡潔にお答えをいただければと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 認知症に係るさまざまな課題につきまして、関係行政機関の緊密な連携のもと、政府一体となりまして総合的な対策を推進するために、認知症施策推進関係閣僚会議を設置いたしまして、昨年十二月に第一回の会合を開催したところでございます。

 厚生労働省に加えまして、研究開発、産業促進等の観点から、内閣官房健康・医療戦略室も事務を担当させていただいております。

 閣僚会議のもとに設置されました各省の局長級の実務者による幹事会及び有識者会議におきまして、その内容について検討しているところでございまして、政府全体の施策を大綱として取りまとめる予定としております。

尾辻分科員 私もこの資料を見させていただきました。この関係閣僚会議、推進体制ということであるんですけれども、閣僚会議があって、その下に幹事会があります。有識者会議から提言をいただいて、それで、皆さん、事務局を担っていただくということなんですが、ちょっと一つ気がかりなのが、当事者、認知症当事者の方の参画が、これでは見えないんですけれども。

 ちょっと確認です。ここの推進体制には、認知症当事者の方というのはおられますか。

大坪政府参考人 お答えいたします。

 有識者会議には、認知症の医療、介護の現場に精通された方にも御参画をいただいておりまして、当事者の方のニーズを十分に踏まえた検討ができるものと考えております。

 なお、個別施策の立案に関しましては、幹事会を構成しております各省におきまして、当事者の方々のニーズを十分踏まえた施策を検討されているものと承知しております。

 大綱を取りまとめるに当たりましては、こうした当事者のニーズを十分に反映させてまいりたいと考えております。

尾辻分科員 精通された方が有識者の中には入っておられると思うんですが、やはり当事者の参画をどう求めるかは非常に大事な論点だと思います。

 特に、新オレンジプランでは、もう御承知のとおり、柱の一つとして「認知症の人やその家族の視点の重視」ということをしっかり書かれておりまして、そこには、これまでの認知症施策は、ともすれば、認知症の人を支える側の視点に偏りがちであったとの視点から、認知症の人の視点に立って認知症への社会の理解を深めるキャンペーンのほか、初期段階の認知症の人のニーズ把握や生きがい支援、そして、ここが一番強調したいんですが、「認知症施策の企画・立案や評価への認知症の人やその家族の参画」ということが、こういう重視した取組を進めていくべきだということで書いてあるわけですね。

 今であると、ちょっとやはりこの視点が弱いというふうに思うのですが、何とかこの中に当事者参画を進めるような仕組みを御検討いただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

大坪政府参考人 ありがとうございます。

 個別施策の立案の段階で、関係省庁の中でそうした方々の御意見は十分反映されているものと承知をしておりますが、そこの、今現在進めております取組の中で、そうした関係者の方のニーズは十分に反映させてまいりたいと考えております。

尾辻分科員 できればヒアリングする機会などを設けていただきたいと思うんですね。

 この新オレンジプラン、次に、どういうプラン、名前になるかはわかりませんけれども、当事者抜きにやはり当事者のことを決めてはいけないということが、例えば若年性認知症の方からも意見が出ておりますので、しっかりとこの辺、ヒアリング、そして施策を反映については、認知症当事者の参画をしっかり求めておきたいと思います。

 あと、同時に、実は、認知症対策ということでいうと、私、委員会でも一度質問させていただいたんですが、認知症グループホームに対する負担軽減ですね。これは、特別養護老人ホームや老人介護保健施設は、補足給付といって費用負担を軽減する方法があります。しかし、同じような居住施設に見えるグループホームは、これはないんですね。

 ですから、負担軽減ということであれば、やはり費用負担のことも考えなければいけないと思いますので、この点もまたしっかり取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次は、適性検査の問題についてお伺いをしていきたいと思います。

 働く際の採用試験とか、また、学校の入試などで適性試験というものが実施されることが多いのですが、その適性試験の中には、ミネソタ多面的人格目録検査という検査がありまして、略称は、アルファベットでMMPIという略称になっております。

 これらの質問の中には、同性に強く心を引かれるとか、あなたが男の場合、女だったらよかったのにと思うことが時々あるといった質問に、当てはまるか、当てはまらないか、どちらとも言えないという三択で答えるものになっています。これは、その人個人の性的指向や性自認を問う質問となっており、現在の社会状況においては非常に不適切なものになっていると思います。

 まず、厚生労働省の方にお伺いをしていきたいと思います。

 こういうような、性的指向、性自認などで差別されない、公正な採用をする、そのためにどういうことをされているのか、まずお聞きしたいと思います。

北條政府参考人 お答え申し上げます。

 企業の採用選考におきましては、労働者の基本的人権を尊重する観点から、本人の適性と能力を基準として公正な採用選考を行うということが求められているところでございます。応募者の性的指向でございますとか性自認を採用の基準とするということ、この考え方は公正な採用選考に沿わないものというふうに考えております。

 厚生労働省といたしましても、パンフレットに、LGBT等の性的マイノリティーの方など特定の人を排除しないことについて盛り込むなど、事業主に対して、このことについて周知啓発に取り組んでいるところでございます。

 また、採用選考におきまして適性検査、性格検査などを用いる場合におきましては、このような公正採用選考の考え方に沿って運用すべきことは当然のことであるというふうに考えております。

 企業における適性検査、性格検査の使用状況については把握していないところでありますけれども、事業主に対しては、性的指向又は性自認に関する理解を求めることを進め、公正な採用選考が行われるよう、周知啓発に一層取り組んでまいりたいというふうに思っております。

尾辻分科員 私も、「公正な採用選考をめざして 平成三十年度版」の、厚生労働省さんのハンドブック、冊子を見せていただきました。「LGBTをめぐる考え方」であるとか、そういうことはしっかり書かれているかなというふうに思うんですが、実際にこういう適性検査が行われているとしたら、これはやはり、非常に問題ではないかと思うんですね。

 厚生労働省として、例えば、このMMPIが、同性に強く心を引かれるとか、こういう検査をしていることについてどう評価をされているのか。また、MMPIという名称があればちょっと答えにくいということなら、一般的に、適性検査において、同性に強く心を引かれるとか、あなたが男の場合、女だったらよかったのにと思うことについて問うこと、これはどのように判断されているか、お答えいただきたいと思います。

北條政府参考人 特定の検査の是非については、この場で言及することは差し控えたいと思いますけれども、一般論として申し上げるならば、応募者の性的指向又は性自認を確認したり、それを採用選考に活用するということ、このことは公正採用選考の考え方に沿わないものというふうに考えております。

尾辻分科員 それが、今、そぐわないものだということをお答えいただきました。

 それであるならば、ぜひ、例えば、この「適性検査」のところに、今、「問題事例」というのがあります。ここに、例えば、そういう適性検査はやはり問題であるということを何とか明示いただけないかというふうに思います。それによって、いろんなところで、これはだめなんだということがわかりますので、ぜひとも御検討をいただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょう。

北條政府参考人 先生の御指摘を踏まえまして、パンフレットの内容について検討させていただきます。

尾辻分科員 実際、当事者の方がこれを見たときって、本当、やはり、どうしていいかわからないと思うんですね。自分自身のあり方が、性のあり方が問題になるかもしれないというのは、非常に緊張を生みますし、この社会から自分が排除されているのではないかという思いになりますので、やはり、こういう問題のある適性検査というのは、速やかに行われないように働きかけをしていただきたいと思うんです。

 実際にこういう不適切な適性検査が、自分は受けちゃったよという場合は、採用試験のときに、どこに相談に行けばいいんでしょうか。

北條政府参考人 公正採用選考の考え方に沿わないような事象があった場合については、ハローワークの方に申出をしていただくことになっております。そのハローワークの方から事業主あるいは関係者の方に周知啓発をして、御理解を求めるという取組をしているところでございます。

尾辻分科員 わかりました。しっかりと、公正な採用選考になるように、これからも取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、このMMPIについて、今度は教員採用試験のことについてお聞きしたいと思うのですが、二〇一三年、私、参議院議員のときに、質問主意書で、教員採用試験におけるMMPIの使用の実態とその改善についてということで質問をさせていただいております。

 そのときの主意書のお答えというのは、二〇一二年度、平成二十四年度においては、都道府県及び政令指定都市について十三、都道府県と政令指定都市で十三あるというふうに承知しているというふうに答えをいただいております。具体的にどこかというのはお答えを差し控えるということだったんです。

 その後、六年経過していますけれども、このような教員採用試験におけるMMPIの使用の実態と改善、この辺は今把握されていますでしょうか。

平野政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省におきましては、例年、教員採用等の改善に係る取組事例を把握する中で、教員採用試験における適性検査の実施状況についても把握しております。

 そこで、各都道府県教育委員会等から回答があった限りでは、直近で把握しております平成二十九年度に実施された教員採用試験において、御指摘のMMPIを使用していた例はございませんでした。

尾辻分科員 これは、政令指定都市、都道府県を調べた結果ということでよろしいでしょうか。

平野政府参考人 お答えいたします。

 都道府県、あと政令指定都市等の教育委員会等に調査をかけておるものでございます。

尾辻分科員 済みません、ちょっと範囲を。等というのはどこまでか。全てなのか、それとも都道府県と政令市を調べられたのかということが、もしわかれば教えていただきたいんですが。

平野政府参考人 済みません。都道府県と政令指定都市でございます。

尾辻分科員 では、大きなところは今ないんだということですね。わかりました。ありがとうございます。教員採用試験においては、このようになくなっていっているということです。

 では次に、昨年、実は東京医科大学の入試で、二次試験、ここで、今度は入試でMMPIが使われていたということが報道をされました。このことについては、文科省の方で、このような検査が行われていたことについてどういうふうに認識されているか、お答えください。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 東京医科大学に確認をいたしましたところ、平成三十年度までの入試において、MMPIとほかの検査を組み合わせた適性検査を実施していたとのことでございます。

 昨年八月に大学が実施いたしました記者会見の場において、その適性検査の適否について指摘があったことから、大学において検討を行い、平成三十一年度入試においては適性検査を実施しないことを決定したものと承知しております。

 入学者選抜の具体の実施方法については各大学の裁量に委ねられており、個別の選抜方法についてのコメントは差し控えますが、引き続き、各大学が行う入学者選抜において、多様な背景を持った学生の受入れに配慮されることが重要と考えております。

尾辻分科員 ほかの大学等でこのMMPIが使われている事例というのは把握されていますでしょうか。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、大学入学者選抜においてMMPIを実施している大学は把握しておりません。

 なお、医学部医学科の入学者選抜においては、平成二十八年度の全国医学部長病院長会議の調査におきまして、八十大学中八大学が何らかの適性検査を実施しているとされていますが、その具体的な内容までは言及されておりません。

 入学者選抜の具体の実施については各大学の裁量に委ねられておりますが、文部科学省では、毎年度、大学入学者選抜実施要項において、各大学は、年齢、性別、国籍、家庭環境等に関し多様な背景を持った学生の受入れに配慮するべきことを通知しているところであり、引き続き、各大学において適切に判断されるよう促してまいります。

尾辻分科員 八大学で何らかの適性試験が行われている。要は、その中身が非常に問題かなというふうに思うんですけれども。

 このことで詳しい金沢大学人文学類の岩本健良准教授が、この東京医科大のMMPIの適性検査のことについて、医学部がこういう、医学部というのは、心理系のお医者さんもいらっしゃる、専門家もいらっしゃるところで、このようなMMPIの心理テストが使われているということについては、非常に驚かれているわけですね。そして、医学部としての人権教育や倫理教育にも疑念を持たざるを得ないというようなことが指摘をされています。

 今、この入学者選抜実施要項について、方針というのは書かれておりますけれども、実際、本当にこういうことが、十八で高校を卒業した、そういう思春期の方々にこのような不適切な適性検査がされているということは、これはやはり問題だと思うんです。

 こういう、今回、東京医科大のような事例があったということを、例えば、選抜実施要項の中で注意をしていただくなり、何か各大学に、このようなことをしていないか、私は、やめていただきたいような働きかけを何かしていただきたいと思うんですが、この辺、いかがでしょうか。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになってしまいますが、入試の実施の方法につきましては、各大学の裁量に委ねられております。

 ただ、また私どもでも、先ほど申しましたように、毎年度の実施要項において、年齢ですとか性別ですとか国籍、家庭環境に関し多様な背景を持った学生の受入れに配慮すべきことを通知しているところでございますので、これは引き続きまして、各大学において適切に判断されるよう、私どもも促してまいりたいと考えております。

尾辻分科員 これはずっと多分書かれていて、でも、MMPIが実際行われていたということを考えると、出していたらいいよということではないと思うんですね。

 ここの中に書き込めなくても何らか対策をしていただきたいんですが、検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。

玉上政府参考人 詳しく実態を調べさせていただきたいと思います。

尾辻分科員 よろしくお願いします。

 それでは、今度は、ほかの採用試験でも同じようにMMPIは使われていないのかということでお伺いをしていきたいと思うんですけれども、一つは国家公務員について。これは、きのう人事院からヒアリングをしたときに、MMPIは使用していないという返事をいただきました。

 次は、地方公務員の採用試験においてなんですけれども、このようなMMPIの使用について、把握や調査はされているのか、お答えをいただきたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしまして、地方公務員採用試験におけるMMPIの使用については把握はしておりません。

 なお、総務省から各地方公共団体に対しましては、従来から公平な採用選考を行うよう通知を発出してきたところでございまして、その中で、先ほどの厚生労働省が作成されたパンフレットについての資料も、あわせて情報提供をさせていただいているところでございます。

尾辻分科員 国がどこまで各自治体の採用選考に口を出すかというのは、自治体の本旨からいうと難しいところはあるかと思います。しかし、そう言っていると、結局、MMPIをやっている当事者の方とか気づいた人がそこで声を上げて言わない限り、これはずっと使われ続けることになると思うんですね。

 それで、認識だけで結構なんですが、例えば、この性的指向、性自認を尋ねるような適性検査は問題があると考えておられるか、不適切であると考えておられるかどうかという認識はいかがでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 総務省から発出しております通知におきましては、本籍地、出生地、家族の職業、収入や思想信条等、職務遂行能力の判定に必要のない事項の把握を行っている事例があるとの指摘がされているというところを指摘をさせていただいておるところでございまして、そのような事柄を採用試験において、あるいは面接時の質問等において行うことは不適切であるというふうに考えております。

尾辻分科員 では、その発出の文書に、例えば性的指向や性自認を加えていただくようなことというのは検討いただけないでしょうか。

吉川政府参考人 採用試験の状況などを踏まえまして、検討させていただきたいと思います。

尾辻分科員 それでは次に、消防庁についてもお聞きしたいと思います。

 消防庁の採用試験について、MMPIの使用について把握や調査をされているか、お答えください。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 消防庁では、消防職員の採用試験におけるMMPIの使用については把握していないところでございます。

 以上です。

尾辻分科員 何らかの適性試験が行われているかどうか、こういう把握はありますか。

菅原政府参考人 特に把握していないところでございます。

尾辻分科員 これもやはり性的指向、性自認を尋ねるというのは非常に問題があると思います。これもひとつ、自治体を受けた当事者が言わないと変わらないという状況はやはり問題だと思うので、ぜひとも把握をしていただければと思います。

 次に、警察についてもお伺いしたいんですけれども、警察の採用試験において、MMPIの使用について把握、調査をしているかということをお答えください。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 都道府県警察の職員の採用試験において、具体的にどのような適性検査を実施するのかについては、各都道府県において適切に判断されるべきものであると考えており、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

尾辻分科員 各都道府県警がやることだというのは理解するんですけれども、では、人権侵害に当たるような適性試験を続けていいということには私はならないと思うんです。

 実際、例えば、二〇一三年の新聞記事で、愛媛県警がこのMMPIの適性検査をしていたということがやはり報道されたりしているわけなんですね。

 なので、やはりこれは使われている可能性というか、誰も問題にしないまま、ずっと使っているということは十分考えられるわけです。ぜひとも把握をしていただきたいと思うんですが、一般論で結構ですから、性的指向や性自認を適性試験において尋ねるということに問題があるかないか、不適切だと思われるかどうか、ここの認識、もしよかったらお聞かせいただければと思います。

藤本政府参考人 先ほど申し上げたとおりでございますが、各都道府県警察において、いかなる適性検査を実施するのかについては、各都道府県において適切に判断されるべきものであると考えております。

 その上であえて申し上げれば、一般に人権擁護の観点も踏まえながら、任命権者において警察職員に求められる能力、適性等を公正かつ厳格に判断することが求められているものと認識をいたしております。

尾辻分科員 都道府県任せということでは、さすがにちょっとこれは問題があると思います。なので、しっかりと警察庁の方としても取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そもそもなんですけれども、もうそろそろ採用試験の適性検査にMMPIを使用すること自身が問われている時代だと思います。

 これは、性的指向、性自認だけじゃなくて、宗教などとかジェンダーの役割についても、やはりかなりもう今の時代にはそぐわない質問があるということで、これは、もうアメリカでは連邦裁判所で二〇〇五年に、MMPIを人事選考で用いるのは雇用差別に当たる、不適切だという判決が出ております。それで、採用や配属、異動等に用いることは原則として使用禁止となっているということで指摘があります。

 臨床診断目的でつくられた心理検査を、このような採用とか入試とかで使うことは、もうやめるべきときが来ているんだと思いますので、その辺、きょうお答えいただいた各省庁の皆さん、ぜひとも、このような試験をされているということがあれば、もうやめるように、そして把握をするように努めていただきたいというふうに思います。

 最後に、ちょっと一問だけ。今度、また介護の、ケアマネの質問を一点だけして、終わらせていただきたいと思います。

 実は、昨年のケアマネ試験の受験人数が非常に減少いたしました。今まで十三万千五百六十人だった試験が、四万九千三百三十三人にということで、六割以上、この第二十一回の介護支援専門員実務研修受講試験というので人数が減ったわけです。これはもちろん、試験を受ける方の条件が変わったということでこのようになったかと思うんですが、こう一気に六割も減る、それで合格率も非常に低かったんですが、これは非常に人材供給の面からも問題があるんじゃないかと思います。

 このケアマネ受験人数減少について、厚生労働省としてどう考えているのか、お答えいただければと思います。

大島政府参考人 委員の御指摘のとおり、昨年十月の試験で、前回と比べて八万人ほど減りました。

 この減少の背景としましては、今回から、試験の受験要件につきまして、五年間の実務経験期間の対象から、法定資格に基づかない介護等の業務の期間を除く見直しを行ったということなどが背景としてございます。

 この試験要件の見直しは、ケアマネジャーの資質や専門性の向上を図る観点から、平成二十五年に検討会を開催しまして、そこの報告書を踏まえて導入することとしまして、今回の試験から適用ということになったものでございます。

 現在、ケアマネジャーの試験の合格者、累計で約七十万人、全国にいらっしゃいます。一方、実際にサービスに従事していらっしゃるのは約二十万人でありますので、今回の受験者数の減少、合格者数の減少が、現場のケアマネジャー不足に直接不足感を招くことにはならないとは認識しておりますが、ただ、来年以降の受験者数あるいは合格者数につきましては注視をし、必要に応じ適切な対応をしてまいりたいと考えております。

尾辻分科員 時間が来たので終わりたいと思いますが、ケアマネの方がこれだけ減ると、やはりいろんな課題が出てくるかと思います。条件を見直したことを含めて、きちっと検討いただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

後藤主査 これにて尾辻かな子君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)分科員 立憲民主党の岡本あき子でございます。よろしくお願いいたします。

 私からは、児童虐待問題と児童相談所の役割について伺わせていただきたいと思います。

 本年一月二十四日に、千葉県野田市の小学校四年生の児童の虐待死事件が起きました。幾度となく、大人の身勝手のもとに幼い命が失われることに、憤りを感じざるを得ません。最も悔しい思いをしたのがこの子です。もっと楽しい人生を送っていただきたかったです。心から哀悼の意を表したいと思います。

 昨年三月にも、目黒区で、たび重なる虐待を受けて五歳の児童が死亡したことの記憶もまだ新しいです。また、依然として毎年七十件を超える虐待死事件が起きており、換算すると、毎週一人以上の幼い命が失われていることになります。

 この間、幾度となく児童虐待防止法が改正されてきましたが、同じ反省を繰り返しています。児童の安全確認義務、要保護児童対策地域協議会のケースの扱い方や機能の強化、引継ぎの徹底、連携の強化などです。加えて、再婚の場合のリスク、転居を伴った場合のリスク、DVが疑われる場合のリスク、今までも何度となく指摘をされており、今回も全て当てはまる可能性が高いと言わざるを得ません。

 それぞれの機関が努力されていることはよく承知しておりますが、ちょっとした見過ごしや優先順位のつけ方、情報の共有の欠如など、見落とされた部分を速やかに明らかにすることでしか再発防止にならないことを自覚していただきたく、質問をさせていただきたいと思います。

 今回の野田市の事件で、立憲民主党としてもヒアリングを重ねていますが、一カ月たっておりますが、残念ながら、この間、厚生労働省として、この事件に関して、教育委員会や警察、糸満市、野田市、千葉県児童相談所の情報を共有ができていないということを改めて指摘させていただきます。事実を明確にし、今まさに起きているかもしれない虐待を防ぎ、子供の命を守るために、動きと感度が鈍いのではないでしょうかということを改めて指摘させていただきます。

 いただいた情報をもとに、野田市の対応を時系列で少しひもといていきたいと思います。

 二〇一七年八月に糸満市から転居、児相ではなく野田市への行政間での申し送りがあったと聞いております。その際にはDVという報告もあったということですが、残念ながら、野田市の方ではそこが重要視されておりませんでした。

 その年の九月にA小学校に転校し、要保護児童対策地域協議会に登録をされた二カ月後、当該児童が暴力を受けているとアンケートで訴え、速やかに児童虐待通告で一時保護されておりますが、十二月には一時保護を解除して、親族宅で生活を始めています。五十日後になります。

 翌年一月に、教育委員会がアンケートを父親に見せるということが起きましたが、その三日後に父親がB小学校に転校させております。二月には、家庭訪問で、お父さんにたたかれたというのはうそですというメモを父親から見せられ、本人に確認もせずに、その二日後には実父母宅へ帰す方針を決定しています。

 夏休み明けに登校せず、父親からの欠席理由の通告にもかかわらず、夏休みを挟んで一カ月以上、学校も児相も、本人の顔を見る安全確認をしておりません。加えて、本年一月、冬休みの後も登校せず、これもまた父親からの欠席の理由の通告。学校も児相も、冬休みを通じて一カ月以上、当該児童の顔を見るという安全確認をせず、欠席延長まで認めております。その間に、お嬢さんが亡くなられました。

 顧みると、安全を確認し、本人の気持ちに触れる機会が幾度とあったにもかかわらず、逃しています。

 そもそも、DVについての情報提供は糸満市から野田市にあったと伺っておりますが、虐待の疑いの場合、陰にDVの疑いがありというのは定説になりつつあります。虐待はもちろん、DVも犯罪です。要対協のリストにありながら、警察との連携がされておりません。母子保健についての対応はされていますが、DVについては児相もケアがなかったのではないかと思われます。

 なぜ見過ごされ、警察との連携がされていないのか、お答えいただけますでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今回のケースにつきましては、DVについての情報提供はありましたけれども、なかなか連携がうまくいかなかったということでございます。

 配偶者からの暴力、いわゆるDVの問題がある家庭で子供が育つことは、心理的虐待に該当いたします。したがいまして、児童相談所が指導や一時保護を行う必要がございます。

 また、DVが行われている状況下におきましては、虐待の制止が困難な場合がありますことから、子供の安全確保を最優先して対応する必要があると考えております。このため、配偶者暴力相談支援センターの機能を持ちます婦人相談所におきまして母子を同時に一時保護するなど、児童相談所と婦人相談所が緊密に連携して対応することを徹底させたいというふうに考えております。

岡本(あ)分科員 先ほども申し上げたとおり、虐待の陰にDVありという前提で、速やかに体制を構築していただきたいと思いますし、何しろ、関係機関との情報共有、この間、毎回毎回、情報共有が必要なんだという言葉は飛び交っておりますが、実効が上がっていないということを改めて確認していただき、速やかに改善をしていただきたいと思います。

 そして、年間、児童相談所に相談が来る、児童相談所で扱うケースのうち、半数が虐待という時代です。父親あるいは養父にかかわるケースのときに、改めてDVということに着目しなければいけないというのは、先ほど御答弁もいただいたと思います。

 児童相談所においても、改めてDVに対応できるスタッフを置くことが必要かと思いますが、いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたけれども、児童相談所においてもDVに関する情報を共有する必要があると思います。したがいまして、児童相談所、また、DVにつきましては基本的には配偶者暴力支援センターが対応しておりますので、その間の連携をしっかりしてまいりたいというふうに考えております。

岡本(あ)分科員 私は、児童相談所は、研修だけではなく、やはりDVの専門というところを意識せざるを得ないんじゃないかと思いますので、ぜひお考えおいていただければと思います。

 当該児童相談所で扱っている支援対象となるケースは百件単位であると伺っておりました。今回の野田市の児童の件は、必ずしもハイリスクという位置づけではなかったのではないかと推測がなされます。しかし、リストにある以上、児童相談所だけでなく、学校も含めて一カ月以上顔を見ていない状況で、安全確認の判断が行われておりませんでした。

 そもそも、個別の状況に応じて必要な措置となっているのが今までの扱い方だと思いますが、リスクが低いと認定されれば、問題が起きない限り何もされないということとイコールになってしまうことも考えられます。

 虐待の疑いの通告があったら、本来、四十八時間以内に安全確認の義務がありますけれども、リストに載っている以上、顔を見ずに一カ月以上、間がたつ、あるいは学校や幼稚園、保育所等であれば、一週間以上欠席が続くなどあれば速やかに顔を見て確認するという安全確認、ガイドラインを示す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 野田市の事案におきましては、実父から小学校に対しまして長期間遠方にいるとの連絡があり、その後、児童相談所は安全確認を行っていなかったということでございます。

 このため、今回の緊急安全確認におきましては、安全確認する期間中に、遠方の親族宅にいるなどの理由によりまして子供に会えないと言われた場合には、自宅を訪問し、状況を把握する。その際、自宅にいる可能性がある場合には、ちゅうちょせずに立入調査を検討し、安全確認を最優先する。自宅に不在であることが確認された場合におきましても、子供が滞在する場所を特定いたしまして、安全が確保されているかを所管児童相談所に確認する。こういったことを全国の児童相談所にお示ししているところでございます。

 また、学校と児童相談所等の間におきましては、出欠状況等の定期的な情報共有のほか、不自然な外傷が見つかった場合、あるいは帰宅を嫌がる等の虐待の兆候などがあった場合には、速やかに学校から児童相談所等へ情報提供を行うこととしております。

 さらに、本年二月八日に関係閣僚会議で決定した対策では、新たなルールを設定することといたしました。これは、理由の有無にかかわらず、学校の欠席が続く場合には学校が児童相談所へ速やかに情報提供を行うことなどが盛り込まれております。

 児童相談所や学校などの関係機関を含め、周りの大人たちが虐待を受けている子供の悲痛な声をしっかり受けとめていくことが何よりも重要であるというふうに考えております。

岡本(あ)分科員 今御答弁で、緊急に更に通知を出してくださっていると思うんですが、ちょっと御答弁の中で、不自然なことがあればとか、一定程度という話があったと思います。

 私の中では、やはりどうしても皆さん、抱えている件数が四十件、五十件持っている中で、少なくともリストに載っている以上は、例えば学校であれば最低限でも一週間に一回、一週間以上欠席が続くとなればもう自動的に、あるいは、長期休みも含めて一定期間、それが一カ月がいいのか半月がいいのかというのは現場の方々の声を聞いてとはなると思いますが、必要があれば、あるいは不自然な点があればというのは今までも皆さん承知しているんですが、四十件、五十件の中で、残念ながら、もっと毎日でもケアしなきゃいけないお子さんがいた場合に、もしかしたら間があいてしまうお子さんがいる、それが問題が起きるまで気がつかない状態にあるということを改めて確認するべきだと思うんです。

 なので、一定程度のガイドライン、目安というのは改めて示すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと繰り返しになりますけれども、これまでのルールは、出席状況等の定期的な情報共有のほか、不自然な外傷が見つかった場合、あるいは帰宅を嫌がる等の虐待の兆候などがあった場合に、速やかに学校から児童相談所等へ情報提供をする、これがこれまでのルールでございます。

 今回、二月八日に関係閣僚会議で決定した対策におきましては、新たなルールを設定するということでございまして、これは、理由の有無にかかわらず、学校の欠席が続く場合に学校が児童相談所へ速やかに情報提供を行う、こういったルールを新たに設定するということでございます。

岡本(あ)分科員 ごめんなさい、私の方でちょっと聞き違いをしていました。

 学校の欠席が続く場合の目安というのも示すべきじゃないかというところで確認をさせていただきたいと思います。

浜谷政府参考人 続く場合の目安につきましては、今後検討させていただきたいと思います。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。

 続くというのが三日なのか、一週間なのか、一カ月なのか、実は三カ月以上なのかというのが現場の判断となってしまうと、どうしても優先順位が決まってしまうということを恐れていますので、ぜひ一定の目安というところを出していただきたいと思います。

 現在、緊急点検を行っていますが、進捗状況はいかがでしょうか。通常の業務を抱えながらの、この一カ月間の緊急点検になっています。私も、幾つか児相に問合せをさせていただきました。本来であれば、伺って現場を見せていただきたかったんですが、もうそれどころじゃない、今、とにかく緊急点検を優先させてくれという、本当に児相の現場の皆さんの悲痛な声が届いております。結果として、この緊急点検のために、通常のケアのところが後回しになるということはあってはならないと思います。

 改めて、この緊急点検をするに当たって、国の財政的な部分も含めての支援というのは必要なのではないでしょうか。お答えください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 野田市の事案を踏まえまして、繰り返しになりますけれども、二月八日の関係閣僚会議で、児童相談所が、在宅で指導している全ての虐待ケースについて、一カ月以内に緊急安全確認をすることを決定いたしました。現在、児童相談所におきまして安全確認を行っている最中でございます。

 これは、今回の事案が、自宅に戻す決定をいたしまして、その後、学校を長期欠席している間に起こってしまったことなどを踏まえまして、万が一にも今回の事案と同様のことが起きていないか、見落としはないのかなどを改めて緊急確認するものでございます。

 今回の緊急安全確認の対象でございますけれども、これは、児童福祉法に基づきまして児童相談所が行う行政処分に当たらない継続指導と、行政処分に該当する児童福祉司指導を行っているケースでございます。これらの指導でございますけれども、各児童相談所におきまして既に管理、把握しているものでございまして、調査の実施に当たりまして大きな混乱は生じないものというふうに認識をいたしております。

 また、現場におきまして、緊急安全確認を学校、保育所など関係機関と協力しながら効率的に実施できるよう、関係機関と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。

岡本(あ)分科員 私はちょっと異論がございます。現場の方々、各児相にお聞きをしましたけれども、通常業務で確かに持っているケースを扱うものですから、それはやらなきゃいけないのは当然です。ただ、この期間に一気に全てとなると、逆に、通常のルーチンの部分、ケースの支援については当然やらなければいけないんですけれども、それ以外の報告ですとか事務処理ですとか、そういう部分というのが後回しになる可能性もあります。結果として、本来ケアする事例が後ろにおくれていくということがあってはならないと思います。

 そういう意味でいきますと、人的な支援とか財政的な支援、各自治体で判断をするということにはなりますが、現実、伺ったところでは、今の体制のままでやっているというのがほとんどでございました。そういう意味でいくと、失礼ながら、あす以降全て虐待死がゼロになる、本当は望むべきですが、年間七十件ある中でゼロにするというのは非常に厳しい中で、今後もこういう緊急点検というのは起こり得ると考えます。

 そういう意味でいくと、この緊急点検、一斉点検のときの支援のあり方というのは、ぜひお考えいただきたいと思います。もう一度お答えください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 緊急安全確認につきましては、先ほど申し上げましたけれども、万が一にも今回の事案と同様なことが起きていないか、見落としはないのかということをやはり改めて緊急確認する必要があるというふうに考えております。

 また、通常指導をしているケースでございますので、事務処理の増が全くないとは申し上げませんけれども、大きな混乱は生じないものというふうに考えております。

 また、学校、保育所などの関係機関にも御協力いただきながら、できる限り効率的に実施するよう努めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(あ)分科員 まずは全員が無事であることを祈りますし、私からすると、やはり現場の声を伺うと、業務量が非常に短期間に密集しているということは事実だと思います。今後の検討に上げていただけるとありがたいなと、ここは要望とさせていただきたいと思います。

 あと、児童相談所の体制と質についても伺わせていただきたいと思います。

 児童福祉司は常勤が多いとは聞いておりますが、全員児童福祉司まで至っているとは伺っていない状況です。また、連携が必要だという調整機関の職員も、三分の一が非正規職員という状況だということを伺っております。それからあと、弁護士の配置についてということで、これは速やかに連絡がとれる体制となっていると思います。

 私からしますと、児童福祉司は、やはり全員資格を持った常勤体制であることが望ましいと思います。それから、連携職員についても、非正規ではない形で専門性を持たせるという、質を向上させる必要があると思います。弁護士については、連携ではなく、常勤とは言わないですけれども、配置を義務化するということが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 幾つか御質問いただきました。

 まず、児童相談所の職員についてでございます。

 児童相談所の職員につきましては、必要な専門性が確保できるよう、計画的な人材確保、育成が図られることが重要であるというふうに考えております。このため、非常勤職員の常勤化を含めまして、人事異動サイクルの見直しなどによりまして組織としての経験も蓄積され、引き継がれるようにする必要がありまして、その旨を都道府県等に依頼しているところでございます。

 また、厚生労働省といたしましては、児童相談所における計画的な人材確保につきまして、昨年十二月に新たなプランを策定いたしました。具体的には、現在三千名の児童福祉司を来年度一気に千名程度増員いたしまして、二〇二二年度には五千名体制とするなど、児童相談所の体制を抜本的に強化することをプランとして策定したところでございます。

 また、プランの中では、御指摘の要対協の調整機関調整担当者につきましても、二〇一七年度実績におきまして九百八十八市町村のところ、二〇二二年度には全市町村に配置するということを目標に掲げております。このための常勤前提の所要の地方交付税措置についても講じてまいるということでございます。

 また、弁護士についてでございます。

 児童相談所におきまして、法的な知見を踏まえた虐待事案の対応ができることは極めて重要でございます。このため、委員御指摘のとおり、平成二十八年改正児童福祉法におきましては、児童相談所における弁護士の配置又はこれに準ずる措置を行うこととしたほか、弁護士の配置費用の補助等によりまして体制整備を支援しているところでございます。

 また、社会保障審議会のもとに設置いたしましたワーキンググループにおきましては、昨年十二月に取りまとめがなされました。その中では、常勤弁護士を必置とすべきという意見と、常勤弁護士の必置には反対であり、日常的に弁護士と協働できる体制とする種々の配置方法が認められるべきという意見、両論ございましたけれども、常勤弁護士を含む弁護士配置を促進することが望ましいという点では意見が一致いたしておりまして、これを踏まえ、日常的に弁護士とともに対応できるような体制整備が必要と考えております。

 このため、厚生労働省といたしましても、児童相談所におきまして日常的に弁護士とともに対応できる体制整備を進めるために、法改正を含め必要な措置を検討してまいりたいというふうに考えております。

岡本(あ)分科員 いろいろな御意見があるというのは聞いておりますけれども、私は、やはり必置する、常勤とは言わないですけれども、実際に現場にいていただくということの重大性、必要性ということを求めたいと思います。まだまだ児童福祉に強い弁護士さんがいらっしゃらないという点で、必ずしも同じ人がずっといるのが望ましいかという御意見が出ているのかなと思うんですが、置いて、そこの仕事についていただかないと児童福祉の司法上のプロも育っていきませんので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 大臣にもぜひ見ていただきたいんですが、私もちょっと浅学非才であれだったんですが、一時保護所に緊急保護をされます。資料を配っておりますが、資料一のところ、一番上のページですが、大体皆さん一カ月、一時保護をされると滞在をいたします。そして、野田市の女児の事件では、五十日、保護所におります。

 資料二をごらんください。一時保護所のところにおりますと、基本、外出ができません。学校に通うこともできません。

 資料三には、一応、一時保護のガイドラインを厚労省で出してくださっていて、権利擁護の観点から、外出、通信、面会、行動等については、極力子供の利益を優先して制限をしない方にしろという方針は出ております。

 ただ、児相の所長さんに伺うと、リスクがある中で外に出すという判断には至らないと言われております。でも、特にこの間、虐待がふえている中で、子供には何の非もないときに親から離される、安全という意味で、結局建物の中でずっと過ごさざるを得ないという状況が続いていることになります。

 私は、児相の所長さんの判断でできなくはないと聞いておりますが、はっきり言って、怖くて出すことはできないと言われています。学校は学校の中で安全をちゃんと担保すること、通学上の安全管理もすることもちゃんと制度としてつくって初めて、子供は安心して、親からの圧力、危険から回避しながら自分の日常生活を取り戻すことができるんじゃないかと思います。

 ぜひ、改めて、子供の権利を擁護するという意味での、建物の中に閉じ込めるだけじゃないという環境整備というところをしっかり制度としてつくり上げていただきたいと思います。

 この件とあわせて、最後に大臣にも決意を伺いたいと思います。

 今、法改正をしようという動きがあるということは、報道等でも聞いております。今るる言わせていただいた件、そして何よりも子供の権利を最大限擁護するんだという立場で、この一時保護所の過ごし方の見直し、そして虐待を防止するという制度改正に向けて努力をいただきたいと思います。

 済みません、一時保護の件とそれから全体の件と、二つあわせてお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

根本国務大臣 今、先生からいろいろ御質問いただいて、私もずっと聞いておりました。

 私も、東京の一時保護所あるいは相談所に実際行って見せていただいて、そして、担当の皆さん、責任者の皆さんといろいろな意見交換はさせていただきました。

 そして、今の先生の御質問ですが、一時保護された子供に対しては、子供の意見や気持ちを十分に聞くなど子供の権利擁護を図って、安全、安心な環境で適切なケアを提供することが重要だと思います。

 個々の子供の状況はさまざまですけれども、可能な限り通学できるようにすることが望ましく、従来より、一時保護所などから子供が通学する場合の介助員の配置を行っております。

 全体の法改正の話もありました。

 一時保護所の問題と加えて、一時保護を学区内の里親や児童養護施設などに委託していくことも重要だと思います。このため、都道府県に対しては、一時保護が可能な里親や児童養護施設などの確保策を含む社会的養育の推進計画を二〇一九年度中に策定いただくよう依頼をしております。

 そして、平成三十一年度予算案において、児童養護施設などが、自己所有の物件のみならず、一時保護を実施するための専用施設を設置する際、賃貸物件の改修費補助を行うこととしています。

 この児童虐待の問題については、我々、去年の緊急対策あるいは総合プランで、あるいは今回の閣議決定で、具体的な事案に即してさらなる対策を強化してまいりました。それらを踏まえて、今回の法改正については、必要な法改正事項はしっかり盛り込んで、そして児童虐待の防止対策にしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。

 法改正も視野に入れていらっしゃるということを伺っておりますので、何よりも、やはり子供たちが二度と犠牲にならないように、そして子供が安心して暮らせるように、子供が友人関係も含めて持っている財産を失わないように配慮いただき、前に進んでいただきたいということを言わせていただき、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤主査 これにて岡本あき子君の質疑は終了いたしました。

 次に、和田義明君。

和田分科員 自由民主党の和田でございます。

 本日は、第五分科会の質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。関係各位に心から感謝を申し上げます。

 本日は、児童虐待と子育て支援について政府に質問をさせていただきたいと思います。

 さて、最初でございますけれども、フィンランドの子育て支援制度でネウボラというものがございます。フィンランドのネウボラは、弁護士や医師と同じような国家資格でございます。

 ネウボラさんは、子育て支援の包括的な窓口であります。子供の心身の健康、教育、医療、夫婦問題、また家庭の中での経済問題、こういったことを包括的にアドバイスをする専門職でございます。そして、このネウボラさんは、定期的に子育て家庭を訪問いたします。フィンランドでは、平均で約十軒から二十軒の家庭を受け持っているというふうに聞いております。

 国内外におきまして、問題のある家庭ほど行政に対していろいろな相談ができない、また、そういった問題が表面に出てこない、こういった懸念がある中、行政から家庭に出向くことで、問題を早期に察知して、そして行政の支援の手が届かない家庭をなくす、これがネウボラのアイデアでございます。

 まず、厚労省さんにお伺いをいたします。

 一点目でございますけれども、平成二十九年だと記憶しておりますけれども、日本版のネウボラを導入されました。大変すばらしい試みだと考えております。

 政府は、この日本版ネウボラの導入によって何を目指されているのか、何を達成しようとしているのか。また、現段階におきまして、フィンランドのネウボラと日本のネウボラの違い、差異というのはどういったものがあると御認識されていますでしょうか。また、現時点での日本版ネウボラの課題、問題意識についてお伺いをいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、フィンランドにおきましては、妊娠、出産から就学前までの健康診査、それから予防接種、保健指導などのサービスを、ネウボラと呼ばれる機関におきまして、一人の担当者がワンストップで継続的に提供しているというふうに聞いております。

 一方で、我が国における子育て世代包括支援センター、いわゆる日本版ネウボラにおきましては、フィンランドのネウボラの取組も参考にしながら、妊産婦や乳幼児等に対しまして切れ目のない支援を行うための、いわば機関でございます。

 具体的には、保健師等による面談あるいは家庭訪問、関係機関からの情報収集等を通じて課題や支援ニーズを把握いたしまして、本人にとって必要な情報提供や助言を行う、また、課題や支援ニーズに的確に対応するための支援プランを策定する、あるいは、利用者目線に立った関係機関との連絡調整等、総合的にマネジメントする機能を担っております。

 また、委員御指摘のとおり、妊産婦や乳幼児等へのアウトリーチによる支援も重要であるというふうに考えております。子育て世代包括支援センターにおきましても、母子健康手帳の交付の機会における面談におきまして、必要があると判断した場合には、関係機関と連携いたしまして、新生児の訪問指導等の機会を通じて保健師等の専門職が家庭訪問等を行っておりまして、これにより、妊産婦や乳幼児等に対しまして、切れ目のない支援を進めてまいりたいというふうに考えております。

和田分科員 御説明ありがとうございました。

 ワンストップで切れ目のない子育ての支援というようなことでございます。大変すばらしい試みであり、子育て支援に関する大きな前進だというふうに思っております。

 その一方で、家庭訪問につきましては全戸ではないといったところも、今お話が出ておりました。これに関して、課題意識ですね、こういったところをいま一度御確認をいただけますでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、課題として、一つは、現在、ネウボラでございますけれども、七百六十一市区町村、千四百三十六カ所におきまして設置されております。ニッポン一億総活躍プランにおきましては、二〇二〇年度末までに全国展開を目指すこととしておりまして、まずはその全国展開が課題でございます。

 また、アウトリーチでございますけれども、アウトリーチも含めまして、各市町村において設置が進むよう必要な財政支援を行う、それから、御指摘によるアウトリーチによる支援も含めまして、ホームページにおきまして先進事例の紹介などを行っているところでございまして、そういった先進事例の展開を行うことによりまして、より機能が発揮できるようにしてまいりたいというふうに考えております。

和田分科員 御説明ありがとうございました。

 全国展開、一日も早い実現を御期待を申し上げますし、また、個別の家庭訪問におきましても、問題がわかってからでは私は遅いと思ってございます。問題の可能性、こういったところがどの家庭にもあるというふうに思っておりますので、予算的にもマンパワー的にも大変だとは思いますけれども、全戸訪問、これを目指して頑張っていただきたいと思っております。

 二つ目の質問でございますけれども、目下、政府が目指している日本版ネウボラの最終的な形、目指す姿、そしてまた、そこに至るまでの時間軸を含めたロードマップについてお伺いいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 済みません、先ほど少し先走ってお答えしてしまったかもしれませんけれども、ロードマップでございますけれども、子育て世代包括支援センターの機能については先ほど申し上げたとおりでございます。これを二〇二〇年度末までに全国展開をするというのが当面のロードマップということでございます。

和田分科員 最終的に目指す形もあわせて御回答をお願いします。

浜谷政府参考人 繰り返しになりますけれども、子育て世代包括支援センターでございますけれども、妊産婦や乳幼児等に対しまして切れ目のない支援を行う、これがいわば目指すべき姿ということでございます。

和田分科員 もう少しそこのところをかみ砕いて御説明をしていただきたかったんですけれども。

 フィンランドのネウボラの特徴は、子育て家庭が希望する、しないにかかわらず、ネウボラという国家資格を持った人が公権で家庭に入っていきまして、そして、能動的にいろんなチェック、そして支援をいたします。

 行政が親の相談を待つのではなく、行政が進んで足を運んで、そしてチェックしに行く、拒まれてもちゃんと中に入って現状を把握していく。こういったことが大変大きなネウボラの特徴であり、例えば、今、大変喫緊の課題となっております児童虐待の問題もそうですし、また、ありとあらゆる子育て家庭の課題、こういったところにしっかりと刺さっていくものだというふうに認識をしてございます。

 実は、日本の国内でもネウボラの先進事例がございまして、私も訪問したんですけれども、埼玉県の和光市というところがございます。ここは、和光市独自でネウボラの取組をされております。

 まず、母親が妊娠しますと、その妊娠したという事実が地域の産婦人科から市役所の方にレポートとして入る仕組みになっております。そうしましたら、市役所の担当者又は委託を受けた方が、速やかにその家庭を訪問して、母親の心身の健康状態、また父親の心身の健康状態、また家庭の経済状態、また、おじいちゃん、おばあちゃんがちゃんと家事とか子育てを手伝ってくれそうかどうか、そういったところまで事細かにサポートいたします。そして、そのニーズをしっかりと把握した上で必要な手を打つ、これを和光市はやってございます。

 例えば、母子家庭の場合、しかも、小さいお子さんがいて更に新たな命が宿ったといった場合、お母さんの負担というのは相当なものになります。そういったときには、その状況をしっかりと市が受けとめて、通常でしたら高齢者の方にしか支援をしないヘルパーさんをその家庭に送る、こういったこともやってございます。

 また、経済的に大変厳しい状況にある御家庭といった場合には、ハローワークの担当の方が、そこの家庭に出向いていって、そして職探しのお手伝いまでする、そういったこともやっております。

 まさに今、本当にこれは大変な御苦労だと思うんですけれども、家庭、家庭の御苦労、そして困難に応じたテーラーメードの支援体制、これをやっているわけでございまして、埼玉県和光市でできているということは、これは日本全体にとっても一つの希望の光なのかなというふうに思っております。

 子育て家庭を絶対に孤立させない、そして、子育てをしている親を孤立させない、こういった決意を政府としてもしっかりと持って、そして、アウトリーチ、これはできるだけ、一軒でも多くの家庭でやっていただきたいですし、行く行く、目指すところは全県、全子育て家庭ということを、明確にターゲットを置いて頑張っていただきたいと思います。また、スピード感を持ってやっていただきたいと思っております。

 続きまして、児童虐待に特化した質問をさせていただきたいと思っております。

 平成三十年三月、東京都目黒区内で、児童が虐待により亡くなる大変痛ましい事案がございました。両親は、保護責任者遺棄致死という罪状で逮捕をされてございます。

 また、ことしの平成三十一年一月におきましては、千葉県野田市で児童が虐待によって亡くなったことは記憶に新しいところでございまして、こちらも両親が逮捕をされてございます。

 いずれも、虐待を加えた両親が転居をしてございます。そして、過去の虐待の情報が、昔住んでいたところから新たに引っ越したところに十分に共有されていなかった、新しく居を構えたところの自治体に共有されていなかった、こういうふうな状況があったと理解をしております。過去の情報が共有されていなかったら、事態の深刻さというのは当然わかるものではなく、したがって、対応が後手に回る又は甘くなる、そういったことが間違いなくあったものと考えております。

 また同時に、いずれも児童が亡くなる直前でありますけれども、児童相談所が家庭の中の実態を探るチャンスがあったと思っております。

 目黒の事案に関しましては、児童相談所が自宅を訪問したときに中を見ることを拒まれております。児童の安否は確認できておりませんでした。このときに、すぐさま警察に通報して、そして警察が中をチェックしていれば、臨検をしていれば、ひょっとしたら幼い命は救えたかもしれません。

 また、野田市の事案につきましても、父親の方から、子供も含めて沖縄にいる、子供は学校に行けないといった電話があったということでございますけれども、念のため自宅に行ってみる又は沖縄の実家に行ってみる、こういったことだってできたと思います。

 救えた命ではなかったのかなと思い、大変残念であります。返す返す、亡くなった児童の苦痛と無念、これを思うと本当に胸の張り裂けそうな思いでございます。

 厚労省さんにお伺いをいたします。

 目黒区の事件も、野田市の事件も、適時に警察が臨検をしていれば、両方とも児童相談所と警察との情報共有が不十分だった、そういうふうな思いがございます。この点について、厚労省さんの御理解、受けとめをお聞かせください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事案につきましては、やはり情報共有が不十分だったという点は否めないというふうに考えております。児童虐待の対応に当たりましては、児童相談所と市町村それから警察や学校など、関係機関の連携が極めて重要だと思います。

 昨年七月の緊急総合対策におきましては、児童相談所と警察との情報共有についてルール化をいたしております。具体的には、虐待による外傷、ネグレクト、性的虐待があると考えられる事案、通告受理後、四十八時間以内に児童相談所や関係機関におきまして安全確認ができない事案、虐待に起因した一時保護、施設入所等している事案であって、保護等が解除され、家庭に復帰する事案、これらにつきましては、必ず情報共有を行うことといたしております。

 また、こうした対策を取りまとめて推進していたわけですけれども、それにもかかわらず、今回の事案が野田市で再び起きたことは大変重く受けとめております。

 緊急総合対策の徹底を図るとともに、本年二月八日の関係閣僚会議では、児童相談所、警察、学校等の連携に関する新たなルールを設定することとしたところでございます。

 こうした取組に加え、関係機関が参加する市町村の要保護児童対策地域協議会を活用した情報共有を徹底いたしまして、適切な連携が図られるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

和田分科員 御説明ありがとうございました。

 今の御説明の中で出ておりましたとおり、警察と児童相談所の連携が不十分なところがあったといったことでございます。でも、その一方で、こういった連携を促進する制度、こういったものは、ある程度、私は進んでいるというふうに理解をしております。

 そういった状況下、なぜ連携がうまくいかなかったのか。例えば目黒区の場合、何が児童相談所の方が警察に通報することをちゅうちょさせたのか。こういった、システムがうまく働かないその根本的な原因でございますね、法的な課題それから運用の課題、これらについて、厚労省さんのお考えを聞きたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、警察との情報共有につきましては、以前から重大な事案については情報共有することになっていたわけでございますけれども、その範囲が必ずしも明確じゃなかったということがございます。

 したがいまして、先ほど御答弁申し上げましたけれども、児童相談所と警察の情報共有の範囲につきまして明確化をいたしました。繰り返しになりますけれども、虐待による外傷等の事案、通告受理後、四十八時間以内に安全確認ができない、あるいは、一時保護、施設入所等している事案であって、保護等が解除され、家庭復帰する事案の情報というふうにルールを明確化したということでございます。

和田分科員 ありがとうございました。

 ルールをつくっても実行できなければ、実効性が上がらなければこれは意味がないわけでございまして、ぜひとも、このルールのところとその実行能力のところ、この両面をこれからもぜひとも強化をしていただきたい、そういうふうに思う次第でございます。

 この野田市の虐待の事件におきましては、本来であれば子供を守る立場にある教育委員会の方が、助けを訴える児童のアンケートを、事もあろうか加害者の父親に渡して、そして結果として、虐待が更に激しくなり、大変痛ましい事案を加速させた、そういった事案もございました。

 この失態は、亡くなった女児だけではなく、今も虐待におびえ苦しむ児童たちに大人に対する不信感を与え、そして、誰に相談をしたらよいのか、誰を信頼したらよいのかわからなくなってしまう、そんな状態を生み出しているというふうに思っております。児童たちをこれ以上迷わせてはいけない、そういう思いがございます。

 安倍総理は、野田市の事件の直後でございますけれども、児童福祉司を約二千名増員するといった旨を迅速に閣議決定され、政府として、これに関する法整備、そして制度、体制の整備を進めることを決意されました。ぜひとも、実効性といったところに重きを置いて頑張っていただきたい、そういうふうにも思う次第でございます。

 また、これは、制度を整えるだけでは子供たちの命は守れない、そういうふうにも思ってございます。警察、そして児童福祉司さんはもちろんのことでありますけれども、地域の大人たちが、子供たちを絶対に守るんだ、守らなければいけないんだといった意識、こういったものを周知徹底しなければいけない、そういうふうに考えております。

 虐待の疑いがあれば迷わず通報する、そして虐待を見たらこれも迷わず通報する、そして、できることなら介入する、手に負えないときは関係機関としっかりと連携をする、そのスピードをしっかりと担保していく、こういったことをやっていく必要があると思います。こうした啓蒙につきましても、ぜひとも政府にイニシアチブをとっていただきますようにお願いを申し上げたいと思っております。

 続きまして、児童福祉司の増員についてお伺いをいたします。

 総理の御判断、閣議決定で、約二千名を増員するというようなことでございますけれども、同時に、これは質の担保も不可欠であると思っております。現状におきましても、経験五年未満の若い、経験の浅い方々が大変多いという状況下、これに更に新しい児童福祉司を二千名ふやすとなりますと、本当に未経験の方々が現場で苦しむ、こういったことが危惧をされる次第でございます。

 より質の高い方々をここの現場にお越しいただく、そのためには、例えば、児童福祉司を国家資格にするですとか、また処遇を大幅に改善する、そうすることで働くモチベーションを高め、そして新たな方々の参入を促す、こういったことも大変重要になってくると思いますけれども、厚労省さんのお考えをお聞かせください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、量的な拡大のみならず、児童福祉司の資質の向上を図ることが極めて重要であるというふうに考えております。

 平成三十一年度の予算案におきましては、平成二十八年改正児童福祉法により義務づけられました児童福祉司の任用後研修等の実施費用の補助、また、児童相談所職員等の研修センターを、現在、全国一カ所でございますけれども、これを二カ所に拡充する、また、国が主催するブロック単位の児童相談所職員への研修の開催といった方策を講じまして、資質の向上を図ることといたしております。また、児童相談所の設置を計画する中核市等におきまして、都道府県等との人事交流、職員との人事交流を促進するための代替職員の費用の補助も行っております。

 こうした取組によりまして、児童相談所職員の資質の向上を図りますとともに、児童福祉司の一人当たりの業務量の軽減を図ってまいり、あわせて、児童心理司、保健師等の増員なども行いまして、児童相談所における専門性の強化を図る、こういった多角的、重層的な観点からの支援の実施を促進いたしまして、児童相談所職員にとって働きやすい環境をつくってまいりたいというふうに考えております。

 また、児童福祉司の国家資格化でございますけれども、社会保障審議会のもとに設置いたしましたワーキンググループで昨年取りまとめを行いました。

 取りまとめにおきましては、国家資格化を進めるべきという意見があった一方で、社会福祉士等を活用し、養成カリキュラムの充実で対応するべきといったさまざまな意見がございました。

 しかしながらでございますけれども、人材の専門性の向上及び具体的な方策について検討すべきという点については意見が一致したところでございまして、今後、国家資格化も含め、一定の年限を区切って引き続き検討すべきとの取りまとめをいただいております。

 これを踏まえまして、国家資格化を含め、人材の資質向上を図るための方策について検討してまいりたいというふうに考えております。

和田分科員 ありがとうございました。

 現場の児童福祉司さんたちの御苦労、これはもう並々ならぬものがあると思います。難しい判断を迫られ、大変厳しい現場をその目で見なければいけないというふうなことでございますので、できるだけスムーズに現場になじめるよう、ありとあらゆる教育的サポート、精神的サポート、こういったものもお願いをしたいと思います。

 続きまして、警察庁さんにお伺いをいたします。

 目黒区の虐待事件、そして野田市の虐待事件、この二つのケースについてお伺いをいたします。この二つの件の女児の死因は何だったのでしょうか。

田中政府参考人 まず、目黒区の事案でございますけれども、被害者の死因は、低栄養状態及び免疫力低下に起因する肺炎に基づく敗血症であると承知をいたしております。

 一方、野田市の事案につきましては、被害者の死因は現時点では不詳であるというふうに承知をいたしております。

和田分科員 ありがとうございます。

 改めてこういった事実を突きつけていきますと、虐待という一言で片づけられない、本当に残虐きわまりない、憎むべき犯罪であるといったことが明らかになると思っております。

 虐待する親は、虐待することそのものに依存しているという意見もございます。加害者である親が児童相談所に子供を一時的に預ける、そういったときに、子供をすぐ取り返しに行くケースが多いというふうに伺っておりますけれども、親として子供を取り戻したい、そういう親心もある一方で、虐待そのものに依存しているから、虐待する対象がいないことに耐えられない、こういった事実もあるというような専門家の意見もございます。

 この点について、厚労省さんに御意見を伺います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきまして、「子ども虐待対応の手引き」というものを作成しております。

 この手引におきましては、虐待をする保護者には、性格が衝動的、攻撃的であること等もリスク要因として指摘されております。また、そのほかにも、子供時代に大人から愛情を受けていなかったこと、生活にストレスが積み重なって危機的な状況にあること、社会的に孤立化し援助者がいないことなど、さまざまな要因があることが指摘されております。加えまして、虐待は再発することが多いことに留意して、継続して支援を行う必要があるというふうに考えております。

 このため、家族再統合へ向けた支援を行うに当たりましては、子供に対する支援のみならず、保護者に対する支援につきましても地域の関係機関とネットワークをつくりながら行っていくことが重要であるというふうに考えております。

 具体的にでございますけれども、例えば、家庭環境の改善のための訪問サービスあるいはレスパイトのための一時預かりサービス、また、適切な子育て方法を学ぶための親や親子で通うプログラムの提供、あるいは、児童福祉司が家庭へ通いまして、家庭環境を踏まえた上での助言指導を行う、こういった保護者の特性に合わせた支援に取り組んでいるところでございます。

 こうしたさまざまなメニューを組み合わせながら、関係機関が継続してかかわることによりまして虐待の再発を防ぐことが重要というふうに認識しております。

和田分科員 ありがとうございました。

 先ほど冒頭でお話をしました日本版ネウボラ、こういった形で子育て家庭を支援することも一つの虐待の抑止につながると思っております。未然の防止にもつながると思っております。

 その一方で、やはり虐待そのもの、これは大変凄惨な、悪質なものでございます。こういった虐待を日本は絶対に許さない、政府は許さない、そして、子供の命を絶対に守り抜く、こういった決意というものを、国として、政府として示していく必要があると思っております。

 そういった意味では、虐待に関する厳罰化、これを進めていく必要もあると思っております。温かい家庭に対するいろんな支援、そして虐待をやった場合の厳罰化、この両輪が必要だというふうに考えておりますけれども、厚労省さんにお伺いをいたします。

 この厳罰化を求める声に関してどうお考えであるか。また、例えば児童虐待を含め弱者に対するこういった傷害事案、暴行事案に関して、日本の刑罰の重さ、これは諸外国と比べてどうなっているか、失礼しました、法務省さんですね、法務省さんにお伺いします。

 法務省さんにお伺いをしたいと思います。

保坂政府参考人 いわゆる児童虐待事案につきましての罰則のあり方についての御質問でございます。

 現行法におきまして、傷害罪ということであれば十五年以下の懲役という法定刑がございますし、殺人罪であれば死刑、無期又は五年以上の懲役、傷害致死罪であれば三年以上の有期懲役、保護責任者遺棄罪であれば三月以上五年以下の懲役、致傷の場合であれば三月以上十五年以下、致死の場合には三年以上の有期懲役というのが適用されまして、ただ、実際の処罰として科される刑罰につきましては、これは裁判所の御判断で、各罪の法定刑の範囲内で、個別の事案ごとに量刑が行われるということでございます。

 諸外国との比較についても御質問がございましたが、各国のそれぞれ刑法上の罪の構成要件というのはさまざまでございまして、児童虐待に適用される罰則もさまざまでございますので、一概に比較することは困難かというふうに思っております。

 刑を加重するということになりますと、現状の処罰の状況を踏まえて、適切な量刑ができないという状況にあるのかどうか、あるいは加重すべき児童虐待の行為というのを明確かつ限定的に規定できるかどうか、そういった点から慎重に検討することが必要であろうというふうに考えておるところでございます。

和田分科員 ありがとうございました。

 確かに、ケース・バイ・ケースといったことではあると思います。ただ、通常の犯罪と弱者に対する犯罪、これはやはり、国として、政府として、より強固に守らなければいけない存在だというふうな位置づけも私は必要だと考えております。ぜひ、こういった弱者に対する犯罪のさらなる厳罰化、こういったものを政府としても御検討いただければ大変幸いでございます。

 最後の質問の項目になりますけれども、子育て家庭の支援の一環として、私は、男性の家事参画、そして子育て参画、これが大変重要だと思っております。

 日本の男性の育児休暇の取得、この取得率が約五%となかなか進んでいない、こういった状況があります。でも、日本の育児休暇の制度だけを見ますと、これはどこに出しても決して見劣りのするものではない、すばらしい制度だと思っておりまして、つまるところ、やはり、育児休暇を男性が取得する文化、そしてコモンセンス、こういったものの浸透、これがまだまだ進んでいない、そういうふうにも感じております。

 私自身も、子育てをしている親として、自戒も込めて申し上げる次第でありますけれども、日本における男性の育児休暇取得率、これを更に大幅に上げていく、とりわけ、二〇二〇年には一三%を目指すという厚労省さんの目標もあるというふうに伺っておりますので、ここに向けてどういった取組が必要か、この点についてお伺いをしたいと思います。

小林政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、家庭における負担軽減のために、男性の育児休暇の取得促進というのは非常に大きな課題であるというふうに考えております。

 それにもかかわらず取得が進んでおらない原因として、職場の雰囲気等が挙げられるということが多くなっております。そういうことがございまして、例えば、イクメンプロジェクトというような形で、男性の育児と仕事の両立を積極的に推進する企業というのを表彰等を行っております。また、優良企業の認定で、くるみん認定制度というものがございますけれども、こういったものにつきましても、一定水準以上の男性の育児休業取得というのを基準に盛り込んでおります。

 また、特に女性の出産直後の時期に男性が育児参加する、育児休業をとるというのが、その後の子育てにとっても非常に重要な意味を持つということが言われておるところでございまして、先ほど御紹介もありましたが、育児休業制度におきましては、配偶者の出産後八週間以内にとった場合には、男性は、再度、間を置いて取得できるというような制度も行っておりますし、また、そういった取得を促す企業に対しては、毎年度、助成金を支給しておるところでございまして、こういった取組を更に強力に進めてまいりたいというふうに考えております。

和田分科員 御説明ありがとうございました。

 なかなか、職場の雰囲気を変えること、職場での文化を変えること、これは簡単ではないと思っております。いろいろと取組を進めていただいているものの、やはり劇薬が私は必要だと考えております。

 いろいろ御意見のあるところだと思いますけれども、働く権利、これもあると同時に、やはり、親として子供をしっかりと育てる義務、こういったものとのバランスもしっかり加味しなければいけないと思っております。

 私は、今後、男性の育児休暇取得の義務化、これに向けて活動を進めていきたい、そういうふうに思っております。母親だけが家事、子育ての負担を必要以上に多く負う、そうすることで子供を持つことが嫌になる、こういったことにならないように、これは、少子化対策にもなりますし、また、虐待の予防の一環にもなると考えております。この点について、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。今後もいろいろと議論させていただきたいと思います。

 きょうは、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。

後藤主査 これにて和田義明君の質疑は終了いたしました。

 次に、初鹿明博君。

初鹿分科員 立憲民主党の初鹿明博です。

 早速ですけれども、質問に入らせていただきます。

 きょうは、最初にまず、風疹の大人の定期接種と言っていいんでしょうかね、それについて質問をさせていただきます。

 私は、風疹、そして、はしかの予防接種については、これまでも何度も何度も国会で質問させていただいて、とにかく、接種が必要な対象年齢の方が大方限定されていてわかっているんだから、早々に定期接種化をして、早く抗体保有率を上げて、はしかの場合ですと海外から持ち込まれている例が多いわけですから、そうやって感染をすることがないようにするべきだということをもう何度も言ってきたんですが、なかなか厚生労働省もかたくて、ここに腰を上げていただかなかったんですが、ついに、やっと今回、風疹ということですけれども、三十九歳から五十六歳までの男性を対象として定期接種を行うということになった。これは半歩前進だというふうに考えておりますが、あくまでも半歩だということを指摘させていただき、その理由について、質疑を通じて私の考えを述べさせていただきたいと思います。

 皆さん方が結局この定期接種化をしてこなかったこともあり、昨年、二千九百十七人という風疹の患者が発生してしまったわけであります。二〇一三年が大流行して一万四千人で、このとき以降、このワクチン接種が必要だということが言われ始めたわけですが、その後、二〇一四年三百十九人、二〇一五年は百六十三人、二〇一六年百二十六人、二〇一七年九十三人という推移だったわけですから、やはり三千人近いというのは非常に多いんだと思いますよ。ことしも、五週目の時点の数字ですけれども、三百六十七人ということなんですよね。このペースでいくと、昨年を上回りかねないペースですよね。

 そして、ことしの一月は、妊娠中のお母さんが感染して、おなかの赤ちゃんにも影響が出たということなんだと思いますが、先天性風疹症候群のお子さんが埼玉県で一人確認をされるということになりました。これは、二〇一三年に大流行したときは四十五人いたんですけれども、六年ぶりということであります。

 これは、これまで取組を引き延ばしてきてしまった厚生労働省の対応の遅さというのもやはり反省をしていただかなければならないことではないかなというふうに考えております。

 そこで、今回、三十九歳から五十六歳までの方、働き盛りの男性に定期接種を行うということですが、あくまでも、抗体検査を行って、そして抗体がないことがわかった人だけを対象にするということなんですよね。医師が来たときに、医師の判断で検査せずに打つということになると、きのうも説明をいただきましたが、定期接種の対象にはしない。定期接種の対象にならないと、自治体でやっている公費の助成の対象にも外れてくるし、万が一副作用が発生したときの救済のスキームも変わっていってしまうということになるわけであります。

 そこで、働き盛りの男性の方が、一日仕事を休んで抗体検査に行き、そして、結果を聞いて、もう一回休んでワクチンを打ちに行くというように、何度も休むことなんというのは本当にできるのかということが私は疑問なわけですね。

 抗体検査せずに打とうという意思を持っている方は、やはりそれなりに自覚があるんだと思うんですよ。風疹にかかったことがないとか、そもそも予防接種を打っていないとか、そういう自覚のある人たちだと思いますので、検査せずに接種をするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 昨年からの風疹の患者の状況を見ますと、三十代から五十代の男性が全体の約三分の二を占めてございます。御指摘いただきましたように、これは、これまでに公的に予防接種を受ける機会がなかった現在三十九歳から五十六歳の男性の方々が、他の世代に比べて抗体保有率が低いということが一因であると指摘されているわけでございます。

 ただ、抗体保有率が低いといっても、約八〇%の方々が抗体を保有しておられるので、ワクチンを効率的に活用するためには、まず対象者に抗体検査を実施して、結果が陰性だった者に対して定期接種を行うことではないかということでございます。

初鹿分科員 そこまで抗体検査にこだわるのであれば、企業が一年に一回行う一般健診の検査項目に、当面三年間、極端な話、一年間でいいんですよね、一回検査すればわかるわけですから、一年間だけでも検査項目に加えて、企業にやってもらえばどうかなと思うんですよね。

 この検査項目というのは、労働安全衛生規則の第四十四条ですか、ここに項目が列挙されているわけですが、ここに一年だけ加えて、一年だけやってもらえばいいじゃないですか。これで抗体を持っていないという方に企業なり健康保険組合から接種を勧奨するとか、そういうアプローチをすればいいんじゃないかと思いますが、なぜこうしないんですか。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の風疹の追加的対策につきましては、過去に風疹の定期予防接種の対象でなかった抗体保有率の低い世代、具体的に申しますと、現在三十九歳から五十六歳の男性を対象に行うものでございます。一回に限って抗体検査及びその結果に基づく予防接種を行うものでございます。

 このため、労働安全衛生法に基づき毎年実施する職場での事業者健診の必須項目として加えることは難しいのではないかというふうに考えているところでございます。

 一方、職場の事業者健診などの機会を利用して職場で抗体検査を受けられるようにすることは対象世代の男性の利便にも資するものであり、その実現に向け、現在準備を進めているところでございます。

初鹿分科員 ずっとやれとは私も言っていなくて、一年だけでいいからやれということを言っているので、機会にあわせてやることは進めようとしているということですから、事業所でやるようなところには必ずやっていただく、やらせるという言い方はないですね、やっていただくように、これは本当に切にお願いをしていただきたいと思います。

 なぜ私が抗体検査にこだわるべきじゃないかと言っているかというと、MRワクチンというのは、風疹だけじゃなく、はしか、麻疹にも効果があるわけですよね、両方のワクチンなわけですから。

 皆さんにお配りをした資料の中に、はしかと風疹のそれぞれの定期接種がどうなっていったかという経緯を示したグラフをつくってみましたが、一九九五年以降は、それぞれ、MRワクチンになっていて、続いていくようになっているんですよね。

 これは、はしかも一緒なんですが、はしかも打ち漏れている方がいたり、はしかは二回接種をしないときちんと抗体がつかないということで、一回接種の方に追加接種ということも行っていたわけであります。しかし、残念ながら、いまだに海外から持ち込まれて流行しているという事態が生じております。

 ことしも、もう皆さんも御存じだと思いますが、大阪のあべのハルカスの従業員が感染して、お客さんにもうつしていたということも報じられましたし、新幹線の乗客にもいて、新大阪と東京の間を往復していたということも報じられております。

 きのう、驚いたんですけれども、二十五日だからおとといか、千葉県の消防隊員がはしかに感染していた。救急車ではしかの患者さんを搬送したら、それでうつっていたということですよね。これは、感染したかどうかがわかるまで時間がかかったと思いますので、その間、別の患者さんを搬送するときにも乗っていた可能性もあるわけですよね。仮に、何らかの病気を持っている人が当然救急車に乗るわけですから、その患者さんにうつしていたということになったら、大きな問題になりかねないような事態ですよ。

 これぐらいに、はしかは非常に感染力も強いし、今でも流行しているんですよ。

 ことしの七週目までで、今、二百二十二例報告があるそうですよ。去年二百八十二ですから、これは、更に去年を超えることは間違いないぐらいな状況にあるわけです。

 来年にはオリンピックもあるわけですよね。ことしはワールドカップもあるわけです。海外からたくさん外国の方が来ます。中には、予防接種がきちんと接種されていないような国からも人が来るわけです。ここで感染が拡大しないようにすることは、私は非常に重要だと思うんですよ。

 ところが、今回のやり方だと、はしかは定期接種の対象じゃないから、はしかの予防接種を一回しか受けていない、限りなく抗体がちゃんとついていない可能性が高いとわかっている人が風疹の抗体検査をして風疹の抗体があるとなると、これは定期接種の対象にならないんですよね。せっかく打つ気があって検査に来たんだけれども、そして、はしかは抗体を持っていない可能性があるんだけれども、これは打たないで帰すことになるんですよ。本当にそういう対応でいいんですか。私は非常に疑問を持っております。

 私は、やはりこれは、せっかく同じワクチンで両方防げるんだから、そして、はしかも流行しているんだから、はしかも定期接種の対象に加えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘いただきましたように、現在、関西地方を中心に麻疹の発生事例が増加してございますが、感染者が発生した自治体では、感染者に接触した方に対する健康観察などの拡大防止策を講じているところでございます。

 厚生労働省としても取組を強化してございまして、具体的には、発熱や発疹などの麻疹を疑う症状が出現した際に、速やかな医療機関への受診等を呼びかけるとともに、二月十八日には、自治体と医療機関に対しまして、早期発見や院内感染防止策の徹底等に関する通知を発出したところでございます。

 また、定期接種にすべきというお話がございましたが、厚生労働省国立感染症研究所の調査によれば、これまでの定期接種の実施等によりまして、二歳以降の全ての年代で、麻疹の抗体保有率は現在九五%以上となってございます。

 また、二〇一〇年以降、国内で発生したウイルス株による麻疹の発生は確認されておらず、二〇一五年にはWHOから日本は麻疹について排除達成の認定を受けまして、現在もその認定を維持しているところでございます。

 仮に、海外から麻疹が持ち込まれて、一時的に一部地域で患者数が増加した場合であっても、ほとんどの者が免疫を保有していることから、大きな感染拡大につながる可能性は低いと考えられるところでございます。

 感染拡大の防止の取組を進めながら状況を注視することが必要でございますが、現時点では、麻疹の定期接種の対象者を拡大する必要はないのではないかと考えてございまして、ワクチンを接種する場合には自己負担していただく、そのようなことになってございます。

初鹿分科員 幾つか反論させていただきますけれども、お配りしている資料の二枚目の裏のところにこういう、抗体保有率九五%以上だというこの資料をつけさせていただいておりますが、これはどうやって調べているんですか。まず、どこかに行って、血液なりをとって検査をしている方において九五%だということだと思うんですよ。

 一枚戻っていただいて、二〇〇八年から二〇一二年の風疹含有ワクチン接種率、つまりMRワクチンですね、この三期、四期というところを見てください。一回接種の方に、中学一年と高校三年のときに追加で二回目の接種をしたときの接種率ですけれども、見てください、九〇%いっていないんですよね。

 はしかの接種率九五%を皆さんは目指してやっていると思いますが、つまり、九五%ないと集団防疫が図れないということなんだと思います。これは八十何%ですよ。四期は七〇%台ですよ。この漏れている約二割の方、全員とは言わないですよ、はしかに感染したことのある方もいると思いますが、それは限られていると思います。この二割の方々がいるから、はしかがこうやって海外から持ち込まれて感染しているんじゃないんでしょうか。大きな感染、流行にはならない、そういう答弁をしていましたけれども、年間二百人は大したことがないから別に構わない、そういう考えなんですか。違いますよね。やはり、一人でも多くの患者が出ないようにするのが厚生労働省の役割じゃないですか。

 それと、今回私がここまでこだわっているのは、二〇二〇年にオリンピックがあるからですよ。オリンピックがあって海外からたくさん外国の方が来て感染リスクが高まる、そのときに、日本で感染して持ち帰るようなことがあったら笑い物ですよ。確かに、WHOから排除を認められている。それはそうかもしれません。しかし、日本からまた輸出するようなことになりかねないじゃないですか。

 仮に、打とうと思って医療機関に来て風疹の抗体検査をしました、風疹は抗体があった、それで、定期接種にならないからということで、定期接種をしないで帰りました、その方がはしかに感染して、オリンピックの時期にほかの人たちにうつしたらどうしますか。その責任をあなたたちは負えるんですか。オリンピックの選手の方にもしうつして、試合に出られないなんということがあったら、どういう責任をとるんですか。その責任を全部大臣が引き受ける覚悟で、はしかは対象にしないと言っているんですか。

 そういうことも考えて、私は、改めて言いますけれども、定期接種の対象に加える必要があると思いますが、いかがですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ただいま、何点か御質問をいただきました。

 まず、九五%以上というデータについてでございますが、この抗体保有率につきましては、厚生労働省、国立感染症研究所、都道府県、都道府県衛生研究所等が協力しまして毎年実施している感染症流行予測調査事業によって調査、公表されているものでございます。

 最新年度のサンプルは六千五百二十一件でございまして、調査においては、特定の年齢や地域にサンプルの偏りが生じないように設計されてございます。また、定期健診や献血の機会など、さまざまな機会において健康な方から提供していただいた血液を検査したものでございまして、我が国の実態を反映しているものと考えてございます。

 それから、三期、四期のワクチンの接種率が低いのではないかというお話でございましたけれども、これにつきましては、御指摘のとおりではございますが、ただ、この三期、四期の接種につきましては、これまで接種をされたことがないということではなくて、小児のときに定期接種を一回実施した後の二回目接種であるということでございまして、既に一回接種されている、あるいは、御指摘いただきましたが、自然感染されている方もいらっしゃるということで、この三期、四期の対象世代のトータルの抗体保有率を見ると、やはり他の世代と同様に九五%以上となってございますので、それは、我々としては、十分な免疫を持っているというふうに考えてございます。

 そういうことでございますので、先ほど申し上げましたような現在の施策をとりあえず進めて、状況を注視することかというふうに考えてございます。

初鹿分科員 何度も言いますけれども、九五%というのは、検査に来た人が対象なわけですよ。定期接種なのにこのワクチン接種に行かないような方々が、果たして、そういうところで血液を採取されて、調査の対象になるとは私は思えません。

 ですから、この二割、打っていない人たちは、ほぼその調べた六千何人の中には入っていないんですよ、きっと。そう考えると、九五%なんかないんですよ。

 本当に九五%あるんだったら、何でこんなに毎年感染が拡大するんですか、広まるんですか。ないから広まっているんじゃないですか。それとも、九五%あっても、毎年二百人以上海外から持ち込まれて感染するというんだったら、九五%じゃ足りないということになりませんか。もう、言っていることが全て矛盾していると思いますよ。

 一回打っていますからという言い方をしましたけれども、一回じゃ足りないから二回目の追加接種をしたんじゃないですか。一回やっているからいいよなんという理屈にはならないと思いますよ。

 ぜひ、大臣、再考していただきたいと思いますので、御検討いただければと思います。大臣、お願いします。

根本国務大臣 今のお話は局長から答弁したとおりですけれども、私も聞いていて、これは極めて専門的な科学的な分野だなと思っております。

 その意味では、局長が御答弁したとおりだと思います、基本的には。だから、しっかり我々はその状況は注視していかなければいけないと思います。

初鹿分科員 オリンピックのときに、海外から来た人にうつして持ち帰らせたら、本当に日本は世界から批判を受けますからね。わざわざ今回MRワクチンの追加接種をしたにもかかわらず、はしかは除外をした、その結果、海外から持ち込まれたはしかによって国内で感染が拡大をして、海外から来た人にうつして持ち帰らせた、ここでみんな同じようにはしかも定期接種に加えていればそうはならなかったんだという批判を受けるということを、きちんと考えていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきたので、次の質問に移っていきますが、ちょっと飛ばさせていただいて、今度は、無料低額宿泊所の設置の基準について御質問させていただきます。

 昨年の生活困窮者自立支援法の改正で、これは、私がずっと貧困ビジネスなくすという観点で何度も質問もしてきた問題なので、やっと加えていただいたなということで、その点は本当に私も、厚労省もやっと踏み込んでいただいたなということで、評価をしているんです。

 ただ、今、じゃ、実際に施設の基準をどうしていくのかということが検討されている中で、各方面から懸念が示されているということでありますので、その点について確認をしていきたいと思います。

 今、お手元の資料に、検討会で配られている設備基準というのをお配りさせていただいております。

 要点は、まず、部屋の面積の基準をどれぐらいの広さにするのかということと、あと、多人数部屋を認めるかどうかということと、個室になっているけれども、仕切りが天井まで行っていなくて、上があいている簡易個室をどうするのかということなんですね。

 いただいた資料を見ると、まず、おおむね、居室の面積についても、多人数部屋についても簡易個室についても一定の条件を付した上で経過措置を設けて認めるべきじゃないか、そういうことが書かれているわけですね。

 確かに、既存の施設に今利用者もいるわけですから、直ちにこれは禁止ですよとなると、実際に今入所している方々に迷惑をかけるから一定の期間は必要だとは思いますが、その一定の期間が余りにも長いと、それは、住んでいる人たちの環境という、また人権ということをないがしろにすることになるんじゃないかと思いますので、やはりこの経過期間というのは極力短くするべきだし、例えば簡易個室なり多人数部屋ですけれども、これをやり続けることが事業主にとってマイナスになる、そういう条件もつけていかないと、なかなかぎりぎりまでやめるという選択にはならないんだと思うんですよ。

 そこで、新聞の記事もつけておりますが、その後ろに、東京と埼玉と千葉県の社会福祉士会から意見が出されていて、そこで指摘されているのは簡易個室なんですよね、特に。面積はともかく、簡易個室、上があいているのは、これはさすがに早く解消しようよということなんです。

 一枚めくっていただいて、ここに、日本で多分一番、無料低額宿泊所の施設数、入所者数をたくさん持っている団体の公表しているデータ、公表資料を出しておりますが、この円グラフを見ていただきたいんですけれども、二〇一七年、この施設は、四千七百九十八人の定員があるという、百二十四も施設を持っているところなんですが、個室は四〇%だけで、相部屋が二七%、簡易個室が三三%もあるんです。

 簡易個室というのはどういうものなのかという写真もちょっとつけさせていただいておりますので、これを見ていただきたいんですけれども、こうやって上があいているわけですよ。これでプライバシーが確保されている個室だと言えるのかといったら、私は、やはりちょっと言えないんじゃないかなと思うわけです。

 そこで、一定の期間を設けるというのはあるにしても、やはりそれはできる限り短くしなければならないと思いますし、仮に経過期間を置くとしても、入所する条件というのはやはりつけた方がいいと思うんですよ。

 少なくとも長くい続けるような場所じゃないと思うので、例えば、路上から住む場所がないという方が来たときに緊急的に一月、二月、その期間だけ入所を許して、できるだけ早く、二月とかで別のアパートに転宅するなり、別のちゃんとした個室に転宅をするような、そういう期間をきちんと縛るとか、また、これは住宅扶助が出るわけですが、住宅扶助で満額もらえるから事業主としてはなるべく簡易なものでやっていこう、そういう姿勢になっているんだと思いますが、これが住宅扶助の基準の半分ぐらいしか出ないということになれば、ちゃんと壁をつくらないと事業として成り立たなくなってくるという意識になってくると思うのです。

 こうやって住宅扶助の基準を絞るということで、できる限り簡易個室をやめて個室にしていく、そういう意識に事業主が変わるように限定をしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今議員御指摘のように、昨年十一月から、事業者、学識経験者及び地方自治体の関係者から成る検討会におきまして、昨年の法改正において新たに規定されました社会福祉住居施設の最低基準、さらには日常生活支援住居施設の認定基準等の詳細について議論しているところでございます。

 議員特に御指摘の簡易個室につきましては、プライバシーの観点から問題があるものということで、段階的に解消を図ることとしてはどうかといったような素案は示させていただいております。

 議員今御指摘のように、簡易個室につきましては、現時点で、今、最新の速報値では全国に三千二百室程度ございます。したがいまして、物理的にすぐに解消というのはなかなか難しゅうございますので、段階的に解消を図るべきだというふうに考えております。

 その際にどういった条件をつけたらいいか、今議員御指摘の話につきましても検討会の中でも議論がされていくと思いますので、いずれにいたしましても、二〇二〇年四月の施行に向けて、きちんとした成案を得ていきたいというふうに考えております。

初鹿分科員 今、簡易個室の話をしましたけれども、相部屋はもっとひどいですからね。町田の施設では、殺人事件が発生するようなことも起こっているわけですよ。見ず知らずの人が同じ部屋で寝泊まりして、しかも、ひどい施設は、本当に狭いところに二段ベッドを幾つも入れてというところもいまだにあるわけで、やはりそこは解消しなければいけないと思います。

 その上で、もう一点ですけれども、こちらの、もう一回その団体の資料を見ていただきたいんですが、この棒グラフを見てください。これは、行政からの紹介が倍増して、今や九六%が地方自治体から、行政からの紹介で入所しているということなんですよ。

 つまり、行政の側も、なかなか住む場所がないから便利に使ってしまっているという面があるんだと思いますが、やはりこれをやめさせないと、なかなか事業者も、入ってくる、あっせんされていて、自分たちの役割も必要だと思われているという意識のままになると思うんですよね。

 だから、相部屋とか簡易個室は、原則、本当に、さっき言ったような緊急的な一月、二月のためなら仕方がないけれども、そうでなければ行政からのあっせんはしないようにするというふうにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、先ほどの検討会におきましては、当方から、事務方から示した案におきましては、居室においては原則個室でやるんだ、さらに、簡易個室については段階的解消を図ることにするんだという案を示させていただいているところでございます。

 したがいまして、そういった観点から、今、地方公共団体が、今議員御指摘のように、あっせんする際に、そういったやや質的に劣るようなところを紹介しているといったような事例というのは好ましくないものというふうに考えておりますので、その点も含めましてこの検討会におきまして議論した上で、きちんとした成案を得ていきたいというふうに考えております。

初鹿分科員 済みません、ちょっと時間が来たんですが、最後に、大臣に一点だけ確認しておきたいことがあるんです。

 質問主意書を出させていただいたんですが、鈴鹿市で、生活保護の受給者を、申請の際に窓口で写真撮影していたということを指摘した質問主意書を出させていただきました。

 その回答が、「実施機関において、」「プライバシー等の人権に配慮しつつ、適切に対応されるべきものと考えている。」ということで、厚生労働省として、このような写真を撮影するようなことがいいのかどうかの判断が避けられたような答弁だったんですが、私は、きちんと、厚労省として、やはりこれは余り好ましいことじゃないということをはっきり明言していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

根本国務大臣 生活保護行政の運営は、受給者の方のプライバシー等の人権に配慮しつつ、福祉事務所において適切に対応されるべきものと考えています。

 この点を踏まえれば、委員御指摘の問題は、他の住民に見えるような場所で写真を撮影することは、プライバシー保護の観点から、配慮が必要であったと考えます。

 鈴鹿市は、第三者から見られる状態で撮影を行ったことは配慮に欠けていたとコメントしておりまして、現在、本人確認の手段として他の方法を検討するとともに、写真撮影はとめる方針である、こう聞いております。

初鹿分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、全国的にもこういうことをやらないようにということを徹底していただきたいということをお願いして、質問を終わります。

後藤主査 これにて初鹿明博君の質疑は終了いたしました。

 次に、早稲田夕季君。

早稲田分科員 御質問の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。立憲民主党・無所属フォーラムの早稲田夕季でございます。

 それでは、質問をさせていただきます。

 本日は、厚生労働大臣そして政務官にもお越しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。

 今、外国人の方々を受け入れて、その働き方という問題も入管法で大変議論がされました。こことはまた違う観点でございますけれども、外国人の方専用の医療ツーリズムということが私の地元の神奈川県では大変課題になっております。そのことを踏まえまして、川崎市で計画をされております医療法人社団葵会の医療ツーリズム病院の開設について、順次伺わせていただきます。

 まず、この医療法人社団葵会は、東京オリンピック・パラリンピックまでに外国人専用の新たな百床の医療ツーリズム病院を開設したいとしておりまして、開発許可申請の相談がもう既に川崎市、神奈川県に対してなされているところです。

 こちらは都市部でありまして、病床の過剰地域であります。にもかかわりませず、この自由診療に特化した病床が建てられるのか、それから、自由診療の病床であっても既存病床に加算をされるのか、地域医療を侵食する心配があること、また地域医療構想との整合性に著しい矛盾が生じるのではないかと、地元川崎市、神奈川県医師会からも大変反発が上がっておりまして、神奈川県議会でも代表質問等で取り上げられております。

 この問題は、川崎市、神奈川県だけの問題にはもちろんとどまりません。これから、こうした全国初の、ほとんど全国初と言ってもいいと思います、そういう取組がなされれば、これは全国に波及をする、そしてまた共通の課題になってくると思うんですね。そして、バランスを保ってきた地域医療計画を崩壊させかねない重大な局面でありますし、国民皆保険制度の根幹にも大きな影響を与えるのではないかと関係者も私も大変心配をしているところでございます。

 そこで伺わせていただきますが、今相談がなされておりまして、川崎市それから神奈川県の方でいろいろな議論がされておりますけれども、この議論の経過、厚生労働大臣はどのように御承知されているでしょうか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 昨年十月に、神奈川県及び川崎市より厚生労働省の担当者に相談があった、そのように承知をいたしております。医療ツーリズム、訪日外国人専用で自由診療のみを行う病院の開設の計画があることの情報提供などがあった、そのように伺っております。

早稲田分科員 その中の反発とか混乱とかそういうことにつきましては、政務官は御承知ないということでしょうか。

新谷大臣政務官 この議論の状況に関してということであろうかと思いますけれども、この計画に関する地域での議論、これに関しては、詳細は承知していないところでございます。

 いずれにしましても、地域医療の確保は重要なことでございまして、地域の医療資源を把握している都道府県の医療審議会や地域医療構想調整会議において十分な議論がなされるべき、そのように考えております。

早稲田分科員 これはもう既に国の方にも照会があったと伺っておりますけれども、厚生労働省はいかがですか。

新谷大臣政務官 先ほども申し上げさせていただきましたけれども、昨年十月、神奈川県及び川崎市から厚労省の担当者に相談があったところでございます。

 以上でございます。

早稲田分科員 それでは、照会があって、その中身は余り御存じではないような御答弁でございましたが、この医療法人の葵会の理事を新谷政務官はお務めになっていらっしゃったのではないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

新谷大臣政務官 私に関しましては、過去、医療法人葵会の理事を務めておりましたけれども、平成二十九年の八月三十一日だったと思いますが、その時点で辞職をしておりまして、今はその職についておりません。

早稲田分科員 それは、どのような理由でおやめになったんでしょうか。

 それからまた、葵会の傘下の法人につきまして、理事をまだやっていらっしゃるところがあるかどうか、お知らせください。

新谷大臣政務官 前段の部分に関しては、この場所ではお答えする立場にはない、そのように考えております。

 後段に関しては、現在では全てそういった仕事はしておりません。

早稲田分科員 お答えになれないというのは、少し理由がわかりません。

 それでは、このように今、審議会等、相談がある段階で、非常に、この過剰地域におきまして地域医療構想が崩れるのではないかという懸念があちらこちらから言われているわけですね。その中で、新谷政務官が今理事をおやめになったといっても、親族が理事長もお務めになっていらっしゃると思います。そういう中で、この一地域において非常に混乱を生じさせているということについて、どのようにお考えか。

 それからまた、厚生労働省として、医療ツーリズム、外国人専用、こういうことについての認識、どのようにされているのでしょうか。

 二点、お尋ねしたいと思います。

新谷大臣政務官 葵会に関しては、私、先ほども申し上げましたけれども、現在もう辞職をしておりまして、お答えする立場にはございません。

 また、厚労省としまして、医療ツーリズム、これに関する考え方ということでございますけれども、定義においては、医療ツーリズムは、自国外において治療等を受けることを目的としている渡航である、そのように承知をしているところでございます。政府全体としましては、未来投資戦略二〇一八年におきましても、渡航受診者の受入れ能力向上を掲げているところでございます。

 なお、厚生労働省としましては、地域の医療提供体制の確保を図りながら、渡航受診者も含めた日本に訪れる外国人、これは外国人全般に対してでございますけれども、適切な医療を提供する政策に取り組んでいるところでございます。

早稲田分科員 厚生労働省として、外国人全般というお話がありましたけれども、いわゆる旅行者の方が病気になったときにかかる、そういう医療体制とはこれまた別なんですね、医療ツーリズムというのは。医療を受ける、あるいは健診を受ける、そういうことのために日本にいらっしゃる。高度な医療もあるでしょう。いろいろな分野において専門的なものを受けたいという方のために、そして、その中にはJTBなどのそういうツーリストも入っているわけです。

 その中で、非常に、保険外の診療、自由診療のみを行うというところが、地域医療構想の中の過剰なベッド数の中で、更にそこに組み込まれることになると、当然ながら、今まで医療のいろいろなバランスをとってきた方たちがはじき出される、そういう懸念があるから申し上げているわけです。

 では、政務官に伺いますが、葵会のことは理事ではないので承知していないということでございますが、川崎市で問題になっているこのことについて、所掌事務を担当される、地域医療構想を推進する立場の政務官がどのようにお考えか、お聞かせください。

新谷大臣政務官 医療法上、国及び地方公共団体の責務として、国民に対する医療提供体制の確保に努めること、これは規定されていることでございまして、地域医療の確保は重要な医療政策上の課題である、そのように認識をしておるところでございます。

 この理念のもと、都道府県は、医療計画を通じて医療提供体制の確保に取り組んでおられるところでございます。具体的な医療提供体制の内容につきましては、地域の医療関係者との協議の上で方針を決定し、また構築を進めているところでございます。その中で、病床配置は、医療審議会あるいは地域医療構想調整会議において議論されるところでございます。また、医師確保その他に関しても、医療審議会や地域医療対策協議会において議論されるところでございます。

 こうした協議の場で、地域で必要な医療提供体制が確保されるよう、都道府県と地域の間で実情をよく踏まえてこれは議論していただくことが重要である、そのように考えております。

 医療ツーリズムに関してということでございましたけれども、また別には、医師には応招義務があるところでございます。我が国の人が、さまざまな中で、外国人のみならず、診療を拒否することはできないというものがございます。

早稲田分科員 ちょっとお話が拡大されていると思いますが、この今混乱をしているというのは、地域で話し合って、その結果で混乱をしているんですね。そしてまた、反対の意見が明確に示されております。

 だから、厚生労働省としては、国としては医療ツーリズムを推進し、そして、その前段としては地域医療構想を守るという、少しここではそれが、うまく両方が進まないから懸念を示されているわけなので、では、政務官としては、医療ツーリズムよりも地域医療構想をまずは守るんだ、これが大前提であるという厚生労働省の従来からのお考えに間違いないですね。確認をさせてください。

新谷大臣政務官 医療ツーリズムに関してでございますけれども、これはやはり地域医療に支障が生じない範囲で進められる必要があるものでございます。

 ただ、地域の医療資源を把握しているのは都道府県でございまして、地域のことに関して、これはやはり都道府県に設置をされた医療審議会あるいは地域医療構想調整会議において十分に議論がなされるべきもの、そのように考えております。

早稲田分科員 それじゃ堂々めぐりじゃないですか。今、地域で話し合っていて、どうにもならないから国に照会をかけているわけですよ。厚生労働省が明確な答えを出してこないと審議会の中では言われていますが、国が決めたことであるなら、きちんと国の医療ツーリズムの方向性を出すべきじゃないですか。地域医療構想の中の病床数は外すんだとか外さないとか、それも入れて全て国民なんだというふうに厚生労働省はお考えですか。

 まずは、第一章で医療法に決められている国民の健康、福祉ということ、これを守るというのが大前提です。そして、地域でどのように病床のバランスも含めて調整をしていくかということに、今まで地域の方々はもちろん腐心をされてきた。その中で、突然降って湧いたようにこういう問題が起こっているから、国に、どのような方向性なんですかと聞いているわけです。

 そしてまた、この問題は、葵会の方では、国家戦略特区で二十床の外国人の方また高度医療ということで、特区の二十床も持っていらっしゃいます。そこからだんだん始まってきたことではないかということで、また、その中では、神奈川県内でいろいろ課題も出ております。

 県立の七沢リハビリセンターの方でも、葵会の方がこれを譲渡を受けてやるということになりましたけれども、今まだ医師が足りなくて、当初の計画どおりにはいっておりません。大変これも神奈川県は困っておりますし、地域の方々も、一般病床であったはずなのにそういうふうになっていない現状を、非常にどうなっているのかという思いで見ていらっしゃいます。

 それやこれや、いろいろ問題があるので、ここで国の方の方向性を示してほしいということを、再三再四、医師会からも言われているじゃないですか。

 そして、今、応招義務とおっしゃいましたけれども、葵会さんの医療ツーリズムの専用病院では、外国人の方のみ、そして保険診療はやりません、それから自由診療です、そこまで書かれています。日本人の方は診ませんと言っていらっしゃいますけれども、では、新谷政務官がおっしゃるように、応招義務なら日本人の方も医療の提供をされるということでよろしいですか。

新谷大臣政務官 応招義務に関しましては先ほど申し上げたとおりでございまして、これは診療を拒むことはできない、そのように考えております。

早稲田分科員 いや、そういうふうに、申請に上がっている計画には書かれていないんです。外国人の方のみを診察します、自由診療です、保険診療はいたしませんと書かれていますから、そこを危惧しておりますが、大丈夫なんですね。応招義務を果たしていただける、日本人の方も、診てください、病気になったのでお願いしますと言ったらそこは診るということを確認させていただきますが、よろしいですか。

新谷大臣政務官 恐らく、御質問の内容は葵会に関することだと思いますので、先ほども申し上げたとおりでございまして、その運営に関して私はお答えできる立場にはございません。

早稲田分科員 それは、葵会でなくても、そういう計画が出ている病院がある、でも、国としては、きちんと応招義務を果たすべきだ、どの病院にもそういうふうな指導をされるということでよろしいですね。

新谷大臣政務官 これは法規定に変わりがあるものではございませんので、変わらずそれはあるものでございます。

早稲田分科員 それでは、自由診療の営利性ということでございます。

 医療法人ならば非営利というふうに言われるわけですけれども、実際のところどうなのかということがございまして、この葵会に関しましても、中国で株式会社設立ということもされているようでありまして、これは病院の事務局長もみずからお話をされていると思います。

 そういうこともありますけれども、このことについて、私の方で、厚生労働省に事前に確認を東京都にしていただきたいということでございましたが、その返答はいかがでしたでしょうか。

新谷大臣政務官 厚生労働省としましては、委員御指摘の医療法人葵会が中国で合弁会社をつくっているということに関しまして、当該医療法人に対する指導監督権限を持つ東京都に確認をしましたところ、そのようなことは確認できなかったという回答を得ているところでございます。

早稲田分科員 でも、計画の中では、かなり、普通の同じ規模の病院と比べた場合に二倍ぐらいの利益が出るような、そういう計画も出されておりますので、厚生労働省からも、これをきちんと東京都にもっと調べるように、それから、この医療法人の方に合弁会社からのいろいろな資金の流れがないかどうかも調べるべきだと思いますけれども、これだけ今、営利性ということが、審議会でも問題になっております。そして、こちらは神奈川県ですから、ぜひ国が指導的立場で、東京都にそこをもっと詳細に調べるように言っていただきたいと思いますが、いかがですか。

新谷大臣政務官 先ほど申し上げたとおり、東京都から回答はいただいているところでございますけれども、厚生労働省としましては、必要な措置は必ずやっていくところでございます。

早稲田分科員 いやあ、残念ですね。もっとしっかり調べていただいて、営利性がないならないということがわからないといけないのではないでしょうか。

 それから、先ほど来ずっと、医療ツーリズムの病院の現状も把握されていないようでございますし、そしてまた、審議会での地域の話合いに関しても、何か全然国も、我関せず、それはもう地域に任せますということですけれども、何も地域が望んでこの医療ツーリズムを始めたわけではないわけですね。

 その中で、先ほど答弁の中にもありました、国の方で決めました、ある意味これはやっていくんだということをおっしゃったわけですから、そういう態度というのはやはり非常に無責任なのではないでしょうか。

 国がもしそれを推進するならば、やはり今の医療ツーリズム病院、外国人専用病院、それからまた保険外診療の病院についてもきちんと、もうしようがないので、これからで結構ですから、現状把握をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

新谷大臣政務官 厚生労働省におきましては、二〇一八年九月より、訪日外国人に対する医療に係る医療機関調査、これを実施しておるところでございまして、本年度中に取りまとめる予定となっております。この実態調査におきまして、医療ツーリズムで来日する患者さんも含めた外国人の患者等の実態を把握する予定となっているところでございます。

 いずれにしましても、医療提供体制の内容につきましては、地域の医療関係者との協議の上でこれは方針を決定して構築を進めていくところでございます。

 こうした協議の場を通じて、地域で必要な医療提供体制が確保されるよう、これは地域とその関係者の間で議論していただくことが重要である、そのように考えておるところでございます。

早稲田分科員 医療ツーリズムについてもきちんと調べるということですか。今までは、外国人の方がいらして、その旅行客が医療が必要になった場合の医療体制ということでは検討会がやられているようですけれども、そこから、あえて医療ツーリズムについては、もうここはやりません、このことについては今回は外しますというような仕切りになっていると思いますけれども、これから、今からこれを調べていただけるということでいいんでしょうか。

新谷大臣政務官 先ほども申し上げたところでございますけれども、実態調査におきましては医療ツーリズムで来日される患者さんも含まれているところでございます。しっかりとこれは実態を把握してまいりたい、そのように考えております。

早稲田分科員 不思議ですね。医療ツーリズムの定義も厚労省はおっしゃらないのに、それを調べていくということなんでしょうか。

 そこはもう少しきちんと、どういうものが医療ツーリズムで、では、地域医療構想とのバランスはどうしていくのか、それからまた、これまでの医療法にはこれは想定されていなかった事態であると思います。ですから、ぜひ現状を把握していただいて、新しいルールづくりを地域とともに御検討いただきたいと思いますが、厚生労働大臣、いかがですか。厚生労働大臣に伺います。

根本国務大臣 今、私もずっと聞いておりましたが、まず、医療ツーリズムというのは、自国外において治療等を受けることを主目的とする渡航であると承知しています。それから、政府全体としては、未来投資戦略二〇一八においても、渡航受診者の受入れ能力向上を掲げています。

 厚生労働省としては、地域医療提供体制の確保を図りながら、渡航受診者も含めた日本を訪れる外国人に対して適切な医療を提供する政策に取り組んでおります。

 そして、基本的には、医療法上、国及び公共団体の責務として、国民に対し医療提供体制の確保に努めることを規定しており、地域医療の確保は重要な医療政策上の課題であると認識しています。

 この理念のもとに、都道府県は、医療計画を通じて医療提供体制の確保に取り組んでいます。具体的な医療提供体制の内容については、地域の医療関係者との協議の上で方針を決定し、構築を進めています。その中で、病床配置は医療審議会や地域医療構想調整会議、これで議論をしていますし、また、医師確保は医療審議会や地域医療対策協議会において議論する。

 実はこれは、法律上もそういう形でやることになっておりますので、このような協議の場を通じて、地域で必要な医療提供体制が確保されるよう、都道府県と地域の関係者の間でこの点については実情を踏まえてよく議論していただくことが重要ではないかと思います。

早稲田分科員 それは、今までの政務官と同じもちろん御答弁なんですけれども、今議論をしているんです。そして、地域医療構想の枠内できちんとやってきている。それが、この新しい、新設の医療ツーリズムの外国人専用病床のために非常に脅かされているという状況なので、ここでお尋ねをしています。

 これは全国共通の課題だと思うんですね。ここはたまたま羽田からアクセスがいいですから選んだとおっしゃっておりますけれども、そういうところは全国にもたくさんございますので、これを一つの小さな問題と捉えずに、これから日本がやはりインバウンドということを推進していけば、あり得る話ではないですか。

 そのときに、では、今まで守ってきた、そして保たれてきた地域医療構想とどういうふうにするのかということが一番の課題です。それと、あともう一つは、自由診療ということが、それでも病床数をどうぞということになれば、当然ながら、今までの国民皆保険制度も危ぶまれる状況になる。ここのところを国としてしっかりと方針を定めるべきではないでしょうかと私は申し上げているんです。

 ですから、そこのところは、今大臣から御答弁がありました、地域医療が維持されることが前提ということでよろしいですね。それでは、その地域医療が維持されることが前提の中で、国も地域の審議会のそういうところに一緒に入って、このルールについて、見直しも含めて考えていただきたいと思います。

 最後、もう一度確認させてください。

根本国務大臣 医療ツーリズムは地域医療に支障が生じない範囲で進められる必要がありますが、地域の医療資源を把握しているのは都道府県。都道府県に設置された医療審議会や地域医療構想調整会議において十分に議論がなされるべきものと考えております。

早稲田分科員 繰り返しになりますが、もちろん、医療人材を把握しているのは地域です。そこで出ているんです。もう医療人材、看護人材、これの引き抜きが始まっているというような懸念さえも聞こえてまいります。

 そして、医師不足は、二〇三六年には二・四万人となっているじゃないですか。その中で、百床というのは小さい数ではありませんから、まさにここでバランスを保ってきたものが崩れてしまうのではないかという危機感のもとに、今いろいろ、厚生労働省に照会もかけていらっしゃるでしょう、相談もされているんですから、しっかりとここは地域と一緒に考えるという姿勢でやっていただくことを強く要望いたしまして、また引き続き議論を違う場でさせていただきたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

後藤主査 これにて早稲田夕季君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)分科員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 きょうは、地域医療連携推進法人の促進についてということで、焦点を絞って質問をさせていただきます。

 我が国の少子高齢化、人口減少問題対策は、まさに待ったなしであります。医療財政を支える健康保険のうち、一番心配でありました国民健康保険の保険者が、厚労省が頑張ってくれて、都道府県に移管されたことは大変よかった、こういうふうに思っております。次は、地域医療を支える地域医療連携推進法人を成功させることがやはり大事だと考えております。

 そこで、地域医療連携推進法人の促進について、厚労省の考え方をお聞きしたいと思いますので、簡潔にお答えください。大臣への質問はありませんので、少しゆっくりしてください。

 それでは、まず、地域医療連携推進法人についてであります。

 一つ目は、(1)から(3)までまとめてお伺いをいたします。地域医療連携推進法人とはどのようなものなのか。同法人は何を目指すのか。平成二十九年度から同法人が設立されておりますけれども、その件数と業務連携の取組状況がどうなっているのか。三つまとめて簡潔にお答えいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 地域医療連携推進法人制度、これは、平成二十九年四月より施行されております。これは、地域医療構想を達成するための一つの選択肢と位置づけておりまして、地域における医療機関同士が協調する、あるいは、診療科、病床の再編、医療従事者の人材派遣あるいは共同研修などを行うことによりまして、医療機関相互間の機能分担あるいは業務連携を推進するということが目的でございます。

 実績につきましては、平成二十九年度に四法人、平成三十年度に三法人が設立されておりまして、現在、合わせて七法人という実態でございます。

 具体的に、全国の地域医療連携推進法人の業務といいましょうか活動内容につきましては、それぞれ七つ違っておりますけれども、まとめてお答え申し上げれば、一つには、人材確保の観点から、法人に参加している医療機関間で医療従事者の派遣を行う、あるいは、法人が一括して地域の大学と医師派遣に関する交渉を行っているという法人がございます。

 それから、二つ目として、人材育成の観点から、地域医療連携推進法人に参加している医療法人が共同で研修を実施するということもございます。

 また、三つ目として、医療経営の効率化という観点から、医薬品などの共同購入をこの連携推進法人で行っているというものがあるというふうに把握をしてございます。

福田(昭)分科員 この同法人は、やはり、都道府県医療計画に位置づけた地域医療構想や地域包括ケアシステムを同時に実現するということを目指しているんだというふうに思っておりますけれども、そのためには、今お答えにありましたように、地域の病院のネットワークの法人化をし、統一的な方針を調整、決定して課題に対応していく。

 そのための具体的な取組が、今お話がありましたように、急性期病院から回復期病院への病床融通だとか、慢性期の病院の機能転換による在宅医療の充実だとか、医療機関と介護施設、高齢者住宅などの連携の強化など、こういったものを具体的に取り組んで、まさに少子高齢化、人口減少時代に対応していくということでありまして、私は、これはすばらしい仕組みだなと思っていますので、ぜひ成功させてほしいなと思っております。

 そこで、二つ目でありますが、地域医療連携推進法人の設立の効果、メリットについてでありますが、これも、1と2とまとめてお伺いをいたします。

 法制度上のメリット、それから法人運営上のメリットがそれぞれある、今の答えの中にも多少ありましたけれども、このメリットについて具体的にお話をいただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 法制度上のメリットと運用上のメリットという二つの切り口でございましたが、少し入り組みながらお答えさせていただきます。

 地域医療連携推進法人を設立していただいた場合には、まず、制度面という意味では、一般的には、病床過剰地域において病床融通というものが複数医療機関ではできません。ですので、法人に参加する医療機関以外、一般論としてはできないという仕組みになってございますが、地域医療構想達成のために必要な場合ということでは、病床過剰地域においても、地域医療連携推進法人に参加していただいている医療法人間で病床融通を制度的に認めるという仕組みになってございます。

 ただ、二つ目に、連携推進法人を経由して参加法人に対する資金の貸付け、あるいは、連携推進法人の医療連携推進区域において、介護サービス等を行う事業者に対する出資についてできる、これが制度的な問題。

 あと、三つ目に、従事者の人材交流、患者紹介、逆紹介、医薬品、医療機器等の共同購入の円滑化という、まさに法人運営上のメリットということができるというふうに考えてございます。

福田(昭)分科員 少子高齢化、人口減少時代、まさに非常に大切な仕組みだなというふうに思っております。

 特に、この地域医療連携推進法人は、二〇二五年それから二〇四〇年問題に対応できるよう、ぜひ厚労省では一層促進をされるよう、要望をしておきたいと思っております。

 次に、栃木県日光市が計画している地域医療連携推進法人の設立についてであります。これも、(1)から(3)までまとめてお伺いをいたします。

 まず、資料の一をごらんいただきたいと思っております。これが、まさに日光市が抱える課題であります。地勢、交通面が書いてありますけれども、平成十八年に、旧今市市、旧日光市、藤原町、足尾町、旧栗山村の二市二町一村の合併により誕生いたしました。面積は千四百四十九・八三平方キロメートルで、栃木県土の約四分の一を占め、全国でも三番目の広さを誇っておりますが、人口は八万三千三百八十六人、平成二十七年の国勢調査でありますが、ごらんのような地域指定もあって、しかも、無医地区、あるいは無医地区に準ずる地区などもあって、大変広大な面積において、過疎や豪雪指定等に加え、公共交通空白地帯を抱えるなど、市内の一部に大変特別な居住環境などがあるということであります。

 しかし、明るい話題を申し上げますと、市内には、日光国立公園を始めとする美しい自然や温泉、あるいは、世界遺産に登録されている日光東照宮、日光二荒山神社、日光山輪王寺、そして、ラムサールに登録されております戦場ケ原などの湿原、世界一の並木道、日光杉並木街道、豊かなおいしい水など、そうしたものにも恵まれた町でありますが、何といっても、先ほど申し上げたように、大変、少子高齢化、人口減少時代の先頭を走るような自治体でもあります。こうした自治体は全国にもたくさんあると思います。

 日光市では、二〇一五年と二〇四五年を比較してみますと、まず、他市町を上回るような速さでの人口減少、総人口が、二〇一五年と四五年を比較しますと四五・五%も減っていく、二人に一人が六十五歳以上と圧倒的な高齢化が進んでいく、県全体を大きく上回る少子化も進む、今市地区以外の人口減少率が二五・三から四七・五%と、どんどん低くなっていく。

 そんな中で、急性期医療及び回復期、慢性期医療の継続的かつ安定的な確保、さらには、在宅医療の推進及び地域包括ケアシステムの構築などが課題となっています。

 一方、医療機関では、個別の医療機関単独で対応し切れない、人口減少、少子高齢化を背景とする医療需要の変化への対応、これまで行われてこなかった医療機関同士の話合いの場の必要性、急性期、回復期、慢性期医療との、医療機関間の役割の分担の必要性、医療従事者を将来にわたって安定的に確保するための取組の必要性、診療報酬改定に対応するための取組の必要性、さらなる経営効率化の取組の必要性などが課題となっております。

 こうした課題を解決するために、日光市と十の医療機関等が勉強会を六回、部会、実務者協議会を八回重ねる中で、地域医療連携推進法人を設立することが非常に有効である、そういう判断に基づいて、ことし三月に、来月になりますけれども、県に認可申請をして、四月一日からスタートしていく、こういうふうにしておりますけれども、こうした取組は厚労省としてもぜひ応援したいんじゃないかな、こう思っておりますが、このことについてお考えをお聞きしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今委員の方から御指摘いただきましたように、栃木県を通じて把握をさせていただいている限りにおきましては、御指摘のように、日光市あるいは日光市にある医療機関がさまざまに抱える問題に対応して、今後の地域医療構想の実現、地域医療計画を実現する、さらには、地域包括ケアをこの地域で進めるという観点から、現在、地域医療連携推進法人の設立に向けて、地元関係者の方々、非常に多くの数が共同して準備を進め、話合いを積み重ねられているというふうに私ども承っております。

 まさに、地域医療構想、地域医療計画の実現、そして、地域包括ケアに向けて、地域で考えられた非常に大きな前進の方策だというふうに私ども受けとめておりまして、今後、栃木県の医療審議会での御審議ということがされると予定しておりますので、そのあたり、私どもとしても見守ってまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)分科員 本当にありがとうございます。

 ぜひ、全国のモデルになるような、そういう日光の地域医療連携推進法人が推進できるように、ぜひとも御支援をお願いしたいなというふうに思っております。

 次に、地域医療連携推進法人が、目的であります地域医療構想、地域包括ケアシステムを実現するために必要なことについてをお尋ねをしたいと思います。

 一つ目は、地域医療介護総合確保基金による必要な基盤整備の促進についてであります。

 これも1から3までまとめてお伺いしたいと思いますけれども、資料の二をごらんいただきたいと思います。

 これは、厚労省の資料そのものでありますけれども、私は、やはり、地域医療構想、地域包括ケアシステムの実現の鍵は、この地域医療連携推進法人の促進、全国展開だと考えております。

 そして、さらには、地域医療連携推進法人の成功の鍵は、地方自治体と医療機関等の連携はもちろんでありますけれども、地域医療介護総合確保基金の活用による必要な基盤整備、これが必要だと考えております。

 そこで、平成三十一年度予算案では、医療分、公費、県費も含めて千三十四億円、介護分、これも公費八百二十四億円、国と県で合計千八百五十八億円確保しておりますけれども、この予算は各都道府県に交付して使われるわけでありますが、実際に都道府県ではどの程度使われると見込んでいるのか、お伺いをいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきましたように、地域医療介護総合確保基金、消費税を財源といたしまして、地域医療構想あるいは地域包括ケア推進のために設けられた基金でございます。

 全体には、それぞれ単年度ではございません、基金でございますし、また、基金の使い道といたしましても、施設整備系、あるいは在宅系、人づくり系、それぞれの種類がございます。

 実際には、三十一年度の執行に当たりましては、一部地域からの、都道府県からの具体的な御要望をしっかり聞きながら、そしてまた、これまでそれぞれの県において造成いただきました基金の状況、今後の見通しなどなど、総合的に考えさせていただきながら、地元の御希望に最大限応えられるように、工夫をして執行してまいりたいというふうに考えてございます。

福田(昭)分科員 まだスタートしたばかりだということで、確かに、局長の言われるとおり、お金の使い方はまだ余り進んでいないのかなと思っております。

 栃木県の例を見ても、今までは、回復期への機能転換促進事業や急性期病床等の用途変更促進事業、どちらかというとそちらの方に使われておりますけれども、しかし、まだ、病院の建てかえ事業とか、そういったものには余り使われていないのではないか、全国的にどうかということもありますけれども、先ほどの業務連携の実績などを伺いますと、そこまではまだ進んでいないのかなと思っております。

 そうすると、どちらかというと、都道府県の基金にまだ積まれている、こういうのが実態なのかなと思っていますが、いかがですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まず、地域医療介護総合確保基金につきましては、きょうお取上げいただいておりますような地域医療連携推進法人によって行われるものでありましても、今例示されました再編統合あるいは病床のダウンサイジング、病床転換等に伴う建てかえなどなど、地域医療構想の実現に資するものであれば、まず支援の対象とさせていただいております。

 具体的には、その上で、都道府県が個別事案に応じて具体的な補助対象を定めるという仕組みにしてございますので、私どもとしては、先ほど来、それぞれの地域において進んでおります地域医療構想あるいは地域包括ケアの実現に向けた取組について、都道府県のお考えもよく聞きながら、基金の趣旨に合うものについては、県としてそれを御活用いただけるように、私どもとしても話をさせていただきたいですし、都道府県からの御相談に、きちっと受けとめ、対応させていただきたいと考えてございます。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 栃木県も、日光での地域医療連携推進法人が初めてということでありますから、多分、当然なのかなとは思っておりますけれども。

 しかし、日光の医療機関などを見ておりますと、結構、病院の老朽化が進んでおりまして、この際、病床を転換する、そういうことに伴って、やはり病院の施設そのものも建てかえたい、そういう要望もかなりあるようなものですから、この基金を使わせていただいて、しっかりとダウンサイジングをする中で、規模縮小をしたりベッドをかえる、そういう中で、施設そのものも、少し、立派とは言えなくても頑丈なものにして、医療サービスがしっかり提供できる、そういう形にしていくということが、この地域医療連携推進法人を成功させていくことにつながるのではないか、そのように思っておりますので、ぜひそんな御指導をいただければというふうに思っております。

 さて、それでは二つ目でありますが、二つ目は、地域医療連携推進法人の成果を都道府県の医療計画に逆に反映させることについて、そのことについてお伺いをしたいと思っております。

 これも1と2とまとめてお伺いをしたいと思います。

 資料の三から五をごらんいただきたいと思います。

 これも厚労省がつくった資料でありますが、医療計画はこんなふうにつくられるんですよという話であります。

 それから、資料の四については、「医師少数区域での医師確保に向けたサポート体制の構築」、これも厚労省がつくった資料であります。

 そして、資料の五は、栃木県の保健医療計画の中にあります、栃木県の二次保健医療圏の圏域図であります。

 これらを見ながらお話をさせていただきたいと思いますけれども、まず、平成二十六年の医療法の改正により、都道府県の医療計画の中に地域医療構想が記載されることになりました。この地域医療構想は、二〇二五年の、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四機能ごとの医療需要と将来の病床数の必要量、在宅医療等の医療需要を推計して記載することとされておりますが、まさにそれを実現するのが、私はこの地域医療連携推進法人であり、その結果を逆に医療計画に反映をさせていくということが必要なのではないかと思っております。

 また、医師の偏在是正も課題となっておりますけれども、栃木県の二次医療圏は、資料の五にありますように、圏域が六つありますが、県北、県西、県東の三圏が医師少数区域と実はなっておりますけれども、特に、そうした中で、県北と県西は区域が余りにも広いので、生活圏を考慮して、それぞれ二つに私は二次医療圏を分ける必要があるのではないか、このように考えておりますが、こうした柔軟な対応も必要ではないかと考えておりますが、厚労省としては、こういうのは絶対だめよという考えがあるのか、この辺お聞きさせていただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 二点、御質問いただきました。

 まず一点は、地域医療計画における今般の地域医療連携推進法人の位置づけなどについてでございますが、二〇一八年度からスタートしております第七次の医療計画、これは計画期間が六年でございまして、その中間年であります二〇二〇年度に必要な見直しを行うということに全国的にさせていただいております。そういう意味では、新たな地域連携推進法人が設立されれば、その当該法人が地域で果たすべき役割を踏まえた上で、必要な追記が栃木県の地域医療計画においても位置づけられるという形で私どもとしては考えております。

 また、二つ目に、医師偏在対策に絡めて、二次医療圏の考え方についてのお尋ねをいただきました。

 二次医療圏につきましては、一般病床及び療養病床の入院医療を提供する一体の区域という形で設定をしてございます。これは、都道府県が医療法に基づき作成する医療計画において、地理的条件や交通事情等の社会的条件などの地域の実情を考慮して設定するというものでございます。

 都道府県が定めていただくに当たりまして、厚生労働省としましては、この圏域に関して、平成二十九年三月の医療計画作成指針におきましては、見直す場合の目安を示しておりますけれども、基本的には、地域医療連携推進法人設立後の患者の受療行動の変化あるいは医療提供体制のあり方など都道府県における地域の実情の変化、必要に応じて県において医療審議会での御議論を踏まえて、この圏域については適切に設定をしていただきたいというふうに考えてございます。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 なぜこんな質問をするかと申し上げますと、地元の医師会から要望があったり、県北と県西保健医療圏については、生活圏が非常に広いんですね。しかも、人口二百万人。同程度の群馬県では、この二次医療圏が実は十地区あります。群馬県ではですよ。栃木県では六地区なんですね。ですから、あと二地区ふやしても八地区なんですね。ですから、同じ人口規模とすれば、やはり八地区あった方が医療の充実に私は資するのではないか、このように考えているので、きょうは答えは要りませんけれども、次の医療計画の改定時期には、地域医療連携推進法人がどのように進んでいくのか、そういうことを踏まえて、この辺も柔軟に、二次医療圏も見直すということも必要ではないか、こう考えておりますので、ぜひ厚労省としても頭に入れておいていただければというふうに考えております。

 それでは次に、三つ目でありますが、三つ目は、医師の働き方改革を前提とした医師の診療科ごとの必要な医師数の確保についてであります。

 御案内のとおり、働き方改革については、全雇用労働者に対しての働き方の新しい法律もできたわけでありますが、医師の働き方については、二〇二四年から、五年おくれてスタートして、二〇三五年度末には、時間外労働を九百六十時間、月百時間程度をめどに、超えてはならないものとして進めているということでありますけれども、働き方改革を前提とした医師の診療科ごとの必要な医師数の確保も重要なことであるというふうに考えておりますが、少子高齢化、人口減少時代の進行に合わせてどう取り組んでいくのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まず、現状といたしまして、診療科別の医師数について御質問いただいておりますけれども、近年、麻酔科や放射線科等の診療科で増加をしておりますものの、長時間労働が一般に常態化していると言われております産科、産婦人科、外科につきましては、平成六年以降、医師数が横ばい傾向というようなことも私ども把握をしてございます。

 こうした中で、今委員お取上げいただきましたように、現在、医師の働き方に関する検討会におきまして、医師の時間外労働の上限について検討を行っておりまして、二〇二四年四月以降は全ての診療科の医師に対して時間外労働の上限規制が適用されるということで、それに向けて関係者の間で御議論をいただいているというところでございます。

 こういう状況も踏まえまして、診療科偏在を含めた医師の偏在対策を進めていくことが非常に重要だというふうに私どもとしては思っております。

 このため、ことし二月十八日、今月でありますが、に開催されました医師需給分科会におきまして、診療科別の必要医師数というものを、あくまでも事務方のたたき台ではございますが、提示をするなど、今現在御議論をいただいているところでございます。

 今後の議論を踏まえた将来必要な医師数の見通しについて、議論を踏まえて提示をするということでございますが、こういうことで若手の医師が適切に診療科を選択する、そしてそれが偏在是正につながるということを期待しているところでございます。

 さらに、新しい専門医制度が開始しております。診療科偏在が助長されることのないよう、さきの通常国会で成立させていただきました医療法及び医師法の一部を改正する法律におきましては、専門医の研修計画等におきまして、医療提供体制に重大な影響を与える場合には、厚生労働大臣から専門医制度を担当しております日本専門医機構などに対して改善要望を意見できるという規定も盛り込まれているところでございます。

 厚生労働省としましては、引き続き、医師の働き方に関する検討会に関する議論も踏まえながら、診療科偏在を含めた医師の偏在対策について、関係者とともに議論を尽くしながら、きちっと丁寧に対応し、取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 まさに、これからの地域医療構想を実現するためにも、地域医療連携推進法人を成功させるためにも、医師の確保というのは大変重要なことでありますが、そうした中で、医師の労働時間、時間外労働時間も、二〇三五年までに九百六十時間、これも多いとは思いますけれども、しかし、これを達成した暁には更に引き下げていくということの努力も必要かなというふうに思っておりまして、そんな御指摘もさせていただきたいと思っております。

 時間が来ましたのでそろそろやめたいと思いますが、我々は今、少子高齢化、人口減少時代に生きているわけであります。戦争で言えば退却作戦ですね。まさに、これから退却する、そのしんがり役を務めているのが、今我々の世代だと思っております。

 そうすると、非常に難しいんですね。それこそ、しんがり役というのは、いつ死んでしまうかもしれない、そういう役割がまさにしんがりでありますから、そういう時代に我々は生きているということでありますから。そういった意味では、次の世代がきちっと夢と希望を持って生きられるように体制を整えていくというのが我々の役目だと思っております。

 そういった意味では、厚労省の役目ではありませんけれども、まさに、財務省などはお金の使い方というのをしっかり考え直していかなくちゃだめだと思っております。

 国は、たくさん借金をしました。借金をして、国、地方を合わせて一千百兆円を超えるような借金をしてきました。しかし、国民と企業には、どんどんどんどん財産をつくらせてきました。日本国民の個人金融資産は千八百兆円を超えています。現金、預金九百五十兆円、年金保険五百五十兆円、国民の皆さんに大変な財産をつくってもらいました。また企業も、内部留保資金四百四十六兆円、さらに、手元資金二百兆円も持っている。これだけ国民や企業が大金を持っていて、国と地方が千百兆円もの借金を持っていて、今、あたふたしている。

 しかし、こうした資金をやはり有効に生かして少子高齢化を乗り越えていくということが私は重要だと思っているんです。ですから、ここをしっかり政府が、行政ができないと、とんでもないことになるなということで心配しております。

 この問題は、やはり与野党を超えて解決しなくちゃならない問題だと思っておりますので、そのことを最後に指摘をして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤主査 これにて福田昭夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬分科員 国民民主党の源馬謙太郎と申します。

 きょうは、この分科会で質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。大臣もお疲れのことと思いますが、よろしくお願いいたします。

 きょうは、障害者雇用について主にお伺いをしていきたいなと思います。

 障害者雇用促進法におきまして、民間企業で障害者の雇用をどんどん進めていってもらおう、こういった取組がされていると理解をしております。従業員が四十五・五人以上の民間企業は障害者を一人以上雇用しなければならないというふうになっておりまして、これに基づいて、民間企業の法定雇用率、二・二%ですけれども、統計によると、ほぼ半数の企業がこの法定雇用率を達成できていないということが明らかになっております。

 これは、一部の大企業ですと達成の割合が高いですけれども、この四十五・五人以上というところで、比較的小さな規模のところから百人以上三百人未満、そして三百人から五百人と、どのレンジでも大体およそ五割ぐらいが達成できていないというのが実態だというふうに思います。

 もちろん、企業側に立てばいろいろと難しいところもありますけれども、やはり福祉の観点で見たら、障害者の雇用をどんどん促進していってもらわなくてはいけないということがございます。

 ただ、企業に少し配慮する形で、障害者雇用が一人不足するにつき毎月五万円の納付金というものがあって、これは、ペナルティーというよりも、むしろ、五万円払えばそれでよしとなってしまっている、そういう側面もあるのではないかなというふうに思います。

 障害者の雇入れ計画の適正実施勧告に従わずに、障害者の雇用状況に改善が見られない場合は企業名を更に公表できるということになっておりますけれども、この実態を見ると、平成二十八年度は二社のみで、平成二十九年度は該当の企業はなかったというふうに承知をしております。

 いろいろ細かいことが決まっていて、障害者雇入れ計画作成命令があり、それに従って計画を出し、そして特別指導があって、それでもだめだった場合は公表というふうになっておりますが、かえってこのステップを踏むことによって公表に至る企業が少なくなっているのではないかという私は問題意識を持っているんですけれども、まず、この企業名の公表について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

北條政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者の雇用義務制度につきましては、社会連帯の理念に基づきまして、企業に一般に認められている採用の自由を制約し、企業の理解と協力のもとに障害者雇用を実現するものでございます。

 このため、法定雇用率未達成の場合でも、障害者の雇入れ計画作成命令の発出など、まずは企業の自主的な努力を促しているところでございます。

 企業名の公表というものは、障害者雇用の自主的な努力を怠り、社会連帯の趣旨に反する企業に対するいわば制裁的措置ということでございます。このため、限定的に行われるべきものであるというふうに認識をしております。

 このようなことから、現時点で公表企業の選定基準を変更することは考えてはおりません。未達成企業が公表に至る前に法定雇用率を達成できるよう、引き続き、ハローワークを通じた指導、職業紹介等により、障害者雇用の一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。

源馬分科員 今お答えいただいたのは、大臣のお考えということでよろしいですか。

北條政府参考人 厚生労働省として、大臣のお考えになります。

源馬分科員 厚生労働省のお考えはそうだと思うんですけれども、私は、まず最初に、大臣がこの企業名公表についてどう思っているか伺いたいなと思ったものですから、大臣、よろしくお願いします。

根本国務大臣 今政府委員から答弁いたしましたが、この考え方、運用については、厚生労働省が答えていますけれども、私は大臣ですから、基本的には私も同じ考えであります。今答弁したとおりであります。

源馬分科員 それでは、企業名を公表するということによって雇用を促進するという効果と、それから制裁的な側面があるから抑制的にしなきゃいけないという、そのバランスはどういうふうにお考えになっているか、伺いたいと思います。

北條政府参考人 ただいま申し上げたとおり、制裁的な措置ということ等を総合的に勘案して、公表の基準については現状のままでやっていきたいというふうに考えているわけでございます。

源馬分科員 それがわからなかったのでちょっと伺いたいんですけれども、総合的に勘案というのは、どう勘案するんですか。制裁的な意味合いというのは、制裁的な意味合いがあるからなるべく公表しない方がいいということですか。

北條政府参考人 もともとは、障害者の雇用については、企業は採用の自由がございますので、その採用の自由の中で、障害者雇用促進法に基づき、雇用の義務を課しておるわけでございます。

 そういった、自由を前提としてその上に雇用義務を課しているという構造の中で、障害者雇用の率が達成できなかった場合に、計画の作成命令でありますとか是正勧告ですとか一定のステップを踏んで、その果てに、最終的にどうしてもしようがない場合に企業名の公表ということになりますので、そこは抑制的にやらなければいけない。そこのところは、全体的なバランスを見てそういった仕組みをつくっているという意味で申し上げた次第でございます。

源馬分科員 では、その自由を前提にして、それでも取り組む努力をしてもらいたいという制度設計だということですが、そうすると、現在、障害者雇用促進法においては、従業員が百人を超える企業が障害者雇用率を達成していない場合は納付金を支払うということになっていると思います。

 これは、なぜ百人という壁があるんでしょうか。百人以上、そういう取決めがあるのかを伺いたいと思います。

北條政府参考人 中小企業における障害者雇用の一層の促進を図るため、障害者雇用に積極的に取り組む中小企業を支援するということが基本的に重要であるというふうに思っております。

 障害者雇用納付金制度に基づく納付金あるいは調整金の適用というものは、現在、常用労働者が百人を超える企業を対象としているところであります。これは、中小企業の負担能力に対する配慮などの観点から、適用範囲を限定しているものでございます。

源馬分科員 先ほども少し紹介しましたけれども、四十五・五人以上の企業も法定雇用率を達成して、達成率が半分以下ですけれども、百人以上になると、納付金があるということもあってかわかりませんが、五四・一%になります。これはつまり、納付金のこの制度が一定の役割を果たしているとお考えなのか、伺いたいと思います。

北條政府参考人 一定の役割を果たしているというふうに考えております。

源馬分科員 一定の役割を果たしているんだとすれば、私は、やはりこの四十五・五人以上の、つまり百人未満の企業にも納付金の制度を使って、一定の効果があるのであれば、その効果を小規模の事業所にもしっかりと効果を持ってもらいたいというふうに思いますが、大臣の、対象を拡大することについてのお考えを伺いたいと思います。

北條政府参考人 これは、先ほど申しましたとおり、中小企業の負担能力に対する配慮などの観点から適用範囲を限定しているものでございます。

 納付金と調整金の適用範囲につきましては、昨年七月に取りまとめられた研究会の報告におきまして、雇用義務の対象とされている五十人規模以上に限定して適用拡大していくこととするのが適当ではないかという議論がありました。

 この点、関係審議会においても議論が行われまして、先日取りまとめられた意見書におきましては、中小企業における調整金及び納付金の適用に関しては、中小企業における障害者の受入れ体制の整備や支援機関等との関係構築の状況などを踏まえつつ、引き続き総合的に検討することが適当というふうにされております。

 こういった観点で、納付金と調整金の適用範囲については、この意見書を踏まえ、引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。

源馬分科員 今御紹介がありました労政審の雇用分科会におきまして、これについても意見が出されております。今、何かさらっと言っていただきましたけれども、ここでは、五十人以上の、つまり百人以下の企業であっても拡大することが望ましいのではないかという意見が出されていると思います。

 これについて、大臣、そういう報告書も出ておりますし、ほかにも、これは詳しく載っておりますけれども、調整金の方も、これは、百人以下の企業であっても、雇用義務が課されている以上、支給されるようにしていくことが望ましいというふうに言われておりまして、さらに、納付金の納付義務についても、百人以下の企業についても拡大していくことが考えられるのではないか、その拡大する範囲については、フランスやドイツと同様に、雇用義務対象企業全てに納付義務を課すことも考えられる、しかし、今はこの五十人以上に限定してというただし書きがついております。

 いずれにしても、納付義務を五十人以上の企業にまで拡大すべきだという意見が出ておりますが、このことについて御所見を伺いたいと思います。

根本国務大臣 今、先ほどお話がありましたけれども、関係審議会、労働政策審議会障害者雇用分科会、ここで議論が行われているんですね。

 この審議会の性格は、まあ、労働関係はいつもそうですけれども、労と使と公益委員、このメンバーで、それはいろいろな意見がありますから、そこでそれぞれの立場で議論をしていただいて、そして合意を導いていく。実は、こういう性格の審議会は、労働関係のいろいろな審議会がありますけれども、労働関係では、労、使、公益委員がここで議論してもらうということなんですね。

 その中では、先ほどお話がありましたが、いろいろな意見がありましたが、私が意見書で聞いているのは、中小企業に対する調整金及び納付金の適用に関しては、中小企業における障害者の受入れ体制の整備や支援機関等との関係構築の状況などを踏まえつつ、引き続き総合的に検討することが適当である、こういう意見書になっているということで聞いております。

源馬分科員 それでは、参考人にお伺いしたいですけれども、今大臣から、いろいろな意見が出たということでしたけれども、拡大について反対の意見もあったんでしょうか。最終的には取りまとめで、報告書で、拡大すべきであるということだったと思いますが、もし反対意見があったら御紹介いただければと思います。

北條政府参考人 昨年の七月時点で取りまとめられた研究会報告におきましては、今後、対象範囲を五十人超とすることでおおむね合意されたというふうに思っております。

 その後、審議会の中で、これを受けて、実際上、その法律を改正して実行するかどうかという議論になったときにこれはもう少し議論を深めなければいけないということで、引き続き議論ということになったというふうに承知しています。

源馬分科員 ありがとうございます。

 先ほども御答弁いただいたとおり、この納付金は効果はあるというふうに御認識だと思いますので、ぜひ、今度の障害者雇用促進法の改正の際には前向きに検討していただけたらなというふうに思います。

 続いて、障害者施設の平均賃金についてお伺いをしたいと思います。

 この障害者施設における平均賃金は、A型事業所において約七万円、B型においては約一・五万円というふうに言われております。なかなか、障害者施設における平均賃金を上げるというのは簡単ではないと思いますが、今の現状と今後の対策について、大臣の御所見をいただければと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 障害のある方が地域で自立した生活を送るために、御指摘の、賃金や工賃の向上に向けた支援を行うということは大変重要なことでございます。

 現状で申し上げますと、就労継続支援A型で働く障害者で、平均賃金月額は、平成二十六年度以降増加傾向にございまして、直近の平成二十九年度で月額七万四千八十五円でございます。

 それから、就労継続支援B型でございますが、そこでの平均工賃月額は、平成二十年度以降毎年増加してきておりまして、直近の平成二十九年度で月額一万五千六百三円でございます。

 こういったものの向上に向けた取組でございますが、具体的には、障害者優先調達推進法によります国等の調達の促進、あるいは経営コンサルタントの派遣による経営改善支援や商品開発に向けた支援、あるいは、障害福祉サービスの報酬の中でございますが、販路開拓のための営業活動や商品開発を行う職員を配置した場合の加算、こういった取組をしているところでございまして、今後とも、工賃の、あるいは賃金の向上に向け、しっかりと取組を継続してまいりたいと考えております。

源馬分科員 私は、鴨下先生が会長を務めていらっしゃる障害者の自立のための所得向上を目指す議連にも参加をさせていただいておりますが、この中で、共同受注窓口における情報提供体制の構築というものが取り上げられておりました。この中身について、政務官、内容を教えていただきたいと思います。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 共同受注窓口、これは、国、自治体、民間企業等発注する側と障害者就労施設等の受注する側をつなぐ機能を担っておりまして、働く障害者の方々の賃金、工賃の引上げに資する重要な取組である、そのように認識をいたしております。

 厚生労働省としましては、この取組を後押しするため、平成二十八年度から、都道府県への補助事業として、共同受注窓口における情報提供体制の構築、これの支援を実施しているところでございます。

 この事業は、共同受注窓口におきまして関係者が参画する協議会の設置を支援することを通じまして、障害者就労施設等へ発注拡大のための連絡調整や協議の場として活用する、このことが一点と、あと、障害者就労施設等が提供する物品等の情報提供等を行う、これが二点目で、これらなど、地元企業等との協力、協働関係の構築を目指すものでございます。

 平成三十年度におきましては十一都府県が本事業を活用しておりまして、引き続き、本事業の積極的な活用を促してまいりたい、そのように考えております。

源馬分科員 先ほど参考人から御答弁があった障害者優先調達推進法との関連性はどういうふうになっているんでしょうか、この共同受注窓口における情報提供体制の構築。大きく一つの窓口をつくって、それを、民間企業なんかも入れて官公庁でやっている優先調達推進法を広めていくということなのか、あるいは全く別のものなのか、教えていただきたいと思います。

橋本政府参考人 どちらの取組も、障害者の施設における商品を買い取るということを促進していく取組としては共通の面を持ってございます。

 一方で、今政務官から答弁をいたしました共同受注窓口というものは、公的な部門とそれから民間企業、どちらも、全体を共通いたしまして設けているものでございます。

 一方におきまして、私が先ほど答弁いたしました障害者優先調達推進法につきましては、国や都道府県、市町村などの、そういった公的な部門の方での調達を促進する取組ということでございます。

源馬分科員 もちろん、官公庁が努力をして積極的に調達していただくというのはいいことなんですが、やはりこれは民間にも入ってもらわないとなかなか広がっていかないと思います。

 この優先調達推進法に基づく国等の取組状況という資料で、こんなに上がっていますよというのが大々的に宣伝をされておりますが、いまいち、やはり官公庁だけではなかなか取組が広がっていかないと思いますが、これをどう民間に広げていける、そういう施策があるとお考えなのか、伺いたいと思います。

橋本政府参考人 やはり官公庁として、この障害者の施設からの調達ということにつきまして、ある意味民間を引っ張るような役割というものを先導的にやっていくというふうな役割があるんだろうと思います。

 したがいまして、私どもといたしましても、国や自治体がどういう取組をしているのか、あるいは施設の側でどんな物品や役務の提供事例があるのか、そういった、今後、いろいろな形で民間の方の取組にもつながるようないろいろな情報を私どもの方でも公表いたしておりますので、民間の方でもぜひそういったものを参考にしていただきたいと考えております。

源馬分科員 おっしゃることはそのとおりだと思うんですが、民間に情報を提供して、積極的に民間にもやってもらうと言う割には、厚労省のホームページでは、この調達実績が平成二十八年までしか載っておりません。

 情報発信と言って、リードすると言って、なぜ、二十九年のが、こっちの資料にはありますけれども、ホームページにすら載せられないのか。どんどんもっとリードするんだったら、ほかのやり方があるのではないかと思いますが、どうなんでしょうか。

橋本政府参考人 現時点におきましては、平成二十九年度の実績ももう公表済みでございます。

 従来に比べまして、平成二十九年度分から、従来公表していなかった、より細かい部分の情報も含めまして発信しているところでございまして、私どもといたしましては、今後は、国や自治体が創意工夫しているようないろいろな取組事例を情報発信したいというふうに考えております。

源馬分科員 やはり国が民間をリードするのであれば、そういったところも遅滞なくどんどん情報発信をしていって、ただ載せるだけじゃなくて、しかもそれを民間に広げていくと言うなら、しっかりした施策を打ち出していただきたいなと思います。

 同様に、厚労省のホームページ、その同じページに優先発注企業等厚生労働大臣表彰というものがありますが、この表彰は平成二十七年度が一回目で、この年限りになっていますけれども、これについてはどうなっているんでしょうか。

新谷大臣政務官 委員先ほど来御指摘のとおり、やはり民需も重要である、そのように考えておるところでございます。

 障害者優先調達推進法に基づく国等の取組と同様に、民間企業から障害者就労施設等が受注する機会を確保することは、やはりそこで就労する障害者の皆様の自立の促進の観点から、これは非常に重要なところとなるものでございます。

 このようないわゆる民需の促進を図るために、平成二十七年度、障害者就労施設等に対して長年にわたり積極的な発注に取り組んだ企業十社に対して、厚生労働大臣表彰を授与したところでございます。

 現在、この表彰については実施をしていないところでございますが、障害者の皆様の賃金、工賃の向上のために、これからも、民需の促進も含め、必要な取組を進めてまいりたい、そのように考えております。

源馬分科員 それでは、この一回だけの表彰、単発の表彰だったということなんでしょうか。今後また、今政務官が御答弁いただいたようなそういう意義があるものであれば、それを続けていくという方針なのか、それとも平成二十七年一回のみということなのか、方針を伺いたいと思います。

橋本政府参考人 御指摘の優先発注企業等厚生労働大臣表彰は、平成二十七年に一回やったきりでございます。

 ただ、今後どうするかということにつきましては、障害者就労施設との関係での調達の状況ということのみならず、いろいろな障害者雇用分野など、ほかのいろいろな表彰制度、認定制度、そういったものとの関係を整理した上で、私どもとしても、将来どうするかということは検討させていただきたいと思っております。

源馬分科員 なぜ一回だけでやめてしまったんでしょうか。それは、やってみて、どのような内部での話があって失敗だったという判断をしたのか。あるいは、これはちょっとやり方をこういうふうに変えなきゃいけないという判断があったのか。どういうことがあって一回きりにしたんですか、それとも最初から一回きりの予定だったのか、伺いたいと思います。

橋本政府参考人 御指摘の点につきましての詳細な経緯は私も承知しておりませんが、とりあえず一回行った上で、今後また状況を見て考えようということではないかと思います。

源馬分科員 今総括して、どうだったでしょうか。これは意味のあったことだったんでしょうか。

橋本政府参考人 これまで大変頑張ってきていただいた企業を表彰したわけでございまして、大きな意味があったと考えております。

源馬分科員 先ほど来御答弁でもありますし、私も同様に思っていることですが、やはり、国や官公庁だけが幾ら努力をしても、なかなか、障害者の雇用であるとかそういった人たちの賃金を上げていくというのは難しいんじゃないかなというふうに思っております。

 官公庁と民間の両輪ということももちろんそうですが、また、民間企業においてそういったものを使ってもらうということと、あとは雇用をしっかり確保してもらう、この両輪も大事であるなというふうに思います。

 まさにそれをリードする厚労省ですから、何かその場限りというか、特にこの表彰も、別にいいんですけれども、やるんだったら、きちんと意味があるようにやって、そして、意味がなかったんだったら、新たに、反省をして、どういう施策に反映していくべきなのかということを、もう少し大きな方針を出していただきたいなというふうに思います。

 最後に大臣に、官公庁、厚生労働省が、どう民間の企業の人たちをこれからも、雇用の促進とこういった受注の増加ということをどうリードしていくのか、そのあたりの所感を伺いたいと思います。

根本国務大臣 要は、官公庁に調達してくれと。これはもう法律で、調達してくれとやったわけですね。

 官公庁という、我々は官ですから、政策手段を持っているわけですよ。民だと、いろいろ民に誘導する施策になると思うんですね。だから、先ほどの表彰にしても、いろいろな政策手段がありますが、そういうものを表彰するというのは一つの政策手法だし、それから、今、障害者の皆さんに対して企業も協力しようという機運は出てきていますから、あるいは、最近は企業でも社会貢献ということも大きな価値観になってきているので、私は、やはり民間に対してはいろいろな形でやっていただくことを働きかける、直接我々はやる手段はないので。だから、納付金も一つのそういう仕組みにしているし、そこは、民間に対してどう働きかけるか。

 私は、いろいろな地域でそういう芽はあると思いますよ。だから、そういう先進事例なども紹介しながら、自治体とも協力をして、やはり障害者施設あるいは就労施設A、Bもその地域にありますから、私の地元でそこを訪問して、ずっとこれまで、そういう施設は私もよくわかっていますから。それぞれ皆さん努力されていて、その施設で働くことによって障害者の皆さんが自分の持っている力を発揮する、実際そういう例がありますから、その意味では、民間に対する働きかけは、いろいろな政策手法はあると思いますが、我々、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

源馬分科員 終わります。ありがとうございました。

後藤主査 これにて源馬謙太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、田畑裕明君。

田畑(裕)分科員 御指名ありがとうございます。

 第五分科会において、三十分、お時間をいただきましたので、質問させていただきたいと思います。地元を回っていた中で、いろいろな主体の方から、特に厚労行政にかかわる分野でいろいろなお話をいただいておりますから、そうしたことを中心にちょっとお聞きをしたいなというふうに思います。

 初めに、年金局、年金管理審議官の方にちょっとお聞きをしたいと思いますが、地元の社労士の方々、先生方といろいろな意見交換をしている中で、このようなお話がございました。精神障害者の障害年金と就労の関係について、ちょっとお聞きをしたいというふうに思います。

 就労していると障害年金は支給されないとか、障害年金を受給中に就労すると更新時に不利になるのではないか、また、更新時に就労していると障害年金は停止されるのではないかといったような声が社労士の先生方のところに寄せられているようであります。

 公的機関におきます障害者雇用の未達成案件については、もちろん、対策を含めて立法措置も今なされようとしているところであります。これは当然、きちっと是正をしていかなければならないわけでありますが、障害者の方々に就労をしっかり継続していただくということ、入り口もしっかり確保して、働きやすい環境、また、働いていたとしても、不安がないように当然これは自立支援をしていかなければいけないのではないかなというふうに思っております。

 今、こうして問合せがあったようなこと、これは事実なのか事実ではないのかを含めてきょうは聞きたいなということで、一問、御質問するということであります。

 精神障害者の雇用促進、これはしっかり課題としてやっていかなければなりませんし、現在就労されている中で、就労していくことによって更新が不利になったりとか、かえって年金が減額をされるといったようなことについての仕組みについて、改めてお聞きをしたいなというふうに思っております。

 ですから、精神障害者の就労を促進すればするほど、かえって、結果として就労されている方々の報酬、賃金といったようなことが目減りをしたりですとか、生活の不安につながるのではないか、不利な影響が出てくるのではないかということについて、改めて御回答と申しますか、答弁をちょっとお願いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 精神障害の方は、ほかの障害に比べますと、客観的な検査数値ですとかそういうことでの程度判断をすることは難しいわけでございますので、障害年金の判定に当たりましては、特に日常生活の状況を総合的に見て判断するということでございます。

 平成二十五年には、年金の障害認定基準を改正いたしまして、「現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。」というふうに明記してございます。就労したことだけで直ちに年金が減るとか停止する、こういう取扱いにはなっていないわけでございます。

 もう少し詳しく御説明しますと、さらに二十八年の九月には、精神の障害に係る等級判定ガイドラインというものをつくりまして、日常生活能力の判定と程度を組み合わせた等級目安の確認シート、こういうようなものもつくってございます。

 その中では、日常生活能力の判定は、適切な食事ですとか、身辺の清潔保持ですとか、金銭管理と買物、通院と服薬、他人との意思伝達・対人関係、社会性、こういうそれぞれの項目について、できないですとか、助言や指導があればできるですとか、自発的にできるが、時には助言や指導を必要とする、そういう程度をチェックしていただいて、これで判定する。

 また、生活能力の程度につきましても、日常生活における身の回りのことも多くの援助が必要とか、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要とか、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要、こういう程度の判定をきめ細かくする、これによりまして、医師の診断書に基づきまして認定医が総合的に判定を行う、こういう仕組みでございます。

 今後とも、障害認定に携わる医師等に対しましてこうした取扱いをよく周知しまして、御指摘いただいたような不安がないようにしてまいりたいと考えてございます。

田畑(裕)分科員 丁寧な答弁をありがとうございます。

 特に障害者の就労については、公的機関のことについてもきっちり政府もやっていかなければいけない。また、年金との絡みでは、やはりまだまだ国民の皆さんに不安があったりですとか、かえって違った情報が流布されたりとか、間違った情報が広がっていくということも当然懸念をしなければいけないわけでありますから、御答弁がありましたが、丁寧にこれからも対応していただきたいと思いますし、私もいろいろ、現場の声ですとか、社労士の方々、実際いろいろな相談を受けている方々の実態を把握するように努めていきたいなというふうに思います。

 高橋さんはこれでオーケーですので、よろしかったら御退席されて結構だと思います。

 続いて、医政局長にお聞きをしたいと思います。

 在宅医療等の促進についてということでありまして、これもちょっとあえてお聞きをしたいと思います。

 問題意識とすれば、在宅におけます医療や介護ニーズに対しまして、在宅専門医の養成ですとか地域包括ケアシステムづくりなど、まだまだ今、道半ばで途中であろうかと思います。また、医療圏ごとの医師の偏在の是正ですとか、また遠隔診療といったような分野においての対応といったことも、まさにこれは、国や地方自治体ですとか、医師会や医療機関ですとか、介護のサービス事業者の皆さん方、保険者の方も含めて、しっかり連携をしながら体制を整えていかなければいけないということであろうかと思います。

 在宅の医療の充実のためには、在宅療養支援診療所がしっかりまた機能を発揮することも当然大事でなかろうかなというふうに思います。また、医師の働き方を含めて、この分野についてもさまざまな時間管理との整合性というものも大事でなかろうかなというふうに思います。

 ここで聞きたいのは、そうは申せ、ドクターだけであったりですとかに任せ切りというわけにはもちろんいかないわけでありますし、在宅の医療や在宅の介護の分野においても、看護師ですとか薬剤師と言われるような皆さんの活用というのは当然必須でなかろうかなというふうに考えるわけでありますが、あえて、看護師や薬剤師、二職種の活用について、その対策であったりですとか診療報酬等の対策も含めた現状のお取組について、お聞かせをいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、在宅医療、介護の提供体制にしっかり取り組んでいく、そのために、さまざまな施策に今取り組んでおりますけれども、とりわけ、今御指摘になりました薬剤師さんあるいは看護師さんというのに着目して申し上げますと、訪問看護を担う人材育成のための研修の講師として、専門知識や経験を豊富に備え、地域で人材育成の中心的な役割を果たすことができる講師人材を看護分野で育成する、あるいは、地域医療介護総合確保基金によって、在宅医療等を担う看護師さんあるいは薬剤師さんなどの育成あるいは多職種連携の構築を都道府県が行う場合の財政支援ということも行っております。

 さらに、三十年度の診療報酬改定におきましては、在宅における質の高い訪問看護あるいは薬剤管理指導の提供の推進を図る観点から、地域の訪問看護にかかわる人材育成等の一定の役割を担う訪問看護ステーションの評価の新設、あるいは、過疎地域等の訪問看護の算定対象の拡大ということも行いました。

 また、薬剤師につきましては、在宅での乳幼児に対する業務の評価を新設する、さらには、在宅で使用する輸液や注射薬等の無菌調剤のさらなる評価といった見直しを行わせていただきました。

 また、三十年度より、関係機関が連携して多職種連携による在宅医療介護を一体的に提供するという体制を構築するために、全ての市町村で在宅医療・介護連携推進事業が実施されることになりました。

 このような取組を行いながら、今後とも、看護師、薬剤師などそれぞれの専門人材が活躍していただけるように、必要な対策を行ってまいりたいと考えてございます。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 地域によってもそれぞれ、さまざまな事情もありますし、そこに投下されているマンパワーの濃淡もあるのではなかろうかなというふうに思いますが、極めて平均的にはしっかり網羅できるような体制を整えていただきたいと思いますし、そこにかかわるマンパワーの育成、質の向上に向けて、抜かりなく取り組んでいただきたいというふうに思います。

 続いては、今度は医薬・生活衛生局長にお聞きをしたいと思います。

 PIC/Sについて、医薬品査定協定・医薬品査察協同スキームであります国際機関のPIC/Sの総会またセミナーが、ことしの十一月に日本で、今回、これは初開催ということだとお聞きをしておりますが、なされるところであります。

 まず、今総会が日本で開催される意義について御説明をいただきたいと思います。

宮本政府参考人 PIC/Sにつきましての御質問にお答えさせていただきます。

 今先生御指摘されました医薬品査察協定・医薬品査察協同スキーム、英語の略称は、頭文字をとりましてPIC/Sと呼ばれておりますけれども、これは医薬品査察当局の国際的な団体であります。その総会と無菌医薬品の品質保証をテーマとするセミナーが、ことし十一月に日本で初めて、富山県富山市で開催されることになっております。

 富山県は、日本における医薬品の主要な生産拠点であり、PIC/S加盟前から医薬品の製造所における品質確保に積極的に取り組んできたところと承知しております。今回の総会、セミナーの開催に当たりましては、日本での開催を立候補した際に開催地として富山県富山市を提案したものでございますけれども、そうした取組につきまして、PIC/Sに参加する各国の当局関係者に認知されたものと考えております。

 また、日本は、平成二十六年七月にPIC/Sに加盟して以降、PMDA北陸支部のアジア医薬品・医療機器トレーニングセンター研修所を富山に開設し、PIC/Sと協同してアジア各国のGMP査察担当官を対象としたGMP研修を行うなど、国際的なGMP査察能力の向上に貢献したことなどが評価され、今回の日本での開催につながったものであると認識しております。

 以上でございます。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 十一月ということなので、これからPMDAも含めて厚労省はしっかり準備をなさるんだと思いますが、地元ともしっかり連携をしながら、地方都市であえて開催ということであろうかと思いますし、またその果実が地方にも波及することを期待したいと思います。

 これは二問通告していましたけれども、今、回答は、あわせて答えられたのではないですよね。そうですよね。

 ちょっと改めてでありますが、今御説明がありましたように、加盟して約五年弱ということであろうかと思いますが、医薬品のGMP分野における加盟のメリットについて、改めてお聞きをしたいと思います。どのような成果が、実際に加盟をして、情報共有であったりですとかもろもろ想定されることがありますが、お聞かせをいただきたいと思います。

宮本政府参考人 ただいま先生から御指摘いただきましたように、我が国は、平成二十六年七月にPIC/Sに加盟しております。

 PIC/Sに加盟し、日本における医薬品GMP分野、GMPというのは製造及び品質管理に関する基準のことでございますけれども、この分野の取組が国際的に周知されましたことで、第一に、PIC/S加盟当局間でGMP査察に関する情報を共有し、海外当局によるGMP査察の動向を把握することにより、日本当局が行うGMP調査にそれを活用できるようになったということ、第二に、日本のGMPがPIC/Sに準拠していることが周知されることで、日本製の医薬品が輸出先国で受け入れられやすくなったといったようなメリットや成果があったと考えております。

 引き続き、医薬品GMP分野におきまして、我が国が国際的に主導的に取り組んでいくことができるよう、医薬品の品質確保に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 もちろん、製薬業界におけます国際標準をしっかり準拠して取り組むということは、国内の製薬メーカーの応援にもつながるのではなかろうかなというふうにも感じます。査察の仕組みをやはり国際スタンダードで行う、また日本もそこにしっかりコミットして行っていくということで、そういった業界のまたリーダーシップを日本が発揮できるように、さまざまな機会を捉えて取組を期待申し上げたいというふうに思います。

 それでは、老健局長さん、大島局長、お越しいただいていますが、ちょっと介護職員の関係についてお聞きをしたいというふうに思います。

 新しい経済政策パッケージにおいて、介護職員のさらなる処遇改善というものが盛り込まれ、予算の審議ということにつながっているわけでありますが、これまでも段階的に処遇改善加算等々を行ってきているわけでありますが、巷間言われているように、介護人材の確保が非常に厳しい、また、私の地元においても、介護養成校の入学者が定員を著しく割っているというのも実態であります。いろいろな調査から、報酬額、処遇についての御不満であったりですとか、所得に対する厳しい声もあるのももちろん実態ということであります。

 そうしたことを踏まえて、今回は、勤続十年以上の介護福祉士を中心に月額八万円規模の処遇改善を行うということ、公費ベースでいえば一千億円規模ということであります。非常にインパクトは大きいわけでありますし、期待も大きいと思いますし、ここに至るまでも、介護事業所の施設の中の全体の人件費のバランスをどうするか等々、いろいろな御議論があったというふうには承知をしているところであります。

 そこで、まず一問目は、介護施設で働くそのような介護福祉士など専門職等への処遇改善ということでありますが、ざっくり公費一千億規模といえば、どれくらいの規模感で、ボリュームというか、これはなかなか人までは、介護現場の人の全体まで政府として采配権ももちろんないんだと思いますので、施設数なのかを含めて、この規模でやれば、これだけ充当して、いい影響があるんだよといったような規模感について、まずちょっとお聞きをしたいというふうに思います。

大島政府参考人 今お尋ねがございました、一昨年十二月の新しい経済政策パッケージに基づく処遇改善は、確かに委員御指摘のとおり、勤続十年以上の介護福祉士について月額八万円相当の処遇改善ということを算定根拠にしておりまして、公費で一千億、介護保険財政を使いますので、これに保険料が加わりまして、満年度段階では総額二千億円という規模になります。

 今回、それを、リーダー級の介護職員については他の産業と遜色ない賃金水準を目指すということで、経験、技能のある介護職員に重点化を図るという形で介護職員の処遇改善を行います。それから、そういった趣旨を損なわない範囲の中で、介護職員以外の職員にも一定程度処遇改善を行うということで、各事業所での柔軟な運用を認めるという形になっております。

 そういったことがありますので、何人という人数を出すのは極めて実は難しくなっておりまして、事業者の判断で、リーダー級だけにするとか、いや、介護職員全体にするとか、あるいは他の職員を含めてやるということが出てきます関係上、算出するのが難しくなっております。

 事業所の数は、今、全国で十四万六千カ所ございます。最大では、ここで働く全職員が対象となり得るわけでありますが、実際には各事業所ごとの判断によって人数が変わってくるという形になってまいります。勤続十年の介護福祉士自体は約二十万人いるわけですけれども、実際にはもっと多くの方に配られると思いますので、実際適用が始まってから、その状況次第ということになろうかと思います。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 十年以上の介護福祉士、二十万人以上ということであろうかと思いますので、大体がその人数以上にはもちろんなるんだろうなというふうにお聞きをしたところであります。

 これは、本年の十月から消費税財源をということでありますので、三十一年度の途中からというか、四月からではないということであります。

 これまでも、さまざま処遇改善等、年度当初からスタートした場合に、国会の予算という関係もあったりして制度が固まるのが三月中下旬だとしたときの、いろいろそういった関連の事業者の方々への周知、説明、もちろん地方自治体も含めてでありますが、当然タイトで、ぎりぎりのタイミングであるということ。走り出してからも、説明会を含めた対応というものが恒常化されていたのではなかろうかなというふうに思います。

 今回、十月からということでもありますが、それまで、予算が成立してからは、基本的には時間はあるのではなかろうかという感覚はあるわけでありますが、きめ細やかな、今も予算の資料の中では、加算率ですとか加算のイメージというものが記されておりますが、それも含めて、自治体や各事業者への周知、説明をどのように時間をかけて行っていくのか、お聞きをしたいというふうに思います。

大島政府参考人 今回の処遇改善は、ことしの十月からの予定、消費税率の引上げと合わせてということになっております。具体的な介護報酬の加算率あるいは算定要件につきまして告示を出すことになっておりますが、今のところは、三月中にそれを出すという方向で準備を進めております。

 また、三十一年度の予算案におきまして、今回の処遇改善の取得促進に向けた周知のための予算を盛り込んでおりまして、こうした予算も活用しながら、今後、さまざまなルートや機会を活用しまして、事業者あるいは自治体への周知に努めたいと考えております。

田畑(裕)分科員 よろしくお願いします。

 特に処遇改善加算は非常にありがたいという声はもちろん聞くわけでありますが、その一方で、証拠書類の作成がかなり面倒であるですとか、報告書類が多過ぎるですとか、そういう声があるわけであります。

 私も、資料をいただいたところによりますと、処遇改善加算、これまでも、八・八%ぐらいは取得をしていないというアンケート調査があるようであります。その八%強の皆さん方の半分以上、五一%の答えとして、事務作業が煩雑だということがお声として上がってきているところであります。

 そうだろうなというのは私も感じるわけでありますが、もちろん、公費ということでありますから、いろいろ厳格に取り扱わなければいけないのは当然でありますが、説明会を通じても含めて、書類の簡素化であったりですとか極力ワンストップ化でできるような対応について、心を砕いていただきたいなというふうに思います。

 また、指定権者ごとに同じ書類を提出しなければならなくて、介護予防事業が日常生活総合支援サービスとなって市町村に移行したりとか、そうしたことで提出先がふえたりということも、これまでも発生をしているんだというふうに認識をしているところでありますが、そうしたことについての指摘を受けとめてどう対処されるおつもりか、お聞きをしたいと思います。

大島政府参考人 まず、処遇改善加算の取得に関しまして、書類、記載事項が多い、事務負担が多い、それから、自治体間で添付書類の範囲が異なっているので共通化してほしいといった事業者からの声をいただいております。

 また、今回、新しい処遇改善は、これまでの処遇改善加算とは別建てで設定することとしておりまして、申請の手続が二種類必要になります。これに伴う介護事業所の事務負担は、やはり同様に配慮を求める声があると承知しておりまして、今後、これらをどうやって簡素化できるか、対応を検討していきたいと考えております。

 また、実は、こうした介護報酬請求に伴う書類以外にも、行政が介護事業所に求める書類としては、事業所の指定に関するもの、それから指導監査に関するもの、それから今先生御指摘のような総合事業の実施に関するものといったものがございまして、これら全般について、現場の事務負担のために簡素化に取り組む必要があると考えております。

 このため、今年度、第一弾の取組として、十月に事業所の指定書類の関係は一定程度簡素化いたしました。それでまた、第二弾としまして、今、指導監査の関連の書類の簡素化に向けた検討を行っておりまして、なるべく早急に取りまとめまして、これを各自治体にお伝えするとともに、今後、まだ第三弾以降の取組にも注力してまいりたいと考えております。

田畑(裕)分科員 この問題については、自民党においても、厚労部会で国民起点PTというプロジェクトチームの中でも議題としてもとり上がっているところであろうかと思います。日常の利用者なり入所者のケアにしっかり十分な時間が充当できるような形、文章やいろいろな添付書類を含めたもろもろの事務作業に労力ばかりがかかることがないような、そのような意識を持って取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 それでは、続きまして、きょうは中企庁の方にも来ていただいておりますが、働き方改革の推進について、何問かお聞きをしたいというふうに思います。

 まず最初に、三十年度から働き方改革の推進支援センターというのが全都道府県で設置をされ、現在も進行形で、さまざまな中小企業、小規模事業者の皆さんのニーズに沿ったセミナー、研修等々を行っているんだというふうに思いますが、今年度の評価をちょっとお聞きしたいというふうに思います。

上野大臣政務官 御指摘の働き方改革推進支援センターの事業でありますけれども、総合評価落札方式による一般競争入札で委託先を決定しているところであります。その上で、地域によって支援の実績にばらつきがあるという点を我々も認識をしているところであります。

 その上で、実績が低調なセンターに対しては、実績が向上するための改善計画を提出させて、取組方法の改善を求めるなどの取組を行っています。

 このような取組もあり、個別企業への訪問による相談件数や、商工団体等と連携を図った事業主向けセミナーの開催が着実にふえてきているところであるというふうに認識をいたしております。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 ちょうど年度がわりということ、このセンターの受託も一年間ごとに改めて事業者を選定するということだというふうに認識をしております。

 今お話がありましたように、実績をしっかり上げるということも大事であろうかと思いますが、現時点で、三十一年度の事業者選定における考え方ですとか、同じくこのセンターの担いについてどのように捉えているのか、お聞きをしたいと思います。

上野大臣政務官 平成三十一年度につきましては、まず、各都道府県労働局が定める仕様書について、各地域の交通事情に応じて事業主がアクセスしやすい場所にセンターを設置できるようにしたり、各センターに事業主団体との連絡調整等を行う責任者を新たにセンター長として配置するなどの見直しを行ったところであります。

 さらに、平成三十一年度においては、センターに配置する専門家に対して、働き方改革関連法や就業規則の作成について理解を深めるための研修や、センターによる支援の好事例の共有などを実施する予定であります。

 これらにより、働き方改革関連法の施行に向けて、地域によってセンターの取組にばらつきが生じず、充実した支援が行われるように取り組んでまいりたいと思います。

田畑(裕)分科員 中企庁さん、お越しですから、改めてこの関係は、中小企業庁のよろず支援拠点とも連携をしながら、中小企業、小規模事業者の支援をしっかりやっていかなければいけないということでありますので、その辺の取組についてどう連携をしてやっていくかということについて、お聞きしたいと思います。

奈須野政府参考人 お答えします。

 働き方改革を実現するには、中小企業、小規模事業者の生産性の向上や取引条件の改善により、働き方改革に伴う負担を軽減するということとともに、働き方改革の内容を全国津々浦々の中小企業、小規模事業者にまで浸透させることが極めて重要でございます。

 中小企業庁としては、厚生労働省と連携して、中小企業団体を始めとするさまざまな機関を通じて、関係支援策や相談窓口を取りまとめた支援ハンドブックを配付するなど、働き方改革の趣旨や支援策を広く周知しております。

 また、平成三十年度補正予算において、私どもの持っている全国二千四十三の商工会、商工会議所や、各都道府県にございますよろず支援拠点での中小企業相談窓口の支援機能の強化を行うための予算を計上したことに加え、身近な支援機関である商工会、商工会議所やよろず支援拠点に相談があった事業者を働き方改革推進支援センターに紹介して橋渡しを行うということなど、働き方改革推進支援センターの効果を一層発揮できるよう連携しているところでございます。

 今後も、厚生労働省を始めとした関係省庁と連携して関連施策を展開することで、中小企業、小規模事業者の方の働き方改革を後押ししてまいります。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 センターも、来年からまた変わる場所もありますので、その辺はしっかり連携してやっていただきたいと思います。

 最後、もう時間がないので、済みません、幾つか通告していましたが、兼業、副業について。上野政務官、ちょっとお聞き含めて、言いっ放しになるかもしれませんが。

 未来投資戦略の中においても、労働市場改革は喫緊の課題ということで取り上げられております。大臣はずっと打合せをされているからあれですけれども、今、高齢者雇用の環境も、党の方でもいろいろ議論を行っておりまして、やはり感覚的に、六十代、定年を目がけてずっと働いてきた方々が、急に七十までですとか高齢者雇用がふえるといってもなかなか対処しづらいというか、気持ちの上でも整理がつかないんじゃないかと思います。やはり、今三十代、四十代ぐらいの方々の、自分のライフサイクルを見定めた制度設計が非常に大事かなというふうに思います。

 一つの会社にずっと働き続けること、これも当然価値観として立派なことでありますし、尊重すべきだと思います。しかしながら、自分のキャリアをどこかでステップアップしたりですとか、違った複線型に移行して頑張るということも非常に大事でなかろうかなと思いますので、同一企業で六十五歳まで、また七十歳雇用といったようなことの手厚さも当然大事、そこに入り切れない、求職を求める高齢者雇用もしっかり大事、しかし、また違ったルートを含めて自分の人生設計をするような若者に対する高齢者雇用のあり方、これをしっかり示してもらいたいと思います。

 兼業、副業についても、労働時間管理ですとか労災のあり方についてもまだまだ議論が煮詰まっていないというような認識をしているところでありますが、これからの課題として、これは改めてしっかり議論も含めていただいて着地をして、またそれが国民の皆さんの理解を得られるような提示ができるように、厚労省としてしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 言いっ放しで終わりますが、ありがとうございました。

後藤主査 これにて田畑裕明君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地分科員 公明党の浜地雅一でございます。

 まずは、きょう大変長い分科会、政務の皆様方、そして事務方の皆様方、お疲れさまでございます。

 そういう私もきょう三つの分科会をかけ持ちをしておりますので、もし時間が早く終われば、少し時間も押しておりますので、早目に終わりたいと思っております。しっかり簡潔に質問をして、簡潔に御答弁をいただければと思っております。

 まずは、薬剤師と薬局のあり方について御質問をさせていただきたいと思っております。

 私も部会等でお話を聞いておりますが、今回、厚労省の方では、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律案について、一部改正をされようというふうに法案を用意されているというふうに聞いております。その中で、二つ目の大きな柱が、住みなれた地域で患者が安心して医薬品を使うことができるようにするための薬剤師、薬局のあり方を見直すという項目がございます。

 調剤にかかわる方でありますとか、また薬局をされている方、またチェーンドラッグストア等々の方々からも、この薬剤師や薬局のあり方、どのように変わるんだろうという声が私の方にも寄せられておりまして、しっかりそれを国会の方で聞いてほしいというお話がございました。

 特に、今回は、まだ仮称でございますが、地域連携薬局であるとか専門医療機関連携薬局等の新しい言葉も出ておりますが、具体的には、薬剤師、薬局のあり方をどのようにこれから見直していくのか、その方向性について御答弁をいただければと思っております。

大口副大臣 お答えをいたします。

 今、地域包括ケアシステムの構築を進めて、住民が身近な地域で安心して生活できるよう、医療、介護、保健、福祉等の関係機関が連携してやっていこう、こういう中で、薬剤師、薬局が、かかりつけ薬剤師、薬局として、医師を始めとする他の多くの専門職や関係機関と連携をして、服薬状況を一元的、継続的に把握しながら、その専門性に基づき適切な薬物療法を提供していただいていることは大変重要なことと考えているところであります。

 現在、検討中の薬機法、いわゆる薬機法でございますが、の法案につきましては、薬剤師や薬局に、調剤時のみならずフォローアップをしていただく、医薬品の服用期間を通じて、必要な服薬状況の把握による薬学的管理、指導を継続的に実施すべきであることや、把握した情報を医師等に提供していただくことも盛り込ませていただいているということでございます。

 また、患者が自身に適した機能を有する薬局をやはり選択できるようにしたい、そういうことから、特定の機能を有する薬局の認定制度を導入することを検討しています。

 そして、今委員が御指摘のように、地域連携薬局あるいは専門医療機関連携薬局というものを考えているわけです。

 専門医療機関連携薬局は、がん等の専門的な薬学管理が必要なところについて、それを認定していく、そして、委員御指摘の地域連携薬局、これは、入退院時や在宅医療を受ける場合などにおいて、医療機関と連携して、患者の服薬情報の共有や在宅訪問の実施等を通じて、地域において、切れ目なく、有効で安全な薬物療法を患者に提供する役割を担っていただいておりまして、過日、私も、三十年、在宅の医療等をやっていただいているところを、在宅訪問をずっとやっていただいているところも訪問させていただきました。

 大変、そういう点では、薬剤師、薬局の皆さんの役割を薬機法を改正することによってしっかり明確にしていきたい、こう考えております。

浜地分科員 御丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 そうなりますと、やはり、薬剤師が調剤だけではなく、さまざまな医療機関との情報提供又は患者さんとの、持っている情報提供をしていくわけでございますので、やはりこれからは非常に重要な役割を担い、また、その専門性も発揮をされなければならないと思っております。

 そこで、よくある要望の中で、これから専門性をしっかり発揮をして、また幅広く薬剤師の皆様方に活躍していただくには、単純作業、いわゆる薬学的判断を必要としない業務、例えば、棚卸しをするでありますとか、ちょっと薬局内の整理をするような物理的業務については、極力補助者のような方にやらせていただきたいという要望がございます。

 当然、最終的には薬剤師が責任を負うんですけれども、調剤の現場において、薬剤師以外の者が行える範囲をしっかりと明確化してほしいという御要望があるわけでございますが、この薬剤師以外が行える範囲について、どのような整理がされているのか、厚生労働省に御答弁いただきます。

宮本政府参考人 今の御質問にお答えさせていただきます。

 御指摘のように、薬剤師の行う対人業務を充実させる観点から、品質の確保を前提として対物業務の効率化を図ることが必要であると考えております。平成三十年十二月に、今回の法律改正につきまして御審議いただきました、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の取りまとめにおきましても、調剤機器や情報技術の活用等も含めた業務効率化のために有効な取組の検討を進めるべきという御指摘をいただいたところでございます。

 現在検討中の法案におきましては、先ほど副大臣から御答弁させていただきましたように、薬剤師に対し、調剤時のみならず、薬剤の服用期間を通じて、必要な服薬状況の把握や服薬指導を行う義務を明確化することとしておりますので、業務効率化を含めた薬剤師による調剤業務のあり方については、薬剤師が最終的な責任を負う、先生御指摘いただきましたような点につきましては、やはりそれを前提として、薬剤師の監督下において薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務の考え方を検討してまいりたいと思っております。

浜地分科員 医師の業務については、一つ裁判例があるというふうに聞いております。一連の行為の中で誰がやっても同じ判断になるような、例えば、隣で聞きながらカルテを書くとか、そういったものは一つ判例があるというふうに聞いております。

 また、諸外国では、薬剤師の助師ということで、薬剤を取り出す作業等は資格を持っていない方でもできるということを聞いておりますので、そういう意味では、しっかり効率化という点も考えていただいて、早目にぜひ部会の方でも結論を出していただいて、早目に周知をしていただければというふうに要望させていただきたいと思います。

 次に、要望で上がっておりますのが、在宅で調剤をする際に、患者さんの御自宅において、そのときに、調剤のための薬剤を持っていったときに、OTC医薬品、これをぜひ欲しいと言われたときに、現在は配置販売業の方のみしか行えません、店舗販売業の方は行えないわけでございますけれども。

 これから、しっかり在宅で見守っていく、また、セルフメディケーションの拡充という観点からも、要望としては、在宅調剤の際に薬剤師がOTC医薬品を販売できるようにしてほしいという要望がございますが、それについてどのようなお考えがあるか、御答弁をお願いします。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度におきましては、一般用医薬品等処方箋がなくて薬局店頭で購入できる医薬品、OTCと言われている一般用医薬品等を使用する者の症状を踏まえながら、多くの一般用医薬品等から需要者が最適なものを選択できるよう、必要な設備や体制を整えた薬局において販売することが必要と考えております。

 在宅訪問に合わせて薬剤師が一般用医薬品等を提供する方法としましては、あらかじめ電話、インターネット等により薬局が注文を受け、薬剤師が必要な情報の収集、提供等を行った上で、在宅訪問に合わせて一般用医薬品等を持参することは、一応現行制度でも可能となっております。

 御指摘の点も踏まえまして、今後、在宅において薬剤師がより専門性を発揮し、患者やほかの職種等から求められる役割を果たせるよう、検討中の法案の円滑な施行に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

浜地分科員 御答弁いただきました。

 確かに、インターネット販売もできるので、あらかじめインターネットで頼んでおけば、在宅で調剤をする場合にそれを持っていけるということがあるんですが。それが認められれば、その場でまた症状も変わりますし、在宅での何らかの担保をとった上でできるような仕組みというのも、一つこれから検討課題にしていただきたいと思っています。これは業界から強い要望がございますので、ぜひ今後も検討を続けていただきたいと思っております。

 次に、テーマをかえまして、ねんきん定期便の取扱いについて、少々質問をしたいと思っています。

 私も、毎年、ねんきん定期便をいただいておりまして、目を皿のようにして見ています。個人的には、私、個人事業が長かったものですから、今も、国会議員も個人事業でございますが、厚生年金部分が個人的に少ないものですから、非常に寂しいなと思いながら、よく目を皿のようにして、老後のことも考えたりしているわけでございますが、非常にこれは、一つ、年金が今現在幾らもらえるのか、自分の加入状況等がわかって、非常にいい制度であろうと思っております。

 ただ、私もさまざま思うのは、もう少し見やすくなっているといいなというところでありますし、特に、このたび年金の受給資格期間が二十五年から十年に短縮をされましたが、これは、結構政治を見ている方は御存じなんですが、なかなか一般の方に伝わっておりません。

 ですので、もう既にあなたは年金受給資格の範囲に入りましたとか、そういったこともアナウンスしてほしいなというふうに思っているところでございますが、現在のねんきん定期便について、国民の皆様方からどういった点の御質問が多かったり、また、改善をしてほしい、実際にその声を聞いて見直しをしたような点があれば、その点、まずお聞かせいただければと思います。

高橋政府参考人 日本年金機構が送付してございますねんきん定期便でございますけれども、毎年、誕生月にお送りしてございます。被保険者六千万人の方々に毎年毎年お送りしているわけでございます。年金の加入期間ですとか保険料の納付実績、将来の年金額に関する情報などをお知らせしているところでございます。

 これにつきましては、これまでも、内容が理解しづらいですとか、字が小さくてたくさん書いてあるので見にくいとか、こういう御指摘、御意見をいただいております。

 このため、昨年、いろいろ検討いたしまして、ことしの四月から送付するねんきん定期便におきましては、文字を減らして大きくする、イメージ図を活用したりして見やすくするということ、それから、あわせまして、年金の受給開始時期でございますけれども、六十歳から七十歳の間で自由に選択できる、こういうメッセージをしっかり書き込む、また、年金の受給を七十歳までおくらせた場合に、六十五歳と比べまして年金額が最大四二%増額する、こういうようなこともわかりやすくイメージ図を入れて説明する、こういった見直しをすることとしてございます。

浜地分科員 既に見直しに着手をされている。字を大きくしたりとか、年金の受給開始年齢を繰下げした場合には最大七二%ということですね。今、国民年金の方だけだとなかなか少ないということなんですが、実際、もし可能だったら、七十歳に延長すれば四二%もふえるわけでございまして、こういった情報というのも、実は、我々国会議員はよく耳にしますが、国民の皆様方は御存じないことも多かろうと思いますので、そういった改革、また不断に取り組んでいただければと思います。

 そして、実は、よく見るとこのねんきん定期便には右側に、視覚障害者のため、「右のマークは目の不自由な方のための音声コードです。」というのがついていまして、音声コードで読み取れるようになっている機能があります。

 私の方に一通手紙が来ました。毎年毎年、読み取れる範囲が違ったり、範囲といいますか、読み取れたり読み取れなかったり、何か規格が毎年毎年違うんじゃないですか、統一をしてほしいというようなお手紙が私のもとに寄せられたわけでございます。

 そこで、前提として、この音声コードについては今どういう規格があって、その規格ごとの特徴やどういうふうに利用されているのか、そこについて、まず前提としてお聞きをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 日本年金機構が送付しておりますねんきん定期便、非常に大量に送付するという必要がございますので、例えば今年度ですと十三の事業者に作成業務を委託してございます。これらの委託先の事業者が使用している音声コードでございますけれども、ユニボイスというものとSPコードというのが二種類ございます。

 この二種類の音声コードのうち、ユニボイスというのは、スマートフォンのアプリですとか携帯電話の音声コード対応機種でございますとか専用の読み上げ装置ですとか、いずれの機器でも読み取り可能というふうに承知してございます。また、もう一方のSPコードというのは、スマートフォンのアプリによる読み取りには対応しておりませんけれども、携帯電話の音声コード対応機種ですとか専用の読み上げ装置で読み取り可能となっていると承知してございます。

 なお、今年度のねんきん定期便を作成している十三の事業者のうち、九社がユニボイス、四社がSPコードを使用してございます。来年度のねんきん定期便につきましても、既に調達手続が終わってございまして、十三社中、十社がユニボイス、三社がSPコードを使用する予定となってございます。

浜地分科員 今、大体二つの大きな規格がある、SPコードというものとユニボイスというものがあるというふうに御答弁をいただきまして、ユニボイスの方はスマートフォンでもアプリを使えば読み取れる、しかし、もう一方の方は、いわゆるスマートフォンでの読み取りができない、いわゆるガラ携の携帯だったらできるけれどもというような御答弁だったと思います。

 御案内のとおり、ガラ携の生産はもう終わっておりまして、私の母も七十三なんですが、いよいよ、ガラ携から勇気を持ってスマートフォンに変えました。最初は操作が難航していまして、わけのわからないメールが私に来たりしていましたけれども、半年もたてば御高齢者の方でも非常になれて、今スムーズにやっております。

 ですので、今やもうスマホの時代でございます。そうなりますと、ことしの発注は終わっているのでそれはいたし方ないと思いますが、今後はやはり、時代に合わせて、特に視聴覚障害の方々のための住みよい社会にする一端として、私はスマホで読み取れる機能に統一すべきだと思いますが、お考えはいかがでしょうか。

高橋政府参考人 現在のねんきん定期便の作成を外部委託する際の委託要領では、音声コードの種類を限定しておりません。スマートフォンのアプリで読み取れるということまでは求めておりませんので、委託事業者がそれぞれの会社で持っている音声コードの作成の機材、その機材の環境によりまして、二種類の音声コードのいずれかを使っているというのが現状でございます。

 御指摘のように、スマートフォンに対応可能な音声コードに限定して発注する、こういうことでございますけれども、既に三十一年度送付分は調達が終わっておりますので、再来年度の送付分以降につきまして、視覚障害がある方の御意見ですとか、読み取りに必要な機種の入手のしやすさですとか、ねんきん定期便委託業者の対応の状況なども勘案しながら、検討を進めたいと考えてございます。

浜地分科員 確かに、業者さんがまたシステムを変えたりしなきゃいけないということもございます。ことし一年は、もう発注が終わっているので、今からこれを変えるということはなかなか難しいと思います。

 ただ、誰のための制度かということをぜひ考えていただいて、特にバリアフリー社会ということを政府は訴えておりますので、これも一つのバリアフリーの小さな第一歩だと思っておりますので、さまざま意見を聞きながら、ぜひ、三十二年度からはそういった規格になることを期待をしておりますので、ぜひ積極的な検討をお願いできればというふうに思っております。

 ねんきん定期便のお話はこれで終わりまして、次に、外国人材の受入れの対応についてお聞きをしたいと思っています。

 私、党の方で法務の部会長をさせていただいておりまして、前回の入管法の審議でも法務の理事として携わらせていただきました。残念ながら、技能実習生の問題ばかりに目が向いてしまいまして、実際の、厚労分野における医療保険の取扱いであるとか又は職業紹介所の取扱いであるとか、さまざまな部分がなかなか論点整理ができずに審議が終わってしまったというのが私の正直な感想だったわけでございますが、しかし、新聞報道によりますと、いよいよ厚労省も、保証金等を徴収する国外の取次業者と日本国内の職業紹介所との規制に踏み出すというふうに新聞報道ではされているというふうに承知をしております。

 当然、国内で活動している我が国の職業紹介所の方が保証金等を取った場合は、指導、行政処分、罰則の対象になるということでございますが、国内の職業紹介者はそういった保証金を取らないけれども、海外の取次機関が実は保証金を徴収する場合についてはなかなか制度を規制する仕組みがなかったというふうに聞いておりますけれども、現在、この保証金や違約金を徴収する悪質な仲介業者の対応としてどのようなことを進められておるのか、御答弁をいただきたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国外にわたる職業紹介を行う職業紹介事業者につきましては、現在でも、相手先国や取次機関の適格性を確認して許可を行っているところでございます。

 これに関しまして、新たな外国人材の受入れに当たって、国会等での御議論も踏まえまして、取次機関による保証金、違約金などの徴収を防ぐための許可基準などの見直しについて、一月末以降、労働政策審議会で御議論いただいているところでございまして、三月中に許可基準などを改正をいたしまして、四月からの適用を目指したいと考えているところでございます。

 具体的には、まず一つは、求職者から保証金を徴収していたり違約金などを徴収する契約を締結している取次機関を利用しないこと、それから、保証金を徴収され又は違約金を徴収する契約を締結されている求職者の方に対して職業紹介を行わないことなどを、許可基準、許可条件、あるいは職業安定法に基づく指針において規定をするといったことを検討しております。

 今回の改正によりまして、保証金や違約金などを徴収する取次機関を利用しようとする職業紹介事業者については許可を取得することができなくなりますし、また、許可後にそうした取次機関の利用が判明した事業者については許可の取消しの対象になるというふうに考えております。

 悪質なブローカーの排除につきましては、法務省、警察庁等の関係省庁と連携をいたしまして対応することが重要であると考えておりますので、厚生労働省としても、職業紹介事業者が保証金、違約金等を徴収する取次機関を利用していることが判明した場合には厳正に対応してまいりたいというふうに考えております。

浜地分科員 四月一日から入管法施行でございますので、間に合うようにやっていただきたいなと思っています。

 この保証金の問題は、私、法務委員会のときに、ベトナムの送り出し機関、ベトナム政府の認定の送り出し機関の代表者が参考人で来ていただきまして話を聞きました。実は、ベトナム等諸外国では保証金を取って送り出した方が信用性が高いと思っていらっしゃるそうです。やはり保証金をしっかり取っているので、逆に逃げなかったり、きちっと働いてもらえるんじゃないかという海外の考え方があって、日本だけが実は保証金を取るなと言っているような状況のようでございます。

 ですので、世界の潮流に、実は、保証金を取るような労働者の送り出しはしちゃいけないというようなことをやらないと根は絶てないと思っています。これは、当然、厚労省だけの問題じゃなくて、恐らくこれは外務省も通じて、世界の中で、国際社会の中で、労働者を送り出すときに保証金を取るというのはもうスタンダードじゃないよというような取組を日本政府全体としてしていかないと、結果、ベトナムの送り出し機関の人は、日本は保証金を取らなくていいというのが最初びっくりしました、取った方が安心なんじゃないですかみたいなことを言われたのが非常に印象的だったものですから、これはもう、当然、厚労省の範疇を超えますので、政府一丸となって、そういう問題意識も含めて、ぜひ取り組んでいただきたいと思っております。

 時間は早いんですが、最後の質問にしたいと思っております。

 要は、外国人がふえれば外国人の患者が、当然、日本国内でふえてくるわけでございます。私、以前、ほかの分科会でしたけれども、医療通訳士をしっかり充実させることによって医療ツーリズムを拡大してほしいというような実は質問をしたことがございますが、今度は、外国人が観光で来るんじゃなくて、まさに生活者として住むわけでございますので、フェーズは変わりまして、まさに、外国人一人一人が安心して日本で医療体制を受けられる制度が必要であろうというのは、これはもう誰もが考えることだと思っています。

 ですので、医療通訳士の充実も大事なんですが、やはり厚労省として、全体として、外国人の疾患者に対する医療提供体制の整備について、どのように進んでおられるのか、御答弁をいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 訪日外国人旅行者数の増加に加えて、今委員御指摘のように、本年四月からの新たな外国人材の受入れが始まりますので、昨年十二月に関係閣僚会議において了承されました外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に基づきまして、全ての居住圏において外国人患者が安心して受診できる体制の整備というものを今進めている途中でございます。

 まず、通訳者につきましては、これまでも、各地域の受入れ拠点となる医療機関への配置を進めてまいりましたが、更にアクセスの向上を図るために、より多くの言語、多言語に対応できる、あるいは、電話通訳などによる利便性を上げるということが重要な課題と考えておりまして、団体契約を通じた電話通訳の利用促進などをこれまで進めてまいりました。

 さらに、二〇一九年度の予算案におきまして、新たに、希少言語も含めて対応可能な遠隔通訳サービスの提供をするとか、あるいは、翻訳ICT技術に対応したタブレット端末の配置をするということを行いますし、これに加えて、通訳だけじゃなく、都道府県単位での医療、観光等の連携をワンストップで対応できる状況、あるいは、医療コーディネーターという形での養成研修も盛り込んでいるところでございます。

 このような取組を通じまして、在留外国人を含めた外国人患者の方々が安心して医療機関を受診できる環境を整備してまいりたいと考えております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 去年の夏にオーストラリアに行きましたけれども、フィリピンの方の労働者がいらっしゃいました。日本に来たかったけれども、やはり日本語なので不安だったと。結局、オーストラリアは英語でございますので、やはり行きやすかったということがあります。ですので、希少言語も含めて、日本語はもう日本人しかしゃべりませんので、そういった対応をされることを強く望みたいというふうに思います。

 ぜひ、四月一日に向けて、更に体制強化を図っていただきたいというふうに思いまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤主査 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 次に、三ッ林裕巳君。

三ッ林分科員 自由民主党の三ッ林裕巳です。

 本日は、このような質問の機会をいただき、大変光栄に存じております。

 早速質問に入りたいと思います。

 私、今、衆議院の災害対策特別委員会の理事も務めておりまして、本当に昨年は非常に災害の多い年でありました。六月に起こった大阪府北部を震源とする地震を始めとして、七月の西日本を中心とした豪雨、九月の北海道胆振東部地震、そして台風二十一号など多くの台風も上陸し、ほかにもさまざまな災害が日本各地に甚大な被害を及ぼしました。

 中でも、七月に起こった西日本の豪雨災害では、長期間にわたる断水が起こり、医療機関においても連日のように給水を必要としたと伺っております。

 また、北海道胆振東部地震では、全道がブラックアウトしました。医療機関も例外ではなく、停電した医療機関では電源車の派遣を必要としたり、自家発電機で電気を賄っている医療機関では、自家発電機の燃料の供給が必要となったと聞いております。また、人工呼吸器を使用しながら在宅療養をしている患者さんにおかれては、人工呼吸器の電源確保が困難となる事態もあったと聞いております。

 まさしく、医療機関における水や電気などのライフラインについては、患者さんの命に直結するものであり、そのためのインフラの整備は非常に重要なものであると再認識いたしました。

 国は、これまでも災害時における医療提供体制の整備に努めてきました。しかし、昨年に起こった災害の教訓から、災害時の医療提供体制の整備について、国として今後どのような医療機関のインフラ整備を進めていこうと考えていますでしょうか、厚生労働省の考えをお聞かせください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今委員お取り上げいただきましたように、昨年、災害が起こりまして、その災害を受けて、平成三十年度の第二次補正予算及び今御審議いただいております平成三十一年度の予算案において、災害時に特に重要な医療機能を担う全国の災害拠点病院、それから救命救急センター及び周産期の母子医療センターを対象に、非常用自家発電設備また給水設備の増設等の補助を行うための予算を計上させていただいております。

 また、平成三十年度の第二次補正予算におきましては、在宅で人工呼吸器を使用する患者さんを診療する医療機関を対象に、災害時に患者に貸し出せる非常用の電源、いわゆる簡易発電機などの整備の補助を行うための予算を計上させていただいているところでございます。

 これらの補助事業などを通じまして、医療機関における防災・減災対策に資するインフラ整備を着実に進めてまいりたいと考えております。

三ッ林分科員 ありがとうございます。

 第二次の補正予算で、またこれからの当初予算、三年間かけて総事業費七兆円の中でこの災害対策に取り組んでいただいていること、本当にありがたいことだと思います。

 救命救急や周産期母子医療センター、災害拠点病院、こういったところに重点的に非常用電源そして水の供給といった施設を補正、これからの予算でやっていくわけですけれども、やはり地元の自治体の首長等に伺いますと、こういった重点施設をまず整備する、これはもう当然だと思うんですけれども、二次医療圏の中にこういった災害拠点病院がない、母子周産期センターもない、そして三次救急をやっている施設もないといったところですと、やはり最低でも三日間非常用電源を担保しておくこと、また給水の設備も三日間は担保しておくこと、こういったことが必要で、私の地元の各自治体からでも、こういったときはどうしたらいいんだということもありますので、ぜひとも、今後、こういったところを次のステップとして精査して、予算をそういったところに充てていただきたい、そのように思います。

 次の質問に入ります。

 次は、小児、周産期医療施設の体制整備について、また災害時のことについてでありますけれども、災害時における要支援者である妊産婦や子供に対する医療体制の整備についてお話しさせていただきたいと思います。

 災害時の乳幼児などの支援については、平成二十七年三月に閣議決定された少子化社会対策大綱において、「地方自治体において、乳幼児、妊産婦等の要配慮者に十分配慮した防災知識の普及、訓練の実施、物資の備蓄等を行うとともに、指定避難所における施設・設備の整備に努め、災害から子供を守るための関係機関の連携の強化を図ることを促進する。」とされております。

 政府は、希望出生率一・八を目指して、女性活躍のための支援、保育サービスの確保を含めた子育て環境の整備などとあわせて、小児、周産期医療の充実に取り組んできたと承知しております。

 日本は、妊産婦死亡率や新生児死亡率などが世界的に見ても有数の成績でありまして、小児、周産期医療を担う現場の医療スタッフの尽力のもとに体制整備を進めてきた成果であると考えます。災害時においても、小児、周産期医療が継続して提供できる医療体制の整備が重要なことは申し上げるまでもありません。

 平成二十三年の東日本大震災におきましては、一度搬送された妊婦が更にほかの病院へ搬送された事例、医療救護班が収集した情報を災害医療本部から周産期母子医療センターなどへ伝達する体制になっていなかった点などが指摘されました。

 平成二十八年の熊本地震では、NICUやGCUに入院していた四十名弱のお子さんの緊急避難、転院が行われ、搬送調整の必要性が改めて指摘されております。

 各都道府県の医療計画におきましては、小児医療、周産期医療はそれぞれの計画を策定することとされておりまして、地域の実情に応じつつ、成人に対する医療、救急などとは異なる特別な医療体制が構築されてきましたので、先ほどのような経験を踏まえて、厚生労働省では、災害時小児周産期リエゾンという、小児、周産期医療に特化した調整役を都道府県に配慮できるよう研修を実施していると承知しております。主には、産婦人科医や小児科医が研修を受講しているようであります。

 しかし、全国的にはまだ災害時小児周産期リエゾンを任命していない都道府県があるという資料が、この一枚目の資料であります。

 日本の地図の中で紫色の部分がリエゾンの任命されている地域でありますけれども、まだ、北海道、東京、神奈川、こういった重点地域で小児周産期リエゾンが一人も任命されていない、こういった状況であります。

 幸い、私の地元である埼玉県につきましては、昨年五月の時点で十二名が任命されているようですし、訓練への参加も始まっているようであります。埼玉県は産科や小児科の医師が少ないですし、限りある資源を有効に活用して、災害時に妊産婦や子供に対する医療が滞りなく提供されることを期待しております。

 どのような地域においても安心して子供が産み育てられるよう、全ての都道府県において、災害時小児周産期リエゾンを活用した災害時の小児、周産期領域の体制整備を進める必要があると考えますが、今後どのように整備を進めていくのか、厚生労働省の今後の取組をお聞かせください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 災害時において特にサポートが必要となります妊産婦、小児の方々について適切に対応できる医療体制を平時から構築しておくことが重要であるというふうに私ども思っております。

 今委員お取上げいただきましたように、過去いろいろな事例もございましたことを踏まえて、厚生労働省としましては、平成二十八年度より、災害時に被災地の小児、周産期医療に係る保健医療ニーズの把握、あるいは保健医療活動チームの派遣調整などを行う、それに助言、支援を行うという意味で、今御指摘いただきました災害時小児周産期リエゾンというものを、養成研修から始めさせていただいています。

 また、平成三十年度からは、第七次の医療計画の指針におきまして各都道府県の災害対策本部などに災害時小児周産期リエゾンを配置するということを明示して、都道府県における取組をお願いしているところでございます。

 その上で、今資料としてお示ししていただきましたように、私どもが把握する限り、平成三十年五月の時点で、任命状況等につきましては、三十府県、百五十五名この時点において任命されている一方で、十七都道県が任命されていないというのも実態でございます。

 私どもとしましては、この災害時小児周産期リエゾンについて、その運用、活動内容を定めた災害時小児周産期リエゾン活動要領というものを新たに作成させていただいて、今月、二月の八日に都道府県に通知したところでございます。

 今後、各都道府県における任命状況等の実態を引き続きよく把握させていただく、そして、災害時小児周産期リエゾンの養成研修において、活動要領を今回新たにいたしましたので、それを踏まえた講義あるいはシミュレーションなどが行われるようにそのカリキュラムを変えていただくということを通じまして、災害時の小児、周産期領域の体制整備というものが着実に進むように取り組んでまいりたいと考えてございます。

三ッ林分科員 ぜひ体制整備を進めていただきたいと思います。

 また、この私の提出した資料でありますけれども、埼玉十二、そして大阪も十二、このばらつきがあるわけですけれども、この災害時の小児周産期リエゾン、本部長が決まって、それを支えて周産期の災害時の助言等を行っていくという役割ですけれども、各都道府県でどの程度の人数が適切なのか、その辺のお考えがあるのかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まさに、この災害時小児周産期リエゾンの実態をまず把握し、今後のあり方について議論をするために、現在、救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会という場において、関係者の方々の御意見も聞きながら、今いろいろと議論をしてございます。

 今御指摘いただきました、どれぐらいが適正なのかというところについては、それぞれの都道府県の実情でありますとか、あるいは災害体制の中での位置づけ、周産期医療の状況などもあろうかと思いますので、我々としては、任命等の実態を踏まえつつ、このリエゾンの適正な養成数はどれぐらいなのか、どう配置をするのか、あるいは能力の維持向上という、それぞれの点について幅広く有識者の方々の御意見も伺いながら検討して、一定の方向を見出していきたいというふうに考えてございます。

三ッ林分科員 次の質問に移ります。

 新専門医制度等について、ちょっとお伺いしたいと思います。

 新専門医制度が導入されて、内科離れなど診療科偏在が進んでいると聞き及んでいます。

 資料の二を見ていただきたいんですが、この資料を見ていただくと、明らかに外科、産科、婦人科、内科は横ばい、内科は若干上昇しているんですけれども、外科、産科に至っては平成六年から横ばい状態である、医師数はふえているにもかかわらず横ばい状態になっている。

 そして、卒業して二年目の臨床研修修了者に対して聴取している、将来に希望する診療科のうち、内科の割合は減少傾向ということであります。

 こういった状況をどう考えるか、議論させていただきたいと思います。

 二〇一六年以降、医師免許を取得した医師を対象として新専門医制度が始まりました。これは、ゼネラリストを育成する目的で改定されたわけだと伺っておりますけれども、基幹施設での研修一年以上、基幹施設以外での研修一年以上を含む三年間の内科研修を行うものです。これは、初期臨床研修が終わって、三年間の内科研修を行うということです。

 そして、それにはサブスペシャリティーの重点研修も認められており、これまでの制度と同じ手段で専門医を取得することが可能ですが、内科専攻研修、この専攻医の研修がかなり厳しいプログラムとなって、サブスペシャリティーの専門医取得、いわゆる循環器専門医とか消化器内科専門医とか、そういったサブスペシャリティー専門医取得が、従来では七年目で取れたものが九年目になってしまう。おおよそ、大体七年目で取得できるという体制にはなっているんですけれども、現実問題、なっていない。そのプログラムがかなり厳しいプログラムで、九年目になってしまう、こういったこと。また、あと、循環器内科や消化器内科ですと、外科的要素が多い科ですので、カテーテルとかいった手技、こういったことがおくれるため、多くの医師からの意見ですけれども、新専門医制度の意義が、改定されて三年たつわけですけれども、全く見出せないんだと。こういったことが、結局、サブスペシャリティーの専門医になるのが長期間かかるためにやはり内科離れになっている。外科もそうであると思います。そういったことが、診療科偏在といったことになっていると思うんです。

 地域偏在、またこの診療科偏在は大きな問題で、さまざまな要因があると思いますが、この診療科偏在について、新専門医制度について、今後、厚労省の対策、こういったものをどのように考えているのか、お聞かせください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今委員が資料でお示しいただきましたように、診療科別の医師数につきましては、科によって、増加しているもの、あるいは平成六年以降横ばいになっているもの等、いわゆる診療科偏在というものを私どもとしては認識してございます。

 この理由はいろいろとございまして、なかなか一概にすぱっと言うわけにはまいりませんが、これにどのように取り組むかということについて今いろいろと私どもとしても検討し、取り組ませていただいているところでございます。

 特に新専門医の話について御言及いただいておりますけれども、私どもとしましては、この新専門医制度の発足に伴いまして診療科偏在が助長されないようにということを基本に、さきの通常国会で成立いたしました医療法、医師法の一部を改正する法律で、専門医の研修計画等について、医療提供上地域医療に重大な影響を与える場合には、厚生労働大臣から日本専門医機構に対してその改善要望を意見する規定というものが盛り込まれております。

 これに基づきまして、現在、私どもの専門医研修部会という会議において、専門家の方々、そして専門医機構また関係学会の方々にも御出席いただいて、いろいろと実情あるいは意見を伺いながら議論をさせていただいているところでございます。

 その中には、先ほどお話がございましたように、個別のサブスペシャリティーの問題についても、これは一義的には日本専門医機構とそれぞれの関係学会において今議論が進められていると承知をしておりますけれども、私どもとしては、その状況について関係者の方からお話を伺っているという状況でございます。

 また、全体として、この診療科偏在というものを是正していくためには、私どもとして、将来に必要な医師数の見通しというものを示していって、それが結果的に若手の医師の方々の適切な診療科選択につながるという道もあるのではないかというふうに考えておりますことから、今月、二月十八日に開催いたしました医師需給分科会において、診療科別の必要医師数、まだこの段階ではたたき台ということで、今後議論を深めていただくということを予定しておりますけれども、このようなものも示しながら議論を行っているところでございます。

 このような取組を通じ、また新専門医制度の開始に伴って医師の偏在が助長されないというところから、専門医機構あるいは関係学会とともに議論を尽くした上で、私どもとして丁寧に取り組んでまいりたいと考えてございます。

三ッ林分科員 ありがとうございます。

 私も医師で、循環器を専攻していたんですけれども、やはり医師の目標は専門医なんですね。専門医を取るということで、その期間が長くなるということは、やはりほかの診療科に移ってしまう。そういったことで、この診療科偏在の一つの要因だと私は思っています。

 そういったことなので、ぜひとも、日本専門医機構、厚生労働大臣が改善要望を意見する、そういった規定が入っておりますので、二〇一六年から始まった新専門医制度を、厚労省と連携して、実際、現場の医師がどう考えているのか、どういう傾向にあるのかというのを調査して、ぜひ根本大臣には意見を申していただきたい、そのように思います。

 次に、最後の質問になりますけれども、歯科疾患の予防に対する取組についてであります。

 皆様御承知のことと存じますが、口腔の健康は国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を担っており、国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効であることから、平成二十三年に歯科口腔保健の推進に関する法律が成立いたしました。

 歯科口腔保健法に基づいて歯科口腔保健の推進に関する基本的事項が策定されておりますが、その中間評価報告書が昨年取りまとめられたところであります。

 資料の三枚目、四枚目にありますとおり、歯科口腔保健の推進に関する法律と基本的事項と、昨年取りまとめられた中間評価報告書、これを見ていただいて、乳幼児期・学齢期、成人期、高齢期と分けて、どういう傾向にあるか、こういったことがわかったわけであります。

 歯科疾患の早期発見、早期治療を行うため、生涯を通じた歯科健診の充実が重要であると考えております。さらに、歯科疾患の予防をするためには、歯科健診の充実に加え、自治体における歯科疾患の予防に関する事業を推進することが重要であると考えています。厚生労働省としてどのように取り組む予定であるか、お答えいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 歯科健診などの実施を通じまして口腔の健康の保持増進を図ることは、健康で質の高い生活を営む上で重要な役割を果たしているというふうに私ども認識してございます。

 このため、これまでもそれぞれのライフステージに応じた健診事業というものを行っておりますけれども、さらに、平成三十年度から、歯科健康診査推進等事業というものにおきまして、効果的、効率的な健診の実施方法の検討、あるいは歯科健診の実施効果や医療費との関連性の検証なども行っているところでございまして、この事業は、現在御審議いただいております平成三十一年度予算案にも所要額を計上させていただいているところでございます。

 また、新年度予算案においては、口腔保健に関する予防強化推進モデル事業というものを新規事業として盛り込ませていただいております。これは、自治体などにおける、エビデンスレベルの高い歯科疾患の予防のためのポピュレーションアプローチというものをモデル的に実施していただいて、そこから得られる知見をもって次なる施策の展開につなげたいという思いで盛り込んでございます。

 今後、こういった事業を通じまして、歯科疾患の予防あるいは口腔の健康の推進というものを進めさせていただきたいというふうに考えてございます。

三ッ林分科員 この歯科疾患の予防ですけれども、医科の方では、特定健診を含めて、予防に対する対策、こういったことが本当に充実してきたと思います。これからは特定健診や特定保健指導の実施率を上げていくことが大変重要であると思いますが、やはり歯科の予防、こういった歯科口腔保健法が平成二十三年に成立して、中間報告が出た、そして、それに基づいて、先ほど吉田局長が答弁されましたけれども、エビデンスレベルの高いポピュレーションアプローチを推進する事業を実施していく、本当にこれはありがたいことだと思います。

 乳幼児や児童生徒は歯科健診は義務化されておりますけれども、それ以外はまだ義務というところになっていない。そういったところを特定健診から見ると、特定健診というのは、脳卒中や循環器病を予防する、そして今、歯周病と糖尿病の関係がエビデンスとしてしっかり構築されてきた、こういったことを考えると、やはり将来的には、保険者の理解も当然必要ですけれども、特定健診に歯科健診を入れていくということ、吉田局長が今説明されたこれからの予防事業といったこととあわせて特定健診が入っていくと、更に糖尿病の重症化予防にもなりますし、そういったことによって透析患者の医療費の増大を抑えることもできる。

 そういった観点から、歯科医療は大変重要でありますので、ぜひとも、医科歯科連携を今、本当に国の方で進めていただいております、更に歯科医療を充実することがいかに必要か。私は医者でありますけれども、歯科医療がしっかりと医科、医療の中で連携をして、予防事業にもしっかりと取り組んでいく、このことが健康寿命を延伸していくことに大変重要だと思いますし、ぜひともそういったお取組をお願いしたいと思います。

 以上、質問を終わります。ありがとうございました。

後藤主査 これにて三ッ林裕巳君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村弥生君。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。自由民主党の木村弥生でございます。

 本日は、二つの柱、一つ目はこれからの医療のあり方について、そして二つ目は、昨今非常に痛ましい事件がございました児童虐待に潜むさまざまな課題について質問をしたいと思っております。

 それでは最初に、チーム医療、タスクシフティングそしてシェアリングについてお尋ねをいたします。

 我が国におきましては、人口減少に伴いまして今後は労働力人口が減少していく一方で、二〇二五年には団塊の世代が七十五歳以上を迎えて、そして医療、介護ニーズがますます高まることが予想されております。今後の我が国の医療提供体制のあり方として、医療を提供する側が疲弊することのないように、医療従事者の間でタスクシフティングなどを図ることによりまして限られた労働力の資源を最大限有効に活用し、医療従事者の業務の生産性の向上を図っていくということが喫緊の課題であると承知しております。

 アメリカを始めとする諸外国におきまして、医療現場で、医師の指示を受けずに一定のレベルの診断や治療を行うことができるナースプラクティショナーという免許あるいは登録をした看護師がおります。医療へのアクセス改善、待ち時間の短縮、重症化予防、患者満足度の向上などの成果をもたらしております。

 日本におきましては、平成二十年から、日本の大学院の修士課程におきましてアメリカなどの教育課程を参考に教育が既に開始をされておりまして、その修了した看護師は現在三百六十名ほどおります。しかしながら、行うことのできる業務は、あくまで現行法の範囲内におきまして、医師の指示のもと、診療の補助を行うことに限られております。

 平成二十六年の法改正におきましては、特定医療に係る看護師の研修制度が創設をされました。この特定行為の研修制度によりまして、看護師は、医師等の判断を待たずに、手順書によって一定の診療の補助を包括的に行うことができるようになりまして、既に地域で活躍しているところでございます。

 この流れの中で、平成二十九年、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会の報告書におきまして、特定行為研修制度の対象となる医行為について、安全性と効率性を踏まえながら拡大し、このような業務を行う能力を持つ人材、例えば診療看護師、仮称です、を養成していく必要があると明記されました。

 医師の働き方改革に関する検討会の議論は、この三月の末に終わる予定であります。その後、医療界全体で、タスクシフティング、シェアリングの議論になると承知しております。全体観を持った議論が今後更に進められることになる中で、ナースプラクティショナーについても引き続き議論を進めていっていただきたいと考えております。

 そこで、質問でございます。

 我が国におきまして、看護師の力を一層活用して、どのようにタスクシフティングやチーム医療を推進していくのか、根本大臣のお考えをお聞かせください。

根本国務大臣 委員今お話しのように、これからよりよい医療を患者に提供していくためには、看護師の皆さんの力を一層活用してタスクシフティングあるいはチーム医療を推進する、これは非常に大事だと思っております。よりよい医療を提供する、そしてチーム医療を推進する、そのために看護師が重要な役割を果たすという認識をしております。

 チーム医療の推進については、医師の働き方改革に関する検討会の取りまとめ骨子において、委員からも御紹介がありました、指摘があったのは、諸外国におけるナースプラクティショナーの導入を検討すべき、あるいは、現行制度下での役割分担の検討を進めるべきという指摘がありました。

 こうしたことを踏まえて、厚生労働省としては、まず、医師の事前の指示により看護師が自律的に診療の補助行為を行うための特定行為研修制度、これも委員から御紹介がありました、この特定行為研修制度を推進することが重要であると考えています。今後、制度の見直しを行って、研修を受けた看護師が在宅や手術後の患者に必要な一連の診療の補助行為を行うこと、これをできるようにする予定であります。これによって本制度の一層の活用が図られ、チーム医療が一層推進されると考えています。

 引き続き、現場の実態の把握や関係者の方の御意見を踏まえながら、特定行為研修制度の推進に努めていきたいと思っております。

木村(弥)分科員 大臣、ありがとうございます。

 研修修了生の実績を評価していただきまして、そして、これからの看護職にますます、病院だけでなく地域での活躍を期待してくださることは大変ありがたいと考えております。よりよい医療提供体制のために、医療職の国会議員としてしっかり頑張ってまいりたいと思っておりますので、どうぞまた御指導よろしくお願いいたします。

 次に、歯科医療についての質問でございます。

 口腔の健康と全身の健康との関連性というのが既にさまざまなエビデンスによって明らかになっているところでございます。今週発売のある総合雑誌におきましても、歯科医療が大きく特集として取り上げられておりました。そこで大変興味深かったのが、シニア一千人を対象に、今、後悔していることというアンケート調査を行ったところ、健康面のトップに、もっと歯の定期健診を受ければよかったというのが挙げられたそうでございます。

 私が参加しております歯科医療問題の勉強会のヒアリング等におきまして、歯や口の健康を保つことが生活習慣病の予防やまた認知症の予防につながりまして、それがひいてはQOL、生活の質の向上や健康寿命の延伸に資するということがエビデンスを持って明らかにされております。また、ある病院では、歯科医師を中心に看護師などとチームで口腔ケアを行った結果、胃瘻が確実に減ったといった、そういった事例も伺っております。

 昨年の骨太の方針二〇一八におきましても、口腔の健康が全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者を始めとする国民に対する口腔機能管理の推進など歯科口腔保健の充実や、地域における医科歯科連携の構築など歯科保健医療の充実に取り組む旨が盛り込まれまして、歯科医療の充実に向けた方針が明らかにされたところであります。

 そこで、質問でございます。

 根本大臣が、昨年十一月の衆議院の厚生労働委員会におきまして、口腔の健康の重要性と生涯を通じた歯科保健医療の充実に向けてしっかりと取り組んでいくという意気込みを述べておられました。歯科医療へのさらなる期待とともに、診療報酬の充実とまた財源の確保についての御予定をお聞かせください。

大口副大臣 木村委員にお答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、昨年の骨太で、口腔の健康は全身の健康にもつながるという形で明確に規定されていますし、また、歯科口腔保健推進法も二十三年に公布、施行されているところであります。

 高齢者の増加に伴う中で、やはり口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症予防につながりますし、また、さまざまなエビデンスが出ています。入院患者の在院日数が、消化器外科あるいは心臓血管外科においても口腔ケアをしている方が在院日数が短いでありますとか、あるいは、糖尿病と歯周病、虚血性疾患と歯周病の関係等々、いろいろな形で全身の健康につながっていることがうかがわれ、そういう点で歯科医療の役割はますます重要になるものと考えています。

 私も、地元の静岡県のがんセンターにもお伺いしましたが、やはりチーム医療ということで、歯科の先生が入っていただいて非常に効果を上げているということでもございます。

 平成三十年度の診療報酬改定において、口腔疾患の重症化予防や口腔機能低下への対応を強化する観点から、口腔機能が低下した方に対する検査や治療などを行った場合の評価を新設しました。ライフステージに応じた口腔機能管理推進に関する評価でございます。歯科疾患管理料、口腔機能管理加算、そして、そしゃく能力検査、咬合圧検査等であります。

 また、診療報酬本体もプラス〇・五五%のプラス改定であるわけでありますが、医科、歯科、調剤の配分比率も一対一・一対〇・三ということで、歯科はプラス〇・六九ということも確保されたところでございます。

 今後とも、患者像の変化や医療技術の進歩など医科医療を取り巻く状況を勘案し、国民に対して適切な歯科保健医療を提供できるよう、中医協の議論等も踏まえ、適切に取り組んでまいりたいと思います。

木村(弥)分科員 副大臣、ありがとうございました。

 地元の歯科医師の先生方とお話ししておりますと、目下の課題として、実は歯科衛生士さんの人材不足を指摘されているところでございます。

 歯科衛生士さんは、私ども看護職や、また保育士さんや介護士の皆様、さまざまな中で、やはり女性が多いということで、結婚や出産といったライフステージで転居をしたり、そうやってキャリアを中断するようなことが多い中で、どの業界におきましても、キャリアパス、あとどれぐらい働いたら自分はどのぐらいになれるといった、そういったものが見えづらい、そして、全国共通の、今これぐらい自分はキャリアラダーを積んでいるんだということが見えづらいことが私はいろいろとあるのではないかと思っております。

 そこで、歯科衛生士さんのキャリアパスというのは、やはりこれからもっと具体的に示しながら、離職防止や復職支援に向けて業界内で共有を図っていくことが重要ではないかと考えておりますけれども、政府の見解をお聞かせください。

吉田政府参考人 歯科口腔保健の重要性については、先ほど副大臣の方からも御答弁がございました。それを実際担っていただく歯科衛生士さんを確保すること、これは大変重要な課題だと思っております。

 就業歯科衛生士さんの数は平成二十八年度末で約十二万四千人弱でございますが、その大多数は女性。手元では男性は七十七人ということですので、それ以外は女性ということでございますので、ライフイベントによりキャリアを中断せざるを得ないという方をどうやって減らしていくかということは課題であろうと思います。

 平成二十九年度から、予算事業として復職支援、離職防止のための事業を開始してございまして、三十一年度予算案についても所要の経費を今計上させていただいております。

 具体的には、技術修練を行う大学等において、一般の歯科診療所で必要とされる技術のみならず、訪問歯科診療あるいは介護施設等での口腔ケアを想定した実習を行っていわゆる歯科衛生士さんのキャリアを広げ、そのキャリア支援を行うという形での職員の方を配置する、さらには、全国共通の復職支援などのプログラム、あるいは当該プログラムの研修を担う人材育成を行うということをこの予算事業を通じて行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、今御指摘がありましたように、キャリアラダーなどの見える化も含めて、歯科衛生士の方々のキャリア支援に向けて努力してまいりたいと考えております。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 この復職支援というのは看護界でも本当に課題でありまして、なかなか難しい。やはり、まず働き続けられることが必要であり、そのためには、保育士さん、なかなか保育園に入れなくてやめてしまうといった、そういったお話もありますので、それも含めまして、女性活躍推進を進めていく上でも、ともに頑張ってまいりたいなと考えております。ありがとうございました。

 次に、児童虐待にかかわるさまざまな課題について質問をさせていただきます。

 児相のこれからの福祉司の増員やまたそういったことに関しましては、もう既にいろいろと掲げておられますので、私は、その背後にありますドメスティックバイオレンスの問題についてお尋ねをしたいと思っております。

 先般の野田市の小学四年生の女の子の痛ましい事件、これは、母親が配偶者からDVを受けていたということが報じられているところでございます。自分のしたことを先生に言いつけて、またそれをもとにせっかんがひどくなるというのは、DV加害者の典型的なパターンであります。私は、このDV対策をしっかりとしていれば、最悪の事態は防げたのではないかと非常に残念でなりません。精神的なDVというのが保護の対象になっていないのも問題であります。

 今回の事案を受けて、文科省と厚労省の合同PTが開催されていると承知しておりますが、このDVを所轄する上で、内閣府も入れるべきだと私は強く提案したいと考えております。

 二十九年に全国の警察が把握したDVの事案というのは、前年比三・六%増、七万二千四百五十五件、十四年連続でふえているところで、平成十三年のDV防止法の施行後最多を更新しているところでございますが、その一方で、婦人相談所により一時保護された女性の数、民間シェルターに一時保護を委託された女性の数は、実は近年減少傾向にあるという矛盾がございます。

 ここで、問題であります。

 保護を必要とするDVのニーズがあるにもかかわらず、ハードルが高く入所につながらない仕組みが大きな問題であります。この入所の仕組みについて、見直す必要があるのではないでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 DV被害を受けた女性の安全を確保するために、婦人相談所に併設いたします一時保護所が重要な役割を担っておりまして、ニーズに応じて入所できる環境整備が重要と考えております。

 御指摘のとおり、近年、婦人相談所による一時保護の件数は減少傾向にございます。

 昨年度行いました調査結果では、一時保護につながらない理由といたしまして、多くの婦人相談所が本人の同意が得られないことを挙げております。また、この本人の同意が得られない理由といたしまして、一時保護所における集団生活や携帯電話の使用制限、あるいは本人の仕事や同伴児童の通学との関係などが挙げられております。

 このため、被害者の安全確保との兼ね合いを見ながら、一時保護所の運用あるいは一時保護委託の活用につきまして、改善が必要と考えております。

 厚生労働省といたしましては、昨年七月に検討会を立ち上げまして、一時保護に関する問題を含めまして婦人保護事業の見直しの議論を進めております。この中で、課題を整理しながら対応を検討していきたいと考えております。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 公的シェルターにおきましては、もともと売春防止等々から始まったところもありまして、ちょっと時代錯誤感というものが否めないというところがあることがまた問題であること。そして、民間シェルターの方がもっと寄り添えるようなところがあるんですが、なかなかこの運営が難しい。

 このシェルターの継続的な運営についても、もう少し必要な経費の援助というものが必要なのではないか。心ある人たちの手弁当によって進められてきた民間のシェルターが、非常に高齢化も進んでいる。やはり、こういった足りないところも、しっかりと民間の団体と連携しながら支援を進めていただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

渡邉政府参考人 内閣府男女共同参画局でございます。

 DVも含め、女性に対する暴力は重大な人権侵害でありまして、決して許される行為ではないと考えております。女性の活躍を推進するための大前提として、女性が安全に安心して暮らせる環境を整備することが必要不可欠であると考えております。

 先生御指摘の、民間シェルターなどの民間団体に対する財政支援、援助につきましては、いわゆるDV防止法で、国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとするというふうに定めております。

 具体的には、DV防止法等に基づきまして、地方公共団体による民間シェルター等に対する財政支援については、当該支援費の二分の一が特別交付税の算定基準に盛り込まれておるところでございます。また、婦人相談所からの一時保護の委託を受けた民間シェルターにつきましては、都道府県が一時保護委託費を支給し、その半額を国、厚生労働省さんが負担しているというふうに承知してございます。

 現在、DV等被害者のための民間シェルター等に対する支援のあり方について、片山男女共同参画担当大臣のもとで検討会を開催いたしまして、検討を続けているところでございます。検討会での議論も踏まえて、今後も支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

木村(弥)分科員 安心、安全な保護というお話もございました。なぜ被害者が恐怖にさらされながら逃げ回らなくてはいけないのか、この問題をしっかりと進めていただきたい。

 ここで自治体の窓口やまたその職員の意識が低いと、さらなる悲劇を招いてしまうといったことがございます。ぜひ内閣府には、被害者に寄り添い支える人材を育成するという研修の充実と義務化に取り組んでほしいと思っておりますが、いかがでしょうか。

渡邉政府参考人 先生御指摘のとおり、DV被害者の支援に当たりましては、質の高い相談それから支援ができるように体制を整えていくということが必要であろうと考えております。

 関係省庁や地方自治体におかれましては、DV防止法や、それに基づく基本方針や第四次男女共同参画基本計画に基づきまして、被害者の人権を尊重するとともに、その安全の確保、秘密の保持に十分配慮して対応していただいているものと承知してございます。

 内閣府におきましては、先生御指摘のとおり、配偶者暴力相談支援センターの相談員などの職務関係者への研修を実施したり、また、職務関係者が配偶者からの暴力の実態や特性等についての理解を深めていただき、被害者の状況に応じた適切な対応を行うことができるように、相談の手引といったものを作成、配付するなどの取組を行っております。

 引き続き、DV被害者が二次的な被害を受けることが絶対にないよう、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 年間で、DV被害、殺人が一件、また殺人未遂が九十人、そして傷害致死が三人といった、本当に命の危険にかかわるような、そういった状況に今DV被害者がさらされていることをぜひ皆さんで共有していきたい。

 そして、もう一度申しますけれども、先ほどの副大臣の担当会議のときに、ぜひ内閣府も含めて一緒にやっていただきたいと私は強くお願いをしたいと思っておりますことと、DV法の方に子供の保護というものをきちんと明確に書いていただきたい、これをお願いしたいと思っております。

 次に、この児童虐待等に非常に密接なのが、望まぬ妊娠ではないかと私は思っております。

 厚生労働省の専門委員会の調査によりますと、ゼロ歳児の虐待死による死亡、ゼロ歳児の死亡人数が全体の四割以上を占めているところでございます。この背景というのは、結構、性暴力や性被害等も含まれると思いますが、若年女性の望まぬ妊娠の問題があるところでございます。日本で生まれた子供たちが年間九十四万人の中で、人工中絶件数が十六万件と言われております。

 望まぬ妊娠を防ぐための方法として、緊急避妊薬、いわゆるアフターピルというものがございます。これは、日本では医師による処方でしか入手できないものですけれども、保険が適用されずに費用もかかるため、非常に高額なものとなっておりますが、海外で並行輸入すると、インターネットを通じて三千円ぐらいで入手できてしまうという実態があるわけであります。

 これはなかなか、ちょっとどうしたものかと思うわけですね。やはり使用者の方のリテラシーというものが非常に不十分であることの懸念ということでOTC化が認められていなかったということは承知しておりますけれども、インターネットで簡単に入手できてしまうというのも非常にいかがなものかと考えております。

 この緊急避妊薬のアクセス向上に向けての今の政府の検討状況をお知らせください。

宮本政府参考人 お答えさせていただきます。

 望まぬ妊娠や中絶を減らすため、必要な方が緊急避妊薬にアクセスしやすくするべきとの考え方は非常に意味のあることと考えております。

 OTC化の議論につきましては、先ほど先生から御指摘いただきましたように、平成二十九年のOTC化の評価検討会議において、薬剤師、薬局における受入れ体制や準備が課題の一つとして取り上げられたことを踏まえ、医師、薬剤師の関連団体において緊急避妊薬を含む産婦人科領域の医薬品に関する研修等が開始されたと承知しておりまして、今後、その状況を注視してまいりたいと考えております。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 これは本当に負のスパイラルがありまして、性暴力や児童虐待があって、それで自己肯定感の低下があって、孤立感や自傷行為があって、寂しさを埋めるための男女関係があって、それがまた性感染症や児童虐待を生む。こういった負の連鎖を断ち切りたい、そういった思いでございますので、ぜひまた関係各位の皆様にお願いしたいと思っております。

 最後の質問でございます。DBSの導入でございます。

 子供に対しての性犯罪等、そういったことが起きている、再犯率が非常に高い中で、イギリスにおきましては、子供や高齢者、また障害者と密接する仕事につく場合は、DBSという政府機関による犯罪歴の調査を受ける必要があるわけでございます。これは、子供に近づく仕事は、有償、無償にかかわらず、できない仕組みとなっているところでございます。

 我が国においても、厚労省や文科省において情報を共有する取組を進めていることは十分承知しておりますけれども、イギリスのように、政府機関において犯罪歴がないことを証明する仕組みにはなっておりません。

 ここで、さまざまな個人情報の保護の壁があることは承知しておりますけれども、子供を対象としたこういった性犯罪や性的な指向がないことを政府機関が証明するような仕組みがあることで、保護者の安心感が増すし、自分がそういう仕事につきたいといった人たちにとっては、不本意な疑いをかけられぬ、身の潔白の証明にもつながるわけであります。

 しかしながら、現行法におきましては、雇われる側が自分の意思で、犯罪歴がないといった証明を申請することもできない状況でございます。情報開示を求める本人に対して回答を提供し得る仕組みをこれから検討する余地があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

保坂政府参考人 犯罪歴につきまして、本人の申請によって証明するという仕組みについてお尋ねがございました。

 御存じのとおり、個人の犯歴に係る情報といいますのは高度のプライバシー情報でございまして、これが公にされた場合には、本人の社会復帰や更生を妨げる等の弊害を生じるおそれがあるものと考えられてございます。

 そのため、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、この四十五条第一項におきまして、犯歴を含めた刑事事件の裁判等に係る個人情報については、第四章の規定、具体的には、自己を本人とする開示請求等について定めた規定については適用除外とされまして、犯歴については開示しないということとされておるところでございます。

 このような、先ほど申し上げた個人の犯歴に関する情報の性質に鑑みますと、今申し上げた現行法の制度につきましては相当の理由があるというふうに考えられるところでございまして、委員御指摘のような制度、仕組みを構築するということについては、やはり慎重な検討が必要であろうというふうに考えてございます。

 以上でございます。

木村(弥)分科員 私は、更生保護の議連にも入っていますし、再チャレンジ可能な社会というものを目指しておりますので、重々承知しております。しかしながら、例えば福岡県のように、子供への性犯罪で服役した元受刑者に住所などの届出を義務づける規定を盛り込んだ条例の制定を準備している自治体もございます。それがさまざまな課題があることは承知しておりますけれども、やはり全国規模で広がっていくことを私は期待したいと考えております。

 やはりこれは、政治の力が必要ではないかと思っております。同じような志を持っている皆さんとともに、より安全な、子供たちが健やかに成長できる仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。

 本日はありがとうございました。

後藤主査 これにて木村弥生君の質疑は終了いたしました。

 次に、安藤高夫君。

安藤(高)分科員 本日はありがとうございます。

 私としては、地域の医療と介護に関して、全般的な御質問をさせていただきたいと思います。

 まず一つ目は、医師の働き方改革でございます。

 医師の健康を守るということは非常に重要なことは間違いないと思うんですが、例えば、大学病院などに新しい制度がしっかりとはまってしまった場合、現在、大学病院から民間病院等に医師の派遣をしている、大学病院としては自分の病院を守ために医師を民間に派遣をしなくなってしまう。そうしますと、民間の医療が崩壊をしてしまう。あるいは、在宅においても、在宅のバックベッドとして民間病院があるというわけですから、ドミノ倒しのように在宅までおかしくなってしまうという可能性があります。それによって、国民たちの医療レベルが低下をするということが危惧されると思います。

 四月から新しい制度が入ってくるわけですけれども、二〇一六年に十万人の調査を行いましたけれども、ぜひ四月以降も、地域別、機能別、規模別あるいは設立母体別にしっかりとそれをフォローしていただいて、その結果をまた透明化をしていただきたいなと思っております。

 先ほど木村先生からタスクシフティング、タスクシェアリングのお話がございましたけれども、私の方でスタッフの人たちと計算をしたんですけれども、これは厚生労働省にもお渡しをしていますけれども、もし医師の上限時間の九百六十時間にはまってしまった場合、計算をすると、約二万人の医師が必要になって、その人件費が二千億円ぐらいかかります。

 さらに、医師の業務の二五%を他職種にタスクシェアリングをした場合、約三万人のコメディカルの数が必要になって、その人件費が約二千億円になってしまうということでございます。合計四千億円で、多少、医師の人件費分が減りますけれども。

 そういった場合、財政的支援というのが今後どうなるのかということをちょっとお答えいただきたいと思います。根本大臣の方によろしくお願い申し上げます。

根本国務大臣 医師の働き方改革に当たっては、医師の労働時間を短縮していくことが重要だと考えています。これによって、医師が健康に働き続け、医療の質や医療安全を保つことができると思います。

 今、医師の時間外労働規制の具体的なあり方や医師の労働時間短縮策等、今委員から具体的な示唆も含めてお話がありましたけれども、現在、医師の働き方改革に関する検討会において検討を進めているところであります。

 来年度予算案においては、医師事務作業補助者の確保に必要な経費に対する補助など、医療従事者の働き方改革を推進するための事業、具体的には、タスク・シフティング等勤務環境改善推進事業、医療機関の勤務環境マネジメント向上支援事業、あるいは医療のかかり方普及推進事業、こういう新たな予算を来年度予算で盛り込んでおります。

 また、地域で医師を確保するに当たって、医師の偏在を是正していく観点から、昨年六月に成立した医療法及び医師法の一部を改正する法律に基づき、医師の少ない地域での勤務を促す環境整備などの医師の偏在対策を着実に進めてまいります。

 引き続いて、医師の勤務環境の改善状況や関係者の御意見も踏まえながら、医師の労働時間を短縮するために必要な支援について検討していきたいと思っております。多方面にわたってさまざまな課題に応えられるように、さまざまな意見を踏まえながら、医師の働き方改革を推進してまいりたいと思います。

安藤(高)分科員 どうか、地域医療構想、地域包括ケアに非常に重要な問題ですので、よろしくお願いいたします。

 では、次の質問に行きたいと思っております。

 これも地域医療ですけれども、現在、足元においては、労働基準監督署の指導において、地域の大きな有名な病院もそうですけれども、さまざまな問題に迫られています。その結果、休日の外来を停止したり、あるいは手術の件数が減少する、それによって患者さんにしわ寄せが来ているということも聞いております。

 できれば、労働基準監督署とは別に、例えば、現場のことをよく知っている第三者機関ですとか、あるいは、厚生局が改善に向けた助言を行うような仕組みがあるといいと思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、今、医師の働き方改革につきましては、大臣からも御答弁がありましたように、検討会において、時間外の上限時間を始め、どのようにその勤務環境を改善していくかについて御議論をいただいております。

 その議論の中におきましても、労働時間短縮というのは、個別の医療機関内での勤務環境改善にとどまらず、地域として医療提供体制のあり方を見直すとか、あるいは、地域として必要な医療機関に対する支援を行うということが必要であろうという議論もございます。

 このためには、地域医療提供体制の実情も踏まえて、個々の医療機関での医師の長時間労働の実態あるいはその改善の取組状況というものを客観的に分析、評価して、医療機関あるいは地域の提供体制の整備を担う都道府県に対して必要な取組を促す機能というものが都道府県とは別に必要ではないかということを検討会において提案させていただいているところでございます。

 評価機能につきましては、その性格上、都道府県から中立の機能である、あるいは、地域医療提供体制の実情、タスクシフティングの実情などを評価するということから考えると、ある程度医療に関する知見を有しているということがその機能には必要ではないかというふうに、私どもとして、提案の中で申し上げております。

 医療機関が適切に働き方改革を推進していくことができるように、検討会での御議論を踏まえながら、今御提案のありましたような趣旨も踏まえて、この評価機能について詳細について検討を進めてまいりたいと考えてございます。

安藤(高)分科員 どうもありがとうございました。ぜひ、地域医療を踏まえた対応をお願いしたいと思っています。

 次の質問ですけれども、地域における総合医の確保ということでございますけれども、現在、高齢化が進んでいて、高齢者は複数の疾患を持っていますし、また介護が必要だというような状況です。そういうことに対応できる、プライマリーケアを知っている総合医の確保というものが非常に重要になってきていると思います。

 大学の医学部でも、これは別途また文科省にもお聞きしたいと思うんですけれども、大分、地域医療、プライマリーケアの概念が入ってきていますし、また、臨床研修医の中にもそのような考え方が入ってきて、これはとてもいいことだと思います。

 そこで、厚労省としては、臓器別専門医とそしてまた総合診療専門医、将来的にどれぐらいの比率でつくっていくといいのかということと、もう一つ、日本医師会ではかかりつけ医研修制度とか、あるいは、全日病、日病、日慢協のような病院団体でも総合医の育成プログラムをつくって今頑張っているところでございます。受講者も非常にふえてきています。

 将来的に、そういう仕組みに関しての認定とか評価というものをぜひしていただきたいと思うんですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まず、足元の実績といたしまして、昨年四月から新専門医制度が始まりましたけれども、三十年度の専攻医の方々八千四百十人のうちに、総合診療専門医を選択した方は二・二%という数字が手元にございます。

 この総合診療専門医につきましては、専門医機構によって全国で研修プログラムの研修施設の整備が進められておって、現在、四百程度のプログラムというのが整備されている状況でございます。また、同機構では、総合診療を専攻して地域医療に従事する医師の方々が各都道府県で柔軟に研修が行えるようなカリキュラム制の作成も行われております。

 お尋ねのように、各診療科の必要医師数につきましては、現在議論を行っておりまして、総合的な診療を行ういわば総合診療医、あるいは救急医もそうかと思うんですが、というところの必要数あるいは役割については今後の検討課題というふうに思っております。

 また、日本医師会あるいは病院団体等が行われております総合的な視野を持ったお医者さんの位置づけと、日本専門医機構が行っております総合診療専門医の関係につきましては、実態を踏まえながら、それぞれ関係者の御議論の深まりを待って、我々としては整理をしてまいりたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、日本専門医機構あるいは各学会とも協力して、総合的な診療を実践できる医師という方々が養成できるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。

安藤(高)分科員 ぜひこれは、国民の方々のニーズも非常に高いということで、よろしくお願いしたいと思います。

 次の質問ですけれども、地域医療構想における公私格差と申しますか、私も地域医療構想の調整会議に出ていたりしておりました。そこで、本来であれば、公立病院においては繰入金も相当入っておりますので、民間病院ができないような高度急性期、あるいは熱傷ですとか周産期とか、そういうところをしっかりやっていただきたいと思っているんですけれども、中には、回復期のリハビリテーションですとか地域包括ケア病棟をぜひやりたいという公立病院もございます。その地域において公立病院しかないというところは全然平気なんですけれども、もし同じ土壌であれば、繰入金のない民間病院を優先的にしていただくのがフェアではないかな、そういうふうに思っております。

 公立病院の繰入金をちょっと調べてみたところ、五百床規模で約年間二十億円、二百床未満でも五億円ぐらいの繰入金が入っているということで、相当な額ではないかな、そう思っております。

 そういうふうな公私の格差、地域医療構想においてどういうふうな優先順位でいかれるのかということをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 公立病院につきましては、救急医療とか災害医療、僻地における医療、いわゆる政策医療を担っていただくという役割が期待されているというふうに思います。

 それを具体的に地域ごとに進めるに当たりましては、今御指摘いただきました地域医療構想の実現に向けても、これは総務省の方から発出されておりますけれども、新公立病院改革ガイドラインという形で、民間医療機関では担うことができない政策医療に重点化する、あるいは、見直しに必要ならば再編統合の議論も進めるというところまでの要請がなされております。

 私ども厚生労働省におきましても、地域医療構想に関するワーキングというところで、公立・公的医療機関等でなければ担えない医療機関に重点化されているかどうかを検証するという方法が必要ではないかということで、民間病院との競合状況等を分析しているところでございます。

 このような手法を含めて、今年三月末までに議論の整理を取りまとめる予定でございますから、来年度は、地域医療構想調整会議で合意に至った医療機関ごとの対応方針の内容について、今御指摘いただきましたように、公私において、それぞれの競合状態はどういうふうになっているかということを分析しながら、地域医療構想の実現に向かっているかどうかをしっかりと検証して、その結果を踏まえて、各地域における地域医療構想の実現につなげていただきたいというふうに取り組んでまいりたいと思っております。

安藤(高)分科員 ぜひ、いい意味で公私の役割分担というものが明確になると、また地域にとってはいいと思います。

 また別途の機会に、公立病院の繰入金が本当に適切かどうかということを、また総務省の方からもちょっとお話を聞きたいなと思っております。

 次に、医療機関における控除対象外消費税の問題でございます。

 これは、平成三十一年度の税制改正の大綱において、診療報酬によって、これは後藤先生には大変お世話になりまして、野田先生もいらっしゃいましたけれども、現実に近いような補填を十分してくださるということで、本当にありがたく思っております。

 しかし、病院団体の中では、特に急性期病院なんかの方では、今回、病院群ということで大体同じような形の補填ですけれども、地域の中で非常に頑張って急性期病院で医療材料をどんどん使っているところなんかに関しては、実際この制度に入ってみてきちっとしたデータがないとわかりませんけれども、やはりその分に関しては補填不足が考えられるというふうに予測されます。

 そういう意味で、それを解消するためには、将来的には課税化への道というものが必要だと思いますけれども、これはなかなか難しい問題だと思いますけれども、そこら辺に関してどうお思いか、よろしくお願いしたいと思います。

大口副大臣 安藤委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 社会保険診療は、御案内のとおり非課税であり、また、その仕入れに係る消費税額は仕入れ税額控除の対象とならないということで、その消費税相当額を全体として診療報酬に上乗せする形で補填をしているという状況でございます。

 平成二十八年度に補填状況の調査をいたしましたところ、全体の補填不足と医療機関ごとの補填率のばらつき、これが生じた病院が八五・〇%、一般診療所は一一一・二%などとなっているわけであります。

 このため、本年十月からの消費税引上げに伴う診療報酬改定においては、診療報酬の配点方法をより精緻化をすることによって、医療機関等の種類ごとに消費税負担に見合う補填となるよう改定案を作成し、中医協において御承認をいただいたところでございます。

 病院種別ということで一般病院か精神科病院か、あるいは入院料の、急性期一般入院料か療養病棟入院基本料ごとの入院料のシェアを考慮する等々によって精緻化をしてきたわけであります。

 課税化につきましては、公的保険の適用となる医療サービスは、社会政策的な配慮に基づき非課税とされている経緯があります。また、同じく、社会政策的な配慮に基づき非課税となっている他のサービス、例えば介護、福祉あるいは教育などでございますが、他のサービスへの影響といった課題もありますし、慎重に検討する必要があると考えています。

 ただ、先生御指摘のように、個別の医療機関間にはばらつきもあるわけでありますので、今回の改定による診療報酬の引上げの後においても、適切な補填がなされているかということについて、必要なデータがそろい次第、速やかに、継続的に調査をしてまいりたいと考えておるところでございます。

安藤(高)分科員 ぜひともよろしくお願いします。

 あと、今回、高額投資を含めてさまざまな税制優遇措置をいただきまして、ありがとうございました。

 しかし、社会医療法人などにおいては、法人税を払っていないところはそのような優遇の措置がないものですから、そこら辺を将来に向けて実効性のあるものにまた考えていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

 六番目の質問に入らせていただきたいと思います。次は、介護なんですけれども、介護職の処遇改善に関してでございます。

 もともとは、介護職の給料が低いということで、なかなか生活が大変だよということで、国の方で処遇改善ということで、最大三万七千円、将来的にはそれプラス八万円で十一万七千もプラスにつけていただくことになりまして、これは本当にありがたいと思っています。

 しかし、一つ矛盾点がありまして、例えば慢性期を扱う療養病床ですけれども、これは介護保険の療養病床と医療保険の療養病床があります。一つの病院の中に、その二つの療養病床があります。機能的には、慢性期で、多少似通ったところも非常にあるんですけれども、一方の介護保険の方では十万円もつくのに、医療保険の療養病床はゼロということは、病院の中でも勤務異動とかがありまして、どんどんどんどん、ぐるぐる回ってしまうので、それだとちょっとフェアではないのではないか。

 ぜひ、これに関しては、将来的に診療報酬とかほかの手当をつけていただければと思うんですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。よろしくお願いします。

樽見政府参考人 医療機関は、介護の施設と比較をさせていただきますと、医療を提供しているということで、入院、入所される方の状態あるいは職員や提供するサービスの内容についても介護と医療で若干異なっている、また、医療の方は多様性の幅も広いというような状況があるわけでございます。

 病院に勤務する介護職員という御指摘でございますけれども、こうした中で、介護施設における介護職員に相当する立場としては、病院では看護補助者ということでさまざまな方が勤務しているということでございます。診療報酬におきましても、この看護補助者を多く配置した場合に加算による評価を行っているということをやっております。

 また、平成三十年度の診療報酬改定におきましても、看護職員の負担軽減あるいは看護補助者との業務分担・共同というものを推進し、より質の高い療養環境の提供を目指すという観点から、看護補助加算の評価を引き上げるということをいたしますとともに、この加算を算定できる対象病棟を拡大をしたということをやってございます。

 したがいまして、医療機関におきましては、まず、この看護補助者の配置の加算というものを積極的に御活用いただきまして、患者さんの療養を支えてくださっている方々、看護補助者を含めた看護職員の負担軽減あるいは処遇改善というものを図っていただきたいというふうに考えておりますけれども、それとともに、看護補助者の配置に関する評価に関しましては、関係者の御意見をよく聞きながら、今後とも必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えます。

安藤(高)分科員 どうも。

 介護報酬に比べて診療報酬はまだ追いついていないので、そこら辺を。これは医師会を始め多くの医療団体、そしてまた議員の人たちも相当心配してくれたので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 次に、七番目の質問に行きたいと思います。

 介護福祉士の養成ですけれども、現在、介護福祉士の方は百六十万人いらっしゃるんですけれども、そのうち四十万人が潜在介護職になっております。今、外国人の方をどんどん入れようとしていますけれども、まずは日本の方に何とかまた職場に復帰してもらいたいと思うんですけれども、そこら辺の対策や予算の措置はどうなっているのかということをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 介護人材確保につきましては、非常に重要な課題だというふうに考えておりまして、今議員御指摘のように、介護福祉士の資格を持ちながら介護職に従事していない、いわゆる潜在介護福祉士の復職支援を含めまして、総合的に取り組むことが重要であるというふうに考えております。

 このため、離職した介護福祉士の再就業を促進するため、その所在を明らかにして効率的な支援を行う観点から、二十八年に成立いたしました社会福祉法の法律改正によりまして、平成二十九年四月から、離職した介護福祉士に、住所、氏名等を都道府県福祉人材センターに届け出る努力義務を課す制度を創設しております。

 それを実行するとともに、離職した介護福祉士に対しまして、地域医療介護総合確保基金を活用して、再就職に向けた研修や職場体験の実施を支援するとともに、再就職する際に必要となる経費につきまして、再就職準備金の貸付けなどに取り組んでいるところでございます。

 引き続き、厚生労働省といたしましては、こうした取組を着実に進めることで、介護人材の確保に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

安藤(高)分科員 ぜひまた、強力によろしくお願いしたいと思います。

 八番目ですけれども、では、介護福祉士の養成施設なんですけれども、今、定員の充足率が四〇%前後ということで、日本人の生徒が激減をしているということで、このことを何とかしたいと思うんですけれども、この具体的な対策と予算措置はどう考えていらっしゃるのか、お願いしたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 介護福祉士の養成施設からの介護人材の確保も非常に重要な課題だというふうに考えております。

 そういった養成施設に入学して介護福祉士の資格取得を目指す学生への支援につきましては、まず、介護福祉士養成施設の学生に対する返済免除つきの修学資金の貸与をしております。それ以外に、地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、今年度から、介護福祉士養成施設におきまして、将来の介護現場を担う世代に対する介護の専門性や意義を伝達する取組、こういったものをやっております。

 また、さらには、学生や保護者、進路指導担当者に対する介護職員への理解促進や魅力発信、さらに、介護事業所でのインターンシップ、職場体験導入支援などの取組を進めておりまして、こうした取組によりまして、養成施設の入学者の確保に資していきたいというふうに考えております。

 こうした制度の活用が推進されますよう、引き続き制度の周知や必要な予算の確保に努めていきたいと考えております。

安藤(高)分科員 ありがとうございます。

 今、養成学校において、既得権で、国家試験を受けなくても資格が取れるというようなものがありますけれども、それのさらなる延長とか、あるいは、介護福祉士の養成学校に行っていれば、例えば准看護師の免許もあわせて取れるような仕組みづくりをして、フィンランドのラヒホイタヤのようなものができると更に地域包括ケアにドライブがかかると思いますので、私、そういうことも思っていますので、また御検討の方よろしくお願いします。

 続きまして、感染症対策ですけれども、オリンピック、パラリンピックにおいて、特定技能あるいは在留の方、そしてまた在日の外国人の方がどんどんオリンピック、パラリンピックにちなんでふえてくると思うんですけれども、感染症対策において、入国時の健康チェックが必要だと思います。

 結核においては、九十日以上滞在される方に関しては検査の義務化等が行われることになっているんですけれども、例えば麻疹や風疹や髄膜炎菌に関してはどのような対策を今後とられるのか、教えていただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会におきましては、さまざまな国から多くの訪日客が見込まれるということで、感染症が持ち込まれる危険性が高まるため、厚生労働省としては、感染症の検疫体制や発生動向調査、検査治療体制等の強化に取り組んでいくこととしているところでございます。

 ただいま御質問の麻疹、風疹対策につきましては、現在の国内の発生状況に鑑みまして、例えば、風疹については昨年十二月に特別対策を実施するなど、そういう対応を通して、オリンピック、パラリンピックの際にまた大流行とならないようにということで現在対応しているところでございます。

安藤(高)分科員 これは大事な問題なので、しっかりよろしくお願いします。

 あと、最後の質問になりましたけれども、医療におけるICTの促進に関してですけれども、今回、予算の中で医療のICT化促進基金で三百億円をつけていただいたということで、本当にありがたく思っております。しかし、民間の中小病院においては電子カルテを利用しているところがまだ四割ぐらいしかいないということでございまして、この理由としてはコストの問題が大きくなってきております。

 ICT予算も、結構単発の予算が多くて、持続、継続的にやることが必要だと思います。特に、中小民間病院、医療機関においては、イニシャルコストそしてランニングコストもきちっとフォローをする必要があると思うんです。そういうことによって、最終的にはさまざまな重複がなくなって医療費削減にもつながっていくと思います。

 そういう意味で、ちょっとお話をさせていただきましたけれども、基金とか診療報酬で今後カバーする予定があるかないかを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 医療分野におけるICT化、いろんな面で重要だと思っておりますので、今回予算に計上させていただきました医療情報化支援基金におきましては、特に電子カルテの標準化に向けた電子カルテシステムの導入というものに着目して、国の指定する標準規格を用いて相互に連携可能な電子カルテを入れた医療機関に対して、まず初期導入経費というものから補助しようという考え方になってございます。

 ただ、おっしゃるように、導入した後にいろいろかかる経費もございましょうけれども、今回は初期導入経費ということでございます。ただ、更新という話につきましては、国の指定する標準規格を実装していない電子カルテから実装する電子カルテへ更新するという場合の部分については、そういう意味では初期導入というよりも更新ではあるんですが、標準カルテを導入した意味では初めてということになりますので、その導入経費については補助する対象で今検討させていただいております。

 いずれにいたしましても、ICTを進める中において起こるいろいろな課題については、関係者の御意見も聞きながら、一つ一つ対応させていただきたいと思います。

安藤(高)分科員 どうもありがとうございました。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤主査 これにて安藤高夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。

 大臣、朝からお疲れさまです。最後ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、青年、成人の障害者の日中活動が終わった後や休日の余暇活動等への支援について質問をさせていただきたいと思っています。

 十八歳までの学齢期は特別支援学校に通い、学び、交流し、さらに、二〇一三年からは放課後デイサービスもスタートし、これ自体はかなりたくさん指摘されておりますけれども、子供たちの豊かな放課後活動を支援するという制度的な基盤は一応整備されたということだと思うんです。

 ところが、十八歳で学校を卒業すると生活は一変するわけですよね。当事者は、仲間と交流したい、遊びたい、楽しみたい、認められたい、成長したい、そういう願いがあるわけですが、その願いがかなえられる場というのは大変限られているのが現状であります。

 例えば、生活介護や就労系の事業所では、日中の活動や就労が終わるのは午後三時台や四時ということになっております。ですから、多くの場合は夕方より早く帰宅する。保護者の方からもこういう声があります。健常な子であれば余暇を楽しむことができるのに、家で一人でテレビを見たりして過ごすことが多い、友達とまだ一緒に活動できる年なのにと思うと親としては悲しくなる、こういう声があります。こういう問題は、十八歳の壁というふうに呼ばれる方もいます。

 今、全国の事業者の熱意などで、青年・成人期の日中活動が終わった後の夕方だとかあるいは休日の余暇活動などの支援にいろいろな形で取り組まれておりますけれども、公的な支援というのは本当に不十分な状況だ、とりわけニーズに比して余りに貧弱だというのが現状だと思います。

 これは当事者にとっても大事な問題ですけれども、保護者にとっても大変切実な問題です。幾つか声を紹介しますので、大臣も聞いていただきたいと思います。

 お一人目。特別支援学校に通っていたときは八時十五分ごろにスクールバスが来ていた、その後仕事に出かけ、夕方まで安心して働くことができた、放課後デイサービスがあったからだ、でも、今、作業所の迎えの車が来るのは九時過ぎになる、それからでないと仕事に行けない、そして、作業所は三時ごろに終わり、四時には子供は家に帰ってきてしまう、子供が病気がちであり、フルタイム、正規の仕事はできなくなりました、働けないということは収入が断たれるということです、夕方、安心できる子供の居場所がないということは死活問題なのです、こういうお話を伺いました。

 それから、もうお一人紹介します。この方は、日中一時支援を利用している保護者の方です。希望者が多く、通う日を制限しているということなんですね。本当は毎日通いたい、子供も楽しみにしている、私も働きたいとみんな思っている、しかし、定員十人が限度のところを登録者が二十五人、母子家庭のお母さんが、私が働かなければ生活保護になるというので、とにかく条件の厳しい保護者のお子さんを優先しようということになり、今はシェアをして回数を減らしている、しかし、もう限界が来ている、こういうお話でした。

 ですから、きょうは、この問題について、大臣に前向きな答弁をぜひいただきたいと思っています。

 まず、大前提の問題で、障害者の権利に関する条約についての認識をお伺いしたいと思います。

 条約第三十条の第五項では、締約国は、障害のある人が他の者との平等を基礎としてレクリエーション、余暇及びスポーツの活動に参加することを可能とするため、次のことのための適切な措置をとると、ずらっとその後書いてありますけれども、この障害者の権利条約第三十条でなぜ余暇が規定されているのか、そして、この意義をどう認識しているのかという点についてお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 障害者の権利に関する条約については所管外ですので、条約で余暇がなぜ規定されているのか、もしそういうお話ですと、大変恐縮ですが、外務省には確認させましたので、もし必要があれば事務方から説明させますけれども、いいですね。(宮本(徹)分科員「いや、その意義について、大臣としてどう捉えられているのかということです」と呼ぶ)

 その意味では、障害者福祉政策を担当する大臣として所感を申し上げたいと思います。

 障害者福祉行政においても、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として、障害者の権利の実現のための措置が具体的に規定されている同条約において余暇の活動に参加することを目的として適当な措置をとると規定されていることを尊重して政策を進めるべきものと考えています。

宮本(徹)分科員 尊重して政策を進めるということですから、しっかり尊重して政策を進めていただきたいというふうに思います。

 条約上は、この条約に書かれている権利の実現のために全ての適切な立法措置、行政措置をとるというふうに書いていますので、お願いしたいと思います。

 そして、この問題は、地方議会からもこの数年、国宛ての意見書が出ております。東京都議会は二〇一六年三月に、青年・成人の余暇活動の充実に関する意見書を出しました。二〇一七年九月には横浜市議会から、障害のある青年・成人の活動に対する支援制度の充実に関する意見書というのが出ております。

 意見書という形でなくても、この東京や横浜から出ているような意見と同じような意見というのが日常的に自治体から厚労省に寄せられているんじゃないかと思いますが、その点、いかがですか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 どれだけの数の自治体から同じような御意見をいただいているかどうか、定量的に私どもの方で取りまとめたわけではございませんが、私どもにおける日々の仕事の中でさまざまなレベルで自治体の方々と接する中で、同様の御意見をいただくこともあるというふうに承知をしております。

宮本(徹)分科員 日常的にそういう意見も寄せられているということです。

 この東京や横浜の意見書にはこう書いてあるんですね。青年、成人の障害者が日中活動や就労の後にさまざまな人々と交流し、集団行動を行う事業は、国の施策として明確に位置づけられていないため、公的な支援が不十分な状況にある、法律における事業として位置づけ、十分な予算措置を講ずるよう強く要望するとあります。

 この点についての大臣の受けとめを。大臣じゃないですか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 青年や成人の障害のある方が日中活動ですとかあるいは就労の後でさまざまな人と交流する、そういう取組を支援するということは重要なことだというふうに受けとめております。

 このため、障害者総合支援法に基づきます地域生活支援事業という事業がございますが、この中で、市町村や都道府県の支援を国として行っております。一つには、創作活動や生産活動あるいは地域との交流を行う通いの場である地域活動支援センターを運営する事業、あるいは、家族の就労やレスパイトを支援するため、障害のある方に活動の場を提供する日中一時支援など、こういった取組がございます。

 このようなものを支援するため、平成三十一年度の予算案におきましては地域生活支援事業の充実を図っているところでございまして、今後とも、自治体の意見なども踏まえながら、引き続き適切な支援を行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)分科員 今幾つかの事業を紹介されましたけれども、国として明確に青年、成人の障害者のための日中活動の後の夕方の活動の支援だとか土日祝日を支える活動とかを明記したものというのはないわけですよね。しかも、先ほど紹介があった日中一時支援、これは自治体の任意事業、必須事業じゃないですね、任意事業ということになっているわけですね。

 ちょっと、先ほど日中一時支援の紹介があったからお伺いしますけれども、では、その日中一時支援を使って青年、成人の障害者のための夕方の活動支援として平日毎夕取り組んでいる自治体というのはどれぐらいあるんですか。

橋本政府参考人 地域生活支援事業におきます日中一時支援でございますが、全国で約九割の市区町村の方でこの事業に取り組んでおります。ただ、この事業につきましての営業時間帯ですとか、あるいは日数などについての詳細な運営状況につきましては把握しておりません。

宮本(徹)分科員 日中一時支援というのはいろいろな形の日中一時支援があるわけで、この青年・成人期の夕方の支援をではどれだけやっているのかといったら、厚労省としては何も把握していない、必須事業じゃないから。任意事業ですからね。しかも、任意の中身も全く任意なんですよ、これは。つかんでいないという状況ということになっています。

 もう一つお伺いしますけれども、この日中一時支援だとか、先ほどお話があった地域活動支援センター強化事業だとかあるいは移動支援だとか、こういうのは全部、地域生活支援事業になっているわけですけれども、この補助金の仕組みと国の財政的支援というのはどうなっているか、ちょっと紹介していただけますか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 移動支援ですとかあるいは日中一時支援、あるいは地域活動支援センター機能強化事業、あるいはレクリエーション活動支援、こういった事業がございますが、これらにつきましては、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業の対象事業となってございます。

 この地域生活支援事業に係る補助金につきましては、実施主体である自治体が地域の実情に応じて柔軟に事業を実施することができますよう、いわゆる統合補助金として、事業ごとではなく、自治体ごとの地域生活支援事業に要する経費の総額に対して補助する仕組みといたしております。

 地域生活支援事業の補助率でございますが、障害者総合支援法におきまして、国が予算の範囲内で二分の一以内を補助することができるというふうにされておりまして、平成三十一年度予算案におきましては、障害者芸術文化活動などの事業も含めまして、地域生活支援事業費等補助金として、対前年度二億円増の四百九十五億円を計上しているところでございます。

宮本(徹)分科員 今、この事業は、市町村が決めたものに対して二分の一以内で国が支援するとなっていますけれども、現状は、国は二分の一を出していますか。

橋本政府参考人 実効補助率というふうなことでお尋ねだと思いますが、計数が確定しております平成二十八年度で見てみますと、平成二十八年度における市町村、都道府県の事業費の合計額は千四百一億円でございますので、それの二分の一ということでございますれば七百一億円でございますが、平成二十八年度の予算額は四百六十四億円でございましたので、自治体に対する補助率ということをならして、平均で見てみますと三三%程度でございます。

宮本(徹)分科員 大臣、今、国の法律の枠組みは二分の一以内出せるとなっているんですけれども、二分の一は出ていないんですね、三三%。自治体の要望の規模も私は決して十分じゃないと思いますよ。もっと自治体に頑張ってもらいたいなという思いもあるんですけれども、それに対しても国は法律の上限までは出していないわけですよね。

 ちなみに、七百一億に対して、ことしの額の話がありましたけれども、概算要求は幾ら出したんですか。

橋本政府参考人 平成三十一年度の概算要求額は、五百三十七億円で要求させたところでございます。

宮本(徹)分科員 つまり、自治体からの要望でいえば、二分の一の国の補助からすれば七百数億出せる枠組みになっているんだけれども、そもそも財務省に対して五百三十七億しか要求していないということなんですね。自治体の求めとは大変大きな乖離があるのが今の現状だと思います。

 そして、この地域生活支援事業は、必須事業になっているものも含めて、移動支援だとかも必須事業としてメニューはありますけれども、どれぐらいの規模でどういうふうに取り組むのかを全部自治体が決められる、自主的に決めて取り組む事業になっているわけですよね。ですから、報酬の体系なんかも含めて自治体が決めているということになっています。どこまでやるかは自治体の財政力次第、あるいは自治体のお金の使い方の優先順位次第で大きく左右される。

 この間、全国でつくられた放課後デイサービス、国がつくった放課後デイサービスは、全国どこでも同じ制度で、建前ではこの放課後デイ単体で事業が成り立つ仕組みなわけですけれども、青年・成人期の私が問題提起してきたところには、単体で事業が成り立つような仕組みには全くなっていないわけです。

 そういう中でも頑張って活動しているところが幾つかありますので、どういう状況かというのを紹介しますので、ちょっと聞いていただきたいと思います。

 私も何度か伺ったことがある事業所では、青年・成人期の事業として、二つの事業に取り組んでおります。

 一つは青年学級のような事業で、これは、平日夕方二回、休日二回の、月に四回ミーティングをやったり、あるいは恋愛講座をやったり、ゲームをやったり、山登りをやったり、バスハイクをやったり、行っています。私も一回ミーティングに参加させていただきましたけれども、地域でお祭りをやるのに向けて、お祭りの出し物をどうして出そうかというのを、スタッフがうまく手助けしながら、司会も障害者自身が自分たちでやって、大変楽しそうに話合いをしていました。この活動は、実は国の制度じゃなくて都の制度を使ってやっていますけれども、都と市の補助金が出ていますが、相当な持ち出しがある。スタッフの人件費もかかりますから、赤字は一年で六百から七百万円という話を聞きました。

 それから、この事業所はもう一つ、地域活動支援センター機能強化事業として、市から委託されて、日中活動やあるいは就労後の居場所として、月、火、木、金は夕方の余暇活動を夜までやっております。それから、水曜日は日中活動をやっています。私も、それこそ新聞紙を丸めたボールでボッチャを一緒にやったりだとか、ここも参加させてもらいました。ダンスをやったり、スタッフの皆さんが、障害者の皆さんが楽しく過ごせるようにする、安心して過ごせるようにする、こういうことで、本当に努力されているなというのを感じました。

 ただ、受け入れられる人数には制限があるわけですよね。先ほどの話と同じですよ。ニーズは非常に高いですけれども、曜日ごとに交代で来ているという話も聞きました。

 そして、経営は、これも大変だと言っていましたよ。放課後デイもやっている事業体なんですけれども、学童クラブと半分ずつに使っている部屋の家賃だけで年間三百万かかる。そして、法人の持ち出しは、この事業に対して年間五百万円持ち出さないとできないということです。

 どちらも、利用者には送迎費だとか、おやつ代だとか、企画行事だとか、その実費はお願いしているわけですが、やはり法人から相当持ち出しをして何とかしのいできたわけですけれども、このやり方は、それこそ監査に入っている方からも、財政的には続かないですよと言われるような状況もあります。

 それから、別の市のある事業所のお話もします。

 ここは、月曜から金曜まで夕方十六時から十九時まで、それから土曜日もやっておりますが、補助金なしなんですね。利用者の実費収入が百四十万円、家賃だけで年間三百万円かかり、支出の合計は六百万円で、大きな赤字になるわけですが、ここも、法人が他の事業をやっていて、他の事業に支えられて何とかやっていますけれども、もう限界だ、こういうやり方はタイムリミットだという悲痛なお話を伺いました。

 それから、あと、私は東京選出ですけれども、横浜の意見書もあったので、質問するに当たって横浜の方にもちょっとお話を聞きましたけれども、市と相談して日中一時支援の制度を利用して事業を始めた、しかし、日中一時は大変不安定な制度だ、生活介護や放課後デイと連動して使うものとの理解により、前の制度を使った後に延長するものとして扱われているので、報酬の単価が放課後デイの三分の一程度になっているというお話でした。ですから、事業所としても、日中一時単独では成り立たない、ほとんどの場合は生活介護とセットという形になっているわけですね。

 ですから、日中一時というのはそもそも一時支援ですから、毎日のように通所するということだとか、あるいは継続的にその若者を支援するというものにはなりにくいというお話を伺いました。

 私はこういう話をいろいろ聞いてきていますが、厚労省はこういう実態をどこまでつかんでいるんでしょうか。

橋本政府参考人 今委員御指摘の夕方あるいは休日等の支援ということで見ましたときに、先ほど来私が申し上げております地域生活支援事業、こういった中で柔軟に運用することによって対応することも可能ということが一つでございますが、もう一つ、日中活動を行う生活介護という報酬に位置づけられたものがございますが、こちらを夕方まで延長して行った場合に報酬を加算するという仕組みもございます。

 それから、地域活動支援センターにつきまして、網羅的に状況を把握しているわけではございませんが、幾つかピックアップしたもので申し上げますと、例えば江戸川区の地域活動支援センターの中に土日・トワイライト事業というのがある。それにつきましては、平日は十五時四十五分から十九時まで、それから土日は十時十五分から十五時までということで利用ができるというふうに承知しております。また、立川市における地域活動支援センターにおきましては、火曜日から土曜日の九時から十八時までを利用時間としておるというふうにも承知しております。

 こういった、地域によりましては夕方の時間帯や土日も開所して余暇活動などのサービスを提供する地域活動支援センターもあるという状況でございますので、今後、こうした好事例の普及や全国的な実態把握に努めまして、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)分科員 好事例のところも含めて、経営は大変なんですよ、好事例のところも。そこが、ぜひ大臣にきょうは考えていただきたい点なんですよね。

 今後とも好事例の把握に努めて普及するという話ですけれども、まずは、ちゃんとした実態調査というのを大臣にやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。ニーズ調査も含めてです。

根本国務大臣 今、担当部長からも話がありましたが、先ほど好事例、委員からもいろいろな事例の御紹介がありました。やはり私も、好事例の普及やあるいは全国的な実態把握に努めなければいけないと思いますし、必要な支援を行ってまいりたいと思います。

宮本(徹)分科員 必要な支援というのは、やはりしっかり法的な位置づけをこうした活動に対して与える。放課後デイは、やはりちゃんと法的な位置づけをつくったから全国に一気に広がっていった。広がって、中身はいろいろありますよ、私も虐待の相談だとか本当によからぬ話なんかも聞こえてきたりもしますけれども、だけれども、枠組みとしては一気にできたわけですね。

 やはり法的にしっかりと位置づけていく、そして財政的にもしっかり事業所が運営できるように支援を行う、ここはどうしてもやらなきゃいけないというふうに思いますし、私がきょう提案したいのは、ぜひ大臣御自身も、私はきょう、私が聞いている話を紹介しましたけれども、障害者当事者、その御家族、あるいはこういう活動に取り組んでいる事業者の皆さんから直接お話を伺う機会を設けていただきたい。今、統計問題で忙しいかもわからないですけれども、今すぐとは言わないですけれども、そういう時間をしっかり設けて、この問題、具体的にどう進めるのか、じっくり考えて指示を出していただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。

根本国務大臣 私は、障害者対策を含めて、やはり現場が大事だと思っています。そして、私も今厚生労働大臣をやらせていただいておりますが、そもそも、当選してから私はずっと厚生をやったんですよ。やはり我々は地元が原点ですから、だから、地元の障害者の皆さんと、当選一回から、小規模事業所の問題を始め、さまざまな障害者の皆さんと私は触れ合ってまいりました。

 ですから、その意味では、いろいろな状況がありますけれども、私は、政治家としては、やはりこういう皆さんに寄り添って政治をやるのが必要だと思ってまいりましたので、私も、私の支持者を含めて、あるいは家族の皆さんを含めて、障害者の皆さんとずっとこれまで対話を重ねてまいりました。それをしっかりと厚生労働大臣として施策に生かしていきたいという決意でおります。

宮本(徹)分科員 たくさんのお話を伺ってきたということですが、私が聞いているような話もたくさん伺ってきたんだというふうに思いますが、ぜひ、大臣としてやはりしっかり話を聞く場というのを、もしどこかに一緒に行くんだったら私は同行してもいいですから、お前と行くのは嫌だというんだったらあれですけれども、そういう場を設けていただきたいと思いますが、どうですか。

根本国務大臣 私もできるだけいろいろなところを訪問して、そういう直接訪問する機会をつくりたいと思っていますが、要は、例えば児童相談所にも行ってまいりましたし、できるだけそういう現場に足を運ぶということは、私は、一般論として、そういう現場に足を運んで現場の実態を見る、そして意見を交換する、これは非常に大事だと思っております。

宮本(徹)分科員 ですから、一般論じゃなくて、この課題でぜひそうしていただきたい。よろしいですか。

根本国務大臣 私も、さまざまな課題がありますので、いろいろなものを視野に入れながら適切にやっていきたいと思います。

宮本(徹)分科員 では、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 それから、きょうは文科省にも来ていただきました。

 文科省は、いろいろな取組を実は松野大臣のときに、松野大臣が、特別支援学校の生徒さん、保護者の皆さんから、卒業した後というのは学びの場も交流の場もない、そういう不安の声を受けられて、いろいろな取組を始められているんですよね。

 それで、ぜひ文科省に、きょうは副大臣にも来ていただきましたけれども、お願いしたいのは、成人期の余暇活動を支援している団体にも、幅広く丁寧にニーズと運営と実情をつかんで、今具体化されようとしている特別支援教育の生涯学習化の具体化に当たっては、ちゃんとそういう団体の意見、ニーズもつかんでいただきたいということと、あわせて、特別支援教育の生涯学習化というのは、当事者、家族のニーズにどこまで応えようとしているかといった場合に、文科省的な側面からは応えられるけれども、福祉的な側面からではやはりニーズに応えられないんじゃないかと思っております。

 保護者の就労保障やレスパイトだとか、こういうことまで視野に入れようと思ったら、ここはどうしても厚労省が所掌ということになってくると思いますので、今、余暇活動の支援も含めて文科省の方では具体化が検討されていると思いますけれども、ぜひ厚労省と連携しながらの具体化をお願いしたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。

浮島副大臣 障害のある方の生涯学習を進めるに当たりましては、当事者や保護者のニーズはもとより、学びを提供する現場の実態、これをしっかりと踏まえまして推進方策を検討することが非常に重要であると考えているところでございます。

 このため、文部科学省におきましては、平成三十年二月に設置した学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議というものにおきまして、関係団体や実践者からヒアリングや、障害者、当事者へのアンケートの調査を実施させていただきまして、当事者等のニーズや現場の実態把握を進めつつ検討を行っているところでございます。

 その際、厚生労働省には有識者会議にオブザーバーとして出席もしていただいておりますし、福祉や労働部局との連携をしっかりと図っているところでもございます。

 さらに、これからの取組を含めまして、障害のある方が個性や能力を生かして社会で活躍するための施策を横断的そして総合的に推進するため、本年一月に文科省の中に、私のもとに文科省障害者活躍推進チームというのを設置させていただきまして、現在、精力的に検討を進めさせていただいているところでございます。

 今後とも、誰もが、障害の有無にかかわらず、ともに学び、生きる共生社会の実現に向けまして、障害のある方が一生涯にわたり主体的、継続的に学習を行うことができるような環境整備に全力で努めてまいります。

宮本(徹)分科員 学習というのを相当幅広く捉えていただいて、余暇活動の支援まで含めて、そして実態に見合った支援をぜひお願いしたいと思います。

 時間がないので、最後に一点だけ大臣に、少し話題はかわりますけれども、一八年度の障害者福祉の報酬改定がありました。そのいろいろ深刻な影響も出ていまして、きょうされんというところが、就労継続支援B型と就労移行支援の千十一の事業所に聞いたところ、六割が減収になったという話なんですね。減収が年額三百万円以上になったというのも、減収となった就労継続B型のうち三分の一以上のところでありました。

 私も地元の事業所からも随分お話を伺いましたけれども、とにかく、報酬改定で、平均工賃に基づく報酬基準というのがつくられたんですね。それから、目標工賃達成加算というのは逆に廃止されました。結構大きな目標工賃達成加算が廃止され、そして、平均工賃が高ければ報酬を多くし、平均工賃が少なければ報酬を少なくするということになったわけですけれども、実は、これがやはり減収の大きな原因になっているんですね。

 例えば、精神障害者が中心の作業所、私も幾つか聞きましたけれども、一カ月に働くのが四、五時間という方もいるわけです。そういう人まで含めて平均工賃を出すとどうしても平均工賃が下がって、そのことによって報酬が下がる。今まであった目標工賃達成加算がなくなったので、かなりの減収になるということなんです。

 ですから、最後に質問させていただきますけれども、やはり、障害の状況や特性に応じて働く日数や時間には合理的配慮を行うというのがもともと障害者権利条約の精神ですから、平均工賃による報酬基準というのを持ち込んだというのは、私は、これは大変な間違いだったんじゃないかなというふうに思います。

 ですから、障害を持った人の状況や特性、体調に応じて通所しても事業所の運営が成り立つような報酬にぜひしていただきたいと思いますが、この点を最後にお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 就労継続支援B型、これは、障害のある方がその適性に応じて能力を十分に発揮し、地域で自立した生活を実現するために重要なサービスであると思います。私も直接行っていろいろな状況も見ておりますが、私の場合は身近な地元ということになりますけれども。これは非常に重要なサービスだと思っています。

 昨年四月の報酬改定で、平成二十七年十二月、社会保障審議会障害者部会報告書における、工賃、賃金の向上や一般就労への移行を更に促進させるべき、こういう御意見を踏まえて、事業所が利用者に支払う平均工賃月額に応じた基本報酬の設定といたしました。

 この考え方は、就労継続支援B型の平均収支差率がプラス一二・八%であったことも踏まえつつ、利用者へ支払われる工賃が高いほど障害のある方の地域における自立した日常生活につながり、事業者は生産活動の支援に労力を要すると考えられることから実施をいたしました。

 今回の報酬改定の影響に関しては、報酬改定の検証調査などを通じてしっかりと把握していきたいと思います。

宮本(徹)分科員 検証するということですけれども、週一日や二日の方を受け入れると事業所の運営は困難になるというのは、これはやはり福祉じゃないと思いますよ。就労支援じゃないと思います。ぜひしっかり見直していただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

後藤主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時九分散会


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