衆議院

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第1号 令和4年2月16日(水曜日)

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本分科会は令和四年二月十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十五日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      今枝宗一郎君    加藤 勝信君

      根本  匠君    渡辺 博道君

      源馬謙太郎君    長妻  昭君

二月十五日

 今枝宗一郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和四年二月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 今枝宗一郎君

      加藤 勝信君    勝目  康君

      小林 茂樹君    根本  匠君

      古川  康君    渡辺 博道君

      梅谷  守君    源馬謙太郎君

      末次 精一君    長妻  昭君

      吉田はるみ君

   兼務 菊田真紀子君 兼務 山井 和則君

   兼務 一谷勇一郎君 兼務 金城 泰邦君

   兼務 國重  徹君 兼務 長友 慎治君

   兼務 高橋千鶴子君 兼務 緒方林太郎君

    …………………………………

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   内閣府副大臣       赤池 誠章君

   厚生労働副大臣      古賀  篤君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柳樂 晃洋君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 難波 健太君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    片岡  進君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     齋藤 秀生君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  武井 貞治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山本 麻里君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  渡辺 博道君     勝目  康君

  源馬謙太郎君     吉田はるみ君

  長妻  昭君     山田 勝彦君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     塩崎 彰久君

  山田 勝彦君     長妻  昭君

  吉田はるみ君     梅谷  守君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     小林 茂樹君

  梅谷  守君     末次 精一君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 茂樹君     古川  康君

  末次 精一君     源馬謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     渡辺 博道君

同日

 第二分科員一谷勇一郎君、緒方林太郎君、第三分科員高橋千鶴子君、第四分科員金城泰邦君、第六分科員山井和則君、長友慎治君、第七分科員菊田真紀子君及び國重徹君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

今枝主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。後藤厚生労働大臣。

後藤国務大臣 令和四年度厚生労働省関係予算案の概要について説明いたします。

 厚生労働省所管一般会計予算案については、昨年度より一・一%増の三十三兆五千百六十億円となっており、また、厚生労働省所管特別会計予算案については、労働保険特別会計、年金特別会計及び東日本大震災復興特別会計にそれぞれ所要額を計上しています。

 以下、令和四年度予算案の重点事項について説明いたします。

 本予算案では、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現に向けて、令和三年度補正予算と合わせて切れ目なく対応することとしています。

 第一に、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえた柔軟で強靱な保健、医療、介護の構築について、新型コロナウイルス感染症を克服する保健、医療等提供体制の確保、感染拡大防止に向けたワクチン、治療薬等の研究開発を推進します。あわせて、地域包括ケアシステムの構築を図るため、地域医療構想、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革の推進、介護人材の確保等に取り組むとともに、健康寿命の延伸に向けた予防、重症化予防、健康づくり、データヘルス改革を推進します。また、がん対策、全ゲノム解析等を推進するほか、医薬品、食品等の安全確保、国際保健への貢献、医療の国際展開に取り組みます。

 第二に、未来社会を切り開く成長と分配の好循環の実現について、雇用維持、労働移動、人材育成等に向けた支援のため、雇用の維持、在籍型出向の取組への支援、デジタル化の推進や人手不足分野への円滑な労働移動の推進、民間の知恵を活用して実施する人への投資の強化に取り組みます。あわせて、公的部門における分配機能の強化として、看護、介護、保育など現場で働く方々の収入の引上げに取り組みます。また、多様な人材の活躍を推進するため、女性や就職氷河期世代の活躍を支援するほか、高齢者、障害者、外国人等の就業支援に取り組みます。さらに、最低賃金、賃金の引上げに向けた生産性向上等の推進、同一労働同一賃金など雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等に取り組みます。

 第三に、子供を産み育てやすい社会の実現について、ヤングケアラーへの支援、児童虐待防止対策、社会的養育の迅速かつ強力な推進、不妊症、不育症に対する総合的支援の推進、新子育て安心プランに基づく保育の受皿整備等の総合的な子育て支援、一人親家庭等の自立支援の推進等に取り組みます。

 第四に、安心して暮らせる社会の構築について、地域共生社会の実現に向けて、属性を問わない相談支援を中核とする重層的支援体制の整備、生活困窮者自立支援、引きこもり支援、自殺総合対策の強化等を推進します。あわせて、障害児や障害者の支援、水道の基盤強化、戦没者遺骨収集等の推進、持続可能で安心できる年金制度の運営等に取り組みます。

 なお、委員の皆様のお手元に資料が配付されていますが、一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の歳入・歳出予定額については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 新型コロナウイルス感染症から国民の命、暮らし、雇用を守り、必要な社会保障サービスを強化するよう万全を期すとともに、我が国の経済社会の発展に寄与すべく、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様の一層の御理解と御協力をお願いいたします。

今枝主査 この際、お諮りいたします。

 厚生労働省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今枝主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の歳入・歳出予定額は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

今枝主査 以上をもちまして説明は終わりました。

    ―――――――――――――

今枝主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いを申し上げます。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝目康君。

勝目分科員 おはようございます。京都一区選出の自由民主党の勝目康でございます。

 昨年の衆議院選挙で初当選をさせていただいて以来、初めての質問の機会でございます。関係の全ての皆様に感謝を申し上げます。

 早速質問に入らせていただきます。

 初めに、子供をめぐる諸課題についてお伺いをしたいと思います。

 生まれてきた子供たちの命を守り、そして、様々な課題を抱えていてもしっかり社会全体で育んでいく、そんな温かな子育て環境に包まれた社会にしていく必要がございます。

 現在、こども家庭庁の設置に向けて新法の検討が大詰めを迎えているところでありますが、新しい役所ができるだけでは意味がありません。子供政策に関する縦割りを排して、また、新しい行政機関ができることで生じる別の縦割りの弊害をつくらず、そして、今まさに起こっている課題への取組を抜本的に強化していく、その必要があると考えております。

 その観点から、現在、厚生労働省で所管をされている児童虐待対策そして障害児支援について、お伺いをします。

 まず、児童虐待についてであります。

 胸を締めつけられるような悲惨な事例が後を絶ちません。先日も、岡山県で五歳の女子児童が亡くなりました。児童虐待は、最悪なケースでは、小さな命をこのような残酷な形で奪うこともあります。

 個別の事案につきましてはそれぞれの検証結果を待つとしまして、厚生労働省を始め、国も地方も関係の皆様全てが、これまで累次にわたり対策を強化してこられておりますけれども、現場の児童相談所も多忙を極め、対応力に限界がある、そういう指摘もあります。

 事案発生時の緊急対応の充実が必要なのはもちろんでありますが、問題の要因に根本から対処するためには、家庭に対する支援、これを徹底的に強化していく必要があると考えます。

 児童虐待防止対策の実効性を更に高めるために、厚生労働省としてどのように取り組まれるのか、お聞かせください。

橋本政府参考人 児童相談所が対応しました虐待相談対応件数は年々増加しておりまして、令和二年度には二十万件を超えていますし、また、子供の命が失われるという大変重篤な事案も残念ながら後を絶ちません。児童虐待というのは、社会全体で取り組むべき喫緊の課題というふうに考えてございます。

 このような中で、子育てに困難を抱える家庭等に対する包括的な支援体制の強化ということが必要だというふうに考えておりまして、児童相談所とともに市区町村やNPO、民間なども含めた関係機関が連携してこれに取り組んでいくということが重要というふうに考えております。

 このため、厚生労働省といたしましては、市区町村において、妊産婦や子育て世帯、子供に対する一体的な相談機関ですとか、あるいは身近な相談体制、こういったものを整備して相談支援を充実すること、あるいは、訪問による家事支援ですとか親子関係の形成支援など家庭を支援する事業を新設すること、あるいは、児童相談所が民間と協働して里親支援や親子再統合の事業を行うこと、こういった内容を盛り込みました児童福祉法等の改正を検討しているところでございまして、児童虐待の防止に向けて、御指摘いただいたような家庭支援ということにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 虐待する側も、子供時代に愛情を受けずに育ったのかもしれませんし、頑張ってきても何かが途中で壊れてしまったのかもしれません。背景はいろいろあると思いますけれども、いずれにしましても、虐待の連鎖などということがないように、根本的な取組を強化いただきますよう、お願いを申し上げます。

 また法改正の審議でしっかりと質疑を重ねていきたいと思います。

 次に、障害児支援についてお伺いをいたします。

 障害を持って生まれてきても、地域社会のかけがえのない一員として共生していく仕組みづくりを進めていく必要がございます。

 現在、障害者総合支援法の施行後三年見直しに向けまして、障害福祉制度全体の検討が進められていると承知をしております。このうち、障害児支援につきましては、年末の中間整理を基に、法改正に向けた最終作業の最中かと思います。

 この間、特に平成二十四年の児童福祉法改正以降の取組の結果、障害児支援に関してどういう点が進んできたとお思いか、厚労省御自身の評価をお聞かせください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 障害児支援につきましては、平成二十四年施行の児童福祉法改正におきまして、障害種別ごとに分かれておりました障害児の給付体系を、通所、入所の利用形態別に一元化をいたしました。

 この改正の後、児童発達支援や放課後等デイサービス等の障害児通所支援につきましては、事業所数、利用者数共に大きく増加しておりまして、例えば児童発達支援につきましては、平成二十四年から令和三年で、事業所数は約四・五倍、利用者数は約三・三倍に増加したところでございます。

 平成二十四年施行の法改正、その後の取組によりまして、これまで支援が行き届いていなかった障害児や御家族が、身近な地域で必要な発達支援を受けることができるようになったものと考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 障害児支援施設の数が充実をして、地域で支援を受けたい方がその地域で支援を受けられる、そういう体制整備が順次進んできたということでございます。これは大変大きな前進であると思います。

 特に、児童の発達障害につきましては、社会の理解も進んできて、早期検査、早期支援、こういう流れが浸透、定着してきた、このように感じております。しかしながら、早期に検査をすることによって、まだ幼い我が子が障害の可能性がある、こういうことを言われたときに、親御さんの不安というものはむしろ非常に増大をするわけであります。しかも、医療へのアクセス、診断をいただくには時間を要するというのが現状であります。

 初診までの待機時間というのは、地域によるばらつきはあるものの平均すれば数か月に及ぶ中で、親御さんの不安に寄り添うための相談支援体制の整備も必要と考えます。厚生労働省としての取組について、初診待機対策も含めてお伺いをいたします。

田原政府参考人 お答えいたします。

 発達障害を早期に診断し、適切な支援につなげていくためにも、地域における支援体制の整備や診断待機の解消は重要な課題と考えております。

 発達障害の診断待機の解消につきましては、医療機関にアセスメント可能な医師以外の職員を新たに配置することや、地域の児童発達支援センター等におきまして、あらかじめアセスメントや保護者の方へのカウンセリングを実施をいたしまして、医療機関における速やかな診断につなげるなどの取組を進めておりまして、診断までの間に、発達障害児やその保護者が抱く不安等の相談にも対応できるようにしているところでございます。

 また、都道府県それから政令市に発達障害者支援センターを設置をいたしまして、保護者等からの相談に専門的に応じているところでございますけれども、更により身近な機関といたしまして、地域の児童発達支援センターにつきましても、発達支援の入口としての相談機能等を強化する方向で検討をしているところでございます。

 今後とも、このような取組を通じて、発達障害者とその家族への相談体制の充実に努めてまいりたいと考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 体制充実が進んできた中で、相談支援についてもしっかり行うということが進んでいるということでございます。医療や支援機関へのアクセスのしやすさというのは地域によるばらつきも大きいと思いますので、これはもうオール・ジャパンでの底上げに向けて取組の強化を是非お願いしたいと思います。

 また、社会の理解が進んで利用者も増えてきました。そのニーズの急増に事業所のサービスの質が追いついていないのではないか、このような指摘もございます。表面上問題はなくとも、遊んでいるだけ、あるいは習い事と区別がつかないなど、必ずしも障害特性に応じたサービスが提供できていない事業所もあるのではないか、このような話も伺うところであります。数と質の両立というのはえてして難しいものでありますけれども、児童発達支援を担う事業所の質、これをどのように確保するのか、お考えをお伺いします。

田原政府参考人 児童発達支援、放課後等デイサービスにつきましては、事業所数が大きく拡大している一方で、十分な専門性を有しているとは言い難い支援も一部見られるということが、昨年十二月、社会保障審議会障害者部会において取りまとめた中間整理の中でも指摘をされているところでございます。

 こうしたことから、児童発達支援センターが地域におけます障害児支援の中核的役割として、児童発達支援事業所などの支援内容等に対する助言、援助等を行うことを明確化いたしまして、障害児支援の質の向上を図るため、児童福祉法改正に向けた準備を進めているところでございます。

 また、児童発達支援センターにおきましては、各事業所が行う自己評価それから保護者評価の結果を集約し、各事業所とともにそれぞれの事業所の強み、弱みを分析し、地域の事業所が互いの効果的な取組を学び合いながら、よりよい支援の提供につなげていくための仕組み等についても検討しているところでございます。

 こうした取組を進めることによりまして、地域全体の障害児支援の質の底上げを図ってまいりたいと考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 児童発達支援センターの役割が、そうなると非常に重要になってくる、こういうことかと思います。この点につきましては後ほどまた改めてお伺いをしたいと思います。

 障害者の地域共生を進めていくためには、子供の頃から身近な存在、普通の存在として常日頃から触れ合う経験を積み重ねていく、このことが重要と考えております。子供というのは非常に柔軟性が高くて、発達障害の子供も園の支援があれば本当にクラスの一員として溶け込んでいる、そういう話も伺うところであります。このようなインクルーシブな保育というものを推進していくべき、このように考えておりますけれども、どのように取り組まれるのかお聞かせください。

田原政府参考人 年少期から子供たちが障害の有無にかかわらず様々な遊びを通して共に過ごし互いに学び合うことは、地域共生社会の実現、それから推進等の観点から大変重要だと考えております。

 このため、児童発達支援や放課後等デイサービスに通所する障害児につきまして、保育所や放課後児童クラブ等への移行支援が効果的に実施されますように、移行に至る一連のプロセスについて効果的な標準的手法としてまとめまして分かりやすく提示するとともに、移行支援に対します適切な評価の在り方を検討していくこととしております。

 また、障害児を現に受け入れております保育所、放課後児童クラブ等に対しまして、障害児が円滑に集団生活へ適応できるよう支援いたします保育所等訪問支援がございますけれども、これにつきましては、地域の障害児支援の中核的役割を担ってまいります児童発達支援センターにおきまして積極的に実施をされ、より効果的に支援が行われるようにしていきたいと考えております。

 さらに、保育所と児童発達支援事業所におきまして、障害の有無にかかわらず、子供たちが一緒に過ごす時間を持ち、それぞれの保育士等が混合して一体的な支援を行うことが可能となりますように、児童発達支援事業所等の人員配置基準等を柔軟化する検討を進めているところでございます。

 こうした取組を進めることによりまして、地域の子供たちのインクルージョンを推進してまいりたいと考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 まさに、様々な現場の実践がある中で、非常に多岐にわたる取組をお進めになろうとされている、そういうことであります。大変重要なことでありますので、こちらについてもしっかり進めていただければと思います。

 療育手帳の基準の統一については通告しておりましたけれども、これは相互に、引っ越しをしても、保護者本人の負担なく引っ越し先でも円滑に手帳の交付ができるようにその周知を改めて徹底していただきたいということを要望いたしまして、質問は飛ばさせていただきます。

 それから、先ほど御答弁ありましたけれども、昨年の十二月の中間整理では、児童発達支援センターの役割を高める方向で今後検討が進められる、このようになっているところであります。あとは現場がしっかりついてこれるかどうか、こういうことかと思います。理念先行にならないように、現場が対応可能な実現性のある、しかししっかりと効果の出せる、そういう法改正をお願いしたいと思います。

 そのことも含めまして、障害児支援制度の見直しに係る思いを古賀副大臣の方からお伺いできればと思います。

古賀副大臣 委員から御指摘ありましたように、昨年の十二月の社会保障審議会障害者部会における中間整理におきまして、児童発達支援センターについて、多様な障害等への専門的機能を強化し、地域の児童発達支援事業所等に対する助言などを行う機関としての役割、機能を明確化すべきとされているところであります。

 これを踏まえて、児童発達支援センターが地域における障害児支援の中核的役割として、幅広い高度な専門性に基づく発達支援、家族支援機能や、地域の事業所に対する支援内容等の助言、援助等の機能等を担うものであることを児童福祉法上に明確に位置づけるよう、現在、改正法の法案の提出に向けた準備を進めさせていただいているところであります。

 また、御指摘ありましたように、まさに実現性というところが大変大事でありますので、実現性ある制度としていくために、こうした今申し上げたような機能を担うための専門職の配置ですとか、ガイドラインの整備、更なる充実なども検討が必要だと考えておりまして、今後、地方自治体や関係団体等の現場の御意見を丁寧にお聞きしながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えているところであります。

勝目分科員 大変力強い御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 近く国会に法案が提出されることになるんだろうと思います。国会でも充実した審議をしてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 さて、障害者総合支援制度に関連いたしまして、私の地元、京都市から、これを何とかしてほしいと要望を受けておりますのが、訪問系サービスに係る超過負担の問題でございます。

 障害福祉サービスの費用につきましては、国が二分の一、都道府県、市町村、それぞれ四分の一とされておりますけれども、訪問系については、国庫負担基準に上限が設けられている、そういう仕組みが導入されております。

 京都市においては、例えば昨年度二十五億円という多額の超過負担が生じるなど、非常に財政面での影響が大きくなっております。この解消を是非お願いしたいと思っておりますけれども、お考えをお聞かせください。

田原政府参考人 障害者総合支援法におきましては、国の費用負担を義務化することで財源の裏づけを強化する一方で、限りある公費を公平に分配し、市町村間のサービスのばらつきをなくすために、訪問系サービスにおきまして、市町村に対する国庫負担の上限を定めているところでございます。

 あわせて、支給額が国庫負担基準を超過している市町村の過大な負担を軽減するために幾つかの取組をしておりまして、一つは、訪問系サービスの利用者数や当該人数に占める重度訪問介護等の割合に応じた国庫負担基準総額のかさ上げを行っております。また、訪問系サービス全体の利用者に占める重度訪問介護対象者の割合が一〇%を超える場合におきまして、一定の財政支援。それから、国庫負担基準をなお超過する小規模な市町村に対しましては、人口規模等に応じた一定の財政支援を行っているところでございます。

 厚生労働省といたしましても、必要な方が訪問系の障害福祉サービスを受けられて、市町村にとっても過大な負担が生じないよう、限りある公費の公平な分配にも配慮しつつ、執行状況も踏まえまして、必要となる予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 小規模な市町村にということでありますけれども、政令市だからといって財政に余裕があるわけではありませんで、むしろ受給者が多かったり、そういう様々な、大都市ならではの事情によって財政が厳しい状況に追い込まれている、そういうところもあるわけでございます。

 この問題につきましては、今後とも要望を重ねてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 さて、最後に、コロナの関係で二点、お伺いをしたいと思います。

 年初来のオミクロン株の感染拡大は、これまでに例のないペースで進んできております。私の地元、京都におきましても、お隣の大阪よりははるかに少ないわけでありますけれども、先週、一日三千人近くという新規陽性者が出ております。

 他方で、死亡率、これは従前に比べて大幅に下がっておりますし、また、死亡者も、基本は基礎疾患を有する方がコロナに感染した状態で亡くなっている、こういうケースがほとんどだという話も聞くところであります。

 ワクチンの三回目の接種が進んで、経口薬が医療機関で速やかに処方できるようになれば、このコロナとの戦いも、保健所を業務逼迫から解放する次のフェーズに移行できるんじゃないか、こういうある種の期待の声も聞くところでございます。

 厚労省さん、先週、ファイザー社の経口薬を特例承認されたところでございますけれども、さきに承認されているモルヌピラビルと併せて、今後、政府としても調達を本格化され、医療現場にも順次届くことになると思いますけれども、この経口薬のニーズを踏まえた必要量を調達できるか、スケジュール感を含め、お聞かせ願いたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 ファイザー社の経口薬、ニルマトレルビル、リトナビル、製品名、パキロビッドパックにつきましては、二月十日に行われた薬事・食品衛生審議会において特例承認がなされたところでございます。

 本剤につきましては、本年中に二百万人分を確保しており、先行して納入されているものは四万人分でありますけれども、二月下旬にも追加で納入を予定しております。

 また、MSD株式会社の経口薬、モルヌピラビル、製品名、ラゲブリオでありますが、これにつきましては、本年中に百六十万人分を確保しております。

 当初、年度内に合計六十万人分が納入される予定でありましたけれども、今般、企業に納入時期の前倒しをお願いし、追加で二十万人分、合計八十万人分が三月末までに順次納入されることとなっております。

 既に三十四万人分が納入されておりまして、二月十五日時点で約十二万六千人分が医療現場に届けられ、五万人分以上が実際に投与されたと聞いております。

 このほかにも、幾つかの治療薬が活用可能となっております。治療薬の確保につきましては、複数の治療薬を確保し、必要な量を順次納入できるよう、企業と交渉を進めてまいりました。

 引き続き、治療薬を必要とする方に十分に提供できるよう、現場に滞りなく供給することで、国民が安心して暮らせるように努めてまいりたいと考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 ワクチンのブースター接種と経口薬で重症化リスクを低減をして、ようやく感染症法上の取扱いというものにも議論を移せるんじゃないか、こういう声も聞くところであります。一日も早く日常を取り戻し、社会経済を再生させるためにも、お答えになったとおり、着実に治療薬が医療現場に届けられるように、患者さんに届けられるように期待をしております。

 コロナ関係で最後にもう一点、お伺いをいたします。雇用調整助成金の関係であります。

 支援の対象となる期間につきまして、本年三月三十一日までは特例措置を延長されるということになっておりますけれども、二月ももう半ばを過ぎております。四月以降どうなるのか、こういう不安の声が聞こえております。

 その方針につきまして、お聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 雇用調整助成金につきましては、これまでに例のない特例措置を講じまして、事業主の雇用の維持を強力に支援してきたところでございます。

 本年四月以降の取扱いにつきましては、昨年六月の閣議決定であります経済財政運営と改革の基本方針二〇二一を踏まえまして、雇用情勢を見極めながら、具体的な助成内容を検討の上、二月末までに改めてお知らせすることといたしております。

 また、方針の決定に当たっては、労働政策審議会の御意見も伺いながら、丁寧に進めてまいりたいと考えております。

 四月以降の取扱いが決まった段階で速やかに厚生労働省ホームページに内容を掲載するとともに、各労働局、各公共職業安定所を通じて、事業主の皆様に行き届くように、丁寧に周知をしてまいりたいと考えております。

勝目分科員 ありがとうございます。

 二月末までには結論を出されるということであります。一気に何もなくなるわけではないだろうと思いますけれども、やはり経営者、従業員、双方共に、ここは早く決めていただきたい、こういう思いでございます。

 当然のことながら、今御答弁いただきましたように、決まったら速やかに周知広報をしていただきたい、このように思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 このコロナとの戦い、二年を超えてきております。オミクロン株の感染拡大ということで、今年は非常に厳しい年の明けになったということでありますけれども、新規の感染者数も徐々に減ってきているというところも見て取れるわけであります。しっかりと社会経済、再生をできるように、これは政府を挙げて取り組まないといけないわけでありますけれども、その前提となる保健医療体制の確保、そして雇用確保の様々な厚生労働省さんのお取組、しっかりと充実させていただきたい、このように考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。

 時間になりましたので、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

今枝主査 これにて勝目康君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田はるみさん。

吉田(は)分科員 まだ一年生で、質問の方も不慣れなところがありますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 昨日は遅くまで厚労省の皆様、そして今日は大臣、大臣政務官の皆様に質問させていただく機会を頂戴しまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問の方、始めさせていただきたいと思います。

 まず一つに、児童館についてでございます。

 こちら、児童館、実は私の地元の杉並区では大きな課題になっています。今、この児童館、児童福祉法に基づいて子供たちの健全な育成を目指すものと理解しておりますが、現在、その全国の児童館の数と、経年でどんなふうに数が変化しているのか、教えていただけますでしょうか。

橋本政府参考人 御指摘の児童館でございますけれども、昭和四十年代から五十年代にかけまして、高度経済成長がもたらした子供の事故の多発ですとか、いわゆる鍵っ子の増加等によりまして急激に増加をいたしました。その後、上昇カーブは緩やかになりまして、平成十八年の四千七百十八か所というのをピークにしまして、ここ数年はほぼ横ばいで推移しておりまして、全国の児童館数については、令和二年十月一日現在で四千三百九十八か所ということになってございます。

 なお、東京二十三区でございますけれども、厚生労働省として調べているわけではございませんが、東京都における令和二年度の東京の児童館実施状況によりますと、令和三年三月三十一日現在で東京都の区部で四百四十二か所というふうに伺っております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 今、都市部でいうと、東京都でいうと四百四十二件ということですけれども、地方と都市部と両方減少というような理解で合っていますでしょうか。

橋本政府参考人 全体的な傾向については、今ちょっと直ちに承知しておりませんけれども、東京都内では区部で四百四十二か所、市町村部で百四十九か所というふうな状況でございます。

吉田(は)分科員 そうしますと、地方の減少も都市部の減少も、これは児童の数が減ったことに伴う施設の減少というような理解で合っていますでしょうか。

橋本政府参考人 要因はいろいろあると思います。子供の数の減少というふうな面もありましょうし、また、子供がいろいろ過ごす場というものが様々、多様化しているというふうな事情もあるかと思います。それぞれの地域の実情は様々かというふうに思っております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 その減っていることに対して、これはもう人口減少でしようがないんだなのか、また、児童館の運営も公設それから民営とあると思うんですが、傾向として民営の方に大きく移行しているというようなデータを見ております。この傾向に対して厚労省としては何か対策や見解がおありでしょうか。教えてください。

橋本政府参考人 御指摘いただきました公営、民営別ということで見ますと、公営の方がやや緩やかに減少しつつあるのに対しまして、民営の方はほぼ横ばいというふうな今、状況でございます。

 それで、今後私どもとして対応していく対応の方向性でございますけれども、この児童館、健全な遊びということを通じて子供の健康増進に資する、あるいは情操を豊かにするといったことを目的とした施設でございます。これまで、施設整備費の補助ですとか、あるいは児童館の運営や活動の参考にしていただくためのガイドラインの策定、あるいは人材の育成と専門性の向上を図ることを目的としたセミナーの開催、こういったことを通じまして児童館に対する支援を行ってきたところでございます。

 また、来年度の予算案におきましては、児童館の更なる機能強化を図るということを行うために、児童の発達段階に配慮した活動とか、あるいは家庭からの相談対応などの先進的な取組を実践してもらいまして、それを好事例集として作成して、横展開を図るというふうな新規事業を創設するということにいたしております。

 こういった取組を通じまして、引き続き、児童館の機能強化を図りますとともに、役割や機能について普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。今、機能強化を図っていくということと、遊びの点でも、また家庭への相談、こういったものも強化していくというお話を聞いて、とても心強く思いました。

 実際、やはり、児童館の役割、減ってはきていますが、特に都心に、都会に暮らす子供にとって児童館は大切な居場所になっています。杉並区では、減ったところの代替になるんでしょうか、いろいろ計画があるんですけれども、その中でちょっと私が懸念しましたのは、学校の中に児童館に代わる居場所をつくるというような計画も出ているやに聞いているんですが、これ、どうでしょうか。やはり、学校での人間関係を引きずらない形での、どんな子供も受け入れるという児童館の役割を私はとても大事だなと思ったので、場所があればいいということではなくて、子供が本当に自分自身を受け入れてくれるような児童館、これを私は大事にしたいなというふうに思っています。

 その上で、一つお伺いしたいと思います。

 児童館、ゼロ歳から十八歳まで利用が可能だと思うんですが、この児童館において何か性的被害があるんじゃないかというような御心配の声も聞いているのも事実でございます。このような事例はございますでしょうか。

橋本政府参考人 児童館におきます御指摘のような性的被害の事例については、国として統計的に把握はしておりません。

 ただ、児童館におきまして児童に対する虐待等の事案が生じることがございませんように、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準におきましては、わいせつ行為を含め、児童に対する虐待等を禁止した上で、児童館のガイドラインにおきまして、児童館の運営主体が様々な機会を活用して研修を行い、職員の資質向上に努めることとする、こういった対応を講じさせていただいておるところでございます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。児童館、杉並区でも、本当に土地が高い場所でもあり、その場所を確保していくということもとても大切であり、難しいところでもありますが、私は山形県の出身で、豊富な山、川、そういうところで遊んできた経験があるんですけれども、都会の子供にとってみると、この児童館が山であり川であり、そして発見の場所であり、遊びの場所であり、とても大事な人との触れ合いの場だと思いますので、その点、是非よろしくお願いいたします。

 では、最後に、これはちょっと半分提案にもなるんですが、児童館の災害時における利用の可能性、こういうものはないかなというふうに思いました。

 と申しますのも、やはり住み慣れている近所で、いきなり広域の避難所に行けと言われても、あれっ、どこだっけとなるところが、行き慣れたこういった児童館で、住み慣れた場所で、知っている顔がいる、いつも遊んでいる友達がいる、そういったところで集まる方が子供たちも、そして親の安心にもつながるというふうに思うんですが、このような児童館を災害時の避難場所として利用するような可能性はないでしょうか。もし事例があれば教えてください。

橋本政府参考人 災害時におきます指定緊急避難場所等につきましては、災害対策基本法に基づきまして、立地や建物の構造などの条件を踏まえて、市町村の判断により、児童館も含めた地域内の公共施設等のうちから指定されるものというふうに認識しております。

 厚生労働省として網羅的に把握しているわけではございませんけれども、児童館が指定緊急避難場所等に指定されている事例はございまして、東京都内で申しますと、例えばあきる野市とか新宿区とか、そういったところでも指定されているものというふうに承知しております。

 私どもとしましては、児童館ガイドラインにおいて、避難所となることを想定した備蓄について記載しておりますほか、災害時において被災児童等が安心して交流できる場所の提供を行うよう関係団体に依頼しているところでございまして、それぞれの地域におきましてしかるべき役割を果たしていただきたいというふうに考えております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。そうした例があるということを聞いて、大変心強く思いました。他地域からも学んでいけるようにと思います。

 それでは、質問を二番の方に移らせていただいて、発達障害に関して御質問申し上げたいと思います。

 近年、発達障害に対しても理解が深まっているところではあると思うのですが、発達障害と診断された子供の実数、全国での実数、あるいは都道府県別でも構いません、どのような実態になっていますでしょうか。教えてください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 御質問にありました発達障害と診断された子供の実数につきましては、把握することが困難と考えておりまして、都道府県別の実数、あるいは人口当たりの人数については把握をしていないところでございます。

 ただ、発達障害に関連するデータといたしましては、臨床心理そして神経心理検査、これをゼロ歳児から十四歳の方に対して行われた回数を診療報酬上どのぐらい算定しているのかというのを見ますと、令和元年六月の一か月で三万一千件余りというふうになってきておりまして、そのトレンドを見ますと、近年、発達障害の社会的認知の広がりとともに増加をしてきているというふうに認識をしております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。まず実態把握をするということが支援につながるのかなと思いますので、是非お願いいたします。

 そんな中で、今、ありがとうございます、診療報酬の方から数値を教えていただきました、三万一千件ということですが、今、発達障害と呼ばれる診断を受けて手帳を持っていらっしゃる方と、手帳を持つまでには至らないけれども発達障害の何か、例えば私の娘の場合はASDというアスペルガー症候群なんですけれども、ボーダーにいる、境界にいると言われるようなお子様もいらっしゃいます。両方、手帳を持っていらっしゃる方も、また、ボーダー、境界線にいらっしゃる方も支援が必要だと私は考えるのですが、この辺りのボーダーにいる方は、これは診療報酬の中で表れてくるものになりますでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 今の御質問でございますけれども、診療報酬は心理の検査を行っている回数でございますので、その結果、発達障害になっているのかそうでないのか、あるいはボーダーなのかという結果までは把握できないところでございます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 やはり早期発見、これは私の娘の場合もそうだったんですけれども、二歳のときの発達状況を見て、言葉が遅れていたり、また、人の目を見られないとか、社会性に欠けるとか、私も親として感じているところがあったんですけれども、その後、四歳のときに、私がイギリスに留学するときに連れていったとき、診断を受けました。早期で適切な対応ができたということが今の娘の発達に非常に大きな力になったという経験を私も持っていますので、アセスメントをしていくというところと、発見をしたときにどういうふうに支援につなげていくかというところ、とても重要だと考えています。

 アセスメントをするのは、どういう方でしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 発達障害のアセスメントでございますけれども、知能検査や心理検査等の標準的な手法に基づくアセスメントと行動観察や聞き取り等を適宜組み合わせて実施するものと承知をしております。

 このアセスメントの実施につきましては、医療現場におきましては、医師のほか、公認心理師などの心理職、それから作業療法士等のコメディカルスタッフ等により行われておりまして、また、福祉現場におきましては、心理職やそして福祉職の従事者等により実施をされまして、その結果を踏まえた支援が行われているというふうに承知をしております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。専門家の皆様が本当に御努力されて取り組まれていること、本当にありがとうございます。

 その中で、ゼロから四歳児、乳幼児健診などでもこういった発達障害に気づく保健師さんもいるように聞いているんですけれども、これは、乳幼児健診の中で、発達障害があるかどうか、そういう目で見ましょうみたいな、そういう指針があったりするものでしょうか。それとも、その現場にいる保健師さん、医師に任せられているような判断になりますでしょうか。教えてください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 乳幼児健診の現場での、どういうふうな形で発達障害かどうかということを見るマニュアルがあるかどうかというのは、ちょっと今、把握はしておりませんが、実際そういうスタッフが見て発達障害の可能性があるというような場合には、地域の発達障害支援センターなどにつなげていって、そしてそこで判断をしてもらうというような取組が考えられていると思っております。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。本当に、早期発見でその子の可能性を最大限に伸ばしていただきたいと思いますので、こういった乳幼児健診の場でも、是非そういう指針が出たらいいなという思いで質問をさせていただきました。

 最後に、ごめんなさい、最後じゃないです、最後の二つ前になりますけれども、親がまず見つけるというのが一つ大きな入口なのかなと思っているんですけれども、親自身が、まあ私もそうなんですけれども、娘がそういった傾向がある、いや、でも違うかもしれないという自己否定の中で、実際アセスメントを受けさせるまでに心理的な抵抗があったりもします。そんな中、理解が深まれば、もっと、ちょっとアセスメントしてみようかなという気持ちになっていくと思うんですね。

 実際、自分の場合も、挨拶ができない、おはようございますが言えない、ありがとうが言えない、これは私のしつけが悪いからだとずっと思っていたところがありました。

 親への周知、不安に思ったら相談くださいねというような窓口なり相談する場所というものは、何か発信しているものはございますでしょうか。

田原政府参考人 発達障害のある方やその御家族からの相談につきましては、都道府県それから指定都市に設置をしております発達障害者支援センターで相談を受け付けているほか、地域の児童発達支援センターなどで相談支援を行っているということでございます。

 こうした相談先につきましては、各自治体や発達障害者支援センターにおきまして、自ら広報を行っているものと承知をしておりまして、国におきましても、国立障害者リハビリテーションセンターに設置をしております発達障害情報・支援センターのホームページを活用いたしまして、発達障害に関する相談窓口に関する広報を含めて、発達障害に関する普及啓発を行っているところでございます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 最後に、これは提案です。

 母子手帳は誰でも持っています。是非ここに、発達障害に関しても、親の方があれっと思ったら相談できる場所、あるいはそこに連絡先などを載せていただければ、これは子供を持つ親、皆さんが見るものですので、そういった形で広めるということも検討いただけたらありがたいなと思います。これは御返答が難しいと思いますので、結構でございます。

 では、最後に大臣にお伺いしたいのですが、こういった、今、発達障害のサポート、発見、状況がございます。今後、日本はどのような形で発達障害に対しての理解を深め、そして支援につなげていく方針か、教えてください。

後藤国務大臣 ただいま吉田委員からの大変深い御理解、思いを十分に受け止めさせていただいて、聞いておりました。

 発達障害者の支援に際しましては、発達障害者の社会参加の機会が確保されるように、また、乳幼児期から高齢期までのライフステージを通じて切れ目のない支援を実施すること、それから、家族なども含めたきめ細かな支援体制を構築することが重要であるというふうに考えております。

 そして、今いろいろ御指摘もありましたけれども、特に家族に対しては、発達障害児の対応方法を学ぶ機会として、ペアレントトレーニングの実施を推進しております。指導者が用いる標準的なテキスト等を作成するとともに、令和三年度の障害福祉サービス等報酬改定におきまして、児童発達支援事業所等がペアレントトレーニングを実施した場合の加算も新たに設けたところでございます。

 また、児童発達支援事業所等が、障害児が通う保育所や幼稚園などと支援計画に関する会議等を開催するなど、連携を行った場合の加算を設けること等によりまして、支援に関わる関係者がチームとして連携が図れるように、そうしたことにも取り組んでおります。

 今後とも、引き続き、こうした取組を通じまして、発達障害の当事者や家族に対して適切な支援が行われるよう、施策の推進、しっかりと努めてまいりたいと思っております。

吉田(は)分科員 大臣、ありがとうございます。是非、このペアレントトレーニングの加算のことは私ももう少し勉強させていただきたいと思います。

 発達障害は、多くの場合、いじめにつながっています。そしてまた、大人の発達障害で仕事に就けない、あるいは仕事に就いても辞めてしまう、何で私はこうなんだろうという、すごくもやもやした思いを抱えていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。私の阿佐谷の事務所にもそういった方がいらっしゃって、もっと早く知っていたら、この思いは何だったんだろう、そうか、自分はこういう障害があるんだということによって、ようやく自分の生きていく道が見えてきたとおっしゃる方も多数いらっしゃいます。

 イギリスでは、障害のことを、ディスアビリティーではなくて、スペシャルニーズというふうにいいます。私もそう思っています。是非、こういった発達障害で悩まれる方が早期に発見され、そして支援へとつながっていけるように、日本も、この対応、是非進めていただきたいと思います。

 では、ちょっと時間が大分迫ってまいりましたが、ヤングケアラーの支援について、たくさん実はお伺いしたいことはあったんですけれども、一点とても気になっていることが、文科省、厚労省、そして、これからこども家庭庁というところに移っていくというところで、大臣にお伺いしたいところがございます。

 令和三年の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの報告書を拝見しました。それによると、学校現場で教員の方々がヤングケアラーについて知っていることが重要だというふうに答えたのが、中学校で八六%、全日制の高校では八三%とあります。また、ケアの必要なヤングケアラーのプロフィールの中に、学校を休みがちであるというのが五七%、精神的な不安定さがある、五一%という結果も出ていますし、また、一人親家庭の方が要対協では五〇%というような結果も出ています。

 見つけること、支援を届けることと同時に、やはり学校現場との連携というのがとても大事なのかなというふうに思っているんですが、是非、大臣、この辺り、今どのように連携が図られ、今後、こども家庭庁に行ったときに、先ほどもありましたが、切れ目のない支援につながるのか、ちょっとその見解を教えていただきたいと思います。

赤池副大臣 こども家庭庁を担当しております内閣府副大臣の赤池誠章でございます。委員から、こども家庭庁に向けてということでありますので、私から回答をさせていただきたいと存じます。

 委員御指摘のように、厚生労働省と文部科学省、現在、連携をいたしまして、三菱UFJ銀行を始め調査をしっかりまずはした上で、支援に向けて今進んでいるところであります。

 ヤングケアラーにつきましては、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで本人の育ちや教育に影響があるとされており、子供の心身の健やかな育ちのためには、関係機関、団体としっかり連携して支援につなげるということが求められているところであります。そういう中で、厚生省それから文科省が今現在、連携を強化して支援を取り組んでいるところであります。

 今後、こども家庭庁、今国会で設置法を提出して、また国会で御審議をいただいてお認めをいただけるということであれば、政府としては、昨年十二月に既に、子供政策の新たな推進方策の基本方針を閣議決定しております。こども家庭庁が内閣府に設置をしていただくことができれば、更に関係省庁と連携をいたしまして、ヤングケアラーにつきましては、委員御指摘のように、社会的認知度をしっかり高めて、福祉、介護、医療、教育等の関係者が情報共有を連携しながら、早期発見、把握して、子供の意向に寄り添いながら必要な支援につなげられるよう、まさに内閣府は政府全体の総合調整機能をつかさどる役所でございますので、取り組ませていただきたいと存じます。

 以上です。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 これは、私はやはり、子供の学ぶ権利、これをどうしても保障したいという思いがあります。ヤングケアラーの更なる推進をお願い申し上げます。

 では、最後に、生活保護の申請に関しましてお伺いを申し上げたいと思います。

 大臣、昨年でしたでしょうか、ごめんなさい、ちょっと正確な日にちをメモしてくるのを忘れたんですが、生活保護申請において、扶養照会、これは必要でしょうか。この点に関して厚労省が方針を出していらっしゃると思うんですが、改めて教えてください。

後藤国務大臣 扶養義務者の扶養が保護に優先して行われるということが生活保護法に明記されております。そういう意味では基本的な原理だというふうに考えておりまして、扶養照会の手続そのものは必要な手続だというふうに考えております。

吉田(は)分科員 実は、杉並区であった事例で、その男性の方はかなり重篤な御病気をお持ちで、御実家は遠い東北地方にある方なんですけれども、扶養照会をされることによって自分の病気が親に知れてしまい、また、八十歳を超えて要介護の状況であるということで、親にどうしても心配をかけたくないという思いもございました。そんな中、扶養照会を行わないでほしいという申出をしたんですけれども、それを受け取っていただけなかったというような事例がございます。

 大臣、やはりそのときに、基本的人権として保障されているものだと私は思うんですけれども、扶養照会の実は状況を調査してみましたところ、令和元年の生活保護申請の世帯数、それと、扶養につながったケースを見てみました。足立区の我々立憲民主党の区議会議員の小椋修平さんが議会で取り上げたんですけれども、足立区は、生活保護申請、令和元年、二千二百七十五件ありまして、そのうち扶養照会をして扶養につながったケース、これは七件です。パーセンテージでいうと僅か〇・三%。

 二千件の照会をしていく、時間も大変ですし、人件費も大変ですし、そういったことに労力をかけて、また、申請に来る人がちゅうちょしてしまうような状況になってはいけないと思うのですが、大臣、この辺りの、やはり基本的な人権、それから扶養照会にかかるこういったコストということも考えていただいて、この扶養照会に関してはお申出があればしなくてもいいというような形にできませんでしょうか。

後藤国務大臣 御指摘の個別事案そのものについての詳細は承知しておりませんし、回答は差し控えざるを得ないわけですけれども、一般論は先ほど申し上げたとおりで、照会手続は必要な手続であるというふうに考えております。

 他方、生活保護が必要な方に確実かつ速やかに保護を実施することは、委員御指摘のように非常に重要でございます。

 扶養照会について、適切に実施されますように、昨年、扶養義務者本人に対する直接の照会を省略できる場合について、著しい関係不良の場合を位置づけるなどの通知等の改正を行っております。

 また、要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等においては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行いまして、照会の対象となる扶養義務者が扶養義務履行が期待できない者に該当するか否かという観点から、検討を行うことを求めております。

 こうした扶養照会の取扱いについて、自治体に対して周知徹底することが重要であると考えておりまして、生活保護が国民の生活の最後のセーフティーネットとして適切に機能するように努めてまいりたいと考えております。

吉田(は)分科員 大臣、ありがとうございます。

 特に、やはり、コロナ禍になって女性の貧困も進んでいますし、生活保護というものが……

今枝主査 吉田さん、時間が来ておりますので、終わってください。

吉田(は)分科員 はい。

 命をつなぐ大切な支援になっているところもございます。是非、その点お願いをしまして、質問を終わらせたいと思います。

 どうもありがとうございました。

今枝主査 これにて吉田はるみさんの質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重分科員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 一年に一度の予算委員会の分科会。私は、八年前からこの分科会で定期的に難聴をテーマに取り上げてきました。質疑をしてそれで終わりじゃなくて、そこで訴えたこと、また取組がきちんと進んでいるのかということについて、粘り強く、またしつこく追っていくのが私の一つの特性でありまして、そういった観点から、今日は、障害に至らない難聴、そして難聴の子供に対する支援をテーマに取り上げさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 認知症における最大の予防可能なリスク要因が難聴である、このことについて、イギリスの医学誌ランセットの国際委員会が、二〇一七年、二〇二〇年の二度にわたり指摘をしております。このランセット、世界で最も権威のある医学誌とも言われております。

 この難聴と認知症との関係、五年前に行った私の質疑に対しまして、厚労省は、現在研究を行っているところで、今後エビデンスを蓄積して実態把握に努めていきたい旨、答弁をされております。

 そこで、その後、この研究はどのように進んでいるのか。難聴と認知症との関係、補聴器の使用が認知機能に及ぼす影響について、どのように把握されているのか、お伺いいたします。

土生政府参考人 お答えいたします。

 難聴と認知機能低下の関係性につきましては、今先生から御紹介がございましたとおり、英国医学誌ランセットで、難聴が予防可能な認知症危険因子の一つとして指摘されております。

 我が国におきましても、平成三十年度から令和元年度にかけまして、日本医療研究開発機構による認知症研究開発事業におきまして、難聴障害の補正による認知機能低下の予防効果を検証するための研究が国立長寿医療研究センターにより実施されまして、一定の相関関係が確認されているところでございます。

 しかしながら、難聴になった結果として認知症になるのかといった因果関係についてまでは、当該事業期間中には研究結果を得ることに至らなかったということでございます。

 このため、令和二年度以降も、引き続き、国立長寿医療研究センターにおきまして、インハウス研究といたしまして、難聴者を二群に分けた補聴器の装着の有無による認知症の発症率の差に関する研究が継続されているところでございまして、令和四年度を目途に研究結果が取りまとめられ、その後、公表される予定となっているところでございます。

國重分科員 難聴と認知症との関係、相関関係はあるんだけれども、因果関係については引き続き研究中である、令和四年度中に取りまとめがなされるという旨の答弁だったと思います。注視をしていきたいと思います。

 その上で、難聴になれば、当然、生活に様々な支障、影響が生じます。コミュニケーションがこれまで以上に取りづらくなって閉じこもりがちになったり、また、社会的孤立やうつを引き起こす要因にもなり得ます。

 内耳の内部で、音の振動を電気信号に変えて脳に伝える役割をしている有毛細胞、この有毛細胞は一度壊れてしまうと元に戻ることはできません。だからこそ、事前の予防が大事になります。例えば、騒音への暴露は有毛細胞に障害を引き起こすために、若いときから注意をしないといけません。

 二〇一五年、WHOは、世界中で十一億人もの若者が将来難聴になる危険があると警鐘を鳴らすとともに、音楽プレーヤーを使用する場合、適切な音量での連続使用は一時間以内とすること、定期的に聴力のチェックを行うことを推奨しております。

 私とのこれまでの分科会のやり取りの中で、厚労省は、難聴予防に関する啓発についてもしっかりと進めていく、このように述べられております。

 具体的にどのように啓発活動をしているのかということで、これは事前に確認をさせていただきました。e―ヘルスネットという健康情報サイトで普及啓発を行っているということでしたので、私も見させていただきました。

 確かに、突発性難聴とかヘッドホン難聴、こういうことについては分かりやすく記述をされておりますけれども、一方で、そのサイトの存在自体知らない人が多くて、普及啓発の方法としては余り効果的じゃないんじゃないかというのが私の正直な実感であります。

 そこで、例えば、いろいろなやり方はあると思うんです。音楽関係の事業者等と連携をして、もっと多くの人が目にしやすい、例えばアプリとかもあるでしょうし、いろいろなやり方はあると思いますけれども、そういったところで難聴予防の正確、適切な情報提供をしていくこと。また、騒音の暴露から耳を守るために、関係省庁と連携をして、難聴になりにくい環境整備、普及啓発、情報の提供だけじゃなくて、騒音の暴露から耳を守る、そういう環境整備をしていくこと。こういったことなど、厚労省の外との連携も図りながら、これまでとは違った角度、視点で取組を進めていく必要もあると考えますが、これに関する見解をお伺いします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 予防可能な難聴には騒音性難聴や音響性難聴がありますけれども、ヘッドホン、イヤホンなどを利用する方が増加するにつれて、音響性難聴を予防するための周知啓発の重要性が増していると認識しております。

 このため、厚生労働省では、今御指摘もありましたWHOと国際電気通信連合、ITUの騒音性難聴に関する報告書であるメイク・リスニング・セーフ等の啓発活動の内容も参考にしつつ、健康情報を提供するウェブサイトであるe―ヘルスネットにおいて騒音性難聴に関する情報を掲載し、周知啓発を行っているところでございます。

 ただ一方で、御指摘のように、e―ヘルスネットは、周知可能な対象が、健康に関心のある方など、自らホームページにアクセスをする方に限られるという課題があると認識しております。

 今後、より効果的な啓発方法や、ヘッドホン等の利用者に対する注意喚起の在り方につきましては、今御提案いただいたことも含めまして、関係省庁とも連携しながら検討してまいりたいというふうに考えております。

國重分科員 是非よろしくお願いします。

 私、公明党の、インターネット上の誹謗中傷、人権侵害に対する検討プロジェクトチームの座長をしていまして、例えば、ネット上の誹謗中傷に関して、どうやってそういうものから被害者を守っていくのかということで、昨年、プロバイダー責任制限法の改正案が成立しまして、匿名の投稿者、人を傷つける投稿をした匿名の投稿者を、より迅速に特定しやすくなる、そういった法律が成立しました。

 だけれども、それだけだと被害者を守れないわけです。そこで、プロバイダー事業者と総務省、法務省等が連携して、しっかりと、自主的な取組として、そういった誹謗中傷等のコメントがあった場合には適切に、迅速に削除をする、そういった取組も進めていっていただいております。

 今言ったこととパラレルに考えることはできませんけれども、しっかりと様々な外部の方たちとも連携を取りながら、是非取組を進めていっていただきたいと思います。

 次に、補聴器の使用に関してお伺いいたします。

 聞こえの悪い人は、補聴器を使うことで生活の質が改善をします。補聴器の適切な使用は、社会性や感情、うつ傾向、コミュニケーションに有用であるという報告、認知機能に対する有益性を示す幾つかの研究結果も示されております。

 そして、補聴器は難聴が進んでから使うんじゃなくて、できる限り早く使うことが大事だとも言われております。

 もっとも、日本補聴器工業会の二〇一八年の調査によりますと、難聴者で補聴器を使っている割合は、イギリス四八%、フランス四一%等に対して、日本は僅かに一四%。日本では補聴器の普及が遅れています。

 補聴器を使っても、不快感や効果の実感のなさから使用をやめてしまうケースもあります。補聴器購入から二、三か月までの専門家による装用指導が、その後も継続して使用するための鍵となるそうでありますが、日本ではそうしたケアが万全ではありません。

 そこで、専門的見地に基づいた補聴器の販売、フィッティングと呼ばれる購入前、購入後の聞こえの調整、定期的なアフターケアなどの体制整備をより強化していくことが必要と考えます。

 この点、厚労省は、平成二十八年度より、補聴器の販売者の技能向上に関する研修支援を行っています。基礎中の基礎の三時間の講座であるというふうに聞いております。専門性を磨く入口になるものとして評価をいたしますが、この研修でどの程度の成果が出ているのか。検証の上、更なる体制整備の強化に向けた取組を進めるべきと考えます。これに関する見解、今後の取組をお伺いいたします。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年に、独立行政法人国民生活センターにおきまして、補聴器の契約に関する相談が全国の消費生活センターに数多く寄せられているということが発表されまして、それを受けまして、平成二十八年度から、御指摘の補聴器の安全で効果的な使用を推進するために、補聴器販売者の技能向上研修事業を実施しております。

 この事業では、先ほど先生から御説明ありましたように、基礎的な向上研修を三時間程度実施するとともに、その中で次のステップとなる専門的な資格である認定補聴器技能者の養成制度について御案内しております。平成二十八年度から毎年実施してまいりましたが、その後、次のステップである認定補聴器技能者の講習を受講し、認定試験に合格する者も毎年増えてきていると承知しております。現在、累計で四千三百名の方が登録されていると承知しております。

 我々が実施しております基礎的技能研修でございますけれども、令和二年度からは、コロナ禍でも受講しやすいようオンラインによる研修も進めているところでございまして、今後も着実に実施し、補聴器の販売業のきちっとした運営に資するように努力していきたいと考えております。

國重分科員 是非しっかりとした取組をよろしくお願いします。

 そして、先ほど、ちょっと付加して説明したいと思うんですけれども、ネット上の誹謗中傷のことについて、私、この場で瞬発的に話をしました。ちょっと言葉足らずのことがあったので、もう少し追加して説明させていただきますと、プロバイダー事業者は、例えば、ある人が誹謗中傷の書き込みをしようとした場合に、あなたのものはこれはちょっと誹謗中傷のコメントに当たり得ますよというようなことを、注意書きでぱっと出るようなシステムになっているところもあります。そういうことをしているプロバイダー事業者もあります。

 だから、私は、例えば、音楽とかを聞く際に、アプリとかの中で、余り、一時間以上大きな音で聞くと少し危ないですよとか、何らかの注意喚起をするような、そういった表示をするとか、もちろん事業者も商売がありますので、それとの関係はありますけれども、うまくそういったことも連携していただきたいというふうに思います。

 次の質問に入ります。

 私とのこれまでの質疑のやり取りを踏まえて、聴覚障害者だけではなくて、聞こえづらいと感じている難聴者も含めた実態の把握をするために、厚労省には、平成二十八年十二月実施の生活のしづらさなどに関する調査において、新たに細分化した設問を追加していただきました。一歩前進の取組と評価しておりますし、感謝をしております。ありがとうございます。

 その上で、この追加項目だけで果たして実際に実態を正確に把握できるんだろうかという疑問を持っております。難しいんじゃないかというのが正直な感想であります。

 まず、設問項目については、これからの課題解決を見据えて、関係部局の意見を踏まえた設問にブラッシュアップをする必要があると考えます。

 また、そもそもこの調査は、障害者手帳をお持ちの方に加えて、長引く病気やけがなどによって日常生活のしづらさが生じている方を調査対象に行っているものであって、対象者がかなり絞られています。これとは別に、より広く、国民生活基礎調査のような基幹調査も行うべきじゃないでしょうか。

 実態把握の精度が向上するような取組を是非進めていただきたいと思いますが、これに関する見解をお伺いします。

田原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘いただきましたように、厚生労働省におきましては、障害者手帳の所持者のほか、日常生活のしづらさが生じている方を対象に、生活のしづらさなどに関する調査を実施をしております。この調査では調査対象者の症状について質問しておりまして、平成二十八年の調査からは聞こえづらさに関する項目をより具体的に聞くことといたしました。

 この調査は令和四年度にも実施を予定をしておりまして、その際には、調査対象者に占める聞こえづらさのある方の割合が適切に推計できるように、全ての調査対象者に対して聞こえの状況の調査を行うなど、専門家の意見を聞きながら調査方法の改善を検討してまいりたいと考えております。

 また、障害の有無にかかわらず、国民全体から無作為に選ばれた方を対象といたします国民生活基礎調査、令和四年の国民生活基礎調査が予定されておりますけれども、この調査におきまして、補聴器を使用しても聞き取りにくいといった苦労はありますかという調査項目を新たに設けまして、実態を把握することを予定しております。

 厚生労働省としては、今後とも、これらの調査を実施しながら、障害に至らない難聴者を含む聞こえづらさを感じている国民の実態につきまして、きちんと把握してまいりたいと考えております。

國重分科員 実態が正確、適切に把握できなければ的確な手を打つこともできませんので、是非よろしくお願いします。また、こういう項目をつくるに当たっては、難聴全般の課題を解決するために事前にどういうような実態を把握する必要があるのか、こういった観点でも是非考えていただきたいと思います。

 ここで、後藤大臣にお伺いしたいと思います。

 五年前に、私、この分科会で、難聴、とりわけ障害に至らない難聴について、リーダーシップを取っている部署がないこと、議員会館の部屋で、当時、厚労省の関係部局の多くの皆様にお集まりいただいてやり取りをしたんですけれども、こちらがいろいろと聞いても顔を見合わせて探り合い、譲り合いで、非常にもどかしい思いをしたこと、お互いがばらばらに対応しているので、こぼれ落ちている難聴対策の課題があること、これらを包括的に扱って責任感を持って取り組むための役所内の体制整備を是非ともしていただきたいと訴えさせていただきました。

 これを受けて、縦割りのはざまに落ち込まないよう、課長クラスを構成員とする難聴への対応に関する省内連絡会議が、その年、平成二十九年の七月に設置をされまして、同年九月には第一回の会議が行われ、関係部局で現状や課題、円滑な意思疎通を図っていく旨の申合せがなされました。そして、これまでに四回の会議が開催されております。この連絡会議の設置それ自体は、私は高く評価をしています。

 一方で、今回の質疑に当たって数年ぶりに関係部局の皆様に集まっていただきました。そこで、やはり私、五年前に似た印象、残念な感情を少し抱いてしまったというのが、これも正直なところであります。

 つまり、省内の連絡会議ができて毎年会議は開催しているんだけれども、全体をリードして責任を持って対応できているところがない。関係部局の取組状況が書面で列挙はされていても、単に列挙されているだけで、部局の垣根を越えて、連携をして課題に取り組む姿勢、こういうものが薄いように私は感じました。

 私の本音では、リーダーシップを取る専門の部署を是非大臣につくってほしいというところなのでありますけれども、マンパワーの限界もあるかもしれません。そういったことが難しいのであれば、せめて、単にそれぞれの取組を確認するんじゃなくて、省内の連絡会議を真の意味で垣根を越えて難聴全般の課題や対応策を議論、検討する場にしていく、この省内連絡会議の実効性の向上を図る取組を是非していただきたいと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

後藤国務大臣 今委員からるる御指摘がありました難聴への対応、障害福祉の分野、母子保健の分野、健康診断や認知症対策等、あらゆる側面からの対応が必要とされております。

 今委員からの御指摘のとおりでございまして、平成二十九年七月に、難聴の方の支援について省内関係部局で情報共有等を行うための関係課長による連絡会議を、先生の御指導、御指摘を受けて設置をいたしております。

 御紹介のありましたとおり、四回の開催をし、早期発見、早期療育に関する取組等の進捗状況の確認等は行ってきております。

 第四回会議で議題といたしました難聴児の早期発見、早期療育推進のための基本方針については、近々取りまとめを行う予定でございます。取りまとめ次第、地域における取組を促進するために、会議をまた新たに開催する予定でございます。

 今、この会議等も含めて、もっともっとしっかりと実効性の高い政策を推進していくべきだという強い御指摘を受けたわけでございまして、本日の議員の御指摘も踏まえて、しっかりとした取組ができるよう、引き続き、省内で必要な検討も進めながら、この対策を推進してまいりたいと思っております。

國重分科員 職員の皆さんは人員が限られている中で懸命に御奮闘されていると思いますので、是非、それぞれの力がうまく発揮しやすい体制の仕組み、こういったものを大臣のリーダーシップで整えていっていただきたいと思います。是非よろしくお願いいたします。

 次に、新生児聴覚検査についてお伺いいたします。

 新生児聴覚検査の受検の有無について把握している市区町村は、今や九九・九%。皆様の取組で一〇〇%に近く今向上をしております。また、新生児聴覚検査の公費負担を実施している市区町村は、五二・六%。まだ半分程度とも言えますが、ここ数年で大きく割合が向上しているんですね。いずれも着実な、大きな前進です。

 そして、この新生児聴覚検査、厚労省の調査によりますと、受検率は九〇・八%。残り九・二%が未受検者になります。

 この未受検の原因というのは一体何なのか。日本産婦人科医会の調査では、公費負担がある地域とない地域での受検率に約一〇%の差があるとの指摘もありますが、こういったことも含めまして、未受診の原因について分析をして、全ての新生児、赤ちゃんが新生児聴覚検査を受検する体制整備を強化する必要があると考えます。見解をお伺いします。

橋本政府参考人 聴覚障害は、早期に発見され適切な支援が行われた場合には、音声言語発達等への影響が軽減されるということで、新生児聴覚検査を実施するということは大変重要でございます。

 厚生労働省といたしましては、新生児聴覚検査を推進するため、都道府県等に対しまして、通知や手引等をお示しして受検結果の把握をお願いしているわけでございますが、令和元年度における新生児聴覚検査の受検者数を集計している市区町村が全市区町村の九三・五%、それから当該市区町村での受検率が委員御指摘のとおり九〇・八%という状況でございます。どちらもここ数年少しずつ増えてきているような状況ではございますけれども、更なる向上を目指していく必要があるというふうに認識しております。

 そういったことから、先ほど大臣からお答え申し上げましたような、現在取りまとめ中の難聴児の早期発見、早期療育推進のための基本方針案におきまして、新生児聴覚検査の実施状況の把握とその結果の集約を行うということを、自治体の方にきちんと取り組んでいただきたい内容ということで盛り込んでいるところでございます。

 そういった取組を行いつつ、引き続き自治体の実施状況というものをしっかり確認しながら進めてまいりたいと考えております。

國重分科員 是非よろしくお願いします。

 ここでまた、後藤大臣にお伺いしたいと思います。

 現状では、軽中等度の難聴児童、難聴のお子さんについての補聴器購入の助成というのは、各都道府県、市区町村に任されています。ただ、特に言語獲得をこれからする子供に限っては、障害手帳を持たない子供も幅広く補聴器等の助成対象とすべきじゃないかという指摘がされておりまして、私も同じ意見であります。

 もちろん、ほかの障害とのバランス、こういった考慮すべき事情があることは承知をしておりますが、難聴の子供に対して早期に適切な支援が行われた場合には、より有効に音声言語の発達を促すことが可能になっていることからも、是非御検討いただきたい事項だと思っております。後藤大臣の御見解をお伺いいたします。

後藤国務大臣 補聴器購入に関する国の補助制度としては、障害者総合支援法に基づく補装具費支給制度があります。同制度の支給対象は、先ほどから議論になっておりますけれども、身体障害者手帳の交付を受けている障害者、障害児ということになっております。

 一方で、軽中等度難聴児は、手帳の交付を受けておらないわけでありますけれども、補装具費の支給対象とならないことから、一部の自治体では補聴器購入費の助成を実施していることは承知しておりまして、まさに先生の御指摘のとおりであります。

 これについて、軽中等度の難聴児、難聴者を補装具費支給制度の対象とすることについてでございますけれども、支援する場合の医学的根拠だとか、身体障害者手帳の認定基準の他の障害種別の適用とのバランスとか、財源の確保などを踏まえた慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

 他方、今先生から御指摘の難聴児の支援については、今年度中に、軽中等度難聴児も含めまして、都道府県に早期発見、早期療育を推進する体制を整備していただくための基本方針を作成することにしておりまして、具体的には、新生児検査等による難聴児の早期発見、難聴児支援のための中核的機能を有する体制の確保、手話や人工内耳等の療育の選択肢についての保護者への適切な情報提供、こうしたことに取り組むこととしておりまして、障害に至らない軽中等度難聴児を含めて、しっかり支援してまいりたいと思っております。

國重分科員 ありがとうございます。

 様々な課題があること、承知をしております。すぐに即答できるようなテーマでもないということも承知をしております。その上で、是非、またしっかりとした御検討をいただければと思います。

 今日は、障害に至らない難聴と難聴児に関する支援を取り上げさせていただきました。残り一問用意していましたけれども、ちょっと時間の関係で、もう終わらせていただきます。時間内に終わりたいと思います。

 最後一言だけ、質問の代わりに。

 大臣に是非御理解いただきたいのは、私、障害に至らない難聴のことを取り上げています。難聴障害者に関してはいろいろ施策はあるわけですね。ただ、日本の難聴障害者に対する認定は、諸外国の基準に比べて非常に厳しいものになっています。だからこそ、そこに至らない軽中等度の難聴者の方に対してどのような対応を取っていくのかというのは、高齢化が進んでいく日本において極めて重要な課題と思っております。

 そういった観点で、先ほどの省内の連絡会議の実効性の向上を始め、是非、大臣にこの分野にも着目していただいて、力を入れていただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

今枝主査 これにて國重徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、菊田真紀子さん。

菊田分科員 おはようございます。立憲民主党の菊田真紀子でございます。

 本日は、この予算委員会第五分科会にて御質問の機会をいただきまして、関係者の皆様の御配慮に心から感謝を申し上げます。

 そして、大臣、連日、大変お疲れさまでございます。

 オミクロン株の猛威による新型コロナウイルス感染症流行の第六波の中、現在、三十六都道府県で蔓延防止等重点措置が適用されておりますが、私の地元新潟県も、今回初めて蔓延防止等重点措置が適用されています。お亡くなりになられた方へのお悔やみと、そして罹患された方へのお見舞いを心より申し上げたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の感染者が初めて確認されてから、令和二年一月から二年以上が経過しましたが、残念ながら、感染の収束はまだまだ見えてまいりません。この二年余りの中で、国民全員が生活に我慢を強いられ、家計や仕事にも大きな負担、しわ寄せが押し寄せました。その中で、特に、新型コロナウイルス感染症と最前線で戦ってきた医療従事者の皆様の御奮闘に心より敬意を表したいと思います。

 今日の質問では、この医療従事者の方々が勤務していらっしゃる医療機関のコロナ禍における経営状況と、地方に医師が足りないという医師偏在の問題を取り上げさせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症に対応するために、病床の確保や宿泊療養施設の確保、院内感染防止対策といったハード面から、必要な医療人材の確保や報酬の手当てといったソフト面に至るまで、医療機関の負担は財政的、経営的な面からも増えています。コロナ禍の医療機関の経営状況が現在どのようになっているか、また、そのために政府としてどのような支援を行っているのか、まずお伺いいたします。

    〔主査退席、加藤(勝)主査代理着席〕

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年実施いたしました医療経済実態調査によりますと、一般病院の損益率は、令和元年度にマイナス三・一%であったところ、令和二年度におきましては、新型コロナウイルス感染症関連の補助金を除きましてマイナス六・九%、新型コロナウイルス感染症関連の補助金を含めますとプラス〇・四%となっておりました。

 医療機関に対する財政支援につきましては、これまでも、総額約六・八兆円の予算を確保するとともに、新型コロナ患者の診療につきまして、その診療報酬を大幅に引き上げる等の措置を講じてまいりました。今後とも取り組んでまいります。

菊田分科員 様々な交付金の給付、そしてまた大幅な診療報酬の拡大等で支援を行っておられるということでありますが、大変経営状況が厳しい、こういうことでございます。

 今のタイミングにおいては、こうした対応で、医療機関の経営は何とかぎりぎりやりくりできているところもあるかと思いますが、でも、これから先は、政府による公的支援がなくなったときに、本当に経営が苦しくなってくる病院や、事業継続を断念してしまう、そういう医療機関が出てくるのではないかと懸念をいたしております。

 私の地元の新潟県三条市に、新潟県厚生農業協同組合連合会、略して県厚生連が運営をする三条総合病院という、昭和八年にできました、伝統ある、地域に根差した病院がございます。この三条総合病院は、令和五年に県央基幹病院が開院するのに合わせて規模を縮小して、十九床の診療所として一定期間継続していくことが一昨年の県央地域医療構想調整会議で報告をされ、国の特例承認も受けていました。しかしながら、今年、年が明けましてから、有床診療所として継続はせず、県央基幹病院の開院のタイミングに合わせて三条総合病院を閉院する方向へと県厚生連は突然方針を転換しました。

 三条市側は、市長さんが、県厚生連との面談の後に、致し方ないと閉院をやむなく了承する意向を伝えたようでありますが、通院や入院をされている患者の方々や病院を頼りにしてきた地域住民にとっては寝耳に水の話でありまして、身近にあった安心してかかれる病院が突然なくなるのは不安しかないという声や、一定期間継続されるとの約束を突然ほごにするなんてひどい、このような声が上がり、大きな衝撃が広がっています。

 今回、県厚生連は、方針転換の大きな理由の一つとして、新型コロナウイルス感染症等による医療需要の低下を挙げています。現在は支援金等によって経営状況は黒字にありますが、支援金がなくなり有床診療所として継続した場合には年間約一億八千万円の赤字が生じる見込みのため、事業継続は困難、こういう判断のようであります。

 コロナ禍という危機的状況を何とか政府の支援金等でしのいだとしても、支援金が終われば、事業継続を諦めざるを得ないというケースが今後全国で出てくるのではないでしょうか。

 まず、三条総合病院が当初の約束どおり一定期間事業を継続できるよう、国として赤字を補填するなど何らかの直接的な支援を行うことができないのか、お伺いをいたします。

伊原政府参考人 今回の三条総合病院の再編統合問題は、地域医療構想の議論の中で進められてきたことと承知しております。

 今先生の御指摘ございましたけれども、個別の医療機関の個々の経営についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、医療機関の経営に関しましては、基本的に、まず各医療機関の診療の対価として得られる診療報酬による収入を基本としながら、不採算医療の確保など、政策的観点から補助金を設定し交付しているところでございます。

 したがいまして、それぞれの医療機関の事情はございますけれども、単に赤字であることのみをもって国がこれを補填するというのはなかなか難しいかと思っております。

    〔加藤(勝)主査代理退席、主査着席〕

菊田分科員 この三条総合病院だけでなく、新型コロナウイルス感染症等による患者の減少、医療需要の低下によって財政的に運営が厳しくなる医療機関が全国的に増えていくとなれば、困るのは安心して身近にかかれる病院をなくしてしまう地域住民であります。とりわけ地方は、人口減少そして高齢化といった課題を抱えています。住んでいる地域によって医療に格差が拡大するということ、これにどう対応するのか、大臣にお伺いします。

後藤国務大臣 今般のコロナ禍におきまして、必要な医療提供体制を確保するため、医療機関に対する財政支援としてこれまで総額約六・八兆円の予算を確保し、コロナ病床の確保のための病床確保料、医師、看護師等の医療従事者の派遣に対する支援など様々な支援を行うとともに、診療報酬の大幅な引上げなど、医療現場の状況を踏まえた対応を行ってきております。

 また、令和四年度の診療報酬改定におきまして、全体としてプラス〇・四三%の改定率とするなど、医療提供体制の確保に万全を期しております。

 引き続き、医療現場の状況を見ながら、地域において必要な医療が確保されるように、医療機関支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

菊田分科員 この新型コロナウイルス感染症がいつまで続くのか、そして、それは本当に分かりませんけれども、収束した後の病院経営、医療機関の経営というのは、大変危機的な、激変が生じてくるというふうに懸念をしておりますので、こうしたことについてもしっかりと厚生労働省として支援をしていただきたいというふうに思っております。

 やむを得ず病院が閉院してしまう場合には、通院している方や入院している患者の方々に、そしてまた地域住民の方、働いている職員、関係機関等への丁寧な説明やフォローアップが必要になると思いますが、厚生労働省としては、閉院の際にはどのようなフォローアップが必要と考えているのか、御答弁をお願いします。

後藤国務大臣 医療機関は、地域住民の健康、生命を守る重要なインフラでありまして、他の医療機関と役割分担、連携しながら、地域に必要な医療提供体制を確保いただいております。

 このため、医療機関が閉院する際には、一般論として申し上げますけれども、通院中、入院中の患者に対する説明や近隣の医療機関の紹介等の対応、閉院に伴って患者が受診することになる他の医療機関に対する説明や依頼はもちろんのこと、地域住民に対しても丁寧に状況を説明することが重要であると考えます。

菊田分科員 今大臣からお答えをいただきましたような丁寧な説明、そしてフォローアップが行われるよう、特に三条総合病院については、私もしっかりと注視をし、また支援をしていきたいというふうに思いますし、また、厚生労働省からも様々な御指導をいただきたいというふうに思っております。

 これまで、病院が閉院しようとしている場合の医療の提供などについてお尋ねをいたしましたが、そもそも地方においては医師が少なく、都市部に医師が多いという医師偏在の問題も、特に地方自治体にとって喫緊の課題となっています。

 今日は配付資料を二枚配らせていただきましたが、一枚目を御覧いただきたいと思います。

 「医師偏在指標に基づく本県の状況」、これは新潟県からいただいた資料でございますので、本県というのは新潟県のことになります。これを見ますと、残念ながら、私の地元の新潟県は、医師少数県のワースト一位となっています。

 医師偏在の問題については、大学の医学部に、特定の地域や診療科で診療を行うことを条件として奨学金の返還を免除する地域枠の活用や、医師の派遣等による医師確保など、これまで厚生労働省も様々取り組んでいただいたと伺っておりますが、まず、医師偏在についての現状認識と、医師偏在に対する取組状況を確認したいと思います。

伊原政府参考人 医師偏在につきましては、地域において必要な医師を確保するために、各都道府県において、医師確保の方針などを盛り込んだ医師確保計画を策定し、取組を進めているところでございます。

 具体的には、医学部の入学定員に地域枠を設定しまして、こうした学生を対象に修学資金の貸与を行うほか、専門医資格の取得など、本人のキャリアパスに配慮しつつ医師不足地域等で診療に従事することができるようなキャリア形成プログラム、こうしたものを策定、充実するといった取組を進めております。厚生労働省としましても、こうした都道府県が実施している取組に対しまして、地域医療介護総合確保基金により財政支援を行っております。

 また、医師養成課程を通じた都道府県間を含めた医師偏在対策といたしまして、臨床研修における都道府県ごとの定員設定、それから、専門研修における都道府県、診療科ごとの将来必要な医師数に基づく専門医採用数のシーリングの設定、こうした取組を進めているところでございます。

菊田分科員 医師偏在への対応として、地域医療対策協議会や地域医療支援センターによって医師の派遣調整が行われています。しかし、地域医療対策協議会や地域医療支援センターというのは都道府県ごとに設けられています。医師偏在指標ワースト一位の新潟県が幾ら調整を頑張っても、そもそも県内が医師不足の状態では、満足な医師派遣等の調整を行えるものではありません。

 現に、配付をしました先ほどの資料一枚目にありますように、新潟県内には七つの医療圏がございますが、六つの医療圏が医師少数区域に位置づけられているのでありますから、どんなに頑張ったとしても限界がございます。

 例えば、医師偏在指標が三百を超えている東京都や京都などから、新潟県のような医師不足の県に一定期間でもいいので医師の派遣調整を行う、そのような仕組みを厚生労働省が主導するべきではないかと考えますが、厚生労働省の考えを伺います。

伊原政府参考人 御指摘いただきました都道府県をまたいだ医師派遣に係る公的な取組でございますけれども、現在、専門研修という中で、専門医採用数の上限、これが設定された都道府県、つまり比較的医師の多い都道府県ですね、ここにある基幹施設が、シーリング対象外の都道府県、これは医師の少ない都道府県ですけれども、そこに所在する医療機関と連携してプログラムを設定いただいた場合には、シーリングを超えて専門医を採用することができるというふうにしております。

 こうした枠組みを使いまして、比較的医師の少ない都道府県への医師の多いところからの医師供給、これを進めているところでございます。

 厚生労働省としましては、今後も、様々な自治体の御意見ございますので、丁寧にお話を伺いながら、都道府県間を含めた医師の偏在対策、これを更に進めてまいりたいと思います。

菊田分科員 医師の多いところから医師の少ないところへの派遣について今ほどお尋ねをいたしましたが、日本全体の医師数というのは西高東低の状況にあります。

 資料の二枚目を御覧いただきたいと思います。これも新潟県からいただいた資料で、令和元年の数字を基にして作られたとのことでございます。一目見てお分かりになると思うんですけれども、東日本は東京を除いてほぼ赤一色、西日本は黄色、つまり、医師多数県が多い。医師の数というのは西高東低だと言えます。

 この西高東低の状況を生んだ原因は何なのでしょうか。

 一説には、戊辰戦争にあるとの話があります。

 江戸時代の高等教育や最先端の研究は、それぞれの藩の学校、藩校が担ってきました。戊辰戦争で幕府側として参戦した関東、東北の各藩は、武装解除させられて、藩校も取り潰されました。幕府側だった奥羽、会津にも全国有数の藩校がありましたが、戊辰戦争で焼失しました。

 こうして関東、東北に藩校がなくなっていった上に、明治維新以降、西日本の雄藩の藩校は、人材育成システムとして残されたまま、大学へと成長していった。それが東西の教育格差、ひいては現在に至る医師数の格差にもつながったのではないか、こういう説でございます。

 この説に関して大臣はどのようにお考えになるか、見解を伺いたいと思います。

 また、医師の偏在は日本の西と東で大きく状況が異なっていて、医師偏在の解消は都道府県内の取組だけでは限界があり、多少県境をまたがって行っても、事態は大きく改善していません。東から西まで、日本全体を俯瞰する視野で考えなければならないと思いますが、この点についても大臣に見解を伺います。

後藤国務大臣 戊辰戦争で敗戦した地域の医師不足問題、第五回の今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会において紹介されたということは私も伺っておりますけれども、歴史的な確認がどういうことであるのか、ちょっと、今ここで評価をすることは難しいと思います。

 西高東低の医師偏在という御指摘については、そうしたことはあると思っております。

 医師数についてでございますけれども、医学部定員を臨時的、段階的に増員してきたことによりまして総数は増加している一方で、地域間の偏在、また診療科の間の偏在が依然として存在をいたしております。偏在対策を講じる必要があると認識をしております。

 そのために、臨床研修や専門研修といった医師養成課程において、都道府県ごとに診療科ごとの定員を設定するなど偏在是正の取組を進めるとともに、都道府県において、各地域で必要な医師を確保するための方針、取組などを盛り込んだ医師確保計画を策定し、取組を進めているところでございます。

 今後、これまで取り組んできた医師偏在対策の状況を踏まえつつ、自治体の御意見も伺いながら、都道府県間の偏在是正を始め対策の更なる強化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

菊田分科員 ありがとうございました。

 最後に、医師偏在解消に向けた具体的な対策を提案したいと思いますが、これは新潟県からの要望でもございます。

 まず、医師少数県に限った医学部臨時定員増の措置延長と、既存医学部の定員増に向けた支援を行うべきと考えますが、厚生労働省の考えはいかがでしょうか。

伊原政府参考人 医師の養成数につきましては、医学部定員を段階的、臨時的に増員をしてまいりました。現在、その結果、全国の医師数は毎年約三千五百人から四千人増加しております。今後の医師の増加ペースにつきましては、人口減少に伴いまして将来的には供給が需要を上回ると見込まれるので、その点も考慮しながら考えていく必要があると考えております。

 そうした中で、令和五年度の医学部定員につきましては、医学部臨時定員における歯学部の振替枠、これを廃止いたしまして、この枠を、将来時点、具体的には二〇三六年ですけれども、その段階において医師不足地域と見込まれる都道府県において、令和五年度の地域枠臨時定員として活用することといたしました。

 令和六年度以降の医学部定員につきましては、まさに現在、医療計画の策定を通じた医療提供体制とか医師の適正配置ということを検討する必要があることから、現在、第八次医療計画等に関する検討会で議論をしておりますので、そうした議論を踏まえながら決めていきたいと考えております。

 今後の医師養成数につきましては、こうした医師需給を取り巻く環境、状況をよく考えながら、慎重に検討してまいりたいと思っております。

菊田分科員 地域枠、地元出身枠について、令和元年度の調査によると、平成二十二年度に入学した学生の学部六年、卒後三年の間、令和元年までの地域枠からの離脱者が一二%相当数あった、離脱者がいらっしゃった、こういうことを厚生労働省から伺っておりますが、地域枠は、全国の偏在解消に向け、医師少数県における将来の必要医師数を達成するための手段として活用されるべきものであり、離脱者が余り多く生じないようにするべきだと考えますが、この点、厚生労働省の考えはいかがでしょうか。

伊原政府参考人 御指摘の地域枠あるいは地元出身枠のお医者さんにつきましては、医学部卒業後の地域への定着割合が実際高うございます。そうした意味では、医師の偏在是正に向けて重要な役割を担っていると考えております。

 一方、御指摘のような例も含めて、これまで、地域枠等の定義が曖昧なために、都道府県ごとに定義に差がありました。あるいは、地域枠等からの離脱についても、一定数、御指摘のように認められたことを踏まえまして、令和三年の四月に、地域枠等の定義を明確にするとともに、離脱の考え方を整理するなどして、適正な運用を都道府県に求めたところでございます。

 こうした地域枠等の医師の定着を促進する観点から、各都道府県におきまして、地域枠のお医者さんがキャリアパスに配慮しつつその地域でしっかりと従事することができるようなキャリア形成プログラムの策定、充実を進めております。国としましても、地域医療総合確保基金において支援を行っております。

 こうした取組を更に一層進めていくことで、地域枠、地元出身者枠の医師の定着促進に取り組んでまいりたいと考えております。

菊田分科員 医師少数県は、地域枠設定や医師の派遣など医師確保の取組を行うと、どうしても多額の財政負担が生じてしまいます。医師少数県の取組を推進するために強力な財政支援を講じるべきと考えますが、大臣に見解を伺います。

後藤国務大臣 医師確保につきましては、都道府県が策定する医師確保計画に基づき、例えば、医師少数区域等で一定期間勤務することに同意して入学した地域枠の学生に対しまして修学資金を貸与するといった取組が行われておりまして、厚生労働省では、こうした取組に対しまして、地域医療介護総合確保基金により支援を行っております。

 令和三年度より、医師少数県においてより医師確保の取組が進められるように、地域医療介護総合確保基金を各都道府県へ配分する際に、医師少数県であるかどうか等の状況について考慮することといたしております。

 引き続き、都道府県による医師確保の取組を推進するために必要な支援を行ってまいりたいと思います。

菊田分科員 これは非常に重要な点でございます。やはり財政的支援がないと、自治体が取り組みたくても取り組めないという現実がございますので、強力にバックアップをお願いしたいと思います。

 最後に、せっかくの機会なので、ちょっと通告していなくて大変恐縮でありますが、医師の働き方改革、医師確保、偏在対策の一体的な推進ということについてもお伺いしたいと思います。

 時間外労働の規制の取組だけでは、医師不足地域における医療提供体制に多大な影響を与えることが想定されるほか、やむなく長時間労働が必要である医療機関が特定されることによってかえって医師確保が困難になるおそれがありますから、働き方改革の推進に当たっては、地域における医師確保、偏在対策と一体的に進めるべきではないかというふうに考えますが、厚生労働省の考え方をお聞きしたいと思います。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 医師働き方改革につきましては、二〇二四年に本格的にスタートするということになっております。そこに向けまして、今、二〇二二年でございますので、あと二年ちょっとということになりました。

 この医師働き方改革は、医師の時間外労働を少なくしていくということを一つの目的として実施されるわけですけれども、先生御指摘のように、この実施の進め方は、当然、地域の医療に大きな影響を与える可能性があると思っております。そうしたことから申しますと、やはり、医師偏在対策とか、それから地域医療の確保といったことをトータルに考えて進めていく必要があると思っています。

 特に、具体的に、あと二年先に働き方改革が施行されるということもありまして、我々としましては、できるだけ早いうちに実態調査というものを進めたいと思っております。この医師働き方改革が各病院にどのような影響を及ぼすのか、あるいは地域医療にどういう影響を与えるかということを実態を把握しまして、実際の二年後の施行に向けまして必要な対応、これを考えていきたいと思っております。

菊田分科員 ありがとうございました。

 新型コロナウイルス感染という、本当に誰もが予想ができない、そういう感染症との戦いの中で、医療従事者、医療現場の最前線で頑張っていただいております。相当無理な働き方になっているということでありますので、こうした点からも、是非、厚生労働省から中長期的な支援をしていただきたいというふうに思っておりますし、私は、国民として、どの地域に生まれ育とうが、そこに、医療が受けられる、あるいは受けられない、そういう格差があってはならないという思いでございますので、是非、採算性とか効率化だけでなく、地域で安心してかかれるように、高齢化や過疎化が進む地域であってもしっかりと身近にかかれる病院が確保されるように、医師が確保されるように、引き続き大臣が先頭に立って御支援をいただきますようお願いをいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 大変ありがとうございました。

今枝主査 これにて菊田真紀子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井分科員 三十分間質問させていただきます。

 後藤大臣、そして尾身理事長、尾身分科会長、どうかよろしくお願いをいたします。

 まず、今の状況でありますが、感染者ですね、ピークアウトしたのではないかと言われておりますが、残念ながら、昨日は二百三十六人と過去最多の死亡者、そして重症者も増えているということであります。

 私も非常につらい思いをしまして、私の身近な方でも、この一週間で三人の御高齢の方がお亡くなりに、コロナでなられました。それで、非常に私も本当に泣きましたが、といいますのが、入院できなかったと。救急で入院したいということで言ったけれども、三人とも入院することができず、医療が逼迫して亡くなってしまった。もちろん、病気でお亡くなりになるのは、人間ですから仕方ないところもあるんですけれども、入院さえできていたら命を救えたというふうにお医者さん方もおっしゃっておられるわけですね、その三人に関しては。そう考えると、これは本当に深刻な事態だなというふうに思わざるを得ません。

 そういう中で、私は非常に今日も質問に際しひっかかっておりますのは、この間、繰り返し、結果的にはですが、オミクロン株は重症化しにくいという楽観的なイメージが結果的には振りまかれてしまったのではないかと思います。もちろん、後藤大臣を含め、岸田総理も、重症化しにくいけれども、基礎疾患のある高齢者が感染すると死亡のリスクが高いということは御丁寧に当初からおっしゃっていられるんです。おっしゃっていられるのは分かるんだけれども、やはり、国民の中には、最初の言葉である、あっ、オミクロン株、重症化しにくい、そうしたら割と心配しなくていいよねというのが、かなり深く入ってしまっていると思います。

 私自身、重症化しにくいということで、恥ずかしながら、ちょっと、軽く、甘く見ていたことが私自身もございます。

 そういう中で、まず、尾身会長にお聞きしたいんですけれども、感染者数はピークアウトしつつあると見られていますけれども、重症者のピークアウトというものは、一週間後、二週間後、いつぐらいになると思われますか。

尾身参考人 委員おっしゃるように、新規の感染者は感染のスピードが少し鈍化しているということだと思いますけれども、これは、当初から、委員もおっしゃっていたし、厚生省も言ったし、我々も言っていたとおり、感染者のピークはいずれ来る。これは県によって違いますけれども、来ても、恐らく重症者の発生のピークはそれより数週間遅れるということが当初より予想されていた、それが今起きていると思います。

 今委員がおっしゃるように、これは重要な今局面になっている、厳しい状況になっているので、私は、オミクロン株の今の状況に合ったというのはどういうことかというと、感染すると重篤化するリスクの高い人というのはある程度分かっているわけですよね、その人たちに重点的になるべく早く検査をして治療に結びつけるということで、軽症者の方には、やや弾力的に保健所、医療体制を。そういう重点化、重症化予防の重点化ということに少ししっかりとこの時期は切っていくことが重要だと思っております。

山井分科員 今、尾身会長から、数週間、重症者のピーク、ピークアウトが遅れる可能性があるというお話がありました。

 私も、今の御答弁を聞いて、意外とというか、ちょっと長いなと思ったんですけれども、数週間ということは、今、感染者数はピークアウトじゃないかと言われていますけれども、ということは、下手をすれば、あと一か月ぐらい重症者数が減らないという危険性もあるということでしょうか。

尾身参考人 一か月と私が申し上げたのは、ピークアウトする時期は各都道府県によって違いますよね。今までの諸外国の例を見たり、諸般のいろんな情報を総合的に考えますと、恐らく、ある県が新規の感染者がピークアウトしますよね、それから重症者、当然、少し続いて、今、もう当然続いているわけですよね。その重症者のピークアウトというのは、新規感染者のピークアウトから数週間、これは何週間というのはなかなかいろんな情報で違いますけれども、すぐにはピークアウトしないし、そんなに何か月ということもないと思います。数週間で重症者の方もピークアウトするというのが、恐らく、いろんな情報を考えると、そういうことが起こる可能性があるのではないかと我々は判断しています。

山井分科員 ということは、今日が二月十六日ですから、三月に入ってもまだ重症者が増え続けている可能性があるということではないかと思うんですけれども、そこで、一番深刻なのは致死率なんですね。

 これは前回も尾身会長と、先週火曜日、後藤大臣とも議論をさせていただきました。そのときも後藤大臣からは、この致死率というのは、今下振れしている可能性がある、今後上がっていく可能性があるという答弁がありました。そのとおりですね。

 この資料にありますように、国立感染研によると、国内の季節性インフルエンザの致死率は〇・〇二から〇・〇三、この赤線ですけれども。それに比べて広島は、今回というか最新のデータでは〇・二三%。そして、次の大阪も〇・一〇%。この大阪の〇・一〇%といいますが、大阪は、例えば一月三十日の時点で〇・〇四%だったのが、二週間で倍増以上に増えているんですね。

 そういう意味では、このグラフにありますように、後でもちろんお亡くなりになるわけですから、致死率がこれからどんどん上がってくるということを考えると、最初の話に戻りますが、オミクロンは重症化しないと言っていたけれども、後になったら、結果的には、非常にこの致死率、より正確に言いますと、先週、尾身会長からも御答弁いただきましたけれども、分母が多いから致死率という言葉では正確に反映できないのかもしれませんが、やはりオミクロンで、少なくとも絶対数の死亡者がこれからも増え続けるというリスクがあるのではないかと思います。

 そこでなんですが、先週も、この感染者数が、富士山形で緩やかにだらだらと長引くのか、マッターホルン形ですとんと下がるのかという議論をしましたが、この死亡率、致死率のことも含めて、あれから一週間たちましたけれども、尾身会長の認識として、この感染者、あるいは重症者というものに関しては、すとんとマッターホルン形で下がりそうなのか、緩やかに高止まりする富士山形になりそうなのか、そこの現状認識、お聞かせください。

尾身参考人 今の現状は、感染者が、私、前も申し上げましたように、若い年齢層は比較的落ち着いて、感染のパターンが二極化している。保育所とか学校というのは、非常に若い、児童。それともう一つは、高齢者の感染が、クラスターが高齢者施設で起きているということで、そういうことが今続いていますよね。

 したがって、委員のお尋ねのマッターホルンか富士山形と言うと、今のところまだ、高齢者のクラスターが継続していますよね。ここの感染は重症化、最悪の場合は死に直結するので、ここの感染が今続いているので、ここをどう抑えるかによって状況は少し変わってくると思いますけれども、今の段階では、急にマッターホルンのようにいくというよりも、やや、どちらかというと富士山形にいくことをもう覚悟しておいた方がいいんじゃないかと。

 それをなるべく早く垂直の方に近づけるために、今、懸命な努力をこれから国、自治体、我々国民も協力してやるべき時期に差しかかっていると思います。

山井分科員 私は、尾身会長のおっしゃっていることは非常に重要で、といいますのが、私の周りで今どういう声が出てきているかというと、ピークアウトしたんでしょう、ということは、もう三回目のワクチン接種、やめておきます、もうピークアウトしたんですよね、こういう認識があるんですよ。

 ところが、今尾身会長おっしゃったように、高止まりするリスクはあるし、おまけに重症者は、これから死者も数週間増え続けるということは、言いづらいけれども、ここで気を緩めたら、本当に今尾身会長おっしゃっていたように、どんどんどんどん高止まりして、出口が見えなくなってくるリスクがあると思うんです。

 そこで、尾身会長にお伺いしたいんですが、私はもうこの出口戦略、分科会でも議論されるそうですけれども、三条件ではないかと思います。

 一つは、三回目のワクチン接種がどれだけ進むか、一つが三回目のワクチン接種の進捗率。二つ目は、検査体制の充実、先ほどおっしゃった、すぐに検査を受けられる検査体制の充実。それと三つ目は、経口薬、飲み薬の供給の整備。

 この三点だと私は思うんですけれども、尾身会長からして、今後出口戦略ということを考えたときに、出口戦略の要件というものはどういうものだと思われますか。

尾身参考人 今委員おっしゃるように、ワクチンと検査と薬という三要素が非常に重要だというのは、私も全く同感です。

 その上で、この前の基本的対処方針分科会で、いろいろな医療関係者だけじゃなくて、経済だとかいろいろな方がおられるので、そこで出た意見の趣旨はこういうことだと思います。

 出口戦略といってもうすぐに出口が、それで今安心なんということじゃなくて、私は二つのことを考えたらいいと思います。

 まずは、今のこの現状ですよね、もうオミクロン株によって重症者が増えている、それで富士山形になる可能性があるというこの状況を、どうこれをなるべく早く抑えていくかという出口戦略が一つあると思います。

 それともう一つは、一応、今のいわゆる第六波を抑えた後、この後のことは、これはどちらかというと中長期の話だと思いますけれども、このことも考えておいた方がいいと思います。

 この二番目の方は、実はかなり不確定要素があって、これからウイルスの変異ということもあるし、どこまで感染を下火にできるかといういろいろな、あと、日本の医療体制、検査体制、薬の、そういう今委員がおっしゃるようなことがあるので、ここは、中長期の方は、私は幾つかのシナリオを用意しておく必要があると思います。

 一つ、これだけでいくという、これは今、このウイルスの特徴は、まだウイルスとしての進化の、進行中なんですよね。だから、このままいくというふうに、全てをそこにかけるというよりも、幾つかのシナリオごとの対策というのを早めに、そういう意味での出口戦略ということだと私は思っています。

山井分科員 短期と中長期があるということなんですが、中でも私は、一番喫緊の課題は、やはりブースター接種、ワクチン接種だと思うんですね。

 デルタ株が、すとんと感染者が減ったのも、やはりワクチン接種が急速に進んだということだと思いますし、今欧米で、マスクが要らない、制限を解除する、それもブースター接種のある程度の浸透が前提だと思うんです。

 そこでなんですが、昨日、岸田総理は、百十万回、一日、増えましたという話なんです。

 そこで、現状では、高齢者の中で、八百八十万回、九百万回、この配付資料にありますが、二五%なんですね。約九百万回、二五%。それで国民全体では約九%となっております。

 例えば、高齢者の二五%、九百万人しか打たれていないんですけれども、出口戦略というものを考えるときに、二五%、九百万人、大体、尾身会長としては高齢者の何%ぐらいが打たないとやはり社会が正常に戻れない、あるいは出口が見えてこないというふうに思われますか。

尾身参考人 何%というのは、治療にどれだけアクセスできるか、あるいは検査ができるかということで、いろいろなファクターで、要素で影響されるので、はっきり何%とは言えませんが、私は、今委員おっしゃった、高齢者が今のところワクチン接種をしたのが大体二五%で、今急激に国や自治体の努力でいっていると思いますけれども、高齢者のパーセントも重要ですけれども、実は、高齢者施設への、高齢者施設等ですよね、特養とか老健、こういう施設での追加接種というのが、正確なあれはちょっとないですけれども、私の理解は、半分いっているか、いかないかぐらいなんですよね。

 そこの接種というのは、高齢者の接種をもっと上げることが重要ですけれども、今一番最も重要なのは、実は高齢者施設等へのワクチン接種を促進するということ。高齢者の中にも元気な高齢者はおられる、そっちもやっていただきたい。そこにかなり集中的に、ある意味ではワクチンを打つ医療関係者等々がむしろ出向いていってやるということで、そっちをともかく、今、半分弱なんですよね。ここをともかく、八割以上とか、高齢者施設の、ここが実は、今、高齢者の重症化の一つの一番大きな原因になっているので、そこをまずは集中的にやるということだと思います。

 あとの一般の何%かというのは、これはいわゆる集団免疫という考えがあって、なかなかはっきりしたことは言えませんけれども、なるべく早く少なくとも五割をいって、それから六割、七割、八割と早くいってほしいというふうに思っています。

山井分科員 今おっしゃったように、私の身近でも、私も先日訪問しましたが、介護施設でクラスターが起こって、二、三十人、職員さんと入居者さんが感染されている。あるいは、障害者施設でもクラスターが発生した。もう日本中そういう状況なんですね。

 そこで、後藤大臣に質問通告をしておりますが、問題は、海外の事例でも、亡くなった方の半分以上は介護施設だったというような事例も海外であるわけですけれども、日本のまず現状、介護施設の高齢者、何人中何割が打っておられるのか、そして介護職員、何人中何割が打っておられるのか、これは質問通告しておりますので、お答えください。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンの三回目接種、本当に今委員の御指摘のとおりで、介護施設等の高齢者施設、最も重要なことだというふうなところは全く同感で、今、必死になって取り組んでおります。

 今、二月八日の時点で、七割以上の自治体で十二月以前に施設に案内状を既にしっかりと送っている、案内済みであるというふうに答えておりますし、一月までにほとんどの自治体で案内を実施済みということでございます。

 今、どのぐらい多くの自治体でそういった準備が進んでいるということでございますが、現在の接種完了者数あるいは完了見込み者数につきましては、二月末までの接種完了見込みの把握に努めているところでありまして、現在、総務省と連携をしながら、各自治体に対しまして改めて最大限の努力をお願いするとともに、その実数の把握等を行っているところでございます。近々、本日にも数字を出すようにということで調査をいたしております。

山井分科員 これは長妻議員も先日後藤大臣に要望された件なんですが、今、尾身会長からも話があったように、全国で介護施設でクラスターが起こって次々と高齢者が死んでいる、一番の最優先課題が介護施設の高齢者と職員の方にブースター接種、三回目接種をすることだと言っているときに、現状で何割の介護職員が、高齢者が打っているかは今調査中ですというのは、でも、今日発表してくださるということで、私たちも今までから要望していましたから、ありがたいことなんですけれども、やはり、それは非常にちょっと残念なんですよね。

 それで、先日、長妻議員からも話がありましたが、今日中に現状が報告されるそうですけれども、これは本当に、私も言われましたけれども、介護施設、あるいは障害者施設でクラスターが発生して、そこでお亡くなりになった方が残念ながらおられます。もう地獄だとおっしゃっていましたね、地獄だと。それぐらいせっぱ詰まっております。

 これ、守るには、もちろん医療体制の充実も重要なんですけれども、ブースター接種しかないと思うんです。

 ついては、長妻議員からも要望させていただきましたように、今日、現状把握をした上で、やはり二月末までには全ての介護施設の入居者、介護職員の三回目接種完了、もちろん強制はできませんよ、大前提ですけれども、強制はできないとはいえ、希望者の全員の接種を目指す、そのことを、後藤大臣、この場で言っていただけませんか。

後藤国務大臣 ワクチンはあくまで希望する方に接種するものでありまして、対象となる方全員に接種するということは限らない、そういうことに留意すべきであるというふうに考えておりますけれども、介護施設の入所者等のうち、希望する方への接種については、二月末までに完了できるようにということで、我々としては、今必死に取り組んでいるところであります。

山井分科員 これ、申し訳ないけれども、先日、源馬委員への質問の回答で、二月中の完了を、介護職員、介護施設の入居者、目標としているわけではないと答弁されたので、私も質問しているんですけれども、ということは、あれから数日たちましたけれども、今日においては、介護施設の高齢者、そして介護職員も含めて、セットで、希望者にはですよ、繰り返し言います、希望者には二月末の接種完了を目指す、そういうことでよろしいですか。

後藤国務大臣 目標として目指しているのかということでいえば、目指しているということだというふうに思いますけれども、お尋ねのときに若干ニュアンスが変わりますのは、それが、努力したいということであるのと、例えば、一日百万回の接種というようなお尋ねの、いわゆる目標として達成するということについて、若干のニュアンスの違いがあるわけでありますけれども。

 ともかく、高齢者施設については、本当にできる限りということで、前倒しが遅かったと御批判を受けている六か月の前倒しについても、施設関係は最初から六か月の前倒しということで、医療関係者と同等の重要性を感じて取り組んでまいりましたので、我々としては、二月いっぱいに何とか進めるように最大限の努力をしてまいりたいと思います。

山井分科員 この議論は、長妻議員、源馬議員、私と続けてやっているんですけれどもね。

 ちょっと、念のためなんですけれども、自治体に通知を今日にでも出していただけませんか。今朝も私、地元のお医者さんから言われました。介護施設で打とうと思ったら、いや、まだちょっと早いから、打ったら駄目と自治体から止められましたと。残念ながら、そういうところがあるんです。これは後藤大臣が悪いわけじゃないんですけれども、やはり、これだけ介護施設が重要だと言っていても、正直言って地域によって温度差があるんですよ、本当に。

 そういう意味では、本当に二月末を目指すんだということは、国会で言っていただいても、それは、言っちゃ悪いけれども広がらないわけで、ついては、今日中にでも、二月末までに全ての介護職員、そして入居者に打つように目指してください、希望者にはということを、自治体に念のため通知で出していただけませんか。

後藤国務大臣 これまでも度々通知は出しておるんですけれども、希望する方への二月末までの追加接種を確実に完了いただけるよう最大限の努力をお願いいたしますということで、そう書きました通知を二月の十五日に発出いたしております。

山井分科員 ということは、昨日出したわけですね。(後藤国務大臣「はい」と呼ぶ)分かりました。

 それで、全ての方へのワクチン接種の話になりますけれども、岸田首相は、昨日、百十万回ということを、一日に、増えたということなんですけれども、このグラフを見てみましたら分かりますように、そもそもの接種対象者数は、二月末までで三千七百四十六万人なんですね。しかし、百万回やっていっても、ここにありますように、二千五百万回、六七%しか達成しないんです。

 だから、百万回、百万回とおっしゃって、これは一月二十五日に私が数値目標を決めてやってくださいと言ったことに対して、岸田首相が二週間遅れで百万回とおっしゃったわけなんですけれども、一歩前進したとはいえ、じゃ、百万回打ったら安心かというと、百万回打っても、三千七百四十六万人、二月末までの全国民の対象者のうちの六七%なんです。ここにありますように、百五十万回平均でいくと、三千百万回で八三%。平均、今日からあと二週間、二百万回、一日打つと、九九%。菅総理は、百五十万回までされました。

 そういうことも踏まえて、やはり百万回達成できた、よかったにはならないと思うんです。百万回達成しても、元々の目標の七割、六七%しか打てないわけなんですね。

 ついては、岸田総理も、昨日、百十万回達成しましたとおっしゃった以上、もう目標は達成しちゃったわけなんですよ。ついては、このグラフを見てもらったら分かりますように、これは本当に、このスピードによって、出口が早まるか遅まるかが決まると思うんですね。

 ついては、是非、後藤大臣、やはり今後は、百万回もう達成できたから百五十万回を目指すというふうに、ちょっと引き上げていただけませんか。いかがですか。

後藤国務大臣 昨日、公表日別の追加接種の接種回数が百十万回ということで、VRSの入力データから分かりました。

 政府としましては、二月のできるだけ早期に一日百万回というふうに申し上げているので、一、二回目接種のときと同じ考え方で、その日に接種された回数、一日にですね、それが百万回以上となることを目指しておりまして、できる限り速やかにそうした目標に向けてしっかりやっていきたいというふうに考えております。

 ともかく、総接種回数の増加回数が百万回を超えたことも一つの指標であるというふうに考えておりますけれども、今後ともますますしっかりとペースアップに努めていきたいというふうに思っております。

山井分科員 先ほど、介護施設については通知を出したということですが、それであれば、次に急ぐ高齢者、今、この接種対象者が、高齢者は二月末まで二千九百万人なんですね。でも、今は、先ほど言ったように九百万人、つまり二五%しかいっていないんです。でも、ここに書いてある年末の予定どおり二千九百万人に打てたら、八〇%の高齢者が打てたことになるんです。

 一日百万回というよりも、それは重要ですよ、それもやっていただくんだけれども、やはり元々、これはスケジュール、枠を確保してあるわけですから、接種体制も整備してあるわけですから、長妻議員もおっしゃったように、二月末までにこの二千九百万人、その体制は用意してあるんだから、高齢者二千九百万人に打つようにという、こういう通知、自治体に出していただけませんか。

後藤国務大臣 今お示しをしていただいているその図でございますけれども、まさに数字について、もちろん、厚生労働省が出している数字ですから、そのとおりなのは当たり前なんですが、一、二回目、接種が完了した方が、二回目の接種完了後、三回目接種を受けるタイミングがいつになるかということを、前倒ししたときにはその前倒しに合わせて、きちっと二回目接種からの推計を、時期を踏まえて算出したものでございます。

 また、二月のできるだけ早期にともかく一日百万回までペースアップするということを目標として掲げて今取り組んでおりますし、また、各市町村等に聞いていますと、二月の末日までに、二月中に接種を希望する高齢者の皆さんに打てると、打つというふうに答えている自治体は九七%おりまして、我々としては、関係自治体に何らかの支援が必要であれば支援もいたしますし、また、国民の皆様には、ワクチンの有効性や安全性、あるいは、ワクチン接種に当たっての交互接種の安全性、有効性等も含めて、しっかりと御説明することによって、ちょっとでも早くに進めていけるように必死に取り組んでいきたいと思っております。

今枝主査 山井君、時間が来ておりますので、終わってください。

山井分科員 時間が来ましたので終わりますが、やはり、一日百五十万回に引き上げるなり、二月末の予定の高齢者二千九百万人、そして全国民三千七百万人という、何回打つという目標を是非決めていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

今枝主査 以上で山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林茂樹君。

小林(茂)分科員 自由民主党の小林茂樹でございます。

 今日は、第五分科会にて時間を三十分間頂戴いたしました。貴重な時間でございますので、国民の健康、長寿に関わる厚生労働省に関する分野において、項目を四項目にわたりましてお尋ねをしてまいりたいと思っております。

 連日、重責を担って、また激務でいらっしゃいますが、後藤厚労大臣におかれましては、御答弁いただきますようにお願いいたします。また、政府参考人の皆様、御協力よろしくお願いいたします。

 項目と申しましたのは、まず、新型コロナ対策の、感染症法上の類型、それから経口薬の地方への配付、これが一項目。そして二番目に、自殺対策について少し総論も含めてお話をしてまいりたい。三つ目に、住宅内での健康づくりという観点から一点。そして最後に、学童保育でございます。

 後藤厚労大臣には、新型コロナ対策の部分のみお尋ねをしてまいりたいと思っております。

 まず、この感染症の分類についてでありますが、我々、過去に経験をしてこなかった新型コロナという感染症でありますが、どう対応したらいいのかについても、試行錯誤といいますか、状況に応じていろいろ対策を講じてきたわけであります。また、国民の皆様方の御協力によりまして、世界の中でも比較的感染を抑制できていると言ってもいいと思います。これは感染者数、死者数共にであります。

 その中で、新型コロナ感染が拡大し始めた二〇二〇年の春夏ぐらいであろうかと思うんですけれども、その頃から感染症法上の類型をどうしたらいいのかという議論が始まりかけ、そして約一年たった昨年の秋頃は、相当多くの議員の方々からもでありますが、そろそろ感染症の類型を二類から五類へ変更するべきではないか、でなければ社会的機能が麻痺してしまう、そして、極端に言えば、この後に自殺に対して言及いたしますが、いわゆる経済死と呼ばれるような状況を生んでしまうのではないか、そういう懸念からこの感染症法類型を変更してはどうだと。

 要するに、命を守ることは重要であるけれども、同時に、経済界において、飲食や観光、交通、こういった業界に過度なストレスを与えて、ストレスといいますか、移動制限を加えることによって業界の本来の事業を抑制することによって非常に経済界は打撃を受けている、そして、そこにお勤めになっている方々も経済的な困窮から自ら命を絶っていく、中間を飛ばした言い方をするとそういう状況に至るのではないかということがありました。

 そこで、現在の二類に定められている感染症法上の類型であります。これは、感染者に入院を促していくなど的確な指導を行うためには必要な措置であると思います。ただ、現在のオミクロン株特有のもの、特性に鑑みまして、五類に分類をすることによって経済を元に戻していく、こういう考え方があると思います。

 一昨日に開催をされました奈良県の天理市長を会長とする奈良県市長会と奈良県選出の衆参国会議員との意見交換会においても、この辺り、切実な要望がございました。

 また、最近の状況としては、学校の現場でもいろいろな弊害が出てきている。例えば、マスクを着けて登園、登校することによって、顔が分からない、顔が認識できない、友達ができない。感受性といいますか、そういう人間性の部分で影響が出てきているのではないかという声も聞くわけであります。

 まず、この辺り、感染症法上の類型の二類から五類への変更について、いかがでしょうか。お尋ねをしたいと思います。

後藤国務大臣 今委員から御指摘がありました感染対策、感染の広がりを防止するというそういう問題と、そして、国民の命と暮らしを守りながら、できる限り経済活動に制約のないそういう道を探らなきゃいけないという御指摘は、そのとおりだろうというふうに思って、仕事に取り組んでおります。

 その上で、感染症法上の各感染症の取扱いでございますけれども、感染症は、感染力及び罹患した場合の重篤性等を総合的に勘案しまして、講ずべき措置を踏まえてその位置づけが定められておりまして、今般の新型コロナウイルス感染症については、感染症法上、新型インフルエンザ等感染症に位置づけられております。

 仮に、新型インフルエンザ等感染症から五類感染症に変更する場合には、感染症法上の入院勧告とか入院措置だとか、例えば検疫法上の隔離措置だとかいうようなものが行えなくなりますし、そもそも、特措法の適用、今、蔓防等が指定されておりますけれども、そうしたことも含めて適用ができなくなるというようなことも含めて、総合的に勘案する必要があるというふうに思っています。

 その上で、五類感染症、感染力及び罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点から、危険性が高くない等の要件に該当する感染症が指定されるということになっておりまして、仮に、新型コロナウイルス感染症の分類を五類感染症に変更する場合は、そうした要件に該当する必要があることになります。

 しかしながら、オミクロン株については、専門家から、感染力が高い一方で、感染者の多くは軽症、無症状であり、重症化率は低い可能性が高いといった分析は報告されているものの、まだその特性は十分明らかになっているというわけではありませんし、先ほど申し上げました、危険性が高くない等の要件に合致しているというふうに今の段階で判定することは、感染法上の位置づけの変更のことも含めて現実的ではないというふうには考えております。

 他の感染症との比較や、オミクロン株を含めて変異を繰り返す新型コロナの特質等もしっかり考えた上で、今後、感染状況の実態や、オミクロン株あるいは新型コロナウイルスの性状をよく踏まえながら、厚生労働省の審議会等において専門家の意見も伺いながら、しっかり議論していきたいと思っております。

小林(茂)分科員 ありがとうございました。

 いろいろ問題もあるということでございます。これは第六波でございまして、第一波、第二波と、我々、本当に予想もできなかった状況が今起こっているわけでありまして、いたずらにこの感染症法類型を変えるだけで状況が急によくなるということではないでしょうし、今大臣がおっしゃった特措法との整合性を考えると、容易に類型を変えられるものではないということはよく分かりました。

 ただ、そのような声があると。つまり、何類という数字ではなくて、現実の運用として、例えば、省令であるとか、また新たな特措法の改正等々によって国民生活を正常に戻すような方策というものは、これは多分、省庁連携していただいていると思うんですが、その上で必要になってくるかと思いますので、引き続き御検討をよろしくお願いいたします。

 どうすれば類型を変えられるのかというよりも、どうすれば国民生活を元に戻せるのか、そちらの方が大事だと思うんですが、そこで、次の質問なんですが、どうすれば国民生活を戻せるのか。その一つの鍵が、やはり身近に摂取できる経口薬であろうかなと思います。

 これらについての開発も、国内で開発ができるのか等々の期待もありましたが、今ようやくその治療薬の投与が始まっていくという段階に来たということであります。新型コロナから国民の命、健康を守っていく、感染拡大を防止するためには、これまではワクチン接種に頼っていたわけでありますが、今後、経口薬が投与されていくということに期待をしていきたいと思っております。

 感染拡大を食い止める重要な手段として期待されていますが、ただし、またワクチンの地方への配付と同様に、この辺り、いわゆる目詰まりのようなものを起こさないかという危惧もあるわけでありますが、この辺り、経口薬の地方自治体への配付状況について、見通し、それから期待される効果についてお聞きしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、ファイザーの経口薬、パキロビッドパックにつきましては、二月十日に行われました薬事・食品衛生審議会において特例承認されているところであります。

 本剤につきましては、本年中に二百万人分を確保しておりまして、先行して納入されている四万人分でありますが、二月下旬にも追加で納入を予定しているところでございます。

 また、もう一つの経口薬、MSD社のモルヌピラビルにつきましても、本年中に百六十万人分を確保しておりまして、当初、年度内に合計六十万人分が納入される予定でありましたが、今、前倒しをお願いしまして、追加で二十万人分、合計で八十万人分が三月末までに納入される予定となっております。

 治療薬の確保については、複数の治療薬を確保して、必要な量を順次納入できるよう企業と交渉を進めているところでございます。また、治療薬の確保によりまして国民の治療へのアクセス向上をするとともに、重症化を予防することによって国民の皆さんが安心して暮らせるように努めてまいりたいと考えております。

小林(茂)分科員 よろしくお願いいたします。

 感染に注意を払いながらも、発症した際に症状を軽くすることができる、そういう効果にも期待をしていきたいと思っております。

 世界一斉にこの感染が拡大したということも一つの理由であったと思います。仮に、どこかの地域で集中的にこういう状況が起これば、世界中の薬を集めていくということができるわけでありますが、今回の状況としては世界一斉にというところが大きいのかなというふうに思っております。

 質問項目を変えまして、自殺対策についてお聞きしたいと思っております。

 少し時間をかけてお尋ねしようと思うんですが、十四年連続で三万人を超える自ら命を絶つ方がおられるという状況、世界的にも自殺率が高いと言われていたわけでありまして、この辺りの国際比較というものも最後にお尋ねしようと思うんですが。

 ちょっと視点を絞りまして、年代ごとに、また性別ごとにこの発生状況を見たときに、従来は、一番自殺の多かった性別というと圧倒的に男性でありまして、そして年代でいうと五十歳代、その次に四十歳代、こういう傾向であったかと思います。二〇一二年に三万人を割りまして、以降、二万人台がずっと続いているわけであります。ただ、女性に関しては、減り幅がそれほど大きく減っていない。と同時に、若年層ですね、児童生徒と呼ばれる、もちろん幼稚園、小学校というのはほとんどないわけでありますが、中学生、高校生と呼ばれる学生さんについては、少し、僅かではありますけれども増えているという傾向にあろうかと思っております。

 これを新型コロナの影響だというふうに直ちに結びつけていいかどうかについては議論が分かれるところかと思いますが、一つの仮説としては、先ほどの経済苦ではないんですけれども、しわ寄せが弱者の方に行っているのではないか。非正規雇用の比率の高い女性が職を失って生活に苦しんでいって、そして頼るところがなくなって、また地域でも孤立をし、また相談をする仲間、家族もいなくなって、命を絶つという最終的なそういう道を選んでしまう、こういう構図も一つ想像できるわけであります。

 女性及び若年層に対する自殺対策については以前から取り組まれていることとは思うんですけれども、最近の状況なども含めてお尋ねをいたしたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 コロナ禍の令和二年、令和三年の自殺者数は、男性は減少を続けたものの、女性は増加に転じております。また、小中高生の自殺者数は、令和二年には過去最多となり、令和三年は減少したものの、過去二番目に多い状況でございます。

 この自殺の原因でございますけれども、様々な要因が複合的に関わっていると考えておりますが、女性の原因、動機を見ますと、健康問題、家庭問題、経済、生活問題、勤務問題が、それから、小中高生の原因、動機を見ますと、学校問題、家庭問題が挙げられており、コロナ禍で自殺の要因となり得る様々な問題が悪化したことや、特に令和二年については、著名人の自殺報道も影響があったのではないかと考えております。

 私どもといたしましては、こうした状況から、自殺を考えている方に対する電話相談や、女性や若者の利用が多いツールであるSNS相談等の相談体制の拡充に努めるほか、やむを得ず職を失った方へのきめ細かな就労支援、それから生活資金でお悩みの方への支援に取り組むなど、自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して、総合的な対策を着実に推進していきたいと考えております。

小林(茂)分科員 状況はよく分かりました。

 私、この分科会の質問をするに当たって、厚労省さんが発表された、自殺の概況及び自殺対策の実施状況、これを参考にしているんですが、少し古めのやつを手に取ったんですね。平成三十年度の実施状況を、ちょっと少し遡って見ていたわけですね。トレンドというか趨勢を見るために少し古いものを見ていたわけですが、この時点で既に、若年層それから女性についてのケアが必要ではないかという調査がありましたので、やはりこの辺り、着眼点としては厚労省さんの視点というのは正しいというふうに思いますが、より一層、今おっしゃったように、若年層に対してはやはりSNSというものが効果的なのかなというふうにも思いますので、よろしくお願いいたします。

 私、予算委員会の分科会で質問をいたしました。八年前であろうかと思うんですが、そのときにも自殺の問題を取り上げたわけでありますが、当時は私も現役というか現職の電話相談のボランティア団体の役員を務めておりましたが、現在は既に退職、辞任をいたしておりますので、客観的にといいますか、俯瞰的に物事を見れるようにはなってきているわけでありますが、それぞれのやはり、こういうボランティア団体、強み、弱みがございます。私が携わっていたのは、いのちの電話でございますが、その名のとおり電話回線を通じて相談を受け付けてきたということであります。

 自殺願望の女性の命を数多く奪った座間の事件、本当に悲惨な、痛ましい、恐るべき事案でありましたけれども、このときにも、命を絶ちたい、死にたい、そういう意見が寄せられたのは、SNSを介してであったということであります。

 いのちの電話も、全国約五十センターございますが、その中にも、ちょっと前であればインターネット、現在であればチャットとかSNS等々を使ったツールで相談を受け付けているとは思うんですが、ツールを切り替えつつある、必要があるかなと思うんです。及び、SNS上での犯罪を誘引するかのような書き込みについては、これは恐らく、厚労省さんだけではなくて警察庁さんも協力をしながら取り締まっている、あるいはサイトの削除を要請しているということかと思うわけでありますが、この辺り、若年層に限らず、コミュニケーションの手段、これがLINEやメールに最近変わってきているということであります。

 厚労省にお聞きをしますが、SNSを用いた自殺防止の活動状況、それから自殺防止ボランティアへの支援というものを財政面も含めてどのように行われておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

    〔主査退席、加藤(勝)主査代理着席〕

山本政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、地方自治体や民間団体と連携しまして、自殺を考えている方に対する電話相談に加えまして、女性や若者の利用の多いSNSを活用した相談を実施しております。

 令和二年度の民間団体によるSNS相談件数は、年間約六万件の相談を受け付けているところでございます。

 新型コロナウイルス感染症の影響による自殺リスクの高まりが懸念されておりますので、令和二年度補正予算や予備費を活用し、SNSによる相談体制の拡充等を図っております。また、令和三年度補正予算及び令和四年度予算案においても、継続的な支援を行うこととしております。

 引き続き、様々な悩みを抱える方々からの相談につなげられますように、特に、お悩みになられている方々、きちんとつないでいくためには多様な相談窓口が重要だと考えておりますので、それらの相談窓口の周知を図るとともに、地方自治体や民間団体と連携して取り組んでいきたいと考えております。

小林(茂)分科員 予算についてはお触れいただけないでしょうか。予算、金額について。

山本政府参考人 令和四年度予算案でございますけれども、地域自殺対策強化交付金として約二十八・七億円を計上させていただいております。

 また、令和三年度補正予算額といたしまして、新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金として六十・九億円の内数ということで事業を展開しているところでございます。

小林(茂)分科員 百億円以内ということであり、それが多いとか少ないとか、ここでは評価をいたしませんが、年間二万人が亡くなられる。あるいは未遂者を含めるともっと大きい。そして、亡くなられた方の周りには大きく深く悲しむ方が五人以上おられる、こういうふうによく、俗に言われるわけでありまして、費用対効果と簡単に区切れない案件ではあるんですけれども、効果を発揮するような事業、そういうものが見つかれば、また積極的に支出をしていただきたいなというふうにも思っておりますが、それもまた民間団体との連携というものが必要だと思いますので、活動状況、どのような活動をされているのか、どのような効果を生んでいるのか、あるいはどのような悩みを持っているかということについても、活動団体との連携をより深めていただきたいというふうに思っております。

 一つ悩みを申し上げますと、やはり、相談員が減少してきたとか、会を運営していくそのものの資金等々についても枯渇をしている。運営資金の大半は寄附によっているわけでありますので、効果的な、財政的な支援、国からも必要とされているということをお伝えをしたいと思っております。

 自殺に対しての質問、これが最後でございますが、先進諸国との比較でありますね、先進諸国内での比較。ずっと、趨勢というか傾向があるわけでありますが、少し目を離していくと、ほかの国々が改善をしているとかいろいろあると思いますので、最新の状況をちょっと頭に入れていきたいなというふうに思っております。

 自殺率というのは、十万人当たり何人発生をしたかという表現をするわけでありますが、例えば二〇〇五年、平成十七年であれば、十万人当たり二十四人であった。これを、計画としては十年間で減少させて二〇%減らせば、二〇一六年に十万人当たり十九人とする、これを目指したわけでありますね、厚労省さんの発表によれば。昨年であれば、計算してみますと十万人当たり十六人。既に、ここ数年、二〇〇五年当時の目標は達成をしているわけでありますが、しかし、各国と比べるとまだまだ高水準にあるというふうに思っております。

 自殺対策基本法あるいは大綱に基づく官民挙げての取組の成果と言っても私はいいと思っておりますが、やはり、しかしそれでも、二万人という数は余りにも多いですね。私の持ち時間は三十分でございますけれども、この三十分間の間に、もう単純計算で既に一人が亡くなられている。次の三十分でもまたお一人亡くなられるという状況でございます。一日で五十人以上の方が亡くなられているということであります。

 他の先進国と比較しての日本の状況、お尋ねしたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 WHO、世界保健機関が諸外国の自殺のデータを公表しているところでございます。それぞれの国の年代が異なる点に留意をする必要はございますが、先進七か国、それから韓国とロシアの最近、直近の十万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率を申し上げますと、日本が十六・一、アメリカ十四・七、フランス十三・一、ドイツ十一・六、カナダ十一・三、イギリス七・三、イタリア六・五、韓国二十六・九、ロシア十一・七となっております。

小林(茂)分科員 イタリアが群を抜いて低いというところを参考にしたいなと思うんですが、家族の在り方、あるいは健康づくり、あるいは生活貧困者を生まないという政策、総動員してやっていかねばというふうに思っております。

 自殺に対する質問は以上でございます。

 残り時間で二つやりたいんですが、三点目、ヒートショックに関してであります。

 ヒートショックなど自宅で亡くなられている方、どのぐらいおられるのか。自殺者は二万人、そして交通事故死者は三千人を切ってきたというところでありますが、意外にも、自宅で入浴中等々で亡くなられている方の数が大変大きいわけであります。まず、ヒートショックで亡くなられている方の数、そしてあわせて、WHOが設けた室内の基準室温というのは冬場で十八度というふうに言われているんですが、我が国ではこの数字をどのように捉えておられるのか、あるいは適正気温のようなものがあるのか、お尋ねをしたいと思います。

佐原政府参考人 ヒートショックの発生件数は把握しておりませんが、ヒートショックと関連があるとされる入浴中の急死数につきましては、平成二十四年度に行われた厚生科学研究によりまして、病死等も含め、年間一万九千人と推定されております。

 また、WHOのガイドラインにおいて、冬季の室内気温が十八度以上であることを強く勧告するという記載があることを承知しております。

 国内においても、国土交通省の財政支援の下、医学、建築環境工学の有識者から成る関連事業により、室温が健康に与える影響に関する調査が進められているところでございます。

小林(茂)分科員 もう一度お尋ねしたいんですが、WHOが一九八六年にヘルスプロモーションというものを提示した。そして、健康を維持増進させる方法論として、快適な住居環境を整備する。これに対して、我が国でも二〇〇〇年に健康日本21という運動を始めたわけでありますが、現在の健康日本21の中で、こういった適正気温といいますか、そういったものを取り入れるお考えがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 御指摘のヒートショックへの取組は、健康の維持増進にとって重要な、住環境を含めた社会環境整備につながるものというふうに考えておりまして、本年夏以降の次期国民健康づくり運動プラン策定に向けた議論の中で検討してまいりたいと考えております。

小林(茂)分科員 御検討よろしくお願いいたします。

 最後に、学童保育でございますが、学童保育もやはり新型コロナで影響を受けたのではないかな、こう思うんですが、新・放課後子ども総合プラン、この制定の経緯等々をお伺いしたいと思います。

橋本政府参考人 放課後児童クラブでございますけれども、待機児童を早期に解消するとともに、質の向上を図るということが重要な課題でございます。

 今、委員御指摘になりましたように、新・放課後子ども総合プランというものを平成三十年九月に策定しているわけでございますけれども、待機児童が多数出ている、そういった状況などを総合的に踏まえまして策定したものでございまして、このプランに基づきまして、待機児童を解消するために、待機児童が発生している市町村等における施設整備費の国庫補助率のかさ上げを行い、放課後児童クラブの受皿整備ということを今進めております。

 またあわせて、放課後児童クラブの質の確保ということをしなければなりませんので、放課後児童支援員に対する研修ですとか、あるいはそういった支援員の処遇改善の推進、あるいは育成支援の周辺業務を行う職員の配置、こういったことなどを行っているところでございます。

 こういった取組を通じまして、放課後児童クラブの待機児童の解消、それから質の確保、こういったことを進めてまいりたいと考えております。

小林(茂)分科員 ありがとうございました。

 学校が開かれた学校であればいいのになというふうに思うんですね。教育大附属小学校で起こった児童殺傷事件を機に、小学校、中学校、常に使わないときは門は閉じられているという状況ですので、地域や学校関係者、そういった方々に協力を得て学童保育を充実させるということが非常に今は難しくなっているというところでもありますので、引き続き、この学童保育の問題にも私も携わってまいりたいと思っております。

 これで終わります。ありがとうございました。

加藤(勝)主査代理 これにて小林茂樹君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

今枝主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。金城泰邦君。

金城分科員 こんにちは。公明党、金城泰邦と申します。

 本日は、予算委員会分科会、初めての質問でございまして、後藤大臣におかれましては、出席いただきまして、ありがとうございます。

 早速でございますが、質問に入りたいと思います。

 まず初めに、知的障害者行政の課題について質問いたします。

 周知のとおり、身体障害者は、身体障害者福祉法で定義されています。精神障害者は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、通称精神保健福祉法で定義されています。

 ところが、知的障害者は、知的障害者福祉法で知的障害者に対する福祉サービスに関する規定は記述されていますが、知的障害あるいは知的障害者の定義は規定されていません。

 知的障害者に対する福祉サービスは少しずつ充実してきていると思いますが、法律上、知的障害あるいは知的障害者の定義が規定されていないことにより、知的障害者福祉行政が混乱している状況があります。

 具体的に言うと、身体障害、精神障害、知的障害、それぞれ手帳制度がありますが、身体障害、精神障害の手帳は法律に基づき交付、運営されていますが、知的障害の療育手帳の制度は、昭和四十八年九月二十七日厚生省発児第一五六号、厚生事務次官通知に基づき、各都道府県知事等の判断により実施要綱を定め交付、運営されています。

 自治体により障害の程度区分に差があり、また、各判定機関におけるボーダーラインにも差が生じています。自閉症の方への手帳交付は、都道府県によって対応が違い、ばらつきがあります。精神障害者保健福祉手帳を交付するところ、療育手帳を交付するところ、さらには、障害者保健福祉手帳と療育手帳、両方を交付するところというふうに、様々な自治体があります。

 社会保障審議会障害者部会による、令和三年十二月十六日の、障害者総合支援法改正法施行後三年の見直しについて、中間整理において、療育手帳は、現時点で法的な位置づけはなく、各自治体が自治事務として運用しており、自治体ごとに検査方法等の判定方法や、IQの上限値や発達障害の取扱い等の認定基準にばらつきがあり、手帳所持者がほかの自治体に転居した際に判定に変更が生じる可能性や、正確な疫学統計が作成できない状況等が指摘されていると、現状を認めています。

 先日、我が公明党としまして多数の障害者団体より要望をヒアリングいたしました。その中では、多数の団体よりこの問題が指摘されております。

 例えば、日本発達障害ネットワークの方々からは、国際的な動向を踏まえた発達障害、知的障害の定義の整理が必要である、この団体としましては、知的障害者の定義が法的に置かれていない状況の改善が必要であると考えますとの項目が提示されております。

 また、一般社団法人日本自閉症協会からは、親亡き後を踏まえると、知的重度障害の休日を含めた支援が必要です、グループホームでの休日支援の整備をお願いします等々あります。そして、療育手帳の在り方につきましても、療育手帳の基本となる知的障害の定義を国として正式に定めてくださいとの要望が出ております。

 また、全国手をつなぐ育成会連合会の皆様からも、六十五歳未満の知的障害者は九〇%以上、九三%、そして精神障害者は七〇%近くが親と同居であり、とりわけ知的、精神障害者の地域生活は何歳になっても家族の支えが前提となっています、親亡き後でなく、親あるうちから、家族同居を前提としない障害者の地域生活が実現できるよう、本気で共生社会を実現するという意気込みを示してください。

 等々、このような形で各種団体の皆様から要望をいただきました。

 そこで、厚生労働大臣にお伺いいたします。

 知的障害あるいは知的障害者の定義を法的に明確に位置づけを行うとともに、療育手帳制度も法律に基づいて規定して、国が全国統一的な運用を行うよう早急に対応するべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。

後藤国務大臣 今委員から御指摘がありました療育手帳制度は、厚生労働省からの技術的助言を踏まえまして、各自治体が自治事務として運用しておりまして、知的障害の定義の難しさを背景として、自治体ごとに知的障害の判定方法、また発達障害の取扱い等の運用にばらつきがあることが指摘されております。

 これまで療育手帳の交付の実態について調査を実施してきておりますけれども、運用の統一については、これまでの手帳の交付を受けてきた者が交付を受けられなくなる可能性があること、また、自治体に運用の変更を強いることになること、それから、療育手帳を活用している様々な他の制度に影響を与えるおそれがあること、例えば特別支援学級の適用だとか、バスの割引だとか等々、様々な懸念があることが判明をしております。

 そうしたことから、この療育手帳の運用の統一化、制度化につきましては慎重な対応が必要だと考えておりますけれども、様々なこうした懸念を念頭に置きながら、今後、国際的な知的障害の定義や、自治体の負担等も踏まえた判定方法や基準の在り方、運用統一化による関連諸施策への影響等もしっかりと含めて検討しながら、幅広く調査研究を行ってまいりたい。

 委員御指摘の問題は非常に重要で、しかし、いろんな意味で過去の歴史も積み重なってきておりまして難しい問題だという認識を持ちながら、今後しっかりと研究を進めてまいりたいと思っております。

金城分科員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 私自身も、一番末の娘が自閉症と重度知的障害の合併障害を持っておりまして、地元沖縄県では療育手帳を発行していただいていまして、その療育手帳の障害は、一応、身体障害者手帳という形の手帳をいただいているところで、しかしながら、様々な障害支援区分に従って、A1クラス、それなりの行政サービスをいただいているところでございます。

 地方地方で工夫をしているところでありますけれども、やはり、住む地域によって差が生じるということの課題は一刻も早く改善していく必要があると思っております。

 私の日常生活の中でも経験していますのが、やはり、知的障害のある方は意思表示の問題がございまして、私自身も昨年十月三十一日に衆議院に初当選させていただきましたけれども、私の娘は、初めて衆議院の、十八歳になって投票できたんですね。ですけれども、隣の町では、同じ年齢の同じクラスの子が投票できなかったということもございました。行政の対応で違いがある。

 あと、政府が今デジタル化を進めておりますけれども、マイナンバーカードの交付ということにつきましても自治体で差がありまして、私の地元では、十五歳以上の知的障害があって意思表示ができない方について、保護者が同伴してできる自治体もありますが、その同じ都道府県の別の市町村では、十五歳を超えた方が、本人の意思表示ができなくて、四桁のパスワード入力ができない状況ということで、マイナンバーカードの交付が認めてもらえなかったという事例もありまして、そういった一つ一つの細かい事例が都道府県、市町村、地域で違っているというのが現状としてございますので、そういったことも大臣にはお伝えしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。障害者福祉サービスの就労継続支援A型事業の運営について質問させていただきます。

 現在、障害者の就労支援対策は、障害者総合支援法に基づき、就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業、就労定着支援事業の四つの就労系障害福祉サービスにより支援が行われています。

 そのうち、就労継続支援A型について、その事業の概要は、厚生労働省の資料によりますと、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等の支援を行うという事業で、対象者は、移行支援事業を利用したが企業等の雇用に結びつかなかった者、あるいは、特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが企業等の雇用に結びつかなかった者、あるいは、就労経験のある者で現に雇用関係の状態にない者が対象、平成三十年四月から六十五歳以上の者も要件を満たせば利用可能となっています。

 サービスの内容については、一、通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援する。二、一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能である。三、多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員十人からの事業実施が可能である。四、利用期間の制限はなしとなっています。

 令和三年九月の実績で、四千四十一事業所で七万八千八十二人が利用しています。この制度は障害者の就労支援に大変貢献しているものと考えます。

 ただ、実際に利用を申し込まれた方の御意見がありました。それは、この事業の対象者について、六十五歳に達する前五年間障害福祉サービスの支給決定を受けていた者で、六十五歳に達する前日において就労継続支援A型の支給決定を受けていた者は当該サービスについて引き続き利用することが可能との規定があります。六十五歳を過ぎた方が新規ではこのサービスを受けることができません。しかし、片や、現実には六十五歳を過ぎた方でもサービスを受けている方もいます。これは不公平ではないかとの御意見なんです。

 今、日本社会は全般的に労働力不足の状態であり、健康で文化的な生活を続けるために、六十五歳を過ぎても働くことができる方は働く方が望ましいと考えられています。障害者についても同様だと思います。

 そこで、厚生労働大臣にお伺いいたします。障害福祉サービスの就労継続支援A型の年齢制限を引き上げるとともに、六十五歳以上の方が新規にこのサービスを受けられるように是正するべきと考えますが、大臣のお考えをお尋ねいたします。

後藤国務大臣 就労継続支援A型の利用対象者につきましては、それまで一律に六十五歳未満としていたところ、平成三十年度の障害福祉サービス等報酬改定におきまして、六十五歳に達する前五年間において継続的に利用していた場合は六十五歳以降の利用を可能としたところでございます。

 今委員からも御指摘がありました更なる要件の緩和についてでございますけれども、年齢や障害の有無にかかわらず就労の機会を提供する観点から、当事者のニーズや利用状況を十分に踏まえつつ、今後の報酬改定等において検討してまいりたいというふうに思っております。

金城分科員 しっかりと報酬改定をやっていただく中でこの就労支援を改善していただければと思っておりまして、私自身も地元で様々こういった御要望を受ける中で、今後は、六十五歳を超えた方、年金も増えていく方向であれば安心できるんですが、なかなかそこは厳しい状況に今、世の中がなりつつある。

 その中で、最終的に公助として生活保護の支援を受けるという選択肢もありはするんですけれども、本人の意思としては、なるべく公助に頼ることなく自助努力で頑張っていきたいという思いがありまして、共助のような形で年金の仕送り制度はありますけれども、そこの安心感がなかなか厳しいという昨今の状況にあっては、やはり、自助努力を思っている方がよりその意欲を発揮できる環境を社会として認めていただきたいと思っておりまして、生涯年齢も百歳までということで、今は年齢も引上げを世の中では認めていく方向でありますから、是非、大臣におかれましても、そういった方向を一日も早く取り組んでいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、最後に、沖縄県と鹿児島県の奄美群島のドクターヘリの広域連携について質問させていただきます。

 奄美群島南部三島は、鹿児島県の奄美のドクターヘリの圏域であるとともに、沖縄県のドクターヘリの圏域でもあります。しかし、奄美群島南部三島の住民は、沖縄県のドクターヘリの広域連携の対象になっているとの認識は薄いと思います。奄美群島南部三島の中でも、沖縄県ドクターヘリの拠点病院の浦添総合病院の方が奄美大島の拠点病院の鹿児島県立大島病院より近い島があり、具体的には与論島でございますが、その島では沖縄県ドクターヘリを利用したいとの希望、要望があります。

 厚生労働省の情報として、鹿児島県と沖縄県の間で、鹿児島県一部地域における広域連携に関する内容について合意済みであり、実態上連携して対応していると考えられると説明をされました。毎年、鹿児島県側から沖縄県に県境を越えた運航に関する依頼を行っているとのことでございます。

 また、ドクターヘリ運航は、令和四年度導入予定も含め、四十四道府県五十四機で実施されております。

 厚生労働省は、県境を越えた広域の運航については、運航の現状について詳細に把握していないと思われます。特に、沖縄県と鹿児島県島嶼部においては、救急医療に対して以前より自衛隊や海上保安庁などの協力をいただき対応しているとの話を聞きますが、その実態や詳細を全体的に把握しているところはないようです。

 そこで、厚生労働大臣にお伺いいたします。

 奄美群島南部三島の住民が安心して救急医療を受けられるために、厚生労働省は、県境を越えた広域運航について救急医療提供が欠落することのないよう対応するべきであります。また、該当地域住民が県境を越えた広域運航を実施していることを理解できるような活動に努めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 また、平成十三年度から始まり二十年を超えたドクターヘリ運航について、厚生労働省は、運航事業の現状について全国点検を行い、ドクターヘリ運航による救急医療に遺漏なき対応を行うべきと考えますが、御見解をお尋ねいたします。

後藤国務大臣 ドクターヘリにつきましては、現在、四十四道府県で五十四機導入されておりまして、全国配備が進んでおります。

 そのような中で、二十七地域、四十道府県においては、県境を越えた運航に関する協定も締結されておりまして、ドクターヘリによる患者の広域搬送が広範に行われていると認識をいたしております。

 鹿児島県と沖縄県については、ドクターヘリによる患者の広域搬送について、知事の間での協定は締結されていないが、奄美南部三島における広域連携に関する内容については事務レベルで合意し、実際に県境を越えて運航しているというふうに承知をいたしております。

 今後は、先生からの御指摘もありましたように、より効果的、効率的な運用を図る観点から、都道府県間における広域連携を進めていくことが重要であると考えます。これまでの協定の内容や広域連携の実態について調査をするとともに、地域住民への周知も含めまして、広域連携の普及策について検討していきたいと思います。

金城分科員 御答弁ありがとうございます。

 今現在、事務レベルの合意が得られているということでございましたが、やはりきちっとした知事間の合意に基づいて協定が結ばれるべきであると私は考えておりまして、そこはしっかりとまた国としてもできるところは応援をしていただきたいと思いますし、今後、全国点検の結果につきましてはしっかりと公表する方向で取り組んでいただきたいというふうに考えております。その点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

後藤国務大臣 今の申し上げたとおりでございますけれども、協定の内容や広域連携の実態について厚生労働省として調査をしっかり行いまして、地域住民への周知も含めまして、更なる広域連携の普及についてしっかり検討していきたいと思います。

金城分科員 ありがとうございました。

 二点目は消防庁にお伺いいたします。

 ドクターヘリ運航は、まず消防の救急隊が急病患者、負傷者の現場に急行し、救急隊が判断してドクターヘリ運航を要請するのが一般的であると考えます。

 ドクターヘリが県境を越えた広域運航を実施している地域において、消防、救急隊がドクターヘリの要請を行う際に、複数のドクターヘリを要請できる場合の対応について手順の確認を徹底することが必要と考えますが、消防庁の御見解をお伺いいたします。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般的に、県境を越えたドクターヘリの広域運航を実施している地域におきましては、関係する県や医療機関などで広域運航に係る協定を締結いたしております。その中で、他県のドクターヘリを要請できる場合の基準として、出動要請が重複した場合や多数の傷病者が発生した場合のほか、傷病者の生命に関わる等の緊急性を有する場合で基地病院からの運航距離及び時間をより短縮できる場合などを定めております。

 これを受けて、各消防本部におきましては、一一九番通報により現場に到着した救急隊が、傷病者の状態を確認をし、先ほどの要請基準に合致する場合は、救急隊が直接又は消防本部の通信指令室を介して、他県の基地病院に対しドクターヘリの出動を要請いたします。

 委員御指摘のとおり、こうしたドクターヘリの具体的な要請の手順を各消防本部及び各救急隊においてしっかりと確認、また習熟し、適切に運用することは、ドクターヘリの的確な要請を行う上で大変重要であると考えております。

金城分科員 御答弁ありがとうございました。

 今答弁にありましたように、例えば奄美群島の中の与論島におきましては、奄美市、県立大島病院からの距離が約二百十キロ圏内の端っこの方にあります。一方で、沖縄県の浦添市にありますドクターヘリの拠点からは、およそ五十キロから百キロ圏内の間にあります。ですので、距離的にも沖縄県に搬送する方が早い距離でもあるということと、あとは、実際に与論島にお住まいの方々、これまで長きにわたりまして、沖縄県の北部地域、特に国頭村は、沖縄の本土復帰の辺りからずっと、その前から交流をしている、親、兄弟島というぐらいの関係にあります。

 つまり、そこに住まわれている方々は生活圏が一緒だという認識がありまして、何かあったときに頼りになる地域に行きたいという思いもあると思いまして、そういったことも含まれて判断をすることもあるのかなと思っておりますので、是非今後の救急搬送の際にそういった視点も入れていただければと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤政府参考人 委員が御指摘をいただきましたように、それぞれの地域におきましてドクターヘリの要請基準というのが定められておるところでございまして、その地域地域の実情に応じて定められた要請基準に従いまして、各消防本部また各救急隊におきましては、その手順をしっかりと踏まえた上で適切なドクターヘリの要請に努めてまいりたい、このように考えております。

金城分科員 御答弁ありがとうございました。

 本日、初めての質問ということもございまして、大臣にも御答弁いただきました。これからしっかりと、福祉の取組、様々な、報酬改定の議論も含めて、より改善していく方向に努めていただきたいと思いますし、消防庁の皆さんにおかれましても、厚生労働省との連携によるドクターヘリの圏域を越えた場合の運航についても、しっかりとまた、命を守る取組、力を尽くして頑張っていただきたいと思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

今枝主査 これにて金城泰邦君の質疑は終了いたしました。

 次に、一谷勇一郎君。

一谷分科員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、コロナ感染症によってお亡くなりになられた皆様に哀悼の誠をささげます。また、エッセンシャルワーカーの皆さんの活動に感謝を申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。

 本日の質問は、感染症分類二類相当などのことに関してお伺いをさせていただきます。

 感染症対策を行う中で、経済も疲労し、不満も出てきていると思います。ここで改めて、国民と政府の信頼関係を確認したいと思います。

 信頼関係の上で大切なのは比例原則だと考えます。例えば特措法や感染症法などでも、人権保障の視点から、規制の最小限度の措置が規定されていることは確認できます。

 比例原則は、規則によって得られるメリットと発生するデメリットのバランスを取るもので、これによって国民の納得が得られるのではないでしょうか。現状では、規制の方が少しきつい、そういったバランスが取られているように思います。

 コロナの収束を見据えた議論や対策を行う上での科学的な基準を明確にすることで、国民の納得が得られ、また、今後、更なる変異、未知の感染症が発生したときに、国民と国家が一体となった迅速な対応につながり、デメリットが最小化されると思います。

 先日、我が党、日本維新の会の池下卓議員の、二類相当から五類へ変えていただきたい、医療体制の崩壊を回避したい旨の質問に対して、後藤厚生労働大臣は、感染症法上の感染力及び感染時の重篤性と、総合的に判断、さらに、五類感染症に変わったら、感染症法上の入院勧告、検疫法の隔離、特措法の適用ができなくなり、総合的な判断から新型インフルエンザ等感染症に位置づけているとの御答弁でしたが、国民に対して、入院勧告、検疫法上の隔離、蔓延防止、特措法の適用ができなくなるから新型インフルエンザ等感染症に指定しているのであれば、目的がぼやけてしまい、最終的な、国民及び経済の健康維持という目的が見えにくくなり、各論に終始しているように見えます。

 特措法の適用に対しては、メリット、効果とデメリット、被害が発生します。特措法第五条では、基本的人権の尊重の視点から、規制は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければならない。コロナ対策のこの目的、手段、メリット、デメリットのバランスが重要となりますが、ここで質問をさせてください。

 蔓延防止や緊急事態宣言などの手段が先行すると、特措法一条の、「新型インフルエンザ等に対する対策の強化を図り、もって新型インフルエンザ等の発生時において国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにする」という特措法の目的や、社会生活に対する規制が最小化されず、五条の基本的人権が尊重されないのではないでしょうか。どうぞ御答弁をよろしくお願いをいたします。

後藤国務大臣 五類感染症につきましては、感染力及び罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点から、危険性が高くない等の要件に該当する感染症を指定しておりまして、仮に新型コロナウイルス感染症の分類を五類感染症に変更する場合には、そうした要件、危険性が高くない等の要件に該当する必要があります。

 御指摘のように、どんな措置が適用になるかという出口からではなくて、そうした感染症の特徴からの議論でございます。

 しかしながら、オミクロン株につきましては、今、専門家から、感染力が高い一方で、感染者の多くは軽症で、無症状であり、重症化率は低い可能性が高いといった分析が報告されているものの、まだその特性が十分に明らかになっているわけではありません。そうした状況の中で、オミクロン株の感染が続く中、今、このタイミングで感染症法上の位置づけを変更することは現実的ではないというふうに考えております。

 ただし、季節性インフルエンザとの比較や、オミクロン株を含めた、変異を繰り返す新型コロナの特質をしっかり考えた上で、今後の感染状況等も踏まえまして、厚生労働省の審議会等において、専門家の意見も伺いながら議論していくことが必要だと思います。

 また、今委員から御指摘のありました、経済活動あるいは感染防止、この両面をしっかりと、新型コロナウイルス、オミクロン株等の性状や感染状況も見極めながら、最小限の規制という御指摘もありましたけれども、しっかりと考えていく必要があると思っております。

柳樂政府参考人 特措法に関してお答えいたします。

 特措法に基づいて、基本的対処方針におきましていわゆる緊急事態宣言あるいは蔓延防止等重点措置が出ていない通常の地域におきましても、国民に対して分かりやすい情報提供、あるいは一般的な、基本的な感染対策の徹底の呼びかけ、あるいは業種別ガイドラインの策定、実践、あるいはテレワーク、時差出勤などによる人との接触を低減する取組の推進というような、いわゆる行動制限を伴わないような感染対策の推進をお願いしております。

 また、感染拡大の傾向が見られる場合には、先ほどのような、蔓延防止等重点措置が出ていない一般の都道府県においても、強制力を伴わない要請、つまり協力のお願いのような形で、飲食店に対する営業時間の短縮ですとか、多人数での会食の回避、大規模イベントでの人数上限に沿ったイベント開催というような要請は可能ということで、こういう対策に取り組んでいただいておりますが、その上で、それにもかかわらず、都道府県、特定の区域において感染が拡大をし、蔓延防止等重点措置の要件に該当するような場合に、政府対策本部長が専門家の意見を踏まえた上で総合的に判断をしていくということでありますので、いわゆる宣言ありきというような、規制ありきという考えではなくて、そのとき、手順を踏んだ上で、状況の回避、感染拡大の防止などに必要な段階で措置を講じるということにしております。

 それから、中身に関しましては、具体的な措置の内容は科学的知見を有する感染症の専門家で構成される基本的対処方針分科会の御議論を得て決定しているものでありまして、また、内容につきましても、主として営業時間の変更あるいはイベントの人数制限の要請などということで、営業時間の変更を超えた休業要請ですとか、あるいはイベントなどによる施設の使用停止、あるいは全面的な外出自粛要請というような強度の措置を含むものではございませんので、議員のおっしゃりました特措法第五条に規定する基本的人権の尊重、あるいは国会の附帯決議の趣旨を踏まえた運用になっているというふうに承知をいたしております。

一谷分科員 理解をさせていただきました。

 私の地元兵庫県でも、オミクロン株の第六波が五波に迫る勢いで、死亡者数も増加しております。油断ならない状況下と思われ、一方で、五類にしてくれという声もたくさん届いています。しかし、現状、私が何が何でも五類にしてくださいということを考えているのではなく、現状、どのような分類あるいは分類相当であるかの判断が困難だと思われますが、どの分類に落とし込むことも、その根拠が明確に示されないと、国民の納得を得られず、さらに、経済の混乱を招くと考えます。

 根拠を明確にする意味でお伺いさせてください。

 感染症六条七項三号の新型インフルエンザ等感染症の定義では、国民の大部分が現在その免疫を獲得していないこと等からとありますが、医学的な側面から、特措法では集団免疫の有無が問われています。現在、ワクチン二回目接種が約八割ですが、これにより集団免疫は得られたと考えられますでしょうか。どうぞよろしくお願いをいたします。

後藤国務大臣 御指摘の集団免疫とは、一般的に、人口の一定割合以上の方が免疫を持つと、感染者が出ても他の人に感染させにくくなることで感染症が流行しなくなる状態のことを指します。

 新型コロナワクチンにつきましては、感染や発症を予防する効果等は、時間の経過に伴って徐々に低下していくことが様々な研究結果から示唆されております。さらに、オミクロン株は、ワクチン接種や他の株の自然感染により獲得された免疫を逃避する性質があること、すり抜けて効かないということが報告されております。

 こうした点から、現下の新型コロナの流行も踏まえて考えますと、他の人に感染させにくくなることで感染症が流行しなくなる状態である集団免疫に達していないと考えます。

 三回目接種は発症予防及び重症化予防の効果がありまして、政府としても、可能な限り早期の接種に努めているところではございます。国民の皆さんも、是非、三回目接種を早期に受けていただくようにお願いをしたいと思います。

一谷分科員 なかなか、集団免疫を得られるかどうかという判断はやはり難しいところだと思います。

 また、三回目の接種に向けて、我々も、地域の皆様にやはりお願いをして、受けていってもらう、そういったことを協力していかなければならないと思います。

 そこで、感染症法六条七項三号には、「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある」とありますが、私の考えでは、感染症と重度化リスクにより次の三段階に分けることが可能であり、現に、法令を読み解くと、そのような解釈の下、法制されている。

 この三段階とは、第一、五類のインフルエンザ、これは季節性インフルエンザ、感染症法六条の六項の一号です。第二、感染症法六条七項三号、新型インフルエンザ等について、「一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある」と規定されています。第三に、ここは特措法三十一条の四、最も危険度が高いですが、蔓延防止等重点措置と緊急事態宣言が可能な新型インフルエンザ等において、「国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるもの」と定義しており、この著しく重大な被害に関しては特措法施行令五条の三に示されており、「肺炎、多臓器不全又は脳症その他厚生労働大臣が定める重篤である症例の発生頻度が、感染症法第六条第六項第一号に掲げるインフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められること」であると書かれております。

 そこで、御質問させていただきたいんですが、現在、蔓延防止等重点措置を出しているので、政府は、重篤症状発生頻度が季節性インフルエンザと比べて相当程度高い危険な段階であると認定していると思いますが、その根拠はどこにありますでしょうか。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 今議員の御指摘のとおり、特措法三十一条の四に、蔓延防止等重点措置を実施すべき期間を定める公示の要件が定められております。これに照らして、それに該当するものである必要があるということでございます。

 その上で、今回の新型コロナウイルス感染症につきましては、厚生労働省のアドバイザリーボードや基本的対処方針分科会などにおける議論を踏まえまして、法律に定められております政令で定める要件のとおり、肺炎等の重篤な症例の発生頻度が通常のインフルエンザに罹患した場合に比して相当程度高いということから、特措法に定める蔓延防止等重点措置を講じることができるというふうにされております。

 具体的に、数字ということでございますが、一般のインフルエンザにつきまして、これは型によりますけれども、肺炎発症率が一・一%から四・〇%であるという研究があるのに対しまして、今回のコロナウイルスに関しましては一八・五%であったという、これは初期の数字でございますが、そういう数字に基づいた上で判断したものでございます。

一谷分科員 御答弁ありがとうございます。

 国民への理解を考えると、現状では新型インフルエンザ等を一くくりで捉えているが、さきに示したとおり、季節性インフルエンザとの比較をベースに、感染力と重篤化のリスクに応じて三段階に分け、そのリスクに見合った対策を示すことで国民の理解を得ることが重要であると考えます。

 やはり何か基準になるものが必要ではないか、それはこのインフルエンザに対して合わせていければいいのではないかというふうに考えております。

 次に、パンデミックにおける国民の福祉を考えると、医学的根拠に基づく規制、医療資源に基づく規制、経済状況に関する規制、海外の状況が綿密に絡み合い、画一的な方針の決定は極めて困難であることは承知しています。

 ですが、非常時であれば、全国民が納得し行動に移せる準備が必要です。現状は、主に感染者への規制が示された感染症法と、社会への規制が示された特措法が法律として別に定められています。さらに、社会の経済状況が相まって、国民は理解しにくい状態になっているのではないでしょうか。

 比例原則に即し、国民の生命と同時に経済面でのデメリットも考慮し、影響が最小になるようと記載されている特措法の目的達成と、基本的人権を尊重した対策を実現できる体制の構築が必要であると考えます。

 そこで、御質問をさせてください。

 国として、医学的根拠に基づく規制、医療資源に基づく規制、経済状況に関する規制、海外の状況を総括的に実施できるようなルール、つまり、いわゆる企業でいうところのBCPが必要ではないでしょうか。国でのBCPの取組についてお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

柳樂政府参考人 お尋ねは、今回のコロナを契機に、あと、今後のパンデミックが起こった際も含めて、国においてあらかじめ計画を立てるための枠組み、法体系、あるいは組織、あるいはそういう内容をまとめたようなものが必要ではないかというようなお尋ねだろうと思います。

 感染症に関しては、感染症法に基づいて、類型に応じた患者等に対する入院措置などの措置を対象にしておりますが、その上で、新型インフルエンザ等特別措置法におきましては、新型インフルエンザ等のほか、指定感染症あるいは新感染症を対象として、あと、病状の程度が重篤であり、かつ全国的に急速な蔓延のおそれがあるものが発生した場合に、政府対策本部を設置するなどの組織的な対応を行うという旨が規定されております。

 その場合に、同法におきまして、政府は新型インフルエンザ等の発生に備えて政府行動計画を作成するというふうにされておりまして、また、実際に発生したときにおきましては、その政府行動計画に基づきまして基本的対処方針を定めるというふうにされております。

 今般の新型コロナウイルス感染症におきましても、当時の内閣官房新型インフルエンザ対策室が策定をしました政府行動計画に基づいて対応が行われたということでございます。

 なので、今後、世界的に感染が広がるいわゆるパンデミックの感染症が生じた場合に、その感染症の特性が今回の新型コロナウイルス感染症と同様の特性を持って同様の影響を及ぼすようなものについては、特別措置法の枠組みを活用していくということになります。その場合に、その具体的な措置の内容につきましては、今回と同様、感染症に関して高い識見を有する専門家で構成された分科会の審議を経まして、感染対策の在り方や基本的対処方針を決定するということになるものでございます。

 以上でございます。

一谷分科員 ありがとうございます。

 現在、医療や介護の事業所に対してもこのBCPの作成を依頼していると思うんですが、やはりもう少し分かりやすいような国のBCPの対策を示していただけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 では、次へ行かせていただきます。

 感染症法附則第二条に関する確認をさせてください。

 第二条、「この法律の規定については、この法律の施行後五年を目途として、感染症の流行の状況、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展、感染症に関する知識の普及の状況その他この法律の施行の状況等を勘案しつつ検討するものとし、必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとする。」「第六条に規定する感染症の範囲及びその類型については、少なくとも五年ごとに、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展等を勘案しつつ検討するものとし、必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるもの」とあります。

 では、ここで御質問をさせていただきます。

 具体的に何を目的とした附則なのか。指定感染症は、延長も含めて、最大二年と決められています。コロナが始まって二年になります。附則二条には少なくとも五年ごとにとあるが、今がその必要があると認められるときではないでしょうか。新型インフルエンザ感染症の中から、コロナとして、二類から五類の間に入れるべきときが来ていると思うんですが、お答えいただけましたらと思います。

後藤国務大臣 今委員御指摘のように、感染症法の附則第二条第二項におきましては、「感染症の範囲及びその類型については、少なくとも五年ごとに、医学医療の進歩の推移、国際交流の進展等を勘案しつつ検討するものとし、必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとする。」とされております。

 これは、旧伝染病予防法における法定伝染病等において時代の変化に応じた変更が必ずしも適宜的確に行われなかったという認識の下で、良質かつ適切な医療の提供や感染症の発症、蔓延防止のために必要最小限度の均衡の取れた措置とするために、医学的知見の集積を踏まえて対応を行うものとしたものでございます。そうした観点で見直しを図っていくということでございます。

一谷分科員 ありがとうございます。

 次は、感染症法第六条に記載のあるとおり、病名による縛りが強いように思うが、変異すれば病原体の特性も変わってきます。病名ではなく、感染しやすさと感染時の重篤性を議論することが重要ではないでしょうか。先ほどのことと一緒ですが、一類から五類の定義もやはり見直すときに来ているのではないかと思うんですが、お答えいただけたらと思います。

後藤国務大臣 例えば、今の御指摘の意味が、新型コロナウイルス感染症という一くくりにせずに、変異株の別で区別せずに今一体として取り扱っているところですが、変異株ごとに感染症法上の分類を分けるという御指摘であるとすれば、それは制度上不可能ではないというふうに考えますけれども、オミクロン株については、専門家から、感染力が高い一方、感染者の多くは軽症、無症状であり、重症化率は低い可能性が高いといった分析があるものの、その特性は十分に明らかになっていないということなので、その辺のところはなかなか難しいというふうに考えておりますし、また、感染症法上の分類の仕分全体としての話であれば、先ほど申し上げたことだというふうに思っております。

一谷分科員 ありがとうございます。

 少し今日は、この二類、五類の話について視点の違うところから御質問させていただいたつもりなんですけれども、今、感染も拡大している時期ですが、やはり納得できるように、この二類、五類、分けていく、感情ではなく、ルールづくりができていけばと思いますし、新たな変異株、今まで経験したことないことですから、やはりこの分類も柔軟に検討していっていただけたらと思います。

 では、時間も迫ってまいりましたので、次は、エッセンシャルワーカーのことについてお聞きをさせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の基本的対処方針の中で、事業の継続を求める事業グループとして、一、医療体制の維持、二、支援が必要な方々の保護継続、三、国民の安定的な生活の保護、四、社会の安定の維持、そして五、その他と定義されています。

 今回、この中で、ワクチンの接種については、まずは一の医療従事者等、そして二に高齢の方、そして三番目に基礎疾患をお持ちの方と高齢者施設等の従事者、先ほどの二番に当たるところが入ってくるんですが、医療機関と同等と考えてもよいと思うんですが、医療機関と介護従事者とを様々な処遇の中で分けてきた理由をお聞かせいただけたらと思います。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンの一、二回目接種における優先順位については、確保できるワクチンの量に限りがあり、また、接種体制が徐々に整備されていく段階にある中で、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすという接種の目的に照らして決定されたものでございます。

 具体的には、新型コロナの患者に直接医療を提供する施設の医療従事者と、そして高齢者、基礎疾患を有する方を接種順位の上位に位置づけるとともに、高齢者、基礎疾患を有する方が集団で居住する施設等で従事する方についても、その業務の特性を踏まえて、優先的に接種するということにいたしました。

 なお、三回目接種については、二回目接種完了から一定期間経過した方から順次接種していただくということでございますので、今の優先順位がそのまま引き継がれて打たれていくということになります。

一谷分科員 ありがとうございます。

 理解をできるお話だと思います。一回目は、やはりワクチンも足らなかったですし、介護事業所に至っては、どれだけの方が働いているかというのが分からなかったということもあるんですが、この三回目のブースター接種については、自治体によってはやはりなかなか順番が回ってこないという地元の声もありますので、しっかり政府として声を出していただきたいというところと、あと、処遇の面では、コロナ陽性の方に対して、医療従事者であれば加算がつき、ただ、介護従事者についてはこの加算がゼロだというような現実もあります。やはり訪問の中で介護従事者の方も自らの危険を顧みず訪問に行っておられるので、やはりここは同等の扱いをしていただけるようにお願いできたらと思います。

 そして、最後に、助産師等を活用した産後ケアについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、コロナ禍の中、やはり里帰りができない、里帰りがしにくい、そして三人に一人のお母さんがうつ病になっているという現状もありまして、このコロナ禍の中、時限的ではありますが、助産師さんや看護師さん、訓練を受けた方が直接育児を行えるような制度ができたらと思うんですが、こういったところの制度について、国として何か対策を取っておられるのであれば、お聞かせいただけたらと思います。

橋本政府参考人 新型コロナウイルスの流行下におきまして、妊産婦の方々が強い不安を抱えておられるというふうな場合がございます。安心して出産し、産前産後期を過ごせるように、不安に寄り添った総合的な支援を行うことが重要でございます。

 このため、令和二年度の第二次、第三次の補正予算、それから令和三年度の補正予算におきまして、一つは、不安を抱えている妊産婦に対する電話や訪問による寄り添った相談支援、それから、ビデオ通話などオンラインによる両親学級や個別相談、それから、里帰り出産が困難な妊婦を対象に、民間事業者等が提供する育児支援サービスの利用料補助、こういったものを市町村等が実施する際に必要な費用の補助など、総合的な支援に取り組んでまいりました。令和二年度は、合計五百十二の自治体から申請をいただきまして、活用いただいたところでございます。

 引き続き、新型コロナウイルスの影響下における妊娠、出産の不安が解消されるように、補助金の活用などの市町村への働きかけも含めて、妊産婦に寄り添った総合的な支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

一谷分科員 ありがとうございました。

 千七百二十四ある市町村の中で、やはり五百幾つの自治体だけがというのは少しもったいないような気もしますし、これからの少子化を考えますと、このピンチをチャンスに変えるという意味で、やはりネウボラ、フィンランド等では国民皆保険の中で利用が一〇〇%だと聞いておりますので、ここはしっかりと政府として取り組んでいただけたらと思います。

 以上、私からの質問を終わらせていただきます。どうも皆さん、ありがとうございました。

今枝主査 これにて一谷勇一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、梅谷守君。

梅谷分科員 昨年、初当選をさせていただいた梅谷守と申します。

 改めて、この場に立たせていただくのも、本当に私の地元である新潟六区の皆さんのおかげさまだなと感謝の念に堪えません。また、だからこそ、これから、何とか今、政治を少しでもよくしてもらいたい、暮らしをよくしてもらいたい、代弁者、頼むぞという熱い思いを背にしてこの場に立たせていただいているものと、改めて感謝と決意で臨ませていただきますので、よろしくお願いします。

 後藤大臣におかれましては、東京都千代田区御出身だというふうに、違うんですか、違いましたか。違う。済みません、私、何かちょっと調べたつもりだったけれども、間違えました。

 私自身は、自分のことを言うようであれですけれども、選挙区は新潟六区なんですが、元々、生まれ育ちは東京都文京区というところでして、その中で、今、雪深い、豪雪の地元で政治活動、政治家として第二の人生を送らせていただいております。

 その意味で、都会に住んでいたときには全く分からなかった、気づかなかった、だけれども、今、そこで地道に活動させていただく中で、いろいろなたくさんのお声をいただく中で、本当に地元のことを、ここ、地方があるからこそ都会があるんだ、お互いに支え合ってこそ日本なんだということを、本当に恥ずかしながら改めて学ばせていただいておりますので、そういった感覚を持って質疑に移らせていただきますので、前向きな御答弁、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、私も、今回この質問に立たせていただくに当たって、厚生労働省とは一体何なんだろうか、何をやっていらっしゃるんだろうということを改めてホームページで調べようと思ったら、子供用パンフレットというのがいきなり出てきまして、それを見させていただきました。「厚生労働省ってどんなところ?」というのを見ると、「厚生労働省では、みんなの生活をよりよくするために、いろいろな仕事をしているよ。」中略「厚生労働省の仕事は、みんなが生まれる前から亡くなった後まで毎日の暮らしに深く関係しているんだよ。」というふうにありました。

 まさに揺り籠から墓場まで。そして、この言葉は、もう周知のことですけれども、一九四一年に経済学者のベバリッジによって提唱され、イギリスの社会保障制度の当時のスローガンになりました。ただ、このままでは財源がもたない、財政がもたないとして、一九八〇年代後半から、小さな政府を標榜して、スローガンとして、そこから社会保障費の削減に向けた政策がどんどん推し進められたのは周知のとおりです。

 翻って、現在、我が国においては、岸田総理はこう述べています。「市場や競争に任せれば全てがうまくいくという考え方が新自由主義ですが、このような考え方は、一九八〇年代以降、世界の主流となり、世界経済の成長の原動力となりました。他方で、新自由主義の広がりとともに資本主義のグローバル化が進むに伴い、弊害も顕著になってきました。」だから、新しい資本主義を提唱されていると思います。

 こうした岸田内閣になって、我が国の社会保障制度において、安倍、菅内閣とで異なる点は何なのか、是非お答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

後藤国務大臣 安倍内閣や菅内閣において、人生百年時代の到来を見据えて、お年寄りだけでなくて、子供たち、子育て世代、さらには現役世代まで、広く安心を支えるための社会保障について全世代型社会保障検討会議において検討を行い、必要な制度の見直しや必要な改革を行ってきたというふうに認識をいたしております。

 その意味においては、岸田内閣においても、持続可能な全世代型社会保障の構築に取り組む、そういう姿勢で社会保障制度の問題にも取り組んでいるというふうに考えています。

 私自身の認識としてもうちょっと申し上げるとすれば、社会保障制度をしっかりと、例えば、国民の所得、そして消費、そして経済の循環を支えていくためには、分厚い中間層を支えることも必要ですし、また、安心して消費ができるという生活を支えていくことも大切でありますし、そういうことも含めて、今後、全世代型社会保障、持続可能な在り方、しっかりと考えていく必要があると思っています。

梅谷分科員 大臣、ありがとうございます。一言二言つけ加えていただいてまた御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 基本的に変わらない方向、恐らくそうなるんだろうなとは思ったんですが。ただ、これまでの安倍、菅内閣を見ると、全部がもちろん悪いとは申し上げませんが、ただ、そのときに、やはり新自由主義的な経営効率化などなどが推し進められたことによって格差が広がったのではないか、そして、孤独死や自殺など、これはコロナの影響ももちろん残念ながらあったんでしょうけれども、そういったことによって、そして自助を前面にまず押し出したことによって弊害が深刻化したのではないかなと。

 だから、新しい自由主義で少しでも、分厚い中間層をつくるというんでしょうか、格差の是正につなげていこうじゃないか、そのためにはやはりセーフティーネットをきちんと改めて見直すべきじゃないかという思いも込められていると私は考えております。その意味で、是非、岸田内閣から、岸田総理から、新しい資本主義をやるから、大臣、これをやってね、こうだよという指示が何も下りていないのかどうか、何か下りたのか気になるところですが、何か指示などは下りているものなんでしょうか、その点で。

後藤国務大臣 新しい資本主義自身は総理が内閣の新しい施策の軸としてお示しになっていることで、我々も内閣の一員としてそのことにしっかり取り組まなきゃいけないということでございます。

 そうした中で、今、例えば格差の問題だとかそういうことも含めて、分厚い中間層をつくっていくための、いろいろ、社会保障だけじゃなくて、厚生労働大臣としては雇用側の、需要側の議論もありますし、そうしたこと、厚生労働大臣として、自分の所管の事項の中でしっかりと全世代型の社会保障あるいは今後の新しい資本主義を支えていくための雇用政策、そうしたことも含めてしっかりと取り組んでおります。

梅谷分科員 ありがとうございます。

 決して自助を前面に押し出し過ぎるということでなく、また、コストカットから入っていくということでなく、誰一人取り残さない社会の実現に向けて大臣に大きな期待が集まっていると思いますので、是非、この点、よろしくお願いをいたします。

 次の質問です。

 御案内のとおり、総務省が、昨年の十二月十日に、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン中間取りまとめを発表しました。今年度中に策定するというふうな方向性だと伺っておりますが、これは総務省が策定をしていることから、このガイドラインについてどういう評価をしますかとか聞こうと思ったんですが、ちょっと聞き方を変えさせていただいて。

 二〇一五年の三月に公表された今あるガイドラインは、ガイドラインに改革という言葉が使われているんですが、これが、経営強化という名前に、名称や目的が変わったわけなんですけれども、この点の違いについて。そして、それをもって、厚生労働省の、例えば地域医療構想だったり、また働き方改革におけるタスクシフト・シェアだったり、また医師の偏在是正などなど、こういったところにどういう影響を及ぼすのか、大臣としての御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

後藤国務大臣 御指摘のガイドラインについては、総務省において、昨年の十二月に中間取りまとめが行われたと承知をいたしております。

 公立病院についての経営強化でありますから、地域医療構想の中では公立病院も非常に重要な位置を占めているわけでありまして、地域医療構想の実現など地域の医療提供体制の確保をしっかりと図っていくための取組として、医療機関の間の機能分化、連携強化の推進、医師、看護師等の確保や働き方改革の推進、新興感染症に備えた平時からの対応等の内容、そうしたものが盛り込まれておりまして、厚生労働省の施策の方向性に沿った内容のものである。つまり、全体としての地域医療構想の中で、公立病院を所管している総務省として、それの方向性に沿った内容だというふうに受け止めています。

 そういうことでありますから、地域医療構想を進めていくに当たりまして、公的病院、また今回のガイドラインを決めました総務省とも連携しながら、地域の医療構想の実現のために役立てられると思っております。

梅谷分科員 ありがとうございます。私自身も、この名前、ガイドラインとかプランの名称、目的を経営強化にするということについては評価すると言うとおこがましいんですけれども、しておりまして、単なるコストカット、これではなくて、医療や経営の質を上げることが結果的に経営強化につながるんだということ、これを一つ前面に押し出してきた、柱にしてきたのかなというふうに受け止めていますので、それをもって医療提供の質の維持向上という視点が更に深まって進められることを期待してなりません。

 そして、今大臣の方から総務省としっかり連携をされながらという御答弁をいただきましたが、本当におっしゃるとおりだと思います。総務省とタッグを組んでいただくだけでなくて、願わくば、国土交通省など地域社会創生における関係省庁等とも連携しながら、先ほどの話じゃないですけれども揺り籠から墓場まで、国民の暮らしに安心を構築していただくことを期待して、そして、人への投資をゆめゆめ削減されることが決してないことを切にお願いをして、次の質問に移らせていただきます。

 地域医療構想について。この地域医療構想については、これまで議論が積み重ねてこられました。そして、二〇一九年九月二十六日に厚生労働省は、医療体制の見直しを進めるため、千四百五十五の公立・公的病院の診療実績を分析し、公表しました。うち三割の四百二十四病院は病床数や診療体制を見直す検証が必要だとして、翌年、二〇二〇年までに各病院に結論を出すように求めました。そうしたら、これを受けて、私の地元も含めてですけれども、地域からいろいろな声が上がったことだと思います。不安だったり不信のお声が一気に広がりました。

 そこで政府は、誤解を解くべくなんでしょう、お配りさせていただいた、九月二十七日に発表した地域医療構想の実現に向けてというペーパーを発信しました。この中で、必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではありません、病院が将来担うべき役割やそれに必要なダウンサイジング、機能分化等の方向性を機械的に決めるものではないということをおっしゃられましたが、これはいわば、以降、コロナもあったんでしょうけれども、期限を区切ること、区切るのはちょっと控えて、表現も若干軟らかめになったのかなと受け止めますが、そこでお尋ねします。

 政府は、言うなれば、期限は切らない、そして地域ごとにやってくれ、地域ごとに理解を得てやってくれという方針に修正したものと受け止めますが、こうした理解で間違いないのか確認するとともに、地域の声を大事にすべきと考えますけれども、大臣の御所見をお伺いします。

後藤国務大臣 地域医療構想は、人口構造の変化を踏まえまして、地域の医療ニーズに合わせて質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指して行うものでございます。そういうことでありますから、今委員が御指摘になりましたそれぞれの地域の実情、それから意向というものを踏まえた上で、その地域の医療資源に即したものをしっかり御議論いただいてつくっていくということが重要であるというふうに考えております。

 御指摘のように、公的病院の見直しをある程度一定の前提を明確に明示した上で、そして整理をした数字をちょっと唐突感のある中で発表いたしましたので、全国の公的病院の関係者や地域の関係者には、さっきおっしゃられたダウンサイジングだとか病院の統合にそのままつながるのではないかという御不安の声が上がったのは事実だというふうに思っております。ただ、決してそういうことではないということをお話をいたしました。

 地域医療構想自身については二〇二五年にまとめていくという方向で今作業を進めておりますけれども、あくまでも、地域の皆さんの声をしっかりと聞いた上で、地域の資源や地域の医療状況に合った形で、ルール先にありきとか数字先にありきということではなくて、地域医療構想をしっかりと検討していくべきだと思っております。

梅谷分科員 大臣、ありがとうございます。率直な御答弁をいただき、ありがたいと思っております。

 総務省が取りまとめ中の新しいガイドラインにも、引き続きこの「住民の理解」という文言が載っていて、ここには、「医療機能の見直しには住民の理解が必要であり、そのための取組が求められる」と。今進んでいる、まだあるガイドライン、昔のガイドラインといいますか、その中でも、もちろん住民の項目として書かれているんですが、ここでは、「結果的に地域全体として適切な医療を提供できないことを理解し合う必要があり、そのための取組が求められる。」という書きぶりになっているんですね。これから最終取りまとめになったらどういう姿になるのか分かりませんけれども、この一文が入る、入らないというのはまた一つ大きいのかなと注視をしているところなんですが。

 いずれにしても、大臣が今、住民の理解はとても重要というふうに私も受け止めさせていただきました。地域住民の理解なくして地域医療構想の実現なしと私は考えます。

 しかしながら、新潟県では、地域ごとに開催されている地域医療構想調整会議について、専門家や行政などだけで、市民が入っていないんですね。そしてまた、会議も公開されていないんです。市民不在ではないかという声が私のところにも寄せられているんですが、少なくとも会議は公開にして傍聴できるようにするべきだし、また、可能であれば住民代表を会議のメンバーに加えるべきであり、こうしたことにも予算をしっかりとつけるようにするべきと考えますが、大臣の見解をお伺いします。

後藤国務大臣 地域医療構想については、各都道府県において、地域の実情を十分に踏まえつつ、地域住民の理解や協力を得ながら進めていただくことが重要であるというふうに考えております。

 こうした観点から、厚生労働省では、地域医療介護総合確保基金によりまして、各都道府県に対して、地域住民等を対象とした地域医療構想に関する説明会等の開催経費を支援しているところでございまして、今後とも必要な支援を行ってまいりたいと思います。

梅谷分科員 それは分かっているつもりなんですが、その上で、その会議体も含めて、市民の方や市民の代表の方にきちんと出ていただいて、参加、招集をつけて、そして意見を聞いていただいて受け止める、そういうこともすごく大事だと私は思っております。是非その点、政府からも御注目をしていただいて、都道府県のあくまでも采配かもしれませんけれども、大事なところですし、総務省のガイドラインもしかり、厚生労働省の中でも、そういう今大臣のお話のとおりだとするならば、住民の理解を得るべく、今まで私が申し上げたことを是非御留意の下、進めていただければと思います。

 私の地元では、新潟県内で再編を求められている県立病院のうち、三つがあるんですね。県立柿崎病院、県立妙高病院、そして県立松代病院。また、私の地元では、新潟県内でも過疎、僻地がすごく多くて、豪雪地でもあるんです。

 先日、東京都内では、雪が降る、降るということで一大イベントのようになっていましたけれども、私の地元ではもちろん微々たるものでして、例えば十日町市では百九十五センチとか、津南町ではもっととか。

 豪雪地には豪雪地ならではの事情があることはもう言うまでもありません。

 例えば、豪雪地で医療を営むとなると、駐車場を除雪するのもすごいお金がかかるし、また、除雪費などなどにかかる燃油代、また、地域によっては、看護師さんなり医療従事者の方々が駐車場なりに時間どおりになかなか行きづらくなるとか、出勤するために家を出る一時間ぐらい前から除雪をしなきゃいけないとか、もういろいろな見えざる雪国ならではの負担がたくさんあるんですね。

 そこで、是非、提案も含めてお尋ねしたいんですが、こうした豪雪に関する配慮も盛り込むなど、地域医療構想の内容の見直しも検討すべきと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。

後藤国務大臣 各地域においては、それぞれ大変大きな事情があると思います。豪雪地帯の場合、交通の状況も、冬、豪雪になれば、いろいろ前提条件として考慮しなければならないことがあると思います。

 そういう意味で、各地域において、豪雪地帯の交通の状況など、それぞれの実情を踏まえつつ、しっかりと御議論いただいた上で、取組を進めていただければというふうに思います。

梅谷分科員 二〇二〇年度の病床機能報告によりますと、これも釈迦に説法ですけれども、全国では、公立・公的病院の全医療機関に占める割合は約一三%。一方、新潟県は約三四%と、都道府県の中で最も割合が高いんです。そしてまた、新潟県では、公立・公的病院のうち半数以上の二十二病院が再編統合の基準に該当していて、これは県全体に対する割合五三・七%で、都道府県の中で最も高いんですね。公立・公的病院の割合が高い県ほど地域医療構想の及ぼす影響は特に大きくなるということは、私はそうなるんじゃないかなと思います。

 こういったことで、もう一度お尋ねしますが、改めて、今、総務省でのガイドラインの改定も策定中ということで行われているわけですから、いま一度、地域医療構想の見直しを大臣の号令の下で行うべきではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 地域医療構想、ベッドの機能をどういうふうに考えるかとか、あるいは病院間の機能分担をどう考えていくかとか、そういうことについては、やはりその地域の実態に合わせて、そしてもう一つ言えば、全体としての医療の機能強化につながるような形で進めていく必要があると思います。

 もちろん、今、新型コロナウイルスの感染等もありまして、そういう感染症有事にどういうふうに対応していくのかとかいうことも含めて、今後、公的病院も含めた地域の医療体制の機能をどう連携していくかということを、しっかりと地域の事情に合わせて御検討いただければというふうに思っています。

梅谷分科員 ありがとうございます。

 私自身は、やはりコロナの状況もありますし、この中間取りまとめの中身を見ても、追記をするところが赤字になっていまして、これが大分増えているわけですから、いま一度、とらわれ過ぎずに、見直すべきところは地域医療構想としても見直されてもいいんじゃないかなということを申し添えて、次の質問に移らせていただきます。

 今ほど、新潟県の公立・公的病院の割合が全国で一番と申し上げましたけれども、もう一つ切ない一番があるんです。それは、配付資料にありますように、医師の偏在三を御覧ください。二〇三六年時点の不足医師数予測がマイナス千五百三十四人と、四十七位。全国の断トツの最下位なんですね、新潟県。

 この原因として考えられるのが、私見なんですけれども、富山、石川、福井の北陸三県の足した面積と新潟県の面積はほぼ同じにもかかわらず、一つの県につき医学部一つの現時点での文科省方針から、北陸三県には医学部が三つある一方で、新潟には一つしかない。しかも、その医学部の場所が県内の、偏ったというか、県庁所在地にあるわけなんですね。こういうこともあるんじゃないかと思います。

 もちろん、資料、医療の偏在一、二を御覧いただいたら分かるとおり、全国的に見ても医師の偏在は問題で、更に言えば、診療科の偏在も課題であることは言うまでもありません。

 そこでお尋ねしますが、新潟県のこうした地理的要件や豪雪、人口分布などの地域事情などにどうか御理解と御認識を深めていただいて、新潟県への臨床研修医の定員上限を優先的に配分すべきと考えますが、見解をお伺いするとともに、合わせて、私の地元である上越市、妙高市、糸魚川市、十日町市、津南町、ここはもう本当に医師不足に大変悩んでいまして、これは県が所管で考えるべきところなんでしょうけれども、是非その優先配分を行っていただきたいんですが、何かいいお考え、アイデアなどあればお知恵をおかりしたいとのすがる思いでお尋ねをさせていただきたいと思います。

後藤国務大臣 臨床研修医の定員については、国において都道府県ごとの定員数を定めることといたしております。その際に、研修医が集中する都市部の都道府県の定員を圧縮しつつ、新潟県も含めてでございますが、医師が少ない道府県の定員を加算しているところでございます。臨床研修病院ごとの定員については、これは各都道府県において、地域の実情等を十分に勘案していただいて適切に配分していただくことが重要であるというふうに考えております。医療確保対策に関する関係者間の協議、調整の場である地域医療対策協議会の意見を踏まえて設定をお願いをしているところでございます。

 厚生労働省としては、地域における医師の確保に資するように、医道審議会医師臨床研修部会において、臨床研修医の定員配分の在り方に関する議論を行っているところでありまして、引き続き、先ほど申し上げたようなことを踏まえて、必要な取組を実施してまいりたいと思います。

梅谷分科員 ありがとうございます。

 時間も押してきましたので、ちょっと次の質問なんですが。

 にいがた病院協会報というのがあるんですね。その第百五十六号の令和四年一月号なんですが、ちょっとこの中に、新潟県病院協会の副会長の川嶋先生、長岡赤十字病院の院長先生なんですが、ちょっと読み上げさせていただきます。

 二〇二二年度の県内臨床研修マッチング数は百二十名でした。これに加え二次募集で十名弱の追加募集があり、来春は、近年にない研修医数となることが見込まれます。一見これで医師不足解消に向けて十分な数が確保できたと誤解される向きもあります。しかし、今後も毎年継続的に百二十人が新潟県内の初期臨床研修に加わり、これ以降の現役世代の医師の流出入が均衡しているとき、リタイアする医師数を毎年X人とすると、半年のプラス分は百二十引くXで、したがって、百二十人の新規参入があっても、年間不足養成数百九人を確保し医師偏在解消を目指すには毎年全県で、Xイコール十一人しかリタイアできない計算となってしまうんです、均衡を取るには。

 グラフ一、お手元に配らせていただいた年齢階級別医療施設従事医師数、これを御覧になっていただきますと、新潟県福祉保健年報に基づく二〇〇二年と二〇一八年の十二月三十一日時点の年齢階級別がこの資料になります。

 まず、二〇一八年のグラフ、黒だけを見ると、年齢とともに医師数が増えるという印象を持たれることと思います。しかし、二〇〇二年のグラフの五歳階級ごとのバーを十六年右に移動して比較すると、各五歳階級で時間経過による増加はほとんど見られない。むしろ、二〇〇二年の三十から四十九歳の中堅の医師集団二千六十九人をその十六年後に近似している二〇一八年の四十五から六十四歳の医師集団と比較すると、微減すらしています。また、二〇一八年の三十から四十九歳の中堅医師数との比較では、十六年間でこの世代は三百八十八人も減少していることが分かります。したがって、同年齢集団で見れば時間経過に伴う流出入はほぼ均衡、卒業後新規参入する医師数は年々減少する傾向にあったと推定されます。

 何を申し上げたいのかといいますと、若い人、医師を確保しよう、しようとやっていただくのは大変ありがたいんです。ただ、所によっては、特に新潟県においては、この年代、世代別によってはごっそり抜けてしまって、長い目で見たときに、中長期的に見たときに、なかなか立ち行かなくなるということが大いに今懸念されているところなんです。

今枝主査 梅谷君、時間が来ましたので、終えてください。

梅谷分科員 はい。分かりました。

 そういう意味で、この問題意識について、最後、大臣の御所見をお伺い……

今枝主査 もう時間が過ぎていますので、大臣受け止めということで、これで終わりということでお願いを申し上げます。

梅谷分科員 分かりました。じゃ、ありがとうございました。

今枝主査 これにて梅谷守君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友分科員 国民民主党の長友慎治です。

 本日は、介護職員の処遇改善について、また介護業界の人材確保を中心に質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、厚生労働省は、二月十四日、新型コロナウイルス感染による全国の自宅療養者が二月九日の午前零時時点で五十四万三千四十五人となり、過去最高を更新したと発表しました。オミクロン株の感染拡大が続いており、保健所などによる健康観察や急変時の入院調整に一層の影響が出そうな状況でございます。

 また、今朝の新聞では、新型コロナウイルスに感染し亡くなった人の数が、昨日は全国で二百三十六人、これは一日当たりの死者の数としては過去最多を更新したということが載っておりました。

 死者が最も多かった大阪府の吉村知事は、元々重い持病がある方や高齢者に感染が広がって亡くなっている状況と説明をされました。二番目に死者の数が多かった愛知県の大村知事も、亡くなる人は感染で体力が低下する高齢者がほとんどだ、そのように指摘をされております。つまり、高齢者施設でのワクチンの巡回の接種や検査が必要であるということを示されたんですけれども、このような状況の中で、老人ホームや介護施設などの高齢者施設で、新型コロナウイルスの陽性になった職員が陽性の利用者を介護するという陽陽介護とも言われる状況が、第六波の急激な感染拡大で人手不足となった介護現場で起きております。

 まず、この状況なんですけれども、これは想定外なのか、それとも想定の範囲なのか、伺います。

深澤大臣政務官 長友委員の御質問にお答えさせていただきます。

 高齢者施設が提供するサービスは利用者や家族の生活にとって欠かせないものであり、感染拡大時においても業務が継続されるよう、必要な支援を行うことが重要でございます。

 そのため、感染等による職員不足に対応することができるよう、職員の確保に関する費用などのかかり増し経費、都道府県による緊急時に備えた応援体制の構築等に必要な財政支援を従来から行っているところであり、また、これらの感染拡大に備えた支援策については、今後の感染拡大に備えた対応として、昨年十月にも改めて整理した上でお示ししたところであります。

 また、新型コロナの感染者が急速に増加している中、感染拡大を防止しながらできるだけ社会経済活動を維持する観点から、科学的知見や専門家の意見を踏まえ、一月二十八日に、オミクロン株の濃厚接触者の待機期間については、原則七日間待機で、八日目に解除、社会機能維持者の方は、二日にわたる検査を組み合わせることで五日目に解除という取扱いに変更しており、高齢者施設等の運営継続については一定の効果が期待されるところであります。

 なお、今般の新型コロナウイルスへの対応については、職員が不足した場合において、一時的に人員や運営の基準を満たすことができない場合にも介護報酬を減額しない等の柔軟な取扱いも可能としております。

 感染拡大時においても高齢者施設等がその役割をしっかり果たしていけるよう、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。

長友分科員 ありがとうございます。

 二月八日の予算委員会で、新型コロナウイルスの対策分科会の尾身会長が、このように発言をされています。今直面する課題の中で最も重要な課題の一つは、高齢者を中心に重症者や死亡者が少しずつ増えていることだ、高齢者施設などの感染対策が徹底されないと、しばらくは重症者数の増加が続く可能性がある、高齢者施設の感染対策については、周りの医療機関や地域の連携が非常に重要な局面にある、このように尾身会長はおっしゃいました。

 また、全国を見渡すと、感染した高齢者を入院させることが難しくなっている自治体も出てきています。それを受けて政府は、二月九日から、高齢者施設へ看護職員を派遣する医療機関への補助金を三倍に引き上げました。通常の一時間当たり二千七百六十円から一時間当たり八千二百八十円への見直しが行われ、一週間前から適用されています。

 そこで質問なのですが、介護施設への看護師等を派遣した場合は補助金額が三倍支払われるのに、現場の介護職員に対しての処遇改善が同等に扱われないのはなぜでしょうか。現場の介護職員からは、私たち、自分たちが軽視されているとしか思えないとの声が聞こえてきていますが、その点についてはどうお考えでいますでしょうか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 現場で御苦労されている介護職員の方々には、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 感染者が発生した介護施設等につきましては、総合確保基金を用いましてかかり増し経費の補助というのを行っているところでございます。

 そうした中で、当然、一定の、通常よりもかなり御苦労いただいて仕事をしていただいているわけでございますので、そういった場合に職員に特別の手当てを講ずるとか、あるいは人材確保に追加的な経費を要する、こういった場合があるわけでございまして、そういったものにつきましては基金による、かかり増し経費において、補助をさせていただいているところでございまして、そうしたものも御活用いただきながら、何とか現場の支援、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

長友分科員 ありがとうございます。

 冒頭で、自宅療養者が過去最多に膨れ上がっている状況について触れましたけれども、自宅に薬を届ける役割を担う訪問看護を行う方々もいらっしゃいます。感染者やみなし陽性と判断された濃厚接触者に対して、医師の指示により医療処置を行うわけですけれども、この訪問看護ステーションなどでコロナ対応に奮闘する医療従事者にも手当てがないという声が届いています。

 コロナの感染拡大防止に尽力している点では、医者や看護師と同じエッセンシャルワーカーにほかならないと思うのですが、訪問看護に携わる方を援助する、支援する政策の予定というものはございますでしょうか。

伊原政府参考人 訪問看護につきまして、実際、今現場で自宅療養者の方に対して様々な健康管理とか、それから治療の支援とかをいただいております。そこにおきましては、診療報酬とか、それから今回の包括交付金で、実際、都道府県がそういう健康観察とかをやっていただくときに委託費という形でサポートさせていただいて、御尽力させていただいております。

 私どもとしましては、そうした形をちゃんとしっかりやりながら、体制の強化を努めていきたいと考えております。

長友分科員 ありがとうございます。

 病床が逼迫するから、政府の方針で、診察を受けないでほしい、自宅で療養してほしい、そういう政策が取られているにもかかわらず、現場で自身も感染するリスクにさらされながら、精神的負担も負いながら一生懸命に感染拡大防止に当たっている方々から、抗原検査キットの調達さえも自分たちで負担している、そういう状況だというふうに聞いています。検査キットも全国的に不足しているわけですけれども、そのような状況を生み出しているということについての責任は是非御認識いただきまして、訪問看護を行う事業者にも目配り、配慮を切にお願いしたいと思います。

 ところで、介護職員の処遇改善を図るための介護職員処遇改善支援補助金の取組がスタートしています。この補助金の取得要件が令和四年二月から賃金改善を実施していることとなっているために、既に現場の方々は今動いて準備されていると思います。その現場からの反応が届いているかと思いますが、この介護職員処遇改善支援補助金についてどのような反応があるか、上がってきているかということについて教えてください。

土生政府参考人 お答えいたします。

 今回の措置につきましては、事業者団体も構成員に入っていただいております介護給付費分科会におきまして、現場の御意見も伺いながら御議論いただいてきたところでございます。

 基本的には評価をいただいているというふうに思っておりますけれども、他方、例えば一人当たりの賃金改善額が九千円からばらつきがあるということも御意見として受け止めているところでございます。

 今回の措置は、各介護サービスの平均的な常勤換算の介護職員の配置状況に応じて配分させていただくこととしておりまして、事業所ごとの介護職員の勤務時間等が異なる状況の中で、職員の勤務実態に応じて処遇改善を行っていただくこと、また、他の職種の方にも一定の処遇改善を行うことができるよう柔軟な運用を認めるということとしております。

 こうしたことから各職員の処遇改善にはばらつきが生じ得るということでございますけれども、私どもとしましては、こうした点も含めまして、混乱なく実施できるよう丁寧に説明してまいりたいと考えております。

長友分科員 今、職員の処遇改善にばらつきがあるという御説明をいただきました。そのとおりなんです。

 私のところには多数の介護サービスの事業所の方から、岸田総理が事あるごとに、この補助金で給与を三%程度、つまり九千円ほど賃上げすると何度も耳にした、そのように新聞にも書かれていた、しかし蓋を開けてみたら平均九千円の賃上げにはならない、これはどういうことですか、そういう声が私のところにたくさん届いております。中には、余りにも国民をばかにしていると言われる方もいらっしゃいました。

 そこでお尋ねしますけれども、厚生労働省では全事業所の何%程度が九千円程度の賃上げになると考えているのでしょうか。お答えください。

土生政府参考人 今回の予算上の措置といたしましては、全事業所の介護職員の常勤換算、約百四十万人でございますけれども、そのために必要な月額九千円程度の処遇改善のための経費、これは補正予算としましては約一千億を既に措置させていただいているところでございますので、そういった予算上の設定といたしましては、全事業所の介護職員の中で九千円相当の賃金改善が可能となるという措置をしているということでございます。

 他方で、先生から御指摘ございましたとおり、実際の事業所の賃金改善、一人一人の改善ということにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、各サービス種別の平均的な常勤換算の介護職員の配置状況に応じて配分をするということ、それから他の職員の方々にも柔軟に運用されるということの中で、一定のばらつきが生じ得るということでございます。そうした点を、私ども、引き続き丁寧に御説明してまいりたいと考えております。

    〔主査退席、加藤(勝)主査代理着席〕

長友分科員 御丁寧に説明していくというふうにおっしゃいますけれども、国民の皆さんは、特に岸田総理の発言をよく聞いておりますので、九千円程度の賃上げがあるという期待をすごくしていたわけですよね。実は、各都道府県から通知が届いたら、現場に通知されたら、蓋を開けてみたら違っていた。言っていることと違うと。国民は納得しないというふうに思うわけですけれども、それについてはどのような御認識でいらっしゃいますでしょうか。

土生政府参考人 先ほどの御答弁の繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたような制度設計の中で、各事業所ごとの処遇改善につきましては一定のばらつきが生じ得るということでございまして、引き続き、私ども、丁寧にしっかりと説明させていただきたいと考えております。

長友分科員 今回の介護職員処遇改善支援補助金を受け取るための要件なんですけれども、介護職員処遇改善加算一、二、三のいずれかを取得していることが条件になっています。その時点で、全ての事業所を対象にした補助金ではないということが分かるわけなんですけれども、なぜこのような要件をつけたのか、御説明をお願いします。

土生政府参考人 お答えいたします。

 介護職員の方が長く働き続けられる環境を目指すという観点から、従来より、一定のキャリアパス、あるいは研修の実施、職場環境の一定の改善が行われることを担保するため、こうした取組を行っているところでございまして、今般の処遇改善におきましても、令和元年十月に創設されました特定処遇改善加算と同様に、ベースとなる現行の処遇改善加算一から三までのいずれかを取得している事業所を対象とするとしたところでございます。

 この処遇改善加算につきましては、職場環境の改善などに関する取組状況に応じまして取得できるよう、三段階の区分を設けているところでございます。また、加算の新規取得や、より上位の区分への取得に向けた支援をよりきめ細かに進めていく観点から、賃金体系の整備や届出手続等に係る個別の支援を行っているところでございまして、そうした支援を引き続き行ってまいりたいと考えております。

    〔加藤(勝)主査代理退席、主査着席〕

長友分科員 この条件を最初からつけるということは、初めから、全事業所、全介護職員に対して賃上げが行われない、そのように意図していると見られても私は仕方がないと思います。それであれば、最初からそのようにアナウンスをすべきだったと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

土生政府参考人 私ども、特定の事業所を排除しているということではございません。この処遇改善加算につきましても、例えば職場環境の改善でございますと、何か項目一つでも取り組んでいただければその要件を満たすということで、取得しやすい設定になっているところでございまして、従来からの処遇改善加算と併せまして、今回の補助金の措置も何とぞ、御活用できるように支援していきたいというふうに考えております。

長友分科員 何度も申し上げるようで大変恐縮なんですけれども、多くの介護職の方々が、自らの給料が九千円上がると捉えたという声がたくさん届いているんですね。九千円の賃上げにつながらない事業所が多くあるのであれば、常勤換算数掛ける九千円にて申請してもらって全額交付する、そういう仕組みをつくることというのはできないのでしょうか。

土生政府参考人 私ども、先ほど申し上げましたような、平均的な常勤換算の介護職員の状況に応じて配分するということが従来から取り組んでいるところでございます。

 御指摘のような、個別に、常勤換算の介護職員数に応じて配付するということも論理的にはあり得ると思いますけれども、その際には、やはりかなりの事務負担が生ずるということを考慮する必要があると思います。事業所ごとに常勤換算の職員をまず計算をしていただいて申請する、あるいは、補助金の交付を行う都道府県側にも、それを毎月確認するといったような事務負担も想定されるということでございまして、そうした面も考慮いたしまして、今回も従来と同様な処遇改善加算の交付の仕方で対応させていただきたいと考えておりますけれども、先ほど申し上げた点も含めまして、今後とも十分に説明してまいりたいと考えております。

長友分科員 十分に説明いただけるということなんですけれども、福祉の現場には、介護サービス提供の計画書を作り、関係者の連携を図る、そして円滑にサービスを実現する介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーという職種の方々がいらっしゃいます。さらに、利用者の心身の状態や希望、居住環境などを考慮して福祉用具を選定する、介護保険法に定められた福祉用具のスペシャリスト、福祉用具専門相談員といった職種もございます。このケアマネや福祉用具専門相談員にも今回の補助金は交付されるのか、教えていただけますでしょうか。

土生政府参考人 御説明いたします。

 今回の措置も含めまして、介護職員の給与が他の職種に比べて低い状況にございまして、その人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要があることから、累次の処遇改善に取り組んできたということでございます。

 このため、現行の処遇改善加算と同様に、本年二月以降の措置につきましても、介護報酬の対象となるサービスのうち、介護職員が基準上配置されているサービスを対象としているということでございまして、御指摘の居宅介護支援事業所あるいは福祉用具貸与事業所等につきましては対象としていないということでございます。

 他方で、対象となる事業所の中で、他の職種の方にも一定の処遇改善が行うことができるよう柔軟な運用を認めるということにしているところでございます。

長友分科員 今の御答弁でもう一度ちょっと確認をしたいんですけれども、つまりは、ケアマネや福祉用具専門相談員は介護に携わる職種ではないという考えになるのでしょうか。補助金の対象には、結局はされていないという理解でいいんでしょうか。

土生政府参考人 広い意味でもちろん介護従事者の方々ということでございますけれども、直接介護に携わるいわゆる介護職員が配置されております例えば特別養護老人ホーム、在宅で申し上げますと訪問介護事業所、そういったところが対象となっているということでございます。

 したがいまして、ケアマネジャーさんが居宅介護支援事業所を自ら開設しておられる場合は、そこには基準上、介護職員というのは配置されておりません。それから、福祉用具貸与事業所等につきましても、もちろん専門相談員の方はいらっしゃるわけでございますけれども、介護職員の方は配置されていないということでございまして、そうした観点から補助金の対象にはなっていないということでございますが、例えば、ケアマネジャーさんの場合、施設に勤務されているような場合がございます。これは、他の職員にも一定の処遇改善を運用上認めるという中で、その事業所の御判断で処遇改善の対象となることはあり得るということでございます。

長友分科員 ありがとうございます。

 次の質問なんですけれども、この介護職員の処遇改善支援補助金は、令和四年度の二月から九月までの交付となっております。令和四年十月からは利用者負担もあるというふうに聞いています。令和四年の四月から年金の支給額が〇・四%引き下げられる中なんですけれども、国民の負担増しが更に大きく感じられます。十月以降も国費で対応できない理由につきまして御説明をお願いします。

後藤国務大臣 介護職員の給与が他の職種に比べて低い状況にありまして、その人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要があることから、介護職員についてこれまで累次の処遇改善に取り組んできた、まずその前提を申し上げておきたいと思います。

 そして、今般の介護職員の処遇改善の措置が継続的なものになるということが大切だ、そういうことで、補正予算により二月に前倒しして実施した上で、本年十月以降については介護報酬改定により措置することといたしております。

 介護職員の処遇改善については、事業者にとって安定的、より継続的で、事業収入が見込まれて、介護報酬に対応することによって継続的な措置がしっかりと担保できるものだと思っております。

 介護保険制度は、保険料負担、公費負担、利用者負担の適切な組合せによりまして、国民みんなで支え合うことで持続可能なものとなるということでございまして、こうした枠組みの下で対応していくことが適切であるというふうに考えております。

 なお、介護保険制度におきましては、サービス利用者の負担が過重とならないように、月々の利用者負担額が年金収入等に応じて定める上限額を超えた場合には払戻しを行うなど、利用者の負担にも配慮しているところでございます。

長友分科員 大臣、ありがとうございました。

 不足する人材を確保するということで、専門性に見合う処遇は当然ですし、全産業平均の賃金とも隔たりのあるこの介護職の賃上げには私も全く異論はございません。是非、もっともっと上げてほしい。なんですけれども、今回の介護職の賃上げのために介護保険料が引き上げられる方向であるということであったり、財源確保についての具体的な考えというものを余り国民に御説明されていないのではないかなというふうな印象があるんですけれども、その部分についてはしっかりと説明する責任があると思いますが、どのような御見解でいらっしゃいますでしょうか。

後藤国務大臣 介護保険制度は、保険料負担と公費負担と利用者負担、これを適切に組み合わせていく、そして国民みんなで介護を支えていく、そういう体制でございます。こうした枠組みの下で対応していくことというのは適切であるというふうに考えておりますし、継続性をしっかりと担保していくということにおいても、こうした制度で対応すべきだというふうに思っております。

 また、そうしたことも国民の皆さんに御理解いただくように、しっかりと説明していかなければいけないと思います。

長友分科員 大臣、ありがとうございます。

 それでは、次の介護業界の人材確保について、御質問です。

 介護保険制度では、施設の入居者三人に対し職員一人を配置することが求められていますが、介護人材の不足が深刻です。第八期介護保険事業計画では、二〇二五年までに必要な介護職員の数について、約二百四十三万人との試算がありますけれども、現状から毎年五万人以上、介護人材を増やしていかなければ、この目標は達成できません。この人材の確保をどのように実現する計画か、御説明をお願いします。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 第八期介護保険事業計画に基づきまして、将来必要となる介護職員数を推計すると、議員御指摘のとおり、二〇二五年度には約二百四十三万人となっておりまして、介護職員の確保が喫緊の課題と認識しております。

 これまでも、処遇改善や人材育成への支援、職場環境の改善による離職防止なども含めて、総合的に実施してきたところでございます。

 こうした取組に加えまして、今年度は、先ほど来御議論をいただいております今般の介護職員の処遇改善のほか、他分野から介護分野への参入を促進するため、ハローワーク、訓練機関及び福祉人材センターの連携強化による、介護分野の資格取得から就職までの一体的な支援に取り組んでいるところでございます。

 こうした取組、施策を総動員させながら、引き続き、介護職員の確保に全力を尽くしていきたいと考えております。

長友分科員 介護事業所の収入が低いと、そこで働く職員の賃金を上げることができません。人材の確保をしようと思った場合にですね、やはり、例えば、労働実態調査のアンケート等でも、毎年、介護業界では、人手が不足しているということに加えて、仕事内容の割に賃金が低い、そういう答えが上がってきております。

 今、厚生労働省は、加算をしっかり取れば介護事業所の収入が上がるように計算しているということを言われますけれども、加算種類が大変多く、条件がさらに細かく、さらに煩雑化していることから、加算を取りにいこうにも現場における書類作成の負担がかなり大きく、加算を諦める事業所もあると聞いております。このような事務負担を課す制度に対する認識について伺います。

土生政府参考人 先生御指摘のとおり、加算の取得に係る事務をできる限り簡素化する、こういうことは大変重要であるというふうに思っております。

 処遇改善加算につきましても、これまでも、二種類の加算がございましたけれども、両手続をまず一本化をするということ、それから、手続に必要な添付書類をできるだけ簡素化をする、添付を省略することができるといったような取組を行っているということでございます。

 今回の補助金につきましても、給与に全て充てていただくということを自治体が確認する仕組み、これ自体は必要でございますけれども、その事務手続につきましては、できる限り事務負担が少ない形で行われるように、現行の例えば処遇改善加算と同様に、原則として添付書類の提出は求めない等の簡素化を図ることとしておりまして、こうした点を含めまして、円滑に実施できるよう努力をしてまいりたいと考えております。

長友分科員 日本は生産性が低いとよく言われます。だから、生産性の向上に取り組まなければならないと、どの業界も躍起になっていますけれども、事務負担を大きくして生産性を上げろというのは、言っていることと、やっていること、現場にやらせていることに矛盾が生じてきます。

 厚生労働省が二月七日、介護職員の配置基準について、見守りセンサーなどのICTの活用などを条件に要件緩和を検討する、実証事業を行うことを表明されました。六月から六か月行うとのことですが、こちらも生産性向上の効果測定を行うための実証事業だとの理解で間違っていないでしょうか。

土生政府参考人 御指摘の実証事業でございますけれども、内閣府におきまして開催されております規制改革推進会議の中で、ある事業者の方から職員の配置基準に関わる提案をいただきまして、これまで二回議論をしてきているということでございます。

 私どもとしては、具体的な人員基準について緩和をするということを決定したということはないわけでございまして、まずは、先生御指摘の実証事業におきまして、介護現場の生産性の向上を図る取組、介護サービスの質の向上、現場の負担軽減、人材確保の観点からどのような効果があるのかという点につきまして、まずはエビデンスを収集しまして、その結果を踏まえまして今後議論していくという予定でございます。

長友分科員 ありがとうございました。

 ICTの活用による業務の効率化を進めることに異論はありません。ICTの活用によって介護職員の配置基準が緩和されたとしても、介護報酬を減額せずに、職員の処遇改善に費用を充てると約束いただきたい、そのように思いまして……

今枝主査 長友君、もう時間が来ておりますので、終えてください。

長友分科員 私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

今枝主査 これにて長友慎治君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最初に一問、新型コロナウイルス感染について、大臣に伺います。

 オミクロン株が猛威を振るい、国内の感染者も累計で四百万人となりました。当初は重症化しないと言われておりましたが、感染力が強く、じわじわと重症者、死者も増えております。

 質問は、自宅療養が五十四万人を超えたという中で、みなし陽性がどのくらい含まれているのか。実態が分からなくなる、あるいは、みなし陽性とされた当事者の不安も大きく、きちんと検査による診断に結びつけていくべきだと考えますが、大臣のお考えを伺います。

後藤国務大臣 一月二十四日に、地域の感染状況に応じて、診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合に、自治体の判断で実施することが可能な対応の一つとして、二次感染リスクが高いとの専門家の評価も踏まえた、同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の判断により検査を行わなくても、臨床症状で診断することをお示ししたところでございます。

 この対応により診断された疑似症患者につきましては、自治体の公表において、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数に含めていただくようお願いするとともに、その際、新規陽性者数の内数として、その人数を明示する形で公表するように周知をいたしております。

 自治体の判断で地域の感染状況に応じた対応がなされている中において、現時点では、各自治体の公表状況について確認中でございますけれども、東京都や大阪府では既に疑似症患者を含めた陽性者数を公表していると承知をいたしております。

 本件の取扱い、現在の感染状況を踏まえまして、地域の状況に応じて、診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合や、外来医療の逼迫が想定される場合において、都道府県知事の判断で行うことが可能な対応を示したものでございますけれども、その見直しの必要性については、感染状況、医療機関の状況、専門家の意見等を踏まえまして、総合的に判断する必要があると考えております。

高橋(千)分科員 数自体は、内数ということで、混ぜるんじゃないんだということをおっしゃったと思うんですが、自治体の判断、知事の判断と三回おっしゃいました。そこに、やはり厚労省の責任がどうなのかなということを指摘させていただきたいと思います。

 今月五日のNHKニュースで、墨田区の東京曳舟病院を取材されて、一月に救急搬送された九百六十四人のうち五十八人がPCR検査で陽性だった、つまり隠れオミクロンではないかということが指摘されておりました。けがなどで運ばれても必ず検査をしなければならないし、一定の時間を要するということで、それ自体が現場の重い負担になっております。特に今回は、医療従事者自身が家族の感染などで出勤できず、医療提供体制に深刻な矛盾を引き起こしております。

 また、国立感染研によると、大阪、福岡始め十三府県において、昨年十月までの超過死亡が例年の同時期より多いことが分かっています。

 みなし陽性や自宅療養の措置が医療現場を守るためというのなら、やはり逆さまで、自費検査や訪問医療に取り組む民間の医療機関、コロナ患者以外の重い疾病を受け入れる医療機関に対してもきちんと評価をするなど、全体として医療機関と従事者たちを全力で支えていくべきだと思います。

 このことを指摘しまして、本日のテーマであります化学物質過敏症について質問したいと思います。

 最近はもう少し広い意味で環境過敏症とも言われておりますが、大量に、あるいは微量でも化学物質に長時間繰り返し暴露されたことで、ごく微量の化学物質に対しても不快な症状を示すようになる疾患。シックハウス症候群や、化学物質あるいは電磁波障害などがあって、化学物質過敏症の六割の方が電磁波障害の症状を訴えていること、また最近では柔軟剤などの香料が原因である香害が注目されているところです。患者数は百万人以上、予備軍も入れると一千万人とも言われているところです。

 私自身は、二〇一七年の予算委員会の第六分科会で最初にこの問題を取り上げました。その後、厚労省もホームページでコーナーを設けて各省庁とのリンクを張ったり、各都道府県もホームページ上で何らかの情報提供を行っております。なので、前進がないとは言いません。しかし、依然として、周囲の人に理解されず、診察してくれる医療機関にたどり着けないまま、苦しんでいる方が多数いらっしゃるのです。

 先月寄せられた相談を一部読み上げますので、どうか大臣、聞いてください。そして、用意されたいつもの答弁ではない、大臣なりのお答えをいただきたいと思うんです。

 もうどうしていいか分からなくて、何度も何度も壊れそうになります。化学物質過敏症と電磁波過敏症の重度のものです。二十五年前から膠原病系の腰椎関節炎や脳脊髄液減少症、慢性疲労症候群で、体の痛みやだるさに起き上がれない日が週の五日くらいあります。四年前、東京のマンションで呼吸困難、激しい頭痛、目まい、心臓痛でいられなくなり、七十五歳の母に車椅子を押してもらい、山の中に引っ越し、ブレーカーを落とし、冷暖房なし、電気なしで、無農薬、無添加の生活を二年続けました。でも、そこに5Gの基地局やホテルの建設や、病院に行ってもWiFi、そして薬も化学物質ということで、行き場所がないと。壮絶なんですね。

 大臣は、化学物質過敏症についてどのように認識されていますか。一日も早く標準医療を目指して、どこでも相談に乗れる体制や、せめて全都道府県に一つ以上の専門外来が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今、高橋委員から御指摘があって、化学物質過敏症で本当に悩んでおられる方が大変な状況にあるということについてはよく承りました。

 御指摘の中で、化学物質過敏症について、例えば標準医療に位置づけてというようなお話がありましたけれども、この問題の難しさというのは、現時点では、どのような化学物質が関与しているのか、どのような体内の変化が症状を引き起こすのか、病態や発症メカニズムなど未解明な部分が多いというふうに考えています。専門外来と申しますのは、疾患に対して専門的に医学的な相談や治療を行う外来医療機関ということを認識しておりますけれども、化学物質過敏症については、いまだ確立した診断基準や治療法は存在していないという事態でございます。

 このため、現時点において、各都道府県に化学物質過敏症の専門外来を配置する状況にはない、まずは病態の解明を進めることが重要であると考えております。化学物質過敏症の解明をしっかりと進めていくことが必要だということは痛感いたします。

高橋(千)分科員 やはり全く同じ答弁でありました、残念ながら。気持ちは、大変だということは分かってくださったと思うんですけれども、答弁が全く同じなんですよね。

 やはり、診断基準については一九九七年に北里大学の石川哲先生が既に作っておりますし、ICD10、国際疾病分類の対応標準病名マスターに既に登録されています。今年、三十年ぶりにICD11が改定されたところでありますけれども。

 全国から患者さんが通っていた国立盛岡病院の水城まさみ先生が一昨年お亡くなりになって、先生を頼っていた患者さんの多くが行き場を失い、全国で数少ない専門医も次々リタイアをしているんです。本当に不安の声が寄せられています。でも、水城先生も元々は呼吸器の医師であって、最初から専門ではなかったわけです。やはり、当事者と試行錯誤して築いてきたと思うんですね。

 それで、資料の一枚目ですけれども、日本年金機構が出している、障害年金の請求にかかる照会について。これは、化学物質過敏症照合様式とあります。過敏症の特徴、ごく微量の化学物質に反応するとか、多臓器にまたがるとか、原因物質、たばこの煙や殺虫剤や香水や芳香剤や、様々書いてくださっています。

 こうした照合様式を作成した背景と、是非、周知徹底をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 障害年金の障害等級の認定に当たりましては、傷病名にとらわれず、障害の程度について、日常生活能力や稼得能力によって個別具体的に判断しております。

 化学物質過敏症につきましては、障害年金の認定に際して、障害の程度判定の参考となる検査数値等の異常が見られない事例が多く、障害等級の判定が困難であったことから、平成二十四年に、過去の認定事例を参考に、審査に当たって必要となる症状の重症度などの事項について主治医に照会をし記入していただく照会様式を作成し、診断書と併せて提出をいただいているところでございます。

 これにつきましては、関係部局ともよく連携しまして、周知に努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)分科員 私は、これだけ詳細な照合様式が障害年金の認定にあるのだから、何年たっても診断基準がないという答弁はやめるべきだと思っているんです。逆に、診断基準が確立しなければ診察や相談さえも断られて、せっかく受けられる障害年金の申請に、診断書を書いてくれる医師がいないという八方塞がりの状態になっているんです。何としてもこれをこじ開けたいと思います。

 それで、資料の三を見ていただきたいんですが、これは、児童のアレルギー疾患について保護者と学校、主治医などが理解を共有するために活用されている、学校生活管理指導表です。学校生活上の留意点、食べ物や、プールはどうかとか、常用する薬をどうかとか、大事な情報を医師が書き込むことになっています。

 私は、前回の、二〇一七年六月の厚労委員会で、これを化学物質過敏症にも使えないかと質問したんですね。答弁は、一律にアレルギー疾患と同様の評価はできないので、代わりに保護者が記入する保健調査票というのがあるので活用したいというものでした。

 確かに、保健調査票には自由記述欄があるので、家庭の要望も書きやすいかもしれません。でも、その後、化学物質過敏症の児童の状況がこれによってどれだけ把握されているのでしょうか。また、具体的活用例があれば教えてください。文科省に。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の平成二十九年六月の政府参考人答弁は、いわゆる化学物質過敏症の子供たちについても、保健調査票を活用するなどにより、学校、保護者、学校医あるいは主治医等と個々の症状について共通理解を持って対応することは重要なことと考えている旨を申し上げたものでございます。

 この保健調査票と申しますのは、御案内のとおりかと思いますが、子供たちの健康状態とともに、健康上の課題などについて学校に知らせておきたいことなどを保護者等が記入するというものでございまして、子供に何らかの対応が必要な症状があれば学校での対応につながっていくということで、必ずしも、いわゆる化学物質過敏症に厳密に該当しない場合であっても、保護者さんの方からのお申出などを踏まえて柔軟に対応できる、こういうものとしてお示しをしたところでございます。

 お尋ねの子供たちの状況の把握についてでございますけれども、いわゆる化学物質過敏症の原因や症状などが様々であると承知をしておりまして、現時点において、一定の何らかの定義などを設けまして対象の範囲を特定をして調査をするということ自体はなかなか難しいというふうに考えておりますけれども、他方で、現に症状に苦しんでいる子供たちに対して個別に丁寧な配慮を行っていくということは極めて大事なことだというふうに考えておりますので、私どもとしては、既に作成をしております対応の参考資料などを参考にしていただきながら、各学校で適切な対応をお願いしたいというふうに思っております。

 また、具体的な活用例というお尋ねがございました。

 学校において子供たちの症状を把握する端緒といたしましては、保健調査票ももちろんあるわけでございますけれども、それ以外にも、日常的な健康相談などで把握するということもございます。

 教育委員会や関係機関からの聞き取りによりますと、例えば、体育館の塗装工事に伴って体調不良を訴える生徒の保護者からの求めに応じて体育館に換気扇を設置をしている事例ですとか、いわゆる香りについて過敏なお子さんに配慮して席の配置を窓際にするとか、あるいは、通常はいいんだけれども、学校に工事が入るような場合にはお子さんが過敏になるというふうな保護者さんからの元々の訴えに対して、工事に入る際に事前に情報提供するといったような事例があると承知をしております。

 私どもとしては、様々な機会を捉えて、これまでも参考資料の累次の周知を図っておりますけれども、担当指導主事などの協議会などを通じて、事例の共有なども更に図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)分科員 現に大変な症状に苦しんでいる子供がいるということは認識しているというお答えだったと思います。私は、それをやはりもう少し網羅的に把握するべきだということを重ねて述べてきたわけなんですよね。

 例えば、教科書のインクのにおいが駄目で天日干しなどの対応本を注文している生徒は、教科書協会が把握しているということで、前回質問しました。増えていると思いますが、二〇一七年と二〇二一年の数字でお答えください。簡潔に。

淵上政府参考人 いわゆる化学物質過敏症の子供たちの教科書に関する対応本といたしましては、大きく三種類ございます。インクを使用しない全ページのコピー本と消臭紙のカバーで包んだ本、天日干し本の三種類あるわけでございますけれども、この三種類の対応本の配付実績でございますが、二〇一七年度では、小学校七十二名、中学校二十九名、高等学校十一名の合計百十一名でございます。直近のデータは、二〇二〇年度実績でございますけれども、小学校八十五名、中学校四十七名、高等学校八名の合計百四十名という状況でございます。

高橋(千)分科員 二〇一七年が百十二名から二一年百四十名ということで、教科書一つとっても増えているということが分かると思うんですね。

 資料の四を見てください。

 令和元年度の養護教諭の職務などに関する調査です。配慮や管理が必要なアレルギー疾患を有する児童生徒はいるかに対して、八九・一%がいると答えています。非常に多いです。また、はいと答えたうち九四・一%が学校生活管理指導表を活用しているというんですね。

 それで、厚労省のシックハウス症候群病態解明検討委員会のメンバーとして、環境過敏症の疫学研究に取り組んできた北条祥子尚絅学院大学名誉教授らの二〇一九年の調査研究でも、化学物質過敏症、やはり、何らかのアレルギー疾患のある人はシックハウスを起こしやすいとか、過敏症の患者の八四%が何らかのアレルギー疾患を持っているとか、特にアトピー性皮膚炎を合併している患者は強い反応状況を示す、こういう結果が出ているんですね。

 実は、先ほど来答弁に紹介されてあります二〇一二年に文科省が作成した学校における化学物質における健康障害に関する参考資料、この中にも学校環境衛生基準の問題がありまして、「特に、アトピー性皮膚炎や気管支ぜん息をはじめとするアレルギー関連疾患の既往等があり、皮膚・粘膜の防御機能に障害ある者については、当該基準値を上回る濃度でのばく露が持続した場合、皮膚や粘膜の症状が増悪するおそれがある」ということで、化学物質とアレルギーとの関係を実は認めているんですよね。

 だから、先ほどの私が言った九割近いアレルギー疾患がある子供がいる、この中に含まれているんじゃないかと。まずそのことを認めるべきではありませんか。一言で。

淵上政府参考人 いわゆる化学物質過敏症につきましては、先ほども申し上げましたとおり、その原因、症状は様々であるということでございますので、現時点においてなお、それが具体的にどういうことなのかということを定義したり確定するということはなかなか難しいというふうに思っておりますけれども、先ほど来申し上げております子供たち一人一人の状況にきちんと寄り添った丁寧な対応をしっかり現場レベルで行っていただけるように、私どもとしても取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)分科員 子供の実態が深刻だということを認めていながら、肝腎のところを認めない、同じ答弁を繰り返しているということは、非常に逆に矛盾が生じていると思うんですね。

 一言、厚労省に伺いますが、今回、学校生活管理指導表を出すに当たっては、これは医師の診断書と同じ扱いをするわけですので、料金がかかる。しかも、ばらばらだと。無料のところもあれば、五千円とか、もっと高いところもあるということで、養護の先生方からも要望が出ておりました。

 この度、中医協の中で、この医師の情報料を保険適用にすることを検討されていると聞いていますが、どのようになるでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 アレルギー疾患を有する児童等が安心して安全に学校等に通うことができるように、主治医と学校医等の連携を推進することが重要であると考えております。

 令和四年度の診療報酬改定におきましては、中医協の議論を踏まえまして、アナフィラキシーの既往歴のある患者若しくは食物アレルギー患者さんにつきまして、主治医が学校医等へ学校生活管理指導表を用いて必要な情報の提供を行った場合につきまして、診療情報提供料として評価することといたしております。これによりまして、御指摘の料金のばらつきへの対応にもつながるものと考えております。

高橋(千)分科員 一歩前進だと思うんですね。是非これを機会に、学校生活管理指導表の中に化学物質も加えることを御検討ください。本日、厚労省と文科省が同席しているわけですから、譲り合わないで、協議をしていただきたい。これは要望にとどめたいと思います。

 そこで、国民生活センターは、消費者庁に伺いますが、二〇一三年、そして二〇一九年四月に柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供を行っています。その相談の特徴と、情報提供をどこにどのように行っているか、簡潔にお答えください。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 柔軟仕上げ剤のにおいに関しましては、国民生活センターが二度にわたって実施いたしました情報提供におきまして、例えば、柔軟仕上げ剤のにおいで頭痛や吐き気があるなどの相談が紹介されてございます。

 これらの相談や国民生活センターが行った商品テストを基に、消費者に対して、商品選択に当たっては香りの強さの目安を参考にすることや、使用に当たっては過度な使用を避けるといった注意点を情報提供をしてございます。

 また、消費者だけではなくて、業界団体であります日本石鹸洗剤工業会に対しましても、香りの強さの目安の表示や適正な使用量を守ることを促す取組を要望しているということでございます。

高橋(千)分科員 具体の数字をおっしゃらなかったんですが、二〇一四年以降、九百二十八件の相談が寄せられて、五百九十四件が実際に危害を受けたということが出ておりますし、情報提供を行った二〇一三年から一八年に向けて、国内製造業の柔軟仕上げ剤の販売量が二十八・二万トンから三十七万トンと増加している。やはりここは非常に問題だと思うんですね。

 業界団体の自主基準があって、適正な量をお使いください、周りの方に御配慮をと書かれているようです。ただ、御配慮をだけでは、ほぼ効力がありません。なぜなら、周りで困っている人がいるということが分からないのですから。

 資料の五に、消費者庁、文科省、厚労省、経産省、環境省が連名で作った「その香り 困っている人がいるかも?」という啓発ポスターがあります。このポスターについて、香害の当事者からは、一歩前進ですが、健康被害としては認めていない内容で残念ですと言われました。確かに、下に書いてあるのは、「香りの強さの感じ方には個人差があります。」と。これだけなら、自己責任でしかないんです。

 いわてCSの会のアンケートでは、家族が来ると洗剤のにおいがある、風下に立たない、ドアを開けないで応対する、入ってもらうが窓を開けて酸素吸入をしなきゃいけない。日々香りから避難をしなければならないんです。身近な人との関係でもそうなんです。困ったことに、介護施設やヘルパーさんの利用ができないという方がほぼ全員でした。八割が就労又は就学ができないと答えています。

 理解されないために苦しむ、言い出せない。私は、少なくとも、マイクロカプセルや香りづけのためだけに使用する製品などは販売しないなど、規制を検討するべきだと思います。

 大臣、先ほど紹介した北条先生らの調査でも、三十年疫学調査に取り組んできました、その中でシックハウス症候群を訴える人は減ったと言っているんです。それは、厚労省が二〇〇三年に保険対象疾患に指定して、建築基準法の改正など、住環境の改善につながったからなんです。つまり、同じように、取り除けば改善が見込めるんですよ。

 そういう意味で、もう一歩踏み込んで使用禁止や限度基準などを検討するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の業界団体の表示に関する自主基準、存じ上げております。我々としても、それに合わせまして、先生御紹介いただきました啓発ポスターを作成して、こういった方々がいらっしゃるということでマナーの呼びかけを行っているところでございます。

 ただ、繰り返しで恐縮でございますが、化学物質過敏症、病態、発症メカニズムは未解明でございまして、特定の物質との因果関係というのは科学的知見が得られていないというものでございまして、まずは病態解明ということで、今現在その病態に関する研究を進めているところでございます。

高橋(千)分科員 解明する気があるんでしょうか。未解明と何年も答え続けているというのはどういうことなのかと言わなきゃいけないと思うんですね。

 内閣府に伺います。障害者差別解消法が昨年六月に改正され、合理的配慮が民間事業者にも義務づけられました。

 前回の質問のときに、障害者の権利条約に基づき、「継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」という定義に照らせば、化学物質過敏症も障害者差別解消法の対象になると答弁がありました。

 今、全国三十五の都道府県でも条例を持ち、国も自治体も事例集などを公表しています。ただ、残念なことに、化学物質に関しての記述が見当たらないんですね。いわゆる身体、知的、精神、発達、難病などの名称には分類されなくても対象となるようにせっかく広く定義をしたのに、実際に内閣府の合理的配慮サーチを見ると、見事に障害ごとにしか書かれていないんです。どこにも入っていない。

 そこで伺いますが、基本方針や障害者基本計画第四次の見直しの中に、化学物質過敏症を始めとする環境過敏症やアレルギー疾患などを一言加え、また、事例集に化学物質過敏症に対応した事例も加えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

難波政府参考人 お答えします。

 障害者差別の解消のためには、国民のお一人お一人の障害に対する理解を促進することが重要だと考えておりまして、昨年六月に公布されました改正障害者差別解消法の施行におきましては、このような観点も踏まえつつ、現在、障害者政策委員会におきまして、政府の全体の方針である基本方針の改定に係る審議を進めていただいているところでございます。

 引き続き、こうした基本方針の改定、あるいは、それと併せまして国民全体への周知啓発といった施行前の必要な準備をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)分科員 団体の要望も前日届けさせていただいておりますので、具体的な検討を是非これからやっていただきたいと思います。

 最後に、資料の最後に日医のニュースをつけております。化学物質過敏症について、原因、悪化因子は何か、どのような症状が出るのか。この中で、同じ物質を微量でも吸入することで症状が出るし、別の種類でも、つまり複数の原因物質になっていく、こういうことを書いています。

 そこで、最後のところに「診断されて治療を始めるには、患者自身と医師が、「化学物質過敏症ではないか?」と気づくことが何より重要です。」と書いてくれている。本当にそのとおりなんです。

 だけれども、今、スタートラインにも立てないまま苦しんでいる方たちがいるんです。さっき言ったように、いつまで解明しないつもりなのか。そのためのいろいろな事例が既に積み上がってきているんです。一歩前へ出るべきだと思います。

 大臣、一言お願いします。

後藤国務大臣 現在、厚生労働科学研究において、化学物質過敏症等の病態の解明に関する研究が進められております。

 厚生労働省としては、まず、こうした研究の支援を通じまして、引き続き、病態の解明につきまして、科学的な知見の収集にしっかり取り組んでいきたいと思います。

高橋(千)分科員 今度こそ、未解明と言わずに解明をするんだという立場で頑張っていただきたいと思います。

 そのことを訴えて、終わります。ありがとうございました。

今枝主査 これにて高橋千鶴子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、末次精一君。

末次分科員 立憲民主党、末次精一でございます。

 昨年の衆議院選挙初当選後、初めての質問でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の質問に当たりまして、多岐にわたり質問をしようとも考えましたけれども、私の専門の一つである障害者福祉の分野に絞って質問させていただきます。

 今回の質問に先立ちまして、私の地元、長崎四区が選挙区でございますが、の障害者福祉の事業所約百社強にアンケートを行いました。日頃困っておられることとか行政への要望とか、アンケートをいたしました。そのアンケートを基に、今回、質問項目を決めさせていただきました。

 そのような意味で、担当部署におかれましては、現場の声を踏まえているということでもありますので、的確かつ簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。

 また、大臣におかれましては、関係当局とやり取りをさせていただきますので、それを踏まえて最後に御所感をお伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、まず最初に、通告に従って質問させていただきます。

 まず、制度の運用上の問題についてお伺いいたします。

 障害者福祉事業所につきましては、言うまでもなく、厚生労働省が定めるルールに基づいて事業運営をすることになっております。ところが、アンケートをちょっと御紹介いたしますけれども、なかなか、運用上の問題が現場で起こっているということであります。例えば、自治体によってルールや解釈が異なる場合に自治体の判断の正否を問う機関がない、自治体担当者個人の判断が大きく制度を左右することもあり、自治体担当者個人の判断について事業所側から是々非々を議論させていただく機会がない。

 私の地元であります佐世保市は、二〇一六年に中核都市になりました。所管が長崎県から佐世保市に移ったわけでありますが、そうしたときに、中核都市移行に伴い権限を有することになり、県の解釈と異なることが多く困惑することが多いという声もありました。

 こういうことも踏まえて、やはり、アンケートにあったのが、全国で統一した判断になるよう厚労省が示すべきとか、厚労省に内容解釈について問う際、各自治体判断なので自治体と相談するよう回答を得ることが多いとか、そういう困った内容もありました。

 これについて、厚労省の担当部署の御見解をいただきたいと思います。

田原政府参考人 お答えいたします。

 全国どこでも一定の質が確保された障害福祉サービスが提供されることは重要だというふうに考えておりまして、国として、指定障害福祉サービス等の人員配置や設備、運営に関する基準、それから報酬の算定に関する告示等を定めております。

 こうした省令や告示等の具体的な解釈につきましては、地方自治体等からの疑義照会に随時対応するとともに、地方自治体等から寄せられた質問も踏まえながら、QアンドAや事務連絡等としてまとめ、全ての自治体に解釈をお示しをしております。

 引き続き、法令等の具体的な解釈を丁寧にお示しすることで、障害福祉サービスの適正な実施に努めてまいりたいと考えております。

末次分科員 おっしゃるとおりなんですよ。おっしゃるとおりなんですけれども、されども、現場においてそれが徹底されている、徹底されていないはおいておいて、例えばいろいろな判断基準をQアンドAでされているかもしれませんけれども、そちらが想定されていないような、又は漏れているようなことについて解釈の違いがあって、中にはやはり減算になった、そういうような事業所も私は幾つか聞いているんですよ。

 そういうことが起こっているということについて、今後どういうふうなことを行っていくかということを聞いているんです。もう一回お願いします。

田原政府参考人 お答えいたします。

 個々の事例につきましては、ちょっとなかなかお答えできかねるところがございますけれども、いろいろ現場でもしそういう解釈が違うというようなことがございましたら、地方自治体等から疑義照会をしていただきまして、もしその解釈に誤りがあるということであれば、それは地方自治体に対して国の方から指導をしていきたいというふうに考えております。

末次分科員 自治体の方がきちんと問合せしてくれればいいんでしょうけれども、大体問い合わせてくれることも多いと聞いていますけれども、中にはそうでなくて、いや、こうだからこうですと言われると、もうどうしようもないわけですよね。

 そういうことについて、例えば、おっしゃったようなことであれば、今回のアンケートのような答えは出てこないんじゃないですか。実際、県と市と解釈が違うという現象が起こっているということも事実として起こっているわけですよ。だから、それについて厚労省として、例えば担当窓口を置くとか、一々そんな個別の電話とか、私は受けるのは難しいと思うんですよね。そういった、いわゆる例外的なものについて今後どうされるかということを聞いているわけですよ。さっきも言いましたように現場の声として起こっているということだから、それについてもうちょっと突っ込んだ御答弁をいただけますか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 そういった具体的な事例がございましたら、我々の方でもしっかり把握をいたしまして、適切な対応をしてまいりたいと考えております。

末次分科員 やはり日本人というのは、お上に弱い。特に厚労省なんて、もう本当にある意味雲の上の人ですよ、一般の人からすれば。そういう方が、電話をかけるのも勇気が要るし、実際に電話して、すごく重い声で対応されると、やはり萎縮してしまうということもあるんですよ、実際。

 だから、私は、対応するとおっしゃいますけれども、現実的になかなかそういうところまではできないということなんですね。だから、そこをもう少し、更にこういう声が起こらないようにしていただきたいということなんですね、分かりますか、ということなんですよ。ちょっともう次に行きますね、時間がないので。ですので、よくそこを踏まえていただきたいと思います。

 それでは、二番目、障害者福祉事業の人材不足について御質問いたします。

 これは、障害者の事業所に限らず、日本全国人材不足ということはもう認識しているところでございます。これについては、バブル以降、ほぼ一・〇以下だった有効求人倍率が二〇一四年から一・〇を超えて、二〇一八年にはもうバブル期のピークを超えるようになったと。二〇二〇年、ですけれども、このコロナ禍によって一・一八まで落ち込んだものの、やはり雇用のミスマッチを除くと、こういった人材不足の問題は、ずっと現場にはやはり本当に大変なものになっているということであります。

 厚労省におかれましてもそこを改善するためにいろいろされておりますけれども、その中の一つ、処遇改善についてお伺いします。

 これが、やはりこういうふうにやったのは、まず、申請するに当たって、利用者の人数によってその申請額が変わってくる。だから、契約者数とか実際に通勤される利用者さんの数が、実績が少ない事業所においては受け取る処遇改善の額がやはり少なくなるということで、これは利用者数に応じたことではなくて、例えば指導員の配置人数についてできないかとかという案もありますけれども、この辺の障害者福祉事業における人材不足の現状を踏まえて、また、今のようなアンケートを踏まえて、今後どのような対策を考えておられるかということをお伺いいたします。

田原政府参考人 お答えいたします。

 今お話のございました障害福祉サービスのいろいろな基準でございますけれども、これは利用者数の事業規模に応じていろいろと基準を定めておりますので、サービスの類型ごとにいろいろな標準的な職員配置を踏まえて設定をしているものでございます。

 こうしたやり方というのは、個々の事業ごとに職員体制や事業規模に違いがある中で、毎月の報酬の支払いで事業者にとっては比較的事務負担の少ない手続や計算方法というふうになっていると考えておりまして、現実的な方法と考えております。

末次分科員 その現実的な方法に対して、利用者が少ない事業所についてはなかなかその処遇改善の額が少なくて困っているという質問ではあったんですけれども、それはじゃあもうそれとして。

 一つ、これも処遇改善について。対象が指導員になっていますが、施設の中には指導員だけではなくて、例えば給食担当とか送迎担当とか、中には経理とかを含めて、いわゆる施設全体の中でそういう方も必要なわけですよね。そういう方は対象になっていない。中には、もう自ら同じように時給なり月給なりを上げるという事業所もありはするんですね。そのような、施設の中の、そういったある意味区別みたいなことが起こっている現象についてどのようにお考えか、そこを変えてほしい、是正してほしいという声もあるんですよ、それについてお伺いします。

田原政府参考人 今お尋ねの障害福祉人材の処遇改善でございますけれども、これは報酬の中で令和元年十月に福祉・介護職員等特定処遇改善加算というものを創設をしておりまして、これまで累次の改善に取り組んできたところでございます。

 この特定処遇改善加算につきましては、サービス管理責任者等を含む経験、技能のある職員に重点を置いた措置となっているだけでなく、従来からの処遇改善加算とは異なって、一定の条件の下で福祉・介護職員以外の職員の処遇改善にも充てることが可能となっております。

 さらに、本年二月から、福祉・介護職員の処遇改善臨時特例交付金が設けられておりますし、また、十月から予定しております臨時の報酬改定による措置につきましても、各事業所等におきまして、福祉・介護職員以外の職員にも一定の処遇改善を行うことができるよう、柔軟な運用を認めることとしております。

末次分科員 分かりました。

 その特例交付金ですけれども、十月以降ということですが、それは九月までに試験運用みたいなのがあるということですよね。

 現場でちょっと心配の声が上がっているのが、実際、十月から本当に引き続きこれが制度が続くのかどうか、はしごを外されるようなことにならないのかという。猫の目行政ともやゆされますけれども、そういうことについて御答弁をいただきたいと思います。

田原政府参考人 今お話のございました臨時特例交付金でございますけれども、これは、令和三年度補正予算におきまして創設をいたしまして、障害福祉職員を対象に、収入を三%引き上げるための措置を今年の二月から九月まで実施するということにしたものです。

 この措置が一時的なものにならないように、令和四年度の当初予算案に基づきまして、今年の十月以降は、交付金ではなくて、臨時報酬改定を行いまして、同様の措置を継続することを予定しております。

末次分科員 分かりました。予定ということで、続くという解釈でよろしいですね。分かりました。ありがとうございます。

 それで、引き続き、人材不足ですけれども、なかなか募集しても来ないと。来ないということで、いろんな事業所が、やはり考えられて、工夫されて、非常勤、パートさんを活用しようということでされているところも増えています。

 これは、なぜかというと、いわゆる子育て世帯の女性ですね。仕事はしたいけれども、フルタイムは難しいという方が結構おられる。例えば、九時―三時とか、十時―二時とか、そういう時間帯だったら可能と。まさに、いわゆる利用者さんが利用される時間帯にぴったり当てはまるということで、パートさんを活用して、努力されている事業所も増えてきているということなんです。

 ところが、このいわゆるパートさん、非常勤の方については、例えば、常勤の方だと研修で事業所を休む形になっても、配置基準として考えられるのに、換算されるのに、いわゆるパートさんが研修に行ったり若しくは有休を取ったりすると、そこが配置基準に算入されないということがあるんですね。それによって、またいろいろ現場で困ったことが起こっているんですよ。

 これは何で、常勤だと換算されて非常勤だと換算されないのか。こういう問題が起こっていることについて、見解と、今後の対応策、お考えがあれば、示していただきたいと思います。

田原政府参考人 障害福祉サービス等の人員配置基準につきましては、各サービスの質を担保するという観点から、必要な最低限度の基準として定めたものでございます。このため、サービスを提供するに当たっては、基準を遵守していただくことが必要でございます。

 一方で、事業の運営に当たって様々な手法で必要な人材を確保することも重要と考えておりまして、人員配置基準においては、今御指摘のありましたパート従業員等の非常勤職員も活用する等、柔軟な職員配置を可能とするために、常勤換算という方法を採用しているところでございます。

 一方で、職員の配置は障害のある方が受けるサービスの質に直結するものでございますので、非常勤職員が休暇等により欠勤した場合には、配置基準上の人員の算定には含められない取扱いとしております。

 現在の常勤換算は、事業所に出勤した日の勤務状況を一週間単位で合算をいたしまして、常勤換算上の数値を満たせば基準を満たす取扱いをしておりますけれども、この欠勤の取扱いにつきましては、働きやすさ、それからサービスの質の確保の観点から、引き続き検討していきたいと考えております。

末次分科員 今の御答弁だと、同一労働同一賃金という、そういうそもそもの労働に対する考え方に反するんじゃないですか。

 おっしゃったように、常勤だとサービスの質が高くて、非常勤の方だと比較してサービスの質が劣るというふうにおっしゃっていることと一緒ですよね。そこがおかしいというわけですよ。

 常勤社員でも非常勤社員でも、やっている仕事の内容は同じであるし、むしろ経験年数によって、若しくは本人の御努力も関係するかもしれないですけれども、そこによってサービスの質が生まれるわけで、今おっしゃったような、非常勤だと常勤のスタッフに比べてサービスの質が落ちるということは、私はいかがなものかと思いますけれども、いかがですか。

田原政府参考人 今申し上げたとおり、人員配置基準については、それぞれのサービスの質を担保するという観点から、必要な最低限度の基準として定められております。

 非常勤のパート従業員なども活用して柔軟な職員配置を可能とするために、常勤換算の方法を採用しております。

末次分科員 いやいや、だから、そうじゃないですか。これまで常勤でなければいけないと配置基準の中に入れていた人数を、非常勤でもいいというふうに移行されているじゃないですか、まさに。されども、さっきの御答弁だと、非常勤の方の方のサービスの質の低下を考えて、有給休暇を取ったり研修に行った場合は、常勤の社員との差別化を図っている、平たく言えばそういうふうにおっしゃっているんですよ。それについてどうかと。

 常勤も非常勤も、そこを同一条件にしなければいけないじゃないか。結果的に、事業所としては、有休を使えないし、研修に行かせれば欠勤になるから、結果的に配置基準を満たすために非常勤、パートさんを増やさなければいけないわけですよ。

 この問題について、どう考えておられるかというのはもう聞きましたけれども、今後どうされるかということを聞いているわけですよ。

 業種における、いわゆる正社員とパートにおける、部長がおっしゃっているのは、これは差別じゃないですか。おかしいと思いますよ。いかがですか。

田原政府参考人 今後のことについてお尋ねがございましたので、そういう非常勤の方がお休みになったような取扱いにつきましては、働きやすさという観点、それからサービスの質を確保するという観点から、引き続き検討してまいりたいと考えております。

末次分科員 ありがとうございます。是非そこは御検討いただきたいと思います。

 ちょっと時間があれなんですけれども、サービス管理責任者の問題について、短くお伺いします。

 これは、やはり現場の声であるのは、いわゆるサービス管理責任者、以下サビ管と言わせていただきますけれども、サビ管を必ず配置するようになっているけれども、サビ管がいなくなった場合、二か月以上その状態が続くと、何と三割減算されるという、これによって、雇用のミスマッチじゃないですけれども、いわゆる経営者と社員との本当にパワーバランスが大きく崩れて、これは事業所で、実は潜在的に抱える大きな大きな問題になっているということがあるんですね、あるんです。

 これについて、もう少し、今後どうされるということはもう結構ですけれども、そういうことについて今後検討される余地があるかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。

田原政府参考人 今の御質問のサービス管理責任者につきましては、利用者支援のマネジメントなどサービス提供プロセス全般に関する責任を負う、支援の要でございます。したがいまして、指定障害福祉サービスごとに利用者数に応じて必要数を置くこととしております。

 これにつきましては、サービスの質が確保され、利用者の方が適切な支援を受けるためには、サービス管理責任者を確実に配置していただくことが必要だと考えております。人員が少なくなったときでも、直ちに減算するということではなくて、その少なくなった翌々月からその人員の不足が解消されるに至った月まで、所定の単位数から今御指摘のあったような減算を行うような取扱いをしているところでございます。

 こうした質の確保という観点で、必要な事業所におきます体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

末次分科員 全然答えになっていないと思うんですよ。そのおっしゃった現状に関して、二か月が、翌々月が短過ぎるということだから、非常に、いわゆる経営の中でのパワーバランスが起きて、いわゆるいびつな関係にあると言っている。そこについてどうされるかということをお伺いしたかったんですけれども、全然答えになっていませんよ。

 ちょっと時間がないので、済みません、大臣、お待たせいたしました。

 今のやり取りを伺って、いろいろ、やはり制度に対して、完璧な制度はないと思います。どうしても穴はありますよ。穴はあると思います。それを、やはり今の行政機構に穴がないようにと求めること自体、組織論上から考えても私は無理があると思います。じゃ、それをどうするかということでしょうけれども、それを補うのがやはり現場に近い我々政治家だと思います。

 何か衆議院議員のことを代議士というそうです。私も代議士になって数か月ですけれども、この代議士という言葉を調べましたけれども、地域の代表ということでありますけれども、代表と同時に、やはり地域の方の代理、その意味もあると思います。

 そういうことも含めて、こういった制度上の、運用上の穴を埋める、これはまさに地域の代表である、代理である我々だ、私はそう思いますけれども、それについて大臣の御所見をいただきたいと思います。

後藤国務大臣 障害のある方が自立した日常生活や社会生活を安心して営むことができるように、必要な障害福祉サービス、しっかりと提供体制を確保していくことは重要な課題であると思います。

 そのためには、障害のある当事者の方はもちろんのことでありますけれども、障害福祉サービス事業者など、実際に現場の関係者の声にしっかり耳を傾ける必要があるというふうに思いますし、現場のニーズや現在の制度の課題等につきまして、不断に制度の改善をしていくことは必要だというふうに考えております。

 質の高い支援の確保のために、従事者にとって働きやすい環境を整備することは非常に重要でありまして、令和三年度補正予算や令和四年度の当初予算に基づきまして障害福祉職員の処遇改善にも取り組んでいたわけでありますけれども、そうしたいろいろな取組について、よく現場の声に耳を傾けながら、制度とのバランスを図って、しっかりと前進させていきたいと思っております。

 社会保障審議会の障害者部会におきまして障害者総合支援法改正法施行後三年の見直しの検討を行っているところでもありまして、障害者が地域で安心して暮らせるための支援の充実などに引き続きしっかりと取り組んでいきたい、そんなふうに思っております。

末次分科員 おっしゃったように、障害者支援法の見直しもあって、その協議会もということで、より現場に近い声も酌んでいくという方針を示していただきましたけれども、恐らく答えていただいたと思うんですけれども、そういった制度上の穴、問題点を改善していくというのは我々の役目である、そうお思いですか、お思いでないですかという質問に関して、端的にお答えいただきたいと思います。

後藤国務大臣 我々衆議院議員、大臣でありますけれども衆議院議員でありますから、地域の実態、国民の本当に生の声をしっかりと政治の場に届けて、それを政策の形にしていくことが私たちの使命である。先生の意見に同感であります。

末次分科員 今、大臣の方からそういった御答弁もいただきました。よろしいですか、今の大臣の御答弁を踏まえた上で、今後、更なる行政の発展、改善に努めていただきたいということを当局に改めてお願いして、強調して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今枝主査 これにて末次精一君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川康君。

古川(康)分科員 自由民主党の古川康でございます。

 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。私は、いずれも新型コロナに関する質問でございます。

 残念なことに、いまだ、オミクロン株を中心とする新型コロナの感染状況、まだまだ収まりを見せておりません。

 まず、お伺いをいたします。新型コロナ感染症で陽性だった場合の療養のルールについてでございます。

 自宅や宿泊施設、あるいは医療機関での療養ということになると思うわけでありますが、これについては、症状がある場合、何日間療養をすることになっているのでありましょうか。また、症状がない場合はいかがでございましょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、症状がある場合には、症状が出た日、又は、症状が出た日が明らかでない場合には検査で陽性が確定した検体を採取した日から十日間、かつ、その時点で症状軽快から七十二時間以上たっていれば療養解除というふうになります。

 また、症状がない場合には、原則として陽性検査結果の確定から七日間たっていれば療養解除となっております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 ざくっと言えば十日間あるいは七日間、そういったキーワードが出てきたわけでありますが、退院又は療養解除ということになったとして、そのときに、例えば職場に復帰するというときに、PCR検査や抗原検査を受けて陰性であるということの証明を受ける必要がありますか。いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の陰性証明書につきましては、療養終了後に勤務等を再開するに当たって職場等に提出する必要はなく、このことについては厚生労働省ホームページの企業の方向けQアンドAにおいてお示しをしているところでございます。

 その上で、令和四年一月三十一日に、事務連絡によりまして、改めて、就業規制の解除後に職場等で勤務を開始するに当たって職場等に陰性証明書等を提出する必要はない旨、周知をしたところであります。

 引き続き、正確な情報提供に努めてまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 陰性の証明書を出してもらう必要はないし、その旨周知を図っているという御答弁でございました。

 ところが、実際には、職場復帰するのにPCR検査や抗原検査の結果というものが要求されている、そういうお話をいただいています。ある会社の職場復帰のルールの中に、一旦陽性になって治療、療養を経てきた人の職場復帰に際して、PCR検査や抗原検査で陰性でなければならないというケースがあるということをお伺いいたしました。これは、今のお話とはやや違う運用が現場でなされているということではないかと思います。

 特に派遣の労働者の場合。派遣先で働く場合に、派遣先から、PCR検査や抗原検査で陰性であるということ、例えば、あなたの会社から派遣する人はちゃんと陰性ですよねというようなことを求められる、こういう実態があるようでございます。

 療養解除になった段階で検査をしても、場合によっては陽性になるということはあり得るわけであると考えます。ただ、派遣会社からすれば、既に療養を終えた社員なのに派遣先で働くことができないということになってしまうわけであります。これは果たして妥当な取扱いと言えるのでありましょうか。いかがでありましょうか。

佐藤副大臣 ただいま政府参考人から答弁があったとおりなんですけれども、療養終了後に勤務等を再開するに当たって陰性証明書を職場等に提出する必要がないことは、厚生労働省のホームページや事務連絡でお示ししているとおりで、このことは派遣労働者の方にも当然当てはまります。

 したがって、御指摘の、派遣労働者が新型コロナウイルス感染症の療養から復帰する際に派遣先が陰性証明を求める事例については、この取扱いに沿ったものではないと考えております。

古川(康)分科員 副大臣、ありがとうございました。

 まさに明確に御答弁いただきましたように、こうした取扱いというものは厚生労働省の考え方に照らしても適当ではない、そういうことであると思います。是非ともこのことをもっともっと多くの皆様方、また企業の関係者の方にも知っていただきたいと思います。

 そこでであります。厚生労働省からこのことについて、いろいろな形で、事務連絡が出たり、QアンドAが出たりしているということでありますが、インターネットでグーグルで検索をしたときに、療養の解除、新型コロナというようなキーワードで検索をしたときに一番上に出てくるもの、少なくとも私のスマートフォンではこれが一番上に出てきました。そして、これは厚生労働省が作った資料でございます。

 この厚生労働省の資料を見ますと、「症状がある場合」の中ほどのところに、「症状が出た日から十日間以上経過、かつ症状軽快から七十二時間以上経っていれば、検査なしで復帰可能」というふうに書いてあります。この復帰というのは、どういう意味でありましょうか。

佐藤副大臣 陰性証明書につきましては、療養終了後に勤務等を再開するに当たって職場等に提出する必要はなく、このことについては厚生労働省のホームページの企業の方向けQアンドAにおいて従来お示ししているとおりであります。直近でも、令和四年一月三十一日に、改めて、就業制限の解除後に職場等で勤務を開始するに当たり職場等に陰性証明等を提出する必要はない旨、周知をさせていただいたところであります。

 その上で、今委員から御指摘がございましたけれども、委員の問題意識は大変に重要であると認識をしておりまして、御指摘の厚生労働省における広報のホームページの掲載につきましても、昨日、二月十五日に、改めて、「検査なしで職場等への復帰可能」と明示し、周知をさせていただきました。

 引き続き、適切な情報提供に努めてまいります。

古川(康)分科員 誠にありがとうございました。まさにそうしたことをお願いできればと思っていたところでございました。復帰という言葉だけを取ってみても、職場等への復帰という意味であろうことは予測されるものの、これを見せてもなかなか御納得いただけなかったというお話も聞いていただけに、今のような対応を取っていただいたことによって、誤った取扱いというものが改善する大きなきっかけになるものと信じるところでございます。副大臣、大臣、本当にありがとうございました。

 それでは次に、水際対策について伺います。

 これまでの政府の水際対策が一定の功を奏してきた、このことは私も認めるところでございます。一方で、このために留学生や技能実習生、専門性のあるエンジニアなどが来日できないという声も聞いています。何とかならないかという声を聞くところでございます。こういう声に対してどう応えていくのか。総理は、緩和に向けた検討を進めていきたいと先日発言されたとも聞きます。これは本当でありましょうか。また、検討を行っているとしたら、どのような検討を行っていただいているのでありましょうか。お願いいたします。

佐藤副大臣 オミクロン株への対応に当たりましては、G7で最も厳しい水際対策を講じて、オミクロン株の流入を最小限に抑えつつ、国内感染の増加に備える時間を確保できたと考えております。

 水際対策につきましては、内外の感染状況の差が大きかったこと、オミクロン株に関する科学的知見の蓄積が十分ではなかったこと等を勘案し、当面の対応としては、二月末まで、人道上、国益上の観点から必要な対応を行いつつ、現在の水際対策の骨格を維持するとしてきたところであります。

 様々な御要望があることは承知をしているところであります。

 今後につきましては、基本的な考え方としては、状況が変化している中で、変異種も含めたオミクロン株に対する科学的な知見の蓄積、内外の感染状況の変化、海外の水際対策のありようなどを総合的に勘案して、新型コロナウイルス感染症対策全体の流れの中で緩和に向けた検討を進めているところであります。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 これまでの二月末までの根幹的なところは維持しつつも、様々な声を踏まえて、今検討を始められているというふうに理解をしたところでございます。

 私のところにも、この水際対策のことについては様々な声をいただいているところでございます。例えば、留学生、技能実習生、そしてさらにはエンジニアなどの産業人材、こうした人たちの新規入国についての考え方、また、受け入れる学校や企業に求める書類の提出や審査、これの手続の簡素化などの声もよく伺っているところでございます。入国者の総数、さらには、三回目の接種によって待機期間がどう短縮あるいは撤廃されるのか、こうした様々な課題があるものと考えているところでございます。

 様々な声をいただいているのでありますけれども、その中で私が非常に関心を持っているのは、実は、書類の提出や審査についての手続面についてであります。

 前回緩和されたときには、どの役所に、どの窓口に書類を提出すればいいのかは申請者が自分で探しなさいというような取扱いをされていたと思います。自分の仕事の所管の役所に相談をする、手続をする、そうしたことが求められていたと思いますし、内容も複雑でよく分からないといった声も伺っていたところでございました。

 今回の検討においては、数を増やすとかそういったことだけでなく、この手続の簡素化などについても御検討いただいているのでありましょうか。また、是非、手続を簡素化していただきたい、このように考えておりますが、いかがでありましょうか。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、留学生や技能実習生、ビジネス目的で入国する方などの外国人の新規入国やその手続について、様々な御要望があることは承知しているところでございます。

 こうした御指摘の点を含め、様々な観点から総合的に勘案し、緩和に向けた検討を進めているところです。

 引き続き、必要かつ適切な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 今まさに政府の中で検討している最中だということで、ある一定の分野について、ここまで検討が進んでいる、そうしたことをこの場で御答弁いただくのはなかなか難しいとは思いますが、今の審議官の御答弁をお聞きしながら、私が申し上げたこうしたことについても間違いなく検討していただいているものと私は理解したところでございます。

 もちろん、数を増やすことも大事でありましょう。留学生を始めとする来日が必要な方々に対して、しっかりと、もちろん検査してもらった上で、私たち日本に住む者の安心感、信頼感をしっかり維持できる体制を取った上で入国していただくということは大事なことでありますけれども、手続が簡素になる、簡便になる、安心して手続ができる、こうしたことも極めて重要なことだと思っておりますので、改めて、再度になりますが、お願いをしておきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 そして、三番目の質問です。医療機関のPCR検査の点数についてお伺いをいたしたいと思います。

 今、PCR検査は様々な場所でいろいろな形で行われているところでございますが、このPCR検査について、ある医療機関から次のようなお話をいただきました。

 昨年の末の時点で、PCR検査の点数は千八百点、一万八千円であったということであります。これが、一月から三月末までは、ちょっと下がって一万三千五百円ということになっている。これが、四月からは七百点、すなわち七千円になるということが厚生労働省から示されているけれども、今、外部に委託すると、外部に委託するだけで一万一千円かかっているのが現状だ。四月以降は、七千円しかもらえないのに一万一千円委託料を支払うということになると、医療機関は赤字になってしまう。ということになると、その結果、検査にどうしても慎重になってしまう医療機関が増えてしまうのではないか。こういうようなお話でございました。

 そこで、まず事実の関係を確認したいと思います。外部に委託する場合でございますけれども、昨年末まではどうなったのか。そして、四月以降はどうなっているのか。元々一万八千円だったものが短期間でこれだけ下がることになった理由は何なのか。こうしたことについて丁寧に御答弁いただければ幸いに存じます。お願いいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のPCR検査等の新型コロナウイルス感染症に関する検査につきましては、令和三年十一月に、新型コロナウイルス感染症対策本部において決定されました次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像におきまして、実勢価格を踏まえて保険収載価格の検証を行い、その結果を踏まえて、年内をめどに必要な見直しを行うとされました。この決定に基づきまして、昨年十二月三十一日に、実勢価格を踏まえた引下げを行ったところでございます。

 具体的には、御指摘がございましたけれども、PCR検査を外部に委託する場合の点数につきましては、見直し前は千八百点としておりましたけれども、激変緩和のための経過措置といたしまして、令和三年十二月三十一日から令和四年三月三十一日までは千三百五十点とし、感染状況や医療機関での実施状況を踏まえた上で、令和四年四月一日に七百点とすることといたしております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 事実関係としてはそういうことであろうと思うのでありますが、ちょっとこの点について再度お尋ねをいたしますが、一万八千円だったものが一年たたないうちに七千円になる。一般的な物事の価格から見たときには、非常に大きな変化があったとしか見えないわけであります。先ほどの局長の御答弁の中では、実勢価格を踏まえてというような言い方であったわけでありますが、それは、千八百点つけていても、実際はもっと低い価格での取引がなされているということかなと思ったのでありますけれども、そういうことなのか、そして、それがなぜ起こっているのか。

 例えば、一方で、普通は、値段ががくっと下がるときには大量生産が可能になる場合などで、試薬が大量生産できるようになったから、それで、非常に低い金額、価格で提供できるようになったというようなお話も伺うわけでございますけれども、このPCR検査の委託料については、大量生産が可能になったとか何かそういったことがあってこれだけ実勢価格が下がっているということなのでありましょうか。その辺のところを、分かる範囲で結構ですが、お答えいただければと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、実勢価格につきましては、下がった理由でございますけれども、御指摘のような面もあろうかと思いますけれども、どのような形でどのような理由で実勢価格が公定価格より下がっているか、これは、取引条件とか様々なものがございますので一概には言えないと思います。

 その上ででございますけれども、今般の検査料の引下げに当たりましては、衛生検査所や検査機器、試薬業界に対しまして、今後も地域医療に必要な検査が引き続き実施されるように、今般の価格見直しを踏まえた円滑な契約の見直しにつきまして周知を行っているところでございます。

 その上ででございますけれども、繰り返しになりますけれども、PCR検査を外部委託する場合の点数につきましては、激変緩和のための経過措置といたしまして、千三百五十点と現在なっておりますけれども、感染状況や医療機関での実施状況を踏まえた上で、令和四年四月一日に七百点とすることといたしているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 この厚生労働省の方針に対して、関係の機関に通知をし、こうしたことが行われるのでそれに沿った形で契約の見直しをしていただきたい、そういう旨も関係機関に通知をしていただいている、こういうことであったかと思います。是非、今は二月の半ばということでありますけれども、こうした厚生労働省からの通知を受けて円滑な見直しが行われることを期待したいと思うわけであります。

 厚生労働省の資料あるいは今の局長の御答弁の中に、四月の見直しについては、感染状況その他の状況を勘案の上行うというようなフレーズが入っておりました。何となく気になるのであります。

 これは、感染状況その他の状況次第によっては四月の七百点にするということが行われない可能性があって、書いておられるのか。それとも、そういう深い意味なく、何か書いておられるのか。この感染状況その他の状況を勘案の上という言葉に込められた意味というものについて教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、文言といたしましては、感染状況や医療機関での実施状況を踏まえた上で、令和四年四月一日に七百点とするということでございます。

 感染状況や医療機関での実施状況をどのように踏まえるかにつきましては、現在検討中ということでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 踏まえた上でということであるけれども、どのように踏まえるかは今検討中だということでございました。

 イメージとして、感染が収まって、PCR検査に対する必要性みたいなものにしてもある程度の落ち着きが見られるようになったという状況と、あるいは、残念なことになかなか状況が収まらずに、PCR検査に対する希望数がかなり多いような状況が続くという場合で違うのかなと思ったんですが、今のお話だと、何か必ずしもそうではないのかなというふうにも思ったところでございます。

 いずれにしても、本日も医療機関に確認をいたしたところでございますが、厚生労働省からこのような通知が来ているということについてはもう御存じだというような機関も幾つかあったわけでございますけれども、まだまだ、この取引を四月に向けて見直そうというところまでの動きにはなっていない。ただ、価格は間違いなく下がってきている。それはやはり厚労省から通知があったおかげだというようなところは言っておりました。

 円滑にこれからも、四月一日以降も多くの医療機関でPCR検査を委託で実施していただくためにも、是非今の方針をしっかりとお伝えいただくことをお願い申し上げて、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

今枝主査 これにて古川康君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方分科員 今日、この分科会で質問させていただきます。

 後藤大臣、そして主査、本当に長丁場お疲れさまであります。

 大臣、今日は当てる予定はございませんので、聞いていていただければと思います。

 スタートは、薬事行政からスタートをさせていただきたいと思います。

 一日平均四十枚の院外処方箋に対して一人以上の薬剤師を配置する必要がある、そういうルールがございます。このルール、よく考えてみると、早く確実にお薬を出そうとする薬局の努力を否定しているように見えるわけですよね。

 このルールはいつできたのかと聞くと、結構前なんですね。そのときからいろいろ事情が変わっているにもかかわらず、こういうルールが維持されているということは、様々な技術革新とかを否定することになっているのではないかと思います。おかしいのじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の基準でございます。これは、薬物療法を効果的に、かつ、安全確実に行うということで定めておりまして、服薬指導、疑義照会、あるいは薬歴の管理などの実態を踏まえ定めておりまして、実際に調査いたしましても、それほど大きな現実と基準に差はないものと考えております。

 一方で、今お話があったように、薬局あるいは薬剤師を取り巻く環境は大きく変わっております。したがって、医療の安全などを確保しながら、どう対物業務を効率化するかということも課題でございます。実際に現場では調剤機器を導入しておりますので、我々としても、調剤のうち、薬剤師がいなくてもできる業務というものを明らかにしながら、そういった効率化を進めております。

 さらに、せんだって、ワーキンググループを設置いたしまして、先ほど申し上げました、薬物療法の効果を確保し、かつ、医療安全を確保しながら、どうこの業務を見直すかということで議論を開始いたしまして、御指摘の基準についてもその会議において検討してまいりたいと考えております。

緒方分科員 一枚の処方箋、出すのに十二分で、それで一時間に五枚、八時間働いて四十枚、これだというふうに聞いているんですけれども、調剤薬局の方に話をすると、びっくりするわけですよね。本当ですか、それはと怒られたことがあるわけでありまして、検討しているということなので、よろしくお願いいたします。

 先ほど言い忘れましたが、参考人の方々、自分の担当が終わりましたら離れていただいて結構ですので、その点も述べさせていただきたいと思います。

 続きまして、敷地内薬局についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 敷地内薬局、フェンスを取り除くとか、そういったことが今行われているということなんですが、虚心坦懐に考えて、かかりつけ薬局を推進するのであれば、この敷地内薬局は全然逆の方を向いているように見えるわけですよね。おかしいなという感じがするわけでして、どうなっているのかなというのが私の頭の中で整合的に理解できないということがあります。

 しかも、敷地内薬局については、その敷地の中にある病院との癒着、例えばキックバックを求めるとか、そういうことの温床になっているという指摘もございます。

 どうしても、私、この二つが整合的に理解できないので、現在の政策の理念がどこにあるのかということについて御答弁いただければと思います。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、保険薬局と、それから薬局そのもの、この二点について御説明申し上げます。

 まず、保険薬局については、独立性の確保の観点からは、保険医療機関の建物内に保険薬局があり、当該保険医療機関の調剤所と同形態のものなど一体的な構造と認められるものや、資本関係が実質的に同一であるなど保険医療機関と一体的な経営を行うものにつきましては、保険薬局としての指定は認めないということとしております。

 また、令和四年度診療報酬改定におきましても、経営の効率性等を踏まえ、敷地内薬局の調剤報酬について引下げを行うということとしております。

 他方、加えまして薬局についてでございますが、薬局については、先ほど申し上げましたが、患者に適切な薬物療法を提供するということが重要でございます。したがいまして、立地に依存し、便利さだけで患者に選択されるということではなくて、地域において、実際に患者の生活を支え、在宅医療を含めた薬剤師サービス、薬物療法を提供するということが必要でございます。

 我々としても、患者のための薬局ビジョンということで、門前からかかりつけ、そして地域へという理念の下、立地から機能へと選択できるような施策を進めておりまして、具体的には、令和元年に改正していただきました法律におきまして、地域連携薬局など、機能別の薬局の認定制度を導入しております。

 また、先ほどお答え申し上げました、せんだって設置したワーキンググループにおきましても、そうした観点から、立地場所にかかわらず、薬局の求める機能というものについても検討してまいりたいと考えております。

緒方分科員 ありがとうございました。

 地域で見ていて、何か、かかりつけ薬局を推進するといいながら、何となく立地に依存しているスタイルになってしまうというのはちょっと違和感があるなと思ったので、この件、検討されるということなので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、全く別のテーマ、障害者雇用のテーマでありますが、三年か四年ぐらい前に、私、北九州で障害者雇用の相談会のようなところに行ったんですね。

 これは、厚生労働省と福岡県と北九州市とが合同でやっていたものだったんですが、非常にいい取組だと思ったんですが、ただ、私がすごく疑問に思ったのが、使われている求人シートが健常の方と同じ求人シートを使っていて、結局、マッチングがうまくいかないわけですよ。企業がどういう状況で、例えば段差がどうであるとか、いろいろな条件を書いていないので、すごく薄い情報のまま、障害者の方がその相談会に来て、ブースに行くんだけれども、実は、よく話を聞いてみると自分は全然お呼びでなかったということを知って、心を折って帰っている方々が物すごくたくさんいたんです。

 私、思ったのが、もっと求人シートのところにちゃんと詳細に情報を書いてくれれば、ちゃんと正しいブースのところにちゃんと自分で行けると思ったわけですよね。心を折っている人の数を減らすという観点からも、シートの作り方さえ変えれば、そういう不幸な事例を減らすことができるんじゃないかと思ったんです。

 事前のレクを聞いてみると、改善をしていることは見させていただきました。本当にありがとうございます。施設面での障害者対応の記載とかは改善が図られているので、ここは更なる精緻化を求めたいと思うんですが、さらに、仕事の内容についても詳細に書いてもらえると、こういったマッチングが更にうまくいく、そしていい障害者雇用につながるんじゃないかと思います。

 これはお金がかからない話ですので、是非、更に検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 障害のある方に対しまして職場環境等に関する情報を十分提供するため、ハローワークでは、求人の受理をするときに、例えば、エレベーターや階段の手すりの有無とか職場環境、それから障害者のサポート体制等、企業側から提供される配慮事項について詳細に聞き取って、それを障害者専用の求人票として取り扱ってございます。

 こうした障害者専用の求人票は、ハローワークの職業相談窓口において、障害者の個々の障害特性や御本人の意向に沿った職業紹介、マッチングを実施するために実施してございます。

 また、各労働局等において、今お話ございました就職面接会といったものをやってございますけれども、こちらでは、参加者である障害者の方が、職場環境に関する情報を十分把握した上で希望する企業の面接に臨んでいただくという運用をしてございます。

 この就職面接会は、各労働局等におきまして様々工夫をいたしまして行ってございますが、例えば、参加企業の就業場所、業務内容等を一覧で把握できる求人一覧といったものを作成したり、それから、各企業の個別ブースにおいては、求人票を通じた職場環境に関する情報提供はもちろんでございますけれども、参加者が直接企業のブースに行かなくても参加企業の求人票をまとめて閲覧できるコーナー、こういったものを設置して、職場における障害者の方への配慮事項があらかじめ確認できるように今はしてございます。

 本日、議員から御指摘があったことも踏まえまして、的確な職業選択に資する情報が障害のある方に十分提供されるように、一層効果的な運用に努めてまいりたいと思ってございます。

緒方分科員 前向きな答弁、本当にありがとうございました。

 もう数年前の話なので、改善が図られていることはよく分かるんですが、当時、行ってみると、私も知り合いの方が何人か来ておられたんですけれども、適切でないところに行っては、全然自分はお呼びじゃなかったということを知って、心を折って帰っている人の数がたくさんいたので、事例を減らすためにいろいろな努力が必要だと思うんですけれども、今私が言ったことは一番金がかからない話でありまして、やりやすい話ですので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、児童養護施設についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 児童養護施設を退所して進学された方とか就職された方とか、こういった方々が、残念ながら、就職した後、進学した後に、そこがうまくいかなくて、例えば就職先を辞めたとか、学校を退学したとかいうときに、そこで置かれている立場というのが脆弱なんですよね。物すごく脆弱なんです。本人は、そういう脆弱な状態にあるということを知らずに、社会の風が冷たいのであるということを知らずに、辞めて行き場がなくなり、結果として、反社会勢力とか違法な性産業とか、そういうところに行くケースが多々ございます。

 今次国会で児童福祉法の改正で施設に入所できる年齢制限を撤廃するといったような報道にも接しているわけでありますが、一旦施設を退所した後であっても、何かあったときに戻れる仕組みとか、もっと言うと、児童養護施設を出た方のその後の行き先をトレースできるような仕組みとか、何かそういうことをすることによって、ちょっとした気配りによって人の人生を実は救うことができるんじゃないかと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。厚生労働省。

橋本政府参考人 児童養護施設に入所中から自立支援を行うだけではなく、施設を退所した後も必要な支援ができるように体制整備が必要というふうに考えております。

 このため、近年様々な取組を進めておりまして、令和二年度から、児童養護施設の方に自立支援担当職員を配置する費用の支援を始めました。それから、令和三年度補正予算では、施設退所者等に家賃や生活費等の貸付けを行い、一定期間の就業継続により返済を免除する事業につきまして、退所後五年まで申請が可能となるように事業を拡充いたしました。それから、令和四年度予算案では、退所後の生活を継続的に支援するコーディネーターを自治体ごとに配置する事業について、複数名配置ができるように事業を拡充しました。こういった取組を今進めているところでございます。

 さらに、現在検討を進めております児童福祉法等改正案におきましては、一つは、施設退所者等の実情の把握ですとか自立のための必要な援助について、都道府県が行うべき業務に位置づけるということが一つ、それから、自立に向けた支援を行う児童自立生活援助事業の対象者の年齢要件を弾力化する、これが二つ、三つ目といたしまして、施設を一度退所したけれどもうまく自立できない方等に対しまして、通所とか、あるいは訪問とか、そういったものによりまして生活、就労、自立に関する相談等の機会や施設退所者等の総合相談等の場を提供する事業を法律上に位置づける、こういった内容を盛り込みたいというふうに今考えているところでございます。

 様々今申し上げたような取組を通じまして、施設退所者に対する支援をより一層充実させてまいりたいと考えております。

緒方分科員 ありがとうございました。

 本当、頑張ってください。いざ、就職しているときとか学校にいるときとかは、実はいろいろな社会の荒波から守ってというか、少し風を避ける、守ってもらっているというのがあって、それを辞めた瞬間、ぽつっと置かれてみると社会の風はこんなに冷たいのであるというときに、甘いささやきがやってくるとかいうことはよくあるんですね。もう本当にこれは人一人の命、人生に関わりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、PCR検査について、ちょっと地元で聞いた話も含めて、純粋に質問でありますが、お伺いさせていただければと思います。

 PCR検査でのCOVID―19の判定基準が厳しい、諸外国に比べて厳しいのではないかという御指摘をいただきました。ウイルス量について、十コピーでも陽性判定を出すのはちょっと諸外国に比べて過剰なんじゃないかなという御指摘を受けたわけでありますが、技術的な点も含めて御答弁いただければと思います。厚生労働省。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のコピーの数というのは、新型コロナウイルスのPCR検査でのウイルス量のことだと思います。

 このウイルス量に関しましては、一般にサイクル値というものが表現がされておりまして、このサイクル値につきましては、いろいろなPCRの製品がございますけれども、各PCR検査用の製品ごとに目安となる値というのが決められております。いずれの製品のサイクル値の目安となる値につきましては、各企業がその設定をしているものでございまして、国としては、審査、承認の過程で、各企業が行う臨床性能試験のデータを基に、その値が検査精度に問題のない範囲であることを確認しているものであります。つまり、陽性を判定する際のサイクル値というものを国が定めているというものではございません。

 なお、仮に新型コロナウイルスのPCR検査用試薬のサイクル値の上限を引き下げた場合には、検査の感度が低下することになります。そうなりますと、検査の時点ではウイルス量が少ないけれどもその後ウイルス量が増加するケースを捉えられなくなるという可能性が高まることとなります。

 いずれにしましても、必要な精度が保たれた検査を安定的に実施することが重要でありまして、引き続き、適切な検査の在り方については知見を積み重ねてまいりたいと思います。

緒方分科員 ありがとうございました。

 続きまして、コロナ、水際対策における入国に関して、水際対策上特に対応すべき変異株等に対する指定国・地域というペーパーが出て、今いろいろ決まりがあるわけですが、あれを見ていて、私、外務省出身でありますので、外国の事情とかいろいろそれなりに通じているつもりなんですが、あれを決めているのは誰なんだろうということについて、結構な疑問を持っちゃうんですね。国の名前を見ていると、何か一貫性がないよねというのと、これはもしかしたらちょっと悪意のある言い方かもしれませんけれども、この国はちょっと厳しいところに残していてもどうせ文句を言ってこないだろうから上に残しておこうみたいな感じに見えることすらあるんですね。

 レクの際に聞いてみたら、どうやって決めているんですかと言ったら、外務省と厚生労働省で決めていますと言うんですが、そういうみんなで決めるという体制が逆に、みんなで決めるというのは、誰も責任を取らないということの何か裏返しのようなふうにも見えるんですね、危機管理がよく見えないので。きちんと主担当を決めて、そして、誰か責任を持ってやるべきじゃないか。ちょっと一貫性に欠けているように見えるんですけれども、厚生労働省。

武井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の水際対策上特に対応すべき変異株等に対する指定国・地域につきましては、変異株に関する知見、各国・地域の感染状況や日本への流入状況等を踏まえ、各国・地域からの流入リスクを総合的に判断し、指定しているものです。

 この指定については、昨年九月の水際対策強化に係る新たな措置十七に基づきまして、外務省と厚生労働省が連名でその都度指定し、公表しているものでございます。

緒方分科員 連名と。これは共管ですか。

武井政府参考人 お答えいたします。

 連名という件に関してなんですけれども、各国・地域の感染状況については外務省、日本への流入状況については厚生労働省が主として確認しておりますので、こうした役割分担に応じて対応しているというものでございます。

緒方分科員 何となく、ちょっとぴんとこないところはあるんですけれども、本当は、こういうのは誰か一人、私が責任持って決めていますというのが必要であって、リストを見ていると、何か一貫性がないなという感じがするので、頑張ってください。

 続きまして、社会保険料の件についてお伺いしたいと思います。

 これも地元で受けた指摘なんですが、中小企業によっては、社会保険料の計算、算定をする基準の月、四月から六月ということで事前のレクでお伺いしましたが、この月だけ所得を下げて、そして社会保険料負担を下げている会社があるんですよねということを指摘を受けました。

 事実だとするとすごい不公平感がありますよねということを事前のレクの際に言ったんですが、いや、きちっと見ています、しっかり見ていますということなんですが、多分、数が多いので調査し切れないんじゃないかというふうな懸念をどうしても持ちます。

 しっかり、別に厚生労働省が何か怠けているとか、そういうことじゃないんですけれども、仕組みの中に、こういうことが生じ得ないような仕組みを中にそもそもインプットすることがいいのではないかなというふうに、よく仕組みの細かいところを知らない身でありますけれども、思ったんですけれども、いかがでありますでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、被用者保険におきましては、実際の報酬にできる限り即したものとすること、あるいは事業主と保険者の事務負担を軽減する、こういった観点から、御指摘のとおり、四月から六月までの三か月間の報酬を事業主から保険者に届け出ていただきまして、その平均を基に、保険料算定の基礎となる標準報酬月額を定めております。また、報酬の著しい変動があった場合には随時改定という仕組みがございまして、これによりまして標準報酬月額を変更することが可能となっております。

 さらに、実際に支払っている報酬とは異なる報酬を日本年金機構に届けている場合などの不適切な届出につきましては、日本年金機構が事業所への調査等を行いまして実際の報酬に基づき保険料を納付していただくよう指導しておりまして、例えば、令和三年度上半期におきましては、十三万四千百四十四事業所に対し調査を実施いたしまして、うち、報酬関係につきましては三万八千九百三十七事業所への指摘を行っているところでございます。

緒方分科員 ともかく、不公平感がないようにだけ、たゆまない努力をよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、最低賃金についてお伺いをしたいと思います。

 一般論として、最低賃金を大幅に上げるべきだとかいう声はよく、たくさんあるんですけれども、大体それに対して、いやいや、それはなかなか難しいですよという声が片方である。

 これはもう本当に純粋に質問なんですが、最低賃金を大幅に上げたときに生じ得ると政府が考える社会的、経済的なマイナスというのはどういうものなのかなということをちょっと正式にお伺いしてみたいと思いましたので、質問させていただきます。厚生労働省。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 最低賃金引上げの影響についてでございますけれども、この点につきましては、引上げ幅だけではなくて、その時々の経済状況、雇用情勢、あるいは中小企業を中心とした企業への支援策の状況などにもよりますので、一概に申し上げることはなかなか難しい面がございますが、先生御指摘のとおり一般論としてお答え申し上げますと、最低賃金を過度に引き上げた場合には、企業の人件費が急激に増えるということになりますので、特に最低賃金近傍の労働者を多数雇っている企業を中心といたしまして、例えば、若い未熟練の層の労働者を中心といたしまして雇用が減少するということ、あるいは、企業の方としても廃業や倒産などを引き起こす可能性があるものと考えてございます。

 最低賃金につきましては、決定方法といたしまして、最低賃金審議会におきまして、労働者の生計費でありますとか賃金、通常の事業の、企業の賃金支払い能力などを考慮して決定することとしているところでございまして、こうした観点から、雇用への悪影響がないように、これらの三要素を総合的に勘案して引上げを図っていくということとしているところでございます。

緒方分科員 ありがとうございました。

 次、最後の質問でありますが、昨今、保育所において保育士不足が深刻であるということ、これは皆さんも御存じのことなんですが、よく言われるのが、保育士さんがやっている業務の中に、必ずしも保育士さんがやらなくてもいいことまでやっているというか、そこまでやっているので業務が過多になっているというような御指摘もあります。

 私、決して、保育士のやっている業務の領域を侵すとか狭めるとか、そういう意図は全くないんですけれども、今やっていることの一部、業務の一部というか、やっていることの一部をサポートするための、例えば介護でいうところのヘルパーさんに当たるような、ああいう職種をつくるとか、何か、保育士さんが本来の保育士業務に専念をしていけるためのサポートできる職種、業務、そういうものをつくれないかなと思うわけでありますが、厚生労働省。

橋本政府参考人 保育士の業務負担ということにつきましては、今委員から御指摘いただきましたように、従来から、清掃とか遊具などの消毒だとか給食の配膳だとか、保育以外の業務が結構多い、あるいは作成する書類の量が多いとか、業務時間中に保育方針というものを検討する余裕がないとか、そういった様々な御意見をお聞きしておりまして、その改善をするということは大変重要というふうに認識しております。

 私どもといたしましては、一つは、保育士の補助を行う保育補助者、あるいは保育の周辺業務を保育士に代わって行う保育支援者、こういった方々を雇い上げるための費用を支援する、それから、保育に関する計画、記録の作成や保護者との連絡など事務作業の負担軽減のためのICT化を行うためのシステム導入費用を支援する、あるいは、こういったICT等を活用した保育所等における先進事例の紹介、こういった様々な取組を今させていただいているところでございます。

 さらに、令和三年三月でございますけれども、業務改善の手順と取組例をまとめました、保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドラインというものを作りました。このガイドラインを活用した実践的な研修を行うなど、今その普及に努めているところでございますので、こういった取組を通じて、引き続き、保育士の業務負担の軽減というものに取り組みたいと考えております。

緒方分科員 ありがとうございました。

 今日、全然違うタイプの質問をばあっと並べまして、何となく、小会派ですので、質問時間が短いので、この機会に自分自身の問題意識を大放出という感じでありました。

 先ほどの古川さんに続きまして、早めに終わりますね。優等生として早く終えさせていただきます。

 本日は本当にありがとうございました。

今枝主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十七日木曜日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十三分散会


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