衆議院

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第2号 平成29年2月23日(木曜日)

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平成二十九年二月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 野中  厚君

      今枝宗一郎君    江藤  拓君

      小倉 將信君    鈴木 俊一君

      渡辺 孝一君    大畠 章宏君

      中島 克仁君    福島 伸享君

      高橋千鶴子君

   兼務 吉田 宣弘君 兼務 足立 康史君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   環境大臣         山本 公一君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮地  毅君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       西郷 正道君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官)  塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (林野庁長官)      今井  敏君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 一雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    森岡 泰裕君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            奥主 喜美君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

   環境委員会専門員     関  武志君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     渡辺 孝一君

  鈴木 俊一君     今枝宗一郎君

  福島 伸享君     中島 克仁君

  高橋千鶴子君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     鈴木 俊一君

  渡辺 孝一君     江藤  拓君

  中島 克仁君     大畠 章宏君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  大畠 章宏君     福島 伸享君

  宮本  徹君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  本村 伸子君     高橋千鶴子君

同日

 第七分科員吉田宣弘君及び第八分科員足立康史君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

野中主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算中環境省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島克仁君。

中島分科員 おはようございます。民進党の中島克仁です。

 質問の機会をいただきましたので、きょうは環境分野について御質問をさせていただきたいと思います。

 私からは、まず、パリ協定関連、また地球温暖化対策について御質問をさせていただきたいと思います。

 一昨年末、今世紀後半の温室効果ガス排出を実質ゼロにするための歴史的な合意でありますパリ協定が採択をされました。そして、昨年の十一月四日にパリ協定は発効されたわけでありますが、この間、日本政府は、国会審議、昨年の臨時国会でございますが、TPPを最優先とする一方、パリ協定に対する米国、中国、EU、さらにはインドなどの対応を見誤り、結果として、日本が条約を締結できたのは、パリ協定発効後の十一月八日となりました。

 このため、パリ協定の第一回締約国会合にはオブザーバー参加となってしまったわけでありますが、京都議定書を含め、これまで環境問題について世界をリードしてきた我が国が、歴史的合意であるパリ協定の第一回締約国会合にオブザーバー参加となってしまったこと、私は大変残念に思っております。

 これは恐らく何度も大臣も聞かれておると思いますが、パリ協定締結がおくれ、第一回締約国会合、オブザーバー参加になったことによる外交交渉上への影響、我が国のプレゼンスへの影響はなかったのか、数カ月たっておりますが、改めて大臣にお尋ねをしたいと思います。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、パリ協定の第一回締約国会合の時点では、我が国はまだ締約国となっていなかったわけでございますが、この会合におけるパリ協定の実施指針等の策定に係る交渉、これにつきましては、我が国を含む、条約の全ての締約国の参加を得て行われました。パリ協定の締約国でない国も含めての参加を得て、交渉が行われたということでございます。

 その上で、その会議では、我が国を含む多くの国がかねてから主張してきたとおり、今後の交渉について、引き続き全ての国が参加して行われること、そして、その上で指針等を二〇一八年までに採択することなどの決定に係る議論に、日本として貢献したところでございます。

 パリ協定第一回締約国会合にオブザーバーとして参加したことの影響は、特段なかったものと承知してございます。

中島分科員 影響はなかったということで、私は従来、環境委員にずっと入らせていただいたんですが、昨年はちょっと外れてしまい、今回も外れているんですけれども、報道等でもそのようなことは聞いておりました。

 しかし、やはり地球温暖化対策、環境問題に対して、国際社会の中で日本は従来リーダーシップをとってきたと言ってきたわけでございまして、私もそうですが、今御答弁いただきましたが、本音は環境省としてはじくじたる思いなのではないかなと思いますし、やはり結果的にオブザーバー参加となったこと、国民の多くの皆さんにもそういうイメージを与えてしまったのではないかなということは否定できないんじゃないかなというふうに思います。

 また、パリ協定立て役者の一人でありましたオバマ前アメリカ大統領、退任をいたしました。一方で、地球温暖化対策には後ろ向きと言われているトランプ大統領が、本年一月二十日に新大統領に就任した。

 就任演説においては、パリ協定への対応については言及はされませんでした。また、市場動向として、脱炭素の道筋がそれることはないという見方もありますが、米国のパリ協定からの脱退の懸念は依然として続いているというふうにも考えられます。

 環境省では、昨年末に地球環境局の審議官がアメリカを訪問して、またそれ以降もアメリカの対応について動向を調査されていると思いますが、トランプ政権ではパリ協定についてどのように今後対応していく考えか、今後の見通しについてどのように環境省として捉えているのか、お尋ねをしたいと思います。

鎌形政府参考人 トランプ大統領は、一月二十日の就任演説後にホワイトハウスのホームページ上におきまして公表された主要分野の政策方針というのがございますが、これにおきまして、オバマ政権が二〇一三年に掲げた気候変動行動計画を撤廃する旨を表明してございます。ただ、国内対策の詳細な内容については、現時点では明らかにされてございません。また、パリ協定や気候変動枠組み条約への対応など、今後の国際的政策の方針についても、現時点では明確に示されておりません。

 米国の動向については、現地の在外公館と情報共有を密に行うことや、今御指摘ございました、職員を現地に派遣するなど、注意深く情報収集を行っているところでございます。

 米国での気候変動対策の動向を考える上では、政府のみならず、アメリカの企業や州、都市の動向を把握することが重要だと考えてございます。その観点では、アメリカの企業や各州、都市が気候変動対策を進めている、こう承知してございます。この大きな流れは変わらない、このように考えておりますが、引き続きその動向を注視してまいりたいと考えてございます。

中島分科員 現時点で、パリ協定を離脱の情報、確認はされておりません。今後の動向を注視していくということでございますが、当然だと思います。米国は温室効果ガスの大量排出国でありまして、やはりこの動向を非常に注視しなきゃいけないということであります。

 我が国は、先ほど来言っているとおり、今後も、国際社会、この環境分野においてリーダーシップを発揮していくべき立場だということだと思いますが、パリ協定の実現に向け今後どのように取り組んでいくのか、大臣の御決意をお尋ねしたいと思います。

山本(公)国務大臣 ありがとうございます。

 パリ協定は、御承知のように、画期的な世界的な取り組みだというふうに私どもも思っておりまして、そういう意味において、さきのCOPにおきましても、既に、世界は脱炭素社会に向けて大きくかじを切っております。後戻りはできないというふうに思っておりますので、今後、米国において新政権がいかなる方向に向かおうとも、我が国としては、この問題、これまでもそうでしたけれども、これからも愚直に、愚直にやはり温暖化対策に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 私は、さまざまな御意見もございますけれども、温暖化対策を進めることが新たなイノベーションを引き起こし、そして経済成長につながっていくという思いで頑張っておりますので、そういう意味において、今後とも日本が世界の中でリーダーシップがとれるように頑張っていきたいなと思っております。

中島分科員 トランプ大統領自体、いろいろな外交分野で今後の動向というのが注視されておると思います。今大臣からも、愚直に取り組んでいくとお言葉がございました。政府全体が、トランプ大統領の動向に左右されて、あっち行ったりこっち行ったりということにならないように、引っ張られないように、今大臣からもお言葉がありました、従来どおりのスタンスで、国際社会においてリーダーシップを発揮していただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 温室効果ガスの削減に向けた取り組みが、地球温暖化の根本的な解決策であるということは言うまでもありません。この緩和はもちろん重要ですが、一方で、各地で気候変動による影響は既にあらわれ始めており、それへの適応が急務であるというふうに思います。緩和と適応は、車の両輪として、並行して進めなければいけない政策だというふうに思います。

 こうした中、昨年の七月から八月にかけて、内閣府が地球温暖化対策に関する世論調査を行い、九月にその結果が公表されました。世論調査によると、地球の温暖化、オゾン層の破壊、熱帯林の減少など、地球環境問題への関心について、関心があると答えた人の割合は八七%。一方で、気候変動の影響への適応の認知度について、知らなかったと答えた人の割合は、半数以上の五二%になっています。

 この結果の捉え方はさまざまあると思いますが、地球環境全般に関する関心はある程度ありつつも、適応となると、それほど認識されていないという数字、世論調査の結果だったというふうに思います。

 現在、各自治体において適応計画の策定が進められておりますが、計画を策定し、計画に基づく施策を実施していく上では、適応とは何かを、先ほどの世論調査の結果を見ても、十分に周知する必要があるというふうに思います。

 改めて、この世論調査の結果をどのように受けとめ、今後、普及啓発をより一層進めていくためにどのような施策を考えられておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

山本(公)国務大臣 委員御指摘のように、気候変動の影響は農業や自然災害などの幅広い分野にわたってあらわれ始めておりまして、こうした影響に対処し、被害を回避、軽減する適応策が重要であろうかと思っております。

 このため、一昨年十一月に、気候変動の影響への適応計画を閣議決定いたしたところでございます。この計画に基づきまして、関係府省庁において、適応の取り組みを進めているところでございます。

 環境省においても、関係府省庁と連携して、気候変動の影響への適応に関するさまざまな情報を集約して提供する、気候変動適応情報プラットフォームを昨年八月に設置いたしました。このプラットフォームを通じて、地方公共団体、事業者、国民等に、適応に対する理解を深めていただきつつ、適応の取り組みを促進してまいりたいと考えております。

 また、今後、気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議において適応計画のフォローアップを行うことといたしておりまして、時々話題になっています法制化、適応の法制化についても、施策の進捗状況や課題を把握しながら、引き続き検討してまいりたいと思っております。

中島分科員 関係府省庁連絡会議とか、気候変動適応情報プラットフォームという取り組みをされておると。

 関係府省庁会議、昨年の六月が最後になっていると思います。

 このプラットフォームも、たてつけは非常にいいんです。関係府省庁との連携を図りつつ、適応対策のためのツール、情報の提供、優良事例の収集、整理ということを今後やっていくというお答えであると思います。

 やはりこれも、私は何度も何度も御質問しておるんですが、大臣も今御答弁していただいたように、根拠法となる法整備、これが進まない。さきの温対法改正のときにも、附帯決議として付されている部分でもございます。やはり各自治体が計画策定に当たってなかなか進んでいかないという実情もあり、その理由の一つが、法的担保がない、適応計画に根拠法がないことが私は原因の一つとして挙げられるというふうに思います。

 具体的にいつごろまでに法定化するのか、私は、やはり今後のスケジュールとして明確に示していくべきだというふうに思いますが、改めて、先ほどお答えいただきましたので御質問にはしませんが、ぜひその必要性については大臣に御認識をしていただきたいというふうに思います。

 次に、地球温暖化による希少動物への影響、これについて御質問させていただきたいと思います。

 地球温暖化の影響に関するものとして、希少動物という話をいたしましたが、私、山梨県が出身、地元でございます。南アルプス山系に生息するライチョウ、ライチョウは、長野、立山とか、私の地元の今言った南アルプスに生息しているわけですが、南アルプスはライチョウ生息域の最南端ということで、南アルプスでのライチョウの生息数が著しく減少しているということが問題に、というよりは課題になっているというふうに思います。

 この要因としては、種々あるわけでありますが、温暖化によって積雪が減ってしまったことで、本来であれば鹿が生息しないところまで登ってきてしまって、ライチョウの餌となる高山植物を食い荒らしてしまう、ライチョウの生息環境が悪化しているということが言われております。平地の生き物であれば逃げ道があるわけでありますが、ライチョウは従来から高いところにすんでおるということで、それ以上もう高いところへ行けないということでございます。

 ライチョウの生息数の減少については、地球温暖化の影響が非常に強くなってきていることが要因というふうに考えますが、生息数の減少の要因分析、つまり、具体的にどれがどの程度影響を及ぼしているかについて、どのような解明をされておるのか、環境省の御見解と、私の地元でございますので、南アルプスのライチョウの生息数の減少に対して、具体的な保護策についてどのように取り組まれていこうとされるのか、お尋ねをしたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 ライチョウは、標高二千メートルを超えるような高山帯のみに生息する鳥類で、専門家の調査によりますと、一九八〇年代には約三千羽が生息していると推定されておりましたが、二〇〇〇年代に入って二千羽以下に減少したと推定されております。

 この生息数の減少につきましては、地球温暖化によるハイマツ等の高山植生が変化していると考えられるほか、キツネやテンなどによる捕食、従来は生息していなかった鹿の高山帯への侵入による高山植生の破壊など、さまざまな要因があることが指摘されておりますが、具体的にそれぞれの要因がどの程度影響を及ぼしているかについては、現在のところ、十分には解明されておりません。

 それから、今お話のありました南アルプスの北岳では、特に近年、ライチョウの生息数が減少しておりますことから、昨年度より、ふ化したばかりのひなと親鳥を現地に設置したケージ内に保護することによりまして、キツネやテンなどの捕食者から守る事業を開始しているところでございます。

 その事業の今後の状況も見ながら、さらなる対策の必要性についても、専門家の意見を聞いて検討していきたいというふうに考えているところでございます。

中島分科員 要因分析とさまざまな取り組み、より積極的に行っていただきたいと思います。理由はもう言うまでもございませんが、希少動植物、一たび絶滅してしまえばということになりますので、ぜひ今後も、環境省として保護により積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、フロン排出規制の推進に関してお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたパリ協定締結については、私は残念な思いで、後手に回ったという感が拭えないわけでございますが、一方で、パリ協定を補完する重要な合意が、昨年十月、行われました。モントリオール議定書改正の採択でございます。

 大臣は長年フロン対策に熱心に取り組まれてこられたと私承知しているわけでありますが、HFC、代替フロンも含めた、フロンへの世界的な取り組みが進展したと考えます。まず、モントリオール議定書の改正が採択されたことについての、長年かかわられてきたということで、大臣の御所見をいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 ありがとうございます。

 フロンというのは、何もオゾン層の破壊だけではなくて、地球温暖化に大きな影響を与えるということをわかっていながら、長年、なかなかモントリオールの議定書が改定されることなく、またCOPの場でも話題にされることなく推移をしてきたのが、やっと昨年、御指摘のようにルワンダでモントリオール議定書が改正をされまして、地球温暖化との関連において議論がされるようになってきたということは、私自身、非常にうれしく思っておりますし、フロンにかかわってきた人間として、日本のフロンに対する一つの対策は、多分世界でトップランナーだと自負をいたしておりますので、今後、このフロンの問題に改めて強く関与していきたいなというふうに思っております。

中島分科員 今、フロンに関しては日本はトップランナーと。大臣も長年かかわられてきて、昨年のモントリオール議定書改正は非常に感慨深いんじゃないかなと、今も御答弁を聞いていて感じました。

 一方で、フロンは、我々の身近な機器、冷蔵庫であったりエアコン、ショーケース等々に使用されていますが、フロンの問題についてしっかりと自分のこととして受けとめている人は、正直、少ないのではないかなというふうにも思います。

 そういう意味では、目にも見えませんし、においもしない無臭なフロンを空気中に放出することが問題であるという認識をしている人が少ない現状、これに対して、フロンを放出しても大丈夫なものと認識されるおそれがある状況に、やはり今後も早急に対応していかないといけないのではないかな。回収率もなかなか上がってきていない現段階において、やはりフロンに関する普及啓発、より効果的なものとして強化をしなければならないというふうに考えますが、この普及啓発に関しまして、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

山本(公)国務大臣 先ほど申し上げましたように、私はフロンにかかわってきた人間でございまして、先生がおっしゃるとおり、まさにフロンというのは人畜無害、無味無臭、割と空中に拡散することに抵抗なく進んできているのが実情でございまして、やはりいろいろな意味におきまして業界の協力を得ていくことが大切だろうというふうに思っております。空調業界であったり、さまざまな業界がございます。

 ただ、これから先は、私自身、家庭のエアコンであったり、そしてまた商店街の肉屋さんのショーケースであったり、ああいった分野にやはりフロンというのがかなり使われておりますので、そういった方々にも啓発活動というのをやっていかなければいけない。その意味において、商店街連盟であったり商工会議所であったり、そういうところとうまく連携をとっていきたいなというふうに考えております。

中島分科員 ぜひ、大臣の思い入れのある対策でございますので、積極的に普及啓発活動も行っていただきたいというふうに思います。

 温暖化対策はさまざまあって、先ほど申し上げたように、緩和と適応の問題。

 適応に関しましては、私は医者でございまして、根本的治療と対症的治療、どんなに予防をしていても必ず病気があり、さらには、がんの予防をしていても、がんになる方がおられる。少なからず起こり得る問題に対して積極的に取り組んでいくことは、ある意味、現実的と言えるわけでございます。

 そういった観点から、やはり緩和と適応、さらには、フロンの問題もそうですが、地球温暖化対策に関する課題について、何度も何度も申し上げるんですが、私は、従来から環境委員会に所属させていただいておりまして、環境省の応援団の一人と実は自負もしております。

 そういう意味からいきますと、冒頭にも言った、トランプ大統領就任やさまざまな要因に関して、影響されないように、従来のスタンスをぜひ山本大臣のもとで貫いていただきたいということを申し伝えさせていただきたいと思います。

 最後に、また地元の話になりますが、リニア中央新幹線の工事の影響、環境問題について御質問させていただきたいと思います。

 これはもう言うまでもございませんが、リニア中央新幹線、大臣、もうお乗りになったことはありますか、ないですか。(山本(公)国務大臣「中国で乗りました」と呼ぶ)そうですか。私は、なかなかタイミングが合わず、今まで何度か機会があったんですが、まだ試乗もしていないんです。

 二〇二七年開業に向けて、一昨年の十二月から、全長約二十五キロメートルに及ぶ南アルプストンネルの工事が着工しています。このトンネルは、山梨、静岡、長野の南アルプスを貫いて、地表面から最大一千四百メートル地点で採掘が行われるという、我が国では類を見ない、初めての、深いところでのトンネル工事ということになります。

 当然ながら、リニア中央新幹線、私も山梨の人間として、従来より地元の念願であったわけでありますが、今後、開通に向けて、もちろん期待も高まっている一方で、懸念材料もあることも事実です。先ほど言った、日本では一番深いトンネルとなるということで、この環境への影響というのが非常に危惧されています。

 南アルプスは、もともと地層が大変複雑で、水脈系も入り組んでおって、複雑な地層への対応、さらには大量の地下水の発生や、工事については難航が予想されております。このため、工事による環境への影響、先ほどから言っていること、そして掘り出される残土の問題、この問題についても、処理場についてまだ最終決定されていない部分もあるということで、大変、期待の一方で、心配する声もあることも事実でございます。

 さらに、二〇一四年には、そのトンネル工事になる南アルプスはユネスコのエコパーク登録をされており、約十年という長きに及ぶ工期の中で、このエコパークの地域内に大量の残土が発生する。リニア新幹線の建設工事が、エコパーク登録十年ごとの定期的検討へ悪影響を及ぼすのではないかという自然保護団体からの声も出ております。

 この状況が、エコパーク登録をされた南アルプス周辺、エコパークの理念に本当に沿っているものなのかどうか、これまでも、委員会で私は何度も質疑をさせていただきました。改めて、環境大臣の御認識、エコパーク登録とリニア工事に関する認識について御質問したいと思います。

山本(公)国務大臣 私も、リニアは日本では乗っていないんですけれども、中国で乗らせていただきました。

 今回のリニア中央新幹線事業というのは、その事業規模からいっても、環境負荷が相当発生すると私も懸念をいたしております。

 平成二十六年の環境影響評価法に基づく環境大臣意見では、多大な電力消費に伴う温室効果ガスの排出であったり、トンネルの掘削に伴う大量の残土の発生、多くの水系を横切ることによる地下水や河川への影響等々を意見として述べております。十分な環境保全措置を求めてもおります。

 したがいまして、今後、事業を展開していく上において、事業の具体化や実施に際しては、JR東海においては、責任ある事業主体として、環境大臣意見の内容を踏まえて、具体的かつ適切な環境保全措置を講じていただきたいと考えております。

 先生御指摘のユネスコのエコパークについても同じことでございまして、自然と人間社会の共生を目指した目的だというふうに思っております。

 今申し上げましたように、影響報告書で、環境大臣の意見を述べております。あくまでも環境保全、これに留意をしてもらうということを述べておりますので、今後もこの事業については、私どもの立場としては注視をしてまいりたいと思っております。

中島分科員 これも、環境委員会であり、国交委員会であり、以前は国交大臣にも、十分に配慮してほしい、もしくはJR東海に対して指導力を発揮してほしいという旨はお伝えをしていますが、そのときにも、日本の技術を駆使すれば問題ないというような御発言をいただいたこともあったんです。しかし、それが一番危ないというふうにも思います。

 昨年は、国交大臣からは、環境保全について適切に配慮するよう、環境省と連携しながら、JR東海を監督指導していきたいという言葉もいただきました。そういう意味からいきますと、今御答弁いただいたように、環境省の立場として、ぜひこの問題について、アセスしたから終わりということではなくて、取り組んでいただきたいと思います。

 これも先ほどの希少動植物と同様に、一度破壊された自然は二度と戻ってきません。そういう意味からいきますと、先ほども言ったような環境省の応援もいたしますので、ぜひ、このリニアの工事につきまして、何かあったときにすぐ立ちどまれる勇気を持てる、そのグリップを環境省にしっかりと握っていただきたいということを申し伝えて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野中主査 これにて中島克仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 おはようございます。日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは環境大臣のもとで質問させていただきます。きのうも農水大臣のもとでさせていただきまして、第六分科会とともに歩む足立康史でございます。

 きょうは、大きく二つの固まりがありまして、東京の豊洲の話をもう一回ちょっとやりたいということと、それから、私の地元で産業廃棄物と一般廃棄物の整理の問題でちょっともめていまして、その話を、やはり大変重要な問題だということで、取り上げさせていただきたいと思います。

 後者から先、産廃、一廃の話を先にやるんですが、その前に、高橋局長に後で私が聞く内容を先にちょっと言っておきますので。

 というのは、高橋局長には本当にお手間をおかけしていて、東京の話なので、東京都の話だから東京都に聞けばいいんだけれども、実は東京都に聞くというのが大変でね、高橋局長。国は、法律の場、法律に一定の規定があるので、私の理解では、環境省が、例えば高橋局長が東京都の該当する部局に連絡をすれば、先方もそれなりに対応すると思うんです。まあ、対応しているからこそ、きのうも、あるいはその前も高橋局長は非常に適切に御答弁をいただいている、御紹介をいただいているわけですが、僕らが、私たちが、実は私は足立康史といいますといって、東京都にちょっと、いや、もちろん、うちの日本維新の会の東京都議会議員もいるんですが、余り迷惑をかけてもいかぬので、私、電話をしました、衆議院議員の足立康史といいますと。

 それで、東京都に電話していろいろ聞くんですけれども、厳しいですね。ガードがかたい。これは別にかたいからじゃないかもしれませんが、ほとんど、情報公開請求をしてくださいと。一カ月かかりますね。大変厳しい。どこがオープンなのかな、自治体というのはそういうものなのかなと思いますが、大変オープンネスに欠ける。私だけ嫌われているのかもしれませんが、大変厳しい状況であります。

 いずれにせよ、高橋局長には感謝をしております。この分科会でも、高橋局長から教えていただいたこと、あるいは関係の部局の方から教えていただいたことにちょっと追加して、結局、豊洲というのは地下水を使っていません。使っていませんが、その地下水の水質でもめているわけですね。

 そこで、今まで局長の方で東京都に問い合わせをしていただいて、その中でわかれば教えていただきたいということが、では、日本にはさまざまな、さまざまというか多くの卸売市場があります、その中で、東京都の豊洲市場のように、使わない地下水を検査している例がありますかねというのが一つ。それは急に、ちょっと正確な通告ができていないので、また調べますということでも結構ですが、別の話をやっている間にもしわかればと思って、先に申し上げておきます。

 それからもう一つが、きのうもちょっと気になったんですが、築地ではろ過海水を使っています。この築地で使っているろ過海水、海水ですよ、地下水じゃないですよ、これは、その水質基準はないというふうにきのう伺ったやに記憶をしております。なるほど、ろ過海水については水質の基準はないんだなということがわかったわけですが、ろ過海水を例えば清掃に使う、あるいは活魚の水槽、こういうものに使う。これは基準がないんです。ないんだと思います。そう伺ったと思います。議事録がまだないので。

 では、全国のさまざまな卸売市場で地下水を使っているケースがあります。そのときは基準はあるんですか。その使い方はいろいろ、飲むんだったら基準はありますね、飲み水基準があります。飲まない場合、例えば清掃、あるいは築地でやっているように水槽に使うとかいうこともあるかもしれません。用途によって基準はあるのかないのか。

 この二つを更問いできょうは伺いたいんですが、私も忙しくて正確な通告ができていませんので、先にちょっと申し上げておきます。きょうもこの分科会でこうやって質問させていただいて、午後一番で総務委員会で地方税法、交付税法の質問をさせていただいて、その後、夕方には予算委員会の一般質疑で財務大臣あるいは国交大臣に、例の森友学園というのでもめていまして、これをやることになっていまして、ちょっと通告が不十分なところをおわびし、可能であれば御答弁いただきたいということを先に申し上げておきます。

 さて、きょうは環境省にということで、産廃と一廃の問題でありますが、産廃と一廃の問題は室石官房審議官ですね。

 以前、部長だったかな、にも伺ったことがありますが、実は、室石審議官、きのう、私の地元で百条委員会がありました。もう今、全国の自治体で百条委員会ばかりなんです。だから、総務省もこれはあかんということで、実は今国会に、総務省が地方自治法の改正案ということで、元首長とか前首長に余り住民訴訟をやり過ぎるな、責任が負い切れない、だから、そんなにむちゃくちゃ悪いことをしたのでなければ、政策としてやったことについて余り責任を問うのは、上限を設けるべきだという法律が閣法で出てきます。私は大変すばらしいと思います。ところが、まだその法律は出ていません。あるいは、その法律が今国会で成立したとしても、遡及適用されませんから。

 東京都の百条委員会の石原元都知事、あるいは我が地元豊能町の前町長、田中町長、あるいは能勢町の前町長、山口町長、あるいは豊能町の前副町長、中井副町長、みんな今百条委員会でつるし上げられています。

 選挙で負けると、つるし上げられるんですよ。本当にひどいですね、この現町長たち。小池さんの悪口を言うと余りよくないので。よくないというのは、言わないでくれといろいろ言われているんですけれども。しかし、小池都知事はけしからぬと思いますよ、私は。これから国は、そういう法律をつくって、ちょっとやり過ぎだというんですけれども、まだ法律は成立していないから、小池都知事にキャップをはめることができないでいるというのが今の日本国の現状であります。

 では、その私の地元の百条委員会で何が争われているかというと、ダイオキシンですね。

 ダイオキシンというのはもうずっと前の議論なんですけれども、ずっともめ続けているんです、十年、二十年。そのダイオキシンが含まれているごみ、廃棄物をどうやって処理するかでもめているんですね。それは一般廃棄物として処理するんですか、産業廃棄物として処理するんですか。そこにあるものは何かというと、混合物なんです。今、廃掃法に混合物に関する規定がほとんどありません。ほとんどというか、多分ないんじゃないかな。

 以前、環境省に、これはどうして、どうやって処理したらいいんですかと。

 もう分けられないんです。一廃と産廃に分けられるものは既に分けました。もう既に産廃として処理し、一廃として処理しています。今手元にあるのは、産廃と一廃の混合物なんです。その混合物を、産廃に係る法令に従って処理するのか、一廃に係る法令に従って処理するのかでもめているわけですね。

 産廃については、大阪府が一義的にはいろいろマネジメントをしている。一廃については、市町村ですから、豊能町、能勢町、あるいは豊能町、能勢町でつくっている施設組合というのがありまして、ダイオキシンを管理している組合、一部事務組合かな、であります、自治体ですよ。

 府と基礎自治体のそれぞれがそれぞれに責任を持っているわけですから、両者で相談して決めてくださいというのが環境省の今までの答弁です。

 ところが、私の地元では、そうやって相談して決めてきたんですけれども、あるときのある府政とある町政のときは、これは一廃だと決めて処理してきたんです。ところが、この間、選挙で負けた町長、副町長たちは、いやいや、これは産廃だよなと。明らかに瓦れきがいっぱいまざっていて、ダイオキシンを処理した廃棄物処理場を潰したときの産廃がまざっているわけです。どう見たって瓦れきだ、産廃だということで、産廃だということで処理したら、住民訴訟で訴えられているわけです。

 確かに、ラベリングが変わったんです。以前の体制では一廃だということで整理をしていたが、前体制では産廃だと位置づけた。

 実は、選挙で負けて、負けてというのは、負けた人が悪いんじゃないんですよ。勝った人は、またできもしないことを、デマを、選挙なんというのは何でもありですから、うそをついたって選挙は通るんですから。まあいいや、それは個人的恨みがあるわけですけれども。

 それで、今の体制は、ずっとさかのぼって、一廃だと。だから、前体制が産廃だとラベリングしたのは間違っているといって、今、百条委員会でつるし上げているわけです。

 それで、さて官房審議官、繰り返しになります、以前も聞いたことです。これは、国は都道府県と市町村で相談してくれというんだけれども、相談するときの何か規範、基準、ベースとなる考え方は環境省は提示をしていますか。

 結論からいうと、以前は、それはないですというのを部長から教えていただいています。一応、確認。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 混合物を一般廃棄物として処理するか、産業廃棄物として処理するかの判断につきまして、委員まさにおっしゃられたとおり、市町村と府の方で御相談されるということだと思っておりますが、それに関しては、排出元や性状等の客観的状況から、取り扱い等も勘案して適切に判断するというのが常識的なところだとは思っておりますけれども、御指摘のとおり、特にそれを紙など、文書などでもって指導しているということはございません。

足立分科員 そういうことなんですよ。端的に言うと、規範がない。

 規範をつくった方がいいと思うんですよ、規範をつくった方が。ないものだから、前体制は産業廃棄物だと。いや、混合物なんだから、どっちかなんですよ。分けられない、分離できないにしても、割合がありますね、例えば五対五、三対七、七対三、いろいろあり得ると思うんですよ。これぐらいだったらこうしなさいと決めておけばいいんですが、決まっていません。規範はありません。だから、時の都道府県の担当者と時の市町村の担当者で決めているわけです。でも、責任を持っているのは首長ですよね。首長は選挙でかわります。選挙でかわるとラベリングが変わり得る、私はそう思いますが、どうですか。

室石政府参考人 お答えいたします。

 これはあくまで可能性ということだと思います。首長の交代後において排出元や性状等の客観的な状況に関する追加的な情報が得られた場合というような条件があると思いますけれども、当該混合物の取り扱いの判断が変更される可能性、あくまで可能性でございますが、それについては、あり得るというふうに思います。

足立分科員 いや、もう本当にうれしいです。

 今までは、僕は、余り言っちゃいけないか、環境省の部長に一回聞いたんですよ。それは、真実は一つだ、だからそれはだめですと。だめですというような感じのことを言っていて、僕は質疑が終わってから部長をつかまえて、この分館のロビーで部長と直談判して、直談判というのは変か、食い下がって、それはおかしいだろう、規範がないんだったら、決める人によって変わるじゃないかと。

 ただ、今、官房審議官はそういうことを言ったんじゃないんですね。追加的情報があればとおっしゃったかな、追加的情報があれば変更、ちょっと後でまた議事録を、変更されるようなことはあり得ると。

 これは本当にありがたくて、きのう、私の地元の百条委員会でつるし上げられていまして、本当に筋悪ですね。政治家だから批判しますけれども、今の豊能町長、名前はやめておこうか、今の豊能町長、今の能勢町長、本当にけしからぬと思いますよ。しかし、百条委員会というのは議会がつくっているんだな。余り首長のことを言っちゃいかぬな。だから、小池都知事も、いや、これは議会がやっていますからとか、本当にいいかげんだよね。まあいいや。

 きょうは大変、私としては新しい。本当は私は、当事者がかわれば、特にそれは政治家ですよ、民主主義ですから、選挙で選ばれた首長が責任を負いながら行政をしているので、追加的な情報がなくても、選挙で体制がかわれば、ラベリング、ラベルは変わり得るというのが私の見解なんですが、室石官房審議官の御答弁は、かつて環境省の部長がされていた答弁から比べると、一歩、私の立場に近づいてきていただいたかなというふうに思いますので、きょうのところは感謝を申し上げて、一旦このテーマは終わりたいと思います。

 さて、冒頭申し上げました豊洲市場の件ですが、本当に高橋局長にはお手間をおかけしていることをおわびを申し上げたいと思いますが、まず、卸売市場が、食の安心が保たれないとかいって、使われない地下水を検査している事例を御存じでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員も御案内のとおり、豊洲市場におきましては、地下水をくみ上げまして、これを下水道に放流するということで、下水排除基準を満たしているかどうかということを確認するために水質分析、調査をやっているというふうに認識をしてございます。

 このような例がほかにあるかということについては、現時点では把握をしてございません。

足立分科員 ありがとうございます。

 ぜひ局長、本当に、またこういう機会がありますので、改めて、農水省ともまた相談しますけれども、卸売市場の確認ですから、農水省とも相談しながら、また局長にも御相談をさせていただければと思いますが、きょうのところは、当然私はないと思いますね。確認しますが、ないと思います。高橋局長も、きょうのところは御存じないと。だって、使わないんだから、調べるわけありませんよね。

 今局長がおっしゃった、下水排除基準を確認しているというのは、豊洲市場の地下水管理システムの話だと思いますが、今東京都が地下水の水質を調べているのは、これもまた別の場で整理しますが、一つは地下水管理システムの関係で調べているということもありますが、そもそも、地下水管理システムというのは、下水排除基準が議論になっておるわけです。

 ところが、今もめているのは、そこじゃないんですね。地下水基準といって、東京都が独自に設けた基準です。国の基準じゃありません。東京都が設けた地下水基準、いわゆる環境基準、飲み水基準です。地下水を毎日二リットル、七十年間飲み続けてどうかというような議論です。

 ところが、局長、また調べていただいたらいいと思うけれども、恐らくないわけでありまして、使わないんだから調べない、当たり前だと思いますね。

 もう一つ、先ほど申し上げたのが、では、卸売市場の中には地下水を使っているケースがあります。そのときに適用される基準について御紹介できればお願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、いわゆる公共用水域、河川、湖沼、海域、また地下水、こういうところにつきまして、環境保全の観点から水質について基準を設けている。もう一つは、公共用水域に排出するいわゆる工場排水等についていわゆる排水基準を設定してございますけれども、委員が御指摘されましたような施設の中で使う水等については、私どもの方では特に所管はしてございません。

足立分科員 ありがとうございます。

 これは、私もちょっと認識を新たにしたんですね。その認識を新たにしたきっかけは、ろ過海水の議論なんです。

 きのうこれはこの分科会でやらせていただきまして、ありがとうございました。ろ過海水、築地市場で今使っています。大体、清掃と活魚の水槽に入れる水、活魚が泳いでいる水ですよ。これは基準がないと。

 実は、豊洲市場の地下水は、東京都が独自基準で、地下水基準、環境基準、飲み水基準に相当するような基準、これで議論を今大騒ぎしているわけですが、実は、築地市場で使っているろ過海水は環境基準を上回ったことがあります。報道もされています。これはきのう質問しました。これについてはそもそも基準がないんです。ないんですよ、基準が。いや、驚きましたね、本当に。一方の築地市場のろ過海水については基準がない。一方の豊洲市場の使いもしない地下水については独自の基準を東京都が設けている。そういうのが、今の豊洲、築地をめぐる状況なわけであります。

 我々日本維新の会としては、こういうことはやはりあかんということで、実は、東京都の百条委員会はきのう設置をされました、これから議論になります。小池都知事は、でもそれは議会がやっているんでしょうということで距離をとっていらっしゃいますが、私たちは、小池大改革は賛成なんですよ、東京大改革は賛成。やはりこれから日本の政治も古い五五年体制を脱して新しい政治をつくっていかなあかんというところが我々の思いにありますから、大阪のみならず東京でそうした新しい政治が始まること、始まりつつあることについては、大変大きな希望を感じておりますし、大いに期待をいたしたいところでありますが、ひとりこの豊洲市場問題については、もう全く小池都知事のやっていることは評価できません。恐らく、国会の中でも、東京都選出の自民党の議員さんも同じだと思うんだけれども、余りおっしゃらないんですよね。私一人で言っているんです。それはいいんだけれども。

 豊洲市場については、小池都知事の向こうを張って、小池都知事のハンドリングの仕方は大変問題がある。何が問題があるかというと、一つは、築地市場あるいは卸売市場で働いていらっしゃる方々、これはもうどれだけ、何回も先延ばしして、再整備しよう、再整備しようとしてもできなかった、ラストチャンスということで豊洲市場の整備をしてきたにもかかわらず、また延期をしている。これは本当に事業者の皆様はじくじたるものがあると思います。

 それからもう一つ、最後にこれは申し上げておきたいのは、豊洲に住んでいらっしゃる方ですね。豊洲のハイライズのマンション、高額のマンションを買われた方が、いわゆるそういう不動産の風評被害で、大変な財産の毀損に見舞われているわけです。これは、小池都知事は賠償した方がいいですよ。小池都知事は、根拠のない風評を広めることによって、豊洲に住んでいらっしゃる方々の資産を毀損しているんですよ。私は、小池都知事は、しっかりと、築地市場でオペレーションをされている事業者の方だけではなくて、豊洲市場に住んでいらっしゃる住民の方々にも賠償をしていくべきであると訴えて、この場での質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

野中主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野中主査 農林水産省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。

大畠分科員 おはようございます。民進党の大畠章宏でございます。

 二〇一一年の三月十一日の東日本大震災から、もうすぐ六年が経過するわけでございます。改めまして、あの東日本大震災で亡くなられた皆さんの御冥福をお祈りすると同時に、被災に遭われました皆さんにお見舞いを申し上げたいと存じます。

 特に、津波被害により福島原子力発電所が爆発事故に至りました。このことによって、多くの皆さんに重大な被害と、そしてまた影響を与えることになりました。大変残念でありますし、私も、原子力に携わった者の一人として、まことに申しわけなく思いますし、現在、党の東日本大震災復興推進本部の副本部長をさせていただいていますが、これからもできる限りの努力をしてまいることをお誓いしているところでございます。

 きょうは、せっかくの質問の機会をいただきましたので、このような背景を踏まえて質問させていただきます。

 特に、福島の現地に二月の十八日も入りまして、何度か入っているんですが、現地のお話をいただいてまいりました。このお話を踏まえて質問させていただきます。

 なお、通告をしておりますが、大きく分けて一番、二番、三番としておりますが、順番を変えて、一番と三番、そして二番という形で質問させていただきますので、よろしくお願いします。

 最初に、現地でいろいろなお話を伺いますと、やはり農林水産物に対する風評被害を訴える声が多く聞かれます。したがって、まず最初に、農林水産物に対する風評被害対策についてどのように農水省は行っておるのか。

 あわせて、実は私の知り合いの方なんですが、現地にお父さんの田んぼ、畑、山林を所持しているんですけれども、全くこの六年間立ち入ることができないと。お父さんはもう亡くなったんですけれども、この田んぼや山や畑はどうしたらいいのか、こういう相談を受けました。これは双葉郡の葛尾村でありますが、この件についてもあわせて、現状について御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

山本(有)国務大臣 風評被害の現状と今後でございます。

 農林水産省といたしましては、これまで、福島県の農林水産物につきまして、放射性物質に関する正確でわかりやすい情報提供に心がけてまいりました。また、テレビコマーシャルの放映、流通業者や消費者向けのイベントの開催、そういった広報活動への支援も行ってきたわけでございます。

 また、我が国の国産の農林水産物、食品に対しまして輸入規制を行っている国・地域に、政府一丸となって撤廃、緩和に向けた働きかけも行ってまいりました。この結果、規制を設けている国・地域の数は、事故後の五十四カ国から三十三カ国に減りました。

 こうした中で、福島県の農林水産物の価格は、キュウリでは震災前の水準まで回復できましたけれども、他方、米などの主要農産物では震災前の水準まで回復しておりません。風評の払拭は引き続き重要な課題だというように認識しております。

 このため、風評の払拭に向けました取り組みをより一層強化するために、二十九年度予算案におきまして、新たに、生産から流通、販売に至るまでの総合的な支援に必要な予算を計上いたしております。

 具体的に申し上げますと、生産段階で、第三者認証GAP等の取得、有機農産物等の環境に優しい農産物の生産拡大、さらに、水産エコラベルの取得、水産物の高度化に必要な取り組み、そして農林水産物の放射性物質検査。

 次に、流通、販売段階でございますが、農林水産物等の販売不振の実態と要因の調査、生産者の販路開拓等に必要な専門家による指導助言、そして、量販店での販売コーナーの設置、ポイントキャンペーンの実施等に対して支援を行っております。

 また、お尋ねの帰還困難区域における営農の今後でございますが、現在、農家の皆さんに一軒一軒丁寧なヒアリングをさせていただきまして、どのような希望やどういう形での営農が可能かということを対話の形でしっかりと今調査を進めている段階でございまして、それがまとまりましたならば、具体的に営農についての考え方を推進していきたいというように思っております。

大畠分科員 今大臣から御答弁いただきましたが、その地域に立ち入れないところでは、ほとんどが退去している。農家がありまして、その方はもう亡くなられたというので、その息子さんたちが後を継ぐということになっているんですが、なかなか現地におられないというようなことで、その畑や田んぼや山は、今後、どっちみちなかなか立ち入れないわけで、どうしたらいいんだろうと。お話を聞くというよりも、国はどうするつもりなんだというのがこの方のお話なんですよ。

 要するに、立ち入りしちゃだめよというふうになっているわけですから、ではどうするんですかと言っても、立ち入っちゃだめと言われているわけですから、その判断ができないというのが現状でして、ここら辺は国としてはどういうふうに考えておられるのかというのをもう一度、これは大臣はあれでしょうから事務方の方でも結構ですから、お伺いしたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の立ち入りが制限されております帰還困難区域の取り扱いにおきましては、平成二十八年八月三十一日に原子力災害対策本部復興推進会議が決定をいたしました、帰還困難区域の取扱いに関する考え方に基づきまして、「帰還困難区域のうち、五年を目途に、線量の低下状況も踏まえて避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す「復興拠点」を、各市町村の実情に応じて適切な範囲で設定し、整備する。」としております。

 この考え方に基づきまして、この通常国会におきまして、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案を提出させていただいておりまして、この法案が成立いたしましたら、この法案の枠組みに基づきまして、御指摘の田畑の取り扱いも含めまして、復興拠点の整備について地元の方々や関係省庁とともに検討してまいりたいと考えております。

大畠分科員 検討はしなければなりませんが、やはり地域の人の立場に立って、とにかく立ち入りができないんですよ。だから、相談されても正直言って困るというのが現地の人の話で、国としても、どういうふうにするのか、その一つの指針というのを明確に示して、そしてお話を伺うということで対処していただきたい、これは要請しておきます。

 それから、漁業関係のお話ですが、実は、大臣、茨城県も大きな影響を受けておりまして、特に福島県の県境の北茨城市というところに豊かな漁業の場所があるんですが、そこのところも結局は大きな影響を受けていまして、非常に困っている。もちろん漁港も津波で被災しまして、大変な状況だったんですが、農水省あるいは各関係省庁の努力で、今は大津の港もおおよそ復興のめどは立ってまいりました。

 めどは立ってまいりましたが、福島県の地域の海については、福島県内で試験操業をしているわけで、ここは茨城県の漁船は入らないでほしいという要請を受けて、こちらも、そういう事情はよくわかるのでということで、立ち入ることは控えておるわけですが、その問題はいつごろまで続くのかというお話が、大津漁業組合から、また久慈漁業組合からも来ておりますが、この件は現在どういう状況で、今後の見通しはどうなのか。あるいは、結局、そういう状況で、試験操業した魚が市場に出るときに買いたたかれている、この影響も受けているので、非常に今困っているという話も聞いておりますので、この二つについて、現状と今後の見通しについてお伺いしたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 大畠先生の御質問にお答えいたします。

 今先生の方から御指摘があったわけですが、福島県の海域については、原発事故から六年近くが経過した現在におきましても、福島県漁業協同組合連合会が、試験操業、販売を除きまして、全ての沿岸漁業及び底びき網漁業の操業を自粛しておりまして、茨城県等につきましても、福島県海域での操業自粛の協力要請を行っていることは承知しているところでございます。

 この福島県の試験操業、販売でございますが、福島県漁業協同組合連合会によりまして、本格的な漁業再開に向けまして、県のモニタリング検査で放射性物質の値が低いことが確認された魚種を対象としまして、平成二十四年六月から実施されてきたところでございます。現在、底びき網漁業など十三漁法九十七種が対象となっておりますが、平成二十八年の試験操業、販売の漁獲量は二千七十二トンということになっておりまして、震災前の平成二十二年の漁獲量二万四千七百一トンの約八%にとどまっておる、こういう現状でございます。

 しかしながら、昨年夏以降でございますが、いわゆる常磐物と言われます、主力魚種でありますヒラメ、マアナゴ、ババガレイ等二十四種が試験操業、販売の対象に加えられまして、本格操業に向けた取り組みに弾みがつくことが期待されているところでございます。

 水産庁といたしましては、福島県地域漁業復興協議会や漁協組合長会に参画いたしまして、漁業再開に向けた試験操業、販売の取り組みを支援いたしておりますとともに、各県や業界団体と連携しましてモニタリング調査を実施しまして、その調査結果をホームページで提供しております。

 二十七年四月以降、海産物につきましては百ベクレルを超えるものは出ておらない、こういう状況でございます。

 そのほか、先生の方からお話ございましたが、風評被害といったような問題につきましては、私ども、今、輸出も含めて、展示商談会あるいは風評被害の防止のためのイベントといったようないろいろなものをやっておるわけでございますが、本年度は、必ず月一回を超えるペースで放射能と魚についての説明会を実施するなどしまして、消費者や関係事業者への情報提供を行っているところでございます。

 今後とも、地元漁業者の皆様方の気持ちに寄り添いながら、福島県漁業の本格的な再開に向け、全力で支援していきたい、このように考えているところでございます。

    〔主査退席、小倉主査代理着席〕

大畠分科員 風評被害というものは、なかなか対応策が難しいわけでありますが、特に、関係しているものだから安くしか買えないんだといって買ったとしても、そして、実際に売るときには、他のものと一緒に通常価格で売ってしまうというようなところもありますので、よく市場の現状を見て、適切に対応するように努力していただきたいと思います。

 もう一つは、材木関係でありますが、福島県内の木材関係者も一生懸命努力はしているんですが、材木の利用拡大に向けてどういう支援策をしているのか。

 特に、シイタケの原木関係も、破砕しないと線量がはかれないというのでなかなか大変だということで、木のまま線量をはかる装置もあるとは聞いておるんですが、その他の材木についても、安全なものですよ、こういう形で市場に出せるようにすべきだと考えますが、この木材の利用に関しての対応策、支援策についてお伺いしたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 福島県内の森林ですとか木材の再生に当たりましても、原子力災害に対する対応が何よりも重要なものと考えております。

 そこで、林野庁では、森林内あるいは木材の継続的なモニタリングをやってきておりまして、一点は、森林内の空間線量ですけれども、これは九割の地域で森林整備が可能になっているということが確認されておりますし、森林内の放射性物質についても、現在、そのほとんどは土壌に付着しており、森林外には流出していないといったこと、こうした確認の結果につきましては、パンフレットにまとめて、シンポジウムの開催等において広く配布をして周知を図っているところでございます。

 そこで、木材の製品についてですけれども、そうしたモニタリングの中で、放射性物質による丸太表面の汚染というのが、木材の内部にどのように移行して、製品にどのような影響を与えているかということをずっと継続的に調査をしてきておりますけれども、結果、木材製品は安全であるということが確認できておりますし、そうした確認に必要な放射線量の測定装置の設置等に対する補助事業も行っているところでございます。

 また、もう一つ、キノコ、山菜という問題もございます。これにつきましては、安全、安心なキノコ、山菜の供給に向けまして、一つは、原木キノコの栽培管理のガイドラインを策定し、普及をしているということ。さらには、安全な原木の導入や、栽培管理の実施に必要な県外からの原木の購入やほだ木の洗浄機械の導入に対する支援も行っております。さらには、今先生の方から御指摘がありました、原木を粉砕せずに放射性物質濃度を検査できる非破壊の検査機の導入と運用実証への支援、これも行っております。

 野生キノコ、山菜等につきましては、出荷制限の解除ということも大きな課題になっておりますので、それに向けた検査の運用指導、こうしたことにも努めております。

 林野庁といたしましては、これらの取り組みを継続的に実施していきまして、その結果を幅広く公表し、周知していくということが風評被害の防止につながるんだというふうに思っておりまして、引き続き、こうした取り組みを継続実施していきたいと考えております。

大畠分科員 これで福島の原子力発電所事故に伴う質問は終わりますが、ぜひ、常に現地の人の話をよく聞いて、大変苦労していますから。だから、常に現地の人の話を聞きながら、適切に、真剣に対応していただきたいということを申し添えておきます。

 次に、二番のところはちょっと時間の関係で飛ばしまして、三番のIoTと農林水産業の今後についてお伺いしたいと思います。

 これは大臣も御関心があると思いますが、第一次産業革命は、まさに蒸気機関の発明ですよね。第二次産業革命は、今度は電気、モーター関係ですかね。第三次産業革命がコンピューター。ここまでは、大体、人間が非常に求めていたものの一つなんだろうと思うんですが、第四次産業革命、IoT、これが、ロボットということでいいと思うんですけれども、最近は碁や将棋もロボットの方が勝つという時代になってきて、だんだん、SF映画なんかを見ると、人間がロボットの指示に従って動くみたいな社会が出てきて、人間との争いになるというのもあるんですが、ただ、私は、農林水産関係は、大いにロボットの活用、IoTの活用がまだまだ不十分だと思うんです。

 農業、林業、漁業、この三つのところが非常に今衰退していまして、八百九十六の消滅可能性のある市町村と言われていますが、大体私が見るところ、農業、林業、漁業の衰退とともに、市町村も成り立たなくなり始めている。いわゆる雇用の場ですよね。だから、もう一回、そこのところを再生するためには、IoTをフルに活用して、省力化して、農業も、林業も、漁業も、そういうところに活用することによって再生できるのではないかと私は考えておるんですが、この分野に関する、まず、どんな状況で今取り組んでいるのか、お伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 IoTのお答えをする前に、ちょっとお許しいただきまして、先ほど答弁しました場所で、風評被害対策に関して、生産段階の取り組みで、生産物の高度化というように言ったかもしれません。しかし、これは正確には水産物の高鮮度化ということでございますので、お許しをいただきたいと思います。

 さて、ロボット技術、IoTでございます。この人工知能等につきまして、先端技術が急速に進んでおります。特に大畠委員はその専門家でもあるわけでございまして、その意味で、いろいろとお考えでございます。私の方では、農林水産分野におきまして、こうした技術を私どもも積極的に活用することで、成長産業化、あるいは人手不足を補えるということを考えております。

 まず第一に、農業機械の自動走行による大幅な省力化、収穫作業など多くの人手を要する作業のロボット化を目指しておりまして、さらに、センサーやドローン等を活用して生育状況を細かく把握し管理することで生産性を高める技術、現場の課題に応えた新たな技術の開発や導入実証等を進めているところでございます。

 私どもの高知県のお米が、昔は早場米で、さほど売れなかった。しかし、水分検査の技術を用いることによりまして、去年はグランプリをとることができました。また、そうした意味において、どうしてもイノベーションを活用して、新しい農業を切り開いてまいりたいというように思っております。

大畠分科員 大臣も非常にそういう新しいものに対する関心が高い方だと受けとめておりまして、これは私の地元なんかもそうなんですが、農業の地域がなかなか、きょうの大臣の所信を伺っておりましたら、一番最初のところに、農家の所得を上げるためにことしは頑張ると書いてありましたが、まさにそこのところが私は肝だと思うんですね。どうやったら農家の所得が上がるか。

 要するに、中間のところも一生懸命頑張っているんですが、大もとのところ、これは大臣にも申し上げますが、今、沖で魚をとる人、それから畑で農産物をつくる人、それから、物づくりでも、現場で一生懸命、中小企業が物をつくっているんですが、物をつくったり、そういうところがもうからない時代になっちゃったんですよ。流通のところでどうも利益を上げる、あるいは物をつくらないところがすごくお金をもうける。

 ソフトバンクの孫さんも、今度はアメリカに五兆円投資しますというんですが、孫さんは物をつくっているわけじゃなくて、通信、物をつくっているツールを使って業を起こしている方ですが、もう一度、私は、本当に一生懸命頑張っている、魚をとっている人、農産物をつくっている人、物をつくっている人、そういう人が生活が成り立つようなことも考えないと、経済自体が衰退してしまう、落ち込んでしまうと思いますので、地域経済の原点はそこにあると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

 そこで、残りの時間でありますが、今お話があった自動走行の農機具、最近では、トラック、高速道路で自動走行試験に入っていますから、あと五年、十年でそういう時代が来るんでしょう。

 農業についてもそういうものを取り入れることが必要ですし、林業についても、私が聞くところ、かまぼこの板までドイツから板材を運んできているというんですよ。なぜ、ドイツの板材を日本のかまぼこの板にしなきゃならないのか。あるいは、塔婆まで、外国から輸入してきて塔婆にしているというんですよね。ここら辺、やはり、林野庁長官、努力が足りないんじゃないですか、これは。工夫すれば何かできますよ。何で、ドイツの材木を日本に運んできて、かまぼこの板をつくらなきゃならないんですか。

 ここら辺は、今大臣のお話がありましたが、何とか省力化とかなんかして外国から船で積んでくる材木よりも、日本の近くの山でとれた材木を使ってできるように、これは長官としての責任でそこら辺まで持っていってもらいたいと思うんですが、そこら辺、農業、林業、漁業のそれぞれ具体策があったら、考えていることがありましたら、御答弁いただきたいと思います。

西郷政府参考人 では、まず農業の方からお答え申し上げます。

 御指摘のように、人手不足が深刻化している中で、大臣から御答弁を申し上げましたとおり、ロボット技術、IoTの活用は現場で非常に大事でございます。

 御指摘の農機の自動走行についてお答え申し上げますと、実は、二〇一八年までに有人監視下での自動走行システムの市販化をしようと。また、二〇二〇年までには遠隔監視による無人走行の実現を目標といたしまして、研究開発による技術の確立や、また安全性確保のためのルールづくり等に取り組んでいるところであります。

 このほか、きついとか危険だとかいった作業がたくさんございますけれども、そういったことを解消するように、例えば、収穫作業など人手に依存している部分につきまして収穫ロボットなどの研究開発に努めておりまして、今後とも、生産現場の課題解決、それから農業の成長産業化につながる先端技術の導入を強力に推進してまいりたいと存じております。

今井政府参考人 林業分野についてお答え申し上げます。

 先ほど先生の方から御指摘いただきましたけれども、林業分野、たくさん課題はありますけれども、その中の非常に大きな課題が海外の木材との競争力をつけていくということかと思います。

 ロボット技術の活用につきましても、国内の木材の伐採、搬出等の生産性の向上、あるいは製材、加工等の低コスト化、そういう側面と、非常に危険な作業でございますので、そういう危険な作業の労働安全性の向上という側面、そういう面におきまして、ロボット技術の活用に林業界も非常に大きな期待を寄せているところでございます。

 そうした観点からロボット技術の活用に向けた取り組みを行っておりますけれども、具体的には、一つは、自動で原木の運搬や荷おろしを行う自動走行フォワーダー、そして、伐採した材の曲がりの有無や強度を自動的に判定する原木の品質判定機能つきのハーベスター、あるいは、作業者の動作を補助する林業用のアシストスーツ、そうしたものに取り組んでいるところでございまして、引き続き、こうした技術開発を進めることによりまして、林業の低コスト化あるいは安全性の向上、ひいては海外との競争力の強化、そういったものに精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。

小倉主査代理 時間が来ているので、簡潔にお願いします。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 水産業につきましても、人手に頼る重労働の解消や操業の効率化といったものが非常に大事になっております。

 それで、現在三つほど、定置網の網揚げ作業の自動化、あるいは養殖網の清掃を行う無人運転ロボット、それと、ドローンやAI技術を活用しましてリアルタイムに漁場の形成を解析する革新的な魚群探索システムの技術開発を支援してきているところでございます。

 また、経験や勘に依存しまして水揚げが不安定となりがちな沿岸漁業におきましては、操業の効率化あるいは若手漁業者の育成を支援するために、ICTを利用して漁場の水面下の状況を見える化する技術の実証事業につきまして、このたびの平成二十九年度予算案に計上しているところでございまして、今後とも、漁業の省人、省力化、操業の効率化を推進し、我が国漁業の経営改善と担い手の確保を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

大畠分科員 これで終わりますが、ぜひ、大臣には、所信にありましたように、現場の人の所得が上がるように、そういう視点から頑張っていただきたいということを要請して、終わります。

 ありがとうございました。

小倉主査代理 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)分科員 公明党の吉田宣弘でございます。

 本日は、この第六分科会、質疑の時間を賜りましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。得がたい質問の時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、鳥インフルエンザ、この事件、事故についてお話をさせていただきたいと思います。

 昨年末からことしにかけて、鳥インフルエンザが日本でも多数確認をされました。北海道、青森、それから新潟、岐阜、九州に飛んで宮崎、熊本、佐賀というふうなところで、残念ですが、鳥インフルエンザが発生をいたしました。

 インフルエンザが一たび発生してしまえば、これは拡大を防ぐためにも迅速な対応というものが求められておるかと承知をしておりますけれども、改めてではございますけれども、発生時における農林水産省の鳥インフルエンザに対する対応についてお伺いをしたいと思います。

今城政府参考人 お答えいたします。

 家禽について高病原性鳥インフルエンザの発生が確認された場合には、やはり周辺農場への感染拡大、蔓延防止、これが何よりも大切でございますので、殺処分、埋却、消毒等の初動対応を迅速に行うということを心がけております。

 このため、都道府県の家畜保健衛生所が行う簡易検査、この結果が陽性であったという場合には、速やかに大臣を本部長といたします農林水産省鳥インフルエンザ対策本部を開催しまして、初動対応の方針、これを防疫方針といいまして、これをあらかじめ決定しております。

 さらに、その後、家畜保健衛生所におけるいわゆる遺伝子検査、この検査の結果、疑似患畜であるということが確定判断された場合には、直ちに、都道府県を中心に、殺処分、埋却、消毒等の防疫措置に入っていただく、こういうような措置をとっております。

 その際、私ども農林水産省としては、発生県が万全のこれら防疫措置を円滑に行えるように、発生後速やかに、まず職員をリエゾンとして発生県に派遣しまして、農林水産省本省との連絡ルート、これを確立します。また、副大臣または政務官の方に発生県へ赴いていただきまして、その県と緊密な連携を図るということ。さらには、関係省庁あるいは家畜改良センター等と連携しまして殺処分等の活動に当たります人あるいは資材、これについての支援体制を整備します。また、原因究明のための疫学チーム派遣、生産者、消費者、流通業者等への正確な情報の提供、こういう活動をやっておるところでございます。

吉田(宣)分科員 まさに、農林水産大臣をトップに、万全の対策をとってくださっているというふうに承知をいたしました。心から感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、やはり殺処分というのは、たくさんの鶏が殺されてしまうわけでございます。私も、一人の国民として心が痛む処分でございますけれども、そもそも、なぜこのような厳しい処分というものが必要なのか、そのことについて、改めて確認をさせてください。

今城政府参考人 お答えいたします。

 この高病原性鳥インフルエンザは、感染力が非常に強うございます。したがって、感染した家禽はほぼ一〇〇%死亡に至るということでございますので、蔓延をすれば、養鶏産業に及ぼす影響は極めて甚大であるということでございます。したがいまして、周辺農場への感染拡大の防止をとにかく図るということでございますので、感染したもの及び感染が疑われる家禽、これは迅速に殺処分をするというところで実施しております。

 また、これは副次的なお話でございますけれども、このウイルスが変異して、仮に新型ウイルスというものが出現するということもないわけではございませんので、そういう公衆衛生上のリスクとなる危険性の芽も摘むということもあるわけでございます。

 いずれにしましても、家畜衛生に関する国際基準の策定機関である国際獣疫事務局、OIEでございますけれども、ここでも、疾病蔓延のリスクを減少させるためには、感染動物及び感染が疑われる動物の殺処分が重要であるというふうにされているところでございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。やむを得ない措置であるということがわかりました。

 確かに、今回、昨年末からことしにかけてのこの鳥インフルエンザ、発生はしましたが、一切拡大はしていないということにおいては、農林水産省、また県も、また自治体も、全力でこの拡大防止に取り組んで、結果、しっかり封じ込めができたんだというふうなことを私は非常に感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、宮崎において、木城町というところで発生しましたが、私は現場に赴かせていただきました。前段で川南町というところで一度発生をして、お隣の町なんですね、そこで二度目が発生をしてしまったということについて、現地の生産者の方の落胆というのは非常に大きいものがありました。また出てしまったということについてショックを受けておられるということでございます。

 現地の生産者の皆様は、できる限りの対策というのを本当に必死になってやっていただいているところに、さらに出てしまった。どこまで予防策をとればいいのかということについて、まさに雲をつかむような思いでいらっしゃるというふうな状況でございます。

 いわゆる適切な予防策というものを講じるためにも、原因究明というものがやはり徹底してなされるべき、不可欠であるというふうに私は承知をしております。農林水産省における原因究明における取り組みをぜひお聞かせいただきたいと思います。

今城政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、この原因究明は非常に重要だと思っております。

 発生した際に、発生事例に係る感染ルートを調査するために、これまでの十件の発生事例ごとに、家畜衛生の専門家、野生動物の専門家及び発生県の家畜衛生の専門家から成る疫学調査チームを速やかに現地に派遣しているところでございます。

 それらを踏まえまして、本年一月末、先月末には、食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会の第六十二回家きん疾病小委員会というもの、それと、平成二十八年度冬季、まさに今季発生した高病原性鳥インフルエンザに係る疫学調査チームの第一回検討会というのを合同で開催しまして、そこで、最新の佐賀を除くんですが、宮崎県までの九件の事例に関する、これらのそれぞれの現地調査の結果を踏まえて、侵入経路等についての検証を行ったところでございます。

 これらの会議におきましては、大きく分けて二つあって、一つは、やはりネズミ等の外から侵入する野生動物対策、鳥に限らずでございますけれども、その徹底が重要であって、排水溝等の侵入経路を塞ぐ、あるいは寄せつけないため、家禽舎周辺の整理整頓、周辺の樹木の剪定とかそういうことが非常に効果的であるということ。

 それからもう一つは、やはり人や車両を介したウイルスの持ち込みというものもございまして、消毒等の措置の例外をつくらず、衣服、長靴の定期的な洗濯、洗浄、あるいはそれをちゃんと記録につけておくという習慣をつけていただく取り組みが重要であるというようなお話が指摘されているところでございます。

 これらの徹底につきましては、文書なり電話等をもって、私ども、都道府県に対し、重ねて要請を申し上げました。

 ただ、いずれにしても、これが原因だというものがまだ確定しているわけではございませんが、さらなるウイルスの遺伝子解析あるいは関係者への聞き取り等の調査を進めており、なるべく早い時期に調査結果を報告書として取りまとめて、来シーズンへの発生予防ということに向けた農家への情報伝達というものに向けて努めてまいりたいというふうに考えております。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 生産者だけではどうしても原因究明というのはできない、これはどうしても国の力をかりなければできないということでございますので、これからもしっかり原因究明に努めていただきたいと心から要望したいと思います。

 鳥インフルエンザについては最後になりますけれども、発生した十の事例においてやはり心配されるのは、その後の風評被害ということであろうかと思います。発生しただけでも大変なショックを受けているところに、二次被害である風評被害まで発生してしまえば、その損害というものははかり知れないものになってくるかと思います。

 ここはしっかり、国の責任において、風評というものは断じて防いでいただきたいと私は強く要望させていただきたいと思いますが、この点の農林水産省の御決意をまたお聞かせいただければと思います。

山本(有)国務大臣 御指摘のとおり、風評被害対策を万全に講じなきゃなりません。

 まず、発生した鳥インフルエンザに対しまして迅速に防疫措置を講ずることが何より重要でございますし、それをスピード感を持って対応しなきゃならぬというように思っております。

 その上で、御指摘のとおり、生産者、消費者、流通業者等へ正確な情報が提供されるかどうかということにかかっております。総理もここを御指摘されておるわけでございます。鳥肉または鶏卵を食べることにより鳥インフルエンザが人に感染する可能性はないわけでございますので、食品安全委員会のこの考え方を徹底させていただいております。まずは、消費者庁は、ホームページを通じて消費者等にお知らせをいたしておりますし、次に、農林水産省は、正しい知識を普及するための通知により業界団体等に発出しているところでございます。

 それでもなお、小売店等で、○○産は扱っておりませんみたいな張り紙があったりするわけでございます。こうした風評被害を逆に惹起させるようなことがないように、地方農政局等による調査を行って、不適切な表示を確認した場合は改善を要請しております。

 関係省庁と連携して、正確な情報発信に努め、御指摘の風評被害対策を万全にいたしたいと存じております。

吉田(宣)分科員 大臣みずから、強いお話を賜ることができたと思っております。非常にうれしく思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、今度は鳥獣被害についてお話をさせていただきたいと思います。

 生産現場に足を運びますれば、鳥獣による生産物の被害は尋常じゃないというふうなことをお聞きしております。国の方で把握をしている鳥獣被害の被害総額について教えていただければと思います。

佐藤(速)政府参考人 お答えいたします。

 野生鳥獣による農作物の被害金額でございますが、平成二十七年度は全国で百七十六億円、平成二十六年度は百九十一億円となっておりまして、被害金額は依然として高水準となっているという状況でございます。

吉田(宣)分科員 まさに、農家の方が得られる所得が百七十六億とか百九十一億とかこういう額で失われているということは、非常にゆゆしき問題であろうと思います。

 しっかり対策をとっていかなければならないと考えておりますけれども、国の施策について、確認の意味でお聞かせください。

佐藤(速)政府参考人 委員御指摘のとおり、この被害を受けますと、農業者の経営意欲が減退するということにもなります。被害金額として数字にあらわれる以上に深刻な影響を及ぼしているというふうに認識をしております。

 そういった考えのもとに、平成十九年に制定されました鳥獣被害防止特措法に基づきまして、現場に最も近い市町村が中心となりました被害対策の取り組みを国が支援する、こういった仕組みが整備されております。

 具体的には、農林水産省といたしまして、鳥獣被害防止総合対策交付金、二十九年度予算案では九十五億円を計上しておりますが、この交付金によりまして、地域ぐるみの被害防止活動に対する支援を実施しているところでございます。

 具体的には、ソフト対策でございますが、捕獲に係る講習会ですとか研修会の開催、捕獲用のおりわなの購入、追い払い活動、緩衝帯の設置といった地域ぐるみの被害防止活動などに対して支援をしているところでございます。

吉田(宣)分科員 さまざま対策についてとっていただいているということで、重複する取り組みが、私実は、先ほどの鳥インフルエンザで急行をした宮崎県の木城町というところでお聞きすることができました。非常におもしろい、おもしろいといいますか、余りお金をかけずに鳥獣の被害を防止するというふうな取り組みで、非常に農林水産省としても参考にすべきではないかなというふうに私は思っております。

 資料を一枚、新聞記事ですが、提出させていただいておりますけれども、この中に、宮崎県の取り組みとして、ちょっと時間が、本当に貴重な時間がもうないので、この取り組み、三点ポイントがありまして、端的に御説明すれば、まず、農家が出荷できない生産物というものを、よくありがちなんですけれども、畑の傍らにぼんと積んでおいてしまうということをやめさせる。なぜならば、これを食べに来ちゃうようですね。知らず知らずのうちに餌づけをしているというふうなことになっているようでございまして、これをまずなくするということ。

 それから、やはり野生動物ですので、人間に対する警戒心が非常に大きい。隠れる場所を減らすという意味で、畑と、それから林であったり森であったりそういったところにきちっと、緩衝帯といいますか、隠れる場所をなくするような取り組みをする。木を切ってしまったりとかそういったことをするということ。

 それから、これが一番大切なのかとも思いますけれども、いわゆる地域一体として心を合わせて、生産者以外の方にも協力をいただいて、鳥獣というものをおどすというか、爆竹を鳴らしたり大きな音を立てたりというようなことで怖がらせるというふうなこと。

 一体として取り組むということが非常に特徴的だなというふうに私は思っています。

 この新聞にもありますけれども、おどしたり捕獲したりということを先にしても、イタチごっこでどんどんやってきてしまう、餌となるような出荷できない生産物をほったらかすのではなくてきちっと管理をしたりとか、緩衝帯をつくったりとかいうふうなことを先にやって、その後の取り組み、やって、それでもだめなら捕獲するというふうな取り組みで、コストをかけずにいい効果を生んでいるというふうな木城町の例がございますけれども、この例における取り組み、受けとめというものをぜひお聞かせいただければと思います。

佐藤(速)政府参考人 委員御紹介の宮崎県の木城町駄留集落の取り組みでございますが、私も、御提供いただきましたビデオを拝見させていただきました。委員の御指摘する三点の取り組み、非常に大事な取り組みだと思います。

 それで感じましたのは、これらの三つの被害防止対策が一つでも欠けてはいけない、しかも、地域ぐるみで継続的に取り組みを行う、一旦やめるとまたもとに戻ってしまう、そういったことが重要であるという、まさに現場で苦労されている方々の貴重な知見であるというふうに考えております。

 今後は、ここは優良事例と言ってもよろしいかと思いますが、こうした優良事例につきまして、農林水産省のウエブサイトへ掲載するなどして見える化をして、積極的にほかの地域への横展開を図って、鳥獣被害対策のより一層の推進に取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 やはりポイントは費用が余りかからない、これは大きいかと思いますので、ぜひ積極的な、先ほどウエブサイト等に載せていただくというお話もありましたけれども、宣伝をしていただければというふうに思っております。

 次に、農林水産物のいわゆる輸出についてお話をお聞かせいただければと思っております。

 農家の所得を向上させるためには、やはり日本の農産物というものをどんどんどんどん外国に打って出していくべきというふうに思っております。そのために、海外に市場を開拓すること、すなわち、買ってくださる方がいなければ輸出してもだめなわけでございまして、そういった市場を開拓することが非常に有意義であろうと思っております。

 この点、資料も一枚つけさせていただいておりますが、鹿児島の取り組みなんですけれども、かつおぶしで非常に有名な枕崎市というようなことがございまして、ここがフランスにかつおぶしの工場をつくってしまいました。かつおぶしをどんどんどんどん、ヨーロッパの方にだしの文化を宣伝するという意味で、そういった取り組みをやっておりますけれども、私は、高く評価されるべき取り組みであろうかと思っております。

 この点、農林水産省における海外における市場を創造するというふうな取り組みについて、もしございましたら、教えていただければと思います。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 農林水産物、食品の輸出を拡大するためには、委員御指摘のとおり、海外の市場の開拓、創造が重要でありまして、このため、海外の消費者や飲食店、小売店などのニーズをまずしっかり把握するということに加えまして、日本産品の需要の掘り起こしを行っていくこと、これがポイントになると思います。

 このため、昨年五月に策定をいたしました農林水産業の輸出力強化戦略に基づきまして、現地の農林水産物、食品の市場に関する情報を継続的に収集、整理して国内の事業者の方に提供させていただくこと、また、農林漁業者、食品事業者の海外への販路開拓のための見本市や商談会への出展等への支援、さらに、日本食レセプションでありますとか海外メディアの活用などによりまして、日本の産品のみならず日本食あるいは日本の食文化についての魅力を発信するといったことを進めているところでございます。さらに、輸出先国の輸入規制の緩和、撤廃に向けた交渉といった政府として主体的に取り組むべき輸出環境の整備を行うほか、輸出先国の規制等に対応するための加工施設等の整備への支援といったことも行っているところでございます。

 加えまして、昨年の十一月に決定をいたしました活力創造プランに基づきまして、オール・ジャパンで日本の農林水産物、食品のプロモーション、ブランディング、輸出事業者へのサポートを担う機関をことしの春に創設いたしまして、需要の開拓、創造の取り組みをさらに強化してまいりたいと考えているところでございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。ぜひしっかり取り組みを前に進めていただきたいと思います。

 さて、先ほどのかつおぶしの事例ですけれども、わざわざフランスに行って工場をつくるということは、なぜそんなことになってしまったのか。要は、枕崎でたくさんおいしいかつおぶしができておりますから、それを輸出すればいいじゃないかという話なんですけれども、EUの高い食品に関する衛生基準というのが壁になって、残念ながら持っていけないということが発端でございました。

 この点、やはり日本の本当においしい農産物、高品質のものを輸出するに当たって、私は、この高い基準というのが壁になって、非常にちょっと、どうにか緩和できないかなと。先ほど緩和の取り組みのお話も答弁でございましたけれども、やはりこの基準を何とかクリアする、生産者だけではなかなかこの基準の壁というのは乗り越えることが難しかろうというふうに思いますので、この点、農林水産省におかれましては、ぜひバックアップしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 いわゆるこの基準に対する壁、これを乗り越えるためのバックアップにおいて、ハード面、ソフト面における、農林水産省また水産庁も、かつおぶしをちょっと出させていただきましたので、この施策について、それぞれお聞かせいただければと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 今、吉田先生の方から御指摘ございましたように、EUのHACCPに対応するためには、やはりハードとソフト、二つの面が必要かと思っておりまして、このため、一つといたしましては、輸出先国のHACCP基準に対応するための水産加工流通施設の改修等の支援、こういったものをまずやっておるところでございます。また、それ以外に、輸出先国の品質、衛生基準への適合に必要な機器整備といったものも必要になりますので、こうしたものの支援も行っているところでございます。

 それで、二十九年度の概算要求の予算案の中におきまして、ソフトでございますが、HACCP導入のための研修会等の開催あるいは現地指導等に対する支援といったものについて予算額を計上しているところでございます。

 あと、このHACCP認定につきましては、厚生省が従来やっていたわけでございますが、なかなか手が回らないということでありまして、平成二十六年十月から、水産庁が認定主体となってやっているところでございます。先生御指摘にございましたように、今月には、かつおぶしの製造施設について我が国初の認定が行われたところでございます。

 今後とも、このような取り組みを通じまして、水産物の輸出拡大に向けて頑張っていきたい、このように考えているところでございます。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま水産関係を水産庁長官から答弁申し上げましたので、重なるところがございますけれども、農林水産物、食品の輸出に当たりましては、HACCPのほか残留農薬等、輸出先国において設定をされておりますさまざまな規制、基準に対応していく必要がございます。

 このため、諸外国の規制、基準についての情報を収集、整理して、農林水産省のホームページやジェトロのポータルサイト等を通じまして国内の事業者の方々に情報提供を行うこと、その際、例えばHACCPにつきましては、事業者向けのセミナーも開催をしたり、あるいは施設の整備に対して支援を行うといったことも行わせていただいているところでございます。

 また、残留農薬基準につきましては、輸出先国の基準に対応した農薬使用マニュアルの作成と、専門家の産地への派遣等によりまして技術的指導を行うこと、さらに、相手国との関係では、残留農薬基準の設定の申請を支援すること、さらに、早期にそうした基準が設定されるような要請等も行っているところでございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 農水省におかれましても、水産庁におかれましても、しっかりこの点、生産者をバックアップしていただきたいと心からお願いを申し上げたいと思います。

 時間の関係で最後の質問になるかと思いますけれども、農業の生産者、やはり高齢化もして、なかなかもうからないという方、もうやめちゃおうという方々が出てくることも、私も九州、沖縄、広く飛び回っておりますけれども、そういった少し後ろ向きな、残念なお話をお聞きすることもあろうかと思います。

 昨年、我が公明党は、生産者の方に一円でも多くの利益を残すような仕組みを何とかつくれないかということで、農林水産省にも御協力いただきながら、農業競争力強化プログラムというものの作成に取り組みました。その後、それは与党のそれとして大成をして、昨年の十一月二十九日に取りまとめ、改訂が行われました農林水産業・地域の活力創造プランに結実をしていったかというふうに承知をしております。

 生産者により多くの利益を生み出すためには、生産現場を取り巻く全ての環境においてコストを少しでも減少させる取り組み、これは有益であろうというふうに私は考えておりますけれども、そこで、環境改善における取り組みを、ぜひ農水省、お聞かせいただければと思います。

細田大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 吉田先生におかれましては、日ごろから農林水産行政の円滑な推進に向けて御指導、御鞭撻をいただいていることにまず改めて心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 その上で、今先生まさに御指摘をいただいたとおり、農業者の所得向上を図っていくためには、生産コストの削減と農作物の有利な条件での販売を実現することが重要であるというふうに私ども考えておりまして、昨年十一月に、まさに先生が御指摘をされた農業競争力強化プログラムを策定いたしまして、生産資材価格の引き下げや流通の合理化を図るということがその中で記載されたわけでございます。

 このプログラムを受けまして、私ども政府といたしましては、具体的には、生産資材価格の引き下げに向けて、生産資材メーカーについて、国際競争に対応できる生産性の確保を図るための業界再編でありますとか、生産資材に関する法規制やその運用の見直しでありますとか、あるいは生産資材価格の見える化を推進する、また、流通の合理化に向けて、生産者、消費者のメリットを最大化するための農産物を直接販売するルートの拡大や、あるいは各種の流通ルートの取引条件の見える化を推進するということが必要であると考えております。

 具体的には、プログラム法案として、農業競争力強化支援法案を二月十日に国会に提出させていただきました。本法案に盛り込まれた施策を実施していくことにより、農業の競争力の強化を図り、農業者の所得向上の実現に努めてまいりたいというふうに考えております。この法案の成立に向けて、ぜひ先生からも御支援を賜りますように、改めて心からお願い申し上げます。

吉田(宣)分科員 ありがたくも、細田政務官から力強い答弁をいただいたと思います。心から感謝を申し上げて、時間が参りました、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小倉主査代理 これにて吉田宣弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺孝一君。

渡辺(孝)分科員 自由民主党の渡辺孝一でございます。

 きょうは、このような機会をつくっていただきまして、大変ありがとうございます。

 まず、大臣以下政府三役の方、また農水省の方々にお礼を言わなければいけないんですが、昨年八月、我が地元の北海道におきましては、未曽有というか今まで経験のなかった三回の台風の上陸ということで、その爪跡は大変ひどいものでございました。そんな中、政府の迅速な対応で、いち早く激甚災害の指定やら、またその後の農業被害に関しましても、山本大臣初め皆さんでしっかりと対応していただいたことに関しましては、地元の農家の方々も大変喜んでおりました。

 私の地区は、深川地区のいわゆる納内というところで、石狩川の無堤防地区のところ、無堤地区のところが少し氾濫いたしましたけれども、道東あるいは上川、この辺、十勝あたりは想像を絶するような被害だったというふうに私も記憶しております。

 そんな中で、同じ農業者ということで、被害のなかった私たちの地区の農家の方々も非常に被災地の方々を心配しておりました。そんな中で、俗に言う長老と言われるような方もまだまだ部落にはいらっしゃるんですが、その方とお話しして反省させられたことがあったんです。

 私も、政府の資料を持って、こういう対応をするんだということを、資料を見ながら御説明しながら、納得していただこうという努力をしたんですが、その長老の方々から言われたのは、先生、まだまだ農業をわかっていないななんということを言われました。

 それはどういうことかというと、おてんとうさまは、わしらがどうあがいてもどうしようにもできない。水に関しては国のおかげでしっかりと確保できるようになった、本当にこれは感謝せないかぬ。ただ、土に関しては、これは我々農業者の仕事だ、そして、自分の子供を育てるがごとく土に愛着を感じ、何年もかけてその作物に合う土地をつくってきた、それが一気に流されてしまった、このことは自分の子供が流されたと同じだ。ですから、ぜひ代議士にお願いしたいのは、今、あしたの復旧云々だけではなく、やはり、本当に災害に遭う前と同じような、いわゆる収量や収穫、さらには品質までしっかり見ていてほしい。そして、わしらは何をお願いするというわけじゃない、そういう温かい手を差し伸べていただくような気持ちをぜひいつも持っていただければありがたいということを言われまして、非常に感銘を受けたと同時に、自分がちょっと薄っぺらい国会議員に見えたもので、そんなことをまず大臣にお話し申し上げて、今後、経過もしっかりと追っていただきたいというふうに思います。

 それでは、さて、質問に入りたいと思います。

 まず、単刀直入にお聞きいたします。

 当時、民主党政権時代に、民主党です、当然目玉であったんでしょうけれども、戸別所得補償につきまして、正直申し上げまして、この年末年始、お酒を飲み交わす機会も多く、ついつい本音で農家の方々が、この制度につきまして、なぜ廃止にするんだという声がかなり多かったのに私もびっくりいたしました。

 私なりにこの廃止については納得をいただく努力をしたんですけれども、私の努力不足なんでしょうか、この場をかりて、大臣なりのこのいきさつについて、農水省の方でもいいです、ぜひもう一度、正式にお話を聞かせていただければと思います。

山本(有)国務大臣 まず、北海道の被災に心からお見舞いを申し上げます。

 そして、米の直接支払い交付金の話でございますが、平成二十五年末の経営所得安定対策の見直しの中で、一番に、米は、麦、大豆等と違いまして、十分な国境措置がございます。諸外国との生産条件の格差から生じる不利はありません。第二に、全ての販売農家を対象とすることは、農地の流動化のペースをおくらせる面があるという事実でございます。第三に、米につきましては、潜在的生産力が需要を大幅に上回っている状況にあること、これらの政策的な課題が指摘されたところでございます。

 このため、米の直接支払い交付金は平成二十六年産から単価を削減いたしました。十アール当たり一万五千円から七千五百円でございます。平成二十九年までの措置ともいたしました。その間、強い農業の実現に向けまして、農地集積バンクによる担い手への農地集積、需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることによりまして、農地のフル活用を図るという計画でございます。

 こうした前向きな政策を強化したところでございまして、引き続き、農業の成長産業化を実現し、農家の所得を向上させるための政策を力強く推進してまいりたいというように存じております。

渡辺(孝)分科員 それでは、農水省の方に聞きますが、廃止にすることによってどのぐらいの財源が捻出されるんでしょうか。

柄澤政府参考人 ただいま大臣から御説明いたしました米の直接支払い交付金の予算額でございますが、平成二十九年度予算案におきまして七百十四億円を計上しているところでございます。

渡辺(孝)分科員 十二分に理解できると私は思っております。

 ただし、地元の方々とお話をしておりますと、確かに米だけというのは農家の方々全てに納得はしていただけないんですが、米農家の方々にとってみれば非常に、言葉は悪いですけれども、別にくれとは言っていない、政府がつけてくれて、いただいて、そのことがやはり自分の所得あるいは経営等々に大きく寄与していただいた、この気持ちをまず政府の方々にも理解していただきたいというくだりから、最終的には不平不満になるんですけれども。

 私は思うんですけれども、例えばうちの例を挙げますと、実は、北海道の空知地区、二十四の市と町がございますけれども、大体、五市一町、六つを除いて、十八の市と町は田畑を中心にした地域でございます。それで、実際、この直接支払いにつきましては、四十億の予算が、言うなれば、ばらまかれたという状況でございました。それがなくなるということは、手取り所得が減るということで、非常に頭を痛めているのが現実でございます。

 大臣また農水省の方々にぜひお願いしたいのは、今後、三十年に廃止した際には、この七百十四億というものがどういう制度、政策に使われているかというところをもっと明確に打ち出していただきたい。

 一万五千円から七千五百円になったときには、今大臣が説明していただいたような説明をしましたが、その内訳がわからないと、ごまかされているんじゃないかというような話も言われるもので、私も非常にきゅうきゅうとした思いがございますけれども、ぜひ今後、その七百十四億をしっかりと明確にしていただけるような、農水省は、今のところ、そういう考えはございますでしょうか。

柄澤政府参考人 改めて申し上げるまでもございませんけれども、農林水産予算につきましては、毎年度毎年度の行政ニーズに基づきまして、各施策の予算額を増減するなど全体の編成を行っております。

 今御指摘の米の直接支払い交付金は平成三十年度から廃止ということになるわけでございますが、これから行われます三十年度の農林水産予算の編成過程におきまして、この予算の廃止も踏まえて全体としてどのように予算を措置していくべきか、省全体としてしっかり検討するということでございます。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、地元の農家の方々に安心していただける材料を一つでも多くふやしていただければと思います。

 この地区は、余り地域エゴみたいな話はしたくないんですが、言うなれば、昭和四十年代、国のエネルギー政策の転換によりまして、炭鉱が一気に閉山になりました。当時いた八十万を超えておりましたこのブロックの人口も今や三十六万人と、もう半減以下になりました。この大きな国策の転換によって地域が受けた経済やまちづくり等々についての影響というのは、今もまだ爪跡が残っております。

 また、今現在は、JR北海道、非常にいろいろと問題がございまして、廃線あるいは廃線を検討している路線も四路線ございまして、地域の方々も、これも国鉄から民営化ということで、どうやら、国の制度、政策によって翻弄された地域ではないかということをよく言われます。

 今回の一連の農業、農協改革等々も、また国がというような気持ちが非常に多うございます。もちろん、その中で、青年部の面々は、やはり自分たちはこれから頑張っていかなきゃいけないんだという気持ちで、積極的に農地の拡大や、あるいは今後どういうような経営をすることがいいのかと、法人化も含めて、雇用の心配やらいろいろなことをしながらあすを目指しております。

 しかしながら、長老の言葉ではございませんけれども、別の初老の方に言われたのは、先生はまだまだ先があるからいいけれども、もう七十過ぎた私にとってみれば、あした、あさってが勝負だ、五年、十年の話は若い者にしてくれ、俺らみたいな目の前の勝負しか考えられないような農業者もいるということを忘れないでくれというようなことを言っておりました。

 三十年以降、農業というのは大きく変わりつつあるのではないかと思います。今後の変わりつつある農業に関しまして、ぜひ大臣の思いや情熱をお聞かせいただければ、それをしっかりと地元の人間に伝えたいと思います。お願いします。

山本(有)国務大臣 農業者の所得向上というのが喫緊の課題であります。

 農業は、地域政策と産業政策、それぞれの分野がありますけれども、いずれにしても、日本の農業がこれからかち取っていくべきは農業の成長産業化であることは申すまでもありません。

 そこで、農地中間管理機構の創設、米政策の見直し、日本型直接支払いの創設、農協改革などを推進することによりまして、農政全般にわたって改革が遂げられるだろうというように思っております。

 このような政策の効果も多少出てきておりまして、平成二十七年の生産農業所得は三・三兆円で、近年で最も高い水準となりました。

 私は、農業こそ、経営意識を持った創意工夫により飛躍的に成長することができる、夢ある産業というように確信をいたしております。

 今般取りまとめられました農業競争力強化プログラムに掲げられております、生産資材の価格の引き下げ、あるいは流通、加工構造の改革、生乳流通改革、土地改良制度の見直し、収入保険制度の導入、こうした施策を実行していくことを通じまして、必ず農業者の所得向上が図られるというように確信いたしておりますし、若者が憧れ、誇りを持って活躍することができる新しい農業に変貌するだろうというように思っております。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 大臣から出たその夢、夢というのをぜひ皆さんで共有して、しっかりと成長産業にすべく努力をいたしますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、二番目の質問でございますけれども、政府肝いりの女性活躍を踏まえて、当地でも、この間の二月十八日土曜日、実は、農業女子の方々、三十名程度でございますけれども、一応勉強会を開催させていただきました。女性です、いろいろと多方面にわたって意見が出まして、ある意味、とても有意義な会議ではございました。

 さて、そういうことを踏まえまして、今現在、女性の就農者の数をどのように押さえておりますか。また、女性の認定農業者の数も一万人を超えたというふうに資料を私も見させていただきましたけれども、今後の日本の経済再生の中で、私は女性のパワーというのはもう必要不可欠だと思います。

 現在、農水省の中では、女性の活躍についてどのように捉えておりますか。

細田大臣政務官 まず、渡辺先生におかれましては、日ごろから、農林水産行政の円滑な実施に向けて御指導、御鞭撻をいただいていることに改めて心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 私も、昨年夏の就任以来、北海道に二回お邪魔をさせていただきまして、その被害状況等々を視察させていただいたところでございます。

 また、渡辺先生の貴重な現場発の御意見もいただきまして、農林水産省といたしましては、北海道農業の振興に本当に全力で当たってまいる所存でございますので、引き続き、御指導、御鞭撻をお願いしたいというふうに思います。

 御質問いただいた点でございますが、現在、女性の基幹的農業従事者は七十五万人と把握しております。全体の約四割を占め、地域農業の振興や農業の六次産業化の担い手として非常に重要な役割を果たしているというふうに私どもは考えております。また、女性が農業経営に関与していることにより経常利益の増加率が大きくなるという調査結果もございます。今御指摘あったとおり、農業の成長産業化を進めるためには、新たな発想でチャレンジする女性の能力が最大限に発揮をされることが重要であると認識しております。

 私どもといたしましては、今ちょっとお話ございましたが、女性農業者の知恵と民間企業の技術やノウハウなどを結びつけ、新商品、サービス開発等を進める農業女子プロジェクトというのを展開しているほかに、地域農業の次世代の女性リーダーの育成の研修を行っております。

 また、昨年の四月に、私の地元新潟でG7の農業大臣会合が開催されましたが、その場で、我が国が初めて、農業における女性や若者の役割の重要性というものを問題提起いたしました。さらに、これを受けまして、昨年の十二月に、農業における女性・若者の活躍推進に向けたG7国際フォーラムというものを初めて開催し、国際的な議論をリードしているところでございます。

 私ども農林水産省といたしましては、今後とも、女性農業者の活躍を積極的に応援したいというふうに考えております。引き続きの先生の御指導をよろしくお願いいたします。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 力強く女性の活躍に関してエールを送っていただきまして、ありがとうございます。

 それでは、今後の話なんですけれども、えてして、うちにはトータル三十四の市町村がございまして、大体、首長さん、農業関係者、土地連等々、正直言って日がわりのごとく陳情、要望にいらっしゃって、私も大変ありがたいと同時に、もうちょっとまとめてくれやなんという話もよくするんですが、残念なことに、女性の方々が要望に来るというのは、正直言って東京はちょっと不可能かなと思いますけれども、地元の方でも、そういう女性の方々が陳情に来られる、また、私と話す機会というのがなかなか少のうございます。

 私、思ったんですけれども、確かに背広族の方々が来て陳情、要望するのはいいんですが、やはりまだまだ農業界というのは男性社会だというのが根強いものがあるのかなと。私は、これを打破するために、政務官からもお言葉をいただきましたように、今後、予算の中で女性が手をどんどん挙げられるようなメニュー等々をもうちょっと具体的に打ち出すことによって、女性が国の予算や農業予算に対して見る目が変わるのではないかなと。

 懇談の中でこんな話が出ました。結局、財布のひもを握っているお父さんに逆らえない、旦那さんも私たちの応援を全然してくれないと。家庭内の話ですから、それを大臣に話すのはどうかなというふうに思いましたけれども、現状としてそういうのが、やはり、地元というか地域の農業の中では男性社会の農業界にまだ根強いものがあるのかなと。ぜひ、そんなことを期待するわけでございます。

 今後そのようなことを打ち立てるようなことをしていただいて、農業女子の方々に火をつけていただきたいなというふうに思っておりますので、ぜひ農水省のお考えをお聞かせいただければ。

大澤政府参考人 女性の方が手を挙げやすい予算の検討をという御趣旨というふうに理解してございます。

 とりあえず現状についてだけお話をさせていただきますと、現状におきましても、先ほど政務官からもお話がありましたような、女性のプロジェクトでありますとか女性のリーダーを育成するような研修とかを行っております。これは女性を対象にしたものでございますが、普通の補助事業でございましても、例えば、経営体育成支援事業というのがございまして、これは機械、施設等に対する融資残補助を行っている事業でございますが、こちらは、女性ポイント、女性が応募した場合に採択ポイントの加算ということがありまして、女性の方が採択されやすいような仕組みをやっております。実際にも、女性が採択されている比率もある程度あるところでございます。

 そのようなものもございますし、あと、先ほども話したように、女性の方がなかなか手を挙げにくい、発言をしにくいということの根本の問題の解決にも資するように、家族経営協定というものの締結を促進しております。これは御夫婦で役割分担をしていただくということですが、この家族協定を締結して経営に参画している配偶者につきましては、人材育成の農業次世代人材投資事業、あるいは農業者年金における優遇措置を講じているところでございます。

 それから、さらに、ホームページ上で、女性の方が活用可能な農林水産省の施策、補助事業の活用ガイドもつくってございます。

 さらにどういう工夫ができるか、先ほど政務官からお話もありましたように、女性の活躍というのは六次産業化等でも非常に大事なものでございますので、さらに工夫を重ねていきたいというふうに考えてございます。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 非常に女性の方々の勇気づけになるかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、まだまだ男性社会の農業界でございます。

 農業女子のことにつきましては、最終的には男性に理解させなければいけないのかなと。ということであれば、農水省の方々に、今、既存の組合長や理事長等々にもっともっとこの農業女子についてアピールしていただくことをぜひお願い申し上げたいと思います。

 最後の質問であります。

 今度は、ちょっと農福連携についてお伺いいたします。

 私が市長時代、農業が基幹産業の町ですなんということを選挙公約で言ったものですから、障害者の方々にお会いして、あるいは施設に訪問して、いわゆる農業の勧めなんというのを施設関係者の方々にお話をしたことがあります。しかしながら、現地の方で返ってくる答えは、おおむね、例えば農地の確保や、あるいは農業技術者の確保、さらには障害者指導の農業についての教育をしなければいけないなど、いろいろ問題点があり、断念したことがあります。

 また、高齢化を迎えまして、地元の老人クラブや、あるいはシルバー人材センター等にも呼びかけて、農業の勧めというのを皆さんに理解していただこうと働きかけたのも覚えておりますが、なかなか歯車がかみ合わず、これも断念せざるを得なかったというのを経験しております。

 そこで、一億総活躍社会を目指す安倍総理、政府にとっても、当然、彼らの活躍も大いに期待しているんではないかと思います。今後、年金だけに頼らず、むしろ、どんどん働くことによって、生きがいや、さらには夢を持つことで、より健康にもなると思います。農水省として、今後どのように活躍できる形にしていこうと考えているか、お聞かせ願いたいと思います。

    〔小倉主査代理退席、主査着席〕

佐藤(速)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、障害者や高齢者の方々が、その持てる能力を発揮いたしまして農業活動に取り組む農福連携でございますが、農業、農村の活性化に大いに寄与するものというふうに考えてございます。

 全国的に見ますと、例えば、大阪府の泉南市では、大手の文具会社が、障害者の働く場として農業生産法人を設立いたしまして、地域にある八つの障害者の作業所と連携して、サラダほうれん草の栽培に年間延べ五千人の障害者を受け入れている、こういった事例がございます。また、鹿児島県の南さつま市でも、NPO法人が地域の約一千の高齢農家などと組みまして、中学生、高校生の教育旅行を受け入れまして、高齢農家の方が中高生の農作業体験の指導をしている、生きがいを見出している、そんなような事例もございます。

 今申し上げましたような農福連携の取り組みが全国各地で広がりつつございます。農林水産省といたしましては、農山漁村振興交付金という交付金を使いまして、一つは障害者の就労、雇用を目的とした福祉農園の整備、さらには、委員御指摘のとおり、技術習得といった課題もございますので、技術習得のための研修、こういったものに支援をしているところでございます。また、地域の経験豊富な高齢者による六次産業化の取り組みですとかグリーンツーリズム、農泊の活動、そういったところに対しても支援をしているところでございます。

 また、全国的な取り組みということから申し上げますと、農福連携の取り組みをさらに普及させていくために、今般、民間が中心となった全国協議会を立ち上げる、こういった動きがございます。農林水産省といたしましても、その全国協議会の設立に向けて、現在積極的にサポートしているところでございます。

 今後とも、農福連携を推進して、障害者、高齢者の農業分野での活躍の場の提供を通じまして、一億総活躍の実現に積極的に努めてまいりたいというふうに考えております。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 もう時間もございませんので、最後に農家の方々に聞いたお話を大臣にお聞きいただいて、終わりにしたいと思います。

 日本は南北に長い国でございます。気候、気象条件、また地域の事情というのは千差万別かと思います。

 私は思うんですが、農水省の方々とお話をしていますと、当然、日本全体を平均して、しっかりと農業政策を考え、公平感また透明感を見せながらいろいろな議論をなさっていることには敬意を表したいんですが、必ず出てくる言葉は、地域の実情という言葉をよく聞きます。それはそうでしょう。それだけ南北に違う国ですから、つくっている作物も農業の形態も変わるわけでございます。

 私は、市長時代の経験でございますけれども、大体、農業問題についての質問がありますと、役人の書く答弁というのは、それは国策です、それは道が担当管轄ですという無慈悲な答弁をしていたのを今思えば反省しております。

 私は思うんですが、農家の所得向上、それには成長産業にするんだ、その大臣の思いを、都道府県あるいは市町村、そして農家の方々にしっかりと伝えながら、その目標をみんなで共有し、何をやればいいのかということをしっかりと明確にして、私は、都道府県や市町村、農協の系統関係、さらには農家の方々、そして市民、皆さんで責任分担をして、そして、農業を本当の日本の基幹産業にしていこうや、そういうような雰囲気をつくっていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 本当に、きょうはどうもありがとうございました。

野中主査 これにて渡辺孝一君の質疑は終了いたしました。

 次に、今枝宗一郎君。

今枝分科員 自民党の今枝宗一郎です。本日はよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 農業は国の源であります。農作物をつくって私たちの命の基礎をつくってくれているだけではなく、多面的機能を持ち、日本の農業を守るということは、農村のためだけではなくて、日本全体のためであります。

 そのような中で、前民主党政権時にTPPが突如登場いたしまして、自民党政権が交渉で国益を守るための関税の例外を幾つも獲得したとはいえ、TPPに対してはさまざまな思いを持っているというのも事実だと思います。

 そのTPPに対しましてトランプ新大統領が今否定的な見方を示している中で、TPP対策に政府として今どのような意義を感じていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 まず、今枝先生におかれましては、私ども農林水産行政の企画立案、実施に対しまして日ごろから御指導、御鞭撻をいただいていることに、改めて心から御礼を申します。

 また、今枝先生の御意見を踏まえまして、私ども、特に愛知県の農業の振興、発展について、また全力で取り組んでまいる所存でございます。引き続き、よろしくお願いいたします。

 今御質問ございましたTPP対策についての意義でございますが、一昨年十一月に決定した総合的なTPP関連政策大綱におきまして、農林水産分野については、TPPの発効を見据えて、これに備えることをきっかけとして、協定の発効を前提とせずに取り組むべき農林水産業の体質強化を加速する対策と、TPP協定発効後に必要となる関税削減等の影響に対応するための経営安定対策の充実などの二種類の対策を行うこととしております。

 これについては、それぞれ対策がございますけれども、少なくとも、私どもとしては、このような対策を進め、また必要な予算を確保することによりまして、日本の農業の足腰をできるだけ強くするということが必要であろうというふうに考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 非常にわかりやすい御答弁をいただきました。さすが細田政務官であると思います。ありがとうございます。

 これは大事なポイントでありまして、体質強化策ということは、TPPが発効するか否かとはまた別にしても必要なことでありますので、きちんと進めていくということが大事だと思います。何もかにも無駄だとかそういう話ではなくて、本当に必要なものはきちんとやっていく、こういうことだと思います。

 まさにこの話の中で、産地パワーアップ事業というものがあるかと思います。これは非常に重要な事業だと思います。

 私は、まさに農業改革の本丸は農家の所得向上であるというふうに考えておりまして、よく、後継者不足で平均年齢が六十七歳だとか、荒廃農地が二十七万ヘクタールあるぞとか、そういうことをいろいろ言われるわけでありますけれども、基本的に、人、担い手不足というところが根底にあってこういう問題がやはり起きてくるというふうに思います。

 やはり私は、農業に関心がある都会暮らしの若い夫婦や若い方というのはたくさんいらっしゃいまして、その思いを残念ながらとめてしまっているのが、農家として生計が立てられるかどうかの不安であるというふうに思います。私の友人でもたくさんいらっしゃいます。ゆえに、所得の向上、そして安定という部分が必要だ、必須であるというふうに思っています。

 そのためには、販売価格を上げるというプロセスとコストを低減するというプロセスがあると思いますが、ゆえに、自民党農林部会では、この部分に非常に力を入れております。農薬や農業機械のコスト低減など全国的な話がよくメディアには取り上げられますけれども、私は、それぞれの農作物で産地としての体質強化をしていくということの重要性を特に申し上げたいというふうに思います。

 この産地パワーアップ事業、まさに体質強化の中で、TPPが仮に成立をしなくても進めていく必要があるわけでありますけれども、今後、同様の政策をまた来年以降もしっかりとつくっていかないといけないと思うわけでありますけれども、そのあたりの農水省の今の考え方を教えていただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたとおり、産地パワーアップ事業、農業の体質強化の加速策といたしまして、各産地がみずから策定いたします産地パワーアップ計画に基づいて、高収益な作物、栽培体系への転換を図るため等の取り組みを総合的に支援するものでございまして、これまで、二十七補正、二十八補正合わせまして千七十五億円計上してきたところでございます。

 この産地パワーアップ事業につきましては、いずれの事業も協定の発効を前提としたものではなく、TPPの発効を見据えて、毎年度の通常の対策とは別に追加的な措置を講じて農林水産業の体質強化を加速しようとするものでございまして、措置された予算につきまして、引き続き着実に実施することが重要だと考えております。

 また、一般論といたしまして、農業の体質強化は待ったなしの課題でございますので、農業を取り巻くさまざまな状況変化を見据えつつ、現場からの要望なども踏まえながら、今後とも必要な施策を着実に講じていく必要があると考えてございます。

今枝分科員 ありがとうございました。

 それでは、この産地パワーアップ事業の詳細について少しお聞きをしたいというふうに思います。

 先ほど申し上げたとおり、一定のコスト低減というものは必要でありますけれども、大規模化、大規模化ばかりで、それによってコストが下がるのだという話だけですと、やはり限界は非常にあるというふうに思っています。と申しますのも、この議論を突き詰めていくと、海外との安値競争ということで勝負できるところまで大規模化が日本の国土の構造でできるかというと、決してできるものではないというふうに思います。

 これはポイントなんですが、こういうふうな状況を踏まえたときに、例えば、この事業も、さまざまなKPIを使って判断していくというのは非常に大事なんですけれども、どれだけ生産額がふえるかということだけに注目をしてしまいますと、大規模農業だけが有利に採択を受けるであるとか、実現していってしまうという構造的な課題がございまして、やはり指標の多様化というものが必要だというふうに思いますので、ぜひ政府の御判断、お考えを聞かせていただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 産地パワーアップ事業は、各産地がみずから策定いたしますパワーアップ計画に基づきまして、高収益な作物、栽培体系への転換を図るための取り組みを総合的に支援するものでございます。

 この中で、集出荷施設等の整備支援につきましては、中核的な施設の整備を全国的な視点で効率的に整備するため、全国共通で成果目標、例えば生産コストの削減ですとか販売額の向上等、これは額というよりはその高さにより採択を決める仕組みとしてございまして、一定の要件をクリアしていれば、産地の大小によって採択が影響されるものではございません。

 なお、機械の導入、あと改植などの支援につきましては、都道府県ごとの実情をより踏まえて実施する必要があるため、知事が定める事業実施方針に基づきまして、地域の実情に即して採択要件が設定されている場合もあるというふうに承知をしてございます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 我が地元の豊川、蒲郡、新城、北設は、まあ愛知県はなかなかイメージされにくいかもしれませんが、農業どころであります。同事業への応募もしておりますので、今言ったようなことをきちんと踏まえて、どうぞよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、林業について質問をしたいと思います。

 林業は、木材の供給だけではなく、これも多面的機能をやはり持っているわけでございまして、私の地元である東三河でも、豊川という母なる川を通じまして、上流の奥三河地域の山々やそこに住む方々が下流の私たちの住む豊川市や蒲郡市といった町を守り、成長、発展の基礎をつくってくれているわけであります。

 そのような中で、国民全体で山を守ろう、温暖化対策も含めまして、森林環境税の議論が進んでまいりました。しかし、現在三十七府県で独自に、森林環境税のような独自課税を行い、林業振興、森林整備などすばらしい事業を行っておりまして、この整合性が大きな課題であります。

 まずは、現状行われている三十七府県のこの事業の政策評価をきちんと行った上で、森林環境税とその財源で実施される事業は行われる必要があると思います。現在、これら三十七府県の事業に対して農水省や政府としてどのようにお感じになっておられるか、評価を教えていただければと思います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、三十七府県で導入されております超過課税による取り組み内容ですけれども、府県の事情に応じて異なりますものの、平均的な姿といたしましては、約五割が森林整備に充てられ、残りの五割は、森林環境教育あるいは鹿対策、木材の利用促進、都市緑化などの幅広い対策に充てられているというふうに承知をしております。

 こうした府県ごとの取り組みの違いは、府県の森林の賦存状況、あるいは府県民から森林等に寄せられる期待や要請等を踏まえたものであると考えておりますけれども、それぞれ府県民の森林の有する多面的機能に対する理解を増進する、そういう取り組みに有効に活用されているのではないか、そういうふうに認識しております。

今枝分科員 ありがとうございます。おおむねよい評価を非常にいただいておりまして、これはありがたいというふうに思っております。

 であれば、これら三十七府県の政策に絶対にブレーキをかけてはならないと思いますし、その上で、国の新たな森林環境税の制度について構築をしていかなくちゃならないというふうに思います。

 平成三十年の税制改正で森林環境税について結論を得るというふうになっているわけでありますけれども、工夫もなしに導入をしてしまえば、例えば、府県は、五年に一回の制度改定時に、国でも森林環境税を導入するんだから我が県では必要ないのではないかというふうな議論が出てしまうということは、容易に想像ができるわけであります。

 また、森林環境税の制度設計、今考えているところは市町村を中心だから心配要らないという話をもしされるとすれば、これも非常に危険だと思っておりまして、森林を抱える市町村は小規模なところも多くございます。都道府県の積極的な支援がなければ、実際の事業を行うのも難しいというところも数多くあるわけであります。

 なかなか理論的にどうという話じゃなくて、やはりこういう県民、国民の気持ちにも寄り添う形で、実質的に、この三十七府県がやっているような独自政策と整合性がとれるようにしていかなくちゃいけないと思いますけれども、どのような工夫をお考えでしょうか。

山本(有)国務大臣 森林環境税につきましては、御指摘のように、私ども、どうしてもこれの導入が必要だというように思っておりますし、二十九年の与党税制大綱で、三十年度改正において結論を得るというようにうたっていただきました。その検討に当たって、今枝議員御指摘のとおり、森林整備等を行うための財源として、既に三十七府県において実施されている住民税の超過課税との関係整理が重要な課題でございます。

 また、せっかく税を取っていくわけでございますが、痛税感のない納得いく税でなければなりません。その意味で、創設を検討する森林環境税の使途をどのように考えるか、既に措置されている府県の超過課税との役割分担をどうするか、これについて府県の理解が得られるように、丁寧に説明、合意していくプロセスを大事にしていきたいというように思っております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 大臣みずからの決意表明、本当にありがたいというふうに思っております。ぜひとも、この質問、お話を全国の方々、特にこの三十七府県の方々によくよく聞いていただいて、また、しっかりと皆さんもお話を聞いていただいて御調整をいただければありがたいというふうに思いますし、絶対に独自政策にブレーキをかけないような制度設計、これを強く御要望いたします。

 林業のことを考えますと、もう一つ重要な観点として、需要喚起策がございます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックはその最も効果的な場であり、新国立競技場で国産材がふんだんに使われるということは非常によいことだと思います。植栽ですとか内装の木材の調達など、例えば四十七都道府県それぞれの地元材を使われるようにして、そこに寄附のシステムを導入すれば、ふるさと納税のような発想で寄附が集まり、つくるコストも比較的低く抑えられながら多くの国産材、県産材が使われて、非常にウイン・ウインな関係になるんじゃないのかなというふうに思います。

 本日は時間がございませんので、これは要望だけにさせていただきますけれども、政府だけでなく事業者の皆さんにもぜひともお考えいただきたいというふうに思っています。

 さて、続きまして、肥料、そして堆肥化施設について質問をさせていただきます。長くなりますけれども、大切なことですので、ぜひともお聞き届けいただきたいというふうに思います。

 一昨年、新城南部工業団地というところで、産廃処理業のタナカ興業が堆肥化施設を建設いたしました。この工業団地というのは、もともと製造業と物流業を誘致すると約束していたところでありましたが、当初誘致をした製造業の企業が倒産し、競売になりました。そして、競売は、そこはフリーハンドでいってしまって、産廃企業が土地を取得することになってしまいました。そして、住民との対話も不十分なまま、堆肥化施設が建設されたわけであります。

 本来であれば、このような法の穴をすり抜けるような形で堆肥化施設が建設されるのは絶対に許されるべきものではありませんし、許認可である愛知県が認可しなければよかったんですけれども、一昨年十一月に認可されてしまいました。

 そして、実際に操業した今、私もたびたびこの施設のところまで行きますけれども、ひどい悪臭がいたします。住民は非常に大きな被害を受けています。この施設一キロ圏内には、住居はもちろんですが、こども園や小中学校が立地しておりますし、子供たちの教育環境にとんでもない悪影響を及ぼしています。また、隣接道路は通学路であります。

 あるお母さんはおっしゃっていました。結婚してこの地域にやってきたけれども、環境がいいから子育てにもいいということで住んでいる思いです、しかし、それがそうじゃなくなってしまえば、この地域から出ていかざるを得ない、こういう話も、当然の御指摘だと思います。

 皆さん、子供たちや子供を思うお母さん、お父さんたちの気持ちになってみてください。どれほどつらい思いでしょうか。お母さんやお父さんや地域の皆さんと同じ思いで、子供たちを、地域を守るために全力を尽くしたいということで、私も常々、この施設の建設、操業には反対、国としても許可権限を持つ県に対して適切に指導してほしい、こういう旨を繰り返しお伝えしてまいりました。

 昨年は、当時の井上信治環境副大臣にも、機会を得て、現地に御足労いただいたわけでありますけれども、それでもとめることはできませんでした。じくじたる思いであります。

 これからも環境省を初めとして政府には強く申し上げておきますが、本日は、農水省の皆様に、この施設がつくっている堆肥、まあ堆肥と称するものと私は呼んじゃいますけれども、これについて集中してお聞きをしたいと思います。

 タナカ興業は、以前からある豊橋市東細谷というところの工場でも、周辺への悪臭騒ぎや、完熟されていない悪臭のひどい、これは製品堆肥と称しておりますけれども、このものを農地に搬出して放置されていた、こういうことがありまして、大きな問題になっていました。そのために、農水省は何度も抜き打ちで検査に入っていただいたと思いますが、そこでは普通肥料登録の抹消にはなりませんでした。

 しかし、このようないわくつきの企業が肥料と称するものに、今度は、新城工場、先ほど言った新城南部工業団地の工場でつくられるものにまで昨年の暮れに肥料の登録がなされてしまいました。私も非常に怒っております。憤りを感じております。この肥料登録がなされれば、これらを製品として出荷して、操業が本格化をされてしまうんです。なぜこんなことが起きるのか。

 これは、農水省の事前の御説明では、肥料取締法によれば、肥料登録の調査を行って、そのとき、肥料公定規格として、窒素、燐、カリウムの三つの主要成分が基準値以上入っている、六つの有害成分が基準量以下である、原材料でも、有害物質、これは二十何項目もございましたけれども、が基準値以下である、原材料は登録したものがきちんと使われているなどであるということでありました。今回の例でいいますと、例えば原材料は食物残渣、下水道汚泥、木くずの三つですけれども、この配分の割合、どれを何%やるとか、その割合はきちんと農水省に提出をされているんですが、これもきちんとこの割合どおりにやらなくちゃいけないと思うんですけれども、この割合は適当に変わってもいいということでありました。これは理解のしがたいことであります。

 なぜこのようなことを申し上げるかといいますと、産廃業の特殊性を鑑みると、肥料取締法で配合の割合が適当に変わってもいいということになりますと、産廃業界や堆肥化施設の中で悪貨が良貨を駆逐するというようなことを助長してしまうからなんです。

 どういうことかといいますと、このような堆肥化施設は、ほかの製造業と違いまして、製品を出すとき、出荷したときにもうけるということではなくて、原材料となる下水汚泥や食物残渣や木くずなどを工場に入れるときにお金を得ます。これは産廃業の特徴であります。普通の製造業であれば、出荷物である製品を厳しくチェックさえしていれば、いい製品が生まれて、そしていい製品にはいい値段がついてお金が得られる、こういう好循環を生むことになります。しかし、産廃業は逆なんです。原材料は適当に、しっちゃかめっちゃか入れるだけ入れて、そして割合も適当にやっておく、この方が、自然と引き取り量は多くなってお金がもうかるという仕組みになっているんです。だからこそ、原材料側を適当なチェックで済ませていると、悪い企業が世にはびこってしまうという構造になっています。

 ですから、原材料について、配分割合も含めて入り口部分できちんとチェックをするということが必要なのであります。このような廃棄物リサイクルの堆肥製品の製造過程、また原材料の配分割合も厳格なものにするといったことを大前提にするべきであります。

 そして、もう一つ。先ほども申し上げましたように、こういった廃棄物リサイクルの堆肥化施設は、通常の製造業と異なって、製品出荷でお金を得るという構造に余りなっていません。ですから、質の悪い会社は、品質に対しての関心は薄いわけです。

 となると、どうなるか。むしろ、堆肥化施設に置いておく、完熟をする発酵日数をできるだけ減らして、完熟度合いが低くてどろどろの製品で、製品として非常に質が悪かったとしても、早く出荷をした方がもうかるという仕組みになっています。

 ですから、発酵日数を少しでも減らして、結果として完熟していなくて製品から悪臭が出るとか、質の悪い企業はその方が都合がいいということになっちゃいます。こういう企業というのはそこでお金をもうけるわけですから、逆に言うと、引き取る価格を低く設定することができるようになってしまって、そうすると、より一層そういうところに廃棄物が集まってしまう、こういうことになってしまうんです。つまり、質の悪い企業の方がもうかるという仕組みになりやすい、こういう危険性があるわけです。ですから、発酵日数を少しでも減らしていくような形にするのはやはりまずいと思います。

 一応、発酵日数は決められております。しかし、原材料として引き取った廃棄物の湿り気ぐあいによって、完熟させるならば本来はもっと長く発酵日数が必要なものも、最低限の発酵日数さえ守っていればいいという話になっちゃうわけです。

 ですから、製品肥料そのものの悪臭の基準、また肥料としての完熟の度合いの基準もきちんと設定をして監視をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 大臣、産廃業は環境省の所管でありますけれども、そういうことではなくて、農業に大きな影響を及ぼす肥料について責任ある立場として、これを製造している堆肥化施設の質にもお目配りをいただいて、その施設のあり方や肥料製品の質の向上、このような問題にお力をいただけないでしょうか。どうかお願いをいたします。

山本(有)国務大臣 肥料に関してのお悩みをお伺いいたしました。

 まず、肥料取締法がございます。植物への効果の確保、生育への悪影響を防止する観点、こういったもののために、含有すべき主成分の最小量、含有を許される植物にとっての有害成分の最大量等の規格を定めております。しかしながら、残念でございますが、においの強弱につきましては規格がございません。

 他方、一般に、汚泥発酵肥料の生産におきましては、腐熟が十分でない肥料を施用することによる植物の生育障害を防止するために下水汚泥等の原料を一カ月間以上腐熟させておりまして、これにより、結果的に悪臭を軽減することが可能であるというように承知しております。

 具体的に、農林水産省は、まず、登録申請時に原料、配合割合、腐熟期間等について必要な条件が満たされることを確認するという作業をしております。また次に、登録後も、法に基づき立入検査を実施することによりまして、適切な腐熟期間を確保しているかどうかということの確認もいたしております。

 今後も、このようなことによりまして、適切な腐熟期間の確保を含め、肥料としての品質の確保に努めてまいりたいと考えております。

今枝分科員 非常に専門的な話でありながら、大臣みずからの御答弁をいただきまして、そのことにはまず感謝を申し上げたいというふうに思います。

 ただ、先ほど、腐熟期間三十日という話がございましたが、やはり入ってくるものの湿り気ぐあい等でそれは変わり得るもので、もっと必要な場合もあるわけでありますし、結果として、においのする製品がそういう形で放置されたりとかという課題があるわけでございますので、ぜひともここは、やはり悪臭がするかどうかの基準ですとか完熟の度合いの基準、製品についても厳しく見ていただくようにまた御検討をいただき、実現をしていただきたいというふうに思います。うなずいていただいてありがとうございます。

 さて、それでは、少し違う観点から、また対案といいますか、新しい提案をさせていただきたいと思います。

 堆肥化施設によっては、例えば、バクテリアなどを駆使して悪臭を抑えつつ完熟肥料をつくっている質のいい施設もあるわけであります。彼らは異口同音に、低価格入札によって下水道汚泥の処理委託を受けている企業ほど、先ほど申し上げたような悪臭対策や完熟製品化には無関心であり、周辺に問題を起こしている、逆に、悪臭対策やしっかり完熟をした堆肥を製造している優良業者ほど価格的に受託をしにくい、こういうお話がございます。

 こういった問題の中で、バクテリアの駆使など、何かしら、こういうよい企業といいますか、いいことをやっている企業について、生産をしている堆肥について、販売促進なのか、何かしらの支援を行うということは考えられませんでしょうか。

今城政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、バクテリア等の微生物の利用によって腐熟を促進するということで、悪臭防止につながる効果があるということは承知しております。

 そういう観点も踏まえまして、汚泥発酵肥料の生産においては、腐熟が十分でない肥料を施用することによる植物の生育障害を防止するため、実際に登録されている肥料の実績、これはもう、先ほど来おっしゃるとおり、最低でも一カ月、その配合割合によってはもっと必要でございますので、そういうことの、腐熟期間をちゃんととるということを監視することによって、結果的に悪臭を軽減することは可能という前提の中で、今おっしゃられたとおり、生産工程の中で腐熟が確実に進むよう、これを促進する材料は使用してよろしいということに当然なっておるわけでございまして、肥料の生産業者は、必要に応じ、肥料の原料等を勘案して、腐熟促進材を使用するということでございます。

 したがいまして、農林水産省といたしましても、生産業者に対し、このようないわゆる腐熟促進材を使用するということが可能であり、またそういうことがにおいの軽減に役立つんだということはよく周知を図って、確実に腐熟を促進することをもって悪臭防止に努めていくということについて周知徹底が図られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 周知徹底も必要でありますし、ぜひともお願いしたいわけでありますけれども、ただやはり、それを支援する何かしらの策がないと、バクテリアを入れる分コストになりますから、その企業としてはやらないということになってしまってはいけないものですから、何かしらのやはり具体的な支援策、御検討をお願いしたいというふうに思います。

 このテーマの最後になりますけれども、下水道汚泥の処理処分、この委託側のお話を今度はさせていただきたいと思います。

 自治体の、例えば下水道処理施設の視点からしますと、下水道汚泥の処理処分の委託の際に、現在はコストカットをどんどんいろいろな形でしていくという観点から、価格のみで判断をされる自治体も多くあるかと存じます。先ほどのタナカ興業の例も、自治体の下水道汚泥の処理の委託をされております。

 しかし、先ほど言ったように、安かろう悪かろうが横行すると、処理施設の周辺住民は生活環境を脅かされてしまいます。結果的に、そのことに自治体が力をかしてしまっていることになっちゃうわけであります。

 ですので、下水道汚泥の処理処分委託の際に、堆肥化施設の悪臭問題を十分に考慮した処理施設の入札が絶対に必要かというふうに思いますが、自治体を担当する総務省、そして下水道処理を管轄する国交省として何かしらの対策が必要だと思います。どのような対策を講じておられますでしょうか、御意見をお聞かせください。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体の入札の契約手続におきまして、契約内容の適正な履行確保のためには、低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の活用などが考えられるところでございます。

 これらの制度の活用につきましては、調達の内容に応じて適切な手法を選択する必要がありますので、各地方公共団体におきまして適切に制度を活用するように、さまざまな機会を捉えて周知をしてまいりたいと考えております。

森岡政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省といたしましては、下水汚泥の適切な処理は重要な課題と認識をしておりまして、下水道法におきまして、下水道管理者である地方公共団体は、下水汚泥の適切な処理を行うとともに、肥料化など再生利用に努めることと規定をしております。

 こういった下水汚泥の処理を地方公共団体が民間に委託する場合、その選定につきましては、先ほど総務省からも説明がございましたけれども、一般競争などの入札によって行われるわけでございます。

 国土交通省といたしましても、御指摘を踏まえまして、関係省庁とも連携し、公共団体が下水汚泥の処理を民間に委託する場合には、関係法令が遵守され、また契約内容が適正に履行されるよう、地方公共団体にさまざまな機会を通じて周知、情報提供を行ってまいります。

今枝分科員 ありがとうございました。

 ただいまの答弁、本当に大きな一歩だと思います。きちんと関係省庁とお話しをいただいて対応をお願いしたいと思います。

 時間が来てしまいました。この後一問、農泊についても少しお聞きをしたかったわけでございますけれども、私も初当選をした直後から実は観光と農業と地域活性化プロジェクトというのをやっておりまして、農泊の推進はその目玉の一つでありましたので、今回、五十億という非常に大型の新規予算も獲得をされ進められますので、ぜひともお進めいただきたいと思います。

 くれぐれも、悪貨が良貨を駆逐するんじゃなくて、良貨が悪貨を駆逐するような農水のさまざまな行政、政府の行政であることを心からお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野中主査 これにて今枝宗一郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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