衆議院

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第1号 令和4年2月16日(水曜日)

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本分科会は令和四年二月十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十五日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石破  茂君    今村 雅弘君

      谷  公一君    道下 大樹君

      足立 康史君    稲津  久君

二月十五日

 稲津久君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和四年二月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 稲津  久君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      高見 康裕君    谷  公一君

      荒井  優君   おおつき紅葉君

      白石 洋一君    道下 大樹君

      足立 康史君    杉本 和巳君

   兼務 国定 勇人君 兼務 鈴木 英敬君

   兼務 古川 直季君 兼務 堤 かなめ君

   兼務 日下 正喜君 兼務 浜地 雅一君

   兼務 笠井  亮君 兼務 北神 圭朗君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      中山 展宏君

   国土交通副大臣      渡辺 猛之君

   国土交通大臣政務官    木村 次郎君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 武藤 真郷君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           笠原  隆君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         川合 規史君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    森  重樹君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     高田 陽介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  寺田 吉道君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        下野 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            和田 信貴君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            青柳 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  村山 一弥君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 秡川 直也君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  浅輪 宇充君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 山上 範芳君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長谷川直之君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     高見 康裕君

  道下 大樹君     荒井  優君

  足立 康史君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  高見 康裕君     石破  茂君

  荒井  優君     おおつき紅葉君

  杉本 和巳君     遠藤 良太君

同日

 辞任         補欠選任

  おおつき紅葉君    白石 洋一君

  遠藤 良太君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  白石 洋一君     道下 大樹君

同日

 第一分科員鈴木英敬君、第二分科員国定勇人君、日下正喜君、北神圭朗君、第三分科員古川直季君、笠井亮君、第四分科員浜地雅一君及び第七分科員堤かなめ君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

稲津主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。斉藤国土交通大臣。

斉藤国務大臣 国土交通省関係の令和四年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算の国費総額は、五兆八千五百八億円です。

 また、復興庁の東日本大震災復興特別会計に一括計上されている国土交通省関係予算の国費総額は、三百七十九億円です。このほか、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美群島に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含め、国土交通省予算に所要額を一括計上しております。

 財政投融資計画には、一兆六千六百八十三億円を計上しております。

 次に、令和四年度予算の基本的な考え方を御説明申し上げます。

 今、我が国は、依然として続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って交通、観光事業が直面している厳しい経営環境や、年々激甚化、頻発化している豪雨や大雪等の自然災害という未曽有の危機に直面しております。一方で、カーボンニュートラルの実現やデジタル化の推進等、新たな時代の課題にも適切に対応することが求められています。このような状況の中、国民の命と暮らしを守り抜き、危機を克服するとともに、デジタル田園都市国家構想の実現等により、ポストコロナの新しい資本主義を起動させることが急務となっています。

 こうした認識の下、令和四年度予算では、国民の安全、安心の確保、社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速、拡大及び豊かで活力ある地方づくりと分散型の国づくりを三本柱として、令和三年度補正予算と併せて、切れ目なく取組を進めてまいります。

 この際、公共事業を効率的かつ円滑に実施するため、施工時期の平準化や市場実態を反映した予定価格の設定、適正な工期設定、国庫債務負担行為の積極的な活用等を進めてまいります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、詳細な説明は省略させていただきますが、主査におかれましては、お手元の印刷物の内容を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

稲津主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま斉藤国土交通大臣から申出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲津主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

稲津主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高見康裕君。

高見分科員 おはようございます。

 島根二区から初当選させていただきました、自由民主党の高見康裕でございます。

 島根県は、全国に先駆けて人口減少が進む課題先進県でございます。私はそうした現場の声をしっかりと届けてまいりたいと思いますので、斉藤大臣始め皆様の御答弁をよろしくお願いいたします。

 初めに、地方ローカル線の維持存続について質問をいたします。

 言うまでもなく、地方ローカル線、人口減少が進む地方にとって必要不可欠な生活交通の足であります。特に、高齢化が進む中山間地域では、高齢者のみの世帯、どんどん増えています。車の運転が難しくなった高齢者の皆様にとって、ローカル路線がなくなれば、毎日の通院や買物、大きな支障が出てしまいます。もちろん、高齢者だけではありません。通勤や通学を支える重要な移動手段であり、風光明媚な車窓風景は地域ににぎわいをもたらす観光資源でもあります。

 そこで、質問ですが、地方の生活交通や観光資源として大きな役割を果たすローカル路線を維持存続していくことは、地方創生、人口減少対策のため不可欠だと考えますけれども、見解を伺います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 鉄道は、大量高速輸送機関として、バス等の二次交通を含めた地域公共交通の在り方を左右する大きな存在であります。他方、各地のローカル鉄道は、沿線人口の減少、少子化に加え、マイカーへの転移等により利用者が大幅に減少するなど、一部の区間が危機的状況に置かれていると言わざるを得ません。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化が拍車をかけている状況にございます。

 そのため、こうした鉄道路線の現状につきまして、鉄道事業者と沿線地域が危機認識を共有し、改めて大量高速輸送機関としての特性を評価した上で、相互に協力、協働しながら、利用者にとって利便性と持続性の高い地域公共交通を再構築していくための環境を早急に整えていく必要がございます。

 国土交通省では、国の関与、支援の在り方も含めまして、具体的方策を検討するための有識者検討会を二月十四日に立ち上げたところでございます。今後、関係者の御意見をしっかり伺いながら、夏頃の取りまとめに向けて議論を進めてまいりたいと考えております。

高見分科員 次に、鉄道事業法の在り方について質問いたします。

 平成三十年に、島根県と広島県とを結ぶ、長く沿線住民、観光客に愛されたJR三江線が廃線となりました。JR西日本に対し沿線自治体が重ねて維持存続を求めてきただけに、本当に残念でなりませんでした。この背景にあるのが鉄道事業法の存在であります。

 鉄道事業法は平成十一年に改正され、それまでの許可制ではなく、届出によって廃線が可能な仕組みとなっております。JRは、もちろん民間事業者でございます。この厳しいコロナ禍の中、経営判断をしなければならない、このことはもちろん理解いたしますけれども、ローカル路線は国民の共有財産であります。何らかの形で地元の意向を反映する仕組みが必要だと考えますけれども、見解を伺います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 鉄道路線の廃止につきましては、鉄道事業が原則として民間ビジネスとして行われていることに鑑み、鉄道事業法上、一年前までの届出制とされております。

 なお、JR西日本を含む完全民営化されたJR旅客会社につきましては、国鉄改革の趣旨を踏まえた事業経営の維持を図るため、国土交通大臣が定めた指針におきまして、現に営業する路線の適切な維持に努めることとされており、また、これを廃止しようとするときは、関係自治体等に対し説明責任を果たすよう定められております。

 いずれにせよ、国土交通省におきましては、鉄道事業者に対して、鉄道路線を廃止しようとするときは地域に対して丁寧な説明と協議を行うよう指導を行ってきておりまして、現に、地域との十分な対話なくして廃止の届出が行われた事例はございません。

 国土交通省では、ローカル鉄道の一部の区間が危機的な状況にあることを踏まえまして、先ほど申し上げましたように、国がより積極的に関与しながら、鉄道事業者と沿線自治体がローカル鉄道が担ってきた地域公共交通の今後の在り方につきましてより一層円滑に協議を行う環境を整えるため、必要な方策についての検討を開始したところでございます。

高見分科員 まさに事前段階からの地元との十分な対話がなされるような運用を、これからもよろしくお願いいたしたいと思います。

 二点目の質問は、総合評価落札方式における賃上げ実施企業の加点措置についてであります。

 政府は、公共工事の入札の際、賃上げを行う企業には加点する一方で、賃上げ基準に達しない企業には加点よりも大きな割合の減点を科すということを発表されました。

 政府が掲げる新しい資本主義の柱である賃上げの実現はもちろん重要であります。ただ、これまで全産業平均を上回る賃上げに取り組んできた建設業界から様々な声が寄せられています。特に、地方で大部分を占める中小建設業者から私の元にも寄せられた不安、懸念の声、御紹介させていただきます。これまで賃上げに努力してきたところがかえって不利になってしまうのではないか、賃上げ余力のない企業は受注が減ってしまい、大企業との格差が拡大してしまうのではないか、賃上げをするためには、公共事業設計労務単価の引上げや、現場管理費、一般管理費の引上げがなければ難しいのではないか、このような指摘もありました。

 そこで、質問でありますけれども、こうした現場の声、切実な声を受け止めて、制度の運用に当たっては適切な配慮を求めたいと考えますが、見解を伺います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置については、導入することが公表されて以降、委員御指摘のような点も含めて、各方面から様々な御指摘や御質問をいただいているところです。

 特に多くの御指摘をいただいたのが賃上げ実績の評価方法についてであり、これについては、先般、財務省から、各企業の実態を踏まえ、継続雇用している従業員のみの基本給等により賃上げの実績を評価するなど、様々な評価が可能であることを明確にする運用が通知されました。

 国土交通省においても、この運用について、地方整備局等を通じて、関係する方へ説明を行っているところです。

 引き続き、この運用をしっかり説明するとともに、賃上げを推進するための環境整備につながるよう、関係する方から御意見を伺いながら、財務省とも連携をして、制度の適切な運用に努めてまいります。

高見分科員 このルールの運用が始まって一定期間経過をいたしましたら、先ほどお伝えいたしましたような懸念事項、実際にどうなっているのか、特に大企業と中小企業の格差、中央と地方の格差、このような観点から、是非、不断の検証をしていただき、必要があれば見直しを検討するということを要望いたしたいと思います。

 三点目の質問は、江の川の治水対策の推進についてでございます。

 江の川下流域では、平成三十年の西日本豪雨、令和二年七月豪雨、そして昨年八月の大雨によって、河川の氾濫、家屋浸水という大きな被害に見舞われました。僅か三年余りの間に三度もの被害に遭われた住民の皆様のお気持ちを思うと、かける言葉もありません。

 私は三回とも現場に足を運ばせていただきましたけれども、やっと前回の片づけが終わってリフォームをした矢先に次の水害に遭われたお宅もありました。前回行ったときは独り暮らしのおばあちゃんが一生懸命後片づけに追われていた、その家に行くと既に空き家になっている、そういった家もありました。災害が来るたびに人口減少、地域の疲弊に拍車がかかってしまう、こうした地方、中山間地ならではの厳しい現実があります。

 そこで、一日も早く沿川住民の皆様が安心して住めるように、堤防整備などの治水対策を早期に実施していただきたいと切に願いますが、取組を伺います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 江の川下流域では、山間狭隘部に家屋が点在し、そのうち土地が低い箇所の家屋において浸水被害が発生しています。

 そのため、通常の堤防整備に加え、家屋や道路など集落全体をかさ上げしたり、低い地域に位置する集落全体を集団で高い地域に移転していただくなど、まちづくりと一体となった浸水対策を進めています。

 これらの取組を加速するため、中国地方整備局、島根県、広島県や流域の市町の職員で構成される江の川流域治水推進室を令和三年四月に設置したところです。

 昨年八月の大雨で近年三度目の浸水被害が発生したことも踏まえ、十年間で二百五十億円を集中的に投資するなど、スピード感を持って治水対策を進めてまいります。

高見分科員 今おっしゃいました十年間二百五十億円の予算、そして組織体制、つくっていただいたこと、大きな前進だと思っております。是非、前に一日も早く進むように、引き続きよろしくお願いいたします。

 さて、被害は河川の氾濫だけではありません。昨年の大雨では、記録的な雨量に排水能力が追いつかず、あふれ出した雨水が家屋を水浸しにするという、いわゆる内水氾濫、江津市の谷住郷地区など、各地で発生をいたしました。江の川の場合、川に沿って国道二百六十一号が通っておりますので、冠水してからではポンプ車が必要な場所に来れなくなってしまう、こうした可能性もございます。

 そこで、ポンプ車を増設するなど、内水対策の強化が必要だと考えますけれども、見解を伺います。

井上政府参考人 内水氾濫対策には、大別して、河川掘削等により河川の水位を下げることと、ポンプによる排水の二つの手法があります。

 江の川下流域では、本川水位を下げる取組として、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策や五か年加速化対策などにより、樹木伐採や河道掘削に取り組んでいます。

 また、令和三年八月の大雨では、江の川下流沿川の市町から排水応援要請を受け、中国地方整備局から合計六台の排水ポンプ車を出動させ、排水活動の支援を行ったところです。

 また、県、市町が排水ポンプ車を購入する場合には、防災・安全交付金を活用して支援してまいります。

 今後の江の川下流域の内水対策については、どういう内容がこの地域にふさわしいかを含め、中国地方整備局、島根県、沿川市町から成る江の川流域治水推進室が中心となって検討してまいります。

高見分科員 次に、防災集団移転促進事業について質問をいたします。

 美郷町港地区、こちらも、いわゆるバックウォーター現象によって、この三年余りで三度とも浸水被害、苦しめられてきた地区でございます。

 いつ完成するか分からないという堤防整備を待っている余裕はない、しかしながら、この先祖伝来の生まれ育った土地を離れたくない、こういう思いがこの地区の皆様にございます。話合いを重ねられた結果、ここにお住まいの五世帯でこの地区内の高台に移転をするということを決断をされました。住民の皆様、七十代から八十代の方が大半でございます。一番の願いは、一日も早く安心して住むことができる場所に移転をすることでございます。

 そこで、この防災集団移転促進事業について、十分な予算を確保し、地元負担ができるだけ軽減されるように支援が必要だと考えますけれども、見解を伺います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 防災集団移転促進事業は、地元の合意の下、市町村が事業主体となって、安全なエリアへの移転を進めていく事業です。

 この事業は、地方財政措置も合わせますと実質的に国が約九四%を負担する手厚い支援制度となっております。さらに、令和二年度からは、住宅団地の規模要件を十戸から五戸に緩和するとともに、計画策定経費についても新たに補助対象としたところです。

 先ほど御紹介になりました美郷町を含む江の川沿川の自治体におかれましても、令和二年度より本事業の計画策定経費を活用して、集団移転の検討が進められております。

 防災集団移転促進事業については、令和三年度補正予算で三千万円を、令和四年度当初予算案において一億三千万円を計上しており、所要の額を確保しているところであり、今後の事業化に向けて、地域の声を伺いながら、安全なエリアへの移転が進むよう、しっかりと支援してまいりたいと考えております。

高見分科員 今、御答弁いただきました。十世帯以上、以前必要だったところを、五世帯というふうに要件を緩和をしていただきました。まさにこの港地区、五世帯で全てでございます。こうした現実に即した運用をしていただいていること、非常に感謝をいたします。引き続きよろしくお願いいたします。

 四点目の質問は、もう今、毎年必ずどこかで起こっている豪雨に対する対策についてでございます。

 まずは、ダムの緊急放流について質問いたします。

 西日本豪雨の際、愛媛県の肱川水系、野村ダムと鹿野川ダムで緊急放流なされたところ、下流の河川が氾濫をして八人の方が亡くなられるという事案が発生をいたしました。下流の自治体の避難指示の発令がこの緊急放流の僅か五分前だったというような報道もございました。

 そこで、洪水時のダムの緊急放流の際に、下流域の自治体や住民の皆様への情報伝達が極めて重要でございます。西日本豪雨など過去の事例を検証するとともに、検証結果に基づいた運用が必要だと考えますけれども、御所見を伺います。

井上政府参考人 平成三十年七月豪雨などを踏まえ、国土交通省では、ダムの操作に関する有効な情報提供の在り方などについて、有識者による検討会を設けて検討を行ってまいりました。

 平成三十年十二月に検討会の提言がまとめられ、ダムの操作に関する情報が住民の避難行動につながっていないことが明らかになり、その課題として、大雨時に住民等に緊急性や切迫感が必ずしも十分に伝わっていないことや、平常時に住民等にダムの機能や操作等が十分に理解されていないことなどが示されました。

 この提言等を踏まえ、国土交通省では、ダムが満水に近づいたときに自治体の避難指示等の判断が遅れないよう、自治体に対する通知文に緊急という表示や放流開始までの時間を示すこととしました。また、ダムが満水に近づいたときに短い言葉で緊急性が住民に理解されるよう、報道機関で用いられていた緊急放流という用語を、住民、自治体とダム管理者の間でも用いることとしました。

 さらに、平常時からの取組として、緊急放流とはどういう操作なのかについて解説を整理し、ダム管理者から自治体や住民にダムの役割やこれらのダムの操作について説明してきたところです。

 国土交通省では、今後も引き続き、ダム管理者と自治体や住民との間で平常時からのコミュニケーションを深めていくとともに、洪水時のダム操作についての情報提供等、必要な対応を行ってまいります。

高見分科員 島根県のお話をいたしますと、最後に緊急放流したのは昭和五十八年。つまり、四十年近くも緊急放流したことはありません。ということは、当時を知る職員はもういません。ノウハウはないということでございます。こんな自治体は全国にたくさんあると思います。是非、今回得られた貴重な教訓、全国の現場で共有されるように、徹底をお願いしたいと思います。

 次に、堤防内の樹木の伐採についてでございます。これも、西日本豪雨の際、広島県の沼田川で堤防内に生い茂った樹木が流れを妨げてしまって氾濫の一因になったということが、土木学会の現地調査で明らかになっております。島根県内でも、まあ、全国各地でだと思いますが、堤防の高さよりも高い樹木、広範囲に生い茂っているのを見ることがあります。

 そこで、樹木伐採、あるいは河道掘削も含めて、計画的に進めていただきたいと思いますけれども、所見を伺います。

井上政府参考人 西日本豪雨災害を踏まえ、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策として、国管理河川を中心に、河道掘削や樹木伐採などを進めてきたところです。その結果、昨年の大雨におきましても、対策の効果が発現されてきております。

 一方で、国管理河川の上流や支川などの都道府県が管理する中小河川で氾濫被害や内水被害が発生したことなどから、更なる流下能力の向上のための対策の必要性が明らかになりました。

 こうした対策を実施するに当たっては、上流や支川で河道掘削や樹木伐採等を行うことで下流が危険にならないよう、上流、下流、あるいは本川、支川などの整備手順を計画に反映しつつ、これらの対策が着実に進むよう、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も活用し、都道府県を支援してまいります。

高見分科員 まさに、おっしゃいましたように、県管理河川、特に予算の制約、大きい中でなかなか進んでいないという現状がございます。今おっしゃったような観点からの御支援、よろしくお願いいたします。

 最後に、防災・減災、国土強靱化予算の確保について大臣に御質問をさせていただきます。

 西日本豪雨を教訓に、インフラ整備の重要性が見直されて、予算の増額、図っていただいているところでございます。特に未整備が多い地方、中山間地、非常にありがたいことで、感謝をしておるところでございます。

 一方で、災害、毎年必ずどこかで起こる時代になっております。災害の一層の激甚化、頻発化ということを考えましても、また、御承知のように、地方、中山間地、事業の担い手である建設業者の皆様、年々減少の一途をたどっております。短期集中で工事を進めたくてもできない、短期集中ではとても十分な対策をすることができないということも、特に地方が、中山間地が置かれた厳しい現実であると思っております。

 そこで、質問でございますけれども、災害が激甚化、頻発化をする中、防災・減災、国土強靱化の必要性は増す一方であり、五年間の加速化対策期間にとどまらず、中長期的、継続的な予算確保が必要だと考えますけれども、斉藤大臣の御見解を伺います。

斉藤国務大臣 高見委員の御質問を伺いながら、少子高齢化が進む地方で、また、江の川流域という自然災害多発地帯、その地方の現状、お聞かせ願いました。しっかり対応していきたいと思います。

 個人的なことを申し上げれば、私、その江の川水系で育った人間として、しっかり、今の、今日の御意見を伺いながら、頑張っていかなくてはいけないと決意した次第でございます。

 激甚化、頻発化する豪雨災害、それから切迫化する大規模地震、いつ起こるか分からない火山災害などから国民の皆様の命と暮らしを守るということは、国の重大な責務と認識しております。

 令和二年十二月に、自然災害への備えやインフラ老朽化対策などの取組を加速化させるために、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策が閣議決定されました。

 国土交通省におきましては、あらゆる関係者が協働して行う流域治水対策、道路ネットワークの機能強化対策、鉄道、港湾、空港等の耐災害性強化対策、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策など、五十三の対策を重点的かつ集中的に実施していくということを、この加速化対策の上で決定させていただきました。そして、今実施しております。

 防災・減災、国土強靱化は、中長期的かつ明確な見通しの下、計画的に進めることが必要であり、五か年加速化対策後も継続的、安定的に取組を進めていくことが重要と考えています。

 先ほど高見委員おっしゃったように、地域を守ってくださっている建設業者の皆さんも長期的な展望がなければ経営そのものの計画が成り立たないという声もお聞きしているところでございまして、そういう長期の見通しが立てられるような、そういう公共工事の展望、これ、五か年加速化対策の後もしっかり示していかなければならない、このように思っているところでございます。

高見分科員 ふるさとの大先輩の斉藤大臣から力強い御答弁をいただきまして、本当に感謝申し上げます。まさに、長期の見通しが立てられる災害対策が進み、地方に、そして中山間地にたくさんの人が安心して住める、そういう日が来ますことを心からお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

稲津主査 これにて高見康裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地分科員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 今日、この予算委員会第八分科会で様々なテーマについて御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、自動車整備業界に関する様々な課題等について、斉藤大臣とまず一問やり取りをさせていただきたいと思っております。

 大臣、御案内のとおり、我が国に登録されております自動車は、軽自動車も含めまして八千二百万台ございます。これら八千二百万台が、毎日きちっと整備をされ、保安基準を保ったまま安全に運行をされるためには、何といっても自動車整備業界が欠かせないのはもう言うまでもございません。

 この自動車整備業界、いわゆるディーラー系を含めた民間車検を行う指定工場、これとディーラー以外もございますが、指定工場が三万か所全国にございます。また、認証工場、しっかりと認証を持っていらっしゃる、整備を行う工場が六万か所あるわけでございます。特に地方では、ディーラー系の整備工場が近くにない場合には、やはりこういった一般の方々が経営をされる指定工場若しくは認証工場が地方の足を支える大事な役目を果たしております。

 しかし、現状では、電子制御装置、非常に、やはりAIを駆使したり、様々なコンピューターを使って今車は動いておりますので、自動車の電子化、高度化、これにしっかりと整備が追いついていくかという課題もございます。

 また、担い手不足が、やはり現場から声が上がっておりまして、なかなかやはり、新しい方々、そして高度な技術を担える、この育成というのが課題というふうに私自身も現場から聞いております。

 斉藤大臣は、去る、本年一月の十三日に、岸田総理とともに自動車整備士の皆様方と車座ミーティングに参加をされ、業界の現状を様々聞いていらっしゃると思っております。現在の自動車整備業界を取り巻く今後の展望や、また課題について、この車座ミーティングを受けての大臣の御所見をまず冒頭いただきたいというふうに思っております。

斉藤国務大臣 今、浜地委員おっしゃったように、先月十三日、岸田総理とともに、東京都内でございますけれども自動車整備の現場を視察しまして、その後、自動車整備業界の方々、経営者、実際に整備していらっしゃる、女性の方もいらっしゃいました、そういう方々の御意見を伺ってきたところでございます。

 そのときに、自動車整備業界が抱える課題として、まさしく今、浜地委員おっしゃったように、急速に普及が進むデジタル化などの新技術への対応とか、自動車整備士を志す若い人たちが少なくなっている、人手不足への対応の必要性についてお話を伺ってまいりました。

 新技術への対応につきましては、自動車整備士の育成、技能向上や、それから自動車整備事業者における機器の導入を着実に支援していかなければならないと思ったところでございます。いわゆるスキャンツールですか、そういったものでございます。

 また、人手不足への対応につきましては、自動車整備士の仕事の魅力をPRし、それから、人材確保を図るとともに、来年一月に予定している車検証の電子化などを通じて自動車整備業の生産性向上を図っていかなければならない、このように感じたところでございます。

 この車座で伺った意見や、また、それを参考にしながら、自動車整備業界の皆さんが意欲を持って仕事に取り組んでいただけるよう、そして若い人たちがたくさん集ってくるような業界になるよう、しっかり頑張りたいと思っております。

浜地分科員 大臣、御所見ありがとうございました。

 今もございましたとおり、新技術に対する対応として機材の投入という言葉もいただきまして、ありがとうございます。

 特に、法定スキャンツールのお話もしていただきました。令和六年からは法定スキャンツールを用いた車検が始まるわけでございますが、一点だけお願いがございまして、法定スキャンツールで検査をする項目というのは、比較的、機材はそう高度でなくても見れますが、実際の、検査ではなく整備のときに、非常にメーカーも技術が高まっていますが、一般の工場の皆様方が整備用のスキャンツールを通して故障の箇所がなかなか発見しにくい、そういった声もいただいております。当然、ディーラー側には企業秘密がございます。整備する方には、しっかりとそういったものを含めて自分たちに情報を開示していただきたいというような、業界内でそういうお話がございますので、また、令和六年まで時間がございますので、その点もまた大臣の方にも様々お考えいただければなというふうに思うところでございます。

 大臣は以上で結構でございます。ありがとうございます。

稲津主査 では、どうぞ。(斉藤国務大臣「大丈夫です。聞かせていただきます」と呼ぶ)

浜地分科員 そうですか、ありがとうございます。

 次に、自動車検査員の資格についてお話をしたいと思います。実は今日の、自動車整備業界の一番のテーマでございます。

 昨年の十月に、国交省内では、自動車整備士の資格に関する見直しのワーキングチームが開かれております。この報告書の中には、要は、民間車検場で車検の前に検査をできる自動車検査員の資格について、現在は二級自動車整備士及び一級自動車整備士の皆様方がこの資格がございます。しかし、先ほど大臣も申し上げられましたデジタル化等の新技術の上昇によって、このワーキングチームでは、一級自動車整備士でなければ民間指定工場、民間車検場で車検を行う資格がない、一級自動車整備士でなければ認められないようにすべしというような報告書があったわけでございます。

 私も、昨年の十二月に、実際に現場の自動車整備業界の皆様方から陳情を受けました。確かに、新技術に対するそういったものの対応というのは分かるのでございますが、先ほどもお話しになりましたとおり、非常に人手不足の業界でございます。

 実際のデータでは、平成二十三年には、この自動車整備士業界には四十万人以上の従業員の方がいらっしゃいました、整備士関係の方がいらっしゃいましたが、令和二年では三十九万人台に減っている。有効求人倍率も四・五〇倍です。一般よりも非常に高くて、人手不足が懸念をされております。そして、将来的に自動車整備を担う自動車整備の学校に入学される若い人も減少している現状でございますので、民間車検場において車検の検査ができる資格を一級自動車整備士に限るというのは、とてもじゃないけれどももたないという声がございまして、私も、昨年の十二月にその声を聞いて、関係各所にお願いをしたところでございます。

 そこで、実際、令和四年度から、このワーキングチームでは、自動車検査員が一級整備士に限るというような改正案、これについては最終的にはどのような取扱いになったのか、国土交通省に御答弁いただきたいと思います。

秡川政府参考人 急速に進歩する自動車の技術に対応するために、自動車整備士の資格の制度の在り方の検討会というのを開いておりまして、資格の体系とか養成課程の見直しの検討を進めてございます。

 先生から御指摘いただきましたとおり、昨年の十月の検討会におきまして、自動車検査員の役割は一級の自動車整備士が担うということで議論が一旦されましたが、自動車整備業界から、自動車検査員の不足といった多くの懸念の声が寄せられました。

 これを受けまして、国交省におきましては、現行と同様に、一級と二級の自動車整備士が自動車検査員の役割を担っていただけるという方針で、現在、パブリックコメント、一月の末から二月末までということで実施をさせていただいております。その方針でやっていきたいというふうに思っています。

 一級自動車整備士の在り方については、また中期的な課題ということで、引き続き検討していきたいというふうに思っております。

浜地分科員 国交省の御答弁、ありがとうございます。しっかりと現場の現状を認識をしていただいてそのような取扱いの方向になったというふうに、感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 ただ、将来的には、やはり自動車の技術が上がってまいりますので、業界の人手不足ということもありますが、それを解消しながら、高い技術を持った方に検査をしていただくという流れは、やはり私自身も当然賛同するところでございます。ただ、何度も申し上げましたとおり、やはり現場の現状とうまく歩調を合わせて、これからも丁寧に行っていただきたいというところでございます。

 人材確保という点では、この二級整備士や一級整備士、三級もあるんですけれども、そこまで到達する期間の短縮も含めて、やはり資格獲得までの様々な改善も今回ワーキングチームで検討されたと聞いておりますが、この改善された点について、簡単に御紹介をいただければと思います。

秡川政府参考人 先ほど申し上げました検討会におきまして、今御指摘いただいた整備士資格の取得に必要な期間についても議論をしております。

 自動車整備士の受験資格について、例えば大学などで電気や電子に関する学科を卒業された方、これは電子制御技術の知識を有しておられるということなので、例えば三級の整備士の試験を受験する場合、今まで一年必要であった実務経験を半年とするということで考えております。また、例えば四月一日に就職した場合、当該年度の三級整備士試験の受験を可能とすることで、今までより半年短縮できるというようなことも考えております。

 これらの方針に従って速やかに制度改正を進めて、人材確保につながるようにしっかりやっていきたいというふうに思っております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 今、まず、間口を広げるというところで、これまで機械科の方が三級を受けるまでの実務経験が短縮されていたものを、電気や電子系の学科を卒業された人にも三級を受けるまでの期間が短縮をされるという御答弁だったと思っています。

 また、二級やまた一級に行くときに実務経験がそれぞれ必要なんですが、実務経験が終わって初めて登録をして行われるものを、基本的には実務経験が大体終わる見込みの段階で試験が受けられるようになると。ですので、一つ一つの、三級から二級、一級に行くところのタイムラグもなくなるような、そういった方針というふうにも伺っておりますので、しっかりこれは現場の皆さんにも、喜ぶ情報だと思っています。

 だからこそ、私も自動車整備業界の皆様方とおつき合いがある中で、そういった努力もしているんだから、早く二級や一級を取得するようにまた促すことも議員の責務だと思っていますので、しっかりとまた意見交換をさせていただければというふうに思っております。

 それと、この自動車整備については最後の質問になりますが、私は、令和二年、二年前のこの予算委員会の分科会で、いわゆる認証工場と未認証工場というのがあるんだ、未認証工場ではいわゆる前車検後整備というのが行われておって、実際にはこの後整備というのがなかなか進んでいないんじゃないか、整備をしっかりやってほしいという質問をしたところでございます。

 その中で、例えば、車検時の電子制御装置の検査である法定スキャンツールの取扱いについて、これは私の言葉では、認証工場と未認証工場を区別をして行うべきじゃないか、これによって、やはり何らかの区別があることによって整備が促進されるんじゃないかというような趣旨の質問をさせていただきました。

 そのときの政府答弁は、認証工場が、車検時に、事前に行った法定スキャンツールを用いた検査を用いて車検場に持ち込んだ場合に、故障コードが記載されない場合には車検場での検査を省略をします、そのようなメリットを考えたいというようなアイデアも出たわけでございますが、実際、令和六年度から法定スキャンツールを用いた検査が始まります。この方向性について御答弁をいただきたいというふうに思います。

秡川政府参考人 今御指摘いただきましたOBD検査なんですけれども、自分の事業場でスキャンツールを利用して基準適合性の確認をしていただける事業者としては、民間車検を行う指定整備事業者と国の認証を取得した整備事業者ということを予定しております。

 認証の整備事業者が自らの事業場でスキャンツールを利用して基準適合性を確認した場合には、御指摘いただきましたように、国で車検を受ける際に再度の確認は行わないという予定でございます。

 国交省としては、こういう方針でしっかり準備を進めてまいりたいというふうに思います。

浜地分科員 ありがとうございます。

 やはりこの方向性で進むということで、民間車検場、いわば指定工場と認証工場のみが、自分のところで法定スキャンツールを使って車検を行った場合には、もう改めて検査は行わないということです。

 そこまでの答弁ですが、裏返して言えば、未認証工場についてはそういった省略がなく、車検場まで持ち込んで、その場での法定スキャンツールの検査を受けなきゃいけないということだと思っておりますので、しっかりと、やはりこういったものがユーザーにも分かるように、また周知を、私自身も努力してまいりたいなというふうに思うところでございます。

 自動車整備については以上で項目を終わらせていただきまして、次のテーマに移りたいと思っております。

 次は、奄美振興について一問御質問をさせていただきたいと思っております。

 大臣も御案内のとおり、公明党には奄美ティダ委員会というのがございまして、奄美群島の全首長さんと、公明党の議員、地方議員も含めて、毎年のように意見交換を行いまして、奄美特有の問題についてもしっかりとキャッチボールをしようということで、今年の一月にも奄美ティダ委員会を行わせていただきました。

 ただ、現地に私も久しぶりに赴く予定でございましたけれども、コロナが少し、奄美、当初一月、蔓延しましたので、今回、オンラインということになりました。様々な意見が、実は、首長さんから正直な意見が出て、非常に私も勉強になりますし、議員としてもやりがいのあるテーマをいただくところでございます。

 ただ、この中で共通の奄美群島の話題として挙がりましたのが、昨年七月に登録となりました、奄美大島、徳之島、沖縄の北部、そして西表島の世界自然遺産登録の、しっかりと活用というものが話題となったところでございます。

 これまで十八年間、これは実は、世界自然遺産登録を目指して関係者の方が努力をされましたので、まずは、様々な、役所の皆さんも含めて、この努力に敬意を表したいというふうに思っております。

 これまで、奄美群島では、この世界自然遺産登録に向けて、向けて観光キャンペーンを盛り上げようということで、奄振の予算等を使って様々なキャンペーンを打ってきました。平成二十六年度から、奄美の世界自然遺産を目指すキャンペーンの効果によりまして、LCCが新規に就航したり、その結果、令和元年には八十九万人を超える入り込み客数を計上したところでございます。しかし、現在は新型コロナウイルスの影響の拡大により、令和二年は残念ながら五十一万まで減少をしております。

 さあ、この令和三年に世界自然遺産が登録をされました。これまでは登録に向けた観光キャンペーンだったんですが、これをしっかり衣替えをしまして、世界自然遺産を踏まえた、今度は、持続可能な観光の在り方を模索したいというのが現地の要望でございます。そのキーワードとなるのが、奄美と沖縄との連携の観光事業だと私は思っております。

 沖縄は、大臣も何度も行かれたとおり、平たいですね、どちらかというと。北部の方は自然がありますが、南の方は、どちらかというと、リゾートもありますけれども、町が多い。奄美は、実は、高いんですね、山が。非常に自然が残っていて、本当の意味で自然とリゾートと都会を一緒に周遊をして楽しむには、沖縄と奄美の観光の連携が非常に大事でございます。

 今後、この沖縄と奄美の観光での連携を強化すべきと思いますが、これは国土交通省に御答弁をいただきたいというふうに思っております。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島の観光については、奄美群島振興交付金を活用して、奄美群島への航路や航空路の運賃割引、また、旅行者へのPR、モニター事業等を内容とする観光キャンペーン事業を実施してきたところでございまして、委員御指摘のとおり、コロナ禍前の令和元年には、入り込み客数が約八十九・一万人、実施前の平成二十五年と比較して約三〇%の増加となっております。

 また、奄美、沖縄地域が昨年世界自然遺産に登録されたことを踏まえまして、奄美群島における持続可能な観光に向けた取組については、国土交通省としてしっかり支援してまいりたいと考えております。

 さらに、沖縄との観光での連携を図る取組、これは今後なお一層重要であるということで、沖縄―奄美間の航路、航空路に係る運賃低減を継続するとともに、両地域の周遊をプロモーションする事業、これもしっかりと強化してまいりたいと考えております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 私もしっかりと奄美振興を図ってまいりたいと思っておりますので、今後とも御協力をいただければと思っております。

 次に、またテーマを変えまして、公共事業の単価、特に人件費部分について御質問をさせていただきます。

 今、岸田政権、賃上げをしっかり目指すということで、様々なところで賃上げのお願いをされているところでございます。しかし、特に公共事業を中心とする事業者、これは、民間だったら交渉によってしっかり人件費分を上げるための交渉をすればいいんですが、公共事業については、当然、これは公共事業単価というものが一つの上限になってくるわけでございますので、こういった公共事業を中心とする事業者の皆様方の賃上げをどう図っていくかというのが私は重要だと思っております。

 そこで、特に公共事業を中心とする事業者の皆様方が実際に賃上げを行った際、どのようなインセンティブが付与されるのか、簡単に御答弁をいただければと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 令和四年四月以降に契約を行う総合評価落札方式による全ての調達において、賃上げを実施する企業に対して加点措置を行う方針が、昨年末、財務省から各省庁に示されました。これに基づきまして、国土交通省の発注する工事等においても、賃上げを行う企業に対し加点措置を行うこととしております。

 具体的には、政府の統一の方針に基づき、総合評価落札方式の発注において、入札時に一定の基準以上の賃上げを行う旨の表明書を提出いただいた場合には、技術点における加算点の五%以上を加点することとしており、委員御指摘の賃上げを行うインセンティブになると認識しているところでございます。

浜地分科員 そうですね、今の御説明ですと、総合評価の加点にすると。賃上げを行うと、その措置をしたところは入札時に表明書を出してもらうということですね。その後、技術系のところで五%以上の加点をするということなので、表明書を出しということですと、皆さん、やはり表明をしてくると思うんですね、しっかり、うちの会社は賃上げをしますと。ただ、表明をしても、これが実際に賃金となって上昇を確実に行うためには、やはりしっかりとした入札の価格を、その賃上げ相当分を引き上げていかなければならないと思っております。

 もう大臣も御案内のとおり、当然、公共事業には、予定価格と、いわゆる地方でいう最低制限価格、調査基準価格がございます。こちらの方は公表はされておりませんけれども、大体やはり九割程度で、調査基準価格に近いところ、九割程度で結局入札がされている、ですので、予定価格とは非常に、少し幅があると。当然、追加工事等出ますから、幅があってそれはしかるべきなんですけれども。

 ただ、私の問題意識は、賃上げをするために公共事業全体の予算を上げていくとなると、もう令和四年は予算を組み上げておりますし、なかなか難しいと思います。ですので、全体の予算に影響せずに、この最低基準価格をしっかり引き上げていく努力をすれば、実際には、私の言葉では、余力があるので、そこの部分に、予定価格まで上げていくと、それは全体の大きな予算に跳ね返ってくると思います。

 ですので、これはもう現場からもそういう声があるんですが、この調査基準価格のところを少しずつ、今回、賃上げ部分は引き上げていくべきじゃないか、そういう運用をすべきじゃないかというふうに皆様方の声もございますが、この点について国土交通省の御答弁をいただきたいというふうに思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 公共工事の品質確保の促進に関する法律においては、発注者の責務として、企業が適正な利潤を確保できるよう、予定価格の適正な設定やダンピング対策等に取り組むことが規定されております。

 直轄土木工事の低入札価格調査基準については、契約内容に適合した履行がなされ、工事の品質が確保できるよう、実態を調査し、必要に応じて計算式や基準の見直しなどを行い、適切なダンピング対策に努めてまいりました。

 先ほど申し上げた総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置の導入に際し、関係業界などから御指摘のような御要望があることは承知しており、国土交通省といたしましても、引き続き、公共工事の実態把握に努めるとともに、適正な履行や工事の品質確保にも努めてまいります。

浜地分科員 そうですね、これはしっかり行っていただくというように私は聞きましたので、今後、様々省内でも検討されるでしょうが、この最低基準価格の引上げ、大臣も目の前におられますので、是非お願いしたいというふうに思っております。

 今後、安定的に賃金を上げるためには、予定価格自体もしっかり見直していくべきだと思っておりますが、これについてはやはり将来的な課題ということで、まず、本年度はこの最低基準価格をしっかり引き上げていただきたいと改めて要望をしておきたいというふうに思っております。

 テーマを変えます。洋上風力発電の基地整備について御質問をしたいと思っております。

 私は福岡に住んでおりますが、私の地元の北九州港、ここはもう大臣も御案内のとおり、洋上風力発電の基地整備の拠点として、北部九州の中心になる地域でございます。既にもう様々な準備は進んでおりますが、その中の一つに、令和二年度からスタートをしました北九州港響灘東地区の国際物流ターミナル整備事業の確実な予算の確保をお願いしたいという質問でございます。

 当然、これは今、港湾区域以外の一般海域でもこれからしっかりと風力発電が建っていくわけでございますが、その様々な設備を置いたり、中心となるのがこの国際ターミナル整備、要は基地整備事業ということでございます。ですので、この洋上風力発電も、基地ができなければ絵に描いた餅で、ここで様々なものが、司令塔といいますか、様々な物資が出て洋上で実際に形となるわけでございます。

 ただ、この北九州の国際物流ターミナル整備事業は、当初の事業評価では六十五億でできるんじゃないかということでございましたが、工法の変更などもあり、この予算、実は百十九億円に大幅に増額をされました。また、完成年度も、令和五年度完成を目指しておりましたが、令和六年度に延長をされたということで、地元からも確実な予算の確保と早期完成を望まれるところでございます。

 これに関して、この事業について、今後もしっかりと事業継続と予算の確保をお願いしたいと思いますが、ここは渡辺副大臣に御答弁をいただければと思います。

渡辺副大臣 国土交通省では、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギー主力電源化の切り札として期待されております洋上風力発電の導入を積極的に推進をしております。

 洋上風力発電の導入に欠かせない、先生御指摘の基地港湾につきましては、令和二年二月に施行された改正港湾法に基づきまして、同年九月に、先生のお地元北九州港を始め全国四港を指定し、埠頭の長期的な貸付けを可能とするとともに、洋上風車部材の搬入、仮組立て等を可能とするための港湾施設の改良を実施しているところでございます。

 この改良として、北九州港では、令和二年度から、響灘東地区国際物流ターミナル整備事業として、岸壁の整備、地耐力強化等を実施しており、国土交通省としては、令和六年度完了に向けて、引き続き整備を推進してまいります。

浜地分科員 もう時間になりましたので終わりますが、最後、実は、下北道路のことを質問しようと思っていました。もう大臣が目の前にいらっしゃいますので、最後は要望して、お願いをします。

 この道路、当然、防災の意味でも物流を止めないという意味でも必要なんですが、是非、北九州港、さっきも重要な北九州港のお話がございましたので、このアクセス性も含めた様々な設計をしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 今日は本当にありがとうございました。

稲津主査 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 次に、荒井優君。

荒井分科員 改めまして、立憲民主党の荒井優でございます。

 与野党で唯一、高校の校長出身の国会議員ということで、今日は、それに即して、しっかりと質問していきたいと思いますので、国交省の皆様、よろしくお願いいたします。

 まず最初に伺いたいのは、統計不正のことについてです。今国会でも、大分、大臣にも御答弁いただいておりましたが、第三者報告も拝読いたしました。改めまして、大臣として、この問題の責任者として、今後の再発防止に向けての意欲をお答えいただければと思っておりますが、よろしくお願いいたします。

斉藤国務大臣 長年にわたり国土交通省におきまして不適切な統計処理が行われていたこと、このことについては、国民の皆様に深くおわびを申し上げたいと思います。

 検証委員会を立ち上げまして、報告書をいただきました。その報告書の中にも、いろいろな再発防止に向けた御提言をいただいたところでございます。国土交通省の中に、再発防止に向けてどのように国土交通省として改善をしていくか、事務次官をトップとするタスクフォースを立ち上げました。今、そのタスクフォースで、再発防止、また風土の改革に向けての議論をしているところでございますが、その結論を踏まえて、私も大臣としてリーダーシップを取りながら、この改革に向けて全力を挙げていきたい、また、統計の信頼回復に向けて全力を挙げていきたい、このように決意しております。

    〔主査退席、今村主査代理着席〕

荒井分科員 ありがとうございます。

 まず、今回の問題は統計そのものにあったわけですが、先日、これは総務省所管になりますが、統計博物館というところに行ってまいりました。我が国の統計に関しましては、明治十四年に大隈重信が統計とはとても大切なことだということで統計院を創立し、そのときには、慶応大学の創始者の福沢諭吉もスタティスティクスというのが大変大事だということを、つまり、日本の国のでき上がるときに、まさに国をつくった当初の人たちは、やはり統計というのはとても政策をつくる上において大切なものなんだという思いを込めて一生懸命国づくりをしてきた。これが、百五十年たっていく中で、少しずつ現場で、その統計に対しての大切さというものが失われてきているということが非常に大きな問題なんじゃないかというふうに思っております。

 是非、統計博物館も含めてですけれども、統計とはとても大切なことだということを、国交省を含め、幹部の皆さんに、特に実務に当たる方だけではなく、幹部の皆さんにも改めて御理解いただきたいというふうに思っております。

 今回の第三者報告書の中でも、やはり、これを管理監督する人が非常に短期間の在職で立場が変わるので、なかなかそういったところが分からなかった。改めて、もちろん職責上、短期間の異動というのはやむを得ないこともあると思いますが、やはり統計とは大切なことだということを是非御理解いただきたいと思っております。大隈重信も、政治、行政を行うに当たっては、そのよりどころがなければならず、その政策の議論の根拠になるのが統計であるというふうに、この文言は今回の報告書にも同じような内容で書かれておりますので、是非御理解いただきたいというふうに思っております。

 その上で、今回の、先ほど大臣からも、風土を見直していくことが必要で、タスクフォースをということがございました。再発防止策の丸五番目のところに、五点ほど再発防止策の案がこの報告書に書かれているわけですが、問題発見時の対応方法と明確化及び問題の発見と解決を奨励する風土の形成が必要だというふうに書かれているわけです。

 これ、「問題の発見と解決を奨励する風土」、問題を発見しても、それを言ったり、それに対して解決するインセンティブ、モチベーションが働きにくい組織だったということがこの内容に書かれていて、それを解決する風土をつくるべきだということが書かれているわけですが、読みようによっては、まるで告発を奨励するような、何かそういう、内部告発を奨励するような文化みたいなことを、読みようによってはつくり出しかねないというふうに思っていますが、ここは、でもそういうことではないんじゃないかと思っています。

 ただ、組織風土を変えるというのは大変難しいことで、この辺り、まさにリーダーシップが問われていくところだと思いますが、一体どのような組織風土をつくっていきたいのか、国交省としての御見解を問いたいと思います。

斉藤国務大臣 今、荒井委員御指摘のように、検証委員会からは、再発防止策、五つ御提言いただいたわけですが、その五番目に、「問題発見時の対応方法の明確化及び問題の発見と解決を奨励する風土の形成」という御提言をいただいております。

 私、組織のトップにいる者といたしまして、この「問題の発見と解決を奨励する風土の形成」というのは非常に重要な問題であると考えております。率直に自分の意見を言ったり、誤りを認めたりすることができる風通しのよい職場づくりに向けてどのようにすればいいか。これは、実際に働いている人たちの意見も聞いておかなければいけない。変な監視社会みたいなことになってもいけませんし、それはどうしたらいいか。先ほど申し上げました、今、タスクフォースを国交省の中に立ち上げまして、その議論をしっかりさせていただいているところでございまして、ここは、私はその今議論を見守っている立場でございますけれども、そこで出た結論をしっかり実行できるようにリーダーシップを発揮していきたい、このように思っております。

荒井分科員 ありがとうございます。

 実は僕自身も校長をやっていたときに、そこもまた潰れそうな学校でしたので、まさに、みんながもう物が言えなくなってくる状態とか、この文書を読んでいると身につまされるような思いがある組織をリーダーとして経営をしまして、そこから変えていく中で、やはりまさに大事なのが風通しのよい文化だと思います。もちろん、小さな私立高校の話と大きな国交省の、役所の大きさ、全く違うことはあると思いますが、問題の根幹は、まさに、この風通しのいいということを、どうやってリーダーシップを発揮してやっていくかということなんだというふうに思っておりますので、まさにタスクフォースの皆さんの御議論と併せて、大臣の大きなリーダーシップ、そういう文化をつくっていくんだぞということをしっかりと浸透させていただきたいというふうに思っております。

 このことに関連しまして、国交省の今の現状について、もう少しお伺いできればと思っています。

 こういった、拝読するにつれ、現状、風通しが決してよくない文化だとすると、やはり働いている職員の皆さんにとって働きにくいのではないかというふうに思っていまして、例えば中途退職みたいなことがどれぐらいあるのかということを教えていただければと思っております。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 これは二十代の国家公務員全体でございますが、自己都合退職者数につきまして、内閣官房内閣人事局のデータで、令和元年度とその五年前の平成二十六年度を比較いたしますと、総合職、一般職等の各試験採用者の合計におきましては約一・七倍の増加、うち総合職試験採用者におきましては約三・〇倍の増加となってございます。

荒井分科員 ありがとうございます。

 昨今、いろいろなニュース等で、公務員が退職する数が、率が増えている、こういうことが広く知られてきているわけですが、今の、総合職で三倍、全体でも一・七倍という形で、特に若い二十代の方がこんなに多く辞めているというのは、やはりこれは大きな課題が、特に今後の日本の行政を運営していくにとって、とてもあるのではないか。まさに今までのような、成長期のときのような在り方、二十四時間働けるとか、そういったことではなく、働き方改革は進んではいるかと思いますけれども、もっともっとここへ向けていく必要があるのではないか。

 じゃないと、本当に、もっと多くの若い志のある優秀な公務員が辞めていくということを看過することにつながるのではないかと思いますので、今は国交省の話ではなく、役所全体の、公務員全体の話でもありますし、それが役所ごとにどう違うのかというのにも関心はありますけれども、でも、恐らく公務員全体の大きな課題だと思いますので、是非ここの取扱いをよろしくお願いいたします。

 その意味においても、実は自分がやっていたところでも行ってきましたが、二〇一五年には、労働安全衛生法という、五十人以上雇用している会社組織だと思いますが、労働者がいる事業者に対しては、年一回のストレスチェック等を行っているわけですね。

 公務員にも同様にされているのではないかというふうに思いますが、例えば、まさに風通しのいい文化、風土をつくるときに、このストレスチェックを僕の学校でも、一年に一回ではなくて、これをもっと頻度を上げてやりながら、そんなに多くの内容ではありませんけれども、月一回やっているんですが、そういった、細かく、今の働きがいだったり、人間関係で悩んでいないかとか、健康状態はどうかというのを聞くような、ある種ストレスのチェックの方法を頻繁に繰り返したりしています。

 つまり、本来、元々この労働安全衛生法の趣旨も、一年に一回面倒なアンケートを取るということではなくて、まさに、ストレスの状態をチェックした上で、それをどう経営に改善していくのかということがそもそも法律の趣旨なんじゃないかというふうに思いますが、こういうことを省を挙げて、今回のまさに風通しのいい風土の中で、こういったストレスチェック等を、しっかりと経営のPDCAを回すために行ったらいかがかと思いますが、その辺に関しての省のお考えを教えていただければと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましても、この働き方改革、若手も含めて働き方改革に今取り組んでおります。その中で、ストレスチェックというのも活用してございます。その結果も含めて、しっかり活用してまいりたいというふうに考えております。

荒井分科員 ありがとうございます。

 このストレスチェックみたいなものも、これも一つの統計でありますので、まさにこういった一つ一つのデータの大切さ、そして、これをどうちゃんと分析して、それを行動に起こしていくのかということが大変重要だと思いますので、そういったものが、是非、国交省がリーダーシップを上げて、日本の今の国家公務員全体にまつわる課題に、解決のリーダーたらんとすることを是非進めていただければと思っております。

 続きまして、雪の問題についてお伺いしたいというふうに思っております。

 まず、お配りした資料を御覧いただければと思います。A4の横の資料があるかと思いますが、これは札幌市の今年の雪の状況について書いてある資料になりますが、特に左上の一番、令和三年度の降雪状況ということでデータが出ています。

 赤い折れ線が、これが今年の雪の積雪量という形になっています。数字が1、2、3というふうに書いてあります。つまり、ピークが三回あって、この1、2、3のタイミングで雪が大きく降っているということがお分かりいただけるかと思います。その赤い線の下側に、山なりになったピンクの線があるかと思いますが、これがこの三十年間の平均値という形になっています。ですので、この三十年間の平均に比べて、今年がいかに雪が降っているのかということが御理解いただけると思います。3、今のこの現状況でいうと、例年の約二倍に近い量の雪が積もっているということが、この数字からもお分かりいただけると思います。

 なお、右側の除雪費に関しましても、札幌では、札幌市だけですけれども、二百十億円の雪に対する対策費が積まれていて、使われているわけです、除雪や排雪。実は、北海道とか雪国に住んでいますと、排雪という言葉が大変重要になってくるわけですね。ハイセツ、いろいろな漢字がありますので、一瞬、耳の聞こえ方としては、ハイセツとは何かなというふうに思うところもあるわけですが、でも、雪国においては排雪というのは本当に大変重要なことになっております。

 もう一度、この左上のグラフを御覧いただきたいんですが、こういうふうに雪が今年は、赤いグラフをもう一度見ていただきますと、実は十二月までほとんど雪が降ってこなかったんですね、十二月の前半までですね。

 ここ数年、本当に雪不足だったりもしますので、ニュースではよく、今年もスキー場の開設が遅れているみたいなことは逆にニュースになって、なかなかウィンタースポーツなんて難しいんじゃないかななんて思いながら、十二月のクリスマス直前まで今年も過ごしていましたが、まさに十二月十八日に、一気に雪がどどおんと降ったわけですね。

 その雪が降るたびに、朝、大体夜中の四時、明け方に除雪車が走りまして、そして、実は除雪車が通りますと、おうちの前には大きな雪の塊がたくさん残っていくわけですね。そうですよね、ずうっと、ぐうっと走っていきますので。ですので、例えば朝六時ぐらいにおうちを出なければいけない、車で出勤する人も含めて。朝、こういう日は、いつもの通常の時間よりも一時間早く起きて、その除雪車が置いていった雪を一生懸命、一時間ぐらいかけて雪をどかすという作業が、これは雪国では毎回行われることなわけです。

 ちなみに、四十七歳の僕でも、一時間雪かきすると本当にへとへとで、その日一日、結構仕事をするのが苦痛になるということを、雪国では、これでも普通に行われてきたことなわけですね。そして、それが今年はまさに三回起きてきているという形になります。

 次のページをお開きください。これが二月六日、つまり、今年三回目の雪が大きく降ってきたときの状況になりますが、生活道路、本当にまさに一般の道になりますが、生活道路を見ていただいて、特に車に積もっている雪を見ていただきますと、これだけの量が一気にどんと積もっているのが分かるかと思います。

 下も、歩く道もこれだけ雪が積もっていて、もう隣は、今回はもう大分の積雪量になっていますので、車道が見えないような、そんな状況でございます。札幌の幹線道路の歩道ですね。

 そして、次のページを開いていただきますと、その日、その六日、七日に、大変積雪が降っている中、除雪車、排雪車がたくさん動いて、何とか車が通れるように道を確保しているのがこの状況です。ただ、ここに書いているように、本来四車線の道路が、一車線分しか車が通れないように、でも、通れるようにするので精いっぱいに今作業が進んでいるという形になっているのが、これが雪国の現状です。

 これは、まさにこの中で排雪の話をさせていただくと、ここで今一車線しか道がございません。なぜ四車線分取れないかというと、この隣に高く積もっている雪山を、まさに排雪しなければいけないわけですね。近隣の川でしたり、排雪場まで持っていく、このための例えばダンプ等の確保が今大変難しくなっている。

 北海道では、今、北海道新幹線のトンネル工事等が行われていたりしますので、大きな公共事業がそちらに行っていて、ダンプが確保が非常に難しい。そんな現状もあって、なかなか実は排雪の作業が進んでいない、そんな現状もございます。

 これは本当にみんなが、官も民も、そして市民も苦労しながら、この現状、つまり、通常四車線のところを一車線になっても我慢しながら、それでも会社や職場に向かわなければいけない人がいますので、大渋滞若しくは事故になる可能性も抱えながら過ごしているのが、今、雪国の生活、今年の札幌の状況でございます。

 もう一度二ページに戻っていただき、そして、この上で、この赤い線をもう一回御覧いただきたいんですけれども、1、2、3のピークをもう一度見ていただいてお気づきいただくことは、例年に比べると、三十年平均に比べると、約一か月早く雪がどんどん積もっているということがお分かりいただけると思います。

 そういった意味では、除雪や排雪のオペレーターも、当然例年の平均値に合わせて確保したりしていますが、一か月分早く行くと、当然、大きな需要が逼迫して、なかなかサプライサイドも供給できない現状があるわけです。

 決して札幌市が怠慢だというふうに僕も感じてはいません。精いっぱい皆さんやっていると思いますが、本来、もっとこういったところに国ができる支援があるんじゃないか。一国会議員、なりたてではありますけれども、もっと本当は何か国として、こういう状況にやることができるんじゃないか。初動のところから、災害とまでは言えないのかもしれませんけれども、もっと、こういうことをやって我々国は応援していますよということを言えるんじゃないかというふうに思っているんですが、この辺りの見解について、国交省の御見解を伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 今、荒井委員の、雪国の大変さのお話を伺いました。

 私も、島根県の広島県境に住みまして、私が子供の頃、昭和三十年代は大変雪が多かった。今はちょっと少なくなっているというふうに実感しておりますが、特に三八豪雪と言われたときには一冬閉じ込められた、そういうことを経験してはおりますが、今、荒井委員のお話を伺って、北海道はその比ではないなと、本当に御苦労されているなというのを実感したところでございます。

 国土交通省として、国として、もう少しできないのかという御質問でございますけれども、現在のところ、国土交通省では、自治体が管理する道路の除排雪を支援するために、北海道開発局から札幌市や江別市等に除雪車等を派遣しております。また、道路除雪費の追加支援、今一次の追加支援を行いました。今また特別の新たな支援を考えて、自治体からヒアリングをしているところでございますが、その追加支援を行うため、北海道を含めた全国の自治体から、除雪費用の執行状況等の聞き取りを行っているところでございます。こういう形でしっかり行っていきます。

 それから、鉄道については、札幌都市圏を含めた複数の路線が長期に運休し、大変大きな御迷惑をおかけいたしました。十四日に改めてJR北海道に対して、今回の事案に対する徹底的な検証と再発防止策の検討を指示したところでございます。

 引き続き、地域に寄り添って、全力で対応してまいりたいと思っております。

荒井分科員 ありがとうございます。

 僕も、済みません、不勉強で、島根県で雪がそれほど降った機会があったんだということをちょっと勉強しておりませんでした。今回の岸田内閣の先生方、大臣の出身地、選挙区を見ると、どうも西日本に、まさに雪国ではないところにお住まい、御出身の先生が多いのではないかというふうに感じておりまして、ただ、この雪というのは、実は本当に北海道でいうと、例えば、よく豪雪地帯みたいな形では新潟や山形も入ってくるわけですが、新潟や山形とは、また北海道も、同じ雪に対する向き合い方というのは随分違うんですね。

 新潟や山形の場合には、雪下ろしという、屋根の雪を下ろさないと危ないということで、ただ、その屋根に乗ったときに滑り落ちてしまうので、大変危ないことで、アンカーというものを使ったり、そういったことが必要とされていて、補助金を求めていたりしているわけですが、北海道は逆に、そういった三角型の屋根というのはそんなに多く今はもうなくて、逆に平らで、できるだけ屋根の上で解かそうと。その代わり、まさに交通の、特に札幌は公共事業が少なくなってきていますので、まさに夏、公共事業で使っているダンプが、冬、排雪をするために使われる機会が多いんですけれども、逆にそれが難しい。そのバランス、需給が違ってきていますので、排雪するための車の確保が難しい。そんな状況があり、同じ雪といっても、実は本州の新潟や、そして北海道、北海道の中でも札幌とそのほかの地域でも随分違うんだというふうに感じています。

 例えば水害とか、そういった形では、九州で毎年、この数年、水害等があり、大変だという形になって、いろいろな形での援助が、支援が続きますけれども、雪国は、そういった意味では、地域によって同じ雪害といっても随分違いがあり、そのことを基礎自治体、地方自治体が一生懸命苦労しながら進めているわけですが、かなり限界な中でやっているということを、是非国交省の幹部の皆さんにも御理解いただきたいと思い、今日はこういう御質問もさせていただいております。

 その中で、是非、これからの除雪のことについて、雪のことについては最後に御質問、お話しさせていただきたいと思います。

 丸四番目の資料ですね、先ほどの写真の後の資料になりますが、御覧いただきたいと思います。

 この右上のところに、五番目、札幌市の除雪従業者の将来設計というふうに出ていますが、除雪オペレーターの人数がこれからの予測値として減ってきているという形になっています。まさに、雪を運んだり除雪したりする人たちがどんどん減ってくる、そんな状況があるわけです。

 また、その次のページ、資料の五番目がありまして、福祉除雪の高まる需要ということがございます。福祉除雪、福祉的に地域の除雪を行う方々を、これは社会福祉協議会がやっていますけれども、でも、この新聞記事では、七十五歳の方がこの福祉除雪をしているんですね。されるのではなくて、七十五歳の方が三軒、四軒の除雪をしている。

 こういうことをしながら除雪を今進めているという状況を、もう少しこれは国を挙げてこの問題に取り組んで、除雪、排雪に関してしていくべきじゃないか、そんなふうに思っていますが、国交省としての見解を問いたいと思います。

和田(信)政府参考人 お答えいたします。

 道路の除雪作業、こういったものにつきましては、降雪によるガードレールとか縁石などの道路構造物を視認できない状況下での除雪をしていく、あるいは投雪の禁止箇所、道路が交差しているようなところで、下に捨てちゃいけないようなところ、こういったところなどの沿道条件を踏まえた除雪が必要で、それらを熟知したオペレーターが行っているというのが現状でございます。

 先ほど先生からも御指摘ございましたように、このオペレーターというところが、札幌市の方でも、資料の方にありましたように高齢化とかあるいは担い手不足ということで苦労されている、あるいは課題となっているということかと思います。

 こうしたことにつきまして、何とか技術開発、技術面で打開していきたいと思っておりまして、国交省におきまして、熟練オペレーターでなくても除雪ができるようなことを目的に、衛星を使って、高精度の3Dマップや何かも活用しながら除雪作業を行う。除雪の部分の自動化、全体の自動運転という意味ではなくて、普通に車を運転する人でも除雪できるような、そんな自動化の技術開発を進め、こういったものを全国の展開に向けて実証実験を進めるなど、何とかこういう技術開発や何かで、こういったオペレーターの問題とか、あるいは技術開発を進めて、オペレーターの問題なんかにも、解決していきたいと思います。

 もちろん、国交省で今実証実験を進めていると申しましたけれども、公共団体への展開も視野に入れながら、除雪に関する新しい技術など、民間分野の技術も取り入れながら進めていきたいと思ってございます。

荒井分科員 ありがとうございます。

 最後に、地下鉄のことについてお伺いしたいと思いますが、これは、札幌市内の市営地下鉄の延伸という話が、地域ではずっとニーズがあるわけですが、これは一つ、今までお話をしていた雪の問題とも大変大きく絡んでいるわけですね。

 雪国においては、やはり地下鉄の方が利便性がいい。特にこういう雪のときに、それでもスムーズに運営しているのは地下鉄だけで、今回の雪害の際にはバスも止まらざるを得ないほど雪が降ったわけですが、地下鉄は普通に運営をしていました。

 今日お配りした資料の最後の六番目、七番目に、まさにその地下鉄の延伸を希望する地域の皆さんの要望書が、これは札幌市長に出されたものですけれども、ございます。

 この七ページ目のところに黄色でマーカーをつけましたが、地下鉄の延伸について、札幌市は、三十年で累積黒字が地下鉄認可の国の基準だ、そういうふうに言っていたというふうに書かれていますが、これは実際、こういう基準で地下鉄の延伸というものは認められているものなのか、教えてください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 地下鉄の延伸などの鉄道プロジェクトの推進に当たりましては、自治体、事業者を始めとする関係者が連携をして、需要の見通し、収支採算性、費用対効果など、具体的な事業計画の検討を行うことが必要となっております。

 国土交通省といたしましては、こうした事業計画を踏まえて、地下鉄整備に対しまして、地下高速鉄道整備事業費補助により、整備費用の最大二五・七%を国費で負担して、公営事業者等の支援を行っております。

 国費は二五・七%、地方からも二八・六%、補助金としては五四・三%という公費が入りますし、また地方の出資金もございますので、最終的な借入金等は大体四分の一ぐらいになります。

 その場合に、収支採算性につきましては、こちらの方、この資料の中にも出てまいりますが、三十年を一応の目安という形にしておりますが、地方の公営の場合は、公営のいわゆる事業主体がしっかりされていらっしゃるということもありますので、その点については、より柔軟に対応させていただいておるところでございます。

荒井分科員 ありがとうございました。

 引き続き、地下鉄の延伸についてもしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、またいろいろ教えてください。

 どうも今日はありがとうございます。

今村主査代理 これにて荒井優君の質疑は終了いたしました。

 次に、堤かなめ君。

堤分科員 皆様、おはようございます。立憲民主党の堤かなめでございます。

 本日は、交差点の安全対策、そして豪雨被災地の復旧復興及び防災・減災対策についてお聞きしたいと思います。

 まず、交差点の安全対策です。

 私の地元、福岡県筑紫野市にございます針摺交差点なんですけれども、こちらが、日本損害保険協会によりますと、二年前、二〇二〇年の人身事故ワースト一位となっております。大阪の法円坂交差点とともに全国ワースト一位ということでございました。

 針摺交差点は、地元では魔の交差点というふうに呼ばれております。変則五差路の交差点で、中央分離帯に高架道路の橋脚がたくさんありまして、そのために見通しが悪くて、私自身も時々通るんですけれども、そのたびに、ちょっと怖いな、冷や冷やするような思いをしている、そういったところでございます。

 この交差点では、二〇一四年、平成二十六年に安全対策のため工事を行ったというふうに聞いております。しかし、残念ながらその後も毎年人身事故が発生しておりまして、先ほど述べましたように、二〇二〇年は二十二件と全国ワースト一位、この七年で八十八件もの人身事故が起こっております。

 地元の警察署では、全国ワースト一位となってからはとりわけ、交通立番、レッド走行、交通指導や交通安全教育の強化など、様々な対策を取っていただいたと聞いております。また、今年度中に横断歩道の塗り直しも行うとのことでございます。さらに、交差点の一部では既に、右折車線を点線で道路に表示するなど、導流表示の設置、これもなされている箇所もあるということで、様々な御努力をいただいております。

 その結果、昨年は四件にまで減少いたしました。しかし、いまだゼロ件にはなっておりませんし、警察官の方が立っていただいて交通整理をするような交通立番などもされていますが、やはり根本的な対策が必要ではないかと思っております。

 この交差点は福岡県の那珂県土事務所の管轄ということです。そこで、針摺交差点における交通安全対策について、国土交通省、是非福岡県と連携して頑張っていただきたいんですが、今後どのように取り組んでいくのか、お聞きいたします。

村山政府参考人 お答えします。

 委員が御指摘の福岡県筑紫野市の針摺交差点は、福岡県が管理する交差点であります。国道三号が立体交差をしておりまして、交差点に接続する側道を国が管理しております。

 この交差点は五差路の交差点でありまして、県道の東側からの右折車線が三車線あるなど、複雑な形状となってございます。そのため、令和元年から令和三年までの三年間に発生した三十五件の人身事故のうち、半数以上の二十三件が車両の右折時に発生する事故となってございます。

 これまで福岡県が、進行方向を明確にするための車線や標識の色分け表示、右折時の走行位置を明確にするための誘導車線の表示を行っているものと承知しております。

 令和三年の事故件数は四件と減少しておりますけれども、交通事故の発生状況を踏まえ、当該交差点の安全対策につきまして、今後、国、福岡県及び福岡県警察で情報共有の場を設け、本交差点における事故要因の分析、また効果的な対策の検討を行ってまいります。

 国土交通省としましては、対策内容に応じまして技術的助言や必要な財政支援などを行い、福岡県等と連携しまして、この針摺交差点における交通事故の防止に努めてまいります。

堤分科員 今、村山国交省道路局長より大変前向きな御回答をいただきました。本当に、情報を共有して、分析して、効果的な対策も取っていただき、財政措置もしていただくということで、大変ありがたいと思っております。

 是非、人身事故ゼロに向けて、今回取り上げました針摺交差点のみならず、全国で危険な交差点というのがあるのではないかと思っております。今おっしゃっていただいたように、原因を分析して有効な対策を講じていただきますこともお願い申し上げまして、次の質問に入りたいと思います。

 次に、平成二十九年、二〇一七年七月の九州北部豪雨の復旧復興、防災・減災対策についてお聞きいたします。

 私の地元でございます福岡県朝倉市、筑前町、東峰村では、平成二十九年七月の九州北部豪雨で、九時間で七百四十七ミリ、およそ七十五センチという記録的豪雨によりまして、大量の土砂や流木が下流域まで広範囲に流れ込みまして、河道が埋まり、河川が氾濫し、甚大な被害が発生いたしました。皆様御案内のとおりです。

 被災されました方々に改めて心よりお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方やその御家族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、この間、復旧復興に御尽力いただいております関係者の皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。

 まず、技術職職員の確保についてでございます。

 地元自治体からの声です。災害直後は国や県などから技術職を派遣していただき大変助かった、ただ、今回のような大規模災害は復旧が長期にわたる、今年度まではどうにか人材の確保ができているけれども来年度からは未定となっている、復旧の設計ができる技術職の長期派遣か、技術職の民間等からの直接雇用を何とかしていただけないものかということでございます。

 そこで、このような声に国としてどう応えていただけるのか、お答えください。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 被災地の早期復旧復興への支援は国土交通省の重要な使命と認識しており、平成二十九年の九州北部豪雨に対しても復旧復興の段階に応じた支援を行ってまいりました。

 発災直後は、全国の地方整備局等から延べ約三千五百人日のTEC―FORCEを派遣し、復旧の迅速化に向けた支援を行いました。

 また、本格的な復旧復興の段階では、高度な技術力を要する赤谷川等の改良復旧工事を、九州北部豪雨復興出張所を新たに設け、県に代わって国が実施するとともに、道路、河川の復旧に熟知した技術職員の地方公共団体への出向派遣、災害復旧事業を行う地方公共団体への技術的な助言などの支援を行ってきたところです。

 委員御指摘のとおり、特に技術力の不足する地方公共団体への支援が重要と認識しており、現在も被災地の状況や事業の進捗を踏まえて技術職員の派遣を継続しているところであり、引き続き地元の声を聞きながら必要な支援に努めてまいります。

堤分科員 今、引き続き地元の声を聞きながら派遣を継続していっていただけるということでお答えいただきました。本当にありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 次に、国所管分の復旧工事の進捗状況と今後の御予定についてお聞きします。

 地元からは、復興どころか復旧すら進んでいない中でもう五年が経過した、高齢者が多い地域でありまして、この五年間で多くの方が残念ながら亡くなっていらっしゃる、先が見えればもう少し、それまでは頑張ろうという気持ちにもなれる、果たしていつ工事が終わるのか、先の見通しを教えてほしいという声も届いております。

 そこで、原形復旧なんですけれども、福岡県朝倉県土整備事務所が作成していただきました直近の資料によれば、原形復旧事業、つまり被災前の状態に復旧する事業の進捗状況につきましては、道路で百六か所のうち百か所が完成済み、つまり完成率九四%、河川では六十五か所のうち六十か所が完成済み、完成率九二%、砂防施設で十四か所のうち十三か所が完成済み、完成率九三%となっています。いずれも九割を超える完成率となっておりますけれども、全て一〇〇%完成するのはいつ頃なのか、お聞かせください。

井上政府参考人 平成二十九年七月九州北部豪雨において、福岡県の朝倉市等では、洪水や土砂災害により、河川、砂防、道路等、多数の施設が被災するなど、甚大な被害が発生しました。

 原形復旧事業につきましては、地域の方々が一日も早く元の暮らしを取り戻せるよう、被災箇所の早期復旧に全力で取り組んでおり、令和三年度中、今年度中には全ての箇所で工事が完了する見込みとなっております。

堤分科員 井上局長より、今年度中には完成する見込みとお答えいただきました。ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 次に、改良復旧についてでございます。

 改良復旧とは、被災箇所の原形復旧だけでは災害の防止が十分でないという場合に、川幅を広げたり、堤防のかさ上げを行うなどの改良を行う事業のことでございます。

 道路三区間、およそ三キロメートルの改良復旧は一〇〇%完成したということです。

 しかし、河川についての改良復旧は、対象が十三か所、およそ百キロメートル、そのうち完成したのは六十キロメートル、六割の完成率となっております。言い換えますと、まだ四十キロメートル、四割が完成できていないという状況でございます。

 そこで、なぜ河川の改良復旧で完成が遅れているのか、その原因と、いつまでに完成するのか、完成までのスケジュールを教えてください。

井上政府参考人 再度災害を防止し、被災地をより災害に強く安心できる地域にしていくためには、原形復旧にとどまらず、堤防のかさ上げや川幅を広げるなどの機能を強化する改良復旧に取り組んでいくことが重要です。

 福岡県の朝倉市等においては、十三河川、約九十八キロの区間において改良復旧を実施しています。一河川では完了し、残り十二河川のうち約四十キロについては引き続き改良復旧を実施しております。

 この十二河川、約四十キロの区間の今後のスケジュールにつきましては、四河川、六キロの区間については今年の出水期までに完了予定、三河川、約五キロの区間については令和四年度中に完了予定となっています。

 また、残りの五河川、約二十九キロの区間については、用地取得箇所が非常に多いことなどから時間を要しておりますが、早期完成に向けて全力で対応してまいります。

堤分科員 ありがとうございます。用地買収の困難さなどがあるかと思いますけれども、頑張っていただきたいと思っております。

 また、砂防施設の改良復旧についても、五十六か所のうち完成したのは二十九か所、完成率五二%、まだ半分しか完成しておりませんけれども、どのような計画で、いつまでに完成するのか、お聞かせください。

井上政府参考人 発災直後より土砂災害による二次災害を防止し、更に今後の降雨による再度災害を防止するため、砂防堰堤等の整備に国、県が一体となって取り組んできたところです。

 砂防関係事業につきましては、これまで二十九か所で完成しておりますが、残りの二十七か所についても、令和四年度までの完成を目指して全力で取り組んでまいります。

堤分科員 井上局長から、令和四年度までの完成ということで、もう少しということで、大変ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 昨夏、西日本を中心に異例の長雨が続きました。世界的な気候変動により、いつ、どのような大雨に見舞われるか予測できないというような状況でございます。

 頑張っていただいていますけれども、復旧がやはり一〇〇%終わらなければ、先ほど井上局長からも、より安全、安心にということで改良復旧をしていただいているというお話がありましたけれども、より安心して過ごすことができるためにはやはり一〇〇%、是非早くお願いしたい。

 皆さん本当に、大変な不安な気持ち、雨が降ると眠れないというような不安な気持ち、焦燥感があるかと思います。そういうことに、地域の皆さんに思いを寄せていただきまして、是非、一日も早く復旧を一〇〇%完成させていただきますように、心よりお願い申し上げます。よろしくお願いします。

 次に、防災・減災対策について、流域治水を中心にお聞きいたします。

 一点目に、流域治水の意義についてでございます。

 御案内のように、国は、近年の地球温暖化、気候変動による水害の頻発化や激甚化に伴いまして、防災・減災対策の考え方を大きく変える流域治水という対策を打ち出しておられます。

 流域治水は、これまでの治水対策に加えて、水田やグラウンド等に雨水を貯留浸透させ、河川への流出を抑制するための対策などを行うもので、国、県、市町村を始め、流域内のあらゆる関係者が協働して治水対策に取り組む流域治水を推進することは大変重要であると私は考えております。

 そこで、流域治水の持つ意義につきまして、国土交通大臣の御見解をお願いいたします。

斉藤国務大臣 流域治水の持つ意義について、堤委員からお尋ねがございました。

 今御質問の中で端的におっしゃってくださっているかと思いますが、改めまして、気候変動による水害の頻発化、激甚化に対応するため、三本柱、氾濫をできるだけ防ぐための対策、被害対象を減少させるための対策、それから被害の軽減、早期復旧復興のための対策、この三本柱でございます。

 具体的には、氾濫をできるだけ防ぐため、堤防等の河川整備を更に加速化することに加え、遊水機能の確保や利水ダムの事前放流、民間による雨水貯留などにも取り組み、対策の充実強化を図っていきます。

 さらに、氾濫が発生した場合も想定し、被害対象を減少させるため、リスクのより低い地域への居住誘導や、浸水が想定される高さ以上に居室を確保する住まい方の工夫等を行うとともに、被害の軽減のため高齢者の避難の実効性を確保していくということも大切でございます。

 これらの取組を進めるに当たっては、本川、支川、上流、下流などの流域全体を俯瞰し、施設管理者だけでなく、都道府県、市町村に加え、地元企業や住民など、あらゆる関係者が協働することに流域治水の意義があると認識しております。

 こうした取組により、整備が遅れている上流や支川、内水氾濫が頻発している地域も含め、できるだけ短期間に流域全体で安全性を高めていくことが期待されております。

 今後とも、水害に強い国土づくりに向けて、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も活用しながら、スピード感を持ってこの流域治水を進めていきたいと決意しております。

堤分科員 今大臣より大変、三本柱も御紹介いただきまして、スピード感を持って流域治水に取り組んでいくという力強いお言葉をいただきました。ありがとうございます。

 二点目に、その中でお触れになっていただきました先行排水と田んぼダムについて改めてお聞きします。

 農業利水学が御専門の新潟大学吉川夏樹教授は、筑後川の下流の先行排水と上流の田んぼダムをうまく組み合わせると相乗効果を生むと評価されています。実際に、熊本県では昨年二百九十六ヘクタールで実証実験を開始し、福岡県内でも朝倉市で一部導入され、宗像市、小郡市、筑後市、大木町でも検討を始めているということでございます。しかし、一方で、一時的に水没する稲作への影響や、あぜなどの崩壊を心配する声もあると聞いております。

 そこで、国としては、この先行排水と田んぼダム、これを是非進めていただきたいと私は思っておりますが、この取組について今後どのように進めていかれるのか、お聞きいたします。

川合政府参考人 クリークの先行排水や田んぼダムの取組は、農林水産省を始め地方自治体の農林部局が参画した流域治水協議会において策定された、流域治水プロジェクトに位置づけをされております。

 委員御指摘の田んぼダムの取組は、水田が貯留できる水深の範囲内で水田の水位をコントロールして、水田に降った雨の流出を抑制することで下流域の浸水被害リスクを低減するものであります。また、その取組が原因で稲作等への被害が生じるというものではございません。

 田んぼダムの取組に関しましては、令和三年度から多面的機能支払交付金に加算措置を追加するとともに、令和四年度予算において畦畔補強等に係る経費の定額補助について措置しています。また、クリークの先行排水に関しましても、令和四年度予算において、かかり増し経費の補助について措置をしております。

 農林水産省といたしましても、引き続き、流域治水の推進に向け、国土交通省や地方自治体と連携をして、地域の取組を支援してまいります。

堤分科員 今、川合部長より、稲作への影響はないと考えていいということで安心いたしました。また、様々な補助も実施していただいているということで、大変力強く思います。

 では、次に、今触れていただきましたけれども、遊水機能について改めてお聞きします。

 同じ地域でも、古くからある集落は比較的大雨の被害が少なく、新興住宅地に被害が集中しやすいというふうに言われています。原因の一つには、土地開発が進んで住宅や商業施設が建てられた結果、洪水時の河川の流水を一時的に氾濫させる遊水地が失われてしまったことがあるのではという指摘がございます。

 そこで、国として遊水機能を今後どのように保全そして整備されていくのか、お聞かせください。

井上政府参考人 河川沿いの低い土地や霞堤周辺の土地など、洪水や雨水を一時的に貯留する機能を有する土地を保全、整備していくことは、災害を未然に防ぐために大変有効です。

 このため、まずは、防災・減災のための土地利用を促進する観点から、浸水頻度を示した水害リスクマップを整備し、その土地の特徴について住民の理解を得ることが必要だと考えております。

 その上で、遊水機能を有する土地については、貯留機能保全区域に指定し、開発行為を制限するなど貯留機能の保全を図るほか、河川管理者が用地を買収し、遊水地として計画的に洪水調節を図るなど、流域全体で遊水機能の保全や整備に取り組んでまいります。

堤分科員 ありがとうございます。水害リスクマップですとか、開発行為を停止するといったようなこともあるということでした。

 私の本当に限られた経験でございますが、スウェーデンに半年ほど滞在していたんですが、一戸建ての住宅地に、ほとんどの家が雨どいからタンクにためて、それを、普通は水をやったりとか、そういったように。小さな取組ですけれども、それをほとんどの一戸建ての家が備えれば、かなり違ってくるのではないか。そういう小さな取組ですが、そういったことも是非お願いしたいと思います。

 次に、筑後川水系の流域治水プロジェクトについてです。

 流域治水プロジェクトは、令和元年東日本台風で戦後最大を超える洪水により甚大な被害が発生したことを踏まえまして、国が管理する一級水系全てで策定されました。

 私の地元の筑後川は一級水系の一つでございます。広大な低平地である筑紫平野を有し、河川沿いには人口や資産が集中しており、一旦洪水が起きますと大きな被害が発生してしまいます。このような流域の特性を踏まえ、昨年三月、国は筑後川水系流域治水プロジェクトを策定していただきました。

 具体的な対策として、一般的な治水対策である河道掘削、先ほどからお話がありましたように、そういった様々な、クリークですとか流域全体に多数存在するため池の有効活用などの対策が盛り込まれていることが特徴であると聞いております。

 そこで、この筑後川水系流域治水プロジェクトにつきまして、短期、中期、中長期計画の三段階に分けて進めていくということでございますが、それぞれ具体的に、何年までにどのような事業を行うのか、目標年度と内容についてお聞きします。あわせて、現時点の進捗状況についてもお聞きします。よろしくお願いします。

井上政府参考人 流域のあらゆる関係者が協働して治水対策に取り組むため、筑後川水系流域治水プロジェクトを令和三年三月末に取りまとめました。

 まずは、短期の対策として、久留米市街地の内水氾濫対策を、令和七年度の完了を目途に、国、県、市の関係者が連携し取り組んでおります。久留米市は大学の運動場に貯留施設を整備するなど流出を抑制し、福岡県は浸水を軽減するようできるだけ河川で流下させる改修を行い、国はその水を筑後川に排水するポンプ場を増強する等の対応を図っているところです。また、ため池や水路の先行排水や、利水ダム等による事前放流など、既存施設の有効活用を実施します。

 また、水害に強いまちづくりを進めるため、水害リスクが高い地域における土地利用や住まい方の工夫、田んぼダム、森林の整備を進めつつ、中期対策として、おおむね十から十五年後の完成を目途として、筑後川中流部や、度々氾濫が発生している筑後川支川の城原川や巨瀬川等について河川改修を実施し、併せて久留米市や佐賀市などにおいて雨水幹線や貯留施設の整備にも取り組むなど、治水安全度の更なる向上を図ります。

 さらに、中長期の対策として、中期までに対応ができていない河川、森林の整備やまちづくりに取り組んでまいります。

堤分科員 ありがとうございます。

 時間がなくなってきましたので、今、二級水系の流域治水も行っておりまして、そこに住民代表を入れていただくべきだというふうに考えますが、国の考えをお聞かせください。

井上政府参考人 流域治水は、あらゆる関係者が協働してハード、ソフトの治水対策に取り組むものであり、住民の皆様にも雨水の貯留や避難対策などに主体的に取り組んでいただくことが重要です。

 このため、協議会には、国、都道府県、市町村等に加え、地域の防災活動を主導されている方などにも参画していただくことを考えております。

 このほかにも、地域の安全確保の実現に向け、例えば地区ごとのワークショップを開催するなど、地域の実情に応じて対応していくこととしております。

堤分科員 最後に、筑前町、東峰村を含む朝倉地域全体の復興について、国としてどのようなビジョンの下にどのような計画で進めていくのか、国土交通大臣にお聞きします。

斉藤国務大臣 平成二十九年の九州北部豪雨で大規模な被害を受けた朝倉市や東峰村においては、平成三十年に復興計画を策定し、復興を進めています。

 例えば、朝倉市では、安心して暮らせる住環境の整備、コミュニティーの維持、再生、地域防災力の向上などの具体的な施策について、平成二十九年からおおむね十年間で進めていくことになっています。

 国土交通省では、これまで、復興の土台となる河川、道路等のインフラの災害復旧事業を進めてまいりました。また、災害公営住宅の整備や宅地かさ上げ等、被災者が安心して暮らせる住まいの確保に向けた支援を行ってまいりました。

 引き続き、復旧に係る事業を早期に完成させるとともに、今後は、コミュニティーの維持、再生や、地域の産業経済の振興など、本格的な復興の段階に進めていく必要がございます。

 このため、被災地からの復興計画に沿った要望を踏まえ、関係省庁と連携しながら、早期の復興を全力で支援してまいります。

 最初の質問で、いわゆる原形復旧については今年度で完成する、いよいよ次は復興の段階ということで、全力で取り組んでいきたいと思っております。

堤分科員 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

今村主査代理 これにて堤かなめ君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川直季君。

古川(直)分科員 自由民主党の古川直季でございます。

 本日は、貴重な質問の機会をいただき、ありがとうございました。

 私、二〇二一年、昨年の秋の衆議院選挙で初めて当選をさせていただきました。それまでは、二十六歳のときから横浜市会議員を二十六年間、長く務めさせていただいたものでございます。

 そういうことから、本日は、横浜市と国との関連する事業について主にお伺いさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、今国会に提出されました、令和九年に開催される国際園芸博覧会の準備及び運営のための必要な特別措置に関する法律案、いわゆる国際園芸博覧会に関する特措法についてお聞きします。

 二〇二七年に横浜で開催予定の国際園芸博覧会は、A1クラスという最も大規模な園芸博であり、この機会に御紹介させていただきますと、一九四八年にオランダのハーグに設立された国際園芸協会、AIPHと、一九二八年にフランスのパリに設立された博覧会国際事務局、BIEの両機関が認定する博覧会で、一九六〇年にオランダのロッテルダムで初めての国際園芸博覧会が開催されました。ロッテルダムといえばチューリップで有名なわけですが、国際的な園芸生産の活性化や園芸技術の向上を目指してヨーロッパにおいて定期的に開催され、アジアでは、一九九〇年に大阪で開催された国際花と緑の博覧会、花博が最初でした。

 現在、二〇二七年の開催を予定している横浜での国際園芸博覧会は、A1クラスの大規模のものとしては大阪以来となります。

 私も横浜市会議員時代に当然この開催を後押ししてきたわけでありますが、ここで改めて、国の立場から招致をどのように決定したのか、その経緯をお伺いいたします。

宇野政府参考人 お答えいたします。

 博覧会の会場は、二〇一五年に米軍から返還された旧上瀬谷通信施設の一部を予定しており、当該地区は約七十年間にわたり土地利用が制限されていたため、都市部における貴重な自然環境も残されています。

 横浜市では、二〇〇四年に旧上瀬谷通信施設の返還の方針が合意されて以降、翌二〇〇五年には有識者等から構成される検討委員会を設置し、返還地の利用構想の検討に着手する等、長年にわたり地権者の方々と将来のまちづくりに向けた検討を進め、自然も生かした郊外部の活性化拠点の形成を目指しています。

 博覧会は、こうした将来のまちづくりの促進策等として、横浜市により招致が進められ、二〇一八年に横浜市から国に対して開催に向けた協力要請がなされたものであります。

 国土交通省及び農林水産省では、二〇一九年度及び二〇二〇年度に、有識者等で構成される検討会を実施し、国としての開催意義等について取りまとめたところです。

 こうした経緯を踏まえ、昨年六月に閣議了解を行い、政府として本博覧会の開催準備を進めているところでございます。

古川(直)分科員 どうもありがとうございました。

 本当に長い期間をかけて慎重に検討されてきた結果が、今回、横浜の地で国際園芸博覧会の開催を目指すことになったのだなと、改めてよく分かりました。関係者の皆様の御尽力に心より感謝申し上げたいと思います。

 さて、次に、現在想定されている国際園芸博覧会の概要についてお聞きいたします。

 令和三年六月二十二日の閣議了解によりますと、本国際園芸博覧会の目的については、「気候変動等の世界的な環境変化を踏まえ、我が国が培ってきた自然との関係性の中で、自然環境が持つ多様な機能を暮らしにいかす知恵や文化について、その価値を再評価し、持続可能な社会の形成に活用するとともに、国際的な園芸文化の普及、花と緑があふれ農が身近にある豊かな暮らしの実現、多様な主体の参画等により幸福感が深まる社会を創造すること」とうたっています。

 この目的は、まさに本国際園芸博覧会が目指すものを凝縮しており、世界に対しても自信を持って発信できる内容であると考えます。

 今、私たちは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を経験し、その中で、改めて、自然と触れ合うことの喜びや楽しさ、人と人とのつながりの大切さを再認識したのではないでしょうか。身近にある緑の重要性が高まっている現在、国際園芸博覧会は、花や緑、農が身近にある幸せの暮らしの姿を示すことで、私たちのライフスタイルを、緑や自然環境をこれまで以上に尊重するものへと変革していく契機にもなります。

 こういった博覧会を開催する目的やその意味をできるだけ多くの国や地域が共有し、本国際園芸博覧会にも参加、出展されることを期待するものであります。

 博覧会国際事務局、BIEへの申請がいよいよ来年度にも予定されていることと思いますが、現在、本国際園芸博覧会では具体的にどのような計画が検討されているのか、その概要をお伺いいたします。

宇野政府参考人 先生の御発言にありましたとおり、二〇二七年国際園芸博覧会は、最上位の、A1クラスの国際園芸博覧会として開催するものでございます。

 本博覧会の計画についてでありますが、参加者数見込みはオンライン参加等も含めて一千五百万人を目標とし、区域面積は駐車場等を含めて約百ヘクタール、開催期間は桜を始めとして花が見頃になる三月から九月の約半年間としております。

 展示や行催事につきましては、本博覧会のテーマが「幸せを創る明日の風景」であることを踏まえ、自然が持つ多様な機能を活用した持続可能なまちづくりへの提案、我が国が誇る花卉園芸文化の国際社会への発信等、花や緑と関わりのある展示や行催事の実施を計画しております。

 また、本博覧会の開催に向けた会場整備等の準備については、関係地方公共団体や経済界の取組と併せて、国として連携して進めてまいります。

古川(直)分科員 ありがとうございます。

 このようにお聞きすると、改めて大変楽しみになってまいります。引き続き、更に具体化し、今後よいアイデアが生まれてくる場合には柔軟に採用するなど、よりよい国際園芸博覧会になるよう御尽力をお願い申し上げます。

 横浜という地は、開港以来、新しい考えや文化などを積極的に取り入れてきた気風があります。SDGsについても、横浜市は自治体としては全国でいち早く取り入れ、推進をしてきた経緯もあります。

 二〇二七年という年は、SDGs目標年でもある二〇三〇年の三年前です。カーボンニュートラルにおいても、CO2排出量削減目標を二〇一三年度比四六%減にすると定めた二〇三〇年の三年前でもあります。このようなタイミングで国際園芸博覧会を横浜で開催することによって、国内に対しても、また世界に対しても、SDGsやカーボンニュートラルの目標達成を促すことができれば、こんなにすばらしいことはありません。

 本国際園芸博覧会は、元々は、先ほど答弁いただきましたように、旧上瀬谷通信施設という基地跡地の全域返還から、その地の有効利用を検討する中で、日本が、横浜が、世界や国内そして地元に対して最も価値を生み出す計画として推進しているものと認識しております。

 政府として、二〇二七年に横浜の地で国際園芸博覧会を開催することが、世界や国内、地元に対してそれぞれどのような意義があるとお考えか、お伺いさせていただきたいと思います。

渡辺副大臣 二〇二七年国際園芸博覧会の開催には、多様な意義があるものと考えております。

 まず、国際的には、世界各国からの参加を得て、花、緑、農業に関連した産業を発展させる最新技術を共有することなどにより、SDGsの達成やグリーン社会の実現を推進すること。また、米軍から返還された旧上瀬谷通信施設における博覧会として、友好平和のメッセージを国内外に発信すること。国内的には、博覧会と花の名所や庭園を始めとする観光資源の全国的な連携により、観光振興を図ること。そして、地域としては、国際都市横浜の魅力の世界への発信、そして、地域経済の活性化や都市ブランドの向上等の意義が挙げられると考えております。

 国際園芸博覧会の開催に向けては、関係地方公共団体や経済界の取組と併せ、国も連携して、万全の準備が行われるよう、しっかりと取り組んでまいります。

古川(直)分科員 渡辺副大臣、今日もバッジもつけていただきまして、力強いまた御答弁もいただきまして、ありがとうございました。是非よろしくお願い申し上げます。

 次に、国際園芸博覧会とも非常に親和性のある国産木材の利用促進と、中高層木造建築の推進について伺います。

 横浜国際園芸博覧会では、環境とともに生きる知恵、行動を世界に伝播、SDGs達成に貢献し、その先の社会も見据えた日本モデルの提示をうたっています。日本モデルといえば、やはり、日本は国土の六七%を豊かな森林に覆われ、木の文化を育んできたことに思いをはせなければなりません。

 皆様も御存じのとおり、法隆寺は、現存する世界最古の木造建築であり、約千三百年以上前の木材がいまだに使用され、世界に誇る文化財となっております。現代建築では、昨年夏の東京オリンピック・パラリンピックの舞台となった新国立競技場は木をふんだんに使用しております。また、横浜でも、ある民間企業が純木造の十一階建てのビルを建築中で、間もなく完成する予定です。

 私も、横浜市会議員のときには、子供たちに木のぬくもりのある校舎で学んでほしいと願いまして、本当、何十年ぶりかに、横浜でも、木の、木造校舎を地元の小学校で、万騎が原小学校というんですけれども、建てることに決定をいたしました。

 しかしながら、日本はこれだけ豊かな木の文化の歴史を持つにもかかわらず、木は切らずに保護すべきという意識が強く、ある民間企業の国際意識調査によると、木材を利用することについてのイメージにおいては、日本はポジティブな回答が最も低かったそうです。

 私は、脱炭素社会やSDGsの達成、安心、安全な国土保全、我が国の資源を活用した成長戦略、そして子供たちの豊かな心を育む点でも、国会議員として、是非とも、国産木材の利用拡大と、その結果として、将来世代につなげられる森林の更新に取り組んでまいりたいと考えております。

 そこで、まず林野庁に伺います。

 昨年十月の公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の改正では、脱炭素社会の実現を位置づけ、木材利用促進の対象を公共建築物から一般建築物へ拡大しました。また、中高層の木造建築を可能とする耐火性の強い木質耐火部材を民間企業が開発する際に最大一〇〇%の助成を行ったり、令和四年度予算案でも、建築用木材供給、利用強化対策を大幅に拡充されているようであります。

 私は、国産木材の利用をより一層拡大させるためには、中高層建築物の木造化促進に向けた新たな技術開発を始め、一戸建て住宅など低層建築物の国産材使用率向上に向けた取組を促進すべきだと考えておりますが、まず、この点についての林野庁の見解を伺います。

 また、近年、先ほど申し上げましたように、法改正や予算の拡充が行われているようですが、林野庁の木材利活用の拡充への現在の取組と今後の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

森政府参考人 国産木材の利用促進についてお尋ねをいただきました。

 林野庁におきましては、昨年十月に施行されました改正木材利用促進法に基づく政府の基本方針を踏まえまして、建築物への木材利用の促進や、木材利用の意義を普及する木づかい運動の展開などに取り組んでいるところでございます。

 建築物への木材利用の促進につきましては、住宅などにおいて国産材の利用率が低いはりや桁、また、ツーバイフォー部材などの技術開発、特に中高層建築物の木造化に向けた技術開発といたしましては、新たな木造耐火部材、構造等の実用化に向けた性能試験、検証等への定額による支援、また、CLTに関する基準強度の設定に必要なデータの収集や建築の実証、こういったことに取り組んでまいってございます。

 今後とも、強度や耐火性に優れた建築用木材や木造建築物の設計、施工に関する技術の開発普及に一層努めてまいることとしておりまして、令和三年度補正予算、また令和四年度当初予算案におきましても必要な予算を手当てをしてございます。

 引き続き、国土交通省など関係省庁と緊密に連携を図りながら、中高層建築物も含めた建築物への木材利用の促進に取り組んでまいります。

古川(直)分科員 ありがとうございました。

 次に、国交省に伺います。

 今お聞きのとおり、林野庁からは意気込みを語っていただいたわけでありますが、いざ木造建築物となると、建築基準法などを所管する国交省の対応が非常に重要でございます。国交省でも、二〇五〇年カーボンニュートラルに向け、住宅、建築物への木材の利用の促進を図る方針であると承知しております。問題は、具体的にどのように木材利用の促進を図るかだと思います。

 私が様々な有識者や民間企業の方から伺ったところによりますと、木造建築に対する規制緩和は近年で急速に進んでおり、法制度的な面での使い勝手は大分よくなっているようでございます。この点については、これまでの皆様の御努力に敬意を表したいと思います。

 ただ、ボトルネックになっているのは、多くの設計者、施工者はこれまで木造建築に接する機会が少なく、知見が蓄積されていないことにあると認識しております。鉄筋コンクリート造や鉄骨造建築物と木造建築物では、建物の基本設計や構造計算等が全く異なる中で、法令の規制緩和が進んでも、担い手の技能が伴わなければ木材利用は広がりません。大学の建築学科でも鉄筋コンクリート造や鉄骨造が教育の中心で、既存の設計者、施工者に対しても木造建築に関する技術情報が十分共有されておらず、人材育成が進んでいないために、一部の大手事業者しか中高層の木造建築を実施できないのが実態です。

 こういった課題も踏まえ、中高層の木造建築に対する国交省の取組の現状と、今後の設計、施工関係者における木造知見の向上に対する取組方針を伺います。

渡辺副大臣 我が国の森林資源が本格的な利用期を迎える中、また、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、木材利用の促進は重要な課題であります。特に、これまで建築の実績が少ない中高層の木造建築物の拡大を図ることが必要と認識をしております。

 このため、国土交通省では、中高層の木造建築物に関し、建築基準法に基づく防火関連基準の合理化を推進するとともに、民間における先導性の高い木造建築物プロジェクトに対する支援などを行っているところでございます。

 先ほど先生御指摘の横浜の十一階建てのプロジェクトについても、この制度を通じて支援を行っております。

 さらに、令和四年度予算案においては、普及拡大の段階に入った木造化技術を活用したプロジェクトに対する支援措置の創設を盛り込んでおります。

 また、木造建築物の設計、施工の担い手の育成に対しても支援を行っており、設計者や工務店等を対象とした講習会の開催、中高層の木造建築に関する技術情報などを集約した設計者向けのポータルサイトの整備などについて、令和四年度予算案においても所要額を計上し、引き続き取り組んでいくこととしております。

 今後とも、林野庁など関係省庁と連携を図りつつ、中高層建築物における国産材を含めた木材利用の促進に積極的に取り組んでまいります。

古川(直)分科員 渡辺副大臣、御丁寧な御答弁ありがとうございました。引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、鶴ケ峰駅付近連続立体交差事業について伺います。

 国交省は、課題があるために緊急に対策の検討が必要な踏切道を対象に、踏切道安全通行カルテをまとめています。踏切の課題は様々でありまして、自動車交通を遮断しているもの、歩行者交通を遮断しているもの、歩道が狭隘なものなどがあり、全国でその数は千三百三十六か所にも上るそうです。

 その中には、開かずの踏切も含まれます。開かずの踏切は、ピーク時の遮断時間が一時間当たり四十分以上ある踏切を指しますが、まだ日本全国に五百三十九か所もあるそうです。開かずの踏切によって、車も人も大渋滞を起こしてしまうなどの多くの問題が生じております。

 私の地元の横浜市旭区を横断している相模鉄道では、鶴ケ峰駅の周辺にある十か所の踏切のうち、開かずの踏切が九か所もございます。地域の慢性的な渋滞だけでなく、消防や救急搬送などの緊急時の活動を阻害していることが大変大きな問題であります。

 現在、横浜市と鉄道事業者が、連続立体交差事業により十か所の踏切を一気に解消すべく検討を進めており、本年一月二十五日には都市計画決定がなされました。一方で、連続立体交差事業は非常に多くの事業費が必要であるため、早期の事業化及び円滑な事業推進のためには国の支援が必要不可欠です。

 そこで、まずは事業の進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。

宇野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の相模鉄道鶴ケ峰駅付近の連続立体交差事業につきましては、現在、横浜市において、西谷駅から二俣川駅の間の約二・八キロの区間で連続立体交差事業を計画しており、先月、都市計画決定がされたと伺っております。今後は、都市計画事業認可に向けた手続を経て、令和四年度中に工事に着手する予定と伺っております。

古川(直)分科員 ありがとうございました。

 先ほど申し上げたとおり、消防や救急などの活動を阻害していることから、地元の方々からも、早期に工事着手、そして踏切の除却を期待する声が多くあります。これはもう、一日でも早く事業実施をされることを私どもも切望しているのが正直な思いでございます。

 そこで、本連続立体交差事業の推進に向けて、国土交通省としての見解、これは決意をお伺いできればと思います。

渡辺副大臣 先生御指摘の相模鉄道本線鶴ケ峰駅付近における踏切問題は、極めて重要な課題であります。国といたしましても、連続立体交差事業による早期の抜本的な改善が必要と考えております。

 そこで、国土交通省としては、鶴ケ峰駅付近連続立体交差事業について、平成三十年度に着工準備採択を行いました。現在、横浜市が実施している連続立体交差事業に向けた調査、設計等に対して支援を行っているところであります。

 国土交通省といたしましても、鶴ケ峰駅付近の課題をしっかり受け止め、横浜市の事業の進捗状況に応じて、可能な限り支援してまいりたいと思います。

古川(直)分科員 渡辺副大臣、力強い御答弁、誠にありがとうございます。是非とも、この件に関してもよろしくお願い申し上げます。

 次に、神奈川東部方面線整備事業について伺います。

 神奈川東部方面線整備事業は、平成十七年に成立した都市鉄道等利便増進法に基づいて、相鉄・JR直通線及び相鉄・東急直通線の二つの連絡線を整備するものです。

 このうち、相鉄・JR直通線は令和元年十一月に開業し、東京都心と直通運転で結ばれたことにより、東京と神奈川の経済成長も含め、地域住民の皆さんからも大変便利になったとの声を聞いております。

 一方で、相鉄・東急直通線は、当初は平成三十一年の開業予定でありましたが、先日、整備主体である鉄道・運輸機構、営業主体である相模鉄道、東急電鉄の三者連名により、令和五年三月に開業を予定していることが発表されました。

 想定より地質が軟弱で、補助工法などの地盤対策に時間を要していることは私も承知しておりますが、地域の方々からの期待の声が引き続き大きいことに加え、先ほども御質問させていただきましたが、二〇二七年の国際園芸博覧会に来場される方々のアクセス手段の一つとなることも期待されます。

 国交省としては、神奈川県、横浜市と協調して事業費を補助し、本事業の推進を図ってきたことと思いますが、ここで是非とも来年三月の開業に向けた現在の進捗と今後の決意をお聞かせいただきたいと思います。

渡辺副大臣 相鉄・東急直通線につきましては、この相互乗り入れにより、広域ネットワークの形成や、新幹線の乗換駅であります新横浜駅へのアクセス向上が図られる事業であると考えております。

 国土交通省としては、本事業に対して補助を行っており、来年度予算案におきましても所要額を盛り込んだところでございます。

 加えて、国土交通省、地元自治体、整備主体である鉄道・運輸機構、営業主体である相模鉄道と東急電鉄が一体となって、工程と事業費の管理を定期的に行っております。

 国土交通省としては、令和五年三月の開業に向け、引き続き、関係者と連携して、必要な協力を行ってまいりたいと考えています。

古川(直)分科員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

 もう一点、これは要望だけにとどめさせていただきますが、地域住民からも期待の高い横浜環状鉄道の計画がございます。横浜環状鉄道は、横浜市内の主要地域間相互のアクセス利便性の向上を期待して、横浜の鶴見と元町・中華街を結ぶ環状の鉄道を整備しようとするものでございます。

 総事業費は概算で七千七百億円程度で、事業性の確保に課題があるとの指摘もありますが、二〇一五年には七万二千六百八十三人の地域住民の皆様が実現に向けての署名を提出されております。七万人という重みを受け止めていただき、是非とも横浜環状鉄道の推進についても前向きに検討をお願いしたいと思います。

 最後に、横浜港におけるカーボンニュートラルポートの整備についてお聞きいたします。

 横浜港は、言わずと知れた開港の地であり、国際コンテナ戦略港湾として日本最先端の機能と国内有数の貨物取扱量を誇っています。国際コンテナ戦略港湾としての機能に加えて、カーボンニュートラルポートとして、新たに脱炭素と二〇五〇年カーボンニュートラル実現のために大きな役割を担うこととなっています。

 そもそも、菅前総理が二〇二〇年秋に二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言したのは、二〇一五年に締結されたパリ協定において、世界の平均気温を産業革命前と比べて一・五度以内の上昇に抑えないと、異常気象等の更なる増加、植生の変化などで経済コストが激増することに加え、私たちの暮らしの安全が大きく脅かされることが確実視されており、二〇五〇年カーボンニュートラルの目標が欧米先進国を始めとした世界共通の目標になっているためでもあります。

 横浜市でも、何としても二〇五〇年カーボンニュートラルを実現しようということで、これは全市を挙げて取り組んでいます。そのためには、まずはこの横浜港、川崎港とその周辺で排出される二酸化炭素量を正確に把握するとともに、減少幅を着実に積み上げる地道かつ大胆な取組が不可欠であります。

 そこで、カーボンニュートラルポートの整備に向けた国交省としての決意をお伺いしたいと思います。

 特にこの大きな課題だと指摘されておりますのが、停泊中の船舶からのCO2の排出です。停泊中の船舶は、船内の電気エネルギーを確実に確保するためにディーゼルエンジンを常時稼働させており、港湾におけるCO2排出量の大半を占めております。停泊中の船舶のアイドリングをやめるために、陸上電力供給設備の導入を促進し、割高となる電力料金の負担を支援する必要があるとの指摘もあります。

 この点は今後も非常に重要な課題になるかと思いますので、これも、現段階での国交省の取組方針を併せてお聞かせいただければと思います。

渡辺副大臣 港湾は、輸出入貨物の九九・六%が経由する国際サプライチェーンの拠点であるのみならず、我が国のCO2排出量の約六割を占める発電所、製鉄、化学工業等の多くが立地するエネルギーの一大消費拠点であります。すなわち、港湾は、今後、水素、アンモニア等の輸入拠点としての機能を果たすとともに、これらを活用したCO2削減余地の大きい地域とも言えると思います。

 このため、国土交通省では、港湾において、水素、燃料アンモニア等の大量かつ安定、安価な輸入や貯蔵等を可能とする受入れ環境の整備、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、集積する臨海部産業との連携等を通じて、カーボンニュートラルポート、CNPを形成し、我が国の脱炭素化社会の実現に貢献することとしております。

 今後は、各港湾におきましてCNP形成計画を策定するとともに、国土交通省、各港湾管理者、民間事業者等が連携しつつ、この計画に基づく様々な取組を促進してまいります。

 また、CNPの取組のうち、先生御指摘ございました船舶への陸上からの電力供給については、今後、港湾管理者や利用者と連携しつつ、積極的な導入促進に向けて、ランニングコストの低減等の対応策等を、利用者のお話を伺いながら検討してまいります。

 いずれにいたしましても、港湾におけるカーボンニュートラル達成に向けた取組が、我が国全体の脱炭素社会の実現に重要な役割を果たすとの認識の下、CNPの形成を着実に推進してまいります。

古川(直)分科員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

今村主査代理 これにて古川直季君の質疑は終了いたしました。

 次に、おおつき紅葉君。

おおつき分科員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 本日は、予算委員会の分科会審議において、初めて国交省所管に係る質問の機会をいただきまして、斉藤大臣を始めとする国交省の皆様、よろしくお願いいたします。

 私は、北海道小樽市出身の新人議員でございまして、総務委員会と地方創生特別委員会に所属しておりますが、現在、日本は、人口減少、少子高齢化という大きな人口問題に直面しておりまして、特に地方では、若者が都市部に流出し、将来の地域の担い手不足が深刻な課題となっております。

 斉藤大臣におかれましても、私と同じ、地方、島根県の御出身ですので、是非とも、人口減少社会の中でも地方が再びにぎわいを取り戻して元気になる施策をお願いしたいと思っております。

 それでは、まず、豪雪対策について質問いたします。

 私の地元である北海道の小樽・後志は、冬は非常に多くの雪が降ります。また、都市部である札幌市も、記録的な大雪となった先週二月七日、八日の連日、JR北海道は、除雪作業のため、札幌圏の全ての電車を終日運休としました。運行中に降雪が激しくなり停車し、そのまま雪に埋もれた留置車両が続出しました。その車両周辺は、切替えのポイント部分を中心として、手作業で除雪した上で一編成ずつ移動することになったため、時間がかかったということです。

 また、事前の予報では、六日の夜までの降雪量は五センチから十五センチとされていたため、JR北海道は間引き運転で対応可能と判断したそうです。しかし、実際には、二十四時間の降雪量が六十センチにも達したため、多数の列車が立ち往生し、機械による除雪が部分的には行えず、除雪作業の遅れにつながったということでした。そして、最終的には約二千人体制で除雪に当たったとも伺っております。

 そこで伺いますが、事前に降雪が激しくなることは予測できなかったのでしょうか。済みません、続けてもう一つ質問させていただきます。二つ一遍にさせていただきます。また、間引き運転や計画運休などの対応は十分だったのでしょうか。

 また、除雪作業の迅速化のため、国が手助けはできなかったのか。また、今後同じような事態が起こることを防ぐため、国としてはどのような対応を取り得るのか。御答弁をお願いいたします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の大雪でございますけれども、石狩湾で発達した雪雲によって、札幌市付近で局地的に記録的な大雪となりました。このような局地的な大雪を事前に予測することは非常に困難でございます。

 気象庁では、今回の大雪への対応といたしまして、二月五日の十五時四十三分に大雪注意報を発表いたしましたが、雪が弱まってきたことを受けまして、翌日六日の四時二十八分には注意報を解除いたしました。

 しかし、その後、降雪が再び強まってまいりましたことから、六日の七時三十一分に再度大雪注意報を発表し、さらに、札幌市を含む地域に継続的に雪雲の接近が見込まれたということで、六日の十時六分には大雪警報を発表し、その後、降雪がピークを迎えたというところでございます。

 今回の事案につきまして、気象庁では、関係機関とも連携をいたしまして検証を行うとともに、引き続き、気象予測精度の向上に努めてまいりたいと思います。そうした取組を通じて、大雪による災害の防止、軽減に努めてまいります。

上原政府参考人 お答えいたします。

 今般の北海道における大雪により、札幌都市圏を含め、複数の路線が長期にわたり運休となり、多くの利用者に御迷惑をおかけする事態となりました。

 このような事態となった原因として、JR北海道からは、短時間での大雪により車両基地に待避できず、二十九列車が駅に留置した状況となったこと、これらの車両を移動させるためには手作業での除雪作業を行わざるを得なかったこと、さらに、車両の床下の機器に付着した雪の除去に時間を要したことなどの報告を受けております。

 いずれにいたしましても、公共交通機関としての安定輸送を確保する観点から、今般のJR北海道の対応についてしっかりと検証する必要がございます。

 このため、十四日も、北海道運輸局長からJR北海道社長に対して、改めて、今回の事態を多方面から徹底的に検証し、再発防止策を検討して報告するよう指示したところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後、JR北海道の検証結果を踏まえて必要な対策を促進するとともに、その結果を他の鉄道事業者にも展開いたしまして、大雪時における同様の事態の再発防止に努めてまいります。

おおつき分科員 ありがとうございます。

 まさに、地域の人々が天気予報を見てその日の行動を判断される中で、やはり気象庁の皆さん、大変苦しい立場だとは思いますが、外れれば批判にさらされるんですよ。でも、気象庁の予算というのは実は今六百億円前後となっておりまして、是非、斉藤大臣におかれましては予算の増額の配慮をよろしくお願いいたします。

 続きまして、先ほど我が党の荒井議員から今年の北海道の雪の現状について紹介がありましたが、この冬の北海道の大雪は、道路の除排雪も大きな課題となっております。除雪後に道路脇に寄せられた雪で道路の幅が狭くなって、路線バスの多くが運休となったほか、福祉事業者が高齢者の自宅の前まで車で行けない、また、ごみ収集も中止されるなど、地域の皆様は大変な不便を強いられました。

 気候変動の影響もあり、今回の豪雪のように、予測が難しく、経験則からも想定できない降雪は、今後も各地で起こり得ると考えられます。豪雪地帯における除排雪の体制の強化、地方自治体への財政支援の強化は喫緊の課題であります。

 私たち立憲民主党は、豪雪地帯が、人口減少、高齢化の進展、そして気候変動による異常降雪、除排雪中の事故の増加、財源の不安定性等の諸問題によって困難な事態に直面していることを踏まえ、豪雪地帯対策特別措置法の改正案を今国会に提出いたしました。この法案においては、こうした今日的な課題に対処できるよう、国の財政上の措置の義務化や、地域における除排雪の円滑な実施のための交付金の創設等の措置を講じることとしております。

 そこで、大臣、地域の除排雪を迅速に行い、住民の生活への影響を最小限にするためにも、このような交付金を法定化して、制度として常に十分な額を確保することは必須と考えますが、政府の考えをお願いいたします。

斉藤国務大臣 先ほども北海道の雪が話題になりまして、その雪の被害については各地いろいろな特徴があるという話も伺ったところでございます。

 今回、我々、令和三年度補正予算において、新規に、豪雪地帯安全確保緊急対策交付金という制度を新たに創設いたしました。

 この新たな交付金は、豪雪地帯においては過疎化、高齢化の進展等を背景として、高齢者を中心に屋根の雪下ろし等の除排雪作業中における死傷事故が多発しているという今回の豪雪の特徴に鑑みまして、本交付金は、除排雪作業時等における死傷事故の防止のため、将来を見据えた戦略的な方針の策定と、担い手の育成など持続可能な除排雪体制の整備等に取り組む自治体を支援するという形のものでございます。

 交付金による支援の対象は、主に高齢者等の住宅からの除排雪を想定していますが、運用するに当たっては、地方公共団体の声を丁寧にお聞きしながら、今回の交付金ができるだけ効果的に活用されるよう取り組んでいきたいと思います。

 先ほどの話もございましたが、各地域の特徴に応じた使い方ということも今後考えていかなくてはいけないと思っております。

おおつき分科員 ありがとうございます。十分な措置を是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、私の地元北海道小樽市は、戦前にはニシン漁の一大拠点として港を中心に繁栄しました。現在は、その時期に造られた近代的な建物や倉庫、運河が今なおそのままの姿で残っており、町全体がノスタルジックな雰囲気に包まれた観光地でもあります。一昨年には三十一万人が訪れた冬の小樽の一大イベントでもある小樽雪あかりの路が、オミクロン株の急激な感染拡大を受け、今年は、ろうそくを配付して自宅の前などでそれぞれが明かりをともしてもらう、そのようなこととなりました。

 地元で話を聞きますと、経営が厳しい観光関連産業にとって、現在の事業復活支援金などの施策は大変ありがたい制度であるとの声もいただきます。

 しかし、現在、GoToトラベル事業の再開時期が見通せない現状においてこそ、観光庁として代わりとなる支援策を何か打ち出すべきではないかと考えますが、見解をお願いいたします。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 年明けからのオミクロン株の急激な感染拡大等によりまして、観光関連事業者は大変厳しい状況にありますが、この先も地域活性化の重要な担い手でございます。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化、深刻化している中で、観光関連事業者の皆様をしっかり支援していく必要があると考えております。

 このため、政府といたしましては、昨年十一月に公表された新たな経済対策におきまして、雇用調整助成金の特例措置や実質無利子無担保融資の延長を盛り込んだほか、事業者への直接的な支援として、事業復活支援金を支給することとしております。

 また、新たな経済対策や令和四年度当初予算におきまして、地域一体となった宿や観光地の再生、高付加価値化、また、デジタル技術を活用した宿泊施設による顧客管理の高度化、それから、地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出などの支援を盛り込んでおりまして、観光需要の喚起策のほか、投資喚起、またデジタル化などの視点も含めまして、観光産業を様々な観点から多面的に支援することとしております。

 今後とも、その時々の経済動向等に応じまして、必要な支援を継続的に実施できるよう、適切に対応してまいります。

おおつき分科員 ありがとうございます。

 私の小樽でも、やはり市場というのが多いんですけれども、市場が観光客でにぎわう姿が幼い頃からの記憶でありまして、こうやってGoTo事業などが行われないと寂しいものであります。そういった市場の事業者の方々からも声が上がっておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 さて、この観光産業をめぐっては、我が党は先日、去年の通常国会にも提出しましたが、改めて、観光事業に特化した観光産業事業の持続支援金法案を今国会にも提出しました。この法案は、GoToトラベル事業が停止している間、GoToトラベル事業とは別の財源を使って、観光関連事業者に直接給付を行うことを内容としております。

 そこで、先日、我が党の山井議員も予算委員会で指摘したとおり、オミクロン株拡大という想定されなかった新たな事態に対応するためにも、立憲民主党が提出した法案も含め、観光関連産業に特化した支援の拡充を行う必要があると考えますが、見解を改めてお伺いいたします。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 観光関連事業者に特化した直接給付につきましては、事業復活支援金等の業種横断的な支援制度や、また休業要請を前提とした飲食事業者への協力金との関係をどう整理するか、また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている産業は幅広くございます、そういう中で、観光に関わる産業についても、影響を受けている業種は宿泊や旅行業等に限定されず、記載業種を限定した支援では不公平が生じることが懸念されるといった課題があると認識をしております。

 国土交通省といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、GoToトラベルを始めとした需要喚起策とともに、投資喚起、デジタル化などの観点も含めまして、観光産業をいろいろな観点から多面的に支援をしてまいりたいと考えております。

おおつき分科員 ありがとうございます。

 続いて、運輸産業についてお伺いします。

 さて、国内貨物輸送の九割はトラックにより行われておりまして、トラックドライバーは国民の生活を支える重要なエッセンシャルワーカーと認識しております。しかし、トラックドライバーの平均所定外労働時間は全産業労働者の平均と比較して二倍以上であるにもかかわらず、年間賃金は全産業労働者平均と比較して一割以上低いと言われており、こうした状況を改善していく必要があると考えます。

 まず、労働時間については、平成二十九年、政府の働き方改革実現会議は、働き方改革実行計画を策定し、トラック運送事業において、下請取引の改善等取引条件を適正化する措置、そして、複数のドライバーが輸送行程を分担することで短時間勤務を可能にする生産性向上に向けた措置、待ち時間の削減に対する荷主の協力を確保するために必要な措置、支援策を実施するとしております。

 また、賃金については、政府は、賃上げ税制を導入するなど、企業に対して賃上げを促していることは承知しております。令和二年度の全産業労働者の平均した時間外労働は年間百二十時間であり、運送業労働者の時間外労働は年間二百時間以上も多く、更なる改善が必要と考えております。また、令和二年度の運送業労働者の年間給与額は約四百二十七万円で、全産業労働者平均の年間給与よりも約六十万円も低く、これも改善していく必要があると考えます。

 そこで、政府は、トラックドライバーの長時間労働や賃金についてどのように認識しているのでしょうか。また、今後、こうした状況を改善していくためにどのような施策を講じていくのでしょうか。見解を伺います。

秡川政府参考人 トラックドライバーの労働条件改善は非常に重要な課題だと思っていまして、国土交通省では、例えば、荷待ちの時間を削減するために、輸送品目ごとに課題と対策をまとめたガイドラインというのを調査して策定しまして、それを皆さんに知っていただくということをやったり、あと、荷主の積極的な取組を促すためのホワイト物流の推進運動というのをやったり、あと、適正な運賃を荷主さんから払っていただくための標準的な運賃というのを告示したり、あと、女性の関係でトラガールのプロジェクトというのをやっていまして、女性のドライバーの活躍の推進とか雇用の拡大ということをやったりしております。

 労働時間という面で見ますと、先ほど言及のありました政府の行動計画というのを策定する前、平成二十九年度の平均が二千六百時間ということなんですけれども、令和二年の数字で見ますと二千五百時間ということで、百時間程度の減少というのが数字上見られている。

 あと、賃金については、年間総所得を労働時間で割った時間当たり賃金というので見てみますと、平成二十九年から令和二年、全産業では大体一%の上昇ということなんですが、トラックドライバーについては四%上昇という数字もあります。

 引き続き、トラックドライバーの労働条件改善に取り組んでまいりたいと思っております。

おおつき分科員 ありがとうございます。是非最善を尽くしていただければと思います。

 新型コロナウイルス感染症により、トラック業界やドライバーは非常にダメージを受けております。それは、収益減少というものだけではなく、新型コロナウイルス感染症についてのドライバーに対する差別、偏見、誹謗中傷などであります。また、他県と行き来する長距離ドライバーについては病院での診察を断られるケースもあると聞き及んでおります。

 先月、運輸労連から我が党の泉代表に、新型コロナウイルス感染症等に関するトラック運輸産業からの要請書をいただきました。この中で、業務上必要とされるPCR検査や抗原検査が定期的に行えるような体制をつくるとともに、その費用は、個人負担ではなく国や自治体の負担とするよう、政府への要請をお願いしたいとされており、また、トラックドライバー等のエッセンシャルワーカーについては、医療関係者に準じたワクチンの優先接種がなされるよう、政府への要望をお願いしたいとありました。

 そこで伺いますが、多くのドライバーが感染してしまうと、我が国の物流は止まってしまい、国民生活や経済活動に深刻な影響をもたらすおそれがあります。また、ドライバーへの理由もない偏見を払拭するためにも、トラックドライバーに対するPCR検査や抗原検査を定期的に行う体制の構築や、ワクチンの優先接種をしていく必要があると考えますが、政府の見解をお答えください。

秡川政府参考人 御指摘いただきましたとおり、トラック輸送は国民生活や経済活動を支える重要な社会インフラだと思っていまして、ドライバーさんの感染防止というのは非常に重要な課題だと思っております。

 特にオミクロン株の対応に当たっては、ワクチンの三回目の接種というのが非常に有効だということで、その三回目の接種につきましては、地方自治体による一般的なワクチン接種に加えて、トラック事業者による職域接種を活用したいと思っていまして、積極的にその活用を呼びかけて、強く働きかけを行っているところです。

 この結果、現時点で、トラック関係では全国で約十三万人の方が職域接種を実施するという予定で、二月の二十一日の週以降、順次やっていただくということになっております。

 国土交通省としては、一日も早くワクチンの三回目の接種が進むように、引き続き、厚労省等と連携して対応していきたいというふうに考えております。

おおつき分科員 ありがとうございます。

 PCR検査や抗原検査も非常に重要となっておりますので、是非御検討のほどをよろしくお願いいたします。

 次に、深夜に高速道路を走行され、休憩のためサービスエリア等に立ち寄られたとき、トラックが所狭しと駐車している光景を大臣も目の当たりにしたことがあるんじゃないでしょうか。

 現在、日本の物流の中心であるトラック、特に長距離ドライバー等の輸送安全確保のために、必要な高速道路のサービスエリア、パーキングエリアや主要都市周辺の幹線道路などで、大型トラックやダブル連結トラックなどを始めとするトレーラー等の駐車スペースについて、高速道路各社や道の駅において増設が進められていることについては評価をしております。

 ただ、先ほど申し上げたとおり、いまだ駐車スペースが足りていない状況にあると思います。また、コロナ禍の中、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアや主要道路における休憩、休息施設の確保、シャワー施設の拡充など、トラックドライバーの労働環境の改善も急務であると考えますので、それぞれの対策を促進するために必要な支援措置を講じるべきですが、国交省の見解を伺います。

 あわせて、サービスエリアやパーキングエリアにおける女性ドライバー、先ほどおっしゃったようなトラガールですかね、女性ドライバーへの配慮をした施設の環境整備に資する支援措置も必要と考えますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 私も、そのようなトラックがたくさん駐車している光景をよく目にいたします。

 高速道路の休憩施設は、ドライバーの過労運転による事故の防止や、利用者へのサービス向上の観点から、非常に重要な施設であると考えております。特に、トラックドライバーの方々は定期的に休憩が必要である一方、平日の夜間を中心に、サービスエリアやパーキングエリアの大型車用の駐車升が不足し、御迷惑をおかけしているものと認識しております。

 このため、NEXCO三社は、大型車用の駐車升の拡充に取り組んでおり、具体的には、令和二年度は四十九か所の休憩施設において約七百五十台分の駐車升を新しく整備しております。それから、令和三年度は四十四か所の休憩施設において約九百五十台分の駐車升の整備に取り組んでおります。来年度以降についても、引き続き駐車升の拡充を推進する予定であると承知しております。

 それから、この駐車升の増加対策に加えて、ドライバーがすいているサービスエリアなどを利用しやすくする取組も行っており、道路情報板や、カーナビ、ウェブサイトでも混雑情報を提供しております。

 それから、トラガールの皆さんへの休憩施設等、これもしっかりと配慮した整備をしていかなくてはいけないと思いますので、利用環境の整備に今後も取り組んでまいります。

おおつき分科員 大臣、ありがとうございます。是非、環境整備を進めていただければと思います。

 続きまして、地域の公共交通産業関係について質問をいたします。

 新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい環境にある公共交通機関のうち、バス路線の維持について質問いたします。

 公共交通事業者は、地方を中心に、人口減少及び新型コロナウイルス感染症の影響などによって輸送人員が減ったことから収入が減少し、厳しい経営環境にあり、営業を継続するための十分な支援が求められます。

 路線バスは、公共交通機関の中でも鉄道とともに中心的な役割を果たしていることを踏まえれば、積極的に支援されるべきだと考えます。また、経常赤字が見込まれるバス路線については、従来から、地域間幹線系統などを対象として、赤字額の一部を補助する地域公共交通の確保維持改善事業に基づく支援が行われていることは承知しております。

 事業者への支援に当たっては、まず、人口減少社会を迎えている今、輸送人員、そして係る収支の減少がどれくらい発生しているのかを正確に把握、検証することが重要であることを踏まえた上で、今回審議されている令和四年度予算にもこの事業が盛り込まれていると思いますが、国交省として、事業者からの要望に対し十分な予算が確保されたとの認識でよろしいでしょうか。伺います。

寺田政府参考人 バスなど地域の公共交通についてのお尋ねをいただきました。

 御指摘ありましたとおり、地方の公共交通につきましては、それを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして一層厳しさを増しているという状況にございます。

 このため、私どもといたしましては、公共交通サービスの維持、確保を図るべく、政策手段を最大限に活用し、できる限りの支援措置を講じてきているところでございます。

 具体的に申し上げますと、地域のバス、鉄道などの公共交通機関の感染症防止対策あるいは運行維持などにつきまして、令和三年度の補正予算などを活用して、これまでにない手厚い支援を行ってきているところでございます。これに加えまして、政府系金融機関による資金繰りの支援、あるいは雇用調整助成金、地方創生臨時交付金、それから事業復活支援金などによる対応を行ってきてございます。

 令和四年度当初予算案におきましても、地域の公共交通事業者への支援、これを盛り込んでございます。

 今後とも、地方自治体や、あるいは事業者など、関係の皆様の御要望も伺いながら、予算を効果的、効率的に活用して、地域の公共交通をしっかりと支援してまいりたいというふうに考えてございます。

おおつき分科員 どうもありがとうございます。

 私が生まれた北海道小樽市は今、一年間に人口が二千人減っております。私の生まれ育った町でも、例えば一時間四本あったバスが、今回帰ったら、二十年ぶりに選挙に出ることになって帰ったんですけれども、四本があったバスが今一本になって、十時まで運行していたバスが夕方六時までとなってしまいました。人口減少社会と公共交通機関は密接な関係がありますので、是非大臣、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。質問を終わります。

今村主査代理 これにておおつき紅葉君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

稲津主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。国定勇人君。

国定分科員 自由民主党の国定勇人でございます。

 昨年の秋の衆院選で初当選をさせていただきました。どうかよろしくお願い申し上げます。

 また、この度は予算委員会の第八分科会、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。関係各位に心から感謝を申し上げたいと思います。

 質問に先立ちまして、差し支えなければで結構なんですけれども、私の質問の多分答弁は政府参考人の皆さんに答弁をお願いすることになりますので、斉藤国土交通大臣を始めといたします政務三役の皆様方、必ずしも同席していただく必要はございませんので、どうか御自由に御退席をいただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

稲津主査 それでは、斉藤大臣におかれましては、離席していただいて結構でございます。(斉藤国務大臣「聞かせていただきます。大丈夫です」と呼ぶ)

国定分科員 恐縮でございます。

 それでは、大臣の御許可もいただきましたので、これから質疑に入らさせていただきたいと思います。

 まず、せっかくの機会でございますので、私の選挙区であります新潟県第四選挙区におけます個別の事項につきましてまず質問をさせていただき、その後、防災力強化の観点から何点か御質問をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まずは個別事項でございますけれども、私は、平成十八年から四期十四年間、新潟県の三条市で市長を務めてまいりました。この後の話にもつながるわけですけれども、その前三年間、三条市の職員として当時の総務省から出向をしている中で、平成十六年の七・一三水害という大きな水害にも見舞われ、また、市長就任後は、今度は平成二十三年七月二十九日にまた再び三条市を襲った七・二九水害で陣頭指揮を執ることになったという中で、十四年間市長を続けさせていただきました。

 そうした中で、様々なまちづくりに私なりに精いっぱい取り組んできたところでございますけれども、まだまだ夢道半ばというような社会インフラ整備事業も幾つかあるところでございまして、まずその三条市、私にとっては本当にふるさとでもあります、この三条の残された課題についてまず御質問をさせていただきたいと思います。

 三条市には、南北縦断をする形で国道八号線というものが走ってございます。この国道八号線でございますけれども、三条市内、旧栄町の栄地域区間におきましては、いまだに片側一車線の二車線状態が続いているところでございます。この中で、非常に物づくりの町として、三条市もおかげさまで経済、景気にも恵まれる形で、そうした物品を運ぶトラックを始め様々な通過交通がこの国道八号を行き来をしている中で、いわば慢性的な渋滞にも見舞われている、そんな地域でもございます。

 おかげさまで、国土交通省さんを始めといたします関係各位の御尽力をいただく中で、今のところは交差点改良を中心とする形で、事実上の四車線化に向けた整備をお願いをしているところでございますが、やはりここはしっかりと、いま一度原点に立ち返って、この国道八号線栄拡幅につきましては、正々堂々と四車線化に向けた事業ということで改めて仕切り直しをいただき、進めていただきたいというふうに思っております。

 私どもの取組といたしまして、平成二十九年には栄商工会国道八号線栄拡幅推進委員会によりまして八千六百五十一筆の署名も国交省さんの方に提出をさせていただき、令和二年には期成同盟会を設立、本年一月十四日には地元、今の三条市長さん、三条市議会議長さんを始めとする皆様方とともに道路局長のところにも御要望をさせていただいたところでございますが、この国道八号線栄拡幅の四車線化に向けました現況、そして今後の見通しについてお聞かせをいただければと思います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 新潟県三条市栄地域の国道八号では、約四キロメートルの区間が二車線区間であるため、周辺に多く立地する工業団地からの大型車の流入等によりまして、慢性的な交通渋滞や交通事故が発生しております。このため、渋滞や事故が発生している箇所の周辺から、交通安全事業として部分的な四車線化を実施してきておりまして、現在、一ツ屋敷地区延長〇・三キロメートルや猪子場新田南地区延長〇・四キロメートルで、事故対策事業として拡幅事業を実施しているところであります。

 未事業化の三条市一ツ屋敷新田から同市千把野新田の二車線区間延長三・二キロメートルにつきましても、四車線化事業としての必要性を十分認識しているところでございます。早期に事業化ができるよう、しっかりと検討してまいります。

国定分科員 力強い御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。

 近くには栄工業流通団地も今造成をしているところでございまして、供用を開始したばかりなんですけれども、早いところでは今年中に、その団地に入居した企業さんがもう既に新社屋も造成し始める、こういうふうに伺っておりますし、そういう意味では、ますます道路事情が逼迫していくものというふうに考えておりますので、今ほどの御答弁のとおり、是非前向きな御検討を継続していただければと思います。

 続きまして、権限代行区間でもございます国道二百八十九号線八十里越区間につきまして御質問させていただきたいと思います。

 同区間におきましては、まさに戊辰戦争のとき、長岡藩家老であった河井継之助公がいわゆる北越戦争に敗れ、会津に抜けていくときに通った、司馬遼太郎さんの著書でもございます「峠」という本の、まさに峠がこの八十里越峠になるわけでございまして、私たち新潟県三条市側と峠を挟んだ向かい側、福島県の只見町というところがあるわけですが、この両地域におきましては、まさに時空を超えた悲願として、再びこれが結びつくことを大変心待ちにしているところでございます。

 三条市長時代から深く関心を持ちながら、この国道二百八十九号線八十里越区間の進捗状況、注視をしてまいったところでもございますし、いよいよゴールも見え始めたのかなというふうに感じているところでございますが、ここで改めまして、この国道二百八十九号線八十里越区間におけます現況、そして今後の見通しについてお聞かせをいただければと思います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 国道二百八十九号八十里越は、新潟県と福島県の県境の通行不能区間の解消を目的とした事業でございまして、延長十一・八キロメートルを国が権限代行で実施をしております。この八十里越を整備することで、三条市など新潟県の県央地域と福島県の南会津地域が通年で直接結ばれます。冬期間における広域的な迂回が不要となるため、地域の活性化や救急医療の支援などの面で大きな効果が期待されております。

 現在、橋梁の上部工工事を始め、トンネル工事や改良工事を全面的に実施しているところでありまして、今後五か年程度での開通を目指して事業を推進しております。

 引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、一日も早い完成を目指して、しっかりと整備を進めてまいります。

国定分科員 ありがとうございました。

 私ども三条市でも、また、向かい側にあります福島県の只見町でも、この八十里越の供用開始を、いわば機運を盛り上げるべく、現在、八十里越体感バスを運行し、工事期間中ですので、ふだんであれば入ることはできないわけですけれども、国土交通省さんからの特別なお取り計らいをいただく中で、この八十里越体感バス、運行させていただいたりしております。

 また、現在計画されているところでは、開通する本当にカウントダウンが始まる直前ぐらいから、この供用開始されるであろう八十里越区間におきましてフルマラソンの大会もしていこうではないかというような計画もなされているところでございます。こうしたときには、まだ供用開始されていない状況でありますので、がちがちに運用基準を適用してしまうと、こういうようなイベントもなかなか難しいところはあるかもしれませんが、八十里越の体感バス同様、機運を盛り上げるためだということで、是非とも弾力的な運用をお願いを申し上げたい、これは要望でございます。

 続きまして、同じ選挙区内の、もう一つ、道路の関係について質問させてください。

 私の新潟県第四選挙区には、国道四百三号線新津バイパスというものがございます。ここも四車線化が不可欠な道路、逆に言うと、今、片側一車線の、二車線の状況になっておりまして、私も何度も通りますけれども、特に朝晩の渋滞は本当に大変なものがございます。

 ここをしっかりと四車線化していく必要があるというふうに思っておりますし、もう既に用買は全部はるか前に終わっておりまして、あとは工事として四車線化をしていけば、このバイパスの主たる目的がまさに日の目を見るということになるわけでございます。

 この国道四百三号線新津バイパスの実施主体は新潟市であるところでございますけれども、これまで新潟市から国土交通省さんに対して、例えば社会資本整備総合交付金の申請についてとか様々な相談があったかどうか、ここだけ確認をさせてください。

村山政府参考人 新潟市が管理する国道四百三号新津バイパスは、新潟市江南地区茅野山から秋葉区古田に至る延長七・四キロメートルの幹線道路であります。昭和五十六年に暫定二車線で開通した後に、渋滞の激しい江南区割野から同区茅野山の上り方向の延長約二・四キロメートル区間と、秋葉大鹿から同区古田の下り方向の延長一・二キロメートル区間につきまして、一車線を拡幅する事業を実施しており、平成二十二年度までに完了をしてございます。

 国道四百三号の新津バイパスを全線にわたり四車化することにつきまして、現在、新潟市が事業実施に必要となる交通量の調査等を進めている段階であると承知をしております。

 現時点におきまして、新潟市から国交省に対しまして、社会資本整備総合交付金の申請相談を受けておりませんけれども、今後、市からの要望、相談があれば、適切に支援をしてまいります。

国定分科員 ありがとうございました。そうすれば、この質問が一番最初に国土交通省さんの直接的な耳に触れる絶好の機会になったというふうに思っております。

 まずは、地元の県議さんであったり市議さんたちと相談をしながら、政治力の世界の中で新潟市が決断をできるような、まず下支えを私も協力をしながらしていきたいというふうに思っておりますので、先ほど答弁の中にもございましたとおり、もし新潟市さんが前向きに始めていきたいというときには、是非とも積極的な相談に応じていただければというふうに思っております。

 続きまして、同様の話の流れになっていくのかもしれませんけれども、新潟市江南区横越地域の長年の本当に悲願、四半世紀に及ぶ長年の悲願の一つが、亀田駅と荻川駅の間にあります仮称江南駅の新駅設置構想でございます。この構想を実現していくためには、令和元年度には江南区まちづくり協議会から新駅構想に関する提言書が提出をされたところでございますけれども、この件に関しましても、新潟市さんから国土交通省さんに対しまして何らかの相談があったかどうか、これについても確認をさせていただきたいと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 まず、本構想につきましては、これまでのところ、新潟市から御相談はいただいておりません。

 一般的に、新駅設置を進めるに当たっては、鉄道事業者、地方自治体を始めとする関係者との間で、需要の見通しや費用負担の在り方などについて協議を行っていただくことが必要でございます。

 国土交通省といたしましては、地域における検討状況を踏まえながら、制度面や技術面の観点から必要な協力や助言を行うこととしております。

国定分科員 ありがとうございました。

 この件についても、先ほどと同じなわけでございますけれども、この仮称江南駅周辺部は完全な田園地帯でございまして、新駅を設置するとなりますと、新たな町開きをしていくに等しい状況でございます。そうしますと、例えば土地区画整理事業を始めとする様々な事業をゼロから掘り起こしていく、かなり大きなプロジェクトになっていくというふうに思っております。

 これも先ほども申し上げましたとおり、まずは地元を、しっかりと意向を固めていくことが最初に取りかかっていかなければいけないことだというふうに思っておりますが、地元が固まり、新潟市さんも前に向いて進んでいくということになった暁には、先ほどと同様、是非ともしっかりと相談に乗っていただければ大変ありがたいなというふうに思います。

 それから、済みません、質問通告を少し飛ばして順番を変えさせていただきたいと思いますけれども、その他の方で通告の中で入れさせていただきました公共下水道事業について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この公共下水道事業につきまして、主要な管渠の敷設でございますけれども、これについては社会資本整備総合交付金の対象となっているものの、口径であったり下水排除量につきまして一定の要件を満たないものにつきましては、これは市町村単独事業で行っていかなければいけないという状況でございます。これが、ある意味、市町村財政を圧迫していく要因の一つにもなっているというふうにも考えているところでございます。

 こうした交付金対象の緩和につきまして、国土交通省さんからの見解があれば、お聞かせいただければと思います。

井上政府参考人 下水道は、浸水の防除、公衆衛生の向上、公共用水域の水質保全等、不特定多数に便益が及ぶ公共的役割の高いインフラであり、国、地方公共団体及び使用者等の適正な費用負担の下、事業を実施しております。

 管渠の整備に対する国の支援については、市町村の人口規模等を踏まえ、大都市と比べ、中小市町村ほど、より口径の小さい管渠まで交付対象となるよう定めているところです。

 特に、近年、気候変動の影響等により内水氾濫が頻発していることから、下水道による浸水対策を強力に推進していくため、雨水管については交付対象の範囲を令和三年度から拡大し、財政支援を行っております。

国定分科員 公共下水道事業、本当に息の長い取組でありますし、裏を返しますと、長年にわたる公共下水道事業の進捗によって、ボディーブローのごとく市町村財政にかなり影響を結果としてはもたらすものでございます。

 先ほど、雨水管につきまして、また一層の緩和がなされたということではございますけれども、今後とも、とりわけ財政力、財政体力の乏しい市町村に対しては、また引き続きの御配慮をいただければというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、市町村におきます防災力強化に入っていきたいと思いますが、その前段階といたしまして、これも少し個別の要望で申し訳ございません。先ほども少し御紹介させていただきました、平成十六年、そして平成二十三年と度重なる水害に三条市を始めといたします県央地域は見舞われました。

 まず御礼を申し上げなければいけないと思っておりますのは、平成十六年と平成二十三年の間に、本川であります信濃川、そして三条市の中で十六年の水害のときに決壊をしてしまいました五十嵐川、そして見附、三条に流れております、同じく支川になりますが刈谷田川、これを国土交通省さんと新潟県さんに精力的に抜本的な河川改修をしていただいたおかげで、この平成十六年から二十三年の間で抜本的な河川改修が一通りのめどがついたと。

 その結果、平成十六年の水害が総雨量約五百ミリだったわけですけれども、二十三年の水害では総雨量が一千ミリです。約倍降ったわけでございますけれども、結果として、例えば人的被害で申し上げますと、三条市内の話だけで申し上げますと九人、平成十六年の水害のときには犠牲になられた方がいらっしゃった。他方で、二倍の雨が降ったにも関わりませず、これは残念なことでありますけれども、たった一人、犠牲になられた方がいらっしゃいましたが、すごく大きなことで申し上げますと、浸水区域であったり住家被害であったり、こうしたことを全部見たとしても、かなり被害を極小化することができたというふうに思っております。これは、まさに河川のハード改修をしっかりと進めてきた、それがこの七年間の間でしっかりと効果として表れた私はよき事例だというふうに思っておりますし、この場をおかりいたしまして感謝を申し上げたいと思います。

 そんな中で、まだ取組として残っているところがございます。実は、信濃川本川は、堤防よりも更に低いところを通っていく潜り橋と言われている橋が、信濃川本川下流の中でまだ四橋残っている。これが実際には洪水時にかなりの阻害要因になるということでございます。

 一つ一つ具体的に、簡単に答弁をいただければと思いますが、まず、その潜り橋の一つであります小須戸橋の架け替えに関する現況と今後の見通しについてお聞かせをいただければと思います。

井上政府参考人 信濃川下流域に架かる小須戸橋は、洪水時に河川敷の取付け道路が水没し、通行不能になるとともに、橋桁の高さが堤防よりも低いため、治水上の支障となっています。このため、洪水時の通行確保と堤防のかさ上げ整備を目的に、道路管理者である新潟市と河川管理者である国が、平成二十九年度に小須戸橋の架け替え事業に着手したところです。

 現在は、新しい橋梁の下部工工事や取付け道路の用地買収などを進めているところです。引き続き国、市が連携し、着実に事業を推進してまいります。

国定分科員 同じく潜り橋の一つとして大郷橋がございます。この大郷橋の架け替え見通しにつきましてもお伺いしたいと思います。

村山政府参考人 お答えします。

 大郷橋は、信濃川を渡河する橋梁でありまして、新潟市が管理をしてございます。

 この橋につきましては、地域住民の皆様方から新潟市に対しまして、架け替えの要望書が提出されてございます。新潟市からは、現在、河川管理者である国が進めている小須戸橋の架け替え事業などの進捗を踏まえまして、大郷橋の架け替えについても検討していく予定と聞いてございます。

 国土交通省としましては、橋梁の管理者であります新潟市の御意向を確認し、御要望に応じまして、財政的な支援を検討してまいります。

国定分科員 ありがとうございました。

 この潜り橋の解消は、本当に地域住民にとっての悲願であることはもとより、河川管理者としても、かなり改修によってメリットが生じてくるものだというふうに思っております。長年にわたります取組になるということは十分理解をしておりますけれども、是非、理想としては一橋残らず潜り橋を解消していく、これが越後平野全体の安寧にもつながるというふうに思っておりますので、是非そうした実情があるんだということをお聞き受けいただければなというふうに思います。

 そうした中で、今度はちょっと別な角度になるわけですけれども、災害が発生しようとするときには、これも災対基本法上、市町村長が前面に出て災害対策本部を開設をし、広く陣頭指揮を執っていかなければいけない。このときにやはり一番大切になるのは、まずは情報収集をどうしていくのか、重ねて、起ころうとしてきている発災のリスクをどれだけ除去していくのか、ここが災害が発生する前においてはとても重要なことだと思っております。

 そうした中で、まず情報収集ということを考えていったときに、実は国土交通省さんが、ちょっとごめんなさい、数年前というふうに漠然と申し上げますけれども、危機管理型水位計というものを開発、普及をされております。

 この危機管理型水位計というのは、本当に、従来型の水位計と比べまして、後で具体的に申し上げますが、桁違いに安価に調達、維持できる上に一定の信頼も持てるものでございまして、おおむね財政力が厳しい市町村にとりましては、自分たちで水位計を設置するというのは、従来型でありますと大体一基当たり数千万円しますので、これはなかなか手の届く範疇ではございませんけれども、この危機管理型水位計であれば、私が三条市長時代に導入した危機管理型水位計は一基当たり五十万円で設置をすることができた、本当に優れ物でございます。

 この危機管理型水位計、もちろん、大きな河川については従来型の水位計じゃないと二十四時間三百六十五日データを取り続けることはできませんけれども、そうじゃない中小河川におきましては、この危機管理型水位計、非常に有用なものだというふうに認識をしているところでございますが、現時点での全国的な設置状況、また、実際に運用をしていく中で、果たして本当に危機管理型水位計、全国的には信頼に足るようなものになっているのかどうか、この点についてお聞かせをいただければと思います。

井上政府参考人 平成二十八年台風第十号では、岩手県の小本川など、水位計の設置が進んでいなかった中小河川において多数の死者が発生したことから、民間企業等と連携し、新たな低コストな危機管理型水位計を開発しました。この水位計は、洪水時の観測に必要な機能に特化し、また、既存の民間技術を組み合わせて活用することで、設置費用を従来の水位計と比較し、十分の一以下に縮減しております。

 現在、危機管理型水位計は、氾濫の危険性が高いなど監視が必要な約九千百か所に設置されており、従来と比較して、全国の水位計の数はおよそ三倍に増加しております。

 また、危機管理型水位計の運用状況につきましては、本格運用から四年が経過し、現在まで大きなトラブルは生じておりませんが、今後、耐用年数である五年を迎えることから、適切に機器の更新を行っていくことが重要と考えております。

国定分科員 ありがとうございました。

 随分普及をしているということと、今のところ大きなトラブルがないということは、本当に心強く思っているところでございます。

 さて、同様の情報収集という意味では、同様の思考設計に立ちました、今度、ワンコイン浸水センサーの開発が進行中であるというふうに伺っております。

 内水氾濫状況につきましては、これまでデジタルな形で情報を収集するすべを全く持ち合わせてこなかったのが現状なわけでございますけれども、このワンコイン浸水センサーを開発することができれば、現場を預かる市町村長にとってみると、これはもう本当に垂涎の傑物だというふうに認識をしているところでございます。

 このワンコイン浸水センサーの概要と、市町村での導入スケジュール、あわせて、それに対する財政支援の有無につきましてもお聞かせいただければと思います。

井上政府参考人 近年、大雨による浸水被害や河川の氾濫が頻発しており、面的に浸水の状況をいち早く把握し、ポンプ車の配備を始めとした迅速な災害対応を行うことが重要となっております。

 ワンコイン浸水センサーは、民間企業と大学において新たに開発された、小型、長寿命、低価格なセンサーであり、将来的には、従来技術を用いたセンサーの百分の一の、五百円程度になることが見込まれています。

 こうしたセンサーを浸水の危険性がある地域に多数配置することで、浸水状況がリアルタイムで把握可能となりますが、多数のセンサーを地域に設置し観測網を構築するためには、国だけでなく、自治体や地域の民間企業の協力を得てセンサーの設置を進めることが有力であると考えています。

 そのため、今年の出水期から、民間企業等と連携し、センサーの設置、浸水情報を収集、共有する実証実験をモデル市町村において実施し、有効性や課題の整理、センサーの機器仕様などを取りまとめる予定です。

 実証実験は数年程度で完了させ、その後は、実証で得られた課題や効果を踏まえ、財政支援の在り方について検討してまいります。

国定分科員 済みません、時間がなくなってきましたので、最後、地方整備局の人員拡充について御質問させていただきたいと思います。

 実際に私、職員として平成十六年の七・一三水害、そして市長として平成二十三年の七・二九水害を経験をいたしました。そうした中の実感として本当に思うわけでございますけれども、この発災時あるいは発災直後におきましては、国土交通省さん、とりわけ地方整備局の皆様方の助言というか様々な御支援が、本当にどれだけ助かったことか。本当に深く深く、まず感謝を申し上げたいというふうに思います。

 ただ一方で、それにもかかわらず、地方整備局の人員は長年にわたり縮減を余儀なくされ、四十歳以上の職員の割合がもう既に八割に達しているところでもございます。また、まさに現場現場の一番の出先になります出張所におきましても、二人以下で何とかしのいでいるというところが実にもう三割を超える状況になっている。これはもう現場を預かる市町村長としては本当に心もとない状況になる。

 そんな思いの中で、私も三条市長時代、全国五百二十四の市町村長から成ります地方を守る会の代表世話人といたしまして、微力ながら、これら同志の市町村長とともに活動を展開してきた中で、令和二年度からようやく拡充に転じたところでございまして、まずは一安堵をしているところでございますが、ただ、まだまだ、これから反転攻勢を続けていかなければいけないというふうに思っているところでございますし、私自身も、大変微力ではございますけれども、この点についてはしっかりと汗をかいていきたいというふうに思っております。

 その上で、私は、引き続き、増員に向けた努力をしていく必要があるというふうに考えておりますが、最後に国土交通省さんの方からこの点についての認識を伺い、私の質問、結びとさせていただきたいと思います。

稲津主査 瓦林大臣官房長、時間が経過しておりますので、簡潔におまとめください。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今、激甚化、頻発化しております自然災害に対応して、国民の皆様の命と暮らしを守る地方整備局、ここで必要な人員体制を確保することは極めて重要でございまして、国交省では、毎年度の定員要求におきまして、これに重点的かつ継続的に取り組んでございます。

 その結果、御指摘いただきましたとおり、二年度から純増を確保しておりまして、四年度予算案におきましても、合計で百十九名の純増を盛り込んでおります。

 今後におきましても、防災・減災、国土強靱化の最前線を担う地方整備局につきまして、事務所、出張所も含めて必要な人員体制の確保に向け、最大限努力してまいります。

国定分科員 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。

稲津主査 これにて国定勇人君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉本和巳君。

杉本分科員 維新の杉本和巳でございます。

 稲津主査の下で、また、斉藤大臣に事務所も近くでお世話になっておりますけれども、こういう機会をいただいて大変感謝しております。

 それで、公明党の歴代大臣に結構いい御答弁をいただいたこともちょっと披露させていただきながら、私の地元の現状のことだったり、あるいは全国の問題であったりということを質疑させていただきたいと思います。

 まず、感慨深いのは、私の二期目の最後、二〇一四年なんですけれども、全然これは通告していないですけれども、一方的なお話ですが、広島の豪雨、平成二十六年の八月二十日にあって、災害特別の委員会で私は現地視察をさせていただいて、斉藤大臣の地元でいらっしゃると思いますけれども、災害を本当に目の当たりにして、開発が本当にきちっとした認可の下に行われたのかどうか分からない中で、山側の方から水が流れるいわゆる水路というか河川のようなものがちゃんとなくて、逆に道路が河川のようになって流れた結果、住宅が流されて貴い命が、七十七名の方が亡くなったということがございました。

 本当に災害は尽きませんし、トンネルの崩落だとか鉄道の事故だとか福知山の問題だとか、本当にもろもろ。多くの命を預かっていらっしゃるのが国土交通大臣でいらっしゃると思いますし、海外の安全保障も経済の安全保障も大事ですが、国内の安全保障という意味では本当に、国土の強靱化、必要なものは必要であり、無駄なものはちょっと控えめにしなきゃいけないというか、改めていかなきゃいけないというような思いを私はしております。

 そんな中で、今日、四問用意したんですけれども、大臣に御答弁いただきたいものを先にさせていただいて、その後政府委員の方に御答弁いただける順番に変えさせていただきたいと思っています。

 まず初めに、地元の要望がかなり強くて、どうなっているのかということを選挙の際であるとか日頃から地元の方々に言われ、また、自分も渋滞に巻き込まれ、できるだけ、まあ、東京の渋滞も、大分車の台数が減ったので時々刻々と世の中の事情は変わっていると思うんですけれども、今地元を走っていても、渋滞が結構厳しいという状況がありまして。

 まず初めに伺いたいのが、通告させていただいている名古屋高速の一宮線の延伸の問題で、今、終点が一宮東というインターチェンジ、降りるだけですけれども、そこになっております。乗る方もありますけれども。それを北の方に延伸するということが決まっているというか予定されていて、その調査、建設予定ということが伺っている状態でございます。

 それで、私は石井大臣に、前国交大臣は石井さんでよろしかったですよね、確か。これは予算委員会で、当時は麻生財務大臣で、あと岩屋防衛大臣、河野外務大臣のときに石井大臣に質問をあえてさせていただいたものでございますけれども、石井大臣が当時こういうふうに答えられたんです。

 御指摘いただきました名古屋高速の一宮東出口と東海北陸道の一宮木曽川インターの間の国道二十二号は、渋滞ポイントが連続しておりまして、渋滞解消や交通安全の観点で課題が大きいと認識しております。私も昨年、岐阜に行った帰りといいますか、岐阜に行った際に現地を通過いたしまして、状況を確認してまいりました。このため、国や愛知県などの関係者から成ります渋滞解消の検討会を平成二十九年に設置しておりまして、名古屋高速一宮線と東海北陸道との接続を含めまして、今、対策案の検討を行っているところでございます。引き続き、地域の御意見を踏まえながら、対策案の具体化に向けて検討を進めてまいりたいと考えています。

 こういう御答弁をいただきました。

 また、今年の一月ぐらいに、一宮インターと一宮ジャンクションがいつも渋滞するので、名神高速の方の話ですけれども、これが六車線化の工事が始まったやに聞いておりますけれども、そういった形で着々と進めていただいているんですが、地元に暮らしておりますと、地元の方、私自身も含め、一体いつどんな状況で進んでいくんだろうかということを聞かれます。

 この大臣の答弁から約三年の月日がたちました。斉藤大臣となられた現在、国交省として、調査、これはどんな状況にあるのか、完了したのか、現状はどんなことなのか、あるいは、いつまでに完成していく予定なのかといったあたりも教えていただければというふうに思っています。もし補足的な答弁が政府委員からあれば伺いたいんですけれども。

 その質疑をしたときに、予算委員長が野田聖子現大臣でいらっしゃるんですけれども、野田聖子先生の地域というのが、木曽川を渡って、私の隣の選挙区が野田大臣の選挙区なんですが、私はまずは延伸によって、今申し上げた一宮東から東海北陸道の一宮木曽川インターまでつなげていただきたいんだ、これをとにかくやっていただきたいと。そこから先は野田聖子先生の地域に近いので、そこはちょっと私の関心は弱いんですけれどもみたいなことをちょっと申し上げてしまったんですが。

 今、岐阜の辺りに行くに当たっても、東海全体を考えると、やはり国道二十一号ぐらいまで、岐阜県の中でございますけれども、岐南町を通り抜け岐阜市に入っていくぐらいのところ、この辺りまでは延ばしていく必要があると思います。

 私も銀行出身で、国の財政に相当問題意識を持っている中で、強靱化だとかいう部分とともに、予算も問題があるけれども、利便性、生産性という意味では、この東海エリア、日本のへそというか物づくりの大拠点である地域の物流、そんなことであったり、あるいは交通安全という意味からの事故の多さみたいな点からも、現状を大臣に教えていただきたいということで、御答弁をお願いします。

斉藤国務大臣 お話のございました名岐道路は、名古屋高速一宮線の一宮中入口から東海北陸自動車道を経由して岐阜県岐阜市を結ぶ延長約十キロの道路です。

 このうち、名古屋高速一宮線の一宮中入口から東海北陸自動車道の一宮木曽川インターチェンジまでの約六キロメートルの区間について、特に渋滞が激しいことから、優先区間として検討を進めてきております。

 具体的には、令和元年度に概略ルートと構造の検討に着手し、令和二年七月には、四車線の自動車専用道路として整備する方針を国土交通省として決定いたしました。

 また、現在、愛知県が都市計画と環境影響評価の手続を進めております。令和三年二月に環境影響評価方法書が公表されております。

 そして、環境影響評価等については、県が今後手続を進めていくこととしております。

 国土交通省としましては、これら手続が円滑に進むよう、詳細ルートの検討などに取り組んでまいります。

村山政府参考人 補足しまして、一宮木曽川インターチェンジ以北の関係について御答弁差し上げます。

 先ほど大臣から御答弁がありましたように、名岐道路につきましては、まず、東海北陸自動車道の一宮木曽川インターチェンジと一宮中入口の六キロ区間を優先しております。

 残る区間でございますけれども、一宮木曽川インターチェンジから岐阜市周辺の国道二十一号の岐南インターチェンジまでの約四キロにつきまして、今優先して検討を進める区間の事業化の後に、渋滞状況を踏まえて必要な調査を進めることとしてございます。

 したがいまして、現時点では、この四キロメートル区間の建設時期等々については現段階では未定でございます。

杉本分科員 鋭意、御理解いただいてすごく進めていただいているというところなのでございますが、物事というのは何かと、早くできましたという話は意外と少なくて、どうしても後ろ倒しになるということが多うございますので、そういった点については大臣に目を光らせていただいて。

 広島も大事なんですけれども、東海エリアも大事ですし、全国大事でございまして、北海道の留萌も大事だと思っていますので。そういった意味で、稚内もですけれどもね、全国大事で、北方領土も返してほしいですけれども。そういうことで、全国に目を光らせていただいて、是非、生産性といった意味でも、あるいは国土強靱化、安全という意味でもお願いをしておきたいというふうに思います。

 さて、次に、ちょっと文科省さんにも関わる問題を先に、大臣から御答弁いただくことについて先に質問させていただきたいんですが。

 これは、私が尊敬してやまない太田昭宏国土交通元大臣の御答弁を、私に対してではなくて、私の元同僚であった、当時、みんなの党というところにいさせていただいたんですけれども、佐藤正夫さんという元衆議院議員の方の質問に対する御答弁が太田大臣からあった件なんですけれども。

 国公立大学のエレベーターの不適正入札問題というのが、この佐藤元議員がずっと現場を歩いて歩いて、斉藤大臣もたしか現場主義とおっしゃっていたという記憶があるんですけれども、私も現場主義ということを常々地元でも言わせていただいているんですが、本当に現場を歩かれる中で、問題を発見し、改善を求め、改善していただいたやに認識をしておるんですが。

 国公立大学のエレベーターの入札について、入札のような形じゃなくて、いわゆる随契みたいな形で、非常に一部の業者さんが高いお値段で入札をされている事案がたくさん出てきてみたいなことがあって、これが、普通の民間のマンションのエレベーターというのもエレベーターでございますけれども、国公立大学。今、日大がいろいろ問題になっていますが、あれは私立大学。

 国公立大学におけるエレベーターにおいて、どうやら余り適正な施設の整備のお金の使われ方がされていないんじゃないかというようなことを何度か指摘される中で申し上げた、これは平成二十六年、二〇一四年になりますけれども、十一月十四日、もう私の二期目の最後の委員会に近かったかもしれないですが、国土交通委員会で太田大臣に質問をし、太田大臣からこういう御答弁がございました。

 佐藤委員には、昨年来、エレベーター工事に関しまして、重要かつ有意義な御指摘を、データを自ら足で運んで稼いで、そして提示をして、御提案をいただきました。私は、これは本格的にきちっと対応すべきということで、チームをつくりまして改善に努力をしてきました。エレベーター工事は、業者数が少なく、単品受注生産といった特殊な面はありますけれども、とにかく競争性の確保をしなくてはいけない。予定価格の精度、客観性の向上、これは極めて重要であるという認識をしています。昨年十月、委員からの御指摘を受けまして、エレベーター価格等情報データベースの構築、建設工事との一括発注の試行などの対応策を取りまとめ、国交省としても取り組んできたところであります。今後、これらを政府全体に取組を広げていくとともに、各発注機関に対しても同様な取組を進めるよう要請していきたいと考えております。

 こういうすばらしい御答弁をされ、やはり改めるべきは改めるんだということで、役所のやっていることは全部正しいから黙って聞いていなさいとかいうようなことではなくて、本当に大臣として適切な御理解、御判断をされたというふうに今でも感じております。

 そんなことで、このことについて、大分また月日がたったわけでございますけれども、現状を、きちっと今も改善されてできているのかどうかという点を把握したいと思いまして。このことについて大臣の御認識を伺いたいのが一点と、具体的に、文科行政でもあるので、文科省の御当局からの御説明も、現状、きちっとできているのか、できていないのか、改めるべき点はないのかどうか、この点を御答弁いただければというふうに思っております。お願いします。

斉藤国務大臣 今、杉本委員からお話がございましたように、平成二十五年に佐藤議員からいろいろな御指摘をいただいて、当時の太田大臣がそれに、これはきちっと対応しなきゃいけないということで、国交省にチームをつくって改善に努力をしてきた、こういうふうに聞いております。

 そして、平成二十六年三月に国土交通省としてエレベーター価格等情報データベースを構築し、毎年度更新を行い、公共発注機関と情報共有を図るとともに、つまり、いろいろな公共発注機関がございます、国だけでなくいろいろな公共発注機関と情報共有を図るとともに、新設の普及型エレベーターを対象とした建築工事との一括発注を原則とする取組を進めているところでございます。

 エレベーター工事は、業者数が少なく、単品受注生産といった特殊な面があります。競争性の確保、予定価格の精度、客観性の向上は極めて重要でございまして、今後も公共発注機関と協力をして、エレベーター工事発注の競争性、透明性の向上に努めてまいりたいと思います。

 そのときの佐藤議員の御提言から、こういう体制で今進めているという現状を御報告させていただきました。

笠原政府参考人 先生から御披露のありました、佐藤先生からは国立大学法人のエレベーターについての問題提起がございました。ですので、国立大学法人に対する対応について、あとは改善の状況についてお話をさせていただければと思います。

 文部科学省では、国立大学法人が発注するエレベーター工事の一者応札及び一〇〇%落札の回避に向けまして、その対応方策について平成二十六年十二月十九日付の文書などで国立大学法人に周知を行い、これまで毎年度、講習会等において継続して周知を図ってきたところです。

 具体的には、建築工事が主体となる工事に包含発注をすること、単独で発注する工事については、発注見通しの早期公表や現場状況に関する詳細な情報を提供するなど、情報提供の充実を図った上で、一般競争入札及び工事希望型競争入札により実施することなどを対応方策として示しております。

 その結果、一者応札につきましては、平成二十五年の時点では三十八件ございましたけれども、令和三年には七件、一〇〇%落札につきましては、平成二十五年度に五件ありましたけれども、令和三年度はゼロというふうになってございます。いずれも件数が減少しているところでございます。

 文部科学省におきましては、引き続き、国立大学法人におけるエレベーター工事の入札契約の適正化が図られるよう、必要な助言や情報提供を行ってまいりたいと思っております。

杉本分科員 ありがとうございます。佐藤さんの御活躍により、あるいは太田大臣の御判断により、いろいろな改善がなされて今日に至っているという確認をさせていただきました。

 どうしても文科行政も、日大さんの件があったりして、民間というか私立に目を光らせるというのは難しいかもしれないですが、国公立については厳しく引き続き見ていただきたいし、私立の方に対してもきちっと御指導いただきたいというふうに、ちょっと話は広がりますけれども、お願いしておきたいというふうに思います。

 斉藤大臣も、太田大臣の功績を引き継いでいただいて、こういったことのないように進めていただければというふうにお願いをさせていただきます。

 次に、また私の地元で、よく首長さん方とお話をすると意外と、市町がありますけれども、三市二町が今の私の選挙区でございますが、具体的にどこに欲しいのか分からないんですけれども、スマートインターチェンジみたいのがあるとですね。

 私の住んでいるのが一宮市でございますが、一宮市はインターチェンジが本当にたくさんあって、逆に泥棒が入って逃げやすいというような、冗談なのか現実なのか分からないんですが、そんなことが言われるぐらいインターチェンジがたくさんある中で、今、延伸の質問をさせていただきましたが、一方で、岩倉市とか江南市という市があるんですけれども、五万とか十万人とかそういう人口の市でございますけれども、そういったところは残念ながら、直接的にその市にインターチェンジが降りてきているという状況にはございません。

 しかし、よく考えると、名神高速を走っていますと、あれっ、バス停みたいなのがあるけれども、さびついちゃって、使っていないのかなみたいなのが、岩倉バス停というのがあったりとか、あるいは、一宮のサービスエリアというのがあって、スターバックスとかが入っていましてね。買物に行って、外からスターバックスで買えるような仕組みに一宮のサービスエリアなんかはしていただいていて、非常にNEXCO中日本さんが頑張ってくださっていたりするところもあるんですけれども。

 一方で、地元の利便性あるいは生産性向上といった意味では、スマートインターチェンジを小牧インターと一宮インターの間に造れるんじゃないかなと。造っていただくことによってもっと、広大な濃尾平野の高速道路に近いエリアの生産性向上、あるいは工場誘致とかですね。時代はどんどん、リモートワークとかそういう時代で変わってきていますけれども、物流というのは変わらない世界でもあると思いますので、そういった意味でスマートインターチェンジの設置可能性についてお伺いしておきたいんですけれども。

 そもそも論みたいなのをちょっと聞こうと思ったんですけれども、時間が多分なくなってきましたので、今、名神高速における小牧と一宮の間のスマートインターチェンジ設置の可能性について現場の地方自治体からの要望等は来ているのか、その内容はお披露目いただける範囲でどんな状況なのか、この点を教えていただきたいと思います。お願いします。

村山政府参考人 お答えします。

 名神高速道路の小牧インターチェンジと一宮インターチェンジの間では、現在、一宮市と岩倉市がスマートインターチェンジの設置に向けた検討を進めていると承知してございます。

 具体的なスマートインターチェンジの設置場所の候補として、先生が挙げられました尾張一宮パーキングエリアまた岩倉バスストップなどが検討の対象となっている状況であるというふうに伺っております。

 現時点で一宮市や岩倉市からは整備局が相談を受けている段階でございまして、正式な要望書というような形ではいただいていないという状況でございます。

杉本分科員 要望はまだはっきりちゃんと出てきているわけじゃないけれども、検討はされているようであるという情報をありがとうございます。

 やはり物事はスピード感というのも大事だと思いますので、ちょっと地元の自治体さんともよく相談をして、スピード感を持って御要望が出せるように、今言っていただいたサービスエリアなのか、バス停なのか、あるいは第三の場所があるのかもしれませんけれども、要望を出せるような形になるように、その際は是非よろしくお願いをしたいというふうに思っています。

 次に、念のためなんですが、もし要望を出した場合にどのくらい費用が大体かかるのかな、地方自治体の方の負担はどのくらいなものになるのかなと。その負担割合みたいなところを教えておいていただければ、住民というか、あるいは自治体自体もそうなんですけれども、腹積もりなり心積もりなりということができるかと思うんですが、何か具体的な、名神なのか、あるいは別の地域なのか分からないんですけれども、具体的に、似通った例があれば、ひな形的な例があればお教えいただければと思います。

村山政府参考人 お答えします。

 スマートインターチェンジの費用につきましては、設置箇所周辺の地形、また高速道路本線の構造などの様々な条件に影響を受けるところでございまして、一概に幾らと申し上げることは難しい状況でございます。

 また、スマートインターチェンジの費用負担につきましては、高速道路本線から料金所までの区間は高速道路会社が負担いたします。また、料金所から一般道路までの区間を、接続する一般道路の管理者である市町村、地方公共団体がそちらについては負担をすることとなってございます。

 また、地方公共団体の負担分につきましては、地方公共団体からの要望を踏まえまして、インターチェンジアクセス道路補助金という制度がございますので、財政的な支援が可能となってございます。

 事例としまして、事業費でございますけれども、中央道の座光寺パーキングエリアに接続する形式である座光寺スマートインターチェンジの事業費を御説明させていただきますと、約二十三億円ということで、このうち地方公共団体が四億円を負担したという事例がございます。

杉本分科員 中央道のケースで事例を教えていただいて、ありがとうございます。また、補助金があるということも教えていただきました。スマートインターチェンジなので、料金所から先の部分は地元負担があるというお話も確認しましたけれども。

 よく、マッチ棒型なのか、チューリップのラッパ型なのかみたいな、インターチェンジの形について言われますけれども、やはりスマートインターチェンジというのは小さく入れるし小さく出られるみたいな、非常に道路負担とか土地負担とかそういうものが少なくて利便性が高いという認識をしておりますので、一宮の件も是非進めていただきたいし、全国も、建設コストがかかるのは分かりますけれども、よく確認いただいて、生産性向上、利便性向上といった意味で御検討を進めていただきたいとお願いしておきます。

 さて、最後にいわゆる高速道路の定額化等について確認をさせておいていただきたいんですが、我が党もまだ議論の最中で、定額化は大賛成だという状況にもなくて、いろいろな意見があるんですけれども。

 某自動車メーカーの某幹部の方からやいのやいのといつも御指導いただいて、君、もうちょっと定額化を勉強しなさいと。諸外国の例を見ると、国交省さんが固いし、ETCに利権があるんじゃないかというようなことまで御指南いただいて、君、知っておるかということで言われたのが、インバウンドの方々のジャパン・エクスプレスウェー・パス・エリアというんですかね、北海道は入っていないんですけれども、本州、四国、九州に対して一週間で幾ら幾ら、二週間で幾ら幾らみたいなのがあるそうです。

 それだったら、国内の需要はどうなっているのかな、国内の人に使えるものはないのかなみたいなふうにも思いましたし、一体幾らで、今、外国人、インバウンドはコロナでありませんけれども、コロナ前の時点で結構、新幹線に乗っている方もたくさんいらっしゃいますけれども、一方で高速道路を使ってチープトリップをする若い方々がたくさんいるみたいなのをテレビ番組で、「Youは何しに日本へ?」じゃないですけれども、そんなようなので拝見したりしていますが、このインバウンドに対して実施してきた金額の設定等を教えていただきたいし、もし国内の方々、国民の皆様に対して同様のサービスを提供しているのであれば私の認識不足なので、教えていただければというふうに思います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 インバウンド向けに実施しております高速道路の周遊定額パスにつきましては、定められたエリア内で一定の期間内に高速道路を自由に乗り降りすることができる周遊定額パスということでございまして、NEXCO東日本、中日本及び西日本の各高速道路会社が販売をしておりました。

 現在、インバウンド向けの高速道路の周遊パスにつきましては、コロナウイルスの感染拡大等に伴いましてインバウンドが減少しておりまして、令和二年四月より新規の販売は停止をされてございます。

 販売実績がありました周遊定額パスにつきましては六種類となってございます。対象エリアと期間によって販売価格はそれぞれ異なりますが、例えば全国のNEXCOの路線が乗り降りできる周遊パスにつきましては、七日間で二万四百円、十四日間で三万四千六百円となってございます。

 また、国内向けの同様な取組といたしましては、地域の観光振興等を図るために、地方自治体や観光施設、宿泊施設等と連携しまして、定められたエリア内で一定の期間内に高速道路を自由に乗り降りができる周遊定額パスというものを高速道路会社が販売してございます。

 本日現在で、百三十四パターンの周遊定額パスがございます。価格と期間につきましては、それぞれまちまちということになってございます。

杉本分科員 ありがとうございます。正直、インバウンドの方には便利なんだけれども、意外と、今ちょっと伺った限り、パターンはいろいろあるんだけれども、本当に国民の皆さんが使い勝手がよくてというのがどうなのかなと思います。

 日本の課題というのは、人口減少、少子化、国力の低下の問題点みたいなことは多くの議員が指摘されていますけれども、一つだけ最後に申し上げたいのは、信長公の時代には楽市楽座があり、江戸時代にはお伊勢参りが六十年に一度大流行して人が動くというようなことがあって、人が動くとやはり交流があって、そこから出会いがあって、また子供さんを授かるような機会が多くなっていくというようなことにつながっていくと思いますので、この定額化の問題は、否定的に入るのではなくて、やはり日本の問題に直結する人の動きということに関わると思いますので、是非その点も与野党を超えて議論させていただきたいというふうに申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

稲津主査 これにて杉本和巳君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神分科員 有志の会の北神圭朗でございます。

 斉藤鉄夫大臣、御無沙汰しておりまして。私ごとですけれども、私が浪人時代に、名古屋駅で私が寂しく冬風に打たれているときに大臣から激励をいただいたこと、今でも記憶に残っております。ありがとうございます。

 今日は、ちょっと私の地元の件でいろいろお願いをしたいというのが正直なところでございます。

 私の選挙区は京都四区というところで、京都市内の右京、西京、西の方ですね、嵐山とか桂離宮とかがあるところで、そこから北に上がると老ノ坂というところを越えて亀岡市、それから南丹市、京丹波町、こういうところで、この辺は、亀岡以北は本当に農村地域で、町中もあるけれども農村地域が多くて、中山間地域が非常に多いところです。

 ここは大体、昔、平安時代から都が京都にあって、そこに、京都の台所として、いわゆる京野菜とかそういうのを提供したり、あるいは桂川という、あるいは保津川をずっと下って木材を提供したりする、そういう地域なんですが、そこにおいて四点ほどちょっと要望をしたいということがございます。

 一つは、亀岡市で国道四二三号線というものがございます。亀岡市というのは、保津川、桂川とか名前は変わるんですけれども、桂川水系の川で、結構氾濫をしたりしますし、例えば亀岡駅が水浸しになったりする。それから、地震も、いわゆる地層に亀裂が二本ほど走っているというところでございます。

 ところが、何か起きたときは、京都市内の方に、さっき言った老ノ坂というところで狭いトンネルがあるんですけれども、そこしかないんですね。

 大阪もこの国道四二三号線というのが主要な道路なんですが、法貴峠という峠がございまして、これがいろは坂になっていて、かつて私も、大畠章宏先生、御存じだと思いますけれども、国交大臣をやっておられたときにお越しいただいて、乗っていただいたんですね。そうしたら、かなり、こんないろは坂がいまだ現代の日本にあるのかというぐらい驚かれたところなんですが、ここがやはり災害のときに、多分、例えば自衛隊とか大型の車というのが通れないところでありますし、ふだんから生活道路に使われていますので、大雪、大雨のときなんかは、軽トラで運転していると非常に怖いところです、私も何度も通っていますが。

 ここについて、皆さんのおかげさまで予算をつけていただいて、少しずつは進んでいるんですが、なかなか遅々として進んでいないという状況なので、ここをまた一つ一つ力を入れていただきたいということですが、これについてちょっと、どういう今進捗状況なのか、どのようにお考えなのかというのを教えていただきたいと思います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 国道四百二十三号線は、大阪府大阪市から京都府亀岡市に至る延長約六十三キロメートルの幹線道路でございます。大阪府、大阪市、京都府が、それぞれ整備、管理をしております。

 このうち、京都府域の亀岡市西別院町から曽我部町に至る延長約三・〇キロメートルの区間は、急カーブや急勾配が連続し、異常気象時の事前通行規制区間となってございます。

 このため、京都府が防災・安全交付金を活用しまして、平成二十五年度から、法貴バイパス、延長約三・六キロメートルの整備を進めているところでございます。令和二年十二月に法貴地区の延長〇・三キロメートルが開通をしてございます。

 残る延長三・三キロメートルにつきましては、引き続き用地取得、埋蔵文化財調査、道路改良工事を推進中と京都府から聞いてございます。

 今後は、京都府からの御要望をお聞きしまして、引き続き、交付金によりまして支援をしてまいります。

北神分科員 どうもありがとうございます。

 大臣、これは、私が勝手にやっているような話じゃなくて、亀岡市も要望していますし、亀岡市議会の緑風会という会派がありまして、そこの幹事長の木曽利廣先生も、この前、国交省に、課長補佐の方に要望させていただいたということがありますので。

 今、前向きのお話もございました。いろいろ用地買収とか、確かに、何か埋蔵品が時々出てきたりして、そういったところはもうやむを得ないというふうに思いますけれども、できるだけ、京都府さんの管理ではあるんですけれども、やはり国の後押しがなければとてもこれは推進できないので、またお力添えいただきたいというふうに思いますけれども、ちょっと決意のほどを教えていただければと思います。

斉藤国務大臣 私も、先日、京都の北部、これは交通、観光、それから鉄道事業でも大変ユニークなウィラー鉄道等していらっしゃいます、その視察に行ってまいりました。

 国道四百二十三号法貴バイパスも、地域の発展のために本当に重要なポイントになると思いますので、国土交通省としてもしっかり支援していきたいと思います。

北神分科員 力強い答弁を本当にありがとうございます。京都北部にもいらしたということで、土地カンもお分かりだと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいというふうに思います。

 二点目は、亀岡の保津川、桂川というところをずっと、保津川下りというのが観光名所で有名なんですが、そこが到着するのが有名な嵐山というところで、ここは今、コロナの関係で観光客がめっきり減ってしまって、非常に厳しい状況にございます。

 その嵐山で有名な渡月橋とかがありますけれども、そこの桂川というのも有名な、映像で、台風のときに水浸しになったりしてきて、これは、国土交通省様のおかげさまで、かなりしゅんせつ整備というのが進んでいます。それから、可動式堤防というものも、いわゆる景観に配慮していただいて、観光地なので、非常に難しいことを多分要求、地元もしていると思いますけれども、そういうふうに非常にきめ細かく対応していただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、主流の桂川はそれなりに進んでいるんですが、中之島というところがありまして、これは京都市内の右京区、西京区にも若干またがるところがあるんですが、その中之島の支流から、いわゆる裏の方を通っていくちょっと細めの川がございます。ここがかなりまだ、しゅんせつが済んでいなくて、大雨のときにやはりあふれる。この中之島というのは、それなりに、観光地として、料亭さんとかおうどん屋さんとかいろいろなお店、民家も若干あると思いますけれども、そういったところがありまして、大水のたびに非常に苦労をされています。

 もう一つつけ加えるならば、さっき申し上げた保津川下りの船が大体そこを通って、支流を通って、そこから船を引き揚げて、トラックで京都縦貫道をまた上って、亀岡の保津川下りのスタート地点まで戻るということで、大事な川なんです。ここが、何遍、国土交通省に地元からお願いはしているんですけれども、ちょっと工事が、全く着工されないというふうに聞いておりますので、ここを何とかお願いしたいというふうに思いますけれども、どなたかお答えいただければありがたいと思います。

井上政府参考人 京都市嵐山地区は、史跡、名勝、かつ国内有数の観光地ですが、過去十年間で五度の浸水被害が発生しており、引き続き河川改修が必要な状況です。

 国土交通省では、嵐山地区の浸水被害を速やかに軽減するため、三つありまして、一つは、先ほど先生がおっしゃいました可動式の止水壁による左岸溢水対策。それから、渡月橋の上流にある農業用水用の一の井堰の改築、これで河川の底を低くする、構造的に流れやすくする。それから、御指摘いただきました渡月橋下流の右岸側の派川の改修。この三つを三点セットで実施することとしており、そのうちの一つの可動式の止水壁については昨年の六月より運用を開始しているところです。

 先生御指摘の、残る対策の実施のうちの、渡月橋下流の右岸の派川の改修については、中之島の浸水被害を早期に軽減できるよう、また、嵐山地区の景観や利用へも配慮し、実施に向けて検討を進めてまいります。

北神分科員 恐らく、今までは、一の井堰という、川の流れを促進する工事と、さっきの話、派川というんですね、裏の川の部分のしゅんせつ、改修、これを同時にやるという話だったと思いますけれども、ここ、私も、地元の方々の意向というものを踏まえないといけないというふうに思っていますが、できるところから早く進めていただければ非常に地元も助かるというふうに思っていますので、大臣、またこれについてもちょっと決意を述べていただければと思います。

斉藤国務大臣 国内有数の観光地である嵐山地区、まさに、渡月橋のあるあの風景は、日本の代表する風景の一つだと思います。

 その浸水被害の軽減は重要な課題でございます。派川のしゅんせつという、ある意味では非常に特殊な工事ということでございますけれども、そういう重要性に鑑みまして、国土交通省としてしっかり取り組んでまいりたいと思います。

北神分科員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、特殊な事例だというふうに思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、中之島というところで結構実際に被害に遭う方々がそれなりにおられるということと、嵐山にとっても非常に重要な観光の一つである保津川下りの船もそこを活用していますので、何とぞよろしくお願いしたいというふうに思います。ありがとうございます。

 三点目なんですが、今度は京都市内、亀岡を通り越して南丹市というところで、ここは昔、野中広務先生の地元で、園部町とか八木町とか、今申し上げるのは日吉町というところで、割と木材の盛んなところだったんですが、もう一つ、南丹市というのは美山町というところがあるんですが、この日吉町と美山町の境、山があります。そこに府道五十号線という道路がございまして、これも何十年前からも地元の方々が、何とか美山の方に通り抜けをしていきたいという要望が出されています。

 ところが、全然これは顧みられていなかった。これは必ずしも国土交通省さんのせいではなくて、京都府とかみんな、関係者がどこまで具体的に要望していたのかという問題もあると思いますけれども。

 これは地元としては、ここは畑郷というところで、非常に、日吉町の中でもかなり、いわゆる人の少ない地域です。ここが、この道路が、鏡峠というところですが、美山に通じると、美山と日吉がつながって、そして美山にはまたぐるっと南下する道路がありますので、日吉、美山の間に一つの、例えば小さいバスかどういう乗り物が適当なのか分かりませんが、非常に交通に困っている方々に対して南丹市としてもサービスというものを提供できるということになりますが。これはなかなか、ずっと、多分皆さんも余り聞いたことのない要望だというふうに思いますけれども。

 私はこの前、実際に足を運んで行きましたけれども、非常にやはり、皆さんもう半分諦めかかっているような状態で、これは何とかしていきたいなというふうに思いますので、ちょっと皆さんのお考えを聞かせていただければと思います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 主要地方道京都日吉美山線は、京都市右京区から京都府南丹市美山町を結ぶ延長約三十三キロメートルの主要地方道でありまして、京都府が管理をしてございます。

 このうち、南丹市日吉町畑郷から美山町肱谷の鏡坂峠における約二・五キロメートルの区間につきましては、未改良となってございます。車両の通行ができない状態となっているために、南丹市や地域の住民の皆様から京都府に対しましてトンネル整備の要望書が提出されている、このように承知をしております。

 道路管理者であります京都府からは、現在、北の肱谷バイパスなどを現在事業中であるため、この進捗状況を踏まえまして今後の対応を検討するということで聞いてございます。

 今後、京都府からの御要望に応じまして支援を検討してまいります。

北神分科員 どうもありがとうございます。

 国土交通省さんも全国各地域から本当にたくさんのそういう要望があるというふうに思いますけれども、効率というものももちろん考えないといけないというふうに思いますし、予算の制約もございますが、多分大臣は御出身が島根県のそういう農村地域だったというふうに思いますので、一番よくお分かりだと思いますけれども、この方たちも一生懸命何とか生活をして、そして、今申し上げた府道五十号線というのは、山があって、保安林もかなり多いというふうに聞いているんですが、山を取り出すのも、この道路がある程度整備されなければ取り出せないという状態で、もうずっと放置されている。昔は多分、馬か何かで、馬搬という形で取り出すことはできたんですが、近代において機械というものが全く通らない、そういった状況です。

 先ほど申し上げた交通の便もそうですし、そういった山の整備にも非常に大事な道でございますので、大臣のまたお力添えを賜れればと思いますけれども、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 北神委員のお気持ちは非常によく分かります。

 まず、この路線で肱谷バイパスを今事業中で、肱谷バイパスをまず仕上げたいということのようでございます。

 それで、実は私も同じような要望をよく聞くんですが、これは府が今管理している道路なので、府がその気になっていただかないといけないということで、ここは北神先生と一緒になってまた頑張っていきたい、このように思います。

北神分科員 ありがとうございます。

 肱谷バイパスも、実は私が十何年前に地元の方たちと国土交通省にお願いして、着工し始めたので、よくよく理解しております。そこがある程度できて、それで、それにつなげるというのが今の府道五十号線ですし、大臣がおっしゃるように、京都府さんが管理者でありまして、ここが率先してやっていかないといけないというふうに思っています。

 これについて、私も、地元の方々、畑郷の皆さん、南丹市、それから京都府さんにもちょっと連携をして、またちゃんとした形を整えていきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後に、今度は更に北の方に行って京丹波町。京丹波町というのは、旧丹波町、旧瑞穂町、旧和知町というところなんですが、この丹波町と和知町の大体、間の地域なんですが、白土というところがございまして、そこに白土橋という橋があります。

 これについて、当時の町長さんと私も現地を歩かせていただいて、これは、前は子供さんがまだおられましたので、通学路でもありました。ただ、非常に狭い橋なので、割とこの道路は大型の車両が通るところで、非常に危ないというふうに言われておりました。最近は、これも悲しい話ですけれども、子供さんがもうほとんどいなくなってしまっている状況ですが、それでも、実は、やはり幅が狭いということで、車が、事故が起きたり、そういった状況でございます。

 これはある程度進めていただいていた時期もあったんですが、これについて、今、止まっているほどではないというふうに思いますけれども、是非これを促進していただければ大変地元の皆さんも助かるというふうに思いますので、これについて、進捗状況等、何かございましたら教えていただきたいと思います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 国道二十七号白土橋は、北谷川に架かる延長約二十五メートルの橋梁でございます。昭和二十九年に建設されまして、車道幅員が六・一メートルと狭くなってございます。

 また、この白土橋を含む五百メーターの区間につきましては、京都府立須知高等学校の通学経路となってございますけれども、白土橋を含む約三百メートルの区間で歩道が未整備という状況でございます。設置済みの歩道につきましても狭いという状況でございまして、改良が必要な状況となっております。

 このため、平成二十五年度から、五百メートルの区間を対象にしまして歩道整備事業を実施しておるところでございます。具体的に申し上げますと、白土橋につきまして、西側に新たに橋梁を整備しまして、車道を拡幅いたします。また、現在の橋梁を用いまして幅員二・五メーターの歩道を整備するという、このような計画となってございます。

 今年度からは、歩道整備事業の用地取得に着手をしております。引き続き、事業の進捗に努めてまいります。

北神分科員 ありがとうございます。

 それなりに進めていただいているということで、これから歩道の整備ということで、用地取得が前提となっているというふうに思います。私もまたこれを持ち帰って、地元の方々にもできるだけ協力をするようにお願いをしていきたいというふうに思っています。

 大臣、これについても、これは平成二十五年から始めて、さっきの国道四二三も実は平成二十五年で、私がまだ現職でいたときに着手した事業ですので、何とか私も久しぶりに復帰をしましたので、これを完成していきたいというふうに思っていますので、またひとつお力をかしていただけませんでしょうか。

斉藤国務大臣 千葉県八街市の通学路における死傷事故がございました。これを受けて、総理も通学路の安全総点検を命じられたところでございます。

 国土交通省としても、この総点検とともに、通学路の安全に対しては全力で取り組んでいきたいと思っておりまして、この国道二十七号白土橋の整備については、通学路の交通安全の確保を図るための重要な事業であり、地域の皆様の御理解と御協力をいただきながら、しっかりと事業を実施してまいりたい、このように思います。

北神分科員 ありがとうございました。力強い答弁、本当にありがとうございます。

 通学路の総点検という総理の指示だということなので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 千葉県の話もありますが、私が今申し上げていた京都四区にも、亀岡市で昔悲惨な事故がありまして、篠町というところで。これは私もいつも思うんですけれども、通学路というのは大体大きな通りの裏道で、みんな、朝の渋滞を避けたりするときにそういうところを使う。ちょっと白土橋の話から離れますけれども。しかし、こういうところは用地買収とか地元の調整が非常に難しいから、どうしても後回しになってしまうけれども、今大臣が力強くおっしゃったように、こういったところが本当は国民の命、安全にとっては非常に重要な事業なので、我々も是非そこを応援させていただきたいというふうに思っています。

 時間はまだ余りましたけれども、もう私の質問はこれで終わりたいというふうに思います。

 最後に、皆さん御案内のとおり、南丹市の美山町というところで京都広河原美山線という府道がありまして、そこで崩落事故があって、非常に地元の人たちが、同じ美山のちょっと町中に行くために、一時間半ぐらい遠回りをしないといけないような状況にあります。国土交通省さんも迅速に対応していただいて、先月末ぐらいからもう仮の道を造ったりし始めておりますので、それもありがたい話ですし、これからももしかしたら様々要望が出てくるかもしれませんので、そのときにまた皆さんのお力添えを賜れますよう、よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 本当に大臣、ありがとうございました。またよろしくお願いします。

稲津主査 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、日下正喜君。

日下分科員 公明党の日下正喜でございます。

 昨年の選挙で初当選させていただき、本日、この委員会質問が私の初めての国会質問となります。

 地元広島で共に歩ませていただいてきました斉藤大臣の胸をおかりするつもりで臨んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 近年、自然災害の頻発化、激甚化により、私たちの生活、そして社会の営みは常に危険にさらされている状況と言えます。平成二十六年八月、広島市北部の安佐南区や安佐北区の住宅地などで発生した大規模な土砂災害、また、岡山県の倉敷市真備町を始め中国地方を襲った平成三十年七月豪雨など、当時被災者支援や復旧活動に携わった者として、昨日のように記憶に残っております。

 多くの貴い人命を失うとともに、道路や橋、鉄道などの寸断によって、周辺からの救援人員や支援物資が現地に入らない、そして被災地に暮らす住民の通勤や移動も、長期にわたり大きな支障を来す事態が各所で生じました。

 そうした教訓によって、国土交通省としても国土強靱化、防災・減災五か年加速化対策を進めておられますが、命と経済のライフラインともなるインフラ整備についてお尋ねしたいと思います。

 まず、中国自動車道加計インターチェンジのフルインター化について質問いたします。

 中国自動車道に並行する国道百九十一号等は、安芸太田町内の戸河内や加計の集落を結ぶ重要な道路でございますが、急峻な崖と河川に隣接しており、崖崩れや浸水の危険性を抱えております。平成三十年六月には付近の崖崩れで通行中の一名が亡くなられ、約一月半の間通行止めとなりました。

 国道百九十一号が寸断されると、残るルートは中国道のみとなります。災害時の地域分断を防止することや、支援物資の輸送等の観点から、現在、加計地域と東側、広島市側の移動のみが可能な加計スマートインターチェンジを、西側の山口県側からの行き来も可能とするフルインター化が切望されております。

 まず、この加計インターチェンジのフルインター化について、国土交通省の見解をお尋ねいたします。

村山政府参考人 お答えします。

 加計スマートインターチェンジは、中国自動車道の千代田インターチェンジと戸河内インターチェンジとの間にあるスマートインターチェンジであります。

 このスマートインターチェンジは、大阪方向の出入りのみが可能となるハーフ形式のインターチェンジでありまして、平成十六年十二月に開通をしております。

 委員から御指摘があったとおり、中国自動車道と並行する国道百九十一号線におきまして、最近でありますけれども、安芸太田町津浪地区において崖崩れによる通行止めなども発生してございます。そのとき、国道百九十一号線が不通になりまして、脆弱性が明らかになっております。

 このスマートインターチェンジの整備効果でありますけれども、災害時におきましてリダンダンシー効果を発揮するということでございまして、加計スマートインターチェンジのフル化に関しましても、仮に国道百九十一号線が通行止めになった場合、中国自動車道が代替路として機能するために必要な施設である、このように認識してございます。

 現在、地元自治体である安芸太田町が加計スマートインターチェンジのフル化に向けまして、必要性また構造の検討などを実施していると承知してございます。

 国土交通省としましては、引き続き、安芸太田町に対しまして必要な協力を行ってまいります。

日下分科員 ありがとうございます。引き続きの御協力、御支援をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、山陽自動車道への新たなスマートインターチェンジの設置について伺います。

 広島市内と広島県北部地域を南北に結ぶ国道五十四号線は、複数の主要渋滞箇所を抱えており、救急医療の観点から、アクセス性の向上が望まれています。一方、同地域を東西に走り、国道五十四号線との結束点とも言える山陽自動車道広島インターチェンジ周辺は、地理的には太田川と安川、古川に挟まれており、浸水の危険性を抱えております。救急医療及び防災機能の向上の観点から、また、広島インターチェンジ周辺の慢性的な交通渋滞の緩和のためにも、東側に隣接する高陽地区、ここは広島市のベッドタウンで、大きな団地が建ち並ぶ地域ですが、そこにスマートインターチェンジの建設を望む声が高まっております。

 この高陽地区へのスマートインターチェンジの設置について、検討状況と国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。

村山政府参考人 お答えします。

 高陽地区のスマートインターチェンジの設置につきましては、現在、広島市が設置に向けての検討をしている、このように承知してございます。

 具体的には、山陽自動車道の広島東インターチェンジと広島インターチェンジとの間におきまして、具体的な設置箇所や構造の検討、周辺の渋滞の緩和や防災機能の向上などのスマートインターチェンジの必要性の整理などを行っている、このように承知してございます。

 先ほど御答弁を申し上げました加計スマートインターチェンジと同様でございますが、国交省といたしましては、広島市に対しまして引き続き必要な協力を行ってまいります。

日下分科員 次に、国道二号線の一部区間の越波対策について質問いたします。

 広島県西部地域の国道二号線は、地域の開発と経済の発展に大きく寄与するとともに、災害支援に資する第一次緊急輸送道路に選定されており、広島広域都市圏にとって必要不可欠な主要幹線道路でございます。しかしながら、廿日市市丸石―大竹市玖波間約二・七キロメートルの区間においては、僅か風速十二メートル程度の台風で越波するなど、度々護岸崩壊、浸水被害等が生じており、その間は通行止め、地域住民の孤立が余儀なくされております。また、高潮浸水想定二から五メートル区間も存在することから、地元住民や経済界からの一日も早く災害に強い道路にしてほしいとの声は切実で、長年の悲願ともなっております。

 護岸、防潮堤の改良など、早急な防災・減災対策が必要です。早期事業化について、国土交通省の見解を問いたいと思います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 国道二号の廿日市市大野から大竹市玖波間におきましては、台風の接近時には高潮や越波によります全面通行止めが発生し、近年におきましても、令和元年九月と令和二年九月に通行止めが発生をしてございます。

 このため、本区間の越波対策につきましては、昨年九月に、自治体や有識者にも御参画いただきまして、国道二号大野地区防災対策検討委員会を設立をしまして、また、最近は、今年でありますけれども、地元の御意見もお聞きしながら、今早急に検討を進めている最中でございます。

 今後、越波対策が必要となります具体的な区間や構造などにつきまして決定をしていく予定でございます。早期に事業化できますよう、引き続きしっかりと検討をしてまいります。

日下分科員 ありがとうございます。一日も早い事業化を是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、広島南道路のミッシングリンク解消についての質問でございます。

 広島南道路は、広島県安芸郡海田町、東部流通業務団地から広島市を経由し、廿日市市に至る約二十三キロメートルの主要幹線道路です。当該路線は、交通渋滞の解消や臨海部の都市機能の向上、広島市と周辺地域の連携強化など、広島都市圏の更なる発展に欠かせない重要な路線となっています。特に、災害が頻発する近年、山陽自動車道とのダブルネットワークを形成するという観点からも大変重要な幹線道路でございます。

 しかしながら、西部流通業務団地、商工センター四丁目から廿日市インターチェンジに至る区間がいまだ事業化されておらず、中でも、廿日市市木材港西から廿日市インターチェンジの間は広島南道路で唯一のミッシングリンクとなっており、周辺市街地では慢性的な渋滞が生じております。

 広島湾岸部の交通環境を劇的に改善するとともに、廿日市市中心部の交通円滑化に不可欠であることから、この廿日市市木材港西から廿日市インターチェンジの間の優先的な整備が求められています。

 ミッシングリンク解消に向けた取組について、国土交通大臣の御見解を伺います。

斉藤国務大臣 広島南道路は、広島市の東側にある海田町から広島市の西側にある廿日市を、広島市の南側を通って一気に連絡させる道路です。全線二十三・三キロのうち、唯一、一番西側の木材港西から廿日市インターチェンジ間の一・五キロメートルがミッシングリンクになって、そこが通れば全線開通するという状況でございます。

 このミッシングリンクがつながることにより、企業が集積する広島湾臨海地域から広島岩国道路の廿日市インターチェンジへのアクセス性が向上し、廿日市市中心部の渋滞緩和や、臨海地域に立地する企業の物流効率化等の効果が期待されます。

 国土交通省としましては、引き続き、木材港西から廿日市インターチェンジ間の来年度からの事業着手を目指し、有料道路事業の活用による整備も含め、必要な検討を鋭意進めていきたいと思っております。

日下分科員 力強い御答弁をいただきました。来年度の事業着手、是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、国道百八十五号安芸津バイパスの早期整備についてでございますが、一般国道百八十五号は、広島県呉市から東広島市、竹原市を経由し三原市を結ぶ主要な幹線道路であり、瀬戸内海沿岸部の連携を強化し、山陽自動車道や一般国道二号の代替道路としての機能も有する等、重要な役割を担っております。沿線地域には、物づくり産業における世界トップレベルの技術や、オンリーワン、ナンバーワン企業が集積しており、当路線は、欠かすことができない物流基盤として、古くから企業活動を支えてきました。

 さらには、この呉から三原までの海岸線は、多島美を誇る瀬戸内海国立公園の中でも屈指の絶景で、日本固有のすばらしい歴史文化を有することから、当路線は日本風景街道に指定されております。個性豊かな観光拠点を連絡する交通基盤となっております。

 一方で、平成三十年七月豪雨災害では、土石流の発生や道路のり面の崩壊等により多数の箇所が全面通行止めとなり、地域が孤立し、円滑な復旧復興活動に支障を来してきました。

 このように、当路線が担う役割は非常に大きいことから、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保すべき路線として、平成三十一年四月に国土交通大臣において重要物流道路に指定されたところです。

 しかしながら、当路線には、交通容量が不足し慢性的な渋滞が発生している箇所、幅員狭小、線形不良で大型車の離合が困難な箇所、さらには、通学路でありながら歩道が未整備である箇所も多数ございます。

 社会経済活動の根幹である人流、物流を円滑にし、道路の安全性と信頼性を高める意味においても、さらに、瀬戸内の重要な観光インフラの整備という意味でも整備が強く求められていますが、特に安芸津バイパスの早期整備、そして沿線の交通安全事業を推進していくべきと考えますが、国土交通省の御見解を伺います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 国道百八十五号安芸津バイパスは、東広島市から竹原市に至る延長約六・一キロメートルのバイパス事業でございます。これまでに一・五キロメートルが開通をしてございます。

 この安芸津バイパスを整備することによりまして、現道の国道百八十五号の急カーブ区間などの線形不良箇所を回避することができ、大型車の走行性の向上や交通事故の減少など、地域の利便性や安全性の向上が期待されるところでございます。

 現在、残る四・六キロメートルの区間におきまして、用地の取得、埋蔵文化財調査、改良工事を実施しているところでございます。令和五年度には木谷トンネル工事に着手できますよう、事業を推進しておるところでございます。

 また、歩道の整備についてのお尋ねでございますが、国道百八十五号では歩道が未整備の箇所がございます。現在、五か所で歩道整備を行っております。川尻歩道整備、小松原歩道整備、安芸津歩道整備、吉名歩道整備、忠海自転車歩行者道整備、以上五か所で歩道整備事業を今推進しているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御理解と御協力を得ながら、バイパス事業、また交通安全事業をしっかりと推進してまいります。

日下分科員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 最後に、社会インフラの長寿命化について質問いたします。

 二〇一二年十二月二日、中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故で、複数の死亡者、負傷者が出るという痛ましい事故が発生したことは今なお記憶に新しく、また、頻繁に各地で起こる水道管破裂や道路陥没といった現象は、ともすれば大惨事を引き起こしかねない重大な事案でございます。近年の大雨被害や地震が多い我が国にとって、社会インフラ施設の老朽化対策は待ったなしの状況と言っても過言ではありません。

 そこで、国土交通省にお尋ねします。

 我が国の社会資本のうち、建設後五十年を経過するものはどの程度の割合を占めているのか。また、今後どのように推移していくのか。道路、橋梁、トンネル、河川、下水道、港湾等の社会インフラを守るために、今後、更新、維持管理等に係る費用は今後三十年でおおよそどの程度かかると推計されるのか。お示し願いたいと思います。

和田(信)政府参考人 我が国におきましては、高度経済成長期以降に集中的に整備されたインフラの老朽化が深刻であり、例えば、道路の橋梁では、二〇二〇年時点で建設後五十年以上経過する施設の割合は約三〇%であります。この割合が二〇三〇年には約五五%、二〇四〇年には約七五%まで増加するなど、加速度的に進行してまいります。

 このようなインフラの老朽化対策につきましては、施設に不具合が生じてから対策を行う事後保全では多額の費用を要することとなることから、将来世代の負担軽減に向け、施設に不具合が生じる前に対策を行う予防保全への転換を図る必要がございます。

 二〇一八年度に国土交通省が所管するインフラを対象に行った推計では、将来の維持管理・更新費用の今後三十年間の累計が、事後保全の場合は約二百八十兆円を要する一方で、予防保全の場合は約百九十兆円であり、約三割縮減できるものと見込んでございます。

日下分科員 ありがとうございます。

 予防保全の考え方、防災・減災の観点からも大変重要かと思います。費用面でも大きく縮減できます。是非積極的に進めていただきますようお願い申し上げます。

 私の恩師でもある広島大学名誉教授、米倉亜州夫先生は、社会インフラ施設の長寿命化によるライフサイクルコストの削減を提唱されています。特にコンクリートに着目した長寿命化でございます。

 具体的には、地上部構造物は、高強度コンクリートとコンクリート打設後二週間程度の湿潤養生。これは、資料の八ページ、九ページを見ていただきたいと思うんですけれども、普通のコンクリートの施工の方法、コンクリートの種類によってもそうなんですけれども、上の写真、鉄筋が膨張して、下のコンクリートが、床版が剥離しているというふうな状況がございます。これはコンクリートのせいでもありますけれども、湿潤養生というものを行っていない可能性もございまして。

 まず、高強度コンクリートというのは、水セメント比を小さくしまして、その分コンクリートが流動化が損なわれますので、流動化剤というか混和剤を混ぜてするコンクリートでございます。打設後、湿潤養生を行うわけでございますが、それを組み合わせることによって、九ページの右側の写真、鏡面のようにコンクリートがつるつるというか、そういうふうな状況になります。

 なかなかこの湿潤養生ということが一般的にも理解をされていないということがございまして、一般的に、ペンキを塗ったら、乾かせば、すぐに乾いて触れる、コンクリートも同じように考えている方が結構いらっしゃって。

 コンクリートは、水とセメントの水和反応によって硬化していく。水和反応によって硬化していくので、水が不足すると、そこに空隙ができて、雨水が流れ込んで、鉄筋に触れて、それがさびて、膨張して剥離するということでございまして、この高強度コンクリートと打設後二週間程度の湿潤養生を組み合わせることで、コンクリートの密実化が促進され、従来比で二から三倍寿命が増大いたします。物すごく大きい事実でございまして。

 一方、地中では、細菌、硫酸塩還元菌が生成する硫化水素や、火山帯付近では火山性硫化水素に起因する硫酸に地下構造物が侵されると、著しいスピードで劣化、破壊が進行します。そうした地域に建設される地下街、ビル基礎コンクリートや、地下鉄、トンネル、下水道管等の地下構造物を耐硫酸性コンクリートで施工することで、従来比十倍以上の長寿命化が可能と試算をしております。

 これは十六ページの方を見ていただきたいんですけれども、硫酸劣化によって生じた道路の陥没、こういうことは多くのところで起こっていると思いますけれども、こういう実態もございます。また、下水道管の中、内部ですが、ちょっと黄色っぽく、ぶよぶよになっていますけれども、これも硫酸劣化でございます。

 左下については、これは広島市役所の地下駐車場でございますが、まだそんなに古い建物ではないですけれども、実は硫酸劣化が進行しているという状況。その右側は、広島のアストラムラインの地下の構造物でございますけれども、そこでもそういうものが発生しているということでございます。

 だから、非常に劣化が早いということと、そして、こうした地下コンクリート構造物の硫酸劣化でございますが、先ほどの駐車場もそうですけれども、発生する硫化水素は腐卵臭のある、腐卵というのは卵の腐った臭い、硫黄のような臭いですけれども、有毒ガスでございますので、発生を抑え、たまらないようにするには、常に換気しておく必要があります。なので、先ほどの地下構造物などは換気を常に怠ってはいけないという状況になっております。

 その場合、地震とか台風で長期停電し、換気が止まった場合、有毒ガスによる健康被害や人命が危険にさらされる事態も想定されます。実際に、硫化水素中毒による死亡災害も数例報告されており、有毒ガスによる人的被害についても着目する必要がございます。

 次の十八ページにございますのは、これは広島市なんですけれども、市街地、ほぼ、広島駅の南側、繁華街というか、一番大きな町ですけれども、そこが大体、腐食環境、こういう細菌がいるところという形で示されております。

 建設材料を高強度、耐硫酸性のものに置き換えた場合、材料費は、高強度コンクリートで二、三〇%程度、耐硫酸性コンクリートで二、三倍程度。耐硫酸性コンクリートは今余り使われていないという実態がございまして、物によると五倍とか十倍とかという費用がかかるのでありますが、量産化された場合は二、三倍に収まる可能性もあるということでございます。

 材料費は総工費の一〇から二〇%程度でございますので、結果的に総工費は、全体で考えますと、一〇から三〇%の増加で済みます。長寿命化によるライフサイクルコスト削減分、これは従来比の五〇%以上削減可能という試算でございまして、十分に補える大幅なコスト削減が可能となり、災害にも強いものとなります。

 また、カーボンニュートラルに対しても非常に有効です。

 セメントは、一トン製造時に〇・七から〇・八トンのCO2を副産します。大体一対一に近いぐらいの量の二酸化炭素が発生します。単純計算ですが、コンクリート構造物を地上部で二、三倍、また地下部で十倍長寿命化させることで年間のセメント使用量を減らせますので、CO2排出量を三分の一及び十分の一に抑制できるということになります。

 平成二十五年に関係省庁連絡会議で決定されたインフラ長寿命化基本計画の下で示されたロードマップに新技術の開発、導入が盛り込まれていますが、インフラの長寿命化に向けた取組の現状と課題、今後の方針などをお示しいただくとともに、斉藤大臣の御所見を伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 高度経済成長期以降に集中的に整備された我が国のインフラの老朽化は、深刻な状況にございます。同じ認識でございます。

 持続的なインフラメンテナンスを実現していくため、将来に係る維持管理・更新費の抑制が重要な課題であり、事後保全型ではなく予防保全型のインフラメンテナンスへの転換が求められております。

 現在、一昨年閣議決定した防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を活用しつつ、予防保全型のインフラメンテナンスへの本格転換に向けて取り組んでおります。今後とも、こうした取組を進めてまいります。

 また、インフラメンテナンスの生産性を向上するため、新技術の開発、導入も非常に重要です。具体的な取組として、例えば、これまで、インフラの点検時にドローンやロボットを活用できるよう、技術開発や規定類の整備を行ってきております。また、今年度からは、道路等の分野において、新技術の活用検討を補助金、交付金の配分の際の要件や重点配分の対象としたところでございます。

 さらに、多様な産業の技術や民間のノウハウを活用しつつ、新技術の開発、実装を加速する取組を行ってまいります。

 インフラ長寿命化対策は待ったなしの課題であると認識しておりまして、今後もしっかりと取り組んでまいります。

 今御紹介のありましたコンクリートの長寿命化等、またそれがカーボンニュートラルにも大きな貢献をする、こういうお話を伺いました。こういう新しい技術開発、新技術への挑戦ということも今後のインフラメンテナンスで非常に重要になる、予防保全型に転換していく上でまさにそれがキーになる、このように認識しております。

日下分科員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

稲津主査 これにて日下正喜君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木英敬君。

鈴木(英)分科員 自民党の鈴木英敬でございます。新人であります。(発言する者あり)ありがとうございます。

 今日、国交省関連は初めての質問となりますので、至らぬ点もあろうかと思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 コロナ禍になって三年目を迎えているわけですが、当面の感染収束とか国民の命を守り抜くというのが喫緊の課題でありますけれども、コロナ禍を経験して、この先、我が国がどういう未来に向かっていこうとするのか、そして、それを示していく努力をし、国民の皆さんが少しでも明るい気持ちで、希望を持って日々暮らしていただけるようにするのも、政治の大きな使命だと考えます。本日は、そのような観点から、知事時代の経験や教訓も踏まえ、議論をさせていただければと思います。

 まず、分散型国土づくりと国土強靱化についてお伺いをします。

 今年は、田中角栄元首相が「日本列島改造論」を発表されて、ちょうど五十年の節目に当たります。「日本列島改造論」は、工業再配置と交通、情報通信の全国的ネットワークの形成をてこにして、人と金と物の流れを巨大都市から地方に逆流させる地方分散を推進することを趣旨としていました。高速道路網、新幹線、港湾、空港の整備などの意義は全く変わりませんけれども、この五十年間でその構想の目的であった地方分散が実現されたかというと、それはやはり道半ばと言わざるを得ません。

 他方、コロナ禍を経験し、都市集中のリスクも顕在化したのではないかと考えています。例えば、二月十三日現在、全国の総人口に占める新型コロナ感染者割合は三・二%。東京都は、令和四年一月一日の人口ベースでいきますと、感染者割合が五・九%。大阪は六・〇%。ちなみに三重県は一・九%です。この数字だけでリスクを示せるものではありませんけれども、都市部において感染者の割合が高くなっているのもやはり事実です。

 これは、都市部の方々が感染対策を怠っているということでは全くありません。構造的に集中していることで、過密な大都会がパンデミックに対し脆弱なのではないか。また、多数の人々が訪れ、かつ人々が高密度に互いに交流し合うため、都市規模が拡大すれば感染機会も指数関数的に拡大するのではないか。そのようなことを示唆しているのではないかと考えているわけです。

 日本経済の主要エンジンの大きな部分を過密都市である東京圏が占め、それらの経済機能が感染症により日本の中でどこよりも長く麻痺するということは、日本経済全体へのマクロな被害が拡大することを意味するのではないかと考えています。

 また、歴史をひもといてみますと、感染症と大規模災害が連続的に発生していることが散見されます。例えば、一九一八年のスペイン風邪、そして日本でも約三十八万人の方が死亡しましたが、それから間もなく、五年後になりますが、関東大震災が発生しました。ほかにも例があります。江戸時代末期、一八五四年、今の三重県の地域にも大きな被害をもたらした安政東海地震と安政南海地震が発生しまして、その四年後にコレラが大流行しています。

 近年の自然災害において、大都市の脆弱性も顕在化していますが、感染症や大規模災害がいつ起こるか、しかも連続的に発生する可能性が歴史から見てもある中で、脆弱性のある大都市への集中について、その構造を転換し、分散型国土づくりを進め、国民の生命と財産を守っていくことは、まさに待ったなしの課題であります。

 私は、令和版の日本列島改造論ではありませんが、分散型国土づくりを進めるために必要なことは、以下の四つを地方で抜本的に充実させることだと思っています。一つは防災・減災、国土強靱化、一つは医療、一つは子育て・教育、一つはデジタル。特に、国土強靱化を地方で抜本的に進めることは、分散型国土づくりにとってとりわけ重要であります。

 そこで、お伺いをいたします。

 まず、分散型国土づくりが今後ますます必要になってくることへの認識と取組への意気込み、あわせて、分散型国土づくりにも資するという観点からの国土強靱化推進への決意、これらを斉藤大臣にお伺いします。

    〔主査退席、今村主査代理着席〕

斉藤国務大臣 まさに地方分権、分散化に努力してこられた鈴木委員の御意見、本当に承りました。私も同じ認識でございます。

 東京一極集中は、首都直下地震等が切迫する中で被害拡大のリスクを高めていることに加え、地方における若者、特に女性の流出による地域社会の衰退の要因となっているなど、多くの問題を抱えていることから、その是正のため、東京に集中する人口や諸機能の分散を図ることが重要と考えております。

 国土交通省としては、現在、国土審議会において、デジタルを前提とした新たな国土形成計画の策定の検討を行っているところであり、関係府省と連携し、東京一極集中の是正に向けた国土づくりについて議論を進めていきたいと考えております。

 また、防災・減災、国土強靱化の取組は、国民の命と暮らしを守るだけでなく、社会経済活動を持続させることで地域の豊かさを持続、向上させるなど地方創生を推進するものであり、東京一極集中の是正にも資するものと考えています。

 国土交通省としましては、今後も必要十分な予算を確保し、ハード、ソフトの施策を総動員することで、防災・減災、そしてインフラの老朽化対策といった国土強靱化の取組をしっかりと進めていきたいと思います。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。

 斉藤大臣から、一極集中是正について同じ認識であるということ、また、デジタル活用の審議会も含めて積極的に議論を続けていきたいという強い決意をおっしゃっていただき、また、国土強靱化についての必要十分な予算をしっかり確保するという力強いお言葉をいただきました。今、五か年対策をやっていますけれども、五か年で済むはずはありません。その後のことも含めて、私たちもしっかり声を上げていきますけれども、是非、必要十分な予算の確保に向けて、共に頑張ってまいりたいと思います。

 次に、分散型国土づくりのための機運醸成や国民理解の促進という観点から質問をいたします。

 令和三年一月二十九日、企業等の東京一極集中に関する懇談会の取りまとめが公表されました。この懇談会の座長は、地方創生の生みの親でもいらっしゃる増田寛也元総務大臣です。

 その取りまとめでは、テレワークの進展による職場と仕事の分離に向けた動き、あるいは、新型コロナ感染症の拡大による若年層を中心とした地方移住への関心の更なる高まりなどが示されました。

 あわせて、都道府県別の中間層の経済的豊かさというのも示されました。これは、各都道府県の所得上位四〇%から六〇%の世帯別の可処分所得から、食、住などの基礎支出を差し引いた差額、可処分所得から基礎支出を引いた差額、これを中間層の経済的豊かさとしてやっています。結果、東京都は四十二位、また、費用換算した通勤時間も考慮すると四十七位となることが明らかになりました。

 ちなみに、この結果で一位となったのは三重県でありまして、当時の知事がよかったということではありませんけれども、全ての分野の関係者が総力を挙げて取り組んだ結果であると思います。

 そこで、お伺いします。

 今回の懇談会で示された都道府県別の中間層の経済的豊かさという指標は、分散型国土づくりを進めていこうという機運醸成や国民の理解促進という観点からは大変評価されるものであると考えます。しかしながら、現在のところ、一極集中是正や分散型国土づくりに関わり、定量的かつ客観的に示されるデータは必ずしも多くなく、単純な人口の転入転出のみと言っても過言ではありません。

 したがって、本指標を始め、そのほかにも複数の指標を分析したり、新たに指標を調査するなどして、分散型国土づくりの機運醸成や国民理解促進に資する指標を定期的に調査、公表していくべきと考えますが、国交省の見解をお伺いします。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の、都道府県別の中間層の経済的豊かさの指標、御指摘のとおり、東京都の中間層の世帯が他地域に比べて経済的に豊かであるとは言えないということを示したデータとして大変関心を呼んで、地方公共団体、マスコミなどからも関心をいただいたところでございます。

 先生御指摘の、様々な指標の調査等を定期的に実施するということにつきまして、先ほど大臣からもありましたように、現在、国土審議会で新たな国土形成計画の検討を進めているところでございますけれども、非常にデータというのは、機運醸成、国民理解促進という観点から重要な要素であると思っておりますので、これからしっかりと分析、検討をした上で、必要な指標をしっかり整えて、結果公表をまた積極的に行っていきたいと思います。

鈴木(英)分科員 ありがとうございました。

 青柳局長から、しっかりと指標を考えていく、大変力強い御答弁をいただきまして、感謝申し上げます。是非、しっかりと検討をし、機運醸成につなげていただきたいと思います。

 それでは、大きな柱、二つ目です。

 続いて、きれい過ぎる海ではなく豊かな海へという思いから、伊勢湾などの閉鎖性水域における下水道処理の在り方と、脱炭素、水産業の再生、ひいては生物多様性、これらをどう同時達成させていくのか、つまり、栄養塩類の管理の在り方を積極的に転換していくべきという観点から質問を行います。

 三重県議会から、令和三年十二月二十三日、地方自治法九十九条に基づき、「豊かな海」の再生に向けた海域における栄養塩類の管理の在り方の検討を求める意見書が政府に対し提出されています。概要は以下のとおりです。

 黒ノリ養殖を行う上で、窒素、リン等の栄養塩類は重要な成分であるが、近年、海域における栄養塩類濃度の低下により、黒ノリの色落ち被害が深刻化しており、黒ノリ養殖業者にとって死活問題となっている。栄養塩類は、海の生態系の根幹をなす重要なものと認識されている。生物生産性及び生物多様性の向上と水産業の持続的な発展を実現する豊かな海を取り戻すためには、早急な栄養塩類濃度の改善が必要である。高度経済成長期に発生した沿岸の水質汚濁を契機として、全窒素及び全リンに対する水質環境基準の設定や総量規制を行うなどの水質保全対策が行われてきたことにより、海洋環境の改善は進んできた。しかしながら、海域における栄養塩類濃度の低下は、黒ノリ養殖業を始めとする水産業の衰退をもたらしている。海洋環境の保全との調和を図りつつ、一定の栄養塩類が海に円滑に供給されることが豊かな海の再生に向けて必要であり、栄養塩類の排出規制一辺倒からきめ細かな管理への転換という考え方なども踏まえ、海域における栄養塩類の管理の在り方を検討することが求められる。国において、豊かな海の再生に向けて、海域における栄養塩類の管理の在り方の検討を進めるよう強く要望するという意見書でありました。

 私の地元の漁協など多くの方からも、豊かな海を再生してほしいという切実な声がたくさん届いています。特に、トンガの大噴火で津波が来て潮位が変わって、それ以降、より色落ちがひどいというような話もあったりします。

 さらに、少し前になってしまいますが、去年六月の毎日新聞の記事で、少し抜粋して申し上げますと、アサリの餌となるプランクトンが減って、アサリの漁獲量が減っている。それから、組合長によると、下水処理が進み、陸から海に栄養塩が入らなくなった。環境省幹部は、閉鎖性海域での栄養塩減少は全国的な傾向だ、いつかはきれい過ぎると問題視される時代が来るかもしれないと。下水処理場における排水について、栄養塩濃度の規制緩和に踏み切った取組は、福岡県大牟田市で二〇〇四年に初めて実施され、当時、ノリの色落ち被害が深刻だったが、排水を放出する河口近くで養殖するノリの色つきに効果があるとして、ほかの自治体にも広がっている。国交省の有識者検討会委員を務める川村氏は、河口近くで養殖することが多いノリにとって、排出規制を緩和して海の栄養を補うことは理にかなっていると指摘している。国交省の担当者は、手探りの状況ではあるが、まずは試行的に対策を進め、効果を見極めたいと説明をするという記事でした。

 そこで、お伺いします。

 豊かな海の再生、これは、地域に根差した産業を守る、地域で暮らせる環境を守るということに通じます。また、先ほど申し上げた分散型国土づくりの観点からも必要です。豊かな海の再生のため、それに資する栄養塩類の管理について、関係省庁が様々な主体と連携して積極的に取り組むべきと考えますが、国交省としての現状認識、これまでの取組の成果と課題、今後の取組について御答弁ください。

井上政府参考人 生物の多様性の保全や持続可能な水産活動を育める豊かな海の再生という観点から、水質環境基準を達成することはもとより、栄養塩類を管理していくことも重要であると認識しています。

 このため、近年では、水質環境基準の達成維持や放流先の周辺水質へ大きな影響を及ぼさない範囲で、関係機関等の要望に基づき、冬季に下水放流水に含まれる栄養塩類の濃度を上げる季節別運転管理を実施しています。

 国土交通省においては、このような取組の普及促進を図るため、これまで事例集や下水処理場における季節別運転管理のための手順書を公表しました。

 より豊かな海の再生につながるよう、更に栄養塩類を補給できるかどうかについて検討し、その方法についてガイドラインとして取りまとめてまいります。

鈴木(英)分科員 井上局長、ありがとうございます。本当に井上局長は、ほかの分野も、地元のことを大変よく知っていただいていて、いつもきめ細かな対応に大変感謝をしているところですが、今も、更に検討してガイドラインの策定を目指したいとおっしゃっていただきました。地元の皆さんも大変喜んでおると思います。ありがとうございます。

 そして、豊かな海をつくっていくということにおいては、多岐にわたる課題もありますし、担当部局もたくさんあります。関係省庁と連携も既にしていただいていると思いますけれども、こういう多岐にわたる、あるいは担当部局も多い、そういう課題については政治のリーダーシップも必要と考えますけれども、中山副大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

中山副大臣 豊かな海の再生については、四方を海に囲まれた我が国にとっては極めて重要なことであると認識しております。漁業は地域の重要な基幹産業であり、豊かな海、豊かな漁場の再生は地方創生の観点からも非常に重要な取組であります。

 季節別運転管理については、既に幾つかの下水処理場において取り組んでおり、国土交通省としては、より効果的な取組となるように地方公共団体を支援してきたところであります。

 より豊かな海の再生に向けて、今後も引き続き、下水処理場における季節別運転管理の向上に取り組むとともに、公共用水域の水質のモニタリング等を担っている環境省、そして漁場の振興を担う水産庁など、関係省庁ともしっかりと連携を図りながら進めてまいりたいと存じます。

鈴木(英)分科員 中山副大臣、ありがとうございました。大変心強いお言葉をいただきました。

 相反する価値というか、違う価値のものをつなげていく、あるいはそれを変えていくというときには、やはり政治のリーダーシップは必要だと思いますし、それが政治の仕事だと思います。今、副大臣から力強いお言葉をいただきましたので、是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、大きな柱三点目の離島振興についてお伺いをしたいと思います。

 二月十日、離島振興法改正・延長実現総決起大会というものが開催されまして、私も出席をさせていただきました。国交省からも加藤政務官、また、自民党からは長年離島振興に携わってこられた離島振興特別委員会の谷川委員長が出席され、公明党からは山口代表が御出席をいただきました。本当に、山口代表を始め、公明党の皆さんの、強い離島への思いも感じたところであります。

 その大会では離島振興法の改正・延長に関する決議が行われ、昭和二十八年に議員立法により制定され、二〇二三年三月末で失効する現行の離島振興法を拡充強化、延長、これを実現しようというもので、そのほか、離島活性化交付金の拡充と増額など十五項目が決議に盛り込まれています。

 離島振興法は、私の選挙区にある六つの離島も含めまして、七十七地域二百五十四の離島を対象としています。

 離島は、我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、多様な文化の継承、自然環境の保全など、我が国、国民の利益の保護、増進に重要な役割を担っておりますが、一方、四方を海で囲まれていることなどで、離島以外の地域と比べて、結果として、医療や教育などに格差があったり、輸送コストがかかるので物価も高かったり、コロナ禍で観光業が打撃を受けたり、そういうようなことがありますので、国として現下の情勢を踏まえてしっかりと支援すべきであると考えます。

 一方、離島独自で活性化のために積極的に取り組んでいる事例もあり、それらをしっかりと後押しすることも大切です。

 例えば私の選挙区では、鳥羽市の神島、これは三島由紀夫の「潮騒」の舞台にもなりまして、女優の吉永小百合さんにも私が知事時代に来ていただいた、そんな場所ですが、その神島の診療所のドクターを中心に、離島と本土の七つの診療所によるオンライングループ診療を行ったり、あるいは鳥羽市の答志島ではトロさわらのブランド化とか黒ノリの共同加工施設の整備、あるいは志摩市の間崎島というところでは楽天と大手スーパーと連携したドローンを活用した買物支援など、こういうように積極的に独自の取組がそれぞれ行われております。

 そこで、二点お伺いします。

 まず一点目。離島地域の多くの声を踏まえて離島振興法の改正、延長、充実を図るべきと考えますが、離島振興に向けたこれまでの取組の成果と課題、今後の取組方針について、中山副大臣に御見解をお伺いします。

中山副大臣 離島振興に当たっては、医療、介護、教育の確保、離島航路の維持などの取組はもちろんのこと、産業や生活の基盤となるインフラ整備の推進や、離島活性化交付金を通じた定住促進などに取り組んでまいりました。例えば、離島活性化交付金で支援している離島留学は、実施学校数が平成二十五年度の四十八校から令和二年度には百四校まで拡大しており、島外からの学生を呼び込むことで島全体の活性化にも寄与しています。

 一方で、人口減少や高齢化の進展が全国を上回るなど、依然として離島地域は厳しい状況にございます。そこで、今後、離島振興では、離島留学や地域資源の磨き上げなどの従来の取組の更なる推進に加え、デジタル化による遠隔医療などの導入、再生可能エネルギーの活用といった、離島における新たな試みを推進していくことが重要と考えております。

 国土交通省としては、離島振興改正法に向けた各党の議論も踏まえながら、離島振興にしっかりと取り組んでまいります。

鈴木(英)分科員 中山副大臣、ありがとうございました。

 先ほど最後におっしゃっていただいたように、各党の意見を聞きながらしっかりと取り組んでいきたいということで、是非よろしくお願いしたいと思います。

 離島振興の二点目ですけれども、自らの反省も込めて申し上げますと、都道府県がもっと離島振興にコミットメントをして、離島振興の支援策の質的、量的拡充を図る必要があるのではないかと考えています。例えば、現行離島振興法で都道府県と明記している主な任務は、四条、七条の二、十条などです。都道府県ごとに実際温度差があるのも事実です。

 そこで、お伺いをしたいと思います。

 先ほどの法改正を行っていくに当たって、国が責任を持って離島振興を行うという基本姿勢は堅持しつつも、離島振興を総力戦で行うという観点から、全国知事会等ともしっかり調整いただく必要がありますが、都道府県の役割をより強め、更に役割を明確化するべきと考えますが、中山副大臣から御見解をお伺いしたいと思います。

中山副大臣 離島振興法において、都道府県は、離島振興計画の策定主体として市町村の考えを反映していく役割を担うほか、基本方針においても、国、市町村と並んで、離島振興施策の推進主体に位置づけられております。

 医療、介護、教育などの各離島共通の課題への対応のほか、近年、ICTを活用した遠隔の取組など、個別市町村にとどまらない広域連携の取組も生まれており、離島振興における都道府県の役割は重要であると認識しております。

 国土交通省としては、離島振興法改正に向けた各党の議論も踏まえつつ、最前線に立つ市町村を都道府県とともに支えながら、今後の離島振興にしっかりと取り組んでまいります。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。

 おっしゃっていただいたとおり、特に医療は、医療の様々な法体系は都道府県知事に権限があるものが多く、離島振興法も無医地区の医療の確保は都道府県知事がやれと書いてありますので、そういうことから考えても、都道府県知事がもう少し、これは先ほども言いましたように自分の反省も込めてなんですけれども、もっとしっかりコミットしていくということが大事だと思いますので、総力戦で離島振興をやっていっていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、G7交通大臣会合についてお伺いをしたいと思います。

 二〇一六年に続きまして、二〇二三年、日本でG7の各種会議が開催される予定です。G7が結束し、国際的かつ地球規模の課題解決に一致結束して当たり、コロナを経験した後の世界を明るい方向に導いていくために極めて重要な、また絶好の機会であります。

 三重県におきましては、二〇一六年にG7伊勢志摩サミット、安倍総理の下、首脳会議を開催いたしました。観光客や国際会議の増加だけではなく、世界最高峰の国際会議が開催された地として県民が大きな誇りを持つことができたなど、多くのレガシーが生まれ、当時の知事としてもうれしく思うとともに、政府の皆様の多大な御尽力に改めて感謝をする次第であります。

 現在、政府において、首脳会議や関係閣僚会議の開催地を公募し、選定に向けて取り組んでいると承知をしております。国交省関連でも、二〇一六年には長野県軽井沢町で交通大臣会合が開催され、今回も開催を検討されていると考えております。

 三重県と志摩市が、この度、二〇二三年のG7関係閣僚会合開催地に名のりを上げ、誘致を行っています。中でも、特に交通、観光に関する閣僚会議を明示的に表明し、この分野を特定して名のりを上げているのは三重県と志摩市のみであると思っていたのですが、昨日、斉藤大臣のところにライバルが現れたということも聞いておりますけれども、そういう意味で、我々は交通、観光の閣僚会議を是非やりたいと思っております。

 国際会議開催の豊富な経験、要人警備の実績、県民のおもてなしなど、開催地として十分な適性があると考えております。先日、斉藤大臣にも、知事、市長からの要望をお受けいただき、感謝申し上げます。

 そこで、お伺いをします。

 二〇二三年G7交通大臣会合の開催地決定に当たって、選定スケジュールや選定のポイントについて答弁をいただきたいと思います。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、二〇二三年のG7交通大臣会合の開催につきまして、開催する場合の意義、テーマ等を国土交通省において検討しているところでございます。

 開催地の選定については、関係省庁が連携をしながら、宿泊施設、会議場、交通アクセス、警備等につきまして、現地視察なども行いつつ、あらゆる観点から総合的に検討されるものと承知をしてございます。

 今後、本年六月二十六日から二十八日にドイツのエルマウで開催されるG7サミットまでに、政府として、二〇二三年に日本が議長国を務めるG7サミットの開催地が判断をされ、関係閣僚会合の開催地につきましても、その後、速やかに決定される予定と承知をしてございます。

鈴木(英)分科員 山上統括官におかれましては、クリアに教えていただきました。六月のエルマウの後、速やかに決まっていく、そのためには現地調査などもやっていく、そして警備とか含めて総合的にやるということでありましたので、我々、誘致をしようとしている自治体も、しっかりそういうポイントを踏まえて取組を進めていきたいと思います。

 最後、カーボンニュートラルポートについてお伺いをします。

 我が国における脱炭素化を進めるに当たりまして、港湾は大変重要な役割を果たします。それは、港湾における脱炭素化を積極的に進めなければならないということと、我が国の脱炭素化全体にとって大変重要な水素やアンモニアなどの受入れ環境を整備するための取組が必要だということであります。

 我が国は、二〇一七年十二月、安倍政権下において世界初の水素戦略を策定し、また、菅政権における脱炭素宣言を受けたグリーン成長戦略においても重点分野の一つとなっています。

 そのような中、長期的に安価な水素、アンモニアを安定的かつ大量に供給するため、国際水素サプライチェーンの構築、海外からの安価な水素活用、調達先の多様化、多角化を進めていく必要があります。我が国は、オーストラリアと神戸港をつないで、世界初の液化水素の大規模海上輸送も実施した経験もあります。

 そこで、お伺いします。

 私は、十年間、港湾管理者を務めた経験から強く感じるのは、上記に述べたような港湾における脱炭素化、あるいは港湾における水素等の受入れ環境の整備の取組を行うためには、予算措置だけではなく法整備も必要だと考えますが、検討状況等について国交省の見解を御答弁ください。

浅輪政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、脱炭素化社会の実現に向けて、港湾の役割というのは非常に大きなものがあると認識してございます。

 国土交通省では、港湾におきまして、水素、燃料アンモニア等の大量かつ安定、安価な輸入や貯蔵、そしてそのようなことを可能とする受入れ環境の整備、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、集積する臨海部産業との連携などを通じまして、先生御指摘のとおり、カーボンニュートラルポートを形成し、我が国の脱炭素社会の実現に貢献することとしております。

 今後は、各港湾におきまして、カーボンニュートラルポート、CNP形成計画を策定するとともに、国土交通省、港湾管理者、民間事業者などが連携しつつ、この計画に基づく様々な取組を促進してまいります。

 国土交通省としては、このCNP形成計画の策定に係る支援や、船舶への陸上電力供給設備の整備などを通じましてCNPの形成を着実に進めるとともに、各港湾における脱炭素化の取組の実効性を高めるため、CNP形成計画の法定化を含みます港湾法の改正を、引き続きしっかりと検討してまいります。

鈴木(英)分科員 ありがとうございます。浅輪局長から大変力強いお言葉をいただきました。

 私、さっき言いましたように、十年間、港湾管理者をやっていて、港湾法が変わるというのは港湾管理者にとってすごい重いものなんですね。なので、予算措置も是非やってほしいと思いますが、先ほどおっしゃっていただいたように、これからの国会運営全体の議論もありますが、私は港湾法をしっかり改正して前に進んでいく、それが大事だと思っていますので、私もしっかり応援したいと思います。

 以上で質問を終結します。ありがとうございました。

今村主査代理 これにて鈴木英敬君の質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石分科員 四国愛媛県から参りました白石洋一です。

 まず、しまなみ海道の通行料金、特に、そこでお住まいの方々の通行料金について質問させていただきます。

 ここにできて、それはありがたいこと。でも、フェリーの便が減便、なくなったりして、もうここは迂回しようのない生活道路になっているわけですね。そこでお住まいの方々が通勤ばかりか通学や通院に使っている、でも、そこの通行料金が高いということです。

 島の中でも大三島というところが一番大きなところなんですけれども、五千人余りの方がお住まいです。そこの方が対岸の今治市、本島に行くためには、定価で片道二千六百七十円、そしてETCだと平日は千五百四十円。ETCを持っていても、往復三千円かかるわけですね。これがハンディになってしまって、だんだん過疎化が進んでしまっている。ついては、島民向けの割引をしていただきたいんですけれども。

 私、四つ、そのための入口、切り口を申し上げますので、一つずつ大臣にお答えいただきたいんです。

 まず、一つ目の切り口としては、馬島というところは、インターチェンジのない島ということで、管理用通路として扱われて、通常の料金の二割、八割引きの料金で行き来できるんですね。しまなみの隣の香川県の瀬戸中央道路、ここにも、三つぐらいの島は同様の割引体系です。ついては、管理用通路としての割引を拡大していただけないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 しまなみ海道を含む本四高速の料金水準については、国土幹線道路部会の議論や地域からの要望などを踏まえ、利用者にとって利用しやすい料金となるよう、平成二十六年四月より二つの水準に整理しております。

 具体的には、島内の陸上部は普通区間、海峡部は海峡部等特別区間に整理され、料金水準は従前よりも引き下げられております。

 加えて、しまなみ海道の馬島から今治北インターチェンジまでと、馬島から大島南インターチェンジまでの通行料金については、島民生活の安定や福祉の向上の観点から島民割引を実施しております。

 お尋ねの、この島民割引をほかの島にも更に拡大する場合には、新たに財源を確保する必要があります。

 また、島民以外の一般の利用者が観光や業務目的で利用する場合との公平性についても考慮する必要があります。

 したがいまして、ほかの島への割引の拡大につきましては慎重に検討をする必要があると考えております。

白石分科員 これを広げていくということも検討していただきたいと思います。

 そして、二つ目としては、料金を引き下げたら通行しやすい、だから利用しやすくなって数量が増える。収益、売上げというのは単価掛ける数量ですから、単価を引き下げて、どれぐらい数量が増えるものかということを、社会実験的にこのしまなみ海道の通行料金についてやってみるというのも一つの方法だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、島民以外の一般の利用者の方々との公平性という観点も非常に重要でございまして、慎重に検討する必要がある、このように考えております。

白石分科員 社会実験というのは、そこで一時期試してみて、それで効果があるんだったら続ける、あるいは、ほかの地域でもやってみる、もしそうでなければまた考え直すということで、私はやってみてもいいんじゃないかなというふうに思います。

 三つ目としては、特に、ここの高い通行料金で、ほかに迂回路がないということで困っているのは、通学、そして通院です。通勤は、稼いでいるということで、まだ我慢できる。でも、子供がいる、複数いる、学校に通う、部活動をする、そういったときの通学、高いと困る。そして、通院、年金生活です。こういった方々については特別にパスをお渡しして割引料金で行き来できるようにするということも一つ考えられるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 繰り返しの答弁になりますが、お尋ねの、利用者の通行の目的が通院や子育て等の目的に限定して割引を実施することにつきましても、新たに財源を確保する必要があると考えております。

 また、他の利用者の利用の目的などとの公平性を確保していく観点から、慎重に検討する必要があると考えております。

白石分科員 もう一つの切り口というのは、離島活性化交付金。これは、離島の生活一般をお支えする、そこに地域の交通の維持、確保というのもあると思います。

 橋がつながっているところは離島ではない。でも、このしまなみはたくさんの島があって、一旦フェリーで渡って、渡海船で渡って、しまなみ海道がつながっている島から本島の方に行くという方々がおられるわけですね。そういう方々をサポートするという形で通行料金を引き下げる、交付金を利用するということも考えられるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 今、白石委員仰せの離島活性化交付金ですけれども、この離島活性化交付金は、本土と隔絶した離島振興対策実施地域の様々な格差の是正等を図るために、一つに海上輸送費の軽減による戦略産業の育成、観光の推進等による交流の拡大促進、それから安全、安心な定住条件の整備強化などの取組を支援するものでございます。

 一方、しまなみ海道は離島と本土の格差の原因となるものではなく、本土と隔絶した離島地域の格差の是正を図るための離島活性化交付金の趣旨に鑑みると、これを活用して通行料金の割引を行うことは妥当ではない、このように考えます。

白石分科員 いろいろな角度を私なりに考えた。是非、政府の方でもこの状況を、寄り添っていただいて、知恵を出していただきたい。出す機会としては、令和五年末にもう一度この料金を見直す、そういう時期が、二年間ありますので是非寄り添って知恵を出していただきたいというふうにお願い申し上げます。

 次に、私の地元にある四国中央市、紙の町です。紙ですから、これは非常にかさばるわけですね。それで、重い。それは現在でもそうですし、製品もそうです。そこで、港湾の利用というのが非常に大事です。

 そこで、重要港湾として三島川之江港があるんですけれども、ここにたくさんのコンテナ貨物が行き来している、そこに対して水深九メーターの岸壁を事業化していただきたいという声が地元から強く上がっております。

 それができることによって、今特にコロナによって増加している衛生用品のさばき、それから、ローロー船、ロールオン・ロールオフの船、これは貨物専用のフェリーみたいなものですけれども、モーダルシフトということで、全部トラックでやるんじゃなくて、できるだけ船を使っていく、汽車を使っていく、そういうところに合っているんですね。そのローロー船、使われ始めていますけれども、もっと大型のものが着岸できるようにしたいということ。それから、南海トラフ大地震というのがこの数十年のうちには必ずと言っていいぐらい来る、それに備えるという意味でも耐震岸壁が必要です。

 それらのことから考えて、重要港湾三島川之江港の水深九メーター岸壁というのを事業化していただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 三島川之江港は重要港湾でございます。国土交通省としては、地方の産業を支え、物流効率化に資する港湾の整備については重要な課題であると認識しております。

 三島川之江港においては、金子地区において必要な港湾整備を行ってきておりますけれども、ローロー船ターミナルあるいは臨港道路の整備といった今後の港湾整備については、具体的な需要の見通し、それから事業効果等を踏まえて今後検討していく必要がある、このように考えております。

白石分科員 ここは、四国の中でも需要見通しが確実に見通せるというところです。是非、地元企業にヒアリングをし、事業化に向けて進めていただきたいというふうに思っております。

 次は、同じ四国中央市なんですけれども、ここは紙の町ですから、トラックの行き来が激しいんですね。十一号本道は常に渋滞しています。今、お年寄りの運転が増えていますから、お年寄りがトラックの行き来に、それも、トラックといっても、本当に大きなトラックの行き来に交じってしまうと非常に危ないわけですね。それで、今進めているのが十一号バイパスなんですけれども、十一号バイパスは途中までできています。途中までは生活道路として非常に重宝して使っているんですけれども、ここがまだできていないんですね、ここの部分。

 大臣、道というのは、何を優先的に造っていくかというと、まずつなぐということだと思うんですよ。新しい領域にどんどん進めていくということよりも、つなぐということだと思うんですね。その点からして、川之江バイパスというのは非常に優先順位が高いんじゃないかなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 川之江三島バイパスは、四国中央市内の国道十一号の交通渋滞の緩和や交通安全の確保を図るバイパス事業であり、これまで全体延長十・一キロメートルのうち六・五キロメートルが開通しております。

 このバイパスを整備することで、重要港湾三島川之江港と松山道の三島川之江インターチェンジ間のアクセスが向上し、周辺の工場から全国へ出荷されるパルプ、紙加工品などの物流の効率化も期待されます。

 それから、先ほど白石委員がおっしゃった地域のお年寄りの運転なども安全になるということだと思います。

 それで、未開通区間の四国中央市上分町から同じ市の川之江町の間の延長三・六キロについては、現在、地質調査や道路設計を実施しております。

 今後、用地の幅ぐいを設置した後に、地域の皆様の御協力をいただきながら用地の調査を実施してまいります。

 引き続き、早期開通を目指してしっかりと国土交通省として取り組んでいきたいと思っております。

白石分科員 大臣、ありがとうございます。よろしくお願いします。

 そして、同じ十一号なんですけれども、隣の町の新居浜で、ここは、本郷―西喜光地間は二年後に完成するという見通しを出していただきました。感謝申し上げます。そして、あと残るは、つなぐという意味で、残るは光明寺から船木の間です。今そこのところの調査、設計をやっているところなんですけれども、是非これを進める、促進する、その鍵というのは、地元にお住まいの方々の懸念、そして、できた後の生活のことを配慮してあげることじゃないかなというふうに思うんです。

 具体的には、そこに道ができるという設計をする際に、ここはお祭りというのが非常に盛んです。太鼓台というのを、山車、みこしの大きなやつを市内で巡行するんですけれども、そのときに、道ができたらどこを通るんだろうというところ、下をくぐるのか、どこか、平面交差のところを回るのか、こういったところがちゃんとイメージできるような形にするということは大事です。ずっと江戸時代から通る道というのは決まっていて、それを変更するということは、ここのお住まいの方々にとって非常に大事なことなんですね。

 それともう一つは、バイパスですから、常に密集地の中を通るというところがあると思うんですね。その中には集落があって、集落は、隣近所だけじゃない、親戚、同じ名字の人がたくさん集まっているところもある。そこに道が来て、そこが高架だったりすると、大きな万里の長城みたいなところが集落の中を通るということになったら、じゃ、そこの行き来はどうなるんだ、これまであった集落としての一体感はどうなるんだと。こういったところを設計にちゃんと取り込んでいくことによってむしろ事業というのは進む、用地買収が進むというふうに思うんですけれども、大臣、ここの点はいかがでしょうか。

斉藤国務大臣 今、白石委員御指摘のあった新居浜バイパスは、新居浜市内の国道十一号の交通渋滞の緩和や交通安全の確保を図るバイパス事業であり、これまで全体延長九・三キロのうち五・九キロが開通しております。

 残り、未開通区間の三・四キロメートルのうち新居浜市西喜光地町から新居浜市本郷一丁目間の延長一・一キロメートルについては、現在、令和六年春頃に暫定二車線で開通を目指して事業を推進しております。

 お尋ねの一工区、分かれておりますが、一工区である新居浜市船木から東田間の延長二・三キロメートルでは、現在、用地の幅ぐいの設置や用地買収を進めているところです。

 委員御指摘の、地域の特性や文化、一体性、そういうものをよく考慮した設計にしてほしいということでございますが、今後、説明会等を開催し、地域の皆様の御意見につきまして十分配慮しながら、早期開通を目指してしっかり取り組んでいきたいと思います。

白石分科員 大臣、是非お願いします。

 例えば、これは地域の住民説明会で使われた資料で、平成十六年なんですね、そのときには、見通しというのは、さっきまさに挙がっている東田―船木間、これは平成十六年より設計すると。平成十六年だったものが、今、令和四年になっている。その間、ずっと説明会がなかったらしいんですね。

 やはり、説明会を定期的に行って、そこで住民の思いを酌んで、それを設計に織り込んでいくということを是非やっていただきたい。それが早期開通につながると思いますし、やはり住民の方にとっては人生設計もあります、平成十六年にこれを説明されて、それで人生設計を組んだら随分変わってしまったということにもなりますので、是非その点をよろしくお願いします。

 次に、高速道路の一時退出実験というものがあると思います。これは、インターチェンジを一旦降りて三時間以内に戻ってくるんだったら初乗り料金がかからないというもので、それによって、例えば私の地元でいえば新宮インターチェンジに霧の森というところがあって、そこへ行って買物したり、もちろんトイレとかを使いながら買物したり散策したりして戻ってくるということで、地域振興、活性化にも寄与しているわけですね。

 それで、これはほかの地域にも適用できるんじゃないかなということで、具体的に申し上げます。東予丹原インターチェンジをこの一時退出実験対象とすることはできないのかなと。そこで一旦降りて、近くにはJAが運営している産直市、周ちゃん広場というところがあります。そこに行って新鮮な野菜を買って、そしてまたインターチェンジに戻って自分の目的地に行くということが可能になる、そのことによって地域も活性化されるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

村山政府参考人 お答えいたします。

 高速道路から道の駅への一時退出を可能とする社会実験は、サービスエリアやパーキングエリアまでの距離が長い区間におきまして、ドライバーにトイレなどの休憩の機会を提供することを目的に実施しております。

 現在、全国二十三か所の道の駅を対象としまして社会実験を行っております。

 具体的には、ETC二・〇車載器を搭載している車両を対象に、サービスエリアやパーキングエリアの間隔がおおむね二十五キロメーター以上の区間を対象とし、区間内にあるインターチェンジの近傍に休憩施設となる道の駅が存在することを条件としております。

 また、一時退出から再進入までの時間が三時間以内であり、進行方向を変えない場合に限り、高速道路を降りないで利用した料金のままとしております。

 委員が御指摘の西条市の東予丹原インターチェンジの場合、近傍の桜三里パーキングエリアと石鎚山サービスエリアとの間隔が十九キロメートルであり、二十五キロメートル以下となってございます。また、東予丹原インターチェンジ近傍にあるJA周桑、周ちゃん広場は道の駅として指定されておりません。したがいまして、現在行っております社会実験の対象には合致していない、このように認識してございます。

白石分科員 局長、済みません、二十五キロ以内にサービスエリア、パーキングエリアがありますねという話で、でも、さっきおっしゃった桜三里と石鎚パーキングエリアから三差路に寄って、しまなみ海道方面に行ったところに東予丹原インターチェンジがあるんですから、この二つに行っていたら東予丹原インターチェンジには行けないんですね。

 この点、もし答弁があればお願いします。

村山政府参考人 御答弁申し上げましたのは、一つのインターチェンジがございまして、インターチェンジから近傍のサービスエリアを二つ選びまして、そこのサービスエリアの間隔が二十五キロメートル以上であることということを申し上げてございます。また、道の駅が設置されておりませんと社会実験の対象にならないということも御説明を差し上げておりまして、距離要件と、あと施設要件、この二つの要件がある、このように御答弁申し上げた次第であります。

白石分科員 是非、道の駅が近くにないといけないという条件、これを外してみてどうなのかということも、まさに社会実験でやってみるのも手じゃないかなというふうに思います。そのことによって通行の数が増えたら、そのことによって初乗り料金が徴収できなくても、とにかく利用客が増えることによって取り戻せるんじゃないかなというふうに思いますので、是非御検討をお願いしたいと思います。

 最後の質問になりました。都市計画道路壬生川氷見線ですね。

 先ほど来申し上げている私の地元というのは、臨海部分に工場が集積していて、特に通勤時というのが渋滞する。通勤というのは、ここは工場で三交代勤務がありますので、朝と夕方だけじゃないですね、三交代勤務の入替えのときに通勤があるということで、渋滞しやすいところです。

 そこで、この都市計画道路壬生川氷見線というのがあれば渋滞緩和に相当役立つということが言われて、そこの事業化というのを検討していただきたいんですけれども、この点はいかがでしょうか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 都市計画道路壬生川氷見線は、市街地の渋滞解消に寄与するとともに、東予港等のアクセス向上に資する路線と認識しております。

 現在、事業主体や事業の着手時期等について愛媛県と西条市との間で調整している状況と伺っております。

 まずは両者において協議を進めていただく必要があると認識しております。

白石分科員 この地域は非常に、工業地域、密集しているところですので、利用される見通しが非常に高いというふうに思いますので、国としても、今は協議を見守るということなんですけれども、その点も是非配慮していただきたいと思います。

 これで終わります。

今村主査代理 これにて白石洋一君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井分科員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、東京外環道に関して質問いたします。

 私は、二〇〇七年に冬柴大臣に、それから八年に福田首相に、それから九年には麻生首相に、そして二〇二〇年の十一月二十日には、菅政権のときですが、質問主意書を宮本徹議員とともに提出をいたしまして、この問題に取り組んでまいりました。昨年は二月二十六日、当委員会の分科会で赤羽国交大臣当時にということで、繰り返し取り上げてきた問題なんですが、私自身も計画沿線の三鷹市に在住しております。

 そこで、まず斉藤大臣に伺います。

 外環道では、一昨年の十月十八日に調布市内で陥没事故が起きて、続いて三か所の空洞が見つかりました。一つ間違ったら人命に関わる重大事故であります。私は現地を繰り返し訪問して住民の方々の話も聞いてまいりましたが、地盤が緩んでいて毎日が不安でという方、いまだに低周波被害など健康被害で苦しんでおられる方々もいらっしゃいます。今日は、住民の方々も傍聴に見えていたり、さらにはネット上でも御覧になっております。

 大臣は昨年十月に就任をされました。重大な事故を起こして、住民に寄り添った対応が、この問題では国交省、政府に求められている。事故が起きた地域だけではなくて、計画地沿線全体でも住民は不安でたまらない気持ちであります。

 そこで、陥没事故と対応について、やはりどのような基本的な認識をお持ちかどうか、伺いたいと思います。

    〔今村主査代理退席、主査着席〕

斉藤国務大臣 令和二年十月の東京外環の陥没、空洞事故により御不便や御不安を与えてしまっております地域住民の皆様には、心からおわびを申し上げたいと思っております。

 今回、シールド工事が原因で陥没、空洞が発生し、トンネル真上の地盤に緩みが生じております。そのため、地盤の補修が必要であり、緩んだ地盤の真上から地盤補修の工事を実施するため、そこにお住まいの方に対しては、事業者による買取りなどの御相談をさせていただいております。また、地盤の補修が必要な場所以外においても家屋の損傷が発生しており、家屋補修などの対応も実施しております。

 今後とも、NEXCO東日本が丁寧な説明と誠意を持って補修、補償等について対応していくことが重要と考えており、国土交通省としても最大限協力をしていきたい、このように思います。

笠井分科員 国土交通省は最大限協力とおっしゃったんですが、事業者ですから、まるで人ごとのような姿勢は許されないと申し上げたいと思います。

 国交省とNEXCOは、陥没事故の後、停止していたシールド工事について、陥没事故現場の二本を除いて、五本の工事を再開しようとしている。二月中旬から着手するという報道まであるわけで、とんでもないことであります。

 そこで、国交省に伺います。

 陥没事故が起きた地域では、緩んだ地盤の補修が必要だと今もありました。補修は大深度地下の使用認可を受けた区域の上で行われるものであります。昨年の私の質問に、当時の小林政務官は、「地権者などの御了解を得た上で補修を行うものと理解をいたしております。」こういう答弁をしておりました。地権者の同意なしに、勝手にこれは着手できるんですか。

渡辺副大臣 地盤補修に際しましては、地権者の御了解を得た上で行うものでございまして、地権者の同意が必要なものと認識をしております。

笠井分科員 同意が必要だと。しかし、この補修工法すらまだ決まっていないということで、着手の時期というのも、これはもう決まっているんですか、時期は。

渡辺副大臣 着手の時期について御質問をいただきましたけれども、まだ時期については決まっておりません。

笠井分科員 工法も着手の時期も未定だと。

 陥没地の反対側、関越道の側から工事を再開しようとしているというのがあるわけですが、つながる見通しがないということであります。工事再開を強行すれば、被害に苦しんで、健康を害している住民の方々への圧力にもなる。事故を起こしながら、こんな配慮のないやり方はやめるべきだと強く申し上げたいと思うんです。

 さらに、それでは、外環工事では地中拡幅部という、国交省も世界最大級の難工事と言っている工事がございます。本線の直径十六メートルの巨大なトンネルと地上を結ぶランプトンネルを大深度地下でつなぐという工事であります。特に難易度が高いとされる中央ジャンクションについて言ったら、この地中拡幅部の工法というのは決まっているんでしょうか。

渡辺副大臣 ただいま委員からお尋ねがございました、東京外環と中央道とのジャンクションの地中拡幅工事でございますが、東京外環道の本線シールドトンネルと中央道からの連結路シールドトンネルを地下で非開削工事により接続する工事でございます。

 この地中拡幅部の構造につきましては、これまで東京外環トンネル施工等検討委員会等で議論を行っておりまして、現在、この委員会での議論を踏まえて、NEXCO東日本とNEXCO中日本が詳細設計を進めている段階でございます。

笠井分科員 工法すら決まっていないということです。関越道の側から本線のトンネル工事を始めても、地上とはつながらない。中央ジャンクションの北側ランプシールドの工事も再開するとしていますが、それが本線とつながる見通しもないということです。

 更に伺いますが、陥没事故では、特殊な地盤の下での特別な作業に起因する施工が要因、このようにされておりますけれども、特殊な地盤といいますけれども、地盤を事前に調査して把握していたかどうかが問われると思います。

 今回、工事再開に当たって再発防止策が示されて、関越道側からの本線工事で調査するとしている追加ボーリングというのは何本でしょうか。

渡辺副大臣 トンネル掘削を安全に進めていくためには、適切な添加材を用いて、土の塑性流動性を確保することが重要なポイントとされております。通常であれば、トンネルを掘削しながら土の性状を確認し、添加材の調整を適切に行えば、塑性流動性を確保できます。

 さらに、追加ボーリングを実施し地盤を再確認することにより、添加材の調整をより円滑に実施することが適切な対応と考えております。具体的には、追加ボーリングについて、四か所実施する予定であり、トンネル下端の深さまで行うこととしております。

笠井分科員 四か所、四本ということでありますが、昨年も質問したんですが、ルート上で大深度地下トンネルの下端まで、今下端と言われましたが、達したボーリングは二十四か所というのが昨年の答弁だった。七百メートルに一か所ということでありますが、今回四本増やしても、五百七十メートルに一か所にすぎない。有識者委員会の小泉委員長も、地中の一メートル先に何があるかについては分からないと述べていたわけで、全く不十分だと思うんですよね。指摘をしておきたい。

 では、事業費の面ではどうか。陥没事故でどれだけ増額になったんでしょうか。それから、外環道の総事業費というのは現時点で幾らになるのか、お答えください。

渡辺副大臣 令和二年九月三日の事業再評価における東京外環の関越から東名間の事業費は約二・四兆円です。

 今般の陥没事故を受けました、陥没、空洞地域周辺の家屋等への補修や地盤補修への対応、そしてまた有職者委員会で取りまとめられた再発防止策の確実な実施は、事業費の増加要因となる可能性があると認識をしております。一方で、今後ともコスト縮減に努めることとしており、現段階では総事業費を見通せる状況にはございません。

 現段階では、まずは家屋補償など必要な補償を誠意を持って対応しつつ、工事により影響を受けた地盤の補修などを行っていく必要があると認識をしております。

笠井分科員 事業化当初、一兆二千八百二十億円だったと。増額を重ねて、一昨年九月に、陥没事故の直前の関東地方整備局の事業再評価で二兆三千五百七十五億円、約二・四兆と言われました。当初の一・八倍。費用便益比でいうと、BバイCですが、これは一・〇一ということで言われました。事故対策や工事中断で跳ね上がって、これから一を割るのは確実だ、コスト縮減に努めると言うけれども。事業費は幾ら増えるか分からない、評価も検討しないで工事だけが再開、これまたとんでもないと思うんです。

 国民の皆さんは、今、コロナ禍で暮らしも営業も深刻、そんなときに、幾らかかるかも分からずに、見通しも立たない掘進を再開して莫大な金をかけることをやめて、国民の暮らしや医療に回すべきだと強く求めておきたいと思います。

 さらに、これは法律の関係ですが、斉藤大臣に伺います。

 陥没事故は、大深度地下を使用した、大臣認可では初の事業で起きた事故であります。大深度地下の使用というのは、大深度地下法で地権者の同意も補償もなしに行うというもので、大臣は記者会見でも、この問題について、大深度地下の使用認可の制度というのは権利調整のルールを定めたものというふうに言われましたが、権利の調整といいますけれども、それは、地上への影響を与えないことが大前提のルールということではないんでしょうか。

斉藤国務大臣 大深度地下の公共的使用に関する特別措置法、いわゆる大深度地下法でございますが、この法律に基づく使用認可制度は、公益性を有する事業のために、国民の権利保護に留意しつつ、通常使用されない空間である大深度地下に使用権の設定を認めるというものでございます。お尋ねのような、大深度地下における工事について、地上に影響を与えないということを前提としたものではございません。

 調布市における陥没事故につきましては、あくまで工事の施工に起因するものであり、現在、事業者において再発防止策の実施に向けた対応等が行われている、このように認識をしております。

笠井分科員 大深度、現に、大深度地下法に基づいて認可された事業で、陥没事故でルールが壊れたんじゃないか。

 大臣、大深度地下法は、五条で「大深度地下の使用に当たっては、その特性にかんがみ、安全の確保及び環境の保全に特に配慮しなければならない。」と言っております。

 そして、ここに、よく使われているということで、国交省とNEXCO東と中日本が出しているパンフレットで「よくあるご質問」というのがあって、これで説明をして答えているわけですよね。それを見ますと、質問に対する答えで、「本線トンネル工事はシールド工法を採用しており、地上への影響は生じないと考えております。」こう書いてあって、再三これで、だからこの事業をやるんですよという話を、国交省もNEXCOも説明してきたわけですよ。そうなりますと、そのように住民に説明しているのではないかと。

 現に陥没事故が起こって地上への影響を及ぼしたんだから、もう大前提を欠いている、明らかだと思うんです。この点でも、掘進再開はやめるべきじゃないか。大臣、いかがですか。

斉藤国務大臣 今般の陥没、空洞事故により御不便や御不安を与えてしまっております地域住民の皆様には、心からおわびを申し上げたいと思っております。

 早急に社会的不安を解消し、住民の皆様が被った被害を回復するため、実際に損害が発生したものに対して広範な補償の枠組みをNEXCO東日本が独自に設定し、住民に寄り添った形で対応しているものと承知しておりますが、まだまだ地域では不安の声があるということも承知しております。

 引き続き、NEXCO東日本が丁寧な説明と誠意を持って住民に対応することが何より重要だと認識しており、NEXCO東日本に対してしっかりと対応させたいと思います。

笠井分科員 NEXCOのせいだけじゃないですよ。これは国交省、大臣が認可してやった話ですからね、事業。あなたの土地の地下深くは通常使われないから勝手に掘らせていただく、地上に影響を生じるかもしれないけれども関知しないというのは許されないと思うんです。もう事故は絶対に起きないと言えるかという問題であります。

 この外環道の問題の最後に伺いますが、大臣、先日、ランプトンネル工事が再開されようとしている三鷹市で、地元住民、そして、市民による外環道路問題連絡会・三鷹の皆さんから話を伺いました。不安しかない、恐怖の中に置かれている、国交省やNEXCOは理解を求める説明会ばかりだ、大臣に住民の声を直接聞きに来てほしい、こんな声が次々と出されました。

 練馬区元関町一丁目町会は、大泉側シールドトンネル工事再開に踏み切ろうとすることに抗議をして、大臣にも申入れ書を送っています。

 昨年、私、この分科会で赤羽大臣にも求めたんですが、大臣も、誠意を持って対応すると繰り返し言われるんだったら、現場に行って、住民の声を是非聞いていただきたい。もしよろしかったら、私、一緒に行きます。いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 今般の陥没、空洞事故を受けた住民の方々への対応状況などについては、逐次報告を受けております。

 引き続き、NEXCO東日本が丁寧な説明と誠意を持って住民に対応することが何より重要だと認識しており、NEXCO東日本に対して、しっかり対応させたいと思います。

笠井分科員 国交省の対応が求められている。あらゆる面で大きな問題が起きて批判の声が上がっている。進めれば進めるほど、地域住民の不安や国民の負担が大きくなる。掘進再開は断じて許されない。やめるべきだ。

 大深度地下、これはリニア新幹線でも使われます。中立性、独立性を持った第三者機関を設置して、住民への説明の経過も検証して、そして大深度地下法そのものについても、廃止も含めて見直すべきだということを強く求めておきたいと思います。

 次に、羽田空港の新ルートについて伺います。

 国際線増便を図るとして東京都心上空を飛行する、そういう運用が開始されてから、間もなく三月で二年になります。まずこの点で伺いますが、コロナの影響前と比べて、国際線の直近の全国的な運航状況、その中で羽田空港の状況についてどうなっているか、示してください。

渡辺副大臣 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、旅客便を中心として、世界的に大幅な減便や運休が生じております。

 我が国発着の国際線についても同様に、大幅な減便や運休が生じており、二〇二一年冬期スケジュールの第一週目の計画便数については、新型コロナウイルス感染症拡大前の二〇一九年冬期スケジュールの第一週目と比べ、全体で約七〇%減の週約千六百七十便、羽田空港につきましては、約七〇%減の週約二百六十便となっております。

笠井分科員 全国的には約三〇%、二九・五%、羽田は三二%と、大幅な減便という状況です。

 新ルートは国際便を増便するとして導入されたものでありますが、コロナ禍で減便が続く中で、赤羽前大臣は、本格運用に向けた助走期間、こういうふうな形で弁解されてきました。しかし、今運用しなくてもいいのではないかというのが住民の声であります。

 そこで、斉藤大臣、二〇一八年の、当時の安倍首相の施政方針演説ではこう言っておりました。地元の理解を得て、発着枠の拡大を実現しますと。地元の理解を得てという姿勢については、今の岸田政権の下でも変わらないということでしょうか。

斉藤国務大臣 羽田空港の新飛行経路については、平成二十六年より令和元年にかけて計五回にわたり、東京都や千葉県などの関係自治体等により構成される首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会、いわゆる具体化協議会と呼んでおりますが、いわゆる具体化協議会ですが、議論を重ねてまいりました。

 その上で、関係自治体等からいただいた、騒音対策や落下物対策、引き続きの情報提供に関する御意見等を受け止め、丁寧に対応することを前提に、地元の理解を得られたものと判断し、国土交通省として、令和元年八月に導入を決定したものです。

 新飛行経路の運用開始後も、地域への丁寧な情報提供等を行っているところであり、引き続き、様々な御意見に耳を傾け、丁寧に対応していきたいと思っております。

笠井分科員 その関係のところで、具体化協議会で理解を得たらおしまいと、地元の理解を得るということの努力は、もうなくなっちゃうんですか。

斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、地域への丁寧な情報提供等を行っているところでありまして、引き続き、様々な御意見に耳を傾けて、丁寧に対応していきたいと思っております。

笠井分科員 これは、理解を得ないでやるという話になったら大変ですよ。丁寧に進めていけばいいという話じゃなくて、理解なしにやるということになるから。重大な問題だと言わなきゃいけないと思うんですよ、ここは。

 今は大学入試のシーズンであります。東京大学の総長が国交省の航空局に対して、東京大学、東京外国語大学、東京学芸大学、一橋大学の外国語試験中、特に聞き取り、ヒアリングの試験中に航空機の騒音で支障が生じないように配慮してほしいという要請を行っております。羽田新ルートに関しては、今年、それに対してどんな方針で対処していくんですか。

渡辺副大臣 航空機の飛行に関し、東京大学総長から、都内の国公立大学における前期日程試験の外国語試験の実施期間中について、静穏な環境の保持に対する可能な限りの配慮を求めるとの御要望があったことは承知をしております。

 民間定期便の飛行ルートは、いわば空の道であり、運航の安全確保の観点から、地上の障害物等との十分な間隔の確保や、風向きに応じた離着陸の必要性に基づいて設定されるものです。このため、試験等に応じた個別の配慮は困難だと考えております。

 いずれにせよ、羽田新飛行経路につきましては、将来的な航空需要の拡大を見据えた我が国の国際競争力の強化、並びに、これまで千葉県が負担をしていた騒音影響の首都圏全体での共有などの観点から令和二年三月に導入したものであり、国土交通省としては、引き続き運用していく必要があると考えておりますが、今後とも、騒音負担の軽減に向け、固定化回避検討会における検討などの取組を続けてまいります。

笠井分科員 驚きました。試験等には対応しないと。学生の皆さんとか受験生の皆さん、大変ですよ。それでも、そんなこと関係なしに進めるんだという話。

 ルート運用というのは航空局の責任ですよね。これだって、ちゃんとやればできるんじゃないか。どのような方針で対応するかといったら、対応しませんという話、東京大学の総長の要請に対して。関係機関と共有するというだけじゃ駄目ですよね。

 今年の東大の前期試験は二月の末です。新ルートの運用時間と聞き取り時間が重なるのは十五時からの十五分間、外国語試験全体も重なるのは十六時までの一時間です。新ルート運用自体が、南風の十五時から十九時までの間の、その間の三時間程度というのが元々の運用という話でやったわけですから、だったら調整できるじゃないですか。十五時から始めるやつを三時間程度やるんだったら、十六時から三時間にすればいいし、それもやらないという話なんですか。ましてコロナ禍で減便なんだから、協力は十分可能なはずです。

 国交省として、受験生のために、それから家族のために、本当に心配ですよね、その時間は運用しないと、工夫して対応すべきじゃないんですか。知恵を出すのが政治の仕事だと思うんですが、いかがですか。

渡辺副大臣 先ほども申し上げましたように、民間定期便の飛行ルートは、運航の安全確保の観点から、地上の障害物等との十分な距離の確保、そしてまた、風向きに応じた離着陸の必要性に基づいて設定をされるものでございます。このため、試験等に応じた個別の配慮は困難だと考えております。

 また、羽田の新経路に関しましては、専用の問合せ受付窓口、コールセンター受付、あるいはホームページより投稿受付を設置し、騒音等の御意見を承っておりますが、これまでのところ、大学入試センター、国立、私立大学等の関係者から、航空機の騒音に関する苦情は一切受けておりません。

笠井分科員 今年の試験について聞いているんですよ。これまでのところって、今年だったらどうするかという問題でしょう。

 結局、今の話を聞きますと、受験生の入試よりも新ルートありきということになりますね。そんなんだったら、新ルート自身も見直して、やめるという話になりますよ、これは。

 落下物についても聞きます。大きな問題。

 羽田など全国の主要七空港で報告された航空機からの落下部品の総数というのは、二〇一九年度九百二十八個、二〇二〇年度は千五個に及ぶ。国交省から私のところに提出された資料によると、二〇二〇年十二月に那覇発羽田行きの日航機がエンジントラブルで引き返す事故があって、九十七・三キログラム、八十三・四キログラムの部品まで欠落をさせております。こうした部品が落下すれば重大事故になりかねない。

 今後、都心上空の新ルートから、住宅地や商店街、保育園の真上もルートになっていますから、保育園、学校、ターミナルなどへの落下物はない、絶対ありませんと言い切れますか。

渡辺副大臣 ただいま委員御指摘をいただきました、二〇二〇年十二月、那覇空港を離陸した航空機のエンジンが損傷し、五つの部品が欠落する事案が発生をいたしました。また、その翌年二月にも米国において同様の事案が発生したことから、必要な対策が策定されるまでの間、当該型式機の運航を停止しております。

 国土交通省としては、設計、製造国政府である米国連邦航空局や製造メーカーとも緊密に連携し、運航再開に向けて、事案発生当初より原因究明及び再発防止策の策定を行ってきているところです。

 また、新飛行経路の運用に当たっては、二〇一八年三月に取りまとめました落下物対策総合パッケージにより、特に世界に類を見ない基準である落下物防止対策基準を策定するなどの取組を行っております。

 国土交通省といたしましては、今後も引き続き、落下物対策総合パッケージに盛り込まれた対策を関係者とともに着実かつ強力に実施することにより、落下物ゼロを目指して最大限取り組んでまいります。

笠井分科員 ゼロを目指して最大限でも、落ちたらどうするかという問題ですよ。それが人に当たったらどうするか。その型だけ運用を停止したって、ほかの型で起こったらどうするか。基準を作っても落ちているというのが実態ですよね。

 二〇一七年に、関西空港を離陸したオランダ航空機からパネルが落下して、大阪市の中心部で車両に追突するという事故がありました。このときのパネルの重量は四・三キロですが、こんなことを繰り返させてはいけない。ましてや、百キロ近いものが落ちてくることがあり得るということですから、この問題は本当に看過できないと思います。検討しているという固定化回避も、今の滑走路や便数が前提で、都心の飛行を回避するというものではありません。

 最後に大臣に伺います。

 先ほど、地元の理解、これから、もう理解は済んだんだという話をされているけれども、昨年十月十三日に渋谷区議会は、羽田新ルートの運用停止を国に求める意見書を全会一致で採択しております。

 その中で言っています。国土交通省は羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会を設置し、これまでに開催しているけれども、これらの検討は現在の滑走路の使い方を前提としており、この間提出してきた意見書の内容を踏まえた検討が行われているとは言い難いというものであります。渋谷区議会でも全会一致で、これは駄目だという形で、地元の理解、得られていない。

 地元の理解を得て、本当にこの問題、新ルートというのは停止すべきじゃないかと強く求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 渋谷区議会より、羽田新ルートの運用停止を国に求める意見書が昨年十月に提出され、その意見書において、固定化回避検討会について、現在の滑走路の使い方を前提としており、意見書の内容を踏まえた検討が行われているとは言い難いと記載されているものと承知しております。

 御指摘の固定化回避検討会については、関係自治体等から新飛行経路の固定化の回避に関し、累次の要望があったことを受け、最近の航空管制や航空機の技術革新を踏まえて、現在の滑走路の使い方を前提とした上で、ルートの固定化回避、騒音軽減の観点から、新飛行経路の見直しが可能な技術的選択肢がないかについて、幅広く御検討いただいているところでございます。

 昨年八月に開催した第四回検討会では、羽田空港において技術的に採用が可能で、かつ、採用した場合の騒音軽減効果が高いと考えられる飛行方式として、二つの方式を選定いただきました。

 こうした議論を踏まえ、現在、国土交通省において、安全性評価等の具体的な作業を進めているところです。固定化回避や騒音軽減につながる具体策が得られるよう、必要な作業を着実に進めてまいります。

 以上でございます。

笠井分科員 渋谷区だけじゃないんです。港区でも、広報誌に受取人払いではがきをつけて意見募集したら、もう理解を得られていない結果が出ているんですよ。現在の滑走路、便数が前提の検討をしているわけですから、これじゃ全然解決しないというのが地元の意見だと。

 大臣は、地元の理解ということで、それはもう終わったんだと言うけれども、得られていないということなので、まず運航を停止して新ルートは廃止すべきだと強く求めて、質問を終わります。

稲津主査 これにて笠井亮君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、第八分科会ということで、お時間を頂戴し、ありがとうございます。

 大臣始め政務の皆様は今日お疲れだと思いますので、ちょっとのんびりしていただいて。いや、どうしても俺が答えるんだという方がいらしていたらあれですけれども。今日、私、多分、最後のバッターですよね。今日は政治家の皆さんは仕事を終わったも等しいということで、ちょっとゆっくりしていただいて。

 都市局長始め皆さん、今日はありがとうございます。

 今日、読売新聞の一面で「違法盛り土 厳罰化」ということで出ていました。この報道がどうというのはいいんですが、大変感慨深いものがあります。

 最初、私にとっての、質問者にとっての盛土の問題というのを復習を個人的にしておきたいと思うんですが、質問じゃないので気楽に聞いてください。

 二〇一四年の二月の二十五日の夜に私の地元の大阪府の豊能町木代というところで大規模な土砂崩落がありまして、驚きました。

 ちょうどそのときに、たまたま衆議院の予算委員会の第六分科会というところで私が質問することになっていたんですね。その話を翌日、昨日の夜崩れましてということで国会質問を始めたことを思い出します。その後、環境委員会とか国土交通委員会の場所をかりていろいろな議論をしてきました。そういう中で、議員立法という形で、私が提出者となって、建設残土安全確保法案みたいなものを用意して、事故が起こったのは二月でしたが、同じ二〇一四年の十一月には法律案を出す、それから、十二月には大阪府の土砂条例が制定される。

 年が明けて二〇一五年、国会でも議論を続けましたが、当時はまだ、残土の問題あるいは土砂の問題と言っても誰も相手にしてくれない。特に自民党の先生方はなかなか冷たくてですね。特に私の地元の先生方というか先生は、一べつするなりこれは無理だということで、余り相手にしてくれなかったんですね。

 その中で、当時、太田昭宏大臣が、私が国土交通委員会でこの話をしたり、砂防法の罰則の低さとか、あるいは当然地方自治法では罰則に上限があるので、そういう話をしましたら、それは確かにちょっと問題があるなみたいな顔をされてですね。それ以来、当時、太田大臣には大変お世話になって。

 その後、実は太田大臣のイニシアチブで、当時は私がこの問題を取り上げると、国交省の方、環境省、警察、農林省、皆さん私の事務所に集まってきて、当時はコロナじゃなかったので、結構レクをするときはうちの事務所に集まられて。すると、みんなが俺じゃないと言うわけですね。私じゃないということを言って、とにかくネガティブ権限争議で、誰も引き取ってくれない。

 それと、地域でこの問題に直面している市町村とか都道府県の方々も、霞が関で一体、窓口というか、誰に相談したらいいかということが分からない時代が続いて、とにかく役割分担だけでも決めてほしいということがずっと課題でした。

 その中で、太田大臣の時代に、二〇一四年の二月から始まって、二〇一五年、二〇一六年、二〇一七年の八月に国土交通省の皆様が、その前から各省連絡会議というのをつくっていただいて、本当にこれはありがとうございますと。みんなが嫌な中で国土交通省が庶務というか取りまとめをしていただいて、各省連絡会議をつくっていただいて、まとめていただいたのが二〇一七年八月の、建設発生土の取扱いに関わる実務担当者のための参考資料というのができて、私にとっては感動的な成果物というか、霞が関で作っていただいたものだったわけです。

 しかし、その後もなかなか、そこまでだった。特にそのときは国交省の皆さんも、条例でやったらどうかな、条例でやってくださいという形でした。そこで私は松井知事にお願いをして、残土等にかかる土砂問題対策全国ネットワーク会議というのを立ち上げていただいて、庶務は大阪府がやっていただいて、全国の残土で困っている都道府県が集まって、都が入っていたかどうか忘れましたけれども、道府県あるいは府県が集まってそういうことをやっていきました。要は、外堀から環境整備をして、松井知事と連携しながらやってきたわけですね。

 さらに、二〇二〇年に入ると総務省の行政評価局が建設残土対策に関する実態調査というのを始めていただいて、そして昨年の十二月の二十日の勧告につながるという中で、いずれにせよ、ちょっと長くなりましたが、今日の読売新聞の報道に至るということですので。

 斉藤大臣には前も予算委員会で申し上げましたが、本当によくここまで持ってきていただいたということで、都市局長が一番御苦労されているのかもしれませんが、関係の皆様には感謝を申し上げたいと思います。

 あとは、どれだけ実効性のある法制度にしていくかということで、是非また国会でも議論をさせていただきたいと思いますが、恐らく、国土交通委員会で審議されるときには、今の議院内閣制で事前審査もあってという中ですから、私たちがいろいろ申し上げても既に終わっているという話だと思うので、今日ちょっと時間をいただいて、私がちょっと気になるところを何点か御質問させていただきたいと思います。

 追及するとかそういうことではなくて、少しでも何かいいものになればいいなということで、ちょっと現場で感じていることを幾つか質問させていただくという趣旨です。したがって、政務の方々は気楽に聞いておいていただけたらありがたいと思います。

 まず最初に、今日、読売新聞の報道でも、規制対象の区域を指定して、要は規制体系をこれからつくるわけですが、規制体系をつくるぞということはもう表明していただいているけれども、中身はまだ今日は言えないと思います。だから細かい議論はいいんだけれども、例えば、その規制体系の入口のところで規制対象となる区域を指定するということが想定されているように仄聞するわけですが、私は規制対象から外れるべき区域をイメージできないんですね。人家がある平地でも積まれたら危ないし、山はもっと危ない。

 だから、規制対象から除外される、盛土規制から除外される区域というものを私はイメージができないんですが、もし、その点について、こういうものは規制対象ではなくていいと思っているんだよなと。抽象的でも結構なので、もしコメントをいただけたらお願いしたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 足立先生が御地元の盛土崩落事案をきっかけに長年危険な盛土の規制に向けて取り組んでこられたことは、私も存じ上げております。

 盛土に関する規制につきましては、昨年末の有識者会議の提言も踏まえ、危険な盛土を包括的に規制する法制度を構築することとしております。

 現在検討している法制度では、昨年静岡県熱海市で発生した土石流災害を踏まえ、盛土等に伴う災害から人命を守ることを主たる目的とし、その達成のために許可制という厳しい権利制限をかけることとしております。

 このため、この法制度の目的に照らして必要かつ十分なエリアを規制対象とする方向で検討しており、人家等に被害を及ぼす可能性のないところまで規制区域とすることについては、過度な規制になるおそれがあるものと考えております。

 以上でございます。

足立分科員 ありがとうございます。

 これはまた私の意見としてさらっと聞いていただけたらありがたいんですが、確かに、許可制を当てはめる区域ということになれば、それは確かにおっしゃるとおりだと思います。他方、例えば森林法とかでも届出制ということもあるわけですね。だから、規制にもいろいろなグラデーションがあって、きつい規制から緩い規制まで幅があるので。

 許可制と届出制というと、二者択一なのか、ハイブリッドがあり得るのか、ちょっと私も法制的な詰めはまだ行えていませんが、許可制とともに、許可制がきつ過ぎる、おっしゃる危険性の低いところでも届出制ぐらいしておいてもいいのかなとか、そういうふうに考えると、いかなる規制も必要ないのであるという区域が想定されるのかなというのが現時点の私の思いなので。まあ、それ以上今ここで往復してもやりにくいと思いますから。

 私は、許可制度にとどまらない広い意味での規制に服せしめる区域は除外する必要がないというか、あまねく日本中の土地、要は日本中の農水省がさばいている地域も含めて、基本的には全ての区域が対象であっていいのかなと思っています。

 その背景には、実は、先ほども私が冒頭御紹介をした大阪府の条例、二〇一四年、豊能町の事故を受けて同年十一月に制定し、翌年、二〇一五年の七月一日から施行されている大阪府の土砂条例では、これも聞いていただくだけで結構ですが、規制対象は制限が、何か、規制対象の区域はここですよということはなくて、土砂埋立て等を行おうとする者は一定の大きさ以上の場合は許可を受けなければならないということで、規制対象を絞っていないんですね。大阪府の条例は絞っていないので、絞っていないものを私はイメージしていたんですが。

 是非、その辺は、規制の強度との関係において、規制の対象から除外されることによって、またそこが弱点となって、盛土の最大の問題は弱いところに集まるということです。なぜ条例がうまく機能しなかったかといったら、条例を作ったところには入りにくくなるから、今度は隣の弱いところに土砂が集まるわけですね。そうやってモグラたたきみたいになるのが問題だったわけですので、私は規制対象区域から除外される地域がなくてもいいのではないかと基本的には思っています。これは意見表明ですね。

 二つ目、農水省の皆さんにお答えいただけたらありがたいのが、林野庁小坂さんですかね、ありがとうございます。

 これも難しい議論ですが、例えば、今、地元でも建設が始まろうとしている残土処分場があります。こんなところに積むかなというところです。霊園がありましてね、地元の霊園が。こっちには風光明媚なゴルフ場があって、道がこう走っていて。地元の人たちにとっては昔ながらの豊かな地域なわけですが、そこの、後でまた出てきますが、砂防指定地にどんと積むという議論で。

 まず、今、地元の大阪府茨木市に森林伐採の届出が出ているわけです。その森林伐採の届出には、何に使うかといったら残土処分場と書いてあるわけです。残土処分場と書いてあるんだから、まず許可を取ってきてから森林を伐採したらいいと思うんだけれども、まず伐採するというわけですね、許可も何も取っていなくて。縦割りで見れば仕方ない面もありますが。

 森林を伐採して残土処分場を整備しようとする事業者が、残土処分の許可を得てからでなければ森林を伐採できない。要は、森林を伐採しちゃうと、また復活させるのに、例えば、不許可になった後、森林を伐採したけれども、じゃ、もう一回植えようみたいなことをして、また何十年かかる。そういう無駄なことが起こることをとどめるように、今回の新しい規制体系と森林法との関係について少しやはり整理をしていただいた方がいいのではないかと思いますが、いかがですか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のようなことにならないようにという観点でございますけれども、現在、森林法に基づく伐採届の受理に際しまして、伐採箇所が他法令により規制がかかっている場合は、市町村は、その許可の見込みについて確認するとともに、許可等の手続を行っていない場合は速やかに手続を行うように指導する、そういった通知を出させていただいています。

 こういうことをするに当たっては、いわゆる林務部局だけではなくて、土砂条例とか都市サイドとか、いろいろな部局とやはり情報を共有して連携していくことが重要かというふうに思っています。

 今回、現在検討が進められている危険な盛土を包括的に規制する法制度の内容であるとか、まさにこういう国会での議論を踏まえて、こういう取組がより一体的に実効性のあるようなものになるように、検討は進めていきたいというふうに考えているところでございます。

足立分科員 ありがとうございます。

 そういう通知というのは、最近の通知か、昔の通知か、ごめんなさい、勉強不足で。どんな、いつ頃の通知かだけ教えていただけますか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 伐採届出制度は自治事務になっておりますので、通知を出しておりまして、平成二十年十一月四日付の通知でその旨を位置づけさせていただいているところでございます。

足立分科員 今回規制体系が新たに整備されるわけですから、それが完成していくというか、今年の国会で成立を、私は賛成する方向で協力をしていきたいと思っていますが、それが相なった暁にはまた改めて新しい法体系、新しい規制体系と森林法との関係について精査いただいて、場合によっては、平成二十年であればもう十数年たっているわけですから、またそこの、ちゃんと目くばせしてねということを通知等でいただくということはあり得るということでいいですね。

小坂政府参考人 当然、新しい法律ができるわけですし、特に盛土というようなことで関連性が高いことが出てくるわけですから、今回の法律の検討状況を見て、きっちり、新しい法律についてもこういう通知が適用できるんですよと。さらには、もっと強化することがあれば、そういうことも盛り込むことをこれから検討していきたいというふうに思っているところでございます。

足立分科員 ありがとうございます。

 次に、砂防法の話を少しだけさせていただきたいと思います。

 砂防法四条一項に基づいて、砂防法ですから、いわゆる治水、砂防の観点から一定の盛土の禁止又は制限をすることができるというふうに砂防法四条一項には書いてあります。

 私は、今までも砂防法でもいろいろな取締りというか危険な盛土がなされないようにできてきたんだろうと思いますが、少なくとも私の理解では、砂防法の対象は、それこそ先ほどのような議論で、法目的が限定されているし、罰則がとにかく低かった、そういうことでなかなか砂防法に基づく議論は十分ではなかったので、一つ目は、白地地域がたくさんありますね、それから、罰則が低いですねという議論をしてきたわけです。

 ただ、通告でいうと三つ目をちょっと飛ばして四つ目に行くと、その砂防法に基づいて砂防指定地として指定されている地域は沢が多いですよね。元々、自然の状態であっても土砂が流出しやすいところのはずです。自然の状態でも土砂が流出しやすいような地域がある。

 あっ、ごめんなさい、砂防法の話をしているのか、問い三と問い四だとややこしいですね。大体、国交省の中がややこしいということはちょっと今思い至りましたので、一体どっちの質問をしたいんだということは、きっと死活問題だと思うんですが。

 砂防法の話からしましょうか。砂防法の話だけを簡単にすると、要は、砂防法で、今回議論しているいわゆる危険な盛土、これは一定程度禁止、制限してきたと考えたらいいのか、それはまた全く別の話なんだと考えたらいいのか、その辺、コメントをいただけたらと思います。

井上政府参考人 砂防法では、国土交通大臣は砂防指定地を指定し、都道府県知事は砂防指定地を管理することとされています。

 その管理の一環として、先ほど先生御指摘の砂防法第四条第一項、それとそれに基づく砂防法施行規程第三条で、都道府県知事は治水に資する砂防のため一定の行為を砂防指定地管理条例により禁止又は制限することができるとしています。

 なお、各都道府県は砂防指定地管理条例において治水に資する砂防の観点からどのような行為をどの程度禁止又は制限するかを定めており、盛土については禁止ではなく許可が必要な行為とされているところです。

 逆に言えば、砂防指定地は治水に資する砂防の観点から指定するものであり、危険な盛土を制限することを目的として指定しているわけではありません。

足立分科員 そういうことなんですね。今まさにおっしゃったとおりで、法目的が違うので、これまでは、私たちというか地域の方々は、砂防法というのがあるよなということで、砂防法を読んで、これはこうじゃないかとか、あるいは森林法でこうじゃないかとかいろいろな、既存の法令を援用した形で自分たちの命あるいは財産を守るためにできないかということを必死で住民は考えて、私たちも相談を受けたりしてきたわけですが、それはやはり法目的が違うので、新しく盛土一般の規制を改正法という形で今回議論いただいているということだと理解しました。

 ただ、今議論したように、私たちの現場感覚からいうと、自然の状態でも、尾根があって沢があって、沢というのは元々、治水の観点から、要は土砂が流出しやすいところなはずですよね。自然な状態であっても土砂が流出しやすいようなところに、また人工的に土砂を積むんですかみたいな。常識的な住民目線でいうと、そもそも砂防指定地というのは、さっきの規制のグラデーションということでいうと、届出制という緩い規制も概念的にはある、許可制、許可制の先には、そもそも許可以前に禁止しておけばいいじゃないかという、私たちは住民の皆さんと議論になります。何でこんな沢みたいなところに建設残土を積むことが容認できるのかということで。

 問いは、都市局長でまた申し訳ありませんが、そもそも盛土は禁止だという区域があってもいいんじゃないかと。さっきの規制のグラデーションの中で、一番きついところ、こういう地域はやめてくれという地域が法体系の中で、規制体系の中であってもいいような気がしますが、いかがですか。

宇野政府参考人 お答えいたします。

 自然的条件において土砂災害を起こしやすい区域において盛土をすれば土砂流出につながる可能性があることについては、十分認識しているところでございます。

 現行法上、災害防止の観点から土地利用に強い規制が求められる場合でも、憲法第二十九条に基づく財産権の保護の観点から、私人の土地について全面的に利用を禁止するような例はなかなか見当たらないところでございます。

 また、昨年末の有識者会議の提言においても、一定の区域内において一律に盛土造成等を禁止することは厳しい私権制限となるおそれがあることに留意する必要があるとの指摘がなされているところでございます。

 このため、土砂流出等の危険性のある区域であっても盛土行為を全面的に禁止することは財産権の保護との関係で困難であると考えており、人家等への被害が生じ得る盛土を許可制とする形での規制を検討しているところでございます。

 なお、この検討の中で、谷筋の急傾斜地など地形、地質上危険度の高い区域においては、それに応じた厳しい安全基準を設定し、それに適合しなければ許可しないなど、安全対策に万全を期してまいりたいと考えております。

足立分科員 ありがとうございます。

 これも意見として聞いていただければと思いますが、実は先ほど御紹介した大阪府の条例には土砂搬入禁止区域という概念があって、そもそも入口から、知事がこの条例の目的を達成するために必要と認めるときは、期間を決めて、要は六か月を超えない範囲で期間を定めて、土砂の搬入を禁止する区域として指定することができると書いてあります。

 この運用状況も含めてまた参考にしていただければと思いますが、大阪の条例は、今私が申し上げたような、そもそもここは禁止だということを、財産権にも恐らくいろいろ配慮した形で、期間を決めて、それを更新する形で何とか憲法の財産権を侵害しない範囲で条例を作ってこられたのかなと考えておりますので、そういうことも参考にしていただければと思っています。

 次に、ちょっと時間がなくなってきましたが、罰則。

 罰則は、今日、報道でも法人については三億円という議論がありましたから、それなりのものを考えていただけているということを新聞報道では仄聞するわけですが、私は、これが熱海で、私の地元でも下手したら下手したわけで、たまたま人がいなかったから人命には及ばなかったけれども、熱海で二十六名の方、お一人はまだ不明でいらっしゃるということで、本当に私自身、力及ばずで、ざんきに堪えませんが、あれだけのことが起こった問題でありますから、私は、産廃並みの罰則、それがなければ逆に実効性が上がらない、罰金を払ってまたやりますという方々がおられるのが実態なので、高い罰則、これが当然であると思いますが、いかがでしょうか。

宇野政府参考人 お答えいたします。

 現在、一部の地方公共団体では条例を制定して盛土を規制していますが、条例による罰則が抑止力として十分機能していないとの指摘があることは承知しております。

 また、昨年、全国知事会から、法制化による全国統一の基準、規制を早急に設けることとの要望がされており、知事会による都道府県へのアンケートでは、より厳しい罰則を求める声が多かったと伺っております。

 このため、必要な許可等を取得せずに盛土等を行った者や、安全基準に違反して盛土等を行った者等に対し、条例による罰則の上限を上回る水準を目安として、厳格な罰則を措置できるよう検討しているところでございます。

 また、法人が違反行為に関与する場合については、法人に対しても十分な抑止力となる水準の罰金刑を科すことについても併せて検討してまいりたいと考えております。

足立分科員 ありがとうございます。

 今日は総務省も来ていただいていますが、ごめんなさい、ちょっと私の時間配分のミスですが、先ほど、冒頭御紹介したように、総務省行政評価局で報告書を作っていただいて、総務大臣から国交大臣に勧告という形でもしていただいていますが、これはこれで、スコープがちょっと狭め、私の問題意識より狭めですが、よく精査をしていただいて。また、国交省も受け止めていただいていると思いますので、ちょっと割愛をさせていただいて。

 最後の一問は、マニフェストですね。先ほど罰則について産廃という話をしましたが、残土の発生者がいるわけですから、残土規制を実効あるものとするためには、産廃に適用しているマニフェストのような、要は追跡する仕組み、これがやはり最終的にはないと誰の責任かが結局分からなくなると考えますが、いかがでしょうか。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりに、現在検討中の新たな盛土規制と併せまして、建設発生土の搬出先の明確化や、実際に適正に搬出されたことを確認する仕組みが必要と認識してございます。

 昨年末の有識者会議の提言でも、同様の認識から、一つは、建設現場から搬出される建設発生土の約八割を占める公共工事においては、発注者が建設発生土の搬出先を指定する指定利用等の取組、これを徹底させると。国でも一〇〇%ではございませんので、国ないしは公共団体においてしっかり徹底するということを提言されまして、私どもはそれに取り組んでいきたいと思います。

 また、もう一つ、提言におきましては、民間工事も含めて搬出先の適正確保と資源としての有効活用を一体的に図ることが不適正処理の防止に効果的であるということから、現行の資源有効利用促進法に基づく再生資源利用促進計画の仕組みを活用し、これを強化すべきと提言されたところでございます。

 私どもとしては、提言を踏まえ、元請業者に対しまして、これからできる新たな法制度に基づく、許可を事前に確認するとか、あるいは搬出先が適正であることを土砂の受領書等で確認を義務づけるとか、そういったことを、建設発生土の搬出先の明確化に取り組んでいきたいと思ってございますし、今後とも、提言とかいろいろ、先生の御指摘を踏まえてしっかりと検討を行ってまいりたいと考えてございます。

足立分科員 時間が来ましたので終わりますが、本当に今日はありがとうございました。

 とにかく思いは同じというか、とにかくいい形で制度をつくって、みんなが本当に幸せになれるというか、安全に暮らせるように、実効性ある制度をつくっていただくようお願いして、また、私も引き続き力を尽くしていくことをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

稲津主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十七日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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