衆議院

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第2号 令和4年2月17日(木曜日)

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令和四年二月十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 稲津  久君

      石破  茂君    石原 正敬君

      今村 雅弘君    谷  公一君

      田嶋  要君    本庄 知史君

      道下 大樹君    美延 映夫君

   兼務 尾崎 正直君 兼務 川崎ひでと君

   兼務 中野 英幸君 兼務 大西 健介君

   兼務 大口 善徳君 兼務 田中  健君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   経済産業副大臣      石井 正弘君

   国土交通副大臣      中山 展宏君

   国土交通副大臣      渡辺 猛之君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  木村 典央君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 内田 欽也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 難波 健太君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 池田 達雄君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 青木 孝徳君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小宮 義之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           出倉 功一君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           柴田 敬司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            青柳 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  村山 一弥君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 秡川 直也君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  浅輪 宇充君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長谷川直之君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十七日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     石原 正敬君

  道下 大樹君     本庄 知史君

  足立 康史君     美延 映夫君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     石破  茂君

  本庄 知史君     田嶋  要君

  美延 映夫君     吉田 豊史君

同日

 辞任         補欠選任

  田嶋  要君     道下 大樹君

  吉田 豊史君     吉田とも代君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田とも代君     池畑浩太朗君

同日

 辞任         補欠選任

  池畑浩太朗君     足立 康史君

同日

 第一分科員尾崎正直君、第二分科員川崎ひでと君、第六分科員中野英幸君、田中健君、第七分科員大西健介君及び大口善徳君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

稲津主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石原正敬君。

石原(正)分科員 おはようございます。自由民主党の石原正敬でございます。

 本日は、国土交通省に関する質問ということで、予算委員会の分科会で質問の機会をいただいたことに、関係各位に改めて感謝を申し上げるところでございます。

 そしてまた、冒頭でございます、新型コロナの対策のために医療関係者の方々が懸命に努力されていることに対して改めて敬意と感謝を申し上げるとともに、そしてまた、お亡くなりになった方々に御冥福と、そして罹患された皆さん方にお見舞いを申し上げるところでございます。

 そして、この苦難のときに、様々な事業者の方がまた経済的に大変な状況に置かれているということに対しましても、改めてお見舞い申し上げるところでございます。

 さて、本日、出席要求に、斉藤大臣以下、中山副大臣、加藤政務官の出席があるとは思っていませんでしたので、本当に、ちょっとプレッシャーを国土交通省からかけられたなというような具合で感じているところですが、限られた時間の中で私なりに一生懸命質問してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 大きく三つでございまして、一つ目は、私、三重の北勢地域の四日市を中心とした選挙区でございますので、地元の社会資本整備の現状と課題のようなことを質問させていただきます。

 二つ目が、地方整備局の現状、これについて大きく質問させていただきたいなと思っております。

 三つ目が、地方公共交通機関、地方部におけるバス事業について今後の方向性みたいなところを議論していければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、先ほど申し上げましたが、一つ目の質問であります。

 三重県の北勢地域といいますのは、四日市市、あるいは桑名市、いなべ市など、そういった主要都市があるわけですけれども、主に中心となるのが四日市市というところでございまして、四日市市といいますのは、かつては石油化学コンビナートを中心とした産業構造でございましたが、最近では自動車関連、そして半導体の大きな工場が、国内有数の工場がございまして、全国の工業出荷額でいいますと、全国第十位、二〇二〇年の資料でありますけれども、三兆二千六百五十億円というような地域でございます。

 そういった地域でございますので、当然のことながら経済活動が大変活発に行われておりますし、また、名古屋市ですとかあるいは中部圏、こういうところに近い、三重県の中でも北部でございますので近いエリアでございますから、そういった形で、産業としては非常に三重県の産業を牽引する、そういう地域でもございます。

 逆に言いますと、産業を牽引しているということは、それだけ経済が活発化しているということでございますので、それに対しまして、いろいろと不具合も生じているところでございます。

 特に、本日質問に上げさせていただいておりますのは、やはり国道一号及び国道二十三号の慢性的な渋滞に起因することが大きな課題になっているという、そして、地域の声としましても、この渋滞を何とかしてくれというようなことから端を発しているということですので、大枠としてはそういった観点から質問があるということを御理解いただきたいと思います。

 では、個別具体の話に参ります。

 まずは国道一号北勢バイパスでありますが、この国道一号北勢バイパスは、三重県の川越町というところ、ここから、国道二十三号線を起点といたしまして海側から山側にずっと走っていく道路でございます。すぐ国道一号がございますので、そこを渡りまして、今、大体、延長七・三キロメートルを暫定供用しているというところでございまして、全長は二十一・〇キロメートルの計画となっております。

 現在、四日市市道でありますけれども、日永八郷線から国道四百七十七号バイパスの間、およそ四・一キロメートルの区間の工事を実施しておりますけれども、この国道一号北勢バイパスにつきまして、今後の見通し又は課題などがあれば、御所見をお聞かせください。

村山政府参考人 お答えします。

 国道一号北勢バイパスは、大型車交通が集中する四日市市周辺の国道一号と国道二十三号の渋滞の緩和や交通安全対策等を目的としたバイパス事業であります。このバイパスの完成によりまして、国道一号の渋滞損失時間が約七割削減されると試算されるなど、大きな効果が期待されております。

 これまで、全体二十一キロのうち、八・五キロが暫定二車線で供用してございます。残る区間のうち、市道日永八郷線から国道四百七十七号バイパス間の延長約四・一キロの区間におきましては、坂部トンネルの掘削が約九割まで進捗するなど、令和六年度開通を目指して、トンネル工事や改良工事などを全面的に実施しております。

 また、国道四百七十七号バイパスから国道一号までの八・四キロメートルの区間につきましては、昨年十一月に測量に着手し、現在、地元への計画説明会の準備を進めております。

 引き続き、地元の皆様の御協力、御理解を得ながら、一日も早い開通を目指しまして、しっかりと整備を進めてまいります。

石原(正)分科員 ありがとうございます。令和六年に向けて、今、坂部トンネルを含めて鋭意努力をしていただいておるということでございます。

 その後、やはり、国道四百七十七号から四日市、鈴鹿の方面に向かっての残りの八・四キロメートル、ここをしっかり一日も早く着手していただいて、供用開始に向けて御努力いただければと思います。ありがとうございます。

 次に、国道一号桑名東部拡張事業の一部であります伊勢大橋の架け替えのことについてでございますが、伊勢大橋、現在、今、揖斐川、長良川の中に橋脚がずっと建ってきておりまして、ようやく地元住民の皆さん方も、事業がいよいよ終盤に差しかかってきているな、あとは橋台の上に道路を引いていけばこれで開通するなというような思いで期待が高まっているところでございます。現在の橋の長さでいいますと、千九十三メーターという大変長い橋でございますので、工事もいろいろと大変なこともあろうかと思います。

 特に、しかしながら、これは昭和九年に供用開始されたという橋でございまして、平成じゃございません、昭和でございますので、約八十八年前だと。ある地元の方に言わせると、これは百周年記念事業で、あと十二年後しか開通しないんじゃないかというような、少し冗談めいたことも言われておるんですが、しかしながら、そこまではいきませんよということを申し上げながらも、やはり一日でも早いという、そこに思いがこもっているんじゃないかなというふうにして私は考えています。

 でありまして、これから、伊勢大橋、どういうふうにして進んでいくのか、地域の皆さん方の期待も高まっておりますので、この伊勢大橋の架け替えにつきまして、現状と今後の見通しについて御所見を賜りたいと思います。

村山政府参考人 お答えします。

 長良川、揖斐川に架かる伊勢大橋は、昭和九年に建設され、約八十八年が経過しておりますことから、現在、老朽化や交通渋滞が著しく、架け替えを実施しております。

 この伊勢大橋の架け替え工事では、交差点部に右折レーンを設置する計画でありまして、交通がスムーズになることから、渋滞の緩和が期待されております。

 平成二十七年度より河川内の橋梁下部工事に着手し、下部工十八基のうち、これまでに十一基が完成し、現在、五基の橋梁下部工事と陸上部での改良工事を推進しているところでございます。

 また、令和五年度には、現在施工中の橋梁下部工事に引き続き、橋梁上部工事に着手する予定であります。

 引き続き、地域の皆様の御理解、御協力を得ながら、早期の完成に向けて、しっかりと整備を進めてまいります。

石原(正)分科員 大きな河川の上の、若しくは中の工事でありますのでいろいろな御苦労があろうかと思いますが、いよいよ最終盤にかかってきたということだというふうにして認識しております。是非、先ほど渋滞緩和にも向けてしっかりやっていただくということでございますので、よろしくお願いいたします。

 何せ国道一号、まあ、国道一号というぐらいですから非常に重要な幹線道路であるわけでありまして、その幹線道路に昭和九年のものがある。これは確かにしっかりしたものを造っていただいたということの証明でもありますけれども、老朽化も甚だ激しいわけでございますので、一日も早い供用開始をよろしくお願い申し上げます。

 次に、国道四百七十五号東海環状自動車道についてであります。

 この東海環状自動車道でありますが、全長約百五十三キロの道路、愛知、岐阜、三重を結ぶ環状道路でございまして、愛知県側はもうほぼほぼ、ほぼほぼといいますか、早くに開通しておりまして、いよいよ残すところ、いわゆるミッシングリンクが三重県と岐阜県をつなぐあたりと岐阜県の中に少しあるということでございます。

 しかしながら、令和六年度には岐阜県内の大野神戸インターと山県インターの間が開通するということになりまして、ラストが三重と岐阜の県境、境のところの工事が残されるというところでございます。

 岐阜県と三重県って、なかなか、隣県でありながら交流というのが難しい、なぜかというと高速道路がつながっていないからだというようなことが指摘されていまして、一度名古屋を経由しなければ岐阜に行けないという今現状がございます。観光とかでいいますと、少し下道を通って高速道路へ行けばということもあるんですが、産業の面から申し上げますと、やはり高速道路でつながっているということが極めて両県にとって経済交流が活発化する、そういう大きな一因となると私は考えていますので、この東海環状の西回り、いよいよ最終盤にかかっているとは分かっているんですけれども、これの現状と今後の見通しについて国土交通省の認識をお伺いします。よろしくお願いします。

村山政府参考人 お答えします。

 東海環状自動車道は、愛知県、岐阜県、三重県の三県の都市を環状に連絡する延長約百五十三キロメートルの高規格道路であり、この道路を整備することによりまして、沿線への企業立地の促進、物流の効率化などの効果が期待されております。

 これまで、全体計画のうち約七割であります延長百九・四キロメートルが開通をしておりまして、残る約四十三キロメートルの西回り区間につきまして、現在、国とNEXCO中日本が連携し、工事を進めております。

 このうち、三重県内の北勢インターチェンジから大安インターチェンジ間と、岐阜県内の山県インターチェンジから大野神戸インターチェンジ間では、令和六年度の開通を目指しまして、橋梁工事や改良工事を全面的に進めております。

 また、残る養老インターチェンジから北勢インターチェンジの間は、令和八年度の開通を目指しまして、現在、橋梁下部工事等を進めております。

 引き続き、地域の皆様の御協力を得ながら、一日も早い全線開通を目指しまして、しっかりと整備を進めてまいります。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 令和八年の供用開始を目指すということでございます。是非、ここがつながれば、本当に、先ほど申し上げましたけれども、岐阜県と三重県の心理的な距離も縮まるというふうにして思いますし、何せ見通しをつけていただくということが企業を立地していく上で非常に重要なことだと思いますので、この期限に向かって両県がまた自分たちの地域の発展のために努力をしていくというふうにして思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続いて、私の選挙区ではないんですけれども、鈴鹿亀山道路についてであります。

 先般もお地元の市長さんと商工会議所の会頭さんが要望活動に来られまして、本当に鈴鹿としては大きな期待を寄せている、鈴鹿と亀山が大きな期待を寄せている道路なんだということであります。

 実は、鈴鹿市というのは工業都市ではあるんですけれども、海側ですね、伊勢湾側、東側から西側に向かってのアクセスというのは非常に脆弱だというふうにして言われてきておりました。高速道路が山側の西側を、鈴鹿山脈の根元を走っているところでございますので、高速道路までアクセスする時間が大変かかっているという課題がございまして、例えば自動車関連もそうですし、食品関連の企業なんかも、海側の方に立地している企業が大変不便を被っているということで、下道を走っていると、下道も当然大渋滞でございますので、やはり、地域高規格道路が完成することによって、高速道路までアクセスする十五分圏内というのが大変大きくなるんだというようなことで、地域の経済活性化について非常に大きな期待を寄せられているところでございます。

 これはもちろん三重県の事業でございますので、直接国土交通省が関わるわけではありませんが、補助事業でありますとかそういった形で御支援を賜ればというふうな思いと、これに対して、国としてこれからどのような見通しを持って、どのような支援をしてもらえるかということも含めて御答弁いただけると幸いでございます。

村山政府参考人 お答えします。

 鈴鹿亀山道路は、鈴鹿市内の鈴鹿四日市道路から新名神高速道路の亀山ジャンクションを結ぶ、延長約十・五キロメートルの高規格道路であります。

 この道路を整備することによりまして、産業が集積する鈴鹿市から高速道路へのアクセスが向上し、物流の効率化や産業振興、防災性の向上などの様々な効果が期待をされております。

 このため、三重県が、平成二十五年度から計画段階評価を進めておりまして、平成二十七年九月に計画ルート帯を公表し、その後、令和三年二月に都市計画決定を行っております。

 国土交通省としましては、本事業の必要性は十分認識しているところでございます。補助事業での新規事業化につきまして、三重県を始め地域の方々からの御要望を踏まえまして、引き続きしっかりと検討をしてまいります。

石原(正)分科員 村山局長さんから力強い御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。

 斉藤大臣も御臨席いただいておりますけれども、地域の声、北勢地域ですね、今まで社会インフラが本当に非常に遅れているというようなことを言われておりまして、地域の悲痛な声といいますか、以前は東名阪の大渋滞が新名神が開通することによって解消されたというようなこともございまして、三重県の北側が渋滞すると南側にも大変大きな影響を及ぼす、そういうこともございますので、今日申し上げた一つ一つの課題、私も一生懸命汗をかいてまいりますので、皆さん方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 さて、続きまして、地方整備局の問題でございます。

 一つ目の質問で取り上げた、先ほど取り上げた各個別事業があるわけですが、これを着実に進めていくためには、現場で汗を流していく、実動部隊というとちょっととんがった言い方になるかも分かりませんけれども、やはりそういった実動部隊の皆さん方が努力することによって、それぞれの地域の社会インフラが整備されていく、そしてあるいは維持管理されていくということで、私は重要な役割を地方整備局というのは担っていただいていると思っています。更に申し上げますと、逆に言うと、地方整備局がなければ国土形成は成り立たないというふうなことも、私はそれぐらいの思いで地方整備局に期待を寄せているところであります。

 また、私も菰野町長という四万人の町の町長をやっていたんですけれども、平成二十年の九月に豪雨災害がありまして、そのときにもいち早くTEC―FORCEが現場に駆けつけまして災害復旧の支援をしていただいたということで、あのとき、ちょうど中部整備局長さんと一緒にヘリコプターに乗って、上空から、被災二十四時間後ぐらいに上から全部被災地を確認させていただいたということが、より速い、迅速な復旧のために情報収集に役立ったということもありますので、やはり地方整備局の役割というのは大きいなということを実感しているところでございます。

 そういう地方整備局なんですけれども、私も国政に携わるまで余り注意をしていなかったんですが、この二十年間で約二〇%に当たる四千二百人の定員が削減されてきたということをお伺いしました。令和二年度と三年度は微増したということでございますけれども、下げ止まったというようなことかも分かりません。そういった意味で、地方整備局の力が徐々に定員削減という形でそがれてきているのは大変残念なことだなと思っております。

 また、平成二十一年四月には所長が一人のいわゆる一人出張所はゼロだったわけなんですけれども、そのとき、平成二十一年四月は一人体制がゼロで、二人体制は約六%だったのが、平成三年の四月時点では、全国六百七の出張所のうち、一人体制が四十五、二人体制が百四十二と、一人体制と二人体制の割合が三二%になっていた。すなわち、約六%だったものが三二%と、一人体制、二人体制がもうぐっと増えてきている。これはまさしく、定員削減のしわ寄せといいますか、この影響がもろに出ているのがこういう出張所の体制にあるのではないか。

 組織というのは、私も町長をやっていたんですけれども、弱いところにしわ寄せが行ってしまうという、これは本当に、なぜか分からないんですけれども、平時のときに弱いところに、更にそれが弱くなっていく、そういう加速化する現象が起こりますので、そうなりますと、やはりこれから整備局を強化していくためには定員を増やしていくしかないんじゃないかというふうにして私は素直に思うわけであります。

 そこで、質問なんですけれども、このような体制でありますと、災害時の対応や復旧に支障が生じる可能性もあると思いますけれども、今後の地方整備局の人員体制に関して、国土交通省の考えをお聞かせください。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今、激甚化、頻発化しております自然災害にも対応しまして、国民の皆様の命と暮らしを守る地方整備局の役割はますます大きくなっていると考えております。

 特に地方自治体との関係では、災害発生時に被災した県や市町村からの御要請に対応して、全国から集めたTEC―FORCEを派遣し、排水活動や被災状況調査等の支援をしておりますほか、さらには、権限代行制度を活用しまして、インフラの迅速な復旧を図るなどの業務を担っております。

 そして、このような業務を的確に果たしていくためには、地方整備局において必要な人員体制を確保することは極めて重要であると考えておりまして、国土交通省では、毎年度の定員要求におきまして、このことに重点的かつ継続的に取り組んでございます。

 その結果、御指摘いただきましたとおり、令和二年度から純増を確保しておりまして、四年度予算案におきましても、合計で百十九名の純増を盛り込んでございます。

 今後とも、防災・減災、国土強靱化の最前線を担う地方整備局につきまして、事務所、出張所も含めて必要な人員体制の確保に向け、最大限努力してまいります。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 それともう一つ、定員削減の中で気になることがございまして、やはり、定員削減していきますと、公務員の雇用形態上、退職者が出たときにその補充をしないということで定員削減をしていくのが常だと思います。途中で辞めてくれということはできないわけでありますので。そうなりますと、この間、新規の採用というのを抑制してきたんじゃないかということが容易に想像がつくわけであります。

 そうなりますと、少し調査したところによりますと、四十歳以上の方の年齢構成、地方整備局は、四分の三、七五%が四十歳以上だと。逆に言いますと、三十九歳以下が二五%しかいない。まさしく、この年齢構成も大変な厳しい状況を生んでいるんじゃないかなというふうにして考えておりまして、今後の採用計画なり、この年齢構成をどのようにして捉えているかということもお尋ねしたいと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、地方整備局の人員の年齢別の構成でございますが、御指摘のあった四十代以上の職員の割合で見ますと、平成二十三年には約五九%でございましたが、これが十年後の令和三年には約七五%となるなど、二十代、三十代の職員に比べまして四十代以上の職員の割合が高くなっているという状況がございます。

 この点につきまして、地方整備局が中長期にわたり適切に役割を果たし続けていくためには、将来を担う二十代、三十代の職員を確保し、育成していくことが極めて重要な課題になっているというふうに考えております。

 このため、平成二十六年度以降、新卒者などからの新規採用者数を増やすとともに、近年では、以前はほとんど実施していなかった二十代、三十代を中心とする中途採用につきまして、例えば今年度当初には百名以上の規模で採用するなど、大幅に拡充をさせております。

 今後とも、中長期的な観点から職員の年齢構成に留意しつつ、防災・減災、国土強靱化の最前線を担う地方整備局におきまして、新規採用及び中途採用を計画的かつ戦略的に進めていくこととしてございます。

石原(正)分科員 そうですね、やはり組織体制を強靱化していくためには、中長期的若しくは超長期的な視点を持って採用していくということが重要かと思いますので、ただいまの答弁のとおり、御努力をよろしくお願い申し上げます。

 時間もありませんので、次の質問、尋ねようと思ったんですけれども、私、財源の確保なんですけれども、国土交通省の課題、老朽化が一番大きいなと思っています。でも、その中で、新規事業もやっていかなくちゃならぬということで、私は道路特定財源の復活を求めるものなんですけれども。

 平成二十年度に大体五・四兆円、国、地方を合わせて五・四兆円の財源があったわけですが、これを新名神の高速道路の一キロ当たり百二十五億という数字に照らし合わせますと、大体東京から神戸まで高速道路がもう一本引けるというような値段に、金額になるということでありまして、一年間で、道路特定財源で東名、名神がもう一本できるというふうにしてなると、すごい財源だなというふうにして思います。

 ですので、これからしっかりと財源確保に努めていただきたいと思いますし、これは要望になるんですけれども、皆さん方の中でまたしっかりと、何か財源はないのかというようなことも含めてお取組をいただければと思います。

 最後ですけれども、鉄道事業であります。

 人口減少とかマイカーの保有台数が高くなりまして、地方部の沿線というのは非常に厳しい状況を迎えている、鉄道事業が迎えているということでございます。

 ただ、私、いつも思うんですけれども、本線、支線とよく言われまして、赤字路線とかそういう言い方、赤字支線とか言われて、この支線をどうにかするんだというような言い方をするんですが、鉄道というのは、結節点で本線と支線が合わさって、ターミナルで合流して本線に人が流れてきて、それで乗降客が増えている、本線は当然増えるわけであります。それは支線があっての本線でありますから、支線を切り捨てるというようなことは、本線の乗降客、つまり鉄道網全体のまた疲弊を生み出す、それだけのことだと私は思います。

 ですので、地方部における鉄道の問題を考えるときには、それを赤字だからどうだと切り捨てるのではなくて、少なくとも代替案を求めていく、そういうような努力を私はしなければ、やはり地方の足である地域公共交通機関を守るということにはならないと思います。特に、高校生の通学に地方部の沿線というのは使われておりますので、これは国土交通行政だけでなく、子育て支援というような面からも、やはり地方の鉄道が果たしている役割は私は大きいと思います。

 そういう観点から申し上げますと、今後議論が始まろうとしている地方部の鉄道事業について、国土交通省のお考えと御認識というのを伺いたいと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 各地のローカル鉄道は、沿線人口の減少、少子化に加えまして、マイカーへの転移等により利用者が大幅に減少するなど、一部の区間が危機的な状況に置かれております。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化が拍車をかけている状況でございます。

 このため、鉄道事業者と沿線地域が相互に協力、協働しながら、利用者にとって利便性と持続性の高い地域公共交通を再構築していくことが重要と考えておりまして、そのための環境を早急に整えていく必要があるというふうに考えております。

 将来に向けた地域公共交通の在り方を検討する際には、鉄道としての特性が発揮できる状況であるか否かの評価も重要と考えております。

 国土交通省といたしましては、こうした鉄道事業者と沿線地域の取組に対する国の関与、支援の在り方も含めまして、具体的な方策を検討するための有識者検討会を二月十四日に立ち上げたところでありまして、今後、関係者の御意見をしっかり伺いながら、夏頃の取りまとめに向けて議論を進めてまいりたいと考えております。

石原(正)分科員 鉄道をこれからどうしていくかというときには、やはりステークホルダーといいますか、利用者、事業者、沿線自治体、あるいは地域住民、こういうような方々がおみえになるわけでありますけれども、意見をまとめるためには、ステークホルダーだけで議論をしていますとやはり自分たちの我が出てしまうので、何かしら基準を持ってジャッジメントしていきたいというような要望もあるというふうにして思いますので、今おっしゃっていただいたように、この夏に向けての検討会の結果、よりよい地域公共交通の在り方が模索できることを期待申し上げます。

 時間となりましたので、私の質問を終結いたします。本日は誠にありがとうございました。

稲津主査 これにて石原正敬君の質疑は終了いたしました。

 次に、美延映夫君。

美延分科員 日本維新の会の美延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問させていただきます。

 昨年の予算委員会分科会でも、美術品保税地域を活用した国際金融都市誘致に際して、法人税や相続税、所得税の優遇措置や在留資格の緩和について質問をさせていただきました。特に、在留資格の緩和に関しては、可能なものから順次実現できるよう努めるという非常に前向きな答弁をいただき、また、国全体の施策としても、税制、行政サービス対応、在留資格の緩和といった課題に取り組むとの御答弁をいただきました。

 今回は、国際金融都市の大阪への誘致の先駆けとして、美術品保税地域構想における問題点について、改めて、税制等の規制緩和という観点から質疑をさせていただきたいと思います。

 一昨年、共同通信の報道において、当時の河野太郎規制改革担当大臣は、関税を留保したまま輸入した貨物を留め置ける保税地域で美術品や宝石などのオークションを開催しやすくして、外国人バイヤーなどの需要を取り込む活用策を提唱したという記事がございました。

 そして、それに呼応するように、昨年の二月には、財務省より、海外オークション会社に対する輸入消費、関税の撤廃も施されており、保税地域で海外からの美術品の蔵置や展示が可能となりました。このような規制改革は、外国からの美術品資本の流入に寄与していると理解しております。

 そこで、質問させていただきたいんですが、我が国におけるアート市場の活性化に際し非常に重要なことだと思うのですが、まず政府の見解をお聞かせいただけますでしょうか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 まず、保税地域でございますけれども、保税地域の制度とは、特定の場所や施設におきまして、外国貨物に係る関税等の課税を留保したまま、外国貨物の蔵置、加工、製造、展示等を行うことができる制度でございます。

 アート市場の活性化に関する対応といたしましては、従来、注文取り集め等のための見本の展示について規定をしておりました関税法基本通達の部分を改正し、保税地域における美術品の現物の展示及びオークション等を開催するための手続も加えて明記をいたしまして、保税地域を活用しやすくしたところでございます。また、この関税法基本通達の改正以後、保税地域を活用したアートフェアやオークションが既に三件開催されていると承知をしております。

 関税局、税関といたしましても、アート市場の活性化は新たなビジネスチャンス等につながることも踏まえつつ、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

美延分科員 是非、もっともっと前向きに進めていただきたいと思います。

 私は、本国会では、安全保障委員会の理事という立場で、常にアジアにおける外交に目を向けておるところなんですが、昨今の中国における軍事、経済面での急拡大を背景とした覇権主義的な動向は、我が国の安全保障上、喫緊かつ深刻な問題となっております。また、中国の統制強化で、国際金融都市である香港の自由と民主主義が揺らいでもきております。

 開かれた自由と民主主義の経済大国として、経済安全保障の側面からも、日本が今こそその役割を積極的に担うべきであると考えております。

 大阪府の吉村知事は、ポストコロナ時代を見据えた政策の一環として、本年の四月に府庁内に成長戦略室を新設して、大阪府として国際金融都市に力を入れることを表明されました。

 大阪府の国際金融都市としての優位性は、国内で東京に次ぐ経済力のある地域であり、鉄道や空港、道路などのインフラがしっかりそろっているところでもあります。そして、海外から美術品を呼び込むことによって、人、物、金という流れをつくり出す意味でも、国際金融都市構想の先駆けとして、大阪における美術品保税地域の創設が重要かと考えております。

 この大阪における美術品保税地域の創設は、様々なリスクの分散化の点からも、一極集中を回避することができ、京都、神戸、奈良といった関西広域圏に視野を広げることにより、経済的、産業的、文化的蓄積の厚さから、大阪のみならず関西広域に経済的、文化的波及効果をもたらすことができます。

 世界のアート市場は、二〇二〇年の段階で約五・四兆円にも上りますが、残念ながら国内のアート市場の規模は僅かその一%未満です。国際的なオークションへの参加者である富裕層については、我が国では百万ドル以上の資産を持つ富裕層が世界全体の六%を占めており、高額なアート作品を購入できるポテンシャリティーは有していると推察されます。高いポテンシャリティーを有している日本のアート市場が活性化してこないのは非常に残念であります。

 こうした状況の中で、日本のアート市場が活性化しない要因や問題について、諸外国と比較した観点から、税制の緩和を中心に質問をさせていただきます。

 まず、アート投資を促進するための抜本的な税制の緩和について、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 我が国は、諸外国に比べて、税制の面でもアート市場の活性化促進が不十分であります。また、資産選択の場合でも、美術品はほかの資産と比較しても不利でもあります。

 寄附税制面では、まず寄附控除額が海外と比較して少なく、また控除の繰越しができないという問題があります。具体的には、日本では個人が美術品等を国に寄附した場合、所得から控除させられる金額は取得金額であります。さらに、年間の控除額には上限があり、かつ控除できるのは当該年度のみで、高額な美術品を寄附した場合、控除し切れない場合があります。

 アメリカと同様に、控除額を時価として拡大して、また繰越しを五年ぐらいまで可能にすべきと考えますが、この寄附税制面について、政府の見解を教えていただけますでしょうか。

青木政府参考人 委員から寄附税制について御質問いただきました。

 委員御指摘のとおり、寄附文化の醸成を図っていくということは大変重要な課題だというふうに考えております。個人の寄附を後押ししていく観点から、日本の寄附税制につきましてもこれまで累次の改正を行ってまいりまして、控除限度額を引き上げてまいりました。

 したがって、充実した内容というふうになっているというふうに私どもは考えております。

 また、キャピタルゲインを含みます財産を個人が法人の方に寄附する場合は、財産の譲渡があったとみなして、そのキャピタルゲインの部分に所得税の課税が行われるのが原則なのでございますが、民間の担う公益活動を推進するなどの観点から、一定の寄附につきましては、そのキャピタルゲインにつきまして特別に非課税とするような措置も講じております。この特例を受ける場合には、当該キャピタルゲインを税制上なかったものとみなすことから、寄附金控除につきましては、取得原価に相当する額を基準にすることとなります。

 この場合でも、寄附金控除の基準をキャピタルゲインを含む時価とすることにつきましては、寄附者に対するある意味二重の恩典という形になりますので、そういった課題があるのかなというふうに考えております。

 また、繰越控除につきましても先生から御質問いただきました。

 所得税は、一定の期間を区切って、毎年毎年ということですけれども、計算をすることを原則としておりますので、この繰越控除につきましては、その例外になるわけでございます。したがいまして、青色申告者の純損失などに限って認めているところでございます。

 寄附金控除におきまして、この繰越控除などの更なる優遇措置を講ずることにつきましては、寄附金控除の拡充の効果でありますとか、制度の公平性などを踏まえて、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

美延分科員 今、そういうふうにおっしゃいましたけれども、諸外国に比べてやはり不利であるということは、これは私、今日この資料も提出させていただいておりますように、そこをやはりしっかり考えてもらって、海外と同じ土俵に乗れるような、こういうことをしていただきたいと思いますので、これはもう是非検討してください。よろしくお願いいたします。

 それから、次は相続面で伺いたいんですけれども、相続というのは、実はアート作品を物納したいと思っても、納入の順位が三位なんですよ。一位は土地、二位は非上場の株式など。要は、その二つが十分でない場合でしか、第三位ですから、できないということになります。その結果、この相続が大きな問題となって、作品を売却した場合、海外にそれが散逸する可能性もあって、コレクションの分散が避けられない状況になると思います。

 物納をよりよくすることによって、優れたアート作品の物納を促進させて、コレクションを分散化させずに美術館での公開を可能にするメリットが私はあると思うんです。

 また、特定の美術品について相続税猶予という制度があります。これは、美術館に長期寄託された重要文化財や登録有形文化財について、相続人が当該寄託を継続した場合、相続税が八〇%猶予されるんですけれども、これは、中小企業の未上場株式の相続税猶予を美術品に適用したもので、美術品の価値は将来にわたって不動不変ではもちろんないので、八〇%ではなく一〇〇%の猶予が必要ではないかなと私は考えております。

 このような現状の美術品に対する相続税における政府の御所見をお伺いいたします。

青木政府参考人 委員から相続税についての御質問をいただきました。

 租税でございますので、国の歳出を賄うために徴収をするものでございますので、金銭による納付をまず原則といたしております。ただ、相続税につきましては、財産課税であるということを踏まえまして、金銭による納付が困難な場合に限って、例外的に一定の財産をもって納付することが認められております。

 このような物納制度の趣旨を踏まえますと、美術品の物納の要件を緩和することについては慎重に検討すべき課題だというふうに考えておりますが、その上で申し上げますと、物納におきましては、委員からも御指摘がありましたが、物納財産の順位が定められております。動産である美術品は原則として三位とされておるんですが、美術品公開促進法に基づきまして登録を受けた登録美術品につきましては、国債や不動産と同じ第一順位になって物納する特例措置が設けられておるところでございます。

美延分科員 これもしっかり進めていただきたいと思います。

 続いて、美術品の公的評価について伺いたいと思います。

 日本は、諸外国について、公的評価制度の構築が遅れております。国家資格や認定制度など、統一的な基準がありません。つまり、公的評価がないがゆえに、購入、売却、保有、相続する際の税額を予見できないことにつながり、結果としてアートの売買を抑制することになっております。

 アートの売買を活性化させて、資産として適正に扱われるには、課税のベースとなる公的価格を構築し、適正に作品の評価がなされる必要があると思います。

 この我が国の美術品の公的評価制度の構築が遅れている点について、文化庁の見解を教えていただけますでしょうか。

中原政府参考人 我が国の美術品市場は、世界の市場規模と比較して小さく、経済規模に鑑みますと、アート市場の活性化を通じて拡大を図る余地というのは大きいものというふうに考えてございます。

 アート市場の活性化のためには、美術品の購入者や取引量が増えていくということが重要でございますが、アートの価格根拠や算定の仕組みが不透明であり、市場取引の障壁になっているという御懸念の声も伺っているところでございます。

 このため、文化庁としましては、文化審議会文化経済部会に設置しました基盤・制度ワーキンググループにおきまして、美術品の公的な鑑定評価制度の在り方について議論を進めておりまして、アート作品の時価評価に関する信頼性の高い情報が提供される方策を検討しているところでございます。

 ここでの議論も踏まえまして、今後、アート市場活性化に向けた具体的な検討を更に進めますとともに、我が国のアート作品が重要な資産としてもしっかりと位置づけられ、それらの活用が進むように努力をしてまいりたいというふうに存じております。

美延分科員 非常に前向きな答弁をしていただいたと思っております。本当に、認められたように、日本の規模というのはまだまだ小そうございますので、そこをしっかりやっていただきたいと思います。そして、それを活性化することが非常に重要だと思いますので、よろしくお願いします。

 最後に、内外の美術館や個人コレクター等から美術品を寄託される場合の公的補償について少し私から提案させていただきたいんですけれども。

 現在、国内の美術館が海外から展覧会開催のために高額な作品を譲り受ける場合は、万が一の作品毀損に備えて文化庁が補償していると聞いております。美術品保税特区が創設された場合、この制度を寄託作品にも付与することが望ましいと考えます。

 美術館への寄託作品に対する美術館の善管注意義務と文化庁による補償をセットにすることによって、作品が内外から集積されやすくなると思います。

 海外からの作品への補償を寄託作品にも適用することが大事かと考えますが、文化庁の見解を教えていただけますでしょうか。

中原政府参考人 委員御指摘のとおり、美術館等が美術品の有償寄託を受けた場合、寄託を受けた方は善管注意義務を負うことにございます。そして、通常、美術館等は、万が一の事故の場合の賠償リスクをカバーする損害保険というものを掛けていることが多うございます。

 他方で、御指摘のありました美術品補償制度といいますのは、展覧会の開催を支援して、国民が美術品を、拡大する機会を、拡大するために海外からの美術品を借用して持ち込む際にその保険料の軽減を図るための制度でございます。

 こうした制度の趣旨に鑑みまして、御提案のようなものをどれだけ取り入れることができるかどうかといいますことにつきましては、美術品補償制度の制度目的等々も含めまして、その趣旨を踏まえて慎重に検討していくことが取りあえずは必要だと考えてございます。

 しかし、先ほど申し上げましたように、アート市場の活性化ということにつきましては、文化審議会の方の検討を進めまして、更にその充実に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

美延分科員 是非、検討を進めて、できるだけ前に進むように、よろしくお願いいたします。

 次に、これまで万博の開催予定地である大阪の夢洲周辺、そしてそれに絡む淀川左岸線の工事のインフラ整備に対して、本当に国交省始め政府の多大な御尽力をいただいて、大阪の選出の議員として感謝しております。関西経済の発展に資するインフラ整備、今後とも是非支えていただきたいと思います。

 事業費の予算の増嵩に関連してですが、二月十日の大阪市議会において、万博の会場予定地であり、IR関連施設の建設が予定されている夢洲の開発、インフラ整備に対して、当初予算が増嵩することも踏まえて、自民党の大阪市会議員団が、IRに対する住民投票を行うべきだという条例案を提出いたしました。我が同僚、維新の会の大西大阪市会議員が、IR関連法では住民投票は要件に入っておらず、住民投票を行えば議会制民主主義の意味がなくなるとの趣旨で反対討論を行い、結果として、我々維新と公明党さんの反対多数で条例案は否決されたと聞きました。この後、大阪府、大阪市の両議会で承認されれば、区域整備計画の認定申請となります。

 大阪府や大阪市の知事や市長の選挙公約にも含まれ、昨年十月の衆議院選挙では直接の争点ではありませんでしたが、大阪府内のIRを推進する維新の候補は、私を含めて全員当選をさせていただきました。

 この件はこれ以上申し上げませんが、これに関して、大阪の万博の会場となり、かつIR施設の誘致先となる夢洲への唯一の直接の足となる北港テクノポート線のインフラ整備は極めて重要であります。これまでも港湾補助事業として国交省さんにはサポートしていただいておりますが、今回、整備費用の予算の増嵩が見込まれております。国におかれましては、引き続き大阪市の整備計画について前向きに御対応いただきたいと思いますが、御所見をお願いできますでしょうか。

浅輪政府参考人 お答えいたします。

 北港テクノポート線は、大阪港の幹線道路網の補助的交通機関として、旅客の幹線道路から鉄道への転換により、港湾物流の円滑化を図るものでございます。

 同線のコスモスクエア駅から、仮称でございますが夢洲駅の終端部分の間、三・四キロメートルのインフラ部の一部につきまして、大阪市実施の港湾整備事業における補助事業といたしまして令和二年度に採択し、国として支援しているところでございます。

 本事業につきましては、大阪市が事業採択以降、現地調査や詳細設計を進める中で、事前の想定が困難であった現場条件の相違への対応が必要となったため、事業費の増嵩が生じる見込みと伺ってございます。

 また、これに伴う工事内容の変更につきましては、先月二十一日に、第三者から構成される大阪市建設事業評価有識者会議に諮られ、事業継続は妥当との評価を受けたと承知してございます。

 本事業は、昨年八月に政府決定した大阪・関西万博に関するインフラ整備計画における主要事業でもあり、円滑な物流の確保に加え、万博来場者などの来場者のアクセス向上にも資する事業であると認識してございます。

 国土交通省といたしましては、大阪市の有識者会議の検討を踏まえ、補助事業による支援について検討してまいります。

美延分科員 是非よろしくお願いいたします。

 もう一つ、恐縮なんですけれども、今度は淀川左岸線についても少し伺いたいと思います。

 これは昨年度も質問させていただいているんですが、昨年度は七百五十六億円、土壌汚染の問題などで予算が増嵩することになりました。今年度は、地盤改良工事に対する近隣への安全対策の検討が必要になっておると聞いてもおります。

 工事を担っておられる大阪市建設局にもこれはしっかり精査してもらい、できるだけ工事の費用は、当たり前のことですけれども、少なくしてもらわなければなりませんが、この事業が完成すれば、大阪の中心部の阪神高速道路を通過する必要がなくなり、交通渋滞の解消、それから物流の時間短縮に資する、大阪にとってはどうしても建設をしなければならない重要なインフラです。そして、先ほどもありましたように、新大阪駅から万博会場を直行バスで結ぶ道路にもなります。

 もう一つは、日本で初めてなんですけれども、堤防と道路トンネルが一体となって、南海トラフ地震にも備えられる前例のない画期的な工事であることから、私は、地元ですので、近隣住民に配慮した、しっかりとした安全対策をお願いしたいと思っております。

 政府におかれましても、補正予算で予算をつけていただいて、御協力をいただいていることは伺っておりますが、やはり地方自治体にとっては追加費用が非常に負担になります。

 国交省におかれましては、大阪市始め関係各所と緊密に連絡を取っていただいて、関西発展のため、そして災害対策や万博アクセスの面からも、予算の確保について更なる御尽力をいただきたいと思いますが、御所見を聞かせていただけますか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 淀川左岸線二期事業につきましては、平成十八年より大阪都心北部地域の交通混雑の緩和と市街地環境の改善を図ることを目的に事業が開始され、近畿圏の広域ネットワークの強化を担う重要な道路であると認識しております。

 また、令和三年八月に決定された二〇二五年に開催される日本国際博覧会、大阪・関西万博に関するインフラ整備計画にも位置づけられ、万博開催時には、新大阪駅、大阪駅から万博会場までのシャトルバスのアクセスルートとして暫定利用するため、事業主体である大阪市において事業を推進しております。

 国土交通省といたしましては、今後とも引き続き、大阪市の要望に基づき、予算の範囲内で適切に支援してまいりたいと考えております。

美延分科員 是非よろしくお願いします。

 最後に、都市再生について少し伺いたいんですけれども、私は三十五年ぐらい前に、実はこの国会の周辺でサラリーマンを二年ほどやっておったことがあるんですけれども、その頃は、そんなに、東京もどこもということはなかったんですけれども、今見ていますと、東京の都心部ではほとんど開発が進んでいます。

 一方、大阪に目をやりますと、大阪というのは、皆さん御存じだと思いますけれども、今、北地区の二期工事、地下駅を造っている。それから天王寺・阿倍野というところ、それから、これは環状線の範囲の駅ではないですけれども、ミナミの周辺という、いわゆる三か所に今のところ限られているという状態であります。

 この三地域以外に、大阪の東の玄関口である京橋駅周辺の地域が都市緊急整備地域に指定されております。この京橋というのは、JRとか京阪とか大阪メトロが乗り入れていまして、大体五十万人ぐらいの一日の乗降客があります。

 都市開発において、財政規模として、地方交付税を受け取らない東京都とは違って、大阪市が複数の都市開発、都市再生を同時並行的にやっていくのは無理があることは私自身も承知しております。また、私たち維新の会が提唱していた大阪都構想が否決されたことによって、今までどおり、大阪市の財政の範疇でこれは進めていかなければなりません。しかし、アフターコロナを見据えた日本の経済の再生、万博を起爆剤として関西全体の発展を促すためにも、私は、大阪の東の玄関口である京橋の発展が不可欠という思いであります。

 現在、大阪市では、都市再生緊急整備地域に指定されているこの京橋かいわいの開発で、交通量の多い駅周辺に、これは今日、資料もつけさせていただいておりますが、開かずの踏切があったり、また、市街地活性化に鑑み、駅の地下化があると聞いています。

 そこで、質問させていただきたいんですが、私は、京橋駅の地下化事業は、関西経済全体の発展を底上げするために、現在進行中の大阪駅の二期の地下化事業が終われば、次は、京橋駅地下化事業が是非必要だと考えております。

 仮定の話で非常に恐縮ですけれども、もし、大阪市から京橋駅の地下化事業の提案があれば、是非前向きに検討していただきたいと思いますが、最後に御所見をいただけますでしょうか。

宇野政府参考人 京橋駅の地下化につきましては、連続立体交差事業という形で大阪市の方で検討されていると聞いております。連続立体交差事業は、複数の踏切を一挙に解消することにより、地域の安全性の向上に大きく寄与するとともに、都市内交通の円滑化や分断された市街地の一体化による地域の活性化を図る重要な事業であり、その着実な推進を図ることが求められていると考えております。

 御指摘の京橋駅周辺は、JR大阪環状線、JR片町線、東西線、京阪本線の四路線が集まる拠点ターミナルである京橋駅を中心に、都市機能の更なる強化等が求められており、都市再生緊急整備地域に指定されているのは先ほど御紹介のあったとおりでございます。

 このような場所において、連続立体交差事業を通じて開かずの踏切等を解消することは、重要な取組であると我々も認識しております。

 現在のところ、大阪市から具体的な要望をいただいていない段階でございますが、今後御要望があれば、国土交通省として必要な支援を検討してまいりたいと考えております。

美延分科員 是非よろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。これで終わります。

稲津主査 これにて美延映夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、本庄知史君。

本庄分科員 立憲民主党の本庄知史です。

 昨年の衆議院選挙で、千葉県第八区、柏市そして我孫子市から選出をしていただきました。今日は二回目の質疑ということで、斉藤大臣ほか皆様、大変お世話になりますが、どうぞよろしくお願いをいたします。

 早速、最初の質問に入っていきたいと思います。

 通学路の交通安全対策についてお伺いをいたします。

 千葉県の八街市における小学生の死傷事件、去年の六月の二十八日ですね、八街市、千葉県です。下校中の小学生の列にトラックが突っ込んで五名が死傷する、こういう大変痛ましい事故がありました。私も小学生の子供が二人おります。他人事とは思えない事故でありました。改めて、心からのお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 最初に、文科省、お伺いしたいんですが、鰐淵政務官、どうしてあのような悲惨な事故が起きてしまったのか、なぜ防げなかったのか。この八街の事故からどういう教訓を、政府として、あるいは文科省として得ているか。最初、お尋ねしたいと思います。

    〔主査退席、今村主査代理着席〕

鰐淵大臣政務官 お答え申し上げます。

 今委員の方からもお話がございました、昨年六月二十八日に、千葉県八街市の路上で、下校中の小学生の列に飲酒運転のトラックが衝突し、児童五名が死傷するという大変痛ましい事故が発生いたしました。改めて、貴い命が失われましたことに心よりお悔やみを申し上げますとともに、けがをされた児童や御家族に心からお見舞いを申し上げます。

 子供たちが学校で安心して活動し学べるようにするためには、その前提として、通学路を含む学校での安全を十分に確保することが不可欠であり、このような痛ましいことが絶対にあってはならないと重く受け止めております。

 通学路の安全確保につきましては、学校はもとより、保護者や道路管理者、警察等の関係機関、自治体、地域の関係団体等との連携により実施することが重要と考えており、文部科学省では、関係省庁と連携しながら、このような事故を繰り返すことのないよう、通学路の安全対策に万全を期してまいります。

本庄分科員 今おっしゃったように、八街の事故を受けて、当時、昨年八月四日、関係閣僚会議で緊急対策というものが策定されました。この緊急対策の一環として、全国約一万九千の小学校、この通学路を対象として、教育委員会、学校、PTA、道路管理者、警察等による合同点検が実施された。対策必要箇所を抽出し、対策案を検討、作成する、こういうことが八月の四日に決められたわけです。

 この対策、取組自体、私は必要なことだったと思いますし、そのことではなく、ただ、幾つかの問題点があったのではないかというふうに考えております。その観点で、まず内閣府にお尋ねします。

 第一に、この前回の作業、大変短期間の突貫の作業だったというふうに思います。緊急対策の策定が八月の四日、合同の点検と対策箇所の抽出が九月末と、二か月もなかったわけです。その後の対策案の検討、作成は十月末までということで、抽出から一か月しかありませんでした。

 本当に、こういう短期間の突貫の作業で、十分な点検、あるいは対策箇所の抽出ということができたのかどうか、この辺りの御所見をお伺いしたいと思います。

難波政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月末の千葉県八街市における事故を受けまして、同年八月策定の、通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策に基づきまして、各種の対策を行っているところでございます。

 今回の緊急対策は、千葉県八街市における事故を受けて、子供が犠牲となる痛ましい事故が二度と起きないよう全国において緊急的に実施をするとしたものでありまして、速やかに点検を実施して対策を講じることが重要と考えているところでございます。

 なお、委員からも御指摘ございましたが、通学路の合同点検につきましては、緊急対策の策定に先行して、昨年七月九日の文部科学省の通知によりまして、対策必要箇所の抽出は昨年九月末まで、対策案の検討、作成は同年十月末までとしていたところでありますけれども、同時に、地域の実情等により期間内の実施が困難な場合については、昨年末までに実施をするということとしていたところでございます。

本庄分科員 いずれにいたしましても、数か月間という非常に短期間の中で、急遽、点検という指示が下りてきて、学校も大変だったというふうに思います。

 これは文科省にお伺いしたいんですけれども、合同点検ということでいろいろな関係各位が関係して調査をしていますが、一義的には一万九千の小学校が主体となって通学路の危険箇所の抽出ということを行ったというふうに私は理解しております。全体で七万二千か所あったということなんですが、小学校によって、道路管理者、プロではありませんから、いろいろな能力、あるいは状況の把握の力というのは差があると思うんですね、学校によって。一万九千もあるわけですから。しかし、一義的には小学校が中心となってやった。

 ここに、もしかすると学校によっては、地域によっては、十分に抽出がなされていないところがまだあるのではないか、私、こういう問題意識を持っているんですが、これは文科省にお伺いした方がよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 通学路の合同点検につきましては、平成二十四年の京都府の亀岡市の事故を受けまして、各自治体においては、学校、教育委員会、それからPTA、警察、道路管理者等による合同点検をする体制というのが構築されておりまして、これに基づいて定期的に点検を実施をしておりました。

 加えて、昨年六月の千葉県八街市で発生した事故を踏まえまして、文部科学省、国土交通省、警察庁が連携いたしまして、全国の自治体に対して、見通しのよい道路や幹線道路の抜け道になっている道路など車の速度が上がりやすい箇所など、こういう新しい観点もしっかり踏まえての、通学路における合同点検の実施を依頼をいたしたところでございます。

 今回のこの合同点検は、これまで自治体で行われている、先ほど申しましたが、関係機関による合同点検の体制を活用し、連携の蓄積を生かして実施されているというところでございまして、今回の事故を踏まえ、各自治体において対策が必要な箇所を適切に抽出をいたしまして、それに基づいた対策を検討していただけるもの、このように考えているところでございます。

本庄分科員 先に亀岡の話が出たのでお伺いしますけれども、二〇一二年、約十年前、亀岡、京都ですが、登校中の小学生、引率保護者に自動車が突っ込んで、このときは十名が死傷ということで、そして三人が亡くなっています。このときは飲酒ではなくて居眠り運転だったということですが、おっしゃったように、このときに合同点検の体制がつくられて、いろいろ体制が取られておりますが、この十年前から今回の合同点検に至るまで、こういった一斉の点検、通学路の点検というのはあったんでしょうか、十年間に。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 先生お話のありましたように、平成二十四年四月の京都府亀岡市で発生しました事故を受けまして、文部科学省、それから国土交通省、警察庁と連携をいたしまして、平成二十四年度に全国で一斉の通学路の緊急合同点検を実施したところでございます。

 この点検のときには、特定した通学路の危険箇所が七万四千か所ということでございまして、この箇所につきましては、毎年度、各自治体でフォローアップを実施をしてきておりまして、私たちが把握しているところでも、令和元年度末時点での全体の九八%が既に対策済みとなっているということでございます。

 それからまた、この平成二十四年の緊急合同点検の実施後も、私たちの方から、平成二十五年、関係省庁より発出した通知に基づきまして、各自治体において、通学路における安全対策の関係機関であります学校、教育委員会、保護者、警察、道路管理者を含めました市町村単位の推進体制、これを構築していただきまして、危険箇所の点検、対策を継続して行っていただいているところでございます。

 私たちといたしましては、引き続き、関係省庁と連携をいたしまして、各自治体における関係機関が連携した取組、これを促進するなどして、通学路の安全確保、これにはしっかり努めてまいりたいというふうに考えてございます。

本庄分科員 今、十年来、定期的な、継続的な点検、取組、されているということですが、十年前の危険箇所が七万四千か所、今回七万二千か所。やってもやっても減っていないわけですね、危険箇所は。減っていないというか、新たに出てきているということだと思います。

 したがって、これは正直、減っていないということは、私、足りていないんだと思うんですね、点検も、そして対策も。

 今回、これは国交省さんですけれども、個別の補助金ということで、財政的な措置もついたということですが、今後もこの点検の継続的な取組、そして、今回ついた五百億の補助金ですけれども、恒久的な制度としてしっかり今後も定着をしていただきたいというふうに思いますけれども、これは国交省さん、補助金の制度の方、単年度予算措置ではなくて恒久的な制度だ、こういう理解でいいかどうか、御答弁をお願いします。

村山政府参考人 お答えします。

 委員が御指摘の、通学路の交通安全確保に向けたこの補助制度でありますけれども、今般の合同点検に基づいて創設された補助制度でございます。令和四年度の新規制度として、五百億円を予算案に計上させていただいております。

 継続的なというお話でありますけれども、地方公共団体が計画的に事業を実施できますよう、関係省庁と連携しまして、継続的な通学路の安全対策に有効に取り組んでいきたい、このように考えております。

本庄分科員 去年の予算折衝、最後、大臣折衝へもつれて、ようやくこの五百億が決まったというふうに私は理解しております。是非これからも、財政当局ともしっかりと調整をしていただいて、子供たちの通学を守るための措置ということで取組を続けていただきたいというふうに思います。

 最後に、大臣に今までの議論を踏まえてお伺いしたいんですが、私の印象は、恐らく多くの国民の皆さんもそうだと思うんですが、こういった今回の八街のような事故、あるいはその前の、十年前の亀岡の事故、こういった大きな事故があると、皆さん関心が高まって、政治や行政も動くということなんですが、その都度、盛り上がり、そして対策が取られるものの、その後のやはり継続性あるいは一貫性、こういった部分で御不安があって、そういう中で子供たちを今学校にも通わせている、こういう状況だと思います。

 是非、私、るる申し上げたとおり、これからも持続的、継続的な取組、そして予算の対応、制度の対応、よろしくお願いしたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。

斉藤国務大臣 本庄委員おっしゃったとおり、十年前の亀岡の事故、昨年の八街の事故、それから、これは直接、交通事故ではありませんが、通学途上、大阪で、地震で学校の壁が倒れて女の子がお亡くなりになった事故等々、我々、学校に通う子供を守るというのは大人の最低限の責任だ、このように思います。

 そういう意味で、これまでも国土交通省として、道路を所管する役所として、関係各所と、関係官庁と連携しながら対策に取り組んでまいりましたけれども、これからも、内閣府、文部科学省、警察庁などと連携し、通学路の合同点検、引き続き一生懸命やって、その結果に基づき、歩道の整備などの対策を進めていきたい、このように思っております。

 そのためには、継続的な取組と予算の確保が重要でございまして、引き続き、予算の確保、それから関係省庁と連携して、継続して交通安全対策を進めていくということを全力を挙げてやっていきたいと思います。

本庄分科員 大臣、ありがとうございます。

 子供たちが安心して通学できるように、そして親御さんや学校が安心して通学させられるように、引き続きの関係者の取組、是非よろしくお願いしたいと思います。

 このテーマはここまでといたしますので、文科省さん、内閣府さん、ここまでかと思います。ありがとうございました。

 次に、サポカー補助金についてお尋ねをしたいと思います。

 これは、経済産業省、石井副大臣にもお尋ねしたいと思っております。

 時間もあれですので、サポカー補助金が、地元あるいはいろいろ関係者、非常に期待が実は大きいんですが、昨年の十一月、受付が終了してしまったということです。歩行者の衝突被害の軽減のブレーキ、あるいはペダルの踏み間違いの急発進の抑制装置を搭載している車ということで、この購入の支援という制度ですが、この補助金についての評価、そして、なぜ終了してしまったのか、経済産業省にお伺いします。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 サポカー補助金は、高齢運転者による痛ましい事故の発生を受けまして、高齢者の安全運転を支える対策の必要性が高まった、このことから、いわゆるサポカーの購入、それから既販車への踏み間違い抑制装置の後づけ、これを支援することによりまして、高齢運転者へのサポカーの導入を促進することを目的としたものでございます。令和元年度補正予算において千百三十九億円を措置したところでございます。

 その実績でございますが、先生御指摘のとおり、十一月に申請受付を締め切ったところでございまして、これまでの交付実績でございますが、現時点で累計、件数ベースで百三十九万件、そして金額ベースで千九十四億円となっているところでございます。

 このサポカー補助金につきましては、六十五歳以上の高齢者によるサポカーの保有率を六十五歳未満の保有率と同程度にする、こういった観点から、サポカーの市場導入の加速化に向けた百万台の導入という当初の目標を掲げたところでございますが、この目標を達成し、高齢運転者に対するサポカーの普及に大きく貢献した、このように考えてございます。

本庄分科員 サポカーの利便性、必要性というのは、年齢にかかわらず若い人も含めて意味があると思いますが、補助金という制度を六十五歳以上に入れたというのは、高齢者に対する普及促進ということが目的だというふうに思います。そういう意味では、百万台という数字が果たして目標値として適切なのかというのは、私、よく分からないんですね。

 経産省に、じゃ、実際、六十五歳以上の方がどのくらいこのサポカーに今乗っているのか、普及率はどのくらいですかというふうにお尋ねしたんですが、そういう数字はないというお答えでしたが、そういう理解でよろしいですか。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 百万台といった目標についてのデータのお話かと思いますけれども、先生おっしゃられたとおり、直接、年齢別にどれぐらいの、年齢別の保有のデータというものはございません。

 したがいまして、先ほど申し上げた百万台というデータにつきましては、ある種の推計を加えて算出した値ということでございます。

 具体的には、サポカーの台数というのは分かっておりますし、それから、車自体の台数というのも分かっておりますので、そういった中で、車検ベースでどれぐらいの年齢の人が持っているかというのは分かりますので、そういったものを使って推計している、こういったところでございます。

本庄分科員 推計しているというのは、百万台の根拠について聞いているのではなくて、六十五歳以上の普及率がどのくらいか、そういうバックデータを持った上でこれ以上の補助金は必要ない、こういう判断をされているんですかというのが私の質問です。

 バックデータはないという理解です。いいですね。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど若干申し上げたように、年齢別の車両の保有台数に対する直接のデータというものはございません。

本庄分科員 これは経産省の資料にも書いてあるんですけれども、サポカーは高機能であるため価格が高く、そもそも買換え需要の低い高齢運転者の買換えが進まない、したがって導入されたと。

 新車中心に今回サポカーは手当てされているんですが、今後も、新車は義務化がされているものの、高齢者は引き続き今乗っている車に乗り続ける可能性が非常に高いわけですよね。そして、六十五歳以上というのは毎年毎年増えていくわけで、そういう意味では、果たして普及率が上がっているのかどうかよく分からない。こういう中で、私、補助金を打ち切られたというふうに理解しているんです。

 実際、地元を回っていますと、やはりこの期待の声、結構高いんですよね。買い換えようと思っていたんだけれども、補助金打ち切られちゃったのでちょっと考え直しているんだとか。私、もう一回、どのくらい六十五歳以上の方がこのサポカーに乗っているのかしっかりと調査をした上で、政策の是非について判断すべきだというふうに考えています。

 これは、ちょっと最後に石井副大臣に、是非、これは政務の副大臣、政務官、そして国交省も含めて、政務のリーダーシップが必要な案件ではないかというふうに思いますので、御答弁をお願いいたします。

石井副大臣 お答えいたします。

 ただいま政府参考人からも御答弁申し上げましたけれども、サポカー補助金の交付実績、これは百万台を超えまして、市場導入の加速化に向けた当初の目標というものは達成したものと考えております。また、新車乗用車におけるサポカーの割合は九割を超えるなど、高齢運転者へのサポカーの普及拡大に大きく貢献をしてきたものと認識をいたしております。

 このため、六十五歳以上へのサポカーに限った新たな支援策というお尋ねでございますが、このことにつきましては考えていないところでございますけれども、しかし、環境性能に優れた電動車の普及を促すための税制措置とか、あるいは、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車等の購入補助などを通じまして新車への買換えを促進をする、こういうことでサポカーの普及拡大を後押しをしてまいりたいと思います。

 また、後づけ装置についての御質問でございますが、最近の市場動向を見ますと、三万円から十万円程度となっておりまして、比較的少額で入手、取付けが可能であるといったことから、導入支援よりもサポカーの意義についての普及啓発を行うことが重要と考えております。今後は、自動車整備の機会、あるいは広報動画等を活用いたしまして、後づけ装置も含めたサポカーの啓発に官民一体となって取り組んでまいりたいと思います。

 また、昨年十一月より開始されております国際基準に準拠した衝突被害低減ブレーキの装着義務化、あるいは今年五月のサポカー限定免許制度の施行等を通じまして、関係省庁と連携しつつ、高齢運転者の交通安全対策、このことにしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

本庄分科員 大変残念な御答弁だと思います。経済産業省の役所の方がおっしゃっていたことと同じことなんですね。

 新車の九割とおっしゃいました。じゃ、高齢者はどのぐらい新車を買っているんですか。高齢者が新車を買わないからということでこの補助のインセンティブをつけた、こういうことだったと思うんですね。でも、そのバックデータも、数字もない、どのぐらい新車を高齢者が買っているか分からない、でも、目標を達成しましたと。

 百万台という当初の目標を達成したというだけであって、制度の本来の趣旨である、高齢者の方に安全に運転をしていただく、そして、それによって周りの方々も事故に巻き込まれないようにしていく、この制度趣旨に対してきちっと目標が達成されているのかということが私の問題意識なんですね。にもかかわらず、普及率も分からないと。

 これでは制度の評価、補助金の評価もできないし、打切りの根拠ということでも私は不十分だと思いますが、もう一度答弁をお願いします。

石井副大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、国際基準に準拠した衝突被害低減ブレーキの装着が義務化されてきておりますし、また、サポカー限定免許制度の施行、これが今年五月からといったようなこともございまして、そういったことを通じまして、全体として、自動車の、環境性能等に適合した自動車への買換え、こういったことを促していって、サポカーの重要性、意義ある交通安全対策といったことにつきましてもしっかりとPRすることによって買換えを促していく、そういう様々な政策によって、議員御指摘のサポカーの普及、このことにこれからもしっかりと努めてまいりたいと考えております。

本庄分科員 議論は平行線だと思いますが、これは国交省さんからしても、事業用ということで、台数は少ないですけれども、正直、タクシーの運転手さん、あるいはタクシーの車なんかを見ていても、これはちょっとサポカーじゃないだろうなという車はまだまだ多いと思うんですね。

 是非、今私が申し上げたような制度の趣旨に基づいた検証をしていただいて、このサポカー補助金の必要性について、しっかり政府の中で検討していただきたいというふうに思います。

 これは通告していません、大臣、もしよかったらコメントをいただけないでしょうか。

斉藤国務大臣 サポカーを普及させることの大切さ、今の議論を聞いてよく認識をいたしました。よく関係省庁と連携しながら進めていきたいと思っております。

本庄分科員 御答弁ありがとうございます。

 サポカーについては以上です。経産省さん、ありがとうございました。

 最後に、ちょっと、五分しかありませんが、地元の重大懸案というか重要事項ということで、千葉北西連絡道路について少しお伺いしたいと思います。

 千葉県といいますか、柏といいますか、道路の渋滞は非常に深刻な状況で、北西地域唯一の幹線道路、これは国道十六号線です。渋滞が非常に激しくて、交通量は一日四万二千台から五万台と、交通容量をはるかに超過している、こういう状況です。この慢性的な渋滞で、国道を挟んだ地域間の往来ということが非常に不便であって、例えば、病院へのアクセスができないとか、あるいは消防とか警察とか、こういった移動にも支障が出ている、こういう状況でございます。

 地元からは、千葉北西連絡道路、この建設への期待の声は非常に大きくて、早期に基本方針を策定してほしい、計画の具体化をしてほしい、こういった要望が何度も出ているかと思います。最近も市長さんが要望に国交省にお伺いしていると思うんですが、この千葉北西連絡道路につきましての国交省としての今の現状認識、そして御所見をお伺いしたいと思います。

村山政府参考人 お答えします。

 国道十六号は、千葉県北西地域を南北に連絡する唯一の幹線道路でございます。慢性的な渋滞が発生しております。

 このため、十六号の渋滞を緩和するために、交差点の改良など短期対策も行っております。

 しかしながら、こういった短期対策、小規模な対策では慢性的な渋滞の解消のめどが立たない状況でございますので、こういった抜本的な対策に向けて、国土交通省、千葉県等の関係自治体で構成される検討会を設置をしたところでございまして、今検討を進めているという状況でございます。

本庄分科員 実は、この東葛北部地域の道路の建設ということはかなり歴史のある話で、かつては、千葉柏道路、国道十六号バイパスという呼ばれ方もして、平成十三年に協議会ができた、こういう経緯も過去にありました。二十年前ですね。二十年来進んでこなかった話が、今また少し形を変えて再起動している、こういう状況だと思うんですが、同じまた二十年が繰り返されるということではやはり困るわけです。

 そこで、お尋ねしたいんですが、今、二回検討会を行われたということなんですけれども、どのぐらい具体化しているのか。ほとんどしていないと思いますが。例えば、ルート、道路の構造、事業規模、あるいは将来の交通の需要推計、こういったものは必須だと思いますけれども、今申し上げたようなことで何か決まっているようなことはあるんでしょうか。

村山政府参考人 お答えいたします。

 この検討会は、議員御指摘のとおり二回開催をされてございまして、三回目に向けて今準備を進めております。

 お尋ねの事業費等々の関係でございますけれども、基本的な事項を今検討している状況でございますので、現段階においては未定でございます。今後は、ルートでありますとか構造について決定した後、様々な都市計画、環境影響評価などの手続を経て事業化されるというような段取りになってございます。

本庄分科員 ほとんどまだ何も決まっていない、ほぼ白紙に近い状態だというのが、残念ながら現状だというふうに思います。

 そこで、千葉県の広域道路交通ビジョン・計画というのが、昨年六月、策定されています。これを踏まえて、関東地方整備局が、関東ブロック新広域道路交通ビジョンそして計画、これを七月に策定していますね。この中で、千葉北西連絡道路は高規格道路、こういう位置づけになっていますが、時間軸、所要、かかる時間ですね、どのくらい見ていらっしゃるのか。

 このビジョン、計画を見ると、二十年から三十年の計画だ、こういうふうに書かれているんですが、こういう理解でよろしいですか。

村山政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、この新広域道路交通計画は、今後おおむね二十年から三十年後を目指して整備する路線ということとなってございます。

今村主査代理 本庄知史君、時間が来ておりますので、よろしく。

本庄分科員 はい、最後に。

 今まで二十年かかって進んでこなかった計画なんですけれども、これからまだ二十年、三十年もかかるということであれば、合計で五十年あるいはそれ以上、こういう話になるわけですね。地元の要望も期待も非常に大きいものです。是非、この取組、加速化していただいて、千葉北西部の道路の渋滞緩和そして生活の向上ということに、国交省さんとしても取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、大臣から一言お願いできますか。

斉藤国務大臣 この地域、千葉北西連絡道路、また国道十六号の対策につきましては、国と県、市が連携して短期、中長期の観点から検討を進めていくことが、地域にとって課題の解決につながるものと考えております。国土交通省としても、しっかり取り組んでまいります。

本庄分科員 御答弁ありがとうございました。

 短期の取組も是非よろしくお願いいたします。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

今村主査代理 これにて本庄知史君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野英幸君。

中野(英)分科員 おはようございます。自民党、埼玉第七選挙区、川越市、ふじみ野市、富士見市から選出をいただいております中野英幸でございます。

 衆議院に初当選をさせていただき、本日このように予算委員会の第八分科会におきまして質問させていただく機会をいただいたことに心から感謝をさせていただきます。

 それでは、順次通告に従い質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、国道十六号の渋滞対策についてお伺いをさせていただきます。

 私の地元、埼玉県川越市は、都心から約一時間の立地にあり、蔵造りの町並みを楽しめる、ピーク時には年間約七百三十万人の観光客が訪れる関東屈指の観光地であります。その川越市内を東西方向に伸びる国道十六号についてお伺いをさせていただきます。

 国道十六号は、東京都心から三十キロメートルから四十キロメートルを圏域とする神奈川県横須賀市から埼玉県を通過して千葉県富津市までをぐるりと囲む、延長約三百三十キロメートルの環状型の国道であります。一日の交通量は三万台を超え、コンテナ車など大型車は一万台に達するなど、まさに首都圏の大動脈と言える重要な道路と言えます。

 国では、都心部を含めた首都圏の慢性的な渋滞や沿道環境の改善、都心部に集中している交通を分散し円滑な自動車交通を実現するため、圏央道を始めとする環状線の整備をしておりますが、この国道十六号は緊急輸送道路に指定されており、圏央道と相互に補完し合う代替輸送ルートの機能を有しております。このため、災害時における道路ネットワークを確保する観点からも大変重要な道路であります。

 このように、首都圏にとって非常に重要な道路である国道十六号の沿線には、物流施設を始め大型のショッピングモールが多数立地し、一般ドライバーの生活のためだけでなく、物流業者にとってもなくてはならない不可欠な道路でありますが、平日、休日を問わず、渋滞が様々な場所で発生している状況にあります。

 これまで、八王子バイパスを始め瑞穂町の瑞穂バイパスや大宮バイパスなど、主要な渋滞箇所のバイパス整備が国の直轄事業として進められてまいりました。そのかいあって、横浜方面から東京都下までの渋滞緩和はされつつありますが、埼玉県から東側の渋滞箇所についてはいまだ進んでいない箇所があります。

 特に、私の地元、川越市内の国道十六号の渋滞は、川越市の新宿町周辺から川越市仙波町周辺にかけて国が主要渋滞区間に選定するなど、国、県、市が、早期に改善が必要があるとの認識を同じにしているものと考えております。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 川越市内の国道十六号の渋滞の状況の認識と、今後の渋滞緩和に向けて、川越市の都市計画道路外環状線の計画なども含め、どのような対策を講じるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 埼玉県川越市内の国道十六号は、周辺に立地いたします工業団地からの大型車交通の流入などによりまして、慢性的な渋滞や交通事故が発生しております。新宿町北交差点を始めとする七か所の主要渋滞箇所が連続している状況となってございます。

 このうち、川越市内の大袋新田交差点におきまして、交差点改良による右折レーンの設置を令和三年度に着手し、現在設計を進めているところでございまして、令和四年度に工事を着手する予定となっております。

 また、先生御指摘の外環状線につきましては、川越市笠幡から古谷上までの延長十四・二キロメートルの都市計画道路でございます。これまでに、埼玉県が、川越市南台一丁目の延長〇・四キロメートルと、池辺から大袋新田までの延長二・七キロメートルを整備してございます。

 残る未開通区間であります十一・一キロメートルにつきましては、まずは、都市計画道路の計画をお持ちになっている埼玉県、また地元の川越市が、周辺の道路整備の状況や渋滞の状況を踏まえつつ、整備に向けた検討を進めていくものと認識をしてございます。

 国土交通省としましては、当該地域の幹線道路であります国道十六号の渋滞緩和は大変重要な課題と認識しております。まずは、都市計画道路外環状線に関する、埼玉県や川越市からの整備に対する御意向を把握をさせていただきながら、これを踏まえまして、渋滞状況の分析、必要な対策の検討を進めてまいります。

中野(英)分科員 御答弁ありがとうございました。是非、この件につきましても、一生懸命市町村また埼玉県を通じて進めてまいりますので、どうぞ御協力を賜りますようにお願いをさせていただきたいと思っております。

 次に、荒川第二、第三調節池の進捗状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 荒川は、秩父の甲武信ケ岳を源流とし、私の地元、川越市を経て東京湾に注いでいます。流域内には日本の人口の約一割が住んでおり、都市機能はもとより、私たちの暮らしを支える重要な河川となっております。

 令和元年の東日本台風では、この荒川が観測史上最高水位を記録しましたが、荒川第一調節池が洪水を貯留し、洪水氾濫の防止に大きな役割を果たしました。荒川中流域の広い河川敷を活用したこの調節池の整備は、荒川の治水の要となる事業であり、国は、川越市とさいたま市を結ぶ上江橋周辺に更に第二、第三調節池の整備を予定しております。

 また、荒川第一調節池では、周辺の河川用地に戸田市の道満グリーンパークの整備がされ、広大な水面の彩湖と併せて、都市近郊の貴重な水と緑のオープンスペースとして、日頃から多くの市民の皆様方がにぎわう空間となっております。

 そこで、二点お伺いをさせていただきたいと思います。

 一点目として、現在の荒川第二、第三調節池整備の進捗の状況をお伺いをさせていただきたいと思います。そして、二点目として、荒川第二調節池においては、川越市並びにさいたま市に対して、新たに創出される河川空間利用等の、何か地元対策はお考えがあるのか、併せてお伺いをさせていただきます。

井上政府参考人 荒川第二、第三調節池は、一キロメートル以上もある現在の広い川幅を新たな堤防で半分に区切り、ふだんからの川の水の流れる部分と洪水時に水をためる調節池に分けることで洪水調節を行う施設です。

 令和十二年度の完成を目指して、現在、工事用道路の整備や用地の取得などを進めておりますが、近年の全国での災害に鑑みると、気候変動による災害の激甚化への対応は緊急を要する事態です。

 そのため、調節池の効果を一日でも早く発現することが重要であり、調節池を数か所に区分して、まずは、全体五千百万立方メートルのうち約二割に当たる千二百万立方メートルの貯留効果を、令和八年度の出水期までに段階的に発揮させてまいります。

 それから、委員から御質問ございました、貴重なオープンスペースをどのように活用するか、特に、調節池、それから堤防の天端、高水敷、この利活用が考えられると思いますが、これにつきましては地元市とも話を始めており、地域住民が平時から利用し、地域の活性化につながるよう、引き続き検討してまいります。

中野(英)分科員 ありがとうございました。

 これからどのように活用していくのか、また、調節池を造るエリアというのは、逆に言いますと、災害の起こりやすい地域にもなりかねないという不安もありますので、是非、いろいろな意味で地域住民に対する御理解をいただき、また、不安の払拭をしていただけますようにお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、観光の地域振興についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルスの感染症の影響により、観光産業は甚大な影響を受けております。特に、日本を訪れる外国人旅行者は、二〇一九年には三千百八十八万人まで達しておりましたが、コロナ禍においてインバウンドの需要は蒸発をし、国内観光需要も大きく減少しております。

 私の地元、川越も、蔵造りの町並みや名刹喜多院、菓子屋横丁、歴史的建造物の時の鐘など、今はやりの町歩きを若い人から家族、グループまでがレンタルの着物に着替えて町歩きを楽しんでおりました。新型コロナ感染症の前は年間約七百三十万人訪れていた観光客も、コロナ禍の今では半減してしまい、年間三百五十万人となりました。人通りも少なく、行列を成していた店舗も閑古鳥が鳴いております。年間約七百三十万人来ていた頃の川越の観光地としての勢いを、今感じ取ることはできないのが現状であります。

 このように寂しくなった川越の姿を見るようになり、間もなく二年が経過しようとしております。コロナ後にも本当に観光客の皆さん方が訪れていただけるのかどうかは不安でなりません。年間の観光客が半減するということは、単純に一店舗当たりの売上げも半分になるということであります。観光は地域経済にとって非常に重大な産業でもあります。

 今は我慢のときかもしれませんが、今後は、コロナの感染が収まり、インバウンド需要、国内の観光需要、共に回復するときが必ずやってまいります。そのときに向けて、今から観光地の魅力をより向上させ、またより多くの観光客を受け入れる環境を整備する必要があると考えます。

 特に、観光地における滞在時間が重要な要素であると考えますし、川越にいらっしゃる観光客の滞在時間は、現在、平均で約四時間程度になっております。この滞在時間を六時間にできないか、川越の観光協会や商店街連合会の皆さん方と、買物、食べ歩き、お土産等、様々な視点から話合いを進めさせていただいております。滞在時間が一・五倍になれば、それ相応の消費が発生をして川越も潤うのではともくろんでいるところであります。

 このように、観光による地域振興をより一層効果的に進めるためには、観光地への滞在時間を増やすとともに、宿泊や近隣への周遊をしやすくするなど、旅行者の消費額が増大につながるような取組を促進する必要があると思いますが、その点のお考えがどのようにあるのか、お伺いさせていただきたいと思います。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 観光は、地域創生の切り札でございます。旅行者に近隣地域との周遊や訪問先での滞在時間の長期化を促し、消費額の増加につなげることは、地域活性化の観点から重要な課題だと認識をしております。

 そのためには、観光地を抱える自治体やDMOなどが中心となり、地域の観光関係者が一体となって、旅行者目線に立ち、観光コンテンツの魅力を向上させ、それを発信し、また旅行環境を整えていくことが重要だと考えております。

 観光庁といたしましては、全国各地でこうした取組が促進されるよう、例えば、地域への誘客、また広域周遊、観光消費の増大等を図る上で重要な役割を果たすDMOの事業に対する支援でありますとか、WiFi環境の改善、キャッシュレス化などを始めとした旅行環境の改善に関する支援など、幅広い取組を支援しているところでございます。

 委員御指摘の川越におきましては、観光庁といたしまして、例えば、夜間の人力車体験などを用意して宿泊を促すとか、それから、鉄道切符と一定のエリア内のバスの一日乗車券、これをセットにした企画乗車券がございますけれども、これと、市内の文化体験、これも観光客がにぎわっているところじゃなくて、少し離れたところで文化体験ができるようなもの、こういうものを組み合わせて周遊を促すなどのDMOの取組を支援しているところでございます。

 観光庁といたしましては、全国各地で旅行者の周遊や滞在の長期化を促し、観光を通じた地域活性化がより一層図られるよう取り組んでまいります。

中野(英)分科員 御答弁ありがとうございました。

 観光庁の事業というのはソフト事業が非常に多うございますけれども、川越なんかでも、にぎわっていないところを、史跡や名所というものをこれから整備していくためには、やはりどうしても駐車場ですとか、ソフトだけではなくて、そういった事業も含めて基盤整備が必要になってくるかと私自身は思っております。

 そういった意味では、今、コロナ禍でソフト事業がなかなかしづらい状況だからこそ、是非、そういった観光での基盤整備というものを、全国各地の基盤整備を進めさせていただくことをお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、入間川流域の緊急治水対策プロジェクトについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 入間川流域では、令和元年の東日本台風において、ときがわ雨量観測所の既往最大雨量を記録するなど、広い範囲で記録的な大雨となりました。入間川の支川では、国や県が管理をする越辺川や都幾川等の七か所で堤防が決壊をし、広域で浸水被害が発生をいたしました。

 このような中、翌年からすぐに、国、県、市町等が連携をし、社会経済被害の最小化を目指し、多重防御治水の推進と、減災に向けた更なる取組の推進を二つの柱として取り組む、入間川流域緊急治水対策プロジェクトをスタートさせていただきました。地元としましては、迅速に御対応いただいたことに大変に感謝をいたしております。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思っております。

 このプロジェクトの計画では、入間川本川の北側に位置する決壊した越辺川、都幾川の護岸改修及び河道掘削については十分に対策が取られておりますが、下流に位置する入間川の越辺川との合流点より直上流の区間は河道掘削がされておりません。入間川下流に位置する私の地元、川越市の住民からは、この区間も河道掘削しないと、上流であふれて、下流に位置する川越市まで氾濫した水が流れてきてしまうのではないのかという、不安視をする声を耳にいたしております。

 是非、入間川落合橋周辺から釘無橋周辺までの河道掘削も進めていただきたいと思いますが、現在の進行状況を含めお伺いをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

井上政府参考人 荒川水系入間川流域においては、令和元年東日本台風と同規模の洪水でも再度災害を防ぐことを目標に、令和二年一月、国、県と四市町が連携して、入間川流域緊急治水対策プロジェクトを策定し、令和六年度までに河道掘削、堤防整備、遊水地など約三百三十八億円の治水事業などに取り組んでいます。

 本プロジェクトにおいては、ハード対策として、決壊した堤防六か所の復旧を終えるとともに、更なる安全度向上のために、全体で約百四十万立方メートルの河道掘削を行うこととしております。

 その際、まず、委員御指摘がありました、越辺川と入間川の合流点より下流側の河道掘削を先行させ、合流点付近の水位を十分下げてから、次に合流点の上流の越辺川の方の掘削に取り組むこととしており、現時点で、入間川から合流点へ向かう本流の方の流れ、それを悪くならないようにするという方針で考えてきております。このような方針の下、一月末で、約三割に当たる約四十七万立方メートルの掘削を進めて、完了してきたところです。

 なお、委員御指摘の入間川合流点上流側の落合橋から釘無橋の区間においては、現時点では十分な河道を確保しており、本プロジェクトには河道掘削のメニューは入っておりません。ただ、流域治水というような考え方で、上流、下流、本川、支川、これをバランスよく、段階的に順次安全度を向上させていくというものでございまして、現時点では、樹木伐採や堆積土砂があればそれはきちっと撤去するなど、適切に維持管理してまいりますし、今後、その段階的な整備の中で、この区間の河道掘削については、その必要性、実施につきまして検討してまいります。

 今後も引き続き、国、県、市町と連携しながら、本プロジェクトを着実に推進してまいります。

中野(英)分科員 御答弁ありがとうございました。地域住民の不安もございますので、是非スピーディーな対応をしていただければありがたいと思いますし、決壊した地域だけが変わればいいということではありませんので、全体の川、河川全体の安心、安全というものを是非考慮をして進めていただければありがたいと思いますので、お願いをしたいと思います。

 次に、埼玉県西南部地域、核都市広域幹線道路についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 埼玉県においては、首都圏二十キロ圏に外環道が平成三十年度に開通をし、五十キロ圏には圏央道が平成二十七年にいち早く全線が開通をいたしました。これにより首都東京への通過車両の減少に寄与したものと考えております。

 しかしながら、首都東京から放射線状に千葉県、埼玉県、神奈川県を結ぶ環状線の需要はいまだ高く、首都圏二十五キロ圏に計画をされている核都市広域幹線道路の必要性は非常に高いものがあると考えております。地元、川越における道路交通の円滑化のみならず、埼玉県西南部地域の成長、発展に大きく貢献、寄与するものであり、その整備が急がれているところであります。

 この道路は、令和三年七月に策定をした関東ブロック新広域道路交通計画において、埼玉県内の関越自動車道から東埼玉道路までの区間が高規格道路として位置づけられました。沿線自治体では、いよいよこの道路の事業化が近いのではないのかと日に日に期待が高まっているところであります。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 この道路では、首都高大宮線与野ジャンクションから東北自動車道までを優先的に検討する区域としておりますが、現在の取組状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。

 また、この優先検討区域のルートは、都市近郊にありながら豊かな自然環境を残した見沼田んぼを横断するため、環境対策の面で協議、調整が難航することが懸念されます。そこで、この優先検討区域の西側への延伸となる与野ジャンクションから関越道までの区間についても同様に優先的に検討する区域としていただけないか、お伺いをさせていただきます。

村山政府参考人 お答えいたします。

 核都市広域幹線道路は、圏央道と東京外環道のおおむね中間に位置しまして、関越自動車道と東埼玉道路を東西に結ぶ道路として計画をされております。

 埼玉県の圏央道南側の地域では、国道十六号、国道四百六十三号などの東西を結ぶ道路で慢性的な渋滞が発生しております。

 このため、令和三年十二月に、国土交通省、埼玉県、さいたま市などで構成する埼玉県東西軸道路検討会が今後の検討方針について取りまとめを行っております。

 この中で、核都市広域幹線道路は延長三十キロに及ぶ計画となることから、調査を効率的に実施するために、交通状況等を勘案して、埼玉新都心から東北自動車道までの区間を優先検討区間に決めております。

 一方で、御指摘の関越自動車道から首都高速埼玉新都心線までの西側区間につきましても、慢性的な渋滞が発生しているものと認識をしてございます。交通課題の詳細な分析等の調査を進めることが必要でございます。

 国土交通省としましては、引き続き、関係自治体と連携しつつ、核都市広域幹線道路につきまして、西側の区間を含めまして全線にわたって、必要な調査を鋭意進めてまいる所存でございます。

中野(英)分科員 ありがとうございました。

 道路自体が、全体を進めていく中で、この計画が頓挫しないよう、是非、西側の与野ジャンクションから関越道につきましても同様の扱いをしていただきますように御検討いただいて進めていただければと思いますので、お願いしたいと思います。

 最後になりますけれども、床上、床下浸水における基金制度の創設についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私の地元、川越市寺尾地区とふじみ野市の行政境を流れる江川流域都市下水路は、日本の高度成長期であった昭和四十年代から五十年代にかけて整備をされた下水道施設であります。この都市下水路の下流部では、平成二十九年の台風二十一号の四十八時間で雨量が二百八十一ミリに達する大雨により、このときは内水被害が発生をいたしました。原因は、雨水がたまりやすい地形や、市街化の進展による流域の保水機能の低下など、様々なことが考えられますが、一番大きな原因は、雨の降り方が強くなったことではないかと思います。近年、気候変動が顕在化している中で、施設規模を超えるような雨はますます増加すると思われます。

 今回の江川流域都市下水路での被害件数は、両市で床上浸水が四百四件、床下浸水が二百五十三件、計約六百六十件で、国でいう大規模災害には値をしませんでした。このため、川越市、ふじみ野市両市は、被害宅に一軒七万円の見舞金を配付いたしました。到底この金額では、床上、床下浸水の被害に遭われた方々が、納得がいきませんでした。当時、川越市では、住宅ローンに対する利子補給、義援金、消毒等の対応をいたしましたが十分ではありませんでした。

 私がまだ埼玉県議会時代に床上、床下浸水の被害に遭われた方々のお宅を慰問して、床上浸水でつかった床面が通常に戻るまでどれだけ苦労したかというエピソードをお聞きしました。規模は一般的な木材の住宅を思い浮かべていただければよいのですが、床上浸水の被害に遭った次の日から、自宅にある普通のストーブを最大燃焼で一日じゅう燃焼させ続け、三か月後にはようやく通常の状態である木材の乾燥率三%に落ち着いたそうです。床上浸水の被害に遭われた御家庭の皆さんは、ほとんど、まだ秋なのに日中からストーブをフルで燃焼させて、一生懸命床を乾燥させていたそうです。

 ちなみに、燃料として使用する灯油代ですが、現在の灯油価格で換算しますと、石油情報センターから、直近の埼玉県における灯油価格を引用させていただきますが、一斗缶十八リットルで現在約千七百六十五円となっております。この金額に三か月間の九十日を掛けますと約十五万九千円。灯油が仮にこの半分で済んだとしても、約八万円弱もかかるわけであります。このストーブを燃焼させるために使用した灯油代は、全て被害に遭われた方々が自費で支払ったという涙ぐましいお話もお伺いしました。

 今の制度では、国は、大規模な災害に対する施策はありますが、このような比較的高い確率で起き得る床上、床下浸水の被害の方に対する施策はありません。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 住家の被害に応じて見舞金的に支給される被災者生活再建支援金があります。しかしながら、この支援金では、先ほどから申し上げている床上、床下浸水世帯のような軽微な被害の世帯は支給の対象とはなっておりません。そこで、床上、床下浸水のような軽微な被害でも対象となるよう制度を拡充する必要があると思いますが、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

内田政府参考人 お答えいたします。

 災害による支援は、住民に身近な市町村による対応を原則としております。

 他方、一定規模以上の災害の場合には、市町村のみでの対応が困難と考えられることから、被災者生活再建支援法により、一定程度以上の住家被害を受けた方に対しまして、全都道府県の相互扶助及び国の財政支援による支援金の支給を行っているところでございまして、この支援金の支給対象につきましては、令和二年の臨時国会における法改正で、損害割合が三〇%台の中規模半壊世帯に拡充をしたところでございます。

 床上、床下浸水の世帯でありまして、中規模半壊に至らない世帯、ここへの制度の拡充につきましては、住宅が個人財産であることや、国や都道府県の財政負担等の課題もあることから、慎重に検討すべきものと考えております。

 一方で、半壊、準半壊世帯については、災害救助法による応急修理を行うことができます。また、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資や、地方公共団体において条例等で独自の支援制度を設ける等の公的支援も行われているところでございます。

 もっとも、これらの公的支援には限界があるため、災害保険等に加入するなどの事前の備えの取組が重要でございまして、これまでも、関係省庁及び全国知事会とも連携をして、保険の加入促進に取り組んできております。

 内閣府といたしましては、被災した方への支援について、自治体とも連携をし、住宅の再建等が進むよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

中野(英)分科員 ありがとうございました。

 実は、言いたいことは、制度に穴があるということなんですよ。ですから、この制度の穴を埋めていってこそ、やはり政治としての役割が果たせるんだというふうに私は思っています。

 是非このことについてもこれからも一生懸命にと私も働きかけてまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

今村主査代理 これにて中野英幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、川崎ひでと君。

川崎分科員 自由民主党の川崎ひでとです。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 国交省の皆様には、日々インフラ整備等に全力で取り組んでいただいていますことに、まずもって感謝申し上げます。

 私は、さきの衆議院総選挙において三重二区から出馬させていただき、初当選させていただきました。地元からは、国交省の所管分野に対して、たくさんの要望や、それに勝る期待をいただいておりますので、今日は最後まで、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、三つのテーマについて質問をさせていただこうと思います。

 一つ目は、中部国際空港の滑走路複線化についてです。

 ちなみに、実は今日ちょうど、この二月十七日、十七年前に、二〇〇五年に中部国際空港が開港いたしました。決して狙ったわけではないんですけれども、今日たまたま、こうして、くしくもこの日にこの質問をさせていただくこと、大変うれしく思っております。

 まず初めに、地方から東京への人口流出に歯止めをかけるためには、地方創生を加速させて東京一極集中を是正しなければならないと考えますが、まずこの点について、斉藤国交大臣の所感を改めてお聞かせいただければと思います。

    〔今村主査代理退席、主査着席〕

斉藤国務大臣 東京一極集中は、地方における若者、特に女性の流出による地域社会の衰退の要因となっておりますというふうに考えております。このことに加え、首都直下地震等が切迫する中で、被害拡大のリスクを高めるなど多くの問題があり、その是正は重要と認識しております。

 このため、例えば、デジタル技術等も活用して、利便性が高く安心して暮らし続けることができる地方の形成、それから、テレワークの拡大や二地域居住等による新しい働き方や暮らし方の推進、そして交通ネットワークの充実など、地方創生を進めていく必要があると考えております。

 国土交通省としては、現在、国土審議会において、デジタルを前提とした新たな国土形成計画の策定の検討を行っているところであり、関係府省と連携し、東京一極集中の是正に向けた国土づくりについて議論を進めていきたいと考えております。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 私も今、自民党のデジタル社会推進本部のメンバーとして、デジタル化に向けて精いっぱい政策を作成しております。そうした意味においては、デジタルを私自身も精いっぱい進めてまいろうと思います。

 なぜこの質問をしたかというと、私自身も、人口減少あるいは少子化対策のためにも東京一極集中は早く是正しなければならない、こうした強い危機感を覚えております。まずはこの点において斉藤国交大臣と意識の共有をさせていただこうと思いまして、この質問をさせていただきました。

 では、次の質問に入ります。

 この東京一極集中を是正する一環として、中部圏の利便性の向上や発展は不可欠だと考えております。そのために、国交省様より日頃から様々な対策を投じていただいております。

 例えば、我が三重県におきますと、四日市港湾を拡充することにより、国内外に対する自動車などの産業品の輸出能力の強化、あるいは、新名神高速道路や東海環状道路、北勢バイパス、中勢バイパスといった産業道路拡充、新規開通による物流能力の向上などが該当すると思っています。

 しかしながら、その中で、中部国際空港に関しては、滑走路は一本しかない状態で、海外に対しても、日本の中部圏の玄関と呼ぶには余りにも脆弱だと思っております。

 また、この空港は、二十四時間運用空港として運用しておりますが、一本しかない滑走路でございますので、メンテナンスをしようと思うと、そのメンテナンスの間は離発着を全て止めなければなりません。なので、こういう意味からすると、二十四時間空港とは呼べないというのが現状でございます。

 これらの点を踏まえて、この滑走路の複線化を急ぐべきだと考えますが、国交省のお考えをお聞かせください。

久保田政府参考人 お答えいたします。

 中部国際空港は、我が国の物づくりの中心地であります中部地域にとりまして大変重要な役割を果たしているところでございまして、国際拠点空港としての機能強化は重要であると考えてございます。

 こうした中で、現在は滑走路が一本であることから、委員御指摘のように、週四日程度、深夜時間帯におきましてメンテナンスのために閉鎖をされておるということでございます。国土交通省といたしましては、将来の完全二十四時間化という課題を見据え、空港機能の充実を始めとする空港の活性化の取組を推進することとしておるところでございます。

 中部国際空港の滑走路の整備につきましては、御地元におきまして昨年十二月に、中部国際空港の将来構想として取りまとめられたと承知をしてございます。

 今後、滑走路の整備主体でございます中部国際空港株式会社におきまして、具体的な整備計画の策定に向けて、需要の十分な検証や費用対効果分析の徹底などを行うとともに、パブリックインボルブメントの手続等を通じまして、住民や空港利用者等の理解が促進され、円滑な合意形成が図られること、これがとても重要であると考えてございます。

 国土交通省といたしましても、地元の考えや進捗状況ということをよくお伺いしながら、必要な対策を対応してまいりたいと考えてございます。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 滑走路を複線化しなければならないというお考えの下、しっかり計画を立てていただきたいと思います。

 また、先ほど御答弁いただきましたとおり、やはりこの事業は地元の方の理解というのも大変重要であると考えます。是非、丁寧なコミュニケーションを取りながら、しかし一方で、新型コロナウイルス後も中部圏がしっかりと発達するためには急いでやる必要があると考えますので、是非その点も御留意いただきながら計画の方を進めていただければ幸いでございます。

 では、二つ目のテーマに参ります。二つ目は、リニア中央新幹線の開通時期についてです。

 まず一つ目に、静岡県とJR東海との協議状況についてお伺いをいたします。

 リニア中央新幹線の早期開通は、地方創生を図る上では必要不可欠な存在だと考えております。我が三重県においても、亀山市の住民は、リニアの駅ができる、これをきっかけに、じゃあ人々に選んでもらう亀山市、これを目指して日々様々な計画を立てて、そして一生懸命取り組んでいるのが現状でございます。

 しかしながら、誰もが御存じのとおり、静岡県の環境影響、これを理由に計画が大幅に遅れてしまっております。JR東海は、二〇二七年の開業は残念ながら難しいという認識である、こう表明されました。これにより、リニアをフックに地方創生を図りたい地方としては、いつ開通するか分からないものに対して、投資やあるいはモチベーション、こうしたものが維持できなくなってきております。不安になっております。

 そこで、国交省にお伺いいたします。

 現状の静岡県やJR東海との協議の進捗状況について教えていただけますでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 リニア中央新幹線静岡工区につきましては、国土交通省の有識者会議におきまして、大井川の水資源への影響につきまして科学的、工学的な観点から議論がなされました。昨年十二月十九日に中間報告が取りまとめられたところでございます。

 この中間報告におきましては、工事期間中のうち、約十か月におきまして、想定されておりますトンネルの湧水量が静岡県外に流出した場合におきましても、それ以上の量の、静岡県内の山体内に貯留されております量も含めた地下水が、トンネル湧水として導水路トンネル等を通じて大井川に戻されるため、中下流域の河川流量は維持されるという解析結果が示されております。中下流域の地下水量への影響は、河川流量の季節変動や年ごとの変動による影響に比べて極めて小さいと推測されるとの専門的な判断が示されました。

 また、解析結果には不確実性が伴うことも指摘されるとともに、JR東海は二〇一八年十月に、原則としてトンネル湧水の全量を大井川に戻すことを表明したことを踏まえまして、先ほど申し上げました県外流出分を大井川に戻すための具体的な方策などを関係者と協議すべきとされております。

 この中間報告を受けまして、昨年十二月二十一日、斉藤国土交通大臣がJR東海社長に対しまして、大井川の水利用をめぐる歴史的な経緯や地域の方々のこれまでの取組を踏まえて、地域の不安や懸念が払拭されるように真摯な対応を継続することを求めました。

 国土交通省としましては、JR東海に対し、この中間報告も踏まえ、静岡県や地域住民の方々と向き合い、地域の御理解と御協力が得られるように、引き続き指導してまいります。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 専門家の御意見等も取りまとめていただいたということですが、これによると、影響は少ない、こういうふうにも理解をさせていただきました。

 一方で、静岡県においては、やはり県民の方のお気持ち、こうしたものも察しながら、それでもやはりこの事業は進めていかなければならないと思っております。

 もちろん、JR東海ですので、民間の事業であるということは私自身も重々理解しておりますが、一方で、二〇一九年においては、このリニアの開通については骨太の方針に入ったように記憶をしております。つまりは国策であるという考えでございますので、是非、国といたしましても、JR東海に対して精いっぱい御助言、バックアップをしていただいて、この事業を早期に進めていただきたいと思います。

 一方で、二つ目の御質問になるんですけれども、二つ目は、計画変更の余地についてお伺いをしたいと思います。

 冒頭でも、斉藤大臣の御答弁に対して私も考えを述べさせていただいたとおり、少子化等の社会課題を解決するためには、東京一極集中を是正し、地方創生を急ぐ必要があると考えております。また、その上で、このリニア中央新幹線というものは地方創生には欠かせない、不可欠な要素であるというふうにも考えております。

 一方で、静岡県の環境課題が解決しなければ先に進めないとなると、開通が遅れてしまい、これはつまり社会課題の解決にブレーキがかかってしまう、こうした可能性があると考えております。

 例えば、名古屋―大阪間の開通を先に進める、こうしたような大胆な計画変更を行うことができないのかということを国交省にお伺いしたいと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 リニア中央新幹線の整備につきましては、平成二十三年五月の交通政策審議会答申の附帯意見におきまして、「名古屋暫定開業は、」「一定の中央新幹線の整備効果を発揮するとともに、大阪までの開業の実現可能性を大幅に高めるものであり、まずは東京・名古屋間の整備を着実に進めることが重要である。」とされております。

 このため、まずは東京―名古屋間についてしっかりと事業を進めることが重要であり、JR東海におきましても全力で取り組んでいるところでございます。

 他方、名古屋―大阪間の早期整備についても大変重要であると考えておりまして、国においては、現下の低金利状況を生かして、財政投融資を活用することで、大阪までの全線開業について、最大八年間の前倒しを図っているところでございます。

 さらに、現在、環境アセスに向けまして、名古屋―大阪間の駅位置等に関する調整が進められておりますが、国土交通省といたしましては、東京―大阪間の早期開通に向けまして、必要な技術的助言や協力等を行ってまいりたいと考えております。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 先ほど申し上げたとおり、我が三重県亀山市においても、リニアの駅ができる、これをきっかけに、しっかり亀山市を盛り上げて、人々から亀山市を選んでもらおう、こうした地元の活動の努力というのはすばらしいものでございます。

 一方で、なかなか先行きが見えない、この不安によってどんどんどんどんモチベーションが下がってきていることも事実でございますので、是非、国交省、そしてJR東海としては、細かな進捗状況を国民の皆様に御説明いただくとともに、これから先もしっかりやっていくんだよと、この意気込みを是非是非PRいただければと思います。

 このリニア中央新幹線においては、本当に人々の夢であり、そして希望であると考えておりますので、是非これに向けて全力で取り組んでいただきますようお願いをしたいと思います。

 それでは、三つ目のテーマに移らせていただきます。三つ目のテーマは、災害対策についてです。

 まず一つ目は、鈴鹿市の海岸堤防の整備についてでございます。

 三重県は、御存じのとおり、伊勢湾に面しております。かつて、一九五九年には伊勢湾台風により、台風災害としては明治以降最多の死者そして行方不明者数、計五千九十八名に及ぶ被害が生じました。このつらい経験を糧に、その後の高潮対策、これが大きく進展し、それだけにとどまらず、災害対策基本法、この制定の契機となるなど、我が国の防災対策の原点となった、こういうふうに理解をしております。

 現在、三重県においては、津市そして四日市市というところの海岸は、国の管轄として、非常に頼もしい堤防を建築いただいております。しかし、この津市と四日市に挟まれる鈴鹿市、ここにおいては、この海岸が県の管轄になっております。そして、伊勢湾台風以来、堤防が改修されていない、こうした状況でございます。

 この数年、国土強靱化、この旗の下、国としても、災害に強い地域に向けて取組が行われておりますが、そもそも、我が三重県を始めとする地方というのは財政面的にはかなり苦労していて、堤防あるいは離岸堤のような大型のものはなかなか早期改修ができていないのが現状です。

 県財政を向上させるためには、企業を誘致しなければならないと思います。しかし、企業から言わせると、災害に弱い地域には企業は進出できないよ、こういう状況でございますので、言ってみれば、卵が先かあるいは鶏が先か、こうした状況になっております。

 昨今では、南海トラフ巨大地震の到来も予期されており、海沿いに住む住民の皆様は、恐怖の下、生活をしていると言っても過言ではないと思っています。

 こうした状況も踏まえて、もちろん、鈴鹿市は、先ほど申し上げたとおり、その海岸は県と市の管轄である、こういうことは私自身も重々理解しながらも、災害に強い日本を形成するために国からの力強いバックアップが必要だと考えております。この点について、国交省の見解を教えてください。

浅輪政府参考人 海岸関係省庁であります農林水産省、国土交通省を代表しまして、国土交通省港湾局からお答え申し上げさせていただきます。

 伊勢湾の海岸保全施設につきましては、先生御指摘のとおり、昭和三十四年の伊勢湾台風を契機に整備が行われたものが多く、老朽化が進行している状況でございます。このため、南海トラフ地震による津波や高潮、波浪等による背後地域への浸水被害を軽減するため、海岸保全施設の整備や老朽化対策は喫緊の課題であると認識しております。

 御指摘のあった鈴鹿市の海岸保全施設でございますが、海岸管理者であります三重県や鈴鹿市が実施する津波、高潮対策や老朽化対策等に対しまして、国土交通省が防災・安全交付金で、また農林水産省が農山漁村地域整備交付金で御支援申し上げているところでございます。

 これらの事業に対しましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を活用するとともに、老朽化対策を集中的、計画的に実施するための事業制度の活用も視野に入れつつ、海岸管理者とよく相談しながら、国としてもしっかり支援してまいります。

川崎分科員 ありがとうございます。今の国交省からの力強いお言葉も、本当に感謝申し上げます。

 何となく、新型コロナというものがマスコミ上で取り沙汰されておりますので、そのせいで、災害、これに対する報道というのがなかなかなされずに、ちょっと影を潜めがちな、そんな印象を受けます。

 ただ、災害というのは本当にいつ起こるか分からない、こうした状況でございます。特に、南海トラフ巨大地震というものは、そろそろ来るかもしれない、そろそろ来るかもしれないと、こういうふうにメディアでも取り上げられておりますので、それが大々的に報じられるたびに、海沿いに住む皆様は大変な恐怖に襲われているのが事実でございます。

 住民の皆様は、避難訓練対策、計画、そして実際の訓練、こうしたソフト面を一生懸命やられておりますが、やはりハード面がしっかりしないと、人々の安心というものはなかなか生まれません。正直、ハード面については、今現在、離岸堤を造っていただいておりますが、大変コストがかかり、そして年数もかかるものでございますので、とてもとても県財政のみでは早期完成は難しい、こうした状況であると考えます。是非引き続き、強い日本を築くためにも、御支援をいただきますようにお願いを申し上げます。

 では、続きまして、鈴鹿川の河川の改修についてお伺いいたします。

 三重県の一級河川の一つ、鈴鹿川については、これまで実は大きな災害がございませんでした。そのため、災害対策についてはほかの河川が優先され、なかなか着手されてこなかったというふうに認識をしております。

 近年、ようやく改修計画が出てまいりまして、河口部から徐々に掘削、そしてしゅんせつの作業を進めていただいております。この点については本当に感謝申し上げたいと思います。

 一方で、河川の改修というのは、どうしても河口部から、下流の方からやっていかなければなりませんので、実際に川全体を改修するためには相当な年数がかかってしまいます。これは住民の方々も重々知っていることですので、川の中流部に住む方々は、いつ自分たちの元が改修されるのかと、こうした不安を抱いており、その不安は日に日に増しているようにも感じます。

 この中流部に対する治水対策について、改めてどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。もし今後の計画等もあれば、併せて教えていただけますと幸いでございます。

井上政府参考人 鈴鹿川では、これまで下流より河道掘削等を実施し、下流の四日市市を中心に安全度の向上を図ってまいりました。下流部の河道掘削等の整備が一定程度進んできたため、現在、中流部の安全度向上に取り組むこととしています。

 具体的には、中流部に設置されている頭首工が、洪水時には治水上の支障となっておりますので、その頭首工を可動堰、つまり、今までは動かない固定的なものを、動いて洪水時にスムーズに流れるように改築する、それを検討しているところであり、現在、関係者との調整や施設設計のための調査を実施しています。

 一方で、この頭首工、可動化するのには時間を要することなので、これまでに三か年の緊急対策の予算を活用して、中流部においても堆積した土砂の撤去や樹木伐採は実施してまいりました。

 ただ、これだけでもまだ十分な安全度を得られていないのは委員御指摘のとおりでございますので、更にこの中流部の安全度を早期に向上させるため、中流部よりも更に上流域にあるため池等の施設で事前放流を実施するなど、あるいは既存施設の有効活用を流域の関係者において御協力していただく、そういうふうな体制を検討しているところであり、関係者が一体となって治水対策を推進してまいります。

川崎分科員 御回答ありがとうございます。

 今御説明いただいたとおり、頭首工については、固定堰から可変の頭首工に変更する、そうした計画があるというお話を今いただきました。

 地元の方々も、この頭首工、実は鈴鹿川には二つございまして、両方とも、たしか記憶する限りでは昭和三十年代にできたものだと認識をしております。非常に年数がたっており、老朽化は激しいというふうな認識でございます。

 ただ、頭首工、これは固定堰を可変の頭首工に変更するとなると、やはりこれ自身も相当な年数がかかってしまうのではないか、こうした不安もございます。もちろん、こうすればこの中流部は治水対策が安全、完璧だよと、こういった形で市民に御説明いただけるのは大変ありがたいことでございます。一方で、時間がかかってしまう部分を、暫定的にこうした対処を継続してやります、こうした御意思を示していただくことは、かなり住民にとって安心な気持ちになる重要な要素であると考えますので、是非是非これからも住民の皆様に対して、そういった御説明をいただければと思います。

 先ほども申し上げましたが、河川のそばに住まわれている方々も、やはり避難訓練、そして住民の意識の向上、こうしたものに精いっぱい努めていただいております。水害への対策は、河川にしても海岸にしても、このような地域の皆様のいわゆるソフト面の対策、これをしながらも、一方で、堤防整備ですとか頭首工の改築などハード面、こちらを両輪でやはり進めていかなければならないと考えております。

 引き続き、ハード対策、事前防災のための治水予算の確保の重要性、これは私も今後もずっと訴え続けてまいりたいと思います。是非是非、災害に強い日本をつくるためにも、共に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上をもちまして、私からの本日の質問項目は終了いたしました。国交省様には本当に日頃から、地元のため、そして国のために、郷土づくりのために頑張っていただいていること、改めて感謝申し上げたいと思います。これからも引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

稲津主査 これにて川崎ひでと君の質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口善徳でございます。

 今日は、御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず最初に、昨年七月一日からの大雨で、七月三日、静岡県熱海市において盛土が崩壊し土石流が発生、お亡くなりになった方が二十六名、いまだ行方不明の方が一名、多くの住家被害など、甚大な人的、物的被害となりました。あれから七か月が経過いたしました。改めて、犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 土石流災害からの復旧に当たっては、緊急的な砂防工事を迅速かつ効率的に進め、被災地の復旧復興を加速するため、国交省の中部整備局において直轄砂防災害関連緊急事業を令和四年度末完成を目標に実施していただいております。

 この件については、七月十三日、赤羽国交大臣にいろいろ支援の緊急要請をさせていただき、そして、盛土の総点検あるいは規制の見直しの要望もさせていただきました。

 昨年十一月八日には斉藤国交大臣にも現場を視察していただき、そしてまた、盛土に関する法規制強化について、国交省として積極的に対応していきたい、こう述べていただきました。

 政府も本当にこの問題について対応していただきまして、八月の十日には盛土による災害防止のための関係府省庁連絡会議が開催され、翌日には、関係省庁局長等の連名で、各都道府県知事に対し、全国の盛土の総点検、これを要請し、昨年十二月十日には総点検の状況の暫定取りまとめが公表されました。

 また、内閣府は、関係府省庁連絡会議と並行して、昨年九月三十日、盛土による災害防止に関する検討会を設置し、この検討会が十二月二十四日に取りまとめの提言を出されまして、そこで、盛土の総点検等で確認された災害危険性の高い盛土に対する具体的な対応策、危険な盛土等の発生を防止するための仕組み、すなわち、新たな法制度の創設、法施行体制・能力の強化、建設工事から発生する土の搬出先の明確化などが盛り込まれたわけでございます。

 この総点検の結果や検討会の提言も踏まえまして、例えば令和三年度の補正予算、そして令和四年度の予算案に地方公共団体への支援が盛り込まれたわけでございます。

 我が党も、国民の生命、身体、暮らしを守るため、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する新たな法整備を強く要望してきたところでございます。

 ここで、国交大臣に三点お伺いします。

 国会に提出が予定されていますいわゆる盛土規制法案、宅地造成及び特定盛土等規制法案につきまして、盛土等に伴う災害の防止に関する国による基本方針の策定、それから、土地の利用区分にかかわらず隙間のない規制、盛土等の安全性の確保、責任の所在の明確化と危険の確実な除去、実効性のある厳格な罰則が規定されています。この法案の意義についてであります。

 また、二点目に、この法案を実効性あるものにするためには、違反行為に対する施工停止命令、改善命令等の実施や厳格な罰則の適用、平素からの監視や違反行為の早期発見、関係機関との情報共有や行為者等への迅速な行政処分等の法施行体制・能力の強化、これが重要と考えます。この点について。

 そして、三点目に、建設工事から発生する土の搬出先の明確化であります。全ての公共事業発注者に指定利用等の原則実施を要請すること、そして、公共、民間工事での建設発生土の再生資源利用促進計画の強化、徹底をすることでございます。それとともに、受注者が建設発生土の適切な処理を行えるよう、発注者が工事の発注段階で建設発生土の運搬、処理費を適切に計上すること、予期せぬ費用増が生じた場合には受注者と適切に協議すること、これが重要と考えます。

 以上三点について、大臣にお伺いします。

斉藤国務大臣 まず、昨年七月の熱海市での土石流災害の際、そして、その後、地元の議員である大口委員におきましては、御指導いただきまして大変ありがとうございます。そのおかげをもちまして、危険な盛土を包括的に規制する法制度を構築しようというところまで参りました。

 今、新しい法制度について三点御質問がありました。

 まず、一点目の法案の意義でございますけれども、新たに造成される盛土等について、土地の用途にかかわらず許可に係らしめ、全国一律の基準により安全確保を図る。また、既存の盛土等についても、災害防止のため必要なときは土地所有者や行為者等に対し是正措置を命令することを可能とする。また、無許可行為や命令違反等について、厳格な罰則を適用することで規制の実効性を確保する。これがまず意義でございます。

 二点目の、法制度を実効あらしめる施策でございますが、自治体の執行体制を確立するとともに、廃棄物担当部局や警察など、関係部局との連携強化が不可欠で、この点を強化いたします。具体的には、自治体が円滑に法制度を執行できるよう国でガイドラインを整備する、それから、地方整備局から職員を派遣し、自治体の関係部局間の連携を促す、こういう形で自治体を支援し、実効あらしめるものにしていきたいと思っております。

 そして、三点目の、建設工事から発生する土の搬出先の明確化でございますけれども、具体的には、搬出先での盛土等の行為について、法制度に基づく許可を事前に確認するなど、元請業者において搬出先が適正であることを確認する仕組みをつくります。また、公共工事における指定利用等の取組を徹底していきたいと思っております。このほか、建設発生土の適正な処理を担保するため、発注者に対して、委員御指摘のございました、契約締結時に適切な費用負担をすべきことや、追加負担等について受注者と適切に協議すべきこと等について要請できる仕組みにしております。

 国土交通省として、二度と熱海市と同様の悲劇を繰り返さないよう、今国会における法案提出へ向けてしっかりと取り組んでまいります。

大口分科員 これは、熱海市だけじゃなくて全国、本当に知事さん始め要望がございます。しっかり、この国会で法律が成立され、そして機能するように、国交大臣のリーダーシップを期待しております。

 次に、国道一号長沼交差点付近の道路機能強化についてお伺いします。

 国道一号長沼交差点の渋滞損失時間は、対策が未計画の箇所で静岡県内ワーストワンでございます。県内の国道一号の平均の約六倍の渋滞損失時間が発生しており、交通事故が多発しています。

 また、国道一号長沼交差点の南にはJR東海道線、東海道新幹線をまたぐ長沼大橋が接続していますが、供用から既に五十五年が経過し、老朽化問題に加え、橋脚は熊本地震で落橋した府領第一橋と同じロッキング橋脚で、単独で自立せず、大規模地震で落橋する可能性があります。

 昨年二月の当分科会でも、私も、赤羽前大臣に対して、国道一号長沼交差点付近の道路機能強化は、広域道路ネットワーク、防災・減災、国土強靱化、災害時のリダンダンシーの観点から、東名、新東名、国道一号、国道一号バイパス、国道百五十号などを南北で結ぶ地域高規格道路、静岡南北道路の計画の中で、長沼交差点の渋滞対策、長沼大橋の老朽化対策を国が主体的に検討するよう求めました。

 そして、前大臣からは、夏を目途に立体化の方針を示す、こういう答弁をいただき、五月二十一日にも、期成同盟の田辺静岡市長・会長や、上川法務大臣当時、それと期成同盟の顧問をやっております私が赤羽大臣に要望させていただき、そして七月十六日、第三回の静岡県道路交通渋滞対策推進協議会長沼ワーキンググループにて、静岡鉄道踏切と長沼交差点をまたぐ立体化事業と長沼大橋架け替え事業の一体的な実施の方向性が示されたわけでございます。

 これは静岡市民にとって悲願の道路整備でございまして、計画段階評価のプロセスに入る時期が来ている、こういうふうに考えております。再度、国交大臣に今後の見通しについてお伺いします。

斉藤国務大臣 静岡市内の幹線道路ネットワークとしましては、新東名高速、国道一号静清バイパス、それから東名高速等が東西軸として整備され、これらを相互に連絡する静岡南北道路が南北軸として計画されております。

 この静岡南北道路が国道一号現道と交差する長沼交差点において慢性的な渋滞が発生し、地域の生活や経済活動に支障が生じています。

 また、平成二十九年の台風二十一号により東名高速と国道一号が通行止めとなりましたが、新東名高速への迂回交通が清水連絡路に集中し、災害時の代替性確保の観点でも、南北軸の道路ネットワークを強化すべきとの課題が顕在化したところでございます。

 これらの問題を解決するため、昨年七月、国土交通省、静岡県及び静岡市で構成するワーキンググループにおいて、国道一号長沼交差点の機能強化案として、静岡鉄道踏切と長沼交差点をまたぐ主要地方道山脇大谷線の立体化事業と、JRをまたぐ長沼大橋の架け替え事業の一体的な実施を決定したところでございます。

 国土交通省としましては、引き続き、関係自治体と連携しつつ、来年度からの計画段階評価の着手に向け、この対策案の詳細な検討を鋭意進めていきたいと思っております。

大口分科員 明確に来年度からの着手ということを明言していただき、ありがとうございます。

 大臣、これで御退出をしていただければと思います。

稲津主査 それでは、斉藤大臣におかれましては離席していただいて結構でございます。

大口分科員 次に、国道一号静清バイパスの清水立体についてお伺いします。

 国道一号静清バイパスは、県都静岡市の東西交通の大動脈であり、国道一号の渋滞緩和や国際拠点港湾清水港へのアクセス向上を目的とした道路であります。東名、新東名、中部横断自動車道と高速道路ネットワークを結び、地域経済の活性化や災害時の救援活動など、様々なストック効果を生み出すものであります。

 清水立体は、静岡市清水区横砂東町から八坂西町の二・四キロメートルを高架構造に変更する事業で、静清バイパスで唯一立体化が完成していない区間でございます。信号交差点が七か所連続し、一日七万台前後の車両が通過することから激しい渋滞が発生し、この区間の交通事故の死傷件数も立体化区間より多く発生しております。

 昨年の当分科会で、私は、限られた予算で一日も早い整備効果を出すためには上り線から先に供用してはどうかと提案させていただきました。この上り線を先に供用することと、今後の供用開始の見通しについて、道路局長にお伺いします。

    〔主査退席、今村主査代理着席〕

村山政府参考人 お答えいたします。

 国道一号静清バイパスは、東西の交通の大動脈として、約七万台の交通を担う重要な幹線道路であります。

 このうち、清水立体区間につきましては静清バイパスの中で唯一立体化が完了しておりません。このため、前後の区間と比べて速度低下が著しく、国際拠点港湾である清水港へのアクセスに支障が生じており、早期の立体化が望まれているところであります。

 現在、現道の切り回しを行いながら工事を進めており、今年度は、本線の全ての橋梁下部工に着手するとともに、八坂地区において橋梁上部工にも着手したところでございます。

 今後は、委員御指摘のとおり、早期に整備効果を発現させるため、まずは東京行きの上り線工事を優先的に進めております。この上り線の開通時期につきましては、工程を現在精査して検討中でございます。

 引き続き、地域の皆様の御協力を得ながら、一日も早い完成を目指して、しっかりと整備を進めてまいります。

大口分科員 優先的に進めるということでございますので、しっかりお願いをしたいと思います。

 次に、国道一号浜松バイパスについてお伺いします。

 平成三十年の二月に、当分科会で当時石井大臣に質問させていただきました。

 磐田バイパスから浜名バイパスを結ぶ延長十八・三キロで、一日当たりの交通量が約四万台ということで、静岡県西部地域の大動脈であります。石井大臣が、これについては、国、静岡県、浜松市等の関係機関から成る国道一号浜松バイパス連絡調整会議、これを設置していただいたところでございます。そして、三十一年の三月に、第三回の連絡調整会議で、現状で課題が顕在化している長鶴交差点から中田島砂丘入口交差点間の延長六キロを優先整備区間と設定し、整備を進めることになったわけでございます。

 そして、昨年の二月二十四日、中部整備局は中部小委員会で計画段階評価に着手、また、四月の二十七日には防災・減災、国土強靱化に向けた道路の五か年対策プログラムで計画段階評価推進区間に位置づけられ、六月の中部小委員会で立体化プラス平面六車線化を対応方針とすることが示されたわけであります。

 一昨日、期成同盟の鈴木康友浜松市長・期成同盟会長、そして私、塩谷、城内両代議士、また公明党の浜松市議団とともに斉藤大臣に直接面談し、そして、市長から二月十日に都市計画変更が完了しましたとの報告とともに、令和四年度の新規事業化の要望を行いました。

 これについて道路局長より答弁をいただきます。

村山政府参考人 お答えします。

 国道一号浜松バイパスは、広域的な物流交通を支えるとともに、市街地の地域交通を担う重要な幹線道路であります。

 このうち、長鶴交差点から中田島砂丘入口交差点間につきましては、主要渋滞箇所となっております四か所で朝夕を中心とした渋滞が発生しております。特に課題が大きい区間と認識してございます。

 このため、整備を優先的に進める区間につきまして計画段階評価を進め、昨年六月に立体化と平面六車化を組み合わせた対応方針を決定してございます。また、委員御指摘のとおり、本年二月十日に浜松市が都市計画決定をしております。

 当該区間につきましては、立体化等の必要性を十分認識しているところでございます。令和四年度の事業化に向けまして、しっかりと検討をしてまいります。

大口分科員 次に、直轄国道百三十九号の渋滞対策と一般広域道路富士富士宮道路についてお伺いします。

 直轄国道百三十九号の一部を構成する西富士道路の交通量が、平成二十四年四月の無料化と新東名の開通に加え、翌平成二十五年六月の富士山世界文化遺産登録も相まって、一日当たりの交通量は無料化前の二倍以上、約五万台弱に増加し、また、特に大型車の増加が著しく、令和元年の調査では一日当たり九千六百六十台と、これは無料化前の十三倍の交通量になります。

 交通量の増加によって、富士宮市では国道百三十九号小泉若宮交差点など主要信号交差点で、また、富士市内でも国道百三十九号ほか主要幹線道路で朝夕の通勤時間帯を中心に渋滞が発生。週末、観光シーズンには更に激しい渋滞が発生し、交通事故が多発するなど、市民生活や経済活動に大きな影響が出ております。

 令和三年三月、国土交通省の中部地方整備局で、新広域道路計画中部ブロック版、その中で、重要港湾田子の浦港から富士山南麓を結ぶ富士富士宮道路を広域道路ネットワーク路線の一般広域道路に設定していただいたわけであります。

 この一般広域道路富士富士宮道路は、両市にまたがる国道百三十九号の慢性的な渋滞を解消し、東名、新東名、国道一号、国道四百六十九号などの東西主要幹線道路へのアクセスを向上させ、物流の効率化、観光交流の活性化など、富士市、富士宮市から成る岳南都市圏の発展や交流促進に大きく貢献する道路であります。さらに、懸念される富士山噴火や切迫する巨大地震の災害時には、避難路、緊急輸送路として市民の命を守る命の道にもなります。

 本年一月二十九日、一般広域道路富士富士宮道路建設促進期成同盟会が発足、富士宮の須藤市長が会長に就任され、私を含む地元の国会議員も顧問に就任したところでございます。

 直轄事業としての整備の促進に向け、速やかに調査や所要の手続を進めるべきと考えますが、道路局長の御所見をお伺いします。

村山政府参考人 お答えいたします。

 国道百三十九号は、静岡県富士市から富士宮市を経由し山梨県に至る、静岡県東部地域を南北に連絡する道路であります。

 この国道百三十九号は、東名、新東名、国道一号を連絡するなど、広域道路ネットワークを構成するとともに、富士市と富士宮市から成る生活圏の社会経済活動を支える重要な道路と認識してございます。

 一方で、国道百三十九号や、百三十九号に並行する県道におきましては、慢性的な渋滞が発生しており、円滑な移動に支障が生じております。

 このため、国土交通省では、百三十九号の渋滞緩和を図るため、富士改良事業や広見インターチェンジ交差点改良事業を現在実施しております。

 国土交通省としましては、引き続き、事業中箇所の進捗を図りますとともに、百三十九号が担う人流、物流の更なる円滑化を図るため、関係自治体とも連携しながら、必要な調査を鋭意進めてまいります。

大口分科員 何といたしましても、この岳南地域の将来の発展を考えますと大事な事業でございますし、将来的には、静岡県富士宮市と山梨県南部町を結ぶ、中部横断自動車道に接続する富士宮富沢連絡道路の構想もございます。しっかり、道路局に御理解いただいて、進めてまいりたいと思います。

 次に、清水港についてお伺いします。

 国交省の中部地方整備局の清水港湾事務所、これが昨年、百周年の佳節を迎えました。もとより、所長を始め関係者の方に清水港と地域の発展のために御尽力いただいたこと、ここで感謝を申し上げたいと思います。

 特定重要港湾、国際拠点港湾、国際旅客船拠点形成港湾である清水港の整備についてお伺いします。

 静岡県が公表しています第四次地震被害想定において、南海トラフ巨大地震で、清水港では津波による甚大な被害が想定されています。津波から多くの人命や財産を守り、港湾施設や港湾関係産業への被害を最小限に抑え、市民が安全で安心して暮らせる町をつくるには、外港防波堤を粘り強い構造へ改良する事業を加速化させるとともに、津波による被害から背後地を防護する防潮堤の整備が重要であります。

 清水港の江尻、日の出地区は住宅や工場の密集地域で、近くにJR清水駅、音楽ホール、複合商業施設、河岸の市もあります。大型クルーズ船が接岸する岸壁があり、多くの人でにぎわうベイエリアでありますが、防潮堤のない無堤区間があります。

 昨年二月の当分科会で、この無堤区間の整備に国も積極的に支援するよう求めたところ、日の出地区は令和三年度新規個別補助事業箇所に指定していただきました。

 江尻、日の出地区の防潮堤整備の令和四年度の取組について、港湾局長にお伺いします。

浅輪政府参考人 お答えいたします。

 まず、大口先生から冒頭、清水港湾事務所について御発言をいただきました。誠にありがとうございます。引き続き、住民の方々の暮らしと命を守るための港湾整備、海岸整備、それから港町づくりに一生懸命取り組ませていただきます。

 さて、清水港を含みます静岡県沿岸部につきましては、南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域に指定されておりまして、切迫する南海トラフ地震などに備えた津波対策は極めて重要な課題であると認識しております。

 しかしながら、先生御指摘のとおり、日の出地区、江尻地区につきましては、いわゆる無堤区間と呼ばれます防潮堤が整備されていない区間が一部存在しておりまして、また、既設の防潮堤の高さも不十分であることから、その対策が急務であります。

 このため、国土交通省では、ただいま御発言いただきましたとおり、効果の早期発現の観点から、日の出地区の無堤区間への防潮堤の新設、既設防潮堤のかさ上げなどの対策を津波対策緊急事業として採択したところでございます。現在、海岸管理者であります静岡県が設計を進めております。

 また、江尻地区におきます津波対策につきましても、令和三年度から新たに防災・安全交付金により支援することとしておりまして、静岡県が一部区間の測量に着手したところです。

 令和四年度も、引き続き、江尻地区、日の出地区を含め、清水港の津波対策をしっかりと支援してまいります。

大口分科員 ありがとうございます。しっかり推進をお願いしたいと思うところでございます。

 道路局長には浜松湖西豊橋道路についても質問を立てておりましたが、時間の関係がございます。ただ、令和三年十一月の中部地方小委員会で西側ルートでの対応ということが示されました。今後の取組についてお願いいたします。

村山政府参考人 委員御指摘の浜松湖西豊橋道路についてであります。

 地域には自動車の関連企業が多数立地しておりまして、大変重要な道路だと認識してございます。

 委員御指摘のとおり、昨年十一月に、東名高速三ケ日ジャンクションと三河港を最短で結ぶルート案を概略ルートとして決定しております。

 今後、浜松市、静岡県、愛知県が都市計画及び環境影響評価の手続を進めることとしておりまして、国土交通省としましては、これら関係機関と連携しまして、環境調査や詳細ルートの検討など、引き続き、これらの手続が円滑に進むように取り組んでまいります。

大口分科員 この浜松湖西豊橋道路も非常に重要な道路でございます。着実に手続を前に進めていただきたいことを要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今村主査代理 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

稲津主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。尾崎正直君。

尾崎分科員 高知二区選出の尾崎正直と申します。

 これまで十二年間は高知県の知事といたしまして、国土交通省の皆様にも大変お世話になってまいったところでございまして、本当に心から感謝を申し上げたい、そのように思います。

 本日の質疑でありますが、斉藤大臣、渡辺副大臣、加藤政務官、本当に御多忙の中、御同席を賜っておりまして、本当に心から感謝を申し上げるところでございます。本当にどうもありがとうございます。

 私、本日は道路ネットワークの整備、さらには豪雨災害対策について、政府参考人の皆様方に様々に御質問させていただきたい、そのように考えるところです。

 まず、道路ネットワークの整備ということでございます。河川にしても、道路にしてもそうなのでありますが、日本の地方部には、まだ様々にインフラ整備の必要性が残っているところがたくさんあります。私ども高知県もそうであります。

 他方、そういう中にあって、国土交通省の皆様には本当にもう全速力でもって様々な御対応をいただいているところでございますけれども、しかしながら、とはいいながらも必要箇所はまだまだたくさん残っている、そういうところでございまして、本当に、今後とも是非様々にお力を賜りたいと心の底から思っているところです。

 そういう中にあって、まず、道路ネットワークの整備ということであります。その中でも、なかんずく高規格道路のミッシングリンク解消についてお話をさせていただきたい、そのように思います。

 私は、平成二十七年の六月から令和元年の十二月まで、全国高速道路建設協議会の会長を務めさせていただいておりました。ですので、全国の高速道路整備については、いろいろと勉強させていただく機会があったわけであります。それぞれの地域地域におきまして、高速道路に求める役割というものは多様なものがあります。産業上の役割、暮らしの安定のための役割、そして、どの地域にも共通して重要度が高いのが、やはり言うまでもありませんが、災害時における命の道としての役割、このことが非常に大きいということであろうか、そのように思うところです。

 そういう中で、日本全体を見渡してみますと、命の道としての機能がまさに発揮することを求められている地域であるにもかかわらず、まだミッシングリンクとなっている地域というものが多々ございます。津波の高い想定高、これにさらされている地域でありながら、まだ道路整備、高速道路の、高規格道路の整備がされていないミッシングリンクが残っている、そういう地域が多々あるわけでございます。

 例えば四国でありますと、四国8の字ネットワークの中において、特に沿岸部の津波の害に直接さらされるであろうという地域において、残念ながらまだミッシングリンクが残っているところです。

 今、五か年加速化計画のお力も得て、本当に様々に整備を進めていただいておることは理解をさせていただいておるところでございますが、しかしながら、このような命の道が津波が襲来した後に完成をすることとなってもある意味むなしいのでありまして、何としても南海トラフ地震の発災時までにこのミッシングリンクを解消する、そのことが大事ではないかと思うところでございます。

 是非とも、全速力でもってのお取組をお願いしたいと考えるところでございますけれども、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 四国8の字ネットワークは、四国四県を相互に連絡する延長約八百キロメートルの高速道路ネットワークであります。現在、全線の七割に当たる約六百キロメートルが開通してございます。

 高知県内のネットワーク延長は約二百六十キロメートルでありますが、これまでその約六割となる百六十キロメートルが開通をしており、現在、愛媛県につながる四国横断自動車道、徳島県につながる阿南安芸自動車道などのミッシングリンクを整備しているところであります。

 この四国8の字ネットワークの整備によりまして、平時におきましては、水産品を始めとする地域産品の輸送の効率化、また、南海トラフ地震といった災害発生時には、大規模な津波にも浸水しない緊急輸送道路の確保といった効果が期待されます。

 道路ネットワークは、ミッシングリンクが解消され全線がつながることで、より大きな効果を発揮するものでございます。一方で、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策におきましても、高規格道路のミッシングリンク解消が位置づけられております。

 国土交通省といたしましては、この五か年加速化対策の予算も活用しまして、ミッシングリンクの早期解消を目指し、整備を推進してまいります。

尾崎分科員 本当に、先ほども触れていただきましたけれども、この8の字ネットワークが完成をしますと、例えば高知県、一番西南地域に宿毛市というところがありますけれども、この宿毛市と大阪市内が六時間で結ばれることとなります。そうなれば、鮮魚を大阪に持っていって売ることができる、高知にとって商圏は劇的に拡大をするというわけでありまして、本当に、命の道としての効果とともに、経済の道としての効果も非常に大きいものであります。大変期待感高いところでございまして、是非とも整備の促進をお願いを申し上げたいと思います。

 ただ、二問目でございますが、この8の字ネットワークのような高規格幹線道路網、この主たる道、幹線を整備をしていただきましても、やはりそれでもなお、面的に一定エリアが高規格若しくは地域高規格道路の恩恵を被ることができない。そうした形で取り残される分野というのがどうしても出てくるわけでございます。

 そういう中にあって、国土交通省の皆様においても、広域道路ネットワークの整備促進を図っていこうということで、様々に、例えば構想路線などなど御検討もいただいておるところでございます。

 高知の場合ですと、いわゆる足摺半島、室戸半島、この方面、こちらをカバーをしていくことが大事ということになってくるわけでございます。ここら辺りは既存の国道も全て沿岸部を走っておりまして、津波が発生をしますと恐らく全ての道が消滅状態になるであろう、そういうことも予想されている地域ということもあります。

 そういう意味において、災害対応の意味でも、そして面的に取り残さないという意味におきましても、高知の場合、幡多西南地域道路、さらには奈半利室戸道路、この二路線の重要性が極めて高いと考えるところでございます。是非とも、その両道路の実現に向けまして、今後、検討、調査を進めていただきたいと考えるところでございますが、御見解をお伺いをいたします。

村山政府参考人 お答えします。

 奈半利室戸道路と幡多西南地域道路につきましては、令和三年三月に高知県が策定いたしました新広域道路交通計画におきまして、構想路線として位置づけられているところでございます。

 この奈半利室戸道路は高知県東部の室戸岬、幡多西南地域道路は高知県西部の足摺岬へのアクセス性を高める道路でありまして、この周辺地域は、南海トラフ地震による数十メートルとも予測される津波により、交通の寸断と孤立が懸念されているところでございます。

 また、この奈半利室戸道路と幡多西南地域道路が整備されることによりますと、南海トラフ地震など大規模災害発生時におきまして、救援部隊や緊急物資が確実に行き届くための道路ネットワークといった役割が期待されるところであります。

 今後、新広域道路交通計画を策定されました高知県が中心となり、両道路を高規格道路として整備する必要性等について検討を進めていただくことになります。

 国土交通省としましては、この検討に際しまして、必要な協力をしっかり行ってまいります。

尾崎分科員 どうもありがとうございます。是非ともまた引き続き、高知県とともに取組を進めていただければ、そのように思うところです。

 三問目に移らせていただきたいと思いますが、ネットワークのリダンダンシーの確保ということについてでございます。

 ネットワークについて、いかに、例えばダブルループ化をするでありますとか、さらには、個々の路線におきましても、例えば暫定二車線を四車線化するでありますとか、様々な形でリダンダンシーを確保するように工夫を加えていくことが大事だ、そのように思うところでありますけれども、この四国8の字ネットワーク、このような、どちらかというとリンクを描くようなネットワークにおいては、リダンダンシーの確保という観点から、やはり、外周と外周を結ぶ、内部を貫くような形でのネットワーク道路、これを整備していくということが非常に重要ということになってこようか、そのように考えるところです。

 具体的に言えば、地域高規格道路でいえば高知松山自動車道の整備を、また、三桁国道でいいますれば、国道四百四十一号とか四百九十四号などの整備を進めていくことが極めて重要な課題となっております。

 これらは、地域の様々な集落、町、都市同士を結ぶ、日々の暮らし、産業の振興という観点からも極めて意義の大きい道路であるわけでありますけれども、残念ながら、いまだに非常に狭隘な区間がたくさん残っておりまして、救急車のすれ違いもままならないとか、そういう地域も残念ながらたくさんあるところでございます。これらの道が整備をされれば、本当に、日々の産業振興ということ、暮らしの安全という観点からも非常に大きな役割を果たすこととなります。そして、もちろん、先ほど来申し上げております大規模災害時においても、このリダンダンシーが確保でき、大いに安心ということになるんだろう、そのように考えるところです。

 ちなみに、東日本大震災時におきましては、いわゆるくしの歯作戦というものが展開をされておりました。四国の地域、高知県、例えば黒潮町におきます津波想定高は三十四メーターでありますとか、沿岸部全てで十メーター以上の津波の想定高が予想されておりますとか、様々な形で、この高知県、西日本地域における最高波に立ち向かっていかなければならない県というわけであります。この四国においては、今度は、くしの歯作戦ならぬ扇作戦といいますか、そういう形で、外周からをしっかりと確保しつつも、縦に貫く道をしっかり確保することで、いざというときの防災対策、防災上の機能を確保しよう、そういう議論もなされてきています。四百四十一号でありますとか四百九十四号とかは、そういうまさに扇の縦のラインを貫く、そのような役割も果たす重要な防災道路です。もちろん、地域高規格の高知松山道路もしかりということでございます。

 是非とも、この三路線でありますけれども、地域にとっても大事、そして、四国全体にとっても大事、防災対応上の要となる道、そういうことでございます。是非とも整備促進を図っていただきたいと考えるところでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。どうか御見解を教えていただければと思います。

村山政府参考人 お答えします。

 高知と松山を結ぶ高規格道路である高知松山自動車道は、南海トラフ地震等の災害に備えた代替路の確保や、空港、港湾等へのアクセス強化を図る上で重要な路線であると認識しております。

 現在、高知松山自動車道につきましては、越知道路の二工区である延長三キロメートルの区間が事業中でありまして、そのうち延長一・八キロメートルについては、令和四年度の開通を目指して事業を推進しているところでございます。

 また、いのから越知間の延長約二十キロメートルにつきましては、現在、計画段階評価を実施してございます。

 また、大洲と四万十市を連絡する国道四百四十一号線におきましては、口屋内バイパス延長二・九キロメートルや中半バイパス延長約二・七キロメートルにつきまして、高知県が社会資本整備総合交付金を活用しまして整備を進めているところであります。

 また、松山と須崎を連絡する国道四百九十四号線におきましては、佐川吾桑バイパス延長五・九キロメートルにつきまして、同じく高知県が社会資本整備総合交付金を活用して整備を進めておりまして、このうち延長約一・八キロメートルが昨年三月に開通をしております。

 今後とも、高知松山自動車道の整備を推進するとともに、国道四百四十一号、四百九十四号につきましては、高知県の御要望をお聞きして、支援をしてまいります。

尾崎分科員 本当に、三桁国道も大事ということかと思います。是非とも、今後とも、様々な形で自治体の取組をバックアップして、やっていただければとお願いを申し上げるところでございます。どうもありがとうございました。

 それでは、後半、豪雨災害対策についてお話をさせていただきたい、そのように思います。

 地球温暖化によります影響で、豪雨災害の猛威というのは年々激化をしているところでございまして、今や、降り始めからの累積雨量が二千ミリを超えたり、さらには、一時間の雨量が百ミリを超えたりということもほぼ珍しくもないという状況になりつつあります。

 そういう中で、令和元年の我が国の水害被害額、こちらは統計開始以来最大の約二兆一千八百億円となったということだそうでありますけれども、年々、豪雨災害の猛威というものはどんどんどんどんいや増してきているということかと思います。

 残念ながら、今後の見通しも明るいものではありません。今後、いかに地球温暖化対策が進んでいこうとも、当面の間、気温の上昇自体は避けられそうもないというふうに予想されているところでありまして、恐らく、ますます豪雨のパワーが増してくるということを前提として、目標とします整備水準自体も随時見直していきながら、引き上げていきながら、不断に対策を講じていくということが必要となってくるんだろう、そのように考えられるところでございます。

 こうした時代における治水対策、必要と考えられる施策につきまして、私も本当に、雨が物すごく降ります高知県の知事として苦労してまいった点、それなりの経験も踏まえさせていただきながら、少し質問をさせていただきたい、そのように思うところです。

 まず第一に、累積するダメージを着実に除去する必要性について御質問をさせていただきたい、そのように思います。

 豪雨災害の対応をしてきましてつくづくと感じてきましたことは、毎年の豪雨によって、本当にダメージというのは累積をしていくんだなということであります。

 豪雨災害があった、それによって河床が上昇する、さらには崖が崩れる、さらにはダムの堆砂が起こる、それぞれ小規模でありますけれども、毎年毎年これらのダメージというのが積み重なっていく。さらには、水路が埋まってしまった、昔なら山村でも若い人が多かったので、それらをすぐ撤去できたのでしょうけれども、高齢化が進んで、それらをケアできないでいるうちに、毎年毎年、水路がほぼ完全に埋設されてしまうような状態に近づいていく。こういうダメージが累積をしていって、ある年にその閾値を超えて突然大規模災害を引き起こす、そういうことが多々あるのではないか、そのように感じてきたところであります。

 自治体として、これらにしっかりと取り組んでいかなければなりません。しかしながら、もう余りにもダメージの累積度合いというのは大きいものでありますから、自治体だけではなかなか体力的に対応できないということも多々あります。

 そういう中で、自治体の取組を後押しする緊急浚渫推進事業などの対策も講じられているところでありますけれども、現場感覚からしても、これは極めて有効な事業だと考えさせていただいているところです。

 ちなみに、第二百七回国会の所信表明演説で、岸田総理は、「屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る。」と。これはジョン・F・ケネディの言葉でありますが、新型コロナ対策、こちらに臨むための心構えとして、まだ被害がひどくなる前に、事態が深刻になる前に対策を講ずることが大事なのだということをお述べになりました。

 私も豪雨災害の対策について本当に同じ思いで対策を進めてきたところでありまして、豪雨災害対策本部というのを県で通年設置をして、冬こそ夏の備えをということで、冬の期間こそ、河床の掘削を一生懸命やるんだ、崖崩れ、ちょっと崩れたところをしっかり直しておくんだ、水路をまた再び掘り起こして使えるようにするんだ、そういう取組などもしてきたところです。

 今や、本当に、屋根を修理するために、日が照っているうちに一生懸命働いていかないといけない、一言で言えば、通年、豪雨災害対策をやらなければならないという状況なのだろう、そのように考えるところです。

 そういう点において、緊急浚渫推進事業など、日々自治体が取組を進めていくことを力強く後押しする予算に対する、制度に対する期待感というものは今後ますます増していくこととなるのだろう、そのように考えるところでございます。

 ますます豪雨災害が激甚化する可能性が大きいことに鑑みますれば、同事業を十分な予算額でもって、かつ継続的に講じていくということが極めて重要だと考えるところでございますが、御見解をお伺いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、近年、河川氾濫などの大規模な浸水被害が相次いでおります。

 こうした被害を未然に防ぐために、地方団体が緊急的に河川などの浚渫を実施できるよう、地方財政法を改正いたしまして、令和二年度に緊急浚渫推進事業債を創設いたしました。

 この事業に取り組んでいる地方団体からは、豪雨時に河川氾濫や道路冠水などの被害が減少につながった、大きな防災効果があったとの報告を受けております。

 総務省といたしましては、こうした先行団体の事例などを紹介しつつ、関係省庁とも連携を図りながら、地方団体における緊急浚渫推進事業債も活用した浚渫事業をより一層促してまいりたい、このように考えております。

尾崎分科員 本当にこれはありがたい事業だと思っております。もちろん、自治体としてしっかりとそれぞれ対応していかなければならないということかと思いますけれども、一言で言うと、余りにも最近箇所が多くなり過ぎて、自治体だけの体力では対応できなくなる。逆に言いますと、対応しなければいいのかというと、事は命に関わる問題でありますから、着実に対応しなければならぬということです。

 これは緊急事業ということになっていて、一定、時限措置を伴う形で措置をされています。今回、しっかりと延長していただきまして、本当に多くの皆さん、安心をしておるところかと思いますけれども、恐らくこれはもう、地球温暖化が進むこの二十一世紀においてずっと必要な事業ではないか、そのように思うところでございまして、是非是非、今回の見直しそのものは本当はありがたいことでありますが、また継続的に、かつ十分な予算額をもって御対応をいただきますように心からお願いを申し上げたい、そのように思う次第でございます。またどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、中小河川の豪雨災害についてお伺いをさせていただきたい、そのように思います。

 中小河川の場合、言うまでもないことでありますが、流量そのものが、河川トータルとしての許容できる流量そのものが余り大きくないということもございまして、予想を超える降雨に対する許容度というのが非常に小さい、余裕度が小さい。結果としまして、全国的にも、予想を超える降雨によって様々な規模の氾濫というものを頻繁に起こしてきたところでございます。

 平成三十年の七月豪雨においては、高知県も大変冷やっとする経験をいたしまして、高知県東部にあります安芸川という河川がございますけれども、他の中小河川との合流部におきまして大規模氾濫を起こすとともに、市街地の上部におきまして、本当に破堤一歩手前というところまでいってしまいました。このときは、本当に現場の迅速な判断で、海からテトラポッドを持ってきて、破堤しそうな部分に投入をするということでぎりぎり破堤を免れることができたのですが、もし破堤をしていれば、安芸市街地全域が大変な被害に陥ってしまったのではないか、私も本当に肝を冷やした、そういうところでございました。

 やはり、この中小河川、危険だな、大変だな、この対策をしっかり充実をしなければならないなと思ったところでありましたが、ただ、このような事情は全国にあります。一言で言いますと、中小河川、対策を強化しなければならないのですけれども、他方で、数が非常に多い。そういう中におって、全ての河川の全ての箇所の整備をしていくということはなかなか難しいということだろうと思います。

 ただ、逆に言いますと、ある河川の特に急所となる区間に絞って、その分、河床の掘削でありますとか、堤防のかさ上げでありますとか、合流部の形状の見直しでありますとか、そういった形で総合的に対策を講ずることによりまして、相当程度減災するということも可能となるのではないかと考えるところでございます。

 今後、ニーズの高まる事業形態だと思いますが、是非とも、このような中小河川対策、局所的、総合的な対策、是非とも制度、予算の充実をお願いしたいと考えるところでございますが、御見解をお伺いいたします。

井上政府参考人 今、尾崎先生からお話がありましたように、中小河川は非常に問題があります。整備が遅れているということもありますし、最近の気候変動で、上流から土砂が累積して詰まってくる、そういう御指摘でありました。

 昔は、交付金制度、防災・安全交付金制度しか、一本しかなかったのが、先ほど説明ありましたように、小規模なものを含めて緊急浚渫事業債で対処するようになっていた。ただ一方で、問題は、先ほどおっしゃっているように、能力を上げるようなことも一方でしないといけないんですが、橋の架け替えをしなくちゃいけないところとか、固定堰があって、なかなかそこがネックになっている。ですから、川幅を大きく広げないといけないということは、交付金だけだと集中投資ができないというふうな大きな課題を抱えておりました。

 このような形については、平成三十年の西日本豪雨を踏まえて、令和元年度から個別補助事業について、活用して、計画的、集中的に取り組んでいます。

 ただ、これでもまだ十分ではない。例えば、狭窄部の上流部みたいな、内水の氾濫も起こしそうな、そういう自然的な条件の厳しいところ、これは、昨年の特定都市河川法の改正も含めて、流域治水というようなことを進めてまいりました。

 こういうところを進めていくときに、やはり、地域が頑張っているような、前向きに取り組んでいるところに対して、私たちはしっかり支援していくということもやっていきたい。公共団体の方で土地利用規制とか頑張ったり、民間の方で雨水貯留浸透施設の整備など、そういうことをやっているところには、河川整備も一緒に併せて、ハード対策も一緒になって、相乗効果を出せるような対策を取りたい。そういうことを、この令和四年度の新しい取組の中に新しく創設することとしております。

 国土交通省としては、このような事業を通じて、必要な対策、ネック箇所の対策が早期に進むように支援してまいります。

尾崎分科員 ありがとうございました。

 先ほどお話しになりました流域治水について、ちょっと次にお伺いをしたいと思います。

 流域治水、先ほどお話しになりました。この流域治水という考え方自体は非常に大事なことだというふうに思っています。全ての箇所をハード整備だけで対応することはできない。ですから、ハード、ソフトを組み合わせることが大事。そういう中にあって、氾濫を減らす対策とか、安全に逃げる対策とか、備えて住む対策など、複合的に組み合わせることは極めて重要だと考えます。

 そういう中で、備えて住むという対策について、正直なところ、新規の住居規制などをかけたとしても、人口密集地なんかで効果が出るようになるのはやはり何十年もかかるということになるんだろうと思うんですね。そのこと自体を否定することではありませんが、やはり豪雨災害のパワーが増していることを考えれば、ハード主体で考えないといけないというところも当然出てくるんだろうと思います。是非、ハードとソフトのバランスを取った、実効性ある対策というのを講じていただきたい、そのように思います。お時間がありませんので、これは要請とさせていただきます。

 そういう中にあって、仁淀川でございます。高知県の中央部を流れております一級河川、仁淀川でありますが、本当に、歴代の現地事務所長さんのリーダーシップによって、流域治水の本当に先進的な検討が進められているところでございます。

 これは本当に、青の美しさで有名な、仁淀ブルーと称される本当に美しい河川なのですが、残念ながら、その流域において最大の人口密集地が、外水、内水、共に氾濫の危険にさらされているところでございます。是非、この流域治水、ハード、ソフト、総合的な対策でもって治水対策を強化していただきたいと考えるところですが、御見解をお伺いします。

井上政府参考人 仁淀川流域は、本川及び支川との合流部付近の地盤が高く、支川の上流に向かって地盤が低くなっていく逆勾配の地形の特徴を有しており、いの町、日高村などでは内水被害が生じやすい状況にあります。

 いの町や日高村では、浸水の危険の高い区域におけるソフト対策というか、居室の床面を浸水深以上の高さにするような条例も制定していただきまして、自ら積極的にソフト対策に取り組んでいるところです。

 国土交通省としては、先ほども申しましたが、こういうふうに自ら頑張っていただいているところには、ソフト対策だけじゃなく、国交省として、逆勾配という地形のハンディキャップを克服するために、高度な技術力を要する地下放水路などのハード対策を積極的に取り組んで支援していくこととしております。

尾崎分科員 本当に、深刻なリスクにさらされているところは自治体も頑張っておりますので、是非、引き続き御支援のほどをしっかりとお願いを申し上げたい、そのように思います。

 最後に、気象庁長官、おいでいただいておりますけれども、線状降水帯の予測精度の向上について御質問をさせていただきます。

 最も悩ましいのは、線状降水帯の発生であります。いつ発生するか分からない、突然発生をする、しかも、発生しても、これが線状降水帯で長く続くのかどうかということもよく分からない。これがよく分かるようになれば、警報の発出でありますとか避難誘導とかが迅速に取れることとなります。

 今、予測精度の向上に向けて御尽力いただいておると伺っておるところでございますが、大変期待感が高うございます。是非頑張っていただきたいとエールを込めて、今の現状と今後の見通しについて御質問させていただきます。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 頻発する線状降水帯による豪雨災害の防止、軽減には、その予測を一日でも早く実現することが極めて重要だと認識しております。

 このため、気象庁では、その予測精度向上に向けた取組の強化、加速化のため、令和三年度補正予算を最大限活用し、観測機器の整備や予測技術の高度化に全力で取り組んでいるところでございます。

 具体的には、線状降水帯の発生に結びつきます大気の状態を正確に把握するために、最新の技術を用いた気象レーダーやアメダスの更新強化を前倒しし、さらには、新しい水蒸気観測機器の整備などを進めているところです。

 加えまして、予測技術を高度化するために、大学等研究機関とも連携し、また、スーパーコンピューター「富岳」も活用して線状降水帯に関する研究開発を実施しております。そして、これらの研究成果によって得られた予測技術につきましては、気象庁のスーパーコンピューターを機能強化し、速やかに実装してまいります。

 こうしたことにより、今年の出水期には、線状降水帯によって大雨となる可能性について、例えば四国地方でなど広域での可能性の半日前からの予測を開始し、その後も段階的に精度を向上させてまいります。

 また、このような予測を住民などにお伝えし、お伝えいただくために、防災気象情報をどのように改善するかといったことにつきましても、有識者や関係省庁と連携して検討を始めたところでございます。

尾崎分科員 それでは、時間が参りましたので、以上で終わります。本当にありがとうございました。

稲津主査 これにて尾崎正直君の質疑は終了いたしました。

 次に、田嶋要君。

田嶋分科員 立憲民主党の田嶋要でございます。

 斉藤大臣には、予算委員会に続きまして、今日、機会をいただき、ありがとうございます。

 昨日、大臣の御経歴を拝見しておったんですけれども、民間の大手建設会社にも御経験があるということでございまして、そういう意味では、今日お話ししたい住宅の関係、建築物の関係、本当に御専門でありますし、以前環境大臣にもお就きになられておりましたので、大変期待したいというふうに思っております。

 大臣、予算委員会で取り上げました建築物省エネ法でございますけれども、これは大丈夫ですね。どうですか。

斉藤国務大臣 今、この国会に提出するべく、一生懸命努力をしているところでございます。

田嶋分科員 これは本当に、思いのほかというか、取り上げたことによっての反響もあって、やはり多くの全国の関係者、期待を寄せていますし、温暖化、先ほども出ました気候変動の問題を何とか抑え込んでいくための、国交省の所管としては最大の分野の一つじゃないかなと。全体を見渡しても、三〇年までの六〇%以上という削減を見ても、手つかずと言ってはなんですけれども、伸び代が一番大きい分野の一つがこの家庭、住宅ということだと思います。大変な強い危機感を持ってございます。大臣の双肩にかかっておりますので、是非ともお願いしたいというふうに思います。

 以前、三・一一の前に、二〇〇九年に大臣は環境大臣をやられました。そのときにこういう言及がありました。今の世代が努力を怠れば子や孫にツケを回すことになると。そういう意味で、是非とも、その中でも、日本版グリーンニューディールということの策定で、省エネ住宅の普及を促進、そういうふうにも書いてありましたので、是非大臣、ここは頑張っていただきたいというふうに思います。

 多くの皆さんが期待をしているし、それ以上に、ここを外すと、予算委員会で申しました、太田大臣のとき、二〇一五年に国土交通委員会で、私は大臣にもお願いいたしました。太田大臣も何か外断熱とかに非常に詳しい御経歴だったようでございますが、あのときも、二〇二〇年、ひょっとして外すんじゃないかという懸念があって、私は、ロードマップをしっかり作って絶対やってくださいよと申し上げたんですが、外しましたね。以来、御党の国交大臣、四人目です。頼みますね、本当に。是非ともお願いしたいということをまず申し上げたいと思います。

 それでは、配付資料の一を御覧いただきたいと思います。住宅関係でございますが、この一番目の資料、日米の比較のグラフですけれども、大臣、これは私の質問に際して初めて見たんでしょうか。それとも、政調会長時代もございますし、前から分かっているよという話ですか。どうですか。

斉藤国務大臣 正直に申し上げまして、一月二十六日、予算委員会の田嶋議員の質問通告で初めて見ました。

田嶋分科員 正直にありがとうございます。

 いや、本当にこれ、私は国会に来て十八年目ですけれども、一番驚いた役所から出てきた資料の一つだと思うんですね。何かの間違いじゃないかなというぐらいの気持ちでございますが、民間の研究者が出してきているわけじゃなくて、国交省のクレジットでこういうものがいただけたわけでございます。まあ、隠してあるよりはいいと思うんですけれども、いただけて、にわかに理解ができなかったですね。

 そして、よく考えると、私の理解が間違っていなければ、一生懸命全国で、いろいろな人が家を買ったり家を建てたり、戸建てあるいは建て売り、みんなやりますよね、マンションももちろんですが。しかし、アメリカと違って日本は、投資を行っても行っても資産としては全然価値が増えていない国だ、そういうふうに考えるのかなというふうに思うんですけれども。大臣、どちらが望ましいんですか。

斉藤国務大臣 私も、初めてこれを見たときに、ある意味で大変なショックを受けました。

 どちらが望ましいかという話でございますが、グラフの傾向に差異があるのは、既存住宅が中心の住宅市場となっている欧米では、住宅投資の大半がストックの質の維持向上に向けられる。しかし、日本では、古い住宅ストックの質等の問題もあり、新築住宅が中心の住宅市場となっているということで、住宅投資の大半が新築住宅の整備に向けられているという、日本と欧米の市場構造の違いによるものと認識しております。

 日本においても、中長期的には、住宅投資が主として住宅ストックの質の維持向上に向けられる欧米型の市場構造に移行していくことが望ましいと考えています。

田嶋分科員 随分先取りして御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 役所からそういう御説明があったということだと思うんですけれども、やはり大臣、いろいろ、バックグラウンドから見ても非常にお詳しいと思います、是非、これを初めて御覧になったのなら、やはりよく考えていただきたいと思うんですね。長らくやられて、政調会長もされて。

 私は、これは本当に不都合な日本の真実ではないかなというふうに思うんですよ。大臣も今、ショックを受けられたというふうにおっしゃいました。

 国交省に、これは本当なの、アメリカが逆に特別なんですかといって、ほかの国を聞いたら、情報がありませんということで。そうしたら、その日のうちに国会図書館が作ってくれました。それが次のページですね。二番ですけれども。

 日本だけがちょっと変だということがこれで、今大臣も欧米とは違うとおっしゃいましたけれども、日本だけが異常だということだと私は思います。ドイツは少し下回ってはいますけれども、やはり上がってきている。日本だけがこういう状況。

 こういうことを、まあ、隠してはいないかもしれないけれども、もっと共有をしないと、日本の根本的な、本質的な問題は何なんだということが十分私は共有されないんじゃないかなと。大臣も、今回、私と御縁があって初めて知っていただいたけれども、国交省がこういうのをちゃんと出しているんですね。

 ところが、住生活基本計画、これは基本法に基づいて過去三回、四回、作られておりまして、大臣、これを見ておりますけれども、私も見てみましたけれども、このことに関する真正面からの言及というのは一度もないんですね、一度もないんです。どこでも、何か、ストックという言葉は多用されているんですよ。だから、何となく、転換しなきゃいけないみたいなことは書いてあるんですが、現状こんな状況になっている。

 これは、言ってみれば、国民の資産が奪われていることですよね、資産の価値が。これの原因をしっかりと、今大臣が少しお話しいただきましたけれども、本当にそういうことだけなのかなということを、原因究明ということを私はもっとやらなきゃいけないというふうに思うんですね。

 お尋ねしますけれども、この日本のグラフを改善していくために、今までどういうことをなさいましたか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、戦後の絶対的な住宅不足の中で、住宅の質よりも量の供給を優先せざるを得なかったこと、高度経済成長期以降、大都市への急激な人口移動と都市型のライフスタイルへの変化が生じ、居住ニーズに合わなくなった住宅が次世代に引き継がれず壊されたこと、耐震基準が昭和五十六年に改正され、それ以前に建築された住宅の安全性に対する不安感等があったことなどから、次世代に継承すべき良質な住宅ストックの形成が図られず、古い住宅ストックの多くが流通することなく取り壊されてきた結果として、新築中心の市場構造が継続し、住宅投資額の累計と住宅資産額が乖離してきているものと認識してございます。

 この乖離の縮小に向けましては、耐震性や省エネ性などの性能が確保された良質な住宅ストックが世代を超えて継承される市場環境を整備していく必要がございますが、ストックの質がなお不十分な水準にとどまる中で、まずは更新、改修等を通じたストックの質の向上に重点的に取り組んできたところでございます。

田嶋分科員 戦後の大変な状況から質より量を重視してというお話は、御説明をあらかじめ聞きましたけれども、悪い、質の低いものは低いものなりの住宅価値というのはやはりあると思うんですね。

 だから、私が不思議に思うのは、住宅に投資した額と、その直後からの資産価値、ストックが、何でこんなに何十年も乖離が広がっているのか。これは、私はなかなか、今の説明を聞いただけでは理解できないところなんですね。

 私は、やはりこれは、今言われている空き家問題、要するに、世帯数に比べて、あるいは人口に比べてこの国は家を造り過ぎているんじゃないかというのが根本的な原因で、需給のバランスが崩れるから、これはもうどんなマーケットでも同じですけれども、値打ちが落ちるということではないかなというふうに思うんですね。

 三ページ目の資料を御覧ください。下は日本の空き家数と空き家の率でございますが、これは、一三・六とか、八軒に一軒はもう過ぎて、今七軒に一軒だそうでございますが、今の小学生が大人になる頃には三軒に一軒になるそうですよ、あるいは二軒に一軒。向こう三軒両隣全部空き家、こういう地域社会を誰も望んでいないと思うんですが、今、そういう社会に日本はまっしぐらなんですね。もう皆さんも、多分地元の選挙区で感じられると思います。私も感じます。子供は誰一人歩いていないし、どっちも人が住んでいないような家。夜に行くとよく分かりますよね、どこもライトがついていないみたいな。

 そういう地域社会になっているんですけれども、この空き家率のところ、上を御覧ください。これは、日本の一番最新の、令和元年までのグラフですが、空き家が九三年に九・八%、つまり、ほぼ一〇%ぐらいになってきたんですが、先進国の空き家率は大体一〇%はいっていないんです。ドイツは非常に低い。アメリカでも、好景気、不景気で動きますけれども、それでも一〇%はいかないぐらい。

 つまり、私は、この九三年の九・八%ぐらいが限界だったんじゃないかなと。この頃から本当は、日本は新築重視ではなくて資産を大事にしていく、そういう住宅政策に切り替えるべきだったのが、二十五年以上間違った政策をやってきたんじゃないかということを心配しているんです。

 過去の五回にわたる住生活基本計画を見ると、転換する、転換するとは書いてあるんですけれども、どうもかけ声だけに終わって、やっていることは相変わらず景気対策としての住宅政策。まあ、何か非常に政治力が強いとかという話も新聞で読んだことがございますが、そこら辺に大きな原因があるという感じがいたしませんか。

 これを御覧ください。まさに九三年ぐらいから資産価値が止まっているじゃないですか。どれだけ家を投資しても、日本全体としてのストック資産の価値は全く上がっていないんですよ。恐ろしい話ですよね。家を建てている人はみんな、これを知らされているんでしょうか。あなたは家を一軒建てました、でも、建てた瞬間に三割飛びます、リフォームしてもリフォームしても全然価値は上がりませんよと。そういうことをしっかり伝えていかないと、これは国家的な詐欺みたいな話だと私は思うんですね。かわいそうですよ、本当に。

 大臣、私は、その辺に原因があるということをしっかり探っていただきたいと思いますし、そんなふうに思いませんか。今の空き家の説明、いかがですか。

斉藤国務大臣 投資額と資産額の乖離の原因は、ストックの質などの問題のため古い住宅ストックが流通することなく取り壊され、結果的に供給されてきた住宅総数を住宅ストック数が下回るとともに、住宅投資の大半が新築住宅の整備に向けられてきたことにあると考えております。

 なお、需給バランスについては、平成三十年の総務省住宅・土地統計調査によりますと、平成二十五年から平成三十年の間に、総住宅数が約百七十八万戸増加している一方で、総世帯数も約百五十五万世帯増加している結果として、一世帯当たりの戸数や空き家率はほぼ横ばいで推移するなど、総住宅数の増加は世帯数の増加におおむね対応している状況にあると考えております。

 投資が、今ある住宅、これを維持向上させていくという方向に行かなくて、それを取り壊して新築にする、そういうところにこの乖離の大きな原因があるのではないか、このように考えております。

田嶋分科員 取り壊せばもう一軒減りますよね。

 だから、私が申し上げているのは、ほかの先進国だったら、需給のバランスを物すごく気をつけて、今年はこのぐらい全国で新築するぞということを決めて動いているようなんですね。だから、きちんとコントロールされているから資産価値も守られているんじゃないか、それは家に住んでいる方々の資産を守るための国の務めではないかという感じがするんですよ。

 ドイツなんかは日本の三分の二の人口ですけれども、五十万もいかないですね、せいぜい十五万棟から二十万棟ですから、年間。日本の適正な新築規模は年間五十から六十万棟ではないかと多くのところで私は読みますよ。日本はいまだに九十万棟以上造っているんですよ。みんなで造ってみんなで価値を落としてしまっている、そういうことだと大臣は思っておられるのかどうか、教えてください。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の方から申し上げましたように、日本と欧米の市場構造の大きな違いというものがございます。

 委員御指摘のとおり、日本におきましては約八五%、住宅の流通のうち新築の占めるシェアが八五%ほどでございますけれども、一方で、アメリカの場合には約八割、イギリスの場合ですと八六%、フランスですと約七割が既存住宅の流通によって住宅取得が行われているというこの市場構造の大きな違いの結果として、投資の大半が既存ストックの改善に向かっている欧米と日本の違いが生じていると考えております。

田嶋分科員 そんなことは百も承知なんですけれども、政府はそれに働きかけられる立場じゃないんですか。市場構造というのは、政府と全く無関係に、勝手に起きている話じゃないですよね。新築にいろいろな税制をつけたり補助金をつけたり、リフォームだってやれるわけだから、こういう状況が三十年前から起きていて、ほかの先進国とは違う突出した空き家が始まっているということを見たら、ああ、これは政策を方向転換しなきゃいけないと、そこからやるべきだったんじゃないかというふうに私は思うんですね。素人考えですよ。

 だからそこを、この過去四回、五回の基本計画、どこにもそういう反省もないし、大臣が驚かれたこのグラフを載っけているわけでもないし、何か隠しているわけじゃないけれども、知る人ぞ知る不都合な真実という感じがするんですよね。ここから始めないと、国民みんな、これを知ったらびっくりしますよ。自分の家の価値の問題ですから。

 私もこの間、親の家を売却してよく分かったんですよ。本当にいいかげん、ある意味いろいろなことが。インスペクションなんかもちろんないしね、普通には余りない。だから、やはりこれは、そこをしっかりと反省するところからやらないと、立派な計画を作っても、毎回同じようなことを言っているだけですよ。

 例えば、最新のやつも、「既存住宅中心の施策体系への転換を進め、」転換されていないじゃないですか。だからこういうことになっちゃっているんじゃないですか。今からどうやってこれを修復して、国民の財産、命と財産を守る政府の責任で、この大きな乖離をどうやって埋めていくのかなというところを私は御説明いただきたい、そういうふうに思うんですね、大臣そして国交省には。

 それでは、次の質問に移りますけれども、まあ、余りお認めにはなりませんが、私は、その需給バランスが壊れたことが背景、最大の理由だと思うんですが、既存住宅の流通及びリフォームの市場規模について、逆に言えばそっちを本当は強化しなきゃいけないはずなんですけれども、平成二十八年に住生活基本計画というのが出ているんですね。今回の一つ前です。

 今回の一つ前には、二〇二五年に二十兆円マーケットにすると言っているんですよ。二五年に二十兆。ところが、今回の最新の計画では、五年後ろにずらして、二〇三〇年に、二十兆どころか十四兆のマーケットにすると言っているんですよ。なおかつ、御丁寧に、二十兆の目標は長期的目標だ、こういうふうにすごく下方修正しているんですね。

 つまり、先ほどのように、新築にばかりやり過ぎたということの反省の下に、これからリフォーム、既存住宅、そうしたことに力を入れなきゃいけない。そして、前々回のこの計画では、転換の遅れが認められるということまでしっかり書いてあるんですよ。にもかかわらず、今回、またもや、莫大な金額、年を五年間ずらして、そして、マーケット規模で六兆円も小さくしているんですよ。こんなことを毎回毎回、ころころころころ目標を変えるんですか、国交省は。実現するわけがないでしょう、逃げ水じゃないですか、これじゃ。

 斉藤大臣、多分知らなかったことだと思います。細かいことかもしれませんが、リフォームが大事だといって数字を見たら、前回と今回でこんなに数字が違うんですよ。これでは計画にならぬでしょう。目標達成のためにどうやって支援策を強化するか、そういうことを真剣に考えて実行していかなきゃ目標なんて達成するわけがない。先ほどの、今の世代の努力を怠れば子や孫にツケを回す、そのとおりですよ。ツケを回すような計画を毎回毎回作っているようなものですよ。

 分かっていただけますか、言っていることが。何でこんなことになっているんですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、既存住宅流通市場及びリフォーム市場の規模につきましては、二〇一六年、平成二十八年に策定をいたしました住生活基本計画におきましては、二〇一三年時点で十一兆円でありました市場規模を二〇二五年に二十兆円に拡大するという目標を決めてございました。

 それを踏まえ、既存住宅の流通、改修に係る瑕疵保険制度の推進など、既存住宅流通市場及びリフォーム市場の活性化に向けて取り組んでまいりましたが、しかしながら、令和三年、二〇二一年に策定いたしました住生活基本計画におきましては、二十兆円という目標値は長期的目標として堅持をしつつ、二〇一八年時点で既存住宅流通及びリフォーム市場の規模が十二兆円にとどまっている状況やストックの質の向上が課題となる中で、当面は住宅投資が主としてストックの更新等に向けられることが見込まれることなどを考慮し、二〇三〇年度に十四兆円という新しい中期目標を設定したところでございます。

 今後は、この目標と、長期的目標でございます二十兆円の達成に向け、性能等が確保された既存住宅の情報が購入者に分かりやすく提示される仕組みの改善、既存住宅に関する瑕疵保険や紛争処理の仕組みの充実等を図り、既存住宅に対する安心感を高め、良質な住宅ストックが世代を超えて継承される市場環境の整備に取り組んでまいりたいと存じます。

田嶋分科員 私の言ったことをなぞっているような答弁ですけれども、こういうことじゃ、どんどんどんどん遅れますよね。やれることはやりますというような答弁ですけれども、目標をやはり堅持していただかないと、これは非常に大事ですよ、国交省の双肩に、本当にCO2の五割以上の分野がかかっているのは御存じですよね。経産省、環境省も頑張りますけれども、国交省が頑張ってほしいんですよ。

 特に住宅の部分というのは伸び代が大きいのに、こんなに毎回毎回、大事なリフォームや既存住宅の買換えマーケットのを下げていったら、達成しませんよ、これは。

 大臣の知るところになったからには、是非、全国計画、修正版でも出してください。こんな、黙ってこそっと数字をちっちゃい数字にしていたら、何の計画か分かりませんよ、これじゃ。もっと不退転の決意でやっていただきたいと思います。

 ほかの先進国並みにやはり供給量をコントロールしないと、この空き家の問題は収拾つかなくなりますよ。もうつかないけれども、今でも。治安の問題、防災上の問題、いろいろな意味で本当にこれはまずいと思います。

 新築ももちろんゼロにはなりませんよ。だけれども、優良な、断熱性の非常に高い、いい住宅はやはりもちろん増えてほしいけれども、ちょっとやり過ぎなような気が、もうしませんかね、こうやっていろいろ説明しているうちに。

 大臣、もう少し供給量のコントロールをしっかり強めるようなことを含めて既存マーケットを広げていく、そうした覚悟は聞かれませんか。いかがですか。

斉藤国務大臣 今、田嶋委員と議論しながら、日本の場合、戦争で徹底的に破壊されたという過去がございます。私もアメリカに住んだことがございまして、ほとんど、いい住宅、古くからの住宅、そこに手を入れて住み続けていく。百年、二百年続いている住宅があるというのと、日本のように、私は広島ですが、一旦原爆で徹底的に破壊されました。そういう中で、新たに町をつくって、非常に劣悪な住宅があった。その劣悪な住宅を、新築新築である程度進歩していったわけですけれども、しかし今、本当にいい住宅を造って、それを長く住もうという機運が生じてきていると思います。

 この図を見て、私もこれではいけないと、日本のいわゆる財産形成という意味でも、大変富の損失につながっていきます。これは是非解決していかなきゃいけないということでございますけれども。

 新築の建設、これに規制を加えるべきではないかということでございますが、やはり、これからリフォームなどに投資をしていく価値のある、例えば断熱性能等、そういう住宅を増やしていく。そして、質の悪い住宅、これはできるだけ建設されないようにしていくというようなことを、どのような方策があるか、これをしっかり考えながらやっていかなきゃいけない、このように思います。

田嶋分科員 もう余り検討に充てる時間はないと思いますよ、大臣。検討ばかりやっているうちに三〇年になっちゃいますよ。ほかの先進国で普通にやれていることが日本でなぜできないのかということを問うているんです。結局、国民の資産価値を守っているんですよ、ほかの国は。日本はそうはなっていない。

 それから、広島の状況はもちろんよく分かっておりますけれども、全国、じゃ、自治体によって違うんですかね。全く空き家がない地域はあるんですかね。みんな戦争で大変だったからというのはもちろんあるんですけれども、もうちょっとそれは私も調べますけれども、全国同じような状況じゃないですか、空き家というのは。空襲がなかった地域も含めて。だから、もう少し国土交通省も、やってきたことが三十年、政策転換が間違っていた、遅過ぎたということの自覚が必要だと思います。

 そして最後に、賃貸住宅について。ここはまた大変ですね。自分が住むところじゃないから、断熱性なんて考えて貸していないからね、今まで。

 だから、私の一つの提案は、生活保護の方とか困窮な方々がやはりほとんど、もちろん持家ではなくて賃貸にお住みですから。ここは最新の計画の中でもはっきりうたわれておりますね、住宅政策と福祉政策の一体的対応だと。そして、セーフティーネットという言葉は毎回の計画で出てきています。そういう意味で、私は、一石二鳥、三鳥の政策として、断熱化のようなことを政府として進めていったらどうですか。URも今一生懸命やっているところですけれども、賃貸住宅は気が遠くなるような時間がかかりますよ、家賃も上がっちゃうし、上がっちゃったら苦しい生活の方には大変だし。

 そこに、そういうところに苦しい方が大勢いらっしゃると恐らく考えられるので、もちろん生活保護の方々だけじゃないですよ、障害をお持ちの方や外国人、いわゆる配慮が必要というふうに政府が言っている、住宅の確保に配慮を必要とする方々、大勢がそういう賃貸。そこに私は、断熱リフォームを国のリーダーシップで行っていく。そうすると、その方々の家賃は減らなくても、光熱費が激減しますから。窓から半分エネルギーが出ていっているんですから。大体そういうところはシングルですよ、今。いまだに先進国ではあり得ないレベルの中で暮らしているというふうに言っても過言ではない。

 だから、もうそれは、時間とのことを考えると、ドイツは、室温二十度未満は人間が住んじゃいけないことになっているんですって。イギリスも、断熱性能の低い賃貸物件は禁止され、断熱強化するか解体するか、これをもうやっているんですよ。

 日本もやがてそういうことに向き合わなきゃいけないと思いますが、私の具体的な提案は、そうしたところに内断熱の窓のリフォームをなさったらいかがですかと。確認したところ、ペアガラスで掃き出し窓で、工賃入れて十万円ですよ、一世帯。

 そういう、国が先頭に立ってやっていただければ、全国の賃貸アパートとかでお暮らしの生活の苦しい方々などに、速攻でそうした暮らしを提供できるし、そして、地域の工務店さんへのマーケットもつくられるし、温室効果ガスにももちろん最速で行けるし、国交省の目標に少しでも近づけるというふうに思いますが、大臣、そうしたことを御検討いただけませんか。

稲津主査 斉藤国土交通大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁ください。

斉藤国務大臣 はい。

 賃貸住宅のカーボンニュートラルの実現に向けての断熱化というのは非常に重要だと思っております。

 具体的に、新築の省エネルギーに係る基準、ZEH水準、引上げを行うとともに、ストックの改修についても支援を推進してまいります。これはセーフティーネット登録住宅についても同様でございます。

 これらの取組を通じて、いわゆる住宅に困窮する方等の賃貸住宅の断熱化も、今おっしゃった窓の断熱化もその一つの手段だと思いますけれども、進めていきたい、このように思っています。

田嶋分科員 要は、誰がお金を出すかですよ。待っていたらずっとできないですよ。すごく危機感を感じます。賃貸のアパートとかは、もうこれは本当に福祉政策として国がやっていった方が僕はいいんじゃないかなということを提案しているんですね。細かいことまで全部検証したわけじゃございません。

 是非、国交省の中で検討していただきたいし、また、住宅手当、予算委員会でも申しました、先進国でやれていないのは日本ぐらいだという話なんですよ。やはり、暮らすところが安定するというのは大事なことですよね。だから、住宅手当、そろそろやりましょうよ。

 そのことを最後に申し上げて、終わります。ありがとうございました。

稲津主査 これにて田嶋要君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)分科員 立憲民主党、大西健介でございます。

 私、ちょっと今、党の選対委員長ということで党務をやっている関係で、ほとんど国会の質問に立つ機会がありませんで、今日は分科会、久しぶりに質問に立たせていただきたいというふうに思います。

 私の地元の知立市というところなんですけれども、東海道の三十九番目の宿場町ということで、古来、交通の要衝ということで栄えてきました。現在も、豊田と碧南を結ぶ名鉄三河線、そして名古屋と岡崎を結ぶ名古屋本線のちょうど交わるところ、ここが知立駅という駅なんですけれども、この知立駅付近で、二〇二三年度完成に向けて、連続立体交差事業を進めていただいております。

 ところが、これは二〇二三年度完成予定で、もう大分橋脚も立ち上がってきて、地元ではもうあと少しで完成か、こういう期待感が高まっているところで、完了年度が五年延びると。それから、完了年度が延びる結果、事業費も総額で約七百九十二億円増えるという話を地元で聞きました。

 この事業は、都市計画事業として国が認可して、補助金もいただいている事業であります。この事業主体は愛知県なんですけれども、これは愛知県から国に対して、完成年度が延びるということは、いつ、どのように伝わっているのか、また、事業認可の変更を国は今後どのような手続を経て認めることになるのかについて、教えていただきたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の知立駅付近連続立体交差事業については、昨年の秋頃に、事業主体である愛知県より、事業期間の五年延長及び事業費の増額が見込まれることについて相談があり、国としても内容を承知しているところでございます。

 具体的には、まず事業期間については、本事業が町中の限られたスペースでの工事であること等から、名古屋本線の狭隘部施工にプラス三年かかり、また、知立駅本体の施工にプラス二年かかる見込みであり、合わせて五年の延伸が必要と伺っております。

 また、近年の労務単価や資材単価の上昇、物件補償の追加等により、当初想定の約六百十億円から約百八十二億円の増額が見込まれると伺っております。

 今般、二月八日付で愛知県より事業計画変更について認可申請があったところ、国土交通省としましては、これらの事業期間の延伸及び事業費の増額を含む資金計画についての妥当性を今後審査し、妥当と判断した場合には、事業認可の変更等の手続が進められることになります。

大西(健)分科員 ありがとうございます。

 この事業というのは、非常にもう長い年月がかかっているわけですけれども、完成すると市内の踏切が十個除却されるということで、非常に交通にも大きな利便性が期待されます。

 また、この高架事業に合わせて、地元の林市長も百年に一度のまちづくりということを言っているんですけれども、これは二〇二三年度の完了予定が二〇二八年度に延びるということになりますと、この高架事業に合わせて進められている土地区画整理事業だったりとか市街地再開発事業、駅前の再開発事業、ここにも大きな影響が出るのではないかということを懸念しております。

 また、先ほど申し上げましたように、私が聞いたところでは、国の負担も約八十四億円増え、知立市の負担も約三十一億円増えるというふうに聞いております。

 これは、一般会計が知立市は二百三十億円規模という余り大きな市ではありませんので、こういう自治体にとっては、三十一億も負担が増えるというのは大変な話であります。国としても、いわゆる請求書の額が知らないうちに増えていて、はい、これ、払ってくださいと言われても、ちょっと戸惑うところがあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、この事業費の増額は、国として、労務単価が増えたからこれでお願いしますと言われれば、そのまま認めるものなのかどうなのか。また、こうしたケースで、市の負担額が増加することに対して、何らかの支援が行えないのかということについてもお伺いしたいというふうに思います。

 というのも、これは元々非常に大規模な事業で、知立市の負担分が大きいということで、実は、これは民主党政権のときですけれども、私も地元の皆さんと一緒に協力をして、二〇一二年ですけれども、県が、乗換駅だから知立市だけの負担にするのはかわいそうだということで県の負担を十一億増やしていただいて、それから国の負担も十二億増やして、合わせて二十三億円、知立市の負担分を軽減したという事例があります。

 こういうことも参考にしながら、知立市の負担分を何とかちょっと軽減するような、そういう支援ができないのか、また、この事業費の増額に対して国としてどう受け止めるのか、このことについて御答弁いただきたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国庫補助金の対応についてですが、国土交通省としましては、事業費を精査し、増額が妥当と判断される場合には、予算の範囲内で必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

 次に御質問の、市の負担についてですが、本事業は愛知県が事業主体であることから、国土交通省としては、補助金の交付を県に対して行っております。

 その上で、地方負担分については、県から市に対しても一定の負担を求めていると伺っているところ、今回の事業費の変更に関する市の負担の取扱いについては、まずは愛知県と知立市でよく御相談をいただくことが重要と認識しており、国土交通省としても、よく相談するよう、事業主体である県に働きかけてまいりたいと考えております。

大西(健)分科員 今、御答弁の中で、これは県主体の事業だから、国交省としても市に県とよく相談するようにという、こういう御答弁もいただきましたので、私も、大村知事含めて県にもお願いをしていきたいというふうに思っております。その面でも、側面からの御支援というのをまた賜れればなというふうに思います。

 次に、私の地元の西三河の地域というのは、これは日本の物づくりを牽引する地域であります。我が国の製造品出荷額の約一割をこの地域で生み出しているという地域であります。

 一方で、今、鉄道でいうと名古屋本線という話をしましたけれども、東西を結ぶ道路としては国道一号、これはいわゆる旧東海道なんですけれども、国道一号、それから国道二十三号名豊道路、もう少しで全面開通するということでありますけれども、こういう道路が二つ、西三河に通っているんですけれども、非常に慢性的に渋滞をしている。特に境川、ちょうど三河と知多の境に境川というのがあるんですけれども、あと衣浦湾というのがあるんですけれども、この衣浦湾とか境川を渡る区間というのが、非常に橋なんかが渋滞をしている。また、愛知県は南海トラフの地震を始めとする大規模災害の発生も危惧されています。

 この点、新広域道路計画の高規格道路に位置づけていただいた名古屋三河道路、これは名古屋港から新東名高速道路を結ぶ道路でありますけれども、物流効率化による生産性の向上、まさに地元トヨタを始めとする自動車産業というのは、もう一円一銭、部品の値段、原価低減を必死でやっているわけですけれども、物流コストを下げることができれば、これは非常に生産性の向上に結びつく。そして、伊勢湾岸自動車道というのがありますけれども、災害に備えたダブルネットワーク、これも必要だというふうに思います。

 そういう意味で、この名古屋三河道路、大変重要な道路です。この早期実現に向けて、有料道路制度等の活用を行うなど、整備に向けた財源確保の取組を進めるとともに、これを重要物流道路に指定をしていただいた上で早期実現を図っていただきたいと思いますけれども、大臣から強い御決意をいただければと思います。

斉藤国務大臣 委員御指摘のように、名古屋三河道路を整備することによって、自動車産業などが集積する西三河地域や知多地域における物流の効率化、そして伊勢湾岸自動車道とのダブルネットワーク化による高速道路ネットワークの信頼性の向上などの効果が期待されます。

 名古屋三河道路は全体延長が約五十キロメートルに及ぶため、地元から、特に交通課題の著しい知多市の西知多道路付近から安城市の国道二十三号付近までの区間を優先的に検討すべきとの御意見をいただいております。

 国土交通省としましては、名古屋三河道路について、引き続き愛知県を始めとした関係機関と連携し、その財源も含めて、鋭意調査を進めてまいります。

 また、名古屋三河道路の重要物流道路の指定については、この道路が物流において果たす役割も踏まえ、検討していきたいと思っております。

大西(健)分科員 今大臣に御答弁いただいた、まさに知多から二十三号線安城市付近、この安城というのが私の地元の選挙区ですけれども、まさにそこは本当に最優先で進めていただけるとありがたいなと。先ほども言いましたけれども、衣浦大橋という衣浦湾を渡る橋のところがすごく渋滞するんですね。ですから、ここがもう一本、衣浦を渡る道ができれば、相当な物流の効率化に資するんじゃないかというふうに思っておりますので、是非とも力強く御推進をお願いしたいというふうに思っております。

 あわせて、先ほど来申し上げているように、自動車産業のいわゆる物流の効率化の観点でいうと、私、高速道路の値段をやはり何とか下げられないかなと常々思っております。

 そういう中で、昨年の八月、国土幹線道路部会は、老朽化による修繕費の増大に対応するため、二〇六五年度までとされている高速道路の有料期間の延長を求める中間答申をまとめました。今回の延期では、借金を返済し終えて無料にする時期は明示をせず、一方で、維持管理のために無期限で料金徴収を継続するかという論点、つまり、これは永久有料化とよく言われるやつですけれども、この部分については、引き続き議論する必要があるとしています。

 高速道路の在り方については、これまで、私、正面から議論を避けてきて、そして場当たり的な議論をしてきたんですけれども、これはもう限界に達しているんじゃないか。五〇年を六五年にして、今度は六五年をまた延ばすけれども、その期限は今回明示しないということですけれども、こういうことを繰り返すんじゃなくて、もうそろそろ、便益や負担について国民にしっかり説明して、この永久有料化、つまり料金徴収を継続するかどうかということについても結論を得ていく、国民的なコンセンサスを得ていく、そういう時期に来ているんじゃないかというふうに私は思います。

 この永久有料化、別の言い方をすれば、もう償還主義を取らないということであれば、現在の高速道路料金を大幅に下げることが可能です。例えばですけれども、ワンコイン、五百円で、定額で乗り放題ということになれば、入口で料金を入場料のような形で払えば、出口は開放することができる。非常に物流の効率化を図れるというふうに思います。

 そして、愛知県は戦国武将のふるさとなんて言われますけれども、織田信長は何をやったか。関所を廃止して楽市楽座をやった。まさに、定額化すれば、出口の料金所は要らなくなります。物流コストが下がって、経済活性化にもなるし地方創生にもなると思いますけれども、この考え方に対する大臣の御所見を伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 現在の高速道路の有料道路制度においては、高速道路の建設や維持修繕等に必要な費用を利用者からの料金収入により賄うことが原則となっております。なお、建設等のために借り入れた債務を償還した後には無料で開放する、そういう制度になっております。

 永久有料制度については、昨年八月に取りまとめられた社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会の中間答申において、「料金徴収を継続するか、税負担に切り替えていくのかという論点については、超長期の将来の見通しをもって議論する必要があり、道路交通を取り巻く環境の大幅な変化等を見据えながら、引き続き議論を継続する必要がある。」と御意見をいただいています。

 また、債務のうち償還の対象を見直すことについては、中間答申において、価値が経年的に減少しない土地等に関する債務を保有し続けるという案も含めて、永久有料についての議論と併せて検討することが望ましいとの御意見をいただいております。

 仮に永久有料制度を導入する場合は、今後の維持管理や更新事業等のために必要となる費用がどの程度となるかによっても影響を受けますが、単年度の債務の償還と利息の支払いの合計が減少することもあり得ると考えられます。

 一方、高速道路の料金の引下げについては、今後の更新事業や暫定二車線区間の四車線化などの追加投資に伴い、債務が増加することを考慮し、他の交通機関とのバランスなどにも留意しながら、慎重に検討していく必要があると考えています。

 また、高速道路料金の定額化については、長距離利用者と短距離利用者の負担の公平性が損なわれることや、短距離利用が割高になるため、高速道路が利用されにくくなるおそれがあるなどの課題があると考えています。

 高速道路の料金については、中間答申において、「ライフスタイルや人口構成などの変化に合わせて、料金割引の内容を適切に見直していく必要がある」との御意見をいただいております。国土交通省としては、これを踏まえ、高速道路の利用促進を図り、地域経済の活性化につながることを目指して幅広く議論を行い、高速道路を利用しやすい料金となるよう検討してまいります。

大西(健)分科員 御答弁の内容は全て至極もっともなんですけれども、引き続き議論する必要があるって、いつまでも議論を先送りしていちゃいけない問題だというふうに思います。私はやはり、一定の結論を得ていくために、広く国民的な議論をもうしていかなきゃいけない、そういう段階に来ているんじゃないかというふうに思いますので、是非とも、先送りすることなく御検討いただきたいというふうに思います。

 次に、自動車ユーザーが支払う自賠責保険が、二〇二三年度以降、最大で年間百五十円引き上げられるという見通しであります。今国会に法案が提出されるということでありますが、ユーザー負担を求める以外に本当に道はないのかということなんです。

 自動車安全特別会計の被害者支援事業は、積み立てた保険料の運用益で賄われていますけれども、低金利によって、過去五年間だけでも、毎年七十七億から九十九億を積立金から取り崩して、不足分に充てているということであります。

 一方で、政府は、一九九四年、九五年に、財政難を理由に自賠責特会から約一兆一千二百億円を一般会計に借り入れていて、昨年の暮れ、財務大臣と国土交通大臣の間で、二二年度からは返済額を七億円増やして五十四億円にして、これを、今後五年間はこの五十四億円ずつ返していくということを決められたということでありますけれども、その合意と同時に、今、先ほど申し上げました賦課金の拡大、これもやって、保険料の引上げをするという方針を確認されたということであります。

 しかし、先ほども言いましたけれども、この返済額ですけれども、増やしたといっても、五十四億円だと返済に百年以上かかる。しかも、先ほど言いましたように、過去五年間で積立金を取り崩しているのは七十七億とか九十九億なんです。取崩し額よりも少ない五十四億円を返済する。だから、七十七億とか九十九億とか、取崩し分をちゃんと返済してくれれば、賦課金の拡大なんか要らないんです。

 なのに、これで本当に自動車ユーザーの理解が得られるのか。せめて取崩し分だけぐらい返済されるというのが私は筋であって、これではなかなか自動車ユーザーも、保険が上がるんです、はいそうですかと納得できないんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 国土交通省では、ユーザー団体や被害者、御遺族の方々を構成員とする今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会を昨年八月に設置し、被害者の皆様から、支援拡充の早期実現や、持続的な被害者支援が可能となるよう制度の恒久化を求める切実な声をいただきました。

 その検討会におきましては、一般会計からの繰戻しを財務省に強く求めるべきだ、繰戻しの返済計画、ロードマップを示すべきだという御意見をいただく一方、事業を積立金の運用益で賄う現行のスキームは低金利により破綻している、まとまった額が繰り戻されることを前提とした施策の充実や持続的な推進は現実的ではないとの御意見もあったところです。

 このような議論を経て、本年一月の中間とりまとめでは、被害者等が安心して生活できる社会の実現に向け、一般会計からの繰戻しが継続して着実に行われることを前提に、安定的な財源を確保し、持続可能な仕組みへの転換を図ることが適当とお示しいただいたところです。

 国土交通省としては、検討会の御意見や、昨年十二月の新たな大臣間合意も踏まえ、引き続き、財務省に対し残額を繰り戻すよう強く求めていくほか、具体的な賦課金の水準の検討に当たってはユーザー負担を可能な限り抑制するなど、ユーザーの皆様の御理解が得られるよう努めていきたいと思っております。

大西(健)分科員 大臣は返してもらう方ですからね、返さない方が悪いので、是非しっかり返してもらって、そして、自動車ユーザーの負担を増やさない方向で、理解が得られるような、そういう返済額を、是非しっかり財務省に求めていただきたいというふうに思っております。

 次に、狭隘道路の解消、これは、救急車とか消防車両が入れない、そういう狭い道がたくさんあるということで、防災・減災、国民生活の安心、安全の観点からも喫緊の課題であります。

 狭隘道路解消の根拠となる法令は、建築基準法第四十二条第二項のみであって、国による統一的な制度や基準が存在しておりません。また、財源も社会資本整備総合交付金に求めるしかなく、狭隘道路解消に特化した財源もないために、自治体では他の事業を優先させて、狭隘道路解消にはなかなか予算が回らないのが、これが実態だと聞いております。

 狭隘道路解消のためには、国による統一的な制度や基準の策定、必要な財源の確保や個別補助金制度の導入が必要と考えておりますけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 高度経済成長期に急激な都市化が進む中で、狭隘な道路と無秩序な住宅地が形成され、このような住宅市街地においては、緊急車両の通行、災害時の避難路確保、それから日照、採光等の確保など、多くの課題があると認識しております。

 建築物を建て替える際には、建築基準法に基づき、道路の中心部から建築物の壁面まで一定の距離を確保する必要があることとされており、これに伴って壁面を後退させる、いわゆるセットバックを行うことがあります。

 国土交通省では、このセットバック部分の用地買収や舗装等に対して、狭あい道路整備等促進事業により支援を行っているところでございます。令和三年度は、二百八十八の地方公共団体において、本事業を活用した狭隘道路の解消が進められているところです。

 さらに、地方公共団体における狭隘道路の解消に向けたモデル的な取組を取りまとめ、国土交通省のホームページで公表するなど情報提供を行っており、狭隘道路の解消に向けた同様の取組を推進しております。

 引き続き、地方公共団体と連携し、狭隘道路の解消に向けた取組を支援していきたいと思っております。

大西(健)分科員 これは本当に命に関わる部分ですので、今、先進的な取組をしている自治体というお話がありましたけれども、例えば、先進的な取組をしている自治体であっても、今の実施状況だと、もう解消には百年以上の歳月がかかるということであります。ですから、やはり独自財源をしっかり確保していくということが必要だと思います。

 ちなみに、私の選挙区のお隣ですけれども、岡崎市というところには条例がありまして、狭あい道路拡幅整備に関する条例というのがあるんですけれども、これは、例えば測量とか登記を市がやってくれる。あるいは、支障物を撤去する費用などの補助制度があったりとか、隅切り用地を寄附すると奨励金が支給される。こういう、ちゃんと財源、補助金みたいなものがセットになって、市と事前協議をして認められればこういういろいろなメリットがある、こういう制度があるんですね。これは非常に先進的な取組として注目を集めていますけれども、これはあくまで岡崎市の条例です。

 これと似たような、全国で適用されるような、私は一つの、例えば狭隘道路解消推進法があったら、そういう法律があったらいいなと思うんですけれども、そこまでいかなくても、国土交通省が一つの基準というか、これを示していただければ、これは大分狭隘道路の解消が進むんじゃないかなというふうに思いますので、是非ともそういうことを検討していただければというふうに思います。

 最後に、自動車整備士の担い手不足の問題についてお聞きをしたいと思います。

 自動車整備工場など、現場では人材の奪い合いも起きていて、このままでは車の安全確保にも影響を及ぼしかねないというふうに懸念をされております。また、先般、不正車検問題というのがありましたけれども、この背景にも整備士不足の影響があるんじゃないかという指摘もあります。

 先日、岸田総理は、参議院予算委員会での浜口誠議員の求めに応じて、整備士との車座対話を行っていただいたということであります。ニュースにも出ておりましたけれども、その際、総理も、この整備士不足解消のためには処遇改善と賃上げに取り組まなきゃいけないということを述べられています。それはもう全くそのとおりなんですけれども、ただし、問題は、どうやって賃上げするのかということだと思います。

 例えば、公費が入っている介護職員とか看護師とか保育士とか、そういうのは国が補助することによって賃上げすることができると思いますけれども、整備士というのは民間の職業ですから、この給料を上げようと思ったら、やはり整備業界自体の利益率が上がるような仕組みをつくって、そしてそれを賃上げに回していただくということをしていかなきゃいけないんじゃないかと思います。

 この点、例えば、ある現場で働く一級整備士の方は、工賃の仕組みをユーザーに理解してもらって、工賃をもらいやすくすると。なかなか、何をやってもらったらどれだけお金がかかるんだという、その工賃の仕組みがユーザーに理解されていない部分があるんじゃないか、それをもっと分かりやすくして、こういうことをやってもらうとこれだけお金がかかるんですよということをしっかり示して、料金をしっかりもらっていこうと。

 あるいは、今は点検料金というのがサービスになっちゃっている。それを定額化して、点検料金みたいなものもちゃんといただいていこうと。

 あるいは、重量税の納付のタイミングを変えることや、これはなかなか難しいと思いますけれども、納付のタイミングを変えるのが難しくても、例えば重量税や手数料をオンライン決済に切り替えることで、ユーザーが車検整備にお金をかけられるようにする。重量税を払っちゃうとお金がなくなっちゃうから、車検整備の方はどうしても安く済まそう、安く済まそうという話になってしまっているんじゃないか。

 こういう具体的な提案を、まさに一級整備士として現場で働いている方が提案をされています。

 では、政府は、どうやって整備士の賃上げを実現するつもりなのか。総理は、賃上げしよう、これはもうそのとおりなんですけれども、では、具体的にどうやって賃上げするというふうに考えておられるのか、お考えをお聞かせください。

秡川政府参考人 先月の十三日、岸田総理と斉藤国土交通大臣が自動車整備の現場を視察するとともに、自動車整備士を始め、自動車業界の方々と車座対談を行いました。

 車座対談を踏まえて、岸田総理は、国として環境整備を進め、自動車業界の皆様にも、賃上げが業界の更なる成長につながるという発想で協力をいただきたいという旨を述べられました。

 自動車整備士の賃上げについては、これは先生御指摘のとおり、自動車整備事業において自体の収益力の向上というのが必要だと思っていまして、業務範囲の拡大や生産性の向上というのが大事だと思っております。

 このため、国土交通省としましては、衝突被害軽減ブレーキとかペダル踏み間違い急発進抑制装置といった、新技術を搭載した車両を整備するために必要な設備の導入を支援するということで、整備事業者が新たな業務に取り組むことを後押ししているということがございます。

 あと、整備事業の生産性向上に向けて、来年一月に予定しています車検証の電子化とか、あと、車両のセルフチェック機能を活用した車検時の確認方法の導入によって、車検業務の効率化が図れるんじゃないかというふうに考えております。

 国交省としては、今後とも自動車整備事業における収益力向上を支援する取組を進めていきたいというふうに思っております。

大西(健)分科員 私も地元で民間整備工場の皆さんから、いや、整備士がいないんだ、誰か整備士になる若い子はいないかなというお話をよくいただきます。

 昔は、車が好きで、車をいじったりバイクをいじったりというのが好きで整備士になりたいという子もたくさんいたんですけれども、今、なかなかそういう子がいないということと、やはり給料が安いという、これは、私がネットでいろいろ検索していると、そのうち、その検索した結果が多分反映されてか、ネットを見ていると整備士の求人広告みたいなのが出てくるんですよね。それを見ると、整備士、決して今、稼ぎが悪いわけでもないよというような情報も出てくるので、給料が安いというイメージがちょっと定着しちゃっているところがあるのかなと。

 そういう部分も含めて、この整備士という仕事は非常に社会のために欠かせない必要な仕事なんだということで、決して、ちゃんと働けば安い給料でもないというような、そのイメージアップみたいなことも国土交通省としても図っていただければなというふうに思っております。

 少し時間が余っているかもしれませんけれども、以上で私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

稲津主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)分科員 国民民主党の田中健です。

 第八分科会、最後のバッターとなりまして、質問をさせていただきます。元気に頑張りたいと思います。

 サクラエビから話を始めます。大臣も食べたことがあるかもしれませんが、海の宝石と言われまして、国内では駿河湾だけで専門の漁が行われておりまして、静岡が誇る食材であります。

 このサクラエビが十年ほど前から大変によい漁場だった富士川沖で激減をしまして、いまだに不漁が続いています。これは、黒潮の流れが変わったとか、自然環境が変わったというような大きな研究もされているんですが、漁場である駿河湾に注ぐ富士川の河川の環境が今注目をされています。ニッケイ工業という会社の高分子の凝集剤入りの汚泥の不法投棄の問題がありましたり、富士川に流れ込む雨畑ダムの堆砂の問題、そして日本軽金属の水利権の問題と、それぞれの問題が三位一体のように複雑に絡み合っていると言われています。

 今日は、その中で、水利権の問題について伺いたいと思います。

 日本軽金属が持つ波木井発電所の水利権が来月、三月に更新期限から二年たちますが、もう二年以上たつにもかかわらず、いまだに許可が下りていないという状態が続いています。どうしてこれだけ時間がかかってしまっているのかをまずお聞きします。

井上政府参考人 波木井発電所の水利使用許可の更新については、河川法第三十六条に基づく山梨県知事への意見聴取など、必要な法定手続に加え、現在、国、山梨県、流域自治体、申請者である日本軽金属との間で、波木井発電所での取水を減らし河川の水を増量できないかについて合意形成を図っており、その協議に時間を要している状況です。

 この協議の場は、国土交通大臣からの意見聴取に対する山梨県知事の回答において、波木井発電所の取水を減らし可能な限り河川の水を増やしてほしい旨記載があったことから、国と山梨県が仲介役となり、流域自治体、申請者に呼びかけることで実現したものです。

 現在も地元の関係者で合意形成に向けた調整が継続して行われていることから、国としても、この場での合意形成を尊重した上で水利使用許可の更新を行いたいと考えており、結論を注視しているところです。

田中(健)分科員 るるお話をいただいたんですが、かなり地元の人たちも注目していまして、二年、これは、許可が下りなくてもそのまま水利権を使えるという、法的には問題はないということではあるんですが、それでも、やはり二年間、権利がないままお水を使っているというのは異常な状況かと思います。

 今説明を少しいただきましたが、この間、協議がどのような段階で進められてきたのか、具体的な中身を教えていただければと思います。

井上政府参考人 先ほどもお答えさせていただきましたけれども、我々としては、水利権の許可のときに、川に水をできるだけ増やしてほしいという地元の声がありました。それがちゃんと法定手続の中で意見聴取で来ましたので、それに応えるための関係者の調整、特に、今の更新申請者である日本軽金属の方に、取水を減らして川に戻せるかということ、どれくらいちゃんと戻せるのか、それが地元の希望に沿えるのか、そういうようなことを合意形成ができるような場をつくって進めているところ、そういう手続を取っているので時間がかかっているということでございます。

田中(健)分科員 協議内容というのは非公開でありまして、やはり地域の人から見ると、ブラックボックスじゃないかとも言われていまして、今教えていただける範囲の中身を聞きますと、前向きな議論が進んでいるという、一部そういうお話も聞けましたので、是非、可能な限り情報公開に努め、そして地域の人たちにも理解を求めながら進めていただければと思います。

 この波木井発電所を運営する日本軽金属は、その他に五つの発電所を保持しています。おととし、国のFITの適用を受けて水力発電の電力を売電していたという実態が地元の静岡新聞社によって明らかになりましたが、改めて、これは事実でしょうか。また、売電していたのは波木井発電所だけでよろしいでしょうか。伺います。

茂木政府参考人 今委員から御指摘いただきました波木井発電所でございますが、二〇一五年の三月に再エネ特措法の認定、いわゆるFITの認定を取得しておりまして、二〇一九年の四月から運転を開始しております。現在も運転は継続しているというふうに承知をしています。

 日本軽金属が所有する発電所が複数あるのは承知しておりますが、FITの認定を取得しているのはこの波木井発電所のみでございます。

田中(健)分科員 二〇一九年から売電を行っているということでありますが、これまでどれだけ売電によって収益を得てきたのか、また、現在の運用はどうなっているのか、伺います。

茂木政府参考人 売電収益については、これは個社の営業情報でもありますのでコメントは差し控えたいと存じますが、認定を取得したのが二〇一五年でございますので、買取り価格はキロワットアワー当たり二十四円ということでございます。

 それから、波木井発電所の認定出力は二万一千八百九十七キロワットというふうに承知をしておりますので、これがどのぐらいの運転稼働率で運転されているかによって売電収入が決まってくるということかと存じます。

田中(健)分科員 売電の記事を受けて、二〇年に国交省は軽金属に実態調査、立入調査も行っているということから、詳細は把握しているはずであると思います。また、分かる限りの調査というのも事前にお願いをしましたが、言えない理由は何かあるんでしょうか。改めてお聞きします。

茂木政府参考人 繰り返しでございますが、売電収益、これ自体は個社の営業情報でございます。諸元としての買取り価格と出力については認定を取っておりますが、実際にどれだけ稼働して、買取り量がどれだけになっているのか、それによって企業にどれだけの収益が入っているのかというのは個社の情報ということになりますので、私どもの方からはコメントは差し控えたいというふうに存じます。

田中(健)分科員 私も、問題がなければ一企業の内情について聞くことはいたしません。

 と申しますのも、資源エネルギー庁の水力発電事業計画策定ガイドラインには住民や自治体への説明の必要性がうたわれております。しかし、この会社は、これまでその手続を一切行わずに、ある意味ひっそりとという言い方が適切か分かりませんが、FITの認定を受けていました。つまり、地元の住民も自治体も、売電自体のことも当然、さらに、FITを使っていることも説明がされておらず、知りませんでした。これを静岡新聞が指摘しなければ、今でも分からなかったのかもしれません。

 ガイドラインが守られていなかった件はどう認識をしていて、また、それに対してどういう対応を図ったのか、お聞きします。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 まず、再エネ特措法、いわゆるFIT法でございますが、こちらの中で、認定に当たっては、事業計画策定ガイドライン、これを遵守していくということを求めております。その中で、発電事業者が地域住民と適切なコミュニケーションを図ること、これを努力義務というふうにしております。これに違反しておりました場合には、再エネ特措法に基づきまして私どもが指導させていただく、そういった対処をしていくということになります。

 今御指摘がございました波木井発電所については、事業者からは、関係する自治体と相談の上で事業を実施しているというふうに私どもは聴取をしております。また、現時点で御地元の方から経産省に対しては直接の御相談を受けていないということですが、こうした御指摘もございますので、やはりこれは事業者の方にも改めて事情を確認させていただき、関係自治体にも状況について確認をさせていただきたいというふうに存じます。

田中(健)分科員 これも報道にありましたけれども、各市区町村に説明があったかという問いに関して、なかったということが明らかになっていますし、また、私も地元の一人ではありますけれども、地元の人も知らなかったと。

 そもそも、元々地元で、あの発電所、売電しているんじゃないかといううわさがまことしやかに言われていまして、それを新聞社が情報公開請求の下に明らかにしたという経緯があります。

 今、現時点での詳細を調べていただけるということでありますので、しっかりと事実関係を確認していただきまして、対応を取っていただきたいと思います。

 そもそも、日本軽金属というのは、ゼロ戦用のアルミ合金を製造する軍需工場としてスタートしています。戦後も、アルミは経済発展の重要物資として、その製錬のために富士川地域の水利権獲得に成功しました。二〇一四年にはアルミの製錬からは撤退をしていますけれども、アルミ加工が続いておりましたので、これは必要であるということで水利権を保持してきたという経緯があります。

 しかし、今確認したように、自家発電した電気を電力会社に高値で売却しています。国交省にお聞きしますと、当初の目的が変わったとしても問題ないという立場だとお聞きをしましたが、しかし、目的外使用については専門家の間でも様々な意見があって、今議論が飛び交っています。

 水利権の目的及び事業内容については、大前提として、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与し、公共の福祉の増進に資するものである、これが定められています。今回の件は、それに照らし合わせても問題はないというふうに言えるでしょうか。お聞きします。

斉藤国務大臣 水力発電は、日常生活や産業活動に不可欠な電力を生み出す事業であることから、自家消費か売電かにかかわらず、公共の福祉の増進に資するものであると考えております。

 このため、波木井発電所における発電を目的とした水利使用に許可を与えていることについては問題ないと考えております。

田中(健)分科員 法的には問題ないとしても、先ほどの、調査をしていただけると言ったんですが、ガイドラインに違反しているというおそれがあるまま手続を進め、さらに、会社のホームページを見ますと今なお、電力の大部分は自家用水力発電から供給され、一部不足分は買っているというふうに、調べてきましたが、今日のホームページに載っています。つまり、今の水利権による発電だけでは足りないということを会社自体が正式に発表しています。

 これは、FITの適用を受けて売電する余力があったということと矛盾しているんじゃないかというふうに思います。この記載については大変疑問に思い、また、これは虚偽の記載に当たるのではないかと思います。

 FITの承認をしている経産省、また、この会社に水利権を付与しています国交省、それぞれの見解を伺います。

茂木政府参考人 まず、日本軽金属がホームページで記載している内容については、私どもとしては、個社の問題ですので、記載について、虚偽かどうかについてコメントする立場にはないというふうに考えています。

 また、FIT法上何か問題があるかということについて申し上げますと、FIT法自体は、会社そのものというよりは、発電設備ごとに認定をするという形になっています。

 したがって、FIT法上は、この波木井発電所の認定申請に対して、認定基準をきちんと満たしているか否かということで判断を行っておりますので、波木井発電所についてはFIT法の認定基準を満たしているということでFITの認定を受けておりますので、この点において法令違反があるということではございません。

井上政府参考人 私の方は、水利許可の方の立場でお話をさせていただきます。

 一般論になりますけれども、水利使用の許可は、公共の福祉の増進に資するものであるか、二点目は、確実に水が利用されるか、三番目は、安定的に取水を行えるものであるか、さらにもう一つ、治水上その他の公益上の支障を生じるおそれがあるかないか、これらを総合的に勘案して判断しています。

 議員御指摘いただいた、虚偽のことではないかということについては、私どもはまだ承知しておらず、コメントは差し控えさせていただきます。

田中(健)分科員 そもそもFITは、今説明を受けまして、設備に対して許可を与えるということであるんですけれども、FITは元々、新たな太陽光や風力といった再生可能エネルギーの設備の構築を促す狙いで、電気の高値の買取りを保証するものであります。この価格買取りは、全国の事業者や家庭の電気料金に上乗せをされる仕組みです。つまり、今回の売電のコストも電気料金に上乗せをされて、さらに、一般の消費者や事業者にも負担になっているということが分かります。

 元々FITには、制度的に全てを管轄できる、ないしは管理できるというものではないという欠点があるのかもしれませんが、適用を認めた経産省としての責任はこの点に関してはないでしょうか、伺います。

茂木政府参考人 繰り返しでございますが、FIT法の認定はあくまでも設備認定で行っておりますので、基準に見合っているかどうか、設備を適切に、そうした管理がきちんと行われているかどうか、それから、認定は、そこで発電された電気をきちんと市場に売って再エネの供給量に貢献するということになりますので、それがほかに使われていないかどうか、こういったことがきちんと確保されていれば、FITの認定としては違法ということにはなりません。

田中(健)分科員 そもそもFITには様々、制度的な、まだまだ虚偽があるかと思いますので、また議論を改めてしたいと思っています。

 河川環境を回復したいという声は、発電のために大量の水が取られ、また、河川の水量が非常に少なくなっている地域に、これは富士川だけでなく全国共通する要求でもあります。あるいは、観光やアウトドア等でこの魅力を増すために豊かな自然環境の河川流量を回復すべしという要望も、恐らく全国で来ているかと思います。

 河川法には関係住民の反映というものが明記されていながら、どうしても更新の手続というのは地域住民の意見が直接反映できるシステムになっておりません。取水事業者と河川管理者とによって更新がなされているのが現状です。住民としては、富士川はアユが有名だったんですけれども、例えば、アユが捕れる川にしてほしいとか、サケが捕れる川にしてほしいとか、感情的に川の水を半分戻してほしいとか、そういった表現しか取ることができないのが現状であります。これを取水する際の具体的な条件に変える必要があって、その基本が河川の維持流量ということだと考えています。

 富士川においての河川維持流量というものの詳細を伺うとともに、他の川においての河川維持流量の設定の状況というものを伺います。

井上政府参考人 河川の維持流量は、その決め方、設定の仕方ですけれども、代表的な魚類の生息や繁殖の場所はどこか、その魚類ごとに生息や繁殖のために必要な水深や流速はどれくらいか、あるいは、川にとってふさわしい景観が保たれる水面幅はどれくらいかなど、各種調査の結果を踏まえて設定されます。

 現在、富士川では、国土交通省が維持流量に関する各種調査、検討を進めているところです。

 なお、もう一つ御質問いただきました、富士川以外ではどうかということですが、国が管理しております全国百九の一級河川のうち、維持流量を設定しているのは利根川、淀川など九十五河川になっています。

 一方、設定されていない河川は御指摘のありました富士川や常願寺川など十四河川あり、現在、必要な調査、検討を行っているところです。

田中(健)分科員 九割近くがもう決まっていて、決まっていない一つの川になってしまっているんですけれども、この富士川、いつになっても決まらないというのが地元の声であります。

 前回の水利権の更新が一九八二年です。このときの新聞にも地元の声として、全く同じです、水利権の一部をカットして富士川の流れを取り戻してほしい、豊かな自然を取り戻してほしい、これは私が生まれた頃ですけれども、その要望が出ていました。もう四十年、とにかくお願いの声しか上げられない住民の気持ちを是非分かってほしいと思います。

 この河川維持流量を、検討中ということをお話ししましたが、一日も早く決めて、これを基に議論を進めていけば、感情論でなくて建設的な議論ができるのではないかと思っております。いつ頃まで待てばよろしいんでしょうか。スケジュールをお聞きします。

井上政府参考人 先ほど申しましたように、富士川では、これまで、維持流量に関する各種調査、検討を進めてきているところです。

 富士川は、委員御存じのとおり、先ほどから話になっているように、戦前の頃までに、川の中の水が少ない、ほぼ現在の水の利用の形態となっていて、その状態が長年ずっと続いてきている状況にあります。そこで、先ほど申しました魚類など生物の生息場の評価というのは難しいということがあったり、それから、河川から地中に浸透して水量がどう変化するのか、伏没ということで、伏流水になってしまう、そういうようなことは把握が難しいことから、これらの調査、検討に時間を要してきました。

 ですが、来年、令和四年度中には、これまでの結果を取りまとめて、維持流量を設定いたします。

田中(健)分科員 ありがとうございます。地元の人は大変悲願でありますので、まずそこからがスタートだと思っていますので、是非一日も早い発表をお願いしたいと思っています。

 更に言えば、平成十五年、国交省が、河川環境のための水利調整報告ということで、様々な、水利権の更新のときの、放流をしたり、また、それができなければ流況変動というものを生かした放流を取り入れようと。いろいろな研究報告が出ていまして、信濃川においては一定の効果が表れたということであります。

 是非、この河川維持流量、四年には発表すると今言っていただいたんですけれども、その間にも試験放流等を行うなど、河川環境改善に向けて、取り得るあらゆる対策を全て講じてほしいと思いますが、見解を伺います。

井上政府参考人 委員の御指摘のように、いろいろな場面を捉えて、河川の方に水を戻して環境を回復するということは重要だというふうに思っています。

 委員から御指摘があったほかの事例ということで、ダムの下流の水を回復するような試験運用、試験放流のようなことをやっております。

 御存じだと思うんですけれども、富士川においても、日本軽金属が所有している波木井発電所ほか三か所においては、信濃川でやっているような、発電のガイドライン、減水区間のガイドラインに従って、もう既に簡易な手法で維持流量を設定して、先ほど申しました生物の調査を積み上げていったのは来年であるんですけれども、そうじゃなくて、どれくらいの面積が上流にあるので、これくらいを最低限、発電所の取水地点より下でも確保しましょうということについては、もうこの富士川でも我々は指導してきて、既にその対応はなされてきているところです。

 それから、最初に申しましたように、水利使用の許可、今回更新をするわけですけれども、地元自治体、流域の自治体と発電事業者の合意によってより多くの流量を確保しようというような取組に対して、その協議が円滑に進むように促しているところです。

田中(健)分科員 ありがとうございます。あらゆる手段を使って御協力いただけるということで、その点については感謝をいたしたいと思います。

 あと、もう一点の視点です。河川法では、一九九七年改正におきまして、これまでの治水、利水に加えて河川環境の整備と保全がうたわれまして、環境面への配慮や生物の保全といった視点が新たに加わりました。

 この点、国交省が行っている河川水辺の国勢調査、これが大変重要なものになってきています。地元においては、これが今の富士川の現状を把握できていないんじゃないかという声が上がっています。

 と申しますのも、昨年十一月に、山梨県側の民間の研究者、地域自然財産研究所の篠田さんが調査をしますと、川虫ですね、アユや、底生生物と言われる、自然の環境の、水の調査の基準となる川虫が激減していることが調査で分かりました。この原因は不明でありますけれども普通じゃないというお話を聞いていまして、ダム由来の濁りや、水力発電時の取水による水かれが原因の可能性もあるんじゃないかという指摘があります。

 是非、この国勢調査をうまく使って、今の置かれている現状を、富士川水系がどうなっているのかという徹底的な調査も併せて行っていただければと思いますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 河川の管理に当たっては、河川環境を把握した上で、多様な生物の生息、生育、繁殖環境の保全や創出に配慮することが重要であると認識しています。

 委員から御指摘がございましたように、国土交通省では、国が管理する区間の河川環境の全体像を把握するため河川水辺の国勢調査を実施しており、富士川本川においても、五年に一度をめどに、魚類や川底に生息する底生生物を調査しています。

 なお、今までの調査におきましては、これまで三十年間調査を実施してきまして、生物分野の有識者からは、生態系への影響が見られるものではないというふうな御意見もいただいているところでございます。

 ただ一方で、河川の規模が小さいために、小さい支川、御指摘のありました早川とか、そういうところにつきましては、河川水辺の国勢調査が行われていない、そういったところもあります。そういうところにつきまして、委員から御指摘のございました地域の研究者からも、底生生物の数が減っている、そういうような話があるのは承知しております。

 このため、早川などの支川については、支川の管理者である山梨県と連携して、どのような調査を今後行うべきかも含めて検討し、調査データ全体を国の分と県の分と共有しながら、支川を含む富士川水系全体の河川環境の把握に努めてまいります。

田中(健)分科員 国勢調査は富士川の本流三か所を定期的にずっとウォッチしてきていただいたということでありまして、やはりそれじゃ少ないんじゃないかというのと、今言いました早川の合流地点なんかは水かれが起きていまして、ほとんど生物がいませんので、是非そういった、実態に合った調査を山梨県とも静岡県とも連携して行っていただきたいと思います。

 二〇二〇年十二月十二日、二年に一度、ダムの取水口の点検の整備がありまして、富士川の水が全て流れ込む日があります。これが大変に地元の皆さんにとっては待ち遠しい日でありまして、自然の流れを感じ、また、自然の姿の富士川に浸れる日であります。

 ラフティングを行っているナチュラルアクションさんが富士川フリー・トゥー・フローと呼びかけて、地元の人はもとより、全国の川を愛する人、そして川で活動する皆さんに呼びかけて集まりました。そして、思い思いで川を下り、私もラフティングで富士川をずっと、川を下らせていただきました。

 元々人間は、川とともに過ごして、豊かな自然環境の中で生活してきましたが、どうしてもダムができてしまいますと、もちろんダムを否定するわけではなく、そして水力発電も大変に必要なものなんですが、ダムでつくった電力というのは、そこの地域ではなく、今回でいえば事業所、ないしは全国どこでも、地域の人たちでない人たちが使うことによって、どうしても距離が生まれてしまう。

 ダムによって生まれた電気というのは、自然を一部利用させてもらっている、しかしながらそれをなかなか忘れてしまう、使っている人も。地域の人も、どうしても水がなくなってしまうと川から離れてしまう、そういった環境がずっと続いてきてしまいました。大変残念な状態に今あると思っています。

 川の恵みというのは奪うものではなく、社会の様々な要求と一緒に、川としての環境の保護がうまくバランスした在り方というのがこれから求められてくると思っています。

 今回の話の中では、再度申し上げますが、決してダムによる水力発電を私は否定するわけではありませんし、すばらしいものだと思っていますが、企業と地域が連携して自然の恵みを生かしていただき、持続可能な環境を一緒につくっていきたいという、その一点の願いであります。そして、それがひいては河川環境の改善につながり、豊かな水が、冒頭でありましたが、駿河湾に流れ込んで、サクラエビを始めとした海の恵みにつながることと思っています。

 私自身、富士川で生まれ育ちました。子供たちに、次の時代、自然のままの美しい富士川を守り、残し、引き継いでいくのが役目だと思っています。海の問題はすなわち川の問題でもありまして、川の問題は森の問題でもありまして、ひいては私たち人間の問題であると思っています。

 是非、この富士川の河川環境問題に向けて、また改善に向けて取組を一緒に進めていただきたいと思いますが、最後に、今日の質問をお聞きした大臣のお考えを一言いただければと思います。

斉藤国務大臣 今の議論、聞かせていただきました。

 南アルプスから甲府盆地を通って駿河湾に至る富士川は、日本三大急流の一つであり、また、甲斐と駿河を結ぶ要路として、昔から人々の暮らしに寄り添ってきた川です。

 議員御指摘の発電のための水利権については、大正十一年に静岡県及び山梨県知事の許可で設定されたものであり、戦前戦後を通じ、我が国の産業の発展に大きな役割を果たしてきました。

 一方で、上流で取水された水は、そのほとんどが川に戻されることなく、直接駿河湾に注いでおり、河川環境の保全のため、その流量の回復を求める声が地域から上がっているものと承知しております。

 地球温暖化対策にとっても重要な、再生可能エネルギーである水力発電と河川環境の保全、この二つのバランスは大変難しい課題ですが、関係者の間で合意形成に向けた調整が進められていると聞いております。

 私としても、そうした合意形成に向けた動きを尊重し、地域の声に真摯に耳を傾けて問題解決に当たっていきたいと思っております。

田中(健)分科員 ありがとうございました。

稲津主査 これにて田中健君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後三時六分散会


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