衆議院

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第1号 令和5年2月20日(月曜日)

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本分科会は令和五年二月十五日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石破  茂君    田中 和徳君

      八木 哲也君    源馬謙太郎君

      赤羽 一嘉君    櫛渕 万里君

二月十七日

 赤羽一嘉君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和五年二月二十日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 赤羽 一嘉君

      石破  茂君    石原 正敬君

      小森 卓郎君    瀬戸 隆一君

      田中 和徳君    八木 哲也君

      伊藤 俊輔君    源馬謙太郎君

      佐藤 公治君    末松 義規君

      湯原 俊二君    櫛渕 万里君

   兼務 上田 英俊君 兼務 加藤 鮎子君

   兼務 城井  崇君 兼務 篠原  孝君

   兼務 赤木 正幸君 兼務 河西 宏一君

   兼務 佐藤 英道君 兼務 平林  晃君

   兼務 田中  健君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   国土交通副大臣      石井 浩郎君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   国土交通大臣政務官    清水 真人君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     大澤 一夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            木村  実君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  堀田  治君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 平岡 成哲君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         田島 満信君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     小森 卓郎君

  田中 和徳君     石原 正敬君

  源馬謙太郎君     佐藤 公治君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     瀬戸 隆一君

  小森 卓郎君     石破  茂君

  佐藤 公治君     湯原 俊二君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     田中 和徳君

  湯原 俊二君     伊藤 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 俊輔君     末松 義規君

同日

 辞任         補欠選任

  末松 義規君     源馬謙太郎君

同日

 第二分科員加藤鮎子君、平林晃君、田中健君、第四分科員上田英俊君、第六分科員赤木正幸君、第七分科員城井崇君、篠原孝君、河西宏一君及び佐藤英道君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

赤羽主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 本分科会の主査を務めることになりました赤羽一嘉でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。斉藤国土交通大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省関係の令和五年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算の国費総額は、五兆八千七百十四億円です。

 また、復興庁の東日本大震災復興特別会計に一括計上されている国土交通省関係予算の国費総額は、四百一億円です。このほか、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美群島に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含め、国土交通省予算に所要額を一括計上しております。

 財政投融資計画には、二兆三千二百七十五億円を計上しております。

 次に、令和五年度予算の基本的な考え方を御説明申し上げます。

 我が国は、豪雨や大雪等の自然災害の激甚化、頻発化や資源価格高騰等、内外の難局に直面しています。また、ウィズコロナへの移行を進めているところですが、交通、観光事業は引き続き厳しい状況にあります。一方で、GX、DXへの投資の加速や経済安全保障の強化等、新たな時代の課題にも適切に対応することが求められています。このような状況の中、国民の命と暮らしを守り抜き、現在の難局を乗り越えるとともに、デジタル田園都市国家構想の実現等により、新しい資本主義を加速させることが急務となっています。

 こうした認識の下、令和五年度予算では、国民の安全、安心の確保、経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速、拡大及び豊かで活力ある地方づくりと分散型国づくりを三本柱として、令和四年度第二次補正予算と併せて、切れ目なく取組を進めてまいります。

 この際、公共事業を的確に推進するため、資材価格の高騰等を踏まえて、必要な事業量を確保するとともに、新担い手三法も踏まえ、施工時期等の平準化や適正価格、工期での契約、必要な変更契約等による適切な価格転嫁等を進めてまいります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、詳細な説明は省略させていただきますが、主査におかれましては、お手元の印刷物の内容を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

赤羽主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま斉藤国土交通大臣から申出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤羽主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平林晃さん。

平林分科員 皆様おはようございます。公明党の平林晃です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。斉藤大臣、石井副大臣、清水政務官含めまして、国土交通省の関係者の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず初めに、中国自動車道の加計スマートインターチェンジに関してお伺いいたします。

 広島県安芸太田町に位置しております同スマートインターチェンジは、現在、東側の出入口のみ設置された、いわゆるハーフと呼ばれる状態になっております。これをフルの状態にする、すなわち、反対の西側の出入口を増設することは重要であります。

 地元においては、アフターコロナに向けた新たなアウトドアの取組やマイクロツーリズムなど、更なる地域連携活動に取り組まれていると伺っており、期待が高まってきています。こうした期待にお応えするために、斉藤大臣御判断の下、今年度の準備段階調査に御選定いただき、国において調査を開始されていると認識をしております。

 そこで、斉藤大臣にお伺いいたします。

 加計スマートインターチェンジの調査の状況と今後の方針について見解を伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 加計スマートインターチェンジは、中国自動車道の千代田インターチェンジと戸河内インターチェンジとの間にある大阪方面への出入りのみが可能なスマートインターチェンジであり、平成十六年十二月に開通しております。

 一方、山口方面への出入りを可能とするスマートインターチェンジのフル化については、安芸太田町による検討の中で、災害時におけるリダンダンシーの確保などの必要性が確認されたことから、昨年九月に、国による準備段階調査に着手したところでございます。

 準備段階調査においては、スマートインターチェンジの詳細な構造の検討や、利用交通量の確認などについて、現在、安芸太田町と国が調査検討を推進しているところでございます。

 国土交通省としましては、引き続き、安芸太田町やNEXCO西日本と連携し、調査を推進してまいります。

平林分科員 ありがとうございます。

 新年度、令和五年度の事業化に向けて準備段階調査を鋭意進めていただけるということでございまして、大変ありがたく存じます。是非とも、実行いただきまして、早期実現をお願い申し上げます。

 続きまして、広島市安佐北区に検討されております山陽自動車道の高陽スマートインターチェンジについてお伺いできればと思います。

 構想場所は、広島東インターチェンジから西に三キロ程度、その構想場所から更に三・四キロで今度は広島インターチェンジがございます。やや近接したように感じられるかもしれませんが、広島は、市域でありましても、山や川によって地域間の移動が容易ではない、こんな事情がございます。

 実際、構想の御地元であります高陽地区の北、東、南の三方には山がありまして、また、西には太田川が流れております。その太田川に架かる橋ですけれども、先日私も確認したんですが、センターラインがない二車線道路ということで、非常に狭いところを車両が注意をしながら行き交っている、こういう状態でございます。

 また一方で、地元であります高陽地区には消防学校が位置しているということであります。平成三十年の西日本豪雨災害では、二府四県から派遣された緊急消防援助隊の宿営地として使われたということであります。このとき、地元県道の混雑により活動に支障を来したということも伺っておりまして、スマートインターの設置によってこの問題も改善され、豪雨災害が頻発している広島市域における意義はとても大きいと考えております。

 このように、幾重にも意義ある構想であり、先般、広島市松井市長も斉藤大臣に要望に来られ、私も同席をさせていただきました。その際には、現地視察も要請されております。地元の期待も高まる中、高陽スマートインターチェンジの調査の状況と今後の進め方に関しまして、国土交通大臣の見解をお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 スマートインターチェンジの設置につきましては、まず、地方公共団体が主体となり、インターチェンジの必要性などの検討を進めていくということになっております。

 御指摘の高陽地区におけるスマートインターチェンジにつきましては、現在、広島市が、山陽自動車道の広島東インターチェンジと広島インターチェンジとの間において、設置する場所や構造の検討、周辺の渋滞緩和や防災機能の向上などの必要性の整理などを行っていると聞いております。

 国土交通省としましては、広島市に対し、引き続き、必要な協力を行ってまいりたいと思っております。

平林分科員 ありがとうございます。

 広島市に引き続き調査をするようにということでございまして、国としてもできる限り御支援をいただけるものと認識をさせていただいております。

 是非、お時間もお忙しいと思いますけれども、御視察可能であればいただきまして、具体的な進め方の御検討を是非ともよろしくお願いを申し上げます。

 大臣、ありがとうございました。

 では、続きまして、トラック物流業界に関連した話題についてお尋ねをさせていただければと思います。

 トラック物流業界におかれましては、国民の暮らしと経済を支える物流の基幹的な役割を担っていただいておりまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 もう周知のとおりでございますが、二〇二四年四月一日からトラックドライバーの時間外労働時間が年間九百六十時間に制限をされます。これは、物流に対する影響は甚大であると考えております。

 こうした中、国土交通省におかれましては、ドライバーの拘束時間短縮を目的として、中継輸送と呼ばれる輸送形態の社会実験を実施されると伺いました。荷物の出発地と到着地の間に中継拠点を設けまして、その拠点において、トレーラーのヘッドを取り替えたり、荷物そのものを積み替えたり、あるいは、トラックはそのままで、荷物もそのままで、ドライバーが交代する、こういう三種類の方法を想定いたしまして、ドライバーは出発地から中継地点までの約半分の往復を運転すれば済むという方策でありまして、非常に重要だと思います。

 私の地元広島は、関西圏と福岡圏のほぼ中間に位置しておりまして、山陽道と国道二号を利用するトラックドライバーが共に活用できる休憩施設の整備は有効であると考えております。実際、令和三年度に国主体で実施をされた、宮島サービスエリア、これは既設のサービスエリアですけれども、これを利用した実証実験により、事業者さんが効果を実感いただいたという声もあると伺っています。

 先日も、宮島の御地元の廿日市の市長、あるいは、中国トラック協会会長が国土交通省に来られ、現在、国道二号線にある佐方サービスエリア付近、これは近接しておりまして、トラックドライバー休憩施設を整備する要望に来られたと伺っております。その整備の見通しに関しまして、国土交通省の見解をお伺いいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の広島県廿日市市付近は、福岡圏と関西圏の中間に位置しておりまして、両都市圏からの日帰り圏内であることから、複数のドライバーが長い輸送行程を分担することで日帰り運行を実現する中継輸送の拠点として需要が見込まれているところでございます。

 このため、昨年、山陽道の宮島サービスエリアにおいて、中継拠点としての有効性などを確認するため、実証実験を行ったところでございます。

 実証実験の結果といたしまして、双方向からのドライバーの日帰り運行が可能となりまして、車中泊の負担が軽減されるなど、その有効性が確認されたところでございます。

 この中継輸送は、ドライバーの労働環境改善、また法令遵守に大きく寄与するものと期待されておりまして、物流の二〇二四年問題の解決にも寄与するものというふうに考えております。

 このため、実験により得られました結果を踏まえまして、近傍の西広島バイパス佐方サービスエリア付近での中継輸送の拠点の整備に向けて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 整備に向けまして検討を続けていくという御答弁でございました。是非とも実現に向けて歩みを進めていただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、中国地方の大動脈であります国道二号線について、二点お伺いできればと思います。

 まずは、広島市中区域におけます西広島バイパスの東側延伸についてお伺いいたします。

 西広島バイパス、今の局長の御答弁にもちょっと出てきたかと思いますけれども、広島市中心部から西側に延びます国道二号のバイパス区間でありまして、無料の自動車専用道路であります。先ほど取り上げました佐方サービスエリアは、このバイパスの西端付近に位置をしているということであります。その反対の広島市街地周辺では、舟入出口で自動車専用道路は途切れております。このため、ここまで高架橋があるんですけれども、その高架橋、下りるために、朝の通勤時間帯には、舟入出口を先頭に一キロ以上、その一つ手前の庚午出口でも、末端の渋滞を避けるためにと考えられますが、四キロ以上の渋滞が発生しているということでございます。

 自動車専用道路が途切れるとともに高架橋も途切れますので、その先の市街中心部、例えば原爆ドームがあったり県庁や市役所がある、そういったエリアになりますけれども、その市街地中心部に大量の交通が流れ込みますので、残念なことに、高架橋設置地域と比較をしまして、今、高架橋が設置をされていないこの中心部で交通事故がより多く発生をしているということも伺っております。市街中心部を目的地としない大型車両も中心部を通過しますので、騒音も問題になるということであります。

 これらを解決するために、西広島バイパスの都心部延伸は極めて重要と考えますが、本事業の進捗状況、そして今後の見通しに関しまして、国土交通省の見解を伺います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国道二号の西広島バイパスでありますが、広島市から廿日市市に至る延長十九・四キロのバイパスでありまして、これまで十七・一キロが開通しているところでございます。

 この西広島バイパスを整備することで、慢性的な交通渋滞の緩和、交通事故の削減、沿道環境の改善、こういったことが期待されているところでございます。

 未開通区間であります、残る二・三キロの都市部の延伸区間でございますけれども、現在、一日当たり約五万九千台から六万六千台もの交通によりまして、深刻な渋滞が発生している状況でございます。早期の工事着手に向け、高架橋の詳細設計を今実施しているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御理解、御協力を得ながら、一日も早い完成を目指して整備を進めてまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 効果をしっかりと認識をしていただいているということで、今設計をしていただいているということと承りました。是非ともその作業もお進めをいただきまして、交通事故低減、また渋滞低減、そういったものの効果を発揮できるようにしていただければと御期待申し上げます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、同じく国道二号線ですけれども、山口県の山口市、防府市区間の整備についてお伺いをいたします。

 この地域、台道と呼ばれているエリアになりますが、その両サイドは四車線なのですが、この台道というエリアのおよそ二・八キロメートルの区間のみが二車線である、こういうエリアでございます。

 そうしますと、当然そのエリアに東からも西からも流入する際には車線の絞り込みが必要であったり、あるいは、沿道の出入り交通による進行阻害等が発生をして、速度低下が発生をするということでございます。また、周辺には物流の拠点や産業団地も造成をされておりまして、こういった意味におきましても、交通の円滑な流れは重要であると考えております。

 山口、防府の両市長からも強い要望をいただいているところでございます。この拡幅、私も是非促進していくべきと考えますが、国土交通省の見解を伺います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 山口県防府市から山口市の国道二号、バイパス事業あるいは拡幅事業によりまして、順次機能強化を進めてきております。現在、防府市内の富海拡幅、これを令和七年度の開通に向け工事を進めているところでございます。

 国道二号の残る二車線区間のうち、防府市台道から山口市の鋳銭司間、これは、朝夕の速度低下、また事故などが発生しておりまして、課題が大きな区間だというふうに考えております。

 このため、この区間の整備方針の検討を行う目的で、国、山口県、防府市、山口市から成る検討会を令和四年の三月に設置いたしまして、令和五年の二月十六日の第三回の検討会では、これまでの検討結果を取りまとめまして、現道拡幅案で整備を進めるということを決定したところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後、県、市と連携いたしまして、都市計画変更の手続に向け、引き続き準備を進めてまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 事故、渋滞、そういった影響があるので、進める重要性を認識していただいているということでございます。

 また、令和四年三月に設置された検討会、第三回目がつい先日、先週だったと思いますが、開催されたということも私も認識をしておりまして、現道、今の道路の拡幅ということで方針が固まったということも伺っております。是非、この方向性を定めていただいて、都市計画変更手続も迅速に御対応いただきまして、事業化に早期にこぎ着けられるように、引き続きの御対応をお願いできればと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、日本海側の方に話を移させていただければと思います。山陰自動車道の整備について伺えればと存じます。

 鳥取市から下関市にかけての日本海沿岸地域を結ぶ山陰道は、国の骨格を形成する高速道路ネットワークの重要な一部になっております。当然、地方創生を実現するためにも必要不可欠な社会インフラと認識をしております。

 このうち、島根県西部の益田市周辺の久城―高津間は、高津川と益田川という二本の川に挟まれた浸水想定区域内であるということで、洪水時に緊急輸送道路ネットワークが途絶してしまうなど、防災面の課題を有していると認識をしております。現在、益田市が一時避難所として防災公園を整備し、広域防災拠点としての活用を計画していると聞いておりまして、この防災公園と一体となった整備が有効であろうと考えております。

 防災面の課題解決のために、この久城―高津間の山陰道を早期事業化すべきと考えますが、国土交通省の見解をお伺いいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 山陰道は、鳥取県、島根県、山口県、これの主要都市を東西に結ぶ延長三百八十キロの高規格道路でございます。

 このうち、島根県内においては、全体計画約百八十一キロのうち、未事業化区間は十一キロというふうになっております。

 御質問の久城インターチェンジから高津インターチェンジ間三キロにつきましては、東西の隣接区間が共に開通済みのいわゆるミッシングリンクとなっております。

 また、この区間は、洪水浸水想定区域内に位置しておりまして、大雨などの災害発生時には一般道路が浸水するなど、課題が大きな区間となっております。

 国土交通省といたしましては、この区間における高規格道路の必要性について十分認識をいたしているところでございまして、早期に事業化できるよう検討してまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 三キロのミッシングリンクはその必要性を十分御認識いただいているということで、新規事業化、是非とも御検討いただければと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 そして、山陰道、更に西の方に参りまして、山口県内についてまたちょっと伺えればと思います。

 同県内につきましては、未整備の区間が多くありまして、県境を越えた経済交流や連携を図る上で大きなハンディキャップになってしまっております。その中で、山陰道の三隅―長門間におきましては、地元の意向を踏まえまして、長門市へのアクセスを考慮した中間インターを設置する形で都市計画手続が進められております。この内容を、先日、山口県知事、長門市長が斉藤大臣に要望をされたところでありまして、私も御一緒させていただきました。

 山陰道、この三隅―長門間の早期事業化に関しまして、国土交通省の見解をお伺いいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 山口県内の山陰道につきましては、全体計画約百十キロのうち二十キロが開通しておりまして、三十三キロが事業を進めているところでございまして、残る五十七キロが未事業化区間となっております。

 この未事業化区間のうち、三隅―長門間約十キロでありますが、平成二十九年度から計画段階評価を進めておりまして、令和四年の八月に計画ルート帯を公表し、令和四年の八月から、山口県において都市計画の手続を進めているところでございます。

 この区間には崩れやすい地層が分布しておりまして、中間のインターチェンジであります仙崎インターチェンジでは長大な切土のり面を計画していることから、現在、国土交通省におきまして、こののり面の安全対策に要する費用の精査を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、本事業の必要性は十分認識しているところでございまして、早期に事業化できるよう検討してまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 ここも認識はしていただいているということで、早期事業化に向けてということの御答弁をいただきました。

 私も現地に足を運ばせていただきましたが、崩れやすい地層ということで技術者の方から御説明をいただいたところでございます。そういう難しさもございますが、是非とも御検討を継続いただきますようお願いを申し上げます。

 そして、山陰道、三点目になりますけれども、その長門市の西側が山口県の下関市となります。その周辺区間であります豊田―下関間の整備も、九州方面からの人及び物の流れを考えますと極めて重要であります。ここがつながると一気に流れができてくるというところでございます。

 山口県知事及び下関市長からも御要望をいただいておりまして、私もこの区間の調査を推進すべきと考えておりますが、国土交通省の見解をお伺いできればと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、山口県の山陰道、約二十キロは開通いたしまして、三十三キロの区間で事業を進めているところでございます。

 特に、山口県の下関周辺区間におきましては、現在、俵山豊田道路、これを事業中でございます。トンネルや橋梁などの工事を鋭意進めているところでございます。

 御指摘の豊田から下関区間につきましては、九州からのアクセスを向上し、産業振興、防災などの効果が期待される重要な道路と認識しております。

 俵山豊田道路を始めとした周辺の事業の進捗状況、また、地域の交通状況等を踏まえまして、調査を実施してまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 前後区間の進捗も踏まえながらと思いますけれども、計画段階手続に早期に着手できますよう、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 では、最後になりますが、労務単価の引上げに関しましてお伺いできればと思います。

 労務単価の引上げに伴う賃上げですけれども、報道されておりますとおり、国土交通省は、公共工事で働く人の賃金の基準となる労務単価を、三月から全国平均で五・二%引き上げることを決められたということでございます。十一年連続の引上げでありまして、引上げ幅が五%を超えるのは九年ぶりとのことであります。歴代国交大臣の取組に深く敬意を表するところでございます。

 その上で、重要なのは賃金の上昇でありまして、単価の引上げが賃金の引上げにきちんと反映をされているのか、また、反映されるための仕組みができているのか、それが重要であると考えます。

 賃上げのこれまでの取組とその結果、また今後の取組について、国土交通省の見解を伺います。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、二月十四日に、本年三月から適用される公共工事設計労務単価を公表いたしました。全国全職種平均で前年度比プラス五・二%と十一年連続上昇となり、最近の物価上昇を上回る大幅な引上げになったところでございます。

 これは、国土交通大臣と建設業四団体のトップとで定期的に意見交換会を行うなど、官民一体となって賃上げに向けた機運醸成を進めてきたといったことに加えまして、安定的な公共事業予算の確保、適正価格での公共工事の発注とダンピング対策、適正な請負代金での下請契約の締結促進といった、様々な取組が建設業界における賃上げに結びついた成果と認識してございます。

 この流れが今後、地方公共団体やあるいは民間の工事にも広がり、技能労働者の賃金水準の上昇につながる好循環としてこれが維持、持続できるよう、官民一体となった取組の一層の推進に努めていきたいと考えてございますし、特に、建設業界は高齢化が非常に進展しておりまして、若い人の入職を確保するといったことが喫緊の課題です。

 将来の担い手確保を進めることが非常に重要でございますので、引き続き、関係業界と連携しまして、賃金上昇を始めとした現場の技能労働者の処遇改善、あるいは、公共工事での週休二日の確保など、働き方改革をしっかり進めまして、建設業を若い人たちが魅力を感じて入職していただける産業にできるよう努めてまいりたいと考えてございます。

平林分科員 ありがとうございます。

 本当に様々な御努力をしていただいておりまして、賃金自体も上昇傾向にあるということですので、こうした傾向、公共事業のみならず民間にも広がっていく、そのための努力を心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 大変にありがとうございました。

赤羽主査 これにて平林晃さんの質疑は終了いたしました。

 次に、小森卓郎さん。

小森分科員 金沢選出、自由民主党の小森卓郎です。

 初めて国土交通省に質問する機会をいただきました。斉藤大臣始め政府の皆様、そして委員会の方々、どうぞ本日はよろしくお願いいたします。

 昨年八月、日本海側を中心とする地域を大雨が襲いました。石川県では、小松市などで大きな被害が生じ、金沢でも規模は小さいものの被害が生じました。

 当日の河川の状況について、市役所から後日詳しく教えてもらいましたが、金沢市内の各河川の水位は大きく上がり、大規模な水害には至らなかったものの、これまで営々と積み重ねてきた治水対策がなければ、被害はずっと大きなものになった危険があったと思われました。

 昨年の豪雨の特徴の一つは、日本海側を中心に、これまで豪雨被害に遭う経験が少なかった地域でも大きな水害が発生したことだと思います。地球温暖化の進行などもあり、今後も着実に治山治水対策を進めていかなければ、県民や市民の安全な生活を守ることはできません。

 そこで、私と同じ石川県選出で日頃からお世話になっております西田政務官に、頻発する大規模な水害等の防止に向けた決意についてまず伺います。

西田大臣政務官 おはようございます。

 小森議員の質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 毎年のように大規模な水害や土砂災害が頻発しており、全国各地で甚大な被害が発生をしているところでございます。

 昨年の八月の大雨では、同郷であります小森議員と私の地元の石川県を流れる梯川においても、これまでの河川整備により被害の軽減が図られているものの、梯川本川から越水、支川の鍋谷川の堤防決壊、小松市街地の内水被害などが発生をいたしました。

 今後、気候変動による降雨量の増加により、水害の激甚化、頻発化が予想されていることから、更なる事前防災対策の強化が不可欠でございます。

 これらに対応するため、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も活用しながら、ハード、ソフト両面にわたる流域治水の取組を加速化し、災害に強い国土づくりにスピード感を持って取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

小森分科員 ありがとうございます。

 今、五か年の加速化対策についても言及をいただきました。これまで計画的に事業を進めてきたところでございます。防災等の事業は、数年若しくは更に長い年月を要するものも多くあるところでございます。加速化対策の期間も残すところが二年となりました。次の計画を早く作らなければ、先を見据えた事業を行うことができません。

 斉藤大臣に、令和八年度以降の新しい国土強靱化計画に向ける思いを伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 小森先生にお答えさせていただきます。

 激甚化、頻発化する豪雨災害、切迫する大規模地震、いつ起こるか分からない火山活動、火山災害等から国民の皆様の命と暮らしを守ることは、国の重大な責務と認識しております。

 これまで、三か年緊急対策、そして、それに続く五か年加速化対策等を含めて、防災・減災、国土強靱化の取組を進めてまいりました。一方、実施予定の箇所も残っております。気候変動による降雨量の増加等も予測されているため、取組の強化が必要でございます。

 五か年加速化対策後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に取組を進めることが重要であると考えておるところでございます。現在、政府において検討している新たな国土強靱化基本計画の策定に向けて、関係省庁と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいります。

小森分科員 大変力強い決意をどうもありがとうございました。

 石川県内でも様々な防災・減災の事業があるところでございます。国民の生命と暮らしを守るために、大臣を始めとする国土交通省の皆様の御尽力を、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、働き手の不足に関して伺います。

 今、不足と申しましたが、働き手の不足というよりは、働き手の減少の社会に入ってしまったという危機感を強く感じております。昨年十二月の石川県の有効求人倍率を見ると、石川県全体で一・六二倍、百六十人募集して百人しか応募がない状況であります。その中でも特に人手が不足している業種がありまして、国土交通省と関係の深い輸送・機械運転の職業は二・九六倍、三人募集して一人しか応募しない。建設・採掘の職業は六・三五倍、六人募集して一人しか応募しない。

 こうした建設業や運送業の働き手不足の状況に対して、国土交通省はどのように認識をして対策を講じているのか、参考人の答弁を求めます。

長橋政府参考人 まず、建設業の関係でございます。

 まさに先生御指摘のとおり、建設業界は他産業を上回る大幅な高齢化が進んでございまして、三十歳以下の人はもう一割ぐらいしかいないというような状況でございます。そのため、今後、処遇改善あるいは働き方改革をしっかり推進することによって、若い人に入ってもらえる、魅力を感じてもらえるような職場に推進するため、将来の担い手確保、育成について、関係業界と一丸となって今取組を進めてまいっているところでございます。

堀内政府参考人 運送業についてお答え申し上げます。

 トラックドライバーにつきましては、他の労働者と比較して労働時間が長く、低賃金に置かれております。そのため、先生御指摘のとおり、近年、有効求人倍率、約二倍のまま推移するなど、担い手不足が課題となっております。そのため、荷待ち時間の削減、適正な運賃の収受等により労働条件を改善し、魅力ある職場づくりを行うことは急務と考えて取り組んでおるところでございます。

小森分科員 ありがとうございました。

 先ほど三倍、六倍という数字を石川県の数字で用いましたけれども、実はこれは大くくりの数字でありまして、更に細分化したものだと、例えば、土木だと七・七五倍、建築躯体工事の職業だと二十七・六三倍といったような有効求人倍率になっているところでございます。

 公共工事の実施については円滑に行われているというふうに聞いてはおりますけれども、同時に、現場での人手不足の苦労は誠に深刻でございます。これから目を背けるわけにはいきません。

 石川県のみならず、全国的に少子高齢化は今後加速化し、働き手の減少はますます深刻になるものと懸念されます。加えて、今年は、コロナからの脱却による往来や経済の活性化、インバウンド需要の復活、そして、これまでサプライチェーンによる供給制約が経済を抑制してきたものの、こうした制約が緩んでいく傾向にあります。

 このように、今後、労働市場の需給を更に逼迫させる要因が数多くありますが、その中で実施されるのが、先ほど言及もありましたが、自動車運送業や建設業での働き方改革、とりわけ残業規制の強化が実施されます。両業界への時間外労働規制はこれまで適用が猶予されてきましたが、実施が来年四月に迫っております。働き方改革の重要性は私も理解をしておりますけれども、この激しい人手不足の中で漫然と適用してよいものでしょうか。

 こうした働き手不足が深刻化する中で予定される働き方改革の建設業や運送業への適用に関する見解、そして対応について伺います。

長橋政府参考人 御指摘のとおり、建設業におきましては、令和六年度から罰則付時間外労働規制の適用を見据えまして、まず第一には、賃金水準をまず引き上げて処遇改善を進めていくということです、時間を、効率的に働くということと、それとあと、週休二日が実現できるように工期の設定を適正化し、そのための働き方改革を推進するといったこと、さらには、現場においてICTの活用やインフラ分野のDXを推進することによって生産性を向上していくことといった観点から取組を進めているところでございます。

 今後とも国土交通省としては、関係業界と連携しながら、こうした取組をしっかり進めてまいりたいと考えてございます。

小森分科員 ありがとうございます。

 いろいろお取組をいただいているところでございます。この場ですぐに思い切った御答弁がいただけないものとは承知しておりますけれども、先ほど申し上げましたように、今後、人手を逼迫する要因は多く指摘をされております。また、一度離れた仕事になかなか人が戻ってこないというような話も、よく耳にするところです。今後の経済の状況あるいは雇用市場の状況によく目配りをしていただいて、適切に対応していただくことを要望させていただきます。

 関連しまして、建設工事の工期の適正化、そして施工時期の平準化について伺います。

 国の直轄の工事では、先ほども御答弁がありましたが、週休二日の確保などの配慮もなされ、都道府県などの発注でも取組がなされております。他方で、市町村や民間企業の発注する工事では、なかなかそこまで行き届かないのが実態でありまして、働き方改革を円滑に実施する上での不安材料の一つでもございます。

 また、予算の単年度主義の制約の下では、公共工事は年度当初の施工が少なく、現場が閑散期となってしまう問題がございます。これについても、市町村レベルの取組が遅れていると言わざるを得ません。

 こうした工期の適正化、そして施工時期の平準化は、発注者側の一層の理解が必要な問題であります。市町村や民間企業に対して、国土交通省から更に働きかけを行うべきだと考えます。また、それにとどまらず、民間の事業者に対しては、業界を所管する他の省庁も含めて、国全体として実態の把握や働きかけに取り組む必要があると思いますが、参考人の御答弁を求めます。

長橋政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、働き方改革をしっかり進めるためには、適正な工期設定、それと発注の平準化というのは非常に重要になります。

 それで、工期の適正化につきましては、令和二年七月に中央建設業審議会で工期に関する基準というものを作成し、勧告した次第でございます。

 これは、公共工事のみならず、民間工事も含めて、発注者に対してこの周知徹底を今図っているところでございますし、発注時期の平準化という問題につきましては、先生御指摘のとおり、地方公共団体の取組を更に進めていくことが大事ですので、総務省と連名で繰り返し要請するほか、今、地方公共団体、特に市区町村ごとの平準化の状況を見える化することによって、他の機関との差を見える化することによって、改善を今進めているといった取組を進めてございます。

 さらに、長時間労働の削減という観点では、厚生労働省といろいろな連携をしまして、協議会での働きかけとか、あるいはモニタリングを一緒に調査するとかといった取組をして、これは民間発注者に対しても働きかけを進めてきているところでございます。

 いずれにしても、先生御指摘のように、発注者の理解が非常に重要でございますので、関係省庁としっかり連携しながら、工期設定あるいは発注の平準化の取組を進めてまいりたいと考えております。

小森分科員 時間外労働規制の適用を延長しないとすれば、時間はあと一年しか残っていないわけでございます。御答弁のあったように、既に問題意識を持って取組を進めていただいておりますけれども、まだ改善や取組の強化の余地もあるようにも思いますので、引き続きの取組を、どうぞよろしくお願いいたします。

 新三Kという言葉をお聞きしますけれども、給与、休暇、そして希望が持てる働きやすい仕事にしていくためにも、政府当局におかれましての一層の御高配を、どうぞよろしくお願いいたします。

 もう一つ、政府の発注する契約、そして、企業の賃上げについて一点お伺いします。

 令和四年度から、政府が発注する契約に関して、一定の賃上げを行う企業は総合評価方式での加点を受けられる制度が始まりました。賃上げに熱心な岸田政権の肝煎りの施策の一つであり、令和五年度でも同様の措置が取られる見込みだと聞いております。

 現在のやり方は、将来の賃上げを優遇する、すなわち、過去の賃上げの実績ではなく、今後の賃上げの計画を表明することに対して加点がなされます。そして、計画を達成できなかった場合には、ペナルティーを課すこととしております。

 課題を指摘しますが、ペナルティーを受けることをいとわなければ、賃上げの履行を見送ることができる、あるいは、ペナルティーを避けようとすると、計画表明後、いかに経営環境が悪化しても賃上げを実施する必要があるなど、不確実性や不安定性を内在している制度だと思っております。既に改善を求める声も上がっているところでございます。

 これは財務省の主計局の担当になるとお聞きしておりますけれども、賃上げの計画に対してではなく、実績に基づいて加点をする方式に、近い将来移行すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員お尋ねの、公共調達の入札における加点措置につきましては、令和三年十一月に閣議決定をされましたコロナ克服・新時代開拓のための経済対策におきまして、企業の賃上げを促進するため、賃上げを行う企業から優先的に調達を行う措置を検討するとされたことを受けまして、令和四年四月以降の入札から導入された制度でございます。

 その際、この経済対策の趣旨を踏まえますと、できるだけ早期に企業の賃上げを促す必要がありますことから、賃上げ実績を確認した後に加点する方法ではなく、賃上げ表明により直ちに加点措置を実施し、年度等の終了後に、実際に賃上げが実施されたことを確認する方法を採用したところでございます。

 その上で、ただいま議員から御指摘のございましたような、賃上げ表明による加点措置を受けながら実際には賃上げをしないという者につきましては一年間の減点措置を課すことといたしておりますけれども、仮にこのような措置がございましても実際に賃上げが行われていないとすれば、それは大きな問題であるというふうに考えてございます。

 今後、事業者が行いました賃上げ表明につきましては、調達を行った省庁におきまして、賃上げの実績確認が行われることになってございます。その結果も踏まえながら、仮に賃上げ促進という制度の趣旨を逸脱するような実態が明らかになりました場合には、先生から御指摘のございました、実績に基づいて加点を行うといったことも含めまして、制度の改善や見直しを検討してまいりたいと考えてございます。

小森分科員 ありがとうございました。

 令和三年十二月時点、まさにおっしゃるとおりだったと思いますけれども、時も流れておりますので、今後も実態に応じて、よく検討していただきたいというふうに要望をしておきます。

 残りの時間は、鉄道やバスなどの地域の公共交通について質問をいたします。

 コロナの影響で十年早くなってしまったと言われておりますけれども、地域の鉄道やバスなどは、コロナ以前から旅客数などの長期的な低落傾向が続き、いずれは思い切った手を打たなければならなくなる見通しでありましたが、コロナによる移動の制限などによりまして、一気に存続の危機に直面することになり、早急な対応を迫られている状況です。

 こうした地域公共交通ネットワークの現状、そしてそれを再構築していくこと、この問題意識について西田政務官に伺います。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 ローカル鉄道や路線バスを始めとする地域公共交通は、国民生活や経済活動を支える不可欠なサービスであり、地方の活性化を図る上で重要な社会基盤でございますが、人口減少等による長期的な需要減に加え、新型コロナの影響により、引き続き、多くの事業者が厳しい状況にあるものと認識をしているところでございます。

 こうした現状を踏まえ、地域の関係者が連携、協働して、地域交通ネットワークのリデザインを進めることにより、利便性、持続可能性、生産性を高めていくため、予算や法制度などを活用して地域をしっかり支援していく必要があるものと考えております。

小森分科員 ありがとうございました。

 今御答弁いただいたのと同様の問題意識の下で、自民党でも昨年から、関連する部会や議員連盟などで事業者や自治体の意見に耳を傾け、精力的な議論を行ってまいりました。昨年夏の骨太の方針にも、地域公共交通ネットワークの再構築について踏み込んだ内容を記すことができ、国土交通省でも検討をいただいた結果、昨年末に、御答弁のあったように、予算や制度面で大変大きな前進があったところでございます。

 四年度補正予算や五年度予算、そして今国会で審議される法案、これらの内容について、参考人から簡潔に御説明をお願いいたします。

鶴田政府参考人 まず、予算ですけれども、社会資本整備総合交付金ですとか財政投融資などの新しい枠組みを含めまして、令和四年度補正予算及び令和五年度当初予算案におきまして総額約千三百億円を計上するなど、地域公共交通のリデザインを図るための各種メニューを措置しております。

 それから、法案ですけれども、今国会に提出しました地域公共交通の活性化再生法等の改正案におきまして、ローカル鉄道について、地方公共団体又は鉄道事業者からの要請に基づいて国土交通大臣が組織する再構築協議会、それから、バス、タクシー等につきまして、交通DX、GXを推進する事業の創設などを盛り込んでございます。

小森分科員 ありがとうございます。

 先ほど、一千三百億円という数字について御答弁をいただきましたが、三年前までは、これは例年四百億円に満たなかったレベルのものでございます。そしてまた、社会資本整備総合交付金の枠の一部を新たに使えるようになったということで、これも大変画期的な制度の変更だというふうに思っておるわけでございます。

 今後は、これらを活用しながら、各地域の公共交通を一つ一つ持続可能なものにしていく取組を進めていく段階に入ります。

 これからの地域公共交通を考える際の鍵となる概念は、外部効果の算定だと私は思っております。鉄道やバス事業単体の営業の収支で存続などを判断するのではなく、鉄道やバスの路線の存在によって、会社の収支の外側で生じている社会的な便益、例えば、通学の利便性や観光客の呼び込みなどの効果も併せて考えるべきだと思うのであります。

 私は、約十年ほど前に、出向先の石川県庁におきまして企画振興部長として、北陸新幹線の並行在来線の会社の設立、営業準備、地域の鉄道やバスの支援を行い、そしてまた、西田政務官の御地元である能登地域を走る第三セクターののと鉄道の役員を務めました。

 のと鉄道は、御多分に漏れず、利用人員の減少、そして恒常的な赤字に苦しむ会社でしたが、高校生などの通学手段でもあり、また、観光客による利用も見られる鉄道です。鉄道の収支だけを見れば廃止が合理的だと評価することもできたかもしれませんが、北陸新幹線の金沢開業を控えた時期に、通学など地域住民の利便性や観光客呼び込みの効果を生じさせるためにも、石川県そして周辺の市町の拠出により、経営安定化のための基金をつくりました。観光列車のと里山里海号の新車両の購入や既存の車両の修繕などに充てて、鉄道と会社を存続させる基盤の整備を行ったところです。これによりまして、新幹線金沢開業後の観光利用の増加に寄与することができ、コロナ禍までの数年間は、往時を上回る営業収入を上げることとなりました。

 滋賀県の近江鉄道沿線の地域公共交通再生協議会では、クロスセクター効果等の分析が出されております。先進的な対応の一つとして注目をしております。これがどのような考え方に基づく分析か、簡潔に御紹介をお願いします。

上原政府参考人 御指摘の近江鉄道につきましては、医療、商業、観光、教育など、様々な行政分野における経済効果を数値化する、いわゆるクロスセクター効果の分析の結果、バス等に代替した場合に必要となる費用が、鉄道を維持するために必要となる費用を上回ることが確認されておりまして、その結果に基づき、上下分離への移行を決定したと承知いたしております。

 ローカル鉄道につきましては、御指摘のとおり、鉄道事業の収支だけではなくて、地方自治体の多様な行政分野に与える影響についても評価、検討すべきと考えております。

小森分科員 要領よく御説明いただいて、大変、どうもありがとうございました。

 今のお話がありましたように、鉄道を廃止した場合に追加的に必要となる分野について、分野別の代替費用というのを算定をしておりまして、これが約十九億円というふうにお聞きをしておりますけれども、この金額にも基づきまして上下分離方式を採用して、自治体の関与を強めながら、鉄道の存続の方針を打ち出したものでございます。

 先ほど私が述べました外部効果、これを数値化する、大変先進的な取組でもございますし、私のときにやらなかったんですけれども、先ほどののと鉄道の支援の考え方も、ベースとしては同じような考え方に基づいて行ったものだというふうに評価をしているものでございます。

 現在、私の地元の金沢市、そして西田政務官の御地元の三つの市や町を含めた石川中央都市圏地域公共計画の案が作成中でありまして、利用者の減少などの課題に取り組んでおるところでございます。自治体が負担をして公共交通への関与を強めるためには県民や市民の理解も必要ですし、政府として、こうした自治体の背中を押す支援も期待されるところです。

 危機に瀕する地域公共交通を守ることは、外部効果によって恩恵を受ける沿線住民等を守ることそのものだというふうに考えておりますけれども、地域公共交通を守ることにつきまして、国土交通大臣から力強い決意をお伺いできればと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今、小森委員のこれまでの御経験に基づくいろいろなお話、その質疑を聞かせていただきまして、大変参考になりました。

 おっしゃるとおり、地域の公共交通を守ることは、その地域の皆さんの暮らしを守ることそのものだと思います。

 そして、これまで、どちらかというと事業者任せのところがございましたけれども、非常に危機的な状況にあるということを踏まえまして、事業者や地域、地方公共団体と一緒になって、そして国もしっかり支援をする、この三者が真剣に話し合うということが非常に重要だ、このように考えているところでございまして、私たちも、共創、この考え方で、これからの地域公共交通を守っていくということを、その議論の中心に国も入っていきたい、このように思っております。

 国として、ローカル鉄道や地域の路線バスなど、全国において地域交通ネットワークのリデザインを進め、利便性、持続可能性、生産性を高めていくため、地域の取組をしっかりと後押ししていく決意でございます。

 このため、予算、法制度、あらゆる政策ツールを活用して、本年を地域公共交通再構築元年としたい、このように決意しております。

小森分科員 大変すばらしい御答弁、本当にどうもありがとうございました。暮らしそのものだというふうにも言っていただきまして、本当に感謝をしております。

 そしてまた、今回の法案の中でも、大臣おっしゃったように、国が前面に立ってこの問題に対応するといった内容も盛り込んでいただいておりまして、それにつきましても大変感謝をしております。

 少子高齢化が進む中、地域公共交通を取り巻く環境は今後も厳しさを増していきます。例えば、上下分離の方式などを通じて自治体や公的セクターが支えていかなければならないというふうに思っております。及び腰になりがちな自治体を支援することによって、地域公共交通ネットワークを初めて持続可能なものとしていくことができるというふうに考えておりまして、私もこの問題に引き続いて取り組んでまいる所存でございます。

 本日は、大変どうもありがとうございました。

赤羽主査 これにて小森卓郎さんの質疑は終了いたしました。

 次に、上田英俊さん。

上田分科員 おはようございます。自由民主党、富山県第二区の上田英俊です。

 予算委員会分科会において質問の機会をいただき、ありがとうございました。

 今回は、道路行政について質問いたします。

 全て道路局長に答弁をいただきますので、大臣、御多忙だと思いますので、御退室いただいて結構でございます。

 私は、平成十一年から令和三年九月まで、約二十二年間県議会議員を務めておりました。議員の仕事の一つは、地域の方々の話を聞き、実現に向けて汗を流すことだというふうに思っております。最も多い要望が道路でありました。道路は、町の今を変え、未来を創造する社会資本であります。あしたのために、未来のために、必要不可欠なインフラであります。

 その趣旨で、思いを込めて、以下、通告に従いまして質問をいたします。

 富山県の歴史は、水との闘い、治水の歴史でありました。そして、現在進行形でもあります。黒部川、片貝川、早月川、常願寺川、神通川といった、崩壊が著しい急流河川、一級河川の恩恵にあずかりながらも、その氾濫に悩まされ続けました。

 先人の方々は、水を治め、ダムを築き、水力発電により電力を生み出すことで、アルミ産業等の製造業を呼び込み、今日では日本海側有数の物づくり県となっております。粘り強く積極進取の県民性によって、製造の現場で作られた製品、商品が全国各地に向けて出荷されており、その物流を支える社会資本が道路であります。

 国道八号は、富山県を貫く主要幹線道路であり、通勤通学を支える生活道路であり、経済活動を支える産業道路でもあります。

 まず、道路局長に伺います。

 国道八号の整備については、富山県東部地域において、北陸新幹線開業と同時期に入善黒部バイパスが暫定二車線で供用開始となり、平成二十八年二月までに、魚津滑川バイパスが全線四車線で供用開始となりました。

 現在、入善黒部バイパスでは現道拡幅が集中的に取り組まれ、渋滞が著しい黒部市、魚津市の区間では、一昨年十二月の補正予算において二億円、そして昨年十二月の補正予算では大幅増額の五・五億円が計上され、渋滞緩和、解消に向けて精力的に進めていただいていることに改めて感謝申し上げます。

 補正予算で計上されるということはその事業の必要性、緊急性が高いということだと認識をしておりますが、国道八号入善黒部バイパスにおける現状と今後の早期完成に向けた取組について、また、入善黒部バイパスの前後区間となる、新潟県との県境の老朽化の著しい城山トンネル、横尾トンネルの新規トンネル整備の早期着手と、魚津市、滑川市内の交通安全対策、追突事故防止対策について、道路局長に伺います。

    〔主査退席、八木主査代理着席〕

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国道八号の入善黒部バイパスでありますが、入善町から魚津市間の国道八号における交通渋滞緩和を目的とする、十六・一キロのバイパスと現道拡幅の事業でございます。

 全体十六・一キロのうち、これまで、バイパス区間であります入善町上野から魚津市江口の間の延長十四キロが暫定二車線で開通しております。現在、四車線化に向けまして、橋梁設計及び改良工事を進めているところでございます。

 また、現道拡幅区間でございます入善町椚山から上野間の延長二・一キロにつきましては、令和三年の四月に公表いたしました防災・減災、国土強靱化に向けた道路の五か年対策プログラムにおきまして、今後五年程度での完成を目指すとしておりまして、用地買収、改良工事を現在進めているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、入善黒部バイパス、いずれの区間におきましても、一日も早い完成を目指して、しっかり整備を進めていきたいというふうに考えております。

 また、城山トンネル、横尾トンネルを含む国道八号、朝日町宮崎地区から横尾地区に至る延長三キロの区間でございますけれども、歩道の狭い狭小トンネル、また冬季の登坂不能などの課題を有する区間であって、これにつきまして、北陸地方整備局の防災検討会議におきまして、防災対策優先区間というものを位置づけております。

 この区間の対策を検討するに当たっては、この国道八号周辺に土砂災害リスク箇所等が存在することから、これら課題の詳細な調査を現在進めているところでございます。

 次に、魚津市、滑川における追突事故防止対策については、魚津市内のミラージュホール前交差点及び滑川市内の上島北交差点におきまして、令和二年度に左折車線を設置するなどの事故対策事業に着手し、現在、鋭意工事を進めているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、早期完成を目指して、しっかり整備を進めていきたいと思っております。

上田分科員 しっかりとした対応をよろしくお願いいたします。

 また、富山県は、四百年以上の歴史を有する薬の富山でもあります。県内全域に製薬メーカーが数多く立地し、雇用と地域経済を支えております。

 薬の原材料は主に中京方面から運ばれてきますが、四車線化が進められております東海北陸自動車道は、岐阜県内の飛騨トンネル、富山県内の袴腰トンネルは危険物積載車両の通行が禁止とされているため、並行して走る国道四十一号が薬の富山にとって生命線、大動脈となるわけですが、県境の国道四十一号、猪谷―楡原区間は、連続雨量通行規制があり、産業、経済活動、地域振興に支障を来してきました。

 その解消を図り、平常時、災害時を問わない、安定的かつ円滑な輸送を確保するため、高規格幹線道路、富山高山連絡道路が計画、整備されており、猪谷楡原道路、大沢野富山南道路が、当初予算だけでなく、補正予算も積極的に投入されておりますことに改めて感謝申し上げたいというふうに思います。

 要求なきところに査定なしという考えの下、私もこの道路の必要性、重要性を強く認識しており、一昨年、昨年と、先輩議員また藤井富山市長、また地元の方々と現地視察を行い、要望を富山河川国道事務所、そして新潟市の北陸地方整備局に働きかけてまいりました。

 そこで、道路局長にお伺いいたしますが、猪谷楡原道路、大沢野富山南道路の整備状況と今後の早期完成に向けた所見を伺いたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 富山高山連絡道路、これは、岐阜県の高山市に至る延長八十キロの高規格道路でございまして、国道四十一号における交通渋滞の緩和、また雨量規制による通行止めの解消、地域産業の活性化などの整備効果が期待されているところでございます。

 この富山高山連絡道路の一部を構成いたします猪谷楡原道路につきましては、延長七・四キロのバイパス事業でございまして、これまでに富山市の庵谷から楡原の延長三キロは開通しております。現在、富山市の猪谷から片掛間の延長一・六キロにおきまして、改良工事、橋梁下部、上部工事を進めているところでございます。

 また、大沢野富山南道路につきましては、十二キロのバイパス事業でございますが、平成二十六年度に事業化いたしまして、現在、道路設計、用地買収、改良工事、橋梁の下部工事を進めているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、一日も早い完成を目指して、しっかりと整備を進めてまいりたいと思っております。

上田分科員 ありがとうございます。

 引き続き、精力的に取り組んでいただければというふうに要望しておきたいというふうに思います。

 さて、国道八号、四十一号に見られるように、道路は、今日のコロナウイルスあるいはまた物価上昇により疲弊した地域経済を支える社会資本であり、一方、全国各地で多発する災害等に対応するために必要不可欠な社会資本であります。

 国民の生命財産を守り、地域を活性化させるためにも、防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策後も予算、財源の確保が必要と強く認識いたしますが、道路局長の所見を伺いたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 道路は、国民の安全、安心を確保するとともに、人、物の往来を支援するなど、国民生活に不可欠な施設であります。

 また、災害の多い我が国では、迅速な救援、復旧活動を支え、災害による社会影響を最小化するためにも、道路ネットワーク全体を強化することが重要と考えております。

 そのためにも、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、この予算を活用いたしまして、ミッシングリンクの早期解消を始めとした高規格道路ネットワークの整備など、国土強靱化の取組を進めているところでございます。

 一方、今後実施予定の箇所も数多く残っていることから、五か年加速化対策後も継続的、安定的に取組を進めていくことが重要と考えております。

 引き続き、防災・減災、国土強靱化の取組を始め、国民の暮らしや経済を支える道路整備をしっかりと進めるとともに、必要な予算の確保に全力で努めてまいりたいと考えております。

上田分科員 さて、今回、道路行政について質問するに当たりまして、道路の歴史であるとか、あるいは形態、役割等について多少調べてまいりました。

 我々の移動手段は、徒歩から馬車へ、そして、モータリゼーションの発達により車両が中心となって、それに伴って、道路においては、速達性であるとか快適性、安全性を求め、舗装、トンネル、橋梁等が整備され、あるいはまた、信号機、車歩道の分離、立体交差、中央分離帯等も設置され、今日では、ビルの中も道路が貫通し、道路の下においては、水道であるとか下水道、電気、ガス、通信網も埋設されております。

 日本全国が、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道によって毛細血管のように張り巡らされております。まさしく、道路は、人、物、情報を運び、災害対応や、あるいはまたインバウンドによる大交流時代を支える基礎的インフラであるということを改めて認識をしております。

 また、道路について調べたところ、変わったところでは、意外だと思ったところでは、車の通行できない、青森県の国道三百三十九号の階段国道であるとか、あるいは、人さえ歩いて通ることができない、鹿児島市、種子島、奄美大島、那覇市を結ぶ、海上国道と呼ばれている国道五十八号といった存在があるということも知りました。階段であるとか海上が道路の扱いになっているということであります。

 そこで、質問いたしますが、本州において、隣接する都府県で、道路で結ばれていない車両通行不可能な地域といったものがあるのか、道路局長に確認したいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御質問の、本州において、隣接する都府県間で、車両通行可能な国道で結ばれていない地域でございますが、全国で六か所ございます。

 このうち一か所につきましては、委員御地元の富山県から長野県間というふうになっております。

上田分科員 済みません、一か所としか想定していなかったものですから、六か所という答弁が返ってくるということは想定しておりませんでした。

 さて、そこで、今局長からも話がありました、富山県と長野県は車両が通行できないという形であります。

 ただ、富山県と長野県は、富山県立山町と長野県大町市の間を、立山黒部アルペンルートという山岳観光ルートを、ケーブルカー、ハイブリッドバス、トロリーバス、ロープウェー等で結ばれております。また、立山黒部アルペンルートは、雪の大谷に象徴される、インバウンドのキラーコンテンツでもあります。しかしながら、道路で結ばれて、直結されてはおりません。

 今日まで富山県、富山県議会、県内市町村において富山県と長野県を結ぶ一般車両が通行可能な県際道路の構想が訴えられ、富山県において調査も実施されてまいりましたけれども、これを北アルプス横断道路構想と我々は呼んでおりますけれども、この北アルプス横断道路構想を道路局長は御存じでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 北アルプス横断道路でありますが、富山県、長野県を連絡する道路の構想でございまして、平成三十年三月に富山県が策定した富山県総合計画において長期構想に位置づけられるとともに、令和三年の六月に富山県が策定した新広域道路交通計画において構想路線として位置づけられているものと承知をいたしております。

上田分科員 直近の話をお話しいただきましたけれども、これは昭和の時代から構想として上がっているところであります。

 富山県と長野県を結ぶエリアにおいて、三本のルートがそれぞれのエリアで話をされておりました。新川地域と言われているところ、また上市町と言われているところ、立山町と言われているところ、それぞれの自治体が、私のところをどうでしょうか、私のところにお願いしますという形で、三本のルートが富山県内において候補として上がっていたわけでありますけれども、三本の候補者というのはいかがなものかということで、北アルプス横断道路構想の推進会議といったものが設置をされました。

 まず、そこで、三本のルートを調査する能力といったものをやはり有しているのは国しかないだろうということで、まず、富山県と長野県を直結する道路の必要性、重要性といったものを国にしっかり認識していただこうということで、北アルプス横断道路構想の協議会といったものが設立をされました。昭和の時代から出ている富山県と長野県を結ぶ道路の話が、今、一本にまとまろうじゃないか、まず第一に富山県と長野の間の県際道路が必要であるということを強くアピールしようじゃないかということで、新しく運動体がスタートしたわけでございます。

 そして、平成の時代でありますけれども、平成五年から平成八年の三か年間において、県際道路について調査が行われました。富山県が業者に委託して行ったものというふうに認識をしておりますけれども、この県際道路についての調査は、平成五年から平成八年の三か年間において行われ、平成九年三月に報告書がまとめられました。

 その報告書においては、富山県と長野県を結ぶ県際の新しい道路の物流、観光を中心とした可能性と効果を述べているものの、やはり、フォッサマグナが走っているということもありますし、様々な、大変厳しい自然状況、また国立公園のエリアに入ってくるということも当然あろうかと思いますので、様々な観点から、具体的には、地形であるとか、地質の特性であるとか、あるいは冬季の気象条件であるとか、また環境保全、そして大切な事業費等の課題といったものも述べられておりますけれども、道路局長はこの県際道路報告書をどのように評価しておられるのか、お伺いしたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、委員よりいただいた富山県がまとめた調査報告書を拝見いたしました。

 この報告書は、富山県と長野県における県際を結ぶ新たな道路の可能性と効果について、富山県が調査検討した内容を取りまとめたものと承知をいたしております。

 報告書によりますと、県際道路の整備によりまして、一時間で移動できる圏域が広がること、また東西方向の物流や周辺の観光の流動が転換してくることなどの影響が見込まれております。また、建設に当たっては、特殊な地山条件の介在が予想されること、またトンネルの総延長が約二十五キロであることなどもございまして、事業性に課題があるというふうにされております。

 富山県において今後検討するに当たっては、このような過去の検討内容も参考にしつつ、最新のデータを用いて検討を深めていくことが重要であるというふうに認識をいたしております。

上田分科員 私も、二十二年間、県会議員をさせていただいておりましたけれども、数多くの方々が、この北アルプス横断道路構想について県当局の所見を問いただしてきたわけでありますけれども、やはり、様々な気象条件であるとか、あるいはまた予算関係のものというので、余り芳しい答弁がなかったということで、大変強く期待しておりますけれども、やはり道路は新しい未来を切り開くということも視点に入れて、検討を前に進めていかなければならないというふうに思っております。

 さて、この県際道路報告書においては、可能性を述べながらも、課題もあるというふうに言われました。どちらかというと課題の方が主に前面に出てきていた報告書だというふうに私は受け止めておりますけれども、そうした中において、この北アルプス横断道路構想を勇気づける資料といったものが出されました。

 これは、平成十年になりますけれども、平成十年三月三十一日に閣議決定されたものであります。その資料は、国土庁による二十一世紀の国土のグランドデザインというものであります。その中では、こう記されております。

 「北陸東部から南部に広がる北陸山麓地域等においては、地域内及び地形的条件から制約されている隣接する中信地域、飛騨地域等の他地域との連携を進めるため、広域的な交通基盤の充実を図る」と記されております。大変勇気づけられた資料でありました。

 平成十年三月三十一日に閣議決定された国土庁による二十一世紀の国土のグランドデザイン、この閣議決定というものは、今日においても当然効力を持って、北アルプス横断道路構想はこの文言が適用されるというふうに私は考えるものでありますけれども、道路局長の所見をお伺いいたしたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の二十一世紀の国土グランドデザインは、第五次の全国総合開発計画として当時の国土庁が策定いたしまして、平成十年に閣議決定されたものでございます。

 この計画の中で、今まさに委員がおっしゃられたとおりの記述がございます。

 お尋ねの点につきましては、これは国土政策局において所管するものでありますけれども、一般論として申し上げるとすると、隣接する地域間を道路ネットワークで結ぶことによりまして地域間の連携を図るということは、地域の活性化、また観光の振興などの観点からも非常に重要なことだというふうに考えております。

上田分科員 ありがとうございます。

 今ほど、県際道路の報告書においても様々な課題が述べられているわけでありますけれども、これは平成五年から平成八年において、この三か年間において調査されたものであります。

 ただ、平成の最初の頃から見て、当然様々な気象条件、地形条件、地質を乗り越える建設技術の進歩といったものも進んでいるというふうに思いますし、そうした厳しい環境に対して事業を進捗していく、進めていくということで、新しい技術といったものが日本国内の建設業界において確立される、そのことが、ひいては、プラントとして海外へ輸出することができる能力も、可能性も出てくるのではないかというふうに思います。

 「黒部の太陽」という映画がございました。これは、五つの工区に分かれて事業が行われたところでありますけれども、この「黒部の太陽」のモデルとなったのが、長野県大町市の大町トンネルでありました。事実でありますから企業名を出しても差し支えないと思いますけれども、これは、破砕帯に遭遇しながらも、熊谷組の笹島班という班がトンネルを貫いたという歴史であります。

 ちなみに、この笹島班というのは今、笹島建設という会社になりまして、モデルになった方が私の町の方でありますので、その頃から見ても技術がどんどんどんどん進んできているということであります。

 その新たにどんどん開発されてきた技術といったものをやはりもっと有効に活用する、日本の国家においても大変キラーコンテンツになり得るものだというふうに思っております。しっかりそうした視点も、未来を見据えて、難しいものに対して、可能性があるものに対して挑戦していくといったことも大切なのではないかというふうに思います。

 そこで、最後に質問いたしますけれども、この北アルプス横断道路構想は、今ほどもありましたけれども、富山県が策定した広域道路において構想路線として位置づけられておりますけれども、これは富山県と長野県を結ぶ道路でありますので、富山県が位置づけをするということも大切でありますし、その一方で、相手側となる長野県がどう考えているかということも大変重要だろうというふうに思っています。

 富山、長野、岐阜、新潟という形で、ゴールデンルートというふうに言われておりますけれども、糸魚川、富山、高山、松本という形で、高規格幹線道路等の整備が順次進んでおりますけれども、富山と長野を直結する道路である北アルプス横断道路構想において、相手側となる長野県ではどう位置づけられているのか。また、今後、この構想実現に向けて歩みをやはり進めていくためには、どのような手続が必要と考えられるのか、どのようなロードマップが想定されるのかということを、道路行政のトップである道路局長の教えを請いたいというふうに思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 北アルプス横断道路は、富山県、長野県を連絡する構想路線として、令和三年の六月に富山県が策定した新広域道路計画に位置づけられております。

 一方、令和三年三月に長野県が策定した新広域道路交通計画には、位置づけられていないところでございます。

 この道路につきましては、富山県の報告書において、両県の連携、発展に資するとされておりますが、特殊な地山条件の介在が予想される中、トンネルの総延長が二十五キロと見込まれるような県境の大規模なプロジェクトであることから、その実現のためには、まず両県の連携、それから国民のコンセンサス、こういったものが得られるということが大事じゃないかなというふうに考えております。

上田分科員 ありがとうございました。

 今ほどの答弁では、富山県では位置づけられているけれども、長野県では位置づけられていないということでありますので、今後、富山県側の姿勢としては、まず、長野県にこの道路の必要性、この道路の可能性といったものを御理解いただいて、長野県において広域道路の構想路線に位置づけをしていただくというふうに理解を求めるという形で進めていくということが、手続としてロードマップだというふうに理解をしてよろしいでしょうか。最後に、それを確認させてください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が言われたとおりでございまして、まず、長野県の計画の方に位置づけてもらうということが大事だというふうに考えております。

上田分科員 ありがとうございました。

 今日は、道路行政一本に絞って質問をさせていただきました。

 冒頭にも述べさせていただきましたけれども、道路というのは、町の今を変えていくというだけではなくて、やはり未来をもつくっていく、大変大切な社会資本であるというふうに思っております。あしたのため、未来のために必要不可欠なインフラであるということを改めて認識した上で、関係者と協力をして、様々な課題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

八木主査代理 これにて上田英俊君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)分科員 国民民主党、田中健です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 昨年も、この分科会で、富士川水系、富士川の河川環境の改善についてお伺いをさせていただきました。その際、今大臣もお越しになっていただいておりますが、大変に強い御理解と、また力強い答弁をいただいたことを今でも覚えています。

 今日も、まず、その問題についてお伺いをしたいと思っています。

 その富士川水系の質疑の中で、富士川の河川維持流量というものを令和四年度中に設定をするという答弁をいただきました。あと一か月強と迫りましたけれども、現在の検討状況、また今後の予定についてまずお伺いをしたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 富士川の河川維持流量については、有識者から成る検討会を令和四年十月に設置し、これまで三回の検討会を実施してきたところでございます。

 これまでに、動植物の生息、生育にとって必要な流量、良好な景観にとって必要な流量、良好な水質にとって必要な流量などを議論していただいたところでございます。

 引き続き、検討会において、この河川維持流量について御検討いただき、今年度中に河川維持流量を設定するという予定でございます。

 また、河川維持流量の設定後は、河川の流量のモニタリングを実施し、不足する場合、水利用の効率化などの方策について、関係機関等の協力を得ながら検討してまいることとしております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 今、少し今後のことについてもお話がありましたけれども、今年度中、来月にはこの維持流量が決まるということは確認ができましたけれども、モニタリングをして、また、関係各位とも話し合うというんですが、どのようにしてその流量の確保というのが担保されていくのか。量は決まったけれども、その調整や、またその話合いや、ないしは、今、専門家の委員会をつくっておりますけれども、恐らくそれは流量が決まってしまえば一度解散になると思いますけれども、その次の段階としての取組について、再度お伺いできればと思っています。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 適切な河川管理をするためには、河川維持流量の設定にとどまらず、治水や利水や河川敷の利用、様々な観点から河川に関する検討を行っていく、こういう必要がございます。

 御指摘の課題につきましても、様々な方法で有識者や住民などの意見を聞きながらしっかりと進めてまいりたいというふうに考えてございます。

田中(健)分科員 まず、維持流量が決まることが第一でございますが、その後、しっかりとこの維持流量が担保できるように取組をお願いをしたいと思っています。

 さらに、この流量に大きく関わるのは、富士川においては、水力発電所の取水であります。

 昨年も、この委員会の中で、波木井発電所の水利利用許可の更新について、更新期限が二年以上過ぎているのにいまだに許可が下りていない、これは異常事態ではないか、そういう状態が続いていることについてどう思うかというような指摘をさせていただきました。

 それから一年がたちましたけれども、まだこの許可が下りていないということであります。どうしてこのような状況がいまだに続いてしまっているのか、お伺いいたします。

岡村政府参考人 御指摘の波木井発電所の水利使用許可の更新に当たりましては、国と山梨県が仲介役となりまして、流域市町村と日本軽金属株式会社との間で、取水堰からの放流量の増量について協議を行っておるところでございます。

 昨年の十二月に、かんがい期は一・四立方メートル毎秒、非かんがい期は一・〇立方メートル毎秒であった取水堰からの放流量を、通年一・四立方メートル毎秒に増量するという内容で合意がなされたと伺っておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、この合意に基づきまして、速やかに水利使用許可の更新がなされるよう、現在手続を進めているところでございます。

田中(健)分科員 今、水量の合意の方が昨年末になされたということをお聞きをしましたが、冒頭申し上げました河川維持流量と、これはまさに水の量なのでありますけれども、波木井発電所の水利権の更新と取水の量、今話がありましたけれども、これは一緒に考えてよろしいという私の理解でいいでしょうか。

岡村政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど御説明をいたしました取水堰からの放流量の増量というのは、地元の市町村と日軽金株式会社との間で合意がなされたというものでございます。

 一方で、一番初めに申し上げました河川維持流量の設定というのは、動植物の生息、生育にとって必要な流量など、様々な観点から学術的に議論していただいている流量なものですから、必ずしもそれが同一ではないという状況でございます。

田中(健)分科員 同一のものではないんですけれども、ちょうどタイミングを同じくしておりまして、そして、河川維持流量が例えばかなり大きな維持流量と決まった場合、やはりその取水量というのも調整というか話合いが必要かと思いますので、是非、その問題も一緒に考えていただいて、いい環境を整備していただければと思っています。

 その中で、山梨県、静岡県にこの富士川はわたりますけれども、有志の皆さんが富士川水系と住民との関係改善に向けてという要望書をまとめました。ここにはこう書いてあります。

 河川維持流量が決められることを知りました。そもそも流れている量が少ないことも知りました。少ない流量は河川環境の悪化等、様々な問題にもつながることも知りました。富士川流域に暮らし、あるいはここで活動する流域の民でありながら、自分たちの川と、その川が抱える諸問題と真剣に向き合ってこなかったことを反省するものですということが冒頭述べられています。

 歴史も経緯も現状も知らなかった。私自身も、昨年この質問をするまで、この富士川における歴史、戦前から続く、国策でつくられた水利権や、またダム、そして、それがゼロ戦のアルミ精製に使われていたというようなことを知りませんでした。私も、反省をしながら、生まれた地域のことを質疑をさせていただけたわけですけれども、自分たちもこれじゃ駄目なんだと、その地域の人が今、大きく意識が変わり、立ち上がっているところであります。

 年末の十二月十一日には、取水されて導水管に流れてしまっている川、これは、二年に一度、全て、この導水管をチェックと清掃をするために放流される日があります。この日に合わせて、富士川のフリー・ツー・フロー、富士川に自由な川の流れを取り戻そうというイベントが行われました。全国から川に関係する様々な人たち三百名以上が、一斉に自然の流れの富士川というものを下りました。私も参加をさせていただきました。

 自分たちに何ができるんだろうと、みんながそれぞれ現状を、全国の川の現状もお互いに伝え合いながら、共に考えて、そして、それに賛同する署名を集めまして、この署名は八千筆以上を超えています。

 具体的には、この河川維持流量が決まったならば、なるべく自然の姿を取り戻していきたい、様々な整備が必要ではないかと提言があります。例えば、この富士川はアユが飛び交う川でありましたが、今、アユは捕れません。アユが飛び交う川に戻すためには、魚類が昇降しやすい河川環境の整備や、また、どうしても、一級河川ですから、危険なところもありますので、川と生活とがかなり乖離してしまっています。川と人を遠ざけるのではなくて、人と川と暮らしをつなげるための川へのアクセス、これをしやすい環境整備などが皆さんの大きな要望として上がっています。

 これについての見解を伺いたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、アユなどの魚類が上りやすい河川環境ですとか、人がアクセスしやすい河川環境、これを整備、保全していくことは重要なことと考えております。

 魚類が上りやすい河川環境に向けては、魚類の昇降状況についてモニタリングをした上で、富士川の堰に設置された魚道については、必要に応じ、改善することも含め、堰の管理者とも調整をしてまいります。

 また、河川へのアクセスにつきましては、潤いやにぎわい、憩い、教育の場などの多様な機能の確保のため、安全に配慮しつつ、かわまちづくり支援制度なども活用しながら、地元市町村とも連携をして、アクセスしやすい環境を整備してまいります。

田中(健)分科員 ありがとうございます。現状を大変理解していただいておりますこと、感謝申し上げます。

 また、かわまちづくり支援制度、御説明を伺いましたけれども、大変、全国で同じような課題を抱え、また、取組を進めているところもあるということをお聞きをしております。是非、参考にさせていただきまして、地元自治体と連携を進めていきたいと思っています。

 一方、これは行政に要望しているだけでは駄目でありまして、さらに、河川維持流量が決まって終わりでもなく、本当に自分たちの生活に根差した川にしていくためには、これからに懸かっていると思っています。流域住民の力が必要となり、試されるのは、今後の取組であります。

 河川維持流量は先ほどありました有識者や専門家の議論が続いていますが、今度は、それが決まったならば、関係する行政はもちろんのこと、水利権者や、また河川利用権者、そして住民、暮らす人々など、様々な主体が参加をしていただき、お互いの信頼関係を築きながら前に進めていけるような協議会、これは、仮称、富士川の流域協議会というようなことを述べておりますが、この川を軸とする地域づくりというのが必要であると考えていますが、このような協議会について、いかがでしょうか。見解を伺います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、適切な河川管理をしていくという、非常に重要なことだと思ってございます。そのためには、治水、利水、河川敷の利用、自然再生など、様々な観点から河川に関する検討を行っていく、こういう必要があるかというふうに考えてございます。

 富士川につきましても、河川の特性ですとか、あるいは地域における様々な課題、こういったことに応じて、様々な方法で有識者の皆様あるいは住民の皆様の御意見を伺いながら、関係者と連携して安全で良好な河川環境の整備を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 是非、それを何か形にして、参画できるような、皆さん、当事者として主体的に関わっていきたい、関わるからには責任も伴いますから、責任もしっかり取っていきたいという決意でおりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 この要望書の最後にはこう書かれています。

 今改めて、富士川水系の上流から下流、駿河湾に至るまで川がつながり、お互いに協力をし合い、それぞれの地域の暮らしを豊かにする川を取り戻していきたい。そして、私たち自身はもとより、ここで育つ子供たちや未来の担い手たちが、この川と流域の暮らしに誇りと愛着を持って暮らし続けてほしい。そのために私たち、流域の民として、富士川に河川維持流量が初めて設定されるという、私たちにとって歴史的なこの機会を、これから、それぞれが暮らす富士川水系としっかりと向き合うきっかけとしたいんですというふうに述べられています。

 大臣には、冒頭お話をしました、昨年もこの富士川の水環境の問題に理解を示していただきました。大臣がここまで聞いてくれたと大変地元の人たちは勇気づけられましたし、大変に励みになりました。是非、今後の取組について、大臣からの御意見も伺えればと思っております。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年、田中委員から、この富士川についての御質問をいただき、その後、西に飛ぶ飛行機に乗った際には必ず、左下から、甲府盆地から非常に山岳の狭窄部に入って、どうやってあの山を抜けているんだろうなと不思議なぐらいのところを通って駿河湾に注いでいる、いつもその川を見ながら西に向かっております。

 この富士川の持つ非常に特殊な環境と、その豊かな流量の回復や良好な水質、それから魚が上りやすい環境の整備など、地域からの様々な声にしっかりお応えしていきたい、このように思っております。

 こうした環境に関する課題認識などの地域の声に真摯に耳を傾けつつ、激甚化する水害も踏まえ、治水対策と河川環境の保全と再生の調和の取れた富士川の河川整備を進めていく決意でございます。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 富士川は、おっしゃっていただいたように、一級河川で、水も大きく、増水時また台風時には危険な川となるときもあります。是非とも、防災、防水の方も、一緒に治水の方も取り組んでいただければと思っております。ありがとうございます。

 引き続きまして、地元清水港の整備について伺いたいと思っています。

 この清水港をめぐる環境というのは、今大きく進展をしています。これは国際拠点港湾として整備が進んできましたが、中部横断自動車道の開通、また、静岡県が進めるマリンオープンイノベーションプロジェクト、また、静岡市が海洋文化施設の建設を今予定しておりますし、また、海岸沿いにはENEOSの跡地にサッカースタジアムの候補地が選定されるなど、周辺環境が大きな変革を今迎えています。今こそ、国と合わせて、この清水みなとまちづくりを推進したいと思っています。

 まず、この中で、直前に迫った海外クルーズ船の受入れについてお伺いをしたいと思います。

 国際クルーズ船は、ダイヤモンド・プリンセスの新型コロナ集団感染を機に、二〇年の三月以降、国内での受入れは中止とされています。しかしながら、三月一日、もう間もなくとなりましたが、全国の港で第一号として、ドイツのクルーズ船、アマデアという、これは六百人の定員の大きな船でありますが、これが寄港となります。地元は大いに期待を寄せておりますけれども、国交省として、これまでの国際クルーズ船の取組、また、今後の推進などについて伺えればと思います。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 クルーズ船の寄港は、地域に訪日外国人旅行者を始めとする多くの来訪者を呼び込み、経済効果やにぎわいの創出等、これまでの地域の活性化に大きく貢献をしてきたと思っております。

 委員御指摘のとおり、来月から国際クルーズが本格的に再開する予定となっておりますので、必要な感染防止対策を行いながら、引き続き、安心してクルーズを楽しめる環境づくりを推進してまいります。

 さらに、国際クルーズ再開後は、多様なクルーズ船を円滑かつ安全に受け入れるためのハード、ソフト両面からの受入れ環境の整備、また、地域への経済効果を増大させるための寄港地観光ツアーの上質化、多様化など、クルーズ振興のために必要な取組を、関係省庁や地元自治体と連携してしっかりと進めてまいります。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 水際対策などについては、地元の要望をいち早く取り入れていただきまして、昨年中にガイドラインも示していただいた結果、三月一日に受入れができるようになったということもお聞きをしております。是非、これも官民力を合わせていきたいと思っています。

 一方で、清水港は、近い将来発生が懸念されている南海トラフ巨大地震やそれに伴う津波で甚大な被害が想定をされています。また、台風などにより、港湾の物流施設や、また、市街地への高潮、高波被害も実際に頻発をしています。清水港の物流機能を確保し、多くの産業や住民、観光客やクルーズ船のお客様など、人命や財産を守るためには、また、堤防がない無堤区間がありますし、また、海岸も大変古くなっておりまして、この保全が必要とも言われておりまして、この海岸保全施設の整備促進が急務であります。

 この防災対策についてのお考えを伺います。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 清水港におきまして、切迫する南海トラフ地震等による津波、高潮、高波から浸水被害を軽減するための対策は極めて重要な課題であると認識をしております。

 清水港におきましては、例えば、日の出地区及び江尻地区などでは防潮堤が整備されていないいわゆる無堤区間が一部存在しておりまして、また、既設防潮堤の高さも不十分な状況と承知をしております。

 このため、国土交通省では、この日の出地区及び江尻地区を含めた清水港全体で、海岸管理者である静岡県が実施する無堤区間への防潮堤の新設と、また、既設防潮堤のかさ上げなどの対策を、補助事業及び防災・安全交付金事業で支援をしているところでございます。

 引き続き、静岡県と連携しながら、清水港の津波、高潮、高波対策を支援してまいります。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 日の出地区、江尻地区という、大変に、地元の話も出していただきました。その地区はJRの清水駅がもう目の前でありますし、また、河岸の市という市場もあります。また、実はその横にJCHOさんの病院も建設をされるということで、多くの人が行き交う場所でもあります。是非スピード感を持って、対策を県と連携して進めていってほしいと思っています。

 さらに、港に最も必要な物流機能についてもお伺いをしたいと思います。

 この清水港の物流の中核を担う新興津埠頭は、大型パルプ運送船の利用やコンテナ船の大型化の進展により、岸壁の混雑や沖待ちが現在発生をしておりまして、この岸壁利用の円滑化や効率化というものが求められています。

 令和三年度に岸壁の二百メートルの延伸の直轄事業が新規採択をされたところでありますが、この一日も早い整備が待たれています。

 今後の計画の予定と進展について、また、この清水港は民間の皆さんと一緒に進めてきたという歴史がありますので、民間企業と一体となった機能強化の必要性についても伺います。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 清水港は、自動車産業や製紙業を始めとした地域の基幹産業を支える重要な物流拠点でありまして、令和三年には全国第八位のコンテナ取扱量を誇る国際拠点港湾でございます。

 国土交通省では、大型パルプ運搬船やコンテナ船の大型化に対応するため、令和三年度に、新興津地区国際コンテナターミナルにおいて、国直轄による岸壁の延伸事業に着手したところでございます。また、同ターミナルにおきまして、荷役能力の向上や労働環境の改善に取り組む民間事業者に対しまして、令和二年度より遠隔操作RTGの導入に向けた支援を実施しております。

 引き続き、清水港における物流機能の高度化に向けた取組を進めてまいります。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 国と県の取組、また、市との取組、これは同じ方向を向いているというのがよく分かりまして、是非お願いをしたいと思っています。

 清水港は、国際拠点港湾ということで国の位置づけがされています。大きな変革期にあるというお話もさせていただきましたが、是非、どのようにこれからこの清水港を考え、前に進めていくのかというお考えを大臣からもお聞かせいただければと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほどは西に行く飛行機の話をしましたが、東に来る飛行機のときは、左下にまた清水港が、本当にぐるっと、半島と言っていいんでしょうか、に取り囲まれた自然の良港というのを実感することができます。

 清水港は、国際コンテナや国内ローロー貨物のほか、パルプ等のバルク貨物を取り扱う、我が国にとって重要な海上物流ネットワークの拠点となっております。また、中部横断自動車道の静岡―山梨間の開通に伴う背後圏とのアクセス利便性を生かし、農林水産物・食品の輸出拡大にも大きく寄与していると承知しております。さらに、世界文化遺産である富士山を擁し、クルーズ船の受入れ拠点としても重要な役割を担っております。

 国土交通省としましても、港湾管理者である静岡県を始め、地元関係者と連携しつつ、清水港の様々な取組を着実に進めていきたいと思っております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 いつも飛行機で見ていただいていることもお聞きをいたしまして、ありがとうございます。

 本当に、三保半島がありまして、自然と調和をする、最も、環境を大事にし、美しい港としても清水港は今大きく発展をしておりますので、お力添えをいただければと思っています。ありがとうございました。

 引き続きまして、南海トラフ対策について伺います。具体的には、津波避難タワーの現状と課題です。

 東日本の大震災後、全国で五百以上の津波の避難タワーというものが建設をされました。警報が発表されてタワーに避難をした場合は、警報が解除されるまで屋上にとどまる必要があります。長ければこれは一日以上に及ぶ可能性がありますが、この現状をどのように考えていらっしゃるか、お聞きします。

天河政府参考人 お答えいたします。

 一日以上とどまるということもあり得ますので、地域によりましては、居室を造るなど、そうした対策が必要になる、このように考えております。

田中(健)分科員 ありがとうございます。

 もう少し説明があると思ったんですけれども。

 つまり、その場所で長く滞在しなきゃならないということで、その場所の環境というものが問われてくるんだと思っています。

 この間は、やはり、まず整備が第一だということで、その整備に重点を置かれてきました。かく言う静岡県がまさにそうでありまして、この五百のタワーのうち百三十六にも、静岡県、及びます。海岸線が長いものですから、その津波対策を進めてきました。想定浸水地域内の津波避難施設の空白区というのは、これはほぼ解消されたということで、大変望ましいことであるんですけれども、この整備の進捗を優先した結果、これは工作物として整備をしました。雨や猛暑をしのぐ施設はありません。つまり吹きっさらしで、上に登っても何もないということであります。大半は簡易な構造でありまして、資材置場を補完する防災倉庫すらない場所もあります。

 現在の状況を見ますと、全国、ほかの地域を見ますと、もう最初から屋上部分、屋根や壁をつけて一日以上滞在できるような環境を整えている地域もあるんですけれども、静岡県は、設置を急いだ、まず造ることを優先した結果、現状は、そのように厳しい現状となっています。

 県としても環境改善の取組を進めていくということでありますけれども、今後、今の構造物に壁や屋根をつける場合、構造変更を伴う可能性がありまして、自治体もそれを懸念しているところです。

 建築基準法上の課題、また、それを解決するために緩和措置等などを考えていったらいかがかと思っておりますが、見解をお伺いします。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 津波避難タワーは、元の建設がされた際は、建築基準法上、準用工作物ということで確認が行われるのが一般的でございますけれども、先生おっしゃるような、屋根などを増設するという場合には、建築物という取扱いになると思います。

 この場合でございますけれども、耐震性能につきましては、これは問題にならないことが多いのではないかとは思いますけれども、建てられた当初からの重量に加えまして、屋根などの増設による重量の増、こういうものも踏まえて耐震性能の確認を行うということは必要になってまいります。

 また、元の、建設されました際に確認の対象になってはおりません、建蔽率や高さといった市街地環境を確保するための形態規制がございます。これについても確認が必要となってまいります。

 一方で、現行の建築基準法を見ますと、屋根等の増設に伴いまして支障とはならないような、そういう規制も多くございますし、また、特例規定が設けられている規制、これについては、これを有効活用することで、御指摘の環境改善、これが進められるケースも相当あるのではないかというふうに思っております。

 今後、静岡県におかれては、既に整備済みの津波避難タワーにおきます滞在機能を強化するために、モデル的な事例を対象にして、法的な整理でありますとか解決策の検討を行っていかれるというふうに聞いております。

 私どもも、御要請がありましたら、一緒に解決の道を探っていきたいというふうに存じます。

田中(健)分科員 ありがとうございます。問題を共有していただいたと思っております。

 静岡県も、同じように、まだこれからどのような課題があるのかを今洗い出しをして、そして全国の例を今まとめる段階にあるということでありますので、是非、これは個別具体的、それぞれ、津波避難タワーと打ちますといろいろな形態のタワーが出てくるのでありますけれども、滞在環境、そこにいて一日以上過ごせるというようなものにするためにはどうすればいいのか、是非一緒に考えていただければと思っています。よろしくお願いします。

 最後に、国道一号線のことについてお聞きをしたいと思っています。

 静岡県は東西に長く、国道一号線バイパスというのは東西交通の要でありますが、交通量に見合う道路休憩施設というのが不足をしています。

 興津由比間というのがあるんですが、これは海岸に張り出した道路形状となっております。ここはよく、三点が一点に交わる、JRと高速、そしてこの国一です、ここが強風になることで通行止めがありまして、是非ここについて、道の駅ないしは休憩所、防災機能が必要ではないかという議論が進んでいます。

 この取組について中間取りまとめが出たんですが、今ちょっと止まっているという現状でありますので、最後に、この検討の動きと、また、今後の取組についてお伺いをして、終わりたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国道一号の富士川周辺区間、強風と越波による通行止めが頻発しておりまして、通行止めに気づかないまま流入した車両による滞留、また、新東名への迂回による清水連絡路の渋滞、こういったものが発生しているところでございます。

 このため、令和二年の十二月、国、県、市によります検討会、先ほど先生がおっしゃられた検討会を設置いたしまして、休憩、防災施設の強化対策について検討を進めているところでございます。

 検討会におきましては、富士川周辺の強化方策として、国道一号における緊急時に転回可能な中央分離帯を導入すること、また、道の駅「富士」の駐車容量を拡大すること、また、道の駅「富士」のBCPの策定、防災訓練を実施することなどを令和三年の三月二十五日に取りまとめたところでございます。

 このうち、国におきましては、令和三年の八月までに、緊急時の転回可能な中央分離帯の導入、これが完了しておりまして、現在、道の駅「富士」の駐車場拡張の設計を進めているところでございます。

 引き続き、関係機関と連携いたしまして、国道一号の富士川周辺における休憩、防災機能強化を図るための検討を進めてまいりたいと考えています。

田中(健)分科員 時間になりました。

 ありがとうございました。

八木主査代理 これにて田中健君の質疑は終了いたしました。

 次に、加藤鮎子君。

加藤(鮎)分科員 おはようございます。

 今日は、予算委員会第八分科会での質問の機会をいただきまして、昨年まで国土交通政務官として務めさせていただいた私としては、いい機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 様々御質問させていただきたいと思いますが、仕えさせていただいた身としまして、大臣には、今日ここは、私、質問を控えさせていただきまして、是非、御退席いただきながら、しばし御休憩をいただければというふうに思っております。御退席いただければと思います。(斉藤(鉄)国務大臣「御配慮ありがとうございます」と呼ぶ)済みません。質問したい気持ちはやまやまあるんですけれども、よろしくお願いします。

 改めまして、山形三区の加藤鮎子です。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただければと思います。

 まず最初に、洋上風力の推進施策につきまして質問でございます。

 現在、再エネ海域利用法に基づきまして全国各地で案件形成が進められていますが、私の地元、酒田港周辺でも、脱炭素社会に貢献すべく、洋上風力発電を推進していこうという動きが加速をいたしております。

 こういった洋上風力の発電の取組は、地域の合意形成、地域全体で同じ方向を向いて取り組んでいくという機運ですとか理解が大変必要だと思います。それを踏まえまして、あえて御質問させていただきたいのでございますが、山形県の隣の秋田県では、秋田港が基地港湾に指定をされまして、今、にわかに活況を呈しているというふうに聞き及んでございます。

 今、秋田港の活用状況、活況を呈しているその状況、経済効果は、どのようになっていると国の方で認識されておられますでしょうか。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、洋上風力発電の設置、維持管理に不可欠となる基地港湾を全国で四港を指定いたしまして、整備を進めております。秋田港につきましては、令和二年度に整備が完了しております。

 令和三年四月から、秋田港内及び能代港内における洋上風力発電設備の設置工事にこの秋田港が活用されまして、令和五年一月に、我が国初の商業ベースでの大型洋上風力発電事業として運用が開始されております。

 秋田県沖の洋上風力発電の導入に伴いまして、秋田県、市、地元企業が一体となって、発電設備の設置工事における県内企業の参入のみならず、メンテナンス企業の設立、それから洋上風力発電の総合訓練センター、これの設立、また地元企業からの部品調達の検討など、地域振興に資する新たな取組が進められておるところでございます。

 なお、秋田県が独自に行った試算におきましては、県内の港湾内及び促進区域での二十年間の運転期間を含めた洋上風力による県内の経済波及効果を約三千八百億円と算出しているところでございます。

加藤(鮎)分科員 大変羨ましい限りという声が私の地元でも多く聞かれます。

 秋田港での事例のように、酒田港周辺でも洋上風力発電の導入が進めば、脱炭素に取り組むカーボンニュートラルポートに向けての前進にもなりますし、酒田港の競争力強化にもつながるんだろうというふうに考えております。

 先ほど、様々お話に出た、メンテナンスセンターですとか様々、そういった効果もそうですし、当然、必要となってくる港湾整備事業も進んで、人や物が大きく動くことになるんだと思います。

 地球規模の課題解決に貢献する再生可能エネルギー事業なのでありますが、まさに誘致した地域にとっても経済的な波及効果が見込まれると考えますし、また、そうあるべきというふうに期待をしております。

 政府として、仮に今後酒田港周辺でも洋上風力事業が進展した場合、基地港湾となった酒田港周辺地域への経済的な波及効果がどのようになるかということを見込んでおられるか、是非御教示いただければと思います。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 山形県の遊佐町沖については、令和三年九月に有望な区域として整理いたしまして、関係者による協議会において、令和四年一月以降、風力発電設備整備の促進区域指定に向けた検討が進められているというふうに認識しております。

 地元への波及効果といたしましては、洋上風力発電の導入を通じて、設置工事における地元企業の参入、それから保守作業員の地元雇用、それからメンテナンス企業の参入など、地域の状況に応じまして、酒田港の発展につながるような地域振興が期待をされているところでございます。

 また、山形県の独自試算におきましては、これは平成二十九年に行っておりますけれども、五十万キロワット級の洋上風力発電規模の場合、二十年間の運転期間を含めた県内の経済波及効果を、これは最大約一千七十億円というふうにしております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 経済効果の見込みなども、しっかり、地域や自治体、そして国と一緒に共有して、同じ方向を向いて進むことができるように、地元代議士としてもこれから汗をかいていきたいと思います。

 堀田局長、ありがとうございました。

 続きまして、再生可能エネルギーにちなみまして、今後増加するであろう太陽光発電パネルの廃棄の問題について質問をさせていただきます。

 耐用年数が経過した太陽光パネルの廃棄は、発電事業者が責任を持って費用負担をするところで、その積立ての義務などを課した制度もございますが、私の地元の声では、今もなお、本当にちゃんとやってくれるのかなとか、事業者がちゃんと積み立てていなかったらどうするのかとか、事業者が倒産していたらどうなのかとか、そういった不安の声が上がっております。

 ここについての政府の現状の御対応のところと、あわせて、今後、FIT制度も終了を迎える中、真に環境負荷を低減することに貢献している優良な事業がしっかりと展開していくためには、使用済みの太陽光パネルのリサイクルの仕組み、これを構築していくことが重要かと思いますけれども、ここについての政府の取組状況はいかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が中心的に御活動いただいておられる議連の中でも、本日、御指摘の地域におきまして、太陽光パネルの廃棄問題、大丈夫か、非常に大きな重要な課題になっていると御指摘いただいております。

 我々といたしましても、各地域の状況を踏まえますと、まさに御指摘のとおりだろうと考えてございます。

 発電事業終了後の太陽光発電設備の廃棄処理は、御指摘のとおり、原則といたしましては、廃棄物処理法の下で、事業者責任でやっていく。ただ一方で、高まる懸念に対応するため、法律改正いたしまして、こうした解体撤去、廃棄に係る費用が適切に確保されるように、源泉徴収的な外部積立制度を昨年七月から開始しております。まず、我々はこれをしっかり執行していく必要があると考えております。

 また、仮に太陽光発電設備が放置されたり不法投棄された場合にどうするんだという御下問の点につきましては、廃棄物処理法等に基づきまして、自治体などが行政代執行によって対処するということも考えられますが、先ほど申し上げました新しい制度におきましては、こうした場合には、自治体が積立金を取り戻す、取り崩せるという制度となっております。

 いずれにいたしましても、こうした制度をしっかり、自治体とも連携しながら、事業者の方々に義務を負っていただくということを大事にしつつ、もう一点、御指摘ありました太陽光パネルのリサイクル、これは大変重要だと考えてございます。リサイクルコストの低減に向けた技術開発、こういったことをやりつつ、議連でいただきました御提言、あるいは関係省庁の共同研究会の研究成果を踏まえて、環境省さんとよく連携して、適切な廃棄、リサイクル、必要に応じ、制度的な対応も含め検討をしっかり急いでいきたい、かように考えてございます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 再生可能エネルギーは、政府方針の下しっかりと進めていくべきものだからこそ、地域での合意形成、そのプロセスも重要でありますし、信頼できない一部の事業者によって、再エネ全体が信用できないようなイメージ、不信感の対象とならないように、是非、一定のルールの下、適切に運営されるようにしっかり取組の方をよろしくお願いいたします。

 さらに、この再エネの推進は、経済的にも国力にしっかりと結びつけていくということが大事だと考えます。

 日本には誇るべき技術がたくさんございまして、再生可能エネルギーの分野でも、太陽光発電のペロブスカイトという技術など、今後すごく注目されて、期待されているものもたくさんあると考えます。

 しかし、今現在では、シリコン系のパネルを中心に諸外国のメーカーが大きなシェアを占めているという現状がありまして、国産化をもっと進めていくべきだと考えますけれども、この辺り、政府のお取組の方をお聞かせください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の太陽光パネルの国産化、これも大変重要だと考えてございます。

 また、御指摘いただきましたペロブスカイト太陽電池、これはおっしゃるとおり日本発の技術で、しかも軽量で柔軟性を有しておりますから、ビル等でも設置可能。さらには、シリコンと違いまして、主な原材料がヨウ素ということで、日本は世界第二位の産出国になっております。

 こうしたことから、グリーンイノベーション基金、研究開発から社会実装まで一気通貫に支援しようと考えてございまして、早いところでは今年の四月から一部ユーザーサイドと連携した実証が行われる予定となっております。

 引き続き、こうした取組を加速すると同時に、どうやったら需要サイドでこうした立ち上がりを引っ張っていけるのかといったような点も含めまして、検討を引き続き急ぎまして、国産化、市場獲得に向けて取り組んでいきたいと考えてございます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 積極的な御検討、お取組に対して、私もできる限りバックアップできるように支援していきたいというふうに思っております。

 井上部長、ありがとうございました。

 続きまして、地方鉄道の今後につきまして、国としての支援、関わりにつきまして質問をさせていただきたいと思います。

 全国各地、特に地方では、赤字路線が続出をしております。このコロナ禍を経て、その赤字幅は増幅をいたしておりまして、JR各社、とても厳しい経営状況に置かれております。

 私の地元の羽越本線の村上―鶴岡間などは特に、JR東日本の路線の中でも最も赤字の大きな区間だということで先日公表されたところでございます。地域の方々は非常に不安に感じておりまして、まず初めに、よもや、地域のあずかり知らぬところで勝手に廃線の話が持ち上がるなどということはないということを是非確認をさせていただければと思いますが、ここはいかがでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 JRの上場各社につきましては、JR会社法に基づきまして、国鉄改革の経緯を踏まえ定めました、いわゆる大臣指針というものによりまして、赤字という理由だけで廃線を行うことは容認されておりません。

 国土交通省といたしましては、今回提出させていただいています、今回の法改正の前提といたしまして、今後とも、JRの上場各社につきましては、大臣指針の遵守を指導してまいりたいと考えております。

 なお、昨年国土交通省に設置いたしました検討会の提言におきましては、御指摘の羽越本線のように、特急列車が拠点都市間を連絡する区間につきましては、引き続き鉄道の維持を図っていくことが強く期待されるため、当面、今回新たに設けようとしております再構築協議会の対象としないことが適当であるとされております。こうした提言も踏まえまして、幹線の取扱いにつきましては今後とも適切に対応してまいります。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます、確認させていただきまして。地域に住む方々にとっては大変重要なポイントですので、否定をしていただき、心強く思うところであります。

 一方で、人口減少が急速に進む地方では、地域によりましては、住民にとってより使いやすい公共交通の在り方を、時代に即して先手先手で模索していった方がかえって有利という場合もあり得ます。自治体や地域住民の方々が望むのであれば、国としても積極的に関わって支援をしていくということが重要と考えますが、どのように制度的に支援していくか、御見解をお聞かせください。

 また、あわせて、前向きな地域の取組が具体的に進んでいけば、その過程でもまた新しいニーズがいろいろと出てくるものと想定されます。支援の在り方も日進月歩で進化させる、そういったことがあってこそ、地域も前向きに取り組む勇気が持てると思いますが、その辺りの政府の考え方につきましてもお聞かせをいただければと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先日、二月十日に閣議決定されました地域公共交通活性化再生法の一部改正法案におきましては、自治体や事業者からの要請を受けて、国が地域公共交通の再構築の方針を策定するための協議会を設置することとされたところでございます。

 また、合意形成に向けた調査、実証事業に対する支援や、自治体が再構築の方針に基づいて必要なインフラ整備に取り組む場合の社会資本整備総合交付金による支援など、従来にはない新たな支援策を講じることといたしております。

 国といたしましても、積極的に関与しながら、沿線自治体や利用者を始めとする地域の声をよく聞き、地域の御理解を得ながら、丁寧に協議を進めてまいります。

 今後のローカル鉄道の再構築を一層円滑に進める観点から、また、引き続き、どのような課題があるのか、真摯に、自治体あるいは事業者、関係者の皆様から意見を聞き、必要な対応策について検討してまいります。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 柔軟でかつ前向きな姿勢で国が伴走していただける、そういった先の見通しがあってこそ、地域も新しい取組に踏み出せると思いますので、是非そのスタンスで、寄り添いながら、御支援の方、お願いを申し上げます。

 道の駅につきまして、この後、質問させていただきます。

 道の駅は、全国で国民の皆様に親しまれて、もはや道の駅を利用したことのないという人は少ないんじゃないかと言えるくらい定着をしてまいりました。各地の地域活性化や防災・減災にも大変貢献をしているところであります。私、道の駅は、道路局、国交省のすばらしいヒット作だと思っております。

 私の地元は山形県の北部にあるんですけれども、実は、このエリアは道の駅が比較的まばらで、そのせいか、いろいろと地域から、是非、うちにも、うちにもという期待の声がよく聞かれます。

 どういったところが道の駅として適しているのかということは、これは一概には言えないと思いますけれども、例えば、高速道路などの幹線道路が交差する位置ですとか、人流、物流が活発で、道の駅を設置する効果がそういったところは大きいのではないかと考えますが、国交省の見解の方はいかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 道の駅は、道路利用者が安心して利用できる休憩場所としてだけでなく、地域の創意工夫によりまして、観光、防災、福祉など、様々な機能を有する拠点に発展してきたところでございます。

 各道の駅に期待される効果といったものは、各地域の考えにより様々でございますけれども、委員御指摘の、高速道路ネットワークの縦軸、横軸が交差する場所、こういったものは、人流、物流が行き交う交通の要衝であると思っております。

 こういった場所に、例えば、多言語対応またキャッシュレスなどインバウンド観光に対応する機能、また、観光コンシェルジュによる情報発信など地域の魅力的な観光資源の情報を発信する機能、また、移住相談、宿泊体験などにより関係人口の増加を支援する機能などを有する道の駅を設置することで、周辺市町村を含めた地域全体の活性化を図る拠点としての役割が期待できるというふうに考えております。

加藤(鮎)分科員 大変ありがとうございます。

 具体的なアイデアも含めて、アイデアといいますか方向性、目指すところも見えるかのような御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。

 道の駅の質問を続けさせていただきます。

 今後、政府は、物流の効率化ですとかGXに資するグリーンモビリティーの普及など、時代の流れに即して様々な取組を進めていくと聞いております。

 ドライバー不足は深刻な課題ですし、世界的なGX推進を背景にグリーンモビリティーの普及は今後かなり進んでいくんだろうと思っておりますが、そういった環境の中で、国として道の駅にどのようなことを期待をされているのか、また、国として各道の駅における取組をどのように支援されていくのか、一般論でも構いませんのでお聞かせをいただければありがたく思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、国土交通省におきましては、道の駅が、地方創生、観光を加速する拠点へ進化することを目指しまして、道の駅第三ステージとして、観光、防災、地域センターの機能を強化するため、モデルプロジェクトを開始するなど、取組を進めているところでございます。

 この第三ステージの一環といたしまして、自治体、民間事業者とも連携しながら、中継輸送機能の有効性検証のための実証実験の場、また、道の駅を拠点とした自動運転サービスにおけるグリーンスローモビリティーの発着拠点として活用されている道の駅もあるというふうに承知をいたしております。

 道の駅が、物流の効率化、また、GXに資するグリーンスローモビリティーの普及など、地域の課題に応じた様々な役割を果たしていくことを期待しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、各道の駅の様々な機能強化が図られるよう、地域の考えをよくお聞きしながら、好事例の横展開、また、関係機関の調整、道の駅の機能強化に活用できる各省庁の予算も含めた支援メニューの紹介など、丁寧に支援していきたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 親身な御答弁を誠にありがとうございました。

 私も議員として、時代に即した取組を行う地域の道の駅についてはしっかり応援をしていきたいと思いますし、また、そういったところを支援していただける国交省の取組も、スタンスも、しっかり応援をさせていただきたい、このように思っております。

 日沿道につきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 日本海東北自動車道の整備促進についてですが、是非進めていただきたいという私の地元の声は、もう日頃から非常に大きいのですが、実は日沿道の秋田県境の部分は開通の見通しの年度の方が示されておりまして、それはとても地域の方々に喜ばれています。見通しが立つということで、向こう、どういった準備を、地域として、心構えでやっていくのか、どんなことができるかということを、ビジョンを持つことができます。

 しかし、新潟県境部分、山形県側のところは、残念ながら、見通しが示されていません。様々事情があると理解はしてございますが、是非早期にお示しをしていただきたいという思いがありますが、現状のところ、どうなっているかお知らせをいただければと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 日沿道でございますが、新潟県、山形県、秋田県をつなぐ高規格道路でございまして、山形、新潟県境の朝日温海道路のうち、山形県内の延長六・七キロにつきましては、用地買収がおおむね完了しておりまして、現在、鼠ケ関トンネルの工事、また、橋梁下部の工事を今進めているところでございます。

 なお、この工事の工程でございますけれども、トンネルの掘削による発生土から自然由来の重金属が確認されているところでございまして、今後、この重金属を含む発生土の量によっては、工事工程に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、現地は鉄道と並行しておりまして、鉄道を横断できる工事用の進入路が限られた状況下でのトンネル工事、これを進める必要がありますことから、綿密な工程の精査が必要となっております。

 こういった理由から、現時点では、残念ながら開通の見通しをお答えできる状況ではないということでございます。

 いずれにいたしましても、地域の皆様の御協力をいただきながら、工事を強力に進めまして、早期に開通の目標をお示しできるよう整備を進めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 地形や地域の場所、区間区間の事情によってなかなか難しいところがあるという実情を御説明いただきましてありがとうございます。できる限りでということで、是非よろしくお願いをいたします。

 続きまして、道路除雪費について、道路局に、丹羽局長にお伺いしたいと思います。

 この冬も、年末に非常に大きな雪が降りました、東北地方。一月に見られた十年に一度と言われる大寒波の影響で、地方公共団体の道路除雪の執行は進んでございます。十二月の大雪では、山形県鶴岡市でも平年の約七倍の積雪深を観測いたしました。特に、今年は燃料や凍結抑制剤の費用が高騰するなど、また、労務費も御案内のとおり上昇しているということで、除雪費が増大する要因が重なっている状況であります。

 例年、国交省には雪寒法に基づいて御支援をいただいておりますけれども、この冬につきましても積極的な御支援をお願いしたいと考えておりますが、検討状況の方をお知らせいただけますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、雪寒法に基づきまして、道路除雪に要した費用の一部を支援しているところでございます。

 具体的には、年度当初に配分しております防災・安全交付金に加えまして、地域の降雪状況に応じて、道府県におきましては道路除雪費補助、市町村においては防災・安全交付金などを追加配分することとしております。

 この冬は、十二月中旬から年末にかけまして日本海側を中心に大雪となったほか、年明け後も北日本、また日本海側を中心に降雪が続いたため、大雪となった昨年と同様に、一月から、地方公共団体に対しまして、降雪状況、また除雪費の執行状況などの調査を行ってきているところでございます。

 引き続き、地域の状況を丁寧に把握し、除雪費の執行状況に応じた支援ができるよう、速やかに取り組んでまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 雪国にとって大変切実な問題でありますので、引き続き御支援、御検討のほどよろしくお願いいたしまして、支援の継続の方をよろしくお願いをいたします。

 私の質問の方、これで終わらせていただきたいと思います。大変お忙しい各局の局長さん、また井上部長、本当にありがとうございました。

八木主査代理 これにて加藤鮎子君の質疑は終了いたしました。

    〔八木主査代理退席、主査着席〕

赤羽主査 次に、佐藤公治さん。

佐藤(公)分科員 本日は、離島振興法について斉藤大臣に幾つかの質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 なお、時間が限られておりますので、最初に要点の説明と質問をさせていただき、時間内に漏れがないように御答弁をいただきたいと思っております。前向きな御答弁を期待しております。

 なお、残りの時間で、私の地元のことを具体例として取り上げたお話や、この問題の本質を、過去の国会で議論されたことを併せてできればと思っております。

 私の地元、そして斉藤大臣もよく御存じの瀬戸内海地域を始めとして、我が国の離島については、これまで多くの架橋整備が行われてきました。架橋整備によって離島と本土との交通の至便性が高まった効果については、否定するつもりはございません。

 架橋整備に伴って本土との常時陸上交通が可能となった離島については、一定の猶予期間を置いて、離島振興対策実施地域の指定を解除されることになっております。

 ところが、架橋の一部においては、有料道路として通行料金が課せられているところがあります。離島住民の立場からいえば、今までも努力していただいたことも多々あると思いますが、金額の多寡はともかくとして、航路運賃が道路通行料金に振り替わっただけであり、一方で、指定解除に伴って必要な補助が受けられなくなっている。つまり、架橋整備によって、離島振興対策実施地域であったときよりも、居住環境等の条件が不利化してしまっていると思います。

 昨年の臨時国会で改正離島振興法が成立いたしましたが、その際に、「離島と本土等の間の架橋が整備された際には、当該地域の実情に配慮しつつ、離島振興対策実施地域の指定が直ちに解除されることのないよう同地域の指定解除基準についても検討すること。」という附帯決議が付されております。

 そこで、大事な質問を、四点ほどお尋ねしたいと思います。

 まず第一番目は、本附帯決議の趣旨を踏まえ、指定解除基準の見直しは行われるのか。二番目は、見直しを行うとすれば、具体的にどのような方向性が出されるのか。三番目、見直しが行われた際には、過去に遡及することは考えられるのか。まあ、遡ることですね。四番目、過去に遡及することがかなわない場合には、現実的に不利益を被っている架橋離島住民を救済するすべ、通行料の減免等は考えていただけるのか、また、あるのか。この四点を聞きたいと思っております。

 そこで、お答えをいただく前に、幾つかの点を確認しておきたいと思います。まず、離島の定義とは何か。これについてお答え願えればありがたいかと思います。

木村政府参考人 お答えをいたします。

 離島につきましては、離島振興法において指定を行うことになっております。

 離島振興対策実施地域につきましては、離島振興法第二条に基づきまして、主務大臣が国土審議会の意見を聞いて、離島振興法の目的を達成するために必要と認める離島の地域を指定しております。

 離島の定義につきましては、この指定基準を議論するときの項目によりますけれども、例えば、陸地からの距離でありますとか、あるいは人口減少率でありますとか、あるいは航路の回数、最短航路距離と航路の回数、寄港回数、そういったものを総合的に勘案して指定基準を考えていく、そういうことになってございます。

佐藤(公)分科員 いろいろとお話をされましたけれども、分かりにくい点がございます。

 現在の指定解除基準とはどのような基準なのか、これに対して明確なお答えをいただけますでしょうか。

木村政府参考人 お答えいたします。

 現在、国土審議会におきまして、離島振興対策実施地域の指定解除地域、指定解除基準について定めておりますけれども、これは、離島振興法に基づく実施地域を含む島嶼に、同法及び他の法律に基づき架橋事業等が行われ、これによって、当該島嶼に係る離島振興対策実施地域の全部又は一部と本土との間に常時陸上交通が確保されることになった場合には、同法に言う隔絶性が解消されるものとして、当該地域の全部又は一部について指定を解除するものとするということが定められてございます。

佐藤(公)分科員 ということは、橋が架かったら解除をされる。つまり、橋が架かれば、全てが、指定が解かれるということになるんでしょうか。

木村政府参考人 お答えいたします。

 架橋された場合には、この指定基準によりますと、基本的には離島地域の解除に向けて手続が行われることになりますけれども、その際に、基準について留意事項がありまして、例えば人口減少率でありますとか、そういった地域の事情を踏まえて、国土審議会においてまずは検討されることになっておりますので、そういったことも含めて総合的に検討されることになろうかというふうに考えております。

佐藤(公)分科員 橋が架かったら離島振興法から指定を解かれるというのが私たちの認識でございまして、ただ、そこには隔絶性といった言葉がございます。果たして、その隔絶性というのがどういう定義になってくるのか。

 今お話しされたように、人口減少とか、その地域の実情もきちっと踏まえて、隔絶性があると判断されるのかされないのか、これが基本だと思います。つまり、橋が架かった、架からないが指定解除基準になっているわけではないと思います。

 そこでお尋ねいたしますが、先ほどもお話がございましたが、この指定解除基準は、誰がどのようにして、どういう手順で決めているのか、また変更するのか、簡単にお答えください。

木村政府参考人 お答えいたします。

 指定解除基準につきましては、現在、国土審議会において定められております。この基準を変更するに当たりましては、また再度、国土審議会において、離島振興分科会という組織がございますけれども、そこで議論することになろうかというふうに思います。

佐藤(公)分科員 もう一度、繰り返して聞きます。

 国土審議会が決めるんですか。最終決定は国土審議会ですか。

木村政府参考人 お答えいたします。

 国土審議会の意見を聞いて、最終的には主務大臣が決定することになります。

佐藤(公)分科員 ということは、あくまでも国土審議会の決定、意見は参考として、大臣がそれを踏まえて大臣が決定をする、斉藤大臣が決定されるということになることでよろしいですね。つまり、国土交通大臣が変えることもできるし、またなくすこともできる、こういう認識でよろしいでしょうか。

木村政府参考人 お答えいたします。

 離島振興法上、主務大臣が定めることになっておりますので、国土交通大臣だけではなくて、主務大臣で決めるということでございます。

佐藤(公)分科員 主務大臣の方のお話もしたいこともございますけれども、取りあえず、斉藤大臣が中心的になって決めていかれるということになるかと思います。

 今お話が出ました国土審議会、私は、この国土審議会というのが、今、心配していることがございまして、失礼な言い方かもしれませんが、疑っております。このような問題に目を向けてくれているのか、議論をしていただけるのか、つまり、そもそも土俵に乗せていただけるのかということです。

 今までも、関係自治体、住民の皆さんからの要望、陳情活動をかなりの間、続けてまいりましたが、なかなか見直しがされない、進まない、こういう状況だと思います。まあ、ふん詰まってしまう。もしかしたら、陳情先、要請先、方法論が違っていたのかもしれません。

 この数十年の間、本四公団の民営化、平成の市町村合併、いわゆる平成の大合併、財政状況、経済状況、少子高齢化、債務処理、社会状況の変化もあり、簡単な状況ではないこともあると思います。だからこそ、もう一度この問題をリセットし直すタイミングが、この度の改正離島振興法の成立、その附帯決議に書かれていることと強く私は思っております。

 もうそろそろ、大臣、お答えが、四つの点に関してできる準備が整ったかと思いますので、私の方から一問一問、質問をさせていただきます。

 まず第一番目、本附帯決議の趣旨を踏まえ、指定解除基準の見直しはきちっと行われるのか。いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 今の議論、やり取り、聞かせていただきました。

 先ほど局長から答弁したとおり、これまでも、架橋があったからといって、直ちに指定を解除するということではなく、地域の実情を踏まえて解除の要否を判断してきているということではございます。

 しかしながら、今回、昨年の改正離島振興法の附帯決議に挙げられました、この指定解除基準につきまして、国会議員や有識者等から成る国土審議会の御意見を伺いながら、この指定解除基準について検討をしっかり行っていきたい、このように思っております。

佐藤(公)分科員 ありがとうございます。前向きな御答弁だと思いますので、本当に感謝を申し上げます。

 第二問目は、見直しを行うとすれば、具体的にどのような方向性が出されるのか。ちょっと先走った質問にもなるかと思いますが、何かお考えがございましたら、お答え願えればありがたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 附帯決議に沿いまして、新しいきちんとした基準を国土審議会で議論していただきたいと思っておりますので、今ここで私が方向性について申し上げるべきではないと思いますけれども、先ほど局長が答弁いたしましたように、今、地方が置かれている現状、そして、特に離島が、島嶼部が置かれている様々な現状をよく踏まえた上での基準になるべきだと、私自身はそのように考えております。

佐藤(公)分科員 ありがとうございます。

 是非とも国土審議会の中で、この度の改正離島振興法に関しての附帯決議を踏まえた議論をきちっとしていただかなくては、なかなか土俵に乗ることがない。その意味では、国土審議会というところは、皆様方の自主性の中で闊達な議論がされるとは思いますが、是非とも離島に関しての議論をしていただくよう促していただくことが私は重要ではないかと思います。

 三番目、見直しが行われた際には過去に遡るようなことは考えられるのかということでございます。

 実は、新たなところもありますが、私の地元的に言いますと、まさに本四、しまなみ海道というところを地元に持っており、同じ行政区において、やはりそこの通行料が大変高額なもので、生活に負担を与えている。まさに、本四、このしまなみ海道は、生活橋として、我々の生活そのものというのが島民の日常でございます。

 どうか、そんなことを踏まえ、過去に遡った、遡及させるような考え方をしていただきたい、そういう思いで聞かせていただきます。いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 架橋後の指定解除に当たりましては、本土との間に常時陸上交通の確保を含め、その離島の条件不利性が解消されたか否か、様々な観点から検討を行い、国土審議会の御意見を聞いて、解除をしております。例えば、先ほど委員御指摘になりましたしまなみ海道でございますが、しまなみ海道の開通により、因島は昭和六十年に、生口島は平成五年に、それぞれ指定を解除しております。

 しまなみ海道の島嶼部においては、架橋の効果として、救急搬送が終日即時可能となったり、島外への通学に下宿が不要となったり、コンビニの進出が進むなど、島民生活の利便性向上が図られたとも承知しております。

 一方、御指摘も踏まえ、有料道路の架橋によって指定解除されたこれらの島々が置かれている状況について、その有料道路の負担ということも含めまして、地元自治体にも実情を伺いながら、その実態の把握に努めてまいりたい、このように思っております。

佐藤(公)分科員 大変前向きな答弁、ありがとうございます。

 四番目ですが、過去に遡及することがかなわなかった場合、現実的に不利益を被っている架橋離島住民を救済するすべ、通行料の減免等は考えられるのか。この質問は大臣がしていただければありがたいんですが、局長でも構いません。どうぞ。

木村政府参考人 お答えをいたします。

 御地元の御要望を伺いながら、よくよく検討させていただければと思います。

 特に離島の場合、道路の利用料金だけじゃなくて、離島振興を含めて、全体の地域の振興について、何が一番地元にとって大事な施策なのか、これは地元ともよくしっかり話し合っていきたいというふうに思っております。

佐藤(公)分科員 では、政務官、今日はありがとうございます。

 総務関係のことで、実は、私の地元というのは尾道市というところ。まさに、そこは合併、合併で大きくなってきました。当初、尾道市、そこに、もうこれはちょっと個別具体的なことでお分かりになるかどうか分かりませんが、島の部分が合併したことによって同じ行政区になった、そこに本四が架かっている、通行料が非常に高い。

 私は、もしも市町村が別であるのであれば、また考え方が違ったと思いますが、平成の大合併において同じ行政区になった、そして、いまだにかなりの高額、高い通行料で島の人たちは暮らしている。このような状況が起きているのは、橋が架かったこととともに、平成の合併の副産物の問題でもあるというふうにも考えることができると思います。

 副産物はこれだけではありませんが、平成の合併の負の副産物をどのように考え、どのように今後対応、対処をしていくべきなのか、お考えをお聞かせください。

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 いわゆる平成の合併につきましては、人口減少や少子高齢化の進展を背景に、地方分権を推進する上で、基礎自治体の規模、能力の充実などが必要であるとの考えの下に、自主的な市町村合併を積極的に推進してまいった経緯がございます。

 市町村合併は、関係市町村において、地域の将来像や地域の今後の在り方を展望し、住民とともに真摯に議論を行い、決断されたものであるというふうに認識をしているところでございます。

 合併市町村におきましては、これまで、合併後の市町村の一体性の確立や均衡ある発展のため、市町村建設計画に基づく様々な取組を進めてきたものと承知をしているところでもございます。

 総務省といたしましても、合併特例債や合併補助金等の財政措置や、住民の声を合併市町村の運営に反映させるための地域自治組織制度などにより、こうした取組を支援をしてきたところでもございます。

 また、平成の合併により市町村の姿が大きく変化したことを踏まえ、普通交付税の算定の見直しとして、合併後の市町村における支所に要する経費の加算などの措置を講じてまいってきたところでもございます。

 平成の合併の効果等の検証につきましては、将来の基礎自治体の在り方の検討に際しても重要なことであるというふうに考えているところでもございます。今後におきましても、分科員御指摘の課題なども含めて、合併市町村の課題や合併後の状況など、合併市町村の声を丁寧に伺いながら、平成の合併後の市町村の状況や課題の把握などに努めてまいりたいと存じます。よろしくお願いをいたします。

佐藤(公)分科員 政務官、この合併の総括というのは、どのような形で、どういう結果として今出ていると思われますか。政務官。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 合併の総括ということでございますけれども、私ども、基礎自治体の議論を考える際に、これまで、地方制度調査会等の場で、合併についての今後の対応方針等の議論をしてまいったところでございます。直近では、三十二次地方制度調査会におきまして、市町村合併についての市町村の合併の特例に関する措置に対する対応、それから、その現状認識、今後の課題等についても整理させていただいているところでございます。

佐藤(公)分科員 済みません。言っていることが私にはよく分からなくて、いろんなところで聞くんですけれども、本当に実質的な検証がされているのかどうか、疑問でなりません。実際、私が思うことは、この合併の総括をきちっとしないことには、まさにこれからの地方ということがどうなっていくのかを非常に心配しております。

 私の思いとしては、合併当時、推進論者でございました。しかし、今になって思うと、合併したことがもしかしたら間違っているのではないか、そういう思いすらも持ってしまう。当時の言っていたことというのは、それを考えると、大変に失礼な言い方ですけれども、まるでだましてしまったような、又はうそをついてしまったような、そんなじくじたる思いが私にも持つところがございます。

 というのは、実はこの本四に関しても、昔の議事録をいろいろと調べてみました。読んでいると、当時から同じような問題が委員会でも議論がございました。そのときに、当時の本四公団等々の方々がお話しされているようなことは非常に前向きで期待が持てる、そんなことも書いてございます。

 こういったことを見ていくと、何か本当に、だまされたという言い方は失礼かもしれませんが、そういうふうに思えてしまうようなことが多々あり、こういったことも全て一旦見直して、リセットして、やはり、平成の大合併を含めて、離島振興法もそうです、見直す必要性が強くあると私は思っております。

 もう時間もあと僅かになりましたので、斉藤大臣、今までの議論をもう一度聞きまして、広島県、多分、斉藤大臣じゃなかったらこの問題を解決することはできない、私はそういう思いで大臣にお聞きし、お願いをさせていただいております。今までのお話を聞きながら、大臣の思いを少し聞かせていただけたらありがたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今日、大変重要な議論をさせていただいたと思っております。

 合併そのものがどのように、どう総括するか、これは島嶼部に限らず、中山間地についても、今いろいろな議論が行われているところでございます。

 そういうことも含めて、今年の夏には国土形成のための一定の結論を出します。そういう中に、しっかりと次期の国土形成計画の中に盛り込んでいかなくてはならないと思います。

 それから、議論の最初の方でございました、今回の離島振興法で盛り込まれました附帯決議につきまして、しっかり基準を考える、それを過去に遡ることについての御質問もございました。なかなか正直言って難しいところもあろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、現状どうなっているかをしっかり掌握をしながら、把握しながら議論を進めていきたい、このように思っております。

佐藤(公)分科員 もう何回も繰り返しますが、前向きな答弁をありがとうございます。私は、地元尾道、まさにそこには多くの斉藤大臣のファンもいらっしゃいます。その方々を悲しませることなく、この問題を解決していただくべく御尽力を賜りたく、お願いを申し上げたいと思います。

 最後にですが、世の中には、橋が架かったのだからそれだけでもありがたいと思うべきだという意見もあり、負担が嫌ならば引っ越せばいいなんということを言う方もいて、離島に住むことそのものが悪だというようなことをあおる人もいらっしゃいます。しかし、多くの離島には今なお、その地域に住みたいという皆さんが多くいらっしゃいます。

 また、冒頭にも触れましたが、離島の問題は、中山間地域や地方の在り方をどうするかという議論の一つでもあると思います。大臣がおっしゃったとおりでございます。なので、いま一度、離島振興法が必要とされた当時の思い、その原点に再度立ち返って、離島の厳しい状況に住む皆さんや自治体が、本土の住民や自治体との差が生じないように、同じ日本に住む国民が同じ生活水準や行政サービスを受けられるように、引き続き私もその実現に向けて活動してまいりますので、斉藤大臣、政務官の皆さん、何とぞよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて佐藤公治さんの質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

赤羽主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。湯原俊二さん。

湯原分科員 お疲れさまです。立憲民主党の湯原俊二です。

 斉藤大臣始め政務三役の方、朝からお疲れさまでございます。

 私、地元が鳥取県でして、今日は地元の問題を、斉藤大臣始め皆さん方に質問させていただければなというふうに思っています。

 一点目が、地元では北東アジアのゲートウェーと言っておりますけれども、境港の機能強化、整備について質問をさせていただきたいと思います。

 私自身が、二〇〇九年の民主党政権のときに衆議院議員にならせていただきました。三年三か月、一期だけ出ていたんですけれども、当時は、民主党政権では、選択と集中ということで、港湾の整備を、あちこち満遍なく少しずつ予算をつけてやるよりは、選んだところに集中して予算の配分をしようじゃないかと。

 これはなぜかというと、例えば横浜、あるいは神戸、福岡、北九州などが、なかなか、あちこちに予算をつけるものですから、思い切った予算づけがないがために、アジアのハブ港湾、スーパー港湾が釜山とか上海に替わってしまったということもあって、選んだところに集中的に予算の投下をする、こういう考え方を持っていました。私の地元の境港も、日本海側の拠点港ということで、日本海側、当時ですけれども、幾つかの港湾に絞って投資をしていた、こういうことをやっておりました。

 この点、改めて、こうした選択と集中の拠点港、あるいは日本海側の拠点港について、今現在どのような考え方をお持ちかということをお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 湯原委員の質問に答えさせていただきますが、選択と集中というのは基本的に変わっていないということでございます。

 国土交通省では、国際コンテナ戦略港湾のほか、国際バルク戦略港湾についても、主要バルク貨物ごとに拠点となる港湾を選定した上で整備を進めております。

 また、国際クルーズ拠点を形成するための港湾や洋上風力発電の導入促進のための基地港湾についても、拠点となる港湾を選定した上で整備を推進しております。

 委員御指摘の日本海側拠点港湾については、経済成長著しい対岸諸国に近接する日本海側の港湾において、経済発展を我が国に取り込むとともに、災害に強い物流ネットワークの構築にも資することを目的とし、境港を含め、拠点となる港湾を選定した上で取組を進めております。

 このように、港湾整備に当たっては、既存施設を最大限に有効活用するとともに、物流効率化や民間投資誘発等の投資効果を十分に踏まえつつ、選択と集中の下で取り組んでまいりたいと思っております。

湯原分科員 斉藤大臣、ありがとうございます。

 今、御答弁いただきました。基本的に選択と集中は変わっていないという御答弁であったと思います。国際戦略港湾、あとはバルク港湾もおっしゃって、クルーズ船の寄港の港湾、あと、新しい、当時の民主党では余りなかった、ここまではあったんですけれども、これから、さっきおっしゃった洋上風力発電の拠点港ということもおっしゃいました。これは当時の民主党政権ではなかったことであります。

 いずれにしても、各国際戦略港湾、あるいはバルクの港湾、クルーズ船の港湾、あるいは洋上風力発電の建設のための拠点港湾だと思いますけれども、こうしたものを選んで、選択と集中ということは、私も大いに大賛成であります。

 その後うれしかったのは、境港の名前を挙げていただいて、対岸諸国の経済が著しいところの経済を取り入れる意味で、境港を始め、こうしたところを、既存の施設を充実させてということでありましたけれども、御答弁いただきました。

 私は、一方で、当時から、やはりより一層危機的状況になってきたのは、日本海側の拠点港を充実させるべき理由として一つ挙げられるのが、南海トラフのことがあると思っています。

 様々なところで、太平洋側で今日まで発展してきた、あるいは、南海トラフを始めとして、首都直下型も想定されるでありましょうけれども、大規模災害があったときのために日本海側の国土軸にいかに代替機能を持たせるか、危機管理上リスクヘッジするかということが大切だと思っておりまして、御案内のように、南海トラフ地震は三十年以内に七割の確率で起こるのではないか、こういう推測もあるわけでありまして、やはり、先ほど大臣がおっしゃったわけでありますけれども、特に日本海側の代替機能の整備が求められていると私は思っております。

 大臣も島根県御出身でありますけれども、日本海側の国土軸において代替機能、万が一のときの代替機能を持たせる意味で、この辺のことについて御認識をお伺いさせていただければと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 港湾は我が国の物流を支える重要な役割を担っていることから、災害発生時においても港湾機能を維持することは極めて重要でございます。緊急物資の輸送や経済活動の早期再開が可能となるよう、港湾の強靱化に向けた取組を進めていく必要があると認識しています。

 このような認識の下、波浪や津波から港湾を守ることができる粘り強い防波堤の整備、それから岸壁、臨港道路の耐震化等を推進するとともに、南海トラフ地震、また、その他のいろいろな災害が予測されております。特に、この南海トラフ地震につきましては、先ほどおっしゃいましたように、三十年以内に七割の確率で起こると言われております。そういう発生時に、日本海側と太平洋側の港湾が連携することによるリダンダンシーの確保、これは非常に重要でございまして、国土交通省としても一生懸命取り組んでいるところでございます。

 国土交通省としては、国土強靱化に向け、引き続き、ハード、ソフトの両面から災害対策を推進し、安全、安心で豊かな国民生活を支える海上輸送ネットワークの確保に努めてまいります。

湯原分科員 斉藤大臣からも同様の、私の意見に同様だったと思います。物流、特に災害時が非常に大切だということで、いろいろハードの面で、特にハードの面は整備されている、臨港道路ですかね、あるいは波を打つ波浪に対する対応とか、いろいろしていくと。それから、港湾整備をしていくし、太平洋側の港湾と日本海側の港湾の連携といいますか、これも非常に大切じゃないか、その上で、ハードだけじゃなくてソフトもということで、私も全く同意見です。

 ですから、先ほど冒頭申し上げたように、選択と集中をしていく、日本海側の拠点港もそういうことで必要だということで、いろいろな項目に絞ってこれからも整備をしていく、そして、なおかつ、境港の名前を挙げていただきながら、南海トラフという危機管理の上からも、日本海側の港湾の必要性が、やはり必要なんじゃないかと。

 私も全く同意見でして、議員でありますので、地元選挙区のハード整備はいろいろ皆さんおっしゃるところでありますけれども、これは、俯瞰してみても、やはり国家戦略の上から見ても、日本海側の国土軸を確かなものにしていく、太平洋側が万が一のときには、日本海側の拠点港湾であったり、あるいはそういった施設がある程度、危機管理、バックアップできている、これが国家戦略的にも必要であると思っていますし、私の地元の境港においても、そういう観点からも、ただ単に地元の港湾だから整備というわけじゃなくて、国家的な視点からも必要なんじゃないかなということで申し上げたいと思います。

 この港湾整備ですけれども、先ほど、二〇〇九年から、私、三年三か月、衆議院議員をさせていただいたと申し上げましたけれども、今から、ですから十四年ぐらい前になりますね、当時、民主党政権で、お父さんが境港出身の前原誠司さんが国土交通大臣をやっていらっしゃったときに、日本海側の拠点港をどこにしましょうかということでいろいろ私も意見交換して申し上げてきたんですけれども、結果的に、当時のものが日の目を見て、様々な港湾計画が完了するのが十数年たってからという。

 これは役所が遅いというわけではなくて、港湾整備、護岸整備、道路も一緒でありますけれども、莫大な予算を使いますし、整備にはやはり時間がかかる、こういうことでありまして、やはり、こうした大きなハードに対しては早め早め、先手先手で整備をしていかなきゃいけないんじゃないか。例えば港湾でいうと、物流、物量が増えて、もう大変な状況になってから、じゃ、それで対応しましょうということになっていると、それから十数年ぐらい先になりますのでもう間に合わない感もあるわけでありまして、物流は一挙に増える、一挙に波が出てくるということもありますので、先手先手でやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 境港については、今現在、港湾計画で神戸港に荷を集めるという国際フィーダー航路も持っております。ですから、以前の、先ほど申し上げた横浜、神戸、福岡、北九州等々、ハブの機能がちょっと落ちてきたということで、内貿で、荷をこの神戸とか横浜に集めてそこから扱うということで、荷を集めるという意味で国際フィーダー航路があっているわけでありますけれども、これも、聞きますと、コロナがだんだん収束するに伴って、週一便であったのが週二便になってくるという話も聞いております。

 また、この境港の外港昭和南地区というのがあるんですけれども、外海、つまり海外との、接岸する外港というのがありますけれども、バイオマス発電が今まで何基かあったのが一基増えて、そういう計画がありまして、バイオマスの燃料も取扱量がこれからこの地域は増えていく、こういう話もあります。

 しかし、残念ながら、先ほどのお話とは別で、境港の岸壁や埠頭用地が不足したり老朽化しているのが実態でありまして、現在は、この埠頭が手狭なものですから、様々な物資、種類ごとにあるというよりも混在している、こういう状況も見受けられます。

 岸壁は約六割が整備後三十年以上が経過している、こういう状況でもあります。この辺のことを見越して是非事業化を図っていただきたいということと、あわせて、政府の方では、第一次産品、農水産品の輸出をどんどん一生懸命促進をしているという状況でありますけれども、漁港の方でいうと、御案内のように、境漁港は日本でも有数の水産漁港で基地であります。地元の境港管理組合及び鳥取県及び境港市さんの思いは、境漁港の隣接地に、今ここに、漁港に魚市場が新しくなりまして、非常に高度な衛生管理した漁港、魚市場になっています。ここの隣接地に総合物流ターミナルを造って輸出の基地にしたい、こういう意向もあるわけであります。

 これらの点を踏まえて、岸壁は混在、老朽化している、あるいは、荷はこれから増えていくんじゃないか、あるいは、この水産品を輸出するその拠点になるようにターミナルを造ったらどうか、こういうことについて、今後の境港の港湾整備について大臣の御所見をいただけたらと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 境港におきましては、コンテナ貨物の取扱いについて、昨年三月から国際フィーダー航路が週一便増加した一方で、昨年五月から中国航路が週一便減少しておりまして、近年の取扱量は約三万TEUでほぼ横ばいで推移しております。

 また、バイオマス燃料の取扱いにつきましては、バイオマス発電所二施設の稼働に伴い、令和四年から燃料の輸入が開始されたところでございます。

 一方、境港外港竹内南地区におきましてはコロナ禍によりクルーズ船の寄港が減少しており、クルーズ再開後の回復状況など、境港全体の利用状況を見極めていく必要があると認識しております。

 この利用状況をきちっと見極めた上で、今委員御指摘の、いろいろな整備等を検討をさせていただきたいと思います。

湯原分科員 ありがとうございます。

 斉藤大臣からは、フィーダーは一便増になった、一方で、中国の関係が減少した、あと、クルーズ船では、これはコロナのことがあってでしょうけれども減少したという、中国の減についても、これも新型コロナウイルスのことが大きく影響しているのかなということだと思います。

 おっしゃるように、外港の方では、コンテナの貨物量、計画では六・四万TEUなのが三・二、約半分の状況でありますし、クルーズ船は先ほど申し上げたとおりであります。

 私、冒頭申し上げたように、やはり国家戦略を持つ必要があると思っています。ですから、現状は、確かに、特にこの減になった部分はコロナの影響が非常に大きいんじゃないか。それまでは、簡単に言うと、そちらから見ると、こうやって右肩上がりで増えてきたんだけれども、コンテナも人も、インバウンドですね、クルーズ船もそうなんですけれども、コロナがあってどんと落ちちゃった。

 ですから、この時期を捉えると、今整備の必要性が、緊急性はないんじゃないかという議論にはなるのでありますけれども、冒頭申し上げたように、一つは、選択と集中で、日本海側の国土軸をにらんだ上でどう考えて、国家戦略として港湾を整備していくか。あちこちではなくて、選んだ日本海側の拠点港は整備していくべきだという、それも、二つ目の質問で申し上げたように、南海トラフを始めとした、ある意味で、大規模災害があったときの危機管理をもって、日本海側の拠点港をどうするか。

 ですから、私が申し上げたいのは、あっちもこっちもというんじゃなくて、国家戦略として、日本海側の選んだ拠点港、それは、バルクであったり、コンテナであったり、クルーズ船であったり、いろいろ種類はあるにしても、選んだところに集中的に、コロナが感染拡大して現状はある意味で減少、へこんでいるんだけれども、国のありようとしてどうしていくか、整備していくべきじゃないか、こういうことであります。

 返す返す申し上げると、港湾整備、道路もそうでありますけれども、十年ぐらいのスパンを見越して整備していかないともう間に合わないんじゃないかということでありまして、さっき申し上げたように、災害のこととか、大規模災害とか、日本海側国土軸のことを考えるならば、やはり、十年先の日本の姿を見ながら、想定しながら、今港湾行政でどうしていくべきか。

 くどいようですけれども、日本海側国土軸、大規模災害、そしてその一つとして境港湾をどうしていくか、こういう発想に立って、是非、私は、要望する質問になっちゃいましたけれども、境港だけではなくて、ほかの日本海側の拠点港、幾つかありますので、そういう意味で御検討をしていただければ、十年先を見越してどうしていくかということを考えていただければなというふうに思います。

 次に、これも地元の案件で恐縮でありますけれども、米子―境港間の高規格道路についてであります。

 今、先ほど申し上げたのは港湾の境港からでありますけれども、ここは境港市にあるんですけれども、米子―境港市間の高規格道路が、計画は取りあえずある、まあ、計画というか、着工はせずに、取りあえず凍結になっている部分があります。中国横断道岡山米子線、岡山から米子までは、平成九年に米子インターチェンジまでが開通しました。だけれども、その先の米子―境港間、鳥取県はよく犬に例えられますけれども、この尾っぽのところが、平成十八年に、今から十七年ほど前ですけれども、当面着工しないということで、凍結になりました。

 しかし、その後、先ほど申し上げた南海トラフのことも、危機管理上のこともあり、あるいは、境港、先ほどの、物流基地でもあるし、インバウンド、クルーズ船が入ってくるところでありますけれども、境港や米子空港を有意義に利用するためには、ここの、今、凍結、着工しないとしている米子―境港間の高規格道路が私は必要と考えております。

 この凍結を一応した平成十八年、十七年前と比べると、さっき申し上げたように、コンテナは一時的に減っておりますけれども、大きく言うと、凍結した十八年に比べると、大体コンテナの取扱量は、境港ですけれども、一・八倍になっています。それから、大型クルーズ船の寄港もコロナの期間を除いて、もう一つは、米子鬼太郎空港というのがあって、ここもインバウンドが入っています、ここを合わせると、当時の平成十八年と比べると、実に五・六倍に増えています。コロナのことを除いたときですが、五・六倍に増えてきている。

 さっき大臣が御答弁いただいた対岸諸国の経済をこちらから取り込む、その一つがここの、北東アジアのゲートウェーと言っていますが、ここの境港あるいは境港にある米子鬼太郎空港を通って来られているということだと思いますが、米子のインターチェンジまでの間が、実に、車で、時間でいうと三十分もかかる。三十分間地道を走って、初めて高速道路に乗る。これは日本海側のほかのところと比べると、一番時間がかかるという状況であります。

 御案内のように、日本海側の港湾では、例えば、高速インターチェンジは横づけにつながっていて、一分、二分でぱっと乗れるところもありますけれども、三十分間、結局、地道、我々の生活道路のところを人とか物流が通らなきゃいけない、こういうことでありまして、地元としては道路整備をお願いしたいんですけれども、結果として、大臣はよく地理的なことを御存じだと思いますけれども、私が住んでいる米子の弓浜半島というところが、突端に境港があるんですけれども、境港湾があるところですけれども、隣は八束町、大根島を通って、松江につながっているんですね。

 ですから、米子鬼太郎空港を降りた方もそうでありますし、例えば、クルーズ船で入った方でも、渋滞する米子インターチェンジまで三十分乗るよりは、コンパスで描いたときには松江、出雲に行った方がいいということで、実に、鳥取県側に降りる、来られた、入口があったにもかかわらず八割は島根県側に流れていくということで、鳥取は島根とけんかしているわけではないんですけれども、つまりは、それは交通事情が一つのネックになっているんじゃないか、こういうことは思うわけであります。

 例えば、クルーズ船だと、朝寄港して、夕方には次のところに行く。そうすると、御案内のように、朝寄港したときに、例えば境港に寄港したときに、コンパスで描いてその日のうちに帰ってこられる、夕方、出港、船が出るまでに帰ってこられなきゃいけない。そうすると、高規格道路が現在なくて渋滞に巻き込まれる。そうすると、コンパスで描くと、大体、北栄町に漫画のコナンの建物がありますけれども、そこがもう限界で、鳥取砂丘まではとても行けない。逆に、さっき申し上げた島根県側に行けば、松江城とか出雲大社まで行ける。こういうコンパスの描き方になるわけでありまして、やはり、地元としては、こういった点も踏まえて、是非、高規格道路、平成十八年にまとまったものを復活させてもらいたいということを言っております。

 また、あわせて、福島第一原発のことがありましたけれども、島根半島には中国電力の原子力発電所があります。十七年前と比較して大きく変わってきているのは、避難経路をちゃんとしてくださいということになって、境港市、米子市は避難経路として既存の生活道路を避難しなければいけないとなっていまして、現在、ただでさえ非常に渋滞している状況であります。そういう意味で、地元要望としては、高規格道路、米子―境港間、是非整備してほしいということです。

 国交省によく聞くと、社会情勢の変化あるいは地元の熱意ですよという言葉をおっしゃるのでありますけれども、特に社会情勢の変化では今申し上げた点があるんじゃないかと思いますけれども、この点について、いかがでしょうか。大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 中国横断自動車道岡山米子線の米子―境港間の高規格道路は、米子市街地と境港や米子空港を結ぶ重要な道路です。私も、中国ブロック比例区の議員でしたので、度々利用させていただきました。

 この道路のうち、米子市内の約五キロメートルの区間については、昭和四十八年に整備計画が決定されたものの、採算性などを踏まえ、平成十五年に整備の在り方を抜本的に見直す区間とされ、平成十八年に当面着工しない区間としたところでございます。今、湯原委員からお話があったとおりでございます。

 その後、御指摘のコンテナ取扱貨物量の増加や外国人観光客の増加のほか、津波や原発事故を想定した避難計画の策定など、地域の状況は変化しているものと承知しております。

 一方、この道路は市街地を通過することから、環境や景観への配慮といった課題があるものと承知しております。

 現在、国土交通省においては、地域の課題や整備効果の検討を行っているところであり、引き続き、鳥取県を始めとした関係自治体と連携し、必要な検討を進めてまいりたいと思います。

湯原分科員 昭和四十八年の米子市内の五キロ区間ということで当時の検討の状況、そして、その後、大臣もお認めいただいたのはありがたいですけれども、インバウンドも増加しているということと、私が申し上げた原発避難路ということでも承知しているということで、ただ、一方で、今は市街地がありますのでそこを通るということで、どういうやり方で通るか等、いろいろ問題があると思いますので、こうしたことも踏まえて今現在は検討しているということであります。分かりました。

 ちなみに、国交省の御担当の方と意見交換すると、先ほど申し上げたように、社会情勢の変化ということではある意味でお認めいただいていると思いますが、もう一つ、地元の熱意ということを、よく声ということをおっしゃっていただいております。

 私が地元はどういうことをやっているのと聞きましたら、令和二年に中海・宍道湖圏域の道路整備勉強会を作り、そして、令和三年に関係自治体、学識経験者、商工、観光団体による米子・境港間の高規格道路地元懇談会を開いて、地域住民にもアンケートを取っているという状況であります。

 それから、これはこの一、二か月の話でありますけれども、地元の米子市議会とか境港市議会、あとは日吉津村というところを通るんですけれども、想定されるのは、日吉津の村議会においても、国土交通省等々、中国の方の出先の方だと思いますけれども、要望活動をしているということでありまして、こうした点、まだまだ足りないのかどうかということもあると思いますけれども、是非、この点も踏まえて御見解をいただきたいと思いますが、あわせて、道路局長には、先ほど大臣からも一言いただきましたけれども、今後の見通しについて御見解をいただけたらと思います。それを伺って質問を終わりたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 地元の方は熱心に取り組んでおられます。地元の熱意が足らないということはございません。私自身、知事、米子市長、境港市長からも大臣室に御要望をいただいております。

 また、地域住民へのアンケート結果において、例えば、市街地の慢性的な渋滞、境港、米子空港からのアクセス性が低いなど、交通上の課題があり、この道路の一日も早い整備が望まれていることも承知しております。

 一方、先ほど申し上げたとおりですが、市街地を通過することから、環境や景観へ配慮しつつ検討を進めていくことが必要でございます。

 国土交通省としては、引き続き、鳥取県を始めとした関係自治体と連携し、必要な検討を進めていきたいと思っております。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 この米子―境港間、非常に重要な道路だと思っておりますし、地域の方々の御要望もたくさんいただいております。

 先ほども委員の方からも言われましたとおり、ここは市街地を通ってまいりますので、やはり景観それから環境とか、これらに十分配慮しなければならないというふうに思っております。

 そのためにも、地元の自治体あるいは地域の方々から十分に御意見を聞きながらやっていく必要があろうかと思っておりますので、なかなか、そのめどについてというのは言いにくいところはございますけれども、必要な検討というのは着実に進めてまいりたいというふうに考えております。

湯原分科員 一言だけ。

 ありがとうございました。港湾のことも道路のことも共通して言えるのは、やはりハードですから、国土交通行政、特に、こういった強靱化をするときには、予算投下してから実際に完成するまでに十年以上のスパンがかかるということで、是非、この地元の話もそうでありますけれども、国家戦略として、日本海側の国土軸の在り方とかあるいは大規模災害のときの危機管理の在り方を含めて、これから先の国家戦略をどうしていくかということで、先を見越して、是非、御検討していって進めていただければなというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて湯原俊二さんの質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇さん。

城井分科員 立憲民主党の城井崇です。

 今回は、北九州市からの国への要望を斉藤国土交通大臣にお伝えをして、今後の取組についてただしてまいりたいと思います。今回もよろしくお願いしたいと思います。

 早速質問に入ります。

 北九州空港の利用促進、そして活性化についてお伺いをいたします。

 まず、北九州空港の三千メートルへの滑走路の延長、この早期事業化、早期供用について伺います。

 政府として、現在行われている環境影響評価の手続、これを適正かつ着実に進めていただいていることに、まず感謝を申し上げたいと思っています。

 滑走路延長を含めた北九州空港の機能拡充、活性化は、北九州空港の物流拠点化に不可欠な機能強化であり、また、コロナ禍で傷んだ九州、西中国の経済の復活、発展に大きく寄与するものであります。

 北九州市においても、これまで、国の指導もいただきながら、路線の誘致や貨物取扱いの増加、そして機能強化の取組を積極的に進めてきています。その結果、今、北九州空港では、令和三年度には大韓航空による貨物定期便が週三便から四便に増便をされました。海上空港で岸壁も有する北九州空港の特徴を生かしたシー・アンド・エア輸送、いわゆる人工衛星なんかを運ぶ輸送でありますが、この実施によって、国際貨物取扱量は、前年度の約一・四倍になる、四年連続過去最高を更新する、約一万九千トンを記録しています。

 この北九州空港、今の二千五百メートルから三千メートルへ滑走路を延長すること、この早期の事業化、早期の供用の実現に、新規事業化に必要な手続を、可能な限り、更に早期に、着実に進めていただきながら、政府において予算措置等の必要な措置を講ずるべきだと考えます。

 大臣、今地元は、事業化の日程のめどなど、今後のスケジュールがどうなっていくかということを固唾をのんで見守っております。今日、このことをお伺いしたくてこの場へ出てまいりました。北九州空港の滑走路延長の早期事業化、そして早期供用に関する大臣の認識、是非、具体的にお答えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず初めに、城井委員の北九州空港についての様々な御提案等に対しまして、心から感謝を申し上げます。

 北九州空港の国際貨物につきましては、地元が一体となって貨物便の誘致活動や利用促進に取り組まれており、北九州空港の滑走路延長に向けた熱意は十分に承知しております。

 国土交通省としては、令和二年度から必要な調査を進めており、PI、パブリックインボルブメントの実施結果を令和三年十一月に公表し、手続が完了したところでございます。

 また、環境アセスメントにつきましては、昨年七月に準備書の公告縦覧期間が終了し、八月に福岡県知事に対し準備書に対する意見概要等を送付、十一月に福岡県知事から準備書についての意見をいただいたところでございます。

 国土交通省としては、新規事業化についての地元の要望も踏まえつつ、引き続き、環境アセスメントの評価書の手続を適正かつ着実に進めてまいります。着実に手続を進めて、前に進んでいきたいと思っております。

城井分科員 これまでも、北九州空港は、滑走路が短かったために、日々拡大する航空貨物の需要を取り逃がしたケースがあったということを、これまでも委員会の場でも取り上げてきたところであります。大臣におかれても、是非、早期の事業化の決断、そして早期の供用に向けた取組を実現いただきますように、強く要望したいと思います。引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 次に、物流拠点機能の向上に向けた国の協力の必要性について伺います。

 現在、北九州空港に就航している貨物定期便や生体牛馬チャーター便に加えて、令和六年四月からは、クロネコヤマト、ヤマトグループとJALグループ共同による貨物定期便が就航する予定です。

 さらに加えて、実は今朝、初めてのことになりますが、アメリカのUPS社の飛行機が北九州空港に到着をいたしました。世界二百二十の国と地域に就航している貨物の会社であります。新たな動きが着実に積み重なっているということをお伝えしたいと思います。

 そうなりますと、大臣、既存の二つの貨物機用のスポットだけでは不足する状況が生まれます。昨年十二月に私も質問主意書で一度政府にこのことを問いましたら、「政府としては、地元関係者の意見等を踏まえつつ、その効果等について十分に検証する必要があると考えている。」とのことでしたが、今私からもお伝えしましたように、既に現場ニーズは高まっていることは目に見えて明らかでありますし、また、地元からの改善要望も年々強まっているというのは大臣もお感じのことかと存じます。

 つまり、検証のその先、北九州空港の物流拠点の機能を向上させるための新たな対応が、大臣、必要であります。更なる貨物取扱量の増大に備えて、貨物機の三機同時駐機、そして荷役対応が可能となる拡充整備を行うために、政府において予算措置等の必要な措置を是非講じていただきたいということを申し上げたいと思います。

 また、北九州空港の貨物輸送の動線も同様に、航空貨物のニーズの高まりに合わせた改善が必要であります。

 今、貨物機エプロンから岸壁までの動線の幅員が狭い、直角の曲がり角が貨物を移送するときに支障となる、このことがあるものですから、航空貨物の円滑な積替えを可能とする直線的な輸送経路を整備するために、政府においても是非取り組んでいただきたい、予算措置等をお願いしたいというふうに思うわけであります。

 大臣、令和五年度、今二点申し上げましたが、それぞれ拡充整備を行うように御指示をいただけないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 北九州空港においては、近年、国際貨物取扱量が増加し、それに応じて貨物ターミナル地区に新たな上屋の建設が進んでいることなど、物流機能向上の重要性が増していると認識しております。

 国土交通省といたしましては、平成二十八年度に、大型貨物専用機の受入れに対応するため、貨物用エプロンを増設したところです。

 そして、先ほど御提案のございました、委員御指摘の更なるエプロン拡張整備や、それから直線的な輸送経路、今はかくかくかくと三回直角に曲がっていますが、直線的な輸送経路を確保するための道路整備につきましても、ターミナル地区全体の在り方を含めまして、前向きに、必要な検討を行っていきたいと思っております。

城井分科員 是非お願いしたいと思います。

 事業者からもこんな声が寄せられているというのを幾つか御紹介したいと思います。

 二十四時間の運用が可能な貨物空港として発展していく余地があるのに滑走路が三千メートルなくて足りないというのが不思議だ、もったいないというお声。また、滑走路の延長が実現することで、結果的に、特に西日本中心に、物を運ぶ輸送距離が短縮されることで、貨物の損傷するリスクを低下させて、輸送時間自体も縮まりますし、経費の削減にもつながるというお声が事業者からありました。また、欧米直行便の運用が可能となることで、荷主からも、九州発着の欧米向けの貨物をかなり集荷できるというお声が届いています。

 こうした事業者の声にも応える形で、是非、前向きな検討による実現をお願いしたいと思います。

 続きまして、北九州港における洋上風力発電関連産業の拠点化について伺います。

 洋上風力発電の普及を支える基地港湾及び作業船基地の整備については、発電事業者の洋上ウィンドファーム建設に欠かせない施設であることから、引き続き、事業計画に合わせた整備予算を確保する必要があります。

 また、風力発電関連企業の進出、更なる風車の大型化及び洋上ウィンドファームの大規模化に対応するための基地港湾に隣接する岸壁の機能強化や、浮体式の導入進展に対応する新たな基地港湾の指定など、北九州市の総合拠点の機能拡充に資する支援を行う必要があります。

 大臣、令和五年度も、政府において予算措置等を含めて必要な取組をやっていただけますでしょうか。今後の取組をお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 北九州港につきましては、令和二年九月に、洋上風力発電の設置及び維持管理に不可欠となる基地港湾として指定させていただきました。埠頭を貸し付けることができるようにするとともに、令和二年度より、この北九州港の港湾施設の整備に係る予算措置をずっと講じてきているところでございます。

 また、北九州市の総合拠点の機能拡充に資する支援については、今後も、海洋再生可能エネルギー発電設備に係る技術動向等を踏まえつつ、必要に応じ検討してまいりたい、このように思っております。

城井分科員 ありがとうございます。

 ここでは、洋上風力発電関連産業の拠点化に関して、国土交通省に関わる部分について大臣に今伺いましたが、北九州市では、環境と経済の好循環によるゼロカーボンシティーの実現に向けて、地域エネルギー会社を核として、風力、太陽光、バイオマス等の再生可能エネルギーや水素エネルギーなど、地域の特色を生かした脱炭素エネルギーの最大導入と、そして地産地消を推進しています。こうしたエネルギー産業全体の総合拠点化に向けても、政府として引き続き支援をいただくようにお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、北九州港及び関門航路の整備推進について伺います。

 近年の船舶の大型化に伴う増深、拡幅や維持しゅんせつは、港湾管理者の重要な責務となっています。しかし、既存のしゅんせつ土砂処分場並びに廃棄物処分場の残容量が逼迫してきております。このことから、響灘東地区においては新処分場の整備が進められています。

 北九州港廃棄物海面処分場の整備に対して支援をするため、令和五年度においても、政府において是非予算措置等の必要な措置を講じていただきたく存じますが、大臣、見解をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 北九州港廃棄物海面処分場につきましては、港湾工事により発生するしゅんせつ土砂や一般廃棄物、産業廃棄物を受け入れるため、北九州港の港湾管理者である北九州市が響灘東地区において整備を行っているところでございます。

 私も、先日、北九州港の視察をさせていただきました。

 国土交通省としては、その整備費用の一部を補助しているところでございます。この廃棄物処分場の整備に対する支援につきまして、引き続きしっかり検討していきたいと思っております。

城井分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 この質問を申し上げましたのは、実は、北九州港における今後のしゅんせつ土砂、関門航路も含めて毎年掘っていかなきゃいけない。その掘ったしゅんせつ土砂の処分場所の確保について、今の響灘東地区はもちろんのことなんですが、その後も含めて確保がきちんと図られていくかという点について、港湾関係者や海事関係者から少し不安の声が、地域を回っておりましたら、幾つも聞こえてきたものですから、現場に確かな見通しをしっかり伝えていただけるような取組にしていただきたいということをこの機会にお願いしたいというふうに思っています。

 続いてお聞きします。

 北九州港の新門司地区において、船舶の大型化に対応して、一層の物流効率化を図るための新門司地区複合一貫輸送ターミナルの航路並びに泊地の整備推進のため、令和五年度においても、政府において予算措置等必要な措置を是非講じていただきたいと思いますが、大臣からお取組をお答えいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 北九州港新門司地区複合一貫輸送ターミナルにつきましては、現在、その航路、泊地における水深が八メートルとなっております。

 国土交通省としては、船舶の大型化に対応するため、この地域の航路、泊地の水深を十メートルまで確保するための整備を行っているところでございまして、引き続きその整備についてしっかり検討してまいりたいと思っております。

城井分科員 ありがとうございます。

 ちょうど、この新門司地区、長距離フェリーターミナルということで、長距離フェリーが何社も今頑張っていただいています。コロナ禍を何とか乗り越えつつある状況かというふうに認識していますが、コロナ禍でも動いていた貨物需要とともに、旅客の動きが戻りつつあります。是非、こうした動きを後押しする意味でも、着実な整備の支援をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、北九州港における社会資本総合整備計画に基づく港湾施設の計画的整備、そして実施事業に対する支援を行うため、令和五年度においても、政府において予算措置等必要な措置を講じていただきたく存じます。

 この北九州港における社会資本総合整備計画に基づく港湾施設の計画的整備、実施事業に対する支援について、大臣の認識をお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 北九州港における社会資本総合整備計画に基づく港湾施設の整備につきましては、国土交通省としては、社会資本整備総合交付金により、港湾管理者である北九州市に対して支援を行ってきているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、社会資本整備総合交付金による支援について、これもしっかり検討してまいりたいと思います。

城井分科員 是非、引き続きの着実な取組をお願いしたいと思います。

 続きまして、北九州港においても、老朽化した港湾施設や海岸保全施設への対応が大きな課題となっています。特に、西海岸地区の岸壁においては、予防保全事業による老朽化対策に合わせて、大規模地震のときなどにおいても住民の避難や物資の緊急輸送機能を確保するため耐震化を進めており、早期完成が望まれていることから、令和五年度においても、政府において予算措置等の必要な措置を講ずるべきだと考えます。

 北九州港における老朽化した港湾施設や海岸保全施設への対応について、大臣の見解をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 港湾施設や海岸保全施設は、戦後の高度成長期に急速に整備されたものが多く、施設の老朽化が急激に進行しております。国土交通省としては、これらの老朽化対策は喫緊の課題と認識しております。

 委員御指摘の北九州港西海岸地区の岸壁につきましては、北九州港の港湾計画において大規模地震対策施設として位置づけられており、また、老朽化が進行していることから、国土交通省において、老朽化対策に合わせて耐震化を行っているところです。

 北九州港の港湾施設や海岸保全施設の老朽化対策について、引き続きしっかり検討してまいりたいと思います。

城井分科員 北九州港においては、老朽化に対する御意見は港湾関係者から日々増える状況にあります。特に、トラックが通る道の辺りは、道の傷みも激しい。そして、コンテナの置き場所に困って、その確保をどうするか。北九州港の管理者たる北九州市においても、コンテナの置場についての工夫も今、様々行っているところでありますが、そうした中で、施設の老朽化。

 これまでに果たせていた能力をきちんと確保ができるかどうか。そして、更に言えば、本来果たせる役割が、港湾の施設、能力が限られるがために果たせずにいる。施設更新のときこそ、更に役割を果たせるように、総合的かつ一貫した取組ができるように、是非、国の側からの支援にもそうした視点を持っていただきたいということをお願いしたいと思います。

 続きまして、関門航路においては、大型船舶が満載喫水で航行できないなど、非効率な輸送形態となっており、我が国の産業活動に大きな影響を与えているとともに、海難事故が引き続き発生しているため、航路十四メートルに向けた早期整備が望まれていることから、令和五年度においても、政府において予算措置等の必要な措置を着実に講ずるべきと考えます。

 大臣、関門航路の十四メートル確保に向けた令和五年度の取組について、大臣からお答えいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 関門航路につきましては、現在の水深は十二メートルでございますが、船舶の大型化に対応するとともに、船舶の航行の安全を確保するため、水深を十四メートルまで確保するための整備を行っているところでございます。

 国土交通省としては、関門航路における水深十四メートルの早期確保に向けて、引き続きしっかり検討してまいりたいと思っております。

城井分科員 最近の海難事故の発生も踏まえながら、是非、早期かつ着実な整備を改めてお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 ここまで、北九州市による国への要望について、今後の取組を大臣に伺ってまいりました。

 大臣、実は、今日から北九州市では新市長が就任となります。今回、改めて一つ一つお伺いしてまいりましたのは、質疑を通じて、市長が交代したその後も、国と北九州市が変わらず日本のそして地域の発展に向けて共同歩調で力合わせをしていただけるかどうかというのを是非お聞きしたかった、その気持ちで今回の質問をさせていただきました。

 大臣、今後の北九州市とそして国、とりわけ国土交通省との関係について、新市長との関係も含めて、是非、共同歩調でという部分を踏まえて御決意をお伺いできたらと思いますが、お願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 これまでと同様に、国とそして北九州市、よく意見交換をしながら、共同歩調、やるべきことをしっかりやっていくということは、その姿勢は全く変わりません。しっかり頑張っていきたいと思います。

城井分科員 ありがとうございます。

 やはり市長が替わるタイミングですと、町の中でも様々な御意見が飛び交いました。結果として選ばれた新市長に、私どもとしても、是は是とし、否は否としながら、町全体で、地域のことは党派を超えてという気持ちでやっていかねばならないというふうに思っています。

 今の大臣からいただいた言葉、大変心強いものだというふうに受け取りました。是非、国におかれても、引き続きの力合わせを是非お願いしたいということを改めて申し上げたいと思います。

 続きまして、旦過地区の再整備の推進についてお伺いいたします。

 旦過市場を中心にした旦過地区、これは北九州市小倉北区にございます。この再整備についてであります。

 小倉都心部にある北九州の台所として、百年以上親しまれております。国内外の観光客の人気も高く、貴重な観光資源でもあります。

 一方、この市場には多くの老朽化した木造建物が密集しており、防火上の問題を抱えております。この木造密集市街地の件については、以前に大臣にも質疑をさせていただいて、着実かつ早期の取組が必要だということを申し上げさせていただきました。

 また、一部、店舗が隣接する二級河川神嶽川に張り出している部分があります。違法建築の部分もございました。河川改修が進まず、浸水対策の課題も残されています。

 こうした中、平成二十一年そして二十二年の豪雨災害で神嶽川が氾濫、そして市場の大部分で浸水被害が発生しました。中には、一台百万円もするような冷蔵庫も二度にわたってつかったりしたものですから、市場関係者の失意は本当に大きなものがございました。これを受け、北九州市と市場の関係者が共同して市場の建て替えとそして河川改修を行う旦過地区再整備に取り組むこととなりました。

 国においては、旦過地区土地区画整理事業、これは令和三年一月に国土交通大臣に御認可いただいたものであります、これと神嶽川特定洪水対策等推進事業を、これは令和元年度から事業着手ということでございました、一体的に実施するという形になっています。

 ただ、大臣もお聞き及びのように、ここで新たな問題が持ち上がっております。令和四年の四月そして八月の二度にわたる市場の火災がございました。広範囲に及ぶ延焼が起こりまして、再整備地区内にも、残念ながら、甚大な被害を受けるということになりました。早期再建に向けた様々な支援が強く求められております。

 この浸水の被害、そして今回の二度にわたる火災、これを踏まえて、小倉都心部における更なる防災機能の強化を行うこと、そして、にぎわいの創出につながる旦過地区再整備を着実に推進するため、必要な予算確保など、ハードそしてソフト、両面での重点的な支援を国が行うべきだというふうに考えます。

 大臣、この旦過地区再整備への一層の支援を行っていただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 旦過地区におきましては、二度の火災を受けましたが、四月の仮設店舗の開業を目指した整備が進められるなど、復興に向けた取組が始まっていると聞いております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、早期の復旧やにぎわいの創出につながるよう、土地区画整理事業、河川事業の推進に向けて技術的助言に取り組むとともに、本地区の予算につきましても積極的に支援してまいります。

城井分科員 大臣、今ほどの積極的な支援という点、確認なんですが、これまでと変わらずか、それとも、今回の被害も受けて、更に踏み込んだ支援を検討していくか、この点、一言いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 火災を受けたという新しい状況を踏まえまして、積極的に支援をさせていただきます。

城井分科員 ありがとうございます。

 現在、北九州市においても、そして地元関係者においても、今、努力を一つ一つ積み重ねながら、市場の復興に一歩ずつ前進をしています。

 民間にできることは民間でと思います。実際、立地していた、とても希少な小規模の映画館がございました。看板だけが残るような悲惨な燃え方でした。皆が悲しんでおりましたが、土地の持ち主の方の決断もありまして、改めて映画館を造り直そうということで、クラウドファンディングなどを含めて、地元でも動きが始まっています。

 市場関係者も、商店街が三つほどございましたが、その意見や立場の違いも乗り越えながら力合わせをしていこうということで、今、市場関係者も一生懸命に頑張っています。

 そうした中で、地域の声を一つ一つ聞いておりましたら、今ほどの大臣のお声を是非お伝えしたいと思うんですが、国の関わりについての今後の見通しに不安の声が少しあったものですから、今日のこの質問を申し上げた次第です。

 私からも、今ほど大臣から、新たな状況を踏まえての積極的な支援の検討という言葉を、答弁をいただけたというふうに受け止めました。このことを踏まえて、我々からも発信していきたいというふうに思いますが、是非、大臣からも、見える形での国の支援を今後もお取組をいただきたいし、発信もいただきたいと思いますが、改めて御決意を一言いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 早期の復旧やにぎわいの創出につながるよう、土地区画整理事業、河川事業の推進に向けて技術的助言に取り組むとともに、本地区の予算につきましても積極的に支援してまいりたいと思っております。

城井分科員 ありがとうございました。

 今日は、今ほどの旦過地区の再整備も含めて、そして、北九州空港、北九州港などを中心に、地元北九州市の国への要望について、大臣に直接お答えいただきました。一つ一つ、向き合った、前向きな答弁をいただけたというふうに思います。

 私も、国政は野党でありますが、地元北九州市の発展のためには、小選挙区選出の衆議院議員として、地元のことは党派を超えてという気持ちで、一つ一つ、耳に痛い話も含めて大臣にお伝えしながら、国の取組の是非、改善、そして更なる踏み込んだ取組につながるようにこれからもお声を伝えていきたいというふうに思いますので、引き続きの御指導をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、今日準備した質問は以上でございます。終わります。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて城井崇さんの質疑は終了いたしました。

 次に、河西宏一さん。

河西分科員 公明党の河西宏一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 早速ですが、質問に入らせていただきます。

 初めに、最近、都内を始め、町で見かける機会が多くなりました電動キックボードの保安基準についてお伺いをさせていただきます。

 これは、新たな移動手段として、日常生活に加えまして、観光産業などでも大きく寄与をするんだろうというふうに期待をされているツールでございます。

 他方で、当然、安全性の担保、新しいモビリティーということで最重要でございますので、昨年の道交法改正で、時速二十キロ未満の電動キックボードは特定小型原動機付自転車ということで新たなカテゴリーに位置づけられまして、十六歳以上は免許不要、また、ヘルメット着用の努力義務等々、利用者側に対する法改正に加えまして、車両側、サプライヤー側に対する対応を求める改正も規定をされたところでございます。

 いわゆる原付の保安基準に沿う格好で、例えば、歩道での走行が可能な時速六キロモードへ切り替えたことが視認をできる最高速度表示灯や制動灯、いわゆるブレーキランプ、この装備義務化でございますけれども、いずれも、保安上、重要かつ必要な措置というふうに認識をしておりますけれども、特に事業者に対する影響が大きいのが制動灯の装備義務化でございます。

 この背景には、時速二十キロ未満であれば、改正前の保安基準ではブレーキランプを設置する必要がなかったわけでございます。いわば社会実験として特例制度を活用して電動キックボードを取り扱ってきた事業者の皆様は、制動灯なしの電動キックボードを、地域限定でレンタル事業等を展開をしてきたわけでございます。

 そのため、こうした事業者の皆様は、既に所有をしている個人や法人も含めまして、既存の車体を改造して制動灯を装備をさせなければならないわけでございます。これは実は非常に大事なことでございます。

 これを踏まえまして、電動キックボードの業界団体でありますマイクロモビリティ推進協議会といたしましては、実は、国交省に対しまして、制動灯の装備義務化の適用時期を、改正道交法が定める期限内であります公布日から二年ということで、すなわち令和六年の四月下旬にすべきではないかという御意見もあったというふうにお聞きをし、また、その後も様々やり取りがあったというふうに伺っております。ただ、結果として、約一か月前の一月十九日に、警察庁の方から、今回の改正道交法の施行日は七月一日、本年にすると示されたというふうに承知をしております。

 こうした中で、先日、この協議会の一員で一定のシェアを持つ事業者の方であります、その経営者の方からお話を伺いました。実は、先ほど影響が大きいというふうに触れましたが、結論から申し上げますと、残念ながら、この七月一日に保安基準が施行された場合に、制動灯を追加するコスト、これがどうしても今のキャッシュフローの中では吸収し切れないということで、事業から撤退せざるを得ない見込みであるというふうな切実なお声でございました。もっとも、これは協議会傘下の全ての事業者に共通する実情ではないというふうにも聞いておりますけれども、いずれにしても、実態の一端でございます。

 そこで伺いますけれども、この七月一日の制動灯の装備義務化の適用時期について、先ほど触れた令和六年の四月下旬、あるいは、最高速度表示灯と同様、令和六年の十二月まで猶予できないか、あるいは、制動灯の追加装備に対する何らかの支援を検討いただけないか、こういった事業者からの御要望をいただいておりますけれども、これは、事実関係を含めまして、国交省の見解をいただきたいというふうに思っております。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 電動キックボードなどの制動灯は、車体が小さいことを考慮し、他の交通から見つけられやすくするため、装備を必須としたところでございます。

 これら基準の策定は、その装備の適用日も含め、専門家や事業者から成る検討会やパブリックコメントなどによって、中小企業を含むシェアリング事業の団体の皆様の御意見もお聞きしながら進め、先生御指摘の御意見があったことも承知をしております。

 そのような御意見を含む様々な御意見も踏まえ、新たな交通ルールの下での安全性の確保、あるいは、基準不適合車両の判別の必要性などの観点から、新車のみならず、既に使用段階にある使用過程車につきましても改正道交法の施行日から適用することと決定したというところでございます。

河西分科員 ありがとうございます。

 当然、安全性の確保ということが最大の目的でございまして、それでは、この安全性という部分で参考として伺いますが、国交省は、自動車の安全性能の高さを、これは既存の自動車の方ですね、その安全性能の高さを星印の数で評価をして表す、そして、メーカー各社が、星印で示されますので消費者に直接伝わるということで、安全な車の開発を促進をする自動車アセスメント事業を行っていらっしゃいます。

 これがどの程度近年の交通事故の死者数の減少につながっているか、その御認識をいただきたいと思います。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、自動車ユーザーが安全性の高い自動車などを選択しやすい環境を整備するとともに、メーカーに対してより安全な製品の開発を促すことを目的として、一九九五年から、車両の安全性を評価、公表する自動車アセスメントに取り組んでおります。

 具体的には、販売台数が多い車両を中心に、実際に車両を衝突させ、衝突時の車両の安全性を評価する試験、あるいは、衝突による被害を事前に防止又は軽減する衝突被害軽減ブレーキなどの機能を評価する試験などの結果を車種ごとに点数化し、評価、公表をしております。

 新たな試験項目の評価、公表を通じて安全性能の見える化が進むことによって、例えば、平成十二年の前面衝突試験の導入以降、令和三年までの二十一年間で、衝突事故時に自動車内で亡くなる方が約八割減少、あるいは、平成二十六年の衝突被害軽減ブレーキ試験の導入以降、同ブレーキが急速に普及いたしました令和三年の時点では、新車乗用車の九七・二%に搭載をされております。結果として、令和三年までの七年間で、追突事故の発生件数は約五割減少といった事故防止効果のデータが得られております。

 このように、これまでの事故防止対策は効果を上げてきていると評価をしておりますが、今後も、技術開発の動向と施策の効果を見極めつつ自動車アセスメント事業を推進してまいります。

河西分科員 ありがとうございます。

 今御答弁ありましたように、このモビリティーというのは、保安基準の遵守とともに、やはりメーカー同士の開発競争、これが安全確保や事故被害の低減につながるということでございます。

 したがいまして、この電動キックボード、社会実装の初期段階でございますけれども、だからこそ、保安基準の適用とともに目くばせをいただきたいのは、それによって業界から撤退をしてしまうような事業者がなるべく出ないように十分に配慮をいただきたいという点でございます。

 つきましては、既に私も要請をさせていただいていることなのでございますが、このマイクロモビリティ推進協議会に加盟をする個々の事業者に対しまして、個別に、いま一度ヒアリングを是非行っていただきたいと思っております。実態を御確認いただきたいということでございます。

 この七月の施行によって業界から淘汰をされるような事業者の方が出ることは、必ずしも、道路上の安全確保、それはいわゆる健全な開発競争ということに裏打ちされるわけでございますが、国交省の本意にかなうものではないというふうに考えますが、是非、斉藤大臣の御見解をいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 電動キックボードなどの新たなモビリティーは、誰もが安全かつ気軽に利用できる移動手段として重要と認識しております。

 電動キックボードの新たな保安基準の策定におきましては、業界団体を中心に意見を聴取してまいりましたが、今回の御指摘を踏まえまして、改めて、主要な事業者それぞれにも聞き取りを行い、実態の把握に努めてまいりたいと思います。

河西分科員 個別に聞き取りを行っていただくということで、大変にありがとうございます。個々の事業者のこれからの励み、そして、更なる開発競争、安全の確保につながるような、是非お取組をお願いを申し上げたいと思っております。

 続きまして、話題を変えまして、交通事故被害者ノートの発行について、まずは、これは大臣への感謝の思いも込めて質問を申し上げたいというふうに思っております。

 さきの国会で自賠法改正に、私も国交委員会の一員として臨ませていただきました。一般社団法人の関東交通犯罪遺族の会のあいの会の小沢樹里代表理事より交通事故被害者ノートの御紹介がございまして、大変重要なツールであるということで、私も政府に対しまして、ヤングケアラーの支援を追加する視点、あるいはノートの普及を強く求めてきたところでございます。

 結果といたしまして、大変皆様の思いが詰まったノートが作成をされました。大臣におかれましては、定例の記者会見で、冒頭、自らのお手に取っていただいて発表していただいたことを改めて感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 しかし、本番は当然ここからでございまして、このツールが当事者の方に漏れなく、また、このノートを手にすることで、従前あったような、例えば自動車事故対策機構、NASVAの存在を知らなかったというような当事者の方が出ないこと、これが大事だというふうに思っております。

 次の人生の歩みを、少しずつでも着実に踏み出していく道筋というものをより強固にしていくことが、車社会、また自動車政策を推進する政治、行政に課せられた使命と責任なんだろうというふうに思っております。

 そこで、お伺いをいたしますが、この交通事故被害者ノートの初版、これは千部を刷ったというふうに伺っておりますけれども、配布先はどこか、また、来年度の配布予定数や新たな配布先、例えば、御要望としてもありますが、保険会社への配布、これについても御検討いただきたいと思いますけれども、国交省の御見解をいただきたいと思います。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 交通事故被害者ノートにつきましては、初版の千部を都道府県の犯罪被害者向けの総合的対応窓口及び自動車事故対策機構、通称NASVAの主な支所に配布をいたしました。

 来年度は、新たに民間の事故被害者支援団体や日弁連の交通事故相談センターなど、民間で事故被害相談や支援を行う団体を中心に約四千部の配布を予定しております。

 御指摘ございました保険会社などの新たな配布先につきましては、今の御指摘を踏まえまして、関係者と今後検討をしてまいります。

河西分科員 是非御検討をお願い申し上げたいと思います。

 また、関連して一点、是非これは斉藤大臣の思いをお聞きしたいと思っております。

 二〇一九年の四月十九日、東池袋で起きました車の暴走事故による死亡事故、奥様と幼い娘さんを亡くされました松永拓也さん、現在、あいの会の副代表理事として御活動されております。本当に、御自身が大変な状況の中でも、何とか同じ思いをさせたくないということで、非常に心から敬意を表するところでございまして、私も住まいが近いものですから直接お会いをして、お伺いをいたしました。

 ただ、そんな松永さんへのネット上の誹謗中傷が、これは余りにもひどい状況、ツイッターでございますが、金目当てとか反響目当てとか、もう口にするのもはばかられる内容でございます。

 これに対しまして東京地裁は、先月の十三日、被告に対しまして侮辱罪を適用いたしまして、懲役一年、拘留二十九日、執行猶予五年の判決を言い渡しました。松永さんは被告に対しまして、自分自身の人生や日々の行いを見詰め直し、しっかりと立ち直ってほしい、自分が受けた心の痛みはほかの人には体験してほしくないとお話をされております。

 どこまでも人のため、社会のために活動を続けられる松永さんに心からの敬意を表したいと思いますし、本日は斉藤大臣からも、自動車行政を所管する閣僚として、交通事故ゼロ社会を身を挺して皆さんで取り組まれる方々への是非エールをいただきたいと思いますが、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、交通事故で御家族を亡くされた方々、御遺族に対しまして、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、松永さんを始め交通事故ゼロ社会を目指した取組に御尽力いただいておられる当事者の皆様に、心から感謝をいたします。

 御遺族の皆様に対し誹謗中傷がなされているという現状は、大変遺憾である、許せない、そういう気持ちでいっぱいでございます。

 国土交通省としては、御遺族の皆様の思いに寄り添い、同じような思いをされる方を一人でも減らせるよう、事故被害者支援や事故防止をより一層充実し、被害者の皆様が安心して生活できる社会、事故のない社会の実現に取り組んでまいりたいと決意しております。

河西分科員 大変寄り添ったお言葉をいただきまして、誠にありがとうございました。しっかりと私自身も寄り添いながら後押しをさせていただきたいと思います。

 続きまして、二月十四日に公表されました公共工事の設計労務単価についてお伺いをいたします。

 これは、公共工事の予定価格を算出する際の基準賃金でございます。現場で働く技能者、労働者、この賃金上昇につながる、そして、政府が進める物価上昇率を上回る賃上げの象徴的な公定単価であるというふうに認識をしております。

 今回は、昨年に引き続きまして十一年連続で過去最高値を更新をいたしました。全国の全職種平均で五・二%の引上げ、単価は二万二千二百二十七円に改定をされるということでございます。この伸び率が五%を超えるのは、二〇一四年以来の実に九年ぶりの伸びとなりました。斉藤大臣のリーダーシップに心から敬意を表し、感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 そこで、今回、大幅に労務単価を引き上げた背景と、また、期待する波及効果について、政府の見解をいただきたいというふうに思っております。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の公共工事設計労務単価の上昇は、国土交通大臣が建設業四団体のトップと定期的に意見交換会を行うなど、官民一体となって賃上げに向けた機運醸成を進めてきたことに加えまして、安定的な公共事業予算の確保、適正価格での公共工事の発注とダンピング対策、適正な請負代金での下請契約の締結促進など、様々な取組が、建設業界における賃上げに結びついた成果と認識しております。

 今後この流れが、地方公共団体あるいは民間の工事にも広がり、現場で働く技能労働者の賃金水準の上昇につながることを期待するとともに、官民一体となった取組の一層の推進に努めてまいります。

河西分科員 ありがとうございます。

 加えまして、先ほどもございました、公共工事は、昨今の物価高、資材高にスライド条項を適用していただいているというふうに承知をしておりますし、その上で、現場の声を伺う中で感じる点は、国発注の公共事業は、着実に、これが確実に適用されるものなんですが、これが自治体発注になりますと必ずしも満額回答とはいかないというのもこれは実情でございます。

 特に、建設事業に不可欠とも言える生コンやセメント業界におきましては、石炭が約一年足らずで五倍近くに高騰して、窮地に立たされてまいりました。

 こうした点も踏まえまして、公明党は、生コンクリート・セメント産業振興推進プロジェクトチームとして、昨年十月に国交省に提言を行わせていただきました。スライド条項の適用などを通じて、適正な請負代金の設定が図られるよう、引き続き、地方自治体や民間発注者等へ働きかけること、また、市場における最新の資材価格、これが適切に反映されるように、民間の調査会社などと緊密な連携を図ること、こういったことを申し入れさせていただきました。

 これら提言を踏まえまして、最新の国交省の取組状況をお伺いをいたしたいと思います。

長橋政府参考人 先生今御指摘のとおり、昨年十月に、公明党の生コンクリート・セメント産業振興プロジェクトチームから、資材高騰への対応などについて御提言をいただいたところです。

 そのうち、適正な請負代金の設定については、これまでも、地方公共団体に対しては、最新の単価を適切に予定価格へ反映させつつ、適正な積算を行うこと、また、民間発注者に対しましては、建設業団体等に対しては、適正な工期の設定や契約後の状況に応じた必要な契約変更を行うことなどを累次要請してきたところです。

 例えば、直近では、十二月の六日に、生コンクリートの売買契約の適正化について、主要民間団体、建設業団体、地方公共団体に対しても要請したところでございます。

 また、民間調査会社の価格調査では、市場における最新の契約価格を調査し、結果に反映させてきていると承知してございます。

 引き続き、適正な価格転嫁に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

河西分科員 ありがとうございます。

 今ほどのことに加えまして、昨年の提言に関しましては、民民の取引についても何点か申し上げさせていただきました。それは、サプライチェーン全体で価格高騰のリスクの分担を図る枠組みの構築ということで、私も、プロジェクトチーム内で具体的に問題提起をさせていただいてまいりました。

 例えば、分譲マンションの開発であれば、ディベロッパーにおいて土地の取得と商品化、そして消費者への販売、ゼネコンによるマンション建設と、この一連のプロセス、少なくとも数年を要するわけでございます。

 したがいまして、現在のような急激な資材高が起きますと、このBツーCの分譲価格の値上げというのは、当然非現実的、既に元々決まっているということがあります。販売も何年かかけて行われるということがございます。連動して、このゼネコンの受注価格のBツーBの契約も動かない。結局、このコスト上昇をのみ込むのは、現場に資材を納入する生コン事業者を始めとしたサプライヤーの皆様でございます。

 これは、建設業界全体の持続可能性に関わる問題であるということで、公明党として、サプライチェーン全体で今般のような価格高騰リスクの分担が図られるような枠組みをつくるべく、関係者間での協議の実施、あるいは、契約、費用の透明化、透明性の確保、また、リスク負担の在り方について議論をするよう提言をしたところでございまして、これに関しましても、今現在の取組、国交省からいただきたいと思っております。

長橋政府参考人 御指摘のとおり、昨今の建設資材の急激な価格変動等の環境変化が生じた場合でも、将来にわたり建設業を持続可能とするためには、そのしわ寄せが建設業界に及ぶということではなくて、いかに価格変動に対して、建設生産全体で適正なリスク分担あるいは価格変動への対応を可能とするかということを検討していく必要があるところでございまして、今、有識者委員会による検討会で議論を進めているところでございます。

 その中で、建設請負契約の透明性をいかに高めていくか、見積りとか契約前の時点で受発注者がどういうふうに情報共有をしていくかといったいろいろな論点がございますので、現在、年度内にそれを取りまとめて論点整理ができるよう目指しまして、精力的に今検討を深めてまいっているところでございます。

河西分科員 ありがとうございます。

 実は、今日の午前中も生コン事業者の皆様と意見交換をしてまいりました。事業者の皆様は、何とかこの難局を乗り切ろうとあらゆる知恵を絞っていただいておりまして、例えば、非常に東京は生コンの出荷量が大きいわけでございますが、これを従来の契約ベースから出荷ベースで新しい価格を適用していくというようなことをこの春からスタートをさせます。

 是非、国交省におかれましても深い御理解と、実際に、生コンの事業者、本当に、場合によっては中小零細事業者の方々でいらっしゃいます。そこから、ゼネコンさんとの価格交渉も是非お支えをいただきたい、御理解をいただきたいというふうに思っております。

 また、この価格転嫁の問題は、とりわけ重層的な下請構造で仕事が成り立っております建設業界では非常に根深い、また複雑であるというふうに思っております。

 今後、政府は、ややほかの文脈になりますが、リスキリングなどで労働移動していく構造的な賃上げということで総理は表明をされておりますが、より高度なスキルを得た人は、より高い報酬のポスト、あるいはほかの企業や会社へステップアップしていくということで、一言で言うと、雇用の流動化を図る方針というふうに理解をしておりますけれども、今、我が国の経済は、ディマンドプルではなくてコストプッシュ型のインフレ下にございますので、下請事業者、下請の中小企業の価格転嫁、これが十分でないままに構造的賃上げが進みますと、単純に考えますと、利益も人材も大企業に偏在をしていくということに当然なります。必要以上な格差ということで、いびつな構造的賃上げになりかねないという危惧を私は持っております。

 また、経産省が行っております価格交渉促進月間の昨年九月のデータですけれども、全体の価格転嫁率四六・九%に対して建設業界は四四・八%ということで、いま一歩、決して高いということは言えないということで、こうした課題に対する国交省の認識、また、建設業界の大企業も中小企業もウィン・ウィンになるような構造的賃上げの実現にどう挑むのか、是非大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 建設業は、社会資本整備の担い手、地域の守り手であり、防災・減災、国土強靱化を確実に推進するために重要な役割を担っております。

 建設業がこうした役割を果たし続けるには、業界全体として、適切な価格転嫁が進むよう促した上で、建設企業の適正な利潤の確保と技能労働者の賃上げにつながっていくことが重要です。

 現下の建設資材などの高騰に関しては、直轄工事において、適正な請負代金の設定や契約後の状況に応じた必要な契約変更に取り組んでまいりました。

 また、本年三月から適用される公共工事設計労務単価については、前年度比プラス五・二%、十一年連続の上昇となり、最近の物価上昇を上回る大幅な引上げとなりました。

 今後とも、こうした取組が地方公共団体や民間の工事にも広がり、技能労働者の賃金水準の上昇につながる好循環が持続できるよう、官民一体となった取組の一層の推進に努めてまいる決意でございます。

河西分科員 ありがとうございます。

 改めて設計労務単価のことについても触れていただきました。

 そうしたことで、単価の引上げですとか、様々な価格転嫁、また価格設定というものがやはり二次、三次までしっかり波及をしていくということが非常に大事でありまして、これも以前国交委員会で取り上げさせていただきましたが、そこで大事になってきますのが、やはり、技能者の待遇を体系的に改善をしていく、官民連携で推進をしていただいておりますけれども、CCUS、建設キャリアアップシステムでございます。

 現時点での登録事業者のID数、また、技能者のID数、建設許可事業者数全体に対する割合、これがどの程度か、お伺いをしたいと思います。

 また、以前、CCUSの相談窓口の問合せ、これがなかなかつながらないという現場からのお声もいただきました。今どういった改善を行っていただいているか、現状をお伺いをいたしたいと思っております。

長橋政府参考人 建設キャリアアップシステムの現状についてお尋ねがございました。

 令和五年一月末現在の登録事業者数は約二十一万社、技能者数で見ると約百九万人です。登録事業者数から一人親方を除いた十四万社を建設業許可を持つ事業者数の約四十八万社で割りますと、約三割ということになります。

 また、先生御指摘がございました、電話での問合せ窓口がなかなかつながらないという御指摘をいただいてございます。これまでいただいたいろいろな御指摘あるいは御要望を踏まえて、先月から、電話対応可能なCCUSの認定アドバイザーというのを設置しまして、これを公表させていただいてございます。

 これは、システムに係る専門的知識を修得し、利用者に対する適切な指導あるいは助言を行えるCCUSの認定アドバイザーの中から、一般の利用者からの電話問合せにも対応できるといった方の電話番号を、連絡先も含めて、改めて公表したものでございます。

 現在はまだ二十二都道府県の四十二名ですが、この取組の拡大、業界全体への周知に、国土交通省としても運営主体とともに取り組んでいきたいと考えてございます。

河西分科員 ありがとうございます。引き続きのお取組をお願い申し上げます。

 時間もなくなってまいりましたので、最後に一問、端的にお伺いをさせていただきます。

 公明党は、先月、春の統一地方選挙に向けまして重点政策を発表させていただきました。その中で、高齢者の皆様、買物難民化が大きな社会問題になっていることを踏まえまして、日常の買物などに対する支援というものを掲げさせていただいたところでございます。

 これはまさに、超高齢化社会に向けた地域の公共交通のリデザイン、再構築、これが焦眉の急であるという点とも深く関連をしてくるんだろうというふうに思っております。

 大臣も、本年年頭の記者会見で、本年を地域公共交通再構築元年にしていくというふうに決意をお述べになりました。その上で、二月の十日に、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案、閣議決定をされたところでございまして、これについて、最後に一点、お伺いをいたします。

 今般のこの法改正、これからされるわけでありますが、その一つの特徴は、これまで、電車、タクシー、バスと、モビリティーごとに分かれて議論されがちだった地域公共交通を、関係者も含めて一体的に、連携して、協働してやっていくというところでございます。

 そこで、お伺いいたしますが、今後の超高齢化社会、また、人口減少局面におきまして、高齢者の皆様が買物難民にならないような、支え合う地域社会、これの構築に当たりまして、各自治体が、今般の法改正を通じて充実が図られようとしております地域公共交通計画、これを策定されるわけですが、どのように策定をしていくべきか。また、この計画の推進に対して、どういった事業の在り方や、予算措置など、国が支援を検討されているのか。最後、政府の見解をいただきたいと思っております。

鶴田政府参考人 御指摘の、日常の買物などに対する支援は大変重要な課題で、そのためには移動手段の確保が不可欠と認識しております。

 このため、今国会に提出しています法律案では、地域公共交通計画に、地域の関係者相互間の連携に関する事項を記載するよう努めるとするほか、国の努力義務として、地域の関係者相互間の連携と協働の促進を位置づけることとしております。

 予算面でも、令和四年度補正予算と令和五年度予算案におきまして、地方公共団体と交通事業者の連携と協働を始め、福祉また教育等を含む多様な関係者の連携と協働による取組を支援する予算を盛り込んでございます。

 法制度、予算、あらゆる政策ツールを用いて、しっかり地域を支援してまいりたいと思います。

河西分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて河西宏一さんの質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、八木主査代理着席〕

八木主査代理 次に、石原正敬君。

石原(正)分科員 こんにちは。今日は分科会の質問ということで、よろしくお願いします。

 斉藤大臣におかれましては、私、質問の予定はございませんので、退席していただいて結構でございます。

 では、早速ですけれども、質問を始めさせていただきます。

 今日は、四点大きく質問いたします。一つは積雪による交通障害について、二つ目が港湾行政、三つ目が流域治水、そして四つ目が地方整備局の機能強化についてということでございます。よろしくお願いします。地元の問題もたくさん含んでおりますので、簡潔な答弁と前向きな答弁をよろしくお願いします。

 まず、積雪による交通障害ですけれども、先月、一月二十四日火曜日から二十六日木曜日までの大雪によりまして、新名神高速道路が渋滞及び通行止めになった案件について質問いたします。

 私の地元である新名神高速道路の菰野インターチェンジ付近の渋滞といいますか、大規模な立ち往生と言った方がいいかも分かりません、そのことが大きく報道されまして、私が認識しましたのが、たしかその真ん中の日の二十五日のお昼頃、NHKのニュースで報道されたことを私は記憶しております。立ち往生した車両から地元の消防署に救急搬送の要請があり、現場に向かっているという情報もございました。

 現場付近では、前日の二十四日火曜日十五時頃から降雪が始まり、新名神高速とダブルネットワークを構成する名神高速道路において渋滞が発生し、夕方には新名神高速道路と接続する京滋バイパスが通行止めになり、新名神高速道路に交通が集中、そして滞留が生じて、この大規模な立ち往生に至ったと私としては認識しております。

 まず、今般の大雪による新名神高速道路における通行止めや大規模な立ち往生について、高速道路会社と国土交通省として原因をどのように分析し、今後の対応策をどのようにお考えか、お聞かせください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 一月二十四日からの大雪時における新名神高速道路の対応におきまして、高速道路会社におきましては、高速道路の通行止めの状況について、関係する地方整備局と情報共有はしていたものの、名古屋と大阪を結ぶ複数の高速道路について、通行止めの運用のルールの徹底が図られていなかったこと、また、渋滞による滞留の状況、また作業の状況について、地方整備局との情報共有が不十分だったこと、そういった課題があったというふうに認識をしております。

 このため、NEXCO中日本とNEXCO西日本におきましては、大雪時の対応につきまして検証を行いまして、大雪時の当面の対応策というものを今月の八日に公表しております。

 今後の降雪時におきましては、滞留が予見される場合にはちゅうちょなく通行止めを実施するということ、また、大雪時にきめ細かく情報共有をするということ、そういった対応策を確実に実施していくものというふうに聞いております。

 いずれにしても、国土交通省といたしましては、この当面の対応策、これを踏まえまして、関係する高速道路会社、また地方整備局との間でしっかり情報共有の上、広域的な運用も含めまして、連携して取り組んでまいりたいと考えております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 二十五日のお昼頃以降、私も国土交通省の道路局等に問い合わせましたところ、丁寧に説明、現状の報告をいただいたことは間違いないんですが、やはり、地元の中部地整の三重河川国道事務所からも逐一連絡が入るような状況になりました。

 その際にも申し上げたんですが、NEXCOというか高速道路会社と国交省の連携、まさしくこれは重要なところで、今後の課題だということで、しっかりしてもらいたいところなんですけれども、もう一方で、私自身が沿線自治体の首長さんとかあるいは防災管理部局に直接電話をしたところ、新名神がそういう状態になっているということを余り御承知でなかったというところに物すごく危機感を覚えまして、しっかりと国交省からも沿線自治体の首長あるいは防災部局に情報を提供するようにということを申し上げたわけなんですが、今後、沿線自治体との連携に関する課題あるいは今後の対応策についてどのようにお考えか、御答弁願います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 一月二十四日からの大雪時の新名神高速道路の対応のことでございますが、渋滞による滞留の状況について、沿線自治体を含めた関係機関との情報共有というものが不十分だったというふうに思っております。また、渋滞による滞留というものが一時的なものというふうに判断をして、関係機関への救援物資など応援要請をしなかったということもまた課題であったというふうに思っております。

 このため、NEXCO中日本、NEXCO西日本に検証をさせまして、大雪時の当面の対応策につきまして、今後、大雪の場合は、大雪時にきめ細かく情報提供を行っていくということ、また、車に乗られている方々への支援につきまして、早い段階から関係機関で情報共有をして、応援を含めた体制の充実というものを考えていくということを今後はやっていくというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましては、当面の対応策を踏まえまして、関係する高速道路会社また沿線自治体との間でしっかりと情報共有の上、連携して取り組んでまいりたいと考えております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 やはり、十年に一度とか二十年に一度の雪が降る場合が散見されまして、ふだん雪に慣れていない地域で、こういった形で大雪が降りますと大混乱が生じるということもございます。今回のことをきっかけにしまして、更に雪に対する備えをしっかりとしてもらうようにお願いしたいと思います。

 といいますのも、高速道路が、いわゆる上の道路が止まりますと、その通行止めされている区間のインターチェンジ付近が、下にそこから車が流れ出まして、下の道路も混む。特に幹線道路は大混乱に陥りますし、また、それが通勤通学時間帯になりますと、更にそれに拍車をかける。

 そうなったときに、例えば下の道で大渋滞が起こっていて、救急搬送など、火事、火災などの場合に、大変な地元の自治体の苦労が目に浮かぶわけでございますし、住民の安全、安心という観点からも、こういうことをしっかりと情報共有して、道路の状態をしっかりと、ベストな状態とは言いませんけれども、滞留しないような形で次善の策を打つということが必要になろうかと思います。

 また、立ち往生した車両から救急搬送の要請が出たということで、やはりこれも、市町村が消防を持っているわけなんですけれども、そういうような状況が起こると事前に分かった場合には、例えば、非番の消防職員を招集したりとか、隣の市町村の消防に応援の体制を組んでくるように要請をするとか、様々な次善の策を講じなければならないということもございます。

 そして、さらに、その救急車両がやはり高速道路に入っていける、若しくは何らかの形で出入りができるというような、そういうような設備、施設も、これは高速道路会社と検討しながらこれから準備する必要があるのかなというようなことも感じたところでございます。

 もう一個、更に申し上げますと、やはり、大雪による渋滞が起こりそうなサービスエリアやパーキングエリアにスマートインターチェンジを設置するとか、あるいはそこから緊急車両が出入りできるようにする、あるいは滞留の後部から、後ろから掃き出す、そういったことができるようにするとか、様々なこれからハード、ソフトの対応が可能かと思いますので、引き続き御検討いただければというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、港湾行政についての質問をさせていただきます。

 まず、日本全体の港湾行政。私、県議会議員時代に四日市港管理組合の議員をやっていましたものですから、当時、シンガポールとか釜山とか天津とかによく視察に行ったんですけれども、当時ですら、日本の港湾というのはなかなかちょっと小規模だなと思っていたんですけれども、最近どうも、水を空けられると言うとちょっとしゃれが利いて過ぎるかもしれませんけれども、港湾の設備が、少しやはりアジアの中で取り残されてきているんじゃないかという危機感を持っております。

 そんなことはないと国交省さんは思われるかも分かりませんけれども、私とすると、期待を込めて、今後の港湾行政、どういった方向で動いていくのかということを御答弁願いたいと思います。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国港湾の国際競争力の向上やカーボンニュートラルなど、たくさん課題がございますが、こういった課題に対応するためには、国内外の激変する状況に合わせまして港湾政策を展開する必要があると考えております。

 このような認識の下、国土交通省におきましては、二〇一八年に、二〇三〇年頃の将来を見据えまして、グローバルバリューチェーンを支える海上輸送ネットワークの構築や、水素等の新たな資源エネルギーの受入れ、供給等の拠点形成、また、情報通信技術を活用した港湾のスマート化など、八本柱から成ります港湾の中長期政策、これをPORT二〇三〇と呼んでおりますが、これを策定いたしまして、各種取組を推進しているところであります。

 国土交通省といたしましては、引き続き、本政策に沿った取組を進め、港湾の国際競争力の向上を図り、我が国の経済、産業を支え、豊かで潤いのある国民生活の実現を図ってまいります。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 今お触れになられました港湾の中長期政策、PORT二〇三〇という中の八つの柱に沿ってこれからやっていくということでございます。

 ただ、ウクライナの情勢があり、カーボンニュートラルもこれは本気でこれから進んでいくぞというような時期になりまして、もう少しアップデートしていくようなことも必要なのかなというふうにしても感じております。

 特に、PORT二〇三〇の中で、新たな価値を創造する空間、プレミアムポートという中に、資源エネルギーチェーンの世界的な変化の先取り、コンビナートの再生といった文言があります。

 是非、当時の状況、策定した状況から変わってきているということを少し認識しながら、大きく転換することはないと思うんですけれども、年度年度の予算を含めて、もう少し重点施策を前に出していくような、あるいは、最新の情報で、五年の見直しといいますか、そういったことも含めて、またいろいろと各港湾と協議をしていただけるといいかなというふうにして思っております。

 特に、私の地元、三重県北部には、先ほど申し上げましたように、百二十年以上の歴史を持ちます四日市港がございます。四日市市といえば、石油化学コンビナートの日本有数の拠点でありますし、エネルギー関連で申し上げますと、四日市港の一部である川越町には液化天然ガスの受入れ拠点もございます。

 その四日市港ですが、現在、物流強化の観点から、コンテナ専用バースである霞ケ浦地区北埠頭におけるW81号岸壁の整備を実施してもらっています。

 現時点では、東海環状自動車道の全面開通、令和八年なんですけれども、に合わせて、この霞ケ浦地区北埠頭W81号岸壁も、この令和八年に暫定供用の予定と聞いております。そしてまた、事業完了は令和十年度と見込まれておりますが、更なる事業推進を期待しておりますので、今後の見通しなどをお聞かせください。

 さらに、四日市港に集積する石油化学工業などと連携し、カーボンニュートラルポートの形成を推進すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 四日市港は、石油化学を中心とした工業が集積するとともに、完成自動車の輸送船や東南アジア向け定期コンテナ航路の船舶が就航いたしまして、我が国の産業を支える国際海上貨物輸送の重要な拠点であるというふうに認識しております。

 四日市港におきましては、近年、東南アジア航路の貨物が増加するとともに、コンテナ船の大型化が進展いたしまして、より深い岸壁を必要とする船舶が増加していることから、令和三年度より、霞ケ浦地区北埠頭、いわゆるW81号の岸壁について、国直轄事業として国際物流ターミナル整備事業を行っているところでありまして、これについては、引き続き、しっかりと整備を推進してまいりたいというふうに考えております。

 また、もう一つの問いであります、四日市港におけるカーボンニュートラルの取組についてですけれども、四日市港におきましては、官民の関係者によるカーボンニュートラルポートの形成のための協議会、これを開催しておりまして、今検討を行っている状況にございます。

 本協議会には、四日市コンビナートの関係企業も多数参加しておりまして、港湾管理者はこれらの企業と連携しまして、しっかりと脱炭素化に取り組んで、港湾と産業の競争力強化を図ることとしております。

 国土交通省といたしましては、国の職員がこの協議会に直接参加いたしまして、広域的な観点からの助言を行うなど、港湾管理者が行うカーボンニュートラルポートの形成に向けた取組を支援するとともに、関係省庁ともしっかりと連携をしながら、四日市港における脱炭素化の取組を推進してまいりたいというふうに考えております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 まさしく、御答弁いただいたように、四日市港も、昨年八月から四日市港カーボンニュートラルポート協議会を立ち上げまして、官民一体となりまして議論を行い、四日市港カーボンニュートラルポート形成計画案を取りまとめたと伺っております。

 この際に、国土交通省からも直接御参画いただきまして、御指導そしてまた御協力いただいたということで、地元の四日市港管理組合を始め、三重県四日市とも大変お世話になったという感謝の意を表しているところでもございます。

 是非今後、これが更に実現すべく、前に進むように御支援を賜りたいと思いますし、聞くところによりますと、全国で十か所弱ぐらいがこのカーボンニュートラルポートに何か指定されるのか、何かそういうようなことも聞いていますので、そこに何とか、この四日市港、あるいは名古屋港も含んだ伊勢湾という形になるのか、ちょっとここら辺はこれからの進捗状況を見ながらだと思いますけれども、是非それに対して支援をいただきたいというふうにして思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それと、カーボンニュートラルとも関係するんですけれども、四日市港の港湾利用者、中でも大型車両による運送事業者にとって、四日市港までの渋滞が大きな課題となっています。これまでも、臨港道路としての四日市・いなばポートラインの供用開始によりまして、一定程度の整備が行われてまいりましたが、先ほどの霞ケ浦地区北埠頭の整備が今後進んでいきますと、更なる貨物量の増加が見込まれるわけです。

 そこで、質問ですけれども、臨港道路の機能強化に向けて、今後の展望についてお尋ねいたします。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 四日市港における臨港道路につきましては、霞ケ浦地区における港湾物流の効率化等を目指しまして、四日市港臨港道路霞四号幹線、いわゆる四日市・いなばポートラインでございますけれども、これを平成三十年四月一日に供用しているところでございます。

 本臨港道路の開通によりまして、霞ケ浦地区から伊勢湾岸自動車道までの時間短縮や、四日市港周辺道路の交通混雑の緩和が図られるなどの整備効果が出ているところでございます。

 四日市港の臨港道路の更なる機能強化につきましては、基本的には、まずは港湾管理者である四日市港管理組合が中心となって、地元でしっかりと議論をしていただくことが重要でございますけれども、国としても必要な技術的助言をするなど、地元と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

石原(正)分科員 ありがとうございます。

 まさしく、先ほどのカーボンニュートラルポート形成計画の取りまとめのときに大変お世話になったということもありまして、そこで、やはり官民が一体となった取組をする機運の醸成といいますか、そういうのがすごく高まってきたなと感じていますので、この臨港道路についても、またいろいろな所見、参考になることを伺いながら進められればと思いますので、引き続き御指導いただきたいと思います。

 三重県内におきましては、国道一号及び国道二十三号のバイパスである北勢バイパスや中勢バイパスの整備が進んできております。更に関連しまして、鈴鹿亀山道路の事業化も令和四年度に決定したところでございまして、これからの道路ネットワークとの接続という観点からも、この四日市港周辺の道路機能の更なる強化をよろしくお願いいたします。

 続いて、治水事業、流域治水についてお尋ねをします。

 令和五年度水管理・国土保全局の予算におきましても、主要課題の一番目に、流域治水の本格的実践「継続と深化」として五千九百五十億円が計上されています。この流域治水の取組について、背景や現時点での課題をお聞かせください。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年も前線や台風により全国各地で水害が発生しましたように、水害が頻発化、激甚化しております。気候変動の影響で、今後更に洪水時の降雨量の増大が懸念されているところでございます。このため、本川、支川、上流、下流など流域全体を俯瞰し、あらゆる関係者が協働して行う流域治水に転換を図ることとしております。

 具体的には、氾濫をできるだけ防ぐために、堤防等の河川整備を更に加速化することに加え、遊水機能の確保や利水ダムの事前放流、官民による雨水貯留などにも取り組み、対策の充実強化を図っております。

 これらに加えまして、氾濫が発生した場合も想定し、被害対象を減少させるため、リスクのより低い地域への居住誘導や、浸水が想定される高さ以上に居室を確保する住まい方の工夫などを行うとともに、被害の軽減のため、高齢者等の避難の実効性を確保していくといったことも大切なことでございます。

 国土交通省としましては、このようなハード、ソフト一体となった流域治水対策を、流域の関係者と連携して進めてまいります。

石原(正)分科員 本当に激甚化、頻発化する災害、特に水害に対する備えということで、この流域治水という考え方、非常に大事だなと思っておりまして、今おっしゃっていただきましたように、国土交通省が流域全体で考えていくという中のステークホルダーの一つに、やはり都道府県というものが重要な役割を果たすんだろうと思っています。

 特に、河川管理者、都道府県、一級河川も少しあります、知事の管轄もありますし、特に二級河川もそうなんですが、私の地元の三重県では、県が管理する二級河川というのが百九十二本あるそうです。総延長は七百八十九キロメートルということになっておりまして、私の選挙区内といいますか、三重県北部に二級河川が結構あるんですけれども、あるとき、県に、この河川、もう少しきちっと整備できないのかという話をしたところ、いや、河川整備計画がまだ策定されていない区間があります、そこにはまだ手が出せないんですよという言い方をされまして、そんなことがあるのかというふうにして思ったわけなんですね。

 やはり、これから流域治水という概念でしっかりと進めていこうということであれば、都道府県に対して、河川整備計画をきちっと策定した方がいいんじゃないかというような指導をするべきかと私は思いますし、それが計画的な河川整備につながりますし、住民の意識というか、やはり、うちの区間だけ、どうしても、いつまでたってもこれは整備されないんじゃないかというような不安感の払拭にもつながると思いますので、是非、都道府県に対する河川整備計画の策定に対して促すようお願いしたいところでありますが、その見解がございましたら、是非お聞かせいただきたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 河川整備計画は、今後三十年間の治水対策を具体的に定めるという計画でございます。先生御指摘の流域治水を進める中で、河川の整備については、この河川整備計画を策定しているところでございます。

 また、流域治水をより一層しっかりと進めるためには、特定都市河川という法律がございまして、これに基づく河川の指定及び流域水害対策計画を策定するということもございます。

 これらも含めまして、流域治水がしっかりと進むように、都道府県と連携を図ってまいりたいというふうに考えております。

石原(正)分科員 おおよそ三十年というくくりというのも理解するわけなんですけれども、上流部が砂防事業でいろいろ整備されてきまして、河口部からはどんどん上がってきて、ちょうど真ん中、中上流部がすぽっと抜け落ちているというのが、今現状がございます。

 三十年という、そこをもう少し柔軟に捉えまして、何とか、ざくっとしたものでもいいというようなことで、基本整備計画みたいなものを何かできないものかな、知恵を絞ってもらえればなというふうにして思いますので、これはまた今後協議しながら、都道府県とも知恵を工夫しながらやってもらいたい。それが、国土強靱化五か年の加速化計画が、次にまたローリングしながら進めていきたいというときに、そういったことも一つずつ解決を、課題の中に入れてもらえれば私はいいのかなというふうにして思いますので、よろしくお願いします。

 続いて、木曽川の件なんですけれども、木曽川の河口部では、南海トラフなど巨大地震への対応が必要であり、早期の対策が求められております。その取組状況などを聞かせてもらいます。

 これはもう御案内のとおりでして、やはり、地元の木曽岬町の皆さん方が熱い思いを持って、特に木曽岬干拓の堤防等々もしっかりしてほしいというようなことも受けております。直接この木曽岬干拓の堤防については触れられなくても結構でございますが、木曽川の河口部について今後どのような取組があるか、お聞かせ願いたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 木曽川が流れる濃尾平野は、我が国最大の海抜ゼロメートル地帯でございまして、地震発生時には、地盤の液状化などにより堤防が沈下した場合、甚大な被害が生じるおそれがございます。

 このため、地震により堤防が沈下したとしても、数十年から百数十年に一度程度の津波の高さまで堤防の高さを確保できるよう、これまでに対策を実施してきておりまして、令和三年度に完成したところでございます。

 現在、更なる対策として、堤防が沈下したとしても、近年十年間の、毎年の最高潮位の平均の高さまで堤防の高さを確保できるよう、堤防のかさ上げ、これを実施しているところでございます。

 現在、この高潮対策が必要な約十五キロの約二割に当たる二・八キロにおいて工事が進んでいるところでございます。引き続き、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も活用し、一日も早い完成を目指して工事を進めてまいります。

石原(正)分科員 今、進捗、取組、今後の期待も込めてよろしくお願いいたしたいということだと思いますので、何せ、先ほどありましたようにゼロメートル地帯でございますので、ここを何とか安全、安心に、住んでいただいている人たちの生命財産を守るという意味からも、よろしくお願い申し上げます。

 最後です。

 冒頭の積雪の問題もそうなんですけれども、年間を通じて災害が激甚化、頻発化しています。これは、本省でいろいろなことを情報収集するのも大事なんですが、現場、地域を知っている、地形を知っている、道路、河川を知っているのは、やはり地方整備局だと思います。

 近年、地方整備局、慢性的な人員不足になりまして、その後、少しずつ人員は増やしてもらっているんですけれども、私は、まだまだ足りない、地方の要望を反映できていないという部分もあると思います。今後、この地方整備局の人員の補充あるいは体制強化について、お考えがあればよろしくお願いします。

宇野政府参考人 昨今の激甚化、頻発化する自然災害に対応し、国民の皆様の命と暮らしを守る地方整備局及び北海道開発局の役割は、ますます大きくなっております。

 このため、地方整備局等において必要な人員体制を確保することは極めて重要だと認識しておりまして、令和五年度予算案におきましても、昨年度に引き続き増員を行うこととし、合計で百名の純増を盛り込んでおります。

 国土交通省といたしましては、防災・減災、国土強靱化の最前線を担う地方整備局等について、必要な人員体制を確保すべく、今後とも最大限努力してまいりたいと考えております。

石原(正)分科員 地方整備局、本当に地方にとっては重要な機関でございますので、更なる強化、よろしくお願い申し上げまして、時間が来ましたので終わります。

 ありがとうございました。

八木主査代理 これにて石原正敬君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤木正幸君。

赤木分科員 日本維新の会、赤木正幸と申します。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。午後の前半部の最後になりますが、引き続きよろしくお願いいたします。

 今日は、私は、国土交通分野のグリーントランスフォーメーションと、GXですね、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDX、そして大阪・関西万博の三つの点について質疑させていただければと考えております。

 なぜかというと、私自身が、以前に太陽光ビジネスを行ういわゆる再エネ会社を営んでいたこともあったりとか、その頃はまだGXという言葉はなかったんですけれども、あと、不動産の分野でも、不動産テックというか、いわゆるフィンテックの不動産版みたいなもので、不動産業界をどうやってITとかICTを使ってDXを進めていくかということを、協会を立ち上げたりなんかしたり、あと、私自身もスタートアップを経営していたことなんかもありまして、国土交通分野の一部ではあるんですけれども、GXとDXに深く関わっていたという、ちょっと経緯があります。

 まさに私自身もそうでしたけれども、民間事業者は目の前の稼ぎが、端的に言うと稼ぎが重要ではあるんですけれども、よく不動産業界は、何か刹那的な、その場限りなビジネスをやっているとか、こう批判されたりもすることがあるんですけれども、決してそんなことはなくて、政府がどういった方針を示しているか、あとは、助成金とか補助金もそうですけれども、それを実施することで、自分たちのビジネス、事業に、どこにドライブをかけて推進していけばいいかというのをかなり注視しております。

 ですので、今日は、まさに御回答いただく内容についても、不動産に限らずに、この国土交通分野のいろいろな事業者がすごく固唾をのんで見ていると思いますので、できるだけポジティブな、何か未来が明るくなるような積極的な御回答をいただければ非常にありがたいなと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、脱炭素社会の実現に向けたグリーントランスフォーメーションの推進に関連した質問とさせていただきます。

 まさに、このGXは、様々な分野のアプローチもあって、管轄とか方針、つまり、誰が主体となってどんなことを推進しているのかが実は非常に分かりにくい状況かなと私は考えております。まず、大前提として、国土交通分野のGXで目指すところというものをお示しいただければと考えております。

 また、このGXは、二酸化炭素削減という意味では、規制とか基準が非常に重要と考えております。例えば改正建築物省エネ法のように義務づけしたりとか基準化することで、当然、ビジネスにおけるコスト高とか障壁になり得る可能性があるものだと、ある意味、ちょっと懸念はしています。

 脱炭素社会の実現はもちろんすごく重要ではあるんですけれども、今まさに足下で、ポストコロナにおける経済回復も非常に重要な局面と考えております。

 そこで、もう一つの質問になるんですが、このGXと経済回復、経済成長とのバランスというものをどういった形で取られるのかということを、これは斉藤国土交通大臣に御回答いただければと考えております。よろしくお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 赤木委員のまず前段の御質問で、国土交通省がGXに向けて具体的に何をやっているのかという御質問でございます。

 法制度や予算、税制等を通じて、住宅などの民生部門及び運輸部門について脱炭素化を推進しております。

 具体的には、住宅・建築物分野における省エネ対策の徹底、それから自動車分野における電動車の普及、物流の効率化、船舶、航空、鉄道分野における脱炭素化、カーボンニュートラルポートの形成、インフラにおける太陽光発電等の導入促進などでございます。関係府省や産業界とも連携しながら、総力を挙げて取り組んでまいります。

 それから後段の御質問、経済成長とGXのバランスについてでございますが、先般、閣議決定されたGX実現に向けた基本方針におきまして、産業競争力強化、経済成長及び排出削減の同時実現を目指していくこととされております。

 国土交通省におきましても、この考え方の下、関係府省と連携して、経済成長と両立させながら、GXに関する各種施策を展開してまいりたいと思っております。

赤木分科員 ありがとうございます。

 まさに府省庁横断的な政策というのが民間事業者にとっても、実際の消費者にとっても、非常に情報が取得しづらかったりとか、どこに問合せしたらいいか分からない部分がありますので、是非今後とも、今お答えいただいたような形で、国土交通分野としてはこういうことをやろうとしているんだということを積極的に情報発信していただけるとありがたいなと考えております。

 また、GXと経済成長のバランスを取ること、非常に難しいチャレンジだと思いますが、必ずやらなきゃいけないことなんです。まさに日本がこれを実現することで、また日本の力を復活させて、国際的に日本の位置づけというのをアピールできる、ある意味、チャンスでもあるかなと考えておりますので、私も元々民間事業者という立場もありますので、協力しながら一緒に進めたいと考えております。

 次は、グリーンインフラ等のインフラ、まちづくり分野における脱炭素化の推進についてお聞きします。

 グリーンインフラという言葉も、まさにGXのように、かなり分かりにくい言葉かな、概念かなと考えておりますので、まず、国土交通省が所管するグリーンインフラというものはどういった取組かということを教えていただければと考えております。

 さらに、住宅とか建物なんかよりかなり大きな範囲の取組だと考えておりますので、特に注力する点なんかを御回答いただければと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねございましたグリーンインフラでございますが、これは都市における緑地や公園の整備、自然を重視したオフィス空間の形成等を通じまして、CO2の吸収源対策でありますとかヒートアイランド現象の緩和といった、地球環境や地域の生活環境の改善、これに加えまして、防災・減災あるいは地域振興といった地域の課題も解決して、持続可能で魅力ある地域づくりを進める取組でございます。

 グリーンインフラの社会実装や普及を進めていくためには二つありまして、一つが、都市、公園、道路、港湾における緑地の整備など、既存の公共事業の活用を図るとか、もう一つ、関連する民間投資を拡大させていくことが必要でございまして、この点では、産業界や投資家などからの認知や理解を広げていくことが大変重要な課題となっております。

 このため、国土交通省では、令和二年三月に産官学によるグリーンインフラ官民連携プラットフォームを設置いたしまして、産業展等を通じた普及啓発でありますとか、官民連携による資金調達手法の検討などを進めております。

 また、地域ごとの、地域主導による取組を活発化させるために、官民連携の体制づくり等で先導的な取組を行っている地方公共団体に対する支援を行っております。

 今後とも、これらの取組を通じまして、グリーンインフラの社会実装や普及を進めてまいりたいと考えております。

赤木分科員 ありがとうございます。

 まさにGXとかDXとかグリーンインフラとか、新しい時代が新しい概念をまさに必要としているということだと認識はしているんですけれども、今おっしゃられたように、どんどん周知の方を是非していただければと考えております。

 次に、GX施策の一つとして、自動車の電動化の促進についてお尋ねしたいと考えております。

 私の認識として、国土交通分野においては、いわゆる商用車ですね、トラックとかバスとかタクシーが所管と考えているんですが、自動車の電動化は脱炭素という文脈においては非常に重要ではあると考えているんですが、今まさに電気代が高騰していて、なおかつガソリン代も高騰しているという環境下においては、いろいろと調整法というのは非常に悩ましく、厳しい状況だと考えております。

 ここで質問となりますが、自動車電動化の促進と足下の電気代高騰、ガソリン代高騰という環境下においてどういった施策で対応されるかということを御回答いただけますでしょうか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、近年、ガソリンを含めた燃料価格のみならず、電気料金も高騰しているというものと承知しております。

 その上で、例えば小型バスにつきまして、電気自動車のランニングコストは、私どもの手元の試算によれば、ディーゼル車の五割から七割程度となります。ですので、電気料金が上昇している現状におきましても、依然として電気自動車を導入するメリットはあるものと考えております。

 いずれにしましても、GX推進のために、関係省庁と連携を強化して商用車の電動化促進に努めてまいりたいと考えております。

赤木分科員 ありがとうございます。

 まさにここでもそうですね。GXと経済成長の同時進行をやらなければいけないという部分の、非常に難易度の高い政策になっているとは思うんですけれども、今おっしゃられたみたいに、必ずしも電気代高騰と電気自動車の推進というのが何か相反するものではないという部分は、結構、私も実際に地元を回っていたりしても、電気自動車を買っちゃったけれども何かすごくこれってマイナスだったのかなみたいなことを言われる方もいらっしゃったりしますので、是非、必ずしもそうでもないよという部分の情報発信というのは今まで以上にしていただければなと考えております。

 では、次に、カーボンニュートラルポートの質疑になりますが、これはまさに、港湾分野における脱炭素化の推進と国際的な港湾競争力の強化に関わっていると認識しております。

 ただ、一方で、国際的な港湾競争力が今そもそも日本はどんな状態なのかということですね。あと、このカーボンニュートラルポートを実現することによって国際的な港湾競争力の強化というのは実現できるのか、方向性が一致しているのかという部分について御回答いただきたいというのと、あとは、日本も、先ほどの質疑にもあったと思うんですが、たくさん港湾がある中で特にどこかに力を入れる部分というのがあれば、それについてもお答えいただけますでしょうか。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の港湾は、釜山港や上海港といったアジアの主要港と比較いたしまして相対的に貨物量が少ないということ、それから、近年は新型コロナウイルス感染症の影響による世界的な国際海上コンテナ物流の混乱という厳しい物流環境がございまして、船舶の大型化が進む国際基幹航路の我が国への寄港数は残念ながら減少傾向にございます。

 一方で、コロナ禍前までは、京浜港、阪神港に寄港する国際基幹航路の輸送力、これは船腹量でありまして、つまり、輸送のかさ、これについては増加傾向であったところでありまして、国際コンテナ戦略港湾政策によって一定程度の競争力を確保できていたというふうに認識をしております。

 このような状況の中、世界的にサプライチェーンの脱炭素化に取り組む荷主さんが増えておりまして、荷主や船社から選ばれる港湾となるためには、港湾における脱炭素化に取り組むことが喫緊の課題であるというふうに考えております。

 このため、国際コンテナ戦略港湾やその他の我が国の港湾のターミナルにおきましては、低炭素型荷役機械、それからLNG燃料船への燃料供給に必要な設備の導入、またDXによるターミナルの生産性の向上といった脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化などの取組を推進いたしまして、カーボンニュートラルポートの形成を進めて、港湾の競争力を強化してまいりたいと思っております。

 また、どの港に力を入れるかという御質問がございましたけれども、まだこの取組は始まったばかりでございまして、個別の港湾の取組はこれからということになってくるんですけれども、今後、取組が進みましたら、その段階で、例えばトップランナーの先進的な知見を横展開するなど、カーボンニュートラルポートの取組を効果的に進めるように関係省庁とも連携して取り組んでまいりたいと思っております。

赤木分科員 ありがとうございます。

 どこかというのはこれからということの御回答でしたけれども、私は地元が神戸ですので、是非、神戸も頑張って先進的なことをやっておりますので、私も情報発信もさせていただきますので、一緒に頑張りたいと考えております。

 次は、国土交通分野のいわゆるDX、デジタルの力も活用した分散型の国づくり、持続可能な地域活性化に関連した質問に移らせていただきます。

 こちらにおいても先ほどと、ある意味、GXと同じだと思うんですけれども、非常に国土交通分野のDXは広い概念だと考えております。これに関しても、どの辺りまでが国土交通分野として捉えられているかというところをお聞きしたいというのがあります。

 あとは、国土交通分野の中でも特に建築とか都市に関わる施策、例えばi―Constructionみたいな言葉というのは結構目にすることは多いんですけれども、私が元々深く関わっていた不動産分野というのは余り、やっていた自分が言うのもなんですけれども、そこまで大きなお話を、目立ったお話を聞けない状態かなとも考えておりますので、不動産分野におけるこういったDX支援とかICT支援はどの程度力を入れられるかということをお答えいただければと思います。

 私のまさに不動産テックの仲間とか不動産事業者も今日すごく期待して聞いていますので、斉藤大臣より是非前向きなお話をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 まず最初、前段の国土交通省のDXでございますが、具体的にやっておりますのは、国民のニーズを基に行政サービスを変革すること、それから業務そのものや組織も含めた国土交通省の文化、風土や働き方を変革すること、これらを通じまして、産学官が連携し、新規事業の開発などのイノベーションや住民サービスの向上につながるよう、デジタル社会の実現を目指しております。

 このため、行政手続のデジタル化を一層進めるとともに、データを活用しながら、インフラや交通など各分野におけるDXの推進に取り組んでいるところでございます。

 そして、後段の不動産のDXでございますけれども、不動産分野につきましては、不動産IDを情報連携のキーとして、建築BIM、それからPLATEAUとの連携を進め、建築、都市、不動産に関する情報が連携、蓄積、活用できる社会を目指す、建築、都市のDXを進めてまいりたいと思っております。

赤木分科員 ありがとうございます。不動産にも触れていただいて、ありがとうございます。

 欧米も含めて、最近、東南アジアも中国もそうなんですけれども、不動産分野のDXが非常に進んで、やはりそこによって生まれる経済価値というのは波及効果がすごく大きいものだと考えていますので、是非、こちらについても引き続きよろしくお願いいたします。

 次は、コンパクトシティーの実現と、あと二拠点住宅、ワーケーションにも対応した国土づくりについてお聞きいたします。

 コンパクトシティーは、ある意味、都市機能を集約していくのを目指すものと認識しています。一方で、二拠点住宅、ワーケーションというのは、ある部分、非日常を得るために郊外若しくは非都市部が注目されていると思われるんですが、見方によっては、コンパクトシティーと、二拠点住宅、ワーケーションというのは逆方向のベクトルを向いている部分もあったりするかなと考えているんですが、この点、どういった国土づくりを目指されるのかという部分の御見解をいただけますでしょうか。

木村政府参考人 お答えいたします。

 人口減少や少子高齢化が進む地方におきまして、地域の活力を維持しながら、安心して暮らせる持続可能な地域づくりを進めていくことが国土づくりの重要な課題であるというふうに認識しております。

 こうした観点から、コンパクト・プラス・ネットワークの国土づくりを推進しておりまして、特に人口減少が一層深刻になっている地方部におきましては、居住機能、あるいは医療、福祉、公共交通等の様々な都市機能の集約を可能な限り進めていくことが重要だと考えております。

 また、コロナ禍を契機に人々の暮らし方や働き方が変化してきておりまして、委員御指摘のように、新しいライフスタイルの選択肢を拡大するとともに、地方への人の流れを生み出し、地域活性化を図るため、デジタルを最大限活用しながら、二地域居住でありますとか、あるいはテレワーク、ワーケーション、こういったものを一層進めていくことが重要だと考えておりまして、その際には、空き家の再活用でありますとか、あるいは空き家バンクによる情報発信でありますとか、あるいはテレワークの拠点を新しく整備したり、そういった取組を進めているところであります。

 国土交通省としましては、現在、新たな国土形成計画の策定の検討を行っているところでありまして、地方の豊かさと都市の利便性の融合に向けた地域生活圏の形成等を重点テーマとして、関係府省と連携し、持続可能な国土づくりについて議論を進めたいというふうに考えてございます。

赤木分科員 ありがとうございます。

 まさに今おっしゃっていただいたみたいな、コンパクト・プラス・ネットワークというのは非常に重要なキーワードかなと個人的にも考えております。

 物理的なつながりだけじゃなくて、今、VRとかもそうだと思うんですけれども、バーチャルな世界でのつながりを維持しながら一部リアルな世界というのを取り入れるような、そういった取組がどんどん増えていますので、それを是非後押ししていただければなと考えております。

 次は、次世代モビリティーの普及促進と地域活性化への貢献に関連した質問となります。

 まさに、具体的に言うと自動運転ですね。これは、特に過疎地の移動手段としては非常に重要と考えております。私の地元もかなり過疎地を抱えているんですが、高齢の方たちが車の運転を、日々の買物をするためには運転せざるを得ない。変な話、八十歳を過ぎても、車を運転しないと食べ物を買いに行けないよという、結構切実な世界があると考えております。

 ですので、これは、いつ頃この自動運転というのが、もちろんいろいろな環境整備があると思うんですけれども、利用可能となるように目指されているかというところをお聞きしたいというのと、もう一つ、ドローンですね。

 これも、荷物を配達するという意味では、過疎地、山を越えて行けるんじゃないかとか、そういった期待は非常にたくさん持っていますので、こちらについても、いつ頃実現可能かといったところの御見解をいただけますでしょうか。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、自動車の自動運転技術につきましては、交通事故の削減のみならず、過疎地などにおける地域公共交通の維持改善に寄与するものとして、大変重要なものだと考えております。

 こうした観点も踏まえまして、政府として、二〇二五年度を目途に、五十か所程度で無人自動運転移動サービスを実現するなどの目標を掲げ、現在、関係省庁一丸となって制度整備や開発、実用化を進めておるところでございます。

赤木分科員 ありがとうございます。

 まさに繰り返しになるんですけれども、車社会の地方都市においては、移動手段、輸送手段の確保が、個人的にもそうですし、自治体の負担にも当然つながっていますので、言葉が正しいかどうか分からないんですけれども、本当に町の死活問題になっていると考えていますので、是非、一日でも一年でも一か月でもいいんですけれども、早い実現を目指していただくとともに、日本の技術力、あと制度構築力というものを世界に発信できる分野と私も考えていますので、是非力を入れて進めていただければと考えております。

 次は、DXに関連した港湾整備の話に少しなるんですが、先ほどのカーボンニュートラルとはまたちょっと別の視点として、地域産業の競争力への港湾の寄与度みたいな世界になると思いますが、この辺りは、どれぐらい地域産業に対してこの港湾の位置づけというのを捉えられているかということを御回答いただけますでしょうか。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 四方を海に囲まれた我が国におきましては、臨海部に産業や都市が集積いたしまして、重量ベースで、海外との貿易量の九九%以上が港湾を経由している状況にございます。

 海上輸送網の拠点として機能する港湾は、背後に立地する企業の活動を支えるとともに、その競争力を向上させる重要な役割を担っております。また、その背後圏は、臨海部にとどまらず、内陸部も含めた広範囲に及び、地域全体の雇用と経済を支えているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、民間投資の誘発や雇用の創出など、地域産業の競争力強化に資する港湾整備に取り組んでまいります。

赤木分科員 また繰り返しになりますけれども、私の地元の神戸も、まさに港湾が活性化することによって、町としても、エリアとしても活性しますので、是非、地域経済における港湾の重要性というものをより一層強く進めていただければと考えております。

 もう時間がだんだん迫ってきていますので、最後の質問、最後というか、最後のくくりの質問になりますが、大阪・関西万博についての質問に移らせていただきます。

 こちら、まさに、せっかく地域と国を挙げた一大イベントで、なおかつポストコロナを象徴するものとして、私もそうですし、地元の自治体もそうですが、一人でも多くの方に来場していただきたいと考えております。

 その中で、会場へのアプローチのスムーズさというのは非常に重要ですし、あと、そこが整備されることによって、地元の方たちの協力も非常に得やすくなると考えております。

 この辺りは、会場周辺のインフラ整備とか広域的な交通の整備、若しくは、陸路だけじゃなくて、例えば海路とか空路みたいな新規の整備の計画があれば教えていただきたいなというのが私の質問になります。これについても斉藤大臣よりお答えいただきますと、まさに地元の士気が上がりますので、斉藤大臣より御回答をいただければと考えております。よろしくお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 大阪・関西万博の開催の成功のため、また、万博開催後における関西の社会経済活動の成長基盤として、会場へのアクセスとなるインフラや広域的な交通インフラを整備することは、極めて重要な課題であると思っております。

 国土交通省においては、令和三年八月に政府の国際博覧会推進本部において決定した大阪・関西万博に関連するインフラ整備計画に基づきまして、必要な事業を精力的に推進しております。

 具体的には、淀川左岸線の二期整備や、大阪メトロ中央線の延伸、関西国際空港の機能強化のほか、神戸空港を始めとする各地からの海上アクセスのための係留施設の整備などを進めております。また、淀川での新たな水上ネットワークの形成に資する河川施設の整備にも取り組んでいるところでございます。

 今後とも、関係省庁や地元自治体等の関係者と密接に連携しながら、大阪・関西万博の成功はもとより、その後の大阪、関西の発展に資するよう、計画に盛り込まれたインフラ整備を着実に進めてまいりたいと決意しております。

赤木分科員 ありがとうございます。言っていただきたいキーワードを、ほぼほぼ全て言っていただけたと考えております。

 まさに、開催後こそがある意味スタートだと。次のスタートとして、開催後の関西の経済発展のためにも、いろいろな整備を進めていただきたいと考えております。

 時間も来ましたので、最後の質問になります。

 大阪・関西万博のある意味目玉として、空飛ぶ車があります。これは、吉村大阪府知事とか兵庫の齋藤県知事も、事あるごとに空飛ぶ車に触れております。

 先週も五社の運航事業者が内定して、いよいよ現実味が増してきて、盛り上がってきていますが、遊覧飛行とか二地点飛行等、今後の具体的な運航体制の方針又は万博後のロードマップについて御回答いただければと考えております。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 空飛ぶ車につきましては、現在、一部試験飛行が始まっておるところでございまして、今後本格化してくることが想定されるために、ガイドラインを累次整備して、円滑に試験飛行が実施できるよう支援をまずしているところでございます。

 具体的には、昨年三月に、許可基準を明確化して、申請窓口の一元化や申請書類の簡素化なども行っています。

 さらに、昨年十二月には、安全性が担保されること等の条件の下に、二地点間の試験飛行の実施も可能としたところでございます。

 国土交通省といたしましては、このような取組を通じて、万博におけます空飛ぶ車の実現について、引き続き、メーカーによる機体開発や運航者による実証飛行を支援してまいりたい。

 そして、万博後は、官民協議会でロードマップを作成してございます。サービスエリアでありますとか、路線、便数の拡大のための環境整備に努めてまいりたいというふうに思っています。

 ドローンの自動運転の関係、先ほどの質問にございました。これは既に今実現しておりますが、昨年十二月に改正航空法が施行され、いわゆるレベル4の飛行も可能になりました。

 官民連携して取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。

赤木分科員 ありがとうございます。非常に心強い御回答をありがとうございます。

 是非、空飛ぶ車に斉藤大臣に乗っていただいて、万博会場に颯爽と降り立っていただきたいと期待しておりますので、より自由度の高い、もちろん安全で、実用に向けた調整をよろしくお願いいたします。

 以上、私の持ち時間も来ましたので、本日の質疑を終了とさせていただきます。ありがとうございました。

八木主査代理 これにて赤木正幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、瀬戸隆一君。

瀬戸分科員 自由民主党の瀬戸隆一です。

 この度は、質問の機会をいただき、関係者の皆様に感謝いたします。

 本日は、私の地元である香川県のことについてお話をお伺いしたいというふうに思います。

 地方の方は人口減少がまだまだ続いている状況であります。地元の方は、何とかして歯止めをかけたいといろいろな方策を打ち出しているところでもあります。

 そういった中、地方においては、やはりインフラ整備による経済や地域社会に与える影響というのは非常に大きなものがあります。そういった観点から、香川県におけるインフラ整備についてお伺いしたいと思います。

 まず最初に、港湾における脱炭素化の取組についてお伺いします。

 坂出市は港とともに大きくなった町でありまして、港の発展は坂出市の将来にとって欠くことのできないものであります。港湾の脱炭素化を進めることが港の将来にとっても必要と考え、カーボンニュートラルポートに向けて地元企業と検討しているところでもあります。

 国交省においては、昨年に、港湾における脱炭素化に向けた支援施策について制度整備をされたものと承知しておりますが、その制度の概要についてお尋ねします。

堀田政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省では、関係省庁と連携しながら、脱炭素化に配慮した港湾や産業機能の高度化や、水素等の受入れ環境の整備等を図るカーボンニュートラルポートの形成を推進しております。

 昨年の臨時国会で改正した港湾法では、この取組を推進するための法的措置を講じました。

 まず、港湾における脱炭素化の取組は多岐にわたる官民の主体が関係することから、関係者の協議、調整の場として港湾脱炭素化推進協議会を組織するとともに、港湾管理者がその取組を港湾脱炭素化推進計画として作成する制度を創設いたしました。

 また、脱炭素化の取組を推進するため、港湾における水素等の供給、利用など、今後変化する土地利用のニーズに的確に対応するため、港湾周辺の構築物の用途規制を柔軟に設定できるようにする措置などを講じたところでございます。

瀬戸分科員 現状ではまだ整備が施行されて間もないわけでありますけれども、今後どの程度の規模で取り組んでいかれるつもりなのか、この推進、発展の方向性についてもお尋ねしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年、港湾法を改正いたしました。その港湾法改正の中で、先ほど局長が答弁いたしましたとおり、多岐にわたる関係者が協議会をつくる。その協議会の検討を踏まえまして、港湾管理者が短期、中期、長期と段階的に脱炭素化に取り組む計画を作成して、この計画に基づいて、各関係者がそれぞれの取組を進めるということにしております。

 短期的には、低炭素型荷役機械やLNG燃料船への燃料供給に必要な設備の導入支援などに取り組むこととしております。中長期的には、運輸、産業分野の脱炭素化技術の開発が加速化していくことを踏まえ、新たな技術の導入や、水素等の受入れ環境の整備等に向けて、港湾管理者や民間企業などと協力して、スピード感を持って検討を進めていくことが重要です。

 我が国の産業や港湾の競争力強化と脱炭素社会の実現に貢献するため、海外との協力を視野に入れつつ、関係省庁とも連携しながら、港湾における脱炭素化の取組を強力に推進してまいりたいと思っております。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 関係省庁とも連携していくというお話もいただきました。

 港湾における脱炭素化においては、水素やアンモニアといったエネルギーへの転換が重要な課題であるとも認識しております。そのためのサプライチェーンをいかに構築していくか、これも併せて検討していくことは重要であるというふうに認識しております。

 そこで、これらのエネルギーのサプライチェーンの構築、大規模化、強靱化についてはどのように取り組む予定か、お尋ねします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 水素、アンモニアは、電化が困難な分野を始め多様な分野の脱炭素化に貢献する、カーボンニュートラルに不可欠なエネルギーだと認識しております。ウクライナ情勢を踏まえて、欧米や中国を中心とした各国では水素、アンモニアの導入に向けた取組が加速しているものと承知しております。水素、アンモニアの社会実装に向けましては、大規模かつ強靱なサプライチェーンの構築と供給コストの低減が課題だと考えております。

 経済産業省では、グリーンイノベーション基金等を活用し、供給コストの更なる低減に向けた、水素、アンモニアの効率的な製造や大量輸送、利用に関する技術の確立に取り組んでいるところでございます。

 加えて、昨年五月に、JOGMEC、エネルギー・金属鉱物資源機構でございますが、JOGMEC法を改正し、JOGMECによるリスクマネー供給の対象に水素、アンモニアの製造、貯蔵を追加したところでございます。

 さらに、大規模かつ強靱な水素、アンモニアのサプライチェーン構築に向けて、既存燃料との価格差に着目した支援や需要創出につながる供給インフラの整備支援などの検討をしており、本年一月に、支援制度の骨格を示した中間整理を公表したところでございます。

 引き続き、これらの取組を着実に進めつつ、大規模な水素、アンモニアのサプライチェーン構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

瀬戸分科員 インフラ整備とかの支援策を検討しているというお話をいただいたところであります。

 伺うところによりますと、今後十年間で整備する拠点の数が、大規模なところで三か所、中規模で五か所というお話も伺っているところであります。将来を見通しますと、ちょっと、やや少ないんじゃないかなというふうにも思っております。

 といいますのは、今、カーボンニュートラルでいろいろ手を挙げそうな港は結構全国にたくさんあります。そういった中で、カーボンニュートラルポートの計画を策定した自治体がその計画をしっかりと実行していくことが日本の脱炭素化を進めるために重要なんですけれども、今お話しいただいた整備支援制度のような支援を受けることができないと、なかなか、予算規模の小さい自治体では、この計画が絵に描いた餅になりかねないというふうにも思うところでもあります。できるだけ多くの意欲ある港が支援されるべきとも考えますが、いかがでしょうか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 水素、アンモニアの既存燃料との価格差に着目した支援や、今御指摘ございました需要創出につながる供給インフラ整備支援の制度の趣旨というのは、事業の予見性が低い中でも先行して大規模な投資を行う事業者、すなわちファーストムーバーに支援を行い、早期に水素、アンモニアのサプライチェーンを構築することでございます。そのため、まずは、水素、アンモニアの需要を早期に創出し、サプライチェーンを構築する事業に集中的に支援を行っていく方針でございます。

 他方で、特に供給インフラ整備支援について言えば、水素、アンモニアの需要が供給インフラを整備した一か所の地点のみで創出されるのではなく、ハブ・アンド・スポークのような形で、周辺自治体も含め、広範囲で需要が創出されることも期待しているところでございます。

 したがいまして、各地域の産業特性やその連携可能性を踏まえつつ、大規模な水素、アンモニアの需要を創出できるようなファーストムーバーをしっかりと支援してまいりたいと考えております。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 ファーストムーバーの支援というお話もいただきましたが、また、ハブ・アンド・スポークというお話もありました。いろいろ、この地域において、まず大きな港がそういったことをやっていくことは重要だと思いますし、また、その周辺のところも一体となって何らかのグルーピングをしていただいて、そういった中でこの計画を進めていただくことも、予算に限りはあるでしょうけれども、また御検討いただければ幸いでございます。

 国土交通省と資源エネルギー庁で連携して進めていただければというふうに思うところであります。特に、港湾部ではCO2を排出する産業が集積しているため、水素やアンモニアのクリーンなエネルギーへの転換が全国規模で図っていければ、脱炭素に向けた取組に大きな貢献ができるというふうに思っております。引き続き、全国規模での取組の推進をお願いいたします。

 大臣、ここで御退席いただいて結構です。ありがとうございます。

 続きまして、坂出港における埠頭の再編についてお伺いしたいと思います。

 坂出港においては、港湾設備の長期構想の一部として、中央埠頭地区、林田地区を含めた埠頭の再編を行うという構想があるものと承知しております。坂出市におきましては、令和六年度と予定されている北インターチェンジのフル化を見越してか、番の州工業地帯も事業所用地が完売してしまった状態であります。そこで、新たな企業の誘致がしにくい状況に置かれています。

 早く事業所用地ができることを坂出市ひいては香川県も切に望んでいるところでもありまして、そこで、この長期構想に関し、総社地区における海面処分場の設置や埠頭の再編に係る計画の検討状況及び今後の見通しをお尋ねします。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 坂出港は、四国北東部における物流拠点として重要な役割を担っているとともに、多くの企業が立地していることから、坂出市の産業や当地域の発展にとって極めて重要な港湾であるというふうに認識をしております。

 港湾管理者である坂出市は、総社地区の海面処分場の設置や埠頭再編の取組を盛り込んだ、坂出港長期構想を令和四年三月に策定したところと承知しておりまして、地元の熱意をしっかりと感じているところでございます。坂出市は、今後、この坂出港長期構想に基づきまして、坂出港の港湾計画を変更することを目的としていると聞いておりまして、国土交通省といたしましては、坂出市が行う港湾計画の変更に対しまして技術的助言を行うなど、しっかりと支援してまいります。

 また、カーボンニュートラルの推進に当たりましては、しっかりと、資源エネルギー庁さんを含めた関係省庁と連携して取り組んでまいりたいというふうに思っております。

瀬戸分科員 地元の熱意を十分に感じているというお話をいただいたところでもあります。

 まだまだこれからというところもあるかもしれませんが、いずれにしましても、この坂出港については、今、新たなバイオマス発電所の建設とか、ローロー船の定期就航が決まるなど、岸壁利用の需要が増加しております。また、坂出市自体の土地需要も逼迫しているところでもありますので、こういった土地を有効に活用した港湾整備は不可欠なものと考えております。計画に沿って早期に事業を実現してもらえるように、予算の確保を含め、更なる取組をお願いいたします。

 続きまして、地域のタクシー運賃の低廉化についての支援についてお伺いします。

 地方の人口減少問題は待ったなしの状況です。新型コロナウイルスによって、出生数も加速度的に減少しています。地方では、路線バスや乗り合いタクシーの利用者が減少することで、年々、公共交通機関の維持が困難になっています。地方では、買物難民にならないかとの心配の声が聞かれます。

 そのような課題を受けて、先般、新たにタクシー運賃の低廉化を行う地域を支援する制度が導入されたものと承知しています。

 そこで、その制度の概要についてお伺いします。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、地域における公共交通は、人口構造の変化などによる長期的な需要減少に加えまして、新型コロナの影響によって、多くの事業者が厳しい状況で、乗り合いバスなどの運行を維持することが困難になっているのが現状です。

 このため、タクシーを活用して交通空白地域における移動手段を確保するために、令和三年度から、乗り合いバスなどが撤退した地域におけるタクシーの運行につきまして、地域公共交通計画に基づいて市町村がタクシー運賃低廉化への支援を行う場合には、国が一部を支援する措置を講じているところであります。

瀬戸分科員 今お話しいただいたその支援の方法についてなんですけれども、その対象を乗り合いタクシー等の代替手段として位置づけられているものに限定していたりとか、また、支援額の上限が百万円であったりとか、申請者にとってやや使いにくい制度になっているとの声も聞かれます。小さい市ですと、公平性の観点から、市全体、又は、なるべく広い範囲の地域を対象にできたらとも考えているようではあります。

 また、現在までの二年間でこの制度を利用したのが二つの市だけというお話もお伺いしているところでありまして、そこで、そのような支援の要件や内容について、もう少し使い勝手のよいものにしてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

豊田副大臣 お答えを申し上げます。

 市町村のタクシー運賃低廉化措置に対する国の支援制度については、御要望も賜りながら、まずは活用実績をしっかりと積み上げてまいりたいと考えております。

 また、地方の高齢者などの移動需要に応える多様なタクシーサービスの導入に向けては、議員、今、御要望も踏まえて、令和四年度補正予算において、新たに利用しやすい運賃を導入をする取組などの、地域におけるタクシー活用に向けた実証的な取組を支援する予算を計上いたしたところでございます。今後、しっかりと周知してまいりたいと思います。

 これらの支援メニューを活用しながら、地方自治体とタクシー業者が一体となった地域の取組を支援してまいります。

瀬戸分科員 なかなかそういったところではタクシー業者自体も営業が難しいような状況にもなってきておりますし、また、地域の方々もそういった足を待っておりますので、是非、これは地域交通手段の確保ですけれども、住民の生活にとって必要不可欠なものということと、そしてまた、それぞれの地域の実態にもよく目配りをしていただいて、そして、よい形での支援を進めていただけたらと思います。

 次に、国道百九十三号線と十一号線の整備についてお尋ねしたいと思います。

 香川県内の国道の整備についてお伺いします。

 まず、塩江町を通る国道百九十三号線についてであります。

 これらの道路は、高松空港と徳島自動車道を結ぶ幹線道路でありまして、徳島の北部の方も利用する重要な道路であります。また、高松空港は四国で唯一山間部にある空港でありまして、南海トラフ地震においても、津波の被害を受けない防災拠点になるというふうにも言われております。徳島への災害支援物資の輸送ルートとしても、国道百九十三号線は大切な道であります。

 一方で、山間部を通る区間でもあるということで、歩道が未整備な区間があるなど、また、道路の線形不良によって通行に危険が伴う区間があるなど、安全な利用において課題があるものと認識しております。冬季には、カーブが多いので、必ずブラックアイスバーンで事故が起きる箇所もあるということであります。

 そこで、これらの課題を踏まえた上で、百九十三号線の現状に関する認識と整備の現状、今後の更なる改修の必要性についてどうお考えか、お伺いします。

豊田副大臣 お答えをいたします。

 国道百九十三号は、香川県高松市と徳島県海陽町を結び、地域の経済や生活を支える重要な幹線道路であり、香川県と徳島県が管理をいたしております。

 このうち、香川県高松市から三木町までの区間においては、歩道が未整備であるほか、線形不良や落石などの課題があり、香川県において順次対策を進めているところでございます。

 具体的にでございますけれども、平成二十四年度より、西谷工区において歩道整備、中村工区においてのり面対策、中下所工区において線形改良、奥山工区において落石対策を順次行ってきているところであり、このうち、中村工区ののり面対策については、令和四年九月に完了していると聞いております。

 今後の更なる改良の必要性については香川県において検討されるものと承知をしており、国土交通省といたしましては、引き続き、香川県からの要望を踏まえ、防災・安全交付金などにより適切に支援をしてまいります。

瀬戸分科員 香川県からの要望も必要だというお話をいただきました。

 しっかりと香川県と話をしながら、地元の方々の要望をまた実現に向けて進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、東かがわ市引田における国道十一号についてもお伺いします。

 東かがわ市を走る区間においては、県下でも事故率が非常に高い交差点があるなど、歩行者を巻き込んだ死亡事故が多発している区間があります。交通上の課題があるものと認識しておりまして、それらの課題を踏まえた上で、これらの区間について、歩道の整備や交差点の改良についての現状と今後の整備の方針についてお伺いします。

豊田副大臣 お答えを申し上げます。

 東かがわ市を通る国道十一号のうち、引田地区の中心市街地は約六・一キロあり、過去十年間に歩行者や自転車が被害者となる死亡事故が六件発生するなど、大変危険な状況にあると認識をいたしております。

 このうち、歩道は約三・二キロ設置されているものの、残り二・九キロについては、公図が現地に合わない、いわゆる公図混乱が生じている箇所がございまして、直ちに用地買収に着手できず、歩道整備が遅れています。

 このため、国土交通省といたしましては、現在の国道十一号の用地幅の中で幅員二メーター未満の簡易な歩道を設置しているところですが、今後の更なる本格的な歩道整備に当たっては、公図混乱の解決が不可欠でございます。地元東かがわ市の協力を得ながら、引き続き努力してまいります。

瀬戸分科員 公図混乱があるからなかなか難しいという話をいただきました。なかなか所有者の方が誰か分からないということなんだと思いますし、なかなか話ができないということであります。公図混乱があると相当時間を要することがあるということなんだと思っております。そこを整備しようとするとなかなか難しいこともあるかもしれないので、またいろいろな方策を検討していただきながら、この解決に向けてやっていただけたらとも思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 いずれの国道につきましても、地域の交通に非常に重要な道路でありますので、またよろしくお願い申し上げます。

 そして、最後に、長柄ダムの再開発事業についてお伺いしたいと思います。

 近年、全国各地で大雨が頻発しております。大規模な水害、土砂災害が増加しておりますが、長柄ダムがある香川県も、雨の少ない県ではありますが、それでも、平成十六年には、台風二十三号による大雨の影響で、坂出市は四百戸以上が浸水するなど、甚大な被害がありました。

 まず、このように水害が全国的に増加する中で、ダムの関連予算については近年どのように推移してきたか、お尋ねいたします。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 ダム建設の予算につきましては、五年前の平成三十年度は、当初、補正を合わせて約千八百五十億円、その後も約二千億円前後で推移しておりまして、今年度、令和四年度は約二千億円となっております。このダム建設に係る予算は、事業の進捗を確認し、必要な予算を確保しているところでございます。

 なお、令和二年度より、治水効果の早期発現に向け、五か年加速化予算も活用して事業を推進しているところでございます。

瀬戸分科員 コンクリートから人へと言われた大変な時期もありましたけれども、そういった中で、一定の額は確保されているということが分かったところであります。大災害を未然に防ぐためにも、予算の確保をしていかなければならないということを確信したところでもあります。

 長柄ダムの再開発事業につきましては、平成三十一年に綾川水系河川整備計画から引き継ぐ形で事業が開始されたものと承知しております。地元では、長柄ダムの完成を待っている声が多く聞かれております。その早期実現に向けて、しっかりと予算を確保した上で取組を進めていくことが重要と考えております。

 その点を踏まえまして、現在の計画の進捗状況、そして、今後はどのような計画で進む予定なのか、また、具体的なスケジュール等も併せてお尋ねします。また、改めて、その取組を進める上での決意もお伺いできますと幸いです。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 香川県が管理する綾川では、平成十六年十月の台風による洪水や平成六年の大渇水を始めとして、度重なる洪水被害や渇水被害が発生しております。

 香川県では、綾川の洪水被害軽減や流水の正常な機能を維持するために必要な流量の確保を目的として、既存の長柄ダムをかさ上げする再開発事業を実施中でございます。

 現在、ダム本体の設計を行っているとともに、今年一月に締結しました協定書に基づく用地補償に着手しているところでございます。また、令和五年度からは、つけ替え町道工事に着手するという予定でございまして、令和十四年度の完成を目指しているところでございます。

 国土交通省といたしましても、本事業について、引き続き、五か年加速化対策も活用しながら、財政面や、そして技術的な支援も通じて、事業の早期完成に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 令和五年度から、つけ替え道路の工事も始まるということであります。

 地元の方々は、本当に早期にという願いが強くあります。また、香川県も、雨が少ないんですけれども、雨が少ないだけに、もし大雨が降ったときに橋が傾いたりとかいろいろなことが起きる、そういったこともありますので、是非早期に進めていただけたらというふうに思います。

 以上、本日は香川県に関する質問をさせていただきました。どうもありがとうございました。

八木主査代理 これにて瀬戸隆一君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)分科員 公明党の佐藤英道でございます。

 初めに、トルコ地震への支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 去る二月六日に発生いたしましたトルコ南東部を震源とする地震におきましては、シリアを合わせた死者数が四万六千人を超えていると報じられております。

 長引く避難生活で体調を崩す人も出る中、我が国では、国際緊急援助隊の医療チームが現地で活動を開始しており、我が公明党も、二月十四日に支援プロジェクトチームを設置をいたしまして、現地のニーズを反映した支援の迅速な実施や、復旧復興に向けたサポートを検討しているところであります。

 つきましては、国土交通省におきましては、現時点でどのような緊急支援を考えていらっしゃるのでしょうか。また、今後の復旧復興に向けまして、住宅の再建や道路の整備など、我が国の知見を生かした様々な支援が考えられます。斉藤国土交通大臣、今後の対応方針をお聞かせいただければと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 二月六日に発生いたしましたトルコ南東部を震源とする地震によって、トルコ及びシリアにおいて大きな被害が出ていることに関し、亡くなられた方々及びその御家族にお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。

 国土交通省では、地震発生直後の六日から十五日まで、国際緊急援助隊救助チームとして、海上保安庁の職員十四名を派遣いたしました。

 また、復旧復興の段階においても、我が国は、東日本大震災を含め、過去幾度も大きな地震災害から復旧復興してきた経験を有しております。このような知見、経験を生かして、専門家の派遣など、関係省庁等と連携しつつ、現地のニーズを踏まえて必要な支援を迅速に行ってまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 私の生まれ故郷は宮城県でありまして、東日本大震災の被災地でありました。そこにトルコの方々が救援に駆けつけてくれた、その御恩は今でも忘れることができません。大臣から力強いお言葉をいただきました。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 次に、アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット二〇二三北海道は、世界中からアドベンチャートラベル関係者が一堂に会する国際会議であります。北海道内外で四泊程度のツアー、道内で日帰りツアーを実施し、参加者に北海道の魅力を体験してもらい、観光地としての北海道の魅力を世界に発信する絶好の機会でもあります。

 観光庁におきましても、自然や文化といった我が国の豊富な地域資源を活用するアドベンチャーツーリズムの推進によりまして、消費機会の拡大を図る取組を進められております。

 二〇二三年の大会は、北海道と道内の官民が一体となり開催準備を行っていますが、二〇二三年大会をしっかりと成功させるためにも、国土交通省、観光庁の支援について見解を伺いたいと思います。

秡川政府参考人 今御質問いただきましたアドベンチャーツーリズムなんですけれども、日本が誇る自然とか文化資源、これを生かせる観光であること、あと、持続可能な観光という点でも大変意義が高いというふうに考えております。

 本年九月に北海道で開催予定のアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット二〇二三なんですけれども、アドベンチャートラベルに関する世界最大規模の商談会、イベントでございまして、アジアとかオセアニア地域では初の開催となります。世界約六十か国から関係者が多数参加する予定でありまして、我が国におけるアドベンチャーツーリズムの発展に非常に重要な機会というふうに考えております。

 その一部として、北海道内外の自然や文化の魅力を深く楽しんでいただくようなツアーも開催される予定でございまして、観光庁でもこれを支援してきたところでございます。

 観光庁としては、世界における日本のアドベンチャーツーリズム市場の確立を図るように、サミットの成功に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 力強いお言葉をいただきました。

 観光庁長官はもとよりでありますけれども、斉藤国土交通大臣におかれましても、このアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット二〇二三北海道、是非お越しをいただければと思っております。

 次に、公営住宅の保証人要件を撤廃する必要性についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まさに公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者の方々への住宅提供を目的としております。しかし、国土交通省の調査によりますと、令和四年四月一日時点で、事業主体である地方公共団体の約八割が、公営住宅の入居に際して保証人を求められております。

 高齢化の状況などを踏まえますと、保証人を確保できない公営住宅の入居希望者が増える可能性があります。公営住宅の保証人の要件の撤廃を推進すべきと考えます。公営住宅の保証人要件の撤廃について、国土交通大臣に御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 保証人を確保できないために公営住宅へ入居できないといった事態が生じないよう、平成三十年に、保証人の確保を前提とすることから転換すべきとの国の方針を示して、地方公共団体に、入居手続において保証人を不要とするよう要請してきたところでございます。

 今後は、既に保証人規定を削除した地方公共団体において、家賃徴収上の大きな影響が生じているかいないか等を把握し、私自身は大きな影響は生じていないというふうに認識しておりますけれども、これらを正確に把握し、これを参考に、まだ保証人規定が残っている地方公共団体に対して、削除に向けた働きかけを強化してまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 私、前職、北海道議会議員時代に、ある独り暮らしの高齢者の方から御相談を受けました。

 札幌市内にある道営住宅というのは、非常に倍率が高いんです。なかなか応募をしても当たらない、抽せんに外れてしまうという御相談でありました。しかし、落ちても、落ちる回数が増えることによって当たる確率が増えるようなシステムをやっているんですよね。それで、後日、やっと当たったという喜びの声をいただいたんです。しかし、何日かたってから、また落胆の御連絡をいただいたんです。

 これはなぜかというと、本当に何年も努力をして抽せんして当たったんだけれども、保証人が必要だと言われたと。自分は身寄りがない。保証人を見つけるといっても、お願いしても保証人を受けていただけないんだというお話をいただきました。

 当時、道議会で、道営住宅、連帯保証人についてお話をさせていただき、北海道の道営住宅は連帯保証人を撤廃をされて、大変にやはり喜ばれました。

 このほど国土交通省さんが調べられた今回の調査、まだまだ撤廃していないというような状況があるということを聞きまして、私はやはり、まだまだ、せっかく抽せんに当たったとしても涙をのんでいる方がいらっしゃると思うと、胸が張り裂けるような思いでありました。大臣の力強い御答弁でありましたので、是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 さて、次に、公営住宅の子育て世帯優先について伺いたいと思います。

 去る一月三十日の衆議院予算委員会におきまして、斉藤大臣は、公営住宅について、子育て世帯が優先的に入居できる取組を開始していきたい旨を発言をされました。私は、子育て支援の重要性を踏まえると大変にやはりいいことだと思いますし、画期的な御判断であったと思います。

 一方、母子、父子世帯やDV被害者世帯の優先入居に取り組む自治体もございます。これら世帯の公営住宅への優先入居も推進していくべきと考えますが、御見解をいただければと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 子育て支援のため、母子、父子世帯を含む子育て世帯が低廉な家賃で公営住宅に居住いただく意義は非常に大きいと考えており、子育て世帯が公営住宅に優先的に入居できる取組を地方公共団体と連携して拡大してまいりたいと思っております。

 その際、将来的に新たな子育て世帯に入れ替わることも考慮して、入居期間を一定期間とすることも有効であると考えており、このような事例を国から地方公共団体に提供し、同様の取組の実施を働きかけてまいります。

 また、御指摘のDV被害者世帯も、居住の安定確保が必要であり、引き続き、地方公共団体と連携して優先入居を推進してまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。是非とも、公営住宅、多くの方々に、本当に困っている人のために、入居できるように、これからもよろしくお願いしたいと思います。

 次に、有料道路の障害者割引制度について伺います。

 有料道路の障害者の割引制度は、通勤や通学、通院など、日常生活の中で車を利用する必要がある障害者の方々の自立支援として行われているものと承知しております。

 各高速道路会社は去る十日に、一人一台要件の緩和とオンライン申請を導入するとの見直しを行い、三月二十七日より運用を開始すると記者発表をされました。

 こうした見直しは、自家用車をお持ちでない方が知人の車やレンタカーを利用する場合にも適用されるなど、非常に効果的な改善事項と考えます。是非、見直しの内容について具体的に御説明をいただけますようお願いを申し上げたいと思います。

 また、制度の見直しについて、障害者の方々を含めまして、関係者に広く周知し、利用を促進していく必要があると考えます。国土交通省の今後の対応方針をお聞かせください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 有料道路の障害者割引制度についてでございますが、通勤、通学、また通院など、車を日常利用する方の社会的な自立の支援を目的として、これまで事前に登録いただいた自家用車一台を割引の対象としておりました。

 この一人一台要件に関しまして、車をお持ちでない方が、レンタカーまたタクシーなど、事前登録していない車両を利用する場合でも割引の対象にするよう障害者団体から御要望があったところでございます。

 こうした御要望を踏まえまして、高速道路会社を始めとした関係者におきまして調整した結果、本年の三月二十七日より、事前登録していない車両でも割引の対象とすることといたしました。

 今回の要件緩和につきましては、高速道路会社のホームページで利用方法の御案内を行うほか、関係業界、また関係省庁とも連携しながら、利用者への周知を図っているところでございます。

 国土交通省といたしましても、利用者に対しまして適正な利用をお願いするとともに、本制度の活用を通じて障害者の方々の社会的な自立を支援してまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。

 昨日、聴覚に障害のある方と懇談する機会がありまして、今回の見直しについてお話をさせていただいたとき、御存じですかと言ったら、皆さん知りませんでした。お話をさせていただいたらとても喜んでおりましたので、これは周知をされればされるほど、多くの方々、障害を持っている方々は喜ばれると思いますので、是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、丘珠空港の滑走路の延長について伺いたいと思います。

 北海道全体の発展のために、札幌市は丘珠空港の将来像を策定いたしまして、乳幼児や脊髄損傷などの患者さんを地方都市から搬送する医療用ジェット機、いわゆるメディカルウイングなどの通年運航による医療機能強化等にも取り組むこととしております。

 メディカルウイングは、高度専門的医療を必要とする患者さんを搬送する固定翼機であります。冬季間は現在の丘珠空港の滑走路の長さでは運航できず、新千歳空港から、高度な医療を受けることが可能な病院が集中している札幌市内へ搬送しているところであります。札幌市内にある丘珠空港を利用することができれば、搬送時間の短縮と患者さんの身体的な負担も軽減されるのではないかと思っております。

 かけがえのない命を守るために、メディカルウイングの通年運航実現のために、滑走路を三百メートル程度延長する必要があります。丘珠空港の滑走路延伸について、御見解をいただきたいと思います。

久保田政府参考人 お答えいたします。

 丘珠空港につきましては、札幌市におきまして、地域住民との意見交換などを経て、昨年十一月に、議員御指摘のメディカルウイングや小型ジェット機の通年運航を目指す丘珠空港の将来像を策定されたこと、私どもも承知をしているところでございます。

 滑走路の延伸に関しましては、事業の必要性、費用対効果、そしてまた周辺環境への影響などについて十分な検討を行う必要がございますが、特に市街地に近い丘珠空港におきましては、航空機騒音に関する地元説明など、地元自治体による丁寧な対応が重要であろうというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましては、札幌市や北海道庁など地元関係者からしっかりお話を伺いながら、今後の具体的な進め方につきまして検討してまいりたいと考えてございます。

佐藤(英)分科員 是非とも検討のほど、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、札幌駅交通ターミナルについて伺います。

 二〇三〇年度末の北海道新幹線の札幌延伸に向けて、札幌を中心とした交通ネットワークとして、アンビシャスロードの整備が進められているところであります。いわゆる札幌都心と高速道路を結ぶ車専用道路であります。本当に、国土交通省の皆様方には大変に御尽力をいただきました。

 このアンビシャスロードの整備が進められているところでありますけれども、更にモーダルコネクト機能を強化するために、JR札幌駅と道内各地域を高速バスで直結するバスターミナル、いわゆる札幌バスタ、バスタ新宿がありますけれども、そうしたバスタの整備促進が必要と考えます。

 現在、札幌駅交通ターミナル検討会におきまして整備に向けた検討が行われていると承知していますが、是非とも、国土交通省には主体的に取り組んでいただきたいと思います。

 現在、二〇二九年秋の完成に向けたロードマップが示されておりますが、その進捗状況についてお伺いします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 札幌駅交通ターミナルにつきましては、分散するバス停を集約し、北海道新幹線と高速バスが直結する交通結節空間を創出することによりまして、乗換え、待合環境の改善、交通の円滑化、防災機能を向上させることを目的に、国土交通省と札幌市が中心となって検討を進めているところでございます。

 具体的には、令和二年の一月に国土交通省と札幌市が共同で札幌駅交通ターミナル検討会、これを設置いたしまして、令和二年の五月に札幌駅交通ターミナルの整備の方針を公表した上で、現在、事業計画の策定に向けて、施設計画、また管理運営手法などについて検討を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、札幌市が示します札幌駅南側の再開発プロジェクトの完成目標、二〇二九年でございますが、これを目指しまして、引き続き、札幌市を含む関係機関との連携を図りながら、早期に事業化ができるよう検討してまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、第二青函トンネルの検討の必要性についてお伺いします。

 第二青函トンネルでありますけれども、莫大な建設コストや維持費などで実現のハードルが高いことは、私もこれまでの質問で存じ上げているところであります。しかし、東海道新幹線のように、当時と現在の評価が全く異なる事例もあります。私は、我が国がまだ建設できる国力の余裕があるうちに、次世代に引き継ぐべきレガシーとなるものであれば、多少背伸びをしてでも建設しておくべきではないかと考えております。

 地方ローカル線の便益の話とも少し似ていますが、コストの話だけで荒唐無稽であると片づけることなく、是非、幅広な観点から、様々な要素も考慮し、いま一度、第二青函トンネルについて様々な検討を重ねる価値があると考えますが、御所見を伺いたいと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 現在の青函トンネルにつきましては、北海道と本州とを結ぶ重要な役割を担っておりますが、新幹線と貨物列車が共用走行しており、一般論として、もう一本の海底トンネルを建設した場合、北海道新幹線の高速化や、鉄道貨物物流の確保といった観点から効果が期待されるものと考えております。

 第二青函トンネル構想に関しましては、幾つかの民間団体において検討されていると承知いたしておりますが、委員御指摘のとおり、膨大な建設コストや、長大な海底トンネル特有の維持管理費用、特に、海水の浸透に対する大がかりな排水設備や、海水による機器の劣化を防ぐためのコストなど、様々な課題があることも事実でございます。

 今後とも、関係者の今後の検討状況を見守りたいと考えております。

佐藤(英)分科員 是非、決定の日まで訴え続けてまいりたいと思います。

 次に、大臣に、道立広域公園についてちょっと御所見をいただければと思います。

 北海道は、広域公園につきまして、避難場所などの防災機能やインバウンド観光に対するサービス機能など、より多様なニーズに応えていく必要があるということで、十七の地域に十九か所の広域公園を配置する方針を策定しているところであります。

 特に、釧路管内白糠町に道立広域公園を建設する計画は、財政難を理由に二十年間凍結されてきましたが、道議会議員始め地域の関係者からの要望により、知事が建設候補地として白糠町に言及するなど、前進が見られているところであります。一昨日も、地元にお伺いをさせていただき、皆様からの熱い要望をいただいてきたところであります。

 国は、防災・安全交付金の活用等によりまして、災害発生時の避難地となる都市公園等の整備を支援しているところであります。都市公園の重要性に鑑みれば、北海道におけるこのような取組を支援すべきと考えますが、是非、斉藤国土交通大臣の御所見をいただければと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 都市公園は、都市における貴重なオープンスペースであり、良好な都市環境の形成に資するとともに、地震などの災害時には避難地となります。防災上も重要な役割を果たすものでございます。

 御指摘の道立広域公園につきましては、釧路管内の市町村が一体となって白糠町への整備を要望をされており、現在、北海道庁において検討を進められている状況と承知しております。

 国土交通省としては、地元から道立広域公園に関する具体的な御相談などがあれば、真摯に対応してまいりたいと思っております。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。是非、大臣のお言葉を地元の皆様にもお伝えさせていただきたいと思います。

 次に、住まいの終活問題について伺います。

 住まいの終活を後押しする自治体があります。例えば、埼玉県の越谷市では、住まいに重点を置いたエンディングノートとして、住まいの終活ノートを作成し、市のホームページに掲載しています。

 空き家予防の取組の一つとして、所有者の気持ちを早いうちから整理するとともに、相続等の話題にしにくいことを家族で話し始めるきっかけにしてもらうために作成されているということでありました。

 全国的にも空き家が増えており、相続などによって、将来的に適切な管理が行われなくなるおそれもあるため、その対策としてよい枠組みをつくるべきだと考えます。

 住まいの終活問題について、国土交通省としてはどのように考えておられるのか、お伺いさせていただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 空き家の半数以上は相続に伴って発生しているということを踏まえますと、空き家の発生を抑制してまいりますためには、所有者や御家族の方に、所有者が生前のうちから必要な準備を進める住まいの終活というものに取り組んでいただくことは大変重要なことだと思っております。

 このため、生前から住まいの対処方針を決めておくことの重要性、こういったことでありますとか、空き家の所有に伴いますリスク、例えば、空き家は非常に傷みが早くて資産価値も劣化しやすいということなどについて、国や公共団体の方から所有者の方々などに周知を行い、所有者の行動を促してまいりたいというふうに思います。

 また、住まいの終活につきまして普及啓発を行いますセミナーとか相談会、こういうものをNPO等の方々が今やっておられます。こういうNPOの方々の活動をより行いやすくするように、市区町村が民間法人を指定をする、そして、公的な位置づけを付与することでより活動を行いやすくする、こういう制度の創設についても是非検討してまいりたいというふうに存じます。

佐藤(英)分科員 ありがとうございました。

 私の質問はこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

八木主査代理 これにて佐藤英道君の質疑は終了いたしました。

    〔八木主査代理退席、主査着席〕

赤羽主査 次に、伊藤俊輔さん。

伊藤(俊)分科員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 予算委員会第八分科会での質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 斉藤大臣を始め関係各位の皆さん、一日長丁場でお疲れかと思いますが、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 早速、質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 まず、UR関連の、特に家賃の減免等についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 URの、近傍家賃に比較をして家賃を上げていく、こういう方向性であることは認識をしておりますけれども、コロナ禍あるいは物価高、あるいは光熱費や食品等の高騰、あるいは医療費、介護費の負担増、様々な、厳しくなる中において、この間においても募集家賃の値上げというものを実行されていると承知しております。

 東京多摩公団住宅の自治会協議会の皆さんからも、家賃の減免等の要請で十二万四千人分の署名が出されていると承知をしております。

 厳しさを増すこの中において、既存にお住まいの皆さんに対して、どのような対応をしておるのか。既存のお住まいの方々に対する家賃の減免というものは、いまだ、実質、対応できていないというふうに承知しておりますけれども、斉藤大臣とURの見解をお伺いしたいと思います。

田島参考人 お答えします。

 UR賃貸住宅の家賃の引上げについての御質問でございますけれども、UR賃貸住宅に現在お住まいの方の家賃である継続家賃につきましては、機構法第二十五条に基づきまして、基準となる近傍同種家賃に変動があった場合において、家賃改定ルールに基づき、家賃改定をすることとしてございます。

 この場合、低所得の高齢者世帯など一定の要件を満たす方に対しましては、国の支援をいただきながら、改定前の家賃まで減額し据え置く家賃改定特別措置を講じているところでございます。

 令和三年度においては、機構法第二十五条第四項に基づく家賃の減額を約六万五千八百世帯に対し講じているところでございまして、このうち、今申し上げた家賃改定の特別措置を行っているものが約一万六千九百世帯、その他、現にUR賃貸住宅にお住まいの方の家賃を減額しているものといたしまして、建て替え事業に伴い家賃の減額措置を講じているものが約一万五千七百世帯となってございます。

 なお、家賃改定特別措置につきましては、令和二年度以降、新たに家賃改定の対象となる低所得高齢者等の収入要件を緩和したところでございます。対象世帯は、全国の二人以上世帯を収入の低い順に並べた割合である収入分位によって決定してございますが、具体的には、それまでの収入分位二五%以下から、収入分位五〇%以下まで対象世帯を緩和したところでございます。これにより、家賃改定特別措置の対象が大幅に広がってございまして、これまで以上に、幅広い居住者の皆様が安心してお住まいいただくことが可能になっていると考えているところでございます。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえまして、継続家賃改定となる住宅において、家賃の改定自体は実施するものの、引上げとなる世帯の負担を軽減するため、令和二年四月から令和三年六月までの間、引上げに伴う改定額を免除する負担軽減措置を講じたところでございます。

 さらに、家賃の支払いが困難となった方に対しては、個別の事情をよくお伺いした上で、家賃の分割払いや、より家賃が安い団地内の住宅への住み替えなどの提案を行いまして、可能な限り居住の安定を図るための配慮を行いながら対応してきているところでございます。

 今後とも、機構法の趣旨にのっとりまして、健全な経営を確保しつつ、公的賃貸住宅として住宅セーフティーネットの役割を果たしていけるよう努めてまいる所存でございます。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省といたしましても、UR賃貸住宅に入居されている方の居住の安定を図ることは非常に重要な課題であると考えております。

 ただいまURから答弁がありましたが、まずは、家賃が値上げされる場合における、収入分位五〇%以下の高齢者世帯に対する据置措置や、家賃の支払いが困難になった方への対応について、確実かつ丁寧に実施していただきたいと思います。

 また、住宅セーフティーネットの裾野を広げるため、令和四年三月より、新たに、住宅セーフティーネット制度における家賃低廉化補助をUR賃貸住宅に導入することとしたところでございまして、この仕組みの活用が拡大するよう地方公共団体へも働きかけていきたい、このように思っております。

伊藤(俊)分科員 今の答弁の中でも、URからもありましたけれども、いわゆる変動があった場合、それを抑えるための減免措置ということが今行われているということでありますけれども、既存のお住まいの方々の、例えば収入減とか、そういったことに応じての家賃の減免というものに関しては、実質、まだまだ制度的にもないんだろうということに承知をしております。

 一枚、チラシを御紹介をしながらと思いますけれども、斉藤大臣を始め、赤羽先生もそうですけれども、御党の公団団地における活動というのをこれまで熱心にやっていただいているということも承知しておりますが、これは令和三年四月に、御党の江戸川総支部が号外で出したチラシでありますが、ここに大々的に「UR住宅の家賃減免制度の創設を強力に推進!」と書いておりまして、中身を読むと、「UR賃貸住宅に長年居住している高齢者世帯のうち、経済的な理由などにより退去せざるを得ないケースが少なくありません。長年居住している高齢者世帯や、失業などにより収入が減った世帯に対して、家賃を減免する制度の創設に取り組んでいます。」と書かれております。まさに、多くの既存のお住まいの方々が、こういったことの制度を望んでいるというふうに思っております。

 斉藤大臣が、御党の大事な一翼を担っているお一人として、また国交大臣として、是非、実質的な家賃の減免に、実行していただけないかなというふうに思っておりますが、一歩前向きな答弁をいただけたらうれしいと思いますが、もう一言いただけたらありがたいんですが。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほども答弁申し上げましたけれども、現在、住宅セーフティーネット制度等を活用して、それをUR賃貸住宅にも適用する等、いろいろな今努力を重ねているところでございますが、いろいろな検討をこれからもさせていただきたいと思っております。

伊藤(俊)分科員 この制度の創設もそうですし、長年、機構法の二十五条四項も、家賃の減免、言われているところでありますが、近傍家賃を抑え込むという考え方と、既存の方々の家賃の減免、ねじれている部分の議論がずっと続いておりますので、二十五条の四項でも、それから新しい制度でも大丈夫ですので、是非、減免につながる措置をつくっていただきたいと切にお願い申し上げたいというふうに思います。

 そして、長きにわたって、先ほどの機構法でも、減免を望む声ということがあります。私も、地域を歩いて、日々お声をいただくところでありますけれども、既存のお住まいの方々に対して、家賃を含むURのセーフティーネットの役割というものを、改めてどう考えるかということを問いたいというふうに思います。

 そもそも、これまで、URさんにお願いをすると、低所得者向けの住宅ではないんですということを、重ねて答弁をいただいたり説明を受けてきております。私は、ここが本当に根底じゃないかというふうに思っているんですけれども、低所得者のための住宅供給のセーフティーネットの役割を担っているんだということを、改めて正式に答弁いただきたいと思いますが、お願いします。

田島参考人 お答えいたします。

 UR賃貸住宅は、公営住宅とともに、世帯属性によらず、公平に入居者を受け入れる受皿という意味で住宅セーフティーネットの役割を担ってございますけれども、公営住宅が対象を低所得者に限定し、低廉な家賃で住宅を供給する応能応益家賃の仕組みを適用している一方で、私どもUR賃貸住宅、入居の対象を所得などで限定せずに幅広く受け付け、市場の家賃水準で賃貸住宅を供給するといった、異なる役割を担っているというふうに認識しているところでございます。

 そういった中で、私どもURでは、セーフティーネット機能の実効性をより高めるため、国の御支援をいただきながら、機構法第二十五条第四項に基づく低所得高齢者等に向けた家賃減額を行っているところでございます。令和三年度におきましては六万五千八百世帯、百四十三億円、この五年間におきましては七百五十二億円の減額措置を講じてきたところでございます。

 一方で、私ども機構は、多額の有利子負債を抱える中で、独立行政法人として健全な経営の確保も求められているところでございます。機構法第二十五条第四項に基づく減額措置を引き続き適切に実施していくためにも、機構が安定した経営基盤を確保していくことも非常に重要であると考えているところでございます。

 今後とも、機構法の趣旨にのっとり、低所得高齢者世帯などへの家賃減額措置を適切に実施いたしまして、公的賃貸住宅として住宅セーフティーネットの役割を果たしていけるよう努めてまいりたいと思います。

伊藤(俊)分科員 セーフティーネットの役割を果たしているというのであれば、本当に、既存でお住まいの方々に対しても、是非、制度実行に移っていただきたいと思います。

 新規の入居の方々においては、例えば高優賃や健サポとか、あるいはセーフティーネット登録住宅など、実質減免になるようなオプションということがあるんだというふうに承知しています。既存の方々も、恐らく、そこに引っ越したりすれば適用になると思いますし、家賃の減免につながるのかもしれませんが、高齢になって引っ越すというのも相当な体力も要りますし、だからこそ、既存の方々に対しての、近傍家賃が上がっていくのと同時に必要な方々に減免措置ができるような制度を考えていただきたいということを、切にお願いしたいと思います。

 その上で、これから国が低所得者向けの住宅をどのように確保していくのかという点について、また、URがその役割をどういう位置づけにしているのかということをお聞きをしたいというふうに思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅確保要配慮者、高齢者、障害者、低所得者、あるいは子育て世帯の方々、いろいろな方がいらっしゃいます。こういう方々の居住の安定を確保する住宅セーフティーネットは、様々な施策を一体的に推進をすることによって重層的に実現していく必要があると思っておりまして、その中に、公的賃貸住宅の一翼としてURの賃貸住宅もあるということかと存じます。

 URの賃貸住宅事業は、多様な世帯が入居しやすい住居を提供する、地域の魅力を向上する、地域のコミュニティーを活性化する、様々な目的の下で行われているところでございます。こうした目的を達成する中で、URの住宅は、民間住宅への入居を拒まれやすい立場の方の受皿の一つとして住宅セーフティーネットの役割も担う、こういう位置づけだと存じます。

 これまでも、住宅確保要配慮者の住まいの安定を図るために、URの賃貸住宅としまして、優先入居の実施でありますとか、あるいはストックの更新に伴います入居者負担の増加の抑制、こういったことを行ってきたわけでございますけれども、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、今般、セーフティーネットの登録住宅制度の家賃低廉化補助の仕組みを活用いたしまして、その対象に新たにUR賃貸住宅を加えるということによりましてセーフティーネット機能の強化、併せて、URの賃貸住宅が持っておりますセーフティーネット機能の強化、両方を図ったところでございまして、地方公共団体がこの制度を今後運用していくに当たりまして、より活用が拡大いたしますように様々な事例を紹介するなどして、公共団体への拡大の働きかけを是非行ってまいりたいと存じます。

伊藤(俊)分科員 是非、推進をしていただきたいというふうに思います。

 セーフティーネット住宅もそうですし、健サポもそうですけれども、あえて、健サポと、そしてエレベーターの設置についても、両方併せて、ちょっと時間の関係上、お聞きをしたいというふうに思います。

 健サポの新規入居に対して、これも減免につながる制度だというふうに承知しておりますが、直近の導入の戸数、推移も含めて、導入の計画をお聞きをしたいと思いますが、まだまだ実感として少ない中において、あとは、地域の方々、自治体の方々も、計画的に、年間通してどれくらいついていくのかということが分からないと、なかなか活用しにくいということもあるかと思います。

 そして、エレベーターにおいても全く同じで、階段室型は特に、まだ一・数%しかついていないということだと思いますが、私の地元の鶴川団地、町田市にある鶴川団地なんかは、平成二十八年に四基設置がされて、四基ということは一棟かもしれませんが、階段室型であれば。それからもう六年以上、新規でついておりません。

 住んでいる方においては、一基つけばラッキーだというふうになりますけれども、向こう十年つかない、あるいはそれ以上つかないという話になると、自治体の方々が公平性を保って、どこにつけるんだということにもなりますし、是非、毎年あるいは年間通して、計画性を持って、エレベーターの設置にも、是非前向きにしていただきたいというふうに思っております。

 階段室型は、完全バリアフリーにならないことはよく承知しております。ただ、五階まで全くエレベーターなしよりは、五階、四階の間に止めて、少し階段で、両方降りるということになるんだと思いますが、是非、つけるかつけないかも、きちっと、構造上つかないところはしっかりとお示しをいただいて、計画的にやっていただきたいというふうに思いますが、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

田島参考人 では、お答えいたします。

 健康寿命サポート住宅と、それから中層階段室エレベーターの設置についてというお問合せでございます。

 まずは、健康寿命サポート住宅でございます。これは先生御指摘のとおり、高齢者の居住の、安全に住み続けられるよう、多様な住環境のニーズに応え、移動に伴う転倒の防止などに配慮した、改修を行った住宅でございます。

 こちらの方、健康寿命サポート住宅は、階段の昇降による負担が少ない一、二階、高層階にあってはエレベーター着床階となりますけれども、五階建ての中層住棟では、一、二階の住宅を中心といたしまして、平成二十八年度から供給を開始しているところでございます。令和二年度、三年度におきましては、各々六百戸以上の健康サポート住宅を供給してございまして、令和三年度末時点で約二千三百戸の供給をしているところでございます。

 ただし、一、二階の住宅というのは空き家が出にくい事情があるほか、既に高齢者向け優良賃貸住宅として使用されている場合が多い状況でございます。加えまして、このほかに、高齢者の階下移転措置や子育て世帯への提供など、一、二階の住宅は様々な用途に活用してきているところでございます。元々、一、二階は空き家の発生が少ない中で、このような様々な用途に活用してございますので、健康寿命サポート住宅の供給戸数がおのずと限られる上、空き家の発生状況にも左右されているのが現状でございます。

 しかしながら、先生おっしゃるように、機構といたしましても、健康寿命サポート住宅の供給、大変重要と考えているところでございます。機構では、医療福祉拠点化など、団地の環境整備を進めているところでございますので、この取組と併せて、健康サポート住宅の供給促進に努めてまいりたいというふうに思っております。

 それから、エレベーターの設置につきまして、お住まいの皆様から計画的な設置について強く御要望をいただいていることは認識しているところでございます。

 機構といたしましても、バリアフリー化の推進について、重要であると考えてございまして、既存ストックを最大限活用しながら、高齢化の進展に対応するために、平成十一年から後づけエレベーターを設置してきているところでございます。

 年度ごとにばらつきはございますが、ここ最近では、令和二年度が十七基、令和三年度が五十四基、設置してございます。累計いたしますと、令和四年三月末時点で、全国七百四十基を設置してきているところでございます。

 ただ、後づけエレベーターの設置につきましては、これまで、比較的設置しやすい場所に優先して設置してきたこと、また、国の財政支援はいただいているものの、コスト面での課題も多くございます。また、設置スペースなど、物理的、法的制約もあることから、設置することが容易でない状況もございます。こういったことから、設置できるエレベーターの数は、住棟の形状や地盤、埋設管の状況など、対象住棟の条件や住棟にお住まいの方の状況などを踏まえ、しっかり検討を進めてきているところでございます。

 したがいまして、現時点で、今お問合せありました、具体的な計画基数などをお示しできる状況ではございませんけれども、お住まいの皆様から強く御要望をいただいていることは認識してございますので、可能な限りエレベーターの設置ができるよう、今後とも努めてまいりたいと思います。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 セーフティーネット住宅もそうですし、健サポもそうですけれども、ニーズが高いというふうに思いますので、是非、計画性を持って導入をしていただきたいとお願いしたいと思います。

 あと、エレベーターに対しても、階段室型においては依然として一・数%しか設置していない、なかなか伸びていないという現状だと思いますので、これは、このまま何年も何十年もというわけではなくて、つけるかつけないかの判断とかも含めて、しっかりと計画性を持って実行に移していただきたいと、併せてお願いをしたいというふうに思います。

 次に、観光産業についてもお聞きしたいというふうに思います。

 この間、コロナ禍や物価高など、観光産業にとっても厳しい現状が続いております。徐々に観光産業が息を吹き返してきたと言われる方もいらっしゃいますけれども、大手観光産業事業者と比較をして、中小の、小規模事業者等を含めた観光事業者のお声をお聞きすると、依然厳しい現状が続いていると認識をしております。

 中小観光事業者の皆さんで構成をする、観光産業を構成する中小及び個人事業主連合会という会、約数百社集まって、これは恐らく小規模の事業者も多いと思いますけれども、そういった会の中で、直近のアンケートを見ると、二〇二三年度内、要は今年中に資金ショートをする可能性を聞いたところ、百二十三事業者のうち六十五社、約半数以上がショートをする可能性がある、はいと答えており、小規模事業者ほど困窮しているという現状が見えてまいりました。

 これまでも借入れはほとんどが赤字補填に使われてしまっていて、実質、借換え、リスケをすることも対応ができていない。そしてまた、新規借入れすることも難しい。今、賃上げも求められておりますけれども、そこに対応ができないと、人材の維持も、そして新規で採用することも困難、結果として人材の流出ということになり、サービスの低下、事業の継続がなかなか難しいということで、切実な声をいただいています。

 まずは、やはり融資の借換え、リスケができるように、そしてまた新規借入れができるようにということを、強く対応を求めたいというふうに思いますけれども、御意見をいただきたいと思います。

秡川政府参考人 観光産業を含めました中小事業者の金融の円滑化、これは非常に課題になっていると思いますが、関係大臣から累次にわたりまして、事業者の資金繰りに関して、リスケを含めて迅速かつ柔軟な対応を行うように、金融関係の業界団体に対して要請がなされております。

 加えて、民間金融機関による実質無利子無担保融資の返済がこれから本格化するのを迎える中で、中小企業庁においては、積み上がった債務の借換えの円滑化のための新しい保証制度の運用開始、あと、中小企業活性化協議会への宿泊業等支援専門窓口の設置など、事業再生支援の施策を講じているというふうに承知しております。

 今後とも、観光関連業者の借入れや返済等の実態把握を行いつつ、関係省庁と連携して、一月から開始された新しい借換え保証制度等の周知の徹底に取り組んでいきたいというふうに考えております。

伊藤(俊)分科員 是非、金融機関を含めて、支援をいただきたい、周知をしていただきたいというふうに思いますけれども、中小の観光産業の方々からお話を聞くと、今年度中に三桁の事業者の倒産、廃業する可能性があるのではないかということも、切実にお訴えをいただいておりました。

 これまで、GoToトラベルとか全国の旅行支援とか、その事務局の業務でしたり、あるいは、ワクチンなどの自治体と連携をした公的な仕事ができているような大手事業者のみならず、こういった事業が請け負えない、いまだ厳しい中小の観光事業者こそ支援をしていかなきゃいけないのではないかというふうに思うわけであります。実際、これからの観光産業を支えるプレーヤーたる中小の、小規模事業者を含めた観光事業者の方々への支援の拡充を、また強く求めておきたいというふうに思います。

 その上で、関連をして、インバウンドとアウトバウンドについてもお聞きをしたいというふうに思います。

 これから再びインバウンドを受け入れる、そういうときに、日本の観光産業が基幹産業へと発展するためには、私は、同時にアウトバウンドへの支援というものも必要なのではないかというふうに考えております。

 なかなかこの産業への支援というのは難しいことも承知しておりますけれども、この間、国内の旅行とか、あるいはインバウンドには手厚い支援があるという中で、アウトバウンドに対してはほとんど支援ができないということであります。

 私も、国会に来るまでは、複数の航空会社と仕事をしていた経験があります。業界に関わっていた一人としても、その認識をお伝えをしたいと思いますが、海外から飛行機を飛ばしてインバウンドを伸ばす、そのためには、やはりアウトバウンドも、両輪でなければならない。それは、やはり、片道だけ人が乗ってきて、帰り道は乗っていないというのは、これはもちろんビジネスとして成り立たないということでありますし、往来の数が結果として減ってしまうということもあり得るということであります。

 アウトバウンドが縮小していくと、当然、インバウンドも伸び悩むということにもなりかねないということでありますので、このインバウンドとアウトバウンドの両輪としての必要性ということの認識を、そしてまた、アウトバウンドへの支援も並行して考えていただきたいと思いますが、御意見をいただきたいと思います。

秡川政府参考人 今御指摘をいただきましたとおり、インバウンドとアウトバウンドというのは、これは車の両輪ということで、双方向の交流拡大を図るということが非常に重要だというふうに考えております。

 一方で、今足下で見ますと、日本人の海外旅行需要というのはコロナの影響によって激減しておりまして、国土交通省としては、現地の医療機関に関する情報など、安全情報に関する発信などを通じて、安全、安心な海外旅行環境の整備に取り組んでまいりました。

 今後は、アウトバウンドも本格的に再開してくるというふうに思いますけれども、関係業界ともしっかり連携しながら、アウトバウンドの回復に向けて積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

伊藤(俊)分科員 観光産業を含めて、インバウンドを含めて、これまでこの分野を支えてきた海外向けのそういう事業者においても、是非切り捨てずに、大切にしていただいて、支援をしていただけたらありがたいというふうに思います。強く求めておきたいというふうに思います。

 関連して、グランドハンドリング、グラハンについて一問お聞きをしたいと思います。

 日本のインバウンドの需要は、約三五%が中国だというふうに言われます。台湾と香港を含めると約五割に近いのではないかというふうに思っています。

 コロナ禍で航空業界も大きな打撃がありましたし、大幅に便数を減らして対応してきたというところがあると思います。

 中国が今、ゼロコロナ政策からの転換、今年の夏に向けて、今は制限されていますけれども、解除していくと、中国系の航空会社などからも、コロナ以前に比べても、約十倍近い便数を増やしていく、こう大きく動き始めているというふうに聞いております。

 日本のインバウンドの需要等にも大きな期待をされるところでありますし、しかし、コロナ禍で航空業界も多くの人材が外部に出ている、なかなかグランドハンドリングの人材が少ないという危惧をされている中において、ここが対応が遅れると、やはり、インバウンドの受入れも含めて厳しさを増すのではないかというふうに思いますし、そしてまた、この受入れができないと、今、便数を減らしていると、その分単価が上がって競争力についていけないという懸念もあります。

 もう既に、国交省を含めて各航空業界、動いていただいて、その準備に入っていただいている、対応に当たっていると思うんですけれども、是非早急に、航空会社等に対しても、対応が遅れないように人材確保の手だてを講じていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

久保田政府参考人 お答えいたします。

 空港のグランドハンドリングは、航空機の離発着に不可欠な業務でございますが、コロナ前と比較しますと人員が一割から二割程度減少するなど人材不足に直面し、今後の国際航空需要の回復を見据えると、その体制強化が喫緊の課題であると認識をしてございます。

 このため、国土交通省におきましては、車両の共有化に向けた実証事業や、先進技術の導入促進に向けた調査事業等の業務効率化の取組を推進するとともに、空港ごとにグランドハンドリングに関するワーキンググループを設置し、関係地方自治体、事業者、そして空港事務所等の関係者が連携して、その人材確保、育成、効率的な運用に取り組んでいるところでございます。

 また、今年度の補正予算におきまして、グランドハンドリングの採用活動、人材育成を支援する事業を実施してございまして、空港の単位で、多様な空港事業者が連携して合同の就職セミナーを開催するとか、そんな取組を進めてございます。

 さらに、今月末には、グランドハンドリング等の空港業務全体を対象とした初の有識者会議を設置し、人材確保の取組を一層強化する方策の検討を進めることとしておるところでございます。

 関係者と連携しながら、全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

伊藤(俊)分科員 是非、後れを取らないように対応を求めたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございます。

赤羽主査 これにて伊藤俊輔さんの質疑は終了いたしました。

 次に、篠原孝さん。

篠原(孝)分科員 立憲民主党、略称民主党の衆議院の篠原でございます。

 久方ぶりにマスクなしで素顔で、ちょっと恥ずかしいような気がしますけれども、進めさせていただきます。

 斉藤大臣にはかねがね質問させていただきたいと思っておりまして、こういう機会をいただいて非常にうれしく思っております。さっきまで八木さんが主査を務めておられましたけれども、今は公明党の重鎮お二人ということで、前、赤羽さんが国土交通のいろいろなことをやっておられるときにちょっと質問したりしたことがあるのですが、国土交通委員会はめったに私は質問させていただいたことがないので、今日は盛りだくさんですけれども、地元の千曲川の関係のことを中心に質問させていただきたいと思います。

 いつもは統計資料をいっぱい作って質問しているんですが、今日は、いろいろ今まで作ったり書いたりしたこと、それから新聞記事をお持ちましたので、それを見ながら私の質問を聞いていただきたいと思います。

 千曲川は、二〇一九年に大氾濫いたしました。これは一九五九年以来、六十年ぶりです。年が知れるわけですけれども、台風七号が物すごかったんです。そして、私の同級生の皆さんの家が二階まで水につかり、学校を一日休みにしてみんなで手伝いに行ったことをよく覚えております。それ以来の大洪水でした。日本の全国に、あるいは世界中には、新幹線がぷかぷか浮いているというので、すっかり有名になってしまいましたけれども。

 それで、非常にありがたいことですけれども、こういうことを機会に一気にいろいろなことが起こる。大体、日本は、前もっていろいろ準備して制度をつくり直すというのは苦手ですけれども、一旦何かあると、その対策で慌ててやるというのは得意なんだろうと思います。その典型的な例だと思いますけれども、掘削が行われ、立ケ花というところがあるんですが、湯滝というところで、それが善光寺平、だんだんだんだん、長野、新潟の県境地方に行くと狭まっていくんですから、だから洪水が起きやすくなるのは当たり前なんです。

 それで、遊水地を設けると。私は、これはこれで悪くはないと思うんですけれども、釈迦に説法ですけれども、そっちの方も言っておきますと、そういうことをするよりも、もう手をつけてありますけれども、そこら中にあるダムですね。多目的ダムというのが多いですけれども、発電用のダムでも利水用のダムでも何でもいいですよ。ダムに水がたまっている。気象関係の天気予報が非常にきちんと精度を高めてきている。大昔は、津軽海峡を通過する台風の進路が分からずに、沈んでしまったこともあるわけです。今ならそんなことは信じられないですよね。線状降水帯も予想できる。そうなったら、二、三日前あるいは三、四日前から大雨が降るぞというのが分かるんだから、そのときに水をみんな放流しておいて、そしてためてもらう、それが一番先だと思います。それはもうやり始めているんですが、これはもう徹底的にやっていただきたいと思います。

 その次が、竹村公太郎さんという国土交通省の先輩がいて、本を書いておられますが、エコロジストです。ほかに尾田さんという方もおられるんです。私はその本を読ませていただいているんですが、エコロジストが結構多くて、もうダムは造るなとおっしゃっている。しかし、せっかくあるダムを、例えばワイングラス形だと、大体、川の底でこうなっている。だから、上二メートルだか三メートル、もうちょっと水をためられるようにして、そこにためたらいい、そして洪水を防いだらいい。非常にいいアイデアだと思います。その方が手っ取り早いと思います。全部のダムにそれをやったらいいんじゃないかと思います。

 それでも駄目だったら、私は、ここに田んぼダムというのがあるんですよね。これも、田んぼのところに水をためておいてもらう。僕は、小学校だか中学だかは忘れましたけれども、それなりには真面目な生徒だったのでよく覚えています。長野県の水田は諏訪湖と同じ水をためられるんだ、それが洪水を防いでいるんだ、棚田や何かですね。先生からそう教わったのを非常に印象深く覚えております。そうなんですよ。田んぼに水が張ってある、その水をもうちょっといっぱい張れるようにして、下流の水害を防いだ。田んぼに水がないときは、水をどっと入れればいいんです。そこまで言っていませんけれども、そういうのはあると思いますよ。

 それで、窮余の策で、ここに、私の選挙区内、ほかにもあるんですけれども、上今井、蓮、塩崎というところの三か所で用地を買収して、穴を掘って、一番左、上今井遊水地のところ、下のを見ていただくと、七十ヘクタールですよ。物すごい広いんです。六百万立方メートルは、今のところ七メートル穴を掘ると言っています。これはいいことだと思うんですが、この後が問題なんです。それは、六十年に一遍ですとか三十年に一遍というのはあるかもしれませんけれども、それがあるまでそのまま放置しておくのかと。

 僕は、それはもったいないから、七十ヘクタール、ばあっと水田がつながっているというところはないんです。規模拡大、農家がいっぱいあるんです。三十ヘクタールやっていると。ところが、全部足したら三十ヘクタールだけれども、大変なんです。田植機も、コンバインも、とことことことこ、物すごいスピードで走っている横を移動しなくちゃならないんです。つながっていないんです。三十ヘクタールあったら、六十か所に散らばっていると。つまり、一ヘクタールのつながった田んぼなんて、そんなにないですからね。それはもう規模拡大の意味をなさないんです。そうすると、この七十ヘクタールが田んぼでずっとつながっていたら非常に便利なわけです。だから、そういうふうにしたらという提案をしているわけです。全部、水田だけじゃないんですけれども。

 ということを言って、昨日も、偶然ですけれども、中根千曲川河川事務所長、別の件で説明に来ていて、今日、実は、昨日じゃない、今朝です、今朝、そのため以外に約束していたのに、帰って、そして今日の夕方、ここで質問をするんだと。だから、今見ているかどうかは知りませんが、必ず見るはずなんです。やっていて、現地はなかなか好意的なんです。

 それで、二枚目を見ていただきたいんですが、これは私が先走って、私が年に二回出す国政報告の三ページに、皆さん、こういうのがありますよといって、でかい字で、国土交通省が説明するよりもずっと優しく、分かりやすく書いているんです。それで、二ページ目は、日本農業新聞が一面トップで報じているものです。これはなかなか感度がいいと思います。どんなものを一面トップにしたっていいんですが、一月の十八日ですね。「粗飼料自給 畑は河川敷」と。当たり前のことが行われていなかったんです。皆さん御存じのとおり、酪農危機ですよ。飼料穀物を輸入してそれを加工している、粗飼料まで輸入しているんです、草、干し草まで。

 もう、加工畜産と僕が昔言ったのです、この名前も僕が初めてつけたんです、今は当然のごとく使われていますけれども。加工畜産というのは、日本に鉱物資源がないから鉱物資源を輸入して、加工して輸出しているというのが日本の加工貿易立国の姿、畜産は加工畜産で、外国から飼料穀物、粗飼料まで輸入して牛や豚や鶏を飼っている。違いは、それを、今や輸出、輸出とか言っていますが、輸出せずに日本でみんな消費しているだけだ。ふん尿だけがたまって循環からはよくない、そういうことも言ったりして、書いてきたりしているんです。

 そして、ここで今、酪農危機で餌が大変だからといって、河川敷にいっぱい草があるということで、相当な面積ですよ、四十八ヘクタールを使わせてもらって、草を刈ってそれを牛に食べさす、それを認めているということで、農地の確保がなかなかできない、かつて六百万ヘクタールあった農地が四百万ヘクタールに減っている、それで、河川敷は平らでちょうどいい、これを利用しない手はないと思うんですけれども、私がこういうことをぎちぎちやっていることを、斉藤大臣の耳に入ってきておりますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 耳に入ってきております。

 篠原委員から、地元に対して、この遊水地の利用方法についていろいろ御意見を賜っているというのは聞いております。

篠原(孝)分科員 ありがとうございます。

 これは、そうしたら、そうやっている最中に、今年の十八日にこの記事があったんです。これは簡単に言うと、我が意を得たり。ほかのところでもやっているところがある。

 ただ、問題があって、それでやっているんですよ、僕の近くのところ、千曲川です、犀川の支流で。河川敷に、どこでも皆さん見ておられると思うんですけれども、野球のグラウンド、サッカー場、市民農園、我が方はマレットゴルフ、それからランニングコース。どうでもいいことですが、長野東高校というのが駅伝で優勝しています。彼女たちはそこで練習していた、そのおかげで全国一位になれているんです。

 そうしたら、これは長野市役所が間に立って、公益に利用していると。この理屈、是非考えてみてほしいんです。公益には貸すけれども、そんな、農家が米を作るのには貸せないと言うんです。じゃ、これは何でだと言ったら、とぼけたと思いました、へ理屈を言ったんです。これは、農家が自ら草を使っているだけだから、米を作ると米を売ってもうけるんだから、一私企業のもうけには貸せない、こんなへんちくりんな理屈は、すぐおかしいのはお分かりになりますね。

 農家が、酪農家だったら乳を搾って出荷する、肥育牛農家だったら牛を太らせて肉の牛として出荷する、どっちにしろ農業に役立てているんです。もう役立てない手はない。これがみんな千曲川河川事務所にこんな手間をかけさせるのはいけないですけれども、私は、いろいろなレジャーや何かに使うのと同じように農家に使わせてもいいと思うんですけれども、これを是非制度として、こんなシャットアウトせずに、ここで、豊岡市で認めたのと同じように、今後こういう希望があったら認めていっていただきたいと思うんですけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 篠原委員の御理解にちょっと違うところがあるのではないかと思っております。それは、要するに、水田に利用すれば、それはある意味では利益につながる私的利用になるから駄目だという趣旨の今のお話だったんですが、そうではなくて、いわゆる治水上の問題点、例えば放牧地であれば草が生えてそれを牛が食べるわけですが、大きな構造物を造るわけではありませんので、治水上問題が生じません。

 しかし、水田を造るとなると、それはかなり、基本的に大きな土木構造物ということでもございます。これは治水上いろいろな問題点が出てくる、こういう観点から、水田利用にはいろいろ検討が必要になってくるということでございます。

 遊水地をできるだけ有効に利用しようということについては、これは我々も同じ考え方だと思います。

篠原(孝)分科員 ここはいろいろ議論のしがいがありますね。

 だから、僕が水田と言っているのはなぜかというと、真っ平らです。これに、リンゴ畑や桃畑や、ましてブドウ畑になんていったら、そんなことは考えていません。水田は、きちんと平らです。いわゆる土地利用型作物で、そんな草がわんわん生えていて、そこに木が生えてきて、そして木を切ったりしなくちゃならないのと比べると、農家がきちんと管理しますから。そして、当然、洪水のときは、もうそんなものは、米なんかどうなったっていいというふうにする以外にないので、それはわきまえてやってもらえばいいので、こんなにいいのはないと思うんです。一石二鳥です。

 これは、これから議論しますけれども、だから、逆に、千曲川の河川敷の中に、リンゴ畑、桃畑があったんです。だけれども、ブドウ畑はさすがにないんです。分かりますか。それは元々農家の土地だったのに、堤防をここに造るから頼むからというので、堤防内になっちゃった。堤防の中に入っちゃったんです。だけれども、ちゃんと自制が働いて、分かりますね、ブドウは棚があって、ひっかかって駄目なんです。まあ、リンゴの木、桃の木一本だったら流れていくというのがあるんですね。それだからいいんですよ。

 それで、全部を作らせろと言っているんじゃないんです。そこは、そういう土地利用型の作物で洪水防止に役立って、水の量を少なくするようなものは作らせなければいいので、それはこっちが言えるわけで、そういうふうにすべきだと。

 どうしてこういうことを言うかというと、これまた世界史の勉強ですけれども、四大文明はどこに生まれたか。食料生産に携わらなくたっていい人たちがいっぱい生まれたからなんです。みんな川のほとりです。どうして川のほとりか。化学肥料も農薬もないわけです。上流から栄養分に富んだ土が運ばれてきて、それが一番いい土だったんです。だから、食料生産力があった。そこのところを放置しているわけです。だから、それはもったいないので、これをきっかけに、是非やっていっていただきたいと思います。

 斉藤大臣の、余り調子のいいことばかり言ってはいけないのでということで、あえて言っておられるのだと思いますけれども、地元の方はもっとよく分かっていますよ。そこのところに変なのを作るんじゃない。それで、管理費も、農家がやるわけですから、きれいに水田をやっていた。そして、底だから。

 例えば、気がついたのは、グレーンソルガムを作らせるとかいうのは、グレーンソルガムというのはこんなにでかい。その茎が、中野の名産、私の地元の名産なんですけれども、キノコの培地になるんです。それを中国から輸入しているんです。おかしいので、中野で作ってと。それで、ちょうど作るところがないからと言っていますけれども、こんな高いやつですね、これは相当容量が多くて、二メートル、三メートルのところになっているので、それはちょっと水の、いろいろと非常に少なくなっちゃうので、あれはよくないと思います。

 何もないのがいいんですけれども、だけれども、草よりもずっと米の方が少ないんです。だから、これは絶対検討していただいて、やっていただきたいと思います。

 これは市民農園にしたっていいんですよ。グラウンドにしたっていいんですけれども、ともかく、有効活用してもらわなくちゃというものです。

 次に、三ページ目をちょっと見ていただきたいんです。千曲川シリーズですけれども、ここから先は全部議論できるかどうか分からないんですが、斉藤環境大臣のときに質問した方がいいような内容です。

 これは信濃毎日新聞ですけれども、千曲川の遡上サケ、調査を打ち切りと。悲しい限りなんですけれども。これは是非、英断でいろいろ考えていただきたいんです。千曲川、三百六十七キロメートルで、我が方では千曲川と言っています、長野県では。全体では、千曲川部分の方が長いんですけれども。同じものに、アメリカのシアトル、ワシントン州、イチローがいたところです。その上がすぐカナダ・ブリティッシュコロンビア州。そこのところに流れているフレーザー・リバーというのがあるんです。全長千四百キロ、千曲川の四倍、流域面積は信濃川の二十倍です。そこの本流には一つもダムがありません。ありませんので造ろうとしたんですが、造らせなかったんです、サケが遡上するようにと。そういう配慮をしているんです。

 ところが、そんな配慮は全然されていない。千曲川にはみんなサケが上ってきていたんです。日本海側は北九州の遠賀川のところまでみんな上ってきていたんです。そして、日本人の重要なたんぱく源になっていたんです。それをみんな、次から次にダムを造って、電気だと。電気は大事じゃないとは言いませんけれども、遡上しなくなった。だから、哀れですよ。

 西大滝ダムというのが長野の一番北の端にあるんです。宮中ダムというのは、悪さをしたので、水を使うのを止められたことがあります。これはなかなか英断で、日本の行政的な措置としては一番きつい罰だったんじゃないかと思いますけれども。その二つの間、外国から来た人はびっくりするんです。人の住んでいる川で、ほとんど川に水が流れていないんですね。そんな川は世界の先進国で一つもないはずなんです。そういうことをしている。

 戦争中に西大滝ダムが国策で造られた。それで、宮中ダムができて、サケが全然上がってこない。かわいそうなことをしているんです。これは考えていただかなくちゃいけないんです。できるんですよ。

 それで、佐渡で、これは環境大臣のときに関わられたと思いますけれども、トキを野生化するというので、佐渡でもって、島が一番体系的な自然、生態系をつくれますから、ドジョウがすめるように、そして、中干しのときもドジョウがいるようにしてと配慮して、復活して、あとちょっとで五百羽になるそうです、野生化するのが。それを本州にも持ってこようとしている。持ってこようというのが、島根県の出雲市と石川県が手を挙げて、適地として今やっている。斉藤さんの地元の近くですよ。本当に、広島にもトキがどんどん行くようになるかもしれない。物すごい苦労をしてやっている。SDGsの典型例、自然を復活させる。僕は、非常に美しい行為だと思います。

 では、鳥をそうやって大事にしているけれども、サケは何でやってくれないのかなと。全然やってくれていないんですよ。鳥と魚を差別していると私は思いますね。

 僕は、サケの方がずっと簡単に復活できると思うんです。日本海側の小さな河川のところにはサケなんかはずっと帰ってきていますし、信濃川も、宮中ダムの前の方、魚野川というのがあったりするんですけれども、信濃川の支流、そういうところにはちゃんと上がってきて産卵しているんです。ところが、宮中ダムと西大滝ダムにストップされて、ここにあるように、かわいそうに、西大滝ダムでは、二二年には二匹。

 一応、魚道を設けてあるんです。私や大臣の運動能力ではとても上がれないでしょうね。大谷翔平並みの優れた運動能力がなければ、とてもじゃないが上がっていけないような。本当に、私からすると、造ってありますよ、一応努力していますよというだけのインチキ魚道です。上がり切れません。

 アメリカ、カナダは、さっき言いましたように、造らせない。もし造るんだったら、極端なことを言えば、ダム本体と同じぐらいのお金をかけて魚道を造って、上がれるように、あるいは下がれるようにしているんです。簡単ですよ。あの二つのダムは、再生可能エネルギーですよ、水力発電も。

 黒部のダムはいいですよ。フレーザー川も、支流の、物すごい切り立ったところにはダムがあります。しかし、サケが上ってきて産卵するところは、サケに遠慮して、造っていないんですよ。そのぐらいの配慮を、我々さんざん自然を壊してきた人間は、したっていいんじゃないかと思うんです。

 こういうことを、是非、環境大臣もやられて、国土交通大臣もやられて、検討していただきたいと思います。どうでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 川というのは、非常に、環境上、大きな要素だと思います。命の誕生も、川と、水が交わるところから誕生したというふうにも言われております。

 その川ですけれども、そのように、環境上の視点、それから再生可能エネルギーというお話がございましたが、農業用水も含めて、利水という側面、それからやはり災害時に大きな災害要因になる治水という側面、その三つを、特に日本においては、急流河川の多い日本においてはそのバランスを取ることが必要なのではないか、このように思います。

 そういう中にありましても、例えば信濃川中流域においても、魚道の改良を始め、サケの上りやすい川づくりといった河川環境の保全と再生をダム所有者や地域の関係者とともに取り組んでいるところでございます。

 国土交通省としては、河川環境、水力発電、さらには激甚化する災害に対する治水対策など、様々な観点から河川に求められる期待に対して、調和の取れた川づくりを目指し、関係機関と連携して努力してまいりたい、このように思っております。

篠原(孝)分科員 当然です。そのときに、魚の気持ちになってください。トキと魚、どうしてこういう比較ができないのかなと不思議なんですよ。トキの復活は大変ですよ。田んぼの農薬の量を減らし、餌のドジョウがすめるように。あっちは簡単なんですよ、そんなのは。魚が戻ってこれるようにすれば、それで一発なんです。是非そういうふうにしていただきたいと思います。それは先進国の私は義務だと思います。

 次に、神宮外苑問題。

 これは環境委員会で一度、環境委員会ですから大臣においでいただけませんでしたけれども、ほかの方に来ていただいて、やったんです。

 神宮外苑、大変なんです。東京新聞がいろいろ書いていますけれども、ほかの新聞は余り扱っていませんけれども。神宮外苑の私が作った分かりやすい年表を後で見ておいていただきたいんですけれども、東京オリンピックをめぐっていろいろな疑惑があって、検察が動いて、逮捕者もいっぱい出ている。そういった中でですけれども、そんな中で、イチョウ並木が伐採されて、木が枯れて、秩父宮ラグビー場、神宮球場が移転されてと。

 細かいことを余り言っているとあれですけれども、私、もう二つ届けてあるから、御覧いただいたと思いますよ、ブログに。これは物すごく時間をかけて書いているんですよ。私は、これをずっと追っかけています。私は環境委員会に、八木さんは知っていますけれども、農林水産委員会に余りいたことはなくて、環境委員会に十年ぐらいいるんですよ、十回ぐらい、みんなに知られていませんけれども。大事だと思ってやっていました。

 防衛問題も大事だと思いますけれども、神宮の森、せっかくやってきたのを、イチョウの木を切って、そうしてあそこにビルを三つ建てるなんというのは、パリに私は三年いたことがあるんですけれども、ブーローニュの森やバンセンヌの森の木を取っ払ってそこにビルを建てるなんてパリ市民が許すわけないし、パリ市当局がそんなことを許可するはずがないんです。それをやろうとしている。これはとんでもないことだと思うんです。

 それで、御存じだと思います。ちょっと余り、僕は役所の人たちを、来て説明を求めるのは好きじゃないんです。だけれども、分からないので聞いたところ、みんな東京都に任せてある、任せてあるというか、地方分権で任せ切っちゃっている。だけれども、悪用しているんです、都市公園制度を。都市計画公園と指定したけれども、余り進まないときはそれを解除して、民間企業にインセンティブを与えて、そして公園を造るようにすると。秩父宮ラグビー場が通過できないから、閉鎖されて、余り利用されていないと言いながら、それで解除して、そしてビルを建ててもいいというふうにしている。完全に悪用しているんです。そんな悪用を国土交通省は許していいのかと私は思います。これは絶対に止めていただきたいと思いますよ。もう走っているんですよ、物すごく。

 それで、船田さんを代表にして、これをストップする議員連盟をつくったんです。私はすぐ声がかかりましたし、はせ参じております。三月三日には、ロバート・ホワイティングさんと、「菊とバット」という本を書いた人、プロ野球に通じていますから、反対しているんです、それから楽天の初代のゼネラルマネジャーの方、それから女性のアメリカ人のコンサルタント、外国人の方が、それはおかしいと気がつくんです。日本人は気がつかない。これはおかしいと思うよ。緑を削っているなんて、絶対ないんですよ。

 イダルゴというパリ市長は、パリは石の市で、緑がないので、シャンゼリゼ通りを半分の広さにして、緑のトンネルを設けようとしているんです。パリ・オリンピックには間に合わないんですけれども、そうすると言っているときに、緑を削ってビルを建てる。ビルなんだから、新宿だろうが、銀座だろうが、渋谷だろうが、池袋だろうが、どこでも建てたらいいんですよ。あんなところに絶対建てる必要はないんですよ。

 斉藤大臣、絶対止めていただきたいと思います。大臣だから、そういうことができるよ。権限がないとおっしゃるかもしれませんけれども。

 これを一つ聞いていただきたいんです。

 斎藤という名前の衆議院議員が立派な演説をして、今もいろいろ尊敬されているのを御存じだと思います。草柳大蔵さんという評論家が一冊の本を書いています。斎藤隆夫さんです。反軍演説をして、だけれども、あのときに三時間半も演説をよく許すなと。その制度が分からないんですけれども。私、やりたいですけれども、私に絶対そんなことは許されないですよね。

 だから、やればできるし、それで、今、国土交通省は、みんな東京都に任せてあると。東京都のトップは、緑、緑と言って、服も緑にしてやっていますが、自分で緑にしていますけれども、東京都の緑は引っ剥がして、余り痛痒を感じていないようなんです。これはやはり、大臣が出張っていいと思うんです。それはおかしいと。

 我々の政権のときに三・一一が起きて、そして浜岡原発も危ういというふうになったときに、これは南海に飛び火するかもしれないというので、浜岡原発を止めてもらわなくちゃいけないと。そんな権限、国になかったんです。それを海江田大臣は要請して止めてもらったという、超法規的措置があるんですよね。

 そういうことで止めていただかないと、もう行け行けどんどんで、我々の議員連盟ができたので、突っ走ろうとしているので、是非止めていただきたいんですけれども、大臣、期待しているんですけれども、いかがですか。やっていただきたいんです。名を残して、斎藤隆夫ならぬ斉藤鉄夫の名前が、百年後、このイチョウ並木を残してくれた大臣ということで私は覚えていただけるんじゃないかと思います。

 いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 神宮外苑の豊かな緑を含む歴史的な環境について、多くの方が大切に思い、関心を持って御所見を述べておられることは認識しております。

 都市計画の決定主体である東京都においても、昨年五月に改めて、事業者に対し、神宮外苑のまちづくりに関する要請をされていると承知しております。

 この中では、緑の充実とオープンスペースの確保、歴史や地区特性を生かした景観形成、四列のイチョウ並木の保全には万全を期すことなどを要請しております。

 神宮外苑の豊かな自然環境の質が保たれるよう、法に基づく都市計画の権限を有する東京都において適切に御対応いただくことが重要と考えております。

篠原(孝)分科員 ありがとうございました。

 リニア新幹線は聞けませんでしたので、また国土交通委員会でたっぷり聞かせていただきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

赤羽主査 これにて篠原孝さんの質疑は終了いたしました。

 次に、末松義規さん。

末松分科員 立憲民主党の末松義規でございます。

 今日は、斉藤大臣に、ローカル赤字線の問題と、それから、URにおける家賃の低廉化という問題ですね、赤羽委員長おられますけれども、そういう形で今日は質問させていただきます。よろしくお願いします。

 まず、ローカル赤字線の関係も付した、二月十日に閣議決定した法案についてなんですけれども、国鉄改革のスキームである内部補助ということについて、これは首都圏と新幹線の輸送あるいは関連の事業収入で赤字ローカル線を十分に補填できるということで今日に至っているわけですけれども、その場合、鉄道も、三十五周年を迎えますけれども、コロナ前までは、そのスキームどおり、過去最高益を上げる、一度たりとも赤字に転落することはなかった、また、輸送人員が回復基調にある今年度については黒字決算の見通しにようやくなってきている、こういうことを一生懸命JRの方は頑張っておられるわけですけれども、コロナ禍を契機に赤字になった。そうすると、急に赤字ローカル線の問題が飛び出てきて、これはひょっとしたら赤字ローカル線を廃線にするんじゃないか、こういう懸念が多く出てきているんですね。

 今度のこの法案についてなんですけれども、これは赤字ローカル線の廃線を主に念頭に置いているということなんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 いいえ、全く異なります。

 一部のローカル鉄道では、大幅な輸送需要の減少等により、鉄道事業者のみの努力で地域公共交通としての機能を維持していくことが難しい状況であり、鉄道事業者と沿線自治体が連携、協働して地域公共交通の機能の回復を図ることが急務となっております。

 さきに閣議決定しました今般の改正法案におきましては、新たに、自治体や事業者からの要請を受け、国が、関係者と協議しながら、地域公共交通の再構築の方針を策定するための協議会を設置できることとしております。

 この再構築の方針においては、鉄道を廃止してバス等に転換するか、鉄道を存続させて利便性を高めるかを定めることとなりますが、これは関係者の協議が調うことが前提とされており、地域の合意なく廃止の方針が決定されることはありません。

 いずれにせよ、国としては、廃止ありき、存続ありきという前提を置かず、沿線自治体や利用者を始めとする地域の声をよく聞き、地域の御理解を得ながら丁寧に協議を進めていく必要があると考えております。

末松分科員 そうですよね。そうなんですよ。地域の声も聞かずに、何か上から廃線というようなことはやっちゃいけないし、今はできないですよね、そういうことは。

 でも、中身を見ると、例えば実証事業の議論の期限をなぜか最長三年というふうに切っているんですよ。そういったものを三年をめどにというんだったら分かるんですけれども、何か結論を急いでいるような、そんな印象さえ出ているんですね。だから、例えばJR北海道のケースなんかを見ると、たしかあれは三線か何か廃止にしたと思うんですけれども、それでも六年ぐらい協議をして、それでいろいろな可能性を考えて、そして決定を下しているんですけれども、なぜか三年という形で何か実証の事業も区切るというのはちょっと無理筋じゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 特に区切っているわけではございません。

 昨年七月の有識者検討会の提言では、協議開始後三年以内に、沿線自治体と鉄道事業者が合意の上、対策を決定すべきとされたところです。これは有識者検討会の提言です。

 これは、地域公共交通としての利便性と持続可能性を早急に改善する観点から、協議会での議論がいたずらに長引かないよう一定の合理的な期限を設けるべきとの考えに立って示されたものと承知しております。

 国土交通省は、これを一つの目安として、円滑な協議の進行を図っていきたいと考えておりますが、仮に三年で結論が出ない場合であっても、協議を打ち切ることなく、合意形成に向けて粘り強く関係者に働きかけを行ってまいりたいと思っております。

末松分科員 三年を指標という形でやるということで、三年を超えてもそういった合意づくりを粘り強くやっていくということ、これは、三年を超えてもそれは当然ですよねという話ですよね、合意ができるまでという。そういう、結構息長くやっていくということを確認をいたしました。

 三番目に、鉄道から路線バスに替えるという方向も否定していらっしゃらなかったんですけれども、そのとき、路線バス事業者の約七割が赤字路線だというんです。運転手がほとんど足りなくて困っている、これは非常に顕著な状況だというのは私もいろいろと関係者から聞いているんですけれども、そうなると、鉄道からバスに替えたとして、本当にうまくいくのかというのは当然みんな思うわけですよ。そこについてどう思われますか。

斉藤(鉄)国務大臣 地域公共交通を守らなくてはならないというのは、これはまず大前提でございます。

 であるならば、その事業者、自治体、そして国が真剣に話し合って、どういう形態であれば持続可能なそういう地域公共交通ができるのかという議論をしようということでございます。

 今あるものを、鉄道かバスか、バスにしたら今のままでのバスの状態かということではなくて、持続可能な形になるように国もしっかり支援するということになっております。

 協議の場において、バスに転換する選択肢が検討される場合には、担い手となるバス事業者の経営状況、費用負担、車両や運転手の確保の見込み等を確認する必要があると考えております。

 なお、今回の法改正では、バスを中心に、エリア内交通ネットワークの利便性向上と効率化を図るため、複数年にわたる長期安定的な支援を可能とするエリア一括協定運行事業の創設を盛り込んでおります。

 また、地域の公共交通を維持、確保するための財政支援に加え、令和五年度予算案では、新たに社会資本整備総合交付金に公共交通に関する基幹事業を追加するなど、実効性ある支援策を講じることとしております。

 これまで、社会資本整備総合交付金は、公共事業的なものには出せましたけれども、交通とか地域公共交通には出せなかった、それを出せる形にしたということでございます。

 国土交通省としては、こうした支援策を通じて、受皿としての地域公共交通の維持、確保に努めてまいりたいと思っております。

末松分科員 社会整備の総合交付金が出る、これも非常に、初めてだということでしたね。そこはやはり、最後は交通が重要であって、もしその交通に支障があるという話になれば、その地域そのものが崩壊をしていく、それを一番避けなきゃいけないですよね。

 そういった意味で、是非、国土交通省も非常にそこの危機意識を持ってやられているということで、そこは、地域の合意がなされればそういう形ということで、再編、あるいはそのままでいくということを含めて、総合的に審議されるということ、これを期待しております。

 それで、交付金も支給されるというのはいいんですけれども、最後は、余り税金ばかり投入するというようになると、これまた、今、防衛費で四十三兆円なんていろいろと、社会保障費もとんでもない額がまた出てくるわけです。

 これは、運賃ということもやはり柔軟に考えてもらって、例えば、その地域の運賃を上げるなんていうとこれまたとんでもない状況になるんですけれども、日本全体の、JRの運賃をうまい形で柔軟に決めさせてもらって、そこで利便者からコストをいただく。例えば、私もちょっと聞いたんですけれども、首都圏の一部の区間を十円だけ上げれば年間二百三十億円というような資金が入ってくると。

 ですから、そういった意味で、薄く広く、運賃というのも、余りぎりぎり言わないで、そういったものを柔軟に決定させていく。これは多分、一番大きな解決法の一つになるかと思うんですけれども、その点について、斉藤大臣の御認識をお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 内部補助、つまり、もうかっているところの利益でもうかっていないところを支えていくという、この内部補助も活用して路線を適切に維持することは、現在も、JR会社法に基づく大臣指針に示された大前提でございます。赤字という理由だけで路線を廃止することは容認されておりません。

 他方、一部のローカル線では、国鉄改革後に八割以上も旅客が減少した路線もあるなど、大幅な環境の変化により、大量輸送機関としての鉄道の特性が発揮できなくなっており、地域公共交通の機能の回復を図ることが急務となっています。

 なお、運賃については、柔軟な設定を可能とするため、地域の関係者間の協議が調ったときには届出制とする協議運賃制度の創設を改正案に盛り込むとともに、運賃の見直しについても、利用者保護を図りつつ柔軟に設定できるよう努めていきたい、このように思っております。

末松分科員 今の運賃ですけれども、地域的には、その地域だけじゃなくて日本全体というような、例えばJR東、JR西とか、そういうことも、大きく、要するに、薄く広くやっていった方が、やはり一部の人に負担が強烈にいくというのはまずいですよね。だから、そこは全国的にという形でも視野に入れておられるということを、ちょっとそこはおっしゃっていただければありがたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたように、内部補助というその基本的な考え方は変わっておりませんので、当然、今、末松委員がおっしゃったようなことも、今後の在り方としてあり得るのだと思っております。

末松分科員 届出制ということで、かなりそこは柔軟な形になって、喜ばしいと思っています。

 いずれにしても、地域と関係者の合意が一番ですから、そこを盛った形でやっていくということだと思います。

 さて、この文言を見ると、上下分離、こういうことが書かれてございますけれども、現場のJRの方々に聞いてみると、どうも、上下の下の部分はやはりどうしてもJRの技術者がケアしなきゃいけないんですけれども、離職者が本当に、給料が安いという問題もあって、どんどん離職していっている。技術者が離職していくと、本当に保守もメンテもできない、そうすると支障が起こるという話になるんですけれども、こういう大きな問題を抱えているということはまずは御認識されていますか。そして、それをどのように乗り越えていくと思われていますか。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道の現場において、委員御指摘のとおり、人材不足についても喫緊の課題になっている、このように認識しております。

 そのため、国土交通省では、技術的な研修等の場を活用して人材育成を支援するとともに、保守点検の省力化や自動運転の導入などに対する支援を行っております。

 今後は、再構築協議会における検討のときにも地方公共団体とも連携して、人材の確保など安全運行に最大限配慮していきたい、このように思っております。

末松分科員 安全運転が一番なんですけれども、人材を、教育しただけではなくて、本当にそういったお金をかけて、人はそんなに早く育たないですよね。だから、そういう点もやはりずっと考慮しながら、息長く人を育てていく、技術者を育てていく、そういうことをやるということでよろしいわけですね。今、うなずいていただきまして、ありがとうございます。

 それから、盛んに今、政府が言っています台湾有事。もう本当に物騒な世の中。ウクライナでも、毎日、戦場の絵柄がテレビに映っていて、やはり国民は非常に不安に思っている。しかも、米中覇権の対立ということで、どうも、中国がもし力ずくで台湾を取ろうなんという話になったときに、すぐさまアメリカが出ていって、そのとばっちりを日本が受けるというふうに、よく世間で言われるわけですよ。

 そういった場合に、場合によっては、自衛隊も巻き込まれる、日本も巻き込まれる、それが二〇二〇年代の半ばとか、そういうふうにあるんじゃないか、アメリカのいろいろな軍関係者とか、いろいろな識者がそういうふうに懸念をしているんですね。

 だから、今、そういう赤字ローカル線の問題を審議するときには、そういった防衛の観点からも審議しなきゃいけないんですよね。例えば、戦車を北海道とかほかのところから西の方に運ぶとか、そういった問題も含めて、軍事物資の輸送を含めて、そういうのは、防衛省とか、地域だけの、エリアによる合意に加えて、国の防衛というか、そういったこと、やはり防衛省ですか、との協議をやられたことはありますか。

斉藤(鉄)国務大臣 JR旅客会社及びJR貨物は、いわゆる事態対処法に基づく指定公共機関として、有事の際の住民避難や緊急物資のための運送を行う役割を担っております。

 昨年、国土交通省において開催した地域モビリティ検討会では、貨物列車が現に走行している線区に加え、災害時や有事において貨物列車が運行する蓋然性が高い区間については、引き続き、鉄道の維持を図っていくことが強く期待されること、それから、先ほど申し上げました鉄道物流の在り方検討会では、自衛隊の物資輸送については、関係者による定期的な意見交換などにより平時からの備えを進めることが重要であることなどが提言されました。

 この鉄道物流の在り方検討会では、防衛省からもヒアリングを行ったところであり、引き続き、連携を強化してまいりたいと思っております。

末松分科員 そういう話合いが行われているのはいいんですけれども、まだ防衛省も、具体的な形での絵姿を今作っている最中だと思うんですね。そこは今彼らも検討し始めているところでして、だから、そこに赤字ローカル線が何か関係してくる、こういうことも十分出てくるわけですよね。

 それは、地域だけの決め事じゃなくて、国防の視点からの決め事になるので、そこは引き続き防衛省と緊密にやっていかないとまずいんじゃないかと思うんです。それを緊密に、今まで、一、二回でしょう、多分、防衛省と話をしたというのは。これはかなり、やはり国の高度な話合いではありますけれども、そこは、地域に、プラス、国の視点から、防衛の視点から、あるいは国民保護の視点からやっていかれるということ、そこをちょっと、決意をお述べいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道路線の存否の議論に当たりましては、そういう国防的な観点からも、防衛的な観点からもしっかり議論しなくてはいけないと思いますし、防衛省と緊密に連携を取っていきたいと思っております。

末松分科員 私も外交官出身なものですから、そういった防衛とか外交とか、そこはどうしても、地域以外にも要因として出てくるものですから、そこはしっかりやっていかれるという今の御決意をいただいたので、そこは取りあえずは私も安心をしたわけでございます。

 さて、国の再構築協議会というのが設置されることになっておりますけれども、鉄道事業者とか沿線の自治体というのはメンバーに入るんでしょうか。また、それ以外、誰がメンバーとなっているのか。このような総合的な協議の場というのは以前なされたことがあるのか。それについてお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 再構築協議会の構成員につきましては、鉄道事業者や沿線自治体のほか、関係する公共交通事業者や利用者、学識経験者など、幅広い主体に入っていただくことを想定しております。

 また、国の関与につきましては、国が沿線自治体と共同で、災害で途絶したローカル鉄道の在り方を議論する任意の協議会を設置した事例はありますが、法律に基づき、国が主体となってローカル鉄道の再構築のための新たな協議の場を設置するのは今回が初めてでございます。

 今後は、こうした協議の場を活用し、国としても積極的に関与しながら、関係者の合意形成に努めていきたいと考えております。

末松分科員 その決意はよろしいんですけれども、でも、例えば、JR東の中で、自治体はどのくらいあるか御存じでしょうか、特に赤字路線も含めた。大体数百はあるわけですよ。この人たちにどうやって、まあ、それは全部じゃないですよ。だから、赤字路線を含めたところを重点的に、地域全体でやはり話していかなきゃいけないので、これはかなり、合意のためには何回か当然議論をしていかなきゃいけないということですよ。

 数百あったら、これは大変なことになるんですけれども、そこら辺はお分かりになっておられますよね。

斉藤(鉄)国務大臣 路線の協議会ということで、全ての協議会ではない、その路線に関係する協議会ということで、当然複数の自治体が入ってくるかと思いますが、そこはしっかりと合意形成に向けて議論を進めていきたいと思います。

末松分科員 そこは本当に、斉藤大臣の御采配の下に、地域が一つ一つ論点を潰していって、そして合意を得ていくのを私も心から期待を申し上げます。

 さて、最後になりましたけれども、私は、立憲民主党の、UR住宅の住民を支援する会の会長をやっていまして、これは、先日というか、赤羽前大臣からも、実は、機構法二十五条四項ということで、非常に今、厳しい収入、特にコロナ以降ですね。

 これは、特にまた高齢化で、二人だったらよかったんですけれども、連れ合いの方が亡くなられた、年金が五割から六割ぐらいしかなくなって家賃が払えない、そういった方々も、特に、大得意さんというんですか、三十年、四十年住まっておられる、一番のURのお客さん、大得意のお客さんが、やはり家賃を払えなくなったという話になって、そこで、じゃ、金の切れ目が縁の切れ目かということで、出ろと言われたら、余りにも、泣いちゃうわけですよ、それは。地域のまさしく、いろいろな祭りとかにも非常に自治会の皆さんも本当に協力されてきて、最後、家賃を払えません、じゃ、あなた、出ていってくださいというのは本当にまずいと思うんですね。

 それから、もう一つは、公共住宅という視点からも、URは、そこはやはり、純粋な意味で公共な住宅に加えて、URもそういった形の、時代とともに、高齢化のためのいろいろな今施策を行っていらっしゃいますけれども、しっかりとそこはやっていただきたいと思うんですね。

 その辺について、いかがでしょうか。特に家賃の低廉化ですか、そこは是非お願いしたいんですけれども。

斉藤(鉄)国務大臣 UR賃貸住宅に入居されている方、とりわけ、民間賃貸住宅への入居を拒まれやすい高齢者世帯の居住の安定を図ることは非常に重要な課題であると思っております。

 令和三年二月二十五日の本分科会におきまして、当時の大臣から、UR賃貸住宅の入居者が収入に応じて公営住宅に移るということにならないよう検討すると答弁したことも踏まえつつ、令和四年三月より、新たに、住宅セーフティーネット制度をUR賃貸住宅においても活用可能とし、同制度の中で、収入に応じた家賃低廉化補助を行うこととしたところです。

 この家賃低廉化補助の導入につきましては、地域の住宅事情に応じて地方公共団体が決定することとしておりまして、国土交通省としましては、この仕組みの活用が拡大するよう、優良事例を紹介しつつ、地方公共団体への働きかけを行ってまいります。

 この制度が普及するように、地方公共団体にもしっかり働きかけを行っていきたいと思います。

末松分科員 これを検討していただいたのは、今委員長を務めておられる、当時の赤羽大臣でいらしたわけですね。

 私は本当に、赤羽大臣もやはりURの住民の方々に対して、ずっとお役を務めてきたということで、非常に同情的でございまして、ちょっと読みますと、先生というのは私なんですけれども。

 先生が言われるように、単身になられているとか、先行きや、人生において不安を抱えられ、恐らく、ちょっと、私は常に思うんですけれども、公団自治協の皆さんともよく、長くつき合っているんですけれども、大丈夫だと言ってもなかなか安心が、解けないというか、ここにはこれまで特例措置で、低所得高齢者世帯の家賃据置きの特別措置がありましたが、今後が心配ですと、気持ちは分かるんですけれども、ここは私は、大臣という前に、公明党としてもここは死守してきているので、頑張りますからと言っているんですと。

 こういう温かい言葉をいただきました。

 大臣も公明党の大臣ということで、是非、赤羽大臣と同じような温かいお気持ちを、特にそういった長く住み続けられている方々に対して、そこを私からも強くお願いをしたいと思いますが、大臣、御決意をお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、赤羽大臣のその御答弁を一つの大きな契機として、それを踏まえつつ、例えば、住宅セーフティーネット制度をURについても活用可能とするというふうに、大きく新しい制度に踏み出しました。それらが普及していくように、私ども、しっかりと対応していきたい、このように思っております。

末松分科員 最後に一言ですけれども、その住宅セーフティーネットの住宅なんですけれども、実例、成就した例が少ないんですよ、全国的に。これをもっとどんどんやってもらわないと、いや、メニューとしてやりました、でも、ほとんど実例がありません、成就した例がないという話になると、これは斉藤大臣の面目が丸潰れになりますから、そこは是非、改めてお願いを申し上げて、赤羽前大臣の後継としてまた頑張っていただけるように、公明党としても頑張ってください。

 では、質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて末松義規さんの質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十一日火曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十八分散会


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