衆議院

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第2号 令和5年2月21日(火曜日)

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令和五年二月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 赤羽 一嘉君

      東  国幹君    石破  茂君

      上杉謙太郎君    田所 嘉徳君

      田中 和徳君    八木 哲也君

      源馬謙太郎君    櫛渕 万里君

   兼務 早坂  敦君 兼務 美延 映夫君

   兼務 穀田 恵二君 兼務 北神 圭朗君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   国土交通副大臣      石井 浩郎君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       井上  誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            宮澤 康一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 寿延君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            木村  実君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中 利則君

   参考人

   (独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構副理事長)          寺田 吉道君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     田所 嘉徳君

  田中 和徳君     上杉謙太郎君

  源馬謙太郎君     緑川 貴士君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     東  国幹君

  田所 嘉徳君     石破  茂君

  緑川 貴士君     岡本あき子君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     田中 和徳君

  岡本あき子君     源馬謙太郎君

同日

 第三分科員穀田恵二君、第四分科員北神圭朗君、第七分科員早坂敦君及び美延映夫君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

赤羽主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。美延映夫さん。

美延分科員 日本維新の会の美延映夫と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、淀川左岸線二期、阪神高速道路三号神戸線海老江ジャンクションから新御堂筋、仮称なんですが、豊崎ジャンクションを結ぶ地域高規格道路であり、新名神高速道路、淀川左岸線一期、淀川左岸線延伸部、阪神高速道路六号大和川線及び第二京阪道路とともに近畿圏の広域ネットワークの強化を担っております。

 淀川左岸線二期の整備により、大阪都心北部地域での交通混雑の緩和と市街地環境の改善を図ることが可能になります。

 現在の大阪の高速道路は、都心部に位置する阪神高速道路の環状線から放射状に周辺地域に延びるネットワークが形成されています。そのため、周辺地域から他の地域に移動するだけの通過交通も都市部に集中し、環状線などで慢性的な交通混雑を引き起こすため、周辺環境の悪化や、社会経済活動への影響が問題となっております。

 こうした問題を抜本的に改善するために計画されたのが大阪都市再生環状道路であり、大阪市中心部の外側を取り巻く延長約六十キロメートルの自動車専用道路です。

 整備効果なんですが、都市部の交通混雑を緩和し、市街地環境の改善をすることができます。都心部に流入する通過交通を大阪都市再生環状道路に転換し、十万台を七万台にすることによって三割削減することが可能になります。交通を円滑にし、市街地環境の改善を図ります。

 物流の効率化、企業立地を促進します。大阪湾ベイエリアには大型物流施設が多数立地しており、臨海部と内陸部の連携強化による物流の効率化が進むことによって、更なる投資を誘発いたします。

 大阪府を訪れる外国人観光客は、コロナ禍前の活気を取り戻しつつあります。臨海部は、御存じのユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどが立地するほか、新たな国際観光拠点、再来年に万博が開かれる夢洲のまちづくりも、今後も大きな観光客が訪れると見込まれており、淀川左岸線の整備により、都心北部から観光施設へ向かうアクセスが向上いたします。

 昨年十月に都市再生緊急整備地域に指定された新大阪周辺地区、これはまた後で質疑させていただきますが、リニア中央新幹線や北陸新幹線との接続など、スーパーメガリージョンの西の拠点としての役割が期待されており、淀川左岸線は、新御堂筋を経由して、臨海部など各方面へ連絡する重要なアクセス道路となります。そして、堤防と一体化することによって、災害にも備えられる画期的な構造でもあります。

 しかし、元々ここは運河の埋立地でありまして、軟弱地盤であり、さらに、建築資材の高騰等で約一千億円の増額が必要と見込まれております。

 この淀川左岸線二期の意義は最初にお話ししたとおりなんですが、今後の工事の進捗状況について、国交省の御見解を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

天河政府参考人 お答えいたします。

 淀川左岸線二期事業は、大阪都心北部地域の交通混雑の緩和と市街地環境の改善を図るとともに、近畿圏の広域ネットワークの強化を図るため、事業主体の大阪市が積極的に事業を推進し、現時点では、ほぼ全線で工事を展開しております。

 具体的には、供用済みの淀川左岸線一期との接続部から国道二号の区間では、トンネルの本体工事を施工しており、国道二号から東側の区間では、トンネル本体工事の前段階の地盤改良工事などを実施しているところでございます。

 以上でございます。

美延分科員 今申し上げましたように、再来年には万国博覧会が夢洲というところで開かれます。もう皆さん御存じのとおりだと思うんですけれども。この万国博覧会に向けて、三つの重要なアクセス道路の整備が予定をされております。

 一つ目は、大阪メトロの中央線の延伸、これが一つ目。それから二つ目は、JR西日本桜島駅、桜島駅というのは、実はユニバーサルスタジオの隣の駅でありまして、ゆめ咲線というんですけれども、そこの終点駅からのシャトルバス。それから三つ目が、東海道新幹線の発着駅でもある新大阪駅や西日本最大のターミナルである大阪駅周辺から出るシャトルバスです。

 このバスは、今日は資料配付をさせていただいたんですが、アクセスルートとして暫定的に利用するために、万博までの令和五年度、六年度で年間約三百億円の規模の事業費が必要となります。万博、これは成功のために必要な経費と私は考えておるんですが、斉藤大臣の御所見を伺えますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 淀川左岸線二期事業は、大阪・関西万博の成功や、その後の大阪、関西の発展のために重要な道路であると認識しておりまして、補助事業として計画的かつ集中的に支援をしております。

 事業主体である大阪市からは、今回の整備区間を会場までのアクセスルートとして暫定的に利用できるようにするため、特に、鉄道や道路との交差部や、新大阪駅、大阪駅に向けた出入口となるインターチェンジ部のトンネル、橋梁等を優先的に完成させる必要があると伺っております。

 国土交通省としましては、今後とも、こういった大阪市の御要望も踏まえ、適切に支援してまいりたいと思っております。

美延分科員 大臣、前向きな答弁、非常にありがとうございます。

 今、万博の話をさせていただきました。本日の議題の本題とは少し離れるんですけれども、この万博に合わせて、大阪の夜の顔とも言われる、大阪一の歓楽街である北新地の南北の道路である御堂筋側が、大阪市が本年度から歩道を再整備することになると私は伺っています。

 実は、先日、この北新地の料飲組合の役員の皆さんから御要望いただいて、大阪国道事務所の皆さんの御配慮で、東西の道路である国道二号線の歩道の清掃を行っていただきました。本当にきれいになりまして、本当にありがとうございました、国交省の皆さん。

 ここは、今言いましたように、間違いなく大阪の顔であります。せっかく南北の御堂筋側を再整備をするのであれば、一緒に東西の二号線の歩道も再整備して、お客さんが歩きやすく、そして、ああ、大阪はきれいになったな、美しいなということをお客さんに是非見ていただきたいと思うんですけれども、国交省さんの御所見はいかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 令和七年四月から開催予定の大阪・関西万博を成功させるために、国交省では様々な協力をさせていただいております。

 道路分野につきましては、大阪・関西万博に関するインフラ整備計画、これに基づきまして、先ほど委員御指摘の淀川左岸線の二期の整備、また、新名神高速道路の整備、それと緊急交通路の無電柱化などを行うこととしておりまして、今後も引き続き事業を進めてまいりたいというふうに思っております。

 御堂筋の環境整備も、万博の計画に基づき実施されるものと承知をしておりますが、お尋ねの国道二号の歩道の整備につきましては、この計画にはまだ位置づけられておりませんので、費用負担の問題などありますので、大阪市を始めとする地元の関係者と、実施の可能性について調整をしてまいりたいと考えております。

美延分科員 是非検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、その豊崎ジャンクションまでの延伸が済んだとしても、これがゴールではありません。先ほど申し上げましたように、淀川左岸線延伸部が完成することによって、大阪都市再生環状道路のミッシングリンクが解消し、近畿圏の広域ネットワークが強化されます。交通の円滑化や迂回機能の確保、地域の活性化を考えれば、豊崎ジャンクションから大深度でつなぎ、門真の第二京阪道路にアクセスして、この事業の効果が表れ、関西の物流が効率化し、沿線地域への新たな企業進出、それから地域経済の活性化が期待されます。

 そこで、淀川左岸線二期と同じく、二〇三二年度全面開通予定で国の直轄事業でもある淀川左岸線延伸部の今後について、政府の見解を伺います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国道一号淀川左岸線延伸部でありますが、都市部の渋滞緩和、また、利便性の向上を図ることを目的とした延長八・七キロの道路でございまして、平成の二十九年度より直轄事業と有料道路事業との合併施行事業として事業化いたしまして、NEXCO西日本、また、阪神高速とともに事業を進めているところでございます。

 この淀川左岸線延伸部は既成市街地を通過することから、沿道への環境に配慮するためトンネル構造を主体といたしております。現在、全線にわたりまして、地質調査、トンネル設計を進めております。また、鶴見地区、豊崎地区におきまして一部改良工事を実施しているところでございます。

 引き続き、関係機関、自治体とも協力しながら事業を推進してまいりたいと考えております。

美延分科員 これは本当に、今申し上げましたように、ここができないと、先ほど言いましたように、都市部の大阪の環状線に入ってくる車を逃がすことができませんので、そこをしっかり、この計画に基づいてお願いしたいと思います。

 次に、北陸新幹線について伺わせていただきます。

 御承知のように、東京―金沢間は平成二十七年三月十四日に開業しております。他方、敦賀―新大阪間については、北陸新幹線の敦賀―新大阪延伸の着工のめどが立っておりません。国交省は、沿線自治体が求める二〇二三年度の当初の着工を正式に昨年末に断念をいたしました。

 北陸新幹線敦賀―新大阪間は約百四十キロ。敦賀のほか、東小浜付近、京都、松井山手付近、新大阪に駅を設ける計画だと聞いております。二〇一七年三月にルートの概略が決定し、二〇一九年十一月に環境影響評価方法書を公表。現在、環境アセスメントを進めている段階であります。

 北陸新幹線敦賀―新大阪間は京都府内の山間部に長大トンネルを掘り、大阪府内は大深度も検討するなど、難工事が予想されております。京都府内では環境に対する影響も心配する声が高まっています。ルートに関しては、京都市内を南北に通るのか、それとも東西に通るのかは大きな関心事ですが、それすらまだ明らかにされてはおりません。

 総事業費は約二兆一千億円と見積りをされていますが、その財源の裏づけも取れておりません。そもそも金沢―敦賀間や北海道新幹線の建設費用が上振れする状況で、本当に二兆円余りで新大阪駅まで造れるのかという疑問もあります。

 今申し上げたとおり、環境問題、財源のハードルが高く、そもそも本当に造れるのかという疑問すら漂います。事業費が三兆円規模に上振れする可能性は少なくありませんが、その場合、沿線自治体の負担も相当な金額になるはずで、京都や大阪府民が納得するでしょうか。

 そのような中、国交省は、着工の先送りと引換えに、着工後に予定していた詳細な地質調査や地下水の影響分析など、前倒して行う案を示してこられました。この北陸新幹線は、地元から早期の全線開業の要望が上がっており、事業の具体化に向けた課題の早期解決とともに、未着工区間である敦賀―新大阪間の現在の進捗状況と今後の整備計画について、斉藤大臣の御所見を伺います。よろしくお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 北陸新幹線敦賀―新大阪間につきましては、鉄道・運輸機構において環境影響評価が進められているところでございまして、引き続き、丁寧かつ適切に評価手続を実施してまいりたいと思っております。

 また、この事業につきましては、京都駅や新大阪駅の位置や工法、地下水への影響など、施工上大変大きな課題がございます。

 こうした状況を踏まえ、令和五年度当初予算案において、北陸新幹線事業推進調査を十二億円強計上し、従来、工事実施計画の認可後に行っていた調査も含め、施工上の課題を解決するための調査を先行的、集中的に行うこととしております。

 国土交通省としては、施工上の課題を解決することなどにより、着工に向けた諸条件についての検討を深め、一日も早い全線開業を実現してまいりたいと考えております。

美延分科員 大臣、是非前向きによろしくお願いいたします。

 というのは、実は私は、大学を卒業しまして、一番最初に旅行会社に就職しました。そのときというのは、もちろんまだ北陸新幹線の全くない頃で、大体、例えば、北陸の片山津温泉であるとか、あわら温泉であるとか、山中温泉であるとか、和倉温泉であるとか、こういう石川県や福井県の観光地というのは、ほとんど大阪、関西からというのがメインだったと思います。そのときは、私の記憶では、大体そういう大きなホテルや旅館は、大阪に営業所というのを持っておられました。でも、今、北陸新幹線ができて、どっちかというと、大阪よりも関東、東京の方から来られる方が増えているということを聞いております。

 そういう意味では、やはり、大阪と、大阪というか関西と北陸というのは、本当に元々そういう強固なつながりがありましたので、そのためにも、新幹線、敦賀から新大阪まで是非一日も早く開業していただいて、しかも、JR西日本が行っておられるわけですから、是非これをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 次にちょっと伺いたいんですけれども、二〇一八年八月に、新大阪駅周辺地域が都市再生緊急整備地域の候補地域として内閣府より公表されたことを受け、国、経済団体、民間事業者、学識経験者などとともに、二〇一九年一月に、新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会を設置し、都市再生緊急整備地域の指定を目指したまちづくりの検討を進めてまいりました。そして、二〇二二年、昨年の十月二十八日に、国において、都市再生特別措置法に基づき、都市再生緊急整備地域に指定されました。

 この北陸新幹線、敦賀―新大阪間の整備計画、特に新大阪駅の駅位置がある程度見えてこないと、今後予定されている新大阪駅再開発のめどが立たず、この都市再生緊急整備地域に指定されている新大阪駅周辺のまちづくりの計画を進めることが難しいということは言うまでもありません。

 昨年の十月二十八日に、国が都市再生緊急整備地域に指定したにもかかわらず、北陸新幹線の敦賀―新大阪間の整備計画が進んでいないがゆえに、新大阪駅再開発のめどが立たないのはいかがなものかと思います。この都市再生緊急整備地域として、新大阪駅のまちづくりについて政府の御見解を伺います。

天河政府参考人 新大阪駅は、北陸新幹線だけでなく、リニア中央新幹線の駅となることも見込まれており、その周辺地域は、我が国の経済発展や国際競争力の強化を図る上で重要な地域であります。

 このため、国は、関西のゲートウェーとしてふさわしい、駅、町一体の国際的な都市拠点の形成を目指し、昨年十月に、この地域を都市再生緊急整備地域として指定したところです。

 今後、国と自治体、民間事業者等で構成される都市再生緊急整備協議会におきまして、まちづくりの方針、あるいは具体的な都市開発プロジェクトの内容等につきまして調整を行うこととしております。国としましては、財政、金融等の支援措置により、都市再生に係る取組を積極的に支援していきたい、このように考えております。

美延分科員 そうなんですよね。今度、いわゆる北陸新幹線だけじゃなくて、リニアの駅にもなるわけです。ということは、もう西日本の拠点の駅にこれは違いなくなりますので、その新大阪をやはり整備を進めていくというのは、都市開発を進めていくのは非常に重要なことだと思います。

 私、国会議員にならせていただいて、それからサラリーマンの頃も、東京で二年ほど勤めていたことがあるんですけれども、やはり、まだまだ関西、大阪というのは、先ほど申し上げましたように、キタのエリア、ミナミのエリア、ここの二つのエリアはそれなりににぎわいも見せておるんですけれども、やはり、東京というのは、山手線内の各駅がすごいにぎわいを見せている。そういう意味で、新大阪であるとか、私が去年も質疑しましたけれども、京橋であるとか、天王寺であるとか、こういうところがどんどん発展することによって西日本の底上げにつながってきますので、ここはもう是非お願いしたいと思います。

 今、ちょっとお話しさせていただいた大阪駅の話なんですけれども、来月、三月十八日に、うめきたに大阪駅の新駅が地下駅としてできることになりました。本当にこれはうれしいことであります。

 皆さん御存じかどうか分かりませんけれども、実は、新大阪発で関西空港に行っている「はるか」という特急があります。それから、南紀白浜とか勝浦の方に行っている「くろしお」という特急があります。これは新大阪が起点であって、実は、大阪駅は駅舎がないために、今まで大阪駅は素通りして、西日本最大のターミナルである大阪駅は止まらないという、何十年かこれが続いていて、もうこれは何とかせないかぬということで、私、地元の大阪市会議員の頃からずっとこれを大阪市議会でも質疑したりもしていたんですけれども、これは来月に駅ができることになって、もう本当にうれしい限りなんですけれども、これがゴールでは実はないんです。

 これがゴールではないというのはどういうことかといいますと、今度は、大阪駅には止まるようにはなったんですけれども、その後は、やはりまた、環状線を上がっていって、天王寺とかを経由して関空に行くという形になるんですけれども、私たちは、大阪駅からそのまま地下でなにわ筋線というのが、今までずっと計画であったんですけれども、これはなかなか大阪府、大阪市の意見がまとまらなくて前に進めなかったということがありました。

 手前みそで非常に恐縮なんですけれども、私たち維新の会の知事、市長が誕生して、このなにわ筋線というのは、もう本当に関西の経済を発展させるためには絶対必要な道路ということで、やっと前に進んでまいりました。

 私、先ほど言いましたように、大学を卒業して旅行会社に勤めておりまして、例えばヨーロッパの空港なんか、皆さん御存じなんですけれども、ヨーロッパのその空港からそこの一番メインの駅まで行くのに何分かかる、ダウンタウンまで行くのに何分かかるというのが、空港の格付なんかでも非常に重要なこと、そのたった十分、二十分の差が空港の格付にも影響してまいります。

 そういう意味で、なにわ筋線の延伸ができて初めて大阪の関空へのしっかりつながりが出てくると思います。

 それからもう一つは、今まで、ミナミの方の大阪の私鉄で南海電鉄という電車があるんですけれども、これはなんばというミナミの駅で止まったままなんですけれども、今度なにわ筋線ができれば、大阪駅まで乗り入れできます。

 そういう意味で、これは、なにわ筋線を一日でも早く着工して開通することが関西経済の発展につながる、これは間違いないと思いますので、これを是非前に進めていただきたいと思うんですが、国交省さんの御意見を伺いたいと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 なにわ筋線は、大阪都心部と関西国際空港とのアクセス改善、また、先ほど委員の方から御指摘がございましたうめきたでありますとか、さらには中之島などの拠点の交通結節点機能の強化などによりまして、関西経済全体の活性化に資するものでございます。大変重要な事業であると認識しております。

 このため、本事業につきましては、令和元年度より整備費に対する補助を行ってきておりまして、来年度の当初予算案におきましても所要額を盛り込んでいるところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、地元自治体と連携をいたしまして必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

美延分科員 今日は、今のなにわ筋線、それから阪神高速の左岸線の延伸の問題、二期工事の問題、そういう大阪のいわゆる交通アクセスについて、斉藤大臣そして国交省の皆さんにいろいろな私の御意見を申し上げ、皆さんの答えを返していただいたわけなんですけれども、これは本当に大阪経済のために必要なことですので、是非前に進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

赤羽主査 これにて美延映夫さんの質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、八木主査代理着席〕

八木主査代理 次に、田所嘉徳君。

田所分科員 茨城の田所嘉徳でございます。

 住宅の、あるいは建築物の省エネ化等から質問を始めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 昨年の六月に建築物省エネ法が改正をされまして、二〇二五年度には、住宅を含む全ての建築物について省エネ基準への適合が義務づけられるわけであります。この背景には、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けて、我が国のエネルギー需要の約三割を占めている建築物分野の省エネルギー化を進めようということが目的でありまして、環境対策ということであります。

 しかしながら、私は、建築物の省エネ化は、CO2排出を削減するというこの観点からだけではなくて、高断熱化などによりまして、快適で健康的な高性能の建築物として、ストックとしての価値向上を図るべきだというふうに考えております。

 私は、世界一高性能の日本製の車が帰り着く先の住宅が、断熱性能が低くて、ヒートショックなどの死亡者が交通事故よりも何倍もあるというようなことは、貧しいとしか言いようがないというふうに思っているのであります。

 現在は、子育て世代の若い夫婦が家を建築をするわけでありますが、退職する頃にはミンチ状に壊して解体する、廃棄するというようなことでありますから、まさに、そして建て替えるというような状況は、これは決して環境にいいとは言えないというふうに思っております。長寿命であることは省エネそのものでもありますので、その意味でも、高性能、高品質の建築物を残すということが大変重要だと考えております。

 私は、一級建築士としても、このような大きな制度改正によって、建築業界全体の技術の向上、底上げにつながることを期待し、また、投資が促進されて、高性能な建築物による豊かな社会実現の好機にもすべきだというふうに考えております。

 二年後には、住宅を含め、全ての建築物について新しい省エネ基準への適合が求められるわけで、その設計や施工を担うことになる建築士や中小ビルダーからは、義務化に向けた不安の声が聞かれているわけであります。

 そこで、二年後に控えた省エネ基準の全面義務化に向けて、設計あるいは施工を担うこととなる建築士の習熟や、中小ビルダーが取り残されないようにすることが重要だと思われますけれども、これに対してどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の住宅ストックを見ますと、現行の省エネ基準を満たす住宅の割合は約一割にとどまっておりまして、健康で快適な住生活のためにも、高性能な住宅、とりわけ、先生御指摘のような長期優良住宅でありますとか省エネ性能が確保された住宅、この供給を促進することは重要だと考えてございます。

 二年後に控えました省エネ基準の全面義務化、これを市場の混乱なく実現していく、ひいては業界全体の技術力の底上げにつなげていくということのためには、設計や施工を担っておられます建築士の皆さん、中小事業者の皆さんの体制整備が不可欠でございます。

 このため、建築士が省エネ基準に適合した建築物の設計をしやすくなりますように、基準の簡素化など、制度自体も使いやすくするように見直しました上で、義務化に対応しました設計等のマニュアルなどの作成をいたしまして、周知を図ってまいります。

 また、中小事業者の施工技術力の向上に向けましては、座学の講習に加えまして、断熱工事の実地訓練を実施いたしますなど、支援の強化にも取り組んでまいります。

 昨年十一月、建築士の団体や中小の住宅生産者団体を含めまして、二十三の団体で、改正建築物省エネ法の円滑施行に関する連絡会議を立ち上げました。この場を通じまして、私どもから様々な情報を関係者にお届けし、また、現場の声をよく聞かせていただいて、義務化に向けまして関係者の体制整備を推進してまいりたいと存じます。

田所分科員 省エネ基準の全面義務化といいますと、これは厳しい省エネ基準が進められるんだろうというふうに考えられるかもしれませんけれども、よく調べてみますと、基準自体は変わっていないんですね。義務化というところがこの二〇二五年の話でありますので、そうとすれば、段階的なものであるというふうに捉えるべきだというふうに思っております。

 本丸はそれからでありまして、省エネ基準義務化の後、さらに五年後には、二〇三〇年に、それを上回るZEHやあるいはZEB水準の、超高性能の省エネ基準を確保することが第六次エネルギー基本計画には掲げられているわけであります。

 この近い将来に進化することになっている目標の実現を考慮すれば、二〇二五年の省エネ基準を底上げして、より高い省エネ性能が確保された建築が進むよう誘導を図る必要があります。今からでも、もう既にメーカーハウスなどでは非常に進んだものがありますし、そういったことも理解してもらわなければならないと思っております。

 確かに、更なる断熱化等に力を入れれば、初期費用が割高になるということもあります。しかしながら、高騰する光熱費等を考慮すれば、将来的なランニングコストの削減にもつながるわけであります。

 ですから、二〇三〇年の、より高い省エネ性能の住宅が造られるようにこれは進めるべきだと思いますけれども、どのように誘導していこうとしているのか、お伺いをしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の住宅、建築物の省エネ対策でございますけれども、二〇三〇年までにZEH水準の省エネ性能による建築を義務化するということを見通して、こういった将来方針をよく周知を図りながら、まずは二〇二五年度から現行の省エネ基準を義務化する、そして現段階から、ZEH水準など、より高い性能の住宅の供給をできるだけ誘導していくということが必要でございます。

 より高い性能が確保されました住宅の供給を誘導してまいりますためには、供給事業者の努力を促すということに加えまして、住宅取得者側のニーズを誘導していくということ、この両面が重要だと思います。このため、大手事業者を対象にいたしました住宅トップランナー制度によりまして、供給事業者の努力を促してまいっておりますが、本年四月からは、その対象に新たに分譲マンションを追加をいたします。

 次に、住宅取得者側のニーズの誘導には、まず、その取得費用の負担軽減が重要でございます。経済産業省さん、環境省さんとの連携によりますZEHの補助のほか、税制におきましては、省エネ性能等の水準に応じました住宅ローン控除の借入限度額を引き上げる措置、そして、融資におきましては、住宅金融支援機構が提供いたしますフラット35の金利優遇などを講じることといたしました。

 また、省エネ性能の高い住宅に対します住宅取得者の関心を高めるために、省エネによります効果を正確かつ分かりやすく周知いたしますとともに、住宅等の販売、賃貸の際におきます省エネの性能表示の仕組み、これについても準備を進めてまいりたいというふうに存じます。

田所分科員 既存住宅の省エネ化につきましてお尋ねをしたいと思います。

 空き家を除く住宅ストック約五千四百万戸のうちに、現在の省エネ基準に適合する住宅の割合は僅か一割にとどまっているということだろうと思います。こうした既存住宅の省エネ化をいかに進めていくか、これは大変大きな課題だというふうに思っております。

 新築なら、省エネ基準を守らなければ許可しないということもあるだろうけれども、既存住宅にそのような義務を課すようなことは、これはなじみませんので、誘導策によって推進していくことが必要だと思います。そのために、改修費用の負担軽減のための、政府としての支援策を講じるべきだろうというふうに思っております。

 断熱性能の高い住宅は、非常に快適であるばかりでなく、ヒートショックの予防にも資するなど、健康上のメリットもあるわけであります。断熱化するにしても、建築物全体にすれば、これは大変な費用がかかることもあって、一部ずつ、リビングなど、効果が分かるようなところから始めるというふうな考え方もあるだろうというふうに思います。

 また、一番熱の貫流が大きいところ、窓ですね、これを、六割の熱の損失等があると言われておりますので、この窓の改修などもありますし、住みながら改修をするというような工夫もあるだろうと。

 そういったことをいろいろと取り交ぜながら、既存住宅の改修を進めていくべきだ。支援策を含めて、省エネ化にどのように取り組もうとしているのか、お尋ねをしたいと思います。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、既存住宅の省エネ改修の促進には、所有者の方の後押しとなるような十分な負担軽減策と、改修のメリットを共感していただけるような普及啓発、この二つが特に重要だと思います。

 まず、負担軽減につきましては、今年度の補正予算におきまして、先ほども申し上げました経済産業省、環境省さんとの三省連携によります、新築と合わせて二千八百億円という、これまでにない規模の支援策を講じております。また、昨年十月から、融資の関係では、新たに住宅金融支援機構によります低利の省エネ改修融資制度を始めました。また、税制では、省エネ改修を行った場合の税制特例、これも今年度から拡充を図ったところでございます。こういった負担軽減策の周知をしっかり行ってまいります。

 また、あわせまして、普及啓発の関係では、断熱改修によります光熱費の削減効果に加えまして、温熱環境が改善されることによります快適性の向上でありますとか、血圧の低下といった健康上のメリット、これについても医療の専門家によりまして実証がされているところでございます。こういったことについても、チラシの作成などによって広く周知を図ってまいります。

 さらに、先生御指摘のように、住宅の全体丸ごとということではなくて、居室の窓など部分的な改修を行った場合にも相当の省エネ効果がございます。そのことを定量的に示せるようにする実証事業を進めておりまして、今後、その成果をガイドラインとしてまとめて、広く周知をしてまいりたいと存じます。

 こういった取組によりまして、既存住宅の省エネ改修を推進してまいりたいと存じます。

田所分科員 それでは、建築から、河川の整備進捗についてお尋ねをしたいと思います。

 令和元年の東日本台風は、関東あるいは東北、甲信越の広範な地域に甚大な被害を及ぼしました。記憶に新しいところでありますけれども、私の地元の茨城県水戸市を流れる那珂川でも堤防の三か所が決壊して、二千戸以上の家屋が浸水するという大きな被害が発生をいたしました。

 水害の発生後、国、県、沿川の市町が連携して、那珂川の氾濫による浸水被害を防止するために、那珂川緊急治水対策プロジェクトをスタートいたしました。全体六百六十五億円という大規模なものであります。ありがたい予算化だというふうに思っております。

 堤防整備や河道掘削などのハード対策と、マイタイムライン作成などのソフト対策が一体的に進められているわけであります。爾来、河川の整備工事が着実に進んでおりまして、地元からも安心感が増したというふうな声も聞かれているような状況であります。

 また、私が那珂川に行くたびに堤防の整備が進み、河道掘削により風景が変わっていくなどということも実感がされるところであります。近年、大雨が降っても那珂川の水位がそれほど上昇しないのは、これは河道掘削の効果ではないかと考えております。全国で七か所、緊急治水対策が立ち上げられたと言われておりますけれども、多分、各地でそういった効果も出現しているのではないかというふうに思っているわけであります。

 これらの工事が進むにつれまして、地域からは、一日も早く整備を完了して安全にしてもらいたいというふうな声が上がっておりまして、地域の期待は大変高くなっているわけであります。

 そこで、集中的に進められている那珂川緊急治水対策プロジェクトの進捗状況につきまして、説明をいただきたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、那珂川では、令和元年東日本台風で甚大な被害が発生したことから、国、県、市町が連携し、ハード、ソフトが一体となる那珂川緊急治水対策プロジェクトを立ち上げ、再度災害防止のハード対策として河道掘削、堤防整備、遊水地整備などを実施中でございます。

 河道掘削につきましては全六地区で工事を進めているところであり、堤防整備は全九地区のうち八地区で工事に着手し、残りの一地区についても地域の協力を得ながら用地取得を進めているところでございます。また、遊水地一か所の整備は、地域の御理解をいただき、工事を進めているところでございます。

 さらに、こうしたハード対策が完了するまでの間も住民の命を守ることができるよう、市町と連携して、マイ・タイムラインの作成などへの支援を行っているところでございます。

 引き続き、県、市町と連携しながら、本プロジェクトを着実に進めてまいります。

田所分科員 水害から命を守るためにどのようにするのか。ハード整備も大変重要でありますけれども、私は、一人一人が水害の危険性を把握して命を守る行動が取れるようにすることも非常に重要だろうというふうに思っております。ハードは幾ら整備しても、整備すればするほど内水の被害が大きくなるわけでありますので、これは追いかけっこで、ソフトの対策というものを怠ることはできないということだろうというふうに思っております。

 適切な避難行動に結びつけるために、ハザードマップの有効性というものが認められております。低いところに水が集まる、正直な現象でありますので、そして、そのハザードマップの整備が進められていますけれども、必ずしも全ての人々にそれが認知され、理解されているとは言えないのではないか、もったいない状況だというふうに思っております。

 そういう中で、特にデジタル化の技術が進化しており、ハザードマップ上の複数の情報を認識しやすく表現できるようにする、例えば視覚障害者などハンディキャップのある人にも理解できるようにすることも、やはり目的としなければならないと思います。それによって、一人一人が取るべき行動を理解できるようにした上で、それぞれの視点に立ったマイ・タイムラインを作成するなど、ソフトの対策を進めるべきだと思っております。

 マイ・タイムラインは、関東・東北豪雨、平成二十七年でありましたが、下館河川事務所発祥でありまして、それぞれの状況から、持っていくものをまとめてここに置いてあるとか、あるいは、この道を通って、親戚のうちに話がちゃんとつけてあるから、そこの二階に二、三日住むことになっているとか、そういうことを含めた、まさに身の丈に合った、しっかりとそれぞれの計画ができるという意味で、大変私は意義があると思っております。

 そこで、災害時に確実に避難できるようにするための、障害者を含むあらゆる人が理解できるハザードマップをどのようにするかということ、そして、一人一人が実効性のある避難行動を取るためのマイ・タイムラインについて、国土交通省の取組状況をお伺いしたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 洪水時の円滑な避難のためには、あらゆる人がハザードマップに記載された情報を把握できるようにし、一人一人が災害時に取るべき避難行動をあらかじめ確認しておくことが重要でございます。

 国土交通省では、視覚障害者を含めて、あらゆる人がハザードマップを理解できるよう、ハザードマップのユニバーサルデザインに関する検討会を設置し、検討を進めているところでございます。その検討結果等も踏まえ、災害リスクが音声情報として読み上げられる機能を追加するなど、視覚障害者も含め、誰もが容易に災害時に取るべき行動を理解できるよう、ハザードマップの改善を進めてまいります。

 また、各個人の災害時の行動計画を示したマイ・タイムラインの普及に向けては、手引の作成や市町村への教材の提供のほか、日本防災士機構と連携した研修会を行うなどの取組を進めているところでございます。

 引き続き、ハザードマップの周知促進やマイ・タイムラインの普及啓発により、水害時の円滑な避難の確保に向けて取り組んでまいります。

田所分科員 平成二十七年の関東・東北豪雨災害では、四千三百人が逃げ遅れになってしまったということでございます。ヘリコプターでつり上げられて救出される姿が報道されて、印象的でありますけれども、そういう中にあって、やはりソフトの災害対策というものが重要だということだろうというふうに思います。

 そして、早期に避難をするためには、的確な情報が私は必要だろうというふうに思っております。地元では、国土交通省からいろいろな指導を受けながらも、ついぞ警報が出せなかったというのがこのときの状況であります。そして、そういう中で、そういう逃げ遅れがたくさん発生してしまったというようなことがありましたので、的確な情報、これが大変重要だろうというふうに思っております。

 近年頻発しております大雨による浸水被害や河川の氾濫では、水位を提供するだけではなくて、被害状況を面的にリアルタイムに把握して、状況を見える化する、そういった情報発信が重要だろうというふうに言われております。それは、何万人にも避難の指示、今一本化されましたが、避難の指示を出しても、これは全部が動いたら、それこそ二次被害が発生するようなことにもなってしまいますし、正常性バイアスの高い人は動かない。それは、誰が動いたらいいのかというふうな課題にもなってしまいます。だから、警報は出しさえすればいいというものではないということだろうと思って、的確に、ポイントポイントに出すというふうな仕組みが重要になってくるんだろうと思います。

 このような中で、国土交通省が、小型センサーを活用して浸水被害や河川の氾濫を瞬時に観測する体制を構築していくんだというようなことが報道されておりました。

 そこで、この浸水センサーを活用した被害状況の的確な把握と迅速な情報発信について、国土交通省の取組状況をお聞きしたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 大雨による浸水被害が頻発する中、住民への的確な避難情報の提供や災害対応を迅速に行うためには、地域における浸水の状況を速やかに把握することが重要でございます。

 国土交通省では、浸水状況をリアルタイムで把握することができる小型の浸水センサーを活用した実証実験を、今年度から全国五つの自治体で実施してございます。愛知県岡崎市では、昨年九月の台風十五号の際に、浸水が始まった時刻や深さ、範囲を迅速に把握することができるなど、その有効性が確認できました。

 一方、本格的にセンサーの活用を進めていくためには、多くの自治体や民間企業等が設置できるよう、より安価なセンサーを供給することが課題でございます。

 今後は、おおむね五年以内に約一万個の浸水センサーを普及拡大することで低価格化を図るとともに、浸水情報をリアルタイムで収集、発信する仕組みの構築を行い、住民の早期避難や災害対応の迅速化につなげてまいります。

田所分科員 防災・減災、国土強靱化についてお伺いをいたします。

 近年の自然災害が激甚化、頻発化している状況、また、首都直下地震を始めとする大規模地震災害の発生予測などがある中で、防災・減災、国土強靱化の取組は、止めることなく継続すべき課題であるというふうに思います。

 現在は、令和二年の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の閣議決定に基づいた事業が進められております。これにより、昨年の台風十四号においては一定の減災効果が見られたと評価され、着実に成果が上がっているというふうに思っております。しかし、この五か年加速化対策は令和七年度までなので、その後も引き続き、ハード、ソフト一体となった取組を強力に進めていく必要があると思います。

 このような中で、昨年十月に岸田総理より、現行の国土強靱化基本計画について、令和五年度を目途に改定すべき、取組を開始するよう各省庁に対して指示がされたと承知をしております。

 そこで、国土強靱化における、これまでの防災・減災、国土強靱化の推進状況及び五か年加速化対策後の取組についてお伺いをいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 激甚化、頻発化する豪雨災害、それから切迫する大規模地震、またいつ起こるか分からない火山活動、火山災害、これらから国民の皆様の命と暮らしを守ることは、国の重大な責務と認識しております。

 国土交通省におきましては、五か年加速化対策に基づきまして、流域治水、道路ネットワークの機能強化、地震、津波対策、それからインフラ老朽化対策、デジタルを活用した気象予測高度化や施工の効率化、省力化などの対策を、重点的かつ集中的に実施しているところでございます。

 この結果、先ほど田所委員からも御紹介ございました河道掘削やダムの事前放流など、ハード、ソフト両面にわたる取組によりまして、大規模な被害を未然に防止するなど、一定の効果を発揮している、このように考えております。

 一方、実施予定の箇所もまだ残っております。気候変動による降雨量の増加等も予測されているため、取組の強化が必要でございます。

 五か年加速化対策後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に取組を進めることが重要であると考えており、現在、政府において検討している新たな国土強靱化基本計画の策定に向けて、関係省庁と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

田所分科員 大臣、ありがとうございます。

 物理学者で随筆家の寺田寅彦は、この世の地獄の出現は決して杞憂ではない、歴史の教えるところである、一般の人がその恐ろしい状況をたまに忘れることはあっても、一国の枢機に参与する者はゆめゆめ健忘症にはなってはならないというようなことを言っております。まさに政治、行政の課題として、防災・減災、しっかりと前に進めていただきたいというふうに思います。

 最後に、三Kなどと言われて若者に敬遠されがちな建設業において、厳しい現場作業を少なくして、それでも収益が上がる生産性向上を図る必要があります。そうでなければ、災害発生時の復旧やインフラの維持管理に不可欠な存在である地元の建設業者が、後継者が育たない、そして衰退するということになってしまいます。

 そのような中で、i―Constructionとインフラ分野のDXへの取組が進んでおりまして、ICTの建機やドローンの活用による省力化は、生産性向上の決め手になるというふうに思っております。しかし、現状を見ると、大手建設業者のみが先行をして、地場の中小事業者への導入は進んでいないというのが現状であります。地域の中小建設業者こそi―Construction、インフラDXを浸透させて、建設業を若手に選んでもらえる魅力ある仕事としていかなければならないと思います。

 そこで、i―Constructionの一層の推進と、インフラ分野のDXの推進に向けた国土交通省の取組をお伺いをいたします。

佐藤政府参考人 国土交通省では、建設現場の生産性向上に向け、調査、設計、測量から施工、維持管理・更新までの全てのプロセスにおいてICTの活用などに取り組むi―Constructionを推進しております。

 直轄工事においてICT施工を経験した建設企業の割合は、委員御指摘のとおり、大手の九割に対して、中小では約五割まで拡大してきております。

 中小建設企業の更なるICT施工の普及拡大に向けて、例えば、ICTに関するアドバイザーによる支援、研修などの実施、比較的小規模な現場でも活用可能なICT施工の基準や要領の整備を進めております。これに加え、i―Constructionを中核に、工事書類のデジタル化を含め、デジタル技術を活用して事業全体の変革を目指す、インフラ分野のデジタルトランスフォーメーションを推進しております。

 今後も、インフラ分野のDXにより、生産性向上やサービスの高度化を目指すとともに、魅力ある仕事として若手にも選ばれるよう取り組んでまいります。

田所分科員 ありがとうございました。

 それでは、安全、安心な国土づくりのために、皆さんの御尽力を心よりお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

八木主査代理 これにて田所嘉徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、早坂敦君。

早坂分科員 日本維新の会の早坂敦です。

 初めての予算委員会分科会の質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 私は、宮城県仙台市出身で、東日本大震災を現場で経験した一人でございます。インフラの利便性や重要性を実感するとともに、その崩れたときの破壊力のすごさを肌で感じてきました。今、トルコやそしてシリア大地震の映像が毎日テレビで流れていますが、日本でも、いつ、どこで震災や災害が起きてもおかしくない状況です。そんな体験から生まれた問題意識を、本日は、老朽化したインフラの補修、点検などの整備について、そして道路や橋を中心に質問したいと思います。よろしくお願いします。

 まず初めに、高度成長期の基盤として各地に建設されたインフラ施設は、私たちの生活を豊かにしてきました。しかし、高度経済成長期から半世紀が今たとうとしております。現在、インフラの老朽化が進み、元々私たちの生活を安全に便利にするために造られたインフラ施設が、事故が起きたり、災害で機能をなくしてしまったり、私たちの生活の不便になるほど、結果的に、私たちの生活や生命を脅かすことにつながりかねません。そういう状況であります。

 そこで、平成二十四年、笹子トンネルの天井板崩落事故を契機に、トンネルや橋の点検が義務化されました。本来は安全に経済を発展させ、人々を豊かにするインフラ施設が、人の命を奪う結果になってしまうこともあります。

 公共インフラにおける社会資本としての意義、役割を今は何だと考えているか、お聞かせください。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 公共インフラの意義、役割についてでございます。

 公共インフラのうち、国土交通省は、道路、港湾、鉄道、空港などを所管しておりますが、これらのインフラにつきましては、現在の各世代の安全、安心を確保し、また、社会経済活動の基盤となるだけでなく、将来の世代の豊かな生活や社会経済活動、我が国の競争力の基盤となるものでございます。

 このようなインフラを整備することによりまして、地震、豪雨等に伴います災害リスクを回避、低減して、国民の安全、安心を確保する、また、移動時間の短縮でありますとか輸送費の低下等を実現させ、生産性の向上に伴う経済成長や地域経済の活性化をもたらすなどの効果が持続的に発揮されるものと考えております。

早坂分科員 ありがとうございます。

 本当にしっかりと取り組んでいただきたいという思いですが、そのインフラですが、次に、建設後五十年経過する道路橋はどれくらい存在するのでしょうか。そしてまた、今後十年で五十年以上経過する施設は加速度的に進行すると推計されていますが、重大な損傷を未然に防ぐため、早期発見、早期対策、予防保全を行った場合、問題が発生してから対処する事後保全では、費用はどのぐらい違ってくるのでしょうか、伺います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘の、お尋ねの道路橋についてでございますが、全国で約七十三万か所あるうち、建設後五十年を経過したものの割合は、昨年、令和四年時点で約三割であったのに対し、令和十四年には約六割に達すると見込んでございます。

 そして、このように喫緊の課題となっておりますインフラの老朽化対策を効率的、効果的に進めていく上では、施設に不具合が生じてから対策を行う御指摘の事後保全型から、不具合が生じる前に対策を取る予防保全型へ転換することが課題であると認識しておりまして、国土交通省では、現在、各インフラについて予防保全型への本格転換に取り組んでおります。

 そして、これに伴う費用の縮減効果といたしましては、平成三十年度に、道路、河川、港湾など十二分野のインフラを対象に行った推計では、将来の維持管理、更新費用の今後三十年間の累計が、事後保全型の場合は約二百八十兆円を要する一方で、予防保全型の場合は約百九十兆円でありまして、約三割縮減できるものと試算しております。

早坂分科員 やはり、予防保全は大変大切ですので、よろしくお願い申し上げます。

 そこで、次に、道路橋のインフラの老朽化対策は、平成二十四年笹子トンネル事故を受け、平成二十五年に道路法が改正されました。翌平成二十六年に、社会資本整備審議会道路分科会において、道路管理者は、予防保全の観点も踏まえ、そして維持管理を行う義務が明確にされましたが、現在、点検、診断、措置、記録という一連のメンテナンスサイクルを回すための仕組みが構築されていると認識しています。

 では、この点検から修繕措置は確実に実施されておりますか。道路橋の点検、補修状況を教えてください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 道路橋につきましては、二〇一四年度より五年に一回の点検を行うこととしております。その結果を判定1から4までの四つの区分で診断しているところでございまして、このうち、判定区分の3、これは早期措置段階、それと4の緊急措置段階、こういった橋梁につきましては修繕などの措置が必要とされているところでございます。

 二〇二一年度末時点で、全国約七十三万か所の橋梁のうち、判定の3又は4とされている橋梁は約八%の約六万一千か所ほどございます。このうち修繕などに着手した割合は、国土交通省では五四%、地方公共団体では四一%となっております。

 この判定区分3又は4とされている橋梁は、次回の点検までに修繕の措置を講ずべきとされているところでございますが、地方公共団体においては、点検から五年以上経過しても着手できていない橋梁は約三割ほどございまして、早期に修繕が必要な橋梁が数多く残っている状況でございます。

早坂分科員 やはり、地方公共団体の補修未然率が高い理由、そして、国のこれからの支援についてもう一つ聞きたいんですが、国から都道府県、市町村、高速道路会社まで、高い水準で点検の実施をされているようですが、その点検を受けて、補修、修繕の実施率は下がっています。

 特に、地方公共団体において著しく補修実績が低いのが状況でございますが、地方公共団体は、少子高齢化の影響等により社会保障の支出が増え続けている中、予算が限られております。メンテナンスの基礎知識を有した職員や技術者も少ないんですけれども、対象になるインフラ施設は多過ぎるということです。財源不足と人材不足に苦しんでおります。

 人命に直結する道路や橋が補修されずにそのままの状況であるのは大変危ない、危険な状況だと思います。補修率が低い要因、また国としての支援は十分なのかをお聞かせください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体において橋梁の修繕などの進捗が低い理由としては、主として財政的な要因と技術者不足などの技術的な要因があるというふうに認識をいたしております。

 財政的な我々の支援といたしましては、地方公共団体が点検結果を踏まえて策定する長寿命化修繕計画に基づきまして計画的かつ集中的に修繕が行われるよう、二〇二〇年度より、道路メンテナンス事業補助制度を創設して支援しているところでございます。

 また、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、これにつきましても老朽化対策が盛り込まれておりまして、この予算を最大限活用して、修繕や更新が必要な橋梁などの対策を集中的に実施していきたいというふうに考えております。

 技術的な支援でございますが、国土交通省において、地方公共団体の職員向けの研修、これを実施しているほか、都道府県ごとに設置した道路メンテナンス会議というものがございまして、これを活用して、維持管理に関します情報共有を行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、地方公共団体における老朽化対策が着実に進むよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。

早坂分科員 ありがとうございます。

 基本的に、国や自治体、高速道路会社がそれぞれの場所を責任を持って管理することになっておりますが、圧倒的に、本当に自治体が管理する施設が多いのが実情です。地方自治体の現場から、予算も技術者も足りないという声が本当に上がっていますので、是非とも政府の皆様には抜本的な対策をお願いしたいという思いでございます。

 次に、メンテナンスにおける新技術の活用に向けた取組、そして財政支援についてお聞きしたいんです。

 地方自治体は、特に小規模自治体では、財政難と人材不足で、インフラのメンテナンスまで手が回らないものが多いのが実情でございます。ひどいところは、担当者一人で広域の、大きな広い範囲のインフラのメンテナンスをするところもあるようですが、もちろん、それだけやっているわけではなく、ほかの業務とかけ持ちでやっているそうですが、そんな人手不足の状況で期待されるのがドローンやAIを使った新技術の活用、開発だと思うんです。

 次に、メンテナンスにおける新技術の活用に向けた取組を伺いたいと思います。

 老朽化するインフラ施設は加速度的に増えている状況で、マンパワーが追いつかない。新技術の開発、活用は大変重要な問題だと思います。

 ドローンやファイバースコープを活用した、人間の目が届かない場所を検査したり、首都高では、インフラドクターという黄色い車両が走りながら道路の構造物を検査したりするなど、これまでにない新しい技術が出てきています。ほかにも新しい技術はあるんだと思いますが、そういった技術はどこまで開発が進んでいるのか、普及しているのか。また、新しい技術を取り入れるのに資金が必要です。財政的支援は行き届いているのか、現在の取組を伺います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 インフラの老朽化対策につきましては、先ほどもお話がございましたとおり、財政面や人的資源の制約から、効果的、効率的に実施していくことが極めて重要であります。最新のデジタル技術やドローンなどを最大限活用しながら、点検、診断から修繕、更新などに至る幅広い場面でこれら新技術を積極的に導入していくことが課題であるというふうに認識しております。

 このため、国土交通省におきましては、まず、点検要領等を改定しまして、ドローンやロボット等による点検が可能であることを明記するとともに、地方自治体が新技術を活用する場合については補助金の優先支援の対象とする等の措置を講じているほか、民間による新技術の開発に対して実証事業を通じて支援を行うなど、インフラメンテナンスにおける新技術の導入、活用、開発を促進しております。

 具体的な例といたしまして、例えばでありますが、AIを活用した小規模橋梁点検でありますとかドローンを活用した橋梁点検、こういったものが既に具体化しているところでございます。

早坂分科員 本当に新技術が進んでいってもらって、そしてまた、人手不足です。建設業だけじゃないんですけれども、やはり、そうやって開発してもらって、次々に点検をしっかりしていただきたいという思いでございます。

 そこで、次に、土木工事額における新規建設と維持修繕の割合の推移をちょっと聞きたいんです。

 日本では、老朽化したインフラが多いといっても、インフラが足りていない地域はまだまだ存在するのも現実です。また、日本は、地震や洪水など自然災害が多く、近年、激甚化の傾向が強くあります。

 そういった観点から、防災施設や防災機能を有した道路橋の役割は更に重要性を増してくると思うんですが、新たに造る施設は必要だというのは疑いの余地はありません。しかし、これまで造った施設を維持管理するということがとても大切であり、維持管理を行いつつ、新設も行っていかねばならないというのが今の日本の現状ではないかと思いますが、そしてまた、土木工事額に占めるインフラ施設における新規建設と維持修繕の役割の傾向はどのようにあるのでしょうか、伺います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省の公共事業関係費に占める老朽化対策の予算の割合の推移ということのお尋ねでございますが、老朽化対策につきましては、例えば、堤防の液状化対策などのように、防災・減災対策として実施する内容であって、かつ、老朽化対策として行う側面を含んでいるものがございます。

 このため、国土交通省の予算におきましては、例えば防災・安全交付金のように、防災・減災対策と老朽化対策を一体として扱っている場合がありますことから、予算全体について、老朽化対策のみを明確に切り分けることは困難であると考えております。

 その上で、御質問につきまして、防災・減災、老朽化対策として実施している事業に係る予算でお答えさせていただきますと、国土交通省の公共事業関係費のうち防災・減災、老朽化対策の占める割合でございますが、平成三十年度の当初予算では約五六%の約二・九兆円であったのに対し、現在国会で御審議いただいております令和五年度当初予算案では約六五%の約三・四兆円となってございます。

早坂分科員 もう一点ちょっと、インフラ施設の老朽化対策に係る予算をもっと、どのような傾向があるのかをもう一点だけ教えてもらってもいいですか。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたとおり、一部繰り返しになってしまいますが、防災・安全交付金のように、防災・減災対策と老朽化対策を一体として扱っている場合もありますことから、予算全体について、老朽化対策のみを明確に切り分けて計算することは困難でございます。

 そのため、防災・減災、老朽化対策として実施している事業、このカテゴリーとしてお答えさせていただきますと、割合といたしましては、防災・減災、老朽化対策の占める割合でございますが、平成三十年度の当初予算で約五六%の約二・九兆円でありましたのに対し、現在国会で御審議いただいております令和五年度の当初予算案では約六五%の約三・四兆円となってございます。

早坂分科員 済みません、どうもありがとうございます。二回もお聞かせいただきましたが、ちょっともう一度確認したくて、ありがとうございます。

 そこで、次に、メンテナンス重視、維持管理重視への方向転換をするべきじゃないかということで質問させていただくんですが、インフラの老朽化対策は防災・減災対策にもつながる話です。併せてしっかりやっていかないといけないという問題でございます。

 これまで日本は、高度経済成長期の基盤としてインフラ施設を各地に建設してまいりました。造ることに力を置かれ、点検、補修という意識が造ることに比べて薄かったかもしれません。笹子トンネル事故を契機に点検が義務化されるなど、やっとメンテナンス重視、維持管理重視との考えに追いついてきたのではないかとは思っております。

 今後、インフラ施設の老朽化が加速度的に増えていく中で、同じように、維持管理の手間、費用も増えています。今後は、メンテナンス重視、維持管理重視という流れになっていくんでしょうか。あわせて、予算の配分もそのようなふうに変わっていくのかを伺います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、インフラの老朽化の加速度的な進行がございますものですから、これに対応しまして、インフラの維持管理、更新を計画的かつ適切に進めていくことが極めて重要な課題となっているというふうに認識しておりまして、国土交通省として省を挙げて取り組んでございます。

 インフラの維持管理、更新を効果的に進めていくためには、一つには、まず、施設に不具合が生じてから対策を行う事後保全型から、不具合が生じる前に対策を取る予防保全型に転換することで、将来必要となる費用を縮減すること、また、多くの地方自治体で、財政面や人的資源の制約から取組が十分に進んでいないため、国としてこれに支援を行うこと、これがそれぞれ必要であるというふうに考えております。

 このため、国土交通省におきましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も最大限活用しながら、各インフラにつきまして予防保全型への本格転換を進めますとともに、地方自治体に対しまして、財政面や技術面で支援を行っているほか、これも先ほど申し上げたとおり、ドローンやロボットを活用した点検など、新技術の導入も促進しているところでございます。

 今後とも、必要な予算の確保を図りながら、これらの施策を通じまして、インフラの維持管理、更新に全力で取り組んでまいります。

早坂分科員 ありがとうございます。

 全力で取り組んでいただきたいという思いでございますが、そして今度は維持管理についてですが、優先度をつければいいんじゃないかなという、このインフラのトリアージについてちょっとお聞きしたいんですが、現在、日本では、五年以上補修されていない橋やトンネルが七千か所以上あったり、補修できずに何年も通行止めの橋が存在したり、中には、崩落した橋も出てくるなどの報道もあります。小規模の地方自治体は、財源も人手も不足している中、そんな状況で、維持管理に優先度をつける、インフラのトリアージで取捨選択をするときが来ているのではないでしょうか。

 安全のため、事故防止のため、場合によっては撤去もあり得る。その際は、地域住民に対しての徹底した対話、代替案の提示など、地元住民の理解を得ながら、客観的にその皆さんの意見を確保して、その上で取捨選択する、そういうときに来ているんではないでしょうか。

 そう思いますが、いかがでしょうか。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、平成二十四年の笹子トンネルの事故を受けまして、所管の各インフラについて定期的な点検を確実に行う体制、これを整備した上で、点検で判明した緊急又は早期に措置が必要な施設、これを優先して、速やかに修繕や更新などを行う対応を取っております。

 そしてまた、一方におきまして、令和三年に策定した社会資本整備重点計画におきましては、インフラの集約、再編、この集約、再編も重点目標の一つに位置づけた上で、社会情勢や地域構造の変化を踏まえて、必要性の減少でありますとか地域のニーズの動向に応じた集約や再編にも取り組んでおります。これにつきましては、地域としっかり御相談することが必要であると考えております。

 国土交通省といたしまして、今後とも、インフラの維持管理、更新については、このような優先度やめり張りをつけた対応を進めてまいります。

早坂分科員 是非よろしくお願い申し上げます。

 それで、最後にちょっと大臣にお聞きしたいんですが、元々必要性がある、意味や理由があって造られたインフラ施設ですから、すぐに取り壊す、捨てるという選択肢は取りづらい。しかし、全てのインフラを管理していくのは大変難しい。中には、不可能なものも出てくるかもしれません。そうなってくれば、優先順位をつけることが必要になってくるのは、先ほど言ったとおり、思いますが、ただ、優先順位をつけるにしても、コスト低減、維持管理費の縮減だけではなく、そこにインフラが必要になった理由やメリットがあるはずです。そういうことも考慮した上で、客観的に判断してもらいたいと思います。

 コストだけでは判断できない社会的意味や意義があると思います。インフラ全体、社会、地域社会のことを考えた上で、本当に必要なインフラというものを考えていってほしいという思いでございますが、インフラがあることによって私たちの生活、社会が築かれております。何を言っても、安全が最優先されるべきだと思いますが、長い目で見て、どういう社会を描いていくのか、何を今後造るのか、何を残すのか、何を管理すべきなのかということをしっかり考えていくことが必要でございます。

 私たちの財産であるインフラの未来について、大臣、どのような未来をお考えでしょうか、伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 早坂委員と政府委員とのやり取り、社会資本整備、また社会インフラを今後どのように保全していったらいいのかという議論をずっと聞かせていただきまして、私も早坂委員と本当に方向性を同じくするものでございます。

 これから予防保全型にしていかなくてはならない。そして、そのときに優先順位をしっかりつけなきゃいけない。そのときに、また、施設の社会的意義、なぜその施設がここにあるのかということも考えた順位づけが必要だ、こういう御主張だったかと思いますが、非常によく私も拝聴させていただきました。

 国土交通省所管のインフラにつきましては、高度経済成長期以降に整備したものが加速度的に老朽化していることから、その維持管理、更新を計画的かつ適切に行っていくことを喫緊の課題として位置づけ、全力で取り組んでいるところでございます。

 同時に、自然災害から国民の命と暮らしを守り、我が国の経済成長や地域社会を支えるために必要なインフラについての未来への投資として、引き続き確実に整備していかなければならないと考えております。

 このような考え方に基づいて、国土交通省としては、インフラの整備、維持管理について、中長期的な見通しの下、安定的、持続的な公共投資を推進しつつ、戦略的、計画的な取組を進めていきまして、この老朽化対策、しっかり行っていきたいと思っております。

早坂分科員 大臣、御答弁ありがとうございます。力強い答弁でございました。

 そして、来月でもう東日本大震災から十二年目を迎えます。先ほど冒頭でお伝えしましたが、私も宮城県仙台市出身でございます。しかし、近年、毎年のように地震が起きていまして、実は、津波の被害だったり死亡者が少なかったので、去年の三・一六は、全然、皆さん余り関心がなかったかもしれませんが、私、視察に行きましたら、本当に、大型のショッピングモールだったり、実は橋が壊れていたり、岩が、コンサート会場も、壁が倒れ、旅館も総崩れだったり、特に沿岸部は南相馬や相馬の方も行きましたが、大変でした。

 だからこそ、インフラの整備が大切だということで、優先順位もあります。しかし、皆様のお力を是非かしていただき、東日本大震災の十二年目を迎えますが、これからまたまた整備をしっかりしていただきたいという思いをお伝えしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

八木主査代理 これにて早坂敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、上杉謙太郎君。

上杉分科員 自民党の上杉謙太郎でございます。福島三区であります。質問の機会をいただきまして、委員長を始め理事の皆様に感謝申し上げたいというふうに思います。

 国土交通関係につきまして、福島県県南地方の国道を始めとした道路について、また、阿武隈川を中心とした治水プロジェクト等につきまして今日は質問をしたいというふうに思います。

 震災から十二年を迎えます。もう来月、三・一一をまた迎えることとなります。福島県も、地方創生の時代にあって、震災から今まさに復興しているところであります。

 そういった中で、道路行政、これは本当に、非常に大事なものであります。道路は、人間の体で例えると、ある意味、血管なわけでありまして、人そして車、そういったものが血液だとしますと、やはり道路を活性化するということが、地方を創生していく、また地方を活性化していく、その根幹になるものであるというふうに考えております。

 東京と違って、中心都市というのが地方ですと離れているわけでありますから、様々に生活する中で、仕事をするについても、例えば子供を学校に通わせるというときにおいても、全てにおいて道路というのが基本になるわけであります。その道路をしっかりと整備するということが、地方の活性化、その地域の活性化に本当に直結するものであるというふうに考えております。

 そういった意味で、ふだんから、地元であれば郡山国道事務所さん始め、また、県も県南事務所、県中事務所始め、土木事務所もそうでありますが、本当に尽力してくださっております。国土交通省を始め、皆様、道路行政を本当に御尽力されていることに感謝を申し上げたいというふうに思います。

 そこで、道路について、まずは国道四号線からお伺いしたいというふうに思います。

 国道四号線、一桁国道、国土交通省直轄でありますけれども、この国道四号線、東京から行くとずっと四車線なわけであります。栃木県の県北地域、那須の辺りから、車幅はあるんですけれども片側一車線の二車線道路になる。福島県に渡ってくると、一旦、私の白河市に入ると、白河インターという東北自動車道のインターがありますので、この部分は四車線になっているんですが、そこから少し行くと、また片側一車線になってしまうんですね。この後、県中地域に入りますと、また四車線になり、バイパスも通っているということになっております。

 一方で、しかしながら、県南地域は、東京から二百キロ圏内ということで、非常に産業も盛んなところであります。大手の工場さんとかも来ている地域であります。毎日のように、この国道四号線、一車線になると渋滞をしているというのが現状であります。そういったところから、今、国交省さんもずっと拡幅工事をやってくださっております。

 東京からこうやって見ますと、最初、西郷村というところに入って、白河市、泉崎村、矢吹町、鏡石町、須賀川市というふうになるんですけれども、まずは、ちょっと上の方の鏡石町、矢吹町、ここは矢吹―鏡石区間というところがあるんですが、ここをずっと拡幅工事をしてくださっております。実際に、鏡石の拡幅については、北工区、南工区というのがあって、北側、須賀川に近いところはもう既に令和二年に開通をしていて、南工区のところも去年開通させていただきました。この鏡石―矢吹間というのは、鏡石の南側から矢吹のところまではまだ残っていて、まさに今、改修工事をしてくださっている、拡幅工事をしてくださっているところであります。

 そこで、国交省さんにお伺いいたしますけれども、この矢吹―鏡石区間の整備の進捗状況と今後の見通しについてお伺いさせてください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国道四号のうち、白河市から鏡石町の二車線区間では、特に矢吹町を中心に、一日を通して慢性的な渋滞が発生するなど、課題があるというふうに認識をいたしております。

 このため、国土交通省におきましては、順次、四車線拡幅など、整備を進めてきているところでございますが、矢吹石巻道路、延長四・八キロにつきましては、令和三年度から整備を進めているところでございます。

 現在、道路設計を実施しつつ、福島県、矢吹町、鏡石町を含め、地域の皆様の御意見を聞きながら、今後の円滑な事業進捗を図るため、用地買収の幅に都市計画を変更する手続を進めているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御理解、御協力を得ながら、一日も早い完成を目指して整備を進めてまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 鏡石町長、矢吹町長始め、地元の皆さん、付近の住民の皆さんも強く要望しているところでありますし、また、この四号線を使う産業関係の皆様も切に希望しているところであります。特に、接続部分というんですかね、四号線に接続するようなところ、幾つか交差点を新たに造ってくださったりですとか、いろいろやってくださっているというふうに思いますけれども、地元の方の要望、また町長さんの要望をしっかり酌み取って道路設計もしていただきたいというふうに思います。

 例えば、矢吹町というところであれば、会田病院という基幹病院があるんですけれども、ここはもう交差点で右折して病院に救急車が入れるような措置をしてくださっているところでありますけれども、例えばそういった問題。また、四号線から矢吹駅に行く接続部分、郵便局、あと日活さんというホテルとかもあるんですけれども、そこの交差点をどうするか等々いろいろありますので、やってくださってはおりますけれども、住民説明会もやってくださっていますし、いろいろと親身に地元の要望を聞いて、その上で設計して拡幅工事をしていただけたらありがたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。

 ここが随分、四号線を拡幅すれば、渋滞もこの部分は緩和されるわけではあるんですけれども、先ほど言った白河市から行くと、ここの矢吹町は今やっているということなんですけれども、白河市から一回二車線になりますので、白河市と泉崎村、この区間は、二車線なわけですから、片側一車線であるわけですから、まだ渋滞が続くというふうに思われます。

 今、矢吹区間をやっているわけなので、すぐその下の、南の区間を今すぐ着手してくれというのもなかなか難しい話ではあるとは思うんですけれども、ここも、白河市長さん始め、また泉崎村長さん始め、また白河商工会議所さん、建設の白河支部さんもそうであります、いろいろな方々が要望している部分でありまして、是非、早くこの区間についても四車線化をしていただきたいというふうに考えておるんですけれども、ここの見通しの方も教えていただけたらありがたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、私、矢吹石巻道路と言いましたけれども、矢吹鏡石道路の間違いです。失礼いたしました。

 それでは、今の御質問にお答えさせていただきます。

 国道四号の泉崎―白河区間につきましては、白河市から鏡石町の間で唯一の四車線化の未着手区間でございます。特に、主要渋滞箇所でございます泉崎交差点また女石交差点付近では、朝夕ピーク時に旅行速度が低下しているところでございます。

 本区間の四車線化によりまして、この区間の交通渋滞が緩和し、移動時間が短縮されることから、緊急医療サービスの向上、また、企業進出による地域経済の活性化といった効果が期待されているところでございます。

 国におきましては、これまで、課題の大きい市街地部より順次整備を進めてきておりまして、令和三年度には矢吹鏡石道路の整備に着手したところでございます。

 御指摘のこの区間につきまして、国土交通省といたしましては、周辺事業の進捗状況、また地域の交通状況を踏まえて、必要な調査を実施していきたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 私は毎朝、つじ立ちというのをさせてもらっています。首都圏の国会議員は駅の前に立って駅頭というのがありますけれども、地方の議員なので、交差点に立って、駅に人がそんなにいませんので、ちょうどこの四号線でしょっちゅうつじ立ちをさせていただいているんですね。

 大体、今お話ししているところの道路というのはつじ立ちするポイントでありまして、どれだけ車が通るのかを分かっております。今話の出た泉崎交差点を、一時間半やると、二千台は通るんですね。やはり、信号が赤になっていると、もうずっと連なっているわけであります。逆に、選挙をやる人間としては、つながってくださっていると、ゆっくり手が振れて演説もできるというプラスはあるんですけれども、そんなことは言っていられませんので、しっかりとこの泉崎―白河区間も検討していただけたらありがたいというふうに思います。

 この泉崎区間の中で、南側、白河のところに、今お話が出ました女石交差点というのがあります。この女石交差点の一個、約九百メートル手前に薄葉交差点というのがあって、ここまで四車線なんですよね。ここから女石交差点まできゅっと、急に四車線から二車線になる。そうすると危ないんですよね。四車線の間、かなりスピードを出して、一般乗用車もトラックも走ってくるわけであります。薄葉交差点が青ですと、そのままびゅんと行って、そこから二車線になるから、追越し車線にいた車もこっち側にいた車も、どうしようみたいに譲り合いになっているわけであります。

 やはりここも早く四車線化してもらいたいと思うんですが、この女石交差点は、交差点改良工事という形で右折レーンを造るということで一部四車線化をしてくださっているというふうに思いますけれども、ここについても、進捗状況と今後の計画について教えていただけますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国道四号白河市の女石交差点では、市中心部にアクセスする国道二百九十四号への右折車両が多いため、令和二年度から右折レーン延伸の事業に着手しております。

 また、その南側、今委員御指摘の薄葉交差点付近の四車線から二車線への車線減少区間におきましては、無理な合流に伴う追突事故、これが発生しているため、令和四年度から合流車線の延伸の事業を着手しているところでございます。

 この二つの交差点、近接しておりますことから、現在、地元説明会の開催に向けまして、一体的に調査設計を進めているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御理解をいただきながら、早期完成に向けて事業を進めてまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 この女石交差点もそうですし、あともう一つは、質問はしませんけれども、矢吹のところは、東北自動車道の矢吹インターというのがありまして、ここの区間も一部四車線になっているんですけれども、ここは同じように、やはり四車線からまた二車線に戻るとそこで事故が発生しやすいというところから、実際に事故もあったということでありますので、事故対策ということで、一部延伸という形で、矢吹インターの北側、南側も、一部拡幅をしてくださる予定になっているというふうに思います。これも併せて是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 やはり、国道四号線、一桁国道、しかも四号線でありますから、全て四車線になるべきだというふうに思っております。

 代表して、自分の選挙区でありますからこの県南地域の二車線区間について御質問させていただきましたが、栃木県の県北地域も含めて、まだあと、ほかにも、四号線の中でも、また四号線でなくても、一号線でも、国直轄の国道の中で二車線のところがあるところは早めに拡幅をしていただきたいというふうに思います。

 続いて、これは県の管轄の道路になってしまうんですが、ただ、国道二百八十九号線、三桁国道でありますので、国も関係していますので、関連してちょっとお伺いしたいというふうに思います。

 この白河市付近の四号線には、二百八十九号線と二百九十四号線、この二つの三桁国道が交差をしております。先日、この二百九十四号線の方は、白河市内、トンネルが開通をいたしまして、式典もありました。これによって、会津方面から来る車、そして東白川郡又は栃木県県北地域に行く車、また白河市内に住む、生活される皆様にとっても、非常に便利になるという形で、非常に感謝をしているところであります。

 この二百九十四号線、トンネルが開通したのはいいんですけれども、北側から行きますと、トンネルが開通して二百八十九号線に接続するんですけれども、ここも結構、相当な渋滞ポイントであります。渋滞ポイントということは、逆につじ立ちポイントでもあるということでありますけれども、ここも本当に、市長を始め地元の方々がずっと要望しているところでありまして、県の方もしっかり要望を組み込んでいただいて、二百九十四号線と二百八十九号線の交差点から一部の区間は四車線化が決まっているところであります。

 ただ、この決まっている部分が四車線になったからといっても、そこの手前の部分の、まだ二車線の部分は変わらず渋滞する可能性もありますし、ここも併せて、この白河市の南湖公園付近の四車線化につきまして、見通しを教えていただけたらと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県内の国道二百八十九号、これは県内の基幹的な道路の一つでございます。

 この国道二百八十九号の福島県白河市の南湖公園付近につきましては、現在、平日の通勤通学による朝夕の渋滞を始め、休日の観光渋滞が発生しているというふうに認識をいたしております。

 この区間の四車線化につきましては、福島県が、既に一部区間において、令和三年度から無電柱化の事業と一体的に進めているところでございます。

 残る区間の四車線化につきましては、先ほど委員から御指摘のあった、今月四日の国道二百九十四号の白河バイパスの開通を踏まえた、今後の周辺道路の交通状況を見極めながら検討していきたいと福島県から伺っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、福島県から御要望があれば、社会資本整備総合交付金などによる支援を検討してまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 今、観光とおっしゃってくださいまして、ありがとうございます。松平定信公ゆかりの南湖公園、そして南湖神社のあるところであります。また、その通りはラーメン屋さん通りになっておりまして、また、とんかつ屋さん、おそば屋さんとかもあります。まさに、観光の方々がたくさんいらっしゃっているというところで、土日は本当に渋滞をしているところであります。

 平日は、朝夕は、近くに白河実業高校というのがありますので、そこの通学の皆さんですとか、あと東白川方面から来る車とかで、通勤の車で渋滞しているというところであります。

 渋滞している、イコール、血でいうと停滞しているということになるわけでありますから、是非ここも、県と連携をしてしっかりと進めていただけたらありがたいというふうに思います。

 では、続きまして、これもまた、済みません、県道なんですけれども、今ずっと白河市、矢吹町、泉崎村というところを質問させてもらいましたが、その白河市という地域から、昔でいうと白河市は小峰城というのがあったんですけれども、そこから南東の方に行きますと棚倉城というのがあって、棚倉町、東白川郡というところがあります。

 ここに、棚倉町に、栃木県県北地域、那須の方に抜ける県道黒磯棚倉線というのがあります。戸中峠という峠道がありまして、八溝山というのがあって、そこの横を通る峠なんですけれども、ここは東白川郡の皆さんが栃木県地域に行く道路になっております。交通量は確かにそこまで多いわけではないんですけれども、どうしても県庁から見ると非常に遠い地域、これは福島県庁から見てもそうですし、栃木県の県庁から見ても栃木県北地域というのは遠いわけでありますから、だからではないんですけれども、整備が遅れているなというふうに地元の方々が皆さんおっしゃっていまして、ここの峠をしっかりとしたきれいな一本道にするというのが、両県から、もうずっと、三十年近く要望が上がっているところであります。

 ただ、実際に、ここは既に、福島県側も栃木県側も、くねくね、七曲がりのような峠道になっているんですが、そのコーナーというんですか、カーブの部分はのり面をしっかり改修してくださったりとかして、一部、改修はしてくださっているんですけれども、抜本的な改革という意味では、しっかりトンネルを通すとか、そういうことが必要になってくると思います。

 どうしてこんなに強く言うのかといいますと、例えば医療の分野でいえば、東白川の地域の皆様にとって、万が一救急車を呼んで救急搬送しなければならないとなりますと、実際は距離的に那須方面に行った方が早い、近いというのがあります。実際に那須方面には、那須の日赤病院というのがありますし、国際医療福祉大病院というのがあります。そう考えますと、救急車でしっかりと、すぐ行けるという意味では、医療体制、そういった意味でも、ここの峠というのが非常に重要なところになっております。

 しかし、これはしっかりと県なりから要望が上がってこないと国交省さんとしても何ともし難いというところはあるかもしれませんが、是非、戸中峠を始めとして、こういった道路に対してしっかりと光を当てていただきたいというふうに考えておりますけれども、国の支援の状況というのを教えていただけますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 県道黒磯棚倉線、これは福島県と栃木県が管理している道路でございます。このうち、県境部に当たる戸中峠付近では、道路の幅員が狭く、ヘアピンカーブや急勾配の箇所が存在するほか、道路ののり面には落石の危険がある箇所が多数存在するなど、安全で円滑な通行の支障になっているということで承知をいたしております。

 このため、福島県及び栃木県が、現在、国の補助事業や県の単独事業によりまして、落石対策工事を三か所で進めているところでございます。

 委員御指摘の戸中峠の抜本的な対策につきましては、福島県、栃木県が連携をして、将来的な交通需要を踏まえた整備手法を検討していると聞いているところでございます。

 国土交通省といたしましては、両県からの御要望を踏まえまして、整備内容に応じた必要な支援を検討してまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 この戸中峠に関連して、厚生労働省さんにもお越しいただきましたので、ちょっと一問御質問をさせてください。

 この戸中峠、八溝山を中心として、福島県側は東白川郡というのがあります。福島県の県南地域。そして、栃木県側の県北地域。実は、ここは、先ほど、病院、二つ大きいのがあると言いましたけれども、僻地医療といいますか、医療でいいますと、救急搬送等するときに、どうしても基幹病院まで時間がかかってしまう地域であります。恐らくそういった地域というのは全国たくさんあるというふうに思うんですね。

 今、ドクターヘリというのがありますから、各都道府県、しっかりと整備をしているところではありますけれども、県と県の間のちょうど県境の地域でまだ、例えば大きな病院に行くのに、二次救急でも三次救急でも、相当な時間、三十分、一時間、一時間半かかってしまう地域というのが多々あるというふうに思います。

 ここはしっかり厚生労働省さんも主導していただいて、そういう僻地、また島嶼部もそうでありますし、しっかりとドクターヘリを更に活用して、そういった方々にしっかりと救急医療を提供できるような体制というのも必要だというふうに考えておりますが、厚労省さんはいかがお考えか、お教えいただけますでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 医療の提供体制は、地域の医療計画、都道府県の医療計画に基づいて構築をしているところでありますが、先生が御指摘のような医療機関へのアクセスが難しい地域、ここに関しまして、厚生労働省は、ドクターヘリ導入促進事業、こういったものを持っております。

 これは、ドクターヘリの導入や配備について、地域の医療提供体制の状況を考慮して進めていただいているものでありまして、厚生労働省としては、都道府県に対して、運航経費の補助など、五年度の予算案では八十七億円を計上させていただいております。先生が御指摘の福島県、栃木県におきましても活用していただいて、一機ずつお持ちであると考えております。また、都道府県によっては複数機お持ちのところもございます。

 また、御指摘のような、医療のアクセスが困難な地域の、県境をまたぐようなところに関しましては、より効率的に運航していただきますように、広域連携の取組というのも進めておりまして、令和四年の十二月四日にも関係者の方を集めたオンライン会議を実施して、広域連携の推進というもので好事例の御紹介などをしております。

 厚生労働省としては、引き続き、広域連携を含めましたドクターヘリを活用した医療提供体制の整備、これに対して、都道府県に対して必要な御支援を行ってまいりたいと思っております。

上杉分科員 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。

 福島県も広域連携をしていますし、栃木県も広域連携をしているそうであります。

 それに加えて、さらに、広域連携で地域特化型のものを是非とも厚労省さん主導でやっていただけたらありがたいというふうに思いますので、要望させていただきたいというふうに思います。

 続いて、同じこの棚倉町、今度は、その棚倉町の南側に塙町、矢祭町、そして鮫川村とあるんですけれども、この地域を通る新たな道路の計画も挙がっております。

 これは、茨城県の水戸から、ずっと北上していって、私の福島県に入って、矢祭町を通って、最後は福島空港を通って須賀川市、それで郡山市に抜ける水戸・郡山広域都市圏連絡道路というところでありますけれども、これも基本的には、しっかり県が計画を練って、それを踏まえて、その要望を受けて国交省さんもやるということであると思うんですけれども、現状と今後の見通しを教えていただけたらと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 水戸・郡山広域都市圏連絡道路は、水戸市と福島県の須賀川市を結ぶ道路の構想でございまして、令和三年に福島県と茨城県が策定した新広域道路交通計画において、構想路線として位置づけられているところでございます。

 この道路によりまして、福島空港へのアクセス性が向上することによる福島県と茨城県の間の広域交流の活性化、また、並行する国道百十八号とダブルネットワークが形成されることによる緊急輸送道路としての機能強化、こういった効果が期待されているところでございます。

 今後、この道路につきましては、並行する国道百十八号を管理する福島県と茨城県において、高規格道路としての整備の必要性、また効果の検討を進めていくというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましては、この検討に対しまして、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。

 是非、東白川郡の各首長さん、また地域の皆様の切なる思いでありますので、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後の方に、今度は治水に関しまして御質問させていただきます。

 令和元年台風十九号がありました。福島県も大変な被災に遭いました。そういった中で、国土保全局さんを始めとして、地元の河川事務所、また、自治体もそうでありますし、消防団もそうであります、いろいろな方が本当に献身的な復旧をしてくださった。そういうことがあったからこそ、今があるというふうに思います。

 また、あの台風、洪水でお亡くなりになった方もいらっしゃいます。本当に、改めて心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 あれから四年であります。国交省さんもしっかりと、阿武隈川緊急治水プロジェクトという形で、万が一またあのような台風が来ても、もう氾濫しないという決意の下、今、治水対策を進めてくださっております。非常に心強く思っております。

 これは、田んぼをやっていらっしゃる農家さんもそうでありますし、河川の周辺に住んでいる皆さんもそうであります。そして、産業をやっている方々もそうであります。工場も、こんな上まで水が来てしまって、仕事ができないという状況になったわけであります。

 そういった中で、この阿武隈川につきましては、緊急治水対策プロジェクトと銘打って、多くの予算をかけて、今、様々な対策をしてくださっております。この整備進捗状況と今後の見通しについて教えていただければと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 阿武隈川流域では、令和元年東日本台風で甚大な被害が発生したことから、同規模の洪水が発生した場合でも堤防からの越水を回避し、流域の浸水被害軽減を図ることを目標に、国、県、市町村が連携して策定した阿武隈川緊急治水対策プロジェクトの取組を進めているところでございます。

 本プロジェクトのハード対策として、国管理区間では、被災した施設九十三か所の復旧に加え、更なる安全度向上のため、全体で約二百九十万立方メートルの河道掘削や全体で約三百五十ヘクタールの遊水地整備などの抜本的な対策を行うこととしております。

 令和五年一月末時点の整備進捗状況については、被災施設九十三か所の全てで復旧が完了し、約六割に当たる百八十六万立方メートルの河道掘削が完了するとともに、遊水地の整備に必要な用地補償交渉を開始するなど、着実に進捗しているところでございます。

 今後も、引き続き、国、県、市町村と連携しながら、令和十年度の完成に向け、本プロジェクトを着実に推進してまいります。

上杉分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 歴代三名の所長さんを始めとして、特に、その中でも、遊水地計画につきましては、地元の皆さんの要望をしっかりと、真摯に受け止めていただいて、しかも、近くに派出所まで造っていただいて、真摯に対応してくださっているところ、本当に心から感謝を申し上げたいというふうに思います。是非、引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。

 今申し上げました遊水地でありますけれども、私の地元鏡石町、玉川村、矢吹町で、この阿武隈川の周辺のところを全部遊水地にすると。遊水地にすることで、そこから須賀川、郡山、福島市、宮城県に至るまで、もう決壊しないというような計画のために今やっているというふうに思います。

 地元の皆様は田んぼを手放したりとか住居を移転しなければならないという、いろいろ負担があるわけでありますから、しっかりと補償もしてあげなければならないというふうに思います。

 現在、移転を要している住民の皆様の補償についてどのようにお考えか教えていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、阿武隈川流域では、現在、福島県鏡石町、玉川村、矢吹町の三か所で遊水地整備事業が計画されております。

 これらの整備に当たっては、遊水地事業の全体計画について住民説明を行いました。おおむねの御了解をいただけたことから、用地の調査を行うとともに、令和四年度から、補償の考え方について御説明させていただいているところでございます。

 地域の方々からは、移転に向けた具体的なスケジュールや営農継続の可能性などについての御相談をいただいているところでございます。地元自治体と連携しながら、対応について意見交換を行っている、こういう段階でございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、地域住民の皆様の御意見や御要望を丁寧に伺い、事業についての御理解をしっかりといただいた上で、遊水地の整備を推進してまいります。

上杉分科員 ありがとうございます。お願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

八木主査代理 これにて上杉謙太郎君の質疑は終了いたしました。

    〔八木主査代理退席、主査着席〕

赤羽主査 次に、北神圭朗さん。

北神分科員 有志の会の北神圭朗といいます。

 今日は、大臣、それから中野政務官、貴重なお時間、ありがとうございます。

 ちょっと地元の話を四点ほどさせていただきたいんですが、まず、本当は質問の通告のときに申し上げた方がよかったんですけれども、結構細かい話もありますので、政府の方で先に答弁していただけるんだったら、それで結構だと思います。後で、政務官あるいは大臣から、その決意を述べていただければ一番ありがたいというふうに思います。こだわりませんけれども、どっちの方式でも結構だと思います。

 まず、中野内閣府大臣政務官にちょっとお尋ねしたいと思います。

 まず、私の選挙区、京都四区というところなんですが、京都ですから多少なじみがあるかもしれませんけれども、京都市内でいうと嵐山とかあっちの方なんですね、西の方で。それから、これは京都市内で、国道九号線をずっと北上して行くと、亀岡市という町、人口八万ぐらいの町、それから南丹市、更に九号線を行くと京丹波町という、ここはもう完全な農村地域です。

 まず第一に、南丹市の質問をしたいというふうに思います。

 国土強靱化の五か年加速計画というものがあるというふうに思います。これは、たしか令和三年度から令和七年度までの期間の対策ということなんですけれども、皆さん御案内のとおり、この三年間、コロナで、いろいろ計画していた事業というものが滞っています。例えば、もうコロナでなかなか建築現場に人が集まることができないということで建設が滞ってしまうとか、あるいは、資材がもうなかなか入ってこない、さらに、追い打ちで円安になって資材が高騰しているということで、なかなか事業が思うとおりに進まないということであります。

 南丹市としては、非常にこの国土強靱化の五か年加速計画というものを頼りにして頑張ってきたところなんですけれども、どうしても令和七年度までなかなか間に合わないということで、何とかこの期限の延長というものをお願いしたいということなんですが、これは多分、南丹市だけじゃなく、全国各自治体でも同じような悲鳴の声が上がっているというふうに思いますけれども、その点についていかがでしょうか。

中野大臣政務官 それでは、北神委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 激甚化、頻発化する災害への対応は、先送りのできない重要な課題であります。五か年加速化対策を着実に推進するとともに、その後につきましても、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが重要であります。

 そのため、新たな基本計画を策定するなど、国土強靱化の着実な推進に向けて強力に進めてまいりたいと存じます。

 以上でございます。

北神分科員 強力に進めてもらいたいと思いますけれども、期限がついているんですね、令和七年度という。ここについてはいかがでしょうか。これを延ばすことはできるのか。その点、お聞きしたかったのですが。

中野大臣政務官 引き続き、一生懸命、これから新たな基本計画を策定する上で、国土強靱化の着実な推進を進めてまいりたいと考えております。

 これは総理も所信表明の中でも申し上げておりますので、是非、そういった形で御理解をいただければありがたいと存じます。

北神分科員 多分、じゃ、新しい計画を作るということで、令和七年度でおしまいということではない、そういう御理解でよろしいんでしょうか。

中野大臣政務官 お答えいたします。

 岸田内閣においては、五か年加速化対策の後も、中長期的かつ継続的、また、安定的な、明確な見通しの下で進めてまいりたいと考えておりますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。

北神分科員 分かりました。まだこれからも続ける、そういう理解だというふうに思います。

 中野大臣政務官、多分、シティーボーイで、川越市出身なのでなかなか理解されないかもしれませんけれども、南丹市というところは、町中もありますけれども、山とかそういったところで。

 南丹市としましては、今までは平地のところが多い園部町、八木町というところで、いろいろ企業誘致とか立地基点というものをつくってきたんですけれども、日吉町、美山町というのはもうずっと山なんですよ。美山町は、もう名前のごとく山ばかりなんですよ。でも、そこでもずっと過疎化が進んできていて、やはりそういうところでも企業誘致というものを図りたい。最近、ITとかでそういう手を挙げる企業も出てきていますので。

 そういったところで、どうしてもこの国土強靱化の五か年計画というのは非常に大事で、いわゆる山崩れとかそういったものが起きやすい、そういった意味では、余り詳しい話をしてもしゃあないですけれども、ずっと主な道路を行くと、すぐまた右に行って集落があって、街宣車とかに乗っていると、また主な道路に戻って、それでまたちょっと行って、また今度は左の方の集落に行く、こういう地形なんですね。

 ですから、集落と集落を結びつける道路を造らないといけない。あるいは、既存のものでも、いわゆる山崩れの対策とか、こういうことをしていくことによって、立地基盤というものを確立して企業誘致というものを図る、そういう見通しを立てていますので、今お話があったとおり、これからも是非中期的に御支援をいただければというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 もう内閣官房関係はこれで終わりですので、もしあれでしたら、お帰りいただいても結構だと思います。

 次は、斉藤大臣にちょっとまた質問したいと思います。

 毎度のことで、昨年も地元のことで大変お世話になってまいりましたが、昨年はたしか国道四二三号線とか、白土橋の整備とか、嵐山の河川整備とか、様々なことをお願いをしたところですが、今回は、今お話をした南丹市のことなんですが、今、いわゆる社会資本整備総合交付金というものがありますね。これも活用していろいろ事業をやってきたんですが、毎年、かなりの金額、予算が減少している。

 ちょっと数字を申し上げますと、社会資本整備総合交付金、平成三十年度予算が八千八百八十六億円だったのが、年々減ってきまして、令和四年度の予算でいうと五千八百十七億円。これは、一緒になっている防災・安全交付金というのもありますけれども、これも、平成三十年度予算は一兆円を超えて一兆一千百十七億円ついていたのですが、令和四年度予算になると八千百五十六億円ということで、かなり縮小してきているということであります。

 南丹市としては、順次、通学路とかそういったところの交通安全関係の事業というものを計画してきて、この交付金というものを使わせていただいてきたんですけれども、なかなか、財政が逼迫している中で、何とかこの交付金を充実してもらえないか、こういうお願いなんですが、この点について、お考えとかございますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年に続いて御答弁させていただきます。

 社会資本整備総合交付金や防災・安全交付金は、交通安全対策を含めて、各地域の課題に応じて地方自治体が柔軟に活用することができる自由度の高い予算でございます。

 近年、これらの交付金の予算は減少傾向にありますが、これは、特定の事業に対して確実かつ集中的に支援をする個別補助制度を創設、拡充して支援を充実させているためでございます。

 道路に限っていいますと、そういう意味では、トータルでは減っていないということでございます。

 交通安全対策もその一つの例でございまして、令和三年六月に千葉県八街市で小学生五人が死傷する痛ましい事故が発生したことを受け、今年度より、通学路緊急対策に関する補助制度を創設をいたしました。

 来年度予算案においても、この補助制度に、前年度比約一・一倍の約五百五十五億円を計上しておりまして、通学路の交通安全対策を集中的に支援することとしております。

 また、この補助制度のほか、地方自治体の要望に応じて、従来どおり、交付金を活用して、通学路に限らず、道路の交通安全対策を行うことも可能でございます。

 国土交通省としては、引き続き、予算確保に努め、全国各地のいろいろな交通安全対策等、道路対策等、しっかり支援してまいりたいと思っております。

北神分科員 力強い答弁、ありがとうございます。

 要は、社会資本整備総合交付金というのは、私の理解では、元々、道路とか河川とかいろいろな対策をまとめて自由度の高いものにしたということですけれども、今のお話を伺っていると、特に集中的にやらなければいけない事業というものを、別途、個別の補助金として設けられたという理解ですね。

 そうしたら、南丹市もこの総合交付金にばかり目を向けず、そのほかの、例えば交通安全だったら、そういう個別の補助金のことをちょっと勉強して申請をするということを考えないといけないということだというふうに思いました。ありがとうございます。

 私は、岸田政権は、別によいしょしてもしゃあないんですけれども、非常によいことをしているというふうに思いまして、先ほどの、千葉県の痛ましい事件がありました。実は、南丹市ではないんですけれども、その南側にある亀岡市でも、十年前ぐらいに篠町というところで、これも痛ましい交通事故があって、子供さんが何人か亡くなられたということがありましたので、実は南丹市も、この事件を受けて、通学路を中心に何とか交通安全というものを確保しなければいけない、こういう考えの下で推進をしておりますので、是非、その点、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 岸田総理が、たしか去年、そういったところに集中的にやはり予算を配分しなければいけないというのは、本当に評価をしたいというふうに思います。

 ちょっと脱線しますけれども、公共事業というのは、本当に生活のために必要、経済のために必要だという考えと、短期的に需要を引き起こしてその都度その都度景気対策として使うという、この二つの考えがややもすると混同されちゃって、そうなると、通学路というのは、大体、なかなか用地買収が大変、その地域に住んでいる方々の理解を得るのに時間がかかるということで、いわゆる即効性の求められる景気対策には余り上がってこないんですよね。だから、ずっとそれがほったらかしにされているというのが散見されますので、是非その路線で推進をしていただければというふうに私も思っています。ありがとうございます。

 次にもう一つ、今度は、亀岡市、南丹市、京丹波町、先ほど申し上げたように、これをずっと結びつけている道路というのが国道九号線なんですね。この国道九号線というのは、五条通、烏丸、京都市内の下京区というところから、私の右京区、西京区、亀岡、南丹市、京丹波町とずっと行って、丹後の方に行って、それから鳥取県、島根県、山口県の下関まで行っている非常に重要な道路だ、太平洋側と日本海側を結びつける道路でもあるということです。

 それで、この前の大雪のときも、亀岡市の話なんですが、亀岡市というのは、京都市内から亀岡市に行くためには、あるいは逆の場合は、国道九号線もあります、もう一つはJR西日本の山陰線という鉄道があります、それから縦貫道という高速道路もある。大体この三つの交通手段でみんな買物に行ったり仕事に行ったりしているというような状況なんですが、この前の大雪、一か月前ぐらいですか、三週間前ぐらいの大雪のときにでも、やはりJR西日本が混乱を来してしまってなかなか使えなくなってしまったということなんです。

 この前の大雪でもそうなんですけれども、平成三十年に、七月だったと思いますが台風がありまして、そのときに、何と、JR西日本も止まる、縦貫道も通行止めになる、それから国道九号線も通行止めになると。大体国道九号線と縦貫道で並行して走っている。山陰線も、ちょっと違うけれども大体同じようなところを通っているということで、大体こういう災害のときには三つとも止まってしまう。

 亀岡市を始め、その北側にある南丹市ももちろんそうですし、京丹波町もそうです。もう大体、京都市内の通勤、通学圏でありますので、ここが完全に止まってしまうというような状況になって、陸の孤島状態になってしまった。この前の大雪でも、本当に、バスの中で一晩明かすとか、そういったことも一件ぐらいだけじゃなくてかなりあった、そういう状況であります。

 こういう中で、平成三十年のその台風を受けて、亀岡市とかあるいは京都府も、これについてやはり検討を加えて、今、国の方に要望をしているんですね。どういう要望かというと、今の縦貫道、国道九号線、山陰線とはまたちょっと違う、リダンダンシー、多重性というものを目的とし、あと、交通の集中というものを緩和する、もう一つ代替の道路機能というものが必要だということを国の方に明確に要望しております。

 これについて、国の方にやはり、今、気候変動の中で、五十年に一度とか言われるような大雨というものが、五十年どころかもう頻繁に起こる、これは京都だけではないと思いますけれども、そういった状況の中で、是非災害対策としても御検討いただければというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 京都市から亀岡市の間には、国道九号及び京都縦貫道が並行して走っております。両地域を結ぶ幹線道路として機能しております。私も先日、北京都に観光関係で視察に行ったときにこの縦貫道、走らせていただきました。

 御指摘の平成三十年七月豪雨においては、京都縦貫道及び国道九号が同時に通行止めとなり、この事例も含めて過去十年間で同時通行止めが計四回発生しており、防災上の課題があると承知しております。

 このような状況を踏まえ、令和三年三月に京都府が策定した新広域道路交通計画におきまして、京都亀岡連絡道路が高規格道路として位置づけられたところでございます。

 国土交通省としても、京都亀岡連絡道路の整備の必要性や効果などの調査を進めているところでございまして、引き続き、関係機関と連携しながら必要な検討を行ってまいりたい、このように思っております。

北神分科員 ありがとうございます。

 既に調査をし始めているということなんですが、一応御参考までに、今、多分亀岡市なんかは、国道九号線に並行しているもう一つ道路というものを造ったらいいんじゃないか、こういう要望というものがなされているというふうに思います。

 もう一つは、昔からある話で、京都の嵐山の山で挟んでいるところがあって、保津町というところなんですが、そこと、丸太町通りという通りがあるんですね、ちょうど嵐山に東西に走っている大きな道路があるんですが、そこと亀岡市を結びつけるというのは、昔からそういう構想もありますので、どっちがよいのか、あるいはまた違うルートがいいのか、そこはまた是非国の方でも検討していただきたいというふうに思っています。

 これはもう念願の、地域の願いでございますので、是非とも強力に進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 もう最後の質問になってしまったんですが、この国道九号線を更に北上していきますと、今度は、ちょっと順序が逆になりますけれども、亀岡市をずっと抜けて、さっき申し上げていた南丹市、それから観音峠というところを越えて、京丹波町という一番小さな町に至るんですけれども、これも、この前の大雪のときに、観音峠、トンネルが一応あるんですけれども、非常に古いトンネルですし、そのトンネルに至るまで、京丹波町側も、南丹市側も、かなり道路が、効率がよくないというか、くねくねしている道路になっていて、非常に使い勝手が悪いということで、通行止めになってしまったという状況であります。

 これは正直まだ京丹波町の方から正式に要望は上がっておりませんけれども、私も、役所の方と話を、町長さんとかに話をしたら、是非これは、京丹波町にとっても非常に重要な、災害のときのライフラインの道になりますので、観音峠のトンネル新設というお願いなんですけれども、これを是非御検討いただきたいと思いますが、これについて大臣の御見解を伺いたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国道九号観音峠は、令和五年一月の大雪において、積雪と倒木によりまして通行止めが発生するなど、過去十年間でも二回の通行止めを発生しております。防災上の課題がある区間であるというふうに思っております。

 御指摘の雪害等による国道九号の交通寸断を防ぐためには、観音峠を含む一連の区間全体について、機能強化を図ることが重要と考えておりまして、これまでに防災上の要対策箇所二十四か所について、順次防災対策を実施してきたところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係機関と連携をしながら、国道九号の防災面の機能強化に向けて必要な対策を実施してまいりたいと考えております。

北神分科員 ありがとうございます。

 これは、ちゃんと京丹波町の方から、あるいは京都府から、要望をまとめていかなければいけない課題だというふうに思っています。既に雪害対策とかそういったことは実施されているということですが、また、その要望が上がった際には、是非前向きに御検討いただきたいというふうに思います。

 災害のこともそうなんですけれども、今、実は、若干時間がありますのでお話ししますと、京都市内がいろいろな理由で地価が高騰していて、京都の人たちが住めない、特に若い人たちが住めないような状況になってきて、みんな、亀岡市とか、南丹市、京丹波町に移住し始めているんですね。これは、京都市にとっては大変な話ですけれども、亀岡市、南丹市、京丹波町にしてみたらよい話で、流入人口が増えているということなんですが。

 この観音峠というのは、心理的な壁もありまして、京都市内から亀岡に行くのは、最初の老ノ坂峠というのがあるんですが、また更に峠を越えるということで、心理的にめちゃくちゃ遠いと。実際は、南丹市に園部駅という駅があって、そこから京都市内というのは、そんなに、三十分ぐらいなんですよ。東京でいうと全然遠くないと。しかし、何となくそういうイメージがあるし、実際に使い勝手が悪いということなので、是非お願いしたいというふうに思います。これが一点。

 災害の話に戻りますと、先ほど申し上げたように、国道九号線というのは、京都市内からずっと日本海側まで、下関まで至る道であります。阪神・淡路大震災のときに、当然、災害に、直接被害を受けた地域の道路はもちろん使えなくなったと。その周辺の交通機関もかなり通行止めになったりして、この国道九号線が大渋滞になったんですよ。この京丹波町みたいな小さな町でも大渋滞になったと。

 こういうことを考えますと、南海トラフとか、いろいろあると思います。あるいは、原発も福井県にあります。こういったときに、やはり、こういう災害のときに、東西が、ちょっと大層に言いますと分断されてしまうおそれもありますので、そういう、京丹波町とか南丹市とか、この小さな町の話のことだけではなくて、全体の国の災害の戦略としても捉えていただければありがたいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 質問は以上であります。

 斉藤大臣は気候変動の専門家でいらっしゃいますけれども、これからインフラ整備というのは大変だというふうに思いますけれども、これからも頑張っていただきたいというふうに思います。激励を申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて北神圭朗さんの質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二さん。

穀田分科員 日本共産党の穀田恵二です。

 私は、北陸新幹線の延伸計画について大臣にお聞きしたいと思います。

 この延伸計画は、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム、今後は与党プロジェクトと言いますけれども、が元々の計画を八年前倒しし、二〇二三年四月着工と圧力をかけ続けてきたものですが、地元住民の強い反対で、京都府南丹市美山田歌区や京北町で環境影響調査ができないことから、国交省が二〇二三年度中の着工を断念したものであります。

 ところが、与党PTの高木毅委員長は、計画認可後に実施する調査を認可前から実施するよう国に求めると発言し、これを受けて、国交省は今年度予算案で、延伸着工前の調査費として十二億三千五百万円計上しています。

 まず聞きますが、ルートさえ正式に決まっていない段階で、北陸新幹線事業推進調査費十二億円余りは、一体何を調査するために計上されたのか、その手続の正当性はあるのか、このことについて問いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 答弁させていただきます。

 北陸新幹線敦賀―新大阪間につきましては、京都駅や新大阪駅の位置や工法、地下水への影響、発生土の処理など、施工上の課題がございます。

 こうした状況を踏まえ、令和五年度当初予算案において、北陸新幹線事業推進調査を十二億円強計上し、施工上の課題を解決するための調査を行うこととしております。

 こうした認可前に実施する調査につきましては、学識経験者等から構成される北陸新幹線の工程・事業費管理に関する検証委員会の令和三年六月の報告書におきましても、工期、事業費の予測精度の向上を図るため、認可前調査等を拡充するよう指摘されているところでございます。

穀田分科員 関係住民からは、環境アセスも終わっていないのに前倒しで調査費などというのは、これほど住民をばかにした話はないという怒りの声が上がっています。

 私は、今、その検証委員会の許可前の問題について、そういう学識経験者の話があると言いましたけれども、しかし、事業の認可もされず、着工もされていない前に国が十二億円もの調査費をつけることなどは、整備新幹線建設の歴史上前例のない、全く異常なことだと思います。こんな手法を許せば、環境アセス制度の根幹を崩すことになる、極めて悪質な、ある意味で脱法的行為だと私は思います。

 しかも、それは単に与党PTが決めたにすぎないルートではありませんか。与党におもねて、まず計画ありきで事を始めることなど、断じて許されないと私は思います。

 そこで、この延伸計画がいかにでたらめなものか、その中身ついて聞きたいと思います。

 まず、この延伸ルートは与党PTが決めたものでありまして、これ自体が全く不正常なものであります。

 元々、敦賀から小浜―京都―大阪とつなぐルート案には、配付した資料、これを見ていただいたら分かるんですけれども、三つのルート案があって、当然、関西の知事、市長らで構成する関西広域連合は、費用対効果が二・二と最も高い米原ルートを提案していました。ところが、参議院選挙を直前に控えた二〇一六年三月五日、与党PTは、費用対効果〇・七と一を切る敦賀―小浜―舞鶴ルートをぶち上げ、参議院選挙が終わるや、今度は現在の京都ルート、費用対効果が一・一を決めています。

 こうしたルート決定そのものが非公開で、その経緯をめぐってマスメディアもブラックボックスだと批判しているけれども、与党PTに地元の自治体と住民は振り回され続けてきたのが実態であります。

 関西広域連合が決めた当初案を否定し、結局、二転三転したこのルート変更自体が不可解極まりありません。およそ、まともな検討がされていないのではないかと疑問を持たざるを得ませんが、当然、収支採算性など、慎重な検討が必要となります。

 そこで聞きますが、国交省は、整備新幹線の認可に当たっての基本方針、五条件を二〇〇九年に示していますが、北陸新幹線延伸についても、こうした考えに変わりはないのか。もう一つ、国交省は、敦賀―小浜―京都のルートの場合、費用は一体幾らかかると試算しているのか、端的にお答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、着工の際の五条件の話でございます。

 整備新幹線の新たな区間の着工に当たっては、累次の政府・与党申合せにおきまして、いわゆる着工五条件、一、安定的な財源の確保、二、収支採算性、三、投資効果、四、営業主体であるJRの同意、五、並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意、このいわゆる着工五条件が整えられていることを確認することとされております。

 御指摘の北陸新幹線敦賀―新大阪間の着工についても、この着工五条件を確認することになる、このように考えております。(穀田分科員「費用は」と呼ぶ)

 費用でございますけれども、費用について、じゃ、ちょっと政府……(穀田分科員「数字を言ってくれればいいですよ」と呼ぶ)

 費用でございますが、平成二十九年三月に、京都―新大阪間のルートが南回りルートと決定した際に、建設延長が約三キロメートル延長し、概算建設費約二・一兆円との結果となりました。

穀田分科員 五条件は変わらぬということです。

 そこで、もう少し聞きますけれども、金沢―敦賀間のキロ当たりの建設費が百四十八億円、八割が地下トンネルの敦賀―京都間がキロ百五十億円、これは全く甘い計算だと誰もが普通は思いますわな。

 この間、自民党の石川県連最高顧問の福村章県議は、この試算について、物価高騰などで現在は四兆円以上になる、国の予算を考えると完成までに四十年以上かかると指摘しています。実際、北海道新幹線では六千四百五十億円の上振れ、金沢―敦賀間でも二千六百億円上振れしています。費用便益比は一を割り込み、十分な費用対効果や安定した収支採算は見込まれないのではないか。

 これまでも、費用対便益比が一を上回る場合でも、安定した収支採算性が見通せないという理由から、事業を中止した事例もあります。私たちは、元々、この延伸計画は中止すべきだと考えていますが、費用便益比が一さえも割り込むような場合、当然計画を見直すのが妥当と考えますが、いかがでしょうか。

寺田参考人 整備主体の鉄道・運輸機構でございます。

 BバイCの評価につきましては、これは事業評価について定められた手法、ルールがございますので、このルールにのっとって判断をされていくものというふうに承知をしております。

穀田分科員 だから、見直すのは当然ちゃうかと。そんなことを言っているのに、数字の話をしているんじゃないんですよ。

 結局、採算性や費用対効果も最も低いんですよ、これ。関西広域連合の当初案とも違う。結局、与党PTの考えがまかり通る。こんなふざけた話はないということを言わなければなりません。私は、国の認可基準に基づいて、先ほど大臣は五条件を述べました、これに基づいて、厳正に審議、検討されるべきだということだと思います。

 そこで、じゃ、せっかく出てきはったから聞きましょう。

 そのほかにも重大な懸念が多いけれども、延伸計画のうち約八割が地下トンネルです。この地下トンネルと地下水への影響について聞きます。

 京都盆地には、琵琶湖に匹敵する地下水、水がめが存在すると言われています。この湧水の恩恵で京都府民の暮らしと営みが続けられてきています。伏見の酒、京都のおいしいお豆腐、それから京菓子などにもこの地下水は欠かせません。

 トンネルと盆地、地下水との関係は、丹那盆地を横切る東海道線の丹那トンネルの先行事例があります。丹那トンネルの掘削は、大量の湧水との戦いであったと記録されています。この点、京都盆地と全く同じだと。

 十六年に及ぶ丹那トンネルの工事では、作業員六十七人が犠牲となりました。記録では、トンネルの先端が断層に達すると、トンネル全体が水であふれるほどの湧水事故が発生したとあります。結果、多数の水抜き坑で地下水を抜き、水抜き坑の全長はトンネルの約二倍にも及び、排水量は六億立方メートル、芦ノ湖の約三倍と記録されています。トンネル真上の丹那盆地では、工事進捗とともに奥の沢から順に水が枯れ、まず、ワサビ栽培が駄目になり、次いで、かんがい用水が確保できず飢饉となり、田畑が干上がり、住民の飲料水にも事欠くことになりました。

 そこで聞きますけれども、同じ現象が京都盆地の地下水に起こらないと言い切れるのかどうか、機構に聞きます。

寺田参考人 地下水への影響についてお尋ねをいただきました。

 地域の皆様が地下水について大変御関心を持っておられるということは、私どもももちろん承知をしております。

 この地下水への影響につきましては、環境影響評価方法書におきまして専門家の助言などを受けて予測及び評価を行って、影響を回避、又は極力低減するよう検討することとしております。専門家の知見も得ながら、検討を現在進めているところです。

 今後は、地下水の流れの詳細について調査を行って、駅部の施工、これは駅の部分の工事の施工でございますけれども、駅部の施工などに伴って、地下水への影響について詳しく解析などを行うこととしております。

穀田分科員 地域の皆さんが心配しているだけじゃないんですよ。今お話ししたように、みんな、これに恩恵を得ている京都府民全体が、ええかいなという話を気にしているということ。大臣も分かるように、お酒はあるわ、それから菓子はあるわ、豆腐、こういう問題を、地域の皆さんというような話じゃないということを、その程度の認識してたんじゃあきまへんで。

 今、配慮書の話をしてはりましたわ。

 環境影響評価に係る専門家等による助言では、京都盆地に大量に存在する粘土土層を挟むところに大口径のシールドを施工すると、帯水層を遮断して流動阻害を起こすと指摘されているんですね。

 現に、京都地下鉄東西線建設工事では、建設工事と補償要因発生の因果関係が認められ、二百九十か所の井戸の水位低下や枯渇などへの補償が行われているんです。また、四条通りの地下鉄工事で井戸が枯れた京菓子の老舗や伏見の酒蔵から、大変心配しているとの声が上がっています。ほんまに大変なんですって。

 ですから、先ほど専門家の助言も得てというような話をしているけれども、本当に助言を得るだけじゃなくて、単に地域の皆さんという、掘っているところの話だけじゃないんですよ。京都府民全体が、大丈夫かいなということを思っている、そういうことを背景に、きちんとやらなあかんということを言っておきたいと思うんです。

 そこで、京都府が作成した活断層図を見てほしい。ありますわな。このルートは、大臣、約八割が地下トンネルと想定されており、大深度地下で京都府内を縦断するとなると、京都府内の無数の活断層を避けて通すことはできません。

 先ほどの丹那トンネルでは、一九三〇年、工事中にマグニチュード七・三の北伊豆地震が起こり、断層が上下左右に動き、実際にトンネルの軌道が北に二メートルずれています。これは重要な教訓であります。

 そこで、伺いたい。

 北陸新幹線延伸の目的の一つは、災害時の代替輸送機能の確保を錦の御旗としていますが、東海、東南海トラフ地震が近く想定される中、断層を横切る、あるいは並走する地下トンネルの新幹線が、本当に安全な代替ルートたり得るのか。その点について、大臣の見解をお聞きします。大臣ですよ。

赤羽主査 寺田副理事長、まず先に。(穀田分科員「簡単にしてくれ、あなたは」と呼ぶ)簡潔にお願いします。

寺田参考人 敦賀―新大阪間につきまして、今御指摘ありましたように、環境影響評価方法書において整備を想定しているルート帯、これは幅で示しておりますけれども、その中に断層が存在していると承知をしております。このため、今後の詳細なルート選定に当たっては、断層を通る場合、できる限り短い距離で断層を通過するように検討を進めることとしております。

 また、地震への対応という意味では、耐震対策強化、早期の地震検知システムの導入、脱線、逸脱防止対策の実施など、地震発生に備えた必要な対策を講じることとしております。

 いずれに……(穀田分科員「分かった」と呼ぶ)

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省といたしましては、先ほど機構が、いろいろな具体的な方策を述べました。断層による影響を極力回避する方策を検討するよう、機構をしっかり指導してまいります。

穀田分科員 できる限りとか、万全な対策をといって、それでできると思うんだったら苦労はないんですよ。そんな、やる前から断層があるのを分かっておる、しかも大深度地下へ行く、それで、今聞いたら、できる限りと、それから耐震強化と、その方策をと。そんな、幾ら言ったって、じゃ安全なのかと聞いているんですよね。安全たり得るのかと。

 地震研究家の石橋克彦神戸大名誉教授は、中央新幹線小委員会ではリニア新幹線の地震安全性についての審議は全くなされなかった、小委員会の重大な手落ちということで、「リニア新幹線と南海トラフ巨大地震」という著作で指摘されています。

 著名な地震学者である尾池和夫静岡県立大学学長は、丹那トンネルの掘削による大量の水抜きで地下水に異常が生じ、それが引き金になって大地震を早めに引き起こしたと指摘しています。つまり、大量の地下水の移動が大地震発生の引き金作用となり得るという仮説の下、北伊豆地震のことを見直す必要があると言っておられるんですね。

 ですから、今、専門家の知見もいろいろ借りるとか、いろいろ言っているわけだけれども、そういう意味でいうと、環境アセス、国の認可に当たって、断層運動による地下トンネルの切断の可能性、安全性について、専門家を入れて当然検討を行うべきではないか。どこかで既に検討されたことはありますか。

寺田参考人 断層の件について改めてお尋ねいただきました。

 これまでの新幹線の整備に当たりましても、断層に対して十分留意をして構造物の設計等をやっていく、これが大前提になっております。したがいまして、今後につきましても、引き続き、断層について、安全な新幹線の高速走行がきちんと確保されるよう、様々な検討をしっかりと進めていきたいというふうに考えてございます。

穀田分科員 一般論を聞いているんじゃないんですよ。地下、大深度、しかも、今度、これだけの断層がある、これを並行する、ないしは縦断する、そういうことを含めて検討したことが、京都の事態について検討したことがあるかと聞いているんです。

寺田参考人 まさに今後の調査におきまして、そういった断層について十分留意して、地質なども含めて、しっかりと検討をこれからしていきたいというふうに考えております。

穀田分科員 幾ら決意表明されても、これが安全だという証拠にはならない。私は、これで足り得るのかと聞いているんですよね、今の段階で。今の段階では、まだ分からないということなんですよね。うなずいておられるし、お互いにそういう認識だと。

 そこで、じゃあもう一遍、機構に聞きましょう。

 この延伸計画について、京都府環境影響評価専門審議会、二〇二〇年の三月十二日では、今回の事業は世界的に見ても一、二を争う非常に長いトンネルであることから掘削発生土は膨大な量になる、本事業内での再利用や他の公共事業への有効利用等で消費できる量ではないと意見が出されています。その量、幾らか。実に、少なく見積もっても八百八十万立方メートル。甲子園球場に積み上げると、何と高さ二百二十八メートル。想像できますか。そのぐらいのあれが出る。だから、この土砂は、北海道新幹線でも問題になった自然由来のヒ素などが蓄積されている可能性が高い。

 そこで伺うが、熱海で大規模な土石流災害を引き起こした量の百数十倍の発生残土をどう処理するのか。大量の掘削土砂の処理方法、周辺環境に及ぼす影響、土砂災害や洪水、浸水、ヒ素等による環境汚染など、どう考えているのか、簡潔に言ってください。

寺田参考人 トンネル工事の発生土についてお尋ねをいただきました。

 トンネルを掘ることに伴って出てくる土など、発生土と呼んでおります。これは当然、適切に処理していくことが非常に重要な課題だというふうに私ども思っております。

 委員御指摘ございましたけれども、自然由来の重金属などを含む発生土につきましては、これは受入れ地の確保はもちろんのことですが、環境への影響を極力低減させる対策、これを講じることが不可欠だというふうに考えてございます。

 今後、沿線となる自治体の御協力も得ながら、発生土につきまして、対策土量、これは重金属等を含む発生土について必要な対策を講じる土の量のことでございますが、この対策土量の予測、あるいは受入れ地確保の見込み等の、こういった調査を行うこととしたいと考えてございます。

穀田分科員 結論は、調査を行うということですわね、今話をしたのは。

 私が聞いているのは、どう処理するのかと、具体的には。八百八十万立方メートル、これをどう処理する、八百八十万でっせ、それをどう処理するのかということが一つ。それから、その処理方法。それから、周辺環境に及ぼす影響をどない考えているのか。そして、ヒ素の環境汚染はないのか。この四つ、答えてください。

寺田参考人 まず、どう処理するかという点でございますけれども、これは、これまでも整備新幹線の工事に伴って様々な工夫をしておりますが、ほかで必要となる、土を必要とするような工事などございましたらそちらの方で活用していただく、あるいは、私どもの事業の中でほかに必要な場合にはそちらの方で使う。いずれにいたしましても、その発生した土の受入先、これが、確保が非常に重要ですので、できるだけ早い段階から、そういったことの確保について検討していきたいというふうに考えてございます。

 それから、処理の仕方でございます。これも様々な方法がございます。例えば遮水シート、水を遮るシートでございますけれども、こういったもので包むような形で外に重金属等が漏れ出さないようにする、そういう形で、環境への影響を極力回避するような形で土を受入れ地に受け入れていただくといったようなことを考えておりますし、これまでもそういった実践をしております。

 それから、重金属、具体的にどのようなものが含まれて、どういう環境への影響が生じ得るか、この点につきましても、まさに、先ほど来、冒頭に御議論がございましたけれども、これからの調査の中でしっかり調査を行って、そういったものがどの程度量としてあるのか、どのような種類の重金属が含まれるのか、こういったものをきちんと見極めたいというふうに考えてございます。

穀田分科員 これからの計画ばかり言うだけで、これの疑問に対して、京都府民や周りの方々が思っておられる疑問に対して、こういうことだという答えがないのが特徴ですよね、これからこうします、ああしますと。そんなあほなことを言っていたって、誰が信用しますねんな。私は、費用とか採算性とか安全性とか環境に与える影響などについて、まともな話がないんですよ、大丈夫なのかと聞いているのに、大丈夫だと言わずに、こういう調査をします、調査をします、そんなことを言っていたってあかん。

 だから、京都の地元紙は、立ち止まって時代の変化を見極めるのも知恵だ、京都の地下を走るがらがらの新幹線が目に浮かばないか、貴重な公費は生活基盤の在来線を守るために使うのはどうか、千年の都の先の千年に響く縦断新幹線に水を差すと。なかなかうまいなと思いました、私。思いませんか。と指摘しています。この指摘を強く受け止め、この計画の中止を私は求めたいと思います。

 最後に、在来線の問題について聞きます。

 将来の見通しも採算性も度外視して、少なくとも先ほど述べた二・一兆円かかる北陸新幹線延伸計画を進める一方で、他方、JRの在来線は大変なことになっています。

 大臣に聞きます。

 住民の皆さんから強い要望があり、私は十六日、JR和歌山支社に申入れを行ったところですが、JR西日本がコスト削減のため、駅のコンパクト化方針を推進する中で、今、和歌山線では、旧駅舎の撤去、トイレやホーム屋根の撤去が相次いでいます。

 例えば、熊野古道のアクセス拠点となっている布施屋駅や田井ノ瀬駅では、一昨年、トイレとホーム屋根が撤去され、駅前の家に電車を降りた方がトイレを借りに来るとの苦情が地元町内会から出ています。また、この沿線には四つの高校がありますが、通学時には電車は超満員、ホーム屋根の撤去で、雨の日には傘を差して電車を待ち、ずぶぬれのまま電車に乗らざるを得ない。

 地元の共産党和歌山市会議員団は、住民からアンケートを取って対話しています。高校生からは、なぜ屋根まで撤去したのかという怒りの声とともに、ずぶぬれの傘を持ち込むと乗客に白い目でにらまれ、とても嫌な思いになった、ぬれたままの服で満員電車に乗るのはとても気を使い、つらいという声が寄せられています。

 今、公共施設への生理用品の設置など、トイレは人権という声と運動が広がっており、SDGsの六番目のゴールは、安全な水とトイレを世界中にとなっています。

 トイレは人権、トイレをきれいにが私鉄を含めた大きな流れであり、世界の趨勢ですが、きれいどころか、取っ払ってしまうということは余りにひどいんじゃないかと。ホームで雨にさらされ、ずぶぬれで満員電車を待つ高校生らの気持ちをどう考えるか。

 JRは私の申入れに、コスト削減の観点で駅をスリム化していると回答しています。

 JR西日本の二〇二二年の連結決算は、純利益が八百七十三億円、二一年度の内部留保も七千四百十七億円に上ります。コスト削減の一辺倒で、公共交通を担うJRが住民サービスを切り捨て、社会的責任を放棄することは重大問題だと考えますが、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 輸送需要の減少が進む中、地域公共交通の維持を図るための事業構造改革の一環として、鉄道事業者が各種駅施設の見直しを行っていると承知しております。

 その際、駅は地域の玄関口でもあるため、利用者利便に関係する施設の改変を行う場合には、鉄道事業者において沿線自治体に事前に説明することが重要です。

 今回の御指摘の事例についても、JR西日本からは、列車内にトイレが設置されていることも含め、事前に沿線自治体に御説明した上での措置であると報告を受けております。

 いずれにいたしましても、引き続き、沿線自治体と連携して利用者利便の確保に努めるよう、鉄道事業者を指導してまいりたいと思います。

穀田分科員 説明したとか、そんなことを言っていたんじゃ、それは、住民の利益は守れませんよ。私は、人権に関わる問題だと、これは。

 公的役割、公共交通を担うJRに対して、今、指導すると言っていましたけれども、私は調べてみたんですよ。JR西日本は、SDGsの達成の貢献というところで、こう言っているんですね。「安全・安心」の項では、「当社グループが担う責任」は「社会インフラを担う責任」と言っているんですよ。社会インフラを潰しておいて、社会インフラを担うのが自分のところの責任だと。それやったら、ちゃんとやれと私は思うんですね。

 しかも、現実の問題は、指導するということを、一般論じゃなくて、現実どうするかという問題だと思うんですよ。

 だから、一言だけ言っておきたい。改善の何らかの手を打つべきだと。とにかくもう、今ありましたが、利用者の利便、安全と利便について早急に大臣として行動していただいて、指導とおっしゃっていましたから、具体的な改善が実るように、実があるように、見守っていきたいし、私はそれを今後とも言い続けるということを言っておきたいと思います。

 終わります。

赤羽主査 これにて穀田恵二さんの質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

赤羽主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。櫛渕万里さん。

櫛渕分科員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 本日は、国土交通大臣へ、国の公共事業である外環道の問題についてお伺いをしていきます。

 まず、パネル一を御覧ください。

 こちらですけれども、外環道トンネル工事の真上の住宅街で陥没事故が発生。これは、御存じのとおり、二〇二〇年十月、私の選挙区、東京二十二区であります調布市の大変閑静な住宅街の道路が、住宅の敷地の一部も含めて突然大きく陥没したんです。そしてその後、三つの空洞が発見されました。その原因は、地下四十七メートルの深さで巨大シールドマシンを動かすという外環道トンネル工事による地盤沈下でした。

 その後、私も現場へ行き、被害住民の皆さんとお会いをし、陥没前から、トンネル工事による振動や低周波音など、健康被害に悩まされる、不眠や苦痛、それを始め、地盤沈下による住宅のずれやひび割れなど、深刻な状況をこの目で見てまいりました。

 次に、パネル二を御覧ください。

 大臣、想像できますか。これは、外環道工事、調布の道路陥没事故による被害状況。これはまだごく一部でありますけれども、これを見ると、陥没した道路のことだけでなく、先ほど申し上げた空洞三つ、そして、周辺には、ひび割れや、家屋、ここに地盤沈下が起こっているわけですから、ガス漏れなども発生しているという大変深刻な事態なんです。

 それから二年半近く、更に閑静な住宅街は壊され、人が離れ、住民が要求する独立した第三者委員会の設立も検証も賠償もなく、被害住民の皆さんは今も置き去りにされたままなんです。

 大臣、国の公共事業が、住民の財産権のみならず、人権侵害を引き起こしている、そのような状況が続いています。今日は、傍聴席に被害住民の皆さんも併せて来ていただいておりますので、大臣には是非誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、大臣にお聞きいたします。

 元々、外環道事業は、東京都心を幾重にも取り巻く環状線計画から始まっていますが、計画から数十年たって、政府は、今も本当にこの路線、そしてこの事業が必要と考えていますでしょうか。そして、いつ頃それは供用の予定ですか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず初めに、今回のこの外環道の工事によりまして、地盤陥没ということになりました。それによって被害を受けられた方、大変お苦しみになっている方々に心からお見舞いを申し上げます。

 今、櫛渕委員から、外環の必要性と、それから供用をどのぐらいに見込んでいるかという御質問がございました。

 まず、東京外環道の必要性でございますが、東京外環の関越から東名間については、関越道、中央道、東名高速を環状方向に結ぶ、首都東京の基幹となる道路ネットワークを構成する重要な道路である、このように認識しております。この道路は、都心方向に集中する交通を適切に分散し、首都圏の慢性的な渋滞の緩和に効果を発揮するとともに、物流の効率化や生産性向上などの効果が見込まれる、首都圏にとって必要な事業、このように考えております。また、事故、災害時の代替ルート確保などの観点からも必要な事業と認識しております。

 次に、供用時期の見込みについての御質問でございます。

 東京外環の東名側本線工事におきましては、現在、調布市での陥没空洞事故を受け、地盤補修を行うなどの対応を行っているところでございまして、工事再開が見通せない状況となっております。

 このような状況の下、東京外環の供用時期についてお答えすることは困難でございます。

櫛渕分科員 必要性は、四十年前に立てたプロジェクトでありますから、これから加速する人口減、予想されているわけですね。そして、高齢化。また、国交省は正確な見通しを立てているとは私は思えないんですね。そして、車の台数も減っているじゃないですか。

 必要とおっしゃるなら、当然、費用対効果、これは考えていらっしゃると思いますが、いつ頃完成し、供用されるかをベースに、先ほど、見通せないというお答えでしたけれども、では、費用対効果の見込みもこれからということでよろしいですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 費用対効果の御質問でございました。

 事業費については、今、再発防止対策の事業をやっておりますので、増額になることはなると思います。

 ただ、コスト縮減に努めることとなっておりまして、現在では、費用対効果についてお示しすることはできない状況でございます。

櫛渕分科員 その計算をされる際に、この事故の賠償、このようなことは数字に入っていますか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 その増加費用についてはこれから出てくるんだと思いますが、ただ、コスト縮減を全体でしようということになっておりますので、今は、いわゆるBバイCというのはお答えできない状況でございます。

櫛渕分科員 矛盾するお答えをされても困るんですね。地盤修復に充てる費用、そして被害に遭った住民への賠償、これはコストは高くなるに決まっているじゃないですか。

 こうしたことをきちんと試算して、これは公表していただきたい。これは予算委員会ですから、例えば、今年度、しっかり、詳細なコスト、どれぐらいなのか、公表いただけますか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今後ともコスト縮減はずっと続けることになっておりますので、どこかの時点でコスト縮減が終わるというわけではございませんので、最終的な、幾らコスト縮減ができるかというのは、今の段階では未定でございます。

櫛渕分科員 住民に対する賠償も含めて、そこはコストを削減いただかないようお願いを申し上げます。そして、試算も公表、積み上げを出していただくよう改めて求めます。

 さて、外環道については、東京外環道裁判では、憲法二十九条の財産権不可侵と、公共のための使用条件、正当な補償、これが争われています。国はこれについてどう考えているのか、お聞きいたします。

 大臣は、昨年、やはりこの予算委員会の分科会でこのように答弁されています。「通常使用されない空間である大深度地下に使用権の設定を認めるというものでございます。」「大深度地下における工事について、地上に影響を与えないということを前提としたものではございません。」とおっしゃっているんですね。

 だとすると、大臣、大深度において使用権が限定されたケースであっても、地上に影響が出れば補償が必要となるという理解でよろしいでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 大深度法に基づく使用認可制度は、公共の利益となる事業を円滑に実施するために、国民の権利保護に留意しつつ、通常使用されない空間である大深度地下を使用する権利を認めるものでございます。

 通常使用されない空間に使用権を設定しても、財産権の制約に伴う損失が発生しないものと考えられることから、補償を要しないこととされております。ただし、大深度地下に井戸や温泉井といった既存物件がある場合等については、補償の対象となります。

 一方、調布市における陥没事故につきましては、あくまで工事の施工に起因するものであり、その生じた損害についての補償は、事業者において住民に寄り添った形で行っていく方針と承知しております。

櫛渕分科員 国民の権利保護に留意というところもきちんと入っているわけですから、そこは大変重要な点だと思います。

 そして、使用権と影響の関係ですけれども、大臣おっしゃるように、やはり地上に影響が、調布に対しては出たわけです。そして、調布以外にも出ているところがあるわけですから、これは補償の対象にもなるというふうに理解をいたしました。よろしいですね。

斉藤(鉄)国務大臣 工事の施工に起因するものでございまして、その生じた損害についての補償は事業者において住民に寄り添った形で行っていく方針、そのように考えております。

櫛渕分科員 国は責任を負わないということですか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の原因は、工事の施工に起因するものでございます。事業者においてその責任を果たされるもの、このように認識しております。

櫛渕分科員 使用権の設定、この認可は国ですよね。だとすると、国がその責任を取らないというのは大変おかしな話であると私は思いますよ。この責任を全て事業者に押しつけるということですか。

 私は大深度地下法そのものに反対の立場ですけれども、百歩譲っても、大深度法第十六条四号にある、事業遂行の意思と能力のある事業者を選ぶこと、これは入っているじゃないですか、法律事項に。だとすると、国は、それに対して責任があって、この選択ということをする責任、あるんじゃないですか。大臣、お願いします。

井上政府参考人 お答えいたします。

 大深度法に基づく使用認可制度でございますけれども、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、通常使用されない空間である大深度地下を使用する権利を認めるということでございますので、使用権を設定しても、それ自体で損失が発生するものではないと考えております。

 一方で、今回、工事の施工に伴いまして損害が生じた場合でございますけれども、これは一般の公共工事もそうですが、事業者がその損害を補償することとされておりますので、今回は事業者がその生じた損害について補償するということで整理されております。

櫛渕分科員 これは今裁判でも争われている点でありますから、大臣そして国にはこの使用権を認可する責任があると私は思います。司法の場においても徹底追及されていくことと思います。

 次に、東京地裁民事九部は、二月二十八日、気泡シールドマシン掘削差止め命令を求めた仮処分裁判で、東名立て坑発進の二基のマシンの停止が命令されました。南行き線は調布市東つつじケ丘二丁目地内から、また、北行き線については調布市東つつじケ丘三丁目地内から三鷹市の井の頭通り付近までの間が掘削できないままとなっています。この停止部分は本線部分の六割を占め、その決定は事業全体について再検討を求めたものと見られます。

 国は、これを受けて、今後の事業をどう進めるのでしょうか。お聞きしたいと思います。

 大臣が、今後、決定の内容をよく確認して、関係機関と調整の上、適切に対応していきたいとしてから十一か月がたっていますけれども、どのような検討がなされ、調整が進んだのか、教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 令和四年二月に、東京地方裁判所より、工事差止め仮処分命令申立ての決定が、事業者である関東地方整備局、NEXCO東日本、NEXCO中日本に送達されました。その決定の内容は、東京外環の関越から東名間における七本のシールドトンネル工事のうち、東名立て坑発進に係る二本のトンネル掘削工事について、気泡シールド工事を行ってはならない旨の内容となっております。その中には、東名立て坑発進に係る二本のトンネル掘削工事について、「具体的な再発防止対策が示されていない」との指摘があったと承知しております。

 したがって、これら二本の工事については、まずは具体的な再発防止対策を取りまとめる必要があると考えております。この対策を取りまとめた上で、仮処分決定に対する異議申立ての有無も含めて関係機関と調整して適切に対応していきたいと考えております。

櫛渕分科員 完璧な安全対策なんてないんですよ。そこを証明したのが調布の事故だったと私は受け止めています。是非、これは、今後の見通しということですけれども、被害住民の皆さんの前で、これはしっかり、この調整をどうしていくのか、私は工事中止ということを求めたいと思いますけれども、その検討を是非お願いしたいと思います。

 時間もありませんので、地盤補修工事について質問を進めていきたいと思います。

 三枚目のパネルを御覧ください。

 事業者は、陥没事故周辺のトンネル真上の約三十戸について買取り若しくは一時移転を求め、住宅の解体、更地化、地盤補修をすると勝手に決め、交渉に入るとともに、その地盤補修工事についての計画を発表、これはいわば住民に一方的に押しつけていると言える状況なんですね。

 このパネル三を見ていただきたいんですが、この地盤補修工事については、もし実施するなら、被害が出ている全域、これは事業者が言っているだけでも千戸あるわけです。約千戸と言っています。これを対象とすべきなのにトンネル真上に限っているのは極めて不合理であり、理解ができません。このパネルの紫色の部分ですね、ここが地盤補修の範囲です。そして、補償対象地域とされているのがこの水色の部分でありますけれども、余りにも一部でしかないということをお分かりいただけると思います。

 このために、例えばガレージ下が陥没した家の二軒隣のお宅で、隣のアパートまでが地盤補修範囲に入るにもかかわらず、トンネルの真上に当たらないからといって買取りができない、そのために断られているケースというのもあるんです。

 大臣にお聞きいたしますが、なぜトンネル真上の三十戸は、更地にして地盤改良をする必要があるんでしょうか。そして、なぜトンネル真上の約三十戸以外は必要がないと考えたのか、理由をお示しください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の陥没事故でございますけれども、特殊な地盤条件下で、シールドカッターが回転不能になる閉塞を解除するために行った特別な作業、これに起因するシールドトンネルの施工にあるということとなっております。

 その特別な作業の過程の中で、土圧の不均衡が生じて地山から土砂がチャンバー内に流入して、結果として、地山に緩みが発生したこと、緩みが煙突状に直上に進展した、こう推定をされているところでございます。

 現状においては、直上の隣接地において地盤の緩みは発生はしていないというふうに考えておりますが、引き続き調査を実施する中で、隣接地における地盤に緩みが確認された場合は適切に対応していきたいと考えております。

櫛渕分科員 全然理解ができないんですね。

 大臣に確認したいことがございます。

 この地盤補修工事の目的は何ですか。例えば住民が安全に住み続けるためなのか、それとも、既に掘った南行きトンネルが浮いてくるなどの支障があるからなのか、又は、大深度地下法の定義に無理やりはめようとしているのか、それとも、傍らを通る北行きトンネルを掘るためなのか、どれですか。大臣にお願いします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の地盤補修工事の目的でありますが、シールド工事が原因で緩みが生じた地盤、これを元の地盤強度に戻すためのものでございます。

櫛渕分科員 それは分かるんですよ。だから、それの狙いは何ですかとお聞きしています。何ですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、元の地盤の強度にするというものでございます。

櫛渕分科員 私は、その目的は住民が安全に住み続けるため以外にないと思います。国の公共事業ですから、元に戻す、その目的は住民が安全に住み続けられるため以外にないんじゃないですか。大臣、そうですよね。それ以外のところにも補修工事を広げていくと、例えばですよ、ボーリング調査で緩みが分かったら大深度地下法の定義に影響が出てしまうから、そういう心配があるからやらないんじゃないですか。だったら、範囲を広げればいいじゃないですか。安全が目的、あるいは住民がちゃんと安心して住み続けられることが目的だったら、範囲を更に広げて買取りしてくださいよ、補償してくださいよ。いかがですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、現在、トンネル直上の隣接地において地盤の緩みの発生というのは確認できておりません。

 ただ、引き続き調査をした中で隣接地における地盤の緩みが確認された場合は、適切に対応してまいりたいと考えております。

櫛渕分科員 適切に対応って意味が分からないんですね。地盤の緩みや家屋の被害は、地域全体に広がっているんです。

 大臣、よく聞いていただきたい。にもかかわらず、一方的に地盤補修工事の在り方を決めて、たった数センチ、直上の地盤補修範囲からちょっとでも外れるとみなされると、買取りを含む仮移転の対象にはならないんですよ。そして、たった数センチ補償対象地域から外れると、説明会の案内さえも来ないんですよ。おかしくないですか。大臣、現場に来ていただけませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど来道路局長から説明しておりますように、今後、調査を行いまして、地盤の緩み等が確認された場合には適切に対応してまいります。

櫛渕分科員 たった数センチの差で人生が左右される、こんなことがあっていいんでしょうか。大臣、現場に来ていただけませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 しかるべきときが来ましたら、調査をしたいと思います。

櫛渕分科員 調査のために現場に来るとお約束したということでよろしいですか。

斉藤(鉄)国務大臣 しかるべきときに、現場を調べてみたいと思っております。

櫛渕分科員 現場視察、大臣がいらっしゃるということをお約束いただきました。お願いいたします。

 さて、次の質問に行きます。

 そもそも道路補修工事の責任主体は誰なのか、お伺いしたいんです。

 この準備工事は道路法第三十五条が適用されるわけですから、例えば補修完了後に地盤の問題が起こったときには、ずっと国が責任を負うという理解でよろしいでしょうか。

 そして、この補修工事、そして準備工事、どれぐらいの規模なのか。聞くところによると、本当に、大工事、大規模開発の大きさなんですね。何か、パイプラインを敷いて、ヤードを造って、閑静な住宅街にこれほど大きな、これは準備工事だとしても、補修工事そのものも、更なる二次被害、三次被害、住民にとっては騒音やあるいは振動、そして低周波音の影響、このようなことまで心配されています。どうですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回の地盤補修工事の責任主体でありますが、事業者でありますNEXCO東日本が責任を持って実施していくものというふうに承知をいたしております。

 また、NEXCO東日本が住民の皆様に対して丁寧な説明と誠意を持って対応していくということが重要だというふうに認識しておりまして、国土交通省としても最大限協力していきたいと考えております。

櫛渕分科員 何かというと、事業者、事業者といって、今日は国交大臣も来ていただいて、国の責任についてお伺いしているんですよ。わざとそういうお答えなんだと思います。

 大臣にお伺いしたいんですが、こうした初めてのケース、これは、国がちゃんと、住民被害調査対策室というのを設ける必要があると思いますが、いかがでしょうか。これは民間ではやっているんですよ。市民基金を集めて、僅かなお金ですけれども。しかし、健康被害調査というのが必要だ、こうしたことに向き合って、住民のアンケート調査だけでも、五十軒を超えるお宅で低周波音の不快感を訴える回答が出ています。住民の健康問題、決して無視してはいけない被害だと思いますが、お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 繰り返しになりますが、地盤補修工事につきましては、事業者であるNEXCO東日本が責任を持って実施していくものと承知しております。

 今後とも、NEXCO東日本が住民の皆様に対して丁寧な説明と誠意を持って対応していくことが大変重要であると考えております。

 国土交通省といたしましても、NEXCO東日本に対して、住民の皆様方に寄り添った対応をするよう改めて指示するとともに、最大限協力していきたいと思っております。

櫛渕分科員 工事する主体は事業者だというのは分かりますけれども、被害が出ている住民に対する対応は国が責任を持つべきだということを申し上げているんですよ。そこのところを御理解いただいて、調査室をつくってくださいと申し上げました。検討いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 繰り返しになりますが、今回の地盤沈下とそれに伴う地盤補修工事については、事業者であるNEXCO東日本が責任を持って実施していくものでございます。

櫛渕分科員 大臣にお伺いします。

 この地盤補修工事は、大深度地下法によるものですか。都市計画法によるものですか。法的には誰が責任を負っていますか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の地盤補修工事は、大深度法によるものではございません。

櫛渕分科員 何法によるものですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 道路法に基づくものです。

櫛渕分科員 道路法第三十五条の適用ということは分かっています。

 この地盤補修工事、そしてこの準備工事は何ですかと聞いているんです。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、道路法によるものでございます。

櫛渕分科員 ということは、国が責任を負うということになりますよね。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の陥没事故でございますけれども、これは施工の不備によりまして発生しているものでございますので、事業者であるNEXCO東日本が対応しているものでございます。

櫛渕分科員 施工の不備によって被害住民が出ているということをどう考えるのかという新たな課題であると思います。

 国の公共事業です。そして大深度法に基づく工事です。大臣には、そこを是非御検討いただきたいと思います。

 そして、その健康被害について、残り時間、進めていきたいと思いますが、住民に何の手当てもありません。

 そして、避難体制についても、これは明確に選択肢を国が住民に与えるべきだと思います。つまり、買取り、仮移転、一時避難の選択肢、国と事業者の責任で、周辺の地域の希望者にその選択肢を与えるということについて、是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の補償の範囲でございますけれども、有識者等の意見も踏まえまして、トンネルの端からおおむね四十五メートルの範囲を基本に設定しております。その範囲の住民の皆様に個別に御要望をお伺いして対応させていただいております。

 また、この範囲外でありましても、お申出があった場合は、因果関係などを確認の上、個別に対応させていただくと承知しております。

櫛渕分科員 それは、オープンハウスとかのことを言っているんでしょうか。

 今回の陥没事故に当たってどのように住民に向き合ってきたかというのは、大変重要な一つの大きなポイントなんですね。

 大臣は、十月二十七日、昨年ですけれども、参議院の国土交通委員会で、「住民の皆様には丁寧に対応するように私からも指示をしている」と御答弁されています。何回ぐらいその後説明会を行い、どのような丁寧な対応をされたのか、お答えいただきたいと思います。

 もう時間がないので、私の方から先に申し上げますが、住民は、オープンハウスでごまかされるので、説明会を積極的に開くよう要求していますが、あくまでもこれは第一歩なんですよ。形ばかりの一方的な説明会を求めているのではなくて、住民がしっかりと、深刻な被害を受け止めていただいて、事業者と対等な関係で話し合う民主的なプロセスをつくってほしい、これが本質なんですね。

 この点、日本は本当に弱いと思います。大切な公共事業ほど、先進国では、丁寧に住民に向き合って説明を重ねて実施するんですよ。

 そもそも外環道事業は、大深度法によって、住民に交渉権はありません。そして、他の公共事業と比べても更に丁寧な対応が必要であり、そこへ事故まで起こしているのですから、その必要性は国交省としては最重要課題であると私は考えます。大臣には、丁寧に対応というその中身を、是非、事の本質を御理解いただいて、御答弁をお願いします。

赤羽主査 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁をよろしくお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 オープンハウスの開催時には、あわせて、事業者と周辺にお住まいの方との意見交換の場も設けて、住民の方から幅広く意見を伺っているものと承知しております。

 今後とも、沿線の住民の皆様に対し丁寧な説明と誠意を持って対応していくことが重要であると認識しており、引き続き、広く住民の皆様が参加いただける意見交換の場やオープンハウスなどにより、丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。

櫛渕分科員 最後、数秒でまとめます。

 今日、様々質問しましたけれども、ほんの一部でしかありません。私は、被害住民の方々とお話しして思うのは、なぜ皆さんがこのような目に遭わなければいけないのか、こんな理不尽な現実はないと思います。このような深刻な被害を与えた事態の根本、これは大深度地下法でありますし、契約交渉不要で、住民に説明しなくてもいい、補償も要らない、環境アセスもずさんでいい。一体、誰のための、何のための法律なのか、ここが最初なんですね。

 ですから、大深度地下法は、憲法二十九条が保障する財産権、これを侵すだけでなく、住民の了解を不要とすることにより、生命、健康、暮らしなど、最悪の場合、命まで奪いかねない、人格権侵害を引き起こすものだ、今現状そのような状況になっているわけです。

 大臣には、国の公共事業によって被害を受けた人々が、財産権だけではありません、幸福追求権、これさえも奪われる、このような状況にいることを、しっかりと現実を見ていただいて、救済と補償、そして外環道工事は中止、大深度地下法は廃止、そのことを一日も早く決断いただくよう強く求めまして、私の質問を終わります。

赤羽主査 これにて櫛渕万里さんの質疑は終了いたしました。

 次に、東国幹さん。

東分科員 北海道六区選出の東国幹でございます。質問の機会をいただき、大変ありがとうございます。

 私は、主に冬季間の交通網の整備。

 昨年の十二月の十八日、十九日から、あるいはその一週間後の二十四日、二十五日にもございましたけれども、新潟県内で、高速道路での相次ぐ事故、そして高速道路沿いの国道八号の大渋滞、そういった一連の混乱があったわけであります。十キロの渋滞で十時間を要する抜け出しを余儀なくされた、三百台の渋滞、そして八百台の車が巻き込まれる、そういう事態でありましたけれども、国土交通省ではあのときの大混乱についてどのように認識し、どのような問題点があったのか、まずお伺いしたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 新潟県柏崎地域におきましては、昨年の十二月十八日からの記録的な大雪によりまして、国道八号において断続的に立ち往生車両が発生し、これを契機として大規模な車両滞留が発生したところでございます。

 こうした事態となった経緯といたしまして、予測を上回る降雪に対して、通行止めまた集中除雪の判断が遅れたこと、また、並行する高速道路と国道の道路管理者を始め関係機関との情報共有が、特に事案の初期の段階で十分でなかったことなどの課題があったというふうに考えております。

 このため、国土交通省におきましては、関係機関と連携した状況の把握、また、情報共有の徹底、それから、並行する高速道路と国道の同時通行止めを基本とする運用の徹底などを行うこととしております。

 こうした取組によりまして、冬季の通行確保に努めてまいりたいと考えております。

東分科員 また、断続的にというか、今シーズンは、つい先月でありますけれども、三重県を中心とする東海三県、これは各地で大雪となったのはもう御承知のとおりだと思います。スリップ事故が相次ぎ、各地で大渋滞というふうになりました。

 新潟、東海地方と、そしてこれからもそのような事態がないとも限らないわけでありますけれども、特に、渋滞中のトイレなんかは大変深刻であります。新聞記事によりますと、公共施設に何とかトイレをお借りしたいということをお願いをしたら断られた、そういうニュースもありまして、東海三県などは、特に、この豪雪という理由よりも、スタッドレスタイヤなどを着装していないケースが大体普通であって、スリップ事故や通行不能が多くなったということでございます。

 想定される事態に備えて、かような可能性というものもシミュレーションとして設定する。例えば、燃料はどういうふうになるかとか、チェーンや食料、トイレ、そういったものの確保などが必要と考えられますけれども、今後の対策についてお伺いしたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今年の一月におきまして、三重県内の新名神高速道路において、解消までに長時間を要する大規模な滞留が発生したところでございます。

 この新名神高速道路の事案では、例えば、乗員保護の観点から、ドライバーに対して渋滞状況や解消の見込みなどに関する情報提供が十分でなかったこと、また、渋滞に巻き込まれた車両の乗員に対する物資などの支援が十分でなかったことなどの課題があったというふうに考えております。

 このため、今後の降雪や、万が一大規模な滞留が発生した場合に備えまして、大雪時にはきめ細かく情報提供を行う、二つ目として、車に乗っている方々への支援について、早い段階から関係機関と情報共有をして、応援を含めた体制の充実を行うこと、三つ目として、あらかじめ水、食料、簡易トイレ及び燃料などの支援物資の備蓄確保を更に進めるなどの対応策を講じることといたしております。

 引き続き、関係機関と連携をいたしまして、人命を最優先に置きつつ、大雪への対応に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

東分科員 そういったよもやのときのシミュレーションというのは不可欠だと思いますし、そしてさらに、東海地方の、東海三県の大渋滞というのは、恐らく、スリップ事故で、例えばトレーラーなどの大型車両、そういったものが立ち往生になるということもあり、そして、私はその地域には住んだことはないんですけれども、推測するには、多分、年間で二日か三日、一日あるかないかの積雪でスタッドレスタイヤを用意している御家庭というのはなかなかないんじゃないかなと思うわけなんです。しかし、そういったことを着装するというのは、ちょっとこれは酷な部分もあるんですけれども、何かいろいろな面で、交付するなり、そういった意識を醸成するなり、そういった対策も与件としてやはり大切なのではないかなということをちょっと推測をいたしました。

 また、新潟県の事件の場合、マスコミの記事によりますと、高速道路の事故が相次ぎ、並行している国道八号線にそれらの車両が入り込んだと。高速道路が通行止めになると、そういった並行国道に入り込んだ、長時間にわたり渋滞が生じたというふうなことでございましたけれども、それは相違はないでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十二月に発生した柏崎の国道八号における大雪による車両滞留でございますけれども、委員御指摘のとおり、まず、十二月十八日夕方から、高速道路で同時多発的に発生した交通事故によりまして、新潟県内における高速道路の各所において通行止めを実施したところでございます。

 新潟県内の北陸道の通行規制延長は、翌日の十九日朝七時の段階で、上越インターから新潟中央ジャンクションまでの延長百二十一キロに及びまして、並行する国道八号等の一般道に多くの交通が流入してきたところでございます。

 それと同時に、国道八号の柏崎周辺では、十九日の未明から予測以上の強い降雪がございまして、朝の通勤時間帯での交通量が増加する中で、通行止めや集中除雪の判断が遅れたため、急勾配区間を中心に立ち往生車両が多発いたしまして、結果として、大規模な車両の滞留に至ったものと考えております。

東分科員 そこで、高速道路というのは、並行する国道だとか県道だとかは大体通っているんですね。その並行国道がどっと大渋滞になってしまう、高速道路を止めてしまうと。そして、積雪やホワイトアウトなどが生じる中での大渋滞だと理解をしているんです。

 ここで私は提案なんですけれども、やはり、国道は大渋滞だ、しかし高速道路は止めてしまう、それはNEXCOさんのいろいろなルールがあるかと思うんですけれども、物理的にはそこはもう道路として通れるものだから、例えば制限速度五キロでも制限速度十キロでもいいから、車を流した方がいいんじゃないかと思うんですね。それはいろいろな内規の中で、高速道路を八十キロ以上、そういった中で走らすというのは、これはもう危険極まりないから、そういうことではなくて、何か制度の中で、車を流すための手段として緊急対応、高速道路で車を流す緊急対応というのはできないのか、そういった見解をお伺いしたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路は、一般道路と比べまして高速での走行を前提とした道路線形になっていることから、仮に大雪時に低い速度に制限しても、実際には、一部の車両が高速で走行することによりまして、一たび事故が起こると、重大な事故につながる懸念がございます。

 こうした点を踏まえまして、高速道路の大雪時の対応といたしまして、積雪などにより安全な走行確保が困難と見込まれる場合、また、事故発生等により安全な走行確保が困難になる場合などには、高速道路会社が所管する警察と協議をいたしまして、関係機関と情報共有の上、通行止めを実施しているところでございます。

 この通行止めの解除に当たりましては、集中除雪により早期に高速道路の安全な通行を確保することを基本といたしておりますけれども、周辺の通行止めの状況を踏まえまして、必要に応じて、一車線を確保するための除雪を行って、早めに開放するなどの対応もしてきているところでございます。

 国土交通省といたしましては、高速道路会社が警察と連携の上、大雪時においても、人命を最優先の下、安全を確保しつつ、必要に応じて、柔軟な運用によりまして少しでも通行を確保できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

東分科員 御答弁をいただいたわけなんですけれども、渋滞をしている中で、私の地域なんかもそうなんですけれども、すぐ直近に高速道路があるわけなんですね。渋滞をして、何時間も列に並んでおいて、高速道路は一台も走っていない。これはもう、何となくフラストレーションがたまって、精神衛生上、余りよくないわけなんですね。物理的にはできる、そういったことも考えられるのではないかと私は思っております。

 ところで、除雪、排雪を行う道路の維持管理に従事されている技術者の労働環境なんですけれども、一般の労働時間は、御承知のとおり、一日八時間労働、そして週四十時間なんですけれども、雇用者と労働者で締結する三六協定で、上限としては、月四十五時間、年三百六十時間の時間外労働が認められているのは御承知のとおりであります。

 そこで、労働基準法第三十三条には、災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合に限りとの条文で時間外労働を認めるとされておりますけれども、除排雪はその適用になるのかどうなのか、これをお伺いしたいと思います。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、労働基準法第三十三条第一項におきましては、事前の許可又は事後の届出により、災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合には、使用者は時間外、休日労働をさせることができるとされております。

 除雪作業につきましては、道路交通の確保など、人命又は公益を保護するために除雪作業を行う臨時の必要がある場合には、今申しました労働基準法第三十三条一項の適用が認められるものでございます。

 具体的に、例えば、安全で円滑な道路交通の確保ができないことによって通常の社会生活の停滞を招くおそれがあり、国や地方公共団体等からの要請やあらかじめ定められた条件を満たした場合に除雪を行うこととした契約などに基づき除雪作業を行う場合や、人命への危険がある場合に住宅等の除雪を行う場合、あと、降雪による交通や社会生活への重大な影響が予測される状況において、予防的に対応する場合が含まれるものでございます。

東分科員 これは、しかし、その労基法の三十三条なんですけれども、この適用に除排雪の適用を文言として書いているのは、金沢労働基準監督署と北海道の帯広労働基準監督署が正式な見解を示しているわけなんです。これは、恐らく、労働基準監督署の、その署の裁量だとか状況によってそういうことにしているのかもしれませんけれども、やはり、そこで明言をしているものだから、私は、これは全国展開しておくべきだと思うんですね。

 そういうことで、いかがでしょうか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました労働基準法第三十三条第一項の取扱いにつきましては、通達でも厚生労働省本省から全国の出先にお示ししておりますし、リーフレットも全般的なものを作成しまして、作成、配布し、周知に努めているところでございますが、御指摘の除排雪に関する取扱いも含めまして、地域の実情等も踏まえながら、今後とも、しっかりと全国的にあまねく行き渡るように周知してまいりたいと思います。

東分科員 御答弁、大変ありがとうございました。

 根本的に、要するに、昨今の働き方改革で、除排雪の適用、これは緊急対応である、先ほど御答弁いただいたとおり、人命だとか、そういったところに資する緊急対応なんだよということは、裏返しで言えば、土曜、日曜は雪が降りません、そういう前提での制度設計なんですね、今は。だからこれは、どうなんでしょうかね、何か新しい、新設というか、そういった制度設計が私は必要なような気がするんです。土曜、日曜も雪は降るものですからね。そういったことも将来的にやはり御検討をいただきたいと思っております。

 そして、週休二日制を確保するために、技術者などの複数管理体制、これの確立をするのであれば、要するにローテーションですね、相当な費用の計上が必要だと思うんです。そして、安定的で持続的な経営体制、雇用確保のための除雪トラックの一般運転手から除雪運転手への歩掛かりの新設、さらに、少雪時における道路除雪工の最低補償費の安定的な予算の計上が不可欠と考えておりますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 除雪トラックの件と最低補償の積算の件が御質問ありました。

 まず、除雪トラックの件でございます。

 国土交通省ではこれまで、除雪トラック運転手は一般運転手として、また、除雪グレーダーなどの建設機械の運転手は特殊運転手として積算してまいりました。

 近年は、除雪トラックの機能強化に伴い、高度な操作が必要であることから、このような除雪トラックが多数配備されております北海道開発局、東北地方整備局、北陸地方整備局の除雪工事では、令和五年度より、技能講習の受講を求めた上で、一般運転手から特殊運転手へ変更し、積算することといたしました。

 また、道路の除雪工事においては、年間降雪量が少ない場合、出来高や待機費だけでは固定的に発生する経費を確保できない事例がありました。このため、令和三年度から、少雪の場合、除雪機械の機種や台数に応じて、償却費や管理費の一部を積み上げ、積算に反映することができるよう、直轄工事において試行しております。令和四年度も試行を継続しているところであり、試行結果を踏まえながら制度化に向けて検討してまいります。

東分科員 特に特殊車両のオペレーター、これの制度、大変ありがたいことだと思っておりますし、そして、やはり担い手がだんだん不足している。私の、とある町なんかは平均年齢六十二歳だという、そういう現状もありますので、これはやはり、ICTを活用した特殊なトラックだとか、そういったものも、やはり担い手、これは少人数の場合には対応できると思いますので、そういったこともひとつよろしくお願いしたいと思います。

 そして、今、防衛論議、これが活発になっておりますけれども、豪雪地帯で駐屯地が存在している地域、これはもう一旦緩急あれば出動を余儀なくされるわけで、常時において、出動経路というのは、これは万全な道路維持が求められると思いますけれども、私は、それらの道路などは、防衛予算、例えば防衛施設周辺整備事業などの適用にしてもよいと考えますけれども、いかがでしょうか。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 防衛省におきましては、防衛施設と周辺地域との調和を図るため、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律などに基づきまして、防衛施設の設置又は運用により生ずる障害の防止や影響の緩和などのため、地方公共団体が行う事業に対して補助金を交付させていただいております。

 委員御指摘の道路整備につきましても、あくまでも防衛施設の設置等による障害が発生していることなどが条件とはなりますけれども、その障害の緩和のために、防衛施設の周辺地域において地方公共団体が行う道路整備事業に対して助成を行っているところでございます。

 防衛省といたしましては、引き続き、道路整備に係ります地方自治体からの御要望について、具体的な計画をお聞きした上で、関係法令等に基づきまして、障害の実態等を踏まえ対応してまいりたいと思っております。

東分科員 相当昔でありますけれども、豪雪で駐屯地の部隊が出動できなくなったという事例は、平成六年、七年ぐらいにやはりあったわけなんですね。雪が降って出動できない防衛力というのは、先進国でどのぐらいあるのか分かりませんけれども、やはりこれは深刻な事態になるかもしれません。そういった面で、出動経路の道路整備というのは、道路の維持管理というのは、やはり私は不可欠だと思いますし、是非、一層の対策をひとつお願いをしたいと思っております。

 防衛の話で大変恐縮でありますけれども、ちょっと雪から離れて、現在、それらの会議体の中で、防衛体制の強化に資する予算の論議があります。つまり、国土交通省あるいは総務省、経産省、文科省、それらの予算を含めて創設する総合防衛費の考え方が、昨年より、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議で話し合われておりますけれども、国土交通省の立場としてどのような認識、感想を持っておられるのか、お伺いします。

宮澤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十一月に取りまとめられました、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議の報告書では、縦割りを打破した総合的な防衛体制の強化のため、「国家安全保障局、防衛省及び国土交通省を含む関係府省会議の議論を経て、自衛隊・海上保安庁のニーズに基づき、国土交通省が関係府省と連携して、空港・港湾等の公共インフラの整備や機能強化を行う仕組みを創設する。」とされております。

 国土交通省としましては、空港、港湾等の公共インフラを所管する立場として、自衛隊の部隊展開や住民保護等のニーズを踏まえつつ、政府全体での取組に参画してまいります。

東分科員 大方、例えば、自衛隊の即応機動体制なんかは、民間のフェリーを使って、民間の飛行機を使って、高速道路を使って、道路を使って、それで即時に即応機動ができる体制というものを理想としているわけなんですけれども、その中でも道路の整備等々はやはり必要でございます。また、防衛のポイント、ポイントの中での重点的なインフラ整備の在り方というものもやはり検討が必要だと思っておりますので、これは鋭意、前向きに、いろいろな面での対策を打っていただきたい、このように願うばかりでございます。

 そして、国土強靱化加速化計画についてでございますけれども、当初、十五兆円の規模を予定して、国交省は九・四兆円で、重点的に五十三の対策を予定されておりましたけれども、その進捗、これをお伺いしたいと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、令和二年十二月に閣議決定されました防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化計画に基づきまして、あらゆる関係者が協働して行う流域治水、道路ネットワークの機能強化、鉄道、港湾、空港等の耐災害性強化、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策など、御指摘のとおり、全部で五十三の対策を重点的かつ集中的に実施しておりまして、これまで必要な予算を確保し、着実に進捗を図っているところでございます。

 これらの取組を進めてきました結果、例えば、一級河川において河道掘削等の河川整備を進めたことにより、昨年八月の大雨や台風十四号等に際しまして浸水被害の発生を回避できた事例や、直轄国道におきまして道路沿いののり面の崩壊を防ぐ対策を行ったことにより、昨年八月の大雨に際して通行止めなどをすることなく交通機能を確保できた事例などが、全国各地で実際に効果が表れつつあるものと認識しております。

 引き続き、必要十分な予算を確保し、五か年加速化対策を着実かつ計画的に実施してまいります。

東分科員 加速化計画のこの二年の間で相当な執行額を、財政出動しているというのは承知をしているところでございます。また、いろいろこれは、進捗については様々な意見があるかと思いますけれども、考えるに、あと三年では、やはり全ての計画ある事業は完結できないと思うんですね。

 そして、特に我が国のインフラ整備、高速道路もそうだし、道路も、河川、港湾、そして防災・減災のための砂防ダム等々、これは大体、高度経済成長時代に造られたものがかなり多い。ほとんどこれは、八割以上は昭和の経済成長時代にインフラ整備は行われたのではないかと思うんです。

 しかし、更新がなかなか進んでいないというのも現実でございますし、様々な観点から、この整備を全て完結するといったらこれは天文学的な予算が必要かもしれません。しかし、そこのところは優先順位をつけて、しっかり対策を打っていくためには、五年の計画、残り三年、これではちょっと間に合わないのではないかと私は思っているんです。

 そういったところを、完結を目指す中にあっては、その後の対策、やはり私はこれは必要だと思うんですけれども、見解をお伺いしたいと思います。

木村政府参考人 お答えいたします。

 これまで、国土強靱化の取組につきましては、三か年緊急対策、五か年加速化対策等も含めて防災・減災、国土強靱化の取組を進めてまいりましたが、実施予定の箇所も残っておりまして、気候変動による降雨量の増加等も予測されております。取組の強化が必要であるというふうに考えてございます。

 五か年加速化対策後も、委員御指摘のとおり、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に防災・減災、国土強靱化の取組を進めることが重要であると考えております。

 現在、政府において、今年の夏を目途に新たな国土強靱化基本計画の策定に向けた検討をしているところでございまして、国土交通省といたしましても、関係省庁と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

東分科員 日本列島はかなり広いものですから、それぞれ地域地域の事情もあるだろうし、そこのところの優先順位をつける。そして、どっちかというと、私は、費用対効果も大切かもしれませんけれども、均衡ある国土の発展と安全と安心というものはやはり列島隅々まで不可欠であるということ、是非ともそういう感覚で推進していただきたい。それをお願いを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽主査 これにて東国幹さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げさせていただきます。

 分科員各位の皆様の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。二日間にわたりまして大変お世話になりました。ここに厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後二時三分散会


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