衆議院

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第1号 令和6年2月27日(火曜日)

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本分科会は令和六年二月二十二日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石破  茂君    今村 雅弘君

      島尻安伊子君    石川 香織君

      林  佑美君    佐藤 英道君

二月二十六日

 佐藤英道君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和六年二月二十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 佐藤 英道君

      五十嵐 清君    石破  茂君

      今村 雅弘君    島尻安伊子君

      高木  啓君    伊藤 俊輔君

      石川 香織君    田嶋  要君

      堤 かなめ君    緑川 貴士君

      林  佑美君

   兼務 上田 英俊君 兼務 加藤 竜祥君

   兼務 山口  晋君 兼務 荒井  優君

   兼務 大島  敦君 兼務 山田 勝彦君

   兼務 伊佐 進一君 兼務 中野 洋昌君

   兼務 緒方林太郎君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   内閣府副大臣       古賀  篤君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   国土交通副大臣      堂故  茂君

   文部科学大臣政務官    安江 伸夫君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  笠尾 卓朗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中村 広樹君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局次長)       筒井 智紀君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            太田原和房君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            若原 幸雄君

   政府参考人

   (消費者庁消費者法制総括官)           黒木 理恵君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小谷  敦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           永井 雅規君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         緒方 和之君

   政府参考人

   (林野庁次長)      小坂善太郎君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            田中 郁也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 寺田 吉道君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通政策審議官)     石原  大君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         林  正道君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        秋月聡二郎君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  海谷 厚志君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  稲田 雅裕君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   政府参考人

   (観光庁次長)      加藤  進君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 前田 光哉君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 扇谷  治君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         武井佐代里君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     高木  啓君

  今村 雅弘君     西野 太亮君

  石川 香織君     堤 かなめ君

  林  佑美君     堀場 幸子君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     五十嵐 清君

  西野 太亮君     今村 雅弘君

  堤 かなめ君     田嶋  要君

  堀場 幸子君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     国光あやの君

  田嶋  要君     緑川 貴士君

  前原 誠司君     早坂  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     石破  茂君

  緑川 貴士君     伊藤 俊輔君

  早坂  敦君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 俊輔君     石川 香織君

  市村浩一郎君     赤木 正幸君

同日

 辞任         補欠選任

  赤木 正幸君     林  佑美君

同日

 第一分科員荒井優君、第三分科員加藤竜祥君、第四分科員中野洋昌君、第五分科員上田英俊君、山口晋君、緒方林太郎君、第七分科員大島敦君、山田勝彦君及び伊佐進一君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

佐藤主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。斉藤国土交通大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省関係の令和六年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算の国費総額は、五兆九千五百三十七億円です。

 また、復興庁の東日本大震災復興特別会計に一括計上されている国土交通省関係予算の国費総額は、四百六十三億円です。このほか、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美群島に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算も含め、国土交通省予算に所要額を一括計上しております。

 財政投融資計画には、二兆七百八十九億円を計上しております。

 次に、令和六年度予算の基本的な考え方を御説明申し上げます。

 我が国は、気候変動に伴う豪雨や大雪等の自然災害の激甚化、頻発化や新型コロナウイルス感染症対策の経験を踏まえた持続可能かつレジリエントな経済社会の構築、世界的な物価高騰や諸外国における金融引締め、地政学的な不確実性等による経済の下振れリスクへの対応、急速に進行する人口減少、少子高齢化への対応等、時代の転換点とも言える構造的な課題に直面しています。こうした状況に対応し、国民の命と暮らしを守り抜くとともに、構造的賃上げの実現、GX、DXの推進、デジタル田園都市国家構想の実現等による新しい資本主義の加速、こども・子育て政策の抜本的強化や経済安全保障の推進、そして国土の将来ビジョンである新たな国土形成計画に基づく新時代に地域力をつなぐ国土の実現を図ることが急務となっています。

 こうした認識の下、令和六年度予算では、国民の安全、安心の確保、持続的な経済成長の実現及び個性を生かした地域づくりと分散型国づくりを三本柱として、令和五年度補正予算と併せて、切れ目なく取組を進めてまいります。

 この際、公共事業を的確に推進するため、資材価格の高騰等を踏まえて、必要な事業量を確保するとともに、新担い手三法も踏まえ、施工時期等の平準化や適正価格、工期での契約、必要な変更契約等による適切な価格転嫁等を進めてまいります。

 また、令和六年能登半島地震からの復旧復興に全力を尽くしてまいります。

 以上、国土交通省関係令和六年度予算の概要を御説明申し上げました。

 時間の関係もございますので、詳細な説明は省略いたしますが、主査におかれましては、お手元の印刷物の内容を会議録に掲載していただきますようお願い申し上げます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

佐藤主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま斉藤国土交通大臣から申出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

佐藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤竜祥君。

加藤(竜)分科員 おはようございます。長崎二区選出の加藤竜祥でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私は、先日まで、斉藤大臣の下、国土交通大臣政務官を務めさせていただきました。約四か月の期間でしたが、大臣始め国土交通省の皆様お一人お一人が、日夜、国土を守り、国民の生命と安心、安全な暮らしを支えるために最大限御尽力くださっている姿を拝見し、大変貴重な時間でございました。この場をおかりしまして敬意と感謝を申し上げます。

 限られた時間でございますので、早速質問に入ります。

 まずは、条件不利地の公共事業の評価、採択基準についてお伺いをいたします。

 新年早々、恐ろしい自然災害が発生をいたしました。能登半島地震において亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様方にも心からお見舞いを申し上げます。

 今回の震災により、いわゆる重要インフラと言われる道路や港湾、そして空港が、命をつなぐ重要なものであることが再認識をされました。被災当初は、孤立集落の被災者には支援物資が渡らずに、適切な医療も受けられず、被害状況の全容把握にも大変時間がかかりました。自治体、自衛隊、そして建設業者の皆様方の懸命な御努力のおかげで緊急輸送路を確保いたしましたが、道路が防災上脆弱であったことが今回の被災地支援の大きな壁となったのは明らかでございます。

 多くの半島、離島地域は、急峻な地形の海岸線に沿った古い周回国道が一本あるのみの状況であり、災害時には緊急輸送路の確保が困難となる可能性があります。私の地元長崎県は、半島や離島といったいわゆる条件不利地が、面積で県全体の七三・二%、人口では三三・三%を占めておりますので、半島、離島地域の防災・減災対策の強化を進めるとともに、条件不利地の公共工事の評価の在り方を考え直さなければならないと痛感をいたしました。

 平成二十一年からの民主党政権のときには公共事業費が大きく削られ、平成二十三年度の公共事業費は、当初と補正合わせて五・三兆円です。ピークであった平成十年度が約十五兆円であったことからすれば、約三分の一になりました。現在では、国土強靱化五か年加速化対策もあり、少しずつ予算を積み増しておりますが、当初と補正合わせて八兆円強、確保されているにすぎません。この限られた予算の中で、日本全国に必要な公共事業に優先順位をつけ、取捨選択されているのが現状です。

 限られた予算の中から事業を採択するに当たって、ある程度の基準により線引きが必要なのは理解ができます。公共事業を採択する基準の一つとして、BバイCというのがございます。この基準によれば、費用対効果を見て、整備する費用に対して効果が低いと採択されません。例えば、道路を造るに当たり、利用者が少ないから意味がないと切り捨てられる傾向も見受けられます。しかし、私は、この基準にこだわり、重きを置き過ぎることは大きな誤りであると考えております。

 半島、離島地域は人口減少が著しく、費用対効果の基準で公共事業を評価するならば、いつまでも事業が採択されません。条件不利地域の特性を生かし、事前防災の観点からも公共事業を評価しなくてはならないという声が多数上がっております。

 具体的には、離島、半島などの条件不利地域で、火山や活断層があり、地震発生のリスクが将来にわたって高い地域では、防災面を重視すべきであると思います。さらに、そういった地域では、国防や食料供給などの観点からも事前防災対策が極めて重要であります。見方を変え、人口に重きを置き過ぎず、現在の費用対効果に表れない価値を再認識する必要があるんだろうと思います。

 地方にとっては、その道路があるからこそ、住民の命が守られると同時に、産業が成り立ちます。地方に道路があるからこそ、都市部に新鮮な農産物が届き、都市部の皆様方の生活を支えることができます。都市での生活を支えている地方の住民の生活の安全を確保することは、国民全体の利益となることは明らかであります。

 そこで、条件不利地の公共事業、特に道路事業の評価、採択に当たって、費用対効果の面ではなく、地理的条件、活断層の有無等、事前防災の観点を重視するべきではないのか。この点について、国土交通省の御所見をお伺いいたします。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、道路事業につきましては、ネットワークとしてつながることによりまして、移動時間短縮だけではなくて、災害時における避難や救命救急、復旧活動を支えるなど、防災面の効果など多様な効果が期待されるところだと、そのように認識をいたしております。

 このような多様な効果について、いわゆるBバイCで評価する手法が確立していない、そういうものもあるわけでございまして、このBバイC以外の手法と併せて、総合的に評価をしていくということが重要である、そのように考えているところです。

 こうしたことから、例えば防災面の効果につきましては、東日本大震災以降、道路を整備することによる災害時の地域の孤立や迂回が解消する度合いを計測する手法を導入するなどして、評価手法を充実してきたところではあります。

 御指摘のとおり、半島、離島部などの条件不利地の厳しさというのは、私も同じ条件不利地の出身でありますから、よく理解をいたしておるつもりでございます。ネットワークの多重性など、防災機能の効果を評価、現行でもいたしているところでありますけれども、今後とも、地域の実情に応じた道路の多様な効果を適切に評価できますように、評価手法の充実に努めていかなければならない、そのように認識をいたしているところでございます。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。引き続き、地方の思いを理解していただきながら、施策の推進を図っていただきたいと思います。

 続きまして、半島振興法の改正についてお伺いをいたします。

 公共事業の評価だけではなく、今後の法改正に向けても、条件不利地の住民の暮らしを守る観点が必要です。例えば、半島振興法は令和七年三月三十一日に期限を迎えます。半島振興法は、産業基盤や生活環境の整備等について、他の地域と比較して低位にある半島地域の住民の生活向上、国土の均衡ある発展を実現する観点から、昭和六十年に制定をされました。十年ごとに半島地域の状況を見直し、地域産業の振興による雇用機会の創出のため、財政、金融、税制等、様々な側面からの支援措置が講じられております。半島周遊道路の整備への国の支援も努力義務として法に記載されております。

 しかし、現行法では、半島地域の暮らしの安全や防災についての観点が不足していると思います。半島地域での住民の暮らしの安全性が確保されていなければ、半島振興法の本来の目的である半島地域の振興は達成できません。半島地域の振興のためには、住民の暮らしの安全性が担保されていることが大前提でありますから、災害に強いインフラ整備等の大事さを加筆、変更することを検討する必要があろうかと思います。道路整備についても、災害に強い規格の道路整備を法令上義務づけるような条文に変えることも検討しなくてはならないと思います。

 半島振興法の改正に臨むに当たりまして、能登半島地震の教訓を生かし、国土強靱化や防災の観点を改正に取り入れ、半島地域に暮らす住民の暮らしを守るため、実効性の高い法律にすべきであると思いますが、所管省庁としての御所見をお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 能登半島を含みます半島地域は、三方を海に囲まれまして、平地に恵まれないなど、地理的条件に不利性を抱えており、特に災害時には交通や情報の途絶の危険性が高く、風水害や大規模地震に伴う津波の被害も懸念されております。

 今回の地震では、地震の揺れや津波による被害に加えまして、山がちな半島の先という特性からくる、インフラの大規模な損壊、代替ルートの少なさ、これによりますライフラインの寸断、途絶など、甚大な被害が生じているところでございます。

 改めまして、半島地域におきます安全、安心な暮らしを実現するため、防災機能を強化するための交通基盤整備、加えて、全国を上回る人口減少、高齢化を踏まえた生活環境の整備の必要性、認識しているところでございます。

 委員御指摘のとおり、半島振興法につきましては令和七年三月三十一日に法期限を迎えますけれども、制定及び改正につきましては、これまで議員立法により措置されてきていると認識をしております。

 国土交通省といたしましても、現在、国土審議会におきまして議論を重ねているところでございます。委員御指摘の点も踏まえまして、引き続きしっかりと検討を進めてまいります。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、ジェットフォイル船の更新への財政支援についてお伺いをいたします。

 条件不利地の防災面を考えてみましたときに、離島地域において防災上の観点から重要視されるのが、海の国道こと高速船の運航の確保でございます。

 ジェットフォイル船は、本土と離島を結ぶ高速交通機関として、離島住民が日常的に利用し、かつ、救急搬送への対応など地元医療を支えております。長崎県では五島、対馬、壱岐と本土との航路にジェットフォイル船とフェリー船が就航しておりますが、県内航路の全利用者に占めるジェットフォイル船利用者の割合は六三%であり、島民に限ると六七・六%と更に高く、離島住民にとってまさに生活を支える足となっております。また、年間を通じて安定航行が可能であり、観光やビジネスにより交流人口の拡大に大きく寄与しております。

 しかし、一九九〇年に導入したジェットフォイル船は、導入以来三十年以上が経過し、老朽化が進行しているため、将来を見据えた更新の計画が不可欠でございます。

 一九九〇年当時、船価が二十五億円だったことに対して、昨今の物価高騰や建造費の高騰により、現在、更新に必要な価格は七十億円を超えていると言われております。新型コロナにより利用者の大幅な減少の影響を大きく受けた航路事業者単独での更新は困難な状況になっております。自治体にも財政的な余裕はなく、支援に踏み切れない状況です。

 一方で、新たな建造計画の見通しがなければ、部品供給網と建造体制の維持が困難となり、更新に係る新たな支援制度を早急に創設することが急務です。

 現在、国と自治体と事業者が七対二対一で十五年間共有し、事業者が十五年間国と県に対して利用料を支払いながら費用を償還する船舶共有建造制度がありますが、国境離島の国家的役割や、離島にとってジェットフォイルが離島住民の暮らしを支えており、また交流人口の増加に不可欠なことを鑑みれば、ジェットフォイル船更新への特別な支援が必要なのは明らかです。

 一昨年施行された改正離島振興法十二条には、高速安定航行が可能な船舶などの更新に対する支援を配慮規定として明記されておりますが、具体的にどのような支援をできるかについて議論の余地を残しております。

 離島の生活維持、離島振興のため、ジェットフォイル船更新に対する国の支援が必要と考えますが、国交省の所見をお聞かせください。

海谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ジェットフォイルにつきましては、高速性、乗り心地、あるいは就航率に優れまして、離島の住民の生活や地域経済の活性化に大変重要な役割を果たしております。また、その一方で、現在国内で就航するジェットフォイルの平均船齢は、御指摘のとおり三十年を超えております。後継船の建造の必要性が高まりつつあるものと認識しております。

 こうした中、国土交通省におきましては、御指摘の離島振興法改正の趣旨も踏まえまして、ジェットフォイルの更新に向けて、関係自治体、旅客船事業者や造船事業者と、費用負担の在り方でございますとか更新スケジュールなどについて意見交換を重ねるとともに、後継船を建造した場合の効果を分析するための調査を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、このような取組の結果を踏まえながら、関係自治体とも緊密に連携しつつ、後継船の建造が円滑に進むよう努めてまいりたい、このように考えてございます。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。

 離島の皆様方の命、そして産業、暮らしを守るのがジェットフォイルの役割でございますので、引き続き前向きな御支援のほどをよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、観光業の地域と一体となった高付加価値化事業についてお伺いをいたします。

 私の地元は、日本で初めての国立公園や、世界遺産、有明海、橘湾、対馬、壱岐といった風光明媚な海、また、雲仙、小浜といった全国的な知名度の高い温泉にも恵まれております。さらに、伝統文化や、海の幸、山の幸も豊かにあり、世界に誇れる観光資源がございます。

 また、観光業は、宿泊、飲食、航空、鉄道、小売、一次産業などにも影響が及ぶ大変裾野が広い産業であり、地方創生の鍵となっておりますが、コロナ禍により地方の観光業が疲弊した状況であり、この観光資源をいかに磨き上げていくのかが地域の大きな課題でございます。

 こういった観光地の問題を観光庁が把握され、地域計画の構築、磨き上げ及び宿泊、観光施設の改修、廃屋の撤去、面的DXなど、地域、産業の稼ぐ力を回復、強化するための取組を支援していただいている高付加価値化事業は、地方において大変好評でございます。

 地域が一体となって地域の観光資源の価値を高め、地域をブランディングし、団体旅行から個人旅行への転換、ワーケーション等の新たな旅のスタイルの普及など、旧来の観光地が対応し切れなかったニーズをつかみ、柔軟に時代に合った観光事業へと変えていくには、国の強い支援が大きな励みになっております。

 また、円安の影響もありインバウンドが戻りつつある中、少子高齢化の影響により伸び悩んでいる国内需要を補うべく、大きなチャンスだと考えております。積極的に訪日客を取り込み、日本の観光資源を訪日客に再発見してもらう形で、持続的な高付加価値化に取り組んでいくことも重要であると思います。さらに、訪日客に地方での観光資源を知ってもらえば、地方に人の流れを更に誘導していくことも可能となります。それは、地方経済活性化にもつながり、日本経済全体への好影響も期待できます。

 観光業から地方創生を成し遂げるためには、いまだ道半ばであると思います。日本のすばらしい観光資源を更に磨き上げ、持続可能な観光地域づくりに向けて、観光庁はどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いをいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、国内外の観光需要は急速に回復し、多くの観光地がにぎわいを取り戻しているところでございます。

 一方で、インバウンドの宿泊先は三大都市圏に全体の七割が集中するなど、都市部を中心とした一部地域への偏在傾向が見られるところでありまして、地方部への誘客をより一層強力に推進することが必要だと考えております。

 また、コロナ禍により極めて大きな影響を受けた観光地、観光産業は、稼ぐ力を回復、さらには強化する必要があります。そのためには、観光地、観光産業の高付加価値化を強力に推進することが重要だと考えております。

 そのため、観光庁といたしましては、宿泊施設を核とした面的な取組を支援する観光地、観光産業の再生、高付加価値化事業や、各地域における特別なコンテンツの創出による地方の観光地の魅力向上などに取り組んでいるところでございます。

 これらの取組により、観光地、観光産業の稼ぐ力の回復、強化を図り、収益力を高めるとともに、地方への誘客を促進することで、持続可能な観光の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。

 地方の端々まで観光客が行き渡るような施策を、引き続きどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最後に、港湾整備についてお伺いをいたします。

 日本の最西端に位置し、離島、半島を多く有する本県、長崎県においては、港湾が地域の拠点となり、人流、物流を支え、発展をいたしております。活力ある地域を創出するためには、地域の基幹産業としっかりと連携をして、新たな雇用や経済を支える港湾の整備促進が必要です。また、離島にとっては、本土とのつながり、物流の拠点である港湾の防災機能の強化が大変大事になってまいります。

 そこで、国土交通省として、離島や地方港湾の果たす役割と昨今の自然災害の状況等を鑑みて、今後の整備方針についての御所見をお伺いいたします。

稲田政府参考人 今般の能登半島地震を見ても明らかなとおり、地理的制約の厳しい離島、半島におきましては、災害時に港湾機能が停止した場合、人命救助活動や緊急物資輸送に支障を来すおそれがあり、港湾の果たす役割は大きなものであると認識をしてございます。

 このため、地理的制約の厳しい離島、半島におきましても、住民の避難ルートの確保及び緊急物資輸送等の観点から、既存ストックを最大限活用しつつ、耐震強化岸壁を適正に配備すべきであると考えてございます。

 例えば、長崎県の壱岐、対馬地域でございますけれども、壱岐の郷ノ浦港、そして対馬の厳原港で耐震強化岸壁を整備済みでございますし、現在、対馬の比田勝港でも整備を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、離島、半島における岸壁の耐震化など、港湾における必要な防災・減災対策、そして地域の経済基盤の整備をしっかり推進してまいりたいと考えております。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。

 引き続き、港湾の整備と暮らし、そして生命、産業を守るために、しっかりと御支援のほど、よろしくお願いを申し上げます。

 今回は、条件不利地における課題を中心に質疑をさせていただきました。国民の安心、安全な暮らしを支えるとともに、地方創生の鍵ともなるのが国土交通行政であると私自身も確信をいたしているところでございます。どうか、国土交通省の皆様におかれましては、引き続き地方の声に耳を傾けていただくことを切にお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤主査 これにて加藤竜祥君の質疑は終了いたしました。

 次に、林佑美君。

林(佑)分科員 日本維新の会・教育の無償を実現する会の林佑美です。

 今日は、質問の機会を与えてくださり、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、国土強靱化対策についてお伺いいたします。

 近年、全国各地で大規模な災害が発生していますが、今年は、年明けとともに能登半島地震が発生し、大変大きな被害が発生いたしました。今回の地震では、土砂崩れや陥没で道路が寸断され、救助や復旧、支援にも大きな足かせとなっております。

 今回の災害で再認識いたしましたのは、半島における道路の重要性です。災害から速やかに復旧復興するためには、道路ネットワークの機能を強化しておくことが必要不可欠です。その一つとして、高規格道路のミッシングリンクを早期に解消する必要があると考えます。

 私の地元になります紀伊半島には、高規格道路である近畿自動車道紀勢線があります。現在、道路整備が進められておりますが、いまだミッシングリンクの解消には至っておりません。半島における道路の寸断は、国民の命に直結いたします。災害直後から、避難、救助を始め、物資供給等の応急活動を行う緊急車両の通行を確保するための緊急輸送道路は、命の道として一刻も早く確保していかなければなりません。そのためには、必要な予算を確保し、一日でも早くミッシングリンクの解消を図る必要があります。

 紀伊半島における高規格道路のミッシングリンクの早期解消に向けた見通しをお伺いいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のありました紀伊半島の高規格道路であります近畿自動車道紀勢線につきましては、南海トラフ巨大地震など大規模災害への備えとして、大変重要な道路であるというふうに認識をいたしております。

 全長三百三十五キロのうち、これまで約八割が開通いたしまして、ミッシングリンクとして残る区間につきましても、全ての区間で事業を現在進めているところでございます。このうち、新宮紀宝道路につきましては令和六年秋頃の開通に向けて、また、すさみ串本道路につきましては令和七年春頃の開通に向けて、それぞれ工事を進めているところでございます。

 その他の事業中区間も含め、引き続き地域の皆様の御協力をいただきながら、一日も早いミッシングリンクの解消を目指して整備を進めてまいりたいと考えております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 八割のミッシングリンクが解消されているということで、あと、残りの二割も事業化しているということで、早期の全線開通が待たれるところであります。

 ミッシングリンクの解消は、従来では行き来が不便だった地域が直接結ばれることになりますので、産業の集積や観光地へのアクセス、観光周遊ルートの形成など、新たな発展がもたらされ、地域経済の強化や地域の自立支援につながります。

 また、地震や台風などの自然災害が多い日本において速やかな復旧復興をするためには、耐災害性を備えた幹線道路ネットワーク機能の強化が必要です。被災地への人流、物流を途絶えさせることなく確保し、人命や経済の損失を最小化するためにも、暫定二車線区間の四車線化も視野に入れて進めていただきたいと思います。

 次の質問に参ります。

 大規模地震の発生が懸念されている南海トラフ地震は、今後三十年以内に発生する確率が七〇%から八〇%とされており、切迫性が高まっているところであります。また、最悪の場合、経済被害額が、直接被害、間接被害、合わせて約二百十兆円と想定されております。

 政府において、国土強靱化基本計画に加えて、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策、及び、これに続く、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策による国土強靱化の取組等により、南海トラフ地震対策等が進められております。

 そして、五か年加速化計画後については、昨年の通常国会で改正された国土強靱化基本法により、国土強靱化基本計画に基づく施策の実施に関する国土強靱化実施中期計画を策定し、同計画に計画期間、実施すべき施策の内容及び目標を定めるとともに、施策の進捗状況、財政状況等を踏まえ、推進が特に必要となる施策の内容及びその事業の規模を定めることとなっています。

 そこで、今後の南海トラフ地震対策についても、現在検討が進められている国土強靱化実施中期計画に盛り込み、関連予算を十分に確保する必要があると考えますが、国土交通省の御見解を伺います。

笠尾政府参考人 お答えいたします。

 自然災害が激甚化、頻発化し、また、南海トラフ地震などの大規模災害のおそれが切迫する中、国民の生命財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすことは、我々の使命であると考えております。

 このため、委員からもお話ございましたが、政府におきましては、五か年加速化対策を着実に推進するとともに、昨年七月には新たな国土強靱化基本計画を策定し、国土強靱化の取組を積極的に、計画的に進めているところでございます。

 また、昨年六月の国土強靱化基本法の改正により、国土強靱化実施中期計画が法定化され、中長期的な施策と事業規模の見通しを持って進めていく法的な枠組みが措置されたところでございます。五か年加速化対策後も、切れ目なく国土強靱化の取組が進められるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 国土強靱化実施中期計画の策定に向けては、施策の実施状況の評価を行うなど、必要な検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 南海トラフ地震は、おおむね百年から百五十年間隔で繰り返し発生してきた大規模地震です。前回の南海トラフ地震が発生してから約八十年が経過した現在では、大地震発生の可能性が非常に高まっています。国民の命を守ることを最優先に、ハード、ソフト両面で防災・減災対策を万全なものにするためにも、必要となる施策の内容、事業規模等をしっかりと定め、引き続き、予算の確保と地震対策の遂行をお願いいたします。

 次の質問に参ります。

 和歌山県は、その大部分が海に面しており、予想されている南海トラフ地震の震源域から近いという事情があります。そのため、津波が発生した場合、到達するまでの時間が短くなり、例えば、那智勝浦町の一部の地区では、津波到達まで三分程度との想定がされています。

 和歌山県は、平成二十年に「津波から「逃げ切る!」支援対策プログラム」を策定し、以降、揺れたら逃げるを啓発するとともに、これまで様々な地震、津波対策を実施してきました。

 同プログラムに基づき、津波避難タワー等の避難施設の整備が進められてきており、県内の津波避難困難地域は減少しつつありますが、国としても、こうした地域への整備支援を積極的に行うことが、まさに地域の防災力の向上につながるのではないでしょうか。

 そこで、津波避難タワー等の避難施設への財政支援の在り方について、国土交通省の見解をお伺いいたします。

天河政府参考人 お答えいたします。

 津波避難タワーなどの津波避難施設の整備につきましては、その施設が災害対策基本法に基づきます指定緊急避難場所に指定されるなどの条件を満たす場合に、防災・安全交付金により支援を行ってきております。

 特に、和歌山県の沿岸部など、南海トラフ地震対策特別措置法等に基づきます特別強化地域に指定されております市町村におきましては、同法に基づきます津波避難対策緊急事業計画に位置づけられました津波避難施設などの整備に対しまして、国庫補助率を三分の二にかさ上げをして支援をしているところでございます。

 国土交通省といたしましては、津波による被害を軽減し、地域の防災力をより一層向上する一環として、津波避難タワーなどの津波避難施設の整備に対しまして、今後とも積極的に支援してまいります。

 以上でございます。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 地震発生から津波が押し寄せる時間が早いと予想されている地域は、比較的、津波避難対策緊急事業計画が策定されていますが、そうでない地域でも、車の渋滞による移動制限なども考えられるため、命を守る行動として、津波避難タワーは必要であると考えております。自治体とも連携して、しっかりと整備を進めていただきたいと思います。

 また、避難設備の維持管理については予算措置がされていないと承知しておりますので、いつあるか分からない地震への備えのためには、是非、今後検討いただきたいと思います。

 次は、地域における鉄道ネットワークの維持についてお伺いいたします。

 JR東海を除くJR各社は、利用者が基準より少ない赤字ローカル線の経営状況を開示しています。ローカル線の経営改善や利用促進の協議を進めるためにも情報開示は必要なことと考えますが、情報開示は、一日当たりの輸送密度二千人未満の利用者が少ない線区における、利用が少ない区間の収支や営業係数、そして輸送密度という内容となっています。そして、このJRの公表を契機に、赤字解消に向けた利用促進策の議論が行われたりすることも多いと思います。

 ただ、このような協議が行われる場合でも、今述べたJRの情報開示が議論の発端となるため、利用者減少や収支の悪さといったことが焦点となることが多いのかと思います。

 利用者の多寡や、その結果としての収支採算性は、鉄道の持つ大量輸送という特性に根差した問題だと考えます。しかし、その一方で、これ以外の鉄道の特性、例えば環境負荷が少ないとか、広域な移動を容易にするといった側面は、今まで余り重視されてこなかったのではないかという思いがあります。

 言うまでもなく、鉄道は環境特性に優れた交通機関です。例えば、国土交通省のホームページにもありますが、二〇二一年度の輸送量当たりの二酸化炭素排出量は、自家用車は鉄道の五・三倍、バスは鉄道の三・六倍となっております。

 また、鉄道の影響や価値は広く行き渡るもので、例えば紀勢線は、世界遺産である熊野古道への全国からのアクセス等、広域的な地域振興等にも効果を有しているものと思います。鉄道の持つ、利用の多寡だけではない、カーボンニュートラルに資する面や、広域的な活動に資する面にも、もう少し目を向けるべきだと思っております。

 政府においては、環境に優しい鉄道という移動手段の更なる利用促進を行うことや、全国各地で協議されている利用促進の取組についても、もっと様々な面から検討が可能となるよう、鉄道の持つ環境や広域的な効果についてのデータの積極的な提供をお願いしたいと考えますが、国土交通大臣の見解を伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 今、林委員おっしゃるとおり、鉄道は、大量輸送機関として、環境に優しいという特性を有しておりまして、旅客鉄道の輸送量当たりのCO2排出量は自家用乗用車の約八分の一となるなど、運輸分野のカーボンニュートラル化にも大きな貢献をしているところでございます。

 他方で、一部のローカル鉄道におきましては、人口減少や少子化、マイカー利用の普及、ライフスタイルの変化などによりまして、輸送人員が大幅に減少し、大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できていない状況が見られております。

 このような、大量輸送機関としての鉄道の特性が生かされていない路線につきましては、鉄道事業者や地方公共団体など、地域の関係者が十分に議論を行いまして、地域や利用者にとって最適な形で、交通手段の維持、確保を図ることが重要です。そのときの議論として、採算性だけでなく、いろいろな側面から議論することが必要だ、これはもう林委員おっしゃるとおりだと思います。

 国土交通省としても、昨年、地域交通法を改正するなど、ローカル鉄道の再構築に向けた制度面、予算面の仕組みを整えたところでありまして、現在、複数の地域において、ローカル鉄道の再構築の検討が進められております。廃線ありきでの議論にはなっておりません。

 鉄道が環境に優しいという特性を発揮するためには、大量輸送機関として多くの方に利用していただくことが必要であり、引き続き、一つでも多くのローカル鉄道において再構築の取組が進むよう、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会の提言により、自治体又は鉄道事業者からの要請に基づき、国が再構築協議会を設置する枠組みを創設しておりますが、鉄道の維持が前提ではないことが地域住民にも大きな不安を抱かせることになっていると思っております。昨今の高齢者の運転事故の多発などが報道されていますが、地域の安心、安全の交通手段を公共交通機関に切り替えていく必要性も感じておりますので、どうぞその辺をよろしくお願いいたします。

 先ほど、JR各社の赤字ローカル線の情報開示について述べました。

 私の地元和歌山県でいえば、昨年十一月にJR西日本が公表した二〇二〇年から二〇二二年度の平均数字では、紀勢線の新宮―白浜間では、三年間の平均の収入が三・九億円、一方で平均の費用は三十二・四億円であり、収入では費用の約一二%しか賄うことができず、百円稼ぐために八百三十円以上かかるとされています。輸送密度も、二〇二二年は一日当たり七百九十三人と、JR西日本が大量輸送という鉄道の特性が発揮していないとして経営状況の開示の基準としている一日二千人を大きく下回り、国土交通省が地域公共交通活性化再生法の再構築協議会の対象とする、早急な改善が求められる区間として例示した一日千人という基準も下回っています。

 このような数字だけを見ると、紀勢線はかなり営業成績が悪い路線のように思えます。しかし、この数字は紀勢線の一部の区間の状況を切り出したものであり、紀勢本線の新宮から和歌山市間の輸送密度では一日四千人近くの利用があります。このように、一部の区間を、恣意的に設定不採算の問題を提起することは、当該沿線地域に対して、将来の交通への不安をあおるものではないかと大変懸念しております。

 先ほど、鉄道の効果は広域的に及ぶことを申し上げましたが、そのような鉄道の性格を考えるならば、路線の一部の区間だけの数字を取り出して利用状況や収支性を判断することは果たしてふさわしいと言えるのか、疑問であります。

 もちろん、JRにも、一般に開示できる情報と開示できない情報があるということは承知しております。しかし、少なくても鉄道存廃の議論につながりかねない収支採算性に関しては、沿線自治体等の関係者限定でも構わないので、もっと詳細な情報、例えば今申し上げた路線全体の収支や営業費用の内訳等を明らかにさせる制度を創設する必要があると考えております。

 そのような制度があって初めて収支採算性の詳細な分析や具体的な改善策の協議が可能となると思うのですが、JRの情報開示の在り方や詳細な情報を開示させる仕組みの創設について、国土交通省の考えを伺います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、複数の地域におきまして、ローカル鉄道の再構築に向けた検討が進められているところですが、鉄道事業者が対象線区に関する利用状況や経営状況を積極的に情報公開していくことは、地域にとってあるべき公共交通の姿を考えていく上で、また、関係者の合意形成を図っていく上でも重要であると考えております。

 一方で、鉄道事業者がどの範囲で路線別収支を公表すべきかにつきましては、各社の事情に応じて、地域との対話の過程で鉄道事業者が適切に判断していくべき事柄と考えております。

 いずれにいたしましても、関係者による公共交通の再構築に関する協議が行われる場合には、協議が円滑に進むよう、国土交通省としても適切に関与してまいりますとともに、JR各社に対しては必要な情報公開を求めてまいります。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 鉄道は全国で公平に安定して確保されるべきユニバーサルサービスであり、国から重要なインフラを引き継いだ鉄道事業者は、不採算路線を含めて事業全体で採算を確保し、全ネットワークを維持する方向で事業を行う責任があると思っております。是非、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど、鉄道の効果は広域に及ぶことを述べましたが、これは、鉄道が全国津々浦々までつながっており、ネットワークとして機能していることが前提である必要があると考えております。

 しかし、最近では、新幹線開業に伴い、並行在来線となった路線が県ごとに第三セクターに分割され、譲渡されたり、経営状況が芳しくない地方路線が廃線の危機に直面する等、このままでは地方の鉄道ネットワークの維持がおぼつかなくなる状態になっています。歴史的にも鉄道とともに発展した我が国においては、国土強靱化や国土の均衡ある発展などの観点からも、現在の鉄道ネットワークは維持するべきものであると考えます。

 鉄道ネットワークの根幹となっている路線や国策上重要な路線については、経営状況が芳しくなくなった場合の維持について、沿線自治体と鉄道事業者の協議に委ねるのではなく、例えば、そのような路線を上下分離して下の部分を国が受け持つ等、国として積極的に維持に関与する姿勢を明確にすべきだと思いますが、国土交通大臣の見解を伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、基本的には、上場後のJR各社に対しましては、JR会社法に基づく大臣指針がございます。この大臣指針に基づきまして、路線の適切な維持に努めること、そして、鉄道施設の整備に当たって利用者の利便の確保に配慮すること、これを求めているところでございます。

 また、地域公共交通を担うローカル鉄道においては、地方自治体が主体的に関与する第三セクター方式で運営されている鉄道や、上下分離方式を採用して、地方自治体等が鉄道施設を保有し、運営を行っている鉄道もございます。

 このほか、我が国における鉄道の保有形態として、全国的な高速鉄道ネットワークを形成する整備新幹線につきましては、独立行政法人である鉄道・運輸機構が建設、保有し、JRが運営を行う上下分離方式が取られております。

 このように、国、鉄道事業者、地方自治体等が、路線や地域の実情等に応じて適切に役割分担を行うことが必要であると認識しております。

 今回も、我々、いろいろな仕組みを変えまして、国が積極的に関与してこのネットワークを維持していこう、そのためには、地域、そして地方自治体も一緒になって話し合っていこう、そういう仕組みを構築したところでございまして、しっかりとした議論をやっていきたいと思っております。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 なかなか難しいことだとは思いますが、これまでにないカーボンニュートラルといった環境面からの視点も加味される時代になり、地域住民の行動変容や、現在、新宮と和歌山駅の間で運行している、自転車をそのまま電車に積み込めるサイクルトレインの導入など、様々な利用方法もあると思います。是非、公共交通の再構築についても、地域の要望があれば、地方自治体からの要望があれば、国としてもバックアップをよろしくお願いいたします。

 次は、自動車分野のGXについてお伺いいたします。

 我が国では、二〇三〇年度に温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で四六%削減することを目指し、更に五〇%の高みに向けて挑戦を続けていくことが目標と掲げられ、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、更なる取組の強化が求められています。

 特に、自動車については、二〇二一年度における日本の二酸化炭素排出量のうち、輸送部門からの排出量は一七・四%、そのうち、自動車は八六・八%、日本全体にしますと一五・一%を占めていることから、自動車分野におけるGXを加速させる必要があります。

 商用車における電動化はまだまだ課題も多いと思いますが、我が国が世界に向けて宣言したカーボンニュートラルの実現、そのための自動車分野におけるGXの実現に向けた国交省の決意をお願いいたします。

鶴田政府参考人 御指摘のとおり、自動車分野は我が国のCO2排出量の二割近くを占めており、自動車分野のGXの実現は重要と考えております。

 このため、国土交通省では、野心的な燃費基準の策定、電気自動車等の基準の国際調和、商用電動車の導入支援などを通じて、電動車の技術開発や普及を後押ししています。

 特に、商用電動車の導入支援につきましては、環境省等の関係省庁とも連携して、令和六年度予算案では、活用可能な予算を大幅に拡充しています。具体的には、電気自動車等を購入するトラック、バス、タクシーの運送事業者に対する補助として、令和五年度予算の約三倍となる四百九億円を確保するとともに、運送事業における再生可能エネルギーの活用に関する予算も充実させています。

 国土交通省としまして、商用電動車の普及を通じて、自動車分野におけるGXの実現に向けて全力で取り組んでまいります。

林(佑)分科員 ありがとうございました。

 電気自動車の普及がカーボンニュートラル対策につながり、電気自動車の予算措置もしっかり対応していただいていることが分かりました。

 一方、トラックやバスなど重い車両は、なかなか電動化が難しいという課題もあると思います。

 そこで、未来の燃料ではありますが、そのための選択肢として注目されている合成燃料があります。特に、電動化のハードルが高い商用車などについては、合成燃料を代替燃料として利用することで脱炭素化を図ることができると考えられております。岸田総理も、令和三年のCOP26世界リーダーズ・サミットにおいて、日本は、世界の必需品である自動車のカーボンニュートラルの実現に向け、あらゆる技術の選択肢を追求すること、電気自動車普及の鍵を握る次世代電池、モーターや水素、合成燃料の開発を進めると演説されました。脱炭素燃料対応車の実用化を図っていくためには、合成燃料の開発に加えて、内燃機関の技術開発も行っていく必要があります。

 そこで、まず、カーボンニュートラルの実現に大きな貢献が期待できる自動車向け合成燃料の開発や、その実用化を加速させる国の取組についてお伺いするとともに、合成燃料を利用した車両の実用化を早期に図っていくことについて、国土交通省の今後の取組をお伺いします。

鶴田政府参考人 御指摘の合成燃料の利用、これは、既に使用されている自動車のエンジンやガソリンスタンドなどのインフラが活用できることから、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、重要なテーマであると考えております。

 このため、国土交通省では、令和四年度から、合成燃料の既存車両への影響について技術検証を行っています。具体的には、これまで、合成燃料と同じ組成の燃料を用いて部品単位での影響に関する評価を行ったところであり、今後は、実車を用いて車両全体への影響、安全性や排出ガスへの影響に関する評価を行うこととしています。

 国土交通省としましては、このような取組を通じて、合成燃料を利用した車両の安全、安心の早期実現に向けて、積極的に対応してまいります。

林(佑)分科員 ありがとうございます。

 私の地元和歌山では、ENEOSの製油所跡地が、持続可能な航空燃料、SAFを製造する拠点として再出発することになっており、二〇三〇年度までに合成燃料の生産を始める計画を打ち出しております。是非、国交省といたしましても、電気自動車だけに頼らない、未来の燃料を社会に実装できるよう後押しをお願いしたいと思います。

 それでは、時間になりましたので、質問を終了いたします。どうもありがとうございました。

佐藤主査 これにて林佑美君の質疑は終了いたしました。

 次に、堤かなめさん。

    〔主査退席、島尻主査代理着席〕

堤分科員 皆様、おはようございます。また、インターネットで視聴してくださっている皆様もおはようございます。立憲民主党の堤かなめでございます。

 では、初めに、水害対策の強化についてお聞きいたします。

 私の地元、福岡県では、昨年の梅雨前線豪雨におきましても、筑後川、そして筑後川の支流で、内水氾濫の被害が拡大いたしました。住宅、ビニールハウスなど多数浸水し、甚大な被害が発生いたしました。毎年のように起こる水害に、住民の方々からは、もう疲れ切った、あるいは、もう農業を続けていけない、そういった悲鳴に近いような声も聞いております。

 御案内のように、内水氾濫を防ぐためには、遊水地を造る、田んぼに水をためる田んぼダムの設置、そして、雨水をためるタンクをそれぞれの御家庭に設置するなど、様々な流域全体の対策、流域治水対策が必要となってまいります。

 福岡県で被害が特に多かった久留米では、住民や市職員、学生ボランティアの方々などが、道路脇の排水路にたまった泥やごみをスコップでかき出し、水路の深さを確保することなどにも取り組んでいます。しかし、まだまだ対策はこれからだと思います。流域治水対策の中でも、今回は、被害者の方から要望が多かったことに絞ってお聞きしたいと思いますが、川底にたまった土砂を取り除くこと、いわゆるしゅんせつでございます。

 そこでまず、このしゅんせつの徹底により、筑後川及び支流の内水氾濫対策をどの程度低減できると考えているのか、お聞きいたします。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 筑後川やその支川では、河道の流下能力を向上させるための河道掘削や堤防整備等の計画的な河川改修を行いつつ、定期的な測量などにより河川の状態を確認し、土砂の堆積等が発生した場合には、洪水時の水位が上昇することのないよう、随時、これらの撤去を行うなどの河道の維持に取り組んでいるところでございます。

 これらの対策により、大雨時における河川の水位を下げることは、河川の氾濫を防ぐことはもちろんのこと、流入する水路などのスムーズな排水にも効果的であり、委員御指摘の内水氾濫の防止、軽減にも大きな効果が期待できます。

 引き続き、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などにより、安全、安心な国土づくりを推進してまいります。

堤分科員 ただいま廣瀬局長から、大きな効果が見込めるというお話がございました。やはり、早期の対策として、すぐにできる対策として、しゅんせつを行って流量を拡大すること、確保することが重要だということは明らかだと思います。しかし、必要性を認めていながら、しゅんせつがなかなか進んでいないのではないかという声もお聞きしております。その原因の一つには、やはり費用の問題があるかと思います。

 筑後川の国直轄区間の河川維持管理修繕費は、平成三十一年から令和五年の五年間でおよそ百八十億円と聞いております。この中には、堤防や水門を維持管理する費用ですとか監視員の人件費などなどが含まれておりまして、毎年のように水害が起こっている筑後川水系でこれで十分なのかというのは疑問が残るところでございます。限られた予算の中で、抑えられる費用はできる限り抑える必要があるかと思います。

 そこで、しゅんせつの予算を抑える方法の一つとして、民間の事業者に川の砂を採取していただく方法があると聞いております。これは、河川法第二十五条の規定により認められております。民間事業者へのしゅんせつの委託には、民間の事業者にも建設工事などに使いやすい川砂を入手できるメリットがある、その上、公共事業費の削減にもつながるかと考えますけれども、認識をお聞きしたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 民間の事業者の方による河川の砂利採取に関しましては、高度成長期に土木、建築工事が増加し、砂利の需要が急速に増大してきたことに伴い、護岸や橋梁などの構造物に支障を与えるなどの砂利採取災害が各地で発生いたしました。このため、国が管理する河川では、河川管理上支障のない範囲で適正な採取となるよう、影響の生じ得る箇所での採取等を規制するための砂利等の採取に関する規制計画を対象期間を定めて策定することとし、定期的に更新をしております。この計画の規制のかからない範囲で砂利採取を現在認めているところでございます。

 近年、自然災害の激甚化、頻発化が懸念される中、民間企業の方々の活力を利用して、治水安全度の向上が見込める砂利採取の利点が見直されているところでもあると思っており、引き続き、河川管理に支障のない範囲で民間による砂利採取を認めてまいります。

堤分科員 ただいま、支障のない範囲で民間事業者による砂利採取を認めるというお答えをいただきました。

 そこで、九州地方で、国が管理する河川区域内の砂利、土砂を採取することが認められている事例はどのくらいあるのか、近年の採取実績を教えていただきたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 九州地方の国管理河川においては、令和三年度から七年度を期間とする第十七次砂利等の採取に関する規制計画により、二十水系のうち十二水系で年間約四十六万立方メートルの砂利採取を可能としているところです。

 この規制計画に基づき、民間企業、民間事業者の方から申請を受けた場合に許可を行うこととしており、令和四年度の実績では、遠賀川水系、球磨川水系、五ケ瀬川水系、川内川水系で合計約八万立方メートルの砂利が民間事業者により採取されております。

堤分科員 ただいま廣瀬局長から、九州では二十水系のうち十二水系で民間事業者による砂利の採取が行われている、また、八万立方メートル実績があるというお答えがございました。

 そこで、この問いの最後に、筑後川でも、生態系に配慮しながら民間事業者による砂の採取を行ってはいかがかと思いますが、御見解をお願いいたします。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 筑後川では、委員御指摘のとおり、有明湾の生態系等にも配慮し、令和三年に策定した第十七次砂利等の採取に関する規制計画により採取可能としている量は、計画期間の五年間で約十一万立方メートル、年間平均二から三万立方メートルとなっております。

 現在、筑後川では、この規制計画に対しまして、民間事業者からの砂利採取の希望がなかったため、現時点では実績がございませんけれども、平成二十年代後半には実績もあることから、改めて関係者の意見もお聞きして、適切に対応してまいりたいと思います。

堤分科員 実は、福岡県議会でも同様の質問を同僚の議員がいたしまして、県は何か、できないような回答だったんですけれども、今、廣瀬局長の方から、できる、可能であるというお答えをいただきました。改めてこのことを県の方にもお伝えいただきまして、民間事業者のお力をかりながら、早期に、土砂を取っていただいて、住民の皆さんが安心できるような状況にしていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは次に、針摺交差点の安全対策についてお聞きいたします。

 私の地元、福岡県筑紫野市の針摺交差点は、日本損害保険協会の調査によりますと、二〇二〇年の人身事故件数が全国ワースト一位、大阪の法円坂交差点と並んで、全国で最も人身事故が多い交差点ということでした。地元では魔の交差点と呼ばれており、二年前、二〇二二年の二月十六日に、この針摺交差点の安全対策について、同じくこの分科会で質問させていただきました。

 国土交通省からは、「対策内容に応じまして技術的助言や必要な財政支援などを行い、福岡県等と連携しまして、この針摺交差点における交通事故の防止に努めてまいります。」との答弁をいただきました。

 もちろん道路の安全対策がすぐに完成するとは思っておりませんけれども、残念ながら二〇二二年も福岡県ワースト三位という結果でした。この二年間、二〇二〇年のワースト一位からほんの少し順位が下がったとはいいましても、やはり、依然として危険度が高い交差点のままとなっているということでございます。

 つきましては、早期の安全対策が必要であるのは明らかでありますが、この二年間どのような取組を行ってこられたのか、安全対策の進捗状況についてお聞かせください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の福岡県筑紫野市の針摺交差点でございますけれども、福岡県が管理する県道と国道三号が立体交差する五差路の交差点であることに加えまして、県道の東側からの右折車線が三車線ある複雑な形状となっております。

 委員御指摘のとおり、この交差点では、令和元年から令和三年までの三年間に三十八件の人身事故が発生いたしまして、令和四年に十件、令和五年には十三件の人身事故が発生している、非常に事故の多い交差点であるというふうに認識をいたしております。

 このような状況を踏まえまして、先ほど委員が御指摘のありました二〇二二年二月以降の話でございますが、二〇二二年の八月に針摺交差点安全対策検討会、これを設置いたしまして、福岡県が中心になりまして、国、これは九州地方整備局でございますが、あと、筑紫野市また福岡県警察、これも参画いたしまして、本交差点における事故要因の分析、また、効果的な対策の検討を進めているところでございます。

 引き続き、福岡県などの関係機関と連携いたしまして、交通安全対策の確保に向けた取組を引き続き続けてまいりたいと考えております。

堤分科員 今、検討会を設置しているということですけれども、では、具体的には何もまだここに着手はできていないという状況だということでよろしいでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 ハード対策はやはり時間がかかるということで、ソフト対策でやっていくことになろうかと思います。ということで、警察によります取締り、そういったソフト対策をまずはやっていく、そういうことで実効性を上げていく。その後、ハード対策、どんなものができるのかというのを考えていくことになろうかと思います。

堤分科員 二年前にお聞きしたときも、ソフト対策をいろいろやってくださっているということでした。もちろん頑張ってくださっていると思うんですけれども、ハード対策、もちろん時間がかかると思うんですが、二年間ずっと検討しているのかというのはちょっとおかしいんじゃないかなと、納得できないところですので、是非、本当に複雑な構造になっていると先ほどお答えがありましたように、私も何度も通るんですけれども、やはりそのたびに冷や冷やするような状況でございますので、根本的な対策を、道筋だけでも早くつくっていただいて、着手していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。早い対策を強く要望しておきます。

 それでは最後に、県道三十一号線の安全対策についてお聞きいたします。

 ここには、動く中央線というものが私の地元の県道三十一号線に設置されているわけでございますが、最近の新聞記事を同僚議員から教えていただいたんですが、資料一を御覧ください。

 これは京都新聞でございます。福岡ではないんですけれども、京都でも、近畿で唯一残る大津の県道に、変移システムという、動く中央線のことを中央線変移システムというふうにも呼ぶわけなんですけれども、御存じない方も多いかと思います。

 といいますのも、全国にそんなにたくさん設置されているものではございません。福岡県ではここ一か所、県道三十一号線のところ一か所だと聞いております。ですから、ほとんど目にしたことがない、通ったことがないという方が多いと思うんですけれども、これをやはり、下線を引いておりますが、下線部1にありますように、ドライバーの皆さんから、分かりにくく怖いという声が上がっているということでございます。私の地元の福岡の県道三十一号線ですが、ここでもやはり、通るのが怖い、通りたくない、そんな声をたくさん聞いております。

 この三十一号線、正式には県道三十一号福岡筑紫野線は、福岡都市圏と南部の住宅地をつなぐ重要な幹線道路の一つです。かねてより渋滞が激しかったことから、四車線に拡幅する工事が行われてきました。

 しかし、春日市の宝町交差点から須玖北一丁目交差点の間の約二キロメートル、二キロメートルだけなんですけれども、ここが三車線のままとなっています。この僅か二キロの区間がボトルネックのようになっておりまして、朝夕の通勤ラッシュ時だけでなく、日常的に非常に渋滞が続いております。

 その対策として、時間帯によって中央線を動かし、交通量の多い側の車線数を増やしています。そういう、この中央線変移システム、この新聞記事にありますシステムは、動く中央線ですとか、リバーシブルレーンというふうにも呼ばれています。つまり、真ん中の一車線は時間によって走行距離が逆方向に変わるということでございます。ですから、この動く中央線は、やはり分かりにくい、時間で変わるということですから、事故の危険がつきまとっていると思われますけれども、この動く中央線の危険性についてどのように認識しておられるのか、教えてください。

小林政府参考人 お答えいたします。

 時間帯等によって道路の中央線を変更する交通規制は、朝夕のラッシュ時など、方向別の交通量が著しく異なるために、片側の車線数を多くする必要性がある場合に実施しているものであります。他方で、こうした交通規制によって、走行時間により中央線の位置が分かりづらいとの声があることは承知しているところでございます。

 そこで、その実施に当たりましては、道路標識等により中央線の位置を分かりやすく示すような措置を取っているほか、中央線が変わる区間に至る前の地点で規制の予告を行うなどの対策を行っているところであります。

 こうした対策を適切に実施し、道路交通の安全が確保されるよう、引き続き、都道府県警察を指導してまいります。

堤分科員 ありがとうございます。

 では、資料二を御覧いただけますでしょうか。これは地元の春日警察署に作っていただいた資料でございます。

 やはり、人身事故発生件数、多いときは九十六件、令和四年は六十六件、毎年、結構、かなり多いかと思います。そして、時間別の人身事故発生件数、やはり、ラッシュアワーの時間帯、例えば、十六時から十七時が五十五件、十六時から十九時が五十一件となっています。また、曜日別に見ましても、平日も多いんですが、例えば土曜日、六十七件とかというふうになっております。そして、事故件数では、追突ですとか出会い頭というものも多くなっております。この二キロでこれだけの事故が起きている、五年間で計三百七十四件の人身事故が起きているということが分かります。

 また、表には載っていないんですが、警察署からは、令和二年と令和三年には正面衝突事故がそれぞれ一件あったというふうにも聞いています。実際に地元の方からは、間違って逆走して対向車が慌てて逃げるといったようなヒヤリ・ハット事例を目撃したという声もいただいております。

 このような危険性から、資料一に戻っていただきたいんですけれども、ここの3では、分かりやすい交通規制が全国的に求められる中で、このシステムは全国的にも縮小、廃止の傾向にあるというふうに書いてございます。

 そこで、全国において、また、そのうち福岡県において、どのくらいの区間で動く中央線が設置されているのか、お聞きします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 時間帯等によって道路の中央線を変更する交通規制につきましては、都道府県警察からの報告によりますと、令和四年三月末現在の数字でありますが、全国で三十三区間、距離で約二十六キロメートルにおいて実施されております。

 また、福岡県におきましては、現在、先ほど委員御指摘の春日市の一か所のみで実施されておるところでございます。

堤分科員 全国で三十三か所、福岡県では一か所ということで、ここは本当に幹線道路なのでたくさんの方が通られますけれども、やはり、ドライバーの方の中には、県内の人、県外の人もいらっしゃると思うんですけれども、動く中央線のある道路は初めて通るという方が多くおられます。初めて遭遇するドライバーの方にとっては特にやはり分かりづらくて戸惑ってしまうという、一瞬の戸惑いがやはり事故につながるのではないかと思います。中央線が動いてしまうのですから、逆走する人がいて正面衝突の危険が高くなるというのは自明の理かと思います。

 そこで、また、資料一の新聞記事では、滋賀県内の動く中央線の更新に、2のところですが、およそ五億円かかるというふうにあります。このシステムは渋滞緩和策として一九七〇年代頃から導入されてきた、つまり五十年前ぐらいですね、高度成長期に導入されてきたということで、今、更新の時期にかかっているのではないかと思いますが、例えば、直近の事例ではどのくらいの費用がかかったのか、教えていただきたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 時間帯等によって道路の中央線を変更する交通規制の実施につきましては、可変式の道路標識等を整備しているところでありますが、その更新費用は、道路状況、そして区間長等により異なるため、一概に申し上げることは困難であります。

 ただ、最近更新の行われたケースにおきましては、令和四年度に可変式の道路標識等の更新を行った新潟県警察において約四千万円を要したと承知しております。これは、区間にして三百七十メートルということでありました。

堤分科員 ありがとうございます。

 次に、県道三十一号線の拡幅のための用地の確保についてです。

 資料一、先ほどの滋賀県の事例では、危険な動く中央線をなくす、廃止するということも検討されているようですけれども、福岡県の県道三十一号線の場合は、非常に混雑が激しくて、まだまだ、周辺にはマンションがどんどん建っているというような状況ですので、こちらのケースではバイパスができて減ったということですけれども、まだ、減っていくという、そういう状況ではないと思います。したがって、廃止するという状況、選択肢は今は取れないというのが現状です。つまり、現在の三車線を四車線に拡幅できなければ、この危険な動く中央線を廃止することはできないということになります。

 もちろん、この地域の渋滞対策が全くされていないわけではありませんが、残念ながら進んでおりません。福岡市、春日市、大野城市、太宰府市を結ぶ都市計画道路長浜太宰府線が昭和四十七年、一九七二年に計画されています。既に五十年もの歳月が経過しているんですけれども、いまだ完成していません。未整備区間、まだ整備されていない区間はおよそ一・四キロ。あと一・四キロなんですけれども、今からようやく用地買収にかかるということで、まだまだ十年以上かかるかもしれない、まだまだ完了できないと聞いております。

 また、もしこの長浜太宰府線が完成したとしても、三十一号線の渋滞がどの程度解消できるか。先ほど申し上げましたように、どんどん人口は、この地域、まだ増えておりますので、不明です。したがって、この長浜太宰府線の完成を待つまで、危険な三十一号線の動く中央線をそのままにしておくべきではないと考えます。三十一号線の安全性を高めるためには、三車線のままとなっている区域二キロ、僅か二キロなんですが、この拡張がやはり必要です。

 この区間は、一方の側のかなりの部分が、実は陸上自衛隊福岡駐屯地になっています。もう一方は住宅地です。この住宅地の側は急傾斜になっていまして、事実上、セットバックが非常に難しく、僅か二キロですが、拡幅が遅れている理由の一つかと拝察しております。したがって、住宅側の反対側の自衛隊側をセットバックすることがもしできれば、拡幅が可能となるのではないかと思っております。

 そこで、これまで、道路の拡幅などを理由に自衛隊が所有する敷地を県や市町村に割譲した事例があるのか、教えてください。また、その上で、陸上自衛隊福岡駐屯地のセットバックについて、これまで福岡県などから何らかの要請があったか、お聞かせください。

扇谷政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊の駐屯地や演習場等の用地を県道や市町村道とした事例につきましては、令和四年度に鳥取県に所在する陸上自衛隊日光演習場の一部用地を用途廃止した事例がございまして、これを含めまして、過去五年間におきまして五件の事例がございます。

 また、福岡県道三十一号線を拡幅するために陸上自衛隊福岡駐屯地の一部用地を道路用地として割譲することについて、これまで福岡県等から御要望等を受けたことがございません。

堤分科員 ありがとうございます。

 扇谷施設監から、過去五年で五件の割譲、自衛隊の用地の一部をセットバックしていただいたという事例についてお話しいただきまして、御紹介いただきました。そして、これまでは福岡県などからの要請はなかったということです。

 こういう事例があるということで、渋滞というよりは、やはり安全対策が私は一番大事だと思っております。こういう危険な、この動く中央線という分かりづらいシステムを一日も早くなくしていくためには、自衛隊をセットバックしていただく、こういう事例があって、可能性があるということを県の人たちにもお伝えしていきたいと思っておりますので、今後とも是非御協力いただきますようによろしくお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 本日は、ありがとうございました。

島尻主査代理 これにて堤かなめ君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野(洋)分科員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきます。この第八分科会での質問も久しぶりとなりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 今日は、斉藤大臣始め政務の皆様にも、本当に、お越しをいただきありがとうございます。

 早速質問をさせていただきます。

 まず冒頭、奄美群島振興開発特別措置法の改正に関連をしまして、何問か質問させていただきます。

 私も選挙区が兵庫八区の尼崎市で、奄美と余り関係がないのに何でそんな質問をということも思われる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、実は、奄美群島出身者が大変に多い、そういう地域でございまして、関西奄美会ですとか、奄美出身の方のいわゆる郷友会というか、そういう会合、私の地元の尼崎市でかなり数多く開催をされている、そういう地域でもございます。ですので、出身者の方も多いということは、奄美の島唄ですとか、いろいろな民謡、芸能も含めて、本当にそういうことに取り組まれている方も大変に多い地域ということで、いつも、皆様のふるさとを思う大変に強い気持ち、本当に敬意を表している次第であります。

 私の選挙区の大先輩でもあります冬柴鉄三代議士も、この奄美振興には長年取り組まれておられました。昨年は奄美群島の本土復帰の七十周年の式典がありまして、斉藤大臣も、式典、当時御一緒させていただきましたけれども、尼崎市長を始め、多くの県議会や尼崎の市議会の議員も参加をいたしまして、やはりふるさととの交流を活性化しよう、大変こういう思いで活動をしております。

 今年は、五年に一回、この奄美群島振興開発特別措置法、これが議論をされる大事な年だということでありますので、これをやはりしっかり延長をして、引き続き奄美の振興をやっていかないといけないと思っておりますし、また、世界自然遺産の登録というのをずっと長年、悲願ということで活動をしてこられました。これも実現をいよいよしたということも踏まえまして、奄美の振興に取り組んでいくということは非常に大事であると思います。

 今回、定住や移住の促進、観光などの交流人口を増やすというのは、離島ですので大変、産業の観点からも大事でありますけれども、いわゆる移住も含めてそういう促進もしていこう、これも大きなテーマになっているというふうにも、地元からも要望が出ていると伺っております。新しい人を呼び込むということは非常に大事であります。

 最近私も、ふるさとの奄美に戻りますというふうなお話を地元で聞くことも増えてまいりました。やはり、出身者、地縁や血縁のある方というのは、戻ってみようかなというふうに思われる方もいらっしゃいますし、また、今は、こうした、直接自分が出身で尼崎の方に来たという方でなくても、いわゆる島のそういう、文化であるとか、島が好きだと、奄美に関心を持たれている方がかなり郷土会に来られているというふうな現状も感じておりまして、移住、定住をしていくということであれば、元々そういう関心があるというふうな自治体であるとか、あるいは、そういう交流があるようなところとの連携というのが非常に大事ではないかというふうにも思っております。

 是非、いろいろな情報の提供や、恐らく定住、移住に向けた地元の受入れみたいなことも様々やられると思うんですけれども、そうした関連の深い地域との連携ということも非常に大事ではないかというふうに思いますけれども、これについて、国土交通省、どうお考えか、答弁いただけますか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、奄美群島への移住の促進に当たりましては、Uターンを想定をいたしまして、奄美出身の方々が多い地域との連携、これを深めることは大変重要であるというふうに認識をしております。

 実際、奄美群島への移住者のうち、直近のデータでは、二割近く、これは委員御地元の関西からの移住者が占めているというデータがございます。また、関西には、御紹介がございました奄美出身者の方々による親睦会、郷友会が各地域にあるというふうに伺っております。

 国土交通省といたしましては、これまでも、関西におきまして、奄美出身者を対象とした移住フェア、また、空き家活用の相談会などを実施をしております。このようなイベントを通じまして、郷友会を通じた情報発信も、これもまたさせていただいているところでございます。

 引き続きまして、奄美出身者の方々が多い、関心の高い地域と連携をしまして、移住の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 恐らく、離島ですので、奄美はそれでもいろいろな、仕事にしても住むところにしても様々あるところではあるとは思うんですけれども、住まいに関する情報でありますとかそういうコストの問題でありますとか、やはりそういうところ、しっかり情報提供をしていただければ、そういう関心がある方とマッチングがうまくいくのではないかというふうに思っておりますので、これは是非お願いをしたいと思います。

 あわせまして、私も、地元の関西と奄美の交流の活性化というところで、一つどうしてもハードルとなりますのが、離島ですので、移動のコスト、特に、飛行機で行くしかないという、船もありますけれども、主に飛行機で移動されるということで、やはり航空運賃の費用が非常に高いというところは今までもずっと言われていたことではありました。

 世界自然遺産登録という一つの大きな流れを契機に、LCC、ローコストキャリア、こういうものを就航していこうということも、私も、鹿児島県や国に対して、あるいは航空会社に対してもこうしたことも提言してきたんですけれども、成田あるいは関空から奄美大島へのLCCの就航、こういうものが世界自然遺産登録を前に実現をしたということは大変に喜ばしいと思っております。ちょっと今、インバウンドの需要増もありまして少し、関空から三か月運休ということで、これもちょっと何とか早く復帰をしてほしい、こういう話もあるんですけれども。

 他方で、奄美大島への便というのはかなり充実をしてきた一方で、奄美群島といってもほかの島もございます。徳之島始めほかの島についてはまだまだ航空運賃が高いので移動の負担が大きい、こういうお声もあるということも事実であります。ですので、奄美群島に、それぞれの島への移動をするときの航空運賃の低減、移動コストの低減、これについては是非、国としてもしっかりとお願いをしたい、引き続き充実をお願いしたいというふうに思うんですけれども、これについても答弁をお願いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島は鹿児島本土から遠く離れた外海にございますので、住民生活の利便性の観点から、本土との往来に係る高い航空運賃、これは委員御指摘のとおり、かねてから課題となっておりました。

 そのため、御案内のとおりでございますけれども、現在は、住民とその扶養に入っていらっしゃいます本土在住の学生を対象にいたしまして、奄美群島と鹿児島本土間の航空運賃、これが通常の約半額となるように奄美群島振興交付金で支援をいたしまして、定住条件の整備というのを図ってきたところでございます。

 一方で、奄美群島の高齢化率、これが近年、全国や鹿児島県全体の平均よりも高くなっているということでございまして、今後、介護を目的とした帰省者が増えるというふうに想定をしておるところでございます。

 こうしたことから、現在御審議をいただいております令和六年度予算案におきまして、奄美群島振興交付金におきます運賃軽減の対象に、介護のために帰省する者の追加、拡充を盛り込んでいるところでございます。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願いいたします。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 先ほどの、令和六年度予算ということでそういう拡充も盛り込んでいただいているということであります。引き続き、やはりどうしても離島であるがゆえに、もう少し安く行ければもっと多くの人が来るというところがありますので、是非ちょっと、様々な角度で御検討をお願いをしたいというふうに思います。

 少しテーマは変わりますけれども、今、公共工事の費用対効果、少し技術的な話でもありますけれども、一つお伺いをしたいと思います。

 これは私の地元でもあるんですけれども、公共工事が、当初計画をしていた計画があるという中で、工事が進展をしていく、そうすると、いろいろな要素で費用が上がっていくということがございます。今の物価高みたいな問題もありますし、いろいろな原因で費用の上昇ということがあります。そうすると何が起こるかといいますと、費用対効果を分析をしておりますので、いわゆるBバイCと言われるような、費用対効果がどんどん悪化をしてくるということもございます。

 そうすると、これによって事業内容を、じゃ、もっと予算を縮小しようかというふうな話になることもありますし、あるいは、これは中止だというふうなこともあります。もちろん費用の上昇の要因というのは様々ではありますけれども、BバイCに限らず、やはり貨幣価値で換算をすることがなかなか困難ないろいろな効果もあるというふうに思っております。ですので、単に、BバイCが、いろいろな状況で費用が上がってきている、これが悪化をしてきた、だから事業は縮小しますと機械的にやってしまうというのは、私はちょっと違うのではないかというふうに思っております。

 ですから、こうした貨幣換算がなかなか難しいような様々な要素、これも検討した上で、やはり必要な事業はしっかりやっていくということが大事なんじゃないかというふうに思います。これについて、国の方針としては、BバイCというのもありますからというふうなことも言われることも多いものでありますから、国土交通省としてこれをどう考えているのかということは、ちょっとしっかり御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 公共事業については、事業着手後も、社会経済情勢の変化や事業進捗の見込みなどに応じて、節目節目で事業継続の判断をすることが重要だと認識しております。

 このため、国土交通省では、事業着手後に、五年に一回の頻度や、事業費が大幅に増加する場合などには、都道府県や、学識経験者などから構成される第三者委員会の意見を伺った上で、事業評価をし、事業継続の妥当性について判断しているところでございます。

 評価の実施に当たっては、費用便益比、いわゆるBバイC分析だけでなく、災害時における人や物資の輸送確保など貨幣換算が困難な効果、そのほか、事業実施環境や地元との調整状況など、様々な視点を踏まえて、総合的に判断をしているところでございます。

 引き続き、公共事業の効率性及び事業過程の透明性の確保に向けて、有識者の意見を伺いながら、多様な効果を適切に評価し、事業継続の判断を行ってまいりたいと思っております。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 やはり、災害時の効果でありますとか、あるいは地元との調整状況などというふうな答弁もあったかと思います。総合的に見て、必要なものはやっていくということが大事だと思います。特に昨今、いろいろな事情で事業費自体がかなり上がっていくというふうなことが、よく聞くものでありますから、そうした国の方針を確認をできたというふうに思います。

 少しまたテーマは変わりますけれども、人手不足の問題であります。

 あらゆる分野、特に国土交通の関係の分野はもういろいろな分野が今人手不足になっているということで、今日は少し、バスであるとか、建設業あるいは運送業等々、これから幾つか取り上げたいというふうに思うんですけれども、一つは運転手であります。特にバス。これは、タクシー、トラック、これも当然そうでありますけれども。

 一つ、地元でお声をよく伺っているのが、バスの問題でもあります。例えば大阪では人手不足で路線撤退をするというふうなことも、去年、ニュースでもありまして、かなり衝撃的なニュースだと私自身も思いました。採算性が悪化してというのは非常によく、過疎化している中でということであるんですけれども、これは、人手が確保できない、そういうお話でもあったというふうに記憶しております。

 私の地元の尼崎市では、昔は市バスでやっておりましたけれども、今は阪神バスなどが走っておりますけれども、運転手の確保というのは本当に大変だということで、これは、もうここしばらくずっと、やはり、どうやって運転手を確保していくのかということをしっかりやっていかないとこれは本当に持続できないというふうなことはずっと伺って、いろいろな取組もやっておられるんです。今回、働き方改革、二〇二四年問題ということで、トラックとか建設業はよく言われるんですけれども、バスとかの、その他の公共交通の分野においても、ある程度シフトも変えて、少し人も増やさないといけないというふうなこともお伺いをいたしました。

 特に関西は、今、大阪・関西万博のいろいろな、シャトルバスですとか、いろいろなところでバスの求人というのも増えておりますし、当然、インバウンドが増えてくると、いわゆる地元のこういう公共交通のバスというよりはツアーバスのような、いろいろなバスというのも非常に需要が増えてくるということでありますので、コロナも明けて、インバウンドも入ってきて、そして万博も予定がされていてということで、非常に需要自体もすごく高い、そういう状況でもあります。

 このまま手をこまねいていると、やはり地域の足がなかなか確保できなくなってくるのではないか、こういう大きな懸念を持っております。

 当然、対処法はいろいろあるとは思っておりまして、過疎地であればもう少し、例えば、自動運転みたいな、ゆっくりと走らせるようなものも技術的にはあるでしょうし、路線を再編をしたりとかいろいろなことも考えられるとは思いますけれども。あるいは、今、バスだと二種免許、大型の二種ということで、免許を取るということもいろいろな支援もしていただいている状況だとは思いますけれども、なかなかこれも、人材育成というところで大変だというふうな話も伺っております。

 こうした少し総合的な運転手確保の取組というのを国でしっかり考えてやっていかないと、これは公共交通が確保できないんじゃないか、こういう強い問題意識を持っておりますけれども、国土交通省の今の考えとこれからの取組ということで、局長に御答弁いただきたいと思います。

石原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のとおり、運転者不足によるバスの減便、廃止は、地方部のみならず、御指摘のあった関西を始めとする都市部も含め全国各地で相次いでおり、地域住民や観光客の移動手段確保の観点から、大変深刻な問題であるというふうに重く受け止めております。

 運転者の確保に当たりましては、何よりも、職業としての魅力向上、処遇改善が重要であることから、国土交通省としましては、運賃改定時における運賃算定手法の見直しですとか運賃改定の迅速化により、早期の賃上げ等を促進しているところでございます。

 また、採用活動や二種免許取得に係る費用についても支援を行っているほか、今後は、外国人材の活用についても、バス運転者を特定技能の対象分野に追加することについて調整を行っているところでございます。

 国土交通省としましては、こうした取組をしっかりと進め、地域住民や観光客にとって必要な移動手段の確保に全力を注いでまいります。

中野(洋)分科員 審議官、ありがとうございます。

 残り十分でありますので少しペースを速めてまいりますけれども、人材不足というところで、建設業の中でも一つ取り上げたいのが畳であります。

 畳は日本の伝統的な建築文化なんですけれども、実は出荷量がここ二十年で半分近くまで減少しているということもありまして、特に今、和室がないというふうなところも多いものでありますから、そもそも子供たちも畳を余り知らないというか慣れていないというか、そうなってくると、どんどん維持できなくなるんじゃないか。やはり、零細な事業者が大変に多いですし、イグサの農家も非常に減少しているということで。

 ユネスコで、無形文化遺産、これは木造建築物が一つ取り上げられまして、二〇二〇年に登録されました。この中に、畳の製作というのも一つ大きなところで登録をされているわけでありますね。

 畳文化の継承、畳がなくなれば、なかなか和風の木造建築物というのも造れなくなってくるんじゃないかというふうにも思ってまいりまして、これの継承というのは、当然、人々の好みというか、そういう問題もありますのでやっていかないといけない。しかし、維持をしていかないと日本のいわゆる和の建築というものが維持できない。これも一つ大きな危機意識を持っております。

 この畳文化の継承という点で、国交省としてどう考え、どう取り組むのかということをお伺いをしたいと思います。

石坂政府参考人 お答えいたします。

 畳は、我が国の気候、風土、文化に根差した住まいづくりや住まい方である和の住まいを象徴するものであり、優れた調湿性や断熱性、乳児や高齢者の転倒時のけがを防ぐ適度な弾力性など、様々な効能があると承知しております。

 畳を始めとする和の住まいを推進することは、日本の住文化の再発見、伝統産業の振興及び継承、地域の活性化を図るためにも重要と考えているところでございます。

 このため、関係省庁で連絡会議を設け、伝統的な住まいの要素や工夫をまとめたパンフレットの作成や、全国各地におけるシンポジウムの開催等の普及啓発を実施しております。

 引き続き、関係省庁と連携し、畳の振興あるいは畳の継承、そういったことを含めました和の住まい、和の建築について、推進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 続きまして、人手不足の分野のトラック運送業、これについても取り上げたいと思います。

 これは、物流の二〇二四年問題ということで、物流そのものが成り立たなくなるのではないか、そうすると経済が止まるということで、極めて、非常に大きな問題だと思っております。

 やはり、運送業の、一つは長時間労働の是正と、適正運賃の収受、この二つが本当に大きなテーマで、これがなかなか、いろいろな課題があって、本当に難しいという状況であると思います。これは法律も改正をこれからやってまいりますし、また、その中での議論、あるいは法律の施行に向けても運用に向けても、当然いろいろやっていかないといけないと思っております。

 一つ、やはり、運送業の構造として、荷主の指示どおりやらざるを得ないということは皆さんおっしゃっておられて、荷主が変わらないと何も変わらないじゃないか、これはもう前からずっと言われていることであります。

 更に言うと、多重構造、下請構造になり、荷主の下には物流子会社、その下にまた幾つも、運送を取り次ぐだけの人もいたりとか、非常に構造が複雑で、なかなか進まないということであります。

 今回、下請Gメンを参考にトラックGメンというのも動き出しております。この監視集中月間を昨年やりましたので、まずはこの状況をお伺いをしたいと思います。

鶴田政府参考人 トラックGメンにつきましては、昨年十一月と十二月を集中監視月間と位置づけて、厚生労働省の労働基準部局や中小企業庁などと連携して取組を強化しました。適正取引の阻害行為が疑われた荷主等に対して、百六十四件の要請と四十七件の働きかけを実施しました。これは、その集中監視月間前の倍のペース、また、昨年夏のトラックGメン設置前から見ると六十倍のペースでございます。

 その中で、過去に要請を受けたにもかかわらず依然としてこうした行為が疑われた悪質な荷主等二社につきまして、勧告、公表を行ったところです。

 今後、勧告等の対象となった荷主等に対するフォローアップを継続して、改善が図られない場合、更なる法的措置を実施するなど、厳正に対処してまいります。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと大臣に最後、最後というか、このトラックの問題でお伺いしたいんですが、総理からも、ドライバーの賃金を一〇%程度引き上げるということで、中長期目標という発表もありまして、大変期待もある一方で、他方で、今までのいろいろな力関係や商慣行もあって、本当にそんなことが、改革が進むんだろうか、そういう現場の大変な、そんなに簡単じゃないよ、そういう声もある中で、しかしこれは絶対やらないといけない、こういう課題であると思います。

 こうした、ドライバーの賃金を上げていく、そして、物流の改革ということに向けた大臣の決意を是非お伺いをしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 一〇%、トラックドライバーの賃上げを目指すということでございます。

 まず、標準的運賃の八%の引上げ、これをまず行うということでございます。そして、荷待ち、荷役の対価、それから下請手数料など、これまで賃金の項目に入っていない項目を設ける、新たな運賃項目の設定を行う。それから、先ほどございましたトラックGメンによる荷主等への是正指導を強化している、こういうことを積み上げまして一〇%を達成したいと思っております。

 加えて、元請事業者に対して多重下請構造の是正に向けた取組を義務づけるなど、適正な運賃導入を進める法律案を閣議決定し、今国会に提出しました。発注者は、実際に運んでいる人が誰か分からない、どういう構造になっているかも知らないというようなケースがたくさんあると聞いております。そこを見える化する、そして是正を図るように義務づけるということでございます。

 国土交通省としては、これらの取組を通じて、関係省庁、産業界とも連携し、ドライバーの一〇%前後の賃上げに向けて全力を尽くしてまいります。

中野(洋)分科員 ありがとうございます。

 いろいろな現場の、こういう大変さがある、こういうことがなかなか大変だ、Gメンも含めて、こういういろいろな声がやはり上がってくると思いますので、大臣にその声を聞いていただいて、強力な指導を是非お願いをしたいと思います。

 最後に、建設業の賃上げということでお伺いをいたします。

 これもトラックと少し似たような構造もあるんですけれども、国交省でもずっと、設計労務単価を引き上げて、公共事業のいろいろな賃上げをしようということでやってまいりました。これも多重構造で、下請に行くにつれて、上がったはずの設計労務単価、一番下で働く人は何か全然、そんなにもらっていないよというふうなことが、この十年以上ずっと設計労務単価を引き上げてかなり上がっていく中でも、まだあるということで、ましてや民間工事はということであります。

 今回、建設業法の改正では標準労務費という概念を設定しますので、これも非常に期待のあるところではありますけれども、どうやって賃金を行き渡らせるのかというところは同じ構造、同じ課題だと思います。ここがやはり大きな肝になると思いますけれども、これについてどのように取り組んでいかれるのか、最後にお伺いをしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 建設業における賃金の行き渡りの御指摘でございますけれども、その前段階として、建設業の受発注の段階できちんと適正な労務費を前提にした請負契約が行われるということがまず大事でございます。その上でその労務費を下請負人まで行き渡らせるという、二段階での取組が重要だというふうに思います。

 今般の建設業法の改正で予定しておりますのは、まずは資材高騰分の転嫁対策を強化することで、労務費へのしわ寄せを防止して、賃金原資を確保するということをまず一つの柱といたします。

 その上で、適正な労務費の基準をあらかじめ示した上で、個々の工事において、これを著しく下回るような労務費での積算見積りや請負契約は下請取引も含めて禁止をする、こういう新しいルールを導入してまいります。

 これによりまして、多くの技能者を雇用されている下請業者まで適正な労務費が行き渡るように、契約の当事者同士の円滑な協議を、まず円滑にしていただけるよう促してまいりたいというふうに思います。

 これに加えまして、行政庁におきましても実地調査あるいは改善指導のための体制を強化いたしました。先ほどトラックのGメンのお話もございましたけれども、建設Gメン、こちらも体制の強化をいたしまして、例えば、注文者側が大幅な減額を見積りの調整の段階で求めていないか、こういうことを確認をし、不適正な見積書の変更などが行われている場合にはその改善指導を求める、こういうことを徹底いたしまして、今後、改正しようといたします法律の内容の実効性が確保されるように努めてまいりたいというふうに存じます。

中野(洋)分科員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

島尻主査代理 これにて中野洋昌さんの質疑は終了いたしました。

 次に、田嶋要君。

田嶋分科員 田嶋要でございます。立憲民主党です。よろしくお願いします。

 斉藤大臣とは、本当は三時間ぐらいいろいろなテーマを議論させていただきたいというふうに思いますが、今日は三十分、よろしくお願いします。

 特に、この能登半島の被災の関係、あるいは、今もお話がありました人口減少に関わる話と、本当に課題山積の国土交通省だと思います。くれぐれも健康に留意して、大臣、副大臣ももちろんですが、政務官、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それで、今日は、精神障害者の移動に関わる権利の話をまず取り上げたい。後半、京葉線の関係でも取り上げたいと思います。

 これは、長らく放置をされています。これは、身体、知的と精神の扱いが違う状況が続いていいということはないと当然思うわけですし、斉藤大臣もそのように御認識されていると思います。

 前赤羽国土交通大臣、大変いい置き土産をしていただいたと私は感謝申し上げております。真の共生社会実現に向けた新たなバリアフリーの取組、大臣指針ですね。資料の二を御覧いただきたいです。この四点目というところに下線を引いていますが、ここからが今日のポイントでございますが、精神障害者に関して、身体、知的と違って割引がない、これに関して、赤羽当時大臣が問題意識を持ってこの四項目に入れていただきました。そして、交通事業者における取組の具体的な方向性や目標等を早期に定めというふうにあるわけでございます。

 今日は、特にその中で鉄道、そして、その中でリーダーとも言えるJRに関して大臣にお尋ねしたいと思いますが、西日本鉄道を始め、かなり進んできているのも事実でありますが、やはり、今日、多くの方がネットで聞いていらっしゃいますが、当事者の方々は、JRが動かないからほかがなかなか進まないという声もございます。

 そこで大臣にお尋ねしますが、赤羽国土交通大臣当時からこうした置き土産や申し送りがあったかと思いますが、実現の目標というふうに書いてありますけれども、この実現の目標というのは定めたのでしょうか。お尋ねをいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 精神障害者割引は、鉄道事業者の経営判断により実施されるものでございますが、これまでも、JRを含め、鉄道事業者に対してはその導入を強く求めてきたところでございます。

 令和三年六月の新たなバリアフリーの取組に関する大臣指示を踏まえ、これは先ほどお話があったとおりでございまして、私、赤羽大臣から引継ぎを受けるときも特に強調された面でございます。この大臣指示を踏まえ、国土交通省としては、鉄道事業者と意見交換を行うなど、改めて、精神障害者割引の早期の導入に向けて働きかけを行ってきております。

 さらに、令和五年二月には、精神障害者に対する割引の考え方や、運賃改定時に障害者割引に伴う減収分を考慮することなど、実施に際して整理が必要な事項を鉄道事業者に示すなど、導入に向けた環境整備も行っております。

 なお、実現目標は今示しておりませんけれども、精神障害者割引についても約六割の鉄道事業者が導入するなど、実施事業者が着実に増加してきております。これからもしっかりと働きかけを行っていきたいと思っております。

田嶋分科員 何もしていないわけではないし、今の斉藤大臣の御答弁は、昨年の我が党の横沢委員の質問にも同じ答弁を繰り返されておりますけれども、聞いていると、経営判断だという何か話に終始をしますね。

 今、いみじくもおっしゃいました。目標を定めていないとおっしゃっていますけれども、赤羽大臣からの申し送りは「目標等を早期に定め、」と書いてあるんですよ。何年たっていますか、これから。もう随分と古い話になっていると思いますよ。

 だから、これは、話合いをやっていますのままで、最終判断は経営側かもしれませんが、何か政府が一歩引いていていいのかという気持ちがあります。まず、国連の憲章に関わる問題でもあるし、憲法にも関わる問題でもあるし、障害者基本法にも関わる問題でもあります。そして、障害者の差別解消法というのもございます。

 大臣に一言申し上げますけれども、差別解消法がこの四月一日にいよいよ施行される。改正部分の特定の施行がございまして、合理的配慮の提供が義務化されるんですね。今までは努力義務だった民間企業が、この四月一日から合理的配慮が義務化される。もちろんそこには条件がついていまして、過重な負担の判断というのがありますね。やはり負担が過重過ぎちゃ駄目だと。だけれども、まず基本原則、義務化になるということは、これは物すごく私は大きいことだと思います。いいですね。これは事前に通知してありますので。

 そして、もう一つは、昨年ICカードの割引の導入が実現、JR東も実現した。これまで西側だけだったところが、ようやくJRさんもそれの導入を決断していただいた。これも赤羽大臣の四項目の一つに入っていたんですが、去年実現しているんです、これは。

 ただ、ICカードの割引が実現するということは、割引がそもそもない精神障害者は関係ない話なんですよ。つまり、二重の意味で置いてけぼりになっちゃっている。こういう状況を、今、これだけ包摂社会とかいろいろなことを言っている中で、JRの経営判断です、それでいいんですか。もはや外堀は完全に私は埋まっていると思いますよ。もうそろそろちゃんとした判断をして、国際社会に恥じない国としてのメッセージを私は出していただきたいと思います。

 そういう意味で、大臣、改めて、JRの判断ですとおっしゃるんですけれども、もう一歩踏み込んだ御答弁を私はいただきたいと思いますが、いかがですか。期限の目標を切っていないのは約束違反ですよ。どうですか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、障害者差別解消法のお話を今されたわけでございますけれども、障害者割引は、障害者を障害者でない方と比べて優遇する取扱い、いわゆる積極的改善措置となることなどから、障害者差別解消法の合理的配慮の提供義務違反になるものではないと認識しておりますが、いずれにいたしましても、国土交通省としましては、誰もが便利に安心して利用できる鉄道の実現に向けて、引き続き鉄道事業者に対し、精神障害者割引の導入に向けた働きかけを行ってまいります。

 目標ということでございますけれども、しっかりと我々も問題意識を持って、まだ残っている四割、特にJRがリーダー的存在であるから、JRに対して働きかけを行っていくべきだという今の田嶋委員の御意見を十分受け止めまして、頑張っていきたいと思います。

田嶋分科員 大臣、今日からお尻に火がついたと思ってください、本当に。目標を定めないでずるずるずるずるやったら、ずっと実現しませんよ。

 そして、合理的配慮の違反には当たらないとおっしゃいますけれども、知的、身体と精神の差別ですよ。知的、身体と精神の間で扱いが変わるということは、それは差別じゃないですか。おかしいでしょう、それは。なぜそういう差別を放置しているんだということをJRに聞いていますか。言えないと思いますよ、それは。やっちゃいけないことなんだから、本来。それが放置されている現状は、国が真剣に解消に向かって努力をするべきです。

 そこで、私は次の提案があるんですけれども、二番ですけれども、過去に、昭和の時代に身体、そして、平成の時代に知的障害もこうした割引が導入された。そのときに、実は値上げされていないんですよ、運賃の。運賃値上げは消費税の引上げのときしかやっていないんです。つまり、吸収できているんです、経営努力の中でね。感謝を申し上げたいと思います。

 同じようなことが精神だってできるかもしれないじゃないですか。人数は精神が六百万ぐらいで一番多いけれども、手帳を持っている人に限れば五割ぐらいなんですよ。ということは、身体、知的を合わせた人数よりも少ないんです。

 そういう状況の中で、本当に定量的に何が理由でできないのか。それは減収の心配もあるでしょう。だからこそ、任せるんじゃなくて、国土交通省、政府と一体になって、まさに、料金値上げするときは認可なんですから、ちゃんと査定しますよね、同じように定量的にしっかりと査定していただきたいというふうに私は思いますよ。

 鉄道事業法の十六条の二、適正な原価を見て、そして適正な利潤を乗っけるわけですから、だから、障害者を半額にした場合にどういうことになるのか。価格弾力性によっては売上げは上がるかもしれませんね。そうしたこと全体の分析をやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、基本的には、我々国土交通省としてできることは、運賃を決めるJR各社、運輸事業者に対して要請をする、そのために、決断しやすいように、例えば、次の運賃改定のときに、そういうものについて我々は十分配慮する環境をつくっている、こういう意味合いでございます。

 鉄道事業者の経営判断により実施されるもの、この点は、この原則は分かっていただいた上で、その上で、我々としても最大限の努力をしていきたいと思っております。

 運賃改定の必要性の有無にかかわらず、精神障害者割引について導入を検討していただけるように、我々としても、このことが定量的にどの程度の大きな影響を与えるのかということについてもしっかり把握をしていきたい、このように思います。

田嶋分科員 把握をしていきたいということは、一緒にちゃんとやっていただくというふうに理解いたしました。

 今までは結論だけ待っているような感じがします。お願いします、お願いします、彼らは経営判断でやりません、ああ、そうですか、それの繰り返しですよ。どこにもいきませんよ、それじゃ。

 そうじゃなくて、今おっしゃったように、一緒になって膝詰めで、本当にこれはできないのかと。ひょっとしたら値上げもすることなく、今日もいろいろ人件費の問題とかで、やはり給料の、上がるということで、値上げの空気が広がっておりますけれども、本当に精神障害者の方々の割引を実現したら大きな値上げが伴うのかどうか、そうしたことも、私は、これはもう事業者任せにはできないと思いますよ。公共交通機関の役割は極めてでかいと私は思います。

 是非、今踏み込んだ発言をしていただいた、そういう認識でいいですよね。いいですよね、大丈夫ですね、じゃ、期待したいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 もちろん、我々もただお願いしているだけではありません。我々なりの、我々が持っているデータでこういうことだからということで交渉している、そのことをもっとより定量的にやるべきだということですので、その御意見をしっかりとわきまえた上でやっていきたいと思います。

田嶋分科員 ほかでもない、お人柄もよく存じ上げておる斉藤先生ですから、期待したいと思います。定量的ということもおっしゃっていただきました、お願いしますだけじゃないということで。

 ただ、ICカードのときはいつまでにやると赤羽大臣のペーパーには書いてあるんです。ところが、三番と四番、これは四番ですね、は期限が書いていないんですよ。やる気がないというふうに私は感じてしまいますね。

 是非、速やかにJRと相談して、期限を確定していただきたいと思います。もうお尻は切られていますから、こういうふうに障害者の、どんどんどんどん拡充している中で。是非お願いしたい。

 そして、資料の三ですが、大臣からおっしゃっていただいた減収分に関しても、運賃改定時に収入原価算定を考慮する、ここまで言っているんですから。値上げしてもいいよということですよ、ある意味では。もちろん、程度の問題もあると思いますけれども。だから、そこは是非、これはJRにとってだって悪い話じゃないと思いますよ。西日本鉄道が六年前ぐらいに実現した、だけれどもまだJRがやれていない、余り聞こえはよくないと思います。

 そして、三点目にお尋ねしたいのは、百キロ以上と百キロ以下でまたこれは制限がある。同伴者がいるか、一人で行くかということも制限がある。本当は、生活圏の中で短距離移動に関しても割り引いてもらわなきゃいけないけれども、それをやってくれているのが唯一西日本鉄道だけというふうに私は理解をしております。

 その意味で、まずは、そうした理想型に近づくためには、情報の整理をきちんとやってほしいと思います。どこの鉄道会社がどこまでやれているのか、そのことぐらいはまずきちんと約束していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 今の御質問は、百一キロ制限について各鉄道会社がどういう状況なのか、そこら辺をしっかりと把握すべきだ、こういう御趣旨かと思います。

 御指摘の障害者割引における単独移動の百キロ制限につきましては、第一種障害者及び第二種障害者の方が片道百一キロ以上乗車する場合には、負担軽減の観点から、単独で乗車する場合であっても二分の一の割引を適用される、このように承知しております。

 このように、現状の割引の要件は経緯があるものと承知しておりますが、障害者割引の拡大につきましては、引き続き、障害者の方の要望も踏まえ、鉄道事業者に理解と協力を求めてまいりたいと考えております。

 御指摘の各社の割引制度の現状につきましては国土交通省として整理を行っておりまして、先ほどもお答えいたしましたけれども、例えば精神障害者割引については、令和五年四月時点で全事業者の約六割に当たる百六者において導入されております。

 こういう、今現状について、しっかり我々としても情報を集めて整理をしているところでございます。これはしっかりやっていきたいと思います。

田嶋分科員 特に、やはり団体の皆さんがおっしゃるのはJRですよ。JRはやはり大事ですよ。そこがやはり決断していただかないと、多くのほかの企業は見ていると思います、様子を。これは言うまでもなく、請願まで国の方でちゃんと採択されているということでございまして、御存じだと思いますが、そうした状況は進展しています。これは、申し上げたとおり、いろいろな条約や憲法、国連の障害者権利条約、それから基本法、そして差別解消法、いろいろなことに関わる。精神障害者だけどんどん置いてきぼりになるような現状は、JRや鉄道事業者の話じゃないですよ、これは日本国の話ですから。是非強い危機感を持ってやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、後半は、今のとも無関係ではありませんけれども、JRの運行計画ということに関してちょっとお尋ねをしたい。

 先ほどの中野先生からは、過疎地域の路線の廃止ということ、私の千葉県も、南の方は半島でもございます、いろいろな意味でそうした存廃の議論なんかもこれから更に高まってこようかと思いますが、今日は、私の地元の京葉線に関わる話として、これは非常にある意味分かりやすい話でもあるんですが、いきなり通勤時間帯の上りの快速を全部なくすという、ちょっと目を疑うようなニュースを見て、地元はみんなひっくり返っておるということでございますが、新年会でもその話題で持ち切りでございまして、経済界、政界、ありとあらゆるところがある意味ではびっくりして、ショックを受けて、そして不安に感じているという現状でございます。

 一つお尋ねは、鉄道事業法に事業改善命令というのが、二十三条にございますけれども、この事業改善命令というのは、もちろん安全運行というのが一番大事なのは言うまでもありませんが、そうではなくて利用者の利便性を損なうような問題、一ミリも損なっちゃいけないか、そういう問題じゃなくて、非常に大きな変更で利用者の利便性が大きく損なわれるようなおそれがある場合には発出し得ると理解していいんでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問がございました鉄道事業法第二十三条に定めます事業改善命令につきましては、同条第一項に、国土交通大臣は、利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときには、列車の運行計画を変更することを命ずることができるということで規定されております。

田嶋分科員 安全性だけではなくて、やはり利便性についても重要だというふうに理解いたしたわけであります。

 そこで、私は、今回、改善命令どうのこうのということではなくて、やはり、JRという特に四社、六社のうちの四社、東西、東海、九州、そうした会社がいわゆる会社法の枠から出た。配付資料の四でございますね。政府からいただきました。いわゆる法律の対象からは除外をされましたが、言うまでもなく、鉄道事業法の規制の中には当然残るわけでございますが、公共性というのは一体何なのかなということを、先ほどの精神障害者の差別が続いている問題、そして今回のこの都市部でありますが、これから出てくるであろう過疎地域の問題も含めて、公共の事業というのは何か。

 エッセンシャルワーカーという言葉もありますし、社会の暮らしと産業を支える公共性というのはどういうものなのかなという感じをずっと考えておるわけでございますが、このような指針を出していただいたということは、今は持ち株比率はゼロ%、北海道とか四国とは違うわけでありますが、その四社に関しても、やはり高い公共性を求められるということではないのかなというふうに感じる次第でございます。

 そういう意味では、国における鉄道事業者の公共性という観点はやはり変わらず続いているという認識で、大臣、ここは間違いないですよね。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問のございました鉄道の公共性でございますが、鉄道は、一般的に、通勤や通学の足として沿線住民の暮らしを支えるとともに、観光や物流を含め、我が国の経済産業活動を支える公共交通機関の一つとして大きな役割を担っており、公共性があるものと認識しております。

 さらに、御指摘のございましたJR東日本を含みます上場後のJR各社につきましては、今御質問いただきましたように、JR会社法に基づく大臣指針によりまして、路線の適切な維持に努めることや、鉄道施設の整備に当たって利用者の利便の確保に配慮することなどを求めているというふうに認識しております。

田嶋分科員 今御指摘のこの資料四の二のところに、路線の適切な維持というのがございますでしょう。これは、路線を廃止するような話をメインにイメージなさっているんだろうと思うんですね。

 しかし、今回、私の地元で突然起こった問題は、廃止どころか、千葉市も人口は増えている。そういう意味では、メッセもあるし、ある意味では都市ですよ、都市。都市近郊からのたくさんの人が東京にも通勤で利用されている。だから、いわゆる過疎とか路線の廃止という話とはちょっと縁がない地域でもあるんですね。そういうところで今回出てきた問題ですね。

 私は、改めて、今の鉄道事業法のありようを見ると、運賃改定に関しては、引上げの場合に、十六条の一、認可の対象なんですね、認可の対象。ところが、ダイヤの改正というのは、これは運行計画というんですか、十七条、ここは届出のみで可能というふうになっておるんですけれども、私は、こんなにきれいに分けられるのかなということを改めて思ったんですよ。つまり、運賃の引上げ以上に深刻なダイヤの改正というのもあるんじゃないかと。

 だから、余りそういう想定がなかったから、規制の強度として、運賃は、値上げは特に厳しいから、認可。だけれども、ダイヤを変えるのは、もうちょっと自由度が高い形で、認可ではなくて届出でいいよ、そういう仕切りになっていたと思うんですが、私も想定外の今回勃発した事件は、ちょっとそういうふうに分けられないんじゃないかなと。

 極論すれば、快速はなくさないけれども十円値上げしますだったら、どういう住民の反応だったのかなと私は思うんですね。つまり、値上げの方が受け入れやすい場合だってあるんじゃないかと。通勤時間帯の快速が全部なくなるなんて、私も、長らくこの関東圏で暮らしていて、聞いたことないですよ。例えば小田急線とか東横線とか、いろいろ私も利用していましたけれども、そういうことがある日突然起きることの衝撃を想像していただきたいと思います。それを前提に家を買っている人もあるし、工場の誘致だって、あるいはメッセだって、みんなそれを前提に、この前提がある日突然覆るなんてことは考えてもいないと私は思いますよ。私もその一人だと思います。

 この現在の法律における規制の在り方、バランス上ちょっと問題かなと思うんですが、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 私も、随分古い話になりますが、千葉県に住んで遠距離通勤しておりましたので、今回の問題のお気持ちはよく分かります。

 列車の運行計画は、列車運行の安全、輸送需要、利用者の利便性等を考慮して決定すべきものであることから、現場や輸送実態を最も把握している鉄道事業者が判断することが適切であると考えております。

 一方で、国としても安全性、利便性に問題がないか確認するため、鉄道事業法においては事前の届出制とされているところであり、仮に利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときには、先ほど政府参考人から答弁がありましたとおり、事業改善命令により、運行計画の変更を命ずることができることとしております。

田嶋分科員 認める場合にはとおっしゃるんですけれども、事後だとやはりちょっと地域もひっくり返っちゃいますよね。

 だから、そういう場合の事前調整とかその辺の手続を丁寧にやって、そもそも、こういうことがニュースに突然出たりとか、それで、改正しちゃったからもう変えられませんという話で、若干、二本は戻したみたいですけれども、三月から、来月からもう新しいダイヤになるんですよ。これは夏ぐらいまでに元に戻すのが、いろいろな関係者、みんな一番無難じゃないかなと私は個人的には思っていますよ。だけれども、もう手遅れだから、三月からは改正するんです。こんなことが私は起きていいのかなと思うんですね。

 そこで最後の質問なんですが、本件のような地域沿線自治体などに重大な負の影響が懸念されるダイヤの改正については、当該自治体の市長さんとか首長に対する事前の説明、事務方じゃないですよ、市長さんですよ。それから、もう一つは、これはメガソーラーなんかでも法改正で実現したんですけれども、住民説明会の開催を義務づけした方がいいと思いますね。

 それだって形式的な説明会で終わっちゃう可能性も心配はありますけれども、だけれども、やらないよりはやった方がいいし、寝耳に水ということをやはり回避しないと、これはもう会社にとってもダメージは大きいと思いますよ。だから、説明会を法律で義務づける。

 あるいは、そこまで行かずとも、この地域公共交通の話も二〇二三年の十月一日から実現しました。だから、ちゃんと話し合うことを国が仲介して、ちゃんと話し合ってよというのをやるようにできているんですよ、これは過疎の話です、過疎の話。だから、この過疎の法律改正と、その前の指針と、過疎に関しては注目していた。ところが、一番抜け落ちていたのはこういう事例なんですよ。誰も想定外。

 これは、ちょっと今回そこを学習していただいて、私も学習しました、ちょっと対応を考えた方が、今後、ほかの地域で起きないとは言えませんね。そこは是非、法改正も含めて、ちょっと義務づけの在り方を考えていただいて、もっと地域に波風立たない平和な解決策、後から騒いで戻すとか命令を出すとかじゃなくて、最初から平和裏に解決できるように、義務づけの御検討はできませんか、大臣。いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 列車の運行計画は、需要の変化に弾力的に対応することが必要であるため、現場や輸送実態を最も把握している鉄道事業者が判断することが適切であると考えております。

 その際、各事業者の自主性、主体性を尊重する観点から、沿線自治体等への事前の説明を法律上義務づけることは適切ではないと考えておりますが、地域の実情を踏まえ、利用者の利便性の確保にできる限り配慮することが重要であると考えます。

 このため、国土交通省としては、ダイヤ見直しの検討段階において、沿線自治体等への丁寧かつ十分な説明を行い、理解を得るよう指導しているところでございます。

 今後とも、ダイヤ設定に当たっては、引き続き、鉄道事業者に対し、地元自治体等とよくコミュニケーションを取るよう指導してまいりたいと思います。

田嶋分科員 ということは、今回指導していたということですか、このJR東についても。にもかかわらず、やっちゃったということですか、これは。

斉藤(鉄)国務大臣 個別具体的なことについての指導はしておりませんが、いわゆる、先ほど申し上げましたように、ダイヤ設定に当たっては、引き続き、鉄道事業者に対し、地元自治体等とよくコミュニケーションを取るよう、このように指導しております。一般論として指導しております。

田嶋分科員 とにかく、是非、法律改正まで行かずとも、やれることはあると思いますよ、私も。

 かなり、鉄道会社も、ちょっと厳しい、つらいと思いますけれども、これは、こういうことがやっぱり、学習して、今後、地域社会とこうやっていろんなことが起きないようにということで、少し、過疎地域のことも大事、路線廃止、大きな問題です。だけれども、都市部もこういうことが起きるとちょっとびっくり仰天ですから、是非そうしたことに、国土交通省も頭の隅に置いていただいて、事前のすり合わせということを丁寧にやっていただく。

 地元の首長さんや経済界がびっくりするようなことが、ゆめゆめこれから起きないように是非お願いしたい。そういうことを申し上げて、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

島尻主査代理 これにて田嶋要さんの質疑は終了いたしました。

 次に、高木啓さん。

    〔島尻主査代理退席、主査着席〕

高木(啓)分科員 自由民主党の高木啓でございます。今日は質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。

 最初に、斉藤大臣におかれましては、今日は私の質問、そして答弁の要求はございませんので、よろしかったらどうぞ御退席をいただいて結構でございます。

 それでは、質問に入らせていただきたいと存じます。

 まず、今話題になっておりますライドシェアのことについて伺いたいと思います。

 この四月から、いわゆる日本版ライドシェアが解禁となるわけでありまして、その前に幾つか確認をしておきたいことがございますので、質問をいたします。

 まず、ここへ来てタクシーが足りないということがよく言われているんですが、これは本当に足りないのか。エビデンスデータを見たときに、国交省の資料による昨年十月時点でのタクシーの実車率、これは全国で四四・二%、東京は四八・六%ということになっておりまして、バブル期は五五%程度であったというふうに聞いておりますので、この数値を見る限り、タクシーが足りないというふうには見えないんですね。

 それで、特定の地域、あるいは特定の時間、それから特別な気象条件等によって一時的にタクシーが不足をするということは当然これはあるにしろ、全国的に一律タクシーが不足している、足りないんだという状況ではないのではないかと私は思っているんですが、そのことに対する見解を伺いたいと思います。

鶴田政府参考人 タクシーの運転者は、コロナ禍で減少しておりまして、御指摘のとおり、地域、時期、時間帯によってはタクシーがつかまりづらいなど、需要に供給が追いつかなくなる状況が発生しておりますが、都市部、観光地、地方部などによって状況は異なっているものと認識しております。

高木(啓)分科員 足りるか足りないかということをちゃんと答弁してもらいたいんですけれども、本当は。

 足りない足りないと言っているんだけれども、特定の地域、特定の時間、あるいは特別な気象条件、要するに、これによって全く状況は変わってくるということだと思います。

 ドライバーの問題はちょっと次の質問なんですが、タクシーが足りない足りないという、余りにもミスリードをされているんではないかということを私は懸念しておりまして、これが、ですから、このライドシェア議論のベースになる、私はそのエビデンスとしてのデータはそういうことなんだと。全国で実車率が昨年の十月時点で四四・二%、東京は四八・六%であるということから考えを進めていかなければいけないということだと思います。

 タクシーのドライバー、運転従事者だけではなくて、今はどの業界も人手不足であります。運転をされているドライバーの皆さんの平均年齢を考えると、今のうちからドライバーの確保ということは当然考えておくべきことであるんですけれども、一気に一般のドライバーをライドシェアのような形でこの業界に入れることに仮になるとすれば、普通に考えて、ドライバーの賃金は下がることにならないのかという懸念を私は持っています。

 現在のドライバーに対する影響をどう見ているのか、見解を伺います。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 過去におきまして、これは平成二十一年ですけれども、タクシーの供給過剰による収益基盤の悪化や運転者の労働条件の悪化などの問題が生じまして、タクシーが地域公共交通としての機能を十分に発揮することが困難な状況となって、これを解決するためにタクシー特措法が制定されたという経緯がございます。

 今年の四月から開始しようとしております、地域の自家用車や一般ドライバーを活用する新たな運送サービスにつきましては、道路運送法に基づいて許可を受けたタクシー事業者がタクシーの不足を補完する範囲内で実施するものとしておりまして、タクシー運転者の労働条件に悪影響が出ないよう、慎重に制度設計をしてまいります。

高木(啓)分科員 是非慎重に制度設計をしていただきたいし、普通に、常識的に考えれば、当然、働く人が増えれば、それは賃金の問題に直結をしていく。

 経済では高圧経済という言い方がありますが、高圧経済は、やはり人手不足から人件費を上げていくという、そして、需要をしっかり喚起をする中で、全体の、要するに、経済的な底上げを図っていく、こういう考え方だと思うんですけれども、今回のこの話は逆のことをやろうとしているというふうに私は思うんですね。

 ですから、当然賃金が下がってしまう可能性があるので、そこは現在の状況、そして、将来どういう制度設計をするかということも含めて、運転従事者、ドライバーの皆さんの待遇に対してしっかりとこれは考えていただきたい、このように思っています。

 いわゆるライドシェア事業には、デジタルプラットフォーマーの役割が大きい。日本版ライドシェアが解禁をされるに当たって、配車アプリ事業者がどのような法規制の下に置かれるのかということが一つ論点になると思います。

 現在、配車アプリは広く国民に浸透しつつあるわけでありまして、今後、新規の事業者の参入も予測をされる中、配車アプリ事業者は交通事業者としての規制が適用されることになるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、これを考える際に参考となります話としまして、欧州司法裁判所で二〇一七年に出された判決がございます。これは、ウーバーのマッチングサービスにつきまして、ドライバーと乗客の間で予約情報の仲介を行うにとどまるサービスではなくて、都市交通として輸送を主な要素とするサービスというふうに分類をされまして、EU労働基本条約における運輸に関する規定の適用をウーバーが受ける旨の判決が示されていると承知しております。

 現在、我が国において、配車アプリ事業者は、タクシー事業者のように運送責任を負うのではなくて、利用者とタクシーサービスを仲介するということで、旅行業法における旅行業者として位置づけられております。

 本年四月から開始しようとしている新たな運送サービスにおきましても、配車アプリ事業者の位置づけは同様に旅行業者と位置づけられることを考えておりまして、他方で、運送責任は、交通事業者としての規制が適用されるタクシー事業者が運送責任を負うということを考えております。

高木(啓)分科員 これは考え方を一回原点に戻って整理をする必要があるのではないかなという気がしています。つまり、アプリ事業者は利用者とタクシーのマッチングサービスをする、それはそれで私は意味があるし便利にもなるからいいんですけれども、それが、要は、全く交通事業をやっているにもかかわらず、交通事業者でなくて観光業なんだというのもちょっと違和感があるんですよね。

 ですから、どの法規制の中でタクシーの配車サービスというもの、特にアプリ事業者、デジタルプラットフォーマーに対する要するにルール作りというものをしていくのか。これから始まることでありますから、是非この点は、今もう既にスタートしていますからね。そういう中で、どういう法規制の中に置くのかということを、是非、観光庁も含めてだと思いますが、国土交通省の中で検討していただきたいというふうに思っています。

 配車アプリ事業者による配車手数料というのがありますが、現在はそれぞれの事業者が配車手数料を自由に設定をすることができることになっています。その配車手数料に関する明確かつ適正なルールがなくてもいいのかという話なんです。

 観光業であれば当然、仲介の観光業者の方がいろいろな、例えば何々を手配します、旅館を手配します、あるいは交通手段を手配します、その手数料については自由ということになるんでしょうけれども、タクシーという事業において配車手数料というものが全くそういうものと同じでいいのかというのを私は非常に疑問を持っているところであります。少なくとも、いわゆるデジタルプラットフォーマーだけが収益を上げるということで本当にいいのかと思います。

 配車サービスの手数料においても、だからこそ、私は、タクシー会社やあるいは運転従事者、ドライバーの皆さんが稼働した時間とコストに見合う適正な収益を配分されるような仕組みというものを構築をすべきなんじゃないかというふうに思いますが、見解を伺いたいと思います。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 アプリ事業者による配車手数料につきましては、タクシー運賃と同時に支払われるというものであるため、利用者に運賃であるとの誤解を与えることがないよう、運賃と手数料の内訳が利用者に適切に明示される措置を講じてまいりたいと考えております。

 その上で、新たなサービスによる収益は、タクシー事業者がタクシー運賃をしっかり収受するということで確保できる仕組みとしてまいりたいと考えております。

高木(啓)分科員 ということは、結局、手数料は自由でいいよということをおっしゃっているんだろうと思いますが、本当にそれでいいのかなと、私はそういう疑問をちょっと呈しておきたいと思います。

 一方では、それはデジタルプラットフォーマーのやることについては、それは知恵の世界で、どんどん自由化をしてやったらいいじゃないかという議論もあると思います。あると思うけれども、それを道路運送事業者の範疇に入れない、そして、どんどん自由化をしていくということが果たして我が国の交通政策の中で正しいことなのかどうかということは疑問を呈しておきたいと思いますので、是非考えていただきたいと思います。

 ライドシェアの最後の質問になりますが、ライドシェアといわゆる白タク行為の違いについてお伺いをしたいと思います。

 いわゆる白タクというのは、どういう定義に基づいて白タクと言っているのか、これがまず第一点。

 その上で、空港や観光地などで横行していると言われているいわゆる白タク行為をしっかり取り締まらないと、私は、日本版ライドシェアの健全な議論はできないと思いますし、何よりも国民にとってこれは不利益をもたらすというふうに思います。

 空港や特定の観光地での白タク行為は、今の技術であれば監視カメラなどを使って、車の車種やナンバー、ドライバーの顔などから、高確率で、ああ、それは白タク行為をやっていますよねということを割り出せるんじゃないでしょうか。

 そういうことを考えたときに、まさにこういうことこそ、AIなどのデジタル技術が活用されて、そして、白タク行為の取締り、防止に対して有効な手だてを講じることができるのではないかと思いますが、その点についての御見解を伺います。

鶴田政府参考人 私からは、一点目につきましてお答えを申し上げます。

 いわゆる白タク行為とは、道路運送法の許可、登録を受けずに、有償で自動車を使用して旅客を運送する違法行為であります。

小林政府参考人 二点目についてお答えいたします。

 警察では、いわゆる白タクと呼ばれる道路運送法違反について、国土交通省等の関係機関と連携し、実態把握に努めるとともに、積極的に捜査を行っており、令和五年には三十三件を検挙しております。

 その捜査に当たりましては、御指摘のとおり、防犯カメラの画像やドライブレコーダー等の客観的証拠を収集し、その分析を行い、被疑者の特定等に活用しております。委員御指摘の更なる捜査の高度化につきましては、引き続き工夫、研究をしてまいりたいと考えております。

 また、今後とも、関係機関と連携して、いわゆる白タクの未然防止を図るとともに、積極的な捜査、取締りを進めてまいります。

高木(啓)分科員 積極的にやっている、それを信じたいと思いますし、是非これからもやっていただきたいと思うんです。

 東京でいえば、例えば羽田空港などでこういう白タク行為などは散見をされるわけでありまして、毎日毎日同じ車で同じ人が、お友達を迎えに来たとか、お友達を送りに来たとかということでやっているという話も聞いているんですよ。だから、是非、集中的に取り締まる期間などもつくっていただいて、白タク行為防止のために頑張っていただきたいと思う。

 外国人の方が白タク行為を利用しているという話も聞いているんです。例えば、ドライバーの方にきちんと、要するに、あなたは何のために来ているんですか、どうも見ていると毎日のようにあなたは来ているけれども、そんなに友達が多いのかというような話も是非聞いたらいいと思いますよ。同じ車で来ている場合もあるでしょうし、その車は何で毎日来ているんだと。

 そういうことも含めて、ライドシェアの議論をする前提に当たって、白タク行為の防止というのは私は非常に必要だと思いますから、是非これからも厳しく取り締まっていただきたい、このように思います。

 次に、航空政策についてお伺いをさせていただきます。

 日本には九十七の空港があるわけでありますが、アジアの拠点となるようなハブ空港は、残念ながら他国の後塵を拝していると言わざるを得ないと思っています。首都東京の至近には羽田空港、成田空港があるわけでありますけれども、国際線の本数と乗り入れ都市数、乗換時の滞在時間の快適性、国際線と国内線の乗り継ぎの利便性など、一層の改善を戦略的に行うべきと私は思うんですが、見解を伺いたいと思います。

平岡政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省といたしましては、首都圏空港の国際競争力の維持強化を図る観点から、羽田空港は、都心に近接し、充実した国内航空ネットワークを有し、深夜、早朝時間帯の対応が可能という特徴、成田空港は、国際ハブ空港としての豊富な国際航空ネットワークを有するという特徴といったそれぞれの特徴を生かし、その機能が最大限発揮されるよう、空港機能の一層の強化、拡充を進めております。

 この点におきまして、委員御指摘のとおり、羽田空港及び成田空港の国際線本数と乗り入れ都市数や乗り継ぎの快適性や利便性について、一層の改善を進めることも重要と考えております。

 具体的には、まず、羽田空港の国際線につきましては、令和二年三月より新飛行経路の運用を開始し、国際線の発着容量を年間約四万回拡大し、四十九都市への就航に拡大するとともに、従来、国内線専用であった第二ターミナルに国際線施設を設置し、乗換えの利便性向上を図るなどの取組を行っているところであります。

 また、成田空港の国際線につきましては、現在九十七都市に就航しておりますが、新規路線の開設等に対して着陸料を軽減し、更なる就航先の拡大を図っているところであります。さらに、国際線の本数や乗り入れ都市の大幅な増加を可能とするため、C滑走路の新設とB滑走路の延伸等による発着容量の大幅な拡大に取り組んでいるところであります。

 加えまして、成田空港会社におきまして、より一層の乗換時の滞在時間の快適性や、国際線と国際線、国際線と国内線との乗り継ぎの利便性の向上に向けまして、旅客ターミナルビルの再編等の検討が行われているところでございます。

 国土交通省といたしましては、こうした取組を強力に推進することにより、首都圏空港の一層の国際競争力の強化に努めてまいりたいと考えております。

高木(啓)分科員 私は、昨年の九月まで外務大臣政務官をやっていましたので、世界の空港を随分回らせていただいて、成田や羽田が努力をしていないとは言わない、一生懸命頑張っていらっしゃると思いますが、じゃ、戦略的にやっているかと言われると、もう少し頑張ってほしいなという気がしています。一層の御尽力を是非お願いしたいと思います。

 我が国とどこの国の都市を結ぶかというのは我が国にとってとても大事なことなんですけれども、国際線の本数と乗り入れ都市に関して、私の経験から一つ申し上げるんですが、例えば、米国のマイアミは我が国との直行便がないんですね。私は、昨年の夏、中米カリブのセントビンセント・アンド・グレナディーン諸島というところに行って、日本に帰ってきたときに、マイアミを経由して帰ってきたんですね。マイアミからは直行便がないので、ダラスを経由して日本まで帰ってきました。

 そのときに、アメリカにいる日本のビジネスマンやあるいは領事官などといろいろな話をする中で、実は、マイアミというところは、今、全米で最も投資が集まっているというふうに言われていて、しかも、なおかつ、中南米各国へのアクセス上のゲートウェーになっていると。つまり、中南米でビジネスをするためには、基本的にはマイアミ経由が一番早いし、一番近いし、マイアミから飛んでいくことが、まあほとんどそうなんですよというような、先方に居住をされているビジネスマンから聞きました。

 航空路線の設定というのは、最終的に各航空会社の経営上の判断でもあるとは思いますが、我が国の国益を考えたときに、じゃ、中南米諸国とのアクセスをどうするのかとかということを考えたときに、やはり、私は、国会での議論なども参考にしながら、我が国とどの都市を結ぶかということについては、路線増加を含めて、是非、航空会社と国土交通省と、まあ外務省も含めてかもしれませんが、国益上どうなんだ、どこを結ぶことが必要なんだということに対して意見交換や協議というものがあってしかるべきと思うんですけれども、その点に対しての見解をお伺いします。

堂故副大臣 お答えいたします。

 国際線の就航に際しては、我が国の航空政策に加え、外交上の配慮等も含めた総合的な判断に基づいて相手国との交渉を行い、航空協定を締結することにより、どの国の航空会社がどこに飛べるかなどを決めています。

 特に、往来を発展させるべき国との間では、需要に応じて弾力的に路線の開設や増便を行うことができる航空の自由化、いわゆるオープンスカイを推進しております。これまでに三十五の国、地域との間で自由化が実現しています。

 個別の路線開設は、様々なことを考慮の上、最終的には航空会社の経営判断により決定されるものでありますけれども、国土交通省といたしましても、高木委員御指摘のように、国際航空ネットワークの拡充については非常に重要な課題であると認識しています。御指摘については、各社にしっかりとお伝えしたいと思います。

 以上です。

高木(啓)分科員 堂故副大臣の力強い答弁をいただきましたので、是非、その点、お願いをしたいと思います。やはり国益上、直行便が飛んでいるか飛んでいないかというのはとても大事なことなので、是非このことをお願いしておきたいと思います。

 続いて、住宅政策の中で、高齢者の住宅確保の現状と取組について伺いたいと思います。

 高齢者が賃貸住宅を借りようとするときに、様々な理由で断られるということがあります。しかしながら、全ての国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有すると憲法に明記をされているように、住まいというのは、やはりその基本的な要件だというふうに私は思っています。やはり、貸主、借主共に不安のない制度をつくるべきだというふうに思っています。

 私の東京都では、東京都防災・建築まちづくりセンターという組織がありまして、あんしん居住制度というものを持っているんですが、こういうものも含めて、国としても、住宅セーフティーネット法の趣旨に基づいて、こうした自治体の制度を利用するような住宅に困っている高齢者に対して、必要な支援を行う仕組みを構築すべきではないのかというふうに思っています。見解を伺います。

石坂政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、これまで、住宅セーフティーネット法に基づき、高齢者や低額所得者の入居を拒まない住宅の普及や居住支援を進めてきました。

 一方で、孤独死や残置物処理などへの懸念から、単身高齢者に対する大家さんの不安は大きいことから、国交省、厚労省、法務省で設置した有識者検討会において、昨年十二月に中間取りまとめ案を取りまとめたところでございます。その中でも、大家さんが住宅を提供しやすい市場環境の整備の施策を検討する必要があるとの提言をいただきました。

 この取りまとめ案を踏まえ、現在、住宅セーフティーネット法等の改正も視野に入れ、具体的な施策の検討を行っているところでございます。御指摘ございました東京都防災・建築まちづくりセンターのあんしん居住制度の制度も参考にさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 この中では、緩やかな見守りなどのサポートを行う住宅や残置物処理を円滑に推進する仕組みも含めまして、大家さんが賃貸住宅を提供しやすく、また、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

高木(啓)分科員 ありがとうございます。

 東京都のやっているあんしん居住制度は、一つ問題は、やはりその料金が高いというところがありまして、そういうところの支援も含めて、是非お願いをして、頑張っていただきたい、このように思っています。

 高齢者の住宅確保については、国はやはりURを所管をしていると思いますので、UR住宅の積極活用ということも必要ではないかなというふうに思います。

 空き住戸は高齢者住宅として、低廉な家賃設定を可能とする仕組みを新たに私はつくるべきじゃないか、これは一つの質問であります。もう一つは、UR住宅は居住者の高齢化がもう年々進んでおりまして、高齢化率が高くなればなるほど経済的な負担能力が下がってきます。ですから、URが持っている様々なストックを、たくさん持っていると思いますので、その活用も試みながら、現在居住している高齢者の家賃負担を軽減する取組はできないのかどうか。この点について伺います。

石坂政府参考人 民間賃貸住宅への入居を拒まれやすい高齢者世帯の居住の安定を図るため、UR賃貸住宅を積極的に活用していくことは重要だと考えているところでございます。

 このため、URにおいて、一定の収入以下の高齢者世帯等に対する取組として、バリアフリー仕様を備えた健康寿命サポート住宅の供給と入居者への家賃減額措置や、建て替え時や家賃改定時の家賃上昇を抑制するための継続居住者への家賃減額措置などを実施しているところでございます。

 国交省としましては、こうした制度の活用も含め、高齢者世帯の居住の安定に向けて、適切な対応が図られるよう、URに取組を促してまいりたいと思っているところでございます。

高木(啓)分科員 特に高齢化率がどんどん年々上がっていくわけですよね。ですから、その点留意をしながら、是非よりよい制度設計に向けて頑張っていただきたい、このように思います。

 最後の質問になりますが、緑に関する、都市の緑化に関する質問であります。

 先般、都市緑地法の一部改正が閣議決定をされまして、都市における緑地の重要性を改めて提起をされることを、私は非常にうれしく思っている一人であります。

 緑地の重要性は論をまたないわけでありますが、しかしながら、都市部においては、その風格や景観の向上のために、もう一段是非努力をしていただきたいと思っていまして、今日問題提起をしますが、その一つは、路面電車の軌道あるいは沿道の緑化ということに対して是非取り組んでいただきたいと私は思うわけであります。

 路面電車については、東京にも、都電荒川線、私の地元ですけれども、走っておりますし、全国では十七の都市で路面電車が走っています。実は、この路面電車の軌道というのは、車が走れない専用軌道と車の走れる併用軌道とあるんですが、専用軌道は路面電車しか走りませんから、そこは人も入ってこないので、ここは緑化をするには適切な場所だというふうに私は思っています。

 ですから、都市景観、これはやると変わりますので、そして観光にも資するし、そして町の美観にも私は資すると思うので、今までも社会資本整備総合交付金で国として支援をしてきた。しかし、今後一層支援を充実をしていただいて、路面電車の軌道緑化を進めていただけないでしょうか。是非、路面電車を持っている都市の石橋政務官にお答えをいただきたいと思います。

石橋大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、都市における緑というものは、都市の風格や景観を向上させるなど、良好な都市環境の形成に貢献をするものでありまして、御指摘の路面電車の軌道を緑化するということも、都市の緑化を促進する上での一つの方策であるというふうに認識をしております。

 私の地元広島県広島市におきましても、市内に路面電車の一部区間ではありますが軌道緑化の導入を行っておりますし、また、先ほどお話がありました、先生の御地元東京の都電荒川線におきましても、先生の御尽力によって、社会実験を実施するなど軌道緑化の導入に向けた検討を行ったことがあるというふうに承知をしております。

 国土交通省におきましても、令和三年度に、都市・地域交通戦略推進事業の支援対象といたしまして軌道緑化を明確に位置づけるなど、軌道緑化の促進を図ってきているところでございます。

 今後とも、地方自治体や鉄道事業者に対しまして、こうした事業の制度の周知また活用事例の周知を図ることによりまして、都市の緑化を促進をしてまいりたいというふうに考えております。

高木(啓)分科員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

佐藤主査 これにて高木啓君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

佐藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山口晋君。

山口(晋)分科員 皆さん、こんにちは。衆議院議員の山口晋です。

 本日は、貴重な機会をいただきまして、質問をさせていただきます。本当にありがとうございます。

 また、大臣、副大臣、政務官、この後、御予定があると思いますので、もしよろしければ休憩していただければと思います。

佐藤主査 では、どうぞどうぞ。

山口(晋)分科員 初めに、元旦に発災をいたしました能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に心から哀悼の誠をささげるとともに、被災をされた全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 また、復旧復興に御尽力をいただいている皆様に深く感謝と敬意を表するところでございます。一日も早い復旧復興に向け、被災地支援に全力で取り組んでいく覚悟であります。

 さて、近年、激甚化する自然災害の多発化が目立つ我が国でありますけれども、政治の一番の基本である国民の生命と財産を守るという使命の下、防災・減災、そして国土強靱化が、改めて本当に大切になってきているというふうに考えております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 昨年の通常国会において改正された国土強靱化基本法により、中長期的な施策と事業規模の見通しを持って進めていく法的な枠組みが措置をされ、切れ目なく国土強靱化の取組が進められるようになったと承知をしております。

 令和二年十二月、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を閣議決定し、おおむね十五兆円程度の予算が確保されましたが、令和五年度補正予算までに八割近くが進捗済みと承知をしております。国土交通省として、五か年加速化対策のこれまでの評価、残りの事業の見通しについて見解をお聞かせください。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 年々深刻化する自然災害などに対し、今委員の御指摘ございました五か年加速化対策も踏まえ、事前防災・減災対策を重点的かつ集中的に講じてまいりました。例えば、浸水戸数が大幅に減少するなど、全国各地で着実に効果を発揮してきたと考えております。

 今後懸念される大規模地震の切迫や、あるいは自然災害の激甚化、頻発化、インフラの老朽化などを踏まえますと、国土強靱化の取組は今後も着実に実施することが必要であると考えております。

 そうした中、これも委員御指摘ございましたように、昨年の国土強靱化基本法の改正によりまして国土強靱化実施基本計画が法定化され、この実施計画を切れ目なく策定することで、五か年加速化対策後も継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めることが可能となりました。

 国土交通省としましては、今後とも関係省庁と連携し、実施中期計画の策定に向けまして、これまでの施策の実施状況の調査を進めるなど、国土強靱化の取組をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 是非、引き続き、関係する自治体とも連携をしながら進めていただければと思います。

 令和元年、私たちの地域は、台風十九号による豪雨により、堤防決壊や土砂災害など、甚大な被害が発生をいたしました。発災直後に、当時の赤羽国土交通大臣、そして菅官房長官に視察に来ていただき、おかげで、令和二年より、入間川流域緊急治水対策プロジェクトが五か年の計画で約三百三十八億円の予算を確保し、ハード、ソフトの対策が現在も進んでおります。

 社会経済被害の最小化を目指すため、多重防御治水の推進の観点から、遊水地の整備や高台整備はもちろん、県や市町が管理する河川との合流点処理の検討や調節池の整備など、今後多くの事業が本格化をしてまいります。令和六年度以降の本プロジェクトの展望について、国土交通省の見解をお聞かせください。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 入間川流域緊急治水対策プロジェクトは、委員御指摘のとおり、令和元年の台風十九号、東日本台風により甚大な被害が生じたことから、令和二年一月に関係機関が一体となって策定したものであり、現在、堤防整備、河道掘削、遊水地整備等に加え、土地利用、住まい方の工夫などの流域における対策を連携して進めているところであります。

 これまで、国においては、入間川の樹木伐採、河道掘削を完了し、現在は、支川越辺川、都幾川における堤防整備、河道掘削、遊水地の用地買収等を実施しているところです。

 また、埼玉県においては、九十九川合流点付近における調節池の整備のための用地買収等を実施しているところです。

 さらに、流域自治体においても、浸水被害を防止、軽減するための対策として、流出を抑制するための調整池の整備などを進めているところです。

 国土交通省としましては、本プロジェクトの令和七年度完成を目指し、埼玉県などの関係機関と連携を図りながら整備を進めるとともに、必要な財政的支援などを行ってまいります。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 やはり、住んでいる方々からすると、国の直轄河川だろうが県の河川だろうが下水道だろうが、これは変わりませんので、是非、国が主導をする形で、どんどんこの治水のプロジェクト、進めていただければと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 さて、国土強靱化の基本的な考え方に、災害に対する国全体の強靱性、いわゆるレジリエンスを向上させるために、発災そのものを抑制する、たとえ発災をしてもその被害を少なくする、速やかに復旧するという三点を効果的に連携をさせて、施策を展開していくことが重要であると言われております。

 ここからは、お許しをいただきまして、先ほどの考え方に基づきまして、私の地域の課題について御紹介をさせていただきつつ、御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 まず第一に、発災そのものを抑制するの観点からでありますが、これは私たちの地域だけではなく、インフラの老朽化というのは全国においても課題になっております。私の選挙区であります小川町青山浄水場も老朽化をしており、耐震診断の基準を満たしておらず、十年以内の更新が必要な状況であると聞いております。

 能登半島地震で水道が大事であるということを改めて認識した一方、水道事業は独立採算制のため、コスト増は全て料金値上げに直結をするということになっております。水道水の安定供給ができるよう、国の更なる財政支援の充実として、補助率の引上げ、補助要件の緩和をお願いしたいところでありますが、御見解をお聞かせください。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 地震などの自然災害に備えまして、水道施設の耐震化を進めていくことは重要と考えております。

 水道施設の整備に要する経費については、耐震化を含め、御指摘のように、水道料金収入により賄うことを原則としておりますけれども、地形や水源等の条件により施設整備費が割高になるなど、経営条件が厳しい水道事業者につきましては、耐震化等に係る施設整備に要する費用について、国が必要な経費を一部交付することといたしております。

 令和六年四月より、水道整備、管理行政については国土交通省及び環境省に移管されることになりますけれども、こうした水道施設整備に関する国の財政支援につきましては、引き続き継続できますよう移管先の国土交通省とも緊密に連携し、業務の円滑な移管に取り組んでまいります。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 国土交通省に移管をされても、引き続き同じような、また更に手厚い支援をお願いできればというふうに思っております。

 次に、日本農業遺産として認定をされた、比企丘陵の天水を利用した谷津沼農業システムに代表されるように、滑川町を中心に多数のため池が存在をしております。防災・減災の視点からの修繕の必要性に加え、子供たちの通学路にもなっている場所もあり、危険との声が地域の方々から聞こえております。今後の早急な整備対応をお願いしたいと思いますが、御見解をお聞かせください。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、ため池管理保全法に基づき、農業用ため池の適正な管理、保全に取り組んでおり、特に、防災重点農業用ため池については、ため池サポートセンター等によるため池管理者等への技術指導やハザードマップの作成等を支援しています。

 また、ため池の決壊による被害を防止するため、ため池工事特措法に基づき、防災重点農業用ため池の防災工事等を集中的かつ計画的に推進しています。

 さらに、ため池への転落事故を未然に防止すべく、転落防止用の安全柵等の整備を支援するとともに、安全対策に係る事例集を作成し、ホームページ等を通じて周知しています。

 引き続き、ソフト、ハード両面から、ため池の防災・減災対策と安全対策を推進してまいります。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃられたように、是非、ソフト、ハードの両面から支援をしていただければというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、荒川本川の改修事業について伺いたいと思います。

 私の地域は荒川本川のちょうど上流の方に位置しておりまして、特に吉見町は、約十キロのうち七・六キロが暫定的な整備であり、平成二十五年度から、堤防未完成区間においては、築堤などの盛土工事、堤防天端や坂路の舗装工事などを実施をしているところであると承知をしておりますが、近年の豪雨により、近隣住民は大きな不安を感じております。改めて、荒川本川の改修事業の進捗、今後の見通しについて、国土交通省の見解をお聞かせください。

 また、あわせて、荒川第二、第三調節池の整備が、平成三十年から平成四十二年、令和十二年までの十三年間、約一千六百七十億円をかけて進んでいるものと承知をしております。一方で、近年の豪雨による発災可能性を不安視する近隣住民としては、整備計画にある第四調節池の早期事業化を望む声が多く聞こえてまいります。今後の見通しや事業化する際の留意点など、国土交通省の見解をお聞かせください。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 荒川の改修につきましては、平成二十八年に策定された荒川水系河川整備計画に基づき、上下流のバランスを確保しつつ、基本的には下流から順次整備を進めているところです。

 埼玉県吉見町の堤防未整備区間などについても、委員御指摘のとおり、河川整備計画に位置づけられておりますので、これまでに一部区間において下流に負荷がかからない範囲で、堤防の拡幅や、堤防の上面、天端の舗装などを実施してまいりました。

 また、荒川の調節池につきましては、第二、第三調節池に平成三十年度から事業着手しているところであり、これまでに堤防や排水門の整備を行うなど、令和十二年度完成に向けて鋭意工事を進めているところです。

 国土交通省といたしましては、目標とする治水安全度を早期に確保できるように、荒川第二、第三調節池等の整備を促進し、荒川第四調節池の早期事業化や上流の堤防整備着手に向けて取組を進めてまいります。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 余り第四調節池についての言及がなかったわけでありますけれども、これは本当に地域の方々からすると一刻も早く造っていただきたい、逆に、土地はもう既に確保されているような状況でもありますので、是非、予算がしっかりと、めどがついたら進めていただければと思います。

 さて、越辺川上流左岸部においては、平成十五年度、入間川・越辺川等緊急対策事業により、治水事業を進めてきていただいているものと承知をしております。

 ただ、この場所は、県の管理区間である鳩川との合流部付近が依然未整備区間となっており、大雨のたびに浸水被害が多発している地域となっております。早期の事業化を進めるべきというふうに地元の方々からも声をいただいておりますし、地元の首長さんからも、そのような声をいただいております。国土交通省としても是非前向きに捉えていただきたいと思いますが、見解をお願いいたします。

廣瀬政府参考人 お答えを申し上げます。

 埼玉県鳩山町を流れる鳩川の越辺川合流点付近では、令和四年七月に鳩川の洪水が氾濫し、浸水被害が発生したことも踏まえ、国、埼玉県、鳩山町を構成員とした連携促進協議会を設立し、当該地区の整備内容の検討を進めているところであります。

 国土交通省としましては、入間川流域緊急治水対策プロジェクトなどの下流の整備状況を踏まえつつ、協議会での議論を進め、当該地区の具体的な対策の検討を進めてまいります。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。是非、ここは本当に毎回、鳩山町で雨が降ると、この場所が浸水被害に遭うというような場所になってしまっておりますので、一刻も早く、様々な、県との調整とかあるとは思いますけれども、早急に事業化していただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次に、先ほどの入間川流域緊急治水対策プロジェクトにおいて、避難所として、高台整備を市町が実施主体として事業が進められることとなっております。

 ただ一方で、当該事業整備に関する地元自治体の経験や知見が十分とは言えないこともありまして、課題だと認識をしております。私の地元の川島町の町長さんからも同じような御要望をいただいているところでありますけれども、やはり国がより前面に出て関与すべきだと考えますが、国土交通省の見解をお聞かせください。

廣瀬政府参考人 委員御指摘のとおり、川島町では、入間川流域治水対策プロジェクトに高台整備を位置づけておられまして、国が実施する河道掘削により発生した土砂を盛土材として提供するとともに、防災・安全交付金による支援を行うこととしております。

 国土交通省といたしましては、流域治水の旗振り役として、こうした多重防御対策としての川島町の取組を丁寧に伺いながら、引き続き支援をしてまいりたいと思います。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。引き続き、本当にマンパワーが、どうしても地元の役所ですと限られているところがありますので、国土交通省が主体的にまた進めていただければというふうに思います。

 多重防御治水においてやはり重要なことは、遊水地の建設だというふうに思っております。私の地域でも、東松山市と坂戸市、二か所でこれから遊水地の建設が進められるところでありますけれども、整備事業を進める際の補償については様々な議論があると承知をしております。今、ルール上、河川管理地は土地を取得、要は国が買い取る形、そして、それ以外に関しては地役権補償となっていると理解をしております。

 ただ、やはり、流域治水をしっかりと進める一方で、御協力いただける農業従事者の方々への支援というのが非常に重要だというふうに思っております。この点に関しましても、国土交通省の御見解をお願いできればと思います。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 入間川流域緊急治水対策プロジェクトにて国が整備する遊水地については、遊水地内の掘削を行わなくても必要な調節地容量を確保できることから、用地買収方式ではなく地役権方式で進めることとしており、引き続き遊水地内で農業従事者は営農していただくことができると考えております。

 このような遊水地の整備を推進する方策の一つとして、遊水地内に洪水が流入した際の負担を軽減するため、流木や土砂などが堆積した場合に、国が災害復旧として堆積土砂を撤去できるようにするなど、今年度から制度拡充を行ったところであります。

 国土交通省としましては、農業従事者などの関係者にこのような制度の説明もしながら、引き続き御意見や御要望を丁寧に伺い、事業を進めてまいります。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 私も少しまだ勉強不足ではあるんですけれども、遊水地は地役権で買い取らない、ただ、その一方で、県がやるような調整池、そこは掘削が必要だからだということもありますけれども、その場合は買い取るといったところを、やはり農業従事者の方々も非常にその辺は混乱をしているところもありますし、不公平感というのは変な言い方ですけれども、そういったところも生まれているのが正直なところであります。

 また、今年は食料・農業・農村基本法の見直しということで、非常に農地の重要性というものを訴えているところでありますので、その辺も是非御理解をいただきながら、ただ、その一方で、しっかりと国民の生活を守っていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 次に、ときがわ町では、令和元年の災害により、山間部において小規模な土砂災害が多数発生し、いまだに原状復帰をしていないところが散見をされております。いまだにビニールシートで、本当に応急処置だけされているところが多数あるわけでありますけれども、この辺の対応につきまして、国の御見解を伺えればと思います。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 埼玉県ときがわ町におきましては、令和元年台風十九号に伴う豪雨により多数の山腹崩壊等の被害が発生し、このような山腹崩壊等につきまして、更なる被害が発生しないように、治山事業等により、緊急度の高いところから順次復旧を進めているところでございます。

 具体的には、町から要望があった箇所のうち、大字大野字舟ノ沢など三か所については、既に治山事業等により復旧が完了しております。現在、大野字上ミなど二か所について、治山事業による復旧を埼玉県により実施中というふうになっております。これ以外の箇所につきましても町から要望が来ておりまして、埼玉県が地元市町村と連携して被災状況の調査を行い、必要な対策を検討するというふうに聞いております。

 林野庁といたしましても、埼玉県とも連携しまして、地元の意向等をよくお聞きしながら必要な支援を行い、地域の安全、安心の確保に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 埼玉県、なかなか治山事業に力が、入れていないというのは変な言い方でありますけれども、どうしても優先順位が低いところがありまして、予算の獲得も、予算の比率も低いところがありますので、是非、国が主導する形で、また町と連携をして進めていただければというふうに思います。

 以上、様々、地域について質問をさせていただきましたけれども、やはり、スムーズな実行においては、国と県と地元市町村がしっかりと連携をしていくことが非常に重要だというふうに思っておりますので、これからも密なコミュニケーションをしていただいて、一刻も早く復旧復興に向けて進めていただけるように、よろしくお願いをいたします。

 次のテーマに移らせていただきます。

 岸田政権は、施政方針演説において、三十年ぶりの水準となった賃上げについても言及をされ、政権として、物価上昇を上回る賃上げが重要なテーマであるということは言うまでもありません。

 国土交通省建設工事受注動態調査の統計を見ますと、手持ち工事量は、令和五年六月では約十七か月と好調であることがうかがえる一方で、地場の一人親方や小規模で事業を営んでいる方々は、人手不足もあり、工事が受注できず、賃上げの好循環にはつながっていないというのが現状であります。

 しかし、災害の際に一番頼りになるのは、やはり地場の建設業に従事される方々だと認識をしております。地元の小規模事業者の皆さんが会社経営を継続できるために、国土交通省として地域の建設業に対してどのような取組ができるのか。賃上げ支援なども含め、お考えや支援の方向性をお聞かせください。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 地元の、地域の建設業者の方の活用あるいは賃上げの支援ということでございますが、まず、地域の建設業というのは、国民生活、社会経済を支えておられます。また、災害のときには災害復旧の最前線を担う大変重要な存在であるということは、先生と全く認識を共通にしております。

 このため、地域の建設業者の活用という観点からは、工事の性質、建設労働者の確保、資材の調達などを考慮いたしまして、地域の建設業者の活用によりまして円滑かつ効率的な施工が期待できる、そういう工事につきましては、委員御指摘の、中小・中堅建設業者の育成でありますとか経営の安定化といった観点から、地域要件を適切に活用することとしておりまして、その旨を指針として閣議決定をいたしまして、公共工事を発注する国の各機関、それから地方公共団体に対して徹底方を働きかけているところでございます。

 また、賃上げの関係でございますけれども、今月公表しました公共工事の設計労務単価の引上げが、それぞれの現場で活躍されている技能者の賃上げに結びついて、それが更なる次の労務単価の引上げにつながるという、こういう循環を実現できますように、現場の技能者に賃金を支払います建設各社に対して、賃上げの働きかけをまず行ってまいりたいというふうに思います。

 それから、賃上げの原資となります労務費が適切に確保されますように、実勢に即した価格での契約締結、資材高騰分の転嫁、ダンピング対策などについても進めてまいります。

 その上で、確保した労務費が、下請も含めまして労務者、労働者に適切に届きますように、今般、建設業法の改正をする中で、国が適正な労務費の基準をあらかじめ示し、個々の工事においてこれを著しく下回る、そういう労務費で積算見積りをしたり請負契約を行うことは下請取引も含めて禁止をする、こういう新しいルールを導入することにしております。これによりまして、賃金原資の行き渡りにつきましても確保を図ってまいりたいと考えております。

 これらの取組によりまして、地域の建設業が持続可能となりますように、引き続き取り組んでまいります。

山口(晋)分科員 ありがとうございます。

 岸田政権においてもやはり賃上げというのは一丁目一番地でありますので、是非、日本全体が賃上げを実感できるような形で進めていただけるように、これからもそういった目配り、よろしくお願いをいたします。

 最後に、社会資本整備総合交付金と防災・安全交付金についてお伺いをしたいと思います。

 社会資本整備総合交付金については、地方自治体の創意工夫が生かせる交付金として、計画策定から実行まで、自由度を持って社会資本整備に取り組めるという、使い勝手のいい交付金であると聞いております。

 また、防災・安全交付金については、例えば、近年、線状降水帯などの豪雨による甚大な被害が出ているところなどを踏まえ、令和三年の水防法改正において、内水氾濫についても防災・安全交付金を活用して、通常の下水道管路の整備と同等の補助率二分の一で、浸水想定区域図やハザードマップの作成に向けた財政的な支援を行っていただいたと聞いております。災害に備える最前線にある地方自治体においても、非常に手厚い国の支援としての交付金であるということを聞いております。

 ただ一方で、近年、この両予算の総額は減少傾向でありまして、当該事業における国の負担割合が、実際に要望額をはるかに下回る交付額となり、自治体の財政負担が大きくなる傾向があると切実な声を聞いております。

 災害の防災・減災の点でも、また、限られた予算の中ではありますが、この分野は、命を守るという観点で非常に重要になってきております。必要な事業に対しまして本交付金をより行き渡らせるために、どのような考え方で配分をされているのか、そして更なる改善策が考えられるのか、見解をお聞かせください。

寺田政府参考人 交付金についてお尋ねをいただきました。

 社会資本整備総合交付金と防災・安全交付金は、議員も御指摘になりましたとおり、地方の創意工夫を生かした取組に対する総合的な支援を行うことを目的とした、自由度の高い交付金でございます。道路、港湾、河川、まちづくり事業など、各種の社会資本整備を対象としております。

 交付金の配分の考え方についてでございますが、例えば、御指摘にもありましたけれども、下水道事業の内水氾濫対策など、国として、地方公共団体において重点的に取り組んでいただきたい事業を、毎年度、重点配分対象として明確化をし、地方公共団体と共有をしております。

 それから、これらの交付金の予算額が減少しているという御指摘もございました。地方公共団体に対する支援といたしましては、交付金制度のほかに、個別の補助制度がございます。必要に応じまして、この個別の補助制度の充実を図ってきているというところでございます。

 更なる改善をという御指摘もいただきました。私どもといたしましては、今後とも、交付金制度について、重点配分対象を適切に地方公共団体に示すとともに、交付金制度と個別の補助制度を組み合わせて支援することによって、地域の実情に応じた様々なニーズに的確に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

山口(晋)分科員 ありがとうございました。

 国土交通省が所管する課題というのは、本当に我々の生活に密着をしておりますので、是非これからも、防災・減災、国土強靱化、しっかりと進めていただきますことをお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

佐藤主査 これにて山口晋君の質疑は終了いたしました。

 次に、五十嵐清君。

五十嵐分科員 ありがとうございます。自民党の栃木二区の五十嵐清です。

 今日は、国土交通省関係の質問を初めてさせていただきますので、非常にうれしく思っております。

 冒頭ですけれども、能登半島地震の発災直後から、国交省関係の皆様には、現地に入り、本当に復旧復興のために昼夜を問わず御尽力をいただいていることを心から感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、質問通告に従いまして、順次、質問させていただきます。

 まず最初に、令和六年度予算と国土強靱化、そして、実施中期計画についてお伺いをいたします。

 令和六年度当初予算案には、国土強靱化関係予算としまして、約五・二兆円が計上されております。予算編成の基本方針では、令和五年度補正予算と一体として編成をし、国土強靱化などの重要政策課題に必要な予算措置を講ずるほか、五か年加速化対策後の国土強靱化の着実な推進に向け、改正国土強靱化基本法に基づいて、実施中期計画の策定に向けた検討を進めるとされております。

 今回の、昨年の法改正のポイントは、法律に根拠を規定をして、切れ目なく策定するように政府に義務づけること、そして、特に推進が必要となる施策の内容、事業規模等を定めることにあると思っております。これによって、今後の具体的な投資額の見通しが国民の皆様に対しても示すことができるということだと思います。

 昨年の七月には、新たな国土強靱化基本計画が策定されたところですが、令和六年度予算にどのように反映されているのか、伺いたいと思います。

 また、実施中期計画の策定については、地域の声もしっかりと反映させる必要がありますが、実施中期計画の策定を今後どのように進めていくのか、併せてお伺いいたします。

笠尾政府参考人 お答えいたします。

 自然災害が激甚化、頻発化する中、国民の生命財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすことは我々の使命であると考えております。

 このため、政府におきましては、五か年加速化対策を着実に推進するとともに、昨年七月に、ハードの充実のみならず、新たに、デジタルなどの新技術の活用と地域力の発揮といったソフト対策を盛り込んだ国土強靱化基本計画を策定したところでございます。

 令和六年度予算案におきましては、防災インフラの整備、管理などと併せまして、線状降水帯の予測精度向上ですとか、防災人材の育成、防災訓練の充実など、基本計画に基づく施策が強靱化関係予算としてしっかりと盛り込まれておりますので、災害に屈しない国土づくりに取り組んでまいりたい、こう考えております。

 また、実施中期計画の策定に向けては、施策の実施状況の評価を行うなど必要な検討をしっかりと進めてまいりますが、国土強靱化基本法におきましては、実施中期計画の案の作成に当たっては、あらかじめ、都道府県や市町村の意見を聞かなければならないとされているところでございます。

 地域の声を丁寧にお聞きしながら、実施中期計画を検討してまいりたいと考えております。

五十嵐分科員 ありがとうございます。

 今現在は、恐らく、実施状況の評価ということで確認作業をしているのだと思うんですけれども、私は、中期実施計画の一番やはり肝は、地域の声を聞くことにあるというふうに思っております。法律の中にしっかりと、あらかじめ、都道府県や市町村の意見を聞かなければならないというふうに記載をされているようでありますが、実際に声を聞くことを考えると、やはり、地方自治体が地域の方々から意見を吸い上げるのに一定の時間を要するというふうに思っております。

 また、気候変動も進んでおりますので、そういう意味で、地域の生の声を聞いて、そして、それを整理した上で市町村あるいは都道府県がしっかり国に届けていくには、一定の時間が必要だと思っておりますので、是非今後、取組を進めていただいて、スケジュールであるとか、国の具体的な動きについてもしっかりと発信をしていただくことをお願いをさせていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 次に、河川整備の基本方針についてお伺いをしたいと思います。

 近年、豪雨災害が頻発をしており、気候変動の影響が懸念をされております。このような状況の中、治水計画が目標とする安全度を確保するためにどれほどの流量を目標とするべきかについて、流域の関係者で認識を共有していくことが重要であり、まずは、河川管理者が長期的な河川整備の目標を定める河川整備基本方針について、気候変動を踏まえた見直しを速やかに進める必要があると認識しております。

 これらの進捗状況について、国交省にお伺いをいたします。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 気候変動の影響により、世界の平均気温が二度上昇した場合には、我が国では、治水計画の目標とする降雨量が約一・一倍に増大すると推計されております。

 これに対応するため、河川整備の長期的な目標を定める河川整備基本方針について、現行の方針に定めた治水安全度を将来にわたって確保できるように、水系ごとに河川整備の目標とする流量などを見直すこととしております。

 国土交通省では、全国の百九の一級水系について、近年、大規模な洪水が発生した水系などから順次河川整備基本方針の見直しを進めており、これまで十五水系において見直しを終えたところです。

 また、都道府県においても、気候変動を踏まえた治水計画の検討を行っており、二級水系について、これまで、和歌山県の周参見川や大分県の安岐川などで気候変動を踏まえた河川整備基本方針が策定されたところです。

 引き続き、全国でスピード感を持って順次見直しを進め、治水対策の強化を図ってまいります。

五十嵐分科員 ありがとうございます。

 百九の一級水系のうち十五が既に計画ができているということであります。これをしっかりとスピード感を持って取り組んでいただきたいと思いますし、同時に、都道府県において二級水系の計画の見直しが今後予定されているわけですけれども、地方公共団体としては、その後には、河道掘削であったり、堤防の強化であったり、ダムの新設であったり、このような仕事が当然入ってくるものということで、予算について非常に心配している声がありますので、ちょっと先の話になりますけれども、先を見据えた財政支援についてもしっかりと検討していただくことをお願いをしたいと思います。

 続いて、流域治水についてもお伺いをさせていただきます。

 気候変動で降雨量が増大する中、河川整備基本方針の見直しを進めることに加えて、速やかに治水安全度を維持、確保する取組は、極めて重要になってきております。

 令和二年に国土交通省社会資本整備審議会が流域治水への転換を提言をし、これまでに全国の百九の水系において、河川整備、雨水貯留浸透施設、土地利用規制等、あらゆる関係者の協働による治水対策の全体像について、流域治水プロジェクトが策定されております。

 さらに、令和三年十一月には特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律が全面施行されましたが、今後どのように流域治水の実効性を高めていくのか、また、どのように地方自治体への支援を行っていくのか、お伺いいたします。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 気候変動による水害の激甚化、頻発化に対応するためには、河川管理者が実施する堤防整備等の加速化に加え、土地利用、住まい方の工夫や河川への流出を抑制する雨水貯留浸透施設の整備など、あらゆる関係者が協働して流域治水の取組を進めていくことが重要です。

 この流域治水の実効性を高めるために、各流域で関係機関による協議会を組織し、それぞれの役割分担を定めた、委員も言及いただきましたけれども、流域治水プロジェクトを策定し、流域治水の取組を進めているところであり、今後、気候変動の影響を考慮した流域治水プロジェクト二・〇に順次更新していくこととしております。

 また、令和三年に一部改正された特定都市河川浸水被害対策法に基づき、現在までに、全国十九水系二百五十六河川において特定都市河川に指定し、河川への流出を抑制する取組等を推進しております。

 これらの地方公共団体が流域治水のメニューとして行う流出抑制等の取組は、流域の安全度向上に極めて重要であり、防災・安全交付金等で重点的に支援していくこととしております。

五十嵐分科員 ありがとうございます。

 プロジェクトも二・〇にバージョンアップしていただくということです。

 この過程で、あらゆる関係者がしっかりと流域治水というその概念というか考え方を共有をすること、国民一人一人が自分事として捉えられる、そういうふうにすることが重要だと思いますが、あるアンケートでは、流域治水についてよく知っているか、あるいは内容が分かるかというような問いには、二割の方しか国民は理解を示していないということですので、必要な予算を確保すると同時に、是非、国主導での普及啓蒙、啓発、このことについても力を入れていただきたいと思っております。

 続いて、インフラの老朽化対策についてお伺いをさせていただきます。

 高度経済成長期に集中的に整備された社会資本が今後一気に老朽化することが懸念されており、国土強靱化の観点からも、予防保全型インフラメンテナンスへの転換が重要視されております。

 国交省は、人員や予算の不足等によりインフラメンテナンスの課題が深刻化している市町村については、既存の行政区域にこだわらない広域的な視点で、複数、多分野のインフラを群として捉え、更新や集約、再編、新設も組み合わせる地域インフラ群再生戦略マネジメントを提唱していますが、具体的にどのように進めていくのか、お伺いさせていただきます。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 インフラは国民の安全、安心、経済活動を支える重要な資産でありますけれども、ただいま委員御指摘がありましたように、多くのインフラを管理する市区町村におきましては、人員や予算の不足などによってインフラメンテナンスの課題が深刻化していると認識しております。

 そういった市区町村の課題の解決に向けまして、国土交通省では、広域的な視点で、複数、多分野のインフラを群として効果的にマネジメントする地域インフラ群再生戦略マネジメント、いわゆる群マネを提唱し、これを全国で展開すべく、昨年八月に有識者から成る検討会を立ち上げたところです。

 そして、昨年の十二月には、十一件、四十の自治体をモデル地域として選定しまして、地域ごとの課題の洗い出しなどを進めております。

 今後、地域の特性に応じた適切なインフラメンテナンスの進め方を検討するなど、更なる具体化、これを図ってまいりたいと考えております。

 国土交通省としては、各モデル地域での検討で得られた知見を踏まえて、これをまた検討会で議論いただきまして、今後、群マネに取り組むための手引などを取りまとめるとともに、新技術の導入などによる効率化も支援しながら、群マネの取組を全国的に広め、必要なインフラを次世代に引き継ぐよう取り組んでまいりたいと考えております。

五十嵐分科員 ありがとうございます。

 この群マネの考え方は私は最近まで知りませんで、栃木県でもやっていない、関東でもお取組がないようですので、この四十のモデル地域、これから得たものをしっかりと横展開できるように、また、手引も作っていただけるということですので、一日も早くこの群マネの考え方が全国に波及するように期待をしたいと思います。

 続いて、具体の部分で、橋梁のことをちょっと聞きたいんですけれども、修繕等の措置を講ずべきとされている橋梁について、地方公共団体の着手率が低水準となっております。地方公共団体への財政支援等について、国の対応を伺います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 各道路管理者は、平成二十六年度以降、管理する橋梁またトンネルなどにつきまして、点検要領に基づき、五年に一回の頻度で点検を行うこととしております。

 令和四年度末時点でありますが、点検から五年以上経過した橋梁で修繕などの措置を講ずべきとされた橋梁のうち、修繕などについて着手したものは地方公共団体で約七七%となっておりまして、残る二三%の橋梁が未着手となっている状況でございます。

 その理由といたしましては、主として財政的な要因と、それと、技術者不足などの技術的な要因があると認識をいたしております。

 国土交通省といたしましては、財政的な支援としては、道路メンテナンス事業補助制度などにより支援を行ってきておりまして、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も最大限活用いたしまして、修繕や更新が必要な橋梁などの対策を集中的に支援しているところでございます。

 また、技術的な支援といたしましては、国土交通省において、地方公共団体の職員向けの研修を実施しているほか、都道府県ごとに設置した道路メンテナンス会議というものがございまして、これを活用して、維持管理に関する情報共有等を行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、地方公共団体における老朽化対策が着実に進められるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。

五十嵐分科員 今の数字、七〇%が済んでいて、残る二三%の橋梁が未着手ということですけれども、これは一回目の点検での整備、修繕が必要な箇所ですので、これからどんどん増えていくことを考えると、この残っている二三%も早期に対応することが必要なんだと思います。

 地方公共団体も早期に事後保全から予防保全に転換を図りたいという思いはあるようですけれども、その転換をしっかりと進めるには、ある程度まとまった予算というのが前もって必要なのかなと思いますので、そのことについても意を用いていただくのと、あとは、必要に応じて国の方で修繕代行みたいなものも考えていただけるとありがたいと思っておりますので、要望させていただきたいと思います。

 続いて、建設産業政策、あるいは、働き方改革対応、価格転嫁、この辺について伺わせていただきます。

 建設業に関しては、建設技能者の高齢化が進んでおりまして、処遇改善や将来の担い手の確保が従来から政策課題となっております。また、近年は資材価格高騰が経営に影響を与えており、このような価格変動等が生じた場合のリスクの負担の在り方が課題となっております。今年四月から適用される罰則つきの時間外労働規制への対応も改めて求められております。

 国は、これまで、公共工事設計労務単価の引上げ、建設技能者の資格や現場での就業履歴を反映させた処遇改善、新担い手三法を踏まえての適正な工期設定による請負契約の締結や、公共工事の施工時期の平準化に取り組んできましたが、昨年九月の中央建設業審議会で中間とりまとめとして公表されました。その公表を受けて、賃金支払いの原資となる適切な労務費の確保や適正な工期設定などの働き方改革、資材価格の適切な価格転嫁対策に取り組んでいくことが必要と考えております。

 こうした問題認識の下に、特に二点について具体にお伺いさせていただきます。まず、どのようにして適正な労務費を下請業者にまで確保できるようにするのか、お伺いさせていただきます。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 労務費を下請業者まで行き渡らせるという御指摘でございますけれども、これは、現場で働いている方々の賃上げのための原資を下請業者まで届けるためには、二段階の取組が必要だと思っております。一つ目には、まず労務費を適切に確保するということが一つ、そしてそれを行き渡らせる、こういう二段階でございます。

 これまでも、先生御指摘のとおり、公共工事におきまして、設計労務単価の引上げでありますとか、実勢に合った予定価格の積算、こういったことを推進してまいりました。これによって賃金原資となる労務費の適正な確保を発注段階から進めてきたところでございます。

 また、民間工事につきましても、設計労務単価の水準等を踏まえた適切な金額での契約締結の要請を行いますとともに、実地を含む元請、下請間の契約状況の調査を行いまして、これに基づいた改善指導を行うなどの取組を行ってまいりました。

 これらに加えまして、今般、建設業法等の改正案を提出する予定としておりますが、その中では、国が適正な労務費の基準をあらかじめ示した上で、個々の工事においてこれを著しく下回る労務費で積算見積りを行ったり請負契約を行うということについては、下請取引も含めて禁止をするという新しいルールを導入したいと考えております。これによりまして、下請事業者まで必要な労務費が確保されるように取り組んでまいりたいというふうに存じます。

五十嵐分科員 今回の新ルールは本当に画期的だなというふうに思っています。

 契約が下がってくることによって、発注者から元請、元請から下請であったり孫請に移動するに当たって、今までだったら当然労務費がだんだん削られていくような考え方はあったと思いますが、それをしっかりと法で規制をしていただける、そしてダンピングも禁止ということで、非常に画期的な新ルールであると思いますので、今後もしっかりと取り組んでいただければありがたいというふうに思います。

 もう一つ伺いたいのが、賃金原資にしわ寄せが及ばないようにするために、資材価格が変動した際の請負代金の変更協議、これをどのように担保していくのか、お伺いさせていただきます。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 資材価格の転嫁対策ということでございますけれども、近年、資材価格が上昇し続けております。その上昇分を、労務費にしわ寄せをすることなく、サプライチェーン全体で適切に転嫁していくということが大事だと思います。

 このため、これまでに最新の実勢価格に基づいた契約の締結を受発注者双方に求めるとともに、特に公共工事におきましては、スライド条項、これを適切に導入をし、かつ運用基準も明確にしていただくなどの取組を進めてまいりました。また、民間工事につきましても、契約後の資材高騰に対応した契約変更についての要請、こういうことも行ってきたところでございます。

 しかし、大変残念でございますけれども、民間工事の約六割では、契約書に代金の変更に関する条項が盛り込まれておりません。この結果、資材が高騰したことに伴う価格転嫁ができた割合、これは二割未満、大変厳しい状況にございます。

 賃金原資を確保することに向けましては、資材の価格高騰分への対応を、契約当事者の間で、より円滑に協議、調整できる、こういう仕組みが大事であろうと思います。

 このため、今般改正を予定しております建設業法の中では、請負代金の変更方法を契約書に必ず明記をするということを求めますとともに、契約前の段階から資材の高騰リスクについての情報を契約当事者双方が共有をし、そして、実際に資材が高騰した際は誠実にお互いに協議をするということを法律をもって求めるということによりまして、代金変更の協議がより円滑に進むように努めてまいりたいというふうに存じます。

五十嵐分科員 今回の法改正で民民の取引にこれだけ踏み込めたというのは、すごくよかったなというふうに思っています。請負代金の変更方法を契約書に明記する、当然誠実に協議するようにという雰囲気、ムードができ上がってくると思いますので、大いに期待をしたいと思います。

 公共工事の方については、スライド条項は全都道府県で導入いただいていると思いますし、また、月一で価格も確認していただけるようになっていますけれども、全国の市町村ではまだ導入されていないところが半数以上というふうに聞いておりますので、ここについても、しっかりと手当てをしていただくことを要望させていただきます。

 それでは、次に、観光関係の質問をさせていただきます。観光地高付加価値化事業、あるいは、高付加価値ガイドの育成についてお伺いをさせていただきます。

 国は、昨年三月に観光立国推進基本計画を策定し、訪日外国人旅行消費額の早期の五兆円達成や、訪日外国人旅行者数を令和七年までに三千二百万人を超える水準にするなどの目標に向けて、様々な施策を展開しております。

 新型コロナウイルス感染症の五類への移行以来の観光需要の急速な回復に伴うオーバーツーリズムへの対応として、観光客が集中する地域における交通手段や観光インフラの充実、実情に応じた入域管理が異なる需要に対応した運賃設定の促進などの対策を進めながら、平成二十八年に策定をした、明日の日本を支える観光ビジョンの目標である二〇三〇年訪日外国人旅行者数六千万人をいま一度視野に入れながら、高付加価値な観光サービスを提供できる、時代に即した新たな観光地の整備と人材育成が必要になってきております。

 そこで、世界中の高付加価値旅行者を引きつけるための取組、これまで実施されてきた再生・高付加価値化事業の成果と今後の展望、高付加価値ガイドの育成について、三点、お伺いさせていただきます。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 高付加価値旅行者の誘致は、昨年三月に閣議決定された観光立国推進基本計画において、今後のインバウンド戦略における重要な柱と位置づけられています。

 高付加価値旅行者を誘客するためには、旅行者のニーズを満たす滞在価値や、上質かつ地域のストーリーを感じられる宿泊施設、地域において質の高いサービスを提供できるガイドなどが必要となります。

 このため、観光庁では、地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり、モデル観光地、これを十一地域選定し、高付加価値旅行者の誘客に向けた課題の洗い出しや課題解決に向けた取組を総合的に支援しております。

 また、宿泊施設につきましては、委員御指摘の宿泊施設を核とした面的な取組を支援する、地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業を活用して、例えば、二つの部屋を一つの部屋に統合し、さらに、露天風呂つき客室に改修するなど、富裕層の利用も念頭に、プライバシーにも配慮しつつ客室スペースを十分確保する取組などを支援してきたところでございます。

 さらに、ガイドにつきましては、高付加価値な観光コンテンツの磨き上げと併せて、その魅力の伝え方など、よりよいガイディングの在り方に対し支援を行うとともに、日本政府観光局、JNTOにおいて、高付加価値旅行者の価値観の理解やゲストと同じ目線に立ったガイディングに関する研修、さらには、高付加価値旅行者を想定したガイディングの模擬ツアーなど、高付加価値な観光サービスを提供するためのガイドの育成事業を実施しております。

 今後も引き続き、高付加価値旅行者の誘客に向けた取組をしっかりと進めてまいります。

五十嵐分科員 ありがとうございます。

 最後に、具体的な地方の声として質問させていただきたいと思います。

 国は、オーバーツーリズム対策として、ゴールデンルート以外の地方への誘客促進に取り組んでいます。地方においては、現状、高付加価値旅行者のニーズに応え切れていないコンテンツであったり宿泊施設があります。また、高付加価値旅行者への観光商品販売につながるコネクションがないという問題もございます。

 国は、こうした課題についても地方を積極的に支援すべきと考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、特に地方へ高付加価値旅行者を誘客するためには、先ほど申し上げたとおり、滞在価値あるいは宿泊施設などに加えて、高付加価値旅行者の目的地として認知してもらうための売り込みなどが必要となってまいります。

 特に、この売り込みに関連して、販路形成におきましては、高付加価値旅行者を顧客にする国内外の旅行会社などとのコネクションづくり、さらには、高付加価値旅行者を顧客に持つ旅行会社の求めに応じて、地域内で宿泊施設や移動手段などの手配をコーディネートできる体制、こういったことも必要になってまいります。

 このため、日本政府観光局において、高付加価値旅行推進室という専門部署を設置して、海外セールスや国内の各地域の関係者との連携を強化する体制を整えるとともに、高付加価値旅行者を顧客とする海外の旅行会社を招請し、地方の観光資源の視察、体験ツアーの実施、国内の宿泊施設など観光関係者との商談会の開催などの取組を行っているところでございます。

 また、先ほど申し上げた十一のモデル観光地において、滞在価値、宿泊施設、販路形成などに関する課題を洗い出すとともに、課題の解決に向けた取組について検証を行い、その成果やノウハウを他の地域とも共有することなどにより、各地域における取組を支援してまいります。

五十嵐分科員 ありがとうございます。

 終わります。

佐藤主査 これにて五十嵐清君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田勝彦君。

    〔主査退席、島尻主査代理着席〕

山田(勝)分科員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨日、予算委員会で岸田総理にも質問をしました離島航路の低料金化、これは全国の島民の皆様の願いです。しかし、残念ながら、総理の答弁には全くそのやる気を感じることはできませんでした。総理は島の声を聞く力が全くなくて、とても残念です。

 そこで、斉藤大臣に伺います。

 離島振興法、一昨年改正されました。その十二条、交通の確保でも明確に、費用の低廉化に資するための施策、その充実に特別の配慮をすることと法律で定められています。

 所管する斉藤大臣、離島航路をJR運賃並みに低料金化していく、離島振興のために必要な政策ではないでしょうか。お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 離島航路につきましては、国土交通省として、離島住民の足の確保、維持の観点から、事業者、地方自治体、そして国、この三者の協議を踏まえまして、地域公共交通確保維持改善事業によりまして、離島住民に対して運賃の割引の支援を行っているところでございます。

 また、離島振興施策としては、有人国境離島法に基づく施策とも連携して行っておりますが、特定有人国境離島地域に関しては、継続的な居住が可能となる環境の整備を図るため、内閣府総合海洋政策推進事務局の交付金の中で、住民向けの航路の運賃についてJR運賃並みへの引下げに対する支援を実施しております。

 その上で、観光客などの人の往来の活発化につきましては、離島ならではの自然、文化等を生かした観光コンテンツづくり支援などを通じて、離島への来訪を促し、交流人口を増やすことにより、離島の活性化に取り組んでいくこととしております。

 国土交通省としては、関係省庁と連携して、引き続き、こうした取組を通じて、離島地域の活性化に取り組んでまいります。

山田(勝)分科員 今の答弁だと、昨日の総理の答弁と変わらないのかなと。

 離島の魅力を発信するコンテンツ、それは分かります。それも大事なことです。しかし、そのままであれば、私は特に、長崎県の島で、この間、島民の皆様の声をたくさん聞いてきたんですけれども、週末、五島や壱岐や対馬の人は島外に出て買物をされるんです。結局、島民の方だけが安いということは、島外に行って、そして消費をしてしまう。それは島の経済にとって必ずしもプラスにならないので、やはり離島航路の低料金化は完全実施をして、島に来る人も安くないと島に消費が上がっていかない。島で暮らす人たちの所得が上がっていかない。それで島の皆さんは強くそれを望んでいるわけです。

 なので、コンテンツを発信して観光客を誘致するということにとどまらず、是非、その低料金化、検討いただきたいと思っているんです。検討してあるのかどうか、その辺りも大変重要なことなので確認していきたいんですが、まず、財源についてです。

 これは長崎県の担当者の方が、本当に画期的な試算をしていただきました。長崎県の国境の島では、島民限定で今行われていて、全体では、島民が四、島外の方が六、四対六の割合で離島航路を利用いただいているという状況です。

 その割合に乗じて、試算をしてもらったんです。今、島民限定では約十四億円の財源を必要としている。それを島外の人まで対象にすれば、あと二十二億円程度でできる。長崎県の島では三十六億円で完全実施、低料金化ができるということなんです。

 長崎県でできて、全国の離島航路、国交省が試算できないわけがないですよね、大臣。まず、この離島航路の低料金化、検討するに当たって大切な試算、一体どれくらいの財源を必要とするのか、試算をしていただけないですか。

海谷政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省として、離島航路一般を対象にして実施している運賃割引補助は、先ほど御答弁ありましたけれども、地域公共交通確保維持改善事業のメニューとして、ナショナルミニマムを確保する観点から、唯一かつ赤字の生活航路について、離島住民を対象として行っているものでございます。

 本事業は、日常生活に不可欠な足の確保の観点から、住民を対象とした制度になっておりますので、島民以外に対象の拡大を予定していることではございません。

 一方で、いわゆる有人国境離島法に基づく特定有人国境離島地域に関しましては、継続的な居住が可能となる環境の整備を図るため、内閣府の交付金の中で、準住民向けの航路運賃についても、住民同様にJR運賃並みへの引下げに対する支援が実施されているものと承知しております。

 このような状況にありますので、現状として、国土交通省が実施している地域公共交通確保維持改善事業については、島民以外に割引を拡大した場合の経費の試算を持ち合わせていないところであります。

 しかしながら、事業所管部局であります、私、海事局でございますけれども、これに対しまして、条件不利地域に係る振興策の制度設計においてそのような試算が必要という御要請が関係府省や関係部局からあれば、必要な対応はしてまいりたいと思います。

山田(勝)分科員 もう間違いなく全国各地の島の自治体からこういう要望は毎年上がっているわけで、必要であればじゃなくて、今必要だからそういう声は既に上がっているわけです。是非、試算、まずは検討してください、大臣。

 大臣に聞いていたんですけれども、まあいいです、時間がないので、次の質問に入ります。

 ジェットフォイルの老朽化の問題についてです。

 資料一を御覧ください。

 こういう形でニュースにもなっているんですが、「離島高速船 新造に壁 費用高騰 老朽化でも計画なし」と。これは大変な問題。島の皆さん、すごく不安に感じていらっしゃいます。

 このジェットフォイルというのは、島民の皆様の足の確保においてとても重要な役割を果たしているということで、一昨年の法改正の中でもかなり主要なテーマでありました。だからこそ、新たに法律に書き込んでいます。高速度で安定的に運航できるその船舶の新造及び更新並びに離島に係る航空路において旅客を運送する事業の用に供される航空機の購入に対する支援ということで、法律にも明確に書かれています。

 こうやって我々立法府は法律を作りました。しかし、行政府はここまでの間、この必要な離島航路の、新造そして更新、こういったことの実務、どうやってきているのでしょうか。まず、この辺りについて大臣に聞きたいということ。

 あわせて、実際に壱岐で本当に怖い思いを島民の皆さんはされました。昨年十二月十二日、高速船が、エンジンが緊急停止してしまって、漂流してしまった。そして、乗客の人たちは救助を待っていたわけですよね、救命胴衣まで着て。すごく怖い思いをされています。それに当たって、全国のジェットフォイルがもう老朽化、三十年以上経過しているという状況で、島民の皆さんはすごく不安に感じている。

 だからこそ、大臣からメッセージとして、島の皆様に対して、この老朽化の問題、島民の皆様の不安を払拭するように、少しでも安心していただけるように、今の考え、国の対策、いつまでに更新されるのか、メッセージをお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 今、山田委員おっしゃいますとおり、ジェットフォイルは住民の生活や地域経済の活性化に大変重要な役割を果たしております。

 一方で、現在国内で就航するジェットフォイルの平均船齢は三十年を超えており、後継船建造の必要性が高まりつつある、このように国土交通省としても認識しております。

 こうした中、国土交通省においては、離島振興法改正の趣旨も踏まえまして、ジェットフォイルの更新に向けて、関係自治体、旅客船事業者や造船事業者と費用負担の在り方や更新スケジュールなどについて意見交換を重ねるとともに、後継船を建造した場合の効果を分析するための調査を新たに進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、このような取組の結果を踏まえつつ、関係自治体等とも緊密に連携しながら、後継船の建造が円滑に進むよう努めてまいりたいと考えております。まずは今行っております調査をしっかり行って、そこから次の具体策を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

山田(勝)分科員 是非、一日でも早く、国がしっかりと財政を支えていきながら、島民の皆様が安心できるように、ジェットフォイルの更新手続を進めていただきたいと思っております。

 次に、島の教育についてです。

 島は、もう御承知のとおり、過疎、高齢化が進んでいく中で、少子化が深刻な問題です。だからといって、子供の数が減っているからといって、学校をどんどんどんどん統廃合していっていいというわけでは決してありませんよね。そういうことになってしまえば、ただでさえ人口が少ない集落の中で子育てもできなくなる。そうすれば、その集落はもう間違いなく限界集落となってしまうわけです。だからこそ、島の学校を存続させる、これは離島振興においても重要なテーマであるはずです。

 そこで、大臣に伺いたいんですけれども、島のための学校を維持していくためにやはり問題なのは、小規模な学校というのは、従来の学校の法律では児童数に応じて学校の先生の定数が決まっていくので、小規模な学校であれば先生の負担がすごく増える。専門以外の授業もしないといけない、教頭先生が毎日子供たちに教室で教えないといけない、相当な負担があるわけです。

 そこで、離島振興法の中では、改正案でも、教育の充実というのをうたって、十五条の二で、「離島振興対策実施地域に係る公立学校の教職員の配置について特別の配慮をするもの」としてあります。国の方は、こういった島の事情を踏まえて、この小規模学校、島や過疎地域において、先生の配置、どういうふうに考えているんでしょうか。お答えください。

安江大臣政務官 お答え申し上げます。

 全国的な教育の機会均等や教育水準の維持向上を図る観点から、離島にある小規模校など、通常の学校と比べて厳しい教育条件になっている学校における教育上の課題を解消することは大変重要であるというふうに認識をしております。

 このため、これまでも、累次の定数改善計画により、複式学級の学級編制標準の引下げや、多学年の複式学級を解消してきたほか、近年では、複式学級を解消するための教員加配、教員配置など、小規模校支援のための加配定数を措置しているところであります。

 そして、令和六年度の予算案におきましても小規模校支援のための加配定数の改善を盛り込ませていただいたところでもありまして、文部科学省としては、引き続き小規模学校における教育の充実に向けた支援に取り組んでまいります。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 本当に大事なことだと思います。是非、現場の、特に過疎や島の地域の先生方の声を聞いていただいて、より一層、加配、手厚くしていただければと思います。

 その上で、今、複式学級という言葉が出ました。これもまた島の学校ならではなんですけれども、要は、通常であれば同じ学年の子供と教室で授業を受けるんですが、小規模な学校であれば違う学年の子供たちが一つのクラスで学ぶという状況、それがよく島の学校では見られる光景であると。

 この複式学級、いろいろ、よい面も当然あろうし、また、懸念される点もあろうと思いますが、文部科学省として、この複式学級、好ましい環境であると考えているのか、早急に改善が必要だとそれとも思っているのか。また、同学年と一緒に学ぶ教育と比較してどのような影響があると思われているでしょうか。お答えください。

安江大臣政務官 お答えを申し上げます。

 一般的に、複式学級においては、教師が同時に複数の学年を指導するため、特別な指導技術が求められることや、あるいは、実験、観察など、長時間の直接指導が必要となる活動に制約が生じてしまうなどの困難性が指摘されております。

 一方で、こうした困難を克服するための様々な指導上の工夫も現場では行われているところでありまして、実際に、委員御指摘のように、子供たちの育ちへどういった影響が生じるかという点につきましては、地域や児童生徒の実態等の、学校が置かれた状況等によって異なるということもあるため、一概に申し上げることは困難であるというふうに考えております。

山田(勝)分科員 複式学級は解消していくべきだというふうに思われていますか。そこだけ明確にお願いします。

安江大臣政務官 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でありますけれども、やはり、困難な面、また、そのほかの様々な影響ということについては何とも一概に申し上げられないということが実情ではありますけれども、委員御指摘の、どのように考えるかという点については、しっかりとまた、学級の在り方の効果などを検証していく必要性があるというふうには考えております。

山田(勝)分科員 続いて、島の医療についてです。

 これもまた、島民の皆様にとって、地域医療、この医療が確保されるということが、もちろん命に関わることなので、とても重要であります。

 だからこそ、前回の法改正でも、大臣への附帯決議、私も読み上げさせていただきましたが、その附帯決議の中で、医療提供体制の確保は島民が離島で安心して生活していく上で必要不可欠であることを踏まえ、医師等の確保に努めつつ、看護師等の処遇改善、検討すること、このような内容を書き込みさせていただきました。

 今、島では、医師の確保、もちろん重要なんですけれども、実際のところ深刻なのは、むしろ看護師さんが不足しているということです。この看護師の不足に当たってどういう対策が政府の方で行われていくのか。特にこの附帯決議、明確に、看護師等の処遇改善というふうに政府が努力義務を負っているわけです。この辺りの対策について聞かせてください。

塩崎大臣政務官 山田委員の御質問にお答えいたします。

 私の地元にも離島がございますので、委員御指摘のとおり、離島や僻地などにおける住民に必要な医療を確保すること、これは非常に重要なことだというふうに思っております。

 この点、医療法上の看護師等の配置基準、これは医療機関がその運営に当たって有すべき最低限の人員を示したものでございますので、その緩和については慎重な検討が必要であるというふうに考えております。一方で、診療報酬上の評価、こちらにつきましては、医療資源の少ない地域に配慮する観点から、一部の加算評価において人員配置の要件を緩和するといった工夫、これを取り入れているところでございます。

 また、看護職員を含む医療関係職種、この賃上げが重要である中、今年の、令和六年度診療報酬改定においては、賃上げに係る評価料の新設等を行っております。そのほかにも、僻地診療所、僻地医療拠点病院の整備、運営に対する支援などを行っておりまして、厚生労働省としては、引き続き、離島や僻地などで必要な医療が確保できるように取り組んでまいりたいと考えております。

山田(勝)分科員 学校の先生とかであれば、離島手当というような制度があります。是非、島においても、深刻な看護師さんの不足、生活する上で不便であるにもかかわらず、島でわざわざそういった医療を提供していただけるという志のある看護師の方々に対して、それは、お医者さんも含めて、理学療法士や医療従事者も含めて、そういった島での手当ということも是非検討いただきたいと思っております。

 続きまして、これも深刻なんですけれども、島のガソリン代の問題です。

 二十三、二十四、先週の金、土と、立憲民主党の泉代表と五島列島で活動してきました。改めて、五島に入って、五島市、ガソリン一リッター当たり百九十六円、そして、上五島町では二百円を超えていると。もう本当に大変ですよね。島の人たちにとっては、島に限らず地方もですけれども、東京や大阪のように地下鉄があるわけでもなく、ちょっと歩けばバス停にたどり着くわけでもない、車は生活必需品です。なので、そういった島や地方においてガソリン代はとても家計に影響を与えていきます。そんな中、もう二百円とかと島の方はなっているわけです。

 島のガソリン代というのはかねてから問題視されていたので、民主党政権のときに、島のガソリン代、補助金を出す事業が始まっていて、全国各地の島で、価格はばらばらですけれども、例えば長崎県の島であれば四円から二十六円程度のガソリン代の補助が現時点でもあると。それでも、今回の物価高で、本土と比較して各島は相当苦しい状況と。まず、この補助金がまだまだ足りていないというのが明確です。

 だからこそ、今改正、離島振興法の改正の中ではここも強化させていただきました。まず、本文十七条の中で「離島振興対策実施地域における石油製品の価格の低廉化その他のエネルギーに関する対策の推進について適切な配慮」というふうに法律で書かれているのに加え、附帯決議でも更に念押しで、この附帯決議の三項、「ガソリン価格の低廉化に関する事業における支援を強化する等の必要な措置を講じ、離島におけるガソリン小売価格を引き下げること。」と明確に書かせていただいております。

 政府は、この法改正後、ガソリン価格の値下げに対してどのように動いているんでしょうか。お聞かせください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきましたように、地域の生活の中におきまして、ガソリンというものは非常に重要な物資でございまして、その価格というのは地域の生活にも大きな影響を与えるものだと認識してございます。

 昨今の原油高、これは国際的に生じているものでございますけれども、これに対する激変の緩和ということで、まず、全国一律で激変緩和対策としての補助事業というのを一昨年の一月から実施しているところでございまして、引き続き継続しているところでございます。

 その上で、委員から今御指摘ございましたように、特に離島の場合、これは離島に限るわけではないんですけれども、ガソリンを製油所からSSまで運ぶための流通費、このコストが地域地域によって相当違っているという実情がございます。

 特に離島の場合は、海上輸送でございますので、タンクローリーでなくドラム缶輸送でございましたり、そのローリー自体をフェリーで運ぶといったような、コストが大きく上振れするということが生じるところでございます。

 それで、先ほど委員御指摘ございましたように、ガソリン流通コスト対策事業というのを実施してございます。これによって、それぞれの島ごとに、輸送形態と本土からの距離に応じて、その差額分といいますか、補助を行う制度を実施しておりまして、最大で七十円の補助がなされてございます。

 先ほど御紹介いただきましたように、一昨年の法改正、それに伴う附帯決議で、価格の低廉化という決議がなされたことはよく承知してございます。

 私どもといたしましては、本土と離島との格差、価格差というものをしっかりモニタリングをして、その実態に応じた形で補助を実施していくということが何より重要だと認識いたしまして、一リットル当たりの補助単価の見直しを行いました。昨年四月から適用したところでございます。

 具体的に申し上げますと、過去三年間、離島価格が本土価格より五円以上高い場合には、その流通コスト差を上限として、補助単価の引上げというものを行ったところでございます。先生の御地元の長崎で申し上げますと、高島で十円を二十円に、また、江島、平島では二十円を二十六円に引き上げたところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも離島と本土との価格差のモニタリングというのは重要でございますので、これをしっかりと行った上で、流通コストの実態を踏まえて、適時適切な単価の見直しを行っていきたい、このように考えてございます。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 既に補助金単価の引上げを実施している島もあるということです。是非、この支援の強化、引き続き実行していただきたいと思っております。

 次に、島の交通、地域交通の問題についてです。

 本当にバスの運転手さんは不足していて大変です。五島や壱岐では、バスの運転手さんの平均年齢が五十代後半になってきていて、もう若い運転手さんが入ってくれないという深刻な事態を招いています。ここの、地域交通を支えるバスの運転手さんの処遇改善、これも重要な問題です。

 賃上げをどうするのかという議論の中で、担当者の方とも何度も話すんですが、まずは運賃を引き上げてほしいと。それはそうだと思います。適正な価格転嫁、これが働く人たちの賃上げにつながっていくということは確かです。

 しかし、それでは、この状態を改善するに当たって、強力な後押しには十分なり得ないと。なぜなら、島の人たちの中で、バスの運賃を上げる、そして、それを賃上げにつなげていくという循環も大事なんですけれども、そもそも、島では人口減少で、客数も減っているわけです。そこに運賃を上げていくということは、客数が更に減ってしまうかもしれない。

 そういうことですから、私が求めたいのは真水の支援。より具体的に国が財政的に支援をして、地域交通を支える運転手さんの賃金が引き上がるような政策が必要だというふうに思っております。

 その中で、国も様々な事業を行っていただいているんですけれども、例えば、地域交通が一年間の事業計画を立てて、どうしても赤字になってしまいます。その中で、赤字を補填する事業があります。その赤字の補填率が、実は、各自治体で、一〇〇%補填してくれる自治体もあれば、七〇%しか補填してくれない自治体もあると。

 そうすれば、その会社の事業計画には、当然、働く運転手さんたちの人件費も乗っかっているわけです。一〇〇%赤字を補填していただけないのであれば、三〇%もカットされるのであれば、当然、働く人たちの賃上げが行いづらいという環境になってしまいます。

 なので、この対策、国の方で、極力一〇〇%になるような仕組み、支援をお願いしたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、地域における必要不可欠な移動手段でありますバスの路線維持のため、これは地方自治体とともに、一定の要件を満たすバス路線について運行費の補助を行っているところでございます。

 委員御指摘のとおり、地方自治体とともにということなんですけれども、地方自治体によっては、それぞれの自治体によって、バスに対する欠損補助の割合、現実には様々異なっている、こういう現実があるのも確かでございます。

 ここは、ある意味、地方自治体それぞれのお考えに基づくことということでありますので、国から一律にというところはいろいろ難しい点もございますけれども、しっかり、補助が十分になされていない、そういう地域については、引き続き国の方からも実態をよく調べた上で必要な働きかけを行ってまいりたい、このように考えております。

山田(勝)分科員 ありがとうございます。

 大変重要な事業ですので、是非ともお願いしたいと思います。

 残念です、漂着ごみについても質問をしたかったんですけれども、時間が来たようです。

 引き続き、島の現場の声を、必要な予算や必要な政策を訴えていきたいと思います。

 ありがとうございました。

島尻主査代理 これにて山田勝彦さんの質疑は終了いたしました。

 次に、緑川貴士さん。

緑川分科員 皆さん、お疲れさまです。

 最初に、地域の公共交通についてお尋ねをいたします。斉藤大臣、よろしくお願いします。

 人口減少下の今、日本では、長期に輸送需要、利用者が減っていること、そして、供給の面からも、交通事業の担い手である人手が不足している、さらに、この間のコロナ禍でそれに拍車をかけて、交通事業経営が厳しさを増しているところでございます。

 しかし、それがその流れのまま、この路線の減便あるいは撤退という形になって、利便性が下がってしまえば、それで更に利用者が減ってしまうというやはり悪循環を繰り返してしまうのみであるというふうに思います。地域の交通のネットワークというものがやはり弱まってしまう懸念があります。

 この地域公共交通を輸送の面の効果からだけを評価、再編するのではなくて、道路や上下水道などと同じように、やはり暮らしを支える社会基盤であるということを改めて捉えて、この行政、交通事業者、住民が協力をしながら、地域にとってどういう形が一番いいのか、この最適な公共交通の全体像を描き直していく、それによって計画的なまちづくりにつなげるといった取組が非常に重要であるというふうに思いますけれども、この辺りの御認識、大臣、まずはお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 地域公共交通は、人口減少による需要減に加え、新型コロナウイルス感染症による急激な利用者の落ち込みや運転者の人手不足等により、深刻な状況にあると認識しております。

 こうした状況を踏まえ、国土交通省としては、地域の多様な関係者が連携、協働して、利便性、生産性、持続可能性の高い地域公共交通ネットワークへのリデザインを進めていくことが重要であると考えております。

 また、委員御指摘のとおり、公共交通とまちづくりを一体的に捉えることは重要であり、地域交通法に基づき、自治体が地域の関係者と協議し、まちづくりと連携した形で地域の交通計画を作成する制度を構築しております。

 昨年も、このような問題意識でリデザインの法律を作ったところでございまして、今年をその元年と決めております。

 まちづくりと連携した公共交通ネットワークの形成、これは国も入り、そして、地域、自治体、一緒になって考えていく、そういうまず話合いの場をつくって、また、お金も入るようにいたしました。そういう形で進めていきたいと思っております。

緑川分科員 様々な協議の場の形があるというふうに思います。道路運送法を根拠とした地域公共交通会議であったり、あるいは地域公共交通活性化再生法を根拠とした法定協議会、あるいは、大臣、今触れていただいた再生法が昨年改正されて、鉄道に対して、その再編に対して関係者が議論するという再構築協議会の設置も可能になっています。

 いろいろな議論の場、様々な協議の場というのを、しっかりその機会をつくって話合いを充実をさせていくということ、その機会を設けるということは非常に大事だというふうに思うんですけれども、他方で、例えばやはり鉄道を廃止した場合に、じゃ、どうなるんだ、これからは代わりにどういう交通になるんだということについて、これは冷静に考えていくことも必要だというふうに思います。

 例えば、鉄道を通学で利用していた子供たち、学生が、じゃ、どういうふうに通学すればいいのかということだったらスクールバスを用意しなければいけない、あるいは、お年寄りの方の通院、お買物の支援などもやはりこれは交通手段を用意しなきゃいけないということにもなりますし、この追加的な支援で自治体の財政の負担はやはり増える方向にはなっていきます。

 そしてまた、鉄道がなくなることで、その周辺のこれまで土地の価格というものがありますけれども、その周辺の価値がやはり下がってしまう。結果としてその自治体の税収が下がってしまうということが果たしていいのかどうかということも踏まえて、このコストの面も含めて冷静な議論をすることが非常に重要だというふうに思っています。

 この辺りは、大臣、御認識はいかがでしょう。

斉藤(鉄)国務大臣 まさしくその問題意識で地域公共交通、また、鉄道に関連しては再構築協議会という会議体をつくって、先ほど申し上げましたように、国も入って、そして地方自治体、地域住民、そしてそれに関係するいろいろな諸団体の方々、これは学校関係、福祉関係も入ります、そういう方々でしっかり議論してまいりましょうと。そこで出た結論については国も責任を持って支援する。

 これまで、いわゆる税金を例えば鉄道等には使えないというようなことでしたけれども、しかし、社会資本整備交付金というこれまで公共事業にしか使えなかった交付金をそちらの方にも使えるというような仕組みの変更も行いました。

 そういう形で、しっかり地域で話し合った、そして出した結論については、しっかりそれを実行していける体制をつくっていこう、こういうことで頑張っていきたいと思います。

緑川分科員 やはりこれまでの負担とこれから想定される負担ということを比べて、しっかりといろいろな素材を出していく、やはり出し切っていくという中での納得のいく議論というものが重要であるというふうに思っていますので、地域交通がもたらしている多面的な効果というものは、経営の厳しさいかんはありますけれども、それにかかわらず、やはりその地域に対する大きな効果というものがあるということがあると思います。

 今、具体的なお話の中で、鉄道のローカル線の経営が厳しくなっている一つに、JRの花輪線、秋田県の大館市の大館駅というところと岩手県盛岡市の好摩駅を結ぶローカル線なんですけれども、この花輪線は、盛岡市から隣の秋田県の北部、また青森県の中南津軽地域へのこれまでは近道として鉄路がその大きな役割を果たしてきたんですけれども、昭和の末期には鉄道に代わってやはり東北自動車道が全線開通をしていたりとか、さらに、高速バスがそこを走るようになっていった、線路の代わりにバスを使うようになっていたりとか、あるいは東北新幹線も新青森まで延びていることがあって、中南津軽地域へのこれまでの近道の役割もやはり薄れてしまったという面は確かにあるんです。

 今年の花輪線の沿線では、新たに隣の町との広域で学校の再編というもの、新しい高校がこの沿線には生まれたという経緯もございます。そうした、この春から新たに開校する高校に隣町からこの花輪線を利用して通うようになる、そういう学生の需要というものも見込まれるところでございます。

 そして、今月は、秋田県と岩手県の沿線の自治体が集まって、その意思統一を図ろう、これからどうするのかということを話し合う会合も初めて開かれたところでございます。

 路線の維持のために、これまで以上に、利用促進に向けてやはり意気込んでいるところがございますし、その動きを強めていることに対して、今の政府の御認識、また今後の対応、どのようなことをお考えでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 花輪線については、私も全線乗ったことがございまして、すばらしい路線だな、美しい路線だなと思っております。

 この花輪線につきましては、これまでも、沿線自治体やJR東日本などを構成員とする花輪線利用促進協議会が開催され、利用促進のための取組が行われてきました。

 そのような中、本年二月六日、岩手県、秋田県、そして沿線五市によりまして、JR花輪線活性化対策自治体会議が開催されたと承知しております。この自治体会議は、花輪線の維持に向け、国への要望やJR東日本への対応、沿線住民の意識醸成や利用促進活動等について協議、検討するために設置されたものと聞いております。

 花輪線は二〇二二年度の輸送密度が二百九十四人となっており、大変厳しい状況にあるものと認識しておりますが、こうした路線については、地方公共団体や鉄道事業者など地域の関係者が十分に議論を行い、地域や利用者にとって最適な形で交通手段の維持、確保を図ることが重要です。

 国土交通省としては、利便性や持続可能性の高い地域公共交通の確保に向けて、関係自治体や鉄道事業者に対し必要な助言を行ってまいりたいと考えております。

緑川分科員 やはり、学校の関係者にお話を伺っても、新しい高校に通うようになる学生が、もしこれから沿線で縮小になったりとか廃止になったりした場合にはもちろん通えなくなるということがあるんですけれども、これまで、逆方向に高校もあるんですけれども、そっちに向けて今まで通っていた学生も相当な影響があるだろうということがやはり想定されています。

 利用促進ということは、定期利用、日常利用は非常に大事なんですけれども、一方で、イベント的な一時利用ということもやはり改めて目を向けていく必要もあるんじゃないかというふうに思っています。

 特に、秋田県の北部は、自転車のロードレースの大会も、広域で市町村をまたいで開いている大きなイベントもありまして、それも市町村をまたいで開かれる地域なので、サイクリストを対象とした電車内への自転車の持込みの実証実験を今行っていたりとか、輪行をどういうふうにスムーズにできるかということ、また、写真撮影のスポットを、やはり観光スポットでもありますので、そこを整備して撮影会を頻繁に開いていこうといったことも話し合っています。

 観光の面でいうと、沿線は、世界遺産に登録されているものが複数ございます。紹介しますと、花輪線の花輪の名前を冠した屋台行事、花輪ばやし、そして、沿線の地域に伝わる風流踊りである毛馬内盆踊り、昨今登録をされたんですけれども、これはユネスコの無形文化遺産です。そして、北海道・北東北の縄文遺跡群の一つの大湯環状列石もユネスコの世界文化遺産。沿線にはこの世界遺産が三つあるというのがこの花輪線の大きな特徴ではないかと思います。

 日常利用、たとえ少なくても、厳しい状況の中でも、それをカバーして余りある豊富な観光資源があるという地域であるということを、潜在力があるということを、改めて、これを引き出せるように、それをてこにして、様々な工夫を凝らしながら、やはりイベントということを改めて考えていく、それによって効果的な利用促進を図るという視点を持っていくことも必要ではないかというふうに思っていますけれども、斉藤大臣、この辺り、いかがでしょうか。乗られて、大変ありがたいことで、その辺りの御認識もお伺いできればと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道の議論をするときに、最も経営上大事なのはやはり日常の乗車だ、このように聞いておりますが、今委員お話しのように、こういう観光という観点からも、イベント開催、そして多くの人が日本中から来てもらうということも非常に重要なことだと思いますので、その観点も含めて、我々国も一緒にいろいろな協議をしていきたいと思っております。

緑川分科員 ありがとうございます。

 一時的な利用増にとどまらないやはり流れをつくるということを、私も当然、地元に暮らしている人間の一人として知恵を絞りながら、そしてまた、その可能性に期待をしたいというふうに思っていますし、国やJRに対しては協議会が改めてまた対応を考えていくといった、今後、頻繁にまた協議会が開かれるということになると思いますので、その際、機会を捉えながら改めて議論をさせていただきたいというふうに思っています。

 今後、ローカル線の議論の中で、仮に再編が決まった場合には国が路線バスへの転換も支援をしていくということなんですが、先ほど山田議員のお話もございましたように、やはり今、日本においてはバス運転手の不足というものが大きな課題の一つであるというふうに思います。

 日本バス協会の調べでは、昨年の時点で、路線バスだけでも一万人の運転手が足りない、そして、二〇三〇年には三万六千人の不足が見込まれているということです。運転手として必要な大型二種免許の保有者が全国で八十万人余りいますけれども、このうちの六割が六十歳以上、つまり五年後、二〇三〇年前後では退職する方がこれから急激にまた増えていくという年代になっていきます。

 このバスやタクシーなどの交通事業者への人手不足対策として二種免許の取得費用の支援なども含まれているんですが、例えば、バスで大型二種免許を取る場合には五十万円から六十万円という高額な費用がやはりかかります。一時的な補助、一部の補助だけではなくて、経費についても改めて手厚い支援というものを考えていかなければならないというふうに思いますし、そもそも、この二種免許の合格率は、一種よりも相当に難しい試験です。四〇%という合格率の中で、この貴重な特殊技能を持つ方々の待遇というものが、バス運転手でいえば、全産業平均に比べて年間の所得が二割も低い、そして、それでいて、長時間の労働、年間の労働時間が一割も長いという厳しい状況にやはりございます。

 使命感で取り組むという現場の努力にはなかなか限界があるのかなというふうに思っていますし、この運転手の給料をやはり上げる、これはもう国益を懸けて、この待遇の改善を図るということを国を挙げて取り組んでいかなければならないというふうに思っていますけれども、大臣、この辺り、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 御指摘のとおり、バスの運転者不足につきましては、地域住民や観光客の移動手段確保の観点からも危機感を持って受け止めております。

 このため、国土交通省としては、運賃算定基準の見直しや運賃改定の迅速化により早期の賃上げなどを促進しているほか、二種免許取得費用の支援、それからキャッシュレスなどのデジタル化による業務効率化、省人化の取組への支援などを進めてきたところでございます。

 国土交通省としては、こうした取組をしっかりと進め、地域住民や観光客にとって必要な移動手段の確保に全力を注いでまいりたいと思います。

緑川分科員 やはり歴史的には、この公共というふうに冠している公共交通機関ではあるんですけれども、こういう公益性の高い分野であっても、やはりこれは独立採算制を取ってきたという経緯がございます。

 長い間のデフレというものがずっと続いてきたところで、やはり、コストカットの意識というものが強くなって、過度に切り詰めないといけないと。経営上やはり必要に追われたところがありますけれども、切り詰めて切り詰めて利益をとにかく確保しなければならないという意識がやはり事業者には根づいてきたというふうに思いますし、このサービスを維持するためには、やはり、おのずとこの人件費、高いところを削減しなきゃいけないという、この賃金を抑えてきたというのがその結果としての人手不足の状況にあるというふうに思っています。

 自動運転の技術とか、これからもちろん機械に頼らなきゃいけないところはいろいろなところであると思いますけれども、あくまでもドライバーのサポートであると。やはり、この旅客という性質上、そうしたところは、実務的な完全自動運転というのは相当先になるんじゃないかというふうに思います。なかなか、車椅子の方の乗降のサポートとか、じゃ、これは機械が本当にできるんだとか、いろいろなことを、人のやはりケアをしなければならないという分野も含めて、そこは人の力が本当に必要なんじゃないかというふうに考えているところでございます。

 そういう中で、予算をやはり見ると、来年度の地域公共交通に係る関連予算、前年度よりも増額しているものもあるんですけれども、今年度の補正と合わせても、鉄道とバス、タクシー、あるいは航路、全ての交通関係の予算というものが、全体で見ると九百億円足らずなんですね。冒頭で申し上げた、道路とか上下水道、こうした、本当に公共が担っているものと同じようにやはり捉えて、公共交通も暮らしを支えているインフラなんだ、社会基盤なんだという、行政が、やはり、予算があってこそのまちづくりの一環というふうに捉えられる、計画的に整備を進めることができるというふうに思っていますので、やはり、九百億円足らずということを、常識をもう少し見直すといいますか、予算をしっかり、どこを減らしながらどこを増やせるかということもあるんですけれども、そもそもの抜本的な見直しということを考えていただいて、この交通事業の担い手をしっかり育てていくために、予算の底上げがやはり必要であるというふうに思っています。

 大臣、この辺り、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 日本の公共交通は、歴史的にも、民間が担い、それを公が支援するという形で参りました。そういう日本のこれまでの在り方を踏まえつつ、しかし、地域公共交通、本当に大事です。これをなくすわけにはいきません。

 どうしたら維持していくことができるのか。そういう意味で、昨年の法改正におきまして、国、地方、地域、そして公共団体、一緒に議論する場をつくりました。その場で、予算がどうあるべきかということも含めまして、しっかり議論をし、地域公共交通、公共交通の在り方を、地域公共交通を守るための在り方を議論していきたいと思っています。

緑川分科員 地域のこうした協議の場をまた足がかりにして、やはり改めて、国の全体の予算ということが、一部見直しがあるいは必要なんじゃないかという、この議論にも是非ともつなげていただきたいというふうに思っています。

 その一つがやはり待遇の改善ですし、今後大きな支援が求められるのは、もう一つ、やはりEV車両の導入費というものが大きな経費がかかると思います。充電設備の費用もそもそも高額でありますし、これらの補助の一層の増額、またランニングコストについても、導入しただけじゃなくて、車両の維持費や更新費についても、やはり、資料を見ると、相当な費用がかかるということが見て取れます。これを補助対象に追加をしていくということ。また、次世代自動車の整備士がやはり不足しています。この対応した資格をつくって、人材育成の仕組みを充実させていくということが求められると思います。

 この辺り、何とかお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、商用の電気自動車などの車両や充電設備の補助金として、関係省庁と連携いたしまして、令和六年度に向けては、令和五年度予算の約三倍となる四百九億円を確保しております。

 また、御指摘のランニングコストへの補助についても、一般的には、電気自動車は内燃機関に比べ燃料費が低減されるメリットはあるものの、運行実態を見た上で慎重に検討してまいりたいと思っております。

 さらに、電気自動車など次世代自動車の普及に対応するため、令和四年五月に自動車整備士の資格制度を見直し、電気、電子に関する知識が必要となるよう法令改正を行いました。この新制度に基づき、本年四月から整備士養成課程での教育を順次開始することとしております。

 引き続き、電気自動車などの普及に向け、全力で取り組んでまいりたいと思います。

緑川分科員 脱炭素化の取組、そしてあるいは従来からの地域の交通課題というものがやはり一緒になって、同時に解決を図るということ、まだ困難なところもありますけれども、その両立がなされるように、是非ともこの措置の拡充ということを引き続きお願いしたいというふうに思っています。

 最後に、河川の改修についてお伺いしたいと思います。

 秋田県は、昨年の七月の記録的な大雨で被害の大きかった地域の河川改修に本格的に取り組んでまいりますけれども、その昨年の際は、斉藤大臣も秋田入りをしていただきまして、本当にありがとうございます。被災した秋田市の現場の視察、そしてまた意見交換も行っていただきましたし、地域の復興に全力で取り組む決意であるということをその場でおっしゃっていただいたことに、被災地も、当時、本当に勇気づけられたところがございます。本当にありがとうございます。

 その後、昨年の十一月に秋田県と国、そして流域の市町村でつくる協議会というものが立ち上がっています。水災害対策プロジェクトという治水対策を決定をしています。被害のあった秋田市の雄物川の下流域のところ、そして五城目町などの馬場目川水系の河川改修に加えて、雨水管の整備といった内水氾濫対策を進めていき、昨年七月と同じ規模の大雨が降っても浸水被害を大幅に減らすということを目指しています。

 しかしながら、その主な河川の改修の期限というものが二〇三二年度というふうに位置づけられています。県内は、昨年だけでなくて、実はおととしも記録的な大雨の被害に見舞われています。気候変動の影響で雨の降り方も極端に変わっていますし、やはり毎年のように大きな被害というものが起こっています。甚大な水害が発生をしてきたところでございます。

 被害地域の住民のこれからの安心のためにも、工事の早期の完了が求められるというふうに思いますけれども、対策を加速させていく必要性、そのための政府対応について、お考えを伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 秋田県内におきましては、昨年七月に発生した大雨に伴う浸水被害を受けまして、秋田市などの雄物川下流圏域や五城目町などの馬場目川水系におきまして、昨年七月と同規模の大雨に対して大幅な浸水被害の軽減を図ることを目的として、おおむね十年間で実施する水災害対策プロジェクトを策定し、関係機関が一体となって必要な取組を推進しております。

 国土交通省としては、甚大で広範囲にわたる浸水被害であったことから、おおむね十年間の抜本的な取組が必要と認識しておりますが、特に、秋田市街地で被害が甚大であった太平川下流部では、おおむね五年間の集中投資によりまして早期に効果が発現されるよう、県の取組を財政的に支援してまいります。そして、段階的な効果の発現を目指してまいります。早期に頑張りたいと思います。

緑川分科員 大臣御紹介いただいたやはり太平川であったり、昨年の大雨で氾濫したり水位が上がったりした河川というのが、秋田県はもちろん広いので、中小河川がたくさんあります。二十五市町村ありますし、その中で、秋田市だけでも、旭川であったり、あるいは新城川という小さな川があったり、小さな川が非常に大きな頻度で氾濫してきたという経緯もこれまでもございます。そして、ほかの市町村では、五城目町の内川川あるいは富津内川、本当に、毎年のように水害、大きな大雨があった場合には浸水の、住宅の被害というものが甚大になってしまうような、氾濫を起こす川というものが中小河川でたくさんあるんですね。

 毎年限られた予算の中でやはり県はこつこつと整備を進めているんですけれども、なかなか進んでいないのが現状であるということで、県の幹部もお話をしているということが、大変悩ましいお話を伺っているんですけれども、大臣、この辺りは、現場のお声はどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 秋田県の場合、中小河川が非常に大きな、特に内水氾濫も含めまして、問題だという認識は伺いました。

 例えば、米代川支川の悪土川、これは県管理の小さな河川ですが、令和五年七月を始めとして近年浸水被害が頻発していることから、国、秋田県、能代市などの関係機関で構成する検討会を立ち上げて、今回の浸水被害の要因分析や今後の対策メニューについて検討を行っているところでございます。

 具体的には、悪土川の水位低下にも資する米代川本川の河道掘削や流域での住まい方の工夫などと併せて、排水機場における対策についても検討し、ハード、ソフト一体となった取組を推進してまいります。

 小さな河川についても、これは秋田県に限りませんけれども、今いろいろなところで問題提起がされております。どのように県と連携しながら、国、一緒に働いていけるか、考えていきたいと思います。

緑川分科員 今大臣、先の問いをちょっとお答えをいただいていたんですけれども、悪土川以外の中小河川というところについて、どのように、やはり今、内川川だったり、富津内川であったり、他の市町村の、悪土川についてはまた触れたいんですけれども、その辺りの中小河川の、やはりその氾濫に伴う浸水被害ということについての現場の御意見に対して、どのような御認識をお持ちでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今、全国のいろいろな水害、浸水被害を分析いたしますと、やはり市街地での内水氾濫、中小河川が大きな河川に出るところで、一つは逆流があったり、また排水機の能力が足らなかったりすることによる被害が大きく出ている、そういうことについてもしっかり対応していかなきゃいけない、このように認識しております。

緑川分科員 ありがとうございます。

 やはり今大臣おっしゃっていただいた、さっき御答弁いただいた悪土川、この対策プロジェクトにはこれはやはり入っていないんですね。やはり国が改めて協議の場ということもいろいろ御検討いただきたいというふうに思っていますし、昨年氾濫したこの米代川支流の、能代市なんですけれども、悪土川が百棟近くの半壊、流域の床上浸水の被害というものがやはりございました。

 それは、昨年だけでなくておととしも同じように氾濫をして、浸水の規模は違うんですけれども、同じような浸水被害がおととしも悪土川によって発生をしております。

 確かに県の管理でありますが、おっしゃっていただいたように、悪土川と米代川の合流地点の水門が閉じたときに稼働する排水機というものも国が管理をしています。ですので、これは、氾濫が頻繁に起きている河川に対しての、ポンプ能力の検証であったりとか、水害防止に向けた抜本的な対策ということを是非ともお願いをしたいと思いますし、先ほどお答えをいただいたところでございます。

 能代市の流域の自治会あるいは自主防災連絡協議会などが、昨今、緊急の要望活動も行っていたところでありますので、地域に寄り添った御対応を何とかお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

島尻主査代理 これにて緑川貴士さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦さん。

大島分科員 よろしくお願いします。

 荒川水系河川整備について、大臣に伺いたいと思います。

 一九四七年九月十五日のカスリーン台風では、鴻巣市で左岸約六十五メートル、熊谷市久下で左岸約百メートルにわたり相次ぎ破堤し、利根川の氾濫と合流した濁流は、沿川の市町村をのみ込みながら、九月二十日には東京湾に達しました。荒川の河川整備は、カスリーン台風の被害を踏まえるなど、長期的な計画の下で整備されて今日に至っていると考えます。

 二〇一九年台風十九号の被害は、大宮台地の北側で、台地が終わり堤防で守られている旧吹上地区ではなく、大宮台地の荒川側斜面での越水や床下浸水など、そして床上浸水なども起きたことは、河川整備が進んだことで、予想を超えた降水量では対応が追いつかなくなっているのではないかと思います。

 まず、荒川上流河川事務所職員の皆様、荒川調節池工事事務所職員の皆様には、日々、真摯に河川整備に取り組んでいただいており、心より敬意を表します。

 さいたま市から上尾市平方の開平橋付近までの築堤の終了が近いと承知しております。堤内に調整池のための堤防が築堤されますので、調整池が完成すると荒川の川幅は狭くなります。調整池完成により下流への水量は調整されますが、調整池の上に位置する開平橋から上流の水位は更に上がることになります。

 二〇一九年の台風十九号では、大宮台地の荒川側斜面に位置する多くの住宅や事業所が床上、床下の浸水被害を受けました。特に上尾市平方地区での被害は甚大で、これまで八十年以上ここに住んで、ここで生活してきた方が、こんなに水位は上がったことがなく、これまでの経験を超えた水位であったと伺いました。

 また、被害はほとんどありませんでしたが、鴻巣市の旧吹上地区は、大宮台地の北端にあり、堤防で治水しています。二〇一九年の台風十九号の際には、カスリーン台風の経験から、台風が上陸する前に御飯を炊いて、自主的に自宅の二階で垂直避難をしていた方々もおりました。

 今後、調整池完成により水位が上がると被害のおそれも増すと考えます。調整池上流の対策が急務であると考えますが、国土交通省の説明をお願いします。

 まず、越水した上尾市の平方、畔吉、領家の整備計画について、御説明をお願いします。畔吉地区については、地元自治体から要望が届けられていると思いますが、前向きに検討していただきたいと思います。大臣の御答弁をお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 上尾市の平方、畔吉、領家地区につきましては、荒川の堤防整備が一部で完了していなかったため、委員御指摘の二〇一九年台風十九号、すなわち令和元年東日本台風によりまして、床上浸水四十四戸、床下浸水十戸などの被害が発生しました。

 この地区の堤防整備につきましては、その下流で事業中である荒川第二、第三調節池の整備と一体となって整備を進めております。現在、この地区の最下流部である平方地区から整備を進めており、調節池の完成に合わせ、令和十二年度完了を目標とし、順次、上流部の畔吉、領家地区の整備に着手する予定でございます。

大島分科員 大臣、ありがとうございます。

 台風の十九号の際は、破堤するのではないかと危惧をしておりまして、朝の七時には地元の四市一町の首長の皆さんには電話をして、相当身構えて対応を取っておりまして、やはり河川の整備は、上流から下流まで、過去の河川に携わっている皆さんの英知と経験によってどうにか制御してきたというのが河川だと思いますので、本当に皆さんの尽力のおかげで破堤することがなかったと感謝を申し上げております。

 その次に、少し上流部なんですけれども、桶川市の川田谷地区には、お墓、墓地が堤防沿いに位置しておりまして、堤防が未整備の箇所があります。二〇一九年の台風十九号でも越水被害が出ました。早急に対応してほしいと思います。地元自治体からも要望が上がっているかと思いますので、政府のお考えを御説明していただければ助かります。

斉藤(鉄)国務大臣 今、大島委員御指摘の桶川市の川田谷地区につきましても、堤防整備が一部で完了していなかったため、令和元年東日本台風の際、床上浸水十七戸、床下浸水十六戸などの被害が発生しました。

 この地区についても堤防整備に着手するため、整備内容や用地補償などについて、来月十六日に地元説明会を開催する予定であり、まず土地所有者などとの調整を迅速に進めてまいります。しっかり対応してまいりたいと思います。

大島分科員 ありがとうございます。

 これまでも、地元の国道の整備を考えますと、お墓が当たるところは結構大変でして、それぞれの地権者が何代にもわたって分からなくなっているものですから、国土交通省の皆さんの地道な努力によって道路が開通したり、うまく地元の合意形成ができていくと思いますので、大臣の御答弁を受けて、是非、対応を取っていただけることに心より感謝申し上げます。

 続きまして、先ほどのカスリーン台風で破堤した熊谷市久下地区の少し下、下流部に隣接する鴻巣市荊原地区は、荒川が直角に曲がりまして、堤防への負荷が極めて大きく、地域からも鴻巣市を通して要望が国土交通省に寄せられています。早期の対応をお願いしたいと思います。大臣の御答弁をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 荒川中流部の堤防整備に当たりましては、令和元年東日本台風において浸水被害のあった上尾市平方地区等の整備を優先しておりますが、鴻巣市荊原地区などにおいても引き続き計画的な整備を進めるために、糠田地区の埋蔵文化財調査を行っております。

 国土交通省としましては、荒川流域の治水安全度向上のため、荊原地区を始めとした荒川中流部の治水対策の早期完成に向け、引き続き、必要な予算を確保して、事業を推進してまいります。

大島分科員 大臣、ありがとうございます。

 続きまして、首都直下地震の発生確率について答弁をお願いいたします。

 首都直下地震を含む南関東エリアでの今後の発災のおそれについて伺います。南関東での発災の確率は今後三十年で七割と聞いていますが、その理解でよろしいでしょうか、御説明ください。

永井政府参考人 お答えいたします。

 地震調査研究推進本部の地震調査委員会では、活断層で起きる地震や海溝型地震の場所、規模、今後三十年以内といった一定期間内に発生する確率について長期評価を実施しております。

 この長期評価では、首都圏で発生する可能性のある地震の評価も行っており、例えば、南関東地域直下における相模トラフ沿いのプレートの沈み込みに伴うマグニチュード七程度の地震については、今後三十年以内に七〇%程度の確率で発生すると評価されております。

大島分科員 三十年で七割の確率であれば、毎年一%ずつ上昇すると考えられますか。御答弁をお願いします。

永井政府参考人 お答えいたします。

 地震調査委員会で公表している地震発生確率は、基本的に、同じ場所で同じような地震がほぼ一定の間隔で繰り返すという仮定の下、新たな地震が発生しない限り、時間の経過とともに増加するモデルを使用しております。

 一方で、お尋ねのございました南関東地域直下における相模トラフ沿いのプレート沈み込みに伴うマグニチュード七程度の地震につきましては、過去の地震の発生履歴を見ますと、発生場所や発生間隔にばらつきがありまして、同じ場所で一定の間隔で繰り返し発生しているわけではないことから、年数経過によらず、地震発生確率が一定となるモデルを使用しております。

 このため、お尋ねの地震の発生確率は、毎年上昇するわけではなく、七〇%で一定となります。

大島分科員 ありがとうございます。

 首都直下地震発生時の対応について伺います。

 東日本大震災の発生は金曜日の午後で、参議院での決算委員会がNHKで中継されていました。霞が関、大手町の気象庁、地方支分部局も機能しておりましたので、初動体制が組めたと考えます。

 映画の「シン・ゴジラ」を見るとよく描かれているんですけれども、首相が中央に座り、大臣が囲む危機管理のオペレーションルームは、首相官邸地下にあり、その隣には大きな講堂があり、各府省の名前の入ったビブス、チョッキを着た職員が、情報を集約して、役所間の調整を行い、資料をまとめ、首相に判断を仰ぎます。

 官邸を機能させるためには、まず、地方支分部局、役所の地方出先機関を含めて、各府省が機能していることが前提となると考えます。夜間や休日に発災した場合、それでも首都機能の交通網が寸断されていなければ、翌日には、霞が関、市ケ谷の自衛隊、大手町の気象庁など、各役所に職員が駆けつけて対応できると思います。しかし、首都直下地震では難しいのではないかと危惧をしております。

 そこで、首都直下地震が夜間や休日に起きた際の初動体制について伺います。

 まず、政務三役の緊急対応の体制はどうなっているのか、御説明をお願いします。

上村政府参考人 お答えいたします。

 首都直下地震などの緊急事態の備えについては、平成十五年十一月に閣議了解されました「緊急事態発生時における閣僚の参集等の対応について」におきまして、各閣僚が東京を離れる場合には、あらかじめ副大臣又は大臣政務官が代理で対応できるよう、各省庁等において調整しておくこととされてございます。

 これに基づきまして、内閣府の場合ですと、内閣府防災担当におきましては、平日、夜間、休日にかかわらず、防災担当大臣が不在となるときは、防災を担当する副大臣又は政務官のいずれかが在京することとしており、首都直下地震が発生した場合には、当該政務が官邸に緊急参集を行うこととしてございます。

大島分科員 同じく各府省の緊急対応、体制についても同じという理解でよろしいですね。

上村政府参考人 閣議了解でございますので、これに基づきまして、各省、適切に対応されていると理解しております。

大島分科員 交通が寸断されて、職員の出勤が難しい場合の体制は考えておりますか。

上村政府参考人 内閣府防災の担当の話で申し上げますと、幹部三名のほか、職員のうち四十四名を、非常災害対策要員として庁舎近傍の宿舎に入居させるなどして、発災後速やかに参集する非常時の参集体制を構築してございます。

 首都直下地震が発生し、交通網が寸断された場合にありましても、直ちに徒歩又は自転車なども含めたあらゆる手段を用いて官邸等に参集し、必要な対応を行うこととしております。

大島分科員 そして、首都直下地震の首相官邸及び各府省の体制について、現状でも対応可能と考えているのか、政府の見解を伺います。

上村政府参考人 首都直下地震が発災した場合に備えまして、首都中枢機能の維持を図り、国民生活及び国民経済に及ぼす影響を最小化することを目的としました政府業務継続計画などをあらかじめ作成しております。

 また、災害発生時には、警察、消防、自衛隊の救助部隊の活動拠点や進出ルートなどをあらかじめ明確にし、大量の帰宅困難者の移動を抑制しながら、速やかに救助活動等を実施できるよう、人命救助のために重要な七十二時間を意識したタイムラインを明示しました、具体的な応急対策活動に関する計画というものを策定し、それに基づき、初動対応として迅速に対応することとしております。

大島分科員 ありがとうございます。

 私も防災担当副大臣を仰せつかったことがあって、結構緊張の毎日でした。必ず近くにある携帯電話を見たりしながら、自宅の家には衛星携帯電話を置いたりして対応を取っておりまして。

 これまでは首都機能がまだ生きている状態での、東日本大震災、熊本地震、今回の能登半島の地震、バックアップが十分取れたと思います。南海トラフで災害を受ける地域についても、しっかりと機能は生きていましたので、できたんですけれども、首都直下が起きた場合の対応というのが、しっかり考えておかないといけないのかなと。

 特に、通信網については、私も、ちょうど、ここ東京から私の地元まで五十キロなので、アマチュア無線でつながるのかなと思って、いろいろとアマチュア愛好家の方に聞いてみると、大体二、三十キロが限界なんです。唯一頼りになるのが国土交通省の通信網ですよね。二回線持っていて、一つがマイクロ波、もう一つが光。恐らく内閣府防災もそれを、内閣府防災は元々国土交通省の分駐みたいなところなので、一体化しながらやっているので、多分そういう機能を生かしながらだと思うんです。

 ただ、今後の対応として、当時検討したのは、中央官庁の役所の課長以上の方には衛星携帯電話を持たせてもいいのかなと思った。そんなに大きな金額じゃないです。

 今、スターリンクを使うのがいいかどうかはともかくとして、衛星携帯電話も大分安価になってきて、今の衛星携帯電話だと、衛星というのは地平線ぎりぎりに浮いているものですから、なかなか電波が、見晴らしのいいところじゃないと届かないというのがありまして、今後、直接宇宙と携帯電話がつながるようになると、そういう体制を組んでおくことが、今後被災したとしても、指揮命令が生きていれば対応が可能になるのかなと思っているものですから、是非そういうことを、大臣含めて皆さんに考えていただきたいなと思っています。

 私の地元には綾瀬川断層がありまして、埼玉県の中央部に位置する大宮台地、水害に強く、地震の震度も他の地域と比べて低いと言われております。ハザードマップを参考にして、引っ越してくる御家族もおります。

 しかし、念のために、分かる範囲で伺います。大宮台地の東側に位置する綾瀬川断層のリスク評価について御説明ください。

永井政府参考人 お答えいたします。

 綾瀬川断層は、埼玉県鴻巣市から川口市に至る、おおむね北西から南東方向に延びる、長さ約三十八キロメートルの断層とされており、地震調査委員会において、過去の調査研究結果に基づき評価を行い、平成二十七年四月、評価の結果を公表いたしました。

 その結果、綾瀬川断層で発生する地震の規模やその発生確率につきましては、鴻巣―伊奈区間につきましては、マグニチュード七・〇程度の地震が発生する可能性があり、今後三十年以内の発生確率はほぼゼロ%、伊奈―川口区間については、マグニチュード七・〇程度の地震が発生する可能性があり、その確率は不明と評価されております。

 なお、活断層は、過去に繰り返し活動し、今後も再び活動すると考えられる断層であり、一定期間内での発生確率にかかわらず、活断層が存在していること自体、当該地域で大きな地震が発生する可能性を示すものであることに留意する必要がございます。

 また、綾瀬川断層付近の地域については、断層で発生する地震だけでなく、海溝型地震などにより強い揺れに見舞われる可能性もございます。

 さらに、発生確率が不明と評価された場合であっても、すぐに地震が起きることが否定できないともされてございます。

 地震は国内どこでも発生し得るということを念頭に、いずれにしても防災対策をしっかり行っていただけるよう、今後も地震調査研究推進本部において、丁寧な情報発信に努めてまいります。

大島分科員 私の議員会館の部屋には、文部科学省の防災研究所が作成した二〇一九年の日本列島の地図、防災マップが掲示してありまして、最新版が二〇一九年だと思います。能登半島はノーマークなんです、実は。ですから、今審議官おっしゃられたとおり、どこで起きてもおかしくないのが震災なので、しっかり準備というのかな、それを念頭にしながら生活した方がいいかなと思っております。

 大臣に最後の質問になるんですけれども。

 まず、国土交通省の今の建物について、いつ頃建てられて、いつ頃免震の対応をしたのか、政府参考人、これは営繕部長からの答弁をお願いします。

秋月政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省が入居いたします中央合同庁舎第三号館の建物ですけれども、昭和四十八年に全体が完成しておりまして、平成十四年に免震化改修を実施しております。

 防災拠点施設として必要な耐震安全性を有しており、人命の安全確保に加え、大地震動後においても十分な機能確保が図られたものになっております。

 以上でございます。

大島分科員 恐らく、その工事を行うときに何回か増築しているはずなんだけれども、何回ぐらい増築したか知っていますか。

秋月政府参考人 一度、上階増設といいまして、上階に増設していると思っておりますが。

大島分科員 国土交通省に要請活動で伺って、職員の皆さんが狭いスペースに窓際まで張りついていて、席を確保しておりまして、私の経験ですと、昭和四十年から五十年代ぐらいの様相で、なかなか今の人が入社する気になるのは難しいかなとも思うんですよ。

 本来であれば予算委員会で首相に聞いた方がいいと思うんですけれども、国土交通省の今の建屋については、免震構造は大丈夫だと伺っていますし、地震が起きても大丈夫ですし、四階ぐらいが多分増築してあるので、大丈夫だとは言わざるを得ない立場だと思うんです。ただ、今後の首都直下を考えると、最新鋭の建屋を一つ持っておくことが必要だと思います。

 東日本大震災のときも、国土交通省の会議室でスクリーンを介して、東北の整備局の皆さん、全国の皆さんが意見交換をしている風景を見たときに、やはり国土交通省のワーディングが、私も鉄鋼会社ですから、台風が来るときには、必ず昼夜、ずっと夜通し製鉄所にいて危機対応しておりまして、やはり本社と製鉄所の人事異動があるので、言葉が同じなんです。国交省の強みは、やはり職員の皆さんが同じ言葉を使っていらっしゃることなんです。やはり、地方支分部局、本省を含めて常にローテーションしているので、大丈夫だとか、危険だとか、危ないというのが、みんな同じ水準で考えられるのが国交省だと思っておりまして、ですから、地方支分部局を地方にちょっと分離するのは僕は反対な立場ですので。

 それで、是非大臣、今後、首相官邸だけだとやはり弱いと思う。やはり、寝泊まりしながら一か月間ぐらいずっとオペレーションしなければいけない。そうすると、着替えるところからシャワールームから含めて、しっかりとした防災拠点を一つ、やはり霞が関に持っておくことが必要なのかなと思うんです。ちょうど国交省の前は大きな駐車スペースもありますから、全部を僕は建て替えても、国として建て替えたとしても、国として損失にはならないと思っていまして、是非そういうことを、なかなか国交省からは言いにくいと思いますので、野党からだと言いやすいものですから、是非検討してほしいなと思います。一番の最新鋭の、全ての震災に備え。

 ですから、地元の構造設計の建築士の方と話すと、いや、大島さん、タワーマンションは倒れないだけであって、一回地震が来ると中の配管等は結構壊れてしまうという話を聞くんです。ですから、免震で大丈夫なのとそのビルが機能することとは違うので、是非その点も踏まえて、長期の計画だとは思うんですけれども、働きかけいただければと思います。

 最後に大臣の感想でもいただければ幸いです。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省への温かい御配慮と思いと御提言、本当にありがとうございます。

 免震工事をしたということで、財務省と国土交通省はまず免震工事をした。あれは、この二つの役所が地震時にしっかり機能していなきゃいけないということの国の表れかとも思いますが、逆に、免震工事をしたがゆえに当分建て替えなくてもいいのかなというような雰囲気もありますけれども、しっかり、今の御提言を聞きましてまた勇気をいただきました、頑張らなきゃいけないという勇気をいただきました。

 環境につきましては、職場環境として狭過ぎるのではないかということにつきましては、執務室のレイアウトの見直しやペーパーレス化による執務スペースの有効活用などの取組を行って、若い人が是非行きたいと思うような役所にしていきたいと思っております。

大島分科員 どうもありがとうございました。

 終わります。

島尻主査代理 これにて大島敦さんの質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一さん。

伊佐分科員 公明党の伊佐進一です。

 本日、答弁の機会をいただきまして、ありがとうございます。今日は、ひたすら地元案件を中心にやらせていただきたいというふうに思っております。

 大臣、冒頭の一問だけですので、一問終わったら、もう退席していただいて結構ですので、その分、でも一問、力を込めて答弁いただければありがたいというふうに思っております。

 まず、大阪の淀川に、今現在、高規格堤防、いわゆるスーパー堤防が建設をされております。

 先日、斉藤大臣も視察に、わざわざお忙しい中で来ていただきました。大臣が来ていただいたのは大阪市の旭区の地域でありまして、守口市の方では下島地区というところが建設を今されております。

 令和九年度に、この地域で義務教育学校を開校するという予定になっております。これは、二つの小学校と一つの中学校が合併されることになるわけですが、このスーパー堤防の建設にも当たりまして、先日、この下島小学校、この地域の小学校、半世紀にわたる小学校の歴史に幕を閉じました。私も式典にも参加をさせていただきました。

 この中で、地元の声が幾つか挙がっております。その一つは、この堤防がかなり、なだらかにいった途中でそそり立って、ここが実は学校になります。直前まで学校ですので、また家も、このそそり立った壁のすぐ手前まで民家がございますので、非常にこれは圧迫感があって怖いというようなお声もいただいております。

 そしてまた、この新しくできる義務教育学校のグラウンドは、このスーパー堤防の上に造る予定になっております。国の土地になるわけですが、ただ、そこの運動場予定地に関西電力の鉄塔が建っておりまして、運動場の端だったらいいんですけれども、そこそこ中に寄っておりまして、この辺もずらしてもらえないかというような要望もいただいております。

 地域住民の命を守る非常に大事な堤防の事業であるスーパー堤防の事業でありますが、生活に影響があるのではないかという不安の声もありますので、是非、ここは地元住民の皆さんに丁寧に、寄り添って事業を進めていただきたいというふうに思いますが、大臣、よろしくお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 高規格堤防事業、いわゆるスーパー堤防、この事業は、地域のまちづくりと一体となって堤防を整備することで、安全で快適な空間を創出するものでございます。

 淀川下島地区の高規格堤防の整備に当たりましては、昨年十二月の地元説明会におきまして、高規格堤防の上下流の両端に設置される擁壁の構造について御意見をいただいたことも踏まえ、擁壁の勾配を緩くするなどの見直しを行っているところでございます。

 また、関西電力の鉄塔の位置につきましても、私も地図で見ましたけれども、新しくできる校庭の真ん中に二本、ぼんと鉄塔があるというような構造になっております。守口市からの御意見も踏まえ、二基ある鉄塔のうち、一基は撤去を行い、もう一基についても、義務教育学校のグラウンドの使用に極力支障が出ないように移設場所の変更をすべく、守口市及び関西電力と調整を行っているところでございます。

 引き続き、地元住民の御意見を丁寧に聞きながら、守口市とも連携を図って事業を進めてまいります。

伊佐分科員 大臣、具体的に答弁していただきまして、ありがとうございます。勾配も緩くするようなことも検討していただいている、また鉄塔についても、支障が極力ないようにということをおっしゃっていただきました。

 旭区に来ていただいたときにも、周りの地域住民の皆さんのお声も大臣も聞いていただいて、非常に皆さん、喜んでいただいております。この下島地区の工事においても、国交省としてもしっかりと耳を傾けながら進めていただきたいというふうに思っております。

 大臣、御退席いただいて結構です。よろしくお願いします。

島尻主査代理 では、斉藤大臣は退席いただいて結構です。

伊佐分科員 それでは、引き続き、寝屋川流域というのが大阪の三分の一ぐらいを占めますが、ここはどういう意味かといいますと、淀川と大和川に挟まれた地域で、しかも、両河川のかわもより低いという土地です。だから、この土地、浸水被害でずっと歴史上悩まされてきましたが、今、地下河川の巨大なプロジェクトを国交省に支援をしていただいておりまして、この地域から大阪湾まで、巨大な川をずっと地下を通していくというものです。

 このプロジェクトに対して、石井国交大臣の時代に石井大臣に来ていただきまして、これをきっかけに供用開始がなされました。まだ大阪湾までは通じていないんですが、ただ、巨大な空洞ですので、供用を開始することで、いざ豪雨が起こったときには、ここにしっかり水をためることができるということになりました。この決断をしていただいたおかげで、それ以降、あれだけ歴史上浸水に悩んできたこの地域が、浸水被害がぴたっと止まりました。これは本当に画期的なことだというふうに思っております。

 ただ、まだ、災害の激甚化というのはずっと近年続いておりまして、前回もぎりぎり浸水しなかったのは、この地下河川、実はいっぱいいっぱいでした。もうちょっと降っていたらあふれていたということでしたので、引き続き、この地下河川の整備も進めないといけない。

 もう一つの課題は、この地下河川に水を流すためには、当然、下水管を通って流していくことになるわけですが、この支流に当たります下水管が能力を超えつつあるということです。

 今、既設には門真守口幹線というものがありますが、ここを補うための増補幹線を今整備をしていただいておりますが、今申し上げたように激甚化しておりますので、これは非常に整備が急がれるところであります。着実に国としての支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、市街地に降った雨を排除できない内水氾濫が全国各地で頻発しており、気候変動による将来の降雨量の増加なども考慮した内水対策の強化が重要と考えております。

 そのため、令和六年度政府予算案においては、主に下水道による浸水対策の支援に充てる下水道防災事業費補助を前年度比一・二倍で計上するなど、内水対策に係る財政支援の充実を図ってございます。

 委員御指摘の門真守口増補幹線は、低平地である寝屋川流域の内水対策として、既設の下水管の能力を補うために大阪府が令和八年度を目途に整備しているものであり、一部区間は本年六月中の供用開始を目指していると承知しているところでございます。

 国土交通省としては、目標年度に向けて事業が進捗するよう、下水道防災事業費補助等による財政支援など、地方公共団体の取組を適切に支援してまいります。

伊佐分科員 この件で、もう一点お伺いしたいのは、これは最後、水をためて何とか浸水被害を防ぐ。それで、最後の最後は、これは排水をしないといけません。この水を、つまり、ポンプ場で雨水あるいは汚水をくみ上げて、幹線あるいは河川に排水する機能が必要になってまいります。

 このポンプが、これは全国的なことだと思いますが、かなり老朽化しています。守口の例でいえば、大枝ポンプ場、八雲ポンプ場、これは供用開始から五十四年たっておりまして、改築更新が必要になっています。また、寺方ポンプ場、これも供用から五十年。これは建て替えが必要でして、今年の六月から事業が開始されますが、かなりの事業規模、百億円近くかかるというふうに言われております。こうしたものについても着実な国の支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、下水道施設は今後老朽化の進行が見込まれており、ポンプ施設が老朽化等によりその機能を十分に発揮できない場合には、町中で汚水があふれたり浸水が発生するなど、住民の生活に多大な影響が生じることになります。

 そこで、国土交通省では、ポンプ場も含めた下水道施設の老朽化対策として、下水道ストックマネジメント支援制度により、点検調査やその結果に基づく計画的な施設の改新、更新等への防災・安全交付金による財政的支援を行っております。

 老朽が進む中でも下水道施設の機能を持続的に確保できるよう、技術的支援も含めて地方公共団体の取組を適切に支援してまいります。

伊佐分科員 これは、巨大な地下河川のプロジェクトもそうです、増補幹線も、またポンプ場の更新も、基本的には府の事業ではあります。ただ、その大宗は実は国の予算でありまして、府だけではできません。むしろ、国が支援しないと始まらない状況になっておりまして、国としてもしっかりとした支援を引き続きお願いしたいというふうに思っております。

 次に、舟運活性化の話を伺いたいと思います。

 大阪は水の都というふうに長らく言われておりまして、町じゅうにいろいろな、大小様々な河川がございまして、淀川、これはかつて交通の大動脈でありました。大阪と京都を結ぶ間で昔は船が何往復もしておりまして、三十石舟とかというのがございましたが、今は淀川を見ましても砂利の採取船が移動しているぐらいです。ここを、この舟運をもう一回活性化できないかという質問です。

 東海道五十三次という言葉があります。これは、日本橋から京都の三条大橋まで、宿場町がずっと五十三次あるわけですが、でも、これは目的地が京都だったらそうなんですけれども、最後、目的地が大阪の場合、終点は京橋になります。京橋まで行くと、実はこれは東海道五十七次でして、つまり、京都の三条大橋から、淀、枚方、守口、最後は京橋になります。

 それぞれ、さっき申し上げた淀、枚方、守口というのは、ここは宿場町であると同時に水運の基点でもありました。こういうところを復活して、観光、また、まちづくりにつなげていきたいという地元の思いもあります。

 実は、水運というのは災害時の役割も非常に重要でありまして、阪神・淡路大震災のときは、陸上交通網が麻痺したときには、この水運、舟運で、何とかここを、物資の移動を補ってきたというようなこともございました。

 ここは是非、淀川を所管する国交省が中心になっていただいて、周辺自治体も巻き込んで、この舟運の活性化のために様々な取組を進めていただきたい。とりわけ、二〇二五年には万博があります。これが一つの目標だというふうに思っておりますので、この淀川の舟運の活性化に向けた取組、国交省がしっかりと議論を引っ張っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 舟運事業を活性化するためには、多岐にわたる関係者による課題の共有や一体的な取組が不可欠です。このため、大阪・関西万博も視野に、舟運を核とした沿川地域のにぎわいづくりに取り組むことを目的に、令和四年三月に、近畿地方整備局長を会長、近畿運輸局長を副会長、大阪府、京都府、沿川市町、民間企業等を構成員とする淀川舟運活性化協議会を設立いたしました。

 協議会では、令和五年一月に中間とりまとめとして、大阪・関西万博までの具体的な取組目標を設定し、各関係機関が連携して、淀川大堰閘門の整備を始めとした航路の確保、川船、海船の円滑な乗り継ぎの社会実験、観光コンテンツの商品化などの取組を行っています。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係機関と協力しながら、淀川の舟運の活性化に取り組んでまいります。

伊佐分科員 次に、開かずの踏切の質問をしたいというふうに思っております。

 開かずの踏切は、交通渋滞を引き起こすというだけじゃありませんで、災害時には緊急車両が通行できない。五年前に大阪で大阪北部地震というのがございましたが、そのときも実は大きな問題になりました。

 開かずの踏切については、国が、緊急に対策が必要だというふうに、全国の幾つかを開かずの踏切として公表していただいておりますが、その一割が大阪に集中をしております。私の地元に関係するものとしては、京阪電車の香里園駅から枚方公園駅、この間なんですが、ここは事業としても総延長が五キロありまして、結構な大規模な事業です。継続的な予算が必要になりますが、こうしたものも含めまして、高架化の事業、連続立体交差事業、これも着実に進むように国交省として取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 連続立体交差事業は、複数の踏切を一挙に解消することによりまして、地域の安全性の向上、交通の円滑化、市街地の一体化による地域の活性化など、都市部の課題解消のために重要な事業であると考えております。

 御指摘の、京阪本線の香里園駅から枚方公園駅付近におきましても、大阪府が平成二十五年度に事業を開始しまして、令和四年度には鉄道高架化工事に着手するなど、着実に事業を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、大阪府内を始め、全国で進められている連続立体交差事業につきまして、事業の進捗状況等も踏まえ、しっかり支援をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

伊佐分科員 これは、もちろん、様々進めていくには、用地買収の話だったり、いろいろな課題があるかもしれませんが、少なくとも予算が制約になることのないように、我々もしっかりと応援していきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、大阪モノレールについて質問させていただきます。

 大阪モノレールは、現状、今、大阪空港、伊丹から万博公園を通りまして、最後、大日、終点は門真市ということになっております。このルートを最終的に南に八・九キロ延伸しようという事業、大阪モノレールの延伸事業を今行っておりまして、令和十一年の開業を目指しているというところであります。

 延伸した先に何があるかというと、まず一つは、すぐ先に、守口市と門真市の間に大型の商業施設ができました。ららぽーととかコストコができまして、この目の前にまず駅ができます。門真南駅があって、この門真南駅というのは、実は元々、地下鉄長堀鶴見緑地線、横につながっています、連結がされます。その次、下に行くと、駅になるのが鴻池新田駅、これは横に実はJR学研都市線がつながっています。その下の荒本駅は近鉄けいはんな線が横につながっています。最終の瓜生堂駅は近鉄奈良線がつながっている。これは全部の駅が全て横につながります。

 今までこれがなかったので、すぐ近くの距離であったとしても、電車で移動しようと思えば、ぐるっと回ってじゃないと行けなかったところです。だから、これがつながれば非常に便利になりますので、地元の期待度も大きいです。これも事業規模が大きい話でありますので、計画的、安定的な支援が必要になってまいります。継続的な予算の確保について答弁を求めます。

天河政府参考人 お答えいたします。

 大阪モノレール延伸事業は、現在の終点の門真市駅から東大阪市まで約八・九キロを延伸するものでございまして、今ほどお話がありましたように、新たに既存鉄道四路線と接続をし、大阪府域の広域的な鉄道ネットワークの強化を図るとともに、沿線地域の活性化に寄与する事業であると認識しております。

 延伸事業につきましては、令和二年四月に軌道法に基づく工事施行認可を取得し、現在、支柱の建設工事や軌道桁の架設工事を進めていると聞いております。

 これまでも、大阪府や東大阪市、また門真市、守口市等から構成されます都市再生協議会に対しまして、交付金等による支援をしているところでございますけれども、早期に事業効果を発現させるため引き続き支援をしていきたい、このように考えております。

 以上でございます。

伊佐分科員 これも、プロジェクト自体は大阪府のプロジェクトでありますが、国が二分の一出す。残りについては、府と、あと、この沿線の自治体が分担金という形で出すということですので、やはりこれも大宗は国なんですね。そういう意味では、国の支援が非常に重要でありますので、引き続きよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 さっき申し上げたこの大阪モノレール、大型の商業施設ができる目の前に新駅を造るということでありますが、その目の前にあるのが、門真市の松生町の地下道があります。この地下道というのは、大阪中央環状線という大きな道路、大阪の幹線道路と、横は国道百六十三号線のちょうど交わるところなので、かなり大きい地下道なんです。ここが、商業施設ができたことで一気に人通りが増えました。

 元々交通量は少なかったので、街灯も実は非常に暗くて、結構雰囲気も、映画に出てくるようなおどろおどろしいような地下道になっておりまして、ここをちょっと、やはり地元の安全、安心の観点から、これだけ人通りも増えたので、夜はかなり暗くなってしまうので、ここを何とか安全、安心の観点で整備できないかという御要望もいただいております。例えば、カメラの設置でありますとか、照明を明るくするであるとか、こうした安全、安心の観点での整備を、これは国道でありますので、是非進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のこの地下横断施設につきましては、これまでも国土交通省において、安全、安心の利用の観点から対策を講じてきたところでございます。

 例えば、この地下横断施設内の照明が暗いというお話が、地元から御意見がございましたので、関係機関とも連携いたしましてLED化を進めております。今年度中には、この整備が完了する予定となっております。

 また、大型商業施設開業に伴いまして利用者の増加が見込まれるということで、地元の御要望を踏まえまして、令和五年の四月から清掃の頻度も増やしているところでございます。

 また、今御指摘の、御要望のカメラにつきましては、道路管理上の必要性を整理した上で、設置について検討していきたいと考えております。

伊佐分科員 ありがとうございます。かなり前向きなお答えをいただいたというふうに思っております。LEDについても今年度中に全て設置をしていただくということでありますし、カメラについても前向きな検討をしていただけるということですので、是非取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 さっき申し上げた横に走っている国道、さっきのこの地下道がある国道百六十三号線、これは、大阪の梅田から奈良県の生駒市を通って、それで三重県の伊賀を通って、最終的には津市まで行く道路で、まさしくこれは近畿地方の幹線道路、横に走る幹線道路です。

 私の地元の門真市を通過しているわけですが、この一六三号線の沿線で、今、電線の共同溝整備というのを進めていただいております。この共同溝整備というのは、緊急避難道路に指定されているようなところについては、例えば電線を全部地下に埋めることで、無電柱化することで促進をして、緊急避難としての機能を維持するというものでございます。

 一六三号の沿線では、守口あるいは大阪市の旭区では整備が完了しておりますが、門真のこの地域は、まだ一キロにわたって整備がされておりません。ここは、例えば門真警察というのもあります。市役所もあります。防災拠点があるところですので、ここは喫緊の課題になっておりまして、この一六三号の門真市内の未整備の部分についても、是非着実に事業を進めていただければと思います。

 答弁をお願いします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 門真市内の国道百六十三号は、その沿線に、先ほどお話ありましたけれども、地域防災拠点となる門真市役所、門真警察署などがございまして、大阪府の地域防災計画において広域緊急交通路に指定されている重要な道路でございます。このため、災害時における緊急輸送道路の確保、また、安全で快適な歩行空間の確保、さらには、良好な都市景観の形成を図ることを目的に、電線共同溝の整備による無電柱化を現在進めているところでございます。

 これまで、門真市内の国道百六十三号では、延長一・六キロの電線共同溝の整備が完了しておりまして、現在、門真市の一番町から大池町間の約一キロにつきまして、電線共同溝の本体工事、一部工事に着手するとともに、残る区間についても調査設計、また支障物の移設を進めているところでございます。

 引き続き、占用企業者、また地域の皆様の御協力をいただきながら、早期完成を目指してしっかりと整備を進めてまいりたいと考えております。

伊佐分科員 もう既に調査設計には取り組んでいただいているということですので、着実な推進をお願いしたいというふうに思っております。

 次に、密集市街地について伺います。

 木造の建物が密集している、道路も狭い、公園も少ないというところで、これは、地震あるいは火事になったときには消防車が入れないという地域でありますが、当然、大規模火災になる可能性があります。特に危険なところとして国が指定したのが、全国で六千ヘクタールございました。うち、大阪は最大面積であります。その中でも、残念ながら、うちの地元は非常に多くて、例えば今、門真の話になりましたので門真で言いますと、小路町、元町、本町、そして石原町とか大倉町とか。

 こういうところは国の支援がないと、この密集市街地対策が進みませんので、ここもしっかりと支援していただきたい、防災性の向上をお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

石坂政府参考人 お答えいたします。

 地震時に大規模火災が発生する危険性の高い密集市街地の整備改善を進め、安全性を確保することは、大変重要な課題であると認識しております。

 密集市街地の安全性を高めるためには、延焼を抑制し、避難路となる道路の整備、避難場所となる公園や空き地の整備、老朽建築物の除却や延焼防止性能の高い建築物への建て替えといったことを推進する必要があり、これまで防災・安全交付金等を活用して、地方公共団体の取組を支援してきたところでございます。

 今御指摘の門真市におきましても、この防災・安全交付金を活用しながら、密集市街地の整備改善に取り組んでいただいているところでございます。国交省としても、引き続きしっかりと支援させていただきたいと思っているところでございます。

伊佐分科員 今回の能登半島の地震のいろいろな報道に接しておりますと、例えば輪島市は、木造の密の地域でありました。もう残念ながら、本当にああいう形で延焼が広がってしまったということであります。これは喫緊の課題だというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 今回の震災のいろいろな教訓がございましたが、一つ私が大事だと思った点は、学校の倒壊がなかったことだというふうに思っております。

 学校は、多くの場合、避難所に指定をされます。国は、学校の耐震化については、この十年、二十年、長らく、ずっと一生懸命進めていただいておりました。この時点、現在の時点で九九%を超える学校の耐震化が既に終わっているという状況の中で、こうして、ある意味、避難する場所が倒壊せずに守られたということは、見えないこれまでのインフラ整備の大事な効果だったんじゃないかというふうに思っております。

 守口市では、避難所として、学校の体育館のほかに、地域のコミュニティーセンターというところが避難所として指定をされております。このコミュニティーセンターの中でも、例えば、大規模改修が必要だとされている箇所が三か所ございまして、防災のためにいろいろな改修が必要になってまいります。

 その際に、ちょっと伺いたいのは、緊防債、緊急防災・減災事業債、こういうものを、こうしたコミュニティーセンターで使えるのかどうか、こうした事業に必要な支援を、ここを賄えるのかどうかというところを伺いたい。例えば、自家発電の設備整備であったりとか、あるいは屋根の落下防止であったりとか、こういうところが可能かどうか、伺いたいというふうに思います。

小谷政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の、守口市の防災機能を確保するための改修について、その内容を詳細には存じ上げておりませんが、一般論としてお答えいたしますと、指定避難所におけます電源設備等のかさ上げなどの防災機能強化、耐震化でありますほか、非常用電源の整備、それから、避難者の生活環境の改善のための空調の整備などにつきましては、緊急防災・減災事業債の対象として支援しているところでございます。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 最後の一問になると思います。これも確認です。

 今、門真市庁舎の建て替えを予定しておりまして、令和十四年のグランドオープンを目指しております。この建て替えの中で、都市計画公園とか防災機能を有する広場というのも考えられておりまして、また、断水になったときのことを考えて、貯水システム、これも導入できないかと。こうしたものが国の支援の対象となるのかどうか。具体的には、住宅市街地総合整備事業、この対象として考えられるかどうかを、最後、確認したいと思います。

石坂政府参考人 今、議員御指摘の、都市計画公園や防災機能を有する広場の整備につきましては、住宅市街地総合整備事業の支援対象となっているところでございます。

 引き続き、門真市とも連携しながら、市の取組を支援してまいりたいと考えているところでございます。

伊佐分科員 ありがとうございました。

 今日は、ひたすら地元案件をやらせていただきました。時間になりましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。

島尻主査代理 これにて伊佐進一さんの質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎さん。

    〔島尻主査代理退席、主査着席〕

緒方分科員 三十分、よろしくお願い申し上げます。

 大臣、よろしくお願いいたしますと言いながら、余り大臣に当てる予定もございませんので、聞いていていただければと思います。

 まず、騒特法ついて国土交通省にお伺いをしたいと思います。

 成田空港周辺にある成田空港株式会社保有の土地の管理についてですが、これは大丈夫でしょうか。おかしな目的に使われたりしているということはないということ、よろしいでしょうか、国土交通省。

平岡政府参考人 お答えいたします。

 成田空港会社は、事業用地のほか、先ほど御指摘ございました騒特法などに基づく騒音障害の防止などのため、土地の買入れを行っているところであります。

 買い入れた土地につきましては、事業の用に供するほか、例えばでございますが、騒特法に基づくものは、成田空港会社において、航空機の騒音により生ずる障害を防止し、適正かつ合理的な土地利用を図るという法律の趣旨、目的に適合するように管理をされているものというふうに承知をしているところでございます。

 具体的に申し上げますと、例えば、騒特法に基づき買い入れた土地の賃借を希望する方に対しましては、初めて契約する場合には、法令違反の有無等コンプライアンスチェックの上、騒特法に基づく建築規制の対象となる学校や住宅等の用地に供するものでないことや、都市計画法に基づく開発許可など、必要となる行政機関による許認可を取得していることなどを確認の上、取締役会等による審議を経て、適正な対価での貸出しを行うこととしております。

 なお、仮に賃借人による関係法令への違反や反社会的勢力への該当が明らかとなった場合などには、契約上、賃貸借契約を解除し、損害賠償や原状回復の請求を行うこととしており、成田空港会社において適切な対応が取られるものと考えております。

緒方分科員 確認までですが、法目的にある「適正かつ合理的な土地利用」というのは、なされているという認識でよろしいですね、国土交通省。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 現時点におきましては、法律の目的、趣旨にのっとって適正かつ合理的に管理をしているものというふうに考えております。

緒方分科員 ちょっと次はタイプの違う質問をさせていただきたいと思いますが、消費者庁にお越しをいただいております。ポンジ・スキームについてお伺いをいたしたいと思います。

 ポンジ・スキームというのは、破綻直前まで問題が露見をいたしません。結果として、被害者が資金を取り戻そうとしても、その原資が存在しないことが非常に多うございます。

 民事、刑事、行政面で様々な取組がなされていることは知っていますが、現状、被害者救済として不十分ではないかと思いますが、消費者庁。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 深刻な消費者被害をもたらす悪質な商法につきましては、委員御指摘のとおり、問題の発覚後、被害者が資金を取り戻そうとしても、その原資が存在しないということが多いということで承知をしております。したがいまして、被害の未然防止でありますとか早期の防止こそが重要であるというふうに考えているところでございます。

 その認識を踏まえまして、過去に大規模な消費者被害を発生させた販売を伴う預託等取引につきましては、令和三年の預託法の改正により、これを原則禁止とされたところでございまして、消費者庁では、その厳正な執行に努めているところでございます。

 その上ででございますけれども、深刻な消費者被害をもたらす悪質な商法による消費者被害の拡大の早期防止に向けては、実効性の高い手法等に関しまして、既存の法制度の運用状況も踏まえつつ、調査研究を進めてまいりたいと考えているところでございます。

緒方分科員 今、早期防止の話があったんですが、それはとても重要なことなんですが、もう一つ、ただ、もう話が進んでしまったときに、早期にお金を押さえて、そして利益を吐き出させて、そして取り戻すということ、私は重要じゃないかと思うんですね。

 ただ、これが憲法で認められる財産権の話とひっかかるということは、これはさすがに私でも分かるわけでありまして、そういう課題があることはよく分かります。ただ、そこで止まっていては、ポンジ・スキームにひっかかった人がほぼ救済されないということになると思います。

 政府全体で真剣に考えていただきたいと思いますが、もう一言。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、様々難しい課題があろうかと思います。

 ポンジ・スキームという御指摘がございました。それも、一般にそのような用語を使われているということでございますが、必ずしも定義が確立しているわけではないということもございます。どのような問題に対してどのようなアプローチができるのかということから整理をしていくということを、今、考えて、進めていきたいと思っているところでございます。

緒方分科員 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 不動産特定共同事業法についてお伺いをしたいと思います。

 これは、不動産をベースに、いろいろな商品化していく仕組みなんですけれども、まず最初に、事業実態が存在をしていないのに、その事業に対して利回りを保証する行為というのは、この法律又は関連法令上、何らかの問題があるということでしょうか。そして、現在、そのような事例がないというふうに言い切れますか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生御指摘の事業実態がないのにということでございますけれども、不動産特定共同事業の対象となる不動産取引に実態がないという場合には、不動産の取引内容に関しまして、著しく事実に相違する広告や、又は著しく人を誤認させる広告を禁止する規制が不動産特定共同事業法にございまして、この規定に抵触するおそれがあるというふうに考えられます。

 また、同じく不動産特定共同事業法の中で契約の締結の勧誘に関する規制があり、そこでは、その契約に関する重要事項につきまして、故意に事実を告げなかったり、また、不実のことを告げることを禁止することになっております。この勧誘の規制に抵触するおそれも考えられるところでございます。

 それから、利回りの保証という御指摘でございましたけれども、契約の締結に係る勧誘におきましては、配当の額が確実であると誤解させる断定的な判断を提供することを禁じております。また、断定的判断を提供するものではないにいたしましても、一定の額の配当が行われるという旨を表示すること又はそのように表示していると誤解されるおそれのある表示をすることにつきましては、それが予想に基づく旨が明示されている場合を除きまして、禁じているというところでございます。

 これらの規定との関係が、先生御指摘の利回りの保証という点については、問題になり得るものだというふうに認識してございます。

 事例の把握の状況ということでございますけれども、不動産特定共同事業に係ります不動産の取引に実態がない場合でありますとか、あるいは、配当を保証しているというような場合についてのこれまでの処分の事例については、承知をしてございません。

緒方分科員 続きまして、商品間での資金の移動というのは認められないというふうに理解をいたしておりますが、そのような事例がないと言い切れるでしょうか。そして、資金移動が商品間で認められないことというのは、どのように担保されておりますでしょうか、局長。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 商品間での資金移動につきましては、いわゆる不動産特定共同事業法におきましては、分別管理ということで、契約に係る財産につきましては、ほかの不動産特定共同事業契約に係ります財産とは分別して管理しなければならないという仕組みになってございます。

 これを担保する方法でございますけれども、法令によりまして分別管理の方法を定めております。

 一つは、五年間の保存が義務づけられております法定の帳簿といたしまして、対象の不動産が同一である不動産特定共同事業契約ごとに、財産や収益の明細に関する書類を作成しなければいけないということがまず一つでございます。

 また、二つ目といたしましては、対象不動産が同一である不動産特定事業契約ごとに、口座名義を明らかにした預貯金等で金銭を管理するということにしております。こうすることで、分別管理の担保を法令上確保しているところでございます。

 この分別管理規定に違反しているものとして、処分を行った事例がこれまでにもあるというふうに承知しております。

緒方分科員 続きまして、これと似たような話なんですが、例えば、出資金を募って、利回りを保証する行為が行われているんだけれども、実際は、運用して利回りを出しているのではなく、出資金の元本から利回り分を払い戻すという手法は、これは利回りと呼んではならないというふうに思うんですけれども、この法律上、こういう行為についていかなる対応がなされておりますでしょうか、局長。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、利回りという言葉につきましては、不動産特定共同事業法において、呼び方を規制しているということではございませんけれども、一般投資家向けの不動産特定共同事業の契約におきましては、出資の目的である財産は、不動産の売買などの取引によりまして運用をするという旨が必ず定められる仕組みになってございます。

 また、契約の成立前や契約が成立するときに、事業者から投資家に交付をする書面というものがございます。この事業において売買などの目的となる不動産をその書面の中で特定をすべきものというふうにされております。

 したがいまして、本事業において出資を求めた金銭によりまして不動産の取得などを行っていないという場合につきましては、投資家との契約条項に違反をするということが一つは考えられるところでございます。そしてまた二つ目には、契約の成立前、あるいは契約の成立の際に、事業者が投資家に対して交付して説明する書面の記載義務に違反をするというおそれもあるというふうに考えられます。

緒方分科員 続きまして、この不動産特定共同事業において、それぞれの事業者が、自己資本比率とか、流動資産比率とか、あと固定比率とか、そういった指標について、事業者にこの法律上又は関連法令上何らかの規制や指導をする仕組みというのはあるのでしょうか、局長。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 不動産特定共同事業法におきましては、委員御指摘の自己資本比率に関する規制あるいは流動資産を基にした比率を規制する規定、これは、直接規制する規定は置いてございません。

 一方で、事業者が有しております流動性につきましては、事業者に対しまして、財産の状況を記載した書類というものを作成をさせまして、これを事務所に備え置かせまして、投資家の求めに応じて閲覧をさせなければならないということにしております。

 したがいまして、これによりまして、投資家の方々は、御自身で投資先の事業者の流動性などの財務の状況を把握することが可能な仕組みというふうに制度上してございます。

 このほかでございますけれども、不動産特定事業の許可を出します際の基準としまして、不動産特定事業者というのは投資家の財産を長い期間にわたって預かる者であるということを踏まえまして、その財務につきまして、最低限の健全性を確保するチェックを行っております。

 具体的には、資本金の要件でありますとか純資産の要件というものを課してございまして、これは許可の段階だけではございませんで、許可の後も、事業を継続している限り常に満たしていなければならない。そういう規制として、資本金規制や純資産規制を行っているところでございます。

 そして、その確認が毎年度ごとに行えますように、事業報告書というものを毎年度許可行政庁に提出するよう義務づけているというところでございます。

緒方分科員 先ほど言った自己資本比率とか流動資産比率、閲覧が可能だということでありましたが、恐らくこれは、備え置いて、見たいという人がいたら見ることができるということなんだろうと思いますけれども、そもそも、今、先ほどの答弁をそのまま聞くのであれば、わざわざ事務所まで行って見せてくれと言わなきゃいけないということだと思うんですけれども、今どきそれでいいのかなというのと、こういったことについて、情報がしっかり開示されないと出資者保護の観点から問題があると思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 政府全体で、書面による閲覧の制度につきましては、デジタル化による対応が可能になるようにということで、全体的な見直しの作業が行われております。その作業の中で私どもも必要な対応を行ってまいりたいと存じます。

緒方分科員 この仕組み、匿名組合という仕組みと合わせてやることができるようになっています。この場合、事業者側が情報を事実上占有してしまって出資者が著しく不利になるのではないかという懸念を持つわけでありますが、局長、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、専門の事業者の方と消費者の方との間では、情報の非対称性がありまして、そういうことが多いと思います。先生御指摘の匿名組合を活用しました不動産特定共同事業におきましても、やはり同様の状況にあるというふうに思います。

 また、不動産特定共同事業の中でも、匿名組合を活用する方法以外に任意組合を活用する方法というものもございまして、こちらの方法でありますと、投資家の方は出資に応じて対象不動産の持分所有者というふうになるのに対しまして、御指摘の匿名組合型の場合ですと、投資家は金銭を出資するのみである、こういう差もあるということも一般的に言われていると承知しております。

 このような立場にある投資家の方を保護するために、不動産特定共同事業の契約を結びます際は、事業者から投資家に対して、その投資判断に必要な重要事項を記載した書面を契約前に交付をし、説明をしなければならないことといたしまして、また、契約の際にも、法定事項を記載した契約書面を交付しなければならないというふうに、契約段階での消費者保護を図っているところでございます。

 加えて、商品の運用の段階におきましても、商品の運用状況を投資家に報告をするということを目的として、財産管理報告書というものを定期的に投資家に交付することを事業者に義務づけております。

 こういった制度によりまして、投資家に一定の重要事項の開示というものが行われますように、制度の的確な運用に努めてまいりたいと存じます。

緒方分科員 今局長が言われたとおりでありまして、対象とする不動産に対する権利を有しないんですね。かつ、また、自分以外に誰が出資しているかということも、この匿名組合方式だと分からないんですね。

 結果として、出資者保護が極めて弱いのではないかと思うので、これは制度を見直すべきではないかと思いますが、局長、もう一言。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今、匿名組合方式については、金銭を出資するのみで、通常、その同じ立場にあるほかの投資家の方がどういう方であるかというのが分かりにくいという御指摘を賜りました。

 そういう匿名組合方式の制度の一部を、法令上、軌道修正するような形で、不動産特定共同事業法の中では、その事業参加者の名簿というものを不動産特定共同事業者が必ず作成しなければならないことといたしまして、かつ、それを投資家の方の求めに応じて閲覧に供するということにもしておりますので、そういう形で、匿名組合の十分でないところについては補っていきたいというふうに存じます。

緒方分科員 さらに、ちょっとこれは本当に純粋な質問なんですけれども、例えば、この不動産特定共同事業法で、外国にある不動産に対して、この不動産特定共同事業法で出資を募ることというのは、これは可能でしょうか。局長。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産特定共同事業法上、対象となる不動産について特段の限定をしておりませんので、投資家の方が一定の注意を要しなければいけなくなるということはあるかとは思いますけれども、制度上、そこは否定しているものではございません。

緒方分科員 大臣、聞いて少し変だなと思われたと思いますが、シベリアの土地でこれをやりますということだって、これは可能なわけですよ。これはちょっと見直した方がいいと思うことを、あえて指摘として申し上げさせていただきたいと思います。

 続きまして、ある不動産について、この不動産特定共同事業法の仕組みを使って出資を募った上で、その後、グループ企業内取引で、実勢の不動産価格ではなくて出資額をベースにした価格、つまり著しく高額で取引することは、この法令又は関係法令の中で問題はございませんでしょうか、局長。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産特定共同事業法におきましては、投資家保護を図りますために、契約前に投資家に対して書面の交付や説明を行うこととしておりますが、その中で、グループ企業のように、事業者にとって利害関係を有する者が保有をしている資産を、この不動産特定共同事業の対象不動産として購入をするなどの行為をしようとしている場合には、その旨について投資家に対して開示をしなければいけないということにしております。

 また、利害関係者の名称でありますとか、利害関係人との関係、そして、取引の内容などの情報についても情報提供をしなければならないこととし、投資家に対して特段の注意喚起を促す仕組みを利害関係者については設けているというところでございます。

 また、取引の価格でございますけれども、この価格については、その価格自体と算定方法を、これも書面に明記をして交付しなければいけない、また、鑑定評価があるかないかということについても必要最低限の記載事項にした上で、さらに、利害関係人との取引につきましては、その利害関係人との取引価格ということについても記載事項に追加をしているところでございます。

緒方分科員 続きまして、ちょっと質問しますが、この不動産特定共同事業の仕組みで年金商品を販売することはできないと理解をいたしておりますが、可能でしょうか、局長。

塩見政府参考人 委員がおっしゃっておられる年金商品というものがどういうものかということにもよろうかと思いますが、まず、年金というその文字を使っていいかとかいうことについては、特段の制限を設けているものではございません。

 ただ、先ほども御答弁を申し上げましたとおり、契約締結に際しての勧誘におきまして、配当の額が確実であると誤解させるような断定的判断を提供することは禁じているなどの規制があることを御答弁申し上げました。

 実際の公的年金では、一定の金額が将来支払われることは保証されているということといたしますと、それと同じように、この商品が将来必ず一定額の配当が支払われるというふうに表示をしている、あるいは、その表示をしていると誤認させるおそれがある表示であるという場合には、先ほど申し上げました規制に抵触するおそれも考えられるところでございます。

緒方分科員 金商法においてはかなり厳格な広告規制が行われていると承知をいたしておりますが、先ほどから、局長、結構広告規制についていろいろ言われておりますが、ちょっと事前のレクのときと話が違ったなという感じがしているんですけれども、この金商法上の広告規制と、不動産特定共同事業法上の、局長が言われた様々な広告規制というのは、同一のものでしょうか。それとも、何かちょっと差があったりするのかなとか思うんですけれども、いかがでしょうか、局長。

若原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお尋ねがございましたとおり、不動産特定共同事業法の方には幾つか広告規制がございますけれども、こちらの広告規制につきましては、金融商品取引法と同様に、投資判断をゆがめないようにする観点から、事業者が広告をするときは、一定の事項について著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をすること、こういったものを禁止行為としておるところでございます。

 具体的に申し上げますと、利益の保証などに関する事項でございますとか、事業の実績に関する事項でございますとか、事業者の資力又は信用に関する事項、こういったことにつきましては、誇大広告のことを禁止しているということでございます。

緒方分科員 大学時代、ゼミが一緒でありました若原参事官とこういう形でやり取りをさせていただくというのは、もう本当に時がたったなというふうに思います。

 もう一度、これは、何度か御答弁あったのかもしれませんけれども、もう一回確認なんですが、元本保証のない商品において、この不動産特定共同事業で、例えば、現在に至るまで固定利回りを保証してきた事実を殊更に喧伝するとか、あと、出資後、放置しておいても利回りが確実に得られるかのような宣伝をすることは、この法律上問題があるというふうに理解してよろしゅうございますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事業の個別の事情につきましては、一つ一つ判断しなければならないので、断定的なことはちょっと申し上げにくいわけでございますけれども、不動産特定共同事業法の仕組みとして申し上げると、事業の実績に関する事項でありますとか、配当の保証に関する事項については、著しく事実に相違をする表示をすることや、著しく人を誤認させるような表示をしてはならないという広告の規制がございますので、それへの該当性を個別に判断をさせていただくということになろうかと思います。

 また、契約締結の際の勧誘におきましても、一定額以上の配当が行われるというふうに誤認させるおそれがある表示をする行為につきましては、これは予想に基づく旨が明示されている場合を除きまして禁止をしておりますので、これらに抵触するような宣伝をする事業者につきましては、不動産特定共同事業法違反のおそれがあるというふうに考えております。

緒方分科員 最後に一つだけ。

 そもそも論に戻るんですけれども、この不動産特定共同事業法は、金商法に基づく、金商法の中で位置づけられる金融商品ではないというふうに、事前のときにレクを受けたんですね。ただ、これは物すごく金融の要素が強くて、そういうことがあるにもかかわらず、結構厳格に定めてある金商法の対象にならないというのは、何かどうしても違和感があるんですよね。

 それは問題だというふうに思われませんか、局長。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産特定共同事業法につきましては、金融庁と国土交通省が力を合わせて、適切な法の施行を行っているところでございます。

 金商法と不動産特定共同事業法は、その役割分担を法令の中で明確に分けておりまして、金商法の事業の対象から不動産特定共同事業については除くという規定を設けているところでございます。

 しかしながら、先ほど広告規制についてお話を申し上げましたとおり、金商法と不動産特定共同事業法は、ほぼ同等の規制を課しているところでございますし、また、処分などの規定につきましても同様に、指示の処分でありますとか、業務停止の処分などが行えるという仕組みになってございます。

 したがいまして、制度としては一定の整理がされているものと存じますけれども、その適正な運用が図られますように、引き続き対応してまいりたいと存じます。

緒方分科員 終わります。

佐藤主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、荒井優君。

荒井分科員 立憲民主党の荒井優でございます。

 二年前のこの予算委員会の分科会で、ちょうど二年前、大雪が北海道でありました。観測史上初めてという大雪がありまして、そのときに除排雪の話を大臣にも伺いました。その際には、斉藤大臣からも幼かったときの、三八豪雪の多分御経験だったと思いますが、その雪の思い出についても、大臣からも御答弁いただいたというふうに記憶しております。

 また、そのときに、国土交通省からは、こういった除雪、排雪についてどういった取組をしていくのかというのを伺った際に、技術開発をしていきながら新しい仕組みをどんどん導入していきたい、そういうような回答があったかというふうに承知しております。

 それから二年たったわけですが、こういった除雪、排雪に対しての技術の開発というのがどのように進んできているのかについて、まず伺いたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 令和四年二月十六日の予算委員会第八分科会において、熟練オペレーターでなくとも道路除雪ができるよう、除雪車の作業装置を自動化する技術開発を行い、全国展開に向けた実証実験を進めている旨、お答えしたところでございます。

 この作業装置を自動化したICT除雪機械の実証実験について、令和三年度まではテストコースで個別技術の検証を行っておりましたが、令和四年度からは、北海道の深川留萌自動車道など実際の道路で、通常二名体制のところ一名でロータリー除雪車などの車両運転を行い、衛星による位置情報の把握や周辺探知による安全確保の状況を確認しております。

 令和六年度以降も、対象箇所を増やして、様々な条件下で実稼働時の安定性確認のための実証実験を令和七年度まで進めてまいります。

 今後とも、除雪車の作業装置の自動化など技術開発を進め、除雪オペレーターの高齢化、担い手不足への対応を進めてまいります。

荒井分科員 ありがとうございます。是非、どんどん進めていっていただきたいというふうに思っております。

 ただ、除雪のオペレーターが不足していくという事態を、今まで二人だったものを技術開発によって一人にするとか、自動化を図っていくという、こういった仕組みに関しては、どちらかというと、地域においては実現可能だと思うので、地方部というんですかね、僕の住んでいる札幌市内の特に生活道路とかはこういった、道幅も非常に細かったりいたしますので、なかなか人手を減らしていくということが非常に難しいんだというふうに思っています。

 こういったところに対しての取組というのも、札幌市とかは一生懸命やっているとは思っているんですが、是非国もしっかりと見守っていただきたいというふうに思っています。

 国交省のホームページを見ると、豪雪基本計画にのっとって、雪国の安全・安心な地域づくりを考える活動報告会みたいなものを、ちょうど一年前の今日、オンラインでやっていたりもしますが、こういった、豪雪地帯によってそれぞれ状況が違う、新潟の町中であったり地域であったり、北海道の町中であったり地域であったり、違うところを、オンラインでやるような機会、非常に大事だと思うんですが、是非、地域任せにせず、いろいろな知恵を、ナレッジを共有していくみたいな活動が必要になっていくんじゃないかというふうに思っています。

 最近では、コレクティブインパクトみたいな形で、NPOとか行政や自治体とかいろいろなところが関わりながらやっていく手法も出てきていると思いますので、是非、除雪に関してもコレクティブインパクトを活用するというか、そういったものを大胆に取り込んでいくような、そういう施策を取り組んでいただければなというふうに思っております。

 続きまして、JR北海道のことについて伺いたいと思います。

 JR北海道に関しましては、民営化から三十七年という時間がたってきているわけですが、三十七年というと随分前のことになっています。

 最近だと、例えば今、毎週金曜日にTBSの番組で「不適切にもほどがある!」というドラマがあるんですが、大臣が御覧になっているかどうか分かりませんが、随分前の時代の人が今にタイムスリップしてしまうみたいな話なんですけれども、これはちょうど、この主人公の人が、昭和六十一年の風景を、昭和六十一年にいる時代からタイムスリップしてしまうんですね。ちょっと有名なこのテレビドラマの中のワンシーンに、例えば、バスの中でたばこを吸っていたり、学校の先生なんですけれども、学校の授業中にも教室でたばこを吸うみたいな、あの時代はそういうことが許されている時代、一般的だったという時代なんだと思います。

 まだまだ、三十七年前といいますと、日本もまだバブルがはじける手前の時代で、勢いがあった時代。こうしたときに、このテレビドラマの翌年にまさに国鉄の民営化という、勢いがある時代に国鉄の民営化というのが行われたんだというふうに思っています。

 ちなみに、僕は当時十一歳ですので、余りその時代のことは、小学生でしたから経験がない、記憶には余りないんですけれども、でも、勢いのあるときに国鉄を民営化したということが、でも、そこから三十七年たって、非常に今苦しい状況にJR北海道は置かれているわけです。

 ちなみに、民営化というふうなことをよく言われますけれども、僕も実はこの立場になるまで誤解していたんですが、JR北海道は、でも純粋な民間企業ではなくて、まさに、株主としてはJRTT、鉄道・運輸機構が所有する、完全な民営化とは言えないような状態であり、国交省や国が管轄をしているんだというふうなことを僕も国会議員になって初めて知った事態にあります。

 そもそも、それは、民営化するときに経営安定基金の運用益を、それによってまさにJR北海道の運用が成り立つように、国がそう認めて進めてきたんだと思いますが、御承知のように、運用益がどんどん減ってくる中で、非常に苦しい経営をずっとJR北海道はしてきているわけです。

 この運用益、元々七・三%の利回りで回っていくように運用益が設定されているというふうに聞いていますが、これが今急減していてJR北海道の経営難に直結しているわけですけれども、そもそも、この運用益が急減したというのは、これはJR北海道の経営の責任というふうに言うことはできるんでしょうか。政府参考人からお答えください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 国鉄改革の際に、JR北海道につきましては、御指摘のように、営業損益で赤字が生じることが見込まれる中で、将来にわたって安定的な経営を継続するため必要な収益調整措置といたしまして六千八百二十二億円の経営安定基金が設置され、その運用益で事業全体の営業損益を補うことで経営の安定化を図ることとされておりました。

 しかしながら、低金利の長期化等によりまして、運用益が当初の想定よりも下回る状況が続いているところでございます。

 これはあくまで市場動向等による結果と認識しておりますが、このような状況にあっても、経営安定基金の運用益を確保し、その機能をしっかりと発揮させることが必要であることから、国においてもこれまで、鉄道・運輸機構による借入れによる運用益の下支えや実質的な基金の積み増しによる支援を行っているところです。

 これに加えまして、令和三年に改正された国鉄債務等処理法等に基づきまして、生産性向上のための設備投資に必要な資金の出資等による支援も行っているところでございます。

荒井分科員 まさに、先ほど申し上げたように、バブルがまだまだ右肩上がりでいくだろうという時代に国鉄の民営化というものをして、民営化したその五年後にバブルが崩壊するわけですから、その当時には、まさか崩壊する、この利回りがどんどん下がっていくということを予定していなかった、それはJR北海道の人たちもまさにそうなんだと思うんですね。

 北海道に住んで、北海道の人たちと向き合っていると、何だか随分、JR北海道という会社がしっかりやっていないんじゃないか、そんな雰囲気の報道であったり、散見されるわけですけれども、僕はこの立場で、JR北海道の経営者の皆さん、そして働いている皆さん、従業員の皆さん、また地域の市町村、自治体の首長の皆さんとこうやってお会いしていても、誰一人怠けているということは全くなくて、運用益が、元々あったはずのものを、前提としていたものがどんどん減っていく中でこれを、一体どうやって地域を守りながらその事業を続けていくのかというのを、本当に苦労している、そんな状況が見受けられるわけです。

 もちろん、だからこそ国も一生懸命向き合って様々な支援をしてきているんだというふうに思いますが、ただ、元々この民営化というものを目指していったときに、確かにJR東日本や西日本は上場ということで完全な民営化というのを実現したと思いますが、よく三島の鉄道と言われるJR北海道には、今、国としては何を目指すということを求めているんでしょうか。上場して完全な民営化というのを実現してほしいというのを引き続き目指しているんでしょうか。教えてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 国鉄改革でございますけれども、これは、当時の国鉄をJR旅客会社に分割いたしまして民営化するということでございました。その際に、まずは経営形態を特殊会社化するということで、経営基盤の確立等の条件が整い次第、逐次株式を処分し、できる限り早期に純民間会社に移行するということとされたところでございます。

 ただ、JR北海道につきましては、御指摘のような事情、あるいは先ほど申し上げました市場動向、こういったこともございまして、現在におきましては厳しい経営環境が続いているということでございますので、まずはその経営自立に向けた取組を着実に進めるということが重要と認識しておりまして、そのために必要な支援や指導等を引き続き行っているところでございます。

荒井分科員 経営自立ということですよね。

 JR北海道のこの四から十二月期に関しましては、経営の状況というのは大変いい状況で推移しています。つい先日も発表されましたが、元々定めていたKPI、キー・パフォーマンス・インディケーターに関してはほぼ達成したというふうに報道でも出ておりますし、経常利益でも一億円プラスになるという形で、最終損益も、国の助成金込みでプラス百億円という形で、経営としてはプラスになってきているということが報道されています。

 ただ、これは会社とかを経営してみると分かるわけですが、黒字というのは、出そうと思えば、無理をすれば出せなくはないというふうにも思っていまして、つまり、無理をすれば、いろいろな投資や若しくは人件費の増など、本来やるべきことを少し遅らせることによっても当然黒字化をするということは実現する。要は、無理をすれば、することというのはできなくはないわけですね。

 僕は余りここは、昔のことに関しては分かりませんが、ただ、以前、JR北海道に事故が続いたときには、まさにこういう経営的な黒字化をどうしてもせざるを得ない状況下の中で、するべき投資というものを、少し二の足を踏んだ、そういったこともあったんじゃなかろうかというふうに想像することもできなくはないというふうに思っていますので。やはり、特にこういう安全、安心というものが必要な公共交通の場合には、無理に黒字化をするということを目指すのではなくて、しっかりとした運転、運営というものが必要になるというのは、多分、国交省もすごくそこは気を配っているところだというふうに思っています。

 そういった意味においても、元々は、つまり、当初の話に戻しますが、バブルの、まだ右肩上がりのときに民営化をしていく、そして上場を目指していく、確かに、もうかっている路線を持っている会社に関しては、それで上場を果たして日本を牽引する会社になってきたかもしれませんが、元々上場することが非常に難しい、赤字のままでしか運営ができないというような会社に関して、本当にこれを独立採算の元々の発想のままやる必要があるのかどうかというのを僕としては疑問にも思うところです。世界では、こういった鉄道に関しては、公共事業に関しては、独立採算するというスタイルの方が珍しいということも勉強してきました。

 これから人口の減少とか高齢化、そういったものが続いていく日本の中で、とはいえ北海道というところに対しての路線を止めるわけにはいかないわけですから、そもそも、JR北海道などへの支援の在り方について、やはりどこかでもう一回大胆に考え直す必要もあるんじゃないかというふうにも思っていますが、そこのところを国交省はどのようにお考えなのか、教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 済みません、非常に重要な問題なので私の方から答えさせていただきます。

 JR北海道は、北海道内の基幹的な公共交通サービスを提供していることから、その持続的な経営の自立は地域の経済や生活の維持発展のために必要不可欠であると認識しております。

 しかしながら、北海道は広大で、多大な設備投資を要する一方、人口密度が小さいといった特殊性を有し、大量輸送という鉄道特性が発揮しづらい地域となっています。また、人口減少やモータリゼーションの進展による輸送人員の減少、コロナ禍の影響等により、大変厳しい経営環境に置かれております。

 国土交通省としては、今荒井委員御指摘の、いわゆる大変厳しい状況の中にありまして、平成三十年に監督命令を発出し、JR北海道と地域の関係者が一体となって利用促進やコスト削減などの取組を進めていくよう促すとともに、令和三年に改正された国鉄債務等処理法などに基づく支援を行っているところでございます。

 現在、JR北海道においては、経営環境や社会経済情勢も踏まえつつ、来年度からの次期中期経営計画の策定を検討しているところです。

 国土交通省としては、今後ともJR北海道の経営自立化に向けて適切に指導監督してまいりたい、このように思っております。

荒井分科員 斉藤大臣、ありがとうございます。

 まさに、JR北海道の在り方というのは、国交省が大きな責任があってやっていくことだというふうに思っております。特に、今お話しいただいたように、次の中期経営計画に向けてJR北海道も一生懸命頑張っていますし、それに対して国交省もしっかり向き合っていただきたいというふうに思います。

 ちょっと話が長くなりましたので、青函トンネルにおけるJR貨物等の在り方に関しては今回は質問を省かせていただきますけれども、それでも、北海道新幹線をどのように高速化していくかということも含めて、JR北海道単体では解決できない問題が今たくさんこれは横たわっているわけですね。是非、そういった意味でも大臣のリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っておりますし、それに向けて、斉藤大臣にも北海道の、まさにJRの北海道に乗っていただきながら、こういった北海道の現状の在り方について考えていただく機会をつくっていただきたいと思います。

 大臣はお忙しいとは思いますけれども、特にこの冬の期間というのは、冒頭に申し上げたように、まさに、働いている人も乗る人も、朝起きれば雪かきをして、そこから出社する、そこから学校に向かうみたいなことをしながら、そういった雪国特有の生活がある中で、北海道の鉄道というものをみんな活用したり乗ったりしているわけですね、運営したり活用したりしています。この大変さという中にも一つ大きなJR北海道の苦しさがあるというふうに思いますので、前任の赤羽大臣は多くの路線を乗っていただいたというふうにも聞いておりますし、是非、斉藤大臣にも実際の路線を乗っていただいて、JR北海道の今後の在り方について御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほどお話がございました、今、北海道新幹線、着工して頑張っております。その北海道新幹線をどう生かしていくか、それもこれからJR北海道の大きな一つのプラスの要因ではないかと思っております。そして、貨物の問題、これも非常に重要でございます。そういう、非常に日本の将来にとって重要な課題を持っているJR北海道でございます。

 私も、もちろん室蘭本線等については全線乗りました。北海道新幹線にももちろん乗らせてもらいましたけれども、しっかり私も、ただ、冬の期間には乗ったことがないので、是非また行かせていただきたいと思います。

荒井分科員 僕の父も本当にライフワークのようにJR北海道の問題を扱ってきましたが、これは元々、JR東日本の会長も務められた北海道御出身の松田昌士さんが、まさにJR北海道をどういうふうに再生していくかというときに、まずとにかく、JR北海道のことを考えるのであれば、苦しい路線に全部乗ってから、それから考えるべきだというふうに言われたのを父も実行したというふうに聞いています。

 実際、自分もこの立場になってみると、土日しか動けない中で全ての路線に乗るというのはなかなか難しい時間の使い方だったというふうに思いますが、でも、そういったことをしながら、地域の皆さんにとっての必要な路線というのをどのように感じるかというのは大変重要だと思いますので、是非、大臣にも冬に乗っていただいて、共にJR北海道の今後について考えていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、電柱のことについてお伺いしたいというふうに思っております。

 日本の電柱というと、これは、いろいろな会社の入社試験で、日本には電柱が何本あるかみたいな質問がされるケースがあるわけですが、これはフェルミ推定という、ちょっとしたクイズみたいな、思考を測る試験みたいなことで言われるわけですけれども、でも、マンホールの数とかそういったものが幾つあるかというふうに言われるのがフェルミ推定ですが、外資系コンサルとか、そういったところでよく使われます。

 日本は電柱の数を推定することができますけれども、イギリスやフランスなどのヨーロッパではそもそも電柱の数を推計することができないんだなというのを、今回よく分かりました。ロンドンやパリを含めて、各国では既に無電柱化が進んでいますので、そもそも電柱がないわけですね。ですから、イギリスやフランスで電柱の数が何個あるかというふうに言っても、学生たちは答えることができない、考えることができないんだというふうに思います。

 一方、日本の場合には、電柱は、これはフェルミ推定ではなく、既にもう算出されているもので出しても三千六百万本あるというふうに出てきていますが、その中でも、そのほとんどが、別に国交省のものではなくて、経済産業省のもの、ものというか、経済産業省が所管しているもの、そして総務省が所管している、それぞれ、つまり、電気のための電柱と、あと電話のための電柱という形で、それを道路を所管している国交省が見ているということになるんだというふうに伺っています。

 国交省にしても、無電柱化推進法というのを作り、無電柱化を、電柱をなくしていくというのを進めていくというふうなことが決まっているというふうに伺っていますが、でも、現実的には、電柱そのものは逆に増えている現状があるわけですよね。

 そもそも、どうして無電柱化が進んでいないというふうに国交省としては考えているのか、お答えいただければと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 全国にどれぐらい電柱があるかということで、先ほど、三千六百万本の電柱があるということでございます。それで、令和四年度のデータでいいますと、五万本ほど増えてきているということでありまして、これは主に、住宅への電力の供給であったりとか、再エネ発電施設への接続に関する新規の申込みがあったり、そういったことで五万本の増加ということであります。

 そういったものを極力減らしていくということで、道路だけではなくて、経産省、総務省、うちであれば、道路だけではなくて、都市の、市街地分野の担当を含めて、これを少なくしていこうと今努力をしているところでございます。

荒井分科員 まさに国交省からしてみたら、それでも、経産省の所管の電力会社や電話会社から電柱をつけたいというふうに言われれば、簡単にノーとは言いにくいんだろうというふうに想像はできるんですよね。

 ただ、一方では、この無電柱化するコストが、各国に比べると日本の場合には五倍から十倍ぐらいしているようにも散見されます。逆に言うと、国交省が道路のことを守り過ぎている。つまり、その埋めるやり方に関しても非常に丁寧なやり方をされているんだろうと思うんですが、とはいえ、ほかの国に比べ、まさにイギリスやフランスに比べても五倍、十倍というのは、規制が強過ぎるんじゃないかという観点もしています。

 この規制をもっと弱めることで、例えば電力会社等も地下に埋めることがよりやりやすくなるんじゃないかというふうに思いますが、この規制の緩和について、検討する余地があるのか、教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 済みません、私の方で答えさせていただきます。

 無電柱化は、防災、安全、円滑な交通の確保、景観形成、観光振興を目的に推進している大変重要な施策でございます。

 電柱の占用制限などにより電柱増加を抑制するとともに、無電柱化を進めるに当たっては、更なるコスト縮減や事業のスピードアップが課題であると考えています。

 まず、コスト縮減につきましては、現在、管路の直接埋設などの手法の普及、直接埋めちゃうということでコストを縮減する、そして、埋設する深さの基準の見直しなどに努めているところでございます。

 また、事業のスピードアップに向けて、電線管理者などの民間ノウハウを活用するため、設計、工事、地元調整などを一体的に電線管理者などが実施する包括発注などにも取り組んでいるところでございます。

 引き続き、電力事業、通信事業を所管する経産省、総務省や電線管理者などとしっかりと連携しながら、防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策の予算も活用しながら、無電柱化を強力に推進してまいります。防災・減災上も大変無電柱化は重要でございます。

荒井分科員 ありがとうございます。

 是非ここも大臣のリーダーシップで、他省庁にまたがるところだと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。本当に、これからまた、大きな地震やそういったものを見通すと、無電柱化というのは非常に重要なことになるというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは最後に、地域の公共交通の在り方について伺いたいというふうに思っております。

 現在、先日も予算委員会で大臣に地下鉄とシェルターの関係についても伺ったわけですけれども、今日は、そもそも、今、地下鉄の延伸を計画しているところというのがどれぐらいあるのかというのを教えていただければと思います。

村田政府参考人 お答えいたします。

 現在整備中の地下鉄の路線といたしましては、まず一つ目が、大阪都心部と関西国際空港とのアクセス改善等を図りますなにわ筋線、二つ目といたしまして、東京の国際競争力強化の拠点である臨海副都心へのアクセス向上等を図ります東京メトロの有楽町線の延伸、三つ目といたしまして、リニア中央新幹線の始発駅となります品川駅へのアクセス向上等を図ります東京メトロの南北線の延伸の三つがございます。

 また、直近で開業した路線といたしましては、令和五年三月に開業いたしました、福岡都心部の天神地区と博多駅地区を結ぶ福岡市地下鉄七隈線の延伸がございます。

荒井分科員 今、僕の地元の札幌でも地下鉄の延伸についてはテーマに上がるわけですが、また、最近では埼玉でも、地下鉄の延伸について、やはり、元々予定していたけれども、工期が大幅に延びそうだというのと、価格も予定よりも大分上がりそうだということで、なかなか前に進められない、そんなこともニュースにも上がっておりました。

 ただ、地下鉄というのは非常に重要な公共交通機関にもなり得るというふうにも思っておりますので、是非、地下鉄をしっかりと延ばしていくということに対して、国交省としても引き続きまなざしをしっかり向けていただきたいなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 もう一点は、ライドシェアのことについて最後に伺いたいというふうに思います。

 僕自身も、ライドシェアに関しましては超党派の勉強会の事務局長も務めておりますので、ある程度ライドシェアのことについては理解しておるつもりですが、ただ、今年の四月から始まるまさに日本版ライドシェア、このライドシェアという言葉の定義が大分曖昧に更になってきているところが多いんじゃないかというふうに思っております。

 今、僕自身の考え方の整理では、日本版のライドシェアというものは、いわゆる道路運送法の七十八条の二号における自治体が運営するライドシェアと、そして、三号における、タクシー会社の規制緩和による、タクシー会社がやるライドシェアと、そして、今後新法をするみたいな話になっている、海外型のという言い方になるのかもしれませんが、ライドシェアと、この三つのライドシェアの概念が、それぞれの皆さんの見方によって、あっちがいいとかこっちがいいとか、これが駄目だという議論になっているような感じがしていて、ちょっとこれは、報道においてもライドシェアというものの定義が非常に曖昧になってしまっているところに少し、大きく心配をしているというところがございます。

 四月からライドシェアが一部では始まると思いますが、ひょっとすると、多くの国民の方からすると、これをライドシェアというんだっけということが起きてしまうんじゃないかというふうに思いますので、是非、国土交通省には、今度四月から始まるライドシェアというものがどういうものなのかというのをしっかりと説明していく、伝えていくという努力をしていただきたい。僕もそれはしっかりしていきたいと思っております。

 その意味において、今、この四月から始まった上で、六月において今回の実施効果を検証した上で、新しい新法を秋に出すかどうかということを見るんだということを言っていますが、これは一体、六月に何を、実施効果を検証するのかというふうに捉えているのか、お答えいただければと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 問題の本質は、やはり、地域の足、特にタクシーが不足している地域がある、またそういう時間帯がある、こういうことに対してどう対応していくかということかと思います。

 その上で、最も大切なのは安全であり、事故が起きたときの責任であり、そして雇用という問題だと、この三点をどう捉えるかということで、その上で、まず現状の日本の法律の下でできる限りのことをやろうということで。

 まず、七十八条の二号に相当するものとして、自家用有償旅客運送制度につきましては、対価の目安をタクシー運賃の約八割とし、交通空白地に時間帯による空白の概念を取り込むなど、昨年末に運用改善を行い、一部地域においては、改善後の制度を活用し、社会実装が進んでおります。引き続き、運行区域の柔軟な設定の促進など、更なる運用改善を速やかに行う予定です。

 三号の方ですが、タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車や一般ドライバーを活用する運送サービスについては、二月九日から制度案のパブリックコメントを実施しているところであり、いただいた御意見をしっかりと踏まえながら、安全、安心の確保を大前提に、引き続き丁寧に議論、検討をして、本年四月の開始に向け、制度内容を決定してまいりたいと考えております。

 このライドシェアに係る法制度につきましては、これらの施策の実施効果をしっかり検証した上で、六月に向けて議論したい、このように考えております。

 あくまでも大切なのは、安全であり、そして事故の責任体制であり、そして日本の雇用、新しいワーキングプアを生むようなことがあってはならない、この観点かと思います。

荒井分科員 ありがとうございます。共に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

佐藤主査 これにて荒井優君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)分科員 衆議院の伊藤俊輔でございます。立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 引き続き、長丁場ですけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日、地域公共交通等、特に都市部の課題について議論、お聞きをしたいというふうに思っております。

 路線バス等は、地域公共交通として重要な役割を担っております。維持しなければならないというふうに思いますけれども、それは都市部においても何ら変わることはないというふうに思います。

 しかし、現状は、その継続性に懸念が生じていることはもう既に御承知のとおりでありますけれども、改めて申し上げれば、近年、減少傾向にあったものが下げ止まりの傾向を示していた路線バスの利用者等も、新型コロナウイルス感染症の拡大、影響により大幅に減少したことを受けて、全国の多くの路線バス事業者において収支が赤字となりました。

 令和四年度を見ても、利用者数は完全に戻っておりません。収支は、全体で八七・一%、大都市部でも六六・二%の事業者が赤字となっており、苦しい現状が続いているかというふうに思っています。さらには、本年四月以降、労働時間の上限規制の強化等、二〇二四年問題ということも懸念をされております。

 このような状況で、不採算路線の見直しが避けられない、地方部でかなり路線が廃止等にされているというふうに聞いておりますけれども、さらに、このような動きは大都市部においても既に例外ではなくて、東京都でいえば、新宿区や渋谷区、あるいは池袋等、相次いで都心バスの廃止、減便と、方向性も更に拡大する可能性が高いというふうに思いますけれども、そしてまた、埼玉県では、浦和駅発着便においても減便あるいは終バスの繰上げが実施をされている。大阪府でいえば、富田林市でも事業者の撤退があったということも報道を通じて承知をしております。

 地方部だけではなくて、いよいよ大都市部においても交通空白地域が生じる可能性があり、本当に待ったなしだというふうに考えております。

 そこで、まず、新型コロナウイルス感染症によってもこの危機は十年早まったという専門家の指摘もありますけれども、都市部においてさえも路線バス事業者が経営、その状況にさらされ、また運転者の不足となっている現状に対して、認識をどのように、そしてどのように対応しておるのか、また今後取ろうと思っているのか、大臣の認識をまずお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今、伊藤委員御指摘のように、人口減少による需要減だけでなく、新型コロナウイルス感染症による急激な利用者の落ち込みというのは、地方に限らず、都市部においても深刻な状況にある、また、運転者の人手不足ということについても、都市部においても深刻な状況にあると認識しております。

 こうした状況を踏まえまして、国土交通省としては、地域の多様な関係者が連携、協働して、利便性、生産性、持続可能性の高い地域公共交通へのリデザインを進めていくことが重要である、このように考えております。

 このため、国土交通省としては、昨年十月に全面施行した改正地域交通法の枠組みや関連予算を活用いたしまして、私が議長を務める地域の公共交通リ・デザイン実現会議を活用して、関係省庁とも連携しつつ、利便性、生産性、持続可能性の高い地域公共交通へのリデザインを推進してまいりたいと思っております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 先進的な技術も含めてですが、自動運転も含めてですが、様々な推進、導入が必要だというふうに思いますけれども、その技術革新も含めて、導入も含めて、その間も、十年早まったスピードで廃止やあるいは減便ということが急速になっているという現状を、どう維持、要は延命も含めてかもしれませんが、していくのかということは極めて重要なんだというふうに思っております。

 私の地元でも、コロナ禍で利用者が減った便が、路線バスが減便となって、今、コロナからの利用者が戻りつつある中で、一時間に一本とか減った便ですごく不自由を感じていて、戻してほしいという声が多くなってきておりますが、まさに減った便を戻すということも事業者にとっては相当大変な中で、ただ、戻さなければそれなりの利用者で、もっと事業者は厳しくなるというケースもありますので、この維持やあるいは延命や、あるいはコロナ前に復活をするための事業者への後押しというものも必要なのではないかというふうに思っています。欠損補助が二分の一、今でありますけれども、例えば、時限的にでもそういう拡充等を含めて手当てを講じるべきだというふうに思いますけれども、認識をお伺いしたいというふうに思います。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘ございましたけれども、新型コロナウイルス感染症の影響などによりまして非常に利用者が大きく落ち込んでいる、運転手も不足している、こういう中で、都市部でもバスの減便、こういう問題が起きてございます。

 今、元に戻す、そのための方策、こういうお話ございましたけれども、これは、欠損補助の今お話ございましたけれども、何より必要なことは、この減ってしまった運転者をいかにやはり増やしていくのか。今、お客さんが戻ってきているのに、運転者がいないがためにバスのダイヤを元に戻せない、こういう状況がもう全国各地で生じております。

 このため、今、国土交通省としましては、運賃改定時における運賃算定基準の見直しや運賃改定の迅速化、こうしたことを通じまして、早期の賃上げ、これは、運転者のお給料を上げる、このための原資を確保する、こういうことを促進しているほかに、二種免許取得費用の支援ですとか、あるいは、より少ないスタッフでもしっかり運行ができる、こういうためのキャッシュレスなどのデジタル化による業務効率化、省人化の取組、こういった支援などを進めてきているところでございます。

 国交省としましては、こうした取組をしっかり進めまして、地域住民にとって必要な移動手段の確保、コロナ前に戻すというための施策を講じてまいりたいと思います。

伊藤(俊)分科員 赤字等を含めて、経営状況の問題と、また運転者の確保を含めて、様々な問題が複数重なっているのだというふうに思っております。経営状況の改善においてまたプラスになる面もあるかと思いますので、そのままにしておけばこのスピード感を持って廃止になってしまうというような路線が増えていく、こういう懸念もありますから、そこを少しでも新たな手だてを講じるその間を含めて考えなきゃいけないのではないかというふうにお願い申し上げたいというふうに思っております。

 そして、大枠な話だけではなくて、各地域を含めて様々な交通機関が地域交通を支えていただいていると思いますけれども、例えば、地域には、都道府県、市区町村や自治体、そして社会福祉法人や高齢者支援センターなど様々な方々が主体となって、高齢化や坂道の多い立地、あるいはバスなどの運行がしづらい地域、あるいは買物などが困難な地域、様々ありますけれども、そういった交通空白地域等が生じないように、コミュニティーバスが運行されていたり、あるいは乗り合いタクシーなど、支え合いの様々な交通機関が今あると思います。

 様々な事例があると思いますけれども、現在どういうものが運行、適用されているのか、把握している範囲で簡単に教えていただきたいというふうに思います。

石原政府参考人 地域の足を支える交通手段、様々なものがございます。民間事業者が行っています路線バス、タクシー、これはもちろんでございますけれども、それ以外に、今御指摘のありました、自治体が中心になって運営しているコミュニティーバスですとか、それから、路線を定めないで旅客の需要に応じて運行する乗り合いタクシー、こういうものもございます。

 また、こういうバスやタクシー事業が成り立たない地域におきましては、市町村やNPO法人などが自家用車を用いて有償で運行できることとする自家用有償旅客運送というものですとか、あるいは道路運送法上の許可、登録を要しない地域関係者の助け合いによる無償運送、こうしたものがあると承知しております。

伊藤(俊)分科員 私の地元は東京都町田市なんですが、地元でもコミュニティーバスも運行しておりますし、さらには、自治会、町内会、社福あるいは高齢者支援センターが中心となって、十個の地域で支え合いの移動支援というものがございます。定数七人から十人ぐらいのワゴン車で移動するという仕組みですけれども、直近でも、様々な、運行状況を含めて、視察をしたりいろいろさせていただいておりますが、先日、地元の町田市の成瀬というところの鞍掛台地区で行われております、鞍掛台買物・外出支援プロジェクトという実証をされているところで視察をして、課題等も意見交換をさせていただいてまいりました。

 このプロジェクト、簡単に概要を申し上げると、鞍掛台地区というのは約三百三十世帯で八百五十人ぐらいの居住されている地域でありまして、地形的には急な坂道が多くて、バス等の運用がなかなか難しい地域になっております。小型のバスであっても運行がなかなか難しい。そのために、高齢化が進む中で住民の移動手段として課題となっておりましたけれども、二〇一八年に地元の自治会や社福、高齢者支援センターなどが中心となってプロジェクトを発足をして、二〇二〇年四月から本格運用されております。

 愛称がありまして、くらちゃん号というワゴン車で移動しておりますけれども、運行日時は毎週火曜日と金曜日午前十時半から十二時半までで一日五便、申込みも不要ですし、登録も不要で、先着順に乗車が可能、一便当たり大体七名程度乗車ができて、運行ルートは、地域の中で四つのバス停を作り、スーパーをつなぐ巡回型で、大体一周二キロぐらいを三十分程度で周回をするということで、今、回っております。

 地元の町田市からは補助金として一事業について十五万円、今、補助が出ている状況でありますけれども、その補助も、一番使いたい人件費とか運転手の確保のための様々なコスト、あるいは燃料費等には、実際、車両を動かすための経費としては充当が認められていないということもありまして、その補助制度の一つの懸念というものは、やはり、今、手弁当というか、ボランティアの中で、社福の自動車を借りて、運転手を借りて、そして、この十五万円の事務的に使える枠の中で、本当にボランティアで運用しているというのが現状でありまして、なかなか、これからの継続性も含めて、問題が生じることがあるのではないかというのも懸念するところであります。

 引き続き、こうした、本当に思いを持って空白地域を埋めていただいている交通に対しての支援というものを考えていかなきゃいけないのではないかと思いますけれども、支え合い型の移動手段については、道路運送法の対象とならない運送形態であり、国交省の所管からは厳密には外れるのかもしれませんけれども、これまで、各運輸支局において相談を受け付けて、またホームページ等で互助による輸送の事例を紹介をしたり、あるいはパンフレット等で公に取組をしていたことを踏まえれば、国交省としても、このような取組に対しては、地域公共交通の維持という観点からも重要性あるいは有効性を認めていただいているものだと承知しております。

 最大限支援をしていただけるものだろうというふうに考えておりますが、お伺いをしたいというふうに思いますけれども、国交省として、一つの事例でありますが、私の地元のこういった支え合いの交通手段、特に、地域住民であれば年齢も問わず利用が可能で、許可や登録の手続も不要なこういう支え合いの移動手段に対して、コミュニティーバスよりもより安価に導入ができる可能性が高いということも含めてですけれども、こうした地域交通の仕組みをどのように位置づけて、また評価をしていただけているか、お聞きをしたいというふうに思います。

國場副大臣 地域公共交通は、輸送の安全確保や利用者利益の保護等の観点から、道路運送法による許可を受けたバス、タクシー等の交通事業者により提供されることが一般的です。

 一方、地方部を中心とした交通事業者によるサービスの提供が困難な地域においては、道路運送法による登録を受け、自治体等が自家用車を用いて有償で運送することができることとする自家用有償旅客運送制度が設けられているところであります。

 伊藤委員御指摘の町田市における支え合い型交通は、住民による助け合いに基づく無償運行であることから、法的な位置づけはなく、許可、登録等の手続も不要ですが、地域の足として重要な役割を果たしているものと高く評価をしております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。評価をいただけているということで認識をいたしました。

 第二百十二回の国会でも、国交委員会で、大臣所信で、斉藤大臣からも「地域の自家用車、ドライバーを活用する仕組みなどの検討を進めてまいります。」と答弁をしていただいておりまして、まさに評価していただくものだというふうに理解をいたします。

 一般的に、私たち地元もそうですが、コミュニティーバスを運用する場合は、約四百万円から六百万円、安くてもそれくらいのコストがかかっていると思っています。この今例に挙げた地元のところも、もっと安価で、今だと約六十万円ぐらいで運行ができているということですから、多少、もう少しかかったとしても、効果がすごい高いのではないかと、私個人的にも思うんですけれども。

 今のと答弁はかぶりますけれども、私たち地元にあるこのくらちゃん号はどういう評価をいただけるか、一言御答弁いただけたらうれしいです。

國場副大臣 くらちゃん号は、自治会、市役所、高齢者支援センター、社会福祉協議会など多様な関係者による連携の下、二〇二〇年から現在に至るまで運行が続けられており、伊藤委員のSNSやまた東京新聞等の記事でも拝見させていただきましたけれども、病院からの帰りに乗ったが、家の近くに止まる送迎車は助かるなど、利用者からも大変喜ばれているものと承知をしております。

 国土交通省としても、くらちゃん号のように、地域の多様な関係者が連携、協働して地域の足を確保する取組は重要なものと評価をしております。

伊藤(俊)分科員 國場副大臣、ありがとうございました。是非こういった交通も注目をしていただきたいというふうに思います。

 冒頭でちょっと申し上げたんですが、町田市から十五万円の補助が出ておりますが、ここは人件費や燃料費といった実際に車両を動かす経費に充当することは今認められていないということで、国交省の二〇二二年の三月に出している高齢者の移動手段を確保するための制度・事業モデルのパンフレットの中でも、こうした人件費や燃料費への活用は可能だというふうに書かれております。その認識を、国交省の認識をお伺いしたいというふうに思います。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 くらちゃん号は、先ほどもございましたように、自治会、市役所、地域住民、それから社協などが中心となって運行している、道路運送法の許可、登録を要しない無償運送でございます。このため、町田市の補助金の使用の用途につきましては町田市において決定されるものと承知しております。

 その上で、一般論として申し上げますと、運送の主体がガソリン代、それから道路料金、また駐車場料金を受け取っても、これは、道路運送法上は無償運送ということでございますので、許可、登録を要しないということになってございます。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 この国交省のパンフレットの中でもそういったものに使えるというふうに書かれておりまして、先ほどの答弁も含めてですが、是非自治体の方にもそうした活用の補助の対象としてあるんだということを、できれば周知していただけるとありがたいというふうに思っております。

 そして、この補助が出ている十五万円、やはり拡充が必要だなというふうにも思いますけれども、国が一定の評価をしていただき、こうした事業を国としても支援すべきだというふうに思いますけれども、その上で、地域の公共交通を担う事業者に対する国交省の、今、支援措置というものは幾つかあると思いますけれども、こうした町田市の事例のような、無料で利用が可能な支え合い型の取組に対して、活用可能なものがあるのか、お聞きをしたいと思いますが、もしなければ、なぜないのか、何が問題となっているのか。もしあれば、教えていただきたいと思います。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省としましては、やはりこの地域の足の確保、特に、交通空白地、地域の足がない、こういう地域、エリアにつきまして、この移動の足の確保をどうこれから確保していくか、こういうことは極めて大事なことだと思っておりまして、令和五年度の補正予算でございますけれども、地域の多様な関係者と連携、協働の下、移動手段の確保を図る実証事業に対しまして、共創・MaaS実証プロジェクトというものでイニシャルコストなどに対する支援措置を講じているところでございます。

 御指摘のような支え合い型の取組によって新しくこの地域に足を確保していく、こういうことを新たに実証事業として行う場合につきましては、地域の多様な関係者の参画、連携が図られていることや持続可能性が高いことなどについての確認も踏まえた上で、こうしたプロジェクト、支援を御活用いただくことが可能となっております。

伊藤(俊)分科員 登録しているようなものに関してはあるのかなと個人的には承知していたんですが、もう一度ちょっと、答弁、ちょっと分からなかったです。こうしたいわゆる、例えばですけれども、具体的に言えば、このくらちゃん号みたいなのを運用しようというときに、国からの支援というものは、何らかの措置というものはあるんでしょうか。

石原政府参考人 今既に行われているものに対する経費を支援する、こういう仕組みはございませんけれども、今何も行われていない地域におきまして何か新しい取組を実証事業として行う、こういう場合には、様々な可能性や選択肢がありますので、それをいろいろその地域で実際に取り組んでいただいて、評価をして、足を確保する、こういうことを目的にする、こういう実証事業については支援する仕組みがある、こういうことでございます。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 それぞれの地域でこういう同様の支え合いの移動手段というものを事業としてやっていただいておりますけれども、国交省としては、多分、どういうものがどれだけ運用されて、そして、それにどれだけの利用者がいてというところの調査みたいなものは恐らくしたことがないのではないかというふうにも思っております。

 是非、本来国が支援をしなきゃいけない部分を、自治体を通じながらですけれども、ほぼ手弁当で、ボランティアで支えていただいているところを、まず、その実態として、どのくらい運用されているのかとか、それがどれだけ機能していて、どれだけの費用がかかって、そして利用者がどのくらいいるのかということぐらいは、是非、実態を把握していただきながら、その支援の在り方も検討をしていただきたいというふうにも思っております。お願いにとどめておきたいというふうに思いますけれども、大切な交通手段だと思いますので、是非お願いしたいというふうに思っております。

 それから、同様に、運行ルートについて一問簡単に教えてもらいたいんですが、こういう買物以外に、駅まで行ってほしいとかといったときに、そのルートを足そうとすると路線バスやタクシーなどと競合してしまうとか、そういったことで許可をされないケースがあると聞いております。決して競合するものではないとこの仕組みとして思いますけれども、国交省として、何か法的な制約とか、何かできないことがあるのか。認識をちょっと簡単に教えていただきたいと思います。

鶴田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、このくらちゃん号の事例ですと、許可、登録を要しない無償運送ということですので、道路運送法上、運行ルートについての制限はございません。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 まさに、駅まで行きたいと言って、その運行が駄目だというケースがあると聞いておりますので、こうした制限がないということも、是非、自治体の方にも周知をしていただけるとありがたいなというふうに思っております。

 そして、こうした同じような地域交通、いろいろありますけれども、事例としても、横浜市の緑区でも支え合いのバスが運行されていたり、東京の葛飾区ではいわゆるグリスロと言われる、グリーンスローモビリティーの活用で運行していたり、様々なケースがあると承知をしております。

 今後もこうしたよい取組が横展開をしていくことは好ましいというふうに思いますし、十分増える可能性があるというふうに思います。

 このような事業の維持発展こそこの課題の解決の一つにつながるというふうに思いますし、国交省としても、どちらかといえば自治体任せといったらあれかもしれませんが、実情として、自治体に任せるということではなくて、これまでの取組を更に一歩進めて、支え合い型のこうした移動支援を地域における移動手段の確保のための制度としてしっかり位置づけた上で、財政面や、あるいは運転者あるいは運営管理者の確保のための人材育成の面でも、支援の措置を積極的に講じることを検討する必要があると思いますが、改めて大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 地域公共交通の厳しい現状を踏まえますと、町田市で取り組まれているような支え合いの移動支援というのは今後ますます重要になってくると思われます。

 国土交通省としては、地域全体で持続可能な交通体系を確保することが重要だと考えており、地域における支え合い交通についても、地域の実情を踏まえ、まずはそれぞれの地域において導入、位置づけについて検討をいただきたいと考えております。

 国土交通省としては、令和五年度補正予算におきまして、地域の多様な関係者と連携した移動手段確保のための実証事業に対する支援措置を講じているほか、各地域で行われている支え合い交通を含む優良な事例の横展開など、地域の足の確保に向けて、必要な措置を講じていきたいと考えております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 実態の把握から一歩進んだ支援のところまで是非検討していただきたいとお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 時間が限られておりますが、地域交通、また違う機会でも議論をさせていただきたいと思っております。

 最後、時間の関係上、一問させていただきたいと思いますが、かねてから障害者用のICカードの活用について、これまで鉄道事業者の割引制度が第一種の方に限定をされていると承知しております。対象が狭いということから二種の方への適用拡大を求めておりますけれども、その検討の進捗を含めて教えていただきたいというふうに思います。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道における障害者割引につきましては、常時介護者の付添いが必要な重度の障害者である第一種障害者の方を対象に、障害者本人と介護者の方をそれぞれ二分の一の割引として、合わせて一人分の運賃となる割引制度とされたものでございます。

 障害者用ICカードにつきましては、このような第一種障害者の方を対象とした割引を行うに当たり、第一種障害者の方と介護者の方が同時に使用することを前提に販売されているものでございます。

 一方、介護者を必要としない第二種障害者の方につきましては、負担軽減の観点から、百一キロ以上を乗車する場合に限って二分の一の割引を適用されておりますが、割引対象となる百一キロ以上と対象とならない百一キロ未満とを区別してICカードを使用することは技術的に困難と承知しております。

 いずれにいたしましても、障害者割引は鉄道事業者の経営判断でなされるものであり、国土交通省としましては、鉄道事業者に対し、第二種障害者の方への御指摘のような割引適用の御要望があることを伝えてまいりたいと思います。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 様々な当事者の声を大臣も聞いていただいて、今、検討していただいていると思いますけれども、皆さん、待ち焦がれているというのもありますけれども、是非対象者が広がるように、二種を含めて検討を進めていただきたいというふうに思っております。

 質問が二問程度できなかった部分があります。また次回、させていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございます。

佐藤主査 これにて伊藤俊輔君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田英俊君。

上田分科員 自由民主党、富山県第二区選出の上田英俊です。よろしくお願いいたします。

 本日は、能登半島地震における復旧復興対策及び今後の防災・減災、国土強靱化対策について質問いたします。

 まずもって、今回の地震で貴い命を落とされた方々、被災された方々に対し、弔意とお見舞いを申し上げます。また、発災直後から被災地に向かい、人命救助、復旧復興に向けて尽力されておられる全ての方々に心から敬意を表します。一日も早く日常生活を取り戻すための復旧復興対策、また、今後、一人一人の生命と財産を守るための防災・減災、国土強靱化対策が必要であり、急務であると考えるものであります。

 現在、復旧復興に向けて、自治体、そして様々な現場で着実な取組が行われていると認識しておりますが、いまだに被災地、被災状況の全てが明らかになってはいないというふうに考えます。まず、全ての現状把握がスタートラインであります。

 具体的には、海の中はどうなっているのか。富山湾の海中、海底の状況。そして、これから春の農作業が本格化する土地改良施設であるとか、現在、雪に覆われているであろう森林、林道、治山・砂防施設等の被災状況の把握といったものがまず必要になってくると考えますが、今後の調査予定、被災箇所の把握に対する取組についてお伺いいたします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 農林水産関係の被害状況につきましては、現時点で調査中ではございますけれども、二月二十六日現在ということで、例えば農地や水路、ため池など、こういった農業用施設でございますと四千五十か所以上、それから、畜産農家の施設損壊、こういったものが四十六件以上、山地災害、林道施設、木材加工流通施設等でございまして、これらにつきましては三百九十か所以上、水産関係で申しますと、漁船の転覆、沈没、座礁、こういったものは二百五十九隻以上、漁港で七十三漁港以上、水産漁業共同利用施設で六十九か所以上、こういった報告を受けておるところでございます。

 例えば農業関係でございますと、水を引くパイプラインが地中にあることなどによりまして、現時点で被害の確認が難しい現場もあると聞いております。しかしながら、本年産の米の作付時期、こういったものを見据えまして、被災自治体と連携して、被害の状況の把握、それから復旧ということに努めてまいりたいと考えております。

廣瀬政府参考人 砂防施設等についてお答え申し上げます。

 富山県における砂防施設等の被災状況の把握につきましては、地震発生直後より、人工衛星や監視カメラを用いた被災箇所の確認、地方整備局や富山県職員による現地調査など、あらゆる手段を用いて被災状況の把握に努めております。

 現時点では、富山県内では十三件の土砂災害と一件の砂防施設の被害が報告されていますが、深刻な被害は確認されておりません。

 なお、雪に覆われて現地調査が困難だった箇所は、雪解けが進み次第、速やかに調査を行う予定にしております。

上田分科員 まずしっかりと現状を把握するということが、復旧復興に向けてのスタートラインであります。

 次に、水産分野についてお伺いしたいというふうに思います。

 富山湾は、天然の藍がめと呼ばれており、冬の季節は、寒ブリであるとかベニズワイガニ、バイガイ、そして、三月一日からは春を告げるホタルイカ、またシロエビ等、富山県では、最近、すしといえば富山ということをアピールしております。

 それが、今回の地震で定置網であるとか刺し網が大きく破損し、カニを捕るためのカニ籠であるとかバイガイを捕るためのバイ籠といったものが、地震によって流されたか、海底の崩壊によって埋まってしまったか、その数多くが行方不明となっています。漁業に携わる方々の心が折れかねない大きな被害となっております。

 再び海辺の港での生活を取り戻すため、そしてこの地域で生活し続けるためには、国であるとか県、市町村等の行政機関、水産関係団体による支援が不可欠ですが、まず、水産分野におけるなりわい支援について確認をさせてください。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 委員からお話がございましたように、富山県からは、定置網などの漁具について、破損や流出などの被害の報告を受けているところでございます。

 農林水産省としましては、先月の二十五日に決定をされました被災者の生活となりわい支援のためのパッケージにおきまして、被災した漁業者のために漁業協同組合等が行います漁船や漁具の導入を支援するということにしたところでございます。

 この事業は、国が三分の一、そして県が三分の一以上で、合計三分の二以上を支援するものでございますが、富山県におきましては県が十二分の五を負担することで、国と県で合わせて四分の三の支援をすることで被災者の負担を軽減する措置を講じたと聞いているところでございます。

 農林水産省としましても、富山県としっかり連携し、一日も早いなりわいの再建に向けて取り組んでまいります。

上田分科員 ありがとうございました。

 富山県においては、国の三分の一、プラス富山県独自の上乗せということで四分の三ということで、水産業に携わる方々にとっては大変大きな励みになっているというふうに思います。引き続き、水産庁さんの御指導をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 さて、富山湾というのは、急激に深くなっている湾であります。そのため、水深三百メートルよりも深い地点で、富山県の滑川市とか入善町といったところにおいて海洋深層水を取水しています。

 富山湾の海洋深層水は日本海固有冷水とも呼ばれており、その特徴は三つあります。まず一つは、温度が低い、低温性、二つ目には、きれいである、清浄性、そして三つ目には、栄養分に富む、富栄養性を特徴として、今日に至るまで、水産分野、非水産分野で試験研究であるとかあるいは商業利用が進められておりますが、海洋深層水の実績と評価といったものをまずお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 水産分野におけます深層水の利用についてのお尋ねでございます。

 入善町におきましては、平成十一年度から、水産庁の補助事業を活用しまして海洋深層水の取水施設整備が行われまして、その活用が図られているところでございます。

 具体的には、この施設から供給されます海洋深層水の低温安定性でありますとか清浄性の特性を生かしまして、アワビの養殖の飼育水への利用や、また、近年におきましては、アワビ、カキの蓄養、あるいは荷さばき所の衛生管理対策などに活用されているところでございます。

 このように、地元では、海洋深層水が水産分野において有効に活用されているものと考えております。

上田分科員 今ほど答弁にもありましたように、当然、海の水でありますから、水産分野への活用といったものがあります。入善町では、海洋深層水を、今ほど答弁にありましたように、養殖カキの浄化であるとか、あるいはパック御飯の製造工場での空調施設、熱交換を利用した空調施設等に取り組んでおります。そして、今後、サーモンの陸上養殖にも活用する予定であります。

 農産物の輸出という点では、パック御飯というのは一つの大きな武器になると思いますし、また、魚というのは大切な資源でありますので、食料安全保障の視点においても、入善町では二本の取水管があるわけでありますけれども、二本の取水管から取水される海洋深層水に期待される役割というのは、農業の分野においても、また水産業の分野においても特に重要と考えますが、農林水産省の所見を伺いたいというふうに思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 入善町からは、今後とも海洋深層水をアワビやカキの蓄養等に引き続き活用していくお考えだというふうに聞いているところでございます。

 本地域におきましては、海洋深層水は、水産物の生産や安定供給に寄与するとともに、地域水産業の振興を図る上でも重要な役割を果たすことが期待されているものと考えております。

上田分科員 さて、海洋深層水の実績であるとか期待されている役割といったものを今答弁いただいたわけでございますけれども、大変残念なことに、そうした役割を果たしてきた、そして新たな役割が期待されている二本の海洋深層水の取水管が、今回の地震で海中で大きく破壊されてしまいました。

 復旧も簡単ではないと認識しておりますけれども、海洋深層水は地方創生のエンジン役であるというふうにも考えますし、そしてさらに、サーモンの陸上養殖においては、更なる地方振興、地方創生のエンジン役となるというふうに期待がされています。

 その海洋深層水の取水管の新たな整備について、今後どのように取り組んでいくのか、水産庁と内閣府の所見を伺いたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 水産庁の補助事業を活用して整備されました取水施設の復旧につきましては、水産業の共同利用施設の復旧を行う事業の活用を想定いたしまして、富山県を通じて調整を進めてまいりたいと考えております。

中村政府参考人 お答えいたします。

 デジタル田園都市国家構想交付金の地方創生拠点整備タイプにおいては、観光や農林水産業の振興などの地方創生に資する拠点施設の整備などを支援しております。

 富山県入善町の事業、「海洋深層水と地下水を活かした入善版ローカルイノベーションプロジェクト」につきましては、令和二年度から五年度までの計画期間の事業として、令和二年度の募集において新規採択を行い、入善町において事業を進めてきたと承知しています。

 本事業につきましては、令和六年能登半島地震により被災したことを受け、今後の対応をどのようにしていくかについて、入善町や富山県と個別に相談させていただいているところです。

 内閣府としては、地域再生法の趣旨を踏まえつつ、地方公共団体に寄り添った丁寧な対応を行ってまいります。

上田分科員 海洋深層水につきましては、平成十一年頃であったでしょうか、大変熱狂的なブームになったということを今思い起こしております。血液がさらさらになるだとか、保水性が高いので化粧品にも向いているよねとか、水産分野あるいは非水産分野において大変熱狂的なブームになりました。

 しかしながら、熱狂的なブームは、ブームでありますから、そのブームが落ち着いてきたというふうに認識をしておりますけれども、それは決して、海洋深層水の持つ性質といったもの、その評価が落ちたものではないというふうに考えています。

 海洋深層水というのは、やはり依然として、水産分野において、あるいは非水産分野において、大変貴重な資源でもありますし、有効活用として、地方創生に大きな役割を期待されているというふうに思っておりますので、水産庁におかれましても、あるいはまた、内閣府におかれましても、御指導をしっかりお願いしたいというふうに思っております。

 さて、次に、今後の防災・減災、国土強靱化対策について質問をいたします。

 物理学者であって、随筆家、俳人でもあった寺田寅彦さんは、災害は忘れた頃にやってくるというふうに述べられました。そういった趣旨の言葉を残しておられます。

 しかし、今日では、災害はいつでもどこでも発生する日本列島であります。特に、災害の広域化、多発化、激甚化といったものが全国各地で見られているわけであります。それに対応するために、国土強靱化三か年緊急対策、そして五か年加速化対策が、一人一人の生命と財産を守るために取り組んでこられたというふうに認識をしております。

 そこで、斉藤大臣にお尋ねいたしますけれども、三か年緊急対策、五か年加速化対策が果たしてきた役割をどう評価しているのか。また、五か年加速化対策の最終期間が、また総額十五兆円が見えてきた今日、当初予算だけではなくて、やはり補正予算も含めて、一人一人の生命財産を守るため、次なる対策に向けて早急に動き出す必要があると考えますが、斉藤国土交通大臣の所見をお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 これまで、年々深刻化する自然災害等に対しまして、三か年緊急対策や五か年加速化対策も踏まえ、事前防災・減災対策を重点的かつ集中的に講じ、全国各地で着実に効果を発揮してきた、このように考えております。

 一方で、今後、大規模地震の切迫や自然災害の激甚化、頻発化、インフラの老朽化などが懸念されていることから、更に国土強靱化の取組を強化することが必要です。

 また、昨年の法律改正で法定化された国土強靱化実施中期計画によりまして、実施計画を切れ目なく策定し、五か年加速化対策後も、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めることが可能となりました。

 国土交通省としては、今後とも、関係省庁と連携し、実施中期計画の策定に向け、これまでの施策の実施状況の調査を進めるなど、国土強靱化の取組をしっかりと進めてまいります。

 私の地元の話で恐縮ですが、土砂災害が広島はありました。それを受けて、国土強靱化施策として、砂防堰堤をしっかり造りました。一昨年、またその前の大雨のときに、また土砂災害のような大きな土砂崩壊があったわけですけれども、しっかりその堰堤がそれを受け止めて、その下に広がる何百世帯の団地が守られた、こういう例が一つだけではございません。

 こういう形で、しっかりと命と暮らしを守るために、この防災・減災、国土強靱化対策、進めていきたいと思っております。

上田分科員 大変力強い答弁ありがとうございました。

 先ほど述べさせていただきましたとおり、災害はいつでもどこでも発生するというような、大変危険な日本列島になっているというふうに認識をしております。国土強靱化政策をしっかりやっていただきますように、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 さて、今回の能登半島地震においても、被災地の広域化といったものが認められるというふうに思います。能登半島、石川県はもちろんでありますけれども、富山県、そして新潟県においても、大変大きな被災状況となっております。

 それぞれ都道府県には県境といったものが当然あるわけであります。県境になるには、県境となる理由があるというふうに私は考えております。例えば、大きな急流河川によって陸地が割られているとか、急峻な山が海に迫ってきているとか、そうした脆弱な、災害が多発しやすい自然環境が県境になっているところがかなりあるのではなかろうかというふうに思っております。

 当然、そうした地域では、災害が発生する要因が多いというふうに思います。一人一人の生命財産を守るため、幾つもの自然環境の厳しい県境を越えて、今回の災害においても、自衛隊であるとか、あるいは国土交通省のTEC―FORCE、DMAT、そういった方々が、一分一秒でも早く駆けつけて、人の命を救おう、災害復旧に当たろうということで頑張っていただいておるということに、改めて敬意を表したいというふうに思います。

 災害が激甚化、そして県境を越えるような広域化している今日の災害だからこそ、移動への時間短縮を図るための道路、広域化している災害時においても緊急車両が安全に、速やかに、そして大量に県境を越えて行ける、移動可能な道路の整備といったものが求められるというふうに思います。

 そこで、道路局長に三点お尋ねしたいというふうに思います。

 まず、富山県というのは、県境が幾つも当然ありまして、新潟県境、岐阜県境、石川県境、そして長野県境と県境がありまして、それぞれの県境を結ぶ道路、災害が発生した際には、先ほどの自衛隊であるとか、TEC―FORCEであるとか、DMATであるとか、そういったところの方々が大量に、安全に、速やかに移動するために、やはり県境を結ぶ道路といったものは大変大切だというふうに思います。

 まず、富山県と新潟県境を結ぶ国道八号線、具体的には、老朽化している狭い、富山県朝日町には城山トンネルというトンネルがあります。また、以前、その城山トンネルの前後区間におきまして、大雪に見舞われたときに、大型のトラックがスタックして、非常に前後区間で渋滞をして、動きが取れなくなったというところであります。また、片側一車線の、黒部市古御堂から魚津市江口の間の区間も、今、当初予算、補正予算を駆使して、着実に整備をされております。改めて感謝申し上げたいというふうに思います。

 そこで、道路局長にお伺いいたしますが、城山トンネル、あるいはまた、その前後区間の整備、そして、入善黒部バイパスの黒部市古御堂から魚津市江口までの進捗状況と今後の取組について伺います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のありました、富山県境、新潟県境に位置する国道八号の富山県の朝日町地区でございます。

 委員御指摘のとおり、完成から約六十年経過した老朽化が著しい狭隘なトンネル、また、車両のスタックなど冬期交通障害につながる急勾配区間が存在する区間であるとともに、災害発生リスクが高い地すべり地形を有する課題があるというふうに認識をいたしております。

 こうした状況を踏まえまして、今月の二十二日に北陸地方整備局において防災検討委員会、これを開催いたしまして、課題、また今後の対策範囲などについて検討を行っているところでございます。課題の解消に向けまして、できるだけ早く対策が講じられるよう、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

 それから、もう一つの、黒部市古御堂から魚津市の江口間でございますけれども、暫定二車線で開通しております。現在、四車線化に向けて橋梁の下部工事を進めているところでございます。

 引き続き、地域の皆様方の御協力をいただきながら、早期完成を目指して、しっかりと整備を進めてまいりたいと考えております。

上田分科員 大変力強い答弁をいただきました。また、事業が着々と進捗しているということは大変ありがたいことだと、改めて感謝申し上げたいというふうに思っております。

 次に、富山県と岐阜県を結ぶ四十一号線においても、国土交通省さんにおいて力強く事業が進められております。

 具体的には、猪谷楡原道路、大沢野富山南道路といったものが取り組まれておりますけれども、現在までの進捗状況と今後の取組について、併せて道路局長にお伺いしたいというふうに思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 富山高山連絡道路でございますけれども、富山県から岐阜県にまたがる八十キロの高規格道路でございまして、国道四十一号における交通渋滞の緩和、雨量規制による通行止めの解消などの整備効果が期待されているところでございます。

 この富山高山連絡道路の一部を形成いたします猪谷楡原道路につきましては、延長が七・四キロのバイパス事業でございます。これまで、富山市庵谷から楡原間の三キロが開通いたしまして、現在、富山市の猪谷から片掛間の一・六キロにおいて改良工事及び橋梁工事を進めているところでございます。

 また、大沢野富山南道路につきましては、延長十二キロのバイパス事業でございまして、平成二十六年度に事業化いたしまして、現在は、道路設計、用地買収、改良工事、橋梁工事、これを進めているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、一日も早い完成を目指して、しっかりと整備を進めてまいりたいと考えております。

上田分科員 そして、最後に、富山県と接している石川県の方は順調に倶利伽羅トンネルもやっていただいておりますので、また、富山県の県西部でございますので、しっかりやっていただいておるというふうに思います。

 もう一つ富山県と接しているのが長野県であります。観光のキラーコンテンツとして有名な立山黒部アルペンルートというものが、当然、観光用道路として、ロープウェーであるとかケーブルカーであるとかそういったものでつながれておりますけれども、富山県と長野県というのは道路では結ばれていないということであります。

 昨年のこの予算委員会分科会におきまして丹羽道路局長に質問をさせていただきまして、大変ありがたい御示唆をいただきました。当然、富山と長野を結ぶ道路でありますから、特にここはフォッサマグナが走っているところでございますので、大変地質が脆弱であるということが一つの大きなネックなんだろうというふうに思いますし、また、当然その結果として、富山と長野は隣接している県であるにもかかわらず、道路として直接結ばれていなかったという現実があるんだろうというふうに思います。

 昨年、丹羽局長から大変ありがたい御示唆をいただきまして、富山県では、富山と長野の道路構想、北アルプス横断道路構想と我々は呼んでおりますけれども、富山県では長期構想として広域道路として位置づけられていますけれども、去年の段階でも、そして今の段階でも、長野県ではそういった位置づけはされていないということで、まずは長野県の方の御理解をいただくべきではないかというふうに丹羽局長の答弁から私は推察をいたしまして、地元の北アルプス横断道路推進構想協議会のメンバーとアクションを起こしました。

 構想協議会のメンバーは、富山県東部の首長さん、議長さん、県会議員の方々、そういった方々で、全てで構成されており、私が会長を引き受けさせていただいておるわけでありますけれども、やはりまず、長野県さんはどう考えているんだろうか、長野県には認識があるのかどうかということをまず調べてみようじゃないかということで調べたところ、国会図書館を通じて長野県議会の会議録を平成の頃から調べていただきましたけれども、一行も載っていなかったということであります。

 まずは長野県さんに理解を求めるのが先だよねということで、北アルプス横断道路構想協議会のメンバーと、昨年の十一月二十七日の日に、長野県の務台俊介議員の御紹介で、阿部長野県知事をお訪ねして意見交換をさせていただく機会を持つことができました。これが昨年の十一月二十七日です。

 そして、今年の二月の六日には、長野県の建設部長の新田部長を訪ねさせていただきました。今度は、県会議員、この地域、県東部地域の県会議員の方々と私も含めて十名程度で行ったわけでありますけれども、非常に有意義な意見交換ができたというふうに思っております。

 具体的には、意見交換の中で、長野県の飯田市と浜松市を結ぶ脆弱な地帯のトンネル、青崩トンネルですかね、その話も聞かせていただきましたし、非常に勇気のいただける話でありました。

 そこで、丹羽局長に去年に引き続き質問いたしますけれども、富山県と長野県を結ぶ北アルプス横断道路構想の推進を図るべきと考えますが、局長の示唆に富んだ御意見をいただければ大変ありがたいというふうに思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 北アルプス横断道路、昨年も答弁させていただきました。この道路は、世界水準の山岳観光地を周遊するルートとして期待されるものと認識しております。

 平成二十九年十一月に富山県内の自治体で構成されるこの組織体が設立されまして、本構想の実現に向けた検討がなされていると承知をしております。また、今委員がお話しになったとおり、長野県との連携というのも図られつつあるというようなことを伺っているところでございます。

 一方、この道路は特殊な地山条件の介在が想定される中で、トンネルの総延長が約二十五キロと見込まれるような大規模なプロジェクトであることから、その実現のためには、引き続きこの両県の連携と、あと国民のコンセンサスが得られることが重要であるというふうに考えております。

上田分科員 ありがとうございました。

 今回は、予算委員会分科会におきまして、能登半島地震における復旧復興対策、そして今後の防災・減災、国土強靱化対策について質問をいたしました。

 改めて、復旧復興に当たっておられる全ての方々に心から感謝と敬意を表しますし、何よりも、やはり国土交通行政の一つの大きな柱というのは住民の生命財産を守ることだというふうに思っています。そのためにはやはり防災・減災対策、国土強靱化といったものが改めて必要である、急務であるということを強く訴えて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤主査 これにて上田英俊君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日水曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五分散会


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