衆議院

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第1号 令和5年4月24日(月曜日)

会議録本文へ
本分科会は令和五年四月十日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

四月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      秋葉 賢也君    柿沢 未途君

      小林 史明君    鈴木 憲和君

      田中 良生君    野田 聖子君

      手塚 仁雄君    原口 一博君

      伊東 信久君    吉田久美子君

四月二十一日

 田中良生君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和五年四月二十四日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 田中 良生君

      秋葉 賢也君    柿沢 未途君

      小林 史明君    鈴木 憲和君

      野田 聖子君    大西 健介君

      櫻井  周君    階   猛君

      手塚 仁雄君    原口 一博君

      山井 和則君    一谷勇一郎君

      住吉 寛紀君    早坂  敦君

      吉田久美子君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    西村 明宏君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          小倉 將信君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)     岡田 直樹君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   衆議院事務総長      岡田 憲治君

   衆議院管理部長      三橋善一郎君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 鈴木 千明君

   裁判官訴追委員会事務局長 中村  実君

   国立国会図書館長     吉永 元信君

   会計検査院長       森田 祐司君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       山崎  健君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       豊岡 利昌君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       中尾 英樹君

   会計検査院事務総局第一局長            田中 克生君

   会計検査院事務総局第三局長            長岡 尚志君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   最高裁判所事務総長    堀田 眞哉君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官)          榊原  毅君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  遠藤 顕史君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局参事官) 佐藤 克文君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  真一君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官)            奈須野 太君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      池田 憲治君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           谷  滋行君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 早川 智之君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山本  仁君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         猪原 誠司君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        山澄  克君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局次長)          坂口 拓也君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     黒田 岳士君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     角田  隆君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     由良 英雄君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     森田  稔君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     岡本 裕豪君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     木村 公彦君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       君塚  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西條 正明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 針田  哲君

   政府参考人

   (沖縄振興開発金融公庫理事長)          川上 好久君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事長)        田中 明彦君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

   環境委員会専門員     吉田はるみ君

   決算行政監視委員会専門員 花島 克臣君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

   衆議院調査局第三特別調査室長           野崎 政栄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  手塚 仁雄君     城井  崇君

  原口 一博君     階   猛君

  伊東 信久君     藤巻 健太君

  吉田久美子君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  城井  崇君     奥野総一郎君

  階   猛君     神津たけし君

  藤巻 健太君     早坂  敦君

  山崎 正恭君     吉田久美子君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     大西 健介君

  神津たけし君     山井 和則君

  早坂  敦君     一谷勇一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     笠  浩史君

  山井 和則君     原口 一博君

  一谷勇一郎君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  笠  浩史君     櫻井  周君

  足立 康史君     住吉 寛紀君

同日

 辞任         補欠選任

  櫻井  周君     手塚 仁雄君

  住吉 寛紀君     伊東 信久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計歳入歳出決算

 平成三十年度特別会計歳入歳出決算

 平成三十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成三十年度政府関係機関決算書

 平成三十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成三十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和元年度一般会計歳入歳出決算

 令和元年度特別会計歳入歳出決算

 令和元年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和元年度政府関係機関決算書

 令和元年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和元年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(警察庁、金融庁、消費者庁)、復興庁、外務省所管、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門及び環境省所管〕


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     ――――◇―――――

田中主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました田中良生でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁、消費者庁)、復興庁、外務省、環境省所管、沖縄振興開発金融公庫及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門並びに他の分科会所管以外の国の会計についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成三十年度決算外二件及び令和元年度決算外二件中、国会所管、外務省所管、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門、復興庁所管、内閣府所管中金融庁、内閣府所管中消費者庁、内閣所管、環境省所管、内閣府所管中警察庁、内閣府所管中内閣府本府、沖縄振興開発金融公庫、皇室費、裁判所所管及び会計検査院所管について審査を行います。

 これより国会所管について審査を行います。

 まず、国会主管歳入決算及び衆議院関係決算の概要説明を聴取いたします。岡田衆議院事務総長。

岡田事務総長 平成三十年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 国会主管の歳入につきましては、予算額十八億一千五百七十二万円余に対しまして、収納済歳入額は十九億五千八百八万円余であり、差引き一億四千二百三十五万円余の増加となっております。

 次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は七百三十三億五千百三十七万円余でありまして、これに国における障害者雇用の推進を図るため施行する衆議院施設の整備のための予算補正追加額二千七百七十五万円余、前年度からの繰越額四千百四十一万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額三億一千百五十八万円余を差し引きますと、歳出予算現額は七百三十一億八百九十六万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は七百十五億三百八十八万円余でありまして、その内訳は、国会の権能行使に要した経費四百二十一億二千百七十四万円余、衆議院の運営に要した経費二百一億六千百二十五万円余、衆議院の施設整備に要した経費十一億二千三百七十五万円余、民間資金等を活用した衆議院の施設整備に要した経費八十億九千七百十二万円余であります。

 歳出予算現額と支出済歳出額との差額は十六億五百八万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額二千七百七十五万円余、不用額十五億七千七百三十二万円余であります。

 以上が、平成三十年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、令和元年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 国会主管の歳入につきましては、予算額十九億五千九百十二万円余に対しまして、収納済歳入額は二十一億三千二百五十九万円余であり、差引き一億七千三百四十七万円余の増加となっております。

 次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は七百三十五億七千四百十五万円余でありまして、これに前年度からの繰越額二千七百七十五万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額七億六千五百六十四万円余を差し引きますと、歳出予算現額は七百二十八億三千六百二十六万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は七百十二億六千百七十六万円余でありまして、その内訳は、国会の権能行使に要した経費四百二十億七千七百四十九万円余、衆議院の運営に要した経費二百億七千五十三万円余、衆議院の施設整備に要した経費十億五百九十三万円余、民間資金等を活用した衆議院の施設整備に要した経費八十一億七百七十九万円余であります。

 歳出予算現額と支出済歳出額との差額は十五億七千四百四十九万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額五千五十万円余、不用額十五億二千三百九十九万円余であります。

 以上が、令和元年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

田中主査 次に、国立国会図書館関係決算の概要説明を聴取いたします。吉永国立国会図書館長。

吉永国立国会図書館長 平成三十年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は二百三十億七千六百十三万円余でありまして、これに前年度からの繰越額十五億一千六十五万円を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額八千八百四十万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二百四十四億九千八百三十七万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は二百二十億九千六百十二万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の運営に要した経費九十三億四千七百四十九万円余、国立国会図書館の業務に要した経費七十一億八千三百六十五万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十億七千四百四十万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費四十四億九千五十六万円余であります。

 歳出予算現額と支出済歳出額との差額は二十四億二百二十五万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額十九億四百二十三万円余、不用額四億九千八百二万円余であります。

 以上が、平成三十年度国立国会図書館関係の歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、令和元年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は二百七十二億七千九百万円余でありまして、これにポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理のための予算補正追加額三億三千六百万円余、前年度からの繰越額十九億四百二十三万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額四百四十三万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二百九十五億一千四百八十万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は二百七十七億五千四百八十一万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の運営に要した経費九十八億一千六十万円余、国立国会図書館の業務に要した経費七十二億五千二百三万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十一億二千八百五十七万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費九十五億六千三百六十万円余であります。

 歳出予算現額と支出済歳出額との差額は十七億五千九百九十九万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額十三億三百万円余、不用額四億五千六百九十八万円余であります。

 以上が、令和元年度国立国会図書館関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

田中主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係決算の概要説明を聴取いたします。鈴木裁判官弾劾裁判所事務局長。

鈴木裁判官弾劾裁判所参事 平成三十年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億一千三百六十二万円余でございまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額四百七十二万円を差し引きますと、歳出予算現額は一億八百九十万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一億四百八十八万円余でございまして、このうち主なものは職員の人件費でございます。

 歳出予算現額と支出済歳出額との差額四百一万円余が不用額となっております。

 以上が、平成三十年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、令和元年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億一千二百八十八万円余でございまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額四百二十四万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億八百六十三万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一億三百二十二万円余でございまして、このうち主なものは職員の人件費でございます。

 歳出予算現額と支出済歳出額との差額五百四十一万円余が不用額となっております。

 以上が、令和元年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

田中主査 次に、裁判官訴追委員会関係決算の概要説明を聴取いたします。中村裁判官訴追委員会事務局長。

中村裁判官訴追委員会参事 平成三十年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億三千百七十八万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額四百十一万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億二千七百六十六万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一億二千二百七万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済歳出額との差額は不用額でありまして、五百五十九万円余となっております。

 以上が、平成三十年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、令和元年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億三千三百三十七万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額八十万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億三千二百五十六万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一億二千七百七十五万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済歳出額との差額は不用額でありまして、四百八十一万円余となっております。

 以上が、令和元年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

田中主査 この際、お諮りいたします。

 参議院関係決算の概要説明につきましては、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度国会の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。

 これは、衆議院において使用されていない国有財産について、国有財産法に規定されている原則を踏まえた有効活用が図られていくよう意見を表示したものであります。

 続きまして、令和元年度国会の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

田中主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。岡田衆議院事務総長。

岡田事務総長 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項に対し、衆議院が講じた措置について御説明いたします。

 法制局分室の取扱いにつきましては、財務省への移管について議院運営委員会理事会において御了承いただいた後、去る令和四年三月三十一日に移管の手続を完了したところであります。

 今後とも、国有財産の適切な管理に努めてまいりたいと存じます。

田中主査 以上をもちまして国会所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、国会所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

田中主査 これより外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。林外務大臣。

林国務大臣 平成三十年度外務省主管一般会計歳入決算及び外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 外務省主管の歳入につきましては、予算額二百三十七億二千六百十一万円余に対しまして、収納済歳入額は三百二十九億二千四百五十二万円余であり、差引き九十一億九千八百四十一万円余の増加となっております。

 外務省所管の歳出につきましては、歳出予算規模九千四百二十七億七千五百六十二万円余に対しまして、支出済歳出額は八千四百四十二億二千八百三十九万円余、翌年度繰越額は八百三十九億四千五百八十四万円余、不用額は百四十六億百三十九万円余となっております。

 以上をもちまして、平成三十年度決算の概要説明を終わります。

 続きまして、令和元年度外務省主管一般会計歳入決算及び外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 外務省主管の歳入につきましては、予算額二百八十一億千八百三万円余に対しまして、収納済歳入額は三百三十三億六千八百三十九万円余であり、差引き五十二億五千三十五万円余の増加となっております。

 外務省所管の歳出につきましては、歳出予算現額九千四百八十三億三千三百二十一万円余に対しまして、支出済歳出額は八千五百七十六億四千三百二十七万円余、翌年度繰越額は七百三十七億千七百八十八万円余、不用額は百六十九億七千二百五万円余となっております。

 以上をもちまして、令和元年度決算の概要説明を終わります。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、政府開発援助の実施に当たり、給水事業において濁度低減施設等を整備する場合、事業設計時に既存の送水管の漏水等の影響を考慮して配水池への送水量の検討を十分に行うなどして、援助の効果が十分に発現するよう意見を表示したものであります。

 その二は、無償資金協力(経済社会開発計画)における贈与資金の効率的な活用のため、進捗が低調で長期間にわたり贈与資金が相手国口座や調達代理口座に保有されたままとなっている事業等を把握した場合において、相手国に対して事業の進捗に向けた効果的な働きかけを行うことができるよう取組方針を明確に定めるなどして、これらを在外公館に通知するよう改善の処置を要求し、及びこの通知に基づいて相手国に対する事業の進捗に向けた効果的な働きかけなどを行うよう意見を表示したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、日本人学校等に対する援助の実施に当たり、援助業務の実施に係る手引書を作成して援助の対象となる経費等の範囲を明確に示すなどしたり、新たに在外公館等に赴任して援助業務に従事する職員等に対して援助業務に関する実践的な研修を実施したりすることにより、在外公館等による援助金の支払いが適正なものとなるよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、平成二十九年度決算検査報告に掲記いたしました日本NGO連携無償資金協力により供与した贈与資金の残余金の国庫への返還について処置を要求した事項及び政府開発援助の効果の発現について意見を表示した事項につきまして、それぞれ結果を掲記いたしました。

 続きまして、令和元年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、政府開発援助の実施に当たり、事業実施中に工事の進捗状況の確認等ができなくなった場合、工事の進捗状況の確認等を行うための必要な措置を講ずるなどして適時適切に確認等をした上で、必要に応じて事業実施機関等と協議を行うなどして、援助の効果が十分に発現するよう意見を表示したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、国際連帯事業拠出金について、活用方策を検討して事業内容を見直すとともに、基金基準等に基づく指導監督及び点検等を行うことにより使用見込みの低い資金の取扱いの検討を行うことなどをガイドライン等に定めるなどして、活用が図られるよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、平成三十年度決算検査報告に掲記いたしました無償資金協力における贈与資金の効率的な活用について処置を要求し、意見を表示した事項及び政府開発援助の効果の発現について意見を表示した事項につきまして、それぞれ結果を掲記いたしました。

 引き続きまして、平成三十年度独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の決算について検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。

 これは、政府開発援助の実施に当たり、給水事業において濁度低減施設等を整備する場合、事業設計時に既存の送水管の漏水等の影響を考慮して配水池への送水量の検討を十分に行うなどして、援助効果が十分に発現するよう意見を表示したものであります。

 なお、以上のほか、平成二十九年度決算検査報告に掲記いたしました政府開発援助の効果の発現について意見を表示した事項につきまして、その結果を掲記いたしました。

 続きまして、令和元年度独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

田中主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。林外務大臣。

林国務大臣 先ほどの平成三十年度の決算の説明におきまして、外務省所管の歳出につきまして、歳出予算現額と申し上げるべきところ、歳出予算規模と間違えて申し上げましたので、訂正をさせていただきたいと思います。失礼いたしました。

 当省の取った措置でございますが、平成三十年度及び令和元年度決算に関する会計検査院の御指摘につきまして、外務省が講じた措置を御説明申し上げます。

 政府開発援助の実施につきましては、援助の効果が十分発現するよう、事業の進捗を適切に把握すること等を周知徹底するなど、所要の措置を講じたところであります。

 今後とも、より効果的な政府開発援助の実施に努めてまいる所存でございます。

 以上でございます。

田中主査 次に、田中独立行政法人国際協力機構理事長。

田中参考人 平成三十年度国際協力機構有償資金協力部門の決算に関する会計検査院の御指摘につきまして、JICAが講じた措置を御説明申し上げます。

 デンパサール下水道整備事業につきましては、機構内において事業の教訓を共有し、今後、有償資金協力を実施するに当たって、事業実施機関等から汚水処理後の水質の悪化が生じているとの報告を受けて改善のための助言を行った場合、その後の汚水処理後の水質の改善状況を十分に把握した上で、現状を踏まえた適切な維持管理が行われるよう事業実施機関等と十分に協議、検討が行われるようにすべく、所要の措置を講じたところであります。

田中主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中主査 以上をもちまして外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての説明は終わりました。

 それでは、田中理事長は御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

田中主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、これを許します。原口一博君。

原口分科員 おはようございます。立憲民主党の原口一博です。

 今の決算、そして外交姿勢について、独立自尊、日本第一の外交をやるということを基に、外務大臣と主に質問をしていきたいと思います。

 今会計検査院が指摘をしているように、実際に援助をやったんだけれども、学校は閉鎖されていた、あるいは学校が取り壊されていた。国民の貴重な税金がこのような形で使われると、効果が十分に発揮できるようにという大臣の答弁でしたけれども、そもそもそこのチェックが利いていないじゃないですか。

 林外務大臣、私だったら、防衛費をこんなふうに増やすんじゃなくて、外交力を強化します、外務省の予算を増やします。なぜこんなにチェックが甘いのか。

 そして、岸田政権は統一教会との関係を断ち切ると言っていますが、私、水曜日までに、林外務大臣、例のセネガルについての、草の根・人間の安全保障無償資金協力に関わるお金、返還するんですか、調査はどうするんですか、今日が決算ですから出してくださいと言いましたけれども、出てきません。どうしますか。これは返還を求めますか。外務大臣に伺います。

林国務大臣 セネガルの職業訓練校についての御質問でございますが、被供与団体から、同団体が独立したNGO団体であり、同団体として旧統一教会との関わりはないという説明を受けておりますが、三月十七日に、衆議院外務委員会等におきまして、外務委員会の穀田委員から受けた指摘も踏まえまして、現在、再調査を行っておるところでございまして、この再調査の結果を踏まえて方針を出していくわけですが、今まだ再調査を行っているところでございますので、踏まえた方針について予断することは適切でないと考えております。

 セネガル側も、本職業訓練校の実績、これを評価しておりまして、女性の社会進出を支援するという資金供与目的に沿った活動が行われ、十分な開発効果が上がっていることが認められることから、この点も考慮する必要があると思っております。

 いずれにいたしましても、しっかり調査を進めて、調査の結果を踏まえて、法的な観点も勘案しつつ検討していきたいと考えております。

原口分科員 いや、簡単な調査でも出ていないんですよ。

 サル大統領は、二〇二〇年に、統一教会が創設した鮮鶴平和賞というものをお受けになっています。そして、これも統一教会の本の中にありますが、まことのお母様の息子になりますとまでおっしゃっているわけです。

 つまり、我が国のODAが、統一教会とこの当該国との間の密接な結びつきに使われたのではないか、そう疑っているわけです。

 では、聞きます。

 ペンタゴンペーパーを見ていると、私たちの日本のお金が北朝鮮に渡って、これはずっと拉致議連をつくったときから追っかけてきました、なぜGDPが日本の小さな県よりも小さい国があんなミサイルが開発できるのかと。

 岸田首相は、昨年、国会で点検を約束されました。しかし、片方で、官房長官は、あの教祖を入れたこの判断は正しかったと言っています。

 今日、法務副大臣にも来ていただいていますが、本当に正しかったですか。そのときに布教をなさっているじゃないですか。私は、法務省にそのビデオを見せました。いかがですか。

 そして、もう一個聞きます。

 これは大臣の特別許可をしているわけですけれども、この大臣の特別許可というのは、年間、犯罪を犯した人をどれぐらい日本に入れているんですか。この数字だけでいいですから、教えてください。

門山副大臣 お答えさせていただきます。

 お尋ねの文鮮明氏は、入管法第十二条に規定されている、法務大臣の裁量的処分である上陸特別許可を受けて入国したものと承知しております。

 上陸特別許可をするかどうかの判断に当たりましては、個々の事案ごとに、上陸を希望する理由、該当する上陸拒否事由の内容、上陸拒否事由が発生してから経過した期間、内外の諸情勢その他諸般の事情を総合的に考慮して判断しております。

 文氏の当時の入国状況についてはつまびらかではございませんが、当時の国会における答弁によると、当時、刑の確定後既に七年を経過していたこと、入国目的が朝鮮半島及び北東アジアの平和の在り方について我が国の国会議員の会の方々と意見交換することにあったこと、一週間程度の短期の滞在であり布教活動はしないとの誓約がなされていたことなどの諸事情を総合的に考慮した結果、上陸を認めたものでございます。

 このように、お尋ねの文氏については、当時の法務大臣が当時の諸事情を総合的に考慮した結果、法令上の根拠に基づき上陸を認めたものと承知しており、当時の法務大臣の判断としては適切であったと承知しております。

 なお、この判断は上陸時において行うものでございますので、上陸後の事情により直ちにその判断が適切であったかどうか左右されるものではございません。

原口分科員 いや、聞いたことに答えてください。犯罪を犯した人を特別許可で入れている数は何人かということだけ聞いたんですよ。聞いてもいないことを答えないでください。

 結果、布教しているんですよ。そして、あなたがおっしゃった国会議員というのは、総理、あるいは副総理じゃないですか。どれだけ浸透させているんですか。

 外務大臣、アメリカでは、コリアゲート事件というのが起きて、KCIAが統一教会を使って工作をしようとしていた。このことについての報告書も出ています。アメリカでは、そこで止めているんですよ。日本は止まっていないじゃないですか。

 いいですか。数だけ教えてください。法務省が今、特別許可も出していますよね、今おっしゃった。何人ですか。それだけ言ってください。

門山副大臣 今、令和三年度の特別許可の数ですか。(原口分科員「違う、犯罪を犯した人と言っているんです」と呼ぶ)はい。

 上陸許可をした者のうち、過去に罪を犯した者の数は何件かという問いに対してでございますが、御指摘の数については、統計として把握しておりませんので、お答えは困難でございます。

原口分科員 林外務大臣、お聞きになりましたか。よそで犯罪を犯した人を、特別許可をやって、それが何人いるか、何件あるかも分からない。こんなので国会、チェックできますか。我が国は内側から侵略されているんじゃないですか。

 副大臣、もう結構です。

田中主査 御退席ください。

原口分科員 次に、ウクライナについて伺います、外務大臣。

 今、アメリカでは、自分たちがウクライナに渡したお金がどうなっているか、米軍がどこにいるか、政府は答えよと下院が議決をしています。

 事実関係だけ外務大臣に聞きます。

 ウクライナは中国との間で核協定を持っていますね。中国の傘に守られていますね。どうでしょうか。

林国務大臣 今、原口委員からお話があった件でございますが、中国とウクライナの間で、二〇一三年十二月の中国・ウクライナ首脳会談の際に、中国とウクライナの友好と協力に関する合意というのを締結しております。その際に発出された共同声明には、ウクライナが核兵器の使用による侵略を受けるか又は侵略の脅威を受ける状況において、ウクライナに対し相応の安全保障を提供することを承諾する旨の記述があると承知をしておるところでございます。

原口分科員 皆さん、お聞きになりましたでしょう。林外務大臣は、エニシング・バット・アベ、安倍さん以外のことをやろうとしているんじゃないですか。私は、あなたと同年で、ずっとあなたのことを尊敬してきましたよ。だけれども、岸田外交というのは失敗続きじゃないですか。安倍さんがやったロシアとの関係も壊していませんか。

 中国は、今おっしゃったように、ウクライナと核協定まで持っている。だけれども、今、間に入って、そして和平を求めている。日本はどうか。NATOにも入っていないのに、あなたは二回もNATOに行って、そして、岸田首相はウクライナに入って、しゃもじを持っていった。あの翌日、プラウダに何と書いてあったか。日本は第二次世界大戦のことを忘れたのではないか、そういう話をしていました。なぜこういうことをやりますか。

 私たちがウクライナに支援したお金は、本当に国民に渡っていますか。本当にほかの転用をされていませんか。今、アメリカ議会では、出したお金でロシアのガスを買って、その差額分がウクライナの政権の人に入ったんじゃないかと大騒ぎしていますね。私たちの国民の税金はどうなっているんですか。

 外務大臣、私は、いわゆるトランプさんが言っているようなDS、あるいは、今回、民主党の候補になられるケネディさんのおいごさんがおっしゃっているような、ウォーマンガー、戦争屋の真下にいちゃいけないと思うんですよ。今、防衛費をこんなに増やして、その中身は一体何ですか。フォーリン・ミリタリー・セールスを一兆四千億、増やしているんです。

 今日は防衛副大臣にも来ていただいていますので、皆さんがやっているシミュレーションの中に自衛隊の人の、人の負担というのは入っていますか。副大臣、教えてください。

井野副大臣 先生御指摘のFMSにそういう人の教育というものが入っているかということ……(原口分科員「教育じゃなくて負担」と呼ぶ)はい。

 FMSについても、米国しか提供することができない技術支援や教育といった役務などを調達するFMSについても、これに入っているというふうに認識しております。

原口分科員 副大臣、私が聞いたのは、これによって、フォーリン・ミリタリー・セールスを大量に買えば何が起きるか。外務大臣はずっと勉強会をやってきたからよくお分かりでしょうけれども、今、世界的に兵器が足りていませんね。ウクライナにどんどんどんどんやっているわけだから。このフォーリン・ミリタリー・セールスの特徴は、前金払いの、前金で払うんですよ、そして、あるとき渡しなんです。

 先日、ミリタリー・タイムズに書いてありましたね、オスプレイはもう米軍は新規調達しないと。止めるんですよ。

 今、日本はどうやっているかというと、それを入れて、佐賀にも無理無理入れようとしている。だけれども、自衛隊員の整備する人、パイロットの人、その負担はこの中に入っていますかと聞いているんです。一遍に、安倍内閣だって七千億、増やしたんですよ。僕らのときも五百億ぐらい買っていますよ。空を自由に開発できないから、アメリカに援助してもらうしかないんです。だけれども、一兆四千億はひど過ぎるでしょう。前金で払って、日本に来るときには古いものになっている。グローバルホークだってそうじゃないですか。そのことを聞いているんです。

 では、林外務大臣、今回、GDPの二%ということで防衛費を増やしましたけれども、この中に、防衛省から聞いたのは、これは純粋な防衛力の整備の積み上げだと言っているんですよ。ところが、油について入っていますか。

 外務大臣はよくお分かりでしょうけれども、今回、サウジアラビアとイランが歴史的な和解をしました。G7以外の国はどんどんどんどん平和になっていますよ。手を結んでいますよ。にもかかわらず、G7が我が国を守りますか、NATOが我が国を守りますか、何で、核の傘に守られたウクライナを我が国が最後まで支援しなきゃいけないんですか。

 外務大臣に伺います。

 皆さんが今出しておられる防衛増税も含めたこの防衛費増強の中に、シミュレーションしていますよね、精緻なシミュレーションをしていると。だけれども、その中に油の補給について入っていますか。あるいは、強大な米軍でも二方面を戦うことはできません。二方面を戦うというのが入っていますか。先日、中国の防衛大臣が、ロシアと一緒に世界の安全保障を守ると言いましたよ。世界は多極化に行くんじゃないですか。二つ聞きます。そのシミュレーションの中に二方面が入っているのか、あるいは供給が入っているのか。

 第二次世界大戦は、我が国は何で負けたんですか。原爆で亡くなった以外の方のほとんどは病死と餓死ですよ。先日も、南方に出された方が、自分の部下たちは全部それで亡くなったって。第二次世界大戦の反省は全くないんじゃないですか。

 シミュレーションの中に二方面とそれから油の供給。サウジと中国は今蜜月じゃないですか。我が国はどこから油をもらっていますか。その二つが入っているかどうか、外務大臣に伺います。

林国務大臣 今回のロシアのウクライナ侵略は国際社会の秩序の根幹を揺るがす暴挙でありまして、力による一方的な現状変更は世界のどこであっても許してはならず、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない、こういう強い危機感の下で、我が国は、G7を始めとする国際社会と連携しつつ、ロシアに対して引き続き強い制裁を行うなどの外交的取組を進めております。

 それで、日ロですが、やはり隣国でございますので、例えば、漁業等々の経済活動、海洋における安全に関わる問題のように、隣国として対処する必要がある、こういう事項については、我が国外交全体で、何が我が国の国益に資するかという観点もしっかり考えつつ、適切に対応していきます。北方領土問題については、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針を堅持してまいります。ちょっと、前段で委員がおっしゃったものですから、そのことは申し上げておきたいと思います。

 その上で、油というのは、自衛隊が使用する油ということ……(原口分科員「いやいや、日本に入る油ですよ、原油」と呼ぶ)

 原油につきましては、ちょっと今手元に国家安全保障戦略そのものを持ち合わせておりませんが、エネルギーの安全保障という観点か、こういうふうに思いますけれども、そういうことはここに書いてあるか、今手元にございませんが、日本が海外に多くのエネルギーを依存しているというのは委員がおっしゃるとおりでございますので、直接、安全保障戦略に記載されているかどうかは別として、大変大事なことであろうかというふうに認識はしております。

原口分科員 あなたは御存じでおっしゃっていると思うんですよ。サウジアラビアと中国が、今、もう蜜月ですよね。MBS、皇太子様は、韓国まで来られて、日本に来られませんでしたね。今、政府系ファンドでも、中国とサウジアラビアは物すごいプロジェクトをやっていますよ。

 台湾有事が日本有事と言っている人たちがいるから聞いているわけです。台湾有事が日本有事で、そうなったときに、官房副長官は何と言っているか。日本はポーランドみたいな役割を果たせばいいと言っている。何で台湾有事が日本有事なんですか。

 あなたはよくお分かりのはずです。多極化の動きが、さっき、ロシアの侵攻は許さないと言ったけれども、いろいろなことが出てきているじゃないですか。ノルドストリーム1、2は誰が破壊したのか。あるいは、キーウに、米軍がどこにいるのか。これは代理戦争じゃないんですか、ウォーマンガーの。だから、ウォーマンガーの真下にいないでくれと言っているんです、あなたに。

 サウジアラビアから我が国は最大に原油を輸入していますよね。台湾有事になったときに、ここにいらっしゃる皆さん、サウジアラビアは日本の友好国だけれども、中国と我が国が構えたときに、日本に原油が来ますか。サハリン1、2を、皆さんの力であそこまで権益を持ったもの、これを手放していいんですか。アザデガンと同じじゃないですか、イランの。我が国がイランで一生懸命権益をつくった、だけれども、それも手放させられた。油がなきゃ戦えないじゃないですか。それがシミュレーションに入っているか、入っていないか。あなたは国務大臣でしょう。入っていないんですよ。

 では、聞き方を変えます。台湾有事は日本有事ですか。

林国務大臣 台湾有事は日本有事という発言があることについては承知をしておりますが、政府としてコメントは差し控えたいと思います。

 政府としては、台湾海峡の平和と安定、これは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した立場であります。

 その上で、あくまで一般論として申し上げますと、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、我が国及び我が国国民の安全と繁栄を確保するために、政府として、いかなる事態に対しても対応できるように、平素から体制の整備を含めて万全を期していくということは当然であるということも申し上げておきたいと思います。

原口分科員 いや、官房副長官が言っているじゃないですか、ポーランドのような役割を果たすと。ポーランドになるんじゃないんですよ。緩衝国家、ウォーマンガーの真下の国家は、戦場になるんですよ。あなたも、CSISのシミュレーション、御覧になったでしょう。日本の自衛隊はどうなりますか。全滅じゃないですか。だからやめろと言っているんですよ、そういうやり方を。ウォーマンガーの真下にいて、そして、日本の安全保障を、今、万全を尽くすとおっしゃいましたけれども。

 では、逆に、防衛副大臣、まだ残っていただいているので、先日の北朝鮮のミサイル発射、四月十三日ですね、これはロストしましたね。弾道ミサイルをなぜロストしましたか。

井野副大臣 十三日のミサイルの件ですけれども、十三日に探知したものがレーダーから消失した理由については更なる分析が必要であるというふうに考えておりますけれども、その上で、我が国が複数のレーダーによる重層的な探知、追尾の体制をしいていることや、レーダーは一般的に、電波を照射してその反射を捕らえるという性質上、近いものほど正確な捕捉が可能であること、そういった状況を踏まえて、実際に我が国に飛来してくるものがあればこれを全く捕捉できないということではございません。その上で、監視等を継続した結果、我が国に飛来するものの探知はなく、迎撃アセットを、捕捉することもなかったため、迎撃には至らなかったということでございます。

原口分科員 あなたを責めているんじゃないですよ、でも、そんな答弁でいいんですか。

 今、北朝鮮の衛星に対して破壊措置準備命令を出しているでしょう。じゃ、この弾道ミサイルについて破壊措置準備命令は出ていましたか。

井野副大臣 一般的に、こういったミサイルに対して破壊措置命令が出ているか否かについては、基本的にお答えをしておりません。公表しておりません。

原口分科員 でしょう。つまり、守られているかどうかというのは国民は確信できていないんですよ。

 Jアラートを出して、八時に北海道に着弾すると。北海道の人たち、逃げ惑いましたよ。そして、あなた方がこれを解除したのは、防衛大臣が国内への落下や排他的経済水域への飛来は確認されていないと発表したのは、何と八時五十八分です。何でこんなことをやるんですか。敵基地攻撃能力とか言っているけれども、弾道ミサイルが北海道に着弾する、だったら反撃しなきゃいけなかったんじゃないですか。でも、ロストしているから、これはもし反撃でもしていたら我が国の先制攻撃になっていますよ。だから言っているんです。

 皆さんのお金の使い方が間違っているんですよ。フォーリン・ミリタリー・セールスに頼り過ぎていて、自衛隊員の負担、どんなに増えているか。佐賀空港のあのオスプレイ配備、オスプレイって一九八〇年に造られたやつですよ。発想されたやつですよ。もうアメリカは別のになっているんですよ。何で我が国だけ型落ちを、しかも、事故率が、この間、六・〇ですよね。これはクラッチの不具合で十年ぐらい前から分かっていた。私たちも米軍に友達がいますから、彼らの中にも亡くなった人がいるんですよ。何で日本だけ型落ちのフォーリン・ミリタリー・セールスを買わされるんですか。おかしな話だと思いますし、林外務大臣だったら、あなただったら、今の岸田内閣のやり方を変える、その中心にいるじゃないですか。今のやり方でいいんですか。

 あなたは何でNATOに行くんですか。外務大臣が軍事組織になぜ行くんですか。今までの外務大臣、行っていませんよ。教えてください。

林国務大臣 国際秩序が深刻な挑戦を受けている今、欧州とインド太平洋地域の安全保障を切り離して論じることはできないと考えております。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、これを維持強化するためには、インド太平洋の同盟国、同志国のみならず、欧州の同志国やNATOのような機関との連携も重要だと考えております。

 こうした観点から、四月五日に、昨年に引き続きまして、NATOの外相会合のパートナーセッションに出席をいたしました。同セッションでは、ウクライナ侵略への対応、そしてインド太平洋情勢などについて有意義な議論が行われたところでございます。NATOとの連携強化に当たり、このような直接の対話は極めて効果的であると考えております。

 政府として、引き続き、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分との認識の下で、国家安全保障戦略も踏まえながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化のために、NATO及びその加盟国、パートナー国を始めとする同志国と協力していく考えでございます。

原口分科員 若い頃からあなたとずっとやってきて、すごく失望しています。アメリカだって今そんなこと言っていませんよ。

 グローバルサウスの人たちが何を言っているか。今、国際秩序とか言っているけれども、NATO、そういう人たちが私たちに何をくれたか、戦争と搾取と説教だけじゃないか、平和を持ってくる人たちを私たちは重んずるんだと。今、どんどんどんどん今おっしゃった外側の枠組みの人たちは手を結んでいるじゃないですか。ドルが何でこんなに暴落していますか。ロシアに制裁をかけて、ともえ投げ食らっているじゃないですか。逆制裁を受けているじゃないですか。

 あのクリミア侵攻のときも、実はそれには理由があったんじゃないですか。安倍さん、そう言っていませんでしたか。キューバ危機と同じようなことがクリミアで起きていたんじゃないですか。ロシアが悪、ウクライナは正、そして中国に守られているウクライナにどんどんどんどん日本のお金をつぎ込む、その挙げ句に、日本の安全はどうなっていますか。今、多極化についての動きをやはりちゃんと外務大臣は御覧いただくべきだと思いますし。

 今日は、個人情報保護についても聞いておきたいと思います。

 佐賀空港のオスプレイ配備。これはもうむちゃくちゃなことをやっている。個人情報を勝手に取って、アンケートを出して、そして岸田総理が秘密裏に漁協長に会って、そして知事もその中に入って公害防止協定を変えている。

 個人情報の保護に関して、政府が勝手にその人たちに無断で情報を取って、そして買収に行くということは許されますか。今日は委員会の方からその法律のたてつけについて答えてほしいということで来られていますが、どうぞ答弁をお願いします。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の案件についてはコメントを差し控えさせていただきますが、個人情報保護法上のたてつけについて御説明させていただきますと、行政機関の長につきましては、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならないというのが原則でございますが、その規定にかかわらず、例えば、本人の同意があるとき、あるいは、行政機関等が所掌事務又は業務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当の理由があるとき、あるいは、他の行政機関等に保有個人情報を提供する場合において、その受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当の理由があるとき等につきましては、その例外というふうに規定されてございます。

原口分科員 そうでしょう。

 だから、外務大臣、予算の全体を変えてください。こういう空疎なFMSじゃなくて、日本の安全保障を日本第一で考えてください。

 最後に、もう質疑時間が来ましたので、外務大臣にお願いがあります。

 今回、G7サミットがありますね。核なき社会をということで目指してきました。私は、北東アジア非核兵器地帯条約国際議員連盟の日本側の代表をしています。核の傘じゃなくて、非核の傘を広げましょうよ。今はもう南半球は非核の傘ですね。東南アジアにも非核の傘がある。それから中央アジアにも非核の傘がある。私たちは非核の傘を広げなきゃいけない。これに対して協力をしてほしい。

 そして、二番目のお願いは、岸田総理もおっしゃっていますが、核の実相、被爆の実相、これは明らかにされていません。何となれば、これを原爆を落とした人たちが調査したからです。ABCCの資料は閉じているんですよ。そのために、内部被曝とか、あるいはその後入市した人たちの被爆は隠されているんです。岸田さんが外務大臣のとき、それを開示すると僕に約束してくれました。しかし、それは今になっても果たされていません。

 この二つの協力をお願いしたいと思いますが、済みません、質疑時間が超えていて、御答弁いただければありがたいです。

田中主査 林外務大臣、簡潔にお願いいたします。

林国務大臣 まず、前段の御質問ですが、我が国は非核三原則を堅持しておりまして、今後もその方針に変わりはないということでございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、核兵器国を含む全ての関係国の同意等適切な条件がそろっている地域において非核地帯が設置されるということは、核不拡散等の目的に資するものと考えております。

 我が国周辺には、委員も御存じのように、強大な軍事力が集中し、また、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の透明性を欠いた核戦力を含む軍事力の急速な強化など、引き続き、不透明、不確実な要素が存在しております。このように、北東アジアにおいては非核地帯実現のための現実的な環境はいまだに整っていないと言わざるを得ません。

 我が国としては、北東アジアの安全保障環境改善のために引き続き努力するとともに、核兵器のない世界に向けた国際的な取組を主導していきたいと思っております。

 また、被爆の実態について更に調査を進めるべきという委員からの御指摘、被爆者援護施策を実施している厚生労働省にも伝えておりまして、同省において、例えば内部被曝の影響も考慮した原爆症認定等に関して適切な対応がなされてきているものと認識しております。

 今お話のあった日米共同調査の検討については、引き続き、関係省庁と連携していきたいと考えております。

原口分科員 終わります。

田中主査 これにて原口一博君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

田中主査 これより復興庁所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。渡辺復興大臣。

渡辺国務大臣 平成三十年度における東日本大震災復興特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災復興特別会計の収納済歳入額は二兆五千三百二十二億七千七十八万円余、支出済歳出額は一兆八千六百八十億二千四百九十八万円余でありまして、歳入歳出差引き六千六百四十二億四千五百七十九万円余の剰余を生じております。

 この剰余金は、特別会計に関する法律の定めるところにより、翌年度の歳入に繰り入れました。

 引き続き、令和元年度における東日本大震災復興特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災復興特別会計の収納済歳入額は二兆五千八百七十三億六百七十九万円余、支出済歳出額は一兆六千七百七十億五千七百八十九万円余でありまして、歳入歳出差引き九千百二億四千八百八十九万円余の剰余を生じております。

 この剰余金は、特別会計に関する法律の定めるところにより、翌年度の歳入に繰り入れました。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

    〔主査退席、柿沢主査代理着席〕

柿沢主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度復興庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 続きまして、令和元年度復興庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件であります。

 これは、被災者支援総合交付金により実施した事業の交付対象事業費を過大に精算していたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

柿沢主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。渡辺復興大臣。

渡辺国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、会計検査院の検査の結果を踏まえ、復興庁としましては、交付金を返還させるとともに、事業実施団体に対し改めて注意喚起するなど、所要の措置を講じたところであります。

 今後とも、被災者支援総合交付金の適正な執行に努めてまいります。

柿沢主査代理 以上をもちまして復興庁所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

柿沢主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。早坂敦君。

早坂分科員 皆さん、おはようございます。日本維新の会の早坂敦です。

 本日は、会派のトップバッターとして質問させていただくんですが、初めに、昨日終わりました統一地方選挙、後半戦が終わりましたが、あと衆参の補選も終わりまして、私もかなり真っ黒になって走り回りまして、どうにかどうにか一議席取らせていただきました。大変苦しい選挙戦で皆さん大変お疲れだと思いますが、私も珍しく栄養ドリンクを飲んで今日来ました。

 それで、我々、宮城、仙台の方は、ちょっと話、質問じゃないんですが、統一地方選挙が、十二年前から七月が市議会議員選挙なんですね、十月が県会議員の選挙なんですよ。

 これは、阪神・淡路のときの議員に聞いたら、やはり二十何年間かかって元に戻したということがあるんですけれども、十二年間そうやって、市会議員の、政令市の仙台市は七月、今回もそうですけれども、我々はずれていまして、十月は県会議員ということで、これは本当に、あと、福島の問題もありますから、十年以上かかると思うんですよ。

 しかし、これは全然所管じゃないと思うんですけれども、前大臣にも一回、復興特別委員会の方で、復興特の方で質問させていただいたんですけれども、是非、税金ですから、いつか、渡辺大臣、ちょっとお声がけしていただいて、一緒に総務省と手を組んでやっていただきたいなと。一つの選挙にした方がお金もかかりませんし、本当に予算もかからないので、是非よろしくお願いを申し上げます。

 質問に入ります。

 今回質問させていただくのは、まず初めに、心のケアについて質問させてもらいます。

 東日本大震災から十二年がたちました。当時、私も、地元仙台で震災を体験しましたが、あの光景がまだまぶたに焼き付いております。戦争の後はあのような光景なんだろうなと知人が言っておりましたが、大人の私でさえ物すごい衝撃でしたから、子供たちがあの光景を目にしたら、どんなに恐怖を感じたかと胸が痛みます。

 政府は、復興の総仕上げの段階と位置づけておりますが、確かにハード面では復興以前の水準まで回復しているのかもしれません。しかし、心に負った傷はそう簡単に癒えるものではなく、ましてや、子供たちは多感な、そして人格形成の大切な時期に味わった恐怖や悲しみは一生癒えないかもしれません。大臣も、ソフト面での心のケアが残された課題と認識を示されておりますが、震災直後から、心のケアの大切さはよく言われております。

 改めて確認ですが、心のケアは、誰のために、どういう目的を持って、どのように行われているのか、心のケアの意義について伺います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の被災者の震災体験によるPTSDや、震災後の環境の変化による心身への影響など、被災者の心のケアのニーズに対応することは大変重要だというふうに考えてございます。

 このため、被災三県に心のケアセンターを設置いたしまして、保健師、精神保健福祉士等の専門職が被災者の心のケアに関する取組を実施しているところでございまして、こうした取組によりまして、被災地の精神保健福祉の強化を図り、もって被災地の福祉に資することを目的として心のケアを実施しているところでございます。

早坂分科員 ありがとうございます。

 私も、その当時、震災を体験した者なんですけれども、女川町、宮城県にありますけれども、原発がありますけれども、あそこの、高台の病院があるんですけれども、そこから、もう全部、焼け野原のように全部、何も、瓦れきしかないという状況を見て、そしてまた、復興道路があって、右側の海沿いの方は電気が消えていて真っ暗で、左側は電気がこうこうとついているという、本当にすごいなという光景を見せていただいたんですけれども、子供たちが負った心の痛みは本当に大変だと思います。

 ケアセンターの設置の状況と取組について、じゃ、次、お伺いしますが、被災三県にケアセンターが設置されておりますが、それぞれ、どのぐらいの規模でどういった取組がなされているんでしょうか。地域によっても事情は異なっていくと思いますし、医師や看護師、保健師、精神保健福祉士さんなど、適切に配置されているんでしょうか。十二年が経過して、規模は維持されているのか、縮小傾向にあるのか、現状と取組の状況を伺います。

 また、県外に避難し、見ず知らずの、知り合いもいない土地にいまだに住むことを余儀なくされている方もいらっしゃいます。ともすれば、引きこもりがちになり、ますます孤独感に陥っていくことになりかねません。さらに、引っ越しを重ね、学校になじめない子供や、いじめに遭遇する子供たちがいるのも現実です。県外避難者に対するケアの現状も併せて伺います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 心のケアセンターにつきましては、それぞれ、現在、岩手県に五か所、宮城県に三か所、福島県に七か所設置されてございます。

 具体的な取組内容といたしましては、被災者への相談支援、訪問支援、あるいは自治体職員等への、支援者への支援、それから人材育成、研修、あるいは心の健康に関する普及啓発を実施しているところでございます。

 また、県外に避難されている方への支援についてお尋ねがございました。

 避難元市町村がフォローすることが難しい県外避難者の方に対しては、日本精神科看護協会等の全国規模の専門職員を有する団体に委託をいたしまして、戸別訪問による心のケアを実施しているところでございます。

早坂分科員 ありがとうございます。

 仙台市なんですね、私は。町中なので、全然そんな被害は、津波の被害はなかったんですけれども、やはり私、当時、そのとき仙台の市議会議員をやる前だったんですけれども、その後に選挙があって当選させていただいたんですが、気仙沼とか福島から転校してきた子供たちもおりまして、やはり、ちょっとなじめない感じもしていましたし、ちょっといじめがあったというような話も、相談を受けていましたので、しっかりそのセンターを、取組をお願いを申し上げまして、次の質問をさせていただきます。

 相談者の傾向と人数、地域別、そしてあと年齢や相談内容についてちょっとお伺いします。

 凄惨な光景を目の当たりにして日常生活に支障を来してしまった人や、突然、最愛の家族や知人、親戚を失い、生きる気力がうせてしまった人、仕事を失い、生きる気力がなくなってしまった人など、心に負った傷の深さや痛みは人それぞれだと思います。十二年たっても、孤独で眠れないですとか、お酒がないと不安だという人、ただ人とおしゃべりがしたくてケアセンターを訪ねてくる人もいるかもしれません。

 発災初期と十二年たった今では相談内容も変化していると思われますが、相談者の傾向について教えてください。人数が増えているのか、減少傾向なのか。あと、地域によって相談内容にどのような傾向があるのか。子供からの相談からまたお年寄りの相談まで幅広いと思いますが、相談内容にはどういったものが多いのか、どういった傾向が多いのか、そして強いのか、教えてください。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 被災三県の心のケアセンターの相談者数でございますが、令和二年度で、岩手県で千九百七十一人、宮城県で千百七十五人、福島県で六百二十人となってございます。

 また、時間系列でどのような件数の推移になっているのかというお尋ねもございましたが、相談者数については漸減傾向にございます。また、相談の延べ件数も全体として漸減傾向でございますが、依然として高い水準で推移しているものと認識しております。

 また、令和元年度の調査でございますが、相談者の年齢階級別延べ相談件数を見ますと、岩手県は六十五歳以上からの相談が全体の約七割、宮城県、福島県では四十歳から六十四歳からの相談が全体の約四割と、多くなってございます。

 さらに、相談内容について見ますと、相談の背景別でございますが、岩手県では健康上の問題が最も多くなっておりまして、宮城県では、精神変調、健康上の問題、家族、家庭問題が高水準となってございます。また、福島県では、健康上の問題が最大、次いで住環境の変化が多くなっているという状況でございます。

早坂分科員 やはり、PTSDとか、いまだにフラッシュバックする方は大変多いと思いますね。やはりこんなに、今、十二年経過しても千、二千人近い方が相談に来るということなので、しっかりとその相談者の方々、ケアをお願いいたしたいと思います。

 また、ケアする人の側の支援の内容とか、あと、人材育成、研修内容、普及啓発活動の内容について次にお伺いしますが、受け入れる自治体職員の皆さんの御心労も大変なものだと思います。御自身や身内の方が被災された方もいらっしゃるでしょうし、子供からお年寄りまで多岐にわたる相談が寄せられ、日々の対応に心身共に大変な御苦労をされていると思います。自治体職員の方がケアされる側に回って、本末転倒です。

 献身的な対応をされている自治体へもしっかりとした支援が必要だと考えますが、どのような支援が行われているんでしょうか。

 また、ケアは切れ目なく継続的に行わなければならず、人材が途切れることがあってはなりません。この事業を継続していくためにも、人材育成は大変重要な課題だと思います。人材育成、研修について、どのような対応をされているんでしょうか。

 さらに、人々の心の健康について関心を持つことが肝要だと思いますが、人々に心の健康の大切さについて普及啓発活動は行われているのか、行われているのであれば、どういった手法で行われているか、併せて伺います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 自治体職員等への、支援者への支援でございますけれども、自治体職員に対する専門的な観点からの指導助言やケース会議等の開催など、心のケアを実施する各種支援者の技術向上のための支援等を行ってございます。

 また、人材育成、研修についてお尋ねがございましたが、支援スキルや、あるいは、アディクション、いわゆる依存症の関連問題に関する研修の実施、それから事例検討など、専門職の人材育成を行っているところでございます。

 さらに、心の健康の大切さを訴えるということで、普及啓発等についてのお尋ねもございましたが、一般住民に対する研修会の開催やサロン活動、あるいはメディアを活用した普及啓発などに取り組んでいるところでございます。

早坂分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。

 そこで、やはり先ほども言いましたけれども、十二年が経過して、大臣にちょっと復興への意気込みを聞きたいなというところで。

 まだまだ復興の道は続きます。「第二期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針において、地震、津波被害地域においては、復興の総仕上げの段階と位置づけられてきました。ハード面においては、ほぼ震災以前の状況に戻りつつあります。

 しかし、大臣自身も、ソフト面での心のケアが残された課題とおっしゃっておりましたが、目に見えない心の問題がまだまだ残っていると思います。ハード面であれば、物事が、終わりはある程度予測、めどはつきますが、心の問題は終わりが見えず、何世代にもわたる可能性もあります。

 渡辺大臣、二度目の復興大臣として復興のために御尽力していただいておりますが、心のケアの問題について、どう実効性のある対策を行っていくのか、次につなげていくのか、大臣の意気込みをお願いいたします。

渡辺国務大臣 被災者の心のケアについては、発災から十二年が経過した現在でも、相談件数が依然として高い水準で推移していることがあります。引き続き支援していくことは大変重要であるという認識をしております。

 復興の基本方針において、心のケア等の被災者支援については、「地域によって復興の進捗状況に違いがあり、被災者一人ひとりが直面している課題は、様々に異なっている。」とされております。「被災者が地域社会から孤立することや孤独に悩むことを防ぎ、安全・安心な生活を再建することができるよう、引き続ききめ細かな支援が必要である。」とされており、被災者支援総合交付金等により、厚生労働省とともに必要な支援を行ってまいりたいと思っております。

 復興の基本方針においては、地震、津波被災地域において、心のケアセンターは、「センターにおける相談・支援対応の実情、地方公共団体の精神保健福祉施策の状況等を踏まえ、適切な支援の在り方を検討する。」とされており、こうしたことを踏まえて、今後もしっかりと検討をしてまいりたいと思います。

早坂分科員 ありがとうございました。

 震災から十二年たちまして、大臣、以前も言いましたけれども、十二年で十五人目の復興大臣ですので、是非とも皆様のために長く皆様のケアをしていただきたいという思いですが、本当に子供たちの思いや心の傷はまだまだ癒えませんので、是非ともよろしくお願いを申し上げます。

 ちょっと順番は前後するんですけれども、先にこちらの質問をさせていただきたいんですけれども、輸入規制の緩和と撤廃に向けた取組についてちょっとお伺いします。

 次に、風評による輸入規制の緩和また撤廃に向けた取組について伺いますが、今なお、放射性物質による汚染の有無、また、その状況が正しく認識されていないため、福島県のみならず、被災地全体の農林水産業や観光業を中心に風評被害の影響が残っております。昨年、イギリスとインドネシアが規制を撤廃し、今年に入り、台湾も規制を一部緩和しました。しかし、震災から十二年たった現在に至っても、輸入規制を行っている国、地域があるのが現実です。

 現在の、輸入規制を行っている国、地域、放射性物質検査証明書を求める国、地域はどれくらいあるんでしょうか。これまでの推移を併せて伺います。

由良政府参考人 原発事故に伴う日本産食品等への輸入規制についてでございますが、事故後に五十五の国、地域が輸入規制を導入していたところでございますけれども、政府一体となった働きかけの結果、緩和、撤廃の動きが進んでおりまして、これまでに四十三の国、地域が規制撤廃をしていただいておりまして、依然として残っておりますのは十二の国、地域の輸入規制という現状でございます。

 一部の都道府県等を対象に輸入規制の措置を行っておりますのが、韓国、中国、台湾、香港、マカオの五つの国、地域、一部又は全ての都道府県を対象に検査証明書等を要求する措置を残しておりますのは、EU、それからアイルランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン、そして仏領ポリネシア、ロシアの七つの国、地域でございます。

早坂分科員 輸出している国が変わってきたということはいいことなんですが、私、昨年、通常国会で登壇させていただいたときに、これは、観光とか、あと農林水産業の方にちょっとお願いをしたかったんですけれども、まずもう一つ、私、南相馬に行ったら、名物料理でガニ汁というのがあって、それを食べさせていただいたんですよね。大変おいしいんですけれども、福島では今捕れないんです、名物でも、やはり南相馬では。青森からわざわざ取り寄せて取っているということなので、やはり日本の方々でもまだそういうふうにちょっと懸念があるのかもしれませんが、これからもっともっと日本の、やはり福島のものを食べていただきたいというものでありますから、この輸出をしっかりしていただきたいと思いますね、輸入規制の問題ですが。

 そして、五十五か国から十二か国まで減少したということですが、これまでにどのような取組を行ってきたのでしょうか。また、ALPS処理水の海洋放水に伴う風評払拭と同様な取組になるのかもしれませんが、改めて取組について伺います。

由良政府参考人 先ほど答弁の中でアイルランドと申し上げたようでございますが、アイスランドが正確でございました。失礼いたしました。

 日本産食品の輸入規制の撤廃に向けた取組でございますけれども、原発事故に伴う日本産食品への輸入規制の撤廃に向けては、内閣官房長官を筆頭といたします農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議を設置いたしておりまして、政府一丸となって取組を進めております。輸入規制の撤廃に対する規制国、地域への働きかけに当たっては、ハイレベルでの二国間会談や事務レベルの交渉など、あらゆる機会を活用し、政府一丸となって、科学的知見に基づき、規制を早期に撤廃するよう申入れを行ってきているところでございます。

 また、そのような働きかけに加えて、福島県産の農林水産物の魅力や安全性等を伝える記事広告や動画の配信など、海外向けの情報発信を行っているところでございます。

 それから、加えまして、ALPS処理水についての情報発信、風評対策についても御質問いただきました。

 政府としては、まず、安全に関する正確な情報の発信と、それから被災地域の農林水産品の魅力の発信、こういった情報の発信が重要であるというふうに考えてございます。

 安全性につきましては、IAEAが、日本政府、日本の取組につきまして検証を行うレビューを行っております。昨年五月にはグロッシー事務局長が、放出は環境にいかなる害も与えることはないと確信できるとコメントされたというふうに伺っております。こういった国際的な取組をしっかり進めることで、安全性についての検証を進めていただきたいというふうに考えてございます。

 また、魅力の発信につきましては、様々な機会におきまして、テレビ、ラジオ、あるいはいろいろなイベントの実施によりまして魅力の発信の取組を進めているところでございます。

早坂分科員 ありがとうございます。

 次に、やはり輸入規制について、ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、これまでの取組の結果、諸外国、地域の食料品輸入規制については、先ほど御説明いただいたように、当初五十五か国・地域から、現在十二か国・地域まで減り、撤廃や緩和が進みつつあります。しかし、いまだ十二か国・地域が残っております。

 今後、ALPS処理水の海洋放出も控える中、一刻も早い輸入規制の撤廃が望まれますが、今後、規制が残る国、地域に対して、風評払拭に向けてどのような取組を行っていくのか、大臣の意気込みを伺います。

渡辺国務大臣 輸入規制の撤廃に向けた取組につきましては、復興庁としましても極めて重要な課題だと認識をしております。これまで復興大臣や、私自身も働きかけに取り組んできたところでございます。

 昨年の五月には、当時の西銘大臣が、日本産食品に対する放射性物質の規制を担当するEUの大臣とも言えるキリアキデス保健衛生・食品安全担当欧州委員や、ボイチェホフスキ農業・農村開発担当欧州委員と会談をしたところであります。

 会談では、日本では厳格な安全対策を講じ、管理体制は万全であることから、規制を撤廃するよう働きかけを行ったところであります。

 また、先日でありますけれども、私自身、駐日ドイツ及びフランス大使と会談を行って、EUの輸入規制措置が早期に撤廃されるよう働きかけを行ったところでございます。

 今後もあらゆる機会を活用し、引き続き、政府一丸となって、科学的知見に基づき、規制を早期に撤廃するよう、より一層の働きかけや安全性に関する情報の更なる発信に取り組んでまいりたいと思っております。

早坂分科員 ALPS処理水の件で、ちょっともう一点聞きたいことがあるので。

 Gサミットや関係閣僚会議が順次開かれてきておりますが、復興庁として、こういった国際会議で働きかけを行っていく予定であるんでしょうか。既に、G7外相会議が開かれた際、復興庁がブースを出展していたということですが、どういった内容だったんでしょうか。

 また、あと、繰り返しになりますが、科学的根拠に基づき安全確保に万全を期しているという情報発信は大切です。様々な機会を捉えて情報発信を継続するべきだと考えますが、今回のGサミットや関係閣僚会議での働きかけと、それに伴う情報発信の取組について伺います。

由良政府参考人 先生から言及をいただきましたG7外務大臣会合におきましては、国際メディアセンターにおきまして、復興庁のブースを出して復興関連の展示を行いました。ブースでは、被災三県のお酒やジュースの試飲、銘菓、お菓子の試食、伝統工芸品の展示、パネル展示のほか、スタッフが岩手県の伝統芸能の衣装を着て来客の皆様をおもてなしいたしました。限られたスペースの中ではございましたが、充実した展示を行ったものと考えてございます。

 また、同時期に開催されましたG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合におきまして、日本政府主催の歓迎レセプションにおきまして、福島県と連携し、復興の取組に関する広報ブースの設置、約七十名の参加者に福島県産品の詰め合わせを配付させていただきました。また、この会合の際に、ドイツやイギリスのG7関係閣僚会合の参加者等において、会合の前後、福島第一原子力発電所の視察をいただいたところでございます。

 また、働きかけの方でございますけれども、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合の方でございますが、開催された会合で取りまとめた関係閣僚声明において、G7は、福島第一原発の廃炉の進展と、科学的根拠に基づく我が国の取組を歓迎するとともに、ALPS処理水の海洋放出の安全性を評価するIAEAのレビューを支持するとの文言が盛り込まれたところでございます。

早坂分科員 ありがとうございます。

 国会議員の会館の下の食堂でも復興フェアとかやっていただいて、宮城県にはむすび丸というゆるキャラがいるんですが、そのキャラクターもいてくれたりして大変うれしいんですが、やはり、十二年経過しまして、風化しているところもありますし、復興の総仕上げかもしれませんが、実は、やはり毎年のように大きな地震がありまして、東日本大震災の余震と言われています三・一六から一年たちました。でも、あのときも大きな地震がありましたが、夜だったので、余り、津波も来なかったので死者がいませんでしたし、ただ、すごい揺れは一緒だったと言われておりますし、まだまだ、総仕上げでありますが、そこでもやはり心のケアが大事だと思いますので、是非とも、大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

柿沢主査代理 これにて早坂敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、一谷勇一郎君。

一谷分科員 日本維新の会の一谷勇一郎です。

 本日は、渡辺復興大臣、そして金子財務大臣政務官、どうぞよろしくお願いをいたします。

 先ほど早坂議員からいろいろ御質問があって、やはり、地元の議員ということで非常に熱がこもっていたというふうに思います。

 私も、昨年の通常国会は東日本大震災の復興特別委員をさせていただきました。現地にも入らせていただいて、フォーラムにも参加をさせていただきました。また、私の妹がジャパンハートという医療奉仕団体をさせていただいていまして、ミャンマー、カンボジアが本拠地ですが、日本の様々な災害のときにドクターや看護師さんを派遣させていただいております。この震災のときも真っ先に行かせていただいて、クリニックも開設させていただいて、二年間、医療に当たらせていただきました。先ほど早坂議員がおっしゃっていた心のケア、こういったことも今も続けてさせていただいております。

 そういった様々な思いが私にもありまして、私もしっかりと質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、防衛のために、所得税を財源として、負担を感じさせないためにも復興税の税率を下げ、税率を下げたから期間を延ばすということが行われるというふうに聞いております。

 防衛費を増やすということには、私も異論はありません。しかし、これが増税をするための帳尻合わせの理屈になっているのではないか、復興特別所得税を引き下げて期間を延ばすというのはいかがなものかなというふうに考えております。そのことについて答弁をお願いいたします。

金子大臣政務官 ありがとうございます。

 予算委員会を含めて、総理また鈴木財務大臣からも幾度となく答弁させていただいていると思いますが、我が国の防衛力強化に関わる財源確保のための税制措置により、今般、復興特別所得税については、その税率を引き下げるとともに、課税期間を延長することになっているのは、まさに先生御指摘のとおりでございます。

 これは、現下の家計の負担増にならないようにする観点から、新たな付加税並びに復興特別所得税を合わせた付加税率を現在と変わらないようにしつつ、復興財源の総額を確実に確保するとの考えに基づいております。

 また、復興財源との関係で申させていただければ、復興債の発行を通じて柔軟な資金調達が可能でございますので、復興特別所得税の税率を引き下げても、毎年の復興事業の円滑な執行には問題を生じることはございません。

 引き続き、国民の皆様に御理解をいただけるように、また丁寧な説明を行ってまいりたいと思います。

一谷分科員 ただ、これは、期間はやはり延びるというわけになると思いますので、国民の皆さんへ理解をしていただかないといけないのではないかなと思います。

 その意味を込めて、復興大臣に御質問させていただきたいと思います。

 これは政治家としての御意見もお伺いしたいんですが、復興特別税の課税とともに実施された議員の歳費削減、これは平成二十六年に終了していますが、行われていたとお聞きをしております。やはり、期間を延ばすということをお願いするのであれば、この再度導入を検討するのは必要ではないかと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 日本維新の会が率先して身を切る改革を続けてこられていることについては十分承知をしているところでございます。

 先ほど、復興財源についての説明が政務官の方からありました。復興財源は確実に確保していかなければならないということは、私の立場としては当然のことであります。

 その上で、復興財源に係る国会議員の歳費削減についてでありますけれども、この問題につきましては、当初から議員立法で定められてあるというふうに承知をしております。財源確保は重要な課題でありますけれども、国会議員の歳費につきましては、議会政治や議員活動の在り方にも関わる課題でございますので、国会において御議論いただくべきものと考えております。

一谷分科員 我々は、旧文通費についても領収書を公開しようというふうな話をしているんですが、やはりリーダーシップを国会議員が取っていき、国民の方にいろいろお願いをする、また、この情勢を考えますと、これから更に厳しい難局を乗り越えていけないというふうに考えております。是非、ここは全ての議員が力を合わせて考えていく課題だと思っております。

 金子政務官に関しましては、もうこれで、質問がもしなければ御退室いただいても結構ですので、本日はありがとうございました。

 それでは、次の質問をさせていただきたいと思います。

 平成三十年、令和元年時期の社会情勢を見ると、避難者の中には自殺者の方が非常に増えているということが分かります。年間二百名程度、自殺を残念ながらされております。災害時の貸付金等の借入金の返済が始まるとともに、それを理由とする倒産が増えた時期でもあります。復興財源は適切に必要な方に分配されているのでしょうか。まずここをお聞きしたいのと、借入金の返済の滞った企業への対策は十分に行われていたのか、必要とされる企業に適切に提供され、不足はなかったのかということを参考人の方にお伺いいたします。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 復興庁では、発災直後から、産業、なりわいの再生について、仮設工場、仮設店舗の整備や被災した施設整備等の復旧支援などのハード支援とともに、販路の回復、開拓等の経営課題に対するソフト支援も実施してきております。

 そのため、産業、なりわいの再生に係る予算の配分といたしましては、本日の決算審議対象の令和元年度六百九十一億円、また、足下の令和五年度でも三百三十九億円を確保してございます。

 具体的な支援内容といたしまして、例えば、グループ補助金の自己負担分の借入返済に際して、中小企業庁から中小基盤整備機構に対して、各県及び各県の産業振興センターが個々の事業者の事情に寄り添った柔軟な対応を取るよう要請をするほか、厳しい事業環境にある被災事業者に対しまして、ソフト支援の一例として、新商品、サービスの開発や経営改善等を集中支援する事業、技術、情報、販路等を有する大手企業とのマッチングのためのワークショップ開催などに取り組んできてございます。

 以上のように、復興庁といたしましては、十分な予算の確保をしつつ、事業者への支援に努めてきており、全体としては産業、なりわいの復興が進展している状況にあると考えてございますが、コロナでの需要減少、燃料高、物価高など全国的に共通した新たな課題もございます。

 政府全体の支援策なども活用しながら、引き続き、関係省庁と連携して、被災地の事業者に寄り添ったきめ細かな支援を行ってまいります。

一谷分科員 今、グループ補助金というお話をいただいたんですが、これは非常に有効な手だてだと考えるんですが、グループ補助金のグループを組めないということはないのかということと、申請が大変難しいので諦めてしまった事業所がないのかというところは、もし追加があればお答えいただけたらと思うんですが、ありますか。なければ大丈夫です。ない。大丈夫です。分かりました。

 少しそういった声も聞いておりますので、今、グループ補助金というキーワードが出てきましたので、そこも少し精査をしていただけたらなと思いますが、このグループ補助金自体は非常に有効だというふうに私も認識をしております。

 次は、福島の産業活性化を目指したイノベーション・コースト構想が進められております。その延長として、これは目玉になると思うんですが、福島国際研究教育機構がまさに立ち上げられました。これは地元企業の復興につながっているのかということをまずお聞きしたいと思うんですね。

 先ほどの質問は、災害が起こってから、その災害が起こる前までに戻すというような復興支援だと思うんですが、次のイノベーション・コースト構想や福島国際研究教育機構というのは、俗に言うビルド・バック・ベター、よりよい復興に向けてだというふうに私は取っております。しかし、それが地元の企業の復興に本当につながっているのかというところをお聞きしたい。最終的にどのような形の産業復興を目指しているのかということを大臣にお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 福島イノベーション・コースト構想は、福島浜通り地域等の産業を回復するために、新たな産業基盤の構築を目指すものであり、廃炉に加え、ロボット、ドローン、またエネルギーなど、先端産業の集積を目指しているところであります。この構想は、地域の企業が主役となることを掲げているとともに、浜通り地域等の外からの企業を誘致し、進出企業と地元企業との交流も積極的に促進をしているところでございます。

 例えば、福島イノベ倶楽部においては、現在、百四十五の会社が会員となっております。このイノベ倶楽部において、新産業の創出や取引拡大を目指して、異業種間の連携、地域間の連携に加え、地元企業と進出企業の連携を行っているところでございます。このような取組を通じて、地元企業の技術力の向上、取引拡大等が図られ、地元企業が裨益するものとなっております。

 また、今月一日に設立されましたF―REIは、研究開発、産業化、人材育成等の取組を総合的に行うこととしております。地元の企業等のニーズやシーズ等を丁寧に酌み取り、F―REIの各機能を組み合わせながら、地元企業との広域的な連携を進めてまいりたいと思っております。

 これらの組織を通じて、様々な地元企業が活躍できるよう、産業の復興や新産業の創出を進めてまいりたいと思っております。

一谷分科員 確かにロボティックやドローンというのは非常に重要な分野で、福島で進んでいくと思うんですが、やはり、福島の一次産業がしっかりと連携を取って、地元の方が納得していただいて、地元の企業が伸びていくということは非常に重要なことだと思います。

 私が福島へ視察に行かせていただいたときに、やはりその辺に不満が少しあったのと、このF―REIが一体どういったことをするのかというのがまだまだ見えていない、もちろんスタートしたばかりですから、見えていないという声を地元の同志の議員からも聞いております。

 また、もう一つ、少しこれは言いにくいことですが、このF―REIが天下り先になってしまうようなことがないようにしていっていただいて、しっかりと福島の復興に、国際とついているぐらいですので、世界へ向けて技術力を発揮していただけたらと思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 次の質問は福島再生加速化交付金についてなんですが、福島生活環境整備・帰還再生加速事業制度というのがあります。この執行率が、平成二十八年度では七三・一%に対し、平成二十九年度は三九%まで大幅に下がっています。これは一体何か障害があったのかということをお聞きしたいと思います。実行難易度が高いものが残ったのか、そもそももうニーズがなくなってきたのか、対象となる事業はどう処理されているのかということについて、参考人の方にお伺いいたします。

由良政府参考人 検査の対象でございました御指摘の福島生活環境整備・帰還再生加速事業でございますけれども、避難指示に起因して機能低下した公共施設、公益的施設の機能回復や、住民の帰還を加速するための取組、直ちに帰還できない区域への将来の帰還に向けた荒廃抑制、荒れ地化対策ですね、それから保全対策、こういったことを実施するものでございます。

 平成二十九年度につきましては、避難指示解除区域市町村の避難指示の解除が進む状況を踏まえて、歳出予算現額が増加をしました。ちょうど平成二十九年前後に幾つかの避難指示解除が進んだということがございました。こういったことで、事業の計画の策定及び関係者間の調整に多くの日数を要したことなどから、予算が増額した一方で、実行ができなかった部分が不用額として増加をいたしております。

 本事業は、各市町村における事業計画等を踏まえながら個別事業を実施しているところ、平成二十九年度に実施しなかった事業は翌年度以降に繰越しするなどによって必要なものを実施してございます。したがいまして、次年度以降は事業全体の必要予算額についても精査を行い、令和元年度から直近令和三年度までの平均では執行率が約七割と、回復をしているところでございます。

 本年も、浪江町、富岡町を始めとして避難指示解除が進んでおります。今年、避難指示を解除したエリアがございます。こういった避難指示解除地域の状況等を踏まえまして、事業対象市町村のニーズや住民帰還動向なども踏まえて、より一層の着実な事業実施を推進してまいりたいと考えております。

一谷分科員 今の御回答で住民との合意形成がということをお答えいただいて、次の私の質問がまさにこの回答になってしまうのかも分からないんですが、会計検査院の令和元年度報告では、福島再生加速化交付金に関して、復興庁の不用が最も大きい理由として、住民との合意形成に不測の日数を要したということが書かれているんですが、これは単純に手続上に予想以上の時間がかかったということなのか、それとも、地元の方々が同意しなかったということなのかというところのお答えをいただけたらなと思います、参考人の方から。

由良政府参考人 委員御指摘の会計検査院の報告では、福島再生加速化交付金につきまして、歳出予算額等の平成二十九年度までの累計額に対する当該年度までの不用額の累計額の割合を示した不用率が二八・六%となっている等の旨が記載されているものと承知をいたしております。

 福島再生加速化交付金につきましては、各自治体が地元での検討や復興庁など国の助言を受けつつ作成する計画に基づいて、復興に必要な事業を実施するために国から自治体に交付をいたしております。一定の不用額が生じておりますのは、自治体において計画を作成して事業を実施するに至る過程におきまして、必要な地元関係者との調整に時間を要したこと等が理由にあるものと認識をいたしております。

 また、福島再生加速化交付金に関しては、各自治体より、自らの町の復興のために実施する必要のある事業について要望を受け、また、これを基に復興庁として必要性を確認した上で、毎年度の予算を確保して個別に執行しているところでございます。

 復興庁としては、引き続き、福島再生加速化交付金を着実に執行し、各自治体において必要な事業を進めていくことが福島の復興再生を果たす上で大変重要と考えてございます。

一谷分科員 それでは、回答としては、避難解除が進んできて、住民との合意に時間がかかったと。決して必要のない事業に予算が充てられているということではないという認識でよろしいでしょうか。うなずいていただきましたので、理解をしました。

 それでは、福島再生加速化交付金の最後の質問なんですが、この交付金は非常にインフラ関係が多いように思います。私も資料を見させていただいたら、インフラ関係のウェートが大きい。

 そこで、東京五輪があって、人手や建材、材料の予算確保などが非常に大変で、復興五輪といいながら、福島の復興に何か影響があったのではないかというふうに考えておるんですが、復興大臣のお考えをお聞かせいただけたらと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 御懸念の点については、地域や資材等により状況が様々であるため、一概に東京五輪の影響があったとは判断できないものと考えております。

 これまで、被災地における人手不足や建設資材の高騰等の問題に対して、復旧復興事業の円滑な施行を確保するため、国土交通省においては、発注者や建設業団体、資材団体等で構成する情報連絡会の開催により、需給見通しの共有をしているところです。また、被災地の実態を踏まえて、公共工事設計労務単価の引上げ、工事費の補正を行う復興係数等の導入などに取り組んでいると承知をしております。また、予算についても、地域の状況等を踏まえて、必要な予算額の確保に努めてきたところであります。

 こうした取組や多くの関係者の方々との絶え間ない尽力によって、地震、津波被災地域においてはハード事業はおおむね完了したところでありますが、原子力災害被災地域においては今後も中長期的な対応が必要であり、本格的な復興再生に向けて引き続き取り組んでまいります。

一谷分科員 ハード面は終わりに近づいているということなんですが、やはり人手不足と建築材料の予算というのは非常に必要だと思いますので、今後も力を入れていただきたいというふうに思います。

 それでは、ALPS処理水、次の質問はさせていただきたいんですが、この春から夏にかけて海洋放出をされるということで、私が現地に視察に行かせていただいたときに、一番やはりこの問題で地域の住民の方の意見が分かれているなと。ある一方の方は、やはり次の十年に向けて進んでいきたいんだと言われる方もいらっしゃれば、ある一方の方は、絶対にこれは許されないと。そこは、私の勝手な考えですが、政策を決定していくときになぜ我々の意見を聞かなかったのだと。もちろん聞いてはいたと思うんですが、そこまで納得をされていずに、どちらかというとちょっと恨み節みたいなのもあって、なかなか難しい問題だと思うんですが、でも、春から夏にかけては放出していかなければならないということです。

 予算関連については経産省の分野になると思うんですが、風評被害に対して対策がどうやって取られているのかということを、復興大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

渡辺国務大臣 ALPS処理水の処分については、まず、先送りできない重要な課題だというふうに認識をしております。そこで、やはり一番大事なことは、風評の影響をいかに払拭するかということに最大限努力をしていかなければならないというふうに思っております。

 そこで、まず、ALPS処理水の処分につきましては、政府としまして、関係者の方々に対し継続的、丁寧に説明を尽くしていくことが必要だと思っております。

 復興庁におきましては、風評の影響の払拭に向けて、まずは科学的根拠、この科学的根拠をしっかりとお示しすることが大事だというふうに思っておりますし、このような正確な情報を、インターネットやラジオ、新聞等、多くの媒体を通じて効果的な情報発信に取り組んでいるところであります。

 ALPS処理水の処分に関する基本方針や行動計画を踏まえまして、政府一丸となって、決して風評影響を生じさせないという強い決意の下で、科学的根拠に基づく情報発信等の風評対策に全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 私自身、政府ということでいきますと、当然、本来は経済産業省の経済産業大臣が中心で行っておりますけれども、それだけではなく、復興大臣として、ありとあらゆるところにしっかりと説明をしていくつもりでおります。農水関係のみならず、消費者関係、また一般の消費者の方々の意見、そして各自治体の皆さん方、いろいろとあろうと思います。そういったところに直接出向いていって説明を更に深めていきたい、そのように思っています。

一谷分科員 補償も大事なんですが、今大臣がお答えいただいたとおり、気持ちというものが私はネックになっているんだと思いますし、これは日本全体で受け入れていかないといけないことだと思いますので、我々日本維新の会もしっかり取り組んでいきますので、共に頑張っていきたいと思います。

 続きまして、復興とは少し違うんですが、この決算行政の、決算の書類を見ていますと、少し気になったのが、子供のための教育給付費負担金の国庫負担について、毎年何らかの過剰の給付が報告されています。制度として複雑なのであれば、様々な技術などで効率化すべきではないかと考えます。また、何らかの対策が取られているのかということをこども家庭庁の参考人の方にお伺いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回報告のありました事案でございますけれども、子ども・子育て支援新制度に基づく給付費につきまして、加算の要件を満たしていないにもかかわらず加算を認定し、費用の額が過大に算定をされていた事案でございました。

 本事案の原因は、施設や自治体において、加算要件の確認ですとか要件の理解が不十分であったことなどによるものと考えており、今後とも、指導を一層強化し、執行事務の適正化を期してまいりたいと考えております。

 一方で、現場において、事務負担が大きいといった御指摘があるということは私どもも承知をしております。施設や自治体における事務負担の軽減につきましては、これまで、施設型給付の請求手続における標準的な参考様式をお示しして積極的な活用を依頼するとともに、自治体から事務処理に関し照会の多い内容につきましては、公定価格に関するFAQとして具体的にお示しをしているところでございます。

 引き続き、施設や自治体の御意見を伺いながら、事務負担の軽減に取り組んでまいります。

一谷分科員 この問題に関しては、ここの質疑の前に政府の方から説明を受けて、なるほどと思ったんですが、やはり先ほどおっしゃっていた加算の問題ですね。基本報酬だけではなくて、加算、これをやれば更に点数が上がりますという加算、これは政策の方向性に誘導するというものであって、必要なものだと思うんですが、保育だけではなくて、医療も、介護も、障害も、非常にこの加算が改定のごとに増え、またなくなり、請求の用紙が難しくなっていくというところで、非常に事務負担は大変だと思うんですね。

 ですから、ここは、加算で誘導するというのは非常に理解はするんですが、それをやり過ぎるというのは、こういった毎年のように過剰給付の報告がされて、返ってきたら、また各自治体もそれを精査するのにコストもかかって人件費もかかりますので、もう少し加算に関しては簡単にしていただけたらなというふうに、私は医療、介護は自らのホームグラウンドですが、非常に思います。やはり子供の分野でも同じことが起こっているんだなということを再確認させていただきましたので、そこは何とかお願いできたらと思います。

 それでは、最後の質問をさせていただきます。

 少し違う質問なんですが、老朽化している青山宿舎。

 私は、衆議院の青山の宿舎で泊まらせていただいています。非常にありがたいです。築六十年ですか、名立たる政治家の先生がそこで生活をされた。何か私にもアドバイスをくれないかと思いながら、いつ出てきてくれるかと思いながら床に入るんですが、まだ一度も現れてもらえないんですけれども。

 その宿舎なんですが、かなり老朽化がやはり進んでいるということと、そのほかの、赤坂の宿舎であり参議院の宿舎で、今の青山宿舎の議員の人数は十分そこで入れるというふうに考えております。ここは、費用ももったいないですし、乃木坂を出たすぐのいい場所でもありますから、民間活用がいいのではないかと思いますし、また、建て替えるのであれば、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、俗に言うPFIですか、で建て替えるとか、そろそろ対策を取らないと、水も漏れてきています、青山宿舎は。

 そこについて御意見を伺いたいと思います。

三橋参事 衆議院事務局といたしましては、青山議員宿舎は築六十年以上が経過しておりまして、老朽化が課題と認識しております。

 議員宿舎の在り方につきましては、議院運営委員会等で御協議いただく必要がございます。衆参の議員宿舎の相互利用につきましては、これまでにない新たな御提案でございますので、衆議院、参議院の議員間でも御協議いただく必要があると考えております。

 現時点で、青山宿舎、四十室中三十八室が現に御利用いただいております。また、今後、議員定数の増減や選挙結果等によって議員宿舎の入居者数の変動があり得ることも考慮する必要があると考えております。

 赤坂議員宿舎及び議員会館は、PFIの手法によりまして、民間の資金や能力を活用して建設、維持管理及び運営がなされております。仮に議員宿舎を建て替えるとするならば、国が直接実施する方法に加えましてPFI手法をも含めて検討されることとなり、宿舎の利便性や経済性、敷地の有効利用などが調査検討されるものと考えております。

 いずれにいたしましても、議員宿舎の在り方につきましては、議院運営委員会等において御協議いただき、お決めいただくことと考えております。

一谷分科員 これは税も投入されていますので、是非、今日御参加の議員の皆様、またお考えいただけたらと思います。

 それでは、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

柿沢主査代理 これにて一谷勇一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木憲和君。

鈴木(憲)分科員 自民党の鈴木憲和です。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 復興大臣、本当に連日御苦労さまです。

 私たち、先週、自民党の復興加速化本部の役員で福島を訪れてまいりました。そして、私自身は、飯舘村、そして南相馬市、また浪江町と、三か所、いろいろな現場を拝見をさせていただきましたが、帰還困難区域のうちで、特定復興再生拠点区域の避難指示解除が徐々に進められているお話も現場の首長からもお伺いをすることができて、まさに現場で、少しずつですが、本当に御苦労されながら、この福島の復興、しっかりと進んでいるということを実感をしてまいりました。

 ただ一方で、やはり避難をされた皆様からしますと、もう十年を超えて避難をされているわけなので、すぐにその生活の拠点を元のふるさとに戻せるかどうかといえば、当然それも難しい判断を迫られているんだなということも、本当にこれからがまさに正念場だなということを、私自身、感じてまいったところであります。

 そしてさらに、先のことを申し上げれば、昨年、第一原子力発電所の現場にも自民党青年局でお伺いをさせていただいたんですが、ここから廃炉まで大体三十年から四十年というふうに言われています。私たち東北の者にとっては、東北の復興というのは、やはり廃炉の作業がちゃんと安全に完了して初めて、東北の復興がしっかりと一定のめどがついたと言うことができるんだろうというふうに思っておりまして、そのスパンで私たちもしっかり復興を支えていかなければいけないなというふうに思っています。

 その中で、今後、浜通りを中心に、やはり大切なのは、浜通りに行けば、世界中の人たちが集まってきて、前向きにいろいろなことがチャレンジができるんだというような浜通りを、福島を実現をしていくということが、私は、福島の、本当に、原子力発電所の事故があって、難しい復興のフェーズの中で、やはり、そういう前向き感のある取組というのがいかに大切かということを感じるわけなんですが、その中で、福島イノベーション・コースト構想、これをいかに発展をさせていくかというのが鍵だというふうに思っています。

 それを福島だけのものにするのではなくて、結果として、東北地方全体、そして日本経済全体のイノベーションの場所にしていくんだという覚悟が、これから国にも、また地元自治体にも求められているというふうに感じます。

 そこで、まず一点目をお伺いをしますのは、復興の新たな段階を迎える中で、福島国際研究教育機構、いわゆるF―REIというふうに皆さんおっしゃっていますが、F―REIの今後立ち上がる現場も大体見させていただきまして、大変広大な敷地でありました。そして、山崎理事長の決意もお伺いをしてきましたし、また同時に、立ち上げの準備に当たっている職員の皆さんのことも、額賀本部長から激励をさせていただいたところであります。必ずこれを成功させていかなければならないというふうに感じました。

 まず、大臣にお伺いをしたいのは、この福島イノベーション・コースト構想を更に発展をさせていく上で、F―REIの果たすべき役割というのはどのように認識をされているか、お伺いをしたいというふうに思います。

渡辺国務大臣 今、鈴木委員が加速化本部で視察をいろいろなところにしていただいたということで、福島の復興に関して大変御理解をしていただいていることに心から感謝を申し上げる次第でございます。

 今、F―REIのお話がございました。四月一日に発足をいたしました。これまでの関連施設の整備や産業振興等に取り組んできました福島イノベーション・コースト構想を更に発展させる、そして、福島を始め東北の復興を実現するための夢や希望となるもの、そして、我が国の科学技術力や産業競争力の強化を牽引する、そのために創造的復興の中核拠点として目指すものとして、私は、前回、四年前でありますけれども、復興大臣のときに提唱させていただいたものであります。

 このF―REIの具体的な取組につきましては、四月一日に主務大臣が策定し指示した中期目標等を踏まえて実施することとされており、特に第一期中期目標期間において、この期間は、基盤づくりと存在感の提示に重点を置きつつ、分野融合による研究開発の推進や産業化、人材育成を含む広域連携の推進などに取り組んでいきたいと考えております。

 F―REIが世界に冠たる創造的復興の中核拠点を目指した取組を加速させられるよう、関係大臣と連携しながら、更に政府一丸となって取り組んでまいりたいと思っております。

鈴木(憲)分科員 ありがとうございます。

 是非これは、すぐに結果がもちろんぱっと出るものではありませんので、しっかり腰を据えて、長い目で取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そのときに、私は、大変いいことだなというふうに思ったのは、F―REIは浪江にあるわけですけれども、立地をするわけですが、すぐ横に、南相馬市にロボットテストフィールドがあります。あそこもお伺いをさせていただきましたら、四社の皆さんからお話をお伺いをしました。大変我々はわくわくして、心の底から、ロボットテストフィールドはやはり造ってよかったなというふうに改めて思うことができました。

 今後、このF―REIを中核にしながらも、こうした様々な施設が周辺にはたくさんありますので、相互にやはり連携をしっかりと図っていって、そして相乗効果を生んでいくということが福島の浜通りのまさに今後につながるんだろうというふうに思います。

 そこで、役所にお伺いをしますが、このロボットテストフィールド、これまでの実績と今後の可能性についてどのように見ているのか、お伺いをします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の福島ロボットテストフィールドでございますけれども、浜通り地域での新産業を目指し、福島イノベーション・コースト構想に基づき整備されたものでございます。陸海空のフィールドロボットの一大開発実証拠点としまして、これまで七百件を超える実証試験が行われておりまして、七十社を超えるロボット関連企業が周辺に進出してございます。

 経済産業省としましては、こうした企業の進出に当たりまして、ロボットを含む関連技術の実証や実用化に向けた支援、福島ロボットテストフィールドの運営支援などを通じまして、取組を後押ししてきたところでございます。結果としまして、浜通り地域におけるロボット関連企業の製造開発拠点の整備が進展しているものと認識してございます。

 経産省としましては、引き続き、ロボット関連技術の実用化に向けた支援を実施し、福島浜通り地域に企業を呼び込むとともに、進出企業のニーズも伺いながら、地元企業とのマッチングや資金調達支援などの、事業化を見据えた伴走支援を行っていく。さらには、二〇二五年大阪・関西万博の機会も利用しまして、世界に向けて福島浜通りで進むイノベーションを発信していく。

 こうした取組を通じまして、進出企業が福島浜通りにしっかりと根づき、さらに世界に羽ばたいていけるよう、四月一日に発足しましたF―REIや福島県、復興庁を始めとする関係省庁とも連携し、きめ細かく支援を継続してまいりたい、このように考えてございます。

鈴木(憲)分科員 ありがとうございます。

 是非、大臣にもお願いをさせていただきたいのは、私も現場にお伺いをして、F―REIがかなり広大な敷地で今後整備をされて、いろいろなことができていきます。海外からも研究者をお招きをして、様々な皆さんが来る中で、ただ一方で、やはり浜通りの立地というのは、決して空港から極めて近いというわけでもないわけです。もちろん羽田からはそれなりの距離がありますし、成田からだって遠いですし、仙台空港だって、すごい近いというわけでは、一時間ぐらいはやはりかかるわけですね。

 そこで、せっかくこのロボットテストフィールドで、空飛ぶ車、あの会社も立地をしているわけなので、やはり、これは答弁は結構ですけれども、例えば、仙台空港からF―REIまではそうした新しい技術で今後来れるようなことをいち早く浜通りで実施をしていくんだということが、トータルで見れば、F―REIの価値の向上にも私はつながるんじゃないかなというふうに思いますので、是非そういう視点も持って、今後取り組んでいただけたらありがたいと思います。

 そこで、この四社の皆さん、大変、空飛ぶ車の方も含めて、いいお話だったんですが、みんな口をそろえて、課題感は何ですかということを聞いたら、おっしゃっていたのは、やはり人材の確保なんです。浜通りで、しかも被災地そのものですから、人がたくさんいるかどうかといえば、当然いないわけです。いない中で、やはり、優秀な人材をどのように確保していくのか、ここで働いてくれる人を、自分の企業にしっかりとコミットしてくれる人をどのように確保していくのかというのが皆さんの課題感でありました。

 私自身は山形県なわけですけれども、やはり、逆に東北地方の課題は何だろうかというふうに考えると、それは、例えば、山形大学の工学部というのが私の地元の米沢市にあります。優秀な工業高校も多々、東北地方、たくさん存在するわけです。しかしながら、私たちの課題感は何かといえば、山形大学工学部を卒業した人はどこに就職をするかというと、当然、県内にはなかなか残らないで首都圏に行ってしまいます。若しくは、名古屋の方に行きます、関西の方に行きますというのが、これが現実なわけです。

 そこで、私は、今回、このロボットテストフィールドを拝見をさせていただいて、そして今後、F―REIがしっかりとできていくという過程の中で、やはり、例えば、米沢市から南相馬市、南相馬までというのは、もう今復興道路で、全部高速道路でつながって、前のようにすごい時間がかかるという場所ではないわけです。一時間半ぐらいで多分行くと思います。

 そういうことも考えると、福島県内にとどまらず、例えば南東北で、宮城県、山形県、福島県、こういう東北地方の、要するに工業系の人材、例えば工業高校の生徒の皆さん、そして工学部の皆さん、こうした人材がテストフィールドにちゃんと関わっていけて、いろいろな可能性があるんだなと。要するに、今ある既存の大企業だけじゃなくて、今後、まさに日本が成長するエンジンになるような企業に、スタートアップに関わるという機会があり得るんだということを見せていくということ自体が、私は、最終的にはそれが、人材が東北地方にちゃんと残って、東北の復興にまさにつながっていくというふうに考えています。

 私は、是非、このテストフィールドやF―REIに私たち東北の人間が、特に若い人材が関わる機会というのを国としてしっかりとつくっていくべきだというふうに考えますが、ここについて、大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 福島のロボットテストフィールドの運営を担う福島イノベーション・コースト構想推進機構において、これまで取り組んできたことをちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 浜通り地域等における様々な活動に意欲を持つ企業、教育研究機関などを対象に、福島ロボットテストフィールドや様々な施設、企業などへの視察の相談や調整、さらには、工業高校、大学等の物づくり系の高等教育機関等に対し、先進企業の技術、生産工程の見学や、プログラミングによるロボット操作など先端技術の実習等を取り入れた、工業分野の人材育成などを実施してきたところであります。

 議員御指摘のとおり、福島浜通り地域の自立的、持続的な産業発展に向けた取組の一つとして、福島県のみならず、福島県以外の高校生や大学生が福島ロボットテストフィールドや周辺の立地企業を訪問し、浜通り地域等に定着したいと思ってもらえるような取組を進めることは大変重要だというふうに認識をしております。

 現状でも、視察などは県内外を問わず受入れをしているところと承知しておりますが、その周知方法について更に工夫ができるかなど、同機構等関係者とも検討をしてまいりたいと思っております。

鈴木(憲)分科員 是非、興味のある人を受け入れるというだけじゃなくて、そもそも、福島県内の皆さんは、ロボットテストフィールドってどういう感じというのは分かっているし、それに対して、当然、近いですから親しみもあるというふうに思いますが、ちょっと山を越えると、なかなかそれが自分たちの地域のすぐそばにあるんだという理解まではいっていないというのが私なりの肌感でありますので、是非、そこをもっと積極的に、ある種、修学旅行のコースでは工業系の皆さんはそこに行こうというような、そういうことも含めて御検討いただけたらありがたいというふうに思います。

 大臣、ありがとうございます。

 続いて、ウクライナからの避難民の受入れについてお伺いをしたいというふうに思います。

 昨年、岸田総理から、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって一週間ぐらいの段階で、避難民の受入れを表明をしていただきました。これについては、大変、私自身、感謝もしていますし、日本としては大変画期的であったというふうに感じています。

 印象的だったのは、昨年、山梨県にお伺いをした際に、山梨県で、在日のウクライナ人の方がいらっしゃいまして、その方が当然同胞の支援をしっかりやっているわけです。その方の言葉から、あの日本がこんなに早く受入れを表明をしてくれるとは思わなかった、感謝の気持ちしかないという言葉をいただいたときに、あの日本というふうにおっしゃるんですね。

 つまり、そういうことはなかなか期待できないんじゃないかというふうにその方としては思っていたんだろうというふうに思いますが、これで日本も、もちろんG7の一員ですし、国際社会の一員としてのこうした役割を果たしていくという意味で、大変いい転換点に私はなったというふうに思っています。

 これまでに二千三百人を超える避難民の受入れを行っているわけですが、まず、外務省として、外交上の価値というのはどこにあるというふうに考えておりますでしょうか。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアのウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたり懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがす、脅かす暴挙でございます。日本政府として、断じて認められるものではございません。

 侵略が長期化する中で、一日も早くロシアの侵略を終わらせるため、我が国といたしましては、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、厳しい対ロ制裁を科すとともに、ウクライナを強力に支援してまいりました。

 具体的には、ウクライナ及び周辺国において困難に直面しているウクライナの皆様に対する人道支援を重視いたしまして、ウクライナの人々に寄り添った支援、こういったものを着実に実施してまいっております。

 その一環といたしまして、ウクライナから第三国に避難された方々の日本への受入れ支援といったものを関係省庁と緊密に連携しながら行ってまいっております。これまでに、速報値でございますけれども、二千四百名以上のウクライナ避難民が日本に入国しております。こうした避難民に対する支援につきましては、累次、ウクライナ政府や周辺国からも感謝の意が示されているところでございます。

 今月十六日から三日間にわたって開催されましたG7長野県軽井沢外相会合におきましても、G7として、引き続き一致して厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援、こういったものを継続していくということを確認したところでございます。

 G7議長国として、力による一方的な現状変更の試みを断固として拒否し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くとのG7の強い意思の下、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、適切にニーズを把握し、避難民の方々を含め、国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していく考えでございます。

鈴木(憲)分科員 ありがとうございます。

 念のために確認なんですが、今後とも、和平が要するに成るまでの間、避難を必要とする方については、受入れの方針は変わらないという理解でよろしいでしょうか。

君塚政府参考人 今、外務省から御答弁ございましたが、四月十九日の時点で二千四百人余りのウクライナ避難民を受け入れておりまして、その円滑な支援を行っているところでございます。

 その上で、避難民の入国者数は最近において減少傾向にはあるものの、現在も、ロシアの攻撃によりウクライナ各地において多くの市民が犠牲になっているなど、ウクライナ情勢は依然として不透明であり、現在においても、本邦への避難を希望する避難民が存在をしております。

 したがいまして、今後のウクライナ情勢や避難民のニーズをきめ細かく把握した上で、関係省庁とも連携し、政府全体でウクライナからの避難民に寄り添った受入れ支援を引き続き行ってまいります。

鈴木(憲)分科員 是非、これは引き続き行っていただくということなんですが、このときに、長期化をしてきたときの課題感はどこにあるかといいますと、例えばなんですけれども、私の地元でもウクライナの方がいらっしゃって、その方が、保証人として、その人が保証人になって、例えば自分の御家族なんかを受入れをするということを進めています。

 例えばなんですけれども、まず最初に避難をされた皆さんが日本に来ます、その方が保証人となって、またその御家族とか御親類に日本に避難をしていただくというケースについて、実は、ちょっとこれは課題になってくるという点がありまして、これは何かというと、最初に避難をしてきた皆さんは、必ずしも日本で生活基盤がちゃんとしているわけではないわけです。

 そういう中で、その方々が保証人になって受入れをした際に、本当にこれは大丈夫なんだろうかというか、ちゃんとこの人たちが長い間この日本で暮らしていただくということを安心してできるような体制づくりができているんだろうかという点については、まだ実は私は課題があるというふうに思っています。

 そこで、要するに、保証人となる方が十分な経済的基盤を持たない場合に、やはり、しっかりとこれは、最初、数か月でとか半年でというふうに思っていたのと、数年かかるかもしれない、もしかしたら十年かもしれないということまで考えて、就労支援も含めて、特に、私自身は、これは自治体が鍵になってくるというふうに思っていますが、しっかりとした支援体制を、もう少し、更にバージョンアップをして私はつくるべきだというふうに思っていますが、これについて、いかがでしょうか。

君塚政府参考人 一般的に、避難民の受入れに際しましては、日本に身元を引き受ける親族あるいは知人がいる場合に、これらの方々が身元保証人となり、避難民の生活等に一定程度支援がなされることを想定しております。

 その上で、入管庁におきましては、身元引受先がある方々につきましても、例えば、ウクライナ避難民支援サイトを通じた、物資あるいはサービスのマッチング支援、就労、医療、介護、子育てや教育に関する利用可能な制度等の情報提供、ウクライナ避難民ヘルプデスクにおける電話やメール等での相談対応、それから、全国の地方入国管理官署に配置しておりますウクライナ避難民受入れ支援担当による相談対応などの支援を行っているところでございます。

 その上で、今御指摘ございましたが、既に日本に避難されている方々の滞在が、現在の本国情勢を踏まえ、今後とも続くことが考えられることから、特に就労や日本語教育に係る支援を行うことが重要であると考え、個々のニーズも踏まえつつ、入管庁、関係省庁、それに地方自治体において必要な支援を行っているところではございますけれども、やはり、身元引受先の有無あるいは身元引受人の様々な状況を踏まえまして、本邦に滞在していく上で支援が必要な事態が生じた場合には、提供されている支援の状況を含め、個別の事情にも応じまして、今御指摘いただいたこともしっかり受け止めながら、政府として必要な支援を行ってまいります。

鈴木(憲)分科員 一生懸命、もちろんやっていただいているのはよく分かりますが、もう一年もたちましたので、もう少し次のフェーズに移って、さらに、これから日本に来られる皆さんが、やはり日本に避難をして最終的にはよかったんだというふうに思っていただけるように我々はやっていかなければいけないというふうに思いますので、是非その点をよく認識をして。

 また、例えば米沢市なんかの場合だと、この方は避難をしてきた方ではありませんが、米沢市に仕事があったわけではなかったので、臨時でお雇いをして、そして国際交流機関の業務なんかに当たっていただいているウクライナ人の方がいるわけですよ。その方がいるから、御両親も来ても安心だしということができますが、そうした、やはり自治体を支えていくということも、是非国として私は考えていただきたいというふうに思います。

 もう時間もあれですので、最後の質問に移ります。

 消費者庁に一点だけお伺いをします。

 二〇〇九年に消費者庁は設立をされました。そして、二〇一三年から新規採用を始めていただいています。消費者庁はまだ新しい役所でありますが、消費者行政というのは何しろ大切な分野で、今後ますますこの重要性というのは、日本社会にとっては間違いのないものだというふうに思っています。

 その中で、この新しい消費者庁に新規で入っていただく皆さんというのは、恐らく、それ相応の、私は思いを持って、自分は消費者行政をしっかりと担っていきたいんだという思いで若い皆さんは入ってきていただいているんだというふうに思っています。

 そこで、この消費者行政、しっかりと充実をさせていく観点から、生え抜きの人材をしっかりと育成をする必要があると考えています。

 例えばなんですが、私は、ほかの役所並びでなくていいんだと思っているんです。プロパーの人は、しっかりと、生え抜きですから、若くして責任あるポストに就いてもらうとか、せっかく入っていただいた若い人を、もっとこの分野で自分はプロになって日本の消費者行政を支えていこうというふうにモチベーション高くやっていけるような、私は人事システムを消費者庁には構築をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁が組織としての経験やノウハウを蓄積し、発展させていくためには、集まり散じて何年かたつと人が皆替わってしまうという組織ではなく、委員御指摘のとおり、生え抜き人材、いわゆるプロパー職員を独自に採用し、様々な工夫を講じて、これを立派に育成していくことが不可欠だと認識しております。例えば、委員御指摘の管理職への早期登用、また、年齢や職種にとらわれない抜てき人事、そういったものも有効な手段の一つであると認識しております。

 ただ、各省庁から、官民から出向人材もおりますので、まずは、そういった中の職員、周囲の職員に、抜てきされてしまって追い抜かれた形になる職員がそれに納得できるようなレベルまで、プロパー職員をしっかり、例えば地方自治体への出向とか、現場に、事業者、消費生活相談にどんどん行かせるとか、そういった経験を積ませることが重要じゃないかと思います。

 また、プロパー職員をたての糸だとすれば、一定期間で入れ替わる官民からの出向人材は、それぞれの独自の経験、ノウハウを有するよこ糸ということでありまして、これらを織りなすことでイノベーションを生み、それらを蓄積、発展させ、また新たなイノベーションにつなげるという好循環を生み出すことを通じて、消費者庁という組織、また、ひいては消費者行政そのものを強化してまいりたいと思っております。

鈴木(憲)分科員 もちろん、全ての役所にまたがる、全ての分野にまたがるのが消費者行政でありますから、おっしゃることも分かるんですが、そんなことは言わないで、もっと前向きに、若い皆さんが辞めないでも、要するに民間の方が給料はいいわけですから、そうしないでも、この分野で頑張っていこうと思えるような、是非、いい消費者行政、人事をやっていただければと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

柿沢主査代理 これにて鈴木憲和君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして復興庁所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

柿沢主査代理 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。鈴木金融担当大臣。

鈴木国務大臣 平成三十年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 歳出予算現額二百四十七億円余に対し、支出済歳出額は二百三十三億円余、翌年度繰越額は一億円余であり、不用額は十一億円余であります。

 以上をもちまして、平成三十年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 次に、令和元年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 歳出予算現額二百五十四億円余に対し、支出済歳出額は二百三十七億円余、翌年度繰越額は一億円余であり、不用額は十五億円余であります。

 以上をもちまして、令和元年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

    〔柿沢主査代理退席、主査着席〕

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、情報提供契約の締結に当たり、構成品のうち情報を表示等するための液晶ディスプレー等の機器について、別途市販品を調達することなどにより、経済的な調達を図るよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、平成二十七年度決算検査報告に掲記いたしました預金保険機構の金融機能早期健全化勘定における利益剰余金について意見を表示した事項につきまして、その結果を掲記いたしました。

 続きまして、令和元年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

田中主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。鈴木金融担当大臣。

鈴木国務大臣 平成三十年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりであり、誠に遺憾に存じております。

 御指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正の措置を講じたところであり、再発防止に万全を期してまいる所存であります。

田中主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中主査 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、これを許します。階猛君。

階分科員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、日銀総裁に質問させていただきたいと思います。

 白川総裁、黒田総裁の後を受けて日銀総裁になられて二週間たつわけですけれども、日銀総裁となられたその椅子の居心地はどうなのかなというふうに思うわけです。澄んだ川のほとりにいるような居心地のよさを感じるのか、黒く濁った泥で埋まった田んぼで身動きが取れず苦しんでいるような気持ちなのか、どっちなのか、総裁の率直な気持ちをお聞かせください。

植田参考人 就任早々、様々な会議に出席しましたり、国会にも今日が三回目でございますが、いろいろ責任の重さを感じているところでございます。

階分科員 余り面白みのない答弁でしたけれども、別にここで追及しようとは思っていませんので、率直なところをお聞かせいただければと思います。これからはやはり、私は、総裁の説明能力といいますか、国民に訴え、そして納得してもらう力というものに期待しますので、どんどん発信していただければと思います。

 さて、本題に入りますけれども、最近の気になる統計として二つ挙げたいと思います。

 まず、不動産価格に関してですが、三月の首都圏の新築マンションの価格が史上最高の一億四千三百六十万円ということで、前年同月比で二・二倍になったそうです。また、経常収支に関連する数字として、二〇二二年度の貿易赤字が二十一・七兆円と過去最大となったということも最近報道されていました。

 私自身は、不動産バブルの再来と実需によるドル買い・円売りで円安による輸入物価高が進行することを危惧しておりますが、総裁の認識を伺いたいと思います。

植田参考人 お答えいたします。

 不動産価格の方でございますが、商業用不動産、マンション等の価格をここ二、三年ならして見ますと、都市部を中心に、これまでの建設コストの上昇、この影響などから、かなり上昇しているということだと思います。また、全国の地価は、二〇二一年に一旦下落した後、経済活動の持ち直しに伴って緩やかに上昇しております。

 経常収支につきましては、昨年後半にかけて黒字幅が大きく縮小した後、横ばい圏内の動きとなっております。経常収支の動向は、財の貿易動向のほか、このところ増加しているインバウンド需要の動向、さらには海外からの配当金受取の動向など、様々な要因の影響を受けて変動いたします。

 日本銀行としては、御指摘の不動産価格や経常収支の動向を含め、経済物価情勢、金融情勢を丁寧に把握していきたいと考えてございます。

階分科員 もう一回聞きます。

 不動産バブルの再来と実需によるドル買い・円売り、これを懸念しておりますけれども、この点について、総裁の見解を伺います。

植田参考人 不動産価格を経済活動の水準との対比等で見ますと、今のところ、明確な割高感が確認されているという事態ではないかなというふうに思います。

 例えば、建設費との相対、あるいはGDPとの相対という指標等を見ますと、バブルのときほどの異常な事態ではないというふうに考えてございます。

階分科員 異常な事態だと思いますよ。

 前年同月比二・二倍ですからね。かつ、首都圏と言いましたけれども、上がっているのは東京が著しくて、東京だけで見ると二億を超えているんですよ、新築マンションの価格が。埼玉なんかはマイナスですよ。こういう数字を見たとき、異常だと思いませんか。

 やはり、日銀の金融緩和が過剰なマネーを生んで、そういったものがこの不動産価格に反映されているんじゃないですか。

 総裁の率直な見解をお聞かせください。

植田参考人 確かに、金融緩和は、一般論として、資産価格、不動産価格を含めた資産価格にポジティブな影響を与えるというものでございます。

 御指摘の東京の直近のデータについては私も精査しておりませんので、きちんと見て、こういう動向が続くかどうかについては注意深く見守っていきたいと思っております。

階分科員 過去のバブルのときには、急激に不動産価格が上昇して、その後、バブルを退治するという、当時三重野総裁でしたけれども、急激な金融引締めをやって、金融システムの混乱を招き、バブルの崩壊と金融システム危機というのもあったわけですよね。このことについて余り関心を持っていないというのは、いかがなものかなと思いますよ。

 総裁、不動産価格については、過去の日銀の教訓を踏まえると、もっとしっかり見るべきじゃないですか。

 それから、よく、円安になると最初は貿易赤字が増えるけれどもJカーブ効果でだんだん貿易黒字になっていくみたいなことを以前は言っていましたけれども、全然そういう傾向もないですよね。円安が本当に日本の経済にとってプラスになっているのかというのもありますし、この状況が続くと、ますます実需によって円が売られて円安になるのではないかというふうに危惧しています。

 そういうことを、総裁の考え方をお聞きしたかったんですね。日銀の異次元金融緩和が続く限り、私はこの傾向は続くと思って、それでお聞きしているんですよ。

 日銀の異次元緩和が続く限り、今言ったような懸念、不動産価格の高騰であるとか円安の進行とか、円安といっても悪い円安の進行が続くと思うんですけれども、それはどう思いますか。

植田参考人 円安の経常収支への影響につきましては、委員おっしゃいましたような、Jカーブ効果のようなものが一般論としてあるものだというふうに私も認識しております。

 ただ、足下、遅れておりましたが、インバウンド需要が増えつつあるというようなことも含めまして、経常収支へのプラスの効果が出てくるかどうかは注目したいと思っております。

 それから、金融緩和の不動産価格への影響については、行き過ぎた不動産価格の上昇あるいはバブルの可能性、こういうことが起こらないかどうかについては常に注意深く見守っていきたいというふうに考えてございます。

階分科員 是非よろしくお願いします。

 賃金上昇に関して、話題を変えたいと思います。

 先週末に発表された二〇二二年度の消費者物価指数は、生鮮食品を除いて三%に達しています。私の資料の一ページ目にその概要が書いてあります。日銀の目標とする二%の物価目標をはるかに上回る水準ですが、資料の四ページにあるとおり、実質賃金がマイナスであるということから、まだ目標は達成していないと日銀はかねがね言っていました。

 日銀として、望ましい賃金水準が幾らなのか、賃金上昇率が幾らなのか。このことについて、植田総裁の認識を伺いたいと思います。

植田参考人 名目の賃金上昇率に関するお尋ねと思いますけれども……(階分科員「実質も答えてください」と呼ぶ)はい。

 例えば、物価安定の目標が持続的、安定的に達成される、達成されたというような状態を考えてみますと、そこは名目の物価上昇率が二%であるわけです。その上で、実質の賃金上昇率ということを考えてみますと、労働生産性の伸び、あるいは、加えまして、労働分配率の変化などによって左右されるというふうに考えてございます。

 この実質の賃金上昇率を二%の名目の物価上昇率に加えたものが、物価安定が達成された状態での名目の賃金上昇率となるというふうに考えてございますが、例えば労働生産性上昇率がどれくらいになるかということについては、様々な要素によって変動し得るものでございますので、前もってこれくらいかなということを申し上げるのはなかなか難しいかなというふうに思ってございます。

階分科員 黒田総裁時代には、ここでの答弁でも、名目で三%、実質で一%という賃金上昇率が望ましいのではないかといった答弁を伺っていました。

 植田総裁、今、実質一%という数字は出ませんでしたけれども、黒田総裁時代とはちょっと見解が変わっているという理解でよろしいですか。

植田参考人 申し上げましたように、実質の賃金上昇率がそういう状態でどれくらいになるかということは、生産性上昇率と、あと労働分配率の変化等の要因に依存して決まってきますので、恐らく、黒田総裁はその辺を大まかに一%というふうに考えて、三%という数字に言及されたんだと思いますけれども、私としては、その辺、慎重に、どれくらいになるのか分からないという不確実性を考慮しつつ、具体的な数字を今お示しするのはちょっと控えさせていただければなというふうに思います。

階分科員 それでは、ちょっと質問を変えますけれども、私の資料の三ページ目に、各物価指数の推移というグラフを示しております。

 輸入物価指数が一番上がっております。しかも、円ベースの輸入物価指数が一番上がっている。これは円安の影響もあるわけです。その下に、国内企業物価指数、赤のグラフですけれども、これが上がってきて、さらに、その下に消費者物価指数、生鮮食品を除く総合の指数ですけれども、ということで、私が見るところ、まだまだ価格転嫁というものが進んでいないのではないか、これから進んでくるのではないかというふうに思っています。

 現に、この資料の一ページ目の直近の消費者物価指数の総務省のデータを見ますと、生鮮食品とエネルギーを除く総合のところはどんどん上がってきていますね。三・八というのが直近の数字です。こういう状況を見たときに、日銀は、二ページのように、いつも物価見通しを外しています。今回も、今回というか二〇二二年度も、当初は〇・四ぐらいから一・〇ぐらいの見通しだったものが、回を追うごとに上方修正されて、最終的には三%ということに着地しているわけですね。だから、私は、日銀の見通しというのは希望的観測、展望レポートではなくて願望レポートだというふうに思っていますけれども。

 こういうことを考えると、私は、物価上昇率は今後二%を上回る状態が続く可能性が高いと考えています。仮に物価上昇率が二%以上を継続しても、実質賃金、これが今ずっとマイナスですけれども、この状態が継続する限り、すなわち実質賃金のマイナスが継続するのであれば、物価が幾ら上がっても異次元緩和は継続するということでいいのかどうか、ここを確認させてください。

植田参考人 御指摘のように、輸入物価が国内物価にだんだん転嫁されていくという動きは、しばらく前に予想されていた以上の強さで進んでいるということは確かかなというふうに思ってございます。ただ、私どもの見通しでは、これはそろそろピークを迎えるというふうに思っております。

 したがいまして、いつからということは難しいわけですが、そろそろ、除くエネルギーベースでも物価上昇率は下がっていくというふうに考えてございます。年度後半には二%を下回るというところを見込んでございます。ですので、その見通しに沿って、金融緩和を継続するというスタンスで現在おるわけでございます。

階分科員 去年の今頃も黒田総裁は同じことを言っていました、二〇二二年度についてでしたけれども。それが、さっき言ったように全く外れているわけですね。

 基調としては、私は、物価上昇が続いていくんだろうと。今、人手不足が深刻化していまして、賃金を上げないと人が来ないわけですよ。ですから、賃金も上がってくるだろうということで、それに伴って、当然、販売価格も上げないと企業は賃金倒産になってしまうので、そういう状況もあると思いますよ。だから、物価が上がっていくということは続いていくと思うんですが、問題は賃金の上がり具合だと思うんですね。

 物価を上回るぐらい賃金が上がらないとやはり景気はよくなってこないということで、実質賃金がプラスにならない限り、やはり異次元緩和は継続するということでいいのかどうか、物価よりも実質賃金が優先するということでいいのかどうか、ここの考え方を教えてください。

植田参考人 金融政策の判断ということで申し上げますと、あくまで物価の基調に応じて判断をさせていただくということでございます。

 したがいまして、やや繰り返しになりますが、現在は物価の基調がまだ二%を下回っているという状態であると認識しておりますので、緩和を継続する。しかし、これが二%に届くという見通しになってくれば、緩和については正常化の方向に向かうということでございます。

 そこの判断に誤りがないように、物価の見通しについては一段と精査をして努力してまいりたいというふうに思ってございます。

階分科員 さっきの、日銀が物価見通しを外し続けているというのは最近始まったことではなくて、黒田総裁の就任した最初の頃から、当時は二年で二%を達成すると言っていましたから、二年で二%を達成するような見通しになっていたわけですね。最近では金融緩和を継続することを前提とする見通しになっているということで、何か、客観的、中立的に見通しを出しているというよりは、やりたい金融政策に合わせて見通しを出しているような気がするんですよ。

 これは黒田総裁にも言いましたけれども、見通しが本当に合理的根拠があるのか、客観的、中立的になされているのか。これをちゃんと国民に示していただかないと、またこれが外れたときに願望レポートというそしりを免れないと思うんですけれども、この見通しについて、もっと客観的、合理的な根拠を示して説明してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。

植田参考人 物価見通しを含めまして、経済見通しは、残念ながら非常に難しいものでございます。AIの時代でございますが、AIを駆使してもなかなか当たらないということが皆さんよく世界的に知られているかと思います。

 そうではありますが、今週末に次の展望レポートを発表する時期になってきておりますので、その中で、できる限り正確な見通しを出すように努力してまいりたいと思います。

階分科員 是非よろしくお願いします。

 長期金利のコントロールについて伺いたいと思います。

 私は、長期金利について、よく、この水準が引き上がると景気に悪影響が及ぶんじゃないかということを言いますけれども、住宅ローンについては、変動金利で借りる人が多いということと、長期の固定金利が上がったとしても既に借りている人には影響はないということで、余り一般社会に対して影響はないんじゃないかと。もちろん、企業も変動金利で借りているところが多いわけですね。大きな企業になればなるほど、スワップして、将来の金利上昇に備えるということもやっているわけです。ですから、長期金利については、無理やりコントロールして低く抑えるということは、実体経済への影響ということを考えると、それほど必要性はないんじゃないかと思っております。

 そういうことで、これから、長期金利のコントロール、副作用がいろいろあったわけですよね。日銀の国債保有額が政府の発行額の半分以上を占めていて、日銀の財務がおかしくなっている。また、政府も、財政規律が失われていたりする。何よりも、市場における国債の流通がゆがんでいるということもあると思います。

 そういう中で、総裁には、なる前の議院運営委員会でもこの点についてはお聞きしました。その際、総裁が当時何とおっしゃったか。基調的な物価の見通しが一段と改善していくという姿になっていく場合には、イールドカーブコントロールを見直すというふうにおっしゃっていました。基調的な物価の見通しが一段と改善していくという姿というのはどういうことを指すのかというのが一つ。

 それから、昨年の七月の日経新聞の「経済教室」で、総裁が、長期コントロールは微調整に向かない仕組みだというふうに述べていました。先ほど言ったような条件が満たされてイールドカーブコントロールを見直すという場合に、微調整に向かないというのであれば、どのように見直すのか。

 以上二点について、お答えいただけますか。

植田参考人 基調的な物価の見通しが改善してイールドカーブコントロールの修正、正常化ができるようになるのはどういう状況かという御質問だと思いますが、それは、基調的な物価の見通しというのはなかなか数字その他を申し上げにくいものでありますが、簡単に申し上げれば、半年先、一年先、一年半先の私どもの物価の見通しがかなり強いものになってくる、二%前後になってくる、しかも、それについての見通しの確度が高まったというふうに認識できるときかなというふうに、漠然と考えてございます。

 それから、そういうふうになったときに、イールドカーブコントロールの正常化によって市場が混乱しないように、どういうふうにするのかという御質問であったと思いますが、それは、どういうイールドカーブコントロールの正常化がいいのかというときは、そういう点は、そのときの経済の状況、インフレ率の上がり方の早さ、そういう様々な条件に依存するというふうに思いますので、それを考慮しつつ対応するということかと思いますが、現在、こういうやり方で進むということを具体的に申し上げる段階にはないかなというふうに考えてございます。

階分科員 後段の答弁ですけれども、具体的な手法はお答えできないということなんですが、中曽さんという、以前副総裁を務められた方が最近インタビューに答えられていますけれども、金融政策決定会合で何をやるかの手のうちを事前に明かす必要はないにしても、正常化をどんな手順で進めるか、いかなる手法でやるかという基本戦略はあらかじめ説明した方がいい、FRBが二〇一四年にそうしたものを公表しているということをおっしゃっているわけですね。私も、それが説明責任を果たすという意味では非常に意義あることではないかと思うんですが、前総裁も、いつまでたっても、時期尚早ということで全く出口戦略についてはお答えにならなかったんですね。

 そういったことはちゃんと説明すべきだと思うんですが、なぜ説明しないんでしょうか。

植田参考人 特に長期金利コントロールにつきましては、経済情勢が今後どうなるかというようなことがよく分かっていない段階で中途半端な情報発信をいたしますと、市場に大きな攪乱が発生いたします。それをなるべく避けるという意味で、ぎりぎりまでなかなか発表できないという面があることは御理解いただければなと思います。

階分科員 私は不勉強で申し訳ないんですけれども、FRBはそういったことを発信しているわけですよね。なぜFRBがやれるのに日銀はできないのか、ここは総裁の方がお詳しいと思うので、分かりやすく説明していただけますか。

植田参考人 私どもの場合は、長期国債を買うというオペレーションだけでなしに、長期金利の水準をコントロールするという政策を現在行ってございます。これはFRBはやっていなかったというふうに認識してございます。この長期金利の水準をコントロールするという政策が持つ難しさであるというふうに認識しております。

階分科員 FRBのやり方に倣って、どこまで言うかは別として、いつまでも出口戦略時期尚早ということではなくて、今後どういうふうに出口戦略をしていくのかとか、出口戦略によって日銀の財務がどういうふうに変化するのかといった情報発信は他国の例に学んでやるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

植田参考人 既にお答えしたような問題に抵触しない範囲で、差し支えないところについては、できるかどうか検討してみたいと思います。

階分科員 それと、国債保有とETFの保有、これは非常に大きな規模になっているというのは皆さん御承知のとおりだと思いますが、五ページ目についていますとおり、イールドカーブコントロール導入後、国債買入れが増えて、特に最近になって増えてきておりまして、直近では二十兆円を上回るような、月間でですけれども、月間でそれだけの規模の買入れをしている。その結果、六ページ目にあるように、国債の簿価残高は何と五百八十兆ということで、先ほども言いましたとおり、政府発行残高の五割を超え、日本のGDPを上回る規模になってきている。評価損も、試算したところ、六、七兆になっているということであります。

 このような国債の保有、適正かどうか、そして、併せて伺いますけれども、ETFについても、大問題だというふうに議院運営委員会でおっしゃっていましたけれども、大問題である理由と、その解決策、このことを教えていただけますか。

植田参考人 国債の方につきましては、保有の残高について何か目標を持って、それを達成するように購入しているというわけではなしに、先ほど来御議論のありました長期金利の目標を実現するために必要な額を買い入れてきたということでございます。

 それから、ETFの方でございますけれども、将来、現在の長短金利コントロールの政策から出口に至る、金融政策を本格的に正常化するという局面に至った場合に、このETFについても、購入したETFをどういうふうに処分していくのかという点は大きな課題として認識しているという意味で先日お話ししたというところでございます。

階分科員 国債についてもETFについても、いずれは残高を減らしていかなくちゃいけないわけですね。国債については、満期償還のときに借換債を購入しないということがあり得ると思うんですけれども、それは反面、金利上昇圧力になるかもしれないし、資金が市場から吸い上げられるということで、金融引締め効果を生むわけですね。また、ETFについても、処分するとなれば市場へのインパクトが出てくるということで、非常に難しい手順、あるいは、市場への影響を考えながらの微妙な差配が求められると思うんですね。

 この辺りについては、もう時間がないので端的にでいいんですけれども、内部ではもう検討をしているのかどうか、お答えいただけますか。

植田参考人 様々なケースについて、金融政策を正常化していった場合にどういう、例えば日本銀行の財務に影響が及ぶのかというシミュレーションは、内部でたくさんしてございます。

階分科員 では、これで終わりますけれども、先ほども議論しましたとおり、是非、出口戦略の方向性、どういうふうにやっていくのか、そして、それの影響といったことについて、情報発信について御検討いただきますよう重ねてお願い申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中主査 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣府所管中消費者庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。河野消費者及び食品安全担当大臣。

河野国務大臣 お疲れさまでございます。

 平成三十年度から令和元年度における消費者庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成三十年度の歳出予算現額は百五十億七千四百九十七万円余でありまして、これを支出済歳出額百二十六億五十万円余に比較いたしますと、二十四億七千四百四十六万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度へ繰り越した額は十一億五千万円であり、不用額は十三億二千四百四十六万円余であります。

 続きまして、令和元年度の歳出予算現額は百五十一億二千九百九十六万円余でありまして、これを支出済歳出額百二十八億九千八百五十一万円余に比較いたしますと、二十二億三千百四十五万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度へ繰り越した額は十一億五千万円であり、不用額は十億八千百四十五万円余であります。

 以上をもちまして、平成三十年度から令和元年度における消費者庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度消費者庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 続きまして、令和元年度消費者庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

田中主査 以上をもちまして内閣府所管中消費者庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、これを許します。大西健介君。

大西(健)分科員 立憲民主党の大西健介です。

 本日は、第一分科会の所管の様々な問題について質問したいと思っているんですけれども、まず、河野消費者担当大臣に御質問したいと思います。

 本年の一月ですけれども、消費者庁から行政処分を受けていたにもかかわらず勧誘行為を続けていたとして、広島県警は、USBメモリーの販売預託商法を展開するVISIONの関係者の男二人を特定商取引法違反の疑いで逮捕しました。この二人については、つい先日ですけれども、十九日の日に広島地裁で有罪判決が下っています。

 そこで、会議録をちょっと今日お配りしていますけれども、これを御覧いただきたいんです。線を引いている部分を追っていただくと分かるんですが、これは令和三年、二〇二一年の四月の消費者特での私の質問です。

 ここで私が何を言っているかというと、消費者庁が注意喚起を行ったのが二〇一九年の十一月、そして業務停止命令を行ったのが、この質問のちょうど直前ですけれども、二〇二一年の三月で、対応が一つは遅過ぎるということ。

 さらに、このときもそうなんですけれども、消費者庁は、法で規定する最長の期間の業務停止命令を出して厳正に対処している、こう胸を張っておられるんですけれども、同時に、消費者庁は、ここで私も確認をしていますけれども、過去に命じた業務停止命令の期間中に、今回行政処分を命じた会社がセミナーを開いて勧誘を行っていたという事実も認めています。つまり、悪徳業者は、はなからこの処分なんて何とも思っていなくて、それを無視しているんですね。

 だから、私は、このときの質疑でも、早く刑事告発をすべきだと主張しました。それから二年たって、やっと関係者が逮捕された。この二年の間にも勧誘が続いて被害が拡大したことを考えると、本当に許せない気持ちでいっぱいなんです。そして、実は、二人は逮捕されていますけれども、現在でもセミナーや勧誘は続いているんですね。

 ジャパンライフのときもそうですけれども、四回処分して、結局、消費者庁は、やることはやっているんだと言っているけれども、最後まで、破綻するまで止められなかった。破綻してしまったときにはもう財産はなくなってしまって、被害者は救済されない。私は、今のやり方では消費者庁は消費者を守ることはできないというふうに思っています。

 そこで、今日は、河野大臣、是非お願いしたいんですけれども、会社法第八百二十六条によって、法務大臣に対して、速やかに会社法八百二十四条第一項第一号の該当事由及び同項三号警告対象事由があることを法務大臣に通知をしていただいて、法務大臣と協議をして、対象事業者等について、会社法の解散命令の申立て等を行っていただきたいんです。このことは、既に昨年の八月に、六名の弁護士の連名で消費者庁長官宛てにも要請をしています。

 法務省への通知はもう行っていただいているんでしょうか。まだやっていないのであれば、なぜ速やかに対応しないのか。対象事業者等の法人格を裁判所の命令によって解散させて、かつ対象事業者の財産に対する保全命令を発することができるように一刻も早く対応すべきだと思いますけれども、河野大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 会社法八百二十六条で言います刑罰に触れる行為を認定する立場に消費者庁はないために、この八百二十六条に基づいて法務大臣へ通知する義務を負うものではないと考えております。

大西(健)分科員 義務を負っていなくても、例えば、まさに、消費者庁はそういう悪徳事業者を解散させる、法人を解散させる、そういう権限はないわけなので、ただ、そういう権限を持っているのは法務省なので、例えば、八百二十六条に基づいてのものではなくても、この事業者が明らかに、消費者庁が幾ら処分を打っても、それをもうあざ笑うかのように勧誘を続けているわけです。

 こういうことについて、じゃ、非公式でも結構ですけれども、法務大臣にこういう事業者があるということをお伝えするということは考えられないですか。

河野国務大臣 消費者庁としましては、違反している事業者につきまして、法と証拠に基づき厳正に対処していきたいと考えております。

大西(健)分科員 先ほども、私、今日お配りしている資料を見ていただいても分かるんですけれども、その厳正な処分というのは、最長の二年間の処分を打っているから、これで消費者庁としてはやることはやっているんだというんですけれども、何回も言いますけれども、結局、その間ずっと勧誘は続けるわけです。今も続いているわけです。結局、止まらないんです。ジャパンライフのときも、破綻してやっと止まる。でも、もうそのときには財産はなくなって、消費者は被害の回復ができない。

 これでは、私は、もう消費者庁は消費者を守ることはできないと思いますし、こんなことをやっていたら、結局、悪いことをやる人たちは、どうせ無視しても大丈夫なんだと、最後は逃げ得みたいなことになると思いますよ。

 これはやはり根本的に法律に不備が私はあるというふうに思いますので、今日私が提案した、会社法の規定を使った通知というのをやらないのであれば、逆にほかのことを考えるべきじゃないですか。いかがですか。

河野国務大臣 消費者被害を野放しにするつもりはございませんので、そこのところはしっかり対応してまいります。

大西(健)分科員 是非、根本的に考えていただきたいと思います。

 次に、東京・銀座の歯科クリニックが、歯科矯正のモニターになりSNSなどで宣伝をすれば、百五十万円以上の報酬が支払われて高額な治療費が実質無料になると、参加者を募りましたけれども、謝礼は支払われることなく、多額のローンだけが残ってしまった問題で集団訴訟が起こっています。

 二〇一五年、特定商取引法専門調査会において、消費者トラブルが増加をしている美容医療契約に関して、特商法の特定継続役務として規制対象とすることが議論された際に、実は、そのときに歯科矯正も議論の俎上に上がっていました。ただ、歯科ではホワイトニングだけが規制の対象となって、歯科矯正は美容医療には当てはまらないということになりました。

 しかし、今回のトラブルを見ると、お金が返ってこないだけではなくて、治療が中断して歯並びが治療前よりも悪くなったとか、健康被害も出ていて、非常に深刻だと思っています。

 自由診療の歯科矯正を特商法の特定継続役務として規制の対象に加えることをもう一度検討することを含めて、何らかの再発防止策を取ることが必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 モニターになれば報酬があるなどと勧誘し、モニター料を代金の支払いに充てることを条件にしてサービスを無料や格安で提供すると思わせて契約させる、いわゆるモニター商法は、特定商取引法においては既に業務提供誘引販売取引として規制の対象となっております。

 消費者庁として、こうした法律に基づいて、引き続き、モニター商法を含む業務提供誘引販売取引による消費者被害の防止に努めてまいりたいと思っております。

大西(健)分科員 確かに、モニター商法というのは、例えば教材を買わせるとかそういうことがよくあるんですけれども、今先ほど私が申し上げましたように、歯科矯正というのは、お金が返ってこないだけじゃなくて、途中で治療を中断すると、歯並びが本当に悪いままで固定されてしまったり、かみ合わせが悪くなったり、健康被害にもつながるので、これは当時、先ほども言いましたように歯科矯正も規制対象にするかどうかという議論があったぐらいですから、もう一度私は再検討してもいいんじゃないかというふうに思っています。

 河野大臣、ここまでで、お忙しいでしょうから結構ですので。ありがとうございました。

 続けて第一分科会所管の省庁に質問していきたいと思いますけれども、まず、環境省。

 先日来、黄砂の飛来が問題になっています。黄砂については、これは先ほどの資料の裏面ですけれども、二〇〇五年の二月に関係省庁連絡会議というのが設置されているんです。開催状況を確認しますと、配付資料のとおり、二〇〇八年までは毎年開かれていたのに、それ以降全く開かれていません。これはさすがに怠慢じゃないのかというふうに思います。また、近々これを開催していただいて対策を協議すべきと思いますが、環境省、いかがでしょうか。

 さらに、黄砂というのは元を断たないと意味がないという点で、日中韓三か国の黄砂局長会議というのが行われておりますけれども、こちらの活動状況がどうなっているのか、併せてお答えいただきたいと思います。

針田政府参考人 お答えいたします。

 黄砂は、砂漠化等に起因して砂じん、砂ぼこりが大陸から飛来する自然現象であると承知しておりますが、御指摘の関係省庁連絡会議は、二〇〇五年に策定されたアジア開発銀行及び世界銀行の地球環境ファシリティー、GEFによる黄砂対策プロジェクトに対して我が国として協力することを主たる目的として、二〇〇五年から二〇〇八年まで開催をされておりました。

 その間、二〇〇七年には、日中韓三か国黄砂局長会合が開催され、黄砂に関する共同研究を行うためのワーキンググループを設置するなど、国際協力が日中韓環境大臣会合の枠組みの中で進められることとなり、黄砂関係省庁連絡会議は開催されなくなっておりますが、関係省庁と密に連絡は取っているところでございます。

 なお、日中韓による当該ワーキンググループでは、黄砂の予測精度の向上や植生回復技術に関する現地調査などを実施しており、昨年度は、十月に開催された三か国の局長会合では、その進捗等について議論が行われたところでございます。

大西(健)分科員 これだけ社会問題になっていて、それで関係省庁連絡会議がせっかくあるわけですから、それは私は活用されたらいいんじゃないかなというふうに思いますので、そのことをお願いしておきたいというふうに思います。

 次に、脱炭素先行地域についてお聞きをしたいと思いますけれども、これは、環境省が全国で百か所程度を選定して、そして交付金や支援のメニューを用意して地域の脱炭素化の取組を応援しようという制度で、私の地元の安城市も手を挙げさせていただいております。

 三河安城駅、新幹線停車駅ですけれども、この周辺では新幹線駅の開業に伴って町が発展してきたわけですけれども、三十年以上がたって都市機能が劣化をしてきており、他方で、西三河の自動車産業の集積地として、依然旺盛なオフィス需要があります。

 今後は、中央リニア新幹線が開通をすれば、東京―名古屋が四十分になって、三河安城地域は東京一時間圏内になるということで、そうしたことも視野に置いて、民間投資も期待されています。それを受けて、駅南では、新たな区画整理事業や、男子のプロバスケットリーグ、Bリーグのアリーナの建設の予定も進められるなど、新たな町づくりが計画されています。

 この新たな町づくりに合わせて脱炭素の取組を進めることによって、町の価値を高めて、全国のモデルになるような町づくりを目指しています。

 脱炭素先行地域の選定に当たっては、計画の内容はもちろんですけれども、新幹線停車駅であることや脱炭素への取組を迫られている自動車産業の中心であるといった地の利であったりとか、都市機能のリニューアルを行おうとしているタイミングというものも十分に考慮していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 脱炭素先行地域は、地域資源を活用しつつ、脱炭素化と地方創生を同時実現する全国のモデルとなる地域でございまして、その選定に当たりましては、学識経験者で構成する評価委員会の評価を踏まえて選定を行っております。

 その選定に当たりまして、委員ただいま御指摘の地の利でありますとか町づくりのタイミング、こちらも重要な要素として加味しておるところでございます。

 例えば、これまでも、選定されたところでいいますと、栃木県の宇都宮市、これは、今年八月の次世代路面電車システム開業という強みとタイミング、こういったものを踏まえまして、路線の中心市街地や車両の動力を脱炭素化する計画を立ててございます。そういうことも加味しましたし、愛知県の岡崎市、これは、町内会の加入率が非常に高いという特性、それから大手の自動車会社が地元に立地しますという地の利を生かして、連携をして、市が町づくりに力を入れている中心市街地を脱炭素化する計画があるということも踏まえて選定してございます。

 ただ、選定に当たりましては、こういった地の利、タイミング含めて、意欲的なエリア設定あるいは再エネの導入量、それから関係者との合意形成を含めた実現可能性、こういったところも重要でございますので、これらの要素も含めて、全国のモデルとしてふさわしい地域を選定してまいりたいというふうに考えてございます。

大西(健)分科員 地の利やタイミングというのも考慮していただけるということですし、今お話があった岡崎は、第一回選考からは漏れたわけですけれども、その後、環境省さんからもいろいろなアドバイスを受けて第二回選定に至ったということですから、今後、是非、安城市についてもフォローをお願いしておきたいというふうに思っております。

 それから、次に、国会所管について質問したいというふうに思います。

 今日は、わざわざ岡田事務総長にお越しをいただいております。ありがとうございます。

 私は、国会議員の政策担当秘書資格試験の第一回の合格者であり、馬淵澄夫代議士の政策秘書になったのが政治の世界に足を踏み入れたきっかけです。

 私は、昔は縁故採用中心だった政治家秘書に、様々な経験や能力を有する人材が就くことができる道を開いたという点で、この政策秘書の制度というのは画期的だったと思います。

 一方で、試験に合格した有資格者は毎年増えていくにもかかわらず、ポストは議員定数の分しかない。また、選考採用審査認定を受ければ政策担当秘書資格が付与されるという別のルートがあるために、難関の試験を突破した試験組の採用は全体の約一割程度でずっと推移をしている、こういった課題もあります。

 本年は、一九九三年の国会法改正による制度導入から三十周年になります。この機会に、制度を所管する衆参の事務局が、記念誌の発行であったりとか記念シンポジウムの開催等を行ってはいかがでしょうか。また、これまでの制度運営を踏まえて、今後の制度の持続可能な発展に向けて、有識者や当事者である試験組の秘書の皆さんを交えた検討の場を設けることを考えてはいかがかと思いますけれども、事務総長からお答えいただきたいと思います。

岡田事務総長 大西先生におかれましては、政策担当秘書に高い御関心をお持ちで、日頃から様々御提言をいただいていることに感謝申し上げます。

 ただいま御提案をいただきました政策担当秘書制度三十周年に係る記念誌の発行や記念シンポジウムの開催でございますが、例えば、記念誌を誰のクレジットで発行するか、それから、記念シンポジウムの開催にいたしましても、どういう方にどのような問題について論じていただくか、また、このシンポジウムにどういう方をお招きするかといったようなことを、このような公式の行事を衆議院として実施する場合には、議院運営委員会理事会の場で御協議の上、御決定をいただくところでございます。

 御決定をいただきました際には、先生方のこの御協議の経過も踏まえつつ、事務局としてその内容を具体的に検討し、適切に対処してまいりたいと存じます。

 それから、後段でございました有識者による検討の場の設置でございますが、これも、政策秘書の担当制度の来し方行く末を見定め、今後の制度の発展に向けた一案であろうかと存じます。

 こちらにつきましても、議院運営委員会理事会の場において、今現状どういう状況にあるのか、どういったことが問題点なのかということの共通の御認識、御理解をいただいた上で、事に臨んでまいりたいと存じます。

 いずれにしましても、私ども事務局といたしましても、必要に応じて、政策担当秘書、試験組の皆様、採用する先生方、それから現職の政策担当秘書、資格試験の合格者、選考採用の審査認定者、さらには公設秘書等の皆さんの御意見を十分に拝聴しつつ、今後とも持続可能な制度の発展に努めてまいりたいと考えます。

大西(健)分科員 確かに、事務総長おっしゃるように、それは議運で議論すべきことだというふうに思います。ただ、このいわゆる分科会という公式の場で私も発言させていただいておりますので、ここでこういう問題提起があったことは是非事務局でも受け止めていただいて、議運の担当の皆さんにも共有していただきたいと思いますし、我々会派の議運の理事にも私の問題意識というのは伝えさせていただきたいというふうに思います。

 次に、現在、国有財産売却収入等の税外収入を防衛力強化資金に繰り入れる法案が審議をされています。

 国会所管の国有財産については、参議院の旧事務総長公邸と法制局長公邸は平成二十八年に、衆議院の旧法制局長公邸については令和四年にそれぞれ財務省に所管替えとなり、このうち、旧参議院の法制局長公邸は平成三十年に売却済みと説明を受けました。

 一方で、千代田区の一番町にある旧衆議院の事務総長公邸については、令和二年の議運庶務小委員会の決定を受けて、衆議院事務局分室として、引き続き、会議、研修、臨時宿泊等に利用していくことになっています。

 この衆議院事務局分室、本当に有効に活用されているのか。昨年度一年間の利用実績を簡単に説明してください。

岡田事務総長 お尋ねの令和四年度の衆議院事務局分室の利用実績でございますが、臨時宿泊施設としての一件にとどまっております。

 これは、事務局分室竣工後約七十年を経過しておりまして、外壁それから内装等の老朽化が進んでございます。令和二年の議院運営委員会理事会で、衆議院の財産として今後も使用していくということの御了承をいただいたことを受けまして、今現在、令和二年度からの改修工事の実施中であること、この三年間のほどは、やはり新型コロナウイルス感染症、その対策上、なかなかここで会議その他の利用を進めることができない、そういう制約下にあったということでございます。

大西(健)分科員 ただいま御説明がありましたけれども、これは都心の一等地ですから、売却すれば相当な額になると思われます。

 今、防衛増税反対の声もある中で、国有財産の有効活用については今まで以上に国民から厳しい目が注がれているというふうに思いますので、コロナがあったからとかいろいろな理由があっても、昨年度一件というのでは、やはりさすがにこれはなかなか厳しいなというふうに思いますので、是非もっと有効活用を御検討いただきたいと思います。

 ちなみに、通告していませんけれども、例えば、我々が会派で何か研修するのに使わせてくれと言ったら、使えるんですか。

岡田事務総長 これは当然、先生方の便に供するということも十分ございます。

大西(健)分科員 いずれにしろ、有効活用を心がけていただきたいと思います。

 事務総長、ここまでで結構です。ありがとうございます。

 次に、特定秘密漏えい事案について質問します。

 安全保障に関わる機密情報の特定秘密などを漏えいしたとして、特定秘密保護法違反などの疑いで書類送検された海上自衛隊の元一等海佐について、横浜地検は三月十四日、不起訴処分としました。理由は明らかにしていませんけれども、元一佐は、秘密を口頭で伝えたということは自分で認めているんですね。にもかかわらず、地検はこれを不起訴にしたというのは、漏えいが文書などの形でなかったために、内容が特定秘密に当たるかどうかの立証が難しいと判断したのではないかという見方があります、これは理由を明らかにしていないので分からないんですけれども。

 しかし、仮にそうだとしたら、口頭の漏えいというのは全て不起訴になってしまう、特定秘密保護法によって罰することができないということになって、これは制度そのものの意味がなくなってしまうと思いますけれども、このことについて、これは制度上の欠陥になってしまうんじゃないかということについて、内閣官房の見解を求めます。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密等の情報を漏えいし免職となった海上自衛隊の元一等海佐が不起訴処分となったことは承知しております。不起訴の理由を含め、検察当局の判断についてお答えすべき立場にはございませんが、本件につき、特定秘密などの漏えいがあったことは防衛省が自らの調査に基づき確認をし、その上で元一等海佐に免職の懲戒処分がなされたということは承知してございます。

 もとより、特定秘密保護制度は、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めておるものでございまして、今回の事案が不起訴になったことのみをもって特定秘密保護制度の意味がなくなるわけではないと考えております。

 いずれにせよ、こういった事案が再発しないよう、特定秘密である情報の漏えいの防止及び特定秘密の適正かつ厳格な保護について、改めて一層の徹底を図ってまいります。

大西(健)分科員 確かに、不起訴の理由は明らかになっていないので分からないですけれども、では、一般論として、口頭での漏えいがあった場合には、それを立証するのはできると思いますか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げて、法と証拠に基づき、捜査当局それから検察当局が判断すべきものと考えます。

大西(健)分科員 いや、そうではなくて、特定秘密保護制度というのは、例えば、特定秘密の箱を用意して、そこにこういう特定秘密が入っているとか、箱を保護するような制度ですけれども、いわゆる口頭で、文書じゃなくて口頭であっても、こういうようなやり方であれば十分立証は困難だということは内閣官房として説明できますか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 捜査手法それから立証の手法ということでございますので、当方からお答えできる範囲のものではないのかなと思っております。

大西(健)分科員 ちょっとこれ以上は、今日はとどめますけれども、やはりこれは少し考えなきゃいけない問題なんじゃないかなというふうに思います。

 次に、今月の十七日、米国司法当局は、届出をせずに中国当局に代わって警察業務を担う拠点を開き、米国内での民主活動家らを監視するなどした疑いで、中国系米国人の男二人を逮捕しました。

 外国で同意を得ずに警察活動を行うのは、主権の侵害に当たります。スペインを拠点とする人権NGO、セーフガード・ディフェンダーズは、中国が国外に設けた警察業務拠点に関する報告書を出しており、五十か国以上で計約百か所に設置されているとしています。その中には、日本の拠点として、秋葉原のビルにある、福建省福州市の名を冠した一般社団法人の事務所が挙げられています。

 報道によると、その事務所に日本の警察が訪ねてきて事情を聞いていったということですけれども、政府は、人権NGOが指摘したその事務所を中国の警察拠点と見ているのかどうなのか。仮に警察拠点だとすれば、中国に対して閉鎖を要求すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

早川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の報道また報告書につきましては、承知しているところでございます。

 警察におきましては、平素より、治安維持の観点から様々な情報収集を行っておりますが、その詳細につきましては、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきます。

 本件につきましては、中国側に対し、外交ルートを通じて、我が国の主権を侵害するような活動が行われているのであれば断じて認められない旨、申入れを行っているものと承知しております。

 警察におきましては、本件に関して、引き続き関係省庁と連携し、適切に対処してまいりたいと考えております。

大西(健)分科員 たしか昨日、たまたまテレビで見たら、官房長官の記者会見の映像が流れていましたけれども、官房長官は、そういうものがどうもあるらしいということで、それはしっかり調査するんだということをおっしゃっていたというふうに思いますので、これはしっかり調査をして、そして本当にそういうものであれば、今言っていただいたように外交ルートを通じてしっかりと抗議をしていただかなければ、これは主権の侵害に当たるというふうに思いますので、重ねて申し上げておきたいと思います。

 最後に、宮内庁の初代広報室長に警察庁の女性キャリア官僚のエースと言われる藤原麻衣子氏が就いたことが、目玉人事として話題になっています。藤原氏は、警察庁警備局の外事情報部で経済安全保障室長を務めて、経済安保の最前線で先端技術が企業や研究機関から中国などのスパイへと流出するのを防ぐエキスパートと言われています。

 そこで、メディアの中には、藤原氏は広報よりもむしろ情報管理のプロであって、皇室に対する国民の親近感を醸成するための広報の充実というような観点よりも、週刊誌による皇室報道やSNSの皇室批判投稿などに対してにらみを利かせる人事ではないかという、うがった見方もあります。

 また、最近では、西村泰彦長官を始め、宮内庁の主要ポストを警察官僚が占めるようになっているとの指摘がありますが、こうした人事の狙いというか、理由というか、そういうものがあれば教えていただきたいと思います。

池田政府参考人 宮内庁では、国民に寄り添い、国民と苦楽を共にしておられる天皇陛下と皇族方のお姿や御活動についての国民の理解が深まることが重要であると考えておりまして、広報の充実を図るために、四月に広報室を設けて体制を整備したところでございます。

 広報室は、情報発信の在り方を研究し、実施に向けて取り組むとともに、庁内の各部局などと連携を取り調整を図る役割を担っております。

 お尋ねの広報室長に関し、個別の人事について申し上げることは控えますが、こうした広報の充実を図るため、適材適所で人材の登用を行ったものでございます。

 また、警察出身者の受入れについてのお尋ねがございました。

 宮内庁は、皇室関係の国家事務、あるいは天皇の国事に関する事務などをお世話申し上げており、これらの事務は、幅広く各省庁の分野にわたっているところであります。

 こうした事務を的確に進めていくため、従来、様々な経験、知識及び行政実務の経験を有する人材を、警察庁に限らず各省庁から受け入れているところでございます。特別に主要ポストを警察出身者が占めているということではございません。

大西(健)分科員 よく、日本の皇室はイギリスの皇室なんかと比較をされることが多いわけですけれども、今おっしゃっていただいたように、やはり、国民に親しみを感じていただける、そういう皇室にするための広報活動の充実ということを是非図っていただきたいというふうに思っておりますので、そのことに応援のエールを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中消費者庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

田中主査 これより内閣所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。松野内閣官房長官。

松野国務大臣 平成三十年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額十三億五百六十八万円余に対しまして、収納済歳入額は七億四千七百三十九万円余であり、五億五千八百二十九万円余の減少となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額千三百六十三億百万円余に対しまして、支出済歳出額は千百九十七億三千二百五十六万円余であり、百六十五億六千八百四十四万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は九十七億五千七百九十五万円余であり、不用額は六十八億千四十八万円余であります。

 次に、令和元年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額十億五千五百五十八万円余に対しまして、収納済歳入額は二億九千八百七十九万円余であり、七億五千六百七十八万円余の減少となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額千四百九十三億千十九万円余に対しまして、支出済歳出額は千二百六十五億四千二百九十三万円余であり、二百二十七億六千七百二十五万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は百八十五億三百三十三万円余であり、不用額は四十二億六千三百九十一万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。

 これは、本来の事業効果が発現せずに廃止されたセキュアゾーンの整備経緯等を踏まえて、総務省において今後の政府共通プラットフォームの整備等に際して、需要の把握、各府省との調整等を適時適切に行うための手続を明確にするよう是正改善の処置を求め、及び内閣官房において早急な対応が求められるなどの際にも、一元的な状況把握、プロジェクト管理等を行うこととするよう意見を表示したものであります。

 続きまして、令和元年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

田中主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。河野国務大臣。

河野国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、誠に遺憾に存じております。

 御指摘を受けた事項につきましては、当時所管していた総務省において政府共通プラットフォームの整備等に際して、需要の把握や各府省との調整等を適時適切に行うための手続を明確にするなど所要の措置を講じたところです。また、デジタル庁において、国等の情報システムを対象とした、一元的なプロジェクト監理を実施しており、システムの統一的管理を強化しております。引き続き、再発防止に万全を期してまいる所存であります。

田中主査 以上をもちまして内閣所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、内閣所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

田中主査 これより環境省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。西村環境大臣。

西村(明)国務大臣 平成三十年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は十九億二千三百七万円余、これに対しまして、収納済歳入額は八十億二百万円余、歳入予算額と収納済歳入額との差は六十億七千八百九十三万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 歳出予算現額は五千四百五十七億五千六百七十一万円余、これに対しまして、支出済歳出額は四千百七億三千六百九十五万円余、翌年度への繰越額は千九十八億二千七百八十八万円余、不用額は二百五十一億九千百八十八万円余となっております。

 次に、環境省所管の特別会計の平成三十年度の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、エネルギー対策特別会計について申し上げます。

 収納済歳入額二千八百四十二億三千二十二万円余、支出済歳出額千六百九億四千六百六十二万円余であります。

 収納済歳入額と支出済歳出額との差額は千二百三十二億八千三百六十万円余でありまして、翌年度への繰越額は五百七億七百八十九万円余、令和元年度予算に歳入計上した剰余金は三百五十九億四千五百六十万円余、これらを除いた純剰余金は三千六百六十億三千十万円余となっております。

 第二に、東日本大震災復興特別会計について申し上げます。

 まず、歳入決算につきましては、収納済歳入額五千九百七十億千百三十八万円余となっております。

 次に、歳出決算につきましては、歳出予算現額七千一億二千六百六十七万円余、これに対しまして、支出済歳出額は四千三百七億六千七百十二万円余、翌年度への繰越額は千八百八億五千七百八十万円余、不用額は八百八十五億百七十三万円余となっております。

 以上が、平成三十年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 続きまして、令和元年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は二百七億九千六百三十六万円余、これに対しまして、収納済歳入額は二百三十億五千百二十七万円余、歳入予算額と収納済歳入額との差は二十二億五千四百九十万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 歳出予算現額は六千九十八億五千九百五十八万円余、これに対しまして、支出済歳出額は四千二百四十九億九千八十七万円余、翌年度への繰越額は千六百五十七億六千三百五十三万円余、不用額は百九十一億五百十七万円余となっております。

 次に、環境省所管の特別会計の令和元年度の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、エネルギー対策特別会計について申し上げます。

 収納済歳入額三千六十八億千五百九万円余、支出済歳出額千七百三十三億千五百四十三万円余であります。

 収納済歳入額と支出済歳出額との差額は千三百三十四億九千九百六十六万円余でありまして、翌年度への繰越額は四百五十一億千二百二十四万円余、令和二年度予算に歳入計上した剰余金は三百五十三億三千九百六十七万円余、これらを除いた純剰余金は五百三十億四千七百七十四万円余となっております。

 第二に、東日本大震災復興特別会計について申し上げます。

 まず、歳入決算につきましては、収納済歳入額三千五百七十六億千四百三万円余となっております。

 次に、歳出決算につきましては、歳出予算現額八千三百九十億二千六百五十万円余、これに対しまして、支出済歳出額は四千百八十八億三千九百十六万円余、翌年度への繰越額は三千九十六億二千三百九十五万円余、不用額は千百五億六千三百三十八万円余となっております。

 以上が、令和元年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院長岡第三局長。

長岡会計検査院当局者 平成三十年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十九件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二一五号は、国立公園内の園地整備工事の実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋梁上部工等の所要の安全度が確保されておらず、工事の目的を達していなかったものであります。

 同二一六号から二三三号までの十八件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助金により造成した基金の使用が適切でなかったものが十件、補助の対象とならないものが七件、補助金が過大に交付されていたなどのものが一件であります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、浄化槽設置整備事業の実施に当たり、浄化槽の設置工事費の実態調査の結果を適切に反映させた標準工事費等を算定できるよう基準額の改定に関する基準を定めるとともに、実態調査の結果を適切に反映させて標準工事費等の改定を行うよう改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、オンサイトラボに係る賃貸借契約について、金利情勢等を踏まえた協議を行うことにより、賃借料が適切なものとなるよう改善させたものであります。

 その二は、廃棄物処理施設において使用する冷却用水の調達に当たり、調達費用を適切なものとするよう改善させたものであります。

 その三は、除染工事等において使用する大型土のうの材料費の積算に当たり、特別調査を活用することにより市場価格を把握して、経済的な積算を行うよう改善させたものであります。

 続きまして、令和元年度環境省の決算につきまして検査をいたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項七件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一六五号から一七一号までの七件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助の対象とならないなどのものが四件、補助金により造成した基金の使用が適切でなかったものが三件であります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、地域再エネ水素ステーション導入事業について、導入された再エネ水素ステーションの大多数において必要電力量の全量相当分が再エネ発電電力量により賄われておらず、現状の技術的な知見では、再エネ水素ステーションの必要電力量を適切に把握することが困難であることから、事業を廃止するとともに、将来の同種事業の効果的な実施に資するために、必要電力量を適切に把握するための技術的な検証を行うことにより、再エネ水素ステーションによる総合的な低炭素化が適切に図られるよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、平成三十年度決算検査報告に掲記いたしました浄化槽の設置に係る交付金の標準工事費等の改定等について処置を要求した事項につきまして、その結果を掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

田中主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。西村環境大臣。

西村(明)国務大臣 ただいまの件に関する御説明の前に、一点、先ほどの発言につきまして訂正をさせていただきたいと思います。

 先ほど、エネルギー対策特別会計の純剰余金につきまして、三千六百六十億三千十万円余と申し上げましたが、正しくは三百六十六億三千十万円余でございますので、訂正をさせていただきたいと思います。

 平成三十年度及び令和元年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、誠に遺憾に存じております。

 指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもって事務の執行の適正を期する所存でございます。

田中主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、環境省所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

田中主査 これより内閣府所管中警察庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。谷国家公安委員会委員長。

谷国務大臣 平成三十年度から令和元年度の警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御報告申し上げます。

 平成三十年度歳出予算現額四千三百二十一億一千八百八十六万円余に対しまして、支出済歳出額は三千四百七十六億四千百八十八万円余であり、八百四十四億七千六百九十七万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度繰越額は六百二十六億四千七百二十六万円余であり、不用額は二百十八億二千九百七十一万円余であります。

 続きまして、令和元年度歳出予算現額四千二百六十八億六千三百九十万円余に対しまして、支出済歳出額は三千七百二十八億八千五百五万円余であり、五百三十九億七千八百八十五万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度繰越額は二百七十五億九千八百三万円余であり、不用額は二百六十三億八千八十一万円余であります。

 以上で、平成三十年度から令和元年度における警察庁関係歳出決算の概要説明を終わります。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 続きまして、令和元年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

田中主査 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、内閣府所管中警察庁については終了いたしました。

    〔主査退席、柿沢主査代理着席〕

    ―――――――――――――

柿沢主査代理 これより内閣府所管中内閣府本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。松野内閣官房長官。

松野国務大臣 平成三十年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額千二百億六千一万円余に対しまして、収納済歳入額は八百三億六千九百十五万円余であり、三百九十六億九千八十六万円余の減少となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきましては、歳出予算現額三兆二千九百六十九億三千八十五万円余に対しまして、支出済歳出額は二兆九千二百十八億四千七百三十万円余であり、三千七百五十億八千三百五十四万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は二千六百三十九億六百六十五万円余であり、不用額は千百十一億七千六百八十八万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、金融庁及び消費者庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会及び個人情報保護委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額二兆八千二百五十億一千六百三十一万円余に対しまして、支出済歳出額は二兆五千三百八十二億六百五十四万円余であり、二千八百六十八億九百七十七万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は千九百九十九億三千九十五万円余であり、不用額は八百六十八億七千八百八十一万円余であります。

 次に、令和元年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額八千七百八十億六千百十七万円余に対しまして、収納済歳入額は九千三百十七億三万円余であり、五百三十六億三千八百八十五万円余の増加となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきましては、歳出予算現額三兆六千百九十四億七千二百十五万円余に対しまして、支出済歳出額は三兆一千九百七十九億九千五百八十七万円余であり、四千二百十四億七千六百二十七万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は二千六百九十八億八千九百七十五万円余であり、不用額は千五百十五億八千六百五十二万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、金融庁及び消費者庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会、個人情報保護委員会及びカジノ管理委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額三兆一千五百二十億六千二百九十九万円余に対しまして、支出済歳出額は二兆七千八百八十四億三千百二十五万円余であり、三千六百三十六億三千百七十三万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は二千四百十億千六百七十八万円余であり、不用額は千二百二十六億千四百九十四万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

柿沢主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度内閣府の決算のうち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会及び個人情報保護委員会関係の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十一件、意見を表示し又は処置を要求した事項三件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一号は、遺棄化学兵器処理事業のうち、中国政府に委託した業務について内閣府本府が行う履行監理を支援等させる委託契約において、調理指導業務に係る人件費を実際に支払った額に基づかずに算定していたため、委託費の支払い額が過大となっていたものであります。

 同二号から一一号までの十件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助金の交付額の算定が適切でなかったものが四件、補助対象事業費を過大に精算するなどしていたものが四件、補助の対象とならないものが一件、工事の設計が適切でなかったものが一件であります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、中活ソフト特別交付税に関して、総務省に対して適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに改善の処置を要求し、内閣府に対して改善の処置を要求したもの、その二は、緊急時連絡網整備事業の実施に関して改善の処置を要求したもの、その三は、企業主導型保育助成事業に関して改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、外国訪問等に際して訪問国において現金で支払う必要がある経費に充てるための前渡資金の管理等に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。

 続きまして、令和元年度内閣府の決算のうち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会及び個人情報保護委員会関係の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十三件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一号から一三号までの十三件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち、補助金の交付額の算定が適切でなかったものが五件、補助の目的を達していなかったなどのものが二件、補助対象事業費を過大に精算していたものが二件、補助の目的外に使用していたものが一件、補助の対象とならないものが一件、工事費の積算が過大となっていたものが一件、補助金を過大に受給していたものが一件であります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、企業主導型保育助成事業に関して改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、遺棄化学兵器処理事業の委託費の精算に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

柿沢主査代理 次に、会計検査院宮川第五局長。

宮川会計検査院当局者 平成三十年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 続きまして、令和元年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

柿沢主査代理 次に、こども家庭庁発足に伴い、便宜、厚生労働省についての会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院中尾審議官。

中尾会計検査院当局者 平成三十年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八十一件、意見を表示し又は処置を要求した事項六件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項四件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号五七号及び五八号は、保険料の徴収が適正でなかったもの、同五九号から六四号までの六件は、保険の給付が適正でなかったもの、同六五号及び六六号は、医療費の支払いが過大となっていたもの、同六七号から一三四号までの六十八件は、補助事業の実施及び経理が不当なもの、同一三五号から一三七号までの三件は、介護給付費等の支払いが過大となっていたものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、障害者に係る就労移行支援事業に関して、適宜の処置を要求し、及び是正改善の処置を求めたもの、その二は、医療介護提供体制改革推進交付金等により造成した基金を活用して実施する事業に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求め、及び改善の処置を要求したもの、その三は、都道府県労働局における統計調査の実施に関して、是正改善の処置を求め、及び改善の処置を要求したもの、その四は、国保総合システムに関して意見を表示したもの、その五は、二次健康診断等給付に関して改善の処置を要求したもの、その六は、認定こども園等の施設整備事業の実施に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求め、及び改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、有床診療所等スプリンクラー等施設整備事業の実施に関するもの、その二は、介護給付費負担金の審査支払い手数料に係る交付額に関するもの、その三は、受動喫煙防止対策助成事業に関するもの、その四は、認定職業訓練実施付加奨励金の支給に関するものであり、これら四件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。

 続きまして、令和元年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八十二件、意見を表示し又は処置を要求した事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号四二号及び四三号は、保険料の徴収が適正でなかったもの、四四号から四八号までの五件は、保険の給付が適正でなかったもの、四九号及び五〇号は、医療費の支払いが過大となっていたもの、五一号から一二〇号までの七十件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、一二一号から一二三号までの三件は、介護給付費等の支払いが過大となっていたものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、事務処理誤りによる過払い年金の返還請求に係る事務処理に関して是正改善の処置を求めたもの、その二は、国民健康保険特定健康診査・保健指導国庫負担金の交付額に関して、是正改善の処置を求め、及び意見を表示したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、国民健康保険団体連合会等補助金の交付額の算定に関するもの、その二は、訓練終了者に対して支給される終了後手当に関するものであり、これら二件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

柿沢主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。西村国務大臣。

西村(明)国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣府におきまして、実施及び経理が不当と認められる事業につきましては、既に補助金を返還させるなど、所要の措置を講じたところであります。

 また、緊急時連絡網整備事業につきましては、通信設備の構成に係る共通の仕様を各関係道府県に対して示すなど、所要の措置を講じたところでございます。

 今後とも、一層適正かつ効率的な執行に努めてまいる所存でございます。

柿沢主査代理 次に、谷国務大臣。

谷国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、交付金を返還させるとともに、交付金事業の適切な執行に係る留意事項について地方公共団体に周知するなど、所要の措置を講じたところであります。

 今後とも、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金の適正な執行に努めてまいります。

柿沢主査代理 次に、高市国務大臣。

高市国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣府におきまして、既に委託費を返還させるなど、所要の措置を講じたところでございます。

 今後、適正な会計処理に努めてまいります。

柿沢主査代理 次に、岡田国務大臣。

岡田国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣府におきまして、実施及び経理が不当と認められる事業については、既に交付金を返還させ、また交付金事業の適切な執行に係る事務連絡の通知や手直し工事を実施するなど、所要の措置を講じたところであります。

 中心市街地活性化ソフト事業につきましては、地方公共団体に対する事務連絡の発出や、認定申請マニュアルの改定により、市町村が作成する基本計画への適切な記載を促すなど、所要の措置を講じたところであります。

 今後とも、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

柿沢主査代理 次に、池田宮内庁次長。

池田政府参考人 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、前渡資金の管理を適正に行い、速やかに精算手続を行うことを職員に周知するなど、所要の措置を講じたところであります。

 今後、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

柿沢主査代理 次に、小倉国務大臣。

小倉国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣府及び厚生労働省におきまして、実施及び経理が不当と認められる事業については、補助金を返還させるなど、所要の措置を講じたところであります。

 四月一日から事業を引き継いだこども家庭庁として、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

柿沢主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柿沢主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柿沢主査代理 以上をもちまして内閣府所管中内閣府本府及び沖縄振興開発金融公庫についての説明は終わりました。

 それでは、高市大臣以外の大臣及び池田宮内庁次長は御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

柿沢主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。住吉寛紀君。

住吉分科員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、日本の科学技術の基礎研究分野を中心に質問させていただきます。

 二〇二一年十月の五日、真鍋博士が、クラウス・ハッセルマン博士、ジョルジョ・パリーシ博士とともに、ノーベル物理学賞に選ばれました。我が国のノーベル賞受賞者は、真鍋博士で二十八人目、物理学賞では十二人目となります。

 ノーベル賞は、我が国では、湯川秀樹博士が一九四九年に物理学賞を受賞して以降、自然科学系では計二十五名が受賞し、今世紀ではアメリカに次いで世界第二位であり、大きな存在感を示しております。

 しかし、この受賞者数が必ずしも現在の我が国の研究力を示しているわけではありません。研究力を測る主要な指標である論文指標については、二〇〇〇年代前半より国際的な地位の低下が続いている状況です。論文数における日本の順位は、二十年前は第二位でしたが、直近では第四位であり、二〇〇〇年代前半から低下しております。トップ一〇%補正論文数における日本の順位は、二十年前は第四位でしたが、直近は第十位でございます。

 日本は、ほかの主要国と比較して、研究開発費や科学技術予算の対GDP比は高い水準にありますが、近年、大学部門、公的機関部門、企業部門の研究開発費は停滞しております。国際共著論文の割合は増えておりますが、イギリスやドイツ、フランスと比べるとその割合は低い状況です。また、海外派遣研究者数については、六か月以内の短期派遣者数は増加傾向ですが、中長期派遣者数は停滞しております。さらに、アメリカにおける博士号取得者数は直近十年で半減しております。

 日本は資源が乏しく、技術立国として生きていかなければなりません。かつては技術の日本、物づくり大国として世界に存在感を示したものですが、いつの間にか日本は追いつかれ、現在は多くの国に抜かされている、そんな状況となっております。

 このような状況を打破するために、基礎研究の底上げ、これが必要だと思いますが、いかに底上げを図っていくのか、政府の見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 今、住吉委員から御指摘ありましたとおりでございます。

 近年、論文数などの実数は大きく低下していないのですが、中国やアメリカなどの論文数の著しい増加に伴って、我が国の研究水準の相対的な立ち位置というのが低下しております。また、博士号取得者につきましても減少傾向にあるということで、我が国の研究力が低迷している状況と認識をいたしております。

 政府としまして、第六期科学技術・イノベーション基本計画などに基づきまして、第一に、大学等における研究活動を安定的、継続的に支える運営費交付金の基盤的経費、そして第二に、優れた研究や目的を特定した研究などを支援する競争的研究費、このデュアルサポートが重要だと考えております。また、大学における外部資金獲得などの経営基盤の強化ですとか、また、資金の効率的、効果的な活用を促すことによって安定的な研究環境の確保も不可欠でございます。

 基礎研究の底上げにはしっかりと取り組んでまいります。

住吉分科員 科学技術は以前からは想像できないほど急速に進展し、革新的技術の登場がこれまで以上に経済や社会に影響を及ぼすようになる中、基礎研究の成果を活用し、迅速な社会実装につなげる機会、これを拡大するには、組織やセクターを超えて知識、人材、資金が循環し、その各々が持つ力を十分に引き出すことができる仕組みを構築していく、このような必要がございます。

 また、迅速な社会実装の実現により、我が国の産業界が収益を確保し、再度その利益の一部が我が国の科学技術イノベーションの基盤的な力の強化に再投資されることにより、自律的なイノベーションシステムが構築されるものと考えられます。

 しかし、我が国が抱える課題として、研究開発の成果が現実の課題の解決や社会実装に結びつかない場合があることが指摘されておりますし、そうであれば、結局意味がありません。

 基礎研究といっても幅広くいろいろなフェーズがあると思いますが、産学連携を中心に、出口も含めて、基礎研究をいかに実装、実用化していくのか、政府の取組についてお伺いいたします。

高市国務大臣 基礎研究の実装、実用化には、基礎研究からイノベーションの創出に至るまで、各府省庁、資金配分機関によるシームレスな支援が重要であると考えております。

 政府としましては、基礎研究から、より応用的な目的基礎研究、そして実用化のそれぞれのステージを切れ目なく支援する競争的研究費事業を各府省庁や資金配分機関を通じて実施をしているところでございます。

 例えば、基礎研究の支援として、研究者の自由な発想に基づく研究を推進する科学研究費助成事業を実施しております。また、科学技術振興機構におきまして、目的基礎研究の支援として、創造的な革新的技術のシーズの創出を目的とする戦略的創造研究推進事業を実施しております。さらには、基礎研究成果の社会還元を支援する研究成果最適展開支援プログラムなどを実施いたしております。

 今申し上げましたような事業を通じまして、基礎研究が実用化までつながって社会実装を果たせるよう、政府としてはシームレスな支援をこれからも実施してまいりたいと存じます。

住吉分科員 是非、基礎研究の底上げ、そしてシームレスな支援、これを引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 これ以降の質問は制度であったり細かい論点の話になりますので、高市大臣にはここまでの質問になります。委員長のお許しがいただければ、御退席いただいて結構でございます。

柿沢主査代理 高市国務大臣は御退室いただいて結構です。

住吉分科員 続きまして、研究者の育成についてお伺いしたいと思います。

 日本の論文の七割以上は大学が生産しており、研究力強化のためには大学の機能強化が必要不可欠となります。

 二〇〇〇年代前半からの論文指標の低下などに見られるように、世界における我が国の大学の研究力は相対的に低下傾向にあります。その背景には、欧米の主要大学が自ら数兆円規模のファンドを形成し、その運用益を活用して研究基盤や若手研究者への投資を拡大していることが指摘されております。また、大学は多様な知の結節点であり、我が国の成長とイノベーションの創出に当たって、大学の研究力を強化していくことは極めて重要でございます。

 一方、我が国全体の研究力強化には、その基盤となる優秀な研究者の育成、これも重要な課題でございます。近年の論文指標低下の大きな要因は、安定したポストの減少を含め、若手研究者を取り巻く厳しい環境にあります。若手研究者が腰を据えて研究に取り組める環境の確保や、博士後期課程学生の処遇の向上等が喫緊の課題です。また、我が国は、他国に比べ女性研究者割合が低く、研究力強化のためには、女性研究者の育成と活躍促進が必要となってまいります。

 このような状況の中、博士号を取得した後の若手研究者がじっくり研究に取り組めるように支援していくことは、我が国の将来の技術力の維持発展に重要であると考えますが、若手研究者の育成として、政府の取組をお伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の基礎研究を担う研究者の育成に関する重要な課題としては、博士後期課程への進学率の向上、若手研究者のキャリアパスの見通しの明確化、そして研究者が研究に専念できるような環境の十分な整備などがあると考えています。

 このため、二〇二一年三月に策定した第六期科学技術・イノベーション基本計画においても、各省とも連携をしながら、若手を中心とする研究者がじっくり腰を据えて研究に打ち込める環境を整備するということに努めております。

 具体的には、十兆円規模の大学ファンドによる大学改革を含めた研究環境の強化、それから、博士後期課程学生への経済的支援の拡充、そして、若手研究者が自由な発想による挑戦的な研究に取り組める創発的研究支援事業に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、研究の魅力向上や研究環境の改善を図って、若手研究者を始めとする研究者を手厚く支援し、もって我が国の研究力が向上するように取り組んでまいります。

住吉分科員 先ほどの質問とも関連しますが、若手研究者を取り巻く環境が厳しいため、日の目を見ない優秀な研究者が海外へ流出することが懸念されます。

 二〇二〇年十月二日のプレジデントオンラインでは、こんな記事もございました。

 ここ三〜四年、私が上海に異動して以降、徐々に流れが変わってきたように思います。基礎科学分野における「海外の日本人研究者」の圧倒的大多数がアメリカやEU諸国中心というのは以前と同様ですが、それに加えて、若手・中堅を中心に中国における日本人の基礎研究者がわずかではありますが増えつつある印象を受けます。

  あくまでざっくりとした印象ですが、私の専門である生命科学分野で年三〜四人くらい、物理、天文など、他の基礎科学分野を足しても年十人弱の若手・中堅の日本人の基礎科学研究者が、中国の大学教員として着任しています。

このように報じられております。

 メジャーリーグの大谷選手のように、活躍の場を世界に求めて自発的に海外に行き、成果を残していることはすばらしいことであり、それが悪いことであるとは思いません。優秀な研究者が海外に進出することを責めるつもりは毛頭なく、そのような人を引きつける環境を整備し、日本で活躍することを選択してもらえるような場をつくっていくことが重要なのではないでしょうか。

 しかし、将来の我が国の科学技術力を担う優秀な若手研究者の海外流出は、日本の技術が流出する懸念もあり、国の、国益の損失だと思います。何より、資源の少ない日本において、人こそ宝でございます。

 そこで、毎年どのぐらいの人材が海外に流出しているのか、政府は把握しているのでしょうか。また、その原因と対策はどのようになっているのでしょうか。政府の取組をお伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 毎年どの程度の研究者が海外へ流出しているかについては、済みません、実態の把握はできておりませんが、御指摘のとおり、従来のように欧米だけでなくて、中国などへも若手研究者が流出しているというようなお話を聞きます。

 近年は、あらゆる研究活動がグローバルかつダイナミックに展開しておりますので、人材の国際的な獲得競争は一層激化しており、我が国では、こうした中で、若手研究者が腰を据えて研究できる環境に課題があるというふうに考えております。

 こうした課題に対応するために、優れた人材の育成及び確保の取組が極めて重要だと考えておりまして、具体的には、若手研究者が腰を据えて独創的な研究を長期間行うための研究費の確保や若手研究者のポスト確保、挑戦的研究への支援などを通じて、優秀な研究者が我が国で研究したいと思うような研究環境を整備する、それから、日本の強みを有する研究機関を世界のトップレベル拠点として拠点化して、外国からも優秀な人材を我が国に引きつけるような取組を進めていくことが重要と考えております。

 政府としては、引き続き、優秀な研究人材は我が国の成長に不可欠な存在であるという意識を持って人材確保に取り組んでまいります。

住吉分科員 研究者の流出というのは、ある意味、世界に舞台を求めて、自分のキャリアアップのためにということで、決して否定するわけではありませんが、やはり、引き抜かれているとかそういった事例もいろいろ聞いております。

 その実態把握というのは確かに難しいと思いますが、やはり、それだけ環境がいいところに引き抜かれているというのは、どうしても日本の国益を損なうような部分だと思います。この点においての対策というのは、是非これから検討していただきたいなというふうに思っております。

 また、私も理系出身でございます。次の質問に移りますが、私も修士課程に進学した際に、多くの友人は就職活動をしておりました。私は、教授の勧めもあったり親の勧めもあったりして、博士課程か就職するか、これで非常に悩んでいた時期がございました。いろいろな方の話を聞くと、最終的に私は就職の道を選んだんですが、ドクターに行くと将来食っていけないぞという先輩の言葉が、その方はポスドクでいらっしゃったんですが、非常にセンセーショナルといいますか、その言葉が非常に衝撃的で、就職の道に進みました。

 我が国の大学院博士課程の入学者数、これは二〇〇三年度をピークに減少傾向にもあり、また、二〇二一年度は約一・五万人となっております。社会人博士課程入学者数は増加傾向で、全体に占める割合は、二〇〇三年度と比較すると約二倍となっております。修士課程から博士後期課程等への進学率は減少傾向で、二〇二一年度は九・七%となっております。

 人口百万人当たりの博士号取得者数は、二〇一八年度で、イギリス三百七十五人、次いでドイツ三百三十六人が多く、日本は百二十人と、イギリスやドイツの三分の一程度でございます。

 文部科学省が毎年実施している学校基本調査の二〇一六年度版によると、博士課程修了者に占める就職者の割合は六七・四%となっております。そのうち、正規採用は五一・七%、非正規採用は一五・七%。学部新卒が当然のように正社員に採用されていく現状と比較すると、たった半分程度しか正社員になれないというのは非常に厳しい状況です。

 専攻分野別にも差があります。医療関係機関に就職できる保健分野の就職率が八〇・九%、エンジニアとして就職口がある工学分野が七二%であるのに対し、社会は五一%、人文に至っては三六%という数字です。

 さらに、修了者のうち、就職も進学しない人も一八・五%となっております。つまり、データ上では約五人に一人がいわゆるニートという状態になってしまっております。

 ドクターに行っても就職しにくくなり、ポスドクも待遇がいいとは言えません。ドクターに行くメリットが余りなく、そもそもドクターに行く人が増えないのでしょう。博士課程を卒業される方というのは二十代半ばから後半で、ちょうど結婚を考える時期かもしれませんが、このような状況ではなかなか結婚に踏み出せる人もいないのではないでしょうか。

 本来、ドクターとは、専門的な知識を持ち、現実に影響を与えるすばらしい能力を有する人材であり、日本の国益のためにもっと活躍の場を提供することだと思いますが、現実はそうはなっておりません。このような現状を打破するために政府はどのような取組をしているのか、お伺いいたします。

西條政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のとおり、博士号取得者が多様な場で活躍できるようにすることは重要な課題と認識しております。一方で、日本の博士後期課程修了者、この就職率につきましては、先ほど委員からも御指摘ございましたが、二十年ほど前と比較すると高まってはいるものの、近年ほぼ横ばいとなっておりまして、令和四年三月時点で六九・三%となっております。

 博士後期課程修了者の就職率が停滞している理由につきましては、複合的な要因が考えられ、例えば、大学側の課題といたしましては、博士後期課程のカリキュラムと社会や企業の期待との間にギャップが生じていること、一方で、企業側としては、博士の学位や博士後期課程修了者の評価について多くの企業の理解が低いことや、博士人材に見合った処遇ができていないと考えていることなどの課題があると認識しております。

 このため、文部科学省においては、博士後期課程学生への経済的支援とキャリアパス整備の抜本的な充実、企業と連携した長期、有給のジョブ型研究インターンシップの推進、企業や海外トップ機関等と連携し、あらゆるセクターを牽引する卓越した博士人材の育成を目的とした卓越大学院プログラムの実施と成果の普及などに取り組んでいるところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、博士号取得者の多様な場での活躍促進に向けた取組を進めてまいりたいと思います。

住吉分科員 今御答弁でもありましたように、企業側の理解が低いというのはまさにそのとおりだと思います。博士号を取得すると当然待遇もよくしていかないといけない、でも、企業側はなかなか経営が厳しい中で、それだけの待遇を、支払う能力がなかったり、修士課程であったり学部卒業生を一から鍛えていくというような日本の企業の根本のところもあったりして、なかなか活躍できる場というのが実際に少ない。

 私も理系でしたが、修士までは割と皆さん行くんですけれども、この先となるとかなりぐっと絞られて、その絞られた中でも、私の知り合いなんかでも、苦労して頑張っているというような方もたくさん見てきました。そういった方々は決して能力が低いというわけではなくて、非常に、私よりもはるかに能力がある人があふれている。そういった方がしっかりと活躍できる場、長期的な課題になると思いますが、一歩ずつ取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、基礎研究、スタートアップの取組についてお伺いしたいと思います。

 基礎研究は、かつて日本は世界一と言われておりましたが、繰り返し申し上げているとおり、その地位は低下し、一方、中国等が伸びて、日本の人材を引き抜き、優秀な研究者が海外に流出する状況となっております。

 このように、基礎研究自体の底上げを図ることも重要ですが、その研究を現実にフィードバックしていく、スタートアップを支援していくこともまた重要でございます。

 我が国の経済の力強い成長を実現させるためには、イノベーションの担い手であるスタートアップを徹底的に支援し、新たなビジネス、産業の創出を進めるとともに、高い付加価値を生み出す成功モデルを創出する必要があります。

 しかし、現在の補助金の採択の上限が決まっているため、要件等に合致しても受給できない場合があったり、補助金、助成金共に原則として後払いであり、なかなか使い勝手がよくないことがあります。

 岸田政権は、新しい資本主義の実現に向けた重点投資分野の一つとして、骨太の方針二〇二二に、スタートアップを五年で十倍に増やすことを視野に、育成五か年計画を二〇二二年末に策定し、支援策を大胆に展開する方針を盛り込みました。

 具体的には、新規株式公開、IPOのプロセスを見直して十分な資金が確保できるようにすることや、年金積立金管理運用独立行政法人や保険などの長期運用資金がベンチャーキャピタルやスタートアップに流れるよう、資金調達環境の整備などに取り組むことがその中身です。

 このこと自体は評価できることですが、スタートアップの数を増やすことは、十年、二十年続けてようやく効果が出るものであり、支援策をいかに継続させるかが重要であると言えるでしょう。また、このようなスタートアップ支援の取組は、アメリカだけではなく、韓国やドイツなども力を入れており、そのような国とも競うことを踏まえると、日本のスタートアップのエコシステムを強固にする取組はもっと加速させる必要があるのではないでしょうか。

 さらに、イノベーションを起こすような企業の出現には、起業する人材の裾野を広げる必要があり、既存の企業から独立して起業する人材が増えるよう、人材の流動性を高めることが重要ではないでしょうか。

 もう一つ言えば、スタートアップと経済は両輪の関係にありますが、経済が成長しているときにスタートアップが増えるものであり、スタートアップを増やすためには景気回復が必要であるとも考えられます。

 これらの状況を踏まえ、スタートアップ支援に関する政府の取組についてお伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、我が国の国力を底上げしていくためには、スタートアップを強化していくことが重要でございます。

 このため、人材、資金、オープンイノベーションといった施策を一体的に推進するものとして、昨年十一月に策定されましたスタートアップ育成五か年計画においては、スタートアップに対する支援の抜本的拡充を図り、これを十倍にしていこうということとしています。

 具体的には、イノベーションの創出を目的として、基礎研究から事業化まで切れ目なく一貫した支援を行うSBIRという制度がございますけれども、こちらについて、内閣府において、支援対象に新たに先端技術分野の実証のフェーズを追加して、令和四年度第二次補正予算では二千六十億円を措置しています。

 また、こちらは経済産業省になりますが、ディープテックスタートアップの事業成長に向けて、スタートアップの行う幅広い研究開発を支援していくディープテック・スタートアップ支援事業を一千億円で措置して、既に公募を開始しております。

 内閣府としては、関係省庁と連携して、このように政府一丸となって、スタートアップの研究開発力の強化に努めてまいります。

住吉分科員 ありがとうございました。

 私の質問は、基礎研究分野の底上げをいかに図っていくかという趣旨で質問させていただきました。人材の重要性、また、スタートアップで基礎研究を実装して社会に還元していく、このサイクルが必要だと思っております。今日いただいた御答弁、是非しっかりと進めていただきたいと思いますし、更に加速して、そして、かつての技術大国日本と言われた、それを取り戻すように頑張っていただけたらと思います。

 これで私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

柿沢主査代理 これにて住吉寛紀君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井分科員 よろしくお願いいたします。

 三十分間、小倉大臣に、子供予算、子供の貧困対策などを質問をさせていただきます。

 まず最初に少しだけ自己紹介をさせていただきますと、私も大学院で化学の研究をやっておりまして、理系でありますけれども、こうやって政治家になった理由は、私、学生時代、母子寮、母子生活支援施設というところで、六年間、週に二日、子供さんたちと遊ぶボランティアをやっておりました。

 そこで、虐待をされたお子さん、貧困家庭、崩壊家庭のお子さんたちと六年間遊ぶ中で、高校に行ったけれども経済的理由で中退せざるを得なくなった、専門学校や大学に行きたいけれども家庭の事情で行けない、そういうお子さんたちに多数出会ってきましたし、また、お母さんたちも、母子生活支援施設ですから、DV被害のお母さんたちもたくさんおられましたけれども、正社員になりたいけれどもなかなかなれなくて、働いても働いてもお子さんたちに十分な教育費を出せないと。

 そういう子供たちと接する中で、ちょっと理系の道を諦めまして、こういう政治の世界に入ったわけであります。それから約四十年間、私はずっとやはりそういう弱い立場の貧困家庭のお子さんたちの支援を取り組んできましたし、今で八期二十三年になります。

 そういう中で、ちょっと失礼だったらお許しいただきたいんですけれども、私、今回の異次元の少子化対策、今日の配付資料にもたくさん入れさせていただきましたけれども、例えば今回の異次元の少子化対策、約八兆円ということも言われておるんですね。六ページ目にございますけれども、少子化対策総額八兆円、児童手当とか様々なプランが入っております。

 この中で、小倉大臣、私が非常に気になっているのは、低所得家庭あるいは一人親家庭、貧困家庭のお子さんや保護者の方々の一番大きな要望が入っていないんじゃないかと思うんですね。

 それはどういうことかといいますと、配付資料を見ていただきたいんですけれども、配付資料の四ページ、もちろん小倉大臣も把握はされていると思います。この四ページにありますように、あすのば、キッズドア、しんぐるまざあず・ふぉーらむ、セーブ・ザ・チルドレンなどの団体が要望書を出しております。その中の三番目、児童扶養手当の増額と所得制限の緩和をということをおっしゃっているんですね。

 私もそういう貧困家庭の支援をライフワークとしておりまして、十年前には超党派で子どもの貧困対策法も成立をしました。今年六月で十周年になります。小倉大臣にも力を入れていただいておりますが、子供の貧困対策、その方々のやはり経済的支援、もちろん就労支援とか様々なこともやっていただかなきゃいけないんですけれども、お金がないんですね。

 それで、今回も、過去三年間、コロナ禍で六回低所得家庭への給付金を、これは超党派の取組、あるいは政府の取組、議員立法で実現をして、今もう六回目、給付金が五万円、一人当たり行われております。でも、何回単発の給付金を出すんだ、恒久政策として低所得の子育て家庭を支援すべきじゃないかということを多くの人たちから言われております。

 前置きが長くなりましたけれども、ということで、これは本当に、子供の貧困は切実ですから、今政府が小倉大臣を中心に検討されている異次元の少子化対策の中で、少なくとも検討課題としては、この児童扶養手当の増額や所得制限の緩和、検討課題には入っているんだと私は理解しているんですけれども、小倉大臣、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 まず、山井先生に、子供の貧困対策、様々な子供にまつわる仕事をライフワークとして進められてこられたことに敬意を表し申し上げたいと思います。また、超党派の子どもの貧困議連、お招きをいただきまして、本当に子供たちの切実な声をお聞かせをいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 お尋ねの件でございますが、今回、御指摘のように、子供、子育て政策の強化に関する支援を取りまとめて、先月末、発表させていただきました。特に、その中核となる加速化プランにおきましては、二〇三〇年までの六、七年間で少子化傾向を反転させるため、まずは、今後三年間を集中取組期間として、優先的に取り組むものを整理をさせていただいております。

 この加速化プランでは、まず、全ての子供の育ちを支える経済的支援の基盤を強化することとし、具体的には、児童手当の所得制限の撤廃、そしてまた、団体の要望にも入っておりますように、高校卒業までの延長、多子世帯への経済的負担を踏まえた手当額の拡充を行うとしたところでありまして、また、高等教育費の負担軽減、住宅支援の強化なども行うこととしております。こうした施策は、一人親家庭の経済的負担の軽減にも大きく資するものと考えております。

 お尋ねの児童扶養手当の増額等の記載はございませんが、一人親家庭の自立支援として、一人親を雇い入れ、人材育成、賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援や、資格取得を目指す一人親家庭に対する支援の充実を行うこととさせていただいております。

山井分科員 ちょっと今の答弁、納得できないんですけれども、はっきりお答えいただきたいんですけれども、そうしたら、八兆円とか、そういう総額の報道も出ておりますけれども、今検討している政府の子育て支援策、少子化対策では、児童扶養手当の増額や所得制限の緩和、これは悲願ですよ、子どもの貧困対策法を作ってから十年間、児童扶養手当の拡充を超党派で私たち要望しておりますが、検討課題には入っていないんですか、入っているんですか。そこはイエスかノーかで明確に。

 これは本当に、子供たちの人生にも関わりますし、私は、多くのシングルマザーの方々から、検討対象に入っているんだったら期待するし、入っていないんだったら考えられないし、検討すらしないというのは当然、もう国に見捨てられたようなことだからあり得ないと思うんだけれども、そこは大臣、申し訳ないんですけれども、私、これをほかの委員会でも、審議官の方々にも二回質問して、今日あえて、この質問をするために、小倉大臣のこの分科会に来させてもらったんですけれども、異次元の少子化対策、子育て予算倍増の検討課題として、児童扶養手当の増額、所得制限の緩和は検討対象に入っているのか、入っていないのか。二つに一つ、答えてください。

小倉国務大臣 今回のたたき台は、加速プランとその後の将来目指すべき姿、二つに分かれております。

 三年間の加速化プランにおきましては、全ての子供を対象とする経済的支援の基盤を強化をする観点から、児童手当を充実すること、一人親等の多様な支援ニーズに対しては、支援基盤の拡充や自立支援を拡充することを盛り込んだところであります。

 そういう意味では、加速化プランには、先ほど申し上げたような、お尋ねの児童扶養手当の増額等の記載はございませんが、こういった加速化プランの実現をしっかり図ってまいりたいと考えております。

山井分科員 私、ひっかかるのは、まずは全ての子供とおっしゃるけれども、私は、一番優先順位が高いのは、こういう貧困家庭のお子さん方だと思いますよ。まずはとおっしゃるのであれば、一番困っていて、残念ながら、昨年は、そういう貧困家庭のお子さんが自殺をされた、そういう事例すら聞きました、生活に困って。

 私は、こども家庭庁、そして小倉大臣には非常に期待をしております。その理由は、こども家庭庁ができることで、今までなかなか前に進まなかった子供の貧困対策を進めてくださるだろうと期待して、頑張ってほしいなと思っているわけであります。にもかかわらず、子供の貧困対策の一番の当事者の悲願であることを、当面は検討すらしない、検討した結果どうなるのか、これはまあ様々な議論はこれからでしょう。でも、検討すらしないというのは、一歩間違えば、こども家庭庁が、子供の貧困対策は全くやる気がない、後回しだというふうに見られかねないんです。

 これは別に私が怒っているということじゃなくて、全国の貧困家庭のお子さんや保護者の方々、絶望されますよ。八兆円とも言われる予算を組みながら、貧困家庭の一番困っていることの議論すらしないというのは、私はあり得ない話だと思うんですよ。あり得ないと思うんですよ。

 逆に、小倉大臣、お聞かせください。これだけ巨額の何兆円という議論をしながら、一番貧困家庭のお子さんたちが困っている、一番切実な児童扶養手当の増額や対象拡大を排除して、そういう貧困家庭の子供の一番の悲願を検討対象からも排除するという、これは、こども家庭庁としては子供の貧困対策は関心ない、後回しにする、そういう決意表明ですか。

小倉国務大臣 こども家庭庁として、低所得の子育て家庭の方々に対して重視をしていないということでは決してございません。

 こども家庭庁としても、低所得の子育て家庭への経済的支援、これは大変な重要な施策だと考えております。だからこそ、現下の物価高騰対策といたしまして、委員にも御紹介をいただきましたように、住民税非課税対象などの低所得世帯に一律三万円、子育て中の低所得世帯には子供一人につき更に五万円の給付を行うこととしておりますし、児童扶養手当につきましても、これまで、多子加算額の倍増ですとか全部支給の所得制限限度額の引上げ等、累次の改善を委員御承知のとおり実施してきたところでありますので、この児童扶養手当についても、引き続きしっかり、こども家庭庁として制度の運用を図ってまいりたいというふうに考えております。

山井分科員 正直言って、私はちょっと理解ができません。これで、全国の貧困家庭の方々というのは理解や納得されるんでしょうかね。やらないならやらないで、子供の貧困対策はこども家庭庁はやらないとおっしゃった方がいいんじゃないんですか。そうしないと期待されますよ。

 これは是非要望として私は申し上げたいんですけれども、ちょっとこれは、今後も団体の方々から要望が来ると思いますので、是非今後検討対象にしていただきたいですし、私は本当に、他党の子供貧困対策に取り組まれるすばらしい議員の方々と一緒に協力して、これは超党派でやっておりますので、余り政争の具になるのは好ましくないと思っておりますので。

 例えば、今、こども家庭審議会の委員の名簿の中にあしなが育英会の奨学生の、大学生の方がメンバーに入るわけですね。これは、こども家庭審議会で議論したら、一〇〇%、児童扶養手当の増額や所得制限の緩和をしてくれという要望が出ますよ、この方に限らず。一〇〇%出ますよ。今までから要望されていますからね、低所得の子育てを支援する団体の方々は。

 ということは、今後こういうこども家庭審議会で、今の私みたいに、一番切実な児童扶養手当の増額や所得制限の緩和を検討してくださいといっても、今のように、いや、当面は検討しませんと拒否するんですか。

小倉国務大臣 このたたき台を策定をするに当たりまして、私を座長とする関係府省会議、何度も開催をさせていただきました。

 そのヒアリング先の一人といたしまして、子供の貧困対策を熱心に取り組んでいらっしゃった方からお話を伺いました。その有識者からいただいた御意見の中で、背景に経済的な貧困があることが多く、世代間で連鎖をしており、連鎖を食い止めるためには強力な就労支援が必要になるとの御指摘もいただいておりました。したがいまして、今回、このたたき台の中で就労支援の強化ということを盛り込ませていただきましたし、また別な方は、やはり一人親の貧困に関しましては養育費の受領率が低いことがあるという御指摘もいただきました。だからこそ、養育費の取決めをしていただくための支援強化というのも今回たたき台に盛り込ませていただきました。

 そういう意味では、決して有識者の声を聞かずにこの試案を作ったというわけではありませんで、しっかり取り組んでいらっしゃる方の意見を取り入れて試案を作ったということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 そしてまた、こども家庭審議会の議論がございました。このこども家庭審議会につきましては、これから策定をするこども大綱についての御審議をいただく場でございます。当然そこには、貧困対策に取り組んでいらっしゃった有識者や団体の方にもお入りをいただいて、大いに議論をしていただく予定でございますが、しかし、つい先日、こども家庭審議会が立ち上がったばかりでありますので、このこども家庭審議会、ないし、その下のこどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会での議論につきましては、私から予断を持ってその内容について言及することは差し控えさせていただきたいと思っております。

山井分科員 私は今まで、児童扶養手当の増額とか所得制限の緩和ができないのは、予算がないから、予算がないからと言われていたわけですよね、この十年間も。今回、やっと八兆円なり数兆円かけて予算をつけるという中で、それでもなおかつ、予算は何兆円もつけるにもかかわらず、その中に児童扶養手当の増額と所得制限の緩和を入れないということは、繰り返しになりますけれども、予算の問題じゃなくて、貧困、低所得家庭の、子育て家庭の経済的支援はやるべきじゃない、やる気がない、そういう確固とした信念があるんですか。なぜ、ここまで多くの団体が児童扶養手当の増額と所得制限の緩和を要望されているのに、ほかはほとんど入っているのに、これだけはあえて、少子化対策のたたき台、試案から排除、削除して、一番切実な低所得家庭の政策要望をなぜ排除しているんですか。その理由を言ってください、除いた理由を。これ、自民党さんからも公明党さんからも要望は政府に上がっていますので。

小倉国務大臣 今、山井先生、八兆円という具体的な数字を申し上げましたが、政府として、常に総理も申し上げているように、規模ありきではないということでありまして、記事にはいろいろな数字が躍っておりますけれども、予算の規模について政府としては確定的に申し上げたことはございませんで、まさに今議論を進めておりますこども未来戦略会議の中で、政策と予算と財源、これをセットにして決めていくというわけでございますので、たくさん予算があるのに入っていないという御指摘は当たらないのであろうというふうに思います。

 そしてまた、なぜこれが入っていないのか、児童扶養手当が加速化プランに入っていないかという点についてでありますけれども、様々な方からいろいろな御要望をいただきました。これは、一人親世帯、子供の貧困の話だけではなくて、例えば障害児支援の皆様方ですとか、あるいはヤングケアラー、社会的養護、こういった方々からもたくさん御要望をいただきました。

 できる限りそこに御要望については盛り込みましたけれども、その全てについて盛り込んだわけではございません。そういう意味では、一人親家庭の要望だけこの加速化プランに入っていないというわけではないということも御理解をいただきたいと思います。

 その上で、まさに子育て家庭のニーズというのはその御家庭ごとにまちまちでございますので、だからこそ児童手当の拡充を含めた全ての子供を対象とする経済的支援、これをベースとして拡充するということを今回たたき台でお示しをしたということは、是非御理解をいただきたいと思います。

山井分科員 今後これは議論をしていきたいと思いますが、一言申し上げると、今の小倉大臣の答弁、言い訳というのは、私は、貧困家庭の子供さんたちや当事者の方々からは全く納得も理解もされないと思いますよ。

 今日はここまでにこの点はしますけれども、是非今後、これは別に私の個人的意見を言っているわけじゃないですからね。全国の貧困家庭のお子さんの声を今届けているわけなので、是非今後検討して、検討対象に入れていただきたいと思います。

 そして、これについて、こども未来会議のメンバーにも、子供の貧困対策に取り組んでおられる有識者や団体の方が入っていないんですけれども、是非こども未来会議に、繰り返し申し上げますが、貧困家庭の子供さんのニーズというのは、一番困っておられるわけですから、こども未来会議のメンバーに、そういう子供の貧困対策に取り組んでおられる有識者、団体の方々を追加して入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 こども未来戦略会議の運営等につきましては、これは内閣官房の所管になりますので、私からのお答えは差し控えさせていただきますが、こども未来戦略会議の構成員につきましては、子ども・子育て会議の会長を務められた方や、こども政策の推進に係る有識者会議の座長など、子供、子育て政策について広い見識をお持ちの方、子育てや家族支援の現場の方、子育て当事者など、今後、同会議において必要な政策強化の内容、予算、財源について議論していただく上でふさわしい方に幅広く御参加をいただいているものと承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、子供の貧困については、このこども未来戦略会議だけではなくて、委員も御指摘をくださったように、新たに設置をいたしましたこども家庭審議会のこどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会におきまして、子育て当事者や家族支援の現場の方などの意見を丁寧に伺いながら、こども家庭の策定に向けて、更にきめ細かい対応について議論を進めてまいりたいと思っております。

山井分科員 次に少子化対策の財源について質問したいんですけれども、質問通告もしておりますが、経団連の十倉会長は、社会保険料引上げは賃上げ効果を半減させる、増税による少子化対策の財源確保も検討すべきと発言されておられます。

 ついては、異次元の少子化対策の財源確保のためには、増税、社会保険料の引上げのみならず増税も選択肢の一つとして検討されるのでしょうか。

小倉国務大臣 加速化プランを実現するための財源につきましては、その政策の内容に応じて、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など、様々に工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを検討していく必要があると考えております。したがいまして、現時点において、特定の財源を候補として想定しているものではありません。

 今後、総理を議長とした今のこども未来戦略会議において、後藤大臣の会議運営の下、必要な政策強化の内容、予算、財源について、更に具体的な議論が進んでいくものと承知をいたしております。

山井分科員 ということは、増税、増税も検討課題として、選択肢としては排除しないと理解してよろしいですか。

小倉国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますけれども、このこども未来戦略会議もまだ初めての会議を終えたばかりでございます。先ほど申し上げたように、現時点において、特定の財源を候補として想定しているものではございません。

山井分科員 ということは、それに否定をされないということは、消費税増税も検討課題、選択肢からは排除されていないということでよろしいですか、消費税増税も。

小倉国務大臣 先ほども申し上げたように、現時点において、特定の財源を候補として想定しているものではなく、充実する政策の内容に応じて、様々な工夫を重ねながら、財源の在り方を考えていくことになろうかと思いますが、消費税について言及をいただきました。消費税についてお尋ねがございましたが、この消費税については、総理は、当面、触れることは考えていないと述べているものと承知をいたしております。

山井分科員 当面ですからね、そのうちに触れるのかもしれないということで。

 では、次の質問に参ります。

 十八ページにありますように、エホバの証人に対して、加藤大臣も厚生労働大臣として非常に熱心に取り組んでいただきまして、室長さんたちもQアンドAを作って、非常に宗教的虐待に取り組んでいただきました。

 そこで、十八ページの配付資料にもありますように、厚生労働省は、エホバの証人に対して、国が昨年末に出した宗教を理由とした虐待をめぐるガイドラインの内容、教団として児童虐待を容認していないこと、輸血拒否を強制しないこと、脱会した子供を親が養育すべきの四点を信者に周知することを要請しました。

 教団側は対応を検討すると回答したということですけれども、その回答は来ましたでしょうか。

小倉国務大臣 御指摘の宗教二世の方々に対する児童虐待への対応につきましては、私としてもかねてから重大な問題であると認識をしておりまして、今年の四月、今月ですね、厚労省からこども家庭庁に引き継がれてすぐに対応できますように、昨年末のQアンドAの発出も含め、こども家庭庁が発足をする前から、厚労省子ども家庭局より随時報告を求め、状況把握に努めてまいりました。

 今回、エホバの証人の信者による児童虐待の問題に関しましても、二世当事者の方々や支援弁護団から子供に対する輸血拒否やむち打ちについての報告書が示されていることなどを受けて、児童虐待の予防にしっかりと取り組んでいく必要があると改めて強く認識しているところであります。

 こうした中で、山井議員御紹介いただきましたように、先月三十一日の面会において、エホバの証人の法人関係者に対して注意喚起するとともに、幾つかの検討要請を行っております。面会の場において、先方から検討するとの明確な反応をいただいておりますので、こども家庭庁としては、まずその検討を待ちつつ、今後ともエホバの証人と必要なやり取りを重ねてまいりたいと考えております。

山井分科員 是非また回答が来たら教えていただければと思います。

 そして、それに関連して統一教会についても、今日の配付資料二十ページ、「どうして私を 教義のために利用したのか」、これも厚生労働省さん、河村課長を先頭に、大変熱心に半年間以上取り組んでいただいております。

 そんな中で、私も被害者の方々に直接お目にかかったりしましたけれども、残念ながら、教義によって養子縁組にされて、後になってもちろんそのことに気づいて、何で自分だけ養子に出されたのか意味が分からないということで、皆さん非常に悩み苦しまれて、自殺未遂をされた方とかも出てきておりまして、これは養子あっせん法違反になるのではないかということで、厚生労働省としても取り組んでいただいております。

 このことについては本当にこれは看過できない問題だと思いますが、このことについても、加藤大臣から引き継いで、小倉大臣、是非この深刻な宗教的虐待に取り組んでいただきたいと思いますが、この統一教会の養子縁組あっせん法違反の疑いの問題について今後どう取り組んでいきますでしょうか。

小倉国務大臣 どのような組織であっても、養子縁組あっせん法に規定する許可を受けずに、養子縁組あっせんである、養親希望者と児童との間を取り持って養子縁組の成立が円滑に行われるように第三者として世話をすることを反復継続的に行うのであれば、同法に反するものであります。

 これまで、旧統一教会に対しましては、養子縁組の対象となった養子当事者の方々の声なども踏まえ、本事案について特に留意すべき点の解釈を具体的にお示しをした上で、児童の権利条約や関係法令を遵守をし、養子縁組あっせん事業に当たるような行為が行われないように徹底を求めるとともに、信者の方々等に向けた教会の出版物における適切な記載を求める等の行政指導を行ってまいりました。

 厚労省から引き継ぎましたこども家庭庁といたしましても、養子縁組あっせん法に違反をするような状況は是正されるべきであると考えておりまして、引き続き関係機関とも連携し、できる限りの情報収集等を進めてまいります。

山井分科員 先ほども申し上げましたように、私は、小倉大臣、そしてこども家庭庁に大変期待をしております。そしてそれは、国民の期待は、特に、子供全体のみならず、貧困家庭や虐待された子供を守ってくださるということで、非常に期待は大きいんですね。

 ですから、加藤大臣も大変御尽力いただきましたけれども、それに加えて、こういう宗教的虐待というのは非常に深刻です。組織的に行われている疑いがあって、やはりこのエホバの証人でも、実際、インターネット上では、自分はもう高校を卒業したら家出をしたい、逃げ出したい、助けてくれ、しかし、自分はもう避難する場所がない、助けてくれ、こういう声まで表に出ているわけなんですね。

 今後、このエホバの証人や統一教会のような、宗教的虐待の組織的な疑いがある、こういうところに対して、どのような姿勢で小倉大臣としては取り組んでいかれますでしょうか。

小倉国務大臣 先ほども申し上げたように、こども家庭庁はこどもまんなか社会の実現を目指しております。そういった中で、養子縁組あっせん法に違反をするような状況があればそれは直ちに是正されるべきと考えておりまして、そうした事案を受けて、引き続き関係機関とも連携をして、できる限りの情報収集等に努めてまいりたいと考えております。

山井分科員 ちょっと質問、戻りますけれども、私、こどもまんなかという言葉はいい言葉だと思う反面、本当にちょっとひっかかるんですね。さっきも言いましたように、こどもまんなかとおっしゃるのであれば、何で、低所得家庭の一番困っておられる子供たち、進学もできない、十分な勉強もできない、経済的に苦しんでいる、三食食べられないお子さんもおられるわけですよね。こどもまんなかとおっしゃるんでしたら、何で、その子供の真ん中から低所得家庭の子供だけ、児童扶養手当のことは検討しないといって、こどもまんなかから低所得家庭のお子さんを除かれるんですか。

 やはりそこには、こどもまんなかの理念のど真ん中に、一番親が、申し訳ないけれども、十分に守れないわけですよね、そういう低所得家庭のお子さんというのは。社会で守るべきだと考えるんですけれども。こどもまんなか社会をつくるという、こどもまんなかの、その子供のど真ん中には、小倉大臣としては、低所得家庭の貧困なお子さんというのは真ん中におられるんですか、端っこなんですか、どこにおられるんですか。

小倉国務大臣 私どもこども家庭庁は、誰一人取り残されない、支援からこぼれ落ちることのないようなこどもまんなか社会の実現を目指しておりますので、様々な状況に置かれている子供がいると思います、そういった子供に対して、それぞれきめ細かく支援をしていくのが我々こども家庭庁の使命だ、そう承知をいたしております。

山井分科員 時間が来たので終わりますが、とにかく私はこども家庭庁と小倉大臣には大変期待をしておりますので、ちょっとしつこいようですけれども、児童扶養手当の所得制限の緩和と増額、是非是非検討して実現していただければと思います。

 ありがとうございました。

柿沢主査代理 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫻井周君。

櫻井分科員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日は、ギャンブル、カジノについて質問させていただきます。

 谷大臣には、昨年秋の臨時国会のときに、FATFの法案のときに質問させていただきましたけれども、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、まず最初に、先週、大阪のIRが認可をされたということで、これはもちろんカジノを含むといいますか、カジノが収益の柱なわけですが、カジノど真ん中のこうした施設が認可をされて、次、カジノの設置について今度はカジノ管理委員会で審査がされるものというふうに承知をしております。

 ただ、このカジノをめぐる問題についてはいろいろ課題が残っているというふうに思っておりますし、そもそも、ギャンブル依存症のことだけでなく、様々な問題を考えれば、設置しないのが一番いいと私は思っておりますが、それはともかく、いろいろな具体的な問題について質問させていただきます。

 まず第一に、オンラインカジノの取締りについてお尋ねをいたします。

 オンラインカジノは、去年の予算委員会でも総理が違法だということを明確に答弁をされています。ですが、実態としては、では十分な取締りができているのか、野放しになってしまっているのではないのか、こんなふうにも心配をするところですから、まず、取り締まるためには実態をちゃんと把握していなきゃいけない。

 政府として、この実態をどのように把握をされているのかということについて、まずお聞かせください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノの実態や市場規模の推計に関して報道等がなされていることは承知しております。

 警察としては、それらを網羅的に把握しているわけではございませんが、オンラインカジノに係る違法行為の取締りと、これを通じた実態解明を強化しているところでございます。

 引き続き、こうした取組を強力に推進してまいります。

櫻井分科員 実質的に何も御答弁いただいていないのも同じだと思うんです。これは市場規模がどれぐらいとかという、おおよその桁数、一億円なのか、十億円なのか、百億円なのか、一兆円なのか、市場規模とか、おおよその桁数ぐらいは分かりませんかね。

 といいますのは、私もスマートフォンでちらちらいじっていると、時々、何かルーレットみたいなものが表示されて、そして、そこをちょっと行くと、何かオンラインカジノみたいな。

 それは、オンラインカジノも、お金を賭けないでやる、そういう電子ゲームであれば、これは違法でも何でもないと思うんですけれども、そこを入口にして、更に今度、本物のギャンブルに誘導しようとしているようなサイトもちらちら見かけることがあるものですから。それは、私がたまたま、このカジノとかギャンブル依存症の問題についていろいろ調べているから、それで優先的に表示されるのかもしれませんけれども、いや、結構そういうサイトがあちこちに野放しになっているというふうにも感じております。

 そういう実態からすると、結構な市場規模があるんじゃないのかというふうにも思うんですが、この点、どのように把握されていますか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの御指摘のとおり、様々な市場規模等について報道がなされていることは承知しておりますが、警察としては、それらを網羅的かつ詳細に把握しているわけではございません。

櫻井分科員 ちょっと把握をしていないと。いや、だって、去年の予算委員会で、総理もちゃんと取り締まるんだというふうに答弁されているわけですよね。取り締まろうと思ったら、まず、実態がどれぐらいひどいものなのか把握していないと、取締りも何も始まらないと思うんですけれども。

 いや、もちろん、違法行為だから、その実態調査といってもなかなかちょっと一筋縄ではいかないというのは分かるわけですけれども、例えば同じような違法行為、依存症を伴うようなものとして、麻薬の取締りとかそういうものがあるわけですよね。そういったものについては、いろいろな推計をしながら、これぐらい市場規模があるんじゃないのか、だからこれぐらいの体制で取締りに臨まなきゃいけないんだというようなことをやって、それで麻薬の取締官とかの予算も人員も確保しているわけですよね。

 こっちについて、市場規模すら分からないんだったら、取締りのしようもないように思うんですね。これはやはり、お金が賭かっているということは、しかもオンラインでやっているわけですから、クレジットカードなり、いろいろな手段でこの送金がされているはずです。何かそういうお金を追いかけることでも、ある程度ざっくりとした桁数ぐらいの、百億円なのか、一千億円なのか、一兆円なのか、それぐらいは分かりそうなものですけれども、どうなんですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 警察としては、オンラインカジノに係る具体的な違法行為の取締り等を通じて実態解明を強化しておりますが、繰り返しになりますが、オンライン規模の実態、市場規模の推計等について、網羅的に把握しているわけではございません。

櫻井分科員 では、今度、取締りの実績についてお伺いしますが、これは、例えば具体的に逮捕実績とかそういったものは、どういう成果が上がっているんでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 令和四年のオンラインカジノに係る賭博事犯の検挙件数は十件でございます。

櫻井分科員 世間で言われている、また私が感じている市場規模からすると、十件って、何かほとんど取り締まっていないに等しいぐらいのささやかな実績だというふうに思うんですね。これじゃなかなかオンラインカジノを取り締まっているとも言えないし、裏を返せば、そもそも実態も把握できていないから、こういうことになっているんじゃないですか。

 しかも、取り締まった事案というのはどういうケースですか。お店とかでみんな集まっているところで捕まえたとかいうんだと、多くの場合は個人でおうちでやっていたりするわけですから、そういったものについて取締りはちゃんとできているんでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノの取締りの個々具体的な事件につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、一般的に、オンラインカジノにつきましては、その運営主体が賭博が合法とされている外国に所在している場合は、我が国の捜査への協力が得にくいなど、証拠収集等において難しい面もございます。

 しかしながら、警察といたしましても、オンラインカジノに係る様々な問題をしっかりと受け止めており、これに関与するものについて、必要な捜査を行い、取締りを推進しているところでございます。

櫻井分科員 今、カジノ、オンラインのギャンブルをやっている親元は海外にいて、何か取り締まれないという御答弁でしたけれども、そうなんですよ。だからこそ、実態をちゃんと調査して、海外であれば、アクセス遮断をしたりして、自国民をちゃんと守ろうということで取組を進めているわけですよ。そういう取組はやっているんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘がありましたアクセスの制限とか遮断についてでございますけれども、オンラインカジノへのブロッキングを行うためには、電気通信事業者は、オンラインカジノにアクセスしようとする利用者だけではなくて、全ての利用者の全ての通信のアクセス先、これを網羅的に確認する必要がございます。これは、憲法第二十一条第二項の規定を受けました電気通信事業法に規定されております通信の秘密の保護を侵害する行為、これを全てのユーザーに対して行うことになると考えられます。

 また、ブロッキングにつきましては、ユーザー側の操作で回避できる手段が複数あるなど、その実効性に関する指摘もあるところでございます。

 したがいまして、オンラインカジノへのブロッキングを行うことにつきましては、今申し上げましたような点も踏まえ、保護される法益と比較考量しまして慎重に判断すべきというふうに考えているところでございます。

 なお、総務省としましても、オンラインカジノに係る問題、これは認識をしておりまして、関係府省庁と連携して、ブロッキング以外の方策も含めまして、必要な対策を検討してまいりたいと考えているところでございます。

櫻井分科員 私も、何が何でもブロッキングでやれという、手段については、これじゃなきゃ駄目だ、そういうふうに言うつもりはございませんが、ただ、例えばヨーロッパの諸国、EU諸国であれば、ブロッキングをやっているとか、少なくともそういう法制度は整えているであるとかいうことをやっているわけですよ。

 やはり自国民をちゃんと守ろうということ、それに加えて、こうやってギャンブルとかオンラインのカジノで集めたお金、これは、違法な活動ですとか、それこそテロ資金に使われたりとか、そういったことの可能性だってあるわけですよね。

 まさに、FATFの審査のときにも、去年、谷大臣にも質問させていただきましたけれども、そういう問題もあるから、だからちゃんとやりましょうよということで提案させていただいているわけですし、去年も予算委員会で総理はちゃんと取り締まると言っていて、今まだ後ろ向きな検討をしているだけなんですか。ちゃんと国民を守りましょうよ。どうするんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、オンラインカジノへの対策、我々の方としましてはアクセスの制限ということについてのお答えになりますけれども、これにつきましては、様々な保護法益と比較考量して慎重に判断すべきということで考えているところでございます。

 先ほど申し上げましたブロッキング以外の方法も含めて、必要な対策、これについては総務省としてもしっかり検討してまいりたいと思います。

櫻井分科員 やはり、日本人が食い物にされちゃっているんですよ。何か英語のサイトが昔は結構たくさんあったらしいんですけれども、各国いろいろそれなりに対策を講じているということで、日本人が、日本語が一番カモになるというので、何か最近は日本語のサイトが充実しているという話も聞くものですから、これはやはり、日本人をしっかり守る、国民を守る、政府の役割ですよね。大臣、一生懸命やりましょうよ。いかがですか。

谷国務大臣 お答えさせていただきます。

 櫻井委員のお気持ちを十分私も理解しているつもりでございます。

 ただ、この問題は、委員もよく御存じのとおり、サイバー攻撃をどう防ぐかということともある面では通ずるところもあろうかと思います。先ほど総務省の方から御答弁させていただきましたように、憲法上の問題もある。そういった問題をクリアすべく、しかし、今のまま放置というわけにはいかない。そこのところを、関係省庁、しっかりと重く受け止めながら、連携して様々な取組を、何とか前に行くように頑張ってまいりたいと思います。

櫻井分科員 今大臣からも決意を述べていただきましたので、是非よろしくお願いいたします。これは国民を守るという、もう本当に大事なことですので、よろしくお願いします。

 続きまして、ギャンブル依存症対策についてもお伺いをいたします。

 ギャンブル依存症対策、対策をするには、やはりまず実態把握が必要かと思います。実態をどのように把握をされているのか。これは依存症に関する調査研究ということで、久里浜医療センターもいろいろな調査をされている、報告書も出しているということは承知をしておりますが、この概要について御説明をよろしくお願いいたします。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 ギャンブル等依存症問題の実態把握につきましては、ギャンブル等依存症対策基本法によりまして、三年ごとに必要な調査を実施することとされております。これを受けまして、令和二年度に国立病院機構久里浜医療センターが調査を行っております。

 この調査によりますと、ギャンブル等依存が疑われる方、これは、SOGSと言われるスクリーニングテストで一定以上の点数となった方の割合でございますが、二・二%と推計されておりまして、過去一年間にギャンブル等に使った一月当たりの金額の中央値は五万円とされております。

 三年後の令和五年度になりますので、令和五年度におきましても調査を行う予定としておりまして、引き続き実態把握に努めてまいりたいと考えております。

櫻井分科員 久里浜医療センターの実態調査なんですが、これによりますと、そもそもの回答率が四七%というふうになっていると承知をしております。

 ギャンブル依存症、いろいろな依存症に多分共通して言えることだと思うんですけれども、依存症になっている方は、自分が依存症だと余り認めたくない傾向にあるやに聞いております。そうすると、もしかすると、そういう方こそ回答しない可能性もあったりするのではないのか。依存症二・二%という数字を御答弁いただきましたけれども、実態はもっと高いかもしれない。

 まず、この調査の在り方、何かもっと精度を上げていくような方法というのは考えられないものなのか、単にアンケートをしただけというだけではなかなか本当の実態は分からないんじゃないのか、そんな心配もするんですが、この点について、次回、もう今年やるんですよね、そのときまでに何か、より詳細に分かる方法を考えられてはいかがかなと。

 といいますのも、コロナ禍の間に家にいる時間が長くなって、一人でいる時間も長くなって、オンラインのいろいろなギャンブルで依存症になっている方が増えているんじゃないのか、そんな話もあります。これは先ほど申し上げたオンラインカジノだけでなく、むしろ公営ギャンブルでも、ネット投票といいますか、インターネットで購入できるようになって、場外馬券場とか、その施設に行かなくても買えるようになって随分増えているという話もございます。実際、公営ギャンブルの売上げは非常に伸びています。

 そういったことからすると、この依存症は特にコロナ禍で進んでしまったのではないのかというふうにも思うものですから、この実態、より精緻に把握するための方策、いかがお考えでしょうか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 調査の制度設計に当たりましては、統計の専門家にも参画いただきまして実行しております。令和五年度におきましても、様々な関係する分野の専門家の御協力を得て、そういった方々の知見を活用して調査の設計を行っていきたいと考えております。

櫻井分科員 対策本部、法律に基づいて依存症対策の本部が設置されているわけなんですが、設置されて以降の成果といいますか、依存症を減らすような努力、取組、どのような成果を上げているのか、これについても御説明をお願いいたします。

榊原政府参考人 お答え申し上げます。

 政府では、平成三十年にギャンブル等依存症対策推進本部が設置されまして以降、平成三十一年にギャンブル等依存症対策推進基本計画を作成しまして、令和四年にこれを見直し、関係省庁が一体となって必要な施策を推進してきたところでございます。

 具体的には、基本計画に基づきまして、各都道府県におけるギャンブル等依存症対策推進計画の策定ですとか、相談拠点や専門治療機関等の整備、それから予防教育や普及啓発活動、アクセス制限の強化など、関係事業者による取組などを実施しまして、我が国におけるギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に進めてきたところでございます。

 ギャンブル等依存症により、少しでも不幸な状況に陥る人がなくなるよう、今後とも必要な施策を推進してまいりたいというふうに考えています。

櫻井分科員 具体的に何人ぐらい依存症から回復できたとか、そういった成果は分かるんでしょうか。

榊原政府参考人 ギャンブル等依存症の疑われる方の状況につきましては、今年度、厚生労働省において実態調査が行われることになるというふうに承知しています。その結果を参考にしながら、今後とも必要な施策をしっかり推進してまいりたいと思います。

櫻井分科員 ちょっと失礼ながら申し上げると、政府の取組は、計画を作りました、啓発活動をしました、相談窓口をつくりましたというようなことはよくいろいろな事業でもやるわけなんですけれども、一応形はやりましたといって、アリバイづくりみたいな形で終わってしまうのではないのか。

 ギャンブル依存症、これは本当に不幸な話ですよ、人生めちゃくちゃになってしまって。しかも、これはやはり、本人の自己責任とかそういう話ではないと思うんですよね。私もカジノ反対だということで活動しているものですから、いろいろな方から、依存症は本当に悲惨なんだというお声を頂戴していますよ。そういうことを考えると、やはり、取りあえずやりましたみたいな話ではなくて、本当に、一人一人、この日本中からギャンブル依存症を一切なくしてしまうというぐらいの気持ちでやっていただきたいと思うんですね。

 谷大臣も、今日せっかく来ていただいておりますけれども、やはり、大阪でIRをやってカジノを設置しちゃうということだったら、その前にまず、ちゃんとここで、ギャンブル依存症をなくしていくんだ、実績、成果を上げていくべきだと思うんですけれども、それなしに大阪のIRでカジノ設置というのを認めるのはおかしいと思うんですが、いかがでしょうか。ちゃんとギャンブル依存症対策を進めていくということで、国務大臣としてしっかりとリーダーシップを発揮していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

谷国務大臣 お答えいたします。

 大阪IRのギャンブル依存症対策については私の所管でございますけれども、その前の一般的なギャンブル依存症につきましては、ちょっと直接所管をしていないんですけれども、しかし、政府として、それぞれ各省庁、横串でしっかり取り組まなければならないという気持ちは持っております。

櫻井分科員 そうなんですよ。

 今大臣がおっしゃられましたけれども、結局、オンラインカジノについても、誰が所管しているのか何かよく分からない。この部分は総務省だけれども、こっちは警察でとかいって、みんな責任のなすりつけ合いをやって、結局、何か集団無責任みたいなことになってしまっているんじゃないのか。

 ですから、これはみんなが自分が担当者なんだ、担当省庁なんだという思いでやっていただかないといけないと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、冒頭申し上げた大阪IRのカジノ認可についてもお尋ねをいたします。

 こういうように、既にギャンブル依存症は、我が国において非常に大きな問題としてずっと残っている。言うたら、日本はパチンコもパチスロも町じゅうにあちこちにあるわけですし、それから公営ギャンブルも多種多様にある。最近はオンラインでできるし、昼間も競馬をやっていますけれども、夜もナイトレースとかもいろいろやっていたりして、それを、日本中でやっているものを買えるようになっちゃっていて、ある種ギャンブル天国みたいなことになってしまっている。その結果として、依存症の方も大勢いらっしゃるわけなんですね。さらに、これで大阪にもカジノができてしまうということになると、大変な問題だというふうに思っています。

 もう時間が迫ってきておりますので、絞って質問させていただきますが、射幸性、つまり、当たり外れの度合いが大きいとよりギャンブル性が高まるということで、依存症の方にとっては、ギャンブル大好きな方にとってはより楽しくなる、楽しいというか、より魅力的になるという傾向があるようなんですけれども、だからこそ、射幸性については規制をしていく、町中のパチンコ、パチスロについても射幸性を制限しているというふうに承知をしておりますけれども、大阪のカジノについて、この射幸性、どういうふうにして取り締まっていくんでしょうか。

 特に、ルーレットとかそういうのだと、そもそもゲームの成り立ちとして決まっておりますけれども、電子的なもの、電子ゲームについては、これはまさに規則で決めないと野放しになってしまうと思うんですが、この点、どのように考えておられますか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の射幸性につきましては、そもそも、認められるカジノ行為の種類及び方法につきまして、カジノ事業の健全な運営に対する国民の信頼を確保し、その理解を得る観点から、社会通念上相当と認められるものだけをカジノ管理委員会規則で定めまして、カジノであってもそういうものしかできないという規制を施してございます。

 特に、委員御指摘のいわゆる電子ゲーム、スロットマシンの大当たりにつきましても、これは法令によりまして、一回の賭けにおける理論上の払戻し率、すなわち賭け金の総額に対する勝ち金の総額の比率でありますが、これはどの機械を取ってみても百分の九十以上一未満とするように規制をしておりまして、いわゆる大当たりの場合についてもこの計算に含めるということをしっかりと規則で定めておりますので、いわゆる極端な大当たりというようなものを出してしまいますと、この範囲内に収まらなくなりますから、そのような機械は使えないという規制を取ることによりまして、射幸性を抑えるという規制をしている仕組みとなってございます。

櫻井分科員 多分それだけじゃ足りないと思うんですよね。同じいわゆる返金率といいますか、期待値であっても、波を大きくすると、やはりより引きつけてしまうわけなんですよね。そこはほかのパチンコ、パチスロでもやっているわけなので、同じようにカジノについてもきちっと規制をしていただきたいと思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

坂口政府参考人 ただいまの御指摘がありましたような波につきましても、それも含めて既に適正な規制をしておるというところでございます。

 先ほど申しましたように、乱数発生装置による乱数によりまして当たったり外れたりということはもちろんあるわけですけれども、そうであっても、平均してみれば、お客さんが例えば一万円分賭けたならば、お客さんに対して九千円分以上一万円分未満の払戻し、お客さんから見ると当たりということですが、それが出るような機械じゃなければ使ってはいけないということになっておりますので、波につきましても、その範囲内に収まるように規制ができているところでございます。

櫻井分科員 一応、町中のパチンコ、パチスロと同様に厳しく規制をしていただくということで理解をさせていただきました。それでよろしくお願いいたします。

 それから、あと、マネーロンダリング対策についてもお尋ねをいたします。

 マネーロンダリングをカジノにおいて規制するといいますか、取り締まるというのはなかなか単純ではないと思うんですね。一〇〇%取り締まるというのは本当にできるのかなと心配をするところです。

 単純に言えば、現金を持ってきて、悪いことをして、犯罪をして獲得したお金をカジノに持っていってこれをチップに替える、チップに替えた後、またそれをチップから現金に戻して、その金、どうやって稼いだんですか、いや、ギャンブルで当てたんだよ、カジノで当てたんだよと言えば、もうそれできれいなお金になったように見せかけられるというのが基本的な、ロンダリングの一番単純な方法ですけれども、こういったところをどうやって取り締まっていくのかということについて。

 また、あと、お金の送金の仕方として、カジノでチップで渡しちゃうと、そこから先、分からなくなっちゃうというような形でのロンダリングもあろうかと思います。これに対して、どういう取締りを考えておられますか。電子チップとかそういうことで、チップがどういうふうに巡っていったのか分かるような、そんな仕組みを考えておられるんでしょうか。

坂口政府参考人 カジノにおけるマネーロンダリングの防止につきましては、犯罪収益移転防止法によりまして、カジノ事業者に対し、チップの交付等の一定の取引について、取引時確認、取引記録の作成、保存、疑わしい取引のカジノ管理委員会への届出等を義務づけております。

 また、IR整備法によりまして、これらの取引時確認等を的確に実施するため、カジノ事業者に対し、犯罪収益移転防止規程の作成を義務づけ、これをカジノ管理委員会が審査することといたしております。

 こうした事業者における取組を実効あらしめるため、カジノ管理委員会におきましても、カジノ事業者との間でマネーロンダリングに関する情報共有を図るとともに、カジノ事業者による従業者に対する教育訓練等につきましても、的確に監督してまいる所存でございます。

櫻井分科員 いろいろ従業員教育をしていただいたとしても、先ほど申し上げた、単純にチップに替えたりとか、あと、チップで送金をするというようなことでやり取りをされたときに、それは把握し切れないんじゃないんですか。どうやって把握するんですか。

坂口政府参考人 御指摘のチップにつきましては、特定取引ということに該当いたします三十万円分以上のチップの換金、これにつきましては、その都度本人確認を行い、記録を作成し保存するなどの記録化を行うこととなっております。

 また、我が国で唯一の産業に対する規制といたしまして、現金で百万円以上分の取引を行った場合には、これは全て、疑わしくても疑わしくなくてもカジノ管理委員会の方に届け出なければならないという規制もかけて、追跡が利くようにいたしております。

 それから、チップでの送金というのがちょっと、申し訳ありません、趣旨がよく分かりませんが、チップで送金はできません。(櫻井分科員「現場でやり取りしたらどうするんですか」と呼ぶ)現場でチップと現金とを、事業者とお客さんが……(櫻井分科員「いやいや、チップを上げたりして」と呼ぶ)

 失礼いたしました。チップを他人に譲渡したり渡したりするということは禁止されておりまして、これに違反した場合には罰則の対象となっております。したがいまして、人目を忍んでほかのお客さんにチップを渡すとか、こっそりチップを持ち出すとか、そういうことは法律上禁止されておりまして、違反をした場合には罰則の対象ということになっております。

柿沢主査代理 櫻井君、申合せの時間が過ぎております。

櫻井分科員 はい。

 ちょっと時間になりましたのでこれで終わりにさせていただきますが、これは質問レクをやっているときにも、やはり役所の皆さん、何かしんどそうだったんですよね。そもそも、こんな大阪のカジノとかをやらなければ、役所の皆さんも不必要な仕事を生まなくて済むわけですよ。ギャンブル依存症も生まれないわけです、新たに。

 ですから、私はやはり、いろいろな日本の社会の生産性を考えたときに、こういうことはやめるべきだということを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

柿沢主査代理 これにて櫻井周君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田久美子君。

吉田(久)分科員 公明党の吉田久美子です。

 本日の第一分科会最後の質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 避難所のスフィア基準についてお伺いしたいと思います。

 熊本地震から、この四月で七年がたちました。平成二十八年四月十四日夜、震度七、そして十六日未明に再度より強い揺れが同一地域を襲い、甚大な被害を熊本県益城町中心に及ぼしました。本震の後にそれより弱い余震が来るものという常識が覆され、十六日の本震によって、一度目の地震で持ちこたえた建物でさえも壊滅的な被害を受けました。多くの方が恐怖で家に入れない状況となり、避難所は密集し、やむを得ず車中泊が続いてしまう状況も起きました。その後数か月、何度も余震が襲い、七月までに震度五弱以上の強い地震が十七回も観測されるという、相当なダメージを被災された方に与え続けた地震でした。

 当時の政府の対応は迅速で、安倍総理の下、河野防災担当大臣が非常災害対策本部長になられ、十四日の二十二時二十一分に総理出席の下で非常災害対策本部会議、翌十五日には現地対策本部も置かれ、初めてプッシュ型の物資支援も行われました。政府もできることは全てやるとの姿勢で、二十六日には激甚災害に指定をし、五月十三日には、災害復旧事業を国や県が代行できる非常災害の指定も初めてなされました。

 阿蘇大橋の架け替え始め、周辺道路の整備など、多くの事業が予想より早く完成し、国が乗り出して復旧に総力を挙げていただいたことは、地元自治体の方々だけではなくて、多くの熊本の方々が感謝されており、その後も、公明党熊本県本部を中心に復興会議を重ねながら、地元に寄り添った復旧復興に尽力してきたところであります。

 ただ、当時余りにも被害が大きく、十六日の本震後には家に帰れない多数の被災者が生まれ、避難者が十八万人に及び、避難生活は困難を極めました。地震が直接の原因である建物の倒壊等によって亡くなった方は五十人、それに対して災害関連死は二百二十一人で、四倍以上に及んでおります。

 お元気だったのに、車中泊や避難所生活などを経て亡くなった方が多くいらっしゃいました。一人畳一枚程度のスペースしかなく、荷物もありますので、寝返りを打つことも、体を真っすぐにして休むこともできない。トイレも全く足りず、不衛生極まりないので、水分を極度に控えてしまい、エコノミー症候群による血栓等が原因で死亡する方も出てしまいました。地獄のような日々だったという声もありました。

 政府も、自治体向けの避難所運営のガイドライン等三つのガイドラインを発出し、トイレの確保、パーティションの設置、冷暖房の設置等を進め、避難された方が少しでも快適、安心な避難所生活が送れるよう努めてこられたわけですが、改善なされるまでには相当な時間がかかってしまいました。しかし、これは、極めて甚大だった熊本地震の災害状況、被害状況から見れば最速の対応だったと評価しているところではあります。

 その上で、避難所生活の国際的な最低基準、スフィア基準というものがあることを知りました。既に御承知だと思いますが、正式には、人道憲章と人道支援における最低条件というものであります。災害だけでなく、元々は、紛争や戦争からの難民にも適用されるべきものとして、ルワンダ難民支援の苦い反省から生まれ、数度にわたって改定をされております。

 日本の、避難所だから仕方がない、我慢するのが当たり前を変えようと、登山家の野口健さんが尽力をされておりますけれども、きっかけは、海外から支援に来られていたある方から、日本の避難所はソマリアの難民キャンプ以下だ、国際的なスフィア基準を満たしていないと言われたことがきっかけだったそうであります。

 一人最低三・五平米、およそ畳二枚分は必要、二十人に一つのトイレは必置、女性は男性の三倍必要等々、人道、人権の視点から最低基準を示しております。

 日本と同じく災害の多いイタリアでは、七十二時間以内に、家族ごとに避難生活が送れるテント、また簡易ベッド、清潔なトイレ、そして温かい食事までが用意される体制が既に整っているといいます。

 我が国は、イタリアをしのぐ災害大国でありながら、我慢が美徳との価値観が強く、また、支援にすがるしかない弱い立場の被災者からは、厚かましい、ぜいたくだと思われたらいけないと、声を上げられない。

 実は、そのしわ寄せは女性に向かっております。熊本地震ではエコノミー症候群の入院患者の七七%が女性だったという結果も出ております。

 被災直後には対応が追いつかないのはやむを得ないとしても、長期の避難所生活が予測される場合には、国が音頭を取って、このスフィア基準はクリアできる避難所設置と運営が当たり前になるように進めるべきだと思います。

 特に、我が国には首都直下地震、南海トラフ地震など既に予測されている災害もあるわけですから、想定される被災者の人数にも対応できるよう準備を進めるべきだと思います。私は、本気にさえなれば、経験を生かし、望ましい避難所生活の手本を示せる、日本基準とも言えるようなものを海外に発信することもできると思っておりますし、それこそ災害大国日本の使命の一つではないかと思います。

 七年前の熊本地震で経験した、災害死をはるかに超える災害関連死を今後出さないためにも、全国どこでも、いつどんな災害が起こっても、設置される全ての避難所においてスフィア基準をクリアすることを目指していくべきだと思いますが、内閣府のお考えをお伺いいたします。

谷国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のいわゆるスフィア基準は、条約のように法的拘束力を持つものではございませんが、国際NGOや国際赤十字など、災害や紛争の影響を受けた人々への人道支援に関わる組織において活動の指針として広く利用されているものと承知をいたしております。

 これまで、内閣府においては、スフィア基準を我が国の避難所の質の向上を考える際参考にすべき国際基準として自治体に示してきたところであります。

 避難所の生活環境につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえまして、災害対策基本法を改正して、避難所における安全性、居住性の確保や、食料、衣料、医薬品その他の生活関連物資の配布等、被災者の生活環境の整備に必要な措置を講じるべきことについて新たに盛り込んだところであります。

 また、平成二十五年以降、取組指針やガイドラインを策定して、避難所運営ガイドラインにおいては、避難所の質の向上はぜいたくに当たらないこと、人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送ることができているかという、質の向上に取り組むことを明記しているところであります。

 委員御指摘のスフィア基準で示されている具体的な項目につきましても、トイレの備蓄や確保、避難所の衛生環境の改善、避難生活の長期化に応じた温かい食事の提供や栄養管理等々につきまして具体的に取組指針等に盛り込み、自治体に周知しており、実際に災害においても、例えば避難所での段ボールベッドの設置など、生活環境向上の取組が広がっていると承知しているところであります。

 このスフィア基準の示す内容は、人道支援の質と説明責任の向上を目的とした、長年にわたる国際的な人道支援活動の成果として受け止めるべきものと認識しております。

 引き続き、このスフィア基準も参考にしながら、自治体と連携し、被災者に寄り添ったきめ細やかな支援が実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(久)分科員 是非、避難所生活の質の向上、取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、女性の健康に関するナショナルセンターについてお伺いしたいと思います。

 政府が三月末に示された少子化対策のたたき台の中に、国立成育医療研究センターに女性の健康に関するナショナルセンター機能を持たせて、女性の健康や疾病に特化した研究を進めることが明記をされました。

 これまでも公明党は、女性の健康については、女性委員会が中心となって様々な政策提言を行ってまいりました。まずもって、私も、女性の健康について社会がもっと認識を深め、敬意を持って大事にしていくことが、この国を豊かで優しい国にしていくと確信をしております。

 薬やその処方にしても、ほとんどが男性を中心に取られたデータで組み上げられており、マウスの実験でも性差が有意な違いを生んでいることが認められるデータが最近明らかになってきたことから、その必要性がやっと認められてきたのだと思いますが、今後研究が進み、男女のそれぞれの性差に沿ったエビデンスに基づく薬、処方の適正化が図られていくことに大いに期待しておりますし、これまで何度か質問で取り上げさせていただきましたけれども、更年期障害を含めて女性特有の健康課題について広範な研究に取り組んでいただき、女性が活躍し続けられる制度設計に反映されることを強く要望いたします。

 この女性の健康のナショナルセンターに対する政府の思いをお伺いしたいと思います。

伊佐副大臣 女性が人生の各段階で様々な健康課題を有していることを社会全体で共有する、そしてまた、女性が生涯にわたり健康で活躍する社会を目指すことは重要だというふうに認識をしております。

 御指摘いただいたとおり、先日の子供、子育て政策の強化に関する試案におきまして、国立成育医療研究センターに女性の健康に関するナショナルセンター機能を持たせるということになりました。この試案を踏まえまして、今後、総理を議長とするこども未来戦略会議において、必要な政策強化の内容等について具体的な検討を深めていくことになるというふうに認識をしております。

 その中で、与党からも様々な提言をいただいておりまして、例えば、ナショナルセンターにおいて、女性のライフコースを踏まえた調査及び研究、女性ホルモンが生涯を通じて大きく変化するという特性を踏まえつつ、調査及び基礎、臨床の両面について必要な研究を推進してはどうかという提案でありますとか、あるいは、女性に特有な疾患や病状に対する治験等を推進し、そしてまた、得られた知見をビッグデータにして全国の研究機関が利用しやすいようにしてはどうかという提案、また、公明党の、御党の女性委員会からも具体的な提案もいただいておりますし、また、吉田委員もずっと取り組んでいらっしゃる更年期障害についても、様々質問もいただいているところでございます。

 こうしたものも様々踏まえながら、厚労省としても、法人を所管する立場として、関係省庁とも連携しながら、必要な対応をしっかりと行ってまいりたいというふうに思っております。

吉田(久)分科員 続けまして、先日の厚労委員会におきましても加藤大臣にもコメントいただきましたけれども、少子化対策のたたき台については、公明党からの政策提言も多く反映をしていただきました。特にこの三年間、少子化対策については最重要課題として重点的に取り組む、その方向性を示されたものであり、評価をしているところです。六月の骨太の方針に具体を持ってまとめられるものと認識をしております。

 ある新聞報道で岸田総理も手にされたと伺っておりますけれども、「縛られる日本人」というメアリー・C・ブリントン氏の著作ですが、私も読ませていただき、多くの示唆を得たところです。

 日本の育児休業制度は、所得保障や休暇の長さの面では海外と遜色ないにもかかわらず、いまだ一三%台と、男性の取得率が増えない。ここ数年微増しているとはいえ、政府目標までは大きな隔たりがあります。

 ブリントン氏によれば、日本は決して子育てに優しい社会ではなく、労働最優先の社会である、国であると。したがって、これだけ少子化が深刻になっているにもかかわらず、育児を理由に忙しい職場から離れ、同僚に迷惑をかけるわけにはいかない、また、人手不足も追い打ちをかけて、男性に求められる過酷な働き方を継続するためには、母親がワンオペ育児をせざるを得ない、それが変えられない、この労働最優先の社会規範に日本人はがんじがらめに縛られたままで現在に至っていると、少子化の原因、背景を国民性等を踏まえて明らかにしておりますけれども、この著作においては、日本人の特性も踏まえて、男性の育児休業取得は義務化すべきだというふうに、そうでないとこの状況が続くだけだとの指摘がありました。私も正直納得した部分でもありました。

 昨年より産後パパ育休制度がスタートし、会社は希望を聞き、取得を拒めない制度とはなり、生後八週間に四週間の育休が取れるとしましたけれども、それだけでは異次元の変化が起こるのは正直難しいのではないかと感じております。

 たたき台において、育休を支える周囲の社員への応援手当の助成措置の拡充、公明党の提言も踏まえて、一定期間、育児休業給付を含めて手取りを一〇〇%確保できるようにすることが発表されました。少なくとも私の周りでは大変歓迎をされております。

 ただ、これには、一〇〇%確保する条件に、両親共に育児休業を取得することの促進のためと、ただし書がありました。これでは、母親が専業主婦、自営やフリーランスの場合、育児休業を取るという仕組みがないわけで、効果は限定的になってしまうのではないか、政府の掲げる育休取得の目標達成に向けて、母親の働き方に関わりなく、男性が育休取得することに対するインセンティブが更に必要ではないかと感じております。

 具体的には、一〇〇%の保障、そしてその対象となる人等、今後どういった方針で制度設計が進められていくのかをお伺いしたいと思います。

伊佐副大臣 昨年十月に、御指摘いただいた出生直後の産後パパ育休、この創設をする取組を進めてまいりましたが、昨年の十月以降の男性の育児休業給付の初回受給者について、対前年同月比で約六割を超える大幅な増加が現在見られているところでございます。

 さらに、先日の、御指摘いただいたこの試案におきましても、出生後一定期間内に両親共に育児休業を取得することを促進するため、育児休業給付の給付率を手取りで十割相当へ引き上げることが盛り込まれております。

 具体的にこれをどういうふうな形で制度設計をしていくかということについては、総理を議長とするこども未来戦略会議において今後検討を深めていくことになるというふうに認識をしております。

 今の委員の御指摘も、こうした様々な御指摘をいただいておりますので、こうした御指摘もしっかりと受け止め、踏まえながら、厚労省として、この会議における議論も踏まえて、男女共に希望に応じた仕事と家庭の両立が図られるように対応してまいりたいというふうに思っております。

吉田(久)分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、誰もが必要なときに利用できる、融通の利く保育システム、制度の構築をということでお伺いしたいと思います。

 まずは、両親が共に子育てに関われるよう、今言いました育休制度、また短時間労働などの働き方への転換を進めた上で、保育は働く母親に代わって提供されるもの、こういう認識から、必要なときに全ての人が利用できる制度というものに転換すべきだと考えます。

 物言わぬゼロ歳―二歳児を含めた全ての子供に、質の高い保育や幼児教育を受けられるように環境を整備することは、子供自身のためでもあり、子育て家庭のセーフティーネットにもなり、四月より施行されたこども基本法の理念、こども家庭庁の設置理念にも沿うものだと思っております。

 フランスが少子化対策に成功した施策の一つに、必要なときに短時間保育を利用できるようにしたことがあると聞いております。今日はゆっくり夫婦でコンサートに行きたいとか、趣味を楽しみたいとか、子供を預ける理由は問われない。だからといって、無制限な利用にはなっていないそうであります。子供を長時間保育園に預けることは子供にとっては望ましくないという認識はされており、自制の利いた利用になっているそうであります。

 使用の上限はあるにしても、いつでも頼れる場所と安心して託せる人がいる、この融通の利く保育制度を整えたことが、少子化対策成功の、フランスの成功の肝ではないかと感じております。自らの子育て期を振り返っても、このフランスの制度は本当に羨ましい限りであります。

 公明党も、就業の有無にかかわらず利用できる保育制度の構築を提案をしておりますけれども、地元で支援者の皆さんを前に、特に子育て世代のお母さんを前にこの話をしたときには、いいですね、早く実現してもらいたいですと、思わず歓声を上げた方もいらっしゃいました。私もそうでしたけれども、専業主婦でもワンオペは心身共に過酷です。

 政府のたたき台にも、こども誰でも通園制度を創設することが明示されたことを大変歓迎しております。この政策実現のためにも、こどもまんなか政策としても、また子育て家庭を支える社会の構築のためにも、必要なときにはいつでも利用できる、安心して頼れる場所として、今ある保育園の転換、整備を進めていくべきだと思います。

 実は、先日、鹿児島ですけれども、企業主導型保育施設を運営されている方からお話を伺いました。視察もさせていただきましたけれども、すばらしい環境で、配置基準にほぼ倍する人数で手厚い保育を提供されており、企業だけでなく、地域や必要とするお母さんたちに寄り添った保育に奮闘されていらっしゃいました。

 企業主導型保育には実は大変細かい規定がありまして、監督する児童育成協会からは、現場を見ずに指示や指導の連絡が、電話が再三入るそうです。

 ちょっと、以前いろいろな不祥事があったことから厳しくなっているとは聞いておりますけれども、そこからは、利用者が少ないなら、十三時間今頑張っていらっしゃるんですけれども、十一時間にできないのかとか、週七で開けている、毎日開けているのを、何回か預かりゼロの日が続くと、もう週六でいいのではないかとか、自社枠の子供の人数を埋められないならば企業主導型の認定は難しくなりますよとか様々、目指す保育の邪魔をされているように感じるというふうにおっしゃっておりました。

 企業主導型としてスタートしたけれども、今後もっと地域のニーズに応える保育を提供したい、専業主婦のお子さん、未就園児も受け入れていきたいと、母親に寄り添う保育事業への熱意を本当に熱く語ってくださいました。

 我が国の保育観で、様々な制度の中でつくってきた保育園のありようですけれども、悪質な保育園はもちろん駆逐をした上でですけれども、もっと多様なニーズ、地域のニーズに沿った対応ができる柔軟性のあるものに整理すべきときが来ていると思います。これこそ、こども家庭庁の仕事ではないかと思います。

 必要な人が必要な保育を身近な保育施設で利用できる制度、今ある施設も利用しながらですね、現場での期待とニーズが高まっておりますので、できる限り早く提供できるように進めていただきたいと思いますが、今後、実現に向かって具体的にどう進めていかれるのかを、政府のお考えをお伺いしたいと思います。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 現行の保育制度は、利用できる者が就労等の保育の必要性がある者に限定をされており、専業主婦家庭等も含めた未就園児のいる全ての家庭に対する支援には現行法下では限界があると考えております。

 このため、現行の仕組みとは別に、議員御指摘がありましたとおり、二歳までの未就園児のいる全ての家庭への支援の強化に向け、就労要件を問わず、時間単位等で柔軟に保育所、認定こども園等に通園が可能となる新たな給付を創設することを検討しているところでございます。

 具体的には、保育所の空き定員の状況なども踏まえつつ、子供一人につき月一定時間までの利用可能枠の中で、時間単位等で柔軟に通園可能な仕組みとすることを想定しております。また、保育所の空き教室に限らず、保育所、認定こども園、地域型保育事業所、幼稚園、地域子育て支援拠点などの幅広い事業者に取り組んでいただくことを想定しております。

 以上です。

吉田(久)分科員 是非、切れ切れにしていくのではなくて、本当に、地域のニーズ、また皆さんのニーズに沿った柔軟な保育が提供できるような仕組み、現場のニーズ、皆様の期待に応えられるようなそういう制度設計を進めていただきたいと思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

柿沢主査代理 これにて吉田久美子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中内閣府本府及び沖縄振興開発金融公庫についての質疑は終了いたしました。

    〔柿沢主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

田中主査 これより皇室費について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。池田宮内庁次長。

池田政府参考人 平成三十年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は百八億五百十八万円余でありまして、これを支出済歳出額九十六億七千九百六十万円余と比較いたしますと、十一億二千五百五十七万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は一億四千六百二十八万円余でありまして、不用額は九億七千九百二十九万円余であります。

 翌年度繰越額は、施設整備費等でありまして、計画に関する諸条件の関係等により、年度内に支出を完了しなかったものであります。

 また、不用額は、施設整備費等でありまして、契約価格が予定を下回ったこと及び入札結果による事業計画の変更をしたこと等のため生じたものであります。

 次に、令和元年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は百十五億二千六百十三万円余でありまして、これを支出済歳出額八十四億三千九百十一万円余と比較いたしますと、三十億八千七百一万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は二十五億八千四百六十万円余でありまして、不用額は五億二百三十三万円余であります。

 翌年度繰越額は、施設整備費等でありまして、計画に関する諸条件の関係等により、年度内に支出を完了しなかったものであります。

 また、不用額は、報償費等でありまして、事業内容の見直しによる事業計画の変更をしたこと、契約価格が予定を下回ったこと等のため生じたものであります。

 以上で決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、外国訪問等に際して訪問国において現金で支払う必要がある経費に充てるための前渡資金について、会計法令等に基づき外国訪問等の終了後、速やかに精算した後に返納金として歳出の金額に戻入するなどの手続を取る必要があることを周知することにより、前渡資金の管理等が適正に行われるよう改善させたものであります。

 続きまして、令和元年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

田中主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。池田宮内庁次長。

池田政府参考人 まず、先ほどの歳出決算の概要説明のうち、令和元年度における皇室費歳出決算について、翌年度繰越額の額を申し上げるときに明確に申し上げていなかったところがございましたので。翌年度繰越額につきましては、二十五億八千四百六十八万円余でございました。このように訂正させていただきます。

 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、前渡資金の管理を適正に行い、速やかに精算手続を行うことを職員に周知するなど、所要の措置を講じたところであります。

 今後、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

田中主査 以上をもちまして皇室費についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、皇室費については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

田中主査 これより裁判所所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。堀田最高裁判所事務総長。

堀田最高裁判所長官代理者 平成三十年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は四百六十七億三千三十一万円余であります。これに対しまして、収納済歳入額は六百六十六億四千二百八十万円余であり、歳入予算額に対し百九十九億千二百四十八万円余の増加となっております。

 この増加は、相続人不存在のため国庫帰属となった相続財産の収入金が予定より多かったこと等によるものであります。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千二百十二億千五十一万円余でありますが、これに平成二十九年度からの繰越額六十億百十三万円余、予算補正追加額十一億千七百八十六万円余、予算補正修正減少額十一億三百九十三万円余、差引き六十億千五百六万円余が増加となり、歳出予算現額は三千二百七十二億二千五百五十七万円余となっております。

 これに対しまして、支出済歳出額は三千百九十一億三千四百二十一万円余であり、歳出予算現額との差額は八十億九千百三十六万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は二十三億千四百九十三万円余、不用額は五十七億七千六百四十二万円余であります。不用額となった経費は、人件費二十億五千五百七十四万円余とその他の経費三十七億二千六十八万円余であります。

 以上、平成三十年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。

 次に、令和元年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は四百九十九億六千四百五万円余であります。これに対しまして、収納済歳入額は六百五十九億五千六万円余であり、歳入予算額に対し百五十九億八千六百万円余の増加となっております。

 この増加は、相続人不存在のため国庫帰属となった相続財産の収入金が予定より多かったこと等によるものであります。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千二百五十五億七千四百三十万円余でありますが、これに平成三十年度からの繰越額二十三億千四百九十三万円余、予算補正追加額二十三億千六百二十八万円余、予算補正修正減少額十一億六千九百二十八万円余、差引き三十四億六千百九十三万円余が増加となり、歳出予算現額は三千二百九十億三千六百二十四万円余となっております。

 これに対しまして、支出済歳出額は三千百六十九億六千八百十八万円余であり、歳出予算現額との差額は百二十億六千八百六万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は五十六億六千五百五十六万円余、不用額は六十四億二百四十九万円余であります。不用額となった経費は、人件費二十一億三百七十九万円余とその他の経費四十二億九千八百七十万円余であります。

 以上、令和元年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 続きまして、令和元年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

田中主査 以上をもちまして裁判所所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

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田中主査 これより会計検査院所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。森田会計検査院長。

森田会計検査院長 平成三十年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額六百二十一万円余に対しまして、収納済歳入額は千三百八十四万円余であり、差引き七百六十三万円余の増加となっております。

 収納済歳入額の主なものは、弁償及返納金九百七十六万円余であります。

 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額は百七十五億百十一万円余でありますが、これから予算補正修正減少額一億六百六十八万円余を差し引きますと、歳出予算現額は百七十三億九千四百四十二万円余となります。

 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額は百六十五億四千九百八十八万円余でありますので、その差額八億四千四百五十四万円余を不用額といたしました。

 支出済歳出額の主なものは、会計検査院の運営に要した経費として百四十七億九千九百五十一万円余、会計検査業務に要した経費として十六億八千八百五十九万円余となっております。

 以上、平成三十年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

 令和元年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額六百万円余に対しまして、収納済歳入額は四百五十三万円余であり、差引き百四十七万円余の減少となっております。

 収納済歳入額の主なものは、雑入百五十六万円余であります。

 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額は百七十七億一千九百九十五万円余でありますが、これから予算補正修正減少額二億一千五百六十九万円余を差し引きますと、歳出予算現額は百七十五億四百二十六万円余となります。

 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額は百六十七億二千五百八十九万円余でありますので、その差額七億七千八百三十七万円余を不用額といたしました。

 支出済歳出額の主なものは、会計検査院の運営に要した経費として百四十七億四千四百三十六万円余、会計検査業務に要した経費として十九億七千九十六万円余となっております。

 以上、令和元年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

田中主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院田中第一局長。

田中会計検査院当局者 平成三十年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 続きまして、令和元年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

田中主査 以上をもちまして会計検査院所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後四時二十五分散会


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