衆議院

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第1号 平成29年4月10日(月曜日)

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本分科会は平成二十九年四月三日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

四月七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      神田 憲次君    河野 太郎君

      田畑  毅君    牧原 秀樹君

      村上誠一郎君    八木 哲也君

      石関 貴史君    篠原  豪君

      宮本  徹君    松浪 健太君

四月七日

 石関貴史君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十九年四月十日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 石関 貴史君

      神田 憲次君    河野 太郎君

      田畑  毅君    牧原 秀樹君

      村上誠一郎君    八木 哲也君

      小宮山泰子君    後藤 祐一君

      篠原  豪君    武正 公一君

      渡辺  周君    宮本  徹君

      足立 康史君    松浪 健太君

   兼務 原口 一博君 兼務 真山 祐一君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   文部科学大臣       松野 博一君

   防衛大臣         稲田 朋美君

   内閣府副大臣       石原 宏高君

   財務副大臣        木原  稔君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   文部科学大臣政務官    田野瀬太道君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       柿沼  茂君

   会計検査院事務総局第一局長            鈴土  靖君

   会計検査院事務総局第二局長            腰山 謙介君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   会計検査院事務総局第四局長            堀川 義一君

   会計検査院事務総局第五局長            寺沢  剛君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 奈良 俊哉君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         加瀬 徳幸君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            西田 直樹君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            栗田 照久君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            松尾 元信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮地  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 開出 英之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    佐川 宣寿君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)    佐藤 安紀君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    高橋 道和君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    吉野 恭司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁)    細川 興一君

   政府参考人

   (株式会社国際協力銀行代表取締役総裁)      近藤  章君

   参考人

   (日本銀行理事)     雨宮 正佳君

   総務委員会専門員     塚原 誠一君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

   決算行政監視委員会専門員 安齋 雄一君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  篠原  豪君     小宮山泰子君

  宮本  徹君     本村 伸子君

  松浪 健太君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  小宮山泰子君     武正 公一君

  本村 伸子君     梅村さえこ君

  足立 康史君     吉田 豊史君

同日

 辞任         補欠選任

  武正 公一君     後藤 祐一君

  梅村さえこ君     斉藤 和子君

  吉田 豊史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤 祐一君     今井 雅人君

  斉藤 和子君     宮本  徹君

  浦野 靖人君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     渡辺  周君

  木下 智彦君     松浪 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺  周君     篠原  豪君

  松浪 健太君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  河野 正美君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     松浪 健太君

同日

 第一分科員原口一博君及び第三分科員真山祐一君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十六年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十六年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十六年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十六年度政府関係機関決算書

 平成二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十六年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十七年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十七年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十七年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十七年度政府関係機関決算書

 平成二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (総務省、財務省所管、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行、文部科学省及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

石関主査 これより決算行政監視委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました石関貴史でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管、財務省所管、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行、文部科学省所管及び防衛省所管について審査を行います。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成二十六年度決算外二件及び平成二十七年度決算外二件中、総務省所管、財務省所管、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行、文部科学省所管及び防衛省所管について審査を行います。

 これより財務省所管、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。麻生財務大臣。

麻生国務大臣 平成二十六年度及び平成二十七年度財務省所管の決算について、その概要を御説明させていただきます。

 最初に、平成二十六年度財務省所管の決算について御説明をいたします。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 財務省主管の一般会計歳入歳出決算につきましては、収納済み歳入額は百一兆三百九億円余であります。これを歳入予算額と比較いたしますと、四兆二千九十億円余の増加となっております。

 収納済み歳入額のうち、租税等は五十三兆九千七百七億円余となっております。

 財務省所管の一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額二十四兆八千九百一億円余に対し、支出済み歳出額は二十四兆四千四百四十億円余、翌年度繰越額は三十五億円余であります。不用額は四千四百二十五億円余となっております。

 支出済み歳出額のうち、国債費は二十一兆四千六百十億円余となっております。

 次に、特別会計歳入歳出決算について申し上げます。

 国債整理基金特別会計におきまして、収納済み歳入額は二百七兆四千六百九十四億円余、支出済み歳出額は二百四兆三千九百八十四億円余であります。

 このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承をお願いしたいと存じます。

 以上が、平成二十六年度財務省所管の決算の概要であります。

 続きまして、平成二十七年度財務省所管の決算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 財務省主管の一般会計歳入歳出につきましては、収納済み歳入額は九十九兆四千七百五十八億円余であります。これを歳入予算額と比較いたしますと、二兆四百三億円余の増加となっております。

 収納済み歳入額のうち、租税等は五十六兆二千八百五十四億円余となっております。

 財務省所管の一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額二十四兆九千五百十二億円余に対し、支出済み歳出額は二十四兆二千九百九十五億円余、翌年度繰越額は六十五億円余であります。不用額は六千四百五十億円余となっております。

 支出済み歳出額のうち、国債費は二十一兆六千七百三十一億円余となっております。

 次に、特別会計歳入歳出決算について申し上げます。

 国債整理基金特別会計におきましては、収納済み歳入額は二百一兆九千二百七十四億円余、支出済み歳出額は百九十八兆三千八十六億円余であります。

 このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承をお願いしたいと存じます。

 以上が、平成二十七年度財務省所管の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 以上です。

石関主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴土第一局長。

鈴土会計検査院当局者 平成二十六年度財務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、国税の口座振替納付に係る領収証書等の調達及び納税者への送付を廃止することにより、口座振替納付に係る経費の節減を図るよう改善させたものであります。

 その二は、普通財産の管理及び処分に係る業務を委託するに当たり、総合評価落札方式により落札者を決定する際に加点評価した提案の内容を確実に契約に反映することにより、会計法の趣旨に沿って国にとって最も有利な内容で契約を締結することとなるよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、平成二十五年度決算検査報告に掲記いたしました特定調達に係るガスの契約事務の実施について処置を要求した事項並びに株式会社日本政策金融公庫が中小企業事業で行う証券化支援業務の実施及び国有財産台帳等における報告漏れ及び誤謬訂正について、それぞれ意見を表示した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 続きまして、平成二十七年度財務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件であります。

 これは、租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

石関主査 次に、会計検査院寺沢第五局長。

寺沢会計検査院当局者 平成二十六年度株式会社日本政策金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、固定電話の利用に当たり、全支店の各通話区分のマイライン登録先を統一することとして、本店において一括して一般競争契約を行うことなどにより、電話料金の節減を図るよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、平成二十五年度決算検査報告に掲記いたしました東日本大震災復興特別貸し付けにおける低利貸し付けの実施について処置を要求した事項につきまして、その結果を掲記いたしました。

 続きまして、平成二十七年度株式会社日本政策金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十六年度株式会社国際協力銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十七年度株式会社国際協力銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

石関主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。麻生財務大臣。

麻生国務大臣 平成二十六年度及び平成二十七年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、財務省のとった措置につきまして御説明をさせていただきます。

 会計検査院の検査の結果、不当事項として、税務署における租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。これらにつきましては、徴収決定等適切な措置を講ずる等の対応をいたしておりますが、今後一層事務の改善に努めてまいりたいと存じます。

石関主査 次に、細川株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁。

細川政府参考人 平成二十六年度決算検査報告において会計検査院から御指摘がありました事項につきまして、御説明申し上げます。

 固定電話に係る契約につきまして、処置済み事項として御指摘を受けましたことは、遺憾であります。

 既に改善のための措置を講じておりますが、今後とも適切な運営に努めてまいる所存であります。

石関主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石関主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石関主査 以上をもちまして財務省所管、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石関主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。足立康史君。

足立分科員 おはようございます。日本維新の会の足立康史でございます。

 我が党は小党でございまして、いつも、一日の夕方、皆さんが眠たい、眠たくないですね、夕方だから眠たくないですね、眠くなるころに質問させていただいておりますが、きょうは朝一番ということで、別の意味でまだ体が起きていらっしゃらない方もいらっしゃると思いますが、朝一番から麻生副総理にお出ましをいただいて御質問させていただけること、まことに光栄に存じます。三十分いただいていますので、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

 先般来、森友学園の話で国会が席巻をされております。北朝鮮の動向、あるいはシリアの問題、今、世界が、本当に最高度の緊張感を持って国会が対応していかなければならないときであります。我が党としては、森友学園については、当初から、これは大した話じゃないからできれば大阪でやっておけばいいかな、こう思っておったわけでありますが、ほかの野党の皆様が一生懸命、わざわざ大阪までお越しをいただいて盛り上げていただいていますので、幾らか我が党も対応というか質疑をさせていただきました。

 ただ、こういう国際情勢でありますので、党全体としては、もう森友学園は終わりにして、本来の国会のあり方に国会全体を戻すべく今努力をしているところでありますが、私一人は引き続きこれをやります。

 なぜ私が引き続きやるかといえば、全て悪いのは参議院でありまして、参議院の西田昌司議員が、何か、これは大阪が悪いんだ、全て大阪が引き金を引いたので、理財局は全て問題ないことがわかったんだなんということを、民進党、共産党もびっくりのレッテル張りをしてこられました。幅寄せといいますけれども。大変私はそれは心外でありまして、西田昌司議員のこのレッテル張りを明らかにするまでは足立だけはこの問題を続けてまいることを、国民の皆様、特に大阪の皆様にお誓い申し上げたいと思います。

 さて、これは大臣にも通告させていただいていますが、私は本当に麻生副総理のことは尊敬申し上げていまして、理財局長のことも尊敬を申し上げておりますが、事務方でも結構ですから、ちょっと、これは副総理もごらんいただいているかもしれませんが、実は、先週六日に、大阪府の教育庁と大阪府の総務部が連名で、この森友学園の問題に関する検証報告書というのを公表させていただいております。きょうは持ち込みの予定で調整していませんから余りお見せできませんが、大変詳細な、いつ、どなたが近畿財務局から、大阪府の、それも豊中とは真反対にある咲洲庁舎まで大変偉い方が御訪問されたということが全部書いています。

 当初は、これは文書がなかなか、人が来られたとか、あるいは電話でお話ししたとか、そういうことまでは全て記録をとっていない、これは私は当たり前だと思って、そんなものをとっていたら役所は書類であふれ返りますから。ただ、これだけ国政をも揺るがす話になっちゃっていますので、ヒアリングをして、まさに検証をしたということで出ています。

 理財局長、まず、これをごらんになられましたか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますが、私、ちょっと読んでございません。

足立分科員 あれ、こういうものが背景にあって通告させていただいていることは伝わっていなかったでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪府の方で、そういう、何か基準に合っているかどうかというお話で職員の方に調査をされたということは当然承知してございますけれども、今委員がお持ちでございますその詳細な調査報告書は、大変恐縮でございますが、私は読んでございません。

足立分科員 いや、大変恐縮ですね、それは。なぜ読まないんですか。この問題はどうでもいいんですか。

佐川政府参考人 大変申しわけないんですが、今、委員、公表とおっしゃられましたけれども、どういうふうに公表されているのか、ちょっと私どももわかりませんものですから手元にないということで、読んでおりません。

 ただ、新聞報道等では、そういう、基準に合うかどうかについて職員の方からヒアリングをされて、そういう報告書を出されたということは、そこは報道等で承知してございます。

足立分科員 大臣、ちょっとこれは問題じゃないですかね。問題というか、どうでもいいんですけれどもね。どうでもいいんだが、新聞報道が出れば、普通はこの一次情報を取り寄せて、きょう九時十二分からこの問題を取り上げるというのがわかっていたら、普通、予習しないですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問が今回の五回の訪問とかというような御質問であることは私存じておりますけれども、それは、大阪府の中で、大阪府の職員の方がその基準に適合しているかどうかの御判断をされたかどうかという御調査で、それは大阪府の中のお話だというふうに私ども承知してございます。

 私ども、前々から申し上げてございますけれども、大阪府との間では、今回、近年全くやったことのない私立小学校の開設の認可ということでございましたので、私ども随分、大阪府にも何回か通っているし、電話でのやりとりをしていることも私も承知してございますけれども、そういう意味で、それは、私どもとして、大阪府に伺ったり、電話でお互いやりとりをしながらお互いの情報交換をしているということはもう当然承知してございますけれども、大阪府の中で、府の方が、その基準に合っているかどうかの調査について、私どもが何か詳細に承知しなくちゃいけないという認識でもありませんでしたので、大変恐縮でございますが、読んでございません。

足立分科員 いやいや、だから、その基準に合っているかということだけを調べているわけじゃないわけですよ。何か民進党みたいですね、報道だけを信じるという。いや、佐川理財局長は立派な方だと思っていたんだけれども、何か民進党だということがわかっちゃいましたね、残念ですね。民進党政権のときに何かかぶれちゃったんじゃないですか。

 日付入りで、誰かということも含めて、五回、こう書いています。それは事実、五回は五回ですか。

佐川政府参考人 報道等で五回と書いてあることは読んでございますけれども、私ども、別に面会の記録等を残してございませんので、近畿財務局として何回訪問したかということについては、ちょっと子細は承知してございません。

足立分科員 大臣、申しわけありません。もう本当に、財務大臣・副総理には、そもそもこういう問題にかかわる、かかずらわること自体が申しわけない、国会議員の一人として、また大阪選出の国会議員の一人として申しわけないと思っていますが、私は一貫して、政権がつまらないことで、特に百万円の寄附とか、私はもう何度も安倍総理に、これは美談だ、こう申し上げて、それを何か絡んでいく民進党、共産党というのはもうどうしようもない、一刻も早くこの問題は収束をさせる、こういう立場で一貫してやってきている。

 ところが、悪いのは西田昌司議員ですよ。自民党国対も、いいかげん、そういうけしからぬ議員は抑え込まないといけませんよ。まあ、余り他党の国対のことを言うと、またうちの国対委員長から何を言っているんだということで怒られますのでやめますが。

 副総理、今のような、佐川理財局長は立派な方だと思いますが、近財と大阪府教育庁とのやりとりなわけです。もうこれは一切調べないんだという御判断なのか。大阪がここまで調べてきたんだから、大阪が四つ目、五つ目だと思いますが、私は、大臣、本当にこんなしようもないことに、申しわけない限りで、本当はちょっと土下座してお願いしたいぐらいですが、大阪並みの、大阪ぐらいは、これはやっているわけですから、二十ページあります、非常に詳細な、大臣、これはちょっと見せたらいかぬかもしれませんけれども、誰がというのも書いていますね、いついつは統括管理官というのが来られた、いついつも統括管理官が来られた、そして、いついつも統括管理官が来られた。ぜひ、民進党かぶれした佐川理財局長に、ちょっと近財に聞け、ヒアリング調査をしろと。

 私、これはやらないと、この問題はどこかで終わらせたいんですが、終わらせますが、あほらしいので。しかし、安倍政権あるいは麻生副総理・財務大臣の一つの、歴史の一ページにもなりませんが、ちょびっと何か残念な歴史が残っちゃいますから、ちょっとヒアリング調査していただけないでしょうか。指示をお願いできないでしょうか。

麻生国務大臣 これは今御指摘がありましたけれども、足立先生、大阪府においては、これは小学校の認可、しかも、この十年間認可はありませんし、その前をさかのぼっても、小学校の新しい認可というのは大阪府では出ていませんから、認可するに当たっての基準の適合性等々に関しては、職員が、いろいろあって検証をされるというものは、これは当然なんだと思いますし、また、それはせにゃいかぬところなんだと思います。

 他方、近畿財務局としては、国有地の処分の話ですから、大阪府というものと会合して、通常必要となりますいろいろな情報交換を行うのは普通の話なのであって、これに関して調査というのを行う必要というものは、私どもとしては余り考えていないということなんだと思っております。いわゆる調査という、その対象が大阪府との間のやりとりだけの話ですから、そのことに関して大阪府から出てきたものに対してということなんだと思います。

 大阪府から出てきた調査がしっかりしたものだという前提で近畿財務局の方は仕事をしますので、そのことに関して調査をするという対象にないということなんだろうと存じます。

足立分科員 協力をいただけませんか、協力を。

 要すれば、これはヒアリングですね。AさんとBさんが会っているという状況の確認をしている。

 補足しておきますと、大阪府がこれだけ調査をしているのは、確かに麻生大臣おっしゃるように、これはいわゆる認可基準との関係で、本件借地が将来的に自己所有となると大阪府教育庁が判断するに至った根拠を確認するための検証でありますから、これは大阪府の問題だと突き放されるお気持ちもわからないではありませんが、これは国有地の払い下げに係る小学校の認可ですから、関連があります。

 協力をいただくことによって初めて、官邸をも巻き込んだ、巻き込んだのは野党の責任ですから、私はそれをよしとしませんが、少なくとも国民は御関心を持って見ていらっしゃるわけでありますから、私は、この大阪府の検証に理財局は協力をすべきだと国会議員の一人として考えますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 私どもの観念としては、足立先生、これまでも財務省としては、答弁のたび、私どもの持っておることに関しましてはすべからく協力をしてきておるという意識なので、協力していないという意識の足立先生と、私どもの方は結構協力してきておると思っておりますので、そこは意識がちょっと違うのかなという感じはいたします。

足立分科員 ありがとうございます。

 確かに御協力いただいてきていますが、加えて、例えば、まさに国有地の払い下げに係る検証、この内容を今一部御紹介しました。これが事実であるかどうかは、やはり財務省の協力があって初めてより確かなものになる、こう思っていまして、御協力、この大阪府の検証結果について、少なくとも、近財の方々の名前、役職がいっぱい出てくるわけですから、それが事実であるかどうかの検証、確認はすぐできると思うんですけれども、御協力いただけますか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がおっしゃられました全体の報告書の中は、大阪府の基準のお話とかそういうことがきっと書いてあるので、あとは、その一部に、我が方の、近畿財務局の人間が大阪府の方にお会いに行っていろいろ情報交換をさせていただいたという話も書いてあるんだと思いますが、私ども、ずっとここで答弁をさせていただいてございますが、私ども、大阪府に行ったということを別に否定しているわけでもございませんし、電話のやりとりもしているということもここで御答弁させていただいてございますので、通常のそういう大阪府とのやりとりについては、訪問もし、電話でのやりとりもし、情報交換もしということはここできちんと認めさせていただいているところでございますので、改めて、何回行ったかとかそういうことについてまで、私どもがここで調査をするということではないんだろうというふうに考えてございます。

足立分科員 ごらんになられていないという、民進党みたいなことをおっしゃっているので仕方がありませんが、二十五年の九月十二日、近財の方から調整依頼があって、日程調整をして、二名の方が来られています。そして、同年十一月十九日に、改めて近財の方から来たいということで二名いらっしゃっています。二十六年になりまして、七月二十八日、一名の方が、これも近財の方からの御要請で来られています。二十六年十月二日、統括管理官がいらっしゃっています。統括管理官を筆頭に複数名の方がいらっしゃっています。二十七年一月八日、これも恐らく統括管理官を含めてかな、二名がいらっしゃっています。その際に、どういう面談の内容であったか、時間はどれぐらいであったか、その背景、全部書いています。

 これは面談なんですからね。改めて、協力すべきだと思いますよ。この九ページ、十ページに、電話もその間に、二十六年四月から五月にかけて四、五回の電話があった。いろいろ書いています。自分たちに関して書いてある書類を、国会議員が、弱小政党の弱小国会議員で申しわけありませんけれども、本当に申しわけないと思っているんですよ。私は、理財局長がどれほど賢明な方かもわかっていますから、本当に、別に国会議員であることを振りかざすつもりはありませんが、多くの有権者の、余り有権者と言うと共産党も有権者を抱えていますからあれですけれども、国民の負託を受けてここに立っています。この国会議員が協力してくれと頼んでいるんですよ。

佐川政府参考人 御答弁申し上げます。

 今委員おっしゃいました最初の二十五年の九月のお話は、私ども、公的取得要望を先方から受けてございますので、学校設置認可ということでございますので、それにつきまして、その当初、大阪府にいろいろお尋ねに行ったものだというふうに思われます。

 それから、その年の十一月の話は、私ども、各地方公共団体からいろいろ公的取得要望があったときには、毎回、その地域の整備計画との整合性に関する意見の聴取をするというのは全国的にやっているお話でございますので、それを持参してきっと行ったんだろうというふうに思われます。

 その後、二十六年に入ってからは、それはもう設置の申請とか、あるいは私学審の開催とか、二十七年、年明けてすぐに私どもの国有地方針の改正等がございますので、そういう折々、節目節目に大阪府をお訪ねしたんだというふうに考えてございます。

足立分科員 いかがわしいと言っているんじゃないんですよ、僕は。おかしいだろうと言っているんじゃないんですよ。事実を、ここまで国民の皆様の時間をとっているんだから、主権者の時間をこれだけとっているんだから。この報告書だって、僕たちは悪かったですと書いてあるんじゃないんですよ。一部、例えば、本来部長とか知事に上げるべき重要判断を私学課長のレベルでやってしまったんじゃないかという、大阪府の中の問題ですよ。大阪府の中は問題があったと言っているんですよ。あとは何にもないですよ、問題は。問題ないんだけれども、疑惑があるんだから、疑惑があるんだったら、それは事実を明らかにするのが公務員として当然だし。

 それを明らかにさせるのが、私は麻生副総理・財務大臣のお仕事だとも思いませんよ、こんなしようもないこと。副総理・財務大臣がかかわることじゃないですよ。だから、僕がやっているんですよ。僕は麻生大臣のかわりにやっているんですよ。違うな、行政府と国会だから違うけれども、まあ似たようなものですよ。(発言する者あり)全然違いますね。

 とにかく、理財局長、頼みますよ、ちょっと。改めて、これをごらんになって、大阪府の検証結果の中に書いてある近財に係る記述、これをエンドースできるかどうか、ちょっと確認してくださいよ。理財局長、お願い。ちょっとひざまずきましょうか。いい、ひざまずかなくても。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がおっしゃっていることを私は別に否定しているわけではございませんで、何度も私ども御答弁していますように、大阪府に訪問もしてございます、電話のやりとりもしてございます。したがいまして、そこについて何か、疑惑とおっしゃいますけれども、それはごく普通の、通常の財務局と地方公共団体とのやりとりを行っているという事実関係について、それはもうそのとおりだというふうに申し上げているところでございまして、何かそれ以上、子細にヒアリングをして、何月何日にどうしたというところまで調べる必要はないのではないかというふうに先ほどから御答弁をさせていただいているところでございます。

足立分科員 調べる必要はあると思いますよ。国会議員があると言っているんですよ。国会議員があると言っているんです。なぜそれを拒否するんですか。国会議員があると言っているんです、調査の必要が。それは国民が言っているんですよ。それでも拒否するんですか。できることでしょう。

 割引率、大きい方から三つ挙げてください。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 たくさんの事例がございますので、歴史の新しいところだけ調べさせていただきまして、幾つか、更地価格からいわゆる控除すべき費用の率が高いものについて拾ってまいりましたので、御紹介申し上げます。

 まず、先日お話を申し上げました一つの事例がございまして、私は関東地区の物件でと申し上げて、約六割と申し上げましたけれども、あの物件につきましては、地下埋設物の撤去費用等の鑑定評価における控除割合は約六三%でございました。

 それから、二十八年度、今年度ですが、近畿地区で売却した物件で、地下埋設物の撤去費用の控除割合が四〇%というものがございました。

 それから、これは建物つきの国有地を売却する場合もございまして、それも同様に鑑定評価の価格から建物の解体費用を控除するというケースがございます。そういうケースでは、これは九州地区の物件でございますが、建物の撤去費用の控除割合が更地価格との関係でいきますと九八%というものがございます。

足立分科員 最後の話はまた事情が違うということですね。

 六三%、四〇%、その次と次ぐらい、ちょっとお願いしますよ。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮ですが、二、三というお話でございましたので、地下埋設物の撤去費用等の話では今の六三%と四〇%、それから、建物の解体費用のところで九八%というものを調べさせていただいたところでございます。

足立分科員 今回の森友学園の払い下げは何%になりますか。

佐川政府参考人 ちょっと今、子細に計算できませんが、大体八五、六%だったと思いますが、ちょっと、若干違っていたら恐縮でございますが。

足立分科員 わからない、正確な数字。

佐川政府参考人 約八六%だったと思います。

足立分科員 すなわち、全国の何千件という、年間だと思いますが、何千件とある中での埋設物の撤去に係る割引率は、大きいものからいって六三、四〇、ぶらぶらぶらですよ。六三、四〇。今回は八六ですよ。

 いや、私はいいと思っているんです、繰り返しになりますけれども。多分、これは、場合によっては国有地を引き取って有効利用してくれるんだったらお金上げますよというぐらいでしょう。だから、それはもうわかっているんだって、全部。わかっているんだけれども、国民の皆様が、私が地元に帰ったって、みんな、これはどうなっているんだと言いますよ。

 だから、もう時間がないけれども、大阪府の調査に協力、大阪府の検証結果の検証、全部できないですよ。私学の認可の設置申請に係る検証は大阪府の問題なんですよ。でも、同じように払い下げに係る検証というのが、大阪府で二十ページなんだから、理財局だったら二百ページぐらいできるでしょう、すぐ。そういう検証報告書を出さないんですか。大阪府は出しました。職員の処分もしました。やるべきだと思いますよ。

 百歩譲っても、大阪府に協力、いや、僕はさっき、大阪府に協力したってくれと下手に出ていますけれども、それは麻生副総理に敬意を表して言っているんですよ。本当は、もう絶対国民は許さないですよ、絶対に許さないと思うんですよ。二百ページの検証報告書を出さない限り、この問題は終わりません。国益に反しますよ、これ。ちょっと何とかしてください。ヒアリング調査をするつもりはありませんと、何でそんなに偉そうに言えるんですか。国民は許さないと思いますよ。

佐川政府参考人 大変何度も繰り返して恐縮でございますが、大阪府におけましては、そういう認可の基準の適合性に関する検証を行ったということでございますが、私ども、本当に国有地の処分手続を通常と同じようにやらせていただいたものでございますので、その点について何かこれ以上詳細な調査をするということではないんだろうというふうに考えております。

足立分科員 ちょうど四月の四日、この大阪府の検証結果が公表される二日前に国交省の航空局を呼んで、航空局に言わせると、野党の皆さんが五月雨式に整頓もせず質問されるので、ああ、それは僕の解釈ですね、そう言っていません、航空局はそう言っていませんが、航空局が言っていることを私が解釈すると、このままでは国民の皆様によくわかっていただけないので、むしろ、航空局の側から説明を一回、質問に答えるんじゃなくて、包括的に説明させてくれということがあったので、してもらいました。すかすかですね、これ。今、航空局も苦慮されています。聞けば聞くほど、やはりこれは問題がありますね、問題があります。結論から言うと、これは悪いのは近財なんです。航空局は巻き込まれたんですよ。

 政権を守るために、いや、私も政権を守りたいですよ、民進党の蓮舫代表とかいう人が首班指名で勝つなんということは絶対あってはいけませんから。だからしっかりと政権を支えていく決意でありますが、その私がお願いしているんですから、理財局長、ぜひ、大阪府の調査に協力する第一歩として、払い下げの全容解明、検証結果の御報告二百ページをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

石関主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山分科員 民進党の小宮山泰子でございます。

 民進党になってから初めて麻生大臣には質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、石関委員長におきましては、やはり国会、参議院の方では重視されていますけれども、特に衆議院においては、この決算、何に結果として税金が使われたのか、この点をしっかり明らかにするために、委員長の責、また通常の委員の皆様には大変期待をしておりますので、頑張っていただければと思います。

 さて、多分、この委員会、先ほどもですが、森友問題ばかりが続いておりますが、きょうは、消費税増税もあり、税収というのは上がっておりますけれども、健全な経済活動、ルールがあってこそ日本の経済財政というものは潤っていくのではないかと思っております。また、公平な、公開された、そういったルールがあるからこそ多くの方が活躍をできる、与党の言うところでいえば一億総活躍につながるのではないかという思いを持ち、また、麻生大臣におかれましては、青年会議所の大先輩でもございます。そういう意味においては、実務の経験もあるということで、そのさまざまなキャリアまた経験というものを踏まえて、ぜひ示唆に富んだ御意見を伺わせていただけることを期待して、質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、金融機関の行政指導のあり方について伺わせていただきます。

 金融機関は、信用、信頼に基づいて真っ当な業務を行っていただくことが大前提となるものだと思います。金融機関、銀行が行ってはならないこと、禁止行為について、銀行法第十三条の三に、「顧客に対し、虚偽のことを告げる行為」や「不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為」などが規定されております。

 そこで、銀行が銀行法第十三条の三あるいは監督指針に反するような業務を行っているとの通告があって、その蓋然性が高いと判断した場合、金融庁は具体的に当該銀行に対してどのような調査、指導を行うのか、お示しください。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 各金融機関におきましては、適切な法令遵守体制を構築することが重要であり、金融庁といたしましては、日々のモニタリングを通じまして法令等遵守体制を確認しているところでございます。

 一般論として申し上げれば、銀行法等に反するような業務を行っている等の情報を得た場合には、モニタリング等を通じまして事実関係を確認し、銀行法等に照らしまして仮に問題が認められた場合には、事案の経緯、重大性、悪質性や、金融機関におきます再発防止策の検討、実施状況等を精査した上で、必要に応じて改善を求める等の対応を行うことになると考えております。

 具体的な内容につきましては、事案に応じてさまざまでありまして、一概に申し上げることは困難でございますけれども、例えば、金融機関における再発防止策の策定等を求めるということになると考えております。

小宮山分科員 金融機関において不祥事件が生じた場合において、銀行法第五十三条の規定がございます。五十三条「届出事項」は、内閣総理大臣、金融庁に対する届け出事項を定めていて、同条一項八号で「その他内閣府令で定める場合に該当するとき。」とされ、対する銀行法施行規則では、三十五条一項第二十五号で「銀行、その子会社又は業務の委託先において不祥事件が発生したことを知つた」ときと記されております。

 銀行法施行規則三十五条七項は、不祥事件について、「銀行の業務又は銀行代理業者の銀行代理業の業務を遂行するに際しての詐欺、横領、背任その他の犯罪行為」、「出資の受入、預り金及び金利等の取締りに関する法律又は預金等に係る不当契約の取締に関する法律に違反する行為」などと、詳細に規定しております。

 そこで、金融庁は、銀行法五十三条に基づく不祥事件の届け出があった場合はどのような指導を行うのか、お聞かせください。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 銀行から銀行法第五十三条に基づく不祥事件等届出書の提出があった場合には、先ほど申し上げました、銀行法等に反するような業務を行っているとの情報を得た場合と同様でございまして、事案を精査した上で、必要に応じて改善を求める等の対応を行うことになります。

小宮山分科員 銀行法施行規則三十五条八項は、届け出の期間制限として、不祥事件の発生を銀行が知った日から三十日以内に行わなければならないと定めております。したがって、不祥事件と考えられる事実が判明した場合は、独立した立場にある監督部門によって調査を行うなどして、場合によっては弁護士等の意見を確認して、遅くとも三十日以内に届ける必要があるということでもあります。

 それでは、不祥事の届け出がおくれたり、あるいは届け出が出されなかった場合は、金融庁は当該金融機関に対してどのような措置をとることとなるのか、お知らせください。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 銀行法第五十三条に基づく不祥事件等届出書の届け出遅延あるいは届け出漏れが判明した場合におきましては、まず、銀行に対しまして速やかに届け出を行うように指示をいたします。その上で、届け出書の内容を踏まえて、必要に応じて改善を求めるということになります。

小宮山分科員 届け出がなされなかった場合というのは、そういった不祥事件というのを知ることができるのか。これも後であわせてお聞かせいただきたいので、あと二問続けて質問させていただきます。

 銀行法五十三条、同法施行規則三十五条一項二十五号の不祥事件は、銀行あるいは銀行職員による刑事事件だけではなく、取引先から銀行がだまされた場合も含まれるのか、見解をお聞かせください。

 あわせて、金融庁は、不祥事件について虚偽報告をした場合、銀行に対してどのような処分を行っているのか。また、銀行の虚偽報告に対して、金融庁は、これまでの処分事例、また、どのように虚偽報告だということを確認したのか。この点についてもお示しいただければと思います。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、銀行法五十三条、同法施行規則三十五条第一項第二十五号の不祥事件とは、先ほど委員が列挙されましたように、幾つかの行為が掲げられております。

 この条文に基づけば、銀行等が犯罪行為等を行うことは不祥事件に該当する、これは当然のことでございますけれども、銀行側が犯罪行為等を受けた場合については基本的には想定されていないものと認識しております。

 ただし、銀行が、ATMからの現金窃盗や強盗など、現金等の盗難被害に遭った場合には、銀行法施行規則第三十五条第七項第三号に基づきまして、現金等の紛失のうち、銀行の業務の特性、規模等を勘案し、重大な紛失と認められるものにつきましては不祥事件に該当するということになります。

 続きまして、銀行が当局に対しまして虚偽報告を行うなど、銀行の法令等遵守体制や経営管理体制等に問題が認められた場合につきましては、基本的には、まず、銀行法第二十四条に基づきまして、当該事項についての事実認識、発生原因分析、改善対応策等について報告を求めることとしております。

 当該報告を検証した結果、銀行業務の健全性、適切性の観点から重大な問題が認められる場合、あるいは重大な法令違反や公益を害する行為が認められる場合などにおきましては、銀行法第二十六条等に基づきまして、業務改善命令や業務停止命令等を検討することとなります。

 銀行法第二十六条等に基づく行政処分は、さまざまな事由を勘案して発出するものでございますが、銀行等の虚偽報告が行政処分事由の一つとされている事例といたしましては、例えば銀行職員による詐欺、横領等に係る不祥事件届け出を怠っていたほか、事実と異なる内容の届け出が行われていたことに加えまして、銀行法二十四条に基づく報告徴求に対しても事実と異なる報告が行われており、さらに、これに関して代表取締役の指示等が行われているなど、法令等遵守体制、経営管理体制等に重大な問題が認められたことにより業務改善命令を発出した事例があると認識しております。

小宮山分科員 基本的には、やはり大資本でもありますので、金融庁というよりかは、銀行というのは大変その責務というのは大きいと思います。

 そこで、平成二十二年以降、経営者以外の第三者個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立し、保証履行時における保証人の資産、収入を踏まえた対応を促進することを打ち出した結果、各金融機関も、それ以降は融資に当たり第三者保証を求めなくなっております。

 金融機関の融資に関しては、連帯保証の悲劇は大幅に減少することが期待されておりますが、これらの取り組みは、民法、債権法の改正をしていないのもあって、大いに評価をする面もありますけれども、いまだに物上保証の規制をしないと抜け穴ができてしまうということがよく聞かれております。

 そこで、銀行の言葉を信用して、会社役員になった上、自宅にその会社の借り入れのための抵当権の設定に応じてしまった事例を聞いたことがございます。一般に連帯保証責任と物上保証責任とは責任の及ぶ範囲が違うといっても、多くの物上保証では個人の自宅、店舗が物上保証になっていますから、これらを奪われることになると、物上保証人の生活は破綻することとなってしまいかねません。

 そこで、物上保証についても連帯保証と同様の規制をかけるべきではないかと思いますが、この点に関しまして見解を求めたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘がありましたけれども、連帯保証のことに関しましては、私どもの方、政権が今の安倍内閣になってから、いわゆる担保とかそういったものに過度に依存している融資体制、質屋と変わらねえじゃねえか、銀行と質屋とどこが違うんだ、同じことをやっているんじゃないのという話から、これはちょっと過度に依存し過ぎるのはいかがなものかということで、今言われましたように、何年だか、七月ぐらいでしたかね、ああいったもののいわゆる監督指針というものを改正させていただいて、今言われたような評価をいただけるようになったんだと思っておるんですが。

 今言われましたように、物上保証についてもというお話ですけれども、この物上保証というのは、連帯保証とは違っていまして、提供するものの範囲が、担保に供した財産というものの範囲というのがもうきちんとはっきりされておる、これが一つです。これは、連帯と全然そこは意味が違います。

 それから、書類をつくりますときに、成立をするときの、個人の連帯保証とは異なりまして、物上保証の場合は登記が要りますから、登記の手続を必要としますので、これは一定限度検討するという、連帯保証しますなんというんじゃなくて、ちゃんと、物上保証の場合にはきちっとした書類を出さなきゃいかぬという時間も確保できますので、個人の連帯保証とはかなり異なる性質を有しておるんだと思っております。こういった意味から、今、第三者によります物上保証というものに関して、これは連帯保証と同列に扱うという必要はない、これは十分時間があるんだということなんだと思っております。

小宮山分科員 大臣、そうおっしゃいますけれども、先ほど、ちょっと前に事例を挙げさせていただきました。御主人等が亡くなって、その御夫妻とかが営んでいたところに、物上保証という形で家とかを、役員になれば情報が得られるからと言って、銀行の方が問題がないからと言って入れた事例等も聞こえてまいります。

 そういう意味においては、なかなか物上保証の制度というのは、実は連帯保証以上に知られていないというのも現実であります。また、大手の会社等であれば、そういったことはないんでしょう。個人企業が大半を占める日本においては、やはり、こういった情報をたくさん持っている、法律的知識がある側というのがどうしても強くなるのが現実じゃないでしょうか。

 とりわけ、信用保証協会の連帯保証人に対する取り立ては過酷であるという話も伺います。私も、埼玉県会議員をやっていたときに、無担保保証、そのときもかなり埼玉県の経済的状況が悪いということで、県としては無担保保証の枠をつけた割には、結局のところ、保証協会の方で、枠をつけなきゃいけないということで保証がとられたという事例があって、後ほど、その実情がわかったので、その点はただしたことがございます。

 そういう観点でいきますと、平成十八年度までは第三者保証が行われていたために、それ以前に保証人になった第三者に対しても、信用保証協会が裁判を起こして、勝訴判決に基づいて第三者の自宅を強制的に競売する事例というのが今も起こっております。

 そもそも、信用保証協会は、保証人をとること自体問題だったから、平成十八年以前に保証人となった第三者に対する取り立ては規制すべきではないかと思います。中小企業庁はこれらについてはどう考えるのか、見解をお聞かせください。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 金融機関が中小企業に融資を行う際、事業に関与していない第三者が、経営者との個人的関係等によりましてやむを得ず保証人となり、その後、借り手企業の経営悪化等によって社会的、経済的に重い負担を強いられることは極力避けなければならないと考えております。

 経産省では、平成十八年三月に、信用保証協会に対して、経営者とともに事業に従事する配偶者などの特別な事情がある場合を除きまして、第三者保証人を徴求することを原則禁止する通達を発出しており、現在、保証協会においては、第三者保証を原則として徴求しておりません。

 他方で、御指摘のような、過去に中小企業の信用力を補完するために第三者保証を設定した保証契約に基づき信用保証協会が保証人から債権の回収を行うことについて、当該契約の後に政府が強制的に禁止をすること、規制することは適当ではないというふうに考えております。

 しかしながら、保証履行時の対応によっては保証人の社会生活を営む基盤すら失わせるおそれがあることから、政府は、信用保証協会向けの総合的な監督指針等において、保証履行時において、保証人の資産、収入を踏まえたきめ細かな対応を行うことを求めております。

 このため、各地の信用保証協会においては、完済見込みのない保証人から申し出があり、保証人の資力に応じた一定金額の弁済がなされた場合には残りの債務金額の免除を行うといった形で、保証人の個々の事情に応じた柔軟な対応を行ってきております。

 政府としましては、引き続き、信用保証協会による取り組み状況を注視して監督を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小宮山分科員 そこで問題になるのが、制度融資の趣旨を逸脱して、銀行が信用保証協会つきの融資金で銀行の既存債務を弁済しているとの報告が私にも多数寄せられております。

 金融庁は、このような場合、当該銀行及び信用保証協会に対してどのような調査、指導を行っているのか、関係省庁も含めて御説明いただければと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 金融機関が信用保証つき融資によって既存の債務を返済させる、いわゆる旧債振りかえと言っておりますけれども、これにつきましては、信用保証協会と金融機関の間で締結しております約定書におきまして、原則として禁止ということにされております。したがって、金融機関がこれに違反して旧債振りかえを行った場合は、信用保証協会は代位弁済を否認できることとなっております。

 金融庁といたしましても、金融機関において信用保証制度を利用したいわゆる旧債振りかえが行われていないかといった観点も踏まえて、金融機関の適切な業務運営が確保されるよう、検査監督に努めているところでございます。

 こうしたことから、いわゆる旧債振りかえが多数発生している状況にあるとは考えてはおりませんが、今後とも引き続き、信用保証制度の趣旨を踏まえて、中小企業に対する円滑な資金供給が行われるよう、しっかりと監督してまいりたいと考えております。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 銀行が個人への貸し付けに当たっては、銀行の実質子会社である保証会社と保証契約を締結させることが一般的に行われておりますが、これは、銀行にとっては不良債権飛ばしの抗弁の切断など幾つものメリットがございますが、債務者にとっては高額な保証料を支払わされるだけでほとんど意味のないもの、どちらかというとデメリットにつながるものでもあります。

 保証会社との保証契約については規制すべきではないか、また、この情報については、やはりしっかりと債務者にも全て情報公開をされるべきではないかと考えますが、この点の御見解をお聞かせください。

西田政府参考人 お答えいたします。

 銀行が個人向け貸し付けを行う際に、契約者と銀行の保証子会社との間で保証契約を締結する場合があることは承知しております。貸し付けにあわせてこの保証契約を締結するかどうかという点につきましては、民民の契約に関する事柄でありますことから、金融庁として、保証料の水準等に関して一律の規制を設けることは考えておりません。

 なお、保証子会社の保証を利用する理由などについて一部の銀行にヒアリングしたところ、例えば、弁済遅延等の事故が発生した債権につきまして保証子会社で専門的に管理、回収を行うためであるとか、あるいは住宅ローン等の抵当権設定に係る事務集中による効率化を図るためというのが主な理由であると聞いております。

 いずれにしましても、金融庁といたしましては、個人向け貸し付けに係る保証契約に関し、仮に問題となる事例が認められた場合には、適切な業務運営を確保するといった観点から、必要に応じて指導を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

小宮山分科員 続きまして、金融機関の融資検討過程における文書等の作成並びに保管についてお伺いいたします。

 裁判では、訴訟提起後、文書提出命令により裁判所が証拠資料の提出を当事者に命じることができますが、証拠資料として必要性を示すことが求められ、また裁判所も、そうした書類を銀行の内部文書であるとして、提出命令の対象文書に当たらないという考えも示されてまいりました。

 まず、前提として、金融機関が公平な裁判を行うにしても、金融機関が顧客との取引を行うに当たり、法的に作成が義務づけられている文書として何があるのか、御明示いただきたいと思います。

 引き続いて、もう一問。

 銀行稟議書、CRM等は、銀行の業務が適正に行われたかを担保するため、また、その後調査するためにも、作成を法的に義務づけるとともに、保管及び必要に応じて顧客に開示することを義務づけるべきではないかと思います。

 この点に関しまして、二点、お聞かせください。

松尾(元)政府参考人 お答え申し上げます。

 法令上、銀行に対しまして、融資取引を行うに当たり、顧客保護など業務の健全かつ適切な運営を確保する観点から、顧客の知識や経験、取引の目的、内容に応じて必要な体制を整備することが求められております。

 なお、監督指針におきましては、例えば契約時点において、契約者に対し契約内容を説明し、借り入れ意思があることを確認した上で、行員の目前で、契約者本人から契約書に自署、押印を受けることを原則としているか、また、貸付契約書について、その写しを交付すること等により顧客が契約内容をいつでも確認できるようになっているかといった点についても、監督上の着眼点としているところでございます。

 続きまして、二点目でございますが、銀行法におきましては、業務に係る重要な事項の顧客への説明を含めて、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じることが義務づけられておりまして、これを担保するための文書管理を求め、各銀行において適切な業務運営が求められております。

 ただし、その際、利用者保護の確保と同時に、業務運営の自主性についても尊重される必要がございます。どのような書類を作成、保管すべきかということを法令によって形式的に一律に義務づけるということは必ずしも適当ではないということでございます。

 また、顧客保護の観点から、契約内容や取引条件等の丁寧な説明が重要であることは言うまでもございませんが、御指摘のような書類に、意思決定など銀行の内部情報を含む場合がございます。また、顧客との関係にもさまざまな状況が考えられますことから、顧客への開示についても、法令によって形式的に一律に義務づけるということは必ずしも適当ではないというふうにも考えているところでございます。

小宮山分科員 法的に義務づけるということはないというところでありますが、正直申し上げまして、それでは、最終的に、今回、森友事件やさまざまな防衛省の問題等、行政文書がなくなるということがございました。民間であれば、意図してつけないことによって立場を守るということも、うがって見ればあり得るんじゃないか。また、そういった案件も見受けられないわけではございません。特に、裁判に係るようなもの、また、強引な融資や保証人をとるといった中においては、やはり記録が残らないことによって銀行側に有利になる、また、債務者側にとっては非常に不利になるという事例を聞いたことがございます。

 やはりここは、公正な判断をするために、法的義務づけが必要ではないかと思います。ぜひ御検討いただきたいと思いますので、麻生大臣、よろしくお願いいたします。ちっちゃくうなずいていただきましたか。(麻生国務大臣「質問」と呼ぶ)質問、要望も兼ねまして。要望だと答えていただけませんか。じゃ、質問をしたいと思いますので、麻生大臣、お答えいただければと思います。

麻生国務大臣 今、役所の方からちょっと説明をしましたけれども、この話は、利用者保護の立場の話と、もう一個、同時に業務運営の自主性というものを考えておかないといかぬので、両方尊重される必要があります。

 どのような書類を作成するとか保管しろとかいうことに関しては、これは法令によって一律に義務づけるという話ではないのではないか。また、顧客保護の観点から、契約書の内容とか取引条件のもとでのいろいろな丁寧な説明が重要なのは言うまでもありませんけれども、御指摘のような書類ということになると、意思決定をするときに銀行の内部情報というものを含むことになりますから、そのときに、この人はという話は個人情報も入ってきますので。

 また、顧客との関係でさまざまな状況も考えられて、例えばこれは目下裁判中の話とか、いろいろな話が出てきますので、顧客への開示についても、法令によって一律に義務づけるということに関してはちょっと適当ではないのではないかと思います。

小宮山分科員 法令に位置づけるのは適当ではないのではないかという大臣の見解ではございますが、これからグローバル化に入っていく中において、なぜ今この質問をしたかといえば、米国での民事訴訟では、ディスカバリー、証拠開示手続という強力な証拠収集手段があり、相手方に、双方ですね、証言や証拠の開示を要求することができます。ディスカバリーによって相手方に求められる証拠資料の範囲は極めて広範であり、当事者の抗弁などに関するものであれば全て対象になります。特に、証拠がいずれかの一方当事者によって偏って存在する場合には、極めて裁判上に有効な手段となると言われております。

 ディスカバリーの手続には、質問状、事実関係に関し相互に交わされる複数項目の質問リスト。自認要求、立証を簡単にするため、基本的事実に関し相手方の自認を求める書面。書類提出要求、訴因に関係するあらゆる書類、記録の提出を求める書面であります。デポジション、法廷外において関係者から直接に証言を求め、正式記録を作成するための質疑応答。などが含まれております。

 金融機関と顧客の間で裁判の現状を鑑みれば、米国の裁判で用いられているディスカバリーを参考事例とした、証拠提出を求めるための制度が整えられることがやはり必要ではないか、望まれているところでもあります。法的な義務でなければ、やはりこうやって裁判において同等のちゃんとした情報を持ち、公平な裁判が行われるというところを整備することというのは大変必要だと考えております。この点に関しましての所見をお伺いいたします。

金子政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のアメリカのディスカバリーは、相手方の手持ち証拠を収集する強力な手段として機能している一方で、アメリカ国内においても、その手続のために多大な費用と時間を要するなどの弊害があることが指摘されているものと承知しています。

 また、我が国の民事訴訟法における証拠収集手続のうち、ディスカバリーと同様に法的強制力を有する証拠開示制度としましては、委員から言及がございました文書提出命令の制度がありますが、これらの制度においては、裁判所が、立証対象である事実の重要性、証拠としての必要性、それからプライバシー保護の必要性等を勘案して文書提出命令を発するか否かを個別に判断するものとされています。

 このような既存の制度で十分かどうかという議論はあり得るところですが、このような制度は証拠開示の制度として確立しているところ、これと両立する形で、当事者に対して包括的な証拠開示を義務づけるディスカバリーの制度を導入することは困難であると考えられます。そのため、我が国にディスカバリー制度を導入することについては、このような問題点を踏まえ、慎重に検討する必要があると考えられます。

小宮山分科員 法務省はそうおっしゃいますけれども、そこは公平な判断をどれだけできるのでしょうか。やはり、大手資本が持っているところ、また法務担当等さまざまな知識を持っている人たちがそろって開示をしないということでは、正直言って、ちゃんとした、被害者になる方たちを救うことはできないし、裁判官が公平な判断をすることもできないと考えます。今の点には強く抗議を申し上げていきたいと思います。

 監督指針の中で、利用者保護のための情報提供は、顧客から説明を求められなければ説明する必要はないという趣旨なのか、意味について御説明いただきたい。また、説明を求めることすら知らない顧客に対する保護としては不十分であり、より積極的に説明を行うよう徹底する必要があるのではないかと考えますが、御見解をお聞かせください。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 主要行等向けの総合的な監督指針におきましては、お客様から説明を求められた場合には、個別事項を含めまして、契約締結の客観的、合理的理由について、理解と納得を得ることを目的とした説明を行うことを求めております。

 この説明につきましては、例えば、お客様が契約内容を十分理解されている場合などについてまで一律に説明を行わせることは、金融機関の業務上の負担あるいはお客様のお時間の都合などを考えれば必ずしも適当でないと考えられることから、お客様から求められた場合に説明が必要とされているところでございます。

 他方で、監督指針におきましては、その前提といたしまして、金融機関に対しまして、お客様の求めがなくとも、お客様の十分な理解を得ることを目的として、必要な情報を的確に提供することを求めておりまして、お客様の知識、経験、財産の状況あるいは取引を行う目的に応じた説明体制をとることを求めております。

 このため、知識、経験が不十分であると考えられるお客様に対しましては、金融機関としては、個々の事案に応じまして、求められずとも、契約の内容や条件設定の理由などについて必要な説明をすることが望まれるというふうに考えてございます。

小宮山分科員 最後になりますけれども、自己破産した個人への固定資産税のあり方について伺います。

 法人の自己破産では、法人が消滅することで、未払いの税金についても免じられることとなりますが、これに対して、個人が自己破産した場合には、各種債務は免除となるものの、滞納、未納分の税金については免除となりません。その結果、土地建物の処分はすぐには行えず、場合によっては数年の期間を要することもあります。また、土地建物の名義が自己破産した者の名義から変更されないまま残るということも起こってまいります。

 この点に関しまして、自己破産した個人に対してもやはり早急に対応するべきだと考えますが、また、この点をよくわからない地方自治体等が手続をしないということもどうもあるようでもあります。さまざま問題点のあるこの分野について御説明をお聞かせください。

石関主査 申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

開出政府参考人 土地家屋に対する固定資産税につきましては、課税庁が賦課課税として大量一括に課すものでございまして、真実の所有者の把握は容易でないことから、土地家屋につきましては、原則として、登記簿に所有者として登録されている者をもって固定資産の所有者とすることとしております。

 自己破産の場合も、破産管財人等への名義変更を行っていただくことにより、自己破産者が納税義務者となることを避けることができるわけでございまして、それに多大の労力を要するという事情もないと考えられることから、現行制度の中で対応していただくべき問題であると認識しております。

小宮山分科員 個人資産がなくなり、そして個人破産して、一刻も早く次の生活再建ができるように。時には、この税金の収納のために年金まで取られるというのも起きているようであります。この点の改善を早期に求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石関主査 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

 原口君におかれましては、体調によって、着席のままでも結構でございます。

原口分科員 おはようございます。

 委員長初め、御配慮ありがとうございます。もう大丈夫ですので。

 民進党の原口一博でございます。

 きょうは、平成二十六年度、二十七年度決算について、主に会計検査院の指摘を中心に質問させていただきます。

 順番をちょっと変えますが、対日本銀行に対して。

 会計検査院が日銀に対して指摘をしていますが、量的・質的金融緩和等の日本銀行の財務への影響について触れていますけれども、その概要を手短にお願いします。

雨宮参考人 会計検査院の報告の概要でございますけれども、会計検査院の所見といたしまして、この間の日本銀行の量的緩和に基づきまして、長期国債の大量買い入れを行い、かつその長期国債の利回りが低下していることを踏まえまして、今後、適切に各引当金等を積み立て、また、必要がある場合には、剰余金の五%に相当する額を超える金額を積み立てるといった方策を講じまして財務の健全性の確保に努めることが重要である、このような報告をいただいております。

原口分科員 ごめんなさい。会計検査院に聞いたんですけれども、日銀が答えてくれて。

 会計検査院、どういう指摘をしていますか。

鈴土会計検査院当局者 恐縮でございます。再度になりますが、お答えさせていただきます。

 会計検査院は、平成二十五年度から二十七年度までの決算検査報告におきまして、特定検査対象に関する検査状況として、量的・質的金融緩和等の日本銀行の財務への影響についてを継続して掲記してきております。

 平成二十七年度決算検査報告では、日本銀行は、財務大臣に対して法定準備金の積み立ての認可申請を行い、同大臣の認可を受けて、二十六年度は当期剰余金の二五%に相当する額を積み立てていること、二十七年度は拡充された債券取引損失引当金制度のもとで同引当金の積み立てを行っていることなどを記述しております。

 そして、会計検査院の所見といたしまして、日本銀行において、保有する長期国債の利回りが低下してきていることなどの状況も踏まえて適切に引当金を積み立てるなど、財務の健全性の確保に努めることが重要であることなどを記述しているところであります。

原口分科員 そうですね。

 お手元に資料を配らせていただきましたけれども、資料の二と三、そこに今の会計検査院の指摘があります。

 ECB、FRBに比べても、対GDP比で三倍もバランスシートが膨らんでいる。これは大変大きな、ある意味で危機というふうに捉えなきゃいけない状況なのかもわからない。つまり、ここでは非常に、財政再建、国債を随分買い込んでいますね、そして、今の引当金という話ですけれども、日銀に聞きますが、これは長期金利の仮定をしなきゃいけないけれども、いつも日銀総裁に聞いているんですけれども、長期金利が仮に一%上昇した場合、日本銀行のバランスシートはどうなりますか。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、日本銀行は国債の評価方法につきましては償却原価法を採用しておりますので、長期金利が上昇したとしても、決算上の期間損益において評価損失が計上されるということはないわけでございますが、その上で、昨年、二〇一六年九月末時点における長期国債の保有状況を前提としまして、仮に御質問にありましたとおり長期金利が一%、いわゆるパラレルシフトと申しますか、イールドカーブ全般にわたって一%上昇した場合の時価総額の減少幅を計算いたしますとマイナス二十三・八兆円程度、こういう計算になるということでございます。

原口分科員 世界的に金利の動向、今まで超低金利が当たり前だった、しかしそれが新しい時代に入っているんじゃないか、つまり金利が上昇していく局面に入っているんじゃないか。今、二十三兆円ということでしたけれども、それだと引当金は足りますか。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 まず、今申し上げましたのは、仮に一%上昇したケースのいわば含み損の額でございます。

 もう一度申し上げますと、日本銀行は国債の評価方法について償却原価法という方法を採用してございますので、ただいま申し上げましたような損益、損失が計上されるということはないわけでございます。

 ただし、先生の御質問は、金利が上昇したときに、こうした含み益、含み損とは別に、日本銀行の収益が減少するのではないか、その観点から引き当てが十分かどうかというふうに考えますが、その点で申し上げますと、私どもとしてはこう考えておりまして、こうした量的金融緩和を実行している最中はバランスシートは拡大いたしますので、収益は拡大する傾向にございます。一方で、出口の局面では、付利金利の引き上げ等によって収益が減少する傾向があるわけでございまして、こうした収益の振れを平準化し、財務の健全性を確保する観点から、債券取引損失引当金というものを拡充して持っているわけでございますが、現段階では、事前の対応としては十分なものというふうに考えてございます。

原口分科員 私は、国債のバブルというか、バブルを起こす政治はやはりよくないと思うんですね。これは、財務大臣とも前、財務委員会で議論させていただきましたけれども、そのことだけ指摘をして、次に行きたいというふうに思っています。

 もうお帰りいただいて結構です。

石関主査 雨宮理事は退室して結構です。

原口分科員 さて、もう一つ、今回の決算で会計検査院は指摘をしています。

 「普通財産の管理及び処分に係る業務を委託するに当たり、総合評価落札方式により落札者を決定する際に加点評価した提案の内容を確実に契約に反映することにより、会計法の趣旨に沿って国にとって最も有利な内容で契約を締結することとなるよう改善させたもの」、これについての指摘を会計検査院はしていますね。

 大体、百十一件のうち、それに沿ったものは幾らありましたか。教えてください。

鈴土会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 案件の概要から御説明申し上げてよろしいでしょうか。(原口分科員「いや、簡単に。聞いたことだけで結構です」と呼ぶ)はい、わかりました。

 業務委託契約百十一契約、契約額百四十六億七千五百六十万余円、これが総合評価落札方式による一般競争で行われていたわけであります。

原口分科員 いや、その中で、総合評価方式に沿わないものがあったから指摘をしたんじゃないんですか。落ちついて答えてください。

鈴土会計検査院当局者 失礼いたしました。

 先ほど申し上げました百十一契約におきましては、総合評価における加点評価項目、これが全部で千三百一、全体でございます。その中で、評価の内容が適切に契約に反映されていたものが一契約に係る二項目のみという状況で、契約で申しますと、百十一契約全体に問題があったというものでございます。

原口分科員 そうですね。それを聞いているんで。

 皆さんのお手元の資料の一をごらんください。表が右下にありますけれども、これです。百十一件のうち、今お答えにあったような、契約に反映しているものはたった一件だけ。

 これは、財務省、どういう理由ですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、総合加点評価ということで、普通財産の管理業務につきまして民間委託を推進したところでございますが、今委員御指摘のとおりで、実際のところは余り契約に反映されていなかったという実態が過去ございまして、その理由としましては、やはり、この通達等の改正をする前でございまして、実際の契約に反映する必要があるという理解が職員に十分でなかったんじゃないかというふうに考えてございます。

原口分科員 ということは、局長、通達をすれば、それはやはりしっかりと職員に反映をする、こういうことでよろしいですね。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 検査院の指摘をきちんと受けとめまして、二十七年九月十四日で通達改正を行っておりまして、今後は、御指摘も踏まえまして、加点評価した提案内容を確実に契約に反映させるように行ってまいりたいというふうに考えてございます。

原口分科員 今の質問、後で、答えを皆さん、局長のお答えを覚えておいてください。

 その先に進む前に、消費税について少し財務大臣とも、久々ですので、議論をさせていただきたいと思います。お会いできて光栄です。

 これは事務方で結構ですから、消費税、これまでに総額どれぐらい国庫に入りましたか。教えてください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税創設が平成元年でございます。直近二十九年度まで合計をいたしますと、約二百九十兆円程度が消費税収全体でございます。

原口分科員 地方も入れると、大体三百五十兆ぐらいじゃないですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたのは国の分でございます。地方を入れますと、おっしゃるとおりでございます。

原口分科員 大きな額ですね。

 しかし、当初、平成元年に入れたときは、これは減税の方が大きい。それから、平成八年のときは、レベニュー・ニュートラルといいながらも、減税先行。それから、自公の皆さんと民主党で合意をしたところで、やっとそこでプラスという形で、消費税の導入や税率引き上げが我が国の財政再建にネットでどれぐらい貢献したのか。これ、ちょっと数字で教えてください。

星野政府参考人 今先生御指摘になられましたように、最初の消費税の導入自体は、確かに全体は減税で行われました。次の引き上げのときは基本的に増減収同額でございます。

 そういう意味では、消費税収が財政的に貢献したというのは、直近、五%から八%に引き上げたという場面かと思います。これ自体は、二十六年度に引き上げまして直近二十九年度までになるわけですけれども、これが幾らぐらいかと申し上げますと、大体、一%当たりの消費税収は、国、地方を合わせて二・七兆円ぐらいでございます。三%引き上げましたので約八兆強、これが四年間、二十六年度から二十九年度でございますので、三十二兆を超えるぐらいに機械的にはなりますけれども、初年度は引き上げの効果が完全には生じないことを勘案いたしますと、二十六年度から二十九年度までの消費税収で、増収になった分は約三十兆強ぐらいと見込まれます。

原口分科員 財務大臣、今お話しのようなとおり、だから三百五十兆ぐらい今まで国庫に来ているけれども、まあ、財政再建への寄与というのはそこまでではなかった。この三十年ぐらい、大きな政治コストと、経済のある意味大きなインパクトを与えながらも、私たちは、直間比率を変えたい、安定的な財源を持ちたいということで、消費税を与野党の壁を越えてやってきたんですけれども、もうちょっとやはり、政治的なコストや経済に対するコストを考えると、考え方があるんじゃないかと思ってきょう議論しています。

 事務方で結構ですけれども、ヨーロッパの消費税の上げの中央値ってどれぐらいですか。一%というふうに私は聞いていますが。こんなに二とか三とか一気に上げたりというのはしないというふうにかつて財務省から聞いた記憶がありますが、いかがですか。

星野政府参考人 ヨーロッパの消費税の引き上げ、もちろん、各国まちまちでございますので、平均的に何%かということをなかなか申し上げるのが難しいのでございますが、御指摘がありましたように、一%未満で上げている国も結構多うございまして、OECD加盟国における付加価値税の引き上げについて、これまで全体で百二十五件、数えるとございますけれども、そのうち、一%以下の幅で引き上げを行った事例は五十三件でございます。そういう意味では半分弱ぐらいが一%以下の引き上げを行っているわけでございます。

 そういう意味では二%、三%の引き上げというのは、平均から見ればやや大きいということかと思います。

原口分科員 財務大臣、きょうは問題提起にとどめますが、今の答えのようなとおりです。もうちょっとやはり知恵を出していいかなと思います。

 この項の最後ですけれども、アメリカは消費税を導入していませんね、その理由。それから、アメリカで消費税が導入されていないにもかかわらず日本に消費税が存在するということが非関税障壁に見られるということはないだろうな。ここだけ確認しておきたいと思います。

星野政府参考人 まず、アメリカで消費税が導入されていない理由自体、事実関係でございますので申し上げます。

 先生御指摘のとおり、アメリカは、G7諸国では唯一、付加価値税、消費税を導入していない国でございます。

 付加価値税を導入していない理由でございますけれども、アメリカ政府が公式な見解を示しているわけではございません。ただ、例えば二〇〇五年、ブッシュ政権時に税制改革に関する大統領諮問委員会で報告書が出ておりまして、この中で各種税制を幅広く議論しているわけでございますけれども、付加価値税のメリット、あとは留意点について述べられておりまして、例えば付加価値税のメリットとしましては、消費者の消費行動や資本の配分をゆがめず、貯蓄を阻害しないなど経済効率的であり、他の多くの国の税に比べて経済への負荷が小さい、また、インボイスによって取引記録が残るため、企業側のコンプライアンスが高まり、租税回避割合が低下する可能性があるといったことを挙げております。

 他方、留意点といたしましては、付加価値税は、州政府の多くが導入している小売売上税と課税ベースが重複しておりますが、両者の調整が困難であること、それから、企業のコンプライアンスコストや税務当局の執行コストを増加させる可能性があることといったようなことが挙げられております。

 ただ、いずれにしても、アメリカ政府として正式に、導入しない理由を、見解を示しているわけではございませんので、今のような委員会で書かれていることで答弁にかえさせていただきたいと思います。

 もう一つ、日本が消費税を導入していることが非関税障壁に見られるのではないかという点でございます。

 アメリカは、付加価値税を今申し上げたように導入しておりませんので、例えばアメリカ企業が輸出競争力の点で不利になっているといった指摘があることは承知をしております。しかしながら、アメリカを除く多くの国が付加価値税を導入している現状を勘案しますと、アメリカがある意味特殊な状況だということも言われるわけでございまして、日本におきまして、国内で消費される物品について、国産品であろうとアメリカからの輸入品であろうと、同じように消費税が課されることになります。

 また、日本企業がアメリカに商品を輸出する際、その日本企業が消費税の還付を受けることがございますけれども、これは、輸出をしていない他の国内事業者と同様仕入れの際に支払った消費税分を控除した結果として還付が生じたものでございまして、このような消費税や付加価値税を輸出時に還付することは、例えばWTOにおきましても、禁止されている輸出補助金に該当せず、認められているところでございます。

 いずれにいたしましても、日本に輸出するアメリカ企業に比べてアメリカに輸出する日本企業が消費税によって得をしているわけではないと考えておりまして、御指摘のようなことはないかなというふうに考えております。

原口分科員 確認の意味です。

 そうですね。消費税をなぜ入れていないかというのは明言していないんですよ。ただ、いろいろ議論をしてみると、最後はフェアという言葉に行き着くかなと思っています。今回、大臣、フェアという言葉が随分はやりましたね。やはり、優越的地位を持った人がそうでない人に価格を転嫁する、こういったことはあっちゃいかぬし、今、コンプライアンスという話がありましたけれども、確認にとどめておきます。

 さて、国有財産の管理に関して、私も公文書管理法の制定時から議論をしてきましたので、少し理財局長と議論をしておきたいと思います。

 資料をごらんください。四ページです。

 理財局長は、短期間で自動的に消去されて復元できないようなシステムになっていると答弁をされました。

 財務大臣も、総務大臣、もちろん総理も務めておられますけれども、私が総務相のときに、随分コンピューターシステムはレガシーで無駄がいっぱいあったんですね。それを、無駄をなくして、中央省庁全体で三千五百億ぐらいでしたか、それの無駄をなくそうとやってきたんですが、私、こういうシステムが入ったというのは聞いていないので、これはいつ入れましたか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 私、先日、衆議院の決算行政監視委員会で答弁いたしました。

 冒頭申し上げたのは、行政文書は、紙もパソコン上のデータも同様の取り扱いになっているというふうに申し上げております。その意味は、紙は、もちろん不要になれば処理をいたします……(原口分科員「いやいや、聞いたことだけ答えてください。いつ入れたか、システム」と呼ぶ)

 済みません、現行のシステムをいつ入れたかという、そこはちょっと、済みません、私、担当じゃございませんので、いつ入れたかよくわかりませんが、いずれにしても、私は、申し上げたのは、紙も電子データも同じように扱って、電子データも、消去した後に一定期間経過すれば自動的に消去されて復元できなくなるということを答弁しただけでございます。

原口分科員 レクの中で、二十五年度に導入したと。短期間で消去されるのかどうかわからないけれども、そういうシステムを。だったら、どういう仕様で、誰に発注して、どんなシステムかということを確認したくて質問しているわけです。わかりますか。

佐川政府参考人 大変申しわけございませんが、新しいシステムというわけではございませんで、私が申し上げましたのは、以前、財政金融委員会でも御答弁申し上げているんですが、紙もパソコン上のデータも同じように扱います、紙も要らなくなれば処分します、電子上のデータも同様に、自分で消去して、消去した後に一定期間経過すれば自動的に消去される、そのシステムの話をしたわけでございます。

原口分科員 いやいや、これは通告しているので。別にあなたの答弁の補充をしてくれと言っているんじゃなくて、このシステムを、いつ、どのようなコンセプトで入れたかということを、これは通告していますからね。この答弁の釈明を聞いているんじゃないんです。いや、そういうシステムもあるんだなと。そういうシステムをいつ入れて、誰が責任者なのかということを聞いているので、理財局長でわからなければ、誰がわかりますか。

石関主査 いかがですか、財務省。理財局長でよろしいですか。

 佐川局長。

佐川政府参考人 今ちょっと、その電子データシステムを入れた担当の者が来てございませんので、大変恐縮でございますが、いつ、誰が入れたという詳細について、システムの仕様等については今ここで御答弁できません。

原口分科員 では、ちょっととめてください、わかるまで。

石関主査 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

石関主査 速記を起こしてください。

 佐川局長。

佐川政府参考人 現在のシステム、先ほど委員がおっしゃいましたが、平成二十五年に運用を開始しておりまして、調達に当たりましては、政府の基本方針に基づき、仕様書を作成し、入札手続を行い、最終的に、応札があった二社の中で一社を落札した結果、契約を締結することになったということでございます。

原口分科員 その契約の中身と、それから概要を本委員会に提出できますか。

佐川政府参考人 担当でございませんので、そういう詳細なシステムを提出できるかどうか、ちょっと私では判断できかねます。

原口分科員 いやいや、ちょっと、私、システムを見ている担当だったので、この決算ではやはりそれは責任を持ってやらぬといかぬかなと思って聞いているんですが、極めて残念です。

 ちょっと聞きますが、森友学園の問題というのはきょうは触れないつもりだったんですけれども、私、法の執行だけ聞いておくので、この国有地売却に係る文書管理者は誰ですか、教えてください。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省の行政文書管理規則に基づきまして、文書管理者は課長級の者が行っておりますが、今委員御指摘の本件でありますれば、近畿財務局の統括国有財産管理官でございます。

原口分科員 ということは、近畿財務局のその統括国有管理官、この人が文書管理の責任者ということですね。

 資料の六をごらんになってください。国有財産の取得、処分に関する決裁文書、これは三十年になっていますね。それから、国有財産の貸し付けその他運用に関する決裁文書、ここに書いてあるとおりです。

 財務省が私に、森友学園への国有地処分に関して保存されている行政文書として、八ページ、ごらんになってください、これだけのものを出していただきました。ありがとうございます。売買契約書の決裁文書、貸付契約書の決裁文書、森友学園の公的取得要望、国有財産近畿地方審議会への提出資料及び議事録等とあります。

 そこで聞きますが、売買契約書の決裁文書、この一式に、交渉記録や協議記録及び八億円の減額の積算根拠が含まれるというふうに考えますが、いかがですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、契約書等はきちんと保存してございます。

 ただ、今おっしゃいました、その交渉記録とかその都度都度のやりとりにつきましては、それは契約締結時に事案終了ということでございまして、処分してございます。

 それから、もう一点御指摘の八億円の算出の根拠の方でございますが、そこにつきましては、特に八億円の方につきましては、国土交通省の方からさまざまな資料を提出して国会等での御説明をさせていただいているところでございますが、具体的には鑑定評価書の中にそういう金額が記載されてございまして、その中に入っているということでございます。

原口分科員 七ページをごらんください。これが財務省が出している未利用国有地等の管理処分方針というものであります。これは通達です。先ほど、百十一件のいいかげんなやり方をやって、通達がなかったとあなたはおっしゃいましたけれども、これは通達を出しているんですよ。

 そして、ごらんになってください、この下のところ、下から四番目、「処分等価格の決定に至る処分等相手方との交渉の経過については、必ず書面により記録するものとする。」、これが通達の中身です。

 これは何でこういう通達がありますか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 この通達は、委員御指摘のとおりの通達ですが、本年一月に発遣した通達でございます。

 この通達についての説明を先にさせていただきますが、国有地の随意契約、いわゆる地方公共団体等への随意契約をする場合には、基本的には、予定価格を相手からとりまして、見積もり合わせをして予定価格以上で売るというのが私どもの原則でございます。

 そういう中で、相手方において契約金額を見積もることが難しい場合がございます。膨大な処分だったり、あるいは小さな社福等でそういう見積もりができないとか、そういうケースの場合には、随意契約によろうとする場合には、原則ですけれども、基本的に見積書を徴さなければならないことになっています。

 私ども、二十七年の夏以降、さまざま、宿舎削減計画等ございまして、大変多くの公共随契が始まっておりますので、各財務局にどういうふうにやっているかを徴求しまして調査をしてみました。そうすると、財務局によっては、そういう見積もり合わせを一生懸命しているところもありますし、相手方を見て、多分ここは見積もりができないのではないかといって、相手の困難な事情を察して見積書を徴求しないようなケースもありました。

 私ども、そういう意味では、なるべく、公共随契をやる場合には、価格決定の手続という意味で見積もり合わせをした方がいいんじゃないかということで、運用の統一性という観点で通達の改正を考えまして、本年一月にこの通達を改正したところでございます。

原口分科員 いや、そうですか。私、皆さんからいただいて、下にクレジットしていますけれども、平成二十三年五月二十三日財理第二一九九号じゃないんですか。これは皆さんからいただいたんですよ。これって、それから四年後に出たものですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 これは平成二十三年に出した通達でございまして、その後、何度か改正するたびに、何年何月、何年何月と書いて、多分、大変恐縮ですが、委員に御提出したのは、その最初の二十三年のところだけ書いてしまったんだと思いますが、今の委員がお読みになられたこの最後の下の方の行の話は、本年一月十九日に改正した文書でございます。

原口分科員 財務大臣、今お聞きになりましたか。

 こんな大事なことを、何で、処分等相手方との交渉の経過を必ず書けと、こんなもの当たり前じゃないですか。

 今回、近畿財務局のホームページを見ますと、絶対に随意契約しません、随意契約して、そしてだまされる人がいるかもわからないけれども気をつけてくださいという話をしているんですよ。だから、あなたがおっしゃっている、この記録がないということは、本当にこれを去年の、一月に、出したというのであれば、全く皆さんの文書管理はなっていない。

 そして、何でこういう記録をつくるかということを僕らが議論したかというと、皆さんを守るためでもあるんですよ。後から国民からコンプライアンスを問われて、今回内閣まで揺るがすような問題にならぬようにということで、私たちは公文書管理を、もともとは白地、つまり公開と保存とそして説明を原則にしていたんですよ。それを裏返ってやるからわけのわからぬことになる。仕事の仕方そのものが私は間違っていると思います。

 財務大臣、私は外務委員会に今おりまして、外務委員会で、あれは、防衛大臣、稲田さんですか、稲田さんが、あのときは南スーダンの日報の話でしたけれども、一次情報はできるだけ残すべきだというお話をされていました。

 私、これはまさに一次情報だと思うんですね。やはりそういう一次情報をきっちり残して国民に説明していく、後から何か疑いをかけられたら、ちゃんとそうじゃないということが言えるということが大事だと思いますが、財務大臣の御所見を伺いたいと思います。

石関主査 簡潔に願います。

 麻生大臣。

麻生国務大臣 この行政文書の話というのは、これはこのところ、本当にこの二カ月間こればかりで、財務大臣としての答弁はほとんどないという珍しい予算委員会だった。記録に残るほど予算に関する質問がなかったというのは、私どもとして実感がないぐらい、しょっちゅうこの話が出たんですが。

 いわゆる行政文書については、これはいわゆる行政管理法何とか規則によって保存期間はきちんとして、一応は一年未満のものはきちんとしてある、これはもう間違いなくあるんですが、売買契約にかかる保存期間等々は三十年だと思いますので三十年はあるということで、一応きちんとしたものがあるんですが、今言われたように、そういったところの文書の改正やら何やら、もうちょっとわかりやすく、きちっとしておいた方が今後のためになると言っていけば、御指摘はそのとおりだと思います。

原口分科員 ありがとうございました。終わります。

 私は、まさに予算と決算そのものをきょう議論させていただきました。消費税についてもまた議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

石関主査 これにて原口一博君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして財務省所管、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

石関主査 これより文部科学省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。松野文部科学大臣。

松野国務大臣 平成二十六年度文部科学省主管の一般会計歳入決算並びに文部科学省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 まず、文部科学省主管の一般会計の歳入決算につきましては、歳入予算額三百五十六億一千三十万円余に対しまして、収納済み歳入額は四百二十三億八千八百二十四万円余であり、差し引き六十七億七千七百九十四万円余の増加となっております。

 次に、文部科学省所管の一般会計の歳出決算につきましては、歳出予算額五兆六千四百二十二億九千二百六十九万円余、前年度からの繰越額四千二百六十八億五千十四万円余、予算決定後移しかえ増額五億四千九百九十八万円余を合わせた歳出予算現額六兆六百九十六億九千二百八十二万円余に対しまして、支出済み歳出額は五兆八千三十二億四千九百八十四万円余であり、その差額は二千六百六十四億四千二百九十八万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は二千百九十八億九千六百八十万円余で、不用額は四百六十五億四千六百十七万円余となっております。

 次に、文部科学省所管のエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済み歳入額千百七十一億五千五百三十五万円余に対しまして、支出済み歳出額は千百三十六億千二百三十五万円余であり、その差額は三十五億四千二百九十九万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は八億五千六百三十八万円余で、平成二十七年度予算に歳入計上した剰余金は十億七万円余であり、これらを除いた純剰余金は十六億八千六百五十三万円余となっております。

 次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳入決算につきましては、歳入予算額十九億四千三百十四万円余に対しまして、収納済み歳入額は三十七億六千八百四十万円余であり、差し引き十八億二千五百二十六万円余の増加となっております。

 次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳出決算につきましては、歳出予算額千四百五十八億九千七百八十八万円余、前年度からの繰越額千二百六十七億八千三百四十四万円余、予算決定後移しかえ増額六十八億千九十三万円余を合わせた歳出予算現額二千七百九十四億九千二百二十六万円余に対しまして、支出済み歳出額は二千九十五億四千百八十一万円余であり、その差額は六百九十九億五千四十五万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は四百十九億千九百五十八万円余で、不用額は二百八十億三千八十六万円余となっております。

 続きまして、平成二十七年度の文部科学省主管の一般会計歳入決算並びに文部科学省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 まず、文部科学省主管の一般会計歳入決算につきましては、歳入予算額二百八十五億八百三十万円余に対しまして、収納済み歳入額は三百八十四億六百五十六万円余であり、差し引き九十八億九千八百二十六万円余の増加となっております。

 次に、文部科学省所管の一般会計の歳出決算につきましては、歳出予算額五兆四千五百三十億八千二百六十万円余、前年度からの繰越額二千百九十八億九千六百八十万円余、予算決定後移しかえ減額一億六千八百三十九万円余を合わせた歳出予算現額五兆六千七百二十八億一千百一万円余に対しまして、支出済み歳出額は五兆五千四十三億百二十一万円余であり、その差額は千六百八十五億九百八十万円余となっており、このうち、翌年度への繰越額は千三百六十六億六百八十八万円余で、不用額は三百十九億二百九十一万円余となっております。

 次に、文部科学省所管のエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済み歳入額千百三十一億八千三百八十二万円余に対しまして、支出済み歳出額は千九十三億八千五百五十一万円余であり、その差額は三十七億九千八百三十一万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は一億三百万円で、平成二十八年度予算に歳入計上した剰余金は十六億八千六百五十三万円余であり、これらを除いた純剰余金は二十億八百七十八万円余となっております。

 次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳入決算につきましては、歳入予算額十四億三千二百三十七万円余に対しまして、収納済み歳入額は百六億四千八百九十五万円余であり、差し引き九十二億千六百五十八万円余の増加となっております。

 次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳出決算につきましては、歳出予算額二千百七十五億三百五十五万円余、前年度からの繰越額四百十九億千九百五十八万円余、予算決定後移しかえ増額三十七億九千百十三万円余を合わせた歳出予算現額二千六百三十二億千四百二十七万円余に対しまして、支出済み歳出額は千八百五十一億九千六百八十四万円余であり、その差額は七百八十億千七百四十二万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は五百九十一億三千六百八十五万円余で、不用額は百八十八億八千五十七万円余となっております。

 以上、平成二十六年度及び二十七年度の文部科学省所管の一般会計及び特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

石関主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院堀川第四局長。

堀川会計検査院当局者 平成二十六年度文部科学省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたのは、不当事項二十三件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一四号は、全国学力・学習状況調査に係る印刷業務請負契約において、視覚に障害がある児童生徒用の問題用紙等の多くが学校等へ送付されていなかった実態を把握していなかったなどのため、印刷部数が過大となり契約額が割高となっていたものであります。

 同一五号から三六号までの二十二件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち一五号は公立高等学校授業料不徴収交付金が過大に交付されたもの、一六号から二一号までの六件は義務教育費国庫負担金が過大に交付されていたもの、二二号から二六号までの五件は私立大学等研究設備整備費等補助金が過大に交付されていたもの、二七号から三〇号までの四件は私立学校施設整備費補助金(研究装置及びICT活用推進事業)が過大に交付されていたもの、三一号は私立大学等教育研究活性化設備整備費補助金が過大に交付されていたもの、三二号から三五号までの四件は学校施設環境改善交付金等が過大に交付されていたもの、三六号は沖縄振興公共投資交付金(学校施設環境改善に関する事業)が過大に交付されていたものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、国庫補助事業により整備された学校施設の維持管理に関して改善の処置を要求し、及び意見を表示いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、義務教育費国庫負担金における算定総額の算定に関するもの、その二は、インターネット上からの通信が可能なサーバー上で利用していたサポート期間が終了しているソフトウエアの更新等に関するものであり、これら二件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 続きまして、平成二十七年度文部科学省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十四件、意見を表示しまたは処置を要求した事項三件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二〇号は、二〇二〇ターゲットエイジ育成・強化プロジェクト事業の委託に当たり、再委託費算定における収入の取り扱いが適正に行われていなかったため、委託費の支払い額が過大となっていたものであります。

 同二一号から四三号までの二十三件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち二一号は公立高等学校授業料不徴収交付金が過大に交付されていたもの、二二号から二四号までの三件は義務教育費国庫負担金が過大に交付されていたもの、二五号及び二六号の二件は私立大学等研究設備整備費等補助金が過大に交付されていたもの、二七号及び二八号の二件は私立学校施設整備費補助金(教育装置)が過大に交付されていたもの、二九号は文化芸術振興費補助金(地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ)が過大に交付されていたもの、三〇号は文化芸術振興費補助金(文化遺産を活かした地域活性化事業)が過大に交付されていたもの、三一号から四二号までの十二件は学校施設環境改善交付金が過大に交付されていたもの、四三号は私立学校施設整備費補助金(私立幼稚園施設整備費)が過大に交付されていたものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、学校施設環境改善交付金等における学校給食施設事業に係る交付額の算定に関して適宜の処置を要求し、及び是正改善の処置を要求いたしたもの、その二は、高等学校等就学支援金の受給資格の認定等に関して是正改善の処置を要求し、及び意見を表示いたしたもの、その三は、国立大学法人が保有する研究設備の共同利用に関して意見を表示いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、文化芸術振興費補助金(文化遺産を活かした地域活性化事業)の実施に関するもの、その二は、学校施設環境改善交付金等による大規模改造(老朽)事業の実施に関するものであり、これら二件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

石関主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。松野文部科学大臣。

松野国務大臣 平成二十六年度及び二十七年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したところでありますが、平成二十六年度及び二十七年度決算検査報告において会計検査院から御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。

 御指摘を受けました事項につきましては、適切な措置を講ずるとともに、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図ったところであります。

石関主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石関主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石関主査 以上をもちまして文部科学省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石関主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧原秀樹君。

牧原分科員 大臣、きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、改めて言うまでもありませんが、教育というのは国の根幹でございます。特に、日本のように、資源もない、そして食料もカロリーベースで六割近くを輸入に頼っている、こういう国には、本当に資源というのは、一番の資源というのは人材なわけでございます。

 私たちの先人もそのことを歴史的に理解をしておりまして、どの歴史においても、外国の方が日本に来て大変驚くのは、識字率の高さだったり教育レベルの高さであったというふうに言われております。まさに教育こそ、この国の歴史的な発展を支えてきた最大の力の源であるということでございます。

 教育は、今までどちらかというと子供に向ける教育が中心であって、これは今でも変わりません。私も子供の貧困を撲滅するという超党派の議員連盟の取りまとめ役を今させていただいておりまして、この中で先日も文科省の方にお伺いをして、どんな家庭の子供たちにも教育機会の平等を実現したい、私はこういうふうに思って活動しているところでございます。

 しかし、今日においては、日本の高齢化という問題を見たときに、教育というのは子供の教育だけではなくて生涯の教育ということを私は重視したい、こういうふうに思っています。

 私自身、司法修習というものをやったときに、当時、司法修習は合格まで平均で十年近くかかるというような時代でもございました。その結果、何歳になって合格したとかいう人が、結構年齢はばらばらで、また、社会人で昔司法試験に受かったんだけれども、一応キャリアを終えて、そしてその後、一回は退職をして弁護士をやろうかということで修習してきた方もいらっしゃいました。こういう多様な年代の方と触れ合うというのは、物すごい貴重な経験でもございました。

 この意味で、今、高齢化ということをちょっと申し上げましたけれども、去年、総務省が発表した、九月の十八日、敬老の日の後に大体発表されるんですけれども、六十五歳以上の方が三千四百六十一万人ということで、全人口の二七・三%の割合ということで、もう四分の一を超える方が六十五歳以上になっていて、この割合というのはこれからどんどん高くなるわけです。もし、この皆様が、単にお年寄りで年金生活を送ってということになったら、私たちの国は、社会保障制度も含めて、多分社会の維持も難しくなっていくと思います。

 しかし、私たちの国の年配の先輩というのは、あの戦後、厳しい時代を乗り切ってきたり、あるいはバブルの経験、バブル崩壊後の経験など、さまざま本当に貴重な経験をされている先輩方でございます。この先輩たちが七百三十万人就業をされている。全就業者の割合の中でも一一・四%の割合で就業されていて、そしてこれは世界最高のレベルになっている。

 私は、この年配の先輩が何歳になっても本当に活躍をして働いていけるということがこれからの日本の未来への一つの鍵だと思っているんですけれども、その鍵を実現するためにもやはり教育が重要であるというふうに思っております。

 ぜひ、文部科学省におかれましては、生涯学習社会の実現、このことを達成していただきたいと思いますけれども、この取り組みについてまずお伺いします。

    〔主査退席、八木主査代理着席〕

松野国務大臣 牧原先生御指摘のとおり、教育は国の根幹を形成する最重要政策であり、人口減少や長寿化、仕事、働き方の多様化が進む中で、一億総活躍社会を実現し、これまで以上に一人一人が自信と誇りを持って活躍できるようにすることが必要と考えています。

 文部科学省では、教育基本法の精神にのっとり、国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において能動的、自発的に学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現を目指して生涯学習の振興に取り組んでいます。

 今後とも、生涯にわたって学び、活躍できる社会の実現に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

牧原分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 次に、教育で、私はあるときにスイスの大使と話をして、スイスという国は、私もちょっと行ったことがあるんですけれども、国際競争力一位だ、教育の国際競争力も一位だということでございまして、そのときに、どうしてスイスはそうなんですかと話を聞いたら、スイス大使がううんと考えて、自分は日本に赴任してきたときにすごい不思議なことが一つあったと、それは、何のためにみんな大学に行っているんだということだったんですね。

 つまり、スイスでは、中学や高校の早い段階で就職をして、そこがその職業に必要な教育を基礎から教えてくれるという、いわば教育機関としての機能も兼ねている。大学まで行くのは、勉強で生きていきたい、そういう勉強が好きで好きでしようがないような人が大学に行くので、必然的に大学の国際競争力というのは、勉強をするために、勉強で一生生きていこうという人が多いので国際競争力が高い。

 他方で、仕事は、それをずっと、一生仕事をやっていこうと思っている人が早い段階で専門の知識を学んでいくということで国際競争が高い、こういうふうに私は理解をしました。

 翻って考えるに、自分も大学で学んだことを、一体その後どれだけキャリアに生かせているんだろうかと考えると、非常に心もとないものがございます。

 他方で、私自身はアメリカのロースクールに行くことがございましたけれども、そこでは極めて実践的な教育が行われて、例えば、何のために民法があるんだとか、何のために会社法があるんだとか、商売をするためにはどういうことが必要で、そのために法律ってどうやってあるんだとかいうことを非常に実践的に教わって、私は、ああ、法律って社会とこうやって結びついているんだと、正直日本の大学では全く学べなかったセンスを学ぶことができたという思い出がございます。

 この意味で、やはり学んだこととその後のキャリアとの結びつきというものは、日本において、これから例えば一回社会に出た後の、いろいろな働き方の柔軟性なんかを確保していかなきゃいけないときにも一つの鍵になってくると思うんです。

 そういう意味で、文部科学省の方では、その一つの答えとして、今専門職大学というものを検討されているというふうに伺っておりますし、私自身もこのことを後押ししている者の一人なんですけれども、この専門職大学の創設についての今後の予定についてお聞かせいただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 専門職大学につきましては、ただいま委員からお話ございましたように、高等教育段階での職業教育の充実という観点から制度化をこれまで検討してきたものでございます。

 今回法律案を提出させていただいております専門職大学につきましては、すぐれた専門技能等を持って新たな価値を創造することのできる専門職業人材を養成する、こうした専門職大学を制度化するということで、今国会に学校教育法の一部を改正する法律案を提出させていただいているところでございます。

 今国会でこれから御審議いただくわけでございますけれども、この法案では平成三十一年の四月から施行ということになりますので、この国会で法改正をお認めいただければ、速やかに設置基準等の検討を行い、策定、公表してまいりたいと考えておりますし、その後、本年秋を目途に設置認可申請の受け付けを行いまして、大学設置・学校法人審議会による審査の手続を経て、来年の夏を目途に答申を得て、平成三十一年度から専門職大学が開学できるようにしてまいりたいというふうに考えております。

牧原分科員 これは、新たな大学の区分をつくるということなので、大改革になると思いますし、ぜひこのことが国の発展につながるように我々議員も後押ししていかなきゃいけないと思っておりますけれども、これを機に、改めて高等教育全体のあり方をやはり見直すべきだというふうに思うんですね。

 特に、既存のいわば専門的な教育システムというのがありますので、この皆様が、新たにできるということについての、自分たちはどういう役割分担になるんだということを懸念する向きもございます。

 例えば、短期大学という大学制度がございまして、これは二年間で教育を行って、しかもそれは、特に実践的な、その後のキャリアに向けた教育を行っている機関でありまして、重要な役割をこれまで果たしてきたというふうに思うんですけれども、例えば、短期大学との役割分担、機能分担、こういうものについては、文部科学省としてはどのように御検討されているのかお聞かせください。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 高等教育全体のあり方については、昨年秋から中央教育審議会に作業チームを設けまして検討を進めてきたところでございます。その際、短期大学を含む各高等教育機関の機能強化の方向性やそのために検討すべき方策を示した上で、専門職大学との関係についても一定の整理を行ったところでございます。

 具体的には短期大学でございますが、短期大学につきましては、これまで地域に密着をした短期高等教育機関として、学生の約九割を女性が占め、幅広い教養と職業または実際生活に必要な能力を育成しており、保育士、幼稚園教諭、看護師、栄養士等の養成に強みを持つとされているわけでございます。

 また一方で、専門職大学でございますが、特に、企業での長期実習あるいは関連の職業分野に関する教育等を通じまして、高度な実践力に加えて、新たな物やサービスを創造する力の育成に重点を置くものでございまして、いわゆる成長分野、例えば観光、情報、農業等の分野で設置されることが想定をされております。

 その上で、この三月六日の中央教育審議会におきまして、我が国の高等教育に関する将来構想について諮問をしたところでございます。

 今後、中長期的な視点から、高等教育全体のあり方についてしっかりと検討してまいりたいというふうに考えてございます。

牧原分科員 機能分担というか役割分担が大きいということだというふうに理解をさせていただきました。

 ぜひ、今おっしゃったように、短期大学というのは、戦後、特に女性の皆様にとっての教育で非常に重要な役割を果たされてきたということもございますし、うちの地元にも短期大学があるんですけれども、ここでは保育士の方や栄養士の方など、こういうところに確かに強みを発揮されていて、どんなに不景気なときでもほぼ一〇〇%の就職率を達成したということもありまして、逆に言うと、その分野の大切な人材を育てていただいているということでございます。

 そうした機能分担や役割分担については、しっかりと文科省の方でも御説明いただいて、関係者の方に不安がないようにしてほしいし、学生の方からすれば、そういう選択肢がふえた上で、それぞれの役割というのはどうなっているんだということを理解できるようにしていただきたいと思います。

 その重要な選択肢の一つが専修学校であるというふうに思いますが、この専修学校におきましては、職業実践課程認定制度というのを導入して、まさに文科省としてもキャリアとのリンクの重要性を認定しているという制度がスタートしているわけでございまして、これまでに三分の一程度が認定をされたというふうに理解をしております。

 ただ、現場に伺うと、認定制度をとったからといって、ではどういうメリットがあるんだということも若干まだ理解されていない向きがあって、また、都道府県によっては、それを導入すればちょっとインセンティブをつけてやるというようなことを独自にやられているところもあるそうなんですけれども、ぜひ、文科省としても、もう少し、三分の一をもっともっと進めるために、何らかのインセンティブというものを導入すべきではないか、こういうふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の職業実践専門課程は、企業等と密接に連携をして実践的な職業教育に取り組む専修学校の専門課程を文部科学大臣が認定する制度でございまして、最新の数字で申しますと、認定学科数は約四割となっております。

 文部科学省の有識者会議では、ことしの三月に、これからの専修学校教育の振興策に関する報告書を公表したところでございますが、その中において、この職業実践専門課程につきましては、専修学校の教育の高度化と改革を目指す、こうした専門学校の取り組みとして位置づけるとともに、取り組みの充実や改善を図っていくべきということが示されております。

 文部科学省としては、このことも踏まえまして、専修学校の社会的評価の一層の向上に向けまして、情報公開や情報発信の促進など、専修学校による取り組みの充実や改善を後押しするということで振興策を進めてまいりたいと考えております。

牧原分科員 これは確かに難しい判断なんですけれども、ぜひ、例えば何か金銭的なインセンティブみたいなものもあればいいなというのが現場の声でございますので、とるのに結構大変な労力があったりするものですから、それをとったら、とっていないところと比べて、今のような情報公開みたいなことだけではなくて、具体的なメリットがあるようなことをちょっと考えていただければ、よりやる気が出て、そしてより職業実践の課程というのは進むのではないかと思いますので、そこはよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 次に、教育と言えますが、私自身が、現在、党でスポーツビジネス小委員会の小委員長という立場をいただいて、昨年には、スポーツビジネスという今まで余り政府が政策的な視点での考慮がなかった分野におきまして、本当にスポーツ庁創設もあわせて大変御尽力をいただいて、昨年の日本再興戦略、GDP六百兆を目指す中においては、スポーツマーケット、五・五兆円の現在のマーケットを十五兆円にしていくという大変野心的な目標を入れ込んでいただいたところでもございます。

 現在もこれは進行中でございまして、ことしは女性のスポーツの推進というところと、それから大学スポーツ界の改革というところに特に力を入れてさせていただいておりますけれども、昨年はこの分野において何に力を入れたかというと、スタジアム・アリーナ改革ということで力を入れさせていただきました。

 日本のスタジアム、アリーナは、国体標準というか、体育という概念で、同じ基準で同じスタジアムをつくるという、正直言うと全く個性とおもしろみがないものがいっぱいできてしまった結果、日本じゅうにあるスタジアム、アリーナの九九%は赤字になっているという話で、もっともっと高齢化になり少子化になっていくと、どんどんお荷物になっていくということになりかねません。

 そこで、この段階で、スタジアムをもっともっと、プロフィットセンターという形で、みんなが行きたい場所、そしてお金ももうかる場所、そのもうかったお金で子供たちはもっともっとスポーツに夢を持てる、仮に夢破れてもセカンドキャリアが充実している、こういう好循環をつくっていきたいと思っているところでもございます。

 地元のことで大変恐縮ですけれども、うちの地元にも大宮アルディージャという今J1のびりをひた走っているチームがございまして、早く一勝しなきゃいけないと思っていますが、その本拠地がNACK5スタジアムということでございます。これは、数年前に四十二億円をかけて改修したんですけれども、しかし、残念ながら、例えば、女性の皆様が行くと、トイレが男と同じ分量しかなくて非常に並ぶとか、それから食べ物を食べるスペースが非常に少ないとかいう形で、現代版にグレードアップしていないので、同じように、隣にある古い野球場、そして競輪場がそれぞれ並んでいるんですが、こういうものを一体的に開発して、最新鋭の全国のモデルになるようなものをつくったらいいんじゃないかと地元の議員として提案をさせていただいたりしております。

 例えば、こういうように既存のアリーナを近隣も含めて大改革をした場合に、スポーツ庁や文科省として、国として、どういう支援があるのかということについてお聞きしたいと思います。

高橋政府参考人 ただいま委員から御指摘いただきましたように、魅力的なスタジアムの整備につきましては、自民党スポーツビジネス小委員会における御議論、御提言も踏まえ、スポーツ庁において、経済産業省等の関係省庁と連携し、スタジアム、アリーナ推進官民連絡協議会を立ち上げて議論を進めているところでございます。

 昨年十一月には、この方向性を示すスタジアム・アリーナ改革指針を公表し、これまでのスポーツ施設に対する固定観念、前例主義等に関するマインドチェンジを図り、収益性の高い施設の整備に向けた官民連携の必要性等をまとめたところでございます。

 文部科学省といたしましては、経済産業省や国土交通省等の関係省庁や関係団体と連携し、指針に基づく資金調達や事業手法のガイドラインの策定、専門家の派遣、PFIなどの民間活力の導入促進等を通じて、全国各地で構想されている具体の案件への支援を行い、スポーツを通じた地域活性化の実現に向けてしっかりと支援に取り組んでまいりたいと思います。

牧原分科員 ぜひ、これは私自身の責任でもありますけれども、支援というものを形の見えるものにしていかなければいけないと思うんですね。

 例えば、改修費の何割を補助するとかいうことも含めて、やはり、お金もかかる、時間もかかる話ですので、今からやっておかないと間に合わないということにもなります。ぜひ、そうしたことを、具体的にどんな支援があるかということを、これは一緒に考えていくことになりますけれども、お願いを申し上げたいというふうに思います。

 済みません、文科省に対しては最後の質問になりますけれども、実は、私が議員に落選してから再選して一番思い出深いことの一つとして、トビタテ・ジャパンの創設というのがございました。これは当時の下村文部科学大臣と、教育を考える若手経営者、これはダボス会議のヤンググローバルリーダーの仲間なんですけれども、この仲間である会合を開かせていただいたときに、やはり日本の子供たちが海外にどんどん行かなくなっているということが大変心配だという声が上がっております。不思議なことで、これだけグローバル化していったら、普通はどんどんと海外に出てというのが普通の国の傾向なんですけれども、日本は逆になっちゃっているわけですね。どんどん内向きになっている。

 しかし、私自身も、やはり留学を通じて、改めて私たちの日本に生まれたことがどれだけ幸せなことか、我々が既存の、当たり前だと思っている制度や設備やあるいは常識というのが全然世界では常識ではないんだということを気づかされ、改めて日本に生まれたことの幸せをかみしめたということがあるとともに、それによって愛国心が湧くということもございます。

 多くの子供たちが、今本当に、この豊かさが当たり前、そして欲しい欲しいとだけ、欲しがって自分は努力しないというような、残念ながらそういう傾向も一部に見受けられます。平和についての考えなんかも、やや平和ぼけしているという面がございます。そういう意味で、若いうちから海外に行って、日本は世界の中でどういう立場なんだということを知る必要があるというのがやはりこのトビタテ・ジャパンの制度の根幹にある考えだと思います。

 このトビタテ・ジャパン、企業の方からの支援もあるという初めての、画期的な制度だったと思いますけれども、この現状と課題についてお伺いをしたいと思います。

松野国務大臣 社会や経済がグローバル化し、日本企業等が世界に展開をしている中、個々の能力を高め、グローバル化した社会で活躍できる人材を育成するため、日本人学生を留学させることは重要と考えております。

 トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムは、平成二十六年度から、高校生八百十四人、大学生二千四百四十人の合計三千二百五十四人を採択し、順次派遣しているところです。

 本プログラムを通じて、多くの若者がさまざまな困難を乗り越え、技術開発の現場で研さんを積んだり起業を果たす中、海外での経験を積むことで自信をつけて帰国をしています。

 これまで二百を超える企業、団体、個人から約百十七億円の御寄附をいただいており、プログラムは順調に進捗しているところですが、目標としている二百億円、一万人の送り出しに向け、引き続き尽力をしてまいりたいと考えております。

牧原分科員 このプログラムは、私は日本の未来を変える大きなきっかけになるんじゃないかというふうに思っております。

 他方で、認知度が非常に低くて、私もこのトビタテ・ジャパンの話をいろいろなところでしても、誰も知らない、特に年配の先輩方はほぼ知らないということになると思います。これから、寄附のあり方は難しいですけれども、企業の方だけじゃなくて、こういう子供たちの将来を応援しようという、多分そういう年配の先輩方、あるいはちまたの、一般の国民の有意ある皆様、たくさんいらっしゃると思いますので、そんな多様な形もちょっとお考えをいただいて、ぜひ、一万人と言わず、今後多くの子供たちがこれで海外に、経験し、その結果、国の状況を把握し、国のために力になろうという気持ちも湧くような、そんなことになっていただきたいなと思っているところでございます。

 済みません、きょうは分科会でございますので、二問だけ防衛省にお伺いをしたいというふうに思います。

 先日、シリアでアメリカが空爆をするという、大変歴史的にも、今後に大きな影響を与えそうなことがございました。そのきっかけとなったのが、シリアでの化学兵器の使用にあるというふうに言われておりまして、これが世界じゅうに映像で、私も見ましたけれども、子供も含めて、化学兵器に本当に苦しんでいる姿があぶり出されたわけでございます。

 化学兵器は、私たちは実は、サリンというのが使われていましたけれども、既に地下鉄サリン事件というのを見て、サリンがいまだに、あのときから後遺症に苦しんでいるという方を我々は見知っているわけでございます。この化学兵器が、実は、隣の隣の国でございます、北朝鮮という国がございますけれども、この国にあるのではないかというふうに言われておりますけれども、ここについて、防衛省の方で把握している事実について教えてください。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮の化学兵器の開発、保有状況につきましては、北朝鮮の閉鎖的な体制に加えまして、化学兵器の製造に必要な物資、機材、技術の多くが軍民両用であるため、偽装も容易であることから、詳細については不明でございますけれども、化学兵器につきましては、化学剤を生産できる複数の施設を維持し、既に相当量の化学剤などを保有していると見られます。また、米国及び韓国も、北朝鮮が化学兵器を保有していると見られる旨公表していると承知をしているところでございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、米国、韓国等とも緊密に連携しつつ、引き続き化学兵器開発を含む北朝鮮の動向について必要な情報収集等に努めてまいりたいと考えております。

牧原分科員 化学兵器というのは、非常に、今おっしゃったように、ほかの、薬剤とかが使われるので、例えばミサイルだと国に持ち込むというのはなかなか難しいわけですけれども、化学兵器なら、そんなに難しく、持ち込める可能性があると思います。実際、マレーシアで、金正男という方が二人の女性の方に、マレーシア当局の発表ではVXガスで殺されたということがございます。

 つまり、我々自身でも、毒ガスを使われると、いつ何どき命が奪われるかわからない。しかも、地下鉄サリンのように、いきなり、地下鉄に乗っていても、大量に人がそれで死ぬということがあり得るわけでございまして、北朝鮮がもしそういうように、どこの国の当局も大量に保有しているのではないかという状況があるとすれば、私たちの国として防衛の体制というのは相当に強化をしていかなければならないと私は思っています。

 化学については、私の地元でございます大宮駐屯地に、唯一の化学学校とそれから化学部隊の中心的なものがあるわけですけれども、やはり、国全体のことを、今の状況を受けると、相当に増強し、そして備えなければいけないと考えますが、いかがでしょうか。

土本政府参考人 委員御指摘のとおり、陸上自衛隊大宮駐屯地には、自衛隊が核・生物・化学兵器による攻撃等に対処するに当たりまして中心的な役割を担う部隊等である、化学学校と中央特殊武器防護隊が所在します。

 近年、NBC兵器とその運搬手段及び関連資機材がテロリストや拡散懸念国などに拡散する危険性も強く認識されておりまして、防衛省・自衛隊におきましても、NBC兵器による攻撃への対処能力を向上する方策につきまして、大宮駐屯地に所在する化学学校を中心に不断の検討を進めているところでございます。

 大宮駐屯地におきましても、平成二十八年度補正予算におきましてNBC警報器を中央特殊武器防護隊に導入するなど体制整備に努めてきているところでございますが、今後とも、化学学校や中央特殊武器防護隊などの体制整備を図りまして、NBC兵器への対処能力を向上してまいる所存でございます。

牧原分科員 ぜひ、シリアで私たちが目の当たりにした、ああいう子供たちや赤ちゃんたちの姿がこの国で絶対発生しないようにしなければいけないというのは、我々政治の最大の使命だというふうに私は思っているところでございます。

 そのためには、やはり、予算の限界もありますけれども万全の体制をしかなければいけない、このように思っておりますので、ぜひ防衛省の方でもそこは真剣に検討し、一〇〇%そういう事態が起きないようにしていかなければならないと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

八木主査代理 これにて牧原秀樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正分科員 民進党の武正公一です。

 昨年の十一月二十一日に続いて、当分科会で質疑をさせていただきます。

 同日、文科大臣には既に御質問しておりますが、主権者教育、これは平成二十七年、十八歳選挙権施行後、文科省、そしてきょうは総務大臣政務官もお見えでございますが、総務省を中心に、副読本の作成等、十八歳、十九歳を中心に、高等学校での主権者教育、あるいは大学も含めてということで取り組みをいただいたわけでございますが、昨年の十一月二十一日の当委員会においても質疑をさせていただきまして、文科省としても、昨年の参議院選挙の結果を踏まえて、主権者教育がいかに高等学校等で行われているかの検証に努めるということでございます。

 既にお手元の資料にあるように、これは去年の六月十三日、主権者教育の推進に関する検討チーム最終まとめということで、文科省におかれましては、どちらかというと各学校のすぐれた取り組みについて調査研究をして、各学校のさらなる充実を促すということで取り組まれているようなんです。

 一方、総務省は、五ページ以下、主権者教育の推進に関する有識者会議取りまとめ概要を示しておりますが、ここでは、どちらかというと、やはり今回、十八歳選挙権実施に当たって、学校現場では、例えば、政治的中立性の観点から、どの程度扱うかなど疑義を抱くとの声もあり、授業で扱いにくいと指摘する声もあるとか、あるいは、外部者の情報を把握できていない、地方公共団体の十分な対応を得られない、学校が主導して議員を招く取り組みは難しいといった課題があるなど、総務省ではそういった課題を挙げておられます。

 こういったところを踏まえて、やはり文科省の調査、検証は、いいところだけを取り上げるのではなくて、いろいろ課題、問題があったところを取り上げるべきではないかというふうに再三求めてきたわけなんですが、まず、総務省政務官、総務省として主権者教育についてどのように検証し、ここで概要をお配りしておりますが、総括されたか、御所見を伺いたいと思います。

冨樫大臣政務官 総務省としては、十八歳選挙権を踏まえ、昨年の参議院選挙のフォローアップとして、選挙管理委員会に対する調査と十八歳から二十歳の有権者に対する意識調査を実施し、平成二十八年十二月にその結果を公表したところであります。

 また、これらの調査結果等を踏まえ、本年一月から主権者教育の推進に関する有識者会議を設置し、先月二十八日に取りまとめがなされたところでもあります。

 この取りまとめにおいては、昨年の参議院選について、学校、選挙管理委員会など各関係者による取り組みの努力が奏功して、社会全体で投票参加の機運が高められたものと評価しているところでもあります。

 一方、今回の取り組みは短期間の中で高校の知識学習が重点的に行われたことなどを挙げ、主権者教育の取り組みが一過性に終わることのないよう、さらなる充実を図る必要があるとの御指摘もいただいております。

 そのため、地域において、対象年代や選挙の時期を踏まえ、さまざまな機関が連携して、発達段階に応じた題材や手法の取り組み計画を策定することが効果的であるといった大局的な視野からの御提案をいただいているところであります。

 総務省としては、この取りまとめを、選挙管理委員会や教育機関などの関係者に広く周知して情報共有を図るとともに、文部科学省や各関係機関と連携しながら、主権者教育の一層の推進に努めてまいります。

 以上です。

武正分科員 今、有識者会議の取りまとめ、前年度末で総務省がまとめられたこと、お手元に概要がありますが、先ほど紹介をさせていただきました。

 六ページを見ていただきますと、今政務官が言ったように、発達段階に応じた取り組みの方向性ということで、高校入学以前の子供段階でも取り組みが必要じゃないか、あるいは、若干やはり高校教育に特化したところがあって、大学に対してはもっと取り組みがあってもよかったんじゃないか、こういう指摘が発達段階に応じた取り組みの方向性として書かれておりますし、また計画的、組織横断的な取り組みの方向性ということで、地域の機関との協力、あるいは地方公共団体の議員や職員、税務署、弁護士等と連携した取り組みの実施、あるいはまた国、講師名簿の作成ということで、アドバイザー派遣の仕組み、あるいは地方公共団体、出前授業などが必要だということがまとめられております。

 最後には、主権者教育と公選法の関係、政治的中立性を確保した上での主権者教育の取り組み、主権者に対する情報発信のあり方に関しては、政党や政治家等も含め幅広く検討することも必要との意見があったと総括されております。

 実際、昨年の場合ですと、学校現場で、例えば主権者教育で、新聞を使う場合は一紙だけ使っちゃだめだよ、何紙か使いなさいとか、あるいはまた県議会で、やはり政治的中立性をしっかりやりなさいというような決議をしたり、あるいは教育委員会からそういう指示がおりたりと、かなり学校現場は混乱していたというふうに記憶をしております。

 そういった意味では、総務省のこの有識者会議の取りまとめのような角度からやはり学校における検証がなされてしかるべきと思うんですが、そうした検証を、間もなく一年になろうとする参議院選挙後、文科省はやっておられるのでしょうか、文科大臣に伺いたいと思います。

松野国務大臣 武正先生の方から、学校現場においてこの主権者教育を行うに当たっての課題、問題点という視点から、どういったことがあるかという御指摘かと思います。

 高校生に対して主権者教育を充実していく上では、各学校における、御指摘あったとおり、政治的中立性の確保でありますとか、公職選挙法などの関係法令の遵守が大変重要であります。

 そのため、文部科学省としては、平成二十七年度に通知を発出し、政治的中立性の確保のための留意点を示すとともに、総務省と連携して作成した生徒用の副教材や教師用の指導資料において、政治的中立性の確保について、図表やイラストを用いてわかりやすく示しているところです。

 文部科学省として、昨年六月に取りまとめた主権者教育実施状況調査の結果においては、主権者教育を行うに当たって、保護者の理解を得るための周知方法などに課題があったとの回答が見受けられました。また、参議院選挙後に、主権者教育の推進に取り組んでいる高校の先生やNPOの代表に聞いたところ、選挙活動ができない十七歳と可能な十八歳がクラスの中に混在をしている、この指導の難しさや、政党の選挙公約を教員が教室で配付することができないといった公職選挙法上の規定も課題として指摘をされたところであります。

 文部科学省としては、学校の業務負担を考え、悉皆調査を実施することは考えておりませんけれども、総務省とも連携し、個別のヒアリングを行うなどさらに詳細な実態把握に努め、先進事例の共有など可能な工夫を行ってまいりたいと考えております。

武正分科員 今、同じクラスで十七歳、十八歳混在、これはかねてより指摘されているところでありますが、今の総務省のこの発達段階に応じた取り組みの方向性ということを、これは小学校からやっていけばそういった問題もクリアできるわけでありまして、やはり学校現場での取り組みが主権者教育の充実には欠かせないというのが総務省のこの取りまとめなんですね。

 今、悉皆調査はやらないけれどもヒアリングはということなんですが、先ほどの資料にあるように、二ページにありますように、一番下から二行目、「優れた取組について、詳細な情報を調査研究し、その結果を公表することによって各学校の更なる充実を促す。」と。

 その事例なんかも四ページに出ていますけれども、いいところだけじゃなくて、やはりいろいろ課題があったところとか難しかったところとか、それから政治的中立性のお話がありましたが、私も法案提出者として国会で答弁したのは、中立性というのはわかるけれども、学校の先生が、いや、私はこう思うよという意見をある程度言わないと生徒はついてこない、生徒がやはり関心を持つには、先生はこう思うけれども、こういう意見もあるよ、ああいう意見もあるよというような言い方で、先生がやはり自分の意見を述べてしかるべきではないのかと。それを、中立性をもとに排除するべきでないということを、私は十八歳選挙権の法案提出者として国会で答弁をいたしました。

 もちろん、これは法案提出者の中で若干見解が分かれているところではありますが、そのようにやはり中立性というのはなかなか難しいところがあります。

 今回、十八歳選挙権で、十八歳の投票率はかなり平均に近かったものの十九歳が低かったことも含めて、課題がまだまだあるわけですので、悉皆調査はやらないけれどもヒアリング、しかし、よい事例だけで本当にいいのでしょうか。やはり、この総務省の指摘にあるような、さまざまな角度から学校現場での再度調査が私は必要ではないか。いい事例だけじゃなくて、いろいろ課題があったところも含めて再度、新年度にもうなってしまいましたが、調査が必要と思いますが、文科大臣の御所見を伺いたいと思います。

松野国務大臣 武正先生からお話をいただいたとおり、主権者教育をするに当たっては、政治的な中立性の問題や公職選挙法等の関係で、現場の先生も大変悩みながらというところがある、そういうお話は伺っております。

 文部科学省としては、平成二十八年度に実施をいたしました、高等学校等における政治参加に関する学習活動に係る調査研究というものを実施しておりまして、最終的な報告書を今作成中でございます。五月中を目途に公表予定でございますけれども、こういった中にも取り上げられているさまざまな課題に対し、先生の御指摘の中にもあったとおり、グッドプラクティスだけではなしに、どういった点に困難を感じているか、そういった観点をしっかりと踏まえ、また先ほど申し上げたとおり、ヒアリング等も進めながら、この主権者教育のありようについて、文科省としてもしっかりと現場をサポートしてまいりたいと考えております。

武正分科員 政治的中立性、公平性ということで、議員さんを呼んで公開討論会とかいろいろな企画があるようですが、なかなかやはり学校現場も、誰に声をかけたらいいか、いろいろそういう課題もあるようです。

 ただ、総務省としても取り組みたいということですが、学校現場のことはやはり文科省が主体的に、また、ここにあるように、地域の皆さんとも連携してと総務省はまとめていますが、そしていろいろな講師も呼んでということで、ぜひ主体的に、より積極的に再度、また検証も、まだ一年足らずですので、さらなる検証も含め御検討をいただき、発表をして、取り組みをお願いしたいというふうに思っております。

 それでは、政務官、どうぞお引き取りください。ありがとうございました。

 続きまして、会計検査院の平成二十七年度決算報告指摘事項について伺いたいと思います。

 高等学校就学支援金の支給に関する指摘を平成二十七年度決算検査報告で行っております。昨年の十一月二十一日、当委員会でも指摘をいたしましたが、改めて、会計検査院に、その内容を御報告いただきたいと思います。

堀川会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 先生お尋ねの本検査報告の概要でございますが、高校等の生徒に対する高等学校等就学支援金に係る国の交付金について検査した結果、国外に在住している保護者等の収入を考慮することなく受給資格の認定等を行っている事態などが見受けられたことから、就学支援金の支給が適切かつ公平に行われるよう、国外在住保護者の収入の把握方法や、その収入を考慮した受給資格の認定等の方法を検討することについて、平成二十八年十月に文部科学相に対して、会計検査院法第三十六条の規定により意見を表示するなどしたものでございます。

武正分科員 昨年も取り上げましたが、海外で勤務をされた保護者の方が帰国をされて、その高校生に就学支援金が支給をされているけれども、前年の海外での所得が把握できていないので過重に支給されているのではないのか、改善を求めるということで、昨年、この件を文科大臣に尋ねますと、検討しているということですが、新年度にもなりましたし、六月には全省調査もあるということでありますので、今の取り組み、検討状況を御報告いただきたいと思います。

松野国務大臣 保護者が国外に在住する場合の高等学校等就学支援金の受給資格の認定等については、会計検査院の意見を踏まえ、国内外を通じて可能な限り公平に支給できるよう、国外に在住する保護者の収入を適切に考慮した認定等の方法について、現在、複数の方法について検討を進めているところであります。

 しかしながら、日本の市町村民税所得割額に相当する額を把握するのが困難であることや、申請者や受給資格の認定を行う都道府県の事務負担等の課題がありまして、まだ結論には至っていません。

 高等学校等就学支援金制度につきましては、平成二十五年の法改正時の附帯決議を踏まえ、今年度、外部有識者から成る協力者会議を設けて、制度全体について検証を行うこととしております。この協力者会議において、国外に在住する保護者の収入状況の把握の方法についても検討し、年内を目途に一定の結論を得たいと考えております。

武正分科員 会計検査院はこの秋にも前年度の指摘事項について報告をまとめるということでありますので、会計検査院とすれば、年内ということでは、やはりスケジュール感、いかがなものかというふうに思うんですが、その点、会計検査院はどうでしょうか。

堀川会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院が意見を表示した事項につきましては、その後の処置状況を検査して、改善の処置等がとられるまで、会計検査院法に基づき、当該処置の状況を毎年決算検査報告に掲記することとなっております。

 したがいまして、本件についても、改善処置がとられるまで、毎年の検査報告にその状況を掲記することとなっております。

武正分科員 ですから、年内ということになりますと、またことしの秋に再度指摘をしなければならないということかと思います。

 これは、今お話があった市町村民税についての把握が、今回の高等学校支援金の、所得の把握の根拠となっておりますので、その改善策ということなんですが、そうはいっても、やはり文科省さんが、では外務省さんと協議をされたとか、あるいは、マイナンバーも所得の把握が可能なんですが、御承知のように、住基ネットに乗っかっておりますマイナンバーですから、住基ネットは住民基本台帳ということで、海外の日本人は対象外というこのマイナンバー、ここら辺の課題は、では総務省さんとか、あるいは内閣府とか内閣官房とか、そういう協議をされているのかなと思いますと、まだまだされていないというような状況でもあります。

 ぜひそうした点を、外部の有識者の検討委員会も結構だと思いますが、ぜひ主体的に、これも、それぞれの省庁とどうやったら課題が解決できるのか、御検討を積極的にいただきたいと思いますし、そもそもこれは、四年半前に自民党に政権がかわられた後に所得制限を入れられたわけで、その前は所得制限は入っていなかったんですよね。だから、所得制限を取っ払えばこうした問題はないというふうに考えるんですが、その点は御検討されているんでしょうか。文科大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 高等学校等就学支援金における所得制限の導入は、低所得世帯における授業料以外の教育費負担が大きいことや、公私間の教育費格差等の課題があったことから行われたものであります。これにより捻出された財源によって、授業料以外の教育費を支援するための高校生等奨学給付金制度の創設や、私立高校に通う生徒に対する就学支援金の加算措置の拡充等の制度改正を行った結果、さきに述べた課題の是正を含め、所得に応じた教育費負担の軽減を図ることにより、教育の機会均等をより一層推し進めたものと考えております。

 このため、所得制限を撤廃することにつきましては、慎重に検討する必要があり、現時点では困難と考えております。

武正分科員 そうはいっても、先ほどの海外の日本人の保護者の方の所得の把握が困難な中で、何かやはり道を探らなければならないということだと思いますので、ぜひ、積極的な多方面との協力のもと、お取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 そこで、次の質問に移らせていただきますが、過日、教育勅語に関する質問主意書の答弁書が出され、国会でも取り上げられております。既に決議、昭和二十三年には、教育勅語、これは明治二十三年でしたでしょうか、明治十五年の軍人勅諭なども含め、こうした詔勅が排除の措置、衆議院、参議院でとられております。そして、文部次官の通達、これも昭和二十一年、二十三年、それぞれ出されている中であります。

 一方、この教育勅語については、今回もやはり、塚本幼稚園でこの教育勅語を暗唱する、そういった映像が流れていたところでありまして、こういったところでやはり今国会でも取り上げられて、質問主意書になっているんです。

 今回、質問主意書の答弁では、学校において、教育に関する勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切であると考えているが、憲法や教育基本法等に反しない形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではないと考えているということなんですが、果たしてどうなのかなと。

 先ほどの両院の決議、次官の通達からすると、私はやはり、この幼稚園も、学習指導要領をもとに学校の指導が行われている中で、文科省としてやはり適切な指導を行うべきではないかと考えますが、改めて文科大臣に御所見を伺いたいと思います。

松野国務大臣 先生御指摘の質問主意書でございますけれども、質問が、「教育勅語本文を学校教育で使用することを禁止すべきだと考えますが、政府の見解を伺います。」というものに対する答えでございます。

 この禁止すべきとの質問に対しまして、答弁書では、学校教育法第三十四条第二項に基づき、教科書以外の教材は、法令に従った有益適切なものである限り、校長や設置者の判断と責任で使用することができることを踏まえ、憲法や教育基本法等に反しない形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではないと考えていると述べたものであります。

 このように、答弁書の趣旨は、全ての教科等の教材に共通する考え方として、文部科学省は、基本的に、各学校における個別具体的な教材の是非についてあらかじめ判断する立場にないとしたことを前提としたものであります。

 なお、個々の教材が憲法や教育基本法等の趣旨に反しているか否かは、まずは所轄庁や設置者である教育委員会において判断すべきものでありますが、その際には、その教材を用いて伝える内容が憲法や教育基本法等の趣旨に反していないかどうかが重要であると考えております。

武正分科員 所轄庁ということは、大阪府ということでよろしいでしょうか。

松野国務大臣 ここでのシチュエーションにおいては……(武正分科員「塚本幼稚園」と呼ぶ)塚本幼稚園ということであれば、大阪府でございます。

武正分科員 所轄庁の判断ということでありますが、それは根拠は何でしょうか。

松野国務大臣 私立学校法において規定されております。

武正分科員 私は、事前には、学校教育法五条ということで伺っているんですけれども。

 ただ、過去に一例、昭和五十八年でしょうか、松江日大高校に対して、時の瀬戸山文部大臣が勧告を行っております。当日、これは昭和五十八年五月十一日、参議院、本岡委員の質問に対して答えておられます。

 たまたまいま御説明申し上げましたように、松江市にある私立の高等学校でそういう事実があったということを私も最近聞きまして、

建国記念日に教育勅語を唱えるということを挙げております。

 率直に言って遺憾なことであると思っております。教育勅語そのものの内容については今日でも人間の行いとして、道として通用する部分もありますけれども、教育勅語の成り立ち及び性格、そういう観点からいって、現在の憲法、教育基本法のもとでは不適切である、こういうことが方針が決まっておるわけでございますから、そこで文部省といたしましては、その事態を承知いたしまして、いま初中局長から申し上げましたように、これはいわゆる島根県の認可学校でございますから、島根県を通じてそういうことのないように指導をしてくれと、

こういうことを今勧告しておるわけでございますということで、過去、こうしたことを文科省としても、一例と聞いておりますが、行っている。このことは大臣は承知でしょうか。

松野国務大臣 承知をしております。

武正分科員 であれば、今回の塚本幼稚園について、私は、やはり大臣として、大阪府に任せるとか、学校現場で教材の選択は学校教育法で認められているからということではなくて、やはり主体的に、大臣として、先ほどの瀬戸山文部大臣のようなコメントも含めて臨むべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 御指摘の昭和五十八年の島根県の私立高校に関しましては、この学校が式日に教育勅語を奉読し、県が指導を行っていなかった、これは昭和三十年代の後半からこのことが続いていたということがございまして、こういった事実に基づきまして国が県に対し指導を行ったものと認識をしております。

 なお、森友学園塚本幼稚園におきましては、そのホームページにおいて、四月以降の新体制にて再出発するに当たり、これまでの活動を柔軟に見直していくと述べられているところであり、大阪府において、これらの点も含め状況を確認し、適切に対応するものと考えております。

武正分科員 では、大阪府がこの点について調査をしているということは承知されていますか。

松野国務大臣 教育の内容に関し、運営に関して大阪府が調査をしているということを承知しております。

武正分科員 私の聞くところでは、教育勅語に関しての指導までには大阪府は至っていないというのは事前に聞いておりますので、ぜひ大阪府がどういう取り組みをされているのか確認をお願いしたいと思いますし、島根の高校の例に続きまして、これは今回は幼稚園の例ということですので、やはり教育勅語を衆参両院が排除決議をし、次官通達も出している中で、また二例目が明らかになっているわけですので、改めて、学校における教育勅語の扱いについて、両院の決議違反あるいは次官通達違反がないのかどうか、検証を行うべきではないかと思いますが、文科大臣、御所見を伺いたいと思います。

松野国務大臣 教育勅語に対する態度は、答弁書に書かれているとおりでございます。

 個々の学校現場に関しましては、これは、公立であれば、それぞれ、高校であれば県、義務教育に関しては市町村の教育委員会ごとになりますし、私立学校に関しては県の所轄ということになります。これらの指導に関しては、まず、その所轄庁、所管庁が個々の学校現場に関してしっかりと指導していくということが重要であると考えております。

武正分科員 時間が参りましたので終わりますが、過去、昭和五十八年、瀬戸山文部大臣が改善勧告をしていることもありますので、私はやはり、これだけ多くの国民の皆さんが関心を持っている、そして、教育勅語の根本原理ということで、明治二十三年のその世相、時代背景で勅語が発布されたということも踏まえると、やはりその排除の徹底ということの通達を改めて流すべきということも申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

八木主査代理 これにて武正公一君の質疑は終了いたしました。

 午後一時二十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十分開議

八木主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより防衛省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 平成二十六年度における防衛省主管の一般会計歳入決算及び防衛省所管の一般会計歳出決算並びに東日本大震災復興特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛省主管一般会計の歳入につきまして御説明申し上げます。

 収納済み歳入額は六百二億三千五百万円余となっております。

 次に、防衛省所管一般会計の歳出につきまして御説明申し上げます。

 歳出予算現額は五兆二千八百十三億七千三百万円余でありまして、支出済み歳出額は五兆六百五十六億三千四百万円余、翌年度へ繰り越した額は千五百三十九億九千万円余でありまして、差し引き不用額は六百十七億四千八百万円余であります。

 次に、防衛省所管東日本大震災復興特別会計の歳入につきまして御説明申し上げます。

 収納済み歳入額は十五億二百万円余となっております。

 次に、防衛省所管東日本大震災復興特別会計の歳出につきまして御説明申し上げます。

 歳出予算現額は四百六十八億三千五百万円余でありまして、支出済み歳出額は四百二十一億四千六百万円余、翌年度へ繰り越した額は三十七億一千三百万円余でありまして、差し引き不用額は九億七千五百万円余であります。

 続きまして、平成二十七年度における防衛省主管の一般会計歳入決算及び防衛省所管の一般会計歳出決算並びに東日本大震災復興特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛省主管一般会計の歳入につきまして御説明申し上げます。

 収納済み歳入額は五百八十六億四千万円余となっております。

 次に、防衛省所管一般会計の歳出につきまして御説明申し上げます。

 歳出予算現額は五兆三千九百六十六億七千万円余でありまして、支出済み歳出額は五兆一千三百四十三億八千八百万円余、翌年度へ繰り越した額は千七百五十億六千百万円余でありまして、差し引き不用額は八百七十二億千九百万円余であります。

 次に、防衛省所管東日本大震災復興特別会計の歳入につきまして御説明申し上げます。

 収納済み歳入額は三億三千二百万円余となっております。

 次に、防衛省所管東日本大震災復興特別会計の歳出につきまして御説明申し上げます。

 歳出予算現額は三百六十九億二千八百万円余でありまして、支出済み歳出額は三百三十七億四千六百万円余でありまして、差し引き不用額は三十一億八千百万円余であります。

 なお、主な事項につきましては、お手元に配付してある資料のとおりでありますが、委員各位のお許しを得まして御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

八木主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院腰山第二局長。

腰山会計検査院当局者 平成二十六年度防衛省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五件、意見を表示しまたは処置を要求した事項七件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号三八七号は、会計経理が適正を欠いていたもの、同三八八号は、返納金の額が過小となっていたもの、同三八九号及び三九〇号は、給付の完了の確認をするための検査等が適切でなかったもの、同三九一号は、契約額が割高となっていたものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、重要物品である基地内光伝送路の整備に伴う帳簿価格の改定等に関して適宜の処置を要求し、及び是正改善の処置を要求いたしたもの、その二は、自衛艦の定期検査等に係る契約の履行に伴い発生する有価廃材の管理に関して是正改善の処置を要求いたしたもの、その三は、F15戦闘機の近代化改修に伴い取り外されるレーダー機器の管理等に関して是正改善の処置を要求いたしたもの、その四は、膨張式救命胴衣の整備に関して是正改善の処置を要求いたしたもの、その五は、東日本大震災復興特別会計予算により取得した物品の管理に関して是正改善の処置を要求いたしたもの、その六は、防衛装備品のライフサイクルコスト管理の実施に関して意見を表示いたしたもの、その七は、駐留軍等労働者の給与に係る返納金債権の発生の抑止と円滑な回収に関して改善の処置を要求いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、非常用電源施設の整備に関するもの、その二は、海上自衛隊が保有している緊急脱出用呼吸装置に関するものであり、これら二件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 続きまして、平成二十七年度防衛省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項九件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号三一二号は、設計が適切でなかったもの、同三一三号は、物品の管理が適切でなかったもの、同三一四号は、物品が領得されたものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、国有財産台帳に記録する艦船の価格に関して是正改善の処置を要求いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、CH47J輸送ヘリコプターの勢力維持改修における味方識別機の更新に関するもの、その二は、自衛隊病院等に整備された医療機器等の衛生器材に関するもの、その三は、警戒管制レーダー装置の試行定期修理等に関するもの、その四は、海上、航空両自衛隊の電気需給契約の契約電力に関するもの、その五は、防衛装備品等の調達に関するもの、その六は、海上自衛隊が管理する火薬庫に関するもの、その七は、回転翼航空機に関するもの、その八は、民間機と同等の機体を使用した自衛隊専用機の処分に関するもの、その九は、潜水艦用個人脱出器材に関するものであり、これら九件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

八木主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 平成二十六年度及び平成二十七年度決算検査報告において会計検査院から指摘を受けました事項につきましては、まことに遺憾に存じております。

 不当事項として指摘を受けましたものにつきましては、会計法令の遵守を図るとともに、綱紀粛正のより一層の徹底に努め、かかる事態の再発防止に万全を期する所存であります。

 次に、意見を表示されまたは処置を要求された事項につきましては、直ちに是正措置を講じたところであります。

 今後このような御指摘を受けることのないよう、より一層事務の適正な執行に努めてまいる所存であります。

八木主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

八木主査代理 以上をもちまして防衛省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

八木主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)分科員 民進党の後藤祐一でございます。

 きょうは、まず、シリアにおける化学兵器の使用と、これに対するアメリカのミサイル攻撃について、防衛大臣にお伺いしたいと思います。

 まず、シリアにおける化学兵器の使用がアサド政権によるものであるとアメリカは断定しておりますけれども、日本政府としては、金曜日の官房長官の会見で、シリアにおける化学兵器をめぐり甚大な被害が発生したことは認識しています、それ以上の事実関係については国連機関で現在調査中であると考えておりますとおっしゃっておられます。また、きょうの午前中の官房長官の会見では、国際法の根拠については米国から考えを聴取しているところだというような会見もありました。

 現時点において、日本政府としては、シリアにおける化学兵器使用はアサド政権によるものだと断定していないということでよろしいでしょうか、防衛大臣。

稲田国務大臣 シリアにおいて化学兵器による甚大な被害が発生したことは認識をしておりますが、それ以上の事実関係の詳細については国連機関が調査中、このように認識をしているということでございます。

後藤(祐)分科員 アメリカが断定した根拠について、日本政府として情報を得ているのでしょうか。断定できるだけの情報提供でないにしても、そう信ずるに足る情報程度はアメリカから提供されているのでしょうか。情報の内容ではなくて、提供されているかどうかをお答えください。

稲田国務大臣 シリア情勢を含め、米国と平素からさまざまなやりとりを行っておりますが、先方との関係もありますことから、個別の内容についてお答えをすることは差し控えたいと思います。

後藤(祐)分科員 個別の内容ではなくて、信ずるに足る情報ぐらいは提供されているかどうかについては、これはイラク戦争のときの大量破壊兵器がなかったという反省に立っても、その情報を得ているかどうかは今後歴史的検証が必要になってくる事項でありますから、明確にお答えいただきたいと思いますが、恐らく答弁は一緒だと思いますので、次に行きたいと思います。

 こういった情報が提供されているということを明言されない中で、なぜアメリカの決意を支持し、アメリカの行動を理解するということが言えるんでしょうか。稲田防衛大臣としても、アサド政権側に対してアメリカがミサイル攻撃したことを、日本としてこれは仕方がないと理解する立場でしょうか、防衛大臣。

稲田国務大臣 今回の米軍の行動に対する我が国の受けとめは、総理が既に述べられているとおりでございます。

 国際社会は、シリアにおける化学兵器による無辜の一般人の被害という惨状を目の当たりにしてきました。これに対して、化学兵器の拡散を防ぎ、その使用を抑止するために責任を果たそうとするトランプ大統領の決意を支持いたしております。国連安保理決議第二千百十八号も、化学兵器の使用は、いかなる場合でも国際の平和と安全に対する脅威を構成すると決定をしております。こうした状況の中で、今回の米国の行動は、これ以上の事態の深刻化を食いとめるための措置として理解をしているということでございます。

 今後、化学兵器の使用による被害を二度と起こしてはなりません。

 なお、核兵器や化学兵器を含む大量破壊兵器の拡散と使用の脅威はシリアだけの問題ではありません。同様の問題は北朝鮮など東アジアにおいても起こり得ることであり、我が国は、米国などと連携をして取り組んでいくということでございます。

後藤(祐)分科員 化学兵器の使用をこれ以上広げないというためにはこれは仕方がないということで、米国による攻撃は日本政府として理解するということでよろしいでしょうか、もう一度。

稲田国務大臣 その決意を支持するということでございます。

後藤(祐)分科員 決意を支持するということはわかっておるんですが、何を理解したんでしょうか。アメリカの攻撃はやむを得ないものとして、日本政府として理解したということなんでしょうか。

稲田国務大臣 シリアにおける化学兵器による無辜の一般人の被害、これは事実でございます。これに対して、化学兵器の拡散を防ぎ、その使用を抑止するために責任を果たそうとするトランプ大統領の決意を支持しているということでございます。

後藤(祐)分科員 決意に対する支持ではなくて、理解の方の対象です。

 これ以上の事態の深刻化を防ぐための措置だと理解するにすぎないのであって、米国がこういう攻撃をしたということはやむを得ないものだとして理解したわけではないということですね。理解の対象物は何ですか。これ以上の事態の深刻化を防ぐための措置だという理解にすぎないのであって、それを超えた、化学兵器が使用されたということに対して、これ以上の拡散を防ぐためにアメリカが攻撃することはやむを得ないという理解をしたということでよろしいんでしょうか。

稲田国務大臣 今委員がおっしゃったように、こうした状況の中で、今回の米国の行動は、これ以上の事態の深刻化を食いとめるための措置として理解をしている、そして、大統領の決意を支持しているということでございます。

後藤(祐)分科員 では、理解の対象はあくまで事態の深刻化を防ぐための措置だという理解にとどまるのであって、それ以上、やむを得ないと理解したということではないということでよろしいですね。

稲田国務大臣 シリアにおける化学兵器による無辜の一般人の被害という惨状を目の当たりにしてきた。これに対して、化学兵器の拡散を防ぎ、その使用を抑止するために責任を果たそうとするトランプ大統領の決意を支持し、こうした状況の中で、今回の米国の行動、これは、これ以上の事態の深刻化を食いとめるための措置であるということを理解しているということでございます。

後藤(祐)分科員 つまり、理解はその対象に限定される理解だというふうに理解をいたしました。

 さて、このアメリカによるシリア攻撃に関連して、今後シリアにおける紛争が国際平和共同対処事態、一昨年の安保法制の新法の部分ですね、この事態に該当し得ることがあり得るのでしょうか。つまり、日本が協力支援活動など後方支援を行うことはないということをお約束いただけますか。

稲田国務大臣 今回の米国の行動は、今御答弁いたしましたように、これ以上の事態の深刻化を食いとめるための措置というふうに理解をいたしております。

 その上で、今後の米国の対応について予断をすることや、米国からアサド政権の打倒に対する協力を求められた場合といった仮定の質問にお答えすることは差し控えたいと思います。

後藤(祐)分科員 イスラム国に対するアメリカの行動に対して、これを後方支援することはないと予算委員会で総理は明言しています。これに対して明言するのに対して、今回のシリア攻撃に関連しては、後方支援することを否定しないということですね。では、あり得るということでしょうか、可能性としては。

稲田国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、我が国によるISILへの対応については、難民、国内避難民に対する食糧人道支援など我が国ならではの支援を実施して、非軍事分野において国際社会における責任を果たしていくことが適切であるというふうに考えており、政府としては、今委員が御指摘になったように、累次にわたって御説明をしてきているとおりでございます。このような主体的な政策判断として、ISILに対する軍事作戦に参加する考えはなく、ISILに対する軍事作戦に対して後方支援を行うことも考えておりません。

 そして、その上で、今回の米国の行動は、これ以上の事態の深刻化を食いとめるための措置であるというふうに理解をいたしておりますし、その上で、今後の対応について予断をする、また、米国からアサド政権の打倒に対する協力を求められた場合といった仮定の質問についてお答えすることは差し控えたいということでございます。

後藤(祐)分科員 イスラム国の場合と答弁が違うということは大変大きな意味を持つと思いますので、このシリアにおける紛争に対して、後方支援する可能性を否定しなかったということは重く受けとめたいと思います。これは大変なことになる可能性があると思いますので、私はいかがなものかと思います。

 さて、きょうは決算の審査でございますので、中期防について聞きたいと思います。

 現行の平成二十六から三十年度を対象とする中期防、これまで円安ですとかFMSが高騰するですとかいろいろなことがありました。これは計画どおり進んでいるというふうに考えてよろしいんでしょうかということ。

 あと、これは自民党の提言でもありましたが、THAADですとかPAC3のMSEですとか、あるいは敵基地攻撃能力ですとか、こういった新しい対応をする上で、これを本格的に調達するということになりますと、中期防の改定が必要になると考えます。ですが、今のままいきますと次期の中期防というのは平成三十一年度からということになりますが、これを一年前倒しするということはお考えにならないのでしょうか。自民党の提言では、もっと早くやれというような提言もございました。

 もしこれを一年前倒しするということであれば、もう来年、夏の概算要求すなわちことしの夏に向けて予算を固めていく、その前提として中期防を変えなきゃいけないということになりますので、もうそろそろタイムアップになってしまうと思いますが、一年前倒しは考えていないということでよろしいでしょうか。二つお願いします。

稲田国務大臣 まず、中期防、大綱、そして中期防に基づいて予算を編成しているということでございます。

 また、今御質問いただきましたTHAADやイージス・アショア、新規アセットについてであります。

 今北朝鮮の脅威は新たな段階に入ったと昨年来申し上げているところでございます。この弾道ミサイルの脅威に対して、我が国自身の弾道ミサイル防衛システムを整備するとともに、日米安保体制による抑止力、対処力の向上に努めることにより適切に対応をすることといたしております。

 現段階において何か新たなアセットを導入する具体的な計画はありませんが、このような新たなアセットの導入は具体的な能力強化策の一つとなり得るというふうには考えているところでございます。

後藤(祐)分科員 そうしますと、来年度予算でやらないんだとすれば、その次の年度になってしまいます。来年度予算で前倒ししてやるとすれば、中期防の一年前倒しの見直しが必要です。

 今の御答弁は、中期防の一年前倒しはやらないということでよろしいですか。

稲田国務大臣 現在、大綱及び中期防に基づいて整備を進めているところでございます。

 その上で、北朝鮮の脅威が新たな段階に入っていることもまた事実でございます。常に、我が国の弾道ミサイル防衛が十分なものであるかどうか、それは、委員がおっしゃるように、不断の検証はしなければならないというふうに思っております。

 現時点において、今、この現在の中期防に基づいて整備をしていくということでございます。

後藤(祐)分科員 残念ですね。今だったら本当に、一年前倒しでやれば、全てが一年早く検討が進むと思いますし、自民党の国防族の方々もそれを期待してああいった提言をされたんではないかというふうに思いますが、ちょっと残念な答弁だというふうに思います。

 さて、日報について一つだけ述べておきたいと思います。

 四月六日、先週のNHKニュースで、南スーダンの日報に関して一連の経緯をまとめた調査報告書が陸上自衛隊から防衛監察本部に提出されたという報道がありました。

 この調査報告書は提出されたんでしょうか、そして防衛大臣はこれをごらんになっておられるんでしょうか。まず、事実関係をお答えください。

稲田国務大臣 これまでも申し上げておりますが、私は、日報に関する一連の報道を受けて、防衛監察本部に対して、徹底した調査を行い、事実関係を解明するため、特別防衛監察を命じたところです。また、陸上自衛隊には、この特別防衛監察に全面的に協力させることといたしております。また、私が承認した特別防衛監察計画においては、本件日報の開示決定に至るまでの一連の経緯についての事実関係について調査をするように命じているところでございます。

 現在、防衛監察本部による監察が行われており、防衛監察本部においては、関係者の聞き取り、必要な場所への立ち入り、書類の確認等が厳格に行われていると認識をいたしておりますが、報道を受けた形でその逐一の過程について申し上げることは差し控えたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、私の指示のもとで防衛監察本部が今回の日報に関する事実関係について徹底的に調査を行い、その結果、改善すべき体質があれば、徹底した改善に取り組みたいというふうに考えております。

後藤(祐)分科員 そうしますと、今回の陸上自衛隊からの調査報告書は、大臣の指示でつくったものではないということでよろしいですか。

稲田国務大臣 私が承認をいたしました特別防衛監察計画において、本件日報の開示決定に至るまでの一連の経緯について事実関係を調査することといたしております。

 今御指摘の陸自の調査もこの特別防衛監察の一環であるというふうに承知をしているということでございます。

後藤(祐)分科員 大臣が命じたものですかという質問に対して、後ろから紙が来て、それをじっくり見ないと答弁できないというのは非常に不思議ですね。少なくとも自分が指示したものではないというふうに受けとめたいと思います。

 この特別防衛監察は、最低でも四カ月、最長一年二カ月と大変時間がかかるということが今までの前例になっておりますが、そんなに待っておれません。実際、この調査報告書が、一定のものを陸上自衛隊でまとめたのであれば、早くこれを中間的な形で、少なくとも七月の日報が陸上自衛隊にいつまで保管され、いつ廃棄されたのかということについては、安保委員会の方でも理事会に早く提出するようにということを申し上げておりますので、ぜひこの中間的な報告を早くすることを約束していただきたいと思います、大臣。

稲田国務大臣 本件に関して、また特別防衛監察に関しては、前回の委員会でも委員を初めさまざま御要請があったところでございます。それに対して、私は、真摯に受けとめて、適宜適切に報告をすることも検討しますというふうに答弁をしたところであります。

 また、本件については、国会において責任のある答弁を行うためにも、個々の断片的な調査内容等を御説明するよりも、全体の整合性を防衛監察本部による特別防衛監察によって徹底的に調査、検証した上で、正確かつ誠実にその内容を御説明することが重要である、このように考えているということでございます。

後藤(祐)分科員 これについては、安保委員会の方で理事会でも議論してまいりたいと思います。

 きょうは文科省もありますので、防衛大臣はここまでで結構でございます。ありがとうございました。

 これから後は、文科省の再就職の話を中心に行いたいと思います。

 まず、先日まとまった最終まとめについては、これまで起きてしまったことの事実関係の認定に関しては非常に徹底した調査を、防衛省とはやや違う真剣さでもって、外部の方を入れてその事実認定をされておられるということに私は敬意を表したいと思います。

 まず、内閣人事局にお伺いしたいと思いますが、この最終まとめの中にたくさんの個別事例を挙げておられますけれども、特に、国家公務員法百六条の二第一項に規定する「「地位に就かせることを目的として」「役職員であつた者に関する情報を提供」したものと考えられる。」こういった記述、これに限りませんが、少なくとも違法認定された個別事例がたくさん記述されておりますが、内閣人事局としても、また内閣全体としても、これと同じ解釈だというふうに考えてよろしいでしょうか。また、今後、これらのある意味判例は、全ての行政機関に適用される前例となるというふうに考えてよろしいでしょうか。

 稲田大臣、本当に、お忙しかったらどうぞ。

加瀬政府参考人 文部科学省が三月三十日に公表しました「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(最終まとめ)」につきましては、国家公務員法に基づき設置され、独立して職権を行うこととされている再就職等監視委員会に報告され、了承されたものと承知しております。

 したがいまして、再就職等規制違反行為等があったと指摘された六十二事案については、さきに再就職等監視委員会に違法と認定されたものも含めまして違法の認定がなされたものというふうに承知をしております。

後藤(祐)分科員 ですから、それは内閣全体として、少なくとも内閣人事局としても、これは違法だというふうに考えてよろしいんでしょうか。つまり、政府全体で共有している認識だということでよろしいでしょうか。

加瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 再就職等監視委員会は、国家公務員法に基づく監視機関として設置されたものでございます。その権限に基づいてそういった、違法というふうに了承されたというふうに考えております。

後藤(祐)分科員 はっきり申し上げない部分があるのは若干気になりますが、そうすると質問主意書とかいうことになってしまうんですが。

 きょうは文部科学省に来ていただいておりますので、大臣をお二人呼ぶことはできないというルールだというふうに伺いましたので、きょうは義家副大臣にお越しいただきました。同じ選挙区ですが、建設的な御提案を申し上げたいというふうに思います。

 今回のこの報告書は、先ほど申し上げたように、過去の事実認定に関しては大変厳しく徹底的にやられたと評価はいたしますが、これを受けた処分ですとか、このあたりは必ずしも、やや甘い部分があると私は思っています。

 特にまず、先日、笠浩史議員が委員会の中で御質問されておられた、申告していなかったものについては、これはそもそも、ほっておくと対象から逃れてしまう可能性があるという点で大変悪質だと思います。

 これは、国家公務員法上、十万円以下の過料に処すとなっているわけでありまして、この過料をかけていないのはなぜでしょうか。逆に、過料をこの場合でかけないとすると、一体どんな場合が過料の対象になるのかが理解できません。

 この未申告者に対して甘いのではないかということについては、まさに政治主導で大臣や副大臣が御判断されるべきことだと思いますが、これについての副大臣の御見解をいただきたいと思います。

義家副大臣 お答えいたします。

 再就職規制導入以降の全退職者六百名以上を対象とした退職者調査等の過程において、これは現在もまだなお精査中でありますけれども、これまで十五名の者が再就職に係る届け出を行っていなかったことが判明いたしました。これらの者については、文部科学省から法令の規定にのっとって早急に届け出を行うよう促し、四月四日の時点で十五名全員からの届け出がございました。

 再就職に係る事後の届け出を行っていなかった者については、国家公務員法において委員御指摘のとおり過料を科す旨定められているところであり、制度を所管する内閣人事局とも相談しつつ、事後の届け出を行っていなかった者全員について裁判所に通知を行うことといたしました。

後藤(祐)分科員 過料になる可能性があるということだと理解してよろしいでしょうか。

義家副大臣 司法、裁判所によって判断されることだと認識しております。

後藤(祐)分科員 適切な判断だと思います。

 次に、調査に対する、積極的に供述をされている方と消極的な方がおられます。特に人事課補佐級職員キという方は、事案八、九、十一、十二において非常に消極的な対応をなされております。

 また、事務次官経験者の前川さん、山中さん、清水さん、この三人の方はいずれも、記憶にないですとか、覚えはないですとか、報告は受けたが了解する類いのものではなく事実として聞きおいたですとか、こういった非常に消極的な対応をしておられて、しかも、いずれも違法認定がされているわけであります。

 このような、個別事案で違法認定されたような事案に関して、消極的な対応をした場合と積極的に供述をした場合で同じような処分をするということになりますと、今後、できるだけしゃべらない方がいいのではないかという意味で、非常に今後に対する悪影響があると思うんです。つまり、こういった調査の場合に消極的な供述しかしなかった方に対しては処分を重くするということがあってしかるべきだと思いますが、これに対しての副大臣の御見解。今回の処分は、消極的な対応をされた方は、消極的だったということがこの処分の重さに影響しているんでしょうか。

義家副大臣 個別の職員の処分については、国家公務員法の規定やほかの事例等を踏まえつつ、職責や行為の反復性の有無、違法性の認識の有無等、そのほか考慮すべき諸事情もあわせて総合的に勘案して判断したものでございます。

 今回の最終まとめにおいては、旧文部省出身の事務次官及び人事課長には、組織的に再就職規制等を潜脱する再就職あっせん構造の構築を防止すべきであったにもかかわらず、構造の構築、運用にかかわってきたことについて重大な責任があったとされているところであります。

 これを踏まえて、再就職等規制導入後の旧文部省出身の歴代事務次官については、構造の構築、運用にかかわってきたことについて極めて重大な責任があり、停職相当、同様に、歴代人事課長にも大きな責任があり、原則減給処分としたところであります。

 また、非協力的だった、積極的に答えたということについては、個々の職員の処分については、懲戒処分の方針にもあるとおり、自主的に違反を申し出た者、進んで調査のために貢献した者については、事案を総合的に勘案した上で、量定において情状酌量も行っているところでございます。

後藤(祐)分科員 積極的に供述した方が軽くなるというところについては御説明がありましたが、このお三方、清水、山中、前川、それぞれ事務次官経験者については、積極的だったとは、少なくともここに挙げられているようなものについては積極的だったとは思えません。それを理由に重くなっているのでしょうか。というのは、停職相当とだけ書いてあって、これがどのぐらいの重さかわからないところも問題なんです。

 というのは、懲戒免職の場合は退職金をもらえないんです。もしこれが懲戒免職相当であれば、退職金を返せという話になるんです。あるいは、この最終まとめがまとまるまでは、退職金を払うかどうかはそもそも決めるべきでなかったと思うんです。この段階で、懲戒免職処分相当ではないということが固まったところで退職金をどうするかということを考えるべきだったと思うんですが、なぜ早く退職金を前川さんに払ってしまったんでしょうか。

義家副大臣 前川前事務次官については、これは懲戒免職ではございません。その上で、手続にのっとって行われたものでございます。

 国家公務員法に基づく懲戒処分は、一般職の国家公務員に適用されるものでありまして、既に公務員をやめた者や特別職の国家公務員には適用されません。しかしながら、文部科学省の再就職あっせん構造の構築、運用にかかわってきたことや、このような事態を招いたことについて、歴代のトップである事務次官の責任を極めて重く受けとめた上で、三名の事務次官経験者を停職相当の評価とし、最終まとめにおいてこれを公表し、社会に対してその責任を明らかにしたところであります。

 これを受けて、停職相当となった三名の事務次官は、それぞれ公職を辞任等しておるところでございます。

後藤(祐)分科員 これは停職何カ月相当と明示すべきだったと思います。そうすれば、人によってはその分を自主的に返納するですとか、こういった対応も可能だったと思いますが、停職相当では返しようがありません。これについては、私は甘かった部分があるんじゃないかと思います。

 また、信用失墜行為に対する処分が甘いという面もあると思います。中岡審議官の処分、減給四月、十分の二ということでございますが、この方は、唯一、滋慶学園副学長事案の中で、信用失墜行為、国家公務員法九十九条違反が認定されています。そもそも天下り規制というのは、行政をゆがめてはならないというところから、あるいは無駄遣いしてはならないというところからこういう規制があるわけですから、この中岡審議官の案件については大変重いものだと私は考えます。

 きょうは決算の話でございますが、お金が無駄に使われていないのかどうか、あるいは大学の設置認可なんかに関してゆがみがないのか、こういった観点からも、これについてはやや甘かった面があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

義家副大臣 文部科学省では、中間まとめの公表後、全職員や退職者への調査を実施した上で、再就職等規制違反等について調査を行ったところですが、それとはまた別に、大学の設置や学校法人の寄附行為の認可業務に従事した職員に対しても調査を実施いたしました。

 具体的には、平成二十一年以降に大学等の設置等の認可等にかかわる審査業務を担当した係長から局長までの職員五十七名を対象とし、OBから審査を有利にするための特別な扱いを求めるなどの働きかけを受けたことがあるか等についても調査を実施いたしました。

 調査の結果、中間まとめにおいて、設置審査担当部署の職員が人事課の職員に対し公開されていない情報等の提供を行ったことが指摘された、御指摘の滋慶学園副学長事案の案件以外には、事案二十二の桐朋学園大学の案件も含め、不適切と見られる事案は確認されなかったところでございます。

 また、処分については、国家公務員法の規定等を踏まえつつ、職責、行為の反復性の有無、違法性の認識の有無等、そのほか考慮すべき諸事情をあわせて総合的に勘案し、量定を判断したものでございます。

後藤(祐)分科員 そうなると、この一番悪質なケースが二月分というような感じにも解釈されかねないので、やはりこれは甘いと思います。

 最後に、足元の再就職をどうするかということについて提言申し上げたいと思います。

 三月三十一日付でおやめになられた方は結構おられると思いますし、一月二十日に本件が明らかになった後、再就職の活動をされている方もおられると思いますが、本当に真面目に再就職活動をして大学に再就職される方もおられると思うんですが、それはもともと今回の悪い話できちっとマッチングされていたものに従ってやったんじゃないのといって疑いをかけられてしまう面もあると思うんですね。

 ですから、嶋貫さんや、あるいは別の形で、認められないような仕組みでマッチングされたケースはこのケースであってというのを例えば再就職等監視委員会に、外に言うかどうかはともかく登録をしておいて、それとは違う、完全にクリーンなものですよということを立証できるようにしておくですとか、あるいは大学についてはそもそも役所出身の方は公募制にするですとか、クリーンにする仕組みがあると思いますが、これについてのお考えを最後に聞きたいと思います。

義家副大臣 大変具体的、前向きな御提言だと思います。

 議員御指摘のとおり、文部科学省の退職者が再就職する際に国民から疑念を抱かれないようにすることは極めて重要でありまして、今般、国民からの疑惑が払拭できる体制を構築できるまでの間、退職者の大学等への再就職の自粛を要請してきたところであります。

 今後、最終まとめにおける指摘も踏まえた上で、先日設置された有識者検討会において、法律やコンプライアンスの専門家など外部有識者の御意見もいただきながら、具体的な再発防止のための方策をしっかりと取りまとめた上で、信頼回復に全力で努めてまいりたいと思います。

後藤(祐)分科員 組織風土改革だとかそういったものも大事なんですが、やはり足元の再就職をどうやってこれから認めていくのか、あるいはどうやっちゃいけないのかということを具体的にどうするかを、ぜひそのタスクフォースあるいは有識者検討会で具体的に詰めて発表していただきたいということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

八木主査代理 これにて後藤祐一君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして防衛省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

八木主査代理 次に、文部科学省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。真山祐一君。

真山分科員 公明党の真山祐一でございます。

 本日は、決算行政監視委員会におきまして質疑の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 通告させていただきました内容をちょっと若干入れかえさせていただいて、先にブラックバイト対策についてお聞きさせていただきたいと思いますが、大臣、よろしいでしょうか。済みません。

 まず、ブラックバイト対策についてお聞きさせていただきたいと思います。

 公明党は、大学生や専門学校生、高校生等のアルバイトについて、学生であることを尊重しないようなアルバイト、いわゆるブラックバイト問題を大変問題視しておりまして、きょうは決算ということでございますけれども、平成二十七年に公明党の中野洋昌議員がこのブラックバイト対策を質問させていただきまして、そして、それを踏まえて、これは厚生労働省ではございましたけれども、実態調査に乗り出していただきました。

 その後も引き続きこの問題に我々は取り組んでおりまして、みずから、サポートアクション運動ということで、学生に対する周知徹底、対応策のそういった取り組みを進めてきたところでございます。

 そしてまた、本年二月二十日にも、これは予算委員会でございましたけれども、私の方からこの対策について質疑をさせていただき、さらに、三月の九日には大臣にも申し入れに行かせていただいた次第でございました。

 このブラックバイトについては、学生のみならず、やはり日ごろ学生と接する教職員等の学校関係者の皆様にも、この労働ルールといいますか教育といいますかの周知徹底が非常に重要だということを思っておりますし、また、いわゆるフランチャイズを含めたこういった事業者に対する注意喚起も必要だというふうに思っております。そういったことをこの提言の中でさせていただいた次第でございます。

 この公明党の提言をさせていただきまして、このたびこの対策の強化の、文部科学省といたしましては、厚生労働省といろいろ協議の上、対策を取りまとめいただいたとお聞きしておりますけれども、やはりこのブラックバイトについて、学生の将来の希望が奪われるようなそうした事態は断じて防がなければならない、その思いを強くしているところでございます。

 今回お取りまとめいただいたこのブラックバイト対策について、文部科学大臣にお伺いをさせていただきます。

松野国務大臣 先日いただきました御提言では、学生及び教職員関係者に対する労働教育の推進、相談窓口の設置、企業に対する注意喚起といった課題をいただいております。

 まず、教員や生徒、学生が労働法制等の知識を得るため、高校、大学等の各学校において、働くときのルールを取り上げたハンドブックの活用や、都道府県労働局からの講師派遣によるセミナーの開催、高校において、学習指導要領に基づく公民科における労働問題についての指導、大学等において、日本学生支援機構と厚生労働省が連携した学生支援担当職員を対象としたセミナーの活用といった取り組みを行っております。

 また、高校や大学においては、教員、学生支援担当課、学生相談窓口等がアルバイトに関する相談に対応するとともに、各都道府県労働局と連携し、大学等への出張相談の実施や若者相談コーナーの紹介をしているところであります。

 さらに、企業に対しては、先月、厚生労働省とともに、生徒、学生のアルバイトが多い業界団体に対し、労働基準関連法令の遵守等に関する要請を行いました。

 加えて、今年度事業におきまして、大学の教職員がセミナー等を実施するに当たり活用できる指導者用資料を厚生労働省が作成することとしており、文部科学省として、その作成及び大学への周知に協力することとしています。

 今後とも、アルバイトで働く生徒、学生の適正な労働条件の確保に資するよう、厚生労働省とも連携しながら必要な取り組みを推進してまいります。

真山分科員 ありがとうございます。

 大臣におかれましては、我が党の要望を踏まえて迅速に行動をとっていただきましたことに、心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。

 先ほど御答弁の中にもありましたとおり、厚生労働省と文部科学省が一体となってこのブラックバイト対策に取り組むという体制がやはり一番重要な肝であると思っておりますので、ぜひ引き続きましての御尽力をお願いするところでございます。

 そして、一点、きょうは厚生労働省にも来ていただいておりますけれども、このブラックバイトを含む対策にはなりますけれども、過重労働撲滅特別対策班、いわゆる「かとく」を拡充して、特に、本年一月二十日に労働時間適正把握ガイドラインを発表されたと思いますけれども、このガイドラインに反する事業者をやはり徹底的に取り締まるべきではないかというふうに考えております。

 このブラックバイトにつきましても、やはり、就業時間、明確に管理がなされていないような実態も散見されますし、そういった仕組みによって、要は企業の、事業者の利潤を確保しているのではないかという疑念、疑わざるを得ないような労働環境、労働実態もあるわけでございまして、そうした意味でも、この「かとく」の拡充をしっかり図り、そうした労働法令に違反するような事例はしっかりと取り締まっていく体制をつくっていかなければいけないと考えますけれども、厚生労働省の見解を伺います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 若者は将来の社会を担う貴重な人材でございまして、働き過ぎによる健康障害があってはならず、また、働きやすい環境をつくるためにも、長時間労働の是正を図っていくということが必要であると考えております。

 御指摘のございました過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」は、司法事件で捜査対象が多岐にわたるものなどにつきまして、積極的かつ効率的な処理を行うために、平成二十七年四月から東京労働局と大阪労働局に設置をしているものでございます。

 本年度からは、この「かとく」を初めとした全国の労働基準監督機関を指揮する司令塔といたしまして、本省に過重労働特別対策室を設置いたしまして、長時間労働の是正に向けた法規制の執行強化のためのさらなる体制整備を図ったところでございまして、今後とも必要な体制の確保に努めてまいりたいと思います。

 また、企業における労働時間の正確な把握を徹底するため、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン、これを本年一月二十日に新たに策定をいたしました。

 このガイドラインにつきましては、厚生労働省のホームページにわかりやすく解説したリーフレットを掲載するなどして広く周知を行っておりますが、あわせて、ガイドラインに基づく適正な労働時間管理が行われていない企業に対しましては、しっかりと監督指導を実施しているところでございまして、今後ともこうした取り組みを徹底してまいりたいと考えております。

真山分科員 ぜひ、この体制を拡充いただいて、取り締まりの強化をお願いしたいと思います。

 それでは、次のテーマにさせていただきます。

 教職員の負担軽減についてお伺いをさせていただきます。

 この件につきましても、ちょっと通告の一番と二番を交換させていただいて、先に通告の二番を質問させていただきたいと思います。

 教職員が非常に多忙をきわめているということについては、これはもう以前から指摘がなされておりまして、さまざまな検討をし、そしてその対策、取り組みも実行されてきたものと認識をしております。

 平成二十六年に、OECD国際教員指導環境調査におきましては、日本の教職員の総勤務時間が調査参加国の中で最長という結果、実態が明らかになりまして、国際的に見ても教員の負担軽減が非常に大きな課題であるという実態が見えてきております。

 本年度の予算につきましても、例えば通級指導であるとか外国人の日本語教育の関係で、教員の基礎定数化を図っていただいておりますし、また、チーム学校の推進等を重ねて、これも公明党の方でさまざま提案させていただきましたけれども、学校現場の環境の改善に取り組んでいる中ではございますけれども、まだまだ改善の余地というのはあるのではないかというふうに考えております。

 まず、日本の教員の負担が非常に重くなっている基本的な要因について、文部科学省としてどのように認識をされているのか、また分析をされているのか、お伺いさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの教員の負担の増加の原因でございます。

 委員御指摘のOECDのTALISの調査も、国際調査でございますが、他方、文部科学省といたしましては平成十八年度に教員勤務実態調査を実施しておりまして、その結果といたしましては、教員一カ月当たりの平均残業時間が約四十二時間となっております。これは、同じく当時の文部省が昭和四十一年に実施した勤務実態調査では一カ月当たり八時間程度ということでございまして、かなりふえているということがわかっているわけでございます。

 この二つの調査を比較いたしまして、十八年度の調査でどの部分が勤務時間がふえているのかという比較をいたしますと、まず、生徒指導に関する業務がふえております。それから、補習や部活動の指導に関する業務、さらには学校経営など事務的な業務、これらの業務がふえているというふうに分析している次第でございます。

真山分科員 この教員の負担軽減の問題を取り上げますのは、教職員関係の団体等から要望を受けているというわけではなくて、私自身が身近に接している教員の方から、何十年と勤めてきた中で、やはりここは改善の余地があるのではないかというようなちょっと御提言をいただいておりまして、そうしたまさに現場のお一人の教員の声、そしてまた、さまざまそのほかお聞きする声の中から、具体的にさまざま聞いて、お聞きさせていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 先ほど御答弁もいただきまして、そして、この二十六年のOECDの調査も踏まえて、平成二十七年七月に、学校現場における業務改善のためのガイドラインを策定されまして、そして、それに基づいて取り組みを進めてこられたというふうに理解しております。また、平成二十八年には、先述のガイドラインを踏まえた各教育委員会の取り組み状況のフォローアップ調査も行い、さらに、学校現場における業務の適正化に向けてという報告書も取りまとめられております。

 まさに現在進行中でいろいろなプロジェクトが動いている中というふうに認識しておりますけれども、学校現場における業務改善に向けた取り組み、この取り組みの成果といいますか、評価、総括についてお伺いさせていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、平成二十七年七月に委員御指摘の、学校現場における業務改善のためのガイドラインを策定するとともに、各教育委員会に対しまして、これを踏まえた業務改善の取り組みを行うよう要請してまいりました。

 委員御指摘のとおり、昨年度、二十八年度に、各教育委員会の取り組み状況のフォローアップ調査を実施いたしましたところ、項目によっては、市区町村のレベルでの取り組み状況が十分でないといった課題が示されておりまして、例えば業務改善の方針の策定でございますが、これはまだ全市区町村の七%しか策定していないといったような課題が示されております。

 文部科学省といたしましては、こうした結果も踏まえまして、例えば、学校業務改善アドバイザーといった必要な仕組みの整備、さらには、学校現場における業務改善加速事業というような予算措置も含めた方策を実施するなど、引き続き学校現場における業務の適正化に向けた支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

真山分科員 ただいま答弁いただきましたけれども、市区町村において取り組みがなかなか進んでいないというのが実態として御答弁をいただきました。

 やはり、各現場の一番近いところ、教育現場に一番近いところでなかなか進んでいないということは、恐らく、先ほど業務改善アドバイザーのお話もございましたけれども、なかなか、そういった改善計画をそもそもつくるとか立てること自体に対するマンパワー不足とか、そういったことも考えられるのではないかというふうに思っているところでございます。

 そういう意味で、先ほどの予算措置を含めて、このアドバイザーをしっかりと派遣していくということが、一つまたこのモデル的な事例もつくりながら、さらに進めていただきたいというふうに思うところでございます。

 次の質問はかなり具体的にお聞きをさせていただきたいと思いますけれども、特に中学校の、中学校から高校へ受験をする、この出願の手続についてお聞きをさせていただきたいと思います。

 中学校の教職員の方は、三年生の学年を担当すれば当然、生徒の進路指導に当たり、そしてまた当然のことではありますけれども、成績に関する調査表を作成するわけでございます。

 その上で、恐らく多くの学校がそうであるのではないかと思いますけれども、出願する高校を決めまして、中学校から高校に対して願書を請求するわけですね。そして、高校ごとに生徒の願書を配付されまして、そして出願するための今度は願書の記入の仕方をある意味生徒に教えて、その生徒が書いてきたものを教員が点検する。そして、その点検の終わった願書を学校ごとに整理、仕分けをして、この点検作業の上、袋詰めをして高校に出願をする。場合によっては、これはもう先生が直接高校に持っていったりとか、郵送の場合もあるようでございますけれども、持っていって、要は、受験票を確実に受領して、またそれを生徒に配付をする。

 ざっくり言うとこんな流れが、恐らく、これは地域によってかなり実態は違うのであろうと思いますけれども、ある意味、そういった出願丸抱えのような状態が常態化しているというふうに認識をしております。

 当然、やはり生徒が遺憾なく受験に向けて力を発揮するために、教員の皆さんも少しでも力になりたいという思いの中で、こうした業務も取り組んでいらっしゃると思います。それでも、公立高校は出願書類が統一されていますので、教員の方も指導をしやすい、また点検をしやすいわけでございますけれども、私立学校になりますと、学校の独自色がそれぞれで、あるようでございまして、一部地域では統一化しているような事例もあるようでございますけれども、そういった、選抜の形式も多様化してきている中で、非常に出願手続が複雑化している。特に私立になりますと、学校の要綱をしっかり読み込んで、点検、チェック、指導しなければいけないという作業が、これがもう三十人、四十人と生徒の対応をしなければいけないということになっている状況でございます。

 先ほども言いましたとおり、当然、教員の方は、これは生徒のためという使命感に燃えてこの業務にも当たられているというふうに思います。しかし、この出願手続のやはり負担軽減、さらに、この手続自体の簡素化、特に私立学校のばらばらな出願形式、こういったところには改善の余地があるのではないかというふうに考えておりますけれども、これについて文部科学省の見解をお伺いさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、高校入試に係る調査書の作成や願書などの出願書類の確認、取りまとめなどの入試事務につきましては、中学校の教員が行う重要な校務として位置づけられているところでございますが、近年の高校入試における選抜方法の多様化に伴いまして、学校現場の入試事務も増加し、それに伴い、教員の負担もかなり重くなっているという状況は十分私どもとしては認識しているところでございます。

 この点に関しましては、高校入試の実施者である都道府県の教育委員会や、さらには私立学校等におきまして、例えば公立、私立学校における統一した調査書の活用や、調査書などの出願書類の電子媒体化、それから中学校を経由しない個人出願の実施、さらには、校務の情報化による通知表、指導要録、調査書が連動して作成できる校務支援システムの導入など、入試事務の効率化、簡素化に努めているものと承知をしております。

 文部科学省といたしましても、全国の国公私立入試担当者を集める会議を毎年十月に開催しておりますので、こういった場面を活用いたしまして、入試事務の効率化、簡素化に向けて先行して取り組まれている自治体の好事例を紹介するなど、学校現場における入試事務の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

真山分科員 手続の簡素化について、この問題意識、今共有させていただいていると答弁の中で思いましたけれども、ぜひ問題提起をさらにしていただいて、関係団体との調整が非常に必要な項目だと思いますので、ぜひ検討、研究を図っていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 そして、時間もなくなってまいりましたので手短に参りたいと思いますが、次に、給食費等の件でございます。

 給食費等の校納金の徴収に関しては、これも非常に負担が多い項目の一つというふうに聞いております。

 この徴収の方法につきましても、これも各教育委員会また自治体によって違いがあるというようでございますけれども、基本的には担任が徴収をして預かって、それを学校で管理するというような仕組みではないかというふうに思います。

 先ほど取り上げました、学校現場における業務の適正化に向けての中においても、給食費等の徴収管理業務からの解放ということが掲げられておりまして、特に、やはり、いわゆる未納者の方に対する対応が非常に教員にとっても負担が重いというようなお話も聞かれるところでございます。

 この給食費等の校納金の徴収、業務の負担軽減について、文部科学省の見解をお伺いさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、文部科学省が実施した調査におきましても、給食費を初めとする学校徴収金の集金や未納者への対応などについて、多くの教員が負担を感じていることはわかっております。

 給食費の徴収業務を教育委員会に移行した自治体におきましては、教員の負担軽減が図られているといったよい事例も見られるところから、文部科学省といたしましては、給食費などの学校徴収金の徴収管理業務について、教員ではなくて地方自治体がみずからの責任で行うことが望ましいと考えております。

 したがいまして、文科省といたしましては、このような必要な環境整備を推進するために、給食費の会計業務に係る先進事例の収集、発信や、さらには学校徴収金の徴収管理に関する実証研究などを今後進めてまいりたいと考えております。

真山分科員 地方自治体による徴収が望ましいというお話、当然、それに伴って会計のルールづくりが必要だというのは重々理解しております。

 さらに校納金。校納金というのも種類がたくさんありまして、そのほかに、私の地元なんかでお聞きしますと十数個、校納金の種類があって、それを全て徴収するよというような話もございまして、そういったことも、大きく捉えていただいて改善を図っていただきたい、このように思うところでございます。

 次の質問に行かせていただきたいと思いますけれども、ちょっと時間が迫っておりますので、教員免許更新制度については次の機会に譲らせていただきまして、最後の点になりますけれども、大臣に今後の御決意をお伺いさせていただきたいと思います。

 これまで、今回の審議の中で、かなり具体的な細かい部分について、教員の負担軽減の問題を取り上げさせていただきました。恐らく、このほかにもたくさんの課題があろうと思いますし、先ほど申しました、私にこの提言を寄せてくださった教員の方からも、もっと膨大な改善の余地があるのではないかという話をいただいているわけでございますけれども、こうした教員の負担軽減、これまでも政府として取り組んでこられておりますし、そして引き続き取り組んでいかなければいけないという課題であるというふうに認識をしている中でございます。

 そして、教員の負担軽減を実現しなければいけないと思う最大の理由は、やはり教員がこの負担を、非常に子供と向き合う時間を、正直に言えば減らしながら、また、授業における、みずから行う授業の自己研さん、こういった時間も削りながら、先ほど取り上げてきたような作業に当たっているというのが平成十八年の調査結果からも読み取れるわけでございまして、やはり、子供たちとしっかりと向き合い、そして一人一人きめ細やかに向き合っていくためには、ある程度の負担軽減を実現しなければいけないという思いでございます。

 そうしなければ、多忙の中にありまして、例えばクラスや、また子供の小さな変化になかなか気づけなくなってしまう。また、気づいたとしても、適切な対応をとる行動が起こしづらい、また起こすいとまもないというか、それによって手おくれになってしまう。こういったこともやはり懸念されるわけでございます。

 そういったことに加えて、当然今、教員の皆さんのいわゆるヘルスケアといいますか、心の、メンタルケアが非常に重要なテーマにもなっているところでございまして、まさに、一人一人の生徒に目が行き届き、そして教員が生徒と向き合える教育現場を実現すること、これが教育現場における働き方改革の大きなテーマではないかと私は考えておるところでございまして、この教育現場における働き方改革について、松野文部科学大臣の御決意をお伺いさせていただきます。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 各種調査におきまして、我が国の教員の長時間勤務の実態が示されていると認識をしております。

 文部科学省としては、教員の業務負担の軽減を図ることは喫緊の課題であると認識しており、二十カ所程度の重点モデル地域を指定し、学校現場の業務改善を加速するためのプロジェクトの開始、部活動の適正化の推進、業務改善等に知見のある有識者や教育関係者等を業務改善アドバイザーとして派遣する仕組みの創設などを柱とする、学校現場における業務の適正化に向けた取り組み方針を本年一月に発表いたしております。

 あわせて、教職員定数についても、学校現場における喫緊の課題に対応するための義務標準法の改正法が今国会において成立をしたところです。

 文部科学省としては、適正な労働と生活のバランスのもと、教員が子供と向き合える時間を確保し、教員一人一人が今まで以上に誇りとやりがいを持てる学校現場の環境を実現するため、学校現場における業務の適正化を着実に推進し、学校教育の質の向上に努めてまいりたいと考えております。

真山分科員 時間となりましたので終わらせていただきたいと思いますが、私自身教員ではございませんので、どれだけ現場の実態に即した質疑となったかわかりませんけれども、しかし、やはり、先ほど大臣に御答弁いただきましたとおり、子供たちの未来のために必要な課題だと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

八木主査代理 これにて真山祐一君の質疑は終了いたしました。

 次に、松浪健太君。

松浪分科員 日本維新の会の松浪健太です。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 松野大臣ということで、感慨深いですね。私は落選もしましたけれども、かつて短期間ではありましたけれども一年生議員として席を並べた松野大臣にこうして質問できるのを、本当にありがたいなと思います。

 きょうは決算委員会でありますけれども、先週も随分ぎりぎりと預金保険機構等の質問等をさせていただいて、決算委員会も、この院のあり方も、先週は紙をどういうふうに衆議院が使っているのか、紙代だけで年間五億円になるということですけれども。

 きょうも随分、これはえらい量が積まれていますけれども。今持ったら、三キロでは済まないな、五キロぐらいありますね。これは、目の前にこうやって出されても、見る人も本当に少ないので、こういうのもやめた方がいいなというふうに思うので。日本維新の会は、党の資料とか役所から来る資料も全てインターネットで、自分たちがそこでアクセスして。これは結構いいですよ。自民党なんかだと、部会の資料をピジョンボックスに、下にとりに行ったら、ああ、これはあるな、ないなと、あると思うんですけれども、もうこれだけですから紙を捨てる手間もない。今までだったら、この国会が終わったらこれは全部捨てないかぬなといって議員会館で処理していたものも、携帯性が非常によくて使い勝手がいいので、国会も党もこうしたところの連携でやっていけばいいんじゃないかなと思います。

 文科省の方もおかげさまで、当初我々がそれを始めたころは、いや、電子データにはなかなかしていないと各省おっしゃったんですけれども、もう今は皆さんなれたもので、部会も、一人プロジェクターの前に座って、ほかのみんなはタブレットを見るというスタイルで済んで、何とか国会の方もそうしていただけたらありがたいなと思います。

 きょうは、本来であれば決算あれなんですけれども、ちょっと私のテーマで、本来なら文科の一般質問で聞いた方がいいかと思うんですけれども。特に、デジタルヘロイン問題といいまして、言い方はセンセーショナルですけれども、中毒性がネットにはあるねという話で、特に子供の脳には大変な影響があるそうであります。

 この十年ほどで大変、特に脳の研究がすごく進んでまいりまして、私も先般、法務委員会の方では、子供ににせ記憶を、十八を超えても子供のころのにせ記憶というのはこんなに簡単につけられるんですよという問題をさせていただいたところでありますし、最近はトラウマなんかも、そのトラウマの写真と体への刺激で、何と、見せる画像とトラウマを合わせてトラウマを解消していく研究なんというのもあるそうでありまして、脳の中の仕組みもどんどんわかってきている。特に、最近、「サイコパス」という本も出て、人気になっていますね。人間の良心等をつかさどる扁桃体と脳のつながりで、ある意味恐怖心を感じにくい人たちという特異な脳の思考の形態も生まれるということであります。

 そんな中で特に、私も、国会へ来る途中も電車に乗りますと、この国どうなってしまったのかなと。大体、十人中、数えると八人の大人がこちゃこちゃずっと携帯をいじっている。正直気持ち悪いですね。ある方がこの間写真を送ってきて、我が家の写真ですと。家族が全員居間で並んでスマホをしている写真をお母さんが笑って送ってきた。電車の中も家庭もこういう状況になってきているわけであります。

 私の方はこれに恐怖心を覚えて、何とかガラ携を使おうとしてきたわけですけれども、しようがないからタブレットを使ってやっているけれども、やはり自分も依存症を感じますね。

 こうした中で、特にネット依存問題というのが本当に深刻になってきて、中国、韓国では法律もつくってやっているし、アジアの方でも大変な規制をやっているそうであります。

 特にデジタルヘロインの問題、私、この岡田尊司先生という方の本、十年ぐらい前に「脳内汚染」というのが出まして、それから、「パーソナリティ障害」とか、いろいろ本が出てきて、二年ぐらい前に「インターネット・ゲーム依存症」という、まさにデジタルヘロインというすごい言葉を使ってやってこられたんですけれども、これはスマホゲームが大変だと書いている。

 昔、僕もゲームをやったころは、僕らも子供のころからちょうどゲームが出てきたんですけれども、はっきり言って、ほんまにこんなにはまるのかなと思って、この本を読んでから、僕もネットゲーム、ネットゲームというかスマホでやるゲームをやってみました。はまって大変なことになりましてね。いや、これはすごい中毒症ですけれども、大臣、こういうゲームをやられたことはありますか。

松野国務大臣 ございません。

松浪分科員 これはちょっと想像がつかないと思うんですけれども、すごい強迫感があるんですね。例えば課金、お金をちょっと入れるんです。でも、お金がなくてもできるんです。例えば、僕はある冒険ゲームにはまったんですけれども、だんだんゲージが、十分に一目盛りずつ上がってきて、それを使ってやるんですけれども、時間がある人はそれをやりなさい、そうじゃない人はちょっとお金を払ったらそのゲージがびゅっと上がってゲームができる。アイテムについてもそういうことで、お金のない子供も時間があればはまれるし、ちょっとちょっとずつお金と時間を使わせる強迫観念、毎日それを開くだけでアイテムをもらえるとかね。だから、随分と心と時間を支配させていくシステムというのはすさまじく巧妙にでき上がっているんですね。

 この危険性を読んで、僕がやって自分がはまる、まさにミイラ取りがミイラになるという恥ずかしい経験ではありますけれども、その分、危険性は十分感じたんですが。

 韓国ですかね、国家情報化基本法とかというのは。ネット依存症というのは法律で定義されているそうであります。インターネット依存により身体、精神、社会的な機能障害を負った状態等と、海外ではこのように法律にも定められているというのが、こういうネット中毒とかネット依存症の定義なんですけれども、日本ではどのように今定義されているのか伺います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネットの過剰な利用、いわゆるインターネット依存につきまして、現時点ででございますけれども、世界保健機関、WHOにおきます国際的な診断ガイドライン、国際疾病分類の中ではインターネットの依存について明確な定義づけはないということでございまして、国際的には、独立した精神疾患として確立されているというところまではいっていないというのが現状でございます。

松浪分科員 国際的にはこれはなかなかいっていないと。

 やはり中国でも韓国でも中国語、韓国語でこうしたゲームができるし、日本もできる、もちろん日本語のゲームですよね。ですから、英語圏とまたこれは違う文化ができてくる。確かに、中国、韓国なんかでは大変なのめり込みがある、かつて八十六時間ぶっ続けでやっていた成年男子が亡くなったとか、そういうので随分機運が変わってきたと伺うんですが。

 日本でも、私ら別にオンラインでほかの人とやるわけじゃないですけれども、ほかの人とやるタイプのゲームもあるわけですね。そういうことをやると、大人と一緒にプレーをする、夜十時以降に大人が帰ってくる、では徹夜でやる、朝起きられない、そしてまた、これが悪循環になって、結局、不登校とか引きこもりになる。

 また、ゲームをやるということは大変な、僕もこの間までカジノ法案の、自民党、維新の五人ちょっと提案者で、我々も随分カジノもやらせていただいて、今は随分と、内閣府の方にギャンブル依存症が今ごろできてきているんですけれども、今ごろギャンブル依存症かなと、僕ははっきり言って滑稽に思っているんです。

 というのは、ああいう依存症はまだ健全な依存症なんです。何が健全かというと、まだ金銭とか社会的地位とか人間が喜ぶ要素というのはあるんですけれども、ネット依存になると、その閉じたデジタル空間の中だけで、まさに数値とか架空のアイテムとか、そういうものに快楽を覚えるし、その快楽がまた強烈だと。

 この本なんかで、これは海外の事例なんかも入れて、科学的な調査によると、快楽中枢が、ドーパミンの放出なんかも、五十分ぐらいやると二倍になると。まさに覚醒剤で、アンフェタミンを打ったときに大体ドーパミンが二倍ぐらい出て、感覚中枢が出て、受容体が麻痺をしてその受容体が少なくなって、ディスレギュレーションというらしいですけれども、それで結局うつ症状なんかも引き起こすと。まさに受容体を弱らせてしまうような強烈な刺激を出す。こうしたものが子供の脳にはよくないというのは当然、当たり前だと思うんですけれども。

 最近こうした文献がふえていますよ、スマホやネットの中毒症、こうしたものが未成年の脳には大きな問題を引き起こすということが指摘をされていますけれども、文科省の方でこうしたことをしっかりと把握をされているんでしょうか。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども疾病分類としてはそういうことでまだ確立していないというふうに申し上げましたが、ギャンブル等依存症でも中核的な医療機関になっておりますところの久里浜医療センターの方ではネット依存専門外来というのを設けてございまして、そちらで二十三年七月から二十六年二月までに受診した方が百八人お見えになって、その方につきまして厚生労働科学研究におきまして実態把握等の調査を行ってございます。

 ちょっと御紹介させていただきますけれども、百八人のうちでということでございますけれども、若者が多く、中高生が四四%を占めている、男性が五・四対一ぐらいで多い。それから、最も依存しているネットサービスはオンラインゲームということで、八五%の方がオンラインゲームにはまっている。それから、依存する機器としてはパソコンが多く、四五%、次いでスマホ、携帯二五%。症状的なものといたしましては、昼夜逆転四一%、引きこもり三六%、暴言だとか暴力だとかいうものが三二%などの症状。それからまた、学生の場合ですと、欠席、学校を休んでしまうということだと思いますが、六八%、成績不振四一%、留年三〇%などというようなことが認められているというような研究結果がございます。

松浪分科員 今僕は文科省と厚労省と言い間違ってしまったんですけれども、何で言い間違ったかというと、数年前に確かにスマホ等で質問したことがあるんです、そのときは有害情報をどういうふうにカットするか、ブラックリストとかホワイトリストとかそういうもので済んでいたんですけれども、脳の中に随分とここまで浸透するという問題になると、やはり話に出てくるのはギャンブルもこれもいつも久里浜の医療センターの話だけで、ほかにやっている話がほとんどなかなか聞こえてこないというのが現状です。

 今回も、質問取りに来ていただいて、三十分ぐらいで終わって、うちの秘書が外へ出て、何しているのかなと思ったら、内閣府と文科省と厚労省で、いや、これの問題はこっちで、これの問題はと。最初、それ、大臣はどなたで副大臣はどなたでとなりそうだったんですけれども、いや、僕は答えてくれたらいいので、それはそっちでやってくださいと言ったんですけれども。余り、あそこまであれですけれども、それから三十分ぐらいして秘書が帰ってきました、うちの会館の廊下で。

 やはり、なかなか連携というか、まだ日本の場合は、この部分、横ぐしが全く刺されていないなと思うんですけれども、特に、子供の問題として、文科省と連携をして、各学校と連携をするというようなところまでいっているのかどうか、ちょっと厚労省さんに伺います。

堀江政府参考人 御案内のように、ギャンブル等依存症などの場合にはそのレベルまではいっているわけでございますけれども、ネットについてはそこまではいっていません。

松浪分科員 特に、今回、ギャンブル依存症の問題で内閣府の中にカジノ関係で推進本部が立ち上がって、次の法律をつくるまでに六つの部署があって、その一つが今ギャンブル依存になっているわけでありますけれども。

 私は、正直言って、ギャンブル依存よりこの問題の方が、はっきり言ってはるかに、はるかにはるかに深刻な問題だということを、きょうは特に大臣に御認識をいただきたいと思ってここに至ったわけでありますけれども、大臣、これから厚労省とも連携をして、この問題、本格的に学校現場の話も吸い上げた上で連携をいただきたいんですけれども、いかがですか。

松野国務大臣 松浪先生の御指摘もいただき、また各種調査結果を改めて調べてみると、これは内閣府の調査でありますけれども、平成二十八年度青少年のインターネット利用環境実態調査、小中高校生の、平日、月曜から金曜日までにインターネットを利用する平均利用時間が百五十四・三分ということですから、二時間半以上ということですので、大変な時間を使っているんだなというのを改めて感じたところであります。

 インターネットの利用というのは、高い利便性が得られる一方で、松浪先生御指摘の、長時間利用した場合には生活習慣の乱れなどにつながるため、適切に行われる必要があるのはもちろんでございます。

 そのため、文部科学省では、小中高等学校において、学習指導要領に基づき情報機器やインターネットの適切な利用について指導することとしており、授業で活用できる教材や教師用手引書を作成、配付するとともに、スマートフォンの利用に関する危険性や留意点等について、リーフレットの作成及び各地域のPTA等と連携したシンポジウムの開催など、保護者等への普及啓発の取り組みを行っているところであります。

 松浪先生御指摘のとおり、これは関係省庁、関係団体と連携しながら行っていかなければいけないことでありますから、その施策をしっかりと推進してまいりたいと考えております。

松浪分科員 よく、こういうものはペアレンタルコントロールが必要だというんですけれども、電車の中で見たらわかるように、ペアレンタルコントロールすべき大人がコントロールできていない。しかも、我々はまだ、スマホ等は大人になってからこれをさわり出した世代ですけれども、今の子供たちは、もう生まれながらにしてスマホを持っている。ある赤ちゃん、僕の友達の子供が、この間、テレビをさわったといって、何してんねん言うたら、テレビをさわってスクロールさせようとしているんですって。だから、それぐらい思考の中に深くしみついているものでありますので、これはよほどのことが必要だと思います。

 特に思考という面ではどういう影響があるかわかりませんし、先ほど有害情報と言いましたけれども、携帯電話だったらある程度コントロールできても、幾らインターネット利用においても、スマホなんか大人のを使ったら、アダルトページなんか今すさまじいものがあるので、僕は、スマホなんか渡している親を見たら、エロ本渡しているのかと言うんですよ、本当に。それぐらいのきついものを我々は持たせているわけでありますので、そのあたり、本当に厳しい規制とかコンセンサスが必要だと思うんですけれども。

 そこで伺いたいんですが、先ほどから私も、韓国、中国、タイ、ベトナム等、指摘したんですけれども、スマホなどのこうしたネット等の害から子供を守るために行われている海外の立法や規制について、どのように政府として認識、お調べになっているのか伺いたいと思います。

    〔八木主査代理退席、主査着席〕

石原副大臣 お答え申し上げます。

 子供を守るために行われている海外の立法や規制については、網羅的には政府として把握していないわけでありますが、例えば、内閣府が実施した海外における青少年のインターネット環境整備状況等調査によれば、オーストラリアでは、インターネットサービスプロバイダーに対して、利用者へのフィルタリング提供を義務づける法律が制定されているというふうに承知しております。

 また、韓国では、オンラインゲーム業者が、十六歳未満の青少年に対して深夜零時以降にネットゲームを提供することを違法とする法律が制定されているというふうに承知しているところであります。

松浪分科員 今おっしゃったような内容、これは結構ネットなんかでも出ているんですけれども、日本もやはり本格的にこれをやらないと、知らぬ間に子供の脳が侵食されるわけでありますし、大人の我々ですらこのように侵食されるので。

 副大臣も、こういうのははまったことはありますか。

石原副大臣 お恥ずかしい話なんですが、私、大学生のときに、ちょっとドラゴンクエストにはまりまして、それで、夏の試験、一つだけ必ず優がとれるのがあったんですけれども、ぎりぎりだったという経験がありまして、はい、私も経験がございます。

松浪分科員 大学時代、優が一個だった僕とはえらい違いですけれども。僕もそれにはまったことがありますけれども、三日ぐらいやったら大体そういうのは飽きるんですよ、昔のゲーム、我々がやった時代のゲームはですね。でも、今回やってみて、進化し過ぎというのが現状ですので、くれぐれも、大臣、副大臣もそういうものには手を出さないようにしていただきたいなと思うわけであります。

 もう一点、今、種々、特に副大臣がおっしゃったこうした海外の立法規制等、もうちょっと研究を進めていただきたいところでありますけれども。ネット依存と、引きこもりとかうつとか、こうしたさまざまな悪い状況があるんですけれども、先ほどから指摘しているんですが、こうしたものの相関関係というのを政府の方でどのように把握をしていらっしゃるのか、伺いたいと思います。相関関係が認められるのかどうか。これは通告していたと思うんですけれども。

堀江政府参考人 いろいろ、精神保健福祉センターなどでネット依存の相談件数がどの程度あるかとか、実態はもう少し詳しくできますように、二十九年度にも、把握するような研究、検討は少し進めたいと思います。

松浪分科員 具体的に、その二十九年度の研究等というのは、どのようなことをされる予定なんですか。

堀江政府参考人 具体的には、幾つかの自治体にお願いして、そちらの方で調査をしていただくようなものを二十九年度に厚労省の方でしたいと思っています。

松浪分科員 ありがとうございます。くれぐれもこうした状況を、文科省等と連携いただいて、特に子供の脳は吸収も早いので、こうしたことをしっかりと進めていただきたいと思うわけであります。

 それでは、次の問いに行かせていただきたいと思います。これも、もう総務省関連なので大臣にはお楽にしていただいていいと思うんですけれども。

 以前から、私の方が参議院の選挙の一票の格差について研究をしておりまして、これは量の格差だけがずっと問題になってきて、先般は、いつもこれは、国会としては後手後手で回ってきているし、これまでのいろいろな経緯でできた選挙区というのはなかなか、議員立法で、政治家の手でしかさわれないというのが現状ではあります。

 しかしながら、我々衆議院の選挙というのは小選挙区比例代表並立制。いろいろ言われます、政治家が小粒になったとか言われますけれども、それでも、国でいう、割と国の出先機関ぐらいのレベルで、関西とか中国地方とか、比例票と、そして小選挙区制度でそれをすくってくる。同じようなシステムで、同じような公平性は最低限担保されているのかなと思うんですけれども。特に参議院選挙、僕はこれは全くでたらめだなと思うわけであります。

 きょうはわざわざ皆さんに資料までお配りしていませんけれども、選挙部長にまた見ていただきたいんですけれども、例えばこの表のように、これは調査局と一緒に以前つくってもらったんですけれども、前々回の一人区は、二十三回の平成二十五年の選挙は、小選挙区三十一選挙区で自民党が二十九勝で、岩手で無所属、沖縄県でも沖縄のが勝っているだけで、二カ所しか勝っていないわけですね。しかし、事二人区、このときは十選挙区ありまして、自民党が当然第一党で全部とる。ほかは、自民党が二つとれるところは、昔と違って、これはもうないわけであります。

 こうした選挙が続いていまして、政権交代前の選挙なんかでは、民主党がほとんどとっていますけれども、やはり二人区では民主、自民で全部分け合っているという選挙区でありまして、これは有権者にとっても、それから候補者にとってもアンフェアだなと思います。

 我々衆議院議員は小選挙区で出ても比例で復活する可能性はあるけれども、一人区の先生方というのは一票でも負けたら勝てない制度で一人は戦わされる。片方は、これはもう、特に自民対民主、そうでないところもありますけれども、自民と第二党みたいなところで、はっきり言ってこれは信任投票ですよ。有権者は、自民に入れようが、野党第一党に入れようが、野党第一党の推す人に入れようが、二人区だったら、どっちにしても結果は変わらない。一人区では非常に大きく変わる。そして、候補者もリスクを持つ。

 票の量の担保ということは今まで最高裁が判断をしてきたわけでありますけれども、票の質が、衆議院と違って余りに参議院はでたらめだ。たまたま青森県だから私はぎりぎりなんですよ、北海道だから二議席あるんですよと。自分が投票する県によって、自分の投票した票がどうなるかが非常に大きく変わってしまう。これは一つ大きな問題だと思うわけであります。

 これは、いろいろ、総務省さんと議論をしても申しわけないわけです。これは、参議院、議院の立法府がみずから判断をする問題ではありますけれども、我々立法府は今まで、訴えが起きて一票の格差訴訟等があって、それに非常に付随的に裁判所の指摘があって、それで受動的に、かなり、このままでは憲法違反になるというところまで判断をしないわけであります。

 そこで、これは総務省に聞いても申しわけないので、最高裁の判決のあり方についてという聞き方しかできないんですけれども、参議院における一票の格差問題について、最高裁判決をどのように認識しているのか、根拠を伺います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 参議院の一票の格差に関する訴訟の最高裁判決についてでございますが、これは、一番新しく出ているのが平成二十六年十一月二十六日、大法廷判決でございます。ただ、これは、従来から、二段階に分けて、違憲であるか判断しております。

 まず、定数配分が、諸事情を総合的に考慮した上で、投票価値の格差において憲法の投票価値の平等の要求に反する状態か、すなわち違憲状態に至っているかを、まず判断します。次に、違憲状態に至っている場合には、憲法上要求される合理的期間内に是正がなされたか否かによって、違憲であるかどうかを最終的に判断しているというような枠組みでございます。

 そのうち、投票価値の格差の判断においては、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の格差を投票価値の格差としているように判断していると承知しております。

松浪分科員 これは、今までの訴訟が、一票の格差ということで、原告団がこういう訴訟の仕方をしていたわけでありますけれども。

 僕の選挙区も非常に特殊で、府会議員なんかは、実はうちの大阪十区というのは一市一町で、府会議員と国会議員の選挙区が全く一緒なんです。すると、ほかの地域、大阪の南側へ行くと、例えば一人区ばっかりなので、全部維新しかいないです。自民党も一人も通ってないですね。でも、うちの選挙区なんかは五人区だったので、自民、公明、民主、共産、社会まで昔は通っていて、四人区になったので、我々が一議席削ったので社民党はなくなった。この間は、今、維新も入ってそれで社民党がなくなって、民主も、今、自民、維新、公明、共産と、民主も消えていった、こういう状況です。

 有権者も、選挙区によって投票する結果がこんなに違うというのは、地方議会でも正直言ってフェアだと思いますが、百歩譲って地方議会は市町村の枠組みというのを優先するというのであっても、少なくとも、国政に関する我々の、軍事というか防衛までやる、地方参政権と国政参政権はやはり分けようという考え方もあるわけですから、今後、こうした質の研究というのは、もしかしたら私が国を訴えてやらないとなかなか我々は腰を動かさないのかもしれませんが、最後、総務省の皆さんにもまたこうした研究をちょっとお願いしたいんですが、選挙部長、よろしくお願いしたいと思いますが、一言お願いします。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 参議院の選挙制度につきましては、御承知のとおり、平成二十七年の通常国会において制度が改正され、定数が改正されましたなど、累次に改正されてきております。選挙区の定数がまた減になりますので、一人区がふえているというのは先生御指摘のとおりでございます。

 こういう中でございますが、参議院の選挙制度のあり方につきましては、やはり議会制度の根幹にかかわる重要な問題でございますので、各党各会派において御議論いただくべきものと考えております。

松浪分科員 お答えがそうなるのが通常なのでありますけれども、今回、調査局にもこういう資料をつくらせていただいたので、また総務省の方でもデータの御協力等お願いをして、論点を深めたいと思います。

 では、大臣、副大臣、くれぐれもネット依存にはお気をつけいただいて。

 ありがとうございました。

石関主査 これにて松浪健太君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、道徳の教科書の検定問題についてお伺いしたいと思います。

 道徳が教科化されて初めての教科書検定の結果が発表されました。検定のあり方についていろいろな疑問の声が上がっているのは御存じのとおりだと思います。

 東京書籍の一年生向けの教科書では、パン屋さんが和菓子屋さんに書きかえられたことで検定に合格をいたしました。

 全国のパン屋さんが怒っているわけですね。報道では、全日本パン協同組合連合会の西川会長は、郷土愛を伝えるのにパンはふさわしくないと言われたようで悔しいと。日本パン工業会の中峯専務理事は、小学生の女の子に将来なりたい職業を聞くとケーキ屋やパン屋は上位に入る、そんな子供の気持ちをどう考えるのでしょう、こう報道されているわけですが、大臣はこうした批判の声をどう受けとめられているでしょうか。

松野国務大臣 御指摘の件は、パン屋に代表される、申請図書の具体の写真や記述そのものに不適切なところがあったという検定意見ではありません。

 学習指導要領で定められた内容は、教科書全体で取り扱うことが必要とされているところです。小学校学習指導要領の「道徳」では、「第一学年及び第二学年」で、「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」として、「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつこと。」が定められており、その扱いが十分でなかったことから、教科用図書検定審議会における専門的な審議の結果、図書の内容全体に対して検定意見が付されたものであります。

 今回の検定意見がパン屋に関する記述について付したものではないことについて誤解が生じないよう、正確な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)分科員 全体に意見をつけたということを言いますが、結果としては、パン屋のときは不合格だった、和菓子屋に書きかえたら合格した、これは動かしがたい事実なわけですね。

 先ほど、学習指導要領の中身が入っているか、伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度と言われましたが、どうしてこれがパン屋では学べずに和菓子屋になったら学べるのか。大臣、どうなんですか。

松野国務大臣 検定意見に従って、申請図書について、学習指導要領を踏まえどのように修正するかにつきましては、申請図書の発行者の判断に委ねられているところであります。

 小学校学習指導要領の「道徳」では、先ほど申し上げましたとおり、第一学年、第二学年で、伝統、文化の尊重、国や郷土を愛する態度として、「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつこと。」と定められており、検定意見では、図書の内容全体でこの要素を満たすことが求められたことに対応して、発行者が修正した記述では、「まちのことや、はじめてみたきれいなわがしのことを、もっとしりたいとおもいました。」という記述でありますとか、あなたの住む町や国の好きなところはどんなところですかなどの、我が国や郷土の文化と生活の要素となる記述が追加されるなど、修正全体について、学習指導要領に定められた内容を満たすとして審議会において許容されたところであります。

宮本(徹)分科員 今の説明を聞いても全くわからないんですね。

 なぜ、現状では、パン屋の話では郷土を愛する態度や伝統や文化を学べないのか。郷土のために役立っていますね、パン屋さんは。私の住んでいる町でも、学童クラブのおやつをつくったりだとかいろいろなことをやっていますよ。町の中で欠かせない役割を果たしていますよ。結局、パン屋さんだと役割を果たしていないということで、特定の価値観を押しつけることになっているんじゃないですか。だから私は皆さんが怒っているというふうに思いますよ。

 伝統というお話をされますけれども、和菓子屋は伝統がある、パン屋は伝統がないのか。パン屋は幕末に入ってきましたね。後できょうは銃剣道のこともお話ししますけれども、銃剣道で武道の伝統を学ぶといっても、銃剣道が始まったのは昭和三十一年ですよ。パン屋の方がよほど期間からいえば伝統があるという話じゃないですか。パン屋でも伝統を学べるんじゃないですか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 パン屋が和菓子屋になったから許容されたということではなく、発行者による修正全体が学習指導要領に定められた要素を満たすとして審議会において許容されたところです。

 検定は、個々具体の記述に応じて審議会において判断されるものですが、パン屋に関する記述が問題となったわけではありませんので、発行者において、パン屋に関する記述を残しつつ、我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つことに関する要素を図書全体の中で取り入れる修正もあり得たのではないかと考えております。

 なお、検定意見に従って、学習指導要領を踏まえ、どのように修正するのかは、申請図書の発行者の判断に委ねられておりますので、逆に、和菓子屋の設定に置きかわったからといって、学習指導要領に定められた要素が満たされているのに修正として認められないということも適切ではないのかと考えております。

宮本(徹)分科員 だから、よくわからないんですよ、何度も言いますけれども。この文章でも十分、私は、町のことを大好きだな、伝統のことだって感じられるというふうに思いますよ。それを変えさせるということをやったわけですよね。そこに価値観が入ってきているんじゃないかということを言っているわけであります。

 結局、政権の意向をそんたくして、これが政権の考える伝統の尊重あるいは国や郷土を愛する態度なんだろうということで、調査官の皆さんや審議会の皆さんがそんたくして、合格、不合格、こういうふうにしたということにしか思えないですよ。

 大臣、なぜ教科書会社はパン屋を和菓子屋に書きかえたんだと思いますか。

松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、検定の指導に関しては、全体の中において、規定されている内容が十分に記述されているかどうかということに関して付したものでありますから、どういう観点で申請者がその記述を書いたのか、また変えたのか、修正したのか、こういったことに関しては、文部科学省がそれぞれの具体の案件に関して答える立場にはございません。

宮本(徹)分科員 この教科書で出したということは、これで十分教科書検定は通るだろう、これで郷土愛は学べるだろうということで教科書会社はもともとの文章を出されていたということだと思うんですね。それがだめだというふうになったら、一体、政権の考えている伝統って何だろう、文化って何だろう、愛国心だとか郷土を愛する態度って何だろうと一生懸命そんたくして書きかえるということになっていったんだと思うんですよね。

 これだけじゃないですよね。資料をお配りしておりますけれども、資料の二、三、これは学研教育みらい、一年生用の教科書ですが、これも、「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」について、学習指導要領の示す内容に照らして、扱いが不適切とされた部分です。

 このページの趣旨は、「かんがえよう あなたの町のどんなところがすきですか。」とあります。修正前は、子供目線で、自分たちが遊ぶアスレチックや土手の話が出てくるわけですね。それが修正後は、アスレチックは琴と三味線の店になって、これは弾いてみたいなという話。それから、土手の話は、たこ揚げを楽しそうにやっているという話になっているわけですね。だから、事前の文章は、修正前は子供たち自身が楽しくやっているという体験が出ていたのが、今度は、見たという、子供たち自身の体験じゃない話になっているわけですよね。

 これは、修正前と修正後の文章を見たら、私自身は、修正前の方がこの町が好きだなというのがよく伝わる文章だと思いますが、大臣自身は、修正前の文章と修正後の文章を比べて、何か感想を持たれましたか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の申請図書についてでございますが、小学校学習指導要領の「道徳」第一学年、第二学年で、「国や郷土を愛する態度」の内容項目の中で、我が国や郷土の文化と生活に親しみ愛情を持つことと定められておりまして、その扱いが十分でなかったということから、教科書検定審議会の専門的な審議の結果、図書の内容全体に対して検定意見が付されたものでございます。

 修正の前後で、どちらが町の好きなところを表現できている文章になっているかという個々の要素ではございません。具体的に、アスレチックとかあるいは和楽器店、あるいは土手、さらにはたこ揚げ、こういった個々の要素ではなくて、その修正全体について、検定審議会において学習指導要領の内容を踏まえた記述であるかどうかについて判断をしたというところでございます。

宮本(徹)分科員 これは大臣もぜひ読み比べていただきたいと思います。私は、百人に聞いたら、九十九人以上が修正前の方が町のどこが好きかというのが伝わる文章になっているのは間違いないというふうに思いますよ。だって、畑の話だとかいろいろ話がその前の文章に共通してあるわけですから、別に伝統なんて、琴と三味線を出さなくても、畑の話をすれば、東京だって、畑があるところというのは四百年続く江戸時代からの農家とか、伝統あるところばかりですよ。

 結局、ここでも、特定の、これなら伝統が学べるだろう、これなら愛国心が育つだろう、これなら郷土愛が育めるだろう、特定の価値観を、これを文科省が多分政権の意向をそんたくして検定していったんじゃないかというふうに思います。

 私、これだけ批判が今回の道徳の教科書検定に上がっているのは、結局、今度の教科書検定が、国が特定の価値観を押しつけるものになっているからだと思いますよ。そうお考えになりませんか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の教科書検定制度につきましては、民間の発行者の創意工夫を生かした多様な教科書が発行されることを期待しているものでございます。

 また、学習指導要領に定められた内容が適切に扱われているかなどの観点から、教科書検定審議会において専門的な審査が行われておりまして、審議会の審査を受けてどのような記述をするかは、申請者の判断に委ねられているところでございます。

 今回申請がありました八社それぞれが、問題解決的な学習に資するよう、創意工夫を凝らした多様な教科書を発行し、地域や学校のニーズに応じた教科書を採択することが可能となることから、国が特定の価値観を押しつけているものになっているとの御指摘は当たらないと考えております。

宮本(徹)分科員 そういう全く無反省な姿勢、特定の価値観を押しつけていることに無自覚な姿勢、それを改めないというのは、本当に私は恐ろしいことだと思いますよ。なぜここまで、パン屋の業界の皆さんはこれから文科省に抗議するというような話も報道では流れておりますけれども、本当に道徳というものをこういう形で特定の価値観を押しつける、教科書を押しつけていくというやり方は、とんでもない話だと思います。

 さらに聞きたいと思いますが、資料の四、これは教育出版の二年生向けの教科書でございます。「国旗や国歌を大切にする気もちのあらわし方」、これは文章も写真も変えられました。驚いたのは、新しい文章では、「国歌がながれたら、みんなでいっしょに歌います。」と書かれています。そして写真も、みんなで歌っている写真にかわりました。在日コリアンの人だとか、あるいは宗教上の理由で歌いたくない人もいるわけですよね。

 だからこそ、かつて、一九九九年、国旗・国歌法の審議の際に、政府自身が、子供たちに歌うことは義務づけは行わない、無理強いして斉唱させれば内心の自由にかかわるんだ、こう繰り返し答弁してきたわけですよね。

 大臣、道徳教科書で、国歌が流れたらみんなで一緒に歌います、こう教え込むのは、国旗・国歌法の審議の際の国会答弁に反するのは明確じゃないですか。

松野国務大臣 御指摘の申請図書においては、「国旗や国歌を大切にする気もちのあらわし方」という表題にもかかわらず、本文では、国旗についてのみ触れられ、国歌についての記述が一切なかったため、表題と本文が相互に矛盾をしているという趣旨の指摘がなされたところであります。

 申請者による修正として、「国歌がながれたら、みんなでいっしょに歌います。」と国歌を大切にする気持ちのあらわし方が追記されたことから、教科書用図書検定調査審議会の専門的な審議において、記述の欠陥は解消されたと判断されたところです。

 また、追記された記述は、国歌の斉唱を強制しているものではありませんので、国会答弁に反するものではないと考えております。

宮本(徹)分科員 これが強制しているものではないというのはどうやったら言えるかといいますと、あわせて、国歌を歌いたくない人は歌わなくてもいい、内心の自由があるんですと書いたら、それは強制しているものではないというふうに言えますよ。

 しかし、歌わない自由があることも、内心の自由を守らなければならないということも、どこにもこの教科書には書いていないわけですよ。このまま見たら、国歌が流れたらみんなで一緒に歌いますということになるじゃないですか。そう思われませんか、大臣。

松野国務大臣 指導における基本となる学習指導要領の中で、「特別活動」において、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」ことが規定されておりますが、これはもう先生も御承知のとおり、教師に対してこういった指導が義務づけられているということでございます。これは、生徒児童に関して国歌をまさに強制的に歌わせるということでは全くありません。

 今回の教科書検定においての記述に対しても、これも国歌の斉唱を強制しているものではありませんので、繰り返しになりますけれども、国会答弁に反するものではないと考えております。

宮本(徹)分科員 だから、本来だったら、ここにちゃんと、歌わない自由があります、内心の自由は守らなきゃなりません、こういうことを書かなきゃいけないんじゃないんですか。これだけ読んだら、歌いますということを教え込む道徳教育になっていくわけですよ。国会答弁に反する道徳教育になっていくわけですよ。結局、憲法の大原則よりも学習指導要領を上に置いた教科書検定になっているということなんじゃないんですか。

 どうしてこれは、こういうことを書いてきたら、内心の自由を守る、この大事さをここにも書かなきゃだめだという指導は検定ではしなかったんですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国憲法の精神にのっとり教育基本法が定められておりまして、その教育基本法を踏まえて学校教育法がございます。その学校教育法の委任を受けて文部科学大臣が学習指導要領を定めている、こういう仕組みでございます。

 教科書検定につきましては、教育基本法に示す教育の目標や、学校教育法及び学習指導要領に示す目標を達成するために実施されているものでございまして、日本国憲法を初めとした法体系のもとで適切に実施されているものと考えております。

宮本(徹)分科員 だから、それを適切に実施するためには、道徳の教科書にこんなことだけ書いたら適切にならないんじゃないですかという指摘をしているわけですよ。歌わない自由もありますと。憲法上の権利の方が上なわけですよ、学習指導要領よりも。そうでしょう。憲法と学習指導要領、どっちが上ですか。当然、憲法ですよ。これだと憲法に背く内容になっちゃっているわけですよ。そのことの自覚を持たないと大変だと思いますよ。

 さらに聞きたいと思います。

 資料の五です。これは光村図書出版、五年生向けの教科書。ここは、検定意見では、学習指導要領の「規則の尊重」の項目が示す内容に照らして扱いが不適切とあります。直した方の文章を見ますと、こういう文章が書いているんですね。みんなが権利ばかりを主張していたら、どんな世の中になってしまうかな、みんなが気持ちよく過ごせるように義務があるんだよ、君が義務だと思うことにはどんなことがあるかな、こういう文章に変わっているわけですね。権利を主張することを抑制しなさいと言っている中身になっているんですね。

 これは、もとの教科書自体の文章も私は読みましたが、お客様という文章ですね。これはどういう文章かといいますと、遊園地のショーを見に行ったら、たくさんの人が集まっていて見えなくなったから、ある方がお子さんを肩車に乗せて見せようとした。そうしたら、遊園地の係員の方が、肩車しないのが決まりです、他のお客さんに迷惑だと注意した。肩車した方は、お金を払ったんだから納得できない、こういう話なわけですよね。

 私は、この話でもし権利義務ということを言ったら、遊園地のショーを見るためにお金を払うという義務を果たしたんだから、当然、払った人には見る権利がある。遊園地の側が、ショーを見えるように工夫をしなきゃいけないという話になると思うんですよね、お子さんの席と大人の席を分けるだとか、ショーの舞台を高くするだとか。遊園地の側が、お金をもらったんだから、民法上の信義則に基づいて対応しなきゃいけないという話だというふうに思いますが、何か、これで何を教えようとしているのかというのも私自身はよくわからないですけれども、問題なのは、こういう文章で、みんなが権利ばかりを主張していたら、どんな世の中になってしまうかな、みんなが気持ちよく過ごせるように義務があるんだ、権利を主張することを抑制しなさいというのは、私は本当におかしいと思いますよ。

 民法上の契約の考え方からしても、あるいは憲法の人権の考え方からしても、権利を主張することを抑制しなさい、こういうことを道徳で教え込むというのは極めて問題だと思いますが、大臣、いかがですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の申請図書につきましては、小学校学習指導要領「道徳」の「第五学年及び第六学年」の「規則の尊重」の内容項目の中の「自他の権利を大切にし、義務を果たすこと。」この部分の取り扱いが十分でなかったことから、図書の内容全体に対しまして検定意見が付されたものでございます。

 申請者の修正といたしまして、お客様の教材の部分の中の問いの「「権利」と「義務」という言葉の意味を知っているかな。」と修正をしたり、あるいは、「みんなが自分の「権利」ばかりを主張していたら、どんな世の中になってしまうかな。みんなが気持ちよく過ごせるように、「義務」があるんだよ。」「どんなことがあるかな。」などと追記がされております。

 この修正によりまして「自他の権利を大切にし、義務を果たすこと。」の内容の扱いが適切になったということから、教科書検定審議会の審議の結果、記述の欠陥が解消されたと判断されたところでございます。

 あわせて、この修正においては、権利というものが何なのかを子供に考えさせる発問も追加されるなどの工夫がされておりますので、委員の御指摘は当たらないと考えております。

宮本(徹)分科員 この発問と答えの中で、「「権利」ばかりを主張していたら、どんな世の中になってしまうかな。」これは誰がどう読んだって、権利ばかり主張しちゃいけないと言っているわけじゃないですか。権利というのは、生まれながらに、人権でいえば全ての人が持っているわけですよ。これを主張することを国の側があたかも問題があるようなことをするというのは、全く問題ですよ。それを道徳の教科書に書き込んで平然としている。余りにもおかしいんじゃないですか。

 そもそも、学習指導要領で、私は今回見せていただきましたけれども、「道徳」のこれで見るといろいろな項目が並んでいますけれども、そもそも項目の中に人権というのもないんですよね。そして、権利というのは、義務とセットで「規則の尊重」の中に入っているんですよ。

 権利とか人権というものを「規則の尊重」の中に押し込めちゃう、こういう扱い方自体が根本的に間違っているんじゃないかと思いますが、いかがですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 教育基本法や学校教育法などに基づいて行われる学校教育におきましては、基本的人権の尊重の理解は、道徳のみならず、社会科や特別活動など、学校教育活動全体を通じて指導がなされているところでございます。

 その中でも、道徳におきましては、基本的人権のほか、生命の尊重や人格の尊重、思いやりの心などの根底を貫く人間尊重の精神のもと、例えば、「規則の尊重」の内容項目におきましては、「集団や社会との関わり」の観点から、「法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り、自他の権利を大切にし、義務を果たすこと。」が指導されております。

 このほか、「道徳」では、「親切、思いやり」「相互理解、寛容」「公正、公平、社会正義」「生命の尊さ」など、さまざまな内容項目におきまして、それぞれの観点から基本的人権の尊重を多角的、多面的に理解できるように位置づけていることから、特に人権の項目を設けていることはないというところでございます。

宮本(徹)分科員 言葉として権利というのが出てくるのは、この「規則の尊重」の中だけなんですね、学習指導要領は。それはよく御存じのことだというふうに思います。そういう形で、人権だとか権利というのは身についていかないですよ。

 しかも、私、本当に、「みんなが自分の「権利」ばかりを主張していたら、どんな世の中になってしまうかな。」と、こんな教え方を、権利について道徳ということで押し込んでいったら、子供たちが、権利という言葉を嫌いになっていきますよ。一番大事な人権教育ができなくなる。憲法の上に学習指導要領を置いて、文科省の定めた徳目を教え込んでいくというのは、全く逆立ちしているというふうに思います。

 今ちょっといろいろな今回の教科書検定の内容を見てまいりましたけれども、郷土愛を学ぶのに、なぜパン屋では不合格で、和菓子屋さんになったら合格になるのか。なぜこんな教科書になったのか。

 私は、根本の原因をたどると、道徳を教科化したことに大きな問題があると思っています。教科にするためには、今回のように教科書をつくらなければいけなくなる。教科書をつくれば、今の検定制度のもとでは、学習指導要領で国が示した徳目全項目を文脈と関係なく全部押し込まなければならなくなる。そして、その結果、多くの国民が批判するような特定の価値観を押しつけるような教科書ができ上がったんじゃないかというふうに思います。

 大臣、今回、こういう形で、パン屋さん初め多くの方が批判の声を上げていますが、特定の価値観を押しつける教科書、こういう形になったのは、道徳教科化の帰結なんじゃないですか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 道徳の教科化に当たり、平成二十六年十月の中央教育審議会答申「道徳に係る教育課程の改善等について」においては、「民間発行者の創意工夫を生かすとともに、バランスのとれた多様な教科書を認めるという基本的な観点に立ち、教科書検定の具体化に取り組む必要がある。」とされております。

 今回の検定は、中教審の答申を踏まえ、学習指導要領に示す内容項目等に照らして適切かどうか等の観点から、教科書用図書検定基準に基づき実施したものであり、八社による多様な教科書が発行され、地域や学校のニーズに応じた教科書の採択が可能になったところであります。

 したがって、国が特定の価値観を押しつけるとの御指摘は当たらないものと考えております。

宮本(徹)分科員 同じ答弁ばかり繰り返されるわけですけれども、創意工夫を生かすどころか、創意工夫が押し潰されたというのが今回の教科書検定だと思います。

 先ほど中教審のことを述べられましたけれども、二〇一四年の中教審の答申の中で、特定の価値観を押しつけることは、「道徳教育が目指す方向の対極にある」というふうに言われていたわけですね。まさに対極の結果になった教科書だと言わざるを得ないと思います。

 この問題で最後に一問だけ聞いておきます。道徳の教科書の位置づけです。

 道徳の授業では、実際に学校の中で起きるいろいろな問題についても生徒が考える機会を設けるということもあると思うんですが、毎時間道徳の教科書というのを使わなきゃいけないものなんですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 学校教育法の第三十四条によりまして、各学校におきましては教科書を使用しなければならないとされており、各学校における授業においては、教科書を主たる教材として使用することが求められております。

 一方で、平成二十六年十月の中央教育審議会の答申にもありますとおり、道徳の授業においては、教科書だけではなく、多様な教材が活用されることが重要であり、教科書とともに地域に根差した地域教材等を使用しながら、道徳教育の充実を図っていくことが望まれるものと考えております。

宮本(徹)分科員 つまり、毎時間使わなくていいということですね、この教科書を。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、教科書を使用したかどうかという問題につきましては年間を通じた授業全体の中で判断されるべきでございまして、個々の授業を見ていく際に、ある特定の授業で教科書を使用しなかったといっても、直ちに教科書使用義務違反になるわけではございません。

宮本(徹)分科員 毎時間使わなくてもいいということは確認しておきたいと思います。

 私たち、道徳というのは非常に大事なものだろうと思っていますけれども、それをやはり特定の価値観を国が教え込むというやり方でやるのは全く間違っているということを重ねて申し上げて、次に、銃剣道の問題についてお伺いしたいというふうに思います。

 新しい学習指導要領で、中学生の「武道」に新たに銃剣道が明記され、大きな波紋を呼んでおります。

 まず、なぜ銃剣道が明記されたのかという経過についてお伺いしていきたいと思うんですが、案の段階では明記されていなかった、パブリックコメントを受けて明記されることになった。一方、同じようにフットサルについてもパブリックコメントでは明記を求める声がありましたが、フットサルは明記されませんでした。

 まず初めに、学校での実施状況を伺いたいと思います。柔道、剣道、相撲以外の武道それぞれ及びフットサルについて、実施校というのは、現在、四十七都道府県中、何都道府県にあるのか教えていただけるでしょうか。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 武道につきまして、平成二十七年度に全国の中学校における実施状況を調査させていただいたところでございます。その結果、御質問ございました実施都道府県数につきましては、弓道は二十一、空手道は三十五、合気道は二十、少林寺拳法は十六、なぎなたは二十八、銃剣道は一となっております。

 以上です。

宮本(徹)分科員 フットサルはどうですか。

田野瀬大臣政務官 済みません、失礼いたしました。

 フットサルにつきましては、これはサッカーというものの、ゴール競技というものに含まれておるということで、実施状況については今現在では調べておるわけではないということでございます。

宮本(徹)分科員 実施状況は調べていないということですが、フットサルは恐らく多くのところでもやっているんじゃないかというふうに思いますが、今、武道の中での実施状況を聞いただけでも、銃剣道とそれ以外の武道との実施状況の差は相当大きくあるわけですよね。

 パブリックコメントで、一方で、フットサル明記の声、銃剣道明記の声がありながら、フットサルは明記されずに銃剣道は明記された、この違いはどこから来たんですか。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 次期小中学校学習指導要領におきましては、ボール運動や球技のゴール型の例としてサッカーというものが示されております。

 フットサルというのはサッカーに含まれているため、学習指導要領レベルでは明記はいたしておりませんが、今後、次期の解説におきましては、パブリックコメント等の御意見も踏まえさせていただきまして、サッカーにはフットサルも含まれることを明記する方向で検討することとさせていただいております。

 一方、銃剣道を含めた武道九種目につきましては、サッカーとフットサルとの関係とはちょっと異なりまして、それぞれが独自の特性を有するものであることから、平成二十八年十二月二十一日付の中教審答申を踏まえた、武道の内容の弾力化を一層図るに当たってパブリックコメントの意見等を踏まえさせていただきまして、銃剣道を含めた九種目を記述することといたしました。

 以上です。

宮本(徹)分科員 いや、サッカーとフットサルは競技としては違う競技ですよね、大臣も御存じのとおり。フットサル、コートの大きさも全く違いますし。それはゴールに入れるという点では同じかもわかりませんが、競技としては全く違いますよ。

 なぜフットサルが入らなくて銃剣道が入ったのか、今の説明では全くわからないですね。しかも、そういう説明でいえば、武道といえば銃剣道だって入るわけで、今までだってそういう対応をしてきたからこそ一校で実施されているという状況があると思うんですよね。

 しかも、フットサルの競技人口は、二百万人とも三百七十万人とも、いろいろな形で言われていますが物すごく多いわけですよ。一方、銃剣道は三万人程度。これを考えても、なぜフットサルが明記されなかったのか、摩訶摩訶不思議なんですね。パブリックコメント以外の、今述べられたようなもの以外の理由があるんじゃないかと思います。

 田野瀬政務官にお伺いしますが、政務官は、三月九日に参議院の外交防衛委員会で、佐藤議員から、なぜ銃剣道を明記しないのかとやりとりされて、質問にお答えになっていらっしゃいましたが、あの後、銃剣道について、学習指導要領の記載をめぐって政務三役と話したり、あるいは直接担当者に働きかけたりだとかされましたか。

田野瀬大臣政務官 担当者と説明があったかということでございますけれども、内部の部局におきまして、私が答弁させていただいたことに対して、今後どうするか、しっかりとパブリックコメントをとって、状況を一回調べていきましょう、そういう打ち合わせはさせていただいたことを記憶しております。

宮本(徹)分科員 大臣にもちょっと一点お伺いしたいんです。

 自民党の佐藤議員の三月十五日のブログを見たんですけれども、見出しは「銃剣道を学習指導要領に」と書いてありました。それで、こういうことが書いてあるんですね。本日は、義家文科副大臣にアポイントがとれたので、事情を説明に行ってきました、大臣の最終的な判断に資するよう、引き続き文科省の政務三役、大臣、副大臣、大臣政務官にも説明に行きたいと思いますというふうにブログに書かれていたんですが、大臣は、この銃剣道の問題で、佐藤議員や、あるいは義家副大臣、あるいは政務官から、この件で直接説明を受けたことというのはあるんでしょうか。

松野国務大臣 佐藤先生がこの件で私に直接的な説明、要請等があったと記憶をしておりません。

宮本(徹)分科員 では、義家副大臣や他の政務官、ほかの副大臣、政務官の方から、この件で直接説明を受けたことはありますか。

松野国務大臣 この学習指導要領の中における武道の扱い方、これを決定していく過程においては、当然、文部科学省内において議論があるのは言うまでもないことでございます。

 その中において、今回銃剣道が加わったというのは、学習指導要領をつくり上げていく中においては、規定された手続として国民の声を聞くパブリックコメントを実施しなければいけないということはもう先生御案内のとおりでありますが、その中においても、武道としての銃剣道をこの九種目の中に加えていただきたいという要望が多くあった等々も含め、総合的に勘案する中で、今回、銃剣道を明記させていただいたということでございます。

宮本(徹)分科員 パブコメでそういう意見が多くあったということですが、大臣、副大臣、政務官などが、銃剣道を学習指導要領に明記することについて何らかの指示を出したというのは一切ないということですか。

松野国務大臣 指示を出したというのが、先生、どういうことを、方向をお考えになって表現されているか、済みません、わかりませんが、これは最終的に大臣決定でございますので、大臣が判断し決定をするというのは当然のことでございます。

宮本(徹)分科員 最終的に大臣が決定されたという話ですけれども、大臣はパブコメだけを見て判断しているんですか。それとも、銃剣道連盟の関係の政治家の皆さん、あるいは副大臣、政務官、いろいろな方とこの銃剣道の問題について直接話し合ったりしたんですか。

松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、これは最終的には大臣決定でございますが、個々の方向性を決定するに当たって文部科学省内で議論をするのは当然のことであります。

 銃剣道を明記したことに関しては、パブリックコメントということも国民の声として十分踏まえさせていただきましたし、もとより銃剣道は解説の項目には記載されておりますし、実際にこの銃剣道を学校現場で採択することは学校長の判断によりなされるのは従前から変わらないことであります。また、銃剣道は国体種目でもあります。そういったことを総合的に勘案して今回の決断だった、判断したということでございます。

宮本(徹)分科員 その判断に当たって、先ほど、文科省内で議論をするのは当然と言われましたが、副大臣、政務官レベルでの話し合いというのは銃剣道については何らかあったんですか。

松野国務大臣 私が直接この銃剣道に関して議論したということに関して、副大臣や政務官にその議論に加わっていただいたかどうか、今ちょっと記憶がございません。

 当然のことながら、これは三役として個々の御意見を、私がいろいろと議論をした文科省職員と副大臣、政務官の間であったかどうか、あっても当然であろうというふうに思いますし、私が直接議論をしたのは、担当課の職員がパブリックコメントの状況について私に説明する等を通しての議論があったということでございます。

宮本(徹)分科員 副大臣、政務官と議論した記憶はないけれども、あっても当然のことだろうというお話でしたけれども、パブリックコメントにたくさん投稿しようという運動は、自民党の佐藤議員のブログの中に、取り組んでいると載っていましたよ。パブリックコメントにたくさん投稿があれば、実施状況が四十七都道府県でわずか一県一校の銃剣道は学習指導要領に明記され、そしてフットサルは何百万人も競技人口がいるのに明記されないということになっているわけですよ。

 これは余りにもおかしいと私は言わざるを得ないですよ。政治と教育の関係として極めて問題だと指摘しておきたいと思います。

 もう一点、安全性についてお伺いしたいというふうに思います。

 先日、銃剣道協会でお話を伺ってきましたが、中学校三年生になれば、最終段階では試合も行うカリキュラムを検討されているというお話でした。

 私も木銃というのを持ってみましたけれども、大変かたい、カシの木でできております。

 そして、先日、銃剣道の有段者の男性、元自衛官の方ですが、共産党の青森の事務所に電話がありました。こういう中身です。お互いに相手を突くのが銃剣道、相手の心臓の部分を突くと一本となる、防具はつけているが、衝撃は相当なものだ、こう言って、練習中に心臓を突かれ死亡者が出るなど重大事故を危惧している、自衛官だった仲間もこれを学校で教えるのは危険だと言っている、やめさせてほしい、こういう電話だったそうです。

 でも、銃剣道の競技者の九割は自衛隊関係者というふうに聞いておりますが、きょう、防衛省にも来ていただきました。自衛隊の体育訓練の中で銃剣道は位置づけられているわけですが、自衛隊発足以来、銃剣道による死亡者は何人でしょうか。また、昨年度一年間で銃剣道の訓練による負傷者というのはどれぐらい出ているんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 銃剣道による死亡者につきましては、直近十年で調べた結果、公務上の災害と認定された件数はゼロ件です。また、昨年度一年間で自衛隊員が銃剣道訓練において負傷し、公務上の災害と認定された件数は五十九件、うち、陸上自衛隊五十八件、航空自衛隊一件でございます。

宮本(徹)分科員 十年間で死亡事故ゼロ件ということですが、それ以前はどうですか。

鈴木政府参考人 公務上の災害の資料が、調べた結果、十年分のみ保管されておりましたので、とりあえず十年分について御報告申し上げました。

宮本(徹)分科員 ほかの資料で、十年以上さかのぼれる資料はあるんでしょうか。

鈴木政府参考人 全て網羅的にまだ調べておりませんので、もし御要望があれば調べさせていただきたいと思います。

宮本(徹)分科員 要望があれば調べていただけるということですので、ぜひ調べていただきたいというふうに思います。経験者の方から死亡事故の懸念が寄せられているということは、そういう実態があるんだろうということと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 あともう一点、防衛省にお伺いしたいのは、昨年度、どんなけがが起きているのか、内訳だとか、詳しく教えていただけるでしょうか。

鈴木政府参考人 昨年度におきまして、銃剣道訓練において負傷し、公務上の災害と認定された災害の内訳でございますが、一、足、膝をひねって転倒したことによる半月板、靭帯損傷、二、木銃が手足に当たることによる骨折、三、木銃で突く動作で急激に足を踏み込んだことによるアキレス腱損傷、四、木銃が手足に当たったり、転倒したりしたことによる打撲などが挙げられます。

宮本(徹)分科員 木銃は大変かたいものなので、竹刀よりもかたいですから、骨折、打撲ということで、防具がついていないところに当たったらそういうけがを負うということだと思います。

 ネット上の経験者の声を見ていますと、中学生に銃剣道をやらすのか、打突部位を外したときは竹刀より木銃の方が痛いんだよ、割とガチで痛い、息とまるレベル。あるいは、銃剣道をやっていたけれども、衝撃が強い上に面の下から銃剣が首に入ることがあって怖かった、本当にやめたくてやめたくて仕方がなかった。あるいは、銃剣道経験者として思うのは、中学生で銃剣道をやらない方がけがをしないだけよいと思う。こういう声が幾つも出てくるわけです。

 剣道では中学生は突きは禁止されておりますが、銃剣道ではこれは禁止されているんでしょうか。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 剣道におきまして、突きわざは、喉の部分に当たる突き垂れを突くものでございます。しかし、小学生及び中学生の突きわざは、安全を考慮し、各競技大会等の申し合わせ事項により、原則禁止とさせていただいているところでございます。それを踏まえて、現行の中学校学習指導要領解説保健体育編でも、「中学校では「突き技」を扱わないこと」といたしております。これは剣道です。

 一方、銃剣道は突きわざのみで成立する競技であるため、各競技大会では禁止はされてはおりませんが、全日本銃剣道連盟が作成した中学校での授業のモデルカリキュラムでは、型を重視した指導が中心であり、喉への突きは教えないことといたしております。

 また、日本武道協議会が今後全教育委員会や全中学校等に配付する予定であります中学校武道必修化の充実に向けた指導書銃剣道では、第一学年及び第二学年においては型のみとし、第三学年におきましても、防具が準備できた場合に限り胸突きのみの簡単な試合を行う程度といたしておるところでございます。

宮本(徹)分科員 喉については教えないということですけれども、私も銃剣道協会にお話を伺ってまいりましたけれども、禁止はしていないんですよね、禁止は。それははっきりしているというふうに思います。

 そして、学習指導要領の「武道」の項を見ますと、段階的な指導を行うなど安全を十分に確保することということでありますが、文科省として銃剣道についていかなる知見を持っていて、安全を十分に確保できているという点についてはどう担保されているんでしょうか。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 まずは、第一義的に銃剣道を履修させるかどうかというその判断は、各学校が判断することとなります。その上で、銃剣道を履修させる場合は、学習段階や個人差を踏まえ段階的な指導を行うなど、安全を十分に確保することとされております。

 また、指導上の安全を確保するため、全日本銃剣道連盟を含む各種目の統括団体は、指導者養成研修、モデルカリキュラムの開発、指導の手引やDVDの作成等に取り組んでおるところでございます。

 文部科学省といたしましても、銃剣道を含む武道の安全かつ円滑な実施のため、武道等指導充実・資質向上支援事業等を通じまして教員の資質向上や支援体制の強化に努めてまいりたいと思います。

宮本(徹)分科員 例えば、柔道でいえば、文科省自身が指導の手引をつくっていますよね。それは文科省の責任においてつくっているわけですよ。銃剣道について、今協会の取り組みのお話はありましたけれども、文科省自身の知見というのはあるんですか。

田野瀬大臣政務官 ありがとうございます。

 お答え申し上げさせていただきます。

 現行の中学校学習指導要領解説保健体育編では、選択種目である柔道、剣道、相撲の技能について詳細に説明をさせていただいているところでございます。一方、学校や地域の実態に応じて履修できる、なぎなたなどのその他の武道につきましては、「基本動作や基本となる技を身に付けさせるとともに、形を取り入れるなどの工夫をし、効果的、継続的な学習ができるようにすることが大切である。」と説明をさせていただいているところでございます。

 次期中学校学習指導要領解説も基本的に現行の解説を踏まえる予定といたしておるため、銃剣道についても基本動作やわざの習得、型の指導が中心に行われることとなります。

 以上でございます。

宮本(徹)分科員 ですから、私がお伺いしたのは、文科省は柔道については、やはりいろいろな柔道事故もあって、指導の手引を何回も改正してきた、こういうことは危険だということも含めて、文科省自身の知見を示しているわけですよ。銃剣道については文科省自身の知見はないんじゃないですかということをお伺いしているんです。

田野瀬大臣政務官 御指摘のように、柔道、剣道、相撲の部分は、しっかりとした解説、詳細に説明させていただいておるところでございますが、その他の、銃剣道に限ったわけじゃないんですけれども、例えばなぎなたであったり少林寺とか、そのあたりは実は解説が今のところないというところでございます。

 なので、文部科学省といたしましては、前の前の質問の答弁でもさせていただきましたとおりに、各種種目を統括している団体であるとか、そのあたりの連盟等々と協力をいたしまして、指導の手引であったりDVDの作成等にしっかりと支援と、そして強化に努めてまいりたい、そのように考えております。

宮本(徹)分科員 私は、文科省自身が知見を持っていないというのは極めて重大だと思いますよ。そういう中で、学習指導要領に明記していく。こういう、自衛隊でもこれだけ骨折を初めとした事故が出ている、経験者からは死亡事故の心配の声も上がっている、そういう中で、文科省自身は知見がない。このまま突っ込んでいくというのは極めて無責任だと言わざるを得ないというふうに思います。

 それから、あと、懸念の声は安全性だけではありません。銃剣道は国体の競技にもなっているスポーツである一方で、戦前の軍事教練を連想する、あるいは現実の戦闘訓練を連想するということで、子供たちにやらせたくないという声も、この間、報道で少なくなく出ているのは大臣も御存じのとおりだと思います。学校現場でどういう武道を行うかは、父母や子供たちの声をしっかり踏まえて決めていくべきだと考えますが、大臣、どうでしょう。

松野国務大臣 武道のどの種目を履修させるかどうかについては、各学校長が適切に判断することとなっております。

宮本(徹)分科員 その際、父母や子供たちの声もしっかり踏まえるというのが大事だと思いますが、その点については、大臣、どうでしょう。

松野国務大臣 各学校長が適切に判断するに当たって、どのような条件、また御意見をどういった方法で聴取をする、またそれをどう判断に利用するのかに関して、それも含めて各学校長が適切に判断をするということでございます。

宮本(徹)分科員 その際に、やはり父母や子供の声というのは当然、学校ですから、大事にしなきゃいけないと思いますが、そうは思われませんか。

松野国務大臣 当然のことながら、学校運営に関して、学校長が進めるに当たっては、父母の方々やPTAの方、さまざまな地域の方々の御意見もあるかと思いますが、最終的にどういった判断基準によってどの種目を履修されるかというのは各学校長の判断によるものだということでございます。

宮本(徹)分科員 教育への権利というのは子供の権利であって、それを第一義的に応援するのは親なんですよね。ですから、子供の学習権というところを考えたら、何を学ぶのかというのは子供と父母の意見が優先されるべきだということを申し述べまして、最後、時間は少ないですが、教育勅語の問題についてお伺いします。先週もお伺いしました。

 一九四八年の衆参両院で教育勅語の排除決議あるいは失効確認の決議が行われました。この決議を受けて、森戸大臣が所見を述べられているわけですね。「敗戦後の日本は、国民教育の指導理念として民主主義と平和主義とを高く掲げましたが、同時に、これと矛盾せる教育勅語その他の詔勅に対しましては、教育上の指導原理たる性格を否定してきた」と。また、こう言っています。「教育勅語は、教育上の指導原理としては、法制上はもちろん、行政上にも、思想上にも、その効力を喪失」したと、教育上の指導原理を否定されているわけですが、とても大事な指摘だと思いますが、この点は大臣も同じ認識だということでよろしいですね。

松野国務大臣 教育勅語は、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって法制上の効力が喪失をしております。

宮本(徹)分科員 指導原理として扱うことはふさわしくないということでよろしいわけですね。

松野国務大臣 教育勅語を教育の唯一の根本原理として使うことは許されないということでございます。

宮本(徹)分科員 唯一の根本原理と指導原理と、どういう関係にあるのかというのも含めて確認したいんですが、午前も議論になっていました、教育勅語を指導原理の一つに据えて毎朝朝礼で朗唱する、朗読する、これは、先ほどの大臣の答弁との関係では問題がある行為だと思いますが、大臣はどう思われますか。教育勅語を指導原理の一つに据えて毎朝朝礼で朗読する、問題があると思いますが、いかがでしょう。

松野国務大臣 教育勅語を指導原理とするということは適切でないと思いますが、しかし、それが適切であるかどうかという判断は、さまざまな、総合的な判断の上において行われるものでありますから、教育現場を所轄する長また主管する長が判断するものということでございます。

宮本(徹)分科員 教育勅語を指導原理に据えることは適切でないという答弁がありましたが、当然、指導原理に据えて唱和することも適切でない、論理的にはそうなるということだと思いますが、それは間違いないですよね。指導原理に据えて教育勅語を毎朝朝礼で唱和する、問題だと思いますが。論理的にそうなりますよね、先ほどの大臣の答弁から。

松野国務大臣 先ほど私がお答えをしましたのは、指導原理とする、また唯一の教育の根本とする、こういった扱いは適切でないということでございます。

 ですので、それがどういった形でということまで言及したものではございません。

宮本(徹)分科員 指導原理として扱ったら、後は形としてあらわれるしかないと思うんですね。どういう教え方をするのか、指導原理としてどう道徳教育の現場でやるのか、朝の唱和でやるのか。いずれにしても、指導原理にすることが適切でなかったら、そのあらわれ方も適切でないということになるんじゃないですか。

松野国務大臣 先ほど私が申し上げたことは、もちろん指導原理として教育勅語が扱われるということに関しては適切でないということであります。

 申しわけございません、先生の御質問の趣旨が、指導原理とすることと唱和をすることの関係がちょっと私が聞き取れなかったものですから、先ほどそうやって申し上げた次第であります。

宮本(徹)分科員 いや、この間問題になってきた森友学園の塚本幼稚園は、方針はこの四月から改められたというのは先週私紹介いたしましたけれども、その方針を改める、新年度になるまでは指導原理に据えて毎朝唱和していたわけじゃないですか。文字どおり指導原理ということですよね。ですから、指導原理に据えて毎朝唱和するというのは、これは当然問題だということになると思うんですけれども。

松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、指導原理として取り扱うということは一般論として問題であると思いますが、先生おっしゃったところの特定の幼稚園、大阪府の所轄にある幼稚園のお名前を挙げられましたが、その幼稚園における行為が適切か不適切かに関しては、所轄庁である大阪府が判断をするということでございます。

宮本(徹)分科員 第一義的に大阪府が判断するにしても、指導原理として据えることによって、いろいろなところで教育で持ち込まれるのは問題だということだと思うんですね。

 私は、道徳教育も同じだと思うんですね。一部の方が徳目を一部だけ取り出して、ここはいいところだとかというふうに述べられる方もいますけれども、道徳教育で教育勅語をその形で用いるというのは、これを指導原理にしているということになりますから、道徳教育で指導原理として用いるというのは間違いなんじゃないですか。

松野国務大臣 道徳に限らず、教育勅語を学校の唯一の根源とする、また指導原理として用いるということは適切でないということでございます。

宮本(徹)分科員 時間になりましたので、これで質問を終わりますけれども、とにかく、教育勅語は、大臣よく御存じのとおり、なんじ臣民何々すべしという、徹頭徹尾、国民に対しての命令形で書かれております。だからこそ、国民主権に反するということで、これを排除する決議も衆議院も上げているわけであります。

 ですから、これをあたかも一部でも活用できるかのような形で指導原理として使うことは絶対あってはならないということを申し上げまして、質問を終わります。

石関主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして文部科学省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

石関主査 これより総務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。高市総務大臣。

高市国務大臣 平成二十六年度及び平成二十七年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。

 最初に、平成二十六年度総務省所管の決算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 総務省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額七百四十二億九十五万円余に対し、収納済み歳入額は七百三十三億三千六百十七万円余であり、差し引き八億六千四百七十七万円余の減少となっております。

 次に、総務省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額十八兆三千六百四十一億九千四百九十三万円余に対し、支出済み歳出額は十八兆二百七十六億四千七百二万円余、翌年度繰越額は三千百六十八億八千二百六十六万円余であり、不用額は百九十六億六千五百二十三万円余となっております。

 次に、総務省所管の交付税及び譲与税配付金特別会計の決算について申し上げます。

 総務省所管交付税及び譲与税配付金特別会計の収納済み歳入額は五十五兆九千五百八十六億九千七百七十九万円余、支出済み歳出額は五十三兆九千二十五億千七百十二万円余であります。

 続きまして、平成二十七年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 総務省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額七百六十二億九百五十七万円余に対し、収納済み歳入額は八百二十七億五千四十三万円余であり、差し引き六十五億四千八十六万円余の増加となっております。

 次に、総務省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額十七兆九千九百億四十四万円余に対し、支出済み歳出額は十七兆八千六百九十七億五千十七万円余、翌年度繰越額は八百三十六億二千四百八十九万円余であり、不用額は三百六十六億二千五百三十七万円余となっております。

 次に、総務省所管の交付税及び譲与税配付金特別会計の決算について申し上げます。

 総務省所管交付税及び譲与税配付金特別会計の収納済み歳入額は五十五兆六千三百八十三億四千三百二十二万円余、支出済み歳出額は五十三兆三千九百八十二億五百九十二万円余であります。

 以上が、平成二十六年度及び平成二十七年度の総務省所管の一般会計及び特別会計の決算の概要であります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

石関主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院柿沼審議官。

柿沼会計検査院当局者 平成二十六年度総務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十件、意見を表示しまたは処置を要求した事項三件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二号は、教育分野における最先端ICT利活用に関する調査研究の委託契約において、委託先が実際に負担した額に基づかない時間単価を適用して人件費を算定していたため、委託費の支払い額が過大となっていたものであります。

 同三号から一一号までの九件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち三号から五号までの三件は地域活性化・経済危機対策臨時交付金が交付の対象とならない事業に交付されていたなどのもの、六号は地域活性化・公共投資臨時交付金が交付の対象とならない事業に交付されていたもの、七号は地域情報通信基盤整備推進交付金等の交付対象事業費の積算を誤ったため、事業費が過大となっていたもの、八号及び九号の二件は地域の元気臨時交付金で行った河川整備事業において護床ブロック工の施工が設計と相違していたなどのもの、一〇号は情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金により整備したICT関連システムの一部が利用されておらず、補助の目的を達していなかったもの、一一号は情報通信利用環境整備推進交付金事業の交付対象事業費が過大に精算されるなどしていたものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、地域力の創造等に関するモデル事業の実施に係る契約に関するものであります。

 検査いたしましたところ、総務省において、モデル事業の実施団体に対する経費の支払いは要綱で示した支払い上限額の範囲で精算払いにより総務省と契約した請負業者から支払うとしていた一方、当該契約の契約形態を確定契約としていたため、支払い額が支払い上限額を下回る場合に、その差額を請負業者との間で精算していない事態が見受けられました。

 したがいまして、総務省において、モデル事業の実施に係る契約において、実施団体に対する支払い額が支払い上限額を下回った場合にはその差額を精算するなど支払い業務のあり方を見直すよう是正改善の処置を要求いたしたものであります。

 その二は、震災復興特別交付税の交付額の精算等に関するものであります。

 検査いたしましたところ、震災復興特別交付税の額の算定において、見込み額を用いた算定額により交付された震災復興特別交付税について適切に精算が行われていなかったりするなどしていて、震災復興特別交付税が過大に交付されている事態や交付基礎額が要調整額に比べて少額であるなどのため短期間で要調整額を解消することが困難となっている事態が見受けられました。

 したがいまして、総務省において、各府省に対して、確認表に記載する補助事業等に係る地方負担額等の記載方法や記載誤りの例について周知徹底したり、都道府県及び市町村が実績額へ反映を行ったことなどを確認するための点検項目欄を算定資料の様式に設けたり、都道府県及び市町村に対して、事業完了時に実績額を把握し、見込み額との差額を精算することの必要性や適切な精算等を行うための留意点について周知徹底したりするよう是正改善の処置を要求するとともに、解消することが困難となっている要調整額について、当該要調整額を解消するための方策を早期に検討するよう意見を表示いたしたものであります。

 その三は、消防救急デジタル無線施設の整備事業に係る補助対象事業費に関するものであります。

 検査いたしましたところ、三十三市町村における消防救急デジタル無線施設の共用施設等に係る補助対象事業費の算定において、市町村が負担すべき通常の消防救急業務に使用する活動波部分の経費を除外することなく整備に係る経費の全額を補助対象事業費としている事態が見受けられました。

 したがいまして、消防庁において、消防救急デジタル無線施設のうち共用施設等に係る補助対象事業費の算定に関する具体的な取り扱いを定めるよう意見を表示いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、地域活性化・緊急安心実現総合対策交付金等による交付金事業の実施状況を踏まえて、今後、同種の交付金による事業を実施する際には、交付の趣旨に沿うよう地方債の償還等に交付金を充当しない取り扱いとすることを明確にしたり、事業実施後の検証に係る取り扱い及び消費税に係る取り扱いを定めたりすることなどにより、交付金事業が適切に実施されるよう改善させたものであります。

 その二は、電波監視システムを非常時に運用するための電力を供給する無停電電源装置等の設置等について、設置基準を明確に定めるなどし、合同庁舎等に設置された自家発電設備からの電力の供給体制を考慮して適切に実施されるよう改善させたものであります。

 その三は、インターネット上からの通信が可能なサーバー上で利用していたサポート期間が終了しているソフトウエアの更新等を実施するとともに、ポリシー等を改定することなどによりサポート期間が終了しているソフトウエアを利用しないよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、平成二十三年度決算検査報告に掲記いたしました独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構における利益の処分について意見を表示した事項並びに平成二十五年度決算検査報告に掲記いたしました重要物品の帳簿価格の改定、特定調達に係るガスの契約事務の実施及び防災情報通信基盤整備事業等の実施について、それらの処置を要求した事項並びに無線システム普及支援事業費等補助金により実施しているケーブルテレビ幹線対策事業について意見を表示した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 続きまして、平成二十七年度総務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十一件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号五号は、サーバー上で稼働するソフトウエアが提供する機能をパーソナルコンピューターで利用するための権利について、その必要性の検討が十分でなかったため、必要のない調達を実施していたものであります。

 同六号から一五号までの十件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち六号及び七号の二件は地域経済循環創造事業交付金が過大に交付されていたもの、八号は地域の元気臨時交付金が交付の対象とならない事業に交付されていたもの、九号は社会保障・税番号制度システム整備費補助金が過大に交付されていたもの、一〇号から一二号までの三件は情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金により実施した事業の交付対象事業費に交付の対象とならない経費を含めていたなどのもの、一三号は地域公共ネットワーク等強じん化事業費補助金により実施した事業の補助対象事業費に補助の対象とならない経費を含めていたもの、一四号は電波遮へい対策事業費等補助金により実施した事業に係る補助対象事業費の積算及び補助率の適用を誤ったため、補助金が過大に交付されていたもの、一五号は緊急消防援助隊設備整備費補助金により実施した事業の補助対象事業費が過大に精算されていたものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、国有提供施設等所在市町村助成交付金の交付額算定のための報告に関するものであります。

 検査いたしましたところ、都県において、提供国有財産に異動があるかを正確に把握しないまま、未提供国有財産及び返還国有財産を算定対象国有財産に含めて報告書等が作成されているのに、総務省において、これらの報告をもとに市町村助成交付金の交付額を算定している事態が見受けられました。

 したがいまして、総務省において、都道府県に対して、報告書等に未提供国有財産及び返還国有財産を計上しないこととする取り扱いを明示するとともに、新規提供国有財産及び返還国有財産について防衛省通知に記載されている情報を用いて的確に把握して報告書等を作成することを周知するよう改善の処置を要求いたしたものであります。

 なお、以上のほか、平成二十三年度決算検査報告に掲記いたしました独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構における利益の処分について意見を表示した事項並びに平成二十六年度決算検査報告に掲記いたしました地域力の創造等に関するモデル事業の実施に係る契約について処置を要求した事項、震災復興特別交付税の交付額の精算等について処置を要求し、及び意見を表示した事項並びに消防救急デジタル無線施設の整備事業に係る補助対象事業費について意見を表示した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

石関主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。高市総務大臣。

高市国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、総務省のとった措置について御説明申し上げます。

 最初に、平成二十六年度に御指摘のありました事項について御説明申し上げます。

 所管事業に係る予算につきましては、その適切な執行を図るよう常に心がけているところではございますが、会計検査院の検査の結果、地域活性化・公共投資臨時交付金が過大に交付されていたものなどの御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。

 これらにつきましては、既に地方自治体等から補助金を返還させるなどの是正措置を講じたところであります。

 続きまして、平成二十七年度に御指摘のありました事項について御説明申し上げます。

 会計検査院の検査の結果、地域経済循環創造事業交付金が過大に交付されていたものなどの御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。

 これらにつきましては、既に地方自治体等から補助金を返還させるなどの是正措置を講じたところであります。

 以上が、平成二十六年度及び平成二十七年度の決算に関する会計検査院の指摘について講じた措置の概要であります。

 内容を真摯に受けとめ、今後なお一層事務の改善を求めるとともに、厳正な態度で事務の執行に努める所存でございます。

石関主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石関主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石関主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石関主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)分科員 民進党の渡辺でございます。

 先日、実は地方創生の特別委員会でも質問したので、時間の関係で少し尻切れトンボになってしまいましたので、その分を、きょうは、まち・ひと・しごと創生本部、そしてまた総務省、総務大臣にも伺いたいと思うんです。

 総務大臣にまず伺いますが、地方創生の委員会で私が取り上げましたのは、私立大学の公立化が、今各地で衣がえをしているんですね。これまで、報道なんかを見ますと、七大学が公立化をして、今後、時期未定、直近でもう計画されているところもあるようですけれども、六つの大学が予定をしているということなんです。

 このメリット、デメリットについてちょっと申し上げますと、公立化をすることによって学費が下がる。二〇一六年度、ですから昨年度、東京理科大学山口短大というところが山口県の山陽小野田市立山口東京理科大という学校になりました、すごい長いんですけれども。学費が下がって、倍率が上がりました。受験の偏差値も上がったということなんですね。

 私たちも地方におりまして、かねてから、高度経済成長の時代から、とにかく地方に大学ができれば若い人が来てくれる、もしくは残ってくれる、出ていかなくて済むということで、とにかく皆さん、手を挙げて各地に大学をつくりました。国立大学、公立大学もありますけれども、私立大学の誘致なんかをしまして今日まで来たわけです。

 ちなみに、十八歳人口というのが、その後、一九九二年ですから、もうかれこれ二十五年前になりますけれども、二百五万人いた十八歳人口、つまり大学受験をする年齢の方々、この人たちが、一九九二年度は二百五万人いたんですけれども、それから年々減っていって、今ではもう四割も減少してしまった。ですから、今百二十万人ぐらいですよ、百二十万人を切るぐらいの人数になっている。それは二〇一四年度だと思いますが。

 しかし、学生は年々減っていくのに、そういういろいろな事情が、とにかく若者の流出を防ぐために、あるいは若者の流入を促すために、大学をつくって、その結果、四年制大学というのは、一九九二年から何と二百五十もふえているということなんですね、学部・学科が。そうしますと、これは当たり前なんですけれども、今、私立大学のほぼ四割が定数割れしている。

 そういうことですから、つくってはみたものの、だんだんだんだん生徒が集まらなくなってきた。ましてや、今、都心回帰で、東京の都下に、一時八王子ですとか多摩武蔵野地域に移転していった大学も、都心の例えば文京区であるとか中央区だと。ところが、生徒が集まらなくなってきたものですから、東京都内においても今都心回帰が始まって、何とか大学は、何とか学部はこのたびなんて、地下鉄の中の沿線大学案内を見ますと載っているんですよね、このたびは都心に戻ってきたみたいなこと。

 今、もうそうしないと子供が集まらないという時代にもなっていますが、ちょっと前置きが長くなったんですけれども、実は、公立大学の、さっきメリットを申し上げましたが、デメリットというのは、これは一つは自治体財政の負担になる。

 当然、もう御案内のとおりで、交付税を出す総務省にしてみますと、地方に進出をした私立大学、そこは、自治体の活性化になれば、あるいは若者の流出を阻止するために、地域に高等教育を受ける機会ができた。しかし、そうはいったって、経営をしていくとなると、生徒は減っていく、集まらない。もうそろそろ経営が難しい。では、そこで、何とかして残ってもらうために公立化するとなりますと、公立大学への交付金は実は文科省が出す補助金よりもある意味では出しやすい仕組みになっているわけでございます。

 この点について、大臣、私立というのは、これは非常に難しいですね。地方がますます疲弊しないためにも、大学は残ってほしい。何とか地域を担うような人材を育てていきたい。

 やはり若者がいるということで、地域のいろいろな地域活動に参加してもらって、実は私の地元の沼津市というところも、閉校になっちゃったんですが、東海大学の開発工学部というところがございました。

 ところが、ここがちょっと不便なところにあったせいもありまして、やはり今の学生のいろいろなニーズというものもなかなか地域で満たせなくて、結果、ある年度から募集をとめたわけですね。でも、残った学生たちは、最後は四年生だけになっちゃうんですけれども、地域の行事、商工会の行事に参加をしたりしながら、若者の視点でいろいろなことをやってくれたんです。

 ところが、もうその子たちもいなくなってしまうと、やはりぽっかり穴があいたように、ああ、あの若い子たちが元気でかかわってくれたときはよかったなということが、今になると、いい、懐かしい思い出になってしまう。これから恐らくこういうことが地方でいろいろ出てくる。

 そんな中で、大変長くなって申しわけなかったですが、大臣、大学を残したい、されど、これから切りがなくなって、特定の大学はそうやって、公立化することによって救済されるのかという指摘も実はあるんです。大学、文科省からの補助金じゃなくて、総務省、地方交付税によって面倒を見て、面倒を見てという言葉はよくないですけれども、手当てされるとなったときに、実は、公立化ということがどこかでいずれ大きな議論になってくるんじゃないだろうか。今はまだ、先ほど申し上げたように、衣がえは、七大学が公立化、今後六つ、まだ十三ぐらいですけれども、これからこういう動きが加速した場合、果たして総務省として、どう考えていくのか、その点についてお答えいただけますでしょうか。

高市国務大臣 大学というのは、学校教育法にも定められておりますとおり、学術の中心としての教育研究機関の性格を有しております。それに加えて、それぞれの地域において求められる人材の育成もしていただいていますし、研究成果の地元産業界への還元を担うという役割もございます。

 私立大学を公立化するということにつきましては、その大学がその地域において、これまでどのような役割を果たしてきたのか、それからまた、今後果たしていこうとする役割、その必要性ですとか将来に向けた見通しというものを十分に検討した上で、大学運営にかかる財政見通しですとか、あと地域の声を踏まえて、住民や議会の御理解を得て判断される必要があると考えております。

 こうした地方公共団体の判断に加えまして、公立大学の設置に当たりましては、学校教育法に基づく文部科学省の審査などを経て認可されるということが必要でございます。この所要の手続を経て公立大学が設置されるということでありましたら、地方公共団体が公立大学を運営するための標準的な経費については、普通交付税の基準財政需要額に算入することといたしております。

渡辺(周)分科員 よくわかっておりまして、私も地方の人間として、例えば、静岡県のたしか文化芸術大学というところも私立から公立に移管をしたことがございますが、非常にそれは、今後こういうことになればいいなというふうに思っているんです。

 しかし、やはり公立化をするということによって、何か、例えば教育内容だとか経営努力に問題がある、今のところそういう問題は起きていませんけれども、安易に公立化する。つまり、定員割れとか経営難を理由に公立化を働きかけて、そもそもおたくの県からつくってくれと言うからつくったけれども、今、こういう状況だから、変な言い方をすると、引き取ってくれませんかと。自治体にしてみれば、国から交付税が出ますので痛くない、ではということを、安易に、あくまでも経営努力をしてもらって定数割れしないようにするんだけれども、しかし一方で、高等教育があることによって、地域を担う人材なんかがそこで育ってくれれば、将来、自治体として採用するとか、いろいろなことがあると思うんですね。

 ですから、あり方については、今後、例えば文科省と、地方の大学の公立化ということについてはやはり一定の基準なんかを考えるということは、今もしていると思いますが、あり方について、総務省と文科省ということで、何か今後話し合いをしていくことはあるんでしょうか。

 ますます少子化には拍車がかかります。ますます私立学校の経営難が進みます。だけれども、財政は厳しいという中で、今後、あり方について、総務省のみならず文部科学省と、先ほどおっしゃったようなことは百も承知ですが、文科省とありようについて何か考えていく機会があるのかどうか、そこについて再度伺いたいと思います。

高市国務大臣 国立、公立、私立の各大学ですが、それぞれが有する教育研究の特色というものを生かしながら、地域において求められる人材の育成ですとか研究成果の社会への還元など、それぞれの役割を果たしておられると思います。

 現在、国を挙げた地方創生の推進ということがございますので、地方大学が地方公共団体や地元企業などと連携して地方への新しい人の流れをつくる取り組みが期待されていまして、これは国立、公立、私立を問わず、全ての大学に共通することでございます。

 総務省と文部科学省の連携ということでいえば、平成二十七年度から、地方大学や地方公共団体の取り組みを支援するために、地方公共団体が地元企業に就職した学生の奨学金返還を支援するための基金を造成する取り組みですとか、地方公共団体と国公私立を問わず地方大学が具体的な数値目標を掲げた協定を締結し、連携をして行う雇用創出、若者の定着の取り組みに対して特別交付税措置を講じております。ここは今、総務省と文部科学省で一番連携をしているところでございます。

 ただ、私立大学については、学校法人が自主的に運営するということを基本としながら、私学における教育条件の維持向上や学生の経済的負担の軽減などを目的として、経常費の一部について私学助成が行われております。

 公立大学への交付税措置と私学助成というのは、それぞれの目的に応じて所要の措置を行っているので、これは直接的に両者を比較して論ずるようなものでもないのかなと思っております。

渡辺(周)分科員 平成二十八年の十二月に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六年改訂版でも、地方大学の振興等という項目がございまして、東京一極集中の是正に資するよう、地方大学の振興、地方における雇用創出と若者の就業支援、東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進などについての緊急かつ抜本的な対策を、二〇一七年夏を目途に方向性を取りまとめると言っています。

 既にある地方の学校の経営難のところに、交付税で見てもらえるからといって、安易にどんどん公立化することがあっては、本来なら淘汰されるべき大学が救われてしまうようなことというのは果たしていいのか。経営が優先される余りに、人材を育てるという本来の学校教育の目的がどこか後回しにされてしまっても困るわけでございます。

 実際、過去、そういう学校があった。生徒のほとんどが中国人の留学生で、何か実態は授業をやっていないじゃないかなんというところがあって、実際、在籍しているような気配もなかったような大学も、たしか幾つか淘汰されたのも少し社会問題になったのを覚えておりますが。

 そういう意味では、今後、私たちは、人材をつくるという意味で、地方にやはり教育機関が、高等教育の機関がなければ困る。ただしかし、それは安易な私立学校の救済策だけになってもいけない、優先されてもいけないということで、特にこれは交付税を使って学校を維持するわけでございますので、そこのところは、ぜひ総務省、文科省と連携しながら、あるいは地方と、あるいは当事者と、学校運営をする方々と一緒になってしっかりとした検討をしていただきたいなと思います。

 もう一つは、地方創生、地域の活性化に欠かせないのは、大学だけではなくて高校です。

 この高校の話を実は先日やったんですけれども、これは、先ほど教育におけるICT技術のところで何か会計検査にひっかかったようなところがあったことをちょっと報告されていましたけれども、我々政権時代に、きょういらっしゃる方々はもう御記憶と思いますが、このICTで教育格差というものを何とか埋めていくことができるじゃないかと。

 最近、一、二年ぐらい前にCMを見ましたら、どこか離島の学校が、スイッチ一つで壁に大きなスクリーンが立体的に出て、どこかの学校とつながって、そして、島の教育が、本来、もう数人しかいない小さな教室に、壁にどこかの学校が、教室でやっているところと同時に授業を受けられるような、NTT西日本さんのたしかCMだったと思いますけれども、今、そういうさまざまなイノベーション、技術革新によってハンディがなくなっている。

 そういう中で、留学制度、もちろん、公営の塾をつくって、地域の方々が授業を教えて、大学進学のハンディにならないような取り組みをしている。有名なのは島根県でございまして、隠岐の島の島前高校というところが離島留学で、もうここは島の学校ですから、どんどんどんどん子供が減っていって、このままいったら島から学校がなくなるというところを、島外留学で、島への留学生を集めようということで、全国から募集をして、全国で説明会がある。

 この方式をまねたところから今少しずつ少しずつ派生をしているんですけれども、先ほどは大学における人材の流出、あるいは若者の受け入れでした。今度は高校のレベルで、離島を初めとする地方への留学制度。

 こういう離島留学とか、今、公立高校が、例えば、北海道の天売高校とか、あるいは東京の伊豆七島でもやっているんですね、八丈だとか神津だとか。そして、私は昨年夏に行きましたけれども、沖縄県の久米島の高校も、実は、この隠岐の島方式をまねて、学校は県立学校なんだけれども、そこの留学生で来ている、全部久米島じゃない、沖縄本島から来ている子供、あるいは東京や横浜の子供さんもいました、そこで町営で寮を建てるんですね。もともと県立学校なんだけれども、それは県だと言っていられない、そんなことを言っていられないので、町の方で物件を見つけてきて、そこで世話役の先輩の方がいて面倒を見るというようなことをやっています。

 考えてみたら、スポーツの世界では強豪校に留学するなんて別に当たり前で、大阪の子が東北の学校へ行ったり、どこか北海道、九州の学校へ行ったりすることはどの世界でもあるんですが、そういう意味では、これから郷土芸能であるとか、あるいは自然だとか、もっと言うとストレスフリーな離島の中に行って、子供がもっと伸び伸びと人間性を取り戻せるような、何かこういう取り組みが必要だ、あるいは、ある意味での若者の移住、定住を今後促すために活発化させるべきだと思うんですが、大臣はどんな御見解を持っていますか。

高市国務大臣 渡辺委員から御紹介いただきました海士町のケースでございますが、これはすばらしいお取り組みだと思います。全国から意欲ある子供たちが入学されて、また地域の活性化にも大きく貢献しています。先ほど御紹介いただいたとおり、この海士町の取り組みがモデルとなって、ほかの過疎地域にも横展開されていて、北海道の音威子府村や沖縄県の久米島町の取り組みというのは、最近有名になってきております。

 総務省で、過疎地域などの各地方自治体が創意工夫のもとに取り組んでおられる地域振興策について、これまでも積極的に支援しているんですが、海士町におきましても、高校魅力化プロジェクトとして、学習センターの運営ですとか、島外からの入寮者に対する補助などの取り組みを実施していますが、その財源として、過疎地域等自立活性化推進交付金ですとか過疎対策事業債を活用いただいています。また、第一回プラチナ大賞・総務大臣賞も受賞していただいています。

 それからやはり、そのまままた定着していただくということを考えますと、離島振興法などの対象地域におきましても、今、情報通信基盤の整備に取り組んでおりますし、テレワークも随分、ここ数年、定着をしてきたと思っております。

 それからまた、地域おこし協力隊の皆様にも随分活躍をしていただいておりまして、例えば、寮を運営していく上で、寮の監督というんですか、寮で一緒に子供たちの面倒を見ていただいたり、それから学習をするための塾で講師をしていただいたり、いろいろな取り組みをしていただいておりますので、とにかく地方への人の流れ、情報の流れをしっかりつくっていく取り組みを進めてまいります。

渡辺(周)分科員 このことは、離島の振興だけではなくて、過疎地域が、実は私の地元でも、静岡県の下田という有名な町がございます、開国の町ですが。先日の、基準が変わったことで、四月一日から下田市というのは実は過疎指定を受けたんですね。制度上のいろいろな優遇面の話はもちろん承知ですけれども、問題はやはり、過疎という、これは離島に限らずですけれども、多分きょういらっしゃる議員の方々、奈良県も例外ではなく、これからどんどん人が流出していく、現役世代がいなくなっていく。子供たちが十五歳になる、高校もないとなると十五歳から出ていかざるを得ない、そうすると、現役世代はもう子供の教育のことで一家そろってどこかに出なきゃいけない。

 島に限らずなんですけれども、例えば伊豆半島もそうでしょうし、日本全国各地の中では、公立の統廃合が大体今どれぐらいでしょうか、調べたんですけれども、どこかにデータがなくなっちゃいましたけれども、毎年毎年相当な数で学校の統廃合が進んでいるんですね。何か、三十、四十の数だったと思います。

 これを考えますと、離島でできることは各地域で、山村留学のような形で、離島留学ならぬ山村留学だとか、それこそ過疎地域留学なんかを受け入れていけば、一定の留学生を集められれば、隠岐の島でできることが伊豆半島でできないわけがないわけです。そんな思いを持って、これをぜひ成功させて、将来の一つの国内の留学モデルにしていきたい、そんなことを思っているので、ぜひ。

 ただ、やはり、心配なのは進学ですね。都会の学校と違って、学習塾もない、進学の度合いも授業の度合いもほかと違っているということ、それを埋めるのはICTしかないと思いますので、例えば、私個人的には余り好きじゃないですけれども、どこか大手予備校の受験の通信講座システムと学校が組んで補講を行うとか、受験をするときにハンディがないような形で、こういうICTを活用した形で、ぜひ取り組みを今後も強化していただきたい、支援をいただきたいなと思います。

 最後、ちょっと一言、その点、決意を伺いたいと思います。

高市国務大臣 総務省で、以前からICTドリームスクールという事業も進めております。

 それから、やはり、全国どこに住んでいても質の高い教育が受けられる、また必要な社会保障サービスが受けられる、そして安全に生活できる、働く場所がある、これらをきちっと整えていけば、私は、地方から日本のGDPを押し上げていくということができると思っております。特にICTに関しては、これから医療、教育、さまざまな分野で活用ができますので、しっかりとこの取り組みを横展開してまいりたいと思っております。

渡辺(周)分科員 それではこの話は終わりまして、最後の時間で、省庁の、国の機関の地方移転について、最後、ちょっと、もう苦言も呈したいというか、相当言いたいことがあるんです。

 といいますのは、地方創生で、民間企業に移転を促す、その隗より始めよで、石破大臣時代にも、私、予算委員会で平成二十七年の三月六日に大臣ともやっているんですが、リストを出してきて、東京、千葉、埼玉、神奈川の一都三県以外の自治体から手を挙げてもらって、地方に移転をということで、民間の企業に地方移転を促すんだから、隗より始めよで国がやらなきゃだめだと相当な期待をさせておいて、御案内のとおり、あけてみたら、総務省の統計局が和歌山県、消費者庁の一部が徳島県に行く。これも、何か実証実験をして、ちょっとしばらくやってみよう、やってみて、結局どんどん小さくなってしまいました。結局、後々の話は、どうもデータをどこかの研究機関に研究してもらうのに何か寄与するみたいな話の、とても省庁の移転なんという話とは全然違う、小さな話になってしまったんです。

 あのころは、届けられたすごい資料を見てびっくりしたんです。私も、あのときも皮肉的に言ったんです。だってあのときは、「もんじゅ」だとか六ケ所村まで入っていたんですよね、種子島のロケットセンターまで移転候補地に入っていた。何だこりゃと。だって、一都三県にもともとありもしない、ロケットセンターなんて移転できないものまで、どうしてこんなの載せたんだぐらいのことを言ったら、とにかく全部見てもらおうと思って並べましたと言っていました。

 もうここまで言うぐらいだから、相当な覚悟で国は機関を地方移転させるんだろうというふうに思っていたところが、御存じのとおり、結果としては全くかけ声倒れに終わったということでございます。

 大臣は、安倍政権のリーダーシップでやるというふうなことを繰り返しあのころ言われていたんです。この国の機関の地方移転、当初の意気込みから、結果として相当縮小した、そう思っていませんか。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 政府機関の地方移転の取り組みにつきましては、昨年三月に政府関係機関移転基本方針、昨年九月に「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」をまち・ひと・しごと創生本部において決定し、これに基づき取り組みを進めているところでございます。

 中央省庁に関しましては、文化庁について、先行的な取り組みとして、本年四月一日付で文化庁地域文化創生本部を京都に設置してございますし、消費者庁につきましては、やはり今年度、消費者庁消費者行政新未来創造オフィス、仮称でございますが、これを徳島に開設するということでございます。また、総務省統計局につきましては、統計データ利活用センター(仮称)を平成三十年度から開設する予定であり、本年四月にその開設準備事務所を既に和歌山市に設置したと承知しているところでございます。

 また、中央省庁以外にも、研究機関、研修機関等について、年次プランをまとめて進めていくということを決めておりまして、この年次プランが本年三月末までに関係機関で共同して作成され、現在取りまとめをしているところでございまして、二十三機関、五十案件ということでございます。こうした研修、研究機関の取り組みが地域のイノベーションという形でつながっていく、このように考えているところでございます。

渡辺(周)分科員 随分手が挙がったんですよ。東京、神奈川、埼玉、千葉を除く四十三道府県から、四十二の道府県が六十九機関を提案して、例えば、今お話があった文化庁、宇宙航空研究開発機構、理化学研究所、消費者庁、気象庁、観光庁、中小企業庁、特許庁、防衛大学校、ぜひうちに来てくれということで手が挙がったんです。残念ながら、いろいろやってみた、さっき例に出た消費者庁ですけれども、何か電話会議をやってみたら、うまくいかなかった。そんなの当たり前じゃないか。それから、国会の法案説明があるから、国会の法案説明で対応無理だ、こんなことは昔から言われていたんですね。

 そうやって断って、それはもうかつてに、過去から、首都機能の移転の話から始まって、その昔もあります。分散型国家ということをいろいろやったけれども、必ず出てくるのが、やはり国会の近くにないとだめだとか東京でなきゃだめだとかと言いながら、なかなか進まなかったんです。今回も、そんなことはわかっていたんだけれども、相当なリーダーシップのもとでやるのかなと思ったら、残念ながらこうなっている。

 そこで、最後、時間がありませんけれども、ちょっと大臣に伺いたいのは、総務省の統計局が和歌山県に一部行くということなんですけれども、ここは一体何をするんですか。それが省庁移転と言えるのかどうなのか。大臣はどう思いますか、安倍政権の閣僚の一人として。

高市国務大臣 和歌山県では、統計の利活用という、これまで実は少々手薄だった分野について、しっかり体制を整えてやってみようと考えております。

 率直に申し上げまして、先ほど来、委員が当初の期待にとても合っていると思わない結果だという問題意識をお持ちだということを感じましたが、例えば、国会対応ですとか連絡会議ができる、できない、情報通信の環境がどうかとか、そういうことも考えて、本来でしたら、国として、地方に移していい部局または役所を先に提示して、それで、これを受け入れたいという地方を募集されるような手順だったらよかったんでしょうけれども、先に全国から手を挙げていただいて、できる、できないの判断をその後にしていくという手順になったところに課題があったんじゃないかと私は感じております。

 そんな中で、総務省では、昨年度、二十八年度も、随分地元でシンポジウムを開いたり実証をしたりしてみました。特に、統計の利活用ということを、まず西日本でやってみて、全国展開していくということを成功させるためには、専門家、人材の存在が必要です。

 そしてまた、働く環境がどうなんだということもとても大切な要素でございますので、昨年度やってみた実証で十分これはいけると感じましたので、まず、平成三十年度から和歌山県で調査票レベルの情報である統計ミクロデータの提供などの業務を実施いたします。それから、二十九年度には、データサイエンスの普及や人材育成を柱とする統計データ利活用促進プロジェクトというのを実施してまいります。

 これから、しっかり統計ミクロデータ提供などの業務実施の拠点整備を進めてまいりたいと思います。やはり、統計を活用して、いかに地域の課題を解決していただけるか、そういった分野に力を入れてまいりたいと思っております。

 省庁丸ごとの移転というレベルではありません。統計局の業務の一部ですが、ただ、これからの時代にとても大切な業務であると考えております。

渡辺(周)分科員 時間が来ましたので。

 ただ、サービスの拡大とか統計の利活用なんというのは別に今に始まったことじゃなくて、そもそも、あれだけの大見えを切って、大風呂敷とは言わない、大見え切って、とにかく、民間企業に移転してもらうなら、隗より始めよで省庁がそれぐらいやらなきゃどうするんだって、石破さんも安倍さんも随分なことを言っていて、期待したんですよ。そうしたら、結局、省庁丸ごとじゃなくて、一部サービスを提供するようなところを今後何か検証していきたいなんという、こんなのは別に今でもできるわけです。

 そうじゃなくて、やはりもう移転をすることありきで、その上で、どういう情報提供や共同研究や民間の研究に資することができるかとか、雇用のあり方について成果を出せるかということが肝心なので、何か今のままでは完全にもう幕引きというか、これでおしまいというようなことで、大変残念なんです。

 ぜひ、あそこまで言ったわけですから、地方創生という言葉はとにかく安倍政権の目玉だったと思いますが、結果、この程度ということを最後に申し上げて、ぜひこの議論についてはまた委員会の中で大臣ともやりたいと思いますけれども、ここの統計局の何か五十人ぐらいのデータ提供みたいな話だけで終わるんだったら、もうこれは省庁移転なんて言わないわけでございます。ぜひ、そのことを肝に銘じて本当にやっていただきたい。また、政府の中でもぜひそういう発言をしていただきたい。そのことを申し上げまして、終わります。

石関主査 これにて渡辺周君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして総務省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後四時五十六分散会


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