衆議院

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第1号 令和5年4月24日(月曜日)

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本分科会は令和五年四月十日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

四月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      江崎 鐵磨君    大野敬太郎君

      高木 宏壽君    葉梨 康弘君

      村上誠一郎君    森  英介君

      江田 憲司君    松原  仁君

      金村 龍那君    櫛渕 万里君

四月二十一日

 大野敬太郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和五年四月二十四日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 大野敬太郎君

      奥野 信亮君    高木 宏壽君

      葉梨 康弘君    村上誠一郎君

      森  英介君    阿部 知子君

      江田 憲司君    大島  敦君

      長妻  昭君    松原  仁君

      金村 龍那君    櫛渕 万里君

   兼務 城井  崇君 兼務 笠  浩史君

   兼務 足立 康史君 兼務 遠藤 良太君

   兼務 高橋 英明君 兼務 山崎 正恭君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   内閣府副大臣       藤丸  敏君

   財務副大臣        井上 貴博君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       山崎  健君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       白川 哲也君

   会計検査院事務総局第二局長            佐々木規人君

   会計検査院事務総局第四局長            片桐  聡君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  望月 明雄君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            川崎  暁君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            新発田龍史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山碕 良志君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 植松 利夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            森  晃憲君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   政府参考人

   (株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁)    田中 一穂君

   政府参考人

   (株式会社国際協力銀行代表取締役総裁)      林  信光君

   参考人

   (独立行政法人日本スポーツ振興センター理事)   大西 啓介君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

   決算行政監視委員会専門員 花島 克臣君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     奥野 信亮君

  松原  仁君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     江崎 鐵磨君

  大島  敦君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  長妻  昭君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     松原  仁君

同日

 第一分科員城井崇君、笠浩史君、足立康史君、山崎正恭君、第三分科員遠藤良太君及び高橋英明君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計歳入歳出決算

 平成三十年度特別会計歳入歳出決算

 平成三十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成三十年度政府関係機関決算書

 平成三十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成三十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和元年度一般会計歳入歳出決算

 令和元年度特別会計歳入歳出決算

 令和元年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和元年度政府関係機関決算書

 令和元年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和元年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (総務省、財務省所管、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行、文部科学省及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

大野主査 これより決算行政監視委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました大野敬太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管、財務省所管、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行、文部科学省所管及び防衛省所管について審査を行います。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成三十年度決算外二件及び令和元年度決算外二件中、総務省所管、財務省所管、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行、文部科学省所管及び防衛省所管について審査を行います。

 これより文部科学省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。永岡文部科学大臣。

永岡国務大臣 平成三十年度文部科学省主管の一般会計歳入決算並びに文部科学省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 まず、文部科学省主管の一般会計の歳入決算につきましては、歳入予算額三百一億八千四百八十一万円余に対しまして、収納済歳入額は三百億二千一万円余であり、差引き一億六千四百七十九万円余の減少となっております。

 次に、文部科学省所管の一般会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額五兆九千七百八十七億一千百三十三万円余に対しまして、支出済歳出額は五兆六千三百五十四億五千五十万円余であり、その差額は三千四百三十二億六千八十二万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は二千八百七十五億七千二百四十二万円余で、不用額は五百五十六億八千八百三十九万円余となっております。

 次に、文部科学省所管のエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済歳入額一千九十三億八千九百六万円余に対しまして、支出済歳出額は一千八十五億九千二百八十一万円余であり、その差額は七億九千六百二十四万円余となっております。

 このうち、令和元年度予算に歳入計上した剰余金は四億八千百七十六万円余であり、これを除いた純剰余金は三億一千四百四十八万円余となっております。

 次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳入決算につきましては、歳入予算額十三億六千二百四十五万円余に対しまして、収納済歳入額は十三億三千二百八十万円余であり、差引き二千九百六十四万円余の減少となっております。

 次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額三百九十一億七千五百三十万円余に対しまして、支出済歳出額は三百四十一億百三十五万円余であり、その差額は五十億七千三百九十四万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は二十七億四千八百六十一万円余で、不用額は二十三億二千五百三十三万円余となっております。

 続きまして、令和元年度文部科学省主管の一般会計歳入決算並びに文部科学省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 まず、文部科学省主管の一般会計の歳入決算につきましては、歳入予算額三百九億四千八百七十五万円に対しまして、収納済歳入額は三百二十一億三千九百十三万円余であり、差引き十一億九千三十八万円余の増加となっております。

 次に、文部科学省所管の一般会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額六兆四千百三十六億九千七百七十二万円余に対しまして、支出済歳出額は五兆七千百九十七億四千六百七十四万円余であり、その差額は六千九百三十九億五千九十八万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は六千百三十二億八千九百九十五万円余で、不用額は八百六億六千百二万円余となっております。

 次に、文部科学省所管のエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定の歳入歳出決算につきましては、収納済歳入額一千九十八億九千八十六万円余に対しまして、支出済歳出額は一千九十億二千三百四万円余であり、その差額は八億六千七百八十二万円余となっております。

 このうち、令和二年度予算に歳入計上した剰余金は三億一千四百四十八万円余であり、これを除いた純剰余金は五億五千三百三十四万円余となっております。

 次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳入決算につきましては、歳入予算額十四億四千八百八十万円余に対しまして、収納済歳入額は八億三百六十万円余であり、差引き六億四千五百十九万円余の減少となっております。

 次に、文部科学省所管の東日本大震災復興特別会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額三百十五億六千四百三十三万円余に対しまして、支出済歳出額は二百八十億一千五百二十四万円余であり、その差額は三十五億四千九百八万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は二十一億七千五十三万円余であり、不用額は十三億七千八百五十五万円余となっております。

 以上、平成三十年度及び令和元年度の文部科学省所管の一般会計及び特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

大野主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院片桐第四局長。

片桐会計検査院当局者 平成三十年度文部科学省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十六件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二一号から五六号までの三十六件は、補助事業の実施及び経理が不当なものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、認定こども園等の施設整備事業の実施に関して適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、国立大学法人施設整備費補助金の交付額に関するもの、その二は、国立大学法人等の固定資産に係る減損額に関するものであり、これら二件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。

 続きまして、令和元年度文部科学省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十九件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二三号から四一号までの十九件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち二三号から二七号までの五件は学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金が過大に交付されていたもの、二八号はへき地児童生徒援助費等補助金が過大に交付されていたもの、二九号は認定こども園施設整備交付金が過大に交付されていたもの、三〇号から三二号までの三件は私立高等学校等経常費助成費補助金が過大に交付されていたもの、三三号から三五号までの三件は学校施設環境改善交付金が過大に交付されていたもの、三六号は国宝重要文化財等保存整備費補助金により整備した木造建築物の設計が適切でなかったもの、三七号から四一号までの五件は義務教育費国庫負担金が過大に交付されていたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、預かり保育補助金の交付額の算定の基礎となる一日平均実績時間及び一日平均実績担当者数の具体的な算出方法並びに補助対象園児の範囲を都道府県に対して具体的に示して周知徹底を図るとともに、都道府県に当該算出方法等に基づき交付額を算定したことなどを確認するためのチェックリストを作成させ、これを実績報告書とともに提出させることにより、補助事業が適切に実施されるよう改善させたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

大野主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。永岡文部科学大臣。

永岡国務大臣 平成三十年度及び令和元年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したところでありますが、平成三十年度及び令和元年度決算検査報告において会計検査院から御指摘を受けましたことは、誠に遺憾に存じます。

 御指摘を受けました事項につきましては、適切な措置を講ずるとともに、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図ったところであります。

大野主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大野主査 以上をもちまして文部科学省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

大野主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

大島分科員 お願いいたします。大島です。

 当分科会で、昨年は、研究開発費及び研究開発についての予算をしっかり増額してくれというお話をさせていただいています。

 国の理化学研究所あるいは物質材料研究所、今回、経産委員会なんですけれども、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案、いわゆるGX法案、あるいは、脱炭素社会の実現に向けた電力供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案等を審議するに当たって、文科省の皆さんにお世話になりまして、昨年は量子科学技術研究開発機構の那珂研究所は二回ほど、そして六ケ所研究所は一月に訪問させていただいて、核融合炉について研究者の皆さんと意見交換をさせていただきました。また、日本原子力研究開発機構大洗研究所では、高温ガス炉及び高速炉「常陽」、研究開発について視察をさせていただいて、研究者の皆さんとここでも意見交換をさせていただきました。

 私は、研究開発に当たっては高温ガス炉も高速炉も進めるべきだと考えておりまして、もちろん、審議する中で、やはり使用済核燃料については、自然に存在するウラン鉱石程度の放射線レベルまで下がるまでに十万年とか聞くと、結構これは大変なことだなと思いまして、文科省の研究の中だと、この十万年を八千年あるいは三百年まで低減する研究をされているやに伺っております。その点について、まず冒頭、何点か質問させてください。

 これまでも、経済産業委員会では、先ほどの二法案、法律を審議するに当たって文科省から政府参考人として来ていただいておりまして、改めて、その点について、手短に御答弁をお願いします。

 軽水炉の使用済燃料を直接処分した場合、どのくらいの期間で天然ウランと同程度の有害度になるかについての御説明をお願いします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十七年に策定されました原子力政策大綱におきましては、各放射性核種の人体への影響で重みづけた指標であります潜在的有害度を算出しておりまして、この中では、軽水炉の使用済燃料を直接処分する場合、その潜在的有害度が天然ウランと同程度まで低減する期間については約十万年との試算がなされていると承知しております。

大島分科員 続きまして、その十万年なんですけれども、軽水炉の使用済燃料を直接処分した場合、天然ウランと同程度の有害度になるまで十万年かかるとのことですけれども、どの物質が十万年に起因しているのか、御答弁をお願いします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 約十万年経過時の潜在的有害度の観点から申し上げれば、使用済燃料中のプルトニウム239が影響するところが最も大きいと承知しております。

大島分科員 私、一九八一年に鉄鋼会社に入ったときの一番最初の仕事が、高速増殖炉「常陽」とか「もんじゅ」に使われている核燃料棒を束ねるシームレスのステンレスの六角管の工程管理から新入社員教育を始めまして、四十年ぐらい前なんですけれども、当時から「常陽」とか「もんじゅ」というのが頭の中に残っておりまして。

 この高速増殖炉、研究者の皆さんとお話しすると、ナトリウム冷却というのは結構難しいんですけれども、高速増殖炉の使用済核燃料が天然ウランの放射線量に減衰する期間を詳しく説明してほしいと思います。再処理してプルトニウムとウランを分離した後、例えばガラス固化体にしたとして、その放射線量の減衰について説明してください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 軽水炉の使用済燃料は、先ほど御答弁させていただきましたとおり、直接処分する場合には約十万年と試算されているところでございますが、軽水炉再処理の場合は、使用済燃料から燃え残ったウランとプルトニウムを回収することによりまして、高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体でございますけれども、の潜在的有害度が低減するまでの期間は約八千年と試算されてございます。

 そして、先生御指摘の高速炉再処理の場合には、ウランとプルトニウムに加えましてマイナーアクチナイドを回収し、これらを燃料として高速炉で燃やすことを想定しておりまして、これらを取り除くことによって、高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体の潜在的有害度が低減されるまでの期間は約三百年になるとの試算が出されております。

大島分科員 十万年という単位は結構長い期間で、十万年前の日本というのは大陸と地続きで、日本海が池になっているような十万年でして、ですから、地方自治体の皆さんに最終処分をもしもお願いするのであれば、十万年というよりも、八千年あるいは三百年ぐらいまで圧縮しないと、なかなか説明するのがハードルが高いのかなと思っています。

 高速増殖炉の場合には三百年という話がありました。現在、試験研究炉も含めて、高速増殖炉が稼働している国はあるのか。稼働していれば、その状況についてお知らせください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 国際的な高速炉の運用状況につきましては、我が国の実験炉「常陽」に加えまして、ロシア、中国、インドでそれぞれ実験炉が一基ずつ運用されておりますほか、ロシアでは原型炉と実証炉が一基ずつ運用されているものと承知しております。

 また、商用炉につきましては、国内外を含め運用された実績はありませんが、ロシア、中国及びインドにおいて計画中のものがあると承知しております。

大島分科員 局長、ありがとうございます。

 高速増殖炉、ここで三百年まで圧縮するのは、まだ技術的なハードルは高いかと思います。

 一つには、高速炉を用い、ガラス固化体にするということ、これも一月に六ケ所村の核燃サイクルも視察をさせていただいて、特に、硝酸で溶かした後、どうやって核種を分けていくのかというところが結構難しい技術なのかなと。まだ確立はしていないかと思います。

 ですから、こういう技術もしっかり、核種を分ける、核の様々な核種があるそうですので、それを分けること、そして、分けた後に、文科省としては二つ、核種を分けるという技術開発と、もう一つは加速器を用いた核変換技術、ADSという技術を研究されていると聞いているんですけれども、その点について御説明できますでしょうか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 第六次エネルギー基本計画におきまして、使用済燃料問題の解決に向けた取組の一つとして、放射性廃棄物の減容化、有害度低減のための研究開発を推進することとされております。

 文部科学省といたしましては、科学技術・学術審議会原子力科学技術委員会の下の作業部会における審議を経まして、原子力機構の中長期目標の中に、国際的なネットワークを活用しつつ、高速炉や加速器駆動システム、ADSを用いた核変換技術の研究開発に取り組むこと、研究開発を通じ、将来の有望性の判断に資する成果を得ることなどを位置づけたところでありまして、原子力機構においてその要素技術の開発等が進められているところでございます。

大島分科員 この加速器を用いた核変換技術は、私、注目をしておりまして、まだ実質動いているわけではなくてプランを練っている段階かと思うんですけれども、やはり今後、加速器を用いて中性子を核種に当てることによって、核種が二つぐらいに分かれて、三百年ぐらいまで期間が短くなるというお話を聞いておりまして、中性子を当てるということは、六ケ所村の先ほど申し上げました量子科学技術研究開発機構六ケ所研究所を視察すると、六ケ所では、スペインとイタリアと組んで、ブランケットの部材の開発のために、その素材に強い中性子を照射する実験を始めています。

 この技術は、長寿命放射性核種に陽子ビームを照射することで有害度を低減する研究にも活用できそうだと素人的に思うんですけれども、理論的にはこういう考えでいいかどうか。

 研究者の間ですと、核融合炉の研究者の皆さんは、余り核融合炉に関係ないところは持ち込まないでくれという意見も聞いているんですけれども、ただ、やはり三百年の技術を確立すると、今後の地球温暖化の枠組みの中で我が国がリードして国際的な標準と基準を作れるものですから、その点についてお話を伺わせてください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、QST、量子機構六ケ所研究所国際核融合材料照射施設では、核融合炉材の中性子耐久性を調べるための中性子発生装置に必要な重陽子ビーム加速器の研究開発をヨーロッパと協力して行っており、その設計は、核融合の材料照射に適したものに設計をされております。

 また、この要素技術は、御指摘のとおり、長寿命放射性核種の有害度を低減する研究にも応用可能でございますが、その研究装置に適した新しい設計が必要となると承知しております。

大島分科員 先ほどのADS、加速器を用いた核変換技術の確立までは、核融合炉も二〇四〇年、二〇五〇年と言われているので、結構長い時間がかかると思うんです。ただ、素人的に、様々な研究所を視察させていただくと、それぞれが連関性を持っておりまして、うまくこれが一つの方向、お互いに刺激し合うといい研究開発ができるかなと思っております。

 それで、先ほどの「常陽」、「もんじゅ」のラッパー管という核燃料棒を包む六角形のシームレスのステンレスのパイプは、作るのが非常に難しくて、今作れる会社が一社あるかどうかについては、経産省の方にはしっかり、サプライチェーンはほかも含めてちゃんと見ておけ、見ておいてほしいということを頼んでありますので、その点はよかったなと思っております。

 そして、大臣に伺いたいんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、私が視察した施設、国の研究所で多くの研究者から伺ったことは相互に関連しており、相互に覚醒すれば技術革新が予想されると考えておりまして、廃炉、廃棄物処理、原子力発電の様々な方法について研究すべきと思いますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 大島委員にお答え申し上げます。

 原子力というのは多くの分野の関係者が関与するものでございまして、その技術開発を推進するためには、やはり産学官の関係者が広く連携することが必要不可欠である、そういう認識をしております。

 このため、文部科学省といたしましては、社会実装へ向けました重点的に取り組むべき領域について、産学官の知見を結集して取り組むチーム型の基礎基盤研究ですとか、また、福島第一原子力発電所の廃炉に向けた、東京電力等の現場ニーズを踏まえた産学官連携による研究開発など、横断的な取組を支援しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、これらの取組を引き続きまして支援をして、原子力分野の研究開発、技術開発を推進してまいりたいと思っております。

大島分科員 原子力を推進するのについても、原子力を止めてしまえという世論も片やあるんですけれども、やはり原子力はしっかり研究開発を進めておかないと、私としては更なる技術革新ができないと思っていて、特に廃炉技術。そのためには、高温ガス炉についても、あるいは「常陽」、高速炉についても、結構息長く研究して成果が出ているものですから、是非、先ほどの核種を分ける技術についても、あるいは加速器を用いた核変換技術についても、一層の後押しをしていただくことをお願いします。

 それで、核融合炉、ここも、六ケ所の研究所になぜ行ったかというと、おととしから私、非常に着目をしているのがNTTの光電融合の送信方法でして、ITERと六ケ所の研究所がNTTの光電融合の技術を使って膨大なデータのやり取りをするということを伺ったものですから、六ケ所の研究所も訪問させていただきました。

 このITERの計画は、国際プロジェクトですから結構大変だと思っておりまして、各国がそれぞれの資金を出し合いながら動かしているプロジェクトなので、例えば、ITERの進捗がある程度見えてきた段階で、日本が先行して原型炉プロジェクトを開始してもいいのではないのかなと思うんですよ。これは、那珂では、JT60SAでしたか、局長、そこも二回か三回ほど見せていただいて。その次の閣議決定なり方向性が見えると、各エンジニアリング会社ごとに研究者を雇えるんです。

 ですから、ITERの研究に貢献しながら、ある程度めどがついたら、日本で独自に実験炉なり実証炉なりをトライするということも必要かなと思うんですけれども、その点についての文科大臣のお考えを聞かせてください。

永岡国務大臣 ITERは、ITER計画というのが、やはり核融合の実験炉に係ります国際プロジェクトであるということでございます。また、近年、世界各国で核融合発電の実現に向けた取組が加速をしておりまして、我が国といたしましても、研究開発を戦略的に推進していく必要がある、そう考えております。

 ITER計画は、今申し上げましたように、やはり国際プロジェクトならではの困難がございますけれども、本計画の参画を通じまして核融合エネルギーの科学的、技術的実現性を認識いたしまして、原型炉への移行判断を行うことはまた大変重要と思っております。

 このため、文部科学省といたしましては、ITER計画等のプロジェクトを強力に推進するとともに、平成二十七年より、産学共同して、核融合の原型炉実現に向けた概念設計や研究開発を行ってきたところでございます。

 四月に統合イノベーション戦略推進会議で決定されましたフュージョンエネルギー・イノベーション戦略も踏まえまして、核融合の研究開発を加速して、原型炉の早期実現、これをしっかり目指してまいります。

大島分科員 御答弁ありがとうございます。

 私はこう考えていまして、私たち政治の、政策の自由度は、国の経済力によると思っています。私たちのつくる政策の自由度は国の経済力によっていて、国の経済力は、その国が持っている科学技術の創造性を超えては私は発展しないと思っているんです。

 これまで、理化学研究所、和光あるいは横浜、あるいはSPring8、ここ十年ぐらいの間に様々訪問させていただいて、研究者の方は一言も弱音は吐きません。予算が欲しいとも言いません。ただ、見ていると本当にかわいそうな感じがします。もう少し研究者の処遇を上げてあげないと、なかなか外国からも研究者が日本に集わないですし、理化学研究所みたいに学際的なところは、お互いに刺激し合いながら、次の研究テーマだと思うんです。

 それで、文科省ではないんですけれども、内閣府が所管している沖縄大学院大学について、研究実績が上がっているという話と、あと、理事長の給与、具体的に幾らかというのはちょっと品がないから、そういう質問はしなくて、大体こんな程度ですよという御答弁をお願いします。

望月(明)政府参考人 答弁申し上げます。

 まず、沖縄科学技術大学、OISTでございますけれども、こちらの方の研究実績でございますが、質の高い論文数割合のランキング、こちらにおきまして日本の研究機関でトップ、世界の中では第九位というふうな評価を得ております。また、昨年、スバンテ・ペーボ教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したというふうなところでございます。

 また、給与水準につきましては、国際的な処遇ということも、水準も考えまして、七千万から大体六千万くらいの、そういう形で処遇させていただいておりまして、それを大学の方でしっかりと実績を見ながら判断できるようにしているというところでございます。

大島分科員 沖縄大学院大学は、二〇〇九年、担当の副大臣をさせていただいていて、その前に文科大臣であった有馬朗人先生から、沖縄大学院大学はしっかり頼むよと言われていたものですから。

 有馬朗人先生が考えていらっしゃったのは、やはり世界中から、ノーベル賞を受賞された方、あるいは受賞されるぐらいすばらしい研究成果がある方を学長としてお招きをして、自由に研究開発をさせてあげたいということで、私、副大臣のときに先ほどの給与の件を頼まれまして、何か上限を外したいと言われたものですから、いいよと。渋い民主党政権だけれども、大島はいいよと言いまして、それで今、学長の給与、世界中からすばらしい方を御招聘いただければ、それは集う研究者もある程度、研究者もすばらしくなって、そして、縛りなく予算が使えると、いい研究成果が出るかなと思っておりまして。

 ですから、私、理化学研究所なり物質材料研究所、先ほどの原子力研究開発機構及び量子科学技術研究開発機構等の理事長は、今までだと事務次官縛りがあると思うんですよ、事務次官の給与よりも、同じくらいか若干下じゃないといけないという縛りがあって。やはり今後は、独立行政法人については、ジョブサイズに応じて給与を払う時代に。JAXAもそうですよね。あれだけ巨大な機関が、なかなか、民間から来ると給与ががくっと下がってしまって、理事長職を、国のためにという尊い気持ちで皆さん行っていて、その気持ちも大切だと思う。

 ですから、たくさん上げろというわけじゃないんですけれども、研究開発をされている理事長の職務、あるいは研究開発している人たちの処遇、そして、外国から来るときも、前に聞いたのは、派遣労働と同じように一年更新なので、五年間コミットメントできないから外国からの研究者がいらっしゃれないとか、なかなか、処遇の問題が国際標準に追いついていないかもしれないんです。

 ですから、文科大臣、これから概算要求の要望の時期ですから、よく研究開発の部局に聞いていただいて、他国の。今、多分、後押しする世論があると思うんですよ。ここまで日本の研究開発力が衰退をしていて、私、十年ぐらいかかると思うんです、産業界出身なので。本当に衰退していますから。ですから、ここでしっかりと予算を、国の研究所の皆さんに。

 この予算は生きる予算でして、例えば、先ほどのSPring8、これは兵庫県まで、大分前ですけれども視察させていただいたときに、当時は、世界で一番微細なものが見える巨大な顕微鏡でして、それを使って様々な民間企業の技術革新ができています。ですから、国のやるべき仕事は、ベンチャー投資ではなくて、やはり民間が持てない計測装置をしっかり持つとか、あるいは三十年後とか二十年後を見据えた長期間の運営費交付金をしっかり大学、研究所に交付するとか、一回大きくかじを切るべきだなと思っているんです、国は。

 でも、成果が出るまでに十年はかかります、ミニマム。非常に厳しいです、これから。やはり日本の産業界も、合理化しかしなかったものですから。合理化しかしなかったので、中央研究所が、昔は中央研究所の所長は常務で入っていたのが、もう平取にも入らなくなって、そのうち合理化されちゃって。ですから、ポスドクが余るのは当たり前なんです、民間が採らないから。

 だから、やはり研究開発を国として主導していくことが必要かなと思うものですから、まずは、我が国の研究力向上のためにも、国立研究開発法人の、報酬を上げろというのはちょっと露骨なので、理事長の報酬、様々な処遇の見直しをしながら、皆さんが好きなだけ研究できるような環境を整えていただきたいなと思うんですけれども、文科大臣の御所見をお願いします。

永岡国務大臣 大島委員には、本当に日本の国の科学技術の向上に腐心されているということを、大変私もうれしく思いますし、また、それぞれの国の開発法人の理事長の所得につきましても御心配をいただいておりまして、感謝を申し上げます。

 文部科学省の所管の八法人につきましては、令和四年度の第二次補正予算におきまして五千八十七億円を計上するとともに、令和五年度の予算におきまして、前年比三十三億円増の五千九百十七億円を計上したところではございます。

 国立研究開発法人は本当に我が国の研究開発の中核を担っておりまして、引き続きまして、研究開発成果の最大化に向けまして全力で取り組んでまいります。

 是非、大島先生にも、引き続きまして御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

大島分科員 しっかりと今後も取り上げていきたいと思っています。

 それで、最後の質問なんですけれども、私も様々な研究所を訪問する中で、やはり、五年で論文を書いてパーマネントの職を得る方、七年から八年かけて論文を書いてパーマネントになる方、そして、それを支える技師の集団が本当に必要でして、技師の集団が。ですから、研究を支える技師の存在が私は重要だと認識しています。

 ですから、今までだと、国は五年、十年で研究した人ばかり拍手をしていたんですけれども、それを支える集団があってこそ研究開発ができるものですから、その点について、最後に御所見を伺わせてください。

永岡国務大臣 私も、やはり研究開発法人、伺いますと、研究者の方々のそばに技術者の方がついてしっかりそれを支えているということが、どちらの場所に行きましても、声を大きくして、技術者が足りないというようなお話も伺います。

 そんな中、やはり技術職員というのは高度で専門的な知識、技術を有しておりまして、研究者とともに課題解決を担うパートナーとして重要な人材でありまして、キャリアパスの拡充など、活躍に応じた技術職員の処遇改善に関する取組というのは大変重要と考えております。

 例えば、これは物材機構でございますが、技術職員に対しまして新たに独自の職制を整備いたしまして、その知見等に見合った待遇を提供するなどの取組を始めていると承知をしております。

 文部科学省所管の八法人につきましては、令和五年度予算におきまして必要な予算の確保を行ったところではございますが、技術職員の人材育成も、そして確保も含めまして、引き続き、研究開発法人、成果の最大化に向けて取り組んでまいります。

大島分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 ここで終わります。どうも失礼いたします。

大野主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井分科員 立憲民主党の城井崇です。

 永岡文部科学大臣、今日はよろしくお願いしたいと思います。

 まず、教職員の働き方改革、特に長時間労働の是正について伺います。

 教職員の働き方改革の関連法が施行されてから数年になります。大臣、長時間労働は是正をされたんでしょうか。ここ最近も、新年度に入りまして、様々な報道が相次いでいます。

 例えばということで本年四月十九日の京都新聞の例を挙げますが、京都府教育委員会が、京都市を除く府内の公立学校教員の二〇二二年度勤務実態調査結果をまとめたということでした。小学校を除く全校種で、前年度に比べ月平均の時間外勤務、いわゆる残業が三十分から四時間程度の減少ということでしたが、ただ、中学校は過労死ラインとされる八十時間を上回る約八十五時間ということでありまして、京都府の教育委員会は、勤務実態としては依然厳しい状況にあるとしている、こうした報道でした。

 このほかにも同様の報道はたくさんあると思います。いまだに過労死ラインを超える状況は、やはり看過することができないというふうに考えます。

 大臣、この長時間労働の是正状況についてどのように認識をされているか、お答えください。

永岡国務大臣 文部科学省の調査結果では、時間外勤務は近年成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多くて、引き続きまして取組を加速させていく必要がある、そういう認識でおります。

 このため、文部科学省におきましては、令和元年の給特法の改正を踏まえまして、勤務時間の上限等を定める指針を策定するとともに、教職員定数の改善や支援スタッフの充実、ICTを活用した業務効率化など、総合的に進めているところでございます。

 今のお話にありました京都府の実態につきましては、詳細は承知してはおりませんけれども、京都府の教育委員会に伺いますと、教員の勤務実態は依然として厳しい状況、そういう認識であるということでございました。

 今後は、令和四年度実施の勤務実態調査の結果等を踏まえまして、教師が教師でなければできない仕事に全力投球できますように、環境の整備を図ってまいりたいと思っております。

城井分科員 今大臣から御答弁いただいた幾つかの方法をこれまでの数年間で取り組んできているわけでありますが、残念ながら、長時間労働是正はまだ成っていないという職場が多いというのは実態かというふうに思います。

 そもそも、選ばれる仕事として教職員の現場がなっているかというところは厳しい、それがなぜか。

 これまでも、教職員の働き方をめぐっては様々裁判がございました。例えばということで一つ挙げますと、勤務時間外の業務も労働基準法三十二条が定める労働であり、残業代を支払うべきだとして、埼玉県内の公立小学校に勤務する教員が埼玉県に対して約二百四十二万円の支払いを求めていた、いわゆる埼玉超勤訴訟というものがありましたが、これについて、二〇二一年十月一日のさいたま地裁並びに二〇二二年八月二十五日の東京高裁の判決での教職員の労働時間、特に時間外勤務の部分ですが、について認定する業務内容が示されたところでありますが、この内容について国として適切と考えるか、大臣、認識をお聞かせいただけますか。

永岡国務大臣 判決で示されました個々の具体的な業務が労働時間に該当するかにつきましては、裁判所におきまして、原告、被告から提出された証拠を精査して検討されるものでありまして、その認定の妥当性につきましては、私からお答えは差し控えさせていただきたいとは思いますけれども、いずれにいたしましても、当該裁判では、労基法の三十七条に基づきます時間外労働の割増し賃金請求権ではなくて、国賠法上の違法性が認められないとして判決がなされたものと聞いております。

城井分科員 個別事例の見解は差し控えるということで今おっしゃったかというふうに理解をいたしましたが、ただ、大臣、この埼玉訴訟は一つの例なんですが、実際に時間外勤務として認められるか認められないか、その内容を見ていったときに、では、本当に教職員の仕事として時間外にこれはやらなくていいのか、自発的な勤務ということで片づけていいということではない内容が随分あったのではないかというふうに思うわけであります。

 そこで、幾つか伺います。

 例えば、授業の準備にかかる時間は、どれぐらいの長さの時間を時間外労働として認めるかということがあったわけでありますが、これは、大臣が国の見解として聞かれたときに、じゃ、この授業準備にかかる時間はどれぐらい時間外労働として認めるというふうにお考えですか。

永岡国務大臣 現在の給特法の下では、校務であったとしても、校長からの指示に基づかず、所定の勤務時間外にいわゆる超勤四項目に該当するもの以外の業務を教師が行った時間は、これは勤務時間ではないが校務に従事している時間、そういう整理となっております。

城井分科員 今、授業準備にかかる時間について聞いたわけですが、この授業準備というのは校務なんですか、校務じゃないんですか。

永岡国務大臣 それは校務でございます。

城井分科員 では、校務を自発的な業務として片づけてしまってもよろしいんですか。そういう国の見解なんですか。

永岡国務大臣 これは校務でございます。

城井分科員 自発的業務で校務をやらせるということですか。校長が命じなければ、校務であっても自発的な仕事で片づけて、時間外労働としては認めない、こういうことでしょうか。

永岡国務大臣 現在の給特法の下では、校務であったとしても、超勤四項目に該当するもの以外の業務を教師が行った時間というのは、勤務時間ではないけれども校務に従事している時間という整理となっております。

城井分科員 そのゆがんだ解釈、ずれが教職員の現場の負担になっているということを申し上げたいと思います。

 もう一つ伺います。

 では、時間外の保護者対応は、時間外労働として認められますか。

永岡国務大臣 これは、正規の時間外に保護者対応をしなくてよいのかということではございますが、これはやはり、正規の勤務時間の割り振りを適正に行いまして、原則、時間外勤務命令を命じないことなどによりまして、教師の健康及び福祉を確保するといった法律の趣旨からすると、保護者対応につきましても、原則、時間内に対応していただくことが望ましいと考えております。

 これを実現するために、例えば、一部の教育委員会、学校におきましては、放課後は留守番電話に切り替えまして電話対応しないこととしたことなんかもありますし、対応時間を削減をしたということでございます。

 文部科学省といたしましては、こうした好事例を周知することで、更なる学校の働き方改革を進めてまいりたいと思っております。

城井分科員 大臣、そうしますと、保護者の方の仕事の現状、状況によっては、夜間にしか連絡が取れないケースがあると思うんですが、その場合は留守番電話対応で放置ということでしょうか。子供たちと向き合うときに、保護者さんの働き方が違っても、向き合って対応するというのはあり得るんじゃないでしょうか。時間外労働で対応するケースはそういうことがあると思うんですが、その件は放置をするんでしょうか。もう一回、お願いします。

永岡国務大臣 具体的に夜、電話をしなければならない御父兄に対しての対応ということでございますが、例えば、次の日、出勤をしてきたら対応するということも考えられます。また、保護者対応につきましても、原則、時間内に対応していただくことが望ましい、そう考えております。

城井分科員 その望ましい時間外の対応は、教員の正式な時間外労働になるんですか、ならないんですか。

永岡国務大臣 現在の給特法の下では、校務であったとしても、やはり校長からの指示に基づかない、所定の勤務時間外にいわゆる超勤四項目に該当するもの以外の業務を教師が行った時間というのは、勤務時間ではないけれども、これは校務に従事している時間という整理になっております。

城井分科員 この給特法が立ちはだかって、本来、きちんと業務として、仕事として認められるべき、時間外労働として認められるべきところが邪魔をされて、結局、ゆがんだ解釈になっているというのは、この件でもそうだというふうに考えます。

 もう一つ伺います。

 では、児童生徒が取り組むドリルやプリント、小テストの採点は、時間外労働として認められますか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 時間外に採点業務はしなくていいのかという、そういう御質問と思います。

 正規の勤務時間の割り振りを適正に行いまして、原則、時間外の勤務命令を命じないことで教師の健康及び福祉を確保するといった法律の趣旨からいたしますと、採点業務につきましても、原則、時間内に対応していただくことが望ましいと考えております。

 これが実現されますように、例えば、一部の教育委員会、学校におきましては、テストを自動採点することとしたことで採点業務に充てる時間を削減した例がありまして、文部科学省といたしましては、こうした好事例を周知することで、更なる学校の働き方改革を進めてまいります。

城井分科員 大臣、ドリルやプリント、小テストといいますと、子供たちが鉛筆で書いたものを教員の方々が採点をするわけです。コンピューターに置き換えられるものが今後は出てくるかもしれませんが、今現在はそれはなかなか難しいというふうに思います。日中に採点する時間が取れないから時間外労働になっている、そこを仕事として認めるのか、時間外労働としてきちんと認定するのかというところが大事なんです。

 この点をやるのかやらないのか。結局、給特法が立ちはだかって、それはできないということなのか、確認したいんですが、お願いします。

永岡国務大臣 現在の給特法の下では、超勤四項目に該当するもの以外の業務を教師が行った時間というのは、勤務時間ではないけれども校務に従事している時間という整理になっているところです。

城井分科員 勤務時間に数えないけれども校務という、このゆがんだ状況を何とかしたいのでこの話を聞いているわけですが、もう一つだけ伺いますね。

 児童の作文の添削は、時間外労働として認められますか。

永岡国務大臣 正規の勤務時間の割り振りを適正に行いまして、原則、時間外勤務命令を命じないことで教師の健康及び福祉を確保するといった法律の趣旨からいたしますと、児童の作文の添削等教師が教育を行う上で必要な業務については、原則、これは正規の勤務時間内に対応していただくことが望ましいと考えております。

 このため、各種学校におきまして、業務分担の見直しですとか適正化、また必要な環境整備に一層取り組んでいただけますように、文部科学省といたしましては、引き続きまして、学校の働き方改革の推進をしてまいります。

城井分科員 大臣、御答弁されて苦しいところだと思いますが、今挙げた四つのものは、先ほどのさいたま地裁での中で業務として認められなかった内容でした。理由は、給特法が理由でした。ですので、大臣がおっしゃったところは、現在ある法律に照らしてということですと、そういう言い回しになるのかもしれません。

 ただ、学校現場が、先ほど申したような作業を時間外に回さざるを得ない、じゃ、時間内にできるかといったときに、それが難しいのでその時間を使わざるを得ない。でも、先ほど大臣おっしゃったように、勤務時間としては計算ができる仕組みにはなっていないが校務だというお話でしたよね。これはこのまま放置していいんだろうかというのが私の関心なんです。給特法の存在が、今申したような項目についても含めて時間外労働として認められない、ゆがんだ解釈の源になっているというふうに私は思っています。

 先ほど大臣もおっしゃったように、校長が命じないものについては駄目ということですし、項目についても超勤四項目ということで絞られていますが、ただ、実態として、今申したように、子供と向き合うあるいは保護者と向き合うという学校教育におけるとても大切な役割が時間外労働として認められないというこのゆがんだ状況は、やはり正すべきだというふうに考えます。

 そこで、やはり、給特法は廃止をして、厳格に勤務時間管理をきちんとすること、そして業務量を削減しつつ長時間労働を是正し、加えて、学校で子供を囲む大人の数が足りない、教職員の定数改善を行いながら、もう既に労働基準法の下でやっている国立学校や私立の学校と同じように時間外勤務手当を支給する、こういう当たり前の仕組みにすべきだというふうに考えます。

 我々からは、この考え方に立って、今、給特法の廃止それから教職員の働き方改革促進法案というものを準備をして、間もなく国会提出に向けて最終調整をしているところであります。

 大臣、国としての、先ほどからのゆがんだ解釈の源になっております給特法について、今後の取扱い、このままほっておくのか、変えるべきではないかと思うんですが、大臣の見解を具体的にお示しください。

永岡国務大臣 先生、今後の給特法の取扱いについての見解をということでございます。

 現在の給特法の仕組みは、公立学校の教師は、その自発性とそして創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことなどによりまして、どこまでが職務であるのか切り分け難いという教師の職務の特殊性等から、時間外勤務手当などではなくて、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給することとしているところではございます。

 一方、給特法制定から半世紀が経過をしておりまして、教師に求められる仕事の内容も変化をしております。また、法制定当時の想定を大きく超えます長時間の勤務の実態が明らかになっております。文部科学省といたしましては、令和元年に法改正を行いまして、教師の勤務時間の上限等を定める指針を策定するなど、学校におけます働き方改革に取り組んでいるところでございます。

 今後の給特法の取扱いにつきましては、五月までに速報値の公表を予定しております令和四年度実施の勤務実態調査におきまして、教師の勤務実態や、また働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握をし、その結果等を踏まえまして、教師の処遇を定めた給特法等の法制的な枠組みを含め検討してまいりたいと考えております。

 私といたしましては、実態調査の結果等を踏まえまして、教育の質の向上に向けて、働き方改革、処遇の改善、教職員定数の改善を含めます学校の指導、運営体制の充実、これは一体的に進めていきたい、そう思っております。

城井分科員 今の三点を一体的に進めていくという点については、大いに同意するところであります。

 ただ、働き方改革そのものは、今日最初にお伺いしたように、道半ばであります。また、自発性、創造性との言葉を実は逃げ道にしてきたのではないかというふうに思うわけであります。五十年たっているわけでありますし、何よりも勤務実態調査ということで申しますと、今度の五月の調査結果を待ちたいと思いますが、その前の結果でも随分とひどい状況が明らかになってきたわけであります。そこはやはり先に手を打つべきだというふうに考えます。

 そこで、お伺いします。

 この給特法の取扱いの議論をめぐっては、政府で、先ほど言及のあった教職調整額の増額ですとか、あるいは別の手当の創設が検討されているとの報道に接しています。もし、大臣、この教職調整額そのものの仕組みが続く場合、教職員の疲弊の原因となった、やりがいの搾取あるいは定額働かせ放題という言葉が現場から聞こえてくるわけでありますが、こうした状況が改善されないということで、大変私は強い危機感を持っています。

 大臣、教職調整額の増額や別の手当の創設という、これぐらいの選択肢しか今政府では検討していないんでしょうか。給特法の廃止そのものも含めての検討をもちろんしていただくということでよろしいんでしょうか。お答えください。

永岡国務大臣 文部科学省では、令和四年度に実施いたしました勤務実態調査の速報値公表後の円滑な検討に資するように、有識者等から構成されております調査研究会におきまして、給特法等の関連する諸制度ですとか、学校の組織体制などに関する論点を整理したところでございますが、調査研究会は、情報収集、論点整理を目的とするものでございまして、教職調整額の見直しというものは、前回の平成二十八年度の勤務実態調査を踏まえて、そして、中教審での議論におきまして、給特法を見直した上で時間外勤務手当化すべきとの指摘がある一方、教師の職務の本質を踏まえますと、教育の成果というのは必ずしも勤務時間の長さのみに基づくものではないのではないか、また、給特法だけではなくて、一般公務員に比して優遇措置を定めた人材確保法によっても形作られております教師の給与制度を考慮するなど、必ずしも処遇改善につながらないのではないかといった懸念も示されたところでございます。

 なお、調査研究会のまとめました論点整理におきましては、教職調整額の在り方を含めます多岐にわたる論点が盛り込まれているところでございます。

 給特法の在り方に関する今後の検討の具体的な方向性につきましては、現時点で決まっていることはございませんが、実態調査の速報値の公表後、調査研究において整理をされた論点を基に、教師の処遇を定めた給特法等の法制的な枠組みを含めまして、これは中央教育審議会においてしっかりと議論をし、そして速やかに着手したい、そういうふうに考えております。

城井分科員 今御説明いただいた点で一点確認をと思います。

 有識者会議で論点整理をされたということでした。私が申した先ほどの教職調整額の増額や別の手当の創設はその中に含まれていると思うんですが、給特法の廃止による厳格な時間外勤務手当の支給というのは論点整理の中に当然入っているんですよね。これが入っていないということはないですね。大臣、確認をさせてください。

永岡国務大臣 調査研究会では、情報収集や論点整理を目的とするものでありまして、何らかの結論を得るものではないというところでございます。

城井分科員 大臣、私が聞いたのは、論点整理の中の論点の項目に、当然、給特法の廃止による時間外勤務手当の支給も入っていますね、論点整理の中の論点に。結論ではなくて、論点に入っていますねというのを確認しているんですが、もう一回お答えください。

永岡国務大臣 しっかりと議論をするということは盛り込まれております。

城井分科員 この点、大臣、もし仮に、教職調整額の増額で仕組みが続いてしまいましたら、今までの仕組みがそのまま続いてしまうことになるわけであります。これを今、教育現場では大変恐れている。給特法を廃止して、先ほどの人確法の話もありましたが、確かに重要なんです。でも、教員の仕事の責務や専門性ということを考えますと、一般の公務員よりは優遇されてしかるべきというのはこれまでも法律でも保障されてきた、その部分は大事にしていくべきだというふうに思うわけです。

 ただ、給特法があることで、先ほどの、本来仕事なのに時間外勤務として計算していないようなことが、あれもこれもそれもと、今日挙げただけでも四つもあったわけです。そうしたことを放置するわけにはいかない、しっかりと論じていただくということで、その点、今後も注視していきたいと思いますので、この点は是非お願いしたいというふうに思います。

 続いての質問に参ります。

 もう一つ、生成系のAIについて伺おうと思って今日は来ました。著作権の保護と教育現場への活用の二点から伺いたいんですが、今日、資料をお配りしています。御覧いただければと思います。

 お時間も限られてまいりますので、事実確認だけ。大臣、この表の右側にある、日本法で丸が四つついている部分ですね、これが通告しておった四問分になるわけですが、これは事実として正しいということでよろしいでしょうか。

 つまり、非営利目的でのものも、営利目的のものも、複製以外の行為のものも、そして違法サイトなどから取得したコンテンツも、日本の法律の下では情報解析のための作品利用をしてよいと、法律で認めているという、この理解でよろしいか、まず聞かせてください。

永岡国務大臣 お尋ねの非営利目的での情報解析につきましては、著作権法の第三十条の四によりまして、著作物に表現されている思想又は感情の享受を目的としない利用である場合においては利用することが可能でございます。

城井分科員 大臣、四つ一遍に聞いていまして、営利目的のもの、そして複製以外の行為並びに違法サイトなどから取得したコンテンツについて、情報解析のために作品利用ができるかと。残り三つもお答えいただいてよろしいですか。

永岡国務大臣 営利目的の場合でございますけれども、これは、著作権法の第三十条の四におきまして、情報解析について営利目的か否かを問うものではないため、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用である場合においては利用が可能でございます。

 そして、複製ですね、これは、著作権法第三十条の四におきましては、いずれの方法によるかを問わず利用することができることとされておりまして、要件を満たす場合には複製以外の方法による利用も可能ということになっております。

 そして、あともう一つ、違法サイトなどから取得したコンテンツについてですが、違法にアップロードされました著作物が利用できる状況、状態は問題でありまして、違法アップロード行為につきましては、著作権の侵害として損害賠償請求、差止め請求や、刑事罰を受けることとなります。

 他方で、インターネット上の著作物を情報解析に用いる場合、大量に収集される著作物がそれぞれ適法なものであるかどうかを確認することは現実的に難しく、これを要件としてしまいますと、ビッグデータを用いた情報解析が困難になる実態が考えられます。また、情報解析のために著作物を利用する行為というのは、著作物に表現されております思想又は感情の享受を目的としないものであり、このような行為がされたとしても、著作物の本来の利用市場とは衝突せず、著作権法が保護している著作権者の利害を害することはないと考えられます。

 このような観点から、著作権法第三十条の四におきまして、著作物が適法なものであることは要件とされておりません。

 以上です。

城井分科員 大臣、今ほどの四つのケースについての説明で、結局、その場合に、権利者、著作権者の意向に反して利用されるケースというのがやはり防げていないというのが最大の問題だと考えています。

 この点については新たな規制が必要だと思いますが、著作権を守るための新たな規制について検討いただけるでしょうか。

永岡国務大臣 御指摘の著作権法の第三十条の四でございますが、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用と規定をしているわけでございますが、著作物に係る対価回収機会を損なわず、著作権法が保護する著作権者の利益を通常害しない行為と考えられるものを対象としているものでございます。

 また、同条では、その必要と認められます限度に限るとともに、著作権者の利害を不当に害する場合につきましては適用されない旨定めているところでございます。

 このように、我が国の著作権法は、利用実態ですとか権利者を含みます関係者の意思を踏まえまして、著作権者の利益に配慮した規定としています。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、AIなどの新しい技術の進展を踏まえまして、著作物の保護と利用のバランスを取りながら、引き続きまして、著作権との関係について研究を進めていくことが大変重要だというふうに考えております。

城井分科員 最後に短く。

 大臣、学校現場でのAI活用の指針を検討されていると思いますが、いつ出されますか。夏休み前が必要だと思いますが。

大野主査 永岡文部科学大臣、申合せの時間が過ぎておりますので、答弁を短めにお願いします。

永岡国務大臣 学校現場での生成AIの利用につきましては、様々な議論や懸念がある一方で、学習指導要領では、学習の基盤となる資質、能力として情報活用能力を位置づけておりまして、新たな技術を使いこなすといった視点も重要であると考えておりまして、学校現場の参考となります資料を取りまとめたいと考えております。

 お尋ねの取りまとめの時期につきましては、今後、早急にこれらの有識者等からの意見聴取を行いまして、政府全体の生成AIに関する検討の状況も踏まえて、できるだけ早急に取りまとめたいと考えております。

城井分科員 終わります。ありがとうございました。

大野主査 これにて城井崇君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋英明君。

高橋(英)分科員 おはようございます。日本維新の会の高橋でございます。今日はよろしくお願いいたします。

 早速質問に移らせていただきますけれども、今日はデジタル教科書について質問させていただきたいと思います。

 まず、毎年度ですけれども、こちらの行政事業レビューシートに、毎年、随意契約で、教科書デジタルデータの作成とあるんですけれども、ちょっと中身を教えてください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省におきましては、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律、いわゆる教科書バリアフリー法を踏まえ、障害のある児童生徒が使用する点字教科書や拡大教科書等の普及を図ってきたところでございます。

 教科書バリアフリー法では、点字教科書や拡大教科書等の製作に必要な教科書デジタルデータについて、教科書発行者から教科書デジタルデータ管理機関に提供することを義務づけております。提供する教科書デジタルデータはPDF形式のファイルにする必要があるため、ファイルの変換に係る経費を文部科学省が教科書発行者に対して支払うこととしているところでございます。

高橋(英)分科員 ありがとうございます。

 どうも随意契約という言葉にはナーバスになってしようがないんですけれども。この随意契約の教科書発行者というのは、指定を受けた、検定を通った教科書発行者全社ということでよろしいですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教科書発行者、これは、基本としては全教科書発行者が対象になるわけでございますけれども、具体のニーズといたしまして、点字教科書や拡大教科書、この具体的なニーズがあった教科書発行者が発行する、そうした形になっておるわけでございます。

高橋(英)分科員 では、全部ではないということでよろしいんですね。その場でうなずいていただければいいですけれども。はい、分かりました。じゃ、これはいいですけれども。

 次に、デジタル教科書、これは無償でよろしいんですか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 デジタル教科書については、中央教育審議会の議論を踏まえまして、令和六年度から段階的に導入することとしているわけでございます。この方針を踏まえまして、デジタル教科書については、今年度、文部科学省において、全ての小中学校等を対象に英語のデジタル教科書を提供し、学校現場において活用促進を図っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後のデジタル教科書の提供につきましても同様に対応していきたいと考えております。

高橋(英)分科員 それは、無償ということでいいんですよね。

永岡国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

高橋(英)分科員 そうしましたら、デジタル教科書ですから、端末は、これは無償になるのかどうか、お聞かせください。

永岡国務大臣 今後の端末更新に係ります費用の在り方につきましては重要な課題だというふうに認識をしておりますが、この検討を進めていくためにも、まずは、今般整備をされました一人一台端末を積極的に活用していただくことが重要であると考えております。

 これらの端末は、御指摘のデジタル教科書の活用を含めまして、個別最適な学びと協働的な学びを実現するための不可欠なツールである、そのほか、不登校ですとか、特別支援の児童生徒の学びの保障ですとか、教員の働き方改革にも大きな役割を果たすということが言えると思います。

 GIGAスクール構想では、我が国が主導して進めてきたものでございまして、令和の日本型の学校教育の基盤となるものでございます。その持続的な推進に向けまして、数年後の端末の更新時期を見据えまして、地方自治体と連携をしながら、端末の利活用、この状況を踏まえながら、関係省庁と協議をしながら、しっかりと検討していきたい、そう考えております。

高橋(英)分科員 大臣、無償にしないと意味がないと思うんですけれども、検討云々ではなくて。だって、無償にしないと、家庭環境だとかいろいろな面でやはり差が出てくると思いますので、これは無償にすべきだと思いますが、もう一度よろしいですか。

永岡国務大臣 GIGAスクール構想というのは国が主導をして進めてきたものでございまして、やはり、その持続的な推進に向けまして、数年後の端末の更新、それをしっかりと見据えまして、地方自治体と連携をしながら、端末の利活用の状況、これをしっかりと踏まえて、関係省庁と協議をしながら検討してまいります。

 以上です。

高橋(英)分科員 同じ答えなんですけれども。

 端末の更新という話ですから、端末がなければ更新も何もないので。必ずこれは、やはり一人一台ないと、不可欠ですから、まず無償化でちょっとやっていただかないと、これはどうしようもないと思いますので。

 これ以上は質問にはしませんけれども、是非これは無償化でお願いをしたいというふうに思います。

 あと、これまでの教科書検定はどのようになっていくんでしょうか。

永岡国務大臣 デジタル教科書につきましては、検定に合格した紙の教科書と同一の内容であることから、改めて検定を行うものではございません。

 教科書調査官ですとか、それから検定公開の在り方につきましては、透明性を一層図る観点から、教科書調査官の公募制の導入や、検定結果公開事業等を実施をしているところでございます。

 なお、教科書調査官の任期制につきましては、その専門性と継続性を確保する観点から現時点では考えているところではございませんが、また、検定プロセス、これを公開することにつきましては大変重要なことでございますので、静ひつな環境を確保する必要がある点に留意をしつつ、教科書検定への一層の理解を得るために、引き続きまして教科書検定の透明性を確保する取組というのもしっかりと続けてまいります。

高橋(英)分科員 ありがとうございます。

 大臣、調査官に関してはこれから質問しますから、まだ。

 この検定範囲をちょっと聞きたいんですけれども、実際に使用するのは、端末に入ったデジタルで使用するんだと思いますけれども、規格だとか使い勝手だとか、やはりそういった部分を検定の範囲にすべきだと思いますけれども。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 現在、デジタル教科書の検定ということに関しましては、これは紙の教科書と同一の内容であるということで、改めてデジタル教科書そのものの検定ということになっていないわけでございます。

 御指摘の規格といったようなもの自体が検定の対象というわけではございませんけれども、規格が扱いやすいものとなるようにしていくことが必要というふうに考えているところでございます。

高橋(英)分科員 ベースが紙なのは分かりますけれども、実際に子供らの手に渡るときには紙じゃないわけですから。当面は紙を併用するようなことを言っていますけれども、徐々に徐々に紙はなくなっていくんだろうと思いますから、実際に子供たちが使用するのは紙ではないわけなので、やはり総合的に検定範囲に加えるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 現在、デジタル教科書についてはその普及を図っている、こういった段階でございまして、現段階では紙とそれからデジタルを併用している、こういった状況でございます。

 御指摘のような点につきましては、今後の活用状況をしっかり踏まえながら考えていくべき課題というふうに考えておるところでございます。

高橋(英)分科員 当面は紙と併用だからいいという話ですけれども。でも、将来的には紙はなくす方向で、まずは考えておいてよろしいんでしょうか。

藤原政府参考人 紙とデジタルの使い方ということでございますけれども、デジタル教科書の在り方につきましては、中央教育審議会において検討が行われ、デジタル教科書への慣れや児童生徒の学習環境を豊かにする観点から、デジタル教科書と紙の教科書を、当面の間、併用することが示されたところでございます。

 また、アンケートの調査におきましても、学校現場では、デジタル教科書と紙の教科書について、それぞれ活用場面で使い分けている実態が分かっているところでございます。

 このような中、当面の間は、学習場面や児童生徒の特性に応じて紙の教科書とデジタル教科書を使い分けることで、児童生徒の学びの充実に資するものと考えているところでございます。

高橋(英)分科員 ちょっと順番が変わっちゃいますけれども、今の答弁を聞いて。

 デジタル教科書の導入の目的と期待する効果をちょっと教えてください。

永岡国務大臣 デジタル教科書につきましては、中央教育審議会での議論を踏まえまして、GIGAスクール構想の下で、デジタルの強みを生かして個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図るなど、教育の質の向上を目的といたしまして導入を進めているところでございます。

 このため、文部科学省では、実証研究等を通じまして、好事例の収集ですとかガイドラインの作成を行っておりまして、引き続きまして効果的な活用に向けた取組を進めてまいりたいと思っています。

高橋(英)分科員 紙をなくすといろいろ支障も出るのかもしれないんですけれども。

 ちなみにですけれども、今、埼玉県庁は、とにかく紙を使わないんですね。だから、コピー機ありますよね、更新の時期が来ると、もう更新をしていないんです。紙を使っていると、県庁内でも、大げさな言い方かもしれないんですけれども、罰金じゃないですけれども、知事の前には来るなと言うらしいですね、紙を持って。何ら支障がないそうです、やはり、全て端末に置き換えても。

 やはり、将来的にはこういった方向でやっていくべきだ、教科書も、プラス役所の中もやっていくべきだろうなというふうに思っていますけれども。

 ちょっとずれちゃうかもしれないけれども、紙をなくするという考え方、大臣はどのように思いますか。

永岡国務大臣 デジタル教科書の在り方につきましては、中央教育審議会におきまして検討が行われました。

 まずは、通信面や指導面での課題も踏まえまして、令和六年度から段階的に導入すべきであること、また、教科等につきましては、小学校五年生から中学校三年生を対象に、まずは音声機能の活用を、効果的である英語、そして次に現場のニーズが高い算数、数学を導入するなどの方向性が示されたわけでございます。

 この方針を踏まえまして、英語以外の教科の導入については、やはり学校現場における活用状況等、これを踏まえて、引き続き検討していかなければいけないと考えております。

高橋(英)分科員 ちょっと通告をしていなかったからあれなのかなと思いますけれども、何となく答弁が違ったのかと思いますが、紙をなくしていくかどうかという大臣の考え方を聞きたかっただけなんですけれども。

 ちょっと戻しますね。検定調査官について聞きたいんですけれども、このデジタル社会で、先日も質問で言いましたけれども、定年制でずっとやっているというのはどう考えても対応し切れないと思うんですけれども、いかがですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教科書調査官については、高い専門性とともに業務の継続性が求められるものであり、現在の任用形態、定年制を考えるという考えはございません。

 なお、教科書調査官は、職務の性質上、時代の変化や最新の学術研究等を把握するために、関係論文や学会への出席等を通して研さんを図っているものと承知をしております。

高橋(英)分科員 業務の継続性という答弁がありましたけれども、教科書を作ってくるのは教科書会社ですから、前年度と全く継続性がないものを持ってくるわけがまずないと思いますし、あと、申し訳ないんですけれども、私は来月六十になっちゃうんですけれども、六十の私と例えば三十代の人間と、デジタルのこの進歩の過程の中で、これは全くついていけないと思うんですけれども、それにもかかわらずずっと定年制を維持していくというのは、やはり絶対対応できないと思いますが、いかがですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、時代の進展が非常に激しいわけでございまして、そうした最新の技術などにも対応できるようにしっかりと研さんを図っていくということが重要であろうと考えております。

高橋(英)分科員 じゃ、素朴な疑問で、何で定年制をやめられないんでしょうかね。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 定年制一般のお答えということなんでございますけれども、もちろん、定年制にはそれの一定の合理性があって定年制になっているんだろうと思いますけれども、当然、様々な状況の中で新陳代謝を図っていくというふうなことなどもその目的にはあるものと思っております。

高橋(英)分科員 今、新陳代謝という言葉がありましたけれども、それでしたら、やはり、例えば五年ごとに見直すだとか、そうあってしかるべきだと思いますよね。定年制だと何十年も同じ人がやるわけですよね。

 だから、例えば、先日も委員会で言いましたけれども、やはり歴史教科書なんかを見ると、どう見ても私見が入りやすい、どう見ても。ああいうのがあるからこそ、やはり五年ごととかに見直していくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 やはり、教科書調査官につきましては、高い専門性とともに業務の継続性が求められるものでございまして、現在の任用形態を変える考えというのはないわけでございます。

 教科書調査官は、職務の性質上、時代の変化ですとか最新の学術研究等を把握するために、関係論文ですとか学会への出席などを通じまして研さんを図っているものと承知をしております。

高橋(英)分科員 先ほども言いましたけれども、業務の継続性は教科書会社が、当たり前に継続して持ってくると思いますし、あと、何回答弁を聞いても、やはり新陳代謝とかいろいろなことをおっしゃっているので、どう考えても私は定年制はなじまないというふうに思っているんですけれどもね。やはり、五年とかごとに変えていただきたい。これ以上言ってもしようがないので、これはやめますけれども。是非これは、ちょっと本当に御一考していただきたいというように思います。絶対に定年制はそぐわない、なじまないですよ、どう考えても。よろしくお願いいたします。

 あと、教科書選定なんですけれども、各自治体でやるんだと思うんですけれども、これも検定と一緒で、使い勝手だとか、そういったものは見ないんですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教科書の採択のことかと存じますけれども、採択につきましては、綿密な調査研究を経た上で、採択権者である教育委員会等の権限と責任により適切に行われるべきものと考えております。

 文部科学省においても、教科書の調査研究について、必要な専門性を有した者が公正公平に調査研究を行うとともに、教育長及び委員が教科書見本を閲覧し、その内容について吟味することができるような環境も整えながら、採択権者としての責務を適切に果たすよう、教育委員会に通知をしているところでございます。

 教育委員会等により教科書採択が適切に行われるよう、引き続き、より徹底して指導してまいりたいと考えております。

高橋(英)分科員 ごめんなさい、教科書採択は、やはりこれまでと一緒で、紙ベースのみということでよろしいんですかね。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教科書採択については、紙の教科書の内容について必要な調査を行い、採択地区に最も適した教科書を採択することとなります。

 デジタル教科書は紙の教科書と同一の内容であることから、内容については紙の教科書を調査することとなるわけでございますが、アクセシビリティーなどの機能はデジタル教科書固有のものであり、令和六年度に全ての小中学校等を対象に提供予定の英語のデジタル教科書について、これを採択権者の判断で採択の考慮事項の一つとすることは可能であろうと考えております。

高橋(英)分科員 端末だと、ウィンドウズとグーグルとiPadですか、今、というふうに聞いたんですけれども。教科書採択をするときに、先日の、紙ベースじゃないですけれども、大日本書籍でしたっけ、ありましたけれども。端末でも、ああいった癒着とか談合みたいなのは、起きないような仕組みづくりみたいなのはお考えでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 談合等による不正行為について、あってはならないということは言うまでもないわけでございますけれども、種々の交付要綱において、事業主体である地方公共団体に対し、経費の効率的使用の観点から、売買や請負その他の契約を行う場合には、原則、一般の競争に付さなければならない旨を規定し、適切な調達を行うことを定めているところでございます。

高橋(英)分科員 教科書採択とか検定とかというのは、いわゆる特権を与えているようなものですから、なぜか特権のところには必ず癒着みたいなのがつきまとっているんですけれども、こういったことをやはり絶対にやらせないようにちょっと仕組みを考えていただきたいんですけれども。

 あと、透明性というのが、ずっと言っていますけれども、教科書採択もそうですし検定もそうですけれども、デジタル社会になってもこれはオープン化する気はないんでしょうか。

永岡国務大臣 検定結果の公開事業につきましては、デジタル化をし利便性の向上を図ることは文部科学省におきましても重要であると考えておりまして、検定意見書ですとか、あとは教科書検定調査審議会の議事要旨などを文部科学省のウェブサイトで公開をしております。

 なお、申請図書や教科書の見本につきましては、教科書発行者の著作物でありまして、文部科学省においてこれらをデジタル化をして公開をするということは、やはり著作権の問題などがあることから、現状では、公開会場等において、その図書そのものを閲覧できるということにしているところです。

高橋(英)分科員 図書の公開とかじゃなくて、議論の公開をしていただきたいんですよね、オープンにして。その点をちょっとお聞きしたいんですが。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 審議会等の整理合理化に関する基本的計画に定められている審議会等の運営に関する指針においては、審議会等の議事の公開について、「特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するものとする。」とされているところでございます。

 教科用検定調査審議会は、行政処分の前提となる審査を行うものであり、外部からの圧力がなく、静ひつな環境の下、委員が自らの識見に基づき、専門的、学術的に審議するとともに、委員が自由闊達に議論することを通して合意形成を図っていくことが重要であることから、議事録ではなく議事要旨を作成し、検定審査終了後に公開しているところでございます。

 なお、検定関係資料については、検定審査終了後に検定結果の公開事業等において展示、公開を行うなど、検定手続の透明化を図っているところでございます。

高橋(英)分科員 ありがとうございます。

 外部からの圧力がないようにオープン化をした方がいいと言っているんですけれども、まあ、これ以上聞いても同じ答えだからやりませんけれども。やはり、教科書検定、選定に関しては、大切な問題ですから、是非議論のオープン化をしていただきたいというふうに思いますので、今後しっかりと検討していただければと思いますので、大臣、よろしくお願いいたします。余り乗り気じゃないのかな。

 じゃ、次に行きますね。でも、ずっと言い続けますからね、これ。

 このデジタル化教科書で、家庭環境とか地域環境による教育を受ける機会に格差が生じないんですかね。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 デジタル教科書の導入に当たりましては、やはり、地域による教育格差が生じませんように、令和五年度のデジタル教科書の実証事業によりまして、全ての小中学校等を対象に英語のデジタル教科書を提供しているところでございます。

 また、英語のデジタル教科書につきましては、音声を自分のペースで繰り返し聞くことができるなど、学校だけでなく家庭においても活用できまして、児童生徒の学びの充実につながるもの、そういうふうに考えております。

 デジタル教科書の導入に当たりましては、地域環境ですとか家庭環境による格差が生じることがないように、引き続き取り組みまして、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

高橋(英)分科員 ここでもやはり格差が生じないという答弁がありましたけれども、だったらなおのこと、必ずやはり端末は無償化にすべきだと思いますが、いかがですか。

永岡国務大臣 いろいろと、一人一台端末の、GIGAスクール構想の一番のメインのところにお気遣いいただいて、ありがたいと思っております。

 今、これから端末の更新に入っていくわけでございますので、そこのところはしっかりと議論をしながら検討させていただきたいと考えております。

高橋(英)分科員 先日の委員会でも言いましたけれども、やはり、国家百年の大計は教育にありですから、私は教育費が非常に少ないと思うんですね。大臣は少ないと思うか思わないか、ちょっとお聞かせください。予算ね。

永岡国務大臣 足りないところはしっかりと対応してまいりたいと考えております。

高橋(英)分科員 遠慮しないで、どんどんどんどん予算を取ってきてくださいよ、本当に。やはり、我が国は非常にほかの先進国と比べると教育費にかける比率、予算というのが少ないというふうに言われていますので、是非これはちょっと積極的に今後やっていただきたいというように思います。

 ただし、増税をしないでね。増税したら何の意味もございませんので。我々はいつも増税なしで、こういったいろいろな施策を行っていくというのが我々のモットーでございますので。

 是非、来年度の予算に向けたちょっと大臣のお考えをお聞かせください。

永岡国務大臣 来年に向けまして、しっかりとした予算をいただけますように、頑張ってまいります。

高橋(英)分科員 では、来年度もしっかり、大臣、できるように頑張ってください。

 以上、終わります。

大野主査 これにて高橋英明君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

大野主査 これより防衛省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 平成三十年度における防衛省主管の一般会計歳入決算及び防衛省所管の一般会計歳出決算並びに東日本大震災復興特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛省主管一般会計の歳入につきまして御説明申し上げます。

 収納済歳入額は六百四十二億五百万円余となっております。

 次に、防衛省所管一般会計の歳出につきまして御説明申し上げます。

 歳出予算現額は五兆八千七百四十八億四千百万円余でありまして、支出済歳出額は五兆四千七百九十億九千八百万円余、翌年度へ繰り越した額は二千七百九十七億九千五百万円余でありまして、差引き不用額は千百五十九億四千七百万円余であります。

 次に、防衛省所管東日本大震災復興特別会計の歳入につきまして御説明申し上げます。

 収納済歳入額は三千二百万円余となっております。

 次に、防衛省所管東日本大震災復興特別会計の歳出につきまして御説明申し上げます。

 歳出予算現額は四億一千五百万円余でありまして、支出済歳出額は四億一千五百万円余でありまして、差引き不用額はございません。

 続きまして、令和元年度における防衛省主管の一般会計歳入決算及び防衛省所管の一般会計歳出決算並びに東日本大震災復興特別会計歳入決算につきまして、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛省主管一般会計の歳入につきまして御説明申し上げます。

 収納済歳入額は六百八十九億一千百万円余となっております。

 次に、防衛省所管一般会計の歳出につきまして御説明申し上げます。

 歳出予算現額は六兆五十八億三千三百万円余でありまして、支出済歳出額は五兆六千三百七億九千四百万円余、翌年度へ繰り越した額は二千五百七十四億三千二百万円余でありまして、差引き不用額は一千百七十六億六百万円余であります。

 次に、防衛省所管東日本大震災復興特別会計の歳入につきまして御説明申し上げます。

 収納済歳入額は四千万円余となっております。

 以上をもちまして、平成三十年度及び令和元年度の決算の概要説明を終わります。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

大野主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第二局長。

佐々木会計検査院当局者 平成三十年度防衛省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び本院の指摘に基づいて当局において改善の処置を講じた事項八件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、侵入防止柵の更新等を行う工事の実施に当たり、設計が適切でなかったため、侵入防止柵の安定性が確保されていない状態になっているなどしていて、工事の目的を達成していないなどしていたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、有償援助により合衆国政府に支払った拠出金に係る返済金に関するもの、その二は、情報システム等の無停電電源装置の調達に関するもの、その三は、広帯域多目的無線機のプログラム改修及び二次電池の調達に関するもの、その四は、海自造修整備補給システムの維持管理等役務契約に関するもの、その五は、騒音自動測定装置等の保守点検業務に係る予定価格の積算に関するもの、その六は、島嶼部等における防衛施設の整備に係る工事費の積算に関するもの、その七は、輸入調達により調達して納入が複数年度にわたる整備用器材等の重要物品に関するもの、その八は、対空無線機に接続して使用する避雷器に関するものであり、これら八件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。

 続きまして、令和元年度の防衛省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一七二号は、隊舎新設に伴う土木工事の施行に当たり、残土の処理に係る工事費の積算を誤ったため、契約額が割高となっていたものであります。

 同一七三号は、ボイラー保守管理業務に係る委託契約において、予定価格の積算に当たり、適用できない積算基準等の歩掛かりを適用するなどしていたため、契約額が割高となっていたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、駐車場整理等業務について、支出負担行為担当官による適正な契約を締結させるとともに、会計法令等に基づく契約手続等や会計処理を行うことを周知徹底することなどにより、契約手続等や会計処理が適正に行われるよう改善させたものであります。

 その二は、賃貸借契約により調達した情報システムの撤去について、作業内容等が明確になるよう周知するとともに、撤去に係る日程を把握できるよう作業実施計画を提出させることなどにより、会計処理及び会計年度所属区分が適正なものとなるよう改善させたものであります。

 その三は、対紫外線用の偽装網について、積雪地部隊への再配分等について管理要領に規定するとともに、配備が部隊等の特性に応じたものとなるよう再配分の計画を作成し、効率的に配備されるよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、平成二十三年度決算検査報告に掲記いたしました防衛施設周辺放送受信事業補助金の補助対象区域について意見を表示した事項につきまして、その結果を掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

大野主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 平成三十年度及び令和元年度決算検査報告において会計検査院から御指摘を受けました事項につきましては、誠に遺憾に存じております。

 不当事項として、侵入防止柵の工事の実施に当たり、設計が適切に行われておらず、侵入防止柵の安定性が確保されていなかったこと等の御指摘を受けましたものにつきましては、是正工事の実施等適切な措置を講じたところであります。

 今後このような御指摘を受けることのないよう、より一層事務の適正な執行に努めてまいる所存であります。

大野主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大野主査 以上をもちまして防衛省所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、防衛省所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

大野主査 これより総務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。松本総務大臣。

松本国務大臣 平成三十年度及び令和元年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。

 最初に、平成三十年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 総務省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額六百八十七億五千七十八万円余に対し、収納済歳入額は七百五十一億百六十万円余であり、差引き六十三億五千八十一万円余の増加となっています。

 次に、総務省所管一般会計の歳出につきまして、歳出予算現額十六兆六千七百二十七億四千八百十九万円余に対し、支出済歳出額は十六兆五千九百八十三億六千八百十二万円余、翌年度繰越額は四百五十五億三百四万円余であり、不用額は二百八十八億七千七百三万円余となっています。

 次に、総務省所管の交付税及び譲与税配付金特別会計の決算について申し上げます。

 総務省所管交付税及び譲与税配付金特別会計の収納済額は五十二兆四千八百三十一億六千百八十七万円余、支出済歳出額は五十一兆五千九百六十二億三千五百二十三万円余であります。

 続きまして、令和元年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 総務省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額八百十二億五千七百二万円余に対し、収納済歳入額は七百三十五億七百二十三万円余であり、差引き七十七億四千九百七十八万円余の減少となっています。

 次に、総務省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額十六兆七千六百二億二千二十万円余に対し、支出済歳出額は十六兆六千六百十二億千六百六十九万円余、翌年度繰越額は六百六十一億四千九百十九万円余であり、不用額は三百二十八億五千四百三十一万円余となっています。

 次に、総務省所管の交付税及び譲与税配付金特別会計の決算について申し上げます。

 総務省所管交付税及び譲与税配付金特別会計の収納済歳入額は五十一兆九千八百四十六億七千九百八十八万円余、支出済歳出額は五十一兆四千八百八十三億二千八百八十万円余であります。

 以上が、平成三十年度及び令和元年度の総務省所管の一般会計及び特別会計の決算の概要であります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

大野主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山崎審議官。

山崎会計検査院当局者 平成三十年度総務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八件、意見を表示し又は処置を要求した事項四件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一二号は、国勢調査の調査票等の調達数量の算定に当たり、予備率を重複して設定したり、設定する必要のない予備率を誤って設定したりしていたため、用紙購入及び印刷に係る調達数量が過大となっていたものであります。

 同一三号から一九号までの七件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち一三号から一七号までの五件は地域の元気臨時交付金等が過大に交付されていたなどのもの、一八号及び一九号の二件は無線システム普及支援事業費等補助金により整備した中継局の雷撃に対する対策の設計が適切でなかったなどのものであります。

 次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、地域経済循環創造事業交付金事業の実施に関して、改善の処置を要求したもの、その二は、情報通信技術利活用事業費補助金による事業に関して、改善の処置を要求したもの、その三は、本来の事業効果が発現せずに廃止されたセキュアゾーンに関して、総務省において是正改善の処置を求め、及び内閣官房において意見を表示したもの、その四は、中活ソフト特別交付税に関して、総務省に対して適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに改善の処置を要求し、内閣府に対して改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、修繕等工事により国有財産台帳に登録を行うなどした建物及び工作物に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。

 続きまして、令和元年度総務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項六件であります。

 検査報告番号一五号から一八号までの四件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち一五号は地域の元気臨時交付金により実施した事業の交付対象事業費に交付の対象とならない費用を含めていたもの、一六号は先進的情報通信技術実用化支援事業費補助金が過大に交付されていたもの、一七号及び一八号の二件は情報通信技術利活用事業費補助金により実施した事業において、事業が年度内に完了しておらず補助の対象とならないものであります。

 同一九号は、特別交付税の額の算定に当たり、特定財源として国庫補助金を控除していなかったり、他の算定事項で算定した経費を重複して含めるなどしていたりしたため、特別交付税が過大に交付されていたものであります。

 同二〇号は、震災復興特別交付税の額の算定に当たり、経費の算定が適切でなかったため、震災復興特別交付税が過大に交付されていたものであります。

 なお、以上のほか、平成三十年度決算検査報告に掲記いたしました地域経済循環創造事業交付金事業の効果の発現状況、情報通信技術利活用事業費補助金による事業の実施状況及び中心市街地活性化のために実施するソフト事業を対象とした特別交付税の算定等について、それぞれ処置を要求した事項並びに政府共通プラットフォームにおけるセキュアゾーンの整備について総務省に対して処置を要求し、及び内閣官房に対して意見を表示した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

大野主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。松本総務大臣。

松本国務大臣 平成三十年度及び令和元年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、総務省の講じた措置等について御説明させていただきます。

 平成三十年度及び令和元年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、御指摘のとおりであり、誠に遺憾に存じます。

 御指摘を受けた事項につきましては、補助金の返還等の是正措置を講じているところでございますが、内容を真摯に受け止め、なお一層事務の改善に取り組むとともに、今後、このような事例の発生を未然に防止するため、指導監督の強化を図り、より一層予算の適切な執行に努めてまいる所存でございます。

大野主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大野主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

大野主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻分科員 長妻昭でございます。

 今日は、まずは、山碕大臣官房審議官に放送法についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 これは、極端な場合においては、一回の番組のみで政治的に公平か否かの判断をすることもありますか。

山碕政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十七日の参議院外交防衛委員会におきまして答弁をいたしました。平成二十八年の政府統一見解で、番組全体を見て判断するとの従来からの解釈には何ら変更はないとした上で、番組全体を見て判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断するとされていることについて申し上げたものでございます。

 その上で、政府統一見解におきまして、一つの番組のみでも、例えばとして二つの事例を例示し、極端な場合においては、一般論として、政治的に公平であることを確保しているとは認められないという考え方を示しております。

長妻分科員 私が聞いているのは、端的に、何か見解とかを聞いているんじゃないんです、今の解釈ですね。

 もう一回聞きますと、極端な場合においては、一回の番組のみで政治的に公平か否かの判断をすることもあるのかないのか、これだけお答えください、端的に、短く。

山碕政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど参議院外交防衛委員会における私の答弁について御説明いたしましたが、その中で、今お尋ねのありました、先ほど途中までお答えしましたけれども、政府統一見解では、番組全体を見て判断するとの従来からの解釈には何ら変更はないとした上で、番組全体を見て判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断するとされていること。

 それから、その上で、政府統一見解におきましては、一つの番組のみでも、例えばとして二つの事例を例示し、極端な場合においては、一般論として、政治的に公平であることを確保しているとは認められないという考え方が示されております。これは、番組全体を見て判断するというこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたものである、そういう考え方でございます。

長妻分科員 ちょっと、これは、質問に答えるように指導していただきたいんですね。委員長と言うんでしたっけ、主査と言うんでしたっけ。

 私が聞いているのは難しいことでなくて、もう一回聞きますよ。極端な場合においては、一回の番組のみで政治的に公平か否かの判断をすることがありますか。あるのかないのか。はっきり分からないんですよ、今の。

松本国務大臣 これまでの国会の議論におきましても、度々、一回の番組について、政治的公平性の観点から、その適否について御議論があったことは、委員も、質問に当たって様々なこれまでの議論を確認をされておられると思うので、よく御承知のとおりかというふうに思っております。

 平成十六年の六月三日の国会での御議論などでは、一回の番組で放送法に抵触するおそれありとの質問に対し、政府としては、しっかりとまず放送事業者の、自らの、審議などを確認をしてと申しております。

 その上で、今審議官からも御答弁申し上げたように、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断することは当然のことであると申しましたように、一つ一つの番組について、政治的公平性についての観点から、その適否についての御議論があるということでございます。

 その上で、委員が放送法の判断ということでおっしゃったことの見合いでありますが、私ども、これは平成二十七年、八年の議論の中でも重ねて御答弁申し上げており、その前からも同じように御答弁申し上げておりますが、放送法に反しているとして業務の停止や電波の停止になるかどうかの判断という意味では、繰り返し述べるなどの極めて限定的な状況にて運用することは答弁申し上げたとおりでございます。

長妻分科員 じゃ、最後、言いますよ。ちゃんと答えてください。

 極端な場合においては、一回の番組のみで政治的に公平か否かの判断をすることもあるのかないのか。あるのかないのかというのを答えていただきたいんですよ。

松本国務大臣 平成二十八年二月十二日の政府統一見解で申し上げているとおりでございまして、例えばと例示をして、一つの番組のみでも、一般論として、政治的に公平であることを確保しているとは認められないという考え方がありますが、放送法の業務停止また電波法の停波になるかどうかの判断ということでは、極めて限定的な状況で運用しているというふうに、二十七年、八年、その前からも一貫して申し上げているところでございます。

 今申しましたように、これまでも、一つの番組について取り上げて御質疑があれば、それに対して、国会でございますので、御質問に対して御答弁申し上げているというふうに承知をしております。

 今私どもが御答弁申し上げるとすれば、平成二十八年の統一見解に沿って申し上げることになろうかというふうに思いますが、よろしいでしょうか。(長妻分科員「統一見解を読んでも分からないんですよ。あるのかないのか、どっちか」と呼ぶ)

 統一見解は、「「番組全体」を見て判断するとしても、「番組全体」は「一つ一つの番組の集合体」であり、一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然のことである。」と。その上で、当時の総務大臣の見解として、「一つの番組のみでも、」と二つの例示をした上で、「極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められないとの考え方を示し、その旨、回答したところ」と申し上げております。

 「これは、「番組全体を見て判断する」というこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたもの」である、この統一見解ではこのように申し上げた上で、さらに、「放送事業者が、自主的、自律的に放送法を遵守していただくもの」という、自主自律が基本であることについても申し上げている点から、是非全体を御理解いただきたいと思います。

長妻分科員 これはとんでもないですね。

 私が聞いているのは、さっきからこれで五回目、六回目なんですけれども、ですから、この政府統一見解を読んでも分からないわけですよ、私の頭では。ですから教えてくださいということですね。

 どういうことかというと、同じですけれども、極端な場合においては、一回の番組のみでも政治的に公平か否かの判断をすることがある、あるということなのか、この政府統一見解を見ると、あるというふうに読めるんですね、私の文章読解力によると。あるということでいいんですか、それともないんですか、それを明確に聞いているわけですよ。分かりますか、意味。意味というか、あるかないかといったらどっちなんですか。

松本国務大臣 もう委員には申し上げるまでもないことですが、国会におきましては、御質問に対応して御答弁を申し上げてきておるところでございまして……(長妻分科員「あるのかないのか」と呼ぶ)

 改めて申し上げれば、先ほど申しましたように、「一つの番組のみでも、」と例示をし、極端な場合においては、一般論として、政治的に公平であることを確保しているとは認められないとの考え方を示したものと申し上げた上で、番組全体を判断するというこれまでの解釈を、改めてここでも確認をさせていただいているところでございます。

 繰り返しになりますが、改めて申し上げれば、平成十六年の三月は、例えば、御質問で、八十五分流したこと、山形テレビの行為、これが放送法に抵触するおそれありと、いわば一回で放送法に抵触する、ありという御質疑に対しては、全体を見て判断をするというこれまでの解釈を申し上げた上で、各放送局のまず自主自律の報告をというような御答弁を申し上げているというふうに理解をしておりますので、一つ一つの番組についての御議論に対して、政治的公平性が、極端な場合には、一般論として確保しているとは認められないということがあるとの考え方を示した上で、放送法として番組全体を見て判断をするということも申し上げているというふうに御理解をいただきたいと思います。

 先ほども申しましたけれども、一つの番組について国会で御議論されていることはもちろんでありますが、この平成二十八年十二月十二日の政府統一見解に関連をしてでありますが、是非、いわば平成二十七年五月十二日の参議院の総務委員会での議論からこの間の一連の議論が始まってきておりますけれども、その前の平成二十六年に……(長妻分科員「そういうことを聞いているんじゃないですよ、あるかないかというのを聞いているんですよ、あるかないか端的に答えてください、どっちですか」と呼ぶ)

 ですから、一つ一つの番組についての政治的公平性が確保されているかどうかの議論については、これまでも、御質問いただいていますので、議論に応じて、それについて。

 ただ、政府として、個別具体の番組が政治的公平性を確保されていないと御答弁を申し上げたケースは、私が承知をする限りでは、ないかというふうに思いますが……(長妻分科員「何がない、もう一回言ってください」と呼ぶ)質問で、一つ一つの、一回の番組、一つのシリーズの番組について政治的公平性が確保されていないのではないかといった趣旨の御質問をいただいたときに、個別具体の番組について、国会の答弁において、一つの番組について政治的公平性が確保されていないと御答弁を申し上げた例があるとは私は承知をしておりませんがと申し上げました。

長妻分科員 今のは事例の話ですよね。ちょっと完全にごまかし答弁に入って、私も長年国会で質問をしていますが、これほどごまかし答弁は本当に経験ございません。ちょっと真面目に答弁してください。

 もう一回、同じ質問を、これは文書を読んで質問をしているので、つまり、極端な場合においては、一回の番組のみで政治的に公平か否かの判断をすることもあるのかどうかということですね。

 この総務省の統一見解を読むと、あると書いてあるじゃないですか。一つの番組のみでも、例えば1、2の事例といった極端な場合においてはあるというふうに書いてあるわけですね、ここに。ということは、極端な場合においては、一回の番組のみで政治的に公平か否かの判断をすることもあるというふうに私は読むんですけれども、それでいいわけですね、大臣。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、私ども、国会で、一回の番組について政治的公平性が確保されているかどうかについての御質疑をいただいた場合には、それについてどのように考えるか、質疑にお答えをさせていただいておりまして、また、放送法の四条の番組準則についての法規範性があるということから、やはり、その法規範性について申し上げた上で、この統一見解におきましても、一つの番組についての御議論がこれまでもあり、御質疑もいただいたことで、一つの番組のみでもと今委員おっしゃったように、二つの例示をして、一般論として、政治的に公平であることを確保しているとは認められないとの考え方を示しているというふうに申し上げたところであります。

 そして、番組全体を見て判断をするというこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたものということも申し上げているところであり、放送法の運用の判断という意味では、先ほども申しましたように、業務停止や停波についての判断は極めて限定的な状況において運用してきている、この姿勢を変えていない。

 この放送法の業務停止及び電波の停止といった判断につきましては、繰り返しなどの要件がありますので、一回の放送のみではないということ、これも平成二十七年、八年で、当時の高市大臣が答弁申し上げているところでございます。

長妻分科員 全く答えていないですよね。

 つまり、一般論としては、政治的に公平であること、これを確保していない、この1、2の極論、極端な例では、一つの、一回の番組のみで。ということは、一回の番組のみでも、例えば1、2の場合は、政治的に公平でない、こういう判断が下るということで、大臣、よろしいんですね。もう一回言いますよ。大臣、ちょっと聞いてくださいね、読まないで。

 この統一見解に基づいて質問しますけれども、じゃ、ここの極端な例、1、2、どちらかを満たした場合、一回の番組のみでも、政治的にこれは公平じゃない、こういうふうに判断がされるということでよろしいわけですよね。

大野主査 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

大野主査 速記を起こしてください。

 松本総務大臣。

松本国務大臣 先ほども申しましたけれども、放送法につきましては、法規範性を持つものという位置づけであるということは申し上げたとおりであります。

 その意味で、この平成二十八年二月八日にも、公共の電波を使って、全く改善されない、繰り返されているという場合に、全くそれに対して何の対応もしないということでお約束するわけにはまいりませんということで、法規範性と処分について申し上げていますが、同時に、電波の停止に至るような対応を放送局がされるとは考えておりませんとも答弁をいたしております。

 やはり、法規範性があるということで、政治的公平性が確保されているか否かについての議論、これについては、番組全体を見るとしても、一つ一つの番組を見てということで、実際に一つ一つの番組についてこれまでも御議論があったことから、一つ一つの番組について例示をさせて、極端な場合については政治的公平性が確保されていないとの考え方を申し上げておりますが、全体を見て判断をするということを申し上げてまいりましたし、今もお話ししたように、全体を見て、放送法の運用、業務停止や電波の停止について放送行政は行われてきたというふうに是非御理解いただきたいと思っております。

長妻分科員 これは、とんでもない、さっぱり分からない、質問に全然答えていない答弁がもう何分続いているんですかね。

 そうすると、ちょっと聞き方を変えますが、二〇一六年二月の政府統一見解、ここの趣旨というのは、極端な番組の例示が1、2ありますけれども、この極端な場合である1、2のいずれかの例示である一つの番組を含む、含めた番組全体で、その全体のバランスで判断すると。極端な一つの番組のみで判断するんじゃなくて、その極端な場合である一つの番組を含む、含めた番組全体で、その全体のバランスで判断する、こういう趣旨が書いてあるというふうに理解してよろしいですか。

松本国務大臣 御答弁申し上げたように、これまでも、一回の番組、番組のシリーズなどで国会でもお取り上げになられ、御議論がありまして、また私どもも、番組全体を見るとしても、一つ一つの番組を見て全体を判断すると申し上げているように、一つ一つの番組についての御議論があるということを踏まえて、このような例示で、極端な場合について、一般論として、政治的な公平が確保されていないと認められるという考え方を申し上げたわけであります。

 放送法の運用について、番組全体を見て判断をし、業務停止や停波についての要件を申し上げてきていること、このことも、平成二十七年、八年、度々議論されておりますが、当時の総務大臣も繰り返し申し上げてきているものでございまして、この議論の全体を是非御覧をいただいて、解釈が変わっていない、放送行政も変えていない。また、そのことを、議論がかなり行われましたので、機会を捉えて放送事業者の方々にも御説明を申し上げて、御理解いただけるように努めてきたものというふうに報告を受けているところでございます。

長妻分科員 苦しい答弁は、善意に解釈すれば、安倍官邸が、とんでもない、二〇一五年に解釈をねじ曲げた、それをやはり追認したくない、修復したい、こういう思いがあるというふうに善意に解釈いたしますが、ただ、はっきりそうであれば、この統一見解を撤回するなりなんなりしてもらわなきゃ困る。つまり、1、2の例外、極端な例ということが書いてございますけれども、別に、一回の番組、次の日にまた別の角度でやればいいわけですよ。来週にまた別の角度でやればいいわけで。

 いずれにしても、一回だけ見るというのは無理があるというか、できないですよ、一回だけで判断するというのは。無理なことをやろうとするからおかしくなったわけでございまして、是非これは解釈を戻していただきたいというふうに思うんです。

 もう一つのごまかしとしては、補充的解釈みたいな話、補充的説明みたいな話ですけれども、じゃ、二〇一五年に解釈を変更していないと言うのであれば、山田当時首相秘書官が相当いろいろなことをおっしゃっておられるんですよね。

 例えば、二〇一五年二月十八日、首相官邸で山田秘書官が安藤局長らに、個別の番組の政治的公平の整理を行うのであれば、これは審議会等をきちんと回すか、放送法改正となる話ではないかとか、あるいは、同じ日にこんなこともおっしゃっているんですね。政府がこんなことをしてどうするつもりなのか、どこのメディアも萎縮するだろう、言論弾圧ではないかと。山田さんは素人じゃないですよね。総務省に入って三十六年間勤めたベテランが解釈変更は危ないぞと言っているんですけれども、この発言と矛盾しませんか、解釈変更していないというのは。

松本国務大臣 今お取り上げいただきました行政文書については、三月二十七日、最初に報告書で示させていただいたとおり、発言者等の確認を取らないまま作成された文書、作成者が不明の文書が含まれておりまして、文書に記載されている面談の日時や個々の発言の内容については、関係者の記憶が定かでなく、正確性の確認ができておりません。

 以上のとおり、当該文書の正確性は確認できなかったところであり、そうした文書に基づく御質問にお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、その上で、総務大臣として……(長妻分科員「じゃ、いいです、もう時間がないので」と呼ぶ)はい。

長妻分科員 そうしたら、山田秘書官に、この発言については、こういう発言があったのか否かの聞き取りはされたんですか。されたとしたら、どんな結果でございましたでしょうか。

松本国務大臣 先ほど御答弁を申し上げた中に概要は含まれておりますが、聞き取りはさせていただいたと報告を聞いております。

 その上で、日付ははっきりしないが安倍元総理へのレクには同席させていただいたのではないかと思う、八年近く前のことなので、レクの詳細な内容は思い出せないといった関係者の証言があったところでございます。

 当時の元補佐官がどのような意図を持っておられたか、面談があったことは確認をされておりますが、これについて私から申し上げられるものではありませんが、総務省としては、一貫して解釈を変えたものではないとの認識にあったと理解をしております。当時の関係者が、聞き取りをした際にも、やり取りがあったことの記憶はありつつ、やり取りの詳細についてまでは覚えていないところがあるものの、解釈を変えていないこと、強要はなかったことをはっきり答えておりまして、その点を意識して対応していたことの表れではないかというふうに考えております。

長妻分科員 首相補佐官が、言論弾圧ということまで使って言っているわけですね。それを強引に押し切ってしまったと私は思うんですけれども。

 この統一見解に、1、2で極端な例がありますが、これについても、一つの番組、一回の番組ということの意味で私は申し上げますが、一回の番組で、この1、2、いずれか当てはまったとしても、これは判断するのはおかしいと思うんですね。大臣もそう思いませんか。

 例えば国論を二分するいろいろな議論で、一回は、例えば野党の議員だけ出して問題点をどおんと言う、自分たちの主張をどおんと言う。翌週に今度は与党の議員だけ出してどおんと、それだけ一色で番組をやる。ですから、一回だけ見て、これは駄目だと判断できるわけないじゃないですか。論理的に矛盾だと思うんですが、いかがですか、大臣。

大野主査 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

大野主査 速記を起こしてください。

 松本総務大臣。

松本国務大臣 国会における、政治的公平性について、一回の番組、一つのシリーズをお取り上げいただいた議論に真摯にお答えを申し上げていっているところでありますが、放送法の運用を預かる総務省として、繰り返しになりますけれども、放送法に基づく業務停止や電波の停止といった運用についての要件については変わっていないことを申し上げております。

 その上で、私、平成二十七年、八年の一連の議論を是非お聞きをいただけたらというふうに申しましたのも、平成二十八年の二月二十六日、これも平成十五年、十六年頃の放送で、政治的公平性が議論になる中で、番組の編集に遺漏があったとして行政指導が行われたケースに関連してでありますが、全く同じ時間帯、また同じ時間数、全ての政党を取り上げたというようなことであれば公平な報道だと考えられるというふうに答弁申し上げているように、委員がまさに御指摘になったようなケースについても御答弁申し上げているというふうに理解をしております。

長妻分科員 これは全く、何にも、こちらが聞いたことを初めから終わりまで答えていないというのは私は初めて体験するので、きちっとやはり答弁していただきたいと思うんですね。

 じゃ、最後に、もう時間もないので聞きますと、これに明確にお答えいただければ私も安心するので。この政治的公平か否かの判断というのは、これは番組全体を見て判断するんだ、これに例外はない、これでいいんですね。イエスと言ってください。

松本国務大臣 政治的公平性については、放送法四条の番組準則の一つとして、法規範性を持って、ただ、やはり放送行政でありますので、放送事業者の自主自律的な番組遵守の対応をお願いをしているところであります。

 その上で、繰り返しになりますけれども、私ども放送行政を預かる者として、放送法の適用という意味で業務停止や電波法の停止については、法律に反していることが明らかであること、また、繰り返し行われていることなど極めて限定的な状況にのみ運用を行うということを繰り返し申し上げ、実際にそのように運用してまいりまして、事実として、これまで、そのように行政処分を行ったケースはないと承知をしております。

長妻分科員 これもきちっと答えていただけないんですが、安倍官邸に、かつての解釈変更に忖度をして明確に否定し切れないということでは困るわけで、やはり官僚の皆さんも、一部の奉仕者じゃなくて国民全体の奉仕者であるということでございますので、是非、おかしな解釈を戻す、戻す努力は今の答弁で私は少しは感じられましたけれども、明確に国会で言っていただかないと、本当に日本の表現の自由、憲法違反の疑いのあるような解釈変更をきちっと元に戻すということを是非やっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 よろしくお願いします。

大野主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 大野主査、よろしくお願いします。

 ありがとうございます。日本維新の会の足立康史でございます。

 私、ちょっと別のテーマを用意しています。大臣、私は今日、大臣に御質問する予定はないんですが、今、長妻さんが放送法の話をされたので、ちょっと一言だけ。

 だから、放送関係の支える事務方、もしあれだったら残っていていただいても構いませんので、ちょっとお願いしたいんですが。

 まず、大野主査、長妻さんをちょっと怒った方がいいですよ。我が尊敬する大野敬太郎主査に対して、ただ座っているんじゃないんだからね、役割を果たしなさいと。私が同じことを言ったら、多分、懲罰動議が出ますよ。

 だから、本当に、立憲民主党の人たちというのは言葉遣いが、私が普通に言ったら、言っただけで懲罰動議が出るのに、彼らはもう胸を張って、議事整理をされている大野主査に対して。だって、大野主査がもう一回質問しなさいと言っているのに、しない。挙げ句の果ては、ただ座っているんじゃないんだから、役割を果たしなさいと。こんなことを言うというのは、私が主査だったら、すぐに衆議院議長に言って、懲罰動議を出してもらいますよ。まあ、それは置いておいて。

 大臣、ごめんなさい、私、これはもったいないというか、放送法の解釈については、だって、もう統一見解が出ているんですよね。それに基づいて松本大臣も整理をされている。

 統一見解を何か変えることはない、当たり前ですね。ちょっと、変えることはないと、もう一回お願いします。

松本国務大臣 是非、御質問いただいた機会に申し上げたいと思いますが、平成二十八年の二月に、おっしゃったように統一見解が出ているんですが、それまでの議論を踏まえて、解釈を変えずに御説明を申し上げるという意味で、統一見解を出させていただいているところでございます。

 ただ、平成二十七年からかなり国会で御議論がありまして、どうしても国会での御議論だと端的に御答弁を申し上げたりするので、全体を見たら御理解をいただけるんですけれども、一つ一つの文言をどう捉えるかということによって、御議論があったので、改めて統一見解を出させていただいたというふうに理解をしております。

 その上で、やはり報道の自由、国民の知る権利、表現の自由、大変大切なものでありますので、放送行政は、これまでも慎重かつ適切に、法にのっとって運用されてきたと理解をしており、これからもそのようにしてまいりたいと思っておりますし、先ほども申しましたように、この放送法、政治的公平性に関して行政処分、業務停止や番組の停止が行われたことはないというふうに承知をしておりまして、実際に、慎重にかつ適切に運用されてきたと考えております。

足立分科員 是非これは、国会というのは、すぐああやって主査を、委員長、議長ですよ、会議の議長を恫喝するようなことを言う。すると、当然、答弁をされる大臣は、そうやって議事整理をされている方が恫喝されるところで答弁させられるわけですから、それはやりにくいですよね。

 だから、本当に、もう立憲民主党は早く野党第二党以下になっていただいて、私たちがしっかり、そういう、政府・与党と、それから野党第一党に私たちがなって、本質的な議論ができるようにしていきたい、こう思います。

 大臣、大臣じゃなくてもいいです、今日、ごめんなさい、局長とかはいらっしゃっているの。担当局長はいない、今日は。呼んでいないんだよね、多分。いらっしゃらないか、放送の、放送法の。

 裏にいらっしゃる。ごめんなさい、僕、ちょっと今、コンタクトをはめていないので、お顔が分からなくて、済みません。

 分かれば、分かればでいいですよ。通告していないので、分かれば教えてほしいんですけれども、今回、高市大臣が二〇一五年に答弁をされましたね。あれは私は何か新しいことだとは思っていなくて、これはよく言われていますけれども、昭和三十九年に旧郵政省の宮川岸雄電波監理局長が、一つの番組と答弁。

 何かばたばたしている、大丈夫。いいよ、答弁できればでいいです。小笠原局長が担当。御無沙汰しております。

 大臣、小笠原局長は私が経産省にいたときにカウンターパートでして、旧郵政省、総務省と経済産業省でかんかんかんかん、放送、ダビング10とか。小笠原さん、余りこっちを見てくれないけれども、御無沙汰しております。

 それでは、話を戻して、昭和三十九年にも、一つの番組という解釈については、極端な場合を除きましてと、昔からそう言っている。この極端な場合を除くの極端な場合と、高市大臣が答弁された二つの極端な事例というのは、これは同じことを言っているんですか。それは別のことなんですか。私は同じかなと思っていたんですけれども、これは分かりますか、今。分かれば。

小笠原政府参考人 では、ちょっと御指名でございますので、一問、分かる範囲で御答弁させていただきます。

 ただいま委員から御指摘のありました昭和三十九年の政府参考人答弁、極端な場合を除きましてということを含めて行いました答弁でございますが、それは、平成二十七年から二十八年における国会での議論も含めまして、放送法の制定時から現在に至るまで一貫して、放送法の解釈について、政治的公平の解釈については変えておらず、変わっていないというふうに承知をしているところでございます。

足立分科員 今日は通告していないのでそれぐらいで結構ですが、大臣、私の理解は、当時からそう言っていたわけですよ。これは当たり前のことで、私の一般国民的な感覚でいうと、もちろん番組全体で見るんだけれども、では、個々の番組は何をやってもいいのかというと、そんなこと、あるわけないですよね。あるわけないわけですよ。だから、従来から極端な場合を除くんだと言ってきた、私はそう理解しています。また別途、ちゃんと総務委員会でやらせていただきたいと思いますが。

 ただ、局長、高市答弁までは極端な場合を除くと言ってきたんだけれども、その中身、すなわち放送法の解釈については、政府はこう言っていたんですよ。具体的な基準は示さないと言ってきたんですよ。違う。そうだよね。それまでは、政府は、具体的な基準は示さないと言ってきたんですよ。

 でも、高市大臣のときに突然、補充的に説明するといって、今まで一言も、絶対説明しなかった問題について、二つの事例を出して、ある種のガイドライン。だって、事例を示すということは、まさにガイドラインですよ。一定の、基準とは言わないけれども、一定のガイドをした。

 そういう意味では、私は、政府方針があの二〇一五年に変わった。すなわち、極端な場合とか、あるいは番組全体を見て判断するとか、極端な場合を除くとか、いろいろ言ってきたんだけれども、あくまでも具体的な基準は示さないというのが政府の方針だった。その方針を少しだけ変えて、補充的に説明した。それは新しいことであったと私は思うんですけれども、どうですか。

松本国務大臣 先ほどの御議論でも申しましたけれども、例示の点については、御議論の中で、質疑者の中でお取り上げいただいたものもありますし、また、これまでの国会での御議論になった政治的公平性の番組のケースなども踏まえて、私としては、高市大臣としてはこれまでの解釈の範囲内で極端な事例として考えられるものを御答弁でおっしゃったという意味で、新しいものを加えたものではないというふうに理解をしたいと思っております。

足立分科員 新しいものを加えたものではない、だから解釈は変えていない、これは分かっています。

 局長でもいいですよ。ただ、基準は示さないという方針があったんじゃないですか。

小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今御質問の点、基準ということを示すということではなかったかというお尋ねについては、私どもも国会で何度かこの点を御答弁させていただいておりますが、政府統一見解におきましては、番組全体を判断するということを言った上で、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断することは当然のことであるということを言った上で、総務大臣のあの当時の見解は、一つの番組のみでも、例えばということを言った上で二つの事例を示しまして、そういった極端な場合においては、一般論として、政治的に公平であることを確保しているとは認められないという考え方を示しているところでございます。

 したがいまして、今、例えばという、例示というふうに言ったというふうに申し上げましたとおり、これは基準ということを示したものではないというふうに認識しているところでございます。

足立分科員 ありがとうございます。大変よく分かりました。だから、基準を示さないという方針は別に変わっていないんだということで、大臣、よく分かりました。

 大臣、松本総務大臣、私、総務委員会もずっといましたので、総務省、大好きなんですよ。NHKはちょっと問題がありますけれどもね。

 でも、私がいつも総務委員会で心がけてきたことは、あるいはほかの、予算委員会でもそうですよ。十分に時間を取って、答弁したいことはしていただく。場合によっては逆質問もありです。だから、大臣が、いや、足立さんはそんなことを言うけれども、ちょっと足立さん、言ってみいと。そういう、やはり国会論戦というのは対等な立場で論戦をしていく、こういうふうな形でありたいと思いますので。

 今日は通告なしでおつき合いいただきましたが、放送法について、松本大臣、それから小笠原局長、今日、立憲民主党から何かなじられましたけれども、私は、今の御答弁、私が先ほど、大臣に冒頭伺って言っていただいたこと、今の小笠原さんの御答弁で一定やり取りは終わったと思うんですけれども、何かもうちょっと言わせろというのがあれば。もういいですか。

 大臣、どうぞ。今日、私、あと二十分ありますので、全部使っていただいてもいいですから、言いたいことを全部言ってください。

松本国務大臣 既に申し上げている点があろうかというふうに思いますが、やはり放送法は、放送法の趣旨にもありますように、本当に国民にとりましての表現の自由、報道の自由、国民の知る権利という大変大切なものに関わるものであるということで、これまでも慎重かつ適切に、法にのっとって運用されてきた。この姿勢は、平成二十七、八年の議論の中でも変わっておりませんが、その前にも変わっていない。

 その中では、政治的公平性について、一つの番組のみでもという言葉によくとらわれておりますが、そもそも国会での議論も、出発は、一回の番組からの政治的公平性の議論から始まっているものも多々ありますので、これに対しての議論について、一般論として例示をして、極端な場合には政治的公平性が確保されているとは認められないという考え方を申し上げたわけでありますが、この例示につきましても、先ほど申しましたように、これまでの議論など、国会での御質問などを踏まえて、従来の御議論になった中でのものを取り上げていて、新しいものではないのではないか。

 それ以降につきましても、二十七、八年の中でも繰り返し申し上げているのは、放送行政を預かる者としては、やはり放送法の運用として、業務停止や電波の停止といった権限が法律上定められているわけでありますが、これを実際に行うに当たっては、先ほども申しましたように、法律に反していることが明らかである上に、繰り返し行われているなど、複数の要件を設けて、極めて限定的な条件で運用することは明確に申し上げてきておりまして、実際にこの要件に該当して処分が行われた例はない、慎重かつ適切に運用してきているという姿勢は一貫しているということを、是非、お時間をいただきましたので、この機会に、国民の皆様にも一層御理解いただけるように、放送事業者の皆さんにも一層御理解いただけるように、御答弁の時間をいただいた次第でございます。

 ありがとうございます。

足立分科員 ありがとうございました。

 小笠原局長も、もういいですね。何かあれば。大丈夫ですか。

 では、急に大臣、それから局長に御質問を申し上げましたが、おつき合いいただきましてありがとうございました。では、大臣はもう自由にしていただいて。ありがとうございます。

 今日、私は政治資金規正法について通告をさせていただいております。

 放送というのは、本当に放送法というのは難しい、大事な法律でありまして、私も問題意識をずっと持ってきました。

 そうした中で、小西洋之議員がこういう一定の行政文書を公にされたことは、大野主査、済みません、独り言ですが、これは私の発言権ですのでちょっと時間を頂戴しますが、本当に、行政文書が出たことについて、今まで分からなかった経緯というものの一端が、確かにそれは不正確なものであったかもしれませんが、その一端が表になったことについては、これは非常に公益に資するというふうに私は感じました。

 あの行政文書から分かったことは、もちろん、高市当時の大臣からしたら、不本意な議事要旨で、議事結果であると思いますよ。当たり前ですよ。自分がしゃべったことを勝手に議事録にされたら、自分から見たらそれは不本意に決まっているんですよ。でも、だからといって、捏造じゃないんですよ、あれは。私、絶対、これは懲罰を受けても断言します。

 あの行政文書は明らかに論理的に整合的で、一定の経緯を示している文書なんです。だから、あれを作った人とか関係者とか、見てください、あの総務省の調査の結果。調査の結果をつぶさに見ると、あの行政文書に書いてあることは、一級のヒストリーというか、行政の決定の裏で何があったかを示す大変貴重な文書であることは、誰しもが認めるべきであると思います。高市当時の大臣が捏造呼ばわりしたことについては、これはミスである。ミスというのは、要は答弁ミスだと思います。

 その上で、やり取りの中身については、今、松本大臣、小笠原局長からあったようなことで決着を見ているということでありますが、私の総括は、結局、総務省の官僚たちが、放送法が、いかに慎重で、かつ、丁寧に取り扱わなければならない、憲法にも類する。要は表現の自由の問題なんだから、だから、放送法というのは憲法と同じぐらい慎重に議論をしなければいけない。その法律について、官邸の補佐官からいろいろあったものに対して、山田総理秘書官とも相談をしながら、懸命にそれを防衛した。私は、それをやり切ったと思いますよ。だから、総務省の職員の皆様はよくそれをやり切ったということで、その経緯がしっかりとあらわになったということで、私はよかったと。

 それが、猿発言とか何とか発言とかで、特に、小西さんがマスコミの記者を恫喝するみたいな、俺は元課長補佐だとか。もうそれは、絶対にやってはいけないことを彼はやってしまった。

 一部に、猿発言と、私が国会で十回以上言っている猿芝居と一緒だといって私をなじってくる立憲民主党の議員がいるんですが、憲法審査会で毎週やっていることを猿と呼ぶこと、これはあってはならないことですよ。しかし、今日の長妻さんみたいな、ああいう、議事整理をされている主査をなじるみたいなことをやりながら、それを自民党が懲罰に付さないで見逃すということを私は猿芝居と言ってきたんです。

 与党と野党が、与党は法律を通したい、野党はとにかく見せ場をつくって国民にアピールしたい、万年野党ですよ。万年財界に支えられている自民党と、そして労働組合に支えられている万年野党たちが、万年与党と万年野党が裏でシナリオを書きながら国会で遊んでいる、これを私は何度も猿芝居と言ってきた。これは全然悪いことじゃないんですよ。

 だって、誰も、猿芝居というのは、私以外にもいろいろな、例えば、昔であれば、沖縄だっけ、照屋さんとか、菅直人さんも言っているんじゃないかな。私は議事録を調べたんですよ。私は十回ぐらい言っていますけれども、国会に猿芝居という言葉が出てくるのは三十回ぐらいあるんですよ。それと憲法審査会を猿呼ばわりしているやつを一緒にする立憲民主党というのは、もう本当にどうしようもないわけでありまして、ちょっと、もうやめますが、そういうことは申し上げておきたいと思います。

 今日は、放送法でいい議論ができましたので、大野主査、御協力ありがとうございました。

 さて、あと残る時間、政治資金規正法。

 私は、政治資金パーティーをやりません。なぜ政治資金パーティーをやらないかといえば、政治資金パーティーというのは、まさに今申し上げた、万年与党と万年野党が政治資金規正法の寄附規制を、脱法的に、抜くためにつくった制度だからです。だから、まさに五五年体制の遺物であり、それをいまだに使い続けているというのが、私は政治資金パーティーだと思っています。

 そこで、私は堂々と、政治活動、対価を伴う資金集めですね。それは、私がつくっている株式会社83という、自分が社長を務める会社で、堂々と私はこの会社で政治資金パーティーをやります。いや、政治資金パーティーとは言わないね、政治資金パーティーというのは政治資金規正法に定義のあるものです、政治団体がやる。

 私は、株式会社83という自分の会社で、堂々と利潤を上げる。だって、株式会社ですから、お金もうけをするためにやっているわけですよ。堂々と胸を張って、営利会社で、対価を伴う政治分野の、足立政治塾、あだち塾というセミナーサービスをやっているわけです。半年間で一万円。これによって収益が上がります。それはまた政治活動に再投資をされていく。私は役員ですから役員報酬がありますが、それも全て再投資をしていく。

 では、政治資金規正法に書かれているものと私がやっていることは何が違うか。僕は違わないと思うんですよ。同じ政治活動ですよ。違うのは、消費税、法人税を払っているということです、私が。だから、私はインボイスの発行事業者にもなります。すばらしい国会議員ですよね。そう思いませんか。語りかけたらあきませんね。

 私は本当に、万年与党と万年野党がつくってきたそういう猿芝居的制度を使うんじゃなくて、堂々と税金を払って政治資金集めをやるということをやっています。ところが、やはり政治活動だから、選管に、これは政治団体だからといって届けに行ったんですよ。だけれども、受理されないんですよ。

 何でされないか、グレーゾーン解消制度で照会しました。端的で結構ですから、総務省としての回答の内容を簡単に紹介ください。

森(源)政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのグレーゾーン解消制度に基づく確認の求めの内容につきましては、照会者である株式会社が政治資金規正法第三条第一項第三号の政治団体に該当するか否かというものでございまして、確認の求めに対する回答の内容としては、照会書に記載された株式会社は、法に規定する政治団体には当たらないとなっております。

 その理由についてでございます。

 政治資金規正法第二十一条第一項において、会社、労働組合、職員団体その他の団体が政党及び政治資金団体以外の者に対して政治活動に関する寄附をしてはならないこととされており、同条第二項において、政治団体がする寄附については同条第一項を適用しないこととされております。

 仮に会社が政治団体になり得るのであれば、同条第二項により同条第一項の適用が除外され、会社から政党及び政治資金団体以外の者に対する政治活動に関する寄附をすることが認められることになるわけでございますが、企業・団体献金を制限した同条の趣旨を没却するおそれや、同条に対する脱法的な手段となり得ることなどから、会社は政治団体になり得ないものと解されます。

 こうした内容でございました。

足立分科員 ありがとうございます。

 短くて結構ですが、これは労働組合についても同じである、同じというか、要は、政治団体にはなり得ないということでいいですね。

森(源)政府参考人 お答えいたします。

 労働組合については、労働者がその労働条件の維持改善等を図ることを主たる目的として組織する団体であり、政治資金規正法に言うところの政治活動をすることを本来の目的とするものでないことから、政治団体とはなり得ないものと解されるものでございます。

足立分科員 今日は厚労省にもお越しをいただいています。

 具体例はいいんですが、一般論として、私、労働組合というのは、政治運動ばかりやっている労働組合があると思うんですよ。だから、要は、労働組合でかつ政治団体というのはないんですから、政治団体ならそれは労働組合じゃない。それが今あった答弁です。

 では、私たちは労働組合だと言う人が、多分、労働争議とかで中央労働委員会とかにいろいろ申立てとかをしてくることがあり得ますよね。そうしたときに、彼らが本当に労働組合なのか、あるいは、実は労働組合を装った政治団体なのか、ちゃんとチェックいただいているでしょうか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般論としまして、労働組合法上、労働組合とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体でございまして、主として政治運動又は社会運動を目的とするものについては、労働組合法上の労働組合とは言えないものとされております。

 今申したような労働組合法の労働組合に該当するか否かについては、労働組合が労働組合法に定める、今おっしゃられました不当労働行為の審査などの手続に参加しようとする場合に、その都度、今申しました労働組合法第二条の要件に該当するかにつきまして、労働委員会において審査をしております。

足立分科員 ありがとうございます。

 だから、皆さん、だまされないでくださいよ。労働組合を装っている政治運動団体、政治団体、あり得ますから、論理的に。

 だから、要は、あるじゃないですか、労働組合を装いながら、何か沖縄の辺野古へ行ったりどこへ行ったりして、そんなことばかりやっている団体が。私は、そういうところは、今の法の整理上、労働組合ではないんだということを、制度がそういう制度になっているんだということを改めて強調しておきたいと思います。

 最後に、先ほどの政治資金パーティーの話に戻りますが、今日は国税庁にお越しをいただいています。

 政治資金パーティーだからといって、これは全て交際費等で扱えるとは限らないと私は理解していますが、それでよろしいですか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 今の御指摘は、パーティー券を購入した事業者側の税務上の取扱いということでございますけれども、個々の政治資金パーティーの実態に応じて課税関係は異なるため、一概にお答えすることは困難でありますが、一般論として申し上げれば、政治家や政治団体が行う政治資金パーティーのパーティー券を事業者である法人が購入した場合には、その購入費については、政治活動を支援するための寄附金に該当するのであれば、一定の損金算入限度額の範囲内で損金算入となり、パーティーの出席者と親睦を深めるための交際費等に該当するのであれば、資本金の額等に応じて定額控除限度額等の範囲内で損金算入となることとされております。

 いずれにいたしましても、国税当局としては、個々の事実関係に照らして適切に判断を行うこととなります。

足立分科員 もう時間が来ますから終わりますが、これはすごく実は大事な御答弁だと私は思っていまして、当たり前ですよ、当たり前のことを御答弁いただいたんですが、政治資金規正法に規定する政治資金パーティーであれ、私が株式会社で営利事業としてやっているセミナーサービスであれ、それを購入いただいた事業者の税務上の取扱いは、今おっしゃった、同じ理屈で適用されます。

 ところが、またゆっくりやりますが、政治資金規正法上は、政治資金パーティーは寄附規制の外にあって、まさに五万円以上でも名前を出さなくていいとか、様々なおいしい制度になっているわけであります。

 私は、やはりこの政治資金パーティー制度は脱法である、要は、万年与党と万年野党が脱法的な観点からつくり込んだ、政治家による政治家のための非常に国民を愚弄する制度であるということを、党の見解ではありません、個人的に指摘をして、今日の質疑とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

大野主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして総務省所管についての質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大野主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより財務省所管、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。鈴木財務大臣。

鈴木国務大臣 平成三十年度及び令和元年度財務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。

 最初に、平成三十年度財務省所管の決算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 財務省主管の一般会計歳入決算につきましては、収納済歳入額は百三兆一千一億円余であります。これを歳入予算額と比較いたしますと、四兆百七十四億円余の増加となっております。

 収納済歳入額のうち、租税等は六十兆三千五百六十三億円余となっております。

 財務省所管の一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額二十四兆八千五百七億円余に対し、支出済歳出額は二十四兆三千四百十七億円余、翌年度繰越額は六十二億円余であります。不用額は五千二十七億円余となっております。

 支出済歳出額のうち、国債費は二十二兆五千二百八十六億円余となっております。

 次に、特別会計歳入歳出決算について申し上げます。

 国債整理基金特別会計におきまして、収納済歳入額は百八十六兆一千五百八十億円余、支出済歳出額は百八十三兆八百十六億円余であります。

 このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承願いたいと存じます。

 以上が、平成三十年度財務省所管の決算の概要であります。

 続きまして、令和元年度財務省所管の決算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 財務省主管の一般会計歳入決算につきましては、収納済歳入額は百五兆五千九百四十八億円余であります。これを歳入予算額と比較いたしますと、四兆一千二百三十二億円余の増加となっております。

 収納済歳入額のうち、租税等は五十八兆四千四百十五億円余となっております。

 財務省所管の一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額二十四兆三百二十一億円余に対し、支出済歳出額は二十三兆七千四百七十二億円余、翌年度繰越額は四十二億円余であります。不用額は二千八百七億円余となっております。

 支出済歳出額のうち、国債費は二十二兆二千八百五十七億円余となっております。

 次に、特別会計歳入歳出決算について申し上げます。

 国債整理基金特別会計におきまして、収納済歳入額は百八十六兆九千六百九十七億円余、支出済歳出額は百八十三兆八千七百七十九億円余であります。

 このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承願いたいと存じます。

 以上が、令和元年度財務省所管の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

大野主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山崎審議官。

山崎会計検査院当局者 平成三十年度財務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項四件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、自己の居住の用に供する住宅を対象とした租税特別措置である住宅ローン控除特例等、譲渡特例等及び贈与特例について、適用誤りを防止するために納税者等に交付する手引等を見直すなどして適用要件等を周知するとともに、申告等情報を活用した審査が十分に実施されるよう審査マニュアルの見直しを行うことなどにより、適用が適正に行われるよう改善させたものであります。

 その二は、消費税の申告審理等において事業廃止届出書、所得税青色申告決算書等を有効に活用することなどにより、事業の廃止時において棚卸資産以外の資産を保有している個人事業者を的確に把握して、当該資産のみなし譲渡について適正な課税を行うよう改善させたものであります。

 その三は、コンテナ貨物大型エックス線検査装置の附帯施設等の賃貸借契約について、国庫債務負担行為に基づく賃貸借契約を行っていない国の債務に対して国庫債務負担行為に基づく賃貸借契約を締結することとするよう、また、支出負担行為に関する手続を行うに当たり、会計法令を遵守することを徹底するよう改善させたものであります。

 その四は、情報提供契約の締結に当たり、構成品のうち情報を表示するための液晶ディスプレー等の機器について、別途市販品を調達することなどにより、経済的な調達を図るよう改善させたものであります。

 続きまして、令和元年度財務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二一号は、租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったものであります。

 同二二号は、管理が適切でなかったため、国有財産である土地が権原を有していない者により使用許可されていたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、公共事業における資産の収用等又は収用等を前提とした買取りに係る課税の特例について、施行地外建物等移転補償金を交付する旨の買取り証明書の摘要欄への記載や買取り申出年月日の判定基準について説明したリーフレットを事前協議の際に公共事業施行者に送付したり、買取り申出年月日に着目した事後監査を適切に行ったりなどするよう国税局等に対して指導するとともに、同リーフレットの内容をホームページに掲載して公共事業施行者等に対して周知することにより、適正な適用を図るよう改善させたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

大野主査 次に、会計検査院宮川第五局長。

宮川会計検査院当局者 平成三十年度株式会社日本政策金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 続きまして、令和元年度株式会社日本政策金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成三十年度株式会社国際協力銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 続きまして、令和元年度株式会社国際協力銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

大野主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。鈴木財務大臣。

鈴木国務大臣 平成三十年度及び令和元年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、財務省の取った措置について御説明申し上げます。

 会計検査院の検査の結果、不当事項として、税務署における租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、誠に遺憾であります。これらにつきましては、徴収決定等の適切な措置を講ずる等の対応をしておりますが、今後一層事務の改善に努めたいと存じます。

大野主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大野主査 以上をもちまして財務省所管、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

大野主査 質疑の申出がありますので、これを許します。高木宏壽君。

高木(宏)分科員 自由民主党の高木宏壽です。

 財務省所管事項への質疑、私だけのようですね。よろしくお願いをいたします。

 まず、国民負担率について。国民所得に対する税金、社会保険料等の負担についてでありますが、三月に財務省が、二〇二二年度の国民負担率四七・五%の実績見込みだということで公表いたしました。過去最高だった一昨年度、二〇二一年度の四八・一%、これは下回るわけですが、国民所得の約半分を占めているということから、ネット上などで、江戸時代に農民が領主に納める年貢割合を表現した五公五民だと話題になっております。

 この国民負担率、一九七九年度に三〇%台になり、二〇一二年度までは三〇%台をキープしていたわけですが、二〇一三年度から四〇%台に突入して、ほぼ上昇傾向にあり、先ほど申し上げたように、一昨年度は過去最高の四八・一%ということでございます。

 ネット上などで話題になることで、江戸時代の農民と同じように、現代のサラリーマンも給料の半分を税金などで持っていかれるといった誤った印象が国民の間に植え付けられないためにも、この国民負担率について正しい理解、これを発信していく必要があると思っております。

 まず、国民負担率、先ほど申し上げたように、租税負担、社会保障負担を合わせた義務的な公的負担の国民所得に対する比率でありますが、これは税金に法人税が含まれるんですね。そして、社会保険料も原則労使折半ですから、標準的な労働者が給料の半分を国に納めるというわけではなくて、国民所得の約半分を企業を含めた国民が負担しているということであります。したがって、五公五民という指摘は当たらない。

 ただ一方で、近年の傾向として、個人、家計の負担率と法人の負担率に分けてみると、二〇〇三年度から二〇一八年度にかけての上昇幅一〇・二%のうち約七割が個人、家計の国民負担の上昇で、近年の負担率の上昇の大半が個人、家計の負担増によるものとなっております。すなわち、法人負担から個人、家計負担へシフトしているわけですね。

 このシフトをどう見られているか、また、個人、家計負担へのシフトの要因について、副大臣、お伺いをします。

井上副大臣 お答えいたします。

 国民負担率は、今委員が御指摘のとおり、租税負担と社会保障負担の合計額が国民所得に占める比率のことを意味いたしますが、これらの公的負担は、家計のみならず、企業も負担しているところでございます。

 この国民負担率の水準につきましては、国民が受ける社会保障給付や行政サービスの水準に応じて決まっていくものでありまして、十年前の平成二十五年度は四〇・一%でしたが、令和五年度は四六・八%と見込まれるなど、近年上昇傾向にございます。

 その要因といたしましては、委員御指摘の租税負担について、税目別の租税負担率を見てみますと、個人所得課税、法人所得課税、資産課税等はいずれもおおむね横ばい、あるいは微増で推移している一方、消費課税がその税率引上げに応じて上昇傾向にございます。

 他方、国民が受益する社会保障給付や行政サービスは少子高齢化の進展などを背景に増大し、その財源の一部を公債発行で賄っていることもありまして、負担以上の水準で推移をいたしております。

 したがいまして、国民負担率を考えるに当たっては、その水準のみに着目するものではなくて、歳出も含めた受益と負担の両面から考える必要があるというふうに考えております。

高木(宏)分科員 ありがとうございます。

 負担と給付は一対ですので、その面から見ていくというのは非常に大事であります。

 給料の半分が持っていかれるという印象とともに、非常に日本の国民負担率は高いという印象も持たれている方も多いわけなんですけれども、先ほど、四八・一%、過去最高には達しているものの、諸外国と比較すると決してさほど高い水準じゃありません。

 例えば、海外との比較可能な二〇二〇年の国民負担率の国際比較で、日本は四七・九%、英国の四六%、まあ英国並み。そして、六九・九%のフランスや五四%のドイツ、五四・五%のスウェーデンよりも低い値になっております。

 間接税が、国民負担に含まれないことから、欧州など間接税率の高い国は国民負担率が高くなる傾向にあります。ただ、消費税等の間接税率の高低の影響や、国民所得に寄与しない越境労働者の割合等も考慮したGDP比で見ても、OECD三十六か国の中で、日本は、平均値からの乖離度合いを基準に、高負担、高めの中負担、低めの中負担、低負担と四つに分けた場合、低めの中負担の位置づけにあると言えます。

 また、先ほど来お話がありました、負担の重さばかりに目が行きがちになるんですが、負担と給付は一対ですので、負担に見合った給付を国から受けているかということも国民の納得感から非常に大事であります。

 国民負担と政府支出の間には正の相関関係があるんですね。それで、一般政府支出をOECD三十六か国の平均値からの乖離度合いで、大きい政府、やや大きい政府、やや小さい政府、小さい政府の四つのカテゴリーに分類して我が国の一般政府支出の大きさを見ると、やや小さい政府という位置づけになります。

 そこで、財務省として、この国民負担率と一般政府支出の水準は国際比較の点からどのような位置づけにあると見ているのか、また、今後の社会保障費の増大等、将来の新たな財政需要を考慮すると、政府の大きさ、政府支出ですね、これと国民負担のバランスが崩れかねないと考えるわけですけれども、制度の持続可能性を確保するためにどう取り組んでいくのか、これは大臣にお伺いします。

鈴木国務大臣 我が国の社会保障支出の規模でございますが、諸外国と比べまして、北欧のような高福祉の国までには至っていないものの、国民皆保険、皆年金を維持するなど低福祉の国とは言えず、いわゆる中福祉の水準にあるものと考えております。

 一方、社会保障の負担の現状を見てみますと、この中福祉を賄うために必要な財源を確保できておらず、その多くを赤字公債で賄っており、現在の世代への給付に必要な経費の負担を将来世代に先送りしている状況にあります。

 少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性を確保するためには、御指摘のように、既に不均衡の状態に陥っている給付と負担のバランスを改善をしていくこと、これが重要でありまして、歳出歳入両面の改革の取組を引き続き進めてまいりたいと考えております。

高木(宏)分科員 ありがとうございます。

 社会保障財源の確保、これは一番大きな課題だと考えております。

 次に、グローバル化、デジタル化の国民負担率への影響ということで、近年、グローバル化、デジタル化によって、国境を越えた資金の移動、これが非常に容易になっております。こうした中、企業や富裕層の税負担の回避行為、これが国際社会でも問題になっております。法人課税や金融所得課税の重い国においては、投資の減少や税源の喪失、それから税負担への不公平感の高まりといった弊害が生じる懸念もございます。

 そのため、各国では、法人税率の引下げや金融所得課税の低減など、他国との差を縮小する方向に動いており、実際、G7諸国でも二〇〇〇年以降、法人所得税率が段階的に引き下げられてきております。この結果、国境を越えた移動が容易な資金への課税が軽減される一方、移動が容易でない労働所得とか消費への課税が重くなる傾向にございます。

 これは先ほど申し上げた国民負担の個人、家計へのシフトに拍車をかけることになるわけで、グローバル化、デジタル化の国民負担率の構成、国民負担への影響をどう見ているか。また、近年、国際協調によって法人所得への課税を適正化しようとする動きがあるわけですが、日本の対応と取組についてお伺いします。

井上副大臣 お答えいたします。

 公正な競争条件の確保や税制に対する納税者の信頼確保を図るためには、国際的な租税回避等を適切に防ぐことが重要だというふうに考えています。

 こうした観点から、BEPSプロジェクトにおきまして、多国籍企業による課税逃れへの対抗策について国際的な議論が行われ、これは日本がリードをしてきた問題でもありまして、我が国においても累次の見直しを行ってきたところでもございます。

 また、経済のデジタル化に伴う課税上の課題への対応策として、二〇二一年十月、OECD、G20、BEPS包摂的枠組みにおいて、二本の柱から成る国際課税ルールの見直しが合意されており、現在、制度の実施に向けた国際的な議論が進められております。我が国でも、令和五年度税制改正におきまして、第二の柱であるグローバルミニマム課税の導入をすることとしたところでございます。

 国際的な租税回避等が我が国の税収ひいては国民負担率に及ぼす影響については、その実態の正確な把握が困難であることなどから、定量的に申し上げることは困難ではありますが、我が国におきましては、引き続き、こうした国際的な議論に積極的に貢献していくとともに、国内においても、国際的な議論を踏まえた対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

高木(宏)分科員 ありがとうございます。国民負担率についての理解が深まったと思います。

 次に、オーバーバンキングの問題について、藤丸副大臣とちょっと議論をしたいと思います。

 二〇二〇年、当時の菅官房長官が会見で、地方の銀行について、将来的には数が多過ぎるのではないか、再編も一つの選択肢になると発言がありました。この辺りから、政府、日銀による期間を限定しての地銀再編の動きが始まったわけですが、具体的には、独禁法の特例、日銀の支援制度、政府からの補助金、こうした三つの施策で地銀再編が進められております。

 ただ、地銀再編で規模と体力を確保しても、稼ぐ力がなければ、結局はじり貧になってしまう。この先地銀は何を主に収益源として稼いでいくのかという視点が一番大事でございます。ただの合従連衡では明るい展望は見えてこないということで、そこでまずお伺いしたいのは、地域経済のメリットを含むこの地銀再編に関する基本的な考え方についてお聞かせいただきたいと思います。

藤丸副大臣 お答えします。

 低金利環境や人口減少など、構造的に厳しい経営環境が続く中、一定の期間を定めて地域金融機関が自ら経営改革を進めていただく観点から、政府と日銀では、それぞれ経営改革を後押しする制度を設けています。御指摘の統合再編は、金融機関によるそうした経営改革の一つの選択肢であると認識しています。

 しかしながら、より重要なことは、委員も指摘されているとおり、経営改革が地域企業の再編や成長を支えて地域経済の活性化につながっていくことと考えて支援をしております。

高木(宏)分科員 ありがとうございます。

 今、三つ施策を申し上げました。この三つの施策の意味するところというのは、最長で十年間の間、政府、日銀としても地銀に対して様々な支援をすることで合従連衡を進めて、地元の企業や個人を支援して、今、ESG、SDGsというのがはやりでありますけれども、そうした経営を強化することで、地域経済の持続的発展に主導的に貢献してほしいということだと思います。

 一つが、だから先ほど申し上げた独禁法の特例、それから日銀による支援制度、そして政府からの補助金、補助金というのは資金交付制度のことでありますけれども、こうした施策、地銀再編に向けた効果をどう評価されているのかと、あわせて、それぞれの具体例、もし御提示いただけるのであれば教えていただきたいと思います。

新発田政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘いただきました三つの施策でございますけれども、これらにつきましては、経営改革を進めようとする地銀にとって、経営統合のインセンティブを与えたり、あるいはシステムコストなんかのコストの増といったもの、そういったハードルを引き下げる効果があるというふうに考えてございます。

 その上で、足下での実績について申し上げますと、本年四月時点におきまして、独禁法特例法につきましては、青森銀行、みちのく銀行の経営統合の一件、資金交付制度の活用実績につきましては、福井銀行による福邦銀行の子会社化ほか三件ということでございまして、日銀の特別当座預金制度につきましては、本年三月末で終了しておりますけれども、地銀につきましては九十一行の活用実績があったというふうに、令和四年度の上半期でございますが、承知してございます。

高木(宏)分科員 オーバーバンキングという問題の本質についてちょっと議論をしたいんですけれども、銀行が多過ぎるというオーバーバンキングの問題なんですが、このオーバーバンキングの何が問題なのか。

 例えば、金融庁が設置した金融仲介の改善に向けた検討会議が二〇一八年四月にまとめた報告書では、地域銀行の本業利益が悪化を続けているとした上で、各都道府県で本業の収益が地域銀行二行分の営業経費を上回るかという簡易な試算で、一行単独であれば存続可能な都道府県が十三、一行単独であっても不採算な都道府県が二十三あったということで、要は、地域金融機関がコスト過剰、低収益性の問題があるから、この経営統合、地銀再編を推し進める必要があるということだと思います。

 この地域金融機関の低収益性の問題を解決するにはどうしたらいいのか。具体的に何がこれは多過ぎるのかというのを調べると、日本の場合、金融機関数や店舗数、貸出残高という観点では、国際比較上、決して巨大ということはありません。預金残高という点では、非常に日本の金融機関は巨大であります。つまり、預金が過剰ということなんですね。預金過剰状態それ自体が、今、低位でフラットなイールドカーブの下、邦銀の収益構造上のおもしとなっております。

 預金過剰ということがいわゆるこのオーバーバンキング問題の本質と私は考えるわけなんですが、オーバーバンキングの何が問題と考えておられるのか、お伺いをいたします。

新発田政府参考人 お答えいたします。

 オーバーバンキングの定義につきましては必ずしも明確ではございませんけれども、銀行の数とか金融機関の店舗数といったところについて、いろいろ国際的なものを比較しておりますと、必ずしもそうではないという分析があるというふうに承知してございます。

 他方で、先生御指摘いただきましたように、預金の残高、これは、銀行の規模に比してという見方と、我が国の家計資産の中と、二つ恐らくあろうかと思いますけれども、前者の方で見ますと、まさに貸出しに比べて預金が相対的に増加することによって預貸率が低下して、そういった中で地銀の収益が低下する、そういった問題が指摘されているというところでございますし、他方で、我が国の家計の金融資産の半分以上が現預金であるというマクロの状態を比べてみますと、まさに成長資金の供給という観点でまだまだできることがあるのではないか、そういった課題があるというふうに承知してございます。

高木(宏)分科員 預金が過剰であるというのは、地銀再編、経営統合をしてもマクロの預金総量は変わらないわけですから、預金過剰の問題、低収益性の問題は解消されないと私は考えております。この預金過剰が、キャッシュレス社会が日本で進まない、さらには、新しい資本主義が目指す、資産所得倍増に向けた貯蓄から投資が進まない一因でもあると考えております。

 この背景には、十分な対価の支払いなく、大半が当然のライフラインとして金融機関が提供している預金関連サービスを利用しているという現実がありますし、このことが利用者の預金、現金選好の基礎になっていると考えております。これは金融機関側の問題ですけれども、社会全体としてマクロの金融システムを考えた場合に、預金過剰の問題というのは、地銀、地域銀行の経営努力のみでは解決できない問題であります。

 そこで、地銀再編を進めても、地域銀行の低収益性の要因、つまり預金過剰の問題というのは解決が困難、難しいと考えられるわけですが、金融教育の強化による家計の預貯金選好の是正や、NISAやiDeCoの更なる拡充等を含めて預金過剰の是正にどう取り組んでいくのか、見解をお伺いします。

藤丸副大臣 政府としては、家計金融資産を貯蓄から投資へとシフトさせ、家計の金融資産所得の拡大と、その反面、企業への成長資金の供給拡大を通じた成長と資産所得の好循環を実現して、中間層を中心とした幅広い層の資産形成を支援していきたいと考えています。

 具体的には、昨年取りまとめた資産所得倍増プランで、そのために必要なNISAの抜本的拡充、百二十万とか二百四十万、積立ての投資と成長枠というふうに、成長枠でこっちに持ってきたいと思っているんですが、それに加えて、iDeCoの加入可能年齢を七十歳まで引き上げたり、今言われた、金融経済教育を実施するための中立的な組織の設立などの施策を盛り込んでおります。

 こうした政策を総動員して、貯蓄から投資への流れを実現させて、預貯金選好を少し動かしていきたいと考えております。

高木(宏)分科員 藤丸副大臣とは、党の金融調査会でもいろいろと議論をしておりますので。

 今、金融教育のお話がございました。文科省からも来ていただいているので。

 金融教育は、高校で必須化されました。学校での金融教育については、教育方法が標準化されていない、教員側の知識レベルや金融教育に対する熱意によって偏りが出る等の問題も指摘されておりますが、今後どう取り組んでいくのか、文科省に伺いたいと思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒が、その発達の段階に応じまして、金融に関する基本的な仕組みや考え方を身につけられるようにすることは重要でございます。

 このため、今回の学習指導要領改訂におきまして、金融に関する内容を更に充実したところでございます。具体的には、例えば、令和四年度からの高等学校で新たに必履修科目として始まっております公共では、金融の働きなどについて扱うことといたしました。また、高等学校の家庭科では、新たに家計管理やリスク管理の考え方などを扱うこととし、こうした規定に基づき、各学校において全ての児童生徒に対して指導が行われているところでございます。

 こうした指導を担う教員への支援といたしましては、金融庁と連携いたしまして、金融庁が作成しました指導者向けの金融教育に関する教材等、また、各教育委員会等に対して紹介、周知を図ってきたことを始めとしまして、金融庁等におきまして、金融経済教育に関する出張授業、教員向けのセミナー、また解説動画の発信などを実施しているところでございます。

高木(宏)分科員 金融庁にも金融教育について伺おうと思ったんですけれども、ちょっと時間がないようですので、最後の質問に移りたいと思います。

 今、私、金融調査会の地域金融機能PTの座長を務めておりますが、コロナ感染拡大から三年が経過して、この間、宿泊、ホテル業界、日本飲食団体連合会、地域交通等からヒアリングをしてきて、この三年間で、旅館、ホテルが七億泊を失って、さらには、飲食業界は六兆円、外食が消滅しました。また、地域公共交通の累積赤字は五千億円を超えているなど、大変厳しい状況にございます。

 その間、事業者の資金繰りを救ったのが四十三兆円のゼロゼロ融資というわけで、この七月には民間金融機関のゼロゼロ融資の返済のピークの山が参ります。一部の事業者が債務過剰状態にあるわけで、民間調査結果によると、宿泊業においては、依然として借入金対月商倍率が十二か月を超える事業者が五〇%を超えるなど、債務負担が過大になっている例が見られます。

 その中で、政府も、一〇〇%保証は一〇〇%保証でという借換え可能なコロナ借換え保証制度や、REVICにおいて政府保証借入枠を三兆円に拡大するなど、様々な対応をしてきておりますが、一方、ヒアリングで指摘されているのは、この支援策が地域金融機関の現場まで十分に浸透していないという声が聞かれております。

 私の地元の北海道でも、民間調査機関によれば、二二年にコロナ関連で倒産した企業は前年の約二倍の百件で、二三年も三月まで三十四件と、ペースが上がっております。飲食やホテルなどサービス業が全体の四割ということで、コロナ対策の融資が返済できず破綻するケースが増えてきております。

 そこで、金融庁として、事業者再生支援トータルプランというメニューは出そろっているわけでありますから、このコロナ借換え保証制度も、民間ゼロゼロ百三十七万件のうち、いまだ一万七千件しか実績がないわけなんです。これらをしっかりと各地の金融機関の現場まで浸透させて活用してもらうのが急務だと考えますが、御見解をお伺いします。

藤丸副大臣 高木先生も担当されております自民党の金融調査会が示された令和版事業再生支援トータルプランには、厳しい状況に置かれた事業者に対する支援策が示されております。政府としても、これをしっかり受け止めて、様々な支援策を全力で推進したいと考えております。

 指摘のとおり、コロナ借換え保証制度などの支援策の内容や支援事業を現場の第一線まで十分に浸透させ、金融機関等に活用していただくことが重要と考えております。

 先日、官民金融機関、支援機関、経済団体に対する説明会を開催し、今後は全国各地で同様の説明会を開催していく予定です。こうした説明会を通じて各施策への理解が深まり、事業者の実情に応じたきめ細やかな支援策が幅広く行われていくことを実現してまいります。

高木(宏)分科員 コロナによる営業自粛など、事業者の責に帰すことのできない売上げ減少による経営悪化に対しては、資金繰り支援、それから事業再生支援、これを全力で支援していくべきであると考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 時間が参りましたので、終わります。

大野主査 これにて高木宏壽君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして財務省所管、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

大野主査 次に、文部科学省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部(知)分科員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、永岡文科大臣始め皆様の御出席ありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきます。この間私が何度か取り上げさせていただいている神宮の森の、神宮外苑再開発と申しましょうか、その問題に関してであります。

 実は、二月三日の予算委員会で、永岡委員長に、イチョウ並木はもちろんのこと、神宮外苑地区の多くの樹木が伐採されるということはあらゆる意味でこの時期いかがなものかと思って私は質疑をいたしまして、特にイチョウ並木等の名勝指定ということを永岡大臣にお尋ねいたしました。

 名勝指定は地域から上がってくるものであるという、物の手順ということは存じておりますが、その後、永岡大臣は、当日の質疑を各自治体にも周知、通知してくださいまして、まず、このことは御礼を申し上げます。

 というのは、都議会等々のやり取りで、名勝指定云々には挙がっておらないというような答弁もあった折ですから、一応、文科省の平成二十四年の調査で申請し得る幾つかのリストに挙がっているということをあの日取り上げさせていただきましたので、そのことが自治体に伝わったということは私も感謝したいと思います。

 その上で、しかしながら、非常に残念なことに、二月の十七日にいわゆる開発計画の施行許可というものが下りまして、事業者によって、この日から、神宮外苑の第二球場と並びに記念文庫の森というのがございますが、この地域が白い矢板で囲われまして、工事が開始をされております。

 この問題は、まだまだ、例えばいわゆるチェンジオルグというところがやっている署名サイトでは、十九万四百九十九人、二十四日の午前受付で二十万近い抗議、異議の声が出ておりますし、また、二十二日には、坂本龍一さん、小池知事にお手紙等々差し上げられて、永岡大臣にも出しておられたと思いますが、遺言のように、この森を守っていくということをお手紙にされておりまして、その坂本龍一さんをしのぶというか、芸術家の皆さんがコンサートをやって、六千人以上の方がお集まりであるということですので、是非、大切な歴史の遺産を簡単に壊してしまうことなく次世代につないでいただきたいという観点から、質問をさせていただきます。

 まず、冒頭、今日は、JSCに御答弁をお願いいたしましたが、答弁者はどなたでしょう。

 私は理事長にお願いいたしましたが、今日はなぜ理事の御出席でしょうか。大変大事な問題なので責任者が出てこられるべきと思いますが、こんなことで時間を使いたくないんですけれども、なぜ理事長は来られませんか。御答弁ください、代わって来ているなら。

大野主査 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

大野主査 速記を起こしてください。

大西参考人 お答え申し上げます。

 事前の調整におきまして、答弁者は、参考人としては私の方にするということについて御了解いただいたものというふうに承知をいたしておりました。

阿部(知)分科員 金曜日の五時も過ぎておって、紙で来て、私は一切そういうことは言っておりません。

 責任者、なぜ今日、理事長は来られないんですか。組織には、やはり負うべき責任の責任者というものがあるわけです。来られない理由を明確にしていただきたい。

 そして、時間も本当にもったいないので、明確にできなければ、今日は大西さんに答弁いただきますが、必ず私のところに、来られない理由を明確にしていただきたい。よろしゅうございますか。

大西参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘があったことについて、真摯に受け止めさせていただきたいと思っております。

阿部(知)分科員 本当に真摯に受け止めていただきたいです。国民への説明責任も足りていなければ、また、国会は国民の疑念を明らかにしていく場です。そこにも来られないとなったら、今JSCのやっておられることは国民的正当性を得ないということですので。大西さんのせいではないでしょうから、引き続いて大西さんに伺いますが。

 まず、今行われている白い矢板が立っているところ、神宮の第二球場とそれから記念文庫の森というところですが、ここに矢板が立つ理由は、神宮球場の野球場とラグビー場の位置を交換して移転するという計画によって始まっております。

 一体、いつから、神宮外苑のこの計画の中で、球場とラグビー場の移転改築、移して改築するということが決まったのでしょう。JSCの認識を伺います。

大西参考人 お答え申し上げます。

 秩父宮ラグビー場を含む神宮外苑地区まちづくりにつきましては、平成二十七年三月に、東京都から、JSCを含む関係権利者に対し、相互に連携協力し、町づくりを進めるために協議することについて御要請があり、同年四月に基本覚書を締結し、議論を開始しております。

 その後の協議におきまして、神宮外苑地区の再整備構想を検討し、東京都及びJSCを含む関係権利者の間において、平成二十八年七月に、競技の継続に配慮しながら各施設を連鎖的に建て替えることについて検討を進めるとする合意書を取り交わしたところでございます。

阿部(知)分科員 今おっしゃったのは表向きの記録に残る限りのことで、実は、いただきましたJSCからの時系列、私の資料に一枚目、つけてございますが、確かに、平成二十七年四月、二十八年七月はそのようになっておりますが、開けて一枚めくっていただきますと、これは既に平成二十四年の二月の段階ですね、ここで、JSC、当時の藤原理事が、東京都の要請をしっかりと素案という形でまとめてJSC側から計画を出していくという文面のやり取りがございます。

 そのとき、JSC側、当時NAASHと申しました、日本スポーツ振興センターということは一緒ですが、そこの理事は藤原理事でありまして、後に事務次官になられますが、その方を交渉相手として、東京都とJSCが、本来、東京都が発案したものをJSC側から提案するという形にしてはどうかという文面のやり取りが、この二月二十八日でございます。

 引き続いて、もう一枚開けていただきますと、二十四年の五月の十五日、ここには明確に、神宮球場とラグビー場の敷地の入替えの利点ということが東京都からおっしゃられまして、そして今、一連のことが進んでいるわけです。

 これを見ますと、そもそも二十七年の、先ほどおっしゃった七月とかではなくて、二十四年の二月とか五月とかに既にこのお話はあって、藤原理事はそのことを御存じだったし調整役になっているというふうに、これは東京都の情報公開で出てきた書類ですので、どこかから持ってきたものでも文春の記事でもありません。

 こういう記事というか、こういう文書が残っているということは、JSCとしては、いつからそのような計画を御存じで、検討を始めていたのか。もう一度御答弁をお願いします。

大西参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の当該資料の内容につきましては、私どもコメントする立場にないと考えてございます。

 なお、当時から東京都においては、国立競技場の建て替えを契機に、神宮外苑地区一帯を再整備することについての課題意識をお持ちであったというふうには承知しております。

阿部(知)分科員 そういうことを伺っているんじゃなくて、東京都は持っていらしたかもしれません。しかし、それをJSC側から提案した形にまとめたらどうかというのがこの文書なんですよ。コメントする立場にないんじゃなくて、実際に記録に残るようなことがあるんですから、JSCだって主体性を持った独立行政法人なんですから、きちんとこの経過を国民に説明をしてくださいな。理事長も来ず、大西さんが代わりに来て、コメントする立場にはないと言われても困るんですよ。

 いつからJSCの中でこの問題は論議されていましたか。当時、大西さんはJSCにはおられなかったとは思いますけれども、教えてください。

大西参考人 お答え申し上げます。

 JSCにおいては、国立競技場の建て替えにつきましては、平成二十四年四月に新国立競技場設置準備本部を設置し、国立競技場の将来構想を具体的に検討する体制を整えておりました。そのときは、当時の藤原理事が担当となっておりました。

 なお、ラグビー場の移転整備につきましては、当時検討する体制はなかったところでございます。

阿部(知)分科員 文書は読むことができるんですから、ちゃんと目を通してくださいな。二十四年二月の二十八日、確かにこの会議のきっかけは国立競技場の改築ですが、周辺の再整備の方針、中ほどに書いてあります、直接的な権利制限はないは別として、を定めて段階的に他の区域も具体の整備計画を定められるようにしておくという文章の中に、藤原理事が出てくるわけです。国立競技場問題じゃないんです。

 私は、検討していたなら、もっと主体的にお答えいただきたいです。別にこそこそする必要もないし、本当にそれが必要なことであれば国民に説明をされればいいのですから。持ちかけられたのは東京都、それを仲介して藤原理事がJSCに持ち帰られた。しかし、その後の検討経過は一切明らかにされない。

 そして、正直言って、今はもう白い矢板で囲って移転は始まろうとしております。多くの反対と疑念の声があるわけです。

 そして、今、神宮球場のある場所、ここは明治神宮の持ち物で、ラグビー場のある一番道路側はJSCの持ち物です。神宮球場の第二球場と、今JSCがお持ちのラグビー場を土地交換するとしたら、どんな手続が必要なのですか。持ち主は各々違います。片や明治神宮、片やJSC、JSCは国の独立行政法人。こういうところが土地交換するときには、どういう手続が必要なのですか。

大西参考人 お答え申し上げます。

 今般の神宮外苑地区市街地再開発事業につきましては、都市再開発法に基づき、資産の権利変換により、当該区域の整備を行うこととしております。JSCにおいては、現在の秩父宮ラグビー場に見合う新しいラグビー場の資産を取得することになってございます。というふうな手続で、権利変換計画の認可権者は東京都でございます。

 以上でございます。

阿部(知)分科員 一番道路側の土地と中ほどの土地では土地価格が違うわけです。そこで伺っているんです。

 自分のところと同じ、等価値の交換ならまだしも、明らかに違うわけです、中側に寄ったものと。それをきちんと、私は説明責任があると思うんです。交換するなら、基本、等価交換ですから。

 それでないと、JSCとて元々この土地を所有していたわけではありません。ここは内務省が所有し、その後、ラグビー場になるというので、JSCが独立行政法人に、その前のスポーツ振興センターからそうですが、独法になったときに所有する形になりましたが、元々国の所有物でありました。

 それを交換するときには、それなりの私は明示された等価、等しい価値だという証明が必要だと思いますが、どうですか。

大西参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、JSCの従前資産であるところの現在の土地の価額、それから従後資産になるところの現在明治神宮の第二球場があるところの土地の価額につきましては、差がございます。そこも含めまして、神宮外苑地区市街地再開発事業の中で、等価になるように関係権利者間で調整を行うこととしてございます。

阿部(知)分科員 国民に何の資料も示されず、等価になるように事業者間で調整しているというのがお答えでした。

 これは、後に会計検査院とかのチェックも入りますよね。あるいは、永岡文科大臣に伺いますが、こうしたことをやるときに、あくまでもJSCは文科省の、独立行政法人なわけです。価格的にも明らかに差がある土地なんです。じゃ、どうしたら等価になっているのか、説明をされる責任があるし、監督する責任が文科省にはおありと思いますが、どうですか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の神宮外苑地区の市街地再開発に伴いまして、日本スポーツ振興センターが保有する資産を都市再開発法の規定に基づきまして権利変換を行うものでございますので、これにつきましては、独立行政法人通則法第四十八条の規定に基づく財産処分の認可が必要となるところでございます。

阿部(知)分科員 聞いていることと答弁と違うでしょう。そんなの必要なのは当たり前なんですよ。それが適正かどうか、誰がチェックするのと聞いているんですよ。

 一つは会計検査院があるでしょう。でも、監督しているのは文科省ですから。明らかに地価が違う、それをどうやって調整しているのかですよね。

 あと、今度、三井のビルが建つところ、ここの土地もJSCは売られたんですか。もし官僚サイドで御答弁かなうなら、お願いします。大西さんでもいいです。

大西参考人 お答え申し上げます。

 三井不動産のビルが建つ予定地は、現在の秩父宮ラグビー場の敷地でございますので、権利変換をする計画となってございます。

阿部(知)分科員 だから、三井不動産に売るんですよねと聞いているんです。そうすると、それが適正かどうかもきちんとチェックされなきゃいけないわけです。

 今の神宮第二球場とラグビー場の土地の交換、プラス、ラグビー場の横にある土地も三井不動産に売る。おまけに空中権というのをつけて売るんですよ、今日は時間がないので詳しく申しませんが。ただ、全てそういうことは説明責任と妥当性のチェックが必要だということなんです。

 私は今日ほかにも質問があるので、これは永岡文科大臣に是非今日の私の指摘はテイクノートしていただいて、元々国有地なのであります。それがいとも簡単に交換され、誰もチェックしないというのでは大変に問題です。

 それ自身問題と思いますが、更に加えて、これを交換して今進んでいることの問題を二つ申し上げたいと思います。

 まず、この土地で今大量の緑が伐採されております。約三千本。伐採されているかどうか矢板が立っているから見えませんけれども、記念文庫の森と、それから神宮第二球場のところで約三千本余りの木々が伐採されるということですが、大西さん、これはどのようにJSCで検討されましたか。

大西参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの点につきましては、東京都風致地区条例に基づき、宗教法人明治神宮が本年二月二十八日付で新宿区から許可されたものであると承知しております。

 その中では、樹高が三メートルを超える中高木約三十本と、個別にカウントが困難な群生低木である推計二千六百九十本を含む樹木に関し、明治神宮第二球場の解体工事等に伴い伐採するものと承知しております。

 JSCにおいては、当該許可申請が出されることについて、代表施行者より事前に共有をいただいております。

 なお、今般の神宮外苑地区市街地再開発事業におきましては、緑地面積の割合を約二五%から約三〇%に増加させる計画としており、また、伐採した樹木については利活用を引き続き検討することとされております。

阿部(知)分科員 伐採したものを利活用すればいいんじゃないんです。伐採すること自身が、緑を失うんです。

 一定のものは移植するというけれども、それだって、つくかどうか分からない。低木というと、いかにもちっちゃい木みたいにみんなを惑わしていますが、現地に行ってみれば分かります、どんな木を切ろうとしているのか。そのことが失う緑の多さであります。

 それだけではなくて、JSCでは国立競技場を建て替えるときに既に千五百本切っているわけです。加えて、今日取り上げます霞ケ丘門ですね、江戸城の石垣を使って造った門の一基も取り壊してございます。相次いで緑を壊し、歴史的な継承すべき財産を壊していく。そういうやり方で、果たして日本スポーツ振興センターは一体何をしようとしているんでしょうか。

 本当にどれくらいの木が切られるか、御自身、大西さん、見たことありますか。お願いします。

大西参考人 お答え申し上げます。

 建国記念文庫の森につきましては、私も訪れたことがあるところでございます。

 スポーツを実施していく上で自然環境との調和を図っていくことは重要なことであると考えてございます。新ラグビー場の整備に当たりましては、既存の樹木につきまして、設計の工夫などにより極力保存あるいは移植とするため、これまでの検討においても伐採樹木を移植樹木に変更するなど環境に配慮した検討を続けてきたところでございます。今後とも、更に保存あるいは移植可能な樹木がないか、樹木医の診断等を行い、引き続き検討してまいります。

 また、事業者四者が共同しまして、神宮外苑地区まちづくりを進める意義や必要性について多くの方々の理解や共感を得られるよう、ホームページを始めとする様々なツールを通じてより積極的に情報の発信に努めますとともに、市民の皆様にも御参加いただき、共に次の百年に向けた新たな緑をつくっていく取組を進める予定としております。

阿部(知)分科員 今の答弁は、JSCさんは市民と直接対話なさるということですね。ホームページって一方的なんですよ。説明にはならない。対話ですから、お互いが質問したり疑念をぶつけ合って、それで初めて市民参加となるわけです。これまでJSCさんの言われていることは、ホームページで出してあります。

 あるいは、移植します。例えば移植、高木の伐採が二十三、移植が二十二、中木は伐採七、移植十九、低木伐採二千九百九十八という指摘が専門家からなされております。

 もう一回言いますが、移植してもつかない場合もあるんですよ。そして、その森は、神宮の森ですね、人工のもので、あれだけのものが歴史的にあるところはないと言われている森は、消えていくわけです。本当に深刻な、イチョウ並木はよく知られています。でも、あの緑総体が今危機に瀕しているから、たくさんの署名があるわけです。

 もう一つ。例えば、今度新たにできる野球場とラグビー場、この間を結ぶ橋も、大変に狭くて人津波が起こるのではないかと懸念されていますが、この点はどうですか、JSCさん。

大西参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の歩道橋の幅員につきましては、本年三月六日に日本イコモス国内委員会から指摘があったものと承知いたしております。

 当該歩道橋の幅員については、今後、安全性の観点も含め、事業者間において更に検討を進めてまいりたいと考えております。

阿部(知)分科員 内側だけじゃ駄目だと言っているんです。イコモスから指摘があれば、対話されたらいいじゃないですか。そうやって、外に閉ざされて勝手にやって、白い矢板を立てて、本当に市民からは疑念ばかりが増えてまいります。

 私は、元々神宮外苑の開発、反対ですけれども、やり方自身も民主主義的じゃないと思います。専門家からも反対の声、市民からも懸念の声。

 お手元の六には、先ほど申しました、狭いところが一挙に人津波が起こるのではないかということを示したものもつけてございます。そして、切られてしまう、伐採の樹木や霞ケ丘門については七と、資料をつけてございます。

 最後に永岡大臣にお伺いいたしますが、私は、元々、大臣にもお部屋にお訪ねしたりして、大臣もよく問題の所在は御理解されていると思いますが、こうした森を切って、そして、今後十数年にわたって次々と開発していく、このことに地域のお母さんたちが大変に懸念を寄せておられます。

 大臣のお手元には、明治神宮外苑地区まちづくりを進める意義等についてということに対する声明文が、神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会というところから出されております。ここで多くの樹木を伐採して二酸化炭素が増えること、都市の温暖化が加速すること、文化的価値が毀損すること、本当に子供やアマチュアスポーツの活動場所が減ってしまうことへの懸念などであります。加えて、子供たちは十三年間にわたり緑の環境と自然に囲まれた生活を失うのではないかという懸念の声であります。

 大臣も、子供を育てるのに何が必要か、本当によく御存じだと思うんです。もしも可能であれば、大臣に是非このお母さんたちとお話をしていただきたい。何を懸念しておられるか、何を案じておられるか。そして、それらに一切応えないJSCであるので、私は今日ここで取り上げさせていただきました。大臣の前向きな御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 今、阿部議員のお話と、それからJSCの理事のお話を伺わせていただきました。

 秩父宮ラグビー場というのは、建設から七十六年経過をしておりまして老朽化が著しく、耐震補強への対応というのが大きな課題である、そういうことであると思っております。ユニバーサルデザインの導入ですとか、多様化しますニーズへの対応が求められておりました。

 こうした中で、東京都が策定をいたしました神宮外苑の地区のまちづくり指針等に基づきまして、競技の継続性に配慮をした秩父宮ラグビー場と神宮球場の連鎖的な建て替えが方針として示されまして、秩父宮ラグビー場を移転して整備することとしたものだと考えております。

 いずれにいたしましても、やはり本件再開発事業につきましては、東京都と、それからあとは新宿区、港区におきまして、地権者を始めといたします関係事業者と協議をしながら適切に対応していくべきものと考えておりますが、スポーツ庁、文部科学省といたしましても、その経緯ですね、しっかりと注視をしなければいけない、そう考えております。

阿部(知)分科員 今、大臣の御答弁のように、この経過にはJSCが関わっておるわけです。

 加えて、移転ではなくてその場での建て替えということも対案として出てございます。多くの、例えば甲子園球場もその場で建て替えられました。古くなれば当然そうしたことは必要と思います。

 ただ、移転をすることでたくさんの木々を切る、環境を壊す、そのことの問題をお母さんたちが懸念されているものと思いますから、是非、子供たちに伝える未来のために、永岡大臣には、よろしく御検討を、お母さんたちとも会っていただきたいことをお伝え申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

大野主査 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠浩史君。

笠分科員 永岡大臣、お疲れさまです。

 立憲民主党の笠でございます。

 今日は、ちょっと夜間中学等々の多様な学びの機会、教育の機会の確保について、幾つか質問させていただきたいと思います。

 私も、実は二〇一三年、当時文科委員会の野党の筆頭理事として、十一月十九日に足立区立の第四中学校を委員会で視察をいたしました。当時は小渕さんが委員長で、たしか萩生田さんが与党の筆頭理事で、萩生田さんと二人で夜中へ行こうよということで見学をして、実はそのことがきっかけになって、翌年の二〇一四年の四月二十五日に超党派の夜間中学等義務教育拡充議員連盟というものを発足をさせていただき、今の県知事、馳さんが会長で、私も事務局長を務めてまいりまして、特に、全国夜間中学校研究会の皆さんと一緒に、夜中というのが本当に義務教育の学びの最後のとりででありセーフティーネットであるということで、全国四十七都道府県に最低一校はしっかりと開設をさせていこう、設置をしようという運動を、これは本当に党派を超えて、みんなで取り組んできたわけでございます。

 そういった中で、当時は千葉、東京、神奈川、京都、奈良、大阪、兵庫、広島と八都府県に三十一校しか設置をされていなかったわけですけれども、現在は十七都道府県に四十四校、九道県広がったわけです。徐々には増えてきたわけですけれども、もっと私は加速をさせるべきだというふうに思っております。

 そこで、まずお伺いをしたいわけですけれども、令和三年一月の衆議院予算委員会で当時の菅総理が、今後五年間で全ての都道府県、政令市、二十あるわけですけれども、少なくとも一つ設置することを目指す、これは非常に、私、重たい答弁だと思っております。大臣もそれに基づいて、今推進をする立場で当たられると思いますが、ちょっと確認なんですけれども、令和三年一月時点で今後五年間、これは具体的にいつまでに設置をするのか。発言当時の今後五年間というのは、例えば令和八年度に、全て、四十七都道府県、まだないところに開校させるのか、その辺をちょっと具体的に教えていただきたいと思います。

    〔主査退席、金村主査代理着席〕

永岡国務大臣 夜間中学校は、義務教育を修了できなかった方、また不登校など本当に様々な事情によりまして十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、我が国又は本国において義務教育を修了しない外国籍の方など、教育を受ける機会を保障する役割を本当に果たしているものと考えております。

 私も実は、昨年九月、常総市立の水海道中学校の夜間学級にお伺いをいたしました。年代も国籍もまちまちでしたけれども、生徒の皆さんの学ぶ意欲の高さですとか、また学校の先生の熱心さ、それに温かさ、これに接しまして、夜間中学が本当に義務教育を実質的に保障する重要な役割を果たしているということを改めて感じた次第でございます。

 今年三月に取りまとめられました令和五年度からの次期教育振興基本計画の答申におきまして、目標として、全都道府県、指定都市への設置が示されております。

 また、文部科学省といたしましても、開校を決定した地域などの情報を公表しているところでございます。現在は、四十七都道府県、二十指定都市のうち、既に夜間中学がある地域は十一都道府県、十二指定都市でございまして、令和七年度設置予定までを含めますと、全部で二十一都道府県、十五指定都市となる予定でございます。一方、二十二都道府県、五指定都市は現在、検討を進めていることを公表していないという状況でございます。

 そんな中で、文部科学省といたしましては、引き続きまして、設置に向けた自治体の取組、これを支援をしてまいりたいと考えております。

笠分科員 大臣、私が伺いたいのは、五年間で全て設置するということなんだから、大臣としては、今の状況じゃなくて、いつまでに設置をするのか。例えば、現在、夜間中学の開校を決定したと公表している地域が十一県ございます。五年間でということになると、先ほど申し上げたように、令和八年度の開校を目指すということなのか、それとも、開校は九年とか十年にずれ込むけれども、少なくとも、いつまでに開校を決定する、そのことぐらいは大臣の明確な方針を述べていただきたいと思います。

永岡国務大臣 今お話しいたしましたように、令和五年度からの次期教育振興基本計画への答申において、目標として、開校を決定する、全都道府県、指定都市への設置ということが示されておりますので、なるべく早く、できるだけ早くしっかりと対応させていただきたいと考えております。

笠分科員 ちょっと残念な答弁です。

 現在、十六県、政令市の四市はまだ具体的な検討すら行われていないと。この理由をどういうふうに分析をされておりますか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 その理由は様々であろうかと思いますけれども、これまでの議論の中では、ニーズが必ずしもはっきりしないといったようなことがその理由として挙げられているような状況はあったものと考えております。

 しかしながら、一方で、今、夜間中学に対する様々な方々のニーズというものが高まっているというふうに思っておりますので、私どもといたしましては、この夜間中学の設置の促進に向けて全力で取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

笠分科員 今、ニーズがちょっと分からない、あるいはまだ把握できていないという話がありましたけれども、令和二年の国勢調査、全国調査、大規模調査、これがちょうど昨年の五月二十七日に公表されました。この国勢調査で初めて、これは我々、委員会でもう何度も大臣にも迫ってきたんだけれども、最終学歴に関する自己申告制の回答項目に小学校というのが初めて加えられた国勢調査だったわけです。このことによって、これを約八十万人の方が選択した。

 つまりは、これまで未就学者は把握できていたんだけれども、義務教育の未修了者、中学を出ていないお子さんたちが本当にどれぐらいいるのかということが把握ができていなかった。これが今回、この国勢調査によって、未就学者が約九万人、そして、義務教育の未修了者、中学校を卒業できていないお子さんを八十万人ということで加えて八十九万人という、ある意味、夜間中学の設置ニーズが統計上は顕在化し、明らかになったと私は言っていいと思うんです。

 市町村ごとに出ていますよね、この人たちがどこにあるかというのは。これは全て、手引の中でも、文科省から各都道府県なりにもこのことがきちっと示されているわけですけれども、ニーズはあるんですよ。だから、私は、ニーズはあるんだということを前提に、しっかりと開設へ向けた検討に入るようにということで、もうひとつ、やはりリーダーシップを発揮をしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 笠委員おっしゃいますように、総務省が昨年五月に公表いたしました令和二年の国勢調査、これで、未就学者は約九万四千人、また、最終卒業学校が小学校の方が約八十万四千人存在するということが本当に明らかになりました。

 今回の調査によりまして、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校など様々な事情によりまして十分な教育を受けられなかった方、また外国籍の方など、再び学ぶ場として夜間中学がますます重要な役割を果たして、その期待も高まっている、そう考えております。

 これを受けまして、昨年六月に、各都道府県、指定都市教育委員会に改めて、夜間中学の設置促進、充実に向けた取組を促すために、未就学者等の都道府県、指定都市ごとの人数、設置のための参考資料等を添付をした事務連絡を発出をいたしました。また、今年の一月に改訂いたしました夜間中学の設置・充実に向けての手引では、全ての市町村ごとの人数もお示ししたところでございます。

 また、文部科学省では、令和二年の国勢調査によりまして、全ての都道府県、指定都市に潜在的な入学対象者が域内に広く存在していることが明らかになったことを踏まえまして、未設置の自治体につきましては、夜間中学の設置に向けました取組、これをしっかりと促してまいります。

笠分科員 今あったように、もうニーズはあるんだということを前提にしながら、これからいろいろな設置へ向けた調査をするときに、もちろん、県で一校しかなければ、どの辺に学校を開設すれば一番通いやすいのかとか、いろいろなことのための調査というのはやはり必要だけれども、ニーズがあるかないかというよりも、もう一つ先へ進めて、ニーズはあるということを前提に、しっかりと各都道府県とも話し合いながら、やはりある程度、国の本気度が問われていますので、しっかりその点、お願いをしておきたいと思います。

 特に、今、未就学者であるとか中学校を卒業していない方々の実態が明らかになりましたけれども、やはりいろいろな意味で、戦後の混乱期だとかそういう貧しい時代に、様々、大変な境遇に置かれて通えなかった方々、こういう方々は今、高齢者です。だから、そういった方々の未就学者の人数というのは、残念ながら亡くなられていくので、減っていくかもしれない。

 しかし、やはり私は、今回のこの調査でも、実は十代、二十代、三十代、こういう方々、世代の人たちが、二万千人以上も未就学者並びに中学を卒業していない人たちがいるという、この実態は非常に重く受け止めていかなければならないし、後ほど触れますけれども、不登校の問題もそうだけれども、現にこういう人たちがいる、そのうちの本当にごくごく僅かの人しか今は夜間中学に在籍ができていないという現実を、やはりしっかりと私たちは受け止めながら、本当に真剣に取り組んでいかなければならないというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それで、実は、我々、四十七都道府県に最低でも一校の夜間中学を設置するというのは、全国どこに住んでいたとしても、本人が希望すればしっかりと入学ができるようにするということで、四十七都道府県にただ設置すればいいという話じゃないんです。そこにやはり入りたいと思っている人たちが少なくとも通うことができる、一部の、東京だとか大阪だとか、そういうところだけだと、残念ながら通うことはできません。

 今そういった中で、現在、十七都道府県に夜間中学が設置をされているんですけれども、例えば京都とか広島とか福岡などは、市が設置しているんですね。これからは恐らく県が設置するケースが増えてくると思うんですけれども、全ての都道府県が設置していれば、当然、その都道府県に住んでいる方、あるいはそこに勤められている方全員が対象になってくるんですが、先ほど申し上げたような政令市は、応募資格が市内在住者や通勤者に限定されているんです。ということは、福岡市の市立の夜間中学があったとしても、市内以外の人はここに応募できないんですね。入学することが、門戸が閉ざされているわけです。だから、やはりそれじゃ困るわけです。

 よく、大臣、文科省が配っているんだけれども、これを見ると、この濃い緑とか、この黄緑のところというのは、全て、そこに住む、四十七都道府県の夜間中学があるところの子供たち、あるいは学び直す人たちがみんな入学できると勘違いしちゃうんです。これは夜間中学が開設をされている都道府県を示しただけで、決して、そこに住んでいる人たちが全て夜間中学にしっかりと入学をできる環境にまだなっていないということです。

 そういった意味でいうと、私がちょっといただいた資料を分析しますと、自分の県に夜中があっても、今現在入学することができる、それは十二か十三なんですよ。十二か十三の都道府県なんです。少なくとも住んでいるそこに夜間中学があって、これはいいんですよ、県立じゃなくても。

 例えば神奈川でも、分かりやすいのは、横浜市と川崎市の夜間中学は、それぞれ市内の在住者やそこに勤務する方に対象が限られていたんだけれども、今年、相模原で新たに夜中が市立でできました。ここは、広域に、県が中心になって、県とも連携しながら、他の神奈川の、川崎や横浜以外の自治体と連携をして、それも受け入れていくということで、ようやく神奈川もほぼほぼ、もし希望すれば入れる状況が整っていったんです。

 ですから、そういう、今後の夜中、あるいは現在もそうなんですけれども、やはり、県内の他の市町村の在住者も受け入れていくための都道府県の調整機能というものが極めて大事になってくるし、ただやりなさいだけじゃなくて、そのために何か国として具体的な支援を考えていく、あるいは考えておられる何か支援の具体的な対策があれば教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 夜間中学の入学要件につきましては、最終的には設置者である自治体の判断となりますが、文部科学省としては、一人でも多くの方が夜間中学に入学することができる環境を整えていくことが重要であるというふうに考えております。

 そのためには、いわゆる教育機会確保法において規定されておりますように、都道府県と区域内の市町村が、それぞれの役割分担や連絡調整を行うための協議会を組織し、その中で都道府県が生徒の受入れに係る市町村間の調整を行うことが考えられるところでございます。

 なお、都道府県による調整とは別に、設置市町村と未設置市町村との間で設置、運営に係る経費を負担し合う協定等を締結することで、入学者の受入れを拡充している取組も存在しているところでございます。

 文部科学省では、夜間中学の設置促進・充実事業において、夜間中学が設置されている市区以外に居住する生徒の受入れに係る市町村間の協議の在り方や受入れに係る経費負担の工夫、いわゆる教育機会確保法に基づく協議会の設置、活用などについての調査研究を行うことを可能としており、こうした事業を通じて、自治体における具体的な取組を支援してまいりたいと考えております。

笠分科員 今、局長、お話があったんだけれども、やはりもう少し、本当にこれから数年で開校へ向けた決定をさせる、してもらうというのであれば、もう一つ踏み込んだ対策というもの、これはまた予算も伴うものも含めて、そう夜間中学の予算というのは変わっていないから、もうちょっと少し魂を入れてやっていただきたいというふうに思いますし、そのためのやはりリーダーシップを大臣にはお願いを申し上げたいと思います。

 それで、次に、先ほどちょっと申し上げました不登校、これも今本当に大変な状況で、二〇二一年度の小中学生が約二十四万五千人。恐らく、二〇二二年度の数字が出てきましたら、残念ながら三十万人を超えるのではないかということも言われているわけです。

 ちょっと伺いたいんですけれども、この中で、授業を十分に受けられずに形式的に卒業した人は恐らく一定数いると思います。文科省として、形式卒業者がどれくらいいるのか把握をされているでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘の形式卒業ということにつきましては、必ずしも定義が定かではないところでございますけれども、令和三年度に不登校であった小学校六年生及び中学校三年生の児童生徒のうち、出席日数がゼロ日の方、それぞれ、八百四十三人、二千三百九十七人というふうに承知をしているところでございます。

笠分科員 恐らく実態はもっと多いのではないかというふうに思います。なかなかこれを把握するというのはそう簡単ではないかもしれないけれども、この不登校対策というのに本腰を入れるためには、一方で実態がどうなっているのかということも、やはりいろいろと今まで以上に意識を持ってしっかりと把握をしていただきたいというふうに思います。

 それで、不登校のいろいろな、私も義務教育の確保法を作るに当たって、当時、様々、フリースクールから、多様な学びの機会を提供される、期待される皆さん方とも意見交換をしながら議員立法を制定をさせていただきました。

 不登校の子供の学びの場として、最近、夜間中学の活用ということも非常に注目をされており、ちょうど、二〇一五年の文科省通知で、中学校を卒業しているけれども不登校などの理由で十分に学べなかったいわゆる形式卒業生も夜中に通えるようになったわけでございます。

 そういう中で、不登校の生徒の学びの場としての夜間中学で受け入れていく、そこに対する大臣の見解をお聞かせください。

永岡国務大臣 文部科学省では、令和元年に、不登校の生徒本人の希望を尊重いたしまして、在校校に籍を残したまま夜間中学での受入れも可能であるとの考え方を示しております。これまでも、各種行政説明の機会等を捉えまして周知を図ってまいりました。

 また、今年三月には、私の下に、誰一人として取り残されない学びの保障に向けました不登校対策、COCOLOプランというものを取りまとめまして、不登校生徒の学びの場としての夜間中学を活用することも明記をしたわけでございます。

 昨年、私も九月に視察に行きました夜間中学では、やはり年齢も国籍も異なっておりますし、また、私が若いなと思ったお子さん、やはり以前不登校だったんだというお話を聞きまして、そんな方々と一緒になって時間を過ごして、本当に、不登校だった子も、自分も仲間だ、この学校にいていいんだ、そういうふうに思えるようになったという話も聞きまして、私も、心が本当に洗われるような思いがいたしました。

 不登校の生徒さんが、年齢の離れた集団の中で新たな人間関係を築いて、そして、信頼感や自己肯定感を高めたり、夜間中学の生徒の学びに向かう姿勢から刺激を受けて将来のことを考えられるようになるということも聞いております。

 多様な学びの場を確保する観点から、夜間中学におけます不登校生徒の受入れにつきましては、教育委員会には積極的な検討を行っていただきたい、そう考えております。

笠分科員 大臣、不登校の学齢の生徒については、今、特例校として夜中、特例校という形でのケースも出てきています。ただ、それはそれで私は選択肢としてあっていいんだけれども、やはりフリースクールなどのように、原籍校のままで夜中で学ぶことがあってもいいんじゃないか。

 これは、たしか文科省の事業で、カタリバと足立四中の取組、カタリバのような組織の協力を得るような形でもいいし、あるいは教育委員会などにコーディネーターとかサポーターなどを置いて、原籍校と夜間中学の間をつなぐ役割を果たす機能が私は必要だというふうに思っているんです。

 例えば、今は原籍校の方からちゃんと夜間中学に相談をすれば、夜中の方も受け入れることは可能なんですよ。しかし、なかなかそれは、原籍校が、同じ学校だとかいっても、やはり、その辺を相談するというのはなかなか難しいし、だから、今大臣、教育委員会のことを触れられましたけれども、何かそういう枠組みをきちんと文科省として、こういう形でどうだろうかというようなことを具体的に検討して、逆に、そのことをまたお示しをする、支援策も含めて、やはりそういうようなことを是非やっていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 文部科学省では、不登校の学齢生徒を対象に、夜間中学での受入れに係る支援モデルを構築するため、昨年度、NPO法人に調査研究を委託し、実証事業を行ったところでございます。この調査研究では、不登校生徒、保護者、生徒の原籍校、夜間中学の三者をつなぐ役割として、個別の支援を行うコーディネーターの存在が有効であるというふうにされているところでございます。

 また、本年三月の、文科大臣の下での不登校の対策プラン、その中で、子供たちが夜間中学も含めた様々な学びの場や居場所につながることができるよう、地域の拠点としての教育支援センターに求められる機能、役割を明確化することとしているところでございます。

 今後、調査研究での事例や受入れに当たっての手法などを広く周知するとともに、教育支援センターの機能や役割を強化すること等を通じて、夜間中学における不登校生徒の受入れについて、教育委員会における積極的な検討を促していきたいと考えております。

笠分科員 いろいろ分かるんだけれども、先ほどから、やはり、局長、教育委員会に積極的に促していく、促していくばかりで、不登校の、今回の夜間中学の実態調査でも、学齢生徒の受入れについては、まだ夜中の八割近くが検討していないということなんですよね。それは、受け入れたくないんじゃないんですよ。やはり、受け入れるということはそれなりに大変なんですよ。それなりの特別の措置を、もちろん教育委員会が主体的にやっていくのはそうなんだけれども、やはり、国でしっかりとそういう受入れを、本当に不登校問題を解決をして、少しでも不登校の子たちの学びの場をきちっと確保するという本気度が、本気でそれに取り組むのであれば、しっかりと、より踏み込んだ対応というものを検討をお願い申し上げたいと思います。

 それと、やはりもう一つ、今日、一点、多様な教育を得るために重要な問題だということでちょっと指摘をしたいんですけれども、実は、東京都と広島県が、今年度の高校入学者選抜の調査書、いわゆる内申書から出欠日数の記入欄が削除されました。これは、もちろん公立の学校の、高等学校の選抜です。

 文科省の令和元年十月二十五日の不登校児童生徒への支援の在り方、この局長通知の中でも、高校入試について、「高等学校で学ぶ意欲や能力を有する不登校生徒について、これを適切に評価することが望まれる」としております。

 やはり、欠席日数が受験に影響をいまだにするんじゃないかと不安を抱えている保護者の方々の声も伺っております。

 大事なことは、本人の学ぶ意欲や、あるいは能力、これがやはり選抜の最も大事な点で、何か、受験生本人の実力評価に、果たしてこの出席日数というものを記載することが必要なんでしょうか。私はそこを少し疑問に感じております。

 その点の大臣の見解を伺いたいと思います。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 高等学校の入学者選抜の調査書の形式というのは、選抜いたします実施者が決定をするものでございますけれども、真に必要な事項を記載するものとなっているかにつきましては、やはり定期的な見直しを行っていただくことが適当でありまして、出欠の記録欄につきましても、その趣旨ですとか目的について、各実施者において議論をいただきたい、そう考えております。

笠分科員 多様な教育の場をということを私たちは推進をする立場からいうと、やはりそういう、ちょっと精神的にも負担になる子もいる、あるいは保護者もいる、そういったことについては、もちろんこれは国が一律にこうしなさいということは言えません。けれども、そういったことを、大臣なり、多様な教育機会というものを、きちんと子供たちが安心して活用できるような環境をつくっていくのは、やはり我々の役割だと思いますので。

 一部の私立学校については、中学校の欠席日数によって推薦枠などには出願できないケースもあるというふうに伺っております。もちろん、これは私学ですから、独自のやはり建学の精神があったり伝統もあるかもしれません。それを国がこうしろああしろとは言えないかもしれないけれども、やはり教育の多様性というものが公私問わず求められている中で、せめて受験をする門戸ぐらいは私は開いておくべきではないか、その機会は、そのように考えるわけですけれども、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 実は、現在、中央教育審議会の高等学校教育の在り方ワーキンググループにおきまして、高等学校におけます不登校経験を有する生徒等の受入れですとか、学びの継続のための方策を論点の一つとして議論を進めているところでございます。その論点を踏まえながら、今後どのような取組、これが可能か、必要なのかということをしっかりと検討してまいります。

笠分科員 大臣には是非、今日、夜間中学と、今、高等学校の受験の機会について若干触れさせていただきましたけれども、いずれにしても、人づくり、いろいろな形で、やはり子供政策が大事だ。それは、子供を産み育てやすい環境をつくることと、やはり、生まれてきた子供たちが将来担い手として成長してもらう、その環境を誰一人取り残すことなくしっかりとつくっていくのは政治の一番の責任だと思いますので、そういった思いで我々もバックアップしますので、是非リーダーシップを発揮していただくことを期待を申し上げて、私の質問を終えたいと思います。

 どうもありがとうございました。

金村主査代理 これにて笠浩史君の質疑は終了いたしました。

    〔金村主査代理退席、主査着席〕

大野主査 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)分科員 日本維新の会の遠藤良太でございます。よろしくお願いします。

 まず初めに、GIGAスクール構想のところから質問させていただきたいと思いますけれども、教育のICT化ということで、コロナ禍では学校の臨時休業の長期化があって、その中で、ICTは非常に重要だと思うんです。

 令和五年、一人一台の端末整備を達成したというところなんですけれども、端末整備が進んだ意義について、まず確認したいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 GIGAスクール構想により整備された一人一台端末は、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現する上で、極めて重要な意義を有するものと考えております。

 一人一台端末やクラウド環境を積極的に活用することにより、例えば、教師が一人一人の反応や考えを即時に把握しながらきめ細かな指導を行うことや、多様な意見や考えに触れたり、協働して学習に取り組んだりすること、また、音声や動画などを含んだデジタル教材により、子供たちの興味や関心を高めることなどを効果的に行うことができるようになっている、このように認識をしております。

 また、オンラインを活用した授業が可能になったこと等により、不登校や入院中の子供たちなどが授業に参加できるようになったこと、臨時休業などの緊急事態における学びのセーフティーネットが構築されたことも大きな意義を有しているものと考えております。

遠藤(良)分科員 その中で、各家庭、ほとんど今はWiFiが、僕の家もそうなんですけれども、皆さん多分WiFiが家にあると思うんです。

 その中で、ルーターの貸出しが低調というところが問題であるんだというところで、最大貸与率が五〇%未満というところなんですけれども、会計検査院の方から、九億円がこれによって無駄になっているんじゃないかという指摘があると思います。

 検査対象の二十二万台のうち八万台のルーターの使用がまだ見込まれていないという状況なんですけれども、今回指摘を受けている分についてはどのように対応されていくのか、確認したいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 モバイルWiFiルーターの整備に関する補助事業は、全国一斉臨時休校が行われていた当時の状況を踏まえ、休校時等においても学びの機会を保障するため整備を実施したものでございますが、使用率が低調であるとの御指摘が会計検査院よりございました。

 文部科学省としては、御指摘を重く受け止め、使用率が低調な理由について直ちに調査を施し、その結果を踏まえて、本年二月に有効活用を強く求める通知を発出したところでございます。

遠藤(良)分科員 二月というところなんですけれども、これは、僕も先ほどお話ししたみたいに、各家庭にもう整備されているので、多分それが大きな原因なのかなというふうに思うんですけれども。

 コロナ禍で一斉休校という状況の中で、緊急性の高い事業、そういう意味で、そういうものに活用していったらいいんじゃないかなと思うんですけれども、今後このルーターをどのように活用していくのか、確認します。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 整備されたモバイルWiFiルーターの有効活用を図っていくことは極めて重要と認識をしております。

 文部科学省では、既に有効活用を図っている学校現場の事例を踏まえ、例えば、遠足、社会科見学などの校外活動や、長期欠席の子供へのオンライン教育相談など、家庭学習以外の有効な活用方法等を本年二月に周知をしたところでございます。

 今後も、あらゆる機会を通じて、本来目的である家庭学習での活用を含め、WiFiルーターの有効活用を促進してまいりたいと考えております。

遠藤(良)分科員 九億円が無駄になっているというところがあるので、これは是非、支給する前に、こういうものは多分事前に調査が必要であると思いますし、まずはそこが重要なんじゃないかなというふうに思います。

 一人一台の端末が整備された、その中で、これをオンライン授業に活用する方向性であったりとか、例えば、不登校で行けない生徒に向けて、オンライン授業に参加するという、この出席の扱いについては今現状どうなっているのか、確認したいと思います。

永岡国務大臣 遠藤委員にお答え申し上げます。

 ICTを活用いたしました学習支援などにより、不登校の児童生徒の学習機会、これを確保するということは大変重要だと考えております。

 文部科学省といたしましては、個々の状況に応じた支援の推進の観点から、ICT等を活用した学習活動を効果的に取り入れていく必要があると考えておりまして、不登校児童生徒が自宅においてオンライン等を活用した学習活動を行う場合、一定の要件を満たせば、学校長の判断で、指導要録上の出席扱いとすることができるということにしているわけでございます。

 引き続きまして、教育委員会等に対して、本制度の趣旨ですとか好事例等について周知を行うなど、その活用を一層促進してまいります。

遠藤(良)分科員 大臣、ありがとうございます。一定の条件をクリアすると出席の扱いになるということで、確認できたと思います。

 先日、日本維新の会の串田議員が、大臣にチャットGPTの子供の相談業務での活用について提言をしたというところで、大臣からは、ソフトによっては十三歳未満の使用を禁じて、未成年者は保護者同意を必須としているということで、少し慎重な答弁だったのかなというふうに思うんですけれども。

 これは昨今、このチャットGPTの取扱い、いろいろ各省庁でも判断されている中で、文科省としては、学校でのチャットGPTの利用について指針を策定する見通しであるというところで、僕もチャットGPTを使ったりしたんですけれども、まだ不確定なところもあったり。皆さんもちょっとはされたりしているかもしれないです、まだまだ、僕はもうちょっと技術の発展が必要なのかなというふうに思ったりはしているんですけれども。

 一方で、将棋の藤井聡太さん、彼なんかはAIを使って将棋が強くなってきたんだということを聞いているんですけれども、このチャットGPTについては、一般的な使用を認める方向なのか、又は一部の授業で利用する方向か、あとは、一定の年齢まで禁止する方向性なのか。この辺り、ちょっと確認したいと思います。

永岡国務大臣 委員もお使いのチャットGPTのことでございますが、チャットGPTを始めといたします生成AIを活用した様々なサービスが生まれる中で、学校現場での生成AIの利用について、様々な議論、そして疑念の声があるものと承知をしております。

 一方、学習指導要領では、実は、学習の基盤となる資質、能力として、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見したり、また、自分の考えを形成するために必要な能力であります情報活用能力、これを位置づけております。新たな技術を使いこなすという視点も大変重要だと思っております。

 他方、チャットGPTを提供しますオープンAI社の利用規則によれば、先ほども委員おっしゃっていましたけれども、利用は十三歳以上である必要がありまして、十八歳未満の場合は保護者の許可というものが必要であるとされておりまして、この利用規則、規約を踏まえた対応が必要であると普通に考えております。

 このような観点を踏まえまして、文部科学省といたしましては、有識者の見解などを伺いながら、学校現場の実践事例ですとか、あと、諸外国の事例などを収集するなどいたしまして、活用が考えられる場面ですとか禁止すべき場面も、学校現場の参考となる資料、これをできるだけ速やかに取りまとめたい、そう考えているところです。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 これも御承知のとおり、アプリじゃなくて普通にネットで使えるものなので、結構有効というか、一々ダウンロードせずに開いて使えるものなので、使いやすいのは使いやすいんですけれども、先ほど大臣おっしゃられたみたいに、まだまだこれはちょっと課題はあるのかなというふうに僕自身思っているんですけれども。

 その中で、小中学校の不登校が増えているんだというところで、令和三年度の不登校の人数が二十四万五千人、令和二年度に比べると二五%も増えているんだ、過去最大なんだというところで、これはいろいろな原因があると思うんですけれども。

 その中で、文科省としては、不登校の特例校の設置を促進する方針である、一人一台の学習用パソコンやタブレット端末を活用した日常的な心身の健康観察も実施していくと。これは、不登校の増加している原因をどのように捉えられているのか、お尋ねしたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 不登校の要因、背景としては、本人、家庭、学校に関わる様々な要因が複雑に関わっている場合が多く、その背後には、学校に対する保護者、児童生徒自身の意識の変化など、社会全体の変化の影響が存在していると考えられるところでございます。

 また、新型コロナウイルス感染症により学校生活においても様々な制限がある中、交友関係を築くことが難しかった子供や登校する意欲を持ちにくい子供もいた可能性があるということ、また、長期化している新型コロナウイルス感染対策により学校を休むことに抵抗の少ない環境となっていた、こういったことなども不登校の増加の要因として考えられるところでございます。

 こうした背景により、今御指摘がありましたように、令和三年度、小中学校における不登校の児童生徒の数が約二十四・五万人になった、こういうことでございます。

遠藤(良)分科員 不登校が増えているというのは、本当にこれは重要な問題だと思いますし、やはり、コロナでマスク生活を長くみんながやっている中で、人間関係の難しさとかそういうところで、僕のいとこの子供なんかも、何か学校へ行くのにおなかが痛くなったりとかそういうことがあって、なかなかこれは大変な問題だなと思うんですけれども。

 一方で、最近は余り大きく取り上げられていないですけれども、メタバースですよね、仮想空間。このメタバースを使って、仮想空間の教室を提供して学習支援をしていく。これは実証実験を行っているというところなんですけれども、実際、どんな実証実験を行われているのか、確認します。

藤原政府参考人 文部科学省では、令和元年度より、自治体や民間事業者の協力も得ながら、学校現場で様々な先端技術の効果的な活用を図る実証研究事業を実施しております。

 こうした取組の一環として、昨年度から、不登校児童生徒に対し、メタバースにより仮想空間上の教室を提供して学習支援を行う取組についても、二団体で実証事業を実施しているところであり、不登校児童生徒の学習意欲の向上や生活リズムの改善、自己肯定感の向上などの中間的な成果も報告されているところでございます。これらの自治体は、今年度も取組を継続する予定となっております。

 今後は、この実証の成果及び課題をしっかりと検証しつつ、今後の不登校政策の立案にも生かしてまいりたいと考えております。

遠藤(良)分科員 昔は置き勉をしたと思うんですけれども、今は本当に、みんな学校に教科書を置いて、タブレットを家に持って帰ってきてやったりしているということがあって、うちの子供もそんなようなことをしているんですけれども。そういう意味で、やはり徐々にICTの活用が、いろいろな光が見えてきて、特に、こういうメタバースも、不登校の生徒に対して実際、実証実験も行われてきている。

 その中で、徐々にコロナから平常に戻りつつあるんだ、対面の方が教育効果は高いということも言われているんですけれども、例えば大学で、人との交流であるサークル活動も再開してだったりとか。

 オンラインだと、従来、大学でもそうですけれども、もう既にオンラインがずっと使われてきて、オンデマンドだと何度も授業を見ることができるんだと。大学のオンライン授業の位置づけについて、確認をしたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 遠隔教育につきましては、自分の選んだ場所で授業を受講できるなど、地理的、空間的、時間的制約からの解放が利点として挙げられる一方、学生と教員との間で質疑応答のやり取りの機会が少なくなるといった課題もあるところでございます。文部科学省としては、各大学において、学修者本位の視点に立って、遠隔教育と面接授業の双方のよさを最大限に生かした教育の可能性を追求することが重要であると考えております。

 このため、遠隔教育の利点と課題を踏まえ、本年三月に、遠隔授業の実施に関する主な留意点や各大学等の取組事例を踏まえた、遠隔授業の実施に当たっての授業運営、学修評価、指導体制に関する知見などについてまとめた大学・高専における遠隔教育の実施に関するガイドラインを策定し、各大学、高専に周知いたしました。

 本ガイドラインの周知等を通じ、引き続き、各大学等における遠隔教育の効果的な実施を促してまいりたいと考えております。

遠藤(良)分科員 皆さん、勉強はすごく多分されてきて、すごく賢い方々なんですけれども、その中で、岸田総理がリスキリング教育に力を入れていくんだということで、リスキリングに対する公的支援については、人への投資を五年間で一兆円のパッケージに拡充するんだというところなんですけれども、社会人が大学や大学院で夜間学び直す機会が重要であるんだというところだと思うんです。

 これも同じようにオンライン授業が活用されるのかなというふうに思うんですけれども、社会人の学生について、どのようにオンラインの授業を活用していくのか、お尋ねしたいと思います。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 生涯にわたりまして学び、そして、社会人が新たな知識をしっかりと取り込んで能力を得るためのリスキリング、リカレント教育の推進に当たりましては、大学などにおきまして社会人が学びやすい環境整備を行うことが、やはり、委員おっしゃるとおり、重要だと思っております。

 文部科学省では、大学などにおきます社会人向けの教育プログラム開発を支援いたします予算事業におきまして、オンライン授業の活用を促進しております。令和四年度に、実際に約七割のプログラムがオンデマンド形式又は双方向のオンライン授業を取り入れております。

 また、大学などの実践的、専門的講座を職業実践育成プログラムといたしまして三百九十四課程を認定しておりますが、この要件といたしましては、オンライン授業の活用など、社会人の皆さんが受講しやすい工夫を求めているところでございます。

 また、さらに、社会人の学びを応援いたしますポータルサイト、マナパスでは、やはり大学、専門学校等が社会人向けに提供いたします教育プログラムが検索できまして、オンラインで受講できるものに絞った検索も可能でございます。

 引き続きまして、オンライン授業の活用を含めて、社会人が働きながらでも学びやすい環境整備、これを促進してまいります。

遠藤(良)分科員 社会人、特に女性が子育てをしながら、報道でも、ちょっとリスキリングは難しいでとかというのも見たりしたんですけれども、そこを、やはり働きながらというよりも、家庭にいるお母さん方がこういうものを使って学べる機会があれば、よりこういうリスキリングのパッケージなんかは生かされてくるのかなというふうに思うんです。

 次に、ちょっと質問を変えたいと思います。原子力、JAEAのところです。

 日本原子力研究開発機構がJMTRという試験炉を運転している。これは高経年化対策で平成十八年に運転停止をしたというところで、その後、東日本大震災で運転が再開できずに、耐震力不足のため、平成二十八年に廃炉が決定した。

 ここで、会計検査院から、十一億円の節約ができたんだという指摘があると思います。これは機構内で情報共有ができていなかったというところなんですけれども、この再発防止をどのように図っていくのか、お尋ねしたいと思います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、平成三十年度の決算検査報告におきまして、原子力機構の材料試験炉、JMTRの運転再開時期の見通しが立たない状況におきましても、燃料要素の製作等を留保せず、処理、処分等が必要な未使用の燃料要素等が発生した事態が問題であるとの御指摘をいただきました。

 このような事態が生じましたのは、原子力機構において、新規制基準の対応状況、運転計画、燃料要素の在庫量等を把握した上で新たな燃料要素の製作開始指示等を判断する体制が取られていなかったことが原因であったと承知しております。

 このため、本指摘を踏まえ、原子力機構では、令和元年九月に新たに規程を整備いたしまして、新たに見込まれる燃料要素の製作に当たりましては、製作開始指示の発出等に当たり、新規制基準の対応状況等を踏まえた上でその必要性を判断すること、製作開始に当たっては、運転計画等を統括する上位部署等の確認を受ける体制とすることを徹底してございます。

 文部科学省といたしましては、原子力機構において引き続き適正な発注管理体制が取られるよう、指導監督してまいります。

遠藤(良)分科員 これは是非、こういう情報共有ができていればこの十一億円というのは節約できたと思いますし、ここはしっかりとしていただきたいなというふうに思うんですけれども。

 そこもあってなのか、大学の研究炉というのはもうなくなってきているんだ、JAEAの研究炉も複数廃炉が進んでいって、その中で、現在の研究炉の現状を確認したいと思います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の原子力分野の研究開発、人材育成の基盤であります試験研究炉は、一九九〇年代には二十基程度の炉が運転している時期がございましたが、東日本大震災以降は、新規制基準対応等のため一時的に運転可能な炉がなくなり、その後、一部の炉で運転を再開する一方で、施設の老朽化や新規制基準対応等のために廃止措置に移行した炉もある状況でございます。

 令和五年度時点で運転を再開している試験研究炉は六基であり、少なくなってきているものと認識しております。

遠藤(良)分科員 一方で、原子力の人材が欠かせないというところで、実際、こういった研究炉が減っていくと人材の育成もなかなか進まないですし、優れた技術というのは本当に確保していかないといけないので、そういう背景がある中で、原発の安全性確保という観点、この中でも、人材というのは本当に非常に重要だと思います。

 研究炉の新設のところなんですけれども、どういうふうに今考えられているのか。また、あと、予算確保の点、これも確認したいと思います。

永岡国務大臣 試験研究炉は、我が国の原子力分野の研究開発ですとか、また、人材育成を支えます基盤として不可欠な施設でございまして、新たな炉も含めて、その整備、運用を進めることは大変重要と認識はしております。

 その観点から、廃止措置を進めております「もんじゅ」の敷地内におきまして、原子力分野の研究開発、人材育成を支えます西日本の中核的拠点を整備すべく、これはJAEAを実施主体といたしまして、新たな試験研究炉の設置計画を進めております。

 今年三月には詳細設計の段階に移行したところでございまして、文部科学省といたしましては、本試験研究炉の設置に係ります予算としましてこれまでに約十億円超を計上してきたところでございまして、引き続きまして、詳細設計等の進捗等を踏まえつつ、必要な予算、これはしっかりと要求をしてまいります。

遠藤(良)分科員 政府は、GX電源法で、脱炭素化を進めていくために原発は活用していくんだという方向だと思います。

 JAEAの役割について、どのように捉えられているのか。あとは、ほかの民間の部門との連携の在り方について、これも併せて確認したいと思います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力につきましては、本年二月に閣議決定されましたGX実現に向けた基本方針におきまして、脱炭素の取組の一つとして原子力の活用が位置づけられるなど、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現やエネルギー安全保障の確保の観点から、これまで以上に期待が高まっているものと認識しております。

 文部科学省といたしましては、JAEAの中長期目標の中に、原子力科学技術によるカーボンニュートラルへの貢献を位置づけたところでございまして、JAEAにおいて、高温ガス炉や高速炉などの次世代革新炉に係る研究開発を実施するなど、我が国全体の研究開発や人材育成に貢献するプラットフォーム機能の充実を図っておるところでございます。

 また、こうした研究開発を進めるに当たりましては、産学官がしっかり連携をして、研究開発、人材育成をやっていきたいというふうに思っております。

 文部科学省といたしましては、原子力機構に期待する役割が果たされるよう、引き続き必要な支援をしてまいります。

遠藤(良)分科員 おっしゃられたみたいに、産官学が連携してこの原発政策についてはしていかないといけないというふうに思いますので、是非とも、特にこの人材育成、また研究炉については、しっかりと活用していただきたいというふうに要望して、最後の質問に移りたいと思います。

 国立大学法人京都大学の、チンパンジーの研究が進んでいるというところで、霊長類研究所で、チンパンジーの研究の世界的権威である教員が、チンパンジーの大型ケージ、おりの架空取引を指示するという事案があった。これも、会計検査院から、十一億円の不当な支出があるんだということで指摘をされています。

 これは私的流用はなく、研究用ということで使っていたみたいなんですけれども、ただ、とはいえ、不適正な会計の経理は認められないですし、そういった中で、今後このようなことが起こらないようにするためには、再発防止策を確認したいと思います。

柿田政府参考人 お答えいたします。

 京都大学におきましては、同大学の霊長類研究所等におけるチンパンジー用大型ケージ等の整備に当たって、不適正な会計処理を行っていたものとして、令和元年度決算検査報告において、約十一億二千八百万円の支払いが不当事項として指摘を受けたものと承知しております。

 文部科学省におきましては、公的研究費の管理・監査のガイドラインに基づきまして、令和二年度末までに京都大学に対する調査を行い、不正発生要因の分析、評価とリスクマネジメント、不正を起こさせない組織風土を形成するための取組、組織的牽制機能の充実等の改善事項を京都大学に対し示したところであります。

 これらの改善事項に対しまして、京都大学においては、不正事案の要因分析等を踏まえた不正防止計画の改定、コンプライアンス教育の見直し、監事、監査法人との連携強化等の再発防止策を講じたところでありまして、文部科学省によるフォローアップ調査において、昨年三月に改善事項が履行されたことを確認いたしております。

 研究費の不正使用は、研究活動に対する国民の信頼を揺るがすものであるため、文部科学省としましては、引き続き、ガイドラインに基づき、研究現場における不正防止の取組の徹底を図ってまいります。

遠藤(良)分科員 不祥事があっても、チンパンジーの研究は進めていくべきだと思います。

 研究の支援について、最後、どのように考えられているのか、お尋ねしたいと思います。

森(晃)政府参考人 京都大学では、令和四年の四月に霊長類研究所を改編いたしまして、フィールド研究等の分野を学内関係部局に統合するとともに、脳科学研究を主とする実験的研究を行う新組織といたしましてヒト行動進化研究センターを設置し、霊長類学を大学全体で推進する体制を構築していると認識してございます。

 文部科学省といたしましては、京都大学が培ってきたチンパンジー研究を始めとする霊長類学研究分野におきますこれまでの実績や、大学の要望を踏まえて、適切に対応を行ってまいりたいと考えております。

遠藤(良)分科員 ありがとうございます。

 是非、チンパンジーも、僕も昔、京都のものを何か本で見たんですけれども、レオ君というのがあって、多分御承知だと思うんですけれども、全身不随になって、顔だけがはっきりしていてというのがあったりするんですけれども。

 それを見たときに本当に感動して、教育者がそういうのを積極的に取り組んでいるということも覚えていただいて、引き続き取り組んでいただきたいということを要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大野主査 これにて遠藤良太君の質疑は終了いたしました。

 次に、山崎正恭君。

山崎(正)分科員 公明党の山崎正恭です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、大変にありがとうございます。

 大臣、私が最後の質問者になりますので、どうぞよろしくお願いします。

 早速、質問に入りたいと思います。

 先ほどの遠藤委員からも少しお話がございましたが、まず始めに、学校現場のGIGAスクール構想におけるモバイルWiFiルーターの使用状況についてお伺いします。

 新型コロナウイルスの蔓延によりまして、GIGAスクール構想が当初の予定より前倒しで実施され、児童生徒への一人一台端末が加速度的に進みました。コロナ禍における学校休校中の学習支援としても一人一台端末の使用が進み、その際に、インターネット環境が整備されていない家庭への貸出し用モバイルWiFiルーターが整備されたと思いますが、その貸出し用モバイルWiFiルーターの現在の使用状況と、それに対する認識、さらに、今後の方針についてお伺いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のモバイルWiFiルーターについては、全国一斉臨時休校が行われていた当時の状況を踏まえ、休校時等においても学びの機会を保障するため、補正予算を活用し、整備をしたものでございます。

 使用率が低調となった理由については、地方自治体に調査をしたところ、臨時休校の状況が落ち着いたこと等から想定より貸与希望者が少なかった等の回答がありました。

 一方、こうして整備をされたルーターの有効活用を図っていくことは極めて重要と認識しております。

 このため、文部科学省では、遠足や社会科見学などの校外活動や、長期欠席の子供へのオンライン教育相談など、家庭学習以外の有効な活用方法等を本年二月に周知をしたところでございます。

 今後も、あらゆる機会を通じて、本来の目的である家庭学習での活用を含め、WiFiルーターの有効活用を促進してまいりたいと考えております。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 本当にこれは、あの当時に家庭環境が、もしそういうふうな事情で勉強ができなかったらいけないということで、これは丁寧に進めてくださっていると思います。各学校に聞いていただいて、市町村に聞いていただいて、その必要数をそろえてくれたということで、必要な生徒がいたのに使えなかったという状況ではなくて、逆に余裕があってというか、予想以上に家庭環境の方も、家庭の方もWiFiの環境が整ったというふうなこともお伺いしておりますが。

 あと、先ほどありましたように、何とか課外活動とかそういったところで使えないかという通知があったということも、学校現場も周知がされておりますので、何とか使おうというふうなところがありますけれども。

 本当は、一人一台端末がもっと使用されるようにといいますか、家庭において使えるようになっていくといいと思うんですけれども、現状とすると、端末は配られたんですけれども、家に持ち帰ってそれを頻繁に使うというふうな機会がそもそもまだそれほど多くないので、このWiFiルーターが出ていっていないというふうな現状も一つはあるようでございます。

 ただ、これを、一人の教員とか一つの学校でそういったものを開発して、もっともっとより有効的な家庭学習を行うためにタブレットが使われるようになるというのは、なかなかその方法を、そこに任すのは難しいと思いますので、例えば、都道府県の教育委員会単位でとか、市町村の教育委員会単位とか、そういった形で、しっかりと子供たちの学習が進む、せっかくタブレットが、一人一台端末が配られておりますので、しっかりと使用できるような、そういった開発をお願いしたいと思います。

 それと、もう一点、原因があると思っているのが、よくよく聞いていると、やはり各家庭でWiFi環境を整えることができないところが、貸してもらえるんだったら別に家でそういう契約をしなくてもいいんじゃないかということで、安易にこのレンタル用のルーターを使われたら困るということで、学校によって結構ルーターの貸出しのハードルを上げたといいますか、非常にそういうのを上げて、そういったところでほとんど学校において貸出しの要望がなかったというふうなことがございます。

 これは気持ちが分からないわけではないですが、余りそれをやり過ぎてしまうと、本来、経済的に厳しい子供さんのために貸し出すといった、そういった目的と本末転倒になってしまうというふうなところがございますので、少しそういうふうな状況があるという、少し貸出しに対して慎重になり過ぎているという状況も、是非、もう御存じかもしれないですけれども、頭に入れていただいて、今後の活用について考えていただけたらというふうに思います。

 引き続いて、せっかく子供たちに配付していただいた一人一台端末の更なる活用についてお伺いします。

 この一台端末です、特別支援教育における活用効果については、今後更なる可能性を強く感じています。

 先日、我々公明党のGIGAスクール構想推進委員会の中で、特別支援教育における端末活用について、長野県における取組についてお聞きする機会がありました。

 長野県においては、例えば、肢体不自由の子供さんは知的障害を併せて共有する子供さんが多く在学しているパターンが多いようで、情報の基礎となるコミュニケーションを豊かにする方法として、AAC、拡大代替コミュニケーションを活用した指導が多く取り入れられており、様々なアシスティブテクノロジーを活用して他者とのやり取りをする中で、僅かな表現を大きくしたり、別の表現方法に置き換えたりすることで、表現力を高めたりされています。

 もう少し具体的に言いますと、例えば、肢体不自由の子供さんが楽器を演奏することがなかなか困難であった場合には、作曲で豊かな自己表現を養ってもらうように、スイッチを押せば太鼓演奏ができるような、そういった機器があったりとか、体の動きや意思の表出により、適切な補助具や補助的手段の工夫をしたりする。若しくは、デジタルノートを活用したりすることで、書くことが苦手な子供さんへの負担を軽減しているというふうな活用もあると聞いております。

 視覚障害の子供さんには、視覚補助具や、触覚、触れる教材を使って、点字のディスプレーがあったり、画面の拡大機能があったり。

 また、聴覚障害の子供さんには、視覚から情報が多く入ってくるような工夫をされているというふうに聞きました。また、聴覚障害の子供さんには、補聴器や人工内耳の利用により、子供の保有する聴覚を最大限に利用しながら効果的な学習活動が展開できる、そういった工夫もされております。

 また、病弱の子供さんには、最近、バーチャルリアリティー、VRが発展してきましたので、体験的な活動ができない子供さんには、バーチャル、仮想的な空間によって、疑似体験、仮想体験を取り入れられており、本当に子供たちが、要は、各個人の障害の状態に応じた効果的な指導方法ができるようにICTを活用することによって、子供たちの学習環境を整えて、そして、子供たちが本来持っている学習意欲を高めていく、そういう取組を行っておられます。

 私は、この長野県における取組に見られるように、特別支援教育におけるICTの活用についてはますます今後可能性が広がっていくと強く感じます。特に、これを充実させていくためにはアプリの開発が非常に重要だと思いますが、特別支援教育におけるアプリ開発の現状についてお伺いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 特別支援教育におけるICT活用は、児童生徒の情報活用能力の育成を図りつつ、障害による学習上又は生活上の困難の改善、克服を図る上でも大変重要と認識をしております。

 現在、文部科学省では、ICTを活用した障害のある児童生徒に対する指導の充実を図るため、大学や民間企業に対し、文部科学省著作教科書と関連したアプリなどのデジタル教材の開発を委託し、障害の特性に応じた効果的な指導の在り方について研究するための事業を行っているところでございます。

 本事業につきましては、令和四年度は八千三百万円の予算を計上したところでございますが、令和五年度は、前年度より増額し、九千七百万円の予算を確保しているところでございます。

 引き続き、学習アプリの開発や活用も含め、障害のある児童生徒へのICTの活用の充実に努めてまいりたいと考えております。

山崎(正)分科員 ありがとうございます。

 一千三百万から九千七百万ということで、これを聞くだけでもかなり強化してくださっているなというふうに思います。

 先日、青木先生も言われていました。今までも文部科学省が非常にこういったところの開発に力を入れてくれて、それによっていい教材が開発されてきたと。ただ、どうしても、言われていたのは、今後ますます変わっていくとか発展していく中で、更にこの支援を継続していただきたいということを強く強く、現場で一生懸命これを子供たちのために頑張っている先生が言われておりました。更なる進展が期待したいというふうに思います。

 特に、この分野の開発は、これから進んでいくと、一学校とか一市町村とかではなくて、すごく一般化できる、日本中のどこの学校でも使えるような開発だと思いますので、国の方で力を入れて、更なる開発の強化を行っていく必要があるのではないかと思いますが、先ほど強化してくださっていることは分かったんですけれども、改めまして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、学習用のアプリを始めといたしますデジタル教材は、本当に一人一人の障害の特性に応じた指導を行うため、大きな可能性を秘めていると考えております。

 先ほど政府参考人の方から答弁がありましたけれども、文部科学省では令和四年度より障害の特性に応じた学習用のアプリ等の開発等に係る事業を実施しておりまして、二年目に当たります令和五年度は、事業者において学校現場で実践をする機会を設けて、教員や児童生徒の声を反映させるためのもの、成果物として周知をする予定でございます。

 引き続きまして、本事業の成果がしっかりと学校現場に行き渡りますように取組を進めてまいりたいと考えております。

山崎(正)分科員 どうも、大臣、ありがとうございました。何とぞよろしくお願いいたします。

 また、この分野は、アプリの開発と並行しまして、これをしっかりと活用できる教員の人材育成も非常に重要であると思いますが、その点についての、今後の育成方針について、大臣の御所見をお伺いします。

永岡国務大臣 障害によります困難の改善、克服を図るために、特別支援教育におけます教員のICTに関する専門性の向上は本当に重要でございます。

 このため、独立行政法人国立特別支援教育総合研究センターによりますインターネットによる講義配信におきまして、ICTの活用に関する研修プログラムを盛り込むことなどを通じまして、教員の主体的な取組を支援をしております。

 加えて、学校のICT活用を広域的かつ組織的に支援をしますGIGAスクール運営支援センター事業によります教育委員会のICT研修の充実などの機能強化による経費についても支援を行っております。

 引き続きまして、特別支援教育に関わる教員も含めて、ICTに関する専門性の向上、これは促してまいります。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 先日、お話をお伺いした長野県なんかは、青木先生がトップになりながら、県内を四ブロックに分けて、四ブロックにそれぞれ教員のブロックリーダーがいて、そして各学校に、それぞれの学校に推進リーダーがいるということで、これは非常にうまく回るのではないかなというふうに思います。

 特にこの分野はアプリなんかも共通しながら、そういった形でやると、目に見えて、子供たちへの効果が見えやすいので、やはり教員もやりがいを感じますし、分かりやすさもあると思いますので、しっかりとこのシステムというか体制を整えていけば非常に効果があるし、子供たちの充実が図られると思いますので、是非、また国の方でもしっかりとそういった更なる体制整備の方をよろしくお願いいたします。

 次に、教員不足や専門人材の育成について質問をさせていただきます。

 近年、学校現場においては発達障害の子供さんへの支援の充実が大変重要でありまして、医療との連携も進んでおりますし、また、保護者の皆さんも小さいときからの適切な支援が重要だとの認識の高まりから、全国的に自閉症、情緒障害児学級が急増しております。対象児童生徒数もここ十年で十三万四千八百六十一人の増加で、それに伴い、自閉症、情緒障害児学級数も三万五千五百十五学級となっています。

 例えば、私は元中学校の教員ですが、中学校の教頭をやっておりました。私が最後に勤務した中学校でも、私が勤務していた五年前は情緒障害児学級は一学級だったんですけれども、昨年は四学級まで増えました。

 これは、まず校区内の小学校が児童発達の専門の医師との連携により、保護者の皆さんの理解を醸成しながら、発達障害の子供さんへの支援を進めていく中で、まず小学校において自閉症、情緒障害児学級が増えていきました。保護者の皆さんの意識も大変高まってきますので、しっかり卒業時には小学校と中学校で引継ぎを行いました。そういった状況の中で、中学校の方も段階的におのずと情緒障害児学級を増やして、支援の充実を図ってくるということが進んでまいりました。そういった状況で、だんだんと学級数が増えてきました。

 そういった中で、発達障害の子供さんが増加している一方で、早い段階から専門的な支援をすれば改善する効果も大きいということが考えられます。

 例えば、先ほど申し上げましたとおり、昨年までの五年間で一学級から四学級に私が勤務していた中学校は増えたんですけれども、今年は三学級に減りました。これはどういうことかといいますと、小学校段階からの丁寧な支援によりまして、中学校からは普通学級に在籍するという生徒が増えてきたことによります。

 このように、専門機関とも連携した取組が非常に重要ではありますが、そういった状況の中で、実は私のところに最近よくある御相談が、専門的な支援が受けられると思って自閉症、情緒障害児学級に在籍したが、担当の先生に専門性がない、若しくは低くて困っているというお声です。

 そこで、情緒障害児学級の増加に伴い、情緒障害児学級が指導できる専門人材が必要ですが、その現状と今後の育成方針について、大臣にお伺いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 自閉症、情緒障害も含めまして、特別支援学級に在籍する子供の数、直近十年間で二倍以上となる中、専門性を担保しつつ、やはり特別支援教育に関わる教師を増やしていくことが重要と認識をしております。

 文部科学省では、令和元年度から、教師を目指します全ての学生に対しまして特別支援教育に関する科目を必修化するとともに、令和四年三月に取りまとめられました検討会議の報告を受けまして、全ての新規採用教員がおおむね十年目までに特別支援教育を複数年経験するといった方向性を教育委員会等に通知をしたところでございます。

 さらに、本年三月には、校長のリーダーシップの下で全教職員で組織的に対応するための校内支援体制、これを確立する必要性につきまして関係者に通知をしております。

 引き続きまして、教師の専門性向上を始めとした特別支援教育の充実、これは努めてまいります。

山崎(正)分科員 大臣、丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 そういった形で、やはり大学の教職段階からしっかりやっていただいて、十年目までにやっていただくということで随分違ってくると思いますので、是非丁寧な育成をお願いしたいと思います。

 といいつつも、なかなか急速な人材育成は難しいと思います。急に育っていくのではなくて、しっかりと経験を積んでいきながら、先ほど言ったように、長いスパンで計画的にやっていただくことが大事ですけれども、すぐには難しいので、自閉症、情緒障害児学級だけではなく、先ほど質問いたしました肢体不自由や視覚障害、聴覚障害、知的障害などの子供さんたちへの充実した支援のためには、チーム学校の理念の下、現在、全国の学校に配置されているスクールカウンセラーさんやスクールソーシャルワーカーといった専門人材だけではなく、例えば言語聴覚士さんや視能訓練士さん等の専門人材の力をかりて、学校現場に生かしていくことが必要だと思いますが、その認識と今後の取組について、大臣にお伺いいたします。

永岡国務大臣 山崎委員おっしゃいますように、やはり複雑化、多様化します教育課題に対応する上で、心理ですとか、また福祉などに関する専門家、そして教師の業務を支援をいたしますスタッフとの連携、分担を進めまして、チーム学校を実現することは重要であると認識をしております。

 このため、文部科学省では、教員業務支援員ですとか、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのほかに、言語聴覚士、理学療法士そして作業療法士などの特別支援教育の充実を図るための外部専門家などの支援スタッフの配置充実に取り組んでいるところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続きまして、これらの取組の充実等を通じまして、教師が教師でなければできない仕事に全力で取り組んでいただけるよう、環境の整備、取り組んでまいります。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 先ほどあったように、言語聴覚士さんとか様々な専門家の方が入って、例えば県の教育委員会単位でチームをつくって学校を支援するとかという取組は、それぞれの都道府県でも今行われているんじゃないかなと思いますけれども、もう一つ突っ込んだ形で、もう少し小さい単位で学校にはいれたりとか、市町村単位ではいれたりとかというふうな支援も、今後、なかなか専門人材のそれぞれそういったところで動いてくださる人がいるのかというふうな状況にもよると思うんですけれども、ますます進んでいくことで、実は保護者の皆さんからも言われるんですけれども、そういう専門人材の方からも、やはりもう少し学校は専門性を上げていくべきじゃないかというふうなお声がよく上がってきます。

 かといいつつも、先生方もいろいろな業務をやっている中でですので、やはり急に専門性を身につけることは難しいので、やはりチームとして組んでいくことがお互いのよさを吸収していくことでもあると思いますので、何とぞ、難しいことは分かっておりますが、この取組がより進んでいく、そういった形で後押しをしていただけたらというふうに、よろしくお願いします。

 次に、教員の人材不足についてお聞きします。

 御存じのように、学校現場における教員不足は深刻で、本当に多くの教育関係者の方から、何とかできないのか、もう本当に悲鳴を上げているぞ、今頑張っている先生が倒れるからしっかりやってくれというふうに、元教員でもある私のところに多くのお叱りにも似た声が上がってくるところでございます。

 特に私の地元高知県などでは非常に深刻で、せっかく国や県は、先ほど言った特別支援や不登校とか様々な支援のために、教員定数以上に加配教員の枠を準備して、手厚い指導、支援ができるような体制をつくってくれているにもかかわらず、超深刻な教員不足によりまして、その加配枠を担当する教員がいない、臨時教員がいないということもあって、その枠が空白のまま四月をスタートするという、これまた深刻な、また残念な状況が続いております。それは本当に実感として、どんどん今、年々ごとに深刻化しているなというふうに思います。

 そこで、この深刻な教員不足に対して、やはり国として今後どのように取り組もうとされているのか、改めて大臣にお伺いいたします。

永岡国務大臣 やはり、教師不足の状況につきましては危機感を持って受け止めております。

 また、教師不足が発生する構造的な要因としては、まずは、近年の大量退職とそして大量採用によりまして、二十代から三十代の教師が増加をいたしました。そこで、年代で見ますとやはり産休ですとか育休の取得者が急増したことですとか、特別支援学級が見込み以上に増加をしたことなどによりまして、臨時的任用教員の需要というものが増加をしております。その一方で、採用枠の拡大などによります倍率の低下に伴いまして、臨時的任用教員の候補者の正規教員としての採用が進みまして、なり手が不足していることなどが主な要因であると考えております。

 このため、文部科学省といたしましても、教師のなり手を確保するため、全国各地の教師募集情報を一覧できますサイトの開設ですとか、現在教師に就いていない免許保持者に対する、これはペーパーティーチャーと呼んでおりますけれども、そのペーパーティーチャーに対します教職への入職支援、そして、教師の仕事の関心を高めるための各教育委員会の取組への支援など、様々な取組を行っているところでございます。

 また、令和五年度から、年度の初期頃に産休、育休を取得することがあらかじめ見込めます教師の代替者を、任命権者でございます教育委員会が年度当初から任用する取組の支援も行っております。

 学校におけます働き方改革も含めまして、文部科学省、教育委員会、学校現場が一体となって多角的な取組を進めていくことが不可欠であると認識しておりまして、各教育委員会の実情を聞きつつ、国としても更なる教師のなり手確保の取組を検討してまいりたいと思っております。

山崎(正)分科員 ありがとうございました。

 本当に国としてもありとあらゆる手を使って今やってくださっているというふうに思います。

 ただ、大量退職になって、これからピークは過ぎていくかもしれないんですけれども、残念ながら、今いろいろブラックと言われているように、じゃ、今の状況でいったときに、志願者数が増えてくる要素があるのかというか、残念ながら、本当に教員としての仕事の魅力を伝えていかないと、志願者数も同じように減っていけばピークを過ぎたことにならないんじゃないかなというふうな危機感を抱いています。退職者は減っても志願者数が減ればもっと深刻になるというふうな、そういった可能性すら感じる今の現場の危機的状況だというふうに思います。

 私も先ほど言ってくださったようなことは知っていまして、例えば、ペーパーティーチャーの人に復活してもらうとか、高知県においても教育長が自ら街頭に立って教員募集を行ったりとか、本当に涙ぐましい、文科省も国も県もやっているというふうには分かっているんですけれども。

 今、残念ながら、最もこの教員不足を支えているのは何かというと、退職の年齢を迎えた先生方が頑張ってくれています。もう六十代は当然のことで、七十代の人もやってくれて、関西の方では八十代の人も一部復活してくれたというふうなお声も伺っております。そこが一番実際効果的な策として、その人たちが辞めずに踏ん張ってくれているということであって。

 やはり、もう一回、様々な、大学生とかへもいろいろな、地方によってはいろいろな取組をやっているようです。例えば北海道なんかは、高校生や大学生向けに、本当に魅力ある教員のところを語れる、しゃべる先生も限定して、その先生たちがしっかりと熱く語ることで、やはり子供たちの反応は、学生の反応は違うみたいで、グループディスカッションとかを一緒にやっていく中で、本当に、この子は教員に向いているなという子供さんたちには声をかけたりということで、そういった中で教育学部への進学とか教育系の大学に進んだというふうな、地道ですけれども非常に確かな、そういった人たちというのは将来学校現場で中心になっていくような人材になるんじゃないかなと思ったりもしたところでございます。

 やはり、今本当に大変なので、どの施策が一番教員不足に対して効果的なのか、これもしっかり検証していきながら、効果的な施策を拡大していく。そして、効果的、今一番やはり退職した後の先生方が頑張ってくださっているのであるならば、その待遇面も含めて何かできることはないのか、一年でも二年でも長く、じゃ、頑張ろうかと思っていただけるような策を、ずっとじゃなくてもいいので、今臨時的にやっていくとか、そういうふうな現状に見合った分析をしながら、この教員不足の問題、取り組んでいただけたらというふうに思います。

 時間となりましたので、質問を終わりたいと思います。終始丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 以上で終わります。ありがとうございます。

大野主査 これにて山崎正恭君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして文部科学省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後三時四十三分散会


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