衆議院

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第1号 平成28年11月21日(月曜日)

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本分科会は平成二十八年十一月十七日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

十一月十八日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      赤枝 恒雄君    瀬戸 隆一君

      武田 良太君    西川 公也君

      牧原 秀樹君    八木 哲也君

      青柳陽一郎君   松木けんこう君

      松浪 健太君

十一月十八日

 武田良太君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十八年十一月二十一日(月曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 武田 良太君

      赤枝 恒雄君    瀬戸 隆一君

      中川 郁子君    前川  恵君

      牧原 秀樹君    八木 哲也君

      菅  直人君   松木けんこう君

      松浪 健太君

   兼務 中川 康洋君 兼務 田村 貴昭君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   経済産業副大臣      松村 祥史君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   経済産業大臣政務官    中川 俊直君

   会計検査院事務総局第二局長            岡村  肇君

   会計検査院事務総局第四局長            寺沢  剛君

   会計検査院事務総局第五局長            斎藤信一郎君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        中島  誠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 池田 憲治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         武田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鈴木 康裕君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 茂明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三田 紀之君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

   決算行政監視委員会専門員 塚原 誠一君

    ―――――――――――――

分科員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  西川 公也君     前川  恵君

  青柳陽一郎君     菅  直人君

  松浪 健太君     吉田 豊史君

同日

 辞任         補欠選任

  前川  恵君     中川 郁子君

  菅  直人君     青柳陽一郎君

  吉田 豊史君     松浪 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     西川 公也君

  松浪 健太君     吉田 豊史君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 豊史君     松浪 健太君

同日

 第二分科員中川康洋君及び第四分科員田村貴昭君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十四年度政府関係機関決算書

 平成二十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十五年度政府関係機関決算書

 平成二十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十五年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (厚生労働省、農林水産省及び経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

武田主査 これより決算行政監視委員会第三分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました武田良太でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管、農林水産省所管及び経済産業省所管についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成二十四年度決算外二件及び平成二十五年度決算外二件中、厚生労働省所管、農林水産省所管及び経済産業省所管について審査を行います。

 これより厚生労働省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 平成二十四年度及び平成二十五年度厚生労働省所管一般会計及び特別会計の決算の概要につきまして御説明申し上げます。

 まず、平成二十四年度の決算について申し上げます。

 一般会計につきましては、歳出予算現額三十兆三千百七十九億円余に対して、支出済み歳出額二十九兆五千九十二億円余、翌年度繰越額千九百八十六億円余、不用額六千百億円余で決算をいたしました。

 次に、特別会計の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、労働保険特別会計につきましては、労災、雇用及び徴収の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額六兆五千六百八億円余、支出済み歳出額六兆一千八百二十八億円余、翌年度繰越額二十七億円余、未経過保険料相当額百七十二億円余、支払備金相当額千七百九十一億円余であり、一般会計からの超過受入額を調整し、差し引き千七百四十九億円余を翌年度の歳入に繰り入れるなどして、決算をいたしました。

 第二に、年金特別会計につきましては、基礎年金勘定等の七勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額八十兆一千二百六十六億円余、支出済み歳出額七十六兆五千七百九十二億円余、翌年度繰越額九千三百二十六万円余であり、差し引き三兆五千四百七十三億円余をこの会計の積立金として積み立てるなどして、決算をいたしました。

 最後に、東日本大震災復興特別会計につきましては、歳出予算現額二千八百七十四億円余に対して、支出済み歳出額二千五百九十七億円余、翌年度繰越額二百五十三億円余、不用額二十三億円余で決算をいたしました。

 次に、平成二十五年度の決算について申し上げます。

 一般会計につきましては、歳出予算現額三十兆四千八百七十八億円余に対して、支出済み歳出額二十九兆六千二百九十三億円余、翌年度繰越額六千五百八十八億円余、不用額千九百九十五億円余で決算をいたしました。

 次に、特別会計の決算につきまして御説明申し上げます。

 第一に、労働保険特別会計につきましては、労災、雇用及び徴収の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額六兆七千百四十一億円余、支出済み歳出額六兆一千四百四十六億円余、翌年度繰越額十一億円余、未経過保険料相当額二百四億円余、支払備金相当額千七百六十一億円余であり、一般会計からの超過受入額を調整し、差し引き三千六百五十億円余を翌年度の歳入に繰り入れるなどして、決算をいたしました。

 第二に、年金特別会計につきましては、基礎年金勘定等の七勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額七十八兆二千四十三億円余、支出済み歳出額七十六兆八千七百三十四億円余、翌年度繰越額一億円余であり、差し引き一兆三千三百七億円余をこの会計の積立金として積み立てるなどして、決算をいたしました。

 最後に、東日本大震災復興特別会計につきましては、歳出予算現額千八十六億円余に対して、支出済み歳出額七百七十二億円余、翌年度繰越額百四十三億円余、不用額百七十億円余で決算をいたしました。

 以上をもちまして、厚生労働省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

武田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院岡村第二局長。

岡村会計検査院当局者 平成二十四年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、保険料の徴収が適正でなかったもの、会計経理が適正を欠いていたものなど計二百六十五件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、不正受給疑い事案における徴収金等債権に係る事務処理に関するもの、単身世帯の被保護者の死亡により保護を廃止する場合や葬祭扶助を行う場合に係る取り扱いに関するものなど計十二件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、国が基金法人に国庫補助金等を交付して設置造成させた基金に関するもの、保育所緊急整備事業の実施に関するもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 続いて、平成二十五年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、保険料の徴収が適正でなかったもの、会計経理が適正を欠いていたものなど計二百一件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、労働保険の未手続事業に係る認定決定及び保険料の徴収に関するもの、厚生年金特例法の運用に関するものなど計十件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、地域医療再生基金及び医療施設耐震化臨時特例基金に関するもの、中央職業能力開発協会の緊急人材育成・就職支援基金に関するもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

武田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 平成二十四年度及び平成二十五年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりであり、まことに遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、その是正措置を講じているところでありますが、今後このような御指摘を受けることのないよう、指導監督の強化を図り、より一層予算の適正な執行に努めてまいる所存であります。

武田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武田主査 以上をもちまして厚生労働省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

武田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川康洋君。

中川(康)分科員 皆様、よろしくお願いいたします。公明党の中川康洋でございます。

 本日は、平成二十四年度並びに二十五年度の決算ということで、私は特に厚生労働省所管のところを御質問させていただきたいというふうに思っております。

 それで、今回は二十四年並びに二十五年度決算の分科会ということでありますが、その前に、ぜひ少し確認をさせていただきたい内容がございますので、先日、厚生労働省主催の会議の中で起こった事案について、まず御質問をさせていただきたいというふうにも思っております。

 二〇〇六年にバリアフリー新法、並びに本年四月には差別解消法が施行されておりますが、今月十一日に障害者政策を検討するために厚生労働省が開催した会合におきまして、委員として招かれた障害のある男性一人が参加できなかったという事案がございました。男性は車椅子の利用者でありまして、会場に入るのに必要な階段の上りおりができないために出席を断念したというようなことでございます。

 報道等によりますと、会合は、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の障害者部会でありまして、都内の民間の貸し会議場で開かれました。会場は中二階にございまして、玄関から階段を四十段上る必要があり、逆に、エレベーターで二階まで上がると十五段下がらなければならないという構造になっておりました。

 それで、男性の介助人が先に会場に到着して会議場までのルートを確認したわけでございますが、男性が利用している電動車椅子の重さは百キロほどあり、誰かに手伝ってもらって持ち上げることは危険だと判断をしたそうでございます。結果、介助人は男性に事情を連絡し、会場に向かう途中だった男性はこの会合の出席を断念し、引き返したということでございます。

 ここで厚生労働省に伺いますが、厚労省は今回の事案について、なぜこのようなことが起こってしまったのか、さらにはこの事案についてどのように捉えているのか、まずその御見解をお伺いしたいと思います。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 今月十一日に開催をいたしました社会保障審議会障害者部会におきまして、外部の会場を利用いたしましたが、会議室に入るまでに階段を上らなければならない構造となっておりまして、その委員の方が審議会への出席を断念されることになったという、御指摘のとおりのことがございました。

 これはなぜ起こったのかということでございますが、厚生労働省の事務局におきまして、事前に会場施設がバリアフリーとなっているか否かの現場確認を行っていなかったということが原因でございます。この四月に障害者差別解消法が施行された中、障害者福祉を所管している厚生労働省、しかも障害者政策を議論する審議会でございまして、そこでこのような事態を招いたのは極めて不適切でありますし、まさに恥ずかしいことと言わなければならないというふうに受けとめております。

 会議に出席できなかった委員の方には、即日、担当より謝罪を申し上げましたけれども、私もまことに申しわけなかったことだというふうに考えております。再発防止の徹底が必要であるというふうに考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 私もこの事案を知って非常に驚いたわけでございますけれども、冒頭にも申し上げたとおり、二〇〇六年にはバリアフリー新法ができております。そして、副大臣も言われましたけれども、本年四月には差別解消法が施行されておるわけでございます。そのような中、このような事案が起こったわけでありまして、今、再発防止というお話をいただきましたが、少しそこを具体的にお伺いしたいと思っています。

 厚労省はもちろんのこと、国及び公共団体が主催する会議において、今後このようなことはやはり決してあってはならない。今回はいわゆる厚労省の側が招いた立場でございますので、ここのところ、具体的に再発防止にどのように取り組んでいくのか。私もこれは今回、初歩的なミスだというふうにも思いますけれども、そのところ、改めて確認をさせていただきたいと思います。

橋本副大臣 今回の事案を重く受けとめております。

 十一月十五日付で官房長名の通知を厚生労働省内の全部局長宛てに発出し、障害のある方等が支障なく会議に参加、傍聴できるように対応するように徹底を改めてさせていただいたところでございます。例えば、会議室などを選定するに当たり、予約時の確認や現地確認などを行うことにより、今後、同様の事例が再発しないようにしてまいりたいと考えております。

 通知の方では、きちんと対応するようにといった書き方になっておりますが、これを補足する形で、きちんと予約時あるいは当日現地確認をするということを補足で連絡させていただいております。本当に初歩的なことで、こんなことが起こることは残念というか恥ずかしいことで、申しわけないことでございますけれども、一度起こしたことをもう二度と起こさないというつもりでこれからも取り組んでまいりたいと考えております。

 なお、これまでも、障害をお持ちの方へのこうした審議会の御出席等への配慮ということはそれなりにさせていただいておりまして、例えば、必要となる委員の方に手話通訳者の配置、あるいは点字による資料の準備といった対応をさせていただいております。

 ただ、改めて、今回問題となりました社会保障審議会障害者部会においては、やはり、障害のある方は単に委員として出席されるだけではなくて、傍聴される方もある、あるいは、出席されないけれども、何らかの形でどんな議事内容があったのか知りたいという方もおられるだろうというふうに思います。

 そういう点から、次の部会から、会場において手話、字幕つきの音声動画を準備して、傍聴で、例えば耳が聞こえない方にも審議内容がわかっていただけるようにするとか、あるいは、その動画をインターネットにおいて公開することで、おいでになれなかった方にも障害者政策についてどのような議論があったか知っていただけるようにしたい。こうした対応を考えておるところでございまして、今後も、障害者の方にもきちんと開かれた議論ができるように厚生労働省として取り組んでまいりたいと考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。橋本副大臣から非常に丁寧な御答弁をいただいたかというふうにも思っております。

 私もやはり、厚生労働省所管のさまざまな会議、これからも、いわゆる当該御関係の方からじかにお話を聞く、さらには現場の状況をじかに聴取した上でそれを施策に反映させる、これは非常に大事なことであるというふうにも思っております。そういった意味においては、そういった会議場の選定等、また、今さまざま手話通訳等のお話もいただきました。配慮に次ぐ配慮をしていただいて、そういったところにバリアがあるようなことのないようにお努めいただきたいというふうにも思っております。ありがとうございました。

 それでは、二十四年度、二十五年度決算ということでありますので、二十四年度に制度がスタートしたものでありますとか、例えば二十五年度にその根拠法令が成立したものなどについて、何点かお伺いをさせていただきたいと思っております。

 最初に、平成二十五年十一月に成立し、平成二十六年の十一月に施行された再生医療新法に関連し、何点かお伺いをいたします。

 この再生医療新法に基づく再生医療の技術進歩は今や目覚ましいものがありますが、その中でも、現在、国の先駆け審査指定制度の指定を受けて、札幌医科大学医学部附属フロンティア医学研究所の本望教授を中心に実用化に向けた治験、開発が進められているものに、脊髄損傷再生医療を対象といたしましたヒト体性幹細胞加工製品、通称STR01と言いますが、こういったものがございます。

 そこで、まずお伺いしますが、このSTR01の現在の審査の状況及び実用化のめどについて御答弁をいただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 本望教授による自家骨髄由来幹細胞でございますけれども、これは、脊髄損傷に伴う神経症候や機能障害の改善を目的とした再生医療等製品として開発が進められており、現在、札幌医科大学附属病院において、製品の有効性及び安全性を確認するための治験を実施中という段階にあると承知をしております。

 厚生労働省といたしましては、世界に先駆けて開発され、早期の治験段階で明らかな有効性が見込まれる再生医療等製品を指定し、早期の実用化を支援する先駆け審査指定制度を実施しておりまして、御質問の製品につきましては、ニプロ株式会社から指定申請を受けて、平成二十八年二月十日に指定を行ったところでございます。

 現在の状況でございますけれども、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による優先的な相談や承認審査を行うために必要なデータの収集等に関する指導助言等を行っている段階にございまして、引き続き、製品の早期実用化に向けた取り組みを行ってまいりたいと考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 今回の先駆け審査指定制度、三つ指定をしていただいていまして、世界に先駆けて日本が取り組んでいく、非常に私は積極的な取り組みだというふうにも思っております。その中で、再生医療という、非常にこれから分野が広がっていく、また非常に期待値の高い内容でございますので、この制度をまた厚生労働省としてもバックアップしていただきたいというふうにも思っております。

 少し先の話になっていきますが、先ほど紹介しました札幌医科大学の本望教授、実は専門は、脳梗塞の後遺症を改善する治療法として、患者本人の骨髄による幹細胞を利用した再生医療に取り組んでいる先生でございます。脳梗塞のところが専門でございます。ゆえに私は、現在、この先駆け審査指定制度で実用化に向けた取り組みを進めている脊損に対する再生医療、これは近い将来、その内容の一部変更を行うことにより、脳卒中、特にその中でも七割を占めると言われている脳梗塞の疾患に対する治療にも高い有用性を示すものになるのではないかと期待をしておる一人でございますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。

神田政府参考人 御指摘の、脳梗塞の治療に用いられる再生医療等製品の実用化につきましても、先ほど紹介のありました先駆け審査指定を受けて実施されております脊髄損傷の再生医療等製品の開発と同様、科学的知見を集積することが必要であるというふうに考えております。

 現在、脳卒中についても治験を実施されているものというふうに承知いたしておりますが、厚生労働省としては、今後とも、再生医療実用化研究事業等を活用しまして、再生医療における科学的知見の集積を積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 今、先駆け指定審査制度でやっておる内容を見ていますと、脊損が先に進んでおるんですけれども、これは私、一部変更とかその延長線上でいけるんじゃないかなというふうに思っています。脳梗塞を初めとした脳卒中患者の後遺症障害、ここをどうこの再生医療で解決していくのかという部分においては非常に有効性があるというふうに思うんですね。

 もう一歩ちょっと進んでお伺いしたいんですが、脳卒中は過去においては日本人の死因第一位でありました。しかし、今日の救急救命医療の進展と服薬の発達によりまして、近年、命を落とす人は減少傾向にございます。これは非常に喜ばしいことであるわけですけれども、しかし、命を落とす人は少なくなったわけですが、その反面、半身麻痺や失語症など重篤な後遺症が残る患者がふえてきている、こういった現状もございます。

 この後遺症に対する機能回復とか治療は、最終的にはリハビリで行うということになっておるわけですが、しかし、現在の医療法で定められた期間というのは、原則、リハビリは百八十日間というふうになっておりますし、このリハビリで社会復帰できる人は、比較的後遺症の軽い人に限られているというふうに認識をしております。重篤な後遺症の患者は、なかなか、機能回復に一定の限界があると言わざるを得ません。現に、介護保険において要介護五の患者さんの大体三割か四割、これはやはり脳卒中が原因の方というふうにも言われております。

 そのような医療環境の中で、先ほどから議論をさせていただいております再生医療技術、この実用化というのは大変期待されているところでございます。今後さらに治験とか実用化が進めば、脳梗塞を初めとした脳卒中などの治療や後遺症の回復の分野において、この再生医療とリハビリを組み合わせた治療の可能性、これが私は大きく広がってくるのではないかなというふうにも思っております。

 少し先の話であるかもしれませんが、そこのところも見据えた上で今回の開発また申請というのをしていく必要があるわけですけれども、この再生医療とリハビリを組み合わせた治療の可能性、ここについての厚労省の御見解があれば、お答えを願いたいというふうに思います。

神田政府参考人 御指摘の、脳卒中の患者に対する再生医療とリハビリテーションの組み合わせの効果についてでございますけれども、ことしの八月に、慶応大学の医学部の脊髄損傷治療研究グループから、マウスの慢性期脊髄損傷モデルを使いまして、神経幹細胞の移植と歩行訓練とを併用したところ、相対的、相乗的効果によって有意な運動機能回復を導くことが明らかになったということが発表されております。

 今後とも、こうした科学的知見の集積が重要であるというふうに考えており、厚生労働省としても、引き続き再生医療の研究開発というものを支援していきたいというふうに考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 今、後遺症等が残っておられてリハビリ等頑張られている方、さらには、これから脳卒中とか脳梗塞等で後遺症が残るであろうという方に対して、今の御答弁というのは非常に期待ができる、また、力強い御答弁をいただいたものであるというふうにも思っております。

 まだ治験段階でありますけれども、再生医療というのは非常にこれから可能性の高い分野でございますので、特に脳卒中とか脳梗塞とかして後遺症が残る、それはやはり機能が基本的には壊死してしまっているわけですね。そこに対して再生医療というのは、それをさらに機能回復をさせることができる、そしてリハビリテーションと組み合わせることができる。この組み合わせによる治療をぜひとも進めていただきたいというふうにも思っています。

 その場合、先ほども申し上げたとおり、現在のリハビリの期間というのは、現場でよく話を聞いていますと、原則百八十日間ということが多いというふうにも聞いております。まあ、医者の判断によって延ばすことは可能ではあるんですが、しかし、今後、この再生医療によって、急性期の患者だけではなくて、慢性期の患者にもこの組み合わせによって機能回復の可能性が出てきた場合、リハビリの期間を今以上に柔軟に広く捉えていくこと、これは医療費との関係もありますが、その辺の部分はまた御検討いただきたいと思っています。

 この部分については、きょうは答弁はいただきませんので。少し先の話ですから、また先になって、二十六年度決算ぐらいのときに質問ができればなというふうにも思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、小児がん拠点病院についてお伺いをしたいと思います。

 小児がん拠点病院は、平成二十四年度にその制度がスタートをしたものでございます。具体的には、二十四年の六月に策定をされましたがん対策推進基本計画第二期の中で、新たに小児がん対策の推進が示されるとともに、平成二十四年九月七日の厚労省健康局長通知に基づき、平成二十五年の二月八日に全国十五カ所で指定をされたものでございます。

 そこで、まず初めにお伺いしますが、この小児がん拠点病院の指定の目的及びその狙いについて御答弁を願いたいと思います。

馬場大臣政務官 今御紹介もありましたが、小児がん拠点病院は、地域における小児がん医療及び支援を提供する中心施設として、地域全体の小児がん医療及び支援の質の向上に資すること、地域医療機関との連携などの役割を果たすこととされており、現在、全国で十五カ所が指定されております。

 小児がんの年間発症患者数は二千人から二千五百人に対して、平成二十四年現在では、小児がんを扱う施設は約二百程度と推定されており、少ない臨床経験をもとに診療が行われ、必ずしも適切な医療を受けられていないことが懸念されております。

 このため、平成二十四年九月に取りまとめられた「小児がん医療・支援の提供体制のあり方について」の報告書において、小児がんの診断、治療に携わる医療機関を一定程度集約化し、症例を蓄積して医師の治療経験を蓄積し、質の高い医療を実施する必要があるとの見解が示され、小児がん拠点病院の整備が進められたものと承知しております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 今、その目的及び狙いを馬場政務官の方からお答えいただいたところでございます。

 私、実は三重県でございまして、先日、三重大学の医学部附属病院、ここも指定をされておる病院の一つでございますが、約二時間、さまざま視察をさせていただき、担当の先生や看護師、さらにはチャイルド・ライフ・スペシャリストの方、また保育士の皆さんからさまざまお伺いをさせていただきました。

 施設的にも非常に充実した施設、さらには機能的にも非常に重要なところであると思いますし、我々、例えば東海北陸ブロックでは名古屋大学と三重大学と二カ所あるわけですが、そこに、もともと症例数が少ないものですので、集約していく。これは非常に大事だなというふうにも思っておりまして、本当にこれからの小児のがんの対策が進んでいく、その可能性というのを非常に感じたところであり、そして、きょう、ここで改めてその目的や狙いを確認させていただいたところでございます。

 ここからは少し具体的なところの確認をさせていただきたいと思いますが、小児がん拠点病院におけるチャイルド・ライフ・スペシャリスト及び病棟保育士の配置状況について、まずお伺いをしたいと思います。

 ここで少し、チャイルド・ライフ・スペシャリスト及び病棟保育士の資格や役割について触れたいと思います。

 このチャイルド・ライフ・スペシャリスト、通称CLSと言いますけれども、これは、医療環境にある子供や家族に心理社会的支援を提供する専門職でありまして、患児の精神的負担を軽減し、医療体験に臨めるよう支援するなど、患児と家族中心医療を目指す役割を持っております。具体的に、病棟内での主な活動としては、処置や検査前、さらには検査中の心理的サポート、患児への病名告知のサポート、また退院、復学に向けたサポート、さらには患児の兄弟など同胞の支援やグリーフケアなどを担っておられます。

 また、病棟保育士につきましては、医療的な説明や処置のサポートは行っておりませんけれども、子供への遊びや生活援助、また家族支援などを担っております。

 そこでお伺いをしますが、私は、このCLS及び病棟保育士は、その担うべきおのおのの役割から見た場合、小児がん拠点病院において本来必置であるべきと考えますが、いかがでしょうか。おのおのの拠点病院における配置状況について御答弁をいただきたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 小児がん拠点病院におきますチャイルド・ライフ・スペシャリストにつきましては、小児がん拠点病院等の整備に関する指針におきまして、療養の支援をする専門的人材としてその配置が望ましいとしておるわけでございますが、現在、小児がん拠点病院十五カ所のうち六カ所で合計十二名が配置されております。

 また、保育士につきましては、同じ小児がん拠点病院等の整備に関する指針におきまして、患者の発育及び教育等に必要な環境を整備する方法の一つとしてその配置が求められておりまして、二十七年十月現在でございますが、小児がん拠点病院十五カ所のうち全ての病院に配置されておりまして、百六十六名が配置をされております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 この設置基準、また認定の基準となっているところで、確かに病棟保育士は必置ということで、今、全てのところに配置がされているという御答弁をいただきました。そして、CLS、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、これは望ましいということでありましたけれども、今、十五拠点病院がある中で六カ所、十二名であるというお話をいただいたところでございます。

 確かに、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、海外での研修を受けなければいけないとか、また日本での認定制度がない、こういった制約があるわけですけれども、やはり私、三重大学の医学部附属病院を視察させていただいて、彼女が担っている役割、本当に医師と看護師と患児をつなぐ、また親子に対しての非常に細やかなケアということを考えた場合、がん拠点病院には必置であることの必要性というのはあるのではないかなというふうにも思っております。

 幸いに、今置いておるところは複数名置いているところが多くて、病院もその理解を持って配置をしていただいているのかなと思うんですが、まだ残る九カ所ですか、配置がされていないということで、ここの部分、やはり引き続きの御努力をいただければなというふうにも思います。

 次に、このCLS及び病棟保育士のおのおのの病院における雇用形態について、ちょっとお伺いしたいと思います。

 私は、この専門性を持つ立場の方が既に小児がん拠点病院で担っている内容を鑑みた場合、その雇用形態は、例えば正規職員あるいは無期の常勤雇用であることが望ましいというふうに考えております。おのおのの病院におけるチャイルド・ライフ・スペシャリスト及び病棟保育士の雇用形態について御答弁をいただきたいというふうに思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 まず、チャイルド・ライフ・スペシャリストでございますけれども、十二名のうち、常勤が十名、非常勤が二名となっております。

 また、保育士でございますが、百六十六名のうち、常勤が百三名、非常勤が六十三名となっております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 今、CLSは十二名中常勤が十名、そして非常勤が二名、さらには保育士は常勤が百三名であり、非常勤が六十三名というお話を伺ったところであります。

 がん拠点病院において、私も、CLSの存在というのは、常に子供たちとのかかわりを持つということで常勤であるべきだなというふうにも思っておりますし、さらには、常勤であっても、この方々はほとんど多分有期だと思うんですね。また、国からの補助金の体制としては、いわゆるこの方々の人件費としての枠組みの予算化というのはされていない状況にあるかなというふうにも思っております。

 患児や家族を支える環境として、医師や看護師、さらには薬剤師はもちろんのことでありますけれども、術後の機能回復や予防的リハビリを行う理学療法士とか作業療法士、さらには栄養指導や管理を行う栄養士、また患児の療育支援や家族も含めた心のケアを行うCLSや病棟保育士など、小児がん拠点病院というのは、多職種連携によるチーム医療の体系が大変に重要であるというふうにも思っております。

 そういった意味においては、それぞれの分野、存在の方々がしっかりと常勤かつ正規で雇用されていることが大事だというふうに思うんですね。特に、CLSとか病棟保育士の雇用形態については、まだまだ有期であったりとか、正規の枠組みがない場合があるというふうにも思っています。

 私は、このCLSや病棟保育士の雇用形態については、今後、その安定的な配置を後押しする意味においても、予算の具体化も含めて、専門職としての雇用を実現させるべきであるというふうに考えますが、その点、予算化も含めた枠組みを含めたところでの御答弁をいただけないでしょうか。

福島政府参考人 保育士、それからCLSの役割については、先生が先ほど御案内のとおりでございます。

 保育士は、専門的知識及び技術をもって、児童の保育、児童の保護者に対する保育に関する指導を行う専門職でありまして、また、チャイルド・ライフ・スペシャリストは、医療環境にある子供や家族に心理社会的支援を提供する専門職、こういう人材の配置を進めて、患者や家族の心のケアを含めた療養環境を整備していくことは極めて重要であると認識しているところでございます。

 これまで私ども厚生労働省としては、小児がん拠点病院機能強化事業の中で、がん相談支援事業やプレールーム運営等事業など、質の高い療養環境を提供するための人材の雇用について支援をしてまいったところでございます。

 現時点では、先ほど御紹介いたしましたように、小児がん拠点病院等の整備に関する指針に基づいて、各病院で保育士やチャイルド・ライフ・スペシャリストが確保されているわけでございますけれども、心のケアなどに専門的に携わる専門職がその知識や技術を十分に発揮できる環境で配置されることが重要と考えております。

 これをどういう形で支援するかについては、また今後検討させていただきたいと存じます。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 まだ小児がん拠点病院の制度、指定は始まったばかりでございますので、先ほど御答弁いただいたとおり、まずは相談支援の体制、これをどうつくっていくのかというところですね。例えば三重大学でも、トータルケアセンターなんかをつくってやっているところがあります。ここは非常に理解できるところであります。

 しかし、もう一つの段階として、多職種連携によるチーム医療をどう支えていくのかという意味においては、CLSとか病棟保育士、今は、いわゆる全体の予算の中で病院が配分をどう考えていくかというところに任されているわけですね。そこはやはり専門的な部分でちゃんと予算も具体化されれば、安心して雇用が各現場においてできるのではないかな、こんなふうにも思っておりますので、そのところ、将来的な検討事項かと思いますが、よろしくお願いをしたいなと思っております。

 最後、がん登録について確認をして終わりたいと思いますが、小児がん拠点病院の主な指定要件の中には、情報の収集提供体制の一つとして、院内がん登録を実施することとの項目がございます。私は、このがん登録は、これからの我が国のがん対策を前に進める意味においても大変重要になるというふうにも捉えておりますが、現在までの国内における小児がんも含めたがん登録の進捗状況、これについて御答弁を願いたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 本年一月に施行されましたがん登録等の推進に関する法律に基づきまして全国がん登録が開始されたわけでございますけれども、この法律では、小児がんを含めたがんの罹患、診療、転帰等の状況の把握及び分析といったがんに係る調査研究を推進して、がん医療の質の向上やがん予防の推進といったがん対策の一層の充実に資することを目的としております。

 全国がん登録におきましては、全ての病院、それから指定された診療所でございますけれども、ここから、がんと診断された場合に、がんの種類や初回治療といったがんの罹患あるいは診療等に関する情報を都道府県に届け出るということになっておりまして、都道府県はそういう情報を突合して整理した後に国に提出するということになっておりますけれども、こうしたことによりまして、小児がんを含めたがんの罹患、診療等に関する情報が国で一元的に管理できるということになっております。

 現在、全国の病院などから情報の届け出が進められておりまして、十月二十八日現在で五千五百七件の情報が全国がん登録に登録をされております。平成二十八年中に診断されたがんにつきましては、二十九年末までに病院などから届け出がされるということになっておりまして、二十八年の罹患数等の情報は平成三十年末を目途に公表する予定としております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 がん登録を進めることによって、これからのがん対策をさらに確度を持って行うことができるのではないかなというふうに思っておりますので、このところ、また国を中心に進めていただきたいというふうにも思っております。

 きょうは二十四年、二十五年度の決算ということで、塩崎大臣以下、皆様に御答弁をいただきました。そのことに御礼を申し上げ、私からの質問を終わります。

 以上で終わります。大変ありがとうございました。

武田主査 これにて中川康洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、牧原秀樹君。

牧原分科員 きょうは決算行政監視委員会の分科会ということでございまして、数年間たまってしまったということでございますので、久しぶりの分科会となりますが、こうして開催をされたことに、私も関係者の一人ですが、改めて御礼を申し上げます。

 分科会ですので、少し細かい地元のことも含めて、全体的な社会保障関係の質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、地元に旧社会保険大宮総合病院というのがございました。社会保険病院のあり方が問われる中、当時は存続問題が、私の一期目、初当選のときからございまして、この存続問題、そしてその後は移転問題ということを私は議員になってから一貫してやらせていただいているところでございます。

 今現在はさいたま北部医療センターと言われているこの病院の問題、私にとってはライフワークとして取り組んでいることの一つでございまして、改めて、現在の進捗状況とそれから今後の見込みについてお伺いをしたいと思います。

 さらに、地元では、最寄りの駅でございます加茂宮駅の方に入り口をつくってほしいというかなり具体的な要望もございます。これについてもお伺いしたいと思います。

神田政府参考人 御指摘の地域医療機能推進機構のさいたま北部医療センターについてでございますが、昭和四十五年築ということで建築から既に四十六年たっておりまして、建物の老朽化、狭隘化、また耐震性などが問題となっており、早期の移転整備が必要な状況にございます。

 このため、地域医療機能推進機構におきまして、現在地よりも利便性がよく、敷地面積も広い土地を確保いたしまして、移転整備のために本年八月に基本設計の策定に着手したというふうに承知いたしております。現在の予定ですと、二十九年の九月に着工、三十一年三月に新規に開院予定というスケジュールで進めているところでございます。

 また、議員御指摘のアクセスについても地元から要望がございまして、加茂宮駅側に入り口をつくってほしいという地元の要望もございますので、利用者への利便性を考慮いたしまして、加茂宮駅側にサブの玄関を設置する予定であるというふうに承知いたしております。

牧原分科員 ありがとうございます。

 もともとこれは、病院が一個移転してしまったということで医療空白ができてしまったという問題がございます。ぜひ厚生労働省の方には、こうした細かい医療体制の構築を引き続きお願いしたいと思います。

 続きまして、待機児童についてお伺いをいたします。

 私は、地元から電車で国会に通って、地元で子供を育てております。地元のさいたま市というのは、いまだに人口がふえている数少ないところであるというふうに認識しております。他方で、待機児童という問題が大変重大な問題になっております。

 安倍政権になりまして、私は、安倍政権は歴代のどの政権よりも待機児童の問題に真剣に取り組んでいると認識をしております。中でも、企業主導型保育事業というものがございますが、これは、私がアメリカにいたときに、アメリカ側で幾つかいいなと思ったことの一つでございます。

 こうしたあり方というものについて進めていただいていることを大変高く評価いたしますが、他方で、現場の募集では無認可だとか認可外だという言葉がひとり歩きをして、あたかも、そういうふうになると信用が低いように捉えてしまう人がいるというふうに、現実に企業の方でこの事業をやられている方からお話を伺ったことがございます。

 これは私は誤解だと思いますので、改めて、企業主導型保育事業にかける国の姿勢について明確にするとともに、ぜひこの場でPRをしていただきたいと思います。

中島政府参考人 企業主導型保育事業に関しまして激励いただきまして、ありがとうございます。

 企業主導型保育事業につきましては、多様な就労形態に対応する保育サービスの拡大を行いまして、仕事と子育てとの両立に資することを目的とするものでございます。

 ニッポン一億総活躍プラン、ことしの六月二日の閣議決定でございますが、そこでは、来年度末までに五万人の受け皿を確保するということで目標を設定し、今懸命に実施させていただいておるところでございます。

 PRということでございますので、少しお時間をいただきましてPRさせていただきますと、その特色としましては、企業の就労形態に応じまして、夜間、休日勤務、さらには週二日程度の就労をなさる方々、そういう多様な就労形態に対応して保育サービスを柔軟に組めるというところ、また、複数企業による共同利用を可能とするなど、中小企業にも設置しやすい形態をとっていること、また、従業員のお子様以外の地域住民の子供を受け入れる地域枠の設定も自由であることといった、創意工夫を凝らした柔軟で多様な保育形態を有することができるということでございます。

 御指摘の企業主導型保育事業は、確かに児童福祉法上は認可外という形の位置づけでございますけれども、その法的根拠は、子ども・子育て支援法にしっかり明示的に位置づけられているところでございます。かつ、助成を行わせていただく条件としては、認可施設と同等の基準を求めるなど、認可施設並みの保育の質を確保するということに努めておるところでございます。

 おかげさまで、本年度、四回にわたり募集することとしておりまして、この十一月までで三回募集を終えたところでございますが、二万一千人分の利用定員数、施設数では約九百の施設から申請が上がってきているところでございます。

 きょうの御激励も踏まえながら、引き続き、関係者への説明会を開催するほか、具体的に展開していただいている事業者さんの事例を紹介し、一層事業の推進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

牧原分科員 今御答弁いただいたように、従来の認可、あるいは認可外、よく一般的には無認可と言われちゃっているんですが、こういう形態で若干しゃくし定規的にやってきたのが、だんだん国を挙げて柔軟に取り組んでいただいているということは、私は非常に大切であるというふうに認識をしているところでございます。

 他方で、今、うちの地元でもどんどん認可保育園というのができているんですね。本当に、同じ駅に三カ所、四カ所できているような状況でございまして、これは一方でいいことなんですが、他方で、今御答弁いただいたように、認可外保育園には、厳格な審査がないとか、そして個性豊かな保育方針が自由に設定できるとかいうことによって、子育てのそれぞれの御家庭の皆様が抱える多様性に応えるという面が多分にございます。

 一つの例として、私の地元で西区にバンビ保育園という保育園がございまして、昭和四十八年六月に創設をされております。ほとんど私と同い年ぐらいで創設をされた大変歴史のある保育園でございまして、創設以来四十年以上、千二百名以上の保育園児を送り出して、しかも、バスをこの段階から早目に導入して、幅広いエリアで子供たちの送迎をしていただくということなど、長年にわたって子育ての幅広いニーズに応えてきたということがございます。私も卒園式に参加をさせていただいたりということで、いろいろな工夫がされているということを見てまいりました。

 しかし、認可保育園ができたりとか、あるいは長年の建物の老化等々で経営が厳しくなって、現在、閉園の危機にございます。

 このように、公的助成がない分、認可外保育園というのは、今後の新しい認可保育園の設立増やあるいは少子化の進展によって経営危機に陥る例というのはふえると思うんです。これは本当に子育てをされている方にとっては大変な影響でございまして、ぜひこうしたことを、私は、しっかりと国は子育てに影響が出ないように考えなければいけない、こういうプログラムをつくらなきゃいけないと思いますが、現在、国の方で、このような場合に子育てに影響が出ないようにするために支援できるようなプログラムがあるか、あるいは、広域にわたって送迎可能な保育園のニーズに応えるようなプログラムがあるか、この点についてお聞きしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 保育の受け皿の確保に当たりましては、国全体として見れば、一定の保育の質が確保されている認可保育園、あるいは認定こども園、小規模保育事業というものをふやしていくことが望ましいということに至っておりますが、現状、それぞれの地域においては、認可外保育施設が、認可保育園のみで受け切ることができない多様な保育ニーズに応えていただいているという側面があるというふうに、私ども、きちっと受けとめさせていただいております。

 御指摘いただきました個別のケースにつきましては、それぞれ、当該法人のいろいろな御事情ですとか地域の御事情もあろうと思いますので、一般論として申し上げさせていただければ、認可外保育施設の中でも、認可保育園等への移行を希望される場合につきましては、計画を策定していただいて、その計画期間内に移行していただくなどの条件は課すものの、その運営費あるいは改修費の一部を補助させていただいて、移行を促しているという状態がございます。

 また、バスの話をいただきました。認可保育園等への移行を希望する認可外保育施設につきましては、バスなどの子供の送迎により自宅から遠距離にある受け入れ可能な保育園等を利用することを支援するための補助事業、広域的保育所等利用事業と申しておりますが、というものも活用していただけるというふうに思っております。

 いろいろ地域の事情はあろうかと思いますが、全体として、こうした事業を各市町村において御活用いただいて、地域の保育ニーズに応えた保育の受け皿というものを今後進めさせていただきたいというふうに思っております。

牧原分科員 もちろん国ですので国全体の制度をつくるわけですけれども、少子化の進展の度合いとかあるいは子育てのニーズというのは本当に地域地域で違うわけでございます。私どもにとっては、さいたま市でのバンビ保育園といったような、大変経験も豊かな保育園というのは絶対必要だというふうに思っております。それぞれの地域にそういう事情があるかと思います。これだけ急に保育園をふやすということをやれば、どこかにもしかするとそうした、ひずみという言い方がいいかは別として、考えていなかった思わぬことが起きると思うんですね。

 ぜひ、こうした現場に根差した厚生労働行政、特にこの子育て分野についてはお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、これもやはり大変待機という問題があります放課後児童クラブについてお伺いをします。

 この中で、特に、障害がある子供たちがいると、これは保育園とかでも同じなんですけれども、どうしてもその子にかかる負担というのが大きくなります。つまり、職員の方が見ていなきゃいけないという意味での時間の拘束とか、そういうことが大きくなるわけですけれども、地域生活支援事業の中に巡回支援専門員整備という事業がございまして、障害児がいる場合の相談できる場所として機能充実が期待されているわけですが、私は、この制度の充実というのはもっと必要だというふうに考えております。

 例えば埼玉県では、障害児のいる放課後児童クラブが五百カ所ぐらいあるのに、この制度があるのはさいたま、上尾、川越の三カ所だけで、そして、さいたまでも非常勤が一人という状況でございます。

 この制度は、既に保育園では先行導入をされていて、非常に活用されてニーズも満たしているというふうに理解をしておりますけれども、ぜひ、放課後児童クラブにおいても国としてもっともっと後押しをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の巡回支援専門員整備事業でございますけれども、市町村が雇用する作業療法士などの専門家が、保育所や放課後児童クラブなど子供や親の集まる場に訪問いたしまして、親や施設の職員に家庭や保育所等での発達障害児に対します遊びとかコミュニケーションのとり方などについて助言を行うといったようなことを行っているものでございます。

 この事業自体は、平成二十六年度で全国で百七十四市町村、二十七年度には二百十七市町村というように年々増加もしているところでございますし、また、埼玉県でも、二十七年度におきまして、六十三市町村のうちの二十四の市町村で実施はいただいているんですが、御指摘は、その巡回支援専門員の訪問先が保育所が大半であって、放課後児童クラブは限られているという問題意識からの御発言だというふうに理解してございます。

 現在も、放課後児童クラブへの巡回というのができる仕組みではあるわけでございますけれども、実施要綱にその旨が明示されていないということでございまして、もっとわかりやすく、活用できるようにすべきではないかということで、臨席の橋本副大臣からも明確な御指示を受けまして、今月十四日付で実施要綱に、これまで巡回支援専門員の訪問先を保育所等としていた部分に放課後児童クラブも明示することとして、通知を全国に発出しているところでございます。

 今後は、放課後児童クラブにおきます巡回支援専門員の活動好事例につきまして自治体向けに紹介するなど、放課後児童クラブへの支援に本事業を積極的に活用できますよう自治体にも働きかけを強めてまいりたいと考えてございます。

牧原分科員 ありがとうございます。

 国会議員の中でも、障害のある人や難病の方を最も、多分先頭に立って取り組んでいただいている橋本副大臣の御指導のもと、ぜひこの制度を充実していただきたいというふうに思います。

 放課後児童クラブは、どちらかというと保育ということに焦点が当たりがちなんですけれども、子育てで働いている皆様にとってはニーズとしては全く変わらないわけでございまして、本当に場所の確保とか人の確保にやはり苦労しているという状況は変わりませんので、ぜひこの分野にも御尽力を賜りたいというふうに思います。

 次に、三番目の待機の問題、待機老人という問題です。

 特養に対する待機老人という問題は、入居要件が原則要介護三になって、私たちの地元のさいたま市では、いわゆる待機老人数というのはかなり減りました。これは非常によかったというふうに思いつつも、ただ、認知症の方については、認知症を発症した方で体が元気であれば要介護度が低くなってしまうということがございますけれども、実際には、認知症であるために、しかも体がかえって元気なために、常時見守りが必要で負担が大きいという問題がございます。こういう方については、要介護度が仮に三以上じゃなくても入居可能とすべきではないかというふうな指摘が現場でございますが、いかがでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の特別養護老人ホームにつきましては、在宅生活が困難な中重度の要介護高齢者を支える施設として位置づけようということで、平成二十七年四月より、新規入所者は原則要介護三以上の方に限定されるということになっているわけでございます。

 ただ、その一方で、要介護一または二の方でありましても、認知症やあるいは単身である等の事情があって、居宅において日常生活を営むことが困難なやむを得ない事情があるという場合につきましては、自治体の適切な関与のもとで入所が可能ということになってございます。

 したがいまして、先生お話のあったような状態の方についても、こうした仕組みを使ってきちっと入所いただくということになろうかというふうに思います。

牧原分科員 私が聞いている限りでは、いま一つ現場ではその辺の認識が行き届いていないようなところもありますので、ぜひ行き届くようにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 介護施設については、うちの地元は相続税とかが発生しやすく、そして、発生すると大体土地が売られて、そこに個別ができるか、今は介護施設ができるんですね。この十年だけでも、介護施設だらけというぐらい、いっぱいオープンをいたしました。

 しかし、この介護施設で、介護職員が集まらないという問題がやはりすごくございます。建物が竣工して、その竣工式、完成式典なんかに私も参加をしていくんですけれども、一年たってもオープンできないようなところがあって、どうしたんですかと聞くと、職員が集まらないのでオープンできないんだというような話を何カ所かで私は聞いているところであります。

 改めて、これは全国的な問題だと思いますけれども、介護職員の不足解消のために、例えば、人員基準を見直す、資格、研修修了者の配置基準の見直し、これは、同じ人数であっても、要するに施設を見られるというような意味での見直しですね、あるいは、介護職員の方が多く集まるようにという、人がふえるような意味での基本報酬のアップなど、国は全力を尽くすべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 介護サービスが安定的に供給されるということのためには、お話がございました介護職員の処遇改善も含めて、人材確保をきちっと進めていくということが極めて大事でありますし、あわせまして、サービスの提供に当たっても、効果的、効率的な提供ということが大事だというふうに認識をいたしております。

 幾つか申し上げますと、二十七年度の介護報酬改定の中では、介護報酬について、一人当たり平均月額一万二千円相当の処遇改善加算というのを一つやっております。また、あわせまして、中重度の要介護者などを受け入れる場合に一定の加算をするといったような措置を講じているところでございます。

 また、人員配置基準の話がございました。これについても、報酬の上でございますけれども、例えば、訪問介護においてICTを活用した場合に事業が効率的にできる、こうした場合に、本来、訪問介護に置かなきゃいけないサービス提供責任者の配置基準を緩和する、このような措置を講じているところでございます。

 今後でございますけれども、平成二十九年度には、ニッポン一億総活躍プランに基づきまして、こちらは、キャリアアップの仕組みを構築しながら、月額平均一万円相当の処遇改善を行うということで、予算編成過程できちっと中身を詰めていきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、平成三十年度の報酬改定も含めまして、今後、関係者の御意見を踏まえながら、人材確保のためのいろいろな取り組みを進めてまいりたい、このように考えてございます。

牧原分科員 新三本の矢の三番目でもございますし、現場で、介護職員が集まらなくてオープンできないということは、建物は先祖代々の土地につくった、大体地主の方が負担でつくったりして、それで、介護の会社がそれを借りるわけですね。月々百万円とか二百万円とか家賃が発生する。でも、入らないので、この二百万円の家賃をただで払い続けるわけですから、介護会社が破綻をしてしまう。そうすると、家賃は当然払えなくなるので、今度、地主の方が、せっかく建てたものが空になって、家賃を払ってもらえないので、ローンだけをどんどん払っていって、今度はこっちも破綻してしまう。こういうようなことが実は起こり始めておりますので、ぜひ、職員の問題は難しいと思いますけれども、全力をもって、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。

 最後に医療についてですけれども、今、在宅の訪問介護の話がありましたが、在宅の医療というのをかなり重視しておりますけれども、このためには、二十四時間のオンコール、あるいは緊急往診、みとり等の体制の推進が必須でございます。

 こうした訪問診療に関連する診療報酬については、ここに力を入れるということであれば、やはり特別な評価が必要ではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 在宅医療の推進についてお尋ねでございます。

 在宅医療については、要介護状態となっても、自宅等住みなれた地域で自分らしい暮らしを続ける上で、医療提供体制の重要な基盤の一つであるというふうに認識をしております。

 お尋ねの診療報酬についてでございますけれども、二十四時間の連絡体制、緊急往診を含む急変時の対応、みとり、在宅医療に必要な機能を備えた医療機関を在宅療養支援診療所として位置づけまして、訪問診療について、より高い点数を設定しております。

 在宅医療に係る診療報酬につきましては、診療の実態を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。

牧原分科員 この辺も、どういう医療体制がいいのかということは、私たち、これからの高齢化の進展だとか、職員がどれだけ集まるのか、つまり若い人がどんどんいなくなるわけですから、職員体制の問題とかを視野に入れつつ、やはり十年後、二十年後を見据えつつ、現状の細かい変化に対応していかなきゃいけない。難しいことでありますけれども、ぜひそうしたことを頭に入れながらやっていきたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、グループホーム、これは認知症対応型生活介護ですけれども、この在宅時医学総合管理料の猶予期間というのが現在ございますが、この猶予が必要ではないかという声が現場から上がってきております。このことについてぜひ延長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 いわゆるグループホームに対する診療報酬についてお尋ねがございました。

 より効率的な訪問診療を提供するという観点から、平成二十八年度の診療報酬改定では、御指摘の在宅時医学総合管理料等について、患者の居場所に応じた評価に見直しを行ったものでございます。

 具体的には、グループホーム等の入居者への訪問診療につきましては、これまで在宅時医学総合管理料を算定することとしておりましたけれども、診療の実態を踏まえて、特別養護老人ホーム等の入所者の場合と同様に、施設入居時等医学総合管理料を算定することにいたしました。

 御指摘のとおり、平成二十九年三月三十一日までの間は、経過措置として、従来、在宅時医学総合管理料を算定していたグループホーム等の入居者については、引き続きこの管理料を算定可能としております。

 この経過措置自体を延長するということは、実質的に二十八年度診療報酬改定の内容を見直すということになりますので若干難しゅうございますけれども、今回の見直しにつきましては、今後、中医協において調査、検証することになっておりますので、その結果を踏まえて、関係者の御意見もよく聞きながら、次期改定に向けて、在宅医療における診療報酬の評価のあり方をしっかりと検討してまいりたいと思います。

牧原分科員 ありがとうございました。

 以上、質問として用意をさせていただいた事項についてお聞きをしました。

 先ほどの子育ての話なんかも特にそうなんですけれども、これは三年後にできますと言われても、その間、子供はどんどん大きくなっていくわけですね。ですから、現場の方の思いというのは、今必要なんです。しかも、子育ては、そうじゃなくても不安だらけ。私も今現在、十歳、七歳、四歳の三人の子供を育てているんですけれども、本当に毎日大変なわけですね、橋本副大臣も子だくさんでございますが。

 ですから、特に子育てについては毎日ニーズが変わっていて、そして、例えば新しくマンションができれば、一気にその状況が変わります。うちの地元では、本当に、一千戸近いマンションがこの十年間だけでもぼこぼこできるわけですね。そうすると、今まではそれでよかったことが、急にそれで足りなくなるというようなこともございます。先ほど申し上げた認可外の伝統ある保育園が急に経営危機になれば、それだけ地元の方は子育てへの不安ができるということになってしまいます。

 ぜひ、日々のニーズがあるんだという現場の声、きょうは地元さいたま市から届けさせていただいた思いでございますので、それをお酌み取りいただき、スピーディーで、なおかつ将来まで視野に入れた厚生労働行政をお願い申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

武田主査 これにて牧原秀樹君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

武田主査 これより経済産業省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。松村経済産業副大臣。

松村副大臣 平成二十四年度、平成二十五年度における経済産業省の決算の概要を御説明申し上げます。

 まず、平成二十四年度決算について御説明いたします。

 一般会計の歳入につきまして、歳入予算額二百八十七億円余に対し、収納済み歳入額は三百五十二億円余であり、差し引き六十五億円余の増加となっております。

 歳出につきましては、歳出予算現額二兆一千三百四十億円余に対し、支出済み歳出額は一兆九千百三億円余であり、その差額二千二百三十七億円余のうち、翌年度への繰越額は一千六百七十億円余、不用額は五百六十六億円余となっております。

 次に、エネルギー対策特別会計につきましては、収納済み歳入額は五兆二千四百三十一億円余、支出済み歳出額は四兆四千五百十三億円余であり、その差額七千九百十八億円余のうち、翌年度への繰越額は四百八十五億円余、二十五年度予算に歳入計上した剰余金は二千九十九億円余、これらを除いた純剰余金は五千三百三十二億円余であります。

 このほか、貿易再保険特別会計及び特許特別会計でございますが、これら特別会計の決算の概要につきましては、お手元の資料に掲載したとおりでございます。

 続きまして、平成二十五年度決算について御説明いたします。

 一般会計の歳入につきまして、歳入予算額三百八十四億円余に対し、収納済み歳入額は九百三十二億円余であり、差し引き五百四十七億円余の増加となっております。

 歳出につきましては、歳出予算現額一兆五千三百十九億円余に対し、支出済み歳出額は一兆三千四百六十九億円余であり、その差額一千八百五十億円余のうち、翌年度への繰越額は一千四百十一億円余、不用額は四百三十九億円余となっております。

 次に、エネルギー対策特別会計につきましては、収納済み歳入額は七兆四千三百六十六億円余、支出済み歳出額は六兆三千四百二十八億円余であり、その差額一兆九百三十七億円余のうち、翌年度への繰越額は一千六百八十億円余、平成二十六年度予算に歳入計上した剰余金は五千六百七十億円余、これらを除いた純剰余金は三千五百八十七億円余であります。

 このほか、貿易再保険特別会計及び特許特別会計でございますが、これら特別会計の決算の概要につきましては、お手元の資料に掲載したとおりでございます。

 以上をもちまして、平成二十四年度、二十五年度における経済産業省の決算の概要に関する説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

武田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院斎藤第五局長。

斎藤会計検査院当局者 平成二十四年度経済産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五件、意見を表示しまたは処置を要求した事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号三七二号は、産業人材裾野拡大支援事業の委託契約において、一般管理費の算定を誤ったため、委託費の支払い額が過大となっていたものであります。

 同三七三号から三七六号までの四件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。このうち、補助金により造成した基金の使用が適切でなかったものが一件、補助対象事業費を過大に精算するなどしていたものが一件、補助事業により取得した財産を無断で処分するなどしていたものが一件、補助の対象とならないものが一件であります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、経営安定関連保証等対策費補助金により造成された基金による信用保証協会に対する貸し付けに関して意見を表示いたしたもの、その二は、補助事業または委託事業により実施する展示会事業に係る付加価値税の取り扱いに関して改善の処置を要求いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、国が基金法人に国庫補助金等を交付して設置造成させた基金に関するものであり、これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものでございます。

 続きまして、平成二十五年度経済産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十一件、意見を表示しまたは処置を要求した事項四件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号三〇〇号は、中小企業支援調査の委託契約において、全く使用されなかった装置の購入費用等を委託業務の実施に必要な経費に含めていたため、委託費の支払い額が過大となっていたものであります。

 同三〇一号は、キッズデザイン製品開発支援事業の委託契約において、委託契約締結以前に借り上げた施設の経費を含めるなどしていたため、委託費の支払い額が過大となっていたものであります。

 同三〇二号から三一〇号までの九件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。このうち、補助対象事業費を過大に精算していたものが二件、補助金により造成した基金の使用が適切でなかったものが二件、補助の対象とならないなどのものが二件、工事の設計が適切でなかったものが一件、補助の目的外に使用していたものが一件、補助金が過大に交付されていたものが一件であります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、中小企業海外展開支援事業の効果に関して意見を表示いたしたもの、その二は、株式会社日本政策金融公庫が中小企業事業で行う証券化支援業務の実施に関して意見を表示いたしたもの、その三は、石油製品販売業構造改善対策事業費補助金における補助単価の設定に関して意見を表示いたしたもの、その四は、補助事業により設備を整備した風力発電事業の運営状況に関して意見を表示いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、県が造成する企業立地資金貸付基金の原資とするために国が交付した電力移出県等交付金等の資金に関するものであり、これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

武田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。松村経済産業副大臣。

松村副大臣 平成二十四年度及び平成二十五年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾です。

 不当事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであります。また、意見を表示されまたは処置を要求された事項につきましては、所要の措置を講じてまいる所存でございます。

 今後このような御指摘を受けることのないように厳に対処してまいります。

武田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武田主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

武田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅直人君。

菅(直)分科員 きょうは、決算委員会のこの席で、経産省所管の電力に関することについて、幾つかちょっと質問させていただきたいと思います。

 まず、十一月の十七日、電力・ガス取引監視委員会より、東電の子会社、東電エナジーパートナー社に対する業務改善勧告がなされております。ごく簡単でいいですから、まず趣旨を説明してください。

松尾政府参考人 東京電力エナジーパートナー社は、本年四月から八月の間、日本卸電力取引所におきまして、反復継続して、発電に要する限界費用、いわゆる燃料費等でございますけれども、これを大きく上回る高値で売り入札を行いまして、平日昼間のこまの約六割におきまして、取引所の約定価格を上昇させていたというふうに認められました。

 本委員会におきましては、同社の入札行動は、市場の相場を人為的に動かし、市場に対する信頼を害するものであり、適正な電力取引についての指針において問題となる行為と定められております「市場相場に重大な影響をもたらす取引を実行すること」に該当するものと判断をいたしました。

 また、多くの電源を確保する同社によりますこうした不適切な取引は、新規の参入や他の事業者の事業活動の維持拡大を阻害するものであるというふうに判断をいたしております。

 同社によりますと、本年十月上旬にはこうした高値での入札行動は廃止したとのことでございましたけれども、当委員会といたしましては、このような認識のもと、再発防止を徹底する観点から、電気事業法に基づきます業務改善勧告を行ったところでございます。

 具体的には、今後同様の入札を行わないこと、これを遵守するための社内体制を整備すること、同社がとった具体的な措置について当委員会に報告することの三点でございます。

菅(直)分科員 このような状態はいつから続いていたんですか。

松尾政府参考人 私どもが今回の勧告で問題にいたしましたのは本年四月からでございますけれども、東京電力株式会社が先般の小売料金の値上げをいたしました後、卸電力取引所に入札を行いますときには、このような方式での入札を行っていたようでございます。(菅(直)分科員「いつから」と呼ぶ)申しわけございません、今、震災直後でございますので、二〇一二年ごろかと思います。後ほど確認して御報告申し上げます。

菅(直)分科員 たしか四年前からという説明を受けています。

 私はこの勧告をされたのは非常にいいと思うんですが、今後はやらないということですが、それでは、これまで、それによってどういう影響をどういう形で誰が受けたのか。

 私は、二つの影響があったと思います。

 一つは、この卸売が本来ならもう少し安く出るものを高く設定したということは、新電力の事業者にとっては仕入れ値が高いわけですから、その分、競争力が弱い、つまりは、新電力に加入を呼びかけてもなかなかそれがふえてこない、そういうつまりは新電力に対する切りかえが抑制された。もう一つは、直接的に、本来ならもっと安い値段で買えるものを高く買わされた。

 その損害がどの程度にわたるのか、ただ過去のことで済むのか、こういった責任問題についてはどのようにお考えですか。

松尾政府参考人 電力取引監視等委員会におきましては、本年の三月、これは経産大臣に建議をいたしまして、経産大臣と公正取引委員会の連名でございますけれども、電力の適正取引についての指針を改定いたしておりまして、この中で、今般問題になっておりますような、市場相場に問題になる取引を実行することというのを電気事業法上の問題となることを明定したところでございます。したがいまして、今回も、この以降の問題について勧告をさせていただいたということでございます。

菅(直)分科員 ですから、この間の責任はどうなるんですか。つまりは、経済的にもマイナスを受けていると思うんです、今、二重の意味でと言いましたが。このマイナスについては、東電に何らかの、それの是正を求めるつもりはないんですか。

松尾政府参考人 委員会といたしましては、今申し上げましたような、とりあえず、この今の取り組みはもうやめたということでございますので、再発の防止をしっかりしていただくということかと思っております。

 なお、これとは別に、卸電力取引所の方では、これにもまた市場の監視の委員会がございますので、場合によってはこちらの方で必要な手当てが講じられる可能性があるかと思っております。

菅(直)分科員 私は、それは趣旨からして少し甘いと思いますよ。だって、皆さんの資料でも、本来なら限界費用に基づく入札価格でやらなければならないところを、わざと高くしているわけですよ。だから、もし高い値段で買ったとすれば、その差額は本来なら不当利益ですよ、これは明らかに。さらには、そのことによって切りかえが進まなかったとすれば、ある意味では競争を制限しているわけですよ。

 ですから、将来に向かって改善されるということは結構です。しかし、この間の、私が役所から聞いたところによると、四年間ぐらいにわたってこれが続けられていた、それによる損害について、実際にも、新電力の事業者の中には、この問題で場合によっては訴訟を起こそうかという話も出ているというふうに聞いています。そういうことを含めて、責任についてどうなのか、過去の責任についてどのように考えるのかをちゃんと答えてください。

松尾政府参考人 私どもの立場といたしましては、先ほど申し上げましたように、発電に要します限界費用をベースにして入札をしていただくということをルールとして明定をいたしましたのが、この三月の適正取引指針の改定でございます。したがいまして、そこから先は、これはルールがはっきりしていたわけでございますので、これについて、事業者の方にしっかりこれを踏まえて見直しをしていただくということは重要だと思っておりますけれども、その前のところについてまで、どこまで事業者に、責任をとれるのかというところについては、慎重な検討が必要かというふうに思っております。

菅(直)分科員 最後、何と言われました。慎重な何ですか。

松尾政府参考人 慎重な検討が必要と申し上げました。

菅(直)分科員 まさにちゃんと検討してください。

 つまりは、ルールがこの三月からだといって、考え方そのものが、もともとが限界費用に基づく入札価格になっているはずです。ルールの細かいところがどうだったというのじゃなくて、原則が変わったんじゃなくて、これは原則をより明確にしただけでしょう。

 ですから、その意味で、私が聞いているところだと四年間ですが、四年間にどの程度の、本来なら払わないでいい費用を誰が払わされたのか、またさらには、それによって切りかえがどの程度影響を受けたのか。ちゃんと調べてやらないと、ある意味では、この間はそういう不当なことをやっていて、そのままやり得ということになるんじゃないですか。もう一度だけ答えてください。

松尾政府参考人 今委員の御指摘のように、過去にも行われてきたということは事実でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、これまでの間は、明示的に、幾らでなければ、どういう値段でなければ入札をしてはいけない、あるいは入札すべきでないという明確な規範があったわけではないということを踏まえた上で、どのような対応が適当なのかということについて、慎重に検討してまいりたいと思います。

菅(直)分科員 慎重にという言葉が重なりましたが、大いにきちんとした対応をしてください。

 そこで、もう一つお伺いをします。

 経産省の方から卸売電力取引の活性化に向けた地方公共団体の売電契約解消協議に関するガイドラインというものが出されているわけですが、まず第一に、東京都が所有する水力発電の電力を競争入札に切りかえるということを東京都が考えたときに、東電は五十二億円の補償金を東京都に要求したと聞いております。しかし、結局は、東京地裁の調停によって、解決金十三億八千三百万で東電と東京都は合意をした。それによって、これまでの随意契約から競争入札に変わって、たしかエフパワーというところが今東京都の水力を全量買っている、このように承知しています。

 これに対して、他の府県といいましょうか、からもいろいろと注目をされておりまして、自分の県でもし競争入札に変える場合にどの程度の解決金というのか何というのかが発生するのか、こういうことを東京電力に聞いてみても、そんなことは、ちゃんとした正式な契約解除を申し出ない限りは、そういう補償金がどのぐらい必要になるかということは申し上げられない、こういう趣旨の議論が行われております。具体的に私が聞いているのは、群馬県の議会の中でそういう議論が行われて、私も議事録を読んでみました。

 しかし、これは、このガイドラインからすると、競争入札というのが本来の姿であって、それに向けて、それを抑制しないようにという趣旨からすると、明らかにこの東電のやり方はおかしい。実際に東京都の例があるわけですから、こういう考え方に立てばこのぐらいの金額になりますというのも、当然そういうことを検討している県には伝えるべきだと思いますが、この件についていかがですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、地方公共団体が電力会社との既存の長期契約を解消しまして公正な一般競争入札を行うことは、電力市場の競争の促進や卸市場の活性化に資するもの、このように認識しておるところでございます。

 このような観点から、総務省とも協力いたしまして、地方公共団体が行う売電契約について、契約の状況の調査や、一般競争入札の導入促進に向けた取り組みを進めてまいったところでございます。議員御指摘のように、ガイドラインをつくり、そのようなことで取り組みを促しているというのもこの対応の一環でございます。

 幾つかの地方公共団体では電力会社との間で協議、検討が進められているものと承知しておりますけれども、御指摘の東京電力による対応についても、現時点で不適切事例ということで認識されているわけではございませんけれども、ガイドラインに沿ってしっかり対応するということは必要というふうに考えておりますので、引き続き、状況を注視いたしまして、適切な対応を講じてまいりたい、このように考えております。

菅(直)分科員 今、私が一つの例を挙げたわけです。つまりは、群馬県というのは、県が持っている電力としては多分日本で神奈川県に次いで第二位という、東京都なんかよりはるかに多いんですね。相当の金額を東電に売って、それが一般会計にも振り込まれています。

 そして、この東京の例を見て、こういうことも検討してみようということで議論が始まっているんですが、先ほど申し上げたように、私が聞いているところ、あるいは議事録などを見ますと、東電からは、あらかじめそうした場合にどういう費用請求があるのかということについて、それは正式に解約だと言ってもらわない限り言えないと。こういう態度自身がまさにガイドラインの趣旨に反するんじゃないですか。

 一般的なことを言っているんじゃなくて、こういう事例が現実にあるということを含めて、そういう場合は適切なのかどうなのか、見解を伺いたいと思います。

村瀬政府参考人 委員御指摘のとおり、ガイドラインの中では、代替調達コストということで基本算定式ということも具体的に示されているところでございまして、こういったガイドラインに沿って適切に対応する必要があるというふうに認識しておりますので、よく状況を注視して適切な対応を行ってまいりたい、このように考えております。

菅(直)分科員 では具体的に、今の一つの群馬の例ですが、そういう場合は、県がこういう場合についてどういうふうになりそうかということを聞いたらきちんと答える、少なくともそういうふうに行政指導するということでいいんですか。

村瀬政府参考人 具体的に、基本算定式それから単価といったような考え方もガイドラインの中で示されておりますので、このガイドラインに沿った適切な対応をするように促してまいりたい、このように考えております。

菅(直)分科員 もうおわかりのように、過去は売るところがほかになかったわけですよ。群馬でいえば東電、東京でいっても東電。つまり、一般事業者というのは、地域独占ですから、そこしかなかったわけですよ。それが、小売自由化の前の段階から事業者向けの自由化が少し始まって、それで、東京都はそういう形で競争入札に変えたわけですね。

 ですから、そういう趣旨からすれば、当然、それを促進するという立場のこのガイドラインですから、今申し上げたように、東京電力がそういう事前の話し合いに、正式に解約を申し出てもらわなきゃできないんだというようなことは、明らかにこのガイドラインの方向からすると逆行している。

 もう一回だけお聞きします。そういう具体的な事例を調べて、どうなったかということは後でお知らせいただけますか。

村瀬政府参考人 ガイドラインに沿って適切に対応するよう促してまいりたいと思いますし、しっかりフォローしてまいりたい、このように考えております。

菅(直)分科員 このことは結構大きなことなんです、いろいろな意味で。

 経産省はいろいろな立場がありますが、少なくとも、水力などについて、自治体が持っているものについてはもっとマーケットに開放していこうという趣旨は私は大賛成です。ですけれども、現実には、マーケットの中で圧倒的な力を持っている電力会社、いわゆる一般事業者がそういうことを抑制している。先ほどの例もそうでしたね、抑制している、あるいは妨げている。

 こういうことがあちらこちらで目につきますので、そこは具体的な事例も申し上げましたから、また問い合わせもしますので、きちんと調査した上で、対応をどうしたかということを聞かせていただきたいと思っています。

 そこで次に、もう一点。

 ことしの十月七日、資源エネルギー庁の方から、今後の電力市場の整備に向けた基本的考え方という項目の中で、非化石価値を顕在化するために非化石取引市場の創設が提案されております。

 まず、非化石価値取引、この非化石価値という意味を簡単に、どちらからでもいいですから、事務方でも結構ですから、説明してください。

村瀬政府参考人 非化石価値は非化石電源が持つ価値ということでございまして、ゼロエミッションという、CO2を排出しない価値といったようなものを含めた価値のことでございます。

菅(直)分科員 私は、今お話のあった、いわゆる化石燃料、CO2を出す燃料とCO2を出さない燃料、これを区分するのも一つの区分として一般的にはあり得ると思っています。

 しかし、非化石の中に、原発による電力と、それから太陽光、風力、バイオマスなど自然エネルギーによる電力があります。これに対してどういうふうに価値を見つけるのか。人によっては、やはり原発は放射能も怖いから、できれば原発ではなくて、同じ非化石であっても自然エネルギーの方をより価値があると考える方も結構いるんだと思うんですね。

 そこで、きょうは副大臣にもお出ましいただいていますが、この非化石という区分づけをせっかくするのなら、その非化石の中で、含まれるのは私が知る限り原発と自然エネルギーの二種類ですから、この二つも区分して、つまりは、非化石価値取引市場の中を、自然エネルギー価値取引市場、原発をどう扱うかは別として、こういうものを区分けして創設することが、そうした消費者のニーズを認める上で私は望ましいことだと思いますが、いかがでしょうか。

松村副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のございました点でございますけれども、まず、電力の低炭素化を進めていくに当たりまして、小売電気事業者の非化石価値の調達を後押しするような取引市場をつくっていくことは、これは私どもも重要だと考えております。

 この市場のあり方につきまして、現在、資源エネルギー庁の審議会、これは電力システム改革貫徹のための政策小委員会でありますけれども、ここで議論を進めていただいているところでもございます。

 御指摘がございました原発由来のエネルギーと再エネ由来の非化石価値について区分すべきということでございますが、審議会におきましても、現在、有識者の方から同様の意見が出されております。再エネ由来の非化石価値のエネルギーだけを買いたいという需要家のニーズも踏まえまして、的確に検討を進めてまいりたいと考えております。

 また、詳細な市場設計につきましては、審議会でしっかり御議論をいただいた上で対応してまいりたい、このように考えております。

菅(直)分科員 大変前向きな答弁をいただいて、ありがとうございます。

 まさに、COP21を含めて、パリ協定を含めて、もちろんCO2の削減というのは我が国としても極めて大きなことであることは言うまでもありません。

 同時に、先ほど申し上げたように、やはり自然エネルギーと原発エネルギーは明らかに性格が違うわけですし、まして、我が国は福島原発事故という未曽有の事故を体験したわけです。そういう中で、それでも、こちらがいいんだ、あちらがいいんだという議論は、それは議論としてあることは構いません。しかし、それが選択できるようにするかしないかというのはまさに仕組みの問題です。

 今、副大臣の方から前向きの答弁をいただきましたのでこれ以上の答弁は求めませんが、消費者にとってきちんと選択ができるということが私はまさに民主主義国としての本来のあり方だと思いますので、ぜひその方向で御努力をお願いしたいと思います。

 そこで、四番目の質問として、東京電力委員会、略称でしょうが、こういう委員会ができて、私も非常に注目をしております。いろいろな関係者に聞くと、東電委員会というのは非公開で行われているというふうに私は仄聞しているわけですが、まず、それが事実なのかどうか、また、事実だとすればなぜ非公開なのか、説明をいただきたいと思います。

村瀬政府参考人 いわゆる東京電力委員会は、検討内容が東京電力という個社の経営問題に直結するイシューを扱う場でありますことから、原則非公開としておるところでございますけれども、議論している内容のうち、意思決定につながる議論につきましては、会議後、委員長の方から、また事務局から記者会見を行い、議事要旨の公開もしておりますし、会議で使用した資料についてはこれもまた原則公開するといったようなことを通じまして、できる限り議論の中身が明らかになるように取り組ませていただいているところでございます。

 今後とも、委員会を開催する場合におきましては、事前に開催の日程等を明らかにいたしまして、その内容については、事後の記者会見、議事要旨の公開、資料の原則公開等を通じてしっかり明らかにしてまいりたい、このように考えているところでございます。

菅(直)分科員 今何と言われました。個社の問題。どういう意味ですか、個社というのは。

村瀬政府参考人 企業個社という意味でございまして、企業個社の経営問題に直結する、こういうように申し上げさせていただきました。

菅(直)分科員 もうよくよく御存じでしょうけれども、今東京電力には、たしか一兆円の金が株式を購入という形で入って、それ以外に交付国債が、もっとふえたかもしれませんが、たしか六兆入っているし。つまり、一般的に言えば、もう株式会社として、いろいろな経理上のやりくりで黒字を計上しているだけで、とてもそんな状況にないことは誰の目からも明らかです。そして、そういう国の金がたくさん入っているんです。

 そういうときに、何か一般原則みたいな形で、一般の民間企業なんだから、このことについては議論するときには非公開なんだ、私は通らないと思いますよ。少なくとも、国の金がこれだけ入って、ある意味では、株式も五一%ですか、機構が持っているわけでしょう。そういうものを一般の会社と同じような扱いをする。国民的に絶対に納得されませんよ。考え方を改めてもらいたいと思います。

村瀬政府参考人 委員御指摘のとおり、国の出資が入っている企業でありまして、また、五〇%超の出資比率を国が持っているという意味において、普通の会社と異なるということは委員御指摘のとおりかと思います。

 他方で、株主の中には当然民間の、また個人の株主もおられるわけでございまして、企業経営という意味では、やはり企業経営としての個社の秘密が守られなければいけないという側面もあるということで理解をしているところでございます。

菅(直)分科員 私、実はJALの破綻処理を、そのときに副総理として、再建機構の責任者として取り扱いました。もちろん、JALは一般の民間企業です。しかし、同じように、いろいろなケースがありましたけれども、少なくとも、国のお金を入れる入れないという判断の中では、当然、議論がいろいろと国会でも出されたわけです。

 特に東電は、先ほど来言っているように、お金の面でもいろいろな面でも、本来破綻処理をすべきという議論も、後ほど述べますけれども、検討項目に入っていますよね。そういうことを考えながら、それを一般の会社の原則で、だからこれでいいんだというのは、国民的に納得されませんよ、本当に。

 つまり、結果として税金が大量に入っているんですからね、それを、民間企業だから秘密でいいんだ、そんなことは成り立ちません。先ほど来、いろいろなものを後で出していると言うけれども、それは後で出すのであって、議論そのものが表に出てこない、どういう議論があったか出てこない。これは私はどう考えても国民の理解が得られないと思いますが、これはどうですか。副大臣、一言、見解があればお聞かせください。

村瀬政府参考人 委員御指摘のとおり、この東京電力の問題に関しましては、非常に国民の関心も高い、透明性がしっかり確保されるべきだというイシューであるということは認識をしておりまして、この委員会の議論におきましても、各委員の議論の前提として、国民の納得が得られる、それから福島の安心が得られる、そして現場のやる気が失われないようにするといったような大原則を設けて、この方針で運営をしていくということで各委員にも御議論いただいているところでございます。

 このような国民の関心の高い非常に重要なイシューであるということを前提にいたしまして、引き続き最大限議論の中身が明らかになるように取り組みを進めさせていただきたい、このように考えているところでございます。

菅(直)分科員 考え方を改めた方が、私は早くやった方がいいと思います。

 そこで、内容に少し入ります。

 この中で、シナリオが一、二、三、四、こういうふうに書かれていますね。シナリオ一は肩がわり、シナリオ二は公的資金、シナリオ三は放置して法的整理、シナリオ四に、国民負担増とならない形で廃炉に係る資金を東電に確保させる制度を国が用意、こうありますね。

 しかし、私が知る限り、廃炉だけではなくて賠償、除染等の全ての費用を、とても東電が自前で確保できる、こんな考え方は国が用意できるのか。

 先日、NHKスペシャルで、かなり詳細な費用計算が報道されておりました。十三兆円を超える。上限はわかりません。特に、F1の廃炉の作業というか解体作業は、技術的にもめどが立っていません。

 そういった意味では、私なんかがこのことを読むと、国民の負担増にならない形で廃炉に係る資金を東電に確保させる、そのために、では、柏崎刈羽でも再稼働させて収益を上げさせようとするのか、逆に言うと、そういうことを考えているのかなとでも読み取れるような中身になっています。

 私は、本来、この東電の問題は、事故の直後は、やはり事故処理の問題とそれから賠償を一義的にはまず東電にやってもらうという意味で、経営問題には踏み込まなかったわけですが、事故から五年半余りたって、もう株式会社として一般的に言うと成り立たないことがはっきりしてきたからこそ、この東電委員会というものが生まれてきているし、また、そのことは、内容はともかくとして、そういう議論が必要になってきていると思います。

 そういった意味で、私は、例えば、破綻処理をし、そして発送電分離ということも、経産省ももう方向に出ていますから、発送電分離をすれば、東電が持っている送電網は少なくとも数兆円の価値を持つと専門家は見ているわけです。そういったものをどこかに売却して、それで足りるかどうかは別として、少なくともそれは事故処理なり賠償に充てる、除染に充てる。

 こういう意味で、何かこの書き方をすると、シナリオ四こそが国民の負担にならないけれども、あとは全部国民負担になるような書き方をしていますが、これはちょっと間違った誘導じゃないですか。

村瀬政府参考人 今、東京電力委員会におきましては、まず、廃炉については、炉の設置者であり、現場に精通し、事故を起こした東京電力が実施主体としてその責任を引き続きしっかりと果たしてもらうということを大原則といたしまして、御議論をいただいているところでございます。

 他方で、結論が現時点で出ているということではございませんで、引き続き東電委員会における議論をしっかりと進めていただきたい、このように思っているところでございます。

 破綻処理につきましては、仮にそのような選択肢をとりました場合には、電気事業法に基づいて一般担保つき社債が優先弁済されることとなる一方で、被害者の方々の賠償、それから現場で困難な事故収束作業に当たっていただいている関係企業への支払いといったものが十分にできなくなるおそれ、それから、事故を起こした事業体として福島に向き合う東電が整理されてしまいますと、その中で直ちに東電と同等の廃炉・汚染水対策や電力供給が行える体制を確保できなくなるおそれなどがございまして、福島の再生それからエネルギーの安定供給といった観点からなかなか難しい選択肢ではないかということで御議論がされている、このように考えているところでございます。

菅(直)分科員 時間のようですのでもう最後にしますが、どうも最後の言い方が何か結論を導こうとしているんですね。

 最初に言われました、廃炉の実施主体は東電だと。それは、特に事故の直後は東電以外ありませんでした。しかし、いろいろ外国の例も見ましたけれども、ああいう事故を起こして、メルトダウンして、しかも、デブリが圧力容器を突き抜けて格納容器の底にまでたまった事故はないんです。スリーマイルも圧力容器の中でしたから。そういう意味では、私が見る限り、最終的に果たしてあそこからデブリを取り出すこと自体ができるのかどうか。

 チェルノブイリにも行ってきました。チェルノブイリは、石棺で囲った上に、数千億円かけてでかい金属のふたを今、来年にはふたをかぶせて、何年間そのままにしておくか決まっていません。少なくとも百年やそこらはそのままになるでしょう。

 つまり、そういう意味で、もう既に、東電という普通の意味での電力会社が廃炉を行う、少なくとも事故を起こした原発の廃炉を行うというのは、事実上、新たな技術で、新たな体制で現実にやらざるを得ないんですよ。そういう中にあって、逆に中途半端に、法的整理もしないで、先ほど私が申し上げた、例えば発送電分離によって相当巨額と思われるそういう送電網の売却も行わないで、それでやはり東電が中心だと。これまた、そろそろ国民からは理解されませんよ。

 この間は私は仕方なかったと思います。しかし、五年たってまた、やはり東電でなきゃだめだった、理解されませんよ。それは社債の問題はあります、いろいろな問題は。しかしそれで、社債があるから東電のそういう形がとれないということは、法律の問題もありますが、それは根本的な理由にはなっていません。

 だから、私は、この一、二、三、四のシナリオというのはやや国民を間違った方向に導こうとしている内容になっているということを申し上げて、きょうの質疑はこれで終わりたいと思います。

武田主査 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。

 次に、八木哲也君。

八木分科員 ありがとうございます。自由民主党の八木哲也でございます。

 きょうは、経済産業関係の、特に、アベノミクス道半ば、こういうふうに言われておりまして、その道半ばをどのように終結していくのか、そういう観点で質問をさせていただきたい、こういうふうに思っております。

 私は、もう御存じかもわかりませんけれども、愛知県の豊田市というところにおります。今でこそ自動車産業の活発な町になっておりますけれども、歴史は古くて、実は豊田市の前は挙母という言い方をしておりました。この挙母という言葉は、平安時代に在原業平が、伊勢物語で東下りを編んだときに、三河八橋というところのカキツバタの名所がございます、そこへ寄ったときに、「から衣きつつなれにし妻しあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ」、こういう歌を詠む、そのような古い歴史のある町でございました。

 そして、昭和に入って、養蚕が盛んでございました。また、川を利用した、がら紡というものも盛んでありました。しかし、時代の変遷によって低調傾向になってきた。そのときに、豊田織機自動車部というのが刈谷にありまして、それが工場として、会社として独立したいからという情報を当時の町長さんが得まして、町長さんが奔走して誘致してきたわけでございます。そのときの英断は今でも語り継がれているところでありますが、当時の町の年間予算の半分を使って誘致してきた。この大英断があったから今があるんだ、こういうふうに思います。

 そして、昭和三十四年に豊田市に市名変更をいたしました。その前の市長選挙はすごい選挙でありまして、私も物心がついたころだと思いますけれども、市を二分する熾烈な戦いでありました。そういう中で、改名派が市長さんになられて、豊田市という市にしたわけであります。

 その後も合併を重ねてまいりまして、豊田市は今、四十三万人ぐらいの人口を擁しております。面積的には愛知県で一番大きい面積、愛知県の六分の一の九百十八平方キロという広大な面積になっております。

 その産業構造を見てみますと、これは平成二十二年の工業統計調査からでございますので、若干今と変わっているところがあるかもわかりませんが、市内に工場数が千二百四十一あります。そのうち、自動車関連工場が四百十六、実に全体の三三・五%が自動車関連の工場であります。そこで働く従業員の数が八万六千三百四十三人、市内の全工場で働く人が十万一千九百四十三人でございますので、実に自動車関連で働いている人は八四・六%になるわけでございます。したがって、トヨタさんを初め、中堅企業以上、大企業の皆さん、そして中小企業、小規模事業者の皆さんがいかに多いか、豊田市の中でそういうピラミッド構成がされておる、ややもすれば、底辺の方が広いような構造になっておるということを御認識いただければありがたいと思います。

 そこで、アベノミクス、こういう言い方をされております。明らかにアベノミクスはきいてまいりました。特に、一本目の矢、二本目の矢において、中堅企業以上の会社においては大きく利益を伸ばすに至りました。しかしながら、まだまだ、中小企業、小規模事業者の人たちまでその効果が行き届いているかというと、必ずしもそうではない。まさに、アベノミクス道半ばの状況が豊田市にあることも事実であります。

 そこで、今回の質問でありますけれども、まず一番目に、アベノミクス道半ばだ、こういうことを言われておりますけれども、果たしていつまで道半ばなんだ、こういう観点でございます。

 日本銀行の黒田総裁が、一三年の就任時には、二年で二%の物価上昇を掲げております。達成時期がなかなかめどがつかずに、順繰り、先送りしてきたわけでございますが、この前の十一月一日のときにも五回目の先送りをして、自分の任期の一八年四月まで二%達成がどうも難しいのではないか、こんなような談話を出しました。

 明らかに、今、パートだとか非正規の方々の時給は上がってまいりました。しかし、先ほど言いました中小企業、小規模事業者の皆さんのところまで十分な賃上げが行われているのかというと、ちょっとその辺が鈍くありまして、消費を押し上げるまでには至っていないのが事実だと思います。

 そういうことを思いますと、豊田へ帰ったときに、アベノミクス道半ば、こういうことを言われるけれども、いつまで続くんだ、まして、国政選挙を四回戦って、そのたびに経済の立て直しをうたい上げて戦ってきた、そろそろ結果を出していかなければどうにもならぬぞ、こんなような厳しい御意見があることも事実であります。

 そういう中にあって、経済産業省として、今回、黒田総裁の談話であります日銀の物価上昇二%の先送りについて、経済浮揚、これからの経済をどうしていくのかというような観点から、どのように分析をされたのか、その点をまずお聞きしておきたいと思います。

中川大臣政務官 八木委員とは私は共通点がございまして、八木委員はトヨタの城下町が御地元ということなんですが、私は、選挙区、マツダ自動車の城下町が地元ということでもあります。そういった意味では、本当に、先ほど来御質問の中にあります日本銀行の物価上昇目標二%先送りというのが、またさらに延びているといったような現状も承知をしておりますけれども、政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いていたデフレからの脱却にチャレンジをして、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができたこともまた事実でもあります。雇用情勢の改善ですとか所得の増加が続き、経済の好循環は着実に回り始めていますけれども、御指摘のように、個人消費は力強さを欠いているとも認識をしています。

 そうした状況を考慮しつつ、物価目標の達成時期については、日本銀行が、十一月一日に公表しました展望レポートにおいて、内外の経済、物価の上振れ要因、下振れ要因を丁寧に点検された上で、二〇一八年ごろと示したのも承知をしております。

 今後とも、政府、日銀が緊密に連携をしながら、金融政策、財政政策ですとか構造改革など、あらゆる政策を総動員して、デフレから脱却をし、個人消費などの内需を下支えして、力強い成長を目指すことが重要だと考えております。

 他方で、本当に中小企業政策等々も経済産業省としてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 やはり、大分経済がよくなってきている中で、内部留保と言われる、私も余りそこは言い方は好きではないんですけれども、いわゆる利益剰余金というものが今般三百七十八兆円まで伸びている、さらには、家計の金融資産の推移というものは、今般一千七百五十二兆円ぐらいまでずっとふえてきているという状況があるので、こういったものが本当にしっかりと回っていくようにも努めていかなくてはいけないんだなということを認識しております。

八木分科員 要は、不可分所得を上げて、やはり消費を底上げしていかなければいけない、これは当然のことだと思うんです。

 しかしながら、そこが上がってきていない。このことをどういうふうに考えていかなければいけないのか、こういうふうに思うと、やはり国民の皆さんの将来に対する安心感がまず第一だ、こういうふうに思うんです。それは、当然のことながら、社会保障の安定とか規制緩和や働き方の改善とか、そういうことをしっかりやっていかなければいけないのではないか、こんな思いがするわけでございます。

 そういう中にあって、消費を上げていくには、GDPの六割を占める家計消費喚起、これが重要な鍵でありまして、そういうふうに見てみますと、消費を喚起する中で一番きいてくる、全体に上がってこなければいけないんですが、きいてくるというものから見ますと、やはり住宅だとか自動車、高額なものがどれだけたくさん動くかということになる、こういうふうに思います。

 しかしながら、住宅といっても、やはり一回家を買っちゃうと、そんなに、二十年や三十年、また次の家を建てかえるわけではありません。自動車は、やはり四年から六年、八年ぐらいで大体買いかえ需要がある、こういうふうに思うんです。そういうことからすると、自動車をいかに回転させていくのか、好循環を回していくのかということが私は大事なような気がしております。

 そういう中にあって、自動車産業は広範な関連産業から成り立っているわけでございます。先ほど豊田市の例でも申し上げましたけれども、非常に裾野が広い部分がございます。

 自動車関連の就業人口が、統計で見ますと、五百二十九万人、就業人口の約一割あるということであります。製品出荷額は五十三兆三千億円で、全製造業中の一七・五%を占めておる。さらに、商品別輸出額は十五兆九千億円、全輸出額の二一%を占めるに至っておるわけでございます。そしてまた、国内設備投資一兆五千億、研究開発二兆七千億、こういうふうに非常に大きなお金が回るわけでございます。

 そういうことからしたときに、日本の経済を支えていくということからしたときに、自動車産業がいかに今後あるべきかということは非常にキーになってくるのではないか、その寄与度が非常に高い、こういうふうに思っておるんですけれども、自動車産業をどういうふうに、今の状況からさらに上を目指していく場合、どのようなことを考えておるのか。その牽引役としての位置づけを、経産省としての考えをお聞きしておきたいと思います。

三田政府参考人 お答えいたします。

 自動車産業の位置づけについての御質問でございますけれども、委員御指摘のとおり、自動車関連の支出、こちらはGDPの約六割である家計消費の約一割を占めます。また、例えば、自動車の関連の支出が、直近三四半期の消費の落ち込みの約三割はこれに起因するなど、まさに家計消費の増減に大きな影響を与えるもの、このように認識しております。

 また、これも委員御指摘のとおり、自動車関連産業の出荷額は主要製造業の約二割、国内の雇用の約一割を占めているなど、自動車関連産業は、日本の雇用あるいは地域経済を支える基幹産業というふうに認識しております。

 このように、自動車産業は、需要面から見ても、また供給面から見ても、我が国経済を牽引する重要な産業である、このように認識しております。

八木分科員 したがって、今回の質問の骨格といいますか、これは全てではありませんけれども、どのように自動車産業を、将来、日本の基幹産業、また牽引役としてやっていくのかという観点で質問を若干したいと思います。

 通告してあります三番目と四番目はちょっと関連がございましたので、一括して質問をさせていただきたい、こういうふうに思っておるんです。

 昨年の日本の自動車メーカーの世界生産量は約二千七百三十八万台。このうち、三分の二が海外生産に移っておるわけです。残りの国内生産が九百二十八万台、そのうち半分が国内消費で、半分が輸出、こういう形になっているわけであります。

 そういう中で、消費税が三%であったときと今とを比べてみますと、約二十年間の隔たりがあるわけでございますが、その二十年間を見てみますと、世界生産は一・七倍にふえているわけであります。そのうち、海外生産が三・一倍にもふえている、こういう現実があります。逆に、国内生産は、この二十年で一〇%下がったという状況になっております。このことは非常に大きな課題を持っていると思っています。

 国内新車販売台数の推移を時系列で見てみますと、消費税を五%に引き上げた一九九七年以降、がくんと落ちまして、約百万台減少いたしまして、六百万台弱の販売が約十年ほど続いておるわけでございます。消費税が上がったための反動減、これは明らかにあるわけでございますが、その後の十年間、それが前に戻らず横並び維持をしておるということ、ここがちょっと、何でだろうな、こういうふうに思うわけでございますけれども、そういうところをしっかり解析する必要があるのではないか、こういうふうに思っております。

 消費税の増税を機に、自動車に対する価値観や移動手段の多様性の社会変換、こういうものがあったのかもわかりませんが、私としては、まだまだちょっとそこまで解析できておりませんので、控えますけれども。

 その後、リーマン・ショックまたは東日本大震災、こういうのがあってやはりがくんと販売及び生産が落ちたわけでございますが、二〇一三年に五百六十九万台まで回復いたしました。しかし、二十六年にまた消費税が八%に上がったその影響でまた下がりまして、今では五百万台弱に減少いたしております。

 前回の例でいきますと、これがまたずっと続いていくのではないかという危機感を私は持っております。この現象をよしとしていくのではなくて、これをどういうふうに改善していくのか、こういうふうに思ったときに、過去のあの十年続いた六百万台弱、ここからなぜ伸びなかったんだという、そこの部分をしっかり解析する必要があると思うんです。

 その点において、国内生産、国内販売の減少の要因解析について、経済産業省の見解をまずお聞きしておきたい。これがわかれば反転できるわけでございますので。

 あわせて、質問四としまして、自動車関係諸税を見てみますと、車体課税、燃料課税など自動車取得、維持に係る税が全部で九種類ありまして、その総額が約八・二兆円。これは二〇一六年度の数値でございますけれども、国の租税総収入の約一割弱を占める、このように大きな税でございます。財政への寄与度は非常に高いのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。

 しかし、現実に車が売れない、自動車を買い控えるというような状況にあって、その要因を見てみると、やはり自動車の購入時に、及びそれを維持していくときに、その負担が大きいということも一因としてあるのではないか。

 自動車の維持費等、家計消費の一割が大体自動車に充てられている、こんなような試算もあるわけでございます。そういうことからしたときに、特に若い人たち、給料が安いわけでございますので、非常に負担感は大きい、こういうふうに思っております。外国との比較を見ても、この自動車税はむちゃくちゃに日本は多過ぎるのではないか、こんな思いがあるわけでございますけれども、こういうような要因があって買い控えが出ておるのも一理あるような気がしております。

 日本の経済の牽引役として自動車産業の生産、販売を増強するということは、国内の雇用の安定、拡大があるわけでございまして、そのためには、消費拡大を図る、税のあり方も含めて負担感の少ない環境整備が必要ではないか、こういうふうに思うわけでございます。

 そういうことからしまして、先ほどの質問とあわせて、経産省の見解をお聞きしたいと思います。

三田政府参考人 お答えいたします。

 自動車の国内生産台数と国内販売台数でございますが、委員御指摘のとおり、一九九七年度はそれぞれ約一千七十八万台と約六百二十八万台でございましたが、二〇一五年度には約九百十九万台と約四百九十四万台になっており、それぞれ中長期的に減少傾向にございます。

 この国内生産台数の減少要因といたしましては、為替のリスクヘッジやコスト軽減等を目的とした海外生産の拡大、あるいは中長期的な国内販売台数の低迷等が考えられるところでございます。また、この国内販売台数の減少の要因といたしましては、少子高齢化の進展や若者の車離れの進行、そして諸外国と比べて負担が大きい車特有の税制などが考えられるところでございます。

 今後も我が国において自動車産業が発展し、経済を牽引していくためには、国内の研究、生産基盤を確保するとともに、その前提である国内需要が喚起されることが重要というふうに考えてございます。

 自動車の国内市場の活性化のためには、魅力的な自動車を市場に投入する企業の努力が必要不可欠であります。このため、経済産業省といたしましても、次世代自動車の普及支援や研究開発税制による研究開発支援等を通じて、こうした企業の取り組みを後押ししていきたいと考えております。

 また、自動車産業が生み出す消費や雇用などの実体経済をしっかり支えていくという視点に立ちまして、平成二十九年度税制改正におきまして車体課税のユーザー負担の軽減を要望しており、これを通じて国内の需要喚起を図ってまいりたい、このように考えております。

八木分科員 ありがとうございました。

 次の質問、五問目ですけれども、これは今若干お話でも触れました、何で売れないかというと、やはりニーズに合っていないということなんですね。

 そのニーズとは何かというと、ユーザーニーズと社会ニーズ、これをきちんと把握する中で、人工知能だとかそういう部分も含めて、安全性だとか経済性、操作性、居住性、環境性、こういうものがしっかり商品として提供できない限り、自動車というものは衰退していく危険性がある。ですから、そういうことをしっかり経産省として支えていっていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。

 時間の関係で、六問目に行きます。

 ちょっと視点が違うかもわかりませんけれども、さっき言いましたように、豊田市は、トヨタ自動車を七十七年前に町の予算の半分を使って誘致したわけです。歴史ある挙母の名前を変えてでも豊田市に変更して、市民と行政とトヨタ自動車及び関連企業が苦楽をともにしてきたわけでございます。

 そういう中で、自動車メーカーの法人関係諸税が、リーマン・ショックのときは四百四十億しかありませんでしたけれども、平成二十五年には七千四百六十六億円、約十七倍に回復してまいりました。まさに為替の関係で相当の利益が上がっておる、こういうふうに思うんですけれども、まさにアベノミクスの一本目の矢がきいた、こういうふうに自覚はしております。

 このことは全国もしかりでありますが、豊田市においてもやはり同じでございました。リーマン・ショック前の平成二十年には、三百八十二億、法人市民税がございました。リーマン・ショックになったら、約三十三億に一気に落ち込みました。そして、若干景気がよくなって、平成二十六年には三百七十億まで回復して、要は、相当変動性があり過ぎる状況にあることも事実であります。

 そういう中で、豊田市は財政力がいいものですから、一以上なんですけれども、不交付団体であります。この不交付団体に対して、消費税八%段階になったときに、法人住民税の偏在是正措置で実は四十五億減収となりました。さらに、消費税一〇%段階、再来年になるかと思うんですけれども、その段階では、消費税が五%段階と比べて約百十六億円の減少になるわけであります。

 この偏在性是正という言葉のもとに、理解はするんですけれども、ちょっと大幅な偏在性が不交付団体の中にもあるんではないか、こういうふうに思っておりまして、その典型が豊田市かもわかりませんけれども、この偏在是正をやはりまた変えていかなければいけない。そういう時期はもうじき来るような気がしておりますけれども、私は、変えていくべきだ、こういうふうに思っておるわけです。

 しかしながら、今法律は通りましたので、とはいえ、逆に、いろいろ調べてみますと、臨時行政改革推進審議会、これは平成元年に答申されておるわけでございますが、そのときに、「団体間財政格差の是正」ということで、「(1)国庫支出金等の配分調整の強化」、アとして、「普通交付税不交付団体に交付する補助金等について、補助金等の性格・内容等に応じ、不交付措置及び補助率等に差を設ける差等補助の導入・拡大を図る。 また、財政力に応じた補助採択基準の設定範囲の拡大を図る。」こういうふうに出されたんです。

 ですから、平成二年から、実は不交付団体については非常に補助率が減少しております。それは各省にまたがっておりまして、例えば、文科省では学校施設環境改善交付金、要は学校を直したりつくったりするときに、交付団体の場合が三分の一補助のところを、不交付団体の場合は、財政力一以上あるところは補助率が七分の二になるとか、こういうことがるるたくさんあるんですね。調査し切れないぐらい、実は省庁にまたがっておるわけでございます。

 そういうことから考えたときに、もう既に、平成二年から偏在性是正措置はやられているんだ。そうすると、今回の偏在性是正はまたダブルパンチできいてきておるわけでございまして、それはないよねという思いがしております。せめてあのときの、あの答申の団体間財政格差の是正がもう二十七年も続いておりますので、そろそろそれは見直し、廃止すべきではないか、一本化していくべきではないか、こういう思いがありますけれども、その点について総務省の見解をお伺いしておきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 国庫補助金等につきましては、法令に基づく国庫負担金、国の事務に関係する国庫委託金、そして特定の施策を奨励する国庫補助金など、さまざまなものがございます。

 その補助率等のあり方について一概には申し上げられないわけでございますけれども、例えば国庫負担金につきましては、国の責任として国と地方の負担を定めているものでございますので、個別の地方団体の財政事情により国の負担割合を変更することは適当ではないと考えられるところでございます。

 また、地方団体間の財政力格差の是正は、偏在性の小さな税体系の構築や地方交付税の運用に基づき行われるべきものでございまして、個々の国庫補助金等を通じて地方団体間の財源調整を行うことは本来の趣旨とは異なるものではないかと考えております。

 こうした点を踏まえまして、所管省庁におきまして、個別の国庫補助金等の趣旨や目的に応じて適切に対応していただくことが望ましいものと考えております。

八木分科員 時間が来ましたので、終わります。

武田主査 これにて八木哲也君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

武田主査 次に、厚生労働省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤枝恒雄君。

赤枝分科員 衆議院議員の赤枝恒雄でございます。

 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、日ごろ私が興味を持っているというか、国政の中で活動していることについて、四点質問をしてみたいと思います。

 一つは、准看護師を含む看護職の支援、そして二番目に、産科医の待遇改善、三つ目には、日本版のネウボラと言われている包括支援について、それから四つ目として、親の介護も含めた介護の問題についてお聞きしたいと思います。

 それでは、まず最初に、一億総活躍の一環として、看護職員の確保についてお尋ねをいたします。

 中でも准看護師の養成については、塩崎大臣から准看護師の養成は促進するんだという決意が示されましたけれども、これは間違いないですか。ちょっと確認のために。

神田政府参考人 准看護師につきましては、現在、介護施設でございますとか診療所等において三十六万人の方が現に働いておられるわけでございますので、一定の重要な役割を果たしているものというふうに厚生労働省としては認識いたしております。

赤枝分科員 そこが確認をしておきたかったところなので、ありがとうございます。

 それで、結局、准看護師という人たちの前の学歴を見ますと、中卒は五%ぐらいしかいないんですね。高校中退が六割ぐらい。あと、一応、出産後の育児が落ちついた方とか、いろいろな働き方が変わってきている中で、学び直しとか働き直しというところの選択肢の一つとして非常に重要な准看護師の養成だと思うんですね。

 ところが、准看護師の養成所は現実にどんどん減っているんです。これはどうして減っているのかというと、ここの質問になるわけですけれども、これは通告してありますので、時間の関係で四つばかり一緒に質問させていただきますので、よろしくお願いします。

 准看護師の養成所にかかわって一番問題になるのは、教師、教える先生が資格が要るわけですよ。その資格を取るために、教習所というんですかね、何か資格を取るための学校があるんですが、それが全国に二十カ所ぐらいしかなくて、まず四国には全然ないわけですよ。

 だから、准看護師の学校の教師になろうと思うと、相当遠いところに行くとか、それが七カ月間なんですね。非常に長い。七カ月間も通う。それから、費用が自分の所属している病院からは出ない、自己負担というところで、看護の教員確保が非常に今難しくなっているので、この辺の現状をちょっとお知らせください。

神田政府参考人 看護師の養成所の教員の確保についてでございますけれども、准看護師の養成所も含めまして、看護師等の養成所の教員の養成につきましては、都道府県それから大学で専任教員の養成講習会というものを実施いたしております。平成二十八年度には、先生今御指摘のございました十七都道府県と三つの大学という二十カ所で、定員が七百七十八名というふうになってございます。

 この講習会につきましては、医療介護総合確保基金を活用いたしまして支援をさせていただいているところでございます。

赤枝分科員 続きまして、実習先の確保、今、大学の看護学校がどうしても実習先を先に押さえちゃって、准看護師学校の生徒の実習先がないという問題、これはいかがですか。

神田政府参考人 御指摘のとおり、実習施設の確保についても重要な問題であるというふうに考えております。

 実習先を確保する観点から、指導者の養成ということが重要であるということから、平成二十八年度では、四十四の都道府県と十七の団体におきまして実習指導者の講習会というものを開催いたしております。これは、全体では定員が四千二百三十七人というふうになってございます。

 これも、先ほどと同様に、地域医療介護総合確保基金を活用しまして都道府県から支援をしているところでございます。

赤枝分科員 それから、今度は授業料ですね。比較的、そんなに裕福じゃない御家庭の方がこの学校に通うことが多いんですが、その授業料の補助というのは何か対策はありますか。

神田政府参考人 看護学生への経済的支援についてでございますけれども、従来は国で補助を行っていたわけでございますけれども、三位一体改革によりまして平成十七年度から一般財源化されておりまして、現在は、都道府県において修学資金の貸与事業が行われているところでございます。

赤枝分科員 それから、大体、准看護師学校というのは新設は少ないわけで、建物が老朽化しているんですね。その老朽化のための支援策というのもお知らせください。

神田政府参考人 養成所の施設設備につきましては、現在、医療介護総合確保基金で、養成所の施設設備、それから初度設備等について助成をさせていただいているところでございます。

 平成二十七年度ですと、全体では二十億八千万程度が基金から支援をされているということでございます。

赤枝分科員 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、今、確保基金の話が出ましたので、産科医の待遇改善についてちょっとお尋ねしたいと思います。

 今まで、二十五年度までは、この問題は補助金で多分カバーされていたと思うんですが、二十六年からはこの基金に移りました。これは准看もそうですけれども、産科医の待遇改善も、医療介護の基金の方に入ったために、自由度が増したのはいいんですけれども、全体に薄められちゃって、はっきりしなく、見えにくくなってきたという面もあるんじゃないかと思います。

 そこで、産科医の待遇改善というのは、私はずっと三十八年産科医をやっているわけですけれども、一人の患者さんを抱えると、大体十五分以内に帰れる範囲でないと出かけられない。つまり、産科医は診療所とかで待機しなければいけないという、これは自動的に、流産、早産、それから胎盤の早期剥離とかいろいろなことがあって、緊急が多いんですよね。だから、余り出かけられない。

 産科医の待機の問題、これについて手当がなければ、やはり産科医はふえないだろう。深夜も、とりあえず、お産の患者さんを抱えているだけで、その場にいなくても、いつ、流産、早産で電話があるかもしれない。夜中の電話の待機も大変なんです。その待機料というものをどこかで算定してカバーしてもらわなきゃ、これは診療報酬ではカバーできないところですから、それをこの基金でしっかりカバーできないのかというところはどうですか。

神田政府参考人 御指摘のとおり、従前は、医療提供体制推進事業費補助金というメニュー予算の中で分娩手当を支給してきたところでございますけれども、現在は、医療介護総合確保基金を活用して手当を支給しているところでございます。

 御指摘のように、緊急の出産に対応するために待機をするということがあるわけでございますけれども、従前から、待機に対する補助というのは国の補助金としては行っていなかったところでございます。現在、都道府県によっては、待機ですとか立ち会いをしていることについて補助をしているところもあるというふうに承知をいたしております。

 それから、現在、平成二十六年度から、先ほど申しましたように、医療介護総合確保基金を活用しまして、分娩手当を支給する分娩取扱機関に対しまして、分娩件数に応じて分娩手当への財政支援を実施しております。その実施状況につきましては、現在、二十七年度ですと三十九県、千三百六十七施設で分娩手当について支援をされているというところでございます。

赤枝分科員 随分件数が少ないんですけれども、産科医療の充実に必要な額の決算はこれでいいんだろうかという疑問はあります。今後は、医政局と雇児局で連携して、局を超えて一体的に産科の現場を支援してほしいというふうに願っております。

 それから、今度は、包括的な育児支援の日本版のネウボラについてお尋ねしたいと思います。

 まず、ネウボラの精神は、一人の妊娠した妊婦さんに一人の保健師さんをつけて、ずっと育児から就学までを見ていくというのが趣旨じゃなかったんですか。それについてはどうですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、いわゆるネウボラと言われるもののコンセプトについては、今、出身国において一人の方がずっとフォローされるというところも我々承知をしておりますし、日本国においてこの事業を受け入れる、先ほど先生のおっしゃったお言葉で言うところの日本版というものを制度化するに当たりましては、一人の方がずっと見ていただけるというのもありだと思いますが、何よりも利用者の視点、利用者のお母さんの立場になったときに、妊娠初期から、その後、出産、育児、子育てという期間を通じて切れ目のない支援をどういう形で地域で確保していくか、そのためにどういう事業が必要かということを念頭に私ども考えさせていただき、また、自治体の方々にも一緒にお話をさせていただきながら展開させていただいているところでございます。

赤枝分科員 日本版ネウボラの中で、やはり僕が進みにくいと思うのは、一人の付き添う保健師さんの確保ということもありますけれども、実際に産科検診をやっている医師そのもののやる気、これがもうなくなってきているということは大きなことだと思います。

 というのは、もう産科検診は開業医がやればいいのであって、本来、これを大病院でやることはないんです。でも、開業医のところで、産科検診というのは、まず、患者さんは、机の前に座った後に内診台へ行って、それで胎児の方向、それから子宮口が開いていないかどうかとかいろいろ内診して診察した後に、また洋服を着がえて、今度はお産の検診台の方で骨盤をはかったり、子宮をはかったりして、それから再び私の机の前に来る。こういう三十分以上の時間がかかる検診なんですね。産科検診は時間がかかる。

 これについて、一回の検診が五千円なんですよ。これは多分市町村によっては違うんだと思うんですけれども、そこに一つだけ検診項目を患者さんが選べるようになっているから、その外注費も引くと、医師の取り分というのは三千円ぐらいになっちゃうんですね。

 これは、検診が今どれぐらいで行われているかわかりませんが、私としては、十四回の検診で、トータルすると十四、五万円は本当は必要じゃないかと思うんですけれども、今のところは多分五万円ぐらいで抑えられているはずなので、開業医が検診をやはりやりたいといいますか、やりたいとは思っているんですけれども、これは非常に安過ぎて、回しちゃうケースが多いんですよね。

 この産科検診の料金については、どのようにお考えですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃっている産科検診、我々行政的に妊婦健診という言葉を使わせていただいておりますが、非常に重要な事業であるということを認識しております。

 額のお話をされましたが、これまで、回数をきちっと確保するということも現場の先生方や利用者の方々からお声をいただいておりまして、今は、今先生におっしゃっていただいた十四回程度、いわばそのワンクールを、妊娠中であって、きちっと健康管理をしていただけるということをお願いしてまいりましたところ、全市区町村で十四回程度の健診まではしていただいている。

 その上で、お金、公費負担につきましては、これは二十五年度から地方財政措置、いわゆる一般財源化をしておりますので、個々、最終的な単価は市区町村において決めていただくという仕組みになっておりますが、私ども母子保健課の方で把握をしている限りで申し上げると、二十七年四月の時点での公費負担額は、妊婦さんお一人当たり、十四回、ワンクールで見ると、平均で九万九千九百二十七円ということになってございます。

 ただ、先ほど先生の御指摘ありましたように、都道府県ごとに市区町村をまとめて平均額を見てみますと、十一万円超になっている県が十カ所、逆に、県単位で見たときに九万円未満となっているところが五カ所ということでございまして、やはり市区町村においては随分ばらつきがあるのが実態だというふうに思っております。

 このような形できちっと確保していただく意味からも、こういう情報を私どもが把握した上で、料金を個々にお決めいただく市区町村においても、情報提供をさせていただいて、適切に事業が確保できるように取り組ませていただきたいと思っております。

赤枝分科員 これは市区町村に任せておいてもいいものだろうかという気がして僕はならないんですけれども、やはり統一価格的にすると公取がうるさいのか何かわからないんですけれども、何か問題があるんでしょうか。

 要するに、あの黄色券の、中期のときの五千円は、外注費で取られるので本当に五千円は入らないんですよ。これはいかがですか、料金的に、少し全体を何かコントロールするような方法がないのかどうか、お願いします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、平成二十五年度から地方財政措置、一般交付税という仕組みで国としての責任を果たさせていただいていると思います。

 なかなか、全体の仕組みの中で交付税措置されているものに対しての個々の内容を国から申し上げるというのは、これに限らず、一般論として、国、地方の関係としての制約はあろうかと思いますので、先ほどおっしゃっていただきましたような、実態がどうなっているのか、あるいは市区町村の中でどういう実態にあるのかという点を我々は把握した上できちっとフィードバックをする、その中でいろいろな御議論をいただけるような形で取り組んでまいりたいと思っております。

赤枝分科員 妊娠から出産、それから産後ケアまで続く中で、妊婦さんは、妊娠の初期には初期なりに、産むか産まないかという問題もあるんですけれども、つわりがありますよね。このつわりがひどいと、本当に会社を休まなきゃいけないぐらいにひどいつわりの人もいるわけなので、それから、これから先の、自分が本当に一人の親になるんだったらそれなりのストレスもあるだろうし、途中の段階でもいろいろな心配が出てきて、後期になったらまた後期でマタニティーブルーの問題が出てきて、やっていけるんだろうかという、御主人の協力もないと不安になってきたり。

 つまり、メンタルヘルス、特に、産後に自殺する人が多いというのは知っていますよね、これはもうよく出ますよね。産後に自殺する褥婦さんが多いということを見ても、やはり子供を一人抱えただけで相当な不安、緊張、いろいろなことが出てきて、毎日のように、不規則な生活になっていくんだろう、また引きこもりになっていくんだろうなんということを思うと、メンタルヘルス券という、メンタルヘルスを指導する、一回幾らの、今までの黄色券と同じように、初期、中期、産後と三枚のメンタルヘルス券をつけてくださいと事あるたびに僕はお願いしているんですけれども、これがどうも取り上げられない。そこはもう都道府県に任せてあると言われたらそれまでのことなんですけれども、やはり厚労省としても、メンタルヘルス券をつけるという考え方はないんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 先生、まさに実践を通じて、これまでも妊産婦の方々のメンタルヘルスの重要性について御指導をいただいております。我々も、全くその点、特に今御指摘いただきましたように、産後うつの問題を初めとするメンタルヘルスの問題は重要だというふうに思っておりますので、来年度の二十九年度概算要求の中には、産後うつ予防を図るという観点から、産後初期における母子に対する支援ということで、産婦健康診査に係る事業を実施する市町村に対して補助を行うという意味では、健診に関しての助成事業というものを盛り込ませていただいて、年末の予算編成に向けて、その予算の獲得に努力をしてまいりたいと思います。

 その上で、実際にとれた市区町村の産後ケアをどういう形で実際にやっていただくか。今御提案いただきましたように、妊婦の時代から同じように健診券、受診券のような形でやるというのも一つのアイデアだと思います。そのような話は、具体的にどうするかについては、これからも我々勉強し、自治体の方々のお話を聞いてまいりたいと思いますが、まずは、必要な予算を、国として、自治体の方々に支援させていただけるよう確保してまいりたいというふうに思います。

赤枝分科員 ネウボラの最後の方の産後ケアの問題なんですけれども、今やはり、少子化をいかに改善するかということになると、子供を産みましょう、産みましょうといっても、初めてのお子さんはなかなか産んでくれないんですが、一人お産した人が、産後ケアがうまくいって、出産、育児、楽しいよねと思ってもらうと、二人目、三人目につながるんですね。そういう意味で、産後ケアというのはとても大事なことなので、ここの産後ケアに対してやはり支援をしていくということが、将来的な、出生率一・八に近づく大きな手段ではあると思っているんです。

 だから、産後ケアのところで、最近聞いた話だと、ベビーシッター代が所得控除になるというようなお話をいただきましたが、多分これは本当だと思うんですけれども、ありがとうございますとお礼を言いたいところなんですけれども、それでは、もう一つ、親子で産後ケアに宿泊するお金は、私が聞くところ、一泊七万幾らとか、地方に行くとこれは七万幾らとか高いんです、都心の方で二万四千円とかかなり高いので、その負担を軽減するための所得控除でも補助金でも、何か考えられませんか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まず、事実関係として、今、ベビーシッター代の税制控除についてお触れいただきました。

 私ども、ベビーシッター代あるいは認可外保育所の利用料について、大きな意味での子育て支援、そしてもっと言えば家事支援ということの観点から、来年度の税制改正に向けて、私ども厚生労働省として、関係省庁と協力して今要望をしている段階でございまして、これは与党の中でもこれから御議論をいただきますので、先生の御支援もいただいて、まず、その税制については、これから成案を得るべく調整をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、産後ケアの重要性については、先生改めておっしゃっていただきましたように、我々も重要視しております。その際に、産後ケアの事業については、アウトリーチあるいはウオークインの形とは別に宿泊型というのも、御案内のように平成二十六年度からしております。その際には、おっしゃっていただきましたように、泊まり込んでケアを受けていただくことなので、その泊まり込んでいただく費用の部分も込みで、全体としての事業費として補助対象にしております。

 ただ、同時に、それについては、全額補助をするのではなくて、利用者の方々に、所得に配慮しながらも、きちっと利用料をいただくようにお願いをしているというのが予算事業のたてつけでございますので、実際には、そこに、宿泊型であって助成はしているものの、利用者の方に御負担が生じている、これまた事実でございます。

 これから産後ケア事業を広めていくに当たって、今そのあたり、どういう、ガイドラインなどを含めて、事業を整理していこうかということを考えておりますので、その作業の中で、実際にどんな形で、地域によっても違うと伺っておりますから、利用料の御負担をいただいているかなどなど実態を把握させていただいて、全体として、産後ケア、そして子育て支援というものが進めるように取り組んでまいりたいと思っております。

赤枝分科員 出産から始まって、そろそろ質問も終わりますので、今度は、尊厳死の問題、死に至るときにどういう死に方をするのか、そういうお話に移っていきたいと思います。

 事実、多床室で、死ぬ直前というのはどこの病院でも個室に移すんですよ。というのは、死後の詰め物をしたり、いろいろなガチャガチャと機械音が聞こえたりするのが、やはりほかの患者さんが寝ているときとかに迷惑なので、個室に移すわけですね。

 結局、最終的に個室ということにはなるんですけれども、その前に、やはり老後の尊厳ある終末期ということになると、そこは自分の家庭と同じ環境というのが本当は理想だと思うんですね。自分の家庭と同じ環境、つまり、個室の中で、自分の好きなものを置いたり、それから友達が来たり、家族が来たり、お孫さんが来たりして会話ができる。会話ができて、周りの人には迷惑はかけない、それは個室ですね。

 それから、今度、お年寄りになると感染症を起こしやすいというのもありますね。今の準個室といっても上があいているんだから、あんなのは個室じゃないんじゃないかと私は思っていますけれども、それでは多床室はもっと感染の危険がある。結核なんかは特にそうですけれども、感染の危険が多いわけですから。

 どうしても、尊厳ある死というと個室じゃないかと思っていて、これは厚労省の方針そのもの、厚労省の方針が七割は個室にするよという方針だと思っているんですけれども、いまだに個室が四割から五割というところでとまっているわけですけれども、この原因は何だと思われますか。

蒲原政府参考人 先生から今、尊厳ある死との関係で個室という話が出ました。恐らく生活の場ということで、お話しになった趣旨は、特別養護老人ホームの個室ユニットのことを頭に置かれてのことだというふうに思います。

 先生お話ございましたとおり、やはり尊厳ある死、あるいは、そもそも御本人の方々が居宅に近い環境で日常生活を送るという観点から、こういうユニットケアというのは非常に大事だというふうに思っておりまして、お話しのとおり、現在、厚労省としては、一応、一定の目標、七割という目標を設けて取り組んでいるところで、現在のところ、約四割弱というところがその状態になっているということで、まだまだそこには至っていない。一応、目標年次は二〇二五年ということでございます。

 その上で、なぜ進んでいないのかという話でございます。

 一つは、これはやはり多床室に比べて料金が高いといったような御意見がございます。また、そもそも、現在多床室があるときに、これを改修するということになりますとコストがかかる、そのコスト負担をどうするかといった話がございます。そうしたことが一つ、今まだ進んでいないことの背景にあるんじゃないかというふうに認識をいたしております。

赤枝分科員 今御指摘ありましたように、個室の方が料金が高い、利用者負担が高いというところがやはり問題になって、それで、入所している患者さんは、お子さんのこととか家族のことを考えて、少しでも安い方が迷惑をかけないと思って、今あなたが住んでいるその多床室はどうですかと聞かれたら、すごく幸せですと答えてしまうという、このアンケートにどうにも困っているわけです。

 本当は個室がいいんですよ、みんな。でも、やはり料金の差があるので、この料金の差を、利用者さんが選べるように、個室も選べるように、本当に多床室がいいのならそっちを選べるように、そういう制度になっていかないかなというふうに私は思っております。今後とも、その辺の仕組みを考えていただければありがたいと思います。

 それでは、尊厳死まで行きましたので、これにて退席をいたします。ありがとうございました。

武田主査 これにて赤枝恒雄君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、瀬戸主査代理着席〕

瀬戸主査代理 次に、松浪健太君。

松浪分科員 維新の会の松浪健太であります。

 きょうは厚労関係の質疑ということでありますけれども、私もさっき、貧乏暇なしで、内閣関係の質問をしてきたところなんです。そこでも指摘しましたけれども、きょうは二十四年、二十五年の決算を今ごろ、こんな間の抜けた話はないわけでありまして、私も決算委員長をさせていただいたことがあるんですが、今理事もお座りでありますけれども、このあり方をちょっと考え直さないといけないなと。

 この決算委員会のあり方から無駄をなくすというのであれば、こんな本当に、山ほどの資料をここで積んだって何の意味もないわけでありまして、我々自身がまず襟を正していかなければいけないなと。こんなのは電子データで先にぴゅっと配っていただいたらいいだけの話でありまして、これはまさに国会改革の話をまた議院全体で考えていきたいと思うわけであります。

 ですから、私が何を言いたいかというと、今の決算の分科会は一般質疑の場と化しているということでありまして、しかも、今月末は二十七年が出てくるんですけれども、もう一度、二十六年、二十七年を一緒にやるということでありますので、我々としては、予算委員会の裏で、出てきた決算はその年のうちにきれいに仕上げるということをこれから制度化していくべきであろうということを、まずもって、決算委員会の分科会ですので、指摘をしながら、質問に入りたいと思います。

 きょうは二十一日なんですけれども、先週十六日は世界COPDデーだったということでありますけれども、副大臣、COPDという言葉、ふだん、たまに使うことがありますか。

橋本副大臣 慢性閉塞性肺疾患だということでございますかね、COPDというのは。済みません、余り私詳しくなかったのであれでしたけれども、そのようなことでございます。

松浪分科員 いやあ、副大臣、ナイスリアクションですね。

 私も正直、このCOPDというのは余り、私も厚労の世界にかかわって長いんですけれども、そんなに知らないなという言葉でありまして、ウィキペディアなんかで引きますと、わかりやすく、肺気腫とかそういうものだよとよく聞くんですけれども、肺気腫と慢性気管支炎の統合したような概念だということでありまして、肺気腫と聞いたら、それは副大臣もおわかりですし、慢性気管支炎といえば、ああそうかとなるんですけれども、このCOPDという概念がなかなか国民に伝わっていないというところでありまして、正直私も、この言葉は、何とかデーだというのを聞くまでほとんど知らなかったですね。

 さらに、指摘を受けたのは、これが認知率が二五%ぐらいあるものを八〇%までに上げていくということが、健康日本21、第二次で、平成二十五年度からの十カ年計画の中で方針や概念というものが書かれていて、これがこれから認識を上げていこうということなんですけれども、正直、肺気腫、気管支炎の認知度を上げようと言われたらわかるんですが、COPDの認知度達成について厚労省としての今のスタンスを、副大臣も厚労族の僕もこの程度ですので、ちょっと役所の方から答弁をいただきたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 COPDにつきましては、たばこの煙などの有害物質に長期間暴露されるということで生じます気流制限を特徴とする肺の炎症性疾患ということでございますけれども、先生御指摘のように、かつては、肺の組織の形状の変化に着目した肺気腫であるとか、あるいは、長期にわたってせきやたんが出る、こういう症状に着目した慢性気管支炎という病名が使われておりましたけれども、これらはCOPDのある側面に着目した病名ということで、現在はCOPDという病名を使っております。

 これは、症状がたんだけとかにとどまっていることもございまして、なかなか医療機関を受診しないということで、COPDの認知度が低いことが、COPDを想起して医療機関に行かないということもあるんじゃなかろうかということで、健康日本21では、平成三十四年度までにこれを八〇%以上にするという目標を掲げておりますけれども、御指摘のように、認知度は平成二十三年度で二五%、二十七年度で二七・三%と、まだ二・三ポイントしか上がっていないという状況でございます。

 先ほど御紹介のCOPDデーもありますけれども、そういう関係団体による国民向けの啓発のプロジェクトも行われておりますけれども、私どもとしても、COPDの認知度向上のために、健康増進事業におけるCOPD健康教育等を通じて、より一層の普及啓発に努めてまいりたいと思います。

 特に、この原因の多くが喫煙であるということで、COPD対策はたばこ対策が重要でございまして、こういう喫煙に対する健康影響あるいは健康保険による禁煙治療も可能であることの周知徹底とか、あるいは禁煙支援に携わる人材の育成等も推進していきたいと考えておるところでございます。

松浪分科員 二・三%しかふえていないわけでありますから、私も副大臣もその中に今入ってきたということでありますけれども、これは、やはりエイズとかSARSとか、命にかかわるとなるとすぐ言葉は通じるんですけれども、なかなかたばこだけで、しかも横文字でCOPD、言いにくいということも僕は本当にあるんだろうなと思いますので、民主政権下の小宮山大臣のもとで策定された方針ではありますけれども、これをしっかり進めるのか、それともセンスのいいものに変えるのか、副大臣にお願いをしておきたいというふうに思います。

 同じ十六日なんですけれども、それより大きなニュースがありました。オプジーボの問題であります。

 薬価が、これまではずっと報道がいろいろありました。巨額再算定の中で二五%引き下げるんだろうなというような話があって、しかも、薬価改定はまだ再来年の四月ですから、それに比べて、さらに期中で、しかも五〇%という、これは大きなニュースでありまして、私も最近、地元に帰って一般の方とお話ししますと、一般の人が知っているんですね。オプジーボ、今まで、こんな薬の名前というのはなかなか一般の方は知らないですよね。これをやはりよく知っていらっしゃる。

 私は、一昨日ですか、薬剤師の勉強会でお話しする機会があったんですけれども、ちょっと聞いてみました。薬剤師さん、さすがですね。オプジーボ、まだ二日ぐらいですけれども、薬価が五〇%下がることを知っている方はどれぐらいいらっしゃいますかと。これは九五%、もうみんなよく知っていらっしゃる。ここまでなかなか国民の注目の高い薬はないなということを私も実感しているわけであります。

 このオプジーボの話に入ると、期中改定の問題点とかが出てくるんですけれども、それ以上に心配されるのが、心配と言うとなんなんですけれども、毎年改定ということなんですね。

 毎年改定の話は、今まで経済財政諮問会議とか、こういうことで出てきて、我々みたいに製薬業界のお話をよく聞く機会がある、卸の皆さんの話をよく聞く機会がある、病院の現場でよく聞く機会があると、話をいろいろなところで聞いていると、これはなかなか非現実的だし、非効率的な話だなということを私も重々感じるわけであります。

 特に、私も予算委員会等では、いかにこうしたものが非合理的なのかということを、例えば卸の現場では、未妥結減算が導入されたときも、予算委員会なんかでは、妥結率が一年目、二年目でこういうふうに変わるんだから、現場というのはどれぐらいの負担があるのかといったような質問も今までさせていただいているので、厚労省の皆さんも重々御理解というか、お互いそこは価値観をともにするところだと思うんですけれども、改めて、毎年改定、こうなると、製薬会社も予見性がなくなるし、薬価調査も大変、手間が非常に多い割に私は得るものは非常に少ないなと思うんですけれども、毎年改定の問題点について御所見を伺います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、御指摘のオプジーボにつきましては、平成二十六年七月に、希少疾患でありますメラノーマを効能、効果といたしまして、世界で初めて我が国で承認されたものでございまして、作用の仕方が新しく画期的であることも踏まえまして、薬価が設定されております。その後、効能、効果が追加されたこと等によりまして、大幅に市場が拡大したというものでございます。

 こうした状況も踏まえまして、国民負担軽減の観点と医療保険財政への影響を考慮いたしまして、二年に一度の改定の年ではありませんでしたけれども、緊急的に薬価を引き下げることとしたものでございまして、これによって、今後、薬価の毎年改定を行うことを決定したものではないということでございます。

松浪分科員 いや、今僕が聞いたのは、オプジーボを何で引き下げるか云々の話じゃなくて、毎年改定ということについての問題点というのはどういうことがありますか、端的に答えてくださいと申し上げたんですが。

浜谷政府参考人 毎年改定の問題点につきましては、先生御指摘のような、妥結率が低い等の問題があるものと承知しております。

 いずれにいたしましても、薬価制度の見直しにつきましては、平成三十年度の次期診療報酬改定におきまして、国民的な議論、関係者の意見も踏まえながら、今後、中医協において検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

松浪分科員 質問したところだけ非常にお答えが少ないので、ちょっと不満な気持ちでありますけれども。

 次に、今回オプジーボが期中改定ということでありまして、これは、日薬連、製薬協等は、二度とあってはならないことというような御意見も出していらっしゃいますけれども、期中改定、こういう時期に改定することについて、これは本当に今回限りのことなのか、いかなることなのかということを、まず問題点を伺いたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたけれども、今回の対応につきましては、あくまで緊急的に薬価を引き下げるということでございます。

 今後の薬価算定ルールにつきましては、平成三十年度の次期診療報酬改定におきまして、国民皆保険の堅持とイノベーションの推進の両立、国際的な議論、外国価格等も考慮しながら、高額薬剤について、今回のように緊急的な薬価見直しが必要な事態を再び起こさないよう、薬価算定ルールを見直してまいりたいというふうに考えております。

松浪分科員 再び起こさないようということでありますけれども、同じことが起きれば、やはり同じような対応をせざるを得ないと思うので、今回と違う対応というのは、私はなかなか、本当は難しいだろうと思います。もし違う対応があるのであれば、今回の対応が間違っているということになりますし、このあたり、ちょっと後で触れたいと思うんです。

 その前に、今回のオプジーボの薬価というのは、皆さんで言う市場拡大再算定の特例と。報道なんかで、ふだんは、普通に巨額再算定と、皆さんのお使いにならない言葉を我々は使って、英語の文章でも見ますと、ヒュージセラーという言葉が出てくるので、彼らもそのまま使っているのかな、業界の英字紙なんかを見ますと、そういう表現ですので。

 内容はどうであれ、今回の巨額再算定自体が、私は、階段が非常にちょっと粗っぽいんじゃないかということを当初から指摘してきました。当初の予想より一・五倍で、一千億を超えると二五%カット、そして、一千五百億を超えると今度は五〇%カット。これは余りに、こんな商売、どこでもないですよね。もう損益分岐が読みにくくてしようがない。私、何名か、大きな製薬企業の社長さんと、中堅の方もお話ししましたけれども、一千億売れないように絶対に調整しますということを、彼らは、企業人としてはそう言わざるを得ないというふうにおっしゃっておりました。

 階段が二つというのは幾ら何でも、まあ、抑制効果という点では私は認めます。これを出したときの観点からいえば、外資のお薬も多々あり、この階段が少ないということによって、かなりの英断というか決断ですけれども、効果があったことは私も認めますけれども、これは永続的なシステムとしてはあり得ないと思うんですね。

 やはり、企業のこれからの予見性といったもの、メーカーの予見性といったものについては、こんなことをずっとやっていては、日本というのは、こんな変わったことをしていては、本当に日本の市場は当てにならないなというふうに外資からも思われても当然だし、そうなると、結局、国民の健康を維持していく、または促進していくということには私はつながらないというふうに思うんです。

 この巨額再算定、この特例、今後、やはりある種なだらかな形に私は見直していくべきだろうと思いますけれども、御所見を伺います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の市場拡大再算定の特例につきましては、委員御指摘のとおり、年間販売額が一千億を超え一千五百億円以下であり、かつ薬価収載時の予想年間販売額の一・五倍以上となった医薬品、それから、年間販売額が一千五百億円を超え、かつ薬価収載時の年間予想販売額の一・三倍以上となった医薬品を対象といたしまして、それぞれ、最大二五%、最大五〇%の引き下げを行うこととなっております。委員御指摘のとおり、そういう意味では段差があるわけでございます。

 市場拡大再算定につきましては、平成二十八年度改定における中医協の附帯意見におきましても、市場拡大再算定のあり方について引き続き検討することとされておりまして、平成三十年度の次期診療報酬改定に向けまして、御指摘の点も含めて、中医協において検討してまいりたいというふうに考えております。

松浪分科員 余りに大きな、こういう二段階というような粗っぽいことをすると企業の生産目標とか立たなくなってくると思いますので、本当にこれは私も緊急的なことだろうなと思います。

 今回のオプジーボでもっと緊急的なのは、薬価、当然、先ほど触れました一種の期中改定でありまして、医療現場の中でも、不良在庫をどうするんだ、半額に値段が途中で落ちるというのは本当に想定されないことで、予見性については非常に問題があることだと思いますけれども、この不良在庫の問題についてはどういうふうにお考えですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、医療機関は既に引き下げ前の薬価を前提とした価格でオプジーボを購入し、在庫を抱えていると考えられます。

 こうした事情も考慮いたしまして、医療機関が不良在庫を抱えることのないよう、今回のオプジーボの薬価引き下げにつきましては、適用まで一定の期間を設けまして、平成二十九年二月一日から適用することとしているものでございます。

松浪分科員 これについては、本当に正直者がばかを見ないように現場の対応をお願いしたいと思うんです。

 このオプジーボの問題、最後に、締めくくり的になりますが、先ほど申し上げたように、同じことが起きれば必ず何か対応しなければならない。ですから、幾ら業界が、今回限りのことであってくれ、皆さんも、特例中の特例だとおっしゃっても、これでは予見性というものを行政としては担保できないと私は思います。

 ですから、薬価の算定基準なんかでもよく、画期性加算なんかは、画期性加算ができてから、最近は何件か使われたこともあるらしいですけれども、十年ぐらいはたしか画期性加算はこれまでは使われたことがないんですということを僕は現場の方から伺ったことがあったように思いますけれども、使わなくてもルール化しておくべきものというのはあると思うんですね。

 今回も確かに、メラノーマ、本当に数百人のものだと思います。これが一気に肺がんで万単位になると、追加効能を認めたことによって売り上げがばんと大きくなった。そしてかつ、これでは、実際問題、オプジーボにもし類似薬ができてきたというときに、期中で類似薬ができてきたときに、その高い値段に合わせるのかというと、これは確かに私は大問題だと思いますよ。

 大臣も答弁でお答えになっているように、オプジーボは百ミリで七十三万円、アメリカで三十万円、イギリスで十四万円、ドイツで二十万円と、確かに、こういうふうに、今回半分にしても値段がまだ二分の一いかないわけですよね、一番高いアメリカに比べて。これは行政というよりも、私は、今回はやはり政治的配慮なんだというところを見せていかないと、行政がこうやったんじゃなくて政治的にここは来たんだという、行政の皆さんにもこの結果責任を負わせるのも申しわけないことだと思いますので、こうしたことは、やはり私は、半ば政治責任でやるべきことであろうというふうに思うわけであります。

 それで、一回目は政治責任でいいんですけれども、二回目に政治責任はとる必要は私はないと思うんですね。ですから、こうしたものについてはしっかりと、今申し上げましたけれども、追加効能で爆発的に上がって、今回みたいに、上市してくる類似薬があるなしにかかわらず、そのあたりのルールづけというのはメーカーからも、日本国は製薬産業を成長戦略に位置づけているわけですから、これは私はなくてはならないというふうに思いますけれども、御所見を伺います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今回のように革新的な医薬品が効能、効果の追加等により大幅に市場が拡大するような事態は、現在の薬価制度では想定していなかったものでございます。

 繰り返しになりますけれども、このため、平成三十年度の次期診療報酬改定におきましては、今回のように緊急的な薬価見直しが必要な事態を再び起こさないよう、薬価算定ルール自体を見直してまいりたいというふうに考えております。

松浪分科員 そのあたり、本当に担保されるように頑張っていただきたいというふうに思います。

 今回、結局、先ほど巨額再算定の問題にも触れましたけれども、もう一つ問題になっているのは、やはり私は、日本の医療というのは、にせ薬もなくて、大変卸が発達をしていて、卸の統合も随分進んで、この機能は日本は本当に世界に誇るべきものかなと思っておりますけれども、この卸が、第二・四半期の決算結果もありますが、大変厳しいものになっているというふうに私は認識をしておりますけれども、厚生労働省、この卸の業界が苦境にある理由はどのようにお考えですか。

神田政府参考人 医薬品卸業者の経営状況についてでございますけれども、売上総利益率で見ましても、最近は七%を割り込むという状況になっておりまして、大変厳しい状況で推移しているものというふうに考えております。

 その原因といたしましては、後発医薬品の普及促進ということから、後発医薬品は一般に低価格であることから、価格に対する率でリベート等を定めるという従来の方法によりますと利幅が非常に薄くなること、また、後発医薬品の推進に伴いまして取扱品目が増加いたしまして、後発医薬品が在庫スペースの半分程度を占めているといったことですとか、緊急配送等が増加していることなどが関係しているものというふうに考えております。

松浪分科員 おっしゃるように、後発品の割合がふえることは私はいいことだと思いますけれども、これの種類が大変多いというのは問題だと思います。

 私も、もう十年近く前になりますけれども、厚生労働省の政務官をさせていただいているときから随分、卸の現場も視察をさせていただいて、当時からジェネリックも、例えばアムロジンなんというのは四十種類もあるんですよなんというので、それからどうなるのかなと思っておりましたら、数年前、ちょっとたまたま病院に行って、後ろに患者さんがいなかったものですからお医者さんとそんな話になりまして、ぴゅっと見せてもらったんですね。それはどれぐらいあるかなというのをお医者さんに見せてもらったところ、ほとんど減っていなかったんですね。

 ですから、これも、卸の現場では同じ薬を幾つも幾つも、物によっては何十種持つということは、私は非合理的なことであろうというふうに思います。

 正直言って、厚労省の幹部の方と冗談めいて話をしていたら、ジェネリックも再編をやはりしないとだめですよね、建設会社だったら地方へ行ったらAクラス、Bクラス、Cクラスがあるんだから、それぐらいの感覚が必要ですよねなんというのを冗談でおっしゃった。それも僕は、現場をごらんになって感じる問題意識がうまくユーモアを持って表現されているなと思ったんです。

 このジェネリック、数を減らす手だてというのをどのようにお考えでしょうか。

神田政府参考人 御指摘のとおり、先発医薬品一成分に対しまして後発医薬品が多品目上市されているということになりますと、先ほど申し上げました在庫スペースの確保ですとか配送コスト、安定供給などに影響が大きいものというふうに考えておりまして、後発医薬品の使用促進を図る上でも問題であるというふうに考えております。

 このため、薬価制度におきまして、後発品の薬価収載の際には、先発医薬品一成分に対しまして、内用薬で十品目を超える場合には、通常は先発品の〇・五掛けで価格設定するところを〇・四掛けということで、一〇%さらに引き下げるということにいたしております。

 また、それ以外にも、全体の対策といたしましては、地域で医療機関とか保険薬局が連携いたしまして汎用医薬品のリストの作成を行うとか、あるいは卸売業者の方で効率的な供給体制、在庫管理、配送を行う供給体制をつくるとか、価格設定に限らない取り組みが必要ではないかというふうに考えております。

 現在、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会等で意見交換をいたしておりますので、その場の議論を踏まえまして、今御指摘のあった問題についても引き続き対応策を検討していきたいというふうに考えております。

松浪分科員 流改懇でももう長年議論が続いていると思うんですけれども、なかなかこうした問題が変わっていないというのは、私はやはり何らかの問題点があるんじゃないかなというふうに思います。

 ジェネリックの値段設定についても、国民から見れば、逆に、えっ、ジェネリックって一つじゃないんですかというのが素直な国民の意見だと思いますよ。これが幾つも種類があると、今まではすごく多かったのが随分、三つぐらいに何とか減らしてきたというのは、御努力は大変評価するものでありますけれども、やはり厚労省が成分、薬効が一緒で効き目が一緒だというふうにおっしゃっているわけですから、これの価格設定がそこで分かれているというのはなかなか理解に苦しむ状況なのではないかなということは指摘をさせていただきたいと思います。

 これに加えて、今、卸の世界で垂直統合の動きが広がっているなというのが、以前より確かに、調剤チェーンがジェネリックの会社を持ったりとかいうこともありますけれども、最近は、卸の中でこういうものができてきた、出てくる動きが随分と顕著になってきていると思います。

 我々、医薬分業までしているんですから、卸は卸でぴしっと横に筋を引くのがいいのか、それとも、これからやはり合理化でそういう垂直統合の動き、今までは水平の動きが随分と進んできたわけでありますけれども、この垂直の動きが進むのがいいのかどうか、これについて、垂直統合の動きについて御所見があれば今伺いたいと思います。

神田政府参考人 医薬品卸売業者、それからメーカー、調剤薬局等で、御指摘のように垂直統合の動きがあることは確かでございます。最近でも、大手卸の製薬メーカーの子会社が設立されるなど、医薬品流通当事者の経営戦略の一つとしてそのようなことが実施されているという状況にあることは承知をいたしております。

 こうした動きの背景には、先ほど御指摘のありましたように、卸売業の経営が厳しくなっている状況があるというふうに考えております。このような垂直統合の動きというものは、今後の医療用医薬品を取り巻く環境変化に対応するための卸売業としての一つの取り組みとして評価できるものというふうに考えております。

松浪分科員 評価をしていらっしゃるということでありますから、こうした動きはこれからも進んでいくんだろうと思います。そのときに、ジェネリックなんかでも、ジェネリックの会社のMRがたくさんいるというよりも、やはりそのあたりは、例えば卸のMSがそこを担っていくとか、ある程度の合理化というのが進む、こうした中で利益構造をしっかりと私は図っていかなければならないものであるというふうに思っております。

 もう時間もなくなっておりますので、最後にちょっとポリオの問題を取り上げさせていただきたいと思います。

 ポリオワクチンなんですけれども、今までは、一・五歳までの小児に一期接種で四回、四種混合を打っているわけでありますけれども、十一から十三歳の二期接種についてはDTワクチンであって、最近はようやく三種ワクチンなんかも出てきているということであります。

 これは、今まで、六月に行われた第四回厚生科学審議会ワクチンに関する小委員会でも、岡田教授という福岡歯科大の先生が、これからは十一から十三歳にもこの枠をどんどん広げていくべきじゃないかというような御意見もおっしゃっているわけであります。

 三種ワクチンができたのであれば、単味不活化ポリオワクチンをそれに足せば私は四種で機能するのではないかなと思いますけれども、今後の見立てについて伺いたいと思います。

福島政府参考人 お答えします。

 厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会等における岡田先生の発言というのは、ポリオの五回目の接種をどうするかということだと思います。

 もともと、生ポリオのときには二回接種でございましたけれども、これを平成二十四年に不活化のポリオワクチンを使うというふうに変えた際に、強毒株由来の不活化ポリオワクチン、または弱毒株由来の不活化ポリオワクチンを含む四種混合ワクチンのいずれかを使うということで四回接種としたわけでございますけれども、一部の国で五回目の接種を行っているということ、あるいは、弱毒株由来の不活化ポリオワクチンを含む四種混合ワクチンの抗体の持続性がなかなかまだ今明らかになっていない、まだこれは経験が三歳ぐらいまでしかございませんので、そういうことから、年齢別にどれくらいの割合で抗体を保有しているかの経年変化を見た上で、追加の接種の必要性と最適な接種時期を検討するとされております。

 これを踏まえまして、現在、感染症流行予測調査や研究班によりまして継続的に抗体保有率の調査を行っておりまして、この調査結果や専門家の意見を踏まえて、五回目の接種の必要性については引き続き検討していきたいと考えております。

松浪分科員 それでは、よろしくお願い申し上げまして、時間が来ましたので、これで終わります。

瀬戸主査代理 これにて松浪健太君の質疑は終了いたしました。

 次に、松木けんこう君。

松木分科員 本日は分科会ということで、長時間にわたってやっているわけで、疲れていないですか、副大臣。政府委員の皆さんもみんなお疲れだと思いますので、ちょっと体でも伸ばしていただいたら結構です。

 きょうは、厚生労働省関係と、そして農林水産省関係、大体この二つの分野を聞かせていただこうというふうに思っています。

 厚労省関係では、美容師と理容師とあるんですけれども、区分けがなかなか難しくなってきている中での制度設計の修正の必要性があるのかなというような気もあるので、そのことについてちょっと聞いてみたいというふうに思います。

 それと、今後やはり高齢化が進む中で、ますます重要になっていくのが介護職員ですね。この人たちが果たすべき役割についてお聞きしたいなというふうに思っています。

 それと、農林水産分野ではTPPについてお伺いをしたいと思うんですけれども、なかなか、国際的な話ですから、言いづらいこともあることもよくわかりますので、そこら辺はできる限り言っていただきたいと思います。

 ただ、どうもクリントンさんがと多分皆思っていたのかな、ところが、そうじゃない方がなられて、さて、これからどうなるのか。ひょっとしたら、安倍政権も今までの方向性を相当変えていく、修正をしていく、そういう必要性もあるのではないかというふうにも感じているわけでございまして、こういった問題意識を持ちながら、では質問に入らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 まず、理容師、美容師の店舗外での出張営業について、お伺いをしたいと思います。

 高齢化の進展や生活スタイルが多様化する中で、例えば忙しいビジネスマン、こういう人たちのように、なかなか髪を切る時間がとりにくい人を中心に、理容師、美容師の出張営業に対する社会的ニーズなんというのも実は高まっているんじゃないかなというふうに思います。我々の感覚だと大体朝九時から五時まで働くという感覚なんだけれども、もうそうじゃない、夜中中心で働く人だとか、あるいは、とにかく美容室なんかやっている時間は到底行けないとか、いろいろな方が、特に東京なんかはそういう方もいるみたいでございます。

 それと、逆に言うと、今度、過疎化が進む地域では、なかなかその地域に理容師さんが店舗を構えにくいという状況もあるんですね。ここは、おられるところはそれでいいというふうに思いますけれども。こういうような地域では、理容師、美容師の出張営業を週に何回か臨時で行うことができれば、過疎地での生活インフラ、こういうことも守れるし、広い意味での地方創生にもつながっていくことが期待されるというふうに思うわけでございます。

 都会と違って、地方は小さなニーズかもしれません。しかし、地域で埋もれてしまいやすいこういったニーズへの受け皿を持つことは、新しいスモールビジネスというんですか、地域地域で生んでいくチャンスにもつながるのではないかというふうにも思っております。

 そういった理容師、美容師の出張営業がより行いやすくなることへの社会の期待について、どういうふうに厚労省としてお考えになっているのか。現在の理容師と美容師、こういう方々の出張営業への規制の現況というんですか、そして、逆に言うと、規制緩和の必要性について、現内閣は結構規制緩和というお話をされていますので、その中で成長戦略と言っていますので、それにも合致するんじゃないかなというふうに私は思うんですよね。

 そういうところを踏まえて、今の段階で厚労省の皆さんはどういうふうにお考えか、お答えをいただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 理容や美容を業として行う場合でございますが、これは公衆衛生上の観点から、理容師法施行令の第四条あるいは美容師法施行令の第四条に定めます特別な事情がある場合というのを除いては、理容所または美容所以外の場所で行うことは法律上認められないという扱いになってございます。

 この政令で定める特別な事情でございますが、三つほどございまして、一つは、疾病その他の理由により、理容所あるいは美容所に来ることができない者に対して理容や美容を行う場合、これが一つでございます。それから二つ目でございますが、婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に理容、美容を行う場合、これが二つ目でございます。それから三つ目でございますが、前二号のほか、都道府県等が条例で定める場合、これが三つ目ということになっておるわけでございます。

 これによりまして、例えばでございますが、社会通念上、自宅からの外出が困難な状況にあると考えられるような、例えば寝たきりの状態にある方ですとか、あるいは老人福祉施設等に入所されているような高齢者の方とか、こういった方々に対しまして、理容師や美容師が訪問して施術を行うということは可能でございます。したがいまして、御指摘いただいたような、例えば過疎地域等におけるニーズ、こういったものにもある程度対応いただいているものというふうに考えてございます。

 なお、平成二十七年の六月三十日に閣議決定されました規制改革実施計画というのがございます。この中で、「「疾病その他の理由により、理容所・美容所に来ることができない者」の対象範囲の拡大について、利用者ニーズ等を踏まえ検討を行い、結論を得た上で所要の措置を講ずる。」というふうにされたことを受けまして、本年三月でございますが、都道府県に対しまして、乳幼児の育児または重度の要介護状態にある高齢者等の介護を行っている者、これへの対象範囲の拡大についての考え方をこの通知の中でお示しさせていただいたところでございまして、こういったものに沿って対応していきたいというふうに考えておるところでございます。

松木分科員 ありがとうございました。

 細かく教えていただいたんですけれども、理容所だとか美容所でなきゃできないという一応原則があるんですよね。これはどうなんですかね。そろそろ、その地域によってもいろいろと違うとは思うんだけれども。

 私のちょっと知っている友達が、青山のあたりで店を開いているのがいるんだけれども、若い人で頑張っているんですが、彼なんかが言うには、やはり、外資系の会社の人だとかそういう人たちで、本当に行きたいんだけれども行けないんだよなという方がかなりいると言うんですよね。そうであれば、我々、どこにでも行って、そこでやれれば、普通より高い金を取ってやることもできるんですよ、新しいビジネスになるんですけれども、こういう話もあるんですよね。

 現代のことを考えたら、そういうところぐらいまでそろそろいってもいいんじゃないかというような気もするんですけれども、余りそこまでは今のところは考えていないですか、どうですか。

橋本政府参考人 この問題についてはさまざまな御意見があるだろうというふうには思うところでございますが、現在の理容師法の中で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、六条の二という法律の条文がございますが……(松木分科員「法律ではわかっているんです」と呼ぶ)はい。こちらがございます。

 それに基づきまして、例えば九条の中で、理容師は、理容の業を行うときには次に掲げる措置を講じなければならないということで、いろいろな器具を備えるとかそういった規定もございます。

 また、十一条の二の規定の中で、使用前の検査ということで検査に入ったりもするわけでございまして、そういった衛生上の措置を担保しているわけでございまして、私どもとしては、そういった衛生上の危害がないようにということをまず第一に考えていきたいというふうに思っておるところでございます。

松木分科員 よくわかるんですけれども、それは。しかし、時代も随分変わってきて、日本全体の健康状態も昔とは随分違うと思いますよ、衛生の状態もね。ですから、ぜひ副大臣、こんなことをちょっと役所の中でみんなでもう一回考えてみてくださいよ。

 一応今のルールじゃだめだというのは、これは僕はよくわかっていることなので、それぞれの業界団体からいろいろなことを言われるというのもわかります。わかるけれども、ぜひいろいろな、規制緩和ということをかなり安倍さんは頑張っているじゃないですか。であれば、私は、これは結構いけるんじゃないかと思うんですよね。

 ぜひ副大臣、ちょっと御所見を、余り問題になるようなことまでは言わなくていいですけれども、できる限りでいいから。

橋本副大臣 御意見というか、そういうようなお話があったんだということは、それはそれで受けとめさせていただきたいとは思います。

 ただ、答弁申し上げておりますように、衛生上の必要というのがやはり一番大事なんだろう。特に、今、大変日本というのは衛生的でありますけれども、例えば感染症だとか、そういうもののリスクというのはやはりあるわけでございまして、そういうものまで含めたところの衛生をどのように保つかということは、やはりそれはそれで考えていかないといけないことだと思いますので、宿題として受けとめさせていただきたいと思います。

松木分科員 わかりました。

 ただ、ぜひ審議官さん、皆さん本当のプロの方々ですからね。これはぜひ、では、どんなふうにやったらできるか、また一つ出張がオーケーになったら、そこでいろいろとまた少し、やはり、規制じゃないけれども、こういうことはちゃんとしてくれ、ああいうことはちゃんとしてくれというのをやれば私は十分できるような気がするので、ぜひ省の中で一回、決算委員会でこんな話があったのでちょっとではみんなで検討してみるかということを、副大臣そして審議官、よろしくお願いしたい、そう思いますね。答えはいいです。

 それではもう一つ、この理容、美容の話で、次に、美容師のひげそりとか顔そりのことなんですけれども、現行の法律では、美容師はひげそりと顔そりはできないということでいいんですよね。

橋本政府参考人 御指摘いただきました刈り込みあるいは顔そりでございますが、理容師法の中で、「理容とは、頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えることをいう。」というふうにされております。したがいまして、理容師の資格を持っていない方がこういった行為を行うことはできないというふうになっております。

松木分科員 だから、美容師さんはだめなのね。

 もちろん、ルールはわかっています。ただ、最近、男性でも美容室に行く人もかなり多いと思うんですね。私も、生意気にも美容室の方に行ったりもするんですけれども。副大臣もなかなか……(橋本副大臣「これは自分でやっています」と呼ぶ)自分でやっているの。

 そういう、時代も変わってきて、やはり美容院でできればひげも顔もそってもらいたいなというニーズというのは、これは実はかなりいろいろなところで聞くんですよね。

 利用者ニーズということを考えたときに、理容師の皆さんは、その勉強をされてその資格を得ているわけですよね。であれば、例えば美容師の免状を取るときに、カリキュラムの中にそれを入れれば別に問題はないんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、そこら辺はどうでしょうか。

橋本政府参考人 まさに、この点につきましては御指摘のようなさまざまな御議論があるわけでございまして、こういった点を含めまして、理美容業に関するさまざまな御意見につきましては、規制改革会議におきましてさまざまな議論が行われました。その結果として、昨年の六月三十日に閣議決定されました規制改革実施計画が取りまとめられております。

 その中で、それまでは、理容所と美容所の重複開設、理容所と美容所を兼ねる、そういった重複開設は認められておりませんでしたけれども、「理容所及び美容所の衛生上必要な要件を満たし、かつ理容師及び美容師両方の資格を有する者のみからなる事業所については、」重複開設を認めるということとされたところでございまして、これに基づきます省令改正等も既に施行しているところでございます。

 このほかでございますが、同じ規制改革実施計画におきまして、「理容師又は美容師のいずれか一方の資格を持った者が他方の資格を取得しやすくするため、専門家による検討の場を設けて検討を行い、結論を得た上で所要の措置を講ずる。」こういうふうにされております。

 昨年十一月に理容師・美容師の養成のあり方に関する検討会というのを立ち上げまして、一つは、理容師または美容師のいずれかの資格保有者が他方の資格を取得しやすくするための措置、それから二つ目には、理容師、美容師の養成課程そのものの内容あるいは国家試験のあり方、こういった点につきまして、現在、この検討会の場で検討させていただいているところでございます。

松木分科員 そうすると、私の言ったこともひょっとしたら今話し合いの中に入っている可能性はあるんですかね。そこまではしゃべれないか。

橋本政府参考人 今申し上げましたように、この理容師・美容師の養成のあり方に関する検討会の中におきましては、例えば、理容師の資格を既に持っている方が、美容の方の業もやりたいということで美容師の資格を追加して取るという場合に、現在の仕組みのもとでは、理容師の場合も美容師の場合もそれぞれ二年ずつの課程が必要なわけでございますけれども、もっと短い期間で取れるようにできないか、こういった観点からもさまざまな議論を今しているところでございます。

松木分科員 中身は余り、言いづらいよね。いいよ、そうしたら。

 今、美容師はやはり顔そりとかひげそりはできない。同じように、今度、理容師の方は美容の方でどんなことができないのかというのがちょっと私わからないんだけれども、わかる範囲で何かありますか。

橋本政府参考人 美容師法の中で、「「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。」というふうに規定されてございます。

 今御指摘いただきましたような、美容師の資格がない場合に行ってはならないものとして、例えばまつげエクステンションと呼ばれるようなものがございますが、こういったものが美容師の資格がない者が業として行ってはならないものということでございます。

松木分科員 わかりました。

 いずれにしても、私も思うんだけれども、理容、美容、まあ業界があるので、それはいろいろとあるのはよくわかっているんだけれども、ぜひ、垣根をもうそろそろ考えてもいいんじゃないかな。カリキュラムを少しふやせばそれでちゃんと覚えられるわけだから、そういうことをなるべく早く変えていってくれたらいいんじゃないかなというふうに思っていますけれども、副大臣、どう。

橋本副大臣 この問題はるる御議論があったということはもちろん御承知の上で御質問されているんだと思いますが、今答弁を申し上げましたように、結局、一人の人が美容師と理容師の両方の資格を持っていただければ、全てができる人ができるということでございます。

 それを、要するに、やはり共通する部分もあるし、それぞれの専門性というものもありますから、そのことについて今御議論をいただいていて、カリキュラムの中で共通化できるところをさせていただいて、両方の免許を持った人ができやすくしようというのが今の流れで、そうすると、いろいろなことができる人ができるねということで考えているところでございます。

松木分科員 一元化しちゃおう、そういう流れというのはないか。

橋本政府参考人 理容業、美容業、それぞれ専門的な分野として確立したものでございますので、今議論されている中身は、今副大臣から御答弁いただきましたように、両方の資格を持ちやすくするとか、そういった観点からの議論がされているところでございます。

松木分科員 当然、それぞれのものがあるんでしょう。しかし、ぜひいろいろなことを、こういうところのいろいろな規制というのは私はなるべくなくしていった方がいいんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひまた努力を、厚労省の皆さんで、では、こういうことはもう自由にしていこうよということで頑張っていただきたいというふうに思っております。

 それでは次の質問ですけれども、介護業務の医療行為についてお伺いをしたいと思います。

 現在、介護士などは、血圧の測定、爪切り、たんの吸引といった業務ができるようになってきました。しかし、平成十七年の七月二十六日の医政局長名での通達では、こういった業務を介護士ができるとしながら、事故が起きた場合の刑法、民法等の規定による刑事上、民事上の責任は別途判断されるべきと書かれています。

 非常にわかりにくい表現でありますけれども、刑事上、民事上の責任が問われない範囲はどこまでかを含めて、整理が必要だというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。

    〔瀬戸主査代理退席、主査着席〕

橋本副大臣 一般的な介護従事者についてのお話と受けとめさせていただきたいと思いますけれども、高齢者介護の現場で、介護職員によりできるもの、できないことというのはございます。例えば血圧測定だとか爪切りみたいなことは、これは医療行為ではないので、やっていただいて大丈夫ということ。それから、例えばたんの吸引みたいなことは、これは医療行為なんですけれども、一定の研修を受けた介護職員が、事業所において医療関係者との連携が図られているなどの要件を満たした場合に限って実施することが可能ということになっています。

 今、通知についてお話をいただいたわけでございますけれども、その通知が何を言っているかというと、先ほど申し上げた爪切りとか血圧測定とかも含めて、これは医療行為ではありませんということを列挙したものでございます。

 ただ、それは医師法にさわるものではないということを申し上げているのであって、例えば爪切りをしていて間違えて指を切っちゃったみたいなことが仮にあったとすると、それが例えば損害賠償請求の責任を負うかどうかみたいな民事上の責任、余り刑事上の責任というのは考えにくいですけれども、そうしたことについては、またそれはケース・バイ・ケースで判断をされることだということを書いているものでございます。

松木分科員 わかりました。

 それでは次の質問なんですけれども、時間が余りなくなってきましたので、簡単にお答えいただきたいと思います。

 チーム医療の推進が今言われていますよね、医療というのは。一定の講習を受けた介護士がこれまで医療行為として規制されてきた分野の業務について行うことができるようにルールを変えていくということは、結果的に、医師や看護師がより専門性の高い医療行為に集中できる環境をつくることになるというふうに私は思います。そうなれば、医師、看護師、理学療法士、介護士などがチームとして効率的に業務ができるようになるのではないかなというふうに私は思っていまして、こういったチーム医療の考え方を今後重視し、介護士の役割を拡大していくことをどうお考えか、厚生労働省の御見解を教えていただきたいというふうに思います。

 例えば、日本赤十字社の活動を見ていても、高齢者の健康を守るためのさまざまな一般人向けの講習も行っていますね。一般の皆さんが講習を受けてできるようになることを、介護スタッフも同様にできるようにするという発想はごく自然じゃないかなというふうに思います。

 介護スタッフというのは、医療スタッフの医師や看護師等よりやはりお年寄りの方と接する回数が多いというふうに思いますので、お年寄りの健康を守るためにも、より大きな役割を担ってもらうよう、実態に合わせて制度を上手に変えていく必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

橋本副大臣 まず、日赤の活動についてお触れになりました。

 確かにいろいろな活動をされておられて、講習等もあるわけでございますけれども、これは、家庭や地域で誰もが支援や介護ができるようなこと、方法だとか、あと、けが人や急病人に対する応急手当て等の講習などをやっているということで、これは、例えばそこに倒れている人がいるとかというときに一般の人が救急にやることができる、その方法というのは、どなたがしていただいても、ぱっとその場でやる限りは別に医療法とかにさわるものではないことでございます。

 そういう知識を介護職員の人も身につけて、いざというときに対応できるようにしておこう、それはいいことだと思いますし、していただく分にはいいことだなというふうに思います。

 もうちょっと一般論として、医療に当たる行為を、先ほどたんの吸引の話にちょっと触れましたけれども、これは医療行為であるけれども、まさに御指摘をいただいたように、一定の研修を受けた介護職員が、事業所において医療関係者との連携が図られているなどの要件を満たした場合に限り実施することを可能とした、そういうことをやったわけでございますが、そうした医療行為を介護職の人とどういうふうにやっていくのかということで、チーム医療の推進というのは大事なことですが、役割分担を踏まえた連携を一層推進していくということがまず大事だと思います。

 その上で、現在、厚生労働省で、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会というのをやっておりますが、そういう場で医療、介護両面から御議論いただいておりまして、関係者の御意見あるいは介護現場の実態等も踏まえながら、あり方について検討していきたい、このような状況でございます。

松木分科員 ぜひ頑張ってください。

 それと、厚生労働省関係の免許だとか資格証というのは、大きな賞状タイプのものが多いと思うんですけれども、運転免許証みたいな携帯できるようなものにしていったら、何かあったときにいいんじゃないかということを言う向きもあるんです。

 また、理容師や美容師、調理師、栄養士、技能士、いろいろとありますけれども、こういう人たちには、逆に言うと、バッジ、自分がやはりステータスを感じられるようなものをしっかりと持ってもらう、こういうこともプロ意識を持ってもらうには非常に大切なことだなと思うんですけれども、そんなのは、何か厚労省の方で新しくお考えというか、それはいいなという感じに受けていただいたら、ぜひまた役所内で話し合いをしてもらいたいんですけれども、いかがでしょうか。

馬場大臣政務官 先生御指摘のとおり、各種免許等を携帯可能な形状にすることによって、緊急事態の際における資格証明の利便性が向上するということは考えられます。

 今、世界最先端IT国家創造宣言工程表というものにおいて、マイナンバー制度を活用した国民生活の利便性向上を図るために、「各種免許等における各種公的資格確認機能をマイナンバーカードに持たせることについて、その可否も含めて検討を進め、可能なものから順次実現する。」とされております。

 また、災害時において、マイナンバーカードを、医療従事者等救護に携わる支援者の資格確認用として活用することも、内閣官房の有識者会議において検討されておるような状況であります。

 このような方針を踏まえて、各種免許証等のあり方については、利便性の向上といったメリットはあるんですけれども、それだけではなくて、セキュリティー面における課題なども踏まえつつ、慎重に検討を進めてまいりたいというふうに存じます。

 また、記章の作成、交付等については、先生御指摘のようにモチベーションの向上といった効果はありますので、一部の職種では導入されている例も多いというふうに思います。

 一方、これについても、安全面や衛生面などの各職種における個別の事情を踏まえる必要もありますので、一律に導入することは困難であるというふうに思っていますが、今後もまたしっかりと考えていきたいというふうに思います。

松木分科員 ぜひ、こういう免許証タイプのことだとか、落としちゃったらまた問題もあるというのもそのとおりなので、ぜひ役所の中でお考えいただきたい。

 そして、TPPのことは、もう時間がなくなったので、聞けなくなりました。ごめんなさいね、せっかく来ていただいたのに。

 ただ、一つだけ。

 北海道の畑作農業というのは、専業的な農家を主体として、安全で安心な畑作物の安定供給を図ろうと、現場の皆さんは、生産向上や高品質化に向けて懸命な努力をしております。

 こうした中で、本年八月に相次いで北海道を襲った台風あるいは大雨により、農業関係にも甚大な被害を受けてしまいました。特に、畑作物や野菜では、大雨による洪水被害や河川の氾濫による土砂の堆積などで、来年度の営農に不安を残す状況というのが今あるわけですね。

 現在、畑作物の再生産と生産者の所得が確保されるよう、経営所得安定対策が行われているわけです。その中で、畑作物の直接支払交付金、いわゆるゲタ対策の交付金単価について、現在、三年ごとの見直しを行っているタイミングかというふうに思っておりますけれども、台風等による甚大な農作物被害などを鑑みて、生産意欲の後押しをする単価水準を確保するなどの配慮がやはり必要だというふうに私は思っているんですけれども、ぜひ農林水産省の見解をお聞きしたいんです。

 前向きな答弁をまずしていただくことをお願い申し上げながら、私の質問はこれで終わりにします。答えをお願いします。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 ことしは北海道が台風等で未曽有の農業被害が出ていることは事実でございまして、全く気持ちの上では同感なところがあります。

 ただ、畑作に対するゲタ対策というのは、もう委員も御承知のとおり、標準的な生産費と標準的な販売価格の差額の補填をするということを目的としておりまして、その標準的な生産費、販売価格というのは直近の統計データをもって決めるものでございますから、ちょっと、特殊な配慮をするというのは難しいのではないかと思います。

 だから、全く北海道の方で大変な被害を受けていますから、それ以外の部分で別途支援措置を十分検討してまいりたいと思います。

 以上です。

松木分科員 ぜひ助けてやってください。よろしくお願いします。

 ちょっと時間をオーバーしちゃって済みませんでした。終わります。

武田主査 これにて松木けんこう君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして厚生労働省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

武田主査 これより農林水産省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。礒崎農林水産副大臣。

礒崎副大臣 平成二十四年度及び平成二十五年度における農林水産省の決算の概要を御説明申し上げます。

 最初に、平成二十四年度の一般会計について申し上げます。

 まず、一般会計の歳入につきましては、歳入予算額は四千百四十億円余に対しまして、収納済み歳入額は四千四百十六億円余であり、差し引きいたしますと、二百七十六億円余の増加となっております。

 次に、一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額は四兆七千百九十五億円余に対しまして、支出済み歳出額は三兆二千八百六十億円余、翌年度繰越額は一兆二百三十八億円余、不用額は四千九十五億円余となっております。

 次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。

 食料安定供給特別会計等の五会計を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は二兆五千九百億円余、支出済み歳出額は二兆二千百五億円余でありまして、歳入歳出差し引き三千七百九十五億円余のうち、農業共済再保険特別会計等の三会計において翌年度に支払いが予定されている額二百七十三億円余を控除した結果、三千五百二十一億円余の剰余を生じました。この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れること等といたしました。

 以上をもちまして、平成二十四年度における農林水産省の決算の概要に関する説明を終わります。

 引き続きまして、平成二十五年度における農林水産省の決算の概要を御説明申し上げます。

 最初に、一般会計について申し上げます。

 まず、一般会計の歳入につきましては、歳入予算額は四千六百三十九億円余に対しまして、収納済み歳入額は五千七百六十一億円余であり、差し引きいたしますと、千百二十二億円余の増加となっております。

 次に、一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額は三兆八千九十九億円余に対しまして、支出済み歳出額は三兆五百十二億円余、翌年度繰越額は五千二百八十六億円余、不用額は二千三百億円余となっております。

 次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。

 食料安定供給特別会計等の五会計を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は二兆千六十五億円余、支出済み歳出額は一兆七千九百四十億円余でありまして、歳入歳出差し引き三千百二十五億円余のうち、農業共済再保険特別会計等の三会計において翌年度に支払いが予定されている額二百七十六億円余を控除した結果、二千八百四十八億円余の剰余を生じました。この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れること等といたしました。

 以上をもちまして、平成二十五年度における農林水産省の決算の概要に関する説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

武田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院寺沢第四局長。

寺沢会計検査院当局者 平成二十四年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、委託費の支払いが過大となっていたもの、委託費の支払いが過大となっていたもの並びに補助事業の実施及び経理が不当なものなど計五十六件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、農地・水保全管理支払交付金事業の実施に関するもの、漁船保険振興事業資金の有効活用に関するものなど計五件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、へい殺畜等手当金等の交付に係る家畜の評価額の決定に関するもの、国が基金法人に国庫補助金等を交付して設置造成させた基金に関するものなど計七件につきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十五年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、委託費の支払いが過大となっていたもの、補助事業の実施及び経理が不当なものなど計四十四件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、新規就農者を対象とした助成事業の実施に関するもの、青年就農給付金事業の実施に関するものなど計十件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、東日本大震災復旧・復興予備費を財源とする農畜産業振興対策交付金の未使用額及び返還額に関するもの、農業・食品産業強化対策整備交付金事業等における費用対効果分析に関するものなど計十件につきまして検査報告に掲記しております。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

武田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。礒崎農林水産副大臣。

礒崎副大臣 会計検査院から御報告のありました平成二十四年度及び平成二十五年度決算検査報告に対しまして、農林水産省が講じた措置を御説明申し上げます。

 予算の執行に当たりましては、常に効率的かつ厳正な処理に努力してまいりましたが、不当事項等として指摘を受けるような事態が生じましたことは、まことに遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、不当事項について、指摘に基づき直ちに是正や改善措置、補助金の返還、手直し工事を実施するとともに、それ以外の処置要求事項等についても、指摘に基づき是正や再発防止のための改善措置を講じているところです。

 今後、このような事例の発生を未然に防止するため、指導監督の強化を図り、事業等の厳正かつ効率的な実施に万全を期すとともに、予算の適切な執行をより一層徹底してまいる所存であります。

武田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武田主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

武田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。

 諫早湾干拓事業をめぐって、開門差しとめ訴訟の和解協議がこの間行われています。長崎地方裁判所は、年内もしくは来年の期日までに国が成案をまとめるようにと区切りをつけています。次回の和解協議は来月、十二月十二日、間近に迫っています。非常に重要な局面だと考えます。

 そこで、きょうは、有明海再生と和解協議について質問します。

 きょうは、山本大臣が、TPPの参議院の委員会のために本分科会に出席されておられません。非常に残念ですけれども、礒崎副大臣、大臣の名代としてぜひ責任ある答弁をお願いします。

 福岡高等裁判所の開門の確定判決から、やがて八年がたとうとしています。国は確定判決に従わず、そのために、漁民原告に間接強制金を支払い続けています。その間接強制金のこれまでの額と経緯について、簡単に説明してください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 開門に係る間接強制金につきましては、四十五名の債権者の方に対しまして、平成二十六年六月十二日以降、一日当たり一万円、総額四十五万円でございます。平成二十七年三月二十五日以降は、一日当たり二倍の二万円、総額九十万円、この支払いを実施しているところでございます。

 これまでの支払い額につきましては、本年の十月三十一日まで、六億五千七百万円となっております。

田村(貴)分科員 副大臣にお尋ねします。

 間接強制金を、これは原資は国民の税金です、国民の税金で毎日、今九十万円、今日まで六億円も支出してきたことについて、どう受けとめておられますか。

礒崎副大臣 これはもう委員も御承知のとおり、長い経緯のある話でございますが、特に、裁判において開門義務と開門禁止義務の相反する二つの法的義務を負っている、そういう状況にあるわけでございます。

 こうした中で、開門義務に係る間接強制のための強制金の支払いを、裁判の中では国の主張が認められずに、間接強制金を支払わざるを得ない状況になっているということは、私にとっても非常に残念なことと考えております。

田村(貴)分科員 確定判決は開門の一つだけであります。それは残念という言葉では済まされないというふうに思います。

 十四年間に六つの裁判があっています。そして、国としては、いつまでも裁判を続けていくつもりなんでしょうか。それとも、長崎地裁や福岡高裁における和解協議で解決しようとしているのか。その方向性について御説明いただきたいと思います。副大臣、いかがですか。

佐藤政府参考人 この諫早湾干拓の開門問題につきましては、委員御指摘のとおり、本年一月、長崎地裁から和解勧告文書が発出されまして、開門によることなく有明海全体の漁業環境を改善する方策を検討し、全体の解決を図る和解の協議を勧告する旨が示されたところでございます。

 国といたしましては、裁判所のこの和解勧告及びそれを踏まえました訴訟指揮に従いつつ、問題の解決に向けて真摯に努力しているところでございます。

田村(貴)分科員 副大臣も、恐らく大臣も同じ考えだと思いますけれども、確認です。和解協議の中で解決をまず図っていきたいと。

 そして、その解決のために今から何が必要なのか。農水省に対しては何が求められているというふうに、どういうふうに思っておられるでしょうか。

 副大臣じゃないんですか。基本的な方針です。

礒崎副大臣 一番大事なことは、やはり関係の団体の皆様の理解を得られることだと思っています。四県にわたっておりますから、四県のそれぞれの漁業者の皆様、あるいは県の関係者の皆様、こういう皆様とこれから和解のための合意ができることが一番大事だと考えております。

田村(貴)分科員 長崎地裁が出した開門にかわる抜本的再生策という和解方針に対して、国は、従来型の再生事業の延長線上にすぎない提案をしました。したがって、原告漁民も、熊本、福岡、そして佐賀の三漁業者の賛同は得られていないというわけであります。

 やはり開門を前提にしなければだめじゃないんですか。開門を前提にしない和解協議は成り立ちませんよ。

 この和解協議に際して、農水省は、有明海振興基金を今創設しようとしています。この基金というのは一体何のためにつくるのでしょうか。その基金の額と規模について教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 国は、長崎地裁の和解協議におきまして、この地裁の和解勧告に基づきまして、開門にかわる特別な措置ということで、有明海における水産資源の回復ですとか漁業経営の発展に向けた基金を提案しているところでございます。

 この基金を有明海沿岸の四県及び四県の漁業団体等で構成します組織を設立して運営を図ることによりまして、沿岸域が一体となった主体的かつ弾力的な取り組みの推進が可能となるものと考えております。

 この基金案の内容でございますが、これまでの四県及び四県の漁業団体からの御意見、御要望ですとか、本件をめぐる訴訟当事者の方々の御意見等を踏まえまして、事業内容等の検討を進める中で、必要な基金の規模を検討しているところでございます。

田村(貴)分科員 いま一度、この基金は一体何のためにつくるのか。例えば、有明海の資源の回復なのか、それから漁業経営の発展なのか、いろいろ言われていますけれども、私が今言ったことで正しいのでしょうか。

佐藤政府参考人 基金の目的は、水産資源の回復と漁業経営の発展ということと考えております。

田村(貴)分科員 有明海の水産資源の回復と、そして漁業経営の発展というのであれば、まさに、潮受け堤防を開門すれば、そして開門調査をすれば済む話ではないかと思うわけであります。

 この有明海振興基金について、裁判所からは期日が迫っている、そして漁業者の信頼と同意も得なければならないといった中で、額については今精査中だという話だったんですけれども、農水省、来年度予算に向けての概算要求はしたんでしょうか。

佐藤政府参考人 この和解協議につきましては、関係当事者間の合意に至っておりません。国が提案している基金案に係る予算につきましては、本年八月三十一日に提出をいたしました平成二十九年度予算概算要求には盛り込んでいないところでございます。

田村(貴)分科員 一番かなめとなる、農水省側からいったら一番核となっていく有明海振興基金について、その規模、それから額についても今示していないという状況であります。

 これで、もう来月十二日に行われる和解協議で前進できるとお考えですか。漁業関係者の理解は得られると思っておられますか。漁業関係者の理解は得られずとも、長崎地裁に農水省は案を提案するんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 長崎地裁の和解協議におきまして国が基金案を提出している一方で、佐賀、福岡、熊本の三県の漁業団体からは、有明海の再生に向けて機動的に執行することができる基金的予算の要望をいただいているところでございます。

 このようなことから、沿岸四県及び四県の漁業団体から成る協議会において、国と漁業者それぞれの立場の違いはありますが、有明海の再生という目標とする到達点は同じであると考えておりまして、開門そのものの議論は行わないまでも、基金案の事業内容等について整理、検討を進めております。

 現在、四県の漁業団体の御理解が得られるまでには至っておりませんが、次の和解協議の期日までには御理解が得られるよう、全力で努力してまいりたいと思います。

田村(貴)分科員 漁業関係者の理解は得られなくても裁判所に提出するのですかという問いであります。お答えいただきたいと思います。

礒崎副大臣 仮定の質問にはお答えできません。

 それはできるだけ和解まで努力いたしますが、ただ、裁判所からの指示もございますので、最終というわけでは必ずしもないと思います、そこは一定の、今までより充実した内容の具体的な話は出していく必要があると思っております。

田村(貴)分科員 佐藤農村振興局長は事務方ですけれども、十二月の和解協議までにこの国の考える基金案については漁業関係者の同意は得られる、その見込みはあるというふうに踏んでおられますか。

佐藤政府参考人 まさに今現在、鋭意知恵を絞って一生懸命検討しているところでございますが、副大臣から御答弁申し上げましたとおり、次回の和解協議の期日、十二月十二日でございますが、これに向けて漁業団体等の御理解が得られるよう、国として全力で努力してまいりたいというふうに考えてございます。

田村(貴)分科員 この基金でありますけれども、その性質についてもう少し聞かせていただきたいと思います。

 この有明海振興基金というのは、先ほど御答弁ありましたように、水産資源の回復、それから漁業経営の発展ということがあるんですけれども、どうも金で解決するのではないかといううわさもあります。

 そういうことは私は絶対想定してはならないというふうに思うんですけれども、この基金というのは、生活保障やあるいは漁業不振への補償に使っていいものなのか、和解金の性格を持つものなのかどうかについて教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 和解金でございますが、和解金という言葉は法令上定められた用語ではないというふうに理解しておりますし、またその意味も必ずしも明らかではございませんが、国が提案しております基金、これは、本年一月の長崎地裁が発出した和解勧告に基づきまして、開門にかわる漁業環境改善のための措置ということで提案したものでございます。その効果は、訴訟当事者だけではなくて、広く有明海の漁業関係者に利益が及ぶものであるというふうに考えてございます。

 なお、この基金の内容につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、現在、漁業団体等と中身について話し合いを行っているところでございます。

田村(貴)分科員 開門はしないという前提の上に立っての和解協議で、有明海振興基金であります。漁業不振を招いたことに対する、漁業関係者に対するいわゆる金銭賠償的な性格は持ち合わせないという理解でよろしいですか。

佐藤政府参考人 何度も繰り返しで恐縮でございますが、和解金の意味するところが明らかではございません。和解に係る金銭的な支出というようなものを意味するのであれば、その意味におきましては、基金も同じく和解に係る金銭的な支出の一つであるというふうに考えてございます。

田村(貴)分科員 質問をかえます。基金と和解との関係についてお尋ねします。

 和解協議が成立すれば基金をスタートさせる、和解協議が成立しなければ基金はない、そういう立場なんでしょうか。そうだとするならば、その理由について教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 国が長崎地裁の和解協議において提案しております基金案につきましては、あくまでも、この長崎地裁の和解勧告に応えるものということでございます。

 基金方式につきましては、普通ですと、その必要性を厳格に政府内で検討し、極めて限定的にしか用いられておりませんが、今回の基金につきましては、和解に必要な例外的な措置でございます。仮に和解協議で成案とならなければ、基金の造成は難しいというふうに考えております。

田村(貴)分科員 その理屈でいうならば、先ほど答弁があった、何のための基金なのか。有明海の資源の回復と漁業経営の発展、これは和解が成立しなければやらないということになるじゃないですか。それはおかしい話であります。

 有明海の資源の回復と漁業経営の発展への取り組みというのは和解協議と切り離して論じられていくべきだと私は考えますけれども、農水省、いかがですか。

佐藤政府参考人 これまでも、有明海特措法に基づきまして、関係省庁や関係県と連携しながら、漁業者等の御意見も聞きながら、有明海の再生に向けた取り組みを推進してきているところでございます。このことにつきましては、今後も変わりはございません。

 また、長崎地裁の和解勧告でも、開門にかわる漁業環境の改善のための措置は、これまでの取り組みに加えて実施されるものというふうにされております。

 国といたしましても、和解の成立に向けて真摯に努力しているところでございます。

田村(貴)分科員 しかし、四県漁民、漁連と漁協は基金案の実現を願っているんです。それにもかかわらず、和解協議とこの基金をてんびんにかけることに、幻となるかもしれない懸念を表明されています。

 ここはやはり、有明海の水産資源の回復、そして漁業経営の発展というのは、裁判があろうが、和解協議があろうが、基金があろうが、これは切り離して考えていくべきだというふうに私は思います。

 これまでやってきた有明海再生対策事業と有明海振興基金との関係については、どう見ていったらいいんでしょうか。

佐藤政府参考人 これまで、有明海再生対策でございますが、本年度十八億円の予算で進めております。この有明海再生対策につきましては、有明海の再生に向けた調査や技術開発などを実施しているものでございます。

 他方、現在国が提案しております基金案につきましては、有明海再生対策で得られた技術的な知見や成果を生かしまして、タイラギですとかアサリなどの新たな技術の導入に合わせた施設の整備、あるいは母貝団地の造成ですとか適切な漁場管理など、漁業の現場における実践や定着を促していく、そういうものと考えてございます。

田村(貴)分科員 有明海再生対策事業は、一言で言うならば調査活動、そして技術開発、有明海振興基金は事業となっていくというような御説明だったというふうに思います。

 これは、裁判がどういう推移に流れていこうが、和解協議がどういう形になろうが、有明海再生のためには、調査活動も、それから技術開発も、また対策事業も必要だというふうに考えます。抜本的な有明海の水産資源の環境が改善されていないからであります。このどれもが今必要ではないでしょうか。これは裁判があろうが、和解協議があろうが、やはり技術開発、そして調査活動、さらには事業、この三つは必要であると私は考えますけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 現在、有明海特措法に関連して行われてきました調査ですとか研究といった取り組みは、必要に応じて、今後とも引き続き行っていくべきものというふうに考えてございます。

田村(貴)分科員 必要だということでありました。

 それでは、有明海再生対策事業、四県協調事業の取り組みについてお伺いします。

 平成二十七年度から平成二十九年度までのサンセット事業だというふうに伺っております。それぞれの年の予算額、そして二十九年度の概算要求額、これについて御説明いただきたいと思います。

佐藤政府参考人 有明海再生対策の予算額でございますが、平成二十七年度及び本年度につきましては、それぞれ約十八億円でございます。

 また、平成二十九年度概算要求におきましては、本年度と同額の約十八億円を要求しているところでございます。

田村(貴)分科員 二十七年度、二十八年度、二十九年度の事業でありますけれども、平成三十年度以降は事業はやらないんですか。教えてください。

佐藤政府参考人 国としては、引き続き、有明海特措法に基づきまして、関係省庁、関係県と連携しつつ、漁業者等の御意見も聞きながら有明海の再生に向けた取り組みを推進してまいりたいと先ほど答弁申し上げたとおりでございます。

 今後の有明海再生対策につきましては、これまでの取り組みの成果等を踏まえ検討していく必要があると考えております。実施しないというふうに決めているわけではございません。

田村(貴)分科員 実施しないと限定しているわけではないという回答でありました。

 四県漁連は、基金案の動向と関係なく、平成三十年度以降の再生対策事業の予算化を求めておられます。同時に、基金案の実行も求めておられます。これはやはり、漁場、資源を回復してほしい、そして何とか生活を楽にしたい、そして豊穣の海と言われた有明海を再生してほしい、もう心の奥からの叫びだと思うんですよ。

 再生事業も基金もやはり進めていただきたい、これは最低限の要求ではないかと思うんですけれども、この漁連、漁協、そして原告漁民の人たちの思いについて、思いは共有できるでしょうか、礒崎副大臣。

礒崎副大臣 有明海の現状は、平成二十七年度の乾ノリの共販金額が二十六年に次ぎまして過去十年で高い水準にあるなどの面もあります。ノリ養殖は順調でありますが、赤潮や貧酸素水塊の発生等が漁業に大きな影響を与え、二枚貝類等の漁業は依然として厳しい状況にあります。

 一方で、昨年から、有明海沿岸においてアサリの稚貝が多く発生しているという明るい兆しも見えております。

 そのような状況を、漁場の環境を改善したいという漁業者の思いを、私たちもよく承知しているところでございます。

 国としては、引き続き、平成十四年に制定された有明海特措法に基づき、関係省庁及び関係県とも連携し、漁業者の御意見もよく聞きながら、有明海の再生に向けた取り組みを推進してまいりたいと思います。

田村(貴)分科員 局長、ちょっと通告になかったんですけれども、三県の漁連、漁協は、来年度の予算編成に当たって、稚貝育成などの緊急的予算を別枠として上乗せすることを文書でも要望されているんですけれども、この点について、見込みはいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 そのような要望が三県漁連の方から農水省に寄せられているところでございます。これにつきましては、今鋭意検討中でございます。近々一定の結論を出すべく、今検討をしているところでございます。

田村(貴)分科員 四県漁連からの要望書の中には、有明海再生事業は漁業者が実感できるような効果は確認できなかったというのがあります。前進している面もあるかもわからないけれども、基本的に実感できていないと。だとするならば、平成三十年以降もこの事業の継続がぜひ必要だということを指摘しておきたいと思います。

 次に、熊本県、福岡県、佐賀県の三県漁連、漁協が八月二十六日に農水大臣に提出した要望書について質問をします。

 この要望書の中にはこういうくだりがあります。

 先般、長崎地裁の和解協議に伴い、国が開門調査にかわる基金案を説明する中で、和解協議が不成立の場合、基金ばかりでなく有明海再生に係る予算もなくなるか、減額されるとし、私たちに基金案の受諾を求めています。

 また、次のくだりがあります。

 裁判の当事者でない四県有明沿岸漁業者に基金案の受諾を求め、混乱する裁判の決着を図ろうとする手法に違和感を覚えるとともに、私たちをないがしろにする不合理な提案は、到底容認できるものではありません。

 大変怒りの要望書になっていると思います。

 この和解協議が不成立の場合に、先ほども言いました、基金ばかりでなく有明海再生に係る予算もなくなるんですか、減額されるんでしょうか。そういう説明をされてきたんでしょうか。

 この要望書に対して、山本農水大臣は答えておられます。副大臣、大臣は何というふうにお答えされたんでしょうか。

礒崎副大臣 八月二十六日に佐賀県下で三県漁連、漁協の関係者と会ったときに、山本大臣の発言でございますが、基金案は、和解協議という特別な事情を背景に、国として知恵を絞り、有明海の漁業振興や再生を進める上で最良の仕組みと考えて提案したものです、和解協議は全ての関係者がウイン・ウインの関係、お互いの利益になるというチャンスと考えている、そうした担当者の思いがあふれる余り、皆様方の感情を害することになることもあったように伺っているが、それは大臣としては本意ではない、改めて虚心坦懐、謙虚にこの御提案をさせていただくと回答いたしております。

田村(貴)分科員 大臣は、農水省側の漁連や漁協に対するこれまでの主張については、本意ではなかったというふうに否定、打ち消されているわけであります。

 要望書にありますように、やはり当事者、そして和解協議とは直接関係ない四県の漁業関係者が、団体がそういう理解になったということは、これは本当にびっくりです。和解に従わなければ有明海再生の事業のお金はつけない、言語道断だというふうに思います。

 私は、三県の県の水産課の行政当局の方にも私たちの地方議員を介して聞いてもらったんですけれども、和解協議に応じなければ、さもなくばという言葉で、再生対策事業の減額、そして取り消しなどがやはり言われたと言っているんですよ。行政当局者もそういうふうに言われていたということなので、まさに農水省側は和解勧告に従え従えというふうに言ってきたということが言えると思います。

 これは真摯な反省が求められるんじゃないでしょうか。大臣が本意ではなかったというふうに否定されたんだったら、やはり農水省の方は今までの接し方について反省が求められると思いますけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 この基金方式につきまして、我々の説明の中で、通常はその必要性を厳格に検討して極めて限定的に用いられている、今回の基金は和解に必要な例外的な措置です、有明海の漁業振興や再生を進める上で最良の仕組みである、こういった御説明を漁連に申し上げたところでございます。

 そのような意味におきまして、和解協議は、全ての関係者がウイン・ウインの関係となるチャンスと考えております。そうした思いがあふれる余りの言葉でございまして、その言葉は農林水産省としての本意でございません。

 引き続き、よい決着が図られるように、国として知恵を絞り、関係者、漁連の方々の知恵もおかりしながら、基金をつくり上げていきたいというふうに考えてございます。

田村(貴)分科員 和解案を漁民側がのまなければ不利益をこうむる、そういうことは絶対ないですね。この際、しかとお答えいただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

礒崎副大臣 基金の提案については、開門にかわる措置という訴訟指揮の中で出されたものではありますけれども、少なくとも、それ以外の予算措置は削減するというようなことは絶対あってはならぬことだと考えます。

田村(貴)分科員 今度の和解協議の中で、もし裁判所の方から開門を前提にした和解案が提示されたら、これは国として受け入れますか。受け入れるべきだと思いますけれども、いかがですか。

礒崎副大臣 恐縮でございますけれども、仮定の質問にはお答えできませんので、それはそのときにまた考えさせていただきたいと思います。

田村(貴)分科員 可能性もないわけではありませんよ。だって、開門を前提としない和解協議がこの時点でまとまっていないんですよ。次の和解協議は来月、十二月十二日ですよ。そうしたら、この膠着を打開するためには別の方法を考えていかなくちゃいけない。そういうことも想定して仕事に当たっていただきたいし、政治判断もしなければならないと思います。

 干拓という国がみずから行った公共事業が、世界に誇れる豊穣の海を汚してしまいました。被害を招いて、六つの裁判を引き起こして、そして二十年近くも係争となってきています。全てが、国の行為とその判断の誤りによって導かれてきた問題であります。無用の争いと、地域における分断をつくり出しました。副大臣も大分御出身ですから、よく御存じのことだと思います。

 何よりも、漁業者の生活の糧が奪われました。貝が立たない、ノリが育たない、魚がとれない。これは本当に悲劇であります。塗炭の苦しみを味わって、長い長い闘いと、そして取り組みが続いてまいりました。

 確定判決に従って、やはり国は開門調査を行うべきであります。そして、開門による被害を、農業の被害を食いとめるために万全を尽くして、まさに農漁共存ですよ、これが農林水産省のあるべき責任の果たし方だというふうに思います。

 国は開門義務を果たすべきだと思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。

礒崎副大臣 最初に申し上げましたように、二つの法的、開門と開門禁止義務と二つ負っているわけでございまして、そうした中で、今回、長崎地裁から開門によることのない改善方策を提出するようにということで、出しておるわけでございます。

 現在、和解協議は重要な局面にあると受けとめており、基金案について引き続き合意が得られるよう話を進め、その他のことについても、問題の解決に至れるよう一生懸命知恵を絞ってまいりたいと思います。

田村(貴)分科員 開門を前提にする選択肢を農水省は持たなければいけません。唯一の確定判決は開門なんですよ。

 副大臣、ちょっとお聞きしたいんですけれども、毎年のように大臣が交代しています。私、もうこの問題は三回ほど国会でやっているんですけれども、そのときの大臣がかわってきているわけなんですよね。やはり政府それから政府三役が、この問題に責任を持って、そして漁民を初めとする関係者に真摯に向き合って、継続的に働いていただきたいというふうに思っております。

 礒崎副大臣は大分、九州の御出身でございますけれども、副大臣に就任されてから、諫早湾の干拓、有明海の漁場を調査に行かれたとか、関係者と懇談されたとか、そういうことはございますか。

礒崎副大臣 諫早の方には大臣が行きましたので私は行っておりませんが、熊本地震の災害視察では有明海をちょっと見させていただきました。

田村(貴)分科員 世界に誇り得る豊穣の海が二十年近く危機に瀕している大問題であります。ぜひ副大臣も、大臣同様に現地に行っていただきたい。そして、やはり開門に反対されている長崎県側に対して、確定判決は一つです、そして、農漁共存の場合、できますよ、開門、あけてもちゃんと対策を打っていったら共存できますということをしっかりと説明していただきたい、私はそういうふうに心から思うわけであります。

 ここはやはり、副大臣、もう政治家が前に出ていかなければ解決できないところに来ているというふうに思います。開門をした方がいいと思います。開門しなければこの問題は解決しません。大臣も副大臣も、ぜひ、関係者の意見をしっかり聞いて、汗を流していただきたい。心からお願いして、きょうの私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 終わります。

武田主査 これにて田村貴昭君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時三十三分散会


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