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第1号 平成29年3月30日(木曜日)

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本国会召集日(平成二十九年一月二十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 後藤田正純君 理事 瀬戸 隆一君

   理事 田畑 裕明君 理事 武田 良太君

   理事 山際大志郎君 理事 石関 貴史君

   理事 松田 直久君 理事 伊藤  渉君

      赤枝 恒雄君    秋本 真利君

      浅尾慶一郎君    甘利  明君

      遠藤 利明君    加藤 鮎子君

      河村 建夫君    神田 憲次君

      木村 太郎君    木村 弥生君

      河野 太郎君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    鈴木 馨祐君

      園田 博之君    田中 英之君

      西川 公也君    牧原 秀樹君

      村上誠一郎君    八木 哲也君

      青柳陽一郎君    篠原  豪君

      西村智奈美君    馬淵 澄夫君

      松木けんこう君    石田 祝稔君

      穀田 恵二君    宮本  徹君

      松浪 健太君    中村喜四郎君

平成二十九年三月三十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 後藤田正純君 理事 瀬戸 隆一君

   理事 田畑 裕明君 理事 武田 良太君

   理事 山際大志郎君 理事 石関 貴史君

   理事 松田 直久君 理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      秋本 真利君    浅尾慶一郎君

      甘利  明君    遠藤 利明君

      大串 正樹君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    勝沼 栄明君

      河村 建夫君    神田 憲次君

      木村 弥生君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    鈴木 馨祐君

      園田 博之君    田中 英之君

      牧原 秀樹君    八木 哲也君

      青柳陽一郎君    篠原  豪君

      西村智奈美君   松木けんこう君

      角田 秀穂君    穀田 恵二君

      宮本  徹君    松浪 健太君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   総務副大臣        あかま二郎君

   財務副大臣        木原  稔君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   会計検査院長       河戸 光彦君

   会計検査院事務総局第一局長            鈴土  靖君

   会計検査院事務総局第三局長            須藤  晋君

   会計検査院事務総局第四局長            寺沢  剛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   河内  隆君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           塩田 康一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 古市 裕久君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中尾  睦君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    高橋 道和君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  神田 裕二君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            奥主 喜美君

   決算行政監視委員会専門員 安齋 雄一君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十日

 辞任         補欠選任

  西川 公也君     田畑  毅君

三月三十日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     大串 正樹君

  木村 太郎君     青山 周平君

  田畑  毅君     岡下 昌平君

  八木 哲也君     勝沼 栄明君

  石田 祝稔君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     木村 太郎君

  大串 正樹君     遠藤 利明君

  岡下 昌平君     田畑  毅君

  勝沼 栄明君     八木 哲也君

  角田 秀穂君     石田 祝稔君

    ―――――――――――――

一月二十日

 平成二十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百九十回国会、内閣提出)

 平成二十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百九十回国会、内閣提出)

 昭和十九年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算及び昭和二十年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算

 平成二十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十四年度政府関係機関決算書

 平成二十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十五年度政府関係機関決算書

 平成二十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十五年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十六年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十六年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十六年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十六年度政府関係機関決算書

 平成二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十六年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十七年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十七年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十七年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十七年度政府関係機関決算書

 平成二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十七年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十七年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十七年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十七年度政府関係機関決算書

 平成二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 平成二十七年度一般会計歳入歳出決算、平成二十七年度特別会計歳入歳出決算、平成二十七年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成二十七年度政府関係機関決算書並びに平成二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書、以上の各件を一括して議題といたします。

 まず、財務大臣から各件について概要の説明を求めます。麻生財務大臣。

麻生国務大臣 平成二十七年度一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書を会計検査院の検査報告とともに国会に提出し、また、平成二十七年度の国の債権の現在額並びに物品の増減及び現在額につきましても国会に報告をいたしておりますので、その概要を御説明させていただきます。

 まず、平成二十七年度の一般会計の決算につきましては、歳入の決算額は百二兆一千七百五十三億円余、歳出の決算額は九十八兆二千三百三億円であり、差し引き三兆九千四百四十九億円余の剰余を生じております。

 この剰余金は、財政法第四十一条の規定により、既に平成二十八年度の一般会計の歳入に繰り入れております。

 なお、平成二十七年度における財政法第九条の純剰余金は二千五百四十四億円余となります。

 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額九十九兆六千六百三十二億円余に比べて二兆五千百二十億円余の増加となります。この増加額には、前年度の剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額三兆六千四百九十八億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純減少額は一兆一千三百七十八億円余となります。

 一方、歳入につきましては、予算額九十九兆六千六百三十二億円余に、平成二十六年度からの繰越額三兆六千四十八億円余を加えました歳出予算現額百三兆二千六百八十一億円余に対し、支出済み歳出額は九十八兆二千三百三億円余であり、その差額は五兆三百七十八億円余となります。このうち平成二十八年度への繰越額は三兆五千九百十九億円余であり、不用額は一兆四千四百五十九億円余となっております。

 なお、歳出のうち、予備費につきましては、その予算額は三千五百億円であり、その使用額は一千八百億円余であります。

 次に、平成二十八年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は十八であり、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算のとおりであります。

 次に、平成二十七年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いにつきましては、同資金への収納済み額は七十三兆四千百六十七億円余であり、一般会計の歳入への組み入れ額等は七十二兆二千百九十六億円余でありまして、差し引き一兆一千九百七十一億円余が平成二十七年度末の資金残額となります。

 次に、平成二十七年度の政府関係機関の決算でありますが、その内容につきましては、それぞれの決算書のとおりであります。

 次に、国の債権の現在額につきましては、平成二十七年度における国の債権の総額は二百二十六兆四千二百六十九億円余であり、次に、物品の増減及び現在額につきましては、平成二十七年度中における純増加額は二千三百三十九億円余であります。これを前年度末現在額十二兆二千八十四億円余に加えますと、平成二十七年度末における物品の総額は十二兆四千四百二十四億円余となります。

 以上が、平成二十七年度の一般会計歳入歳出決算等の概要であります。

 なお、平成二十七年度の予算の執行につきましては、予算の効率的な使用や経理の適正な処理に努めてきたところでありますが、なお会計検査院から四百五十五件の不当事項等について指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。

 今後とも、予算の執行に当たりましては一層の配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願いを申し上げます。

 次に、平成二十七年度の国有財産増減及び現在額総計算書並びに平成二十七年度の国有財産無償貸付状況総計算書を会計検査院の検査報告とともに国会に報告いたしておりますので、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成二十七年度の国有財産増減及び現在額総計算書の概要について御説明いたします。

 平成二十七年度中に増加した国有財産の総額は九兆四百三十五億円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産の総額は十三兆五千七百五十四億円余でありまして、差し引き四兆五千三百十八億円余の純減少となっております。これを平成二十六年度末現在額百九兆六千三百億円余より差し引きますと百五兆九百八十二億円余となり、これが国有財産法に基づく平成二十七年度末現在額であります。

 以上が、平成二十七年度の国有財産増減及び現在額総計算書の概要であります。

 次に、平成二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書の概要について御説明いたします。

 平成二十七年度中に増加しました無償貸付財産の総額は二千六百二十七億円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産の総額は二千四百八十一億円余でありまして、差し引き百四十六億円余の純増加となっております。これを平成二十六年度末現在額一兆四百十七億円余に加算いたしますと一兆五百六十三億円余となり、これが平成二十七年度末現在において国有財産法に基づき無償貸し付けをしている国有財産の総額であります。

 以上が、平成二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書の概要であります。

 なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書を添付いたしております。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

玄葉委員長 次に、会計検査院当局から各件の検査報告に関する概要の説明を求めます。河戸会計検査院長。

河戸会計検査院長 平成二十七年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。

 会計検査院は、平成二十八年九月二日、内閣から平成二十七年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を行って、平成二十七年度決算検査報告とともに、平成二十八年十一月七日、内閣に回付いたしました。

 平成二十七年度の一般会計の決算は、歳入百二兆千七百五十三億余円、歳出九十八兆二千三百三億余円でありまして、会計検査院はこれらの決算を確認いたしました。

 平成二十七年度の特別会計につきまして、会計検査院は十四特別会計それぞれの歳入、歳出の決算を確認いたしました。

 また、国税収納金整理資金は、収納済み額七十三兆四千百六十七億余円、歳入組み入れ額五十七兆千五百二十三億余円でありまして、会計検査院はこれらの受け払い額を検査完了いたしました。

 平成二十七年度の政府関係機関につきまして、会計検査院は四政府関係機関それぞれの収入、支出の決算額を検査完了いたしました。

 平成二十七年度の歳入歳出等に関し、会計検査院は、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について、書面検査及び実地検査を実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して七百余事項の質問を発しております。

 検査の結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を御説明いたします。

 まず、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項は、合計三百四十五件、百七十八億三千五百四十一万余円であります。

 このうち、収入に関するものは、六件、九十七億七千百七万余円であります。

 その内訳は、会計経理が適正を欠いていたもの、租税の徴収が適正でなかったもの、保険料の徴収が適正でなかったものなどとなっております。

 また、支出に関するものは、三百三十六件、七十八億四千七百九十九万余円であります。

 その内訳は、会計経理が適正を欠いていたもの、委託費の支払いが過大となっていたもの並びに補助事業の実施及び経理が不当なもの、保険の給付が適正でなかったもの、医療費の支払いが過大となっていたもの、補助事業の実施及び経理が不当なものなどとなっております。

 以上の収入、支出に関するもののほか、物品の管理が適切でなかったものなどが、三件、二億千六百三十四万余円あります。

 次に、平成二十七年十一月から二十八年十月までの間におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求いたしましたものは四十三件であります。

 その内訳は、内閣官房及び内閣府本府における物品の管理等に関するもの、預金保険機構の金融機能早期健全化勘定における利益剰余金に関するもの、生活福祉資金貸付事業の実施のために保有されている資金の規模等に関するもの、道路事業、河川事業及び砂防事業において取得した電気通信設備の物品管理簿への記録に関するもの、国有財産台帳に記録する艦船の価格に関するものなどとなっております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項は四十九件であります。

 その内訳は、農業基盤整備促進事業等における定額助成の実施に関するもの、仮設物として記録されていた重要物品の物品増減及び現在額報告書への計上に関するもの、警戒管制レーダー装置の試行定期修理等における物品等の調達に関するもの、在籍型出向者に係る機構負担金等に関するもの、証券化支援事業における政府出資金の規模の見直しに関するものなどとなっております。

 次に、不当事項に係る是正措置等の検査の結果につきましては、昭和二十一年度から平成二十六年度までの検査報告に掲記した不当事項のうち、是正措置が未済となっているものは四十省庁等における四百四十四件、百六億千五百三十六万余円、このうち、金銭を返還させる是正措置を必要とするものは四十省庁等における四百三十二件、百二億七千五百七十万余円となっております。

 また、平成二十六年度決算検査報告において改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項のうち、改善の処置が履行されていなかったものはありませんでした。

 次に、平成二十七年十一月から二十八年十月までの間におきまして、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して報告いたしましたものは、各省庁等における政策評価の実施状況等に関するもの、独立行政法人及び国立大学法人等の自己収入の確保等に向けた取り組みの状況に関するもの、社会資本整備総合交付金等による事業等の実施状況に関するもの、北海道、四国、九州各旅客鉄道株式会社の経営状況等に関するもの、原子力災害対策に係る施設等の整備等の状況に関するもの、日本郵政グループの経営状況等に関するもの、米の生産調整対策の実施状況等に関するもの、国立大学法人が大学に設置する附属病院の運営に関するもの、独立行政法人における民間委託の状況に関するもの、政府の情報システムを統合、集約等するための政府共通プラットホームの整備及び運用の状況に関するものの十件となっております。

 次に、平成二十七年十一月から二十八年十月までの間におきまして、国会からの検査要請事項に関し、会計検査院法第三十条の三の規定により検査の結果を報告いたしましたものは、介護保険制度の実施状況に関するもの、東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関するものの二件となっております。

 次に、本院の検査業務のうち、検査報告に掲記する必要があると認めた特定の検査対象に関する事項は六件であります。

 その内訳は、国外に所在する中古の建物に係る所得税法上の減価償却費に関するもの、滑走路等の耐震化工事における薬液注入工の施工不良等の状況に関するもの、量的・質的金融緩和等の日本銀行の財務への影響に関するもの、東日本、中日本、西日本各高速道路株式会社のグループ経営等の状況に関するもの、独立行政法人都市再生機構の千葉ニュータウン事業における補償契約等に関するものなどとなっております。

 次に、国民の関心の高い事項等に関する検査の状況として、これまで御説明いたしました事例などを整理し、検査報告に掲記しております。

 最後に、特別会計に関する法律に基づき、平成二十七年十一月に内閣から送付を受けた平成二十六年度特別会計財務書類について検査した旨を、検査報告に掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

 会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係省庁などに対して適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。

 次に、平成二十七年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。

 会計検査院は、平成二十八年九月二日、内閣から平成二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書の送付を受け、その検査を行って、平成二十七年度国有財産検査報告とともに、平成二十八年十一月七日、内閣に回付いたしました。

 平成二十七年度末の国有財産現在額は百五兆九百八十二億余円、無償貸付財産の総額は一兆五百六十三億余円になっております。

 検査の結果、国有財産の管理及び処分に関しまして、平成二十七年度決算検査報告に掲記いたしましたものは十一件であります。

 その内訳は、不当事項といたしまして、林道新設工事における残土処理場の選定に関するもの、火薬庫の周囲の土堤改修工事の設計に関するもの、意見を表示しまたは処置を要求した事項といたしまして、国有林野事業における立木販売に係る造材作業及び集材作業に係る経費の積算に関するもの、国有財産台帳に記録する艦船の価格に関するもの、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項といたしまして、用途廃止した回転翼航空機の売却及び装備品の管理等に関するもの、海上自衛隊の火薬庫の管理に関するもの、回転翼航空機で使用するレーダー試験器及び着艦拘束装置に関するもの、証券化支援事業における政府出資金の規模の見直しに関するもの、特定検査対象に関する検査状況といたしまして、滑走路等の耐震化工事における薬液注入工の施工不良等の状況に関するものなどとなっております。

 以上をもって概要の説明を終わります。

玄葉委員長 これにて平成二十七年度決算外二件の概要の説明は終わりました。

 この際、財務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。麻生財務大臣。

麻生国務大臣 ただいま読み上げさせていただきましたものの中で、四カ所訂正をさせていただきます。

 財政法第九条と申し上げましたが、これは第六条の間違いであります。

 平成二十八年度の特別会計は、二十七年度。

 一般会計歳入の部分は、一般会計の歳出の予算額。

 平成二十七年度特別会計の数は、十八ではなく、十四。

 訂正をさせていただきます。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 この際、資料要求に関する件についてお諮りいたします。

 平成二十七年度決算の審査に当たり、決算の検査報告に掲記されました会計検査院の指摘事項に対する関係責任者の処分状況調べについて、財務省当局に対してその提出を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

     ――――◇―――――

玄葉委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 決算の適正を期し、行政監視の機能を果たすため

 歳入歳出の実況に関する事項

 国有財産の増減及び現況に関する事項

 政府関係機関の経理に関する事項

 国が資本金を出資している法人の会計に関する事項

 国が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する事項

 行政監視に関する事項

以上の各事項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

     ――――◇―――――

玄葉委員長 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付をいたしておりますとおり、内閣府大臣官房長河内隆君外十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。

田畑(裕)委員 おはようございます。自民党の田畑裕明でございます。

 決算行政監視委員会開会に当たりまして、歳入歳出の実況に関する件、行政監視に関する件につきまして質疑をさせていただきたいと思います。質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、早速質問に入りますが、北陸新幹線が金沢開業から二年、北海道新幹線が函館開業から一年経過をいたしたところであります。

 まず、鉄道局長に、それぞれの路線の開業効果をどう捉えているのか、御答弁をお願いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 北陸新幹線は、長野―金沢間が平成二十七年三月十四日に、また北海道新幹線が、新青森―函館北斗間が昨年三月二十六日に開業いたしまして、今月でそれぞれ開業二周年、一周年を迎えたところでございます。

 北陸新幹線につきましては、東京―富山間が二時間八分、東京―金沢間が二時間二十八分で結ばれるようになりまして、開業後の輸送人員、上越妙高―糸魚川間は、開業前の直江津―糸魚川間と比較をいたしまして、一年目で約三倍、二年目で約二・七倍となっておりまして、好調に推移をいたしております。

 富山県、石川県の観光入り込み客は開業前年を約二割程度上回るとともに、主要観光施設等における観光客数も堅調に推移をいたしておりまして、また、複合商業施設や宿泊施設の開業等が続いております。

 例えば、具体例を申し上げますと、富山県における観光入り込み客数、平成二十七年は対前年比で一一八%、また、富山駅や新高岡駅周辺にて商業施設の開業またはリニューアルが進んでおるというふうに伺っております。

 それから、北海道新幹線につきましては、東京―新函館北斗間が四時間二分で結ばれるようになりまして、開業後の輸送人員は開業前と比較いたしますと約一・六倍となっておりまして、こちらも好調に推移をいたしております。

 また、函館への入り込み客数は開業前年を二、三割程度上回っておりまして、主要観光施設等における観光客数も堅調に推移しておりまして、複合商業施設や宿泊施設の開業も続いておるというふうに伺っております。

 このように、北陸新幹線、北海道新幹線を含めました整備新幹線は、地域間の移動時間を短縮させ、観光客の増加、企業立地の進展を促すなど、人の流れを大きく変え、地域社会の活性化に大きな役割を果たしているものというふうに認識をいたしております。

 今後とも、地元や関係者が一体となって利用促進に努めていただきまして、両新幹線が引き続き観光の振興や交流の促進に大きく貢献していくことを期待いたしているところでございます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 北陸新幹線においては、今、金沢以西の工事認可に伴いまして、工事が順次進められているわけでありますが、敦賀まで、平成三十四年度末の開業ということが計画をされております。

 最新の工事進捗率についてお聞かせをいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 北陸新幹線金沢―敦賀間につきましては、平成二十四年六月に工事実施計画を認可いたしまして以降、鉄道・運輸機構によりまして鋭意工事が進められているところでございます。

 まず、用地でございますけれども、必要な用地のうち、今月一日時点の取得率が、石川県内で九三%、福井県内で七〇%、全体で八〇%となってございます。用地取得につきましては、北陸新幹線に限らないわけでございますが、用地の相続人が多数いる場合に相続人全員の了解を得ることに時間を要するでありますとか、取得する土地の図面が実際の土地利用状況と異なっているため、用地境界の確定に時間を要するなどもございまして、地権者との調整が整っていない土地もございますが、引き続き、地元の最大限の協力を得ながら早期の用地取得に努めてまいる所存でございます。

 それから、工事でございます。

 工事延長百十四キロのうち、約八〇%の九十二キロで既に工事契約を終えております。このうち、金沢―敦賀間で最長のトンネルでございます新北陸トンネル、延長十九・五キロにつきましては、三割の六・二キロで掘削済みとなっております。また、九頭竜川橋梁でありますとか手取川橋梁では、現在、下部工、基礎でありますとか橋脚の工事が順調に進められていると聞いております。

 今後、用地取得等における地元のより一層の協力もいただきながら、引き続き早期開業に向けて最大限努力をしてまいりたいというふうに考えております。

田畑(裕)委員 御答弁ありがとうございます。機構とまた連携をしながら、進捗率、スピードアップで取り組んでいただきたいと思います。

 昨年、JR北海道が路線維持が難しい路線というものを発表し、衝撃が走ったわけであります。輸送密度が少ないことは鉄道事業者にとって経営を維持していく上で大変重要視する要因であろうかと思います。

 また、今ほどお話ありましたような、新幹線の開業に伴いまして並行在来線がJRから経営分離されるということが一定の要件のもと定められているわけであり、実際に新幹線が開業した路線において、地方自治体の出資のもと、地域の足として厳しい経営環境のもと運行がなされている現状がございます。

 そのほかにも、地方におきましては、赤字鉄道路線というものが複数存在をしているわけであります。

 鉄道会社の経営の合理化と地域振興であったりですとか地域住民の交通利便性の確保の両立に向けた支援のあり方ということについては、国としてもしっかり検討すべきだと考えるわけでありますが、現状のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 各地における鉄道の維持、活性化に関するお尋ねかと存じますが、まず、お触れいただきましたJR北海道の件ですが、JR北海道は、将来にわたって持続可能な形で安全最優先の鉄道事業を運営する使命を果たすために、地域における交通手段の確保を前提に、それぞれの地域に適した持続可能な交通体系のあり方について今後地域の皆さんと相談を行いたいとしておりまして、昨年十一月に、御指摘のとおり、地域との相談を行う具体的な線区について公表させていただいたところでございます。

 今後、地域における持続可能な交通体系を構築していくために、関係者において速やかに協議を始めていただく必要があると考えておりまして、国といたしましても、北海道庁とも連携しながらこれらの協議に参画をいたしまして、地域における持続可能な交通体系の構築に向けた対応について検討してまいりたいというふうに考えております。

 そのほか、全国各地の地方鉄道に対する支援についてのお尋ねでございます。

 全国各地の地方鉄道は、各地域において、地域住民の生活でありますとか経済活動を支える輸送機関としての役割を果たしておるところでございますが、利用者の減少により厳しい経営状況に置かれている路線が多くなっているところでございます。

 こうした地方鉄道の路線を持続可能な形で維持していくためには、事業運営の効率化による経費節減など合理化に向けた取り組みと、利用促進策を通じた増収やサービス改善など地域振興に資する取り組みを両立させながら行っていく必要があると考えております。

 全国さまざまな取り組みがなされておるわけでありますけれども、例えば御地元の富山におきますと、利用者が減少しておりましたJR西日本富山港線を三セク会社の富山ライトレールに移管して、低床路面電車、LRT化して平成十八年四月に営業を開始したところでありますけれども、電停の増設でありますとか増便、パターンダイヤ化の取り組みで活性化を図って、開業前と比較して、利用者が平日で約二・一倍、休日で三・四倍へと増加したというような例もあると伺っております。

 このように、地方鉄道の維持に関する問題につきましては、利用促進策を通じた増収でありますとかサービス改善初め地域振興に資する取り組みも行いながら、地域の公共交通を将来にわたって持続可能にしていくため、各地域において、関係者が連携して鉄道のあり方を含めた地域における公共交通のあり方の検討が行われているものと承知をいたしております。

 これに対しましては、地方鉄道の維持、活性化に向けまして、鉄道の安全輸送確保のための投資に対する補助でありますとか、新駅の設置やICカードの導入など利用者の利便向上に資する施設設備に対する補助といったことを行っているところでございます。

 今後とも、地域における関係者の取り組みに対して必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

田畑(裕)委員 御丁寧な答弁、ありがとうございました。まさに地域に寄り添ってしっかり支援策を講じていただきたいと思います。

 鉄道局の方は以上であります。ありがとうございます。

 それでは、働き方改革関連について質問をさせていただきたいと思います。

 去る二十八日に、政府の方は、働き方実現会議におきまして、長時間労働の是正ですとか同一労働同一賃金の導入などを盛り込んだ九分野での働き方改革の方向性、実行計画を示されたわけであります。

 戦後ずっと続いている労働慣行の見直しというものは、人口減少社会を迎える今日、例えば非正規社員の賃金水準の向上など、切り込むべき課題がたくさん存在をしているというふうにも私も考える次第であります。

 そこで、まず、若者活躍支援のことについて何点かお聞きをしたいと思います。

 若者無業者、いわゆるニートについてでありますが、近年は、大体年間六十万人前後の存在がある、高どまりで推移をしているとお聞きしております。ニートの就労支援は、将来の生活保護に陥るリスクを防止し、地域社会の担い手として、支え手として、自立を促す上でも大変重要な政策でなかろうかと思います。

 青少年の雇用の促進等に関する法律の第二十三条、第二十四条に基づき、地域若者サポートステーションが設置、運営をされております。平成二十八年度は、全国で百七十三カ所の地域若者サポートステーションが設置をされ、各種事業を展開し、就労に向けた支援を実施されていると思います。

 そこで、まず一点目は、地域若者サポートステーションの実績の推移についてお聞かせをいただきたいと思います。

堀内大臣政務官 田畑議員の御質問にお答えいたします。

 田畑議員におかれましては、若者たちのあり方、就労などについて、いつも大変な御理解と御支援をいただいておりますことを心より感謝申し上げます。

 御質問のございました地域若者サポートステーション、いわゆるサポステは、無業の若者、いわゆるニートの自立や就職を支援する拠点として、現在、全国百六十カ所で設置、運営をいたしているところでございます。

 平成二十七年度のサポステの事業実績を見ると、約二万七千人の若者が登録し、ハローワーク等との緊密な連携のもと、この五七・二%に相当する約一万五千人が就職を実現しており、サポステ利用者が自立の実現に向け困難な課題を抱えるそういった層であることに鑑みると、サポステの専門的支援が一定の成果を上げているものと認識しております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 ニッポン一億総活躍プランにおいて、ニート対策として、サポステと地方公共団体であったりですとか教育機関や保健福祉機関が連携をして、就労、自立支援に取り組むことが盛り込まれているわけであります。

 現況、そのネットワーク自身、各地域地域、地域事情があろうかと思いますが、果たして有効的に、有機的に機能しているでしょうか。その辺の見解についてお聞かせをいただきたいと思います。

堀内大臣政務官 お答え申し上げます。

 サポステの支援を求めるニート等の若者を把握し、その多様な課題に応じた専門的支援を提供する上で、地方公共団体、教育機関等との緊密な連携を図ることが重要であると認識しております。

 このため、ニッポン一億総活躍プランでも、若年無業者等について、ハローワーク、サポステ、自治体、NPO等の関係機関が連携して、就労、自立に向けた支援に取り組む旨の方針が明確にされているところでございます。

 具体的には、サポステごとに、地方公共団体、教育機関等を初め広く地域若者支援機関との連携ネットワークを整備しており、このネットワークを生かし、担当者会議の開催による支援対象者に係る情報の共有や、対象者の状況に応じたきめ細かな支援プログラムの提供等に取り組んでいるところでございます。

 今後、高校中退者への切れ目のない支援を強化するため、高校の協力を得て、就職を希望する高校中退者の把握、アウトリーチ、いわゆる訪問支援を含めた能動的な支援を展開するなど、関係機関との一層の連携強化を図ってまいりたいと存じます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 ちょうど今、三月末が近づいて、いわゆる新年度、年度のかわり目であります。そうしたところでニートが新たに発生をしたりですとか、また、いろいろな節目節目でつまずいて転がってしまうというような若者を、今もおっしゃられましたネットワークをしっかり駆使していただきまして、自立に向けて、また就労支援に向けて、また就職をしたとしてもその定着に向けて、しっかりまた御支援を続けていただきたいと思います。

 また、ニートの集中訓練プログラムの一つとして、合宿形式を含むサポートというものがあろうかと思います。その中では、共同生活型の自立支援施設というものが一定の役割を担っているというふうに考えるわけであります。全国いろいろな箇所に点在し、立地されているわけでありますが、そうした合宿型の施設の評価とそこで働く人材の質の向上、やはり、さまざまな専門的な知識を有しながら若者自立支援に向けてしっかりサポートしていかなければいけないわけでありますが、そうしたところで働く人材の質の向上、これも非常に重要なことだと思います。

 そこの部分について、どのように取り組んできているのかについてお聞かせをいただきたいと思います。

堀内大臣政務官 田畑議員がまさにただいま御指摘いただきましたように、サポステ利用者には、自立の実現に向けて生活習慣レベルの課題を抱える若者も含まれており、こうした層に対しては、合宿形式などによる生活面でのサポートと職場訓練とを組み合わせた支援が有効であることから、サポステ事業の一環として御指摘の集中訓練プログラムを展開しております。

 本プログラムを効果的、安定的に運営する上では、その運営指導に当たる専門性を備えたスタッフの養成が重要な課題だと認識しております。厚生労働省としては、本プログラムに従事する方を含めたサポステのスタッフを対象に、専門的な相談技法の向上などを目的とした研修などの機会を提供しているところでもあります。

 今後も、本プログラムを含めサポステ支援の質的向上が図られるよう、スタッフ育成等に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 引き続き、柔軟な働き方関連についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 生産性の向上ですとかワーク・ライフ・バランスの実現、ダイバーシティーの推進であったりですとか、育児、介護のための在宅勤務推進など、多様な働き方により仕事に従事する施策が進められているわけであります。中でも、テレワークに関してでありますが、時間や空間の制約にとらわれず働けるため、子育てと仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能になると考えます。

 導入に当たりましても、国としてもこれまでも、在宅勤務ガイドラインを策定したりテレワーク導入に向けて後押しを行ってきているわけでありますが、これまでのそういった一連の支援の成果についてお聞きをさせていただきたいと思います。

あかま副大臣 お答えいたします。

 時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を可能にするテレワークは、子育て世代、さらにはシニア世代、それぞれ国民一人一人のライフステージに応じて自宅や地域で生活スタイルに合った働き方を実現する働き方改革の切り札だと言えるんだろうと思っております。

 各省による普及啓発や導入支援等の取り組みの結果、企業におけるテレワーク導入率は、二〇一五年度には一六・二%でございます。前年度の一一・五%から着実に増加をしているところでございます。なお政府目標の達成に向けて引き続き取り組みを強化してまいらなければならないと思っております。

 そのためには、各府省の縦割りを排して政府一体で取り組むことが重要であるというふうに考えております。そうした観点から、昨年六月から、総務省が取りまとめ主務官庁として、私が議長となりまして、各府省と連絡会議を開催し、連携を強化しているところでございます。

 その例として、テレワーク普及啓発の取り組み、一昨年から、毎年十一月を取り組みの集中PR期間、そう定めて、昨年は各省庁が連携をして経済団体等に呼びかけを行いました。結果として、企業や自治体の賛同数は、前年比の十五倍に相当する五百九十二件というふうになったところでございます。

 さらには、二〇二〇年の東京オリンピックの開会式の開催日であります七月二十四日をテレワークデーというふうに定めて、大会期間中の公共交通機関の混雑を見越した予行演習として、各府省や東京都とも連携をしながら、都心の企業等にテレワークの実施を呼びかけてまいりたいと思います。

 今週決定された政府の働き方改革実行計画においても、テレワークなどの柔軟な働き方がしやすい環境の整備が大きな柱となっております。テレワークの普及を進めるために、今後とも政府全体として取り組みを強化してまいりたいと考えております。

 以上です。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。あかま副大臣を座長に、府省連携、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 一方で、テレワーク導入に当たりまして、いろいろ各企業からのお話をお聞きしますと、人事の評価であったりですとか労務管理にまだまだ理解が広がっていない現状があるとも認識をいたす次第であります。

 良質なテレワークの普及を目指す観点から、課題点はどのように認識されているのか、改めてお聞かせをいただきたいと思います。

堀内大臣政務官 テレワークは、子育てや介護と仕事を両立する手段となり、多様な人材の能力発揮が可能となるものであり、働き方改革を進める上でその推進を図っていくことが重要であります。

 しかし、テレワークを実施する上での先ほど御質問のあった課題といたしましては、仕事の進行管理が難しい、労働時間の管理が難しい、そして仕事の評価が難しいなどといった声が企業から上がっており、その普及を図っていくためには、テレワーク利用者の適切な労働時間管理や公平公正な人事評価が行われるようにすることが重要でございます。

 そのために、厚生労働省といたしましては、これまで、企業の労務管理担当者向けのセミナーの実施やパンフレットの作成などを通じて、テレワークを利用する方の労働時間の把握や業績評価の留意点等について周知を行ってきたところでもございます。

 さらに、今般取りまとめられました働き方改革実行計画に基づき、平成二十九年度にはテレワークのガイドラインを改定し、フレックスタイム制や通常の労働時間制度における中抜け時間や移動時間の取り扱いなど時間管理の方法を明確化するとともに、長時間労働を防止するため、深夜労働の制限や、深夜、休日のメール送付の抑制などの対策例を奨励する予定でございます。

 こうした取り組みを通じて、働く方のワーク・ライフ・バランスの実現や企業の生産性向上に結びつく良質なテレワークが普及するように努めてまいりたいと存じます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 就業規則の変更についてですとか、通信ですとかそうした設備や、賃金制度についてもやはりいろいろ課題があろうかと思いますので、引き続き、しっかり推進できるように、良質なテレワークが普及できるように取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、最後、子育てと仕事の両立の関係について、時間の関係もありますから少し順番を入れかえたいと思いますが、子育て世代の包括支援センターについてお聞きをさせていただきたいと思います。

 妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援のために、子育て世代包括支援センターに保健師ですとか助産師などを配置して、母子保健サービスと子育て支援サービスを一体的に提供できるよう、きめ細やかな相談支援体制を今構築しつつあろうかと思います。

 妊娠期や出産直後の母子支援は大変重要と考えるわけでありますが、産前・産後サポート事業や産後ケア事業の支援状況について、あわせて、特に産後ケアにおける助産師の活動実態や役割についてどのように評価されているか、お聞かせをいただきたいと思います。

堀内大臣政務官 田畑議員の御質問にお答えさせていただきます。

 地域のつながりの希薄化などにより、妊産婦、母親の孤立感や負担感が高まっている一方で、妊娠期から子育て期までの支援はさまざまな機関が縦割りとなりがちとの御指摘があったのは事実でございます。

 このため、ニッポン一億総活躍プラン等に基づき、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行う子育て包括支援センターを平成三十二年度末までに全国展開することといたしております。

 具体的な支援内容としては、妊産婦などに対して、状況の継続的把握、そして妊娠、出産、育児に関する相談、情報提供、助言、そしてまた保健、医療、福祉、教育の関係機関との連絡調整、そしてまた必要に応じた支援プランの策定などを行い、妊娠期から子育て期までの間、切れ目なくサービスを受けられるようマネジメントすることを目指しております。

 そして、平成二十九年度予算では同センターの立ち上げに必要な職員の雇い上げなどに対する経費を新たに計上するとともに、ガイドラインの策定を行うことなどにより、同センターの全国展開に向けてしっかりと支援してまいりたいと思っております。

 また、助産師さんの役割についての御質問ですが、子育て世代包括支援センターについては、平成二十八年四月一日現在で二百九十六市区町村で実施されているところでございます。同センターでは、妊娠、出産、育児に関する相談に応じ、必要な情報提供、助言、保健指導等を行うことから、現在実施している市町村の中には、助産師の方々が中心となって積極的に活動されているところもあると承知しております。

 助産師の方々の出産、育児等に関する専門的な知見を子育て包括支援センターでも生かしていただくことは大変重要であり、今後、さらなる活躍を期待しているところでもございます。

田畑(裕)委員 時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民進党の石関貴史です。

 私は、まず、国有地の取引について質疑を行いたいと思います。

 私の質疑には別に、安倍総理夫人とかそういうのは出てきません。決算行政監視委員会ですので、委員会の役割に沿ってこういった取引についてお尋ねをしていきたいというふうに思います。ただ、内容はいわゆる森友学園の一連の問題に関してということになりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 この森友学園の一連の問題では、伊丹空港周辺で、もともと国が騒音対策のために購入したいわゆる大阪伊丹空港移転補償跡地という国有地の取引、これが問題になっていると承知をしています。この委員会は決算委員会ですから、先ほど申し上げたような観点からこの件に関してお尋ねをしてまいりたいと思います。

 まず、この移転補償跡地は、二〇一二年七月に伊丹空港の運営が新関西国際空港株式会社に移管されたのを機に、基本的には全て同社にこの土地が引き渡されたというふうに聞いておりますが、これでよろしいでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 伊丹空港周辺の移転補償跡地につきましては、平成二十四年七月の関西空港と伊丹空港の経営統合時に、関空伊丹統合法に基づきまして、新関西国際空港株式会社が承継することとされております。今申し上げました経営統合といいますのは、それまで国が行っておりました伊丹空港の管理業務を関西空港とあわせて新関空会社に行わせるものでございまして、国が保有をしておりました伊丹空港関係の資産は新関空会社に承継されることとしておりました。

 しかしながら、本件、その後森友学園に売却された土地でございますけれども、この土地につきましては、平成二十四年七月の経営統合に先立つ平成二十二年七月以降、大阪航空局に対しまして森友学園とは別の学校法人が土地の取得要望書を提出しておりましたので、本件土地を国から新関空会社に対して現物出資せず、国が引き続き保有して売却することにしていたということでございます。

 したがいまして、この伊丹空港周辺の移転補償跡地のうち本件土地だけが国から新関空会社に承継されなかった、それ以外の土地は全て国から新関空会社に承継されたということでございます。

石関委員 今御答弁いただきましたけれども、森友学園のこれに関する土地以外は全て移管をされて、ここだけが国としてそのまま持っていた、こういうことなんですね。

 全体の面積とかがもしわかれば。森友学園の面積と、それぞれ何対一とか、全体がどれぐらいで、森友学園がどれぐらいだというのがわかりますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の御指摘は、国が移転補償跡地を民間に払い下げた全体ということでございましょうか。

 今御指摘がございましたように、伊丹空港周辺の移転補償跡地につきましては、航空機の低騒音化の進展によりまして実は平成元年に騒音対策区域が一部解除されて、縮小しております。それ以来、先ほど申し上げました新関空会社への移転までの間に、行政財産から普通財産に組みかえた土地を民間に売却した例は多々ございます。

 それで、その全体なんですけれども、ちょっと今、手元に合計の面積を持ち合わせておりませんが、民間に売却した経緯につきまして、件数を申し上げますと、全体で百七十四件ございます。それから、相手方、売却先といたしましては、社会福祉法人でありますとか、一般企業でありますとか、個人の方々ということになってございます。それから、面積につきましては、大きいものでは数千平米、小さいものでは数十平米までといったように、さまざまな大きさとなってございます。

石関委員 もう一回整理させてください。

 伊丹空港の運営が新関西国際空港株式会社になりました。それで、今の一連の土地は、先ほどの森友学園の関係の部分を除いてここに移管をされた、そこから今のように民間に売却されたということですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私の答弁がちょっと不明確で、申しわけございません。

 私が申し上げましたのは、新関西国際空港株式会社に移管される前に、まだ大阪航空局がその土地を管理していたときに民間に売却をした事例について御説明をしたということでございます。

石関委員 では、国が持っている段階で民間、先ほど社会福祉法人とか幾つか御紹介がありましたが、そういうところに売却をして、残った部分は、森友学園部分を除いて、全てこの空港株式会社に移管をした、こういうことですね。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

石関委員 先ほどの御答弁で、森友学園以前に別の学校法人から買いたいという申し出があったために移管をしないでそのまま国が持っていたということだったと思いますが、これはどういう学校法人だったんですか。

佐藤政府参考人 個別具体的な名称についてでございますけれども、大阪音大というところなんですけれども、大阪音大から平成二十二年の七月にまず一回目の買い受け要望書の提出がございまして、このときは、実は事業計画書の中身が不十分だったために受理には至らなかったということでございます。

 その後、平成二十三年七月に二回目の要望書の提出がございまして、このときもやはり事業計画書が不十分だったということで受理に至らず、さらに翌年の平成二十四年の一月に三回目の要望書の提出があって、このときは計画がしっかりしてございましたのでこれを受理し、平成二十四年の三月に、大阪航空局から近畿財務局に対しまして、この大阪音大への売り払いを内容とする処分の依頼を行ったということでございます。

石関委員 では、結局、この音大が買えなくなってしまったということですね。その経緯を教えてもらえますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁いたしましたけれども、大阪音大からは平成二十四年の一月に三回目の取得要望書の提出があって、三月に、私ども大阪航空局から近畿財務局に対し、売り払いを内容とする処分依頼をしてございます。

 その後、これは近畿財務局と大阪音大の方でやりとりがあったと思いますけれども、最終的には平成二十四年の七月に大阪音大が買い受け要望書の取り下げ書を提出してきたということでございます。

石関委員 その取り下げた理由というのは承知されているんですか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 本件土地につきまして、先ほど国土交通省側から御説明がございましたとおり、平成二十四年三月に、大阪航空局から近畿財務局に対しましての、学校法人に対する時価売り払いを内容とする処分依頼を受理してございます。

 その後、七月までの間でございますけれども、国有財産は当然のことながら時価で売却する必要がございまして、当時はまだ、今問題となっております、昨年三月に発見されました新たな地下埋設物が出る前の段階でございます、当時の路線価あるいは公示地価等から見込まれる時価がございまして、一方で、大学のサイドからは、経営上の理由ということだったと承知しておりますけれども、七億円ぐらいしか出せない、そういうお話がございまして、時価でないと売れませんということで、学校法人の側から要望書を取り下げられたというふうな経緯でございます。

石関委員 そうすると、その段階では土地に問題が見つかったとかそういうことではなかった、普通の土地だというふうにそれぞれ認識していたけれども、音大の方でお金が足りなくて買えないのでやはりやめます、こういうことだったということですか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 本件土地に関するいわゆる瑕疵と申しますものは、大きく二つございます。

 一つは、森友学園に貸し付けた後、森友学園がいわゆる有益費で除去いたしました一億三千万円相当分でございますけれども、これは実は国土交通省の方で既に平成二十二年当時の調査でわかっておった瑕疵でございます。これは、土壌汚染でございますとか浅い部分までのコンクリートがら等の埋設物でございます。

 この状況は、平成二十四年当時の大阪音大とのやりとりの中でもお互いわかっておった事実でございます。そこがわかった上で七億、その分を差っ引いても五億八千万程度ということでございまして、時価がそれより高いと想定されましたので、大阪音大の方で要望を取り下げられたという経緯でございます。

石関委員 その一次的な瑕疵は承知の上で取引をしようと思ったけれども、結局、買いたいという方がお金が足りなくてやめますということで売却できなかったということですか。ただ、そういう交渉もしていたので、そこの部分は空港会社に移管をしないでそのまま国が保持することになった、こういうことですね。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 新関空会社の承継という観点からは、今御指摘のとおりでございます。

石関委員 そうすると、ほかは全部移管してしまって、移管する前に民間、いろいろなところに売却したものはあるけれども、ここだけ浮いてしまうような形になったわけですよね。売れればよかったけれども、もくろみどおりにならなくて売れなかった。その場合は、こういう土地というのは、その先どうしようという計画は何かあったんですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪音大というか、別の学校法人から要望書の取り下げがありましたので、それを受けて、一旦、私ども大阪航空局から近畿財務局に対して行っておりました売り払い処分の依頼についても取り下げております。

 その後、やはりこの土地をぜひとも売り払ってもらいたいということで、平成二十五年の四月に再度、私ども大阪航空局から近畿財務局に対しまして売り払い処分の依頼を行ったということでございます。

石関委員 先ほど、その前の段階で既に瑕疵、ごみがあるということは承知をしていたということですけれども、これも財務省にお尋ねしますけれども、今回の問題というのは、地下のごみ、埋設物というのが大きな主たる問題の一つだというふうに思いますが、過去の国有地の払い下げ、これは全国で結構ですが、廃棄物によってこういうふうに土地を値下げしたり、廃棄物が原因でトラブルになった、取引の過程や取引が終わった段階で、こんなものがあったじゃないかというようなことでトラブルになったり、あるいはその前の段階で、今回のケースのようにごみが入っているから値下げをしましょう、こういう例というのはほかにもあるんでしょうか。教えてください。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 国有地の処分につきましては、全国の財務局でやらせていただいているところでございます。

 委員御指摘の地下埋設物でございますとかあるいは建物等が存在する国有地を売却する場合に、地下埋設物等の撤去費用を見積もり、更地価格から撤去費用を差し引いて売却価格を算定することは一般的に行っておるところでございます。

 また、委員お尋ねのございました国有地の売却に際して、契約上瑕疵担保条項が通常設けられておりまして、当該条項に基づき国が損害賠償を受けた事例もございます。

石関委員 ちょっとその例を幾つか教えていただけますか。例えば、契約の内容に関して交渉している過程でこういう値引きをしましたとか、あるいは、瑕疵担保条項に基づいて、後で瑕疵が発見されてこういう補償をしたとか、ちょっと幾つか事例を教えてください。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員お尋ねの一点目の撤去費用を踏まえて売却価格を算定している事例でございますけれども、例えば土地の履歴から地下埋設物の存在の蓋然性が高い場合に、地下埋設物の試掘調査を民間に委託し、試掘調査の結果を踏まえて不動産鑑定士が鑑定評価を行い、地下埋設物の存在を明示して土地を売却するようなケースがございます。

 それから、損害賠償の事例でございますけれども、そのうち訴訟に至った例もございますけれども、例えば相続税の物納財産におきまして、購入した土地から地下埋設物が出土したということで、物納財産を購入された方、原告でございますけれども、から請求があって、国に対して瑕疵担保責任及び不法行為責任に基づく損害賠償を請求され、訴訟提起がされまして、国が支払いを命じられたという事例もございます。

石関委員 さきの方で、試掘調査をしたり、あらかじめわかっていて値引きをした例を幾つかちょっと教えてもらいたいんですね、多分幾つも例があるようなお話しぶりでしたので。どういうものが発見されて、どれぐらいの値引きが実際行われたのか。幾つか例を挙げて教えてください。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、地下埋設物や建物等がある国有地を売却する場合に、先ほど事例を申し上げましたけれども、それ以外に広げて申し上げますと、国がみずから地下埋設物を撤去して更地として売るような、こういうやり方も一つございますし、別の手法といたしまして、先ほど申し上げましたが、撤去費用を見積もりまして更地価格から撤去費を差し引いて売却する方法、それから、相手方が撤去して事後的に国が撤去費用等を支払うといったような、大きく三つぐらいのやり方がございます。いわば各財務局それぞれが、その土地の一つ一つの実情に応じまして、最も適切なやり方を用いましてやっているところでございます。

 先ほど三つ類型を申し上げました中で、撤去費用を差し引いてやる場合、ちょっと手元に具体的な数字等を持ち合わせておりませんで、大変恐縮でございます。ただ、今回の学校法人に対する契約のようにいわゆる随意契約でやる場合もございますけれども、入札で売る方が比較的件数としては多うございます。その場合は、例えば先ほど申し上げた例でいえば、不動産鑑定士に鑑定評価を見積もらせまして、瑕疵を明示しまして、それでも入札にかけて幾らで買うかというようなやり方をしているケースもございますので、大変恐縮でございますが、いろいろなケースがあるということで御理解賜れればと思います。

石関委員 それが知りたかったんですね。

 あらかじめ売り手の方がそれを撤去して売るというのは、それはすっきりしますよ。あるいは、買い手の方が後でそれを撤去してその経費を売り手に持ってもらう、これもすっきりしますよね。

 今回の森友学園の例のように、これぐらいありそうだからということでそれを値引きして売ったところ、それ以上に費用がかかるとか、あるいはかからない場合ももしかしたらあるのかもしれないし、どんどんどんどん今回の場合は出てきてしまったということなので、それが知りたかったんですよ。そういう例はあるんですか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の細かな調査までは至っておりません。大変恐縮でございます。

 本件土地に関して御説明申し上げますと、平成二十八年三月に地中の深いところで新たな埋設物が発見されておりまして、一方で、その当時既に、平成二十七年五月に……(石関委員「いや、ほかの例を聞いております」と呼ぶ)失礼いたしました。賃借契約を結ばれておりまして、こうやって一旦売却前提で貸し付けて、途中で売却に至る過程で撤去費用を国の方で見積もって控除したという例でございますので、全く同じ例があったかを申し上げるのは、ちょっと調べさせていただきたいと思います。

石関委員 ただ、さっき三つ例を挙げられていたうちの一つの契約のやり方ですよね。こういう値引きの例があるのかないのか。あるのであれば、森友だけではなくて、ほかにも幾つもあるのかどうか、よくある話なのかどうかということをもう一回お尋ねいたします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 大変失礼いたしました。

 先ほど申し上げましたとおり、撤去費用を控除して売るやり方は一般的に行っているということでございます。

 手元で、二つほど事例を御説明させていただきたいと存じます。

 一つ目は、地方公共団体に学校給食施設用地として土地を売り払ったケースでございますけれども、当該土地に土壌汚染等がございましたことから、鑑定評価上土壌汚染及び地下埋設物は考慮外とする、そういう評価条件を付しまして鑑定評価を依頼いたしました。鑑定評価額約六億四千万円から土壌汚染対策費約七千万円、地下埋設物撤去費用約二百万円を控除した上で、したがいまして、合計七千二百万円ほど控除いたしまして売却した例がございます。

 それから、社会福祉法人に対しまして土地建物を売却した事例がございます。隣地から地下埋設物が発掘されまして、発掘前の鑑定評価額が一億七千八百万円でございました。これに対しまして埋蔵文化財の発掘費用というのを見積もりまして、これは権限のございます教育委員会の方に見積もっていただいてこの発掘費用が二千五百万円、この見積もった二千五百万円を先ほどの鑑定評価額一億七千八百万円から控除いたしまして一億五千六百万円と評価した事例がございます。

石関委員 そうすると、こういう例を幾つか挙げていただきましたので、必ずしも森友学園は、値引きをして売るということは別に変わった例ではない、こういうことでよろしいんですね。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおりでございます。

石関委員 では、次に移ります。

 この一連の問題、ニュースも本当に毎日こればかりやっていて、国会でも証人喚問まで行われましたが、この交渉の記録が残っていないということが、今回こうやって騒ぎが大きくなっている問題の一つだというふうに私は思います。特に財務省は資料を廃棄したというふうに説明していて、このことが、やはり国民の関心をさらにかき立てて、いわば疑惑が広がってしまっている原因になっていると私は思います。

 これについて財務省の佐川理財局長は、土地取引の契約終了時に全て廃棄処分したというような趣旨の国会答弁をしていたと思いますけれども、そういう理解でよろしいですか。事実もそういうことでよろしいでしょうか。佐川局長の答弁がどういうものだったか、事実がどうだったか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 理財局長佐川が国会で御説明している件と同じ御説明をさせていただきます。

 財務省におきましては、公文書管理法の規定に基づき制定されている財務省行政文書管理規則にのっとり文書管理を行っております。この規則に基づきまして、契約書を含む国有財産の取得及び処分に関する決裁文書については三十年の保存期間が定められております。例えば、国有財産の売買契約に係る決裁文書に関して申し上げれば、売買契約書に加えて、財産の概要、相手から提出された売り払い申請書、登記関係文書などが含まれております。

 一方、面会の記録につきましては、その保存期間は一年未満とされ、保存満了時期については、時期を明確化する観点から、事案の終了後とする扱いをしております。

 このように、保存すべき文書は保存しておりまして、財務省においては、公文書管理法に基づく規則にのっとって対応しているところでございます。

石関委員 この土地の契約の時期はいつでしたか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 売買契約の締結日でございますれば、平成二十八年六月二十日でございます。

石関委員 そうすると、一年以内ということですよね。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、面会の記録については、その保存期間は一年未満でございますが、保存満了時期は事案の終了後とする扱いでございまして、この事案の終了というのは、契約締結をもって事案が終了したという扱いでございます。

石関委員 だからこの面会の記録等は廃棄をした、こういうことですか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 そのとおりでございます。

石関委員 これは、役所の中で、よし、では時期が来たから廃棄するぞといって取り組んで廃棄をするものなんですか、自然に、担当者が部署に残っていたものを、そこの机に座っている人がこれはもう時期が過ぎたと。あるいは、役所はファイルが並んでいますよね。時期ごとに並んでいて、案件が終われば誰かがそれを必ず処分するような仕組みになっているのか。どういう仕組みで処分になっているんですかね。

 たまたま、ああ、もう時期が過ぎていたから捨てていいやということなのか、案件ごとに時期をよく管理して、一年たったからこれは捨てましょうと、一年未満、もう少しで一年になるからといって役所ぐるみで取り組んでいるんですか、この廃棄について。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員お尋ねのございました行政文書ファイル管理簿についてでございますけれども、保存期間が満了した行政文書を廃棄した場合は、行政文書に関する行政文書ファイル管理簿を削除するとともに廃棄簿に記載しなければならないというふうにされておりますけれども、先ほど来申し上げております保存期間一年未満の行政文書については、公文書管理法上行政文書ファイル管理簿への記載を要しないとされておりますことから、廃棄簿にも記載しておらないところでございます。

 各部署におきまして、行政文書の管理それから廃棄につきましては、それぞれ課長級の者が文書管理者といたしまして各担当者を適切に指導しているということでございます。

 したがいまして、先ほど委員お尋ねの、事案が終了した後廃棄すべきものは廃棄するということにおきましては、各部署におきまして文書管理者が責任を持って対応いたしておるところでございます。

石関委員 もうちょっとお尋ねしますけれども、私も数年間役所にいて、今ほどこういう法律が整備されたりしていませんでしたから、今は少し様相が違うのかもしれませんが、しかし、責任者になっている課長が一個一個の案件について、廃棄簿もないような類いの書類や面談の記録といったものについて、時期が来たから廃棄しろ、こういう号令をかけてやっているようには思えないんですけれども、どうでしょう、実態は。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、近畿財務局における行政文書を廃棄する場合でございますけれども、一つは業者による溶解処理、それから執務室内でのシュレッダー、こういうふうな手法が大きくあろうかと存じます。

 溶解処理でございますけれども、必ずしも定期的なものではないわけでございますが、庁舎内の廃棄庫がいっぱいになった時点で業者に廃棄を依頼しております。ちなみに、平成二十八年度の業者による廃棄作業は、平成二十八年の六月、七月、八月、十月とございまして、そういうタイミングに合わせて対応しておる。

 それから、執務室内のシュレッダーにつきましては、保存期間満了後速やかに実施をしているというふうに承知しております。

石関委員 そういったいわゆる記録みたいなちゃんとしたものはそういうふうに処理をした、廃棄をしたということですけれども、普通、交渉したり電話をとったりすると、担当者というのは大体メモをとったりしますよね。私も勤めているとき、やっていましたよ。国会議員と面談して、こんなことを言っていました、こういうメモも、自分でとったものをまた整理して、雑談みたいなものは除いてメモ書きを上司に提出したりするということは、多分今でも同じように行われていると思います。

 この件に関して、担当者のそれぞれのメモとかノートとか、そういったものも一切ない、それぞれが廃棄をして何にも残っていない、こういうことですか。役所の立派な文書以外に、それぞれ担当者というのが何かメモしたり、ノートをとったり、手帳を持ったりしているものだと思いますよ。こういうものも一切ない、調べたけれどもない、こういうことですか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘、恐らく、組織として共有される文書については、これは法律上の行政文書であるということで、そこにつきましては先ほど来御説明申し上げているような扱いをいたしてございます。それから、いわゆる行政文書でない文書でございますけれども、本件につきましては、そのようなものも確認をされておらないところでございます。

石関委員 そういうことが何か奇妙に聞こえるんですよね、何かそういうのが疑惑が。わかりませんよ。財務省が今回、答弁もされ、ちゃんとやってきたということかもしれないし、そうでないかもしれないけれども、そういうものが一切出てこないし、普通はそういうものはあるんですよ、個人で持っていたりとか。それはどこまで強制的にこういった国会とかそういうところが提出を求められるものかわかりませんけれども、ただ、何にもないというのは非常に奇妙ですよね。

 電話のメモぐらいとっていますよ。手帳を持っていますよ。私だって散逸しないように一つの手帳に、何か陳情があったりとか、誰かと面談したら書いてありますよね。そういうものは一切ないんですか。探したけれども、その当時の担当者にも当たったけれども、誰も何にも残っていないということですか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 本件、さまざま、私ども本省の責任として国会の対応をさせていただいております。そういう中で、当然のことながら、近畿財務局から必要な情報は全て上げさせてきておるところでございます。そういう中で、先ほど来御指摘のような私的なものというのは見当たらないということでございます。

 ただ、一方で、何もないということではございませんで、先ほど申し上げましたとおり残すべきものは残しておるわけでございますし、当然それに決裁文書というものをつけてございます。それから、さまざまな交渉の結果というのは、例えば貸付契約であれば契約書に細かく残しておりますし、それから売買契約書も詳細な条文を残す、そういったことをもってきちんと記録し、それを三十年なら三十年保存することで対応しておるということでございます。

石関委員 それでは足りないから疑惑が広がっちゃっているんですよね。

 手元に、平成二十七年九月四日金曜日十時から十二時にかけての、近畿財務局、大阪航空局それからキアラ設計、中道組、この建設業者のメモがあって、皆さんもごらんになっていると思いますけれども、物すごく詳細ですよ。役所じゃなくたって、逆に契約だから余計注意深くつくっているのかもしれませんけれども、普通、大人が契約とかそういうものが絡んでやる場合、やはりこういうものをつくりますよね。さっきの話はちょっと、なかなか納得がいかないところであります。

 他方、佐川理財局長が、森友学園との売買契約を急いだ理由について、開校がおくれれば損害賠償請求をされる可能性があったというふうに説明していたかと思いますが、そういうことでよろしいですか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 理財局長はそのように国会で答弁しております。

石関委員 もし損害賠償請求をされると、局長は役所としてこういう認識を持っていたということですから、であれば、もっといろいろ記録がないと。もし裁判になったときに、周辺のことも含めて、今文書が残っているもの、残っていないもので説明が足りないから、国民も納得をしないから疑惑が広がっているのであって、もしこういうおそれがあったという認識があったんだったら、最大限、いろいろなメモも含めて資料を集めておくというのが普通に思うんですけれども、何でそういうことをしていないんですか。

 こういうおそれがあったというふうに認識していたわけですよね、役所として、まずいぞと。だったら、どんな細かい記録、個人のメモについても収集して、裁判にたえ得るだけのものをそろえておくというのは普通だと思いますよ。やっていないんですか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年三月十一日に地中の深い場所で新たな埋設物が発見されました。その当時、国は土地の貸し主でございましたので、民法上貸し主として使用収益に適した用地を提供する義務があるということをもって、この対応によっては損害賠償のリスクがあることを認識しておったということでございます。

 その後、先方から、買い受け、条件が合えば買うというふうなお話もございまして、また改めて鑑定評価をとって、一方で地下埋設物の撤去費用を控除した金額で最終的に六月二十日に売買契約を締結したということでございます。

 したがいまして、一定のリスクを三月以降認識しておりまして、その上で六月に売買契約を締結したということで、売買契約の締結をもって事案の終了という扱いとさせていただいたということでございます。

石関委員 でも、事案は終了したけれども、今騒ぎになっていますよね。これは何か、今後裁判になるとかそういう可能性はないんですか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 本年の二月からの報道もございまして、この問題は私どもも説明に努めておるところでございますが、一方で、足元の動き、委員御承知だと思いますけれども、ことしの三月十日に森友学園が学校設置の認可申請を取り下げましたり、それから、もう今日は、契約上の指定期日の三月三十一日も迫っているということでございます。

 したがいまして、近畿財務局も去る三月十六日の参議院予算委員会の先生方の御視察の際にも、平成二十八年六月から年が明けて二月ぐらいまでほとんどやりとりがないというふうに御説明しておりますけれども、先ほど来の二月の報道、それから三月に入りまして今申し上げました動きがありますので、そこは、当然のことながら、契約、法令に基づいてやりとりはしておるということでございます。

 大変恐縮ですが、足元の件につきましては当然必要な記録をとっておるということでございますけれども、今後の土地の所有権の返還でございますとか、それから違約金の請求でございますとか、その先の原状回復といったような交渉事になるものでございますから、今すぐに開示ということにはなりませんけれども、必要な記録はちゃんととっておるというのは、この二月以降の対応としてはやらせていただいているところでございます。

石関委員 二月以降で大丈夫なのかという気がしますけれどもね。だって、これは局長がはっきり、さっきも繰り返し言ってもらいましたけれども、損害賠償請求される可能性があったと役所が認識をしている案件でそういう対応で、まあ、立派な役所だと僕は思いますよ、財務省というのは役所の中でも非常に周到で、そういう皆さんがこういうものをとっていないとか、ちょっと納得いかないですけれども、今はここまでにしておきます。本当だとなかなか思えないという印象はお話をしておきます。

 では、国土交通省。国土交通省はどのようにこういったものを、担当者のメモとかいうものも含めて、確保しているのかどうか。だって、この九月四日の打ち合わせ記録もめちゃめちゃ細かいですよ、業者の皆さんがつくったものというのは。役所がこういうものを持っていないとはとても思えませんが、こういったメモを含めて、どうなっていますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 行政文書につきましては、公文書等の管理に関する法律及び国土交通省行政文書管理規則に基づきまして適正に管理を行っているところでございます。

 具体的には、行政文書については、公文書管理法の規定に基づきましてそれぞれ保存期間を設定しております。

 この保存期間を定める基準は、法令の制定等に関するものなどの同法施行令別表に規定される文書等につきましては別表に定める期間、それ以外のものにつきましては同別表の規定を参酌して文書管理者が定める期間というふうにされてございます。本件のようなやりとりに関する文書の保存期間は、この基準によれば一年未満というふうに解しているところでございます。

 また、行政文書は、公文書管理法の規定により、保存期間が満了したものについて、国立公文書館等に移管するか廃棄しなければならないとされてございます。本件のような保存期間が一年未満の行政文書につきましては、保存期間が満了した時点で廃棄するということとしてございます。

 保存期間が満了する時点か、あるいは、国土交通省につきましては年に一回、集中的に文書を整理する月間を設けてございますので、そういったときに処分をしているというふうに考えてございます。

石関委員 一年未満とかいろいろ同じような御説明をいただきましたけれども、ただ、こういう事件になっちゃったら、逆に、文書があって、これですよ、ほら、こういうふうにやっていますよと言えた方がいいんじゃないですか。一年未満じゃなくて、もっと広範に、メモ等も含めて長く保存した方がいいと思いませんか。どうですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省大阪航空局の本件土地に関する関係でございますけれども、大きく二つございまして、一つは、そもそもこの土地に存在することがわかっておりました廃棄物につきまして森友学園の方で撤去工事をされた、それに対して有益費という形でお支払いをさせていただいてございますけれども、これは、工事が平成二十七年の七月から行われておりまして、最終的に有益費の支払いについて合意されたのが平成二十八年の三月でございますけれども、この一連の中で、大阪航空局は近畿財務局とともに森友学園の関係者と、主に工事関係者でございますけれども、必要なやりとりをさせていただいております。

 それから、もう一つは、地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりについて、これは近畿財務局から依頼がございまして……(石関委員「保存期間を長くした方がいいんじゃないですか、それだけの話ですよ。あなたがどう思うかということです」と呼ぶ)わかりました。

 この間に実は、関与するために必要な現地確認でございますとか、工事関係者からの必要な写真でありますとか資料でありますとか、そういった取り寄せはきちっとやってございまして、それについては最終的にその決裁文書に添付する形で整理をさせていただいてございますので、委員御指摘のところについては適正に大阪航空局において管理がされているというふうに私は認識してございます。

石関委員 適正と。役所がどう思うかあれですけれども、足りないからこうやって疑惑がなかなか払拭されない、あるいは広がっているということだと思いますよ。

 次に移ります。

 土地の具体的な取引と売買契約についてお尋ねをいたします。

 証人喚問でこの籠池理事長は、土地取引の売買契約の交渉については弁護士に任せていたというふうに証言されています。

 財務省が建物部分の土地の九・九メートル地点から生活ごみが出たと説明している時期は昨年の三月十一日だったというふうに思いますが、ここから契約見直しの協議が始まっています。

 この三月十一日から売買契約する六月までの間、先ほどからあった六月ですね、この間に籠池さん御自身が土地取引の交渉の場に出席したことがあるのかないのか、これが一つ。また、あるとすれば何回程度。メモが残っていなければ役所の記憶として共有をされているというようなことでも結構ですが、あるとすれば何回程度。またもう一つ、弁護士や籠池夫人の立ち会いがあったかどうか。この二つについてお尋ねをします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年三月十一日に森友学園から、基礎工事を行う過程において新たな地下埋設物が発見されたという連絡がございまして、三月十四日に近畿財務局、大阪航空局及び現地関係者と現地確認を実施いたしております。その後でございますけれども、平成二十八年三月二十四日に森友学園から、条件が合えば本地を購入したいという連絡が来てございます。その後、委員お触れになりましたとおり、六月二十日の売買契約締結でございます。

 この間でございますが、新たな地下埋設物の撤去でございますとか売買契約の締結の関係で、理事長とも、あるいは弁護士とも、関係者との間でさまざまな打ち合わせは行われております。

 大変恐縮ながら、記録がないためにその回数でございますとか参加者などの詳細は不明でございますが、いずれにいたしましても、理事長本人あるいは副理事長、それから弁護士も含めてさまざまなやりとりをさせていただいたということでございます。

石関委員 今の感じだと、複数回は面談をしているというような感じは受けたんですけれども、今のことを証明するためにも、さっき国土交通省さんにもお尋ねして、ちょっと違うことをおっしゃっていましたけれども、やはりこういう記録も含めてもう少し長い間保存して、何か事が起こったときにこれですよと示せるような十分な期間に延ばした方がいいと思いませんか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、本件土地の売却に当たりまして、撤去費用の見積もりとあわせまして、冒頭委員に御質問いただきましたいわゆる瑕疵担保でございます。これにつきまして、本件売却をもって国はそれ以外の一切の瑕疵担保責任を負わない、そういう契約条項を入れる。この件につきましても、これは恐らく弁護士さんとのやりとりが中心だったと思いますけれども、文言の詰め等も行っております。その結果を売買契約書に条文として盛り込んでいるということでございます。

 委員の繰り返しのお尋ねでございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、売買契約書ですとかそれに係る決裁文書を三十年保存とするなど、保存すべき文書は保存いたしております。

 そういう意味で、これも含めて重要な経緯等の文書はきちんと保存しておりますので、私どもといたしましては問題ないものというふうに考えておるところでございます。

石関委員 冒頭に言ったようにここではやりませんけれども、ただ、契約そのものの内容ではなくて、いわば政治ルートみたいな、そういうものの影響があったのではないかとか、それが今国民の耳目を聳動して疑惑が広がっている原因の一つですから、だから、こういったメモを含めて、それからもっと立証できるようなそういう文書の保存期間を長くして、契約とかそういうものだけではなくてやった方がいいんではないですかと聞いたら、今のように巧みにお答えになりましたけれども、私はなかなか違うんじゃないかなというふうに思います。

 時間もなくなってきましたので、次に、今回の廃棄物の撤去費用は八億円というふうに試算をされて、ただ、この内訳というのは、建物の下と校庭の一部、合わせて敷地全体の六割を撤去する費用だというふうに言われていますが、間違いないでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 八・二億円、結果的に八・二億円ということになってございますけれども、この地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりでございますけれども、大阪航空局は近畿財務局から、本件土地の売買契約において売り主の瑕疵担保責任を免除する、そういう特約をつけることを前提にして見積もりを行うようにという依頼を私ども頂戴してございます。

 ちょっと丁寧に申し上げますと、本件土地の売買契約では、将来地下からどのような埋設物が出てきたとしても買い主は売り主である国の責任を追及できないということになります。このため、売り主の責任を追及できないかわりに、土地の価格を決めるに当たり、将来埋設物が出てくるリスクの分だけ土地の価格を下げておく。そこで、売却時点のみならず将来見込まれる分も含めまして地下埋設物が出てくるリスクを見込んでどれだけ価格を下げておくべきかということを、地下埋設物の撤去、処分費用という形で見積もらせていただきました。

 この見積もりに当たりましては、検証可能なあらゆる材料を用いまして、将来にわたってリスクとなり得る地下埋設物の存在範囲を合理的に設定したわけでございますけれども、今議員御指摘の面積、どの部分を対象にして地下埋設物が埋まっていることを想定するかということにつきましては、先ほども答弁の中に出てまいりましたけれども、平成二十二年に、この土地をそもそも売る前に地下構造物状況調査というものを行っておりますが、この調査結果等を踏まえまして、土地全体の約六割でございます五千百九十平米を対象として見積もりを行ったということでございます。

石関委員 これは何で六割なんですか。そもそも、全体の撤去というのではなくて、今の六割の理由、本当だったら校庭も含めて全て撤去するということが普通考えられることですけれども、どうしてそうじゃなかったのでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 見積もりに当たりまして、対象面積を全体の約六割とした理由でございますけれども、まず、先ほど申しましたけれども、平成二十二年に大阪航空局が実施をいたしました地下構造物状況調査により廃材等のごみが確認された部分、それから、その後くい掘削工事が行われまして、地下九・九メートルの深さまで廃材等が存在すると考えられております校舎建設部分、さらに、新たに地下埋設物が発見されたということを受けまして工事関係者が試掘を行った結果、その試掘場所周辺に廃材等とまじった土砂が積み上げられていることを確認した部分、すなわち試掘でごみが出てきた部分、さらに、この土地の地歴でございますけれども、昭和四十年代初頭まで池や沼であったのが本件土地の北側や西側部分である、こういったことを勘案いたしまして、対象面積につきましては、全体の約六割でございます五千百九十平米と設定して見積もりを行うことが合理的であると判断をしたものでございます。

石関委員 さっきの御説明があったような特約で値引きをして売却ということだったんですけれども、実際、売る前に、先ほど次長さんからも御説明があった、国の方でこれを撤去して処分しようとすると、九月四日の業者との打ち合わせ記録を見ても、物すごい額になりそうなので場内処分を考えてくれ、その中で、外に出さないでやってくれということが書いてあるんですね。

 だから、場合によっては、国が処分をして売ろうとすると赤字になるぐらいの埋設物じゃないかなと思うんですけれども、過去に、売ろうと思ったら赤字になっちゃう、そういうような国の土地の売却の例があったのかどうか。あるいは、この件について、このメモだけ見れば、あるいは報道等を通して出てきているものを現認しても物すごい量ですから、これは八億じゃとても済まないような感じを受けますけれども、これはどういう認識をされていますか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、今委員がお触れになりました建設業者がつくったらしきメモというふうに私ども言っておりますけれども、それにつきましては、私ども、内容につきましてコメントできないということでございますが、ただ、一点、これは他院、参議院の財金委員会でございますけれども、近畿財務局の職員が埋め戻しを指示したような記述もございますので、その点について改めて本人に確認せよということをやらせていただきまして、そのような事実を改めて確認したところ、ございませんでしたということをお答えさせていただいております。

 なおまた、平成二十七年九月当時は、まだ平成二十八年三月の深い埋設物よりも前の、いわゆる有益費のやりとりをしておった時期でございますので、売買と直接結びつくような時期ではないということでございます。

 それから、お尋ねのございました、仮にでございますけれども、土地の時価を上回るような撤去費用がかかる場合ということでございますけれども、まず、冒頭も申し上げましたけれども、そういうケースは多分、単純に売却することは恐らく難しいんだろうと思いますので、個々の財産の状況を踏まえて、個々に処理方針を検討していくことになると思います。

 例えばでございますが、入札の場合ですと、最低の売却価格として千円という最低売却価格を設定して入札で売るといったようなケースは実例としてございます。

石関委員 ただ、森友学園の財務状況、交渉の中でも金がないと言っているわけですから、これを考えると、佐川局長とか麻生大臣は国会で、廃棄物の撤去は買い主の判断で行うものというふうに説明をしていますけれども、この段階で交渉していて、とても森友学園が廃棄物の撤去をちゃんとやるというふうには思えないんですが、国としては、撤去して学校をつくる、そこまで関知しているのかどうか、責任があるかどうかは別ですけれども、そういう確約をとって売却しているのか、その辺はどうなっていましたか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 本件土地につきましては、平成二十八年六月の売買契約をもって既に売却済みで、所有権は学園側に移っております。したがいまして、当方として、地中から掘り出された産業廃棄物の撤去状況について確認を行うような立場にはないということでございます。

 一方で、建設工事に伴い生じた産業廃棄物につきましては、その処理を法令に従って森友学園側が行う必要がございます。この点については、権限を持ちます地元地方公共団体において指導監督等の適切な対応がなされるものと考えております。

石関委員 済みません、一つだけ。

 これは、さっきの政治ルートみたいなものの疑惑が広がっていることが一つ。ただ、もう一つは、今お尋ねをしてきた役所の文書の管理とかそういったものをもう少し丁寧にやっていれば疑惑の解明というのがなされたのではないか、なされるのではないかというふうに思います。

 鴻池事務所だってと言ったら失礼ですけれども、小さな規模の事務所だってこういう陳情報告、記録を残しているわけですよ。さっきも、近畿財務局の職員に尋ねたら、業者のメモの内容とは違うと言われましたけれども、こっちのメモがあれば見られますけれども、聞いてそう言ったというのが、本当にそうかどうかわからないですよ。だから疑惑が深まっているのであって、私が今までお尋ねしてきたような、私的なメモやそういうものも含めて、疑惑の解明に資するようなものの収集、残っていないかこういうものを調査するというお気持ち、お考えはあるかどうか、これを最後にお尋ねします。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども政府として、本件につきましては、国会を初めきちんと説明するように努めてきておるところでございます。至らぬ点がありましたら大変申しわけなく存じますけれども、先ほどから申し上げておりますとおり、必要な情報については全て近畿財務局から上げてきてもらっておりますので、私どもとしては、引き続き、なるだけ丁寧な説明に努めさせていただきたいというふうに考えております。

石関委員 御丁寧に答弁いただきましたが、取り組みが非常に甘いというか、疑惑の解明にはこれではつながらないというふうに思います。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、松田直久君。

松田委員 民進党・無所属クラブの松田直久でございます。

 まず、三月二十七日に発生しました栃木県那須町での雪崩で、将来ある若い方々が命を落とされました。亡くなられた方々には御冥福を、また御遺族には心からお悔やみを申し上げたいと思います。被害に遭われた方々には心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 私も、以前、山登りをしておりまして雪崩に遭ったことがありまして、死を覚悟したことがあります。五十年か六十年の樹齢の木の中でしたから、少なくても五十年か六十年雪崩は来ていないだろうという判断だったんですけれども、どんと雪崩が来ました。本当に、自然というのは、すごい、わからないといいましょうか、大きな力で人の命を奪ってしまうということであります。

 ぜひとも政府におかれましては原因の徹底究明をお願いしたいというふうに、まず冒頭申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 本日は、行政監視の委員会でありますので、効率的な行財政の執行に資することを目的として実施している総務省の行政評価、会計検査院の検査報告、さらには財務省が実施しております予算執行調査の結果に基づきまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、活性化について質問させていただきたいと思います。

 我が国が直面しています地方の創生、人口減少の克服という構造的な課題に対しては、国と地方が総力を挙げて取り組むことが求められています。これまで、さまざまな地域活性化の事業といいましょうか施策はいろいろなことが講じられましたけれども、これらの施策の実施状況、効果の発現状況等に関して、総務省では昨年七月に地域活性化に関する行政評価・監視を公表し、必要とする改善措置について勧告しております。

 まず、このうち、地方都市における地域活性化三計画、いわゆる中心市街地活性化基本計画、都市再生整備基本計画、地域再生計画の実施状況について、勧告の主な概要を説明いただきたいと思います。

古市政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの地域活性化に関する行政評価・監視に基づく勧告は、地域活性化関係施策の効果的な実施に資する観点から実施したものでございます。

 本勧告の主な内容でございますが、地方都市における地域活性化施策の実施状況を調査したところ、地域活性化三計画のうち、地域再生計画と都市再生整備計画は一定の効果が発現している一方で、中心市街地活性化基本計画は、みずから設定した指標の目標達成状況から見て所期の効果が発現していると見ることは困難であること、指標設定、測定が不適切な例があること、事例等が各府省で別個に情報提供され総覧性に乏しいことなどの状況が見られたところでございます。

 このため、内閣府、厚生労働省及び国土交通省に対し、中心市街地活性化施策について、改めて目標達成が困難な原因を分析し、改善方策を検討するとともに、規模別の成功例の提示などの取り組みを行うこと、指標の設定、測定等に係るマニュアルの整備、助言等の支援を行うこと、自治体の参考となる事例等を収集し、ウエブサイト等を活用して一元的に公表することなどを勧告したところでございます。

松田委員 御説明をいただいて、特に中心市街地活性化基本計画は効果が発現、あらわれている状況とは言えない。勧告で指摘しているとおり、平成十八年度から二十年度までに策定した四十四計画のうち、全ての指標が目標を達している計画は一つもない。

 この勧告に対して、ことし二月に内閣府から改善措置状況を回答していると思いますが、主な措置状況を簡潔に一回御説明いただきたいと思います。

塩田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありました行政評価の勧告を踏まえまして、平成二十七年度中に計画期間を終了した中心市街地活性化基本計画につきまして目標達成が困難となっている原因を分析いたしましたところ、東日本大震災の影響でございますとか景気の低迷による大規模工場の閉鎖等、計画策定時には想定していなかった外部要因もございましたけれども、主要事業が遅延または中止となったために当該事業による効果を発揮できなかったことが原因であるという計画がございました。

 また、現在計画期間中の中心市街地活性化基本計画のうち、二十八市がこのままでは目標達成可能とは見込まれないという自己評価をしておりまして、これらの市に対しまして個別にヒアリングを実施いたしまして、必要に応じて改善方策の検討等について助言をしたところでございます。本年三月までに、このうちの十八市が事業の追加でございますとか拡充を行うという計画変更を行うなど、目標達成に向けた努力がなされているところでございます。

 今後も、こうした地方公共団体に対する助言等、きめ細やかな対応を行うことにより、中心市街地活性化施策の効果が発現されるよう努めてまいります。

松田委員 勧告への回答文書にもありますが、成功例を取りまとめて、この三月中に地方創生総合情報サイトに一元化する予定となっていますけれども、現状はどうなったのか教えてください。

塩田政府参考人 お答え申し上げます。

 成功例の周知につきましては、市町村の人口規模別及び目標類型別に目標達成状況を整理いたしまして、合計十七の成功例を取りまとめまして、昨年十月に地方公共団体に周知いたしますとともに、中心市街地活性化のホームページのサイトに掲載したところでございます。

 なお、これらの成功例につきましては、今先生が御指摘のとおり、三月中でございますから、きょうあすじゅうに地方創生総合情報サイトに一元的に取りまとめて情報提供することとしております。

松田委員 ありがとうございました。

 この地方創生情報サイトについては、総務省の勧告に対して内閣府は、地域住民との連携等の優良事例をまとめ、各省事例とともに地方創生総合情報サイトにおいて一元的に公表予定と回答しておる。また、このほかにも、計画期間中に発現した効果を持続させていく取り組みについても同様に一元的に公表することとされておりますけれども、これらが今現在行われておらない。

 そもそも、この内閣府の地方創生総合情報サイトは、ごらんいただければわかると思いましたけれども、新着情報は昨年の五月、サイトオープンのお知らせしか掲載されていない、FAQを開くと内閣府の共通検索にリンクで飛んでしまうというふうになっている。

 地方創生、地域活性化に関する総合的情報集積サイトとしての、ちょっと厳しい言い方をすれば体をなしていないというふうに考えますけれども、内閣府の御見解をお伺いしたいと思います。

塩田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生総合情報サイトにおきましては、全国の地方創生関係の取り組み事例でございますとか専門家情報等を公開しているところでございます。特に、取り組み事例につきましては地方自治体等からも非常に関心が高く重要な情報であると認識しておりますが、今御指摘のとおり、現在の地方創生総合情報サイトにおきましては情報量や見やすさの点で改善の余地があるということを認識してございます。

 今後は、現在複数のページに各省も含めて散らばっております地方創生に関する事例集を一カ所に集約することにより取り組み事例を充実させていく、また、これとともに、市町村別、施策別、分野別のタグづけによりまして閲覧者が知りたい情報へたどり着きやすくするなど、質、量の両面から充実を図ってまいりたいというふうに思っております。

松田委員 何にいたしましても、昨年五月から全然更新されていないというのは少し怠慢過ぎるではないかと思いますので、しっかりここで指摘させていただきたいと思います。

 次に、二十七年度の決算検査報告で指摘された事態を取り上げさせてもらいます。

 新聞等でも報道されました、内閣官房及び内閣府における組織の新設または統廃合に伴う物品の管理について伺いたいと思っています。

 まず、会計検査院から検査結果の概要について御説明をいただきたいと思います。

鈴土会計検査院当局者 お答えいたします。

 内閣官房及び内閣府本府では、組織の新設、統廃合が多く、それに伴い、執務室を移転するなどしています。また、内閣府本府が行う災害からの国民の保護に関する業務におきましては、内閣府本府が直接管理する建物以外の地方公共団体の庁舎等の建物等に同業務に必要となる物品が多数設置されている状況となっています。

 そこで、会計検査院が物品の管理が適切に行われているかなどに着眼して検査したところ、物品管理簿等に記録されている重要物品の現物が確認できないものなどが、内閣官房において二十六個、三千四百六十八万余円、内閣府本府において二百一個、六十四億三千七百八十八万余円、取得した重要物品が物品管理簿等に記録されていないものが、内閣府本府において五十七個、四億九千七百三十四万余円見受けられたところであり、物品の管理が適正を欠いていて、物品管理簿等及び物品報告書が重要物品の現況を反映した正確なものとなっていない状況となっておりました。

 このため、会計検査院は、平成二十八年十月に、内閣官房及び内閣府本府において、本件事態について、現況や亡失の状況を調査把握して、直ちに物品管理簿等の修正等の手続をとり、現物が確認できない原因が亡失である場合には、直ちに内閣総理大臣に物品の亡失報告を行うなどの是正の処置を求めるとともに、内閣府本府において、みずからが直接管理する建物以外に設置されている物品等の管理が適切に行われ、物品検査が適切に行われるよう、業務担当職員と物品供用官との間の連絡体制を整備したり、組織の新設、統廃合及びそれに伴う執務室の移転の際、物品検査を行うよう事務手続を定めたりするなどの是正改善の処置を求めたものでございます。

松田委員 長々と御説明をいただきました。

 やはり、組織の新設や統廃合、また今後本格的に文化庁が京都に移転したりする際には、物品であるとか、今も公文書の話が出ましたけれども、こういった基本的な事項を適正に管理することの重要性を改めて認識する必要があると思いますけれども、政府の見解をいただきたいと思います。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま会計検査院から指摘の概要について御答弁があったところでございますが、こうした指摘を受ける事態が生じたことについては、私ども重く受けとめているところでございます。

 内閣府本府及び内閣官房では、これまでに、物品管理事務是正改善調査チームを発足させ、状況把握、実態把握のための調査を実施してまいりました。この調査の結果、物品管理簿等に記録されているが現物が確認できていない重要物品として指摘を受けた二百二十七個、六十四億七千二百五十八万円のうち大部分を占めるのが私どもの場合は防災通信設備、機器であったわけでございますが、個数ベースで九六・五%に当たる二百十九個、金額ベースで九九・九%に当たる六十四億六千六百二十四万円の物品につきましては、機器更新に伴う入れかえによる不用や執務室の移転による不用、経年変化による不用となったものが所要の手続を経ることなく破棄され、物品管理簿等に記録が残されたままとなっていたものと判明したところでございます。

 この調査結果に基づきまして、会計検査院から指摘を受けました重要物品等につきましては、既に物品管理簿等の修正など所要の手続を行ったところではございます。

 今回のような事態が発生した原因につきましては、会計検査院からも指摘されているところではございますが、物品管理法等に基づき物品を適正に管理することの重要性に対する認識が欠けていたこと、物品を適切に管理する連絡体制が整備されていないことが考えられます。

 したがいまして、内閣府、内閣官房といたしましては、物品関係業務マニュアルを改定し、組織の新設、統廃合、移転の際に物品管理官等に対する検査の実施や物品の所在を確認する事務手続を定めますとともに、説明会の実施等を通じて物品管理業務に携わる全ての職員に共有、周知徹底を図っているところでございます。

 今後におきましても、今申し上げましたことに加えまして、部局内や、必要に応じて建物ごと等々に物品管理官等を設置して責任を明確にしますとともに、部局の担当者と物品管理官等々との連絡体制を整備し、引き続き、定期的な研修を通じて職員に物品の管理等の重要性について周知徹底を図る、こうした取り組みを進め、再発防止に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

松田委員 検査において、重要物品二百十九と言われたんですかね。聞きましたら、価格にして六十四億円分、現物が確認できなかったということなんですね。

 内閣府や内閣官房はそれぞれ追跡調査を行ったのか。物品が紛失した場合、その取り扱いは今後どうなるのか。内閣から国会に提出されている物品報告書も修正しなくてはならないんだろうと思います。どういうふうな対応をされるんでしょうか、お聞きしたいと思います。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました物品等に関しまして説明をさせていただきますと、破棄に当たって、業者に不用物品を引き取らないための契約手続が行われていたものの、当該製品が引き取られた際にいわば担当職員から物品供用官に情報が伝わらず、物品管理簿の記録に反映させることができなかった。つまり、本来不用という形で処分してよかったんですが、それについての適正な記録を反映することができなかったというのが大宗でございます。

 ただ、御指摘がございましたように、現物が確認できない原因が亡失である場合、この処理につきましては、物品管理法上、財務相及び会計検査院に対し亡失の通知を行うこととなっておりますので、その通知を既にしているところでございます。

松田委員 物品管理法という形で定められていて、物品管理官というんでしょうかね、そういう方々がしっかりと管理をするということなんですけれども、六十四億円なんですね。

 これは人に聞いた話ですけれども、所管のところから新品同様のものが出てきたりして廃棄をされているとか、いろいろなこと。これは聞いた話ですから事実かどうかわかりませんけれども、そんな話も聞きます。

 六十四億円というのはどれだけの金額かなということで、改めて、私は三重県出身なんですけれども、二十九市町あるんですけれども、その六十四億に見合うといいますか、同じぐらいの、一般会計でいうと六十四億、六十五億は大台町。七つの町では六十五億円以下の一般会計予算でやっているんですね。だから、今地域活性とか中心市街地の話もさせていただきましたけれども、地方は一生懸命、一円でも削ってということで頑張っているんですが、六十四億でやって何が地方活性だ、そういう思いからすれば、この金額というのはもっとしっかりと、毎年度ですから、やはりそういったところの管理というのをもう一回きちっとやっていただかなくてはいけないと指摘させていただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 昨年の通常国会で、私は環境委員会で、財務省が二十七年度の予算執行調査で取り上げました環境省の環境研究総合推進費について質問させていただきました。

 改めて、環境研究総合推進費は、環境省の行政ニーズを提示して公募を行い、広く産学民官の研究機関の研究者から提案を募って、実施課題を決定して研究開発を実施するための経費であるということであります。

 そこで、予算執行の調査では、研究終了後に実証化されたものが一・七%、環境政策に反映したものが二八・七%にとどまっていることや、配分機関の独立行政法人への早期変更等について指摘されております。また、行政事業レビューにおいて環境省は本事業における政策評価の目標を研究課題の事後評価で上位二段階を獲得した課題の数が六〇%以上としておりまして、平成二十八年度にようやく六四%となった。二十二年度から二十七年度まで、六年連続して目標を達成できなかったことを考えると十分な成果とは言えない。

 昨年十月以降、配分業務等が独立行政法人の環境再生保全機構に移管されたことで、例えば年度をまたぐ研究課題について競争的資金を弾力的に執行することなどが可能になったということであります。予算執行調査や国会の議論を踏まえまして、研究事業が必ずしも効果的に行われているとは言いがたいと指摘されている状況を改善するためにも、一層の戦略的な事業設定、事業の効率化が求められているんだろうというふうに思っています。

 これについての政府の御見解をいただきたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 環境研究総合推進費につきましての予算執行調査につきましては、委員御指摘のとおりと承知しております。

 これらの要因といたしましては、研究内容によっては研究成果の環境政策への反映について時間を要するため、より中期的な視点からの評価が必要な場合があること、また研究実施中における研究者への意識づけが十分ではなかったことが挙げられると考えております。

 このため、研究をより効果的にするための対応として、研究成果が具体的にどのような形で段階を追って環境政策に生かされているのか把握するための調査を実施することとしております。また、平成二十八年度より、全研究課題につきまして、研究の途中段階で研究の進め方等についてアドバイスをいただくための会議の開催を義務づけることで、今まで以上に研究者への意識づけを行ってまいりたいと考えております。

 さらに、環境研究総合推進費の一部の業務につきましては、平成二十八年十月より委員御指摘のとおり独立行政法人環境再生保全機構に順次移管しているところでございますが、平成二十九年四月からは研究管理についても移管することとしており、プログラムオフィサーを拡充することにより、環境省の行政ニーズを踏まえた助言や研究の進捗管理の強化を図っていきたいと考えております。

松田委員 独法になって、確かに現場は予算の執行においても非常に緩やかになったし、報告書なんかもその都度その都度出さなくてはいけなかったようなことも簡素化されて、非常に評判はいいんだけれども、なかなか研究の成果が上がってこない。

 例えば、大学の例を挙げますと、単独の大学でほかの大学と共同でやっていくというときになかなかそういうふうに、予算の振り分けとか、いろいろ事業も変更されてきて途中でまた変わったりしてくる、いろいろな状況が起きてくると思うんですよね。そういった面で、一足す一が二じゃなくて、一足す一が三、四に、やはり研究成果というのをつくろうと思うとそういうことだと思いますので、できたらそういうところを一遍しっかりと、使い勝手のいいようにやっていただいたらどうかなと思うんですけれども、奥主さん、どうですか。御所見があったら。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 環境研究総合推進費の中身につきましては、環境行政ニーズを踏まえまして、どのような重点分野にするかというのをいろいろ毎年毎年検討した上で配分していくということでございます。そういう中におきまして、全体を見ますプログラムディレクターとかの存在がありますので、そういったことを通じまして、各研究間の連携といいますか、すみ分けというのをしっかりしていきたいというふうに考えているところでございます。

松田委員 では、最後の質問をさせていただきます。

 オリパラなんですけれども、昨年の四月、文科委員会におきまして、当時は遠藤オリパラ担当大臣だったんですけれども、日本におけるオリパラの競技大会の開催意義、効果をどのように捉えているのか、またそのことを踏まえてどのような大会にしたいか、こういうふうなことをお伺いしまして、大臣から、前回の東京オリンピックでは日本は戦争後の復興から何とかやはり気持ちを一つにした、成熟した大会運営をしていくことが最も大事な問題だというようなことも発言をいただきました。また、世界の中で貢献という御発言もございました。オリンピックというのは一つの大きなチャンスだと思います。

 そうした議論の中で、国立競技場の運営等を行うJSCの実務業務について私はロンドン事務所のあり方などを何点か聞かせていただいたんですけれども、このJSCに対して、行政監視という観点から見れば大変厳しい結果が相次いでいる。文科省の独立行政法人通則法による二十六年度の事業評価は五段階で最低ランクのDであり、二十七年度においても評価がCとして、必要な改善に継続的に取り組むべきとされています。

 これらの事業評価について、所管する文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 JSCに対する平成二十六年度業務実績評価では、平成二十七年九月に公表された新国立競技場整備計画経緯検証委員会の報告書において、JSCにおける問題点として、国家的なプロジェクトを既存の組織で対応してしまったプロジェクト推進体制の問題、また国民理解の醸成ができなかった情報発信の問題などが指摘されており、抜本的な改善を要すると判断されたことから、総合評定を五段階中最低のD評価としたところでございます。

 また、二十七年度の評価においては、検証委員会の報告書から得た教訓を生かし、引き続き新国立競技場の整備を着実に推進する必要があること、あわせて平成二十六年度決算検査報告において不適切な会計処理が複数年にわたり行われていると指摘されたことを総合的に勘案し、継続的に取り組むべきと判断されたことから、総合評定をCとしたところでございます。

松田委員 もう時間がなくなりました。

 二十六年度がDで、二十七年度がCということであります。今御指摘をいただいて、検査院の方からも指摘されている事項が多々あるということであります。しっかりとそのところを監督していただきますことを強く要望しまして、質問を終わります。

玄葉委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうは、談合情報が寄せられております東京外環道、関越―東名間についてお伺いしたいと思います。

 この区間は十六キロメートルですけれども、住宅街の真下を大深度地下方式で、直径十六メートル、五階建てのビルに相当するようなトンネルを上り下り二本掘るという大工事です。ことし二月から本線の地下トンネルの掘進工事が開始されました。新たに談合情報が寄せられたのは地中拡幅部というところです。

 資料をお配りしております。資料一をごらんいただきたいんですが、この地中拡幅部とは、地下の本線と地上のジャンクション、インターチェンジを結ぶランプがつながる部分であります。地中深いところでトンネルを切り広げる難工事だというふうに言われております。ここは、トンネルだけで直径三十メートル、止水域を入れると四十メートルから五十メートルの巨大な構造物になると言われております。

 国交省などが設置した東京外環トンネル施工等検討委員会はこう言っています。世界でも類を見ない規模の、技術的困難さを伴う工事だと言って、中央ジャンクションの南側、中央ジャンクションの北側及び青梅街道インターチェンジの地中拡幅部は東名ジャンクション部と比較してもより技術的難易度が高い施工が求められるとしております。これはどういう意味でしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 東京外郭環状道路、関越から東名までのインターチェンジ及びジャンクションにおきまして地中で分岐、合流を行う計画となっていますことから、三車線の本線シールドトンネルとランプシールドトンネルを地下四十メートルより深いところで非開削施工でつなぐ必要がございまして、この接合部分を地中拡幅部と呼び、全線で八カ所の地中拡幅部が計画されております。

 このシールドトンネル及び地中拡幅部の施工技術等についての確認、検討を行う目的といたしまして、委員御指摘の学識経験者、関係機関から構成される東京外環トンネル施工等検討委員会、委員長は今田徹東京都立大学名誉教授でございますけれども、平成二十四年七月に設置いたしまして、これまで十三回の委員会を開催し、検討を進めてきたところでございます。

 委員御指摘の委員会の考え方の中で、世界でも類を見ない規模の、技術的困難さを伴う工事とされているところでございます。この中で、中央ジャンクションの南及び北、青梅街道インターチェンジの地中拡幅部の六カ所については、委員会において約一年前、平成二十八年三月二十四日に標準的な工法についての考え方を取りまとめました。

 取りまとめにおきましては、中央ジャンクションの南及び北、青梅街道インターチェンジの地中拡幅部は東名ジャンクションの地中拡幅部と比較して地山の透水性が高く、地山の自立性が低い地盤での工事となるため、より技術的難易度の高い施工が求められるとされているところでございます。

 以上です。

宮本(徹)委員 つまり、地盤の透水性が高くて自立性が低い、砂なんですよね。粘土層が中央ジャンクションの南側にはほとんどない、こういう指摘もされています。住民からは、博多の陥没事故のようなことが起きるんじゃないか、こういう不安の声も上がっているわけであります。国交省の別の文書では、世界最大級の難工事だと。ゼネコン関係者からも、技術的にこれは実は確立していないんだ、こういう話も聞こえてくるわけですよね。

 東名ジャンクションの地中拡幅部の工事は既に施工者が決まっておりますが、東名ジャンクション以外の地中拡幅部の工法というのは決まっているんですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 東京外環トンネル施工等検討委員会が、平成二十八年三月に、中央ジャンクション及び青梅街道インターチェンジの地中拡幅部について工法の考え方を取りまとめ、公表しているところでございます。

 委員会におきましては、地中拡幅部にシールドトンネル同士が分岐、合流するための大きな空間をつくる必要があることから、まず分岐、合流部を大きく覆った上で、その内部の掘削を進めていくといった施工手順を整理しているところでございます。その施工手順ごとに民間企業が有する技術について検証を行い、施工時の安全性や品質の確保、コスト及び工期の縮減等の観点から、標準的な工法についての考え方を整理しているところでございます。

 例えば、分岐、合流部を大きく覆う、外殻部と称していますけれども、この工法につきましては、民間企業が有する技術において、シールドトンネルと同じ方向に施工を進めていく工法と、シールドトンネルを囲むように円形に施工を進める方法の二つがありますが、これまでの実績等を考慮し、安全性の確保やコスト及び工期の縮減等の観点から、シールドトンネルと同じ方向に施工を進める工法を標準的なものとして整理しているところでございます。

 現在、委員会において整理された標準的な工法についての考え方に基づきまして、中央ジャンクションの地中拡幅部の詳細設計及び工事について入札手続を進めているところでございまして、今後、詳細設計を行いながら具体的な工法についての検討を深めてまいりたいと考えております。

 以上です。

宮本(徹)委員 まだ最終的な工法も決まっていないというお話なんですね。

 それで、今、この中央ジャンクションの地中拡幅部については、NEXCOの中日本と東日本が四件の発注をしております。

 資料の二ページ目を見ていただきたいと思うんですが、この四カ所について、ゼネコン関係者から私どもの発行しておりますしんぶん赤旗日曜版の編集部に談合にかかわる情報が寄せられております。これは二月二十六日号で報じましたが、トンネル本線は、そこに書いてあるとおり、大成、清水、鹿島、大林組とそれぞれ受注しているところが決まっているわけですが、地中拡幅部の工事について、四工事とも本線トンネル受注の大手ゼネコン四社が幹事社を務めているJVがそれぞれ受注することになっているという情報が寄せられております。

 つまり、この図でいえば左上、大成JVがトンネルを掘っているところ、ここにくっついている地中拡幅部は大成建設が受注する、同じようにほかのところも対応するところが受注する、こういう情報が寄せられております。

 きょうは大臣に来ていただきましたけれども、この談合の報道を受けてどう対応されているんですか。

石井国務大臣 談合等不正行為の疑いがある情報がある場合には、発注者が適切に対応すべきものでございます。

 本件につきましては、発注者である高速道路会社において各社の談合情報対応マニュアルに基づき対応されることとなるわけでございます。

宮本(徹)委員 発注者といっても、もともと国の事業ですよね、外環道は。しかも、発注者である中日本も東日本も、株式は一〇〇%国が、財務大臣が保有していることになっているはずですよ。国交省はそれでいいんですか。

石井国務大臣 国土交通省といたしましては、高速道路会社に対しまして談合等の情報について発注者として適切に対応するよう指導しているところでございます。本件につきましても高速道路会社が適切に対応するものと考えております。

宮本(徹)委員 NEXCO中日本、東日本の談合情報があった場合のマニュアルを見ましたら、公正入札調査委員会事務局へ直ちに通報し、事務局は速やかに委員会を招集し報告を行うと書いているんですけれども、委員会は開かれたんですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 承知をしておりません。

宮本(徹)委員 余りにもひどいですよ。事業費一兆六千億円のうち税金が一兆円ですよ。その大半は国ですよ、東京都も一部持ちますけれども。それだけの事業で談合情報が寄せられているのに、事業者が適切に対応すると思いますと言って、では委員会を開いているのかと聞いたら、承知もしていないと。

 こんな姿勢でいいんですか、大臣。問題じゃないですか。

石井国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、国土交通省としては、談合等の情報について各道路会社に対して発注者として適切に対応するよう平素から指導をしているところでございます。高速道路会社が適切に対応するものと考えております。

宮本(徹)委員 平素から指導しているって、今聞いたら承知もしていないというふうに答えたじゃないですか。何の指導もしていないんですよ。

 具体的にどう指導しているのかというのは、きょうの私の指摘も受けて、さらに指導をやらなきゃいけないんじゃないですか。どうやっているかをつかむべきじゃないですか、大臣。

石井国務大臣 我々では、平素からしっかりと、談合情報等があった場合には適切に対応するように指導しているところでございます。

宮本(徹)委員 全く承知しないまま、ほったらかしにしているという話ですよ、今。それが適切な指導なんてよくも言えますよ。行政監視委員会をわざわざ国会が開いていることの意味を大臣は重く受けとめていただきたいというふうに思います。

 しかも、この発注方式が極めて不可解なんですよね。今回の入札方法は、価格競争ではなくて、技術提案・交渉方式というふうになっています。

 私、NEXCOの手続開始の公示を見ましたが、これを見ますと、入札参加者から提出された技術提案書を評価して、技術評価点が最上位であるものが優先交渉権者になると書いているんですね。ところが、次にこうあるんですよ。先行工事で優先交渉権者に選定された単体または特定JVの構成員を含む特定JVは原則として後行工事の優先交渉権者に選定しないものとして取り扱うと書いているんですね。

 これはちょっと図を見ていただければわかりますけれども、合流と書いている方が先行工事、分岐と書いている側が後行工事というふうにされているわけですね。つまり、合流という側を受けた側は分岐という側については受注することが原則的にできないとなっている。

 私、これは本当に不思議だなと思って、先ほど一番初めに国交省からも紹介がありましたけれども、世界でも類を見ない規模の、技術的困難さを伴う工事だと言っているわけですよね。その難工事をやるんだから、住民の安全を考えたら、技術評価点が高いところ、一番安全に工事をやれるところ、ここが一つとったら、なぜほかのところはやっちゃいけないとなるんですか。ほかもやってもいいじゃないですか。私、全く理解できないですよ。何でこんな不可解な発注方式をとっているんですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 公共工事の品質確保の促進に関する法律におきまして、仕様の確定が困難な工事に対し、技術提案の審査及び価格等の交渉により仕様を確定し予定価格を定めることを可能とする技術提案の審査及び価格等の交渉による方式、これを技術提案・交渉方式と呼んでおりますが、これが新たに規定されたところでございまして、この技術提案・交渉方式では、これは技術提案・交渉方式の運用ガイドラインにおいて規定されておりますが、発注者が最適な仕様を確定できない工事、仕様の前提となる条件の確定が困難な工事に適用できるとされております。

 中央ジャンクションの地中拡幅工事につきましては、大深度地下部の透水性が高い帯水層という厳しい地盤条件下で本線トンネルとランプトンネルを接合する施工となること等から、これらの適用条件に合致するため、有識者の意見を踏まえ、技術提案・交渉方式を適用することとしたものでございます。この有識者の方々は、東京外環トンネル施工等検討委員会の一部の先生に加えまして、諸外国の事情にも精通いたしました入札契約制度の専門の先生にも入っていただいております。

 この技術提案の選定に当たっては、提案される技術がこれまでに前例のない新たな技術を活用した具体の施工方法となることから、単一の施工方法ではなく複数の施工方法を選定し、工事の確実性と安全性を高める必要があると考えております。

 このため、地盤条件が異なる中央ジャンクションの北側、南側それぞれの工事におきまして入札公告に技術提案が同一の内容で応募している場合は、先行工事で優先交渉権者に選定された単体または特定建設工事共同企業体の構成員を含む特定建設工事共同企業体は原則として後行工事の優先交渉権者に選定しないものとして取り扱うと規定しているところでございます。

宮本(徹)委員 さっきの話、聞いてもさっぱりわからないですね。何で、一番技術点が高いところが初めに優先交渉権者になったら、ほかの工事をその業者はとることができないんですか。今の説明は何の説明にもなっていないですよ。

 大臣、今の説明で納得されましたか。住民の安全を考えたら、最も安全性が高いところが次の工事は手を挙げられない、二番目とか三番目のところしか手を挙げられない、こんな難工事だと言いながら何でそんなふうになるんですか。これはゼネコンから寄せられた談合情報と同じような話になってくるんじゃないですか。大手ゼネコン四社に受注させるためにこんな不可解な発注方式をとっているんじゃないかという疑念を持たざるを得ないんですが、大臣は、今の道路局長の答弁を聞かれて納得されましたか。

石井国務大臣 当然納得したところでございますが、今局長から答弁したとおりでありますけれども、今回、世界的にも非常に難しい技術ということで、提案される技術はこれまでに前例のない新たな技術を活用した具体の施工方法となることから、単一の施工方法ではなく複数の施工方法を選定し、工事の確実性と安定性を高める必要があるということで複数の選択肢を求める。ただ、複数を選んだとしても、それぞれについては東京外環トンネル施工等検討委員会できちんと審査した上で、安全性を確認した上でやってございますので、何かほかの提案が安全でないということには当たらないということであります。

 ただ、もう一つ追加して申し上げますと、一回とったJVであっても、技術提案が別の内容で提案していただければそれは可能となる。だから、さまざまな技術を適用するという趣旨で、一回とったところが同じ技術でまた提案した場合はそれは遠慮していただく、こういう趣旨でございますので、十分納得性のあるものだと思っております。

宮本(徹)委員 複数の技術でやらなきゃいけない必然性なんてどこにもないんですよ。一番安全な技術でやるというのが住民の安全を考えたら当然のことですよ。なぜその考え方をとらないのか。

 こうすると、やはり私はこの談合情報との関係が頭に思い浮かんでくるわけですよ。

 赤旗に寄せられている談合情報は極めて具体的で、入札参加者名も全部出ております。この四カ所の図にある工事は、どこも大手ゼネコン中心のJV二社と中堅ゼネコン一社、三社の押しなべて同じ組み合わせになっているわけですね。

 例えば、中央ジャンクション南側でいいますと、右側の本線南行きというところは、鹿島JV、大林組JV、あと中堅の前田などのJVですよ。左側の北行きは、鹿島JV、大林組JV、あと中堅の西松などのJVです。極めて具体的に情報が寄せられています。この発注方式では合流部からまず先行工事ということになりますから、談合情報では、これはまず鹿島がとる、そうすると左側の分岐側は大林か中堅ゼネコンのJVになりますが、技術評価点で恐らく大手の大林だということを言われているわけですよね。

 中堅ゼネコンの一社がなぜ参加しているのか。これは、最後の二つになったときに一者入札にならないために、形を整えるために参加しているのではないか、こういうふうに言われております。

 ちょっと時間がないから紹介しませんけれども、北側も全部、入札者の名前まで談合情報が明らかになっているんですよね。

 ここまで明らかになってきている、明確な情報が寄せられているわけですから、本線の受注企業と地中拡幅部の工事に手を挙げている企業が一致しているかどうかぐらいは、大臣、調査するように指示してくださいよ。

石井国務大臣 公正取引委員会からは、公取の審査活動に支障が生じないよう、個別案件への対応状況については内密にするよう発注機関に要請がなされているところでございます。

 高速道路会社の具体的な対応についてはお答えできないところであります。

宮本(徹)委員 すぐに調べられることですからね。すぐに調べることを強く求めておきたいと思います。

 時間になりましたから、これで質問を終わります。

玄葉委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 日本維新の会の松浪健太であります。

 決算行政監視委員会でこうして行政監視の質問は玄葉委員長のもとで二度目だと思いますけれども、今回はテーマを決めずということであります。

 お隣の参議院では、決算委員会、行政監視委員会に分かれていて、決算の府の参議院ですら行政監視委員会がほとんど動いていなかったという年もあるぐらいでありますので、今回、決算行政監視委員会がこうして委員会をする意義は大変大きいと思いますし、委員長以下、理事の皆さんの御努力に感謝を申し上げる次第であります。

 ただ、この委員会も、かつて、私の前の委員長の谷畑委員長の時代にイギリスのシステムを勉強させていただいたときには、例えば火曜日に理事なんかで、こういうのを政府でテーマを決めてやろうというのが次の金曜日で質疑するなんという、時間の幅があったと思うんですけれども、こうした時間の幅がないと、今回も私も大変細かい質問をしようとしたんですけれども、やはり省の方で、ちょっと夜中なのでもう答えられないとか、通告の時間等の関係もありまして、こうしたところには、本日、大臣に質問をしたのも共産党さんだけということでありますので、大臣にこだわらなければ先々決めていくということも可能かと思います。

 そういった意味で、行政監視委員会もこれから定期的にやって、ある程度のその年の行政監視のまとめを行うというようなこともまた委員長に理事会でしっかりとお決めいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、委員の皆さんも本当に稼働できる顔ぶれになってきたのかなと思います。

 これは、申し上げると、私、今、二十七年の決算行政の名簿を見ていると、当時の民主党の委員は、赤松先生、原口先生、細野先生、横路先生と大物ばかりでして、質問する体制ではなかったんだなと。今は元維新の方が四人ここで顔が見えるので、大変野党の姿勢も変わってきてありがたいなというふうに思うわけであります。

 この上で質問に入らせていただきますけれども、行政監視に入っているんですが、決算の決議も相変わらずおくれているわけでありますけれども、この決算委員会で平成二十六年に上げました平成二十一年から二十三年度の決議案の中で、当時、震災復興の項目の中で、震災の被害総額等、被害総額の算定方法の妥当性、これまでに投下された復興予算の規模の適正性、効率的かつ迅速な復旧復興の進め方について、あらゆる知見を活用して徹底した検証を行い、今後発生が予測されている震災の対応に万全を期すべきであるというような文言が盛り込まれているわけであります。

 あらゆる知見を活用して徹底した検証を行うとあるんですけれども、どういう取り組みが行われたのか、まず伺います。

長坂大臣政務官 東日本大震災における被害総額の算定に当たりましては、甚大な被害の全体像が十分に把握できていない中で、関係各県及び各府省からの建築物等のストックの被害額に関する情報提供に基づき、取りまとめを行ったものでございます。この算定では、基本的に、被害を受けたストックについて、減価償却を反映させた額ではなく、再調達に必要な額を積み上げているところであります。

 御指摘の決議を受けて検証した結果、当時出された他の各調査機関の被害推計等も約十四兆円から約二十二兆円となっていることや、平成二十三年度の国民経済計算において、減価償却を反映させた東日本大震災による資産の減少額が約九・二兆円となっていることから、算定は妥当であったと判断したところでございます。

松浪委員 私は、算定が当時妥当でなかったということを言ったのではありません。

 この件は、二十六年にこの決議案が出た後に、二十七年の予算委員会で私はこれを取り上げさせていただきました。

 そこで指摘したのは、きょう政務官にお越しいただいているのは、私、次の厚労省の質問は政務三役を呼んでいないんですよ。ですから、ここは政治家として常識論をさせていただければありがたいなと思っておりまして、かわったばかりですけれども、肩の力を抜いて御答弁をいただきたいと思うわけであります。

 このとき私が特に予算委員会でも指摘した、また、この決議案を出したときはちょうど私が決算委員長をさせていただいていて、当時どういう問題意識があったかというと、今は日銀の審議委員になられましたけれども、原田泰先生が、当時はまだ学者として、東日本大震災、欺瞞の構図なんという御本を出されました。その中で、特に、減価償却を示さず再調達価格で被害総額を出すことによって予算が膨張するということを大変指摘されておりました。ですから、例えば、政務官の四千万円の家が減価償却はもう終わりかけで五百万円の価値しかないのに、これを四千万といって計上してきて、役所に聞くと、大体こうした被害総額をもとに予算を組んでいくわけです。

 きょうは、当時のそうした試算による比較の表、当時つくったものですけれども、一番上の部分は内閣府の数値を埋め込んだものでありまして、一番下が、当時、減価償却を入れるとどうなるのかということで試算した表であります。

 ですから、阪神大震災のときも、九兆六千億ということで大体十兆円を基礎に最初復興費を組んできたけれども、それからまた膨張してしまったというような経緯もあって、これから見ると、今回の東日本大震災、十六兆九千億円が九兆一千億と書いていますけれども、これも減価償却をどこまで入れるのかというのもあります。

 これをもし内訳で出せば、例えば、ライフラインとか社会基盤というのは再取得価格と実質と両方出した方が、例えば道が壊れてそしてつくったのであれば、実質価格との、減価償却分はまた新たに国民のためになったな、得をしたなということを、再取得でつくっても、どれぐらい減価償却が残っていてそれを上乗せしたのかというのも見えてくると私は思いますし、こうした実質価格をベースにしていかないともたないだろうなと。

 先ほど、今後発生が予測される震災の対応というので、内閣府では、南海トラフはひどい場合は東日本大震災の十倍にわたるということが書かれているわけでありまして、僕は何も実質価格で、実質ベースで全部やれと言っているのではなくて、やはり、再取得価格だけで目に見えないようにするのではなくて実質ベースも並行して考えるとか、そうした工夫が内閣府にも必要ではないかということを考えているわけであります。

 そこで、政務官、この百六十九兆円、これは震災が起きる場所によって、基本ケースと、陸側で直下型で起きたときの方が被害が大きいわけですけれども、常識的に見て、こんな大きな額が出て、このままで普通に予算が組めると思われますか。

長坂大臣政務官 大変大きな額でございますので、防災、減災をしっかりしていかなきゃいけないんじゃないかと思っております。

松浪委員 これ以上詰めませんけれども、防災、減災をしっかりしても、数兆円頑張って何とかなっても根本は変わらないわけでありますから、やはりこうした実質ベースも並行してやっていくべきだと思います。

 私は何も、再取得価格、現行で、ほかの当時のいろいろな何とか総研とかそういうものも、十四兆円とか出したことも知っています。一方で、これはかなり甘い価格なんですね、この九兆一千億というのは。原田先生の本では、実は六兆、七兆しか壊れていないんじゃないかという試算も出し得るという中で、並行して実質ベースというものもこれからは出して、予算の抑制とか実質をもっとしっかり見るようにすべきじゃないか。

 当時、別の省の会計課長ですら、えっ、再取得なんですかと。ほかの省の予算を組んでいる会計課長は知らなかったんですよ、当時ですら。

 ですから、そういうことを今後検討いただけませんかということです。

長坂大臣政務官 公共土木施設や建築物など、被害額の推計に当たりましては、減価償却を反映させた国富の減少額を算出するためではなく、主として被災地の復旧復興に資する議論の参考になることを目的として行われております。

 御指摘の減価償却を用いた推計については、建築物の取得に係る損失補償などには用いられておりますけれども、復旧、再建に要する費用を算定する際には、通常、再調達価格が用いられているケースがほとんどでございます。

 民間における各調査機関の被害推計や、二〇〇一年の九・一一テロについてニューヨーク市等が行った被害額の推計も主として再調達価格で行われておりまして、被災地の復旧、再建に関する議論の参考のためには、再調達価格により推計することが妥当と考えております。

松浪委員 さっきからかみ合わないんですけれども、これはここでおいておきます。

 次の質問に移ります。

 財務省が予算執行調査というものを行っておりまして、二十五年度にかかってことしもやっているものというのを大体ピックアップして、通常、そういうものはどんどんどんどん額が減っていきます。

 例えば、内閣府の当時百二十四億を計上した総合特区推進調整費なんというのは今年度十五億でありますし、きょう質問します厚労省でも、精神科救急医療体制整備事業なんというのは当時二十億円だったのが十六億円とか、経産省のクリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金なんというのは三百からことしは百二十三と、大体下がってくるんですけれども、ドクターヘリに関しての導入促進事業は上がってきているわけであります。

 これは、一部には当然ヘリの数が当時よりもふえているというところもあるんですけれども、当時の財務省の総括調査票によりますと、ドクターヘリを運用するにしても、これが非合理的だ、救急搬送手段が複数ある場合は役割分担をあらかじめ決めろとか、それから、ドクターヘリを活用する場合の時間、距離の設定、当時、三十四団体中十三団体がいずれもこれを全く設定していないというようなことが指摘されているわけであります。

 予算を組む上で、やはりこうしたことの妥当性とかいうものは改善されてしかるべきだと思うんですけれども、この点について厚労省に、現在これはどういうふうな状況にあるのか、伺います。

神田政府参考人 御指摘のドクターヘリの時間とか距離などの基準についてでございますけれども、平成二十七年度末までにドクターヘリが導入された三十八道府県におけます運航要領等の記載では、まず、全ての都道府県で患者の重症度や緊急度を用いた出動基準というものは定めているところでございます。また、具体的にドクターヘリを出動させる要件として、所要時間、搬送距離の基準のいずれかを定めている道府県は、三十八道府県中三十道県ということで、約八割のところで定めているという状況でございます。

松浪委員 今お答えいただいたんですけれども、きのう担当部局に話をしたところ、こうしたことを答えるのは総務省だというようなお答えで、すぐに出てこなかったんですけれども、やはり、予算を執行する以上は、こうしたことをしっかりとチェック体制を持ってやっていただきたいと思います。

 また、この問題について、近接する都道府県とどれだけ連携するのか、これの表がありまして、大体、ドクターヘリは、五十キロ、七十キロ、百キロなんかで運航範囲を設定されていて、それが重なる地域というのが一覧になっているとは思いますけれども、当時、近接する都道府県と適切な連携を行っているという団体は、実は十五団体にすぎない。当時は三一でしたから約三割ということだったんですけれども、これは現状どの程度改善されているのか、伺います。

神田政府参考人 都道府県間におけるドクターヘリの効率的運用を図るために、平成二十八年四月一日時点での状況を申し上げますと、まず、あらかじめ互いの県をまたいだ運航体制をとる、相互応援と言っておりますけれども、それを行っている都道府県が二十六府県ということになってございます。それから、ドクターヘリが未配備であったり自県のドクターヘリではカバーできない地域があるところで、あらかじめ他県に対して応援してもらう体制をとっている、共同運用体制をとっている都道府県が十府県というふうになってございます。

松浪委員 もう時間が来てしまったので、最後の質問を短くしたいんですけれども、往診料とかこういうものを取っていない団体が当時はあったということなんですけれども、現状を本当に手短に最後伺います。

神田政府参考人 御指摘の救急搬送診療料について、どれだけ取っているのか取っていないのかというところについては、私どもの方では承知しておりませんので、今後、都道府県に対して調査をしてまいりたいというふうに考えております。

松浪委員 調査から五年たっておりますので、やはりフィードバックするシステムをこれからしっかりとほかの分野でも整備いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 次回は、来る四月三日月曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十二分散会


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