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第3号 令和5年5月15日(月曜日)

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令和五年四月二十一日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。

 第一分科会〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁、消費者庁)、復興庁、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計〕

   主査 田中 良生君

      秋葉 賢也君    柿沢 未途君

      小林 史明君    鈴木 憲和君

      野田 聖子君    手塚 仁雄君

      原口 一博君    伊東 信久君

      吉田久美子君

 第二分科会(総務省、財務省、文部科学省及び防衛省所管)

   主査 大野敬太郎君

      江崎 鐵磨君    高木 宏壽君

      葉梨 康弘君    村上誠一郎君

      森  英介君    江田 憲司君

      松原  仁君    金村 龍那君

      櫛渕 万里君

 第三分科会(厚生労働省、農林水産省及び経済産業省所管)

   主査 福重 隆浩君

      小野寺五典君    加藤 鮎子君

      下村 博文君    武部  新君

      棚橋 泰文君   大河原まさこ君

      柚木 道義君    市村浩一郎君

      たがや 亮君

 第四分科会(法務省及び国土交通省所管)

   主査 谷田川 元君

      北村 誠吾君    田中 英之君

      寺田  稔君    三反園 訓君

      山際大志郎君    吉野 正芳君

      米山 隆一君    高木 陽介君

令和五年五月十五日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 憲司君

   理事 大野敬太郎君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 田中 良生君

   理事 大河原まさこ君 理事 谷田川 元君

   理事 金村 龍那君 理事 福重 隆浩君

      秋葉 賢也君    江崎 鐵磨君

      英利アルフィヤ君    小野寺五典君

      加藤 鮎子君    柿沢 未途君

      下村 博文君    高木 宏壽君

      寺田  稔君    野田 聖子君

      葉梨 康弘君    平沼正二郎君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      三反園 訓君    村上誠一郎君

      盛山 正仁君    森  英介君

      山口  晋君    吉野 正芳君

      手塚 仁雄君    原口 一博君

      松原  仁君    柚木 道義君

      米山 隆一君    伊東 信久君

      藤巻 健太君    高木 陽介君

      吉田久美子君    櫛渕 万里君

      たがや 亮君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (国家公務員制度担当)  河野 太郎君

   国務大臣

   (共生社会担当)     小倉 將信君

   国務大臣

   (全世代型社会保障改革担当)           後藤 茂之君

   財務副大臣        井上 貴博君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   経済産業大臣政務官    里見 隆治君

   会計検査院事務総局第一局長            田中 克生君

   会計検査院事務総局第三局長            長岡 尚志君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 友弘君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         中村 広樹君

   政府参考人

   (国家公務員倫理審査会事務局長)         練合  聡君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   品川  武君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (林野庁長官)      織田  央君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        秋月聡二郎君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   決算行政監視委員会専門員 花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     石橋林太郎君

  棚橋 泰文君     土田  慎君

  松原  仁君     大島  敦君

  伊東 信久君     藤巻 健太君

  手塚 仁雄君     城井  崇君

  柚木 道義君     岡本あき子君

  市村浩一郎君     高橋 英明君

  藤巻 健太君     早坂  敦君

  城井  崇君     奥野総一郎君

  米山 隆一君     小山 展弘君

  早坂  敦君     一谷勇一郎君

  大島  敦君     長妻  昭君

  岡本あき子君     井坂 信彦君

  高橋 英明君     漆間 譲司君

  原口 一博君     階   猛君

  一谷勇一郎君     足立 康史君

  石橋林太郎君     田中 和徳君

  井坂 信彦君     神谷  裕君

  奥野総一郎君     大西 健介君

  漆間 譲司君     堀場 幸子君

  江崎 鐵磨君     奥野 信亮君

  小山 展弘君     福田 昭夫君

  階   猛君     神津たけし君

  長妻  昭君     阿部 知子君

  大西 健介君     笠  浩史君

  神谷  裕君     青山 大人君

  足立 康史君     住吉 寛紀君

  堀場 幸子君     岬  麻紀君

  神津たけし君     山井 和則君

  福田 昭夫君     山田 勝彦君

  岬  麻紀君     遠藤 良太君

  高木 陽介君     金城 泰邦君

  笠  浩史君     櫻井  周君

  金城 泰邦君     輿水 恵一君

  吉田久美子君     山崎 正恭君

  遠藤 良太君     市村浩一郎君

  山崎 正恭君     吉田久美子君

  奥野 信亮君     江崎 鐵磨君

  田中 和徳君     北村 誠吾君

  土田  慎君     棚橋 泰文君

  阿部 知子君     松原  仁君

  青山 大人君     柚木 道義君

  櫻井  周君     手塚 仁雄君

  山田 勝彦君     米山 隆一君

  山井 和則君     原口 一博君

  住吉 寛紀君     伊東 信久君

  輿水 恵一君     高木 陽介君

五月十五日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     盛山 正仁君

  鈴木 憲和君     山口  晋君

  武部  新君     平沼正二郎君

  棚橋 泰文君     英利アルフィヤ君

  山際大志郎君     本田 太郎君

  市村浩一郎君     藤巻 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  英利アルフィヤ君   棚橋 泰文君

  平沼正二郎君     武部  新君

  本田 太郎君     山際大志郎君

  盛山 正仁君     堀内 詔子君

  山口  晋君     鈴木 憲和君

  藤巻 健太君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     北村 誠吾君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度一般会計歳入歳出決算

 平成三十年度特別会計歳入歳出決算

 平成三十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成三十年度政府関係機関決算書

 平成三十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成三十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和元年度一般会計歳入歳出決算

 令和元年度特別会計歳入歳出決算

 令和元年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和元年度政府関係機関決算書

 令和元年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和元年度国有財産無償貸付状況総計算書

 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 平成三十年度決算外二件及び令和元年度決算外二件を議題といたします。

 第一分科会ないし第四分科会の各分科会は、去る四月二十四日審査を行いました。

 この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査田中良生君。

田中(良)委員 おはようございます。

 第一分科会の審査について御報告を申し上げます。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府本府、警察庁、金融庁、消費者庁、復興庁、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計について審査を行いました。

 主な質疑事項でありますが、政府開発援助で資金供与したNGO団体と旧統一教会との関係性について調査する必要性、東日本大震災からの復興に関連して、被災者の心のケアを継続する必要性、復興財源の在り方及び福島イノベーション・コースト構想の更なる発展の必要性、日本銀行の長期金利操作の出口戦略の考え方、法令違反が生じた場合の消費者庁の対応の在り方、基礎研究の底上げ及びその成果の社会実装を図る必要性、児童扶養手当の増額及び所得制限の緩和を検討する必要性、オンラインカジノの対策強化の必要性、災害時の避難所における生活環境の向上を図る必要性等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知を願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

江田委員長 次に、第二分科会主査大野敬太郎君。

大野委員 第二分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、総務省、財務省、文部科学省及び防衛省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、我が国の研究力向上のための環境整備を行う必要性、教員の長時間労働の是正と給与制度の抜本的な見直しの必要性、デジタル教科書に係る教科書検定及び採択手続の透明性の確保、放送法の政治的公平についての解釈に係る政府統一見解、政治資金規正法上の政治団体、金融教育の強化の必要性、明治神宮外苑地区再開発計画の妥当性、夜間中学を全都道府県等に設置する必要性、学校教育におけるチャットGPTの利用の在り方、自閉症、情緒障害特別支援学級を指導できる専門人材の必要性等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

江田委員長 次に、第三分科会主査福重隆浩君。

福重委員 第三分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、厚生労働省、農林水産省及び経済産業省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、無痛分娩の普及に向けた麻酔科医を増やすための方策、小規模介護事業所の倒産が増加している要因、旧優生保護法被害者の早期救済の必要性、慢性疲労症候群の研究の進捗状況、オンラインに係るギャンブル等依存症対策の現状、水田活用の直接支払交付金の政策目的及び政策効果、農業者戸別所得補償制度の復活の必要性、農用地区域内の農地面積目標の算定根拠、沖縄漁業安定基金事業を継続する必要性、二〇三〇年の風力発電導入量の目標達成に向けた方策等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告を申し上げます。

江田委員長 次に、第四分科会主査谷田川元君。

谷田川委員 第四分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省及び国土交通省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、死刑制度の今後の在り方、技能実習制度及び特定技能制度の在り方、高規格幹線道路の未整備区間の早期解消の必要性、リニア中央新幹線静岡工区の現状、データを活用した交通事故防止対策の必要性、宗教に係る人権侵害への対応、新たな持続可能な広域的な観光地づくり、スーパーシティ型国家戦略特別区域における実証実験の進め方、離島振興のための税制の在り方、運送業の二〇二四年問題への対応等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

江田委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより、各件に関し、国の財政等の概況及び行財政の適正・効率化について重点事項審査を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西友弘君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官中村広樹君、国家公務員倫理審査会事務局長練合聡君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長品川武君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、総務省自治行政局長吉川浩民君、総務省自治財政局長原邦彰君、法務省刑事局長松下裕子君、財務省主計局次長前田努君、スポーツ庁次長角田喜彦君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省医政局長榎本健太郎君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省老健局長大西証史君、厚生労働省人材開発統括官奈尾基弘君、林野庁長官織田央君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長秋月聡二郎君及び国土交通省住宅局長塩見英之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。柚木道義でございます。

 今日は、質疑の機会をいただき、本当にありがとうございます。また、各大臣、答弁者の皆様もありがとうございます。

 質疑通告を金曜日にしておりますので、土日を挟んで少し報道や動きも質問内容に関してありますので、各大臣、答弁者の皆様におかれましては、通告時にも少し申し上げておりますが、若干、質問の内容の表現であったり問い方をちょっと変えさせていただく部分もございますので、事前通告分に加えて質問の内容もよくお聞きをいただいた上で、必要に応じて答弁案に御自身のお言葉で加えての御答弁をお願いできれば幸いです。

 松野長官、斉藤大臣、後藤大臣におかれましては、予定の通告、答弁が終わったら御退席いただいて結構ですので、私が忘れていたらおっしゃってください、済みません。

 まず、それでは、広島サミットがいよいよ十九日から開かれるということでございまして、そのサミット、あるいはそれに関連して、アメリカのタイム誌の報道の内容に関しても少し質問させていただきたいと思います。

 まず、この間、報道で、やはりG7の中でも、とりわけアメリカのバイデン大統領のG7サミット会合への出欠が非常にサミット全体の成否に大きな影響を及ぼすと考えられますが、直近の報道では、予定どおりお越しいただけるのではないか。ただ、現時点ではというコメントが報道官にも付されていると思っておりますので、まさにこの十五日、現段階での最新の日本政府としてのアメリカ大統領の出席状況についての御認識を御答弁をいただければと思います。よろしくお願いします。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 米国時間五月十二日、ホワイトハウス報道官が、バイデン大統領がG7広島サミット出席のため十七日に米国を出発する旨発表したと承知しています。

 政府としては、G7広島サミットの成功に向け、引き続き、準備に万全を期していく考えであります。

柚木委員 是非御参加をいただけるように、当然、日本政府、外務省、それからアメリカ国務省なんでしょうか、平和記念公園でのお迎え、あるいは、二十一日でしたか、まさに原爆資料館への視察ということも含めての御調整、最終調整いただいていると思いますので、是非お越しをいただけるように、最後まで、これも一つの外交力だと思いますので、お願いをしたいと思っています。

 そんな中で、アメリカのタイム誌の報道に関して伺いたいと思っています。

 私も電子版で和訳についても一通り読ませていただいておりますので、これは事実関係も含めて、官房長官、御答弁いただければと思いますが、表題について、長年の平和主義を捨て去り、自国を真の軍事大国にすることを望んでいる、こういう紹介のされ方について抗議をされて、表題も変更された、こういう事実関係について、まずちょっと教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 ニューヨーク総領事館を通じて、タイム誌本社に対し、表題と中身に乖離があることを指摘をいたしましたが、タイム誌とのやり取りの詳細について述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

 タイム誌の表紙の表題は変更されていないと理解をしています。他方で、オンライン版の見出しに変更があったことは承知をしています。

 いずれにせよ、オンライン版の見出しを変更したのはタイム誌の判断によるものと承知をしております。

柚木委員 なかなか答弁しづらい部分、報道資料をつけておりますけれども、ただ、私は、この表題が変更されたとしてもなんですけれども、実際にその内容を拝見して、タイム誌がこのような表題あるいは様々な評価をされるのも、ある意味、当然なのかなというふうに受け止めているんですね。

 実際、中身を見ますと、岸田総理は、世界第三位の経済大国を、それに匹敵する軍事的存在を備えた世界大国に戻すことに着手、日本の再軍備は核のない世界を目指して努力するという岸田首相の長年の公約と衝突すると考える人もいる。

 私がちょっと驚いたのは、核兵器廃絶国際キャンペーンを代表して二〇一七年にノーベル平和賞を受賞されたサーロー節子さんのコメントです。岸田政権下の日本のより攻撃的な軍事姿勢にサーロー氏は警戒している、岸田総理は核兵器のない世界に向けて取り組むことが最優先事項であると述べた、しかし、今彼が、つまり岸田首相が私たちをだましていたことに気づきましたと。

 ここまで本当にインタビューの中でも報道がされている中で、むしろ、このタイム誌の分析、評価というのは、ある意味、表題どおりなのかなと受け止めざるを得ないんですね。

 もし本当にそうでないというのであれば、表題のみならず、インタビューの報道の内容自体に抗議をされるということであれば、もちろん、まさに、報道機関に対する姿勢というのは国内においても論点になっていますから、どこまでやる、やらないというのはもちろんあるわけですが、事実と異なるということであれば、まさにサミットを目前に控えて、恐らく、控えているからこそインタビューも受けられたんでしょうから、これは世界各国が注視していると思うんですよね、日本の姿勢、国内外がですよ。

 本当に抗議するのであれば、内容についても抗議されるべきじゃないですか。いかがですか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほど申し上げたとおり、ニューヨーク総領事館を通じまして、事実関係につきタイム誌の方に当方の指摘をさせていただいたわけでございますが、インタビューの内容をタイム誌がどのように捉えたかにつきましては、政府の立場でコメントすることは差し控えますが、インタビューの中で、岸田総理から、核兵器のない世界の実現、我が国の置かれた厳しく複雑な安全保障環境や防衛力強化、中国との関係などの事項について、我が国政府の立場を説明しました。記事全体として見れば、そうした説明が反映されているものと受け止めています。

 その上で、核兵器のない世界を目指すという理想を追求することと、目の前の厳しい安全保障環境を踏まえ、抑止力を確保するために防衛力を強化することは、矛盾するものではないと考えております。

柚木委員 まさに報道にも、松野官房長官、特集を評価と書かれていますけれども、評価できる内容ではないと思いますよ。

 ちょっと時間がないので、最後に一点だけこの件については申し上げておきますが、防衛財源確保法案、これは委員長解任決議は否決されましたけれども、被災地の声を聞く前に防衛財源が、トマホーク、武器に化ける、その被災地の声を聞く前に財源確保法を採決、委員長職権でしようとするという姿勢そのものが、まさにこのタイム誌のような、長年の平和主義を捨て去り、真の軍事大国にすることを望んでいる、こういうふうな評価のされ方をしても私は仕方ないのではないかと思いますよ。

 これについては、まさに今後、G7等を通じて、本当に我が国の姿勢がこういうタイム誌の評価、論評のようなことにならないことを切にお願いもしておきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、LGBT、同性婚の方に入りたいと思います。

 これは、サミット前に、当初、岸田首相は、法案の提出ではなくて成立を目指しておられたわけですね。しかし、これは報道ぶりを見て私もちょっと唖然としていますが、報道の中では安倍派幹部のコメントになっているんですけれども、超党派の合意法案からはもう十分骨抜きになったと。これでは、理解増進法案ではなくて理解後退法案じゃないですか。これが国会で、今、サミット前に成立ではなくて提出されるかどうかという状況ですね。

 こういう状況の中で、官房長官、直近で十五か国の大使からビデオメッセージ、あるいは、我が国における法整備、また強く、アメリカも含めた要請があったというふうに承知しておりますが、仮に今後、このLGBT理解後退法案が成立したとしても、G7の議長国として、G7あるいは世界から評価を受けられないんじゃないですか。官房長官、認識はいかがですか。

松野国務大臣 先生から御指摘をいただきましたとおり、米国を始めとする十五の駐日大使館が、日本におけるLGBTの権利保護や関連の法整備を呼びかけるビデオメッセージを発信したことは承知をしております。その一つ一つにコメントすることは、差し控えさせていただきます。

 いずれにせよ、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えており、政府としては、多様性が尊重され、全ての方々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、引き続き、様々な声を受け止め、取り組んでいく考えであります。

柚木委員 この後、小倉担当大臣に、一般論としてこういう表現ぶりになった場合ということの前提でないと答えづらいということだったので、そういう問い方で伺いますが、報道資料、三ページ目が分かりやすいし、報道なのでつけておりますけれども、超党派議連でまとまった文言は、性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない。ところが、今回自民党さんが修正案として出されるというのは、性的指向及び性同一性、性自認が性同一性に変わっていますね、を理由とする不当な差別はあってはならない。差別は許されないから、不当な差別はあってはならない。

 これは論点が幾つかあるわけですが、二、三に絞って、一般論として、本当に当事者団体からもいろいろな声を伺っていますのでお聞きをしておきたいと思うんですが、ちょっと順番が前後するかもしれませんが、まず、訴訟リスクとの関連なんですね。

 性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないが、不当な差別はあってはならないに変更した理由として、訴訟リスクが増える。これは実は、まさに超党派議連が、会合が今日も開かれるというふうに承知をしていて、自民党の岩屋先生が会長で、私は、インタビューも、これは本当に分かりやすいインタビューだなと思って拝見しましたが、訴訟リスクに、活用されることはないと断言されています。

 これは、差別は許されないが、不当な差別はあってはならない、訴訟リスクもないということをまさに超党派議連の会長も言われている中で、私が懸念をいたしますのは、これは公明党の代表もおっしゃっていますね、法案の文脈が変わらない範囲であれば文言変更はということをおっしゃっていますが、法の趣旨が変わってしまいますからね。不当な差別はあってはならないとなっては、これは法の趣旨が変わってしまう。

 つまり、一般論としてこれは伺いますが、法的に正当な差別というのは存在するんですか。仮に、不当な差別という文言が入った場合には、不当ではなくて、許される差別という新たな差別の概念が生まれてしまう可能性が懸念されています。この点についてお答えください。

小倉国務大臣 一般論として、文言の解釈についてお尋ねがございました。

 一般的に、差別には、それが使われる前後の文脈の趣旨などから、様々な意味があると承知をしております。そのため、政府の答弁におきましては、その趣旨をより明確にするために、不当な差別という言葉を用いているところであります。

柚木委員 それは苦しい答弁ですね。

 もちろん、当事者団体と言われているいろいろな団体さん、当事者の声があるわけですが、これはこのままそういう形で法案が出てきて成立というようなことになれば、非常に憂慮すべき事態が生じかねないと思っておりまして、これは、この後の質問にもつながるんですが、法案提出までに、今日も超党派の集まりがあるわけですから、私は、今回の修正案は、修正案ということで言うのであれば再修正が必要だと思いますし、政府としてもそういう観点から是非受け止めていただきたいと思うんです。

 もう一点、性自認を性同一性へ変更するという部分で、これは、例えば、銭湯というか、あるいは女性専用スペースというか、お手洗いとかも含めてでしょうけれども、トランスジェンダー女性という表現、元々の性別が男性の方が自認が女性ということだと思いますが、こういった方がそういう女性専用スペースに入ってくるということを想定して、性自認を性同一性へ変更ということが議論されたみたいですが、まさに超党派議連の岩屋先生も、私もいろいろな方からお話を聞いたり資料を拝見して、そのとおりだなと思うんですが、これは誤解があるのではないか。

 そもそも、例えば、公衆浴場法では、実際に容姿を見て判断をして、仮にそういった方が入ってきた場合は当然入場を断るし、それから、日本の法令に従い、建造物の侵入並びに公然わいせつ罪などに問われることになるし、訴訟でもこの理解増進法が使われることはあり得ない、そういう説明もされていますし、それから、性自認と性自称を混同されているんじゃないかと、この文言変更については。さらには、このジェンダーアイデンティティーという言葉自体も、もう今やWHO等でも性自認と訳することが主流で、まさに性同一性に変えるということは望ましくない、こういう見解も述べられているわけでございます。

 これは、性自認を性同一性に変更するということに関して、私は、逆に言うと、性同一性ということになれば、そういう医学用語で診断を受けた人しか保護される対象にならないことも懸念されると思っておりまして、これを変更した場合に、先週の厚生労働委員会で、我が党の西村智奈美委員が、各行政でこの用語が使われていて、その行政対応にも大きな影響を及ぼしかねない、そういう質疑をしております。私もそのとおりだと思います。

 これは、一般論として、仮に性自認が性同一性に変更された場合、様々な行政対応にも影響を及ぼしかねないと思いますが、小倉大臣、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 まず、前段として、今議論されております議員立法についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げれば、性自認、性同一性、それぞれについて、用語の意味は用いられる文書等に応じて定まってくるものと考えておりますが、一般的には、性自認、性同一性という言葉は、いずれも自己の性をどのように認識しているかを示す概念として用いられているものであり、行政文書においてもそれぞれ用いられているものというふうに理解をしております。

柚木委員 もう少し丁寧かつ詳細に分析をしていただいて、御対応をお願いしたいと思うんですね。これは本当に大きな影響が出てくると思いますよ。

 ちょっと時間がないので、官房長官、これは超党派で法案が、今日も集まりがあるということですが、ちなみに、超党派議連の会長の岩屋先生は、自民の考えをまとめるにしても、野党の意見を聞く姿勢が大事だ、丁寧に協議し、合意できる最大公約数を見つけてほしいというコメントをインタビューの結びで述べられております。

 これは政府として、与党のみで修正案が出てくる可能性というのも報道されたりしていますが、やはり私は、G7に向けて、後退したLGBT理解後退法案ではなくて、与野党が合意できるものが、成立が望ましいわけですが、最低限、国会提出をされてG7に臨むということが政府の立場としても望ましいと思いますが、御見解を御答弁ください。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 LGBT理解増進法案については、現在、議員立法の法案として議論が行われており、提出に向けた準備が進められているものと承知をしています。

 政府として、議員立法の内容、またスケジュールについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。政府としては、議員立法の動きを注視してまいりたいと考えております。

柚木委員 これはまさに、政府だけじゃなくて、この場におられる各先生方にも、是非、与野党合意された案が、LGBT理解増進法案、後退法案ではなくて、提出されることを切に望みたいとお願い申し上げておきたいと思います。

 それで、ちょっと時間がありませんので、天下り問題の方から、斉藤大臣のお時間もあるみたいですから、済みません、少子化の対策財源、防衛財源の議論もあるんですが、天下り問題について河野大臣にも若干御質問させていただければと思っております。

 これは、先週も国土交通委員会で、我が党の城井委員とのやり取りも承知をしております。現職官僚が未公表人事情報を外部に百七十三件も、利権絡みのところに流れている、流出させている、これはとんでもないことだと思います。国家公務員法、天下り規制法に抵触し得る、本当に重大な問題だと思います。

 この週末も、地元を回っていると、この点についての納税者、国民の怒りは本当にすごいですよ、大臣。増税とか社会保険料の増額とか言っている場合じゃない。歳出削減なくして負担増なしと総理もおっしゃっているわけですから、ここですよ。

 お尋ねしますが、大臣は、未公表の人事情報の外部流出が、職員の再就職、つまり天下りあっせんを目的に提供したことではないとおっしゃっているんですが、真逆じゃないですか。職員の再就職以外の目的でこんな外部流出するなんて、何の目的があるんですか。国土交通省の不祥事を国土交通省の中で調査するのは、これはちょっと言い方はきついですけれども、こういう表現がありますよ、泥棒が泥棒を取り調べるのと変わらないじゃないか。これでは、国民、納税者は納得しません。

 これは、私たちが以前調査して出てきている、年間十二兆円も天下り団体に税金が使われている。長かったコロナ、物価高、国民は大変な思いをしているわけですから、そういう中で、役所の方も、もちろん、天下りが駄目だったら、それこそ国家公務員の志望者がどんどん減っているんだから、人事制度全般を私は見直すべきだと思いますけれども、優秀な人が来ていただけるように。だけれども、だからといって、天下り大復活、完全復活を容認するというわけにはいきません。

 是非、処分勧告権のある内閣府の再就職等調査委員会で、端緒が必要だということが質問レクでありましたが、斉藤大臣御自身が端緒になってくださいよ。再就職等調査委員会で調査をしていただいてください。御答弁お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、現役職員の異動情報が、内示後ではあるものの、公表前に外部の者に共有されていたことは遺憾であり、国民の目から見ても疑惑を招きかねず、国土交通大臣として大変重く受け止めております。直ちに事務方に対して厳しく注意するとともに、二度とこのようなことを起こさないよう、異動情報の管理について是正を指示いたしました。

 その上で、再就職等規制の趣旨は、公務の公正性等を損ないかねない、予算や権限を背景とした現役職員による再就職のあっせんなどの不適切な行為を禁止することにあると承知しております。このため、現役職員が他の職員やOBを営利企業等の地位に就かせることを目的として、当該者に関する情報の提供等を行うことが禁止されております。

 四月二十八日に公表された報告書を踏まえ、国土交通省において事実関係の確認を行った結果、現役職員から山口氏に対し異動情報の送付があった事実が確認されました。このうち、大臣官房総務課から送付された異動情報には退職予定者を含む内示対象者の異動情報が記されておりましたが、これは、再就職をあっせんし得るような地位にない若手職員が、内示を受けた者から開示された情報を基に異動前後における業務の円滑化等を目的として作成したものであり、省内職員を中心に慣習的に広く共有されてきたものでありました。また、作成者は、あっせんを目的としたものではなく、上司から指示を受けたものでもないと明言しております。

 以上のことから、今回の異動情報の送付は、あっせん規制違反の要件である営利企業等の地位に就かせることを目的とした情報提供ではないため、再就職等規制違反には当たらないと認識しております。なお、この点については弁護士等にも速やかに確認することとしております。

 このように、今回の現役職員から山口氏への異動情報の送付は、国家公務員法に基づくあっせん規制に違反する行為には該当しないものと考えております。

 再就職等監視委員会に報告すべきではないかという柚木委員の御指摘でございますけれども、国家公務員法においては、任命権者は、現役職員や職員OBに再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するときは、その旨を再就職等監視委員会に報告するものとされております。山口氏への異動情報の送付は、疑いがあると思料するときには当たらないことから、同委員会に報告すべき状況にはないと考えております。

 今後、再就職等規制違反行為の疑いがあると思料するべき事実が明らかになった場合には、適切に対処してまいりたいと思います。

柚木委員 随分身内に甘い答弁ですね。それは斉藤大臣のお人柄はよく存じ上げておりますので、私も尊敬申し上げておりますが、これは通りませんよ。しょっちゅうやっていたから許されるようなものじゃないんですよ。赤信号みんなで渡れば怖くないになっちゃうじゃないですか。

 国家公務員法のことをわざわざ述べられたので、逆に私は申し上げますけれども、国家公務員法、それから刑事訴訟法二百三十九条第二項、まさに犯罪が、ちょっと難しい言葉で大臣が答弁されましたから、疑いがあると知ったときには告発しなければならないという告発義務があるんですよね。告発しなければなりませんよ、大臣御自身が。これは、報道資料をずっとつけていますけれども、誰がどう見ても、国家公務員法違反、天下り規制法違反が思料されますよ、疑いがあったと。だから、むしろ、役所の当事者のみならず、斉藤大臣御自身がこの告発義務を履行しなければならない立場なんですよ。

 しかも、この当事者の国交省OBのメールに、現役の航空局長らとの面会をうかがわせる内容のものもあった。でも、国交省内の調査だと、就任挨拶で、再就職あっせんや業務上の働きかけに関する話はなかった。こんな話、誰が信用するんですか。国民に聞いてみてくださいよ。こういう未公表人事情報を流しておいて、そして現職の航空局長と会っておいて、身内の調査で、身内の見解で、信用できるわけがないじゃないですか。

 改めて伺います。

 内閣府の再就職等監視委員会への調査を依頼してください。役人を守るんじゃなくて、国民の税金を守る答弁をしてください。大臣、お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、再就職等規制の趣旨に鑑みまして、今回のこのメールの送付につきましては、再就職あっせんを目的としたものではない、このように考えられますことから、再就職等規制違反には当たらないと認識しております。

 なお、今後、あっせん規制に違反する行為、疑われるような行為があったときには、しっかりと対応してまいりたい、このように思います。

 また、アポイントへの言及がございましたけれども、報告書に記載のある航空局長及び東京航空局長へのアポイントの申入れについては、その前日に空港施設株式会社の社長及び副社長の人事が発表されていることから、及び、当時の航空局長及び東京航空局長からの聞き取り結果から、当該ポストへの就任の挨拶に訪問されたものと考えられます。

柚木委員 これはもう、自民党政権に戻って、天下りは完全復活ですね。完全復活宣言ですね、今のは、自公政権に戻って。斉藤大臣らしくない御答弁ですよ。本当に、御支援されている方も泣かれていますよ。厳しく追及してくださいと私は承ってきておりますよ、昨日、地元で。

 河野大臣、天下り規制改革担当大臣、公務員制度改革の担当大臣として、十年間で天下りを二回、三回繰り返し、そのたびに退職金をもらって、大体三億円とか、三億円ですよ、十年で。年収五百万の方が一生懸命働いても六十年間ですよ。年間十二兆円の税金が天下り団体に流れていく、こんなこと、このコロナ禍、物価高の御時世で、許されるんですか、国民に対して。

 これは、河野大臣、こういうまさに情報漏えい、天下りあっせん応援情報、未公表の人事情報の外部流出は、国交省に限った話ではありません。各省庁のOBの方が証言もされています。ここで天下り完全復活でなくて、むしろ、こういう情報流出、うみを出し切るためにも、全省庁調査を行っていただきたいんですよ、公務員制度改革担当大臣として。

 河野大臣だったらここで御答弁いただけると思いますよ。いかがですか。

河野国務大臣 適切な対応を取りたいと思います。

柚木委員 適切な対応というのは、未公表の人事情報の外部流出などが他省庁でも起こっている可能性があるわけですから、全省庁調査を行うことをせめて検討いただけるということでよろしいですか。

河野国務大臣 繰り返しになりますが、適切な対応を取ります。

柚木委員 河野大臣、私は、この間、旧統一教会問題でも、消費者庁、消費者問題担当大臣として、答弁原稿に書いていないことを自らの判断で御答弁をいただいて、今回、被害者救済法の検証の受皿をちゃんと立ち上げるという御答弁もいただいたし、まさに政治主導でやっていただける方だと思っているんですけれども、じゃ、適切に対応するの中にこのことも含むかどうか伺います。

 現役の天下りあっせんは天下り規制法違反、しかし、その抜け道として、OBが今あっせんをする。我々は、他の野党とも連携をして、まさにこのOBの天下りあっせんを禁止することも含めた天下り規制法改正案を国会に出すべく、今まさに議論しているんです。本来であれば、政府がやるべきことじゃないですか。現役のみならず、OBについても天下りあっせんを規制する、禁止する、こういうことを是非適切に対応いただけませんか。

河野国務大臣 予算や権限を背景としない民間人の行うことについて何か規制をするというのは、慎重でなければならぬと思います。

柚木委員 まさに予算や権限を背景にやっているんじゃないですか、今回の国交省の問題は。河野大臣らしくないですね。これでは、まさに、自民党、自公政権になって、天下りを取り戻す、取り戻したと役所の皆さんは思っているんじゃないんですか。

 是非、まさに優秀な人材に来ていただけるための人事制度改革は不可欠ですが、だからといって、天下り野放しというわけにはいきません。この点については我々は今後も厳しく、これは法案提出も含めて対応してまいります。

 ちょっと時間がありません、少子化対策財源について加藤大臣に伺います。

 先日、テレビ番組で、医療、介護、年金などの各保険料はそれぞれの目的と負担の関係を制度設計しており、それを子供に持っていく余地は正直ないとお述べになられていますね。確かに、保険料のそれぞれの社会保険のたてりからすればそのとおりです。つまり、社会保険料を少子化対策財源に充てるのは、まさに社会保険の所管の厚生労働大臣としては、これは茂木幹事長がそういう案を、基金とかもおっしゃっていますが、しかし、所管の厚生労働大臣としては適当でないというお考えでよろしいですか。

加藤国務大臣 私が申し上げたかったことは、現在の社会保険制度は、年金、医療、介護、それぞれ制度が設立をされ、そして、そこに必要なサービスに均衡するように保険料の徴収をさせていただいているわけでありますから、そうした枠組みの中で、他に流用する余地はそもそもないということを申し上げたところであります。

 一方で、子供、子育て政策の強化については、現在、こども未来戦略会議で議論されているわけでありますし、そこにおいては必要な政策強化の内容、予算、財源に関する議論を深めているところでありますので、具体的な財源の在り方については、まずは歳出改革、そしてその上で、税や社会保険料も含め、様々なやり方について丁寧に御議論が進められているものと承知をしております。

柚木委員 斉藤大臣は退室されましたよね。分かりました。この後、後藤大臣も終わったら退室いただいて結構です。

 今の加藤大臣の御答弁は、まさに、茂木幹事長は、社会保険料財源を少子化、医療、介護、年金など、労働なども含めて転用する考えを述べられているというふうに承知しますが、それは適当ではないと。ただ、今後の議論の中でそれは検討されていくという、御自身の見解と今後の政府の中での対応という二段階の答弁だったと思うんですが。

 これは、後藤大臣、財源の担当として、仮に社会保険料だけで、八兆円とかいろいろな数字が出ていますが、いずれにしても、異次元の少子化対策財源を全額確保できるんですか。仮に保険料増額だったら、一人当たり幾らになるんですか。十万円の社会保険料負担増という話もあります。これでは賃上げ効果など吹き飛びます。

 そして、もうまとめて聞きます、時間がありますので。基金だとしても、社会保険料、結局、今は選挙前でいいこと言って、茂木幹事長はまた、学校給食無償化についても、そういう交付金か何か、基金か、つくるんですか。だったら、私たちの出している法案に賛成してくださいよ、文科委員会で審議拒否しているんですから。そういう適当なことだけ、選挙目当てでいいことだけ言うのはやめていただきたい。基金だとしても、結局、総選挙後には増税や社会保険料の負担が待っているんじゃないんですか。違いますか、後藤大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 まず、御指摘の八兆円という規模は、政府としてお示ししたものではございません。

 また、従来から申し上げているとおり、子供、子育ての強化のために必要となる財源につきましては、現時点において特定の財源を念頭に置いているものではありませんが、徹底した歳出改革が大前提だというふうに考えております。

 いずれにせよ、政府としては、必要な政策強化の内容、予算、財源について、総理を議長とするこども未来戦略会議において更に具体的な検討を深めて、六月の骨太の方針までに、将来的な子供、子育て倍増に向けた大枠をお示ししていきたいというふうに考えています。

 一人当たりの保険料の額について、八兆円を前提でお尋ねがありましたけれども、繰り返しになりますけれども、八兆円という規模は政府としてお示ししたものではなく、これを前提とした一人当たりの保険料の増額も計算をしておりません。それに、規模を八兆円と仮定した上で、保険料の増額のみで賄う試算をお示しすることは、今、議論がそういう方向でまだ進む、あるいは、どういう財源をどの程度確保していくかということが決まっていない中で不適切であるというふうに考えております。

 以上であります。

柚木委員 まさに最後の答弁の部分でいうと、増税も否定しないという答弁ですね、今のは。社会保険料のみで賄うと決まっていないといったら、増税しないと無理じゃないですか、国債発行か。でも、それは総理は否定しているんですよ。矛盾しているじゃないですか。

 それで、時間があるので、これは更問いで、歳出改革を徹底してなんて、天下り改革もやらずに何をおっしゃっているんですか。何を歳出改革するんですか。六月までに決められるんですか、本当に。

 今、社会保険料のみで財源調達、決まっていないということは、これは増税をするということは否定しないということですね。逆に言うと、総選挙後に、私が聞いたのは、社会保険料の増額あるいは増税、しないと断言できますか。断言できませんよね、御答弁ください。

後藤国務大臣 全ての財源の議論の前提には、歳出改革をしっかりと確保していくということが前提であるということは申し上げたとおりです。特定の財源を念頭に置いた議論をしているわけではありませんので、あらゆる増税を今の段階で否定しているというものでもありません。

柚木委員 重要な答弁ですよ、増税あり得るという答弁を今、国会の場で明言されましたので。これは、ちゃんと選挙前に、仮にサミット後解散とかいうことも言われていますが、増税は否定しなかったわけですからね、このまま任していたら、本当に、天下り改革もせずに、社会保険料もあるいは税金も選挙が終わったら引き上げられる、こういう答弁だったと思います。

 後藤大臣、ここまでで結構です。

 鈴木財務大臣に伺います。

 防衛財源、これは被災地の皆さんの声を聞く前に採決という流れで、防衛財源確保法、本当に、まさに被災地御出身の財務大臣として理解を得られるんですか、理解を得られたんですか。

 巨額の予備費なくして、年七千億円もの予備費拠出は困難じゃありませんか。世論調査でも、経費四十三兆円が不適切が六割、こういう民意に応えていただけませんか。結局、こういうやり方で巨額の予備費を結果的に防衛財源目的で計上するのは、財政悪化にもつながりかねません。こういうやり方は、戦時に軍事予算が膨張し、財政が悪化し、国民生活が本当に苦しい状況に追い込まれた反省が全く生かされていないと思いますよ、大臣。

 財務大臣として、あるいはこれは政府としても伺いたいんですよ。経費四十三兆円見直し、防衛増税に反対が八割ですからね。少なくとも、再度四十三兆円についても精査をして、そして、被災地の復興財源を防衛予算に本当に回す、こういうやり方も含めて再検討をいただけませんか。財務大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 柚木先生から、直近の世論調査でも防衛増税に八割近くの方が反対しているのではないか、そういう大前提の下でお話があったところでございます。

 そして、見直しというのがございましたけれども、四十三兆円という規模をお示ししているところでございますが、これにつきましては、昨年来からの協議を重ねる中におきまして、また与党の検討チームにおける協議も踏まえて、年末に四十三兆円という総枠を積み上げの中で決定をさせていただいたということで、今、その総枠を見直す必要があるのではないかという御指摘でありますが、そういう積み上げの中で決定してきた額でございますので、そうした考えは持っていないというところでございます。

柚木委員 本当に、被災地の御地元の皆さんも泣いていらっしゃると思いますよ。これは今後、採決後に被災地の声を聞くということみたいですけれども、私は、本当に、被災地御出身の財務大臣としてもあり得ない答弁だと思います。

 まだやりたいんですけれども、ちょっと時間がないので、統一教会の解散命令請求について官房長官に伺います。

 これは、私も、文科委員会、もちろん本会議でも、岸田首相に被害者救済法案の際にも申し上げていたことですが、今の岸田内閣の間に本当に解散命令請求されるんですか。仮に解散・総選挙がサミット後にあったら、次の内閣に引き継がれるケースもあり得るんですか。

 これは、史上初の質問権行使を決断したんですよ。五回もやっているんですよ、この間。これで解散命令請求しなかったら、お墨つきを与えることになるんですよ、政府が旧統一教会に。七日の日には合同結婚式もやって、外為法違反ぎりぎりの献金をたくさん持ち出している。財産保全についても十分できていないじゃないですか。

 岸田政権として、解散命令請求に向けて、この間、しっかり対応するという答弁を聞いてきました。解散命令請求、必ず今の政権の中で判断をする、岸田政権としての覚悟はぶれていない、そういうふうにここで明言をいただけませんか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 宗教法人の解散命令の要件は宗教法人法に厳格に定められており、この要件に該当するかどうかの判断に当たっては、法人の活動に関する十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げが不可欠と考えています。

 そのため、所管庁である文部科学大臣が、これまで五回にわたる報告徴収、質問権の行使や、被害者の方々、弁護士の団体からの情報提供を受けて収集した資料、情報を分析しているところと承知しています。

 引き続き、文部科学大臣において丁寧な対応を着実に進め、その上で、法律にのっとり、必要な措置を講じていくものと考えています。

江田委員長 柚木君、持ち時間が経過しておりますので。

柚木委員 はい、終わります。

 通告どおり全部いかなくて、それぞれ大臣、申し訳ありません。

 これは、解散命令請求だけはせめて本当に解散前に結論を出していただく、被害者のためにも、被害防止のためにも。そのことを切に強くお願いをして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 柿沢未途でございます。

 私は、ずっと取り組んでいる木製サッシの話を今回取り上げたいと思っております。

 カーボンニュートラルに向けて、世界に立ち遅れた住宅の断熱、省エネ性能を上げようと建築物省エネ法の改正が行われ、いまだ不十分な水準であると言わざるを得ないですけれども、断熱基準が、やっと、ようやく、ついに、新築で義務化をされました。ここから断熱基準の他国並みへの引上げや既存住宅での断熱改修を急ピッチで進めていかないと、家庭部門のエネルギー消費を二〇三〇年度には二〇一三年比で六六%減にしようというんですから、これは目標の達成は到底おぼつきません。

 しかも、鳥取県始め先進的な県は独自の制度を導入して、国よりはるかに先を行っている、高断熱住宅の新築やリフォームの推進を行っております。高断熱窓の導入に百万円の補助を行うこどもみらい住宅の事業は大人気で、補正予算の計上額を使い切って、こどもエコすまい事業に形を変えて拡充されている。つまり、国民の関心もニーズも向いているわけです。

 窓なんですけれども、冷房でも暖房でも、要は窓の断熱性能いかんに大きく懸かっているわけです。冷房も暖房も、外に抜けてしまうのは、開口部、窓からが六割、七割なんですね。

 しかも、断熱性能の低いアルミサッシ、単板ガラスの窓は、窓辺は薄ら寒いし、結露はするし、住み心地の悪さの原因にもなっている。ヒートショックによる脳卒中で命と健康が損なわれる原因ともなっている。

 そういう住み心地の悪い低断熱の窓を、まあ、そんなものかとみんな我慢して住んでいるのが、我が国の文字どおりお寒い現状だというふうに思います。

 ですから、国も、高断熱窓の導入や窓の断熱改修に積極的に支援をするようにはなっています。

 ちなみに、アルミサッシ、単板ガラスの窓をペアガラスの樹脂サッシあるいは木製サッシの窓に替えると、改修後の年間の冷暖房光熱費は何と二割も下がるというデータもあるところです。

 今、樹脂サッシあるいは木製サッシ、言いましたけれども、樹脂サッシも木製サッシも、アルミサッシと比べると、断熱性能に、聞いてください、千倍から千二百倍もの違いがあります。

 でも、樹脂サッシというのは考えてみると化学製品、石油製品なわけですよね。カーボンニュートラル、脱炭素と言いながら、化石燃料由来の樹脂サッシを推進するというのは、私は何かどこか矛盾しちゃっているというふうに思うんです。

 ですから、私は、樹脂サッシと木製サッシ、同じかそれ以上の断熱性能にアップするのであれば、これは断然木製サッシの方がいい、こういうふうに思うんですけれども、是非、その点、国土交通省からお見えになられておりますので、御見解をお伺いをしたいというふうに思います。

豊田副大臣 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、木製サッシは、アルミサッシなど金属製のサッシと比べて熱を伝えにくいため省エネ性能が高く、樹脂製のサッシと同程度の断熱性があるものと思います。

 また、本木材は他の建築資材に比べて製造時に排出されるCO2が少なく、しかも木材利用によりCO2の吸収源対策にも資するという特徴を有しています。これらは、樹脂サッシにはない、木製サッシならではの長所であると承知をいたしております。

 木製サッシの普及拡大を図ることは、カーボンニュートラルの実現にも寄与するものと考えております。

柿沢委員 大変よい御答弁をいただきました。

 木製サッシですけれども、断熱、省エネ性能だけじゃなくて、今御言及ありましたとおり、そもそも森林大国日本なわけですから、森林・林業、木材業を振興しようと公共建築物も民間建築物もなるべく木を使いましょうということで国を挙げて取り組んでいるわけですから、新たな木材需要を生み出して、また、衰退してきたと言われる山元に新たな産業や雇用を生み出すものとして是非推進していくべきと思います。

 確認ですけれども、以前御答弁をいただいたことはあるんですけれども、国産材を使用した木製サッシは、今、窓全体の年間生産量のシェアのたった〇・二%、こういう現状と言われています。これがせめて年間の窓生産量の一割になったとすれば新規の木材需要がどのぐらい出てくるか、林野庁からも来ていただいていますので、御答弁をいただければと思います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 木製サッシの形状等は多種多様で、木材使用量もまちまちでございますので、一概に試算するのはなかなか難しいわけでございますけれども、以前御質問いただいたときと同様に、国内の窓の生産量が年間千百五十万窓、このうち一割を木製サッシとするなどの前提で試算をいたしますと、木材使用量は約四十四万九千立方となるところでございます。

柿沢委員 四十四万九千立米、これだけの新規の木材需要になるんですね。調べてみると、岐阜県の年間の木材需要一県分ぐらいになるということなんです。

 繰り返しますけれども、断熱性能はアルミサッシの千倍、カーボンニュートラル、脱炭素に資する、住み心地もよくなる。

 ちなみに、断熱性能が上がると遮音性も上がりますから。私の地元の江東区のマンションで、元々のアルミサッシの窓に木製サッシの内窓をつけたんですね。新木場の材木屋さんが、未途さんが言うんだったらやってみようということで、つけてくれたんですけれども。こういうリフォームをしますと、何と、台風がやってきたときに、外は嵐でびゅうびゅう、ごうごういっているんですけれども、ほとんど部屋の中では外の台風の音が気にならないということでした。

 木のぬくもりを感じられる、室内の美観も段違いに上がります。なのに、日本では〇・二%なんですよ。この〇・二%の木製サッシの比率を欧米並みに高めるに当たって、課題があるとすれば何かということをお伺いしたいと思います。

豊田副大臣 省エネ性能の高いサッシは住宅の断熱性能を向上させるため普及拡大を図る必要がございますが、現在、木製サッシは、使用段階における省エネ性能がおおむね同等である樹脂サッシに比べ、かなり高い価格であると承知をいたしております。

 また、木製サッシは耐久性を確保するために定期的に塗装を施すなどのメンテナンスを行う必要があるため、消費者にこの点について理解を得ることなども課題と考えております。

 価格面での課題に対しては、国土交通省において、木製サッシに限らず、高い省エネ性能の住宅の新築や住宅の省エネリフォームに対する支援を促進をいたしているところでございます。

 また、窓の定期的なメンテナンスについても、消費者の不安解消に資するよう、木製サッシには手間やコストはかかっても精神的な安定などのメリットがあることについて、分かりやすい情報提供に努めてまいります。

柿沢委員 メンテナンスの点については大分もう変わっていますので、そういう意味では、是非、研究を深めていただきたいなと思うんですけれども。コストの点はあることは、これはまた事実であります。ただ、供給量が増えればコストも下がる、こういうことが言えると思いますので、そういう意味からも、やはり、木製サッシを一つの産業として育てていく、こういう観点を持っていただきたいなと思うんです。

 その意味で、木材利用を先進的に公共建築物は進めていこうということで公共建築物木材利用推進法ができて、省庁の庁舎や学校等で木材が使用されている、これが報告、公表がなされることになりました。木が使えなかった場合は、なぜ木が使えなかったのか、その理由を付して報告しなければならないという、木を使えるなら木を使うということが徹底をしているわけですけれども。

 先日、党内の会議で、こんなに木を使いましたという御報告が省庁からあったんですけれども、こんなすばらしい木造建築物が、公共建築物、できていますよというその写真を見たら、何と窓だけアルミだったりするんですよね。公共建築物の木材利用のモデルケースにしてからが窓は木じゃなかったりするわけです。

 このことをお尋ねしましたら、内装として一くくりにされていて、内装の一部に木を使っていれば統計上は使っているということになっているということで、これは是非、窓に関してもちょっと別にして発表していただいて、木窓にできなかった理由があるとすれば、なぜできなかったのかということを公表していただく、こういう形にしていただきたいということで申し上げさせていただいたんですけれども、そのことについての国土交通省さん、官庁営繕部さんの検討状況についてお伺いしたいと思います。

秋月政府参考人 お答え申し上げます。

 林野庁と国土交通省は、毎年度、国が整備した公共建築物に関して、建築物における木材の利用の促進に関する基本方針に基づく措置の実施状況を調査しております。

 今年度の調査においては、これまでできなかった木製の窓の集計が可能となるよう調査様式を見直し、先日、調査を開始したところでございます。

柿沢委員 調査を開始していただいたということですから、これで、公共建築物でこれだけ木製サッシ、木窓を使っていますよということが出てくれば、まさに民間に対する先導的な効果を発揮されるというふうに思います。

 事前にお届けさせていただいたんですけれども、私、去年、イタリアを見てきまして、木製サッシが普通に使われていて、しかも、ウクライナの侵略戦争を受けて、石油、天然ガスの供給危機に際して、住宅建築物の断熱、省エネ性能を高める木製サッシのメーカーは、国やEUのインセンティブを受けて非常に活況を呈しています。

 イタリアは、断熱等級を二等級上げる改修をすると、かかった費用の一一〇%を税額控除するという、スーパーボーナスという驚くべき優遇措置を行っていまして、つまり、イニシャルでコストがかかっても、ランニングの化石燃料消費が減るということで、十分コスト回収できるという考え方に基づいて、断熱改修する、木製サッシを使うともうかるみたいなことをやっているわけですね。

 こういう税制も含めたインセンティブを、先ほどコストの面で課題があるということでしたので、是非設けて、推進をしていただきたいというふうに思いますので、財務大臣の御答弁をいただければと思います。

鈴木国務大臣 柿沢先生から木製サッシの積極的活用等について御指摘をいただいたところでございますが、窓の断熱性を含めまして、住宅の省エネ性能向上につきましては、財務省といたしましてもその重要性を認識をしているところであります。

 その上で、まず税制措置について申し上げますと、リフォーム促進税制におきまして省エネ改修工事を行うときには窓の改修が必須要件となっているほか、令和四年度税制改正においては、住宅ローン控除について、カーボンニュートラルの実現の観点から、省エネ性能等の高い住宅を取得する場合に借入限度額の上乗せを行うなどの見直しを行っているところであります。

 また、予算措置につきましては、住宅エコリフォーム推進事業等の予算事業におきましても、省エネ改修のためのインセンティブとして、一定の断熱性能を満たす窓に改修する場合に補助を行っております。

 柿沢先生の御指摘につきましては、こうした既存の施策も含めまして、住宅の省エネ性能向上の進捗状況も十分に見極めながら、引き続き関係省庁とよく議論してまいりたいと考えております。

柿沢委員 家庭部門の二〇三〇年六六%減、こういう目標を立てている中ですので、強力な推進をしていく必要がある。私は、イタリアのようなスーパーボーナス、あってもいいというふうに思います。

 民間も動いています。YKKAP、二〇三〇年度に住宅向けの窓の販売数の二割に当たる七十万窓―八十万窓を木製の窓にするという方針を示して、国産杉を使って工業製品化し、二〇二四年度に投入するときには樹脂窓との価格差を二倍程度に抑える、こういうことを発表しています。

 マンションの内窓リフォームの話をしましたけれども、YKKAPは、こうした木製サッシの内窓の木材事業者や建具屋とタッグを組んで、商品化支援の事業を既に開始しています。

 URの集合住宅など、集合住宅の窓のアルミサッシ、単板ガラスの窓を木製サッシで内窓リフォームを推進するのが、家庭部門の六六%減、これを実現するのに資する方策だというふうに思いますので、時間が尽きておりますので御答弁は求めませんが、最後にそのことを申し上げさせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 早速ですが、質問に入らせていただきます。まずは、新型コロナに関する質問をさせていただきます。

 新型コロナ対策では、国が二〇一九年度から二〇二一年度に計上した予算が、千三百六十七事業、総額九十四兆四千九百二十億円に上りますが、執行率は八〇・九%、七十六兆四千九百二十一億円にとどまったことが会計検査院の調査で分かっております。残りの十三兆三千二百五十四億円については二〇二二年度に繰り越され、四兆六千七百四十四億円は不用額と指摘されております。会計検査院では、国に対し、繰越額や不用額が多額に上った原因を分析し、国民に十分に説明するように求めておられます。

 そこで、お伺いをいたしますが、ただいま申し上げました執行率八〇・九%、不用額四兆六千七百四十四億円の指摘に関しまして、どのような理由があるのか、御答弁をお願いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、新型コロナ対策の関連予算につきましては、医療提供体制を構築するための支援ですとか、感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活、暮らしの支援など、様々な支援を切れ目なく行ってまいったところでございます。

 その執行状況につきましては、今先生御指摘ございましたとおり、会計検査院から検査報告が出てございます。

 新型コロナ対策の関連予算で不用が発生していると指摘されていることにつきましては、まず、感染の影響が不明な中で万全な対応を期すために十分な予算を措置したところ、結果として資金需要が想定より下回ったことによるもの、例えば事業者に対する資金繰り支援などで二・一兆円程度となってございます。また、緊急事態宣言など新型コロナの感染状況を踏まえて判断した結果やむを得ず事業を実施できなかったことによるもの、例えばGoToトラベル事業で〇・八兆円程度出てきてございますが、といった理由が考えられるところでございます。

 その上で、今後は、各省庁におきまして、新型コロナ対策の関連予算を含めしっかりと評価を行った上で、厳正かつ効率的な執行等に努めていただきますとともに、財務省といたしましては、今回の検査報告につきまして来年度以降の予算編成にしっかりと反映してまいりたいと考えてございます。

福重委員 ありがとうございました。

 次の質問に移ります。

 今後、新たな感染症が発生した場合、今回の新型コロナの知見を生かすことは当然でありますが、他方、他省庁間との連携不足や国と地方の認識の相違などが課題として浮き彫りとなり、改善すべき点が多く見受けられました。

 一方で、ワクチン接種におきましては、多くの国民の皆様の御協力により接種が進められ、その効果は大きなものとなりました。そして、五月八日より指定感染症の位置づけが第五類に引き下げられましたが、今年度においては引き続き無料接種は継続されることとなっております。

 当初、海外ワクチンの承認は慎重にや、日本国内での大規模臨床試験をコロナワクチンを承認する前に実施すべきなど、海外ワクチンの早期承認に異を唱えるような方もいらっしゃいました。

 一方で、国産ワクチンの開発は遅れ、海外メーカーのワクチンに頼らざるを得ない状況でありました。

 そこで、お伺いをいたしますが、現状、コロナ用の国産ワクチンの開発状況及び今後の見通しについてお伺いをいたします。また、今後、新たな感染症が発生した場合、ワクチン開発について政府としてどのような支援、取組を考えておられるのか、御答弁をお願いいたします。

本田大臣政務官 お答え申し上げます。

 国産ワクチンの重要性は厚労省でもしっかり受け止めておりまして、新型コロナワクチンの開発につきましてはAMEDや厚生労働省が開発のための支援を行っているところでありまして、現在、国内企業のうち、塩野義製薬、第一三共、MeijiSeikaファルマの三社が薬事申請に至っているところでございます。

 また、次の感染症危機を見据えたワクチンの開発につきましては、ワクチン開発・生産体制強化戦略、これは令和三年六月閣議決定でございますが、これに基づきAMEDに設置された先進的研究開発戦略センター、SCARDAと言っておりますけれども、ここにおいて開発支援が行われており、厚生労働省としても関係省庁と連携しながらしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

福重委員 新たな感染症がいつ起こるか分かりません。今、強化戦略を策定されたということでございますけれども、本当に、予算措置も含めて、しっかりとこういったことに対応していっていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に移ります。

 二〇二〇年一月、我が国において初めて新型コロナ感染者が確認されました。その後、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が発令され、国民の皆様の生活や経済に多大な影響を及ぼしました。

 我が党では、二〇二〇年一月に、早速、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置いたしました。当時の安倍総理、現在も厚労大臣を務めておられる、当時の加藤厚労大臣の下に専門家会議が設置されることを求め、現状分析や対策、専門家の知見も踏まえた上で積極的に政府が情報発信を行うことを強く要請いたしました。その後、専門会議が設置され、我が党が政府の後押しをしたと自負しております。

 また、我が党は、政府に対して、新型コロナ対策全般にわたる政策要望や対策を訴えてまいりました。今年秋には内閣感染症危機管理統括庁が設置されます。我が党は、昨年の参院選の重点政策の中にも、迅速かつ的確な司令塔機能の創設を訴えてまいりました。

 そこで、改めてお伺いをいたしますが、国民の皆様の命を守るための重要な組織であります政府の統括庁設置に対する御決意、抱負をお願いいたします。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 まずもって、公明党からの累次の重要な提言、心から感謝申し上げたいと思います。

 さて、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案につきましては、四月二十一日に国会で成立をさせていただき、同月二十八日に公布をいたしました。

 この法律は、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、感染症の発生及び蔓延の初期段階から政府対策本部が迅速かつ的確な措置を講ずるための仕組み等を整備するとともに、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置し、感染症の発生及び蔓延の防止に関する施策の総合調整等を担うこととするものであります。

 政府の感染症危機への対応に関する司令塔機能を強化し、国と地方が一体となって迅速的確に対応できる体制を確保するための法改正であり、統括庁の発足に向けた施行準備に努め、次の感染症危機への備えに万全を期してまいりたいと考えております。

 また、今委員の方から秋にも設置というお話がありましたけれども、法律の施行日は、一部を除き、公布後六月以内の政令で定める日と規定されているところ、予算上は最速で本年九月一日に設置することを念頭に経費を計上しておりまして、着実に準備を進めてまいりたいと考えております。

福重委員 政務官が冒頭で我が党の取組に対して御評価いただいたことに対しまして感謝申し上げます。

 また、設置に関しまして、今、九月一日というような目標値を御答弁いただいたことに対しまして、併せて感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 次の質問に移ります。

 人口当たりの感染者、死者数は欧米諸国よりも少ない論評をされております。その要因の一つは、行動変容を伴う国民の皆様の御協力、そして何よりも医療現場における医療従事者の皆様の懸命な尽力があったことは明らかであります。改めて医療従事者の皆様に敬意を表すものであります。

 一方、課題も露呈いたしました。保健所の業務多忙による機能不全やデジタル化の遅れなど、初動体制の問題も浮き彫りになりました。さらに、深刻な問題として、病床の確保が困難となり、緊急搬送先が見つからないといった事態が発生いたしました。従来の医療計画では感染症の対策が十分に検討されていなかったことで生じた事態だと言わざるを得ないと思います。

 今回の新型コロナに当たっては、医療従事者の人員確保の困難さ、医療機関の間での機能分担、連携の不足という医療提供体制の脆弱性が課題となりました。同じことを繰り返さないためにも、限られた医療資源をどう有効活用するかという視点がこれからの施策を考える上で重要であります。

 今後の感染症対策の医療資源の有効活用について、政府の御見解をお伺いいたします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、限られた医療資源を有効活用するということは大変重要な課題でございます。

 この点、昨年六月に取りまとめられました有識者会議の報告等におきましては、通常よりも多くの医療人材を必要とする新型コロナ医療を行うためには医療資源を再配置する必要があること、また、次の感染症危機を考えれば、平時から関係者間の情報共有やきめ細かい調整、役割分担、連携が必須となることといった、新型コロナの対応の課題が指摘されておりました。

 こうした課題に対応するために、新興感染症発生、蔓延時における医療提供体制につきましては、今般の新型コロナ対応の経験を踏まえまして、昨年の感染症法等改正により、都道府県が定める予防計画、医療計画に沿って、あらかじめ都道府県と医療機関の間で、入院や発熱外来、人材派遣などの対応に関する協定を締結する仕組みを法定化したところでございます。

 来年度の施行におきまして、都道府県における計画策定や協定締結などを通じまして、医療機関の機能、役割を踏まえた感染症医療提供体制の構築を進めますとともに、協定を締結した医療機関におきましては、平時より、感染症対応に当たる職員に対する研修や、あるいは病床確保に当たってのシフト、応援に係る訓練、点検といったようなことを実施していただくなど、感染症発生、蔓延時におきまして、通常医療の提供を継続しながら、迅速かつ的確に、人材確保を含めた感染症対応を行う体制を構築していきたいと考えているところでございます。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 次の感染症に備えてしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、G7サミットに関する質問をいたします。

 G7サミットに関連して、関係閣僚会合が、全国で十五の地域で、十二月にかけて開催されます。一部は終了しておりますが、四月の二十九日、三十日の両日、私の地元群馬県でも、デジタル・技術大臣会合が開催されました。既に開催された地域も含め、国内で分散して行われる意義は非常に大きいもので、各地の開催地域が注目され、そして、地域の魅力を紹介できるチャンスであります。

 まず、十五地域で開催された意義について御見解をお伺いいたします。

 また、今回デジタル・技術大臣会合が行われた群馬県では、大きな期待を持って、開催地として立候補いたしました。県内では、大手ITコンサルタントのデロイトトーマツが昨年七月に進出し、アクセンチュアが今月から業務を開始いたしました。デジタル大臣会合を一つの契機として、国策とも言えるデジタル田園都市国家構想を通じて、世界的企業と更なる連携が、地域活性化及び経済効果を生み出す相乗効果を期待するものであります。

 政府として、デジタル田園都市国家構想を通じた地域の活性化に向けた支援について、御見解をお伺いいたします。

高木大臣政務官 福重先生の御質問にお答え申し上げます。

 本年のG7広島サミットでは、既に開催されたものも含めて、日本各地で十五の関係閣僚会議が開催されることとなっております。

 開催地の選定に当たっては、誘致に名のりを上げてこられた地方公共団体の中から、会場、宿舎、警備など様々な観点から検討を進め、また、全国各地で開催するというバランスも考慮をさせていただきまして、政府として総合的に検討し、決定したものでございます。

 関係閣僚会議の開催に当たっては、G7の閣僚間で充実した議論を行うため、関係省庁が地方公共団体と密接に連携をさせていただき、準備、調整を進めてきておりまして、既に開催された閣僚会合においても、G7閣僚へのおもてなしを通じて、国内各地の食文化など日本の魅力を世界に発信する上で非常に有意義な機会となっていると承知をいたしております。

 先生御指摘のとおり、日本の地方の魅力を世界に発信していくことは大変重要でございまして、外務省としても、インバウンドの促進や地方産品の海外展開など地方のニーズを十分考慮した上で、在外公館も活用させていただいて、可能な限りの御支援を行ってまいりたい、このように考えております。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 時間が来ましたのでまとめますけれども、大臣会合に先立ち、群馬の名湯の伊香保でレセプションが開かれまして、そこで私も地元議員を代表して参加させていただいたんですけれども、本当にすばらしい内容でございました。昨日は伊香保の観光協会の会長さんと意見交換を行ってきたんですけれども、やはり、世界にこの伊香保という温泉地が発信をされた、これはこれからのインバウンドに向けて大きな飛躍にもつながるし、大きな期待を持っている、そういうようなお話をいただきました。

 そういった意味では、今後、こうやって分散をして開かれたこういった大臣会合が、地域の活性化のために資するような取組というものを政府がしっかりと応援をしていただくということが大事だと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上、質問がちょっと大分残りましたけれども、申し訳ございませんでした。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して質問をいたします。

 まず、さきの東京オリンピック関係予算についてお伺いいたします。

 手元の資料にもあるところではございますが、まずもって、昨年十二月二十一日、大会組織委員会によりますと、当初、千八百六十九億円が国の負担とされておりましたが、大会に特に資する事業の支出、大会施設整備への支援、国の職員派遣、独立行政法人日本スポーツ振興センター支援額などが計上されておらず、結局、国は四千六百六十八億円負担したとされております。

 さらに、会計検査院は、一八年度までの六年間で国が関連経費などで一兆六百億円を支出したと指摘しておりまして、これらを合算すると、東京オリンピックは合計三兆円もの予算を使ったと指摘されております。

 一方、東京五輪は、招致時点では世界一コンパクトを旗印として、東日本大震災からの復興を世界に示すことも目的の一つとされており、関連予算は、一三年時点では約七千三百億円、二〇〇〇年のシドニー五輪の予算と同じ程度で、アテネや北京、ロンドン、リオデジャネイロを下回る額を目指していたはずでございます。

 一方で、現在の組織委員会の運営に関して、複数の贈賄、独禁法違反事件で容疑者が逮捕されており、公判、捜査が行われております。

 お手元に資料がございますが、それは正直イエローペーパーと言われているかもしれませんけれども、しかし、立件された五ルートのうち三ルートの公判において、元組織委員会委員長の森元総理が、受託収賄罪で起訴された組織委員会元理事の高橋治之さんですか、高橋被告の引き合わせで、企業トップから料亭などで接待を受けていたと報じられております。

 まず、事実関係についてお伺いしますが、森元総理が各社から接待を受けた回数、料亭等の名称及び接待金額をお示しください。裁判等に出ている以上、少なからぬ一定のことに関しましては公開情報で御存じかと思いますので、是非御教示をお願いいたします。

角田政府参考人 お答えいたします。

 報道によれば、東京オリパラ大会をめぐる一連の事件の公判手続の中で、森元会長が接待を受けたという内容に言及があったものと承知をしております。

 この点、本年三月に株式会社AOKIホールディングスのガバナンス検証・改革委員会が取りまとめた報告書では、AOKIホールディングス側が、大会組織委員会の高橋元理事や森元会長に対して複数回にわたり接待を行っていたことが記載されていると承知をしているところでございます。

 また、本年一月に株式会社KADOKAWAのガバナンス検証委員会が取りまとめた調査報告書では、二〇一七年五月、組織委員会の森会長、高橋理事、KADOKAWAの角川氏等による会食が催されたことが記載されていると承知をしているところでございます。

米山委員 それ以上には全く御存じないということでよろしいんですか。また、それ以上にお調べになっていらっしゃらないということでいいんですか。それは幾ら何でも、これはゆゆしき事態ですから、組織としてちゃんと森元総理にもお話を伺うべきじゃありませんか。もう一度御答弁をお願いします。

角田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御答弁いたしましたように、株式会社AOKIのガバナンス検証・改革委員会の報告書、また株式会社KADOKAWAのガバナンス検証委員会の調査報告書の内容につきましては承知をしているところでございますが、一方、お尋ねの内容につきましては、スポーツ庁としては承知をしていないというところでございまして、また、東京オリパラ大会をめぐる一連の複数の事件の刑事裁判が進んでいるところから、お答えすることは差し控えるべきものと考えているところでございます。

米山委員 まず、調べているかいないかは聞いていいですかね。AOKIやその他の企業においては調べていらっしゃるわけですよね。スポーツ庁長官は、全然調べていない、森元総理にも一切合切お話を伺っていません、この問題に関しては我関せずですということでよろしいですか。御答弁をお願いします。

角田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどのお話のとおりでございますけれども、東京オリパラ大会をめぐる一連の複数の事件が現在刑事裁判中でございますことから、お答えすることは差し控えるべきものと考えております。

米山委員 じゃ、いいですよ、中身は百歩譲って言えませんと。それは本当は言えると思いますけれども、関係ないので言えると思いますけれども、特に、森元総理に対して別に刑事事件の手続は行われていないので、関係者だから言えませんとかいったら、ありとあらゆるものは何も言わなくていいんですけれども。

 少なくとも、じゃ、中身は言えませんでいいんですけれども、調査しているかしていないかは言えますよね。していないならしていないと言ってもらえますか。御答弁お願いします。

角田政府参考人 お答えいたします。

 本件につきましては、刑事手続に影響を与える可能性があるというふうに考えておりまして、お答えは控えさせていただきたいと思っております。

米山委員 済みません、中身はまだしも刑事手続に影響はあると思うんですけれども、聞き取り調査をしたかしないかは何にも刑事手続に影響しないと思うんです。

 なぜ聞き取り調査をしたかしないかが刑事手続に影響するのか、その理由を言ってもらえますか。どんなことがあるから刑事手続に影響するんですか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、この一連の事件の公判手続の中で森会長が接待を受けたかどうかということについてのお尋ねでございまして、このお尋ねの内容につきましては、刑事手続に影響を与える可能性があるというふうに考えているところでございまして、そのためにお答えは差し控えたいと申し上げているところでございます。

米山委員 じゃ、つまり、スポーツ庁さんは、高橋被告等々が不利になったらいけないから森元総理の調査はしていないということでいいんですかね。

 何せ、私が聞いているのは、スポーツ庁として、さらにオリンピック組織委員会として適正な運営がなされたかであって、別に刑事的なことは聞いていないんですよ。しかも、予算執行としてこれは大問題じゃないですか。

 別に、森元総理に、刑事犯が、収賄が成立しようがしまいが、少なくとも、それによって予算執行が大きくゆがめられたらそれは問題なわけだから、ちゃんと調べなきゃいけないはずですよ。ほかの企業は、ちゃんとガバナンス委員会で調査報告書を出しているんでしょう。何でこちらの、接待を受けた側がそれをしないんですか。普通、調査しますよね。調査して、ちゃんと予算執行が適正だったかどうか確認しなきゃいけないと思うんですけれども、その調査したかしないかすら、先ほど来、一切答弁してくれないんですが、おかしくないですか。

 したかしないかだけ、もう一回答えていただけますか。もう一回お願いします。

角田政府参考人 お答えいたします。

 この東京大会をめぐる一連の事案につきましての内容の精査ということでございますが、先般来申し上げましたとおり、刑事手続中であることから、その過程の中で事実が明らかになっているものと考えるところでございます。

 また、その上で、現在、東京都におきまして、副知事をトップといたしました調査チームを設けて、課題や背景、組織の問題等も含めて議論、分析を行うなどの調査深掘りをしていると承知をしているところでございまして、まずは東京都、この東京都は、IOCと開催都市契約を締結いたしまして、大会の開催都市として責任を果たす立場にあり、相当数の職員を派遣しているところでございまして、また、国費も含めました公費を一括して組織委員会に東京都が交付をしているところでございます。

 そういった中で、東京都におきましてしっかり調査が行われ、スポーツ庁にも適宜御報告いただけるものと考えているところでございます。

米山委員 もうこれで、じゃ、次に行きますけれども、それはおかしいわけですよ。

 先ほど御紹介したとおり、一兆六百億円もの国費を拠出して、それが極めて不適切に使われていたと言われ、トップである元総理大臣である方が何度も接待を受けていたのにかかわらず、一切合切調べません、聞き取り調査すらしません、全部が全部、東京都に丸投げして、若しくは司法手続に丸投げして我々は知りませんというのは、それは税金の使い方として一体どうなっているんですか。そんなやり方をされたら、それは幾らでも無駄は出ますよ。というか、実際、無駄が出たわけでしょう。七千三百億円が一兆六百億になっちゃったわけですよね。何なら三兆円になっちゃったわけですよ。それを、この政府はずっとそういうやり方を続けるということなんでしょうかね。

 私は、是非ちゃんとこれは国会で調べるべきだと思います。だって、国家的プロジェクトで、元総理大臣が加わって不正をやったかもしれないんですよ。そんなのを放置していたら、それは法治国家の名折れでしょう。そんなことを放置しておいて、増税するだの防衛費を増やすだのと、それはあり得ないと思うんです。

 ですので、特に、しかも、本当に今回の件は、森元総理の極めて強い政治力の下、自民党の方々も多分関係して、予算額がどんどんどんどん膨張していったということが強く推定されるわけですよ。そして、本来、森元総理や、森元総理の懐刀であったであろう武藤事務総長等がそれをきちんと抑えるべきだったのに、何にもしなかったわけですよね。むしろ、恐らく、その膨張に加担していたわけです。

 これは是非是非、特にスポーツ庁さん、担当なんですから、率先して、国会で、調査委員会等をつくりまして、きちんと聞き取り調査をして確認、検証すべきだと思いますが、もう一度、調査委員会をつくることに関しての御所見を伺います。

角田政府参考人 お答えいたします。

 このオリパラ大会をめぐる一連の状況につきましては、先ほど御説明いたしましたが、東京都におきまして調査チームを設けて、現在、調査の深掘りをしていると承知をしておりまして、その調査の結果につきましても、スポーツ庁に適宜御報告いただけるものと考えているところでございます。

 なお、今回の東京オリパラ大会の一連の事案を受けまして、スポーツ庁が中心となって設置をしたオリパラ大会に関するプロジェクトチームが、本年三月に、再発防止の観点も含め、今後の大規模競技大会の運営のための指針を作成したところでございます。

米山委員 再発防止のチームをつくっているんですね。それは是非調査していただきたいと思うんです。

 この件について、再三先ほどから指摘しておりますけれども、森元総理の責任は小さくないものと思います。オリンピック組織委員会委員長は、令和三年の東京オリンピック競技大会特別措置法第二十八条というものがございまして、これによって、組織委員会の役員及び職員は、刑法その他罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすという規定がございます。これはいわゆるみなし公務員規定というところでございますが、ちなみに、森元総理に国家公務員倫理規程は適用されるのでしょうか。お伺いします。

練合政府参考人 お答えします。

 国家公務員倫理規程の適用対象は、一般職に属する国家公務員とされております。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の役員及び職員には適用されません。

米山委員 それはそうなんですよね。

 結局、これが適用されないことが、森元総理がお好きなだけ御接待を受けられる、幾らでも御接待を受け放題という状態を生んだんだと思うんです。

 そうしましたら、せっかくプロジェクトチームをつくったわけですから、さすがに今度、またこれからもきっといろいろな大会があると思うんですよ。ワールドカップとか誘致するんですから、あると思うんですけれども、またまた森元総理、きっと、政治力が強いですから、また何か委員長とかなったりすると思うんですけれども、次のときにはもう御接待を受けられないように、国家公務員倫理規程もちゃんと適用になるように法改正したらいいんじゃないでしょうかね。

 そういう法律を作られたらいいと思うんですけれども、スポーツ庁の御見解を伺います。

角田政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の倫理規程のところにつきましては、スポーツ庁として所管をしてございませんので、お答えは差し控えたいと思います。

米山委員 じゃ、それは違うのかもしれませんけれども、オリンピック競技大会特別措置法は、これはスポーツ庁、違うんですか。これは所管じゃないんですか。どうぞ。

角田政府参考人 お答えいたします。

 東京オリンピック・パラリンピックに係ります令和三年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法につきましては、スポーツ庁の方で所管をしているところでございまして、この第二十八条におきまして、組織委員会の役員につきましてはみなし公務員であるということが規定をしているところでございます。

米山委員 ですので、もう東京オリンピックは終わっちゃったんで、それはしようがないですけれども、何なら札幌オリンピックがもしかしたらあるかもしれないし、その他、国家的な誘致で大きな大会をつくって、似たような法律を作ることはあり得るわけですから、そのときにはちゃんと、国家公務員倫理規程が適用されますと書いたらどうですかという質問なんですけれども、御見解をもう一度伺っていいですか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員倫理規程の適用につきましては、国家公務員倫理法に基づきます一般職に属する国家公務員とされていると承知をしているところでございまして、その適用対象につきましては、この国家公務員倫理法が定めることとなっております。この法律につきましてはスポーツ庁で所管をしていないところでございまして、お答えは差し控えたいと思います。

米山委員 本当に官僚さんなんですかと思っているんですけれども。

 刑法の贈収賄罪だって、それは公務員にしか適用がないわけですよ。それを、特別法の、令和三年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法第二十八条によって、「組織委員会の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」と書いてあるから贈収賄罪が公務員じゃない人に適用されるんです。だから、似たような法律を作るときに、同じような条項を作って、この役職員には国家公務員倫理規程が適用されますと書けばいいでしょうと。そういうのを再発防止策というんじゃないんですか、そういうことは検討しないんですかと聞いているんですけれども、もう一度御答弁を伺ってよろしいですか。

角田政府参考人 お答えいたします。

 次のオリンピック・パラリンピック競技大会という御質問でございますが、今後、そういった大規模な国際競技大会が開催されることとなりまして、それに対しまして特別措置法という法律が作られるということになった場合につきましては、これは、今回、先ほど申し上げましたガバナンスに関するプロジェクトチームの中で様々御指摘をいただいておりまして、そういった御指摘も踏まえまして、今回の事案を踏まえた中で検討がなされるものと考えておりますが、将来のことでございますので、その状況の中で検討されるものと考えているところでございます。

米山委員 是非そこはきちんと御検討いただいて、何か、政治家の方がトップに就いて、御接待を受けたい放題というような状況は、本当にそれが予算の膨張を現に招いたわけですから、そのようにしていただきたいと思います。

 最後に、この件について最後の質問ですけれども、刑法の本を読みますと、一般に、供応接待は、これは贈収賄に該当するわけなんです。なので、森元総理は、組織委員会委員長として、職務に関し賄賂を収受したものとして、通常の法解釈上、刑法百九十七条の収賄罪が成立すると思うんですが、御所見を伺います。

松下政府参考人 お答えいたします。

 犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 その上で、あくまでも一般論として申し上げれば、刑法百九十七条一項前段のいわゆる単純収賄罪の構成要件は、公務員がその職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたこととされております。

米山委員 一般論で結構なんですけれども、供賄、接待は、その賄賂に該当しますか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、刑法の収賄罪における賄賂とは、公務員の職務に対する不法な報酬としての利益をいうと解されております。そして、この場合の利益というのは、財産上の利益にとどまらず、およそ人の需要、欲望を満足させるに足りるものであればよいとされておりまして、例えば金銭、財物、接待供応等が財産上の利益として賄賂になり得るものと承知はしておりますけれども、あくまでも一般論として申し上げますと、繰り返しになって恐縮ですが、単純収賄罪のいわゆる構成要件は、公務員がその職務に関し、賄賂、すなわち職務行為の対価としての利益を収受等々をしたこととされておりまして、公務員が接待を受けた場合、それが収賄罪と言えるためには、その公務員の職務に関する行為の対価の趣旨か否かが問題となり得るところ、御指摘のような接待が職務に関する行為の対価と認められるかどうかは、個々の事案ごとに証拠に基づいて判断されるべきものでございまして、一概に申し上げることは困難でございます。

米山委員 それはそうなんでしょうけれども、しかし、是非そこはきちんと証拠を集めてください。これはもう、どう見たってという言い方は失礼でしょうけれども、それは一定の疑いはありますよ。それは犯罪が本当に成立するかどうかは分かりませんけれども、明らかに疑いがあることなので、それはきちんと捜査当局として御調査いただきたいものだと述べさせていただきます。

 次に、東京電力原子力損害の賠償等の現状についてお伺いいたします。

 会計検査院、衆議院調査局決算行政監視調査室の資料によりますと、令和三年度末時点で十兆二千三百五十一億円が原子力損害賠償・廃炉等支援機構に交付されているというふうに伺っております。

 確認のためにお聞きするんですけれども、これは、東京電力が現在行っている福島第一原発事故の処理や凍土壁の作成、維持、汚染水減少対策、汚染水の処理、廃炉のための作業や研究、そのほか、今度は汚染水を処理した後の処理水の被害対策等に使われるということでよろしいでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました原子力損害賠償・廃炉等支援機構から交付されている資金についての使い道でございますが、その根拠法となります原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の中に、その使途について定めがございます。

 その中では、損害賠償の履行に充てるため使われることと定められておりまして、この中には被害者賠償、除染、中間貯蔵の賠償というものが含まれているところでございますけれども、他方で、今委員から御指摘、列挙いただきました福島第一原子力発電所の事故に伴う廃炉等の費用に使われることは定められてはございませんで、こうしたことについては使うことができない仕組みとなってございます。

米山委員 事前に伺っておりましたが、要は、このお金は、賠償には使えるけれども廃炉等には使えないということかと思います。

 ちなみになんですが、この資金なんですけれども、東京電力からの特別負担金及び原子力事業者からの一般負担金で償還されるというふうに伺っておりますが、この負担金、これは一体どういう計算で決まるものなんですか。一体全体、どのぐらいの計算で償還されていくのか。また、この負担金は利息負担はあるんですか。今、十兆二千三百五十一億円が交付されているわけですけれども、それは利息を付して返すのか、それとも無利息なのか、伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から今御指摘いただきましたとおり、原子力事業者が原子力損害賠償・廃炉等支援機構に支払う負担金には二種類ございまして、原子力事故に対応のため、相互扶助の考え方の下に全ての原子力事業者が支払う一般負担金というものと、資金援助を受けるため、事故を起こしました東京電力が追加的に支払う特別負担金の二種類のものがございます。

 この金額につきましては、設置根拠になっております原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の中に定めが置かれてございまして、毎年度、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の運営委員会におきまして決定されております。

 その際、法律の中で、一般負担金は、各原子力事業者の収支に照らし、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営に支障を来すおそれがないか、特別負担金は、収支の状況に照らして、経理的基礎を毀損しない範囲でできるだけ高額なものであるか等を勘案しつつ決定することとされてございます。

 具体的な金額について御答弁申し上げますと、二〇一一年度以降、おおむね、合計いたしまして大体二千億円程度で推移しているところでございますが、事業者の収支状況によって変化してございますので、そこには幅がございます。

 あわせて、この返済に関する金利負担のお尋ねがございましたけれども、交付国債の返済には、負担金に係るものではございませんけれども、その返済に当たっては金利が発生し得るものでございまして、これまで累計百五十億円程度、国が負担しているところでございます。

米山委員 済みません、今、私もちょっと分からなかったんですが。

 金利を付して返していますかと聞いているんですけれども、それは付して返しているということですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 その返済の中で生じる金利負担については、これを付した形でお返しする形になってございます。

米山委員 そうしましたら、じゃ、金利何%なんですかというのをまず、次の質問と一緒に聞きますが、一体金利何%取っているんですかというのと、年間二千億円だとすると、これは結局、今十兆円ですから、五十年ほどかかるんだと思うんですよね。しかも、一体金利は今どの金利を適用しているんですかというのと、五十年かけて返すんですか。まあ、それはいいや。

 じゃ、済みません、ちょっと回りましたが、金利は一体幾ら御負担しているのか、伺っていいですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、金利の水準についてのお尋ねがございました。これは個別の金融機関との間での金利負担の話になってまいりますが、平成三十年以降は、金利はゼロ%という設定になっておりますので、利子負担自体は発生してございませんが、それ以前の平成二十四年から二十九年の間は、済みません、手元に金利の水準そのものがないんですけれども、金利負担費用として百五十億円が発生しているというふうに承知してございます。

米山委員 今のお話は何か話がちょっと違っていて、もしかして、おっしゃられているのは、各電力会社が金融機関から金利負担つきでお金を借りて、それで償還しているから金利を負担している、そういう趣旨ですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、東京電力に対しまして、原賠機構の方から資金援助をします。それに対しまして、国から国債を償還して資金を原賠機構に交付するわけでございますが、その際、国は、金融機関との間で、その資金原資となるものについて借入れを行い、お金を返すわけでございます。ですから、国と金融機関、お渡しする交付金の原資となる資金の借入れに対しまして金利負担が発生しているということでございます。

米山委員 それは国が負担しているということですよね。それは全然、電力会社は全く負担していないということですよね。それはそうだと、そうじゃないとおかしいというか、そうじゃなかったら、何か金利を定めなきゃいけませんからね。

 結局、そうすると、これは四十年間かけて、二千億円なら五十年かかるわけですよね。ちなみに、ほかの推計では四十年ぐらいかかるということなので、十年ぐらいずれがあるんですが、それはいいとして、きっともうかるから五十年が四十年になるみたいな話だと思うんですが、これは結局、五十年、無利子で十兆円返せばいいというお話だと思われるわけですよ。

 逆に言うなら、今はゼロ金利だから国の金利負担も少ないですけれども、結局これは、実は国がひたすら金利負担しているということなんですよね。金利、その分だけ国が使えるお金が減っているといいますか、国民が使えるお金が減っているということだと思うんです。

 ですので、そこは、ちゃんとそれは電力会社から一%か二%分ぐらい余計に取ったらいいんじゃないですかと思いますし、逆に、原子力事故というのはそういう負担を生じることだということをきちんと国民に周知すべきではないかと思います。

 ちなみに、またお伺いするんですけれども、これは一応、東京電力は返し続けているんですが、仮の話として、東京電力が倒産した場合、この交付金はどうなりますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、そもそもでございますけれども、今回、東京電力福島第一事故が発生した後に、これにより生じました被害者の皆様方への賠償、また、これから進めていきます廃炉というものを着実に進めていくということ、同時に、電力の供給事業者として電力の安定供給が損なわれないようにすることという観点から、東京電力に関し法的整理を避けるということで、原子力損害賠償・廃炉等支援機構という法律による機構を創設いたしまして、東京電力への出資、資金援助を行うことにより、事業の継続と福島の復興と廃炉の推進ということを進めてきているところでございます。

 そういう意味でいうと、仮の御質問にお答えするというのは避けたいところでございますけれども、仕組みから考えますと、交付した資金というのは交付金でございますので、返済の義務を有しているものではございません。

 ですので、仮にの話というか、そうした場合には、機構は、交付金についての資金を国に対して適切に返済すべく、負担というものを求めていく形になるわけでございますが、いずれにいたしましても、東京電力を支えて、賠償及び廃炉を進めていくという仕組みの形から考えますと、そういうことがないようにしっかりと運用を進めていくということかと存じます。

米山委員 それはないようにするのは、それは当たり前だと思うんですけれども、しかし、先ほど御質問したとおり、この交付金は賠償にしか使えないわけで、廃炉には使えないわけですよね。

 民間企業ですからそれは倒産することもあるわけで、しかも、今の御回答、御答弁であれば、倒産したらそれは回収できませんということだったと思われます。そういうことですよね、そもそもそれはそうでしょうということですから。ですので、これも、原発事故というもののコストはそういうものだということかと思います。それで、それをちゃんと周知すべきかと思います。

 ちなみに、先ほどお伺いした中にも回答はあるんでしょうけれども、今後、ALPS処理水の海洋放出が予定されておりますが、この風評被害対策、これはどのように誰が負担するのか。これは東京電力が負担して、これに対して原子力損害賠償・廃炉等支援機構が支援するということでよろしいでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました、今後予定しておりますALPS処理水の海洋放出、この検討を進めているわけで、調整を進めているところではございますけれども、これに伴う風評影響対策といたしまして、安全性について、千回以上にわたる説明、意見交換会、また、テレビCM、ウェブ広告、新聞広告、SNS等を通じた発信、科学的根拠に基づく分かりやすい情報発信などを行っておるわけでございますが、これらの事業は国の予算事業として行っているものでございます。

 その上で、仮に風評被害として損害賠償の責任等が生じるようなことになれば、先ほどから御答弁申し上げているような仕組みの中で対応していくことになるものと考えてございます。

米山委員 つまり、東電が払って、さすがにそれは東電になるんでしょうからね、それで原子力損害賠償廃炉等機構が支援するということなんでしょう。

 そうしますと、さらに、昨年十二月に、九年ぶりに損害賠償の基準が見直されたというふうに承知しております。これは資料にもございますが。

 現在、スキームとして、まず国債をぼんと交付して、それを必要に応じて償還するというスキームなわけなんですが、交付している国債は十三兆五千億円と理解しております。これで十分なんでしょうかね。賠償はこれを超えるのではないかという疑いもあるんですが、これは十分なんですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力の要賠償額、どれぐらい賠償に必要になるかという金額についてでございますが、御指摘のとおり、昨年末に、昨今の情勢を踏まえまして、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会におきまして、これの基となっております中間指針の改定がなされました。これを踏まえまして、東京電力及び機構の方で金額を精査いたしまして、現時点で約十三・〇兆円という設定をしているところでございます。

 したがいまして、先ほど委員から御指摘もございましたように、交付国債の発行額は十三・五兆円としてございますので、現在、五千億分残額はございます。この交付国債の発行額を見直す必要は、現時点ではないものと考えてございます。

米山委員 しかし、もはや十三兆まで膨らんだということかと思います。

 さらに、先ほどのお話に戻りますけれども、資源エネルギー庁によりますと、今後、廃炉までに追加で六兆円、今までの見積りの二兆円と合わせて合計八兆円が必要というふうに伺っておりますが、済みません、資料はこちらの方でした、ごめんなさい。

 ということなんですけれども、この費用、東京電力は大丈夫なんですか。先ほど伺う限りでは、原子力損害賠償・廃炉等支援機構はお金を出せないということなんですけれども、さらに、東京電力は潰さないということなんですけれども、これから六兆円も本当に負担して大丈夫なんでしょうか。それは、そんな何か危ういことをしてどたばたやるよりも、ちゃんとこちらも原子力損害賠償・廃炉等支援機構の支援対象にした上で、これもちゃんと国民負担として明示すべきだと思うんですが、御所見を伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原発の事故の責任という観点から、この廃炉に要する費用につきましては、福島への責任を果たしていくという観点から、東京電力がその責任を負って支弁していく、払っていくという仕組みにしてございます。

 その上で、委員も御指摘、御懸念、頂戴しておりますように、これを確実に資金を確保していく必要があるということは私どもも認識しているところでございまして、長期にわたる巨額の資金を確実に確保する観点から、原賠機構法に基づきまして、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に対しまして東京電力が廃炉に係る資金を積み立てるという、義務化の仕組みを導入しているところでございます。

 こういうことを考えますと、この事故の性格、役割の分担という形を念頭に、現行の仕組みの中で確実に支弁し、かつ、対応できるように取り組んでまいりたいと考えてございます。

米山委員 八兆円ですからね、八兆円。そういう、積み立てていって、到底間に合う金額には見えないわけなんです。それをそうやってごまかしているのは、私、結局、それは単に原発事故の費用というものを小さく見せているだけではないか。八兆円はどのみちそれは要るわけですから、どう見たって。それをさっさと、ちゃんと必要ですよというのを示すのが、それでそれは国民に負担をお願いするのが私は誠実な態度だと思います。

 ちなみに、経済産業省が試算した発電方式ごとのコストで、事故リスク対応費用というものが試算されているわけなんですよ。入れられているわけです。これが、事故リスク対応費用が二十三・八兆円というふうになっていて、これを前提に、原発の発電コストは一キロワットアワー当たりおおむね〇・六円と試算されているわけでございます。そうしますと、おおむね四十兆キロワットアワーの電力を売ると、この二十三・八兆円が回収できるという計算にはなりますよねということだと思うんです。日本の年間電力消費量はおおむね千テラワットアワーということでございますので、これは全電力を原発で賄った、つまり、原発依存率一〇〇%だとすると、四十年間電力を売り続けると回収できますという設定になるわけです。

 別に、これは事故費用を回収する設定だという意味でないのは、それは分かっているんですけれども、とはいえ、それは一つの考え方として、四十年間に一回事故が起こった場合に回収できるコストを計上しているというなら、それはそうなのかもしれませんが、そうすると、これは、今ほど言ったとおり、全電力の場合なんですね。

 現在、政府目標の二〇%だとすると、これは、二百年に一回、二十三・八兆円の事故が起こった場合には、一キロワットアワー当たり〇・六円コストをかければ回収できますという、何か計算が合いますという計算なんですけれども、それはおかしくないですか。

 普通に考えて、四十年ぐらいで回収しないと、大体、原発が始まってから四十年間で一回事故が起こって、これだけの事故が起こったわけですから、大体そのぐらいで計算しないとおかしいはずで、そうしますと、〇・六円じゃなくて、五倍して三円ぐらいのコストを計上しておかないとおかしいと思うんですけれども、御見解はいかがですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まずその前に、先ほど御質問を頂戴しました廃炉費用の件なんですけれども、ちょっと説明が十分でございませんでしたけれども、現在、廃炉の費用の積立てにつきましては、二〇一八年以降、毎年約二千六百億円ずつ積立てを実施してきてございます。全体の積立規模自体、今、二兆円近く存在するところでございまして、これは着実に進めていくように努めてまいりたいと考えております。

 一方で、今御質問を頂戴しましたコストの試算の件でございますが、まず、今御指摘いただきました発電コストの検証の際の費用ということでございますが、これは、私ども、エネルギーミックスというものを議論する際に、新規投資をする際にどれぐらいの発電所について費用が必要かということを検証するために作っているものでございます。

 そういう意味でいいますと、今、例として御指摘を頂戴しましたプラントに基づく試算でございますが、二〇三〇年に新たな発電設備を更地に建設、運転した際のライフサイクル全体に係るコストを一定の前提で試算したものでございます。

 実際、この費用の負担についていいますと、試算する上ででございますけれども、損害費用につきましては、試算時点、これは二〇二一年九月でございますけれども、見積りすることができている東京電力福島第一原子力発電所の関連費用二十一・五兆円、これに政策費用を加えたものというのをベースとしながら、各事業者相互で共済方式のような形で負担していくときにどうしていくかということを考えているものでございます。これを〇・六円以上としてございますけれども、もちろん、これはいろいろ幅がございます。

 更に申し上げていきますと、一兆円増えていったときに、大体、一キロワットアワーで〇・〇一円から〇・〇三円という増減分のところの話、あと、割り算としてどれぐらいのことを考えるかというお話でございますが、御指摘いただいたように、ある程度幅があるということは前提とした上で、発電のいろいろな様式がございます。原子力発電所、火力発電所、こういったものについての特性を示すためのものとして考えていく中では、一定の説明のできる費用の試算ではないかと私は考えてございます。

江田委員長 米山君、持ち時間が経過しております。

米山委員 時間ですのでこれで終わりにしますけれども、私としては非常に甘い試算だと申し上げたいと思います。

 また、次のワクチンの準備をしておりましたが、時間切れで済みませんでした。

 これで質問を終わらせていただきます。

江田委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 本委員会において、平成三十年、令和元年決算の重点事項審査ということなんですけれども、今審議されているのは、平成三十年度決算について令和元年十一月十九日、令和元年度決算については令和二年十一月二十日に提出され、総括審査が昨年四月十八日、各分科会での質疑が先月の二十四日に行われたということです。今後、全般的審査、そして締めくくりの総括質疑を行われて、採決されていくことになるんですけれども。

 二年分をこれまでも一括で審査してきておりますけれども、まずは財務大臣に、この経過についてここで改めて問いをするんですけれども、その前に、憲法九十条には、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」、憲法でもこのように明記されておりますけれども、改めて鈴木財務大臣に国の決算審議の意義についてお尋ねしたいと思います。どのようにお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 まず、基本的な認識を申し上げますと、国会の決算に関する議決内容や決算結果などを予算の編成作業に適切に反映をして、予算の効率的かつ適切な執行につなげていくこと、これは極めて重要なことである、そのように認識をしているところであります。

 特に、国会の決算に関する議決内容に対しては、その指摘事項の一つ一つにつきまして次年度以降の予算に反映させるなど適切に対応した上で、政府として講じた措置を国会へ御報告しております。

 政府といたしましては、こうした国会議決を重く受け止めるとともに、今後とも、事務事業の是正改善を行い、予算執行や次年度以降の予算に適切に反映させてまいりたい、そのように考えているところであります。

伊東(信)委員 鈴木財務大臣の答弁にありましたように、決算審議の意義はその後の予算編成に反映されるものであるということなんですけれども、そうであれば、やはり、より速やかな審議が必要ではないか、そう考えるわけなんですね。

 決算審議の進め方、若しくは審議の方法については、立法機関である国会の判断によると。決算審議の意義からも、やはり今の状況というのは、これでいいのか、変えていかなければいけないというところで大臣の所見をお伺いしたいんですけれども、参議院においては毎年年度ごとに決算審査が行われていますけれども、参議院にできて衆議院にできていない現状についてはどのように捉えられていますか。

鈴木国務大臣 国会の審議日程等につきましては、これは衆議院は衆議院で、参議院は参議院で決められることでございますが、政府といたしましては、先ほど申し上げたとおり、決算の重要性を認識しておりますので、でき得る限り早期の審議に対応していただけるような努力を政府としてもしているところでございます。

 政府では決算書類の国会への早期提出に努めているところでありまして、具体的な決算プロセスについて申し上げますと、財政法において、翌年度の十一月末までに会計検査院に提出して、その検査を受けた上で、翌年度開会の常会に提出する旨定められているところであります。国会における決算審議の早期化、迅速化に資するように、このプロセスの早期化を図り、例年九月初旬には会計検査院に提出した上で、十一月二十日前後に前年度決算を国会に提出させていただいているところであります。

 提出した決算を御審議いただく具体的な日程につきましては国会においてお決めいただくものと承知しておりますが、いずれにいたしましても、政府としては、引き続き決算書類の早期提出、これに努めてまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 今日も、本日の委員会においても、努めてまいりますと答弁いただいているんですけれども、これまでも、努力していくという答弁はいただいているんですね。

 お配りした資料なんですけれども、まずは平成二十九年六月八日の衆議院の議決におきましても、最後、黄色の線で書いていますけれども、本院は国における決算の意義と重要性を踏まえ、その審議を進めてきたところと。政府においても、本院の議決を次年度以降の予算編成に反映できるよう決算審議の充実と迅速化に向けた取組に努力すべきということなんですけれども、努力の跡が見れないのは私だけなんでしょうかね。

 次に、右手に書いてあります、平成三十年二月六日、内閣の講じた措置というところで、最後、またこれも黄色のアンダーラインのところで、決算審議の充実と迅速化に向けた取組については、決算書の早期提出に努め、平成二十九年十一月二十一日に国会に提出したところであり、引き続き決算の審議に最大限協力してまいる所存ですというところなんですけれども。

 今日も、努力してまいる所存ですとおっしゃいましたけれども、平成二十九年十一月二十一日に国会に提出したところで、引き続き決算の審議に最大限努力してまいる所存ですと、二月六日にもおっしゃっているわけなんですけれども。

 努力してきた経緯が分からないのは私だけでしょうかと申し上げましたけれども、私に分かるように、そして国民の皆さんに分かるように、その努力してきた内容を具体的に教えていただければ幸いです。

鈴木国務大臣 先ほど御答弁申し上げたことの繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、国会におきます審議日程、これは衆参国会でお決めいただくことでありますけれども、早期にこの議論が各委員会でできますように、政府としてもこれまでも最大限に、関連する書類、決算書類の早期提出、これには今までも努めてきたところでございます。

 繰り返しになって恐縮ですが、財政法において、翌年度の十一月末までに会計検査院に提出して、その検査を受けた上で、翌年度開会の常会に提出する旨定められておりますが、国会におけます決算審議の早期化、迅速化に資するように、このプロセスの早期化を図りまして、例年九月初旬には会計検査院に提出した上で、十一月二十日前後に前年度決算書を国会に提出させていただいているところでありまして、こうした早期の決算書類等の国会への提出、これにつきましては今後ともきちんとやってまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 済みません、ちょっと噴き出してしまったんですけれども、努力するというのは、書類を提出させることを努力しただけということですよね。で、衆参で決める、国会で決める、委員会で決めると。何か、お聞きしていると、政府はちゃんとやっているけれども、まるで国会が、というよりも、これだけ集まっている委員会が悪いように聞こえるのは私だけでしょうかね。

 各筆頭理事の先生、存じ上げていますし、しっかりと議論していこうというお二人やと思いますし、江田委員長も、昔いろいろ教えていただいたのでよく存じ上げていますけれども、しゃきしゃきと、はい、やろうよという方やと思いますけれども。

 この委員会での審議が遅い、審議をされないという意味でしょうか。国は、内閣は、政府は提出はやっている、だけれども委員会で議論されていないように、そう聞こえたんですけれども、そういう認識は間違いでしょうか。

鈴木国務大臣 そういう意味で申し上げたわけではないわけでありまして、私どもといたしましては、早期に決算書類等を国会に提出する努力、これは重要であると思いますので、しっかりやってまいりましたし、やってまいります。そして、委員会におきましても、ここにおけます御指摘、そういうものをしっかりと踏まえまして、それを次なる予算編成等に生かしていく、そういう努力、そういうものをきちっとやっていきたいと考えています。やってまいりましたし、これからもやってまいりたいと思います。

伊東(信)委員 恐らく、やっていないじゃないか、やっていますという委員会のこのやり取り自体も不毛やと思うんですよね。

 ここは本当に、財務大臣、最初にこの意義というものを、国の決算審査の意義というのは大事だ、これが予算に反映していると。国の会計検査の在り方、単式簿記であったり単年度の予算であったりとか、法律に基づいて、予備費もあるし、憲法にも書いてあるし、それは分かりますけれども。だけれども、国の予算というのは、やはり、国民の皆さんの税金なんですね。分かっておられるのであれば、本当に速やかな審議を委員会で、できればというよりも最大限の努力として、衆議院でも毎年決算の審議ができるように大臣がリーダーシップを取っていただければと思うんですけれども、最後にもう一度お聞きしますけれども、毎年衆議院で決算の審議ができる、そのような陣頭指揮を執られる決意というのはあられますでしょうか。

鈴木国務大臣 建前、建前じゃありません、たてつけとして、日本語を間違えました、訂正させていただきます。たてつけといたしまして、やはり、国会審議というのはこれは国会でお決めいただくことですけれども、私どもとしては、国会の御要請にしっかり応えられますように準備もしたいと思いますし、そのための決裁文書等の提出、そういうものもしっかりやってまいります。

伊東(信)委員 六月二十一日に閉会ということにはなってきますけれども、今後、まだ、全般的審査、締めくくり総括質疑も行われて、採決もあるわけなんですけれども、本当に今年度中にそういった政府の方針、毎年衆議院でも決算の審議が行われるよう、最大限に、更に最大限に、最大限に努力して努力し過ぎることはありませんので、よろしくお願いいたします。

 時間もあれなんで、この件に関しては一旦終わらせていただきますので、財務大臣は結構でございます。ありがとうございます。

 続けて、松本総務大臣にお聞きしたいんですけれども、私、大阪の第十九区というところで、関西国際空港のある泉州地区選出なんですけれども。その中の大阪府泉佐野市なんですけれども、大阪府の泉佐野市がふるさと納税でたくさんの寄附を集めた、そのことを理由に地方交付税が減額された。これが違法だとして、泉佐野市と国の裁判、泉佐野市が国を訴えた裁判があるんですけれども、先週の水曜日、五月十日に、大阪高等裁判所は、国の決定を取り消した一審判決、地方裁、地方では、一審判決ではこの減額の決定を取り消したんですね。ところが、この一審判決を変更して、今回の訴訟は法律上の争訟に当たらずということで泉佐野市の請求を却下する、そういった地元としては本当にショックな判決が出たわけであります。

 現時点で、くだんの泉佐野市の千代松大耕市長は、控訴審においては本市が敗訴することになったのは極めて遺憾だ、今後について、判決内容を精査した上で最高裁判所への上告を判断したいというコメントをしています。そうなってくると、やはり今後も司法の場で行われることが予測されるわけなんですけれども。

 判決理由について、判決文も見させていただいたんですけれども、今回の訴えは、行政権の主体としての泉佐野市が、法律の適用の適正をめぐって地方団体全体の利益の保護を目的としているので、民事裁判の審理、審査には当たらない、裁判所において解決を委ねるのであれば法律によって権限を定めることが相当だという判決なんですね。

 でも、これを読み解くと、裁判所で地方交付税の減額決定が違法かどうかを判断はしていないわけなんですね。判断していないんです。つまり、今回の判決では、行政内部の紛争を裁判所の審理対象にするには法律によって権限を定めることが相当の意見が示されたわけなんですけれども。

 それでは、この判決を受けられまして、国は、地方交付税制度に関する紛争を裁判の審理対象にするような、そんな法整備を進めるお考えというのはあるのでしょうか。松本大臣、お願いいたします。

松本国務大臣 御指摘のとおり、去る五月十日に、大阪高等裁判所において、大阪府泉佐野市から提起されました令和元年度特別交付税の額の決定に関する訴訟について判決の言渡しがあって、国の主張が認められ、原審の判決が取り消され、泉佐野市の訴えが却下されたと承知をしております。

 この判決について、これも今御指摘ありましたが、泉佐野市が判決内容を精査した上で最高裁判所への上告を判断したいとコメントしておられまして、上告期限が過ぎておらず、判決が確定していないところでございます。

 お尋ねの判決における指摘を含め、判決の詳細については内容をよく精査をさせていただいているところだというふうに現段階では申し上げたいと思います。

伊東(信)委員 現段階の、裁判はともかくとして、それでは、そういったシステムについてお聞きするわけなんですけれども。今回、そういった元となったベースとしましては、減額の額なんですけれども、平成三十年度十二月分の泉佐野市への特別交付税というのは、四億三千五百二万円だったわけなんですね。ところが、二〇一九年の十二月の場合は、何と七百十万二千円です。もう一度申し上げますけれども、四億三千五百二万が七百十万二千円。この委員会、皆様、御地元ありますし、大臣も御地元があると思いますけれども、これはたまったもんじゃないんじゃないですかね。

 その後、三月に四千六百十六万七千円交付されたんですけれども、合わせても五千三百二十六万九千円ということで、もう一度申し上げますけれども、元々四億三千五百二万円払われていたのが五千万まで、何と八七・八%減額になったわけなんです。

 まず、ちょっと事実関係をお尋ねしたいんですけれども、これは、今回の減額の原因というのは、ふるさと納税の収入自体を減額の原因としているわけなんですね。二〇二二年三月に大阪地裁は、ふるさと納税での収入を特別交付税の減額理由にする、これはいかがなものだ、法律の委任の範囲を逸脱した違法なもので無効としたわけなんですけれども、事実関係として、総務省はふるさと納税での収入を特別交付税の減額の理由にされたのでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 令和元年度につきまして、特別交付税の算定上、極めて多額のふるさと納税収入がある団体、これが平均的な不交付団体を上回る財政力となる団体については、交付税の趣旨であります財源配分の均衡を図るという観点から、災害分を除いた算定額から省令改正を行って減額をしたということでございます。

伊東(信)委員 先ほど政府からの答弁にありましたように、やはり後出しじゃんけんなんですね。省令改正を行ってから減額をされたわけで、そもそもの省令があったわけじゃないということですよね。

 今回の裁判も、元々何ゆえに裁判になったのか。国は、地方分権改革を一九九九年に定めて、地方分権改革を進めると言いながらも、地方分権改革にストップをかけているようにしか思えないんですね。

 今回の裁判では地方交付税の減額決定が違法かどうかの判断をしないまま訴えが却下されたわけなんですけれども、地方交付税制度に限らず、ふるさと納税の制度を今後も続けていくのであれば、国と地方が衝突するということが今後も起きる可能性というのはやはり考えられます。

 このため、国地方係争処理委員会の審査対象をもっと拡充するなど、衝突を解決する取組が地方分権改革を国が進めるのであれば必要と考えるんですけれども、松本総務大臣、いかがお考えでしょうか。

松本国務大臣 地方交付税法に紛争処理手続があることは委員もよく御案内のとおりかというふうに思っているところでございますが、地方交付税は地方団体共通の固有財源であることから、その制度運用に当たって地方団体からの意見を適切に反映させることが必要であることは申し上げるまでもないかと思いますけれども、そのように考えておりまして、そうした観点から、地方交付税法では、交付税の額の算定方法に関する意見の申出、交付税の額に関する審査の申出などの制度が設けられているところでございます。

 地方団体から意見申出や審査申出があった場合は地方財政審議会への報告や意見聴取が必要とされていますが、同審議会の委員は、地方自治に関する優れた見識を持つ者の中から両議院の同意を得て任命されており、委員五名のうち三名は、地方の立場に立つ全国知事会や市長会などの推薦者とされているところだというふうに思っております。

 その上で、今、新たに審査対象を拡充をするといったような趣旨でお話をいただいたのではないかというふうに考えますが、これについては、御答弁申し上げたとおり、高裁判決について泉佐野市が最高裁への上告の判断をしたいとコメントされておられ、判決が確定しておりませんので、判決の詳細について内容をよく精査をしてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 大臣が就任される前のことではございますけれども、やはり、松本大臣も非常に地元を大切にされている大臣だとお聞きしておりますので、是非ともそういったところをお願いしたいんです。

 地方交付税法で、確かに、十八条、十九条に、十八条一項と十九条七項で規定はされているんですけれども、これは算定基礎ということなんですけれども、地方団体についての交付税の額を計算する際に用いる数値等とか、例えば測定単位とか人口とか高齢者人口とか面積とか、そういったところの規定だけなので、これがそのまま適用されると思わないんですね。

 もう一つ、もう一問お聞きしたいので、御答弁は結構なんですけれども。

 大臣も今、係争の最中だと言いましたけれども、地方分権改革を政府は進めたいんでしょう。だったら、本当に地方の身になって考えていただきたくて。千代松市長は、国が敗訴した、泉佐野市が勝訴した大阪地裁の判決を受けたときは、交付税行政をただす意義があった、国は控訴せずに速やかに減額決定を取り消して、違法な総務省令を取り下げることを望むと言うてはります。本当に地方分権改革を進めるのであれば、少子高齢化で、国の構造自体を変えなければいけないと、一九九九年に、地方分権改革をすると決定をされているわけですから、その辺りを本当によろしくお願いいたします。次の質問をしたいので、御答弁は結構です。

 それでは、次は厚生労働大臣にお聞きしたいわけなんですけれども。私自身、医師免許を持っているわけなんですけれども、二枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、これは、医師側の方の協議会がありまして、令和四年、昨年ですね、昨年十一月ぐらいだったかな、国立大学医療連携・退院支援関連部門連絡協議会がございまして、神戸大学の患者支援センターの副センター長の竹中医師がまとめてくれたものです。

 今の医師法におきまして、主治医意見書というのがあるんですね。つまり、介護とかを認定したりするときの判断に使うものなのですけれども。この主治医意見書というのは、主治医と書いてありますけれども、これは医師に限るんですね。私自身もこの意見書を書くところがあるんですけれども。歯科医師の方がこの記載を求められる機会が三十三件あったわけです。これ、三十三件というのはどういうことかというと、四十二大学なんですね。四十二大学中三十三件が、歯科医師が主治医意見書の記載を求められるということです。

 介護保険法におきましては、主治医意見書を作成できるのは現行法上は医師に限られ、歯科医師が作成することはできないと介護保険法二十七条三項に書いてあるんですね。

 でも、今後の主治医の議論にも、今政府がやられている、やろうとしている主治医の、場合によってはかかりつけ医という言葉、法律用語ではありませんけれども、そういったところも言及されてくるわけなんですけれども、必ずしも全ての高齢者に主治医がいてるわけじゃないんですね。

 でも、定期的に診察されているのが歯科医の場合だったら、介護認定審査を歯科医に依頼する、そうした患者さんもおられるわけなんですけれども、患者様若しくは介護者、利用者さんもいてるわけなんですけれども。

 まずは、厚労大臣にお聞きしたいんですけれども、そもそもこの主治医意見書の作成を医師に限定している趣旨というのは、どういうことでしょうか。

加藤国務大臣 委員も医師でいらっしゃるし、多分こうした介護認定にも携わられたことがあるんだと思いますが、要介護認定そのものは、高齢者等における介護のこうした手間等に着目して、認定調査員による心身の状況の調査や主治医意見書を基に、学識経験者で構成される介護認定審査会の審査によって介護の必要度を判定する、こういう仕組みになっております。

 そういった意味で主治医の意見書は非常に大事でありまして、現行においては、被保険者の心身の状態全般について医学的観点から評価に基づき記載する必要があることから、介護保険法上、主治の医師と明記をされているところであります。

伊東(信)委員 高齢者の健康状態において最もよく知る者が意見書の作成などをするべきだと思うんですね。主治医に当たる医師がいないなど一定の場合には歯科医による意見書の作成を可能としてはどうかという意見が、今回の協議会から出たんですね。誤解を招かないように改めて申し上げますけれども、歯科医から出た話ではなく、医師の側から出たんですね。

 といいますのは、今の法律のいわゆるニッチというか、隙間というか、ピットフォールになっていることなんですけれども、私自身、いろいろな専門分野を持っている中で、形成外科というところの専門医もやっておりまして、口腔がんを扱うわけなんですね。

 形成外科の場合は、どちらかというと、例えば舌がんで舌を取ったり、上顎を取ったり、下顎を取ったりしたのを再建するというところなんですけれども。我々で取ったり、若しくは耳鼻科が取って、頭頸部外科が取るというところなんですけれども、実はその中に口腔外科も含まれていまして、口腔外科の方というのは歯科医師なんですね、免許としては。

 どのようにして口腔外科のところに、つまり、大学病院とか大きな病院なんですけれども、紹介されるかというと、町の歯科医で、口内炎とかできた、口の中に何かできた、それを診てみて、細胞を取ったりすると、実はがんであった、悪性腫瘍であったと。そのまま口腔外科に行きます、歯科医の先生が手術します、再建だけ医師である形成外科がやります。

 では、そこで助かった場合、若しくは手術ができない方もおられるんですね、そういう場合は終末期になるわけなんですけれども。いずれにしても、そこで食事をするというのが非常に困難になって、いわゆる嚥下指導というか、飲み込むための指導もしなければいけないわけなんです。そういうときに主治医意見書が必要になる。

 先ほど、大臣、介護の方もやられているという、在宅介護の方の話もしていただいたように、私も在宅の方もやっています。非常に高齢者の方、若しくは御病気になられた方、嚥下性、誤嚥性の肺炎になって亡くなられる方も結構おられるんですよ。そういったときに、やはり食事指導をしなきゃいけない。

 こういった法律の隙間で、歯科医師がこの認定書を書かないときに、これ、医者が困っているわけでも歯医者さんが困っているわけでもないんですよ。歯医者さん、歯科医の先生にこの話をすると、さすがに、そのとおりですねとはおっしゃってはいただいているわけなんですけれども。

 実際に歯科医師に来ても書けませんと。では、再建をやった形成の先生。でも、その先生はふだん診ていなくて、手術のときしか診ていないケースがある。では、元々のかかりつけ医の内科の先生を探す、地域医療とかのネットワークで探すとなるけれども、そもそも主治医でない医師に書いてもらうこともあるわけですし、一番問題なのは、この報告会でもありましたけれども、歯科医の先生が仕方がないから下書きをする、そして最後の署名のところだけ医師に頼む、これはちょっと本末転倒な感じがするんです。

 是非とも、もう一度ちょっとお尋ねしたいんですけれども、歯科医による主治医意見書の作成が認められないとしても、つまり主治医認定をするかどうかは別として、要介護認定に当たり、申請者の口腔の状態として、歯科医師の見解として介護認定に反映させる仕組みというのも考慮していただいても、今後の高齢化社会、そして、寿命と健康寿命、これを縮める意味でも非常に意義があると思うんですけれども、これはちょっと御提案なんですけれども、大臣、どう思われますか。

加藤国務大臣 まず、御指摘のように、必ずしも主治医がいらっしゃらない場合もありますが、それは、介護保険上、介護保険法において、当該被保険者に係る主治の医師がないときその他当該意見を求めることが困難なときは、市町村は、当該被保険者に対して、その指定する医師又は当該職員で医師であるものの判断を受けるべきことを命ずることができる、一応そういう規定になっているわけであります。

 その上で、今委員から御提案もいただきましたが、例えば口腔がん等の患者の主治医意見書の記載、これは主治医がされるわけでありますが、に際して、口腔内の状況等を特記する必要があれば、主治医が歯科医師や他の診療科の専門医等に専門的な見地から意見を求め、その内容を記載することや、必要に応じて歯科医師等からの情報提供書を添付して提出することも可能ということで、今委員おっしゃったような枠、仕組みというものは、既に取り組まれているところだというふうに認識をしております。

伊東(信)委員 御答弁いただいた内容は、そのとおりの事実でございます。ただ、そういったところを踏まえての話なんですね。実際に、じゃ、地域の中でコーディネーターを使った医師と歯科医師、主治医、医師会、歯科医師会、それぞれ連携して、面でやっていこうという、その趣旨は、恐らく医師も歯科医師も持っているとは思うんですけれども。

 高齢者、超高齢者という言い方をしたらちょっと申し訳ないんですけれども、やはり、九十五を超えたりとか百歳近くの方とか、若しくは九十代の方かな、やはりいろいろ持病もおありでありましょうし、管理が必要なので、面として、泌尿器科に行ったり内科に行ったり歯科医に行ったりとか、施設に入れば訪問が入って、医師も歯科も入ることもあるんですけれども。

 がん年齢を見ていただいてもお分かりのように、ある日突然、六十代、七十代の方もこういったところで入ってきて、歯科医しか行ったことがない方もおられて、結構その方がたくさんおられて、四十二の国立大学のうち三十を超える国立大学で、こういったところでこの主治医意見書が宙ぶらりんになっているという現状があるんですね。

 もう一度申し上げますけれども、四十二の国立大学ということは、そこの地域の都道府県の基幹であるわけなんですよね。これはまたちょっと医師会とは違った統計になると思いますけれども、実際にアカデミアの中での協議会でこういった内容が出ているわけなんです。

 申し上げたいのは、歯科医しか行っていない人が、これから主治医を探すことは不可能なんですよね。つまり、例えば、残念ながらお亡くなりになる方もおられて、そのとき死亡診断書を書くんですけれども、これは医師だけじゃなくて歯科医師も書くことができるんです、死亡診断書は。

 そして、この三年間のコロナ禍の中で、いわゆる新型コロナワクチンについて、国が進めるのであれば医師の数が足らないということで、歯科医師等にもお願いする特例もあったわけですよね。

 こういったところで、医師自体も、私自身は賛成ではないですけれども、働き方改革として、やはり、医師自体に偏在している業務の一部を看護婦に移管したり、共同実施したりする、私自身は賛成ではないですという言い方はおかしいですね。働き方改革自体はやるべきですけれども、だけれども、やはり外科医は自分自身が動かないと仕方がないという自覚、自覚というか、そういった感情を私は少なくとも持っているので、そう申し上げたんですけれども。

 ただ、やはり、ワークをシェアしたりとか、タスクシフトとかタスクシェアというのも今、政府内で検討されていると承知しているんですけれども、歯科医についても業務の拡大や医師業務の一部移管等を検討してはいかがかなというところを、最後、大臣にお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 おっしゃるように、医師の方におかれては、かなり厳しい状況の中で働いていただいているという点もあります。そうした医師の皆さんの健康を守ることが良質な医師の提供にもつながっていくわけでありますから、医師の働き方改革、またタスクシフト、タスクシェア等の取組というものは、医師の業務負担の軽減のみならず、よりよい医療の提供という意味においても必要だというふうに考えておりますので、ただ、それを実施するに当たっては、どういう業務を誰がすべきか、やはりそこをきちんと整理しながら進めていかなければならない。

 今回御提起いただいた点については、先ほど、冒頭申し上げましたように、全身的な体の状況を踏まえて介護認定等をする必要性があるということで、今、主治は主治医師に限らせていただいているわけでございますので、そこについて、今、タスクシフト、タスクシェアということについてはなかなか難しいと思いますが、ただ、委員から御指摘いただいたように、その際には医師始め他の医師の協力も得ながらしっかりとした意見書を作っていくということがより適切な介護につながっていくというふうに思います。

伊東(信)委員 国民の利益のために、よろしく御議論ください。

 終わります。

江田委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の潜水艦、たがや亮です。

 貴重な質問時間をいただき、理事、委員の皆様、ありがとうございます。

 本日はインボイスに関して質問をいたしますが、鈴木大臣は様々な委員からもううんざりするほどの質問をされていると思いますが、今日もあいにくインボイスをめぐる問題点を徹底的に議論させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問をいたします。

 二〇一三年五月十日の経産委員会において、当時、平将明政務官は、消費税を転嫁していくんですが、その間に強い人と弱い人がいるといったときに、価格交渉において消費税が転嫁できない構造的問題があると明確に答弁しておりましたが、現在も同じ認識でしょうか。経産省にお伺いいたします。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 御指摘の平成二十五年の平政務官の答弁は、消費税転嫁特措法の審議の際に、消費税が上がる際には、交渉力の強い事業者と弱い事業者の間では、構造的にその上昇分が転嫁されにくく、買いたたきなどの転嫁拒否を引き起こしやすいため、消費税還元セール等の広告を禁止することが適切であるという見解を示したものと認識をしております。

 消費税に限らず、コストが上昇する際に、交渉力の強い事業者と弱い事業者の間では、構造的にその上昇分を転嫁することが難しいという問題があるという認識に変わりはございません。

 なお、現下の物価高においても、交渉力の弱い企業が原材料、エネルギーコスト、労務費等の上昇分を適切に価格転嫁できることが重要でありまして、経済産業省としましても引き続き関係省庁と連携をして取り組んでまいります。

たがや委員 ありがとうございます。

 構造的問題があるということですが、これはデータも取ったんですね、公取から。転嫁拒否行為に係る相談件数ですね。二十六年度は千三百七十件、令和元年度の増税時も二千百二件あります。全く構造は、更に拡大しているということなんですね。

 こういった消費税の構造的な問題を放置して強引にインボイス制度を導入してしまえば、構造的問題は更に拡大することが予想されます。

 更に言えば、中小企業の経常利益率は平均二・三%ですから、消費税を転嫁できなければ赤字に転落するということと、取引激減により廃業を余儀なくされること、これらが、鈴木大臣、大問題なんですが、個人事業主は更に薄利なんです。このほかにも法的な大問題があります。

 そこで、質問です。

 先日、お隣にいる原口一博委員が当委員会で鈴木大臣に触れていた独禁法に関してですが、消費税三%導入時は独禁法の適用除外の法改正をし、五%の増税時には法改正も特措法もなし、立て続けの八パー、一〇パーの増税時には消費税の転嫁に関する特措法で独禁法を阻却する措置を施しましたが、現在、特措法は失効している状態です。

 鈴木財務大臣、特措法は失効していると答弁しておりましたけれども、それで間違いないでしょうか。

鈴木国務大臣 そのとおりと理解しています。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 特措法は失効していると明確に答弁をいただきましたが、それを踏まえて、例えば、声優業界や俳優業界など、横に連携して、団体として団結して、取引相手にインボイスの登録事業者になるので取引の消費税相当額の値上げをお願いしたいと値上げ交渉する場合は、カルテル形成の独禁法に違反する可能性があるのか。これは、公取、公正取引委員会の方、答弁をお願いをいたします。

品川政府参考人 お答えを申し上げます。

 カルテルとして独占禁止法上問題となるか否かという点につきましては、事実関係を個別に調査をして判断していくことになりますので、個別の事案についてはお答えは差し控えますけれども、一般論として申し上げますと、事業者が共同して取引価格を引き上げるというようなことは、独占禁止法上の不当な取引制限として問題となる可能性があると考えております。

たがや委員 ありがとうございます。

 独禁法違反の可能性が極めて高い、可能性があるということで認識いたしました。

 そのほかに、例えば、アニメーター、フリーライター、ミュージシャン、農家などなど、あらゆる業種がカルテルになるおそれがあります。財務省が見積もっている百六十一万者のインボイス登録予定者は、今まで独禁法とは無縁でしたけれども、独禁法違反の可能性が出てきます。このような業種の方々は、個別に取引先と価格交渉しづらいので、団体、組合など構築して連携せざるを得ず、これは特措法がないとカルテルに該当するおそれが生じてしまいます。

 こういう観点からも、独禁法を阻却する特措法のないインボイス導入は、立場の弱い側に強い側への対抗措置を与えないこととなり、単なる弱い者いじめの増税になってしまうので、独禁法を阻却する特措法は導入前に絶対必要になると思いますが、当然、措置をされるのでしょうか。

 そもそも鈴木大臣は、特措法が生きていると勘違いして、独禁法には当たらないと答弁していましたが、失効していることを原口委員から指摘をされ、慌てて答弁修正をしたわけですから、特措法の重要性を十分に認識しており、インボイス導入時に特措法を改めて措置をすることが大事だと思います。

 そこで、質問です。

 以下の三つの選択肢のうちどれかに当てはまるはずですが、鈴木大臣、どれを選ばれるでしょうか。一、立場の弱い人たちが自分たちを守るカルテル形成について、独禁法違反になることを放置するのか。二、特措法をインボイス導入まで措置をするのか。三、特措法が間に合わなければ導入を延期するのか。鈴木財務大臣の、役人答弁でない、政治家としての選択をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 済みません、少し丁寧に答弁させていただきたいと思います。

 たがや先生の御指摘は、独占禁止法の適用除外とする特別措置法を設ける必要があるのではないか、そういう御質問であった、そういうふうに思います。

 先生の必要のように、私、前回の委員会でちょっと答弁を修正させていただきましたけれども、かつて、消費税転嫁対策のため特別な法的措置を講じ、中小事業者などが共同して消費税率の引上げに応じた消費税の転嫁を行うことを可能としておりました。これらの措置は、消費税が導入された平成元年においては事業者や消費者が消費税制度に慣れるため、また、平成二十六年、令和元年の消費税率引上げ時においては二段階にわたって引き上げることに鑑みまして設けられたものですが、税率の引上げは全ての事業者に影響するものであることから一律の措置として実施をいたしたものであります。

 他方、今般のインボイス制度の導入に当たりましては、共同して値上げを行う者の中に課税事業者と免税事業者が混在している場合も多いことが想定される上に、個々の免税事業者によって課税事業者になった際に必要な転嫁の程度も異なるなど、制度の導入による影響が事業者によって様々であるということが考えられます。

 こうしたことから、インボイス制度の導入に当たっては、免税事業者から課税事業者になった際に共同して行う価格の転嫁を一律に独占禁止法適用除外とするのではなく、個別の状況に応じて、免税事業者が課税事業者になった際、価格の転嫁ができる環境をきめ細かく整備すること、これが重要である、そのように考えております。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 そんなこと本当にできるんですか。基本、個別といっても、個別にどんどん事業者から個人事業主というのは押しつけられていく事案が発生して、それを守るために個人事業主たちは連携を図って様々な対抗措置を取るといったときに、独禁法が、もしなったときに、彼らは自分たちの身を守れなくなりますよね。

 もう一回ちょっとお伺いしたいんですけれども、独禁法の阻却の措置、やる気ないですか。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、今回のインボイス導入に当たっては、個別の対応をするということでありまして、独禁法のこの規定を特別措置法に設ける、適用除外をですね、そういう考えは持っていないところであります。

たがや委員 残念ですね。

 また改めて質問させていただきますけれども、特措法など独禁法の阻却を措置しないのは政府の怠慢だと思いますよ。最低でも独禁法の阻却措置をしなければ、免税事業者の方々は独禁法違反にさらされることになる。私はインボイスの導入自体に大反対だけれども、独禁法の阻却措置をするまでは導入しない、少なくとも導入を最低一年は延期する。

 更に言えば、今の日本の不景気な経済状況下において消費税五%減税はマストであると思いますが、そもそも経産省は、減税したときの中小企業に与える経済効果やインボイスを導入した際の経済効果、悪影響、そういうことを計量シミュレーションはしているんでしょうか。最後にちょっと、経産省、お答えいただけないですか。一言でいいです。

江田委員長 持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業庁では、消費税率を引き下げた場合の中小企業等への影響に関する試算というのは作成してございません。

たがや委員 びっくりです。増税や減税において経済に与える計量シミュレーションもしないで、増税ありきの増税はナンセンスです。日本が貧しくなった大きな要因の一つだと思います。あり得ません。

 質問を終わります。

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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