衆議院

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第4号 令和5年5月29日(月曜日)

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令和五年五月二十九日(月曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 江田 憲司君

   理事 大野敬太郎君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 田中 良生君

   理事 大河原まさこ君 理事 谷田川 元君

   理事 金村 龍那君 理事 福重 隆浩君

      石橋林太郎君    今枝宗一郎君

      江崎 鐵磨君    加藤 鮎子君

      柿沢 未途君    下村 博文君

      鈴木 憲和君    高木 宏壽君

      武部  新君    寺田  稔君

      長坂 康正君    野田 聖子君

      葉梨 康弘君    三反園 訓君

      務台 俊介君    村上誠一郎君

      盛山 正仁君    八木 哲也君

      山際大志郎君    吉野 正芳君

      手塚 仁雄君    松原  仁君

      山井 和則君    柚木 道義君

      米山 隆一君    伊東 信久君

      市村浩一郎君    高木 陽介君

      吉田久美子君    大石あきこ君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   法務大臣         齋藤  健君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣       西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣         西村 明宏君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          小倉 將信君

   国務大臣

   (新しい資本主義担当)

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   高市 早苗君

   財務副大臣        井上 貴博君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   会計検査院事務総局第一局長            田中 克生君

   会計検査院事務総局第二局長            佐々木規人君

   会計検査院事務総局第三局長            長岡 尚志君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室次長)         村山 一弥君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   松浦 克巳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総合政策推進室室長)       笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房公益法人行政担当室長)      北川  修君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  真一君

   政府参考人

   (内閣府健康・医療戦略推進事務局長)       西辻  浩君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (消防庁次長)      澤田 史朗君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            森  晃憲君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       美濃 芳郎君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         高橋 孝雄君

   政府参考人

   (林野庁長官)      織田  央君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橋本 真吾君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            木村  実君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 針田  哲君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 北尾 昌也君

   決算行政監視委員会専門員 花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 委員北村誠吾君が死去された。

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     八木 哲也君

  小野寺五典君     石橋林太郎君

  棚橋 泰文君     長坂 康正君

  森  英介君     盛山 正仁君

  山際大志郎君     今枝宗一郎君

  原口 一博君     山井 和則君

  たがや 亮君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     小野寺五典君

  今枝宗一郎君     山際大志郎君

  長坂 康正君     棚橋 泰文君

  盛山 正仁君     務台 俊介君

  八木 哲也君     秋葉 賢也君

  山井 和則君     原口 一博君

  大石あきこ君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     森  英介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度一般会計歳入歳出決算

 平成三十年度特別会計歳入歳出決算

 平成三十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成三十年度政府関係機関決算書

 平成三十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成三十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和元年度一般会計歳入歳出決算

 令和元年度特別会計歳入歳出決算

 令和元年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和元年度政府関係機関決算書

 令和元年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和元年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 この際、謹んで御報告申し上げます。

 本委員会の委員でありました北村誠吾君が、去る二十日、逝去されました。誠に哀悼痛惜の念に堪えません。

 ここに、委員各位とともに故北村誠吾君の御冥福を祈り、謹んで黙祷をささげたいと存じます。

 御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

江田委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

江田委員長 平成三十年度決算外二件及び令和元年度決算外二件を議題といたします。

 これより全般的審査を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房国土強靱化推進室次長村山一弥君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長松浦克巳君、内閣府大臣官房総合政策推進室室長笹川武君、内閣府大臣官房公益法人行政担当室長北川修君、内閣府政策統括官榊真一君、内閣府健康・医療戦略推進事務局長西辻浩君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、消防庁次長澤田史朗君、法務省民事局長金子修君、文部科学省研究振興局長森晃憲君、スポーツ庁次長角田喜彦君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、厚生労働省医薬・生活衛生局長八神敦雄君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長美濃芳郎君、農林水産省大臣官房総括審議官高橋孝雄君、林野庁長官織田央君、経済産業省大臣官房審議官龍崎孝嗣君、経済産業省大臣官房審議官橋本真吾君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、国土交通省国土政策局長木村実君、国土交通省航空局長久保田雅晴君、環境省大臣官房審議官針田哲君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省自然環境局長奥田直久君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君及び防衛省大臣官房審議官北尾昌也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武部新君。

武部委員 自由民主党の武部新です。

 冒頭、北村誠吾先生に黙祷をささげましたけれども、私も大変お世話になりました。心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 本日は、国土強靱化について質問をさせていただきたいと思います。

 気候変動によりまして、自然災害が頻発化、激甚化しております。最近も、石川でも六強の地震もありましたし、千葉でも地震がありました。これから梅雨に向かいますし、また、秋にかけて台風や豪雨などの風水害が懸念されます。

 平成三十年から国土強靱化三か年緊急対策、令和三年から七年までの国土強靱化五か年加速化対策など、政府は、防災・減災、国土強靱化は喫緊の課題として取り組んできていただいております。

 そこで、これまでの国土強靱化五か年加速化政策の効果をどのように評価しているか、お聞きしたいと思います。

 私も、内閣官房のホームページで効果発揮事例が数多く掲載されていまして、これを見て、災害が多いなというのと、この効果が非常に多く出ているなということを感じておりますけれども、総括的に評価をお聞きしたいということと、もう一つ、南海トラフ、首都直下、日本海溝・千島海溝型地震の発生も高い確率で予測がされている中、今後も中長期的に国土強靱化を進めることが重要と考えますが、政府の所見を伺いたいと思います。

村山政府参考人 お答えします。

 近年、異常気象は激甚化、頻発化しており、我が国における豪雨の発生頻度は、四十年間で約一・四倍と増加傾向にございます。また、日本海溝、千島海溝周辺などの海溝型地震等の大規模災害に備え、事前防災を計画的に進めることが重要でございます。

 その中で、これまで、河川改修、ダムの事前放流、避難所を始めとする施設の耐震化、道路のネットワーク強化など、ハード、ソフト両面にわたる計画的な取組を進めているところであります。これらの取組は、大規模な被害を抑制するために大きな効果を発揮するものと評価をしております。

 政府としましては、国土強靱化の五か年加速化対策を着実に推進するとともに、対策後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが重要であると考えております。

 また、新たな国土強靱化基本計画を今年の夏をめどに策定することとしてございます。国土強靱化の着実な推進に向けて、強力に取組を進めてまいります。

武部委員 ありがとうございます。

 今、お話にもありましたけれども、四月四日に国土強靱化本部が開催されまして、新たな国土強靱化基本計画の骨子が了承されたと承知しております。

 その中の基本方針の中に、デジタル等の新技術の活用による国土強靱化施策の高度化というのが新たな柱として明記されております。線状降水帯や台風等の予測が、この予測の精度が向上すれば、災害対応がより迅速に適切に行えることになります。また、ドローンなどの活用によって、災害状況がより的確に把握することも可能になるでしょう。

 今はもう皆さんスマホをお持ちですから、スマホを活用したり、災害情報の速やかな共有化というのも、これは広域災害が発生したときには大変有益だと思います。我が国の災害データの蓄積、災害が多い国でありますから、データの蓄積も多く重ねていくことができますし、これに基づいたデジタル防災技術は、日本だけじゃなくて国際社会からも期待が高いと思います。

 そこで、国土強靱化、防災・減災対策を高度化していく上でデジタル技術の活用が一層重要と考えますが、政府は今後どのように国土強靱化に活用していく方針か、お聞きしたいと思います。

村山政府参考人 お答えいたします。

 今年の夏をめどに策定することとしている新たな国土強靱化基本計画の改定に当たりましては、近年の情勢変化を反映しつつ、デジタル田園都市国家構想と一体として取組を強化することとしております。

 このため、新たな基本計画の素案では、これまで進めてきた防災インフラの整備、管理や、交通、通信、エネルギーなどライフラインの強靱化に加えまして、新たにデジタル等新技術の活用による国土強靱化施策の高度化を施策の柱に位置づけまして、スーパーコンピューター等の整備による線状降水帯の予測精度の向上や、積雪時における滞留車両のAI画像解析による検知や、災害時の情報収集へのドローンの活用など、防災・減災対策を進める際に、デジタル技術を取り入れながら対策を進めることとしてございます。

 今後は、新たな基本計画を取りまとめるとともに、これに基づき、関係省庁が一丸となって、デジタルを最大限活用しながら国土強靱化の取組を進めてまいります。

武部委員 ありがとうございます。

 基本方針でもう一つ新しい柱として立てられているのが、地域における防災力の一層の強化であります。

 昨日、私の地元北海道の小清水町で、防災拠点型複合庁舎、新しい庁舎を造ったんですけれども、そのオープニングセレモニーに出席してまいりました。防災拠点となる新しい庁舎に併設されて、本当におしゃれなカフェとそれからスポーツジムが併用されているんです。地域の皆さん方が役場の周りに、中心市街地の活性化にもなると思うんですけれども、集まってこられるような、そういうスペースをつくっているんです。

 これは、災害が発生したときには、役場は災害対策本部になるのはもちろんなんですけれども、例えば、カフェは炊き出し拠点になる、それからスポーツジムは、スポーツジムの器具を全部しまって避難者の避難場所になる。なおかつ、あそこは温泉が出ますので、温泉の熱を使って、冬の間、北海道は冬の災害というのも考えられますので、電気が止まっても暖を取れるような仕組みになっているとか。非常に、フェーズフリー、災害が起きたときにはスムーズに日常生活から非常時に切り替えていく、施設をそういうふうに利用していくというコンセプトで取り入れられて対応していくという、地域防災が地方創生とか地域の活性化につながっていくといういい例だなと思って私は昨日見てきたんです。

 やはり、地域防災力の強化を進めるということが一番大事であり、その上で一番何が大切かというのは、地域のコミュニティーの強化というのが非常に重要だというふうに思います。その上で、やはり地域の防災人材の育成や広報、普及をどのように進めていくかということは大変重要だと思いますけれども、この点について伺いたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 災害の多い我が国におきましては、行政による公助はもとより、国民一人一人が自ら取り組む自助、学校、ボランティア等が互いに助け合う共助を組み合わせて、地域全体で防災意識を高めていくことが重要です。

 内閣府におきましては、地域住民による自発的な防災活動を定めた地区防災計画の策定促進や、防災週間、津波防災の日等の時期における啓発活動のほか、防災の取組を行う関係者が一堂に会する防災推進国民大会の開催など、様々な取組を通じて地域防災力の向上を図っているところです。

 また、こうした取組を進めていく上で、地域の実情や防災知識に精通し、防災活動に積極的に取り組む人材を発掘、育成していくことも重要であると考えております。

 このため、内閣府におきましては、昨年度から、自治体とも連携して、地域のボランティア人材に避難生活における環境改善のための知識やノウハウを身につけてもらうためのモデル研修にも取り組んでいるところです。

 今年は、関東大震災から百年の節目の年に当たります。この節目の年に、いま一度、国民一人一人が防災意識を高め、災害に備えることが重要であると考えており、内閣府といたしましては、こうした取組を通じて、地域の防災力の向上に努めてまいります。

武部委員 大変重要な取組だというふうに思います。

 十一月五日が世界津波の日でありまして、新型コロナでなかなか開催できないでいるんですけれども、世界津波の日高校生サミットというのも毎年開催していました。こういった若い人たちにもしっかりと防災・減災、災害についての知識について教育していくといいますか、共有していくといいますか、そういったことが大変重要になってくると思います。

 最後の質問とさせていただきます。

 政府は、新たな国土形成計画の策定に向けて、現在検討を進めていると思います。おおむね十年間の国土づくりの戦略ですから、大変重要な新たな国土形成計画の策定になるんだろうと思います。私も、積極的に議論に参加していきたいと思います。

 この中で、今回の策定は、パンデミック、新型コロナを経験いたしました。それから、人口減少という課題もずっと続いております。そして、気候変動など、我が国が重大な岐路にある中での全国計画の策定になると思います。気候変動によって巨大、広域災害が頻発する中、災害に強い国土形成は大変重要な課題だというふうに思います。

 災害時のリダンダンシーの確保や、先ほども申し上げましたけれども、地域防災力の強化など、国土強靱化を国土形成計画の中にもしっかりと組み込んでいくべきと考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。

木村政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、我が国におきましては、気候変動の影響により水災害が激甚化、頻発化するとともに、巨大地震や津波の発生、あるいは感染症の問題など、様々なリスクに直面しております。

 このため、現在検討を進めている新たな国土形成計画の原案におきましても、目指す国土の姿として、新時代に地域力をつなぐ国土を掲げ、その基本的な柱として、安全、安心な国土づくりを位置づけ、災害等に屈しないしなやかで強い国土づくりを進めることとしております。

 具体的には、防災・減災、国土強靱化の取組と相まちまして、流域治水の取組、災害リスクを踏まえた、より安全な地域への居住誘導の推進、インフラ老朽化に向けた予防保全型インフラメンテナンスへの本格転換、あるいは、リダンダンシー、多重性、代替性の確保等を図る質の高い交通ネットワークの強化などの取組を重点的に推進することとしております。

 こうした計画の実効性を確保するためには、この国土形成計画、この夏に閣議決定する予定でございますけれども、本年夏に同じように策定される新たな国土強靱化基本計画と一体となりまして、関係府省とも連携しつつ、しっかりと取り組んでまいります。

武部委員 国民の命を守り、安全、安心な暮らしを守っていくことは、大変、一丁目一番地の政策だと思いますので、しっかりと計画作りにも頑張っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 先日の決算の第一分科会におきまして、誰もが必要なときに利用できる、融通の利く保育システムの構築をとの趣旨で質問をさせていただきましたときに、もう一歩踏み込んで答えていただきたかった部分が残っておりましたので、更問いから始めたいと思います。

 三月末に政府から出されましたこども・子育て政策の強化についての試案、いわゆるたたき台におきましても、こども誰でも通園制度という仮称で、孤独の孤の孤育てにならないように、専業主婦も含めた全ての子育て家庭を対象とする通園制度の創設が掲げられておりますけれども、これは、先日も述べましたが、多くの方からの御要望が高い制度であると実感をしております。中には、かなり切迫した状況にある方もおられます。

 もちろん、来月の骨太で正式発表になると確信をしておりますけれども、これについて、実現のスピード感が問われていると思っております。このこども誰でも通園制度、今後、実現に向かってどう進めていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 現行の保育制度は、利用できる者が就労等の保育の必要性がある者に限定されており、専業主婦家庭等も含めた未就園児のいる全ての家庭に対する支援には限界があると考えております。

 このため、現行の仕組みとは別に、二歳までの未就園児のいる全ての家庭への支援の強化に向け、就労要件を問わず、時間単位等で柔軟に保育所、認定こども園等に通園が可能となる新たな給付を創設することを検討しているところであります。

 具体的には、子供一人につき月一定時間までの利用可能枠の中で、時間単位等で柔軟に通園が可能な仕組みとすることを想定しております。また、保育所、認定こども園、地域型保育事業所、幼稚園、地域子育て支援拠点などの幅広い事業者に取り組んでいただくことを想定をしております。

 現在、未就園児の預かりを行うモデル事業をスタートさせたところであり、本事業の拡充を行いつつ、基盤整備を進めながら、早期に新たな制度が導入できるよう、具体的な制度設計の検討を進めてまいりたいと考えています。

吉田(久)委員 モデル事業、成功をしていただいて、しっかり実現に向かって後押しになるように期待をしているところでございます。

 続いて、幼児教育、保育の質の向上についてお伺いします。

 最近、給食の完食を四時間強要するなどの不適切保育が行われていたというニュースを見て、ショックを受けました。また、送迎バス置き去り事件が続いたり、園庭での事故など、保育士さん一人当たりの担当するお子さんの人数が多過ぎて、目も行き届かないし、心身共に疲弊し、過重労働になっていることは否めません。

 子供が好きだからこそ選ばれたお仕事だったはずなのに、ストレスのはけ口が子供に向かってしまったならば、何のための、誰のための保育制度なのか分からなくなってしまいます。何よりも、保育においては、第一に子供の安全が確保された上で、子供の最善の利益が最優先される社会的養護の実現を目指していくことが重要だと考えます。

 そもそも、現状、いっぱいいっぱいの人手の中で、こども誰でも通園制度の実現が可能なのか。子供は、一瞬目を離した隙に何をするか分かりません。私も、行方不明になった子供を、我が子を捜したことが何回もありました。本当に一瞬の隙でした。一時預かり、園に託した我が子の名前と顔を覚えられているのかどうかちょっと不安になる状況で自分の子供の安全は守られるのか、こういう不安が起こるのもやむを得ない状況であります。

 保育士の配置基準が、今回、七十五年ぶりの改善として、一歳児は六対一から五対一へ、四、五歳児は三十対一から二十五対一へと改善が図られるわけでありますけれども、まだまだ改善の余地があります。

 G7の国との比較でいうと、日本では三歳児二十人に対して、アメリカ・ニューヨーク州では七人、イギリス、ドイツでは十三人。四、五歳児では、日本では現状三十人に対して、ニューヨークではそれぞれ八人、九人、イギリス、ドイツで十三人、フランスで十五人と、日本の配置基準の半分以下の人数になっております。日本もこの水準を目指すべきだと考えます。

 日本の子供たちの幸福感が低い原因の一つに、愛着形成が弱いという御指摘がありますけれども、日本の配置基準のままでは安全を確保するのさえ精いっぱいで、愛情を感じられる、寄り添った保育ができないのは当然ではないかとさえ思います。不適切保育をした保育士さんをたたけば終わりという問題ではないと思います。

 こども誰でも通園制度を導入する、しないにかかわらず、まずは、保育士さんがゆとりを持って保育が可能な人数へと、保育士の配置基準の改善、更に今後も進めるべきだと考えます。六月の骨太の方針二〇二三までに将来的な子供予算倍増への道筋を示すお考えの中で、この保育士の配置基準の更なる見直しについて政府の御見解をお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 保育の質の向上等のためにも、保育士の配置の改善を図っていくことは重要と考えており、これまでも保育士の配置の改善については努力を重ねてきたところであります。

 その上で、今般取りまとめました子供、子育て政策の強化に関する試案におきましても、長年の課題を解決する施策として、一歳児及び四、五歳児の職員配置基準については、一歳児は六対一から五対一へと、四、五歳児は三十対一から二十五対一へと改善をすることを、委員御指摘のとおり盛り込んでございます。

 保育士の配置の改善につきましては、まずは試案に盛り込んだ内容が実現できるよう、今開かれておりますこども未来戦略会議において議論をしっかり進めてまいりたいと考えております。

 加えて、保育士の配置の改善につきましては、保育士の人材確保も併せて進めることが重要だと考えております。

 このため、費用の使途の見える化を進めつつ、民間給与動向等を踏まえた保育士の更なる処遇改善を検討すると同時に、保育補助者や保育支援者の配置や、登園システムの導入などのICT化による業務負担の軽減、そしてまた、潜在保育士のマッチングや資格取得のための修学資金の貸付けなど、保育士の確保につながる取組を鋭意進めてまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 是非、質の高い保育、全ての子供に保障できる社会を目指して進めていっていただきたいと思います。

 続いて、三月に、日本医療政策機構、HGPIより、社会経済的要因と女性の健康に関する調査提言が発表されました。この調査の目的は、女性版骨太の方針二〇二二に、一、女性の経済的自立、二、女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現、三つ目に男性の家庭、地域社会における活躍、四点目に女性の登用の目標達成を柱に目標や実施事項が盛り込まれ、各省横断的に現在進められておりますものの、女性の健康については十分な取組が行われてこなかった点を踏まえて、女性の経済的自立との関連からも、女性の健康課題とその経済的影響を評価をしようとしたものであります。

 この調査では、月経随伴症状や更年期症状には全く影響がないと答えたのはおよそ二割の方で、八割の方が生産性への影響を経験しており、それらを原因とする欠勤や遅刻、早退で、日本全体で三千六百二十八億円の生産性損失が発生している、また、平均で、お一人当たり三か月で六・六万円の損失が発生しているとしております。

 これは、単に女性の問題とする次元の話ではなく、女性の基本的人権の尊重を土台に、看過できない社会的、経済的課題として捉え直していくべきだと思います。

 生理休暇についても、業種や企業規模によって有給、無給等、整備にばらつきがあり、先日も働くママさんと懇談をしましたけれども、生理休暇についてはそういう制度があることさえ知らなかったと言われ、中小企業には周知されていない事実を更に実感をいたしました。

 管理職以外の男性は、知らない、分からないと答えた方が女性よりも多かったという結果も出ております。その背景に、学校現場において女性の健康に関する知識を得る機会があったと答えた人は、女性では三四%、男性では一五・四%、全体で二四・七%しかいらっしゃいませんでした。

 働く女性が、月経困難症、更年期障害など女性特有の健康課題と仕事を両立していくためには、事業者や同僚、産業医等の産業保健スタッフ等が女性の健康課題について理解を深めることが重要であると思います。また、女性が職場で活躍し、安心して健康に働き続けるためには、女性の健康課題に関する健康診断を積極的に受診をしていただき、早期治療につなげる機会を充実させていくべきと考えますけれども、厚生労働省としてどのような取組を進めていかれるのか、お伺いしたいと思います。

美濃政府参考人 お答え申し上げます。

 女性が安心して働き続けられる職場環境を整備するためには、委員御指摘のとおり、女性の健康課題に関する職場の理解を深めていくことが誠に重要であると考えております。

 このため、厚生労働省におきましては、働く女性の心とからだの応援サイト等におきまして、企業や働く女性向けに、月経困難症や更年期障害を含む健康管理に関する情報を提供し、周知啓発を図っているところでございます。

 また、企業に対しましては、女性の健康について理解し配慮していただけるよう、男性も含めた全従業員を対象に女性の健康課題に関するEラーニング研修を実施しているといった好事例を取りまとめ、周知をしているところであります。

 さらに、独立行政法人労働者健康安全機構が各都道府県に設置している産業保健総合支援センターにおきまして、事業者や人事労務担当者、産業医等の職場の産業保健スタッフなどに対し、女性の健康課題に関する知識の向上を図るための専門的な研修、労働者や事業者からの女性の健康課題に関する相談対応を行っているところであります。

 加えまして、厚生労働省では、毎年九月を職場の健康診断実施強化月間と位置づけ、この中で、リーフレット等を活用し、事業者や健康診断実施機関等を通じて、子宮頸がん検診や婦人科検診等の受診勧奨も行っているところでございます。

 引き続き、これらの取組を通じて、女性の健康課題に関する職場の理解を深め、女性労働者が安心して健康に働き続けるための環境整備を推進してまいりたい、このように考えております。

吉田(久)委員 生理休暇だけでなく、更年期休暇という制度も創設すべきだと私もこれまでも主張してまいりましたけれども、そもそも、制度があるのと実際使えるかどうかは別物であります。

 生理休暇の制度が一九四七年につくられて七十六年ですが、まだまだ周知されていない現実、生理休暇の取得がいまだ〇・九%と少ない現状をどう見るのか、そして、周知を徹底したから使えるのかどうかも含めて検証すべきだと考えます。

 生理が仕事を休まないといけないほどの困難な状況なら、婦人科検診をして、治療が必要な場合もあります。私がよく聞く声で多いのは、男性上司に生理休暇を申請するハードルの高さ、生理ぐらいで休むのかという上司や同僚の認識不足による圧力を感じ、現下の人手不足の職場でますます言いづらいというものでありました。更年期障害についても同様です。

 提言には、日本の企業が生理休暇をウェルネス休暇という名称にして、男女共に、本人や家族の看護、介護、また更年期症状や不妊治療など幅広く使えるものにしている取組が広がりつつあるそうですが、生理や更年期症状による体調不良の場合も含め、男女問わず全労働者が健康保持増進のために使いやすい休暇制度を普及促進させるべきであると考えますが、厚生労働省の見解をお伺いします。

畦元大臣政務官 お答えいたします。

 厚生労働省においては、男女問わず健康増進のために利用可能な休暇制度を整備し、例えば、健康休暇といった社内制度をしている企業の事例や、体調不良の際に利用しやすい休暇制度等を導入している企業例等について、働く女性の心とからだの応援サイトや働き方・休み方改善ポータルサイト等に連載し周知することにより、これらの休暇制度の導入促進等を図っているところでございます。

 さらに、生理休暇につきましても、委員御指摘のように、休暇を取得しづらいなど、女性が生理による不調を抱えながら働く際の職場環境の課題があると認識しております。

 このため、厚生労働省といたしましては、生理による不調がある場合には婦人科、産婦人科に早期に受診すること、男性管理職等を含めた従業員に対して、生理を始めとした女性の健康課題についての研修の実施等により職場への理解を深めることが重要であること等について周知啓発していくつもりです。

 厚生労働省としては、これからの取組を推進することで、男女問わず労働者の健康に配慮した職場環境の整備推進をしてまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 エッセンシャルワーカーの三分の二が女性であるということでありますので、女性の健康をしっかりと支える制度をしっかりと進めていただきたいと思います。

 以上で、時間になりましたので質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

江田委員長 次に、松原仁君。

松原委員 ちょうど文部科学大臣が座られました。eスポーツからいきます。

 近年、アジア競技大会においてeスポーツ競技が実施されるなど、スポーツの競技大会でeスポーツが随分実施されております。

 私は、eスポーツも明らかにスポーツの一種として推進すべきと考えております。そこには分け隔てはありません。大臣の御所見をお伺いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 eスポーツにつきましては、既にeスポーツと銘打ちました様々な大会が開催されていることは承知をしておりまして、IOCを始めとして、国内外で様々な見解が示されまして、議論が行われているものと認識をしております。こうした国内外の議論ですとかスポーツ団体の動向を踏まえまして、eスポーツの扱いについて検討する必要がある、そう考えております。

松原委員 IOCにおいても、将来、eスポーツはオリンピック種目化、メダル競技の可能性があります。日本はまだJOCに入っていないということでありますが、こういった日本のeスポーツをオリンピック競技として後押ししていくということに関する大臣の御所見をお伺いします。

永岡国務大臣 二〇二一年三月に採択されましたオリンピック・アジェンダ二〇二〇プラス五におきまして、IOCは、バーチャルスポーツの人気の高まりを生かしまして、オリンピックムーブメント、オリンピックの価値、そしてオリンピックへの参加を促進して、若者との直接的な関係を育てる方針を明らかにいたしました。これを受けまして、東京大会前の二〇二一年五月には、オリンピックバーチャルシリーズを開催をしたところでございます。

 本年六月に、若者に運動やオリンピックムーブメントの関わりを継続的に促すために、IOCが主催をいたしますオリンピックeスポーツウィークがシンガポールで開催されると承知をしております。

 オリンピックの競技大会を含みます国際スポーツ大会は各主催団体がそれぞれの責任の下で主体的に開催をしておりまして、スポーツ団体の自主性、自立性を尊重することが重要と考えております。オリンピック競技大会の実施競技につきましてもIOCが自主的に決定をするものと承知をしておりまして、文部科学省といたしましては、IOCが適切に判断する、そういうふうに考えているところです。

松原委員 文部科学省、スポーツ庁として、eスポーツが、単にオリンピックのメダル競技云々のみならず、学校教育や高齢者福祉として広く活用すべきと考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

永岡国務大臣 eスポーツにつきましては、その楽しさですとか、やはり、コミュニケーション能力の向上を図るために、高校生を対象といたしました大会の開催ですとか、部活動としてeスポーツが行われている事例などがあると承知をしております。また、高齢者の健康づくりにeスポーツを取り入れている自治体もあると承知をしております。

 文部科学省といたしましては、これらの国内外の状況ですとか、やはり、スポーツ団体の動向等を踏まえつつ、eスポーツの捉え方を含めた今後の対応、これはしっかりと検討する必要があると考えているところでございます。

松原委員 ありがとうございます。

 次に、環境大臣にお伺いします。

 資源リサイクルは今後の日本としては極めて重要な課題であります。古紙、くず鉄、空き瓶類、古繊維といった、専ら再生利用の目的となる廃棄物について、これらのリサイクルの重要性について環境大臣の御所見を簡潔にお伺いします。

西村(明)国務大臣 松原委員御指摘の古紙、くず鉄、空き瓶類、古繊維につきましては、古くからリユース、リサイクルというものがなされて、国民の生活に根づいてきたものというふうに認識しております。

 こうした廃棄物につきましては、市町村による資源回収のほかに、自治会等の住民団体を通じた集団回収も広く行われているところでございます。このような地域での取組は、循環型社会の形成に向けたごみの減量化、再生利用の観点から有効であるのみならず、地域コミュニティーの育成にも貢献しているものと考えております。引き続き積極的に行われることが望ましいと考えております。

松原委員 これらの専ら再生利用の目的となる廃棄物について、我々議連としても随分と発言しまして、環境省は本年二月三日に通知を発出している。

 ただ、これが、周知徹底が、実際、地方自治体において不十分であるということを私は確認しております。流山においては、業者の指摘で初めて市当局がこれを知った。習志野、八千代では廃棄物にカウントされ、船橋では一般廃棄物になっている。前者は産業廃棄物ですね。

 こういったことで、周知の徹底を環境省が地方自治体に対してもっとするべきだと思っておりますが、御所見をお伺いします。

西村(明)国務大臣 廃棄物というものは、占有者の自由な処理に任せますとぞんざいに扱われて、生活環境の保全上の支障を生じるおそれがございます。

 このため、法による適切な管理下に置くことが必要だと考えておりまして、廃棄物処理法では、廃棄物の処理を業として行う場合には自治体の許可を必要としているところでございまして、一方で、専ら再生利用の目的となる廃棄物のみの収集、運搬、処分を業として行う者につきましては、その業を行うに当たり業の許可を要しないこととしております。

 昭和四十五年に廃棄物処理法が制定された当時から、古紙、くず鉄、空き瓶類、古繊維につきましては、既存の回収業者によって回収から再資源化までの処理体制が既に確立されておりまして、許可制度の対象としなくても適正処理がなされることが期待されました。この考え方は、法の制定以来、変わっているところではございません。

 本年二月三日に発出した通知は、このような許可制度の取扱いについて改めて周知したものでございまして、都道府県から市町村へも送付をいただいております。

 今後も、自治体の廃棄物担当者が参加する会議等の場を活用して引き続き周知を行い、法の趣旨に沿った制度の運用を促してまいりたいと考えております。

松原委員 周知は、私が察知するところでは、まだまだ徹底していない。これを環境省、よろしくお願いします。

 文部科学大臣、質問が終わった大臣はお帰りになって結構です。

 次に、動愛法に行きます。

 動物愛護管理法の中で位置づける取扱いの対象は哺乳類、鳥類、爬虫類ですが、爬虫類の位置づけいかん、お伺いいたします。

西村(明)国務大臣 動物の販売や展示などを営む動物取扱業におきましては、動物の健康や安全を保持して、また、周辺の生活環境に対して支障を生じさせないようにする必要がございます。そのため、動物取扱業を営む者は、対象が哺乳類、鳥類又は爬虫類のいずれかにかかわらず、取り扱う動物の種類や習性等に応じて、適正に飼養管理をしなければなりません。

 松原委員御指摘の爬虫類も、哺乳類や鳥類と同じく、ペットとして多様な種が飼われておりまして、また、特性に応じた適正な取扱いが求められ、購入する方々に対して丁寧な説明が必要でございます。このため、哺乳類や鳥類と同様に、動物取扱業の対象に位置づけているところでございます。

松原委員 犬や猫を中心にした飼育管理を念頭に置いた動愛法と、爬虫類は生態系が全く異なっておりますから、本来、制度を分けるべきだと私は考えます。

 時間の都合で問二はなくしまして、三番目をお伺いいたします。

 環境省では爬虫類の飼養管理基準を検討していると聞いておりますが、基本的にどのように考えるのか。私は、爬虫類は他の哺乳類等と別の基準、制度を分けて考えるべきだと思っております。いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 爬虫類の飼養管理基準、これは、爬虫類の生理、生態等を考慮した基準となるように、現在、有識者の御意見を伺いながら検討を進めているところでございます。また、現場で動物取扱業を指導監督する自治体職員が事業者に対して適切な指導が行えるように、明確で実用的な基準の策定を目指しているところでありまして、爬虫類の生理、生態は犬猫等と大きく異なることから、爬虫類の特性を踏まえた基準となるように検討してまいりたいと考えております。

松原委員 大臣がおっしゃるとおりで、それは頑張ってほしいんですが、実態は、各市町村といいますか地方自治体は、そういった知見をほとんど持っている人がいないというのが実態であります。ですから、その辺をどうフォローするのか。環境省の動愛課も、これに従事する職員は極めて少なくて、今の人員、私はよく知っておりますが、不足です。この辺も、予算取りの関係もありますが、きちっと対応しないと、爬虫類についてちょっと誤った指導が行われることを危惧しているということを申し上げておきたいと思います。

 続いて、ベジタリアン、ビーガンJAS規格についてお伺いいたします。

 このベジタリアン、ビーガンというのは、昨今、極めてこういった人が増えてきているわけでありますが、ベジタリアン、ビーガンのJAS規格を、私も二〇一九年から議連をつくりましてやってまいりました、JAS規格を昨年成立をさせたわけであります。

 そのことに関して、ヨーロッパ等に先駆けてJAS規格を作ったわけでありますが、ベジタリアン、ビーガンに適した食品等について国家規格を決めて定めているのは現在日本だけだと承知しておりますが、よろしいでしょうか。

野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、農林水産省では、今、委員御指摘のとおり、ベジタリアンやビーガンに適した加工食品や飲食店を求める消費者や訪日の客が適切に商品や飲食店を選択することが可能となるように、昨年の九月に加工食品と飲食店の二つのJASを制定したところでございます。御承知のとおりでございます。

 また、ベジタリアンやビーガンに適した食品の規格は、英国のガイドラインやISOなどにおいて民間規格は存在いたしておりますが、国家規格を制定したのは我が国が初めてでございます。また、飲食店の規格は民間規格も含めても我が国が初めて制定したものでありまして、議連の皆さんの積極的な御支援、御指導のおかげだというふうに感謝を申し上げたいと思います。

 現時点で把握する限りにおきましては、他国において国家規格が制定されている状況にはないというふうに承知をいたしております。

松原委員 私は実は議連の事務局長として、前は河村建夫さん、今は山口俊一さんでありますが、徹底して進めてきたのは、とにかく日本が、精進料理もあって、大変に昔から歴史的にこういったビーガン、ベジタリアン、日本料理の中にある。世界で最初に国家規格を作り、世界をこの日本の国家規格で席巻するべきだという大層な野心を持って進めたわけでありますが、これが今、そこまで盛り上がっているのかなと若干疑問であります。

 現状、いわゆる世界初の国家規格であるベジタリアンJAS、ビーガンJAS、国内外における活用の状況、今後の普及促進、どうするのか、御所見をお伺いします。

野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、ベジタリアン、ビーガンのJASの活用に向けて、本年一月には日本ベジタリアン協会が登録認証機関として登録され、現在、事業者の認証に向けて審査を行っているところでございます。また、海外においても、韓国の認証機関が、JASの認証を行いたいとして、本年五月に登録外国認証機関として登録されたところでございます。

 これまで農林水産省では、本規格の普及に向けまして、事業者や地方公共団体に向けた新たなJASの説明会、あるいはフェイスブックでの情報発信、あるいは観光庁との連携による観光事業者に向けたセミナーでの紹介などをいたしているところでございまして、今年度は規格を分かりやすく紹介する動画を日本語、英語で作成するなど、更なる普及に取り組んでまいりたいと思っております。

松原委員 韓国で日本のビーガンJAS規格を取得する会社が出てきたというのは、大変興味深い、いい話だと思っております。

 ただ、まだ日本国内においても、ビーガンJAS、ベジタリアンJAS、作ったときにはコンタミの問題を含めて随分専門的な議論を私もいたしました。そして、これに関しては、言ってみればレストランJASも作ったわけでありますが、こういったものがまだまだ、一般の国民に十分に伝わっているかといえば、そうではない。

 もちろん、それぞれのJAS規格は、農林水産省は、それぞれ自分で頑張れというのが基本的な立ち位置かもしれませんが、やはり、今この状況で、世界に先駆けて日本側のJASを先行、席巻するというのは、国家戦略としても、大げさに言えば、十分に必要だと思っておりますので、大臣の指導力を御期待申し上げたいと思っております。

 続いて、小笠原の問題をお伺いします。

 小笠原は、大変に今、インバウンドも増えてきていて、大変にこれから小笠原の振興、小笠原の世界遺産、自然遺産というのは価値が出てくると思っておりますが、小笠原諸島の国有林野内における一般の方の通行を可能としている指定ルート、これはどうなっていくのか、農林水産大臣にお伺いいたします。

野村国務大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の指定ルートにつきましては、元来、地域住民等が利用していた歩道でありまして、林野庁が小笠原村やボランティアと連携しながら維持修繕を行ってきたところでございます。

 このような中、小笠原村から、一部の指定ルートについて接続している民有林内の歩道と一体的に管理をしたい、こういった要望を受けまして、本年三月に契約を締結し、無償貸付けを行ったところでございます。

 このため、今後、当該部分につきましては小笠原村が主体的に管理することとなりますが、今後とも地元と連携しつつ対応していきたいと思っております。

松原委員 私も現地へ行ったこともありますし、最近の写真を見ても、かなり、ちょっとこれで大丈夫かというふうな状況になります、落木が横になっていたり。ですから、やはり世界遺産にふさわしい環境を、日本国家としてのプライドに懸けて、是非とも整備していただきたいと思っております。

 そこで、環境省にお伺いしますが、この指定ルートを含む歩道について、小笠原国立公園の公園事業としてどう位置づけるのか、御所見をお伺いします。

西村(明)国務大臣 環境省におきましては、世界自然遺産かつ国立公園であります小笠原諸島につきまして、関係機関と連携して、適切な保護と利用に取り組んできております。

 松原委員御指摘の、指定ルートを含む歩道を小笠原国立公園の公園事業として位置づけることにつきましては、現在、小笠原村から御相談をいただいているところでございます。具体的な内容につきましては今後精査が必要ではありますが、環境省といたしましては、村の意向をしっかりと踏まえて、前向きに農林水産省を始めとした関係機関と調整をしてまいりたいと考えております。

松原委員 次に、指定ルートを含む歩道の維持修繕を含め、小笠原諸島の観光振興については、小笠原村、これは非常に担税力というか財政力、小さいですよね。これだけではなくて、地元といえば、それが所在をしている東京都もステークホルダーとして位置づけられると考えられます。つまり、小笠原村若しくは東京都が、この小笠原村の指定ルートについての直接的地元として、ステークホルダーとしてみなすことはできるのではないかと思っておりますが、担当国土交通大臣の御所見をお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 小笠原諸島は、我が国の領域、それから排他的経済水域の保全、それから海洋資源の利用という非常に重要な役割を持っておりますし、それに加えて自然との触れ合いの場の提供という重要な役割を担っており、その振興開発は極めて重要でございます。

 本土から遠く離れ、四方を海に囲まれた小笠原諸島の、厳しい自然的、地理的条件に起因する不利性の改善や、地域特性を生かした振興を図るため、これまで小笠原諸島振興開発特別措置法に基づいて各種施策を実施してまいりました。この法律では国や地方公共団体の責務が規定されておりまして、振興開発計画の策定主体である東京都についても、振興開発のために必要な施策を実施する責務を有しております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、東京都そして小笠原村と連携しながら、小笠原諸島の振興開発にしっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますし、東京都との連携、その責務を持っている東京都としっかり連携していきたいと思います。

松原委員 質問が終わった農林水産大臣と環境大臣、どうぞ御退席していただいて結構です。ありがとうございました。

 次に、カンナビジオール、CBDといいますが、これについては厚生労働大臣に御質問を申し上げます。

 大麻草の有用な含有成分であるカンナビジオール、CBD、これがてんかんに有効であるというのは、アメリカではてんかんの薬として既に使われておりますが、この諸外国を含む利活用状況についての大臣の御所見をお伺いいたします。

加藤国務大臣 まず、大麻及び大麻樹脂の取扱いについて、令和二年二月に、国連麻薬委員会において位置づけが見直され、特に危険で医療上有用性がないというカテゴリーから、医薬上の有用性が認められ医療用途での使用が可能という、カテゴリーの変更がなされました。

 また、それ以前から、今委員が御指摘のように、欧米諸国においては、大麻草から製造されたCBDを有効成分とする医薬品が重度のてんかんなどの治療薬として承認されたという動向は承知をしております。加えて、欧米諸国では食品や化粧品などの分野でのCBDの利用も進んでおり、我が国においても、大麻の規制対象外である種子等から抽出されたCBD成分を含む製品が海外から輸入され、食品やサプリメントの形態で販売されている実態があると認識をしております。

松原委員 このCBDに関しては、昨年の骨太方針でも「大麻に関する制度を見直し、大麻由来医薬品の利用等に向けた必要な環境整備を進める。」、こうあるわけでありますが、問二で申し上げたいことは、大麻取締法の改正に向けて関係審議会で規制の見直しに関する議論が行われたが、CBDの利活用に関してはどのような議論や方向性が今あるかをお伺いいたします。

加藤国務大臣 先ほど申し上げた動向を踏まえて、厚生科学審議会において大麻の規制の在り方について議論を行ってきたところでございます。

 昨年九月の審議会の取りまとめでは、大麻から製造された医薬品について、大麻及び向精神薬取締法の流通規制の下で、その製造、輸入及び施用を可能とすべきであるということ。また、先ほど申し上げた、海外から製品が輸入されているカンナビジオールには有害性がないものの、大麻に含まれているテトラヒドロカンナビノールには有害性が認められることから、これはTHCといいますが、THCに関しては残留限度値の設定や明確化を進めていくべきとの観点から、今、大麻草の部位による規制をしておりますが、有害成分に着目した規制体系に移行すべきとの方向性が示されたところでございます。

松原委員 このTHC成分というのは極めて簡単にまた生まれる、CBDから、加熱して若干硫酸を加えるとTHCが生まれるとか、この辺をどうやって規制するかというのは極めて重要なことと承知しておりますが、問三でお伺いしたいことは、大麻取締法の改正については、今国会では提出が検討されたけれども、できていないということであります。

 必要な検討を進めて、早期に国会に、できれば閣法として提出をするべきだと考えておりますが、担当大臣の御所見をお伺いいたします。

加藤国務大臣 先ほど申し上げました審議会での議論などを踏まえて大麻取締法や麻薬及び向精神薬取締法の改正に向けた検討を進めているところでございますので、引き続き必要な作業を行い、そして、法改正が必要であればそれに沿った対応をしていきたいと考えております。

松原委員 これは産業としてもかなり大きな、冒頭文部科学大臣にお伺いしたeスポーツもそうでありますが、ビーガンもそうなんですよ、やはり、新しい時代の産業として、従来はそれほど脚光を浴びていなかったけれども、これからはこういったものは新産業としての立場も持ってくるだろうということですから、国際社会の流れに遅れることなく、日本は先んじてこういったものも法整備をして、そして利活用するべきだと思っておりますので、担当大臣のリーダーシップに御期待をしたいと思っております。

 厚労大臣、ここまでで結構です。どうぞお引き取りください。

 次に、法務大臣、共同親権の問題であります。これは大変な問題であります。

 私もこの共同親権の議連の副会長として活動しているわけでありますが、先般、五月の二十六日、共同親権支援議員連盟が、齋藤健法務大臣に、共同親権を原則とする制度の導入を求める提言書を出したわけであります。私もこの議連の一員として何回も法務大臣に意見、提言を出しに来たわけでありますが、いよいよ大きな山場を迎えている。

 やはり、共同親権は当たり前であって、それによって、例えばDVとかが起こるのは違う法律でこれは規制をするべきだ、こう思っているわけでありますが、この共同親権の提案書、せっかく出されました。法務大臣としてのこの扱いの決意をお伺いしたい。

齋藤(健)国務大臣 まず、今月二十六日に、共同養育支援議員連盟の皆さんから、離婚後の共同養育を実現するための法案の早期提出などを内容とします御提言をいただいたところであります。その場でも、来ていただいた全員の方から御意見を個別にいただきました。

 この問題は、父母の離婚後の子の養育の在り方などの家族法制については本当に様々な意見がございますので、幅広く意見に耳を傾けながら、しっかりと議論することが大事だと思っています。

 父母の離婚後の親権制度も含む父母の離婚等に伴う子の養育の在り方につきましては、御案内のように、現在、法制審議会において調査審議が進められているところでありますので、諮問をした立場である私が諮問答申の前に具体的な意見を述べるということはやはり差し控えるべきだと思っていますが、ただ、子の利益の観点から、充実した調査審議がやはりスピード感を持って行われていかなくてはいけないと思っておりますので、我が法務省の担当部局には、その調査審議をしっかりと支えるように、改めて指示をしたいと思っています。

松原委員 この共同親権というのは本当に世界では当然になっていて、私も被害者であった子供さんと会いました。片っ方の、母親に連れていかれて父親にずっと会えなかった。やはりそれは、子供の権利として、会いたい、別に父親が自分に暴力を振るったわけじゃなかった、こういった話も聞かせてもらいました。

 私は、やはりそこは、先に子供を連れていった側が一方的に子供に対しての様々な権利を行使するのではなく、やはり両親が同じようにそういった権限を持つのが私は妥当であると。冒頭申し上げましたように、そのことのDVとかその他の面は、ほかの法律でこれは規制されるべきだ、このように思っております。

 したがって、今大臣から、早期にということがありましたが、早い段階でこの共同親権に関しては是非とも方向性を出すように、現場に対して促していただきたいということを強く御要請を申し上げたいというふうに思っております。

 何か御意見ありますか。

齋藤(健)国務大臣 早期に結論を出すということは私もそう思っていますし、私も実は経験者でありますので、いろんな思いが本件にはあります。

松原委員 大臣、経験者であれば、是非とも経験を踏まえて、前向きにお願いしたいと思っております。

 続きまして、商業登記法における問題ということでありますが、虚偽の役員全員解任の登記申請を利用した乗っ取りで逮捕者が出ているような会社、またそのリスクを感じている会社については、その希望により、役員全員解任の登記申請がされた場合、登記所から会社への登記完了前に通知する制度を設けることを検討すべきではないか、このように思っております。

 大臣の御所見をお伺いいたします。

齋藤(健)国務大臣 これは大変微妙な案件だと思うんですけれども、現在は、会社の役員全員の解任を内容とする登記の申請があった場合には、原則として、登記完了後に会社へ郵便で連絡することとしているわけでありますが、申請者の申請権限に疑義がある事案については、登記官の判断により、登記をする前に連絡をすることも妨げないとしているところであります。

 具体的には、当該会社から不正登記防止申出がされている場合や、会社の規模等に照らし申請権限に疑義がある場合など、申請者の申請権限に疑義がある事案であると判断される場合には、登記完了前に会社へ連絡することとしているわけであります。

 微妙だと申し上げましたのは、この不実の登記の防止の要請は極めて重要である反面、迅速な公示を実現し、取引の安全を図ることも重要であるということでありますので、これらの要請の均衡を図る必要があるというふうに考えておりまして、不正登記防止申出制度の活用も含めて、商業登記制度の適正な運用に努めていきたいというふうに考えています。

松原委員 実際これで被害に遭いそうになった会社があるものですから、全員の取締役を解任して、ある人間が一人でなる、できてしまうんですね、今は。やはりこれは法の抜け穴であるというふうに言わざるを得ないので、是非ともここはきちっと対応できるようにお願いをしたいと思っております。

 次に、羽田低空飛行問題に関してお伺いします。

 羽田低空飛行問題を議論する様々なポジションの中において、後方乱気流管制方式の変更によって飛行間隔はどれぐらい短くなるのか、恐縮ですが、具体的なことですが、大臣にあえてお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 国際民間航空機関、ICAOにおきまして、航空機の飛行間隔を設定するための後方乱気流区分が細分化されました。これに伴いまして、令和二年には、日本においても、羽田空港や成田空港の後方乱気流管制方式を変更したところでございます。

 後方乱気流管制方式の変更によって実際に航空機同士の飛行間隔がどの程度短縮するのかという点につきましては、先行機と後続機の組合せや、気象条件、周辺の航空機の状況に応じて安全性を確保するために必要な飛行間隔が異なるため、一概にお示しすることは困難でございます。

 その上で、例えば、ボーイング社B777型機、いわゆるトリプルセブンと言われているものですが、これが先行して、そしてエアバス社A320型機が続く場合には、後方乱気流管制方式の変更によって、飛行間隔の基準は一マイル、約千八百メートル程度の短縮が可能となります。

松原委員 これは時間にするとどれぐらいの差かというのは、大臣が答弁を用意していなければ、担当技官、答弁してください。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 飛行機のスピードにもよると思いますけれども、一分内外ではないかというふうに推定されます。

松原委員 ということは、一分内外の短縮ができるということですから、そうすると、従来のセオリーと違う結論を導き出すことができるのではないか、こう思います。

 羽田のルートは今変えようというふうな議論もあるわけですが、現実的にそれができるかどうかの議論で、地域の方々からは、この後方乱気流の問題で一分の短縮ができるならば、実は一定できるのではないかと思っております。

 これに対して、国土交通省は、いわゆる固定化検討会において議論はされていますか。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 羽田空港の後方乱気流管制方式の変更によりまして、先行機と後続機の組合せによって、飛行間隔短縮、先ほども申し上げたとおりでございますが、これは空中で待機する機体の数が減少するという形で、一定の効果、空中待機等々が解消されるという形で、効果があるというふうに考えてございます。

 その一方で、先ほどおっしゃった、今、羽田については固定化回避の検討を行っておりますが、これは羽田空港の処理能力、そちらの方面からの話かと思っております。

 羽田空港の処理能力につきましては、空中におけます飛行中の飛行機相互の飛行間隔というわけではなくて、空港におけます離着陸時の航空機が滑走路を占有する時間などの要素によって左右されるものでございます。この後方乱気流管制方式の変更によっては、羽田空港の処理能力が増加することはないというふうに考えておるところでございます。

 今、固定化回避の検討を行っておりますが、この面につきましては、後方乱気流関係については検討の対象となっていないというところでございます。

松原委員 何か専門的なことをおっしゃって納得させようとしているのかもしれませんが、やはりちょっと、もう一回これはやりましょうよ、後で。お願いします。

 大臣の皆様はお帰りになった後ですが、資源リサイクル、土居さんいますか。大臣は帰られましたが、さっき言ったように、流山にしても、習志野にしても、八千代にしても、船橋にしても、やはり情報が現場にきちっと下りていないというのは、それは、大臣もそのことは認識してもらわなきゃいけないし、やはり担当の部局もやらなければいけないわけでありまして、これをこの場でもう一回徹底するということを土居さんからもおっしゃっていただけますか。

土居政府参考人 先ほど大臣からもお答えさせていただきましたが、この通知に関しましては、昭和四十五年に廃棄物処理法が制定されたときから考え方は変わらず、それを徹底するという趣旨で出させていただいたものでございますので、最終的には市町村にも徹底できるということが重要でございますので、様々なツールを使いまして徹底に努力していきたいというふうに考えています。

松原委員 決算行政で取り上げたんだから、本当に徹底してくださいね。土居さんは我々資源環境リサイクル議連の活動に非常に熱意を持って応えてもらっていますが、是非ここも、また例のシートベルトの件も含めて、よろしくお願いしたいと思っております。

 eスポーツについては、これも大臣がお帰りになりましたが、やはり学校教育や高齢者福祉の広い利活用、これは何か具体的に文部科学省として進める方向性というものがあれば御披瀝をいただきたい。

角田政府参考人 お答えいたします。

 eスポーツにつきましては、先ほど大臣が御答弁いたしましたように、高校生を対象とした大会の開催、また、部活動としてeスポーツが行われている事例があると承知をしているところでございます。

 eスポーツの部活動の状況でございますが、高校や中学におきましてeスポーツ部が設置されていたり、また、コンピューター部の中でeスポーツに関する活動が行われていたりすると承知をしているところでございます。

 また、高齢者につきましては、例えば、熊本県の美里町におきまして高齢者サロンにおいてeスポーツ体験を実施する、こういった事例があるところでございまして、こういった国内外の状況あるいはスポーツ団体の動向等を踏まえつつ、今後スポーツ庁といたしましてもしっかりと対応を検討してまいりたいと考えております。

松原委員 どんどん進めてもらいたいと思います。やはり、eスポーツも世界の潮流に一周半負けているようじゃしようがないので、頑張ってください。

 あと、ビーガンとベジタリアンに関しては、先ほど農林水産大臣がお答えになりましたが、やはり、ビーガン大賞とか、食の大賞とかを農林水産省として設定して、ビーガンやベジタリアンのイメージアップというものをやるべきではないかという声もあります。

 これは通告をしていないわけでありますが、例えば、食品で、実際の肉ではない、豆腐から作った肉、大豆から作った大豆ミート等を使って、そういうのをする、ビーガン大賞をつくる、いい料理を出したと。これは海外でやっているんですが、日本で余りそういったものは行われていないわけであります。こういったものをつくることも含めて、振興する可能性があるかどうか、担当の局長ですか、お伺いします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 ベジタリアン、ビーガンにつきましては、まさに世界的にも増加しておりますし、インバウンドの増加を考えても、我が国で非常に対応すべき課題と考えております。

 今委員から御指摘がございました、大豆を使った、大豆たんぱくなどにつきましては、別の仕組みでございますけれども、フードテックの振興という形で、我々もそちらも支援しておりますので、委員の御指摘のような表彰制度を採用するかどうかというのはこれからの検討とさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、そういった方々に対応した食品が気軽に手に取れる、あるいはよく普及できるように、これから対策を講じてまいりたいと考えております。

松原委員 検討していきたいと。検討していきたいという言葉は、私は、フードテックの観点からも、こちらの議連も私、事務局長をやっていますから、フードテックの観点からも重要なので、予算をつけて、フードテックはもう三周遅れぐらいですから、世界に対して。頑張っていただきたいと思います。

 大臣、もうそろそろ、お二方、大丈夫ですよ。結構です。ありがとうございます。

 最後に、内閣府に、公文書というものはどういうものか、何が公文書に該当するのか、このことについて、担当局長ですか、お伺いしたいと思います、内閣府。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 公文書、法律上は公文書等と申し上げていますが、公文書等は、国、独立行政法人などの諸活動、歴史的事実の記録であって、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの、そういうふうに法律上はなっております。

 先生御質問の、公文書等は具体的にどういうものかということについては、まず第一に、行政機関、独立行政法人などの職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関や独立法人等の職員等が組織的に用いるものとして、当該行政機関や独立行政法人等が保有している行政文書等、これが一つのカテゴリーです。

 それからもう一つ、公文書管理法の規定に基づいて国立公文書館等に移管された文書など、これが二つ目のカテゴリーでございまして、以上二つをまとめて公文書等というふうに言っております。

松原委員 今日は時間的に外務大臣は呼んでおりませんが、あさっての外務委員会でこれはきっちりと話を詰めていきたいと思っています。

 つまり、内務省が戦前作った文書は、今のカテゴリーでいくと公文書であります。その公文書に書かれていることを主張するというのは、公文書館を、私も公文書館をつくる超党派の議連の副会長をやっておりますが、メンバーをやっておりますが、公文書館をつくるという意味は、そういった公文書をもって、様々なエビデンスとして我々は使っていくということです。

 そのことに関して、今日はもう時間がないので議論しませんが、次回の外務委員会で、徹底して、林さんを含めて議論していきたいと思っております。

 今日はありがとうございます。以上で終わります。

江田委員長 次に、大河原まさこ君。

大河原委員 立憲民主党・無所属の大河原まさこです。

 本日の質疑も、車椅子から着座のままさせていただきます。委員長始め委員各位の御了解、御配慮に感謝して、質問に入らせていただきます。

 本日は、有機フッ素化合物による地下水汚染問題について質問いたします。

 長年、私は、東京の水連絡会の市民の皆さんとともに活動してきました。私は、命の源である水や空気、土を汚さない暮らしを実践する方々とも思いを同じくし、水は最重要な公共資源として大切に守り続けていきたいと考えています。

 さて、今、私の地元である東京多摩地域で、有機フッ素化合物による地下水と水道水の汚染が大きな問題となっています。

 有機フッ素化合物は、熱に強く、油や水をはじく性質で、泡消火剤を始め、焦げつかないフライパンやレインコート、カーペットなどの防水加工材料として、身近なところで便利に利用されてきました。

 PFASの一種であるPFOS、PFOAは、人体に有害であることが分かり、しかも自然環境中で極めて分解されにくいことから、永遠の化学物質とも言われています。

 その永遠の化学物質が、多摩地域の地下水から検出されました。汚染された地下水が浄水場を経て水道水として供給されてきており、日々、知らず知らずのうちにその化学物質を体内に取り込み、蓄積してきたのです。

 沖縄県では、二〇一六年一月、県民に水道水を供給している北谷浄水場で米軍嘉手納基地から出たと見られる高濃度のPFOSが検出され、その後も、米軍基地周辺の河川や湧き水、土壌からPFOS検出のニュースが後を絶ちません。汚染源が米軍基地内である可能性が極めて高く、基地内への立入調査を求めていますが、日米地位協定に阻まれ、調査が許されないまま今に至っています。

 米軍基地周辺での汚染は、沖縄県だけではなく、まさに多摩地域の地下水汚染も横田基地が汚染源の一つと考えられ、厚木基地や横須賀基地でも同様の問題が発生しています。しかし、いずれも汚染源の特定には至っておらず、その影響は計り知れません。

 そこで、まず汚染源の特定に関して伺います。

 汚染対策には、汚染源を特定し、汚染除去をすることが必要です。地下水が汚染されている状況をどのように把握されているのか、お尋ねいたします。

針田政府参考人 お答えいたします。

 PFOS等につきましては、令和二年に水質の要監視項目に指定したことを受けて、自治体が地域の実情に応じてモニタリングを実施し、環境省において結果を取りまとめ、公表しているところでございます。

 令和三年度の調査では、公共用水域と地下水を合わせて千百三十三地点で測定が実施され、そのうち八十一地点で、暫定指針値の五十ナノグラム・パー・リットルを超えるPFOS等が検出されております。

 暫定指針値を超過した地点につきましては、令和二年に策定したPFOS及びPFOAに関する対応の手引きにおいて、地下水の飲用を控えるように周知することや、継続的な監視や追加調査を行うことなど、自治体の対応方針を示すことで対応を促進しているところでございます。

大河原委員 今の御答弁で、以前から汚染が把握されていた、しかも、かなりの汚染地域が、井戸があるということが分かりました。

 多摩地域の水道水として利用している取水井戸からも有機フッ素化合物が検出された問題で、東京都が取水を停止した井戸は七市、十一の浄水施設で三十四本にも上ります。しかし、取水を停止するだけでは問題は解決いたしません。汚染の対策には、まず汚染源を特定し、除去することが必要だからです。

 では、次に、水道水の汚染状況を伺いたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 水道におけるPFOS、ペルフルオロオクタンスルホン酸及びPFOA、ペルフルオロオクタン酸につきましては、三年前、令和二年四月から水質管理目標設定項目に位置づけました。PFOS及びPFOAの合算値で、水道水一リットル当たり五十ナノグラム以下とする目標値を設定しております。同項目に設定して以降、水質事業者等に対して水質検査の実施を要請しております。

 このPFOS等に関する水質検査の結果ですが、現時点では令和二年度の結果が取りまとめられております。昨年十月に日本水道協会のホームページで公表されております。

 この令和二年度の結果につきましては、全国五百八十九地点のうち五地点において目標値を超過しました。

 そこで、厚生労働省としては、目標値を超過した五地点の水道事業者に対して、その後、対応状況について聞き取りを行いました。現時点では、PFOS及びPFOAの濃度低減を図り、目標値の範囲内に収まっているところを確認しております。

大河原委員 重ねて申し上げたいと思いますが、汚染地下水をくみ上げなければよいというわけではありません。私は具体的な汚染対策がまだまだきちんと立てられていないと考えておりますが、このように大問題である、PFOS、PFOAによる汚染問題について国としてどう取り組んでいくのか、大臣に伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 大河原委員の御指摘のPFOS等につきましては、関係自治体や地元住民の皆様から不安や更なる対策を求める声が上がっておりまして、そうした住民の皆様の不安の声を真摯に受け止める必要があるというふうに考えております。

 こうした声や国際動向を踏まえまして、本年の一月に二つの専門家会議を設置して、現在、科学的見地から御議論いただいているところでございます。専門家会議では、暫定指針値を超過した地点の対応に関して、自治体向けのPFOS及びPFOAに関する対応の手引きを充実させることの必要性につきましても御指摘をいただいているところでございます。

 引き続き、専門家会議での議論を深めて、その結果を踏まえた国民の安全、安心のための取組、これをしっかりと進めてまいりたいと考えております。

大河原委員 PFOS、PFOA汚染については、沖縄や東京多摩地域に限らず、全国的な問題です。有機フッ素化合物汚染は、いまだ汚染源の特定もされず、有効な対策もないままに、市民の不安は募るばかりです。一刻も早く汚染源を特定すべきです。仮に、汚染源の特定ができない、あるいは必要以上に時間をかけるなら、国の責任として不安を解消するために必要な対策をきちんと講ずるべきです。

 二〇一九年、NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議が中心となって、東京都国分寺市、東恋ケ窪浄水所と府中武蔵台浄水所から配水される区域に五年以上居住する市民二十二人の血液検査を行いました。血中濃度の平均が、府中市で全国平均の二倍、国分寺市で一・五倍だったと判明し、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議は、環境省と東京都に、多摩地域の住民の健康調査を求める提言書を提出しました。

 さらに、今年、市民団体、多摩地域の有機フッ素化合物を明らかにする会は、多摩地域に暮らす市民六百人の協力を得て血液検査を実施しました。立川市民である私も検査に協力しています。その結果、国分寺市と立川市での数値が高いことが明らかになっています。

 今後は、国の責任において、大規模な健康調査で実態をより明らかにし、対策を立てる必要があると考えます。

 一部検査結果が公表されると、検査を受けていない市民の方々から、是非自分も検査したいとの声が多数寄せられています。

 そこで、伺います。希望する人は誰でも有機フッ素化合物の血中濃度を知るための血液検査を受けられるようにすべきと考えますが、大臣の御所見を伺います。

西村(明)国務大臣 現時点におきましては、厚生労働省によりますと、PFOS等については、血中濃度と健康影響との関係を評価するための科学的知見は十分ではないというふうになっていると承知しております。

 一方で、先ほど申し上げましたように、地元住民の皆様のPFOS等に対する不安の声、これを真摯に受け止めていく必要があるというふうに認識しております。

 環境省といたしましては、PFOS等への対応に関する専門家会議の中で、様々な科学的知見を収集、評価した上で、国民の安全、安心のための取組をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

大河原委員 健康調査は、継続的、持続的に必要です。立川市の民間病院では、血液検査を受けた人を対象に相談窓口が開設されました。東京多摩地域の六百名の血液検査の最終報告が近々出されると聞いています。市民の不安を払拭するための施策が必要であることはもちろんですが、まずは汚染濃度が高い地域だけでも、希望する人が血液検査を受けられるようにすべきです。

 次に、報道されております沖縄への支援金十六億円について伺います。

 大工廻川と合流する比謝川を水源に含む県管理の北谷浄水場で、有機フッ素化合物、PFASの除去に使う活性炭切替え事業が約十六億円に上り、国が費用負担したという報道でした。その件について伺います。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 沖縄県の北谷浄水場につきまして、令和元年度から、この浄水場を管理する沖縄県によりまして、粒状活性炭吸着池の設備改良が行われております。これは、浄水過程において水中の有機物や臭い、色のもとを吸着して取り除くために活用される粒状活性炭を新しいものに取り替えるものでございます。

 沖縄県の御要望を踏まえまして、議員御指摘のとおり、防衛省として、実施設計に加えまして、既存の粒状活性炭の撤去及び新たな粒状活性炭の投入等を内容といたします施設工事に対して、令和元年度から補助を行っているものでございます。

 防衛省は、防衛施設の設置又は運用により周辺地域に障害が生じる場合に、その緩和に資するために地方公共団体が行う施設整備に対して補助を行っております。

 北谷浄水場は嘉手納飛行場等に飲料水を供給しておりまして、この設備改良事業は、嘉手納飛行場等への水の供給により浄水場にかかってきた負担に対応するものでございまして、北谷浄水場から嘉手納飛行場等への飲料水の供給を継続的かつ安定的に行うために必要な事業でございます。そのために防衛省として補助金を交付しているものでございます。

 防衛省といたしましては、PFOSをめぐる諸問題につきまして、沖縄県民を始めとする地域住民の皆様が不安を抱えておられることを受け止めまして、政府全体として取組を進めております。

 現時点で米軍とPFOS等の検出との因果関係について確たることを申し上げることは困難であるものの、本件事業は基地周辺住民の皆様への安心、安全な飲料水の供給に寄与するものと考えてございます。

大河原委員 活性炭の切替えは何回も行われると思いますが、こうした費用支援は今後とも継続すべきだと考えます。いかがでしょうか。

小野田大臣政務官 防衛省の補助は、地方公共団体からの御要望や具体的な計画をお伺いした上で、障害の実態等を踏まえ、関係法令に基づき個別に判断することとなります。

 そのため、地方公共団体が今後行う事業を予断して、それが補助の対象となるかをあらかじめお答えすることはできないことを御理解いただきたいと思います。

 いずれにしても、防衛省としては、地方公共団体から御要望があれば、お話を丁寧に伺いながら、防衛施設の設置又は運用による障害の実態等を踏まえて適切に対応してまいります。

大河原委員 PFASによる地下水汚染問題、河川の汚染問題、全国的なものでございます。全国どの自治体にも適用されてしかるべきと思いますが、防衛施設の管理上も、是非とも、自治体からの要請に、迅速にそして誠実に向き合っていただきたいというふうに思います。御所見をお願いします。

小野田大臣政務官 先ほど申し上げましたとおり、防衛省としては、地方公共団体から御要望があれば、お話を丁寧に伺いながら、防衛施設の設置又は運用による障害の実態等を踏まえて適切に対応してまいります。

大河原委員 PFOS、PFOAは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約において規制され、国内でも化学物質審査規制法によって製造、輸入が禁止されています。使用も禁止するのが当然ではないかと考えますが、実際には使用されている事例があると聞きます。それはどんな事例なのか、御紹介ください。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 PFOSは二〇一〇年、PFOAは二〇二一年に、それぞれ化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質に指定されており、現時点では既に、製造、輸入とともに、工業的な使用については全面的に禁止されております。

 一方で、この指定以前に既に市中に出回っていたPFOS等を含有する製品の使用につきましては、可能となっております。

大河原委員 製品になっているものというものは、回収をしたわけではありませんから、泡消火剤など、やむを得ず使用した例もあるのではないかと思います。やむを得ず使用した場合の報告や周辺への情報提供が必要だと私は考えます。

 そこで、伺います。泡消火剤の国内の在庫量は三百四十万リットルと聞きました。これをなくすための施策について伺いたいと思います。

 防衛省で公表されている基地や船舶にある泡消火剤を二〇二三年度までに全て処理する計画があります。進捗状況はいかがでしょうか。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきまして、令和二年二月、防衛省におけるPFOS処理実行計画を定めまして、PFOSを含有する泡消火薬剤等の交換及び処分を迅速に行うこととし、取組を進めてきております。

 この計画におきましては、委員御指摘のとおり、令和五年度末までにPFOSを含有する泡消火薬剤等の処理を完了することを目標としておりまして、順次進めてきておるところでございます。

 なお、交換されたPFOSを含有する泡消火薬剤等につきましては、関係法令及び環境省が定める技術的留意事項に基づき、焼却処分をしているところでございます。

大河原委員 消防庁は、令和四年度末までに現在保管しているPFOSを含む泡消火剤を全て廃棄する計画を立てるよう令和二年六月一日に通知していますが、これは達成されたんでしょうか。伺いたいと思います。

澤田政府参考人 消防庁では、平成二十二年にPFOS及びその塩が、法令に基づき輸入、製造の禁止、使用の制限の対象とされたことを受けまして、各消防本部に対しまして、PFOS等を含まない泡消火薬剤への早期切替えを要請したところでございます。

 令和元年十二月末時点でも二百十九の消防本部において合計約百三十万リットルが保管されていたことから、令和二年六月には、改めて各消防本部に対しまして、これらの切替えを計画的に進め、令和四年度末に廃棄を完了するよう求めるとともに、令和二年度から三年間に限りまして、廃棄等に要する経費に特別交付税措置を講じることといたしたところでございます。

 令和五年四月時点でございますが、そのうち総量百十九万リットル、約九一・五%が廃棄されたものの、PFOS等を含む泡消火薬剤を処理できる事業者が限られ、処理能力にも限界があるなどとの理由で、六つの消防本部において約十一万リットルが保管中でございます。これらの廃棄の完了時期につきましては、多くの消防本部では令和五年度末、遅い消防本部であっても令和八年度末と見込んでおります。

 消防庁としては、引き続き、速やかな廃棄につきまして、しっかり強く働きかけてまいりたいと存じます。

大河原委員 ここまでの御答弁にいただきましたように、有機フッ素化合物は全国各地に存在しています。

 漏出防止策、漏出対応マニュアルはどうなっているのでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 PFOS及びPFOAを含有する泡消火薬剤の取扱いにつきましては、化学物質審査規制法に基づく技術上の基準を定める省令において、保管や移替えの方法、容器等の点検等を規定して、その漏出を防止するとともに、漏出したときの対応として、拡大防止のための応急措置や、漏出した泡消火薬剤等の回収等について規定をしております。

 環境省では、消防庁とともにパンフレットを作成し、これらの技術上の基準の周知に努めているところでございます。

大河原委員 土壌や、土や大気、水などを通して人へ暴露される有機フッ素化合物は永遠の化学物質と言われていますが、無害化するための方策は、方法はあるのでしょうか。

土居政府参考人 PFOS及びPFOAを含有します廃棄物につきましては、ストックホルム条約において、その成分が特性を示さなくなるように破壊する処分をすることと定められておりまして、主に焼却技術が用いられております。

 環境省では、平成二十三年からPFOS及びPFOA含有廃棄物についての焼却試験に取り組んでおりまして、PFOS及びPFOAを九九・九九九%以上分解できる方法を確認しております。

 この結果を踏まえまして、令和四年九月にPFOS及びPFOA含有廃棄物の適正処理に関しますガイドラインを公表しております。

大河原委員 御答弁ありがとうございます。

 焼却処分ということで破壊するという方法とお答えいただきまして、ちょっと驚きました。焼却をする、そのときの温度とか、もちろん燃やした後の処理などの問題も多数あるんだろうと思いますが、今後とも勉強させていただきます。

 水のような公共資源の汚染除去、無害化の促進は、私は本当に大きな行政の責任として行われるべきだと考えています。誰もが安全な水を飲むという基本的な権利を保障するという視点からの取組を強く望んでおります。

 次に、専用水道について伺います。

 学校や病院など大規模施設では地下水を専用水道として利用している例も多いと思いますが、専用水道も検査対象として対応しているのか、伺いたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 水道におけるPFOS及びPFOAにつきましては、先ほどお答えしたとおり、三年前、令和二年四月から水質管理目標設定項目に位置づけております。これ以降、委員御指摘の専用水道につきましては、専用水道の設置者に対しても、水道水に含まれるPFOS及びPFOAの検査の実施に努め、水質管理に活用するよう要請を行っているところでございます。

 もう少し具体的に申し上げますと、私ども厚生労働省の水道課長から、各都道府県、市、特別区の水道行政担当部局長宛てに発出している留意事項に関する文書がございます。その中に、水質管理目標設定項目に係る留意事項についてという項目を設けて、その中の基本的考え方として、水質管理目標設定項目については、水道事業者等において水質基準に係る検査に準じた検査等の実施に努め、水質管理に活用されたい、このような形での周知を図っているところでございます。

大河原委員 専用水道については、盲点にならないようにしっかりと監視していただき、管理者に対する支援もお願いしたいと考えております。

 そして、最後に、人への暴露調査について伺います。現在、環境省が行っている化学物質の人へのPFOS、PFOA暴露及び疫学調査は、どのようなものになっているでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のPFOS及びPFOAに関する人への暴露及び疫学調査として、環境省では、子どもの健康と環境に関する全国調査、エコチル調査と、化学物質の人へのばく露量モニタリング調査を実施しております。

 エコチル調査は、化学物質等の環境要因が健康に与える影響を解明することを目的として、約十万組の親子に御協力をいただき実施している疫学調査となっております。

 また、化学物質の人へのばく露量モニタリング調査は、一般的な国民の化学物質への暴露量を把握することを目的として、パイロット調査として現在実施しております。

大河原委員 エコチル調査につきましては、十万人の親子という大がかりなものと私も認識して、大変注目してまいりました。化学物質の人へのばく露量モニタリング調査は、一方で、対象者が九十名という小規模な調査となっていますが、エコチル調査は、国際的にも評価されていると聞いております。しかし、親子という限定もございますし、東京がそこに入っていないということも、ちょっと私としては疑問も持つところでございますが、限定的であることから、これではやはり、まだまだ不十分だというふうに言わざるを得ません。

 調査結果を有効に活用するためにも、今後は大規模そして継続的な化学物質の人への暴露調査が必要であると考えますが、環境大臣のお考えをお聞かせください。

西村(明)国務大臣 大河原委員の今御指摘の化学物質の人へのばく露量モニタリング調査の今後の調査規模や期間等につきましては、これまで環境省として行ってまいりましたパイロット調査、この結果を踏まえて、暴露量モニタリングに関する検討会において、有識者の助言をいただきながら、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

大河原委員 日本は清潔で安心できる国と言われております。家庭内でも様々な化学物質があふれている現状がありまして、全国各地で明らかになっている有機フッ素化合物による汚染は深刻だと私は考えます。

 地元東京多摩地域で問題になっている地下水汚染ですが、地下水は、非常にゆっくり、見えない水の道を移動していきます。地下水は社会的共通財産であり、汚染されたから取水を止めれば済むというものではありません。汚してから除去すると考えるのではなくて、未然防止、まずは汚さないという考え方に基づいた施策を基本にしていただきたいと思います。多摩地域の地下水を飲み続けられるものにしたいのです。

 そのためにも、汚染源の特定が急がれるだけでなく、有効な汚染源除去などの対応、自治体への支援に、国として責任を果たすよう強く要望いたします。さらに、有害化学物質全般の規制等も重要な課題であることを指摘して、本日の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

江田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

江田委員長 速記を起こしてください。

 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。今日は、三十九分もいただきまして、質疑をさせていただきます。よろしくお願いします。

 この決算行政委員会は本当に大切な委員会でございます。このメンバーを見ましても、元大臣経験者がずらりとおられるような会合でありまして、二〇〇三年に私が初当選したときに内閣委員会がこんな感じだったというか、元大臣経験者の皆さんがずらりとおられて。ただ、当時の内閣委員会は、今はもう活発に行われる委員会になっていますが、当時は警察と皇室だけということで、たまにしか開かれないというのが内閣委員会だったんですが、その後、横串を刺していこうということで、だんだん内閣委員会で審議することが増えてきて、今は活性化しているということでございますが。

 この決算行政、やはり、これまでやったことを検証するというのは大変重要であると思っております。そして、うまくいったものはうまくいったでしっかりと、なぜうまくいったかといいますか、みんなで喜んで、よし、もっとやろうということになりますし、失敗したものは失敗したで、これはなぜ失敗したのかということをしっかりと検証した上で次に生かすということが大切だと思います。特に、公費を入れているわけでありますから、しっかりと検証する、それがこの決算行政監視委員会の役割でありますし、大変重要な委員会だと思っております。

 この委員会で今日またこうしてお時間をいただき、質疑をさせていただくことをうれしく思っております。

 それで、今回は、平成三十年度決算外二件、令和元年度決算外二件の全般的審査ということでございまして、平成三十年の前の頃に、当時の安倍政権は生産性革命というものを高らかに打ち出されているわけでございますが、この生産性革命は今現在どうなっているのか、まず、事務方で構いませんが、教えていただけませんでしょうか。

龍崎政府参考人 答弁申し上げます。

 委員御指摘の平成二十九年に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきましては、生産性を劇的に押し上げるイノベーションを実現していくとともに、企業による設備や人材への投資を力強く促進することを通じ、日本経済を力強く成長させていくこととする、こういう整理がされてございます。

 先生御指摘の生産性革命につきましては、これまでに、ものづくり補助金、これは、平成二十九年度以降ですと、予算額で申し上げますと、一兆四千億円ほど累計で計上してございます。その後の事業再構築補助金などを含めまして、これまでに延べ七十万者ほど支援を実施してございます。

 それから、自社株式を対価としたMアンドAを行いやすくするための税制措置の創出、それから規制のサンドボックス制度の創設などによりまして、規制改革を通じまして、新たな技術やビジネスモデルの社会実装などの取組を行ってまいりました。

市村委員 そこで、大臣、そのときは大臣ではなかったと思いますが、大臣からして、今、この生産性革命はどう御評価されていらっしゃいますでしょうか、決算という意味で。

西村(康)国務大臣 私も当時官房副長官をしておりまして、その後も経済再生担当大臣もやりましたので、まさに生産性を上げていくことが日本経済にとって成長力を上げていくこと、そして賃上げにもつながりますし、結果的に、同じ時間でもより成果が上がるという意味では、時間を節約できるという意味で、いわゆる自身の関心のある趣味の時間であるとか、あるいは子育ての時間、家庭での時間に過ごせるという意味で、長い目で見て少子化にも資するもの、大きな効果がある、貢献できるもの、こういった意味で是非進めるべきということで、安倍政権の下で、このいわゆる生産性革命、中小企業を中心に、今お話がありましたけれども、約七十万者、中小企業全体の二割ぐらいに支援をしながら進めてきた。

 その結果、二〇一七年以降、我が国全体の生産性の伸びは、アメリカよりは低いんですけれども、その他の国とは遜色ない水準であります、伸びはですね。ただ、絶対値の水準がまだ低いということでありまして、これが全体として賃金、所得の低い背景の一つにもなっているわけでありますので、ここまで伸びはそれなりに来ていますけれども、ここからもう一段の生産性の向上をさせなきゃいけないという取組は必要だという認識であります。

市村委員 そのとおりだと思います。

 ですから、決算の場合は、まず何をやったのか、そこにどれだけの公費が投入されたのか、そしてそれがどういう成果を上げたのか、そして、その成果に基づいて今後の展望はどうなのかということをやはりしっかりと整理して議論しなくちゃいけないと思います。

 今、生産性革命については、絶対値は低いものの、伸びとしては世界第二番目だったという、二〇一七年以降ですね。ですから、一定の成果は上がってきているのではないかと思いますが、しかし、まさに大臣おっしゃったように、絶対値として、では、例えば、先ほど少子化対策にも資すると大臣おっしゃったんですけれども、この間、残念ながら、人口は減っているということになって、この間、少子化担当の方とも議論させていただいたときは、とにかくここから五年が勝負である、二〇三〇年までに今のトレンドを反転させない限り日本の人口はもう増えることはないとまで政府の方がおっしゃるぐらいの状況で、私は、その志、心意気はよしという思いでありますし、みんなで力を合わせてそうなるようにしていかないかぬ。

 なぜそう思うかというと、結局、経済成長というのが、前もここで申し上げたんですが、究極的には二つしかないんですね、理論上も。

 一つは、最も簡単な、分かりやすいのは、人口が増えるということであります。頭数が増えればそれだけ消費も増えるということで、様々な消費も増えていきますから、経済成長に資する。しかし、これはなかなか、時間もかかるし、そう簡単に、じゃ、子供を産んでくださいといっても、やはりちゃんとした環境を整えないと、今の若い世代は大変所得も低いというところもありますし、結婚して、子供を出産して子育てしようとしても、本当は一組のカップルから三人以上の子供が生まれないと人口増にはならないわけでありまして、今、三人持て、三人育ててくれといっても、今の段階では、それは勘弁してくださいということになるんだろうと思いますが。しかし、一つは人口を増やす。だから、そのための状況のことももちろん考えなくちゃいけない。

 もう一つが、一人当たりの生産性が伸びるということであります。だから、そこで生産性革命ということをやられて、一人当たりの生産性を伸ばそうという発想でやられたんだと思いますが、これから、今、六年ぐらいたってきて、なかなかまだその成果が大きくは見えないというところでありますから、さっき大臣がおっしゃったように、もう一段の、特段の流れをつくらなくちゃいけない、こう思っておるんですが、大臣、その点についてもう少し、これからに向けての展望を、ちょっと大臣の志を、また心意気を聞かせていただければと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、成長は、労働力、労働と、それから投資と、それから、それではなかなか計算できないそれ以外の生産性の伸びということの三つだと、ざっくり言えば、思います。

 この間、日本は、人口は減少に転じています。その中でも、女性の活躍を促進し、保育所を整備するなど、女性が働きやすい環境をつくってきた。あるいは、高齢者も、元気で意欲のある高齢者については働く機会を増やそうということで、様々な取組をしてまいりました。その結果、女性、高齢者を中心に、人口は減りますけれども、労働力は一定維持をしてきた。五百万人ぐらいはこの間増えてきているんだと思います。そういう意味で、労働も何とかここはやってきていますが、これがだんだん、もうこれ以上の、もちろん、女性が非正規から正規に替わる部分もありますのでこれはまだ少しはありますが、かなり限界に近づいてきている。

 一方で、投資もこの間なかなか行われずに、これはデフレが大きな要因で、デフレのときは現金で持った方が得だというのが一般的に、当然そうですね、相対的に物が下がっていますから現金の方が価値があるということですので、内部留保を増やすという企業行動を取ってきた。それが今変わろうとしているということでありますので、今年は、国内投資はバブルを超えて過去最高額になる見通しでありますし、百兆円を超えるということであります。

 そして、今日まさに御議論していただいている生産性も、伸びてきたけれどもまだ低いということで、それぞれ対応しなきゃいけない労働、働き方、そして設備投資、さらには生産性ということで、これをもう一段増やす。少子化対策と同様に、日本経済を成長軌道に乗せていくための、私も、この五年、あるいはこの三年ぐらいが本当に勝負のときだと思いますので、まさに人への投資も増やしながら、そしてデジタル化をしていく、デジタルの投資。

 私は、経済再生担当大臣のときに三つのニューディールといって、デジタルニューディール、グリーンニューディール、ヒューマンニューディールと、やるべきだということを主張してきましたけれども、まさに政府が呼び水となる支出をしながら民間の投資を促していく。

 これによって、この三つの分野、労働、投資、生産性を上げていくというところをもう一段やらなきゃいけないということで、経産省も、今回、人への投資、七百五十億円を補正予算で確保しまして、いわゆるリスキリングということで、新しい時代に対応したデジタル化やあるいはグリーンへの対応ということで取り組む中で、生産性を上げていく、また所得を上げていく、こういった取組を支援をしているということであります。

 投資も、もう一段、昨年の補正予算で確保した予算をうまく活用しながら、民間がより投資を促進してくれるように、デフレから今状況は変わってきておりますので、民間もそういった意欲は出てきておりますから、それを後押しするような取組を更に加速して取り組んでいきたいというふうに考えております。

市村委員 ありがとうございます。その心意気でどんどんやっていただきたいなと思います。

 時はやはり第四次産業革命、若しくはソサエティー五・〇と言われているところでありますから、そこに我が国も、日本もしっかり乗っていかなくちゃいけないと思いますが、よろしくお願いします。

 大臣、ちょっと行かれる前にもう一点だけ。

 それで、じゃ、具体的に、この間、鳴り物入りで国費も投入したいろいろ事業があったものです。ちょっと幾つか今日は議論したいと思っておりまして、そのうちの一つが、三菱リージョナルジェット、国産ジェットですね、MRJですけれども、これも、私が地元が伊丹でありますので、プロペラ枠というものを何とかジェット枠に換えるためにも、こういう低音の、省エネ型の飛行機、ジェット機が導入されることを心待ちに心待ちにしておりましたが、二〇一〇年ぐらいでしたか、導入されるはずだったのが、結局頓挫して、もう終わりということになってしまいました。

 ここに一体国費はどれぐらい投入されたか。国費はどれぐらいこのMRJ関係に投入されていますでしょうか。一言だけお願いします。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 総額約五百億円ほどとなっております。

市村委員 五百億円ですね。だと思いますが、ただ、私が何か読んだ記事ではもっと、直接的には五百億なんでしょうけれども、間接的にはもっと投入されているような気もしますが、一応五百億としましょう。この五百億でも大変大きなお金でございます。

 しかし、結果としては頓挫ということでございますが、これはいろいろ理由を聞いていますと、今日は議論しませんけれども、結局、何か型式認証のところでなかなかうまくいかずに、アメリカで型式認証を取ることがなかなかうまくいかなかったということで、やはり、米国市場が取れないとなかなかアメリカでは売れないということでありまして。

 一方、ホンダジェットはなぜうまくいったかというと、アメリカとうまくやって、結局、ホンダジェットと言っていますが、あれは日本ではなくてアメリカということでありまして、最初から、結局、戦略が間違っていたんじゃないか。

 だから、技術的には大変よかったのかもしれませんが、結局、型式認証を取れないというところで頓挫するかのような記事が出ておりますが、これはちょっと事実かどうか。今日は国交省は来ていないですね。まあ、いいです。

 じゃ、大臣、かくのごとくというか、このMRJに関しては、国費五百億以上投入したにもかかわらず、残念ながら、本当に残念ながら頓挫をしてしまったということであります。しかし、ここで、じゃ、今までやった分全部、三菱さんは多分一兆円ぐらいとか、そのぐらいの単位のお金を投資されたんだとは思うんですけれども、全くこれが次に生かされないということではないと信じていますが、ここは大臣からお答えいただけますでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、今回、三菱スペースジェットの開発が中止に至って、国産旅客機の商業運航という当初の目的を達成できなかったということは非常に残念であります。

 私も、外務政務官のときにも各国に売り込みに行った、セールスに行った経験もありますので、そのことも含めて、また、委員おっしゃったように、同じ兵庫県選出の議員として、兵庫県にもこうした航空機の基盤がある、産業の基盤があるというだけに、非常に残念でありますし、重く受け止めているところであります。

 開発中止に至った背景については、今御指摘ありましたように、安全性に関する規制の認証プロセス、これの経験、ノウハウの不足、これが大きな要因として挙げられると思いますし、また、エンジンなど主要な装備品を海外のサプライヤーに依存していたということによる交渉力の弱さ、低下、これもあると思いますし、また、地域間、いわゆるリージョナルジェット市場、これの見込みも、少し環境の変化もあって、その辺りも見込みと違う部分もあったというふうに聞いております。

 こうした様々な要因があったと認識をしておりますが、一方で、三千九百時間超の飛行試験を実施しておりますので、機体開発などにおいて一定の水準までは到達している。また、人材育成を含め、我が国の航空機産業の技術、能力の向上に寄与をしている、その向上に大きく寄与しているもの、この部分はあると思いますので、この培われた技術、人材、今後、是非生かしていきたい、これは航空機分野、そしてほかの分野も含めて、是非生かしていきたいと思っております。

 そして、御指摘のように、こうした点を振り返って、目標を実現できなかった要因とその成果を十分に検証した上で、総括をした上で、この経験を今後の航空機産業の発展につなげていくことが重要と考えております。

 そうした中で、今御指摘ありましたけれども、カーボンニュートラルへの取組であるとかデジタル化の動きの中で新たな可能性も出てきておりますので、是非、経産省としては、これまでの経験を生かしながら、新たな潮流も踏まえて、将来の航空機産業の発展に向けた取組、これをしっかりと進めていきたい、反省の上に立って進めていきたいというふうに考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 経産省さんの場合は、今まさに半導体のことが問題になっていますが、エルピーダメモリですね、国産会社、残念ながら、あれも大きな失敗と言わざるを得ないわけであります。

 ですので、是非とも、もう終わったことは今から悔やんでも仕方ありませんので、今後に向けて、先ほど大臣からも、これから三年が勝負だというような思いで、しっかりとこの国の再生のためにお力を賜りたいと思います。

 大臣、もう今日はここで大丈夫です。ありがとうございました。済みません、西村大臣はありがとうございました。

 それでは、続きまして、大きな話題になっていたということで、今どうなっているのかというところで、iPS細胞について少しこれから議論させていただければと思っていますが、このiPS細胞も、二〇一二年だったでしょうか、ノーベル賞を山中教授が取られた、山中教授だけじゃありませんけれども、取られたということで非常に話題になり、その後、京都大学に研究所もでき、また財団もできということで、山中教授は本当に御尽力されて、民間のお金を一生懸命集めておられている姿も、私も一部かいま見たところがございます。

 そのiPS細胞ですけれども、結局、今どうなっているのかということにつきまして、まず事務方さんの方からちょっと今の現状をお知らせいただければと思います。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 iPS細胞でございますが、いまだ有効な治療法がない疾患に対するニーズ、いわゆるアンメット・メディカル・ニーズに応える治療につながり得る我が国発の技術でございまして、その周辺技術も含めました研究開発の推進、これは極めて重要であるというふうに考えております。

 健康・医療戦略推進本部が予算配分方針の決定を開始いたしました平成二十七年度からの再生・細胞医療、遺伝子治療分野の研究開発に係る国費投入額、これは、当初予算の合計でこれまで約千五百億円でございます。

市村委員 ありがとうございます。

 それで、一応、千五百億ほどこの十年近く投入をされてきたということでありますが、今の段階では、私がお聞きしているところによりますと、まだまだいわゆる製品化には至っていないというか、最初は将来の臓器移植もとかいう話もありましたが、まだまだそのレベルではないということで。神戸の方では先進医療地域がありまして、そこで、網膜再生に資するということで、たしか治験が行われたというのはお聞きしていますが、まだまだやはり網膜一つiPS細胞から作るだけでも物すごいお金がかかるということで、なかなか、一般的な治療に生かすにはまだまだ先のことではないかなと言われております。

 今日、我が党の伊東代議士は、そういう再生医療等々、また免疫治療等々では大変見識を持たれている先生なんですけれども、伊東先生がまた別の機会に議論されるとは思いますが、この間、お話をお聞きしていますと、iPS細胞を作るところまでは、もちろん医学関係の研究者とかが作られるということでいいんですけれども、その先それをどう生かすかというのは、やはり工学的な、まさに物づくりの視点が必要なんだということで、そういう専門家も入れる、分子工学とか、あとは遺伝子工学というようなことになるんだと思いますが、そういう知見を持った人が入っていく必要があるのではないかということも言われております。

 高市担当大臣、大臣の今の御見識といいますかお考えや、また、iPS細胞、これがこれまでどうあったかでこれからどうするか、ちょっとお聞かせいただければ幸いでございます。

高市国務大臣 まず、AMEDを通じて研究者に継続的に支援を行ってきた結果、様々な成果は出てきております。例えば、iPS細胞に関する被引用数が多い学術誌に掲載された論文数や特許協力条約に基づく国際特許出願のうち、iPS細胞に関するものについては、どちらも米国に次いで世界二位でございます。

 先ほど臨床研究にもお触れいただきました。iPS細胞から作製した心筋や角膜上皮を人に移植する臨床研究が行われておりまして、実用化に向けた成果は着実に出てきております。特に、四人の患者さんに対して角膜上皮を移植する世界初の臨床研究は完了をいたしております。術後一年の経過を見ても有害事象が認められず、安全性を示す結果が得られました。

 あとは、委員の問題意識でもあるかと思いますが、再生医療等の製品で薬事承認を受けた製品が現時点で存在しませんので、臨床研究の成果をしっかりと実用化に結びつけていく、その対応が重要だと思っております。

 そしてまた、様々なプレーヤーが参加すべきだという御指摘もまさにそのとおりだと思っております。再生・細胞医療、遺伝子治療、これを実用化する、これを推進するということももちろん大事なんですが、再生・細胞医療と遺伝子治療、これを融合する研究ですとか、次世代のiPS細胞の革新的な研究開発、こういったことをこれから進めていかなきゃなりませんので、実に様々なプレーヤーの参加が必要な段階に入ってきていると考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、やはり、様々なプレーヤーがここに入って、これも日本が牽引できる産業、市場だと私は思います。

 先ほどのリージョナルジェットにつきましては、ちょっと今は頓挫していますけれども、先ほどの大臣の御見解ですと、これまで得た知見で、更に再挑戦をしていただけると信じておりますし、そのときはしっかりと今回の失敗を生かすということでもあります。

 iPSについては、これまで得た知見、これを、これは新しい市場ですので、さっきのMRJは今ある市場に入っていこうということでありましたけれども、今回の市場はまさに日本が牽引できる市場だというふうに思っています。是非とも、今までうまくいかなかったからとか、多少、余りうまくいっていないからという理由だけでやめることはなく、引き続き、いろいろなプレーヤーを入れていただいてこの流れをつくっていただけたらと思っていますので、よろしくお願いを申し上げます。

 ちょっと時間を見ながらやっていますが、先に進めてみまして、また後ほど戻るかもしれませんが、次には、スーパーコンピューター、スパコンについてちょっと質疑をさせていただければと思っています。

 今、スパコンといえば、「京」、「富岳」というのがやはり大変有名なわけですが、この状況、幾ら投入して、今どういう状況になっているか、ちょっとかいつまんで教えてください。

森政府参考人 お答えいたします。

 スーパーコンピューターの「京」及び「富岳」の開発に係る国費総額といたしまして、いずれも、合計約千百億円を文部科学省にて措置して開発をしたものでございます。

 また、その利用、成果につきましては、「京」や「富岳」では、防災・減災、健康、医療、エネルギー、物づくりなど、多様な分野で多くの方に活用いただいておりまして、例えば線状降水帯の予測技術の高度化研究、あるいは、巨大地震に係る長周期地震動による被害予測及び影響評価といった利用がなされているところでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 かつて、二番じゃ駄目なんですかという発言で問題になったこともありますが、私はやはり、こういうスパコンのトップ五〇〇という分野があるんですけれども、ここで、残念ながら、今回、今月の最新の分では「富岳」が二番だったということでございまして、その前は「富岳」が何とか三回連続ぐらいでトップだったんですけれども、またちょっとアメリカに抜かれたということであります。

 ですから、こうしたいわゆる高速を争うトップ五〇〇の分野でトップを目指していただくのは大変ありがたいというか、そうしてほしいと思うんですが、しかし、産業全体の発展のためにスパコンをどう生かすかというときに考えると、こうした「京」とか「富岳」とか、超高速のものが一つあれば事足りるということでは残念ながらないわけでありまして、よく言われていますのが、よく言われていないのかな、いわゆる総計算量が問題だというふうになるんですね。要するに、スパコンのみならず、特にスパコンでどれだけの計算がされているかという総計算量が大変重要だろうというふうに思います。一台何かいいのがあって、それをみんなで列をつくって待っていて、使わせてくださいという話ではなくて、やはり、「富岳」みたいなトップクラスのやつは絶対必要なんですが、もっと身近にスパコンを使えるような環境をつくっていくことの方がより重要であろうと思います。

 よく言われるトップ五〇〇がよく表に出てくるんですけれども、ほかに実はグリーン五〇〇とかいうのがありまして、これは省エネ性能を競うトップランキングなんですね。そういうところで実は日本のスパコンは、コンピューターは、歴代トップを取っているところもあります、省エネ。それから、要するに、ビッグデータに強い指標で争うようなクラスもありまして、それも日本は割といいところにいるんですね。ただ、それはそんなに速くはありません、「富岳」とか「京」ほど速くはない。でも、今の段階ではもう「京」に並ぶぐらいのところには来ている。「富岳」はもっと超えていますけれども、「京」に並ぶぐらいのところには来ている。

 ですから、「京」とか「富岳」は、非常に大きなスペースと物すごい電気代をかけて造っているんですね。しかし、日本の開発しているところには、本当に僅か三平米とか、ほんのちょこっとしたスペースに、電気代も、先ほど申し上げたように、省エネで実は動くようなチップを作っている会社もあるということでございまして、やはり私は、総計算量を上げていくためには、そういうふうに身近にスパコンが使えるという環境が必要なんだろうというふうに思います。

 そこで、昨日議論していましたら、今はどちらかというとクラウドで、これからクラウドサービスが、昨日聞いていましたら、AWSですか、アマゾンウェブサービスというところがかなりスパコンをクラウドで使える環境を用意をしているし、今後、日本も、富士通さんを中心に、そうしたクラウド環境でスパコンを使えるような環境整備が今進んでいるやに聞いていますが、今までの私の発言を聞いて、今日は経産大臣はお帰りですが、大臣政務官、長峯さん、スパコンをどうすればいいか、ちょっと御見解を聞かせていただければと思います。

 私は、総計算量の方が重要だと。トップ五〇〇のトップを目指してほしいというのももちろんありますが、やはり、スパコンが身近になって、みんながいろいろなシミュレーションをしている、創薬シミュレーションとか、流体力学シミュレーションとか、それから気象シミュレーションとか、いろいろなところでやって、そしてまた、新しい産業を、物を生み出していく、新しい市場を生み出していく、ここに使わなくちゃいけない、こういう問題意識を持っていますが、いかがでしょうか。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 まず、委員御指摘の総計算量でございますけれども、これは、先ほど御紹介いただきましたトップ五〇〇のうち、日本国内でその計算量を全部合わせた、ペタFLOPSという基準で見るようでございますが、現在は八百五十ペタFLOPSとなっておりまして、平成十八年が百七十でございましたので、やはり国内における総計算量も非常に高いレベルまで来ているということは言えようかと思います。

 そして、委員がもう一つ御指摘いただきました、それを多くの方が使えるようにしていくということは大変重要な視点でございます。様々な産業における生産性向上のために、重要な情報の取扱い等にも十分注意をしながら、その利用を進めていくことが必要でございます。

 このため、経済産業省では、高度な計算能力を様々な法人、個人が利用できますのと、先ほど申し上げました、情報の取扱いがございますので、なるべく国内にあるサーバーの中でできるようにということで、国内クラウドの支援ということを念頭に置きながら、スーパーコンピューターを始めとする高度なコンピューターをクラウドサービスとして提供する事業者を支援をしているところでございます。これはまた、経済安全保障推進法にも基づいて支援をさせていただいております。

 また、計算能力の更なる高度化に向けましては、計算可能領域を拡大するための次世代技術の開発やクラウドを安全に活用していく上での重要な技術開発の支援等も行っているところでございます。

 委員御指摘のとおり、大変重要な課題と認識しておりますので、引き続き、高度な計算能力の確保に向けまして、しっかりと取り組んでまいります。

市村委員 特に、クラウドでやる場合は、データの安全性、いわゆるデータを抜かれないようにしなくちゃいけません。日本には大変すばらしい暗号技術のアイデアを持った人もおります。

 日本には技術、人材は多分豊富にあるんですけれども、それを生かし切れていないというのが残念な、それは先ほど西村経産大臣がおっしゃったように、投資が進んでいないというか、残念ながら、今、日本の潜在的経済成長率はマイナスなんですね、現段階では。マイナスということは、つまり、この国はもう成長しないということです。だから、はっきり言って、このままだと投資は集まらない。

 じゃ、今何で少し集まっているかというと、最後はハゲタカですね。残っているいいやつを食っていこうという感じになっています、残念ながら。それでは駄目です。だから、ここで反転攻勢でやらなくちゃいけない。

 そのためには、やはり、日本も、GDPを伸ばすためには、人口がまずしばらくは増えないのであれば、とにかく新しい市場をどんどんつくっていかないかぬ。そのための技術的背景は日本にあるはずだと思っています。そこは是非ともやっていきたい、やっていこうじゃありませんか。

 それで、最後になるんですが、新しい市場をつくるときに、今日後藤大臣にお越しいただいているのは、もうかねがね、三十年以上、やはり非営利セクターをもっと日本は大切にすべきであるというふうに私は主張させていただいております。

 要するに、マーケットセクターと今は行政セクターで財・サービスの提供を主にやってきましたが、やはり、ここに非営利セクターというものが三本柱の一つとして入っていくこと。これは社会貢献セクターでもありますし、共助セクターと言ってもいいところでありますが、ここだと、何かボランティアというイメージばかりが先行するんですけれども、ボランティアということでなくて、そこで雇用を生み出す。例えば、福祉サービスなんてこれから重要なんですね。それを民間企業がやった場合は、とてもとても高いものしか出せないんですね。

 ところが、NPOだったらば、それこそボランティアのお力をかりたり、寄附を集めたりして、できる限りコストを抑えながら、使いやすい価格でサービスを提供できる。そこで雇用も、そこのNPOの職員は、それなりに、ある意味では経営者ですから、給料を得られる。こういう仕組みが必要。そうすると新しい雇用も生まれ、新しい市場も生まれていくということなんです。

 特に医療、介護の分野ではこれは大変重要でありまして、特にこれからの日本、少子高齢化のときには大変重要な私は観点だと思っていますが、後藤大臣、経済再生担当大臣として、御見解を賜りたいと思います。

後藤国務大臣 今先生から御指摘がありましたように、社会課題解決を目的とするような分野において、営利企業では手を出せない分野の市場をどういうふうにしていくか、そういう問題意識を持っておりまして、新しい資本主義では、社会的課題を成長のエンジンへと転換し、成長の果実を分配して更なる成長へとつなげる。一方で、多くの社会的課題を国だけが主体となって解決していくことも困難であることから、社会課題を解決する担い手も、既存企業に加えて、スタートアップ、社会的起業家、大学、NPO、公益法人等へ多様化していくことが不可欠であるというふうに考えています。

 そのため、インパクトスタートアップ、NPO、既存企業の関連部門などの連携強化を図るとともに、インパクトスタートアップに対する総合的な支援策を検討していく必要があると考えております。また、公益法人が、多様で変化の激しい社会のニーズに柔軟かつきめ細やかに対応できるように、多様な社会課題に柔軟に対応できるように、公益法人制度の改革にも取り組んでまいるということで進めております。

 これらの取組を通じて、多様な主体が公的役割を担える社会の実現に取り組んでまいりたいと思います。

市村委員 ありがとうございます。

 今、公益法人とNPOは分けてお話しになりましたが、公益法人はNPOでありますので、そこはまた是非とも、そこはちょっとなかなか譲れないところでもあります。

 時間が来てしまいました。本当は高市大臣にも一言お伺いしたかったんですが、時間が来てしまいましたので、これで終わらせていただきます。

 どうも今日はありがとうございました。感謝申し上げます。

江田委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 まず、通告した三番目の質問からいたします。

 法務大臣にお伺いします。

 全ての国民の人生を大切にしたい、そのように思われますか。イエスかノーかでお答えください。

齋藤(健)国務大臣 日本国民の幸せを少しでも前進させていきたいとずっと思っています。

大石委員 ありがとうございます。そうお考えなんですね。

 しかし、全ての国民の人生を大切にするとは余りにもほど遠い実態が刑事訴訟法の分野においてもあります。

 ここから再審制度の改革について伺います。

 もし、あなたが間違った裁判で有罪判決が確定してしまった、すなわち冤罪の被害者になってしまった、そのとき、あなたは無実でも甘んじて服役しますか。死刑になっても仕方がないと思われますでしょうか。これは、私も含め、ほとんどの人が思わないでしょう。そのときにあなたを救う最後のセーフティーネットが再審制度です。しかし、現在の再審制度ではあなたを迅速に救うことができません。機能不全になっているからです。

 近年、袴田事件を始めとして、無実の死刑囚がなかなか再審が開始されない問題に光が当たる中で、この国の重い重い腰が上がろうとしています。もっと広くこの事実を国民の皆さんに知っていただき、高齢化した冤罪被害者の名誉回復が間に合うように、無実の人が間違って死刑になることがないように、再審法改正を実現したいと思います。

 現在の再審制度の機能不全について御説明します。

 まず、この国ではこのようなことがある。冤罪がつくり出される構図があり、かつその冤罪で死刑囚になってしまったとしてもめったに再審が開始されないという、この二重の苦しみがあります。

 まず、この冤罪の構図とは何か。再審弁護に取り組んできた弁護士の論文によると、過去の冤罪事件からあぶり出されたものがある。捜査機関が素行不良者などと決めつけた人を別件逮捕して勾留し、厳しい取調べの末に犯行を自白させる。その内容自体は不自然で、客観的証拠とも矛盾する内容が多々含まれていたのに、裁判所が安易に有罪の証拠としたこと、また、捜査機関が有罪証拠を捏造した疑いがあること、科学の名をかたったずさんな鑑定などが共通している構図だといいます。

 この冤罪の構図自体、絶対に許されないことなんですけれども、それに加えて、めったに再審が開始されない。

 大きな理由を二つ言いますと、一つは、再審手続については証拠開示の法制度化がなされていない。再審とは違う通常審ではそのような手続が明記されているんですけれども、検察官が証拠を隠してしまって再審の開始につながらない、そういう再審手続の不備の問題があります。

 もう一つは、せっかく裁判所によって再審開始の決定が出ても、検察の再審妨害ともいうべき不服申立て、これは即時抗告だったり特別抗告、異議申立てというものなんですけれども、そういったものがなされてしまう。これは袴田さんの事件でも抗告をするという話になって、本当に、それは結局諦めましたけれども、大変な状況になってしまう。

 これによって、死刑から再審無罪になったケースでも平均三十年以上と、途方もない年月と努力が必要になってしまう。これを、当事者や有識者の方など、様々な方のこれまでの御尽力によって、現在、再審手続における証拠開示の手続と検察の不服申立ての禁止、これの法制度化の必要性というのは、大筋社会的合意ができていると思われます。

 実際に法務省においても、二〇一六年成立の改正刑事訴訟法の附則第九条に基づき、在り方協議会が設置されている。その中で、再審請求審における証拠開示等について協議予定とされています。

 それで、今年の二月には、予算委員会分科会で自民党の塩崎委員が、再審手続のこの点は改正が必要でないかと質問されています。それで、法務省も、在り方協議会で証拠開示等について協議する必要があるんじゃないかということに対して、答弁の中で、やる予定だ、やる予定なのは強く申し上げておきたいとおっしゃっています。しかし、これは動きが余りにも遅いと言わざるを得ません。

 ここで伺います。いつやるのでしょうか。今年何月にやるのでしょうか。教えてください。

齋藤(健)国務大臣 まず、在り方協議会ですけれども、御指摘のように、平成二十八年成立の刑事訴訟法等の一部を改正する法律の附則第九条において指摘されたことの検討に資するために、今、改正後の規定の施行状況を始めとする実務の運用状況を共有しながら、制度、運用における検討すべき課題を整理する、こういうことを目的として開催しているもので、同協議会には法曹三者及び警察庁のほか、刑事法の研究者やマスコミ関係者といった有識者の方々にも御参加いただいている。

 その上で、何が申し上げたいかといいますと、彼らの、検討課題については、協議会における協議すべき項目の順序等は構成員の方々の御意見を踏まえながら決定しなくちゃいけないということでありますので、いろいろほかにも協議すべき項目がありますので、その協議の状況にもよりますけれども、私としては、この間申し上げましたように、充実した協議が行われるように努力をしていきたいと考えています。

大石委員 大体何月になるか、教えていただけますか。

齋藤(健)国務大臣 これは協議会の中で、その他いろいろな項目がある中で、協議会でまず御判断をいただかなくちゃいけないので、私が何月というふうにここで申し上げることはできないんです。

大石委員 時間がないので、二つ目の改革事項である検察の不服申立て禁止、検察に抗告をさせないということについては、それもまた塩崎委員の質問に対して、これは法務省の方から困難であるかのような答弁をしていましたが、合理性がありませんでした。

 そのせいで再審がなかなか開かれない、検察の再審妨害というそのせいで、いろいろな弊害が起きています。名張事件の奥西さんは第九次再審の途上で八十九歳で亡くなりました。大崎事件の原口アヤ子さん、四十年以上無実を訴え続け、今九十四歳です。再審は決定しましたけれども、袴田巌さんは、事件から五十三年、今八十五歳です。

 法務大臣、いろいろな調整があるんだというんですけれども、これは本当に政治の決断、いつやりますというのが必要な局面になっていると考えます。この人たちの人生において間に合う必要があるというお気持ちはありますか。

齋藤(健)国務大臣 まず、袴田さんの件につきましては、今、係争中でありますので、係争中の案件について私から法務大臣としてコメントをすることは差し控えるべきだろうと思っています。

 その上で、不服申立てのお話がありましたけれども、これは前回も答弁申し上げているんですけれども、検察官が再審開始決定に対し抗告し得るということは、やはり公益の代表者としてこの権利は当然のことでありまして、これによって再審請求審における審理、決定が適正かつ公正に行われることが担保されると考えています。

 検察官の抗告権を排除することにつきましては、違法、不当な再審開始決定があった場合にこれを是正する余地をなくしてしまうという問題がありまして、また、司法制度全体の在り方とも関連するので、慎重な検討を要する課題だと考えています。

大石委員 これは塩崎委員とのやり取りの中でも同じことをおっしゃっていたんですけれども、やはり再審の議論の中で解消できるべきことであって、その手前での抗告をする合理性はやはり全くないのだと考えます。

 再審手続について、なぜこのようなことになっているか。非常に古いという問題があって、これは、戦前から戦後になるときに、刑事訴訟法のほかの部分は変えられたんですけれども、再審のところは間に合わなかったという、とんでもない状況によって七十年間も戦後そのままになっていて、本来でしたら、当事者主義、当事者の権利、黙秘する権利ですとか様々、憲法に基づいて明記されていたものが、この再審の部分は抜け落ちている。それだけでも本当に至らない、ずさんであるということは間違いないわけで、人の人生を大事にする、したいとおっしゃっていましたので、是非、政治の決断、今年何月にということをおっしゃっていただきたいと思いますが、時間切れでしょうか。

江田委員長 時間ですので、簡潔に御答弁をお願いします。

齋藤(健)国務大臣 先ほど申し上げた協議会の中で課題を整理しながら進めていく話ですので、私がここでいつということを申し上げることはできないということを御理解いただければと思います。

大石委員 是非、間に合わせていただきたいと思います。

江田委員長 もう質疑時間が経過しておりますので、終了してください。

大石委員 終わります。これを言わないといけないようなんです。

 あと二問については、残念ながら、時間の関係でお聞きできませんでした。お越しくださったのに申し訳ありませんでした。

 終わります。

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十三分散会


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