衆議院

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第2号 平成28年10月26日(水曜日)

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平成二十八年十月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 あべ 俊子君 理事 岩屋  毅君

   理事 奥野 信亮君 理事 神田 憲次君

   理事 山下 貴司君 理事 落合 貴之君

   理事 牧  義夫君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 道孝君    今枝宗一郎君

      大野敬太郎君    鬼木  誠君

      加藤 鮎子君    門山 宏哲君

      小松  裕君    今野 智博君

      坂本 哲志君    白須賀貴樹君

      助田 重義君    瀬戸 隆一君

      高木 宏壽君    寺田  稔君

      長坂 康正君    平沢 勝栄君

      星野 剛士君    牧原 秀樹君

      宮内 秀樹君    村井 英樹君

      八木 哲也君    山本  拓君

      和田 義明君    岡田 克也君

      吉良 州司君    黒岩 宇洋君

      田島 一成君    馬淵 澄夫君

      國重  徹君    富田 茂之君

      穀田 恵二君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君    椎木  保君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    吉田 尚正君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯田 圭哉君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月七日

 辞任         補欠選任

  若狭  勝君     鬼木  誠君

同月二十六日

 辞任         補欠選任

  うえの賢一郎君    大野敬太郎君

  門山 宏哲君     高木 宏壽君

  助田 重義君     八木 哲也君

  長尾  敬君     池田 道孝君

  古川  康君     加藤 鮎子君

  宮内 秀樹君     星野 剛士君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     長尾  敬君

  大野敬太郎君     村井 英樹君

  加藤 鮎子君     古川  康君

  高木 宏壽君     門山 宏哲君

  星野 剛士君     宮内 秀樹君

  八木 哲也君     助田 重義君

同日

 辞任         補欠選任

  村井 英樹君     うえの賢一郎君

    ―――――――――――――

十月二十五日

 公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


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     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 この際、総務大臣、総務副大臣及び総務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 おはようございます。総務大臣の高市早苗でございます。

 副大臣、大臣政務官、職員ともども精いっぱい働いてまいりますので、竹本委員長初め理事、委員の先生方の御指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

竹本委員長 次に、原田総務副大臣。

原田副大臣 おはようございます。総務副大臣を拝命いたしました原田憲治でございます。

 高市大臣を補佐し、全力を尽くしてまいりますので、竹本委員長初め理事、委員の先生方には格別の御指導、御鞭撻を賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

竹本委員長 次に、冨樫総務大臣政務官。

冨樫大臣政務官 おはようございます。総務大臣政務官を拝命いたしました冨樫博之と申します。

 高市大臣を全力で補佐し、そして、竹本委員長初め理事、委員の先生方、格段の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

竹本委員長 次に、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長吉田尚正君、総務省自治行政局長安田充君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、総務省情報流通行政局長南俊行君、外務省大臣官房審議官飯田圭哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 去る七月に行われました第二十四回参議院議員通常選挙の結果の概要について、政府から説明を求めます。高市総務大臣。

高市国務大臣 この機会に、第二十四回参議院議員通常選挙の結果の概要について御報告申し上げます。

 平成二十八年七月十日に執行されました第二十四回参議院議員通常選挙は、同年七月二十五日の参議院議員任期満了によるもので、選挙権年齢の満十八歳以上への引き下げ、四県二合区を含めたいわゆる十増十減による選挙区間人口格差の是正、選挙人名簿の登録制度の見直しや共通投票所制度の創設などの公職選挙法改正が行われて初めての国政選挙でありました。

 選挙すべき議員の数は、比例代表選挙で四十八人、選挙区選挙で七十三人、合計百二十一人でした。

 選挙当日の有権者数は約一億六百二十万人で、前回の通常選挙に比べ、選挙権年齢が引き下げられたこともあり、約二百五万人増加し、過去最高となっております。

 次に、投票の状況について申し上げます。

 投票率は、選挙区選挙で五四・七〇%で、これは前回に比べ二・〇九ポイント増加し、平成二十二年参議院選挙からの減少に歯どめがかかりました。

 今回新たに選挙権を得ることとなった十八歳、十九歳の有権者の投票率は、四六・七八%であり、今回の参議院選挙の二十代の有権者の投票率三五・六〇%に比べ、高い水準となりました。

 また、期日前投票所の投票時間の弾力化などの制度改正もあり、期日前投票者数は約千六百万人となり、平成十五年の期日前投票制度の創設以降、過去最高となりました。

 次に、立候補の状況について申し上げます。

 比例代表選挙については、名簿を届け出た政党は十二政党、その届け出名簿に登載された候補者数は百六十四人で、競争率は三・四二倍でした。

 選挙区選挙については、候補者数は二百二十五人で、競争率は三・〇八倍でした。

 この結果、比例代表選挙及び選挙区選挙の合計の候補者数は三百八十九人で、前回の四百三十三人に比べ四十四人の減少となりました。

 次に、当選人の状況について申し上げます。

 党派別に申し上げますと、自由民主党は比例代表選挙で十九人、選挙区選挙で三十六人、合計五十五人、民進党は比例代表選挙で十一人、選挙区選挙で二十一人、合計三十二人、公明党は比例代表選挙で七人、選挙区選挙で七人、合計十四人、おおさか維新の会は比例代表選挙で四人、選挙区選挙で三人、合計七人、日本共産党は比例代表選挙で五人、選挙区選挙で一人、合計六人、社会民主党は比例代表選挙で一人、生活の党と山本太郎となかまたちは比例代表選挙で一人、諸派・無所属は選挙区選挙で五人となっております。

 なお、女性の当選人は二十八人で、前回に比べ六人増加しております。

 次に、党派別の得票率の状況について申し上げます。

 比例代表選挙では、自由民主党三五・九一%、民進党二〇・九八%、公明党一三・五二%、おおさか維新の会九・二〇%、日本共産党一〇・七四%、社会民主党二・七四%、生活の党と山本太郎となかまたち一・九一%、日本のこころを大切にする党一・三一%、その他の四政党合わせて三・六八%となっております。

 また、選挙区選挙では、自由民主党三九・九四%、民進党二五・一四%、公明党七・五四%、おおさか維新の会五・八四%、日本共産党七・二六%、社会民主党〇・五一%、日本のこころを大切にする党〇・九五%、諸派・無所属一二・八二%となっております。

 以上をもちまして、第二十四回参議院議員通常選挙の結果の概要についての御報告を終わります。

竹本委員長 次に、第二十四回参議院議員通常選挙違反検挙・警告状況について説明を求めます。警察庁吉田刑事局長。

吉田政府参考人 平成二十八年七月十日に行われました第二十四回参議院議員通常選挙における違反行為の取り締まり状況について御報告をいたします。

 選挙期日後九十日の平成二十八年十月八日現在で集計をいたしました数字は、お手元に資料としてお配りしてあります表に示したとおりでございます。

 検挙状況は、総数で百七件、百十七人となっておりまして、前回の通常選挙における同時期の百三十三件、百七十人と比べますと、件数は二十六件減少、人員も五十三人減少しております。

 罪種別に申しますと、買収四十八件、五十四人、自由妨害三十四件、二十八人、文書違反五件、九人、投票干渉七件、八人、詐偽投票三件、三人、その他十件、十五人となっておりまして、買収が検挙事件のうち、件数で四四・九%、人員で四六・二%を占め、最も多くなっております。

 次に、警告状況を申し上げますと、総数が千九百七十件でございまして、前回の二千二百四件と比べまして、二百三十四件減少をいたしております。

 警告事案のほとんどは文書関係についてのものでありまして、総件数の九六・九%を占めております。

 以上、御報告申し上げます。

    ―――――――――――――

竹本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 おはようございます。日本共産党の塩川鉄也でございます。

 倫選特の始まりに当たりまして、大臣に質問をさせていただきます。

 この間、私は、企業・団体献金の問題、また政党助成金の問題を取り上げてまいりました。今国会の始まりに当たって、この点についてお聞きしたいと思っています。

 最初に、企業・団体献金の問題ですけれども、冨樫政務官の方にお答えいただければと思いますが、最初に数字の確認をしたいと思います。

 政界全体の企業・団体献金の合計が幾らになっているのか。総務省届け出分と都道府県選管届け出分の法人その他団体献金の合計額について、直近の数字を示していただけますか。

冨樫大臣政務官 お答えいたします。

 総務大臣届け出及び都道府県選管届け出の政治団体を合算した、平成二十六年度分、政治資金収支報告書における法人その他の団体からの寄附の合計額は百億九千八百万円であり、政治資金パーティー収入の合計額は百八十七億三千四百万円となっております。

塩川委員 私がお聞きしたのは、まずは企業・団体献金の額ですけれども、お答えありましたように百億九千八百万円ということと、あわせて、政治資金パーティーの収入額ということでは、総務省届け出分と都道府県選管届け出分の政治資金パーティー収入の合計額、直近の数字ということで、今、平成二十六年分、二〇一四年分は百八十七億三千四百万円、これでよろしいですね。

冨樫大臣政務官 そのとおりです。

塩川委員 企業・団体献金の総額、百億を超えるという大変大きい額ですけれども、それを上回る政治資金パーティーの収入額になっております。

 パーティー収入の全てを企業・団体献金、企業、団体が購入しているということは言わないけれども、その大半を企業、団体が購入しているというのが通例であろう、形を変えた企業・団体献金にほかならないと言わなければなりません。

 企業・団体献金は百億円を突破し、パーティー収入はさらにその上を行く百八十七億円もの巨額の金が動いているというのは、極めて重大であります。

 では、この中で、自民党全体の企業・団体献金額がどうなっているのかについてお聞きします。

 総務省届け出分と都道府県選管届け出分、自民党本部と支部の法人その他団体献金の合計額について、二〇一二年、二〇一三年、二〇一四年、それぞれ幾らかについて答えていただけますか。

冨樫大臣政務官 ちょっと訂正をさせていただきます。

 先ほどの質問の中で、総務大臣届け出及び都道府県の選管届け出の政治団体の合算した年度を言いましたけれども、これは年度ではなくて平成二十六年ということで、訂正をさせていただきたいと思います。

 それから、ただいまの質問についてお答えをいたします。

 自由民主党が受けた法人その他の団体からの寄附金額は、平成二十四年分六十三億九百万円、平成二十五年分で五十六億五千五百万円、平成二十六年分で六十六億四千万円であります。

塩川委員 六十三億、五十六億、六十六億ということで、選挙実施の年が高目という傾向はもちろんあるわけですけれども、全体として増加をしているわけです。

 あわせて、国民政治協会への法人その他団体の献金額が幾らかというのを、二〇一二年、二〇一三年、二〇一四年、それぞれお答えいただけますか。

冨樫大臣政務官 一般財団法人国民政治協会が受けた法人その他の団体からの寄附金額は、平成二十四年分で十三億七千二百万円、平成二十五年分で十九億五千四百万円、平成二十六年分で二十二億一千三百万円であります。

塩川委員 今お答えいただきましたように、自民党が政権に復帰する前の二〇一二年と復帰後の二〇一四年を比べてみると、国民政治協会への企業・団体献金額が一・六倍にもなっております。五年ぶりに二十億円を超えました。

 私、昨年二月の予算委員会で、当時の宮沢経産大臣に、日本自動車工業会の賀詞交歓会に宮沢経産大臣が出席をされて挨拶された、そのときに自民党の財務についてのお礼を述べたということがありました、そのことを御本人に確認しましたら、宮沢大臣は、そのように申し上げましたと認めたところであります。実際、自動車業界を所管する経産大臣が日本自動車工業会の賀詞交歓会で自民党の財務のお礼をするということ自身が極めて重大でありますけれども、そのことを率直に認めたのが宮沢大臣だったわけです。

 実際にこの収支報告書を確認してみますと、日本自動車工業会は、国民政治協会への献金額ではトップであります。自動車工業会とその会員企業の献金額は、二〇一二年分が二億二千万円、二〇一三年が三億円、二〇一四年分が三億三千万円ということで、一・五倍に増加をしているところです。政権復帰以降、大きく自民党への企業・団体献金がふえているという傾向がここにも見てとれるわけであります。

 重ねて政務官にお尋ねしますが、ここで国民政治協会という名前が何度か出てまいります。この国民政治協会というのはどういう団体かを確認しておきたいと思います。

 国民政治協会は自民党の政治資金団体として届け出られておりますが、政治資金団体とはどういう団体と規定されているものでしょうか。

冨樫大臣政務官 お尋ねの一般財団法人国民政治協会は、昭和五十一年一月七日に設立の届け出がされ、自由民主党本部が指定した政治資金団体であります。

 政治資金規正法において、政治資金団体とは、「政党のために資金上の援助をする目的を有する団体」と規定されているところであります。

塩川委員 今お答えありましたように、政治資金規正法においては、政党のために資金を提供する目的を有する団体、政党が指定をした団体ということになるわけです。要するに、自民党が企業・団体献金を受け取るための受け皿であるわけで、自民党の第二の財布ということであります。

 この国民政治協会の会長と事務局長がどなたかは御存じでしょうか。

冨樫大臣政務官 政治資金規正法上、会長及び事務局長は政治団体の届け出事項とされていないが、一般財団法人国民政治協会から届け出られている代表者は大橋光夫、会計責任者は穴山洋一であります。

塩川委員 総務省の届け出の事項に沿って言えば代表者と会計責任者ということになるわけですけれども、その二人が届け出られているということですので、会長と事務局長を国民政治協会のホームページで確認しました。国民政治協会の会長は、総務省に届けている代表者である大橋光夫氏、昭和電工株式会社の最高顧問の方であります。大橋氏は、日本経団連で政治対策委員会の委員長をやってきた人物であります。また、国民政治協会の事務局長は田中清氏で、この田中氏は、日本経団連の元専務理事の方で、経団連の中で企業献金や永田町対策などを担当してきたと言われる人物であります。

 これまで経団連の側から財界、企業に企業献金を促してきた人が、今は献金の受け皿である自民党の財布となる国民政治協会にいるという関係というのがここに見てとれるわけであります。

 国民政治協会のホームページを見ていて、驚いたことがあります。法人寄附のページが国民政治協会にありますけれども、そこでは、「自由民主党総裁選挙に参加できます。」と書いてあるんですね。「二年継続して年額一万円以上の寄付をされた法人の代表者には、自由民主党総裁選挙の選挙権が付与されます。これは国民政治協会に認められた特典です。」というふうになっております。

 大臣は、こういう国民政治協会に、今紹介しましたような、自民党総裁選挙に参加できる、そういう特典があるということは御存じでしょうか。

高市国務大臣 自民党の総裁選挙に関することでございますので、総務大臣としてお答えする立場にはないと存じます。

塩川委員 自民党員でもある、まさに自民党の党則に基づく総裁選挙の規定の中にもこのことが触れられているのでお尋ねしているわけです。

 一つ確認ですけれども、これは大臣でも政務官でも結構なんですが、自民党の総裁選挙で選挙権を持っているというのはどういう人だか御存じでしょうか。

冨樫大臣政務官 今、大臣がお話ししたとおりでありまして、現在は私も内閣の一員でありまして、その立場にあって、お尋ねの点についてはお答えする立場にはないというふうに考えております。

塩川委員 自民党員であることには変わりがないわけで、自民党の総裁選の規定がどうなっているのかについての質問であるわけで、答えられないということはないということを申し上げたい。

 総裁公選規程というのがあります。その六条の第一項に選挙人について規定がありますけれども、そこを紹介してもらうだけでもいいんですけれども、それはできませんか。

冨樫大臣政務官 先ほどお話ししたとおりでありまして、お尋ねの点についてはお答えする立場にはないということで御理解をいただきたいと思います。

塩川委員 自民党員の大臣、政務官にかわりまして、では、私が自民党の総裁選挙の規定について御説明をいたしますが、この総裁公選規程の第六条の第一項に選挙人の規定があります。「総裁選挙の選挙権を有する者は、党所属国会議員及び次の各号に該当する者で日本国籍を有する二十歳以上の者とする。」とあって、一号、二号、三号とあります。一号が「前二年の党費を納入した党員」、二号が「前二年の会費を納入した自由国民会議会員」、いわば党友というんでしょうか、三号に「党本部管理委員会が承認した国民政治協会の個人会員及び法人会員の代表者(一人に限る)」とあるわけです。

 自民党の総裁選挙の選挙権というのは、もちろん党所属の国会議員があり、それから党員があり、党友があり、そして、国民政治協会の会員、それは法人を含むその代表者にも選挙権が与えられているということになっています。

 そういった際に、献金をした企業に、特典として企業の代表に選挙権が与えられている、こういう仕組みについては、もちろん大臣は御存じでしょうか。

高市国務大臣 繰り返しになりますけれども、内閣の一員としての立場でございます。特に、事政治資金法もしくは政党活動の考え方から申し上げますと、やはり政党本位、政策本位の政治ということで、それぞれの政党の政党活動の自由に係ることについて内閣の方から答弁を申し上げることはございません。

塩川委員 御存じかどうかということだけなんですけれども、その点について御存じか御存じでないかということだけお答えいただけませんか。

高市国務大臣 みずからが所属する政党ではございますが、政党の規約についてコメントをする立場にはございません。

塩川委員 大臣お話しのように、政党活動の自由というのは当然であります。政党は、主義主張に基づく自発的な結社として存在をしているわけです。

 同時に、党のありようの話として、その政党の代表を選ぶのに献金を特典とした、しかも個人ではなく企業にそういった特典を与えて代表を選ぶ仕組みということについては、私は、日本国民たる党員、党友と違い、企業・団体献金を行った法人を選挙権、参政権を有する国民たる党員、党友と同列に置いているというのは、これは極めておかしいのではないのかなと思うわけですが、大臣の所感はいかがですか。

高市国務大臣 一般論で申し上げますけれども、企業、団体にも政治活動の自由はございます。

塩川委員 選挙権はありません。

 そもそも、企業・団体献金を行った法人、企業、団体に対して総裁を選ぶ選挙権というのが特典として与えられているということを考えると、私は、やはりそういった企業・団体献金を行った企業の意に即した、党としてまさにそういう仕組みがビルトインされているということに大変驚いているわけであります。自民党の総裁選挙では献金企業が関与できるわけで、私は、自民党の総裁というのが企業の代表という側面を持つ政党だということを改めて認識したところです。

 そこで、企業の関係を安倍政権との関係で見てみたいと思います。

 私は、昨年七月一日の内閣委員会で、経済財政諮問会議など経済財政成長戦略の司令塔に経団連会長以下副会長などが入り、大企業経営者など民間出身者が多数を占めている状況だということを指摘いたしました。

 第二次安倍政権以降、安倍総理は、歴代総理で最も外遊が多い総理となりました。安倍政権は、成長戦略の一環として、インフラシステム輸出戦略、トップセールスということを強調しております。総理の外遊に財界人を同行させ、トップセールスと銘打っているのが一つの特徴であります。

 第二次安倍政権発足以降、民間人を同行させた総理外遊について、外務省にお尋ねします。

 民間人を同行させた総理外遊の回数、団体数、参加人数を示していただきたい。その中で、経団連会員企業が参加しているというのはいつ、どこに行った外遊か、このことについてお答えください。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、総理外遊の機会を捉えまして、インフラシステムの輸出や新興国市場への日本企業の展開を支援するため、精力的にトップセールスを進めているところでございます。

 議員からは、経団連加盟企業の参加についての御質問でございますが、政府といたしましては、意欲のある中堅・中小企業のグローバルな展開にも、支援も重視しておりまして、すぐれた技術を有し、展開の意欲を見せる中堅・中小企業にも原則としてお声がけをしているところでございます。

 なお、お尋ねになりました、安倍政権発足以降、総理の外国訪問に経済ミッションが同行した回数ということでございますが、計十三回ということでございまして、延べで数えまして六百七十六の企業、団体、人数としまして二千四百八十六名の方に参加をいただいているところでございます。

 さらに、経団連加盟企業の方々の参加につきまして、それら外遊全てにおいて同行をいただいているところでございます。

塩川委員 大変大規模に取り組まれているということがわかります。

 この前の内閣委員会でも確認しましたが、総理が搭乗する政府専用機に民間人を乗せて総理の外遊に同行した、こんなことはかつてなかったわけで、第二次安倍政権以降で行われているという点でも、前のめりになっているということが見てとれるわけです。

 大臣にお尋ねしますが、やはりこういうトップセールスという手法を定着させたのが安倍政権だと思いますが、大臣はどのように受けとめておられますか。

高市国務大臣 日本の経済成長ということを考えましても、トップセールスは非常に重要だと思います。

 私はまだ政府専用機に乗ったことはございませんが、同行される方々も含めて、対価、費用はお支払いになって乗っておられる、マスコミの方もそうでございますが、そのように漏れ聞いております。

 とにかく、今、総務省でも、郵便システムですとか、それからまた防災ICTですとか、さまざま対外的なインフラ輸出を展開いたしております。

 私の外遊はまだ一度しかないのですが、ただ、そのときに、やはり現地の経済界の方との交流ということを民間の企業の方がやられたり、現地の首相や大臣、担当大臣が回られるブースに展示をさまざましていただいたり、デモンストレーションをしていただいたり、そういったことでかなり大きな効果が上がっていると考えております。

塩川委員 いろいろな分野でのトップセールスは当然あるわけですけれども、やはりその中身が極めて重大だということを言わなければなりません。

 同行した企業の一覧で、先ほど紹介したように、経団連の役員企業がずらりと名を連ね、トルコやアラブ首長国連邦に行ったときには、いわば原発の輸出を可能にする原子力協定の締結や、TPPについて今国会でも大議論になっておりますけれども、中南米でTPPを推進する、そういう立場でのトップセールスもある。

 実利を伴う大企業の幹部を連れての外遊というのを、やはり企業側にしてみれば積極的に受けとめているわけで、日本経団連が毎年毎年政党に対する政策評価を行っています。

 その中にも、今月の十八日に公表された政策評価では、自民党を中心とする与党というのが、経済連携協定やインフラシステム輸出の推進など、内政、外交両面において強力に政策を推進し、成果を上げており、高く評価できる。このトップセールスを高く評価しているということになります。

 経団連が二〇〇四年から政策評価を始め、二〇〇九年の政権交代で一旦中断していましたが、自民党が政権に復帰した直後の二〇一三年一月に、経団連がまた政党の政策や活動の評価を実施することを表明しました。この点で、経団連の要望との合致度を採点し、政策評価という通信簿を毎年つけて、会員企業に献金を呼びかけています。

 先ほど述べましたように、国民政治協会への企業・団体献金は一二年から一四年で一・六倍にふえました。経団連会長企業の東レは二〇一四年に四千万円の献金で、トヨタ自動車に次ぐ高額であります。献金を自粛してきた三大メガバンクも、二〇一五年、昨年には献金を再開したということで、この間、私たちは、こういうやり方は金で政策を買う政策買収ではないのかと批判をしてきたわけです。

 これに対して、経団連の榊原会長は会見の中で、政策を金で買うとの批判は当たらない、民主政治を適切に維持するための相応のコストが必要であり、企業の政治寄附は社会貢献の一環として行うものである、実際、政策評価の評価項目中に経済界へ利益を誘導するような政策は一切ない、日本全体をよくするための国策である、このように言っているわけですけれども、私は、国民の目から見たら本当にそうなのかと言わざるを得ないわけです。

 こういう榊原経団連会長の政策買収ではないというのは、国民の目から見たらどうなのかと思うんですけれども、大臣はどのようにお考えですか。

高市国務大臣 政策評価ではございますけれども、民間の団体が政党の政策について見解を示したものでございますので、総務省としてコメントする立場にもないと思っております。

塩川委員 自民党に企業献金を呼びかけるという仕組みになっている政策評価を我々としては指摘しているわけです。

 経団連の政策評価を見ると、自民党に対して、法人実効税率を二九・九七%に引き下げるとか原発の再稼働とかTPPに署名をというのが太字で強調され、実績を評価しています。そして、今後の課題として、法人実効税率二五%への引き下げ、二〇一九年十月の消費税率の確実な引き上げ、原発再稼働の加速、TPP協定の承認案の早期成立だと書いています。

 ここに紹介した法人税や消費税、原発、TPP、これらはそれぞれ国論を二分しているような課題であり、安倍政権そのものが推進をしてきている中身です。

 経団連の榊原会長は、政府・与党に、国民の痛みを伴う改革に真正面からより一層強力に取り組んでもらいたいと述べています。

 安倍総理は、ことしの通常国会で我が党の穀田議員の質問に、多くの方々が浄財を提供していただいていることに対して感謝申し上げたい、企業が収益を上げていく状況をつくっているということに対して、応援しよう、頑張ってもらいたいと献金していただいていると答えています。

 安倍政権の成長戦略には、企業の稼ぐ力、世界で一番企業が活動しやすい国づくりと書かれているわけで、大臣、結局、企業献金という応援を受けて、ここにあるように、消費税増税や社会保障費抑制というような、国民には痛みを押しつける、一方で、法人税減税のような、企業がさらにもうけられるような国づくり、こういうことに、実際、安倍政権の政治そのものになっているんじゃありませんか。

高市国務大臣 少なくとも私は総務省を所管する立場からお答え申し上げます。

 経済財政諮問会議にも私もメンバーとして毎回出ておりますが、むしろ、榊原会長を含む民間議員からの御提案は地方財政にとって大変厳しい御指摘ばかりで、それに対して反論をしているケースが大変多いかと思っております。

 何も内閣は、経団連のおっしゃるとおりに政策をつくっているわけでもなく、経団連のおっしゃるとおりに政策を実行しているわけでもないと考えております。

塩川委員 原発の再稼働の問題で、この間、鹿児島でも新潟でも知事選において原発再稼働反対の民意というのが下されております。

 このように、国民多数が反対をしているような政治、原発再稼働、それを財界の方がいわば最優先課題として進める、再稼働を求めるということを要求して、それに応える政治を進めてきたのが自民党であるわけです。

 こういう、まさに国民多数の声を踏み破るような政治を推進している、経団連の要望に応える、その背景に、金を出し、政策を誘導するというゆがみがある。

 国民の参政権そのものを侵害する企業・団体献金はきっぱりと禁止をすべきであり、パーティー券を含む企業・団体献金の全面禁止法案を我が党は提出しております。それを審議入りし、ぜひその成立を期して我が党としては力を尽くすことを述べて、質問を終わります。

竹本委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 おはようございます。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、選挙の話じゃなくて恐縮なんですけれども、せっかく高市大臣がおいでになっておりますので、ここだけはちょっと聞いておきたいなということを質問させていただきたいと思います。

 せんだっての靖国の秋の例大祭に大臣も出席をされ、それが報道をされております。この、なぜ参拝したのかということをまずお聞きしたいんですけれども、このお気持ちというのは、大臣としてというよりも、一人の政治家として、一個人としていろいろな思いがあるのは当然のことだと思います。

 さきの大戦で祖国のために犠牲になられた方に対する尊崇の念ですとか、あるいは、一般市民も含めて犠牲になられた方への思い、そして、その人たちの犠牲の上に現在の平和と繁栄があるんだということに思いをいたし、二度とこういう惨禍を繰り返してはならないという誓いを立てるというのは、これはほとんどの国民が心の中に共有することだと思います。

 ただ、靖国に一大臣が参拝をされるということは、その思いとまた別のところに一つのメッセージを発信することにもなる、そういう意味合いも私は否定できないと思います。

 大臣は、靖国に参拝されるときに、どのようなメッセージ性を発信するおつもりで靖国に参拝されているのか、その理由についてお聞かせをいただきたいと思います。

高市国務大臣 靖国神社に参拝をするときに、何らかのメッセージ性を発信するために参拝したことはございません。

牧委員 私が言いたいのは、では、どのような思いで参拝をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

高市国務大臣 一人の日本人として、国策に殉じられた方々に尊崇の念を持って感謝の誠をささげ、あわせて、御遺族の皆様の御健康をいつもお祈りさせていただいております。

牧委員 これ以上突っ込んでも意味がないのでお話ししませんけれども、今の大臣のおっしゃられた思いというのは、私、冒頭申し上げたように、ほとんどの国民が共有する思いだと思います。靖国に参拝しなくても、みんなが心の中に持っている思いだと思いますけれども、それをあえて参拝をするということ、そのことについて、いろいろな反響があるということも当然御承知の上で参拝されるわけでしょうから、そのことについてのメッセージ性についてどうお考えになるのかということを私は聞いたんです。

 もし何かあれば、お答えください。

高市国務大臣 靖国神社の参拝を終えて出てまいりますと、マスコミの方々が待っておられて、どういう気持ちで参拝をされましたかということをお聞きくださいます。それが放送されたり報道されることによりまして何らかのメッセージが伝わってしまうということはあり得るかもしれませんけれども、私自身は、一人の日本人として、自分の信仰心に基づいて参っているわけでございます。

牧委員 これは個人の価値観の問題ですから、これ以上、私も、このことについて、いいとか悪いとか論評するつもりもございませんし、お聞かせをいただければ結構でございますので。ありがとうございました。

 もう一つお聞かせいただきたいのは、この靖国なんですが、昭和五十三年にA級戦犯が合祀をされ、これは昭和殉難者ということで合祀をされたと思うんですけれども、その後、昭和天皇も一度もお参りをしていない、今上天皇ももちろんされていない、このことについての大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 靖国神社は、国家が管理する施設ではなく宗教法人でございます。いわゆるA級戦犯とされた方々が合祀されているということにつきましても、これは政府の権限の外にあることでございますので、特にコメントは申し上げません。

 天皇陛下による御親拝についても同様でございます。

牧委員 わかりました。

 もう一点聞きたいんですけれども、せんだって、亀井静香先生が音頭をとられて、この靖国に賊軍の方たちも合祀されたらどうかという提案があり、多くの皆さんが、もちろん私もそうですが、署名をさせていただきました。

 戊辰戦争の戦没者を合祀した東京招魂社が靖国神社の前身であるということ、こんなことは釈迦に説法でしょうけれども、官軍の戦死者を顕彰するのがそもそもの目的だったと思います。ただし、西南戦争ですとかあるいは佐賀の乱ですとか、西郷隆盛さんやら江藤新平さんは、その後賊軍扱いということで合祀されていない。もちろん会津藩の方たちやら奥羽越列藩同盟なんというのは対象外なわけでありますけれども、こういう方たちもやはり内戦においてこの国のことを思いながら殉じていった人たちだ、そういう観点から、靖国神社に対しての合祀申し入れというものがこの間ございました。

 この文書をちょっと借りて読みますと、「神話の国譲りに始まり、菅原道真公を祀る天満宮や、将門首塚など我々日本人は歴史や文明の転換を担った敗者にも常に畏敬の念を持って祀ってきました。」とあります。私もこれは全く同感でございましたので、ここに署名をさせていただいて、議員だけじゃなくて財界の方たちもお名前を連ねておりますけれども、せんだって靖国に申し入れをされているわけです。

 この顔ぶれから見ると、恐らく全員の国会議員にお声がけをしたと思うんですけれども、大臣のお名前が見つからなかったので、何かここに名前を連ねなかった理由があるんだとしたらお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 何か書類が回ってきたのかどうか、私、今初めてお聞きしましたので、その紙を拝見はしておりません。

 ただ、先ほど申し上げましたが、靖国神社は宗教法人でございますので、どのような方々をお祭りするかどうかは、これは神社の判断であろうと思います。政府として関与する立場にはございません。

牧委員 政府として関与する立場にないのはよくわかるんですが、個人としてどうでしょうか。

高市国務大臣 現在、国務大臣としての立場でこの場で答弁をさせていただいておりますので、個人の思いは申し上げることを差し控えたいと思います。

牧委員 もうこれ以上、余りしつこく申し上げませんが、国務大臣としての立場であるので個人としての見解を差し控えるというお話をするのであれば、やはり靖国参拝そのものも、個人として参拝されたんでしょうけれども、国務大臣としての立場と個人としての立場、この辺の使い分けと今のお話の使い分けというのはやや矛盾するんじゃないかなと私は言わざるを得ないと思います。

 これ以上申し上げませんけれども、あくまでも個人でということであればちょっとさっきの話と矛盾するんじゃないかなということだけつけ加えさせていただき、時間もございませんので、選挙の話に移りたいと思います。

 まず一つは、テレビの放送と選挙のかかわりについての質問なわけであります。

 ここへ来ていろいろな通信技術が発達をし、あるいは放送そのものも、地上波だけじゃなくて、BSやらCSやら、いろいろなものがさまざまございます。

 そういう中で、政見放送が今現在果たしている役割について、私は若干、もうそろそろ時代に合わないのかなという思いがございます。そもそも、政見放送を見たよという人も余り地元でもいないんですね。いつやっているのかわからない、そんなような声も聞きます。

 この仕組みについて、まず簡単に教えていただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 政見放送につきましては、公職選挙法百五十条に基づきまして、公営による選挙運動として、衆議院議員選挙、参議院議員選挙それから知事選挙において認められるものでございます。

 その主体は、衆議院小選挙区選挙では、候補者届け出政党、政党でございます。衆議院及び参議院の比例代表選挙では、名簿届け出政党等。それから、参議院選挙区選挙と知事選挙では、公職の候補者、個人ということでございます。

 収録方法は、衆議院の小選挙区選挙では、候補者届け出政党が都道府県単位でビデオを作成したものを持ち込むことが認められております。それ以外はスタジオで録画することとされております。

 政見放送の回数、日時その他放送に関し必要な事項は、候補者間、政党間の選挙運動における公平公正を確保するために、公選法の第百五十条第六項に基づきまして、総務大臣が日本放送協会及び基幹放送事業者との協議の上で、政見放送及び経歴放送実施規程というものを定めております。

 放送回数は、衆議院の小選挙区選挙では、都道府県単位で届け出候補者数においては四回から二十四回までなどのように回数で決まっているもの、それから、参議院の選挙区選挙、知事選挙では、八回とされております。

 一回当たりの放送時間も、衆議院議員選挙では九分、参議院の比例では十七分、それから選挙区選挙、知事選挙では五分三十秒ということで、放送の時間帯や場所はくじで決定されておりまして、このくじにつきましては各政党や候補者等の立ち会いができるというものとされております。

 また、参議院選挙区選挙以外の政見放送につきましては、手話通訳を付することができるもの、それから字幕スーパーが付与できるものというふうに、それぞれ定めもございます。

 このように、政見放送の放送回数などにつきましては、候補者間や政党間の選挙運動における公平公正という観点から、厳密な規定が設けられているところでございます。

牧委員 その仕組みについてはわかるんですが、また、このやり方についての公平性、公正性に別に疑問を持っているわけでもございませんが、私が申し上げたかったのは、もうちょっと、見たい人がいつでも見られるような仕組みですとか、そういったことを考えるべきじゃないかというふうに申し上げたわけであります。

 例えば、私が今度選挙のときに、私が今度、何月何日の朝、何時からNHKで政見放送をやりますよというようなことを例えば文書にして地元の方々に配ったら、これは文書違反になるんでしょうか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げます。政見放送の日時を記載するような文書につきましては、それは選挙運動に該当するということになりますので、法定の選挙運動用ビラに載せる分につきましては、その記載内容に頒布責任者、印刷者等の情報を記載しなければいけないと決まっているほかは、他の法令等に触れる場合を除いて、特段の制限がございませんので、法定ビラである限りは、政見放送の日時を記載したビラを頒布することは、公選法上の問題は直ちにないということでございます。

牧委員 わかりました。確認しておいてよかったです。

 それで、この政見放送というのを有効に使ってもらえば、お金のある候補者もない候補者も公平に選挙ができるという意味では、非常に意味があると思います。だからこそ、もっと有意義に政見放送をしてもらいたいなという気持ちで私は申し上げているわけでございます。

 そういう中で、視聴率というのは、大体どんなものなんでしょうか。

大泉政府参考人 政見放送の視聴率でございますが、日本放送協会に問い合わせたところ、視聴率を調査している事業者との契約上、外部に公表できないとの回答を得ておりまして、総務省としては把握していないところでございます。

牧委員 わかりました。

 大臣、よく研究していただいて、せっかくやるのならもっと有効なものにしていただきたいということだけ申し添えておきたい。もし御意見があればお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 公営の政見放送につきましては、先ほど部長が答弁させていただいたとおり、やはり公正公平を確保するために、放送回数の制限を超えていつでも見られるという状況に置くことは、なかなか現行法では困難でございます。

 ただ、候補者や政党などが放送された政見放送を録画して、みずからのホームページなどに掲載するということは、インターネット選挙運動の解禁に伴い、現在の公職選挙法上、特段制限する規定はございません。ただ、著作隣接権との関係で、放送事業者の許諾を要するかという確認は必要ですけれども、これは可能でございますので、そういったことで、多くの方が見るチャンスというのはつくっていけると思います。

牧委員 公選法上、インターネットにアップすることは問題ないということを確認させていただきましたが、放送事業者側の許諾が必要だというようなお話でありましたので、そこは特に許諾が要らない状況を確認できれば一番ありがたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 著作隣接権、放送事業者の場合はこうなるんですが、NHKの政見放送については、もう局の方針として、政見放送に係る著作隣接権は主張しないとしておられますので、NHKのものでしたら許諾は必要ないと存じます。

牧委員 ありがとうございます。これも確認させていただきましたので、有効に使わせていただきたいと思います。

 さて、ここまでは選挙に出る者が公平公正に扱われる部分だと思うんですが、ちょっと目を転じて、テレビCM、政党のCMがございます。この各党のテレビの利用状況というのは多分どこも把握されていないと思いますけれども、把握していたら教えてください。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 政党のテレビCMにつきましては、一般論としては、選挙運動とは認められない一般の政治活動として、各政党でみずからの判断で行われているものと考えられますが、そういうことでございますので、総務省としては把握はしておりません。

牧委員 それでわかるんですが、放送法上も公選法上も、その枠内でやれば特に問題ないということだと思いますが、ただ、CMにはやはりそれなりのお金がかかります。

 このお金のかかるテレビCMについて、結果、これは国民の税金である政党助成金もそこに入ってくるということになるわけでしょうけれども、このことについての大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 政党交付金の使途につきましては、政党の政治活動の自由を尊重して、制限を設けておりません。その是非は、使途報告の公開などを通じて、国民が監視する制度になっております。

 政党助成法第四条、法律の運用を定めたものですが、「国は、政党の政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならない。」となっておりますので、具体的な支出内容や時期につきましては、各政党で判断されることだと思います。

牧委員 時間がありませんので次に進みます。

 BPO、放送倫理・番組向上機構が、ことしの参議院選と都知事選を扱った報道番組について審議するという報道がなされておりますが、これは、ここにはBPOの方は出てこられないということをお聞かせいただいておりますが、総務省として、どのような問題意識でBPOが審議を始めたのか、もし御存じでしたら教えていただきたいと思います。

南政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもも、実は、BPOさんの報道を通じてしかその内容は承知してございません。

 先日、十月十四日に、BPOの放送倫理検証委員会というところが、先生御指摘のように、さきの参議院議員選挙と東京都知事選挙における選挙報道を受けまして、個別の番組ということではなくて、選挙報道のあり方全般について審議入りをされるということを決めたということを、私どもも報道で承知をしたところでございまして、総務省としては、その審議の経過というものを見守ってまいりたいというふうに考えてございます。

牧委員 これは、ある一定の期間までに何らかの結論が出るとか、そういう報告もあるんでしょうか。

南政府参考人 残念ながら、審議入りの本当の具体的な背景でございますとか今後のスケジュールなどについては、私どもも承知をしていないところでございます。

牧委員 特に、私も気になったんですけれども、都知事選、三候補が有力候補ということで、民放は特に、ほとんどの時間がこの三候補の報道に終始していた。ほかのバラエティー等も含めれば、圧倒的にその他の候補者というのは泡沫扱いだったと思うんですけれども、これはどういうところで線を引いて三名だけがテレビで露出を繰り返したのか、御認識があればお聞かせをいただきたいと思います。

南政府参考人 個別具体的なケースについてのコメントはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、先生御案内のとおり、放送法というのは放送事業者による自主自律と言われるものを基本とする枠組みとなってございますので、放送番組というものは、放送法に沿って放送事業者がみずからの責任において編集していただくということで、きちんとその責任において編集していただいているものというふうに考えてございます。

牧委員 みずからの責任においてと言われてしまうと元も子もないというか、これ以上何にも申し上げることはできないんですけれども、やはり私はおかしいと思うんですね、この扱いというのが。

 これをどこかで見ていて、おかしいものはおかしいという声を上げなければ、この泡沫扱いされた人たちが、異議申し立てやら訴訟を起こしたりとかというのはあるんでしょうけれども、どこにも救済の道がない。このことについては、やはり今後の課題としてきちっと私は考えていただきたいなと思います。

 逆に、例えば政党からのいろいろな圧力が、無言の圧力あるいはそうじゃないものもあって、あるいは、そういうものがなくても、テレビ局が勝手にそんたくをして曲がった報道をするというようなことも、私はないとは言い切れないと思います。

 日本の国の報道の自由度というのがことしも発表されましたけれども、二〇一〇年、鳩山由紀夫政権のときは百八十カ国中十一位だったのが、今七十二位にまで急激に落ち込んでいるわけで、それは報道機関が何らかのプレッシャーを感じる中で自由な報道ができないということのあらわれだと私は思います。

 こういうことについて、大臣、どうお考えになりますか。

高市国務大臣 先ほど委員がおっしゃいましたような事例を伺っておりますと、相当報道機関は自由に報道しておられるということなんだろうと感じております。

牧委員 その辺、ちょっと認識が違うところが残念であります。これ以上申し上げません。

 次に、衆議院選挙についてですが、一票の重みについて既に違憲判決があり、この判決に基づいて、さきの国会でも区割りの画定審議会設置法等の法改正がありました。これでその是正のための〇増十減というのが法案として成立をして、審議会が選挙区の〇増六減分について作業を進めていると思いますが、この進捗状況について教えてください。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 衆議院議員選挙区画定審議会につきましては、さきの通常国会において、衆議院選挙制度改革関連法が本年の五月二十七日に成立したことを受けまして、区割りの改定作業に着手しております。

 国勢調査の確定値が公表されておりませんため、日本国民の人口というものは判明しておりませんが、平成二十七年の国勢調査の速報値人口を参考としまして、改定対象と見込まれる選挙区を有する関係都道県のこれまでの区割りの画定、改定などの経緯などにつきましてレビューを行ってまいりました。また、関係都道県の知事宛てに、改定方針あるいは区割りについての意見を伺うための照会をしているところでございます。

 なお、本日の午後に平成二十七年の国勢調査の確定値が公表されますので、これによりまして日本国民の人口というものが国勢調査上判明しまして、改定対象と見込まれる選挙区が明らかになるということとなります。

 今後でございますが、これにつきましてはやはり審議会が決定すべきことではございますが、これまでの例から見ますと、関係都道県などからの回答の受領、それから区割りの改定案の作成方針の決定をしまして、具体の区割りの改定案の審議に、そういった手順で進んでいき、来年五月二十七日の勧告期限に向けまして作業が進められるものと考えております。

牧委員 五月二十七日がデッドラインだということでございますけれども、今お話がありましたように、速報値に基づいて作業はもう既に開始をされ、くしくも本日確定値が発表されるということでございますので、本当に急いで、しっかりと作業を急いで進めていただきますようにお願いを申し上げ、早く済ませないと衆議院の解散にも影響があるでしょうから、急いでやっていただきたいということを私は申し上げておきたいと思います。

 まさか、作業が終わる前に衆議院を違憲状態のままで再び解散するということは私はないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 済みません、衆議院の解散権は総理の専権事項でございますので、私には、それについて言及することはできません。

牧委員 それはもちろん総理の専権事項ですけれども、違憲状態の中で解散・総選挙をやることについてのお考えはどうかということをお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 内閣が衆議院の解散を決定するということについて、憲法上これを制約する規定というのはございません。仮に衆議院が解散されたという場合には、解散の日から四十日以内に、現行の区割りで衆議院議員の総選挙が行われるということになってしまいます。

牧委員 これ以上聞きません。

 では最後に、先ほど刑事局長からも参議院選の報告がございました。とりわけ十八歳選挙の最初の選挙だったわけですけれども、いろいろ検挙の件数ですとか警告の件数等の御報告がありましたが、十八歳、十九歳の方たちを対象にした調査の結果というのはあるんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回の参議院議員通常選挙における十八歳以上二十歳未満の者の検挙についてのお尋ねでございますけれども、警察庁では、都道府県警察から検挙があったとの報告は受けておりません。

牧委員 なかったということですね。

吉田政府参考人 なかったものと承知しております。

牧委員 それは大変よかったと思います。

 今の公職選挙法はなかなか大人にもわかりづらい部分もあり、多分高校の先生もきちっと生徒さんに教え切れていない部分もあると思いますので、これはなかったというのは非常によかったと思うんですけれども、特にネットの利用ですとか、難しい部分がたくさんありますし、高校三年生になると十八歳と十七歳が混在していたり、いろいろなトラブルが起こり得る可能性もあると思います。

 こういうことで国民が萎縮するような、そんな公職選挙法であっては、取締法であってはいけないと思います。べからず法だとよく言われるんですけれども、そうじゃなくて、もっと国民を政治から遠ざけることのない、そんな選挙制度というのをこれからも私は検討していくべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 まずは、やはり選挙でしていいこととしてはいけないことを大人も若い方々も正確に知っていただく、その上でできることは存分にやっていただけるような形をつくっていかなきゃいけないと思っております。

 今回も、選挙運動ができるようになった十八歳の方々、選挙運動はしてはいけない十八歳未満の方々に対しても、高校で学んでいただけるように、特に難しいインターネットを活用した選挙運動についても記載をした副教材を配付いたしております。それからまたリーフレットなども配付をいたしておりますけれども、これからもよりわかりやすく広報するように努めてまいります。

牧委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 民進党の落合貴之でございます。

 本日は、一般質疑ということで、選挙や政治資金のあり方について質問をさせていただきます。

 まず、大臣に御見解をお伺いできればと思います。

 投票率についてなんですが、例えば、先週の衆議院の東京十区の補欠選挙、投票率は三四・八五%でございました。これは何人ぐらい選挙に行ったのかなと調べてみると、投票に行った人の数が十二万七千九百六十五人、棄権した人の数が二十三万九千二百十四人と、残念ながら、投票に行った方が棄権した人よりかはるかに人数が少ないというのが現状でございます。

 地方選挙においても、残念ながら、このくらいの投票率しかない選挙がたくさんあるわけでございます。

 投票した人より棄権した人の方がはるかに多い選挙も選挙としては成立をしてしまっているというこの状況について、御所見を伺えればと思います。

高市国務大臣 投票率につきましては、選挙の争点ですとかさまざまな事情がある、総合的に影響するものだと思っております。ですから、要因を一概に申し上げることは大変困難なんですが、ただ、先般の参議院選挙で、先ほど報告を申し上げましたとおり、投票率の低下に一定の歯どめがかかった状況の中で、今回の衆議院補欠選挙で投票率がとても低い状況になったということは大変残念に思っております。

 選挙というのは国民の皆様の声を政治に反映させる最も重要かつ基本的な機会でございますので、これからも何とか投票率の向上に向けた啓発活動また主権者教育、しっかり進めてまいりとうございますし、昨年来、委員の先生方にもお世話になりました投票環境の改善についてもしっかりと進めてまいります。

落合委員 ありがとうございます。

 これは与党や行政だけの責任ではなくて、与野党超えた大きな問題だと思います。残念ながら、投票率が低い方が当選のためにはいいんだと言っているような発言も出ることもあるということも耳にしますし、現状の投票率が低過ぎる事態というのはやはり与野党超えて解決しなければならない問題であると思います。

 今までこういった場でも質疑が行われてきましたが、主権者教育それから啓発運動、今回の参議院選挙、二%上がった、下げどまったというような効果もあるという見解もありますけれども、それでも国政選挙でも五四%しか投票率がいかなかったという残念な現状でございまして、これは今まで学校でやってきた主権者教育、それから地域でやっている啓発活動、行政がやっている活動、これを今までの延長線だけではなくて、やはり抜本的に考えていかなければならないんじゃないかなと思います。

 改めてそこについて大臣の御見解、御決意を聞かせていただければと思いますが、いかがですか。

高市国務大臣 ことしの参議院選挙を見ますと、十八歳の方々の投票率は高かったなと思います。私が予想したよりもはるかに高くて、二十代の投票率を大きく上回っておりましたけれども、課題として感じましたのは、十九歳の方々の投票率が十八歳の投票率よりも低かったということで、大学の入学式後のオリエンテーリングですとか、そういったところでも広報してほしいというお願いを文部科学省を通じてしたり、あとはさまざまな経済団体に対して、会員企業の従業員の方々、中学を卒業して働いておられたり高校を卒業して働いておられたりする方々にもぜひとも啓発活動をお願いしたいというようなこともしてまいりましたけれども、やはり十九歳の投票率が低かったということは、それがまだ十分じゃなかったんだというのが一つの反省点でございます。

 それから、今また新たに私が強く問題意識を持っておりますのは、足が悪くて在宅で介護を受けておられるような方で、郵便投票の対象ではない方々もおられます。要介護六の方は郵便投票の対象であったり、また、身障者手帳で一定の要件を満たす方は郵便投票の対象でありますけれども、実際には、ほとんど歩行が困難で在宅で介護を受けている場合はなかなか投票の機会が得られないといったものもありますので、あらゆる世代で投票率を上げていくというのは、やはり投票環境の改善をさらに検討していかなきゃいけないなと思います。また国会の方でも先生方に御指導をいただきながら、改善を続けてまいります。

 ごめんなさい、要介護度五の方に郵便投票が認められています。修正させてください。

落合委員 その前段の部分の選挙権年齢について入らせていただければと思うんですが、ことし、大きなそういう改正ということで、二十歳から十八歳に選挙権年齢が引き下げられました。参議院選挙、都知事選挙など、それなりに数の大きい大規模な選挙をことしは経たわけですが、この十八歳選挙権の実施状況の評価について伺えればと思います。

冨樫大臣政務官 今回の参院選における十八歳及び十九歳の投票率は、十八歳で五一・二八%、十九歳で四二・三〇%となり、二十歳代の三五・六%に比べ高い水準となっております。

 これは、選挙権年齢の引き下げを受け、模擬投票や出前講座など、選挙管理委員会が学校教育と連携して主権者教育を推進したことや、学生やNPO法人その他の関係機関による周知啓発により、一定の成果が出たものと考えております。

 初めて十八歳選挙権を行使された有権者の方々が引き続き関心を持って政治参加いただけると考えられ、今後の二十代の有権者の投票率の向上にも期待が持てるものだったのではないかと考えております。

 いずれにしても、若者の政治参加意識の向上を図るためには政治的リテラシーの向上を図ることが必要であると考えており、参院選におけるフォローアップとして現在行っている意識調査の結果も踏まえ、主権者教育が一過性に終わることなく定着して行われるよう、その推進方策を検討してまいりたいと考えております。

落合委員 改めて、今の点、もう一回確認させていただければと思うんですが、二十代の投票率より、十八歳、十九歳、投票率が高かった。特に十八歳は五一%、全体の投票率よりはやはり低いんですが、十九歳や二十代よりは高かったという結果が出ました。

 ことしの概算要求とかを見ても、同じように主権者教育への要求というのが出ているんですが、高校などでの主権者教育というのは、ことしやったものはある程度評価できるものであるというふうに考えているということでよろしいでしょうか。

冨樫大臣政務官 今落合委員のおっしゃるとおり、私もそのように理解をしておりますし、また、十九歳の有権者の投票率、十八歳の有権者と比べて低かったという点も先ほど来お話がありましたけれども、やはりここも、大学生や社会人に対する政治参加の意識の向上の方策等々、今後の重要な検討課題だというふうに思っております。

落合委員 最初の選挙で行かなかったよりも行った方が、やはりその後人生で選挙に行く確率というのは高くなると思います。

 私も、街頭演説をしているときにある五十代ぐらいの女性に話しかけられたんですが、子供が選挙権をもらったんだけれども、実は私は一回も選挙に行ったことがないのよと。子供は行くと言っているんだけれども、子供に、自分が行ったことがないということを言えない、ただ、今さら選挙に行って、どうやって投票用紙を書いていいかも不安で、行けないというような話も聞いたことがあります。

 やはりそういった意味で、若い段階で選挙に行くことになれさせるというのは大変重要なことでありまして、今回のように、十八歳、十九歳の選挙権が世の中でも注目されたというようなことは大変重要なことだと思います。それで、選挙権がもらえたことで十八歳、十九歳に関心が恐らく高まったわけで、今までの十八歳、十九歳よりは、ことしの十八歳、十九歳の方が恐らく関心が高かったものだと、それは投票率でもあらわれていると思います。

 次に、被選挙権について少しお伺いができればと思います。

 私が政治の世界に行こうと思ったきっかけも、被選挙権年齢に達して初めて衆議院選挙が行われたときでございました。そのときサラリーマンだったんですが、そういえば自分ももう選挙に出られる年齢なんだということを改めて認識しまして、私は政治の世界に入る決意がきっぱりとそこでできました。サラリーマンをやめて、政治の世界に入ったわけです。

 この被選挙権年齢を得るということも、主権者教育、主権者意識の醸成にとっては重要なことだと思います。被選挙権年齢も選挙権年齢に続いて引き下げるということの検討状況はいかがでしょうか。

原田副大臣 今般の参議院通常選挙は、委員がおっしゃるように、選挙権年齢が引き下げられて初めての国政選挙でありました。引き続き、これをしっかりと国民の間に定着させていくことが肝要であると思います。

 御指摘の被選挙権年齢は、諸外国の例を見ましても、選挙権年齢と必ずしも一致をしていないなど、そのあり方にはさまざまな考え方があるものと承知をいたしております。

 いずれにしても、被選挙権年齢の取り扱いについては、民主主義の土台である選挙制度の根幹にかかわる事柄であり、国民の代表である立法府における各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えております。

落合委員 これは、私自身も被選挙権というのは重要なものだと考えておりまして、我が党でもその議論を喚起していきたいというふうに考えております。

 参考のために、資料を本日お配りさせていただきました。これは、各国、百九十四カ国の下院議員の選挙権年齢、被選挙権年齢の一覧でございます。

 被選挙権年齢に注目しますと、日本よりも被選挙権年齢が高い国というのは十一カ国しかありません。それに丸をつけたんですが、アンゴラ、イラク、イラン、オマーン、ガボン、クウェート、サウジアラビア、パレスチナ、ミクロネシア、ヨルダンなど、これはほとんど中東中心なわけですけれども、意外に、日本よりか被選挙権年齢が高い国というのは余りないわけでございます。

 OECD加盟国三十四カ国に絞りますと、OECD加盟国は線を引いてある、色がついているところですけれども、三十四カ国中半数以上の国が被選挙権年齢が十八歳以下。半数以上が十八歳以下で、八割以上が二十一歳以下でございます。

 選挙権と被選挙権を考えるときに、被選挙権を持っている人の方がある程度知見がないといけないというような答弁も今までありましたけれども、やはり外国と比べて、例えば我が国の二十が知見がないとは言えないのではないかと思います。

 一方で、本当に勢いで導入してしまうと、若くて勢いがある人ばかり受かっちゃうんじゃないか、本当に質を維持する、高めることができるのかという心配があると思うんです。

 これも調べたんですが、例えば、十八歳以上が立候補できるイギリスの下院議員、平均年齢は五十歳ちょっとで、日本とそんなには変わりません。それから、フランスも十八歳以上が立候補できるんですけれども、三十歳未満の下院議員というのは一人しかいません。ということで、意外に年齢で選挙の選択が行われていないというのが各国の例でございます。先ほどの三十歳未満が一人しかいないフランスのほかの年代を見てみますと、下院議員で一番多い年代が六十代、二番目が五十代ということで、やはり被選挙権年齢を下げたことで国会議員の年齢構成ががらっと変わってしまうような状況ではないというふうに考えることができると思います。

 これは、ここまでは通告していないですが、こういう数字を見て率直にどのように思われますでしょうか。

原田副大臣 被選挙権年齢については、社会的経験に基づく思慮と分別を踏まえて設定されているものと考えられております。職務内容や選挙権年齢とのバランスを考慮しながら検討されるべき事柄であろうかと思います。必ずしも選挙権年齢と一致するものではないと考えられます。

 また、先ほども申し上げましたとおり、諸外国の例を見ましても、選挙権年齢と必ずしも一致をしておらないなど、そのあり方にはさまざまな考え方があるものと承知をいたしております。

落合委員 今御答弁、最後の方にしていただきました選挙権年齢と被選挙権年齢の年齢の差なんですけれども、必ずしも一致はしていないんですが、特に先進国は割と年齢が近い、被選挙権年齢と選挙権年齢の年齢がそんなには離れていないところがほとんどでございます。

 日本の選挙制度は、初めから五歳ぐらい衆議院でも選挙権年齢と被選挙権年齢の差をつけていますし、参議院はさらに五年。十年ぐらいしないと参議院や知事に立候補できないということになっているわけです。

 改めて、選挙権年齢と被選挙権年齢の年齢に差をつけていることに関する理由、意味の、政府としての見解を伺えればと思います。

原田副大臣 先ほどもお答えをさせていただきましたように、社会的経験に基づく思慮と分別を踏まえて設定されておるものと考えられておりまして、職務内容や選挙権年齢とのバランスを考慮しながら検討されるべき事柄であることから、必ずしも選挙権年齢と一致するものではないと考えられます。同じような答えになろうかと思いますけれども、御理解をいただければと思います。

落合委員 検討されるべき課題であるが、必ずしも一緒である必要性はないというようなことでございました。これは一つの検討すべき課題ではあると思いますので、私もこれから、世論の喚起、それから政治家の皆さんとの議論を深めていきたいと考えております。

 地方選挙が、特に近年、立候補する方が定数よりか少なくて無投票になってしまうということも去年の統一地方選挙でも問題になっていました。一方で、政治学の教科書にも、やはり地方自治というのはかなり重要である、民主主義の学校であるとも言われております。

 具体的に、地方議会の選挙というのは、自分たちの子供のときから感じているような生活に密着した問題が選挙の争点になるということも多いですので、例えば、国政に先行して、地方選挙の被選挙権を、年齢を下げるということも検討に値するのではないかなと思うんですが、これに関してはいかが考えられますでしょうか。

原田副大臣 地方選挙の被選挙権年齢を先行して引き下げることについては、職務内容や選挙権年齢とのバランスのほか、国政選挙における被選挙権年齢との均衡を考慮しながら検討されるべき事柄であると承知をいたしております。

 いずれにしましても、被選挙権年齢の取り扱いについては、民主主義の土台である選挙制度の根幹にかかわる事柄であり、国民の代表である立法府における各党各会派で御議論いただくべき事柄であるとともに、地方公共団体の意見も聞きながら、幅広く御議論をしていただくものと考えております。

落合委員 これは、おっしゃるとおり、民主主義の根幹にかかわることでございますし、また、政界の人材の確保、質を高めていく、リーダーを育てていくという面でも重要な問題だと思いますので、これからも取り上げさせていただければと思います。

 それでは、選挙制度から政治資金の問題にシフトさせてもらえればと思います。

 きょうは、企業・団体献金について改めてお伺いをさせていただきます。

 まずお伺いしますが、二十年くらい前に政治家個人に対する企業・団体献金が禁止されたわけですが、この理由というのはどういう理由だったんでしょうか。

高市国務大臣 平成六年の政治資金規正法の改正のことだと存じますが、このときは、政党本位、政策本位の政治を目指し、政党中心の政治資金制度に改めようとしたものでございました。

落合委員 政党本位ということで、政治家個人には禁止をして、政党には企業・団体献金をやっていいということに定められているわけでございますが、その改正が行われた背景として、リクルート事件ですとか、政治とお金の問題がこのころ、その前から起こってきて、世論が政治改革、政治改革という形で盛り上がってきたわけでございます。

 これは、今の企業・団体献金、どういうふうに政治資金規正法の中で規定されているのかなというふうに改めて条文を確認してみますと、政治資金規正法の二十一条第一項に「会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。」というふうにあります。

 今大臣がおっしゃった、政治家個人から政党本位へ変えるという趣旨でこういう規定がされたわけですけれども、今の段階でいろいろ調べますと、政党の支部というのは企業・団体献金を受け取っております。これは、この規定にある「政党」というのが政党の支部も当てはまると考えられて、企業・団体献金を受け取ることが認められているというふうに考えてよろしいでしょうか。

冨樫大臣政務官 御指摘の政治資金規正法第二十一条では第四項において「第一項」「の規定の適用については、政党の支部で、」との規定が置かれており、同条第一項に規定する「政党」には、当然、政党支部についても含まれるものであります。

落合委員 改めて、それでは、政党本位に受け取っている企業・団体献金が支部も受け取れますということで、では、支部というのは各政党どれぐらいあるのかなということで、資料の二をつけさせていただきました。総務省の資料は住所とか代表者の名前も入っていたので、政党の名前と数だけを改めて抽出させていただきました。

 桁が多いのは自民党の七千五百七十なんですが、これは問題提起として、受け取ろうと思えば、七千五百七十団体、七千五百各団体に代表者がいる、それぐらいの数の団体が企業・団体献金を受け取ることができるというのが現状です。これは、個人本位から政党本位へという二十年前の趣旨に沿ったものなのかなというのが疑問であると思います。

 私自身も、政党の支部の代表者をやっています。私自身は企業・団体献金に反対して選挙を戦っていますので、自主的に、今まで一回も、企業・団体献金は受け取らない、政治資金パーティーはやらないというスタイルで活動していますが、これはもらおうと思えばもらうことができる、実際にもらっている支部もたくさんあるわけでございます。

 この一九九四年、平成六年の、政治家個人は企業・団体献金をもらってはいけない、政党はもらっていいというこの趣旨に、今の実態というのは即しているんでしょうか。ほとんどの国会議員が政党支部の代表になっていると思うんですが、これは、せめて県連レベルとか政党本部だけとかそういう制限をつけないと、本来の改正の意義からそれてしまっているのではないかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

冨樫大臣政務官 政党支部は政党の一部として、政党本部とともに政党活動の一翼を担っているものであります。

 政党がその支部をどのように構成し、財政面も含め、政治活動をいかなる形で展開するか、政党組織の基本にかかわる問題であります。政党の自主的な判断によるべきものと考えております。

 いずれにいたしましても、政治資金のあり方については、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかという観点から、各党各会派において御議論をいただくべき問題と考えております。

落合委員 政党支部の役割というのは企業・団体献金をもらうためだけに存在するわけではないので、政党支部自体は幾つあっても、これは自主的な判断としていいとは思います。

 しかし、こういう法律をつくって、政治とお金の問題を変える努力をしていきます、企業・団体献金は政治家個人はもらいませんという説明を国民にしている以上は、やはり実態も改めていかなければならないというふうに思います。

 参考までに政党の支部の数を調べてみたんですが、平成六年の法改正の翌年の一月一日は、政党の支部の数は、やはり各党、今よりか少ない数でございます。それから、いろいろ新聞記事を見てみますと、二〇〇〇年の新聞に、企業・団体献金をもらうために政党支部がどっとつくられた実態もあるというようなことも新聞記事に載っています。

 これは、企業・団体献金を禁止するということを、政党のみにしか受け取れないようにする、政治家個人はもらわないと決めたときに、そのかわりに個人献金には税制優遇を広げていきましょう、それから公費で政党助成金を導入しましょう、そのかわり政治家は政治とお金の問題がこれ以上起きないように努力をしますということでこういう仕組みが取り入れられたわけですので、やはりこれは、特に政党助成金をもらっている政党がほとんどである、公費で活動を認められるようになった、公費で活動するようになったという実態を考えると、企業・団体献金、もらえる窓口はやはり少なくしなくてはならないと思います。

 これは重要な問題だと思うんですが、済みません、もしよければ、大臣、企業・団体献金を政党に限っているにもかかわらず政党の支部がもらっている、そして多くの国会議員が政党の支部の代表になっている、要は、これは国会議員個人がもらっているようなことも言えるのではないか、この実態についてどのようにお考えですか。これは変えるべきじゃないですか。

高市国務大臣 先ほども答弁ありましたけれども、それぞれの政党が支部をどのように構成していくかということ、また財政面も、政治活動をいかなる形で展開していくかというのは、これはやはり政党の自主的な判断によるべきものだと思っております。

 その上で申し上げますと、政党の支部におきましても、国会議員が例えばそこの支部長であったとしましても、その国会議員の、選挙が近い期間は割と特定の候補予定者の活動を支援する活動はするかもしれませんが、通常的に、多くの政党支部の活動というのは、その代表者たる国会議員のための活動でないものを多くやっていると承知しています。

 さまざまな活動を展開していますので、今のような御指摘については、政府として何らかの制限をかけるべきといったような答弁を申し上げるわけにはいかないと存じます。

落合委員 大臣も九〇年代から政治活動をやられていて、この問題、注目されていたときをよく御存じだと思います。二十年前にやろうとしてできなかったこと、これはこれからも努力をしていかなければいけないと思いますので、ぜひこの問題意識は共有をさせていただければと思います。私自身も、広く国民、政治家に訴えていきたいと考えております。

 では、時間が来てしまいましたが、最後に地方選挙。

 去年、統一地方選挙がありました。三年後にまた統一地方選挙がやってきます。去年、ことし、多く取り上げられてきましたが、やはり地方の議会議員選挙でビラを配ることができない、運動ビラが認められていないという問題があります。

 この問題について、禁止している理由というのは何なんでしょうか。改めてお伺いできればと思います。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 候補者個人の使用する選挙運動用ビラについては、有権者に対する情報伝達手段として有効なものである反面、選挙運動費用の増嵩を招くおそれがあるものでございます。

 これまでの国会における審議や各党間の議論の積み重ねの中から、昭和五十年に国会議員の選挙において初めて頒布が認められ、平成十九年に知事及び市町村長の選挙について拡大されることとなったと承知をいたしております。

落合委員 これは改めて取り上げさせていただきまして、これで終わりますが、費用については、昔と比べて今、大分印刷代も下がってきていますので、実際に試算をしましたが、そんなに大きい費用ではないということをまた改めて取り上げさせていただければと思います。

 本日はありがとうございました。

竹本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 こんにちは。日本維新の会の浦野でございます。よろしくお願いをいたします。

 本日、私どもが参議院の方ですけれども出させていただいている公選法にかかわる法案について少しと、富山市でも問題になっております政活費の問題についてと、判決が出ている参議院の違憲状態の、違憲、合憲の話について少し、質問をしていきたいと思っています。

 それでは、一つ目。

 我々日本維新の会、百本法案を出すということで今作業を進めて、第一弾の中に公職選挙法にかかわる法案を何個か出させていただいております。出した理由は、もちろん、事件といいますか、問題が起きたからこそ、ではそれをできないようにしましょう、やはり疑わしいこと、今は法律には違反はしていないけれどもそれはまずいよねというレベルのものです。

 ただ、我々は、税金をお預かりして、それを使わせていただいている身分ですから、きっちりと、誰が見ても、それはおかしくないんだ、ルールにのっとって、法律にのっとってちゃんとやっているんだという、やはり国民から疑念を持たれないようにしっかりとやっていかないといけないと思うんですね。

 きょう、一つ目、選挙区支部寄附禁止法案というのを我々は出させていただいています。これは、いわゆる某野党第一党の方が花代を出したりとかしていた、そういうことで、いろいろまずいんじゃないかということで、これを禁止しましょうという法案です。

 この法案、私どもはこれはぜひこの国会でしっかりと議論をして通していただきたいなと思っておりますけれども、この法案についてどう思われるか、少し答弁をいただきたいと思います。

高市国務大臣 公職選挙法におきましては、お金のかかる選挙を是正するということで、寄附禁止の規定が設けられて、順次強化をされてきました。

 現行の公職選挙法においては、一般の政党支部は後援団体に当たらないものと解されて、後援団体の寄附禁止を規定した公職選挙法第百九十九条の五には該当しないことになります。

 この提出しておられる議員立法での法案、政党支部からの寄附の規制ということになるかと思いますが、政治活動のあり方にとても大きく影響する制度の見直しでございますから、やはりこれは各党各会派で御議論いただいて、その上で、多くの賛同が得られましたら議員立法で措置をされるということが適切であると思います。

浦野委員 もう一つ、我々が出している法案、代表的なものを取り上げたいと思いますけれども、政治資金使途制限法案というものがあります。これは、前東京都知事がいろいろと、家族旅行のホテル代に充てていたんじゃないかとか美術品を個人的に買ったんじゃないかとか、そういう疑惑、疑念があった、そういったことを踏まえて、そういったことも禁止をしよう、制限しましょうという法案です。

 これについてもどう思われるか、御答弁いただけますか。

高市国務大臣 今度は政治資金規正法に係るものであると存じますが、政治資金規正法におきましては、政治団体の政治活動の自由を尊重するという立場から、原則として、政治団体の支出に関しては、その使途や支出総額について特段の規制は設けられておりません。

 収支報告の公開や政治資金の授受など政治資金の規制については、各党各会派での御議論の中で、憲法で保障された政治団体の政治活動の自由を確保するということと、国民の皆様の疑惑を招くことのないよう、政治資金の透明性をきちんと図っていくということのバランスをとりながら、現在の仕組みになっていると承知をしています。

 これも政治資金に関することでございますので、各政党、各政治団体の政治活動の自由と密接に関連しますから、各党各会派で御議論いただくべき課題だと考えます。

浦野委員 我々、ほかにも例えば、寄附金控除を通じた国会議員等の利益享受禁止法案とか、企業・団体献金、これは先ほども質問がありましたけれども、政治資金を規制する法案、それと文書交通滞在費ですね、歳費、旅費などの手当を改正する法案、いろいろな法案を出させていただいております。

 これを一つ一つやっていくと時間がなくなりますので、詳しくは、我が党のホームページで皆さんの大好きな足立康史が一つ一つ動画つきで解説をしておりますので、原田副大臣にもぜひ見ていただきたいなと思って、さっきまでいらっしゃったので言いたかったんですけれども。その説明を、いつもの足立節ではありませんけれども、やっていますので、ぜひ見ていただきたいなと思います。

 我々、なぜこういった法案を出すかというと、やはり国民の皆さんから、政治家って何かずるしているんちゃうかというふうに見られないようにしなければいけない。もちろん、ほとんどの政治家は、きっちりと法律にのっとってそういった活動をしております。しかし、やはり、ごく一部の方が間違った使い方をする、してしまうがゆえに、こういう政治不信が起きてしまう。であるならば、我々は、やはりしっかりと公開をして、法律で禁じることはもちろんですけれども、しっかりと、我々がどういうふうにして政治に係るお金を使っているのかというのを公開する、白日のもとにさらすというのが、これしか、我々は改革、改正していくという手だてはないんじゃないかというふうに思っています。

 次に、富山市の政活費の問題も、まさに今言ったような透明性にかかわる問題だと思うんですね。

 今、十月二十四日の日経新聞朝刊にも載っていました。領収書のネット公開をしている地方議会、どれぐらいあるのか、たったの七・四%だという記事が載っています。ネットで領収書まで全部出すということをやっているのが七・四。ネットで公開するということは、いつでも誰もが自由にその情報に目を通すことができる。一番透明性が高いやり方ですよね。そういったことをまだ七・四%しかできていないというのが今の現状です。

 都道府県でも、そこまでやっているのは大阪府と兵庫県と高知県、この三つだけです。今、徳島は準備中だということだそうです。議長、副議長の意識調査でも、六割がやはり議会としてチェック機能を強化する必要があるというふうに答えています。しかし、やっていないんですね。

 きょうの朝刊にも、同じく日経の朝刊に載っていました。富山市の市議補選、三十日告示でやりますね。これは、一カ月間で十二人が辞職して、不正請求額、何と三千三百万円に及ぶということがわかっています。

 もちろん、これは与野党を含めて、我々の政党でもそうですけれども、問題のある支出をしている議員は野党、与党関係なく、全党にいるんですね。私、これが何で問題になるかというと、やはり公開をしているからこそ発覚するわけですよね。私は、だから、必ずこういったことは公開していかなければいけないと思っています。

 ところが、公開をしようとすると、きょうも朝からずっと答弁の中にありました、民主主義の根幹にかかわる云々かんぬん、各党各会派の議論が云々かんぬんということで、やはり所管省庁としては一歩下がった答弁しかしないんですね。

 でも、なぜこういう政治不信が起こるかというと、これはやはり政治の不作為が問題だと思うんですね。我々政治にかかわる人間が本当はしっかりと自分たちでそういった改革をしていかなければいけないのに、しない、だからこういう問題が起こる、いつまでたっても解決しない。

 公選法も政治資金規正法も議法ですね。議員立法であるからこそ、そういった答弁が多いとは思うんですけれども、であるならば、所管省庁としてしっかりと指導する、そういった立場も必要だと私は思うんですけれども、大臣はその点いかがですか。

高市国務大臣 けさ方から、公職選挙法や政治資金規正法についての御質問をいただいたときに、私が各党各会派でと答弁をさせていただきました理由は、政治活動の自由を保障するもの、特に政党の政治活動の自由を保障する、そういう精神の上に立脚して主に議員立法で改正を重ねてこられたものについて、仮に内閣の方が国会議員の皆様の政治活動の規制を強める、つまり、力のバランスを崩していくようなものを積極的に発信する、また提案するということは、決して好ましいものではないと考えました。それが考え方の基本にございます。

 公職選挙法にしましても、内閣を厳しく監視してくださる立法府の議員の皆様の身分にかかわることでございますし、またその構成員の資格を決めるものでもございます。政治資金規正法も、それぞれの政治活動、さまざまな、多様な政治活動を支えるものでございますので、それに制限をかけるというものについては、行政は積極的に関与しないように、むしろ遠慮をしております。

 ただ、有権者の方々の投票環境をよくしていくとか、多くの国民の皆様にとって便利になることについて、一生懸命知恵を絞ってこちらの方は取り組ませていただきます。

浦野委員 大臣のおっしゃる意味も私はわかるんです。

 ただ、ここまで来るとなかなか改まらないのが現状で、例えば、先ほどの日経の記事にも出ていますけれども、そもそも政活費をチェックしている市議会の事務局、これは公務員の皆さんですよね。その方々もチェック機能が既にもう成り立っていないというのが露呈されているわけですよ。

 なぜチェック機能が成り立っていないのか。それは、この富山市の事務局の幹部の皆さんも、なれや脇の甘さがあったというふうに認めていらっしゃいます。しかし、地方自治を担う公務員の皆さんを指導監督しているのは総務省でもあるわけですね。

 やはり、私は、そういったところにもしっかりと総務省が、疑念を持たれないような議会運営をしていくために、地方で市議会のそういうものにかかわっている皆さんに、しっかりと指導していく勉強会を開くとか、そういったこともしていかないといけないんじゃないかというふうに思っています。これは答弁を求めているものじゃないので、ちょっとしっかりと考えていただきたい。

 だからこそ、総務省はそういう政治に介入してはいけないという立場がありますけれども、それと国民に信用される政治を行っていくというのは少し違う次元で考えるべきだと私は思っています。

 これは、恐らくこれからもいろいろな問題がまだまだ出てくるでしょう。富山に端を発した問題ですけれども、政活費というのは今まででもたくさん問題が出てきましたし、これからも出てくる問題です。

 まずはしっかりと公開をするように、これは今、努力義務ですよね。自治法では努力義務を課しています。でも、それは努力義務じゃだめなんですよね、恐らく。これは義務にすべきだと思うんですが、その点についてはいかがですか。

高市国務大臣 まず、現行法につきましては、しっかりとこれを遵守していただくべきものでございますので、その成り立ちが議員立法であっても、現実に生きている法律については、これはしっかり守っていただくべきものでございますので、九月三十日に全都道府県知事、議長に対して通知を発出しました。しっかりと守っていただくということです。

 この努力義務につきましては、これは議員修正により制度化されたものでございますので、やはりその制度の趣旨を踏まえて、まず地方議会において、政務活動費の適正な取り扱い、情報公開にしっかりと取り組んでいただくということが必要でございます。

浦野委員 都道府県でも、大阪府はネット公開している府県の一つになりますけれども、私も大阪府議会にいましたので、大阪府も当初から厳しかったわけじゃないです、もちろん。問題が発覚して、このままじゃだめだということで、当時の議会、私を含めた大阪府議会の皆さんで議論をして、ネット公開すべきだということで、議会でちゃんと対策をしたわけですね。残念ながら、事が起こってからそういったことを大阪府議会でもしたんですね。

 私は、事が起こる前に、自分たちの身分にかかわる、そういった李下に冠を正さずの姿勢で改革をしていかないと、これは議会改革と言っていいと思いますけれども、改革をしていかないと、ますます政治が信用されなくなってしまいますので、これは本当にゆゆしき問題。各党各会派の議論に任せていると、いつまでたっても前に進まない問題ですので、ぜひ、野党の私が言うのもなんですけれども、与党の皆さんがもうちょっとしっかりと議論をしていただかないと、この問題はいつまでたっても解決しない。もちろん、我々野党も、その議論に参加をして、きっちりとしていきたい、これからも政治不信を払拭するようなことをしていきたいと思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 最後に、参議院選挙の、きょうも判決が一応出ることになって、広島高裁の方で鳥取県及び島根県の判決が出る予定日になっています。違憲状態と合憲だというところ、分かれています。今、分かれていますけれども、要は、一票の格差というのはやはりどこかできっちりと是正していかなければいけないというふうに思います。

 総務省として、例えば、世界各国、一票の格差というのをどういうふうにして是正しているかということを検証しているようなデータというか、そういったことの取り組みをしているのか、少しお聞かせください。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 諸外国の選挙制度のお話でございました。その内容、経緯、議論の動向を把握していくために、日ごろから、海外の選挙制度については情報収集に取り組んでおります。

 ただ、一票の格差につきましては、国立国会図書館が平成二十五年にまとめましたイシューブリーフの「諸外国における選挙区割りの見直し」という詳細なものがございますので、これらを参考にして研究しております。

 また、米国、ドイツ、イタリア、それぞれ選挙の区割り、あるいは選挙関係に違憲判決なども出ているというような状況も承知しておりますので、研究者から情報の聴取などを行っております。

浦野委員 総務省としては、そういった調査研究というかデータを主体的にとっているわけではなくて、今答弁にありましたように、国会図書館とかそういった研究者の人たちのそういうのを見て勉強しているということなんですけれども、それも私は、選挙制度、議員立法だという公職選挙法でやっているから先ほどからの大臣の答弁のような立場を総務省はとっているんだと思うんですけれども、でも、それも私はやはり、別に、だから皆さんこうしてください、ああしてくださいと総務省が言うわけではなくて、諸外国ではこうですよ、ああですよということぐらいはしっかりと私は総務省はデータとして持っておくべきだと思うんですけれども、いかがですか。

大泉政府参考人 以上のような、先ほど申し上げましたような方法により収集しております。

 また、あと、照会がございましたときには、照会に答えられる範囲で、外国の制度などにつきましても調べてお答えをしているというところでございます。

浦野委員 公職選挙法の話になると、どうしても各党各会派の議論だとか民主主義にかかわる、根本にかかわる、根幹にかかわる云々かんぬんという議論になってしまいますので、どうしても議論がすれ違いがちになってしまいます。

 私は、それ自体はやむを得ない側面はあるとは思いますけれども、政治の不作為を許すべきではない、所管している総務省としてやはりもうちょっと、プレッシャーじゃないですけれども、政治家に対して、しっかりとやってくださいよというようなことを少しぐらいは言ってもいいんじゃないかなと思っていますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 少し時間が早いですけれども、質問を終わります。

     ――――◇―――――

竹本委員長 次に、内閣提出、公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、有権者が投票しやすい環境を整えるため、在外選挙人名簿の登録申請の方法の見直し、選挙人名簿の内容確認手段の閲覧への一本化、都道府県選挙の選挙権に係る同一都道府県内移転時の取り扱いの見直しを行うとともに、最高裁判所裁判官国民審査の期日前投票の投票期間を延長するなどの措置を講じようとするものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、公職選挙法に関する事項であります。

 在外選挙人名簿の登録制度について、その利便性を向上させるため、最終住所地の市町村の選挙人名簿に登録されている者は、国外転出時に、その市町村の選挙管理委員会に対し、在外選挙人名簿への登録の移転の申請を行うことができることとしております。申請を受けた選挙管理委員会は、申請者が国外に住所を定めたことを外務省を通じて確認した上で、在外選挙人名簿への登録の移転を行うこととしております。

 また、選挙人名簿の内容確認手段について、縦覧の件数が極めて少ないことや個人情報保護の要請が高まっていることなどを踏まえ、縦覧制度を廃止し、個人情報保護に配慮した規定が整備されている閲覧制度に一本化することとしております。

 さらに、都道府県選挙の選挙権について、同一都道府県内であれば、市町村を単位として二回以上住所を移した場合であっても、その選挙権を失わないこととしております。

 第二に、最高裁判所裁判官国民審査法に関する事項であります。

 最高裁判所裁判官の国民審査について、期日前投票の投票期間を、衆議院議員の総選挙と同様、総選挙の公示日の翌日から開始することとしております。

 なお、この法律は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、最高裁判所裁判官国民審査法の改正に係る部分については公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から、公職選挙法の改正規定中在外選挙人名簿の登録制度の改正に係る部分は公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から、それぞれ施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

竹本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十分散会


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